衆議院

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第4号 平成19年10月31日(水曜日)

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平成十九年十月三十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 鈴木 俊一君

   理事 谷本 龍哉君 理事 やまぎわ大志郎君

   理事 吉川 貴盛君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      伊藤 忠彦君    飯島 夕雁君

      江崎洋一郎君    大村 秀章君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      片山さつき君    亀岡 偉民君

      川条 志嘉君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      柴山 昌彦君    平  将明君

      谷畑  孝君    土井 真樹君

      冨岡  勉君    丹羽 秀樹君

      橋本  岳君    広津 素子君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      武藤 容治君    安井潤一郎君

      山内 康一君   山本ともひろ君

      吉田六左エ門君    吉野 正芳君

      渡部  篤君    太田 和美君

      川内 博史君    北神 圭朗君

      後藤  斎君    近藤 洋介君

      下条 みつ君    田村 謙治君

      牧  義夫君    三谷 光男君

      鷲尾英一郎君    高木美智代君

      谷口 和史君    吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   経済産業副大臣      中野 正志君

   経済産業大臣政務官    山本 香苗君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       寺坂 信昭君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           本庄 孝志君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          安達 健祐君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          石田  徹君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          岡田 秀一君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十一日

 辞任         補欠選任

  江崎洋一郎君     広津 素子君

  平  将明君     山内 康一君

  橋本  岳君     渡部  篤君

  牧原 秀樹君     飯島 夕雁君

  武藤 容治君     鍵田忠兵衛君

  近藤 洋介君     川内 博史君

  三谷 光男君     鷲尾英一郎君

  高木美智代君     谷口 和史君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     亀岡 偉民君

  鍵田忠兵衛君     武藤 容治君

  広津 素子君     冨岡  勉君

  山内 康一君     平  将明君

  渡部  篤君     山本ともひろ君

  川内 博史君     近藤 洋介君

  鷲尾英一郎君     三谷 光男君

  谷口 和史君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     牧原 秀樹君

  冨岡  勉君     江崎洋一郎君

  山本ともひろ君    橋本  岳君

    ―――――――――――――

十月三十日

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

同月二十九日

 中小自営業の女性起業家・家族従業者に対する支援の充実等に関する請願(市村浩一郎君紹介)(第一八九号)

 同(寺田学君紹介)(第一九〇号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第二一〇号)

 同(古賀一成君紹介)(第二一一号)

 同(辻元清美君紹介)(第二一二号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二一三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二三六号)

 同(石井郁子君紹介)(第二三七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三八号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第二三九号)

 同(重野安正君紹介)(第二四〇号)

 同(田島一成君紹介)(第二四一号)

 同(松本龍君紹介)(第二四二号)

 同(森本哲生君紹介)(第二四三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二七三号)

 同(石井郁子君紹介)(第二七四号)

 同(笠井亮君紹介)(第二七五号)

 同(金田誠一君紹介)(第二八四号)

 同(川内博史君紹介)(第二八五号)

 同(田名部匡代君紹介)(第二八六号)

 同(小川淳也君紹介)(第三一九号)

 同(下条みつ君紹介)(第三二〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

 電気用品安全法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案及び電気用品安全法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房商務流通審議官寺坂信昭君、経済産業省大臣官房審議官本庄孝志君、経済産業省貿易経済協力局長安達健祐君、経済産業省産業技術環境局長石田徹君及び経済産業省商務情報政策局長岡田秀一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤三津枝さん。

近藤(三)委員 自由民主党の近藤三津枝です。

 本日は、消費生活用製品安全法並びに電気用品安全法の一部改正法案について質問させていただきます。

 昨年春の中古電気用品の販売をめぐっての混乱は、中古品販売業者に大きな影響を与えるとともに、国民の関心を集めたところです。

 現在、高齢化が進む中で、地球環境保全のためにも資源循環型社会を構築することの重要性がますます高まっております。一方で、経年劣化による電気製品などによる重大事故が発生しておりまして、これらに配慮して、製品の安全、安心を確かなものとしてほしいとの国民の声も高まっております。

 このような状況の中で、今回の電気用品安全法の一部改正では、新法と旧法の技術基準、そして安全性が同等であることを確認した上で、PSE制度の見直しを行い、中古品販売について規制を緩和する方針を示されました。また、消費生活用製品安全法の一部改正につきましては、経年劣化による重大事故の発生のおそれのある製品を特定保守製品と位置づけ、消費者に適切な保守のための情報を提供するなどの措置を講じる法案を政府が提出されたことは時宜を得た対応だと考えております。

 本日は、二つの法案の考え方、具体的な法制度の運用などについて、提案を含め、御質問をさせていただきます。

 まず、消費生活用製品安全法の一部改正について質問をさせていただきます。

 今回の法改正のポイントの第一は、経年劣化、すなわち、長年製品を使用することによる品質等の低下が安全上の支障を来し、重大事故につながるおそれのある製品を特定保守製品として位置づけたところにあると思っております。この特定保守製品には、ガス瞬間湯沸かし器、ふろがまなど、住宅に据えつけられた大型の製品九品目が政令に指定される予定と聞いております。特定保守製品として指定しようとしている九製品の選定基準をまずお聞かせください。

 一方で、据えつけ型でない身近な製品、例えば扇風機などは、改正案の特定保守製品に指定される予定がないとお聞きしていますが、その理由をお聞かせください。

 また、この法案で言います特定保守製品とは別に、長期使用によりまして重大事故の発生のおそれのある身近な製品について、経済産業省として具体的にどのような対策を考えておられるのかもお聞かせください。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問のございました特定保守製品でございますけれども、事故の発生のリスク、そういう観点から、特定保守製品につきましては、経年劣化によります重大事故、火事とか死亡等でございますけれども、そういう重大事故発生の確率が高いものを指定する予定でございます。

 今お話ございましたように、具体的には、現時点におきましては、ガス瞬間湯沸かし器、ガスふろがま、石油ふろがま、FF式の石油温風暖房機、石油給湯器、浴室乾燥機、それからビルトイン型の食器洗い機等、都市ガス用とLPガス用もございますので、全部で今九品目を予定しているところでございます。

 お話がございました扇風機等の品目でございますけれども、こういった品目は重大事故の発生の確率は高くはないということで、特定保守製品としては指定することは今考えてございませんけれども、ただ、一方で、こういった製品は残存台数が非常に多いために、事故の発生件数、これは一定程度あるわけでございます。したがいまして、こういった製品につきましても何らかの対応が必要というふうに考えてございまして、特定保守製品のような点検通知等、そういったものの義務づけには至らないものも消費者による自主的な保守を促進することが重要であるというふうに認識をしております。

 具体的には、こういう扇風機等につきましては、例えば継続して何年間使用すると経年劣化による事故のリスクが高まるおそれがありますといったような、そういう経年劣化リスクに関します表示を義務づけることによって対応をしていきたいというふうに考えておるところでございます。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 ただいまの御答弁のように、特定保守製品だけではなくて、身近な製品の経年劣化による重大事故を防止するための情報提供についても充実をお図りいただきたいと思っております。

 今回の消費生活用製品安全法の第二のポイントは、先ほど申し上げました特定保守製品に点検時期などの表示をするとともに、所有者に対し所有者情報の提供を求め、その情報に基づき製品の点検や保守に関する情報を直接所有者に提供することにあると思います。

 所有者情報に基づき、点検時期などの通知だけではなく、特定保守製品に重大事故が発生した場合には、所有者に直接速やかに事故の発生を伝え、第二、第三の事故の回避に努めるべきであると考えておりますが、この点について本法ではどのような措置が講じられているのか、お伺いします。

寺坂政府参考人 今回の法案に関しましては、事故の未然防止を図る、そういったことをねらいとしているものでございますけれども、ただいま御指摘ございましたような、事故が発生した場合に、これをできるだけ早く所有者の方にお伝えをするということも大切なポイントだというふうに考えてございます。

 したがいまして、重大事故が発生して、製造事業者等が回収等の対策を迅速に行うために、こういう具体的な所有者情報の把握というものを前提といたしまして、これを活用したいというふうに思ってございます。

 したがいまして、特定保守製品でありまして、今後販売されるものにつきましては所有者情報の把握が可能となるわけでございます。ですから、事故が発生した場合には、その事故の拡大防止のために、所有者情報を活用した事故情報の周知が積極的になされるということを期待しているところでございます。

 そういった観点から、今回の改正法案におきましては、特定製造事業者等は、リコール情報といった点検通知事項以外の事項についても通知するよう努めることと手当てをしているところでございます。

近藤(三)委員 所有者情報の有効活用によって重大事故の回避に努めていただきたいと思いますが、一方で、私の同僚の自民党議員も指摘されていますが、所有者情報の取り扱いにつきまして、法三十二条の八から十三に定めがありますように、情報管理の徹底を呼びかけ、法本来の目的であります製品の安全性の確保の観点が全うされますように、よろしく御対応いただきますようにお願いいたします。

 次に、特定保守製品の引き渡し、所有権の移転などの際の円滑な引き継ぎ方法についてお尋ねさせていただきます。

 建て売り住宅やマンションなどの場合、ガス湯沸かし器などの特定保守製品の設置者がハウスメーカーであったり、また不動産会社などの仲介者の場合が想定されます。また、住宅の転売などによりまして製品の所有権が移転することも予想されます。このような場合でも所有者、すなわちエンドユーザーへの本制度の周知徹底、特定製造事業者の所有者情報の把握が徹底されますように、法の第三十二条の五や三十二条の八などに定めがあります。使用期限の比較的長い特定保守製品は、所有権の移転などの際の措置がきちんとされませんと、本法の有効性を損なうことにもなりかねないと思います。

 このような点におきまして、具体的にどのような対応を政府として行い、法の効果を上げようとしていらっしゃるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

寺坂政府参考人 点検通知などを行うこととされております製造・輸入事業者が所有者情報をあらかじめ把握しておくためには、消費者によりその所有者情報が確実に連絡されることが重要でございます。このため、販売時におきまして販売業者が果たすべき役割が重要と認識しております。

 販売業者がその説明義務や所有者票の取り次ぎ協力といった役割をきちんと果たせるように、説明すべき内容を製造・輸入事業者が所有者票にあらかじめ記載いたしますとともに、関係省庁や関連団体とも連携しながら、各種説明会の開催等によりまして、こういった制度の内容につきまして周知徹底を図ってまいりたいと考えてございます。

 また、引っ越し等によりまして所有者情報が変更する場合があるわけでございます。そういう変更に当たりましては、その新たな所有者の方みずからがその安全意識を持っていただき、その所有者情報を提供していただくことが原則だというふうに考えてございます。

 これに加えまして、不動産取引業者等の関連事業者がその売買の仲介の際に買い主に提示、説明することとなっております設備表、そういったものに特定保守製品の存在を記入していただきまして、適切な情報提供を行う等の協力がなされるよう、これも関係省庁とも連携しながら対応いたしまして、消費者の行動を促し、実効性を確保してまいりたいというふうに考えてございます。

近藤(三)委員 所有権の移転などによりましても本法案の制度が生かされますように、関係機関との連携をよろしくお願いいたします。

 さて、今回の消費生活用製品安全法の改正では、一問目で質問をさせていただきましたように、扇風機、ブラウン管などの買いかえが一般的で所有者の移転も容易である身近な電化製品につきましては、本法の特定保守製品に指定することは考えられていませんということは認識しております。しかし、製造者が期待する以上に長期間にわたり製品が使用され、経年劣化が生じたり、重大事故が発生することも考えられます。このような製品の安全性に関する情報などを素早く的確に利用者に伝えるシステムをさらに充実する必要があるかと思われます。

 そのためには、我が国の最先端を行くITの技術を使用し、問題の製品のトレーサビリティーを高める工夫が考えられるのではないかと思っております。例えば、製品に製造番号などの情報が埋め込まれましたICタグの添付を推進してはいかがでしょうか。そして、所有者は製品に張られましたICタグに書き込まれた情報を読み取ることができる携帯電話をかざすことによって、製造メーカーとインターネット上で情報のやりとりができるシステムを構築してはどうでしょうか。

 そのような、製品に添付されましたICタグと製造メーカーとの電子的なやりとりが可能になりますと、消費者は製品の欠陥情報を独自で入手することができますし、適切なメンテナンス時期を自身で知ることもできるようになるのではないかと思われます。消費者の自主的な危険防止に向けた活動が盛んになりまして、結果として、現状よりも製品の安全性が向上するのではないかと思われます。

 例えば、今回の電気用品安全法の改正で、法の対象となっておりますリチウム電池、製品本体に内蔵される附属品でありまして、消費者にとりましては、どのような電池が組み込まれているのかわかりづらいという現状なんですが、その製品を携帯電話にかざすだけで情報を的確にキャッチすることもできるようになると考えております。

 このようなICタグを製品に添付する企業活動を政府としても後押しすることは、IT先進国の日本にふさわしいイノベーションであり、ユビキタス社会の構築にも一役買うものと考えております。

 政府としては、製品安全情報の提供、製品のトレーサビリティーなどの観点から、消費者が利用できるICタグの製品への添付を促し、これを手軽に読み取り、メーカーなどと通信を行うことができる携帯電話の技術開発、そして、普及を促す施策を推進していくことも重要ではないかと考えておりますが、この点について、政府の見解を伺わせてください。

岡田政府参考人 ただいまのICタグの活用に関する御質問についてお答えをさせていただきたいと存じます。

 製品安全の確保のためには、メーカーが製品の所在を把握して、消費者に対して安全性に関する情報を直接提供することができる体制を構築することが極めて重要だと思っております。

 メーカーが製品の所在を把握する方法としては、現在のところ、消費者がユーザー登録はがきをメーカーに送る仕組みが中心になっておりますけれども、登録率は極めて低い状況にとどまっておりますので、適切な情報提供が必ずしも行えておりません。

 消費者によるユーザー登録を促進することを目指して、経済産業省では、製品などに添付されたバーコードや、今御指摘のICタグを携帯電話で簡単に読み取ることができるようにすることによって、メーカーに簡易にユーザー登録ができるシステム構築を進めることにしておりまして、来年度に研究開発と実証実験を行おうということで、現在予算要求をさせていただいているところでございます。

 ICタグは、バーコードよりも傷や汚れに強く、より高い読み取り精度を実現することができますので、将来的には、すべての製品にICタグが添付され、そして、新製品だけでなくて中古製品にもICタグが添付されて、メーカーが所有者を把握できるシステムが構築できるように努力をしてまいりたいと存じます。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 御答弁いただきましたように、ICタグなどを活用した実証実験を積み重ねることによりまして、技術水準を高め、一日も早い実用化を期待いたしております。

 次に、今回の法改正に伴う特定保守製品に対する劣化対策制度を国際的にも普及していただきたいという観点から、質問をさせていただきます。

 本法案の第三十二条の四の第五項によりますと、輸出用の特定保守製品につきましては、製品情報の表示そして所有者票の添付の義務は適用されないとあります。一方で、日本製品が、アジアそして世界におきまして、製品の品質、安全性についてさらに信頼性を高めていくためには、特定保守製品の指定による制度を国内製品だけではなく世界市場にも適用していくことにより、結果として、市場競争による事実上の国際標準、すなわちデファクトスタンダードとしていくことは国際貢献にもつながると考えております。

 製品の経年劣化などによる重大事故防止の本制度を政府から企業側に呼びかけることによって、国際市場にも広げていく、このような考え方について、政府の見解をお聞かせください。

中野副大臣 海外向け製品につきましては、輸出先のそれぞれの安全規制にゆだねることが適切であるということで、本改正法では対象外といたしております。

 ただ、他方、本制度の導入を契機として、日本のメーカーが安全を重視し、販売後における製品の長期使用時の保守サービスを見据えたビジネスモデルに今後転換をして、海外でのビジネスについても同様の発想で展開をしていくことが期待をされます。言ってみれば、日本の製品は売りっ放しではないのだ、安心、安全という大きな付加価値をつけることが重要なのだということであろうかと思います。

 さらに、今回の経年劣化対策は、世界的にも先駆的な取り組みであると認識しておりまして、経済産業省としましては、よその国の範となるような着実な制度運用の実施に努めるとともに、例えば、製品安全当局による国際会合などの場において一生懸命PRあるいは紹介する、こういうことで取り組ませていただきたいと思っておるところであります。

近藤(三)委員 ありがとうございます。ぜひ、国際的な安全性の向上という国際貢献の観点からも、積極的な取り組みを期待させていただいております。

 次に、電気用品安全法の一部改正案についてお伺いさせていただきます。

 これまでの電気用品安全法の対象となる製品は機器本体に関するものでしたが、今回、法の対象となりますリチウム電池は、本体の附属品です。消費者には携帯電話などの製品本体にリチウム電池が使用されているかわかりづらく、かつ、不安全な現象が生じた場合の附属品であるリチウム電池と製品本体との事故に対する責任関係の明確化も問題になるかと思われます。

 この点に関して、今後政府としてどのような対応をするお考えなのか、政府の見解をお聞かせください。

本庄政府参考人 お答えいたします。

 一般的に、製品の欠陥によりまして重大事故が生じる等、危害の発生拡大を防ぐための緊急性が認められる場合には、消費生活用製品安全法に基づきまして事業者に対しまして回収責任を課すことができますが、この場合、回収責任を負う者は、当該製品の欠陥について責任を有し、また当該者が回収を行うことが効率的であるという者が対象になるわけでございます。

 御指摘のございました、リチウム電池が搭載された携帯用電子機器の場合につきましては、通常、機器メーカーが電池メーカーに対しまして、当該機器に適合するための規格の指示も含めて製造させていることが多いわけでございますので、いわば電池を含めた製品全体に対して機器メーカーが責任を有していることが多いと認識しております。

 したがいまして、このような機器について重大事故が生じ、危害の防止命令をかける必要が出た場合には、当該機器メーカーに対して回収命令をかけるのが一般的ではないかというふうに思います。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 我が国のリチウム電池生産の国際シェアは六割を占めるというふうに伺っております。リチウム電池というのは、電子機器の小型化、高性能化に欠かせない要素であり、この部門で高い国際シェアを我が国が引き続き保持していくことは、産業戦略上も大変重要なことだと考えております。だからこそ、リチウム電池の安全性を損なうことが再び起きますと、我が国のものづくりの世界的な信頼を大きく失墜させることにもなりかねません。

 今回の法改正では、リチウム電池などの充電器のしっかりとした、安全に十分配慮した技術基準を国が定めることにより、民間企業の安全性と効率性の高いリチウム電池の技術開発を促すべきではないかと思っております。

 さらに、一歩踏み込みまして、例えば、次世代航空機開発、そして次世代原子炉開発のように、国がリチウム電池の技術開発をリードし、安全性の高い効率的なリチウム電池開発を手がけていくべきではないかと考えておりますが、政府の見解を伺わせてください。

本庄政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、リチウム蓄電池、これは我が国の将来の有望な分野というふうに考えております。そのためにも安全をきっちり守っていただきたいということでございまして、本改正法案におきまして蓄電池を電気用品安全法の安全規制の対象とすることにより、さらに政令でリチウム蓄電池を規制対象にして、安全を確保するための技術基準を省令で定めることに予定をしているところでございます。

 具体的には、事故の未然防止のため、仮に電池内部で高熱になるなどの異常な状態が生じたといたしましても、発火、発煙しないような技術基準をしっかりと定めてまいりたいと思いますが、大事なことは、技術基準を定めるに際しては、今後の技術開発を阻害しないということが肝要だというふうに考えております。

 したがいまして、御指摘のとおり、各事業者によって我が国の蓄電池についての安全かつ効率的な開発が引き続き行われることを期待しているところでございます。

 さらには、将来を見据えまして、先生御指摘のとおり、リチウム蓄電池を、携帯電子機器用としてのみならず、他の分野、例えば自動車といったような分野におきまして活用する等の、国によって技術開発が促進するということが極めて重要な課題というふうに認識しておりまして、国家戦略の一環としてしっかり進めていきたいというふうに思っております。

近藤(三)委員 ぜひ強烈なバックアップをお願いいたします。期待いたしております。

 さて、本日は、消費生活用製品安全法の一部改正につきましては、特定保守製品のトレーサビリティーを徹底すること、そして、特定保守製品に指定されない製品に対しましても、ITを活用したトレーサビリティーの充実を図ることなどについて、提案を含め政府の見解を伺わせていただきました。また、電気用品安全法の一部改正案につきましては、リチウム電池の安全対策に対し、技術基準の策定や技術開発などを通じた国のリーダーシップを期待することを質問させていただきました。

 最後に、本日の質疑を通じ、経年劣化などを原因とする国民に身近な製品による重大事故を未然に防止するため、今後の対応方針について、経済産業大臣の御決意をお聞かせいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 製品の経年劣化による事故をどう未然に防止していくかというのは、我々にとってのいわば長年の懸案事項でありました。今回、世界に先駆けて法改正をするわけであります。恐らく、私の知る限り、世界じゅうで経年劣化に対する法整備がきちんとできているという国はまだないんだというふうに思っております。そこで、安全、安心行政のしっかりした範たる国であることを世界に知らしめるためにも、今回の法案の提出をしたわけであります。

 もちろん、これは輸入業者それから製造事業者だけできちっと回っていくわけではありませんから、これはもう事業者以外、国あるいは消費者が三位一体、四位一体となって取り組んでいくという必要があろうかと思います。

 法に記載をしている、あるいは法が期待している実施体制をきちっと確保して、安全、安心の構築のためにしっかりと資するような法律として運用されるよう、これからもしっかり目配りをしていきたいというふうに思っております。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 甘利大臣から力強い御決意をお聞かせいただきました。製品仕様により国民の安全を守り、国際的にも信頼性の高いものづくりにより我が国の国際的な貢献がさらに推進されますよう、引き続き甘利大臣にリーダーシップをおとりいただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

東委員長 近藤三津枝さんの質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽でございます。

 きょうは、議題となった本件につきましては同僚の高木美智代議員がこの後質問いたしますが、その前に一点だけ、前回ちょっと質問できなかったので、質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、家電製品のこん包、緩衝材に使われております発泡スチロールの処分について、ちょっと議論をしたいと思います。

 この発泡スチロールは、二〇〇五年の統計で見ますと、年間十七万トンが回収対象として出ている。そのうち、実は三割がリサイクルされていないんです。二割強が埋立処理、約一〇%が焼却、こういった状況になっているというのが一つあります。

 今、家電製品を買ってテレビなんかを搬入すると、大抵が、買った人は、持って帰ってくれと。ですから、町の電器屋さんとか量販店、販売店が処理しているというのが現状なんですが、量販店が処理をしている場合、どうも家電メーカーがリベートを出してその費用は見ているんですね。ところが、小売店の場合は、メーカー側もある意味では自分たちが処理しろということで、町の電器屋さんがその処理をせざるを得ない。

 テレビの薄型化なんかによりまして、昔の発泡スチロールとは違って、最近はもう手で割ることができないぐらい頑丈なものになったりとか、その処理というのは大変困っていて、結局、町の小売店が処理をするときは、費用の問題もあって、リサイクル化をするというよりも、埋め立てとか産業廃棄物として処理せざるを得ないのが現状だというのが事実としてある。

 これは、ちょっと矛盾というか、法の考え方の違いなんですが、もしその発泡スチロールを、買った消費者が自分で処理をするといった場合は、産業廃棄物じゃなくて一般廃棄物扱いになりますから、容器包装リサイクル法の対象になって、家電メーカーは再商品化しなきゃいけないという義務が生じるんです。だけれども、販売店が処理をするときは、家電メーカーには義務が生じないんですよね。

 私は、ここの考え方を少し整理する必要があると思うし、町の電器屋さんの声を聞いていますと、この費用負担と手間が大変だと。その結果、循環型社会に対して前に進まない原因になっているということもあり、私は、ここは、相当大きな声でもありますので、ぜひ大臣にも直接この声も聞いていただきたいですし、循環型社会をつくるというのは経済産業省の思いでもあると思います。

 また、加えて、前回質問で、中小企業対策をということを訴えましたが、中小企業の中でも、やはり小売店というか、商店街に対する対策というのはなかなか手が打てない、その中で苦しんでいる。町の電器屋さんは、毎年、年間約千軒廃業しているというデータも出ているんです。今後、地デジ対応で、高齢者世帯に地デジの設定をするなんというのはきっと町の電器屋さんがやらなきゃいけないというようなときに、環境省と共管になると思いますけれども、この点は少し対策を考えて、私自身は、家電メーカーがやはりそれ相応の責任を負うのが筋なのではないかというふうに思うんです。

 家電メーカーも全く何もやっていないというわけじゃなくて、試みとして、家電メーカー七社と発泡スチロール再資源化協会がかつて覚書をして、エプシー・プラザというものを介して再資源化が進められている。そういう仕組みがあることはあるんですが、いろいろな事情があって、これはなかなかうまく進んでいない。

 ですから、ぜひ大臣の方から、この家電メーカー大手七社が対象になるかと思うんですが、呼んで、この問題を他人任せにするなと。やはり家電メーカーが自分たちの責任として最終的に処理するということを、私は知恵を出すべきではないかというふうに思いますが、この点について、一点だけ大臣の御所見を伺いたいと思います。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、処理が二つのルートになってしまう。つまり、お話のとおり、消費者が買って持ってきてそのまま行政のルートに乗せると一般廃棄物で、これは容リ法の対象として分別回収されて、そういうルートに乗っかっていく。ところが、小売事業者に持っていってくれと言うと、これはまた別ルートになる。

 私も、家内と買い物を一緒にすることがあるんですが、さすがにテレビは裸にして持って帰るということはないんですけれども、持って帰れるものは中身と保証書だけ持って、あとはいいですという買い物形態が多いですね。そうすると、財政的力のあるところはともかくとして、小さい町の小売店は、この対応に極めていろいろな負担を強いられるということになります。

 メーカーができるだけ、一方で、ごみが少なくなるような工夫というのは前提として必要なんですけれども、ゼロというわけにはいきませんから、これをどうするか。御指摘をいただきましたので、関係者としっかり協議をして、どうすべきか検討していきたいというふうに思っております。

赤羽委員 では、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、高木委員にかわります。

東委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 おはようございます。本委員会で初めて質問に立たせていただきます。

 これまで、大臣初め経済産業省の皆様に、多くの勉強と、また貴重な経験をさせていただきました。今後とも、経済産業行政のために微力を尽くしてまいる決意でございます。

 そこで、まず、この法案審議に入ります前に、一点、地域活性化につきまして大臣に御質問をさせていただきたいと思います。

 実は、三日前、我が党の地域活性化推進本部の一員といたしまして、青森に行かせていただきました。ここは、御存じのとおり、月例有効求人倍率が今〇・四九というところでございまして、まさに景気がまだまだ低迷しているという地域でございます。県挙げて、財政再建団体転落の危機感に包まれておりました。

 現地の強い要望といたしまして、政府が元気な地方を応援するその方針はいいけれども、元気が出ないところをぜひ応援してもらいたい、こういうお声がございます。実は、青森も二次産業が少ないという地域でございます。企業誘致のために八百社回りました。しかし、雪が深いからとか猿しかいないとかシカしかいないとか、そういうことを言われながら、反応は大変厳しかった。そういう偏見を覆すことができませんでした。かといって、誘致するための上積み予算もない。もう何にもないんですというのが皆様のお声でございます。

 その後、黒石市を訪問いたしました。ここは、六月に既に非常事態宣言を出しております。町の起債二百三十九億円、毎年償還二十二億円、給与もカットしました。でも、次の連結決算で恐らく夕張の後を追うようになると思います。最後のとらの子の金のこけしも一億七千万で手放さなければいけない、でも焼け石に水です。そういう悲痛なお姿でございました。

 私は、こうした青森であるとか高知、また北海道、沖縄等々、政策のメニューはかなり地域活性化に向けましてそろった感はございます。ただ、それを使う知恵と工夫、何よりも現地のやる気が出ない、元気が出ない。ここを元気が出るような政治のエンカレッジ、それは、私はやはり、現地に足を置いて、もう一段何ができるか、また、その地域の活性化のための知恵を一緒に考えていくという、その取り組みが必要なのではないかと思います。

 きょうも新聞報道で、政府の取り組みとして地域活性化策が既に行われるとあります。「地域再生のカリスマである「地域活性化伝道師」の派遣も検討。」とあるのですが、私は、やはりここは、経産省におりましたときに、大臣の卓越した知恵、アイデア、そしてリーダーシップ、こういう本当に多くのことを学ばせていただきました。ぜひ、甘利大臣みずから、こうした青森であるとか高知であるとか、そういうところに直接足をお運びいただきまして、現地の方たちの御意見、そしてまた、もう一歩こうしてもらいたいという、特例債の使い勝手等々、それは当然各省庁にまたがるわけですけれども、やはりそうしたリーダーシップを私は心からお願いしたいと思いながら、帰ってまいりました。

 こういう地域活性化につきましての大臣の御決意、そしてまた御所感をお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 ばらつきのある、特に財政力指数の厳しいところの地域をどうやって底上げしていくかというのは、喫緊の課題であります。十月の五日に大臣特命プロジェクトチームを設置いたしまして、私が陣頭指揮に立って、十一月中を目途に地域経済再生の施策のパッケージを取りまとめるべく、今検討を進めているところでございます。

 さきの国会に、企業立地促進法、地域資源活用促進法という地域振興二法を提出いたしました。この認定作業もどんどん進んでいるわけであります。あわせまして、元気がない地方というのは、企業数が少ない、だから立地をさせるというのがあるんですが、その地域の産業たる農業をどう振興していくかというのが根本的な問題でもあります。農業と商工業の連携、農業を産業政策として見るとどういう視点が重要か。これは、経産省から農水省へのお手伝いもできるのではないかと思っております。もちろん、地場にある小規模零細企業の底上げ等も重要な課題であります。これらをしっかりとした施策のパッケージとして取りまとめたいというふうに思っております。

 また、現場を見る、現場に接することが何より大事と。御指摘のとおりだと思います。私も、今まで全国各地で地域の方々の声を聞くという会合を幾つもやってまいりました。今般、福田総理からすべての閣僚に対して、必ず地域を回って地域の声を拾い上げていくようにという指示も出ておりますし、私もさらに地域回りの日程を今調整中であります。しっかりと地域の声を聞いて施策に反映したいというふうに思っております。

高木(美)委員 世界の資源外交等あられ、大変お忙しい御日程でございますが、ぜひとも積極的な、もう一段の、経産省挙げてのお取り組みをお願いさせていただきます。

 それでは、法案につきまして、まず、電気用品安全法の一部改正につきまして質問をさせていただきます。

 このいわゆるPSE法につきましては、電気用品安全法への改正、平成十一年に成立をし、十三年から施行、設けられた五年間の経過措置期間が昨年の三月末、終了いたしました。こうした周知期間があったにもかかわらず、終了直前の昨年二月、消費者や中古品販売事業者から大きな動揺と不安の声が寄せられたことは大変記憶に新しいところでございます。経過措置延長を求める声に対しまして、経産省は、延長は行わない方針を堅持し、検査機器の無料貸し出し、無料出張検査サービスなどを実施いたしました。こうした努力は多といたします。

 今般の見直しにおきまして、旧法適合製品と新法適合製品と技術基準は同じであり、安全性も同等であることが確認されたということから、PSEマークなしで販売可能なように法改正をする、こういう流れでございますが、これではPSE制度そのものが何だったのかと言わざるを得ない、そうしたそしりを免れないと思っております。五年間周知してこなかった責任、そしてまた、実態把握がなされなかった責任は問わざるを得ないものでございます。昨年の制度開始に向けましてまじめに対応してきた事業者の方や個人の方たちが、不公平にならないように配慮をしていかなければならないと思っております。

 こうした一年前の混乱がなぜ引き起こされたのか、何を反省し、どのような措置を講じられたのか、当初のPSE制度導入の経緯等を含めまして、今回の問題をどのように大臣が総括しておられるのか、御認識を伺わせていただきます。

甘利国務大臣 電安法の新法と旧法で、新法では出荷時全品検査をするという義務が課せられる、旧法ではそれがなかったものでありますから、それに該当することをせよと。

 実は、中古品というものが、メーカーの在庫部分を対象として想定していたところ、それ以上に中古品流通の方がむしろ重大な問題であった、そこへの思いが足りなかったのじゃないかというふうに考えております。周知徹底もなされていなくて、経過期間が過ぎた時点で中古事業者が、これはもう一大事ということで、業の存続にかかわるような事態じゃないかという指摘を受けたわけであります。

 中古流通部分の経済に占める割合が極めて大きいというところにしっかりとした思いが行かなかったということと、とにかく安全が第一ですので、安全対応ということで先回りしたという部分もあろうかと思います。そういう点、もろもろ反省をしまして、処分、厳重注意をしたわけであります。

 結局、新基準と旧基準は、安全基準は差がなかった、旧基準によるものも新基準によるものと同等の安全性が確保されていたということが確認をされたわけでありますから、朝令暮改のようになりますけれども、確認された改善点はすぐに実行すべきというのが本来の姿だと思いますので、そう対処をさせていただいた次第であります。

高木(美)委員 いつも経産省に言われることでございますが、前を真剣に走るフォローアップが弱いという、ぜひその欠点の克服をお願いしたいと思います。

 エレキギターにゼマイティスという、これはイギリス製のハンドメードのギターでございますけれども、白蝶貝で本当に美しいギターでございます。芸術品のような高額なものでございまして、多分、大臣は御存じではないかと思いますが。

 昨年講じた措置の一つに、ビンテージ制度というのがございました。今回の措置によりまして、今後どのような取り扱いになるのか、答弁をお願いいたします。

本庄政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のいわゆるビンテージ品につきましては、マニアの方と申しますか、通常取り扱いになれた方が使用される特別な取引ということでございまして、電気用品安全法に基づきます大臣の特別承認に係らしめた上で、いわゆるPSEマークが付されていなくてもその販売を従来から認めてきたところでございます。

 今回の制度改正を行った場合には、ビンテージ品の多くを占めますいわゆる旧法適合製品につきましては、今後、大臣の特別承認を要せずとも、中古品として自由に流通、販売をしていただけることが可能となると思います。しかしながら、例えば旧電気用品取締法施行以前に製造、輸入されました製品など、旧法表示のないビンテージ品がまだ市場には存在することを踏まえまして、この制度自体は引き続き継続していきたいというふうに考えているところでございます。

高木(美)委員 さらに、中古品市場が急速に拡大しておりまして、最近十年間で商品販売額が約二倍に増加していると言われております。中古品の安全性確保のために、中古品安全・安心プログラム、これを、経産省が導入を検討されていると聞いておりますが、その概要について説明を求めます。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のございました中古品安全・安心プログラムにつきましては、ことしの五月二十九日から産業構造審議会製品安全小委員会におきまして、今後の製品安全施策の見直しの検討を行っていただいた際に、先生から御指摘ありました市場規模が伸びております中古品についても、消費者がより安全、安心に中古電気製品を購入できるような検討をしたらどうかということで、審議会で検討していただいたものでございます。

 この中古品安全・安心プログラムにつきましては、あくまでも中古品販売事業者の消費者の安全、安心に向けた自主的な取り組みというのが基本というふうに考えております。したがいまして、安全、安心確保に向けた中古品販売事業者の取り組みを業界団体などが認証するというのが基本的な仕組みでございまして、国といたしましては、こういった動きに対しまして、例えば中古品販売事業者の取り組みの規範となるべくガイドラインをつくったり、あるいはこの制度が将来できました際の普及広報面での支援をしていくこととしておるわけでございます。

 具体的な内容でございますけれども、現在のところ検討していただいている状況でございますけれども、中古品販売事業者の方が、製品が正常に作動するかなどの一定の検査の実施でございますとか、保証書を添付するといった安全、安心に係る取り組みを着実に行っておられれば、業界団体等の認証機関により認証を受けることができ、所定の標識、例えばセーフティーリユースといったような標識でございますが、こういったものを店頭に掲げることができる制度ということが検討されておられるところでございます。こういった制度が実現できますと、消費者がこのセーフティーリユースの標識を中古品を購入する際の目安として活用していただけるのではないかというふうに考えているところでございます。

高木(美)委員 こうした中古品といいますか、既販品ですね、既に販売されている家電製品、電気製品につきましては、この後の消費生活用製品安全法にもかかわりますが、この法律は、これから七、八年から十年先の話でございます。やはり、今流通しておりますこうした既販品に関して、一たんこうした適正な中古品販売事業者を通るということが、消費者の安全性を確保する意味で大変大事なことであると思っております。

 こうしたチェック機能を働かせることができる、そういう意味では、ただいま業界の自主的な取り組みであり、強制力を有するものではないというお話もございました。その認証ということですが、認証によります費用も負担にならないようにぜひとも御配慮をお願いしたいことと、あと、やはりこうした大事な取り組みでございますので、実効性あるものになりますように、しっかりと取り組んでいただきますようお願いを申し上げます。

 そこで、消費生活用製品安全法につきまして質問をさせていただきます。

 この法改正は、国民の安全を守るために必要な法改正と認識をしております。昨年の臨時国会におきまして、一般消費者の生命と身体を守り、ひいては我が国に何としても製品安全文化を根づかせたい、こういう強い思い、またその目的から既に一部改正されまして、製品事故に関する情報の収集、また提供等、そこに報告義務であるとか公表制度等が創設されたわけでございます。

 そこに重ねて、今回の法改正に至ったその経緯と目的をお伺いしたいと思います。

山本(香)大臣政務官 御指摘いただきましたとおり、昨年の臨時国会におきまして、事故の再発、拡大防止を目的といたしまして、重大事故の報告、公表制度を整備させていただいたところでございます。

 一方で、本年二月に起きました瞬間湯沸かし器に係ります死亡事故等は、製品の経年劣化が主たる理由でございまして、製品の市場出荷後におけます事故の未然防止が重要な課題と認識されるに至ったところであります。

 次に、目的ということでございますけれども、本制度は、事業者と消費者と国が三位一体となりまして、製品の長期使用に伴う経年劣化に起因する重大事故を未然に防止することを目的としているものでございまして、具体的には、消費者に保守情報を適切に提供するとともに、点検の通知や応諾を製造・輸入事業者に求める制度、これを創設させていただくこととなっております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 法案審議の際に、事故情報に関しまして、内閣府所管の国民生活センターとの連携、PIO―NETだったでしょうか、警察、消防などの関係機関との連携、情報共有体制を確立すべきとの御指摘が多くございました。

 連絡体制は確立されたのか、そしてまた情報の共有化による国民への情報開示は進んでいるのかどうか、質問をさせていただきます。

中野副大臣 御指摘のとおり、消費者保護の観点から、関係省庁との間で製品事故情報を共有する、そして相互に活用を進めていくということは大変重要だと考えております。

 昨年来、そういう意味で、事故処理とかあるいは現場検証をつかさどる警察庁、あるいは消火、救急車などを担当する消防庁などとの間で製品事故にかかわる連絡会合を開催するなど、関係省庁との連携強化を図っているところであります。今後とも引き続き情報交換を緊密にいたしてまいりたいと思っております。

 また、お話のありました内閣府の国民生活センターが管理するいわゆるPIO―NET、全国消費生活情報ネットワークシステムへの接続は極めて重要な問題だと認識をいたしておりまして、一刻も早く経済産業省とも接続されることを期待いたしておりますけれども、何とか年内にも、こう考えておりますので、しばしの御猶予をいただければと思います。

高木(美)委員 今、年内というお話でございました。ぜひともこうした製品安全の問題、早い御対応を心より重ねてお願い申し上げます。

 続きまして、今回の法案の中に、設計標準使用期間を表示するとしております。消費者は、当然、製品を選ぶ際に、比べてみて安く長く使える方を選ぶというのが当然の心理でございます。

 企業にとりましては、この標準使用期間をどのように設定するか、表示するか、これは販売戦略上の大きな問題であると思います。標準使用期間の設定が適切になされるということが、この有効性の前提であると思います。表示された期間と実態が乖離したものになれば、訴訟になったり、さまざまな影響も考えられます。

 この適正な設定のためにどのような仕組みを考えていらっしゃるのか、お伺いをいたします。

寺坂政府参考人 消費者の方に適切な情報提供を行うということが、消費者御自身で適切な安全保守を進めていく上で大切な前提となるものでございます。

 そういった観点から、各製造事業者等の標準使用期間の設定に当たりましては、その算定の根拠となります基本的な基準を省令で定めまして、各社の設定が適切になされるようにしてまいりたいと考えてございます。

 また、各社の標準使用期間の設定の根拠を記載いたしました書面、これを製品に添付することも求めることとしております。

 さらに、今後、そういった標準使用期間につきまして、例えば事業者によりまして標準的な使用条件の仮定に差が生じないように、業界の自主基準とかあるいはJIS、そういったものを活用いたしまして、標準的な使用条件につきましてもその明確化などを図っていくというふうにしております。

 こうした取り組みによりまして、標準使用期間が適切に設定されていくことを期待しているところでございます。

高木(美)委員 続きまして、点検実施の実効性の確保について伺わせていただきます。

 この点検についての通知ですけれども、これは、製造・輸入事業者の方の責務となっております。しかしながら、通知を受けて点検を実施するかどうかは所有者の判断にゆだねられておりまして、努力義務にとどまっております。当然、費用が有料で自己負担であり、後払いであるということから、果たして通知を受け取っても要請されるかどうか、また、製品が故障しない限り使い続ける可能性も高いものがあります。

 こうした料金支払いの負担感に加えまして、果たして点検をしていただいてからその先何年もつかということも不明でございますし、さらに、メーカーが買いかえの促進を意図して点検費用を不当に高く設定するということも考えられます。

 適正な点検費用の設定を担保し、点検率を高めていくための実効性ある対策はどのように講じられるのか、答弁をお願いいたします。

寺坂政府参考人 御指摘のように、適正な点検料金の設定というものは大切な課題でございます。

 本制度におきましては、その適正な点検料金の設定等、そういったものを担保するために、点検を行うべき製造業者、輸入事業者が、点検料金を設定いたしまして、これをあらかじめ公表する。その公表に当たりましては、その適切性の判断が行われ得るように、基準をこれも省令で定めることとしてございます。

 料金の設定の考え方につきましては、点検料金が著しく不当な水準で設定されている場合には、国は、必要な措置をとるようその事業者に対しまして勧告を行い、その後も引き続き是正されない場合には行政命令、そういった措置をとることができることとしております。

 こうしたことによりまして、点検料金が、例えば買いかえ促進といったものをねらいとして不当に高く設定されること、そういったことがないように努めてまいりたいと考えているところでございます。

高木(美)委員 それでは最後に、こうした重大事故に遭遇している年代が高齢者でもあり、また、単身世帯の方たちは保守管理意識が低い、こうしたデータが出ておりますが、そうした世帯が増加する傾向にもございます。

 今回の法改正につきましては、国民への周知徹底が大事であると思います。それが国民の生活、命の安全を守ることにつながると思っております。そういう意味では、表示のあり方、また制度の説明に当たっては、わかりやすい、このわかりやすいということをぜひコンセプトにしていただきまして、お取り組みをお願いするものでございます。

 事故の未然防止に向けました大臣の御決意を伺わせていただきまして、質問を終わりたいと思います。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、事故の発生確率というのは、高齢者であるとか単身赴任世帯で多いという数字が出ております。

 そこで、何よりも表示にはわかりやすい、注意を喚起しやすいような工夫が必要だというふうに思っておりますし、単に表示するだけではなくて、政府や地方自治体を通じた広報活動であるとか、消費者対象のセミナーを継続的に開くとか、あるいは消費者団体を通じた情報提供とか、いろいろなツールを使って高齢者世帯や単身世帯に注意喚起がいくように取り組んでいきたいというふうに思っております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

東委員長 これにて高木美智代さんの質疑は終わりました。

 次に、田村謙治君。

田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。

 この委員会で初めて質問をさせていただきます。民主党のトップバッターでもございますので、基礎的なことを含め、既に与党側のやりとりもありますけれども、重なることもありますが、質問をさせていただきたいと思います。

 私は、今回は、消費生活用製品安全法について主に質問をさせていただきたいと思います。

 昨年の十一月に改正をして、そしてまた今回、一年後に改正をする、随分間隔が短いわけですけれども、その改正をする理由をまた再度御説明ください。

甘利国務大臣 昨年成立をさせていただいた消費生活用製品安全法の改正案でありますけれども、これは重大製品事故の報告、それから公表制度の創設をしたわけであります。

 ただ、私どもがずっと思い悩んでいたというか抱えていた課題の一つに、経年劣化にどう対応するかという課題がありました。経年劣化を主因とする重大事故が発生をしたということを受けまして、世界に先駆けて、経年劣化等による重大製品事故の発生の未然防止を図ることを目的としたわけであります。

 具体的には、消費者に保守に関する情報を提供する、それから製造事業者等においては点検を実施する体制を整備するというものであります。

 前回の改正とあわせて、消費者の安全確保に一層万全を期していきたいというふうに考えております。

田村(謙)委員 今大臣がおっしゃったように、世界に先駆けてということでありますので、その点、大変迅速な対応はすばらしいことだと思います。

 経年劣化に係る事故を未然防止するということで、新たな取り組みでありますので、これからさまざまな課題について取り組んでいかなければいけないんだと思いますけれども、具体的に、個別に質問をさせていただきます。

 まず、今回の対象というのが、特定保守製品というふうに第二条第四項に定められておりますけれども、具体的にはどのような製品を想定していらっしゃるんでしょうか。

寺坂政府参考人 お答えいたします。

 特定保守製品につきましては、安全に関します事故のリスクという観点から、経年劣化によります重大事故発生の確率が高いものを指定するように今考えてございます。

 具体的には、都市ガス用、LPガス用のガス瞬間湯沸かし器、同じく都市ガス用、LPガス用それぞれのガスふろがま、それから石油ふろがま、FF式の石油温風暖房機、石油給湯器、浴室乾燥機、それからビルトイン型の食器洗い機、そういった九品目を予定しているところでございます。

田村(謙)委員 今御説明いただいたように、結局、対象品目というものがいわゆる設置型、組み込み型の製品に今回は限られているという御説明を伺いました。

 ただ、その一方で、経年劣化の事故といいますと、扇風機などでも最近事故がありますし、テレビや冷蔵庫、長年、長期間使用されて事故があるというケースも報告をされているというふうに聞いております。確かに、重大事故の発生率を基準にするというのはわからなくもないんですが、今回、そういった可搬性のある製品について対象から除外した理由をお伺いします。

寺坂政府参考人 先ほどお答えいたしましたように、今回、対象品目として考えております品目は、重大事故の発生確率が高いものを考えているところでございまして、これは、結果におきまして設置型、組み込み型の製品に限られる、そういう形になってございます。恐らく、設置型、組み込み型の製品の場合、なかなか使用なさっている方の目が行き届きにくいとか、そういった要素もあって発生の確率が高いということかと思いますけれども、制度といたしまして、初めから持ち運びのできる製品を排除している、そういうものではございません。

 したがいまして、持ち運びのできる可搬型、そういった製品でありましても、経年劣化による重大事故発生確率が高いといったような状況変化とかあるいはデータ、そういったものがあります場合には、今後、指定することも含めて検討してまいりたいというふうに考えてございます。

田村(謙)委員 確かに、重大事故発生率というのが備えつけ型、組み込み型の製品において高いというのはデータが示しているところであると思いますけれども、例えば、ごく最近、八月にも扇風機の経年劣化による火災の死亡事故が発生をしている。それは三十七年前のものをずっと高齢者の方々が利用していて、それによって火災が発生をして死亡なさったという事故があったと聞いております。

 そういった三、四十年前の扇風機がいまだに、確かに、そもそも販売台数が約七百万台で、現在使われているのは六、七千台、そういう意味では、割合としては、事故発生率は非常に低いのかもしれませんけれども、ただ、そういう事故が起きる件数を考えた場合には、決して看過できないものではないかというふうに考えるんです。

 確かに、それを排除するものではないというふうにおっしゃっておられましたが、そこも早急に考えるべきだと思うんですけれども、その点はいかがでいらっしゃいますか。

中野副大臣 特定保守製品は、経年劣化による重大事故の発生確率が高いことから、事故の未然防止のため、点検の実施が必要かつ効果的であります。こうした観点から、今般の法改正により、点検実施のサポート体制の整備を事業者に求めるということになるわけであります。

 ちなみに、経年劣化による重大製品事故発生率というこのことでありますけれども、一年で一ppm以上ということで特定保守製品品目を予定させていただいておるところであります。

 一方、ほかの製品については、経年劣化に係る重大事故発生確率が高くないことから、現時点では特定保守製品の対象としていないところであります。

 しかしながら、今先生から御指摘をいただきましたように、扇風機などのように、経年劣化に係る重大事故発生確率は高くはないものの、一定数の重大事故が発生している製品については、経年劣化が原因となっているものもございます。

 このような製品については、特定保守製品と同様の義務を課さずとも、消費者みずからの行動を促すことにより事故の未然防止を図ることが可能であると認識をいたしております。したがって、こうした製品については、一定のリスク表示を求めることとしたところであります。

 今後、さらに、経年劣化による重大事故の発生確率が高い製品が明らかとなった場合には、特定保守製品の対象とすることも検討いたしてまいりたい、こう考えておるところであります。

田村(謙)委員 さらに対象を広げるとか、あるいはリスク表示を義務づけるといったようなことを考えていらっしゃるということで、それは大変いいことではないかなというふうに思います。

 確かに、事故発生率が低い、一ppm以下のもの、扇風機、冷蔵庫というのは本当にたくさんありますので、そこまで対象を含めた場合にどのようにカバーするのか、その安全を確保するのかというのは極めて困難だというのは私も十分理解をしているところでございます。

 今回、特定保守製品に関してだけでもこのような法改正を行うというのは大変すばらしいことだと思うんですけれども、重ねてになりますが、やはり事故の件数ということで考えますと、特に扇風機とか、ある程度特定される、特定保守製品ではなくてそれ以外のものでも特定される製品について、経年劣化の事故というものが徐々に多発をしてきているという状況にあるわけでありますので、その点についての対応を急いでいただきたいと思うわけであります。

 例えば、リスク表示と今おっしゃいましたけれども、今回、特定保守製品と同じような、ほぼ同様の表示というものを、今後の新製品、新たに製造するものということでありますけれども、表示を義務づけるといったような対応というのはお考えにはなっていらっしゃいませんでしょうか。

寺坂政府参考人 表示に関しましては、標準使用期間とかそういったもの等、必ずしも同一ではございませんけれども、例えば扇風機などの場合に、一定年数、具体的な年数で、十年とかあるいは十五年、二十年とか、そういった年数を経過いたしますと重大事故の発生のリスクが出てきますといったような趣旨の表示を考えていきたい、求めていきたいというふうに考えておるところでございます。

 それから、対象品目につきましては、特定保守製品の方は先ほど申し上げましたとおりでございまして、それ以外の重大事故の発生の件数の多いもの、こういったものにつきましては、これからどういった製品を対象にするのか、扇風機等そういったものだけでいいのか、もう少し広げる必要があるのではないか、こういったことにつきましては、関係の審議会、専門家の方の御意見も伺いながら具体的に検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

田村(謙)委員 さらに御検討を進めていただくということで、ぜひそれは少しでも急いでいただきたい。

 先ほど、与党側の質問で、ICタグというようなさらに進んだ話がありましたけれども、まず今の範囲でできることという意味では、そういった表示を義務づけるということは、それほど困難ではないのではないかなというふうに思いますけれども、今後検討を進めていくというのは、役人答弁の場合には、検討を進めると言ってそのまま棚上げにする場合と、実際に真剣に検討なさって早急に進める場合、いろいろ温度差があるわけでございますけれども、その点は、別に事務方で結構なんでございますが、それなりの思いをもう少しはっきりとおっしゃっていただけませんでしょうか。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案が成立、施行後直ちに着手したいというふうに思っております。

田村(謙)委員 確かに、期限いつまでということは言えないとは思いますけれども、ぜひとも直ちに着手をしていただいて、一日も早くそういった方向性を確定していただいて、また、頻繁な法改正でも、それはこの委員会としては歓迎だと思いますので、迅速なる検討を進めていただきたいということを重ねてお願い申し上げたいと思います。

 それから、ちょっと通告はしていなかったので、もし教えていただけたらなんですけれども、消費者の意識向上、あるいは、先ほどの御答弁でも、消費者のみずからの行動を促す、確かにそういった消費者側のマインドや行動というのは非常に重要になってくるわけなんでありますけれども、それについて、もちろんホームページでというのは私も存じ上げておりますが、さらに新たな取り組みなどもし考えていらっしゃるようでしたら教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 ことしの三月から既に実施させていただいておりますけれども、毎月第二火曜日、これは、火に注意という日でございますので第二火曜日を選んでおりますけれども、第二火曜日に製品安全点検セミナーを開催いたしておりまして、消費者の方にも御参加いただいて、製品の安全な使い方についての注意喚起をさせていただいているところでございます。

 また、昨今、扇風機のような事故が起こりましたことにかんがみまして、全国の御家庭にどのように注意喚起、情報提供するかということで政府部内で検討してまいりました。総務省さんの御協力を得ながら、全国の市町村を通じまして、各家庭に配付されます回覧板を通じまして、消費者の皆様への製品の安全な使い方等についての注意喚起の情報提供をさせていただくこととしております。

田村(謙)委員 消費者は、電気製品は大体安全に使えるものだというふうな誤解というか、そういう安心を持って使っている人が多くて、なかなか、そういう意識というのを高めるのは大変困難も伴うと思いますけれども、ぜひともそういった広報というか、消費者の認識を高める活動というものにも注力をしていただきたいというふうに思います。

 今回の改正、新しい制度というのは、多くの人が関連するわけでありまして、製造事業者、輸入事業者、販売事業者、関連事業者、多くの人を巻き込んで、特に製造事業者や輸入事業者には、膨大な製品所有者情報を長期的に管理して、さらには点検時期を連絡して、さらには要請に応じて修理などを行うといったようなことを新たにしなければいけないという意味でも、システムや人件費を含め相当なコストがかかるというふうに考えるわけでありますけれども、それはどの程度の規模になるのかというのは、イメージとしてお持ちでいらっしゃいますでしょうか。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 本制度につきましては、経年劣化による重大事故発生のおそれが高い製品につきまして、事業者、消費者、国が三位一体となって事故の未然防止に取り組むものでございます。

 そのため、先生からも御指摘ございましたけれども、製造事業者、輸入事業者に対しまして、標準使用期間の表示ですとか点検時期の通知といったことについての一定の負担をお願いしているところでございますが、また消費者には、点検費用の負担をお願いすることになっているところでございます。

 どれぐらいのコストかという御質問がございました。全くの机上の空論かもわかりませんけれども、一つの試算として、事業者の負担として数十億円程度かかるという試算もございます。

田村(謙)委員 確かに、製品の安全性を確保するというのは、今回の改正案の趣旨というのは大変すばらしいものだと思いますけれども、その一方で、企業もさまざまなコスト削減努力を続けていく中で、今回新たなコスト負担をお願いする、義務づけるということになるわけであります。

 それが、電機メーカーも、なかなか厳しい経済情勢、経済情勢というよりも国際競争の中で大変いろいろ苦労している中で、今回新たなそういった負担を課すということは、企業の方では、例えば国際競争力とかそういった意味で足かせになるという意見もあるように聞いていますけれども、その点については、いかがでいらっしゃいますでしょうか。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、製造事業者等に対して新たなコスト負担を求めるものでございますけれども、この制度の検討に当たりましては、産業構造審議会製品安全小委員会に製造事業者等の代表の方も参加していただいております。また、審議会とは別の場で、事業者団体とも意見交換を重ねておりまして、本制度につきましては、重大事故の未然防止を図るためには業界としても真剣に取り組んでいく、そのための応分のコスト負担はやむを得ないと考えているというようなお考えをいただいているところでございます。

田村(謙)委員 ぜひ、確かに企業も新たな負担になるわけでありますけれども、それによってより日本の電気製品の安全性、ひいては信頼性が高まって、それが国際競争力につながる、そういういい循環が生まれればいいなというふうに私も願っているところであります。

 さて、今回のこの制度、まさに製品の所有者の情報というものを事業者が把握することというのが大きなキーになっているわけでありますけれども、今後、この法改正が施行されて、対象となる事業者あるいは関連事業者、その法にのっとって努力をしていくわけでありますが、なかなか、個人情報保護法といったようなものがあって、ある意味で国民の意識というのもプライバシーだという意識が大変高まっている中で、そういった所有者情報というものをちゃんとしっかりと収集するというのは、そう簡単ではない面もあるのではないかなというふうに想像をするのであります。

 今回のこの法改正を施行した後に、所有者情報の収集といったようなことをどれだけ、それだけに限りませんが、対象となる企業がその対象となる製品についてどれだけしっかりと情報収集をするか、あるいはどのように法令を遵守しているかというものをどのようにフォローアップしていくお考えなのか、その点を教えてください。

中野副大臣 お話のとおりに、本制度が社会に定着していく、そして、事故の未然防止に実効が上がるというためには、製造・輸入事業者に所有者情報が適切に返送されることが重要だと認識をいたしております。

 こういった認識のもとで、法施行後は、所有者情報の収集状況を初めとして、点検の実施状況などにつき、製造・輸入事業者から報告を受ける等の方法により状況を確認することを考えております。

 その上で、所有者情報の収集状況や点検の実施実績が製品の出荷台数と比べて著しく低いような場合には、消費者が所有者情報を提供するための取り組みを事業者が怠っていないかということについて調査し、その結果を踏まえ、適切な対応をすることといたしております。

 ちなみに、今、所有者の方で私がこの製品を買いましたとはがきを送ってくださいと販売者がお話をするそうでありますけれども、数%にとどまっておるようであります。

 今回の法施行、そういう意味でもしっかりと事業者の方に改善指導をしたい。もうつくったからいいということではなくして、後は法の趣旨にのっとっていかに運用していくかが大事だ、こう認識をいたしておりますので、御指摘の点、しっかりやらせていただきます。

田村(謙)委員 今お答えいただいたように、まさに法施行後のフォローアップ、どのようにしっかりと対象の業者が実施をしているかという、報告を受けるのは報告書を受ければいいと思いますけれども、その運用をしっかりと調査、場合によっては調査をする。そういった意味で、かなりしっかりとした、相当、対象業者は、対象の製品も多いわけでありますので、フォローして調査をしていくかなりの人員を含めた体制整備というものが政府側にも必要だと思うんですけれども、その点についてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

寺坂政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、法施行後の体制をしっかり整えるということも大切な課題でございます。一方で、行政の効率化、そういった大きな要請もございます。そういった全体の要請の中で、できるだけ人員を効率的に配置しながら、法施行の体制に抜けがないよう、しっかりやってまいりたいと考えてございます。

田村(謙)委員 済みません、この御質問は明確には通告はしておりませんでしたのでお答えになれないかもしれませんけれども、確かに経産省さんも地方部局を持っていらっしゃって、その地方部局が主にそれを担当するということになりますか。

寺坂政府参考人 製品安全を初めといたします消費者行政につきましては、私ども、地方の経済産業局にございます消費安全担当部局、この役割は非常に大きいものと思ってございます。

 地方だけということではございませんで、私ども本省の方も当然でございますし、あるいはその他の自治体の消費者相談室等々の窓口もあるわけでございますけれども、地方部局の役割も非常に大きいものというふうに考えてございます。

田村(謙)委員 中央政府の地方部局というのはいろいろと、まさに必要性を含めて、別に経産省のどこかの地方の部局丸ごと要らないという話を私はしようと思っているわけではありませんけれども、その部署によっては、本当に必要性があるのかと言われるようなところも、別に経産省さんに限らず、いろいろな省庁の地方部局で多々あるのではないかというふうに私も認識をしておりまして、そういった意味で、今回の、世界に先駆けているというふうに大臣がおっしゃっておられるこの制度について、かなりの人員を割いて、しっかりとした体制を整えるというのは私は大変いいことなのではないかなというふうに思います。

 よく省庁の壁、省庁ごとの縦割りというふうに言われていますけれども、さらに省庁の中でも、その局ごとの、大きくうなずいていらっしゃいますが、大きな局ごとの、部署ごとの壁があるというのは私も財務省におりましたので十分認識をしているところでありまして、経産省さんであっても、地方の部局の担当の人員を簡単に変えることはできない、なかなかそれは難しいということは、さまざまな、それ自体大きな問題だというふうに私は思っています。

 今回のこの制度、施行するに当たって、そういった人員の配置、今担当している人間に頑張れと言うだけではなくて、さらにその人員配置を中で変えていくといったようなことも含めて、ぜひともそこはしっかりと考えていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

寺坂政府参考人 大変重要な御指摘と考えてございます。

 私どもは直接その業務を担当するところでございますので、その必要な人員を、人事当局その他、そういったところに強く求めて、体制がしっかり整うようにやってまいりたいと思います。

田村(謙)委員 その点は明確に通告しておりませんでしたので大臣、副大臣にはお伺いをしませんけれども、そういった人員配置というのは、結局、まさに省庁間のやりとりだけではほとんど変わらずに終わってしまう。なかなか人員の増強ができないというのは、例えば金融庁でもそうでしたし、こういった監督、フォローアップに係るような人員というのはやはり事後規制という意味で大変重要なことだというふうに私も思っておりますので、その点はぜひとも、大臣、副大臣の強い認識を持ってリーダーシップをとっていただきたいなというふうにお願いを申し上げます。

 若干時間がまだ残っておりますので、個別の話でありますけれども、今回、先ほども若干質問がありましたが、まさに既販品ですね、中古品とも言われているもの、それは、今回のこの改正案についてはどのように適用されるのか教えてください。

寺坂政府参考人 お答えいたします。

 既販品に関しましては、中古品と申しますか、既に売られておって、御使用がされておって、その方がずっと使っておる、そういう場合の既販品というものもあるかと思いますけれども、そういった既販品に関しましては、現実に、現在、所有者の所在情報、そういったものが把握されておりません。

 もともと、その製品への、今回表示を求めております使用期間とかそういったことが表示はされていないわけでございまして、そういう意味での点検実施といった販売後の対応を視野に入れて事業者から販売されたものではないというふうに考えてございますので、その製品への表示とか、あるいは点検の時期が来ましたという通知、そういったものを事業者に課すということはできないというふうに判断をしております。

 ただ、一方で、今申し上げましたような既販品についての事故を少しでも少なくするということは非常に大切な課題でございますので、製造・輸入事業者に対しましては、そういった既販品も含めまして、消費者に対する事故情報その他の情報提供や、それから事業者自身が点検の実施体制の整備に努める、そういったことについての一定の対応を求めていくこととしております。

 具体的には、製造・輸入事業者は、既販品に関しまして、点検に関する情報提供、それから相談体制の整備、こういったものを行うとともに、点検を要請されます消費者に対しましては適切な対応ができるよう、できるだけ人員、マニュアル、そういった整備等、こういったものについての体制を整えていただくことをお願いしたいというふうに考えてございます。

田村(謙)委員 やはり、これから五年、十年の間に発生する事故というのは、既に中古品ですとか、いわゆる既販品の経年劣化によるものがほとんどというか、すべてだと思いますので、なかなか困難が伴うとは思いますけれども、今おっしゃっていただいたような努力を続けていただくとともに、利用者に対する周知、意識向上も引き続きさらに努めてくださいますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

東委員長 田村謙治君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 同僚議員に引き続きまして、消費生活用製品安全法、電気用品安全法の改正案につきまして質問をいたします。質問の機会をいただきまして、感謝を申し上げます。

 両法案の改正の方向につきましては、私も基本的に賛同するものであります。しかし、電気用品安全法の改正につきまして、今回の改正の経緯について幾つかの問題点があったのではないかと考えております。

 この点につきましては、今後の経済産業行政のあり方、また、これは経産省に限らず、霞が関といいますか、役所で働く方々の評価のあり方も含めて幾つかの問題提起ができるのではないかと思いますので、まずこの点について御質問させていただきたい、こう思っております。

 今回の電気用品安全法の改正では、技術基準に適合していることを示す認証マーク、いわゆるPSEマークがついていない電気用品について、現行法では販売は原則認められないわけでありますけれども、今回の改正で、マークなしでも電子楽器等については認めるような改正をされた、こういうことだと理解しております。このPSEマーク、電気用品に限らずですけれども、マークなしでも認めるように変えた、こういうことであります。

 PSEマークをめぐっては、昨年に、電子楽器、またいわゆるビンテージ物と呼ばれる中古楽器が対象となったわけですが、このことについて販売業界への周知が大変おくれたこともあり、販売店側は大変混乱をし、そしてその結果、国会でも審議をされ、経済産業省は周知徹底策なり救済策を打ち出されました。当時の大臣は二階大臣でありましたが、きょう質問されます川内議員も含め、私もこの件について議論させていただきました。

 当時の対策として、経済産業省は、いわゆるビンテージ物の販売について特別承認を実施して、申請のあったモデルについては販売できるようにしたということとあわせて、さまざまな対策を打っていますね。PSEマークの貼付に当たって、絶縁検査機器の無償貸し出しであるとか無料出張であるとか、さらには講習会、広報活動、さまざまな対策を打っております。

 まず最初にお伺いしたいのですが、当時の対策としてこうした手を打っておりますけれども、総額どの程度の経費がかかったのか、まずお答えください。

中野副大臣 先生初め委員会の先生方に、あるいはまた国民の皆様にも大変御心労を煩わせました。

 今先生から御指摘をいただきましたように、平成十八年の三月末に次のようなことを措置いたしております。

 お話しいただいたとおり、ビンテージの販売の措置と、中古販売事業者等から申請のあった電子楽器等に関し、一万六百八十九モデルについて、電気用品安全法二十七条に基づき大臣承認を実施した。あるいは、今お話しいただきましたような絶縁耐力検査機器の無償貸し出し、これは七百五十五回の貸出実績があります。あるいは、絶縁耐力検査の無料出張検査、これは二十六回の実績です。それから、講習会の開催、全都道府県で開催をいたしておりますが、約二千八百人の参加をいただいております。また、リーフレット百万枚、あるいは新聞広告による広報、全国五紙一斉広告であります。あるいは、全都道府県で百三回の中古販売事業者の皆様方との意見交換会を進めました。

 これらの総経費でありますけれども、八千九百万円の支出を行っているところであります。

近藤(洋)委員 この八千九百万円というのは、原則として、確認ですけれども、百万枚のパンフレット代であるとか、あと、あわせて無料貸し出しの機器代であるとか新聞広告代、いわゆる実費であるということでよろしいですね。

中野副大臣 お説のとおりでございます。

近藤(洋)委員 そうだとすると、こういった人件費は、もちろんこれはお役人がやられるわけですから、かかっていないわけでありますけれども、いわゆるこの人件費、これだけの講習会であるとかまたさまざまな手だてを打つに当たって割かれた人員というのもあるわけでありまして、この辺はもちろん役所の全体のプールの中で行われるわけですけれども、こういったものも加味すれば、恐らく実質的には億円台のお金がかかったのだろうなと想定されるわけです。

 私は、この額が大きい、少ないを議論するつもりはないんですが、そうした大活動もした結果、役所としては、産構審の中の小委員会、製品安全小委員会ですか、こちらの方で再度チェックをした。した結果、旧法に適合した中古品は問題がない、安全上問題がない、そういう結論を得て今回の改正に至った、マークなしでも販売ができるようにした、こういう経緯だと受けております。

 役所としては、こうした混乱を受けて、甘利大臣は九月に、五名の幹部職員に対して厳重注意の処分を下しております。この厳重注意処分は何をもって厳重注意をしたのか、その理由をお答えいただきたいと思います。

甘利国務大臣 いわゆる今回の法改正に伴うどたばた劇は、幾つかの配慮すべき点への配慮を怠ったという点があると思うんですね。

 一つは、新法、旧法の技術基準、安全にかかわる基準に相違がないということの確認がおくれたということと、それから、PSEについて、メーカーが在庫をはいていくというまでの対応ということに目が行って、実は中古品流通が相当な規模を占めているということにきちんと思いをはせることができなかった、そういう見落とし点があったわけですね。しかも、周知期間への対応が徹底していなくて、そして、いよいよ法施行の段になって、これは大変だという中古販売事業者からの陳情で事がかなり重大であるという認識に至った。もろもろ反省すべき点はあったわけであります。

 そうした点にきちんと、消費者行政を預かる立場から、あるいは製品安全行政に携わる立場から、注意をしていればちゃんとできたであろう部分の見落としが随分あったということで厳重注意をしたわけであります。

 結果として、新法、旧法の安全基準に違いがない、これは一万五千品ぐらいの検査をした結果、問題がないということがわかって、わかった以上は早急に対処をしようということで、どたばたしましたけれども、今回の法改正に至ったということであります。

近藤(洋)委員 さまざまな要因があるという御答弁でございましたが、大臣は九月十一日の大臣記者会見で、この件について新聞社から問われた際に、今の御答弁のとおりでもあるんですけれども、メーカーに対する対応に関心の中心が行ってしまって、商品を販売する事業者に対する周知徹底を欠いたということがあるということ、これをまず第一の理由に挙げています。事務方の事前のお話からも、まず基本的には周知がおくれてしまったことがその理由であるという、基本的な理由として。

 したがって、処分者の方は、その当時の担当、この法案制定時の担当者が中心になっているんでしょう、また二年前の施行の時期の担当者が中心になられている、法案施行時の担当者、両方が処分されている、こういうことを会見でおっしゃっています。

 具体的には、これは公表されていらっしゃいますから問題ないと思いますが、現在の望月資源エネルギー庁長官、また原子力安全・保安院長、現在の平岡原子力安全・保安院審議官、また谷みどり現在の経済産業研究所上席研究員等々の、当時の制定者と施行時の責任者の方々がそれぞれ処分されている、こういうことでよろしいわけですね。うなずいていただいたので、そうだ、こういうことだと思います。

 その上で伺いますが、厳重注意という処分により、受けた職員の方は、実際これは国家公務員法の処分ではなくて内規ということでありますけれども、どのようなペナルティーを受けるんでしょうか。お答えいただけますか。

中野副大臣 先生御指摘のとおり、内規上の処分でございまして、厳しい順からいえば、訓告、厳重注意、注意、こういうことになるわけでありまして、この処分は厳重注意処分ということであります。処分された職員の人事、あるいは昇給、あるいはボーナスの支給の査定の際の参考材料として考慮されることになる、こういうことであります。

近藤(洋)委員 厳重注意を受けると、賞与、ボーナスが若干減額される可能性がある、こういうことですね。

 もう一度確認のために伺いますが、最近、役所にさまざまな不祥事、スキャンダル等々出ておりますけれども、今回は全くそういうケースでは、いわゆるそういった不祥事やスキャンダルという話ではないわけであります。

 こういう、いわゆる本業の職務に関する失敗で今回のような厳重注意を下したケースというのは余り聞かないんですが、いかがでしょうか。

中野副大臣 先ほど来御議論いただいておりますパロマ工業製のガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故等に関して、長期にわたり、製品事故に係る情報の収集、そして分析体制が十分でなかったことが大きな要因の一つであるとして、体制整備の責任者である松井商務流通審議官と広瀬原子力安全・保安院長に対し、厳重注意処分を行った例があります。

近藤(洋)委員 まさに今回の法案の、もう一個の法案の、問題になったパロマの件について下しましたが、それ以外は最近では余り見られない、こういうことでございますね。ですから、ある意味で非常に珍しいケースだと思うんですね。ですから、あえて議論させていただきます。

 そこでお伺いしたいのですけれども、私は、どうも今回の厳重注意の理由がいま一つすとんと腑に落ちない部分があるんです。というのは、基本的には周知徹底がちゃんと配慮がなされなかったということが第一の理由になられているわけですけれども、さまざまな理由のうちの第一、こういうことであります。しかし、確かにそのとおりであって、経産省がPSEマークの対象に中古電子楽器が含まれると公にしたのは昨年の二月十日、いわゆる施行のわずか二カ月前、このときにどおんと発表した。これは大騒ぎになった。これは、ある意味で当然ではあるんですね。これ自体はまずかったと思います。

 しかし、事の本質は、この小委員会でも明らかになったとおり、従来の規制でも問題のなかったものを規制の対象にしてしまったというこの一点が本質なんだと思うんですね。やる必要がない規制をやった、しかも、五年間の経過措置があるわけですから、この五年間もの間、放置し続けた、ここにむしろ問題があるわけであって、周知がおくれたのもまずかったけれども、そもそもの規制がまずかった。

 それも五年間の経過措置があったわけだから、その間に調べればいいものを、やってしまったというところなのではないかと思うわけであって、もし処分をするならば、その間の不作為を問うということですから、この五年間の担当者を押しなべて厳重注意にしなければいけない。

 入り口と出口だけでやられても、何となく右代表で、エネ庁長官と保安院の院長は最高責任者なんだから厳重注意だ、こういうのもあるかもしれませんが、それはそれで一つの責任のとり方といえばとり方かもしれませんけれども、やるのであれば、もしこういう形でのものをやるのだとすると、その間の担当者を押しなべて対応するというのが筋だと思うのですが、いかがでしょうか。経済産業省の御見解を伺いたいと思います。

寺坂政府参考人 私が理解しておりますのは、先ほど御答弁申し上げましたように、法律改正をいたしまして、法律改正から実際に経過期間の期限が切れる昨年の三月までの間、この間におきまして、この制度の運用といいましょうか、周知と申しましょうか、そういう職にあった者、ですから、入り口と出口といいますか、初めと終わりも当然入ってございますけれども、その間におきましても、この製品安全に関します職責にあった者につきまして今回の対象になっているというふうに理解をしているところでございます。

近藤(洋)委員 少なくとも、御説明では、当時と、制定時と現在の担当者という記者会見をされているんですよね。今の審議官の御答弁は若干違う、大臣の記者会見と違う御答弁なんで、ちょっとどうなのかなと思うんですが、要するに難しいんですよ、処分するということは。こういう問題についてだれを責任者にするのかというのは難しい。だけれども、難しいことについてあえて今回踏み切っているから伺っているんですね。

 これは、甘利大臣、僕は大事な問題だと思うんですよね、役所のあり方論として。要は、幾ら処分をしても、けしからぬから処分だ、減給だというのも一つなんですけれども、これでなかなか私は改善しないと思うんですね。私は、失敗を責めるよりも、トヨタじゃないですけれども、カイゼン努力というかカイゼンを評価する仕組みの方に切りかえた方がよいのではないか、こう思うんです。

 要するに、役所の仕事のあり方として、一度決まったものを、もうとにかくきちっと動かす、これは当然、役所ですから、行政ですから、当然の仕事であるんです。それはそれでいいんですけれども、ただ、一方で、一度成立した法律であったとしても、一度決まったルールであったとしても、やはりちょっとこれはおかしいな、ちょっとこれはまずいなというものについては、仮に施行前であったとしても、やはり変えていくとかそういうカイゼン努力をした者に対しては評価をしてやる、また、一度使われている予算であっても、もう無駄だなと思ったら、削った者に対して、それを提言した役人に対しては評価してやる。そういう評価をすることをすると、これはがらっと霞が関の風土も変わると思うんですね。

 まずは法律を幾らでも多くつくれば、例えば役人の評価基準として、法律をどんどんつくった人間が優秀なんだ、予算を獲得した人間が優秀なんだというのが大概霞が関の評価基準ですけれども、そうじゃないよ、一度ある法律も見直した方がいいよというような、そういう評価基準を設けてあげて、かつ、その上で評価する、表彰する、こういうことが必要だと思うんですね。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、今、経済産業省にそもそも、まあ国家公務員法上の処分もありますし内規の処分もありますけれども、内規でもいいですけれども、表彰制度というのはあるんでしょうか。永年勤続を除いて、職員を表彰しますよという制度はありますか。これは一応通告しているので、大臣でも副大臣でも、どちらでも結構です、お答えください。

甘利国務大臣 そういう制度があるとは承知しておりません。

近藤(洋)委員 そうなんです、ないんですね。ぜひつくられたらいいと思うんですね。

 私は、サラリーマンを十一年間やっていました、大臣もサラリーマンをやられていましたけれども。新聞記者でしたけれども、編集局長奨励賞とか編集局長賞とか社長賞とか、こういうものはどんな会社でもあるんですね。どんな事業会社でもあると思うんです。そうすると、うれしいものであります。別に、給与に対して反映されません。金一封一万円か五千円ぐらいしかもらえませんし、履歴に反映されるのはたしか社長賞ぐらいだったような気がしますが、局長奨励賞ぐらいだったらどうってことないんですね。だけれども、うれしいものであります。

 例えば、役人を表彰すると。甘利大臣賞でもいいですよ、エネルギー長官賞でもいいです、副大臣賞でもいいですけれども、そういう表彰制度みたいなものをまずそもそもつくられて、そしてその基準として、いや、おまえはよくぞこの制度の不備を的確に見つけた、おまえはよくぞこの無駄な予算をやめた、それは大臣表彰だ、こういうことでやると非常にいい。わけのわからぬ厳重注意処分を、何か詰め腹を切らせる形でトップにやらせたところで、役人は白けちゃうと思うんですよね。

 いかがでしょうか。そういうものをつくられたらどうでしょうか。

甘利国務大臣 このところ、行革論議の中で、ともすれば役人のモチベーションが下がるような議論ばかりが先行しているという指摘もよくいただくわけであります。やはり、優秀な人材を集めている以上、その優秀な人材が能力を一二〇%発揮して国家国民のために貢献をしてくれるということが大事でありますから、おっしゃいますように、どうやってモチベーションを上げるか。下げる仕組みはたくさんあるようですけれども、上げる仕組みがない。

 御指摘、真摯に承りたいと思っております。大臣表彰がいいのか、私の賞を出してそんなに喜んでくれるかどうかわかりませんが、いい提案をした、まさにトヨタのカイゼンというのはトヨタの今日をつくったというふうに社長が言っているわけでありますから、経済産業省内のカイゼンシステムをいろいろと検討してみたいというふうに思っています。

近藤(洋)委員 ぜひ、これは本気で考えていただいていいと思うんですよね。

 うれしいものですよ。例えば、そういう表彰をされたら大臣と食事をする、これでもいいんですよ。事務次官と食事をする。例えば、入省十年生ぐらいとか十五年とか……(発言する者あり)ゴルフはだめです、もちろん。ゴルフはだめですが、食事をする、事務次官と、大臣と。それは、いわゆる1種だけでなくても、2種、3種の方、こういう方々で、よくやったといって、二時間、大臣とともに食事をする、事務次官とともに食事をする、局長とともに食事をする。これだけでも意欲向上になるんだろうと思うんですね。

 ぜひ、私は、大臣、先ほどちょっと御答弁でお答えいただいたので、お聞きしたいなと思うんですけれども、省略しますけれども、やはり経済産業省、かつては悪名高きMITIとか言われるぐらい、北の湖のように強かったわけですね、海外から見れば。憎らしいほど強かったと言われる最強の経済官僚集団だったと思うんです。

 そういう意味で、大臣にあえて、もしお答えがあればですけれども、私は、ちょっとここ数年、最強の経済官僚集団経済産業省ですら、現場のモチベーションというのがどこまで維持されているのかなという気がいたしますし、今現在の状況はどうか、大臣の御見解を伺いたいと思いますし、あえて、ちょっとこれは通告がなくて恐縮ですけれども、守屋事務次官のようなケース。

 あれは、私はやはり最悪だと思うんですね。二つの意味で最悪です。公務員倫理規程に違反したということもあるんですけれども、業者とのつき合い方が余りにもみすぼらしい、言葉で言えば。みすぼらしいつき合い方をされたと思うんですね。毎週一回、特定の方とゴルフをやっていた。あなた、そんなに暇なのかということですね。また、非常識と、みすぼらしさと寂しさ、わびしさを感じるという意味で、非常にまずいなと。

 その背景に何があるのか、これから民主党も国会で解明をしていかなきゃいかぬ、こう思っていますけれども、少なくとも今伝えられていることについては、非常にみすぼらしいと思うんです。そのみすぼらしさも、トップ官僚、事務次官までやった方が、しかも、あの防衛省の中ではエースと呼ばれていた方がそういうことだったのかと。

 振り返りますと、エースと呼ばれた官僚たちが、ここ十年ぐらい、次から次とさまざまなスキャンダルで失脚しているんですね、個人名はちょっとあえて申し上げませんが。役所でいえば、財務省もそうでしたね。大蔵省がそうでしたね。厚生労働省もそうでしたね。エースと呼ばれた人たちが、何かさまざまな接待だとかそういう理由で失脚をしていった。

 そして、今回また、守屋さんか、こういうことで、それは役人のモチベーションは、目標にしていた人がみすぼらしい理由で失脚するわけですから、上がるはずないと思うんですが、その件についての御感想と、MITIの現状についての危機感をお伺いしたいんです。

甘利国務大臣 我が省に入省してくる役人の多くはだと思うんですが、民間企業も受かって、そっちの方がうんと待遇がいい、しかし、それをけってMETIに入ってくる。それは、やはり志の高さといいますか、自分がいろいろ政策を提案して、それによって日本をいい方向に少しでも持っていく、そういう気概と誇りで、給与その他の条件が他より悪くてもあえて選択をするという役人が多かったと思います、少なくとも。今はどうかということになると、役人バッシングの中で、自分の存在感をなかなか見出せないで悩んでいる者が多いと思います。

 私は、就任をしましたときに、この役所には許認可権限はほとんどない、予算も少ない、ないない尽くしだけれども、君らの頭で考える政策が日本をよくしていくんだ、そういう誇りを持ってくれという就任のあいさつをいたしました。省内の全員に届くように中継がされたはずでありますけれども、それを聞いてファイトを呼び起こしたという職員が少なくないという報告を受けて、大変うれしかったと思っております。

 いろいろと、先ほど来の御提案は、一つ一つ心にしみるものでありまして、私も、どうやって、優秀な職員が集まっているんだから、その能力を一二〇%発揮させるということが大臣の務めだと思っておりますし、そのことを通じてさらに優秀な職員が我が省あるいは中央官庁を目指してくれる、そういうところであり続けなければならないというふうに思っております。

 先ほど来の御提案、しっかり検討してみたいと思っております。

近藤(洋)委員 ぜひ御検討をと思います。

 我々民主党も、もちろん霞が関の方々と厳しく、指摘をする立場ですから、対応する。ですから、役所の綱紀粛正については厳しく申し上げますが、しかし、国会としても、やはり霞が関の人材というのは国有財産ですから、国有財産を劣化させても意味がないわけでありまして、良質な資産として育てなきゃいかぬと思っておりますし、民主党も……(発言する者あり)まさに今、経年劣化という話がありましたけれども、経年劣化しては困るわけでありまして、そこは、我々民主党が政権をとったとしても、今の自民党、公明党さん以上にこの資産をフル回転させたい、こう思っています。そのことだけ申し上げたいと思います。

 さて、法案の話に関連してですけれども、今回の電気用品安全法につきましては、リチウムイオン電池の品質安全基準についても定められることになりました。最近リチウムイオン電池に関して事故が起きていることに対応しての措置であり、正しい方向だろうと思っておりますが、委員長のお許しを得て、資料を配付させていただいております。

 この「リチウムイオン電池市場の概要」ということで、経済産業省の資料でございますけれども、出荷額は若干最近頭打ちではありますけれども、この丸グラフを見てのとおり、日本のメーカーが大変なシェアを占めている。三洋、ソニー、松下、この三社が大変なシェアを占めている。ところが、この日本の独壇場だったところで、サムソンであるとか中国の企業が急速にここ最近、過去の経年の数字が出ていないのであれですけれども、非常な勢いで伸ばしている。

 そういう中で、今回、この御三家で製品事故が起きてしまった。非常に衝撃を、これは実は、されど電池と言ったと思うんですね。日本の産業界にとってある意味で衝撃を与えた三つの御三家による事故だったと思うんですが、これは事務方で結構です、この原因についてはそれぞれもうきちんと解明しているということでよろしいわけですね、この三社の事故について。済みません、審議官、お願いいたします。

本庄政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の三社の事故につきましては、原因を解明いたしまして、それぞれ各社において製品の回収を行っておりますし、また、設計、製造工程の変更も行っておるところでございます。

近藤(洋)委員 三社それぞれ、最初は、何が原因なんだろう、プログラムのミスなのか、それとも何なのかとさまざまなことが言われましたけれども、物理的に解明をされて回収された、こういうことであります。

 そういう中ではありますけれども、やはりこの御三家で同じように起きてしまった、こういうことでありますし、私は技術屋ではないのでわかりませんが、リチウムイオン電池というのは、電池の世界というのは、機械設備、機械物と違って化学の世界だ、したがって、安定した製品をつくるというのは極めて難しいと。プロに言わせると、全く同じ性質のものをつくるということは化学的になかなか不可能なんじゃないかということ、化学的なものでしょうからということも話を聞いておりますし、大変レベルの高い技術を求められるんだろうと。

 先ほど、別の議員の御質問にもありましたが、やはりこの分野、特に自動車の世界、リチウムイオン電池というのは、まだ今このグラフでは頭打ちになりますけれども、またさらに二段、三段と大きく広がる可能性もある分野であります。引き続き日本がトップランナーであるべきだろうと思いますし、このリチウムイオン電池の新たな技術の開発について、国としてもプロジェクトを立ち上げて支援すべきじゃないかということ。

 さらには、もう一つ、これは、後ろを見ますと、太陽電池。ある意味で、電池の世界というんですかね、リチウムイオン電池はためる技術で太陽電池は発電ですから、若干違うんですけれども。

 エネルギー関連という意味では、太陽電池も、出典は経産省の資料ですから、やや日本がトップを維持、こういう形になっていますけれども、この下の表を見ていただくと、その他の地域が大変な勢いで生産量を、その他というのは基本的には中国でありますけれども、二〇〇一年が三・三万キロワットの生産量だったのが七十一・四と、大変な生産量になっている。中国メーカーが大躍進をしているというのも太陽電池の世界であります。日本がトップだったのが、いきなり中国が、この三年ぐらいで中国メーカーが伸びている、こういうことに今業界地図が塗りかわろうとしています。

 あわせて、この太陽電池、さらには燃料電池、こういったエネルギーをためる、つくる電池関連の技術、これについては、やはりさまざまなプロジェクトを立ち上げて後押しすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

中野副大臣 近藤委員から力強い御支援のお話もございました。もうまごう方なくお説のとおりだと思います。

 ついぞこの間、モーターショー、私も見てきましたけれども、すばらしいハイブリッド車あるいは電気自動車、展示をされておりまして、たくさんの見物人がおりました。その中でいろいろ説明も聞かせていただいたのでありますけれども、まごう方なく、地球温暖化対策だ、あるいは石油依存度の低減だ。その本格的普及のためには、動力源となる、今お話がありました蓄電池について、正直、性能面、コスト面の課題があることは御承知のとおりであります。

 こういった課題を解決して、具体的には、航続距離あるいはコスト等の面において、ガソリン自動車並みの電気自動車を実用化するため、リチウムイオン電池を初めとした蓄電池の大容量化、あるいは低コスト化の実現、安全性の確保等のための蓄電池の技術開発を行っておりますことは、今お話をいただいたとおりであります。

 日本の蓄電池技術は、世界に対し競争優位を有しております。今後とも技術優位を保つべく、経済産業省としては、蓄電池の技術開発を積極的に推進いたしてまいります。

 ちなみに、数字で申し上げますが、蓄電池技術開発事業、十九年度予算額は四十九億円でありますが、二十年度予算要求額は七十一億円で、一生懸命これから獲得のために頑張りたいと思っております。

 また、今、リチウムイオン電池に限らず、太陽電池あるいは燃料電池のお話もございました。

 ちょっと長くなりますけれども、太陽電池及び燃料電池は、エネルギーの多様化及び地球温暖化対策の観点から、その導入が必要であるとともに、新たな産業の育成が期待をされるという大変重要なエネルギー技術だと認識をいたしております。

 太陽電池については、過去三十年以上にわたり、低コスト化、高効率化に向けた技術開発を強力に推進してまいりました。昔でいうサンシャイン計画でありますとかあるいはムーンライト計画、こういうことで実施をいたしておりますが、この結果、日本は、太陽光発電設備の導入量ではドイツに次いで世界第二位であります。ついぞこの間までは第一位でございました。残念ですが。しかし、太陽電池の生産量では世界の約四割を占める、まごう方なく世界第一位を占めておりまして、世界最先端の太陽電池技術を有しておることだけは間違いありません。

 燃料電池についても、技術開発に加えて、データ取得のための実証試験を実施しておりまして、これまた世界でも最先端レベルの技術だと、内外ともに評価をいただいておるところであります。現在、環境に優しい究極の自動車である燃料電池自動車について約六十台、家庭用燃料電池について約二千二百台の実証実験を行っており、世界に先駆けた実用化を目指しております。ちなみに、経済産業省でも、燃料電池自動車二台、水素自動車一台、使用させていただいておるところであります。

 今後とも、経済産業省では、太陽電池の抜本的な高効率化技術や燃料電池の普及に不可欠な水素貯蔵技術の開発を初め、太陽電池や燃料電池の実証試験や導入支援を強力に支援してまいりたいと思います。

 ちなみに、太陽電池関連の予算でありますけれども、平成二十年度要求額、対前年度で大幅な金額を要求いたしておりますし、燃料電池関連予算についても同じでございまして、十九年度予算は三百六億円、平成二十年度予算要求で三百三十億円、その中で、今申し上げましたような実証実験、研究、そういった形、開発も含めて、しっかり私たちは取り組んでまいりたいと思っております。

 今後ともの御支援をよろしくお願い申し上げます。

近藤(洋)委員 中野副大臣、この分野、非常に大事だと思っています。半導体では、残念ながら日本は後塵を拝してしまった。圧倒的に強かったのが、あっという間にやはり韓国に抜かれてしまい、またアメリカにはさらに一歩先に行かれた、こういうことだと思います。

 やはり、ドッグイヤーではありませんが、非常に日進月歩の世界でもありますし、今シェアがあるからといって安泰だということではないと思っておりますので、ぜひ、こういった分野は、税制の措置は、太陽光発電についてはストップしてしまったわけですね。ドイツはその辺は大変な力を注いでいるわけでありますから、そういうことをしないのであれば、では逆に技術開発に思い切って予算を投ずる、こういうことだろうということを私の方からも指摘させていただきたいと思います。

 時間があれなので、一点確認であります。

 消費生活用製品安全法についてでありますけれども、こちらの方、九品目について特定保守製品として品目を定める。そしてさらには、注意喚起の表示を義務づける製品として、別途審議会でさらに検討する、こういうことであります。

 私、事務方から伺っているのは五品目、ブラウン管テレビ、洗濯機、換気扇、扇風機、エアコン、この五品目が指定される見通しだと伺っておりますが、これについては、随時見直しをする、状況に応じてその品目を洗い直す、特定保守品目として決めている九品目も、さらには別途の五品目についても内容は随時見直していくということでお願いしたいと思いますが、よろしいんでしょうか。お答えください。

中野副大臣 お話もいただきましたけれども、特定保守製品、ただいまは九品目を想定いたしております。

 なおかつ、情報提供を行うべき対象製品は、経年劣化による重大事故の発生の確率が高くはないものの、経年劣化による重大事故件数が、お話しのとおり、一定数以上のものであります。具体的には、扇風機、エアコン、それから換気扇、テレビ、電気洗濯機・洗濯乾燥機という五品目がその想定の品目であります。

 ちなみに、経年劣化による重大製品事故発生率、年一ppm以上を特定保守製品予定品目といたしておりますけれども、今申し上げました五品目につきましては、それぞれ、発生率からいたしますと〇・二六以下でございます。ただ、年の重大製品事故件数につきましてはそれなりの数字を示しておりますので、先生のようなお話、当然出てくるのであります。

 今後、これら九品目、五品目以外にも、経年劣化による重大事故発生確率が高い製品、または、発生確率は高くなくとも、経年劣化による重大事故が一定数以上発生している製品が明らかになった場合などには、適切に指定を見直していきたいと思っております。よろしく御理解をいただきたいと思います。

近藤(洋)委員 ぜひ、状況に応じて、随時そういった情報を収集して指定をいただきたいと思いますし、また、これはやはり企業にとっても大変な影響を与えるわけですし、もちろん消費者保護が第一であります。あわせて、さまざまな観点から随時見直しをしていただきたい、こう思います。

 最後の質問になります。

 先ほど、こういったものを点検する、製品を特定してメーカーに義務づけをしても、問題はそれが運用されるかという質疑がございました。これからも同僚議員からあるかと思いますが、私も、そういった流通を管理するという意味では、やはりトレーサビリティーシステムというのが重要なんだろう、こういう認識に立ちます。

 その意味では、先ほどもお話しになりましたICタグ、さらにはネット家電と言うんですか、つないだだけでネットとつながって、家電情報がつながるだとか、そういう製品、システムの開発が重要だろうと思うのですが、その上で、そうしたものの開発にはソフトウエアがかぎになるわけですね。ソフトの技術が成否を握っていると考えてもいい。そもそも、もう今や、携帯電話でも家電でもパソコンでも自動車でも、あらゆるものがソフトウエアの塊だと言ってもいいわけだと思うんですね。機械製品というよりは、むしろソフトウエアの塊だ。

 ところが、そのソフトウエアの技術者がどうかというと、今、さまざまな方に話を聞くと、ソフトウエアの技術者が大変少なくなっている、三K職場ではないけれども、その技術者たちが非常に枯渇しているという話を伺います。プログラムのミスが重大な製品事故になりかねないわけでありますし、自動車もプログラムのミスで大事故が起きかねない。飛行機だってそうですね、航空機でも。

 その意味では、ソフトウエアの技術者養成というのは国策として取り組むべき課題かと思いますが、最後に、経産省、その点についての危機感と対応策を伺って、質問を終わります。

中野副大臣 ありがとうございます。

 前段のトレーサビリティー、その重要性につきましては、私たちも共通認識でございます。

 ちなみに、平成二十年度予算において、電子タグを活用した製品安全対策に関する実証実験を行うべく新規要求をいたしておりまして、三・九億円、要求をいたしております。

 また、電子タグは、お話をいただきましたように、傷や汚れに強い、また高い読み取り精度を実現することができる技術であることは当然であります。この実用化及び普及を目指して、低価格化に向けた二十三億円の技術開発やさまざまな実証実験に取り組んでまいりましたけれども、来年度も先ほど申し上げたとおり新規要求をいたしてまいりたいと思っておるところであります。

 また、今、IT人材の確保の問題、育成の問題を提起いただきました。

 御指摘のとおり、有効求人倍率についても、今、IT人材に対する需要は三倍を超えておりまして、実質的には人材の不足、これが顕在化をいたしております。

 こうした状況にかんがみて、昨年の十月よりでありますけれども、産業構造審議会においてIT人材の育成について審議し、本年七月に、「高度IT人材の育成をめざして」と題する提言を取りまとめていただいたところであります。

 この提言を受けて、私たち経産省では、IT分野で求められる人材像を明確化する、そして、必要な知識やスキルを体系的に整理し直していく、これを踏まえて、情報処理技術者試験を全く大きく改定させていただくことにしました。企業においてこれらを活用して適切な人材評価が行われることが、産業界の魅力の向上につながり、IT人材の創出を促す、そのように認識をいたしております。

 また、今回の改定では、ITについての特別な知識を持たなくても挑戦できる試験区分を設けることで、より多くの人にITへの関心を持っていただけるような仕組みも考えております。

 さらに、文部科学省と協力をいたしまして、産学連携でのIT人材の育成を進めることとしており、多くの学生がIT分野に関心を持ってくれることを期待いたしております。しっかり取り組みをさせていただきます。

近藤(洋)委員 終わります。

東委員長 これにて近藤洋介君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 大臣、お疲れさまでございます。

 法案に入る前に、幾つかちょっと大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

 冒頭、今、原油価格が、毎日毎日、史上最高値を更新しております。いろいろな影響が国民生活にも出てきているというふうに認識しています。

 特に、ガソリン価格、これは、もしかして都市と地方の格差に近いものがあるというふうにも認識していますし、例えば、全国の町村平均だと、年間、ガソリンを一世帯当たり大体十万円くらい使う。一方で、東京都内、公共交通機関が発達していますから、余り車をお持ちでない方もいらっしゃるので、大体一万六千円くらいが一年間のガソリンの支出だという話も聞いております。

 また、石油元売価格も、原油高騰ということで、十一月一日からさらに卸価格を上げていくという話で、ガソリンがレギュラーでリッター百五十円を超えていくという中で、まず冒頭、この原油価格の高騰というのはこれからも継続的にやはり続いてしまうんでしょうか、それとも、生産や消費の部分で下がっていくという見通しを大臣はお持ちなんでしょうか。それによってこれからのいろいろな施策というものがかなり変わってくると思うんですが、まず現状認識について大臣に冒頭お尋ねをしたいと思います。

    〔委員長退席、梶山委員長代理着席〕

甘利国務大臣 原油価格の上昇でガソリンや灯油、あるいはこれで電気料金やガス料金が改定をされると、家計負担が上がっていくわけであります。まだ立ち行かなくなるというほどの深刻な影響は与えておりませんけれども、しかし、じわじわと家計を圧迫しているということは現実の問題であります。

 今後、価格がどう推移をするかということについて、私は、かつてのレベルに下がってくるという期待はそう持てないのではないかと思いまして、高どまりの懸念があります。産油国の中には、バレル百ドルでもいいんだなんて乱暴なことを言う国もありますけれども、私は、安過ぎてももちろん産油国にとってよくないのはわかるけれども、高過ぎても、やがて世界経済への悪影響から、産油国の経済への影響にも返ってきますよということを常々言っているわけであります。

 需給関係はショートしているわけではないんですけれども、なぜ価格が上がっているかというのは、やはり投機資金、ファンドの運用先が石油の先物に向かっているという点は大きいんだと思います。でありますから、本当は産油国が、今の価格の上昇はかなり、通常、実体経済を反映していない、あるいは取引を反映していないので、増産に入るというような意思表示をするだけでも違うと思うんですけれども、そういうメッセージをずっと発出していきたいというふうに思っております。

 もちろん、こちら側、使う側としては、省エネ技術を開発普及していくということで防衛線を張らなきゃいけないと思いますし、消費国には省エネの技術の移転を通じてよりローコストで経済運営ができるように協力をしていきたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣今おっしゃるように、投機的な動きというのが現時点では非常に大きいというのもよくわかるんですが、この数年間では、何度も大臣とも議論させていただきましたが、中国を中心とした新しい消費大国という国が生まれて、それも需給を大きく圧迫しているという中で、その動きも、じゃ、これから中国や新しい消費国、輸入国が石油消費を急速に減らしていけるかというと、なかなかそうではなくて、逆にふえていくという要素があると思うんですね。

 大臣、ここで一番大切なことは、省エネ技術のいろいろな国への普及というのはもちろんでありますが、やはり生産国にもきちっと消費国全体として要請をしていく、そして、消費国も全体で協調しながら、消費の削減というわけにはいきませんけれども、需要がそんなに拡大をしないように、やはり国際的な協調体制をつくっていくということが必要だと思うんですね。

 以前であれば、ガソリン価格、卸が値上げをしても、今ガソリンスタンドはかなり競争が厳しいですし、以前にも中小企業の部分で指摘したように、倒産をしているガソリンスタンドが非常に多いことも事実だと思います。

 それが今、農産物も、バイオエタノールということで、トウモロコシの生産が、世界的に見れば、生産国で小麦や麦類から、トウモロコシを増産するということで、ほかの農産物の価格が急上昇しているという話もありますので、いろいろな部分でもちろん連鎖というか連動をして、原油だけだったら大臣がおっしゃることになるんでしょうけれども、農産物もそう。

 結局は、ガソリンを使って軽油を使った流通、物流の部分も競争が激化しているので、そんなに目立った動きはまだトラック料金はありませんけれども、いずれ耐え切れずにコスト増。結局は、消費者、国民の皆さんが一番負担増になっていく。

 秋は本当に、食欲の秋と読書の秋だけじゃなく、値上げの秋という認識をかなり持ってくると思うので、大臣、やはり国際協調という部分を、後でもちょっと触れさせていただきますが、大臣は来月の中旬にはアフリカにも行かれるようでありますけれども、ぜひそういう部分でもいろいろなメッセージをエネルギー担当の責任者として発していただきたいと思うんですが、その点について、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 原油がバレル九十ドルを超えると、普通は代替エネルギー開発がもっと進んでいいはずなんですけれども、それが進んでいかないんですね、コストは合うはずなのに。ということは、まだ市場が高値でずっと張りつくということの認識はしていないのかなという点も一つあります。ただ、中東情勢、イランも含めて、見通しが極めて悪いというところから、先物への投資、投機が進んでいるのであるというふうに思っております。

 産油国に対して適正な対応を求める、上流投資を拡大させるという要請は今までもしてきましたけれども、産油国グループに大きな地位を占める可能性が将来出てくるであろうところについても、しっかりその要請をしていきたいと思っております。

 今御指摘がありましたアフリカは、資源大国であります。国会のお許しをいただければ、近い機会にアフリカに行こうと思っております。これは希少金属が中心でありますが、しかし、アフリカは化石燃料の宝庫でもあると言われています。ただ、正確な探査が行われていないということでありますから、先進国は、アフリカの開発援助の際に、資源をてこにしたアフリカの自立ということを図っていくべきだと思っておりますし、ODAの有効活用のような会議でも私はそういう主張をしております。近いうちに訪問できましたら、いろいろと二国間関係を築いていきたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣、一昨年の十月四日、原油問題に関する閣僚打合せという組織がつくられて、いろいろな調査や分析を原油に関してしているということで、一番新しいものは、ことしの八月七日に原油価格・原材料価格上昇の我が国産業への影響に関する調査結果というのが出されておりまして、これはまた十月下旬から来月、十一月中公表ですか、来月に公表なさるということで、調査をしているらしいんですが、この八月七日のものを見させていただいても、大企業はそれほど、価格転嫁がある程度できて、そんなに原油価格の影響はないだろう、これは原材料価格の影響もそんなに大きく逼迫しないだろうという回答が多い。

 一方で、中小企業では、原油価格の影響というのは、収益面でかなり影響が生じているという企業が、この八月時点でもう既に九割あるという分析になっています。あわせて、原材料価格の上昇ということでも、同じように中小企業では影響が生じているというのが九割。でも、価格転嫁はなかなかできないというのが、半分くらいの数字をやはり中小企業から得ている。

 これは、昨日の、きょうの新聞にも報道されている、きのう総務省が出された失業率の統計も、「中小自営の雇用悪化」、大企業との格差が鮮明になったというふうな見出しで、各社きょう報じております。先ほどガソリンの消費の話をさせてもらいましたが、原油価格、原材料価格の上昇というのは、大企業と中小企業の格差、もうこの委員会でも何度も何度もお話をさせてもらっていますが、やはりそこにもかなり影響を与えてしまう。

 大臣、これからの中小企業政策ないしはエネルギー政策とのバランスをどうとれるかというのは大変難しい問題だと思いますが、ことし、地域資源活性化プログラムとかいろいろな新しい制度が法律としても国会を通過して、今それぞれの地域で一生懸命やっておられるというのは承知していますが、なかなか一つの企業体では解決できないような原油価格、原材料価格の上昇、これにもっと積極的に経産省は対応していくんだという姿勢がやはり必要だと思うんですが、もう一度お尋ねをしたいと思います。

甘利国務大臣 御指摘がありましたとおり、エネルギー価格と原材料価格の転嫁がスムースにできているかと調査をいたしますと、大企業は、全部とは言いませんけれども、比較的できているという回答でありますが、中小企業はその大宗はできていない、ですから、つまり自分でかぶっているわけです。これに加えて、仕事量はふえているけれども発注単価が上がらない、人はふやさなきゃならないから人件費がかかる、それもかぶってきている、そこで利益率が落ちているということであります。

 これは、中小企業の交渉力というのが大企業に比べて弱いわけでありますし、市場への交渉力もそうでありましょうし、元請への交渉力もそうです。元請に対しましては、下請取引の適正化ということに今取り組んでおりますし、元請企業全体に、自身の利益の適正な還元ということを、一緒に努力してくれた下請取引企業についてもやってくれということの要請をいたしております。

 あわせて、やはり日本のお家芸は省エネルギーでありますから、省エネを進めれば進めるほど、それだけ資源調達をしなくて済むということになるわけであります。もちろん、環境にも貢献するという、いいおまけもついてくるわけでありますが。そこで、日本のお家芸の省エネ技術を徹底的に推進していこうという、官民一体の取り組みも今進めているところであります。

 あわせて、抜本的な問題はやはり上流開発でありますから、上流投資をどう進めていくかということにも今取り組んでいるところでございます。なかなか油の場合は、産出国が共同して生産量全体の枠を決めて、そのルールを最近は相当みんな守っている、昔は少し逸脱をしてくれるところがあったわけでありますけれども、最近は結束がかたいようでありますから、消費国にとっては都合の悪いことなのでありますが。しかし、全体の市況を安定させるということが産出国にとってもめぐりめぐってプラスになるんだということを力強くこれからもあらゆる機会で説得し、情報を発信していきたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣、ある意味で、原油、ガソリンとか食料品、生活必需品というものの価格上昇と、これから話をしますけれども、例えば、家電製品の価格下落ということで、CPI、消費者物価指数自体はまだ下がっている、でも一方で、その実感、毎日主婦の方がお買い物に行く、私も一カ月に一遍くらい子供を連れてスーパーに行くようにしているんですが、やはり野菜も含めてことしは高いですし、高い高いという消費者の負担増という意識があれば、全体的に消費というのは循環が悪くなるというのが当然あると思うので、私たちの政党も生活第一ということで、生活に根差したいろいろな制度や、いろいろな心理的な融和も含めて対応していかなきゃいけないと思うんです。

 大臣も奥様やお子さんとスーパーに行かれることもあるかもしれませんが、一番生活に近い部分の負担がふえていくというのはやはり大きな問題だというふうに思うので、ぜひ、先ほど大臣がおっしゃられた、いろいろなあらゆる角度をとらまえて、大臣が一声言えば国際原油価格が下がるということはもしかしてないのかもしれませんが、最大限の御努力を省を挙げてしていただきたいというふうに思います。

 それでは、法案の関連の方に移らせていただきます。

 今回、消費生活用製品安全法も含めた改正をしますが、消費者の方にはかなりプラスに当然なってくるんですが、ある意味では、製造業者、輸入業者の方にはコスト増の部分も、今お話をしてきた部分が出てくると思うんです。今回、我が国がこの法改正をしようとしている、この方向性というのは正しいと思うんですが、ほかのいろいろな国は、どんな形でこういう法改正、消費者安全行政を進めているのか、わかる範囲で結構ですから、お尋ねをしたいと思います。

寺坂政府参考人 お答えいたします。

 消費生活用製品につきまして、今回の法案と同様な経年劣化対策を設けている海外の例につきましては承知をしてございません。

 一部、ガス消費機器関係でヨーロッパ諸国などでは点検を義務づけている、そういった制度の例があるというふうに承知をしてございまして、例えば、イギリスでは、家主さんに対しまして、居住者が使用しておりますガス機器、それから排気筒、これを点検することを義務づけております。あるいは、ドイツにおきましては、煙突に接続されました暖房機器につきまして、煙突掃除の専門家によります排気、それから効率のための定期点検、こういったものが義務づけられている、そういう制度があるというふうには承知してございます。

後藤(斎)委員 この法改正の目的というのは正しいと思うんですが、今審議官から御答弁をいただいたように、かなり特異というか、非常に徹底した改正の方向性だと思うんですね。

 これを大臣、日本の国がこれから、新しい電気製品、特に家電という部分では、数十年前であればジャパン・イズ・ナンバーワンで世界じゅうを日本の家電製品が席巻したものの、なかなか今はそうではないような電気業界全体の状況になっているというふうに思います。

 この安全性を徹底した対策を講じ、それがもちろん製品というものにも生かされるということですから、それをもっと積極的に情報発信していかなければ、もちろん我が国一億二千八百万人の国民の皆さんにとってみたらこの法案の改正というのは正しいということになると思うんですが、それを日本国経済全体が、輸出も含めて、もう一度家電製品も含めて世界に物を出していくということを考えれば、この法案のあり方というのが、ほかの国から見れば、日本は本当によくやり過ぎだなというふうにもしかしたら評価を受けるのかもしれませんが。

 大臣、そういうふうなことと、新しい製品や、もちろん経産省自体が全部手とり足とりという昔のような状況にならないのはよくわかっていますが、政府としても、その辺の情報発信というのをやはりしていくべきだというふうに思うんです。その点については、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 今や、電気製品に限らず、例えば食料品も含めて、安全というのが販売をする際の競争力の要因の一つになっているわけであります。

 でありますから、日本のものは安全であるということが、これは消費者にとって購買意欲をそそるということになるわけでありますから、日本は国内でこういう措置をしておりますと。これはもちろん関係者にコストがかかるわけでありますから、そのことだけをとらえれば、海外で勝負をする際に、そういうコストを含んだ製品というのはそれだけ競争力にハンディを持つわけでありますが、しかし、安全である。これは国内法でありますけれども、国内ではありますけれども、こういう対応まで、世界に類のない対応をしているというのが日本製品であるということは、外に向けても発信をしていくということが日本の安全神話をさらなる確固たるものにしていくのでありましょうし、それが国際競争力につながっていくことでありますから、そこは積極的に対応のPRはしたいと思っております。

    〔梶山委員長代理退席、委員長着席〕

後藤(斎)委員 大臣もお話しされたように、もちろん安全性というのが大きな、電化製品だけではなくて食料品もそうです、すべてのサービスも含めそうだと思うんですが、その中で、確かに、きちっとした質のよいものをつくると、それに対するコストはかかる。例えば、農産物でいえば、以前であれば肥料や農薬をかなりかけたものが、今はそういう時代ではないということで、究極を言えば有機みたいな形でやりますけれども、それだと二、三割はどうしても単価が高くなってしまう。

 同じことがこの家電製品でも当然言えるわけですから、大臣、例えば国内の消費者の方にも、安全なものをつくるのは当たり前のことでありますが、やはりコストはかかりますよと。でも一方で、先ほどもお話ししたように小売業界では激烈な競争状況になっていますから、ではその価格転嫁がすぐできるかどうかということを考えれば、なかなかできないというふうなこと、その部分とのはざまでどういうふうにしていくのかというのは大変難しいと思うんです。

 以前、日経ビジネスにも、二〇一〇年日中経済逆転という特集記事が載って、そうなると、あと二年と二カ月で、世界第二位の経済大国から第三位の経済大国に日本も下落をするという表現がいいのか、三番目になってしまうということを含めていろいろ考えると、やはり人材の育成というのも大切じゃないかな。

 大臣、これは全然質問通告をしていないんですが、ちょっとお話を聞いていただきたいんです。

 今、例えばこれからマーケットとしても消費国、生産国として非常に伸びていくであろうと言われているインド、中国という国。当然、人口も、二国を足すと二十五億人いらっしゃる。先日、東洋経済を読んでおりましたら、大学卒業者、一年間に行く数が、これは二〇〇五年だそうですけれども、中国は今二百五十三万人、インドは二百三十万人、我が国は五十五万二千人。その中で特に、IT含めて情報工学系という数字の分類なんですが、中国では八十一万二千人、インドでは五十万一千人、我が国は二万二千人。これがいずれ量から質へということで、こうして毎年蓄積をされていくわけですから、すごい数字。五年で、例えば情報工学系の方だけでも、中国でも四百万人ということになっていく。

 我が国では五年で十万人ということですから、やはりこういう専門性のある方が、例えばものづくりや安全な製品をつくっていくという部分に人材として育成というか、以前、原子力工学の話もさせていただきましたけれども、今、一つの大学しか原子力工学系の専門大学というのがない、コースがないというお話をさせていただきましたが、同じような部分で対応が進んでいくと、人材の部分を含めて、これからそれをものづくり、安全な製品をつくるということにどうつなげていくかということなんですが、その点については、経産省として、これからどういうふうに大臣は考えていくんでしょうか。

甘利国務大臣 IT人材をどう育成していくかということは、我が国の国際競争力、そしてGDPをしっかり確保していく上で極めて重要な問題でありまして、このIT人材の育成に関しては、今官民一体となって取り組んでいるところでございます。なかなか量的には中国やインドにはとてもかなわないとは思いますけれども、しかし、質の高い人材を効果的に、効率的に育てていくということで、官民が一体となって協力して取り組んでいくということを今進めているところであります。

後藤(斎)委員 特に大臣、きのう、今度小学校の数学の授業時間もいずれふやしていくというお話が報道されておりました。ただ、いろいろ聞いていると、私、子供が三人いるんですけれども、おやじに似たかどうかは別としても、なかなか理科系的な人間ではなくて、やはり理科や算数が好きな子というのがまず理科系に行くベースになると思うんですね。これは、大臣おっしゃられた部分も含めて、初等中等教育、高等教育含めて、この連動をどうするかということが非常に、好きこそ物の上手なれという、急に今思い出したんですが、やはりそういう中で、いろいろな施策を関連して、ことしからいろいろな地域資源の部分であるとか企業誘致の部分も各省庁連携して一緒にやっていこうよという方向性を本当に初めて出されたということも含めて、ぜひ人材育成という点も、文科省とも連携しながらお願いをしたいというふうに思います。

 大臣、南ア、ボツワナにというふうな記事が先週載っておったんですが、国会のお許しが得られればということであります。

 大臣は以前も、レアメタルがメーンだというふうに思うんですが、もちろん大切な部分で、レアですから非常に希少だという部分で、いろいろな研究開発も含めて経産省はやられているというお話をお伺いしておりますが、やはりレアじゃないものを、同じ素材というか材料であれば使っていくという、その代替、例えば埋蔵量が多い品目にかえていくみたいな、そういう技術開発も当然必要だと思いますし、当然備蓄というものもレアメタルについてはやっておりますけれども、それとて、以前もお話をさせていただいた、数カ月というのが一つの上限、当然コストもかかりますから。

 ということも考えると、もろもろの部分で、埋蔵量が多いものにもやはり技術開発をして、同じ製品ができるということも、枯渇というか希少な資源を使っていくわけですから、そういう研究開発、技術開発も必要だと思うんですが、その点について、簡潔で結構ですから、どんなふうにこれから考えられていくのか、お尋ねをしたいと思います。

甘利国務大臣 レアメタルは、レアであるから確かに希少でありまして、レアメタルというのは日本語なんですね、あれは。日本語の造語なんだそうでありまして、きのう、南アフリカの資源大臣と話していましたら、レアメタル、希少金属のことをプレシャス・グループ・メタルという表現をしていまして、ああ、それが本当なのかなと、私も初めて発見したのでありますけれども。

 このレアメタル、希少金属に関しては、探鉱開発、備蓄、そしてリサイクル、それから御指摘の代替材料の開発、これがしっかり組み合わさっていくことが大事だと思います。埋蔵量が多い資源をそういう希少金属の代替品として使うことができれば、安定供給にこれ以上資することはないのでありまして、これも、御指摘をいただいた大事な点であります。

 本年度から五年間の計画で、特にリスクが高いというふうに考えられていますタングステン、インジウム及びジスプロシウムの代替等を目指した技術開発プロジェクトを開始したところでございます。例えばインジウム、これは液晶パネルに欠かせないものでありますけれども、このインジウムにつきましては、埋蔵量が多い亜鉛をもとにした酸化亜鉛で代替を目指す等の研究開発、これが着実に成果が得られるように一生懸命推進をしていきたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、日本ブランドとか日本の電化製品、電気製品も含めて、競争力を持った形でこれからまた世界に、市場に輸出をしていくという中で、日本の本当にオリジンの、例えば鉱物資源があったりすれば、それを生かした新製品をつくるということも必要だと思うんですね。

 以前、たまたま日経新聞を読んでいましたら、日本産新鉱物、日本にしかないということ、どの程度差別化ができるのかよくわかりませんけれども、約百種類、百二種類あるというふうな形で載っておりました。ジャパン・オリジンというものがどういうふうにつくれるかという、その製品開発の努力、もちろん民間の大企業、中小企業を問わず皆さんそれぞれ研究開発、それを製品化する御努力をしているのは十分わかっているんですが、やはりそういうところにも予算、研究開発の投資を国としてもやっていただくということが必要だと思うんですね。

 ほかの委員会との関係でちょっと時間が、あと一問、今しますが。

 大臣、その中で、ことし、地域資源活性化プログラムを含めて、いろいろな地域資源をもっときちっと使っていこうという中で、私の地元で、以前も大臣にお話しした、貴金属、宝石関係が日本で実は一番出荷額、生産額が多い地域であります。

 数字がいろいろあって、どの数字が正しいのかちょっとわかりませんが、例えば平成二年というのが、貴金属関係が日本全体、山梨でも出荷額で一番多かった時点です。それから、一番新しい数字が十七年の数字ですけれども、全国では五四%減、山梨では六〇%減ということで、もちろん需要の低迷もあって出荷額が非常に減少しているんですが、一方で、先ほどの原料価格ではありませんが、金やプラチナという部分は、実はこの十五年間で二倍から三倍になっています。

 やはりこれは、中小企業の今の苦境の典型だと思うんですが、原材料が上がっても、それをなかなか価格転嫁できない。需要全体も厳しい状況だから、なかなかマーケットが伸びない。一方で、輸出ということももちろんやられている部分があるんですが、やはり苦境から抜け出せない方々があって、事業者数も、四人以上の事業者の方々でありますけれども、全国でも四八%減、山梨でも三〇%近く減をしているということで、ある経営者の方に言わせると、もう自分の息子にはこの業界は継がすことができないというふうなことを思っている、その方もまだ五十代の前半ですが。

 地方の資源の活用という大目的は当然あれなんですが、やはり個々に見ると、本当に日本の中でも一番生産量や出荷額や技術があるというふうに言われているところでもあるというのが、私は山梨の宝石が地域資源活用の典型だと最近思いまして、大臣、こういう中で、経産省がそれぞれの業界を全部見るということは不可能なのかもしれませんが、ぜひ経産省としてもその点について積極的に輸出ブランド化も含めて対応をお願いしたいと思うんです。

 大臣、最後にぜひ御答弁をお願いいたします。

甘利国務大臣 我が国のいわゆる宝石産業、需要の低迷、それから原材料高で全体の売り上げが半分以下になっている。従来から、展示会の開催への助成とかブランド育成支援策は行ってきましたけれども、地域資源法がさきの国会で成立をしまして、今、山梨では既に宝石を地域資源として指定されているわけであります。従来よりも広範な仕組みで支援ができると思っておりますので、この地域資源法の施策の活用を通じて、宝石産業の振興に取り組みたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 済みません。時間の前なんですが、以上で質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

東委員長 これにて後藤斎君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。下条みつ君。

下条委員 民主党の下条みつでございます。

 午後一番ということで、おなかもしっかりしておりますし、また大臣に対して初めて今回質問させていただきます。五分前に来られた大臣の心意気で、ぜひすばらしい回答をしていただきたいと思っています。

 午前中、いろいろ質疑がありまして、私も、行政がこういうことを出すのは世界的に見ても非常にいい方向の法案だというふうに思っております。ただ、どんなものでも、人間でも法案でもそうですが、そこに少しプラスしていく必要がある、直していかなきゃいけない、またこの先、方向感をどういうふうに持っていくかということも必要だと思います。その辺を含めて、時間の範囲内で質問させていただきます。何とぞよろしくお願いします。

 最初に、消安法についてちょっと質問したいと思うんですが、もう既に午前中、同僚議員の方からのいろいろな質問に対してお答えいただいておりますが、私もちょっと細かくいろいろ調べてみました。

 その中で、今回の対象品目の選定についてちょっと御質問したいと思いますけれども、十月に製品事故情報報告・公表制度の施行状況というのが出たわけですね。これは、ことしの五月十四日に改正消安法ができてから、重大製品事故報告・公表制度の運用が開始されて以来からの事故件数がいろいろな機種別に出てきた。

 例えば、電気製品なんか、この数カ月で、電気こんろは四十件事故がありました。エアコンは三十七件、扇風機は、たびたび出ておりますけれども、三十件事故があった。電気洗濯機は十八件、冷蔵庫に至っては十五件あった。これがベストファイブであります。

 それから、燃焼器具に関しましては、ガスこんろが三十二件、あとの四品目についてはこの九品目に入っているのですが、石油ふろがまが十五件の事故があり、ガスふろがまが十五件、石油給湯器が八件、ガス湯沸かし器は四件と、本当に、確かにガスを中心に非常に多くの事故が重なっています。

 本来であれば、ほかにも事故がある部分について、局長を含め、審議官を含め、御質問の予定でありましたが、既に品目の選定についてはもう午前中の質疑で御回答いただいて、私もそれを見ておりますので、今回は省かせていただきます。

 そこで、備えつけその他の部分はあるのですが、私が思いますのは、例えば電気こんろとかガスこんろ、これは備えつけであろうとなかろうと、大体これは人が多くいるアパートとかマンションとか、それからビルなどに多く使われているわけですね。簡単に言えば、人が多くいるところであれば、一度事故が起こったら建物全体にその被害が及ぶ。

 例えばマンションでも、一戸当たりは非常に少ないかもしれない。だけれども、高層マンションであれば何百世帯とそこに入っているわけです。そうすれば、私も頭はよくないのですが、掛け算をすると、その事故発生率が何倍にもなっていくわけです。ですから、もう一歩踏み込んでちょっと考える必要があるのかなと私は思っております。

 そこで、エアコンなんですけれども、大臣、エアコンは今、この夏の暑さもそうだったですけれども、大体一部屋に一台ずつあるわけですよね。そうすれば、例えば二LDKなら、何かよくわかりませんが、二台か三台あって、その部屋が十戸あれば、それだけで三十台あるわけですね。

 そうすると、百万分の一、何とかppmですか、その事故発生率から比べていくと、一台当たりは事故件数が、電気関係だし、備えつけだけれども非常に低いかもしれない。だけれども、この先、それがでかいビルにたくさんある、でかいマンションにたくさんついているということをかんがみたときに、やはり発生確率というのは、単純にその電気製品一台の発生確率じゃなくて、全体の建物でいくとその発生確率は数十倍、数百倍に膨れ上がっていくのじゃないかと僕は思うんですよ、掛け算でいけば、同じものがついているわけですから。

 そこで、私も米国に若干いましたので、米国では、例えばリコールの基準はどうだというと、彼らが言っているのは、事故発生の可能性または起こり得る事故の被害の程度、もしくはその両方が重大と疑われる場合には義務づけをしているんだと。つまり、可能性や被害の甚大さにかんがみて、こうやっていきなさいよと義務意識を持たせていると。これはリコールの部分ですけれども、アメリカの場合、そうだと。

 私も、午前中いろいろ質疑があった中でもありましたけれども、発生だけじゃ、やはりちょっと足らない、発生率では。その甚大な被害の部分をやはりもうちょっと建物ごとに、例えば一戸ではなくて、五百戸ぐらいついているところもありますから、そうすると、確率が五百倍になるわけです。そういう意味では、そこをもうちょっとこれからの対象選定の中に入れていったらいいのじゃないかなという感じはしています。

 最初言いましたけれども、私はこの法案、賛成であります。非常に画期的だと思いますし、諸外国ではこうやって行政がばしっとやるのはないです。日本みたいな島国だからきちっとできると思う。ただし、今言ったような部分を入れていくことが今後の選定の中の、足腰の部分でいえば非常に腰を入れた、アクセルとブレーキを分けたらアクセルの部分につながっていくんじゃないかと思うのですが、ぜひこれは大臣の方から、今後の課題です、きょうじゃありません、今後の課題として前向きに踏み込んでいっていただけるのか、御回答いただきたいというふうに思います。

甘利国務大臣 経年劣化する製品に対して消費者安全を図っていくということで、抜本的な対策はまさに世界に先駆けてこの法律が規定をするところであります。

 そこで、Sランク、Aランクというのですか、特別に注意を喚起しなければならないもの、それからAランクは一般的な注意喚起を要請するものということで、Sランクには経年劣化の表示に加えて、通知と、それから消費者から要請があれば、もちろん有料でありますけれども、修理をする、点検をするという義務づけを課したわけであります。

 この際に、どこでその足切りをするかといいますか、これはいろいろ議論があったところであります。ただ、安全という面だけでいえば、ありとあらゆるものに全部かければいいじゃないかという議論に極端に言えばなりますが、そうすると、そのデータの保存から通知から何から、物すごいコストがかかって、それは結局消費者にはね返るわけでありますから、そこをどういうぐあいでSランク、Aランクを把握するかということになろうかと思います。その基準として目安にしましたのが、百万台当たり一台が重大事故を起こすということで、それ以上を指定するということにしたわけであります。

 先生御指摘のとおり、一台当たり重大事故発生率と、それが散在しているような種類のものと、どうしても一カ所に集中するような種類の製造物であるか、その点は今回の基準の中で特に勘案をしたということではないと確かに思います。

 ただ、おっしゃるように重大事故が、一台当たりの発生率は低いけれども、それがどうしても製品の特質上、ある一つのところに集中するというような性質のものであるということは、今後、将来の課題の、検討する中の一つには考えられようかというふうに思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 私は、この法案は何回も言いますけれどもいいと思うんですが、たくさん集まっていれば、単純に掛け算をする。汐留を含めてあれだけ高層ビルが建っていて、その中にもたくさんエアコンがある。また、マンションがあれば、世帯は物すごくたくさん入っていて、各部屋ごとにいろいろなものが備えつけられているわけですね。そうすると、物すごい倍率で確率が上がっていくわけであります。

 それともう一つは、私も九死に一生を得たんですが、あのワールド・トレード・センター南棟にいる予定でありましたので、そういう意味では、ああいう超高層の部分もこれからふえていったときに、事故や火事というのは、一瞬のもので済むのであればいいんですが、それがまた、上や下の階につながっていくことで莫大な被害になってくることをかんがみたときに、今、検討課題とおっしゃっていただいたので、ぜひ、集合住宅、集合ビルとか、人の多く集まる部分で多用する品については、備えつけだろうが何だろうが、さらにブラッシュアップして、この九品目プラスの中に深く加えていっていただければというふうに思っています。何とぞよろしくお願いいたします。

 次に、販売時における実効性の確保というところなんですが、何を私は言いたいかというと、一般的に、消費者の方に販売する人たちがきちっと説明をしているかということなんです、物の製品に対して。

 それは何かというと、例えば使い方が間違っていたとか何かあったらきちっと点検しなさいとかという説明を、販売業者がきちっと消費者にしているかというところをかんがみたときに、製造事業者に対しては、現在、法制度で、保守点検体制の整備や商品への表示、点検の通知など義務を怠った場合は、改善命令など厳しい姿勢で臨んでいると聞いております。一方で、販売・設置事業者に関しては、説明についてはやりなさいというだけであって、何にも規定を設けていないんですね。ただ売ればいいじゃないか、どんどん売っちゃえ、それについては適当に説明すればそんなことは今まで起きなかった、扇風機の事故とかというのは起きなかった。そういう意味では、ここの部分の実効性の確保を、今後も販売事業者に責任を持たせる意味を含めて、何かやっていく必要があるんじゃないか。

 同時に、それは、きちっとやることによって、これからこの法案を生かす、法案が実行されたときに、きちっと消費者との間のデータが販売事業者に残るわけですね。きちっと説明して、それについてはちゃんとそこで説明責任があるんだから、それで一筆もらっておいて、私は説明をきちっと受けましたよ、この扇風機、エアコン、備えつけの湯沸かし器だとか冷蔵庫、それをちょっとやっていけば、一番最初にこれがスタートしてから後の法制度の実効性の確保が高まっていくと僕は思っているんですよ。

 ただ、いいですよと。これは確かにいい法案だ。だけれども、わっと流しただけだと、結局は、販売事業者が会員登録してくれとかポイント制のカードをやってくれとか、それをやらない人等々についてはそのままざっといっちゃいます。それは、罰則がないからです。販売事業者や設置事業者は、今、一切罰則が法案上ない。

 ここの部分を僕は、最初の段階で少し指導を入れていく必要が今後としてはあるんじゃないかなと。そうすれば、この法案が動き出したときに、これをやらないと怒られるんだということで一筆をとるようになれば、そこで必ずカスタマー、顧客は確保できていく、データとして。これはどうかなと僕は思っているんですが、この辺、お考えをお聞きしたいというふうに思います。

寺坂政府参考人 御指摘のように、この制度がしっかりと有効に機能していくに当たりまして、販売業者の役割というものも大切なものというふうに思ってございます。

 販売事業者等がしっかりと説明を実施しているかどうか、購入される消費者の方に、こういう制度が始まっております、あるいは製品の安全のリスク、長くずっと使っているとリスクが高まってまいりますとか、そういったようなことも含めましてしっかりと説明をするということが、制度の実効性を確保する上で非常に重要と考えてございまして、所要の取り組みを行ってまいりたいと考えてございます。

 具体的に申し上げますと、販売業者が消費者に適切に説明をしておれば、相当の割合で消費者から製造業者に所有者情報が提供されてくると考えております。そういったことでございますので、製造事業者等から定期的に所有者情報の提供の割合を聞いたりいたしまして、例えばほかの事業者に比べて提供の割合が低いとすれば、それはどこに課題があるんだろうかと、販売業者だけの問題ではないかもわかりませんけれども、そういった、どこに問題があるのかというようなこと、その販売業者の点も含めまして、必要な調査を実施してまいりたいと考えてございます。

 それから、国民生活センターを初めといたしまして各地に消費者相談窓口、私ども持ってございますけれども、消費者相談窓口があるわけでございますので、そういったところに制度を周知して、消費者の方に知っていただくということが大変重要な前提となりますけれども、そういったところに寄せられます消費者の方々からの苦情といったものも収集をしっかりいたしまして、問題のある販売業者がいないかどうか、必要な調査をしてまいりたいと思っております。

 その上で、法律上はそういう説明をしなければいけないという規定を設けてございまして、ただ、製造業者や輸入業者等と違いますのは、この場合、販売業者等が適切な説明を実施していないというような状態にあるということがわかりました場合には、報告徴収、そういったもので実態を把握して、これは法律上も書き込んでございますけれども、必要に応じまして、勧告あるいは事業者名の公表、そういったものができる、するというふうに規定をしているところでございます。

 それから、行政の方からも、販売事業者等に対しまして、説明を行う際に用います様式を提供して、この様式に消費者の方々が説明を受けた旨を確認する、そういったような欄を設けるというようなことも考えてございまして、そういうものを販売事業者から消費者に手渡していただけば、説明義務をどういうふうに負っておられるのかというものを事後的にもある程度確認ができるんじゃないかと考えてございまして、そのようなことも対応を進めてまいりたいと考えているところでございます。

下条委員 ありがとうございます。

 せっかく法ができたなら、その法を生かすためには、やはりデータを逃げないようにするということだと思います。データというのは、顧客情報です。

 そこで、今いい話が出たので、次に移りたいと思うんですが、データというと必ず情報、情報というのは個人情報ということになるんですが、ちょっと御質問したいと思うのは、個人情報保護法の第十六条の三の二にこういう規定があります。人の生命、身体または財産の保護のために必要である場合であって、本人の同意を得ることが困難であるというときに、目的外の個人情報の利用を容認できるというわけであります。こういうことですね。これは、皆さんがお得意のところだ。

 経済産業省でもガイドラインというのをしいていて、それは、個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドラインというのをつくっていますね。これは、皆さんがつくっているもの。それは何かというと、よく読んでいくと、リコールする場合だけなんですね。リコールする場合には十六条の三の二に該当するので、販売店などに所有者の情報を提供してもらうことは可能なんだと。

 私が言いたいのは、今おっしゃったいろいろな連携というときに、どうしてもここの部分のガイドラインをいじくっておかないと、保護法の十六条の三の二にぶつかっちゃうんですよ。結局、データを得られなくなる可能性も出てくる。

 こういう制度を有効に活用していくには、やはり販売事業者や設置事業者が蓄積している製品の所有者の情報を、製造業者と一緒に共有する必要があると僕は思っています。そうすることによって、未然にいろいろなものの情報を押さえて、何かあったらこうだ、こうなったらこういう製品はこうですよと、追っかけていくことが早くなる。そうすると、大きな事故の前に、そこに皆さんの指示を与えることができるというふうに思っております。そのときに、経産省のガイドラインの部分は、リコールだけではちょっと、なかなか共有する部分は難しくなってくるんじゃないかと思うんです。

 その辺、今すぐは難しいですが、この法案が出て、生かしていくには、この部分の、個人情報保護法の壁をやはり一つ乗り越えないと、結局は、いや、言いますよと。さっき言った実効性の確保もそうだ。それも結局、いいですよと言って、やってくださいよと言うだけで、罰則がないとさあっと向こう岸に行っちゃうわけです。そうすると、売ったものが、果たして十年後どうなっているかわかりませんが、いろいろな部分でその情報がとれなくて、結局その先のわからないところで事故が起きる可能性が出てくるのではないかと思います。

 この辺、いかがでございますか。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生から御指摘をいただきました、経済産業省の定めました個人情報保護法の経済産業分野を対象とするガイドラインにつきましては、この制度を御検討いただきました産業構造審議会製品安全小委員会でもそのような議論がございました。

 やはり、この制度をつくったときにきちっと対応するためには、このガイドラインを見直すべきではないかという提案をいただいておりまして、私ども、この制度の施行までの間にしっかり議論して、必要があれば所要の見直しを講じたいというふうに考えております。

下条委員 ありがとうございます。

 大臣も一言いただけますでしょうか、ガイドラインの見直しでございますので、お願いいたします。

甘利国務大臣 ただいま答弁させていただきましたとおり、省内でその必要性を踏まえてしっかりと検討してみたいと思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 私も経産省のガイドラインは読ませていただいて、まさに審議官おっしゃったとおりで、非常に議論は出ていて前向きにやっていただけるという話なので、また、五分前に来ていただいた大臣にもいいお答えをいただきましたので、ぜひしっかり実行していただいて、じゃないと、結局、個人情報を余り極端にやっていくと名前がなくなっちゃいますよ、この国は。番号制になっちゃう。何が必要かのプライオリティーをつけていくという意味では、これは追っかけないとだめですから、壁でひっくり返ってしまって、顧客情報が入らなかったら、売ったものの先でまた事故が起きたとき、だれも捕まえられなくなります。

 そういう意味では、ぜひ頑張ってその方向でやっていただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。

 次に、そういういろいろなもろもろはあるんですが、既販売製品に関する点検保守体制の整備についてちょっとお聞きしたいと思います。

 これは、今回の法の三十二条の十九に「特定保守製品の点検その他の保守を適切に行うために必要な体制を整備しなければならない。」と。保守体制の整備の中には、既に販売されている製品に関する対策も含まれている。

 私も、直近までの、現存する大きいところの販売台数をちょっと調べました。そうすると、物すごい数です、これは。ガス瞬間湯沸かし器は約一千四百万台、ガスふろがまは約四百三十二万台、石油給湯器は約三百八十万台、石油ふろがまは三百八十九万台、石油温風暖房機は二百七十九万台、電気食器洗い乾燥機は三百四十八万台、電気式浴室換気乾燥暖房機は二百三十一万台、大きいところでこれだけあるんです。大臣、これだけでも三千四百万台、今、要するにちまたにあるわけですよ。対象の危なっかしいのが三千四百万台ですよ。これはもう考えただけでぞっとしますけれども。

 要は、今度の法案というのは、新しくこれから出るもので、新しいものです。これは十年後、十五年後にあるからそれを押さえておこうと。ただ、やはり今まで十年たったもの、十五年たったもの、きょうまでに二十年たったものの方がよっぽど危ないと僕は思うんですね。では、それをどうするんだいという話になると思います。

 そこで、私が大臣にお聞きしたいのは、まさに今までに販売された部分についての保守体制の整備、これが、実を言うとこの法整備もそうなんですが、既発売、終わっているその三千四百万台の部分について、どういうふうに保守体制をお考えになっているか。これは非常に難しいです。難しいです。私も自分の意見は今持っておりますけれども、まず大臣にお考えをお聞きしたいと思います。

甘利国務大臣 おっしゃいますように、経年劣化というのは経年しないと起きないわけでありますから、これから新品に対していろいろな対処方針を定めるというのは、これが経年した後のことを考えて、それよりも既販品について気をつけなきゃならない。それで、この既販品についてどこまで義務を課すことができるかということが議論になるわけであります。

 この法律、これから成立をしていただくわけでありますけれども、この法律前の既販品については、なかなか所有者の存在というのは、こういう法律を想定しておりませんから、しっかり把握されていないということでありますし、この法律のことを予見して対応していないわけでありますから、表示や点検等の義務を課するということは事実上難しいわけであります。

 しかしながら、実態としては、そこの部分からこれから事故が心配されるわけであります。そのために、製造事業者に対しまして、既販品も含めてなんですが、消費者に対する情報提供や点検の実施体制の整備に努める等の一定の対応を求めていく必要があるわけであります。

 具体的には、製造・輸入事業者は、既販品に関して、点検に関する情報提供や相談体制の整備を行うとともに、点検を要請する消費者に対して適切な対応ができるように、人員、マニュアル等を整備する等の点検実施体制の整備を行うよう求めるということにしているわけであります。

 もちろん、大分前に販売したものですから、補修しろといったって部品が全部そろっているかとか、技術者が、当時の技術がわかるのが全部そろっているか等々の問題はあるわけであります。しかしながら、可能な限り対応ができるよう、既販品に関しても要請をしていくということを考えております。

下条委員 ありがとうございます、大臣。ちょっと時間が三十分で、もう数分しか残っていないんです。

 それで、まさに今大臣おっしゃったとおりで、既販品の、さっき挙げた品目だけで本当に三千四百万台あるわけです。これについては、行政の位置というのはある程度限られているというふうに僕は思っています。

 例えば、先ほどの話じゃないですけれども、米国でのリコールなんかの場合は、消費者製品安全委員会などが、ともかく消費者がけがを負うような製品に集中して、全国の郵便局とか消防署に協力してもらって全部、全面的に宣伝を出すわけです。これは危ないぞ、これはこうだぞと。そうすることによって、メーカーや販売人、そして行政府の責任を、言いにくいんですけれども、消費者に渡してしまうということであります。

 ですから、そのぐらいやることによって、最近でも、アメリカでは、六千九百万人ということですから、三億弱の全体の人口からすれば四分の一の人がこれを知ることができたということだと思うんですね。

 そういう意味では、今おっしゃったような形で、ぜひメーカーと消費者のコミュニケーションづくりを、やはりやっていくしかないんですね、これは。世界に先駆けてこういうことをやったことは大変いい法律だと僕は思うんですが、既販製品について、一番これは起こる確率があります。またあした起きるかもしれません。きょう起きているかもしれない。そういうことを考えたときに、今の、もうこれで終わりにしますけれども、大臣の御決意でぜひ進めていただければというふうに思っております。

 まだちょっとお聞きしたいのは山のようにあるんですが、時間が参りましたので、ここで、次の質問者に譲りたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

東委員長 これにて下条みつ君の質疑は終了いたしました。

 次に、川内博史君。

川内委員 委員長のお許し、御指名をいただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。

 消費生活用製品安全法と電気用品安全法の改正案。私は、特に一年半前、去年の通常国会で、この電気用品安全法、いわゆるPSE問題ですね、中古電気用品を売っていらっしゃる方々の販売ができなくなるという問題で経済産業省と随分激しいやりとりをさせていただいた関係で、きょう、この質疑に立つ時間をいただきました。

 まず、PSE制度を見直す、今回、電気用品安全法の改正案を政府の方から御提案になられる。なぜ提案しなければならないのかということについて、御説明をいただきたいと思います。

甘利国務大臣 今回のことに関する懸念については先生が以前から随分指摘をされていたということを私も聞きました。まさにそういう点、御指摘の点が極めて適切であったという部分があるんだと思います。

 電安法ですが、旧法と新法、技術基準は同一でありますけれども、安全性が同等であるかどうかということの実態把握ができていなかったということであります。要するに、法の施行は迫ってくるということで、それで、安全サイドに立って、いわば先回りして、PSEマークの表示をするよう求めたということだと思います。

 その期間に早くやればよかったじゃないかという指摘は、おしかりはもっともだと思います。周知期間があったんだから、その機会にも、基準が同一で安全性も同等だということが把握されればよかったと。それを、一万五千点ほど旧法に基づくものについて調査をした結果、基準も同一なら安全性も同等という実態把握ができたわけであります。遅きに失したという御指摘があれば、それは甘受しなければならないと思いますが。

 そこで、同等であるという確認が、確証が得られたものでありますから、こうした実態を踏まえて、中古品の販売時に旧法品のみに検査の全数実施を求めることについての合理性は見出せないという判断に至ったところでございます。

川内委員 私は、去年の通常国会、この議論が大きな議論になったときに、何らかの対策を打てばいいのではないですかということを盛んに申し上げていたわけでございますが、とにかく、法律上、電気用品安全法上の電気用品という言葉に中古も新品も区別がないということにおいて、中古もこの電気用品安全法の対象になる、したがって、中古電気用品を売ろうとする方々は、絶縁耐力検査なる検査をした上で、これは製造事業者の届け出をして、絶縁耐力検査をしてPSEマークを張ってからでないと売っちゃいけませんよというようなことになってしまったということで大変な混乱があったわけでございます。

 今回、販売しかしない中古電気用品の事業者に製造事業者の届け出をさせるとか、あるいは絶縁耐力検査という専門的な検査をさせるとか、そういうことがなくなっただけでも一歩前進かなというふうには思うんですが、しかし、この一年半の間、リサイクル事業をやられていた方々の中には、大変な苦しみをされた方もたくさんいらっしゃるということで、その方々の中の声を一つだけ、時間を七十五分いただきましたから、きょうは大臣にもしっかりとお聞きをいただきたいので、ちょっと読み上げさせていただきたいと思います。

 そちらにいらっしゃる本庄審議官なんかは、説明会、ずっと全国を回られて、そういう方々の声をしっかり聞いていらっしゃるというふうに思います。

 読み上げます。

  去年の一月末に突然、電気用品安全法によって、PSEマークのない電気用品を販売してはならぬ、と言われました。たった二ケ月で、それまで延々と築き上げてきた商売を、この業界が何ら社会的な問題を起こしたわけでもないのに、いきなり売ったら違法ですよ、と言われました。そのため私どもは多くのものを失いました。二人の従業員を解雇し、店舗は二十坪から十坪になり、一年の売上は五千五百万から二千二百万に減少し、私の給料は九十万から十五万になりました。少しあった財産も、事業再建のためにほとんど使ってしまいました。

  やめた従業員のうち一人は、年金があり家族に収入があり大丈夫ですが、もう一人は身よりもなく、古いオーディオ一筋で二十数年間、私といっしょに仕事をしてきた人です。やめる時に、仕事が見つかりましたから心配しないでください、といって別れたのですが、今ごろどうしているかとても気がかりです。

中略をいたしまして、

  この秋、経済産業省では、電気用品安全法を改正し、中古品の売買に対する規制をはずすとともに、新たにSR制度の導入を計画していると伺いました。それに先立ち、各地で百回におよぶ意見交換会が催されています。私は、七月十七日の日本青年館における意見交換会に出席して、PSE問題の総括をして、経済産業行政に対する信頼を回復しなければ、新しい制度は有効に働かない、という主張をしてまいりました。

  その席で、経済産業省の本庄審議官が、PSE問題での過ちを認め謝罪され、この法律の制定時に中古品のことは想定していなかったことを言明されました。しかし、昨年の二月以降、経済産業省は中古品を扱う業者に対して、中古品への適用は法制定時に決まっていたことであり、講習会、セミナーの開催・パンフレットの配布等、広く周知を行ってきた、ということを決まって言われました。平成十八年五月十七日の内閣委員会で、谷消費経済部長は、法制定当時、中古品を扱う全国的業界団体はなかったから周知ができなかった、としてその時点で中古の業界に周知する意思があったように発言されています。想定していなかった中古品への適用について、法制定当時から周知の努力をしてきたというのは、明らかに矛盾しております。

また、国会答弁において、当時の迎審議官、谷消費経済部長が政府参考人として行った答弁について、

 その責任は重大であると思います。迎審議官の「旧取締法の時から中古品は規制の対象であった。」とか「中古品がもう一度販売される段階で流通前にもどる。」とか、谷消費経済部長の「電気用品安全法と旧取締り法との間には、検査方法に違いがあるため、安全性に差がある。」といった発言は、電気用品安全法の運用の間違いを正当化するための強弁であり、詭弁を弄したとしか申しようがありません。

このように切々と、本当に大変な財産的な侵害を受けられた方々が全国にたくさんいらっしゃるわけですね。

 私は、もちろん、経済産業省の皆さん方が全国を回られて、自分たちのある一定の過ちについて謝罪をされたということに関しては評価をいたします。

 恐らく、きょうは、傍聴の方は一人もいませんが、インターネットでたくさんのリサイクル事業者の方がこの中継を見ていますよということがメールで私の事務所にたくさん入っておりますので、先ほど甘利大臣から、なぜ改正に至ったのかということについての御認識をお示しいただいたわけでございますが、もう一度改めて、全国の被害を受けた方々に対して、経済産業大臣として、経済産業省が至らない部分があった、申しわけなかったということを謝罪していただきたいというふうに思います。

甘利国務大臣 法律を改正する際に、我が省の法律施行に至るまでの対応に適切さを欠いた部分がありました。結果として随分どたばた劇になってしまいまして、中古事業者の方々には大変な御迷惑をおかけいたしました。謹んでおわびを申し上げます。

川内委員 経済産業大臣に敬意を表させていただきたいと思います。

 それでは、経済産業省として、当時の五名の担当幹部の方々を、反省の上に立ち、厳重注意処分をしたというふうに聞いております。その経緯についてお聞かせをいただきたいと存じます。

山本(香)大臣政務官 お答えさせていただきます。

 PSE制度につきましては、先ほど大臣のお話にありましたとおり、法律公布時以降に、施行後五年間の経過措置終了までの間、中古品販売事業者の方々を含めた周知が十分でなくて、先ほどのような混乱が生じてしまいました。

 こうした状況を踏まえまして、本制度の担当課の課長以上の職にありまして本制度の周知に責任を有していた者が、中古品販売事業者の方々も含めた周知を十分に行っていなかったということを理由といたしまして、このたび厳重注意処分とさせていただいたところでございます。

川内委員 今、山本政務官から、五名を厳重注意処分にしたという御報告でございますが、その理由として、周知を十分に行っていなかったからという御説明でございました。その前の大臣の御答弁は、法律改正時に適切さを欠く部分があったので謝罪をするという答弁でしたから、処分については、私は、処分の理由として不十分であるということを申し上げたいが、もう処分がされてしまっているので、これ以上、追加の処分というのはないのでしょうが、私、くれぐれも、経済産業省として二度とこのようなことを繰り返さないように十分に注意をしていただきたいというふうに思います。

 それでは、法律の中身について若干聞かせていただきたいと思います。

 先ほど大臣からも教えていただきましたけれども、一万五千台、調査の結果、安全性も、旧法と新法、電気用品安全法では同等であったというふうな御報告がございました。この点に関しても、私は、電機メーカーの工場まで行って、随分昔からすべての製品を、絶縁耐力検査を全数検査しているのではないかということを去年の通常国会でも御指摘を申し上げていたわけでございますが、この調査の結果を振り返って、何かしらの御反省がありやなしやというところを事務方の方から御答弁をいただきたいと思います。

寺坂政府参考人 甘利経済産業大臣、それから山本大臣政務官から、いろいろおわびの点も含めましてお話し申し上げたところでございますけれども、私は、商務流通審議官といたしまして、本件を担当する事務方といたしまして、今回の経緯を含めまして、どういうふうに考えておるのか、反省点も含めて御説明を申し上げたいと思います。

 先ほどと重なりますけれども、旧法品と新法品に関しまして、その技術基準が同一でございます。同一ではございますけれども、旧法において全数検査の実施が制度上義務づけとなっていなかったということでございます。また、その制度の周知活動が不足していた、そのこと自体が一つの反省点でございますけれども、そういったこともございまして、経過措置期間が切れる間近になって、中古販売業者の方々を初めといたします関係者の方の不安、そういったものを認識した、そういった事情があるわけでございます。

 したがいまして、昨年の段階では、経過措置期間終了の直前、そういう時間的な制約がございまして、本来、そこで気づいたとして実態調査をしっかりやって、その上でどのように対応すべきかということを考えるべきだったという御指摘かと思いますけれども、そういう時間的な制約もございましたので、安全サイドに立ちまして、自主検査を求めたわけでございます。

 それで、その時点以降、さまざまな御指摘があったわけでございまして、そういった御指摘も踏まえまして、改めて一万五千件余りにつきまして分析をしますと、結果といたしまして、実態上、旧法品と新法品の安全性が同等であるということが確認をされたということになったわけでございまして、こういったことは、結果的にしろ、中古品販売に当たりまして、旧法品のみに検査を義務づけていた、そういうことについての合理性が認められないということを意味しているわけでございますので、産業構造審議会の製品安全小委員会での議論も踏まえまして、今回、制度を見直すこととしたものでございます。

 このようなことに限らず、制度の構築、運用につきましては、きちんと幅広い方々の御意見を伺って、それから、制度ができました場合には、実際に実行に移す前、それからもちろんその後も、制度の周知に努めることが非常に大切なことでございます。そういったことについては、先般、甘利大臣からも、しっかり幅広い方々の御意見を伺って制度の構築、運用に努めるよう、強く御指示をいただいたところでございます。

 今回のこういった経緯を忘れることなく、製品安全制度の実効、信頼性を高めるために、業務の遂行に尽くしてまいりたいと考えているところでございます。

川内委員 それでは、幾つか確認をさせていただきたいと思いますけれども、現在、PSEの表示をするために必要な中古販売事業者が届け出なければならない製造事業者の届け出というものは不要になる、要らなくなるという理解でよろしいですか。

寺坂政府参考人 今回の改正をさせていただきましたならば、中古品の販売に当たりまして、旧法に基づきます表示品は、新法施行後出荷されました製品の中古品と同様、改めて検査をすることなく販売できることになります。したがいまして、こういった点に関しまして、製造業者としての届け出をすることは不要となると考えております。

川内委員 先ほど御紹介した、昨年通常国会のときの政府参考人としての迎審議官や谷消費経済部長の御答弁、中古品がもう一度販売される段階で流通前に戻るとか、あるいは、電気用品安全法と旧取締法との間には検査方法に違いがあるため安全性に差があるとか、製造とは何ですか、製造という言葉を定義してくださいということに対して、電気用品を完成させる行為であるとか、こういうさまざまな珍妙なる答弁が繰り返されたわけであります。

 この電気用品安全法改正案、今回の改正案が成立したならば、そのような答弁は全く不要な答弁になるわけでございますし、正直に、寺坂審議官、去年の通常国会のこれらの答弁は、不適切とは役所としては言えないでしょうから、当時は電気用品安全法のもとでのつじつま合わせの答弁だったわけですけれども、珍妙なる答弁であったということぐらいは言っていただけますか。珍妙な答弁であったと。

寺坂政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、昨年の段階では、時間的制約もございまして、中古品の販売に際しましては、PSEマークを表示するときには製造事業者であるということが法律上必要であった、そういう事情がございまして、その届け出を行っていただくということを御説明したわけでございます。

 その際、今先生から幾つか御紹介ございましたような答弁も含めまして、製造事業者には、製造行為を行う可能性が少しでもある者も含み得るんだ、そういう法律の文言解釈、運用解釈、そういったことを考えまして、販売行為しか行っていない事業者の方にも製造事業者の届け出をしていただくことになったわけでございますけれども、そういった法律の文言あるいは運用、それの解釈におきまして、答弁、御説明したことが、一般的な理解を得るのはかなり難しい、そういうものであったということは否定できないものであるというふうに認識をしてございます。

川内委員 私は珍妙という言葉を使い、役所は一般的に理解を得がたい言葉であったというふうにおっしゃるということで、さすが、やはり経済産業省というか役所は言葉が上手だなと。私も、ボキャブラリーをふやして頑張りたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 これから、ますますリサイクル市場というのは大きく拡大をしていくというふうに思われます。そもそも、昨年こういう騒動が起きたのは、電取法を電安法に改正するときにはまだそれほどリサイクル市場が大きく成長していなくて、したがって、審議会の中にもリサイクル市場を代表する方々がメンバーとして入っていなかった。だから、審議会の中でも中古品のことはだれも言わないし、もちろん我々も責任があるんですが、国会の議論の中でも中古電気用品のことについての言及がなかった。そして、そのまま法律が通り、いよいよ経過措置期間が終わって本格施行されますよというときになってみんなで慌てたというところでございまして、そういう意味では、国会の側も大いに反省をしなければならないわけでございます。

 そこで、お尋ねをさせていただきます。

 今後、リユース市場、政府としてはリユース市場というふうにおっしゃるんでしょうが、リユース市場が拡大することを踏まえて、今後も、中古品販売業者、中古電気用品販売事業者の意見をしっかり聞きながら製品安全行政を進めていく、すなわち、産業構造審議会の下にあるさまざまな小委員会や部会等を含めて、その団体の方々の代表の意見をしっかり聞きながら行政を進めていくべきではないかというふうに思いますが、政府としてのお考えをお聞かせください。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の国会に提案させていただいております法改正の検討に当たりましても、御指摘のとおり、中古品販売業界の代表の方にも御参加いただいておりますし、また、全国で延べ百三回の中古品販売事業者に的を絞った意見交換会もさせていただいております。

 この法律が通り次第、施行の準備に着手いたします。その過程におきまして、再び産業構造審議会製品安全小委員会で御議論いただこうと思っておりますが、そういった場にもまた中古品販売業者の方に参加していただきます。

 また、その施行の準備で、全国の中古品販売事業者の方も含めて説明会、意見交換会を鋭意させていただきたいというふうに思っておるところでございます。

川内委員 そこで、お尋ねいたしますが、この改正された電気用品安全法に基づく中古品安全・安心プログラム、SR制度というふうに呼ばれておりますけれども、この目的、そして概要について教えていただきたいと思います。

甘利国務大臣 産構審に中古品を扱う事業者の方の意見が適切に反映されていないという先生初め関係者の御指摘をいただいて、産構審の製品安全小委員会に中古事業者の方、代表二名に入っていただいたわけであります。

 ここでいろいろ議論を、検討を重ねていただいた中で、この製品安全小委員会から提言を受けたわけであります。それは、中古品の安全、安心を図っていくこのプログラム、消費者側から見て、より安全で安心に中古電気用品を購入できるようにすることを目的としているわけであります。

 ただ、これはあくまでも、行政が押しつけるやり方ではなくて、中古品の販売事業者の方々の安全、安心に向けた自主的な取り組みを促していくというためのものでありまして、各販売事業者の取り組みを業界全体が認証するという仕組みになっているわけであります。国は、これに対しまして、中古品の販売事業者が遵守すべきガイドラインの策定であるとか、普及広報面で支援をしていくということとしております。

 具体的には、中古品販売事業者が、検査の実施等、安全、安心にかかわる取り組みを着実に行っていれば、業界団体等により認証を受けることができて、所定の標識、SR標識を、セーフティーリユースですか、店頭等に掲げることができるということでありまして、こうすることを通じて、消費者が中古品を購入する際の目安となることを期待しているわけであります。

 あくまでも、中古品販売の事業者の間で、より信頼される事業者たるということの自主的な取り組みで進めていかれる、それを行政は支援をしたいと思っております。

川内委員 このSR制度においては、PSE問題の際に大変に話題になりました絶縁耐力試験等をそのガイドラインの中に盛り込むのではないか、またそういうことで復活してくるのではないかというような声も、心配も聞かれているわけでありますが、このSR制度において、絶縁耐力試験などを実施する必要があると考えていらっしゃるのかどうかということについて教えていただきたいと思います。

本庄政府参考人 お答えいたします。

 ことしの五月からの産業構造審議会における中古品の安全・安心確保プログラムについての議論の中におきまして、消費者の方々からそういう絶縁についての心配というような意見もございますし、また、私ども別途、審議会の議論と並行して行っておりました消費者へのアンケートにおきましても、中古品の安全、安心を向上させる上で、絶縁性能、特に感電について不安を感じるという消費者の答えもかなりございましたので、安心・安全プログラムを議論する過程で、ガイドラインの中の一項目として、絶縁機能が低下していないということを検査項目に入れてはどうかという提案をさせていただいております。

 若干技術的なことで恐縮でございますけれども、昨年お願いいたしました絶縁耐力試験というのは、千ボルトを一分間かける、しかも機械は三十万円もするという大変な負担を伴うものでございましたが、感電のおそれがないかということを試験するものとしては絶縁抵抗試験というものがございまして、比較的簡単に、五百ボルトで数秒間、機器も一万数千円ということで、基本的にはそういうことをやっていただければ消費者も安全、安心に中古家電製品を買えるのではないかということで提案をさせていただいておりましたが、先ほど御説明させていただきました全国百三回の中古品販売事業者様との意見交換会でも、中小零細の方からは、ちょっとできないんだよねというような御意見もいただいております。

 したがいまして、この点については、今後、制度設計に当たって、事業者の皆さんあるいは消費者の皆様との意見交換を通じて決めていきたいというふうに思っております。

川内委員 今、本庄審議官から、どういうようにして、どういうような方法で安全、安心を確保していくのかと。

 もちろん、そもそも不良品を売ったら、その店はあっという間に評判が悪くなってだめになっていくわけで、その辺は私はある程度市場に任せていいのではないかと。なぜならば、そもそも製造し出荷される前にさまざまな試験がある。さらには、電気用品のさまざまな部品についても、技術基準に適合したものが、安全なものが、安心なものが製造されているという当初の出発点がある。そしてまた、経年劣化に対する懸念というものに関しては、それはリサイクル市場でビジネスをされる方々の目、そしてまた消費者の目というもの、その店の信頼というものが、製品の安全、安心というものを担保していく上ではまず大前提になるわけで、この試験をしなさい、あるいはした方がいいですよというようなことを強制するようなものでもないのではないかなというふうに思ったりもするんです。

 いずれにせよ、今の本庄審議官の御答弁では、SR制度の具体化を図る際には、消費者並びに中古電気用品販売事業者の意見をしっかり聞きながら進めていきます、ガイドラインの策定に当たりますという御答弁でございました。

 山本政務官に、今の本庄審議官のガイドライン策定に当たっての進め方、そのとおりだ、そのとおり進めますよというふうに確認をしていただけますか。

山本(香)大臣政務官 御指摘のとおり、また、先ほど答弁がございましたとおり、今回の中古品安全・安心確保プログラムというのは、中古品販売業者の自主的なプログラムという位置づけでございますから、もとよりこの中古品販売業者の方々の意見を踏まえながら進めていくということが前提でございますので、しっかりと十分意見交換をしながら進めてまいりたいと思います。

川内委員 ありがとうございました。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 最近、食べ物についての大変な偽装が次々と発覚をしております。私なんか、もう赤福餅、生まれてこの方何千個食ったかというぐらい食っているわけでございますが、それでもぴんぴんしているんですけれども、そういう食べ物の安心、安全。さらには、さまざまな電気用品も事故が起きたり、あるいは火災が起きたり、中にはシュレッダーに赤ちゃんが指を入れてしまったというような痛ましい事故も起きているわけでございます。

 どのような製品でどのような事故が起こるのかということについて、その事案についての集約というものは、これまでのさまざまな知見に基づいて改善、改良をされてきているのであろうというふうに思います。

 そこで、今回、消費生活用製品安全法の中で指定される九製品について、発生している事故は経年劣化が主因であるというふうに、私がいただいた経済産業省がおつくりになられた一枚紙の中に出ております。これを、経年劣化が主因であるというふうにしていらっしゃる根拠について教えていただきたいと思います。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる製品によります事故も、御案内のとおりいろいろな原因がございます。設計上、製造上の問題があったもの、あるいは消費者の不注意あるいは誤使用によるもの、施工の不良によるもの、偶発的な事故によるもの、また経年劣化によるもの、多種多様なものがございます。

 そういった事故の原因の分析につきましては、私どもの所管しております独立行政法人製品評価技術基盤機構、いわゆるNITEが事故情報を収集しておりまして、そこで専門家の御意見も聞きながら、この事故は何が原因なのかという分析をさせていただいているところでございます。

川内委員 NITEで分析をしていらっしゃるということでございますけれども、私が聞いたのは、今回指定される九製品について、さまざまに事故が発生をしているから特定保守製品として今回指定をされるのであろうというふうに思いますが、さらに今回は、経年劣化が主因である、経年劣化が主な原因ですよ、だからこの九製品を指定していますよというふうにおっしゃられているわけでございます。

 具体的には、そのNITEに集積をされたどのようなデータに基づいて経年劣化が主な原因であるというふうにされているのかということを教えていただきたいと思います。

寺坂政府参考人 御指摘のとおり、今回の改正法案におきまして特定保守製品として指定を予定しているもの、経年劣化による重大製品事故の発生率が高いものを対象にしようと考えているところでございますけれども、どうやってその発生率を算出しておるかという御質問かと思います。

 どうしても、データ上の制約がございまして、推計の要素が入ることはやむを得ないというふうに御理解いただきたいと思います。

 まず、先ほど御答弁申し上げました製品評価技術基盤機構、ここに事故情報のデータベースがございます。そのデータベースの中で経年劣化が主因であるというものを、さまざまなこれまでのデータ蓄積、あるいは専門家の方に実際の事故が発生いたしました機器をごらんいただくとか、あるいはメーカーにいろいろ調査を依頼してやっていただくとか、そういったもので、データベースにある事故のうち、これは経年劣化が主因であるというふうに考えていいだろうというものが出てまいります。したがって、重大事故発生件数の中で経年劣化が主たる要因と考えていいというものの一定の割合が出てくるわけでございます。

 一方で、重大事故発生そのものは、これは、NITEにはもちろんございますけれども、それ以外にも、例えば、火事に関します情報というのは、消防庁が一番データとして整備をされているというふうに考えてございます。あるいは、それ以外の業界団体、一酸化炭素中毒とかそういったものは、消防庁というよりも業界団体の方がデータが蓄積されているのではないかといったようなものがございます。

 したがいまして、そういう重大事故の事故件数というもののトータルをある程度把握いたしまして、そういう中で経年劣化が原因となっているものというのは大体このくらいの割合だと、一つの確率といいますか、分母、分子の関係で出るわけでございまして、それで重大事故発生のうちの経年劣化の事故発生率というのが出てまいります。

 その上で、先ほど別の委員の方からお話ございましたけれども、残存台数というものがございます。この残存台数も、正直申し上げまして、いろいろな推計を用いざるを得ない、そういう制約がございますけれども、残存台数がありまして、その残存台数を分母として、その上に、先ほど申し上げました経年劣化による重大製品事故の件数、これを分子ということで、その分母、分子の関係で、経年劣化による重大製品事故発生率、その確率を算出している、そういう作業の過程でございます。

川内委員 寺坂さん、私は、重大事故発生率の算出の仕方を聞いているわけではなく、特定保守製品として今回指定されるであろう九製品は、経年劣化がその製品の事故の主な原因であるというふうにここに書いてあるから、それはどういうデータに基づくんですかということを聞いているわけで、そのデータの出し方を聞いているわけではないわけですね。どういうデータに基づくんでしょうかと。

 では、お尋ねいたしますが、NITEに報告をされる事故原因の中で最も多いものは、本庄審議官、何でしょうか。また、製品別に、多いものは何でしょうか。教えてください。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 NITEに報告されました事故のうち、調査が終了した件数が多い平成十七年度の二千六十七件について見てまいりますと、一番多いのは消費者の誤使用や不注意と考えられるものでございまして、九百八十五件、四七・七%と半数近くを占めております。

 このほか、設計上または製造上問題があったものが二百八十六件、また、製品自体に問題があったものの使い方の問題もあったものという複合要因が二十八件でございます。経年劣化によるものが六十一件、工事等、施工上の問題があったものが四十七件、偶発的な事故等の製品に起因しない事故が三十九件となっております。なお、原因不明のものが四百四十八件、調査中のものが百七十三件というのが原因の分析でございます。

 製品別に見てまいりますと、全二千六十七件中、最も多いのが燃焼器具の八百五十五件でございます。次いで家庭用電気製品の七百五十九件、乗り物・乗り物用品の百八十七件というぐあいになっておるところでございます。

川内委員 平成十七年、NITEに報告があった事故報告二千六十七件のうち、経年劣化が原因であるというのは六十一件だということでございました。二千六十七分の六十一、それほど高い確率ではないわけでございまして、やはり一番注意しなければならないのは、その製品をきちんと取扱説明書どおりに使わなければなりませんよという説明、誤使用が一番事故の原因としては多いということでございまして、では、今回指定される九製品というのがこの経年劣化六十一件の中に何件含まれるかということは、データはありますか。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 その六十一件のうち、この九品目が幾つあるかについては、申しわけございませんが、手元にございませんので、後ほど御報告させていただきます。(発言する者あり)

川内委員 いやいや、私もわからないんですよ。やはり、立法事実、何がどうだからこういう法律をつくりますよということについては、しっかりと御説明をできるようにしておいていただきたいなというふうに思います。

 というのは、もちろん、役所は縦割りですから、自分の局や自分の課が持っている法律をよくしていくという意味において、経年劣化対策としてこういうことをやりますよということについて、私は、それは安心、安全を強化するものであるという意味において、評価しないわけではないですよ。きちんと評価はします。やらなければならないことは、やらなければならない。

 しかし、こういう議員の先生方にお渡しをされる、「本年二月の瞬間湯沸器に係る死亡事故等は、製品の経年劣化が主因であり、出荷後における事故の未然防止が重要な課題。」というふうに書いてあるわけでございまして、では、本年二月の瞬間湯沸かし器は経年劣化が原因であったかもしれないが、その他の今回指定をされる九製品について、経年劣化が本当に事故の主な原因であるのか否かということについては、しっかりとしたデータの裏づけというものが必要なのではないかというふうに思うわけでございます。

 なぜかならば、先ほどの本庄審議官の御説明では、取りつけのふぐあい、工事のふぐあいというものも、何件でしたっけ。(本庄政府参考人「四十七件です」と呼ぶ)四十七件というふうに報告をされているわけでございますが、例えば浴室乾燥機、今回指定される九製品のうちの一つの浴室乾燥機などは、事故原因は、電気工事士でない者がいいかげんな工事を行った結果として、過熱をして発火するというようなことが起きているんだというふうに聞いております。

 経年劣化対策も大事だけれども、しかし、経済産業省全体としては、こういう、本来、法律で電気工事士が行わなければならないとされている作業を、ハウスメーカーの普通の大工さんが適当にくるくると針金を巻いただけで工事を済ませてしまうというようなことも、やはり製品の安心、安全という意味においては注意をしていかなければならないというふうに考えるわけでございますが、例えば、この浴室乾燥機の、電気工事士以外の人たちが工事をしてしまっているというようなことについて、どういう対策をおとりになられるのかということについて教えていただきたいと思います。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、事故には経年劣化による事故のほかに、設計上の問題とか、使用上の問題とか、御指摘の工事にかかわる問題、それによって事故が生じているケースがございます。

 したがいまして、経年劣化対策以外に、使用上の注意を消費者に呼びかけるとか、あるいは適正な工事が行われているか工事等を担保すること等、事故の原因とか形態ごとに複合的な取り組みが大事だというふうに思っております。

 ただいま御指摘がありました電気式の浴室換気乾燥暖房機の事故原因でありますけれども、これは電源電線接続部の電気工事が不適切に行われていたことが理由というふうに考えられるわけであります。このために、経済産業省では、使用者の安全確保に万全の対応をとるために、電気工事業者を初めとする関係事業者等に対する点検要請を行っているところであります。

 今後とも、同製品の使用者の安全を確保するために、電気工事事業者等に対して必要な指導を行ってまいりたいと思います。

川内委員 電気工事業者に対する必要な指導というものは、大臣、私もまさしくそのとおりであろうというふうに思いますが、そもそも電気工事の業者さんたちは、今めちゃめちゃ迷惑をこうむっているわけですよね。結局、自分たちがきちんと施工していたならば起きなかったであろう事故が発生して、よくよく調べてみたら、ハウスメーカーの全く電気工事の素人が、電気工事士に関する法律があって、電気工事士以外はしちゃいけませんという作業がきちんと定められているにもかかわらず、全く素人が作業した。そのおかげでこんな事故が起きて、しかも、その点検なり、あるいはもう一度つけ直すために、すごい安い値段でずっと家をボランティア的に回ってそういう作業をしていらっしゃるというふうに聞きます。

 したがって、これは非常に細かい論点なのかもしれませんが、経済産業省だけで電気工事業界を指導するのみならず、しっかりと建築、国土交通省などにも、そもそも施工する人は関係法規をしっかりと守って施工をすべきではないか、だからこういうことが発生しているんですよというような国土交通省に対する申し入れなり協議なり、あるいはそういうような情報の共有なり、そしてまた国土交通省からハウスメーカーに、電気工事士以外は電気工事にかかわる部分についてはしちゃいけないということは知っていますよねというような文書を出していただくとか、そういう解決策が私は必要なのではないかというふうに思いますが、大臣、御見解いかがでしょうか。

甘利国務大臣 こうした設置工事にかかわる事業者、それに対する仕事を発注する当事者、ハウスメーカー等に対しまして、適切に法令に従ってそういう工事が行われるようにきちんと指導してまいります。

川内委員 それでは、次の論点に移らせていただきたいと思いますが、さらに今回の改正案では、経年劣化により一定数の重大事故が発生している製品(扇風機)について、事業者の情報提供責務を措置するというふうに、この説明の一枚紙に書いてございますけれども、具体的にはどういったことを行うのかということについて教えていただきたいと思います。

寺坂政府参考人 扇風機などのように、経年劣化によります重大事故の発生のおそれは高くないんですけれども一定の件数発生している製品につきましては、消費者に対しまして適切な注意喚起を行うことで消費者の方の適切な行動を促して、事故の未然防止に役立つというふうに考えてございます。

 具体的には、事業者に対しまして、一定年数たっているという、こういう製品でこういう機種についてはもう相当年数がたっていますといったようなことについてのホームページへの掲載とか、あるいは店頭におきますカタログへの記載、そういったことをいたしまして経年劣化によるリスクを周知していく。そういう情報提供活動、これは行政サイドももちろんでございますけれども、事業者の方にもそういう活動を求めてまいりたいと考えております。

 それから、これから出荷される製品につきまして、今申し上げました扇風機等のそういう製品につきましては、製品本体に経年劣化による事故リスクの表示、例えば具体的な数字も入れて、何年以上たちますと経年劣化による重大事故の発生のリスクが出てきますといったような、そういう趣旨の表示をしていただくということで消費者の方への注意喚起を促したいというふうに考えているところでございます。

川内委員 それでは、この情報提供を行う製品というのは、何を基準としてお決めになられるのか。また、特定保守製品の要件とどこが異なるのかということについて教えていただきたいと思います。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 情報提供を行っていただくべき対象製品につきましては、何度も例に出して恐縮でございますけれども、扇風機のように、経年劣化による重大事故の発生の確率は高くはございませんが、他方で残存台数が多いということもございまして、経年劣化による重大事故件数が一定数以上のものを考えているところでございます。

 他方で、特定保守製品につきましては、経年劣化に伴いますリスクと申しますか、重大事故の確率が高いため、特に重大な危害を及ぼすおそれが多いと認められる製品であって、保守を促進することが適当なものであることを要件といたしておるところでございます。

 冒頭申し上げました情報提供を行うべき対象製品につきましては、今後、特定保守製品の政令による指定とともに、産業構造審議会製品安全小委員会で御審議いただきながら、具体的な品目を決定してまいりたいと考えております。

川内委員 情報提供を事業者に対して義務づけていくという製品は、今後審議会の中で議論をされていくということでございますけれども、具体的に、扇風機等の情報提供について、どのような注意喚起を行っていこうとしていらっしゃるのか、そしてまた、具体的にはどのような表示をいかなる場所に行うのかということについて教えていただきたいと思います。

本庄政府参考人 情報提供対象品目についての情報提供といたしましては、まず、ホームページへの掲載でございますとか、店頭におけるカタログへの記載といった方法によりまして、消費者の皆様方に対しまして、経年劣化によるリスクを周知するための情報提供活動ということを検討しているところでございます。

 また、これから出荷されます製品につきましては、そういう製品本体の目立つ場所に表示をしていただく。例えば、表示の内容といたしましては、この製品は継続して例えば二十年以上とか何年以上使用されますと経年劣化による事故リスクが高まりますといった表示を、製品本体の消費者の目にとまりやすい場所になされるべきというふうに考えているところでございます。

 いずれにせよ、こういった具体的な情報提供の内容、具体的な表示内容につきましては、関係業界とも今後よく相談の上、決定してまいりたいというふうに思っております。

川内委員 今、多分、家電メーカーの方々が聞いたら、もちろんもう既に相談はされていると思うんですけれども、委員長も私も愛煙家でございますけれども、たばこの箱に、このたばこはリスクがありますよと書いてあるじゃないですか、それと同じように、製品の本体に、この商品は経年劣化のリスクがありますということをどこかに書かせましょうねということを今御答弁されたわけでございます。

 アメリカなんかじゃ、例えば、自分の家で飼っている猫ちゃんを洗って乾かすのに、電子レンジの中に入れたらその猫ちゃんが死んじゃった。それで裁判が起きて、いや、その電子レンジの注意書きに猫を乾かすなと書いてない、だから、乾かしてもいいんだと思って入れちゃったと。裁判でその人は勝っているらしいんですけれども、そういうようなこともあるんでしょう。

 とにかく、何か世知辛い世の中になったのかなという気も一方ではするんですが、そういう製品本体に経年劣化のおそれがあるから注意してくださいねという表示を、目立つ場所に、どこかに、これからこの法律が成立して、正式に施行されて、産業構造審議会でそのやり方の細部が詰まったらそういう商品が出回るようになるということなのかなというふうに思うんですけれども、そもそも、製品本体にそういう表示をつけなさいよ、つけてくださいねということを今回の改正案の中のどこで読み込むのかがちょっとよくわからないんですけれども、そこをちょっと、法的なところを説明していただけますか。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、情報提供の責務につきましては、消費生活用製品安全法の一部改正で、製造事業者、輸入事業者に責務を担っていただくことを検討しております。

 ただ、今先生御指摘のとおり、具体的な表示はどの根拠かということでございますが、電気用品安全法に基づきます経済産業省令の技術基準の中で具体的な表示をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

川内委員 消費生活用製品安全法の改正の中でこうしましょうねというふうに書くことを、電気用品安全法の省令である技術基準の中で実現しますというこのつながりが、きのう一晩考えてみたんですけれども私にはよくわからないんですけれども、もう一回ちょっと説明していただけますか。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの答弁で、若干はしょった点があった点をおわび申し上げます。

 製品安全法、私ども、いわゆる製品安全四法というふうに呼んでおりますが、今回御審議いただいております消費生活用製品安全法がいわば一般法でございまして、消費者が日常お使いになられる消費生活用製品の安全についての基本的なルールを定めさせていただいているところでございます。例えば、昨年の臨時国会で成立させていただきました改正に基づきまして、重大製品事故報告制度というものをことしの五月から導入させていただいております。これは、すべての消費生活用製品が対象になっているものでございます。

 こういった消費生活用製品の中で、例えば電気用品、それからガス用品、液化石油ガス用品といった三種類の製品につきましては、個別法、特別の法律に基づきまして、製品出荷前の安全規制を規定してございます。いわばこの電気用品安全法は消費生活用安全法の特別法ということになるわけでございます。

 したがいまして、消費生活用製品安全法で表示というものにつきまして一般的なルールを定めていただいて、その表示の仕方について、具体的なルールを定めるツールとして、特別法であります電気用品安全法を使わせていただきたいというふうに考えている次第でございます。(発言する者あり)

川内委員 北神委員はわからないと言っているんですが、私は何となくわかったような気がするので、次のテーマに移らせていただきます。

 それでは、もう一つ。リチウムイオン蓄電池が今回電気用品安全法の対象になるわけでございますが、蓄電池というのは幾つか種類があろうかと思いますけれども、今回、このリチウム蓄電池のみを対象とするのはなぜなのかということについて教えていただきたいと思います。

寺坂政府参考人 今回、電気用品安全法にその規制対象として追加いたします蓄電池には、御指摘のとおり、リチウム蓄電池のほかにも、ニカド電池とか、あるいはニッケル水素電池とか鉛蓄電池、そういったものがあるわけでございます。

 そういった中のうち、リチウム蓄電池を指定対象と考えておるということなんですけれども、パソコンとかあるいは携帯用電話、そういったものの携帯用の電子機器に用いられておりまして、かつ、小さくて薄くて、一方で長もちした方がいいといった、そういう長もちが極限まで要求されるリチウム蓄電池、これは、高いエネルギー密度を求められるために発火等の危険性が高いというところがありまして、今現に事故が発生しているわけでございます。したがいまして、現時点におきましては、このリチウム蓄電池を具体的な指定対象としている、そういうことでございます。

川内委員 それでは、最後にもう一点だけ聞かせていただきたいというふうに思います。

 随分古い通達なんですけれども、昭和四十九年の四月十六日に発出をされている家電製品に係る補修用性能部品の最低保有期間の改定等というふうに題打たれている通達でございますけれども、この中に、家電製品の補修用の部品については最低何年間保有してくださいねという、それぞれ、例えば電気冷蔵庫が九年、エアコンディショナーが九年、電気洗濯機が六年、扇風機が八年というような形で部品の保有期間を保有してくださいねということが書かれています。

 私は、製品の安心、安全を最も担保するというか、日本のものづくりの根幹となるのは、丈夫で長もちというのが、実は日本の商品の国際競争力を高めていく上では最も大事なのではないかというふうに思っています。

 しかし、この通達が出て以来ずっと、この通達は業界の中では、山本政務官、これは結構有名な通達なんですよ。どういうふうに業界の人たちが言っているかというと、最低保有期間が六年と書いてあると、最低保有期間が六年だから、行政側の思いとしては、最低六年なんですよ、十年でも二十年でもいいんですよという思いなんだけれども、業界の人たちからすれば、いや、六年もてばいいんだろうという理解に変わるわけですよね。

 そうすると、製品がつくられて大体六年ぐらいたつと、ふぐあいがいろいろなところに出る、補修に出そうとしても、最低保有期間が六年だから、もう部品ありません、新しいものを買ってねということで、メーカーとしては、業界としては、新しいものに買いかえさせるということなんでしょう。

 しかし、そもそも、丈夫で長もちというものが流通をし、それがリユース市場に回り、日本のメーカーのつくるものというのはすばらしいんだ、いいんだということになると世界じゅうに売れていくということになろうかと思うんですね。私は、この通達を若干お考えになられた方が、これからますますものづくりを強化していこうとする政府の姿勢としては正しいのではないかというふうに思いますが、御見解をお示しいただけますか。

山本(香)大臣政務官 御指摘のとおり、昭和四十九年の通達でございますが、製品の製造事業者に対して、その製品の補修用の部品を一定期間保有することについて要請を行っているものでございまして、消費者が、先ほど丈夫で長もちとおっしゃいましたけれども、安全に、かつ継続的に使用していくためには、この補修用の部品が用意されていることは大事なことだと思っておりますので、こうした観点を踏まえまして、製品を安全に、かつ継続的に使用していくために、さらに製造事業者の皆様方の御理解を求めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

川内委員 あと三十秒ぐらい、もう終わりましたけれども、大臣、今回の電気用品安全法の改正の反省というものは、私は、経済産業省にとっては非常にいい教訓になったというふうに思います。しかし、その陰で、冒頭お手紙を御紹介申し上げたとおり、大変な思いをした方たちがたくさんいるんだということを肝に銘じて、今後、製品安全行政に取り組んでいただきたいということを申し上げて、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて川内博史君の質疑は終わりました。

 次に、北神圭朗君。

北神委員 民主党のしんがりを務めさせていただきます北神圭朗でございます。

 私は、消費生活用製品安全法の改正について御質問をしたいというふうに思います。この一本に絞りたいと思います。

 まず最初は、私、この改正をやるという話を聞いたときにちょっと違和感を感じたのは、一つは、昨年の十一月に改正をしたばかりだと。これは当然パロマの瞬間湯沸かし器の事件をきっかけとしてその改正が行われたわけでありますが、しかし、それは別に瞬間湯沸かし器だけに限ったことではなくて、言ってみれば製品全体の安全の制度というものをつくる、そういうふうに認識をしておったわけでございます。ことしの五月に施行されたんですね。半年もたたないうちに、またこの経年劣化の分野について改正がなされる。これが一つ。

 もう一つは、関連するんですが、先ほど言いましたように、去年の十一月の改正において、製品全体について安全体制というものをつくる。製品安全対策として企業に基本的に報告義務を課して、そしてその情報が総合的に役所に入って、場合によっては情報公開をしたりして、再発防止というものに力点を置かれていたというふうに考えております。しかし、今回は、経年劣化については、再発防止というよりは未然防止みたいなところに力点が置かれていると。

 この辺について、私の理解では、製品安全対策というものは、昔は割と事前規制というものが非常に強かった。これが、規制緩和という時代の流れの中で、だんだん、規制緩和という要請の中で事後規制の方に移ってきた。昨年の改正というものは、その事後規制の一つのあり方かなと。要するに、事故が発生したときにちゃんと監督をして、改善命令をして、情報公開をして、その企業に社会的な罰を含めて罰則をかけると。

 しかし、今回はむしろ、企業にいろいろ表示義務を課したり、届け出を義務づけたり、さらに点検の通知義務を課したりして、かなり企業に対して事前に負担を強いるような、そういった形になって、別に私はそれを悪いとは申し上げないんですが、ただ、やはりこの製品安全対策について、大臣初め経済産業省がどういう方針をとっているのか、今回でややわかりにくくなったんじゃないか。ここはやはり総論として整理をすべきじゃないか。そうじゃないと、今後、企業も大変だし、いつ方針が変わったりするのかわからない。消費者の方もなかなか意識が追いつかない。そこをちょっと御説明いただければと思います。

    〔委員長退席、谷本委員長代理着席〕

甘利国務大臣 大変に重要な鋭い御指摘だと思います。

 消費者は無防備であってもすべて行政が守るということではなくて、やはり消費者も賢い消費者になっていただかなければならないわけであります。この兼ね合いをどうするかというのは悩ましいところであります。

 規制緩和に関しましては、経済的規制は原則自由ということがあります。ただ、安全、安心にかかわることに関しましては、全部自己責任でというぐあいにはなかなかいかない部分がありまして、そこで今回、経年劣化について、ともすれば、もう三十年、四十年、掃除も整備もしないで使っていて心配ないということでは、やはり消費者も、消費者自身の自己責任ということも少し気がついていただかなきゃならない。ただし、重大な、人命にかかわるような事故が頻発するということについて手をこまねいているわけにもいかないということで、そこで、Sクラス、Aクラスと先ほど申し上げましたけれども、重大な注意を払わなきゃならない。つまり、それだけ重大事故件数が多いものについて、消費者自身の注意喚起をするような仕組みをつくった。それから、通常の注意喚起をすることに関しては表示をするということにしたわけであります。

 確かに安全行政も、消費者が全く無防備でいても心配ないという世界をつくるというのは、これは企業側に過剰な負担がかかるし、ひいてはそれが消費者にはね返ってくるコストになってしまいますから、そこら辺は、重大事故の発生とその啓蒙とのうまい間合いを今後探りながら、少なくとも悲惨な事故が起きないように可能なことはやっていこうというふうに考えております。

 もちろん、コスト、消費者にかかわってくる負担等々を勘案しながら、世の中が許容する範囲、許容しない範囲、そういうところを見出しながら対応をしていきたいというふうに思っております。

北神委員 なかなか整理が難しいと私も思います。ただ、今、昨年からいろいろな事故に追われて、それにばたばたで対応してきているという感があるんですが、やはりそこの、全体のどういう考え方なのかということをぜひとも整理をしていただきたいなと。

 おっしゃるように、経済規制については緩和、そういう安全、社会的な規制については必要だと。ただなかなか、この社会的規制と経済的規制というのは境界線が非常にあいまいな部分があって、社会的規制を強化すれば当然経済的活動にも非常に影響が出てくるというところが難しいところですが、例えば、今回の経年劣化については、あるいは、おっしゃるように、重大事故については、多少事前規制というものを強化するとか、特別の、分野別に対応していくという、多分、結果としてはそういう考え方になっているというふうに思いますが、ぜひそこを方針としてわかりやすく整理をしていただきたいというのが、まず指摘をしたいことでございます。

 あともう一つは、先ほど大臣も触れましたが、これは当然、企業の負担が今回非常にふえる。表示義務も課せられるし、通知義務というものも課せられる、場合によっては、技術者も提供して点検あるいは修理に当たらなければならない。これは大変なコストだと思いますが、業界の話を聞いていても、彼らは、確かにコストの部分もあるけれども、これによって自分たちの製品の信用みたいなものが高まるのであれば、これは逆に自分たちの商売にも利する部分があるという話だったというふうに思います。

 しかし、皆さんの立場では、難しいのは、この消費生活用製品安全法というものは、目的が消費者の安全だ、生命身体に危害が発生しないように防止をするためにこの法律というものがある。ですから、こういう法律をつくって、あるいは改正していくのであれば、やはりこの目的を達成しなければならない。まずそれが最優先課題であって、そしてその中で、企業コストをいかに軽減するかとか、そういうことを考えていくというのが多分発想の順番かなというふうに思っております。

 その点について、こういう考え方でいいのかどうか確認をしたいと思いますが、どうでしょうか。

山本(香)大臣政務官 お答えさせていただきます。

 本制度は、先ほども大臣の方から御答弁ありましたとおり、必ずしも企業だけに負担を求めるものではなくて、事業者と消費者と国、これが三者一体となって、それぞれの役割を果たすことによりまして、経年劣化の重大事故を未然に防止するというものであります。

 ただ、今御指摘のように、やはり企業に対してコストが生じるということでございますけれども、それに対しましては、やはり経年劣化による重大事故発生の確率の高い製品にこの制度の対象を限定するということをもって、消費者安全の利益を確保するため必要最小限度の企業のコストとなるようにしていこうと考えております。

北神委員 わかりました。

 ですから、大臣も何度もおっしゃっているように、今回の法案というのは世界でも割と先駆け的なものであって、そういう意味では、非常に私も、大胆な試みである、そういうふうに評価をしたいと思います。

 しかし、せっかくやるのであれば、効果があるようにしなければならない。いずれにせよ、企業に相当なコストを、企業だけじゃなくて、消費者にもある意味ではコストを強いるわけでございますから、中途半端なものに終わるのが一番よくないなというふうに思っております。

 というのは、世界でやっていないというのも、恐らくそういう負担の部分があってなかなか踏み込めなかったというふうに思いますので、やるのであれば、それで目的が達成されなかったら一番悪い結論になるというふうに思いますので、やるんだったら、当初の法案の改正案の目的をやはりある程度は実効性があって確保しなければならない。

 そういう意味で、各論に移りたいと思いますが、まず一点目は部品の問題ですね。これは余り今回審議には出なかったので、最初に取り上げたいと思います。質問の通告では後の方になっていましたが、ちょっと先の方に持っていきたいというふうに思います。

 これは当然、業者の方が消費者に、所有者に通知義務があって、そろそろ点検の期間ですよという通知をする。それに対して、消費者が、そういう意思があれば、点検をしてくださいという要請をして、そこで点検が行われ、場合によっては修理が行われる。その点検というのは、具体的に言えば、やはり部品ですよね、基本的に部品が問題になる。今までのリンナイの事故でも何でもやはり、ほこりがパイプにたまり過ぎて爆発をしたとか、そういった問題だというふうに思います。

 まず一点目は、先ほども川内さんが言っておりましたが、最近の製品、特に電化製品なんか、私も音楽が好きで、CDプレーヤーとかそういうものがあるんですけれども、物すごい変化が激しい。修理に出しても、もう部品がないということをよく言われます。これはどんな製品でも、多分、今、経済的な理由もあると思うんですが、非常に変化が速い。

 今回、通知義務を課していくわけですが、十年、二十年たつと、その辺は企業がそれぞれ決めると思うんですが、そのときに、消費者が、所有者が、では点検をしてくださいというふうに言ったときに、点検をして、やはりここちょっと、この部品をかえないといけないですよねと、でも問い合わせてみたら、もうその部品はない。そういったことになれば、全くこれは無駄な作業をみんな強いられていることになりますので、この点についてどういう手当てをされているのか、伺いたいと思います。

    〔谷本委員長代理退席、委員長着席〕

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、この特定保守製品につきまして、点検期間内におきましては、当然、点検の結果に応じた適切な整備が行われることが肝要でございます。

 したがいまして、点検の結果必要となると見込まれる整備に要する部品につきましては、適切な量で適切な方法で製造事業者等が保管するということを求めていこうというふうに思っております。

北神委員 それは、義務づけることですか、法律あるいは政省令で。

本庄政府参考人 法律上、製造事業者等が特定保守製品につきまして、製品に添付する資料の中で、今申し上げました部品の保有期間というものを説明書の中に記載することになっております。その記載の方法につきまして、経済産業省の方で、判断基準という形で、先ほど御答弁申し上げましたような保有を求めていこうというふうに考えております。

北神委員 ということは、部品の保有期間を表示する、それを義務づけるということですね。

 それは、一つの方策としていいと思うんですが、それでも、本当に点検期間内にそういう点検の要請が来たらいいんですが、場合によっては、例えば十年目が点検期間だ、そしてそれを超えて十二年後、十三年後ぐらいに要請をしたときに、もう部品がない。あるいは、これは余り想定されていないんですけれども、車の車検だったら二年ごとに毎回毎回点検をする。これはどうも一回限りのような印象も受けるんですが、実際は、二十年、三十年、四十年持っている方も、そういう事例も結構出てきているわけですから、本当は何度もやらないといけない。この点も一つの論点で、質問は余りしませんが、そういった場合にも、もはやその部品がないよということも十分あり得ると思うんですよ。こういう点についてはどういうふうにお考えでしょうか。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 点検期間を過ぎてからの部品保有につきましては、基本的には製造事業者等の判断にゆだねることとなりますが、他方で、部品の保有状況につきましては、一般の皆様が閲覧できるような方法で消費者に提供することを働きかけていきたい。要は、消費者が製品の購入に当たりまして、将来この製品はいつごろまで事実上の点検を受けられるかどうかも、消費者が商品の選択をする際の一つの選択肢としての情報という形で提供していただきたいというふうに思っている次第でございます。

北神委員 今話があったように、最後は、この件についてはやはり事業者の判断にゆだねるということだと思います。

 これは別に、部品を保存するというのは、在庫の費用とかかかるし大変なことだと思います。昔の製造物責任法のときも、部品というのは一つの物すごい大きな問題になって、逆に言えば、消費者保護の観点からいえば、これに引っ張られているところがある。点検期間とか標準使用期間、そういったものも部品の保存の関係で引っ張られてしまっているところもあるというふうに思うので、これはいろいろな考え方はあると思うんですが、この法案の一つのちょっと弱い部分は、その期間を過ぎた後どうするのか。一回目はいいかもしれない、しかし二回目、三回目のところはどうするのかということをやはり今後ぜひとも検討していただきたいなというふうに思います。

 もう一つ、部品について。これまた違う観点ですが、先ほど車の車検の話をしました。車の車検というのは、多分今回の法案のスキームに現存の制度で一番近いものかなと思って比較してみたんですが、車検の部分で、部品について、点検の対象になる部品と対象にならない部品とあると思います。

 今回の法案も、恐らくそういうものを分別するんだというふうに思います。すべての部品を見るというのはなかなかコストがかかる。しかし、車検の方は、例えば車の燃料ホースなんかは点検の対象になっていないんですね。その前提としては、恐らくこういうものは車の寿命と同じぐらいの寿命で、その前に何か欠陥が出るとか故障をするとか、そういうことはあり得ないだろうという前提だと思うんですよ。したがって、車検の段階では点検をしない。

 しかし、実際は、燃料ホースのせいで火災事故になったり、そういうことが起きているんですね。裁判所の判決とかを見ると、大体の判決は、裁判官が、これは自動車メーカーが車の寿命と同じぐらいの寿命があるという前提で車検の対象にしていない、したがって、これで事故が起きたということは、やはり製造業の方に非常に重大な責任がある、そういう判決になっていると思うんですが、扇風機でも何でもいいんですが、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。どう手当てをされているか。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 特定保守品目につきます点検につきましては、点検実施時点での製品の経年劣化状態を明らかにして、その情報を消費者に提供することによって消費者の適切な対応を促すということを目的にしております。適切な保守がなされ、経年劣化に起因する事故の未然防止が図れるようにするため、点検を実施すべき項目として、省令で経年劣化による事故の防止のための点検基準を定めることとしております。

 したがいまして、省令で定める項目以外の箇所に関して、通常、経年劣化による事故が発生する可能性は低いというふうに考えておりますが、万が一事故が発生した場合、その事故の原因によってメーカーが責任を負うかどうかということは、最終的には司法の御判断というふうに理解しているところでございます。

北神委員 今、部品の問題で二点ほどちょっと申し上げたんですが、ぜひともこういう点も含めて検討していただきたいなというふうに思います。

 まだ時間がありますので、次は、今までも議論が出てきましたが、特定保守製品の対象について御質問をしたいというふうに思います。

 今、九品目が挙がっているという話ですが、選ぶのはなかなか、これもまた企業のコストの問題と深くかかわってくるというふうに思うんですが、私も指定基準自体についてちょっと疑問があります。

 これは、簡単に言えば、今までの事故の発生率が高いもの、かつ重大事故につながっているもの、こういったもので、一ppm以上のものということだと思います。しかし、冒頭の総論の部分でも議論したように、これは経年劣化という部分について、やはり重大事故、人の生命あるいは重傷に及ぶ、そういった事故につながる、こういったことで、ある意味では特別に事前規制を導入するものだということを考えるならば、やはりその重大事故の部分についてはもう少し広目に考えないといけない。

 これは、皆さんの今までの答弁を聞いていると、今九品目あって、今後、例えばppmがどんどん高まる商品とかが出てきたらそれをつけ加える、そういう発想なんですが、私は、こういう安全の分野については発想が逆じゃないかなと。つまり、最初多目にとって、それで必要なければ削除していくという方法の方がいいんじゃないか。

 それで、具体的に、私の提出している資料の一枚目にありますが、これは経済産業省の資料でして、製品区分別に製品事故による被害状況というものが書かれております。左側に被害状況があって、上に製品区分があって、太線で囲んでいるところが死亡、重傷、非常に重大事故の範囲に入るところですね。こういうところを見ると、家庭用電気製品とかあるいは燃焼器具、こういったものは非常に高いということですね。そして、これらの製品がすべて今回の九品目に入るかというと、そうでもないと思うんですね。

 そこで、二枚目の方を見ると、ppmの、重大事故発生率の試算結果というものが出ていると思います。網がかかっている部分が今回その対象になる部分、一ppm以上の部分だというふうに思いますが、例えば、右の方のガスとか石油機器の下の方の網がかかっていない方を見ると、FF式ガス温風暖房機とかガスこんろとかガスストーブとかガスファンヒーター、これは一未満になっているんですけれども、物すごい重大事故の事例が結構多いと思うんですよ。

 例えば、わかりやすく言えば、FF式ガス温風暖房機と、その上に、対象になっているFF式石油温風暖房機、そんなに違うのかと。これを分けて、一つはこの規制の対象にするけれども、もう一つはしないというのはちょっと恣意的過ぎるんじゃないかな、特に人の生命にかかわる、あるいは身体にかかわるということでいえば。

 ですから、一未満というふうに片づけているんですけれども、下手すると〇・九九のものもあるのかもしれないし、そこは、最後は決めだと思います。最後は決めだと思いますが、申し上げたいのは、発想として、広目にとってから落としていく方が製品安全対策としては適当な考え方なんじゃないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

寺坂政府参考人 御指摘のように、重大事故の発生確率の相対的に高いものを今回の対象製品ということで検討したわけでございますので、その確率という数字で見ました場合、どこで切るのかというのがどうしても出てまいるわけでございます。

 その際に、御指摘のように、死亡とか重傷とか、そういったものが発生している場合はもう少しウエートを高めるというか、もう少し違った見方があってもいいじゃないかというようなことかと思います。今回はそういう意味で、一つの数字の区切り方として一ppm、百万分の一単位のもの以上というものを対象とすべく作業をしているわけでございます。

 かつ、重大事故という場合には、死亡、重傷事故のみならず、火事に関しましてはこの対象に入ってございます。火事の場合は、それによってどういう人的、物的損害が出るのかというのは次の段階ではありますけれども、その可能性が非常にあり得るというものでございますので、火事とかあるいは一酸化炭素中毒とか、そういったものを重大事故の部類に入れているわけでございます。

 そういう意味合いで今回の作業は進めているわけでございますけれども、午前のときから御答弁申し上げておりますように、いろいろ社会状況、そういったものの変化、あるいは事故の発生状況、そういったものの中で、これは九品目を確定的なもの、ずっとこれというものではもちろんないわけでございまして、いろいろな場面で必要な見直しは行っていきたいというふうに考えてございます。そういった場合に、今先生の方から御指摘いただいたような考え方、こういうものもどういうふうに整理すればいいのかということは、今後の課題として検討してまいりたいというふうに思っておるところでございます。

北神委員 ぜひ御検討いただきたいと思います。

 あと、今のppmの算出式について、これは、こういった経年劣化の問題はよくバスタブ曲線とか言われて、当初、事故がばっと出る、それで鎮静化して、経年劣化によってまたふえる、そういう、例えば、今まで、製品が出回っていない場合は、ちょうど鎮静化しているところだけしか、そういったところしか統計に入らないという問題もあるし、もう一つは、こういう重大事故の事例もすべて把握しているわけではないですよね、恐らく。消防庁とかに聞いてみると、全部は当然把握できていない、やはり重立ったものしかないと。

 そういう意味では、そのデータ自体もかなり試算として稚拙な部分もあると思うんですね。だから、そういったところを含めて、やはり、もう少し精度の高いというか、そういう算出式もぜひ考えていただきたいなというふうに思います。もう時間がございませんので、そういった要望をしつつ。

 結局、このスキームでは、点検の通知は消費者にする、所有者にする、最後は消費者の判断だと。最後は自己責任の部分で、ちゃんと通知とかいろいろしてきたのにもかかわらず、放置して何か事故があったら問題だよというようなスキームであって、これがいいのかどうかというのもまたいろいろ議論はあると思うんですが、今のこのスキームでは、消費者の意識がやはり一番大事だ。そういう意味では、その意識をいかに喚起していくかということが大事だと思いますので、ぜひとも大臣に、どういうことをされるのかという決意をお聞きしたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

甘利国務大臣 通知を行うこと自身が注意喚起を促すわけでありますが、それ以外、業界団体の取り組みのPR、消費者に対する啓蒙の機会等々、いろいろな機会をとらえて、長く使っていればそれだけ事故の発生するリスクが高くなるという意識喚起を徹底していきたいというふうに思っております。

北神委員 よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて北神圭朗君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 お手元に資料を配らせていただいておりますが、私、最初にまず、政府参考人に確認的に伺っておきたいんです。

 電気用品取締法、旧法ですね、電気用品安全法の対象になった電気用品の事故発生件数及びリコールの件数、これを九〇年代からまとめたのがこの表です。家電製品の事故件数というのは、旧法のもとにあった九〇年度の百七十二件、それから、ちょうど電安法を審議した九九年、これはまだ旧法のもとですが、そのときの二百六十八件、大体その間ぐらいで上下しているんですね。電安法施行後の二〇〇一年度は六百八十三件と大体二・五倍になって、施行から五年たった二〇〇六年度は千二百九十五件と五倍になっているんですね。だから、リコールの件数の方で見ましても、電気用品取締法のもとでの九〇年代は年間数件から約二十件ぐらいだったんですが、電安法施行後の二〇〇〇年代が四十数件から百四十数件へと、大体二倍から七倍にリコールもふえています。

 こういう状況にあるということをまず政府参考人の方に事実の問題として確認をしておきたいと思います。

寺坂政府参考人 一九九〇年度以降の家電製品のリコール情報、それから事故件数につきましては、独立行政法人でございます製品評価技術基盤機構、NITEのデータをベースにいたしますと、まず、事故件数に関しましては、一九九〇年度、百七十二件、それから二〇〇〇年度、六百三十七件……(吉井委員「書いてあるとおりですね」と呼ぶ)書いてあるとおりでございます。

 一点だけ、大変恐縮でございますけれども、リコール件数の方、この数字はリコールの全体の数字でございまして、家電製品に関しましてはもう少し数字は少なくなって、ただ、傾向としては同様でございます。

吉井委員 NITEの方の資料の制約もありまして、おっしゃるとおりなんですよ。ただ、傾向としてはそういう傾向だということなんですね。

 それで、九九年六月十一日の、当時は商工委員会でしたけれども、私、電安法など十一本の規制緩和の法案の審議をこの委員会でやったときに、私は、規制緩和万能で、国民の安全を守る上で必要な検査から国が手を引くことは重大な問題だということを質問の冒頭に述べまして、そして、反対討論では、事故の未然防止により国民の安全を守るという国の責任放棄になるという反対理由を述べました。

 事前に安全チェックした九〇年代には、家電事故は百数十件から三百件だったのが、民間業者による事後チェック方式に変えた電安法施行後は、二・五倍から五倍に急増している。リコールの件数も、これも家電製品だけに絞ってというわけに、今おっしゃったように言えないんですが、傾向としては二倍から七倍も急増している。

 だから、事実の問題として、電安法でも、規制緩和で家電製品の事故件数の急増とかリコールがふえているし、同様の問題は、当時、建築基準法の規制緩和なんかもやりまして、この結果、耐震偽装という問題が出てきております。

 いずれにしても、国民の安全を脅かす事態が広がっているというのが事実で、安全対策まで規制緩和するのは間違いだったということが事実において示されていると私は思うんです。

 この機会に、家電リサイクル法、これもこの委員会で審議したわけですが、ではそれによってどういうことになっているかというのが資料の二枚目の方ですが、消費者から大手家電量販店は廃家電リサイクル料金を徴収していますね。輸出業者などに引き取った家電製品を売却して二重にもうける。人から金を取っておいてまた売ってもうけるという厚かましい話ですが、こういう事件が多発しております。

 これは、表に示すように名立たるところですね。上新、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、コジマ、ヤマダ電機など、大手家電量販店が、言ってみれば、廃家電のお金というのは預かり金でしょう、それを払わないでさらに売ってもうけるというのは、いわば詐欺罪というのに等しいぐらいになるかと思うんです。ほかに売った場合は、少なくとも預かり金というのは徴収した顧客に払い戻すのが当たり前だと思うんですが、そういうことはちゃんとなされているんですか。

岡田政府参考人 先生御指摘のように、家電リサイクル法におきましては、小売業者が廃家電を引き取った際には、リユースをする場合を除いては、メーカーに対して廃家電を引き渡す、そこでリサイクルが行われる、そういう義務を負っているところでございます。

 先生御指摘のように、小売業者の引き渡し義務違反につきましては、これまで十件の勧告、そして二件の厳重注意をしたところでございますが、経済産業省といたしましては、今後このような義務違反が起こることのないように、立入検査などを通じて、小売業者による適正な引き取りと引き渡しが行われるように厳正に指導を行ってまいりたいと思っております。

 また、今御質問にありましたリサイクル料を消費者から受け取っているわけでございますので、それにつきましては、返還するように指導をしているところでございます。

吉井委員 それがちゃんと払い戻されているのかどうか、払い戻せるのかどうかという大問題が今あるということを、きょうはそれが本筋じゃありませんから、指摘だけして、それだけにとどめておきます。

 なぜこの問題を取り上げたかといいますと、大型家電量販店というのは、そういうリサイクル料金を取って、さらに物を売ったりして、一社で数億円ぐらいの利益を上げるとか、そういったことを一方ではやりながら、実は大型家電量販店が、その経年劣化対策として、自分の売った製品の点検、修理を行うことのできる、地域的に、量販店がうんと遠いところじゃ、大体、買った人はそんなの持ってやっていられないですよね。身近なところにきちんと点検、修理を行えるサービスセンターをどれぐらい配置しているのか、このことも伺っておきたいと思います。

岡田政府参考人 先生今御指摘の、大手量販店が販売した家電製品のチェック体制のためにどのような体制をつくっているかということでございますが、私どもが承知している限りでは、基本的には、大手量販店のそれぞれの店舗に窓口を設けて、そこに消費者が持ってきて部品を交換する。あるいは、場合によっては、量販店の中には、消費者のところまで出かけていって回収するところもあろうかと思いますが、主な商慣行としては、お店にお客様に来てもらうという慣行が多いのではないかと承知しております。

吉井委員 大型量販店ですから、身近にあるわけじゃないですね。うんと遠いところまで家電製品を運んでいかないことには点検も修理もしてもらえないということなんです。

 こちらも実は、規制緩和で大店法を廃止して、大型家電量販店が随分急増しました。その結果として町の家電小売店を駆逐していったわけですが、今度の消安法で経年劣化を挙げているわけですが、これは私、非常に大事なことだと思っているんです。

 この消安法の趣旨というのは、自分の売った製品の点検、修理を行えるサービスセンターも持たないで地域の家電販売店を次々つぶしてきた、こういう経営戦略のもとでは、せっかく消安法で、自分の売った物についてはきちんと点検も修理もし、やっていける、この体制がとれなかったならば、この法律は、法律は立派なんだけれども、どれだけ生きたものになるかということがこれから問われてくると思うんです。

 法律では、メーカーがユーザーに対して、点検期間内に点検を受けるように通知するわけですね。点検実施を求められれば点検を行わなければならないとしているわけですから、これは、経年劣化の早期発見と、できるだけ長く使用するという三Rの考え方やら、循環型社会形成という政策目標実現にとって意味があると私は思っているんです。ただ、その点検、修理の地域のネットワーク、サービスセンターの役割を今までは、かつては地域の家電小売店などが引き受けてきたと思うんですが、そこが今崩れてきているんですね。

 そういうことで、本当にせっかくの法律が生きるんだろうかということで、私、まず、大臣にこの点についてのお考えというものを伺っておきたいと思うんです。

甘利国務大臣 おっしゃいますとおり、かつては町の至るところにいわゆる電器屋さんがあって、もちろんそこで買うこともできますし、あるいはぐあいが悪いということで持ち込む、あるいは親切な人は来ていただいたりするわけであります。そういうネットワークがしっかりしていますと、今回の法改正の趣旨も徹底すると思いますが、それが、大型量販店が進出するに従って町の電器屋さんがどんどん数が少なくなってしまった。そうすると、そういうネットワークを活用した修理、点検が行えるのかという御心配であります。

 大型店も、きちんと修理部門を持ってやっていただくというのが基本でありますが、あるいは地域の家電店と連携をとって、一緒にこの取り組みにネットワークとして参画をしてもらう。その際には、いろいろなマニュアル等、整備、点検がしやすいような対応をしっかりとっていくことが重要だと思っております。

 いずれにしても、大型店も町の従来からの電器屋さんも連携をとって、この法律の趣旨に対応していただけるようにいろいろと要請をしていきたいと思っております。

吉井委員 大臣も今おっしゃったようによう御存じのように、かつては日立の系列が、系列のいい悪いは別にして、松下の協力店だとか協力会の看板が上がった店で買っていましたから、だから、点検、修理から家の中の配線の安全のチェックに至るまで、随分そういう体制があったわけです。

 しかし、私、今大阪ですが、大阪の駅前にも東京から進出したかなりの巨大量販店が出てくると、もともとの大阪の電器屋街が崩されてくるということがありますし、もともと生まれは京都なものですから、京都の駅前にも同じように大型の量販店が出てくる。それによって、町の小売店が今まで以上に厳しい状況に、廃業とか、追い込まれていく。

 京都の町も高齢化しているわけですよ。高齢化社会において、家電製品というのは大事なものなんだけれども、自分でちょっと車に載せて量販店まで修理にというわけにいかないんです。量販店は、小さいところをつぶさぬと向こうも商売にならないわけですね。しかし、小さいところは、今大臣がおっしゃった、私も同じ意見なんですけれども、その機能を果たしてもらえるように頼もうと思ったら、小売がどうして成り立つかというのは、ある程度経営基盤があって、点検、修理もやっていけるわけですね。その経営基盤を根こそぎ壊してしまっておいて、どうしてネットワークがつくれるのか。ここは非常に深刻な問題で、実は私は、経年劣化対策というのは賛成なんです。だから、消安法の考え方は大事だと思っているんですけれども、その地域のネットワークをどのように組み立てていくのか。

 大臣も今少しおっしゃった面もあるんですが、同時にそこは矛盾もありますので、今直ちにここで答えが出ないにしても、それはかなり突っ込んだ検討を経産省としてやっていかないと、法律はつくったけれども生きてこないということになると思うんですが、もう一度大臣に伺っておきます。

甘利国務大臣 身近なところに修理に出せる、あるいは場合によっては見に来てもらえるということがこの法の趣旨をしっかり実施していくために重要であります。地域の電器店等、身近なところに依頼できるようなところがあれば、そこと大型店が連携をとるということはぜひやってもらいたいと思いますが、その際には、その電器店に対して点検マニュアルの提供だとか技術講習の実施とか、そういう対応もしっかりしていただかなきゃいけないと思います。

 それらもろもろ含めて、この法律が法の目的をしっかり果たせるように、それを実施できるようにいろいろと検討していきたいと思っております。

吉井委員 かつては、協力店の場合はメーカーが今おっしゃったようないろいろな講習会を持ったり、やっていたんですね。今度、家電量販店の方は、要するに経営基盤を根こそぎ崩していってしまっているんですね。そうすると、地域の家電小売としてそもそも成り立つのかどうか。経営が成り立たないと点検、修理もできる体制ができないものですから、この点については大臣に、本当に経産省として、この法律を生かしていくためにどのような地域のネットワークが組み立てられるような仕組みをつくっていくのか、これはかなり真剣に、深刻な問題として取り組んでいただきたいと重ねて申し上げておきます。

 この問題の最後に、三枚目の資料をごらんいただきたいんですけれども、これは製品別の事故件数。家庭用電気製品とか燃焼器具とか、これもNITEの方のものを整理したものです。それから、事故までの製品使用期間がどれぐらいか。半年未満で壊れているものももちろんありますし、五年以上十年未満とか、それぞれ表にあるとおりです。長い間使えるものもあるんですが、省資源、低エネルギー、資源循環型社会に進むまで、この点では長い間使えるようにすることによってそういう循環型社会に進む上で大きな貢献をすることになると思うんです。

 そうすると、今度設計標準使用期間を設けるというわけですが、この表をにらみながら、メーカーからしますと、短期間に設定して、これはもう使用期間を過ぎましたよということにして、一応、点検通知はするけれども、これなら早いところ買いかえようとなってもらった方が需要促進、利益につながるわけですね。消費者の方は、よい製品を適正価格で購入して長く使うことで循環型社会に近づくように取り組みたいということになるわけですが、では、そのときに設計標準使用期間というのをだれがどう定めていくのかということによってどっちに振れるかということになってくるわけですね。これはどのように進めることにしているんですか。

寺坂政府参考人 製造・輸入事業者の中には、既に設計標準使用期間を算定するための独自のノウハウを有している者もいらっしゃるというふうに承知をしております。設計標準使用期間の設定に当たりましては、省令で算定の基礎となる基準を定めまして、その基準に従って各事業者が設定することになります。

 省令におきましては、現在のところでは、実態を踏まえました標準的な使用条件を前提として算出された数値、これを基礎として、例えば加速試験の実施など、そういった科学的な知見に基づいて算定しなければならない、そういった旨を定めていく考えでございます。

 その場合に、標準的な使用条件というものはどういうものなのかというのがまた次のポイントになるわけでございまして、今後、事業者によって標準的な使用条件の仮定、その前提に差が生じないよう、学識経験者の方の御意見なども踏まえながら、例えばその業界の自主基準あるいはJIS、そういったものの活用によりまして、標準的な使用条件の明確化などを図っていくこととしております。

 それから、設計標準使用期間の適切性に関しましては、その算定の根拠を添付書類に記載することとしておりまして、不適切な設定や表示が行われないように手当てをしておるところでございます。

吉井委員 いずれにしても、この設定というのは、点検保守によって長く使う循環型、環境型社会へ進むか、あるいはメーカーの側からすれば買いかえ需要促進にうまく結びつけていくか、ここが問われてくるところで、科学的というお話がありましたけれども、何かリトマス試験紙を入れてpH七でどっちへ振れるかみたいに簡単にいく話じゃないんですよね。やはり長く使う、日本社会の将来を見通して、その方向でこれは設定をしていくべきだということを重ねて申し上げまして、これ以上は今の段階で何もないようですから、次の問題に移ります。

 次に、PSE騒動で多くの国民から批判が上がりました。迷走とまで呼ばれた二転三転の対応ぶりで、とりわけ中古品販売業者に大きな被害を及ぼしたわけですが、ことし七月十七日に都内で開かれた中古品の安全・安心確保に向けた取組に関する意見交換会、ここで本庄審議官は、私ども、やはり役所を挙げて今まで行ったことについて反省すべき点はきちんと反省していきたい、御迷惑をおかけした皆様には何らかの形で、御迷惑をおかけした方に対して償いができるのであれば喜んで償いの方法について検討させていただきたいと思っておりますので、どうか御理解をいただきたいと発言をしておられますが、この考え方は変わりありませんね。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生から御指摘がございましたのは、ことしの七月から八月にかけまして全国で総計百三回から成ります中古品販売事業者の皆様との意見交換会、この七月十七日に東京で開催されました意見交換会で私が申し上げた発言、私の記憶の限りでは、一字一句同じところまでは覚えておりませんが、おおよそそういうことを個人的な考え方として申し上げた記憶がございます。

吉井委員 あわせて伺っておきますが、一九九九年の立法時の判断ミスと昨年初めにおける判断ミスと、二重の判断ミスという形で皆様におわび申し上げなければなりません、こういうふうに言っておられたんですが、重ねて確認しておきますが、立法時と本格施行時にミス、二重のミスをしてしまったという発言がありましたけれども、これはこのとおりでいいですね。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十一年度の法律をつくりました段階での判断ミスという言い方を申し上げたというふうに記憶しておりますが、これは細かいことになりますけれども、法律をつくる上で、旧法から新法に切りかわるときの経過措置の期間を定めるに際して、新品と中古品というものがあって、その際の新品と中古品との区別について十分な配慮がなされなかったという意味で申し上げた次第でございます。

吉井委員 今確認させていただきましたように、七月十七日に要するに二つのことがあったと思うんです、幾つもあったにしても。

 一つは、やはり中古品販売業を廃業した方も出ていますし、失業者も出ています。それから、検査機器を買った業者の方もいられるんですね。いろいろな業者の方の打撃というのはあって、深刻でした。

 本庄さんは償いの方法を考えるということを一つ言っておられるんですが、これは一つ目の方ですが、まず、大臣もこの点についてはどういう形で償いをやっていくか、その方法については検討させていただくということですが、あれだけたくさんの被害者を生み出してしまっているんですから、やはりこれは、償いの方法を考えるという本庄審議官のお話もあり、私は、大臣としてもそのことは指示をして、どういうふうに取り組むかということについてきちんとした検討をしていかれるということが必要だと思うんですが、この点は大臣に伺います。

甘利国務大臣 過去のどたばたした対応で中古品販売事業者の方々に御迷惑をおかけした。この反省を踏まえて、今後のこの種の安全行政に関して、あるいはその体制をとっていくのに際して、中古品販売事業者の方々の意見をしっかりと織り込んでいくということが大事だと思っております。つまり、御迷惑をかけたことを反省して、その反省を織り込んだ行政を推進していくということが一番のおわびだというふうに思っております。

 産構審の小委員会の中に二名代表者に入っていただきました。今後とも、そこの場での意見をしっかり大事にして、それから、中古品を取り扱う事業団体の皆さん方の意見にしっかり耳を傾けて、法律をつくる行政を行っていく等々の場面にしっかり反映をさせていきたいというふうに思っております。

吉井委員 しっかりこれからの問題として反映していただくというのは、これは、していくのは当然だと思うんです。幹部五人に厳重注意をした、おしかりを与える、これは当然かと思うんですけれども、問題は、廃業に追い込まれた人とか失業した人とか、それぞれの人の人生や暮らしにかかわってきたものについて、被害を受けた方一人一人についてやはりきちんと見た上でないとあれですけれども、一人一人の具体的な被害についてどのような償いというものを考えるのか、償いの方法というのはどう考えたらいいのかというのは、今直ちに大臣もここでこんな方法がありますと簡単に言えることじゃないかもしれませんが、やはり何らかの形で、この立法と施行と、その中にあって、法の運用の中で現実に被害を受けた方について誠実にきちんとその償いの方法について検討していくということは、私は大事だと思うんです。

 ただ、検討するといっても、大臣が指示しないと、現場が勝手に考えようがないと思うので、だから、その点だけは大臣の方で、償いの方法について検討しなさい、このことはやはりきちんと指示をして、現実に被害を受けた方に対する誠実な対応というものをやるべきじゃないかと思うんです。大臣に伺います。

甘利国務大臣 私から償いという話はしてはおりませんが、私自身がこの経済産業政策にかかわる責任者として現状で思っていることは、行政対応の適切さを欠いた部分、そのことによって迷惑をかけた、それをしっかりある種の糧として次の行政にしっかり生かしていくということが大事だというふうに思っております。

 そこで、今後、中古品を取り扱う事業者の方々の意見をしっかり受けとめて、その思いがきちんと織り込まれるような行政対応をしていくということをしっかりと現状では行っていきたいというふうに思っております。

吉井委員 私は、次の行政に生かすというのはそのとおりだと思っているんです。しかし、現実に行政対応によって迷惑をかけた人たちが生まれているときに、本当に人生が変わった人がいるわけですよね。その人たちにどのように誠実な対応をきちんとやっていくかということについては、大臣も今直ちにここでこないしますわというふうに簡単に言えないと思うんですよ。

 だから、どういう形で償いなどを考えていくかということについては、やはり大臣がきちんと検討するように指示をされて、検討の結果どうなるかというのは、これはわからないんです、わからないかもしれないんです。しかし、少なくとも、誠実な対応をするように考えなさい、その指示だけはされた方がいいと私は思うんですが、どうですか。

甘利国務大臣 実態の把握がまだ正確にできておりません。どういう被害をこうむられたのか、そして、我々として、中小企業政策、零細個人事業政策の中でどういう対応がなされ得るのか。いずれにしても、実態を把握することが先決だというふうに思っております。

吉井委員 とりあえずここでは、実態を把握するというお話ですから、行政対応で迷惑をかけたという内容については、実態をまず把握していただきたい。改めて、その上でどのように誠実に対応していくかということについては伺いたいと思います。

 二つ目の問題として、都内での意見交換会でお話しになったのが、これは法律そのものについての方なんですが、電気用品取締法に基づく家電用品の認証の技術基準と電安法による家電用品の認証の技術基準というのは実は同じ技術基準であったわけですから。そうすると、旧法で家電用品の流通前に国が技術基準に適合していますというのを、いや、あれはあかんのや、電安法でもう一遍やり直してPSEマークを張らなあかんのやと言い出してしまうと、じゃ、前も技術基準は一緒なのに、以前に同じ技術基準で合格させた国の審査が間違っていたのかという問題が出てくるんですね。

 ですから、そういう点では、やはり国が、その技術基準でちゃんと適合していますということで審査して、その上で、合格したものにティーマークをつけて流通市場に出していたわけですから、それが、電安法で事前規制じゃなく事後チェックにするということで、公的検査機関のほかに民間機関を参入させて、ところが、やってみたら、私、冒頭に表の一で御紹介いたしましたように、電安法施行後、少なくともまだ同じぐらいの事故件数とかリコールであれば、まだそんなもんかいなという感じですよ。しかし、PSEマークを取りつけた、取りつける法律をつくったら、逆に事故件数がふえていた。それなのに、このPSEマークを張らないかぬ、張らないかぬと言って、張らないようなものだったら販売を認めないというふうにやったのは、やはりこれはとんでもない誤りです。

 本庄審議官は、立法時とそれから本格施行のときにミスがあった、二重のミスだったということのお話ですが、電気用品取締法及び電安法の国会審議のときに、そもそも中古品も法規制の対象にするという議論が行われていたのかどうか、これを伺います。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十一年の法改正、国会審議の際に、中古品の取り扱いについて国会の場で御議論されたとは承知しておりません。

吉井委員 実は、これは、一番最初の旧法の場合、一九六一年の立法時には、国の技術基準に適合していて、審査を通ってテー・マークをつけた中古品は、これは法律の対象外だと。もともと、中古品で合格して出回っているものは、中古品であっても旧法の時代もよかったわけなんですよ。だから、本来、その扱いをきちんとしておれば、もともと問題が起こっていないはずです。

 これは、一九六一年十月二十七日の衆院商工委員会での田中委員の、二十七条、販売制限についての質問に対して、政府答弁の中で、店で売る限りは、検査マークがついていないと売れない、しかし、一番最初にそのテー・マークがついている限りは、つまり、修理品にしても再生品にしても中古品にしても、これは本法で売ってよろしいと。これは、明確な国会答弁があったんですね。

 旧法でも、この法律が変わるにしても、国の技術基準をクリアして、国の検査を受けてマークのついているものは、新たにPSEマークを張らなくてもよろしいんですというこの基本的な考え方というのは、既に一九六一年に、四十年余り前の旧法のやりとりの中で、これはいわば、法案についての逐条解説ということをやるときには、政府答弁というのは、国会での答弁ですから、生きてきますからね。それをきちんとしておれば、もともと、この立法時も施行時も二重のミスなんというようなことは出てこないのに、そこを行政府の側が、問題は、立法府が決めた法律を執行するのが行政府の役割ですが、それが、立法府が決めてもいないものを後から勝手に追加して執行するということをやったのが、そもそもの混乱を生み出した元凶であったというふうに私は思うわけですよ。

 これは、六一年答弁でもそうだし、それから九九年の、私、そのときに審議に参加したわけですけれども、そのときにもそもそも問題になっていなかったし、そのときもそうだったんですけれども、もともと、技術基準に合格して、そしてマークをつけたものについては、法律が変わったからといって、前のものは危ないんだというような、そんなあほなことはもともとないんですよ、同じ技術基準なんですから。そこを、どういうことでか、変な解釈を勝手に役所の側が加えたということが、私は、その役所の解釈によって混乱を生じてしまったということをはっきり言わなきゃいけないと思うんです。

 それで、今度、改正法を出すわけですが、この改正法を出したということは、この間の間違った解釈については撤回するということですね。そういうふうに理解していいんですね。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の一九六一年の国会審議、政府委員の答弁でございますけれども、これは電気用品取締法ができましたときに、それ以前のマークについては電気用品取締法のマークとみなすという経過措置がございましたので、これは法的な手当てがなされておりましたので、中古品も新品同様検査なしという取り扱いをさせていただいた次第でございます。

 今回の、電気用品取締法から電気用品安全法に移行しました際には、残念ながら、電気用品取締法制定と同じような経過措置を設けておりませんで、五年間、七年間、十年間、品目によって違いますけれども、新法下でも旧法品を中古品として売っていいという規定でございます。

 したがいまして、この新法、電気用品安全法では、いわゆる新法に基づきますマークがないと、新品、中古品を問わず販売できないということになっておりますので、今回提案させていただいております法律改正措置を講じていただきませんと、旧法品について円滑な販売ができないというふうになると解釈しているところでございます。

吉井委員 だから、それは、役所はそういう解釈をされたわけですけれども、しかし、新しい法律をつくったときに、では、それをさかのぼって遡及適用するのかと。それは、そういうことはしないでしょう。法律を施行して以降生きてくるわけですね。それを、技術基準に合っているものにまでさかのぼって無理に適用しようとした、そこからこの混乱が生じているので、本当に何の問題もないわけですよ。

 国がこの商品は大丈夫ですと認定して、マークをつけたわけでしょう。法律が変わったら急に危なくなるなんというあほなことはないわけですよ。それを、そういう変な解釈をしようとしたから問題が出てきたので、新法のもとでやっても、マークをつけたって、安全上問題あるものは出てくるわけですよ。その場合には、リコールとか製品回収をきちんとするわけでしょう。旧法であれ新法であれ、国がたとえ合格だと言ったところで、問題が出るものはもちろんあり得るわけなんです。そのときは、製品回収とかリコールという手段でもってきちんと手当てをするわけですから何の問題もないのに、変な解釈をごり押ししようとしたのが、これは、先ほどあなたがおっしゃった二重のミスですね。

 だから、この法律できちっとしようとするんだったら、私は、まず、この最初の解釈がやはり間違っていたんだ、そのことをきちんとさせておくことが必要だと思うんです。もう一度伺います。

本庄政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、新法、電気用品安全法二十七条では、新法に基づきまして定められたマークをつけたものでないと販売できない、これは新法品でも旧法品でも同様でございます。

 ただ、経過措置として、法律施行後一定期間、五年、七年、十年と品目によって違いますが、その間は、旧法のもとでつくった品目については販売できるという経過措置を設けていただいております。

 昨年の三月で五年物の経過措置が切れました。経過措置が切れたということは、五年物の品目につきましては、PSEマークが張られていないものは販売規制がかかりまして販売できないということになるということでございます。

吉井委員 大体、新しい法律をつくって、その法律を遡及適用しよう、この発想から混乱を招いてしまっているんですよ。古いものが危なければあなたのおっしゃることもわかるんだけれども、何の問題もない、政府自身が、大丈夫だ、安全だということを技術基準で認めてマークを張りながら、この法律をつくったから、その法律以降に生産するものについてはわかりますよ、既にマークがついて市場に回っているものまで無理やり適用しようとしたからこういう混乱を招いたので、ですから、遡及適用しようとした、こんなやり方が次々と出てくると、新法をつくったら次々と全部遡及適用されてしまう、法律自体の体系をおかしくしてしまうんですよ。その解釈の誤りを犯したということをやはり正しておかないと、私は、このまま誤りを認めないということでいったら、本当の意味での責任を果たすということにはならないと思います。

 私は、大臣、現場がああいうふうに言っているとき、大臣として、解釈の誤りを正しますとなかなか言いにくいかもしれないけれども、しかし、その誤りを認めてこそ多くの被害者の方に対する責任をきちんと果たすということになっていくと思いますから、最後にこの点について大臣にお考えを伺って、時間が参りましたので、質問を終わりにしたいと思います。

甘利国務大臣 新法と旧法の技術基準は同一である、よって安全性にも差異がないということを確認する作業をきちんとやって間に合わせておけばよかったんだと思います。それが確認できないものでありますから、やはり安全行政については、不安があれば安全を優先するという立場でああいう対応をとったんだというふうに思っております。

 一万五千品をテストした結果、技術基準が同一であり、安全性にも差異がないということが確認されたということであろうと思います。

吉井委員 技術基準が同じで、前のものが危なかったんだなんというようなことを言ったら、政府自身が、前の政府の認証は間違っていましたということを認めることになるんですよ。そういう矛盾に落ち込むことになるんです。

 ですから、そのことをきちっと踏まえていただいて、法解釈の誤りがあったということをきちんと正していかれるよう求めて、時間が参りましたので、質問を終わります。

東委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより両案に対する討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、谷本龍哉君外三名から、自由民主党・無所属会、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。下条みつ君。

下条委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講じるべきである。

 一 特定保守製品の指定については、経年劣化事故の発生の実態を踏まえ、機動的な対応を図るとともに、本法施行前の既販品や特定保守製品以外の消費生活用製品についても、必要に応じた点検の実施や情報提供等、事故の未然防止のための事業者等の適確な取組みの推進に努めること。

 二 本法に基づく経年劣化対策の実効性を確保するため、製造事業者等(製造・輸入業者)、取引事業者(販売事業者、工務店、ハウスメーカー等)、関連事業者(仲介業者、設置業者、修理業者等)及び消費者に対し、制度の周知徹底を図るために万全の措置を講じ、各関係者の責務の適切な履行の確保を図ること。

 三 製造事業者等による点検の技術基準及び製品保守の体制整備に係る判断基準の策定に当たっては、製品安全の確保を第一義としつつ、循環型社会の推進に配慮し、消費者に過度の負担とならないよう留意すること。また、取引事業者については、所有者情報の収集に期待される役割の大きいことに鑑み、説明義務の確実な履行を期するとともに、所有者票の返送等の協力が確保されるよう関係部局が連携して取り組むこと。さらに、製品事故被害の拡大防止のため、個人情報の保護に十分配慮しつつ、製造事業者等、取引事業者及び関連事業者がそれぞれ所有者情報を適切に管理・活用するためのガイドラインを策定すること。なお、所有者情報等の円滑な把握等に資するため、ICタグの活用等IT化について検討すること。

 四 製造事業者等が廃業した場合を含め、点検の実施に万全を期するため、特定保守製品の点検を行う技術的能力を有する事業者について広く情報を収集・提供し、所有者の点検実施への注意喚起を図るとともに、点検に必要な人材の育成及び体制の整備を促進すること。

 五 事故の未然防止に資するため、独立行政法人製品評価技術基盤機構、独立行政法人国民生活センター、消費生活センター、消防及び警察等との相互の情報連携を一層強化しつつ、製品事故に関する情報の収集及び提供の機能強化に努めること。特に高齢者及び単身世帯に対する情報提供に当たっては、情報の確実な浸透を図るため、きめ細かな対応がなされるよう配慮すること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 次に、内閣提出、電気用品安全法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、谷本龍哉君外二名から、自由民主党・無所属会、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。下条みつ君。

下条委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    電気用品安全法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、中古品を含めた電気用品の安全性を確保するため、本法施行に当たり、次の点について適切な措置を講じるべきである。

 一 多発しているリチウムイオン電池の事故は、ものづくり立国の維持発展を目指す我が国の信頼を揺るがす事態であることに鑑み、再発防止を確保するため、設計、製造工程、使用形態等を視野に入れた安全基準の策定を図ること。

 二 経過措置期間終了に伴う中古電気用品の流通に関する混乱を教訓とし、今後とも、中古電気用品市場の実態把握に努めつつ、旧電気用品取締法に適合した安全な電気用品の流通に支障が生じることのないよう関係者に周知徹底を図るとともに、中古電気用品の安全性の確保に向けた取り組みの促進に努め、消費者の安全確保に万全を期すること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、両附帯決議について、甘利経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。甘利経済産業大臣。

甘利国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、これら法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

東委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

東委員長 次に、内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。甘利経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

甘利国務大臣 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を初めとする我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、同年十月十四日より、一度の延長措置を経て、平成十九年十月十三日までの間、北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を厳格に実施してまいりました。しかし、拉致問題について具体的な進展がないことや核問題を含む北朝鮮をめぐる諸般の事情を総合的に勘案し、平成十九年十月九日の閣議において、引き続き、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を実施することとしました。このうち、同法に基づき国会の承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第です。

 次に、本件の要旨を御説明申し上げます。

 本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による平成十九年十月九日の閣議決定に基づき、同年十月十四日より平成二十年四月十三日までの間、北朝鮮からのすべての貨物について経済産業大臣の輸入承認義務を課す措置を講じたことに加え、北朝鮮から第三国へ輸出する貨物の売買に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づいて国会の承認を求めることを内容とするものであります。

 以上が、本件の提案理由及び要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十一月二日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十三分散会


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