衆議院

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第7号 平成22年4月9日(金曜日)

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平成二十二年四月九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 東  祥三君

   理事 柿沼 正明君 理事 北神 圭朗君

   理事 杉本かずみ君 理事 三谷 光男君

   理事 吉田おさむ君 理事 塩崎 恭久君

   理事 平  将明君 理事 佐藤 茂樹君

      稲富 修二君    緒方林太郎君

      太田 和美君    笠原多見子君

      金森  正君    川口  博君

      木村たけつか君    近藤 洋介君

      斉木 武志君    柴橋 正直君

      白石 洋一君    田嶋  要君

      平  智之君    高松 和夫君

      高邑  勉君    花咲 宏基君

      藤田 大助君    松岡 広隆君

      向山 好一君    森山 浩行君

      山本 剛正君    柚木 道義君

      梶山 弘志君    近藤三津枝君

      塩谷  立君    高市 早苗君

      谷畑  孝君    永岡 桂子君

      西野あきら君    額賀福志郎君

      江田 康幸君    吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       直嶋 正行君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   経済産業副大臣      増子 輝彦君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   経済産業大臣政務官    近藤 洋介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 石田  徹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  田嶋  要君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     田嶋  要君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁長官石田徹君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。花咲宏基君。

花咲委員 衆議院議員の花咲宏基でございます。

 本日は、国会議員となりまして初めての質問の機会をいただきました。どうもありがとうございます。ふなれではありますけれども、私に投票していただいた有権者の皆さんの思いと、私の政治への志を込めて質問をさせていただければと思います。

 私たち民主党の新人議員の多くは、現在、仕分け調査員ということで公益法人回りをしております。私の担当は経済産業省所轄の公益法人でありまして、メーカーの業界団体を回らせていただいております。

 仕分けの調査は調査でしっかりと行ってまいりたいと思いますが、業界団体を回っておりますと、最後は景気の話になってまいります。大変厳しい、さらには中国、韓国の脅威についても語られます。私は、日本の製造業が、特に大手がこんなにも自信を失っている、ここに大いなる危機感を持っております。今こそ国を挙げて日本経済の再生に取り組まなければならないと考えております。経済産業省、そしてこの経済産業委員会に大きな期待が集まっているというふうに考えております。

 そこで、新成長戦略について直嶋大臣にお聞きしたいと存じます。

 直嶋大臣は、今通常国会の所信表明演説で、我が国産業がいかにして国富を稼ぎ、雇用を生み出すのか、新たな産業のあり方を示すことが不可欠、このため、本年五月をめどに産業構造ビジョンを策定しますと述べられました。この産業構造ビジョンの骨格となる新たな政策をぜひお示しいただきたいと思いますし、あわせて、日本経済を牽引していくリーダーとして、日本経済再生の決意を直嶋大臣にお聞きしたいと存じます。よろしくお願いします。

直嶋国務大臣 花咲議員の元気のいい質問をちょうだいしました。

 ちょうど一年ぐらい前ですか、選挙前に、大変元気で張り切っておられる花咲さんにお目にかかりまして、大変頼もしい思いでございます。

 今の御質問でございますが、やはり今御指摘の中にあったように、日本の企業も含めて、国民全体がやや自信をなくしているというのが今の状況ではないかと思います。したがいまして、私どもは、やはり今の日本の、例えば産業構造を見た場合に、どういうところに問題があるのか、これは冷静に、そして率直に問題点を見きわめた上で、しっかり対策を講じていかなきゃいけないというふうに思っています。

 その際に、やはり私ども、特に日本の強みを生かした形で新しい成長戦略を取りまとめたいということで、昨年末に新成長戦略を発表させていただきました。全体的には、名目成長率で三%、それから二〇二〇年に名目GDPで六百五十兆円を目標にしているということでございますが、特にその中で環境、それから健康、観光の三分野で二〇二〇年までに百兆円超の需要を創出することといたしております。

 各分野別に申し上げますと、環境分野では、日本のすぐれた環境技術に磨きをかけて、そして地球温暖化対策も含めてこれをチャンスとしてとらえて、成長産業として環境分野を育成していきたいというふうに思っていまして、ここで約五十兆円の新規市場と約百四十万人の新規雇用の創出を見込んでおります。

 それから健康分野では、新たな事業者の参入や新規のサービスの障壁となる制度等の改革を進めてまいりたいというふうに思っています。従来、ややもするとこの分野は、社会保障というとらえ方で、社会保障制度の中で議論をしてまいりましたが、やはりこれは産業としてもう一度見直したいというふうに思っていまして、そのために、先ほど申し上げたような規制改革を含めた制度の見直しを進める中で、約四十五兆円の新規市場、約二百八十万人の新規雇用を創出してまいりたいと思っております。

 観光分野については、日本の各地域の豊富な観光資源を生かすことによりまして、訪日外国人を二〇二〇年初めまでに二千五百万人としまして、それによる経済波及効果は約十兆円、新規雇用約五十六万人の創出を掲げております。

 二〇二〇年までにこれらの目標を達成することで、日本経済の中長期的な経済成長の実現を図ってまいりたい、このように思っているところでございます。

 将来の日本をきちっとつくっていく、そして国民生活を安定させ、かつ少子高齢化社会の中で社会保障制度を安定、維持させていくためにも、この成長戦略は断固として実現していかなければいけない、このように強く決意をいたしているところでございます。

花咲委員 今、直嶋大臣から強い決意を述べていただきましたけれども、直嶋大臣が、私の地元に一年前に入っていただきました。私の地元は自動車産業の盛んな町、三菱自動車の城下町であります。

 そこで、環境の分野に入ると思いますけれども、電気自動車の普及についてお聞きをしたいと思います。

 直嶋大臣もトヨタの御出身でいらっしゃいますので強い関心をお示しだというふうに思いますし、四月の四日に古川元久内閣府副大臣が、電気自動車を成長戦略の中心の一つとして打ち出したいと強調されました。

 そこで、経済産業省として、電気自動車の普及について具体的な目標があればお聞かせをいただきたいと思います。

増子副大臣 花咲委員にお答えを申し上げたいと思います。

 先般、古川副大臣が電気自動車についての発言をされたということはお聞きをいたしております。私どもも、先ほど大臣からも申し上げましたとおり、新成長戦略の中で大変重要な課題の一つと思っておりますし、また、低炭素社会の中で電気自動車の普及というのは大変重要だと思っております。

 そういう意味で、昨年の十一月に、大臣のもとで、自動車の関係する、次世代自動車戦略研究会を立ち上げたところでございます。有識者の皆さんを中心として、あらゆる業界団体の皆さんにも御参加をいただいて、今幾つかのワーキングチームをつくりながらこの取りまとめに当たっているところでありまして、来週、四月十二日に一定の取りまとめができるようになってまいりました。その中で、経済産業省としては、次世代に対するあり方についてどのような方策でまとめていくかということをずっと会合を重ねてまいりましたけれども、私どもとしては、これは積極的に進めていきたい。

 目標的なものについても、一部報道で八十万台というような報道がなされておりますが、こういう具体的な数字はまだ出しておりません。

 ただ、どの程度の割合が必要かということ、この目標達成ということについて、政府の普及支援策がなかった場合、あるいは政府が関与して押し上げるためというような形の、割合の目標を今鋭意検討中でございまして、民間ベースでやったとした場合には大体五%から一〇%、二〇二〇年における新車販売に占める割合であります。政府がしっかりと支援策をとった場合には大体一五から二〇%に引き上げていきたいというような目標を一応この中に立てているところでございます。

 いずれにしても、低炭素社会の中において電気自動車は大変重要でございます。御案内のとおり、ハイブリッドの問題やあるいはプラグインハイブリッド等、さまざまな電気自動車、もとより、三菱自動車さんが一生懸命つくっておられる電気自動車にも政府としては大変支援策をとっておりますので、今後この問題について、しっかり中間取りまとめをしながらも、さらに進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

花咲委員 増子副大臣、ありがとうございます。

 私も、三月二十五日の日経新聞で、その次世代自動車研究会の作業部会の記事がありまして、そこに、電気自動車、二〇二〇年八十万台の目標という記事を読みました。ただ、ここは、例えば二〇〇九年までに市場に投入された電気自動車の数は、三菱自動車が中心となっておりますけれども、二千台弱なんですね。百倍以上にふやしていかなければならないということで、経済産業省のこれからの一層の支援をお願いしたいというふうに思います。

 電気自動車の普及は、これは国を挙げて取り組んでいくべきだと思うんですけれども、実は、普及すれば普及するほど、今の自動車産業にとって負の側面があります。そこについてお聞きをしたいと思うんです。

 現在のエンジン車の部品点数というのは約三万点あります。それが、モーターにかわって、電気自動車になってしまうと、例えば、エンジンやトランスミッション、シャフトやマフラーなどが必要でなくなってきます。部品点数が半減をするわけでありますけれども、この点、経済産業省さんは御認識があるかどうか、お聞きしたいと思います。

増子副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 今、花咲委員がおっしゃったとおり、この問題、目先のことを考えれば大変いろいろ問題が出てくることは私どもも承知しておりますが、電気自動車については、中長期的に、各自動車メーカーにおいて今普及の取り組みが行われているところでございます。当面は、燃費性能のよいガソリン車や内燃機関を有するハイブリッド自動車などが市場を占めていくものというふうに認識をいたしております。

 こういう中で、自動車部品産業の変革が当然求められてくるんだろうと思うんです。そういう意味で、部品の軽量化や省エネ化とともに、次世代自動車に向けての部品の事業展開という取り組みが非常に重要になってくると思います。

 当面は課題が出てまいりますが、こういった次世代自動車に向けてのさまざまな努力をしていくことによって、私は、むしろ、いろいろな形の中で新しい事業展開も開けていくんだろうというふうに思っております。

 官民一体となってこういう問題にも取り組みながら、しっかりと新成長分野への挑戦を促進するために、私ども経済産業省としても、業界とも連携をとりながら、さらに努力をしてまいる覚悟でございますので、どうぞ一緒になって、よろしくお願い申し上げたいと思います。

花咲委員 ありがとうございます。

 直嶋大臣にお越しいただいた私の地元は部品工場の集積の町でありまして、部品点数が減ることによって今からこの町がどうなっていくんだろうか、こういう経営者の方々の声をお聞きします。そこで、先ほどお話ありましたけれども、産業の転換が必要だというふうに思っています。

 そこで、新成長戦略にもありますけれども、私が注目している業界があります。それは、精密な技術を持った自動車関連企業が転換することが可能な分野として、ぜひ医療機器の分野に、経済産業省として、より取り組んでいただけないかなというふうに思っています。

 そこで、まず、この医療機器の分野でありますけれども、世界の市場規模と日本の市場規模、経済産業省さんはつかんでいらっしゃるかどうか。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 最新のデータによりますと、我が国の医療機器の市場規模は約二兆円、そして世界全体の市場規模は約二十六兆円であります。我が国は世界第二位の市場規模でありますけれども、全体が伸びている中で、日本の占める割合というのはじり貧であります。

 概略は以上でございます。

花咲委員 まさに、ここに成長の余地があると私は思うんですね。シェアが一〇%未満であります。さらには、日本は輸入超過なんですね。ものづくりの日本としては恥ずかしい状況ではないかというふうに私は思っています。

 そこで、日本のものづくりの技術をもってして、ぜひこの医療機器の業界に取り組んでいく。昨年の秋に、経済産業省さんも医療産業研究会を立ち上げられまして、医療業界についても成長産業として取り組んでいくということをお話しされたようでありますけれども、具体的な施策について話し合われていることをお聞きできればと思います。

近藤大臣政務官 花咲委員も御指摘のとおり、やはり医療機器産業というのは大変高い成長が見込まれる分野でありますし、また、革新的な医療機器が市場に出てくるということは、国民が質の高い医療サービスを受けることができるわけですから、大変社会的にも意味のあることだろう、こう思っております。

 こうした中で、経済産業省としては、日本のものづくり力を最大限に活用するために、がんの診断、治療や再生医療に関する革新的な医療機器の研究開発プロジェクト等を、工学との連携、いわゆる医工連携により進めているところでございます。具体的には、例えば、子供にも適用可能で長期間の使用が可能な小型の埋め込み型補助人工心臓などの開発プロジェクト等を新規に、これは四億七千万円の予算でありますけれども、今年度から行っている、等々を行っているところでございます。

花咲委員 経済産業省はしっかりと取り組んでいただいている、これからも取り組むということであると思いますけれども、実は、この医療機器業界が成長できない理由というのが、これは経済産業省の問題ではないんですけれども、例えば、他国から比べると審査期間が長いというものであったりとか、これは実は規制であります。

 この規制なんですけれども、厚生労働省さんの規制ですけれども、省庁の縦割りを超えて、経済産業省が厚生労働省に規制改革を働きかけていただきたいというふうに私は思っています。国民の利益となることでありますから、前政権ができなかったことを行うのが、これは国民の皆さんの民主党に対する期待だと思っております。ですので、省庁を超えて成長産業をつくっていくんだ、規制改革を行っていくんだ、この気概といいますか思いを、ぜひ直嶋大臣にお聞かせいただきたいというふうに思います。

近藤大臣政務官 大臣にお答えいただければと思いますが、私で恐縮です。

 おっしゃるとおりであります。これは、大臣が先ほど御答弁いたしました成長戦略の中のライフイノベーションの中核であります。省庁を超えた話、どんどん進めろという話でございます。現在、直嶋大臣の指示を受けて、私のベースでありますけれども、厚生労働省の足立政務官と共同でプロジェクトチームを立ち上げよう、こういうこともさせていただいております。

 ぜひ、革新的な医療機器の開発を進めるために、さまざまな環境整備を規制の組みかえもにらみつつ進めてまいりたい、このように思っておりますし、花咲委員からも、側面支援といいましょうか、議会の方からも声を上げていただければなおありがたいな、このように思っているところでございます。

花咲委員 私の地元の岡山には、医療機器メーカーで大変頑張っていらっしゃる企業もありますので、ぜひ視察に来ていただいて、規制のあり方を知っていただきたいと思いますし、どのように変えていくのか、このことをぜひ知っていただきたい、現場からの声を聞いていただきたいと思います。

 最後に、皆様のお手元に、「インフラ関連産業の海外展開のための総合戦略(案)」という、この資料をお示しさせていただいております。

 この内容ではなくて、私は実は民間企業の出身でありまして、今経済産業省さんの方で、新成長戦略ということで、いろいろな分野について、資料、また御提言をいただいておりますけれども、この資料の中に、下の、例えば分野別戦略、水とか石炭火力とか送配電とかありますけれども、民間企業では、ここにあるべきものがあるんですね。ここに、実は責任者名と目標数字というのが必ず掲げられるものであります。

 私は浪人時代に、役所の批判を多く聞くんですけれども、それは、責任が明確ではない、また、責任をとらないということがあります。これからこういった成長分野をお示しいただくときには、ぜひここに、目標数字、そして責任者名を書いていただきたいと思いますし、ぜひ、この分野でしっかり成長した、実績を残したという役人の方は加点主義で昇進をさせるとか、そういう文化に経済産業省を変えていただいて、この国の霞が関全体の役所の文化を変えていただきたいと私は思います。

 直嶋大臣、ぜひ御所見をお伺いしたいと思います。

松下副大臣 おっしゃるとおりです。インフラビジネスの海外展開、これは大変期待できますし、中だけで元気を出すんじゃなくて、外に行って稼いで持ってきて国を豊かにする、ここをやはりしっかりしなきゃいかぬ。その意味で、我々も今おっしゃった資料の中に全力で取り組みたいと思っております。

 もう既に、取り組んでいる人たちの氏名も含めて、プロジェクトごとに、人の名前、政策効果、責任者はだれか、中できちっとしたものを整理して公表しております。その辺をそれぞれが自分の気概を持ってやるようにしていきたい、こう思っていますし、今度、四月から、戦略輸出担当の大臣官房審議官、専門家をつくりました。海外を飛び回って、仕事の発掘、そしてつくり上げていく、そこをやることも含めて、全力を挙げて取り組んでまいります。

直嶋国務大臣 今、松下副大臣からお答えしたとおりなんですが、先ほどの規制改革も含めて、やはり成長戦略の一つのポイントは、各省庁にどれだけ横ぐしを通して効果的な制度改革ができるか、あるいは規制改革ができるかということでありまして、しっかりそれをやっていきたいと思いますし、今お話しになった目標についてもできるだけ明確化して取り組んでまいりたいというふうに思っています。

花咲委員 どうもありがとうございました。

 初めての質問でございまして、ふなれではありましたけれども、ぜひ日本の経済再生のためにこれから努力をしてまいりたいと思います。今後ともよろしくお願いします。ありがとうございました。

東委員長 次に、谷畑孝君。

谷畑委員 自由民主党の谷畑孝でございます。

 さきの選挙は、暑くて長い選挙でしたけれども、私も何回か選挙をしましたけれども、大変な逆風でございました。そしてまた、歴史的に政権がかわった、そういう選挙であったと思います。一回政権をかえたらということと、日本の閉塞感というのか、そういうものを打破したい、こういう国民の願いであったと思います。

 私は、立場は違いますけれども、政権がかわるということは歴史的にも必然だし当然のことである、こう思っておりますし、また、民主党におかれましても、政権を奪取したということ、政権をかえたということ、このことについては一国民として敬意を表したい、私はこのように思っているわけであります。

 さて、私は、政権がかわってから半月後、異業種交流で講師を頼まれて、いつもだったらすぐに、発想というのか、こういうことをしゃべろうということで思いつくんですけれども、長いこと政権におりまして、その政権をおりて、そういう状況の中で政治的視点をしゃべるということが、なかなか考えがまとまらないというのか、自分自身への問いかけというのか、やはりそういうことであったと思います。

 そこで、私は一つ結論的なお話をしました。日本の歴史というのはいろいろな歴史があるんだけれども、この平成という時代で政権交代という歴史の大きな窓をあけたということ、これは、先ほど言いましたように、やはり大きな、国民にとってみても期待というのもあるだろうし、非常に高いことだ、私はそういう発言をしました。しかし、これから十年間、本当にこの日本の社会が世界に向けて生き生きとして、そして我々一億二千万人の国民が、この世に生まれてよかった、こういうような社会であるのかどうかはこれからの問題であろう、こういう発言です。

 私が一つ疑問に思うのは、民主党の中でもたくさん、改革派はいっぱいおったと思うんです。自由貿易協定をやろうだとか、あるいは規制緩和を取っ払ってこうしようだとか、あるいは財政再建をこうしなきゃならぬとか。ところが、あるとき、政権交代ということで、生活が大事だ、こういうスローガンで、私が思うには、そういう規制緩和だとか自由貿易協定だとか、閉塞感を打破していくというこういうものが徐々に徐々に小さくなって、いわゆる子ども手当だ、高速道路無料だ、こういうことが大きく表に出た。こういうふうに私は感じてならないんですね。

 だから、平成維新ではあるけれども、今からどのようにしてこの十年間競争して、日本のために、世界のためにどう働くか、どういう視点を持っていくのか、ここはまた違うのじゃないか、こういうように私は実は思ったわけであります。これが一つの感想です。

 それと二つ目は、私は、前回の選挙のときにテレビの政見放送で、今まで、あれをやります、これをやりますということでいろいろ書いておりましたけれども、二十四秒でしたので、テレビを前にしてこんなものはもう空虚だということで、即刻それを変えました。

 それはどういうことを言ったかというと、まあ二十四秒ですから、エキスは、そのころまだ政権がかわっていませんけれども、今、一度は政権交代をと言われています、しかし、たとえ政権がかわっても政治家として変えてはいけないものがある、それはしっかりと命と向かい合っていくことなんだ、命を守ることなんだ、弱い立場の方にしっかりと光を当てることなんだと。

 私自身、障害者が健常者と同じように暮らしていけるということで、これは、議員でないころから駅にエレベーターをということをずっと提唱して、与党になってからそういうワーキングチームをつくって、私も車いすに乗って、時には三百名の健常者と障害者と一緒に触れ合いサマーキャンプをして、その中で、いかにエレベーターがないか、いかに道路に歩道というものがないかということをわかったり、そういうことを若いときからやっておったものですから、私はそういうことを申し上げました。そして、郷土を愛し誇りを持てる日本にすること、私はこの強い思いを胸に全力で国政に取り組みたいと。

 二十四秒ですから余り加薬を入れたって仕方がないので、そういうことなんですね。

 私は今、与党になろうが、野党になっても、時には、この日本がどうだというときには、そういう枠組みを超えて、やはりお互い政治家として頑張っていかなきゃならないと。

 そこで、直嶋大臣殿、労組出身でもあり、我々とも多少共通した面もあろうかと思いますけれども、そういう政治姿勢というのか、大臣になり、今後とも、この日本に対してどういう責任を持ってどうしていくのか、そういうことをぜひひとつお聞きしたい、冒頭にそう思います。よろしくお願いします。

直嶋国務大臣 谷畑先生と、二十年近く前になりますか、ちょうど細川政権が誕生する前後でございましたが、今まさにお話しのノーマライゼーションを初めとして、さまざまな改革、政策の議論もいたしましたし、また日本の政治のあり方ということもあのころ盛んに議論いたしました。

 ちょうど細川政権が誕生してから昨年の政権交代まで十六年たっています。細川政権以降、日本の政治は連立時代に入ったわけでございまして、よく例えられますが、ペリーが浦賀水道へ来て明治維新までちょうど十五年でしたが、あのころも、どういう、いつになったら具体的な政策で日本の維新を図れるのかなということもさまざまに議論いたしました。

 今御指摘のように、私は、五五年体制が壊れて、やっと日本も政権交代ができる土壌ができたというふうに思っていまして、やはり共通する価値観をベースにしながら、しかし、その置かれた立場によって政党が競う、そして政策を競って、政権交代も含めて、国民のために政策を実行していくことが健全な民主主義だというふうに思っていまして、ぜひ昨年のこの政権交代をそういうきっかけにできればというふうに思っております。

 これからのあり方のお話でございましたが、私どもが国民の生活が第一だと申し上げたのは、やはり過去、この間二十年くらい、日本の経済は非常に停滞をいたしておりまして、全体の経済が停滞する中で、例えば国民の間でのいわゆる格差が拡大をしたり低所得の方が非常にふえたり、こういう状況が続いてまいりました。したがって、やはりまず政治のイロハのイは国民の生活をきちっと立て直すことだということで、従来とは異なる形で、例えばお話にあった子ども手当等を含めて、そういう政策を提案してきました。

 しかし、この国を、長期にわたって国民の生活を維持して繁栄させようとすれば、やはり、先ほど議論ございました、日本経済をきちっと成長軌道に乗せていく、そして少子化と人口減少の中でも生活水準を維持していくということを着実にやっていかなければいけないと思っていまして、そういう視点もあわせて、先ほどお話しした成長戦略に今取り組んでいるということでございます。

谷畑委員 それでは次に、マニフェストについて少し意見交換をしたいと思うんです。

 特に、直嶋大臣は、野党の、いわゆる直近の選挙のころの政調会長ということで、民主党のマニフェストのテレビの映像を、大臣の語っておられることをよく拝見させていただいたわけであります。

 それで、まず、この野党時代につくり上げたマニフェスト、高速道路原則無料化、農業者戸別所得補償制度、子ども手当ということですけれども、今大臣は与党になられて、当時の、野党のときのマニフェストをつくった責任者として、野党時代と与党になってからの、このマニフェストの実現に向けて障害もあったり苦労もしたり、いろいろなことがあろうと思うんだけれども、野党時代のマニフェストと、今与党の大臣となったところ、ここのあたりの率直な気持ちというのか感想がありましたら、一言お願いを申し上げます。

直嶋国務大臣 確かに、谷畑先生御指摘のように、やはり野党で政策を提案しているときと与党になって現実に政策を実行していくということでは違うというふうに思っています。やはり、一つ一つの政策が多くの国民の皆さんのそれぞれの例えば利害にかかわったり、さまざまなことがございますので、その調整は率直に申し上げますとなかなか大変だ、こういうふうに思っています。

 ただ、マニフェストに関して申し上げますと、民主党のマニフェストで申し上げたことは、それぞれの政策を四年間で実現するということで工程表の形で提案をさせていただきました。

 それで、二十二年度というのはその初年度ということになるわけでありますが、鳩山政権が誕生して以降、私も経済産業大臣という立場で今その実現に努力をしているところでありますが、例えば初年度ということで申し上げますと、高校の授業料無償化でありますとか、あるいは子ども手当の半額支給というのは、これはおかげさまで予算に盛り込み、また法律も成立をしたところでございます。このあたりは内容を着実に実行できたと思っています。ただ一方で、暫定税率のように残念ながらできなかったものがあることも事実であります。

 私は、与党、野党ということを抜きにしてこの間の状況を考えると、これができなかった理由は二つあると思っています。

 一つは、やはりリーマン・ショック以降の経済情勢がなかなか厳しい情勢が続いていましたから、まずはこの経済を立ち直らせる、二番底を来さないということでさまざまな手当てをせざるを得なかったということは、これは率直に言って一つでございます。

 それからもう一点は、こちらの方が要因としては大きいと思うんですが、やはり税収が、二十一年度当初見込みの四十六兆円から三十七兆円を切る、約九兆二千億円の減少をいたしました。これはやはり非常に大きなことでございまして、そういう制約の中で、マニフェスト政策のどの政策を実現していくかということで申し上げますと、残念ながら暫定税率については、制度はなくしましたが実施そのものはあきらめるというか先送りをせざるを得なかったということでございます。

谷畑委員 今、四年間でこのマニフェストをやっていくんだということの、その過程であって、大きく芽を出したところ、そしてまたできなかったもの、こういうお話であったと思うんです。

 さて、私ども、選挙を戦っておって、このマニフェスト、大変な関心を皆さん持たれました。小さいお子さんがおられるところは、もうどこの町へ行っても、子ども手当もらえる、高速道路がただになると町じゅうの評判になって、生活が大事だというのがいかに浸透したかと、私ども逆の立場での選挙を戦ってきた人間としてそう思うんですね。

 しかし、そのときに同時に、このマニフェストの財源はどうするんだ、こういうことがよく党首討論でありました。そのときに、いやいや、予算と特別会計で二百七兆円あって、そのうちの無駄を省いたら一割、軽く二十兆円は出てくると。ほとんどの民主党のテレビに出た議員、先生方はこれをおっしゃったんです。多分ここにおられる皆さんもそういうことを演説したはずです。

 私は、今回、そういう中で、仕分け第一弾、まあ、テレビが入り、大変な話題になったわけですけれども、実際、これはふたをあけてみたら、六千九百億円しか出てこなかった。二十兆円とほど遠い。鳴り物入りでやったというわけだけれども、一体それはどうなのかと。今までは、軽く二十兆円が出てマニフェストの財源になるんだ、こういうふうに言ってきたんですね。

 この点について、大臣、多分大臣もそういう発言をされたと思うし、そこにおられる副大臣も政務官も発言をされたと私は思うんですけれども、皆さんどうですか。そのことについてできたら本当に一人一人に一回お聞きしたい、私はそういうふうに思います。

直嶋国務大臣 今、マニフェストの財源のお話でございますが、私どもがマニフェストでお示しをしたのは、先ほど四年間の工程表ということで申し上げました。そして、四年目の段階で、さっきお話があった二百七兆円、これは二十一年度の一般会計と特別会計でございますが、その見直しで約九兆円を財源として可能です、こういう説明をいたしました。したがって、まず申し上げたいのは、二十兆円という話はしておりません。九兆円ということであります。それに、いわゆる埋蔵金等を含めて、あるいは税制の組みかえ等を含めて、トータルで十六兆円強の財源を出します、こういうことを申し上げてきたということでございます。

 それから、二十二年度に関して申し上げますと、事業仕分け等も含めて、この予算の見直しで約二・三兆円の歳出削減を行うことができたというふうに思っております。それに、公益法人などの基金の返納等、さまざまな形で一兆円の税外収入を確保いたしまして、合計で約三・三兆円の財源を確保したということでございます。

 ちなみに、初年度の工程表で重点政策に必要な財源は七・一兆円でございました。さっきお話ししたように、暫定税率で二・五兆円ございましたので、そのほとんどは先送りしたということでございますので、この三・三兆円をベースにして政策財源を賄って、かつ二十二年度予算を編成した、こういうことでございます。

谷畑委員 大臣はそういうふうにおっしゃるんですけれども、二十兆円を言ったことはないと言うんだけれども、これは、だれかが言ったから広がっているので、やはり二百七兆円で、無駄の一割、二十一兆円は軽く出てくる、これは結構浸透してきたんですよ。だから、二十一兆円か九兆円か、その額は別にして、そういう予算の組み替えで軽くできるんだ、こういう発言があったんです。

 できましたら、副大臣、えらい済みません、それから政務官、ちょっと一言発言をいただきます。

松下副大臣 やはり無駄を省くということは大事である、そう思っております。必要なところにしっかりと必要な額が入っていって、そして活性化していくということは大事だろうと思っています。

 目標を掲げても、やはり実際には、中に入っていきますと、そこで暮らしている人たちがたくさんおられますから、そこでいきなり決断するということにはなかなか難しいことがあると思っております。しかし、目標は立てて頑張っていくということは必要だと思っておりますし、それよりも、しぼんでしまった風船をしっかりと膨らませて上昇気流にさせていくためのもう一つの手だてもあると思っておりますし、そういうことの両面で頑張っていくことが大事だ、こう思っています。

増子副大臣 私は直接の候補者でございませんでしたので、そういう形は、直接は申し上げておりません。太田和美委員がおりますので、私は一生懸命応援させていただきまして、そういう中で、率直に、今、谷畑先生がおっしゃったようなことを言った候補者もおられると思います。

 それはそれとして、私は、選挙ですから、マニフェストを掲げて、財源確保ということが極めて大事なことですから、当然、それは皆さんおっしゃったことだと思っています。結果として、そう簡単ではなかったということは率直に認めなければいけません。

 ただ、政権獲得後、予算編成までの時間が極めて短かったということが一つあると思います。自民党の皆さんも、大変無駄を省こうということで、さまざまなことを選挙前に急にやり始めましたから、あのとき、結構な金額も実は出ているんですね。

 だけれども、これは、これからまた私たちは、しっかりと無駄を省くためにあらゆる分野で精査をしていきたいと思っています。二十兆円にできるだけ近いようにこれから努力をしてまいりますので、この税金の無駄遣いは民主党政権だけではなくて、自民党にとっても共通の課題だと私は思うんです。塩崎委員は官房長官を務められて、その辺はよく御存じだと思います。

 そういう意味で、ぜひ、我々、この問題については、民主党、連立内閣だけではなくて、全国会議員、全政治家が国民の皆さんのために税金の無駄遣いをしっかりと洗い出していくという共通の認識を持ちながら、ともに努力をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

近藤大臣政務官 谷畑先生にお答えをいたします。

 私は、ことしで政治活動を始めて十二年目になるんですが、五年間の浪人時代を含めまして、初めて政権政党といいますか与党の議員になったわけであります。その意味においては、政権党の責任の重さというか難しさというのを半年を過ぎまして感じておりますし、これまで与党だった先生方の、とりわけ自由民主党の先生方の大変だった御苦労というのを感じておる日々でございます。

 ただ、あえて申し上げると、無駄遣いについてはもう繰り返しをいたしませんけれども、大臣が申し上げたとおり税収が大幅に減る中で、革命的というと語弊があるかもしれませんが、予算の使い道を、例えば、他省庁でありますけれども、土地改良予算をあれほどまでに削り他部門に、例えば所得補償に変えた、これは大変なことでございます。経済産業省の中でも中身の見直しを行っています。公共事業も大変な見直しをしている。

 その意味においては、この政権交代によって大変な予算の組み替えを行わせていただいている、国民の皆様に対しては十分責任を果たさせていただいているのではないか、このように思っているところでございます。

谷畑委員 大臣あるいは各副大臣、政務官殿、御苦労さまでございました。

 私が言いたいのは、やはりお互いに無駄を省く、これは当然のことだと思います。それから、天下り等を含めて、この状況についても、やはり国民の厳しい目、また、そういうことをしなくてもいいものをどうつくっていくか。また、公務員法案が今回国会に出されておりますけれども、各省庁が国家だということじゃなくて、やはり日本国というオール・ジャパン、サッカーでもこの間もそうだけれども、みんなオール・ジャパンで戦っていかないかぬというのは当然のことだと私は思います。そういう観点で、今後とも、予算の編成の組み替え、そして本当に効果のある予算の使い方、そういうことは非常に大事だ、そういうことでこのことについて質問させてもらっているわけであります。

 それで、次に、私は、国対の副委員長で、予算委員会の担当ということで、朝から晩まで国対に詰めさせてもらいました。そして、地方公聴会、大阪、新潟、私は大阪担当で行かせていただきましたけれども、新潟の担当の話もちゃんと聞きました。

 民主党さんの陳述人で、大阪でもそうでしたけれども、子ども手当は、所得制限もなければ、しかも完全実施すれば一人二万六千円、五兆五千億、日本の国防予算を上回る、これは国を滅ぼすものだというような趣旨、私が言ったような言葉じゃないけれども、そういう趣旨、これが民主党さんの推薦の陳述人の皆さんの発言でした。皆、ええっ、こう思ったわけです。

 そして、新潟の民主党の陳述人さんも、やはり、この子ども手当を含めて、これこそ仕分けすべき対象ちゃうかと。わしらも第二弾でぜひそれぐらい突っ込まないといかぬのじゃないか。これは、所得制限がなければ鳩山総理の孫まで子ども手当をもらえるという、そういう国民にというのは、地域を回っていたら、そんな声ですよ、はっきり言って。この点について、私はやはりどういうものかというように思うんです。

 それと、いわゆる高速道路無料というやつですね。今、これは約一・八割か、約二割近く実験段階でやっているということです。そうしたら、後ほどに八割どうするのか。それから、道路についての、有料道路をなくすわけですから、道路というのはただでできたわけじゃないので、やはり莫大なる起債、借金、三十兆円を超える借金があるわけですし、これはメンテナンスが要るわけです。

 そうしたら、地域を回っていたら、全く車に乗らない皆さんから見たら、これはやがて税金で見なきゃならぬから、何でこんなのを我々が負担しなきゃならぬのかという率直な意見がありますよ。これもやはり大きなテーマじゃないかと私は思うんですね。

 だから、予算に余裕があって、どんどん右肩上がりのときならまだしも、しかし、皆さん御存じのように、今回の予算はどうですか。これは九十二兆二千億という史上最大の予算でしょう、幾らリーマン・ショックがあったとかギリシャ問題があったとはいえ。しかも、新規国債の発行額が四十四兆三千億、こうなっているんですね。だから、こういう状況の中で、やはり基本的には財政の規律という問題も当然大事ですよね。だから、そういうことの中でのメンバー、しかも限られたお金の中で。

 ただ、ここは、経済産業省から見れば、成長戦略にやはりどんどん金を使わなきゃいかぬ。これは後ほどにまたお話ししたいんだけれども、例えば法人税の実効税率四〇%をどう下げるか。これは全部、金がかかる話だ。だから、そういうめり張りをつけなきゃならぬ、そういうような感じが私はするわけなんですよね。

 そこで、野党時代に政調会長をされて、今は大臣ということです。間もなく参議院議員選挙が始まってきます。与党になってからの民主党さんとしても、マニフェストの着手が始まったと聞いております。ここで次のマニフェストをどうするのか。これは国民も大きな関心を持っておると私は思うんですね。ここでですね……(発言する者あり)議論ですから、聞いてくださいよ、あなた。私は何も批判しておるわけじゃないんだから。お互いに、国会議員としてしているんでね。もっといいあれをやってください。

 それで、私が言いたいのは、参議院選挙に向けて、例えば子ども手当ですね、一万三千円だったけれども二万六千円に、マニフェストの約束なんだからやるんだ、鳩山総理はそういう発言をされたような感じもしますし、あるいは閣僚の、大臣の中においても、いや、それは無理やでと。いろいろとニュアンスが違うんですね。あるいは高速道路網、あと八割、やるのかどうか。私は、ここは政権政党として非常に大事なことだと思うんです。

 はっきり言って、できないと思いながら、いや、選挙があるからやりますよと。子ども手当、一〇〇%やります、こう言うのか。高速道路を八割、無料にします、こういくのか。ここは大事だと思います。ここは、国民に対して愚弄ですね、だます、そういうことがあってはならぬと思うし、ここは政権政党としての良心として非常に大事なポイントだと私は思いますので、これはぜひひとつ、大臣、政調会長の経験者として、感想なり発言を求めます。

直嶋国務大臣 経済産業大臣としてどこまでお答えができるかというのはあるんですが、率直に言って、谷畑先生がおっしゃったように、これは議員同士の議論だということで申し上げさせていただきたいと思うんです。

 子ども手当についても先ほどお話ございました。特に子ども手当に所得制限をつけるかつけないかというのは、率直に言いますと、民主党内でも真っ二つに意見は割れていました。

 ただ、私どもとしては、これからはやはり子供は社会全体で育てていく時代なんだ、それから、日本じゃ余りなじみはありませんが、フランスを初め、ヨーロッパの国では同様の制度を導入しておりまして、効果も出ているということも言われていますので、社会全体で子育てをするということを含めて、所得制限はつけない。

 ただ一方で、まだ実現していませんが、税制の面では、やはり特に、応能負担になっています所得税のあり方等を含めて議論をしなければいけないというふうに思っています。

 時間もありますので余り長い答弁は控えたいと思いますが、高速道路についても、やはり順次実験をしながら、できるだけ無料化をしていきたいということで考えていました。ただ、当初から言っていましたように、首都高と阪神はやりませんということはもう明確に申し上げていまして、これからどういうお金の管理をしていくかというのは、これは国交省の問題でありますが、私が当時計算しましたことでいえば、例えば首都高の料金収入というのは、大体六千億から七千億ぐらい、たしかあったと思います。したがいまして、そういうものもうまく使っていけば、さっきおっしゃったメンテナンス費用等も捻出できるんではないかというふうに考えていました。これからどうするかは国交省でお決めいただく。

 それからマニフェストについても、ちょうど党内それから政府と一緒に議論が始まったところでございまして、何をどううたうかということについてはこれからの議論でございますが、まず申し上げたいのは、経済産業省としては、やはり先ほど来出ています成長戦略をしっかりやっていく。そのために必要な手当てはしっかりしていくという視点に立って、マニフェストの議論にも加わっていきたいというふうに思いますし、政策をつくってきた私の考え方から申し上げれば、やはり民主党が重点政策として提案をしてきたものについては、これは選挙のときにお約束したことでもありますし、だから一切変えないということではありませんが、やはりできるだけきちっと実現をしていくという姿勢はとる必要があるというふうに思っております。

谷畑委員 これから参議院選挙に向けてマニフェストをやっていくんですけれども、そういういろいろな意味での、過去、現在、未来等を含めての検証をしながらの方向性が非常に大事だと思うんです。

 それともう一つ、私は感じるんですけれども、このマニフェスト選挙というのは国を滅ぼすんじゃないか。というのは、お互いに、与野党を超えて、やはりばらまきの競争にどうしても心理的に入ってしまう。

 私、地域を回っていたら、こう言われるんですよ。谷畑さん、道路を有料というんだったら、今度、車で道路を通ったら、タオル一枚もらえる、粗品というものを出したらどうだ、こういうお笑い的な話を助言してくれるんですね。わかるでしょう、この気持ち。

 だから、どうしてもこういうばらまき競争、大きいか小さいかだけの話で、そういうふうに私は思えて仕方ないんです。

 これは今後とも、やはり日本の国家のためにも、例えばこれから消費税の問題が議論になった場合でも、時には自分の首をかけて、やはり消費税上げを説得しなきゃならぬときもやがてやってきますよ、言ったら。

 だから、本当に、マニフェストで何でもただという、こういう競争がいいのかどうか、私はいろいろ疑問に思っているということを申し上げて、マニフェストの問題についてはこれぐらいにしておきたい、こう思います。

 次に、労働問題について少しお話をしたいと思うんです。

 私自身、大学を出まして、私は役所に勤めました。そこで生まれて初めて労働組合という、自治労という組合に、私も組合員になったわけです。もちろん参加もしました。これは私の初めての労働組合との出会いでございました。

 そして、私自身、役所をやめて、そして社会党の衆議院議員の秘書を十年やりました。その仕事は、労働組合を担当する秘書であったわけです。私は生まれて初めて、鉄鋼、住友金属だとか大手の鉄鋼産業、そこの労働組合を毎日回っていました。それから金属、中小零細のそういう金属の、ゼンキンというんですけれども、今はJAMと名前を変えました。社会党系と民社党系の組合が合併をしました。それから全逓。これもよく回らせていただきました。

 もう本当に細かく回り、そしてそこの組合の幹部とお話をし、そして職場も入り、また、職場によってはカラーが違うな、鉄鋼の皆さんは鉄鋼という労働者のカラーがあるし、小さな町工場の金属で働いている皆さんのものもありますし、いろいろなものを回り、見ました。そしてまた、メーデーもよく行きましたし、七五春闘とか含めて、春闘に対する激励を含めて、よく、これも私のまさしく青春でありました。

 そこで、言いたいのは、私は労働組合を批判するのではなくて、当然法的にも認められて、しかも、民主主義という形の中で非常に大きな役割を果たしてきたし、私は高く評価するものであり、客観的に見て実はそう思うわけであります。

 そして、私はその中で、一人は全体の利益のためにやらなきゃならないとか則天去私だとか、そういういろいろなことを学んできて、私の政治活動の原点になっていると思います。自分が自分がというんじゃなくて、やはり、みんなのためにどうやって働くことが大事なのか、そういうことなんです。

 そこで、北教組問題です。これが最近の問題で、民主党にとりましても今大変な問題だと思うんだけれども、この問題をお互いがやはり冷静になって一回いろいろな角度から検証していく必要があると私は思うんです。

 昨年の衆議院議員選挙で民主党の小林千代美衆議院議員を支援した北教組の幹部らが逮捕されたということ。容疑は、昨年八月の衆議院議員選挙で北海道五区から立候補し当選をした民主党の小林千代美議員の当選に絡むもの。小林陣営の選挙対策委員長を務めていた北教組の委員長代理らは、選対の資金管理を統括していた男性に四回にわたって一千六百万円を選挙資金として渡した、これが容疑なんです。政治資金規正法ですね。

 ここで私はこう思うんです。もしも私が小林議員の立場であっても、同じようなことになっている可能性がある。これは、だれしもがそういう可能性は大いに、ないとは言えないんですね。せっかく国民が入れた議席が、もしも連座責任に問われるということになれば、議員をやめるということになるんですね。これは実は大変なことである、私はそういうふうに思うんです。

 そこで、私も労働組合といろいろかかわってつくづく思うんですが、連合が、最高のときは八百万人おると言われて、今は六百万人少し超えたぐらいだと思う。それで組合費、僕らのときは、官公労で八千円ぐらいの高いところもあったと思います。今は大体三千円から五千円ぐらいのところであると思うんですね、組合費が。一人一人、毎月毎月ですからね。しかも、そのお金というのは莫大なお金が集まってきますよ。

 僕は自治労でお世話になった。私も自治労で推薦をもらって参議院議員選挙をやって、今六十三になりましたけれども、四十二歳で国会へやってきました。非常に若いときに来たわけですね。そのとき、自治労の皆さんが言っていましたが、闘争資金もたくさん積み立てておったけれども、最近闘争はあらへんからどんどんこれが積み重なって、全国、利息だけで年間で一つの会館が建つんじゃないか、こういうようなことが、それは本当かどうかは別にして、そういうこともよく言われたものなんですね。

 だから、そういう資金というものが、会社なら会計責任がありますし、法人であればそれを公にしなきゃならぬところでありますけれども、労働組合なんかはそういうものは法的にはあらへん。だから、これはどうしても不透明なマネーになってしまうということなんですね。だから、そういう点で私はやはりいろいろなことが起こってくるんじゃないかと思うんです。

 だから、そういう意味では、組織で集めた多額の金というものが政党に流れていくこと、あるいは個人の政治家に流れていくということになってくれば、これはやはり社会的責任というものが、開示をしていくことが私はこれからの時代にとってみて非常に大事じゃないかと。もちろん組合活動というのは、任意の団体ですから、当然自由はある、それは当然のことだと思いますよね。賃金を上げること、組合員の権利を守ること、いろいろなこと、あるいは社会の、そういう社会保障制度を含めてにもかかわってきますから、政治にかかわることだってやぶさかではないし、僕は当然だと思うんです。

 しかし、政治活動というのは社会的かかわりが大きくなる、政権与党になれば余計特にその責任が重くなる。だからこそ、そういう労組マネーというものは透明でなきゃならない、私はそういうふうに思うんですけれども、大臣、出身者としてどう思われるか、ちょっとお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、三谷委員長代理着席〕

直嶋国務大臣 今、谷畑先生から大変多くの論点が提案されたんじゃないかと思いますが、時間の関係もありますので、二つ、三つに絞ってお答えしたいと思うんです。

 一つは、労働組合が政治にかかわることについてであります。

 私は、さっきのお話にもございましたが、やはり労働組合というのは、もちろん組合員で構成されていますが、同時に、これは給料をもらって働いている人たちの代表であります。私自身も選挙に出るとき、私はサラリーマンの代表として出るんだ、こういうふうに皆さんに申し上げました。

 日本の社会を考えますと、やはり大半の方が何らかの形で給料をもらって働いている方でありまして、そういう人たちの意見をきちっと政治に反映していく、あるいは思いを反映していくということは、日本の健全な民主主義の発展からいっても私は重要なことだと思っています。したがって、労働組合が政治にかかわっていくことについては、むしろ健全な社会をつくるという意味で意義が大きいと思っています。

 ただ、今お話にあったように、やはり法律的に認められていないといいますか、あるいは不正なお金を使っていくということ、これはもう論外だと思っていまして、やはり常に公職選挙法でありますとか、政治資金規正法という社会のルールにのっとってきちっと報告もする、そして、その中でやっていくということは最低限必要なことだというふうに思っています。

 それから、労働組合の会計についても、これはいろいろな労働組合がありますから、すべてどうかはわかりませんが、一般には非常にはっきりしないようなことが言われていますが、私自身の経験で申し上げますと、必ず会計報告を締めて、大会で承認をもらって、その前にいろいろな機関の手続を経て、そして、大会での議論も議事録をつけて、法人格を取っている組合はちゃんと届け出ていると思っておりまして、そこのサイクルがきちっと回されていれば、健全で透明な姿で運用できるというふうに思っていまして、そういう意味では、私自身ももう労働組合を離れて随分長くなりますが、やはり皆さんから集めたお金を使っているんだということを常に忘れないで、透明な形でのお金の使用ということは不可欠だというふうに思っています。

 いずれにしても、社会的な一つの勢力として労働組合が政治にかかわっていくということは、さっき申し上げたとおり、例えばお医者さんの団体が政治にかかわっていく、農業の団体の方が政治にかかわっていく、こういうことと全く同じだというふうに思っていまして、そのこと自体は否定をされるべきじゃないというふうに思います。

    〔三谷委員長代理退席、委員長着席〕

谷畑委員 もちろん、そういうことも理解できるわけです。

 私が四十二歳で、参議院議員を六年務めたんですけれども、その六年というのは、もう日本の歴史にとってみても大変な六年でした。自由民主党が下野をするし、細川政権が生まれるし、そして社会党もそこに入るんですけれども、またそこから離脱をして、羽田政権、約二カ月で崩壊をするし、そういう状況の中で社会党が崩壊をしていく。私、その社会党が崩壊をしていくところの六年間、そこにおったわけですから。

 そこで仲間といろいろな議論をするんですけれども、私、ここで感じたことは、当時はやはり社会党と労働組合というのはもっと蜜月の時代でありましたし、どうしても議員自身が労働組合というものからなかなか脱することができない。もっと、独立して自由で、そしてそれにとらわれることなく発言をし、国会議員として発言していく、ここは議員活動として非常に大事なところなんですね。だから、議員なるものは、やはり自分が独立して、全体の利益のためにどうするかということがあるんですけれども、ここがやはり当時の社会党の崩壊していく要素であったのかな、私自身、振り返ってそう思うんです。

 各議員一人一人は皆本当にまじめでいい議員さん、今は現大臣におられる方ももうほとんど当時の私の仲間でありましたし、苦楽をともにした人がたくさん民主党の中におられますし、また、言いかえれば、民主党の一番初期をつくってきた中に参画した私であるわけですので、だから、そういうことで今皆さんにそういう話を少しさせてもらっているわけですけれども、しかし、そこは、今後とも民主党さんも国民政党として発展していくに当たっては、私は、社会党時代の末期を見てきた中でそういうことを思うんですね。

 そこで、もう一つだけさらに質問したいと思うんですが、チェックオフという問題。

 私は、社会党から自由民主党、自社さきがけ政権ができましたから、その中で、村山政権、そして通産の政務次官をさせてもらったり、いろいろ経験をしてきたわけですけれども、その後、自由民主党の労働部会長をさせていただいたり、労働局長をさせていただいたり、そういう意味では、労働問題を一貫してやってきました。そして、この間まで、連合、古賀会長さんの窓口で、政調会長と常にそういうセッティングをする仕事もつい最近までさせてもらったわけです。

 ある人は、いや、そんな、労働組合といったって別に自民党の選挙を応援してくれるわけじゃないし、こう言うんだけれども、そういうことじゃなくて、やはり労働問題というのは与野党超えてだれしもが大事なポイントであると思うし、皆が働くことというのは非常に大事なことなので、そういう観点で、私はいつも与野党関係なくそういうお世話をさせてもらったんです。

 ちょっと話が長くなりました。

 そこで、チェックオフという制度、これは天引きということになるんですけれども、これは、一たん天引きをやると、組合側から見たら楽なんですよね、天引きですから。一たん労使協調、労使で話し合いができたところはチェックオフがこれはできるわけですよ。そうしたら、もうずうっと、毎月毎月天引きですわね。だから、一人一人が自覚がどんどん薄れてくるわけですね、私は労働組合員だ、私の金がどう使われているかということ。チェックオフというのはそういうことなんですよね。

 だから、今は、地方自治団体も、これは条例をつくらない限り一人一人徴収しなきゃならぬことになっているんですね。しかし、これは条例をつくらずにチェックオフをやっているということが今一つ大きな問題になっていると思うんです。

 だから、今後とも、このチェックオフという制度と、そして一人一人が自覚を持って政治に参加するということと、これは非常に相反することにつながってくるので、私はやはり、その点はどうかな、こう思うんです。

 ちょっとしゃべりにくいかもわからぬけれども、一言で結構ですので、大臣。

直嶋国務大臣 チェックオフそのものは、今、谷畑議員お話があったように、法的にも認められた制度でございます。労使できちっと協定をするということが条件でございますが、その協定ができればできるということであります。

 私も昔、役員をしていましたころは、今おっしゃったように、本当にチェックオフというのが労働組合にとっていい制度なのかどうかというのは議論したこともあります。それはやはり、組合員の皆さんの参画意識が、このことによって執行部と組合員の間に距離ができたりして、執行部が楽をするということでそうなったのではやはり労働組合にとってもマイナスだということで、よくそういうことは議論しました。

 ただ、そういう中で、やはり労使間できちっと協定を結んだ上で、そして、さっきお話ししたように、お金の使い道とかそういうことについてきちっと説明をする。私が知っている組合でも幾つか、さっき闘争資金のお話がありましたが、もう組合費を下げたらどうだ、こういう話で組合費を下げたり、そういうことも絶えず民間の組合では起こっておりまして、したがって、私は、ここはそれぞれの判断で、そして、一つ一つ手間が要らないという意味では非常に有効な制度でありますから、それは活用することはいささかも問題ない。ただ、きちっと組合員との関係をつくれば、労働組合としてそういうことは必要だというふうに思っております。

 それからもう一つは、労働組合が何のためにあるのかというところと、今の政治活動との関係もきちっと整理をしなきゃいけないと思っています。

 労働組合というのは社会的勢力ですから、もちろん政治にかかわることはむしろ重要なことかもしれませんが、一方で、やはり労働組合というのは、組合員の雇用や生活や、とりわけ経済面での向上を運動目的にしている組織でありますから、それと政治が一体になってしまったのではまずいと思っていまして、そこは私自身も常に注意をしてきたところでございます。

 ちょっと余計なことを申し上げますと、官公労の場合は、さっき条例のお話もございましたが、やはり国家公務員なんかは特に団結権とか労働基本権が認められておりません。それから、自分たちの労働条件にかかわることがすべて法律なりそういう、要は政府なり国会の扱いで決まってくるわけですね。そうすると、民間に比べますと、やはり政治に対して依存度が高くならざるを得ないという基本的な体質がある。これは民間と官公労と基本的に違うところです。ですから、運動の仕方も価値観も違うわけですね。それから、政治とのかかわり方も違うわけです。

 ですから、そういうことが実態でありますので、では、それがいいのかどうかということも含めて、これからのあり方というのは、本当は、政治的な対決ではなくて、もっと公務員制度も含めてきちっと議論をしていくことがさっきお話しされた日本の将来にとっても非常に大事なことじゃないかなというふうに思っています。

 私自身は、できるだけ公務員の世界も、労働基本権、すべて認めるわけじゃありませんが、必要なものはきちっと認めた上で、民間におけるような自律的な、話し合いで、組合員も参加した形で、納得の上で物事が進んでいく、こういう仕組みがつくれれば、それは大きな前進になるんじゃないかというふうに個人的には思っているということでございます。

谷畑委員 大臣と私の考えも、非常に相通ずるところがあるんです。

 労働組合との距離感ということでいえば、民主党さんの場合でも、例えば前原大臣が代表のときには、労働組合と、蜜月じゃなくて、少し距離をしながら友好、こういうことであったと思います。そして、小沢代表になってからは、これは、選挙も近いし、政権を奪取したということもあって、これは連合の高木会長といつもニコイチで全国を歩く。そういうことで、各地域の連合の皆さんに、しりをたたいて、ビラ配りから電話かけから、そういう体制をとる、こういうことであると思うんですね。

 しかし、私この間ずっと議論してきたように、与野党超えて、あるいは政治家として、あるいは日本の国のあり方として、そういう関係をどういうようにすべきか、こういう点を少しいろいろな角度から私はお話をさせてもらった、あるいは質問させてもらった、こう思うんですね。

 それで、この間、三月十七日の朝日新聞で、元自治労の委員長、後藤森重さん、これは私がちょうど参議院議員時代のときの自治労の委員長でした。私も非常によく知っていますし、お世話にもなりました。北海道の小さな町の委員長をされて、それから自治労本部の委員長をされて、非常に苦労された委員長だ、こう思うんですが、この人は「民主党支援薄め市民と結べ」、こう言っておるんですね。

 「だいたい、いまの民主党は労組が心中すべき相手ではない。鳩山由紀夫首相、小沢一郎幹事長にからんで化け物みたいな高額の金が横行し、それが普通のことのようになっているなんて恐ろしい。この夏の参院選も、労組はまっとうな支援活動に徹すべきだ。 「われわれの主張は正しい」と声高に叫ぶ労組を、人々は冷たい視線で見ている。組織率は低下し、政治離れが進むばかりだ。」こういうようなことなんです。

 皆さん、いろいろ意見はあるだろうけれども、元自治労の委員長をされてきた方がそういう発言をされている。

 片や、立教大学の中北浩爾さんは、「労組の政治活動は組合員が自分の意思で参加する政治団体に軸足を移し、透明性を確保するのが好ましい」と。これは先ほどの議論の中であると思うんです。

 労働問題はこれぐらいにして、北教組の問題から端を発してさまざまな、これから出てくる中でのあり方ということだと思います。

 それともう一つ、労働問題で最後に、私の気持ちは、労働政策というのは、これは与野党を超えて大事なものなんです。人はおぎゃあと生まれて、我々の人生なんて、これはほとんど、三分の二ぐらい、何らかの形で働いておるんじゃないかな。働くこと。だから、この働くことの意義というのは私は非常に大事だ。そういう意味では、労働政策というのは私は非常に大事だといつも思い、なおしっかりと勉強したい、こう思っておりますので、また時には垣根を越えてそういう労働問題、また議論をしてみたいと思いますけれども、労働問題はそういう形で終わりたいと思います。

 次に、質問をずっといっぱい、いろいろ用意しておるわけですけれども、時間の関係がありますから、ちょっと順番を飛ばして、トヨタのリコール問題へ視点を変えてちょっとお話をしたい、質問したい、このように思っています。

 戦後から含めて日本の誇りは何か、これはやはりものづくりだと思います。そして、しっかりとした技術力を持って、しかも効率よく、だから日本の商品はいいんだと。昔、トランジスタラジオだとか、テレビもそうでしたし、三種の神器などは、本当にそういう意味では飛躍的に発展をして、日本の文化生活を高めたわけですね。

 そのトップバッターは、これはやはりトヨタであると。ハイブリッドなどは僕らの日本人としての誇りでもあるし。今回の景気対策でも、やはりエコ家電を含めて、トヨタを含めて、減税というのは大きな景気回復の言うたら柱になっていますし、また効果も大きかったですよね。

 このトヨタが、アメリカの上院、下院で、リコール問題で公聴会が開かれる、しかも豊田章男社長がアメリカで陳述をするということでありました。我々にとりましても大きなショックだし、どういうことなんだろうな、こういうように思ったものです。

 そして、それから全米の本社に行かれて、豊田章男社長がその報告をされた。そして、その働いているアメリカの人々の支援をいただいて、そこでもう涙をいっぱい流して語っていたことを、物すごい私も印象に残っています。

 この涙は一体何であったのかというのは、私も今思っております。口惜しい涙なのか。それとも、公聴会の中で、あの緊張感の中で、しっかりとトヨタの製品について、厳しい質問に対してもしっかりと誠意を持って語ったことに対する、まあ充実感と言ったらおかしいか、そういうことなのか。あるいは、全米の働いている人たちの姿を見て、その応援をしてくれている人たちに対する喜びだったのか、いろいろなことを思うんです。

 トヨタのかかわりのある大臣ですので、私はいつもこのことについては感動を思い、どうなんだろうなと。やはり世界のリーダーですから、大企業のリーダーですから、責任も重かっただろうしという、つくづくそう思うんですけれども。ちょっとそういう感想がありましたら教えていただきたい、また語っていただきたいと思います。

直嶋国務大臣 私自身はもう議員になって二十年近くになりますので、今そんなにかかわりがあるわけではありませんが。

 トヨタのこの問題は、やはり基本的には車の品質と安全の問題だというふうに思っていまして、これは先生もおっしゃったように、ものづくりということに関していえば最も重要なことでありまして、そういう意味では、基本的にやはりトヨタがきちっと対応してユーザーの信頼を回復されるということが一番重要なことだというふうに思っています。

 その中で申し上げますと、やはりあれだけ大きな、マスコミ報道を含めて、いろいろなことが報道されていましたので、経営トップが直接アメリカの議会へ行ってみずからの考えをきちっとお話をされたということは、それはよかったんじゃないかというふうに思っています。

 また、そんな中で、やはりアメリカでのトヨタにかかわる部品メーカーでありますとか販売店の皆さんを集めて説明された、その一連の行動の中でそういうことがあったというふうに理解をいたしております。

谷畑委員 次に、トヨタのリコールについて私なりに疑問を感じていることがちょっとあるんです、これが本当に事実かどうかちょっと私もよくわからないので。

 アメリカでは苦情が、トヨタでは八十件ぐらいであったと。普通、千件ぐらいを超えないとリコールになれへんやと。だから、これはある意味で言うたら、この際という、トヨタたたきじゃないか、こういうふうに私も思えてならないんですよね。

 それは、アメリカ自身が、あのリーマン・ショック以来、アメリカの自動車会社が皆これは国営化されていますね。しかも、自動車というのは、景気回復を含めて、すそ野の広い産業ですから、景気回復にとってみても大事な産業でありますね。

 だから、そこの点、私は日本たたきじゃないかということを思うんだけれども、これは事実はどうなのか。その八十件ぐらいの苦情、本当は千件以上でなければリコールにならないんだ、そういう話があるんだけれども、ここをだれか知っておられたらちょっと教えていただきたいと思います。

増子副大臣 お答え申し上げたいと思います。

 件数はさておき、これはユーザーの安全にかかわる問題でありますから、トヨタ自動車としても深刻に受けとめながら、やはりユーザーに安心感を与えて、なおかつ、トヨタとしても今後改善をしっかりと進めていかなければいけないという企業としての責任を随分持ったと私は思います。

 私どもも、この件については、やはりアメリカとの関係も含めながら、日本の車そのもの、これはトヨタさんに限らず、あらゆるメーカーの安全性にも波及するということを心配いたしておりましたので、ここはしっかりと対応しなければいけない、そういう思いを持っておりました。

 ですから、リコール問題については、件数ということよりも、あくまでもユーザーに対する安全ということを十分考えた上での判断だったと認識をいたしております。

 そういう意味では、トヨタ自動車としても、さまざまな形の中でこの問題を真摯に受けとめながら、しっかりと改善策をとっているんだろうな、そういうふうに私は今認識もしておりますし、またそういう報告もいただいております。

 先ほど、谷畑先生の豊田章男社長の涙は何ぞやということのお話もありましたが、まさにあらゆるものがそこに私は凝縮されていたんだろうと。そこを、それはもう谷畑先生もよく御存じのことだと思いますし、そういう点を含めて、あくまでも安全ということを何よりも考えている点から、件数にこだわらず、しっかりと対応したものと私は認識をいたしております。

谷畑委員 それで、民主党政権が発足をして、小沢幹事長が六百名の訪中団をつくって胡錦濤首相と会い、また百名を超える衆参の国会議員が行かれている。

 あるいはまた、鳩山総理が東アジア共同体という構想をされる。もともと東アジア共同体ということは、これは昔からそうなんですけれども、アメリカをいつも、微妙なんですよ、いつもね。常にこの問題は微妙であると、私はそういうふうにずっと思ってきたんですね。

 だから、この微妙という問題で、いろいろな形でやるんだけれども、微妙ということを捨ててしまって、東アジア共同体だ、あるいはこれから中国だと。しかも、これは普天間でぎくしゃくしていく。それから、アメリカとの関係で安全保障でもぎくしゃくしていく。経済も出てくる。こういうことは、直接関係あるのかないのかわからないけれども、私は、一種の、トヨタの問題もそれと全く無関係というわけでもないのではないかと。

 私は、もうちょっと、やはり基本的にはこの日米という、基軸という問題は非常に大事な問題で、日本にとってみても非常に大事だと私は思うんだけれども、それが誤解であればいいですし、間違いであればそれでいいんですけれども、そういうことについて私はいつも思っておるんですけれども、大臣、ひとつそのあたり、どのようにお考えでしょうか。

直嶋国務大臣 随分前だと思うんですが、マレーシアの当時のマハティールさんがルックイーストということで、EAEGでしたか、あのときに、アメリカとの間で、アメリカを入れるか入れないかでいろいろ議論があったというのは記憶しております。

 それで、鳩山総理の東アジア共同体構想について申し上げますと、共同体はまず長期的な構想でありまして、足元は、やはり経済連携だとか、そういう経済の協調が中心であるということであります。

 それからもう一つは、日米関係ですが、これはあくまでもやはり日米同盟が前提になっているということであります。むしろ日米関係が安定をして、しかも日米同盟がしっかりしていて、それが一つの、このアジア地域それから東アジア地域のインフラのような役割をする、そのことによって、この地域が安定をするし、相互に経済交流も活発になる。私自身も、例えばルース大使初め、アメリカの私のカウンターパートの大臣も、彼らも率直に、東アジア共同体というのはどういうことなんだ、こういうふうに質問がありますから、私自身もそういうふうに答えています。

 日米関係を前提にして、日米関係がしっかりしていれば日中関係も米中関係も発展できる、もちろん、アジアの国々もそのことに安心感を持って、お互いに交流を活発にできる、こういう発想でして、そういうものが原点にある、基本にあるということはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

谷畑委員 ぜひそのように、日米問題も非常に大事で、それをしっかりとしながら、東アジア共同体等を含めての状況、これはもちろん経済が大きく発展している国ですので、一体感の中で日本も一緒に発展をしていく、こういうことは非常に大事だと思うんですね。

 それと、これをトヨタ問題の最後の質問にしたいんですけれども、リコールが起こったときには、トヨタの日本の景気への影響というのは大きいとマスコミも報じられておりました。GDPを〇・何%押し下げるのではないかと。

 ところが、この間の新聞とかいろいろな記事を見ていますと、トヨタ自身が販売の促進のためにローンの金利をゼロにするとか、いろいろなそういう施策もあって、販売が伸びておる、こういうことなので、だから、GDPを押し下げるよりも、その影響はもうなくなったのかなと思ってみたり、あるいは、やはりちょっと影響はあるのかなと思ってみたり、ちょっとそう思うんだけれども、影響がなければと私は思うんですけれども、日本の景気回復について、このリコール問題を含めて、影響があるのかないのか、そこだけちょっと大臣の所感、副大臣でも、お願い申し上げます。

増子副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 谷畑先生御指摘のとおり、今回の問題は日本の経済に大変影響があるのではないかという心配をされておることは私ども承知をいたしております。

 現時点では、この点についてはまだ十分なデータも出ておりませんし、明らかな点もございません。しかしながら、部品メーカーや販売ディーラーを含めて、トヨタ関連の事業規模や雇用規模は大変大きく、今後の影響を引き続き私どもは注意深く見ていきたいと思っておりますし、また、日本の経済にどのような影響があるか、中長期的に見ていかなければいけないと思っております。

 ただ、御案内のとおり、今先生もお話しされたとおり、一月、二月はマイナスになりましたけれども、三月になりましたら四割という大きな伸びを示したということ、国内においてもプリウスが首位を占めるというようなことを含めて、堅調に売り上げが伸びているようでございます。

 そういう観点からしても、今すぐに、大きな影響があるかどうかということについては軽々に申し上げることはできませんが、いずれにしても、今後とも注意深く私ども見ながら、しっかりと対応していきたいと思っております。

 と同時に、先ほどもお話がありましたとおり、日本はものづくりが何よりも一番大事なところでありますから、やはりものづくりの象徴的な自動車産業というものを、我々はあらゆる面で支援策を今後とも講じていきたいなというふうにも思っておりますし、そういう意味では、経済産業省挙げてこの影響のないように、むしろ今回のことを教訓としながら、先ほども出ました新しい次世代電気自動車等を含めながら、成長戦略の中にしっかりと織り込んで対応していきたいと思っております。

谷畑委員 きょうは成長戦略から、原発から、CO2から、ずっと準備しておりましたけれども、時間がやってきましたので、あと少しだけ絞って質問したいと思うんですけれども、僕が歩いていますと、企業にこういうことをよく言われます。CO2二五%、谷畑さん、こんなのむちゃやと。もっと国民の合意が必要じゃないかと。これは結局、我々零細企業とかいろいろな企業はもう日本国内ではものづくりはできない、こういうことなのかと。多くの皆さんがこれを語ります。きょうおられる皆さんも、多分そういう声をお聞きすると思うんですね。

 それともう一つ、派遣、労働問題ですね。派遣全面禁止だ、非正規を全部ペケにするんだ、こういうことになっている。これでは我々企業はもたない、こういうこともよく聞きますよね。

 それで、このCO2二五%というのは、私はこう思うんです。大臣、ぜひ、鳩山内閣で存在感というのは、亀井大臣というのはえらい存在感ありますよね。郵貯二千万円限度額と。ううんという形でぐうんという感じで。

 私は何もそれがいいとか悪いとかいうきょうは議論じゃなくて、ぜひひとつ、直嶋大臣におかれましては、日本の産業はおれが守るんだ、時には環境大臣に対しても、こんな二五%はどこで決まったんやと。こんなもの、日本の国益から見たらええ格好だけやないかと。ええ格好だけやないかと。インドも中国も枠組みに入らない中で、日本だけがぐうっと天まで高く上って、こんなええ格好ばっかしやって大丈夫かいと、私はそう思うんですよ。どおっとやってほしい。

 それから、労働派遣問題というのは、私はこれは全部禁止だというよりも、もっと柔軟性を持つ必要がある。もっとオランダのように、もう少し金をかけて、ワークシェアリングだとかいろいろな、非正規と正規の場合との社会保障の問題を少し縮めたり、いろいろな形をとって、労働の形態はいろいろな多様化をしていくことが必要だと思う。これを硬直的に、皆あかんのやというだけでは難しいんじゃないか。私も労働問題をずっとやってきて、そう思うんですよね。

 もう時間が来ましたので、ぜひ、おれは日本の産業を守るのやと。経済産業省の旗を振って、時には鳩山総理と四つに組む。きょうおられる副大臣、政務官、ぜひひとつ頑張って、中小企業を育てるんだ、景気回復をさせるんだ、こういう決意をひとつ、代表して大臣にお願いをして、私の質問は終わります。

直嶋国務大臣 二五%の話ですが、私は、この二五%、これは国際的な枠組みができるということを前提にお話ししているわけですから、まずその枠組みづくりが不可欠だと思っています。その上で申し上げますと、今、日本の産業を守るというお話でした。私は守るだけじゃなくて発展させたい。そのために環境問題というのを、いわゆるグリーンイノベーションと言われていますが、有効に使っていきたい。

 先日、経済界で、スマートコミュニティ・アライアンスという、いわばスマートグリッドの実証実験を含めていろいろかかわっていこうという企業が集まりまして、そういうものを結成したんですが、その総会に私も出させてもらったんですが、約二百九十社が集まりました。

 したがいまして、もちろん大変な面もありますが、一方で、これはチャンスなんだから、しっかり自分たちの飯の種をこれからここでつくっていこう、やはりこういう動きも出てきていますので、そういうことをしっかり我々もサポートしていきたい。

 それから、派遣の話でございますが、これは一切だめと言っていなくて、登録派遣は禁止、こういうことなんですが、日本の雇用形態の中でいえば、まだ派遣の占める比率はそんなに大きくありませんので、ここはある程度時間があれば吸収できるんじゃないかと私は思っています。

 ただ、私が一つ懸念していますのは中小企業でして、中小企業はやはりなかなか人が採れないということと、採用には、試験したり、面接したり、いろいろ人を探したりとか経費がかかるんですね。その採用経費とかそういうコストを下げるということも含めて、やはり派遣に対する依存が高くなっていましたので、この中小企業の部分については引き続きしっかりウオッチをしていく必要があるというふうに思っていまして、その点はちゃんとウオッチをして、必要なことがあれば改善できるように、あるいはサポートできるようにしたいというふうに思っています。

谷畑委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

東委員長 次に、平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明です。よろしくお願いいたします。

 本題の質問に入る前に、今、谷畑先生からちょうど議論が終盤にありましたので、CO2の細かい話じゃなくて大きな話で少し、質問通告しておりませんけれども、ちょっとお伺いをしたいと思います。

 やはり経済界は大変だと思います。CO2二五%削減が、国際的な枠組みができるのが前提だという逃げは打ってあるんだけれども、それをまず先頭に立って言い出しているということは、それはそれなりの、日本に重い責任がかかってくるんだと思います。

 大臣御承知のとおり、エネルギー効率は、日本は世界で一番効率がいいわけでありますから、さらにそこから高い目標値を持つということがどれだけ既存の産業に悪い影響を与えるか。今答弁の中で大臣は、そういう規制を強化することによって新たなビジネスチャンスが生まれるんだと、スマートグリッドの例を出されましたが、確かにそういう面もあります。しかしながら、規制強化をして新たな産業が生まれる反面、その他多くのボリュームゾーンのところには過度な負担がかかってくると思うんです。

 ですから、その辺の検証なしにCO2二五%だ、でも国際的な協調がなきゃやらないんだと言っておりますが、それを出した瞬間、企業は、今目の前で国内に投資をしようか海外に投資をしようかという案件が取締役会に上がってきたら、これをやるんであれば国内ではとても無理だ、例えばCO2の制限の余りかかっていない、負担の低い中国と、日本国内の工場で競争できない、では中国へ行こうじゃないかという話にもなりかねないと思うんですね。

 ですから、どうも、理想はいいんですが、ビジネスの国際競争のシビアさだとか、そういうことに対するイマジネーションが浅いんじゃないかなと思いますけれども、大臣、その辺はどうですか。

直嶋国務大臣 今も二五%の議論を申し上げたんですが、二五%というのは、それぞれの国が国際的に公平な、かつ有効な目標を立てて、そして協調してやっていく枠組みができるということが前提で、しかも、それは国内の真水で二五やろうという話ではありません。排出権取引だとか、あるいは森林吸収分も含めた数字でございます。したがって、国内でどれだけこれからやっていくかというのは、これからまだ詰めていかなきゃいけない話だというふうに思っています。

 それから、理想という言い方をされたんですが、今、日本のCO2排出量の世界に占める比率は四%です。ですから、四%を二五%減らしたって一%しか減らないわけです。やはりこの問題は、もう本音ベースで世界全体で取り組まないと、二〇五〇年に地球の温度上昇二度C以内におさめようとすれば、本気で世界全体で取り組まないとこれは実現できないと私は思うんですね。ですから、やはり枠組みをつくるというのはもう必要不可欠なことだと思っています。

 それから、今、日本のエネルギー効率のお話もされましたが、そのこともよく承知しています。したがいまして、さっき申し上げたように、公平な目標の設定ということを重視したいというふうに思っています。

 それから、枠組みができますと、日本の強みはより発揮できると思っています。例えば、日本のすぐれた環境技術を使って我々自身が新しい産業を興していくということと、そのことが世界の課題の解決につながるということが、きちっと取り組める土俵ができるわけですから、その土俵の上に立って、そういう日本の技術の活用も日本の成果として取り組めるような国際的なルールもしっかりつくるということもやりながら進めていきたいというふうに思っています。

平(将)委員 今御答弁いただきましたが、細かい議論はきょうはやめておきますけれども、各国が実効性ある枠組み、この定義も、ではアメリカがどういう目標を持ったらそうなのか、中国、インドがどういう目標を持ったらそうなのかと。それで、政府はどうそれが実効性ある枠組みと認定するかわからないけれども、そこで差が出ることによって、それは国際競争において決定的なダメージになるということもあります。

 また、今、真水をどのぐらいやるかはまだ決めていないと言ったけれども、それがだめだと言っているんですよ。予見可能性ないじゃないですか。企業は動けないじゃないですか。だから、そういうこともしっかり議論した上でやらないと、経済感覚ないですねと。

 この間、私は増子副大臣と日経のテレビで議論したら、いやいや、産業界は協力的ですよ、平さんは野党になったから余り経済界と最近話ができていないんじゃないですかと言われましたけれども、これは与党のおごりだと思いますが。今経済界は、先ほど大臣が言ったように、新たなビジネスが生まれそうな分野については、それは経済界、ウエルカムですよ、どんどんやりましょうと言います。しかしながら、そういう突出をした目標を持って、たとえ枠組みが決まったとしても、数%でも日本がそこで足かせになるようであったら、もう競争は厳しい。

 かなり私の方には企業からいろいろ来ていますよ。いやいや、余り企業からそういう声はないと言いますけれども、私はいろいろな企業の人の話を聞いていると、一部では、一部ではですよ、私は自民党の議員だからそう言っているかもしれないけれども、言ってもしようがないと思っているんですよ。言ってもしようがない、だから言わない。多分夫婦関係でもそうだと思いますけれども、言って何とかなるとうるさいこと言うんですよ。でも、言ってもしようがないとなったら黙って出ていくんですよ。

 今、企業は、国内の投資をもう一回よく調べてくださいよ、とめていますよ、計画段階のものを。海外へ出ていっていますよ。ですから、それは政府の方針としてやってくるのはいいけれども、まだあれも決まっていない、これも決まっていないじゃなくて、少なくとも予見可能性みたいなものを出してもらわないと投資できませんよ。それは意見として言っておきます。

 それでは、本題に入っていきたいと思います。

 まず、前回ここで大臣に郵政の上限のお話をしました。そのときは、まだ閣内で決まっていないからということだったと思います。その後、閣僚懇談会か、正式名称はわかりませんが、閣僚の皆さんで議論して結論を見たんだと思います。

 私は新聞報道でしか知りませんが、原口さんと亀井大臣のプランに対して、仙谷大臣なりなんなりが、ちょっとそれは慎重にすべきじゃないかという意見が出た、その前に。私はそれは見識だと思います。しかしながら、結果として、鳩山総理の決断として、一つ例を挙げれば、郵貯であれば、預け入れの上限金額を二千万まで認めるということになった。ここは財務金融委員会ではありませんから、その辺の余り詳しい議論も財金でやればいいんだと思いますが、私は、これは物すごく地域の中小企業また地域の企業に影響があると思います。

 まず一つは、これは大臣、閣僚懇談会なる席で、大臣は何かそういう発言をされたのか。さらには、どういう影響を及ぼしかねない、そういった認識を持っているのか。その辺、お願いします。

直嶋国務大臣 実は、閣僚懇談会が行われました三十日でしたか、あいにく私は海外出張をしておりまして、出席はしていません。ただ、そのことはわかっていましたので、事前にメモを出しました。

 一つは、まず、この郵政事業の改革について、きちっと考え方を明確にしなきゃいけない。

 郵政事業見直しをこの鳩山政権でやってきている本旨は、一部の報道でいろいろ言われていましたが、かつての官業を復活させるものではないということをはっきりしなさい、それから、民営化のメリットを生かしながら、郵便局のサービスを全国あまねく公平に、住民の利便性の向上も含めて再構築をするんです、それから、そのために、郵政三事業の一体的サービスを保障する。この基本原則をあいまいにしたまま議論しても意味がないので、また国民の皆さんから誤った受け取り方をされるので、ぜひ、まず内閣としてこのことを明確にしてほしいということを申し上げました。

 それから、二つ目でありますが、郵便貯金への預け入れ限度額の件であります。

 これは、特に民間金融機関、とりわけ地銀とか信金、信組との公平性の議論もあるので、一つはその議論があるということと、それから、そういうことを踏まえて考えると、やはり国民のためにその資金をどういうふうに有効に活用できるかということも含めて一体的に考える必要があるというふうに申し上げました。

 特に私の念頭にあったのは、やはり今後この資金を生かすような形で、今のように国債で運用しているだけではなくて、むしろ、けさ方も議論がございましたが、さまざまなシステム輸出を含めた、新興経済国やアジアの国に対する、そういう一つの支援も含めたビジネス等、それに対するファイナンス機能でありますとか、あるいは、国内でいえば、地域における中小企業金融とか地域金融の面で有効に活用するというようなことが重要ではないかということを思っておりまして、そのこととあわせて御提案をして、議論の俎上にのせていただいたということでございます。

平(将)委員 まず、一番の問題は、郵貯の預け入れを二千万にします、そうすると、地銀、信金、信組、まさに大臣がおっしゃったところの預金が流出をする可能性が私はあると思います。特に信金、信組は財務内容に非常に問題を抱えているのもたくさんあります。特に、信金はまだセントラルバンクの財務内容がいいから、やり方はあると思うんですが、信組、信用組合はそういう仕組みになっていません。信用金庫と別で、違うスキームでやっていますから。

 そうすると、今、たまに出ますよね、こういう信組が危ないとか、いろいろ出ます。よく民間の経済誌にも、危ない信金、信組ワースト百なんというランキングが出ます。郵貯をこうやると、資金移動が私は起きると思いますよ。そうすると、そういった中で、信組から、ただでさえ財務内容が脆弱な中で預金が出ていく。

 そうした中で、さんざん金融の議論をやっていますけれども、地域に根差したリレーションシップバンキングを支えているのはまさに信金、信組であって、その信組の機能に決定的なダメージを与える可能性があると私は思っているんですね。そこが私は一番問題だと思っていますけれども、大臣どうですか、御認識は。

直嶋国務大臣 今、平議員がおっしゃったようなことが指摘をされていますし、郵便貯金の限度額の引き上げによってそういうことが懸念されることは事実であります。

 この間の合意でも、法案成立の、公布の時点でさらに見直すというようなことも先日の骨子の中に含まれておりますし、私自身も、今御指摘の部分、限度額を二千万円に引き上げた場合にどういう影響が出てくるか、今御指摘の信金、信組だけではなくて、さまざまなことが言われておりますから、そのこともよく注視をしてまいりたいというふうに思っております。

 その上で、経済産業省として申し上げれば、やはり中小企業の皆さんへの影響が一番問題でありますから、それとあわせて中小企業の皆さんの資金繰りに万全を期していく、こういうことを考えているということでございます。

平(将)委員 これは絶対影響が出ます、出ると思います。

 それで、ぜひお願いしたいのは、後で貸金業の議論もしますけれども、法律の完全施行がいついつだから、それまでに準備すればいいやじゃなくて、そういう方針なりを決めた瞬間、お金の世界は動き出すということなんですよ。動き出すのと同時に、動き出すととめられないということなんです。

 これは渡辺喜美大臣のときに、私、信金、信組の件で、金融機能強化法を復活させるべきだという議論をして、復活をしています。しかしながら、今回新たな問題が出てきましたから、金融機能強化法でカバーできるかどうかわかりませんが、信金、信組は預金流出する可能性はある。余り今信用不安をあおってもいけませんが、これはぜひ政府の方は万全を期していただきたいと思います。

 それと、今の大臣のお話の中で非常に懸念をするのは、公的金融というのはやはり税金で片をつけている話なんですよ。税金を投入してその範囲でリスクをとるというのが公的金融のあるべき姿です。しかし、郵貯は、預金者ですからね、運用している資金は。だから、厳格なガバナンスが必要なんです。公の金融機関が損しても大丈夫というのは、おれの金じゃねえやということなんですよ。しかし、片やこちらに預金者がいるわけです、郵貯は。

 そういうことで、今、何か海外のプロジェクト融資をやっていくとか、地域の金融を担っていくというのを言っていましたけれども、本来であれば、民主党さんがあのマニフェストで掲げた預金預入額、縮小するんだったでしょう、北神さん。だから、結局は、本来やるべきことは、そういう融資のノウハウなり人材をやって、その後広げるならわかるんですよ。ないじゃないですか、何も。

 それで、一番問題なのは、金融で新たなことをやっていくというときは大きく始めちゃいけないんですよ、うまくいくかどうかわからないんだから。政府がこれだけ予算を決めて、この損の範囲ならやってもいいよというなら、やったらいいですよ。でも、銀行という仕組みで、一般の人から預金を集めて、その預金を運用するということでやるとしたら、そういうチャレンジングな新しい取り組みは小さく始めなきゃいけないですよ。

 新銀行東京だって余りうまくいきませんでした。余り大きく始めちゃいけないんです。でも、あれはたかだか一兆、二兆ですよ。それでも私は大き過ぎると思う、ベンチャーとしてやるんだから、金融といえどもベンチャーですから。それを、今これだけ、何百兆という規模があって、新たな融資スキームもない、ガバナンスもない。そういうところで預金額をふやしてどうするんですか。私は、これは全国版新銀行東京になると思いますよ、正直言って。それは、財金じゃないのでいいですが。

 地域を支える、リレーションシップバンクを支える信金、信組、危機的な状況になりますから、この手当てだけはしっかりやってください。私、郵貯にリレーションシップバンキングができるとさらさら思いません。強いて言えば、郵便貯金担保個人ローンみたいなものはできると思いますが、特に中小企業は影響が大だと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、続きまして、引き続き懸案になっている貸金業の方をやっていきたいと思います。

 議員も大分入れかわっていますので、ちょっと基本的なところから入ってみたいと思います。

 お手元に私の資料をお配りさせていただいています。ちょっと古い資料で、これは私、二〇〇三年のころ、自分の問題意識に基づいて書いた資料なのでかなり古いですが、何が問題かというのをちょっと俯瞰してお話をしたいと思います。

 この表は、縦軸に金利水準をとっています。横軸に信用リスクをとっています。信用リスクが高くなればなるほど金利の水準は高くなるというのは、これはもう当たり前の話であります。

 日本の間接金融の世界はどうなっているかというと、信用リスクの低いところに銀行がお金を貸し出している。当然、金利水準も安い。リスクが低いんですから、金利水準も安い。さらには、土地を担保にとっているんですから、水準が低いのは当たり前ということです。その次にミドル市場というのがあります。ここは二〇〇三年のときにはほとんどありません、何もありませんでした。そして、その上に行くと、いわゆる社会問題になった商工ローンがあり、消費者金融があるという構造であります。

 その当時の私の問題認識は、ミドル市場がないから、銀行で金を借りられないといきなり商工ローンに行ってしまう、そしてこのルビコン川を渡ってしまうとなかなか銀行に戻ってこられない、だからミドルマーケットのサービスを充実するべきだ。そして、銀行から借りられなければミドルのサービスがあり、ミドルで借りられなければ、最後のとりでとしてグレーゾーンがある。しかしながら、グレーゾーンで短期的に金を借りて、収益が上がって財務内容がよくなればミドルに戻ってきてもらって、ミドルでさらに業績がよくなれば銀行に戻っていく。このルビコン川の橋をかけようというのが、二〇〇三年のときの私の問題認識でありました。

 ちなみに、ちょっとここでつけ加えると、そういう問題認識で私も青年会議所時代に銀行をつくったわけでありますけれども、よく共産党の方から、平は自分がつくった銀行を利するためにこういう質問をしているという指摘を受けております。でも、そうではありません。コンペティターをふやせと言っているんです、担い手をふやせと言っているんですよ。

 それはなぜかというと、ミドルの市場を充実させるのに、一つでできるわけがないんです。たくさん入ってこなきゃいけない。だから、金融庁の認識の中で、銀行が何もやってきていないじゃないかという認識は、ある意味正しいんです。なぜならば、銀行は利息制限法の範囲でやっていますから、一五%までの貸し出し、ローンはできるんですよ。だから、あらゆるリスクに対応したさまざまなローンを考えるべきなんです。しかしながら、やっていないでしょう。やれ、やれといって、一部銀行がスモールビジネスローンというのを始めました。スコアリングモデルをベースにしてやりました、一兆何千億までいきました、失敗して撤退をしましたというのが、今の現状認識であります。ですから、ミドル市場もまだまだ育っておりません。新銀行東京は御承知のとおりであります。

 そこへもってきて、今度、何が起きたか。ミドルがまだまだ育っていないところへもってきて、いわゆる商工ローン、消費者金融のところですね、このゾーンが、要は多重債務者で大変な人がいる、こんな金融サービスは社会悪だと言わんばかりの理論、理屈の中で、これはなくしてしまえという議論になってきたわけであります。その当時、私は、確かに多重債務者の問題は社会問題として手当てをすべきだ、しかしながら、だからといって金利そのものを下げるのは余りにも乱暴な議論じゃないかということを言ってまいりました。

 その当時は、商工ローン、消費者のゾーンが約二十兆あったと思います。それは、ミドルのマーケットがないから、ここでやむにやまれず借りている人たちもいるわけです。これは私の経験則でいくと三割ぐらいいます。ですから、ミドルの市場がちゃんとあれば、三割の人はまともな金融で救えるんだと思います。しかしながら、残りの七割の人たちは、リスクが高いから、もしくは短期だから、結局はそのリスクをここのゾーンでしかとれないんですよ、このゾーンでしかとれない。

 しかしながら、今回の貸金業法改正で、総量規制とあわせてここをなくす。では、なくなった人たちがどこに行くのか、合理的な説明をしてほしいとずっと言い続けてきたんですね、そのとき、自民党政権でしたけれども、大臣。合理的な説明をしてほしいと金融庁にも言いました。合理的な説明をしてほしい、どこへ行くんですかと。

 今まで、この議論の中で、やみ金も取り締まるからやみ金に行かないという話をしましたけれども、もう選択肢は三つしかないんですよ。ミドルに行くしかない、でもミドル市場がない。もしくはここから退場して、もうお金は借りない。破産する、もしくは余計なお金は借りない、それはいい解決だと思います。もう一つは、やみ金に行く。この解決方法しかないんです。そういう問題指摘をしてきたけれども、とはいうもののということで、全会一致で賛成したことだからといってやってきた。そんなに、平先生の懸念は杞憂じゃないですかということでやってきた。でも、この間議論をしたとおり、さまざまな問題が今出てきているわけですよ。ではどうするんだという話ですね。

 この間、田村大臣政務官と議論をさせてもらいました。その前に大塚さんと話をしたときも、完全施行する方向です、運用で何とかやります、十の方法を考えていますとおっしゃられた。では十の方法を教えてくださいと。それで十の方法を聞きました。しかしながら、私は、その十の方法は、多少効果はあるかもしれないけれども、私が指摘をした本質的な問題の解決には全くなっていないと思いますよ。田村さんも私と認識は共通しているとおっしゃいましたよね。新たな死者が出ますよ、こんなものを強行したら。

 だから、それも受けて、本当にやるんですか、政務官。

田村大臣政務官 まず最初に、単刀直入に、最後の、本当にやるんですかという御質問に先にお答えいたしますと、そこは今、完全施行を前提に議論を詰めている段階にあります。

 ミドルリスク・ミドルリターンの、先ほどの金利の話ですけれども、四年前もいろいろ議論がありました。私も参加をしておりました。

 ただ、当時、四年前、まさに自民党が中心の政権の中で、まず銀行などが努力不足だ、もっとやるべきだというのは当時からあって、今も我々金融庁も主張しているところであります。

 あと、そもそもこの金利の水準が二九・二というのは高過ぎる、そして、それは一五から二〇%で十分に、消費者金融や商工ローン、そういう貸金業者も対応できるのではないか。やはりそれは、当時はいわゆる二こぶと言われておりましたけれども、基本的に貸金業者は、金利がほとんどの人に対して二九%で、要はリスクに見合った金利設定をしていないという批判、あるいは過剰な貸し付けをしている、そういった批判の中で、グレーゾーンをなくすということを含め、多重債務者救済を含めて、出資法を利息制限法の水準に引き下げるのが適正だという意見が優勢でそういうことになったというふうに私も理解をしております。

 そういった趣旨を踏まえた場合に、やはりその趣旨はそのまま今でも生きているだろうというもとで完全施行する中で、今委員がおっしゃっていたような懸念がないように、運用面でできるだけのことをやるということで、今さまざまな案を検討しているという状況です。

平(将)委員 当然、自民党は責任があるんですよ、自民党時代にやったんですから。それで皆さんも賛成してもらったんだと思います。

 しかしながら、あのときかなり僕は勉強不足だったなと反省しているのは、金融庁がドイツやフランスの例を持ってきて、諸外国はこんなに金利が低いんですとやりました。しかし、そのほかの国はもっと高いんですよ、日本よりも。さらに言うと、同じ金利だというけれども、手数料から何から全部入っている日本の金利と比べて、向こうは保証料とか手数料とか、そういうものは別途ですから。統計の仕方も違う。

 そういった中で、私は、本当にエリートばかの議論だったと思いますよ、前回のは。うちの議員も言いましたよ、二九・何%で貸して、そんな企業が続くわけがない、こんなもの、そのもの自体が社会悪だと。しかし、それは全く愚かな議論で、飲食業とか小口というのは違うんですよ。

 だから、今、そんな高い金利じゃなくてできると言いました。あと、この間の議論で、メガバンクがやるべきだと言いました。では、百万円を月末十日間借りる、そのことによって月末の資金繰りは乗り越えられる、その金利の六千円は高いんですか、安いんですか、政務官。

田村大臣政務官 高いか安いか、そこは完全施行をする、要は現行の利息制限法の、あるいは今度下げられる出資法のレベルははるかに超えているということでは違法状態になるというふうに認識をしています。

 あえて申し上げるなら、その四年前の金利の水準の議論については、私は、当時野党の立場で、まさに今委員がおっしゃったようなことを申し上げておりましたけれども、利息制限法についての議論は、ドイツ、フランスにしても市場に連動しているわけでありますので、その水準がどうか、あるいは手数料はどうか、そういったことについては、依然として議論が十分だというふうには私は個人的には思っておりません。

平(将)委員 金利も低く抑えて、それで借りられるならハッピーですよ。金利が高いのと低いのとどっちがいいですかといったら、それは低いのに決まっていますよ。低い方がいいと言いますよ。でも、この金利だとあなたは借りられませんというアンケートだったら話は別ですよ。

 それと、高いか低いかという議論が今あったけれども、それはやはり官僚答弁で、せっかく政権交代をしたんですから。百万円でビジネスが続けられるんですよ。なかったらつぶれる。そのときの利息として六千円が高いか低いかという普通の感性でやらないと。我々は物すごい権力を持っているわけですよ。決めたらそれを守らなきゃいけない。それを守らなかったら違法ということになるわけですよ、犯罪者になるんですよ。

 そのときに、もう一回冷静に戻らなきゃいけないのは、確かに多重債務者の問題はありました、しかしながら、現場のビジネスや商売の全くわからないエリートたちが集まって、こんな金利はとんでもないということで制限をしてしまった。そうしたら、この間も事例を出したけれども、庭師の方とかいろいろな方、いわゆる短期の資金の需要がとまってしまった。それで、つぶれなくてもいい会社がつぶれていく、失われなくてもいい雇用が失われていくということになっているんですよ。

 だから、確かに、全会一致だ、自民党が決めたんじゃないかという議論はあると思います。我々もその責任は負っていると思います。しかしながら、これを強行して、これだけ議論が出ていて、多分民主党の中でも議論が出ていると思いますよ。民主党はビジネスエリートが多いんですよ、自民党よりも全然。だから、自民党と一緒にもっと世代交代をしたらいい、まあ自民党はできていませんけれども、世代交代したらいいと思いますが。

 政権交代というのは、今までずっとやってきたことを一回チャラにしてゼロベースで考えようと。そのときに、族議員みたいな発想じゃなくて、霞が関の発想じゃなくて、国民の感性や目線や視点に立って全部ゼロベースでやりましょうというのが政権交代のいいところじゃないですか、民主党政権のいいところじゃないですか。やりましょうよ、政務官。政務官に言ってもあれだけれども、でも政務官しか来ていないから、政務官。

田村大臣政務官 今、何についてやりましょうよと、どの範囲かというのはちょっと明確ではありませんでしたが、今回の完全施行については、それは繰り返しになりますので申し上げませんけれども、完全施行をする中で、委員に限らずいろいろな方々が懸念をしているような状況はできるだけなくなるように、最善を尽くそうというふうに考えているところでございます。

平(将)委員 できるだけなくなるようにと言っていたらなくならないと言っているんですよ。約束しますよ。それと、命を大切にする政権なんでしょう。もっとイマジネーションを働かせましょうよ。

 何をやるかどうかが不明確だと言ったから、明確に言いますよ。一回立ちどまりましょうよ。立ちどまって、政府としてそういう準備がちゃんとできるのかどうか。できるんだったら完全施行したらいいですよ。今僕が言った疑問に、政府がこういうセーフティーネットを用意するからそれは懸念はありませんと言っていただく、それが納得できるようなものを出してくれれば、では完全施行しましょうよ。それができないので多少破綻するものが出る、でもまあやっちゃえということはやめましょうよ。

 だから、何が何でもこの六月にやらなきゃいけないという切迫性はないんですよ。だって、さまざま今準備してきているんだから、段階的にやっているんだから。だから、六月に完全にやるというのは一回とめて、政権もかわったことだし、もっともっとその利用者の立場の意見を聞いて、それで出直しましょう。それで、政府としてこういうセーフティーネットができましたから皆さん安心してください、そのかわり、その他ほとんどのスキームはそのままやらせてもらいますよならいいですよ。

 一回立ちどまって考える、完全施行を延期するということですよ、政務官。

田村大臣政務官 もう委員も十分御案内だと思いますけれども、もう既に十策というものを議論しておりまして、そこはまさに、中小零細事業者の方も引き続き貸金業者からできるだけ簡単に借りられるようにというような、そういう手続の見直しも含めてさまざまな提案をしております。それによってそういう懸念も払拭されるのではないかというふうに期待しております。

平(将)委員 これは、本当に十策で僕の問題点を解決できると思っているんですか。これは政治家としてのリテラシーの問題ですよ。どうですか、田村政務官。

田村大臣政務官 繰り返しになりますけれども、今、提案をして、さらには、まだ完全ではありませんのでさまざまな、議員を初め、意見も募っているところでありますけれども、この案によってその懸念は払拭されるというふうに期待をしております。

平(将)委員 人の命がかかっているんだから、期待しているとか、そういうのじゃだめですよ。大臣政務官にやりますと言う権限があるとは思っていませんけれども、もうちょっと真剣に議論しましょうよ。これはいろいろな意見があるんですよ。でも、目の前にある危機を回避できるのは与党しかないんですから。

 それと、政権交代したんだから、やろうと思ったら何でもできるんですよ。普天間だってとめたじゃないですか。郵政だって、逆戻りとは言わないけれども、変えたじゃないですか。やってできないことはないんですよ。もっと真剣に議論しましょうよ。

 それと、総量規制、これもナンセンスですね。世界で事例があるんでしょうか。それと、さっき言った事業用資産。十の緩和策の中に、所得がなくても事業所得があればそれを認めるというのがある。しかしながら、それも所得と同じように三分の一だという。でも、事業所得というのは、売り上げがあって、仕入れがあって、その中の利益でしょう。でも、この間の庭師さんの話を聞いたら、仕入れ資金が欲しいと言っているんですよ。庭をつくってくれという注文をもらった、そうしたら松とか岩とかを買う、それで、庭をつくったら代金を回収して、もらう。これは、事業所得の規制が入っちゃったら、必要な資金の十分の一も借りられないですよ。

 だから、緩和策というけれども、びほう策で、ほとんどきかないですよ。気休めの十策ですよ。これはどうするんですか。

田村大臣政務官 今の御質問ですけれども、そもそも個人事業者に関しましては、事業向けだという簡単な計画をつくれば、それは総量規制にはかからないものであります。総量規制がかかるのは基本的に個人のまさに消費向けの借り入れでありますので、個人事業主が事業で借りる場合には、簡単な計画書を出せば、それは規制はかからないわけですね。

 この方策というのは、個人事業主が、生活とか、まさに一般の方と同じように借りる場合には、その所得を事業所得としましょうということでありますので、そこは大丈夫だと思います。

平(将)委員 やはり、生活の実態というか、社会の実態がわかっていないんだと思うんですね。

 いろいろな人たちがいて、実際アンケートの結果を見ると、消費者金融も、よく言われる遊興費に使うというのは、実はそんなに多くないんですよ。急な病気でお金を借りたとか、子供の教育費でお金を借りたと。もう一つよくあるのは、事業費に転用なんですよ。社長が借りて事業資金に回しているわけ。そんなのは枠組みの外だと言うかもしれないけれども、それが社会の現実なんですよ。それで、お上のお世話にならずに一生懸命生きている人たちというのはいっぱいいるわけですよ。それをエリートの理屈で、理屈ではこうだ、法律ではこうだというのを押しつけて、政府のお世話にならないで頑張ってやっている人たちがある日突然お金が借りられなくなるんですよ。ある日突然ですよ、それも。それで生活に行き詰まるんですよ。

 我々も反省はあるけれども、そういう現場をもっと見ましょうよ。これをやらなきゃ、そういう人たちは今までどおり頑張れるんですよ。それは健全だとは思いませんよ、決して。余りいいことだと思えないけれども、でも、そういうぎりぎりのところで頑張っている人たちというのは物すごくたくさんいるんですよ。そういう人たちの声というのはなかなか我々に上がってこないんです。ですから、今、そういう人たちは大丈夫、十策で大丈夫だと。大丈夫なわけないじゃないですか。もうちょっと真剣にやってもらいたいと思います。

 あともう一つは、ちょっと私の議論というか問題意識とは若干違うんですが、今回のこの総量規制をやります、コストが余分にかかります、下手なことをやると金融庁から怒られますと。民間の経営者はどういうことを考えるかといったら、やらないんですよ、合わないから。下手を打つと金融庁に怒られるからやらない。実質、事業者のアンケートにおいては、専業主婦は貸しません、事業用の融資もしませんとなっているんです。事業の方は、今言った問題、絶対起きますよ。そのときは責任とってもらわなきゃいけない、皆さんに。

 それともう一つ、これは主婦は大変なことになると思いますよ。これが問題で離婚や何かがたくさんふえるんじゃないかなと思うけれども、それは大丈夫ですか、政務官。

田村大臣政務官 そこは今後、例えば多重債務者対策本部とかいろいろな枠組みで、金融庁ももちろんですけれども、そういった混乱が起きないように最善の努力をしていきたいと思っていますし、その準備をしているところです。

平(将)委員 まあ、何にもやらないという答弁ですから、ぜひお願いをしたいのは、結構、地方議会の方がこの問題に真剣に取り組んでいるところがあって、大阪府議会なんかが大分いろいろな議員が質問をして、大阪府というのはまさに商売の町ですから、それである程度民間の金融業者が機能しているんですよ。その機能をぱたっととめてしまうことだし、既に、さっきも言いましたけれども、完全施行する前に、この手の法律というのは決まった時点ですべてが動き出すんですね。だから、かなり大きな影響も出ている。やみ金もばっこをしているというのが出ています。話によると、きょうの午後にでも大阪府が調査結果を出すという話も聞いております。そういうのをよくよく聞いて、よくよく見て、また金融庁は金融庁で独自で調査をして、それからぜひ判断をしてもらいたいと思います。

 今、やみ金は我が世の春ですよ。なぜなら、今まで正規の業者からお金を借りていた良質な、やみ金業者から見たら考えられないような信用力のある人たちが、行き場所がないんですから。これは当然、警察が徹底的に取り締まるべきだし、撲滅をしなければいけないけれども、しかしながら、それで一たん救われたという人たちがたくさん出てきているんですよ、現実は。もっと耳を傾けてほしいと思います。

 そういった中で、今まで借りていたところが貸してくれないから、やむにやまれずやみ金から金を借りたと。そこから転落していくのも当然防がなきゃいけないんだけれども、一時的な資金ニーズだから、その後、やみ金にお金を返して、何事もなかったように普通の日常生活に戻っている人たちもいるんですよ。そうしたら、やみ金に借りていなかったらそこで破綻しているという話ですね。

 だから、これは正当化する話には全くならないけれども、さらにこういう領域をふやして一般の国民の皆さんのリスクを高めるということだと私は思いますので、ぜひ、そういう地域の声、議会の声も上がってきていますので、考えてください。

 やらないんだったら、またちょっと考えますよ、もうしようがない。本当は与党の皆さんが決断してくれないとできないけれども、野党として対策を立てて参議院選挙を戦うしかないかなと思いますけれども、皆さんが決断すればすぐできるんですから、ぜひ検討をしていただきたいと思います。

 それでは、時間も大分なくなってきたので、本題に入っていきたいと思います。

 きょうは、大臣所信についての質疑ということで、たくさんお伺いしたいことがあるんですが、大分時間もあいてしまったので、忘れているところもたくさんありますが。

 まずは、我々がずっと、民主党には経済成長戦略がないじゃないかといった議論をさせていただきました。マニフェストに載っていないということはもうナンセンスだと思いますが、十二月末に新成長戦略の基本方針というものが上がってきたわけであります。

 今までの議論を聞いていてもおわかりだと思いますが、やはり経済を成長させるには民間の人にやる気になってもらわなきゃいけないんですよ。だから、今まで、今こういう緊急事態だから倒産防止の法律もつくりました、小規模共済もつくりましたと。片やで民間の担い手を強制排除するようなことはやってはいけないわけでありますけれども、成長も一緒なんですね。政府は、やることはいいけれども、民間の人たちがこの民主党の成長戦略を読んで、ああ、なるほど、ここでやったらもうかりそうだとか、投資したらリターンが得られそうだというイマジネーションが民間の人にわかなければ、波及効果は限定的なんだと思います。

 私もビジネスマンの端くれですが、読ませていただきましたが、まずそのイマジネーションが働かない。それと、言っている意味が基本的にちょっと理解できないということがたくさんあります。その辺を、これは菅さんのところでやっているんだと思いますが、まさに経済政策、成長戦略は経産省の管轄だと思いますので、聞いてまいりたいと思います。

 よく菅大臣が答弁でおっしゃるのは、第一の道、第二の道、第三の道ということをおっしゃられます。第一の道は、自民党的な公共事業で有効に経済成長に寄与した時期があった、でも、今はもう時代が違うんだ、こういったいわゆる呪縛から抜けなければいけないと。第二の道は、構造改革の名のもとに企業が生産性向上に取り組んだ、一部の企業はよくなったかもしれないけれども、結果として格差が広がった、失業者がふえた、これもだめだと。だから我々は第三の道を歩んでいくんだということですね。

 そのときの菅大臣の答弁を聞いてひっくり返りましたけれども、では、第三の道は何ですかと言ったら、政治のリーダーシップだと言っていましたよ。ちょっと議論が食い違っているんじゃないかな、流れと合わないんじゃないかなと。何をやるんですかと言ったら気合いだと言われたような話なので、もっとまともな政策議論をしなきゃいけないと思います。

 一つは、公共事業、私も、自民党的、古い自民党的と言ったらいいんでしょうか、何でも公共事業をやって景気を支える、経済を支えるというのは、それは全くナンセンスだと思います、人口は減っていくんですから。しかしながら、経済合理性があって、その公共事業、公共投資をやることによって将来的に日本の成長力に資する、もしくは海外の人たちが日本に投資してもいいと思う、国際競争力がつく、産業の生産性が高まる、こういったことは私は景気対策としても公共事業としても積極的にやるべきだと思います。

 ですから、何か公共事業は全部だめねみたいなのは、ぜひこれは、考え方が、プロパガンダですからこういう言い方をしているんだと思いますけれども、やめていただきたいと思いますし、我々も反省をしなければいけないのはもう重々承知をしておりますが、特にミッシングリンクなんかは全国的に結んでもらうことが物流コストの削減ですから、それは高速道路無料化もいいですけれども、一番王道といえばミッシングリンクをつなぐというのが物流コストの削減になるのであって、公共事業は何でもだめねと、コンクリートから命へということで、こういう、もう自分で縛ることはやめていただきたい。今、景気が多少緩やかに回復しつつありますが、またどんと落ちたときは、そういう日本の将来の成長に資する、生産性を高めるための公共投資は憶することなくやはりやってもらいたいと思います。乗数効果も高いですから。

 それで、第二の道が、構造改革の、これは私、全くナンセンスだと思っていて、生産性が向上したから、結果としてといいますが、グローバルな競争の視点が全くないじゃないですか。グローバルな競争をしているんですよ。ここで生産性を高めて競争力を高めなければ、海外の企業に取ってかわられるんですよ。そうしたら、その企業自体もなくなるかもしれないし、雇用自体もなくなるわけであって、これを頭から否定しているセンスが全くわからない。

 まず、この第一と第二の総括、この新成長戦略、輝きのある日本へ、この第一と第二、ちょっと理解不能ですけれども、ぜひ大臣、解説してください。

直嶋国務大臣 さっきも平議員もおっしゃったんですけれども、オール・オア・ナッシングの議論ではないと思うんです。ですから、例えば公共事業も、今おっしゃったように、将来の成長にとって必要で、しかも効果が大きいということであれば、それは当然やっていくということになると思いますし、例えば構造改革も、必要なものはやはりやっていく必要があると思うんです。

 ただ、問題は、さっきもおっしゃいましたが、例えば、日本の資源をどこにどれだけ配分するかという問題になってくると思うんです。公共事業にどんどん厚く配分するような時代はもう済んだのではないか。それからまた同時に、いわゆる構造改革といいますか、供給サイドに重点を置いた政策を展開してきた結果として、やはり国民の生活の面でいろいろ問題を生じたことは事実でありますから、そういうことをしっかり踏まえてやっていこうと。

 政治のリーダーシップというのはもちろんなんですが、我々が第三の道という中で具体的に申し上げているのは、例えば、地球温暖化問題でありますとか少子高齢化といった地球全体、地球規模の課題を世界に先駆けて解決するということを意識しながら、安定した需要を政策的につくり出していく、そして、イノベーションを通じて、おっしゃるように企業それから経済の成長を通じて雇用を創出する、それを成長力や国際競争力の強化につなげていこう、こういう考え方であります。

 あわせまして申し上げれば、やはりセーフティーネットとしての社会保障の拡充により消費者の不安を解消していくということが必要だというふうに思っておりまして、そういう面では、セーフティーネットの拡充も含めて、経済成長の成果をやはり国民に享受していただける、そういう視点も重要であるということで、今申し上げたようなところを第三の道という考え方で述べているというふうに理解をいたしております。

平(将)委員 格差というものにどう対処していくかというのは一つ大きな政治課題だと思います。

 しかしながら、とめられない動きというものも片やあって、グローバル経済は好き嫌い関係なく進んでいくんだと思うんです。その中で競争をしていく。グローバルに展開する企業は最適配置をしていくんだと思うんですね。だから、こういう競争をしっかりしていかなければいけない。

 そういった中で、日本の労働者と海外の労働者が同じ生産性であれば、それは安い賃金のところに行かざるを得ないわけであります。これは、結果として全世界的に格差が広がるんですね。これは嫌だといったって、それはもうしようがないんですよ、戻れないです。では、どうするのかといったら、我々はもっと付加価値のある人材教育というものをしなければいけないとか、そういう手当てが必要なんだと私は思います。

 ですから、供給サイドを重視したというふうに、だから需要者サイドにシフトするんだといいますが、そこでどう経済が成長していくかというイマジネーションがいまいちよくわかないんですよ、正直言って。

 だから、それは子ども手当をもらったらうれしいと思います。しかしながら、この間我々も事業仕分けというのをやって、一時間三十分いろいろな議論をしましたけれども、では子ども手当の目的は何なんですかという議論もして、余りよく議論がかみ合わなかったけれども、子ども手当で持続的な経済成長になるとは思っていないし、有効な経済政策になるとも私は思っていません。

 それと、言えば、確かに社会に安心を与えることがまた消費がふえてくるというのもそうだと思いますが、であれば、財源論もしっかりやらないと、それは消費には回らない、お金は使わない。実質、アンケート結果を見ると、まあ、余り悪い人はいないので、子供のために使うと言っていますよ。しかしながら、将来の子供の支出のために蓄えるという人が大勢を占めていたかと思います。

 ですから、需要サイドにフォーカスを当てて安心をつくるんだ、不安を取り除くんだというのはわかりますが、それが財源論と相まってどう持続的な経済成長につながるのか、イマジネーションできるように説明をしていただきたいのが一つ。

 もう一つは、外需主導から内需主導だとよくおっしゃっていましたね、初期のころは、大臣も総理も。これもよくわからないのが、これから少子高齢化が進んでいくわけですよ、人口が減っていくわけですよ、資源もない、どうやるんですか。大変でも、グローバルな競争に勝っていく、輸出をふやしていく、輸出もふやして輸入もふやす、それで豊かにして内需につなげていく。外需主導から内需主導へというような発言もしていました。これもよくわからない。

 この二点、ぜひ大臣、解説をしてください。大臣、大臣。いえ、近藤さんはまた後で聞きますから、大臣お願いします。いや、大臣に聞かないと。だって、近藤さんに聞いてもしようがないんだ。

近藤大臣政務官 成長戦略の事務総括の補佐をさせていただいておりますので、全体の成長戦略の……(平(将)委員「じゃ、短く」と呼ぶ)簡潔にお答えしたいと思います。

 御質問のまず第一点の、内外需両方大事じゃないか、こういう御指摘、全くそのとおりであります。経済産業省としては、直嶋大臣も当初から、内需も外需も重要、こういう問題意識で成長戦略を策定しております。

 ただ、あえて申し上げれば、強い内需をつくることが外に打って出る、外需を取り込むことにもなるし、もっと、さらに広げて言えば、アジアは大きな意味で内需だ、こういう意識でこの成長戦略をつくっている、こういうことでございます。

 また、将来の不安の、少子化対策等の御質問がございましたけれども、これは委員もう十分御理解されているかと思うんですが、少子化対策、例えば、今議論している幼保一元化の議論などは、やはり安心できる子育て環境をつくるということは労働の供給能力の強化にもつながるわけですし、そこで新たなビジネスが広がるわけですし、そういった意味で大変大きな効果もある、そういった課題を解決することで新しい市場をつくる、こういうことでございます。

 以上です。

平(将)委員 近藤政務官、政策の議論はまた一般質疑をやりますので、そのとき指名してやりますから、きょうは大臣の意見を聞きたくて言っているのであって、近藤先生にする質問はまた違う種類の質問をしますので、余り出てこないでください。今、アジアは大きな意味で内需だというのは、これも僕は言葉遊びだと思いますよ、正直言って。

 これは、一番の問題は、何で僕は大臣に聞いているかというと、ここにいる皆さんは、基本的な、経済はどうやったら成長するかとかわかっているから、まともな答えが返ってくるんですよ。でも、そうなっていないじゃないですか、総理にしたって、菅さんにしたって。だから大臣としての認識を聞いているんですよ。この成長も、役人が関与したと思われる後ろの方は、まあまあ、なるほどなという議論ですよ。冒頭の部分は政治家が書いているから、つながらないじゃないですか。笑っているということは認めているということですよ。

 それと、僕がもっとくぎを刺しておきたいのは、産構審、産業構造審議会が今議論しているでしょう、極めて真っ当な議論をしていると思いますよ。多分、五月、六月に真っ当なソリューションが出てくるんだと思いますよ。だから、期待をしていますよ。しかし、ちゃんと整合性をとってくださいね、皆さんの最初に言っていたことと。うんうんと言っているけれども、内心、本心でどう思っているかわかりませんが。

 私は、ここで議論すればまともな議論になるんですが、外に向かってそう言っていないでしょうと。だって、外需主導から内需主導にしようと言ったじゃないですか、言っていたじゃないですか。だから、そういうような個々の問題がありますので、ちょっと近藤さんにペースを乱されちゃいましたけれども、ぜひお願いをしたいと思います。何を質問しようかと思って、忘れましたが。

 それともう一つ、要は、グリーンイノベーションとライフイノベーションと言っています。多分、内需というロジックの中には、社会保障分野に需要がいっぱいあるんだから、それを社会保障ではなくて成長に、産業政策にという話だと思います。

 先ほど言ったように、ここで一番大事なのは、民間の人が見て、なるほど、ここはもうかるから参入しようというイマジネーションが働くかどうかなんですよ。確かに、介護がふえますね、医療もふえます。しかし、成長産業としてやる以上は、本来は、ここは、例えば保険料、公的資金、そして一部自己負担で成り立っているマーケットですよね。ここを成長産業にしようとすれば、例えば、もっと高いサービスを受けたい人にはさらなるお金をもらってさらなるサービスを提供するということが、医療においても介護においても必要になってくるんです。そうですね。そうすると、当然、規制改革、規制緩和という話になってくるんです。

 総理や菅さんの話を聞いていると、何か構造改革全否定みたいな話をしているけれども、ではそこは具体的にどういうイメージが持てるんですか。では、介護の分野、医療の分野、民間の資金が入ってくるインセンティブになるような絵を教えてくださいよ。

 これは、大臣じゃなくて近藤さんになっちゃったけれども。

近藤大臣政務官 お答えを申し上げたいと思います。

 平委員御指摘のとおりであります。我々、規制のルールの組みかえということを言っています。ルールを組みかえていきたい。

 この成長戦略の中では、枝野大臣のところでやられる規制改革会議、そして菅副総理、直嶋大臣が副議長をやられている成長戦略の舞台、これが相互に連携をしながらこの議論を進めていきたい。

 小泉改革を私ども、全部だめだと言うつもりはありませんけれども、あえて言えば、竹中さんがやってきたことよりももっと力強いパワーで、これは経産大臣と菅副総理とそして枝野さん、仙谷さん、四人の閣僚が混然一体となってチームを組んでいるわけですから、相当なものができる、御期待いただければ、このように思います。

平(将)委員 時間もなくなりましたので、総体的に言うと、例えばCO2のさっきの問題、二五%削減、ハードルは高いですよ。予見可能性もない。では目の前の投資をやめておこう、これは当たり前のガバナンスだと思いますよ。ですから、そういうこともあり。また、製造業の派遣禁止、これは格差の解消なんだと思いますが、最低賃金を引き上げよう、そういう議論も出ているかと思います。

 それは一定の意味はあると思いますが、供給者サイドへ偏り過ぎたとおっしゃるかもしれないけれども、経済成長の主なる担い手は企業ですよ。雇用の主なる担い手は企業だと私は思います。そういうことから考えると、やはり企業の足を引っ張る政策が多いんだと思うんですよ、表に、前面に出ている話は。それと、郵政の上限二千万円。民業圧迫以外の何物でもないじゃないですか。

 こういうことを考えれば、経営者はもう出ていけ、海外に出ていけと言われているととっても、私は不思議じゃないと思いますよ。

 それと、さっき指摘したけれども、やはりグローバルな競争のシビアさみたいなもののイマジネーションがちょっと足りないんじゃないかなと思いますよ。ぎりぎりで戦っているんですよ。ソニー、パナソニック、いろいろありますけれども、ではどうなのか。今サムスンにおくれをとりかねない状況になっているんですよね。

 この間のあのオリンピックで、浅田真央さん、私も熱狂して応援していましたけれども、あれだけの才能があって、あれだけの努力をしても、キム・ヨナさんに負けたんですよ。スポーツの世界ではどれだけ国際競争が熾烈かということは、我々、すぐにイマジネーションがわくんだけれども、産業の世界ではなかなかイマジネーションがわかないけれども、同じぐらい厳しい戦いをしているんですよ。

 そのぐらい何とか許容しろと言うかもしれないけれども、皆さんの発言だけ聞いていると、皆さんって、ここじゃなくて、鳩山内閣の発言だけ聞いていると、企業に手かせ、足かせするようなことばかり言って、浅田真央さんの足に鉛のおもりをつけて、キム・ヨナに勝ってこいと言っているようにしか聞こえないですよ。

 ですから、ぜひもうちょっと、ここはちゃんとした議論になると思いますが、政権全体で、何でも企業を敵視するんじゃなくて、そういう組合体質はやめて、もっと明るいメッセージを出していただきたいと思います。

 続きはまたやらせていただきます。ありがとうございました。

東委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、地球温暖化対策とエネルギー政策を中心にお伺いをさせていただきたいと思っております。

 まず、今、日本経済と雇用は大変厳しい状況にあることは先ほど来の議論にあるとおりでございますが、この問題は、グローバル経済の進展によって日本の競争力が落ちてきたということに根本的な原因があるのではないかと思います。そういう意味で、雇用問題、また景気対策、長期的には日本の競争力を高めるような政策を打っていかないといけない。

 日本の競争力とは何かということでございますが、それは、ほかの国にはできない高付加価値のサービスを製品につけるということしかないと思います。その高付加価値というのは、やはり科学技術である、そのように思います。日本が優位にあるこの科学技術分野というのはそんなに多くはございません。その中の数少ない一つが、環境・エネルギー技術であると思うわけでございます。

 そういうような意味で、きょうは地球温暖化対策とエネルギー政策について質問をさせていただきます。

 政府は、前提条件つきではありますけれども、二〇年までに二五%削減するという中期目標を掲げた地球温暖化対策基本法を今国会に提出いたしました。公明党は、前提条件のない二五%削減の中期目標を掲げて、その達成のための具体的な施策を明示して、さらには、影響を受けやすい国民生活や産業界の国際競争力にも適切に配慮していく気候変動対策推進基本法案、これを間もなく国会に提出する予定でございます。

 公明党は、二五%削減目標を掲げたことを高く評価しております。その理由は、すべての主要排出国による公平かつ実効ある新たな国際的枠組みを構築するとともに、国内においては技術革新を大きく進めて、環境と経済が両立する低炭素社会を実現して、その成果を国際的に還元していく原動力になると思うからでございます。

 日本の温室効果ガス排出の九割はエネルギー起源CO2であるということは皆様もよく御存じのとおりでございますが、地球温暖化対策を進める上で、エネルギーの低炭素化は決定的に重要であると思います。

 このエネルギーの低炭素化を進めるためには、まず第一の柱としては、やはり安全性の確保を前提として原子力発電の稼働率を上げること、第二の柱としては、CO2排出量の三分の一を占める火力発電の高効率化を図っていくこと、そして第三の柱としては、再生可能エネルギーを大幅に拡充していくことが重要であると考えます。

 本日は、この中で、火力発電の高効率化と再生可能エネルギーについてお伺いをしたいと思います。

 まず、火力発電の高効率化について直嶋大臣にお伺いをさせていただきます。

 火力発電所というのは二酸化炭素排出抑制の敵のように思われておりますけれども、エネルギーのセキュリティー上、非常に大事なエネルギー源だと思います。そうであるならば、その火力発電の効率をいかに上げるかということが重要となってくるわけでございます。

 しかし、電力自由化が進む中で、発電単価の安い石炭火力発電所が多くできてきたというのも御承知のことと思いますが、我が国のエネルギー起源のCO2の排出量のうち、実にその三割以上が火力発電所からのもので、そのうちの過半数が石炭火力から排出されております。このため、前内閣におきましては、斉藤前環境大臣が小名浜火力発電所の建設に関して、最新技術を使用しておらず努力の跡が見えないという理由で、是認しがたいとの意見を出して、経済産業大臣に対して、電気事業全体の排出原単位低減の枠組み、また、二〇五〇年の電源構成、そして今後の石炭火力の設置基準、さらには、PPS事業者の目標の深掘りということについて検討を求めたという経緯がございます。

 鳩山政権になって、二〇五〇年には八〇%削減する長期目標が提示された以上、今後の石炭火力の設置基準を明確にすべきであると考えます。

 やはり、石炭ガス化複合発電、IGCC等の最先端の技術を持ったものでなくては認めてはいけないのではないか。その基準をどう考えるか。斉藤前環境大臣の意見書に対しての検討状況を大臣に伺いますとともに、石炭火力発電所の二酸化炭素排出量削減に向けて、どのように取り組んでいかれる方針か、新設に関する対応方針も含めてお伺いをいたします。

松下副大臣 大臣の話はまた追ってあると思いますけれども、今おっしゃったように、昨年五月二十六日に、小名浜火力発電所に関する環境影響評価の際に、斉藤大臣から、電気事業全体のCO2排出原単位を低減する、その枠組みや今後の石炭火力の設置基準等について御意見をいただきました。

 おっしゃったように、我が国のCO2の約三分の一は電気事業において排出されているということで、大変重要なことでございますので、これは真剣に取り組んでいくということをまず申し上げておきます。

 その上で、石炭火力は供給安定性等にすぐれておりますけれども、CO2の排出原単位、これは分母が発電量で分子がCO2の排出量でございますけれども、石炭火力の建設に際しては、最高水準の設備の導入等によりまして、施設の稼働に伴うCO2の排出について実行可能な最大限の削減を図ることが重要と考えて取り組んでおります。

 今、エネルギーの基本計画に取り組んでおりまして、三月二十四日の総合資源エネルギー調査会の総合部会基本計画委員会に、今後の石炭火力の新設において、エネルギー基本計画の見直し骨子案において、新増設、更新の際には最新設備の導入をすること、それからバイオマスをまぜて焼くということ、原則としてCO2の排出を石炭ガス化複合発電並みとするということでしっかりと具体的に取り組んでいくということで、今パブリックコメントをかけておりまして、近いうちにきちっとお示しすることができると考えております。

江田(康)委員 今進められているエネルギー基本計画の見直し骨子案、この中にも、これからの石炭火力の設置基準については、新設についてはこのような最先端の技術を持った高水準のものしか認めない、こういうような方向性が示されつつあるということで伺っておりますので、大臣のこの意見書に対する答弁としても、そのような方向でいくのではないかと確信をしております。

 どうぞ、最先端の火力発電、高効率化火力発電を大いに進めて、そして低炭素化と経済が両立するような方向に持っていきたいと思うので、よろしくお願いをいたします。

 次に、再生可能エネルギーについてお伺いをさせていただきます。

 従来の化石エネルギーにかわって、太陽光、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーを普及拡大していくことは、地球温暖化対策のみならず、エネルギー自給率の向上、それからエネルギー源の多様化、環境関連産業の育成、こういう観点から大変重要であると思います。

 地球温暖化対策基本法には、二〇二〇年までに一次エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合を一〇%とする、また再生可能エネルギーの全量買い取り制度の導入、こういうことが盛り込まれているわけでございますが、前政権でも太陽光に関しては余剰電力の買い取り制度をスタートしたわけで、大変効果がある、そのようにお伺いをしております。

 この全量買い取り制度については、経済産業省のプロジェクトチームとして、二十四日に四つのオプション案を示されました。制度開始十年目の試算を発表されたわけでございますけれども、本制度については、この全量買い取りを基本としつつ、再生可能エネルギーが最大限導入されて、かつ国民負担は抑えられるような制度設計を行うとされております。

 この四つのオプション案は、買い取り対象、全量買い取りとするのか、余剰とするのか、また新設も既設も含むのか、そのほか、買い取り価格や買い取り期間等々の組み合わせでできているわけでございますけれども、年間導入量の幅としては三千百二万から三千七百七十三万キロワット、それからCO2削減量の幅としては二千三百八十二万から三千七十五万トン、それから年間買い取り費用の幅は四千九百六億円から一兆六千八十三億円となっております。

 このようなオプションが提示されたわけでございますけれども、今申しましたように、年間買い取り費用は四千九百六億円から一兆六千八十三億円と非常に幅広い、こういうふうに算出されておりまして、しかし、いずれの場合も国民の負担は増加するものと思われますが、家庭での負担はどの程度増加していくのか、お示しいただきたい。

 また、全量買い取りとなれば、スマートグリッド等の系統安定化対策が必要となってまいりますけれども、その費用はここには入っておりません。系統安定化対策まで含めた国民の負担額はどの程度になるのかもお示しをいただきたい。

 時間がないので、もう一つ加えて質問をさせていただきますが、この再生可能エネルギーの普及には、今言ったように、普及策と国民負担のバランスが大事であって、さらに国民の生活、例えば低所得者対策とか、経済そして産業の国際競争力に与える影響等について適切な配慮をすべきであると考えます。

 公明党の基本法案には、これをしっかりと盛り込ませていただいておりますが、政府はこれらの点に十分注意して制度設計を進めなければならないと思いますけれども、政府の見解をお聞きします。

増子副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 江田委員とは別の委員会でも再生可能エネルギーについて議論をさせていただきました。きょう、改めて再生可能エネルギー全量買い取り制度についての御質問がございました。

 御党が非常に熱心に温暖化対策を進められているということ、そして、私どもの二五%削減についても一定の評価をいただいていることは大変ありがたく思っております。

 この再生可能エネルギーについては、私どもは、基本法の中で一〇%達成をうたっておりますが、御党は一五%という非常に高い目標を掲げていること、私どももぜひこういうふうになればいいなという思いを持ちながら、とりあえずは一〇%達成をしっかりとやっていきたいというふうに思っているところでございます。

 導入に当たっては、やはり、エネルギーの導入拡大と同時に国民負担の両面のバランスが極めて必要であろう。と同時に、温暖化対策はあくまでも環境と経済の両立こそが国益であるというこの理念、視点も私どもはしっかりと持っていきたいと思っております。

 昨年の十一月に立ち上げました私どもの再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチームにおいては、このような点を踏まえながら、いろいろな角度から、有識者の皆さんにも御意見をいただきながら議論を進めてまいりました。

 先ほど、江田委員の方から詳しくオプションについての御説明がありました。その中で申し上げることは、まず制度開始後十年の標準家庭の一カ月当たりの負担は百五十九円から五百二十二円と試算をしております。この中でどれが一番いいのか、これからさまざまな議論を私どもさらに重ねていきたいと思っておりますし、この制度のオプションをお示ししたところでありますので、これについては三月三十一日から幅広い意見の募集を開始したところであります。と同時に、国民の皆さんとのフォーラムを全国で十数カ所重ねながら、国民の皆さんの御意見もしっかりと受けとめていきたいというふうに思っております。

 さらに、今お話がありましたスマートグリッド、この系統に対してのいろいろな負担というものも、それぞれのオプションによって違うわけでございます。そういう観点からして、この系統の金額もいろいろ幅がございまして、かなりの部分になっていくんだろうなと。これらについても詳しく精査中でございまして、今、的確なお答えをすぐに申し上げることはできませんけれども、いずれにしても、オバマ大統領も、スマートグリッドこそがグリーンニューディール政策の最大のポイントであり、これからのアメリカの経済の起爆剤だということと同じように、私どもも、先ほど大臣も御答弁の中で申し上げましたが、スマートコミュニティ・アライアンスというものをつくって、この系統対策について、さまざまな分野の企業に参加をいただきながら、しっかりしたものをつくっていきたいというふうに思っているところでございます。

 また、次の普及拡大でございますが、まさにこれは本当に大事なことだと思います。私どもとしては、エネルギー政策に関しては、いわゆる三Eとして、安定供給の確保、環境への適合及びこれらを十分考慮した上での経済性の確保のそれぞれの観点が重要であるというふうに考えております。これらの点から、御指摘の再生可能エネルギーの導入拡大は、いずれの観点からも推進すべき重要な政策課題と認識をいたしております。

 いずれにしても、一〇%を導入するということもかなり厳しい数字でありますが、私どもはしっかりとこの一〇%達成を、これからあらゆる角度から、そしてあらゆる御意見をいただきながら、そして制度設計をしっかりとしながら、二〇二〇年までに一〇%まで拡大するために全力を尽くしていきたいと思っています。これからロードマップ、基本計画をつくることになっておりますので、その中でさらにこの点についても詳しく触れていきたいと思っています。

 全量買い取り制度の導入や、そしてこれらを導入するための導入支援、技術革新の推進、諸規制の見直し等、政策を総動員してこれらの普及拡大にも努めていきながら、江田委員の目標とする、できれば、私どもも一〇%をまずクリアしながら、さらに高い数字のところに到達するように全力を傾注してまいりたいと思っております。

江田(康)委員 改めて大臣に、再生可能エネルギーの意義についてお伺いをいたします。

 政府は、地球温暖化対策基本法に二〇年までに二五%削減、また五〇年までに八〇%削減するとの中長期目標を掲げたわけでございます。そして一方で、エネルギー基本計画においては、資源エネルギーの安定供給の確保と地球温暖化問題の解決の二つの視点から見直しを進めているわけでございます。

 しかし、今回の骨子案においては、原子力や化石燃料の自給率を高める必要性と資源の安定供給の必要性が強調されて、太陽光や風力、バイオマスといった再生可能エネルギーの普及促進策の位置づけが弱い、そういう指摘が一部ではございます。これに対して大臣の見解をお伺いしたいんです。

 やはり、太陽光、風力、バイオマスといった再生可能エネルギー、これは純国産そのものでありまして、そういう意味でも、この安定供給の促進策の第一に挙げられるべきものであるとも思います。しかし、この位置づけがエネルギー基本計画の見直しの骨子案の中では弱いというような感がすることは否めない、そういう意見を持っております。

 したがって、これを第一、第二、第三の柱として本当にしっかりと位置づける決意、そこを大臣にお伺いしたいし、また先ほど増子副大臣申されましたけれども、二〇年までに一〇%、これは何としてもやっていかなければならない、また日本のエネルギーセキュリティー上においても非常に重要なことだと思います。

 我が党は二〇二〇年までに一五%を目指すべきだというのは、やはり今、前提条件つきの二五%削減目標を政府は立てているけれども、しかし、その決意次第で、一歩間違えば本当に達成はできない、また、その結果として、低炭素社会が、環境と経済が両立する、そういう新たな世界を築いていく、引っ張っていく、そういう原動力にはなかなかなり得ていないのではないかという基本認識が私にはございます。

 したがって、一五%ぐらいの高い目標を掲げて経済と環境を引っ張っていく、そういう決意が、また具体的な施策が展開できるのかどうか、大臣にお伺いをしたいわけでございます。

直嶋国務大臣 今お話しのように、二〇二〇年の目標、それで終わりじゃなくて、先ほどお話しのように、二〇五〇年の、世界全体で半減、先進国は八〇%、こういう長期目標があります。したがって、その長期目標も視野に、今回のエネルギー基本計画は二〇三〇年までを目標に議論させていただいているということであります。その中で、今我々が目標としていますものを達成していこうとすれば、あらゆる手段、あらゆる制度も含めてあらゆる手段をとって対応していかないと、多分対応できないんじゃないかというふうに思っています。

 そういう意味では、再生可能エネルギーについても、現状も含めて一〇%という目標を置かせていただいたわけでありますが、これはできるだけ導入をしていきたいというふうに思っていますし、しかし、それで達成できるわけではなくて、やはり原子力もきちっと着実に推進をしていかないと、CO2の目標というのは到達できないというふうに思っています。

 それから、さっき全量買い取りの御議論もございましたが、全量買い取り制度も含めてさまざまな制度も駆使をしていかないとできない目標であるという認識をしておりまして、全力で再生可能エネルギーにも取り組んでいきたいということでございます。

江田(康)委員 今大臣からありましたように、再生可能エネルギーの普及拡大、これは低炭素社会を築く上で決定的に重要な政策になるかと思いますので、力強く大臣に引っ張っていっていただきたいと思います。

 時間が迫ってきておりますので最後の質問になるかもしれませんけれども、もう一つ、重要なエネルギーの観点からは、エネルギーの国際展開ということを確認させていただきたいなと。

 近年、中国を初めとするアジア諸国は急速な成長を遂げてきているのは御承知のとおり、特にアジアにおける中間層の成長が著しい。また、環境問題や都市化等、我が国が先に直面して克服してきた課題を抱えながら成長していることは、日本にとっては大きなビジネスチャンスであると思います。

 政府の新成長戦略の基本方針には六つの戦略分野が掲げられておりますけれども、その中にアジア経済戦略が目標に掲げられております。

 環境・エネルギー技術において日本が強みを持つインフラ整備をパッケージでこのアジア地域に展開するとともに、アジア諸国の経済成長に伴う地球環境への負荷を軽減して、日本の技術、経験をアジアの持続的な成長のエンジンとして活用することは極めて重要なことであると思います。

 例えば、新幹線や都市交通、水、エネルギーなどインフラ整備支援とか、環境共生都市の開発支援に官民挙げて取り組む。この官民挙げて取り組むということが大変重要で、今まで日本が弱かったところでありますけれども、この官民挙げて取り組むことでアジアの成長を取り込んで相乗的に成長することができる。この視点がこれからの日本の経済成長に大変重要な視点であると思っております。

 先ほど私は、高効率の火力発電のお話、また再生可能エネルギーの普及拡大ということをお話しさせていただきましたけれども、世界で最高の低炭素火力発電とか太陽光発電などなどの環境技術を持っている日本がこれを世界に売り込んでいく。売り込むと同時に、その国が日本の最高技術を使って二酸化炭素の排出量を減らせば、その減らした分を日本の排出量削減にカウントできるというような、京都議定書になかったような仕組みも新たな国際的な枠組みの中でつくっていく必要があるかと思うわけです。そのリーダーシップを大臣にぜひともとっていただきたいと思います。とっていただきたいと思うわけでございますけれども、エネルギー基本計画の見直し骨子案にもこのエネルギーの国際展開が示されております。

 これは今後のエネルギー戦略の中でも極めて重要な視点であるかと思いますけれども、政府としてどのように展開していくか、また課題は何か、そして具体的なロードマップはつくっておられるのか、その点について最後にお伺いをしておきたいと思います。

直嶋国務大臣 今委員の御指摘の点は本当に重要なことだと思います。

 したがいまして、今成長するアジアに対して、先ほど来の議論もありますが、さまざまなインフラ整備を含めて日本が持っているものを提供しながら、同時にビジネスにつなげていく。そのことは同時に、アジア諸国がさらに経済成長に拍車をかけるということにつながってくると思っていまして、この点は、まさに日本の成長にとっても、その成果を取り込んでいけるということで、非常に重要な点だというふうに思っています。

 それから、その核となるのはやはり環境とかエネルギー技術でありまして、特に、先ほど来委員が強調されています高効率火力発電、石炭ですね、日本の場合は石炭のウエートが小さいんですが、世界的に見ると、圧倒的に火力は石炭でございます。したがって、それらの効率をよくしていくということと、将来開発されるであろうCCSという炭素分離、地中貯蔵、この技術を確立する中で日本の貢献が大いにできるというふうに思っています。

 最後の点が、またおっしゃることは重要なんですが、今の京都議定書のCDM方式ではなくて、まさにそういう技術の貢献が評価されるような国際ルールをつくりたい。率直に言いますと、例えば二国間のそういう協定といったものもその中に評価として取り込んでいくとか、そういうさまざまなことをあわせて実行していきたいというふうに思っています。

 これは国際的な交渉も含めてやる話ですから、本格的な話し合いはこれからでありますが、例えば、この間のコペンハーゲン合意の中に、今のその技術をしっかり国際貢献として取り込んでいこうという一文はちょっと芽出しをすることができましたので、それを踏まえてさらに交渉をしていきたいというふうに思っております。

江田(康)委員 時間が来ましたのでこれで終わらせていただきますけれども、日本は、二〇年に二五%削減、そして五〇年に八〇%削減という、地球温暖化に対して高い目標を掲げております。これは、国際交渉でのリーダーシップをとることもできるし、また、国内では、低炭素社会の実現に向けて、環境・エネルギー技術を駆使して進めることができる、次の新たな成長戦略になる、こういうことを含んでいる二五%削減にしなければならない。

 そういうことにおいて、ぜひとも、経済産業省、直嶋大臣が強いリーダーシップで低炭素化を進めると同時に経済成長も実現していくという強い決意で地球温暖化対策にも向かわれることを強く念願して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

東委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、きょうはエネルギー政策を中心に伺いたいというふうに思います。

 最初に、敦賀原発が、せんだって、三月十四日で運転開始から四十年ということになりました。それで、四十年たった、かなり老朽化した原発をさらに六十年働かせよう、こういう話が出ているときですから、やはりこの点について少し考えておかなきゃいけないと思うので、質問します。

 最初に政府参考人に伺いますが、敦賀原発一号機の運転開始後の脆性遷移温度の変化、これは、第六回の検査というのは、一〇〇%ずっと運転を続けたとすると今まで何年運転してきたかということになりますが、八・六年という計算をしたときの中性子照射による脆性劣化が遷移温度として示されます。

 確認しておきたいのは、最初のマイナス二十三度Cが、今では五十一度Cに上がっているということを確認しておきたいと思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 敦賀原子力発電所一号機の脆性遷移温度は、第六回の時期に確認したものにおきましては、母材について五十一度Cということになってございます。

吉井委員 それから、この機会に伺っておきたいのは、運転開始からこれまでに、敦賀原発ではどういう事故やトラブルを何件起こしてきたかということも一つ考えなきゃいけないことだと思うんです。

 一号機で五十九件、二号機でトータル十三件ですが、実はカウントされていないものもいろいろあるんです。その中には、大量の冷却水漏れと事故隠しの問題があったり、熱交換器の冷却水漏えい事故があったり、それから、昨年五月に一号機で、ちょうど今問題になっております島根原発の点検漏れがずっと続いてきたというのと同じように、二十七年間点検なしでやってきて、点検してみたら十三台のバルブに傷が見つかった。一台はすぱっと傷が入っていたというものまであったと思うんです。

 事故件数とトラブルの実態というのがそういうものでいいのかどうかを確認しておきます。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、事故あるいは故障、そういったものが発生いたしました場合、いわゆる炉規制法に基づく一定の基準を設けてございますけれども、それに基づきまして報告を受けてございます。

 そのベースの件数で申し上げますと、敦賀原子力発電所一号機は、運転開始から現在までで、報告を受けたものが五十九件でございます。内容につきましては、委員御指摘のようなものも含めての五十九件でございます。

吉井委員 沸騰水型にしても加圧水型原発にしても、原子炉容器内の炉内温度、冷却水温度というのは、沸騰水型で大体二百八十度から二百九十度、加圧水型になりますと二百九十度から三百三十度Cぐらいになりますが、老朽化していますから、多重防護の機器を含めて機器が老朽化しているわけですね。

 ですから、巨大な地震に遭遇したときに、緊急に原子炉を冷却しなければならない事態が発生しますと、うまくECCSが働いたとして、かつてECCSをあけるための弁の弁棒が破損しておったという事故もありましたけれども、常温の冷却水が一どきに入るわけですね。そうすると、脆性遷移温度が上昇した中で、二百八十度Cを超える温度で運転している原発に常温の冷却水で急冷すると、もろくなっている原子炉容器が破損する、傷む可能性というものは普通は考えられる問題だと思いますが、この点について伺っておきます。

寺坂政府参考人 御指摘の脆性遷移温度に関しましては、先ほど申し上げましたとおりでございまして、現在五十一度、そういう数字がございますので、ただいま委員の御指摘のようなことで金属の粘り強さというものが低下していく、そういう要素があるのは御指摘のとおりでございます。

 実際に、冷却水といいますか、海水とか、そういったものが入ったときの材料の脆弱性、材料のもろさに関して申し上げますと、その遷移温度とあわせまして、もう一つはエネルギー量の点がございますので、その温度を下回っているから直ちに材料、原子炉圧力容器のところで問題が生じるということとは別というふうに理解をしているところでございます。

吉井委員 これは、金属材料学の専門の東大の井野名誉教授なども、遷移温度が上がってしまって、それはつまり、室温を超えるぐらいの温度になってしまっているわけですから、急速に冷却水を入れたときに傷むという問題を考えなきゃいけないという、これは専門家が指摘しているところだということをよく考えておかなきゃいけないと思います。

 それで、四十年運転で、要するに最初に比べて七十四度上がっているんですね。これは、もちろん常温を超える五十一度Cになっているわけですが、長期間の高速中性子照射によって格子欠陥が生じたりとか、要するに金属の劣化なんですが、これを仮に六十年運転するとなると、一・五倍長期間の運転ということになる。しかも、さっき、発電効率を高めるということで稼働率を上げるという話まで出ておりますが、そうすると、遷移温度は何度にまで上がるというふうに見込んでいるんですか。

寺坂政府参考人 数字そのものは今持ち合わせておりませんで恐縮でございますけれども、いわゆる高経年化プラントに関しましては、三十年あるいは四十年時点を迎える前に、今の脆性遷移温度の点を初めといたしまして、試験片などによるチェック、それから推計作業を行ってございまして、そういう高経年化の技術評価もやった上で、一応技術的な条件として六十年を前提とした技術評価を行ってございますけれども、そういった中での数字を見た上での現在の状況にあるというふうに御理解いただいたらと思います。

吉井委員 これまで四十年で七十四度遷移温度が上がっているんです。単純にはいきませんが、一・五倍となりますと、これは百十一度上がるということになるんですね。単純計算ですから、そう簡単にいくと私も考えているわけじゃないですけれども。ですから、非常に脆性遷移温度は上がってしまうんです。もろくなるんです。そういう運転がいいのかということが今問われてきていると思うんです。

 この敦賀半島というのは、地震の巣と言われるところで、活断層が集中しております。巨大地震の発生で、機器の破損、ECCSによる原子炉の破損、二次冷却系が働かない事態などが生じた場合、当然そういう最悪のことを考えて対応しなきゃいけないと思うんですが、最悪の炉心溶融になると、想定される最悪の場合の放射能の総量は幾らになるというふうに見ているかを伺います。

寺坂政府参考人 ただいま委員御指摘のようなケースでございますけれども、私ども、設置許可に当たります安全審査におきましては、万一の事故のときにおきましても、一般の方々を含めまして、周辺の公衆に著しい放射線の災害を与えない、これを確認するために、技術的見地からは起こるとは考えられないような仮想事故を想定して評価を行っているところでございます。

 そういう評価の内容でございますけれども、その中では、放射性物質といたしまして、希ガスと沃素に着目をいたしまして、炉心内部に蓄積されている量に基づいた被曝評価を行っているところでございます。

 例えば、現在審査中でございます敦賀の三号機と四号機でございますけれども、これにつきましては、それぞれの号機の炉心内の蓄積量については、希ガスが約五・五掛ける十の十九乗ベクレル、それから、沃素が約六・五掛ける十の十八乗ベクレル、そういう申請がなされておりまして、それに基づいて審査を行っているところでございます。

吉井委員 実は、原子力産業会議が一九六〇年に、これは茨城県東海村での原発事故について想定した、この場合は今日の普通の原発の約十分の一ぐらいの、規模の小さい電気出力のもので、七百レムですから七シーベルトの放出で、七百二十人の死者が出る、五千人というふうにも書かれておりますが、数千人の障害、百数十万人規模の要観察者が出るというのが当時の報告でありました。

 これは単なる空想でないことは、チェルノブイリの事故で実証されております。過去にチェルノブイリで死者が出ただけじゃなしに、今も被害に苦しんで、日本へも治療に来られる方がおられます。この報告書は、実はそれに先立つ一九五七年のアメリカのブルックヘブン・ナショナル・ラボラトリーでの試算と大体同様の状況を示しているんです。

 この報告書について、私は一九九九年に科学技術委員会で質問したんですが、当時の有馬科学技術庁長官は、今で言う文科大臣ですね、四十年前のものなんだけれども、当時として、今だったら五十年前となりますが、きちっとした科学的な技法でやられており、かなり正確に検討していると。これは大臣の答弁でした。それから、この報告書をまとめた原子力産業会議の森一久さんも国会へ来られて、私の質問に国会答弁で、これは私が中心になってまとめたんだ、今でも方法論は役に立つという答弁でありました。

 これは、やはり国から電力に指示することが大事だと思うんですね。国内のすべての原発のそれぞれについて、内蔵放射能の総量と、仮に放射能全量が放出された場合に、被曝量が七シーベルト以上の地域は何キロの範囲で、そこに住んでいる人口はどれぐらいか、七から二シーベルトの場合は何キロで、どれぐらいの人口か、それから二シーベルトから一シーベルトの場合、一シーベルトから〇・二五シーベルトの場合、その範囲はそれぞれ何キロで、居住している人口は幾らかと、きちんとやはりアセスメントを行っておく。試算を行って、やはりそれに対していろいろな対策も考えなきゃいけないわけですから。本格的に、東海村についてはちゃんと報告、レポートがあるわけですからね。原産会議がやっているんですよ。

 やはり、これは大臣として各電力に、そういう試算を行いなさい、こういう指示を出すことが今必要なときではないかと思いますが、大臣に伺います。

寺坂政府参考人 お答えいたします。

 まず、チェルノブイリの原子力発電所の事故に関しましては……(吉井委員「それはもう前に議論しましたから、もういいですよ」と呼ぶ)よろしゅうございますか。我が国と相当違う状況にあるということは御理解いただいていると思いますけれども、原子力施設を設計する際には、放射性物質の閉じ込めなどのための多重防護の考え方に基づいて設計をして、その安全性を確保しているわけでございまして……(吉井委員「それが壊れた場合のことを言っています」と呼ぶ)

 そういったことでございますので、私どもは、災害が発生しないように、設計はもちろんでございますけれども、運転管理、点検等々、こういったことについての充実を随時図ってきておりまして、その安全確保に努めているところというふうに御理解いただきたいと思います。

吉井委員 これはこれまでから随分議論もしているんですが、多重防護の機器そのものが、さっきも言いましたように、ECCSが働くためには弁がぽんとあかなきゃいけないんですね。肝心の弁を上げるための、弁棒といいますが、これが折損しておった例とか、そういう例は無数にあるわけですよ。とりわけ老朽化すればするほど、それが問題になるんです。

 だから、万一重大な事故が、多重防護の機器が壊れていて、点検から点検の期間を長くする、壊れておったと。いざというときに、巨大地震に遭遇したときに、壊れてしまって働かない。そういうことは当然考えなきゃいけないわけですから、炉心溶融のようなことも含めて、どういう距離でどういう被害が及ぶかということは、各電力のそれぞれのサイト別にやはりきちんとつかんでおらないことには、国としていざというときに対応できないわけですよ。ただ損害賠償の金を積んでおけばいいという話じゃないですから。

 やはり、そういうことについて、既にこういう原産会議で報告もやっているんですから、けさになりましたが、あらかじめ大臣の方に通知してある話ですが、大臣として各電力にそれは調べなさいということを指示するということが必要だと思いますし、そして、敦賀原発のように既に問題を抱えているところで六十年の運転計画というのはやめさせるということをきちんと考えていくということが必要だと私は思いますが、この二点、大臣に伺っておきます。

直嶋国務大臣 今の考え方は、先ほど保安院長から御答弁申し上げましたように、多重防護でしっかり事故を防いでいく、いわゆるトラブル等があっても、委員が御指摘のようなメルトダウンというようなことを起こさない、このためのさまざまな仕組みをつくっているということであります。

 したがいまして、高経年化原発についても、三十年を超える原子力発電所については、十年単位に、定期検査に加えた技術評価を実施いたしておりまして、そういったことも含めて厳格な検査を行いまして、慎重に安全性を確認、評価しているということでございます。

 例えば、科学的知見を得るというようなことも含めて、委員が御指摘の点は、論理的な面でいうと、そういうものを検討してみてもいいんじゃないかということについては、私も論理的には理解できます。

 ただ、今の仕組みはそういうことになっているということと、すべてやるということになると、これはまた別の要素も、そのことをやること自体が別の要素も加わってくるというふうに思っておりまして、きょうのところは吉井先生からの問題指摘ということで受けとめさせていただければというふうに思っております。

吉井委員 そもそも老朽化した原発について、大丈夫だという実証データはないんです。巨大地震と遭遇したときに壊れるか壊れないかを実証する装置そのものを、三百億円で国は持っておったんですが、三億円で造船会社に売り飛ばしてしまってスクラップにしたから、もうないんですよ。だから、実証データがないというのが現実なんです。

 そうした中で、多重防護のお話をされましたけれども、ECCSの弁棒の話はさっきしたように、折れた例もあれば、冷却水配管が破裂して壊れてしまった例もあれば、制御棒がそもそもうまく入らない事故が起こってみたりとか。この間、チリの津波は比較的小さくてまだよかったんですが、引き波になると、機器冷却系といって、原子炉をとめた後もずっと、崩壊熱を除去するためにポンプを動かして冷却水を送らなきゃいけないんですが、その冷却水がとれないというものもあるんです。

 ですから、もう時間が参りましたので締めくくりますが、老朽化原発に巨大地震が重なったときに、特に日本は地震国ですから、大変な事態になるということを想定して対応を考えておかないと、これは電力任せといったって、電力会社もそういうときはおろおろするだけなんですよ。

 柏崎でも似たような例だったんですが、柏崎はまだあそこで済んでよかったんです。あれはしかし、メルトダウンにもつながりかねない寸前だったんですよ。

 さらに危険なのが、高速増殖炉「もんじゅ」の再開問題です。

 この間もお話ししましたように、「もんじゅ」は将来の動力炉の見通しがないということは、元東京電力の副社長で原発をやっておった専門家まで、採算性のめどがないと言っているぐらいになっているんですから、そういうものに、「もんじゅ」の再開まで突き進んでいくというのは本当に危ない道だと。

 やはり私は、大臣として、これはここで一度立ちどまって、この問題について深い検討をしなきゃいけないときだと思います。もう時間が来ていますが、一点そのことだけ、大臣の、立ちどまって考えるかどうかだけ伺って、質問を終わりにしたいと思います。

直嶋国務大臣 今の「もんじゅ」も含めて、やはり安全性に最大の重点を置いて、安全第一の上でこれは推進をするというのが基本方針でございまして、そういう考え方にのっとって、今後、原子力発電全般についても考えていきたいというふうに思っております。

吉井委員 もう時間が参りましたから終わりますけれども、これは地球温暖化に名をかりて、この危険な状態でも長寿命化とか危ない道にどんどん進んでいくというのは、本当に取り返しのつかない問題を抱えてしまうということを指摘して、質問を終わりたいと思います。

東委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十六分散会


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