衆議院

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第2号 平成24年11月7日(水曜日)

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平成二十四年十一月七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 海江田万里君

   理事 櫛渕 万里君 理事 高野  守君

   理事 中根 康浩君 理事 山本 剛正君

   理事 菅原 一秀君 理事 西村 康稔君

   理事 高松 和夫君 理事 佐藤 茂樹君

      石井登志郎君    石田 勝之君

      岸本 周平君    近藤 和也君

      近藤 洋介君    斉木 武志君

      柴橋 正直君    空本 誠喜君

      田中けいしゅう君    高井 崇志君

      花咲 宏基君    浜本  宏君

      樋口 俊一君    平山 泰朗君

      藤田 大助君    本多 平直君

      牧野 聖修君    松岡 広隆君

      松宮  勲君    今津  寛君

      岸田 文雄君    近藤三津枝君

      新藤 義孝君    高市 早苗君

      木村たけつか君    中後  淳君

      江田 康幸君    吉井 英勝君

      杉本かずみ君    中津川博郷君

      平  智之君

    …………………………………

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   内閣府副大臣       前川 清成君

   文部科学副大臣      松本 大輔君

   経済産業副大臣      近藤 洋介君

   経済産業副大臣      松宮  勲君

   環境副大臣        生方 幸夫君

   農林水産大臣政務官    鷲尾英一郎君

   経済産業大臣政務官    岸本 周平君

   経済産業大臣政務官    本多 平直君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            佐々木清隆君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            小野  尚君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     伊藤  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 高原 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       山崎 篤男君

   政府参考人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月七日

 辞任         補欠選任

  熊田 篤嗣君     藤田 大助君

  柴橋 正直君     高井 崇志君

  田嶋  要君     近藤 和也君

  額賀福志郎君     今津  寛君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤 和也君     空本 誠喜君

  高井 崇志君     浜本  宏君

  藤田 大助君     熊田 篤嗣君

  今津  寛君     額賀福志郎君

同日

 辞任         補欠選任

  空本 誠喜君     田嶋  要君

  浜本  宏君     柴橋 正直君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

海江田委員長 これより会議を開きます。

 この際、近藤経済産業副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。近藤経済産業副大臣。

近藤副大臣 このたび経済産業副大臣を拝命いたしました近藤洋介でございます。

 経済産業行政は、全て重要な政策課題ばかりでございます。海江田委員長を初めとする委員の先生方に御指導、御鞭撻いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 誠心誠意職責を果たしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

海江田委員長 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官佐々木清隆君、金融庁総務企画局参事官小野尚君、復興庁審議官伊藤仁君、資源エネルギー庁長官高原一郎君、国土交通省水管理・国土保全局次長山崎篤男君及び原子力規制委員会委員長田中俊一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

海江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

海江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 おはようございます。自由民主党の西村康稔でございます。

 きょうは、枝野大臣、それから田中委員長にもお越しいただいておりますので、原発の話、新エネ、再生エネルギー含めて、エネルギーの話をぜひお伺いしたいと思います。

 まず最初に、原発の再稼働について確認をしたいと思います。

 枝野大臣は、先日の衆議院本会議の答弁の中で、仮に完成した場合の安全性の判断、これらの許認可に関する権限などについては、原子力規制委員会に属するものであり、同委員会において独立して判断されるものと認識しておりますという答弁をされております。

 これは、再稼働の判断を原子力規制委員会がするという意味ですか。趣旨をお話しいただきたいと思います。

枝野国務大臣 お答えをいたします。

 政府は、先日決めました革新的エネルギー・環境戦略において、エネルギー政策上の判断については、政府として、革新的エネルギー戦略において、「二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する。その過程において安全性が確認された原発は、これを重要電源として活用する。」と決定をしております。

 したがいまして、原子力規制委員会において安全性が確認された原発については、エネルギー政策上の判断として、政府としては重要電源として活用するということを決定しておりますので、そうした意味では、稼働について地元自治体の皆さんなどに御協力をお願いするということになります。

西村(康)委員 もう一度確認しますけれども、原子力規制委員会が安全確認したものについては再稼働するということでよろしいですか。

枝野国務大臣 重要電源として活用するということでありますから、最終的にこれは地元自治体の御理解ということが必要になりますので、安全性が規制委員会で確認をされれば、政府としてはエネルギー政策上重要電源としてこの過程においては活用するということを決めておりますので、その姿勢に基づいて、地元自治体の関係者の皆さんに、こうした政府の方針について御説明し、御理解を求め、再稼働に御協力をいただくということになります。

西村(康)委員 つまり、政府としては、まさに今おっしゃられたとおり、重要電源として活用するということでありますから、安全性が確認されたものについては再稼働する方針で地元自治体の協力を求める、こういうことでいいですか。

枝野国務大臣 御指摘のとおりです。

西村(康)委員 その地元自治体への協力を求めるのは誰がするわけですか。

枝野国務大臣 一義的には電力事業者でありますが、政府としては、繰り返しになりますが、過程において安全性が確認された原発は、エネルギー政策上の判断として重要電源として活用するという、この必要性については、政府がしっかりと御説明申し上げて、御理解をいただく必要があるというふうに思っております。

 安全性については、国会でお決めをいただいたルール、仕組みに基づいて規制委員会が独立して判断をされておりますということについての説明責任も政府、内閣にあるというふうに思っております。

西村(康)委員 大飯三号機、四号機のときは、今おっしゃられたことからすると、あのときは総理を含めて閣僚、大臣が決定して、それから大臣は福井県にまで説明に行かれたというふうに認識しておりますけれども、まず、そういう決定の仕組みは今回とらずに、政府としては包括的に重要電源として活用するということですから再稼働の方針で臨む、その上で、大臣はまた福井に行って説明されることがあるというふうに理解してよろしいですか。

枝野国務大臣 今申し上げましたとおり、エネルギー政策として、安全性が確認された原発は云々の過程においては重要電源として活用するというこの政府の決定方針について、地元の皆様の御理解をいただく上で、御要望があり必要があれば、最終的には所管大臣として御説明に上がることもあり得るというふうに思っております。

西村(康)委員 経産大臣の一番の仕事は、やはり日本経済をしっかりと繁栄の道、成長の道、安定的に成長していく道をとっていくこと、そして国民生活の安定を図るということだと思います。ただでさえ円高で相当企業が苦しんで海外への移転、空洞化が加速している中で、電気料金も上がってくるわけですね、このままとまっていると。

 ぜひ、安全性が確認されたものについては、大臣みずから先頭に立って、再稼働についての理解を求めていく、そういう姿勢を示していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 繰り返しになりますが、政府として閣議決定をした方針でございますので、その方針についてしっかりと地元の皆様に御理解をいただく。そのために、最終的には所管大臣である経済産業大臣が汗をかかなければならないというふうに思っております。

西村(康)委員 ぜひその姿勢で臨んでいただきたいと思いますけれども、今の点、もう一点、確認をしたいんですが、日本経済が非常に厳しい状況にあるという認識をお持ちなのかどうか。

 歴史的な円高が続いております。相当空洞化、連日、工場閉鎖の話があったり、海外移転の話があったり、あるいはきのうですか、スズキもアメリカへの輸出をやめる、アメリカでの販売をやめるということまで決めていますけれども、円高に非常に苦しんでいる。ただでさえ苦しんでいる中に、電力供給の安定に対する不安があり、さらには電力料金が上がってくる。さらに空洞化を加速するおそれが出てきている、もう現実のものになっている。

 このことについての危機感をお持ちなのかどうか、ぜひお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 日本経済を取り巻く状況については、今御指摘をいただいた足元の話の前に、従来、我が国の成長のエンジンとなってきた産業構造自体が世界経済の大きな変化の中で通用しなくなってもう久しい、にもかかわらず日本の産業構造、就労構造がそれに対応できていない、同時に、そこに少子高齢化という社会的要因が加わっている、このことだけで大変な危機であるというふうに思っております。

 そうしたことの中で、足元では、経済実態を適切に反映していないような円高の状況であったり、そのことによって産業空洞化が実力以上に進んでしまう、そうしたところに加えて、東日本大震災、そしてその後の電力の不足という状況が追い打ちをかけておりますので、足元にさらに厳しさがあるということでは大変危機的な状況であり、先日の所信的御挨拶でも申し上げましたとおり、ここ当面の対応が不可逆的な結果を導きかねないという危機感を持って対応させていただいているつもりでおります。

西村(康)委員 もちろん構造的な、この何年かの間の、グローバル化への対応がおくれている、これはもちろん大きな、日本経済にとって足元の危惧されるところでありますし、少子高齢化はさらに日本社会全体にとっても大変な課題でありますけれども、そこに加えて、おっしゃるとおりの、円高プラス電力危機というかエネルギー危機でありますので、少なくとも、構造的なものは少し時間をかけて変えていかなきゃいけないんでしょうけれども、できるところは、エネルギーの安定供給、それから電気料金をできるだけ抑えていくということを含めて、これはぜひ御努力いただきたいと思いますが、もう一度そこをお答えいただけますか。

枝野国務大臣 東京電力の事故の教訓を踏まえれば、安全性というものがあくまでも最優先であるということ、これは揺るがすことはできないと思っております。安全性をしっかりと確認ができた場合においては、特に足元の電力不足あるいは電力料金の問題ということを視野に入れれば、まさに二〇三〇年代に原発ゼロが可能となるようあらゆる政策資源を投入してまいりますが、それまでの間、その過程においては、重要電源として活用することで電力不足であるとか電力コストが急激に上がるということを抑えることに努力せざるを得ないということで革新的エネルギー・環境戦略を決定したものでありまして、そうした認識に立って対応してまいりたいと思います。

西村(康)委員 電力の安定供給、電気料金値上げをできるだけ抑えていくという意味からも、そして日本経済の空洞化を抑えるという意味からも、ぜひ先頭に立って頑張っていただきたいと思います。

 大臣おっしゃったとおり、我々もこの安全性については、ある意味神話のように考え、目をつむってきた面がある、これは自民党政権としても反省をしなきゃいけないと思っております。

 新しい安全基準、これは規制委員会において決められることになるわけですけれども、きょうは田中委員長にお越しをいただいております。この新しい安全基準はいつまでに決めることになるのか、お考えをお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、私ども原子力規制委員会の役割としては、経済性とか経営的問題とかエネルギー需要という観点を離れて、安全を専門的な知見に基づいて判断させていただくということが第一義であるというふうに思っています。

 そのための安全基準、今御質問のいつまでということですけれども、規制委員会が発足して十カ月以内にそれを法制化しなきゃいけないということで、今は来年の七月をめどに、指針、基準類の全面的な見直しになりますので、そういった努力をさせていただいているところであります。

西村(康)委員 今、冒頭委員長からお話がありましたけれども、安全性については独立して規制委員会が決める、判断をされるということであります。

 昨年来、我々は民主党政権の対応は非常におかしいといって批判をしてきましたけれども、基準が次から次へと変わる、ストレステストが新たな基準となったり、あるいはまた四大臣で新しい基準を決められたり、政治が恣意的に介入して安全基準を決めていくということについて批判をしてまいりましたので、ぜひ独立をして規制委員会で決めていただきたいと思います。

 今、七月というお話、法律上そういうことでありますけれども、委員長はいろいろなところでいろいろな発言をしておられて、骨格は年度末までにまとめていくとか、あるいはほかの委員の方は、年内に大枠をまとめていく、場合によっては発表してそれを電力会社なりに理解してもらって、徐々に対応できるところは対応してもらうというような発言もありますけれども、そのあたりはどういう進め方になっていくんでしょうか。

田中政府参考人 法律の施行は来年の七月ぐらいになると思いますが、その前に、安全をできるだけ高めるという意味では、できるだけ早く基本的な安全要件は明確にして、事業者にもその対応を準備していただこうという考えであります。そういったことが、これまでの、私を含めた発言になっております。

 ただ、七月を前に、前倒しできるかということになりますと、いろいろ今、全面的な検討でございます、それにその後、パブリックコメントとかいろいろ法的手続がありまして、実際には七月というのは大変ハードなスケジュールですけれども、頑張ってやっていきたいと思っています。

西村(康)委員 再稼働については七月以降の判断ということになるんですか、それとも、途中、おっしゃったように、大枠なり一定のものは示しながら、電力会社もそれに対応していってもらうというお話がありましたけれども、その前段階でも再稼働を判断することはあり得ますか。

田中政府参考人 今回の安全基準の見直しの一番大事なところは、バックフィットでございます。バックフィットが法制化されるのが七月ですので、それが再稼働の要件として入ってきますので、それが法律的にできるまでは再稼働ができないということで、七月前に再稼働ということはないというふうに私は判断しています。

西村(康)委員 七月をめどに作業しておられて、できるだけ前倒ししてやるけれども大変だというお話でありますけれども、安全性については独立されたこの規制委員会で判断をされる。

 しかし、経済全体としては、やはり需給のこと、あるいは今の電力料金のこと等を考えれば、できるだけ早く基準が示されて、再稼働の方向に向けて動き出した方が日本経済にとってはプラスでありますので、そういう意味では、少しでも前倒しをして、作業を急ぐ努力をしていただきたいと思いますけれども、もう一度その点、お答えいただいていいですか。

田中政府参考人 そういった先生の御指摘も踏まえまして、できるだけ、法制化をする前に少しずつでも、大事な安全基準になるようなところは発信してお示しして、事業者に準備をしていただくということを考えております。

西村(康)委員 もう一点、関連してお尋ねをします。

 これまで、再稼働の判断についてはストレステストというものを大きな基準として決めてきたわけです。大飯三号、四号もストレステストを経て安全性が確認されて今稼働しているわけですし、ヨーロッパでもこれは一般的に行われているわけであります。これまで既に、ストレステストが終わって提出をされ、保安院では安全性が確認されている伊方の三号機なんかもあるんだと思いますけれども、このストレステストについてはどうお考えなのか。

 この手法については、国際的にもそれが使われているわけでありますので一定評価をしていいんじゃないかと思うんですけれども、その点、委員長のお考えをお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 ストレステストの中身ですけれども、これまで行われましたストレステストは、ストレスに対してどの程度耐えられるかということであります。

 地震、津波の今回の事故の例もありますように、そういったところについてもいろいろ疑義が出ておるところでございますので、そういった点も含めて今回見直しをしますので、現在行われているストレステストをそのまま受け入れるということは考えておりません。

 ただし、実際に、具体的なところで、これまで行ったストレステストの一部は生きる可能性はあります。

西村(康)委員 事業者からすると、わかりませんけれども、既に、恐らく何億円というお金をかけてストレステストをやって提出してきているものが何基かあるわけですね。

 それが、今おっしゃったように、確かに、基準は全面的に見直しますのでそれをそのまま採用することはないにしても、一定の評価をしてやらないと、これは流れが全く変わってしまうわけでありますので、事業者としても相当の負担をしてきていますから、これは規制委員会としてそういうところまで判断するのではないんだと思います、安全性を第一に判断されるわけですけれども、この点、行政の継続性という観点からも、評価できるところは評価し、利用できるところは利用するということで理解してよろしいですか。

田中政府参考人 法制化、安全基準の見直しの中で、利用できるものは利用させていただきたいと思います。

西村(康)委員 ぜひ、これまでのいろいろな知見の集積、あるいはこれまでの安全性に対しての取り組みなども踏まえていただいて、新安全基準のもとでしっかりとした評価をしていただきたいというふうに思います。

 枝野大臣にまたお伺いをします。

 先ほど来言われている、二〇三〇年代原発稼働ゼロを可能とするということでありますけれども、この革新的エネルギー戦略には三つの基本方針が書かれ、四十年運転制限制を厳格に適用するということでありますけれども、最も直近に運転開始をした泊の原発は、二〇〇九年の運転開始であります。

 この四十年運転制限制を厳格に適用すると、二〇四九年まで運転可能であります。他方、三〇年代ゼロとするという方針がありますけれども、途中でこの原発はとめることになるんでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘の四十年運転制限制は、法定もされておりますし、これを厳格に適用していくということは、原発に依存しない社会の実現に向けた原則であるというふうに思っております。

 その上で、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするというのは、グリーンエネルギーの拡大、省エネや新エネでありますね、これの拡大によって原発に置きかえていくということについての政策資源投入についての目標であります。これは非常に長期でもありますし、またもちろん、政府としてはあらゆる政策資源を投入するとコミットしたわけでありますからそのことをやってまいりますが、まさに、今後の十年先の技術革新等については、これはなかなか十分に、間違いなくここまで進むとかということの見通しを立てることが困難な状況にあります。

 ただ、政策資源を投入するに当たっては、しっかりとした目標なしにやっていったのでは、いつになっても実現できないというふうに思いますので、しっかりとした目標を定めた中であらゆることを努力していくということであります。

 そして、まさに、今後、技術者あるいは企業などの皆さん、あるいはユーザーである国民の皆さんのさまざまな御協力によって、原発稼働ゼロを可能とできるような状況になったときに、あるいはそうしたことがかなりの蓋然性を持って見通せたときに、そこから先のことについて初めて具体的な検討ができるというふうに思っております。

 というのも、例えばエネルギーのシステムについても、供給体制についても、今広範な議論を進めております。五年先、十年先のエネルギー、電力の供給体制については、そうしたシステム改革などの結論、あるいはそれの運用した結果によって、またその見直し等もあったりしますので、そのことを踏まえませんと、もし原発稼働ゼロが可能という状況が具体的に見通せる段階になったときでも、どういうふうにではフェードアウトさせていくのかということの具体的なことはなかなか決められないというふうに思います。

 したがって、まずは、グリーンエネルギーの拡大と今回のエネルギー・環境戦略で決めたことを最大限やっていって、今申し上げたようなことを具体的に検討できる状況を一日も早くつくりたいというふうに思っております。

西村(康)委員 グリーンエネルギー、再生可能エネルギーをふやすということは、我々も、去年の買い取り価格制度、法律をつくるときに、三年間、特に集中期間としてやろうということを自民党からも提案し、それが法律に盛り込まれているわけですし、そのことに異論はありませんけれども、四九年まで運転可能の原発が今動いていて、かつ三〇年代ゼロ、大臣おっしゃったようにゼロとすることが可能となったとき、これはとめることができる、とめるという判断をされることがあり得るわけですね。

枝野国務大臣 先ほど申しましたとおり、二〇三〇年代までにですから、二〇二〇年代かもしれませんし二〇三〇年代かもしれない、もしかすると、残念ながら、思ったとおりに新エネ、省エネが進まないということでもっとおくれるかもしれない。ただ、我々は二〇三〇年代には遅くとも可能にするようあらゆることをやっていくということの中で、実際に原発稼働ゼロが可能となるような状況が見通せたときに初めて、その具体的な原発依存からの最終的な脱却のやり方を判断できる状況になるというふうに思っておりますので、今の段階でできること、あるいは決められることというのは、あらゆる政策資源を投入するということだと思っております。

 そうした意味では、可能性という意味では、可能性があるということはおっしゃるとおりだと思います。

西村(康)委員 今の時点で、何かの法律に基づいてとめることはできますか。

枝野国務大臣 まさに、原発稼働ゼロが可能になったとき、あるいは可能である、できるという蓋然性が具体的に見えてきたときに、法制度、法整備なども含めて、そこで具体的なフェードアウトの仕方ということの判断ができるというふうに思っておりまして、現時点でそういった制度はありません。

西村(康)委員 福島のあの事故の後に浜岡原発を民主党政権がとめましたけれども、そのとき官房長官であられたと思いますが、あれは、どの法律に基づいて、どういう根拠でとめられたんですか。

枝野国務大臣 経済産業省設置法に基づく行政指導です。

西村(康)委員 そうすると、法整備が必要だということをさっき言われましたけれども、将来も行政指導でとめることがあり得るということですか。

枝野国務大臣 福島の原発事故という、それまで、率直に言って、十分にそうした事態を想定していなかった事態に対応して緊急性を要す中で、当分の間とめてくださいということでありますので、これは行政指導でできるぎりぎりの範囲だろうというふうに思います。

 例えば、原発稼働ゼロにする、脱原発依存をするという場合のとめるというのは、恐らく、将来にわたってとめる、つまり廃炉にするという判断だと思いますが、廃炉にするということについては、行政指導でやるというのは、行政指導権としてはなかなか限界を超えていると一般的に見るのが普通ではないか。その場合には、個別の法律、何らかの法律に基づく制度が必要であろうというふうに思っています。

西村(康)委員 我々からすると、浜岡原発を行政指導でとめたのも、これは根拠として非常に厳しいんじゃないかとあのとき質問もさせていただいたかと思いますけれども、大きな話でありますので、本来は行政指導というものではなくてきちっとした法的な根拠がないといけない話だと思いますから、軽々に行政指導ということで大きな話を進められないようにお願いしたいと思います。

 行政指導でありますから、事業者側はそれに従う義務はないわけでありますので、その判断によって継続をするということもあり得るということだと思いますし、行政指導によって、事業者が聞かなかった場合、そのまま継続をした場合、さらに何かその上にやられるというおつもりは当時あったんですか、あの浜岡の原発のときには。

枝野国務大臣 行政指導というものは、まさに行政指導でありますので、それを任意で受け入れていただかなければ効果が生じないということであります。あくまでも行政指導ということで停止をお願いしたということでありますので、従っていただけない場合には、少なくとも制度的にはそれ以上のことはできないということであります。

 そのとき、いろいろな御意見はありましたけれども、やはり福島の原発事故というものを踏まえれば、安全性についてさらなる整理その他がなされるまでの間については、法整備については、先ほどの規制委員長の話のとおり、法律あるいは法律に基づいた基準、指針等の策定には一定の時間がかかるわけで、それまでの間は三・一一以前のものが通用するということ。

 そうしたことの中で、より安全を確保しようと思えば行政指導ということにならざるを得ないという枠組みの中で判断したものでありまして、そうした状況、事情については、あれは中部電力だと思いますけれども、十分御理解をいただけたものというふうに思っております。

西村(康)委員 ぜひ、基本的に法律に基づいた政治、行政を行っていただきたいと思います。

 もう一点お伺いします。

 原発の新設、増設を行わないというのも、これは三つの原則の一つに入っています。大間原発と島根三号機、建設再開を大臣は容認されたということですけれども、これはそう理解していいですか。

枝野国務大臣 正確に申し上げると、新しい原子力発電所の建設等についての許認可権限というものは、規制委員会の発足によって規制委員会に移管をしておりまして、経済産業大臣には、ゴーサインを出す権限もとめる権限もございません。

 そうしたことの中で、それはある意味で法律上明らかなことでありますけれども、既に認可手続が経済産業省、保安院の時代になされているものについて、とめる権限もありませんから、とめるつもりはありませんということについて改めて申し上げたものでございます。

西村(康)委員 田中委員長にお伺いしますけれども、今後、その安全性の審査なり原発の許認可が出てきた場合に、安全性については審査をされるということでよろしいですね。

田中政府参考人 そのとおりでございます。

 大間についても島根についても、新しくできる基準に基づいて、きちっとした判断をさせていただきたいと思っております。

西村(康)委員 さらに、計画があって未着工になっている原発が九基かあると思いますけれども、これについても、申請が出てくれば審査をされるということでよろしいですか。

田中政府参考人 申請が出てくれば、それをきちっと科学的に判断する、審査をするということが私どもの仕事だと思っていますので、そのとおりでございます。

西村(康)委員 審査をされて、これはもう安全性が確認されたというものは許可を出されることになるわけですね。

田中政府参考人 安全性が確認されたら、安全上は問題ないという判断はさせていただきます。

西村(康)委員 大臣、先ほど、審査が行われたものについてはゴーサインもとめる権限もないと言われましたけれども、今後出てきたものについて安全性が確認されたもの、これはとめる権限がないということになりますけれども、どうですか。

枝野国務大臣 安全性の観点からのとめる権限は、経済産業大臣、内閣の方にはありません。規制委員会に専属的に属しております。

 設置認可のときに経済産業大臣の意見を聞くという規定がありまして、そこのところで、エネルギー政策の観点からのことを申し上げますが、それをどう扱われるかも、規制委員会が独立して判断することだというふうに思っております。

 ただ、今回、エネルギー・環境戦略で決めましたことは、エネルギー政策の観点からは新増設は行わないというのが政府の姿勢である。つまり、従来と何が違うのかといえば、これまで原発の新増設に当たっては、まさに国策として、電力会社にも、あるいは立地自治体の皆さんにも政府として御協力をお願いして新設、増設が行われてきましたが、今後、政府としては、そうした国策として新増設を行うということの協力はしない、このことは明確です。

西村(康)委員 よくわからないんですけれども、規制委員会が安全性を確認した、それについてはとめる権限もないとおっしゃった。しかし、国策としては新増設はやらないと一方で決めてある。他方、安全性が確認された原発はこれを重要電源として活用する、こう言われている。

 これはどう考えればいいんですか。安全性が確認されて出てきた、もちろん一定の意見は言えるでしょう。しかし、それはもう大丈夫だということで規制委員会が判断したものは今後も新増設されることになりますけれども、いかがですか。

枝野国務大臣 まず、新増設を行わないという原則が先にあります。そのことの前提の中で、安全性が確認された原発は過程において重要電源として活用するですので、ここで安全性が確認された、重要電源として活用するの対象になるのは、既存の原発で安全性が確認されたものというのがエネルギー・環境戦略の我々としての認識であります。

 その上で、現行法上、電力事業者が独自の責任と判断で申請を出せば、それについて強制的にとめるということについての根拠になる法律は、規制委員会が安全性という観点から判断するということでありますので、現時点において、経済産業省あるいは内閣として強制的にとめる法律上の根拠はないということであります。

 ただ、現実的に、原子力発電所の新増設を行うに当たっては、これまでも、国策としてまさに原子力発電所を新増設することが必要であるということの中で、電力事業者あるいは立地自治体の皆さんもそれを踏まえて対応してきたところでありますので、まず、政府として今後国策としては新増設を行わないという方針の中で、新たな新増設の計画を進めたり、あるいは、それに御理解をいただいて、国策ではないけれども立地自治体としては受けるという御判断をされる立地自治体が出てくるのかどうかという現実問題があります。

 一方で、エネルギー・環境戦略としてこういうことを決めましたので、今後、法律になるのかどうかということも含めて、新増設は行わないということをどう担保していくのかということについては検討していかなければならないというふうに思っております。

西村(康)委員 現時点では、我々も新規立地というのは難しいことは認識をしています。これは現実のものとして受けとめなきゃいけないと思っています。

 ただ、未着工でありますけれども既に計画があって進めようとしている幾つかの案件について、原子力規制委員会に申請をして審査されて安全性が確認された。これは、事実上、協力はしないとおっしゃいましたけれども、みずからの努力でやれば新増設できるということになるわけですか。

枝野国務大臣 現行法上、それを強制的にとめる権限はありません。

 ただ、一方で、これは既に立地自治体の皆さんにもまだ具体的、個別的な御相談に深く入れている状況ではありませんが、例えば、建設計画があったけれどもまだ建設認可がおりていない原発を初めとして、もちろん稼働中の原発がフェードアウトしていくことについてもそうでありますけれども、これまで国策である原子力の政策に御協力をいただき、そのことによって地域の経済社会、さまざまなあり方がそのことを前提に立地地域の皆さんは組み立てられてきているわけでありますから、まだ建設認可等がおりていないところについて、政府としては、もうこれはここでやめていくということを方針として決める以上は、逆にそうした、ここまで、まだ建設認可もおりていないけれども、それでもその間には長期にわたって御協力をしてきていただいていることに対応した地元の皆さんとの十分なコミュニケーションや、それに対する善後策をとっていかなければならない。そうしたことの中で、新増設を行わないということについて地元の皆さんにも御理解をいただけるよう努力をしていきたいと思っています。

西村(康)委員 時間が来ていますので、この革新的エネルギー・環境戦略、これは相当いろいろな問題点、矛盾も含んでいると思いますので、また改めてぜひ御議論をさせていただきたいと思います。

 せっかく農水、国交、環境省も来ていただいています。手短に質問させていただきます。

 環境省、副大臣に来ていただいています。

 風力、地熱、それから、今後、石炭火力も一定程度ベースロードとしてふやさないと、エネルギーの安定供給というのは非常に難しくなってくると思うんです。この環境アセス、石炭でいうと平均三年ぐらいかかっているようですけれども、おろそかにするということを主張するつもりはありませんけれども、できるだけ迅速にやっていただきたいと思います。いかがですか。

生方副大臣 今御指摘のように、石炭火力については大体平均三年ぐらいかかっております。

 もちろん環境アセスは非常に大事なものですから、その手続を簡略化するというようなことはできませんが、一方、再エネをきちんと導入しながら、かつ風力とか地熱についてもふやしていかなければいけないということで、今、経産と環境省の方で、環境アセスをできるだけ短くしようということで、どうしたら短くできるか、例えば手続を並行的に続けるとかということで、何とか半分ぐらいまでにできないかということで検討していて、年度内、ことしじゅうにその基準をつくって明らかにしていきたいというふうに思っております。

西村(康)委員 田中委員長、もう結構ですので、御退席いただいて大丈夫です、どうぞ。

 あと、農村地域で再生可能エネルギー、特に風力、太陽光、こうしたものをやりたいという地域がたくさんありまして、農水省は振興の法律も用意をされているということであります。農地転用は非常に難しいし、これは一定のルールのもとで、優良農地はしっかり確保するということが大前提でありますけれども、振興法、これは与野党間でぜひ協議を進めていただいて、いい方向に進んでいただければと思います。

 例えば、この振興法の計画に位置づけられた農地については、基準の緩和みたいなものも全体として地域として進めようということでありますので、そうしたことも含めて御検討いただければと思いますし、農業用水、小水力も活用するということで、国交省にきょうお越しいただいていると思いますけれども、この規制緩和もぜひ少しでも前倒しして進めていただきたいと思います。

 この二点だけお伺いして、最後にしたいと思います。

海江田委員長 時間がちょうど来ましたので、短目にお願いします。

鷲尾大臣政務官 西村委員御指摘の農地転用につきましては、農地制度のあり方を現在検討中でございます。今年度をめどとして結論を得るよう、関係者と協議をしてまいりたいというふうに思います。

 小水力発電につきましては、今年度、概算要求をしておりまして、これも鋭意促進に努めてまいりたいと思っております。

 以上です。

海江田委員長 これも短目にお願いします。

山崎政府参考人 小水力発電の規制緩和についてでございます。

 既に許可を受けている水利権の範囲内の水を使って行う小水力発電、いわゆる従属発電につきまして、これまで申請書類の簡素化、大臣から知事への許可権限の移譲、それから総合特区を使った許可手続の簡素化などを行ってきております。

 今後さらに一層の手続の簡素化、円滑化を進めるために、従属発電につきまして、現行の水利権の許可制度にかえまして登録制を導入するというふうなことも検討しております。

 また、一般の小水力発電につきましても、申請書類の簡素化や許可権限の移譲などを検討しているところでございます。

西村(康)委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

海江田委員長 次に、高市早苗さん。

高市委員 おはようございます。自民党の高市早苗でございます。

 本日は、主に資源戦略について、枝野大臣と松本文部科学副大臣にお伺いをしたいと思うんですけれども、ただ、大学の質の問題また研究費の充実というのも、産業競争力を考えますと大変重要な問題でございますので、冒頭に松本副大臣にお伺いをいたします。

 去る十一月二日に田中眞紀子文部科学大臣が、大学設置・学校法人審議会の答申を覆して、来春に開学予定だった三校の設置を不認可として発表されました。三大学には具体的な欠格事由がないということで審議会の答申をクリアされたんだと思いますし、文部科学省の指導に従って、年月をかけて準備を進めてこられました。

 仮に来春の開学ができないという場合には、進学を希望しておられた学生さん、採用が内定していた職員の方々の夢も砕きますし、また、既に審査をクリアするために必要な校舎の整備ですとか備品の調達をされた大学や、支援していた自治体にも大きな損害を与えるということになります。

 昨日になりまして、田中大臣が、一転して、新しい仕組みを早く立ち上げ、三大学を含めて新しい基準で改めて判断したいと発言されました。

 松本副大臣は、この間の、十一月二日から昨日までの田中文部科学大臣の言動について、これは適切だとお考えになりますか。

松本副大臣 私が具体的に聞いたのは十一月二日の会見の後でございまして、現在、大学設置認可のあり方の抜本的な見直しについて円滑に行われるように、省内外の調整に努めているところであります。

高市委員 副大臣が具体的に聞かれたのが会見の後ということで、ちょっと驚きました。

 つまり、民主党政権が掲げていた政治主導、これは大臣、副大臣、政務官の政務三役が、政策全体の大きな骨子をリードしながら改革を進めていく、こういった中で、大臣が就任をされてから今までの間に一度も、大学設置審議会のあり方ですとかそのプロセスの問題点ということについて、問題意識を聞かれたことはないんですか。もう一度確認します。

松本副大臣 文科省内も、科学技術のラインと教育のラインとで副大臣が担当を分けてやっておりまして、私が科学技術のラインだからということがあるかもしれませんけれども、直接そういったお話をお伺いしたということはありません。

高市委員 先ほどの質問に明確にお答えいただいていないと思うんですけれども、このたびの田中文部科学大臣の言動は適切だったと考えますか。

松本副大臣 大学の審査のあり方について問題提起をしようという姿勢については、理解できるところではないかというふうに思います。

高市委員 では、政治家として適切だったということで理解してよろしいですね。

松本副大臣 きのうの記者会見でもおっしゃっていたように、認可について、具体的に、ことしじゅうに不認可を、不認可という法的効果が現在発生している状況ではないというふうに考えておりますので、そこは、学ぶ権利の保障との両立に向けて、今、省内外の調整を進めているところだというふうに理解しております。

高市委員 とにかく、これは教育の担当か、科学技術の担当かに関係なく、政治家として、政治主導ということでリーダーシップを発揮していかれるということだったら、どういう物差しで物事を考えるのか、また、どういう手順で行政の意思決定の透明性を担保するのか、そしてまた、行政の執行の安定性を確保するのか。こういった政治家としての姿勢にかかわる問題だから、あえて伺いました。

 例えば、田中大臣がおっしゃっていたように、少子化、それから日本全体の大学の質の低下があるんじゃないかという問題点であれば、当然、三月に、申請前にそういった方針を打ち出す、もしくは審議会への諮問前にそういった方針を民主党政権として打ち出すべきであったと思います。また、確かに一理あると言われるのは、大臣が正式に認可をする前にいろいろな準備を整えさせる、こういったシステム自体に無理があるんじゃないか、こういう指摘であれば、今後は、大臣が認可をして一年以上の猶予をあけて開学をするというような形で、システムの抜本的な改革をされたらいいんです。

 ただ、私が急遽確認したいと思いましたのは、田中大臣が新しい基準で三大学の開学の可否を判断されるようなんですけれども、副大臣は、現在の基準には具体的にどのような問題があるとお考えですか。

松本副大臣 先ほども申し上げたように、副大臣にもラインがありまして、私は、科学技術の担当ということで、きょうは海洋資源開発の御通告をいただいてこの所管外の委員会に出席しておりますので、所管外の分野について、通告外の御質問に、今のような御質問にお答えするのは差し控えさせていただきたいと思っております。

高市委員 そもそも私、きょうは笠副大臣を要求いたしておりました。ところが、日程の都合がつかないということで松本副大臣になったわけでございます。それでは、この問題は結構でございます。後で資源のことを伺わせていただきます。

 今の話を聞いておられて、枝野大臣は、田中大臣のこのたびの言動、発想、発言の順序も含めて適切だったとお思いですか。

枝野国務大臣 文部科学省における大学設置認可に関連する法令を熟知しているわけではありません。大臣にどの程度の法律上の裁量権があるのかとか、その手続等も承知をしておりません。

 また、田中大臣がどういう意図で、どういった判断で御発言をされてきているのかも伺ってきておりませんので、もちろん国務大臣としては国政全てに責任を持っている立場ではありますが、今のような事実関係を承知していない段階で少し軽々に物を申し上げるのは控えた方がいいのかなと思っております。

高市委員 なぜ枝野大臣にお伺いしたかといいますと、経済産業省にも審議会があり、大臣が諮問をされることもあるかと思いましたので。幾つの審議会が今ありますか。

枝野国務大臣 済みません、もともと数字が苦手なもので、数は承知をしておりませんが、総合エネルギー調査会であるとか産業構造審議会であるとか、さまざま非常に多くの審議会にまさにいろいろな専門的な知識や現場の実情などを踏まえた御議論をいただくことが重要だと思っておりますので、審議会もたくさんありますし、その中に分科会とか部会とかもたくさんつくって、非常にきめの細かい議論をしていただいております。

高市委員 それらの審議会の委員の人選というのは、大臣みずから行っていらっしゃいますでしょうか。

枝野国務大臣 私、人脈も余り広くありませんので、全ての人を、私がこの人、この人をということではございませんが、事務方がそれぞれの専門分野で適切と思われる方の候補を報告してまいりますので、それに対して必要に応じて、この人は少しとか、こういう人を入れてもらった方がいいんじゃないかという指示をいたしておりますので、そういった意味では私が決めております。

高市委員 今回の文部科学省での一連の出来事から、枝野大臣自身が教訓としたいと考えられること、また、審議会と大臣の意思決定、最終的な政府の意思決定の間のシステムで何か改善をしたいと考えられたことはありますか。

枝野国務大臣 これは実は、今回のことを機にではなくて、従来、経産大臣に就任した直後から、それぞれの審議会での議論が法的にどういう位置づけになるのか、つまり、まさに参考にすればいいのか、それとも一種の行政手続の中の必要条件にされているのか、その場合であっても答申とか意見というものの尊重義務があるのかないのか、そうしたことについては私なりに整理をしているつもりでおります。

 それから、例えば、当該審議会等における議論のテーマについて私自身に一定の意見がある場合については、議論はもちろん審議会等にしていただくけれども、私自身はこういうふうに思っているということは、あらかじめ事務方などとも意思疎通をして、もちろん審議会は審議会で独立して御議論いただくということは必要でありますけれども、例えば、審議会の意見と私の意見が違って、その場合、大臣の方に決定権限があれば、それは当然のことながら大臣が最終的に大臣の意見で決めることになりますから、そうしたこともあり得ることを前提にしてさまざま対応するようにということについては、事務方にも共有をしてもらっていると思っています。

高市委員 審議会の答申と違った判断を大臣がすることもあるということで、それは承知いたしました。

 その場合、今回のように、これまでの基準に忠実に従いながら、また行政と密接に連絡をとり合いながらしっかりと認可に向けての手続を進めてこられた三大学のようなことのないように、大きな改革をされる場合、または大臣の判断を優先される場合には、これまでの基準をきちっとクリアしてこられた関係者に迷惑のかからないように、経済産業省ではしっかりとこれは御配慮いただきたいと思います。

 先ほどから冒頭にこの質問をさせていただいておりますのは、やはり日本の産業立地の優位性というものがこういうことによっても失われていくと思うからです。特に、経済産業行政の場合は重要ですね。

 立地の優位性というと、いろいろな要件があると思うんです。例えば、電力供給も含めて、安定的に公共サービスが提供される国なのかどうか、こういったことも日本に投資をしようとする企業は見ますし、それ以上に、民主党政権になってから損なわれてきているなと思うのが、先ほど申し上げました行政の意思決定、最終的にいつどのような手続で決まるのかという透明性です。あとは、やはり行政執行、運用の方の安定性、公正性というのが失われている部分があるんじゃないか、こういうことをたびたび私は感じてまいりました。

 例えば、民間の金融機関にいきなり債権放棄を要請するとか、電力会社に発電所の停止を要請する、安全の問題もありますけれども、急に、いろいろなことがメディアを通じて発信される。除染の基準についても、最初言っていた数値からどんどん厳しいものになって、何かいきなり変更されたような印象を私たちは受けました。ですから、政治主導なるものが、法的な根拠に基づく指揮命令じゃなくて、国民感情やマスコミ世論に左右された思いつきになっているんじゃないかと感じるのです。

 違うよという反論もあるかもしれませんが、私は野党の立場で、情報を得る場合に、マスコミの報道の方が先である場合が多いです。どうもこの辺が、日本に立地しようとする企業が大きなリスクを負う可能性もあり、産業立地の優位性が損なわれている一つの問題じゃないかな、そんなふうに感じましたので申し上げました。

 例えば、福島の被災地に企業を立地しよう、そこでできるだけ被災者を雇用していただこうというようなことで、経済産業省も支援をされていると思います。それは大臣の所信でも拝聴をいたしました。

 この基準についても、最初はこの補助率でいきますよと高い補助率が出ていて、それだったら思い切って工場を建てて、しっかりと地元の人を雇用しようということで準備をされていた、県とも話し合われて、ぜひうちに来てくださいという話にまで至っていた民間企業が、準備をしてこられたにもかかわらず、最近になって補助率そのものが下がった、つまり、応援してもらえる金額が下がったことで、自分でその分をかぶらなきゃいけないので、とても進出が難しくなった。こういった問題も実は発生しておりました。

 経済産業省の中で起きているこういった問題について、大臣、御承知でしょうか。また、これから、そういったことに目配りをしながら改善をしていただけるお気持ちはおありでしょうか。

枝野国務大臣 福島企業立地補助金のことかというふうに思いますけれども、実は、これは福島県に国はお金を出して、執行されるのは福島県であるということでございます。その補助率については、補助率の上限を決めて、それでこの制度を動かしたわけでありますけれども、その上限と、確実にその上限までもらえるというところのずれがあったのではないかという御指摘があることは認識をいたしているところでございます。

 経済産業省としても、福島県と協力をして、限られた財源を福島の復興のために最も効果的に使うという観点から、手を挙げられて、そして補助率上限もらえると思っておられた企業の皆さんなどとの調整等についてもこの間努力をしてきているところでございますが、特にこの補助制度などにおける補助率の上限と、実際に運用される場合どうなるのかというところについて、誤解を招くことのないように留意しなければならないというふうには思っております。

高市委員 申し添えておきますと、補助率上限というのは確かにあります。何割以下という表現であるかもしれませんけれども、ただ、役所の方から私が聞いた説明では、最初想定していたよりもたくさんの企業に対象を広げたい、だから一社当たりの金額を減らしたいというお話でございました。

 対象を広げて小さな企業をふやすというのもいいのかもしれないけれども、大きな雇用が想定される大きな企業が出ていくということについても、途中でちょっと話が変わってきたぞというのでは、準備にも時間がかかり、銀行からの借り入れも大変なことですから、このあたりは、これから安定性に目配りをしながら、また民間の企業が三大学と同じような被害者にならないように目配りをしながら、お願いをいたします。

 それでは、資源の話に入ります。

 十一月二日の経済産業委員会で、枝野大臣の所信を拝聴いたしました。その中で大臣は、「今後ますます重要性を増す化石燃料や鉱物資源の安定的かつ安価な調達、供給に向け、国際協力を進めるとともに、資源国への政府一体となった働きかけやエネルギー供給源の多様化等に取り組んでまいります。」と述べられました。

 大臣がおっしゃる鉱物資源にはレアアースは含まれますか。

枝野国務大臣 当然、重要な要素として含まれます。

高市委員 レアアースは、特に日本にとって重要な産業の中で、どのような分野、製品に必要な資源でございましょうか。

枝野国務大臣 細かくはいろいろなところに多様に使われているとも聞いておりますけれども、特に重要なのは高性能の磁石、したがってこの磁石というのはモーター、モーターということは例えば自動車産業ということで、現状ではなかなかレアアースがないと非常に高性能の磁石がつくりにくいというような状況の中で、磁石がモーターや、そしてモーターを通じて自動車ということの主要な要素になりますので、我が国の経済にとって、産業にとって大変重要であるというふうに思っております。

高市委員 大臣がおっしゃる脱原発ということになっていきますと、風力発電、これも一基当たり一・五トンから二トンのレアアース磁石が必要ということで、日本にとって大変重要な資源でございます。

 所信の中で、「国際協力」や「資源国への政府一体となった働きかけ」とおっしゃっていましたけれども、国産の鉱物資源の開発というものには力を入れられないんでしょうか。

枝野国務大臣 レアアースを初めとして、特に我が国周辺の海洋において鉱物資源が存在し、また、それを採算に合うような形で採掘、活用できる可能性が見えてきているという状況にあります。

 したがって、足元に役に立つかどうかは別としても、我が国が資源の輸入に依存しているということが産業構造の一つの制約要因になっていることを考えれば、中期的な課題としては、我が国近海を初めとする我が国国有、国産の鉱物資源についての開発を最大限進めていくということは大変重要なことだと思っております。

高市委員 中長期的な視野に立って自前の資源開発をお進めいただけるということで、大変これはうれしい御答弁でございました。

 特に、中国漁船による尖閣周辺の領海侵犯事件がございましたときに、中国政府がレアアースの対日輸出を一時停止しました。このとき、多くの製造業が打撃を受けました。中国は、最大のレアアース供給国という立場を利用して、レアアースを最強の外交カードとして使っているように見えます。また、日本企業の中には、中国のレアアース輸出制限を受けて、原材料調達のために、電気自動車やハイブリッド自動車の駆動モーターに欠かせないネオジム磁石を来年から中国で生産すると発表したところがありました。これでまた、中国への先端技術の流出、それから日本国内雇用への悪影響が懸念されます。

 ぜひとも、対中資源セキュリティーの確立という視点だけじゃなくて、中国に限らず、余りにも重要な資源の多くを外国に依存するということが、例えばシーレーンにリスクが生じた場合などにも大変大きな影響を受けることでございますので、自前の資源開発をぜひとも進めていただきたいと思います。

 このレアアースですけれども、ことしの六月に、東京大学の加藤泰浩教授の研究チームが南鳥島の南西約三百十キロの海底から高濃度のレアアースを含む泥を発見したということが報道されました。推定埋蔵量は国内消費量の約二百三十年分という報道もございました。年間消費量は約三万トンということでございますので。それで、その中には、ハイブリッド車に必要なジスプロシウムが約四百年分、光磁気ディスクに必要なテルビウムが約四千六百年分もあるんじゃないかという推定でございました。

 もしもこれが本当だったら日本の未来に大きな可能性を開くものになるということで、私も大いに興奮をしたんですけれども、大臣はこの件についてはよく御承知でございましょうか。

枝野国務大臣 よくというのがどの程度かという問題はありますけれども、最近、特に海洋における資源開発、そしてこのレアアースの問題であったりとか天然ガスの問題であるとか、幾つか非常に前向きな可能性のある話というのが上がってきておりまして、これもまだ十分に確度の高さということをどの程度判断したらいいか難しいところはありますが、大変重要な情報であるということでありますし、きっかけ自体が、経済産業省がこの東大の先生に、委託費だったですか、補助金だったですか、お願いをしたところから始まっておりますので、報告も受けておりまして、しっかりこれを踏まえて、さらに開発、そして実際にこれを活用できる方向に向けた努力をしていきたいと思っております。

高市委員 今回、高濃度のレアアースを含む泥が見つかったという南鳥島でございますけれども、南鳥島の住所がどこになるのか。それから、周囲七・六キロほどの小さな島なんですけれども、日本人は駐在しているんでしょうか。

枝野国務大臣 南鳥島は、東京都であることまでは承知をしておりますが、何町、何村に属するのかまでは承知をしておりません。鳥島は人は住んでおられなかったんじゃないかというふうに思います。

高市委員 東京都の小笠原村でございます。一般の住民は住んでおられませんが、自衛隊、あと気象庁、関東地方整備局の職員が交代で駐在いたしております。しかも、滑走路もありますから。この南鳥島というのは、東京都の一部であり、そしてまた常駐している日本人がおり、また滑走路もあり、我が国が完璧に実効支配を行っている日本国領土であるということであります。

 ちなみに、南鳥島の南西約三百十キロメートルという地点で泥が発見されたわけですけれども、ここは日本の排他的経済水域内に当たるでしょうか。

枝野国務大臣 排他的経済水域であるかどうかという確認はしてきておりません。申しわけありません。

 ただ、御指摘の南鳥島周辺海域の海のレアアースについてはJOGMECが白嶺を用いて探査を行っておりますが、外国企業による申請などを受け付けないようにするため、探査活動の場所や内容については開示していないということであります。我が国が申請を受ける立場でありますので、我が国が何らかの権能を有している地域であるというふうに思います。

高市委員 では、排他的経済水域というのは領海基線から何キロでございますか。

枝野国務大臣 済みません、領海基線からだったか、二百海里と言われております。今、事務方がメモをくれましたけれども、排他的経済水域の中に入っているかどうかの方ではありませんでした。

 二百海里というふうに承知をしております。

高市委員 一海里が千八百五十二メートルでございますから、掛け算をすれば、二百海里だったら三百七十・四キロメートルでございますので、今回の東大の加藤教授が発表された地点については、紛れもなく排他的経済水域内に入ります。我が国が水中並びに海底、地下の天然資源の探査、開発、保存、管理のための主権的権利を有する場所でございます。特に枝野大臣は、資源にも非常に大きな権限を持たれる大臣でございますので、この排他的経済水域ですとか国際法上の権限ですとか、そういったものについてもう少し御関心を持っていただければと思います。

 この南鳥島海底のレアアース泥というのは、本格的に探査、開発するということを行いますと、私はかなり多くのメリットがあると感じます。さっき申し上げましたけれども、ハイテク産業に不可欠な資源を我が国が自前で確保できるということ、それから、特に対中国の資源セキュリティーが達成されるということ、それから、これは深海から発見されておりますので、海底鉱物資源開発を日本が世界に先駆けて成功させるということで、新規の海洋産業も起こせる、雇用などの創出にもなると思うんです。

 改めて確認したいのですが、当然、経済産業省としては、この南鳥島周辺のレアアース泥の探査、開発を本気で大規模に支援して、早急に進めるというお考えはおありでしょうね。大臣の御決意を伺います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、これが商業化できれば大変大きな意味があるというふうに思っております。

 一方で、これは、研究されている東大のチームも現時点では採算性がないということをおっしゃっておられるのと、正確な資源量評価を行うにはまだボーリングの数が少ないというようなことがあります。それから、海底の泥からレアアース等を取り出す等の生産技術の確立がいまだ十分ではないという課題もあります。

 これらの課題をしっかりと国として解決していくことが重要であるというふうに思っておりまして、今年度から、海のレアアースの資源量評価それから生産技術開発、この両面において着手をしているところでございまして、ここについては、例えば白嶺という船を使って探査をしているわけでありますが、例えば船をもう一船つくるのかつくらないのかとかいろいろ大きな課題はありますけれども、我が省だけにとどまらず、関係省庁とも連携して、できるだけ早く埋蔵量の把握であるとか生産技術の確立に向けて努力をしてまいりたいと思っております。

高市委員 今、大臣が課題について触れられました。

 まず、東京大学の発表で、現時点では採算性がないという評価なんですけれども、そもそも国として大切なことというのは、すぐに採算がとれるかとれないかというマーケットの問題じゃなくて、いかに資源セキュリティーを確保するかということではないのかと思うんです。いかがでしょうか。

枝野国務大臣 資源をしっかりと確保しておくということからは、まさに御指摘のとおりだと思います。先ほど、正確に御指摘、御指導いただいてありがとうございます。我が国が排他的にこの権益を持っているわけでありますから、いずれにしろ、将来にわたって我が国のために使えるものであるということであります。

 一方で、実際に大量に使っていこうとすれば、完全に採算がとれる必要があるかどうかは、またいろいろと補助、支援をするということはあり得るかと思います。まさに今、目先の採算性ではなくて、探査については国が直接最大限行うということでやっているわけであります。

 ただ、採算性等についても、一応、一定の考慮をしながら、埋蔵量であるとか、採掘した後の生産技術の確立であるとかということも同時並行で進めていかなきゃならないというふうに思っております。

高市委員 また新たに幾つかの課題をおっしゃいました。

 まず、採算性についてですけれども、東京大学が最初に発表した際は、一日当たりの揚泥量、泥をどれだけ揚げられるかを七千五百トンと評価していたので、ぎりぎり採算がとれないという結果だったんですが、その揚げる技術を持っていらっしゃる三井海洋開発と検討された結果、一日当たりの揚泥量を一万トンにできると判断して、現時点では採算がとれそうだということでございます。

 ただ、その後、レアアースの価格が下落しています。これは私、恐らく中国の市場から、つまり、中国政府によってレアアースが資源管理されることを恐れた業者が一斉に在庫放出している、こういった動きもあるんじゃないかなと推測はするのですけれども、価格の下落があって、また、採算がとれるかとれないかというのはわかりませんけれども、先ほど来大臣がおっしゃったように、自前の資源をしっかり開発するということでしたら、今の段階で、採算性もぎりぎりのところまで来ているわけです。これはしっかりと国で支援をしていただきたいです。

 それから、経済産業省から課題についても五点お示しをいただいておりますので、大臣もおっしゃいましたけれども、幾つか伺います。

 現時点で資源量を算出できるほど十分な調査が行われていないという御指摘もあるんですけれども、だからこそ、一刻も早く、資源量を確定させる資源探査、調査が必要だと私は思います。

 それからまた、水深三千メートルから六千メートルといった深海底での探鉱、揚鉱について商業レベルのものは存在していない、研究開発が必要だ、こういった御指摘もいただいたんですが、これも、だからこそ、早急な研究開発が必要であると思います。商業レベルで今すぐに企業が取りかかれるようなことでしたら、何も国が支援する必要はないし、私もここで発言はいたしません。

 ただ、石油やガスというのは三千メートル級の深海底から生産を行っています。その深海から石油、天然ガスを生産するということで世界第二位の企業であるのが三井海洋開発なんですけれども、三井海洋開発の方がテレビに出て、今までの技術を駆使していけば十分可能だ、加藤教授が発見された深いところから揚げることも十分可能だと考えられるとおっしゃっていました。

 ですから、私は、先ほどの資源量の調査にしても、深海から揚げる技術にしても、こういった専門企業が必要だと今考えている実証試験、これを早急に実施できるようにするために助成を行い、体制を整えてあげるというのが国の役目だと思うんですが、いかがでしょうか。来年度予算編成に向けて大事な時期ですので、伺います。

枝野国務大臣 まさに、課題があるからこそ国が積極的に研究、探査を行わなければならないという御指摘、全く同感でございまして、その点については応援をいただいた趣旨と受けとめさせていただき、御礼を申し上げたいというふうに思います。

 具体的には、今、白嶺を用いてJOGMECが直接探査を行う、それから、海洋鉱物の生産技術については特別重点要求で、来年度予算編成に向けて、金額を大きくふやすことを財政当局に対して要求しております。それをどういう使い方をすれば一番効果的に進むのかということについては、今御指摘をいただいた、関連技術を持っているところに対する支援というのも、一つの要素として今後検討させていただきたいと思います。

高市委員 せっかくの国内資源の発見ですから、十分に検討していただきたい、前向きにやっていただきたいと思っております。

 それから、先ほど、揚げた泥の処理の問題なども御指摘がありました。経産省から紙をいただいております。泥を揚げて、そこからレアアースを取り出して、その後の泥をどうするかということなんですけれども、まさに、これまで国会で進めてきました南鳥島をどうしっかりと補強していくかというようなことも含めて、これも南鳥島領海の埋め立てに活用する。その前にアルカリによって酸を中和するということも必要ですが、そういったことに活用したり、あと、南鳥島に豊富にある炭酸カルシウムとまぜたらセメント材にもできますし、非常に効果的な活用ができるという指摘もございます。

 海のレアアースの場合は放射性物質がないということこそが利点でありますので、多少残渣が多いということをもって致命的な課題になると思っていませんで、むしろ、これを起爆剤にして新しい産業それから雇用を生み出すといった方向で御検討いただきたいと思います。

 もう一つ伺いたかったのは、この件について私が伺いまして、経済産業省から三枚のペーパーを頂戴したのですけれども、その中で、「周辺生物等、環境への影響調査が必要。」ということが書いてありました。これは資源開発の必須項目で、当然のことだと思うのですが、どうもぴんとこなかったのが、陸上鉱山からのレアアース開発だったら周辺生物や環境への影響が出ないのかどうか。あと、カザフスタンや中国など外国でレアアースを生産し、調達するということであれば、自分が手を下さないから周辺生物や環境への影響を勘案しなくていいのか。否定的な課題のところにわざわざこれが書いてあったので、本意を伺いたいと思います。

枝野国務大臣 あえて申し上げれば、残りの泥の話と、今の周辺環境に及ぼす影響の話というのは、決定的、致命的な問題であるというふうには私は思っておりません。

 当然のことながら、鉱物資源を例えば日本の国内の陸上において行う場合でも、これは環境にしっかり一定の配慮をしなければならないということでありますし、また、我が国あるいは経済産業省、資源エネルギー庁も、JOGMECを後押ししながら、海外の鉱山について我が国企業が権益を持って開発を進めるということの努力をしておりますが、そうしたことの中においても、現地において、環境破壊につながらないように、レアアースの探査等においても十分配慮しながら進めているということでございますので、そうしたことの一環として、海の中だから全くそういったことに配慮しなくていいのかということにはならない。

 当然、泥の持ち上げ方であったりとか使い終わった泥の捨て方によっては周辺環境に影響を及ぼすこともありますが、逆に言うと、我が国のこれまでの陸上などにおける鉱業のさまざまな蓄積を踏まえてしっかりと対処すれば、これは十分クリアできる課題であるというふうに思っております。

高市委員 経済産業省からいただいた資料の中で、資料の一ページ目に、「東京大学の加藤教授は、二〇一一年七月に太平洋について、二〇一二年六月に我が国排他的経済水域内(南鳥島周辺)について、深海底にレアアース鉱床が賦存する可能性について発表。経済産業省は、本研究の一部を支援した」と記されてあったんですけれども、この加藤教授のレアアース鉱床の研究について、経済産業省は具体的にどのような支援をされたんでしょうか。

枝野国務大臣 これは、この先生方のチームがレアアースの含有量を分析するという研究を二〇〇八年に行う際に支援を行いました。その成果を踏まえて、今回の二〇一一年、二〇一二年の発表につながったというふうに承知をしております。

高市委員 発見後の資料に「本研究の一部を支援した」と書いてあるので、政権交代後に、例えば去年ですとか、ことしですとか、すごい支援をしていたのかなと思いまして。

 自民党政権の末期に行ったこのJOGMECの支援については、私も承知をいたしております。たしか総額五百七十三万円余りの規模だったと思うんですけれども、政権交代後に何か支援をされた実績というのはあるんでしょうか。

枝野国務大臣 民主党の文書ではなくて、経済産業省の文書でございますので、経済産業省としてどういう支援を行ったのかということについて、御報告を紙の上でさせていただいたということでございます。

高市委員 どういう支援を行ったかの報告は紙ではいただいていなくて、ただ一行、「本研究の一部を支援した」と書いてあっただけなので伺いました。民主党政権になって、何か新しい支援をされているのかなと思ったので伺っただけでございます。

 私自身は、自民党時代の支援についても、たった半年間、五百万円ぐらいの助成金で支援したなどと言うのは申しわけないと、むしろ反省している立場でございます。

 今回レアアース泥を発見された加藤教授の御本を読みましたら、レアアース泥発見の最大の功労者は東レの助成金だと書いてあったんです。東洋レーヨン。ちなみに、東レの助成金については、iPS細胞の京都大学の山中教授も研究資金が非常に困難だった時代にお世話になったと聞いているんです。

 経済産業省からこのたびいただいた資料には、「今年度から予算を確保し、海洋調査に着手した。」とも記されておりました。これもそう書いてあっただけで、具体的には書かれていなかったんですけれども、例えば今年度、平成二十四年度の予算には、海洋エネルギー・鉱物資源開発の強化ということで三百二十四億円計上されているんです。

 この中には、加藤教授の研究チームによる南鳥島のレアアース泥の調査を前進させるものというのは、先ほど来の御答弁を聞くと、含まれていないということですね。

 それから、もしも含まれていないということであったら、来年度予算ではこの貴重な国内資源の探査、開発に向けて対応をしようという思いがおありなのかどうか、お伺いします。

枝野国務大臣 この東京大学の研究チームに対する直接の支援はしておりませんが、先ほど来若干申し上げておりますとおり、民主党政権になった以降の平成二十四年度において、この先生方の研究成果を踏まえて、南鳥島周辺海域における海のレアアースの探査を、JOGMECが保有する白嶺を用いて着手しております。

 これについては、二十四年度の予算は二十六・五億円の内数でございます。白嶺を使ってということでございますので、なかなか個別全部に割り切れないところがありますが、そうしたことで、海のレアアースの探査についてJOGMECを通じて事実上政府が直接行い、こうした研究成果については、この東京大学の先生方などともしっかり連携しながら、最大限の効果をもたらせるように努力をしてまいりたいと思います。

高市委員 そうですね。せっかく日本の排他的経済水域内で見つかった、そしてまた実現可能性が一番高い成果だと思いますので、ぜひこういったものを優先的に推し進めていただけたらと思います。

 このニュースが報じられたことしの夏ですが、ジャーナリストの桜井よしこさんが連載コラムで、発見者の加藤泰浩教授から直接聞き取られた話を書いておられました。週刊新潮でございました。

 この加藤教授が、昨年七月に英国のネイチャー・ジオサイエンス誌に論文を発表された。それはこの南鳥島の件ではなくて、フランス領であるタヒチの海底に希土類が眠っているという論文で、これも日本でも新聞で大きく報道されておりました。ところが、このネイチャー・ジオサイエンス誌の論文を書いた時点で、もう既に加藤教授は南鳥島周辺海域のレアアースについても承知をしていたんだけれども、わざと伏せた。先ほど大臣が触れられたように、中国がそれと気づかないうちに何とか国家的なプロジェクトと位置づけて十分な調査を行って、開発が軌道に乗っていたという形をとれればいいと思ったということが理由だったそうです。

 その同じ加藤教授の言葉として、「南鳥島の件については五年も前から経済産業省に報告し、探査・研究への支援を要請しました。」と書いてあります。

 五年前というと自民党政権のころなんですけれども、私はその話を聞いたことがないので、経済産業省が南鳥島のレアアース泥の存在可能性について報告を受けた事実があったのかどうか、もし御承知だったら教えていただきたい。

 大臣御自身が承知していないということでしたら、加藤教授は政権交代後、おととし、二〇一〇年の二月にも、経済産業省にレアアース泥の研究に対する資金援助のお願いに行った。担当者は、レアアース泥はおもしろい資源だと認めて、協力をしますと言ったんだけれども、結局、資金援助はなかったということなんですが、これは政権交代後なので。

 こういった点について承知されていますか。

枝野国務大臣 自民党政権時代の五百万余りの支援について、私が自民党の高市議員に説明申し上げるのもなにかもしれませんが、この間、この件に限らず、いろいろな学者さんあるいは企業の皆さんが、海のレアアースに限らず、我が国の領土、領海あるいは排他的経済水域における資源開発について、私のところにも、これ以外の案件でも、こういった可能性があるんだとかいろいろなお話があります。そうしたことについて、どのタイミングでどういうふうな支援をしていくのかという判断は、これはなかなか、正直言って難しいところがあるんだろうなと思っております。

 この件については、かなりの、この東大の研究グループが民間の資金も活用して進めていただいたことで、公費を大きく突っ込んで進めていくということについて、多くの皆さんが理解をしていただける状況に今なっているというふうに思っておりますし、ただ一方で、なかなか、いろいろな先生方が、あるいはいろいろな企業がいろいろな御指摘を行う中で、どこにどう予算を配分して、可能性をこれぐらいの現実可能性にまで進めていくのかというのは正直難しい課題であるというふうに思っておりますが、今回のことがもっと早く本格的にできなかったのかということについて少し検証してみて、ほかの案件についても、早い段階から国が直接大きな支援ができるケースがないか、その教訓にしたいというふうに思います。

高市委員 済みません、もう質問時間が終わりましたので、最後に。ごめんなさい、副大臣に来ていただきましたのに。でも、お二人でお聞きいただけたらうれしいのですが、ぜひとも、経済産業省、文部科学省、それから国土交通省が連携して、場合によっては一つの事務局をつくってでも、この問題に取り組んでいただきたいと思います。

 文部科学省には科学研究費補助金がありますし、新しい研究調査船の建造にも乗り出すと聞いております。国交省には遠隔離島における活動拠点整備事業がありますから、揚げた泥でしっかりと離島整備を進めていく、そういったことができる可能性もあります。経済産業省はまさにこの資源戦略に中心的に取り組んでおられますので、ぜひとも各省連携の絵を描いていただきたい。枝野大臣は官房長官でしたから、そういった連携の絵を描かれるのはお得意だと思いますので、ぜひともそういった方向で政府内で御提案をいただきたく思います。

 以上、お願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

海江田委員長 次に、石井登志郎君。

石井(登)委員 おはようございます。民主党の石井登志郎でございます。

 短時間でございますので、早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 まず、大臣、九月の十九日に閣議決定をされました今後のエネルギー・環境政策についてということについてお伺いをいたします。

 私、閣議に出たことがありませんのでよくわからないので確認をいたします。

 この革新的エネルギー・環境戦略について云々という閣議決定でありますけれども、これは今後のエネルギー・環境政策についてという、この表紙一枚だけが閣議決定されているのか、それとも革新的エネルギー・環境戦略という、この十数ページのものも含めて閣議決定をされているのかということについて、いろいろなことを言う方がおりますが、枝野大臣の方から私にレクチャーをしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

枝野国務大臣 革新的エネルギー・環境戦略は、二〇三〇年代に原発ゼロを可能とするようあらゆる政策資源を投入するという方針を決めております。そして、九月十九日の閣議決定においては、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするようあらゆる政策資源を投入するということを含めた革新的エネルギー・環境戦略を踏まえて、今後のさまざまな政策を展開するという趣旨のことを決めておりますので、このエネルギー・環境戦略の中身及び今後の政策の具体化プロセスを両方一緒に閣議決定したものでありますので、エネルギー・環境戦略の内容は閣議決定されている中身であるという理解をいただいていいと思います。

石井(登)委員 ありがとうございます。大変安心をいたしました。

 大臣が官房長官として福島第一原子力発電所の事故対応に大変御奮闘されていたときに、私もおくれて、先輩議員に、おまえ、ちょっと東京電力の統合本部に行けと言われて、丸々三カ月、細野さん、馬淵さんの下でサポートをさせていただきました。

 そのときまでは、原子力というものは、人類がしっかりと使いこなして、そしてやっていかなきゃいけないエネルギーだと思っておったんですが、あのときに、自衛隊や、もしくはアメリカの方や、もしくは日本のさまざまな英知の方が画面を見ながら神頼みの状態が幾つかあって、それを見たときに私の価値観は大きく変わりました。できることならば原子力がない社会を築いていきたい、それに向けてでき得る努力、政策資源を最大限投入していきたいというこのエネルギー・環境戦略、これは確実に実施をしていくように私も努力をしたいと思います。

 こうした中で、二〇三〇年代に原発をどうするこうするということ以上に私自身が本質的な問題と思っているのが原子力のバックエンドに関する施策であります。核燃サイクルをどうするか、使用済み核燃料をどのように対処していくかという課題について、今日までは、全量再処理をして、そしてガラス固化の部分だけを地層に埋めるということでありますが、さまざまな点から、これはもうフィクションと言わざるを得ないんじゃないかと言われているところであります。

 そういう中で、幾つか確認をさせていただき、また提言もさせていただきたいと思います。

 まず一つお伺いしたいのが、エネルギー計画の将来をどこまで考えるべきかということであります。

 エネルギー基本計画に関しては、二〇三〇年代云々ということであります。あとは、高速増殖炉の開発に関しては二〇五〇年代、実質的には二〇六〇年代ということになります。

 一方で、原子力委員会の核燃サイクル小委員会の年表軸を見ていると、二一五〇年までびょっと線が延びているんですね。百四十年先ですから、百四十年前というと明治維新のときですから、坂本竜馬か伊藤博文さんが今のエネルギー供給を考えていてくれていたのかもしれませんし、本来そうあるべきなのかもしれません。ただ、余り先のことまで考え過ぎると、結局、今やれることが定まらないということになろうと思います。

 そこで、お考えをお伺いいたしますが、エネルギーの計画というのは将来どこまで考えるべきか、これについては私見となろうと思いますが、政務のお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

本多大臣政務官 お答えをいたします。

 まず、質問の前提として、今後の基本計画、今策定を目指している基本計画と、いろいろな場面での大きな計画というのがそれぞれあると思います。今後いろいろなプランを立てていくときには、石井議員が今言われたように、極めて長期のいろいろな計画というのも立てていく必要が出てくることはあると思いますけれども、今政府が近々につくろうとしているエネルギー基本計画について、私の方からまずお答えをさせていただきたいと思います。

 これを策定していく前提は、先ほど枝野大臣が答弁をされたように、一日も早い原発に依存しない社会をつくっていくという国民の多くの声をしっかりと踏まえて、二〇三〇年代に原発稼働ゼロにできるようにあらゆる政策資源を投入する、これは政府として決めたぶれない方針、これがあくまで前提であるということであります。

 しかし一方で、今、石井議員からいただいたような、極めて長期にいろいろ考えなきゃいけないバックエンドの問題もこの問題には関係をしてまいります。さらには、エネルギーの将来見通し、これはこれまでの立地自治体や国際社会との関係でありますとか、再生可能エネルギーが実際どう普及、開発をされていくか、国際的なエネルギー情勢、こういうことを正確に見きわめにくい分野もあるというのは一方で事実でございます。

 こういったことを柔軟性を持って見直していくということの両面を踏まえて、今総合資源エネルギー調査会で議論を進めておりますので、そういったところでしっかりと期限の区切り方も含めて今後議論していくことになると思います。

石井(登)委員 なかなか明示的には言いにくい問題だろうと思いますから、引き続き、ともに頑張らせていただければと思います。

 きょう、一枚資料をお配りさせていただいております。プルトニウムの取り扱いで海外への移転の可能性を追求してはどうかということで、その文脈でお示しをしておりますが、原文の一部を抜粋したものが英文であります。そして、経産省に訳していただいたものの全体の概要を日本語でつけております。

 これは、イギリスのプルトニウムの管理方針についてということであります。二〇〇九年の四月にオバマ大統領がプラハ演説をして、アメリカも核のない世界に向けて踏み出すと歴史的なスピーチをされた。それを受けて、核セキュリティーサミットが今日まで数次にわたって世界で開催をされている。このプルトニウムの管理方針に関して、それぞれの国が指針を示すというような動きにつながっておりまして、その流れの中で、イギリスも現在百十二トンある民生プルトニウム、これを今後どうしていくかというのをまとめて提示したものであります。

 その中で注目するのは、プルトニウム百十二トンのうち二十八トン、そのうち核分裂性プルトニウムでいえば十二トン弱、我が国のものが今イギリスに保管をされております。今の、前のエネルギー大綱の文脈でいきますと、当然、全量、日本にMOX燃料として返ってくるということであろうと思いますが、一方で、こうしたことを見ると、これはもちろん、相手のある話でありますけれども、イギリスの利益にかなえば所有権を移転してもよい、我が国からしたら、買っていただくか、もしくはお金を払って引き取っていただくか、それはわかりませんが、インターガバメンタル、つまり、政府のそれぞれの交渉と、それからコマーシャルベースの条件が合えば所有権の移転ということもあり得ますよということを書いてあるわけであります。

 さらに言えば、今、東京電力の経営に関与しておられる立場であろうと思いますが、その東京電力名義の核分裂性プルトニウム、イギリスにあるのは四・六五トンというようなことでございますが、こうした他国の状況を受けて、我が国も、持ち運ぶことに対する核セキュリティーの心配もありますし、持ち帰ること以外の選択肢も視野に入れるべきだと思います。さまざまな検討に入っていただければと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 まず、今回のエネルギー・環境戦略では、核燃料サイクル政策について何らかの変更をしたものではないということは御承知かというふうに思っております。海外再処理により回収された分も含め、国内において有効利用を進めていくということでございますが、我が国の核燃料サイクル政策を含む原子力政策は諸外国との密接な協力体制の中で行われてきており、国際機関や、イギリスを含む諸外国と緊密に協議、連携して、核不拡散の要請のもとで平和利用を責任を持って進めていかなければならないと思っております。

 そうした中で、御指摘のレポートは大変興味深いものでございますが、これはイギリス政府のプルトニウム管理方針決定プロセスの出発点、原文ですと、発音はうまくないですが、ビギニング・オブ・ザ・プロセスという位置づけだと承知をしております。

 したがって、そのレポートの中でも、政府間合意や商業上の取り決めがイギリス政府にとって受け入れ可能であることが条件というようなことも書いてありますし、この議論は注視をしていかなければならない、あるいはしていきたいというふうに思っておりますが、まだ、この紙をもって、何か我が国の政策が変更、あるいは変更に向けた議論が必要あるいは可能という状況ではないというふうに思っております。

石井(登)委員 私が申し上げたいことは、今までの路線が一本で唯一の方法だということではなくて、あらゆる可能性がある。イギリス以外にも、もしかしたら私たちが取り扱いに厄介だと思うものをありがたいと思う国があるかもしれません。そういう意味で、さまざまな可能性を広げていただければと思います。

 そこで、あと短くお伺いをします。

 原子力バックエンド事業の国の責任についてこのエネルギー・環境戦略の中にも書いて、国もしっかりと責任を持ってということでありますが、これは当然、国も責任を持って進めていくというお答えになろうと思います。そうなるとちょっと漠然とした答えになりますので、あえて、ちょっとこれを特定してお伺いをさせていただきます。

 使用済み核燃料の最終処分について、現在、電力代に加えて、消費者の皆さんから最終処分積立金としていただいておるわけでありますが、予定どおりきちんとガラス固化体、TRU廃棄物として処分された分は、二〇三六年から地下処分場の操業開始、二〇九六年に坑道、つまり入れる穴を塞ぐということであります。そこから三百年のモニタリング措置を講ずる。だから、二三九六年までお金の措置をしていますよというから壮大な話なんです。ただ、穴を塞いだ後に、もし例えば地震が起きて何か起きたとか、このモニタリングが二三九六年の先にやらなきゃいけないときは、では今の事業者にお金を払ってくださいというふうに言えるわけはないなと私は思うのでありまして、そういう際には国が責任を持つ以外にないと思うわけであります。

 そういう理解は共有していただけているかどうか、ちょっと確認をしたいと思います。

本多大臣政務官 お答えをいたします。

 現行法においては、原子力発電環境整備機構、いわゆるNUMOがモニタリングを含め最終処分の実施等の業務を行うとなっています。いろいろな事情で、経済的な事情、天災などで事業継続が困難になった場合は、必要な措置を別に法律で定めることとしており、それまでの間は経済産業大臣がその業務を行うということも定めております。

 しかし、例えばNUMOが解散をする、そういうことについても、現行法では、別に法律で定めるという規定になっておりまして、その際のあり方については、今、総合エネ調の原子力部会の中間報告でも、国が当該処分施設における安全責任を継承することが適当であるとの報告が出ておりますので、この方向を踏まえて、国の役割をしっかりと検討していきたいと考えております。

石井(登)委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、国の信頼もそもそも損ねられているじゃないかというところがあるわけですが、ただ、国の方が明らかに民間企業体よりは何らかの形で永続している可能性は高いわけでありますから、そういう意味で、今の政務官の御発言のとおり、しっかり国がより強い責任意識を持って進めていただければと思います。

 最後に、九月十一日に日本学術会議が「高レベル放射性廃棄物の処分について」というような提言、レポートを書かれております。それについて御質問いたしたいと思います。

 この提言、なかなか厳しい言葉で書いてあります。行き詰まっているのは、説明の仕方の不十分さというレベルの要因に由来するのではなく、より根源的な次元の問題に由来することをしっかりと認識する必要がある、従来の枠組みを一旦白紙に戻すくらいの覚悟を持って見直しをすることが必要であるということであります。そうした中で、暫定保管、これは期間を目安として数十年、数百年、回収可能性を備えた形で、安全性に厳重な配慮をしつつ保管せよ、こういうようなことを中心に、あと総量管理なども触れておりますが、これは今までのことを、白紙を含めて見直しをせよということであります。

 これを受けて、そのように白紙から見直しておりますと言っていただけるのか、どういうあれかわかりませんけれども、これを受けての対応と御決意を簡潔によろしくお願いしたいと思います。

本多大臣政務官 日本学術会議から、大変示唆に富むレポートが出されております。これの受けとめについては、原子力委員会が諮問したものですので、原子力委員会の方でまずはこれの受けとめを今検討しているところで、それを待って判断をしていきたいと思っていますが、これを読ませていただいて、可逆性という提案、一旦決めたものをもとに戻せるようにしておくことの方が一般の方々、立地地の皆さんにより説明しやすくなる、こういった点は非常に示唆に富んでいると考えておりますので、このレポートを踏まえて、いろいろな施策の検討を今後もしてまいりたいと考えております。

石井(登)委員 ありがとうございました。

 海江田委員長が大臣当時、大変御苦労された本件でありますから、しっかり将来に向けて、安心の政策に向けて、ともに頑張らせていただければと思います。

 以上です。ありがとうございました。

海江田委員長 次に、木村たけつか君。

木村(た)委員 おはようございます。国民の生活が第一・きづなの木村たけつかでございます。

 私たち国民の生活が第一は、去る十月十六日から二十一日まで、二〇二二年までの脱原発を決めているドイツに脱原発視察団を派遣し、意見交換をしてまいりました。その視察を踏まえ、エネルギー政策の転換を図りながら、同時に安定的な電力供給を堅持し、国内産業、日本経済を守るといった観点から質問をさせていただきたいと存じます。

 我が党は、二〇二二年を目途に脱原発を目指しておりますが、その手段として、再生可能エネルギーの推進に加え、IGCC、IGFCといった世界最先端の石炭発電や天然ガスコンバインドサイクル発電を積極的に推進することとしており、これらによる原子力の代替によって、十年後を目途とした早期の脱原発を図ることができると考えております。

 その目標を実現するために、高効率LNG火力発電等の導入促進策に関して、去る十月三十一日の衆議院本会議におきまして、我が党の東幹事長の質問に対しまして、野田総理の答弁の中でも御賛同をいただけたものと私は承知をいたしておりますが、政府における最先端技術を用いた石炭、天然ガス火力発電の具体的な導入促進策をお聞かせいただきたいと思います。

枝野国務大臣 原発依存からの脱却のためには、省エネと、それから風力に代表される新エネルギーが一番注目をされているところでありますが、御指摘のとおり、石炭は比較的安定的な価格でありますし、これがCO2の排出等の環境負荷を小さくすることができれば、これも大きな要素になるし、少なくとも、新エネルギーの普及拡大までの間のつなぎとしては大きな意味がある、これも間違いないと思っております。

 そうした意味では、石炭火力をより高効率化するということについての支援、それからもう一つは、出てきたCO2を地中に埋めるということについての技術開発の支援を積極的に進めているところであります。

 また、石炭に比べて相対的に環境負荷の小さな天然ガスも重要であると思っておりまして、この天然ガスについては、一つは、価格を引き下げなければならない、原油連動を変えていかなければならないということで、これについては、調達先を多様化するための努力と、それから、先日、LNG産消会議という国際会議を我が省が主催して、産出側それから消費側、双方たくさん集まっていただいて、値決めのあり方等を含めて議論をして、展開を図っていく努力を進めているところでございます。

木村(た)委員 続きまして、日本学術会議が、去る九月十一日に、核のごみに総量規制を設けた上で、最終的な処分法をどうするかという決定を先送りし、数十年から数百年間、暫定保管をするという、苦し紛れとも言える暫定保管案なるものを御提示されました。

 核のごみを暫定保管するにせよ、活断層の問題から逃れることはできないわけでありまして、全国で地震の可能性がある以上、安全な保管場所がないというのが現状ではないかと私は思っております。

 最終的に原発稼働ゼロを目指すというのであれば、危険な原発の利用をやめて、核のごみをこれ以上ふやさないようにする必要性があると思いますが、政府の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

枝野国務大臣 先般決定した革新的エネルギー・環境戦略においても、バックエンドの問題に正面から取り組んでいくという決意を明記しているところでございます。

 いずれにしろ、使用済み核燃料などのいわゆる核のごみの問題は、原発をやめていくにしても、では既に生じているごみを誰が、どう、どこでお預かりいただけるのかという問題がありますし、使い続けるとなれば、いずれはどこかであふれていくということになるわけでありますので、これはまさに原発をこれからどうするのかということにかかわらず、本来であれば先行して結論を出さなければならない課題である。

 ただ、残念ながら、これまで半世紀にわたってこの問題、努力はされてきたんだろうと思いますが、結論を出せないままここに至っておりますし、大変困難な問題でありますから、すぐに結論が出せるという楽観的なことを申し上げるつもりはありません。

 しかし、これは繰り返しになりますが、やめていくにしても、続けるにしても、結論を出さなければならない、この使用済み核燃料の問題を解決するべく最大限行うということがまず大事なことであるということで、その決意のもとで取り組んでまいりたいと思います。

木村(た)委員 ぜひ、具体的な推進を図っていただきたいと思っております。

 また、先ほど大臣から御答弁がございましたとおり、資源調達のコスト高の問題でありますが、三兆一千億円の国富が流出をしているということが指摘をされているわけであります。今日まで化石エネルギーの多くを中東に依存してきたエネルギー政策の欠陥がゆえんだ、私たちはこのように考えております。原子力をなくせば我が国の化石燃料調達における価格競争力が弱まるといった主張が一方で聞かれるわけでありますが、原子力があっても、これまで我が国は欧米諸国より高値で石油や天然ガスを買わされてきた、こうした現状があると思っております。

 そこで、我が国は、円高の今こそ、効果的な資源外交を展開して、海外におけるシェールガスやシェールオイルといった非在来型資源の権益を確保するとともに、サハリンやシベリアの天然ガスパイプラインの敷設等も視野に入れながら、より安価で安定的な資源調達を実現するべきであると考えますが、政府の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、エネルギー資源の安定と同時に安価な確保ということは、これまで以上に重要になってきているというふうに思っております。さきの通常国会でJOGMEC法を改正いただきまして、リスクマネーを供給することで上流権益をしっかりと我が国企業が押さえるといったことを初めとして、化石燃料の安定的かつ安価な調達に向けて全力を挙げてまいりたいというふうに思っています。

 特に、御指摘いただいた天然ガスが非常に重要な要素だというふうに思っておりまして、一つは、シェールガス革命が起こって、天然ガス価格の低下をしている北米からの輸入の実現に向けて、これはアメリカ合衆国にとどまらずカナダも含めてでありますが、トップ外交、大臣レベルでの外交を含めて、顔を見るたびにこの話をしているというような状況の中で、米国もカナダも非常に前向きに対応してきていただいていると思っております。

 それから、御指摘いただいたロシア、それからモザンビーク、先日、松宮副大臣にも行っていただきましたけれども、それからオーストラリアなど、上流開発への参画支援で供給国の多様化を図るということを進めております。

 そして、先ほど申し上げましたLNGの産消会議等を通じて、値決めのルール自体を変えていくということを各国と協力して進めているところでございます。

木村(た)委員 ぜひ、現実的に多角的な資源調達を目指していただきますようにお願い申し上げます。

 また、我が国は、世界に誇る省エネルギーや火力発電の技術がございますが、日本近海には我が国の天然ガス需要の百年分以上を賄えるとされるメタンハイドレートの埋蔵が確認をされております。これに対する技術革新、我が国が持てる技術や資源をフル活用して、早期の脱原発社会を可能とするための環境整備に向けた政策を加速度的に進めていく必要性があると考えますが、政府の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

枝野国務大臣 日本の領海あるいは排他的経済水域内の海底における資源ということは、先ほど高市議員からレアアースについてのお尋ねもいただきましたが、大変潜在的な期待が持てる部分であるというふうに思っております。

 ただ、レアアースなどと比べると、まだまだ探査、調査ということをしっかりやっていかないといけない部分、それからどうやって安全に、安定的に採取をするのかということについての技術開発が必要な部分、これはレアアースよりもまだもうちょっと時間がかかるのかなというふうには思っておりますが、ただ、長期にわたる我が国のエネルギーの安定供給にとって不可欠の課題であると思っておりますので、限られた財源、予算を効果的に使って、採掘の技術、それから探査、両面において、可能な限りの努力をしてまいりたいと思っております。

木村(た)委員 ぜひよろしくお願いします。

 続きまして、中小企業円滑化法についてお伺いをいたします。

 地元の日本ニット工業組合の前理事長さんから、過日、お手紙をいただきました。金融円滑化法が終了する場合には容易ならざる局面を迎えてしまう、現場の悲痛な声に対して政治が真摯に向き合っていただきたいというお話でありまして、したがって、現行法の再々々延長を求めたいという内容でありました。

 御案内のとおり、我が国経済は、夏ごろまで国内消費の回復などにより順調な伸びを見せておりましたが、消費の低迷、欧州債務危機、そして中国経済の景気後退、加えて中国リスクの高まりもあり、景気動向は下降ぎみであります。ことしの春までのように景気回復の時期が続くのであれば、円滑化法の終了を選択することも考えられるかもしれませんが、昨日、内閣府は基調判断を下方への局面変化を示していると下方修正されました。このことを受けまして、足元の景気回復が不確かなことが明らかになったわけでありますから、金融機関から経済の血液と言われるお金が滞ることに対して私は大変危惧をいたしております。

 しかし、現在、一部地域の金融機関におきましては、円滑化法終了をにらんで、対象中小企業事業体に対して態度を変え始めているという声もたくさん私は頂戴いたしております。

 この四月には、政府は、中小企業の経営支援のための政策パッケージとして、円滑化法終了後をにらんだ出口戦略を打ち出されておりますが、その是非について以下お伺いいたします。

 一点目は、円滑化法終了に伴い、支援が必要な企業、いわゆる倒産予備軍が三万から五万社規模あると言われております。また、多くの倒産が出ることによって不良債権問題が生じて、金融機関の引当金も問題視されておりますけれども、政府の御認識をお伺いいたします。

前川副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 委員御指摘のとおり、経済が大変厳しい状況にあり、そしてそれに対して政治が真摯に向き合わなければならない、御指摘のとおりだろうと思います。

 ただ、御指摘の円滑化法に関してお答え申し上げれば、貸し付け条件の変更等については、既に実行率が九割を超える水準で推移いたしておりまして、この円滑化法の基本的な枠組みはもはや金融機関実務に定着しているのではないか、そんなふうに考えております。

 この定着している状況を考えれば、経済は依然厳しい状況にはありますが、ただ単に貸し付け条件を変更する、返済を繰り延べしていくということではなくて、中小企業の真の経営改善が図れるような環境を整備していく。したがいまして、金融機関に対して、コンサルタントの機能をさらに充実してもらうなど、事業の再生支援、これに向けた脱皮が必要ではないか、こういうふうに考えています。

 金融庁といたしましては、金融機関が個々の借り手の経営内容に具体的に密着しているのか、この点も検査監督において従前以上に目を光らせてまいりたい、こういうふうに考えておりますので、来年三月以降の再々延長というのは、実務が定着した以上はもはや必要がないのではないか、こういうふうに考えているところでございます。

木村(た)委員 金融機関におけるコンサルティング機能の一層の強化を図っていく、そのことに対しては私も理解をするところであります。

 先般、中塚金融担当大臣が、就任間もなく、東洋経済のインタビューで、「同じ企業が二度、三度と条件変更をしている」というくだりの中で「金融機関のコンサルティング能力がさらに必要」と、いわゆる金融機関のコンサルティング能力の不足を認めていらっしゃるわけであります。

 中小企業再生支援協議会の機能及び連携の強化として、再生計画策定目標を、二〇一二年度、三千件程度としておられますけれども、今年度第一・四半期におきましては五十八件、計画策定支援中や計画策定事前調査中は合わせて三百五十件。パッケージ自体がうまくいっていないというふうに私は判断をいたしますが、政府の御見解をお聞かせください。

前川副大臣 申しわけありません。その週刊東洋経済の記事については、不勉強で拝読をしておりません。

 ただ、先ほど申し上げましたとおり、金融機関のコンサルタント機能がさらに充実しなければならないというのは委員御指摘のとおりだろうと思いますが、事業再生につきましては、そのノウハウ等々が一部専門家、あるいは一部機関に集中していて十分にマニュアル化されていない、ですから、金融機関のそれぞれの部署で十分な知見を持ち合わせておられない、こういう点もあるのだろうと考えています。

 つきましては、来年度予算におきまして、このいわゆるノウハウの部分、事業再生のノウハウの部分を調査いたしまして、マニュアル化いたしまして、それを勉強会やセミナー等で地域金融機関の皆さん方に情報共有を図っていただく。そんな方策も、来年三月以降に向けて、今準備を始めているところでございます。

木村(た)委員 さまざま方策を考えていらっしゃることは私も理解をいたしますが、一体全体、これだけ消費が落ち込んで、とりわけ消費税が決定して以降、仕事が従前の十分の一以下になっているという中において、返済をしたくても返済をし切れないという状況が続いているわけなんですが、どこの窓口に行って御相談をすればいいのか。さらには、返済のために、いわゆる信用保証協会の皆さんもお金は貸してくれないわけですから、その原資は一体どこにあるのか。その点についてお聞かせください。

前川副大臣 委員御指摘の点と金融円滑化法の議論とは、少し切り離してお考えをいただけないかな、こう思っています。

 といいますのは、金融円滑化法の条文をごらんいただければおわかりのとおり、その中小の事業者が、金融機関に対して貸し付け条件の変更を求めた際には、それに誠実に応じなさいよ、応じるべき義務がありますよ、あるいは住宅ローンの債務者に対しても応じなさいよ、あるいは金融機関の使命としては、円滑な資金提供に努めなければなりませんよ、こういうようなことが書いてありまして、いわばこれは、この金融円滑化法という時限的な法律があってもなくても、本来、公的な存在である金融機関に求められる機能ではないかな、こういうふうに思っています。

 したがいまして、委員のお尋ねでございますけれども、来年三月に金融円滑化法は期限を満了しますが、それ以降にあったとしても、今までどおり、その返済資金等々も含めて、金融機関が中小零細事業者の皆さんに誠実に向き合っていかなければならないということはむしろ当然のことですし、金融庁といたしましては、金融機関に対する検査監督マニュアルあるいは検査監督指針、これは一切変更いたしません。今までどおり、監督方針で向かい合っていきたい、指導してまいりたい、こういうふうに考えております。

木村(た)委員 円滑化法の定義として努力義務を課したということは、私は理解をしております。

 しかし、この数年間、景気がこれだけ低迷をして収益が上がらない中において、条件を変更して変更して、返済する原資がなくて、一体この先どうするんだというのが現場の中小零細企業の実態でありまして、そこに対して私たちが問われているのは政治判断でありますので、法の解釈と、そして実態の現状とを踏まえた上で私は行っていくべきだと思っております。

 先般、中塚大臣の談話の中で、期限到来後も不良債権の定義を変えない、こうおっしゃられました。金融検査監督のスタンスは現行の円滑化法と変わらないという意味に私は受け取ったんですが、それに対する副大臣の御見解をお聞かせください。

前川副大臣 ありがとうございます。

 まず、前段の御指摘についてお答え申し上げます。

 委員おっしゃるとおりで、業績が低迷している中小企業が幾らリスケをしたところで根本的な事業の立ち直りにはならないわけですよね。ですから、金融円滑化法が制定されて、いわば助走期間としてこれまで貸し付け条件の変更等々を金融機関が行ってまいりました。

 委員御指摘のとおり、経済が厳しい状況にあります。ですから、これからは、ただ単に貸し付け条件を変更する、要するに返済の期限を先送りするというだけではなくて、その中小企業がこれからどうやって生き延びていくのか。経済環境が変わりました、変わったらそれに応じて仕事の中身も変えていかなければなりません。その辺のところを、必ずしも中小零細企業だけで、御自身のお力だけで企画立案していくことが難しいのではないか。

 したがいまして、先ほどから申し上げておりますように、金融機関にコンサルタント機能を付与するということですし、これはまた私の所管外になりますが、経済産業省の方で中小企業経営力強化支援法という法律がことし六月に成立をいたしました。先般、その経営革新等支援機関の認定式も行いまして、専門相談員の方々のトータルの人員が一万三千人を超えたというふうにも伺っております。

 さまざまな、金融庁といたしましても、中小企業庁初め関係各省と連携しながら、事業再生支援に軸足を移していく、その軸足を移していく初めの一歩が金融円滑化法の再々延長はしないんだ、こういうふうに御理解をいただけたら、そういうふうに思っております。

 それと後段のお尋ねでありますが、この点は、先ほども申し上げましたが、金融円滑化法終了後も検査あるいは監督等々の金融庁の方針に何ら変わるところはございません。それは、先般の中塚大臣の談話の中でも明確に申し上げたところでございます。

木村(た)委員 経産省と金融庁と連携を強化されて経営基盤を強化する、そのことに対しては全く同感であります。しかし、幾ら経営基盤を強化したくても、その血液が滞ってしまって、同時に、経済状況がこれだけデフレの中で悪化をしているという中において、収益が上がらない、どうやって自分たちが返済をし、そして事業計画を立てたらいいんだ、これが現実であります。

 したがいまして、現実的な線として、一定期間の時間の延長幅を求めるべきじゃないかということを多くの中小企業の事業体の皆さんから私はお伺いをしているわけでありまして、先般、ちょうど中塚大臣がこれをやめた後にも不良債権の定義を変えないとおっしゃっているのであれば、それでは、結局はこの現行法を延長しても変わらないことなんじゃないか、このことを私は申し上げているわけであります。

 もう一度、副大臣の御答弁をお伺いしたいと思います。

前川副大臣 今のお尋ねは、失礼ですが、金融円滑化法を延長しなくても、金融庁の例えば不良債権に関する監督指針上の定義等々は変わらないのですかというお尋ねでしょうか。そうであれば、それは繰り返しお答えいたしておりますけれども、何ら変更されるところはございません。

木村(た)委員 不良債権の定義が変わらないということであれば、円滑化法をこのまま、現行をもう一度延ばしても変わらないことに等しいというふうに私は思っているんです。

 要するに、この円滑化法が終わった途端に、当然、それを見込んで金融機関は今貸し剥がしをしているわけでありまして、同時に、不良債権化されることを恐れている金融機関はそういう行動に出るわけでありますから、では、実際のところ、それをされた中小企業の事業体の皆さんはどうやって返済をしたらいいのか、その原資はどこにあるんだ、どこに相談をしたらいいんだ、これが本当に町場の、全国の中小企業の大方の声だと思っています。

 これは、経済が好転をして仕事が回っているならまだしも、ますます仕事が回らないこの状況の中で、消費税増税が決定をした後に、現在、本当に仕事がない、この年を越すことさえどうかと言われている状況でありますから、私は、そこに対して政治が真摯に向き合って政治決断をしていただきたい、このことを申し上げております。

前川副大臣 不良債権の定義を監督指針上変更いたしましたのは、例えば、当初の約定期限どおり返済されていなかったとしても、金融機関との合意でリスケをしたならば、その場合には不良債権には算入しない。その結果どうなるかというと、金融機関は、当該中小企業者に対してさらに融資をすることができるわけです。不良債権のいわば定義を小さくした。その意味において、債権者の管理の水準を引き下げた、こういうことになるわけです。

 何度も申し上げておりますが、その監督指針自体は変更はありません。ありませんので、金融円滑化法の期限が切れた、直ちに自分の債権が不良債権になってしまう、金融機関から貸し剥がしに遭うというようなことは一切ありませんし、万が一にもそのようなことがあってはならないように、金融庁としては十分な指導監督を行っていかなければならない、こう考えているところであります。

木村(た)委員 副大臣がおっしゃるように、不良債権が残ったとしても、それに対して厳しく、厳正にチェックをしていただくというのであれば、それは皆さんも御納得されることだと思いますけれども、実際は、不良債権化されて、それ以上事業を続けたくても、お金をどこから借りたらいいんだというのが現状なわけですね。

 そこに対して皆さんが大変懸念を示されているわけであって、金融機関に行けば、信用保証協会に行ってください、信用保証協会に行けば、あなたはもう既にこれだけの不良債権を抱えていますね、これ以上条件変更できませんよと。既に債務を抱えているところに対してはお金を貸さないというのが信用保証協会の前提でありますから、では現実にどこにその原資があるのかとなれば、これは現実の問題として、再延長する以外ほかにないんじゃないかというのが現場の声なんです。(発言する者あり)

海江田委員長 御静粛に願います。

前川副大臣 冒頭申し上げましたが、貸し付け条件の変更の申し出に対しては、既に九割を超える水準で貸し付け条件が変更されています。そして、貸し付け条件が変更されれば、それは不良債権に算入しないというふうに検査監督マニュアルも変更いたしております。

 したがいまして、委員御心配のとおり、今金融円滑化法があって貸し付け条件が変更されている、それにもかかわらず、三月が来たらいきなり不良債権になってしまう、だから誰も金を貸してくれない、あるいは貸し剥がしに遭うというようなことは、論理的にあり得ないわけです。

 そもそも、幾ら期限を延長したところで、収益が上がらなければ、当該企業がもうからなければ、返済もできませんし、あるいは従業員の皆さん方に対しても給料は支払えません。ですから、この間、貸し付け条件の変更というところを専らにして中小企業者の事業再生をやってきましたけれども、これからは、もうかる体質に変わっていく、企業の形態を時代の変化等々に応じてもうける体質に変えていく、そのためのコンサルタント機能等々を中小企業庁を初め関連各省庁と連携しながら強力に進めてまいりたい、こういうふうにお答えしているところでございます。

木村(た)委員 副大臣のおっしゃることはよくわかります。コンサルタント機能を強化して、経営の体質改善を図っていく。頑張れる企業は、手を差し伸べなくても頑張れるんです。そうじゃない多くの零細企業がございますので、どうかそこに対しても目を向けていただきますように、最後に心からお願い申し上げます。

 最後に、小規模企業対策であります。

 中小企業憲章の閣議決定後二年が経過をいたしておりますけれども、中小企業憲章の精神を踏まえた、反映をされた施策として、今なかなか講じられていないというふうに私は認識をいたしております。

 枝野大臣がおっしゃる“ちいさな企業”未来会議におきまして、今日までと転換をして、大企業から小規模企業に焦点を当てられたことに対しては私も一定の評価をいたすところでありますが、小規模企業に焦点を当てつつ中小企業政策を抜本的に強化するといった観点からは、法人税の中小企業軽減税率の引き下げや、あるいは中小企業予算の大幅拡充が必要であると考えます。

 同時に、ものづくりなどの産業を支える人材育成をする職業訓練校の予算を大幅に拡充するなど、国や自治体が人材育成に積極的に取り組んで小規模企業に人材を提供することも重要であると考えますが、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

枝野国務大臣 中小企業、なかんずく小さな企業がその潜在力、活力を十分に発揮していただくということは、地域経済を支える柱であったり雇用を支える柱であるということにとどまらず、これからの日本の経済を考えると、新興国と戦えるのは、むしろそうした小回りのきく企業が強みを発揮する少量多品種分野であろう、それから、国内的には、地域に密着をした少子高齢社会における安心を提供するサービス関連であろうということを考えると、大変重要であるというふうに思っております。

 御指摘の“ちいさな企業”未来会議などを通じて、できるだけ生声を聞くという努力を積み重ねてまいりました。その結果、特に小さな企業の皆さんが困っておられるところの大きな要素は、情報、知識の不足である。

 まさに先ほど前川副大臣がお話しされたとおり、経済環境が大きく変化している中で、小さな企業も変化をしていかなきゃいけないけれども、どう変化をしたらいいのかというノウハウであるとか知恵であるとか、あるいは金融、税制について、いろいろな制度があるようなんだけれども、制度がたくさんあり過ぎてそもそもよくわからないといったところが現場の実態であるというのを私自身も強く感じました。

 そうしたことを踏まえて、一つ既に国会でもお通しをいただいた中小企業経営力強化支援法に基づく経営革新等支援機関の認定を行い、きめ細かく知恵、ノウハウを提供していただく、あるいは相談先になっていただく。さらには、“ちいさな企業”未来会議を踏まえて、こうした皆さんが軸になりながら、より簡易に相談ができる。その場合には、こうした専門知識を持った人たちの集団と、例えば若手経営者の皆さんにとっては、少しお兄さん、お姉さん、先輩がどういう苦労をしてきたのか、そういう情報があるだけでも全然違うんだというような話を本当にいろいろなところで聞きました。まず、こういったところを強力に進めていきたいというふうに思っているところであります。

 それから、人材について、大変重要であるということで、人材についても何とかしてくれという声が多々ありました。

 職業訓練などの強化が、本当に中小零細、小さな企業へそうした皆さんが就職していただけるのかどうかということにむしろ問題があるのではないか。まさに、就職活動、雇用についてのミスマッチが生じていて、人が欲しくて潜在力のある小さな企業はある。一方で、仕事先がないと困っていらっしゃる方がある。このミスマッチを解消するだけで中小企業における雇用状況や全体の雇用状況も相当改善できる。

 このミスマッチ解消のために、これは厚生労働省や文部科学省と連携をして、まず全力を挙げたいというふうに思っております。

海江田委員長 もう時間が来ていますので。

木村(た)委員 ありがとうございました。

海江田委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみであります。みんなの党となりました。ひとつよろしくお願い申し上げます。

 私、実は、この経済産業委員会、初めて議員になって二年間、最初は与党の理事をさせていただき、二年間在籍させていただきました。ほかの委員会では実は質問する機会を頂戴したんですが、与党のときに、二年間で質問する機会はゼロでありました。そして、今日を迎え、三年半が過ぎたあたりですが、私の雑感でありますし、委員長初め両筆頭にも感じていただきたいんです。

 本質的に、やはり国会は審議をするところであるということですので、政府・与党が法案を通したいというお気持ちは十分わかりますけれども、そこに余り重きを置き過ぎても、国会の国権の最高機関としての本当の意味がなされるのかどうかという点も御考慮賜れないものかなということを冒頭に、この質問の機会を頂戴した立場としてお願い申し上げます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 先週、近藤副大臣は、我が国を代表して、たしかカザフスタンに御出張され、レアアースを初め希少金属の確保に向けて、御近所の国でなかなか日本に輸出をしてくださらなかったりすることがある、そういう厳しい環境に対して我が国の産業をしっかり守っていくという意味からも、資源の確保ということは極めて重要だと思います。

 今次御出張に当たっての成果と、あともう一点は、カザフスタン以外の国、オーストラリアやベトナム、南アフリカ、米国、グリーンランド等でもレアアースほかが確保できるということを聞いておりますので、その他の国への我が国のアプローチの状況がどうなっておるか、御教示を賜りたいと思います。

近藤副大臣 杉本議員にお答えいたします。

 杉本議員におかれましては、経済政策も大変精通をされておられます。ぜひ、新たな立場でまた御指導いただければ、このように思っております。

 大変大事な御指摘をいただきました。御指摘のとおり、我が国が調達するレアアースの大半は中国に依存をしておるわけでございますが、輸出枠を半減するなど、供給面での課題が多いわけであります。

 また、価格についても、現在は若干落ちついておりますけれども、それでも八年前と比べて、物によっては二十倍というものでありますから、見方によっては、大変不安定な状況が続いておる。

 他方、二〇一四年には中国はレアアースの輸入国になるという見方もあるわけでありまして、我が国にとって、レアアースの安定供給は大変大きな課題だろう、こう思っています。

 そうした中で、御指摘のとおり、先般、カザフスタンを私訪問してまいりました。ジスプロシウム、リチウムイオン電池等に使われる大変大事な重希土類でありますが、このジスプロシウムを含む重希土類が中国以外で商業生産される初のプロジェクトの開所式に行ってまいりました。我が国企業とカザフスタン国営企業との合弁会社によるレアアースの精製プラントでございます。その際、カザフスタンの関係閣僚とも、今後の協力拡大についても会談を行ったところでございます。

 本件は、年末から商業生産が始まり、年産二十トンが日本に輸出されるわけでありますけれども、現在交渉中のプロジェクト、さらに拡大のプロジェクトの交渉を進めておりまして、これが実行されれば、我が国の約一割に当たる六十トンの生産が拡張される見通しでございます。

 また、カザフについては、あわせて、枝野大臣も何度も会談をしていただいているわけでありますが、投資協定も含めて、ぜひ年明けに投資協定も結ぶ等々、カザフスタンとの関係を深めてまいりたい、こんなように考えております。

 また、ほかのレアアースでありますが、豪州については昨年三月、レアアースの権益を確保しております。将来的には、国内需要の三割強を確保できると見込んでおりますが、現在、その具体化に向けて準備が進んでおるところであります。

 さらに、インド、ベトナムも、プロジェクトについて官民一体となって今進行中でございます。それぞれのプロジェクトについて、JOGMECの出資も含めて、民間のプロジェクトでございますが、政府を挙げて支援をしてまいりたい、このように考えております。

杉本委員 どうもありがとうございます。

 よくわかりました。さらなる御尽力をお願いしたいと思います。

 次に、今、脱原発という言葉が叫ばれ、私は、いろいろなリサーチが二〇三〇年で行われたにもかかわらず、なぜか二〇三〇年代という言葉に変容していったことに極めて危惧を感じております。

 そんな中で、けさほどの毎日新聞に、「廃炉費 政府に支援要請 東電、中期計画明記へ」ということで、除染費用を含めてなのかもしれませんが、最終的に数兆から十兆円規模にこのコストが膨らむということが言われております。

 原子力が本当に安いエネルギーなのかということを改めて感じる次第ですが、政府の試算ですと、円ベースで、原発は八・九円、九円前後、石炭火力が九円五十銭、LNGが十から十一円、こんな単価の試算がされております。しかしながら、今回の廃炉費用を考えると、単位当たりのコストというのが原発は極めて高いというのは、本来、大臣も御認識をお持ちだと思いますし、各先生方もそう御理解されておられると思います。

 そんな意味から、大いにこの原子力を、脱原発という意味では、LNGの火力にするのか、石炭火力にするのか、あるいはそれをまぜたような形の方策があればそういう形に切りかえることによって、CO2の問題はあります。しかし、これについても、CO2を余り出さなくて済むような機械装置を装備できる技術開発が進んでいるというのも実情であります。

 我が国の経済状況、また下振れリスクが書かれておりますけれども、そんな意味から、脱原発と日本のデフレからの脱却をそれこそコンバインドして同時に行うという意味から、LNG火力あるいはコンバインド火力等への大幅な転換によって、鉄、セメント、そして仕事自体を大いに全国各地に確保するということが、私は、短期間に我が国が経済成長、デフレ脱却、しかも脱原発ができる唯一の方程式の解であると思っております。

 そんな意味で、勝手なことを申しておりますが、今申し上げたような技術開発の可能性とか現在の状況について、政府側の御回答を賜れればありがたく存じます。

海江田委員長 時間が迫っておりますので、少し手短にお願いします。

岸本大臣政務官 それでは、お答えを申し上げます。

 今おっしゃっていただきましたように、石炭火力につきましては、発電効率が大体四一から四三%ですけれども、石炭を粉にしましてこれをガス化する、石炭ガスにした上でLNGガスと一緒にコンバインドで燃やしますと、さらに蓄電池、燃料電池の技術も使いますと、効率が五五%ぐらいまで行きます。これは二〇二五年に確立を目指しております。

 また、LNG火力につきましても、千七百度程度の高熱で今実験をしておりまして、二〇二〇年ごろまでには五七%が目指せるということでございます。

 また、CCSといいまして、CO2を大体千メートルから数千メートルの地下に埋めるという技術も今開発中で、実際、本年度から苫小牧で実証実験を行っております。四年間で四百七十億円の事業でございますので、ぜひ私どもも、先生の御指導をいただきながら取り組んでまいりたいと存じます。

杉本委員 終わります。どうもありがとうございました。

海江田委員長 午後零時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時二十一分開議

海江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 休憩前に引き続きまして、枝野経済産業大臣の所信に対しての質疑を行わせていただきたいと思います。

 まず最初に、私は大臣に、研究開発促進税制の拡充についての大臣の所見を伺いたいと思います。

 技術立国である我が国産業の発展において、国際競争力を高めるためには、それぞれ企業による研究開発の活性化、強化策というのは必要不可欠だ、私はそのように思っております。しかしながら、平成二十三年度の税制改正において、法人税率引き下げの財源確保の一環として研究開発税制の縮減が行われてしまいました。それがこの平成二十四年度から実施をされているわけでございます。

 こうした措置というのは、私は、法人税の実効税率の引き下げ効果を損なわせるだけではなくて、我が国産業の研究開発投資意欲を減退させるものであって、中長期的には、我が国が研究開発立地として条件が悪いということで研究開発拠点がどんどん海外流出していく、そういう流れもつくっていくのではないかと危惧しているわけでございます。

 特に、国際競争力という点で見たときに、諸外国では、産業の国際競争力強化のために、競い合って研究開発促進税制の拡充というのが行われているんです。ですから、我が国の産業のこれからの持続的成長であるとか競争力強化をしっかりともたらそうという視点に立つならば、当然、この研究開発促進税制の見直し、拡充は必要であろう、私はそのように考えております。

 というのも、いろいろ現場を歩いておりましたり、また各関係団体に聞いておりましても、さまざまな来年度に対しての税制要望があります。さらに法人実効税率を引き下げてくれとか、地球温暖化対策税を廃止してくれとかいろいろな要望がありますけれども、その中で、私はやはり、これから日本が研究開発という分野で国際競争力を保つためには、この研究開発促進税制の拡充というのは絶対に必要だ、そのように考えているわけでございます。

 具体的には、冒頭申し上げました、平成二十四年度から廃止されてしまいましたけれども、二十一年度から二十三年度まで時限的に認められていた試験研究費の総額に係る税額控除限度額の引き上げ措置、すなわち、法人税率の二〇%とされたものをもう一回復活させてもとの三〇%へと拡充することであるとか、あるいは、試験研究費の税額控除限度超過額の繰り越し可能期間について現行の一年間を三年間に延長するというようなことについて、しっかりと経済産業省として財務省にも強く要求をしていただいて、やはり強くこの研究開発促進税制の拡充というのを推し進めるべきだ、私はそのように考えるんですが、経済産業大臣の御所見をまず伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、研究開発税制は、企業の研究開発投資を促進し、我が国の国際競争力を強化していく上で重要だと思っております。日本再生戦略にもその趣旨はしっかりと明記をされております。

 一方で、民間研究開発投資はこの間減少しておりまして、対GDP比三%という政府目標に大きく及ばないという現状でございます。

 こうした状況を打開するためには、この研究開発税制について、御指摘のありましたとおり、控除上限の三〇%への再引き上げが重要であろうというふうに考えておりまして、来年度税制改正の要望としてこれを挙げているところでございます。

 経済産業省としても、その実現に向け財政当局と最大限の交渉をしてまいりたいと思っておりますが、これについては、党派を超えてぜひ御支援をいただければありがたいというふうにお願い申し上げます。

佐藤(茂)委員 私どもは野党ですけれども、まだ正式に党の取りまとめには至っておりませんけれども、当然これは日本の企業の国際競争力を高めるためにもしっかりと取りまとめの中に入れていきたいと思っておりますので、ぜひ、経済産業省として覚悟して、復活させるように頑張っていただきたいと思います。

 もう一つ、それに関連してですが、最近、基礎研究の分野では余り明るい話題がなかった日本の中では、京都大学のiPS研究所の山中伸弥教授がノーベル医学・生理学賞を受賞されたということが非常に明るい話題ではなかったのかなと私は思います。私もその大学を一応出ておりますので、非常にうれしい思いをしたわけでございます。

 問題は、山中教授のように、再生医療の研究というのは日本は今トップクラスなんですね。ところが、実用化がおくれているというふうに言われております。そういうことを踏まえて、一昨日だったと思うんですけれども、経済産業省の再生医療の実用化・産業化に関する研究会というのが開かれて、中間報告を経済産業省として取りまとめをされております。私もその中間報告を読ませていただきました。

 具体的に言うと、そこには書いていないんですけれども、「はじめに」のところで書いていたのは、「実用化において欧米等各国との格差は拡大の一途を辿っている。」要するに、水をあけられているという認識を中間報告の中にも書かれているんです。私の聞いたところによると、例えば人工皮膚など再生医療関連の製品は、ことし五月の時点で、韓国が十三製品、アメリカが九製品を実用化しているのに対して、日本は一製品にとどまっている。

 このように、世界の再生医療関連技術の実用化という流れの中で、日本はいろいろ法規制などがネックになっていて完全に出おくれておる、そういう状態であるということでございます。ですから、やはり早急に実態に即した制度を整備して、おくれている実用化を促進すべきだ、私はそのように考えるわけでございます。

 提言の内容の中では、一歩前へ開くために、現在は原則として医師や医療機関が行っている移植用細胞の培養や加工を、医師や医療機関の指示のもとで細胞加工機関という外部の専門性を有する事業者等に委託して、効率化できる仕組みの法整備を求める提言というものが書いてございました。

 ぜひ、経済産業大臣としてこの中間報告をさらに前に進めていただいて、再生医療の実用化、産業化に関して進めていただきたいと思うんですが、経済産業大臣としてどのような所見を持っておられて、今後どのように取り組まれていくお考えなのか、伺いたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、山中先生のiPS細胞に代表されるように、我が国の再生医療に関連する分野の研究開発は本当に世界のトップクラスである。しかし、その実用化、産業化の部分については、実はこれは再生医療に限らないんですけれども、他の研究開発分野にも似たようなところが、特に医療関連に近いところでは多いんですが、残念ながらまだまだその研究開発力に比べておくれているのは間違いないというふうに思っております。

 ただ一方で、この研究開発力をしっかりと生かせば、我が国の経済成長を支える重要な産業分野になるという潜在力を持っていると思っておりますし、この再生医療をきっかけにすれば、例えば他の医療機器の分野など、我が国が力はありながら産業化におくれている、そして輸入超過になっている部分の打開にもつながっていくのではないかと期待をしているところでございます。

 少しだけ自慢をさせていただくと、山中先生のノーベル賞に先立って再生医療の実用化・産業化に関する研究会を立ち上げて議論を進めてきていただいたものが、ノーベル賞発表直後の十一月五日、中間報告という形で出てきているというものでございます。

 中身について説明は、もう委員の方から逆にしていただきましたので繰り返しませんが、来年一月には最終取りまとめをして、今後の課題として指摘されている部分、あるいはより詳細に詰めた方がいい部分とを御議論いただこうというふうに思っておりますし、同時に関係省庁と調整をして、経済産業省だけでできる部分は必ずしも多くありませんので、他省庁に協力を強く求めて実用化を加速してまいりたいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 そこで、経済産業省はこういう形で中間報告をまとめられて、自分の省の限りでは一生懸命取り組んでおられるんですね、対策づくり、取り組みとして。しかし、iPSも含めた再生医療技術の実用化というものについては、やはり国家戦略として、研究機関も医療機関も医師も民間企業も一丸となって取り組む体制がつくられていくべきだと思うんです。そのときの司令塔としての政府の役割というのが非常に大事になってくるのではないかと思うんです。

 例えば、実用化を進めるに当たっても、薬事法などの法規制であるとか、その中には医療行為の安全規制とか生命倫理への配慮などの検討課題も残っていますし、また、そういうものは厚生労働省と調整しないといけないと思います。先ほど、他省庁との調整を言われました。また、研究機関とか大学との連携でいうと、文部科学省との調整も必要なんです。

 ぜひ経済産業大臣として答弁いただきたいのは、再生医療の実用化を促進する全体像を見渡した国の戦略と推進体制を確立していただいて、司令塔も明確にして進めていく必要があるのではないかと私は思うんですけれども、進め方等についての経済産業大臣の見解を伺いたいと思います。

枝野国務大臣 医療に関連しては、内閣官房に医療イノベーション推進室がございます。そして、医療イノベーション五カ年戦略を立てて、この医療イノベーション推進室を中心に関係各省が協力して対応するという仕組みをつくっております。

 今回の経済産業省の研究会の中間取りまとめもその取り組みの一環と位置づけられているものでございますので、この中間報告についても医療イノベーション推進室を通じて関係各省に協力を求めるという形になっておりますし、関係省庁とも調整を進めていきます。

 この医療イノベーション推進室、そして特にその中でも再生医療の実用化に向けては野田総理御自身が強い意欲を持ってリーダーシップを発揮して取り組んでいただいておりますので、推進室を司令塔にして、総理の強いリーダーシップのもとで各省調整を速やかに進めていくことができるというふうに思っておりますので、その中でしっかりと役割を果たしてまいります。

佐藤(茂)委員 ぜひしっかりと進めていただきたいと思います。

 次に、がらっと話題をかえまして、きょうは田中原子力規制委員長にお越しいただいておりますので、この後議論させていただきたいんです。ただ、私どもは、九月に発足いたしました原子力規制委員会の国会同意人事について、この臨時国会でまたもや見送ることを決定されたということについては全く承服いたしておりません。やはり、国会閉会中に首相権限で任命された規制委員会人事は規定どおり今国会で事後承認を得るのが当然でございまして、例外規定を使って国会同意を見送るというのは国会軽視も甚だしい、そういうふうに申し上げておきたいと思いますし、報道されているように、このことが党利党略優先の決定であるとするならば、私は、規制委員会の正当性を損なうものだ、そのように言わざるを得ません。

 国会同意がないままでは、国民の信託という裏づけを得ずに重要な作業が進むことになってしまいます。このままでは、せっかく見直しを図って原子力規制委員会というものをつくることを決めたにもかかわらず、原子力安全規制体制への信頼回復は望めないのではないか、そのように危惧するということを前置きしておいて、ちょっと田中委員長にお聞きをしたいんです。

 きょう午後から、原発と活断層についての二回目の会合を開かれるというようにお聞きしております。

 関西電力大飯原発の敷地内を走る破砕帯に活断層の可能性が指摘されている問題で、まず、田中委員長は九月の記者会見で、活断層の可能性が黒か濃いグレーならとめてもらうことをお願いする、そのように明言されておりました。黒というのははっきりわかりやすいわけでございますが、濃いグレーでも原発の運転停止を求めると明言されているんですけれども、田中委員長の言われている濃いグレーというのはどういう状態を意味するのか、ぜひ当委員会で御答弁いただきたいと思います。

田中政府参考人 先生の御質問ですが、十一月二日に大飯の現地調査を行っていただきました。四日に一回目の評価会合を行いまして、専門家の間でも少し意見が分かれました。本日午後に二回目の評価会合をしていただく、そこには事業者である関西電力からのヒアリングも含めてやろうということでございます。

 それで、私は、何がグレーかとか、そういうことについては、今ここで予断を持って申し上げることは差し控えたいと思います。島崎委員を中心に四人の専門家の方に今その判断を委ねておりますので、そこで科学的にきちっとした結論が出ることを期待しているということで、お答えさせていただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 わかりました。

 確かに、島崎委員がこの件については判断の最終責任者になるのかもわかりませんが、ただ、委員長がその議論が始まる前にそういう発言をされているわけですから、やはりそれについての見解はどういう考え方で述べられたのかというのはある程度明らかにすべきじゃないのか。

 要するに、疑わしさにも薄い濃いがある、そういう判断で言われたのかなという感じはしているんです。活断層に近い、そういう疑わしさがあるのならば安全性からとめてもらう、そういう御判断かなというふうに私は思ったんですけれども、そういうことについても御答弁いただけないでしょうか。

田中政府参考人 それにつきましては、専門委員の判断でどのような結論が出てくるか、ちょっと今予断を持って申し上げることはできないんですが、そうした結果が出た場合には、さらにそのことが安全にどれほどの影響があるかどうかということも含めて、委員会で慎重に議論をして、検討して、その上で判断させていただきたいと思っています。

佐藤(茂)委員 それで、委員会で結論が出た上での話になりますが、活断層の判断について、エネルギー政策であるとかあるいは経済的問題などを考慮せずに、安全かどうかだけの判断をして、必要ならば運転停止を求める、そういうお考えなのかどうなのか、ちょっと確認をしておきたいと思います。

田中政府参考人 そのとおりでございます。安全について、科学的に、中立的に、かつ独立性を持って判断させていただきたいと思っております。

佐藤(茂)委員 それで、活断層があると判定された場合に、いかなる根拠で運転停止命令を出せるかというのも次のポイントになってくると思うんですね。

 国が安全審査に用いている手引では、原子炉や、今回話題になっている非常用取水路のような重要施設を活断層の上に建てることを認めておりません。しかし、私の認識では、手引自体には運転停止命令を出せる法的な強制力はございません。現時点では、活断層があると判定されても、原子力規制委員会が強制力を持って運転停止を命令できる明確な法的根拠はない、そのように認識しておるんですが、委員長の見解を伺いたいと思います。

田中政府参考人 先生御指摘のように、法的権限はございませんと私は認識しています。

 ただ、今回の福島第一原発事故を踏まえまして、活断層という問題で安全性に疑義が起きた場合には、私としては、行政的な判断も含めて、委員会でこれももちろん慎重に検討しなければいけないことですけれども、そういう判断をして、事業者にお願いするなりなんなり、そういったことを行ってまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 ですから、今の御答弁だと、行政的な判断による行政指導による要請、そういう形に今の段階ではならざるを得ないというように受けとめたわけでございます。

 結局、それに法的根拠を持たせようとすると、これから、いつになるかわかりませんが、来年七月までに策定すると言われております原子炉等規制法に基づいた新安全基準で運転停止命令を出せるようにするということが、運転停止を命令できる明確な法的根拠である、そのように私は認識しているんですけれども、原子力規制委員長の見解を伺いたいと思います。

田中政府参考人 御指摘のとおりでありまして、今鋭意検討しておりまして、来年の七月には新しい安全指針、基準、全面的な見直しになりますので、今相当大変な作業になっておりますけれども、それができた段階では、それをもとにして停止を命令するとか、そういう法的根拠ができるというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 午前中の西村委員への答弁も、なかなかこの七月自体もハードなスケジュールだが頑張ってやっていきたい、そういうことでございましたけれども、私は、行政指導だけで原発の停止等を求めていくという状態、法的根拠もなくそういう形でやらざるを得ないという状態を余り長引かせておくのもいかがなものかなと。ですから、なるべく、来年七月と言わずに、早く前倒しできるのであれば、作業は大変でしょうけれども、新安全基準の策定というのはやはり前倒しで急ぐべきだということだけ申し上げておきたいと思います。

 その上で、もう一つ、昨晩話題になっておりましたけれども、原子力規制委員会による放射性物質の拡散予測地図を訂正した問題について、何点かお聞きをしたいと思います。

 我々、規制委員会の法案にかかわった者として、独立性の高い、それも専門性の高い組織としてこの原子力規制委員会というものをつくるべきだ、そういう観点でやりましたけれども、当日二十四日の拡散予測地図の発表での市町村の訂正、二十九日の訂正、そして昨晩の訂正と、三度にわたる訂正で、いきなりこの信頼性というものが問われる事態が発生していると私は思うんです。

 もう時間も限りがありますので中身は申しませんけれども、例えば二回目の訂正などは、原子力規制委員会が発表した後に、北陸電力と九州電力から、電力会社からミスを指摘されて訂正される、つまり規制する側が規制される側からミスを指摘される、そういう失態でもございましたし、私は、能力に非常に疑問符がつく、ゆゆしき問題だと思っております。

 もう一つは、これは原発周辺の地方自治体と住民が絡んでくる、この重さというものを認識すべきだろうと私は思うんです。

 これはあくまで参考情報ですけれども、これに基づいて地域防災計画を自治体はつくらないといけないということもありますし、さらに、関係する自治体に住んでおられる住民の皆さんの生活にも影響が大きいわけですから、やはり、住民を不安に陥れるような、誤ったシミュレーションというのでは意味がないわけでございます。

 地方からも、マスコミ等で言われているのは、規制委員会はもっとしっかりしろ、そういう声も上がっているように、今のままでは規制機関をせっかくつくったのに信頼は揺らぐばかりだと思うんですけれども、原子力規制委員長は、三回も訂正を行わざるを得なかったこの事態をどのように受けとめて、また再発防止策も含めて、また原因、なぜこのようなずさんなミスが発生して、これからどう対応されていくのか。委員長の見解を伺っておきたいと思います。

田中政府参考人 繰り返しこういった間違い、ミスが起こったことについては、私も、規制委員長として心からおわび申し上げたいと思いますし、特に地元地域の方々に非常に御迷惑をかけたということについては真摯に受けとめていきたいと思っています。

 その上で少し申し上げさせていただきたいんですが、地域防災計画を地域で今後つくっていただくわけですが、今回のシミュレーションではいかにも不十分なデータでございます。例えば、子供さんたちの沃素吸入の問題の対策とか、今回問題になりました御病気の方とか動けない方たちへの対策とか、そういったことに対して適切な計画が立てられるようなシミュレーションなり検討を行うようにということで指示を出しておりますので、そういったことができましたら、さらに丁寧に地元にそういったことで御説明をして、地域の防災計画策定に御協力させていただくということを昨日も徹底させていただいたところでございます。

 どうも申しわけありません。

佐藤(茂)委員 最後に、ちょっともう時間をオーバーしているので端的にでいいんですけれども、そういうさまざまな沃素の問題とかの前に、今回の拡散予測地図のことについても、最初の発表の段階から自治体から、説明が足りないという声が圧倒的に上がっているわけです。

 ですから、今この段階で、関係する各自治体、これは都道府県だけではなくてやはり市町村まで、今回のこの拡散予測地図の性格であるとか位置づけ、中身の内容、そしてまた訂正の経緯等について原子力規制委員会としてもっと丁寧に説明するべきだ、私はそのように思うんですが、委員長としてどのようにお考えでしょうか。

田中政府参考人 御指摘のとおりでありまして、今回のシミュレーションの意味、それから間違いの経緯、今後の対策等も含めまして、先ほど私がちょっとつけさせていただきました、そういったことも含めまして、丁寧に地元に御説明に上がりたいと思っています。

佐藤(茂)委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

海江田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 原子力規制委員会は、十月二十四日に、全国十六サイトの原発で重大事故が発生したときの放射性物質拡散予測結果を公表しました。既にお話がありましたように、何度かの訂正も行われましたが、要するに放射性物質の拡散予測というのを出されたので、私も読ませていただきました。

 この問題について触れる前に、この重大事故時の拡散の中で、実は福島第一原発による昨年三・一一からの三週間分はデータがないということでおいてあるんですが、四月一日からことしの三月三十一日までの丸一年間については、累積放射線量が、去る六月五日の衆議院環境委員会で、私の質問に対して当時の原子力安全・保安院より、最大九百五十六ミリシーベルトに達したということが明らかにされました。

 このとき、班目春樹原子力安全委員長は、現行の立地審査指針では敷地境界で全身に対し二百五十ミリシーベルトとしているが、実際には百ミリシーベルトという検討のままで来た値を実質的に現在の審査の目安の値としていると答弁されました。この百ミリシーベルトというのは、実際には二〇〇七年のICRPの勧告に基づくものだと思うんです。

 ですから、全体の基準の見直しは来年の七月にしても、少なくとも立地審査指針の中で敷地境界の値については百ミリシーベルトにということは中間報告等で繰り返し出ているわけですから、速やかにまず改定を行われるべきだと思うんですが、これを最初に田中委員長に伺っておきます。

田中政府参考人 現在、御指摘の立地指針全体も含めまして、考え方を検討しております。その中で、今までですと、先生御存じのように、重大事故とか仮想事故とかということ、それから放出割合とかということを想定してきたわけですが、その妥当性についても見直しを図ってきております。

 今、二百五十ミリというのを百ミリにすべきということですが、これは国際的にも、今御指摘のようにICRPもそういうふうな考え方を出していますので、そこが基本になると私は思っております。具体的には、これから全体的な検討の中でそこはきちっと見直させていただきたいと思っております。

吉井委員 ですから、全体的にはこれから見直すにしても、敷地境界については既にICRPが勧告を出している百ミリシーベルトということで、きちんと早く線量を示しておく、このことがまず大事なことというふうに思うわけです。

 それで、福島第一では最も放射性物質の放出量の多かった三・一一からの約三週間分のデータはないということなんですが、今回のシミュレーションは、放出量を事故から一週間分について試算すると、十六のサイト全部で、百ミリシーベルトを超えているのが十キロを超えているわけですね。ですから、やはり敷地境界の基準をきちんとして、そして百ミリシーベルトが十キロメートルを超えているというものについては一体どうするのかということを、それこそ他の全体の指針の見直し、基準の見直しの中ではお考えになるべき話になると思いますから、それは七月までというのはよくわかるんですが、そこのところをまずきちんとしなきゃいけないと思うんです。

 ところで、今回の重大事故時の放射性物質の拡散予測によると、全ての原発で十キロ以遠に及んでいるんですが、公開された放射性物質の拡散予測において、十六のサイトで、それぞれの敷地境界での一週間の放射線量、敷地境界では幾らなのか。百ミリが十キロのところはどこだという地図はあるんですけれども、そもそも敷地境界では幾らであったかというのが示されておりませんから、これを伺っておきたいのと、そこでの累積の年間放射線量は幾らになるのか。

 福島では、昨年四月一日からことし三月三十一日までで最大で九百五十六ミリシーベルト。ですから、恐らく三週間分を足して、基準の約十倍をはるかに超える分を放出しているわけですが、一年間の放射線量は幾らになるのか。やはりこれは今明らかにしていただく必要があると思うんですが、これを伺っておきたいと思います。

田中政府参考人 大変私も納得できる御質問だと私は思っております。

 今回のシミュレーションは福島の事故を模擬した放出量でやっておりますけれども、ああいった放出量を仮定しなければいけないようであると、御指摘のように、原子炉を動かすということはなかなか困難だろうと思います。

 そういうことにならないために、今回の事故を踏まえて環境への放射能放出量を防ぐためにどうすべきかということを、バックフィット規定も含めまして今検討させていただいています。ですから、そういったことを踏まえて、実際の原子炉の今後の稼働についてはきちっとした安全評価をしていきたい、そんなふうに思っています。

 ですから、今回のシミュレーションありきということでの原子炉の稼働は、私はあり得ないというふうに思っています。これは私自身の考えですけれども、そういうふうに思っております。

吉井委員 一週間の積算線量、敷地のところ、それから、年間の積算線量についてはお答えがありませんから、多分まだ計算中ということなんでしょうが、それは速やかにコンピューターをはじいて示していただきたいと思います。

 それで、福島の重大事故を想定すると、原発敷地境界では、立地審査指針の線量目安である百ミリシーベルトを大きく超えているわけです、十キロ以遠があるわけですから。そうすると、日本の原発というのは、現状ではこれまでの審査指針には不適合ということになると思うんです。先ほどのお答えを伺いながら、大体そういう趣旨のことかなと思いましたが、重ねて伺っておきたいと思います。

田中政府参考人 一般論としては御指摘のとおりですけれども、原子炉それぞれに安全装置も随分違っておりますし、いろいろな立地条件も違いますので、それについては個々に一つ一つ点検させていただきまして、基準を満たすように、満たさないものは動かさない、動かせないという判断をしていくことになろうかと思っております。

吉井委員 一般論としてはということですが、個々に機器の違いはあるにしても、今、敷地境界百ミリシーベルトということでいきますと、日本の原発は全て、現状では審査指針に不適合という事態にあることだけは申し上げておきたいと思います。

 ところで、昨日、大熊町住民意向調査結果が発表されました。これによると、福島原発事故の発生した立地地点の大熊町住民の中で、現時点で戻りたいと回答した人は一一%、戻らないと回答した人が四五%となっておりますが、なぜ戻りたい人がこんなに少ないのか、なぜ多くの人が戻らないと言っているのか。戻らないと言っている七割あるいは八割の方の理由というのは何ですか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 昨日、復興庁と福島県及び大熊町との共催で行いました住民意向調査の結果を発表しております。

 先生御指摘のとおり、現時点で大熊町に戻らないと決めておられる方が四五・六%という結果になっております。

 その戻られないとおっしゃっている方の理由として、複数回答で伺いましたところ、放射線量に対する不安があるとお答えになった方が約八割、原子力発電所の安全性に不安があると答えられた方が七割、この二つが上位に挙げられているところでございます。

吉井委員 今のお答えでも明らかなように、三・一一の復興の最大の障害は原発と放射能汚染ということは明白になっていると思います。

 そこで、枝野大臣に伺っておきます。

 大間原発について設工認が終わっている、つまり、行政手続上、大間原発の建設は問題ないとして続行を認めたわけですね。そこで伺っておきますが、浜岡原発など、大飯原発以外のとまっている原発は全て行政手続が終わっているんです。終わっているから建ったわけです。朝の御答弁を伺っておりましても、三・一一後の基準でなく、行政指導で停止することはできると。だって、大飯以外は皆停止させているわけですから、行政手続は終わっているんだけれども、とめているんですよ。だから、行政指導で大間の建設再開をとめることはできるというふうに思うんですが、これは大臣はどうお考えですか。

枝野国務大臣 今、日本じゅうの原発が大飯原発の一部を除いてとまっておりますのは、経済産業省設置法に基づき、行政指導で再稼働するなということを行った結果でとまっているものでございます。

 ただ、その根拠になっている経済産業省設置法の規定は、原子力の安全に関する権限が原子力安全・保安院、経済産業省にありました。そこが根拠、つまり、安全の観点から、三・一一を踏まえて、改めて再確認をしない限りは稼働させるべきではないということで行政指導したものでございまして、その権限は、規制委員会設置法の成立に伴って規制委員会に移っているところでございます。

 経済産業省設置法に基づいてとまっている効果については、特段の行政行為はなかったので、そのまま効果が継続されているものと承知をしておりますが、今後はそうした行政指導権限も安全という観点からは規制委員会が独立して行使をされるものと思いますし、また、あえて大間原発について申し上げれば、使用済み検査について安全の観点からどう御判断されるかは、これは規制委員会が独立して判断をされるものと思っております。

 一方で、エネルギー政策の観点から新増設は行わない、これはエネルギー政策の観点からでございます。

 ここは、先ほど自民党さんからの御質疑の中では、今回とめたことなどについても、行政指導でやったことについていかがなものかという御指摘がありましたが、ここは見解の相違で、私は、安全ということについて緊急性を要する中で、法改正等を待てずに行政指導でやらざるを得ないということの中ではやむを得なかったと思っておりますが、将来にわたって今建設認可がなされているものをやはりやめましょうかみたいな話ということについては、行政指導でできる範囲を逸脱するのではないかというふうに思っておりまして、もし一旦設置認可等がなされた原発を将来にわたって建設しないというようなことを行政が行う場合には、立法措置が必要ではないかと思っております。

吉井委員 既に建っているものについても、三・一一を踏まえての行政指導なんですよ。建設中のものについても、三・一一を踏まえての行政指導で大間原発の建設はとめるということをやるべきだと私は思うんです。この大間の建設を続けていきますと、電力送電可能となるのは大体二〇一七年から一八年ごろです。それから四十年間使用となりますと、二〇五七年から五八年ごろまで運転ということになります。先ほど泊については二〇四九年というお話もありましたけれども、四十年運転でいくとこうなるわけです。つまり、政府の言っている二〇三〇年代に、これも年が年代に変わりましたが、原発ゼロどころか、二〇五七、八年ごろまで原発稼働ゼロにならない。

 これは、革新的エネルギー・環境戦略を閣議決定しなかったのも、結局これからも民主党政権として原発を増設する、稼働する、海外へ原発輸出する、このことを目指しているからじゃありませんか。

枝野国務大臣 先ほどお答えしましたとおり、革新的エネルギー・環境戦略は、その実行に向けての当面のプロセスを含めて閣議決定したものだというふうに認識をいたしているところでございます。

 それから、閣議決定いたしました革新的エネルギー・環境戦略では、二〇三〇年代に原発稼働ゼロが可能となるようあらゆる政策手段を投入するということを決めました。これに最大限の努力をしてまいります。

 しかし、実際に原発を稼働ゼロで対応できるような省エネ、新エネ等がどれぐらいのスピードでどう普及できるのかということは、これは政治が一方的に決めたから例えば太陽光パネルがたくさん建つわけでもありませんし、蓄電池の技術が発展するわけではありません。それのための最大限の政策誘導を行いますが、まさに、技術者の皆さん、企業の皆さんがそれを利用して最大限の努力をしていただく、あるいは省エネについては国民の皆さんにも最大限の御協力をいただくということの結果であります。

 二〇三〇年代にはゼロにできるよう、それはできる可能性が十分あるということで、こういう目標を掲げてあらゆる政策手段を投入いたしますが、もっと早くできるかもしれません。

 いずれにしても、そうしたことで再生可能エネルギーや新エネルギーなどの観点から原発稼働ゼロが可能となった、あるいは可能となる蓋然性が相当高い状況になりましたら、どうやって現状の四十年廃炉原則を超えた形で原発稼働ゼロにするのかということについては、その状況におけるエネルギーの、電力の供給システムの構造などを踏まえて立法措置を含めた対応が必要であるというふうに考えておりまして、そうしたところまで見越して、私どもは、原発依存からの脱却をぶれない方針として着実に進めてまいります。

吉井委員 もともと原発も、未完成の状況でGEから買い込んだんですよ。日本で国費を随分投入して、原発の研究開発などをやってきたんです。私は、それぐらい投入した力を入れれば、再生可能エネルギーへの急速な転換と、それ自身が日本経済の発展につながっていく道になるということをきちんと踏まえて取り組むべきであって、問題は、ずるずる続けておって、様子見でという発想ではなかなかそれは進まないということを申し上げておきたいと思うんです。

 最後に伺っておきたいのは、東京電力による賠償の状況を報告いただきましたが、国民に対しては一兆三千六百三十六億円なんですね。しかし、東京電力の社債や借入金のメガバンクへの返済額は幾らになるかというと、三兆三千億円を超えるんですよ。だから、被害を受けた国民に賠償している金額の三倍近いものをメガバンクなどには返済している。

 それで、機構……

海江田委員長 時間が来ておりますので、まとめてください。

吉井委員 東京電力の賠償資金や株式引き受けには二兆三千七百億円を超えるものが出されております。さらに、電気料金の値上げがやられております。きょうの午後ですか、下河辺さんらが記者会見をやるようですが、既に、廃炉とか除染とかに十兆円以上の費用がかかるから新たな国民負担をお願いしたいということを言っているようです。

 大臣、こんなやり方というのは、大臣が官房長官時代に、ステークホルダーにも責任をとってもらうんだ、それがないと国民の理解は到底得られないと言っておられたその立場からすると、こんな、何でもかんでも全部、国民に税金や料金値上げを求めてやっていこうとする東電救済の仕組みというのはやはり改めるべきじゃないですか。

 最後にこのことを大臣に伺って、質問を終わりたいと思います。

海江田委員長 枝野大臣、短目でお願いします。

枝野国務大臣 東京電力の経営陣の皆さんがいろいろと御検討されている話は報道等でも承知をしておりますが、それについては、発表がなされたら、それに対しての見解をお示しする必要があれば、お示しをしようというふうに思っております。

 いずれにしても、まず、東京電力は、事故を起こした当事企業として福島の廃炉そして賠償に総力を挙げて当たっていただくということについては、新しい経営陣の皆さんはしっかりと共有をしていただいているというふうに思っております。また、ステークホルダーについても、株主の皆さんにとっては大変な希釈化がなされたということで、ステークホルダーとしての一定の負担をいただいているというふうに思っております。

 社債権者等の債権者については、今いろいろ御指摘いただいて、個別の御通告はありませんでしたので確認をしてきておりませんが、返済と、一方でいわゆる借りかえ、新規の貸し付け等についても対応していただく。今の東京電力のさまざまな状況を考えれば、普通であれば今のような金利で民間から調達するというのは困難な状況の中で、社会的責任としてそうした対応をしていただいているという意味で、ステークホルダーとしての一定の責任は果たしていただいていると思いますが、これについては、常に状況をしっかりとウオッチしながら、それぞれに適切な対応をしていただけるように、今後も注目してまいりたいと思っております。

吉井委員 では、時間が参りましたので終わりますが……

海江田委員長 もう本当に時間が大分過ぎておりますので、終わってください。

吉井委員 はい。東京電力とメガバンク救済の仕組みというものは改めるべきだ、このことを申し上げて、質問を終わります。

海江田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時十分散会


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