衆議院

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第9号 平成22年4月21日(水曜日)

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平成二十二年四月二十一日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 東  祥三君

   理事 柿沼 正明君 理事 北神 圭朗君

   理事 杉本かずみ君 理事 三谷 光男君

   理事 吉田おさむ君 理事 塩崎 恭久君

   理事 平  将明君 理事 佐藤 茂樹君

      稲富 修二君    小原  舞君

      太田 和美君    笠原多見子君

      金森  正君    川口  博君

      木村たけつか君    京野 公子君

      工藤 仁美君    斉木 武志君

      柴橋 正直君    白石 洋一君

      平  智之君    高松 和夫君

      高邑  勉君    花咲 宏基君

      福田衣里子君    藤田 大助君

      松岡 広隆君    森山 浩行君

      山本 剛正君    柚木 道義君

      梶山 弘志君    近藤三津枝君

      塩谷  立君    高市 早苗君

      高木  毅君    永岡 桂子君

      西野あきら君    額賀福志郎君

      江田 康幸君    吉井 英勝君

      園田 博之君

    …………………………………

   経済産業大臣       直嶋 正行君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   経済産業副大臣      増子 輝彦君

   経済産業大臣政務官    高橋 千秋君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           北川 慎介君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          松永 和夫君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            平工 奉文君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  田嶋  要君     工藤 仁美君

  向山 好一君     小原  舞君

  森山 浩行君     福田衣里子君

  梶山 弘志君     高木  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  小原  舞君     向山 好一君

  工藤 仁美君     京野 公子君

  福田衣里子君     森山 浩行君

  高木  毅君     梶山 弘志君

同日

 辞任         補欠選任

  京野 公子君     田嶋  要君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案(内閣提出第三〇号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官北川慎介君、経済産業省経済産業政策局長松永和夫君及び経済産業省製造産業局長平工奉文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤三津枝君。

近藤(三)委員 自由民主党の近藤三津枝です。

 本日審議される法案、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案を、以下、低炭素投資促進法案と呼ばせていただきます。

 この法案は、低炭素型製品の開発、製造を行う者への低利かつ長期の資金供給を行うとともに、中小企業がリース方式で低炭素型の設備を導入しやすいように、新たに公的な保険制度などを設けることを目的にしていると理解しています。しかし、この法案につきましては、経済効果などについて幾つかの問題点があると考えております。

 この法案に関しましては、近々審査に入る予定の地球温暖化対策に関する基本法案との兼ね合いがあるので、まず、本法案の前提となります二五%削減目標、低炭素分野の産業政策について、経済産業省の見解をお聞きするところから進めさせていただきたいと思います。

 今国会に政府が提出しています地球温暖化対策基本法案では、我が国の温室効果ガス削減の中期目標を二五%削減とするには、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の合意を前提とするという三つの条件をクリアしなければなりません。

 私は、この三つの条件につきましては、環境委員会それから質問主意書で環境大臣そして政府の答弁を再三再四求めてきましたが、三条件の定義すら一向に、明らかにすることはいまだになされておりません。このあいまいな前提条件が、民主党政権の地球温暖化対策に対する逃げの姿勢に思えてなりません。このような形で地球温暖化対策基本法案の議論がなし崩しに進んでいくということに、大いなる疑問を感じております。

 事は二〇二〇年、十年後の日本のエネルギー政策、国民の生活の仕方、ライフスタイル、産業の国際競争力に直接影響を及ぼす事柄です。そのことを数字で示してまいりたいと思います。

 私、近畿ブロックの選出でございますので、京阪奈丘陵にあります地球環境産業技術研究機構、RITEに直接足を運びまして、地球温暖化問題について、最新の研究成果などについて説明を受けています。そのようなことから、私が特に関心を持った研究成果を二つまとめてみました。

 一枚目のパネルです。このパネルは、各国がこれまでに示している中期目標を達成するために、CO2を一トン削減するのにどれぐらいの費用が必要となるのか、すなわち、限界削減費用を示したグラフです。

 鳩山政権の打ち出している二五%削減、つまり、日本だけが突出して限界削減費用が高い、四百七十六ドル、日本円にしておよそ四万円です。EUを見てみますと、大体、九〇年比二〇から三〇%削減と幅を持たせた提示になっていますが、その高い方の数値、三〇%削減をとってみましても、限界削減費用は百三十五ドル、日本円に直しますと一万一千円。先ほど日本が四万円と申しましたから、日本の四分の一のコストであるということがこの表からもおわかりいただけると思います。

 つまり、日本の二五%削減は、EUの三〇%削減より削減目標は小さいのですが、削減目標を達成するために必要な費用が高いという逆転現象を起こしているということです。削減量の大小で、削減コスト、費用の大小ははかれないということ。

 そして、麻生政権下に提案しました二〇〇五年比一五%削減、これは今回、自由民主党が対案として提出しています低炭素社会づくり推進基本法案の中期目標でもあるんですが、このグラフに記してみますと、二〇〇五年比一五%削減は百五十一ドルとなります。この自民党案の削減量で、ようやくEUの百三十五ドルと肩を並べたということです。

 なぜ、このように、削減量によって一トンのCO2を削減するコストに違いが出てくるのか。これを示すのが次のグラフです。こちらの赤い折れ線グラフです。

 縦の軸が先ほどと同じく限界削減費用、横の軸が二〇〇五年比で日本の削減率をとっています。民主党の九〇年比は、二〇〇五年比で三〇%削減に相当しますので、四百七十六ドル、先ほどと同じです。自民党案は、一五%のところに限界削減費用をマーキングしてあります、百五十一ドルです。

 この図のように削減率が低ければ、少ないコストでCO2一トンを削減できるということ。しかし、削減率が高くなれば高くなるほどグラフは急に立ってくる、すなわち、削減コスト、費用が急増するということがこのグラフでおわかりいただけると思います。

 世界最高水準の省エネ国家日本で、CO2の削減、すなわち省エネなどをさらに進めることは、乾いたタオルを絞るようなことだとよく言われます。そのことが、このグラフからよくおわかりいただけると思います。省エネルギーの進んだ我が国では、二〇〇五年比三〇%を達成するためには、いかにコストをかけて、ドラスチックな省エネ技術や製品を導入しなければならないか、このグラフから御理解いただけると思います。

 つまり、このグラフは、即、国民に膨大な負担を求めることになるということを物語っていると言えると思うのです。しかし、政府は、限界削減費用が四百七十六ドルもかかっていることがわかっていながら、二五%削減によって国民負担額が幾らになるのか、一切示していません。

 まず、このような限界削減費用四百七十六ドルという膨大なコストがかかる二五%削減によって、国民負担額を示されないまま、地球温暖化対策基本法案について議論を進めるという土俵ができているとお考えになっているのか。二五%削減が決定しますと、政策の選択肢に一番縛りがかかることになる産業政策、そしてエネルギー政策を所管する直嶋経済産業大臣の見解をお聞きします。

直嶋国務大臣 今の限界削減費用というのは、確かに、客観的な数字として一つの見方だというふうに思います。計算はおっしゃっているとおりだと思います。

 ただ、この二五%というのは、たびたび申し上げていますように、前提条件のついた、つまり、国際的な枠組みができるということと、それから、すべてを国内で賄うということではなくて、排出権取引でありますとかシンク部分を含んだものであります。

 それから、ぜひもう一つ御理解いただきたいことは、この温暖化対策というのは二〇二〇年で終了するわけではありません。温対基本法にも長期目標を書かせていただいていますが、さらにその先があるということでありまして、私どもとしては、二〇五〇年の長期目標も掲げさせていただいておりますので、前提条件ができるできないということにかかわらず、その内容いかんにかかわらず、具体的な施策を積極的に講じていく必要があるというふうに思っております。

 もう一つは、前提条件について、やはり、主要国の背中を押して、積極的な取り組みを意図したものでありまして、御承知のとおり、地球温暖化対策というのは、CO2の排出量で見ますと、日本は世界の四%を占めているにすぎません。したがいまして、世界全体で取り組んでいかなければ成果が上がらないというふうに思っていまして、その枠組みをつくるということで、先ほど申し上げたとおり、積極的な取り組みを促していきたい。特に、アメリカや中国を初めとした主要排出国にそういう取り組みの合意を促していきたいということで打ち出した数字でございます。

 二五%削減にかかわる国内対策の削減割合や国民負担の具体的な内容については、地球温暖化対策全体の検討の中で、今経済産業省におきましても、エネルギー基本計画の見直しを行っています。その基本計画の見直しや、あるいは、私どもは、これは今限界費用というお話でしたが、やはり温暖化対策というのは新しい産業を創出するチャンスでもあるというふうに思っていまして、そのチャンスを生かした成長戦略との整合性も図っていかなければいけないというふうに思っていまして、今後、政府全体で具体的な内容について議論を深めてまいりたいというふうに思っております。

近藤(三)委員 ただいまの私からの質問は、国民的議論そして国会で議論をしていくのに、条件がそろった土俵があるのかという質問をさせていただいたわけですが、三条件を初め、何も明らかにされていないということですので、そこが非常に問題であるということを指摘させていただいているわけです。今大臣からお答えいただきました、その真水についてもう少し質問をさせていただきたいと思います。

 この三つの前提条件についてももちろん示していただいていませんが、真水部分、国内での削減量も、さらに先ほど申しました国民負担も、達成のための行程表も正式には明らかにされていません。こうした政府の姿勢では、幾ら国民に地球温暖化への協力を呼びかけても理解は得られないでしょうし、世界の背中を後押しするというふうによくおっしゃいますけれども、夢だけを食べては生きていけないのが我々日本の国民でございます。

 そこで、一点に絞り、経済産業大臣にお聞きします。

 経済産業省としては、この二五%削減目標を国内対策だけで達成できるとお考えなのか。もし国内対策だけで達成できないとすれば、我が国の産業政策の責任者として、二五%のうちのどの程度が国内で削減が実現可能な割合と考えているのか、具体的な数字をお答えください。

直嶋国務大臣 先ほど申し上げたとおり、二五%は、国内対策だけではなく、海外における削減への貢献や森林吸収部分を加えた数値でありまして、そのうちどれだけを国内対策で削減するかについては、まだ数字は示しておりません。

 国内対策に関する削減部分については、二五%削減の具体的な絵姿にかかわる検討の中で、海外における貢献の評価のあり方も含め、今後の国際交渉の動向を踏まえつつ、雇用や国民生活への影響に配慮しながら、政府内において十分議論をしてまいりたいというふうに思っております。

近藤(三)委員 自民党案、二〇〇五年比一五%削減は、すべて国内で削減する、いわゆる真水で削減するという案です。政府案の二五%削減をすべて国内で削減できないとなりますと、クレジットそれから国際的な排出量取引によって、金銭でCO2の排出権を海外から買い取るということです。

 このような海外の排出枠に頼ってしまうというのは、国際公約を達成できないときの手段で、これから国際交渉しようという、日本の国富を流出するという、海外からの排出権を買い取るということを前提とした高い削減目標を掲げるというのは愚の骨頂だと考えております。経済産業大臣には、この点を踏まえつつ、良識を持った対応をしていただきたいとお願いいたします。

 さて、政府は、地球温暖化対策基本法案を国会に提出しながら、その前提となります今後の行程表、温暖化対策に係る中長期ロードマップ、議論のたたき台という、小沢環境大臣試案として、まことに中途半端な形で公表しています。この議論のたたき台には、風力発電、次のように記述されています。二〇二〇年の風力発電導入量については、二〇〇五年の百九万キロワットから千百三十一万キロワットに、十倍に増加させるとしています。一方、経産省の長期エネルギー需給見通しでは、風力発電の最大導入ケースは五倍の五百万キロワットとなっています。

 我が国の陸上での風力発電は、六百四十万キロワットが限界というふうに言われています。もし環境大臣の十倍の目標、試案を実現しようとするならば、海の上、洋上とか、環境大臣が所管する国立公園の中でも風力発電を林立させなければなりません。しかし、漁業補償、それから自然環境の保全、環境アセスの問題を考えた場合、果たして二〇二〇年までにそれだけの風力発電の設置を実現することが本当に可能なんでしょうか。

 小沢環境大臣が二五%削減の前提条件の一つとしている、十年後の二〇二〇年に風力発電を千百三十一万キロワットとするという目標値を、エネルギー政策を所轄していらっしゃる経済産業大臣、経済産業省としても支持しているのか、また異なる見解をお持ちか、お答えください。

直嶋国務大臣 風力発電については増子副大臣からお答えさせていただきたいと思いますが、この問題に関する取り組みについて、先ほど、自民党案は国内の真水部分を示している、民主党案は真水部分を示していないというふうに言われました。それはそのとおりなんですが、取り組み方の問題として、やはり、日本がどれだけやるかを示すだけでは温暖化対策の実効は上がらないと思っています。それは先ほど申し上げたとおりでありまして、全体の四%しか占めていない国だけが単独で頑張っても実効は上がりません。

 私どもは、やはり国際的な協調体制をしっかりつくることが不可欠だというふうに思っていまして、したがいまして、先ほど夢ばかり追ってという御批判もいただきましたが、決して温暖化対策というのは夢ではなくて、現実に取り組まなければいけませんから、鳩山内閣の総力を挙げて、国際的な合意づくりに今全力で取り組んでいるところでございます。その上に立って、着々と、着実にCO2対策を進めていきたいという考え方でございますので、私どものそういう考え方については、ぜひ議員にも御理解を賜りたいと思います。

増子副大臣 お答え申し上げます。

 大変厳しい御指摘をいただきました。私どもも、この地球温暖化対策は、しっかりと国を挙げてやっていかなければいけないという立場に立っていることはもう御理解をいただけると思います。

 先ほど御質問の風力発電の導入についてでありますが、これは率直に申し上げまして、近藤委員が御指摘されたとおり、小沢試案の中では、私どもとしてもなかなか厳しい数字だということは認識をいたしております。ただ、これはあくまでも小沢試案ということでありまして、我が国としてこれを決めているわけでもありませんし、経済産業省としても、この数値を我々が認めて達成目標に向けてやっていくということではありません。

 基本的に、私どもとしては、二〇二〇年には、大体、現在の長期目標数値としては何とか五百万キロワットを想定いたしております。しかし、これではまだ足りないかもしれないということで、あらゆる角度から、今後、ロードマップ、基本計画の中に具体的な数値をどのように取り込んでいくかということをしっかりと決めていきたいと思っています。ただ、これについては、エネルギー基本計画の見直しの中でしっかりと整合性もとっていかなければいけないと思っております。

 風力発電等については、やはり、導入拡大には、立地制約や費用負担など、さまざまな課題が非常にあることは委員も御承知のとおりだと思います。いずれにしても、風力発電の導入拡大、あるいは太陽光発電の導入等、再生可能エネルギーをどのような形で取り込んでいくかということも極めて重要な課題でありますし、私どもは、基本法の中でも、再生可能エネルギーを一〇%導入するという目標数値を掲げております。この中で、どのような形で風力発電を導入できるか、今後ともしっかりと私ども対策を考えていきたいと思っております。

 その上で、全量買い取り制度、これも中間取りまとめをやり、今後、国民の皆さんとの対話を含めてしっかりと検討していきたい、そのように思っているところでございます。

 いずれにしても、あくまでも小沢試案ということでありますので、政府の案ではないということだけは御理解をいただきたいと思います。

近藤(三)委員 二五%削減という目標ありきで、数字のつじつま合わせということにならないように、ぜひ、できることとできないことを峻別していただいて、良識をしっかりと持って今後の政策決定に取り組んでいただきたいと思います。

 さて、小沢大臣試案、議論のたたき台では、原子力発電について次のような目標を掲げています。現状五十四基の原子力発電所を二〇二〇年までに八基新設、増設して、稼働率を最大八八%にする。この稼働率について質問させていただきます。

 我が国のこれまでの原子力発電の稼働率、最大値で、九八年に八四・二%でした。これから見ましても、この八八%という数字、実現可能な数字なんでしょうか。

 電気事業連合会からのヒアリングによりますと、過去十年間の原子力発電所の平均稼働率が六九・二%、過去二十年間の稼働率をとってみましても七三・六%。安全の確保を図った上で原子力発電を推進する必要があることは論をまちません。現在運転中の五十四基の原子力発電のうち、二〇二〇年になりますと、運転年数が四十年を超える原子力が十八基となります。安全性確保のための適切な点検それからメンテナンスは、さらにさらに重要になっていくわけです。そうしたことを考えますと、原子力発電所の稼働率八八%という数字、かなり現実離れしてくるのではないかと思います。

 さらに、経済産業省が四月十九日、総合エネルギー調査会の委員会に示された基本方針案によりますと、二〇三〇年までの稼働率は何と九〇%にするというさらに高い値を打ち出されています。

 運転年数をかなり重ねた原子炉が増加していく中で、具体的にどのようにすれば、十分な安全を確保しながら八八%、いえ、九〇%という高い稼働率を実現していくのか。具体的な、技術的な対応を含め、経済産業大臣の見解をお聞かせください。

 なお、小沢環境大臣試案の、二〇二〇年原子力発電稼働率八八%を目標とすることに経済産業大臣として無理があるとお考えなのであれば、適正と考える稼働率をお示しください。

直嶋国務大臣 八八という数字が出ていますが、これはなかなか厳しい数字だというふうに思っております。今の原子力発電所の稼働率は、今議員がお話しになったように、特に平成十九年七月の中越沖地震の影響によりまして、極端に低下をしているという状況だと思っています。

 したがって、結局、設備利用を効率的にやっていくということでありますから、事業者の不断の努力によって高めていただくということがやはり基本であるというふうに思っております。例えば今、島根で少し問題が出て原子力発電所をストップせざるを得ないような事態が生じておりますが、やはりこういう事態を起こさないという、きちっとルールを守って、周辺住民の皆さんを含めて、国民の信頼をきちっと得ていくということが一番重要だというふうに思っております。

 その上で申し上げますと、昨年六月に取りまとめました原子力発電推進策の中で、例えば、事業者による品質保証活動の充実強化や新検査制度への円滑な対応、国や事業者による広報を通じた国民との相互理解促進等の具体策を掲げておりまして、このような対応も含めて、設備の有効利用に向けて、先ほど御紹介しましたように、現在、エネルギー基本計画の改定作業に入っておりますので、その議論の中で詰めてまいりたいというふうに思っております。

 では、どれぐらいなんだというお話がございましたが、具体的な数字も今その中で議論をしておりまして、八八というのはなかなか厳しい数字だということは念頭に置いておるということを申し上げておきたいと思います。

近藤(三)委員 先ほどお伺いしました風力発電にしましても、この原子力発電の稼働率にしましても、エネルギー行政をつかさどる経済産業省のチェックがしっかりと行き届いているのかと大変心配になっております。

 マニフェスト至上主義の一環として、二五%削減の旗をおろさないでいる鳩山政権。それを無理、無理可能なように装う数字が国家の行政機関から次々と出されております。

 経済産業省は、政権交代しまして随分さま変わりしたなというふうに私実感しております。冷静でそして現実的で根拠ある政策立案を経済産業省の方々にもぜひぜひ求めてまいりたいと思います。

 本日は、低炭素投資促進法案について質問をさせていただきたかったのですが、幾つか質問を考えてまいりましたが、ちょっと時間がもう来てしまいました。この法案の前提となる二五%削減という国際的に突出した中期目標を掲げる鳩山政権の産業、エネルギー政策を中心にお伺いをさせていただきました。

 本日の議題であります低炭素投資促進法案は、新法という割には経済的なインパクトが小さく、そして、鳩山政権の経済成長戦略の柱としようとしている環境政策としては、経済波及効果も明確ではなくて、私は大いに疑問を持っております。

 そして、我が国の地球温暖化対策につきまして、各党から提案されました法案が審議されることになると思いますが、何といいましても、中期目標の値はすぐさま産業界、そして我々国民の生活に大きな影響を及ぼすことになります。身の丈に合った目標値を設定するということが本当に大切だと考えております。世界各国の背中を押すための二五%削減と先ほど直嶋経済産業大臣もおっしゃいましたし、鳩山総理もおっしゃっていますが、日本の健全な持続可能な産業界があってこその我が国であります。

 このことを冷静に冷静にお考えいただきまして、ぜひぜひうまくきっちりと良識を持って対応していただきたいということを直嶋大臣初め、経済産業省の皆様方にお願い、進言申し上げまして、私の質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

東委員長 次に、永岡桂子君。

永岡委員 おはようございます。自由民主党の永岡桂子でございます。

 本日は、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案について質問させていただきます。

 この法案は、政府の新成長戦略の中核を担う経済産業省としては看板政策の一つというふうに思っております。我が国の低炭素産業を新たな経済成長の柱として育成するという大きな役割が期待されているわけでございます。趣旨、目的は、これは時宜にかなったものである、そういうふうに認識をしております。

 しかしながら、融資の原資として一千億円の財投資金、またリースの支援事業としては八十億円の特別会計予算がそれぞれ計上されているわけでございます。計上されている予算を見る限りでは、経済効果といった面ではそれほどインパクトが大きいとは思えないんですよね。

 この法案に基づきます施策の実施については、どのような経済効果、また雇用の創出効果を想定していらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

 また、近藤委員からも随分とCO2削減のお話がありましたが、政府が掲げます一九九〇年比CO2削減二五%、これを目標とするのであれば、どのくらいのCO2の削減が見込まれるのか、お聞きいたします。

直嶋国務大臣 この法案では、エネルギー環境適合製品を開発、製造する事業者に対して、日本政策金融公庫を活用した低利長期融資、いわゆるツーステップローンでございますが、それと一般の金融機関の呼び水効果も合わせ、初年度で最大二千五百億円程度の設備投資を喚起することを目標といたしております。

 また、今お話しのリース保険の部分でございますが、これは中小企業を中心にということでございます。年間一千から一千五百億円程度の設備投資が後押しできるというふうに思っておりまして、これらの設備投資、合算しますと約四千億円ということでございますが、相当規模の雇用を創出することが期待できるというふうに思っております。

 昨年十二月に閣議決定した新成長戦略におきましては、環境分野において二〇二〇年までに五十兆円超の新市場、百四十万人の新規雇用の創出という目標を打ち出しておりますが、その目標の達成に大きく貢献するものと認識をいたしております。

永岡委員 この法案の目的が二つありますよね。一つが資金調達を円滑にすること、そしてもう一つが需要の開拓、こうなっているわけですね。

 日本政策金融公庫の事業内容を拡充するとともに、リース保険制度の導入を図るわけですけれども、その対象は何なのか、法案からはちょっと私、書いてありませんのでわからないわけなんですね。具体的内容はすべて主務大臣が定めることというふうになっているわけです。経済産業大臣はエネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する基本方針を定めるというふうにはなっておりますが、法律では事項のみだけで、内容についても、これもよくわからないんですね。

 このような法案、単なる手続的な法案にすぎない内容になっていると思うんですけれども、この内容をちょっと伺わせていただきたいと思います。

 法案の対象、エネルギー環境適合製品となりますと、法案では大臣が定めるものになっておりますが、どういうものが対象になるかということをお伺いしたいと思います。これは私、農水畑だとは思うんですけれども、木材チップですとかバイオマス関連の発電、そして熱利用の機械をつくるという企業、こういうのも対象になるんでしょうか。

松下副大臣 お答えいたします。

 四つの分野を頭に入れているんですけれども、一つは、太陽光や風力などの、化石燃料以外のエネルギーを利用した発電装置等、これは一つの分野だと思います。もう一つは、高効率、高い効率性のあるボイラーなどの、エネルギー消費効率が非常にすぐれているというもの。三つ目が、電気自動車などの、エネルギーを使用する際の環境負荷が低いもの、そういうものを三つ目として考えています。それに加えて、それらの製品の部分品でありますとか、それに必要不可欠な併設製品として、具体的には、自動車に搭載するリチウム電池だとか、太陽光や風力などの電力を平準化するための蓄電池等、そういうもの。四つのカテゴリーを念頭にして、今、中を検討しているところでございます。

永岡委員 次に、融資につきましては、特定事業が対象になるということになっています。

 この特定事業ということなんですけれども、「エネルギー環境適合製品を開発し、又は製造する事業のうち、技術革新の進展に即応した高度な産業技術を利用することにより、技術の水準の著しい向上又は新たな事業の創出をもたらすことが見込まれるものその他の我が国産業活動の発達及び改善に特に資するもの」こういうことになっています。

 開発ということが法案の中に書いてありますけれども、この開発にはいわゆる研究開発も含まれるのでしょうか、それとも試作段階にあるものだけなのでしょうか。あともう一つ、高度な産業技術というのは一体何なのか。産業活動の発達及び改善に資するものというのも何なのかというのをお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

松下副大臣 お答えいたします。

 先ほど、エネルギー環境適合製品というものを御説明いたしましたけれども、これらの開発、製造事業のうち、特に革新的で高度な技術を利用しておりまして、今後、技術の向上や新事業の創出といった我が国産業活動の発展に資する事業というものを特定事業として支援していきたいということでございます。

 例えば、高度なシリコン薄膜生成技術を用いて薄型、軽量の太陽光発電設備を製造する事業、これは液晶テレビパネルの製造でありますとか他産業にも応用可能でございまして、新事業の創出につながることから、融資対象である特定事業になり得るものということでございます。

 今後、具体的な基準は基本方針において公表することにしておりまして、支援対象の明確化を一層図ってまいりたいと考えております。法施行後、速やかにこれを決めていくということで考えております。

永岡委員 ありがとうございます。

 今まだはっきりとしたことはわかっていないというか、これから技術革新とともに内容が変わるということでよろしいわけですね。ありがとうございます。

 次に伺います。

 特定事業というのは「高度な産業技術を利用すること」というふうになっていますけれども、その観点からしますと、この法案の特定事業者というのは大企業が中心になるというふうに考えられますけれども、そうした技術力にすぐれた大企業というのは、信用力もすぐれていまして、国の政策支援を仰がずとも、独自に資金調達が可能ではないかと思います。

 大企業対策というのは、もちろん本当に重要だと思いますけれども、金融面においては、我が国の経済の活力を維持するため、戦略的に重要な事業については、長期的な資金の供給を行う株式会社日本政策投資銀行があるわけですよね。かつて、政策金融機関の再編成があって、日本政策金融公庫が誕生したわけですね。それで現在の業務内容になったわけなんですけれども、これは大企業は対象から外れてしまっているわけなんですね。これをあえて、今回、大企業向けの融資を対象とする必要性はあるのでしょうか。政策投資銀行で対応した方がより効果的なんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

増子副大臣 お答え申し上げたいと思います。

 委員のおっしゃるとおり、今我が国の経済産業、さらに成長産業に結びつけていかなければなりません。その中心がやはり、低炭素社会の中で、いかにこれからの日本の産業を技術革新を含めて発展させていくかということが極めて重要だと思っています。

 そういう中で、やはり今回の法案による製造、開発を行う事業は、生産設備など、大変大規模、長期の資金が必要であるということは御承知のとおりでございます。かつ、新規分野であって不確実性が高いことから、融資先が大企業であっても非常に事業リスクが高いと私たちは考えているわけでありまして、このため、民間金融機関が融資を行うことが必ずしも容易ではないということが実態でございます。

 一方で、エネルギー環境適合製品の製造、開発を行う低炭素産業は、国の内外で需要の拡大が見込まれるなど、我が国にとっても、先ほど申し上げたとおり、今後の経済成長に大きく寄与するものであり、なおかつ雇用創出が期待できるものであるということは委員も御承知のとおりだと思います。

 このような状況を踏まえますと、低炭素産業において、大企業であっても、本融資制度の対象とする必要は極めて高いものであるというふうに私どもは判断をいたしているわけであります。

 一方、日本政策金融公庫については、御案内のとおり、中小企業に対して、ベンチャー企業の成長促進にもつなげる意味も含めてしっかりと対応していくということで、私ども既に対応しているところでございます。中小企業やベンチャー企業に対しての融資についてはしっかりと対応して、低利融資等の支援策を講じているところでございますので、この関係についてあわせてしっかりやっていきたいと思っております。

永岡委員 ありがとうございます。

 やはり資金繰りは、どうしてもベンチャー企業や中小企業が苦しいわけですので、必要なわけですので、その対応もよろしくお願いいたします。

 次に移ります。

 融資枠が一千億円となっております。政府は昨年十二月の三十日、新成長戦略を閣議決定されました。この中では、需要と雇用を拡大するためには成長フロンティアを拡大していくことがかぎとなっておりまして、強みを生かす成長分野の一つとしてグリーンイノベーションを掲げたわけですね。

 経産省では、この新成長戦略を早期に実行するための取り組みとして、早期実行プロジェクト25を取りまとめたわけですね。早期に着手します施策について明らかにするとともに、スピード感を持って我が国の中長期的な成長に向けて取り組んでいくこととしていらっしゃるわけですね。ただいま審議していますこの法案もその中の一つなわけですけれども、低炭素投資に対する支援スキーム、こういうふうな枠であると思っております。

 この中の第一が、日本政策金融公庫を活用した融資、今年度は融資枠が一千億、先ほどから申し上げていますけれども、一千億なわけですね。この法案の趣旨、目的は、本当に取り組みはいいものであると思いますし、また新成長戦略を具現化するためにも非常にふさわしい内容になっていると思うんですけれども、私は素人で、ちょっとわかりにくいんですが、これが本当にふさわしい内容かどうか。なっているのかなと思うんだけれども、ちょっと、はっきりしないとわかりにくい。

 そういうことと、低炭素産業の世界的拠点とすることを目指すわけですから、幾ら何でも一千億円ではちょっと小さ過ぎる、素人の私から見ても小さ過ぎるという気がいたしますが、いかがでしょうか。

増子副大臣 お話のとおり、一千億円では小さ過ぎるんではないかというふうな話、大変ありがとうございます。この法案がしっかりと使いこなされていけば、さらに私ども拡大をしていきたいという考えを持っていることは御理解をいただきたいと思います。

 ただ、この一千億円を呼び水といたしまして、私どもとしては、民間金融機関の融資と合わせて、少なくとも初年度で約二千五百億円規模の事業規模になることを実は想定いたしております。さらに今後、今申し上げましたとおり、需要の拡大に伴って対応をしっかりとしていきたいと思っていることで、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

永岡委員 予算枠をしっかり使っていただいて、次に目指す取り組みに向かっていただきたいと思っております。

 現在政府が掲げていますマイナス二五%、CO2削減は、本当に私から見ても、すごく厳しいというふうに言われていますね。鉄鋼業などのエネルギーを本当に多く消費する産業などは、生産を、工場を海外に持っていくですとか、そういうものを移転するという取り組みが進んでしまっているわけですね。このCO2削減二五%ということで、地域の雇用が本当に少なくなってしまう、経済活動の停滞が起こるという可能性は本当に大きく、現実となるのではないかと心配しているわけなんです。

 今回対象になると思われる有力な製造業者はグローバルな生産体制をしいていると思うんですね、それだけ技術がすごくあるということですので。海外流出防止の観点からはどのような対応を考えていらっしゃるのかお聞きしたいと思っております。例えば、この融資をするに当たって、国内で生産を必ずすると約束させるとかいうふうなお答えをいただきたいなと思うんです。あと、海外の企業についてはこの融資は受けられるんでしょうか。

増子副大臣 私どもとしては、この法案に伴う、国内に立地する企業を対象としていることはもう御案内のとおりだと思います。あくまでも国内でエネルギー環境適合製品の製造を行う事業者が支援対象ということであります。

 委員御指摘のとおり、二五%削減は大変厳しい数字であることは私どもも認識をいたしております。しかし、これはやはり国を挙げてしっかりと対応していかなければいけない。この中に、新しい技術の革新が進み、かつ新しい産業が創出され、あわせてそれが雇用にもつながっていくということで、私どものこの対応をしっかりとしていきたいというふうに思っております。

 海外における規制をしたらどうだろう、海外進出についてということでございますが、これについては、やはり自由経済主義の中で、海外に行く企業を制限するということはなかなか難しいということが私どもの認識であります。

 しかし、海外に工場展開などをすることも想定されます。これはこれとして、しっかりと私ども取り組みをやっていかなければいけないと思っておりますが、抑制するということについては、残念ながら、そのような形で法案で縛ることはなかなかできないということでございますので、海外に進出する際も、そしてもちろん国内におけるさまざまな企業がしっかりと対応していくということの中で私どもも対応していきたいと思っております。

永岡委員 海外に流出してしまうのを防ぐ対応というのは、やはり経産省だけではできないことだと思いますので、各省、財務省ですとか金融庁もいろいろとこれから議論されて、なるべく日本の中で活動ができるようにお願いしたいと思います。

 次に伺います。

 特定事業の実施に必要な資金につきましては、日本政策金融公庫から原資を特定金融機関に融資します。それをもとに指定金融機関が事業者に融資するわけですけれども、その利子は財投金利そのままなのでしょうか。一般の融資に比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。また、日本政策投資銀行との関係はどうなりますでしょうか。お伺いいたします。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、貸し出しの条件でございます。

 これは、指定金融機関と当該事業者の方で、信用力、事業内容に応じて決まるものでございますけれども、もともと財投の資金をお出しするわけでございますので、市中調達よりも金利条件については低いものとなると考えてございます。また、本来この制度は、長期、固定という資金であることに非常に大きなメリットがあるのではないかと考えてございます。

 それから、政策投資銀行でございますけれども、これも指定金融機関の一つになり得るものだと考えてございます。

永岡委員 公庫から金融機関を通して融資するわけですけれども、全国に公庫の支店もありますよね、みずから融資は行えばいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、こうやってツーステップローンにしたその理由をお聞かせください。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 公庫は、大企業向けのこのような設備投資金融は今基本的にやってございませんので、この点は民間のメガバンクあるいは政策投資銀行にノウハウがあり、融資先の方とも日々いろいろな情報交換をしていると考えましたものですから、具体の融資窓口、融資自体はそのような方にやっていただきまして、その原資として政策公庫を経由してお入れする、こういう形をとったわけでございます。

永岡委員 それでは伺います。

 環境適合製品の導入支援については、今回はリース方式にしたわけですね。減税とか補助金とか低利融資とかいろいろとあるわけですけれども、なぜ今回、商品の普及拡大のためにリース方式にしたのかというわけをお伺いいたします。

増子副大臣 お答え申し上げます。

 中小企業の省エネ設備等の導入支援といたしましては、既に日本政策金融公庫がその設備の導入に必要となる資金を低利で貸し付ける環境・エネルギー対策貸し付けを実施しているところでございます。

 他方で、中小企業の場合、銀行からの借入枠を温存するため、設備投資をリースにより行うケースも多く見られるのが現状であります。

 したがって、中小企業におけるエネルギー環境適合製品の導入促進を図る観点から、リースによる設備導入を支援すべく、融資に加えて、中小企業等のリース取引を支援の対象としたところでございます。

永岡委員 もう時間が来てしまったようなんですけれども、最後になってしまうんですけれどもお伺いいたします。

 保険業務を行う需要開拓支援法人、これはどういうところがなるのでしょうか。

 ちょっと伺いましたところ、普通の保険会社ではできない、非常にリスクが高過ぎてできないと伺っておりまして、非常に保険業務に精通した方、そしてまた保険会社、そのような方々が複数、それぞれの会社の方々がこの法人をつくるのではないかという話を伺っております。

 そうしますと、新たな法人ということになるわけで、民間の社団法人というふうになるのかどうかはちょっと私もわからないのですけれども、これは非常にもうからないわけで、国のお金が八十億入りますね。そうすると、おや、これから事業仕分けをしていくという独立行政法人再びというふうな思いもございます。

 このところ、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、ちょっとお聞きします。

直嶋国務大臣 指定法人については、今先生がお話しになった保険実務の問題でありますとかそういったことも含めて、ノウハウや専門知識を持った方に役員となっていただきたいというふうに思っていまして、現在、その指定法人の内容について検討中でございます。

 それから、制度上、この指定法人の役員の選任と解任については、やはり経済産業大臣の認可を受けることが必要であるということになっております。

 したがって、先ほどお話しの天下り等の話も出てくるんですが、そういう御指摘も踏まえて、きちっと御理解いただけるような判断をしてまいりたいというふうに思っております。

永岡委員 そうです、天下りのことが心配でお聞きいたしました。

 質問を終わります。ありがとうございます。

東委員長 次に、山本剛正君。

山本(剛)委員 民主党の山本剛正でございます。

 私は、いつも室内ではマイクを使わないんですけれども、きょうはマイクを使ってお話をします。

 経済産業委員会では初質問でございまして、緊張はしていないんですけれども、多少興奮をしております。二十分という短い時間ではありますが、一生懸命やらせていただきます。

 私の選挙区は、旧産炭地として有名な九州・福岡の筑豊でございまして、川筋気質と言われる、ごちゃごちゃ言わず何事も本音で勝負をするということを信条としております。きょうは、松下副大臣、ぜひ本音でお答えいただければと思っております。

 まず、今回の法案について御質問を申し上げます。

 これからの社会を考えると、非常に大切な法律案だと私は思っております。実は先ほどの自民党の永岡先生とかなり大きく質問がかぶるんですけれども、ぜひちょっとお答えをいただきたいなと思います。

 低炭素型製品、いわゆる太陽光パネルや電気自動車、リチウム電池などの開発、製造は、今後の経済成長や雇用創出の柱の一つになり得るものであり、これを担う方々への資金供給の円滑化は不可欠であるというふうに私は思っております。

 また、中小企業等では、低炭素型の設備の導入は初期投資コストが高くてなかなか進まないという現状もありますけれども、これも新たな制度の構築により導入を促進していかなければならないというふうに考えております。低炭素型社会の実現に向けて、一日も早くこういった法律を成立させる必要があるという思いは多くの皆さんが共有をしているのではないかというふうに考えております。

 一方で、先ほどと本当にかぶるんですけれども、経済効果の面ではやはりこの内容はちょっとパンチ不足なのじゃないかなと私も思っております。

 ツーステップローンによる貸し付け、いわゆる特定事業促進円滑化業務の原資として財政投融資資金に一千億円、政策金融公庫がこの業務を行うために必要な出資金及び経費補助として本年度の一般会計予算に一・七億円、リース支援事業費として本年度特別会計予算に八十億円が計上されているわけであります。経済効果もこれを反映したものとなりますが、先ほど増子副大臣からも御説明がありましたけれども、設備投資の切り札という観点ではやはりどうしても、この数字ではちょっとけたが一けた違うのじゃないかなという思いさえ私もいたしました。

 先ほど、経済効果や雇用創出の効果というものはお答えがありましたので、ぜひちょっとお答えをいただきたいのは、今回の部分が看板政策の一部分にすぎないというのであれば、全体の政策支援パッケージを経済効果のスケールの面から御説明を、副大臣、お願いしたいと思います。

松下副大臣 大臣初め参議院の先生方が本会議の方に出られましたので、私の方で対応することになっています。

 確かに、おっしゃるとおりの御指摘もあると思っております。エネルギー環境適合製品を開発、製造する事業者に対して、日本政策金融公庫を活用した低利、長期の融資一千億円、それの一般の金融機関の呼び水効果も合わせて、初年度最大二千五百億円程度の設備投資を喚起することが期待できるということは今までお話ししたとおりでございます。

 環境対策といいますか、低炭素社会をつくるための政策は、やはりさまざまな施策を総合的に活用しながらやっていくということは御指摘のとおりでございまして、今いろいろな分野でそのことの具体策を練っておりますけれども、いずれこのことはまたしっかりとお示しすることができると考えております。

 またもう一つは、こういった環境適合製品の導入を促進するためのリース保険も実施しておりまして、中小企業を中心に年間一千億円から一千五百億円程度の設備投資を後押しすることができる。

 前回の製品に対する支援も含めて、四千億円程度は初年度としてできるんじゃないかなというふうに期待をしております。これらの設備投資が入り口となって、関連産業の生産が誘発されたり、相当規模の雇用をつくり出すことができるということで、昨年十二月に閣議決定いたしました新成長戦略の基本方針に示したとおりでございますけれども、環境分野において、二〇二〇年までには五十兆円の新市場、百四十万人の新規雇用をつくり出すという目標に少しでも近づいていくように頑張っていきたいということでございます。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 現在、CO2削減は各省が本当にさまざまな角度から取り組みを進めていますけれども、どれを見ても、どのようにしたらCO2が削減できるのかという視点ばかりのような気が私はしております。

 無論、CO2を削減しようとしているわけですから、それはそれで私はいいとは思うんですけれども、経済産業省としては、CO2をこれだけ削減する取り組みを進めればこれだけ経済効果があるんだという視点でぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、ぜひ副大臣、決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。

松下副大臣 おっしゃるとおりです。新成長戦略の中で真ん中に据えたいという、それは我々も決めているわけですけれども、環境・エネルギー大国を実現していくという揺るぎない気持ちでやっていきたい。

 そして、具体的には、先生もおっしゃいましたけれども、総合的な施策をやはり固めていかなければいけないと考えておりまして、電力の固定価格買い取り制度の拡充もございますし、再生可能エネルギーの普及もあります。それから、次世代のエネルギーシステムであるスマートコミュニティーをつくり出していく。それから、我が国の環境・エネルギー技術の海外への普及促進。これらを含めて、新たな市場や雇用をしっかりつくり出していくということをやっていかなきゃいかぬ、そう考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。ぜひお願いしたいと思います。

 次に、環境という点から、日本の化石エネルギーについてちょっと御質問をさせていただきたいと思います。

 昨日、地球温暖化対策基本法について、衆議院で法案の趣旨説明がなされました。その中で、脱化石燃料化という言葉も聞きましたけれども、現実には、石油、石炭、天然ガス、LPガスなどの化石燃料はまだまだ日本の基幹エネルギーであり、ここに頼らずして日本社会は考えられないというのが私は本質ではないかと思っております。

 石油においては、我が国は、一九七〇年代の石油危機以降、官民を挙げた省エネ努力によって、過去三十年間でおよそ三七%もエネルギー効率を改善しております。また、GDP単位当たりの一次エネルギー供給量は世界最少の水準でもあるということであります。この取り組みは、決してCO2を削減するためになされたものではなく、資源に乏しい我が国が、限りある資源をどのようにして先の世代にまで引き継いでいくかという観点から、血のにじむような努力を重ねた上でなし得たものであります。

 基幹エネルギーとしてこのような努力を重ねてきた化石燃料を、ただCO2排出量が多いからという理由で悪者にされて排除されようとしている現状に私は大変懸念を抱いておりますが、副大臣、改めて今後の化石燃料の位置づけと必要性をぜひお聞かせいただきたいと思います。

松下副大臣 今、新エネルギー基本計画を全力を挙げてつくり上げていっております。その中でも、これまで石油、天然ガスとか石炭などの化石燃料が果たしてきた役割、それは十分評価しながら、やはりベストミックスでしていかなきゃいけない。同時にまた、CO2の削減をしっかりと努力していかなきゃいけない。

 そういう意味で、今御指摘ありましたけれども、石炭火力発電につきましても、いわば石炭を粉末にして、それを今度はガス化して、非常にCO2を、とにかく徹底的に少なくしてやっていくという方法もございますし、御指摘のようなことを含めまして、新エネルギー基本計画の中で、やはりしかるべき存在感を持ったきちっとした基本計画をつくっていきたい、こう考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 石炭の話は、私も産炭地の人間として、ちょっと後でまたお伺いをさせていただきたいと思うんですが、ベストミックスの話が出ましたけれども、まさにバランスだと思います。脱化石燃料化を進めることは時代の流れからも必要だろうというふうには私も考えてはおります。しかしながら、これを進めることによって日本の経済が縮んでしまうようなことというのは、私はあってはならないんじゃないかなと。つまり、方向性がよくても、日本全体を見たときにバランスというものを絶対考えなければならないということなんです。

 例えば、原油を精製することによってさまざまな製品が生まれますけれども、その中には、容易に代替のきかない原料であるナフサや、電気などでは到底動かすことができない飛行機のジェット燃料、それから道路をつくる上では欠かせないアスファルト、こういった、石油製品の減産に伴って生産が減って、足りなくなってしまっては元も子もないというようなものもあるわけであります。

 例えば、アスファルトでいえば、日本の道路計画に本当に照らし合わせた生産はやはりちゃんと確保しなければならないと私は思いますし、しかしながらこのアスファルトは厄介なもので、百七十度ぐらいで高温で保温しないと、運搬とかできないんですね。ですから、専用の船や専用の車がおのずと必要になります。ですから、足りないからといって即輸入ということが実は非常に難しくて、需要に対しての安定供給を考えると、やはり簡単に減産というわけにも私はいかないのではないかなというふうに思っております。

 また、地震災害の多い日本の中で、LPガスなんかは災害時対応に非常にすぐれた利便性を持っております。天然ガスとLPガス、これはCO2排出面では比較的クリーンなガス体エネルギーということもありまして、今後、他の化石燃料とは一線を画した利用も私は考えていくべきなのではないかなというふうに考えております。ぜひ、そういったバランス感覚を考えた化石燃料の活用と技術革新を推し進めていただきたいというふうに考えております。

 しかしながら、一方、脱化石燃料化ということは、この消費が減少に向かうということであります。

 これはもう言わずもがなの話なんですけれども、現在、国民の皆さんに、石油製品であるガソリンや軽油からガソリン税、そして軽油引取税を納めていただいているわけでありますけれども、これを環境税とか地球温暖化対策税に振りかえるみたいな議論が散見されるんですね。まあ民主党のマニフェストでも若干あったんですけれども。拡大をしていきたい環境分野が、縮小路線に置かれる石油関係の税金を財源にするというのは、私は、いささかこれは本末転倒なんじゃないかなというふうに思っております。

 このようなバランス感覚では、私は日本の環境を守っていくということはなかなか言えないんじゃないかなと思っているんですが、副大臣、今後どのようなバランスを持って環境というさまざまな問題に対応されるか、ぜひお答えをいただきたいというふうに思います。

松下副大臣 御指摘のように、やはりバランスを欠いてはいけないし、バランスをしっかりと保ちながら長期的展望を開いていく、これはもう大事なことだと考えております。

 ですから、新エネルギー基本計画の中でも、いわゆる再生可能エネルギーの分野、それから化石燃料の分野、そういうものをいろいろな、現実に需要の見通しも含めながら、しっかりとした基本計画をつくっていきたいということの展望を今つくっております。間もなくきちっとした形で公表できると思っていますけれども、それをやりたい。

 そういうことで、地球温暖化対策、一方でそういうことにしっかりと取り組んでいかなければいけないと同時に、そういうエネルギーの安定確保、そして供給。バランスのとれた長期展望、これはどうしても大事だと考えて、今取り組んでいるところでございます。

山本(剛)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

 先ほどちょっと石炭の話も出たので、ぜひ石炭の活用についてもお尋ねをしたいと思います。私は選挙区が旧産炭地なもので、ちょっとしつこくなるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。(発言する者あり)猛チャージです、はい。

 経済の屋台骨を支えてきました石炭ですけれども、エネルギーは石油とかわっていきまして、北海道や私どもの筑豊など、産炭地は衰退の一途をたどったわけであります。

 日本の石炭自体は、その役割に終止符が打たれました。しかしながら、石炭需要においては、国内炭から輸入炭へと移り変わって、二十一世紀を迎えた今日でも、発電や製鉄においては大いに必要とされている現状があるわけであります。現在、一次エネルギーに占める化石燃料の割合は約八〇%、発電量に占める割合は約六〇%と言われておりますが、その中で石炭が占める割合は、一次エネルギーで約二〇%、発電量では約二五%と、いずれも高い水準となっているわけであります。

 日本は石炭の最大の輸入国でもあります。これからもその経済性、安定性を考えると活用していかざるを得ないということは言うまでもないことであります。また、今後の日本の石炭活用技術、いわゆる石炭ガス化に適した石炭は、今までのような高品位のものではなくて、酸素や水素の含有量が多くて可採埋蔵量の多い低品位炭であり、これは、最高の技術を持っている日本からすれば非常に有利な環境にあると私は思っております。

 一方、確かにその石炭、やはり利用を少なくする努力というのはしなければなりませんが、それにも増して、現在、世界最高水準である日本のクリーンコール技術のさらなる進歩を実現していく必要があると私は考えておりますし、この石炭活用の技術こそ、世界に求められる技術、日本の成長の柱の一つになり得る分野とも私は考えています。

 確かにCO2の排出量は多いかもしれませんが、世界のエネルギーの需要見通しの中で、石炭は二〇三〇年には現在の約一・五倍、発電量見通しでは現在の約二倍に膨れ上がるとも言われているわけであります。

 そういった移り変わりをとらえると、日本で縮小していかなければならない分野である石炭ではありますが、技術革新は常に進めていかなければならないと思われます。技術は確かに追いつかれるおそれはあります。しかしながら、それを上回る技術を開発して世界に発信をしていく、活用される技術をつくり続けることこそ成長であるというふうに私は考えております。

 そこで、今後、この石炭技術分野にどのような投資をして、どのような開発を進めて、どのような売り込みをしていくのか、この決意を副大臣にぜひお答えいただきたいと思います。

松下副大臣 大変的確な御指摘をいただいた、そう思っています。産炭地でしっかり苦労されて、その後も、自分の仕事の分野も含めて大変専門家の御意見だと思って、お答えしたいと考えています。

 石炭は、化石燃料の中でも、とにかく経済性にすぐれている、そして供給国が比較的分散していて、それに枯渇することが少ないということで、安定供給の観点から見ても非常に重要なエネルギー源であるということはしっかり認識しています。

 それで、石炭には単位熱量当たりのCO2排出量が大きいという問題、御指摘のとおりでございます。また、御指摘いただきましたけれども、我が国は、石炭火力の高効率技術、IGCC、そして、その運転や管理ノウハウによって世界最高水準の発電効率を持っているということでございまして、これも我が国の技術の本当に粋を尽くした傑作だと考えております。

 これからそういうものを使いながら、中国の、あそこは石炭火力、その一辺倒でございますから、そういうところに対して我が国が技術を売り込んでいくということも含めて、大いにCO2の削減に我が国の技術が貢献できる、そう思っておりますし、同時にまた、CCSと言われている二酸化炭素の分離、回収、貯留といった技術もあわせて、これは日本が誇るべき技術だ、それを今度は打って出て海外に貢献したいということも含めて、思い切った投資も含めてやっていきたい、こう考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 私の選挙区は、冒頭申しましたとおり旧産炭地でございまして、ぜひ世界最高水準の石炭技術の発信地として、私どもの筑豊を活用していただきたいというふうに私は思っています。

 石炭を失って疲弊した地域が世界最高の石炭技術の集積地として復活する姿を私はこの目で見たいし、実現をしたいというふうに考えておりますし、これが日本の成長なんだという確たるものをこれからつくってまいりたい。特に、先ほど言った低品位の石炭の埋蔵量は五百年くらいありますから、ぜひこの安定性というものにも着目をしていただきたいというふうに考えております。

 大分時間も迫ってきたんですけれども、最後に、これは要望をちょっと申し上げたいと思います。

 先ほど、拡大させたい環境分野の財源を、縮小させようとしているガソリンや軽油の税金で賄おうとしているのはおかしいというような話をさせていただきました。もしガソリン税や軽油引取税を環境対策の税金にそのまま振りかえるというような愚かな判断をされようとしたときには、私は断固反対をしたいというふうに考えております。

 ただ右から左へ、取りやすいところから取るというようなことを認めてしまうなら、政治家なんてやめた方がいいんですよ。この話は政治家の存在意義を打ち消すものだというふうに私は思っております。政治家は、もし新たな分野に財源が必要であるというのならば、その分野にどれだけのお金がかかるから税金を御負担いただきたいと、正々堂々と国民の皆様に説明をして、納得をしていただく努力をするべきだと私は思っておりますし、それがたとえ苦しい道であったとしても、国家百年の計のために、日本の豊かな未来のために、政治家みずからが先頭に立って進むべき道ではないかというふうに私は思っております。

 どうか皆さん、これはもう与野党を超えて申し上げたいと思いますが、日本が今本当に苦しい状況の中に、どの道を進み、どこにたどり着こうとしているのか、いま一度真剣にお考えをいただきまして、日本のあるべき姿への制度づくりに一緒に取り組んでまいりましょう。

 以上をもって私の質問を終わります。ありがとうございます。

東委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時十六分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時三十分開議

東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、低炭素投資促進法に関連して御質問をさせていただきます。

 まず、昨日、地球温暖化対策に関して、内閣提出法案、また公明党からの法案、さらに自民党からの法案と三法案そろって提案理由説明があり、地球温暖化対策に関する基本法についてその審議が始まったところでございます。

 この国会に政府が提出しました地球温暖化対策基本法について、まず一言、その姿勢について申し上げさせていただきたいと思います。

 我が国の温室効果ガス削減の中期目標ということで、内閣提出法案には、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の合意を前提とするという、非常にあいまいで、解釈の仕方でいかようにでもなるような前提条件がついていることを、私も提案者の一人として強く指摘をさせていただきます。

 前提条件が満たされたら二五%目標を設定する、前提条件が満たされなければ二五%目標は実行しない。他国に依存して、他国が合意しなければ目標は実行しない。こんな自主性のない、骨抜き、また先送りの法案はあり得ないと私は思っております。私には、このあいまいな前提条件が、民主党政権の地球温暖化対策に対する逃げの姿勢に思えてならないからでございます。

 温室効果ガスを二〇年に九〇年比で二五%削減するという志の高い目標を鳩山総理は掲げたわけでございますが、やるのかやらないのかわからないような前提条件にいつまでも縛られるのではなくて、二五%削減を実行するという政権として強いメッセージを内外に発信するとともに、その実現に向けた具体策を明確に示して、国民の理解と協力を得て確実に実行していくことが今一番、最も大事なことではないかと思うわけでございます。このことによって、環境・エネルギー分野で、低炭素社会の構築へ向けて力強く経済成長も引っ張っていくことができると思うからでございます。

 こうした大胆な目標を掲げて国際交渉をリードすることができなければ、結局、アメリカや中国、インドといった最大の排出国が参加していない京都議定書が存続する羽目になり、長い目で見て我が国の国益に反することにもなりかねないからでございます。

 しかも、政府はいまだ、二五%削減の具体策どころか、真水部分と言われる国内対策をどの程度の割合とするのかということすら正式に明らかにしておりません。きょう大臣にお聞きしようと思いましたが、大臣の口からも恐らく出てこないでありましょうからここで指摘をしておきますけれども、政府がこうした中途半端な姿勢では、幾ら国民に地球温暖化対策への協力を呼びかけても、また、これから始まる低炭素社会へ向けて経済成長を引っ張っていくと言っても、真の理解は得られないと私は思っております。

 そういうような視点から、きょうは、低炭素投資促進法に関連する質問もさせていただきたいと思っております。

 まず、四月の十二日に、経済産業省が次世代自動車戦略二〇一〇について発表をしております。この件について、まずは質問に入りたいと思います。

 この戦略では、民間メーカーの努力だけでは、二〇二〇年の新車販売に占める次世代自動車の割合は二〇%未満となる見込みであることから、政府が目標とする二〇二〇年の新車販売に占める次世代自動車の割合を最大で五〇%とすると、政府として積極的なインセンティブ施策を講じなければならないとされております。

 そして、この次世代自動車の中でも、新車販売台数のうち、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車の合計で一五%から二〇%を占めるようにする、こういう目標が書かれているわけですけれども、まず、このうちの電気自動車の割合はどの程度にしようとお考えですか。

増子副大臣 江田委員にお答えをいたします。

 まず、江田委員には常日ごろ地球環境対策に大変熱心に取り組んでいることに改めて敬意を表したいと思います。と同時に、私どもにちょうだいしたさまざまな指摘についてもしっかり受けとめて、私ども、大臣のもとで地球温暖化対策に取り組んでまいりたいと思っております。

 ただいま御指摘の、次世代自動車戦略の中での私どもが取りまとめました戦略の骨子については、今、江田委員の方からお話があったとおりでございます。

 電気自動車の割合、これらについては、私どもは、プラグインハイブリッドと一緒に、合わせて、一体という考え方で、今回の目標数値を一五%から二〇%とするということに実はさせていただいたわけであります。国際競争力の確保の観点からもぜひ、次世代自動車の開発普及が重要であるということで、しっかりと取り組んでまいりたいと思っています。

 両者については、大容量の蓄電池を搭載し、家庭充電器などインフラの整備もしっかりとやっていかなければなりません。そういう中から、技術、用途面での共通性が非常に高く、一体的に市場に受け入れられ、普及していくものと期待をしているところであります。

 現時点で、私ども、普及割合の内容については具体的にお示しをさせていただいておりません。これはあくまでも一体的に進めていくことによって、低炭素社会の実現や競争力確保の観点から普及促進を図ってまいりたいと思っております。

 現時点でその割合の中身を示していないことは御指摘のとおりでございますが、いずれにしても、今後、電気自動車、ハイブリッドを含めたさまざまな次世代自動車の普及にしっかりと取り組んでまいる予定でございます。

江田(康)委員 今、電気自動車の割合、中身は示していないということでございますけれども、少なくともこれを普及拡大していく。今回の地球温暖化対策基本法に関連しても、環境相からの試案でしょうけれども、ロードマップにもこれに相当するような規模が目標づけられている。また、エネルギー基本計画におきましても同様の高い目標が、やはり次世代自動車、特に電気自動車等においては目標づけられつつあると思うんですね。

 この電気自動車の普及拡大についてなんですが、これはもう皆様も十分おわかりのとおり、運輸部門において、地球温暖化対策にも大変に有効な手段であり、また石油依存度を低減させるためにも有効であり、かつ新産業の創出、雇用の創出に大きく貢献していくものと考えております。

 ただ、充電インフラの配置といった普及に当たっての対策のほか、懸念材料がございます。

 これは、従来型の内燃機関自動車やハイブリッド自動車の場合には、我が国が得意とするすり合わせ型の技術の産物なんですね。自動車メーカーの傘下に下請企業、中小企業の幅広いすそ野が垂直統合的に広がっているわけです。

 一方、電気自動車の場合には、従来型の自動車に比べて、エンジンやマフラーやトランスミッションといった、こういう重要な基幹部品が要らなくなるわけで、その分、部品点数が大幅に少なくて済む上に、モーターや蓄電池もアウトソーシングが可能で、自動車のモジュール化が進むことになると考えられます。

 この場合、従来の自動車メーカー傘下の下請企業のうち、いわば水平統合された新たな生産体制からはじき出される企業も相当数あらわれることになるのではないでしょうか。その結果、トータルとして、中小企業の仕事量としてはやはり減少せざるを得なくなるのではないでしょうか。

 この点についても、どれくらいの覚悟で低炭素社会を進めていこうとしているか、その視点から質問をさせていただいております。経済産業省としてどのような見方をお持ちか、お聞かせください。

増子副大臣 お答え申し上げます。

 江田委員御指摘のとおり、私どもは、次世代自動車戦略につきましても、エネルギー基本計画及び新成長戦略と一体という考え方を持って、この戦略をしっかりと立てていきたいと思っております。

 そういう中で、当面は、燃費性能の高いガソリン車や内燃機関を有するハイブリッド自動車などが市場の多くを占めていくものと考えております。また、中長期的には、各自動車メーカーにおいて電気自動車の本格普及に向けた取り組みが行われていくものと承知をいたしております。三菱自動車及び日産自動車、それぞれ電気自動車にもしっかりと対応しているところであります。

 今御指摘のとおり、自動車部品産業においても、これから軽量化あるいは省エネ化とともに、次世代自動車向けの部品への事業展開といったことが当然求められてくるわけであります。以前にもこの件については御指摘をいただきました。電気自動車、ハイブリッド等の関係によれば、すそ野の広い産業が大きな変化をもたらしてくるんだろう、場合によっては、これによって部品産業が弱体化してくるのではないかという御指摘は、以前にもいただいたところであります。

 私どもとしては、すそ野産業の変化の可能性を視野に入れつつ、官民での部品の軽量化、省エネ化の追求や、次世代自動車向け部品の研究開発に取り組む重要性を共有しながら、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。すそ野の広い自動車部品産業界の、特に中小企業に関することについては、できるだけ私どももその変化に対応できるような支援をしてまいるというふうに考えておるわけであります。

 いずれにしても、本戦略を踏まえて、官民での研究開発や新分野への挑戦を促進していきながら、中小企業やこれらの産業にもしっかりと支援をしていくという考え方でいることをぜひ御理解いただきたいと思います。

江田(康)委員 それでは、まとめて大臣にお伺いいたします。

 低炭素化投資によって新たな市場が開拓されることは大変重要なことでございます。産業政策の責任者としては、今言ったような産業構造の変革に伴う副作用についてもしっかりと注視して、摩擦を最小限にとどめなければならない、こういうふうに考えられます。

 次世代自動車だけではなくて、省エネ製品の中核となる蓄電池、太陽光発電パネルなどでも、実は日本企業の市場シェアは縮小しつつあるんです。これらを製造する中小企業には不安も広がっているのが現状でございます。

 我が国の環境・エネルギー政策上及び経済成長戦略上、雇用者の七割、企業数の九割以上が働く中小企業の構造転換、競争力の強化に対してどのような支援、私は思い切った支援が必要だと思いますが、このような点も考えた上で、二五%削減、低炭素社会の構築というものをお考えかどうか、大臣にお伺いいたします。

直嶋国務大臣 御指摘のように、今、雇用者の七割を占めている、また四百二十万社ございます中小企業のすそ野の厚みは、まさに日本経済の強みであり、屋台骨であります。その潜在力をしっかり発揮させることが、今後の日本の経済成長の大きなかぎを握っているというふうに思っております。

 こういう認識のもとに、中小企業の構造転換や新分野への進出など、競争力強化を総合的に支援していくことが成長戦略を推進する上でも重要であるというふうに思っております。

 例えば、新たな市場開拓にもつながる、ものづくり中小企業の研究開発でありますとか、新商品や新サービスの開発や国内外の新たな市場開拓支援、こういったことなどをしっかり実行することによりまして、中小企業の皆さんの不安を打ち消し、成長のためのチャンスを提供してまいりたいというふうに思っております。

 昨年末に発表しました新成長戦略の基本方針の中では、環境、健康、観光といった戦略分野で政策的に需要をつくり出すことによりイノベーションを促進して、企業、経済の成長を通じて雇用を創出していく、こういうことにいたしております。

 こうした成長の果実がしっかり中小企業に及ぶように、六月の取りまとめに向けた具体策の検討の中で、政策的にもしっかり打ち出して貢献をしてまいりたいというふうに思っております。

江田(康)委員 今大臣から申されましたように、二五%削減を明記するとか、それから低炭素社会を実現するとか、こういうことを言うことは大変に簡単なことであるのですが、やはり低炭素社会を実現していく上においては、こういうような負の側面も、プラスの面と同時に、特に中小企業にとっては大変対応が難しい環境対応でもございます。こういうところまでしっかりと支えていくような成長戦略、やはりこれができ上がらないと、政権の基本法にしても、成長戦略にしても、それは国民からも支持を得ないし、我々も信用することはできないと思っています。

 そういう意味で、覚悟を決めて、経済産業省、大臣、取り組んでいただきたいと思います。

 次に、中小企業の温室効果ガス削減の支援策について、今回の法案に関連して御質問いたします。

 今回の法案では、エネルギー環境適合製品の導入促進を図るために、新たにリース保険制度が創設されることとされております。

 このリース保険の関係で、需要開拓支援法人というものがございますね。この法人は、保険の引き受け以外に、具体的にどのような需要開拓業務を行うことになるのか伺います。

 また、リース保険の活用によってエネルギー環境適合製品の普及拡大を図ろうとする意図には大賛成です。しかし、低炭素社会を実現していくためには、エネルギー環境適合製品の普及促進制度をつくるだけではなくて、何をどう活用していけば費用対効果の面から見て真に中小企業の温室効果ガスの削減や省エネに資するものになるかということについての個別具体的な情報提供が必要となるのではないかと思っております。いかがでしょうか。

高橋大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 御指摘の需要開拓支援法人というのは、本法の第二十条に定めておりますけれども、「次に掲げる業務を行うものとする。」ということで、最初に、先ほど御指摘のあった「リース保険契約の引受けを行うこと。」、二番目に「エネルギー環境適合製品に関する情報の提供を行うこと。」、三番目に「前二号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。」ということが明示をしてございまして、御指摘のとおり、具体的なさまざまな情報を提供するということを業務とするということにしております。

江田(康)委員 この点については、帝国データバンクのTDB景気動向調査を活用して実施した企業へのアンケート調査もございまして、温室効果ガスの削減に必要な支援措置として、四割近い企業が情報提供やコンサルティングを求めているということがわかっております。

 中小企業の省エネ、CO2対策として、既に国内CDMといった施策が実施されていることは、私は高く評価します。また、これは、今後新たにつくる国内の排出量取引制度の中においても正式に盛り込んでいかなければならないCDMだと思っておりますけれども、この対象は、現在はごく一握りにすぎないわけであります。もっと徹底するためには、中小企業による温室効果ガスの削減や省エネを促進するためには、中小企業に直接出かけていって、そして個々の中小企業のエネルギー使用状況に合った省エネ機器の導入、それからエネルギー管理体制のあり方、こういう適切な情報提供を行う、例えば省エネ診断士のような制度を設けることで、絞り切ったぞうきんと言われる我が国産業部門の省エネ化が着実にさらに進むものと考えますけれども、経済産業大臣のお考えはどうでしょうか。

高橋大臣政務官 御指摘のとおり、CO2二五%削減に当たっても、中小企業がどうやって取り組んでいくのか、これは大変重要な問題で、情報提供を行っていくというのは大変重要なことだというふうに考えております。

 そこで、経済産業省では、中小規模の事業者が無料で利用できる省エネ診断というのをもう既にやっておりまして、年間約千二百件ぐらい実施をしております。

 工場へ行きまして、いろいろな診断を一日させていただいて、指導もさせていただく。そして、二、三日かけて報告書もつくっております。具体的に専門家が本当にいろいろな指摘をするという事業をやっておりまして、今年度でも約九億円ぐらいの予算を設けましてこの指導を行っております。先生御指摘のように、省エネ診断士という名前がいいのかどうかは別として、既にこういうことをやっております。

 それからもう一つ、省エネルギー効果の高い設備の導入だとか、エネルギー使用状況を見える化する、見えるような形でデータとして出てくるような機器の導入の支援もしておりまして、このようなことをやらせていただいております。

江田(康)委員 それではさらに、政策の効果、また雇用創出及び成長戦略の関連について御質問させていただきます。

 今回の法案では、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業を促進するための低利、長期の資金供給として一千億円を予算化するとともに、その事業規模としては二千五百億円。中小企業等が、今言ったエネルギー環境適合製品をリースにより調達する際の信用力補完のための保険制度を創設する。この二点であるかと思いますが、これらにより、どのような経済そのほかへの効果が見込まれるかを改めてお伺いいたします。

 例えば、昨年五月に開始されたエコポイント事業というのは新たな法律の制定などの手続は必要としませんでしたけれども、経済産業省が行った試算によれば、エコポイント事業の効果は、年間約四百万トンのCO2排出量の削減と約四兆円の生産の誘発、十二万人の雇用創出、こういうことが見込まれるとされておりました。実際、制度導入以降の薄型テレビの販売台数というのは前年に比べて四割以上の増加を続けて、この三月には駆け込み効果もあって前年比二・五倍ですよ。大幅増を記録しております。

 他方、今回の法案の内容は、エネルギー環境適合製品として具体的に何が指定されるのかがいまだ不明確であります。二十一種とかいうことを言われておりますけれども、企業として対応しかねる状況かと考えられます。

 今回の法案は、いわゆるグリーンニューディールの促進のためのものと認識しておりまして、相応の経済効果が期待されますけれども、どうも建前の割には大きな経済効果が期待されそうもない。低炭素社会の構築に向けて、また二五%削減に向けて、それに相応するような制度にはなっていないように私には思えます。

 もっと総合的な、トータルなプランを立てていかなければと思いますけれども、経済産業大臣はどのような見通しを持っておられますか。

直嶋国務大臣 この法案が成立しまして、この制度を運用してまいりますと、両方で、今先生おっしゃったように、融資とリース合わせまして約四千億円ぐらいの設備投資の効果を試算いたしております。この設備投資が入り口になって関連産業の生産が誘発され、相当規模の雇用が創出されるというふうに見込んでおります。

 今、その波及効果のお問い合わせでございますが、一定の前提条件を置いた上で、私どもの方で産業連関表を用いて試算をいたしました結果をちょっと御報告しますと、約一兆円程度の生産誘発効果と約十万人ぐらいの雇用効果があるというふうに推定をいたしております。

 そして、この設備投資をしっかり低炭素化で支援していくということは、申し上げるまでもなく、製品になって、それが普及をして、使用されて、最後廃棄される、こういう一連のライフサイクルのことを考えますと、入り口でやるわけですから、CO2の面でいいますと非常に大きな効果を出すというふうに見込んでいまして、これは非常に重要な政策でありますし、我々としては、小さく産んで大きく育てたい、そのように思っているところでございます。

江田(康)委員 低炭素化を大きく進めるその柱として、今回の法案は新しい低炭素投資法ということでつくられて期待もされているわけですけれども、今御回答にございました、一兆円、十万人規模の効果が見込まれるのではないかと。

 別の角度から、雇用の観点から、ちょっと最後の時間を使って根本的な議論をしておかねばと思います。

 地球温暖化対策への取り組みは世界的な流れでございます。我が国が世界最高水準の技術力を持つエネルギー・環境分野におきまして、新たな市場を開拓して、経済の牽引力となる新産業を育成するということは極めて重要でございます。今回の法案も、それに資するべきものと理解しています。

 しかし、やり方によっては、温暖化対策と雇用の創出の両立が困難となることも懸念されます。ここまで考えて、この二五%削減目標も、また低炭素社会構築へのあらゆる施策も打っていかなければならないという意味で質問をさせていただきます。

 例えばアメリカでは、昨年二月に米国再生・再投資法というのが成立しました。とりわけ再生可能エネルギー分野への投資とその雇用創出効果が期待されておりました。しかし、ことし二月、アメリカン大学の研究プロジェクトから、政府の投資プロジェクトから拠出された二十一億ドルの資金のうち七九%が外国企業に渡ったとの報告書が発表されて、議会で議論となりました。

 再生可能エネルギー発電の多くは、石炭、石油、天然ガスに比べるとコストが高いわけです。ですから、アメリカでは、風力発電機の基幹部品などは、中国を初めとした外国から調達せざるを得ないのが現実となっていたわけです。こうなると、クリーンエネルギー政策がアメリカ国内で十分な雇用を生むのかは極めて疑問ということになって、議会で議論になったわけです。

 また、よりマクロな観点から見ますと、アメリカでは、オバマ政権発足当初、雇用創出を最優先課題の一つに掲げて、史上最大規模の景気対策法を成立させて雇用対策に取り組んだ結果、二〇〇九年末には二百万人の雇用が維持、創出されたと分析されております。

 しかし他方で、二〇〇九年の就業者数は四百七十八万人も減少した。失業率は一〇%もの危機的水準に達した。景気対策法の効果はあったものの、金融危機による雇用調整圧力は政府の想定をはるかに超えており、その規模に対して景気対策の規模が小さかったために、結果として雇用は非常に危機的な高い水準を記録してしまった。こういうことがございます。

 我が国においても、雇用は最優先課題の一つでございます。低炭素社会を構築する中においても、雇用の創出、新産業の創出というのは期待できると思いますが、今回の法案で、エネルギー環境適合製品の生産とか研究開発、導入を支援することが、あるいは現在の成長戦略を進めることによって、結局のところ、国内でどの程度の雇用創出が実現できると考えておいででしょうか。さらに、よりマクロな観点から、経済構造の変化によって失われる部分も勘案しなければなりません。その日本のトータルとしての雇用環境はどの程度改善させることができるのか、これをお伺いしたい。

 そして、これは、今後まとめられる成長戦略にも、また環境相試案からスタートする二五%削減のロードマップにも、そういう経済と雇用の影響と効果についてしっかりと踏まえていかなければならないと思っておりますけれども、最後に、大臣、このことについてどのようなお考えか、お伺いをいたしたいと思います。

松下副大臣 お答えいたします。

 昨年末に閣議決定した新成長戦略、基本方針でございますけれども、厳しい雇用環境の中にあって、中長期的には失業率を三%台へ低下させていくということを目指していこうというふうにしています。また、中でも環境・エネルギー分野につきましては、強みを生かす成長分野と位置づけられておりまして、五十兆円を超える環境関連の新規市場の開拓、そして百四十万人の規模の新規雇用の創出、これを二〇二〇年までの目標として掲げております。

 この法案によりまして、エネルギー環境適合製品の開発、製造等を支援すること等を通じて、低炭素型産業を新たな経済成長の柱として育成していくこと、そして、我が国を低炭素型産業の世界の拠点としていくということで、新たな雇用をつくり出し、中長期的な雇用環境の改善を目指していこうというふうに考えております。

江田(康)委員 今、理想を聞かせていただきました。

 このことについては、経済成長戦略の中でも、大臣また副大臣、大変な御努力をいただいているところだと思いますけれども、私が言いたいのは、こういうような、本当に全体像をつかみながら、雇用と経済の成長をどうしていくのか、これが今一番大事なところでございますので、この件についても、また、これから温暖化対策並びに経済成長という両面において、これからも委員会で審議があると思いますので、さらに深掘りをしていきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。終わります。

東委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうはまず、法案の第一日目ということで、幾つか順番に伺っていきたいと思うんですが、第二条第三項のエネルギー環境適合製品について最初に伺います。

 第一号の非化石エネルギーの中には、再生可能エネルギーとともに原子力発電施設も入るということになると思いますが、どうですか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギー環境適合製品でございますけれども、二条三項一号にございますように、非化石エネルギー源から電気もしくは熱を得るための装置、または燃料を製造するための装置というふうに規定をされておりまして、原子力につきましても、この第二条第一項の規定にございますように、非化石エネルギー源に含まれております。したがいまして、原子力発電設備につきましてもこの対象製品であるというふうに解釈されております。

吉井委員 これは、「主務大臣が定めるもの」という書き方なんですね。ですから、きちんと確認をしておくことが大事だと思うんです。

 第二号で石炭火力も対象となるのかどうかということと、この第二号でハイブリッド車、第三号でEV車、第四号でEV車用のリチウムイオン電池、第五号で蓄電池が入ることになると思うんですが、確認します。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 第二号でございますが、これは、エネルギー消費効率がすぐれている、いわゆる省エネルギー製品でございますので、今御指摘の石炭火力、進んだIGCC等のものは含まれるということになると思います。

 第三号につきましては、いわゆる環境負荷低減製品でございますので、電気自動車が含まれることになります。

 それから、第四号、第五号につきましては、この一号から三号の製品の部分品あるいは必要不可欠な併設製品でございますので、今御指摘の、電気自動車に不可欠なリチウムイオン電池設備というのはその対象になる。(吉井委員「二号でハイブリッドも入りますか」と呼ぶ)ハイブリッドも二号に入ることになると思います。

吉井委員 それで、資料一をごらんいただきたいんですけれども、上の図の方ですね。一九九〇年以降、自動車と電機など製造業の国内生産と海外生産の従業員比率を出しておきました。

 一九九〇年を一〇〇としたときに、二〇〇八年にかけて、国内生産は、建設用の輸送用機器などを除く自動車で見ればマイナス、全部合わせると輸送機器は若干プラスというふうに出てきますが、つまり、自動車も電機も製造業全体で見ても、国内で働く人々の数はマイナス、雇用が減少しているということです。

 一方、海外の方を見ますと、一般自動車を中心とする輸送用機器は六〇九ですから、六倍に伸びているんですね。二〇〇〇年以降では電機の伸びが減っているといっても、一般機械と電機を合わせた海外従業員は一五一ですから、一・五倍にふえています。製造業全体で三三八、つまり三・三八倍になったということですから、経産省に確認しますが、国内では従業員がこの間減って、海外では大幅に伸びているというのが実態だと思いますが、伺います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 この資料のとおりであろうかと思いますが、必ずしも今手元に数字を私ども持っておりませんので、この御指摘の資料を前提にすれば、そういうことが言えるのではないかと思います。

平工政府参考人 経済産業省におきまして実施をしております海外事業活動基本調査によりますと、製造業の海外生産比率は、二〇〇〇年度には一一・八%でございましたけれども、二〇〇八年度には一七%になっておりまして、上昇傾向にあるというふうに認識をしております。

 ただ、生産に関して申し上げますと、例えば輸送機械の海外生産比率は、二〇〇〇年度には二三・七%でございましたが、二〇〇八年度には三九・二%というふうに上昇傾向にございます。他方で、国内の生産台数は、二〇〇〇年には千十四万台でございましたけれども、二〇〇八年には千百五十六万台とふえております。すなわち、海外の生産が急激にふえたことによって比率が高まっているという状況と認識しております。

吉井委員 あなたのところからいただいた資料でやっていますので、それで、ちゃんと出してあるように、海外生産比率で見れば、これは電機で三・六倍、自動車で三・一倍だということですから、これは間違いないですね。

平工政府参考人 自動車につきましては三・一倍でございます。

 それから、電気機械につきましては、実は電気機械と情報通信機械の区分が、二〇〇四年度から区分になりました。この比率を単純に実はお足しになっているんですが、これは加重平均をする必要がございまして、正確な数字で申しますと、この一番下の表でございますけれども、二〇〇〇年度の数字、二一・九と書いてありますのは一八・〇、それから、二〇〇八年度は四一・一と書いてございますが二〇・七、そして、比率の方は、三・六倍でございますが一・八倍でございます。

吉井委員 要するに、大きく伸びているということなんですよ。そこが問題なのであって、本質から外れたところを一生懸命言ったって始まらないわけです。

 今度の法案で、要するに、ハイブリッド車とかEV車の支援が出ているわけです。自動車大手三社について、資料二の方に出しておきました。

 下の表を見てもらうとよくわかるんですが、例えば、トヨタの国内生産は白の棒グラフ、海外の方は黒い棒グラフの方で見ればわかるんですが、九〇年代後半に一度落ち込んだんですが、その後、リーマン・ショックまでは順調に伸びているんですね。一方、海外生産台数は、九〇年代半ばに比べて約四倍伸びているんです。

 海外生産比率を、トヨタ、日産、ホンダと、自動車十一社合計で掲載しておきました。リーマン・ショック以降の経済危機の中でも、生産台数は減っても、海外生産比率は伸びているというのが現実だと思いますが、確認します。

平工政府参考人 基本的には先生の御指摘のとおりだと認識しております。

 九〇年代は、貿易摩擦の回避から現地生産化が進みました。二〇〇〇年代は、むしろ海外の需要がふえているということもございまして、海外展開が進んでおります。

吉井委員 昨年六月二十六日に朝日で紹介されたように、豊田章男社長は就任直後の記者会見で、身の丈を超えた拡大成長路線を反省しておられるんですが、いずれにしても、海外での生産台数が急増しているというのは事実です。

 一方、上の方の表を見ればわかるんですが、一九九九年の労働者派遣法改悪以降、臨時従業員はリーマン・ショックの直前まで急増したんですよ。トヨタグループで見ますと、働いている人の二五%が臨時従業員、ホンダと日産でそれぞれ一三%、十一社合計で一六%。これは年度末のデータですが、二〇〇七年度から二〇〇八年度にかけて、つまり、リーマン・ショック以降の経済危機の中で、自動車十一社合計で百七万三千十二人から八十七万九千四百三十六人へ約二十万人の首切り、人減らしが強行されました。

 しかし、企業の方は、二〇〇九年度通期の見通しが先日発表されましたが、トヨタ、日産、ホンダは純利益で黒字を出しているんです。二〇〇八年三月末から二〇〇九年三月末にかけて自動車分野で約二十万人の首切り、人減らしが行われたと思うんですが、事実をまず確認しておきます。

平工政府参考人 吉井委員にお渡しをさせていただいております資料で、二〇〇七年度、二〇〇八年度の数字が、お渡ししたものとここに書いてありますものが若干数字が違うのではないかと思っております。

 二〇〇七年度が百八万七百四十、二〇〇八年度は百六万六千二十九でございます。

吉井委員 実は、ここに社団法人自動車部品工業会の、これはもっと分厚い資料ですけれども、その中の十六ページの資料を持ってまいりましたけれども、昨年十月に海外事業概要調査報告というのが出されているんです。

 トヨタグループなどの大手部品メーカーなどの調査報告なんですが、これによりますと、アメリカでは、日本の現地法人の工場で、七万二千二百五十七人の雇用者の中で、非正規雇用は三・五%なんです。つまり、ほとんど正社員なんです。欧州でも、日系企業の六万八千九百三人の雇用者の中で非正規雇用は一・〇%、ここでもほとんどが正社員なんです。日系販売会社を見ても、アメリカで非正規雇用は二・二%、ヨーロッパでは〇・八%、つまり、ディーラーの方たちなども正社員が当たり前なんです。

 直嶋経産大臣に伺っておきたいんですが、直嶋さんは自動車に詳しい方ですから、国内では、トヨタでいえば二五%臨時職員で、景気の動向によってばっさり切られてしまう、ヨーロッパでは正社員が当たり前、こういう実態をまず御存じかどうかを伺っておきます。

直嶋国務大臣 日本国内の雇用の状況は、今委員がおっしゃっていることだというふうに思います。ただ、二五%がばっさり切られたかどうかというのは、ここはちょっといろいろと議論があるところではないかと思っています。

 いずれにしても、不安定な雇用の方の比率が日本の就業者構造の中で見ると高過ぎるというふうに私自身も思っていまして、やはり雇用を安定的にしていくということは非常に重要なことだというふうに思っています。

 それから、欧米、ヨーロッパの話が出ましたが、こちらは、やはり日本と制度そのものがかなり異なりますので、単純に比較はできないと思っています。ただ、例えばパート労働者が日本で議論になっていますが、ヨーロッパの国の多くは、例えばオランダなんかがその代表ですが、時間当たり賃金はパート労働者も正規雇用者も同じにするというような仕組みがございまして、日本の雇用のやり方とは実態がかなり違うということで、数字だけで単純に比較はできないんですが、先ほど申し上げたとおり、やはり安定的な雇用というのが望ましいという考え方に立っております。

吉井委員 だから、日本では非正規が多い上に正社員との間で格差が非常にある、これはもう大臣今おっしゃったように、ヨーロッパではその格差がもともと少ない上に、格差もないということが事実です。

 次に伺っておきたいのは、国内自動車メーカーでは、正規社員の非正規雇用への切りかえが進み、経済危機の中で、そこで派遣切りなどが行われたりしたわけですが、それだけじゃなしに、中小下請企業の下請切り、単価切りのあらしが吹き荒れました。

 さて、この法律で、こうした自動車、電機産業にツーステップローンで低利長期資金供給を行うとしているわけです。これで企業が新しいハイブリッド車とかEV車の開発、電機関係でいえば、大企業が高性能のリチウムイオン電池や蓄電技術の開発に成功したとき、その技術を海外で活用して、国内産業を空洞化させ、海外生産比率をさらに高めるということになっては、国民の税金を投入するわけですから、やはりそれに対する何らかの歯どめ措置というものが必要だと思うんですが、大臣に伺っておきたいのは、そういう歯どめ措置というのはこの法案の第何条のどこで規定されていますか。

直嶋国務大臣 おっしゃったように、国内立地ということを促進する、特にこの法案でねらっていますことは、低炭素型社会をつくるためのさまざまな新しい商品でありますとか製品を、日本にやはり確保したい。工場はいろいろ出ていくわけですが、やはり日本において、その研究開発拠点でありますとか、本社機能でありますとか、よく言われるマザー工場的なものでありますとか、そういうものをとりわけ確保しながら、国内の雇用を維持していく、あるいは創造していきたいというふうに思っています。

 法律の方は、第一条におきまして、「我が国産業の振興を通じて国民経済の健全な発展に寄与する」ということを法目的として明記いたしております。本法案では、国内でエネルギー環境適合製品の製造を行う事業者が対象となるというふうに理解をいたしております。

吉井委員 少なくとも四条の特定事業計画の中で、このツーステップローンを受ける事業者に対しては、開発したハイブリッド車やEV車の生産は、その年数が十年がいいか二十年がいいかは別にして、例えば、二十年間は国内で行うこととか、雇用計画を出させて、何人の雇用がふえるということになるかを示させないと、やはり国民の税金を使う施策としておかしいと思うんですね。

 かつて、一九九九年の産業活力再生法のときには、雇用の増加は何人ということを書かせたわけですね。後に減税措置をとるために、何人ふえているか、逆に減らしているかというのを報告させていたんです。

 当時、自民党政権の時代の法律だったんですが、しかし、国が応援するからには、雇用の維持、中小下請企業の保護を計画の中に数字で示させると当時やったわけですね。今度、入っていないんじゃないですか。これは、なぜ入れないというふうにしたのか、どういう政治判断でやったのかを大臣に伺います。

松永政府参考人 産活法につきましての御指摘がございましたので、事務的な答弁をさせていただきたいと思います。

 産活法につきましては、今議員御指摘のとおり、雇用につきまして、計画できちっと把握をするという部分がございます。これは、産活法につきましては、事業の再編をいかに円滑に進めるかということが主目的でございますので、そういう規定がございます。

 ただ、この法案につきましては、新しい、これから伸びる環境・エネルギー分野の事業というものの国内の設備投資を進める、こういうところに主目的がございますので、その部分につきましては、法律の中では明確に書かれておりません。

 ただ、今御指摘の第四条の特定事業、これは、具体的に企業から計画を提出いただいて、これが適切なものかどうかということを、主務大臣、製造業につきましては経済産業大臣が認定いたします。

 したがいまして、今御指摘の、例えば国内で開発をしてその生産を専ら海外で行うというようなことが計画の段階で明確になれば、これは認定の段階できちっと判断をする、こういう運用になるのではないかと思います。

直嶋国務大臣 今、松永局長からお答えいただいたとおりなんですが、この法律そのものは、先ほどお話ししたように、環境分野の設備投資を促進していく、そのことによって新しい産業を起こして雇用を確保していこうという法案でございまして、当然、新しい分野を拡大していけば、それに見合う雇用は出てくるということでございます。

 先ほどちょっと申し上げましたように、二十二年度でいいますと、約四千億円の設備投資を誘発することによって、一兆円のマーケットと約十万人の雇用の創出が見込めるというふうに計算をいたしております。

 実務的な事業計画等については、委員が御指摘のような雇用の面も念頭に置きながら、どういうやり方が望ましいかは検討してまいりたいというふうに思います。

吉井委員 だから、今おっしゃったように、雇用について考えるんだったら、法律にきちんと、かつての産活法のときには、自民党政権時代に出した法律で書くようにしているんですよね。何でそれをしないのかということを言っているんです。今おっしゃったように、雇用のことを言うんだったら、やはり法律に書くのが当たり前じゃないかと思うんです。

 アメリカ、ドイツ、フランスでは、低利長期資金融資について、やはり条件をつけています。例えばルノーは、国内雇用を維持することについて、クリオ4、二〇一三年からフラン工場でやることについて、要するに、フランス国内市場向けの自動車はフランスで生産する、そのことを政府は求めて、ゴーンCEOはそれに同意していますね。

 アメリカでも、日産も援助を受けていますけれども、ちゃんと雇用が、フォードだったら三万五千人の従業員を確保しますとか、テスラは一千人の雇用創出とか、北米日産は千三百人の雇用創出とかをうたっているわけです。

 最後にこの点だけ重ねて伺っておきますが、税を使うんですから、開発とともに雇用をちゃんと国内で生み出すんだということを、欧米ではやっているわけですから、これはやはり法律に書き込むべきじゃないですか。

直嶋国務大臣 産活法と今回の法律は基本的に違うと思っています。

 産活法は、申し上げるまでもないんですが、非常に不況の中で、選択と集中を行うということで、不況対策の一環としての事業再編をやったということでございます。今回の法律は、新しいものをつくり出していくための後押しをしようという法律でありますから、当然、そのことが進んでいけば雇用は拡大できるというふうに思っています。

 今、海外の事例も御指摘いただきました。私の理解します範囲でいいますと、法律で抑制している、抑えているといいますか制約をしているところも一部あるかもしれませんが、例えば今のアメリカ等の部分について申し上げますと、一つの事業計画の中でそういうものがうたわれているということは認識をいたしております。

 日本で事業を行う外国のメーカー、企業についても、当然、この法律の対象にはしていくというふうに考えております。

吉井委員 第一日目の質問を終わります。

    ―――――――――――――

東委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 環境委員会に付託されております内閣提出、地球温暖化対策基本法案、野田毅君外三名提出、低炭素社会づくり推進基本法案及び江田康幸君提出、気候変動対策推進基本法案について、環境委員会に対し連合審査会開会の申し入れを行うこととし、あわせて、本委員会において審査中の内閣提出、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案について、環境委員会から連合審査会開会の申し入れがありました場合には、これを受諾することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、環境委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十六分散会


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