衆議院

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第12号 平成24年8月3日(金曜日)

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平成二十四年八月三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中山 義活君

   理事 石関 貴史君 理事 川口  博君

   理事 近藤 洋介君 理事 田嶋  要君

   理事 梶山 弘志君 理事 菅原 一秀君

   理事 高松 和夫君 理事 佐藤 茂樹君

      井戸まさえ君    打越あかし君

      大西 健介君    大畠 章宏君

      北神 圭朗君    櫛渕 万里君

      柴橋 正直君    高野  守君

      仁木 博文君    花咲 宏基君

      浜本  宏君    藤田 大助君

      松岡 広隆君    三村 和也君

      本村賢太郎君    山崎  誠君

      山本 剛正君    近藤三津枝君

      高市 早苗君    橘 慶一郎君

      谷畑  孝君    西野あきら君

      西村 康稔君    額賀福志郎君

      木村たけつか君    中後  淳君

      江田 康幸君    吉井 英勝君

      柿澤 未途君    山内 康一君

      平山 泰朗君    平  智之君

    …………………………………

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   文部科学大臣政務官    神本美恵子君

   経済産業大臣政務官    北神 圭朗君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            實重 重実君

   政府参考人

   (林野庁長官)      皆川 芳嗣君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 高原 一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     深野 弘行君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       山崎 篤男君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  渡邉 綱男君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月三十一日

 辞任         補欠選任

  牧野 聖修君     中津川博郷君

八月三日

 辞任         補欠選任

  柴橋 正直君     本村賢太郎君

  藤田 大助君     三村 和也君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  三村 和也君     打越あかし君

  本村賢太郎君     浜本  宏君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     仁木 博文君

  浜本  宏君     柴橋 正直君

同日

 辞任         補欠選任

  仁木 博文君     藤田 大助君

    ―――――――――――――

八月二日

 経済社会課題対応事業の促進に関する法律案(内閣提出第二八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済社会課題対応事業の促進に関する法律案(内閣提出第二八号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省農村振興局長實重重実君、林野庁長官皆川芳嗣君、資源エネルギー庁長官高原一郎君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長深野弘行君、国土交通省水管理・国土保全局次長山崎篤男君、環境省総合環境政策局長白石順一君及び環境省自然環境局長渡邉綱男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高野守君。

高野委員 民主党の高野守でございます。

 福島第一原発の事故収束、そして原発問題への取り組みというのは、今を生きる政治家の最大の使命であり、そして歴史的な責任であるというふうに考えております。さまざまな御意見はあると思いますけれども、今日までの枝野大臣の取り組みには敬意を表する次第でございます。

 本日は、福島第一原発以外の東日本大震災で被災した原発の検証の重要性という観点から、私の地元でもあります東海第二原発について、そして、安全対策、バックエンド等、原子力に係る技術力の維持向上、人材育成の大切さ、この確保ということについて御質問をさせていただきます。

 二〇一一年、昨年の三月十一日に、地震発生直後、私も一刻も早く東京を出て地元にという思いでありましたけれども、当日の移動、夜間の移動は困難であるという判断で、翌日の朝七時に東京を出ました。約十七時間かけて、地元に着いたのは深夜でありました。途中、流山で何とか三番目の、最後のガソリンスタンドで給油ができまして、その直後にラジオで、どうも福島第一原発で爆発があったらしいという情報が飛び込んでまいりました。すぐにワンセグをつけて、間もなく福島のその状況を目にして、私も愕然といたしました。東海の臨界事故のことも頭をよぎり、本当に東海村は大丈夫か、そういう思いで地元を目指したわけであります。

 着いたのは十一時半ぐらいでありましたので、もう携帯もつながらない、電話もだめだ。秘書とメールでやりとりして打ち合わせをして、翌日朝に、実は私は東海村の災害対策本部に入らせていただきまして、邪魔にならないように、村上村長とも意見交換、情報交換、特に原発等についての情報収集に努めさせていただきました。

 私は今も、東海第二原発が無事で本当によかった、心からそう思っております。

 冷温停止後、私も正確な情報が提示されない中で、日本原電に対しては、余り御迷惑をかけちゃいけないという思いも当初ございましたけれども、しかし、地元の議員として、いろいろと当時厳しいことも申し上げてまいりました。しかし、幾つかの偶然や幸運が重なったとはいえ、茨城大学の三村教授を中心とする茨城沿岸津波浸水想定検討委員会がまとめたものに基づいて茨城県が独自にハザードマップを作成し、そしてまた、それに基づいて日本原電の現場の社員が作業を進めていただいたということについては、今は彼らが日本を守ってくれたという思いをいたしております。

 東海第二原発については、実は私は、そうした情報収集の中で、被災後の三月末には、非常用ディーゼル発電機冷却用海水ポンプ機場の、これは止水工事というのは大変大事だったわけでありますけれども、そうした状況など、幾つかの重要な事実を把握させていただきました。いろいろな経緯で、当初、国会での質問もしなければならないと考えましたけれども、やはり、今もそうでありますけれども、何より福島第一原発事故の対応、収束が第一であって、その影響が余りにも甚大で、情報や検証が不十分な中で、いたずらに混乱や不安をあおる結果にだけはなってはいけないとの思いから、これまでこの東海第二についての国会の場での質問を私は控えてまいりました。

 ただ、震災から間もなく一年半が経過しようとし、さらに、民間事故調査委員会の最終報告書が一二年、ことしの二月二十八日に、そして国会事故調の最終報告も七月五日に、先般七月二十三日には政府事故調査委員会の最終報告書もそれぞれ発表されました。

 そういう中で、原発依存度をどうするかとか、原発がよいとか悪いとか、そういうことではなくて、当時の東海第二原発がどのような状況であったかについて、被災した原発の一つとして、委員会の議事録を実は見せていただきましたけれども、このことが全く今まで取り上げられたとは言えず、私としては、国会の場で議事録にきちっと残す形で幾つかの点についてやはり確認をさせていただくことが、東海村を選挙区とする与党の衆議院議員として、地元茨城はもちろんでありますけれども、日本国民に対しても私の責任である、そういう思いできょうは質問をさせていただきます。

 しかし、二十分という短い時間でございますので細かくは聞けませんけれども、私なりに重要と思われる四点について、保安院にまず確認をさせていただき、幾つかの質問をさせていただきたいというふうに思います。

 一点目。まず、東日本大震災で被災した原子力発電所は、福島第一のほかに女川、福島第二、東海第二でありますけれども、全電源を喪失したのは福島第一、それ以外で、外部電源を喪失しバックアップ電源に頼らざるを得なくなったのは東海第二だけというふうに承知しておりますけれども、よろしいですか。

深野政府参考人 お答えいたします。

 今回の地震において外部電源を喪失いたしましたのは、今御指摘になりました発電所の中では、日本原子力発電東海第二発電所でございます。あとほかに、東北電力東通原子力発電所も、定期検査中ではございましたけれども、同じように全ての外部電源を喪失しています。

高野委員 二点目。津波浸水想定についてちょっとお尋ねをします。

 二〇〇七年の十月に、茨城沿岸津波浸水想定検討委員会、これは先ほど申し上げました三村信男茨城大学教授が委員長でありましたけれども、ここがまとめた津波浸水想定によりますと、東海第二原発付近に六メートルから七メートルの津波浸水地点があるだろう。日本原電は津波の高さを五・七メートルと試算をいたしました。

 二〇〇九年七月に、非常用ディーゼル発電機を冷却する海水ポンプを津波から守るために、新たな壁を建設するなどして高さ四・九メートルから六・一メートルにする工事に着手をし、二〇一〇年九月にほぼ完了したと聞いておりますけれども、私も現場を見せていただいておりますが、ケーブル類を通すピットなどを完全に塞ぐ封止作業、止水作業と言ってもいいと思いますが、これを二〇一一年五月ごろまでに順次行うという予定で工事が進められた。このような中で、三月十一日、五・四メートルの津波が発電所を襲ったわけであります。

 すなわち、もともとの壁の高さでありました四・九メートルでは今回の津波は防げなかったわけでありまして、六・一メートルの壁を新たにつくり、かつ、これが極めて重要だったと私は思いますけれども、ピット等の止水工事を南側のポンプ機場で一部行っていたからこそ、震災による津波で最悪の状況を免れたというふうに考えております。

 この一連の対応については、茨城県の作成したハザードマップに基づいて日本原電が自主的に行ったものという理解でよろしいでしょうか。

深野政府参考人 御指摘のとおり、この工事というのは、茨城県の方で出された津波ハザードマップ等のデータに基づいて、日本原電で評価を行い、最高水位が五・七二メーターという評価をいたしまして、それに対応して六・一一メーターまで側壁をかさ上げする、それに伴って止水工事を行ったということでございます。

高野委員 三点目。海水ポンプエリアの南側のポンプ室では、三月九日、震災発生の二日前に、ケーブル類を通すピットなどを完全に塞ぐ止水工事を南側については完了した。震災による津波で、三台の海水ポンプのうち、北側、これは止水については工事が着手されておりませんでした、そして、水没し、使用不能となったわけであります。南側の二台のポンプで冷却して、非常用ディーゼル発電機を動かし、三月十三日の十九時三十七分に外部予備電源二本のうち一本が復旧をし、三月十五日零時四十分に原子炉の冷温停止に持ち込んだというふうに私も報告を受けております。

 震災後、非常用ディーゼル発電機冷却用海水ポンプ機場の南側のケーブルピットの封止作業を、当初、二月下旬に完了したと私は聞いておりました、そういうふうに日本原電から報告がありました。しかし、実際にはその当時も二月の何日に工事が完了したのかについて私はあえて問いませんでした。そして、これについての明確な回答はありませんでした。

 二〇一一年、去年の五月十六日に、もうそろそろお伺いしてもよろしいでしょうかという了解をいただいた上で、民主党の四区の責任者として、近隣自治体の議員とともに、東海第二原子力発電所の視察を国会議員として初めてさせていただきました。改めてその場で、この視察で私は皆様を責めに来たわけではない、これは詭弁でなく、むしろよく守ってくれたという思いであり、適切な情報開示が大切であるというふうに申し上げました。

 そうしましたところ、視察を終えて懇談の場で、実は、南側のポンプ場の止水工事が終了したのは三月九日でしたという回答がありました。九日の何時までに終わったのかについては聞いておりませんでしたけれども、ここで明確に二日前であるということがわかりました。私は、よくやってくれたというふうに申し上げました。また、その場で私は、非常用ディーゼル発電機の冷却、これを空冷式に変更して速やかに設置すべきではないかという提案もさせていただき、その方向で進めていただいているというふうにも聞いております。

 ここで、これらの止水工事の状況及び今私が申し上げたことについての確認を、ちょっと時間がないので、簡単にお願いいたします。

深野政府参考人 まず、南側の止水工事につきましては三月九日に完成しております。

 それから、電源でございますけれども、これについては、事故が起こりました後、三月三十日にまず緊急安全対策ということを指示いたしまして、それ以降は電源車の配備等を進めていただいております。

 さらに、先般、私どもの方で福島の事故を踏まえて、その原因、進展等から教訓を抽出する、そういうことで意見聴取会を開きまして、そこで対策をまとめておりますが、その中には非常用交流電源の多様化というものも入っておりまして、御指摘の空冷式のものについても検討がなされているというふうに承知をしております。

高野委員 三月九日に作業が完了しなければどういった事態になったかということについては、保安院に当時お伺いをし、まさに福島第一と同じ状況になった可能性が極めて高いという話も報告を受けております。

 また、昨年の八月三日、衆議院の文部科学委員会の参考人質疑の際に、前原子力安全委員長の日本原子力研究開発機構の鈴木理事長が出席をされまして、東海第二の状況について私もちょっとお尋ねをしたところ、「先生おっしゃるように、私も、大変、いわば薄氷を踏む思いだったという気がしております。」という答弁をいただいております。

 改めて保安院にお尋ねをしますけれども、この状況をどのように考えられるか、簡単に御答弁をお願いします。

深野政府参考人 仮に南側も止水が終わっていなければ、同様に非常用ディーゼル発電機の機能喪失ということに至った可能性はあるというふうに認識をしております。ただ、その場合に、東京電力の発電所と同じような深刻な事態に至っていたかということにつきましては、直流電源はそれでも確保されておりましたので、いろいろな対応があり得たかもしれませんが、非常に深刻な事態になった可能性はあるというふうに認識をしております。

高野委員 時間がないんですけれども、四点目、ちょっとここだけ聞かせていただきたいんです。

 さらに、主蒸気逃がし安全弁の開閉を百七十回操作したというふうに聞いておりますけれども、改めて、この操作の意味、そしてこの回数の妥当性、どういう状況であったかについて簡単にお答えください。

深野政府参考人 主蒸気逃がし安全弁でございますが、これは圧力容器の圧力が上がると、自動的に圧力を逃がす安全弁機能、それから減圧のために手動で圧力を逃がす逃がし弁機能、両方を兼ね備えたものでございます。

 それで、この発電所については、実際に減圧に入るまでに若干時間がございまして、その間、高圧の状態で維持しておりましたので、その間に、こういう開閉、あるいは自動で開閉したものも含まれておりますけれども、そういったものがあったというふうに想定をしておりまして、これが直ちに操作としておかしかったということでは必ずしもないんではないか、この辺は十分な評価を得るんじゃないかというふうに考えております。

高野委員 おかしかったと私も思っておりませんで、適切な対応をしていただいたというふうに理解をしておりますが、そういう状況であったということがこれで明確になるだろうというふうに思います。

 私は、今十キロ圏内のひたちなか市に住んでいる原発立地地域の住民の一人でありますけれども、本当に、政治が理想を持たずしてその国家に希望は生まれないというふうに思いますし、また一方で、現実的対応ができない政治家ばかりでは責任ある国家をつくることもできない、ある意味で、理想と現実という相反する、しかし、それを同時に求めていく勇気というものが我々与党には特に必要であるというふうに思います。

 いろいろ聞きたかったんですけれども、枝野大臣に、今までのこの話の中で、新たにこの検証の重要性ということで、やはりしっかりやっていただきたいと思っているわけでありますけれども、御答弁をお願いします。

枝野国務大臣 東海第二の事故というか、地震直後の対応についてしっかりと検証するということは本当に重要なことだというふうに思います。こうして国会で取り上げていただいて、大変感謝をしております。

 既に、地震の影響調査等は進めた上で、専門家による意見聴取会において公開の場で専門家に御議論をいただいてきているところでございますが、こうしたことを適切に整理をし、さらに知見になるべき検証ができないかどうかということは不断に見直してまいりたいというふうに思います。

高野委員 時間がありませんが、私が今最も心配している一つというのは、バックエンド等原子力に係る技術力の維持向上、そしてそのための人材の確保、育成であります。人なくして安全を守ることはできません。原発の維持、縮小のいずれの方向性を問わず、今、現に原発がある以上、そして使用済み核燃料、放射性廃棄物がある以上、サイクルなのか直接処分なのかを問わず、私たちには、これを子々孫々に至るまで安全に管理をしていかなきゃいけない、その責任と使命があるというふうに思っております。

 一九八六年のチェルノブイリの原発事故や九九年の東海村のジェー・シー・オー臨界事故によって、学生の原子力離れが急速に進んでおります。学科の名前イコール技術者、学ぶ者の数というふうには言えないかもしれませんけれども、一九八四年当時は国立大学を中心に十校の大学に学科が設置されておりました。そして、十一の大学院で研究が行われておりましたが、二〇〇五年には国立大学でゼロ校、私立大学で一校、大学院もわずかに四校、今現在若干ふえているというふうにも聞いておりますけれども、そういう後がない状況に私は至っているというふうに思います。

 そして、今般の福島第一の原発事故であって、学生の原子力離れが進むことは間違いがないというふうに思っております。技術者の高齢化問題、学生の原子力離れがこれほど懸念されている中で、やはり原子力の安全研究の開発、廃炉技術の開発、最終処分等の技術、将来の人材育成というのは、私は、非常に重要な重い課題であるというふうに思います。

 この福島第一原発の廃炉を含めたバックエンドについての技術の確立というのは不可欠でありますし、そういう中では、きょう政務官にお越しいただいておりますけれども、原子力研究開発機構の果たすべき役割というのはむしろ重要だというふうに思っておりまして、再編強化というものをしっかりと経産省あるいは環境省とも連携をとって進めて、国家プロジェクトとしてやはりこれを内外に示していくということが、原発事故を起こした日本の、私は、国民に対して、そしてまた世界に対する責任であるというふうに思っております。

 こうした人材育成という観点について、神本政務官、簡単で結構でございます、そして枝野大臣、済みません、お答えをいただきたいと思います。

神本大臣政務官 高野議員におかれましては、党の会議の中でもずっと、昨年の福島事故以降、人材育成については御指摘をいただいておりました。

 文部科学省としましても、従来から、大学等における原子力教育や研究については支援をしてまいりましたけれども、特に今年度は、福島原発の事故を受けまして、公募事業の中で新たなプログラムを設けまして、バックエンド等についての人材育成について強化をしているところであります。

 また、今後、原研機構等を通じて特にやっていく必要があるということにつきましては、本年一月に閣議決定されました、独法の制度及び組織の見直しの基本方針において、事故収束に向けた中長期的な安全対策に関する人材確保、養成の重要課題に取り組むことというふうになされておりますので、そういった方向で先生御指摘の人材育成を強化してまいりたいと思います。

枝野国務大臣 人材育成の重要性は、私からも繰り返すまでもないことだというふうに思っております。

 今、エネルギー、原子力政策の見直しの議論を進めております。これの状況を踏まえながら、二十四年末をめどに原子力関連の独立行政法人のあり方について検討すると閣議決定もされておりますので、文部科学省などとともに、法人のあり方を含めて検討してまいりたいと思っております。

高野委員 ありがとうございました。

 ぜひ、国家プロジェクトとして、こういった問題にも連携をして強力に進めるというメッセージを発信していっていただきたいというふうに思います。

 さらなる検証や、こうした問題への取り組みを枝野大臣に御期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、菅原一秀君。

菅原委員 おはようございます。自民党の菅原一秀でございます。

 連日、ロンドン・オリンピックの日本人アスリートのメダルラッシュ、大変閉塞感きわまる今、我が国に一服の清涼剤をいただいているのではないかと喜ばしく思っているわけであります。

 一方、政治の現実に目を向けますれば、今申し上げたように、閉塞感や、あるいは混迷きわまる状況にあります。

 私も、毎朝、駅に立ってマイクを握っているわけでございますが、特に朝から暑いですよね。もう朝から三十度というような状況の中で、今、二基動いていますけれども、原発がとまっておって、いわゆる火力発電所がいわば日本のエネルギー源の約九割を超えている現状で、もしかすると、CO2がふえて、これが暑さの要因になっているんじゃないかな、そんな単純なといいましょうか、短絡的な見方も私は抱いているわけでございます。

 いずれにしても、こうして駅に立っておりますと、原発問題、エネルギー問題をしっかりやってくれという声を浴びせながら会社に行くサラリーマンやOLの皆さんに毎日直面をしているわけであります。

 そうした中で、原発再稼働に関しまして、先般来、官邸をいわば多くの国民がデモをしている状況が報道されております。去る七月の二十日金曜日に、御党の鳩山由紀夫元総理が官邸前でマイクを握って、皆さんの声を官邸に届けて政治の流れを変えたいんだ、こういうふうに言ったんですね。そう言いながら、官邸のあるじの野田総理は当日、大雨の被災地、九州に出向いていまして、あるじがいないのに今から言いに行くというのも変な話だなと思って、鳩山さん、何かどうにかしちゃったのかなと思って心配をしていたわけですけれども、言ってみれば、与党の総理経験者がこうして官邸前でマイクを握って政府を堂々と批判する、これはどう見ても奇異に思えるんですが、枝野大臣、あなたはこの風景を見てどういうことを感じましたか。

枝野国務大臣 まず、官邸周辺で毎週行われているデモについては、国民の皆さんに、原子力という国民生活に大変大きくかかわる問題について、法に反しない範囲内でさまざまな形で声を上げていただくというのは民主主義の観点から大変すばらしいことだというふうに感謝をいたしております。

 その上で、元総理の行動について、私の立場から何か申し上げるべき立場ではないと思っております。

菅原委員 今のお答えを聞きますと、いわば民主主義の一つの行動のあらわれというふうな受けとめ方をされているようであります。

 確かにそういう側面もあると思いますが、私は、やはり元総理たる矜持というものも必要だったのではないか、もし、やるのであれば、国会の当委員会やら、さまざまな国会の場において正々堂々と議論すべきではないか、こういうふうに感じているわけであります。

 そこで、昨今の再稼働問題に関してお尋ねをしたいと思います。

 関西電力の大飯原発三号機、四号機、フル稼働したわけでございますけれども、大変猛暑が続いております。きのうも全国で五百名近い方が熱中症で搬送されている、こういう状況であるにもかかわらず、電力需給警報が発令されるほど逼迫した状況にはない、こういう面もあるんですね。調べてみましたらば、供給予備率が一〇%未満となっているケースもほとんどない、まれでありまして、おおむね関電地域で一〇%台に今は推移をしているわけなんです。

 現時点での電力供給状況について、政府としてどういうふうな捉え方、評価をしているのか。国民の節電努力ということも一つあるでしょうし、そういう意味では、本当に先般のこの大飯の再稼働が必要だったのかどうなのか、科学的にこの点をぜひお示しいただきたいと思うんですが、大臣、どうでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、足元の電力需給については、関電は予備率は一〇%を下回っておりません。ほかのところで若干ありましたけれどもという状況でございます。

 一つには、供給面で、例年に比べて発電所の計画外停電、つまり火力発電所の故障等が少ない。これは、私からも、本当に電力需給が逼迫している状況なので、火力発電所の点検をおくらせたりという厳しい状況の中であるけれども、故障などを起こさないようにということを各電力会社に厳しくお願いをしているところにお応えをいただいていると思っております。それから、雨の状況で水力が能力のかなり高い方のレベルで使えているということがございます。

 それから、需要面では、一つは、確かに猛暑なんでございますが、例えば一昨年という過去一番電力消費の多かったときと比べますと、まだその大変な高さが連続するという状況ではないということの中で、国民の皆さんに相当な節電の御協力をいただけているのではないかというふうに思っています。

 現に、関西地域では一〇%の目標、そして産業活動に影響を与える場合であっても五%はお願いしたいということで、中小零細企業を初めとして大変な御協力をいただいているということの中で、現在の数字になっているというふうに思っています。

 今後、引き続き、火力発電所等の故障等を起こさないように、あるいは気温上昇などがあった場合に備えられるように、しっかりと予断を許さずに状況を見てまいりたいというふうに思っております。

菅原委員 火力が順調であって、雨のせいで水力が供給量が高い、こういうお話でありますが、それゆえに、本来は、そのロジックからすると、再稼働はなくてもよかったんじゃないかと思うんですが、そういう問いに対してどう答えますか。

枝野国務大臣 御承知のとおり、電力は絶対にゼロに、マイナスにしてはいけないというふうに思っています。つまり、突然の停電にしてはいけない。したがって、予備率がある程度以下になれば計画停電をお願いして、これまた大変な、中小零細企業を初めとして御苦労をおかけしますので、これも絶対にしてはいけないということで、一定の予備率を残すということが大前提であると思っています。

 そうしたことの中で、ここまでまさに故障が少なく推移をしているということは大変望ましいことでありますが、しかし、万が一にも計画停電やあるいは突然の停電ということを起こさないということのためには、過去のデータなどに基づいて、それに備えた対応をしなければならないというふうに思っておりますし、水力等については、今後の暑さ、天候等の状況、これまた予測不能でありますから、最悪のケースを想定しなければ、電力の安定供給という観点からは責任を果たしたことにならないと思っておりますので、そうした意味では、大変な厳しい判断でございましたけれども、安全性について一定の判断の下された大飯原発については、その再起動の必要性はあったというふうに思っております。

菅原委員 私は、あの再稼働を関係四閣僚で御判断したとき、国会の状況がそれを許さなかったわけでありますが、いわゆる原子力規制庁あるいは規制委員会がまだ立ち上がっていなかった、今なお途上でありますけれども、そういう状況の中で、本来はそれを待ってもよかったのではないかなと今さらながら思っております。

 というのも、やはり、全国的に暑いけれども、一昨年よりはそうではない、一昨年、去年の気温やさまざまな需給データというものがあるゆえに、もうちょっと落ちついた判断もできたのではないかな、改めてそう思っているんですね。これはまた、後で問うていきたいと思います。

 そうした中で、関西電力の八木社長は、ついこの間、原発の再稼働は、高浜原発三号機、四号機、次に再稼働すべきである、こういう発言をしたわけですね。大飯の安全性の担保がまだ完全にとれていない中で、次なる高浜のことについて発言をした。それについて、枝野大臣は会見で、非常に不愉快な発言である、こうおっしゃったんですね。でも、こういう発言が出ること自体、大臣あるいは役所が電力会社に対して適切な指導というものができていないのではないか、こう思うんです。

 あの大飯原発のときを思い起こせば、再稼働がなければ、今お話があったように、計画停電等、国民生活や経済活動に深刻な影響を及ぼす、こうした需給を検証した結果を出して、再稼働への必要性を裏づけた、こういう経緯があったと思います。ところが、そのとき枝野大臣は、需給を厳密に査定してやるべきだ、そういう姿勢を示したものの、結果的に、当初発表した供給の不足分、いわゆる需給ギャップについて、マイナス一六・三%と言っていたのが、これを大臣は一五・七%のマイナスだと、わずか〇・六%だけ縮めて、結果的に思えば、関電のこうした言い分をいわば追認、補強した結果というふうに見てとれるわけなんですね。

 改めて、こうしたことが、直には結びついていないものの、こうした国民的な再稼働に対する不信感といいましょうか、納得できない、そういったことがある意味ではデモにもつながったり、全国的な流れになっているのではないか。ついこの間も、後でまた話をしますけれども、いわゆる意見聴取会、全体の十一回のうちの八回やって、七割の人がゼロという答えがあったわけなんですね。

 こういうことを考えると、やはり、ちょうちょうはっし大臣と電力会社がやっているかのごとく見えるけれども、結果的には電力会社のことを追認している、認めている、こういう結果になっていることが、どうも私は不思議に思えてならないんですが、この点、大臣、どういうふうな見解をお持ちですか。

枝野国務大臣 この需給については、私が電力会社とやったわけではありません。これは、経済産業省が従来、電力会社と需給見通しについてやってきたというやり方自体が信頼性が得られないということで、経済産業省が行わずに、したがって私が行わずに、内閣府において、外部の有識者の皆さん、これもメンバーの皆さんの名前を聞いていただければ、原子力について中立的であるか、むしろ脱原発寄りの皆さんに委員になっていただいて、そうした皆さんによって透明性の高い検証を行っていただいた結果でございます。

菅原委員 今、不思議な答弁をされましたね。経産省はやらなかった、私はやらなかった、大臣はやらなかった、内閣府がやったと。では、これは閣内不一致じゃないですか。

枝野国務大臣 いや、ですから、政府としては、その内閣府のもとで、外部の有識者の皆さんに透明性を持って検証していただいたその数字をもとに対応しているということであります。

菅原委員 であるとするならば、そこに対して大臣は何らかの意見を述べなかったんですか。つまり、結果的に、政府として出した数字が一六・三だったのが、わずか〇・六縮めて、これを政府見解として、関電のいわば大飯の再稼働についてお認めになったわけでしょう。これは内閣府がやったから、私は責任がないというのはおかしいですよ。どうですか。

枝野国務大臣 私は責任がないなんて申し上げておりません。外部の専門家の皆さんのもとで透明性を持ってやっておりますので、これしか縮まらなかったというのは全く理由にならない。具体的にどういうところで切り込みが不足であるのか、専門家の皆さんに切り込みをやっていただいたのに足りない部分があるなら、どこが足りないか指摘いただければ、これからでも再検討を私の方から内閣府の方にお願いします。

菅原委員 今の答弁は大変重いと思います。再検討もあり得るということであります。

 そこで、改めて原発問題に関して考えますと、今、大飯が再起動している、そしてほかの五十二基、停止をしているわけなんですけれども、建屋内にある使用済み燃料、この核燃料がある以上は、仮に停止をしていたとしても、リスクはやはり当然そこに内在をしていることは御案内のとおりだと思うんですね。

 そうした中で、北陸電力の志賀原発のように、炉心の真下に活断層が通っている、こういう可能性を指摘されたわけですけれども、こうした再調査を実施するというような事態に今なっております。つまり、まだまだ越えなければいけないハードルがたくさんある中で、再稼働に関して、私は、感情的に判断するのではなく、かつまた専門家に頼るだけではなく、総合的な検証そして判断というものが求められてくるので、それゆえに政治というものは大変つらいものだなと今さらながらに思っているわけなんですね。

 そこで、先ほどお話し申し上げたように、今、原子力規制庁、規制委員会、この同意人事の問題で議論となっておりますけれども、これがもし立ち上がった場合に、原子力規制委員会が、この事故の検証や安全基準の見直しなど、こうしたポイントが存在をする中で、あの大飯の三号機、四号機はやはり見切り発車であった、仮にそういう見方をした場合、あるいは既に再起動、再稼働しているけれども、これの中には御案内のようにバックフィット制度というものがあるんです、つまり、さかのぼってその時点のさまざまな安全基準や事故の検証をして、そしてそれが本当に再稼働の継続を認めないというような判断を仮に行った場合、その時点で、大臣はこの大飯原発を運転停止という判断に至るかどうか。仮のことだから答えられないというのはやめてくださいね。

枝野国務大臣 もしそういった判断がなされれば、当然とめてもらいます。その時点で炉規制法に基づく行政権限が私に残っていれば、私が行政指導いたしますし、そうでなければ規制委員長が行政指導することになるかと思いますが、政府としては、とめるということを指示するのは当然です。

菅原委員 これまた大変貴重な答弁をいただきました。

 原子力規制委員会、今の人事案についてはいろいろ課題がありますから、自民党としては、きちっとまず民主党さんおまとめください、今こういうスタンスに立っていますけれども、一日も早くこの規制委員会を立ち上げて、せっかく自民党の議員立法でスタートした規制委員会でありますから、きっちり国会でその機能を果たす、そしてまた、今大臣がいみじくもおっしゃっていただいたように、そこでノーという判断が出れば、当然この大飯もとめる、あるいはそういう権限が与えられればというくくりつきでありましたけれども、その答弁は大変重く受けとめていきたいと思っています。

 さて、こうした原発にかかわるさまざまな問題がある中で、政府は、いわゆるエネルギー基本計画の見直しについて努めているわけであります。

 先日、政府は、二〇三〇年時点の原発比率を軸とする将来のエネルギーミックスにかかわる三つの選択肢を打ち出したわけです。もう既に皆様御案内のとおり、原発の比率を〇%にする、あるいは一五%、そして二〇から二五%、こういう電源構成に焦点を当てたシナリオとなっているわけですけれども、この三つの選択肢について、政府は、この八月中に革新的エネルギー・環境戦略を決定することとしております。

 古川大臣のもとの国家戦略室では、七月の十四日から意見聴取会を全国で実施してきて、先ほども申し上げましたように、全部で十一回やって、このうち、八回分の集計で、七割がゼロシナリオを主張している、こういうアトランダムに選んだ方々のそういうお答えですが、そういう意味では、国民の七割がゼロシナリオということを意識として持っているという答えが出ているんですね。

 これについて、枝野大臣、どういうふうに捉えていますか。

枝野国務大臣 意見聴取会に積極的に足を運んで、そこで意見を述べたい、あるいは意見を伺いたい、ほかの人の意見を聞きたいという、この問題について積極的に強い意思を持っておられる方の中で、ゼロシナリオを支持する方の比率が圧倒的に高いというのは大変重く受けとめたいというふうに思っています。

 その上で、さらに討論型世論調査を政府としても行いますし、パブリックコメントの募集も進めているところでございます。

 さらには、いわゆる世論調査、一般的な世論調査については、これは聞き方の問題等いろいろありますので、むしろメディアの皆さんがこういった問題を積極的にやられるでありましょうから、そういったことの反応も踏まえた上で総合的に判断をしてまいりたいと思っております。

菅原委員 今後のこともあるので、一つ苦言を申し上げます。スタート時点のときに、各電力会社の社員が、たまたま、アトランダムだけれども、当たったゆえに出てきた。しかし、職業がそういう立場にあるとすれば、なるべくそういう方は遠慮いただくというのが本来の形ではないか。そういう方々が述べる場所はあるわけですから、やはり広く、ステークホルダーでない方が、平準化して聴取会のメンバーとなる、そういう環境づくりこそ今後必要ではないか、改めてその点は申し上げておきたいと思っています。

 そこで、古川大臣が去る七月の二十八日に、この見直しにつきまして、急遽、八月という期限を切っているわけではない、こう発言をしているんですね。また、環境大臣の細野大臣も期限の延期について発言した、こういうふうに言われています。ところが、牧野経済産業副大臣が、八月中に責任ある選択をしたいと言っているんですね。

 やはり、先ほどのお話のように、同じ閣内で言っていることが違っている。片っ方は八月、期日を守る、片っ方はまだ期限があるかのごとくの状況でありますけれども、これは大臣、どっちなんですか。

枝野国務大臣 まず、古川大臣も、私、期限を切ってはいないという発言はしていないと思いますと記者会見でおっしゃられております。

 古川大臣と統一をした見解は、結論ありきで硬直的に進めるつもりはないが、国民の皆様の御意見を丁寧に伺いながら、この夏、八月を目途に革新的エネルギー・環境戦略を取りまとめたいという方針には変わりはないということでございます。

菅原委員 古川大臣がおっしゃっていないということを、今ちょっと手元にありませんが、報道の記事で持っておりますから、後でまたお示ししたいと思いますけれども、今の大臣の御答弁の中では、八月でやるということでいいんですね。重ねて。

枝野国務大臣 古川さんは、八月を目途に取りまとめたいというふうに考えておりますけれども、最初からこの結論ありきでですね、硬直的に進めるつもりではない、そういうことを申し上げたということでありますとおっしゃっておりまして、同じことを言っています。言う順番が違うだけであります。硬直的に進めるつもりはないが、八月を目途に取りまとめたい。どっちを先に言っているかの違いだけで、中身は一緒です。

 ただ、私も記者会見で申し上げていますが、たしか九月一日が土曜日だったというふうに思いますから、これが、週明けですから、九月の三日になったとか四日になったとかということでおくれたんじゃないかとお叱りを受けてもそれは困るというふうな趣旨のことは申し上げています。

菅原委員 その若干のタイムラグは仕方ないにせよ、まず、八月ということ。要は、何が言いたいかというと、この意見聴取会から、ある意味では皆さんがある想定した流れと違った、全くややもすれば違った流れの結論が出てきている。その状況の中にあって、当初示した計画や今計画しているものの軌道修正を図らなければいけない、こういうことによってその期限を先延ばししようとしているのではないか。私は、この点をあえて指摘しておきたいと思っています。

 話はかわりますが、この内容を見ても、それぞれ三つの選択肢、いずれにおきましても、再生可能エネルギーの現状を、水力を除いて、大規模な、今の十五倍から二十五倍に伸ばすということを織り込んでいるわけです。あわせて、節電に関しましても日本のエネルギー需要を十八年間で二〇%削減する、ある意味では壮大な計画が示されているんですね。ただ、問題は、その具体的な実現策が全く示されていませんが、この点、答弁いただけますか。

枝野国務大臣 再生可能エネルギーについては、固定価格買い取り制度に加えて、立地規制の見直しや研究開発支援などの政策を総動員してまいります。また、省エネについては、従来型の機器等がその時点で適用される最高効率の機器等に耐用年数が経過した時点で順調にリプレースされるようにするため、規制、財政、金融等の政策を総動員してまいります。

 さらに、原発ゼロシナリオとなるような場合には、さらなる省エネや再エネの導入を図ることを想定しており、より一層の規制強化や経済的な負担をお願いすることが必要と考えております。

 これらについては、総合資源エネルギー調査会や中央環境審議会における専門家の皆さんの議論も踏まえてお示しをしているものでございます。また、より詳細な中身については、総合エネルギー調査会の議事録や資料等を御参照いただければと思いますし、国家戦略室のホームページなどにおいても広く情報公開をして、国民の皆さんにきちんと議論をしていただきたいと考えております。

 なお、その前の御発言の中で、何か想定しているシナリオがあって、それからずれている云々というお話がありましたが、私どもは、この三つの選択肢をお示しした上で、国民の皆さんの意見が那辺にあるか、何かの想定を持って対応しているものではありません。

菅原委員 ということは、甘んじて意見聴取会、国民の声を受けて、そして、それと従来からやってきた計画が合致しない場合は、それ相応の御努力をされるというふうに私は今理解しました。この点は、これでよしとします。

 そこで、今、前段の話で大臣が、この流れについてこれでいいんだ、つまり、再生可能エネルギーが十五倍から二十五倍、十八年間で二〇%の節電をする、こういうことなんですね。

 そこで、先般、七月の二十七日に経団連の方で公式に意見発表がされたのは大臣も御存じだと思うんですね。その中には、政府が提示をする省エネ及び再生可能エネルギー導入目標に対して実現性を極めて疑問視するとなっておりまして、過大な料金負担や過剰な省エネ投資、環境対策投資を強いられている。言ってみれば、今の日本の、デフレそしてまた経済環境が大変厳しい中で、産業の国際競争力やあるいは雇用への影響が懸念される、こういう意見発表をされているんですね。

 加えて、政府が掲げております今の日本再生の基盤戦略において、二〇一一年度から二〇二〇年度まで平均で名目GDP成長率三%、実質GDP成長率二%、これは消費税の議論の中でも附則の十八条の中にも盛り込まれた数字でありますが、これを目標としているわけですよね。にもかかわらず、今お話があった、エネルギー・環境選択肢では、いわゆる実質GDP成長率が二〇一〇年代で一・一%、二〇二〇年代で〇・八%を基礎としているんですね。両者で掲げる数字が違うわけですよね。

 こういうふうに、現実には、エネルギーが経済成長の制約要因になっているというような強い批判が経団連から出ているんですけれども、この点、改めて、国民に適切な判断をしてもらうための、再生可能エネルギーや省エネの目標を具体的に設定する、あるいは考え直すことはお考えじゃないでしょうか。

枝野国務大臣 今回の三つのシナリオに対する国民の皆さんの御意見については、パブリックコメントをお願いしております。基本的には、国民の代表である国会議員の皆さんとか、地方公共団体を代表して御意見をおっしゃるというのはちょっと別として、どなたであってもパブリックコメントを通じて意見を寄せていただくべきだと思っておりますので、今名前の挙がった団体の御意見については直接にはコメントいたしません。

 しかし、今私どもが国民の皆さんにお示しをしている三つのシナリオは、国民の皆さんに相当御協力をお願いしなければならないという意味では御負担をお願いするものでありますが、いずれも我が国の経済と社会をしっかりと成り立たせていくことができるものであり、むしろ原発を早期に減らしていくことによって、さまざまなイノベーションや需要や投資を掘り起こすということにつながって経済成長に資するものだと思っておりまして、今御指摘をいただいたような意見とは全く立場を異にしております。

菅原委員 大臣の御答弁は、全く論理のすりかえ。私が聞いていることに答えてください。いいですか。

 政府が掲げる日本再生の基盤戦略において、二〇一一年度から二〇二〇年度まで平均で名目GDP三%、実質GDP成長率を二%という目標を掲げておられるわけでしょう。にもかかわらず、エネルギー・環境の選択肢においては、先ほど来の繰り返しになりますけれども、実質の成長率で、二〇一〇年代で一・一%、二〇二〇年代で〇・八%、つまり、その二分の一の数値を示しているわけじゃないですか。この違いについて聞いているわけです。

枝野国務大臣 何度か御答弁申し上げておりますが、今回の選択肢をお示しするに当たっては、どこかのシナリオに誘導しているかという誤解を与えないよう最大限努力をしなければならないという見地から、それぞれの選択肢については、一年弱にわたる総合エネルギー調査会の基本問題委員会での御議論を踏まえたものにしておりますし、そこで出てくるさまざまなシミュレーションについても、総合エネルギー調査会における御議論を踏まえて、調査会が行ったシミュレーションを参考資料としてお示ししているものであります。

 政府として何らかの方針を決める際においては、政府としてのさまざまな今後の経済見通しとか経済目標との整合性についてもきちっと説明できる形で、政府の方針を取りまとめさせていただきたいと思っております。

菅原委員 政府の数字と総合エネルギー調査会の数字、それぞれあるから、その違いについては大臣はどう考えますか。重ねて聞きます。

枝野国務大臣 総合エネルギー調査会でのさまざまな御議論を踏まえて、今回政府がお示しをした選択肢の参考資料として、総合資源エネルギー調査会で示された幾つかのシミュレーションをお示ししているものでございます。

 政府として、今後の経済成長、経済見通しに基づくシミュレーションをしっかりと、結論を出す場合にはお示ししなければならないと思いますが、その場合にはしっかりと責任を持って整合性のあるお示しをいたします。今回は、総合エネルギー調査会等で出されたシミュレーションの結果を参考数値としてお示ししているものであります。

菅原委員 そうすると、今後、再生可能エネルギー、省エネ、それぞれの計画の数字があって、それについては消費税の増税をお願いしなければいけない。一千兆の借金があって、長期金利が一%上がれば、それだけで十兆の利払いを次の世代に回すわけにいきませんからね。そういう中で、名目で三%、実質で二%、そういったことが先般の、衆議院を既に通っている消費税法案の中には附則の十八条として掲げられているわけです。だからこそ、この名目で三パー、実質で二パーというのは私はとても大事な数字だと思っているんです。

 ところが、総合エネルギー調査会の専門家が出した数字は、これが一・一パーと〇・八という数字を示している。これはあくまでも参考だといっても、政府ですよ、政権ですよ、そこに向けて平仄を合わせる努力をするのが当たり前なんじゃないですか。その辺、どうですか。

枝野国務大臣 そこは見解の違いだと思います。

 総合エネルギー調査会は、経済産業大臣が意見を聞く機関であって、そこが何か決定権限を持っているわけではありませんし、いわゆる行政権能を果たすものではございません。なおかつ、法律上、総合エネルギー調査会の何か答申を出されたとしても、私はそれに拘束されません。

 ただ、国民の皆さんの議論の便宜のために、そこで出されたシミュレーションの数字を参考数値としてお示しをしていることは別に矛盾するものだとは思いません。

菅原委員 こういう議論を聞いていると国民がどう思うかを考えてくださいね。

 つまり、経済成長をしっかりやっていくんだ。今回の消費税というのは、ある意味では、自動増税ではないんですよ。二年間のスパンできちっと成長をなし遂げて、痛みを伴うけれども、その前にいろいろやるべきことをやって、国民の皆様に消費税のお願いをしなければいけない。だから、二年間で徹底した成長戦略を形にして、そして日本の経済をもう一回バージョンアップさせて、そしてそのためにはいろいろな手を打って、そしてGDPを名目で三パー、実質で二パー、そこにしっかりと近づけていく。その中で、消費増税が可能となる環境をつくることが政治の役割だと私は思っておりますし、また、この経済産業にかかわる私ども議員の、あるいは委員のそういう責務だとも思っているんです。だからこそ、その点はそういう数字を掲げておられる。

 しかし一方で、現実問題、この総合エネルギー調査会、専門家の示された数字は参考として捉えている。

 ということは、はたから見れば、政府に二つの数字が平行に、パラレルにこれからずっと生きていくのではないか。やはり、これは非常にそういう部分への、政権あるいは政策への不信任というものが私は募るんだと思うんですね。この点を指摘しておきます。

 そして、あわせて確認をしておきたいんですけれども、やはりこれから日本経済をしっかりと伸ばしていくためにも、この省エネあるいは再生可能エネルギー、これをいわば成長戦略とコラボしていくということが極めて重要だと思うんです。

 例えば、水素と酸素を利用した次世代のシステムである燃料電池あるいは蓄電池、こうした新しい技術の振興、促進やらあるいはコジェネ普及、あるいは送電のロスを少なくするための送電網のIT化あるいは超電導ケーブル、こうしたものの活用をするなどして、日本経済の活性化とこの電力の供給を高めていく。

 いわば、火力はそれこそ百歳のおじいちゃんが二百メーターを全力疾走しているような状況で、事故もいつあるかわからない状況の中で今何とか賄っているわけですけれども、再生可能エネルギーのウエートをいかにふやしていくかということは、やはり人間の可能な限りの力を振り絞っていくということが大事ではないかな、こう考えていますが、今申し上げた新しい取り組みについて、どなたか答弁をお願いいたします。

高原政府参考人 委員まさに御指摘のとおり、燃料電池あるいは蓄電池に関しましては、例えば電池の大型化ですとかいったような技術開発あるいは補助金による導入の促進を図っております。

 また、電気と熱を同時に供給するいわゆるコジェネでございますけれども、これまで補助金などによる導入支援を行ってまいりました。そしてまた、ことしの六月には分散型のグリーン売電市場ということで、小規模の方でも市場取引ができるような環境整備もしたところでございます。また、八月一日付で役所の中にコジェネ推進室というものを設けまして、ワンストップでこういう政策を進めていきたいと思っております。

 それから、送電網のIT化につきましても、配電の自由化、これを進めるということをやってきたわけでございますけれども、さらにはスマートグリッドの推進、そして、御指摘のありました超電導ケーブルに関しましては、この技術開発を積極的に行っております。また、これにつきましては、送電ロスを減らすための超電導の電力の貯蔵装置などの技術開発も行われております。

 以後、積極的にまたさらに進めていきたいと思っております。

 以上でございます。

菅原委員 今エネルギー庁長官からるるお答えをいただきました。この点はまた次回の質問でディテールについてただしていきたいなと思っております。

 そこで、再生可能エネルギーの代表選手の一つであります太陽光パネルの設置拡大についてお尋ねをしたいと思います。

 去る五月十七日に、一般社団法人の太陽光発電協会から、国内の住宅用の太陽光発電システムの設置台数から百万台を突破した、こういう発表がありました。しかし、これでも、全国の戸建ての住宅は約三千万戸あるんですね、このうちの百万ということは、わずか三%しか普及していない、こういう現実があるんです。

 一方で、先ほどの話のように、政府が提示をしております三つの選択肢のうちで、いわゆる仮に原発一五%シナリオに例をとった場合、太陽光発電については、メガソーラーに加えて設置可能住宅のほぼ全て、一千万戸導入しなきゃいかぬ、こういうことが前提になっているんですね。

 さらに言えば、原発ゼロ%シナリオにおいては、耐震性の問題やら、現在は設置不可能な住宅、今、可能なものと可能でないものがありますので、そうした不可能な住宅も補修して設置をして、全体で千二百万世帯、千二百万戸にソーラーを、太陽光パネルをつけなければいけない、こういう前提になっております。

 そこで、七月の一日から始まった固定価格の買い取り制度でありますけれども、これだけ太陽光パネルだ、ソーラーだということが世間で話題となって、また、テレビをつければ各メーカーがそういうCMを流しているわけなんですけれども、しかし、実際問題、まだそこの数値にとどまっている。そういう意味では、ソーラーパネルそのものが大変高いという現実があると思うんです。例えば、三キロワットから五キロワットの例で見ますと、大体、太陽光発電システムの設置費用、本体価格と合わせますと、平均で百六十万円から二百七十五万円前後するわけなんですね。

 例えば、私は東京・練馬区なんですけれども、東京都の住宅用創エネルギー機器等導入促進事業というのがあって、これは一キロワット十万円の補助が出ます。あるいは練馬区は、国、東京都からの補助金の額を差し引いた額の半額、上限八万円で、どちらか低い方の金額を補助する。

 自治体なりに、太陽光パネル設置にささやかながら努力をしているわけなんですけれども、やはり百六十万から二百七十五万ぐらいかかって、トータルで、東京・練馬において設置すると、七十万ぐらいの補助が出て、それでも二百万以上かかる。これはやはり、サラリーマン家庭にとっては高ねの花。したがって、この買い取り制度が始まったにもかかわらず、なかなか普及率が低い、こういう状況にあるんです。

 そこで、私、今民間のメーカーがそれぞれ取り組みを進めていると思いますけれども、やはり国家プロジェクトとして研究開発にもっと力を入れて、この太陽光パネルあるいはソーラーシステムそのものをどの家庭にもリーズナブルな値段できちっと普及できる体制をとるべきだと思うんですが、国として、このプロジェクトに予算面であるいは税制面で取り組む覚悟はございませんか。

枝野国務大臣 太陽光パネルについて言えば、研究開発の問題というよりも、もちろん、これをさらに進めてもらうことによって効率化を進めていただかなければいけませんが、むしろ、値段を下げるためには、量産化であるとかという形でコストを下げていくということの方が中心になるべきで、むしろ研究開発等に力を入れなければならないのは、先ほど御指摘があった燃料電池であったりとか蓄電とかという側面ではないかというふうに思っています。

 そして、普及による量産化効果によって値段を下げていくということについては、これは二〇〇九年に始まった補助制度と余剰買い取り制度によって、五十万件だった普及世帯が三年間で五十万世帯ふえるということになり、その結果、一キロワットアワー当たりの価格も七十万円から五十万円を下回る価格に下がっている。

 これで、固定価格買い取り制度の導入で、ことしの半期プラス強ぐらいで、前年度までの累積導入量の約〇・四倍に当たる二百万キロワットが今年度だけで新たに導入される見通しとなるなど、この手の普及は、どのような商品もそうですが、普及と値段の下がっていくというのは、普及は加速度的にカーブをしていくものでありますし、それに連動して下がっていくというものでございまして、間違いなく加速度的に急カーブを、普及に向けて進んでいるプロセスには乗っているというふうに思っております。

菅原委員 今大臣が答弁の中で、量産化すればいいということですけれども、量産化するにも、値段が下がらなければ量産化できないと思いますし、量産化すれば値段が下がるというものじゃないと思うんですよね。一つ一つの研究開発や各メーカーで現時点ではそんなにコストがかかっているわけでありますから、だからこそ三百万近い設置料金になっているわけなんです。だからこそ、私は、研究開発にもっと力を注ぐ。

 やはりこれは、政権交代して研究開発減税だとかものづくり補助金が廃止になったり、麻生政権の最後のときにやってきたことを全部、いわば皆さん方のおかげでなくなってしまって、メーカーや日本の製造業がもっとそこの部分を伸ばしていかなきゃいかぬと思うんですよ。だから、これはあえて申し上げたわけなんですね。

 時間が迫ってきました。今のお話の中で、この前もちらっと質問させていただきましたが、戸建ての家は徐々に伸び始めているけれども、まだまだそういう低い数値になっている。一方で、マンション、社宅、公団、こうした集合住宅に関しては、なかなか太陽光パネルが設置されない。

 言ってみれば、賃貸のマンションであればそこのオーナーがつければいいんですが、それ相応の大きなメガソーラー的なものをつけなければなりませんから、限界がある。分譲だと、区分所有が認められて、そこの立地によるわけですけれども、壁面につける場合でも、そこの区分所有の部分にソーラーパネルをつけるということは可能でしょうけれども、この点もやはりマンションだと限界がある。言ってみれば、戸建ての家と集合住宅、マンション、社宅、社宅だって、転勤族が多いところは、いや、その負担金出したくないからといって、結局は一世帯でも反対があるとソーラーパネルがつけられない状態があるわけなんですね。

 そこで、その辺のフレキシブルな対応を図るべきだと思いますし、きめ細かな対策がこれから必要だと思うんです。そうした中で、固定買い取り制度の中で、経産省、エネ庁の方で大変私はこれはヒットだなと思って、珍しくお褒めを申し上げるわけなんですけれども、いわゆる屋根貸し制度ですね。

 この屋根貸し制度はとてもいい制度でありまして、一般の住宅、小中学校、あるいは工場、物流センター、あるいは牛だとか馬だとかの畜舎なんかの屋根に無料でソーラーシステムを設置する。そして、売電はソーラー会社がやるんでしょうけれども、そこに賃料をお支払いする。つまり、屋根を貸した方は家賃が入ってきて、それが少しでも電気料金の負担軽減になる、こういう格好になっておりまして、これは大変いいことだな、こういうふうに思っているんですね。

 ただ、問題が幾つかありまして、こういう情報すらちょこっと新聞に出たくらいで、全国的にはまだ普及しておりません。しかもお互い、屋根を貸してもいいよという方、屋根につけたいという業者、このマッチングが非常に乏しいという現状がある。

 いわば事業者と、屋根を貸してもいいよという戸建ての方も、あるいはその事業者も含めて、このマッチング制度というのを導入するお考えはございませんか。

北神大臣政務官 委員おっしゃるとおり、太陽光発電の導入を促進するために、この屋根貸し制度というのは極めて有効だというふうに考えています。

 マッチングにつきましては、これは現に今、固定価格買い取り制度が先月一日から始動しておりまして、そういった中で、複数の事業者が具体的にこれを検討し始めているやに聞いております。その募集方法とか設置場所、いろいろな形が想定されるものだというふうに思っています。

 委員の御指摘もありますが、当面はまだ、固定価格買い取り制度も始まっている中で、こういった実際、具体的な事業者の取り組みというものも動き始めていますので、民間の創意工夫で開拓することを期待しております。

 そういう中で、おっしゃるようなマッチングが必要かどうかというものは、今後の市場動向を見きわめて検討してまいりたいというふうに思っています。

菅原委員 一日から始まって、ある意味では発車してしまった。バスでも車でも、よく点検しないで、ボルトを締めないで、車が発車したらタイヤが後ろに残っていたなんということがないように、こういう現実的なマッチングということの制度を導入すべきだと思いますし、まだ途上であるからという政務官の大変率直な御答弁もありましたから、これはぜひお願いをしたい。

 一方で、これは屋根貸し制度に限らず、屋根にソーラーパネルをつけた、ところが、隣の家が、反射してしまって受験勉強できない、訴訟が起きたなんというケースも出てきているんですね。特に、屋根貸し制度に関して言えば、賃貸制度のガイドライン、こういったものにもやはり早急に着手すべきではないか。こういうトラブルが、いろいろなことが考えられます。

 せっかく脱原発依存、原発から脱していこうという緩やかな流れがある中で、再生可能エネルギーのウエートをふやしていく、その一丁目一番地の一つが太陽光パネル。そして、こうした屋根貸し制度というような新たな取り組みが始まった。ところが、せっかくいいことをやっても、いろいろなトラブルが生じてしまえば、その制度そのものが暗礁に乗り上げることにもなりかねませんから、このガイドライン、ぜひ、今のところ考え得ること、あるいは短期間でありますけれども、出てきたいろいろな意見、こういったものを、パブコメを通じて、ガイドラインをおつくりになるお考えはございませんか。

高原政府参考人 例えば北側の方に向けますと、光が低く反射をして、ほかの御家庭に問題が起こるというようなことがございまして、これは施工をまさに注意深く行って、回避をすることが非常に必要な重要な問題だというふうに我々も認識いたしております。

 当省では、有識者でございますとか、あるいは関連企業、団体で構成された検討委員会を開催して、住宅用太陽光発電システム設計・施工ガイドラインというのを実は設けております。

 ここで、安全対策等、しっかりするようにいたしておりますけれども、実は今業界とも協力いたしまして、補助金の説明会などのところで、あるいは業界のホームページなどを通じて、施工業者の方々に対して、今御指摘の反射光のトラブルというのが生じないような設置方法等と場所を示して、注意喚起をいたしております。説明会でございますと、今、三千数百人の方々に今年度もお越しいただいております。

 ガイドラインのさらに充実につきましても、検討していきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

菅原委員 話を若干かえますけれども、実際にソーラーパネルを設置する場所として、小学校、中学校、全国で、全部で二万八千九百五十三校あるんですね。このうち、実際に今現在、去年ベースでいうと約四千五百余の学校で設置をしている。まだまだ、本当に、当然四分の一にも達していない状態にあるわけです。

 やはり、各自治体によって、この太陽光パネルを初め再生可能エネルギー、取り組みをぐんと進めているところと、まだまだ模様眺めをしている、ややもすれば、自治体というのは、国がやっていることだから、あるいは例えば水力とか風力、その気候とか地形に合わせた地方の取り組みというものはそれぞれ御努力をされている自治体もあると思うんですが、太陽光パネルに関して言えば、小中学校あるいは公共施設、この取り組みはまだまだ道半ばというか、おくれております。

 この点、国が千六百ある自治体のコンペティティブにきちっと何かのインセンティブをつけて、パネルを設置する屋根をふやす、こういう取り組みを国を挙げて率先、リードしていくお考えはないでしょうか。

北神大臣政務官 委員御指摘のとおり、自治体の役割は非常に大きいというふうに思っています。

 それで、二つのケースが想定されていまして、一つは、自治体自身が、さっきの屋根貸し制度じゃないですけれども、自分たちの公共施設の屋根を民間の事業者に貸し出して太陽光発電設備を設置することとか、あるいはみずから未利用地とか公共施設を活用して発電事業を展開する、こういったケースがありますが、これについては、先月の一日から始まった固定価格買い取り制度、これは一定の費用の上に適正な利潤を上乗せした価格を電気事業者に義務づけるものでありますから、初期投資の回収にめどが立つという意味では非常にやりやすくなっているというふうに思っています。これが一つ。

 もう一つのケースは、売電目的でなくて、自治体が自家発電設備として太陽光発電設備を設置する場合、これについては、自家発電用設備の設置費用の二分の一を補助する制度が本年度から新しく手当てされたところでございます。

 ですから、こういった制度を的確に運用して、おっしゃるように、自治体の太陽光への取り組みを応援していきたいというふうに思っています。

菅原委員 いずれにしましても、七月の一日から始まった買い取り制度でありまして、再生可能エネルギーの拡充には大変重要だと思っております。ただし、菅さんと一部の方々が、スタート時点から論議をしてきた経過があります。そういう意味では、一部の方々が損して得とれのようなことがないように、国民全体の普及率が高まるように、さまざまな努力が必要ではないか、こういうふうに思っております。

 最後になりますが、実は、去る六月の十五日に、自民党として議員立法を出しました。梶山筆頭理事や参議院の片山さんとか、私も含めて、資源の確保の推進に関する法律案ということで、この春も、いわゆる貿易赤字が悪化して、経常収支の悪化につながって、それが約三兆円近い赤字になって、これがまたどんどん累積になってしまっている現状があります。これは、三・一一以降のエネルギー事情が変わったゆえに、こういう状況になっているわけです。

 そこで、海外に頼ってきた資源確保というものを、これからやはり日本国内できっちりと確保すべきである。そしてまた、ややもすれば縦割り行政の中で、本来は横串できちっと法や政策を通して前に進めていかなければいけない、こういう状況があるにもかかわらず、今日に至っている。

 そこで、御案内のとおり、日本の近海に眠るメタンハイドレート、これは約九十四年分埋蔵している。そしてまた、日本近海に八十兆円ぐらいあると言われる海底熱水鉱床。あるいは、昨年の七月に発見されました太平洋沖の巨大なレアアース鉱床。今まで資源小国日本と言われてきた、無資源国日本と言われてきたものが、これからは自分の国で採掘をして、そしてエネルギー源や産業につないでいける、こうした可能性がだんだん出てきていると思うんですね。

 そこで、メタンハイドレートのことでちょっとお尋ねをしますが、南海トラフの太平洋側に偏っているというふうなこれまでのエネ庁やあるいはJOGMECの見解があったと思うんですが、実は、日本海側にも大変有効な資源が眠っている。先般も、独立総合研究所の青山繁晴さん、千春さん御夫妻で、魚群探知機で日本海側のメタンハイドレートの大変な、東京のスカイツリーよりも高いくらいのプルームを発見して、大変話題になったわけなんです。わずか三百万の漁船を借りただけでそういうことに成功しているんですが、なかなかこれを国の方で認めてもらっていない、こういう状況がある。しかし、その一方で、探査船である「ちきゅう」が来年日本海側を探査する、こういうニュースも入ってきました。

 この点、まとめて、メタンハイドレートを中心とする我が国の資源確保に関して、政府として今どういうようなお考えなのか、お聞かせください。

北神大臣政務官 委員おっしゃるとおり、メタンハイドレートというのは、国産の資源として極めて我々も期待をしているところでございます。

 日本海側の話なんですが、これにつきましては、太平洋側と違いまして、海底面に露出するタイプのメタンハイドレートが賦存していることは確認しておりますが、これはどのぐらい埋蔵量があるのか、あるいはそれを生産するに当たっての手法、こういった面で、なかなか既存の手法、技術では困難だというふうに思っていまして、ゼロから技術を開発していかないといけない。だからほったらかしにするわけではなくて、平成二十二年度に新潟県沖等において試料の採取を行っておりますし、賦存状況に関する調査手法の確立なども視野に入れて、こういったタイプのメタンハイドレートの形成メカニズムの分析等の科学的調査を進めております。

 いずれにせよ、おっしゃる全体としては、政府として、平成二十一年三月に策定しております海洋エネルギー・鉱物資源開発計画に基づいて、平成三十年度をめどに、実用化に必要な技術を確立することを目指して、引き続き積極的に研究開発に取り組んで、必要な予算を獲得してまいりたいというふうに思っています。

菅原委員 最後になります。御答弁いただきましたけれども、今までの省庁の枠を超えて、今までの発想を超えて、まさに根を詰めて、超党派でこの資源確保をしっかりやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

中山委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 政府は、七月に、今後の日本のエネルギーミックス、電源構成について三つの選択肢を示されたわけでありますが、これについて国民的議論を経た後に、八月中に革新的エネルギー・環境戦略を決定することとしておりました。しかし、各地で多くの反発を受けて、当初は八月末までに結論を出すと言っていたものを先送りした、こういうような報道が続いております。

 私は、前回、この三つのシナリオについても、その前提条件等々が国民にわかりにくい、その条件が、情報が、十分に示されていない、提供されていない、このことを指摘しておりましたから、これは当然の帰結ではないかと思うわけでございます。

 例えば、二〇三〇年だけをゴールにした姿しか示していないわけで、二〇四〇年、五〇年、これをゴールにした場合どうなるのか、また、再生可能エネルギーや火力発電、コジェネをどのようにして調達するか、そうした場合の調達コスト、関連しての電気料金の上昇をどう抑制するか、また、原発の廃炉に係る費用をどうするのか、こういった問題を、十分な情報を提供した上で議論しなければ、これは決定できるものも決定できないと私は指摘したわけでございます。

 要するに、私は、このエネルギーベストミックスについての議論はやり直すべきではないかと思っておりますが、大臣の見解をお聞きいたします。

枝野国務大臣 御指摘のような、なかなかわかりにくいという御指摘は真摯に受けとめなければいけないというふうに思っておりますが、そうしたことの中でも、国民の皆さん、相互に、それぞれさまざまな立場から、さまざまな御意見であったりとか、その御意見の背景になる将来見通しなどについても、本当に積極的に展開をしていただいているというふうに思っております。

 繰り返しになりますが、私どもが二〇三〇年の三つのシナリオをお示ししたのは、例えば二〇三〇年にどうするということで決めるということも決めているわけではありません。そうした多様な御議論を踏まえた上で、政府としての、まずエネルギー・環境戦略としての大きな方向性を決めさせていただいて、なお、そこから先、例えば、それぞれ、どういうエネルギー・環境戦略を選択するかによって、より詳細に詰めなければならないことは選択の結果によって出てまいります。

 そうしたことについてもさらに丁寧に国民的な議論をしていかなければならないというふうに思っておりますが、革新的エネルギー・環境戦略そのものの大きな方向性については、八月をめどにということで取りまとめたいと考えております。

江田(康)委員 東日本大震災、原発事故から、既に一年半近くもう経過しているわけであります。原子力に依存しない新たなエネルギーシステムの構築が急務でありますが、こうした遅延が国民や日本企業の不安をいたずらにかき立てている、そういう状況ではないかなと思います。

 もう一度お聞きいたしますけれども、一体、政府として、いつごろ、最終的な将来のエネルギーミックスの姿を決めようとしているのか。この八月中に決めないとすれば、この結論は果たして出るのでしょうか。

枝野国務大臣 繰り返しになりますが、結論ありきで硬直的に進めるつもりはありませんが、国民の皆さんの御意見を丁寧に伺いながら、この夏、八月を目途に革新的エネルギー・環境戦略を取りまとめたいと考えている、この考え方は全く変わっておりません。

江田(康)委員 この三つのシナリオがどのような形でまとまるにせよ、これまで以上に再生可能エネルギーの導入拡大を図ることについては、国民的な合意が得られていると思うわけです。

 本年七月一日から再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度がスタートいたしました。原発への依存を引き下げざるを得ない状況の中で、それにかわるクリーンエネルギーである再生可能エネルギーの普及を爆発的に進める必要があります。また、成長戦略の有望分野として、本制度の成果が大いに期待されます。

 この制度についてお伺いをさせていただきます。

 特にヨーロッパで先行的に導入されております。再生可能エネルギーの導入拡大に確かな実績をこれは残しております。しかし、制度の性質上、追加導入された再生可能エネルギーが多ければ多いほど、電力需要家に電気料金の上乗せという形で負担がのしかかって、他方、導入量が少なければ料金上乗せは少なくなりますが、制度導入の趣旨を達成できない結果となってしまう。

 このバランスの鍵を握るのは、やはり買い取り価格の水準であります。平成二十四年度において、メガソーラーの買い取り価格が税込みで四十二円、買い取り期間が二十年と設定されたところであります。この法律にも、制度開始から三年間は、調達価格を定めるに当たり、供給者が受ける利潤に特に配慮することとされているため、比較的高い水準に設定されたものと評価しておりますが、国民負担が過重になり過ぎないよう、政府は制度開始後も柔軟かつ臨機応変な制度運用を行うことも必要であります。

 そこで、電力多消費産業への影響についてお伺いをさせていただきます。

 固定価格買い取り制度においては、売上高に対する電力使用量が全製造業平均の八倍以上となる鉄鋼、化学等の電力多消費産業について、電気料金の上乗せ分の八割以上を減免する負担軽減措置が設けられているわけであります。

 鋳造産業の事業者団体と意見交換をいたしましたが、固定価格買い取り制度導入による再生可能エネルギー負担に関する実態調査を実施する予定ということでお聞きしております。電力多消費産業における軽減措置が、公平性を持って効率よく講じられる仕組みとなっているかを改めて検証する必要があると思いますが、再生可能エネルギー元年として踏み出せるように、こうした産業団体による実態調査だけではなくて、政府も電力多消費産業の負担の実態を把握して、必要があれば柔軟に制度の見直しを図るべきと考えますが、大臣の所見をお伺いします。

枝野国務大臣 御指摘の電力多消費産業の賦課金の軽減措置は、国会において修正をして加えていただいたものでございます。その趣旨を踏まえてしっかりと運用をしたいと思っておりまして、本年度の軽減対象に関する経済産業大臣の認定の申請をちょうど七月十三日に締め切ったところでございます。現在、申請を行った事業者が法に定める軽減措置の対象となるか否かの確認作業を行っているところでございます。

 こうした申請なども踏まえて、今後も電力多消費産業における軽減措置の適用実態を精査するとともに、賦課金の負担が電気の使用者の経済活動に与える影響の施行状況を踏まえて、少なくとも三年ごとの見直しをしていく、また、平成三十三年三月三十一日までの間に抜本的見直しの機会を設けるということが決められておりますので、少なくとも三年ごとの見直しとなっていますが、特にスタート当初でございますので、しっかりとできるだけ前倒しで実態を詳細に把握して必要性などについて検討してまいりたいと思っています。

江田(康)委員 次に、家庭における賦課金の負担上限についてもお伺いをさせていただきたいと思うんです。

 平成二十四年の六月十八日に、資源エネルギー庁は、本制度開始に合わせて、本年度の固定価格買い取り制度に基づく需要家に対する負担について、本年度のサーチャージ単価を〇・二二円・パー・キロワット時と定めました。これに、既に実施されている太陽光発電の余剰電力買い取り制度による負担を加えれば、〇・二九円・パー・キロワット時となります。

 現状の電気料金を七千円と仮定しますと、本制度導入によって電気料金が約一%程度上乗せされることになりまして、この上乗せ分は十年から二十年間については累積加算していくことになります。政府は、昨年の国会審議において、当時の海江田経済産業大臣は、各家庭の負担額が百五十円を超えないように運用すると発言しておりましたけれども、衆議院における法案修正を経て、負担額の上限に係る考えは見直さざるを得ないと答弁をしました。

 現在、政府は、標準家庭における賦課金の負担について、どの程度であれば受容可能と考えておられますか。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、海江田元大臣は国会で、標準家庭で一月当たりの負担額が百五十円を超えないように運用することを想定すると答弁をされておられました。これは、政府の原案についての考え方でございます。

 御承知のとおり、国会において、再生可能エネルギーの導入を一層促進する観点から修正をいただいた上で成立をしておりまして、この修正部分について、賦課金の上限については特段想定をされていないものであるというふうに理解をいたしております。

 ただ、国民の負担が過重なものとならないよう運用を行うことは当然だと考えておりまして、再生可能エネルギーの発電事業者が実際に設備の設置に要した費用について、事後的でありますが経産省に報告することを義務化いたしました。コストの低減効果を適切に毎年度の買い取り価格の見直しに反映するなど、負担軽減に向けた取り組みを行ってまいりたいというふうに考えております。

江田(康)委員 これは、想定されるもの、負担上限はないということでございますけれども、今大臣がおっしゃいましたように、国民の過重な負担にならないように、経済産業省は常にこれを見直していく必要がございます。柔軟な制度の運用を図っていくことが、この固定価格買い取り制度の持続可能性に寄与するものと考えますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 公明党は、中長期的に原子力の依存度をゼロにしていく、原発ゼロ社会を実現する、これを目指すべきであると明確に考えております。これを実現するためには、思い切った省エネ、また火力発電の高効率化を実現するとともに、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを可能な限り拡大させていくことが極めて重要であります。

 固定価格買い取り制度は、再生可能エネルギーの導入拡大という観点からは確かにすぐれた実績を持つ制度でありますが、この制度だけで十分な導入拡大が見込めるかということであります。政府は、本制度、固定価格買い取り制度と並行して、規制緩和、また導入時の補助金の拡大など、さらなる普及拡大に向けた対策を講じるべきであると考えますが、このような視点から、以下、再生可能エネルギーのそれぞれについて質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、太陽光発電についてであります。

 太陽光発電は既に百万戸に導入されている、約五百万キロワットの導入量に達していますが、初期投資コストがまだやはり高いんですね。四キロワット程度の住宅用の発電システムでは、百五十万から二百万程度はかかるんです。そうであるにもかかわらず、平成二十四年度における住宅用太陽光発電に対する導入時補助金は、平成二十三年度の四万八千円から三万五千円に引き下げられております。

 本年度におけるこの補助額について、大臣、これは最低でも平成二十三年度の水準に引き上げて、太陽光発電の普及をやはりここで図っていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 住宅用の太陽光発電に対する導入補助制度は、価格を五年で半減させるという目標を立てて開始をしたものでございます。実際に、その導入以来、年間導入件数が、二十一年から二十三年までの変化で、補助開始前の四倍に拡大をしておりますし、七十万円程度であった一キロワット当たりの価格が五十万円を下回るレベルまで低下をするなど、着実に成果を上げてきていると思います。

 油断をしてはいけませんが、先ほども少し御答弁しましたが、この手の普及や価格の低下というのは、急カーブで普及が、ある段階を過ぎると加速をしていくという状況でございます。そこには完全に乗ったのではないかというふうに思っております。

 また、この補助金の額については、価格が低下するに従って補助金額も下がる、だから、それに合わせて何とか価格を下げなければならないという企業努力がなされるというこのいい意味での相関関係の中で、実際に価格も下がるという効果を上げてきているところでございますので、しっかりと監視をしていかなければいけませんけれども、二十四年度の水準は、二十三年度の水準を踏まえて、平均価格を踏まえて、その下がり方を踏まえて引き下げたものでございますので、補助金を下げるとさらに頑張って値段を下げようというこのいい循環の状況で、当面状況を見守ってまいりたいというふうに思っております。

江田(康)委員 私も、この固定価格買い取り制度は、太陽光発電の価格を五年間で半減するという目標のもとで導入されてきているということも十分承知した上でこの質問をしているわけでありますが、技術革新が、またコスト削減が、やはり経産省が想定したとおりのカーブを描いていく場合が前提であります。そういうような意味で、柔軟な対応をしていくべきだということで申し上げておるわけでございますので、しっかりとこの検討を続けて、また監視を続けていっていただきたいと申し上げておきます。

 次に、風力発電についてでございます。

 この風力発電については、ヨーロッパの再生可能エネルギー導入先進国を見れば、再生可能エネルギー導入量の中心的な役割を担っております。我が国でも、二〇三〇年に向けて、電源構成の二五%から三五%程度を再生可能エネルギーとしようとするのであれば、この風力発電の抜本的導入拡大は必要不可欠であります。

 しかしながら、我が国の風力発電所は大半が小規模なウインドファームであり、今後、スケールメリットを生かした大規模なウインドファームの建設を促すためには、立地に関する規制を見直していく必要があります。特に、風力発電事業者からは、農地や保安林における立地の円滑化を求める声が強く、農地法や森林法の規制の見直しを大胆に進めるべきではないかと思いますが、農水省、いかがでしょうか。

 また、建設期間の短縮化の観点から、環境アセスの処理期間の短縮、また電気事業法と建築基準法それぞれの基準による審査の一本化などの規制見直しを行うことが重要であると考えますが、これらの規制緩和を実行する考えはありますか。

 以上についてお聞きいたします。

實重政府参考人 農地法についてお答え申し上げます。

 委員御指摘の風力発電など、農山漁村に存在する資源を活用いたしまして発電を行うことは、エネルギー供給源の多様化に資する、それだけでありませんで、農山漁村の活性化に貢献するという意味で、重要な取り組みだと思っております。

 他方、農地につきましては、農業生産の基盤でございますので、食料の供給や国土の保全といった多面的機能の発揮という役割を果たしております国内の限りある資源でございます。

 このため、今国会に法案を提出させていただいております農山漁村における再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案でございますが、この双方の観点を踏まえまして、再生可能エネルギー施設の設置について農地の利用調整を適切に行うということにしているところであります。

 農地転用の規制緩和につきましては、再生可能エネルギーの導入促進が重要であるということと同時に、優良農地を将来にわたって確保していくことも重要であります。

 このため、再生可能エネルギー施設について全て一般的に農地転用基準を緩和するということには難しい問題があると考えておりますが、関係者の御意見を伺いながら、具体的な取り扱いについて検討し、明確化してまいりたいと思っております。

皆川政府参考人 お答え申し上げます。

 森林法の関係でございますけれども、再生可能エネルギーの推進に資するように、森林法の規制に関しましては、昨年の七月、それからことしの四月の規制・制度改革に係ります閣議決定に基づいて、保安林につきましては、本年の七月一日から、公益上の理由により解除の対象とするということでの電気事業者の範囲を拡大いたしております。

 また、保安林の解除、さらには解除に至らずに作業許可ということでできる範囲がございますので、それについての要件等を明確化するということなど、手続の円滑化に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、森林の有する公益的機能への配慮ということを行いつつ、再生可能エネルギーの推進にも資するよう努めてまいりたいというふうに考えてございます。

北神大臣政務官 先ほどの農林水産省、林野庁以外の規制緩和の項目ですが、環境影響評価の評価項目の絞り込みとか、委員御指摘のあった標準処理期間の短縮、さらには、建築基準法の審査基準それから電気事業法の審査基準を、電気事業法の審査に一本化することなどの規制緩和については、ことしの四月に閣議決定をしておりまして、今、実際、検討を開始して、本年度中に結論を得たいというふうに思っています。

 今申し上げたもののうち、環境影響評価の評価項目の絞り込みについては、先月、七月に省令を改正して、公布をしております。それ以外の話、処理期間の短縮、それから電気事業法に一本化することについては、できるだけ早く検討して結論を得たいというふうに思っています。

江田(康)委員 さらに、洋上風力というのが膨大なポテンシャルを持つエネルギーでありまして、実用化技術の開発が必要不可欠であります。

 平成二十三年度の第三次補正予算では、長崎県の五島や福島県の海上で、浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業に対して百二十五億円の予算が計上されております。そのほか、平成二十四年度予算にも洋上風力に関する技術開発予算が幾つか計上されておりますけれども、いつまでにこの洋上風力発電技術の実用化を確立しようと経産省は考えているのか、お伺いをいたします。

北神大臣政務官 洋上風力発電につきましては、本年度、皆さんの審議のおかげで予算をいただきまして、実証事業として、千葉県の銚子沖、それから福岡県の北九州市沖の二カ所で、本格的な着床式の風力の建設に着手をしております。これは完成後、二〇一三年度から二年間、各種実証実験を行うこととしております。

 こういう政府の取り組みの中で、民間の方でも、二〇一七年ごろの事業化を目指した計画が並行して動き出しておりまして、これらのプロジェクトは、今申し上げた政府の実証事業の成果も生かしながら、早ければ二〇一五年、二〇一六年ごろには建設工事に着手する意向と伺っております。

 政府としては、こういった事業の取り組みを積極的に後押ししていきたいというふうに考えております。

江田(康)委員 次に、地熱発電についてもお聞きします。

 火山国である日本でありますが、インドネシア、アメリカに次いで世界第三位の地熱資源量があると言われております。加えて、世界の地熱発電設備の約七割を日本のメーカーが供給するほど、この分野における日本の技術力は非常に高いものがあります。

 しかし、地熱資源については、私の地元の熊本県の阿蘇や鹿児島県の霧島のように、その八〇%が自然公園内に存在すると言われておりまして、この規制緩和が急務であります。平成二十四年の三月二十七日付で、環境省は、それまでの通達内容を変更して、国立・国定公園内の第二種、第三種特別地域及び普通地域内において自然環境の保全や公園利用に支障がないものは認めることとされたことは、私は前進であったなと評価します。

 その中で、情報提供などの取り組みを積極的に行うことと明記されておりますけれども、本通達改正後、現在までに具体的に進捗した案件があれば説明をいただきたい。また、環境省は、自然公園内における地熱資源の開発について、積極的に推進していくという立場に変わったと理解してよいか、お尋ねをいたします。

 あわせてでございますが、他方、この地熱資源開発については、温泉事業者との利害調整も大きな課題。地熱発電は、再生可能エネルギーの中でも安定供給が可能な基幹電源になり得る非常に重要な電源であります。

 政府は、事業者任せではなくて、温泉事業者との利害調整に関しても積極的にバックアップしていく考えはないんですか。地熱資源の開発には十年から十五年かかります。今すぐにでもこの対策を講じていかなければならないと思いますが、政府はどのようなスケジュールで普及拡大することを想定しているのか、所見をお伺いいたします。

渡邉政府参考人 国立・国定公園におけます景観や自然環境の保全と地熱開発を高いレベルで調和させていくことが、大変重要というふうに考えております。

 そういう考え方を受けまして、国立・国定公園におけます地熱開発について、本年三月に新たな通知を発出すると同時に、環境省の副大臣をヘッドといたします部局横断の検討会議を設けまして、この四月以降、地熱開発事業者への説明会の開催、事業の進捗状況のヒアリングや助言、そして、具体的な地域での関係者への説明会、こういった取り組みを行いますなど、情報提供も含めて、環境省一丸となって取り組んでいるところでございます。

 具体的な動きといたしましては、秋田県の栗駒国定公園内にあります小安地域におきまして、地熱開発事業者と地元関係者の協議会が設立をされましたほか、福島県の磐梯朝日国立公園内にあります磐梯地域において情報連絡会が開催されますなど、開発の重要な前提であります地域合意の形成に向けた動きが始まっているところでございます。

北神大臣政務官 今、環境省の話もありましたが、おっしゃるとおり、温泉事業者を初めとして、地元の方との共生が地熱開発には極めて重要だということで、事業者に我々も指導して、モニタリング、そして、そのデータを温泉事業者に提供して、開発をしても温泉事業に影響はありませんよということをちゃんと説明していくことが一つ。

 もう一つは、今話がありましたように、地元関係者に対して政府から職員を派遣して、政府として地元の理解を深めて、この地熱の普及拡大につなげるように努力をしてまいりたいというふうに思っています。

江田(康)委員 時間ですので、大臣に最後にお聞きいたします。

 こうした各再生可能エネルギー源に対応した取り組みに加えて、横断的な課題が重要で、系統への接続をいかに円滑に進めるか、ここが実現されないと再生可能エネルギーの爆発的な普及にはつながりません。再生可能エネルギー特措法において電力会社に接続に応じる義務が課せられている点は評価しますけれども、事業者からは、系統のどの地点であれば接続可能なのか、また接続のためにおおよそどの程度のコストがかかるのかといった情報は明らかにされておらずに、この事業計画を立てにくいという声があります。また、電力会社が接続の検討に要する期間として三カ月程度を要しており、これをもっと短縮できないのか、こういう意見もあります。

 この点について、エネルギー分野における規制・制度改革に係る方針ですか、ここにおいて、電力会社による情報開示を進めるとともに、処理期間の短縮化を図るというふうにしておりますけれども、その実施時期は平成二十四年度中となっております。しかし、事業者からはこの点についての要望は非常に強くて、もっとスピード感を持って対応すべきと考えますが、実施時期を前倒しすることはできないのか、大臣の所見をお伺いいたします。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、再生可能エネルギーの爆発的普及のためには、系統接続が大変重要でございます。

 御指摘をいただいた情報開示や処理期間の短縮については、再生可能エネルギー事業者を含む関係者の皆さんと連携しつつ検討しておるところでございますが、二十四年度中というのは、二十四年度中、一番遅くて来年の三月でいいという趣旨とは全く思っておりません。できるだけ早く結論を得るべく、速やかに検討を進めてまいります。

江田(康)委員 もう時間でございますのでこれで終わりますが、日本のエネルギー戦略として重大なエネルギー・環境戦略についても、また、その中でもやはり再生可能エネルギーというのは重要な役割を果たしていきます。その普及拡大に向けての取り組みについても、また今後引き続き質問をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上です。

中山委員長 次に、高松和夫君。

高松委員 おはようございます。国民の生活が第一の高松和夫でございます。

 皆さんから再生可能エネルギーの質問がございましたけれども、私もきょうは、時間が限られておりますけれども、再生可能エネルギーについて質問をしたいと思います。

 思えば、二〇〇三年に、RPS法、旧法でございますけれども、これが施行されて、そして全国の自治体関係、市町村、第三セクター、そしてまた民間の業者が一斉に再生エネルギーに取り組んだわけです。特に風力発電なんかですね。しかし、その後、はっきり言えば、これは政府ももう投げっ放しでしたね。電力会社も余りやる気がない。

 ですから、今日まで、全国の自治体も民間も全部、実は赤字あるいは売却、倒産、転売、そういう実態なんですよね、日本においては。そして、電力業界も、あるいは、悪いけれども経済産業省も、再生可能エネルギーは一%枠だと、そこへ押し込めてきたんですね。前の東電の会長の勝俣さんは、エネ庁の会議で、再生可能エネルギーなんというのは餅を包むノリ程度だ、こんなことを言っているんですね、はっきり言いまして。

 しかし、この間世界がどうかといったら、一番後発組の中国が、風力に関して言えば六千万キロワットをもう超えているんですよ。日本はまだ二百五十万キロワットです、風力。こんなに差があるんです。アメリカもヨーロッパも全部、先進地は大幅に再生可能エネルギーが進んでいるんですよ。日本だけがこういう状況である。

 こうした状況の中で、昨年の夏、新エネルギー特措法が成立した。これはもう画期的な法律だと私は思う。そして、七月一日から施行された。先ほど来話がありましたように、固定価格全量買い取り制、優先接続、これはすばらしい法律だと思いますよ。

 そこで、最近の経済界の発言、先ほども御指摘ございましたけれども、この固定価格は電気料金が大変だからもうやめるべきだとか、そういう発言があるんですけれども、これはもう大変なことだと思うんです。今、既設の皆さん方も新法の対象になっている。ああ、よかったな、これだったら採算とれるぞ、こういう話になっているんですね。経済界のほんの一部でございますけれども、固定価格は取りやめるべきだという発言がある。

 大臣、どうですか。

枝野国務大臣 経済界のごく一部にはそういう声もあるのかもしれませんが、七月一日の制度のスタートを契機に、全国でさまざまな事業化プランの検討が進んでおります。政府の試算では、本年度だけでも設備容量ベースで二百五十万キロワット程度の再生可能エネルギー導入の拡大が進むと見込んでおりまして、やはり再生可能エネルギーのための切り札であるということは間違いないというふうに思っています。また、市場拡大によってコストダウンが実現すれば、それによって一層の再生可能エネルギーの普及拡大が見込まれます。

 現在、エネルギー・環境会議のもとで、エネルギー・環境に関する選択肢の御議論をいたしているところでございますが、どのようなシナリオであっても、現行の再生可能エネルギーの比率を大きく引き上げなければ、この国は成り立っていかないというふうに思っております。この高い目標を実現するためには、固定価格買い取り制度は不可欠であるというふうに思っております。

高松委員 それから調達期間ですね、一般で言う買い取り期間ですよ。これは事業をやる人にとりましては、ある程度しっかりした固定価格、買い取り価格が決まって、そして二十年なら二十年という期間が設定されて、その上にリターンですね、IRR、利回りは幾らだ、そういうことをトータルに決めて、そして事業計画を立てる。だからこそ、最近は、担保なしでこのプロジェクトに対して実は金を貸すわけです、民間でも。プロジェクトファイナンスですね。

 一般の事業と違うんですよ。担保持ってこい、個人保証、そうじゃなくて、このプロジェクトがしっかりしているから、そして将来性があるから、プロジェクトファイナンス、これをやりましょうということで、今そういう機運が大きく盛り上がっている。

 しかし、これに水を差すように、買い取り期間、ずっと固定価格を続けることはまかりならぬ。経団連の会長が、調達期間間の価格を固定するのはイノベーションを阻害することだと。よくもよくもこういうことを言うもんだと私は思っております。私は歴史の流れに逆行するものだと思う。

 ですから、固定価格全量買い取り制、そして調達期間は決められたようにきちっとやっていただきたい、大臣の気構えを聞きたいと思います。一言でいいです。

枝野国務大臣 全く御指摘のとおりでございまして、初期投資を行った事業者にとっては、この価格で買い取ってもらえるということで投資を行いますし、金融機関もそうしたことで事業の将来性を見込んでいるものでございます。

 法律上も、途中で価格を変えられる条件というのは、「物価その他の経済事情に著しい変動が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるとき」という大変限定されている状況でございますので、これについて適用されるということは通常の経済状況のもとではあり得ないというふうに考えています。

高松委員 大臣、おっしゃるとおりですよ。この新法三条の八項に、よほどのことがない限り、大きな経済変動でもない限り変更してはならないということは明記しておりますから、そこは肝に銘じて、お互いに頑張らなきゃならない、かように考えております。

 次の質問ですけれども、これは大臣以下皆さんに、電力業界に御指導いただきたい、行政指導いただきたい。

 ある電力会社さんは、買い取り量を決めて、自治体枠なんて喜ばせるような、自治体枠をとりますよなんて、ついこの間までですね。私どもが指摘することによって、これは取りやめた。

 また、抽せん制をずっととってきたんですよ。七月一日から始まっている新法は全量買い取り制なんですよ。にもかかわらず、抽せん制をとってきた。

 私、皆さんの部下の方にちょっとこのことで聞きましたら、いや、抽せん制はやめましたよ、やめておりますよと言ったけれども、業界の皆さんに聞いてみたら、いやいや、中身はそうじゃありませんよと。来たものは事業計画がしっかりしていれば全部受け付けなきゃならないのに、買い取り枠を、ことしは二十万キロしかとりませんよ、来年は三十万キロですよ、事実上の買い取り制限なんですよね。

 そして、どうもやはり、表では抽せん制を言わないけれども、実際は抽せん制をやっているという話。ここもまたおかしいんですよ。だから、ここはしっかりと指導していただきたい。一言。

北神大臣政務官 系統への接続請求があったときには、正当な理由がない限りは絶対に拒否してはいけないという法律の構成になっておりますし、ましてや、抽せん制なんかはあり得ない話でございます。それをちゃんと担保するような制度も法律上設けておりますので、しっかり、もし仮にそういったことがあったら、厳しく指導してまいりたいというふうに思います。

高松委員 もっと言いたいことがありますけれども、次の質問です。

 それから、電力会社の窓口の業務に関して申し上げたいんです。余り苦言は言いたくないんですけれども、この事業をやる皆さん方からいろいろな話が聞こえてきている。

 自分たちが計画を持って電力会社の窓口に行きます。いや、もういっぱいだから、うちは入りませんよ。どうして入らないのか。系統の容量はこれこれで、将来には実はこういう容量にしたいと思うけれどもこうだということの説明は一つもない。一方的にしないで、やはりここまで来ればもっと情報開示をすべきだと思うんですね。情報開示をして、実はここはこうでこうでということをしっかりと私は開示していただきたい。これは答えは要りませんよ。

 それから、接続をするに当たっての接続の費用も、これは結構かかるわけですよ。それも一方的に電力会社さんの方が数字を出してくる。普通の商慣習からいきますと、実はこれはこうだけれどもどうだろう、いや高い、安い、あるいはこういう形にしようか、そういう話し合いがなされるべきなんだけれども、一切なくて、ある役所の方は、俺らもかたいけれども役所以上だよ、電力会社、こう言っている。親方日の丸以上だということなんですね。それではやはりうまくいかぬと思うんです。

 これからも、では受けましょうといったとき、一方的に接続費を要求してくる。不安があって言えば、おまえらやめろという話になる。そこのあたりもしっかりやっていただきたい、行政指導していただきたい。一言。

北神大臣政務官 先ほど申し上げたように、ちゃんとした理由がない限りは拒否できない。その例外規定というのは、例えば電力系統の容量が物理的に難しいとか、あるいは接続の費用を払おうとしていないとか、こういった理由がありますが、いずれにせよ、どんな場合であっても、拒否するときには書面で具体的に電力事業者が発電事業者に対して示さないといけない。したがって、おっしゃったような費用の積算根拠、こういったものをちゃんと具体的に示さないといけない。

 こういうことをしない場合は、先ほど申し上げたように、これも法律上指導することができる、指導に従わない場合は勧告をすることができる、勧告に従わない場合は命令をすることができて、これはちゃんと罰則つきの命令でありますので、我々は的確にこれを運用して、そういった恣意的な拒否がないように、ちゃんと注視をしてまいりたいというふうに思っています。

高松委員 ありがとうございます。

 それから、民間業者が接続に当たって電力会社とやりとりをする、なかなかうまくいかない、いろいろなトラブルになる。そのとき第三者機関があるわけでありますけれども、ESCJと言っているんですけれども、しかし、この機関が、全て電力会社からの出向者で実はESCJのメンバーが構成されている。ですから、公平じゃないんですよ。

 ですから、これは、メンバーは公表すべきでありますし、また、この審議は第三者が監視できるように公開をしていただきたいと思いますね。でないと、こういうせっかくの機関がありながらも、結局電力会社ペースでやられちゃう、そういうことなんです。そこもしっかり私は指導していただきたいと思います。一言でいいです。

北神大臣政務官 ESCJ、これは一般社団法人電力系統利用協議会というものですが、全体としては、これもまた電力システム改革の中でいろいろ見直しが検討される可能性もあると思っていますが、特に重要なのは、紛争解決の場合、電気事業者と発電事業者の間で何か問題があったときに利害調整をする、これはやはり中立的でなければいけないということで、去年、電気事業法を改正して、中立化しました。

 これは、具体的には、紛争処理を実施する系統利用紛争解決パネルというものがありますが、このメンバーは、電力会社等の利害関係者を入れずに、弁護士さんとか、あるいは学識経験者、こういった方々をメンバーとしております。

 このESCJの系統利用紛争解決パネルにつきましては、ことしの七月に、ESCJそのものが、法律に基づく裁判外紛争解決手続として、中立なものであるということで、法務大臣から認証を取得しておりますので、今後についても、紛争処理の中立性の確保に万全を期してまいりたいというふうに思います。

高松委員 次の問題ですけれども、環境省の局長さんがおいでになっていますけれども、先ほどアセスの話をされました。ですから、時間がございませんので、私の方から一方的に。

 例えば風力の場合でも、風況調査、それから抽せん、アセス、建設、七、八年かかるんですね。その間にアセスが三年もかかる、地熱の場合は四年もかかっているんですね。ですから、事業者の皆さんに聞いてみますと、せめて二年ぐらいに何とか圧縮できないかということの要望が非常に強いんですよ。それは全て事業計画全体に響いてきますから、答えは要りませんので、そこはひとつ明快に進めていただきたい。

 たしか、この問題についても閣議決定されておるわけでありますけれども、明確化しないと、地熱は十二年もかかっちゃうんですよ、十二年も。それだったら、事業として進みません。そこはひとつ、一方的に言っておきますが、よろしくお願いします。

中山委員長 白石局長、決意を言ってください。

白石政府参考人 お答えさせていただきます。

 アセスメント、必要性ということについては、皆さん、関係の方、御理解いただいておりますが、それに時間が不必要にかかるということはよくないことでございます。迅速化、これは環境省も関係省庁と協力をしてやらせていただこうと思っております。

高松委員 次の問題、ちょっと時間がかかりますけれども、大臣、固定価格全量買い取り制、そして優先接続、全ての事業計画をスムーズに受け入れて、そして電力会社はそれに対応しなきゃならない。

 しかし、系統、いわゆる電線、ケーブル、これは細いところも太いところもあるんですよ。例えば、ある地域で五万キロ入れたい、だけれども三万キロしか入りませんよ、二万キロどうしても電力会社が増強しなきゃならない。その増強費用は、いわゆる再エネ業者が全部負担することになっていますね。一言でいいですから、承知していますか。

枝野国務大臣 現状として、原則、そういう制度になっております。

高松委員 今これから事業を起こす、超大手でも何でもないわけです。市民風車なんというのもあるんですよね、ヨーロッパと同じように。ですから、非常に力のない業者。これから力のある方がどんどん出てくると思いますけれども。

 これは電力会社が送電線網を強化してやるというのが当たり前の話で、ヨーロッパのどこの国に行ったって、発送電分離が行われているんですよ。そして、電気を入れようと思ったら、ちょっとお待ちください、いつまでにうちはちゃんと系統を強化しますよとなっておるけれども、今、全く九電力の皆さんはやる気がない。誰が考えたって、おかしいじゃありませんか。そして、再生可能エネルギー業者が、全部おまえらが増強に関しては負担しなさい、俺ら知ったことないよ、こんな感じなんですね。はっきり言いまして、これではやはり困りますね。

 それで、なぜこんなことになったか。エネルギー新法で固定価格全量買い取り制、くどくどですけれども、優先接続、全部優先的に接続しなきゃならない義務づけというすばらしい法律があるにもかかわらず、なぜか。

 大臣はわかっていると思うんですけれども、これは、去年の二月、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会制度環境小委員会の中間取りまとめがあるんです。大臣、承知していますか。これは読んでいますか。その前にワーキンググループなるものもあるんだけれども、いろいろな偉い人たちがいる、電力会社の方々もたくさん入っている。このいわゆる答申を受けていたんだけれども、実は、「系統増強に係る費用負担」というところがあるんですよ。いわゆる送電線の増強に係る費用の負担というところなんだけれども、何ぼ読んでも、難しくて、この文章はわからない。

 一番肝心なところを読みますと、「発電事業者が費用を負担する場合には、」発電事業者というのは再生可能エネルギー業者ですよ、太陽光なりあるいは風力発電業者が費用を負担する場合には、「一般電気事業者は、原則として、系統増強を行うものとすることが適当である。」当たり前の話をしているんですよね、当たり前の話を。こんなの当たり前なんだ。再生可能エネルギー業者が負担する場合には、電力会社は増強をやるのが適当であると言っているんですね。裏を返せば、自分たちがやる必要はない。こんないい新法ができているにもかかわらず、大臣の傘下の資源エネルギー庁の小委員会はこういう中間答申を出しているんです。

 なぜ電力会社がのらりくらりしているかと思ったら、結局、これを根拠に、やる気がない。最近の話だけれども、北の方の電力会社が拒否したという話もある。政府の側がちょっと打診に行ったら、それを拒否した。大臣、矛盾しませんか。だから、これから大がかりにやるためには、こういうことをやらせちゃだめですよ。いいですか。これは、とにかく、すぐ取り消させてくださいよ。

 こんなことがあるから前へ進まないんだ。送電線の強化をやらなきゃ、幾らいい法律をつくって、幾ら計画をどんどん受け入れたって、進む話じゃない。法律でも何でもない、政府の命令でも何でもないのに、小委員会の答申、たったこの数行を根拠にして、九電力の皆さん方はのらりくらりやっているんです、やる必要ないといって。

 どうですか、大臣。

枝野国務大臣 まず、総合資源エネルギー調査会は経済産業大臣に意見を具申する機関でありますので、そこで何か取りまとめられたものについては、発電事業者あるいは一般電気事業者を含めて、何をも拘束するものではありません。したがって、この中間取りまとめを根拠にして物をおっしゃる電力会社があったとしたら、それは全く意味不明のことをやっているということでございます。

 ただ、現行制度では、基本的には、発電事業者が、発電をする者が送電について負担をするのが原則であるというのは間違いありません。ただ、その原則のもとにおいても、実際に、特に風力発電の導入拡大には現行の送電網が脆弱であり、これを風力発電事業者のみに負担させるということでは、とてもこれを拡大させることは不可能である。そのために、国が例外的に支援を行う、その具体的な内容について検討しておるところでございまして、この場合には、風力発電事業者による貢献についても検討しておりますが、電力会社、一般電気事業者に貢献を求めていくことは当然の前提として調整を進めております。

 さらに、そもそもは、やはり、これは既存の大きな電力会社の発電部門とそれから送電部門が一体化をしているという現在の制度そのものを変えないと、本質的な解決にはならない。発送電分離を行って、送電網を管理する者が、もともと同じ会社であった発電所の発電であろうが、新規参入してきた風力などの発電事業者であろうが、対等、平等に電力の安定供給という観点から判断をしていくという仕組みを一日も早くつくることが重要だというふうに思っております。

高松委員 今、新しいエネルギーは国策でやらなくちゃだめですよ、国策です。

 これは原子力と同じなんです。オイルショックがあって、一九七四年、古い話になりますけれども、田中角栄総理大臣が、電源三法、周辺地域整備法、それから電源開発促進税、これは今も一般家庭も全部ずっと取られている、それからエネルギー特会、この三法によって初めて国策として急速に原子力発電が実は伸びたんです。それだけのてこ入れをしないと伸びない。今のような及び腰でやったんじゃ、うまくいかぬと思いますよ。

 ですから、この程度の足元の中間答申、こういうのはやめさせることですよ、いいですか。

 それで、先ほどからほかの議員の先生方も、今月中ですか、エネ庁のエネルギー基本計画、これは答申を出すわけでありますけれども、選択肢一、二、三とありますね。二〇三〇年に〇%に原子力を持っていくためには三五%の再生可能エネルギー、一つの数値としてそういう目標値が出ております。

 二〇一二年の六月十三日、中央環境審議会の地球環境部会、百九回の会合のあれがあるんですけれども、それで、選択肢一の場合、これはたくさん出ておる。地熱の場合、二〇三〇年、二百二十一万キロワット、太陽光一億六十万キロワット、風力三千二百五十万キロワット、そこまで持っていかないと、選択肢一の二〇三〇年の三五%に届かないということを言っているんですよね。

 今、全電力の容量は二億キロワットです。その中でこういう再生可能エネルギーをやっていく場合でありますけれども、風力ですと十三倍、太陽光だと二十八倍まで持っていかなきゃならない。これは至難のわざですよ。そのためには、いろいろな形で法整備をするなり横軸でいろいろなことをやっていかないとうまくいかぬ、私はこう思っておるわけでありますね。

 どうですか、次のこともありますから一言だけ。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、エネルギー・環境会議からお示しをしているシナリオ、選択肢、どの選択肢をとっても再生可能エネルギーの拡大は簡単なことではないというふうに認識をいたしております。さまざまな政策手段を総動員して、国民の皆さんにも一定の御協力をいただかなければいけないというふうに思っています。

 しかしながら、我が国の今後の経済関連分野のイノベーション、そして電力の安定供給、そして現在の国民の皆さんの原子力に対する思いというものを踏まえるならば、困難でも実現は可能でありますので、この困難を乗り越えていかなければいけないと思っております。

高松委員 次の話に移ります。

 五月に、資源エネルギー庁の電力・ガス事業部の方から資料を頂戴しております。再生可能エネルギーの導入拡大に向けて系統強化に係る措置について、今、皆さんの方で北海道、東北地区を重点整備地区というふうに位置づけをいただいておりますけれども、実は、平成二十三年度、昨年一年間で応募してきた風力と太陽光ですが、北海道で百八十七万キロ、東北で三百二十四万キロワット、メガソーラーで九十万キロ、北海道ですね、合計しますと、去年の段階で五百九十万キロワットの応募があるということなんですよね。

 そして、この資料で皆さんの方から御提示をいただいた、これをやるために、北海道電力二百七十万キロワット、域内ですね、それから東北で三百二十万キロワット、五百九十万キロワットですよ。これを実現するために、北海道地区で、北海道内で二千億程度かかる、それから地域間連系で五千億かかる、東北電力で三百二十万キロワット、これは七百億円かかる、それから地域間連系で三千三百億円かかる。

 時間がなくなってきたけれども、北海道電力管内で相当数の実は送電線と金額がかかる。それから、北海道だけは余剰電力がたくさんありますから、今、北海道と本州、北本連系線と言っていますね、新たに六十万キロワットの送電線を三本増強しなきゃだめだ。これには五千億ぐらいかかっちゃう。それから、東北電力が東京電力と結ぶために、これもまたかなりの金がかかる。三千三百億円程度かかる。それから、東北の東側に日本海方面の五百キロボルトの線を引かなきゃならない。

 あれやこれや全部やりますと、これは試算ですけれども、一兆一千七百億円かかる、これは十四、五年かかると言っているんですよ。実は、北海道、東北でこれだけの応募があるんです、去年の時点で。しかし、一兆一千七百億かかっちゃう、十何年かかる、こう言っているんです。端的にちょっと印象を答えてください。

枝野国務大臣 まさにこうした送電網の整備というものが、特に風力発電というものの導入拡大に向けて大変大きな要素である。同時に、それについては大変大きな費用がかかるということの中で、やはり再生可能エネルギーの普及拡大ということに向けては、先ほど御答弁申し上げました、国も例外的に支援をするというこのことを含めた足元の支援策、そして、抜本的な発送電分離によるシステム改革を初めとして、さらに政策を総動員して、できるだけ低コストで、しかし、必要な送電網をきちっと早期に整備するということを進めていかなければいけないというふうに思っております。

高松委員 私、先般、おたくの方の電力・ガス事業部長さんに、これはあなたがつくったのかと言ったら、いや、電事連さんです、電事連さんのを下書きにしてこれを準備しました、こういうことだったんですけれどもね。実は、私、民間の専門家にこれをちょっと見せて、どのぐらい実際かかるかと。半分でいいんだ、半分ですよ、こう言っている。たった半分だ。それも五年でやってみせますよと。ですから、これは親方日の丸ですよ。東電と同じ。

 ですから、もう既に去年の段階で五百九十万キロワット、東北、北海道でそれだけの実は要望があるんです。これからもっとどんどん来るんですよ。北海道のある町長さんは、いや、とにかく系統の強化をしてもらわないと我々は困る、あともうこれ以上無理ですよ、こう言っている。ぜひひとつよろしくお願いしますと。

 五百九十万キロワット、東北、北海道、そのためには一兆円以上金がかかる。これは国策でやるしかないんです、国策で。そしてまた、電力会社の皆さんに何割か負担させるというのは当然の話です、これは。

 人ごとじゃありませんからね、大臣。来年度の予算、概算要求、ばっちりお願いしたいと思いますよ。これは、ここでただやりとりしたんじゃ、芝居で終わっちゃう。そうじゃなくて、具体的に、どの地域へどの程度の予算がかかる、概算要求してください。どうですか。

枝野国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、北海道の一部や青森県の一部、秋田沿岸、酒田・庄内地区などといった、電力需要は小さいものの、特に風力発電に適した良好な地点であるという地点は明らかになっております。

 こうした地域における送電網充実のための、国の例外的な、現行制度においては例外的な支援については具体的な検討を行っておりまして、その際は、風力発電事業者にも御協力いただかなければいけませんが、電力会社に貢献を求めていくことは当然の前提でありますし、国も支援を行うということは、一定の財政措置が必要になるということでございます。

 まだ、概算要求に何を盛り込むのかということを公式にお答えできる段階ではございませんが、そうした前提で検討を進めているということで、きょうのところは御理解いただければと思います。

高松委員 いい答弁をいただきました。

 私は、あれやこれや言いましたけれども、もう時間がありませんけれども、はっきり申し上げて、別に環境派でもございませんし、原発推進派でもございませんよ。一言で言えば、産業派かもしれませんけれどもね。

 私は、この国家のエネルギーということを非常に心配している。他国はそういうことを想定して、全部、エネルギー政策、再生可能エネルギー、こういうものに転換させて、もう準備してどんどんやっているんですよ。日本だけが取り残されているんです。

 エネルギー政策は安全保障と同じですよ。おたおたしたら、とんでもないことになっちゃう。中東のLNGがどのぐらい、実はもう足元を見て値段をつり上げてきているか、全部おわかりでしょう。メタンハイドレートだって、すぐにはならぬ。十年以上かかっちゃう。

 一たび再生可能エネルギーを設置したら、これはただの話ですから、そうでしょう、無限ですよ、太陽光にしても、風にしても。日本は風がないとか風が悪いとかいうけれども、理屈をつければ百でもつくわけですからね。

 ですから、そういう意味で、私は、この国家のエネルギー政策として、国策として、本腰を入れてやっていただかなきゃならないと思います。

 決して原子力と対決するものではありませんよ。石炭と原子力が対決したかといったら、そうじゃない。石油と対決したかといったら、そうじゃないんです。大きな歴史の転換ですよ。歴史的な流れだと私は思います。

 ですから、原子力から再生可能エネルギー、スムーズな転換ですよ。対決するものじゃありません。対立軸をつくるのは、おかしな、よこしまな考え方を持っているからですよ。

 そういうことで、ひとつ頑張っていただくことを、私も頑張りますけれども、よろしくお願いを申し上げまして、ちょうど時間となりました。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、ちょうど、経産省のもとにあった原子力安全・保安院が環境省のもとにある規制庁、人がそのままであるかどうか、これは別にして、そういうふうな組織がえの中で、福島第一原発事故にかかわるいろいろなデータが曖昧になってしまっちゃいかぬと思いますから、そういう点でまず伺っておきたいのは、溢水勉強会、研究会ですね、あれの議事録というのはいただいておりませんが、一応資料というのはいただいたので読ませていただきました。まず、この点について順番に伺っていきたいと思います。

 この研究会は、二〇〇六年一月十八日に原子力安全・保安院とJNESが設置して、この研究会や勉強会は一月三十日に第一回目が開かれて、二〇〇七年四月までの間に十回以上開かれております。まず、そこには、電気事業連合会のほか、東京電力など電力各社も参加していたと思うんですが、最初に確認しておきたいと思います。

深野政府参考人 お答えをいたします。

 今委員御指摘がございましたように、この研究会、これは保安院の研究会でございますけれども、JNES、それから電力会社としては東電、関電、東北電力、北海道電力、さらに電事連からも参加いただいておりました。

    〔委員長退席、石関委員長代理着席〕

吉井委員 この研究会に先立って、二〇〇四年十二月二十六日に、インドネシア・スマトラ沖地震、津波で、インドのマドラス原発の非常用海水ポンプが運転不能になったということ、こういった事例を研究してこられたと思うんですが、このマドラス原発についてどういう検討をされましたか。

深野政府参考人 マドラス原発の事故につきましては、今御指摘のように、このスマトラ沖地震で発生いたしました津波でポンプが被水をしたということでございまして、補機冷却系のポンプだと思いますけれども、ポンプ一台を除いて、この二号機のポンプは全て使えなくなったということでございます。

 そういったことを念頭に置いて、仮に被水をしたらどうなのかということについての評価をしたというふうに承知をしております。

吉井委員 津波の高さに合わせて、押し波の場合ですと水位がぐんぐん上がっていくんですが、サイホンの原理を考えてみればすぐわかる話ですが、ポンプ室がそれで冠水して、津波の高さは最大十・五メートルだったと思うんですが、敷地は海水面から六メーターないし八・六三メーターのところで、主要施設は二十メートルぐらいの高いところにありましたが、それで、今おっしゃったように、非常用のポンプ設備等が機能不全になってしまう、こういう事故だったんですね。

 ですから、津波による原発の災害というのは、本当に想定外の話じゃなくて、想定内にあったということがまず大事な点だと思うんです。

 二〇〇六年五月十一日の溢水勉強会で、福島第一原発五号機の想定津波について東京電力はどのような報告をしておりますか。

深野政府参考人 この溢水研究会におきましては、当時の敷地高さよりも一メーターほど高い水位に津波が参りまして、それで、そのままとどまった場合にどういう影響があるかということについての評価を行って、電力会社の方から報告がございました。

吉井委員 報告書の表一というのを見ておっても、OPプラス十四メーター、屋外設備は全てだめになり、表二を見れば、ディーゼル発電機はだめになってしまう。

 近地津波の場合でも、最も高い年超過確率で、中央値の部分では一メートル弱なんですが、確率はうんと低いけれども、十五・九近いものもあるというのは既に提出されていたんですね。

 この報告書を出した五月十一日の勉強会の後、第四回、五月二十五日、東京電力の側から、津波ハザードの危険性による試算というので出しているんですね。同じ五月二十五日に、女川原発二号機の機器影響という文書報告もされていると思うんですが、それはそのとおり、されていますね。

深野政府参考人 女川が五月二十五日に、これにつきましては、津波水位の仮定をして、それについての影響を報告しております。

吉井委員 女川二号機の機器影響評価についてはどのように示していましたか。

深野政府参考人 ちょっと今手元に女川のものがすぐにございませんので、基本的には、敷地よりも高いところに水が来て、それによって浸水が生ずるということを想定して評価を行ったというふうに理解をしてございます。

吉井委員 女川の資料を見ていると、想定外津波水位は、敷地高さがOP十四・八メートル、それよりもさらに一メートル足したというものになりますから十五・八、継続時間は長時間継続とし、建屋への浸水による影響として、常用及び非常用海水ポンプは全て機能喪失、電源の機能喪失となり、安全系の電動機、電動弁の機能喪失となるというふうに書いております。

 二〇〇六年の段階で、せっかく電事連、各電力を含めて、東電を含めて勉強会をしておられて、やはり想定外なんじゃなくて、そもそも想定しなきゃいけない津波だということについては研究していたんじゃないですか。

深野政府参考人 この溢水勉強会の当時の資料を見ますと、あえて、敷地の高さよりも高いところまで津波が来て、それによって機器がどういうダメージを受けるかということについての評価をしてございました。

 ただ、そのときの資料を見ますと、津波の高さが、ではどのぐらいのものを想定するのか、それについては、むしろ耐震バックチェックの作業に委ねる、そういうことがレポートにも書かれておりまして、基本的には、どのぐらいの津波の蓋然性があるかというのは、むしろバックチェックの方に委ねてしまっていたということではないかと理解をしております。

吉井委員 実は、この溢水研究会では、多くの場合、内部溢水の研究ですね。機器が破損したときに原発の建屋内にどこからどういうふうに水が漏れてどれぐらいたまっていくか、それが中心的な研究だったんですが、津波など外部溢水の研究は非常に弱かったと思うんです。

 しかし、弱いにしても、東電福島第一原発では確率が低いにしても十五・九メーター近いものを考え、東北電力女川原発では十五・八メートルの津波を考えていたということは大事な点だというふうに思うわけです。

 政府の事故調査報告書を見ても、それから国会の事故調査報告書を見ても、今おっしゃったように、土木学会への検討依頼とかいろいろ、あっちこっちへ検討依頼はしたり、検討しなさいよということはあるにしても、要するに、費用のかかる話を自分限りにすることはあり得ずと、これは吉田さんの話ですが、武藤副本部長及び武黒一郎原子力・立地本部長に話をしたと、ちゃんとこれは政府事故調の中間報告に出てくるわけですね。国会事故調の報告でも同じ内容で、武藤副本部長は、津波到来の緊急性は低いと考えていたとヒアリングに答えています。

 いずれの事故調査報告でも、吉田所長、武藤原子力本部副本部長らが建設費がかかることを理由に対策をとらないとし、武黒本部長もその報告を受けていたということは明らかだというふうに思うんですが、この点については、原子力安全・保安院としては、きちんと調査しなさいよと言ったんだけれども、どのように調査したのか、どの程度真面目に取り組んでいたのか、これをきちんと把握していらっしゃったんでしょうか。

深野政府参考人 この東京電力福島第一のプラントにおける津波の問題というのも、耐震バックチェックの中で有識者の方から問題提起があったものでございます。

 それを受けまして、保安院としては、今回の政府事故調の中間報告でも書かれておりますように、平成二十一年の夏ごろから何回かにわたりまして、その試算の状況とか考え方を聞いております。

 ただ、その中で、東京電力サイドの考え方としては、基本的にはこれは土木学会に検討を依頼している事項で、また、堆積物の調査などもやっておりましたので、そういったものの結果を踏まえて、必要があれば対応する、その程度の話として報告を受け、当時は、それで保安院としても余り突っ込んだ対応をされていなかったということでございます。

吉井委員 せっかく溢水研究会を事故よりも五年も前にやって、事故の二年前にも、二〇〇九年時点で、福島第一原発敷地南側でOPプラス十五・七メートルの津波について、東電幹部の間では協議をやっているわけですね。

 協議してどんな判断をしたかということがもちろん問題になるんですが、保安院としてそのときにどういう指示をきちんとしたのか、そこがやはり今問われてくると思うんですよ。

 みんなが何か、いろいろな報告書は出てくるんだけれども、曖昧で、要するに、何もしなかったら不作為の責任が問われるわけですよ。

 そのときに保安院は一体どういう指示をしたのかを改めて伺っておきたいと思います。

深野政府参考人 当時の保安院の認識でございますけれども、保安院としては、このサイトも含めて耐震バックチェックの作業のさなかという認識であったと理解をしております。

 また、耐震バックチェックの中間報告の段階では、津波というのは地震随伴事象という整理になっておりましたので、どちらかといえば最終報告の段階できっちり決着をつけるべきものだ、そういう認識で対応がなされていたのではないかというふうに考えておりまして、政府の事故調の中間報告にもございますように、口頭ではいろいろ検討を促すようなことはあったようでございますけれども、そういった対応でとどまっていたという認識でございます。

吉井委員 これは、ことしの五月十六日に、「溢水勉強会とそれを踏まえた対応状況等について」という東京電力は文書を出しておりますが、その中で、東電自身の問題もあるんですが、「保安院からの要望」として、今おっしゃったように、津波については、「「土木学会手法による評価を上回る場合、低い場所にある非常用海水ポンプについては、機能喪失し炉心損傷となるため、津波(高波、引波)に対して余裕が少ないプラントは具体的な対策を検討して対応して欲しい。」という要望と、この要望を各社上層部に伝えるように、という話を口頭で電事連が受け、東京電力では、保安院からの要望を原子力・立地本部長まで情報共有した。」と。

 ですから、電事連にしても電力各社にしても、幹部は皆情報共有をしているわけですよ。問題は、指示はしたんだけれども、それをやらせ切るということになっていないわけですね。

 ここで、きょう、枝野大臣に伺っておきたいんです。

 これは、省庁の異動といいますか、そうなる前に、そこまではやはりあなたの責任ですから、この点についてのこれまでの、せっかく溢水研究会を立ち上げて、内部溢水が中心であるにしても、津波という外部溢水についても研究して取り組んできながら、ちゃんと最後までやらせ切るという責任を果たすことのできなかったこれまでの規制庁の問題と、それから、規制庁から提起されてもコストを問題にして取り組まなかった東電の問題、両方ともに私は不作為の責任というものがきちんと問われていかなきゃいけないと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

枝野国務大臣 国会と政府の事故調において、かなり詳細な検証をしていただいております。規制庁が発足をし、保安院がなくなるということに先立って、原子力安全・保安院としてこうした事故調での指摘を真摯に受けとめ、そして、そのことに対して、見解といいますでしょうか、反省といいますでしょうか、そういったことをしっかりと整理するとともに、保安院の間に、この一年間改善をしたこと、そして、引き続き規制庁において努力をしていただきたいことは最大限整理するようにという相談を実は保安院長とも既にしているところでございます。

 率直に言って、どの程度御期待に応えられるかというのは、当事者であるということの難しさもございますが、できるだけ二つの事故調の報告書を踏まえて対応したいと思っております。

    〔石関委員長代理退席、委員長着席〕

吉井委員 私は、せっかく取り組んできながらやらせ切れなかったという問題と東電がやらなかったという不作為の責任というのは重大だと思うんです。

 あわせて、実はこの問題は、インドネシア・スマトラ沖地震を受けて、保安院も取り組んだんだけれども、国会でもやっているわけですよね。その点では、これは、前政権だけじゃなくて、政権交代後も直嶋前経産大臣は、津波によって、まず地震で鉄塔倒壊、今度ありましたけれども、地震による送電鉄塔の倒壊等外部電源喪失、津波による内部電源喪失、そうなれば炉心溶融に至るという問題を取り上げても、メルトダウンを起こさせない構造になっていますと答弁していたんですね。

 国会事故調報告で、「原子力は安全であり、日本では事故など起こらないとして原子力を推進してきた。 そして、日本の原発は、いわば無防備のまま、三・一一の日を迎えることとなった。」というふうに記載しております。

 枝野大臣、改めて伺っておきたいのは、この事故というのは、これはこれまでの、自民党政権もあれば、細川内閣もあったし、自社さ政権もあったし、自公政権もあったし、民主、国民新党、社会民主党の連立政権もあったんですが、これらを初めとする前政権と東電の不作為の責任が問われるということだけじゃなしに、やはりこれは自然現象じゃなくて人災なんだと。

 この人災ということについての大臣の認識を最後に伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 人災という言葉も、恐らく短期的に皆さん受けとめられているので、ストレートにお答えするのはなかなか難しいんですけれども、今御指摘のあったとおり、事故は起こらないんだということをある意味前提にしてしまった、いわゆる安全神話のもとで、もっと対策をとっておけばこうした重大な事故に至らなかったのではないかというこの指摘は真摯に受けとめなければいけないというふうに思っております。

吉井委員 今、再稼働とか原発輸出に走っていますけれども、今のままでは無防備のままに過ごしてしまうことになる、私は、このことを厳しく肝に銘じて取り組んでもらわなきゃならないということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

中山委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 野田総理が脱原発、再稼働反対デモの主催者のグループのメンバーと面会するという意向を示しておられる、このように報じられております。一体、政府の姿勢というのはどうなっているんでしょうかね。会って、何を話すんでしょうか。一体、政府が何を目指しているのかということが甚だわかりにくいというふうに思います。

 思い返してみると、当時の菅総理の、世に言う脱原発会見というのがありました。二〇一一年七月十三日、首相官邸で記者会見をされた。原発に依存しない社会を目指すべきだと考えるに至った、計画的、段階的に原発依存度を下げ、将来は原発がなくてもやっていける社会を実現していく、こういうふうに語られたわけであります。

 これは時の総理の発言ですから、原発に依存しない社会を目指すということを政府の方針として決定しなければいけない。そうでなければ、言いっ放しの雲散霧消になってしまいかねない。それを当時の枝野官房長官にお尋ねさせていただいたんですが、これは行政権の長としてというよりも、政治のリーダーとして、みずからの考え方、そして今後の議論の必要性、こういうことを語ったものなんだ、まさに、これから国民的な議論をスタートさせたいということであるから、こうした方針を例えば閣議決定する、こうしたことには適さないものである、こういうふうに御答弁をされています。

 そして、同じ委員会の場において、当時の海江田経産大臣から、総理が総理として発言をしているんだったら、泰山より重いけれども、個人としての発言だと言うんだから、それは鴻毛より軽い、有名なこの答弁が出てきたわけです。鴻毛より軽い、こういうことになってしまった。

 だから、私は、言うんだったら、脱原発方針を閣議決定するか、法律として制定する、そうしたことが必要なんではないですかと当時から申し上げてきたわけです。

 今になって、菅前総理は、二〇二五年に国内で稼働する原発をゼロにするという、脱原発基本法というものの成立を目指すということで、活発に発言をされておられます。どうしてあのとき総理としてやらなかったのか、こういうふうに思いますけれども、当時の官房長官でもある枝野経産大臣、今経産省を所管されている大臣でありますから、この方向性を同じゅうしている、方向性を共有しているのかどうか、お伺いをしたいと思います。

枝野国務大臣 先ほどの私の官房長官時代の答弁は、その時点において政府で何か確定をしているわけではないという趣旨を申し上げたんだというふうに思いますが、現在、政府としては、原子力発電については、中長期的には原子力への依存度を最大限引き下げていくという方向を目指すべきと考えており、これは計画的、段階的に原発依存度を引き下げ、原発に依存しない社会を目指すべきとの考えを示したものであるというのが政府として、つまり野田内閣としての見解でございます。

 そして、まさに今、この計画的、段階的に原発依存度を引き下げということの中身について、国民の皆さんに三つの選択肢をお示しして、国民的な議論を踏まえて、具体化をした上で、エネルギー・環境戦略であったりエネルギー基本計画をつくるというプロセスに入っているというものでございます。

柿澤委員 ここの部分がやはりわかりにくいんですよね。

 そもそも、中長期的に原発への依存度をできる限り減らす、こういうことを枝野大臣も、また細野大臣もお話をされているわけですけれども、この政府の方針というのは、できる限り減らすというのは究極的な原発ゼロを目指したものである、こういうふうに解釈していいのかどうか。また同じ答弁をいただくのかもしれませんが、もう一度御答弁をいただければと思います。

枝野国務大臣 恐縮ですが、今、政府の公式な見解としてお話しできるのは、計画的、段階的に原発依存度を引き下げ、原発に依存しない社会を目指すべきとの考えであるということでございまして、今のお尋ねにどうお答えするべきかということの具体的な中身について三つのシナリオをお示しした国民的な議論を踏まえて、今月中をめどに結論をお示ししたいというふうに考えています。

柿澤委員 今月中をめどにというお話をされましたけれども、時期の設定について、結論を出す時期について政府内でもいろいろと発言がばらばらになりつつあるのは先ほど御指摘があったとおりです。

 本当に原発への依存度をできる限り減らすということを考えているんですか。原発稼働率七〇%、そして法律に基づき四十年廃炉を予定どおり進めれば、原発依存度は二〇三〇年には一三%になるはずなんです、このまま普通にやっていけば。ところが、今回の三つのシナリオのうち二つは、それよりも高い、一五%、二〇から二五%になっているではありませんか。つまりは、現存する原発を全て再稼働する、一部は四十年廃炉も延長する、二〇―二五%シナリオでは新設もあり得る、こういう選択肢になっているのではありませんか。

 現に、東京電力は、あのような事故が起きながら、福島第一の五号機、六号機及び福島第二の廃炉を明言していないではありませんか。一昨日、南相馬市に行ってまいりましたが、東電の新しい経営陣、広瀬社長と下河辺会長が来られたそうですけれども、桜井市長が何度問うても廃炉を明言しなかったということであります。これらの再稼働があり得るという東電の立場を経産省としても是としているんでしょうか。

 枝野大臣は、福島第一、五号機、六号機については、官房長官当時の去年の三月三十日の時点で、客観的な状況からこれは廃炉になるに決まっている、こういう趣旨の発言をされています。福島第二については、去年九月の時点で、やはり再稼働は不可能だろう、廃炉は不可避だ、こういう認識を示しておられます。現在の認識はいかがですか、お伺いいたします。

枝野国務大臣 今、国民の皆さんの中にはさまざまな御意見がある。先ほどの質問でもありましたとおり、政府の示している三つのシナリオの最も原発比率の高いシナリオでも、これでは少ないという御意見も一部にはある。

 ということの中で、国民の皆さんに活発な御議論をいただき、そしてその声をしっかりと踏まえた上で結論を出したいということで出しているシナリオの中にいろいろな選択肢があるからといって、政府の姿勢がおかしいじゃないかという御指摘は全く当たらない。国民の意見を聞かないで勝手に決めてそれでいいというんだったら、我々の決め方はありますけれども、国民の御意見を聞く以上、それを、その際においては、さまざまな選択肢の中でいろいろ御議論をいただくということは私は当然であって、まさにあと一カ月前後のところで政府としてのより具体的な方針が示されます。その上で、従来の方針ともし違っていたら、違うじゃないかと御批判をいただければというふうに思います。

 その上で、ただいまのお尋ねでございますが、福島県内における原子力発電所の今後ということについては、これだけ大きな被害を福島県民の皆さんにお与えをし、そして今もお与え続けているということの中で、福島県などからも、地方公共団体も含めて、かなり明確な意思が示されている、そのことを重く受けとめて対応しなければならない、このことは当然であるというふうに思っております。

 ただ、例えば会計上であったり、企業の経営上、どういうタイミングで、どういうふうに正式に決めるのかということについては、それはさまざまな判断、考慮があるということであるというふうに思っています。

柿澤委員 そういうふうな御答弁をいただいて、姿勢が変わっていないということを確認できてよかったなというふうには思うんですけれども、御答弁をいただいたとおり、確かに福島第一の五号機、六号機、そして福島第二については、東電は、まさに会計上の問題として、廃炉の費用を計上していない、減価償却費等メンテナンス費用で九百億円計上している。まさに、設備が健全だということもあってこうした対応になっているわけですけれども、要するに、見ようによっては、やはり再稼働を前提にしているんじゃないか、こういうふうに思われる部分もあると思うんです。現に、先ほど申し上げたとおり、東電の新経営陣も、これを廃炉にするということについては明確におっしゃっていない、こういう状況なわけです。

 原発五十基を再稼働せずに廃炉にする、要するに原発ゼロという方向でやっていこうとすると、廃炉費用の積み立て不足と原発の残存簿価、合計四兆四千億が電力会社は特損になってしまう。東電は即座に債務超過に陥ってしまうわけです。だからこそ、電力会社はこれを動かそうということに必死になる。電力不足とは関係ないんだ、動かした方が得なんだ、活断層が出たって動かした者勝ちではないか、こんなふうに先日、南相馬市の桜井市長がおっしゃられていましたけれども、現状においての東京電力のこうした姿勢というのはこのような疑念を払拭できない、こういうものであるわけです。

 これについて、枝野大臣はどうお考えになられていますか。

枝野国務大臣 原子力発電所が廃炉の正式の手続、手順をいつ、どうとるのかという問題と、再起動、再稼働問題とは全く別次元であるというふうに思っています。

 先ほど申しましたとおり、特に福島の原子力発電所については、社会状況から考えて、福島県民の皆さんの意向に反した対応はとれないというふうにずっと申し上げてきているとおりでございますが、これについて、ではいつ、どういう段取りで、正式な経営としての決定や会計上の手続をとるのかというのは、今御指摘いただいた視点も含めて、これはさまざまな判断があり得ると考えています。

 しかし、再起動、再稼働問題については、電力会社の経営状況などということは全く、微動だに、ほんのちょっとでも考慮に入れるべき問題ではないというふうに考えています。

柿澤委員 これも心強い答弁をいただいたような印象があるんですけれども、しかし、枝野大臣はずっとこの間、右側、左側、両側に立った意見の間を、本当にどちらに向かっても進んでいけるような、ある種綱渡りのような答弁をいろいろな問題に関して続けてこられたというふうに思うんです。今の御答弁も、結果的にそういうものになっているように私は思うんです。

 時間もないので、最後の御質問をさせていただきますが、国会事故調の報告書です。

 菅総理が東電本社に乗り込んで、福一からの全面撤退をとめた、こういう事故直後に語られたストーリーが、東電が全面撤退を決定した形跡は認められないということで否定をされております。相互信頼のない中で生じたコミュニケーションミスだ、言ってしまえば、菅総理の勘違いだったと結論づけられているわけであります。

 枝野大臣は、当時の官房長官として、このストーリーを今でも支持しておられますか。テレビ会議を見れば事実関係ははっきりしている、こういうふうにも言っておられるようですけれども、このテレビ会議についてもあわせてお尋ねをしたいと思います。

 今度、大変限定的な公開をされることなりました。しかし、原子力基本法に定める利用の三原則、民主、自主、公開、この原則を踏まえれば、これはプライバシー保護の措置を講じた上で国民的な検証に資するよう広く公開すべきだと思うんです。テレビ会議を見れば事実関係ははっきりすると枝野大臣はおっしゃられているわけですから、こうした公表を促していく、さらにこういう姿勢をとるべきだと思いますが、あわせて二つお伺いさせていただきます。

枝野国務大臣 当時の官房長官としての認識等については国会事故調及び政府事故調において既に申し上げ、それを踏まえて報告書がそれぞれ出ております。調査を受けた当事者として、その調査報告書の中身について、第三者的に何か論評する立場ではないというふうに思っております。その内容については真摯に受けとめたいというふうに思っております。

 それから、東京電力のテレビ会議の公開については、私から、十分な公開期間を確保すること、それから公開の対象になる映像やその具体的手法も報道関係者の意見も踏まえて適切かつ柔軟に対応すること、それから公開期間終了後であっても映像を処分しないことについて指示を行いました。これを踏まえて、東京電力は措置を講じていると承知しております。

 私が報告を受けているところによると、プライバシー保護、これは必要性を御理解いただけると思いますが、プライバシー保護について全面的に準備をしようと思うと数カ月単位の相当な時間がかかる。むしろ、できるだけ早く報道関係者の皆さんに全ての映像をごらんいただき、そして、今回、何分間かのものはプライバシー保護をとった上で報道機関にお渡しをするということでございますが、それと全部を見ていただいた中でなお不十分であるという具体的な御指摘があれば、プライバシーにも配慮しつつ、さらなる改善等の検討を東京電力においてすべきであろうと思っております。

柿澤委員 時間が参りましたので、終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

中山委員長 次に、内閣提出、経済社会課題対応事業の促進に関する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。枝野経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 経済社会課題対応事業の促進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

枝野国務大臣 経済社会課題対応事業の促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 エネルギーの利用の制約や少子高齢化の進展による生産年齢人口の減少といった課題に加え、昨年発生した東日本大震災の影響や現下の円高の進行により、経済の空洞化等のリスクが一層高まっております。

 こうした状況において、新たなエネルギー産業やヘルスケア産業など、我が国経済社会の持続的な発展のための新たな課題への対応に資する産業分野における事業の重要性が高まっています。このため、これらの新産業分野における事業を促進し、国内の潜在需要を掘り起こすことにより、経済社会の課題解決を通じた雇用の創出及び経済の活性化を図るため、本法律案を提出いたしました。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、太陽光発電設備の製造やエネルギーマネジメントサービス等のグリーンイノベーションに係る分野及び介護ロボットの開発や医療機関と連携した運動指導・配食サービス、保育と学習指導と送迎とを一体で行う異業種連携学童サービス等のライフイノベーションに係る分野などの事業について金融支援措置を講じます。

 具体的には、これらの分野において、製品の開発、製造を行う事業のうち、高度な産業技術を利用することにより、技術水準の著しい向上または新たな事業の創出をもたらすものや、役務の開発、提供を行う事業のうち、顧客情報の適切かつ有効な活用または異なる分野の事業との連携により顧客の需要に的確に対応するものなどを特定事業と位置づけます。その上で、特定事業を行う事業者に対し、株式会社日本政策金融公庫から民間金融機関を通じて低利、長期の資金を供給する制度を創設するとともに、独立行政法人中小企業基盤整備機構による債務の保証及び中小企業信用保険法の特例措置を講じ、特定事業の実施に必要な資金の調達の円滑化を図ります。

 第二に、中小企業を含む多くの企業において高効率ボイラー等の特定製品の導入を促進すべく、これらの製品をリースにより調達する際の信用力を補完するための保険制度を手当てするなど、我が国経済社会の持続的な発展のための新たな課題への対応に資する製品及び役務について、その需要の開拓を促進するための措置を講じます。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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