衆議院

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第5号 平成20年12月17日(水曜日)

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平成二十年十二月十七日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 岸田 文雄君

   理事 櫻田 義孝君 理事 中野 正志君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      小野 次郎君    岡部 英明君

      川条 志嘉君    木挽  司君

      高村 正彦君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      新藤 義孝君    平  将明君

      谷畑  孝君    土井 真樹君

      中野  清君    林  幹雄君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      武藤 容治君    矢野 隆司君

      安井潤一郎君    山本 明彦君

      太田 和美君    北神 圭朗君

      後藤  斎君    下条 みつ君

      田村 謙治君    牧  義夫君

      三谷 光男君    高木美智代君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   参考人

   (成城大学社会イノベーション学部長)       村本  孜君

   参考人

   (社団法人日本金型工業会会長)

   (大垣精工株式会社代表取締役社長)        上田 勝弘君

   参考人

   (株式会社エヌジェイアイ代表取締役)       橋本 弘幸君

   参考人

   (横浜国立大学・大学院環境情報研究院教授)    三井 逸友君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十七日

 辞任         補欠選任

  片山さつき君     小野 次郎君

  橋本  岳君     矢野 隆司君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     片山さつき君

  矢野 隆司君     橋本  岳君

    ―――――――――――――

十二月十七日

 中小建設業者の経営を守ることに関する請願(志位和夫君紹介)(第八七五号)

 原油価格高騰対策に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第九一二号)

 原油高への緊急対策を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第九一三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件(中小企業問題)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件、特に中小企業問題について調査を進めます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として成城大学社会イノベーション学部長村本孜君、社団法人日本金型工業会会長・大垣精工株式会社代表取締役社長上田勝弘君、株式会社エヌジェイアイ代表取締役橋本弘幸君及び横浜国立大学・大学院環境情報研究院教授三井逸友君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず村本参考人にお願いいたします。

村本参考人 おはようございます。御紹介いただきました村本でございます。本日は、こういう発言の機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。

 私自身は、金融周りの研究をしておりまして、その中で、中小企業、地域金融の問題も興味を持って研究している立場の者でございます。

 きょうお話しする内容につきましては、お手元の印刷物の一ページ目といいましょうか、めくっていただきましたところに発言要旨がございます。これに基づいてお話をし、なおかつ、あわせて時々資料を見ていただく、こんなスタイルでお話をさせていただきたいと思います。

 足元のといいましょうか、中小企業周りの問題は、大変難しい問題になっているなというのが認識でございます。

 めくっていただきまして二ページ目のスライド、これが直近のいわゆる景況調査でございます。月曜日に日銀短観が発表されまして、大企業については二十数ポイント下がるということで大騒ぎになっておりますが、実は中小企業についてはなだらかにといいますか、日銀短観、これは赤の四角の箱でございますが、もう二〇〇七年ぐらいからずっと下がり続けておりますので余り驚かないという気分はあるのですが、実はもうゼロのところから三〇ぐらいまで下がってきているというのが現状でございます。

 日銀短観は割合大きな企業、中堅の企業を見ておるのですが、もっと小さな企業を対象といたしました中小企業庁が出しております景況調査で見ますと、実は三年ぐらい前からもう十一期連続で下がり続けておりまして、横にダイダイ色の矢印で示してございますように、過去の不況期の水準よりも実はもう下がりつつあるということでございますので、かなり業況については心配される水準になってきておるのではないかという認識をしておるところでございます。

 あわせて三ページ目を見ていただくと、資金繰り、これも中小企業庁調査でございますけれども、水準がどんどん下がってきておりまして、二〇〇一年当時のレベルまで下がりつつある、これもかなり懸念されているところでございます。

 めくっていただきまして四枚目のスライド、図の三でございますが、これは同じく借り入れの難易度という指標でございますけれども、長期の借り入れ、短期の借り入れ、同じような問題を抱えておるわけでございます。

 同じ調査の五ページ目でございますが、そこに業種、地域別というデータもございますので見ておきますと、従来景気を牽引してまいりましたところ、機械、電機あるいは輸送機械、押しなべて急激に下がってきておりまして、かなり過去のレベルとも近い水準、あるいは地域別でも、従来輸出主導の企業に引っ張られてよかった地域も下がってきている、こういう状況でございます。

 こんなことで、景気全般はかなり厳しい状況になってきている。

 六ページ目に同じ調査の、フリーアンサーと申しますが、自由聞き取りの部分のものを簡単に幾つかプロットしてまいりましたけれども、アンダーラインで示しましたように、各地で需要の停滞感であるとか需要の減退、あるいは景気の悪化だとかいうようなコメントが出るようになってきております。

 少し前は、原油高騰の問題あるいはエネルギーの問題で、大変、資材高騰が価格に転嫁できないという話があったわけですけれども、原油は下がってまいりましたが実はそれが吸収できていない、こういう問題も抱えているようでございます。

 七ページ目に倒産の件数も示してございますけれども、これもかなり高いところにとどまっているということでございます。あわせて、それが雇用の問題にはね返ってきているというのが現況ではないかと思います。

 発言要旨、一ページ目に戻っていただきますと、それに対して、現在、緊急保証であるとかセーフティーネットであるとかさまざまな施策がとられておりますので、かなり対応策は進んでいるんだろうと思うんですけれども、緊急保証でぐあいの悪いところはセーフティーネット貸し付けに行くということになるんだろうと思いますが、それでも債務が非常に多ければなかなか借りられないということでございますので、現在、事業再生の制度が随分整備されてきております。

 資料の八枚目でございますけれども、御案内のような中小企業再生支援協議会が各地に整備されてきておりまして、ここに参って再生の協議をする、債務の整理をするということをやれば、かなり資金が得られるような状況が生まれてきておるわけでございます。現在までで千九百六件の再生計画が実はできておりますので、それだけの効果があるということが現状だろうと思います。

 特に、再生支援協議会で、デット・デット・スワップという言い方を我々はしておりますけれども、借り入れの一部を資本的な借入金にかえる、これはDDS、九ページの図の七でございますが、こういう商品が実はつくられるようになりました。これをやりますと、中小企業さんにとっては自己資本になりますので借り入れがしやすくなる、こういう仕掛けでございますが、こういったものも整備されるようになってきておるという状況でございますので、再生支援は大いに進んでいるのではないか。

 あるいは、中小企業再生支援協議会で実効性のある計画をつくる。実効的で抜本的な経営改善計画、実抜計画と言っておりますが、これをやりますと、貸し出し条件が緩和される債権は不良債権としては扱わない、こういうようなものになってきまして、大分中小企業さんの側でも助かるような状況が生まれております。

 あわせて、先週ですか、成立いたしました金融機能強化法、これがうまく機能いたしますれば、金融機関の側でも資金の提供ができるということで、リスケ債権の見直し、あるいは金融機能強化法ということで資本注入ができれば、かなりうまくいくはずだ、そういう制度の枠組みがつくられたというのが現状だろうと思いますので、いかにこれがうまく機能するかというのが重要な現下の問題ではないかというふうに整理をしております。

 私自身は、もう少し中長期的な視点で物事を考える必要があるのではないかと思っているところを申し上げたいと思います。

 資料の十ページ目、図の八でございますが、中小企業のいわゆる企業数というのは毎年中小企業白書で出ておりますが、過去、ざっくり二十年でいいますと、ピーク時の五百三十三万社が今四百二十万社、百万社以上が減少している。直近では、毎年十万社ぐらい減っているわけでございます。これは、人口も減っているわけですが企業も減っている。人口減少社会であると同時に、企業減少社会というのが現在の日本の状況でございます。やはり健全な企業が育っておりませんと、雇用も生まれませんし、あるいは経済の担い手がないという状況でございます。

 実際に、スライドの十一で見ますと、いわゆる開業率、廃業率のデータですが、一般的によく言われておりますように、開業よりも廃業、つまりやめてしまう企業が大変多い。これをどうするんだというのが大きな課題になっております。

 ただし、右側の、第三者を雇用している企業、これは開業率が、一時ちょっと下がりましたけれども廃業を上回っている。つまり、雇用を生み出すような元気な企業というのは、実は可能性の非常に高い企業であるというふうに考えられますので、ここをいかに育成するか、育てていくかということが重要になるわけだろうと思います。

 どうしてそういうことを考えているかというのですが、十二ページを見ていただきますと、一般的に経済成長というのは幾つかの要因で生まれてくるわけですが、一つは資本の伸びでございます。もう一つは労働、これは人口ですね。もう一つはTFPといいますか、これは全要素生産性という定義をいたしますが、技術でございます。

 今後は、労働のところは、これは残念ながら人口減少社会で下がらざるを得ないということでございますので、そこをカバーするのが技術のTFPのところでございます。したがいまして、いかにイノベーションといいますか、中小企業の分野でも元気になっていただくか、技術の革新をいかに実現するかというのが重要なポイントであろうと私は考えているわけでございます。

 そういうことで、将来に向けて、産業の担い手、あるいはサポーティングインダストリーなんといいますけれども、さまざまな技術を持った中小企業をいたずらに廃業に追い込まないような施策というのが重要であろう。例えば事業承継というのは、そういう問題を考えているわけでございます。

 例えば、事業承継をするときに、税制を改善したというだけで果たしていいんだろうか。本当に後継者がいない、人材がいないという問題が出てまいります。

 ですから、例えばですけれども、今団塊の世代が定年を迎えて七百万人からの人たちがリタイアしていくわけですけれども、そういう人たちの一割、あるいは五%の人たちがそういう分野に向いてくれれば、事業承継というのはできるんじゃないかというような観点を持っております。その残された十何年の間に、本当の後継者を育てていくというようなことができるんではないか。

 そうしますと、例えばですが、東京に住んでいる人が、では地方に行くんですか、Iターン、Uターンといいますが、インセンティブはあるんですかということになると、東京の自宅をそのままというのはなかなか難しい。

 現在、実は別な政策で、例えば国土交通省でやっているような住みかえ支援というのがある。東京に住んでいる人が一時的に賃貸に住む、その賃貸を保証してやりまして、十年たったら戻ってきてもいいですよと。それを支援する仕組みというのはもうできているわけですね。

 ですから、そういう政策を横断的に結びつけてやりまして、事業承継を実現するというようなことが実はあっていいのではないかというふうに考えておるわけですが、そんなような政策の組み合わせというのをぜひ考えていただきたいと思っております。

 それからもう一つは、金融機関。私は金融の専門家だと申しましたけれども、金融機関の側でも数年前からいわゆるリレーションシップバンキングということを申しておるわけですが、いわゆるつながり力ということを最近申します。新連携とか農商工連携、全部つながりということですけれども、そういうつながりをもっと実現するように、金融機関の方もリレーションを大事にしてほしいということを申しているわけです。

 それは、実現されますと、担保とか保証に過度に依存しない融資手法ということになるわけですが、それもだんだん整備をされてきている。不動産にかわって動産というような形で、機械とか設備とか、最近はICタグを使ったものも出てきておりますが、そういったものをもっと積極的に進めていくことが重要ではないか。

 私が一番重要だと最近思っておりますのが、スライドの最後のページなのですけれども、図の十一で、知的資産という言葉でございます。

 知的財産という言葉は普及しておりますけれども、知的資産と申しますのは、知的財産ももちろん入りますが、それ以外に、企業が持っているさまざまな要素、人材、技術、経営者のビジョン、あるいは将来に対する戦略等々ですが、いわゆる金融機関からお金を借りる場合には財務諸表が必要で、財務情報がないとだめなんですが、もし財務諸表がなくても、こういう情報があれば、こういうものを自由に使って融資ができないか。

 ヨーロッパではこういう研究を二〇〇〇年ぐらいから随分始めておりまして、報告書も出ていますが、そこに書きましたようなさまざまな資源を整理して、これをリポートにして、そのリポートでちゃんとお金が貸せるようなシステムをつくる、こういうことが重要になってきておるというのが今の状況ではないかと考えています。

 したがいまして、リレーションシップバンキングをやる場合に、目に見えない非財務情報をいかに使っていくか、それを具体的な融資に結びつけていくか。幾つかの金融機関はもうトライをしておりますので、こういったことが必要になるのではないかと考えております。

 もう一つは、電子記録債権ということを書いておきました。

 現在は、手形がだんだん使われなくなって売り掛け債権という問題になっているわけですが、これをインターネット上で処理するような仕掛けをつくれば、中小企業もいつでも現金化できるような仕掛けができます。これが電子記録債権というもので、もう法律が十二月から施行されましたけれども、これを実際に受け皿としてやる機関がないとうまくいかないわけでございます。

 現実には、幾つかの金融機関が手を挙げようとしておりますけれども、これは実現すると思いますが、こういったものを制度化して進めていくということで、中小企業の金融をうまくまとめていくことができるのではないかというふうに考えておるところでございます。

 押しなべて、地域の力をいかに実現するかは、地元の金融機関がいかに頑張るかということで、ここに書きました地域密着型金融をいかに実現するか。その中で、リレーションというのはつながり力ですから、さまざまなつながり力をいかに生かすか、これがポイントになってくるのではないかな。我が国にはまだまだ重要な技術を持った企業がたくさんございますので、そういったものをいかに育てていくのかということがポイントになると考えております。

 私の発言は以上で終わります。どうもありがとうございました。(拍手)

東委員長 ありがとうございました。

 次に、上田参考人にお願いいたします。

上田参考人 ただいま御紹介をいただきました上田でございます。

 私は、岐阜県の大垣市で金型あるいは精密プレス加工を行っております。また、全国組織であります社団法人日本金型工業会の会長を仰せつかっておりまして、東京へはたびたび出てくるわけでございますが、この十月から経済産業省の調査団でインドネシア、あるいは独自の金型工業会でベトナム、プライベートでは韓国、中国といろいろな国を回ってきておりまして、ほとんど日本にいなかったので資料も用意できませんでした。

 我々の金型というのは、先生方随分御理解いただいていると思うんですが、日本に今一万社、金型業界がございます。一万社で、働いている従業員が約十万人ということになりますと、一社当たり平均十人なんです。ですから、いわゆる中小企業の凝縮した、典型的な中小企業スタイルであるわけでございます。

 ところが、やっておる仕事といいますと、自動車、家電製品、ありとあらゆるものが金型という特殊ツールによってつくられている。まさしく、日本の産業の発展の原動力になったのは、陰で支えた、サポートインダストリーと言われる金型であったというふうに我々は認識をしております。

 その金型が、いわゆる大変なことになってしまったということなんです。

 今、日本の金型の生産額は、年間一兆七千億くらい。世界の大体四〇%を日本が生産しておる。続いてきておりますのは隣の中国なんです。中国が約二万社ほどありまして、国が広いものですから正確に集計はできませんが、これが大体もう一兆円を超えてきておるんじゃないかなというふうに想像されます。

 技術的には、日本の中小企業が長年にわたって熟成いたしましたベテランの職人わざの技術、こういったものが、日本の自動車だとか家電製品については大きな影響力と供給能力といいましょうか、そういうものを持って貢献してきたと言っても過言ではないと思っております。

 ところが、八月の北京オリンピックが終わった後何かが起こるというふうに私は想像しておったんですけれども、中国でバブルが崩壊するのではないかとかいろいろなことが言われてきたんですが、まさかアメリカからこういうとんでもないことが起こるとは夢にも思わなかった。我々中小企業にとっては、いわゆるハリケーンと地震と竜巻が一緒に来たような感じでございます。

 急速にことしの十月から仕事は落ちました。私の直近のヒアリングでは、大体もう三〇%ダウンはざらのこと、五〇%でどうするんだということで、今右往左往しながら、しかるべき手だてを打つこともできないという状況でございます。

 ですから、金融支援も非常に大事であります、しかし我々の業界では、金融より仕事だ、こういう声が一番強いんです。金融は、当面はカンフル剤の役割をすると思うんですけれども、仕事がなければ、使い果たしたらそれでもう終わっちゃうわけです。今大事なのは、大手企業メーカーが仕事が減った、海外の工場を中止した、こういったことが相次いでおりますが、中小企業にとっては、当面の金融よりも仕事をくれ、今こういう悲痛な叫びが我々の直近でも起こっております。

 古川先生もきょうお見えでございますが、愛知県はトヨタ王国と言われて、東京地区だとか関西が非常に景気が悪いと言っておるときにも、中部地区は非常にいいと言われて、我々も元気だったんですよ、中部地区でございますから。それが、御承知のとおり、今回の、いろいろな新聞記事で報道されておるように、大きなショックを受けて、この精神的ショックたるや本当に大変だと思っております。

 年末までは何とかいけると思うんですが、来年になったらこれはどうなるのかということであります。真剣に廃業を考えておる業界もありますし、我々の金型業界では七百五十社ほど加盟しておるんですが、東京でも随分、景気悪化のため廃業というのが連日報道されております。

 私は韓国へも行ってまいったんですけれども、同じ状況でございます。現代自動車を含め韓国の大手企業も全部カット、仕事減産、工場休止、こういった現状が今吹き荒れております。

 ただ、言えるのは、インドネシアとかベトナムはまだ経済成長が低いものですから、いわゆる国民所得も二万円ぐらいですから、その中で単車のローンを組んで買うというようなことで、まだ先進工業国のような大きな影響は受けてはおりません。しかしながら、我々、中国もそうですけれども、韓国、台湾、全部、これはどうなるんだということです。

 私が一番心配するのは、製造業でこれから立ち行かなくてはならない、日本のいわゆる根幹をなしている金型産業がこれで衰退をし、廃業が相次いだら日本はどうなるのか、こういうことを非常に危惧をしております。ですから、我々は今こそ、国を挙げて総動員で、新しい産業あるいは仕事の対策、雇用対策、実効のある対策を真剣に立てていただく時期が到来したというふうに私は考えております。

 いろいろ申し上げておるわけでございますが、きのうも、私の地元の金融機関の専務に連絡しまして、県の保証協会の保証の状態は今どうなっておるのかということをヒアリングしてまいったんですけれども、今窓口に殺到しております。ですから、職員が対応し切れないぐらい窓口に殺到しておる。

 一〇〇%保証ということですけれども、これについてはやはりまだ厳しい。以前からある債務とのキャッシュフローを考えて審査をしておりますから、若干審査の結果がおくれている。そういう遅いという不満も出ておるんですけれども、これは金をばらまくことじゃありませんから、いたし方がないと思っているんですけれども、今、愛知県でも岐阜県でも非常に満杯の状態で県保証のいわゆる融資申し込みが殺到しております。

 ですから、後をどうするのか、来年どうするのか。私はそれを考えると、これという政策は今のところ考えられません。しばらく右往左往しながら、推移を見ながらどうするかということだと思います。

 これが、金型業界でも底が見えて、これで底だ、よし、これから仕事はふえてくるよということがあれば我慢もできると思うんですけれども、今地元の大手メーカーでは、二〇一〇年からは仕事がふえるというデータがここ一年前からもあります。しかしそれも、やはり経済というのは生ものですから、どうなるかは確証がありません。

 そういう状態で、今金型メーカーは、会うと、仕事がない、君のところはどれだけ減ったか、五割減った、うちは三割減った、利益が全部飛んでしまう、人を切るにも、せっかく今まで養成してきた技術者を簡単にぽんと切ることはできない、こういう悩みを抱えながら、ことしは年末を迎える状況でございます。

 そういうことをひとつ御理解いただいて、私は、ものづくりの原点が金型であると思っていますので、これは中小企業に全部行き渡った、中小企業、製造業の大きな問題点が今発生をしているということを御理解いただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。(拍手)

東委員長 ありがとうございました。

 次に、橋本参考人にお願いいたします。

橋本参考人 橋本です。どうぞよろしくお願いいたします。

 当社は、昭和六十二年創業の、医療、介護、スポーツの企画、運営、コンサルティングをしている会社で、業界経験は二十二年を超えております。この業界は、今後の少子高齢時代の中で成長産業、そのように言われているわけですけれども、昨今の社会保障費の削減の一環として、年々診療報酬が病院の方は削減され、そのしわ寄せというものは、どうしても一番弱い我々卸とか、そういう業者の方に来てしまっております。

 お渡しした資料の一の方にも当社の売り上げが、これも今期というか、つくった資料でもあるんですけれども、年々落ちてきておりまして、利益がほとんど出ない、そういうような状況で今いて、来年は、医療機関の方では診療報酬がまた厳しいというところから、さらに価格の引き下げというものがもう既に要求が来ておりまして、先行きが見えない。そういうような中で、さらに病院の減少あるいは療養病床とかいろいろなものの削減、DPCと言われる包括化、こういうことで、どんどんとこの業界全体が悲壮感漂っておりまして、金融機関の方の融資姿勢も後ろ向きに今なってきております。

 そうしますと、どうしても病院の方は、診療よりも経営ということで利益重視の経営にならざるを得ない。そういうことで考えますと、どうしても借り入れして返済をということを病院が考えますと、患者さんを診るというよりも、患者さんのいるいないとか、どうやってふやすとか、そういうような中で経営を成り立たせている。

 ところが、最近は金融機関がどうしても融資をしてくれないということで、医療機関の方でも資金繰りが非常に大変だと。当社でもコンサルティングに行ったりすると、最近は資金繰りの相談ばかり。診療報酬の債権を担保に融資を受けたりとか、あるいは理事長とかが自分の生命保険を担保にお金を借りなくちゃいけない。こういうのが今現状になってきております。

 当社の方も、そういうあおりを受けて支払い遅延が出てまいりますと、どうしても当社も資金繰りが非常に厳しいということで、我々も今いろいろな形で資金を調達しようということでやっておるんですけれども、そろそろ限界かなというような形に来ております。個人保証で全部対応しなくちゃいけませんので、非常につらいというのが現状でございます。我々からすると、なぜ、公的医療保険で運営している医療機関が借り入れに苦慮しなくてはいけないのかとか、そういうことを非常になぜだというような気持ちを持っております。

 こういうような、本来は患者さんを治して、要するに在宅に帰ってもらってとかいろいろなことをやるべき病院が、収益のために患者さんをふやして、寝たきりをふやしてというような形になると、全く逆さまな仕組みになってしまうんじゃないかということを非常に危惧しているところでございます。

 医療、介護関係のというところで見ると、診療報酬の改定のたびに、医療機関はどうしても今の仕組みですと、クリニック、診療所ですね、病院、いろいろな仕組みがあるんですけれども、患者さんを奪い合う、こういうような仕組みになっておりまして、外来をいかに集めるかとか、そういうのにエネルギーを使ってしまう。本来、違う形でやるべきで、連携がとれているとかで病院は病院としての機能を保つとか、そういうことをやるべきではないか、そのように思っておるんですけれども、なかなかそういかない。

 そうしますと、どうしても百ベッドある病院はベッドの回転率を高めようということで、そのことによって入退院が決まる。こういうような状況で、ある意味、総合病院という部分では、外来もやる、手術もやる、入院もやる、こういうことが一カ所で行われるということで大変激務になっておりまして、そのことが最近の医師不足につながっているのではないか。

 要するにドクターの、特に若手のドクターの労働時間というものは絶句するほどで、しかも、休むと診療報酬がカットされるんですね。ですから、休みもとるにとれない。見方を変えると、ドクターは労働基準法というものが該当しませんので、最低の日雇い労働者というような位置づけになってしまうんじゃないか。これでは医師になって患者さんを治そうといった意識が生まれないのではないか。

 逆にまた、高齢で、もう要介護認定されているドクターがそのまま残って報酬がいただける、こういうのもいかがなものかというところもつけ加えておきます。

 次に、介護の部分なんですが、二〇〇〇年四月にスタートしました介護保険は、民間の活力も生かしながら社会全体で取り組もうというようなことで、当社もその事業にさまざまな形で参入してまいりました。ところが、既存の社会福祉法人とか社会福祉協議会とかいろいろなところで事業を運営しておりますので、株式会社を立ち上げたからといって、すぐに効果が出るものではない。最近のコムスン問題とかいろいろなものでも株式会社はということで影響が結構出ておりまして、お渡ししました図二、三、四、これは当社の方で介護事業として取り組んだものですけれども、ほとんどというか、全く黒字になっておりません。そういうようなことで、どうしても既存の施設に負けてしまう。これは、我々の努力という問題もあるんだとは思うんですけれども、制度としてどうあるべきかというところをもう少しいろいろな形で考えていただきたい。

 また、当社の方でも、事業所の閉鎖ということに追い込まれたわけなんですが、一カ所閉鎖しております。それは、病院の方は七対一看護に看護基準を変えたんですね。それで診療報酬を上げる。こういうことをやられまして、要するに介護に看護師さんが回ってこない、全国的な看護師不足という問題も出ました。

 そういうことで、我々が何とか事業を展開していこうと思っても、なかなかそういう仕組みがつくれない。行政の方でいろいろな政策が出るたびに、その影響を受けてしまう。そういうことから、ぜひこの辺の部分を考えていただきたいなということが一つです。

 しかも、介護関係でいえば、病院で寝たきりがある意味つくられてしまう。これは先ほども言いましたけれども、病院の看護師さんが非常に忙しいがために、病棟で寝ている患者さんが一番いい患者さんなんですね。出て歩かれると困る。ところが、リハビリの視点からいえば、歩いてもらった方が本当はいいはずなんです。

 そういうところがちぐはぐになってしまって、そのまま今度は介護施設に行く。介護施設では、リハビリをやって治すと報酬が下がる。こういうところから、治さない方がより効果がある、建物を建てて経営を安定させようと思えばどうしてもその方がいいというふうな形になってしまう。本来はリハビリをしっかりやりたい、そういうふうに考えて福祉学校とかいろいろなところで勉強して、よし、患者さんを治していい形にするぞと思った人がそういう施設に入ると、何もしなくていいですよ、寝たきりにした方がもうかるんだと。こういうような観点で行ってしまう。

 今の福祉施設は、本当に物もないし、新しいものも買わない。逆に買わない方が、要するに経営上成り立つ。こういうことになりますと、新しい機器とかいろいろなものが開発されても、全くそれが市場に出ていかない。こういうちぐはぐな仕組みになっておりますので、その辺のこともいろいろと御検討いただきたい、そのように思います。

 それから、当社では、本来医療、介護とかの社会保障はどうあるべきか、そのようなことを考えました。今後は民間の活力で社会保障の一端を担う時代で、高齢社会を考えた場合、超成長産業だろう、そのように位置づけました。先ほども言いましたけれども、介護機器が福祉施設とかいろいろなところになかなか入らないんですけれども、今後は、世界に先駆けて超高齢社会を迎える我が国では、ITとかいろいろな機器、こういうものこそ世界に打って出るというところで、いろいろな意味でその促進をしていただけないか、そのようなことを考えております。

 そもそも、先ほども触れましたけれども、健康を預かる、地域医療を担う医療機関、福祉施設が今全く逆な方向に行ってしまっておりますので、本来は病気を出さない、あるいは寝たきりをつくらない、そうなった場合にいち早く回復させる、そういうふうなことを考えた場合、もっと違う考え方があるんではないか。そのようなことを考えまして、当社では、今現在、病気の院が病院ということであれば、健康の院ということで健院というものを福島県の郡山市で一号店をスタートさせました。好評を得て今動いてはいるんですけれども、何分これも運営するまでには紆余曲折がありまして、まだ緒についたばかりなんですけれども、ぜひその辺の仕組みを。

 この辺をうまくつくることによって、医療、介護の費用は今後増大することが懸念されておりますので、我々の医療、福祉でも、実は病院とか福祉というのはすべてあるんですね、食べるから寝る、生活する、いろいろな業種が、我々の関係しているところだけでも二百業種ぐらい関係しております。ということからすると、この医療産業というものをもう一度いろいろな形で見ていただければ、今後の日本の超高齢社会という部分からすると、一つの起爆剤になるぐらいの考え方がとれるんではないか、そのようなことを思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 最後に、我が社では社員のモチベーションをどうして上げるかということを一生懸命取り組んでおりますが、最近の新聞、テレビ、ニュース、いろいろなものを見ますと、どうしても暗くなってしまう。そういう状況ですので、ぜひ明るいニュース、希望とか夢、こういうものを掲げていただければと思いまして、このことをお話ししまして、終わりたいと思います。

 御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

東委員長 ありがとうございました。

 最後に、三井参考人にお願いいたします。

三井参考人 御紹介いただきました横浜国大の三井でございます。

 厚かましくもお手元の資料に自己紹介をいっぱい書いてありますので、ごらんになっていただきたいと思いますが、私、現在、日本中小企業学会という学会の会長も務めておりまして、ちょうどこの九月に大会を北大で行いました。そのテーマが「中小企業と地域再生」ということで、まことに、ある意味においては皮肉にもこの現在の厳しい状況にフィットする状況でございまして、研究者の一員としても、この現状打開のために少しでもお役に立てればと自覚しているところでございます。

 既に上田参考人、橋本参考人からもお話がありましたように、この現下の世界的な金融危機と不況の中で、日本の中小企業は大変苦しんでおります。そこに働く四千万近い人々の将来、そして日本の将来がここにかかっているということは明らかだと思います。

 お手元に配りました資料は、村本参考人のものともいろいろ重複しておりますから、詳しいことは省かせていただきます。

 また、私、村本先生のもとで金融審のリレバンのワーキンググループにも参加してまいり、中小企業と金融機関のいい関係づくりが少しでも進めばと期待しており、そして、それが実際にかなり進んできたなと安心をしておりましたら、この状況でございまして、まことにじくじたるものがあるというか、残念千万でもあります。

 もっとも、お話にもありましたように、これはもちろん日本だけではありませんで、世界的でありまして、お隣の韓国におきましては、金融危機のみならず、特に円建てでお金を借りた企業が円の高騰、ウォンの急落で大変苦しんでおるといった状況すら伝えられているところでございます。さきのAPECの会議でも示されましたように、中小企業の今後ということが世界全体にとって大変重要な課題になってきていると私は思っているところでございます。

 さて、私としましては、日本のこうした厳しい状況をどう打開するかもございますが、やはり世界の流れの中で、かつまた中長期的に将来の日本というものを見据えながら、このグローバル化の時代における日本の将来、その中の日本の中小企業並びに中小企業政策の将来ということを少し考えたいと思っております。

 今さら「欧米か!」などということをまたここでやろうというつもりではございませんが、まねをするということではなくて、世界全体の動きということを少し知っていただきたい。その意味から申しますと、私の感じでは、もともと日本は中小企業に関する研究や議論あるいは政策というものは長い歴史を持っておる、世界の中では恐らく日本とアメリカだけであると思います。

 ところが、一九八〇年代以降、世界的にいわば中小企業の再発見という時代が来たと思っております。これはいろいろ理由がありますけれども、先進国の経済が不振に陥った、あるいは失業問題の長期化、果ては発展途上国が今までの経済成長の追求というものを見直してきた、あるいはまた社会主義を標榜してきた国が市場経済化を図る等々の動きがありまして、大きく見直しが行われてきたと思っております。その中で、大規模経済一本やりではなくて、中小規模の企業の効率性や機動性、柔軟性、企業家精神の発揮、新事業への挑戦、あるいはまた、欧米ではマイクロ企業という言い方がよく使われますが、そうした小規模な企業の持っている潜在的な力や技能の継承、あるいは雇用、就業、所得の機会、こういったものが再評価されるようになってきた、このように思っております。

 ただし、私は、その八〇年代以降、世界的にはそうした中小企業の再発見であると同時に、中小企業問題の再発見でもあると思っております。これは端的には、そうしたいろいろな可能性に期待をするのはいいんだけれども、今その中小企業が直面している問題を解決しなければ、その役割も発揮できないではないか、単なる夢に終わってしまうではないかという、こうした流れから大きく変わってきたと思います。

 象徴的には、二〇〇〇年にイタリア・ボローニャにおきましてOECDの中小企業関係閣僚会議というものが開かれ、発展途上国を含め多くの国が参加し、これ以来、世界八十カ国近くが世界的に中小企業政策をめぐって共通の議論等々を行う場ができているという状況があります。学界のレベルでもこうした議論は最近活発になっておりまして、私も、ちょうど先月、イギリスのベルファストで開かれました国際的な会議に行ってきたばかりでございます。

 こうした中で、私として、特にこの二十年来、お手元の資料にありますように、EU、欧州連合における中小企業政策の動きというものに注目し、これを研究してまいりました。先ほど申したように、別にまねをしろということではございませんが、これがいろいろな意味で世界で起こっていることを象徴し、かつまた日本の今後に示唆するところが大きいと思うんです。

 これは、何よりも非常に注目できるのは、今世界が苦しんでおる状況と同じように、このEU、ヨーロッパにおける中小企業への注目のきっかけは、実は雇用問題であった。当時のヨーロッパが長期の失業といった問題に悩んでいる状況の中で、これをどう打開するかということを中小企業に期待したということが直接のきっかけになっておるわけです。

 しかし、その後、九〇年代になりますと、やはり期待だけでもいけないよねという点が、先ほど申したようにヨーロッパの中小企業団体や欧州議会の議員等から盛んに出てまいりました。その中で具体的な問題、例えば金融問題、取引関係と代金支払い問題、事業承継と税制の問題、事業環境と規制の枠組みや行政負担の問題、官公需や政策機会への参加の問題等がいろいろ語られ、EUの行政府であります欧州委員会としても、中小企業の一般的な不利ということを認め、より積極的な対応を図る、こういう状況になってきたわけで、この辺は今の世界で起こっているのをいわば先取りといいましょうか、そうした状況があったと理解しております。

 そして、二〇〇〇年、二十一世紀を前にいたしまして、当時のEU加盟国は、成長と雇用のためのリスボン戦略というものに合意をいたしました。新しい時代の社会経済環境のもとで、競争力あり、持続的に成長、発展できる欧州経済を築くという壮大な戦略であります。そして、この同じときに、加盟国は欧州小企業憲章、チャーターというものに合意をいたしました。これは、小企業は欧州経済のバックボーンである、雇用の源であり、ビジネスアイデアを育てる大地であると格調高くうたいまして、小企業というものの存在を政策課題のトップに上げる、そして小企業と企業家精神に最良の環境をつくるべきであるとしたのです。それ以降、新しい加盟国を含め、多くの国々がこれに調印、参加しております。これは憲章という美しい文章にみんなで合意しただけではなくて、実は、毎年その進捗状況を確認するレポートを出し、会議を開き、そして各国やEU機関がこれに沿った努力をしているのかどうかをチェックするという大変厳しいものにもなっております。

 しかしなお、欧州の中小企業団体などは、これだけではまだ不十分だ、もっと拘束力のあるものをつくれということを要求してまいりました。そして、これに基づきまして、ことしの六月、欧州委員会として新たにSBA、スモール・ビジネス・アクト・フォー・ヨーロッパという、翻訳すれば小企業議定書と言えるものを発表いたしました。これはついこの間開かれましたEUの最高立法機関であります欧州理事会で最終採択されたはずですが、まだ確認をしておりませんが、基本的には異存はないということでこれまで来ておりますので、そのまま決まったと思います。

 これは、お手元の資料の中で、大変長いもので恐縮でありますが、中小企業家同友会全国協議会の報告の中で翻訳を紹介しております。私自身、この同友会の皆さん方とことしの五月に現地へ視察、調査に参りましたので、その際にこうした最新のSBAをめぐる状況等も目の当たりにしてくることができました。

 ごらんいただきますとわかるように、SBAは、先ほどの憲章が非常に格調高く始まっているのに比べますと非常に生々しいのであります。例えばその第二項には、倒産に瀕した正直な企業家は第二のチャンスをすぐに得られるようにするなんということが書いてありました。再チャレンジのチャンスがなきゃいけないよねということをうたっているぐらいであります。同時に、このSBAはさまざまな法制や行政などに対する包括的枠組みを示し、EUや各国政府が今後どういうことをすべきかという政治的な関与まで含めて具体的に明記され、非常に強いものを求められているわけでございます。

 そして、御案内のように、このSBAの採択ということが、世界的な金融危機真っただ中という事態にちょうどめぐり合わせてしまったわけでございます。そこで、この金融危機対応ということで先月招集されましたEUの競争力理事会といったところでは、既に御案内のように、欧州委員会として総額二千億ユーロにも上る景気回復計画というものが提出されて合意されたわけですが、その中でも、特にSBAを基礎としまして、中小企業、とりわけマイクロ企業のために全面的な支援あるいは規制の簡素化等々を進めるということを言及され、そしてまた、このSBA実施のためのアクションプランなども承認されております。そのうちには、EIB、欧州投資銀行などから中小企業向けの融資を二〇〇八年から二〇一一年までの間に三百億ユーロ新たに増額するといったことを決めている。もちろん各国の政府もいろいろなことをやっておるわけでございます。

 そして、こうした憲章やSBAの中で繰り返し用いられている表現は、ここのタイトルにもありますが、シンク・スモール・ファーストということでございまして、これは直訳すれば小さいところからまず考えよになりますが、端的には、小企業を第一に考えよという意味になっておるというふうに理解できます。これがSBAの副題にもなっております。英語の発音が私のように悪いと、シンクというのをうまく発音できませんと、シンク・スモール・ファースト、小企業を撃沈せよになってしまいまして非常にまずいのでありますが、本来はそうではない。

 いずれにせよ、大事なことは、これは狭い意味での中小企業政策を一生懸命やりなさいというだけではなくて、さまざまな法律や規則、枠組み、これは先ほど橋本参考人もおっしゃったようなことも含めて、あるいは行政や施策、そういうものが本当に中小企業、なかんずく小企業のためになっているのか、逆にその可能性を阻み、妨げているのではないか、これをいろいろなところでチェックし是正していく、これを求めているということでございます。そのためにはリスニング・ツー・スモール・ビジネス、小企業の声に耳を傾けるといったこともうたわれているわけであります。

 こうした理念というのは、もちろん、いわゆる中小企業の狭いエゴの主張を優先させるということではありません。しかし、ある意味そこまで踏み込まないと、欧州の経済状況や雇用状況がよくならない、また、ある意味ではその先にこそ経済社会の望ましいあり方があるといった姿勢がある。これは私は、アメリカ合衆国におけるスモールビジネスというものに対する政策の長い歴史、これにもある程度共通するものがあると思っております。それは、一つは、中小企業が社会的な存在であり、社会的使命に対して強い期待を持たれているということがあります。先ほど申し上げた雇用機会の拡大はもとより、社会的結束といった概念がよくEUでは用いられておりますが、言いかえれば、地域間や社会各層間の中の不均等の是正や地域の再生、社会的なニーズ等々に対応するということも同時に求められていると言えると思います。

 皆様御案内のように、社会政策や雇用政策の面でもEUの取り組みはいろいろ知るべきところが多大にあると思いますが、中小企業政策においても我々がいろいろ理解すべきところがあると私は思っております。

 終わりに、私として、今後の中小企業の将来、この危機と衰退から救うということをあえてうたいました。先ほど村本参考人が指摘されましたように、日本の中小企業は今、数的にもどんどん減っている状況である。実は、不思議なぐらいですが、今申し上げたEUの加盟国を初め、アメリカ等を含めて、いわゆる先進諸国というのは、基本的に中小企業はむしろ今ふえているんです。世界の中で、先進国で減っているのは、残念ながらと申しましょうか、日本だけなんですね。このこと自体、大変重要な意味を持っていると残念ながら思わざるを得ません。

 そういう中で、こうした特に今の世界的な危機という状況の中ですぐになすべきこと、あるいは中長期的になすべきこと、いろいろあると思います。例えば、先ほど村本参考人がおっしゃったように、私も、リレーションシップバンキングの中で、例えば、従来の日本の信用補完制度が一〇〇%保証という形になっているのは、EU等を含めて、やはり国際的なスタンダードからはちょっと違うのではないか。やはり金融機関にも相応のリスクは負担してもらう必要があるだろうと考え、いわゆる責任共有化という方向も是としたのですが、まことに残念なことに、それがちょうど最悪のタイミングになってしまって、世界的な金融危機で一挙に貸し渋り、貸しはがし問題が再来するといった状況の中では、その辺、私も考え方を反省すべきところかと思っております。

 さて、そういう中で、私は、本来、今日本の中小企業のためにやるべきことを四点ほど挙げたいのですが、もう時間もありませんので、一つ、二つだけに絞らせていただきます。

 一つは、中小企業の人材問題ということでございます。

 これもほかの参考人の皆様も御指摘の点でありますが、中小企業こそが将来の日本を担うと同時に、中小企業自体が人材の力によって担われているわけでございます。これは、さきに挙げましたEUにおけるSBA、これの第一項、第八項もその点を指摘しているぐらいであります。

 もちろん、中小企業における人材と申しましても、いろいろあります。昔からのいわゆる職人の人たち、手の仕事のすぐれた人たちをどう継承するかも大きな問題ですが、それだけではなくて、やはり先ほど村本先生がおっしゃったように、将来の企業経営者というもの、次世代の後継者や新しい企業を起こす人々を含めてどう育てていくかという問題も大きいと思っております。

 しかし、同時に、最近非常に大きな問題になっておりますのは、これは上田参考人も言われたように、ものづくりの人材をどうつないでいくかという問題があるかと思います。ただ、ものづくりといいますのも、ちょうど私、去年、ある調査で上田社長のところにもお邪魔をしたんですが、ただこつこつと今までの仕事を継いでいくというだけではなくて、今の急速な技術革新やグローバル化、こういうことに対応していけるような、そうした科学的な知識や新しい技術の知識をどんどん取り込めるような人たちというものが何より必要になっていると思うのでございます。

 ものづくりだけではありません。新しいビジネスを開拓する、営業を開拓する、新しい経営方法を応用する等々を含めて、そうした新しいタイプのいわば専門的な技能者、あるいは技術者に近い技能者、こういった人たちを育てていくことがいかに必要か。そのためには、それをただ受け継ぐだけではなくて、最新の科学技術や新しい知識を取り込めるような、大学や教育研究機関などとの連携ということが何より必要になっていると思います。

 しかし、これは私としてあえて申したいのでありますが、今の日本の政府の方向としては、特に雇用・能力開発機構といったところの今後にいろいろ批判もあるということで、いろいろお金の無駄もあるとは思いますが、しかし、それで職業訓練施設とかポリテクカレッジ等々を民営化するとか廃止するとかいった声がありますが、これは私が訪問した先のある中小企業の経営者の方がおっしゃっておりましたが、これからの中小企業はまさに技術の時代だよ、その時代においてこうした施設を廃止するなんというのはとんでもないことだ、自分のところは、ポリテクカレッジなどと連携して人を育てて、いい人をどんどんつくっている、そういうことをやめられたら本当にうちは死活問題ですということをおっしゃっておられた。すべて同じ意見であるかどうかはわかりませんが、こうした点は考えていただきたいと私は思っておるのであります。

 もう一点は、今後の中小企業政策全体のあり方でございます。

 その中で、私は、日本の中小企業政策に一つ欠けておるのは、やはり、先ほど申し上げたEUの動き等から見ても、いわば政策の社会性ともいうべき点が欠けていると思っております。先ほどの橋本参考人のように、まさに社会のニーズにこたえるようなビジネス、あるいはそれを、いわゆる営利企業だけではなくて、NPOや協同組合や、いろいろな形のやり方がありますが、実は、EUの中小企業政策の中には、こうしたいわゆる社会的企業とか非営利組織までも対象にしているんですね。それは一つ理由があります。そういうものの存在がそれぞれの社会に物すごく重要である。いわば第三の経済として重要な役割を果たしている。これを軽視してはならない。

 もう一つは、逆に、橋本参考人がおっしゃったように、そういうところがきちっと採算とれて持続可能な形で続きませんと、ボランティアだけではもたないわけですね。そういう意味からいうと、むしろ企業経営的なやり方が必要だし、これに対する政策的な支援も有効であるという立場があります。こういう点は、日本の中小企業政策の中で今後生かしていただきたい。

 さらにはまた、あえて苦言を申せば、日本の中小企業政策は余りにも中央集権的である、また余りにも縦割り的である。先ほど申し上げたように、EUの政策等はむしろ、産業政策、雇用政策、地域政策、いろいろな面を含めて、総合的、横断的、包括的にやっており、かつまたそのベースが、一方では、EUという一番の大もとがあり、方向を定めますが、他方では、むしろ各地域のレベルで政策機関といったものが大きな役割を果たし、そこで地域のそれぞれの実情に合わせた中長期的な戦略を立て、積極的な動きをやっておるわけでございます。私自身、そうしたEUの動き等を直接現地へ行って少しながら勉強してまいっておるわけですが、行くたびに、どうも日本のやり方と違うよなという感じが大変するわけでございます。

 今後につきまして、少し研究者の無責任な言い方かもしれませんが、日本の政策全体の枠組みを考え直す時期でもないのかなと思っているところでございます。

 長くなりました。失礼をいたしました。(拍手)

東委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野清君。

中野(清)委員 自民党の中野清です。

 私は、中小企業の経営者出身の議員といたしまして、思いやりと愛の現場主義をモットーとして、中小企業の立場から政治に取り組んでまいりました。本日は、百年に一度と言われるまことに厳しい日本経済の現状下でこの参考人の皆様の御意見を賜り、心から感謝しております。ありがとうございました。

 今日、リーマン・ショックを受けまして、わずか三カ月の間に劇的に悪化した我が国の経済状況というものは本当に目に余るものがあると私は考えております。中でも、私は、本日は金融と雇用について緊急の課題として取り上げさせていただきたいと思いますが、二十分でございますので、なるべく簡素に時間を使わせていただきたいと思います。

 まず第一に、金融についてお伺いをしたいと思います。

 ことしの企業の倒産件数は、ことしの十一月までに一万四千件台を突破しました。もちろん、大企業も三十件もふえている、そういう現状でございますけれども、特に、運転資金がなくなった、欠如ということでの倒産の増加が非常に著しいと思います。それから、当然のことでありますが、販売の不振ということもあると思う。それは私ども、データでは大体一〇%増の八千四百七十一件と言われております。

 私は、きょうは特に、中小企業が一日も早く、この金融の問題について期待をし、政治の空白の中で一カ月おくれてまいりましたけれども、金融機能強化法が先週の金曜日に成立したことについては、安堵をしたと言ってはおかしいんですけれども、一つの方向ができたと考えております。

 この法律の効果を上げるには、私は二つ課題があると考えております。

 一つは、資本注入がすべての金融機関に広がるように、そしてまた、そのすべての金融機関が中小企業の融資を弾力的にできるような新制度の運用、そういうものを早急に確立しなければ、この法律が生きたことにならないと考えております。

 二つ目は、融資を求めている中小企業、特に、中小企業の中で、銀行を選ぶんじゃなくて、本当に可能な限りその資金というものが行き渡るような姿勢といいましょうか、規制というものが必要じゃないかと私は考えております。

 まず、そのためには、中小企業金融において、特に資金調達に悩むところの弱い立場、そういう中小企業について各金融機関が最優先でこれをやる。そういう姿勢がなければ、これは絵にかいたもちになる。そう考えておりますが、この信用増大と、厳しい状況の中で今の金融機能強化法の成立と、今政府が何としてもやらなきゃならない中小企業金融政策について、申しわけありませんが、簡単に、四人の先生方からとりあえず御意見をいただきたいと思います。

村本参考人 おっしゃるように、金融機能強化法は非常に重要でございまして、これはいわゆる破綻をしたときに資本注入を入れるのではなくて予備的に入れるものですから、大いに活用すべきだと思いますし、おっしゃったように大いに活用されるような運用をしていただきたい。これはおっしゃるとおりだと思っておりますし、私もそう思います。

 それから、金融機関の側では、これは先ほど私も発表の中で申しましたように、いろいろな制度の改革ができておりますから、それを真摯に受けとめてほしい。よく聞きますと、資金ニーズがないというような言い方をされるのですが、資金ニーズはあるんですから、それに対していかに対応するかということを金融機関はもっとまじめに、まじめにと言うと失礼ですけれども、考えることが重要ではないかというのが私の基本的な考え方でございます。

上田参考人 中小企業の金融機関は、大体対象は信用組合であり信用金庫なんです。そして地方銀行も大きな影響力を持っておりますけれども、我々地元では、いわゆる中小企業向けの金融ということに非常に熱心に取り組んでおります。

 そして、地元の信用金庫でいきますと、経営サポート部というのがございまして、そこでいわゆる経営者の中に資金繰りあるいは運転資金が困難になったというところへは、もう中へ入り込んで、一緒に経営者とともに再建策あるいは改善策を講じておるということで、金融は、いろいろな関係で、こういう時代になっておりますから、貸しはがしだとか貸し渋りだとかいうことが顕著にあらわれますと、非常に反社会的な行為を銀行がやるのかということになりますから、私はその点は安堵しておるんですけれども、金融機関も、やはり今地元の金融機関も赤字になっているところもございますし、自社のリスクを回避するために、従来のいわゆる債務を検討しながら、新しい県保証の融資を加味しながら、総合債務をどうするかということで慎重を期しているところもございます。

 そういう意味で、私は、先ほど申し上げたように、金融というよりもやはり仕事が大事だと思います。

橋本参考人 私の方では、実際、金融機関の方と交渉をいろいろしてみると、本当に欲しいところに行かないんですね。要するに、金融機関が選ぶという。選ぶ視点は、逆にいいところに入れたい。ですから、安定しているところに、要するにお金がじゃぶじゃぶにあるところにさらに貸したい。ですから、貸さないんですね。本当に必要なところには貸せません、あと不況業種になっているところにも貸せませんと。こういうような形で考えると、今回の法律もどのように活用されるのか大変期待しているところです。

三井参考人 簡潔に参ります。

 一つは、私は、先ほど御意見があったように協同金融組織、信金、信組などの役割がやはりこれから非常に大事だと思います、その辺が本来の存在意義を果たせるかと。

 もう一つは、まさにリレーションシップバンキングの真価がこれから試されるので、それを、村本参考人もおっしゃったように、金融機関がどこまできちっとやるかということを大事にしたい、非常に抽象的でございますが。

中野(清)委員 ありがとうございました。

 私は、きょうはいっぱい問題を持ってきたんですけれども、二十分でございますので、その中から、例えば、政府の政策投資銀行の、今まで、はっきり言って、補完的機能で余り出過ぎるなと言っているのは私は逆だと思っています。ですから、これはどうしても、今の機会は政府系金融機関はきっちりやってもらわないと困る。この問題についてだけでも十分ぐらいかかっちゃいますので、それは御意見として皆さんももしよかったら言ってください。私はそのつもりでおります。絶対的に今の国金とか中金とか商工中金とかというものはもっと役割をふやすということを、私も皆さんにお誓いをしながら、これから質問を続けます。

 さて、その中で、私は、金融につきましては、例えば金融マニュアル、中小企業版を一番初めから関係してきました。ですから、今の金融マニュアルは前よりは少しはよくなってきていますけれども、まだまだ自分では不足でございます。

 そして今、お二人の大学の先生からリレーションバンキングの話がございましたが、私も、実はこれがどうしても今の金融の中では一番必要であると考えておるものでございます。これは、優越的な地位の濫用というのを金融機関は必ずやるんですよ。今おっしゃられたように、向こうの方が上なんですから。私は、五分五分にしろとは言わないけれども、せめて七、三ぐらいにはしろと言っております。

 それで、そこの中で一番大きな問題は、はっきり言って、リレバンに、信用金庫と信用組合とか第二地銀、地銀は入っているけれども、大手銀行は入っていないんですよ、けしからぬと。それについては金融庁はどうしているんだと、私はもう何回も言っています。特にこれはお二人の大学の先生からお伺いをしたいと思うんです。

 しかも、そういう意味ですから、融資の三分の一をやっているけれども、その中で、中小企業が大手銀行の中で何%かわからない、それから取引先もわからない、債務区分の中でどれだけの中のその中に要管理がいるんだとか、そういうことも全然わからない。これは大手銀行の姿勢が私は間違っていると思うんです。ですから、そういう意味でこれを考えなきゃいけない。

 そしてまた、その中で、今いわゆる要件緩和、これは少しよくなりました。しかし、今のままで、要件緩和は悪だという考え方は私はおかしいと思っているんです。ですから、これについてもし御意見があったらいただきたい。

 それから、このリレバンについて、私は、リレーションバンキングと金融検査が、同じ役所の中で片一方は検査局、片一方は監督局だからというので、全然関係がない、逆じゃないかと言っているんですよ。監督局が、検査局がやるときには必ずこれは融資の姿勢に響く、だからこれについてはきちっとやらなきゃいけない。それを、こういうことができていないからこそ貸し渋りや貸しはがしが起こるんですよ。また、回収が起こるんです。そういうことを私は考えておりますけれども、お二人の先生方、もしあったら上田さんも、少し簡単にお願いしたいと思いますけれども、では、三人、お願いします。

村本参考人 政策金融の重要性は御指摘のとおりだろうと思いますし、もう少しやることがあるというのは御指摘のとおりだろうと思います。

 それから、大手行がリレーションシップバンキングに入っていないのは問題点があるんじゃないか。これは、リレバンの議論をするときに、どこで区切るかをやってしまったから大手行を入れなかったところがあるんですけれども、大手行が中小企業金融に入ったのは、御案内と思いますけれども、スモールビジネスローン、クレジットスコアリングでやりました。リレバンの精神、いわゆるソフト情報を重視して、経営者を見る、事業実態を見る、ほとんどしませんので、大手行にも、そういうことができるのであればやっていただきたいというのが私の立場でございます。

 それから、条件緩和債権の話は、先ほど私も申しましたけれども、おっしゃったように、局の中の、金融庁の中の問題というのは私どもつまびらかではございませんけれども、そういうことがあるのであれば、ぜひ委員の力で解決していただきたいと思っております。

三井参考人 私も基本的に同意見であり、御指摘のように政策金融こそ今出番であると思います。ちょうど政策金融が統合されたばかりで、いろいろ内情を伺うと混乱している面もあるので、今こそ頑張っていただかなきゃいけないと非常に痛感するところでございます。

 リレバンのあり方、大手銀行が入っていないというところ、その辺のことはちょっと村本参考人もおっしゃられたことですが、私として一つだけ申し上げたいのは、やはり、金融庁は、リレーションシップバンキングの推進と金融の監督、特に金融再生の問題とを一緒にやるというのはおかしいという御指摘はよくわかるので、私も、当初から、リレバンの議論をここに持ち出せば、やはり、リレーションシップバンキングの状況を、そのいろいろデータを出させるのは金融庁の責任でも、それをウオッチし、それをチェックし、いろいろ要望していくのはむしろユーザーサイドである。ですから、いわばそういうパブリックガバナンスといいましょうか、そういうふうな形が本来望ましいのである。

 だから、ああいう形になったのは、ちょっと表現は悪いですけれども、私の理解では、いわば今までの金融再生のあり方、監督といったもののあり方がどうしても軌道修正が必要だった、いわば一つの落としどころじゃないかというふうに理解しておりますので、本来は委員の御指摘の点が大事だと思います。

上田参考人 私は、企業経営をやってから四十年になるんですけれども、政府系の金融関係では、御厄介になったことが国民金融公庫だけしかないんです。中小企業金融公庫は全然取引ができなかった。なぜかといいますと、担保第一主義なんです。国の財産だから無担保で貸さないということ。どれだけその企業が潜在的発展能力を持っていても貸さないということでありまして、先生がおっしゃったように、こういうときにこそ私は非常に大事じゃないかなと思っております。

中野(清)委員 時間が少ないようでございますから、私はもう一問用意したんですけれども、それは、今、上田さんがおっしゃった担保と保証がなければ貸さないというものですよ。しかも、口じゃうまいことを言っているけれども、実際には目ききがいない。そう言われて随分長いんですね。きのうやきょう言われたんじゃないんですよ。本当にいない。

 それでもって、担保や保証がなければ貸さない。もしあっても、価格が下がればこれはもうだめだと言っているということで、もっとこれについて私どもは徹底的に、金融機関のあり方、特に、先ほど先生方は、大銀行だから違うというけれども、実は大銀行だから、どれだけの中小企業がいるか、はっきりしなきゃ困るんですよ。だから、それにはリレバンをやれということなんです。それが全然、その数字さえもわからないで、少なくとも、七十四兆ですか、二兆ですか、三兆ですか、それだけの融資をしている中で、ではどのぐらい大銀行の中に中小企業の分があるかということ、それすらもわからない国なんて、ばかなことはないということだけはぜひ御理解願いたい。

 時間がございませんのでもう一つだけ、雇用についてだけ少し申し上げたいと思うんですよ。最後でございます。

 実は、十二月五日に自民党が、川崎PTを中心としまして自公のメンバーで、政府と一緒に、新たな雇用対策に関する提言というのを取りまとめたんです。この中には、生活対策において六十万人の雇用の確保、それから新たに八十万人の雇用の下支えの強化を行って、計百四十万人の雇用確保を目指すために、約三年間で今まで一兆円だったのを二兆にしよう、そういう予算を確保しようと決めたんです。

 今一番大きな問題というのは、例えば製造業において派遣の方に対する二〇〇九年問題。これは、先生方よく御存じだと思うんですよ。この三年間ということですね。二〇〇六年から三年間たったら、そこでもってみんな、三年間が期限ですから、この問題。それから、パートの失業の問題。

 そういう雇用の不安というものについてのいろいろな問題があるということなので、私どもはそれについては、雇いどめといいましょうか、それはパートとか派遣の皆さんを含めた雇用対策、維持対策。それからまた、そういうものを含めた再就職支援対策。それから、今学生の皆さんが問題の内定取り消し。この三つの柱でもって今一生懸命全力でやろうとしている、私はこれは賛成なんです。

 しかし、まだまだそれにはいろいろな問題があります。恐らく先生方もそういう意味でお気づきだと思いますので、時間がございませんので参考人の皆さんが望むところを、今緊急の雇用の対策というものはどこにあるんだ、それは問題点はどこなんだろう、それについて、申しわけありませんけれども、ぜひおわかりの範囲で結構ですからお話を四人の皆さんにお願いして、私の質問を終わりたいと思いますので、よろしくお願いします。

東委員長 それでは、簡潔にお願いします。

村本参考人 担保、保証、一つだけ。

 私のこれの最後の紙に書きましたような、担保、保証でないようなものをちゃんと使いなさい、それを具体化することが喫緊の課題だと思っております。

 雇用については、私も、大学で内定取り消しの学生が現実におります。ですから、そういうのを考えますと、まず、そういうことをさせないような仕掛けをやはり考えなきゃいかぬなというのが一つ。

 それから、派遣の問題、非正規雇用の問題、これはやはり見直さなきゃだめだろうなというような感じがしております。

 以上でございます。

上田参考人 我々金型業というのは、非正規社員で付加価値は生まれないんです。熟練の技術で、長きにわたって技術を養成していた者じゃないと品物ができないんです。ですから、私どもから考えると、非正規社員で大きな利益をもうけてきたという会社が非常にうらやましいんです。

 なぜ、ああいう身分差別のような雇用関係ができたのか。これは、日本国民としてもやはり責任があると思うんですよ。アメリカのレイオフからきておるんじゃないですか。そう思っております。

橋本参考人 私の方は、今、医療福祉では人手不足です。ヘルパーさんなんかは幾らでも場所として働けることが十分にありますので、そういうところも含めてぜひ御検討いただければと思います。

三井参考人 既に各参考人からもありますように、特に、私が先ほど強調したように、EUにおける政策は、やはり中小企業の役割は雇用で、それはまた人材の育成でもある。これは日本においてまさに同じことが今求められていると思います。

 その意味から、当面の緊急的な問題だけでなく、特に、私この間感じますのは、中小の企業が自社にとって望ましい人材を育てるという中で、実際には採用にはすごい苦労をしているわけですね、特にこの間景気がよかったということもありまして。だから、逆に言えば、パート、アルバイトの人たち、やる気がほとんどないような人たち、そういう人たちもどんどん採って、会社の中で鍛えて、勉強してもらい、それですぐれた将来の戦力になっていただいているという例を私もたくさん見ております。これは、これからますます重要になると思います。先ほどの橋本参考人のところもそうだと思います。

 ですから、私は、国の政策で、そうした中小企業が人を積極的に採用し、そして人を育て、すぐれた人材につくり上げていく、そういうところを大いに支援していただきたいと思うわけでございます。

中野(清)委員 時間が来ましたので、一言だけ申したいと思います。

 私は、今、あきんど議連という商店街を再生する会の会長をやっておりまして、中小企業の中には小売もあればサービス業もあれば製造業もあるんだと言っているんですよ。ところが、みんな、あきらめた方がいいと言ったんですけれども、私どもは今一生懸命、仲間たちと一緒に商店街の再生を考えております。

 これからは、最後は、中小企業の人たちに希望がなくなったらば、やる気がなくなったら終わるだけなんです、とにかくそのためには政治が全力を尽くしてやる。それは、例えば政府もやらなきゃいけないだろう、それから消費者もやらなきゃいけないだろう、しかも組合もやらなきゃいけないだろう。その三者がまず合同してやらなきゃいけない。また国会においても、その点については今は緊急事態だから、みんなでもって、調和を持って、そろって、一丸となって頑張りたいということを、私も民主党の皆さんと一緒に頑張りたいということをお誓いしながら、特に私は自民党でありますから自民党と公明党の皆さんと全力で頑張りますことをお誓いして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

東委員長 これにて中野清君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽でございます。

 本日は、大変お忙しい中、またお足元の悪い中、四名の参考人の皆さんにおかれましては、わざわざ足をお運びいただき、また貴重な御意見を拝聴させていただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。

 二十分間という限られた時間でございますが、私は、中小企業の生産性の向上について若干の考えがありますので、そのことについてが一つのテーマ。もう一つは、今、中野先生の御質問にもありましたが、中小企業金融についてが二つ目。三つ目は、国の政策、とるべきマクロ政策について、若干言及をさせていただきたい。この三点について質問を、取り組みをさせていただきたいと思います。限られた時間でございますので、各参考人の皆さんに質問できるかどうか、ちょっとわかりませんが、そこはお許しをいただきたいと考えるわけでございます。

 まず、中小企業の生産性の向上、こういうことを常々考えておりますが、中小企業というのは恐らく大変技術の蓄積がある。その技術の蓄積があったけれども、今まではどちらかというと、やはり親会社の、下請という言葉がいいかどうかわかりませんが、OEM、いいものをつくれば成り立っていた。ところが、バブルが崩壊してその親子関係が切れる中で、自分たちが企業としてマーケットに出ていかなければいけなくなった。そのときに、技術の蓄積はあるけれども、マーケティングですとか資金のやりくりですとかということは、親会社におんぶにだっこだったというような側面があって、大変苦労をされているところがあるのではないか。

 中小企業の数が減ってきたということについて、先ほど一つのマイナスの現象だというお話がございましたが、私はいろいろな側面があるんだろうというふうに思っております。しかし、いずれにしても、私は、今後、中小企業というのは、やはり生産性を向上させていく、体力を強くしていく企業がふえていかなければいけないのではないかということを考えているわけでございます。

 その一つ、まず人材であります。

 中小企業と一言で言っても、大変先端的な体力のある中小企業から、いまだに、フーテンの寅さんの映画でよく出てくる隣の鉄工所みたいな、ああいう町工場の中小企業というのは数多くあると思います。経理部長は社長の奥さんだったりとか、大体一族で経営されているというようなことの中で、海外に進出をといっても、生まれて一度も海外に行ったことがないというような、そんな実態のところも、私は実は、神戸市の長田区、兵庫区という下町では数多くあるわけであります。

 その中に、もう少し人材がうまくマッチングできないだろうかと。

 私は実は三井物産の出身でありまして、三井物産も団塊の世代の皆さんがもうそろそろ定年を迎えて、一斉にやめていく。こういった中で、やめるには惜しいなと思う人がたくさんいるんですね。そういう人たちが取引先の中小企業のところに行って海外進出の指揮をとったり、資金のやりくりをしたり、マーケティングに力を出したり、こういうことでうまくいっている例もあります。しかし、給与の問題ですとかプライドの問題ですとかさまざまな問題があって、なかなかその辺がマッチングできない。残念だな、ここを何とか解決するべきじゃないかと。人材のうまい供給というか団塊の世代の皆さんの活用みたいなことが一つ。

 もう一つは、少子高齢化ですから、いずれにしても外国人労働者というのは必ず必要になってくるというふうに考えておりますが、その点についてが二つ。

 この二点について、申しわけありませんが、大学の先生を代表して村本参考人、あと上田参考人にも実業界の現場からの声ということでお答えをいただければと思います。

村本参考人 人材のマッチングの問題、先ほど大企業に優秀な人材がという、私もプレゼンの中で団塊の世代が七百万人いるというお話をいたしましたが、まさにそういう問題だろうと思っておりまして、これは現在の政策の中でも、例えば中小企業基盤整備機構なんかがやっているような仕事がございますが、そういうのをもう少し活性化していくというようなことが重要ではないかなというのが一つでございます。

 外国人労働者については、おっしゃるとおりだろうと思います。

上田参考人 人材の問題につきまして、我々金型業界は一兆七千億の売り上げがあるにもかかわらず、学校にそれを専門に教える学科がなかったんです。これは私は、韓国との関係で、二十五年間向こうの国立ソウル産業大学の講師をやっているんですけれども、なぜ日本にないのかなということで、最近、地元岐阜大学、あるいは群馬大学、それから芝浦工業大学がキャンパス開講しますけれども、やっと御理解いただいた。

 これからの製造業は、やはりアイデア勝負、柔軟な発想で、技能と技術を取り合わせた有能な人材を業界でやはり養成していかないかぬ、こういうことを私は痛切に感じまして、まだスパンは長いとは思いますけれども、大学にそういう学科をつくっていただいたということは、私は将来の人材育成に非常に大きなかなめになるのではないかなというふうに感じております。

赤羽委員 ありがとうございます。

 実は長田区にはケミカルシューズという靴屋さんの集積地がありまして、この前、そこの一番頑張っている会社に現場を見させてもらいましたが、デザイナーというのは昔のイメージと違って、まさにパソコンの中での世界で、そういった学問を学んで、現場で腕を上げて、そこの企業は大変成功している企業でして、そこのデザイナーとして働いていることに大変なプライドを持っている。中小企業とはいえ、そこの企業で働けることにプライドが持てるような企業、生産性の向上というのは、言いかえれば、若者というか働く人がプライドを持てるような企業を多くしていくということが大事なのではないかというふうに私は考えているわけでございます。

 橋本参考人、外国人労働者について。日本の若者で介護をしたいとか、たくさんいらっしゃいますけれども、結婚を機にやめていくとか、目の前に幾つも事例を見ています。そういったものはどうしていくのかなと。もちろん、診療報酬をいじるとか介護保険の制度を抜本的に変えるとかということは当然のこととして考えますけれども、そこに外国人労働者の導入というのはどのように考えられるのか御確認をいただきたい。それと上田さん、たくみの世界に外国人労働者を入れることについてはどのように考えられているのか。それぞれお答えをいただきたいと思います。

橋本参考人 外国人労働者の活用ということで、医療、福祉の分野ではいろいろな規制がありまして、なかなか入れないというのが今現状でございます。

 また、なぜ離職が多いかというのは、低報酬もあるんですけれども、そもそもが、例えば介護ヘルパーという百五十時間の、本当にデスク上で資格を取ったということで、現実入ってみると、こんなに大変だと思わなかったという、要するに痴呆高齢者に対する処遇とかいろいろなものというのは想像を絶するんですね。

 そういうところから、要するに経験をもうちょっと積むとかいろいろなことが行えれば、これは多分定着はしていくんだろうと思うんですけれども、最も大きいのはやはり報酬が低いというところで、他の職種に移行していった方が楽だというようなことが非常に大きいかな、そのように思っております。

上田参考人 当社の場合を考えますと、私は外国人労働者という区別はないんです。当社には中国人の正規社員を全部雇っております。ですから、外国人労働者を安く使って付加価値を上げるというふうな考え方を私は一切持っておりません。全部正式社員で、昇格も全部一緒ということです。やはりそういうことを考えないと、我々の技術職は、はっきり申し上げて、外国人、国境はないんです。そういう政策で経営をいたしております。

赤羽委員 ありがとうございます。

 上田参考人のもとで働ける社員は大変幸せなんだろうなというふうに感じました。

 三井参考人にちょっとお伺いしますが、私はEUの中小企業についてほとんど見識はないんですが、直観的に言いますと、日本の中小企業の成り立ち、生い立ちとEUの中小企業の生い立ちとはちょっと違うんじゃないかなと。もともと、先ほど言いました私の神戸でも、三菱重工ですとか川崎重工とか、そういった大企業のまさに一パーツとして下請に専念していた。そこから先ほどのような展開がある。そういう状況とちょっと前提が違うというようなことはないのでしょうか。そこだけ簡単に教えていただければと思います。

三井参考人 大変難しい御質問でございまして、私もそれぞれの企業のバックグラウンドはどうだということを詳しく調べたわけでもないので、大ざっぱな言い方しかできませんが、一般的には私はそんなに違うとは思っておりません。やはり企業の成り立ち、また企業の目指すものは、日本でもヨーロッパでも、世界どこでも似ていると思います。

 ただ、違うとすれば、恐らく過去の経緯やいろいろなまた文化的な背景もあって、比較的独立性を志向する向きが強い。つまり、日本のように、大手のもとにいれば安泰だという考え方は余りないということは言えるでしょう。ただ、それがいいかどうかは私はいろいろ検討の余地があると思います。

 それから、先生の御指摘と関係することで少し余計なことを申し上げますが、さっきの外国人労働者等の問題にかかわって、私はもちろんそういう人たちをどう生かすかがすごく大事だと思いますが、同時に、EUやヨーロッパ、あるいはまたアメリカ等ではそういう人たちをどんどん生かしていく。これは、言葉としてはソーシャルインクルージョンといった概念にもかかわるんですが、そういう人たちがなかなかいい仕事につけないという形では、むしろ社会に摩擦が起き、混乱する。過去いろいろそういう苦労をしてきた。

 そういう中で、特にそういう人たちが新しく企業を起こすということを積極的に支援するという政策がごく普通に行われております。そういう人たちは大変企業家精神が活発なんですね。こういう考え方は、残念ながら日本には今までほとんど使われておりません。それでいいのかという疑問を私は持っております。

 もちろん、いろいろな問題が起こることは重々承知ですから、そういう摩擦をどう避けるかはあると思いますけれども、将来的には、まさに日本の中小企業がこれだけ減っている中で、むしろそういう外国籍の人たちも大いに日本でビジネスを起こし活躍していただく、グローバルに活躍していただくという場をつくるのも政策的に必要ではないかと思っております。

 ちょっと余計なことまで申し上げましたが。

赤羽委員 どうもありがとうございます。

 それでは次に、中小企業金融について質問を移らせていただきたいと思います。

 私は実家が小さな小売店、パン屋の息子でございまして、商店街にありました。その商店街には、メガバンクの支店が一つと信用金庫が一つあったんですね。当時のメガバンクの支店長というのは、私の印象では、商店街の店主たちのよき相談相手。いろいろなことがあると、そこの支店長にちょっと相談しに行く。そうすると、いろいろ、ビジネスとは別に、こうしろとか、この案件だったら信金から借りなさいと言ってつないでくれたりとか、まさにそれがリレーションシップバンキングの原型なんじゃないかと思うんですが、そういうソフトな面でのフォローがあった。だから、融資の相談で行っても、担保を出せとかなんてあほなことは、あほなことと言うのはちょっと語弊があるけれども、これは言わなくて、やはり目ききということがあった。

 私は今地元を歩いていますと、メガバンクの神戸支店の支店長あたりでも、決裁権がほとんどないんじゃないかと。本部に全部稟議事項になっている。だからなかなか目ききの力がないんじゃないかということも一つありますが、その決裁権というか、やはり金融庁の締めつけが多分あったりして、そういったことがすごく濃く実態としては反映しているんではないか、こう感じているんですが、この点について、村本参考人、御所見があればお伺いいたします。

村本参考人 メガがそういうことをやらなくなったのは、私は恐らく一九八〇年代以降のバブルだったと思うんですね。バブルのときに例の不動産担保融資で大いにやった、それでもう融資をするノウハウがなくなっちゃったんじゃないかと私は思っておりまして、そこら辺が一つの転換期ではなかったんだろうかと。

 ですから、それを引きずって現在に来ておりますから、結局、役所がどうこうというより、むしろ根っこのビジネスモデルがどうも変わってしまったんじゃないだろうかというのを痛切に感じるところでございます。

 したがいまして、先ほど申したように、中小企業に出ようとしても、まさに融資のノウハウがない、目きき能力がないという前提がありますから、スコアリングモデルでやらざるを得ないというようなことになって、実質的に退出せざるを得ない。ある時期はそれを信用保証協会にマル保融資で肩がわりさせちゃったということもあるわけなので、一つそこがやはり転換期ではなかったかな、そんな感じを持っています。

赤羽委員 先ほど上田参考人の御答弁で、中小企業にとっての金融機関は信金、信組だと。これは、信金、信組は地元に密着しているという肯定的な部分もありますが、一方では、資金力とか体力はメガバンクよりはちっちゃいわけですね。だから、メガバンクから相手にされないから信金、信組なんだ、頼らざるを得ないんだ、こういう側面もあるのかなと。

 先ほどの、中小企業にとっては信金、信組なんだという御答弁はどちらの感覚だったのか、ちょっと御解説というか、思いを教えていただければと思います。

上田参考人 私の地元では信金、信組が活躍しているんですけれども、中小企業の資金需要といいますと、やはり信金、信組で十分じゃないかと思います。

 それと、大手のメガバンクの支店長は、仲よくなってもどこかへぱっと行っちゃうんです。信用金庫の場合は、あれはどこへ行った、ここへ行った、絶えず我々の目の前に、それこそリレーションシップバンクだと。ですから、私は、中小企業は絶対に信金と信組を利用しなさい、やはり人間のつながりで、自分の経営もはらわたまでさらけ出して支援してもらえ、こういうふうに奨励をしております。

赤羽委員 ありがとうございます。

 本当は時間があれば村本参考人からハイブリッドファイナンスのお話もちょっと聞きたかったんですが、また別の機会に譲るとしまして、もう時間もわずかですので、最後に、マクロ政策について御助言をいただければと思います。

 一つは、先ほど上田参考人の御答弁で毎回言われていました、資金繰りが、確かにこの十月三十一日から十二月十六日まで、今回の緊急保証とセーフティーネット貸し付けで実に九万二千二百四十九件、実行金額も二兆二千百十九億円と、これまでにない勢いで貸し付けがされている。これは私は評価していただけるのではないか、こう思います。ただ、おっしゃるように、資金繰りがあって年は越えられても、来年度になると、本当の商売がなければ借金だけふえてしまってという、より厳しい状況になる。

 そういった意味では、とるべき政策は、やはり一つは需要創出をやっていく。これをやると、すぐ財政再建にとってとんでもないとか国の財政をどうするんだというような話になるんですが、全治三年間なんだと総理が言った以上、三年間は需要創出の具体的なことをする。これはなかなか難しくて、いい知恵がないんですね。世界じゅうを見ても、緑の公共事業とか道路と橋の修復とか、アメリカですらそういうことを言っている。しかし、そこは少々需要を喚起するようなことをやっていかなければいけないんじゃないかと。

 そのときに、私たちは今、例えば太陽光発電のことを経済産業省としてもやろうとしているんですが、全国の小中学校、公立学校、三万三千校あるんですが、ここに全部太陽光を張りつける、二十キロワット。これは、六千五百億円で実はできるんです。環境教育の効果もあるし、いざというときの防災対策にもなる。また、実は一件二千万円くらいの工事なので、地元の工務店に対するそういう意味での経済対策にもなる。また、今、各自動車企業がエコカー、電気自動車、プラグインハイブリッドとか、そんなことをやっておりますので、マーケットインできるような具体的な、国が少々金を出しても、どうなんだという議論じゃなくて、今、平時じゃないからやるんだというようなことをやるということが一つ。

 もう一つは、私は、金融政策、やはり金融緩和しなきゃいけないと思うんです。あしたからまた日銀の政策決定会合が二日間あるんですが、アメリカもけさ金利を大幅に下げました。もうゼロ金利の時代が来るわけですね。日本が何か〇・三%ということにこだわり、日銀のこだわりだと思うんですけれども、やはり私は、ここは大幅な金融緩和政策が必要なんだというふうに主張して発信もしているんです。

 済みません、時間も多分ないと思うので、特に最後の金融緩和について、この一点だけ村本先生の御所見をいただければと思うわけですが、よろしくお願いいたします。

村本参考人 ゼロ金利に戻すという可能性は一つの選択肢だと思いますので、それは検討しなければいけない。

 もう一つは、例えば、中小企業のCBO、CLOが今全然動かなくなっていますね。そういうのを、日銀が二、三年前にやりましたけれども、ちゃんと買い取るとか、まだ手はあると思いますので、そういう意味での緩和というのは必要であろうというふうに考えます。

赤羽委員 終わります。どうもありがとうございました。

東委員長 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村謙治君。

田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。

 本日は、四人の参考人の先生の皆様、お忙しいところお越しをいただき、大変貴重なお話をいただきまして、まことにありがとうございます。最初に、心よりお礼を申し上げます。

 時間も限られておりますので、私は主に、先ほどから委員の方々、金融について質問していらっしゃいますけれども、その延長というか、基本的には金融を中心にお伺いしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 さまざまなマスコミにも出ておりますし、今参考人の皆さんもおっしゃっておられましたように、実際貸し渋りというものが大変厳しい、そういう話は多々あるわけでございます。先ほどからお話もいろいろ出ておりますが、さらに何か具体的な話などがあれば教えていただきたいと思っておりまして、特にこの数カ月の変化、例えばもうちょっと前、半年、一年前と比べてどのように金融機関の姿勢というものが変化をしてきたのか。

 先ほど橋本参考人がちょっとおっしゃっておられましたけれども、何かほかにさらにあれば、いろいろと具体的な話を教えていただけるとありがたいんですけれども、いかがでございましょうか。橋本参考人にお願いします。

橋本参考人 金融機関の方の姿勢という部分で見ると、どうしてもいいところに貸したいというところで、いろいろな形で今動いているんですけれども、長期に貸していただけない。短期なんですね。

 いろいろな組み合わせでシンジケートローンとかいろいろな動きとかいうものもあるんですけれども、どうしても返済期間が短いがために、金利と返済財源合わせたトータルの利率というと十何%になってしまう。こうなってくると、結局は運転資金がどこかでショートする、こういう仕組みになるんですね。

 ですから、ぜひ、据え置きとか長期的な運転資金の貸し出し、こういうことをしていただければなおいいかと思います。

田村(謙)委員 ありがとうございます。

 今、まさに短期で、中長期の融資をよりちゃんとしてほしいという、先ほどから先生方のお話にあるリレーションシップバンキングという話につながってくるんだと思います。

 短期の方なんですけれども、いろいろニュースなどを見ていますと、中小零細企業において、年末の資金繰りというものにも窮して年を越えられないんじゃないかというような報道というのを多々聞くんです。短期に関しては十分な企業ももちろんあるとは思うんですけれども、実際それで窮していてどこからも借りられないというような会社がたくさんあって、倒産数が相当あるんじゃないかという予測もあったりしますが、そういうような状況について何かお感じになるというか、実際周辺にそういう話というのがもしあれば橋本参考人に教えていただきたい。

 あと、金融よりはむしろ別のところの方が大事だというふうにおっしゃっておられましたけれども、一応、上田参考人にもあわせてお伺いできればと思います。

橋本参考人 これは自分のところも含めてですけれども、短期の資金というものは本当に大変です。

 私の取引先なんかでも、やはり借入枠というものが金融機関の方で設定されているということで、借入枠を超えているので貸したくとも貸せない、こういうような仕組み。これは金融庁の方で銀行ごとに、これだけの取引先であれば大体このぐらいというふうな、行内の基準も何かあるみたいなんですけれども、そういうところで線引きされてしまっているので、どういう状況であっても、黒字であってもこれ以上は貸せない、ほかに行ってください、こういうふうな形になってしまうというのはいろいろなところで聞いております。

 また、先ほども説明の中でも触れましたけれども、担保というものが今要求されるような形の中で、何を担保にというところで非常に苦慮している、こういうところも非常に聞いておりますので、そういうところもいろいろ検討していただければと思います。

 また、信用保証協会とかそういうところを一度利用すると、実は企業評価が下がってしまう。ですから、ここは信用保証協会つきの資金を借りているのかということでメガバンクとかそういうところは評価を下げるということもありますので、ぜひその辺も検討していただければと思います。

上田参考人 金融問題につきましては、先ほど申し上げたように、中小企業は総じてやはり内部留保が薄いわけでして、金さえあれば当面年を越せるというところも随分あるでしょうし、二、三年赤字を食らったってうちの内部留保は厚いから大丈夫だという企業はあるでしょう。

 そういう中で、ちょうど六年前ですか、IT不況のあったときに、県保証、保証協会に随分力を入れたんですよ。ところが、あのときに、本当に真剣に仕事をしながら金融に困っておる人以外に、便乗融資を受けた連中が随分あるんです。悪質な、最初から返さないつもりでドロンしてしまうという。金融機関もあの当時二割のいわゆる自己保証をやっていましたので、これで痛い目に遭っている。ですから、そういう面では、短期の金融にしても慎重を期して、本当にこの企業は融資すれば再生できるのかどうかという融資の審査を非常に慎重にやっているというところも指摘をされております。

 でも、今回は一〇〇%保証ですから、そういう悪質な便乗融資を除外して、私は、今回は異常事態ですから平均してスムーズにいくものと思っておるんですけれども。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 先ほどから金融のお話もいろいろとほかの委員の御質問でも伺っているところでありますけれども、お話に出てきていないのが貸金業、貸金業者、いわゆるノンバンクともいいますけれども、一般にサラ金の方が有名ですけれども、いわゆる事業者金融の方ですね。まさに短期、さらに、いわゆる金融機関の場合にはどうしても担保がないとということで、先ほど、社長みずからの生命保険をとかそういう話がいろいろ出てくるわけです。それで何とかなるのであればいいですけれども、例えば年末といったような特殊な短期の資金繰りというのがそれでも調達できないというような場合、やはり無担保で迅速に貸し出しをしてくれるというところに、今までの事業者向け貸金業の役割というのもあったのかなというふうに思っているんです。

 御案内のように、二年前に貸金業法改正があって金利を引き下げるという方向になった中で、そもそも貸金業者の経営が最近非常に厳しくなってきている。まさに、貸金業者の貸し渋りというか、融資の審査も厳しくなってきているということを聞いているわけですけれども、それによる影響というものをお感じになるところがもしあれば、また橋本参考人と上田参考人に教えていただければと思います。

橋本参考人 議員おっしゃるとおりに、やはり貸金業の方から借りるというところも非常に今多くなってきている。

 また、貸金業の方が、例えば医療でいえば診療報酬債権を担保にした融資、こういう事業にもいろいろなところが今参入してきておりまして、そういうところにどうしても手を出してしまうという医療機関も多々ありまして、もちろん金利はほかよりは高くなる。基準はいろいろあるんだと思うんですけれども、そういうところを利用するということが今多々発生しております。

上田参考人 今おっしゃったように、消費者金融あるいはノンバンクが栄えるということは、逆に裏目でいきますと正規な銀行がなかなか貸し渋るということでありまして、好ましいことではないと思うんですよね。高い金利でますます、まあ、倒産する会社は必ずバックにそういうノンバンクの融資があります。

 ですから、私は、健全な会社経営の資金繰りはやはり正規の銀行が手厚く、よく企業のあれを分析して、経営者と一体となって企業の円滑な経営ができるように双方が努力をすべきだというふうに感じております。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 若干角度を変えまして、まさに、リレーションシップバンキングの発展というのが日本の中小企業の発展にも大変重要だということは、先ほどからもお話がありますし、私も認識をしているところではございます。そしてまた、村本先生も三井先生もいろいろな御提言というか、欧米の例も含めて御提言を前からしていらっしゃるわけであります。

 そういった中で、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、理想的なというか目指すべきリレーションシップバンキングに向けて、現在の地域金融機関というものがどの程度、まだまだだということをさっきおっしゃっておられたと思いますが、それが今後どのように発展して、どれぐらい期間がかかるのかとか、そこはいろいろな条件がありますから非常に雑駁な御質問になるんですけれども、例えば今のペース、今の状況ではとてもそういう望ましいリレーションシップバンキングというのは到底実現しないという、ひどい場合にはそういう進捗度合いもあるわけですけれども、現在の進捗度合いというのは、今後どうなっていくかというのを含めて、お感じになっていらっしゃるところを村本先生と三井先生にお伺いできればと思います。

村本参考人 リレーションシップバンキングで私が合格点をつけられるのは、ざっくり、六百ぐらいある中小地域金融機関の半分ぐらいかなと。ですから、これはもう早晩卒業できるかな、あるいはそこまでいけるかなという、時間軸でいえばそうなるべき。残りが問題でございまして、結局、そういうところがちゃんとやってくれるところまでやはり時間は相当かかるねというのが正直なところです。

 例えば、私が先ほど申し上げましたような、知的資産みたいなものを使ってやろうというのはもう現実にあるわけでして、実際にやっているところがございます。そういうところはもう早晩というのをとっくに超えているわけですけれども、とても興味を示さないところが、アンケートなんかをいたしますと全体の中でも半分ぐらいは残っておりますので、そういうところは時間がかかるというか、むしろおしりをたたかなければいけない状態だというふうに認識しております。

三井参考人 私は金融の専門というわけではございませんので、どのぐらいかかるかと言われると大変悩んでしまうわけでございます。

 一つは、日本の状況に参考になるかどうかわかりませんが、私の参考資料の中にも書いてありますが、ヨーロッパでもやはり金融の問題というのは中小企業にとってすごく厳しい問題がいっぱいあるわけですね。その中で、少し成果を上げつつあるという一般的な評価を受けておるのは円卓会議という形です。金融機関の代表と中小企業団体などの代表が同じテーブルに着いてざっくばらんに議論をして、どういう方向がいいのかということを合意していく、そういうスタイルなんですね。日本でそういうスタイルが同じようにできるかどうかわかりませんが、一つの考え方としてはあり得るかと思います。

 先ほど申し上げたように、リレーションシップバンキングというのは、何も金融庁がすべてを監督するということではなくて、むしろユーザーサイドがどう金融機関に要望しチェックしていくかということが大事だと思います。

 それからもう一つ、ちょっとついでに、私が伺うのも妙なんですけれども、最近よく聞くことは、今手形がどんどんなくなってきているということです。それはメリットもあるんでしょうけれども、私も専門ではございませんが、ただ、手形がなくなったことによって中小の企業が受取代金の資金繰りにおいて非常に苦しいという、やはり手形の場合は割り引いて現金化できるというメリットが多大にあったわけです。それでいいのかなという疑問を大変持っておりますので、むしろ専門家に伺いたいところです、私が質問する場ではございませんが。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 まさに地域金融機関、さらにリレーションシップバンキング、今、村本先生は、半分の機関が進んでいないというお話をおっしゃっておられましたけれども、まさに政府としてもいろいろな角度から後押しをしなければいけないということを我々が考えなければいけないわけです。

 先ほど三井先生は、いただいた資料にも書いていらっしゃいますように、政策が非常に縦割り的で中央集権的である、そこはヨーロッパをより見習って、例えば地方分権的にというようなお話をしていただきました。政策の縦割りということについて、この中小企業金融に関して何か具体的な例があれば教えていただきたい。

 あともう一つ、これは経産省さんの問題だと思いますので、たまたま、私も質問するので、村本先生の配付資料のきのうのバージョンをいただいていたんですね。そうすると、発言要旨の中には、横断的政策の必要性というのが書いてあったんですけれども、今度配付された資料には抜けているんですね。そもそも、村本先生のいろいろな論文の中に、まさに縦割り行政から脱却する必要があるということは私も読んでおりましたので、別にあら探しではなくて、大変重要な問題だと私も役所、財務省出身の人間としては認識をしております。

 村本先生に対しましては、なぜ今回配付資料から抜いてしまったのか、恐らく役人に頼まれたんだと思うんですけれども、それはお答えいただかなくてもいいです、もし差し支えなければ言っていただきまして、その上で、縦割り行政の弊害をどうすべきか、その縦割りというのを排除するにはどうすべきなのか。

 もしお考えがあれば、お二人にお伺いできればと思います。

三井参考人 縦割りの弊害ということは、御質問の委員も含めて、恐らくほとんどの皆様が認めていらっしゃるとは思うんです。

 特に、中小企業政策というのは、中小企業というのは言ってみれば生ものでありまして、金融のことだけとか何とかのことだけというものでは全くございません。とりあえずの問題対応という意味ではそれぞれ個別の対応も重要だと思いますが、やはりヨーロッパなどの動きで考えますと、まさに先ほどのほかの委員の御指摘もあるように、そういう企業が中長期的にイノベーションを起こしていく、そういう動きに対しては総合的なサポートをしていきませんとほとんど何の効果もございません。

 日本のやり方は、申しわけないですが、各省庁がそれぞれ自分のところで政策をつくり予算をつけて、それで企業や地方自治体などに手を挙げてください、そうしたら支援をしてあげますよというスタイルで、初めから非常に縦割り、中央集権的にできているわけですね。そうではなくて、もちろんヨーロッパでもあるいは各国でもそれぞれ縦割り制や集権制がないとは申しませんが、それぞれのところでもっと機動的にやれる、いわば政策の主体というもの、そこにやはり大幅なお金と権限を移して、それで機動的にやるという体制を持っていかないといかぬのじゃないか。

 それからもう一つは、やはり私が申し上げたように、中小企業の立場というもの、シンク・スモール・ファーストといった原理を積極的に反映していくために、例えば日本の中小企業庁さんがそれをやるといったらほかの省庁からは総スカンを食ってボイコットでも受けるかもしれないので、余り望まれることかどうかわかりませんけれども、極端に言えば、アメリカやヨーロッパでそれに近いやり方を実際にやっているわけです。

 アメリカの小企業庁、スモール・ビジネス・アドミニストレーションというのがありますが、これは中小企業の利害を代表し、ほかの連邦や各州の政策にそれが十分反映しているかどうかをチェックするという役割すら持っているわけですね。こういう発想をもう少し日本で考えていけないのかな、その辺に中小企業庁の役割も変えていく必要があるんじゃないかなと勝手に思っております。

村本参考人 横断的がなくなったのは別に特別な理由はなくて、たまたま、つくるときにちょっと字数が多くなったのでというぐらいのことなんです。

 私、プレゼンのときに申しましたように、横断的な政策が必要だと。例えば、新現役チャレンジなんてやっていますけれども、東京にいる人が関西に行って、あるいは地方に行って本当に住宅の問題で困っちゃうわけですね。そういうときに政策手段がちゃんと機能していないじゃないかということは常々申しておりますので、全くそこは何のあれもないということだけは申しておきたいと思います。

 それから、横断的なものがもっと必要だと思いますのは、例えばイギリスなどでは中小企業対策というのは実は雇用省がやっておるわけでして、横断的な政策の仕組みはできているわけですね。ですから、縦割り行政の中でというよりも、むしろ政策自体のスタンスをそういうふうに向けていかないと、どうしても問題は解決していかないんじゃないかというのが私が申し上げたかったことでございます。

田村(謙)委員 時間が来てしまいました。

 まだまだいろいろとお伺いしたかったんですけれども、特に橋本参考人はまさに医療福祉施設をやっていらっしゃって、そこら辺も産業政策として経済産業委員会でも十分いろいろなお話を伺えるところではあったんですけれども、今回は時間の制約でお伺いできませんでした。

 例えば文章に書いていらっしゃるように、スウェーデンで福祉施設というのは、もう二十年ぐらい前に建設を禁止したと。要は、福祉施設にそういう福祉対象者を閉じ込めるのではなくて、一般の人と一緒に暮らせるような社会を目指していると。そういう意味では、日本はもう二、三十年おくれなわけでありまして、まさに医療、福祉なども日本が産業政策として重点的に推し進めていくというのは大変重要だと思います。

 そういった、欧米にも参考になる例はたくさんありますし、そこら辺を結局全然勉強せずにそれぞれの省庁がいがみ合いをしているというのがまさに今の政権の問題でございまして、我々民主党は、例えば中小企業担当大臣をつくるとか、しっかりとそこら辺は政権のリーダーシップを持って、縦割りなんというものは全くなくなるような政治を来年の総選挙以降すぐから実現したいと思っておりますので、その後も引き続き御指導くださいますように四人の先生方にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

東委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 本日は、大変お忙しい中、四人の参考人の皆さん方にはどうもありがとうございます。

 私は、最初、村本参考人にお伺いしたいと思います。

 調査室の方からあらかじめいただいておりました資料の中で、リレーションシップバンキングとスコアリングローンのことなどを論じておられるところを関心を持って読ませていただいたんですが、私たちも地域金融機関を活性化するその仕組みについて、これは非常に重要だしそれをやっていかなければいけないということで、これまで提案もしているところでございますが、ちょうど二〇〇〇年代に入ってから、二〇〇一年以降でしたか、一年間で六十近い地方銀行や地域信金、信組が、ばたばたとかなり政策的に破綻させられてしまうということがあって以来、やはり地域の皆さんの技術力とか信用力とか、そういうものをきちんと情報をつかむ、そこが地域金融機関の側に大事ですけれども、今そこが非常に弱くなっているというふうに思うわけです。この点では、やはり地域の金融機関の人材の育成ということと、きちんと配置するということなしには、リレーションシップバンキングといってもうまく機能するかどうかということが非常に懸念されるところだと思います。

 この点についての村本参考人の御意見というものを伺いたいと思います。

    〔委員長退席、梶山委員長代理着席〕

村本参考人 技術力とか信用力というのは、地元でまさに見ていないとわからない、そういう情報のたぐいでございますので、そういう目ききを持つ人材が必要だということでございます。ですから、金融機関が減少して拠点がなくなれば、当然それがなくなってしまうということになるだろうと思います。

 ただ、データを見てみますと、信用金庫、信用組合は確かに数が少なくなりましたけれども、では、支店数、拠点数というのがそれに応じて同じだけ少なくなったかというと、そうでもないということもございますので、辛うじて、人材が全くなくなってきているというわけではないだろうというふうに考えております。

吉井委員 今の金融危機のもとで、金融機関は、大手から中小に至るまで、リストラなどで力を持った人が失われ、新しい人が育たないということになると、この分野では非常に心配な事態が今後進んでいくだろう。これは何としても食いとめなきゃいけないというふうに考えております。

 次に、三井参考人に伺いたいんです。

 金融自由化で金融ばくちが破綻して、そして一方、外需頼みの成長が今行き詰まってしまった。そうすると、こういうときにこそ、中小企業の発展によって国民の所得を高め、国内における消費購買力を高めて、そして内需を支えていくということが大事だということが一つ。もう一つは、新しい製品の開発とかそれを担う技術力を本当に日本の国内で支えていくという点では、いろいろな意味から中小企業の役割というのは大事だと思うんです。

 この点で、先生先ほど御紹介いただきましたヨーロッパの中小企業憲章、それからSBAの中で、中小企業というものの位置づけとか、それをどのように発展させようということで取り組んでいるのかということについて、お話を伺いたいと思います。

三井参考人 ありがとうございます。

 現状打開のために今までの方向をどう変えるか。私は、いわゆるマクロの問題というのは苦手な方なので余り詳しい言い方はできませんが、アバウトになってしまいますけれども、委員のお話のように、国内の消費購買力を高め、もっと内需主導に転換する必要があるというのは、恐らく二十年前から多くの方が言ってきたと思うんですが、結果的にはほとんど変わっていない。この現状をやはりこの機会に大きく変えないといかぬなと。

 よく言われますように、これだけ厳しい中でもずっと日本は貿易、輸出超過で黒字を稼いできて、そのお金がせっせとアメリカの無駄遣いに回った。こういう仕組みを変えて、国民が積極的にお金を使えるようにして、収支のバランスもとらなきゃいけないと思うんですね。

 それともう一つは、今のEU等の動きでも出ているんですが、EUは、御案内のように、環境問題等には非常に規制の厳しい、そういう世論もあり、またそういう政策をやってきたところです。しかし、今盛んに言われていることは、さっきのSBAなどでもそうなんですが、環境問題をただ単に中小企業などに規制として強化するだけではない、それは守らなきゃいけない、しかし同時に、これを積極的にビジネスチャンスにしてもらいたい。

 先ほどほかの委員の方もおっしゃられたように、今、こうしたいろいろな環境ビジネス等々、これはいろいろな可能性があります。そういうものが本当に未来の、二十二世紀に向けての社会には絶対必要になるわけですから、そういうところをもっと積極的に開拓していく。そこにそれこそ、委員の御指摘のように、新しい技術開発とかそういうものを積極的に推進する、こういうことが何より大事だと思います。

 御指摘のように、ヨーロッパなどにおきましても、憲章やSBAにおきましても、そうした中小企業が積極的に新しい技術開発等々を担っていける。これは逆に言えば、ヨーロッパは、過去の反省として、大企業中心では研究開発や事業化はなかなか思うようにいかないよ、積極的にやらなきゃいけないんじゃないかという考え方が非常に強くそういうところにも反映しております。

 例えば、先ほど申し上げたように、私、同友会の皆さんと行ってきたときにフィンランドへ行ってまいりました。その際に、フィンランドは御案内のように最近大変注目されておりますが、一口に言えば、ノキアだけが目立っている国なんですね。それは否定できません。しかし、ノキアだけが頑張って、あとの中小企業は何もしていないわけでは全くなくて、逆に非常に印象的だったのは、ノキアしかないということもありますけれども、ノキアが、中小のいろいろな研究開発や新事業化の努力を非常にいろいろな形でサポートしているんですね。

 日本の中小企業は、これまで大企業と手を携えてうまくやってきて非常に生産性を高めた、世界に自動車を売りまくったところはありますが、同時に、やはり、これからの中小の積極的な研究開発や事業化を大手の企業も大いに側面支援していただきたい、そういうふうに私は思っております。これが必要だと思います。

吉井委員 三井参考人にさらに伺っておきたいんです。

 ヨーロッパでは、中小企業憲章から、やはり法律のような形でもう少し強い縛りをかけるといいますか、もう少し積極的な政策展開が必要だという考えなどもあるように伺っておりますが、この点についても教えていただきたいと思います。

三井参考人 先ほど御指摘申し上げましたように、二〇〇〇年の憲章というのは、結局、それだけでは十分じゃないよという声が中小企業団体などから非常にありまして、議会などでもそういう指摘がたくさんあった。その結果、今回のSBAというのがある。これがどの程度の拘束力、強制力があるのかというのは、まだどうもよくわからない部分が正直言ってあるんですけれども、しかし、立場としては前よりも一段と強化される。

 特にEUの場合は、ただ強化するといってもEUがすべてやるわけじゃないので、あくまで連合でありますから、加盟各国にどの程度の力を持つかということになります。ただ、これは恐らく従来よりはかなり具体的であり、かなり踏み込んだことが求められてくるだろう。それに加盟各国が合意すれば、やらなきゃいけないということになるんだ、こういうふうに理解しております。

吉井委員 もう一つ、三井参考人にお伺いしておきたいんです。

 EUの付加価値税率指令というのがあるようですが、SBAの中では、シンク・スモール・ファーストの原則から、中小企業によって供給されている地域的なサービスに対して、軽減された付加価値税率を適用するという選択肢を加盟国に提供するということが、先生方の調査の中でも報告書に載せられておりました。

 これは、私たち、今の消費税率のもとでも食料品非課税とか、国民の暮らしを少しサポートすることによって今の経済危機をどう打開するかということもありますが、同時に、中小企業の皆さんのサービスとかそういうものについて、軽減税率によって、今実際に中小企業はかなり負担が重くなっておりますが、それを少しでもやりやすくするということを考えた場合に、EU指令がどういう内容なのかということを知りたいものですから、よろしくお願いします。

    〔梶山委員長代理退席、委員長着席〕

三井参考人 御指摘の点はSBAの条文の中に書かれておりますわけで、付加価値税率に関する新たな指令を出すという可能性ということになります。ただ、御存じのように、あくまでまだ税制は各主権国家の責任、権限のもとにありますから、各国それぞれの立場でやっておりますので、一律になることはなかなか難しいと思います。

 ただ、現在の非常に危機的な状況の中で、特にこれは中小企業のためということだけではなくて、むしろ、地域的なサービスという、先ほども申し上げましたように、今必要なさまざまな社会的サービス等に対して、積極的にそういうものを中小企業に担っていってもらいたい。そのための一つのインセンティブとして、そうした税制措置がとられるという可能性はあり得ると思います。

 また、御案内のように、ヨーロッパの付加価値税制は国によって違いますが、食料品などに対しては非課税とか低減税率とか、そういう形もいろいろとられており、また、ついこの間イギリスは、この不況対策、危機対策ということで一律に税率を下げるとかいった消費刺激もやっている。いろいろな選択肢があり得ると思います。

 私は、日本の消費税がすべて悪いと思っているわけではありませんが、まだまだいろいろな使い道をむしろ考えていいんではないか。少なくとも今の危機的状況の中で、申しわけないですが、消費税を上げるということはやはり言わない方がいいんじゃないですかと思っておりますので、そういうことを含めて申し上げます。

吉井委員 三井先生に、最後にもう一点お伺いしておきたいんです。

 先ほど、環境問題について、中小企業に環境対策をとれということを求めるだけじゃなくて、ビジネスチャンスとしてということでお話がありました。

 実は、この委員会で私もせんだって太陽光発電の問題について取り上げまして、今年度の補正予算と来年度の予算要求分、予算要求のとおりいくかどうかというのは別な話ですけれども、合わせて三百二十八億円、それを投じて補助金として使おうというわけですが、これは、大手のハウスメーカーに補助金がすっと流れただけでは、なかなか中小企業の仕事に回ってまいりませんから、財源の面から見ますと、今、電気料金の中に入っている電源開発促進税が年間大体三千七百億円ぐらいあります。その一部が原発立地自治体をなだめるために使われたりしていますけれども、仮に、今年度入ってくる三千四百億ぐらいを丸々補助金として使うとすると、これは百四十万戸の既存住宅に太陽光パネルを設置する仕事に回ります。これは間違いなく地域の工務店とか電器屋さんなどが共同して取り組む事業として生きるものですから、それで起こる電力が大体年間五十億キロワット時です。

 ですから、電促税を十年間補助金として使いますと、千四百万戸の既存住宅に仕事を生み出すことができて、発電される電力量は五百億キロワット時を超えますから、現在の東京電力の柏崎刈羽原発一カ所で一号機から七号機で合わせてつくっているのが大体五百億キロワット時ですから、今は停止中ですけれども、そうすると、柏崎刈羽の一カ所分を生み出すだけの発電電力量が燃料費ただで、電力会社からすると資本費ゼロで、おいしい話にも本来はなってくるわけですが、できると。しかし、それが中小企業に仕事として回れば、確実に今日の危機的な状況の中で、先ほど上田参考人からもありました、金よりも仕事をと。分野は限られるにしても、確実に仕事が中小企業に回る。これは経済対策の面としても有効なものになるというふうに考えているわけであります。

 この点で、政府の補助金とかあるいは役所の人的なコントロールを受けることなく、中小業者自身がみずから組織を持って、そして、国に対しては政策強化を求めるとか、また予算、財源の増額を求めていくとか、そういう取り組み、つまり中小業者自身の取り組みの発展ということも非常に大事だというふうに思っているわけです。

 そういう点で、EUの小企業それからアメリカのマイクロビジネスなどに対する支援、その取り組みの経験というものをお聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いします。

三井参考人 大変お恥ずかしいことでございますが、そうした具体的な個別のヨーロッパやアメリカ等における取り組み状況というまでは、なかなか私もまだ勉強しておりません。大変公式的な答弁になりますが、今後の勉強課題にさせていただきたいと思うところです。

 ただ、日本の中につきましては、今委員のおっしゃったような一つのプロジェクトのアイデアというのは非常にいろいろ可能性があると思いますし、そうした電力に限らず、既に日本の中ではいろいろな協同組合組織などを含めて、代替的なエネルギーの開発とかリサイクルとか、そういったことをやっておられるわけですね。

 私もそういう現場等をいろいろ見に行ったりして勉強もさせていただきましたが、やはり、申しわけないけれども、もっといろいろやり方があるよと。これは、もちろんお金がないという問題もあります。そういうところにもっと科学研究などのお金を出すことで、小規模な新しいタイプの技術というものが実用化できるということを国の科学技術政策などでも支援していただきたいと思うし、同時に、もう一つ、やはり、それをビジネスとして成り立たせるための、まさに先ほど申し上げたような経営的なやり方とか販売の仕方、あるいは、そうした多くの人に参加してもらうやり方等において、もっといろいろ活用できるところがあるんじゃないか、そういう点につきまして日本の中小企業庁などもいろいろ考えて進めていただきたい。

 お答えになっていなくて大変恐縮でございます。

吉井委員 次に、上田参考人にお願いしたいと思います。

 これは、二〇〇三年の下代法の改正で金型製造に係る下請取引についても入ったわけですが、しかし、単価の圧迫だけじゃなしに、納品した金型を海外へ持ち出して安くつくらせるというやり方、言ってみれば技術のぱくりですね、こういうものをどう規制していくのかということは、やはりこれは金型分野もそうですし、ほかの分野もそうだと思うんですが、せっかく中小企業が人を育てて技術を高めて生み出したものが輸出大企業の方にぱくりで海外へ持っていかれるというのでは、これは本当に、今も、単価圧迫なんかで苦しめられたりとか、仕事量が減って苦しめられるだけじゃなしに、将来を見通しても、この問題はなかなか深刻な問題じゃないかというふうに思うんですが、お考えをお伺いしたいと思います。

上田参考人 きょうは大体金融問題が多く論議されたんですけれども、私は下請代金遅延防止法の運用強化というものが非常に大事であるというふうに思っております、取引条件。先生がおっしゃったように、まさしく大企業の優越的地位の濫用ということが非常に目立っております。

 ですから、そういうことから考えますと、やはり、金型の図面を海外へ持っていったり、これはなかなか防止できないので、ですから不正競争防止法でやるとか、そういう法律で運用強化をお願いしたいということ。

 私は、中小企業の未来像を考えるときに、下請代金遅延防止法、下請という言葉がありますが、抵抗があるんです。これは差別用語に等しいんじゃないか。アメリカ、諸外国では下請という言葉はないんですよ。ですから、上があって、お上があって、親があって下があるということで、簡単にうちの会社の下請だと言うことについては、やはり差別用語に近い。岐阜県から私は来ましたけれども、紡績の町ですよ、昔。昔は女工という言葉がはやったんです。今はそんな言葉はもう消えました。専務員です。

 ですから、昭和三十五年だと思うんですが、そこに施行された下請代金遅延防止法の名前を、やはり創造的な中小企業を育成するためにはネーミングを変えていただきたいというふうに私は提案を申し上げたいと思っているんです。たまたま私は上田でよかったと自分では思っております。

 ありがとうございました。

吉井委員 私も全く対等の契約関係でないと本来おかしいと思っているんです。そういう優越的地位の濫用ということで、単価は抑えるわ、技術はぱくりで持っていくわ、こんなことをやっておったら日本のものづくりにとって大変なことになってしまうというふうに思っておりますので、思いは全く同じでございます。

 それで、多分、時間が迫ってきて最後だと思いますが、代金支払いが納品とか検収後にされたりとかいう例が非常に多くて、資金繰りが大変だということが言われておりますが、取引慣行に関する指導の要綱が、指針が六月ごろにたしか変わったと思うんですけれども、実際に変化が出てきたのか、変化するころには今の金融危機ということで相変わらずひどい事態になっているのか、この現状を最後に伺って、質問を終わるようにしたいと思います。

上田参考人 支払い条件等の問題については、いろいろな業界であります。しかし、表面になかなか出てこないんです。

 なぜかといいますと、犯人捜しをやられますから、もしそんなことが見つかって、おまえ垂れ込んだんじゃないかというようなことを言われると、もう仕事はストップになるということで、非常に我慢に我慢を重ねてしのいでいるというのが現状でございます。私も公正取引委員会の下請改善委員をやっていますので、絶対に犯人捜しをされないようにやるからと言っても、なかなか言ってこないんですね。

 ですから、私は、そういう面で、先ほど申し上げたように、下請いじめ、その下請の名前も変えていただきたいし、下請いじめもやめていただきたいというのは、しかしながら、公正取引委員会では、そういう下請いじめをやっている実名を公表するようになりました。ですから、それでやはり大きな効果があって、どんどんと名前が、実名が出てきていますので、そういう点でやはり運用強化の一環として効果ありというふうに認識をしております。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。

東委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。大変参考になりました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 次回は、来る二十四日水曜日午前十一時三十分理事会、午前十一時四十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十分散会


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