衆議院

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第13号 平成23年6月1日(水曜日)

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平成二十三年六月一日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 石関 貴史君 理事 北神 圭朗君

   理事 楠田 大蔵君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 谷畑  孝君

   理事 西村 康稔君 理事 佐藤 茂樹君

      石田 三示君    磯谷香代子君

      緒方林太郎君    川口  博君

      川島智太郎君    川村秀三郎君

      木村たけつか君    櫛渕 万里君

      熊田 篤嗣君    斉木 武志君

      斉藤  進君   斎藤やすのり君

      柴橋 正直君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    平  智之君

      高松 和夫君    中山 義活君

      橋本  勉君    花咲 宏基君

      山本 剛正君    吉田おさむ君

      梶山 弘志君    近藤三津枝君

      高市 早苗君    橘 慶一郎君

      谷川 弥一君    西野あきら君

      額賀福志郎君    望月 義夫君

      稲津  久君    吉井 英勝君

      山内 康一君    園田 博之君

    …………………………………

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力経済被害担当)  海江田万里君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      渡辺  格君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 細野 哲弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      横尾 英博君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月一日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     斉藤  進君

  田嶋  要君     石田 三示君

  橘 慶一郎君     谷川 弥一君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     磯谷香代子君

  斉藤  進君     川村秀三郎君

  谷川 弥一君     橘 慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     田嶋  要君

  川村秀三郎君     緒方林太郎君

    ―――――――――――――

五月三十一日

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第四号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として文部科学省科学技術・学術政策局次長渡辺格君、資源エネルギー庁長官細野哲弘君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長横尾英博君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、最初に、前回に続いて東京電力の決算にかかわるところから伺っていきたいと思います。

 最初は政府参考人に伺っておきますが、昨日の、原子力委員会でしたか、安全委員会でしたか、シンクタンクなどから補償の予想額が出されたりしておりますが、幅がまだ随分ありますから確定的なものは言えないわけですけれども、多い場合には二十兆円ぐらいの補償額も考えていかなきゃいけないということも言われておりますが、国の方としては大体どれぐらいを見込んでいらっしゃるのか、あるいは、シンクタンク等の数字でどれぐらいのものが出ているというふうに見ていらっしゃるのか、伺っておきたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 順次、審査会その他で検討が進められております。それから、今先生御指摘のシンクタンク等については、詳細は私は承知しておりませんが、前提の置き方によっては、賠償の対象になる費用の幅は相当あろうかと思います。

 シンクタンクの幅、具体的な金額については、ちょっと言及を差し控えさせていただきたいと思います。

吉井委員 いずれにしても、二十兆円近いものになってくると、東京電力というのは完全に債務超過ですね。もう破産会社なんですね、現実としては。

 そこで、三月十一日の地震発生以降の東京電力の事故処理費について、災害特損は一兆百七十五億円で、事故収束処理費が四千二百六十二億円ということで、その内容を、五月二十七日の答弁でお聞かせいただきました、六つの事例を示されたわけですが、具体的にそれぞれ幾ら支出したのか、これを伺っておきたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 先日御答弁申し上げました四千二百六十二億円の内訳についてのお尋ねでございます。

 先日は幾つか項目を申し上げましたけれども、あれは決算発表時の内容記載に即して申し上げたわけでございますが、きょうは金額もあわせてということでございますので、まことに恐縮でございますが、ロードマップの記載事項に合わせた形でお答えを申し上げたいと思います。

 当面の取り組みに係る費用等として、千七百五十億円となっております。より詳細な内訳でございますけれども、冷却関係で三百七十億円、抑制には一千九十億円、除染、モニタリングに二十億円、余震対策等に二十億円、環境改善に五十億円となっております。その他、今申し上げました項目に若干横断的に重なる部分がございます、こういったものとして二百億円が計上されております。

 今のはロードマップ上ステップワンとツーのところで見込めるものを申し上げましたけれども、そのほか、中長期的な課題に係る費用等としまして二千五百億円を計上してございます。これは、もちろん、中長期でございますので詳細の内容は現在では想定できませんものですから、通常の見積もりというよりは、海外等のいろいろな実績等に即して概算額を積み上げたものでございます。

吉井委員 それで、例えば今の汚染水の除染処理、これはプラント建設費、運用費用等で五百三十一億円ということですが、これは想定費用として、決算ということなんですが、これはこれからの想定だということで出ているんですね。それから、1Fの一号から四号の廃止に係る費用二千七十億円なども出ておりますが、そもそも、特損そのものがこれからどれだけ膨らんでいくのかわからないというのが今の現状ではありませんか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 もちろん、未曾有の災害でございまして、詳細なところについてのいろいろな積み上げは、いろいろなファクターがあろうかと思います。ただし、先ほども申し上げましたように、決算時におきまして見込めるものと見込めないものは、それぞれしかるべき基準をもって積算をしております。

 したがいまして、将来、より実態が進み、また費用が実際に立ってくるときに変更があり得るとは思いますけれども、一定の蓋然性、可能性を持ったものとして積み上げをした数字でございます。

吉井委員 今後膨らんでくるというものなんですが、せんだって、日刊工業で紹介された事故処理ビジネスの話を取り上げました。使用済み核燃料の仮設冷却装置などの供給にウェスチングハウスと東芝とか、使用済み燃料プールの処理にB&Wと東芝とか、さまざまな例を挙げましたが、今度の特損に挙げられている中で、この事故処理ビジネスに支払った金額はどれだけなのか、今後これがどれぐらい膨らんでくるのか、伺っておきます。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。先ほどの決算時の段階でわかっているものとして、今後生ずる積み上げのほかに、既に払ったものは幾らかというお尋ねでございます。

 見積もりではなく三月末までに具体的に支払ったものは、主に現場で使います防護服の関係で十二億円を計上させていただいています。

吉井委員 防護服の処理ぐらいですから、十二億円という小さい数字なんですね。巷間伝えられているところでは、例えばフランスのアレバですが、水処理で十兆円という話が出てきたり、もっと大きい話が出てきたりとか、実際に事故処理ビジネスに支払うものがかなり大きなものになってくるのではないかと見られております。

 ところで、この事故処理費というのは総括原価に入ってくるものなのか、これはどういう扱いになってきますか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今るる御説明を申し上げています費目は、決算上はいわゆる特損でございます。したがいまして、特損は経費の積み上げとは別でございますので、通常でございますとその構成をなしません。

吉井委員 今の話は、特損は、要するに東京電力の内部留保の取り崩しなどで処理するという話なんですが、さっきも言いましたが、言われている補償額等を含めて、これはシンクタンクによって見方が、研究中のものはいろいろですが、例えば二十兆円とか、フランスのアレバで十兆円近く、仮に言われているようなものが必要になってくると、物すごい大きなものになってくるわけですね。とてもじゃないが、内部留保の取り崩しで処理するようなことはできないということになってくると思うんです。

 そうなると、内部留保といったって、もともと適正利潤を除いた総括原価に適正利潤率三%を掛けて出てきたものの積み上げなんですね。今度これがなくなってしまうと、結局総括原価に入ってきて、国民が事故処理費を電気料金で負担するという形にならないことには、この事実上破綻した会社の事故処理というのはできないということになってくるんじゃないですか。

海江田国務大臣 吉井委員にお答えをいたします。

 先ほど来、アレバの処理費が十兆円、これは一部の雑誌などに書いてございました、私もそこは大変気になりまして、直接確かめをいたしました。そうしましたら、アレバだけじゃありませんで、キュリオン社の、これは塩の処理でございますが、これも含めまして、およそ一年間動かして五百億円ぐらいではないだろうかというお話がございました。

 ですから、今言われております、先ほどお話のありました損害賠償の額も大変膨らんでおりまして、もちろん、これは厳正中立に相応の因果関係ではじき出さなければいけない数字でございますが、いずれにしましても、東京電力も私どもも、そうした費用をストレートに電気料金に乗せないという形で努力をしているわけでございます。

吉井委員 大臣の努力はよくわかったんです。よくわかったんだけれども、その補償額は、そもそも、言われている二十兆円とか、もっとふえるかもしれないし、それから今の五百億ほどの話じゃなくて、実のところ、事故処理ビジネスは、水処理だけじゃなくていろいろなものがあるんですね、廃炉に係るものとか。どこまで事故処理に係る負担が生まれてくるのかわからない。これは積み立てられている内部留保の取り崩しだけではなかなか進まないということになってきたときに、これは、結局総括原価というところに食い込んでくる形にならざるを得ないのじゃないか。

 総括原価というのは、要するに、さっきも言いました、すべてのコストに、国が定めた適正利潤率である三%を掛けて算出される、この適正利潤を合わせたものが総括原価ですね。これを全部電気利用者に頭割りして、あなたのところは一万円ですよとか、あなたのところは二万円です、五千円ですというふうに電気料金として賄われるわけですが、この総括原価が膨らんでくれば、もともとの費用が膨らんだ上に、掛ける三%の適正利潤率を加えて、それは総括原価ですから、電力の方がそうして利益を生み出して捻出しようとすればするほど、結局国民負担ということになってこざるを得ないと思うんです。

 要するに、この適正利潤を差し引いたすべてのコストの中に、事故処理費等、補償に係るものは入ってくるのか入ってこないのか、伺っておきたいと思います。

海江田国務大臣 特損の部分については、先ほどエネ庁の長官からお話をしたとおりでございます。

 今の総括原価のお話で、最終的に電気料金を決めますのは、私、経済産業大臣ということに相なりますが、このところ、数十年にわたりまして電気料金は値下がりということでございましたので、その意味では、値下げの場合は大臣の認可ということではありませんで、届け出があればそれを認めてきたところでございますが、これから値上がりという話になれば、これはしっかりと経済産業大臣がその中身を精査いたします。例えば、これまででしたら、その原価の中に、いろいろな形でのPR費なども入っていたようでありますから、そういうものも削れるだけ削らなければいけませんし、人件費などもそうでありますが、そうした徹底的なリストラを行ってもらう。そういう意味では、これまで私どもは賠償資金のスキームをつくる中で東京電力と対応してまいりましたけれども、これからはそうした第三者の目によってしっかりと精査をされるということでございますから、そういう中で精査をしていかなければいけないというふうに考えております。

吉井委員 電気料金は最近やや下がっているというお話ですが、外国の電気料金と比べたら、日本は決して安い方じゃないということも言われていることを見ておかなきゃいけないと思うんです。

 四月二十五日に、東電の清水社長は、原賠法「三条一項ただし書きにいう「異常に巨大な天災地変」に当たるとの解釈も十分可能であると考えております。」と原子力損害賠償紛争審査会に要望書を出しましたが、政府の答弁としては、四月十九日の参議院では、第三条第一項の本文を適用することを前提に対応する、それから、五月二日の参議院予算委員会で、枝野さんは、ただし書きによる免責の可能性はない、東電の賠償額に上限はないというお話をされたりしているんですが、海江田大臣に伺っておきたいんですが、この問題について政府の意思決定というのはいつ行われているのかを伺っておきます。

海江田国務大臣 政府としましては、三月の二十一日、官房長官が記者会見で、今お話のありました損害賠償に関しては、一義的には東京電力が責任を負い、十分に補償できない場合には国がしっかり担保するという見解を示したところでありまして、その後も、数次にわたって政府の責任ある立場の人間が国会などで同様の答弁をしているところでございます。

吉井委員 先ほどのお話でも、要するに総括原価の中に食い込んでこさせない努力をするというふうなお話だったんですけれども、地域独占と総括原価ということで今の日本の電力供給システムがつくられているわけですよ。

 そうすると、総括原価に食い込ませないためには何をしなきゃいけないかという点では、例えば電源開発促進税というのは電気料金にも入っているわけですけれども、一九八〇年以降の三十年間で見ても、年平均三千五百億円ですから、大体十兆円ぐらいの金が入っていることになるんですね。これが原発の上に出ていったわけです。使用済み燃料再処理等引当金は、現在三兆一千億円を超えているんですね。それから、東京電力の内部留保も、これはまだ十分明らかにされていない部分があるにしても五兆円近くあったりとか、それから、NUMOには七千二百八十五億円、これはもともと高レベル放射性廃棄物処分用に積み立てがあるんですね。廃炉積み立ては、これは会計経理処理上の数字だけという面があるにしても一兆五千二百九十三億円とかあるわけですよ。

 これは、今回の事態については、電力業界全体として当たらなきゃいけないわけですから、そういった資金なども使って、そして、少なくとも総括原価方式によって電力料金で国民に負担を転嫁するようなやり方はやらせないということを大臣としては考えなきゃいけないと思うんですが、伺っておきます。

海江田国務大臣 この各種の積立金につきましては、例えば損害賠償のところでも議論になったところでございます。

 それぞれの積立金には法律で定められた目的がございまして、その目的を外した支出というのはできないわけでございますが、今お話のありました、この事故の処理に伴う、特に最終処理までに至る過程で多額の資金が必要になってくるということになりますと、今お話のありました、各種の特別会計を主体としております、あるいは外部に積み立てもしてございますが、そうした積立金の中から使えるものはないだろうかということで再度検討してみたいと思っております。

吉井委員 五月十三日の関係閣僚会合の決定によると、まず機構を新設して、機構が被害者への損害賠償に当たる東京電力に、上限を設けずに何度でも資金交付や資本注入の援助をするが、賠償額がふえれば、当然、国が機構に援助する交付国債や金融機関に対する政府保証がふえていく、つまり、国民負担がどんどん膨らむという仕組みがあります。

 東京電力が機構に返済できないときは、結局、税金で負担する。もともとこの東京電力は、実質的に債務超過で倒産している会社になるわけです。東京電力からの機構への支払いというのは、毎年の東京電力の事業収益で行うとしているんですね。今の電力会社の地域独占と総括原価方式のもとでは、この賠償金の支払いのための事業収益というのは、結局、電力料金の引き上げということになるんじゃないですか。

 だから、この仕組みというのは、これは賠償スキームじゃなくて、東京電力の存続を前提とした、言ってみれば東京電力救済スキームじゃないですか。

海江田国務大臣 委員のお考えは、今開陳いただきましたので、そういうものだというふうな理解はいたしました。

 私どもは、あくまでも、これは東京電力に責任を持って今回の原子力事故の被災者に対して損害賠償を行ってもらう、そのために仕組みをつくらなければいけない、あるいは新たな機構をつくらなければいけないということで考えられたものであるということは、お伝えを申し上げます。

吉井委員 結局、今あるもので補償するならば、その企業は倒産しないでもやっていけるわけですよ。もともと倒産会社が将来の事業収益でもって国に返済するということは、結局、総括原価方式のもとでは、電気料金の値上げをする以外にやりようがないんですよ。

 だから、この地域独占と総括原価方式というシステムそのものを存続させるというようなスキームを考えたのでは、これは東京電力救済スキームだと言われても仕方のないもので、やはり全く違うものを考えていかなきゃならない、このことを申し上げまして、質問を終わります。

田中委員長 以上で吉井英勝君の質疑は終了いたしました。

 次に、柴橋正直君。

柴橋委員 民主党の柴橋正直でございます。

 本日は、一般質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、海江田大臣にお伺いをいたします。

 浜岡原発停止に対する中部電力への支援について、現在、中部電力からの具体的な要請待ちであるというふうにお伺いをしております。利子補給などの金融支援が検討されているやに聞いておりますけれども、浜岡原発停止分をLNG火力でカバーをした場合には、約二千五百億円のコスト増が見込まれております。政府の要請により浜岡原発を停止したわけでありますから、中部電力から最終的に補償を求められた場合、どのように対応する予定でしょうか。答弁を求めます。

海江田国務大臣 今委員御指摘のありましたように、浜岡原子力発電所の停止は、政府の要請を受けて行われたものであります。私は、中部電力に対して、その要請を受け入れてくれたということに対しては、多大の感謝をするものでございます。

 その上ででございますけれども、中部電力も安易に電気料金を値上げしない、自分自身の努力も重ねていく、ついては、できる範囲での支援をお願いしたいということでございますので、私どももそれに対する支援は行っていきますというお話を申し上げました。

 しかし、今委員御指摘のようないわゆる損失補てんということは、まだ中部電力の方から言ってきておりませんし、私は、中部電力からそのような損失補てんという申し出が来るとは考えておりません。

柴橋委員 あらゆる想定をしていただくということが第一ではないかなというふうに私は思っています。

 と申しますのも、私、岐阜選出でありますが、東海地方は日本の経済の大きなエンジンを担っている地域でございまして、製造業も大変多い地域であります。ですから、今のところ電気料金の値上げということには至らないという御見解でありますけれども、最終的に万が一そういったことになった場合には、企業の流出も含めて大変大きな影響を受けるということを申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、原発の再起動について海江田大臣にお伺いいたします。

 原発は、十三カ月に一回、定期検査を行うというふうに聞いております。全国で最も定期検査に入るのが遅い原発は、平成二十三年三月九日に前回定期検査が終了した柏崎刈羽の六号機で、十三カ月後の平成二十四年四月には定期検査にまた入ることになっているわけでございます。

 その中で、定期検査後、原発を再起動できなければ、平成二十四年四月にはすべての原発がとまる事態に直面をするというふうに予想しております。浜岡原発及び他の原発はすべて立ち上げられるというふうに言い切れますでしょうか。答弁を求めます。

海江田国務大臣 既に、今回の東京電力福島第一発電所がああいう状況になりまして、三月三十日、私の名前で、各事業者に対して緊急の安全対策をお願いしたところでございます。そして、その緊急安全対策に対する報告が、四月の末に、四月の末から一部五月の上旬になりましたけれども、上がってまいりました。それを受けて私どもはすべての点検を行いまして、これは、私どもが三月三十日に発しました指示に従った緊急の安全対策というものが行われているということを通知したところでございます。

 もちろん、その後も中長期的な対応というものは必要でございます。津波の対策でありますとか地震の影響を受けての問題でありますとか、こういうことは今まさに東京電力福島第一原子力発電所の事故の検証をする中で明らかになってまいりますので、それは逐次、私どもの方から安全確保のための施策をお願いする予定でございますが、今のところ、緊急の安全対策は満たしておりますので、これは再開をしていただきたいというふうに思っております。

 ただ、そのときに、現地の市町村あるいは県の住民の方々の意識もあろうかと思います。昨日も、岐阜県知事はきのうお見えになれませんでしたけれども、愛知県知事を初めとした中部電力の管内の知事、副知事、あるいは責任のある立場の方が私どものところにお見えになりまして、お話をさせていただきました。今委員の御指摘のありました点もお話の中にございました。

 私とすれば、既に保安院は全国二十五カ所で説明を行いましたが、必要とあれば、私が現地に行ってしっかりとお話をさせていただくつもりでございます。せんだっても女川に行きまして、女川も一つ再開を抱えておりますので、ただ、女川の場合は周辺が大変厳しいという状況にありますが、町長さんとじっくりとお話をさせていただきました。そうした努力は今後とも続けていくつもりでございます。

柴橋委員 大臣、ありがとうございます。ぜひ懇切丁寧な説明をしていただきたいと思います。

 今大臣から御答弁ございました、三月三十日に指示をした緊急安全対策でありますが、これは主に津波対策だというふうに言われております。しかし、今回、地震も原発に相当なダメージを与えたのではないかというようなことが指摘をされておりますので、ぜひここは、原発を抱える自治体の首長さんが、住民の皆さんのいろいろな思いがあって、原発の再起動に大変苦慮しておられるということを、我が党の白石洋一代議士からも、私、四国の件をお伺いいたしました。

 そこで、海江田大臣にお伺いをいたしますけれども、原発を再起動させるために、事故原因の究明と、それを反映した新たな安全基準、ガイドラインというものを設定して、これで安全なんだということを改めて国民の皆さんに説明し、証明する、そういったことが必要ではないかというふうに思いますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。

海江田国務大臣 お答えを申し上げます。

 そのことは私どもも考えておりまして、きょうになろうかと思いますが、IAEAからの報告もいただく予定でございます。そのIAEAの報告の中にも、私どもが安全基準の上で耳を傾けなければいけない項目が幾つかあろうかと思います。そうしたIAEAの報告なども踏まえまして、それを安全基準の中に生かしていきたいという予定でございます。

柴橋委員 大臣、各地域の首長さんが大変苦慮しておられる、そして、万が一地元の皆さんの御理解がいただけなくて原発が再起動できなければ、少なくとも現状は我が国のエネルギーにおいて原子力は大変大きな割合を占めてございますので、ぜひ政府としても、国民の皆さんにエネルギーを安定供給する、この思いで取り組んでいただきたいと思います。

 次に、原子力災害対策本部の副本部長であり、原子力被災者生活支援チームのチーム長である海江田大臣に、緊急時避難準備区域への仮設住宅の建設についてお伺いをいたします。

 実は、私は、党の仮設住宅建設促進チームで事務局次長をさせていただいておりますけれども、被災県の選出の議員の仲間とともに、被災者の皆さんが、総理が国会の答弁でお盆までにということを言われましたので、何とか仮設住宅に入居していただけるように、現在、約五万二千戸の仮設住宅の建設を目指して取り組んでおります。

 先月の二十日、二十一日の二日間、郡山市、福島市、飯舘村、南相馬市に、私、お邪魔をいたしまして、主に仮設住宅の現状等を現地でお伺いいたしました。

 その中で、南相馬市では仮設住宅の用地確保に大変苦労している。三千世帯の入居希望があるわけですが、現在、約一千戸の着工にとどまっております。南相馬市は警戒区域と計画的避難区域、そして緊急時避難準備区域がありまして、ここには仮設住宅を現在建設することができません。そのために、市の北部の限られた地域に仮設住宅の建設用地を確保しなければならないという大変苦しい現実に直面をしております。また、こういった市の中心部から離れたところに仮設住宅をつくっても、現地の声をお聞きしますと、職場が集まっている市の中心部から大変遠く離れている立地であるので入居希望者が少ないという現状もございまして、被災地の皆さんの生活実態と仮設住宅の建設がミスマッチを起こしているのではないかということを感じました。

 現在、原子力災害対策本部では、緊急時避難準備区域の民間賃貸住宅への入居を災害救助法の適用対象に加えていただきました。緊急時に避難できない子供でありますとか要介護のお年寄りは入居できませんけれども、それでも大きな前進であると私は大変評価をさせていただいております。

 そこで、海江田大臣にお伺いいたしますけれども、生活圏とのミスマッチを解消する、そして被災地の皆さんに一日でも早く仮設住宅に入っていただいて生活再建を後押しするためにも、原子力災害対策本部として二十キロから三十キロ圏内での仮設住宅建設を認めていただけないでしょうか。答弁を求めたいと思います。

海江田国務大臣 まず、柴橋委員がせんだって東京電力福島第一原子力発電所の被災地を見舞われて住民の方々の意見をつぶさに聞いておられたという話は、私も承りまして、本当に心から敬意を表する次第でございます。

 そうした住民の方々の声の中で、特に緊急時避難準備区域でございますが、ここはまさに緊急時避難準備区域でありますので、仮設住宅はどうだろうかというお話があったということを聞いておりますが、まさにこの地域は緊急時避難準備区域でございまして、そういうことがあってはいけないことでありまして、当初よりはその可能性というのは大幅に低減をされたというふうに思っておりますが、やはりまだ、万々が一のことが全くないということは言い切れないわけでございますから、その地域に仮設住宅、正式には応急仮設住宅と言うわけでございますが、その応急仮設住宅をつくるというわけにはまいりません。

 そのかわりに出てまいりましたのが、これも今、柴橋委員から御指摘がございましたけれども、民間賃貸住宅の借り上げということでございまして、これも、池口国土交通副大臣を座長とした関係省庁で構成される会議におきまして、五月十八日に、民間賃貸住宅の借り上げを支援対象とすることが決まったわけでございますから、ぜひその民間の賃貸住宅にお住まいをいただきたい。

 そして、私どもとすれば、一日も早くこの緊急時避難準備区域の方々に安心して御自宅で暮らしていただけるように、まず放射性物質の環境中への飛散を防ぐ、それから、それぞれの建屋の上にカバーをかけるなどして環境中に放射性物質が飛散しないように、そして、その地域の除染を確実にやって、帰っていただけるように努力をするつもりでございます。

柴橋委員 私は、実際に南相馬市で、仮にこの仮設住宅の建設が認められるならばということで、用地も足を運んで見てまいりました。デパートの跡地ですとか市有地の大変広大な土地がございまして、そこは病院も近いし警察署や消防署も近いという、市の中心部にもし認めていただけるなら、今すぐにでもインフラ等の整備も必要なしで仮設住宅をつくれる、こういう地域がございます。

 ちなみに、線量計で線量もはかってまいりまして、この緊急時避難準備区域は、実は郡山市や福島市よりも放射線の線量は低いという地域でもございます。まさにこれは風向きの関係でしょうけれども、そういった、法律的にはいろいろな線で仕切られているわけでありますが、実態は、線量の面でいけば、郡山市や福島市の方がはるかに高いという事実がございます。

 この南相馬市で、あと二千戸仮設住宅が必要だということでございますけれども、これからの議論の中で、この仮設住宅の建設や、あるいはそれが無理であるというのであれば、市が災害公営等の住宅を建設するときには、ぜひ政府として最大限のバックアップをしていただいて、地域の皆さんの生活再建を後押ししていただきたいというふうに思います。

 海江田大臣は、この後、参議院の本会議があるということをお伺いをしておりますので、ここで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 続きまして、商店街活性化事業について中山政務官にお伺いをいたします。

 私の地元には、有名な柳ケ瀬商店街がございます。その中の商店街の一つである柳ケ瀬日ノ出町商店街振興組合が、今回、アーケードの改築事業ということで、戦略的中心市街地商業等活性化支援事業費補助金を申請させていただきました。

 これは、実は、採択に当たりまして、申請者がプレゼンテーションを行う機会がないということでございます。まさに書類審査によって決められてしまうということで、実際に商店街の皆さんは、例えばこの日ノ出町の商店街は、昭和のレトロな雰囲気を醸し出そうということで、幻まつりというようなソフト事業も展開をして……(発言する者あり)ぜひ来ていただきたいと思います。周りの商店街の集客が落ちている中で、唯一、集客がふえている地域でもございます。

 ぜひこういった、審査委員の皆さんに、書類の審査ではなくて、直接商店街の方が自分たちはこういう努力をしているんだということをプレゼンテーションする機会をつくっていただきたいという大変強い要望がございまして、ぜひ中山政務官に御尽力をいただきたいと思います。答弁を求めます。

中山大臣政務官 こういう問題意識はよくあることでございまして、私も共有している部分がございます。

 それで、高度化資金だとか今の中心市街地活性化というのは、一つのコンパクトシティーをつくろうということで、地域に学校や福祉施設、またはいろいろな、住民がそこへ住んで商売をやる。ですから、商売をやっている方は、買う人であり、事業者でもある。そういうような町をつくろうということで、吉祥寺の商店街だとか浅草だとか、こういうところはそういうような形になっているわけですが、どうしても、駅前に商店街はあることはあるんですが、もっと郊外に商業施設がたくさんあるというようなことが昨今見られまして、農地法改正で郊外にでっかいものができちゃうというようなことで、今のは非常に重要な部分だというふうに思います。

 ただ、経済産業局が効率的にやろうとして、結局、プレゼンテーションを、地元の住民の人が直接申請に行ってやるといいんですが、どうしても時間の関係や何かでそういうことになってしまう。本来は、地元の市町村や申請者が直接会いに行って、話をしたり説得をしたりするということが非常に大切だと思うんですね。ですから、地元の方もなるべく足を運んで、こういうことで投下した資本は必ずリターンできるというようなことも説明しなければいけないと思うんです。

 今回の場合、私もそういう専門家なものですから、若干、リターンが厳しい部分もあるというふうに私自身も見て……。ですから、本当に熱意があって、本来だったら、政務官あたりの部屋へ来てよく説明する、やはり地元もそのくらいの努力をしたり、いろいろなことをやるべきだと思うんですね。

 やはり、プレゼンテーションという限りにおいては、その前の段階の書類を出して、リターンができるようなことをしっかり考えていただきたい、それが一応基本だというふうに思いますね。

 ぜひ頑張っていただいて、柳ケ瀬発展のために私たちもバックアップをしたいと思っております。

柴橋委員 中山政務官の力強い御答弁、ありがとうございました。ぜひ政務官の部屋に、商店街の熱い商店主の皆さんがおられますから、一度機会をいただいて、地域の努力をお聞きいただければというふうに思います。

 最後に、鈴木総務副大臣に、産業廃棄物不法投棄対策事業に係る国の支援の特別交付税措置移行についてお伺いをいたします。

 岐阜市椿洞の産業廃棄物不法投棄問題は、議会や住民の皆さんの議論を経て、平成二十年三月に支障除去計画を環境大臣に御同意いただきました。平成二十四年までを目途に、普通交付税措置によって、総事業費が約百億円のうち、岐阜市の負担は実質五十五億円ということで、議会や住民の皆さんにも御理解をいただいて、現在、事業を進めております。

 ところが、総務省は、突如として特別交付税措置への移行を決め、岐阜市に通知をいたしました。普通交付税措置から特別交付税に移行すれば、対応関係が大変不明確になりますから、岐阜市の負担が当初どおりで済むのか、不確定となります。

 平成二十四年で産業廃棄物不法投棄対策事業は完了いたしますけれども、当初のスキームどおり、既存事業については普通交付税措置を継続して、当初の約束を守るべきであるというふうに考えますけれども、答弁を求めます。

鈴木(克)副大臣 御答弁申し上げます。

 お地元の問題について、私も少し勉強させていただきましたが、本当に、ある意味では残念な事案の一つだというふうに思っております。

 そこで、委員の御質問、普通交付税から特別交付税になって不安だ、心配だということだというふうに思いますが、私も市長経験者の一人として、このことに関してはいろいろな思いを持っておりますので、共有できる部分も非常にたくさんあるわけでありますけれども、結論から言って、今回のケースについては、御心配をいただくことはないというふうに冒頭申し上げておきたいと思っています。

 普通交付税の算定方式については簡素化とか客観化を進めてきておりまして、その一環として、今回の普通交付税と特別交付税の役割分担の整理を進めてきたところでございます。

 具体的には、普通交付税については、全国、普遍的で定型的な財政需要に対応する。それから、特別交付税については、地域的に偏在のあるものや災害などの特別な財政需要に対応するものということでありまして、今回の場合は、地域的に偏在をしておるということと、それから、災害ではありませんけれども、特別な財政需要の対応が必要だということになるというふうに思います。

 いずれにいたしましても、そういった観点から役割分担の整理をしてきておるわけでありますけれども、産業廃棄物不法投棄対策事業に係る事業費補正の見直しに当たりましては、当該事業が災害に類似して地域的に偏在する事業でありまして、先ほど申し上げましたように、普通交付税措置よりも特別交付税措置の方がなじむのではないかという考え方から、特別交付税措置に移行するという通知で御連絡をさせていただいたということであります。

 産業廃棄物不法投棄対策事業に係る地方債の元利償還金に対する特別交付税の算定に当たっては、特別交付税に関する省令に具体の算式を明記して、普通交付税措置の場合と同等の措置を行うというふうにしておりまして、特別交付税措置に移行しても、その省令に基づき確実に算定された上で交付をされていくということでございまして、冒頭申し上げましたように、この案件については、変わっても、具体的には大きな変化はないということだというふうに理解をしております。

柴橋委員 特別交付税の枠が変わらないということであるならば、それはそれで安心なわけでありますが、私が聞き及んでおりますのは、この特別交付税の枠は六%から四%に縮減をされる見通しだというふうにお伺いをしております。

 ですから、枠が減れば、幾ら算定根拠に入れたと言ったとしても、その分割合は少なくなるわけでありまして、もともと五十五億円の負担で済むということで地域の皆さんにも御理解をいただいてきたわけでありますが、一〇〇%その負担額が変わらないという保証はないわけでございまして、その点が大変心配だということでございます。

 そこで、最後に、この事務連絡という通知のあり方についてお伺いをしたいと思います。

 今回、特別交付税措置への移行については、何らの協議もなく、平成二十三年一月二十五日付の総務省自治財政局地方債課通知により、一方的に事務連絡という形で通知が行われました。

 民主党政権は地域主権改革を改革の一丁目一番地としている、これは私たちが共有をしている考え方だというふうに思います。この国会においても法案を可決、成立させて、国と地方の協議の場を設置するということになりましたし、私が昨年から法案作成に参加をさせていただきました総合特区法案においても、国と地方の協議の場を設置して、地方のさまざまなアイデアを国がしっかりと受けとめ、この特区に認められれば国は最大限のバックアップをする、こういう法案のたてつけを行いまして、この国会で議論をさせていただいております。

 そういう民主党政権でありますから、重要な制度の変更について、単に事務連絡で通知をするというのは、これは私たちの政権の方向とは違うんじゃないか。重要な変更についてはしっかりと地方の皆さんに説明をして、安心であるならば安心ですよと納得をしていただけるまで説明を尽くす、これが私たち政権のあり方だし、それを私たちは目指してきたというふうに思っております。

 この点について、副大臣の答弁を求めます。

鈴木(克)副大臣 まず、冒頭お尋ねがありました六パーが四パーになるということでございますが、これは御案内のように、今年については六パーをそのまま現状で置くということでございます。先については定かではありませんけれども、いずれにいたしましても、このことについて、今回のこのお地元のものについて、率が変わったからどうこうではないというふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。

 それから、もう一点でありますが、地方との協議でありますが、確かにおっしゃるように、今回は地方と協議を行った上でこういう見直しをしたということではありません。しかし、そうではありますけれども、もともと、いわゆる事業費補正方式については、地方公共団体の自主性や自律性を高めるために見直しを進めるべきだという考え方が一方であります。

 また、一方においては、事業量に応じた財政需要をきめ細かく捕捉し算定すべきとの考え方がありました。

 まさに両方の考え方があったわけでありますが、私どもとしては、事業仕分けだとか地方財政審議会における議論の中でさらなる見直しを進めるべきだというようなこともありまして、先ほどのような連絡にさせていただいたということであります。

 さきの質問の冒頭にも申し上げましたように、今回のことによってお地元の問題について大きく状況が変わるとか、負担が変わるとか額が変更になるということはありません。それは、私もはっきり申し上げておきたいと思います。

 いずれにしても、御指摘のように、これからは国と地方がきちっと協議をして、皆さん方の御理解をいただいた上で進めていくということを基本としてやってまいりたい、このように思っております。

 以上であります。

柴橋委員 額が変更になることはないという副大臣の答弁をいただきました。私どもの首長も、この件については大変心配をしておりまして、実は、市長になられた当初、最初に起こった問題がこの椿洞の産業廃棄物処理の問題でありました。それによって周辺町村との合併が頓挫するというようなこともございまして、大変思い入れのある事業でございます。そういった意味で、またぜひ私どもの自治体に懇切丁寧な説明をしていただいて、皆さんの納得がいただけるようにお願いを申し上げたいと思います。

 所管外でありましたけれども、副大臣、ありがとうございました。

 以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

田中委員長 以上で柴橋正直君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。谷川弥一君。

谷川委員 自由民主党の谷川弥一です。

 私は、二十年ぐらい、その日の新聞記事を読んで、国の将来に重大な影響を与える事象について、現象、その原因、政策に分類して記録をとってきました。きょうはその中から、政府債務、十年物国債の金利、それが将来に与える影響、経常収支等について、読みながら、何が問題なのか、どうすべきなのかについて議論をしたいと思います。

 また、それは財金でやれという部分もあると思いますが、あくまでも議論は経済成長について、そのために重要な位置を占めるエネルギー政策についてですが、なぜそのことが必要かについてわかっていただくために、政府債務に触れないわけにはいきません。さらに、きょうは基本的考え方に絞ります、具体策には触れません。御理解を賜りたいと思います。

 二〇一一年の政府債務の対GDP比は、ギリシャ一三九・三%、アイルランド一〇一・七%、ポルトガル八七・一%に対して、我が日本は一八四%です。二〇一一年五月二十日ごろの十年物国債の利回りは、ギリシャ一六%台後半、アイルランド一〇%超、ポルトガル八・六%、日本は二〇一一年五月二十五日で一・一三九%です。

 日本は世界で最悪なのに長期金利は低いのはなぜかといいますと、それは、貿易、所得収支、サービスによる経常収支が黒字だからであります。これが永遠に続くなら、私がここに来ていろいろ言う必要はありませんが、この三項目とももう既に大きな問題を抱えています。

 所得収支について最大の課題は国民の貯蓄率ですが、一九八〇年代二〇%、九〇年代一〇%、今は二%台に落ちてきております。なお、今後、高齢化が進むとマイナスになると思われます。

 貿易収支についてだが、付加価値の低いものは中国、インド、ASEAN等に移り、日本に残っているのは付加価値の高いものだけですが、今回の東日本大震災で問題になったサプライチェーンの寸断によって、これも諸外国に移ろうとしています。日本に残し、さらに発展させることが、日本の将来を決めると思います。

 その大事なことの一つにエネルギー政策がありますが、最近の菅首相の発言、枝野官房長官の発言等を見ると、この大切さが本当にわかっているのかなと心配でなりません。

 二〇一一年五月七日の朝日新聞ですが、

  東海地震に十分耐えられるよう、防潮堤など中長期対策が完成するまで浜岡原発はすべて止める――。菅直人首相は六日夜、会見でこう言い切った。福島第一原発の被災後に全国の原発に求めていた緊急安全対策の報告を受けての決断。東海地震の想定震源域の真ん中にあるとはいえ、なぜ浜岡は全面停止なのか。突然の発表、不十分な説明で波紋が広がっている。

  「浜岡原発を止めるための法律的な根拠もなければ、新たな法律を作るという話もない」。

  今回の発表は突然だった。

  官邸スタッフの一人は「中電とは打ち合わせもしていない。パフォーマンスも甚だしい」

と言っております。

 また、五月の二十八日。「サミット初日の二十六日。議長国フランスの配慮で、異例の冒頭発言の機会を与えられた菅首相は、ぎりぎりまで随行の官僚に注文をつけた。「オレは「二〇三〇年に三〇%」と言いたい」」と。

 きょうの日経の社説によると、

  定期検査のため停止中の原子力発電所で地元自治体や住民が安全性に懸念を強め、運転再開の見通しが立たない。このままでは一年以内に国内に五十四ある原発がすべて止まり、電力危機が全国に広がりかねない。

  電力不足は経済全体に大きな影響を及ぼす。政府は危機感をもち、東京電力福島原発を除く四十四基について安全性を総点検する体制づくりを急ぐべきだ。異例の政治判断で中部電力浜岡原発の運転停止を求めた菅直人首相の責任は重い。

いろいろあります。

 私が言いたいことは、思いつきでばんと言うのは結構ですが、そのことによってどういうふうな影響が及んでくるのか、そういうことを十分考えて言っていらっしゃるのか。もし、そうでなかったら、所管大臣は体を張ってでも、首をかけてでもそれをとめるべきじゃないか。そうしないと大変なことになります。国債が大暴落しますよ。そういうことを僕は言っているんです。

 御所見があったらお聞かせください。

海江田国務大臣 谷川委員にお答えをいたします。

 幾つか、谷川委員の問題意識というものを開陳いただきましたので、私からは、まず、浜岡原発に伴う御意見に対して私の所見を述べさせていただきます。

 浜岡原発の問題では、これはたしか五月の六日でございますか、夕方の総理の会見、そして私の会見がございました。

 その前に、私どもは、これは私はでございますが、四月の末に、浜岡原子力発電所が全部とまった場合、エネルギー問題でどういう影響が起きるか、中部電力の管内での需給の問題、それから、当初、西から東京電力に援助もいただくということになっておりましたから、それがとまった場合の一都八県、これは東京電力の管内でございますが、そこの電力の需給がどうなるのか、そういうことについて経産省の中で実は議論をした経緯がございます。

 どうしてそういう議論をしたかというと、もうこれは言うまでもございません、谷川委員がおっしゃるとおり、やはり原子力のエネルギーというものは現在基幹エネルギーとしてしかるべき地位を占めておりまして、そして、これが大幅に低減をしますと、日本の経済、とりわけ産業界に与える影響が多いからであります。

 ですから、その意味において、私どもが浜岡原子力発電所をとめるに当たって、そうした電力の需給関係について、できる範囲で情報の収集に努めたことは事実であります。

 そして、実は、同日に、今定期検査中あるいは稼働中の原子力発電所について、三月三十日時点で私の名前で出しました緊急安全対策、これについて報告がそれまでにございましたから、その報告を、原子力安全・保安院が現地で実際の点検をする、特に、訓練なども実地に行きまして、そして、それをつぶさに見た上で、三月三十日の緊急安全対策はクリアしているということで、この問題については、今、定期検査中の原子力発電なども含めて、再開するに当たって問題はないということを決定したわけでございますから、そうした全体の像をぜひ御理解いただきたいということが一つでございます。

 それから、前半に御懸念のありました日本の財政の問題でございますが、これは確かに、おっしゃるように、今まだ国債は、先ほどギリシャやポルトガルその他の、アイルランドですか、数字も挙げていただきまして、その中で、比較的日本の国債は、低い位置にとどまっているということについて、その四つの理由と申しますか、それもお述べいただきました。そうしたことは私も同意見でございます。

 ただ、委員の御指摘の中でなかった点を強いて挙げるとすれば、やはり我が国には個人の家計の貯蓄がございます、一千四百兆円と言われておりますが。これがやはり国債が国内で消化される大きな原因になっておりますので、これがもろもろの理由でだんだんだんだん下がっていったときの国債に与える影響なども注視をしていかなければいけない、そのように考えております。

谷川委員 私は長崎の出身でして、諫干、諫早干拓というのがあるんです。高裁の判決が出たときに、これを最高裁に上げてくださいと言ったんですが、上げてくれなかったんですね。そういう、菅総理に対する、いわばパフォーマンス中心の政治家だという非常な義憤があるので、きょうは少し感情的になったら許してください。そういうのが背景にあるんです。西岡議長と一緒ですよ。

 枝野官房長官が、金融機関の債権放棄を促す強硬姿勢を続けている。二十三日の衆議院東日本大震災復興特別委員会でも、国民の理解を得ることは難しいと述べて、債権放棄が政府支援の事実上の前提であるとの考え方を示しております。

 このことによって、日本の三大銀行に与える影響、そのことによって金融不安になる可能性が強い。経済が停滞する、そのことによる雇用、税収による打撃等を本当に考えていらっしゃるのかなと、発言のときに。民主主義なので国民の理解を得るために、こう言っておりますが、それなら、幹事長で参議院選挙に負けたこの責任はとらなくていいのか。

 どうも民主党の政治家にはこういうふうに物差しを二本持った人が多いんですよ。自分をはかる物差しと相手をはかる物差しが全然違う、一けた違うんです。こういう人は組織のリーダーには向きませんよ、物差しを二本持った人は。なぜならば、そういう人の言うことは聞きません、部下は。

 これを頭に入れながら、ぜひ考えていただきたいのは、きょうの新聞に、ムーディーズが、与党不和も要因とか、震災の影響で国債を格下げするという記事が載っているんです。だから、こういうことも頭に入れて、金利がギリシャみたいになったらどうしますか。百六十兆円ですよ。金利だけで。

 どうぞ大臣、所管大臣として、妙な発言をする大臣がおったり、もしくは総理がそういう傾向を示す場合には、経済成長にとってエネルギーというのは本当に物すごく大事なんです、ですから、待てと、こうとめてくださいよ。妙なことを言わせないでくださいよ。

 官房長官の発言についていかがですか。コメントがあれば。

海江田国務大臣 原子力損害に対する賠償のスキームを関係閣僚会議で決定いたしました。その中には、あらゆるステークホルダー、これは利害関係人とでも訳せばいいんでしょうか、これはやはり協力をする。そして、その中で、金融機関の協力があったときはそのことを早く報告する。これが基本的な、関係閣僚の中で確認をした事柄でございます。

 ですから、私も、当委員会などで質問があったときにはそのようにお答えをしてきたところでございます。これが正式な答えでございます。

谷川委員 くどいんですけれども、非常に変則的な質問になることは本人もわかっているんですが、危機感のあらわれと思って、ぜひお許しください。

 去年の八月四日の記事です。「日本政策投資銀行が三日発表した設備投資計画調査によると、二〇一〇年度の全産業の海外設備投資額は前年度比三五・一%増」。ところが、国内への投資は六・八%でしかありません。

 去年の三月十日の記事です。「海外の有力企業が日本での生産や販売から相次ぎ撤退する。タイヤ大手の仏ミシュランは七月に日本での生産をやめ、韓国の現代自動車は乗用車の販売を中止。カナダの燃料電池大手も撤退する。国際収支統計によると二〇〇九年の対日直接投資は前年比で五五・七%低下。」「日本は法人税減税や規制緩和で投資環境を改善する必要がありそうだ。」こういう記事です。

 それから、一〇年七月六日の記事は、「トヨタ自動車の一〇年度の設備投資は七千四百億円で、前年度より三〇%増える。このうち国内向けは一〇%増、海外向けは六〇%増。」

 それから、ことしの五月二十九日の記事ですけれども、「日本経済新聞社が二十八日まとめた「社長百人アンケート」で東日本大震災によるサプライチェーン寸断への対応を聞いたところ、四分の一の経営者が「製品・部材の調達先を海外で増やす」と回答した。震災後、国内で集中生産していた高シェア製品や部材の生産を海外へ分散させる動きが表面化している。」

 どう思いますか。危機感はありませんか。本当にギリシャへ向かってまっしぐらなんです。

海江田国務大臣 危機感はございます。

谷川委員 変則的な質問です。お許しください。

 「韓国企業の世界市場での躍進が目立っている。電機、電子産業を中心に、日本企業の低迷を尻目に競争力格差が開く。韓国勢の強さを謙虚に受け止め、学ぶべきものは学ぶ必要があるのではないか。 日本国内では目立たないが、世界に目を向けると、韓国企業の台頭ぶりに驚かされる。薄型テレビの二〇〇九年の世界シェアは、一位がサムスン電子、」二位がLG電子。「半導体でもパソコンなどに使うDRAMでサムスンが一位だ。」「フィンランドのノキアがトップの携帯電話も、二位のサムスン、三位のLGが世界販売を伸ばしている。乗用車は現代自動車が成長市場の中国で二位、インドでも快走する。 業績も好調だ。サムスン電子の〇九年の連結営業利益は前の期に比べ九割増の約八千七百億円。一〇年三月期の営業利益予想が日本の電機業界で最も大きいパナソニックでさえ千五百億円だ。 サムスンとの収益力の違いは明らかで、〇九年に円換算で約三千三百億円の営業利益をあげたLG電子にも及ばない。日本の電機の営業利益見通しは大手九社を束ねても六千四百億円どまりだ。 世界同時不況の影響を受けた点では、日本も韓国も変わりない。」こういう記事です。

 それと、本当にくどくて申しわけないです。

 日本という国から、企業が消えていく。二〇〇四年から六年にかけて年平均で全企業の六・二%が廃業した。開業したのは五・一%。一九八三年には東京都大田区に九千あった工場が、〇八年には四千と半分以下になった。東証上場企業数は、最も多かった〇六年末の二千四百十六社から三年連続で減り、九年末には二千三百三十四社になった。こういう記事です。

 どれを見てもぞっとするようなことがずっと並んでいっているんですが、本当にこういう事実を踏まえての言動なのか。余りにも離れているんですよ、民主党の閣僚の発言は。そういうのが多いんです。それを心配している、こう言っているんです。

 何かあったら。どうですか。

海江田国務大臣 谷川委員にお答えをいたします。

 冒頭、韓国の事例を引いていただきました。韓国の問題については、私も、委員がおっしゃっている、あるいは委員が引用された新聞の記事に書かれているような認識を持っております。

 特に韓国は、九七年、アジアの経済危機がございまして、それまでは実は、委員は長崎でございますからよく御存じだろうと思いますが、自動車会社にしましても多くのメーカーがございまして、それまでそれぞれが独自の開発をやっていた。これは自動車だけじゃありませんで、電機もそうでございますし、大変多くの企業がそれぞれに国内の競争にしのぎを削っていたわけでございます。

 ところが、九七年にいわゆるアジアの経済危機、特に韓国はその大変大きな影響を受けてIMF管理になったということが言われておりますが、そうした中で、まさに国内でのそうした消耗戦から、国内の企業の淘汰を行って、そして自動車会社、電機のメーカー、そういったところを数社に集約して、そして国の後押しもあって国際競争力をつけていった、こういう経緯がございます。

 私どもも、今回の地震、大津波そして原子力発電所の事故という、これは大変大きな危機。もちろん、その前にも、先ほど来委員が御指摘のような日本の危機というのはございました。総理は、危機の中の危機という表現を使っておりますが、ただ、私は前の危機と今回の危機というのは少し質的に違うのではないだろうかという思いがございますので、危機の中の危機というか、あるいは停滞の中の危機といいますか、あるいは後退の中の危機といいますか、とにかく、差し当たってこういう危機が今や多くの国民に、実際に目に見えるものになったわけでございます。

 やはり、危機が危機として認識されないことが私は大きな問題であろうと思いますが、その危機が一億二千六百万人の国民の前に本当に現実のものとしてあらわれているわけでございますから、今こそその危機を新たな成長の、飛躍のばねにする時期だ、そう考えて政治に当たっているわけでございます。これは私のみならず民主党の四百人余りの皆さん方は同じ気持ちであろうと思っておりますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。

谷川委員 そういう総論のお答えですが、そう言われると言いたくなるんですよね。

 民主党は、二〇〇九年の衆院選で、一般、特別会計の支出合計二百七兆円の中から一割を、無駄な金を見つけ出して、評判のいい、要するに四K、我々はばらまきと言っていること、それで政権をとった、これは認めるでしょう。私も実は負けたんです、千九百四票ね。一番大きな理由は子ども手当ですよ。もらいたいんだと言うんです、本当に。それは頭に入れてくださいよ。知らんぷりするわけにいきませんよ、それで勝っているんだから。少なくとも私はそれで負けましたよ。農家の所得補償と、二つでね。

 それで、国民の支持を得て政権交代をしたんだが、この公約は実現されておりません。東日本大震災の財源の中で全く消え去ろうとしておるんですね。この問題の核心は、民主党が主張した公約云々という話じゃ実はないんですよ、そんな話じゃないんです。一番問題なのは、その無駄な金がなかったということなんですよ。なかった時点で、ずらっと並んで、ごめんなさい、なかったと言わなければいかぬ、本当ならば。それを強引にやろうとするから無理が出てくるんですよ。

 国民生活第一と盛んに言っていますが、それは支払い不能の借金を将来世代に押しつけて、今生きている人間の社会福祉を実現するという、いわば自分第一の政策なんですよ、実はね。ここのところを民主党の諸君はあいまいにしております。(発言する者あり)言い過ぎじゃありません。財源がなかったと言うべきなんです。言い過ぎじゃありません。

 社会保障費を中心に歳出がふえ続ける、大震災の影響もあって税収は前年比マイナスになる可能性がある、サプライチェーンの寸断で輸出がふえず、公共事業のカットで内需も不振、エネルギー問題もあり、経済成長も思うに任せない。これで数年後には、まさにギリシャの後を追っかけていきますよ。ギリシャじゃないにしても、ポルトガルでもいいですよ。金利が八・六になったら、利息だけで八十六兆円です。

 その恐れ、恐ろしさ、それがない。それを盛んに言うと、おまえたちに言われたくないと盛んに言うんですね、民主党の諸君は。言うんです。僕は本会議でも何回も聞きました、おまえに言われたくないよと。それはおまえがつくった借金だろうと言っているんです。

 ですが、政権をとったからにはそう言っちゃならぬのです。政権をとったんだから、本当は、政権をとる人は反対をとらんばいかぬのです、外国みたいに。大きな政府から小さな政府に行かなきゃならないんです。日本みたいに大きな政府からさらに大きな政府に行ったら、大体、世の中ひっくり返るんですよ。ここはいわば国民の問題なんですが、この件についてはこれ以上触れません。

 さて、もう一遍考えていただきたいんですけれども、本当に変則な質問になっていることは本人が一番わかっているんですが、お許しください。きょうはこれでやらせていただきます。

 ことしの二月十二日の日経の記事です。

  日本の公的債務残高が先進国の歴史上、最悪の水準に迫りつつあることが分かった。IMFによると、地方も含む一般政府の債務残高は二〇〇九年にGDPの二一七%に達し、統計で確認できる一八七五年以降で最悪となった。このまま債務が増え続けると、五年程度で第二次世界大戦直後の英国を抜き、先進国史上、最も悪い

  日本は戦前に戦費調達のため債務が大きく膨らみ、一九四二年にGDPの一〇五%、四三年に一三三%、四四年に二〇四%に達した。戦後、急速なインフレにより国債の実質価値が縮小して四六年には五六%に急低下したが、七〇年代からほぼ一貫して上昇。九六年にはGDPと同規模になり、二〇〇九年に一九四四年の記録を抜いた。一月公表の最新推計によると、二〇一二年には二三二%に達する。

こういう記事です。

 本当に、ぞっとするんですよ。くどくど言っていってもかんにさわるでしょうから、飛ばして、これをあと二枚。

 「増税するなら、まずは無駄の削減を」、こういうふうに言います。「無駄削減優先論こそが財政再建を妨げている元凶なのではないか。」こういう記事です。これは去年の七月十五日の日経の「大機小機」です。

  第一に、無駄削減優先論は「無駄をなくせば財政再建は可能」という幻想を生んでいる。

  財政再建の第一歩は基礎的財政収支の均衡だが、二〇一〇年度の同収支は約三十一兆円の赤字

しかも社会保障関係だけで毎年一兆円以上もふえてくる。

 一方で無駄の削減は、かなり頑張っても単年度で一兆円に届かない。要するに、無駄の削減で財政を健全化することはできないのだ。

  第二に、無駄削減優先論は倫理の欠如を生んでいる。

  財政の健全化のためには、「自分たちの世代のツケを将来世代に先送りしてはならない」という国民的動機付けが不可欠である。しかし、あまりにも無駄の削減を強調すると、多くの人々は「無駄を放置している政府が悪いのであり、財政赤字となっていることは自分たちの責任ではない」と考えてしまう。

  第三に、「無駄」という概念が、建設的な論議を阻害している。

  無駄を削るという議論を進めていくと、歳出の中身を「無駄か」「無駄でないか」という二元論で区分することになる。しかし、世の中に誰が考えても不必要という「純粋な無駄」はほとんど存在しない。

  本当に必要なのは、限られた財源の中での選択と集中を行い、優先分野を明らかにしていくことだ。

こういうふうな記事です。

 大臣、どうですか。本当に根本的に考えを改めて、ばらまきをやめて、やはり経済成長にどおんと特化していくべきだと思いますよ。いかがですか。

海江田国務大臣 谷川委員にお答えをいたします。

 私も、日経新聞の「大機小機」というのは本当にいい意見が出ておりますので、愛読をしております。その中に今御披露いただいたような記事があったということだろうと思いますが、それも一つの考え方でございます。

 ただ、今、これから税金をお願いするということになりますと、これはやはり消費税ということになろうかと思います。消費税というのは、やはりあまねく多くの方に御負担をいただく。それから、日本の消費税の場合は、税率は現在低い水準でありますけれども、消費税の税収というのは税収全体の中でかなり高いパーセンテージを占めておりまして、それは恐らく欧米の二割近い消費税率がある国と同じ税収の割合になっております。

 それはどういうことかというと、日本の消費税の場合は軽減税率などもございませんし、それから、消費税を非課税扱いにする品目もごくごく限定をされているということでありまして、多くの国民が納得をいただかないと納税をしていただけないことになるわけでございますから、その点、やはり国民の納得、納税者の納得というものがかなり大きなウエートを占めているのではないだろうかというふうに思っております。

 その意味でいいますと、今の日本の国の税金の使い道ということには多くの国民が不満を抱いているということは確かでございますから、その不満をなくすために、これは野党だから言うのではなしに、与党になってからもやはりそうした無駄をなくしていくという姿勢は貫いていかなければいけない、かように考えております。

谷川委員 変なふうにとられたんですね。私はそんなつもりで言ったんじゃないんです。

 無駄を省いてから消費税は上げろとか、無駄を省いてからそういう成長政策への金なんかは使えとか、そういうことを言う人が余りにも多いから言ったので、同時並行にやるか、もしくは、無駄、無駄、無駄と言って逃げたらいかぬよという意味で僕は質問したんですが、まあ、いいです。

 国債の最後に。

 「風雲急を告げるとは、こういうことだろう。 ギリシャへの支援決定後も欧州の金融混乱は沈静していない。リーマン・ショック以降の金融・財政危機は変動の波を伴いつつ、むしろ深まっているように見える。次はどこで、どんな波乱が起きるのか。 日本も、もはや安全地帯にはいない。ケタ外れの公的債務というアキレスけんを抱えた経済は、ひとたび国際的な投機にさらされればもろいはずだ。」

 「国際通貨基金は十九日のリポートで「欧州での公的債務に対する市場の信頼喪失は……日本の長期金利上昇につながる。成長率は急低下し、デフレは長引き、財政はさらに悪化する」と警告した。 今回の欧州危機で、日本国債は安全資産とみられ買われている。」「過去の国債暴落も忘れてはなるまい。 一九八七年秋、タテホ化学工業が債券先物取引で多額の損失を出した事実が明るみに出て、金融機関は国債を売却した。それもあり、十年物国債の利回りは同年五月末の年三%台から九月末には六%台へ」となったと。

 今、六%になったと仮定してください。今、仮に日本の長期金利が六%になったら、どんなになるかということも考えてください。そういうことを考えると、やはり国債の扱い方、国債に影響を与えるような発言、さっき言った総理の発言とか官房長官の発言とか、あくまでもそのことだけ考えて、ぼんと言うんじゃなくて、そのことによって国債にどう影響を与えるか、そのことによって経済成長にどの程度のマイナスを生むか、常にこれを考えながら発言していかないと、足元の点だけで発言されたら本当に大変なことになるんだ。

 まさに、さっきは野党云々ということでしたが、与党になっていることを忘れていらっしゃるんじゃないかな。もしかしたら野党の役員として発言しているんじゃないかなという部分が多いんですよ、大臣。これは事実なんですよ。仲間内だからやりにくい点はあるんでしょうけれども、これはぜひやはり言ってもらわなければ困ります。どうですか。

海江田国務大臣 谷川委員にお答えをいたします。

 冒頭に、二本の物差しのお話がございまして、私は二本持っていてもいいと思います。ただ、そのうちの一本はおのれに対する物差しで、これは他者に対する物差しより細かく刻んでいなければいけないと思います。

 その上で、今、いろいろな人がいろいろなことを言うという意見でございますから、それは本当に、委員の御指摘として、委員も九州男児でございますから、私も父親が鹿児島なものですから、いろいろなことを教わってまいりましたが、委員の言われることももっともだなというふうに思っておりますので、まず私の自戒の糧として、きょう委員からいただいた御意見をしっかりと腹の中に入れて、これから政治に当たってまいります。

谷川委員 あと二枚引用させてください。

 一枚は、去年の三月九日の吉川東大教授の経済教室のレポートです。

 この財政赤字は、いったいどのようにして生まれたのか。今ではすっかり忘れ去られているが、バブル崩壊直前の一九九〇年度には、他の先進国が一様に財政赤字に苦しむ中、唯一日本は財政黒字を達成していた。長期債務残高のGDP比も当時は約六〇%だった。その後の長期不況で税収が落ち込む一方、度重なる経済対策に伴い公共投資が膨らみ財政赤字は急拡大した。この点はよく知られているが、実は二〇〇〇年代に入ると、歳出面での財政赤字拡大の「主役」は公共投資から社会保障関係費へ交代しているのである。

  高齢化の進行と並行して拡大する社会保障の歳出増が今では財政赤字と同じコインの表裏になっているのだ。来年度予算でも国債費と地方交付税交付金を除いた一般歳出五十四兆円のうち二十七兆円、すなわち国が様々な目的に配分する裁量的な歳出の半分が社会保障関係費に充てられている。

  つまり社会保障制度の劣化を許容しないかぎり、歳出の効率化には今や限界があるのである。世間が沸いた事業仕分けが明らかにしたのは、歳出の削減で兆円単位のお金を捻出するのは難しいということだ。

  社会保障制度の将来をどうするか。これこそが日本の財政問題の核心である。

 むしろ高齢化が急速に進む中で社会保障をさらに充実すべきだというのが世論の大勢といえるだろう。実際ここ数年問題となったいわゆる「格差」も、その原因はグローバル化などではなく高齢化にある。

  ところがその社会保障制度は、財政赤字という糊塗策で何とか当面のつじつまを合わせるだけで、持続可能な姿とはほど遠い。

 ここを頭に入れながら、さて、そういう状況の中で、国民に迎合してばらまくんじゃなくて、国民をいかに説得するか。そして、財政再建を、例えば経済成長するためには、外国に負けない労働生産性、外国に負けない技術の進展、外国に負けない金融制度、その他もろもろの支援制度、それからいろいろの地方の仕組み、そういうことにすべて手を打っていかぬといかぬわけですね。そういうのが余り話題になりません。マスコミもその件について余り触れない。

 これは、ですから、政治主導でもって、与野党に限らず政治家が、国民生活第一といって国民にすり寄るんじゃなくて、場合によってはもう政権を去ってもしようがないよ、そういう気概を持ってやる時期に来ているんじゃないか。これこそまさに与野党が本気になって議論をしなければならないテーマじゃないかな、そういうことを僕は思っているんです。

 大臣ばかりでなんですから、副大臣、コメントがあったら。

中山大臣政務官 御指名をいただきまして、ありがとうございます。

 私もそういう新聞のコラムはいろいろ読んでおりまして、一つは生産年齢というところが、私たちも団塊の世代でございまして、我々がちょうど四十ぐらいのときには生産年齢が七千万人ぐらいいた、これはすごく大きかったわけですね。そこがだんだん、一年ずつ右にずれていって、生産年齢、要するに、働いて、仕事をしてお金を稼ぐ年齢の方が減ってきたというのが原因で、単なる高齢化というよりも生産年齢が減っているという。

 先生がお読みの新聞で私もそういうコラムを読みまして、ああ、なるほどなと。単に高齢化社会じゃなくて、働いている、つまり、十五歳から六十五歳の人口が毎年右側にずれているんです、年とっていくわけですね。ですから、その人口が三百万とか四百万とか毎年減っているということが現実でございまして、これで、デフレはとまらないなんという題目で書いてあったのを読みました。

 そういう面では、先生がこうやって読んでいただいて御指導いただくのは、我々も大変勉強になっておりまして、これからもどんどんお願いいたしたいと思います。

谷川委員 新聞記事の最後です。大臣にお願いします。

 日本総研理事の湯元健治さんのリポートです。

  菅首相は、強い経済、強い財政、強い社会保障を一体的に実現すると表明している。しかし問題は、いかなるプロセスで、いかなる優先順位で実現するのか、その道筋を明確にすることだ。

  ここで参考となるのは、経済、財政、社会保障の強いトライアングルを実現しているスウェーデンだ。一般的に、スウェーデンは「高福祉・高負担」の国というイメージが強い。しかし充実した社会保障を実現する大前提となっているのは、経済・産業政策についてはあくまで「小さな政府」を追求し、それによって「強い経済」を実現することなのである。

  強い経済をつくるため、同国はビジネス・インフラの競争力に重点を置く。法人実効税率は二六・三%にすぎない(日本は三九・五%)。世界経済フォーラムのITリポートで世界第一位(同二十一位)のIT先進国に認定され、世界銀行の国際物流効率性ランキングでは三位(同七位)と、ビジネスの効率性は際立っている。加えて、国外からの投資を呼び込むべく、企業グループ内配当金に対する課税控除など、様々な優遇税制を設定している。研究者・技術者など高度人材を海外から戦略的に呼び込む優遇税制も導入している。

  さらに、研究開発支出のGDP比率は二〇〇七年の実績で三・七%とOECD諸国中トップ。産官学連携が有効に機能しており、イノベーション・システム庁による効率的な研究資金配分により、世界中の一流企業が同国に集積している。

  産業政策面で特筆されるのは、政府は決して衰退産業・企業は救済しないという哲学を貫いてきたことだ。リーマン・ショックで経営危機に陥った自動車メーカーのボルボやサーブを支援しなかったのはその好例である。業界からは資本注入や国有化などの救済を求める声が強まったが、政府はいかなる要請にも、断固として応じなかった。その結果、ボルボは中国自動車メーカーの吉利汽車が買収し、サーブは企業再生法適用に追い込まれた後、オランダのスポーツカーメーカー、スパイカー・カーズに売却された。

  斜陽産業や倒産寸前の企業は整理・淘汰し、あふれた労働力をより生産性の高い産業や成長企業に移動させれば、経済全体の生産性が向上し、産業構造の転換が進む。

こういう記事です。

 要するに、強い経済、強い財政、強い社会保障というお経を読むようなことばかりやっているんじゃなくて、具体的に踏み込んで手を打っていっているんですね。うちはいつになったら手を打つんですか。コメントがあれば教えてください。

海江田国務大臣 私どもは、新成長戦略というものを、これは政権が私どもに移りましてから、その年の暮れでしたか、発表いたしました。そして、これは、本当に暮れも押し迫っての発表でございましたので、注目が少し少なかったかなと思いますが、ここに今委員が御指摘をいただいたような中身もかなり盛り込まれておりまして、そして、年がかわって、その次の年の六月に、新成長戦略の具体化について細かなロードマップをお示しいたしました。

 また、それと同時に、経済界や労働界、各種の方々をお招きいたしまして、新成長戦略実現会議というものを組織いたしました。私も何度かその新成長戦略実現会議というところに参加をさせていただきましたけれども、今、委員が新聞記事の中で読み上げられたような発言もそこにございまして、まさに戦略だけではいけませんので、それを実現するための具体的な方策として、あるいは具体的に法律に落として、あるいは具体的な予算の中に、あるいは具体的な税制改正の中に盛り込んで、そういうものを決めたところでございます。

 そして、今般の三月十一日の大地震、大津波、そして東京電力福島第一原子力発電所の事故ということによりまして、いっときこの会議が中断をしておりましたけれども、今月に入りまして、その新成長戦略の会議を開催して、そして、これからまた、経済界あるいは労働界、学識界、学者の皆様方、そういう方々をお招きした実現会議というものも開催していこうということでございます。

 いっとき、三月十一日でエンジンにストップがかかりましたけれども、エンジンにキーを差し込んで、今まさにエンジンを回し始めたところでございますので、ぜひこの点は御理解をいただきたいと思います。

谷川委員 変則的な質問をして本当に申しわけありませんでしたが、最後に、物の考え方を中心にお聞きして終わりたいと思うんです。

 我々は、今快適な生活をするために、そのツケを子や孫に押しつけています。これは明らかに縦社会の満州事変です。なぜ日本の、いや世界の歴史にもないことを平気でやっているのか。例がありませんね、現代社会の社会福祉を充実させるために、孫、子に膨大な借金を残してきたという歴史は世界じゅうにありません。今日本が実験している最中です。なぜこうなったかというと、やはり古きよき時代の文化が失われたからだと僕は思っております。宗教心もなく、哲学もなく、日本人としての誇りもなくしているんです。

 その原因は戦争にあるんでしょう。占領政策第一条、日本人を食うや食わずにして放置せよ。第二条、日本の伝統文化を破壊せよ。こうなっていったことは事実です。一については、朝鮮動乱以降、急激に日本は復興してきて、解決しました。問題は二です。恥ずかしい、はしたない、みんなで頑張ろう、人に迷惑をかけるな、うそを言うな、約束を守れ、こういう原点から始めるべきだと私は思います。

 国民生活第一という、票のためにうそを言うんじゃなくて、国民生活第一は自分の生活第一なんだとはっきり言い直して、そして、それが言えないならやはり政策を変える、僕はここから出発すべきだと思います。

 これは、夏目漱石が大正三年十一月二十五日に学習院で講演したときのいわば議事録です。「私の個人主義」という本です。

 その中に、苦労して悩んで、ロンドンに留学したときに、町をうろつき回って、どうしようか、どうしようか、どうしようかと言っているときに、私はできるだけ骨を折って何かしようと努力したが、いろいろな本を読んでも依然として自分は袋の中から出ることはできず、本当に悩みに悩んでいたときに初めて、文学とはどんなものであるか、その概念を根本的に自力でつくり上げるよりほかに私を救う道はないと悟った。今まで全く他人本位で、根のない浮き草のように、そこいらをでたらめに漂っているのを、これではだめだとようやく気がついて、ここに他人本位というのは、自分の酒を人に飲んでもらって、後からその品評を聞いていて、それを理が非でもそうだとしてしまうという人まねのことをいうんだと気づいて、自分本位を確立した。この中にこういう話があります。

 もう一つ大事なことは、おのれが持っている権力とおのれが持っている金力について、もう一遍見直せと。そして、どうしたら歴史に残るような人生を送れるんだ、そんな人間になるんだという、そういうようなことをその当時の学生に講演しているんですね。

 私どもは、もう一遍、やはり他人本位から自己本位へ、何物にも侵されない自己の確立、そういうことを政治家がしなければ、本当に国民の支持は得られないし、これは与党とか野党とかいう次元じゃなくて、政治家に問われている物差しなんだと思います。大正三年ですから、全く日本人というのは何も進んでいないんだなと、自分自身にいら立つとともに、何とかこういう話をできる政治家はおらぬものかなとしみじみ思っていて、もし時間があったら大臣にこの話を聞いてもらおうと思って、この本を持ってきたんです。

 本当に変則的な質問をして申しわけありませんでした。新聞をべらべら並べたというのは、体系的に、論理的にわかってもらおうと思って、さっきも言ったように諫干のことがあるので、ついかっとなって妙なことを言ったら困ると思ってこんな質問をさせてもらったんですが、やりようによっては、やはりこれはちょっと非礼だったかなという気もしてなりません。

 御所見があれば最後にお聞きして、終わりにしたいと思います。

中山大臣政務官 大変勉強になりました。

 外国へ行きますと、震災とか原発の事故を、日本は本当に立ち直れるんだろうか、または国民が本当に団結できるんだろうか、こういうことを常に見ているわけでございまして、今お話しのようなことは、日本が本当にみんなで団結して、議会もできれば前向きな議論をどんどんして、そしてこの震災を乗り越えていきたい、こう思うわけでございます。

 今先生がお話しになったようなことをできるかできないか、世界各国がこの日本を見ていると私たちは思っておりまして、何としても震災から立ち直り、原発事故を収束させたい、こういうふうに私たちも考えているわけで、先生の指針は大事にして頑張っていきたいと思います。

海江田国務大臣 先生、先ほどから、少し感情的になっておるからというお話がありましたけれども、そんなことはありません。本当に理にかなったお話をいただきまして、私も、先生の発言の一つ一つをしっかりと心に刻んでいきたい、そう思っております。ありがとうございました。

谷川委員 どうもありがとうございました。

田中委員長 以上で谷川弥一君の質疑は終了いたしました。

 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津でございます。

 順次、通告に従って質問をさせていただきます。

 きょうは、まず初めに、福島第一原発の事故に関して、今後のエネルギー政策に関する有識者会議ということで、これは大臣にお聞きをいたしたいと思います。

 大臣は、四月の二十八日に、この有識者会議、いわゆるエネルギー政策賢人会議、この設置を発表なされました。五月の十二日に第一回目、二十三日に第二回目の会合を開いた、このように聞いております。

 私もこの会議の設置の資料を見ました。ちょっと読ませていただきますと、「趣旨」に、「「エネルギーの安定供給」や「原子力の安全確保」という我が国のエネルギー政策の根幹が揺らいだ事実を真摯に受け止め、「国民生活・経済活動の基盤としてのエネルギー」という原点に立ち返り、」、ちょっと中は飛ばしますけれども、「原子力を含むエネルギー政策のあり方について総合的な見直しを行う必要がある。」と記されております。

 今後行うと表明しているエネルギー基本政策の見直しとの関係の中で、今回のこの会議はどのような位置づけになるのかということ、それから、この会議の中でいろいろ議論されたこと、これがその結論等も含めて経産省の政策の中にどのように反映されていくのか、この点についてまず大臣にお伺いをしたいと思います。

海江田国務大臣 今後のエネルギー政策に関する有識者会議でございますが、今、稲津委員お話のありましたとおりに、四月の二十八日に発表いたしまして、最近、毎月曜日の夕方、二時間余りやっておりますので、既に三回終えたかと思います。

 これはエネルギー基本計画などにそのままストレートに反映をするものではございません。しかし、大変幅広い意見をいただいております。委員の方々お一人お一人、お名前をここでは申し上げませんが、大変幅広い有識者の方々から幅広い意見を拝聴しております。私だけではありませんで、政務三役あるいは経産省の幹部もそこに同席をしておりますので、できるだけ枠をはめずに御意見をちょうだいして、基本的な考え方、物の見方、そういうものを参考にして、エネルギー基本計画は法律にのっとった形でしっかりと定めていきたい。

 もちろん、全くエネルギー基本計画に直接的な関係はございませんが、私どもがそこからいただいた知識あるいは見識を今後のエネルギー政策に反映をしていくということでございます。

稲津委員 私は、むしろいろいろな形で、直接、間接問わず、せっかくの機会ですから、この賢人会議の方々の御意見をぜひ参考にされたらどうか、こう思っております。

 それは、エネルギーの基本政策なり今後の方向性については、これは海江田大臣がリーダーシップを発揮して、今後のありようについて、この時点できちんとした政策の酌み上げをする必要があるだろう、そういうことを当然思われて、その上で、いろいろな方々の御意見もしっかり聞いていこうということでこの賢人会議を発足させた、このように理解しておりますので、私は、きょうこの席で、大臣からは、直接、間接問わず、そうした会議を通してさまざまな御意見をいただいた上で政策にしっかり反映していきたい、このようにぜひ御答弁いただきたかった。そういう趣旨も含まれていると思いますので、そのことをまず御指摘させていただきたいと思います。

 それから、次の問題ですけれども、これはいろいろな委員会、今回設置された特別委員会でもいろいろ議論されていることですけれども、もう一度ここで確認させていただきたいと思います。この経産委員会でも何回も議論されてきました。

 いわゆる原発の事故の対応のおくれというか、あるいは、事故の起きた当初と、やや時間が経過した中での政府の言っていることが随分違ってきているということ、これは東電も含めてです。このことは国民の皆さんのみならず、海外からも非常に懸念の声が寄せられている、こう思っております。

 例えば、紹介するまでもありませんけれども、メルトダウンの問題。これは、政府も東電もメルトダウンは起こっていないというふうに当初言っていた。しかし、原発事故から二カ月たった五月の十六日に、福島第一原発一号機では地震発生から約五時間後にメルトダウンを起こした、二号、三号機についても同じような状況である、こういうことを申されている。

 それから、レベル7の問題ですね。これも、原子力安全・保安院は、三月十二日に、国際原子力事象評価尺度ではレベル4だと。私どもも、ああ、レベル4かと思っていた。しかし、十八日になると、レベル5の段階だと。一カ月以上たった四月十二日に、ようやく、解析結果からレベル7だと発表になったわけです。

 それからもう一つ、次はSPEEDIの問題です。

 これは私も質疑させていただいたので非常にふんまんやる方ないんですけれども、SPEEDIについても、当初何と言ったか。これは、地震により計器の故障があった、事故直後は試算に必要な放射性物質の放出量がわからなくて、仮定の放出量に基づく試算しかできなかった、こう答えていました。私も、この委員会でこのことについて質問させていただきました。四月の六日でございます。そのときに原子力安全委員会は何と言ったか。「この放出源情報が得られないという状況にございまして、SPEEDIの本来の活用ができないという状況に立ち至ってございます。」こう答弁されましたよ。

 ところが、五月三日、政府は、SPEEDIによる約五千枚の計算結果を公表して、五月二十日、官房長官は記者会見で、SPEEDIの試算結果が事故発生翌日の三月十二日に官邸にファクスされながら総理に届かなかった、こういうことを認めたわけでございます。これは一体どういうことかということですね。

 記者会見で、官房長官は、SPEEDIのシステムから情報が原子力安全・保安院に入って、そこから官邸などオペレーションルームにファクスが届いた、こんなふうに発表した。こうなってくると、一体、計器が故障していたのか、情報がどうだったのか、ファクスをし忘れたのか、何なのか、こういう状況です。

 私は、このことについて、測定できなかったというのは事実ではないということなのか、それから、経緯も含めてなぜこのようなことになったのか、きょう関係する皆様方に集まっていただいているので、それぞれ御答弁いただきたいと思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘の点に関しまして、私ども、初期の試算結果と申しますか、まずは放出源データが得られないということで全体としての情報共有ということにならなかったものでございますけれども、その後、もととなる放出量がなかったものですから、仮定に基づく作業がなされておったということがわかりました。仮定に基づく作業なものですから、利用に値する試算ではないというふうに考えたものでございます。そういったことで、担当者の参考情報としての取り扱いにとどまったものというふうに承知しております。

 それで、官邸の方に送られておりましたものも、官邸の担当ベースでございまして、その仮定に基づく試算結果のうちの一件だけが官邸の方に送られておったということでございます。これも、官邸の担当のところでとどまっておったものというふうに承知をしております。

 五月三日以降、過去の仮定に基づく試算結果を含めまして、その結果を公表してきているところでございます。

渡辺政府参考人 それでは、文部科学省の方からお答え申し上げます。

 今回の福島第一原子力発電所事故では、停電等によって、いわゆる放出源情報というのが得られなかったということでございまして、いわゆるSPEEDI本来の使い方という意味での放射能影響予測は行えない状況でございました。

 一方、文部科学省の中においては、そういう状況において、内部検討のための試算として、さまざまな仮想的な条件を仮置きして試算を行ってきてございます。これらの一部については、文部科学省におけるいわゆるモニタリングカーを用いた空間線量率測定の調査範囲を決定するための参考資料として活用をしているところでございます。

 これらの仮想的な条件を仮置きして試算を行った結果というのは、現在、公開をされているところでございます。

班目参考人 SPEEDIによる単位放出源を使っての計算結果というのは、文部科学省の指示により、発災直後から原子力安全技術センターというところが行っていたというふうに承知しています。

 ただ、防災基本計画により、放射能影響の予測については、文部科学省から関係省庁等へ伝達されるということになっていますので、公表等のことについても文部科学省の方で行われるものと理解しております。

 ただ、原子力安全委員会としては、三月十六日から、何とかこれを放出源情報ではなくて逆算で使えないかという指示を受けまして、そこでいろいろ試みまして、三月二十三日になりまして、内部被曝の積算量の推定値というのを、あらあらでございますが求め、官邸の許可を得て、直ちに公表したところでございます。

稲津委員 三者三様、聞いているとよくわからなくなってくるんですけれども、いろいろな委員会でも御答弁をなされているんでしょうから、同じことの繰り返しだと私は認識しています。

 今、政府参考人で、文科省の渡辺科学技術・学術政策局次長からの御答弁の中では、内部検討の参考資料として云々という話がありました。班目委員長は、その文科省の資料を踏まえてという判断をされたということなんですけれども、私は、別の機会に少し詳しく質問させていただき、きょうは三十分しかありませんのでこの程度で終わらせていただきますけれども、いずれにしても、SPEEDIだけではなくて、原子力安全委員会、文科省、それから保安院の予測データで公表されないものがあったことに対して、その後の不安感が先に走ったんじゃないだろうかなとという、私の勝手な言い方ですけれども。

 ただ、これははっきりしていることですけれども、細野首相補佐官が記者会見でこう言いました、すべて公開するとパニックになることを懸念した、きちんと公開すべきだった、こういう表明をしました。

 だから、私は繰り返し言っているんですけれども、皆様方がおっしゃっていることが、本当に国民の皆さんに、そうだ、なるほど、よくわかりました、海外の識者の方からも、やはりここは本当に適切な判断をしたんだな、こう認識していただけるかどうか、甚だ疑問なんですよ。私は、まさに、パニックを懸念という言葉に、これまでの政府の対応は、ある意味ここに一つ集約されるのではないかな、このようにも思うわけでございます。

 いずれにしても、SPEEDIについては、あくまでも予測であるけれども、しかし、何のためにこのSPEEDIを多くの予算を投じて設置してきたのか。これはまさに、こうした不測の事態のときに、そのデータを速やかに分析して公開していく、安全性を住民の方々に確保する、そういう目的のためにつくってきたわけでございますね。そこのところをぜひしっかりと理解していただいて今後も御答弁いただきたい、このように思います。

 次へ行きます。

 またこれも多く議論されてきましたけれども、一号機の海水注入に関する、二転三転する発表でございます。

 総理が海水注入を中断させて危機を拡大した、こういう批判に対して、いやいや、総理は懸念を示しただけだと答えたその根拠は、原子力安全委員長による再臨界の可能性の指摘だった、このように説明があって、そして、結果的に、再臨界の可能性というのは、可能性はゼロではないという文言に訂正をしてある。しかし、海水注入は中断されていなかった、所長の判断でやっていたんですと。そうしたら、それでは、これまでの議論は一体何だったんですか。私は、ある意味では、国民を愚弄するというような言い方は適切でないかもしれないけれども、しかし、今回の二転三転した経緯というのは、だれも理解できないですよ。そのことを強く申し上げたい。

 五号機の冷却の一時停止の公表おくれ。二十九日に、東京電力が、これまで問題のなかった五号機で、原子炉や使用済み核燃料プールを冷やすのに使うポンプが故障、原子炉の温度が九十五度近くまで上昇したと発表した。ところが、発表されたのが事故発生の翌日だったということ。東電は、これは危険な状態にあるとは考えなかった、発生当日公表すればよかったかもしれない、こう語った。

 こういうことを踏まえていったときに、今回の発災した原発の問題をどのように受けとめて、どのように対応していくのか。何も、その一つ一つの説明に対して、それが苦し紛れの答弁とかそういうことを私は言っているんじゃなくて、きちんと国民の皆さんに説明を、それこそ、しっかりした責任ある立場に立ってやっていただきたい、このことを強く申し上げたいと思います。

 その上で、もう一つ聞かせていただきたいのが、事故収束に向けた国際的支援組織の必要性ということでございます。

 そもそも、これだけ未曾有の被害を出した福島第一原発のこの事故の対応を、いまだ東京電力に対応させていること自体、私はちょっと違和感がある。そして、政府の後手後手に回る対応。その時点では知らなかったと平気で言って、事故から一カ月、二カ月たったら、事実を公表するという、ある意味では私も到底理解できないその姿勢。

 こういうことがあった上で、海外からの反応、先ほど私も繰り返し申し上げましたけれども、厳しいものもありました。日本は都合の悪い情報を隠したがる国だ、こういう論調のもとに、日本政府や東電の情報開示に対する意識は、信用できないな、こういう見方も広まっているわけでございます。海外の識者の中には、今後、福島原発の事故の収束に向けて、東京電力や政府、また日本国内の研究者による対応だけでは十分じゃないかもしれない、これまでの対応による国民の不信感を減らすためには、例えばIAEAとか、アメリカやヨーロッパの研究機関への協力の呼びかけ、これは既に実際にそういう声も出ています。

 こういった国際的な専門家を集めた支援組織をある部分で発足してもよいのではないかという意見に対して、私は、危機感を持った上でぜひそういうことを考えたらどうか、このように提言したいと思いますけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 先ほどの有識者会議に対して評価をいただきまして、ありがとうございます。

 一番直近に開かれました、月曜日に開かれました有識者会議で、実は元東京大学の佐々木先生から、原子力発電にかかわる人材育成の問題についてお話がございました。今度の事故の、私なりの今の時点での教訓でもございますが、原子力の、例えば炉を調整するのにはやはり原子炉の管理をする資格がなければいけませんし、いろいろな形での資格などもあるわけでございますが、そういう資格を持った、あるいは原子力について、とりわけ炉ですね、炉の取り回しについて知見なり、知識と経験、こういうものを持った方々が、ほとんど、事業者であります電力会社に所属をしてしまっているんですね。

 これは今まで余りお話をしませんでしたけれども、例えばアメリカのNRCなどは、三千人ぐらいいますけれども、そのうちの一千人ぐらいは、聞いてちょっとびっくりしたんですが、アメリカの海軍の出身者なんですね。

 アメリカの協力ということでいいますと、陸軍の迷彩服と防毒マスクですか、防染マスクをつけた人たちが乗り込んでくる風景がよくテレビなどに映っておりますが、あの方たちは、まさに核戦争なんかを想定した、除染についてはそれなりの知識あるいは経験、技術もございますが、本当に炉周りの、炉とつき合って、炉をどうやって制御すればいいかという知識を持っている、あるいは経験を持っているのは海軍なんです。

 これはもうおわかりだろうと思いますが、アメリカの海軍は、原子炉を発動源にしております艦艇が大変多いわけでございますから、そういう人たちが、中には艦長をやめてNRCの職員になった方もいますし、そういう炉の扱いになれた方たちが大量にいて、こういう人たちが適宜適切に事故などの対応に当たっているということでございます。

 これは、誤解を与えてはいけません、決して日本が核駆動の、核原動力の艦艇を持てばいいということを言っているのではありません。

 そういうふうに、我が国の原子力の教育でありますとか人材育成でありますとか、とりわけ、炉の管理と申しますか、そういう方たちの層も決して厚いとは言えませんし、その方たちの大半が発電所に所属をしているということからくる、いろいろな意味での制約というものを私は今回つくづく感じました。

 ちょっとお答えになったかどうかわかりませんが、私の思うところを述べさせていただきました。

稲津委員 私が今質問したのは、IAEA等を含めたことだったので、その点について簡潔に。

海江田国務大臣 IAEAは、二十四日ですか、こちらに参りまして、私ども、お目にかかりまして、私どもで今あります資料は全部公表するようにということで言いまして、実際に、間もなく報告書が上がってくると思います。正確な報告書は、六月の、今月の下旬にウィーンで開かれます理事会で公表されることになろうかと思いますが、そこで私どもの資料提供に対する評価でありますとか、情報公開のあり方に対する評価でありますとか、初期の動作に対する評価でありますとか、あるいは保安院と安全委員会などの組織のあり方に対する評価ですとか、そういう国際的な評価というものが下されている、私はそのように仄聞をしております。

 ですから、これをしっかりと受けとめたいと思っておりますし、アメリカ、フランス、ロシアなど、そういった海外の原子炉に対する専門的な知識と経験を持った方々のアドバイスというのは、適宜聞いてまいりました。

稲津委員 このことについてもぜひ前向きに検討していただきたいということを申し上げたいと思います。

 時間が大分進んでしまいましたので、通告していた質問を少し割愛させていただきまして、国と東京電力の賠償スキームについて数点お聞かせいただきたいと思います。

 昨日、賠償紛争審査会の第二次指針が出されました。これについて一歩前進という見方もありますけれども、私は、むしろそれ以上に、これはちょっと期待外れだったなと。対象範囲が狭過ぎて、特に農林水産業、中小零細企業の方々の事業再建につながるものかどうかというのは、非常に疑問がございました。

 まず、この賠償紛争審査会の第二次指針についてお伺いしたいんですけれども、本日、参考人として文科省にもお越しいただきましたので、御多忙のところ大変申しわけないですけれども、数点伺っていきたいと思います。

 二次指針で損害の対象項目となった柱は、一時帰宅の費用ですとか避難なされている方々の精神的な損害、政府等による出荷制限指示に対する損害、さらに、農林漁業の風評被害ですとか福島県に限った観光業の風評被害と、こうあります。

 私は、明らかに矛盾、不明な点が幾つかあると思うんです。これは三点ほど例示しますので、それぞれに御答弁いただきたいと思うんです。

 まず、避難所等での生活における精神的損害ですけれども、これは、避難先について言えば、避難所生活を余儀なくされている方々もいらっしゃれば、親類縁者を頼ってそこに避難しなければいけない方、いろいろあるわけでございまして、これを客観的にどのように評価額につなげていくのかという問題。

 それから、農林漁業の風評被害ですけれども、これは四月末までに出荷制限指示が出された区域で産出されたものについて、口に入るもの、食べ物、これについては見ましょうと。この点について、特に畜産物、水産物は福島県と茨城県のみとなっておりますけれども、果たしてこれでよしと言えるのか。

 観光業、これは外国人観光客の方々のキャンセルが相次いでいる全国的な状況の中で、福島県だけに限ったということに対して、一体どのように判断なされているのか。

 この点について、まず簡潔にお答えいただければと思います。

笹木副大臣 お尋ねがあった点で、まず精神的な損害についてなんですが、その損害額の算定方法について、例えば宿泊場所によって段階的に金額の差を設ける、そうしたことも議論はされているわけですが、これはまだ最終的に結論が出ていない、引き続き検討する、そのことも含めて引き続き検討するということが第二次指針の中に書き込まれております。ですから、具体的な算定額の決定の方法についてはできるだけ早く結論を出すことが必要ですが、今後さらに検討を進める、そういう状態であります。

 あと、風評被害について、決して、今委員が御指摘になった、きのうの第二次指針で決まったものだけに限るということじゃありません。蓋然性が高いものを先に二次指針で示したということで、今お話にあったとおりで、四月末までに出荷制限の指示があったもの、例えば、農産物については、畜産物については、水産物については、それぞれ出荷制限があったその地域について、今回はそこについてのみ、二次指針では蓋然性が高いものだとして先立って決定をしたということです。それ以外については、今後検討する、そういう方向です。

稲津委員 それでは、今お答えいただいたことに関して、さらに一つ質問させていただきたいと思うんですけれども、二次指針だけで終わらないということですね。三次指針等々については、いつ、どういうタイミングで出される考えでいらっしゃるんですか。

笹木副大臣 今、大体、十七の分野において、それぞれ専門委員という方のお力をかりて詳細な調査をこれから進めて、遅くても七月ごろには中間的な全体を覆う指針を出したい、そういうふうに思っております。

稲津委員 そうすると、その中間的な取りまとめというのが第三次の指針という考え方でよろしいんでしょうか。(笹木副大臣「はい」と呼ぶ)

 あわせて、では、その中間的取りまとめを七月にやったとして、その後についても同じようなことで指針を出していくという考えでよろしいんですか。

笹木副大臣 この中間指針がどこまで覆えるかということによるかと思います。中間指針と言っているんですが、そこでほぼ大体全体を覆えたら、その後は細かい詰めだけが残ると思いますが、そこまでは、まず今後の調査と検討がどれだけ七月までに進んで、中間指針がどこまで覆えるか、そのことによるかと思います。

稲津委員 確かに、これは、いきなり一回、二回で全部さまざまなガイドラインを出せるとは私も思っておりません。ただ、大事なことは、指針が出されるたびに、自分はどうなるんだろうとか、うちの事業所はどうなっていくんだとか、うちの町はどうなっていくのかとか、非常に不安な要素が増すわけですね。だから、そこに的確にこたえていくためには、当然相当な準備も必要でしょうけれども、そこはできるだけ迅速に、的確にやっていただきたい、このことを申し上げたいと思います。

 時間が参りましたので、最後に一点だけ、これは大臣にお伺いして終わりたいと思います。

 先般、国と東京電力の賠償スキームをお出しになられて、この中で、国が機構を支援する中でいわゆる交付国債の話があります。この交付国債が実際に決まらなければ、私は仮払いは到底できないだろうという考えでいるんです。なぜかというと、東京電力が今考えているのは、原賠法の枠組みの中で、一千二百億の範囲でまず仮払いだと、どうもそういう姿勢に見えてしまう。恐らく、今避難されている方々の一世帯当たり百万円の一時仮払い等も、あれで大体四百七十億ですか、そう言われている。そのほかにさまざまなものを足していくと、恐らくあっという間に一千二百なんて軽く飛んでしまうだろう。

 そう考えていくと、私は、この交付国債ということが具体的にスキームとして動かなければ、これは到底できないだろうと思うわけです。そのためには、法案も必要でしょうし、予算も必要です、二次補正の予算。こういったことをトータルに考えてみて、大臣、交付国債を実際に出さなければ仮払いは極めて不十分になると私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 交付国債云々という以前に、私は、これは先月の十三日ですか、関係閣僚会議で合意しました中に、できるだけ速やかに法律をつくって、御審議をお願いして成立をさせるという項目がございますので、まさにそのことが今必要かなというふうに思っております。この法案を、できるだけ早く、確実に御審議いただいて、日の目を見たいと思っております。

稲津委員 ありがとうございました。別の機会にまたしっかりと質疑をさせていただきます。

田中委員長 稲津久君の質疑は以上で終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 ちょっと事前に通告していた質問と順番を変えさせていただきます。後ろの事務方、申しわけありません。

 最初に、サミットにおいて菅総理が提唱されました原子力の安全に関する国際会議についてお尋ねをします。

 原子力の安全に関する国際会議を来年の後半に開くと菅総理はおっしゃっていたわけですけれども、福島県の被災者の皆さんにとっては、復興どころか、まだ災害の真っ最中。それから、原発事故に関してもまだ、いつ収束するかは、今の調子ではなかなか実際のところ読めない。目標としては来年の一月とかいうお話もありますが、実際、いつまでかかるかわからない、そういう大変な状況だと思います。

 そういう問題が解決していないこのタイミングで、日本が主催して、原子力の安全に関する国際会議を提案できるんでしょうか。そもそも、その国際会議をやることになると、ロジを担当するのも恐らく経産省なりの原子力の関係の皆さんだと思います。ただでさえ事故対応で忙しいときに、さらに国際会議、大きいものをやれば、またより忙しくなってしまって、負担もふえるということだと思います。それに、恐らく、日本が世界に向けて発信をするといっても、これまでの事故の経緯とか教訓とか、いろいろ取りまとめたり検証したりにかなり時間もかかるんじゃないかと思います。

 そういう意味では、来年の後半という時期は、本当に大丈夫なんでしょうか。あるいは、悪い言い方をすると、日本がどの面下げて海外に教えることができるんでしょうか。そういう素朴な疑問を持つわけでありますけれども、大臣の御所見をお尋ねします。

海江田国務大臣 総理からG8のサミットでそういうお話があったということは、私も承っております。

 そして、現在、我が国は、IAEA調査団の受け入れ、先ほど稲津委員の答弁で、訪日団の報告というのはきょういただくということになっております。ですから、六月末は、今度は日本がその結果を踏まえて報告をするという形になります。これは訂正をしておきます。恐縮です、山内委員の時間を使いましたが。

 このIAEAの調査団の受け入れ等、国際社会に対して、最大限の透明性を持ってすべての情報を提供してきたところでございます。

 政府としましては、今後、事故調査・検証委員会において、国際的にも開かれた形で徹底的に事故原因等の検証を行っていくつもりでございます。その結果得られる新しい知見や教訓を我が国の原子力安全政策に反映させるとともに、国際社会と共有することで世界の原子力発電の安全性をより一層向上させていきたい、こういう決意でございますので、総理の提案は、こうした我が国の決意を国際社会に伝えたもの、そう存じております。

山内委員 一つは、タイミングの問題だと思うんです。ある程度落ちついてきた後、そういう国際会議をやるというのは十分理解できるんですが、果たして来年の後半、来年の後半というと七月以降になるのかもしれませんが、そんな時期に本当にやれるんでしょうか。その点、時期について、もう一度改めてお尋ねします。

海江田国務大臣 そうした国際会議が我が国で開催できるような環境を整えるのも私どもの役目かなと思っております。

山内委員 できもしない国際約束をやってしまうというのは大変問題だと思いますので、ぜひ次の総理には、きちんと現実的な提案をしていただきたいというふうに思っております。

 それと、今回、海江田大臣も大変御迷惑をこうむられた方だと思うんですが、首相はサミットで、太陽光発電一千万戸ということをおっしゃいました。サミットの場なのか、あるいは関連の国際会議なのか、詳細はちょっと忘れましたけれども。その一千万戸の根拠について、実はきのう、経産省の事務方の方から説明を一応聞きました。

 思いつきじゃありません、きちんと何とか基本計画によって、日本には何千万世帯あって、そのうちこれぐらいが集合住宅でと、うにゃうにゃうにゃと説明を受けたんですけれども、正直言って私は理解できませんでした。本当に、文字どおり机上の空論、ただ単に世帯数だけを言って、そのうちの何%でこうですこうですと、危うく丸め込まれそうになるぐらい、非常にクリアだけれども、よく考えると何となく納得いかない説明でした。

 そういった意味でも、もう一度、こういった委員会という公の場でその根拠をきちんと説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。

海江田国務大臣 現行のエネルギー基本計画では、二〇三〇年における総発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合を二〇%とし、そのうち太陽光発電で約五千三百万キロワットを発電するものとされております。その七割を住宅の太陽光パネルで発電するとすれば、一千万戸の住宅に設置することが必要となります。

 一方で、全国の戸建て住宅が約二千七百万戸あります。そのうち耐震基準が足りないものや空き室になっているものを除きますと、およそ一千万戸の住宅がございますので、ここへの導入が可能であると考えております。

 これらの目標の実現に向けて、固定価格買い取り制度、太陽光発電のコストを低減させるための革新的技術開発、規制緩和などの政策を総動員し、最大限の努力をしてまいりたいということでございます。

山内委員 まさに事務方から説明を受けたとおりなんですけれども、日本は広くて、北海道から沖縄まで、日照時間も違うだろうし、家の広さも屋根の広さも違うだろうし、もしかしたら、同じコストをかけるんだったら風力発電の方がいい地域もあるかもしれない。いろいろなケースが想定できると思うんですが、強引に、世帯数とか平米数とか、数字だけでやっている、まさに机上の空論じゃないか。霞が関の中から見ているだけで、本当に現場に行ったらそんなにニーズがあるのか、そもそも強制できない個人の住宅にそんなに載っけられるのかと本当に不安になりました。

 その程度の根拠で一千万戸と言われているのであれば、もう一度大臣にきちんと御相談された上で、もう一度練り直した方がいいんじゃないかなというふうに強く思いました。

 そういった意味では、やはり国際的な場で発言されるのであれば、きちんと準備をした上で、説明をして、ふっと腑に落ちるような説明があればいいんですけれども、二回同じ説明を聞きましたけれども、やはり腑に落ちません。

 そういうビジョンというか前向きな夢を語るというのは大事なことだと思うんですけれども、ふっと心に響くような説明がないと、そのビジョンは実現はとても難しいと思います。これから大変重要な分野であり、前向きな提案をされたことは評価したいと思いますけれども、ここにいらっしゃらない菅総理のことですけれども、もうちょっと現実的な提案をされる必要があるのではないかなというふうに思っております。もし一言お願いできれば、思いのたけをお願いします。ないようだったら、次の質問。

 ちょっと時間の関係で言いっ放しになると思いますが、あと一分ほどですから、最後に一問、質問というよりもお願いというか、あるいは提案ということでお聞きいただきたいと思います。

 先日、テレビのニュースを見ていると、三重県の漁協が中古の漁船を被災地の漁協に無償で提供する、そういう事例が紹介されておりました。

 実際、資金的にも厳しいという被災地の企業が復興するに当たって、工場を再開するための機械なんかも、必ずしも新品を、二重ローンでまた新しいものを買う必然性はないと思うんですね。場合によっては中古のものでもいいかもしれないし、廃業した工場の機械をもらってもいいかもしれません。今度新たに、新規で機械設備を買うよりも、中古のものをどこかで無償で提供してもらう、あるいは極めて低い価格で提供してもらう、そういうニーズというのは意外とあるんじゃないかと思うんですね。

 そこで、ぜひ経産省でも、もう使わないからただで上げるよという企業があれば、生産設備などを被災地の企業にお渡しする、ニーズと供給をマッチさせる、そしてその輸送費を補てんしてあげる、そういうスキームを検討されてはいかがかなと思います。

 ODAでは、NGOが日本の中古の機械なんかを途上国に送るときに、輸送費だけODAで見るという制度があります。一件五十万とか百万とか、小さなものなんですけれども、そういうスキームが実際ありますので、被災地の復興に向けて、古い設備なども含めて、いろいろな資源、リソースを生かせるような体制づくりが必要だと思いますので、ぜひ御検討をいただきたいと思います。

中山大臣政務官 今のお話はマッチングが大事だと思いますね。結局、善意で持っていっても使われないということがあってはいけないので、まずはマッチング、どういうものが欲しいのかという調査もしっかりやらなきゃいけない。

 それから、補正予算が成りましたので、その中に輸送費に充てられるものがあるのかどうかもちょっと検討して、お答えをしたいというふうに思っております。

 なお、保証協会でも、今度、八千万円が別枠で、十一年ぶりに八千万円の無担保保証、それから担保があれば二億円が四億円になったんです。これは本当に今までできなかったことを、今回こういう災害があったので特別の予算をつけてやったものですから、ぜひそういうものも御活用いただきたい、このように考えております。

山内委員 以上で質問を終わりますが、過去の、これまでの経産省のいろいろな被災地の復興支援策を拝見しましたが、非常に具体的で、これは役に立つんじゃないかなと思われるものがたくさんありました。その点、敬意を表したいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 以上で山内康一君の質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

田中委員長 次に、内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。海江田経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

海江田国務大臣 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を初めとする我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、同年十月十四日より、六度の延長措置を経て、平成二十三年四月十三日までの間、北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を厳格に実施してまいりました。また、平成二十一年五月二十五日の北朝鮮による二度目の核実験を実施した旨の発表を受け、同年六月十八日より、昨年四月の延長措置を経て、平成二十三年四月十三日までの間、北朝鮮への貨物の輸出を禁止する等の措置を厳格に実施してまいりました。しかし、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対する北朝鮮の対応や、六者会合、国際連合安全保障理事会等における国際社会の動き等その後の我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、平成二十三年四月五日の閣議において、引き続き、平成二十三年四月十四日から平成二十四年四月十三日までの間、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮への貨物の輸出及び北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を実施することといたしました。

 これらの措置のうち、同法に基づき国会の承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第でございます。

 次に、本件の要旨を御説明申し上げます。

 本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による平成二十三年四月五日の閣議決定に基づき、同年四月十四日より平成二十四年四月十三日までの間、北朝鮮へのすべての貨物の輸出及び北朝鮮からのすべての貨物の輸入について経済産業大臣の承認を受ける義務を課す措置を講じたこと、及び北朝鮮と第三国との間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借または贈与に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づいて国会の承認を求めることを内容とするものであります。

 以上が、本件の提案理由及び要旨でございます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る三日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十一分散会


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