衆議院

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第3号 平成24年3月16日(金曜日)

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平成二十四年三月十六日(金曜日)

    午前八時四十分開議

 出席委員

   委員長 中山 義活君

   理事 石関 貴史君 理事 稲富 修二君

   理事 川口  博君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 梶山 弘志君

   理事 菅原 一秀君 理事 佐藤 茂樹君

      緒方林太郎君    大畠 章宏君

      加藤  学君   木村たけつか君

      北神 圭朗君    櫛渕 万里君

      斉木 武志君    柴橋 正直君

      平  智之君    高松 和夫君

      中屋 大介君    花咲 宏基君

      浜本  宏君    平山 泰朗君

      藤田 大助君    松岡 広隆君

      柳田 和己君    山崎  誠君

      山本 剛正君    近藤三津枝君

      高市 早苗君    橘 慶一郎君

      谷畑  孝君    西野あきら君

      額賀福志郎君    江田 康幸君

      吉井 英勝君    中後  淳君

      山内 康一君

    …………………………………

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   環境副大臣        横光 克彦君

   経済産業大臣政務官    北神 圭朗君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     深野 弘行君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 小林 正明君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     中屋 大介君

  高野  守君     柳田 和己君

同日

 辞任         補欠選任

  中屋 大介君     緒方林太郎君

  柳田 和己君     高野  守君

同日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     浜本  宏君

同日

 辞任         補欠選任

  浜本  宏君     井戸まさえ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として資源エネルギー庁原子力安全・保安院長深野弘行君及び環境省大臣官房審議官小林正明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 おはようございます。公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、大臣所信に対する質疑ということで、二十分間時間を頂戴いたしましたので、一つのテーマに絞りまして、具体的には再生可能エネルギーの促進ということに絞って質問をさせていただきたいと思うわけでございます。

 昨年の八月に成立いたしました再生可能エネルギー特別措置法、いよいよ本年七月から施行ということになるわけでございます。私も当時、修正案の提案者として衆参の委員会で答弁に立たせていただきました。ぜひ、政府におかれましては、法の趣旨を踏まえまして、再生可能エネルギーの普及ができるように努めていただきたい、そのようにお願いをするものでございます。

 会議の立ち上げがおくれていたんですけれども、調達価格等算定委員会も、三月の六日に初会合が開かれ、今は順次されているというようにお聞きをしております。最大の焦点は、買い取り価格と期間をどうするのかというのが制度の鍵でございます。

 買い取り価格は発電コストと適正な利益に基づいて決めるわけですけれども、これをどういう考え方に基づくのかというのが一番のポイントでございます。買い取り価格を高くすれば、再生可能エネルギーが早く普及する一方、家庭や企業の負担がふえますし、反対に価格を低く抑えれば、負担は少ないけれども普及がおくれてしまうという、価格の決定には大変難しいバランス感覚が求められるわけでございます。

 私は、調達価格等算定委員会の皆さんの見識というものを基本的に信用した上で、ただ、我々立法府でもございますので、ぜひきょうは政府の考え方も確認をしておきたいと思うんです。

 日本は、この制度については、制度の導入は出おくれたんですけれども、逆にその分、先行例に学ぶことができると私は思うんですね。私どもも修正案を出す前に、急ではございましたけれども、当時の委員長を中心にヨーロッパに行かせていただいて、先行例を学ばせていただきました。やはり、ヨーロッパ諸国も非常に試行錯誤されているわけです。

 そういうところから何を学び取るのかということが非常に大事ではないかと思いますし、要は、再生可能エネルギーの担い手をふやし、この分野が新しい産業として自立できるように上手に育てていく、そういう視点も大事であります。導入加速に力点を置きつつ、しかし持続可能な制度になるような価格や期間を決めるべきである、そのように思うわけであります。

 修正案には、最終的に国会にも報告をしていただく、そういう条項も入れさせていただきました。算定委員会の議論の結果を踏まえて、経済産業大臣が関係閣僚と協議した上で最終決定する、そういう形になっているわけです。

 まだ具体的な数字は出てきていないんですけれども、きょう経済産業大臣にぜひお聞きしておきたいのは、調達価格等算定委員会で算定される買い取り価格と期間について、どのようなものであるべきである、そういう見解を持っておられるのかということと、また、七月の施行までにやはり参入される業者の皆さんもある程度の予見性を持たないといけないと思うんですね。ですから、スケジュール感として、いつまでにこの算定委員会の案をいただいて、政府として、買い取り価格、期間を決定されるめどはいつごろなのか、そして国会に御報告をいただくタイミングはいつごろなのかということにつきまして、まず経済産業大臣に御答弁をいただきたいと思います。

枝野国務大臣 この再生可能エネルギー特措法の審議に当たっては、委員におかれましても大変な御尽力をいただきましたこと、御礼を申し上げます。

 御指摘をいただきましたとおり、再生可能エネルギーの導入促進のための制度であります。国会でお決めをいただきました法律の事項としても、効率的に事業が実施された場合に通常要する費用を基礎として、適正な利潤を勘案し、施行後三年間は利潤に特に配慮しということを決めていただいています。もちろん、一方では、電気の使用者に対して過重なものとならないことに配慮することと、御留意もいただいているところでございます。

 確かにこのバランスは大変難しいところがあろうかと思いますが、私なりに各国の先行事例なども見ますと、一部、この制度が投機的に利用されて若干問題があった国もあったかと思います。ですから、そうしたことになってはいけないだろう。ただ、その一方で、普通の事業者の方が普通に真面目にやればちゃんと成り立つんですよというような中身でなければなかなか参入の促進にならないだろう。こうした観点で、委員の皆さんには適正な御議論、審議をいただけるものというふうに思っているところでございます。

 その上で、大変大事なことですので慎重な御審議をいただきたいと思う一方で、御指摘いただきましたとおり、予定されている方の予見可能性は重要でございます。

 一応、私からは、二カ月程度で何とか、つまり、三月の上旬にスタートですので、できればゴールデンウイーク前ぐらいには何とかおまとめいただけないだろうかということをお願いしておりますが、これは主体的に委員の皆さんのところで審議の中身についてお決めをいただくことですので、それをちょっと期限としてお約束することはできませんが、そうしためどで何とか御努力をいただきたいということをお願いしているところでございまして、委員会の方の結論を得ましたら、できるだけ速やかに私の方で最終決定いたしまして、同時に、告示後速やかに国会の方に御報告させていただきたいと思っております。

佐藤(茂)委員 今回修正をさせていただいたポイントの一つは、やはり国会の関与というものをどこかできちっと持って国民的合意のもとにこの制度は進めた方がいいだろう、そういうことで、与野党の協議の中で最終的に国会への報告ということも入れさせていただいたので、そのことについては、法に基づいてしっかりと対応していただければありがたいと思います。

 きょうお伺いしたい二点目は、再生可能エネルギー、政府の方も、さまざまに予算上の措置であるとか税制上の措置、こういうものもされています。今申し上げました、特に価格設定がどのくらいになるのかというのも普及を左右する非常に大きなポイントになってくることは間違いないんですが、さらに加えて、政府の努力で変えられるものというのもあります。それは、現行の規制をなるべく緩和して、いわゆる規制緩和を進めて、民間の参入を促して、再生可能エネルギーの普及を後押ししてあげるということが私は大事ではないかと思うんですね。

 太陽光発電の普及のために企業などが設置する太陽光発電設備を工場立地法の規制対象外とすることなどの規制緩和策を、三月十二日、今週、産業構造審議会の小委員会でまとめられた、そういう報道もございます。

 太陽光初め再生エネ普及のための規制緩和をどんどん進めてもらいたいと私は思うんですけれども、具体的にどういう規制が緩和されて、そのことによる太陽光発電の普及の後押しの効果はどのように考えておられるのか、そして、今後どういうタイミングでこの法制度、具体的には政省令も含めてですけれども、制度の改正を考えておられるのか、最初に、経済産業省の考え方をお聞きしておきたいと思います。

北神大臣政務官 委員おっしゃるとおり、再生可能エネルギーの大幅な導入拡大のためには、いろいろな規制をやはり緩和していくことが物すごく大事だというふうに思います。

 おっしゃるとおり十二日に、工場立地法において、太陽光の発電施設を対象外にするということを決めていただいたところでございます。

 もう一つ、電気事業法に基づく工事計画届け出と使用前自主検査とを不要とする範囲、現状では五百キロワット未満になっているんですが、この範囲を拡大して二千キロワット未満にする予定でございます。

 こういう規制緩和によって、電気事業法あるいは工場立地法上の届け出を不要にするわけですから、事業者が参入するときに、設置をするときに、手続の面で負担を軽減するということで、太陽光の施設を設置する時間を大幅に短縮できる効果があるというふうに思っています。

 最後に、時期の問題ですが、委員がおっしゃった固定価格買い取り制度が七月一日に施行されるわけですから、それに間に合うように、今申し上げたような規制緩和を政省令の改正等で実行していきたいというふうに思っています。

佐藤(茂)委員 七月一日までになるべく、推進のための規制緩和というものを進めていただきたいと思うんですね。これは全会一致で、再生可能エネルギーの特別措置法の附帯決議というものを衆参ともに決めさせていただいたんですけれども、たしかその八項目めにも、規制緩和をしっかりとやっていくという趣旨のことを入れさせていただいていますので、ぜひ政府の方でも努めていただきたいと思うわけであります。

 同じく規制緩和できょうお聞きしておきたいのは、地熱発電なんですね。再生可能エネルギーとして、地熱発電への期待が非常に高まっております。与党の中にも、きょうおられる田嶋理事であるとか、あるいは山本委員、地熱発電を何とか進めようという議連で非常に頑張っておられる方もいらっしゃるわけですが、この地熱については、世界でも有数の火山国である我が国にはアメリカ、インドネシアに次いで世界第三位の豊富な地熱資源量が存在するということはもう前々から言われているんですね。特に、風力や太陽光のように天候に影響されないところが地熱発電の非常に魅力でございます。

 しかし、現状では、日本の発電所は十八カ所、五十四万キロワットにとどまっておって、国内総発電量の〇・二%にしかすぎない。その一つの要因として言われているのが、地熱資源量の約八割が開発が規制されている国立公園であるとか国定公園の下に眠っている、それが規制によって利用制限があるのでなかなか開発されないという問題があるわけですね。この規制を緩和して、地熱資源の活用をどのように進めていくのか、認めていくのかということが今課題になっております。

 私は、環境や景観の保護には当然配慮するということを前提にしながらも、もう一歩踏み込んだ緩和というものが必要ではないかと思うんです。環境省としては、今月中に、地熱発電に関するこれまでの通知というものを見直して、新通知を出される予定だというように伺っております。

 巷間、報道されているのは、特別地域などの規制地域直下への斜め掘りを認める方向だと。要するに、傾斜掘削ですね。斜めに掘っていく。こういう方向だと言われているんですけれども、この斜め掘りの容認だけでは、一歩前進ではあるけれども、地熱開発を進める上においては限界があるんじゃないのかなというように私は思っております。

 やはり傾斜掘削というのは、斜めに掘っていくわけですから、掘削距離が長くなるために、井戸一本当たりのコスト増につながるということが一つと、もう一つは、斜めに掘っていった途中に、到達までにほかの断層などに遭遇する確率が高まる、そういうリスクが高まるという問題もございます。ですから、どうせ規制を緩和するなら、実効性ある内容にすべきであると私は考えるわけであります。

 特に、具体的に三点ほど申し上げさせていただきたいのは、まず、国立公園、国定公園の、いろいろな規制の種類によって地域はありますが、第二種特別地域及び第三種特別地域の一部における、自然環境保護に配慮した地表からの坑井掘削及び発電所施設建設の許可というものについてどう考えるかということが一つ。これをぜひ認めていただきたいと思うんです。

 もう一つは、国立公園、国定公園の特別保護地区及び第一種特別地域の一部において、自然環境保護に配慮した地表調査の許可というものもぜひ認めるべきじゃないかと私は思います。

 三点目に、今申し上げましたが、傾斜掘削のことですけれども、国立公園、国定公園の特別保護地区及び第一種特別地域の外からの斜め掘り、傾斜掘削による特別保護地区及び第一種特別地域の地下開発の許可というものも当然認めるというようなことを、個別のプロジェクトごとに弾力的な規制の運用を図っていただいて、対象区域の拡大を具体的にやはり今思い切って図っていくべきではないのかと考えるんです。

 まだ答えられないかもわかりませんが、環境省が今月中に決められる地熱発電に関する新通知、新たな開発基準についてどういう方向で今考えておられるのか、環境省の所見をぜひ伺っておきたいと思います。

横光副大臣 お答えをいたします。

 まず、再生可能エネルギーの普及拡大。これはもう本当に、我が国のこれからのエネルギー基本計画をつくるに当たっても大変重要な課題だと思っております。

 そういった中で、とりわけ今御提案がございました地熱発電、これは太陽や風力に比べて非常に安定性もあるし効率もいいということで、ベース電源になるんじゃないか、そういった再生可能エネルギーであるということも我々も重々認識をいたしております。

 そういった中で、緩和の件ですけれども、一歩踏み込んだらどうかということで、踏み込んで、規制緩和に今環境省も取り組んでいるんです。地熱発電に係る検討会をこれまで五回やりまして、いよいよ今月中にまとめて通知することになっております。

 そういった中で、今御質問がございました三点でございますが、一番最後に言われた特別保護地区及び第一種特別地域の地下への傾斜掘削については認められるか。これは正直申しまして、特別保護地区及び第一種というのは、我々からすると国立公園の核でございますので、ここで傾斜掘削というのは今のところなかなか難しいなという状況でもございます。しかし、それもまだ検討中でございます。

 そして、二番目の、特別保護地区及び第一種特別地域における地表調査は認められるか。これはボーリングするわけではありませんので、いろいろな状況を調べるという地表調査であるならばかなり認められるのではないか、これも今前向きな形で検討中でございます。

 それから、今言われました二種、三種の特別地域における坑井掘削、いわゆる直掘り。この件でございますが、これは大前提がやはり自然環境を守るということ、それと同時に再生エネルギーの利用という、保全と利用、この二つの調和がしっかりとれるということがお互いに大事ですから、それが十分に図られるかどうかということ。そして、そういった中で、個別に優良な事例がないものか、そういった優良事例の形成に向けて論議もされておりますし、これもまだ賛否両論ございまして、全てだめだという状況でもありませんし、それぞれのいい調和がとれたものをこれからどう検討していくかということで、今取り組んでおります。

 いずれにしても、環境省としては、自然を守りながら、しかも地熱エネルギーの利用ということも考えながら最終的な判断をしてまいりたい、このように考えております。

佐藤(茂)委員 ぜひ環境省、自然環境の保護、景観の保護、こういうものもしっかり維持されなければいけないことはわかっているんですが、他方で、やはり再生可能エネルギーを推進するというのは環境省として当然やっていただかないといけないことなので、今調和と言われましたけれども、何もしない調和じゃなくて、一歩踏み込んで、その上で調和をどう保つのかという前向きな姿勢に立ってやっていただきたいと思うわけであります。

 最後になりましたけれども、経済産業省として、本年、この分野については、全体としては地熱などクリーンな熱利用の拡大に百三十二億、内訳として新規に地熱資源開発調査事業に九十一億円計上されております。二月には、地熱資源開発が計画されている九地区も公表されました。

 今後、経済産業省として地熱発電開発を現実に促進するために何を行わなければいけないと考えておられるのか、経済産業省の見解を伺っておきたいと思います。

中山委員長 簡潔にお願いします。

北神大臣政務官 経済産業省としても、議連の皆さんの声もしっかり踏まえて、地熱発電は強力に推進をしてまいりたいというふうに思っています。

 そのためには、今環境省の話もございましたが、自然公園内で垂直掘削をやるに当たって、環境省を初め関係省庁としっかり議論をして、今おっしゃった、一歩前に踏み出しての調和、いわゆる地熱開発と環境、景観の調和というものを図っていきたいというふうに思いますし、もう一つは、やはり地元の皆さんの納得する形で、連携をとりながら地熱開発を進めていきたいというふうに思っています。

佐藤(茂)委員 私はベストミックス論者なんですけれども、原子力の依存を下げていくにしても、やはり当然、こっちの分野が成長していなければ、促進されていなければ成り立たないわけでございますので、今後とも、再生可能エネルギーの促進についてはしっかりとまた委員会で質疑をしてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、高市早苗君。

高市委員 おはようございます。自民党の高市早苗でございます。

 貴重な質問時間を賜りました同僚議員の皆様に、まずはお礼を申し上げます。

 本日は主に、定期検査済みの原子力プラントの再起動を判断する基準について、枝野大臣にお伺いをしたいと思います。

 この再起動につきましては、私が二月九日に提出いたしました質問主意書に対する答弁書によりますと、まず第一に、事業者が安全評価を行い、これを経済産業省原子力安全・保安院が確認し、さらにその確認の妥当性を内閣府原子力安全委員会が確認をした上で、内閣総理大臣、内閣官房長官、経済産業大臣、原発事故担当大臣のいわゆる四大臣が、住民の理解や国民の信頼が得られているかという点も踏まえ、その可否を総合的に判断していく、こういう手順で進められると理解しております。

 大臣、これでよろしいですか。

枝野国務大臣 今御指摘のような手続で最終的な安全性と地元の理解を確認して、判断をいたします。

高市委員 今、四段階を御紹介しました。

 例えば、関西電力の大飯発電所三、四号機についてですが、ここは事業者によるストレステストが終わり、そして原子力安全・保安院による確認も二月十三日に終えております。三月十三日には内閣府原子力安全委員会による確認作業そのものが終了して、間もなく一次評価を了承する旨の報告書が出てくるんだろうという段階だと思います。つまり、大飯発電所につきましては、第一から第三までのプロセスがやがて終わろうとしているというところですから、残りは、四番目の住民の理解、国民の信頼、四大臣の総合的判断といったところが再起動の基準になっていくのかなと考えております。

 野田総理は、昨年九月十五日の衆議院の本会議でも、この原発再起動について、「地元の理解や国民の信頼が得られているかという点も含め、政治レベルで総合的に判断を行ってまいります。」と答弁しておられるのですが、私は、これほど曖昧な話というのはないと思うんですね。

 仮に、判断をされる四大臣がポピュリズムに走ってしまったような場合に、原発起動を不安視する世論というのが非常に強いなと感じたら、幾ら時間とコストをかけて厳正な安全審査というのをクリアしても、なかなか再起動には至らないでしょう。また一方で、電力不足を不安視して、日本経済への影響や産業立地の優位性低下を心配する世論の方が非常に強いと感じた場合には、かなり早期に再稼働を判断するということになるんじゃないか、こう心配しています。

 といいますのは、鳩山元総理が、平成二十一年十一月二日の衆議院予算委員会で、これは普天間基地移設問題についてでございましたが、日米と沖縄県民の皆さん全てがわかったと理解できるような形をつくりたいと答弁されたことを思い出したんですね。全ての人の納得を優先して、むしろ安全保障上の観点からの冷静な分析を欠いていたように思える話があり、結果的には、普天間基地の移設問題は暗礁に乗り上げました。

 私自身は、安全上のリスクというものを最小化するためにも、再起動の基準というものは、政治的レベルの判断というのではなくて、むしろ、なるたけ科学的根拠を重視した明確な要件で示されるべきであり、地元住民の理解とか国民の理解といったものも、こういった手法で確認するということがあった方がいいのではないかと思います。つまり、大飯発電所だけの問題ではなくて、これから徐々にストレステストを終えて、四大臣が判断をしていかなきゃいけない対象というのがふえていくからこう申し上げているんです。

 それでは、地元の理解や国民の信頼が得られているかということについて、具体的にどのような手法で判断していくのかということをお伺いいたします。

 まず、国民の信頼が得られているかということについてはどのように判断をされるのか。例えば、国民全体に対して世論調査を行うといったことなのかどうなのか、大臣にお伺いします。

枝野国務大臣 御指摘のうち、安全性について、これは政治判断をするわけではありません。政治レベルでの判断に先立って、技術的、科学的、客観的に、専門家の皆さんにできるだけ透明性を持った形でプロセスを今進めていただいておりますので、安全性については、まずそのことでしっかりと担保されるということが全ての出発点であります。

 その上で、では、地元の皆さんあるいは国民の皆さんの一定の理解というものは、御指摘のとおり、あらゆる問題について全ての国民の皆さんが同じ意見を持たれるということは、民主主義国家ではあり得ないわけでありますので、そうしたことの中で、国民の世論というものが、あるいは理解というものが那辺にあるかということをいかに正しく認識するのかということが、まさに政治力として問われていることであると思っていまして、何か機械的に、こういうやり方で、この線をクリアすれば一定の理解なのだというようなことがもしはかれるなら、それが望ましい、その方が楽でありますけれども、残念ながら、そういうものではない。

 したがって、まさにそこのところを総合的に判断させていただくということを申し上げているところでございます。

高市委員 そこが一番曖昧な点だと思うのです。例えばマスコミ報道だけで判断しても、それがサイレントマジョリティーも含めた国民の意見だということにはなりませんしね。だから、国民の信頼が得られているかということを、総理も、そしてまた答弁書でもあえて強調されているというあたりに、私は大変ひっかかっておりました。

 次に、地元の理解が得られているかという基準なのですが、これも、例えば立地県で住民投票でも行うのか、それとも立地県の知事と立地市町村の長、首長さんの同意で足りるのか、または立地市町村の議会の承認というものを最低要件とされるのか、具体的なお考えがあれば伺います。

枝野国務大臣 これも、最終的な線引きも機械的にできる性格のものではないのではないかというふうに思っております。

 もちろん、立地県や立地市町村の首長さんなどとは、理解を求めることができる段階がもし来れば、そのことのお話と同時に、地元の皆さんの理解ということについて、どういった形でお願いをするのか、あるいは把握をしていくのかということそのものをきちっと御相談していかなければいけないというふうに思っておりますが、何かこことここがオーケーならオーケーとか、そういう機械的なものではないというふうに思っております。

 そうした理解を得るプロセスや理解を確認するプロセスそのものを、まさに地元の、少なくとも立地県の首長さんや立地市町村の首長さんとも御相談をしながら、総合的に判断をさせていただくしかないんじゃないかと思っています。

高市委員 では、その最終的な再起動の判断をする基準というのが県によって違ってくるということになるかと思います。

 例えば、関西電力の管内だけでも、ストレステストを終えて、今、原子力安全・保安院もしくは原子力安全委員会の方でその確認の作業をしていただいている段階にあるものは五基あると思います。ほかの電力会社も含めて全国ということになりますと、現段階で十六基と理解をしています。そうしますと、本当にそういったことでいいのか。

 例えば、地元の立地市町村の首長さんが了解をされ、しかも住民の代表として出てきておられる議会で承認が得られるとか、何かこのあたりの基準というのはつくっておかないと最終的な判断ができないんじゃないでしょうか。もう一度伺います。

枝野国務大臣 繰り返しになりますが、安全性の確認ということについては、客観的に、明確に専門家の皆さんにやっていただくということが必要であるし、全てそれが前提だというふうに思っていますが、まさに国民の皆さんあるいは地元の皆さんの一定の御理解がいただけているのかどうかというのは、逆に言うと、私の立場からは、何かそうした機械的にこことここがこういう形ならオーケーという線引きで、それで割り切ってやらせていただいた方が楽なのかもしれませんけれども、やはりさまざまなことを総合的に考慮して、その中には、もし安全性が確認された場合の内閣としての努力ということも含まれると思っておりますが、総合的に判断をさせていただくということにならざるを得ないんじゃないかと思っております。

高市委員 それでは、地元の理解でいいます地元というのがどの範囲かということなんです。これも質問主意書で伺ったんですけれども、明確な答弁をいただいておりませんので、改めてお願いをします。

 この福井県の大飯発電所三、四号機について、再起動に向けて理解を得るべき地元と位置づけられる具体的な市町村名を伺います。

枝野国務大臣 これも、例えば距離で機械的にはかれるのかといえば、まさに地元の皆さんを初めとする国民の皆さんの一定の理解でございますので、あえて言えば、全ての国民の皆さんが、どこに立地している原子力発電所であれ、その安全性についてはある意味当事者でございます。

 そうしたことの中で、特に原子力発電所の周辺の皆さんの御意向というのは大変重たいということの中で、地元の皆さんを初めとする国民の皆さんの一定の理解と申し上げておりますので、何か機械的にどこかで線を引いて、ここから内側が一〇〇で外側はゼロというような性質のものではないと思っておりますので、総合的に判断させていただくしかないと思っております。

高市委員 ますますわからなくなってしまいました。

 地元も含む国民の皆さん全体ということになると、非常に対象範囲は大きくなりますし、何かそれを把握する手法を考えておられるわけでもない。あくまでも総合的にと言われるのですが、少なくとも立地県の地元に、今後恐らく大臣御自身も足を運ばれるようなことになるんだろうと思っておるのですけれども、具体的な市町村名、しかも大飯発電所に絞って伺ってもそれが明確にできないというのがどうにもわからぬのです。

 例えば、福井県知事に会われる、それから、おおい町長に会われる、それ以外の町村長にも会われるとか、そういったことも何も検討はされていないんでしょうか。

枝野国務大臣 どの範囲が地元なのかというお尋ねをいただきますと、先ほどのようなお答えをせざるを得ないかと思っています。もちろん、例えば福井県とか、おおい町とかというのは、どなたがお考えになっても常識的に結論ははっきりしていると思っておりますが、では、どこかで線を引いて、この線から外側の人は全く再稼働について関係ないのか、こういう性格のものではありません。

 したがって、どこかで線を引いて、ここが地元なのでそれ以外のところは関係ありませんということも申し上げられない。まさに総合的に判断をさせていただくしかないと思っています。

高市委員 それはえらいことだなと思います。

 例えば、よく原子力プラントから三十キロ以内という範囲でテレビで地図が報道をされていることがあるのですけれども、三十キロということになりますと福井県以外も入ってまいりますでしょうし、例えば主人の実家があります鯖江市あたりまでも入ってくるんじゃないかと思うんですね。限りなく対象が広がってきて、その周辺のいろいろな市町村や他県の方からも声が出てくる。それらをずっと総合的な判断の対象にしていくと、その方々が納得するまでなかなか再起動のお願いができない、そういうことになってしまいましょうか。

枝野国務大臣 ですから、どこかで線を引くことはできません。総合的に判断するしかない。

 先ほど申しましたとおり、あえて言えば、日本国民全ての方が、どこにある原子力発電所の再稼働についてもまさに御関心をお持ちになって、本当に安全なのかということについて一定の御理解をいただかなければ物事を進められない、そういうものだと思っています。そうしたことの中で、より原子力発電所に近い地元の皆さんの意向というのは特に重く受けとめた上で物事を進めていかなきゃならないということで、地元の皆さんを初めとして国民の皆さんの一定の御理解が必要だと申し上げてきているところでございます。

 まさに、どういう手順で、どういう方々に、どういうプロセスをとったら一定の理解ということを認識させていただけるのかということを、あらかじめ機械的に決めて、機械的に進められることではないというふうに思っています。

高市委員 ちょっとしつこいようですが、今の御答弁で、より原子力発電所に近い地元という表現を使われたのですが、大飯発電所の場合はより近い地元というのはどことどこになりますか。

枝野国務大臣 まさに総合的に判断するしかないと思っています。

高市委員 随分多くの発電プラント、全国で十六基がストレステストの結果につき確認を受けている段階でございますので、そのたびに、対象の市町村も決めていない、その中で地元の理解を得られたかどうかを四大臣がそろって判断をされる、これは大変な作業になりましょうし、実際、基準が曖昧であれば、私たちもその結果について理解をするというのは難しくなっていくと思います。

 平成二十四年の三月十三日、福井県議会の予算特別委員会で、西川知事がこのように発言しておられます。「まず国自らが国民生活にとって重要な基幹電源であります原発の重要性や、安全性について、はっきりと俗に言う政治判断ではなく、根拠のない政治判断ではなくて、所管する全ての閣僚と言いますか、統一的な見解を国民に示すことが極めて重要です。」

 この西川知事の「根拠のない政治判断」という言葉について、何か御反論はありますでしょうか。反対に、政治判断には根拠があるのだとすれば、何をその政治判断の基準とされるのでしょうか。

枝野国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、安全については、これは科学的、客観的に専門家の皆さんにできるだけ透明性を持って御確認をいただいているところでございます。

 その上で、まさに内閣を挙げて、その共通の認識を持った上で、地元の皆さんに御説明しなきゃいけないと思っておりますので、保安院や安全委員会等を経たプロセスについては、関係する諸大臣で認識を共有するというプロセスを踏んだ上で、地元の皆さんに御説明をさせていただこうと思っておりますので、御指摘を踏まえて、根拠に基づいて御説明をしようと思っております。

高市委員 安全性の判断は専門家にやっていただくのが当たり前で、反対に、四大臣にやっていただくとこれは大変心配です。皆様が原子力の専門家というわけではありませんからね。

 西川知事が国がはっきり示すべきだとした基幹電源であります原発の重要性というものについて、大臣はどうお考えでしょうか。

枝野国務大臣 今具体的に、大飯原発については安全性が確認をされるかどうかというプロセスの最終段階におります。まだ安全性は確認されておりません。

 私は今、安全性の確認について所管をする大臣であります。安全性が確認をされていない段階で、こんなに原発の再稼働は必要なんだ、重要なんだということをエネルギー需給の所管大臣として申し上げると、安全性の判断に際して、エネルギー需給の観点からの原発稼働の必要性に基づいて安全性の判断をしたのではないかと誤解を受ける可能性があります。

 したがって、できるだけ早く安全規制の所管大臣とエネルギー需給の所管大臣を分けていただく。最終的な形をどうするかはともかくとして、それだけでも早く決めていただきたいと思っているわけでございますが、私、そうした立場でございますので、安全確認がされるまで、安全が確認された原子力発電所の必要性、重要性については申し上げることはできません。

高市委員 大飯発電所以外の原子力プラントも含めて、たくさんあるわけですよ。これから順次、ストレステストの確認が終わっていく原子力プラントというのはたくさん出てくるでしょう。だから、大飯に限らず、基幹電源としての原子力発電の重要性ということについて、エネルギー政策を担当する大臣としても、もうずっと全ての再起動が終わるまではおっしゃらないということになりますか。安全確認が全ての原子力プラントについて終了するまで、おっしゃらないということになりますか。

枝野国務大臣 まず、三月十一日の事故を受けて、今再稼働について、より念には念を入れた安全確認をするというプロセスの最初のケースが最終段階に来ています。まず、この安全確認のプロセスが、エネルギー需給などの観点からの原発の必要性ということに影響されず、純粋に安全性の観点からしっかりとなされているという、実際にそうしているわけでありますが、そのことについて国民の皆さんに誤解なく理解をいただくことが大変重要であると思っております。

 ですから、まず、その最初のプロセスがまだ安全確認されていない段階では、なかなか申し上げにくいということを申し上げているところでございます。

高市委員 エネルギー基本計画の中での原子力発電の位置づけ、基本計画見直しということですけれども、それでも原子力発電というものについての位置づけや考え方もおっしゃれないということの意味が全く私にはわかりません。

 また、西川知事が、国みずからが原発の重要性ということについて示すべきだとおっしゃっている。この説明が、もう全く、福井県に対しても、その他の立地県に対してもできないということになりますか。

枝野国務大臣 まず、政府全体の見解として、大きな中長期的な方向として、原子力発電への依存度を最大限引き下げていく、これは政府の方針として明確にお示しをしているところでございます。

 それから、その上で、繰り返しになりますが、今三・一一を踏まえた、より慎重な安全確認、再起動に当たっての安全確認の最初のケースの最終局面を迎えているところでございまして、その結論が出るか出ないかというときに、エネルギー需給の観点から、安全性の判断に影響を与えているのではないかと誤解を招くようなことを申し上げるべきではないということを申し上げておりますので、もし、将来、ストレステスト等のプロセスを経て、科学的に安全確認ができましたら、その時点で、安全確認された原発についての意味、意義について申し上げたいと思います。

高市委員 つまり、そうすると、来週あたりに、まあ来週かどうかわかりませんが、三月中に、原子力安全委員会の、確認に対して一次評価を了承するといった旨の報告書が出たら、その後は、原子力発電というものの意義なり重要性について大臣はお語りになるということでよろしいんですか。

枝野国務大臣 独立性を持って議論をされている原子力安全委員会について、どういう報告書を提起いただくのか、予断を持って申し上げるわけにいきませんが、その内容次第によっては、そういったことが申し上げられる状況ができるかもしれません。

高市委員 では、今週は大変慎重に発言をなさらなきゃいけない週だということになりますね。

 西川知事が、同じく、国みずからがはっきり示すべきだとされた原発の安全性、今大臣もおっしゃいました、このことについて伺います。

 原子力安全委員会の班目委員長の御発言、たびたびマスコミでも取り上げられております。安全性評価には一次評価だけでは不十分だとか、安全評価には一次、二次が必要だと主張しておられる旨、新聞に掲載されております。こういう状況だと、大飯発電所の地元に対しても、安全性について国みずからがはっきり示すということが難しいことになってくるのかなと思うのです。

 つまり、最終的な再起動を判断されるのが枝野大臣だけだったらいいのですけれども、これは細野大臣も総理や官房長官も判断をする主体者でございますので、どうもこの安全委員会の委員長からのメッセージというものが、安全性ということに対する不安材料の一つになってしまっているのではないかな、こう思うのです。

 この班目委員長の指摘に対しては、四大臣でお話し合いをされたりしたことはありますでしょうか。何か四大臣としての一致したお考えというのはあるのでしょうか。

枝野国務大臣 そもそもが、ストレステストによって、念には念を入れた安全性を確認するというプロセスは、菅内閣において決めたプロセスでございます。

 その折の一次評価と二次評価の意味づけは、原子力発電所を再稼働するに当たって、福島の事故を踏まえ、福島のような予想を超える地震や津波があった場合でも、福島のような過酷事故に至らないということをストレステストの手法を使ってしっかりと確認する必要があるということで、一次評価を行うことによって、安全性をしっかりと再確認、念には念を入れて確認をした上でプロセスを進めるということを決め、同時に、せっかく、ストレステストという手法、これはEUが先行しておりますが、これに当たっては、その再稼働に当たって必要とされる安全性の再確認に加えて、三・一一のもう一つの教訓が、安全神話に陥ってはいけない、原子力発電所については本当に安全なのかということを、常に、念には念を入れてチェックをし続けることが重要である。

 そうした観点から、全ての原子力発電所において、安全神話に陥らず、あらゆる観点からこのストレステストを行うことによって、総体的に、どういったところが安全の観点からさらに補強を要するところであるのかということなどを把握して対応していこう、こういう趣旨での二次評価ということについても同時に決めたものでございますので、いわゆる再稼働問題に関連しては、一次評価によって十分な手順が踏まれている、踏めるのであるということは、まさにこの方針を決めた、プロセスを決めたときに共有をしていることでございまして、それは総理大臣がかわっても変わっておりません。

 班目委員長の御発言については、御発言の趣旨を私が解説する立場ではございませんし、逆に、立場上、してはいけない立場だと思いますが、私が承知をする限りでは、今の共有の認識に基づいて御発言をされているんだというふうに承知をしているところでございます。

高市委員 よくわかりました。だから、このたびの再起動の判断についてはストレステストの一次評価でということで、それが政府の、内閣の方針であるということで理解をいたしました。

 それで、福井県側はこのストレステストのほかに、原発事故を踏まえた暫定的な安全基準というものを求めていると理解をしております。これは、内閣の答弁書にございました冒頭に申し上げました四段階の手順のほかに、つまり、ストレステストの確認に加えて、何か別途の作業が必要になるといったものなんでしょうか。

枝野国務大臣 別途の作業というよりは、今、委員会で御配付をいただいた今後の規制に反映すべきと考えられる事項、三十項目、これに基づいて既に安全対策を、緊急のもの、中長期を要するもの、まさに新しい知見に基づく一種の規制に基づいて、各事業者にはこれの実施を既に求めていますし、幾つかのところは実施済みでございます。

 実施は中長期かかるものもあります。実施済みのもの、緊急対策として直ちにやれと言って実現されていることによって、福島のような事態に陥らないかどうかということを今ストレステストで確認しているということでございますので、この中で直ちにやらなきゃならないことがしっかりとなされ、なおかつ、そのことで福島のようなことにならないということが確認されているのかということを、ストレステストの一次評価で今確認作業をしているところでございます。

 なお、耐震バックチェックについては、これはもう今回の大飯の保安院の報告書の中にもありますが、地震の連動性について最終確認を要するような事項があるということはもともと付記されておりまして、これは間もなく、耐震バックチェックの結果、大飯についても何らかの一定の結論が出ると思っております。これは御承知のとおり、ストレステストは余裕度一・何倍という話でありますので、この一・何倍がどの程度小さくなるのか、もちろん一を切るようなことがあればだめだよねという話になるわけですが、それは最終的にそれとの突き合わせが必要であるかとは思っています。

高市委員 つまり、済みません、私自身が配付しました資料についてまで大臣から御説明をいただき感謝申し上げますけれども、委員の皆様のお手元に配付しております三十項目の対策なのですが、この内容の中で短期的に対応するべきものというのは、現在のストレステストの作業の中にももう含まれているということでよろしいんですね。

枝野国務大臣 正確に申しますと、これに基づいて対応したことの成果、結果を確認させていただいているということです。

高市委員 そうしますと、福井県知事が求めております暫定的な安全基準というのは、この三十項目の中の幾つかのものを数値化したものだということになりますか。

枝野国務大臣 福井県知事の御趣旨というものについては、安全委員会等の確認がもしとれましたら、さらにしっかりと真意をお尋ねした上で、それにきちっとお答えする形で御説明しなければいけないというふうに思っております。

 私どもの理解、趣旨としては、福島事故を受けて、その教訓を踏まえて、福島のようなことにならないようにという基準、必要な対策ということを決めて、それを事業者に実施させて、そして、それで福島のようなことにならないということを確認するという一連の作業をしておりますので、まさに知見を踏まえた新たな規制基準に基づいて対応がされていると思っておりますが、若干わかりにくいところがあるかと思っておりますので、これについては、よりわかりやすく明確に、こういうことが教訓であり、だからこういうふうなことをしていて、その結果、こういうふうに大丈夫なんですと、もし大丈夫だということに最終的になれば、もう一度きちっと整理をしてお示しをしなければいけないと思っています。

高市委員 今、整理をしてお示しをすると言われたのは、いわゆる暫定的安全基準というものを、また一つ、それだけでまとめておつくりになるということになるのでしょうか。いつまでに誰がそれをつくられるんですか。

枝野国務大臣 今御指摘いただいたものそのものを、私が、形式的にも実態的にも、これはまさに専門家でないとつくれませんので、保安院等の専門家ともきちっと相談しながら、実態としては、先ほど来申し上げているとおり、原発事故を踏まえて新たにやらなきゃならないことをきちっと決めて、それをやらせて、それによって安全度が高まっているということで進んでいると思っていますし、それを確認しているわけでありますから、そのことを、例えば福井県知事のおっしゃられている趣旨にきちっとわかりやすくお答えできるような整理をしなきゃならない。

 その中身については、まさに、場合によっては、もし安全委員会の確認が出たら、知事の御趣旨というものを改めてきちっと把握させていただいて対応しなきゃいけないんじゃないかというふうに思っています。

高市委員 一昨日の委員会で、西野委員もこの三十項目の対策について聞かれたんですけれども、時間の関係もあって、余り具体的にはお聞きになれなかったかと思うのです。大臣が、短期的なもの、それからまた中長期的に対応していくもの、さまざまこの三十項目に含まれている旨の御説明があったかと思うのですけれども、この中で短期的に対応しなきゃいけないものというのは、番号で言っていただいていいのですが、何番と何番と何番でしょうか。これは、きのうの夜通告をいたしましてお願いをしているんですが。

枝野国務大臣 例えば、このうちの対策の一から四は外部電源対策で、そもそも外部電源が落ちなければ、今度のことも、配電盤が水をかぶったという問題はありますけれども、事故の対応は相当違っていたと思います。ただ、外部電源の対策には、これは若干の時間がかかるということでございます。

 ただ、外部電源が万一喪失した場合であっても全電源喪失に至らない、つまり、電源を使っていろいろな対応ができるという状況は必ずつくらなきゃならないということでありますので、対策の五とか六とか七といったこと、そしてさらに対策の十も、一旦は落ちることがあってもすぐにバックアップ、外部電力ができるように、こうしたことについては緊急に対応しろということで、基本的には発電所ごとにこうしたことが順次既に実施をされている、特に五番とか七番については既に実施をされているというふうに承知していますし、これらの信頼性について、大飯原発についても確認をいただいているところでございます。

高市委員 また改めて、資料ででもお示しいただけたらと思います。

 それから、内閣府原子力安全委員会の専門部会が、三月十四日に、原子力発電所の安全基準となる耐震設計審査指針の改定案をまとめたと聞いております。名称も、地震・津波安全設計審査指針と改められて、発電所ごとの津波の想定高さが引き上げられるということが報道されています。

 津波の想定高さというものが引き上げられてしまいますと、ストレステストの余裕度は当然低下するということになるんじゃないかと思うのですが、ストレステストについて原子力安全・保安院が既に確認済みであります大飯発電所については、今回の内閣府側の指針改定というのは再起動判断の基準とか時期に影響を及ぼすんでしょうか。

枝野国務大臣 福島の事故の教訓を踏まえて、従来の想定津波高さではいけないのではないかということで、可能なところ、つまり、福島の知見を踏まえて、想定よりも高い津波を想定すべきであるということを合理的に評価できるところについては、それを取り込んだ形でストレステスト等を行う、余裕度を判断するということでやってきておりますので、基本的には大飯についてもそういったことでやれているというふうに思っております。

 ただ、一点、先ほど申しました耐震バックチェックで、地震の連動性の部分のところだけ、最終的に大丈夫だろうけれども、最終確認をしろということの作業をさせていますので、これによって若干地震や津波が大きくなる場合がゼロではない。ただ、そのことも踏まえた上で、耐震バックチェックの方の評価の状況というものをストレステストの基準となる基準値と突き合わせをするという作業はしなきゃいけないだろうと思っておりますが、それは全体のスケジュールに大きく影響を与えることなく、すぐ済むだろうと思っています。

高市委員 地震の連動性とおっしゃったことを少し御説明願えたらと思うんです。

 三月十四日に福井県おおい町の時岡町長が読売新聞のインタビューに答えられて、大飯原発近くにある活断層に関する話なんですけれども、三月二十八日に開かれる国の意見聴取会での専門家による検証結果が重要で、検証結果から原発への影響を数値で示してもらわない限り、再稼働の判断ができないと語っておられるんですね。

 そうしますと、原子力安全委員会が確認を終えて、了承したとしても、この三月二十八日に行われる意見聴取会で専門家の検証結果と原発への影響の数値化が終わってからの政治判断ということになるんでしょうか。

枝野国務大臣 原子力安全委員会によって、保安院のストレステストのチェック、確認のプロセスが適正であるのかをもし御確認いただけたら、そのときにその耐震バックチェックの専門家の皆さんの御議論の状況と突き合わせをします。二十八日まで待たないと判断ができないのか、それとも二十八日を待たずに判断ができる状況なのか、そのことは、これは専門的にやらないといけないところだと思っていますので、専門家に御評価をいただく、その突き合わせの作業をやります。

 ですから、遅くとも三月二十八日ということに、安全委員会の判断がそれより先であればということでありますが、そこのところはまだ決めていないというか、決まっていないというか、評価をしておりません。

高市委員 ここまでのところはまだ決まっていないことも随分あるようでございますけれども、できるだけ基準がわかるように、例えば、今後政権交代があったとしても、もしくは担当される各大臣の一部がかわられたとしても、一定の基準で、わかりやすい基準で、これから検査をする、また確認作業を受ける原子力プラントにも適用がなされるように、再考をお願いしたいなと思っております。特に、住民意思の判断についても、地元の範囲についても、もう一度御議論をいただけたらと希望いたします。

 野田内閣について私がかねがね残念に思っておりましたのは、何か困難な課題への理解を求めるような場合に、足を運んで、真摯に説明をして、お願いをするという誠意に欠けているんじゃないかと感じることがあったということです。

 例えば、普天間基地の移設問題に関しましても、野田総理が昨年秋に就任をされて、できるだけ早い時期に沖縄県に足を運んでいただきたいな、遅くとも年末までには出向いていただきたいなと思っておりましたけれども、それもそうはなりませんでした。今でしたら、東日本大震災によって発生しました瓦れきの全国各地での受け入れ、これも、各都道府県に文書を発出するといった方法は報道されているんですけれども、本気で協力を得たいのであれば、やはり昨年の段階からでも、各閣僚お忙しいでしょうが、土曜日、日曜日などを活用して、手分けをして出向いて、お願いや説明をするといったことがなされてもよかったんじゃないかなと思っております。

 ただ、今回、大飯も含めて順次再起動の判断をしなきゃいけないプラントについてなのですけれども、これも、ストレステスト一次評価の了承報告書という名前になるのでしょうか、こういったものが出ましたら、速やかに、少なくとも枝野大臣は地元に向かわれて、説明をしっかりしていただくということでよろしいですか。

枝野国務大臣 まさに最終局面なので、そうなったらという仮定の話でお答えしにくいんですが、しかし、まさに原子力発電所の安全性についての重要な問題でございますので、これについては私の方から説明をさせていただきたいと県知事の方にその段階で打診というかお願いをしたいと思っています。

高市委員 行っていただけるんだと思います。ただ、その場合にやはり必要なのが、しつこいようですが、さっき申し上げた地元の範囲なんですね。

 大臣のお体は一つですから、どことどこを訪問されるのか、誰と誰に説明をし、お願いをされるのか、ここのところはある程度事前に考えておいていただかないと、うちも地元だよとおっしゃるところも出てくるかもしれませんし、対象が福井県だけなのか、そうじゃなくて、プラントから何十キロ以内というような形で隣接県も含まれるのか、このあたりも非常に大事なポイントになってくると思います。

 枝野大臣が仮に訪問をされたとしましたら、そこではどんなことを説明されますか。

枝野国務大臣 もし安全委員会等のプロセスが全部済んでおれば、どう安全なのかということを私から御説明したいと思っています。というのは、もちろん安全を判断するのは専門家の皆さんでございます。しかし、今、原子力に対する国民の皆さんの見詰めている目からは、専門家だけではなくて、自分も安全なら安全と認識をしたいということだと思っております。

 したがって、保安院には、専門家ではない私や総理や、我々がわかるように、安全について確認ができたら説明をしろ、そのための準備をしろということを指示しておりまして、私自身が、なるほど、こういう手順でこういうことをやっているんだから安全なんだということが十分に腑に落ちなければ説明できないと思っていますので、逆に、自分が十分に腑に落ちた場合には、私が説明をすべき責任がある立場だと思っていますので、安全についてきちっと説明をしたい。

 その上での話は、先ほど、何分間か前の議論に戻ってしまいますが、安全が確認された上で、今度はエネルギーの需給を担当する大臣としての立場からのお話もそのときに、そういった状況になっていれば、させていただくことになろうと思っています。

高市委員 野田総理が、三月十一日の記者会見で、地元に入る際には政府を挙げて説明し、理解を得るということを行わなければならない、私もその先頭に立たなければいけないと発言をされました。

 この政府を挙げてということですけれども、少なくとも、再起動を判断される内閣総理大臣、内閣官房長官、官房長官はちょっと東京を離れにくいかもしれませんが、それから経済産業大臣、原発担当大臣、四大臣のうち最大三名の方々、もしくは副大臣が手分けをして回られるということで理解をしてよろしいですか。

枝野国務大臣 先ほど申しましたとおり、まずは福井県知事とそのあたりのところを御相談させていただきたい。私からは、そうした状況になれば、ぜひお伺いしたいと申し上げたいと思っていますが、その上で、どういう人間がどういうふうに御説明に上がるのが一番適切であるのかということ自体、地元の意向、まずは県の御意向というものと御相談をさせていただいた上で、そうした御意向を踏まえた上で、政務、事務を挙げて、一体となって対応していきたいというふうに思っています。

高市委員 菅内閣だった昨年の七月ですけれども、佐賀県の九州電力玄海原発につきまして、海江田経済産業大臣が足を運ばれ、また、玄海町長も前向きに判断をされた後に、菅総理がストレステストを持ち出して、結局、海江田大臣も地元町長もはしごを外されたような形になっておりますので、いずれ稼働するかもしれない、今後そういうお願いの作業をしなきゃいけない各地の原発についても、やはり不信感というのはかなり強いと思うんです、地元側に。

 ですから、総理が、私もその先頭に立たなければいけないとおっしゃっているんですから、この言葉もしっかりお守りをいただきまして、また、できるだけ多くの大臣や副大臣で誠意を見せるということ、これはしっかりやっていただきたいと私は思います。

 特に、地元というところの範囲がまだ定かではないという先ほどの御答弁ですので、説明に行かなきゃいけない対象地が物すごくふえる可能性もありますので、このあたりの体制も、原子力安全委員会の判断を待ってということなんでしょうけれども、早目に四閣僚で御議論をいただきたいと思います。

 それでは、枝野大臣に、原発に関してもう一つ伺っておきます。

 仮に、ことしの夏に向けて既にストレステストの評価を終えた原発の再起動というものが実現した場合に、来年以降の定期検査後もことしと同じようなプロセスを踏まなきゃいけないのかどうかということを伺います。

枝野国務大臣 ここは、昨年の夏、原子力規制庁がつくられるということを前提にせず、現在のプロセスを決めたところでございます。

 今、国会の方に原子力規制庁の創設についてお願いをしているところでございますが、原子力規制庁を発足させていただける折には、規制庁が新たにできて、従来の保安院とは違うということを前提にして、どういう手順で安全性を確認するのか。安全性の確認は、逆に言うと、今度は規制庁においてしっかりとやっていける体制になりますが、その後の政治的プロセスを含めて、どういうやり方がいいのか、発足の段階までに、逆にこれも四大臣できちっと相談をして、方針を決めたいと思っております。

高市委員 つまり、規制庁が発足した後は、定期検査でとまった原発の再起動のプロセスについては、今と全然違うものになるかもしれないし、今と同じようなものになるかもしれないし、ことしと全く同じように四段階を踏まなきゃいけないのかもしれないし、まだ全く不明ということでよろしいですね。

枝野国務大臣 規制庁の発足後の規制庁における安全確認手順については、規制庁ができた後は、むしろエネルギー需給担当大臣、需給について責任を持つ担当大臣の方が残る立場から、余り踏み込んだことを申し上げるべきではないんだろうと思いますが、その一方で、これは二次評価がどれぐらい進むのかなどとも全部絡んでくるんだと思います。

 二次評価を全ての稼働中の原発がきちっとやっているということであれば、二次評価を何年置きにやるとかということは規制庁で今後決めていくんだろうと思いますが、ただ、二次評価も一次評価も全くないままでの安全性確認については、昨年の夏に、再稼働に当たっては一次評価が必要だというところまで決めているので、規制庁ができたから一次評価も二次評価ももうどっちも要らないということには、これは常識的にはならないんじゃないだろうかなというふうには思っております。

高市委員 わかりました。

 きょう、環境省から、高山政務官、お見えいただいております。除染について伺いたいのです。

 去る二月二十八日の衆議院予算委員会で、除染事業のあり方について細野担当大臣に質問をいたしました。そのときに、ちょうど衆議院で平成二十四年度の予算案の審議中でございました。放射性物質により汚染された土壌等の除染の実施のために合計四千五百十三億円が計上されています。予算委員会で私が、これからの三年間で、福島県の数字だけで結構なんですが、除染関連費用というのは大体幾らぐらいかかると見積もっておられますか、こう伺ったんですね。これに対して細野大臣の御答弁は、今年度の補正予算と来年度の当初予算、そしてその次の年におよそこれぐらいということで、現段階で確保できている予算で一兆一千数百億円、そういう金額になりますというものだったんですね。

 正確にお答えいただけたらと思うのですが、細野大臣がおっしゃった、今年度の補正予算はともかく、来年度の当初予算、確保できている金額として挙げられたのですが、来年度の当初予算は参議院で審議中でまだ成立しておりませんし、その次の年の予算、平成二十五年度、これは編成さえされていないはずだと思うのですけれども、細野大臣がおっしゃった現段階で確保できている予算という表現、これで正しいのでしょうか。

高山大臣政務官 高市委員にお答えいたします。

 予算に関しましては、二十四年度はまだ審議中ではございますけれども、仮にこれが成立させていただいたらということで大臣の方からもお答えさせていただいたもので、それは四千五百十三億円ということだと思います。

 そして、来年といいますか、その後の二十五年度分ということでございますけれども、これも二千三百八億円分の国庫債務負担行為ということで今お願いをしているということで、こちらはまだ確保されているというわけではございません。

 ただ、総額、今一兆一千億円を超える額が確保されているということで答弁をさせていただいたということでございます。

高市委員 四千五百十三億円と二千三百八億円では一兆一千数百億円にはならないと思うんですが、もう少し詳しく教えてください。

高山大臣政務官 失礼いたしました。

 まず、もう既に確保されております復旧復興の予備費と、あと三次補正予算、これを合わせまして四千六百四十億円を確保しております。そしてそこに、これはまだ審議をいただいている途中ですが、二十四年度の当初予算ということで四千五百十三億円ということで御答弁をさせていただきました。

高市委員 では、現段階で確保できているという言い方については改めていただけたらと思います。まだ成立していないものも含まれますし、来年度のものも含まれるので。では、見積もっている、それぐらいそろばんをはじいているということですね。

 念のため確認したいのですけれども、大臣が示された一兆一千数百億円という金額なんですが、私は、福島県の数字だけで結構なんですがと言いながら伺ったのですが、これは福島県の除染だけを対象にしたのか、それとも除染の対象とされる八つの県全ての分も含まれるのか、どちらですか。

高山大臣政務官 この一兆一千億超えという数字は、全ての、日本じゅうの県を含む数字でございます。

高市委員 予算委員会での質疑ですので、少しその辺は正確に、慎重にお答えいただきたいと思います。大臣にはそうお伝えください。私が聞いたのは福島県の金額で、これから三年間ということでの見積もりを聞きました。

 ただ、私の質問の意図というのは、必要な金額として幾らぐらいなのかということで、大臣の答え方としては、確保できている予算という言い方で、これが食い違ってしまったのですけれども、当然必要だ、しかも、消化できる予算として、さっきの一兆一千数百億円が八つの県全部のこれから三年間で必要な金額ということで間違いないですね。

高山大臣政務官 この一兆一千億円というのは最低限必要な金額ということで、まだこの先必要額がふえるという可能性も否定はできません。

高市委員 確かに、これから三年間といいますと、各地域で除染そのものをして、そこで発生した除去土壌ですとか廃棄物などを仮置き場に運んで、そしてまたそれを収納する容器代も入ります。そこで安全に保管をして、そしてまた三年の間に中間貯蔵施設もつくらなきゃいけない。用地も確保して中間貯蔵施設も建設しなきゃいけない。さらには、徐々にそこに運んでいく運搬費も必要ですから、もしかしたら、さっきおっしゃった金額よりも大きくなる可能性というのは否めないと思います。

 この莫大なお金なのですけれども、その費用負担は誰がするのですかということも予算委員会で伺いましたら、細野大臣は、法律の中でも、それについては東京電力に求償するという形になっておりますので、そのことは最終的にしっかりと政府として確保しなければならない、こう答弁をされました。

 東京電力が負担する金額ということになりますと、除染事業費用だけじゃなくて、原発事故によって移転を余儀なくされた方々、事業を続けられなくなった方々、風評被害を受けていらっしゃる方々、各地、各産業の方々と多岐にわたってしまいますね。ですから、本当に天文学的な数字になるのじゃないかという感じを持っているのです。

 枝野大臣は、エネルギー政策の所管大臣といたしまして、東京電力が数十年間に及ぶかもしれない除染関連の莫大な費用を負担しながら電力事業者として存続すること、これは現実問題として可能だと思われますか。

枝野国務大臣 正確に申し上げると、除染費用のうち、原発事故と相当因果関係の範囲にあるものについては東京電力に対して求償するべきだろうというふうに思っております。つまり、これは、被害者の皆さんに対する賠償等と同じように、相当因果関係の範囲にある損害についての原状回復の費用ということになりますので。ただ、それにしても相当な金額になるだろうということは、現時点でも想定ができるところでございます。

 したがって、東京電力が電力供給者としてしっかりとした電力供給を継続するという観点から、原子力損害賠償支援機構法を国会でお認めいただきまして、賠償費用と同様に、除染の費用のうち相当因果関係のある部分については、必要な資金交付を行って、東京電力の他の財務と事実上別建てにして、今、一旦国がお金を出して除染をしているということで、国が求償するわけですが、国が求償するに当たって、東電の方の資金力がなくて電力供給ができなくなるということにはならないように、今度は逆にそちらの求償に応じて、支払う賠償について資金交付をして、しっかりと、電力供給に問題を及ぼさない範囲で、時間をかけて国に返していただく、こういうスキームをつくっているところでございます。

 今後の除染費用がどの程度大きくなるのかということの見通しの中で、今後もこうした状況については不断に見直していく必要はあるだろうと思っております。

高市委員 どうもありがとうございます。

 とにかく、きょうは、原子力発電所再起動に向けての判断基準ということで順次聞かせていただきましたけれども、余りにも四大臣による政治的な判断という部分が曖昧に思えました。対象となる地域も明らかではないということでございます。

 そのときそのときの短期的なマスコミ世論ですとか、こういったものに振り回されながら政治判断が変わっていくということでは、現在ストレステストを終えた十六基ものプラントについて、今後どうやって判断していくんだということが不安になりますので、しっかりと早期に四大臣で話し合っていただいて、明確なものにしていただくことを求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、吉井英勝。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、ちょうど三・一一から一年になりますから、いろいろな方面で今検証がされておりますけれども、最初に、まず班目委員長に、水素爆発にかかわって、基礎的なところから御質問をしておきたいと思うんです。

 まず、水素爆発なんですが、そもそも水素は、どこで、どういう反応によって発生したのか、これを伺っておきたいと思うんです。

班目参考人 既に炉心のメルトダウンというのが起こっている状況でございますので、高温になった被覆管、ジルカロイでできてございますが、これと水とが反応して、化学反応で生じたものだというふうに承知してございます。

吉井委員 圧力容器の中で発生した水素が、それでは、どこからどうして建屋の方に出ていったのかということですね。どこかから出ないことにはたまらないわけですから、どういうふうにお考えですか。

班目参考人 まず、圧力容器から格納容器まではいろいろな経路から出ているというのは明らかでございます。

 それで、格納容器から建屋への経路でございますが、例えば格納容器のトップフランジのシール部からの漏えいですとか、あるいはベローズシールからの漏えいも考えられます。特に四号機の爆発に関しては、三号機のベント配管からSGTS、非常用ガス処理系の配管を通じて逆流したのではないかということが確認されてございますので、そういう経路もあるということでございます。

 したがって、特に三号機の爆発の水素がどのように建屋に充満したかについては、まだきちっとした検証は終わっていないというふうに理解してございます。

吉井委員 いずれにしても、漏れないことには上にたまらないわけですよ。

 要するに、水素というのは他の分子に比べて分子直径も小さいわけですから、少しのすき間でも漏れやすいわけですね。そうすると、これは溶接部分などで腐食が進行しているところに、巨大な地震動が来て、その力でその部分が割れてしまって漏れる条件が生まれたのか。あるいは、ガスケットの材質が劣化して、Oリングの場合、テフロン関係ですと二百度Cの温度でもだめになりますし、メタルガスケットで圧力で潰すような形でやっても七百度の高温になりますとだめになりますから、ですから、ガスケットの材質が劣化してすき間ができたのか。燃料溶融などで圧力容器の温度が上がって、高圧高温の条件のもとでフランジやガスケットの部分にひずみが生まれてシール機能を失ってしまったということになるのか。

 つまり、巨大な地震動でこうなったのか、高温によるものか、高圧によるものか。どういう理由で水素の漏れ出すすき間が生まれたのか、これを班目委員長に伺っておきたいと思います。

班目参考人 この件に関しましては、保安院の方の意見聴取会等でも技術的検証が現在なされている最中だというふうに認識してございます。

 そういう意味では、まだ確定的なことは言えない段階だとは思いますけれども、可能性としては、やはりガスケット部分が高温高圧にさらされてリークしたというパスがもちろん考えられます。ただ、例えば四号機みたいなベント配管からの逆流みたいなものはまた別にあるというふうに理解してございます。

吉井委員 一カ月前の予算委員会で枝野大臣に伺ったときに、私は地震による可能性も考えなきゃいけないということでまだ結論は出ていないんだということを言いましたが、今のように、要するに、まだ究明中なんですよ、その段階で地震によるものではないというふうに決めつけてしまうことはできないということ、これは大臣も、その可能性を含めて究明しなきゃいけないという立場には立っていらっしゃいますね。

枝野国務大臣 今、技術的なやりとりですのでどこまで立ち入っていいのかどうか、よくわからないところはあるんですが、今やりとりをされていたのは、それぞれの原子炉が燃料が溶融するような状況になって、通常時では考えられないような圧力や高温になった中でどうなったのかというお話ではないかというふうにお聞きをしておりました。

 私が先日の予算委員会で申し上げたのは、全電源喪失になった、この原因は津波である、その全電源喪失、津波を受ける前の段階、つまり地震だけの状況のときには、さまざまなデータ等からもその段階で安全性を損なうような事態には陥っていなかったということを、これは保安院の検証においても、それから政府事故調の中間報告においてもそういう御認識であるというふうに承知をしているということを申し上げているものでございます。

吉井委員 全電源喪失というのは津波だけじゃないんです。まず、外部からの受電機器が全部やられちゃって、鉄塔も倒壊して、外部電源喪失があったから。仮に津波で被害を受けたとしても、外部電源が生きておれば全電源喪失にはなっていないんです。ですから、何か津波が全ての原因であるかのような発想というのは、これはまず正確じゃないんです。

 それから、今、班目委員長とやりとりしておりましたのは、単なる技術的な話じゃないんです。やはり、どこかから漏れなきゃ建屋の上部に行かないわけですよ。それは地震動によって溶接の弱い部分に亀裂が生じたものによるのか、圧力容器の方は当然高温高圧になるわけですけれども、その結果としてフランジその他の材質がだめになったのかとか、これは技術的な要素はあるにしても、まだ検証中なんですよ。中にも入れない、調べることもできないというところですから、決めつけたことは言わない方がいいということを申し上げておきたいと思います。

 次に、保安院長に伺っておきます。

 実は、一九九三年のころになりますが、原子力学会誌でも軽水炉のシビアアクシデント研究の現状というのが紹介されました。

 その中で、日本原子力研究所の藤城さんなどが、水素爆発の実験も行って、炉心溶融やデブリの形成などのシビアアクシデントのときの物理現象というのを紹介していたと思うんですが、水素爆発というのは最近の話じゃなくて、もう二十年も前から、アメリカではもっと古いですけれども、やってきて、この業界では常識の話だと思うんですが、どうなんですか。

深野政府参考人 お答えいたします。

 今、先生が御指摘になられたもの、直接かどうかはちょっとあれでございますけれども、確かに、一九八七年ごろから二〇〇二年ぐらいまでにかけて、このシビアアクシデント対策ということについては、当時の原子力発電技術機構などを中心にかなり行われていたのは御指摘のとおりでございます。

 その中で、シビアアクシデントのときの水素の挙動とか、あるいは今話題になっておりました格納容器貫通部の温度、圧力に対する耐性とか、あるいはデブリの、溶融した燃料の挙動といったことについても研究をしていたことは事実でございます。

吉井委員 実は、これは内田さんが委員長のときですけれども、これは班目委員長に伺っておきたいんですが、一九九二年五月二十八日に、原子力安全委員会として決定を出しているんですね。

 その中で、当然、ガスケットの材質とか構造とか、地震によりどのようなメカニズムで外へ漏れ出すかということとか、温度、圧力の上昇によってどのように漏れ出すかというふうなことは、当然、当時から考えられておったわけなんですが、問題は、そのときに、例えば窒素を封入して窒素と水素雰囲気にしたつもりでも、外部へ漏れてしまったら、これは爆発性ガスですから、まず混合比が爆発限界に入らないということを考えるとともに、この問題が議論されたときから、東京電力は当然のことなんですが、原子力安全委員会としても、東電などにやはり指示をする、そういう決定が本来必要だったんじゃないかと思うんですが、原子力安全委員会としてはどういう指示を出したんですか。

班目参考人 御承知のとおり、この水素問題だけではなくて、このシビアアクシデント対策としては、アクシデントマネジメントというのを事業者がしっかりやるようにという決定をしてございます。これが平成四年でございます。

 その中で、このシビアアクシデントのアクシデントマネジメントは事業者が自主的にしっかりやるようにというふうに決定してしまっております。この件に関しましては、今回の事故発災以前から見直すことを安全委員会として始めていたところでございますけれども、残念ながら間に合わなかった、このことについては深く反省してございます。

 現在は、このシビアアクシデント対策というのは、法令要求化すべく、その内容について検討するように、安全委員会としても、基本的な考え方を取りまとめ、決定しているという状況でございます。

吉井委員 実は、これは原発だけじゃなしに、六、七〇年代に全国各地にコンビナートがつくられていったときに、石油化学工場でも大きな問題になっていて、通常、水素が発生すると非常に危険が生まれますから、水素対策というのは常識になっていたんですね。格納容器の中に水素が発生していても、窒素ガスで満たしてあれば大丈夫というふうな発想はだめだというのは、それでは不十分だというのは、いわゆる水素屋さんと呼ばれるエンジニアの間では常識なんですね。

 この水素、窒素の混合ガスでも、空気中に漏れ出しますと爆発性ですから、だから大気と接するところには逆火防止器の水素ガス対策のものをきちんと設置するとか、あるいは原発建屋の場合には、最頂部に、水素は軽いですから上へ行きますから、水素だけベントする装置を設けて、要するに、常時水素がたまらない構造にしておくということが当たり前のことではないかと思うんですが、これは、保安院長、どうなんですか。

深野政府参考人 産業保安、例えばコンビナートなどにおける水素の取り扱いでございますけれども、基本は、今御指摘のとおり、水素が滞留しない、滞留防止措置をきちんととるというのがルール化されておりまして、コンビナート等保安規則におきまして、そういう滞留がしないような構造とする、そういう義務づけを課しているところでございます。

 また、滞留するおそれがあるようなところについては、応急措置に必要な不活性ガスの常時保有なども義務づけられているというふうに承知をしております。

吉井委員 不活性ガスで封入しても、外へ漏れたら、水素と酸素の関係で爆発限界に達したら爆発するわけですよ。ですから、この対策を厳しくとれということがこれまでからの、この分野でやってきた人たちの問題なんです。水素を排気筒から抜くか、それとも建屋上部に排気施設を設けるかすれば、もともと水素問題は解決するんですが、いろいろな原子力関係の学会誌等で紹介をやっても、自分の会社や自分が規制を担当する問題としてそれを考えてこなかったというのが問題だと思うんですよ。

 私は、そういうふうな企業や政府に、そもそも原発を扱う資格はあるのか、これはストレステストや再稼働以前の問題じゃないかというふうに考えなきゃいけないと思うんです。

 水素爆発のために、水素濃度を低減させる静的触媒式水素再結合装置をつけているもの、あるいは水素ベント装置を設置して、常時、水素爆発対策をとっている原発というのが国内の原発の中でありますか。

深野政府参考人 今御指摘のございました静的結合装置でございますけれども、これについては、今回の事故を踏まえまして、中長期対策として、それぞれ施設に設置をするということで今進めている状況でございます。今現在、まだ設置がされているものはないということでございます。

 それから、建屋のベントでございます。建屋の中に滞留した場合に外に放出をする措置でございますけれども、これにつきましては、建屋にベントがついているものは今現在はまだない、これも対策として、今これから進めるところでございます。

吉井委員 原発事故というのは、いつ、どういうふうに起こるかというのは、そもそも地震や津波はいつ起こるかがわからないのと同じように、わからないんですよ。しかし、きょう起こった場合に水素爆発を起こさせないということが必要なんですから、そういう点では、関西電力大飯原発、美浜原発、高浜原発で水素爆発対策は終わっていない、まだできていない。資料を見ておりますと、次の定期点検のときに考えようかということのようですが、ストレステストの中には、全電源対策もあれば水素爆発対策もあるわけですね。

 そうすると、これは再稼働の前に必要な水素対策としての静的触媒式水素再結合装置も逆火防止器の取りつけもない、建屋最頂部に、水素を常時大気中に放散させる水素ベントもない状態というのは、班目委員長、これはそもそもストレステストの名に値するんですか。

班目参考人 ストレステストと俗に言われていますけれども、原子力安全委員会としては、総合的安全評価をぜひしてくださいと要請しているところでございます。

 これに対して、一次評価と二次評価を順番に行いますという回答が保安院から来て、現在、一次評価について我々の方で確認中でございます。

 一次評価の段階では、シビアアクシデントの発生防止といいますか、水素がそもそも発生するまでの対策がどこまで行われているかをしっかり見て、それ以上は二次評価の方でやりますと言われていますので、安全委員会としては、二次評価が出てくるのを待っているという状況でございます。

吉井委員 総合的にお考えになるということで、水素は二次評価の方でやるんだというお話なんですが、そうすると、一次評価にかかわって、経産省から資料をいただいておりますが、二〇一〇年四月二十八日に、原子力安全・保安院は大飯原発一号機の核燃料から放射性物質が漏えいした問題について報告書を出しておられて、いただきました。

 この事故というのは、実は地震がないときなんですよ。地震と関係なく、中性子の照射によって支持格子の核燃料棒の支持力が弱くなって、また中性子照射で核燃料棒が少し曲がってきますから、それによってすき間ができて、そこへ冷却水が流れますから、振動が起こって、摩耗が発生して、ついに燃料被覆管が、肉厚がただ減肉するだけじゃなくて穴があいてしまった、だから放射性物質の漏れが生じたというものなんです。

 実は原発というのは、定期点検直後は何とかオーケーだということにしておっても、十三カ月運転している終わりの方になれば、随分摩耗が進んでくるものが出てくるわけですね。そうすると、そういう摩耗した老朽化原発の核燃料が多数存在しているところへ今回のような巨大な地震が直撃した場合、大規模な損傷というものをやはり考えなきゃいけないと思うんですが、ストレステストでは、コンピューター解析だけでなく、被覆管の減肉が進んだものの実証実験というものは行っていないと思うんです。これは保安院長の方に確認しておきます。

深野政府参考人 御指摘のとおり、燃料集合体そのものについての振動実験というのは、今回のストレステストにおいては実施はしておりません。

 ただ、燃料集合体につきまして、ではどのぐらいの地震力に耐えるかということは計算上評価をしておりますけれども、これによれば、耐震上の裕度は当初想定している基準地震動の二倍以上ということでございますので、相当の余裕があるということについては確認をしているということでございます。

吉井委員 今のお話というのは、燃料被覆管の減肉が進んでいないときの健全な状態での解析なんですよ。問題は、減肉がもっと進んだ中でどうなのかということが今問われているときだと思うんです。

 それで、さきに紹介しました原子力学会誌でも紹介されているんですが、炉心溶融の道筋として、BWRでは、全電源喪失と水蒸気爆発、水素爆発が続いて発生する問題なんかを非常に重視しております。一方、西日本に多いPWRの場合、全電源喪失に加えて、冷却材喪失、LOCAですね、それから蒸気発生器、SGの伝熱管ギロチン破断事故が重要になるということを挙げています。実は、一九九一年の二月の九日の美浜原発二号機の事故というのは、まさにこの蒸気発生器細管、蒸気発生器の部分でのギロチン破断だったんですね。

 巨大地震の力で地震動のときに蒸気発生器の健全性が保たれるかと、ぴかぴかの実験を、たしか内田さんか誰かが三菱重工に装置をつくらせて、三菱重工で国の補助金で実験をやって、健全性ありというデータを出したのは私も知っておりますが、実際に老朽化したものについての蒸気発生器の健全性が保たれているかどうかの実証実験とコンピューター解析を突き合わせた、そういうものはありますか。

深野政府参考人 蒸気発生器の細管につきまして、使用によって劣化が進んだ、そういう状態での、実際にそれを揺すってみてということはやっておりませんので、それを比較したものはございません。

 ただ、美浜の二号機の事故につきましては、これは三千三百本ほどあります熱交換器の細管につきまして、揺れを抑えるための揺れどめ金具というのが入っていたわけでございますが、その金具の入り方が非常に不適切だった、そういう事情がございまして、高サイクル疲労を起こして、そのうち一本が破断をした、そういうものだというふうに承知をしてございます。これにつきましては、こういうことが起こらないように、検査等できちんと確認をする等の再発防止策をとっているというのが現状でございます。

 また、この蒸気発生器の細管につきましては、一・八倍を超える十分な耐震裕度があるということについては確認をしているところでございます。

吉井委員 実は、それはもともとNRCで先に、アメリカの原発でギロチン破断をやって、実証実験の中で三つの要因ということを挙げた中の一つを今おっしゃったんですが、これは使っているときの減肉によっての問題とかいろいろあるからこそ、ちょっと危ないなというものはあらかじめ施栓、栓をしてとめてしまっているんですね。そういう状況にあるというのは今の現実の問題ですから、何かうまいこと対策をとっているように思ったら、これはとんでもない話だと思うんです。

 二〇一〇年の四月二十七日の保安院の発表で、伊方原発のディーゼル発電機の冷却系配管で海水が漏れるという事故、これも報告書をいただきました。

 実は、これも地震の発生していないときなんですね。そのときに海水が漏れたという話なんですが、仮に巨大地震の直撃で今回の福島のように外部電源が皆やられてしまった、津波は来ないんだけれども、そのときにDGの燃料配管や冷却水配管の腐食減肉したものが破損してしまったら、つまり、DGを冷却する海水がとれなかったら、もう焼け切れてしまいますから使えないんですよ。そういう場合には、別に津波がなくても全電源喪失になってしまうんですね。

 その可能性について、やはりきちんとDGの燃料配管や冷却水配管の古くなったものについて、コンピューター解析と振動台などを使った実証実験のデータを突き合わせるということは必要だと思うんですが、これはやっていませんね。

深野政府参考人 DGも含めて、補機冷却系の海水による冷却のための配管についての話だと思いますけれども、これについては、やはり御指摘のように、使用後の状態での振動実験というのは実施をしておりません。

吉井委員 そこで、班目委員長に伺っておきたいんです。

 実は、二〇〇一年の十一月十三日に、予算委員会でしたけれども、松浦祥次郎元原子力安全委員長が私の質問に答えて、耐震信頼性試験は行っているが、老朽化した原発の実証試験は行っていないと答弁しているんです。今に至るも、老朽化原発の実証試験はないんです。

 今回のストレステストでも、実証実験に裏づけられたコンピューター解析というのはないと思うんですが、そういうものでストレステスト、一次評価で合格だということになりますか。

班目参考人 原子力安全委員会の方からお願いしている総合的安全評価においては、最も厳しい運転状態で評価してくださいというふうなお願いをしてございます。

 この最も厳しい運転状態というものの中には、そういう高経年化の影響等々も当然入っているものだというふうに我々は理解してございます。

吉井委員 枝野大臣、若干技術的な話もあったかもしれないわけですけれども、やはり技術的、科学的、客観的に、今までストレステストと称してやられてきたものがまともなものだと言えるのかどうか。班目委員長は、お立場上仕方がないから総合的という言葉を何回か繰り返しさっきから言うてはるわけですけれども、総合的も何も、そもそもストレステストというものはきちんとやらないと評価のしようがないんじゃないですか。

 だから、この際、まともなストレステストをきちんとやり切らせるべきだ、やり直しをさせるべきだ。そうでなきゃ、実際、今回のような巨大地震が来たときに、あれを上回るものを想定しと言うんだけれども、想定しようにも、実証実験もやっていないわけですから、だから、福島規模よりもっと小さいものでもだめになるかもしれないし、わからないんですよ。やはり、もう少し科学的根拠を持った実証実験を踏まえてストレステストというものをきちんとやらせるべきじゃありませんか。

枝野国務大臣 今のお尋ねが、ストレステストを行うに当たって、実証実験に基づいてシミュレーションをかけなきゃいけないという趣旨であるとすれば、必要なところについて実証実験がなされているのか、実証実験がなされていないところについては、シミュレーションだけで十分な評価ができるのか、これについては改めてしっかりと保安院に確認したいと思います。

吉井委員 現実にはそういう状態なんですよ。保安院に確認しても、振動実験をやろうにも、小泉さんの終わりのころに、そもそも大型振動台、世界一の規模のものを売り飛ばしてしまったものですから、実験のやりようがないというのが実態なんです。

 コンピューター解析というのは係数と初期条件とか幾つかの条件を入れた方程式を立てて解析するだけですから、それが本当に裏づけのあるものかどうかというのは実証値と突き合わせながらやらないことにはわからないんですが、できないというのが実態だということをよく踏まえて、そういう点では、かなり厳しい、しかも科学的で、技術的にも客観的にもきちんと根拠のあるストレステストをやり直しさせるべきだというふうに思います。

 次に、関西電力大飯原発で福島原発と同じ規模の事故が発生した場合に、当然二十キロ圏内の人口、三十キロ圏内の人口についてはちゃんと逃げてもらうことを考えなきゃいけないと思うんですね。

 時間が来ていますから、保安院長への質問をちょっと省略して、私が聞いたことを言いますと、二十キロ圏内で二十三万七千四百十二人、三十キロ圏内で四十七万四千五百四十九人。現在、福島原発事故を受けて避難対策は当然検討しなきゃいけないわけですが、かつてチェルノブイリ原発事故のときは、プリピャチの町に延べ千二百台のバスを送って、翌日には町に住んでいた全員を避難させているんですね。沃素剤の投与も行っているんですね。しかし、それでも事故対応に当たった高濃度大量被曝の人はもとより、内部被曝や低線量長期被曝による多数の被害者を出しているんです。

 ですから、枝野大臣に、政府は、大飯原発周辺でどういう避難対策をまとめているのかを伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 現在の防災指針においては、八から十キロの防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲が定められております。

 これについては、各自治体が避難の計画を含む防災計画を策定しておりまして、大飯原発については、おおい町、高浜町、小浜市が策定をしているところでございまして、公共輸送機関、自衛隊等による避難を行う、あるいは状況に応じて警察官の交通誘導に従って住民の自家用車により移動すること、自力で避難できない住民については消防に対して病院等への輸送を依頼すること等の計画が立てられているところでございます。

 今般、原子力安全委員会から、緊急時防護措置を準備する区域としておおむね三十キロ圏などの考え方が示されたところでございまして、こうした考え方に基づいて、県の防災計画の中で緊急時防護措置を準備する区域の範囲を具体化させ、その範囲に含まれる市町村においても、避難の計画を含む地域防災計画を見直していく必要があろうというふうに考えております。

吉井委員 要するに、全部地域へ、地方へ丸投げなんですよ。

 チェルノブイリのときは、地震のないときなんです。千二百台、それでもつけて、全員避難をさせたわけですけれども、地震の状況を想定して、日本は地震国ですから、どういうふうに避難対策をとるのかということをきちんとやっておかないと、福島事故前と今じゃ違うと思うんですよ。私は、政府としてやはりそのことを深刻に受けとめて考えるべきだと思うんです。

 次に、班目委員長にもう一問伺っておきます。

 話は飛びますけれども、もともと冷温停止というのは、これは核燃料が被覆管に包まれて、放射性物質が漏れない状況で、一気圧、百度C以下なんですね。核燃料も、核分裂によって生じた放射性物質も、制御棒も、被覆管も、みんな溶けてしまった。デブリがどこにそもそも存在するかがわからない。それで、冷却水温度も測定器が狂っておったりして不確かで、放射能は依然として出ている状態で、班目委員長、これは通常の定義でいう冷温停止に当たるとは考えられないんじゃないですか。

班目参考人 いわゆる普通の意味での冷温停止でない、これは明らかでございます。冷温停止というのは、要するに、圧力容器のふたがあけられる、それで水の沸騰等が起こらない状態でございますから。

 しかしながら、現在、保安院の方で使っている言葉は冷温停止状態というもので、低温停止とはちょっと違うものだというふうにこちらとしては認識してございます。

吉井委員 もう時間が参りましたから締めくくりますが、要するに、冷温停止状態というかなり無理な表現をとっているんですよ。冷温停止という定義とは違うものを状態と言って、無理やり事故収束宣言だということを政府としてはやったんです。

 そして、再稼働についても、きょう見てまいりましたように、実際に、ストレステストといったって、振動台を使った振動実験の実証値に裏づけられたコンピューター解析はないんです。そして、二次テストのときにという話なんですが、水素爆発についての対策というのは、こんなものは、もうアメリカじゃ三十年前、日本でも二十年前には問題になってきたんですよ。しかしいまだに、まだどの原発もないんですよ。

 そんな状態で再稼働を考えるなどということは論外だということを申し上げて、時間が来たという札が来ましたので質問を終わります。

     ――――◇―――――

中山委員長 次に、内閣提出、自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。枝野経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

枝野国務大臣 自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 刑法の特例として法律に基づき実施されている競輪及び小型自動車競走は、これらの売り上げを通じて機械事業の振興や公益の増進に寄与するとともに、地方財政の健全化を図るためのものであり、高い社会的意義を有しております。しかしながら、近年、その売上額は継続的に減少し、施行者の事業収支は悪化しております。

 このような状況において、競輪及び小型自動車競走の事業を今後も持続可能なものとするため、交付金制度の改革を行うとともに、事業規制の見直しにより施行者の事業運営の自主性及び自由度を高めるなど、事業運営及び経営の改善に資するための環境整備を行うことが必要であります。

 以上が、本法律案を提案した理由であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、施行者が振興法人に交付すべき交付金の率を定めた別表第一及び別表第二における交付金の率を引き下げるとともに、競輪または小型自動車競走の事業の赤字が確定した施行者に赤字相当額の交付金を還付することにより、施行者の交付金負担を軽減することであります。

 第二に、的中者に対する払い戻し率の下限を七五%から七〇%に引き下げ、施行者の自主的判断で払い戻し率を設定し得る範囲を拡大するとともに、年間開催回数の下限規制等を廃止し、施行者の事業運営の自由度を高めることであります。

 第三に、競輪及び小型自動車競走の活性化のため、関係者が連携、共同して活性化策を検討、実施するように努めるものとするとともに、経済産業大臣が必要な助言を行うことができるものとすることであります。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時四十二分散会


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