衆議院

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第7号 平成25年4月10日(水曜日)

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平成二十五年四月十日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 石原 宏高君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 淳司君 理事 宮下 一郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 近藤 洋介君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    穴見 陽一君

      石崎  徹君    越智 隆雄君

      大見  正君    勝俣 孝明君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      平  将明君    武村 展英君

      辻  清人君    中村 裕之君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      福山  守君    細田 健一君

      堀内 詔子君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山田 美樹君    吉川 貴盛君

      枝野 幸男君    大島  敦君

      馬淵 澄夫君    木下 智彦君

      重徳 和彦君    丸山 穂高君

      國重  徹君    井坂 信彦君

      三谷 英弘君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   法務副大臣        後藤 茂之君

   経済産業副大臣      菅原 一秀君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   内閣府大臣政務官     島尻安伊子君

   経済産業大臣政務官    佐藤ゆかり君

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            小野  尚君

   政府参考人

   (文化庁長官官房審議官) 作花 文雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     豊永 厚志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          鈴木 英夫君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 高原 一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (特許庁長官)      深野 弘行君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            守本 憲弘君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  山本 哲也君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  冨樫 博之君     中村 裕之君

  福田 達夫君     堀内 詔子君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     福山  守君

  堀内 詔子君     福田 達夫君

同日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     冨樫 博之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局参事官小野尚君、文化庁長官官房審議官作花文雄君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官豊永厚志君、経済産業省大臣官房審議官中西宏典君、経済産業省産業技術環境局長鈴木英夫君、資源エネルギー庁長官高原一郎君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君、特許庁長官深野弘行君、中小企業庁経営支援部長守本憲弘君及び原子力規制庁審議官山本哲也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 きょうも一般質疑の機会をいただきました。

 まず冒頭、私は前回も原発の事故収束の問題について質疑をさせていただきましたが、本日、朝刊各紙でも、福島第一原発の地下貯水槽、その汚染水漏れに対するさまざまな課題、あるいは疑念、懸念、これが取り沙汰されております。

 昨日、私は、この委員会に東電側の民間参考人としての出席を求めました。残念ながら、きょうこの場には東電は来ておられません。これは私は大変遺憾だと思っております。

 大臣、まず冒頭に、この件に関しまして御発言を求めさせていただきます。

茂木国務大臣 今回の汚染水漏れは極めて遺憾な事態だ、こんなふうに私も捉えております。こういった事態が起こらないようにということで、東電の社長に対しては、一昨日、私の方からも具体的な項目も含めて指示を申し上げたところであります。

 東電につきましては、本日、東京電力の広瀬社長及び相沢原子力担当副社長は、現地貯水槽の水漏れ事故に対処するため福島第一原発に赴き、まさに現地で今、陣頭指揮をとっているところであります。

 その上で、一般論として申し上げれば、今回の事故は、福島第一原発の円滑な廃炉に影響を与えかねない問題でありまして、東京電力に対しては、国会の場も含め、十分に説明責任を果たすよう促してまいりたいと考えております。

 参考人の出席については、一義的に、国会、理事会、委員会においてお決めいただくことだと思っております。

 きょうの経緯について、私なりに承知していることについて答弁をせよということでありましたら、委員長の御許可がいただけましたら、答弁をさせていただきます。

馬淵委員 きょう、この場に東電の責任者である方がおられないことを大変残念に思っています。

 私も、昨日、通告の前の場面でも東電の担当者の方に現地に赴くということを伺っておりましたが、社長、副社長がいらっしゃらない、それでここの場に来られないというのは、それは会社を代表する者がたった二人しかいないのかという話であります。極めて重要な課題であるがゆえに、ここは東電としてしっかりとした対処を望むということを私は申し上げてきたわけですが、残念ながらこの場にはおられません。

 確認でございますが、こうした経済産業委員会で前回も大臣は事故収束に対しては強い決意をお示しいただいたわけでありますから、引き続き、東電の責任者にしっかりとこの場に来ていただいて質疑、審議をしていただくということをお約束いただけませんでしょうか。

茂木国務大臣 東京電力に対して、しっかりと、国会の場も含めて説明責任を果たすように促してまいりたいと思っております。

馬淵委員 今、大臣からそうしたお約束をいただいたということで、受けとめさせていただきます。

 その上で、大臣は促すということでありましたが、まず、前回私が尋ねさせていただいた事故収束の責任の所在に関してなんです。前回の私の質問に対しての大臣の答弁は、いわゆる廃炉の問題、このことを取り上げて、事業者任せにするのではなく、研究開発等々で前面に立つ、このように発言されました。

 私自身は、もちろん所管が規制庁、規制委員会にまたがることもよく承知しておりますが、改めて、大臣、これはイエス、ノーで結構です、経産省は、経済産業省設置法に基づいて、当然ながら電気事業者の監督官庁として、事業者が行う事故収束の取り組みを監督しているという立場である、そのことから事故収束について所管する、このことは、細かなことを申し上げているのではありませんよ、所管する立場から、大臣はその責任を背負っているんだということでよろしいでしょうか。

茂木国務大臣 所管する立場から、やり得ることは全てやっていきたい、国が前面に立ってこの廃炉を進めていきたい、このように思っております。

馬淵委員 大臣に、所管する立場から、前面に立ってこれを推し進めていくんだというかたい決意を述べていただきました。

 それでは、私がきょう、質疑の中心に据えて、皆さんに審議を見ていただきたいと思っております、地下貯水槽の水位の低下について質問をさせていただきます。

 まず、地下貯水槽なるものがどういうものかということであります。

 東京電力が、四月五日に福島第一原発の地下貯水槽からの汚染水の漏えい、これを発表したわけであります。

 まず、お手元に資料を配らせていただいておりますが、その資料1をごらんいただきたいと思います。

 四月九日、昨日、地下貯水槽からの漏えいについて、ナンバー2とあります。いわゆる二号地下貯水槽と申し上げます。

 この平面図をごらんいただきますと、委員の方々、これは上が海側でありまして、この海側に原子炉建屋が並んでいます。そして手前、下が山側であります。いわゆる地上タンクが丸で描かれて、これは所狭しと並んでいるわけであります。それ以外に七基、七つ、地下貯水槽が設置をされている。

 この地下貯水槽なるものはどういうものか。構造を、その次のページの2をごらんいただきたいと思います。

 これは、いわゆる切り土をして、そして遮水シートを敷いて、そこに汚染水をため込む、ため池のようなものをつくるというものであります。タンクではない分、ある意味これは大容量が可能だということです。

 正常な状態と書いてありますが、これをごらんいただきますと、遮水シートというのがあります。これは二重になっています。切り土をしたところに遮水シートを敷いて、そこに汚染水を入れていくんですね。遮水シートの下側には、漏えい検知孔と呼ばれる、漏えいがあるかどうかを確認する観測用の筒のようなものが入っている。そしてその下に、今度はベントナイトシートと呼ばれるものが敷かれています。さらにその下側には、ドレン孔と称される、いわゆる水抜きの穴が設置をされている。こういう構造になっていて、これが全てで七基、地下貯水槽として設置をされているわけであります。

 さて、この地下貯水槽がどういう状況になったかということでありますが、資料の3をごらんください。これは東京電力が発表した貯水槽概要であります。

 色がついております。青色が地下貯水槽ナンバー3、三号貯水槽。そして、赤線になっておりますのが二号貯水槽でありますが、二号貯水槽が徐々に、これは貯水率でありますから、水位が低下し始めているのが、ごらんいただきますと、およそ三月十七日から二十四日の間、ちょうど二十日ごろからこの貯水率が下がり出しています。そして、四月六日移送とありますが、三月二十一日の時点で、それまで九五%程度であった貯水率が九四・六%に下がっているという数字であります。そして、以後は、四月六日、汚染水の移送まで減少傾向が認められるということであります。

 同じく、東京電力の資料の5をごらんください。これは、二号貯水槽の、いわゆる漏えい状況の確認のための漏えい検知孔の水の分析結果を示したものであります。

 これをごらんいただきますと、三月二十日、先ほどの断面図をごらんいただくとわかるように、ちょうど漏えい検知孔の下にあります、ベントナイトの裏側にあるドレン孔のところから、二・八掛ける十のマイナス一乗ベクレルの放射能濃度が検出された。そして、四月三日であります。この5の資料を見ていただくと、四月三日には二・〇七掛ける十の一乗ベクレルの放射能が検出されているということになります。およそ百倍の濃度が、この間に上がり、検出をされたということになります。

 これは事務方でも結構ですが、こうした状況について、二号地下貯水槽の漏えいについて、東電から経産省へ報告が上がったのはいつでしょうか。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地下貯槽、第二槽についてでございますけれども、水位の変化は先ほどお示しいただきましたけれども、三月二日の段階では満水状態の約九五%だったものが、四月四日の測定で九四・五%、その後に下がっていったということを確認されております。

 その後、東京電力が公表いたしました水位のデータに関しましては、三月中旬以降、わずかながら水位の低下が見られるということでありましたので、そこにつきましては、もっと早い段階で気づくべきであったのではないかというふうに考えております。

 さらに、放射能濃度の方も、今御指摘のように上がった時点がありましたので、そういったものを、わずかながらの変化をしっかりと捉えておくべきではなかったのかというふうに認識をしてございます。

馬淵委員 審議官、私の質問を聞いて、ちゃんと答えてくださいね。

 いつ報告がありましたかとお尋ねしました。

中西政府参考人 お答えを申し上げます。

 四月五日に報告をいただいております。

馬淵委員 四月五日の深夜だというふうに伺っておりますが、これは先ほど審議官も御説明いただきました資料3にあるように、三月二十日以降から貯水率が下がり出した。そして、報告は四月五日です、九五%が徐々に下がり出した段階でということであります。先ほどお話しいただきました。

 まさに御指摘のように、下がり出した段階から異常が発生しているのではないかということ、当然ながら、これは即座に報告すべき事由であると私は思います。漏出量が最小限にとどめられたということで、本当にこの状況でとどめられたのかということが問われると私は思います。

 四月五日です。六日に移送を始めているという状況ですから、本来ならば、このような形で貯水率が下がっているということに対して、これは当然漏れるということを想定すべきじゃないですか。私は、そのことを全く想定せずに、じりじりじりじり下がり出しましたということをただ見ているだけということは極めて異常な状態だと思うんですが、大臣、どうお感じになられますか。所感で結構ですから。

茂木国務大臣 お配りいただいた資料は、私のところはカラーでないので、どちらがどちらかというのが、恐らく下がっている方が第二だと思いますけれども。やはり三月の時点で、少なくともこのデータを見れば、下がり出しているということがわかるんだと私は思います。

 東京電力は、やはりもう少しこういった問題に対して感度は高くあるべきだ。さらに言うと、もし漏水していた場合にどうするかということも考えて、放射能値がどうなっているかとか、先手先手で対応を打つ、こういったことが必要ではないか、もっと心配性になってほしい、こういうふうに思っております。

馬淵委員 御指摘のとおりなんですよ。これは二週間たっているんです。二週間たってようやく、これは漏れているかもしれないといって移送を始める。

 これは通常の産廃処理に使う遮水シートです。この遮水シートで、例えば、中の内容物が漏れ出る、重金属が漏れ出る、これは通常の産業廃棄物の処理の段階でも十分に起こり得ることなんです。それを見過ごしてきた、あるいは、これはどういうふうな対応があったのかわかりませんが、いずれにせよ東京電力さんに来ていただかなければわかりませんが、こういった対応に対しては、所管大臣として厳しく臨んでいただかなければならないと思います。

 大臣、先ほどお話にありました、指示を出されたということであります。四月八日付ということで、資源エネルギー庁、東京電力社長への指示ということで、大臣からの指示が文書で出ておりました。

 これを見ますと、福島第一信頼度向上緊急対策本部を東電が設置したということでありますが、その中で、環境への影響評価を含めたモニタリング、さらには専門家の協力を得ての検証、また来週十五日、IAEAのレビューミッションが来られるということですから、そうした機会も活用してしっかりと国際的な見地を共有するということ、さらにこれを国民に公表し、この内容を確定し次第、廃炉対策推進会議に報告、この会議は大臣が議長を務められているわけであります、こうした指示を出しておられます。

 ここはしっかりと、重大トラブルが起きてから、このような、時間が経過してからの報告ということではなく、即座に対応するという御指示を文書で出されておりますが、大臣、国会の場で、その思いをしっかりとここでお伝えいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 福島第一原発におきまして、汚染水の漏えいを初め、事故、トラブルが相次いでいることに加えて、今回、貯水槽の水位の低下の報告、対応がおくれるなど、東京電力の対応が後手後手になっていることは極めて遺憾だと思っております。

 そして、このような状況を踏まえて、御指摘いただきましたように、私が東電の広瀬社長に対しまして直接、社長自身の陣頭指揮のもと、全社一丸となって事態収拾、再発防止に向けてしっかり取り組むように指示を出したところであります。

 具体的に四点申し上げておりまして、その一つが、電源の多重化など機能喪失を起こさないための体制の構築、そして二つ目が、汚染水を外部に漏らさないための万全な対策の措置、三つ目が、今回の汚染水の周辺環境への影響に加え、中長期的な汚染水の管理、貯蔵に係る取り組みについての専門家による検証、さらに、来週IAEAが訪問してまいりますが、海外専門家によります助言を踏まえた検証の結果の公表、共有ということであります。

 それで、まず、当面の対策としてやらなくちゃならないことがあるということで、漏えいが確認された地下貯蔵槽第二については、別の二つの地下貯蔵槽第一、第六に移送中でありましたが、昨日、移送先の一つである第一の方からも漏えいの疑いが判明したわけでありまして、東京電力は第二槽から第一槽への移送を中止いたしました。

 また、少量の漏水が確認された地下貯蔵槽第三につきましては監視を強化しているところでありまして、現在までに水位の低下や新たな漏えいは認めていないとの報告を受けております。

 ただ、基本からいいますと、もうこの地下貯蔵槽は使わないということが必要だ、そんなふうに思っております。

 まず、地下貯水槽第一、第二の汚染水は合計で約七千立米ありますけれども、これを鋼鉄製の地上タンクに速やかに移送することといたします。そして、地下貯蔵槽第三、第六、第六の方は第二から一部移した部分でありますけれども、これにつきましては、当分の間、監視強化を継続いたします。

 しかしながら、万が一トラブルがあった場合にも即時に鋼鉄製のタンクへ移送が可能となるように、早急にタンクの増設を進めるよう指示をいたしました。五月中には、全ての地下貯水槽の中の汚染水が万が一の際にも鋼鉄製のタンクに余裕を持って貯蔵できるよう、地上のタンクを増設させます。その後は、地下貯水槽は使用しないことといたします。

 また、日々発生する四百立米の汚染水については、今後、地下貯水槽ではなく鋼鉄製のタンクに貯蔵することとし、鋼鉄製のタンク整備計画は前倒しをして、日々汚染水が増加するペースを超えるペースで、余裕を持って増設することといたします。本年九月末に四十五万立米、二十七年度中ごろに七十万立米の鋼鉄製タンクの確保も目指していきます。

 なお、万が一汚染水が漏えいした場合についても、海洋への流出を防止するため、前回委員からも御指摘をいただきましたが、来年度半ばの完成を目途に、海側の遮水壁の設置を進めているところであります。

 つまり、まずは第一、第二、汚染水の漏れが確認されているものについては、今あります鋼鉄製のタンクに速やかに移します。そして、第三以下のものについて、入っている分については、貯水槽が完成し次第、あきのある分から入れていきまして、これにつきましても相当速いペースで進めます。最終的には、第一から第七の地下のシートを敷いた部分については、汚染水をためる場所としては使わない、こういった形にしていきたいと思います。

馬淵委員 大臣、大変迅速な御判断をいただけたと思っております。

 これからさらに地下貯水槽の問題点というのを指摘しようと思っていたんです。この間も少しやらせていただきました。

 鋼製タンクへ、地上タンクに全て移送する、かつ今後は使わない、そのことについてはまた後ほど問題点を指摘したいと思いますが、昨日、一号貯水槽の漏えいも十分に考えられるといった時点で、本日朝からのこの委員会の冒頭に、大臣からそうした御判断をいただけたこと、国会の場で明らかにしていただけたこと、国民に対して安心と安全を示していただけたと思っております。

 ただし、やはり、今日までのこの取り組みについて、私は大変問題であると思っています。すなわち、こうしたことが予見できる可能性は十分あったわけであり、こうした状況を、ある意味、監督官庁としてここは方向修正すべきではないか、事態が発生してからではなく、常に監視をしながらあらゆる可能性を考えていかなければならない、これが政府の立場ではないかと思います。

 そこで、今、方向性としてはもう使わないんだ、鋼製タンクに全て移すということでありましたが、既に漏れ出ている放射性物質、あるいは線量について、どういう状況かということについて、済みません、これは今いただいた結論でございますから、確認の意味でありますが、そのことをさせていただきたいと思います。

 お手元の4をごらんいただきたいと思いますが、これは六日に発表された東電のプレスリリースであります。

 これを見ますと、地下貯水槽ナンバー2、二号の貯水槽から漏れた放射性物質の線量の推計について、アンダーラインを引いております。これについては、漏えい量が約百二十立米ということで、全ベータ放射能濃度が、大変小さくて恐縮ですが、五・九掛ける十の三乗ベクレルということで、この間にたまった水を分析した数値だということであります。

 この分析数値に関しては、6の資料をごらんいただきますと、大変恐縮ですが、お手元の資料をめくっていただきますと、四月五日のこのアンダーラインのところ、五・九掛ける十の三乗ベクレルということで、これが漏えい検知孔から漏れた汚染水の分析結果として出ているわけであります。

 放射能の線量計は、どういう計算かというと、この五・九掛ける十の三乗ベクレルと漏えい量の百二十立米を掛け合わせて、トータルの放射能量が七・一掛ける十の十一乗ベクレル、こういう推計をされているわけであります。これは東電が、今回このような形で放射能が漏れましたというふうに言っているわけです。

 しかし、汚染水そのものの放射能はどの程度かといいますと、資料の9をごらんいただきたいと思います。9の四ページのところを見ていただきますと、アンダーラインを引いておりますが、汚染水そのものの放射能濃度というものについては、十の四乗から十の五乗ベクレル、このように書いてあります。十の四乗から十の五乗ベクレルの汚染水の放射能濃度、それが漏えい検知孔では十の三乗ベクレル、つまり十分の一から百分の一に落ちているんですね。

 この十分の一から百分の一に落ちた理由というのはどういうことかと考えると、一つは、どこかで放射性物質が吸着されてとまっているから放射能濃度が落ちたか、あるいは薄まったか、この二つしか考えにくいのではないかということであります。

 そこで、遮水シートというものがどういう性能を有しているかでありますが、これは事務方で結構です。今、なくすんだということでありますが、これがいかに問題かということを私は指摘しなければならないと思っておりまして、事務方の皆さんにお尋ねします。

 先ほど図面をごらんいただきました、資料の2にあった遮水シートは二重になっておりますが、この遮水シートに放射性物質を吸着する能力というのはありますでしょうか。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 今、議員が御指摘の、遮水シートの放射性物質吸着能力ということでございますけれども、地下貯槽の二重の遮水シート、さらにその外側にベントナイトのシートという三重の構造になってございます。その内側にあります遮水シートにつきましては、ポリエチレン製だということもあり、放射性物質の吸着能力はないというふうに東京電力から報告を受けております。

 他方、外側にございますベントナイトというものは、粘土のようなもので構成されておりまして、放射性物質の吸着能力を持っているというふうに東京電力から報告を受けてございます。

馬淵委員 そうなんです。東京電力は、ベントナイトで吸着しているかもしれないなどということを説明しておりました。だから、本来はこの場にて確認をしたかったわけであります。

 しかし、ここで2の断面構造をごらんいただきたいと思うんですが、先ほど私が申し上げました五・九掛ける十の三乗ベクレルというものがどこで検出されたかというと、先ほど、漏えい検知孔で検出されたということを確認いただきました。資料6のところです。漏えい検知孔でこの五・九掛ける十の三乗ベクレル。

 資料2をごらんいただきますと、漏えい検知孔というのは遮水シートの下なんですね。ベントナイトシートよりは上部にあります。したがって、汚染水が漏れ出てきたのは、当然ながら、この遮水シートの何らかのところを通って、漏えい検知孔で検知をされているわけです。

 それよりも上に、あるいはそれよりも前段階のところ、水が流れ出てくる前段階のところにベントナイトシートがあれば、吸着が行われたと仮定することは、これも一つ可能性としてあるでしょう。しかし、この構造からいえば、ベントナイトシートを通って漏えい検知孔に来るのではなく、この遮水シートの何らかのところを通って、漏えい検知孔で検出されたと考えるべきなんです。

 そうしますと、私が何を申し上げたいかというと、ベントナイトの吸着ではなくて、これは地下水とまざり合っているということが考えられるのではないかということなんです。単に数値が動いただけではありません。オーダーが二桁変わっているんです。オーダーが二桁変わるということは、地下水とまざり合って希釈されて、この放射能濃度が下がったということが考えられる。

 つまり、東電側は、これは漏れていないんだ、大丈夫だと言っていますが、地下水とまざり合っているんです。地下水とまざり合った場合の危険性というのは、私は前回の一般質疑でも確認をさせていただきました。ダルシー流速は九センチ・パー・デー、これで、海側までの距離がある程度あるんだから大丈夫だということを、私が総理大臣補佐官のときに、この問題解決に当たっているときに東電側は繰り返し説明しておりました。しかし、地下水というのはそのような単純なものではないということから、この地下遮水壁の問題を、私は課題を提示し、何としてでも海洋の汚染をとめなければならないということを言ってきたわけであります。

 大臣、今、もうやめられるというふうにおっしゃいましたが、私は、それはそれで御決断だと思います。御判断いただいたと思っていますが、今申し上げたように、東京電力側は繰り返し、このような形で、漏れ出ていないということを、彼らは、遠回しなのか、直接的なのか、私から見れば直接的だと思いますが、そのように伝えているように思えて仕方がない。この事象は、明らかにベントナイトの吸着ではなく地下水の希釈による濃度低下なんだという蓋然性が高いとすれば、やはりここは拡散防止のために、監督官庁として、今ある状況、やめると言っても、即座に今もう何らかの対応をしなきゃならない。

 先ほど、五月の半ばというお話でありましたが、このことの問題認識を大臣御自身に持っていただかなければならないと私は思います。大臣、御所見を。

茂木国務大臣 今、馬淵委員から御指摘をいただいた一つの推定、私は、可能性はある、そのように考えております。地下水とまじっている可能性は否定できないのではないか。

 あらゆる可能性、危険性に対して、それは委員も、九十四日間にわたりまして総理補佐官として福島第一原発の事故の収束に当たられ御尽力をされた、汚染水の処理であったりとか地下水への対応は大変難しい問題だとよく御認識の上で御質問いただいていると理解いたしておりますけれども、しかし、解決しなければいけない問題だ、そしてあらゆる可能性について分析等々を行って、どうやったら防げるかという観点から対応していくべき課題だ、そのように認識をいたしております。

馬淵委員 あらゆる方法をとって、もうやめるからいいんだということではなくて、現状、漏れ出ていたわけですから、漏れ出ていることに対して、これは経産省として、所管する立場として厳しく、またとり得る対応をしっかりと指導していただきたいというふうに思います。

 その上で、先ほど、この地下貯水槽は使わずに地上のタンクに全て移しかえていくという方針を明らかにしていただきましたが、現状はこのような形で、漏れ出ていることに対するさまざまな風評被害というものもやはり想定されます。

 つい先日、汚染水の流出ということで、コウナゴの試験操業が始まるということから、漁師の方々は大変心配、懸念をされている状況であります。しっかりと監督していただくこと、これは当然ながら必要だということを改めて申し上げておきたいと思います。

 さて、地上のタンクへ移送を行うということ、さらにタンクの増設を指示されたということであります。これも事務方で結構でございますが、現時点における地上タンクの貯蔵量、さらには、地下貯水槽はもう使わないという前提でありますが、これに対しての今後の計画について、今考えられている、御指示が出たところですから、すぐに正確な数字はないかもしれませんが、お答えいただける範囲でお答えいただけますか。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現状についてでございますけれども、現在、処理水のタンク全体といたしまして、容量といたしましては、三十三・七万立米のタンク容量がございます。そのうち、地上のタンクにつきましては二十八・三万立米というようなことで、既に設置をさせていただいております。

 今後、先ほどの大臣答弁でもございましたけれども、本年の九月末には四十五万立米のタンク、さらには、二十七年度中ごろには七十万立米の鋼鉄製のタンクの確保というのも指示をさせていただいているところでございます。

馬淵委員 済みません、確認であります。昨日私の方で伺った数値に関しては、現時点での貯蔵量二十四・三万トン、そして貯蔵容量二十七・二万トンということでありましたが、今の数値が確定数値だということでよろしいんですか。お願いします。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げた数字は、昨日、四月七日の最新状態の数字でございます。

馬淵委員 昨日の段階での最新の数量ということで今答弁をいただいたわけでありますが、これで、私が昨日経産省の方からいただいた数値というのが、お手元の資料の10でございます、地上タンク二十四・三万トン、貯蔵容量二十七・二万トンということでありますが、これは数値が変わったということでよろしいですか。

中西政府参考人 そのように御理解いただいて結構でございます。

馬淵委員 いずれにしても、貯蔵量に関しては変更なしですか、資料10の。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 地上タンクにつきましての貯蔵量は、二十五・六万トンというのが昨日の段階での数字となってございます。

馬淵委員 貯蔵量が二十五・六万トン、そして貯蔵容量が二十八万トンという数字を先ほどいただきましたが、すなわち三万トン、逆に言えば、この三万トンの余裕しかないということであります。この三万トンの余裕の中で、地下貯水槽は使わずふやしていくというお話でありました。

 このタンクの設置に関して、例えばこれは、可能であるならば、現時点における貯水槽の場所を使うということでよろしいんですか。どういう形で今考えられているか、これについて、きょう新しく御判断と方向性を示していただきましたので、御説明いただけますでしょうか。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 こういうタンクの設置、増設計画につきましては、既に中長期ロードマップの中で具体的な計画を定めさせていただいておりまして、そちらの方に基づきましての計画でございます。

馬淵委員 となりますと、地下貯水槽、七基分ございます、ここについては既に設置がなされているわけでありますが、改めて、この地下貯水槽の利用、あるいはこの区画のエリアの利用に関しての御見解、どのように考えておられるかということをお伝えいただけますでしょうか。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 新たに設置いたしますタンクにつきましては、あらかじめ、発電所のちょっと南の方にあいておりますスペース、そちらの方に具体的な計画を有しているというふうに聞いてございます。(茂木国務大臣「地下貯水槽の、使わなくなるんだから、そこのところ」と呼ぶ)はい。

 今のところ、地下貯水槽は使わないということだけが決まっておりまして、今後の使用につきましては具体的な計画はございません。

馬淵委員 地下貯水槽のエリアに関しても、地上タンクの設置を想定される方向でいかれるのかということを私は今確認しているんです。どのように使われるかということです。

茂木国務大臣 まず、早急に、地上の鋼鉄製のタンク、今東電も計画しておりますけれども、それをさらに前倒しでつくらせるということです。その上で恐らく、地下の貯水槽につきましては、有効利用していくために、例えば埋めて地盤がどうなるかとか、私も、きのうの夜に判断しました、どう使えるかということをまず見た上で判断してもらいたいと思っていますけれども、いずれにしても、今計画しているものを一日でも早くつくる、そして一日でも早く移送する、こういったことを最優先の課題として取り組みたいと思っております。

馬淵委員 この地下貯水槽エリアについて利用することも今お考えだということを確認させていただきました。

 ただ、その場合でも、私は前回の質疑でも確認をさせていただきましたが、いずれにせよ、現状ある地上タンク、あるいは地下貯水槽も含めた移送においても、向こう三年しか対応が可能ではないという容量です。結果、今はもう地下貯水槽はだめだから地上タンクにしますという判断はよしとしても、これは何ら抜本的な対策につながらないわけですね。

 このような状況の中で、私は前回も申し上げてきたわけです。まず地下水の流入をとめる、そのためには山側の遮水壁を設けるべきであるということを、私は再三再四、補佐官時代も伝えてきたわけでありますし、前回もそのことをお伝えしました。ただ一方で、それにかわる方法として、地下水のバイパス計画というものをお考えでおられます。ただ、これはなかなか難しいのではないかということを私は前回も指摘させていただいたところであります。

 大臣が、今でき得ることは全てやる、その上で、より安全な方法ということで地上鋼製タンクだ、これは私はよしとしますが、今後このエリアを使うということを含めて検討されたとしても、何ら抜本解決にはならないんですね。

 これについては、大臣、前回も私は強く申し入れましたが、改めて、バイパスではなく、抜本解決に一歩踏み出さねばならないということについてのお考えはいかがでしょうか。

茂木国務大臣 当面の対応につきましては、先ほど申し上げたとおりであります。その上で、抜本解決、二つのことをやらなければいけない。

 一つは、御指摘のように、地下水が毎日流入してくるわけでありますが、この抑制、そして、全く入らない状態ができればベストであります。もう一つは、放射性物質を可能な限り取り除く多核種除去装置の早期稼働に加えて、多核種除去装置でも除去できないトリチウムをどう処理するか。

 ですから、入ってこない状況をいかにつくるか。これは、単に井戸を掘っているだけでは、抑制は少しできても、完全にとめることはできません。遮水壁を設けた場合に、水位の問題とか、幾つかの問題は課題としてありますけれども、やはり何らかの抜本措置を、とめるという意味ではとらなければいけない。それは、井戸を掘るだけ、バイパスだけではできないと私は思います。それを考えなければいけない。今、ベストな方法、私も地層学とかそういうものの専門家ではありませんけれども、ベストな方法というのは考えなければいけない。

 一方で、たまっているものがあるわけです。このたまっているものについては、いかにしてこれを汚染水ではない状態、危険性のないものにしていくか。この二つの課題というのを、これも一、二年、三年のオーダーの中で解決しなければいけない問題だ、このように捉えております。

馬淵委員 大分踏み込んで発言をいただけたと思います。抜本的な解決策を講じなければならないという御認識をお持ちだ。そして、現状やろうとしていることについては、抜本的な解決策ではないという御認識を示していただけたと受けとめます。

 おっしゃるとおりです。私も再三指摘をさせていただいているように、現状は、一日四百立米の地下水が流れ込むわけです。そして、その地下水がどのような形で海洋に流れ出るか、これは全く誰も見えない状況にあるということでありますから、モニタリングを強化するということだけではなく、まずは事実として地下水が流れ込んでいるのをとめなければなりません。

 そして、今大臣も、抜本ではないというお話がありましたが、地下水のバイパス計画です。

 これは、資料1をごらんいただくと、この平面図の海側に原子炉建屋がありまして、原子炉建屋に流れ込むところを、井戸を掘って、水をそのままモニタリングしながら流すということでこのバイパス計画が現時点で進められているわけでありますが、地下貯水槽からの汚染水の流出の可能性が十分あるということが出ております。至急な移送であっても流れ込む可能性は十分あるわけでありまして、このバイパス計画の水そのものの汚染も十分に考えられるということでありますから、やはり私はこれは何ら抜本的な解決策にならない、大臣の御認識もそのようだというふうに受けとめました。

 であるならば、繰り返し申し上げますが、地下水の流入をとめる以外にないんです。地下水の流入をとめるのは、当然ながら、壁をつくってその流入をとめるしかありません。私は、海側に出るのをとめるということについて先行していただいたことは否定はしませんが、地下水の流入をとめない限りは、永遠に移送などが繰り返されることになるんですよ。

 そして、今回も、このような地下貯水槽という、ある意味漏れてもおかしくないと考えられる、その構造で進めようとしたことに対して私は強い憤りを感じます。ここはやはり、本来ならば、鋼製タンクでためるだけではなくて、まず抜本的に流入をとめる以外にないんです。これは前回も申し上げました。

 私がそのことを東電の経営者の方々にも御認識いただいて、進めるというところまで踏み込んだんです。当時、決算を控えているという状況の中で、東電側が大変渋ったのを私は記憶しております。しかし、それでも判断をいただいたものが、結果、残念ながら覆されることになりました。私は補佐官退任後でした。これは民主党政権下でありますから、私自身は民主党の一員としてそれを重く受けとめなければならないと思っていますが、私は東電が悪いとかいうことを言っているのではありません。

 事ほどさように、組織というのは自己防衛本能が働きます。莫大な費用をかけて遮水壁をつくるということに対して気おくれするのは、私は、まだ民間の会社として、これはもちろん国が支援をしたということでありますが、少なくとも会社としての組織であれば、これを考えられるのはよくわかります。だからこそ、政治のリーダーシップによって、国民の安全、そして生命、さらには対外的な国際社会の名誉ある地位を保つためにも、海洋汚染の可能性があるものはとめなければならないんです。

 大臣、先ほど踏み込んだ発言をいただきました。再度確認させていただきたい。抜本的にとめるのは遮水壁しかないと私は思っていますが、方法論はいろいろあるかもしれませんが、その抜本的な解決策を、大臣に就任されたわけでありますから、それに向けて取り組むということを改めて発言いただけますでしょうか。

茂木国務大臣 抜本的な対策は、早急に検討して、とらざるを得ない、とる必要がある、このように考えております。

 ただ、抜本的な対策がとれるまでの間、地下水の流入を少しでも抑制する、もちろん、汚染されていないかどうか、こういったことを確認した上でありますけれども、この抑制策というのは継続してとりつつ、抑制策だけでは抜本解決になりませんから、抜本策というのはとる必要があると考えております。

馬淵委員 昨日、一号貯水槽の確認に社長、副社長が飛んでいかれた。そして、昨晩遅くに大臣が御決断いただいたということであります。

 私も、昨日、この質疑の準備をしながら、もしそのような判断がなされない状況が続くのであれば、ここは厳しくこの問題について再度追及しなければならないと思っておりましたが、まさに御英断をいただけたと思います。

 この御判断をもとに、抜本的な解決策、それほど選択肢が多いとは私は思っておりませんので、ぜひこの委員会並びに国会でしっかりと大臣が方針を示されることを心から望むということを申し上げて、私の質疑とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

富田委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 おはようございます。

 今、法制審議会において、連帯保証人制度についての議論が行われていると思います。一定の結論は出たと伺っておりまして、その点について確認をさせてください。

 連帯保証人制度が改められるというのは、今後、銀行の貸し出しの姿勢に大きく影響すると思っています。これまで銀行は、連帯保証であり、あるいは担保をとって貸し出していました。その一つの連帯保証がもしもなくなるとすれば、今後の銀行の企業に貸し出すスタンス、あるいはどういう事業を行っているのか、その内容の精査について、多分大きく変化してくると思います。

 法制審議会において、民法のうち、先ほど述べました保証制度の規定の見直しが検討されていると聞いておりまして、そのような見直しが検討されている背景、または問題意識について、まずは御答弁をお願いします。

後藤副大臣 大島委員にお答えを申し上げます。

 御指摘のとおりで、法制審議会におきまして、保証制度、特に個人保証の分野につきまして、企業の経営者が企業の債務を保証する場合に、企業の信用補完や経営に対する規律づけの観点から、そういう制度が非常に重要であるという指摘もされている一方で、個人の保証人が想定外の多額の保証債務を履行することを求められ生活が破綻する、そういうような事例が多く発生しているということを踏まえまして、今、保証制度についての検討を行っているところでございます。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 今、後藤副大臣の御答弁にありましたとおり、保証人制度をつけている国は、多分、日本と韓国ぐらいかなと思います。多くの国が連帯保証人制度をつけておりません。

 そして、連帯保証というのは、今答弁にございましたとおり、強い人間関係を前提にして行われております。日本では、連帯保証を引き受けた人が多額の借金を背負って破産、あるいは自殺に追い込まれるケースが多い実態があると思っています。私自身、ずっと自殺対策に取り組んできておりまして、この連帯保証人制度というのは、新聞紙面でも時々、みずからの命を絶って債務の弁済に充てるという痛ましい事件が多く見受けられるものですから、今の方向性というのは、非常に時代にかなった方向性だと思っています。

 この法制審議会民法債権関係の部会において、保証の規定の見直しについてどのような結論が出ているのか、具体的に御答弁をお願いします。

後藤副大臣 法制審議会民法債権関係部会は、ことしの二月でありましたけれども、終局的な結論に至る前の段階の審議の成果物としまして、中間試案というのを取りまとめました。その中間試案におきましては、保証制度の弊害として指摘されている、今委員から御指摘のような点を踏まえまして、保証人保護の方策として、事業者による事業資金借り入れについての個人の保証については、経営者によるものを除いて無効とすることなどを今検討しているところでございます。

大島(敦)委員 事業者向けの連帯保証については、無効とすることで今御検討されているという答弁だと思います。

 この保証関係の規定の見直しについて、今後、具体的にどのようなスケジュールで政府は考えているのか、御答弁を最後にお願いいたします。

後藤副大臣 ただいまの中間試案は、その他の案とともにパブリックコメントの手続に付される予定でございまして、その結果も踏まえて、要綱案の取りまとめに向けて審議が行われるものというふうに承知をいたしております。

 広範囲な論点について、法制審での取りまとめ、慎重な審議が進められることから、その後の要綱案がいつできるかということについてはまだ未定であるというふうに聞いておりますけれども、引き続き、法制審におきまして、いろいろな問題点を踏まえながら、慎重な議論、そして充実した議論が進むことを期待いたしております。

大島(敦)委員 今回、この連帯保証人制度を見直すということは、企業家の皆さんにとっては物すごく関心があります。できるだけ早く連帯保証人制度を見直してほしいという意向が強いです。ですから、ぜひ作業の方を急いでいただくことをお願い申し上げまして、後藤副大臣に対する質問は終わらせていただいて、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございます。

 連帯保証人制度が見直されるというのは、先ほど述べました、新しい時代の始まりだと思っています。一方で、先日も当経済産業委員会で、茂木大臣から、金融円滑化法が切れた後、どのくらいの会社に影響を及ぼすのか、あるいはどういうような方策をとるのか、お考えを伺っています。

 まず、金融庁に伺いたいんですけれども、金融庁は、金融円滑化法の利用者のうち、経営改善、事業再生が必要な会社は五、六万社あると推定していまして、その母数は三十万から四十万社、特に事業再生等が必要な事業者が五、六万社だという推計の根拠について、御答弁をお願いします。

島尻大臣政務官 お答えを申し上げたいと思います。

 円滑化法を利用する事業者数は、民間調査のデータなどをもとに推計させていただきますと、おおむね三、四十万先程度というふうに考えられております。このうち、経営改善計画の策定とか、あるいは事業再生、転業などの支援が必要な事業者数は、債務者区分に係るデータに基づきまして、おおむね五、六万先程度というふうな推計でございます。

大島(敦)委員 御答弁いただいてありがとうございました。

 昨年の十月、都内にある大手の信用保証会社の方とお会いしまして、今回の円滑化法が切れた後の影響について、昨年十月に聞いたときには、対象企業が三十万社、うち三万社というお話でした。ことしの一月に伺ったときはそれがふえていまして、先ほど答弁いただいた三十万から四十万社、ただ、事業再生等が必要な事業者は十万社ぐらいあるのかなというお話をしておりまして、数字としてはふえています。ですから、今の五万から六万社というのは私としてもほぼ理解できる数字でして、どのような会社が五万から六万社か、昨日も麻生担当大臣に質問させていただいて、具体的にどういうようなイメージを持てるかどうかというのが、これからのさまざまな施策の根幹にあると思うんです。

 全国の法人数は大体四百万社と聞いていますけれども、信用保証会社が捉えているのは五十万社とか六十万社ぐらい。五十万社、六十万社でも、比較的小さな会社も入っていますから、この金融円滑化法案を使っている会社は、私が想定するのは、ある程度の雇用、三人とか五人がミニマム、そして毎月毎月の固定費がしっかりかかってくるような会社。町にある、夫婦で事業を営まれているような小さな会社ではなくて、比較的町の中でも雇用のある会社だと私は思っているんですけれども、茂木大臣、この五万社から六万社の、大臣の直観としての企業イメージについて伺わせていただければと思います。

茂木国務大臣 おっしゃるように、御夫婦だけでやっていらっしゃるというか、そういう会社よりも、若干、従業員数というか、外の従業員もいる、それが数人というところもあるでしょうし、百人オーダー、さらにはもう少し大きなところもあると思います。そして恐らく、そういった会社につきましては、売り上げが毎年減少傾向にある、赤字が続く、こういった状況で、また、新しい事業展開ができていなくて、五年前、十年前と基本的に売り筋商品も変わらないとか、そういう会社がイメージできるのではないかなと思っております。

大島(敦)委員 大臣の言われているイメージだと思います。

 二十一世紀になって、私たちの生活は大きく変わりました。小渕内閣のときに、信用保証枠を相当大きく拡大して下支えした時代がございました。当時はまだ、景気がよくなれば人を雇った時代です。携帯電話もありません、パソコンによる決済もありません。ですから、注文も電話、伝票も人手で書いて、宅急便もないので、自社で配送していた時代。二十世紀型の経営から、二十一世紀になって、ほとんどが中抜きになっているわけです。ほとんど量販店で買う。皆さんも私たちもネットでCDを買ったりして、景気がよくなっても皆さんが暖まる時代じゃないんです。

 今回、金融円滑化法案が切れて、対象企業の中でも、事業再生の企業が五万から六万社あって、これをどうやってサポートし、事業者の皆さんに今後の事業展開をどのように考えていただくか。というのは、先ほど申し上げました、連帯保証人制度が切れるタイミングと、この処理が終わるタイミングは多分リンクすると思っているんです。ですから、今後、私個人としては、今政府がつけている信用保証というのも、時代背景からすると、見直される時代が来ているのかもしれないなと思っているんです。今回の事業再生とか経営改善の支援というのは、恐らく戦後の、今までの中小企業の経営の大きな転換期に当たった、一つの時代を映す作業かなと思っていまして、その点につきまして、具体的にどういうような施策で行っていくのか、伺っていきたいと思います。

 島尻政務官には、御答弁いただいてありがとうございました。退室いただいて結構でございます。

 まず、今回は三つのスキームがあると聞いています。一つは地域経済活性化支援機構による支援、再生支援協議会による支援、認定支援機関による経営改善計画策定支援ということで、三つの支援策があると伺っております。

 その中で、金融円滑化法の期限切れを踏まえた一つの対策である、中小企業再生支援協議会の取り組み内容というのは具体的にどういうものか、そしてどのくらいの事業者をまずは支援していくのかについて、御答弁をお願いします。

茂木国務大臣 委員御指摘いただきましたように、企業の規模であったりとかタイプごとに、大きく三つに分けて支援のスキームをつくってございます。

 そして、御指摘いただきました中小企業再生支援協議会、これは、中小企業、小規模事業者の再生に向けた取り組みを支援するため、産業活力再生法に基づき、全国四十七都道府県ごとに設置されました公的な支援機関であります。

 具体的には、事業再生の専門家が、中小企業からの相談を受けて、再生計画の策定や債権放棄、リスケ等に関する金融機関との調整についても支援を実施することといたしております。

 今般、金融円滑化法の期限到来を踏まえまして、再生計画策定支援の確実な実施及び支援に係る質の向上、量の増加を図っていくため、中小企業再生支援協議会の体制の抜本強化策として、補正予算におきまして四十一億円を計上いたしました。中小企業再生支援協議会の全国本部であったりとか各支援協議会への人員拡充等を図り、中小企業、小規模事業者に対する計画策定支援体制の強化を図っていきたいと思っております。

 具体的な企業のイメージで申し上げますと、売り上げが三億円を超えて二十億円程度ということで、企業数でいいますと年間数千社の再生計画策定を支援していきたい、このように考えております。

大島(敦)委員 売り上げ規模が三億円から二十億円というと、町の中でもおおむね皆さんが知っている会社ですね。十万人、二十万人の町で二十億円の売り上げがある企業というのは十社から二十社ぐらいだと思っているので、町の中では大規模な企業かなと思います。それについては、四十七都道府県に設置されている、こちらの再生支援協議会によって支援していくという御答弁だと受けとめました。

 もう一つなんですけれども、今回、認定支援機関による経営改善計画策定支援ということで、四百五億円の予算が計上されております。どういう支援を行っていくかについて御答弁をお願いします。

茂木国務大臣 今、御答弁申し上げましたのは、各市町村におきましても、その市町村においては比較的大きな企業。それに対して、それ以外の企業に対する再生の支援が必要だということでありまして、認定支援機関、これは税理士さんであったり弁護士さん、さらには金融機関等から構成されるわけでありますが、全国で今、六千七百の認定支援機関が立ち上がっております。これを活用して、みずからでは経営改善計画の策定が難しい、規模の小さな中小企業、小規模事業者の計画策定を支援し、経営改善を促進していくため、御指摘をいただきましたように、補正予算で四百五億円を計上してございます。

 具体的には、認定支援機関によります経営改善計画策定費用やフォローアップ費用について、補助は三分の二、額としては上限二百万円で支援をする。恐らく、経営という立場で、経理がどうなっているかとか、もっとネットを使ってあなたのところの商売もできるんじゃないですかとか、かなり基本的なところも含めて、いわゆる経営のプロであります税理士さんとか金融機関がさまざまな支援をしていく、こういったことが基本になってくると思います。

大島(敦)委員 今おっしゃったとおり、再生支援協議会による支援は売り上げが三億円から二十億円が中心。そして、認定支援機関による経営改善計画策定支援はもう少し小さな会社。もう一つ、売り上げ規模が二十億円程度以上の会社というのは、地域経済活性化支援機構による支援だと思います。その点について御答弁をお願いいたします。

山際大臣政務官 今、委員御指摘ございましたように、少し大き目の企業も含めて地域の経済を支えていこうということも踏まえまして、この地域経済活性化支援機構というものを、今般、法改正をさせていただきました。

 そこでは、有用な経営資源を有しながら、しかし過大な債務を負っている、そういった中小企業、中堅企業等で、民間金融機関の金融支援等によって事業の再生が見込まれる、こういう企業に対しまして支援をすること、さらに、今回の法改正によりまして、事業再生に取り組む企業を支援する地域の金融機関、さらには再生ファンドというものをつくって、地域の面的な再生の支援並びに地域の再生現場の担い手の支援能力を向上させる、こういうこともあわせて図ることとしてございます。

大島(敦)委員 これが最後の質問になるかと思います。

 御説明いただいた認定支援機関の事業再生、経営改善の支援は非常に重要だと考えています。

 しかし、税理士さん、あるいは弁護士さんなどが行う経営改善計画や事業再生計画の策定支援は、リスケジュールや債権放棄など、財務的な支援を引き出すものが中心だと思います。企業経営は動的なものですから、デューデリジェンスをして。要は、企業の体質を強くするのと、今後伸ばすということはまた違う領域のものです。一方で、経営改善や事業再生の後に、販路拡大、市場開拓などを通じて事業そのものを伸ばすということが重要だと考えています。その場合に、特に団塊の世代など、企業OBの知見やノウハウを活用した支援策ができると思っていまして、その点についての大臣の所感を伺いたい。

 もう一つありまして、大臣が先ほどおっしゃったとおり、なかなか時代についていけない企業も五万から六万社。全てが時代についていけるとは私は思えないんです。経営者の年齢も、六十代、七十代が多いかもしれない。自殺の中で、三年間で五千人減りました、それでも二千人が経済的な理由で命を絶っているものですから、ここのところは、いろいろな支援の中でも、メンタルなところの支援もお願いしたいと考えております。

 最後に、その点をつけ加えて御答弁をいただければと思います。

茂木国務大臣 先ほど、税理士であったりとか金融機関のお話をしましたが、経営者の販路拡大、御指摘いただいた課題について、高度な専門的な知見や、業界特有のノウハウなどを踏まえた支援も必要であると考えておりまして、企業のOBも含めて、中小企業診断士や社会保険労務士、弁理士、七千名を超える専門家の派遣によります支援も実施しているところでありまして、そういった能力の活用も必要だと思っております。

 そして、ある意味、ある程度高齢になられたりとか、なかなか事業がうまくいかないということで悩まれている方に対するメンタルな意味での御支援とか相談、こういったこともこれからは重要になってくると考えております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 本日は、質問の時間をいただきましてありがとうございます。

 今週に入りまして、新聞報道等は、TPPに関してかなりにぎわしくなっているように感じます。甘利大臣も茂木大臣も、オンの発言の中で、できるだけ早い交渉参加を目指すというふうにおっしゃっておられます。私たち日本維新の会は、一刻も早く、TPPの交渉に参加して、ルールメーキングに参加するべきだという立場で主張しておりますので、そういう動きが出ているとすれば、大変歓迎するべきことだと思います。

 今、私の承知しているところでは、メキシコが支持したということで、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、カナダがまだ事前交渉中というふうに承知をしておりますけれども、そのあたりについての交渉状況、あるいは交渉参加へのめどについて、改めて、茂木大臣から御見解をいただきたいというふうに思います。

茂木国務大臣 TPPへの交渉参加、三月の十五日に総理が正式に表明したわけであります。そして、金曜日でありましたが、その日のうちに、各国に対しましては参加表明、これを通告させていただきまして、各国との間で、協議すべき内容が必要な点については、鋭意協議を進めているところであります。

 一昨日も、メキシコの大統領、これにつきまして歓迎すると正式に表明をしていただきました。

 米国との間の協議につきましては、かなり進捗を見せておりまして、合意に向けて双方の認識は相当程度そろってきていると考えているところであります。

 また、ニュージーランドにつきましては、三月二十一日に、兼原内閣官房副長官補を政府の代表として派遣したところであります。

 相手国との関係もあり、詳細にどういうやりとりだったか、これにつきましては控えさせていただきたいと思いますが、先方は、我が国の交渉参加への関心を基本的に歓迎しつつも、支持については引き続き検討が必要との立場であり、現在協議は継続中である、このように思っております。

 可能な限り速やかに、アメリカ、ニュージーランドも含みますTPP交渉参加国の同意が得られるように、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

 私も、重立った国のカウンターパートになります大臣に直接電話を申し上げまして、支持の取りつけであったりとか、それに向けて課題があるんだったらどういう問題があるのか、こういったことについても協議を進めております。

今井委員 今、ニュージーランドの話も既にしていただいたんですが、三月二十八日の読売新聞に、ニュージーランドのティム・グローサー貿易大臣ですけれども、インタビューを受けておられます。

 日本の交渉参加については、歓迎する、日本を含めたいという立場は明確であるということをはっきりおっしゃっておられます。その一方で、TPP交渉において、関税撤廃の対象から外す完全な例外は決して受け入れられないというふうに発言をしておられまして、完全例外がもしあるなら交渉から離脱するというところまでおっしゃっておられます。もう少し読みますと、では、そこの関税撤廃に十年、十五年といった猶予期間は含まれるのかという質問には、それは移行期間ということであるので、完全な例外ということではないであろう、そういう見解でありました。

 日米で、安倍総理がオバマ大統領と共同声明を出されたときには、聖域があるということを確認したというふうにおっしゃっておられましたけれども、このニュージーランドの方の発言を聞く限りは、ニュージーランドに関しては、例外、つまり、関税を撤廃しないということは認められないということをオンで発言しておられるわけであります。

 言える範囲で結構ですが、もう一度、こういう立場でニュージーランドが交渉に臨んできておられるのかどうかということを確認したいと思います。

茂木国務大臣 国によりまして、置かれている立場とか、国際競争力の強い産業、そしてまた守らなければならない産業、それぞれあるわけであります。

 TPPの基本、これは、これまでにない高いレベルの経済連携を目指す、全ての対象についてテーブルにのせて交渉する、そして結果はその交渉によって決まっていくということだと理解をいたしております。

 自動的に、全部関税がゼロであるとか例外がないということだったら、交渉そのものが要らないんです。もう入った段階でこうですということでありますから、交渉した結果どうなるか、我が国としては、国益にかなうよう、そして国益が最大化できるよう、万全の体制で交渉に臨んでいきたいと思っております。

今井委員 これまでにない高いレベルの経済連携、全くそのとおりだと思いますので、どんどんそういう交渉をしていただきたいと思うんです。

 ちょっと私、懸念しておりますのは、これはほかの委員会の話ですが、今、農水委員会の方でもTPPに関する決議を検討しているというふうに伺っております。内容を漏れ聞いたところによりますと、米、麦、牛肉、豚肉、乳製品、甘味資源作物などの関税、要するに聖域を守れ、十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も認めないというような決議を与党側が考えているというふうにも伺っております。

 また、そのほかにも、読ませていただきますと、さまざま、これもだめ、あれもだめというような内容になっておりまして、こういうものを足かせにして交渉に臨んでしまったら、やはり相手方も、では、そういうことであればうちも自動車の関税は撤廃しないよとか、せっかく日本がとれるところがとれなくなってしまうということをまず私は一つ心配するところであります。

 それと、これも報道ベースでありますけれども、自民党の皆様は全国行脚でTPPに関してのいろいろな意見交換会をなさっているようでありまして、四月の六日、北海道からということで旭川、岩見沢から始めたというところで、報道ベースでしか私も伺っておりませんが、農業関係者の皆様からは、前の選挙のときはTPPには参加しないと言ったのに、参加するというのは裏切りだという声も多数出たというふうに伺っております。

 私自身は、次に参議院選挙もありますから、この点ははっきりしておかなきゃいけないと思うんです。これは、自民党の農林部会だと思いますけれども、これだけいろいろなものを守れ守れという立場、当然、それぞれの議員がそういう要求をするのは構わないと思いますけれども、政府としては、あれもこれも守って交渉に臨む、こういう要望に対してどういうふうにお考えでいらっしゃるかということの御見解をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 まず、農水委員会での議論につきましては、私がどうであるとか御答弁申し上げる立場にはない、そんなふうに思っております。

 そして、我が党は、昨年の衆議院の選挙におきまして、その公約の中で、例外なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉参加には反対、こういったことを決めさせていただきました。そして、さきの日米首脳会談におきまして、お互いの国、日本でいいますと一定の農産品、そしてまた米国でいいますと一定の工業品について、センシティビティーがあるといった形で、このTPPは聖域がないものではないということを確認して、この交渉に参加することを表明したわけであります。

 そして、我々としては、国益を最大化するという立場で交渉に臨んでまいります。工業品につきましては関税が撤廃される、これが原則だ、そのように考えて交渉に臨んでいきたいと思っております。そして、メリットはできるだけ大きくする、またデメリットはできるだけ少なくする、こういう方針で臨んでいきます。

 そこの中で、全体のレベルが高い経済連携にできればと考えております。

今井委員 自民党の公約は確かにそういう表現でありまして、私も承知しておりますけれども、現実、選挙戦を見ますと、いろいろな議員は、TPP交渉参加は反対だというふうに、特に私のような田舎の選挙区ではみんなそういうふうに言っておりましたので、書いてある文面と実際に候補者が話している内容とは違うわけであります。

 これ以上この話はきょうはやめておきますけれども、次の参議院選挙で、また地方でこの五つの品目は絶対守るとかそういう公約で選挙をするのであれば、またその部分はやはりただしていかなきゃいけないなというふうに思っておりますので、その意見だけ述べさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、一つ関連してお伺いしたいんですけれども、今、TPPの中で一つ話題になっていますISD、ISDS条項でもいいですが、現在の日本の既存のFTAあるいはEPAの中で、このISD条項というのが入っている国はありますか、また、あるとすれば何カ国あるでしょうか。

茂木国務大臣 このISD条項は比較的一般的でありまして、日本がこれまで結びましたEPAの中では九つ規定をされております。また、FTA、EPAだけでなくて投資協定というのもいろいろな国と日本は結んでおりまして、日本がこれまで締結した投資協定、十五にも、このISD条項は入っているわけであります。

 唯一採用されていないのは日・フィリピンEPAだけでありまして、そのフィリピンとのEPAにつきましても、導入の方向で交渉を行う旨規定をされているところであります。

 アメリカとカナダの間のISD条項で幾つかの訴訟が起こっているということで、その具体的な例、三つぐらいの企業の例が取り上げられることが多いわけでありますが、このISD条項、日本とどこかの国の間、例えばスイスとか韓国のような先進国、これは投資協定ですけれども、これも含めて日本が訴訟を受けている、こういう例はない、そんなふうに承知をいたしております。

今井委員 ありがとうございました。

 何を申し上げたかったかというと、TPP慎重派の人がISD条項が問題だというふうによくおっしゃっているので、それは私は違うんじゃないかなと思っておりまして、今大臣の答弁どおり、もともと日本が交わしているいろいろな条約の中に既にこの条項があるわけです。しかしながら、今度アメリカが入ってくると、アメリカという国は大変裁判も多い国ですし、強い国なので、相手が強くなったら怖いからやめろ、そういう論調にしか聞こえないわけです。

 私はやはり、日本人というのは国際交渉の中で本当に交渉力を高めるということが大事であって、弱いところとはやるけれども強いところとはやらない、そういう態度はいかがなものかと常々思っておりましたので、ちょっとそのことを質問させていただいたんですが、もし御所見がございましたら、お願いします。

茂木国務大臣 国益を害するような形のISD条項というものであったらよくない、そんなふうに考えておりますが、国益を害さない、むしろ国益を増進させる方向のISD条項というのは必要だと考えております。

今井委員 ありがとうございました。

 TPPに関して、最後に、もう一つだけ確認をしておきたいんです。

 今、アメリカ等を含めまして事前協議をいろいろしているわけでありますが、報道で事前に自動車の問題とかというのが流れてアメリカから苦情が来たとか、そういう話もお伺いをしましたけれども、やはり、事前交渉の中でそういうことが漏れること自体、私は問題だと思います。ですから、そのことは真摯に受けとめなきゃいけないと思います。

 ただ、合意された後、この内容については、やはり国会としては、どういうことが事前協議で合意されたかということは確認をしていく必要があるというふうに思っているんですけれども、仮に、事前協議が合意されて交渉に参加するというふうになった場合は、この事前協議の内容というのはどの段階で我々に公表していただけるのかということを御確認させていただきたいと思います。

茂木国務大臣 まず、報道ベースで流れていることでありますが、いろいろな記事が出ております。恐らく、取材はされた上で報道しているということだと思いますけれども、私なりにそういった報道を見て、必ずしも、事実の確認というよりも、かなり予測に基づいた記事という部分もあるな、そんなふうに思っております。

 それで、日米の協議、先ほど申し上げたように、かなりの進捗を見せておりまして、合意に向け、双方の認識は相当程度そろってきていると思っております。

 そこで、日米で合意に至ったという場合でありますけれども、合意に至ったら、何らかの形で、その合意内容については開示をするということは必要だと思っております。どのタイミングで、どういう形で公表するか、これはアメリカとも協議をしなければならない、そのことも含めて、今協議を行っているところであります。

今井委員 先ほども申し上げたとおり、我々は内容についてはしっかりチェックをしていきたいと思っておりますので、事前協議あるいはTPPに実際交渉に入った後も、できる限り情報を開示していただきたいということを、この場でもう一度お願いしておきたいというふうに思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 きょうは、気になっていることを幾つかお伺いする質問にしようと思っておりまして、まず、電力の自由化について少しお伺いをしたいと思います。

 先日、電力システム改革の報告書が閣議決定されまして、電力の自由化がいよいよ進んでいくということで、大変いいことだなというふうに思っているわけでありますけれども、せっかくやるんですから、実効性が高いものにしていく必要があるなというふうに感じておるんです。それに当たりましては、過去のいろいろな取り組みの総括というものもしておく必要があると思っているんです。

 実は、これは皆さんもう御案内のとおりでありますけれども、これまで、電力というのは段階的に自由化をされてきているわけでありまして、最後は平成十七年の四月に対象を大きく広げて自由化をしてきているわけですね。残っているのが小規模なところだと思いますけれども、二〇〇〇年からずっと自由化が進んでいる中で、では、二〇一一年度にどれぐらい自由化されたかということで数字を見せていただきましたら、需要の三・六%。せっかく自由化をしてきたのに、わずか三・六%しか新規の参入がないという状況になっている。つまり、やってきたのになかなか効果があらわれていないということが数字にあらわれているわけですね。

 これは、どうしてこういうことが起きたのか。今、政府としては総括をされていらっしゃるでしょうか。

平大臣政務官 今、委員から御指摘されたとおり、我が国は、二〇〇〇年以降、電気の小売事業への参入を段階的に自由化してまいりました。全需要の約六割まで自由化の範囲を拡大してきて、結果として電気料金なども継続的に低下をするなど一定の効果を上げました。

 一方で、まさに今の御指摘のとおりで、小売市場における新規参入のシェアは自由化された需要の三・六%。さらに問題は、一般電気事業者、今の電力会社による地域を超えた直接的な競争もほとんど生じていないという現状がございます。

 要因といたしましては、まず第一に、家庭等への小売参入が認められていないということ、第二は、送配電網へのアクセスの中立性の確保に疑義があること、そして三番目は、卸電力市場での電力取引の流動性が低いことなどが考えられます。

 ここまで、用意されたペーパーですが、さらに加えて言えば、電力会社の体質とか業界の体質などにも問題があるんだと思います。地域独占にあぐらをかいてきた、そういう体質も背景にあろうかと思います。

 新規参入を含めたさまざまな事業者による活発な競争の促進に向けて、まさに今後、電力システムの改革を進めていかなければいけないと考えております。

今井委員 では、確認をしますけれども、今回の改革案では今の四つのポイントというのは解決される、そういう見込みで案を出されていらっしゃるということでよろしいですね。

平大臣政務官 はい、そのとおりでございます。

今井委員 では、その観点で、一つ問題提起をしたいと思うんです。

 今回の改革案では、先ほど二番目におっしゃっておられました送配電の中立性に疑義があるというポイントを解決するために、送電部門と発電部門を分離しましょうということが提言されておりまして、形式としては法的分離という形でやるというふうに承知をしております。

 この法的分離のやり方も結構なんですが、私、一つ、これはどうなんだろうなと思っている疑問点があります。

 実は、持ち株会社の下に送電部門と発電部門を別々につくる。これは事務方にも御確認したところ、送電会社と発電会社を別々にしたので、人の交流もありませんから、ここの中立性は保てますよ、こういう御説明を受けました。

 しかし、これはよくよく考えてみますと、一番上にホールディングカンパニーが乗っているわけです、持ち株会社が。恐らく、上場するのはこの持ち株会社ですね。ここには株主がいます。そうすると、株主利益を考えたときには、この持ち株会社の利益の最大化を図るというのが株主に対する持ち株会社の責務になるわけですね。

 そうであれば、持ち株会社としては、自分の配下にある発電会社をできる限り優遇して使ってもらうということが最大利益になりかねないわけですね。

 ですから、ここのところの歯どめを少し何かかけておかないと、先ほど政務官がおっしゃいました送配電の中立性の疑義、ここのところがまたひょっとするとうまくいかないんじゃないか。私は、ちょっとそこのところが自分の中で、頭がうまく整理ができていないんですけれども、ここについては何か対応策とかお考えはあるでしょうか。

平大臣政務官 今、御指摘いただいたのは、送発分離の際に、閣議決定された部分でいくと法的分離でいくということでございます。

 私は、委員の御指摘はごもっともだと思っています。そのために行為規制を入れるということになろうかと思います。送配電会社と発電・小売会社の間の役員の兼職を禁止すること、会計を独立させる措置を講じることなどの必要性が考えられる、そのように思っております。また、行政による監視機能も強化をして、実質的には、送配電部門の中立性、独立性を確保すべく、今後、三段階で実施をしてまいりますが、その中で行為規制の具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。

 多分、委員の問題意識は、法的分離ではなくて、ホールディングカンパニーが上につくのではなくて、完全に所有権を分離した方がわかりやすいんじゃないかということかと思いますけれども、それはそれでまた違った問題が出てまいりますので、法的分離で検討を進めてまいりたいと考えております。

今井委員 ありがとうございました。

 所有権を分離するところまでやるかどうかというのは、私はそこまで必ずしもやる必要はないというふうに思っていますけれども、今お話しさせていただいたとおり、政務官も同じ御認識を持っていただいているので安心しました。普通の企業行動で考えればそういうことは起きかねないので、そこのところをしっかり監視する、そういう仕組みをぜひつくっていただきたいというふうに思います。

 最後に、何度もくどいんですけれども、私は、エネルギー政策のところの使用済み核燃料サイクルをもう一度やはりお伺いしたいんです。

 まず、自民党の政策バンクのところを読ませていただくと、大きく言って、原子力に依存しなくてよい経済社会構造の確立を目指す、それから、三年間で再生可能エネルギーの最大限の導入と省エネの最大限の推進を図ります、それから、原子力の再稼働については、全ての原子力を三年以内に結論を出します、それから、中長期のエネルギー政策は、十年以内には少なくとも電源構成のベストミックスを確立しますと。

 今もこういう認識でよろしいですか。

茂木国務大臣 その認識で結構です。

今井委員 その観点で少しお伺いしたいのは、年内にエネルギー基本計画というのを策定するというふうに伺っておりますけれども、今、この公約を見せていただきますと、原発を再稼働するかどうかは三年以内に全部決めます、それからベストミックスは遅くとも十年以内ですと。しかし、エネルギー基本計画はあと七、八カ月後に迫っているわけですね。

 ですから、ちょっとここのスケジュール感が私はよくわからないんですけれども、こういうものがはっきりしないところでエネルギー基本計画というのは果たしてつくれるものなんだろうかというふうに思っておりまして、さらに加えてお伺いすると、この中には実は核サイクルの問題については触れられておりません。前回質問させていただいたときには、それも責任を持ってやるというふうにおっしゃられました。

 そういうことも含めて、エネルギー基本計画にはどういうものが書かれてくるんだろうか、こういうものが決まっていない中で果たして本当に書いていけるものなんだろうか、そのスケジュールがちょっと私はイメージが湧かないので、その辺について御説明をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 エネルギー基本計画の中で大きな方向性を出したいと思っております。

 例えば、電力システム改革につきましては、二〇二〇年までの全体のスケジュールもお示ししてございます。そこの中で、例えば、スマートなコントロールにより需要面がどこまでピークコントロールできるかという話も出てまいります。それによって、本当に必要な全体の供給量、これがどうなのかということもある程度想定をされるんだと私は思います。

 ベストミックスの議論になりますと、例えば再生可能エネルギー、これにつきましても、どこまで実際に導入できるか。さらに言いますと、これを有効活用する。今、例えば、太陽光でも稼働率が一二%です、風力でも二〇%です。この稼働率も上げていかなきゃならない。

 そのためには、当然、蓄電池等の技術を使いまして、再生可能エネルギーの安定化というものを図っていかなきゃならない。蓄電池につきましては、今、値段が大体四万円。これを二万三千円ぐらいまでに落としていかなきゃならない。恐らくこのスケジュールも五年から十年単位、我々は七年と想定しておりますけれども、そういったものが出てくる。

 さらには、LNG、これも調達先の多角化を進める。アメリカでシェールガス革命が起こっていることによって、今、このLNGの国際市場は大きな変化を見せております。そこの中で、LNGの調達、どこからどれくらいできるか、そういった見きわめもしていかなきゃなりません。

 さらには、高効率の石炭火力、こういったものも活用すべきだと考えております。もちろん、この面では環境との調和ということが必要でありまして、今の環境アセスのプロセスをどう短縮化していくか、こういった課題も出てまいります。

 それぞれについて、ある程度の整理というのは私は必要なんだと思っております。ただ、年末の段階で、もしくは一年ぐらいの中で、このベストミックスのパーセンテージ、ここまで決めるのは私は難しいと思っております。

 既に検討を行っていただいております総合エネルギー調査会の総合部会の方にも、ベストミックスをお決めいただくことがマンデートではありません、ただ、それぞれのエネルギー源の将来性についてであったりとか、またそれぞれが持っている特徴、こういったことについてはしっかりした御議論をいただいて、その上での見通しはお示しをいただきたい、こういう話を申し上げております。

今井委員 ありがとうございました。

 先ほども少し触れましたけれども、核サイクルの問題であります。

 最終処分場の選定も含めて、これから責任を持ってやられるということでありましたが、これも、いつまでに決める、年限をどこかで切ってやらないと、今までの反省ということで、頑張ってやります、責任を持ってやりますはいいんですが、物事というのは進まないと思うんです。

 もちろん、いろいろな相手があることですから、それは年限は切りにくいというのはわかりますけれども、でも、辺野古に移すというところまで年限もはっきり決めて、あそこまで決断されておられるわけですから、ぜひ、この問題も、年限をしっかり切って、ここまでに見つけるんだということをどこかで決めていただきたいんですけれども、そういうことについてはいかがでしょうか。

茂木国務大臣 既に一万七千トンの使用済み燃料がある、そしてガラス固化体にしまして二万五千本分ということでありまして、この処理について次世代まで先送りすることはできない、こんなふうに思っております。

 委員御案内のとおり、最終処分をしなければいけないということでありますけれども、これまでの取り組みの中でも幾つかの反省材料が出てきております。そういったものも踏まえて、いかに速やかに決めていくかという検討に今入っているところでありますけれども、例えば、今、ある年限を区切って、このときまでだとやった場合に、本当にそれでうまくいくかというと、若干の疑問を持っております。

 これは当然、そこに最終処分場をつくる自治体の皆さん、関係者の皆さん、さらには国民の理解を得ないとできない問題でありまして、拙速にならない形で速やかに進めるのにはどうしたらいいか、こういう観点から進めていきたいと思っております。

今井委員 もう時間もないので、この話はこれで終わりますけれども、やはり私は、期限を切るということは、何事にとっても一番物事が動いていくもとだと思いますので、またこれからも、この点についてはお話をさせていただきたいと思います。

 もう一分ですので、一つ確認したいんです。最近、地元を回っておりますと、再生可能エネルギー固定買い取り制度について、せっかくそういうのをやったんだけれども、なかなか電力会社が買い取ってくれないというような話をよく聞くんですが、そういう事実があるかどうかということと、それに対してどういう対応をされるかということ。

 最後にその点をちょっとお伺いして、質問を終わりたいと思います。

平大臣政務官 固定価格買い取り制度では、法令上、電気事業者が買い取りを拒んではならないと規定をしています。同時に、受け入れ可能な量を超えて送電線や変電所に電気が流れることが見込まれるような場合には、例外的に買い取りを拒否することもあわせて規定をされています。

 メガソーラーをつくったんだけれども、隣にもメガソーラーができた、そして、それがたくさんできることによって送電線や変電所の空き容量がなくなってしまった場合は、買い取りを拒否されるという場合もあります。こういった例外的な事例が一部発生していることも事実でございます。

 法令上、電気会社が買い取りを拒否する場合は、電力会社が理由を書面で説明することと、接続が可能な代替の送電線や変電所を提示することを求めています。

 あわせて、一般社団法人電力系統利用協議会に相談室が設けられていると同時に、発電事業者と電力会社との間で紛争がある場合には、中立的な立場から紛争を解決するということになっております。

 このような、ルールを逸脱するような事例がありましたら、御一報いただければと思います。

今井委員 ありがとうございました。

 せっかくリスクをとってやって、それで買い取ってもらえないというような事態になったら大変ですから、入り口のところでも、ぜひ電力会社としっかり相談して、これは買い取れる場所なのかとか、隣につくらないのかとか、そういうことをぜひしっかり指導していただきたいということをお願いしまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦です。本日はまたまた質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私、以前にもお話しさせていただきましたが、昨年十二月まで一般企業で働いておりまして、そういった意味では、まだ、より一般の感覚に近い状態で、いろいろと物事を考え、国のために働ければなというふうに考えております。

 その中で、今、予算ということを考えたときに、一般の企業の場合は、やはり過去の実績ということと決算内容、そういったものがしっかりと踏まえられた上で予算が考えられるということが必要なんだろうというふうに思っております。それと同じように、企業の場合は、内部、それから外部の監査であったり検査であったり、そういうふうなものからの指摘があって、そこに対しての改善をしていきながら、どんどん前に進んでいく。それで攻めの戦略につなげていくんだという形で、構造ができ上がっている。

 国を見たときに、やはり、予算を立てる中で、過去の決算内容というのは、実績という形は非常に大事だというふうに思っておりまして、それと同時に、会計検査院なんかでいろいろと指摘があって、そこの改善、対処というふうな形のことができて、初めて攻めに転じていけるんだろうと考えております。

 そういいながら、会計検査院の決算報告書というのが毎年出ているんですけれども、私の方で見せていただいたら、毎年相当分厚い状態なんですね。これは、やはり会計検査院が相当いい仕事をしているんだろうということで、中を見てみても相当多岐にわたって書いてあります。

 非常に、私はいい仕事をしているなというふうに感じているんですけれども、毎年同じような分厚さということは、やはり、国の仕事としては相当たくさんあるので、毎年毎年、改善されたとしても、新たに改善すること、指摘されることが出てくるので、ある程度はしようがないんだろうなというふうには思っているんです。

 やはり、普通の企業の場合は、指摘されると、もう最後の最後まで、何年もの間、どうなったんだというふうに指摘を繰り返される。当然のことながら、そこに従事している担当者は、翌年の査定に相当かかわってくるので、一生懸命頑張って改善をしていこうとやっているんだと思うんですね。ただ、国の中を考えてみますと、そういったサイクルは余りまだうまく回っていないのかなというふうにちょっと考えている次第なんです。

 前置きはあれなんですけれども、会計検査院の報告を見てみますと、経済産業省の部分というのも、毎年、余りページ数が変わらなく、たくさんありまして、やはりここは、言っていたようなサイクル、いろいろなアイデアがあるかと思うんですけれども、やっていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っている次第です。

 その点について、まず少し、大臣の御見解をいただければと思います。

茂木国務大臣 会計検査院からの御指摘につきましては真摯に受けとめなければいけないと思っております。同時に、毎年、予算を国会に提出させていただく、そして予算委員会等々におきましてその予算の御議論をいただく、さらには予算関連法案、これにつきまして各委員会等で御議論をいただく、もちろん野党の先生方も含めて、御指摘をいただいたこと、真摯に受けとめながら、行政の運営を担当してまいりたいと思っております。

 ただ、予算、これは民間企業でも同じだと思いますけれども、見込んでいたものと最終的に使用するものというのは変わってきます。当然、それはその時々の状況であったりとか、それによる変化もあるわけであります。例えば余剰金が出るということもありますけれども、企業におきましても、委員御承知のように、膨大な内部留保を抱えたりというのが今の日本企業の現状でありまして、その事業の性格等々によりましてどこまで弾力的な運営を図っていくか、このことも重要なポイントだと考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 まさしく、企業だけじゃなくて、国も攻めのことにどんどん進んでいかなきゃいけないということでは、ある程度一緒な部分はあるけれども、やはり国のことは複雑で数も多いので、今後、会計検査院の指摘なんかも少なくなっていく、そういう仕組みがうまくつくれていけばいいなというふうに思っている次第です。

 そんな中で、経済産業省の部分で指摘を受けている、会計検査院の決算報告書の中を見てみました。多くのところが、会計のやり方がちょっと不適切であるとか、そういったものが毎年だあっと並んでおったんですけれども、今回、平成二十二年度の決算報告内容で指摘を受けている点について少しお話をさせていただきたいと思います。

 どんな指摘を受けているかといいますと、電源開発促進対策特別会計における余剰金の状況についてというふうな指摘でありまして、大ざっぱに言いますと、もともと、原子力発電所の施設、その周辺の地域に対して、施設の設置を円滑に進めるためということで、電源立地地域対策交付金という形のものがとられている。そこに対して、ある程度、先ほどおっしゃられていたことに近いと思うんですけれども、余剰が出てきた場合に、それをちゃんと積み立てていって、その資金を円滑に回していこう、そういうことで対策がとられている。そこの積立金を整備資金というふうに命名されております。

 ただ、そこが、会計検査院の報告書の中では、具体的な金額が余りちゃんと書かれていないんですけれども、その整備資金の残高が数百億円に上っているという状態。平成二十二年、三月十一日の地震があった後に、原子力発電所の今後の方向性というのが不透明になってきた。そうなったところで、この整備資金、それから交付金というのは、その地域の調査を始めて原発が停止するまでの間について、お金を払っていくんだというふうになっている。

 ただ、そういうふうな形はとっているんですけれども、三月十一日以降、ほとんどの原発について計画が見えなくなってしまったということで、そのままずっとこの積立金を続けていって、莫大な金額を留保するという形になってはおかしいんじゃないか、ここからどんどん金額を圧縮していくような方策はとれないかというふうな指摘を検査院の方から受けているという状態です。

 その翌年、経済産業省の対策として、二十三年度の決算報告内容の中では、二十四年度の予算において整備資金四十九億円を取り崩して対応というふうに表記されている。それからまた、今後の資金残高の規模縮減などについては、政府のエネルギー対策の見直しなどを踏まえて適切に判断していくこととする、そういうふうなコメントが入っております。

 そこで、大臣、もしも数字がわかっていればで結構なんですが、直近の立地交付金額、それから整備資金の積立残高について、手元に持っていらっしゃれば少しお聞かせ願いたいんです。

糟谷政府参考人 いろいろ数字がございますので、私から事実関係を御説明申し上げます。

 御質問いただきました電源立地地域対策交付金でございます。平成二十五年度の予算案に盛り込ませていただいておりますのが、全体で九百六十八億円でございます。

 それから、御質問いただきました周辺地域整備資金でございますけれども、これは特会法に基づいて、電源立地対策に必要な金額を積み立てることができるものとして設置をされておりまして、将来必要となる電源立地地域対策交付金などの財政需要に弾力的に対応するために積み立てを行ってきたものです。将来、非常に大きく需要が出るときに、それをあらかじめ積み立てるという意味で、単年度予算の中で平準化を図るという趣旨の資金であります。

 御指摘のように、平成二十三年の十月に会計検査院から指摘を受けております。もともと着工予定でありました十四基の原子力発電所を対象に積み立てを行ってきておりましたけれども、進捗の見込みが不透明になったということを述べながら、会計検査院からは、当面の間は着工済みの三基のみを積み立ての対象にするなどして資金の規模を縮減させるべき、当面需要が見込まれない資金を滞留させないような方策を検討するようにという指摘を受けたものでございます。

 この指摘を踏まえまして、周辺地域整備資金につきましては、平成二十三年度末の時点で残高が六百七十二億円ございましたけれども、これを二十四年度予算において百九億円を取り崩しております。この取り崩した百九億円は、福島第一原発に係る事故対策ですとか避難道路の整備といった安全対策の強化に充てております。

 それから、来年度の二十五年度予算案におきましても、六十七億円を取り崩すこととしております。これを行いますと、二十五年度末の時点での残高は、六百七十二億円から減りまして、四百九十六億円になる見込みでございます。

 ちなみに、この資金への繰り入れでありますが、震災前の二十二年度から行われておりません。

 以上でございます。

木下委員 ありがとうございます。

 今のお話で、もともと、二十三年度、六百七十二億、その前はもっと大きかったんだと思っているんですけれども、だんだん圧縮されているという部分では評価できるのかなというふうに思っております。

 ただ、今後の積立金の取り崩しに関するところなんですけれども、やはり、もともと、円滑に進めていくために積み立てをしているんだというふうな形になっているんですけれども、今は実質的には復興の財源、道路の整備であるとかという形に使われているというふうにおっしゃられていたので、今までの法体系から考えて、その制度自体を見直すことが必要になってくるんじゃないかなというふうに思っている次第です。

 それから、今後の、新規の原発建設というものについて、これはまだほとんどが決まっていない状況だと思うんです。ここに適用されていくのか、それとも、この積立金をすぐにゼロにするわけにはいかないとは思うんですけれども、今後の積立金の取り崩しに関しての方針、今決まっている範囲内で結構なので、御答弁いただければと思います。

糟谷政府参考人 この交付金は、電源の立地を円滑にするために電源立地地域とお約束をしたものでございます。

 今後も、原子力発電所を含めまして、その周辺地域の安全対策等に多額の費用が必要になります。それからまた、電源立地対策の財政需要、これも今後のエネルギー政策の方向性などを見ながら見ていかないといけないと考えております。

 こういうことを踏まえながら、周辺地域整備資金を有効に活用しながら、この資金につきましては、二十六年度以降、引き続き資金の規模の縮減を図っていきたいというふうに考えております。

 今後の資金の積み立てをどうするかということにつきましては、エネルギー政策の見直しの状況も踏まえて検討してまいりたいと思っております。

 一点、これは復興にという御質問がありましたけれども、この資金、取り崩したものは、原子力発電所の周辺の避難道路を含む安全対策ということで、あくまで電源の立地の促進という観点で、その基本的な考え方を踏まえた支出の仕方をしておるところでございます。

木下委員 ありがとうございます。ちょっと私の言葉の使い方が悪かったかと思います。

 そういう意味では、一つわからないところは、今の時点で論じるのは相当難しいのかもしれないんですけれども、今後の、新規の原発に対してどうしていくのかというところがやはりまだまだ不透明なところだと思うんですね。

 今ここで何かを決めろというふうな話ではないと思うんですけれども、毎年減っているというふうに言いながらも、まだ数百億円の積立金があるという状況ですので、この取り扱いについて、どこまで積立金を残しておくのかということも含めて、今後しっかりと検討をしていっていただければなというふうに思っておる次第です。

 次なんですけれども、この特別会計の中の適用範囲というところで、この勘定部分は、成り立ちからいうと、ちょっとこちらで調べさせていただきましたら、昭和四十九年制定のいわゆる電源三法という中に、原子力、火力発電施設などを対象としているというふうに書いてあります。その後いろいろと周辺状況が変わっていき、京都議定書の締結で温室効果ガスの排出量の削減、そういうふうな話も出てきて、今の時点では、原子力以外に、沖縄の火力、それから水力、地熱というふうなものも対象にされていると聞いております。

 さっきお話しさせていただきまして、ちょっと整理が必要かと思うんですけれども、立地の交付金という形では、その対象に今の水力、地熱なんかも入っている。ただ、積み立てられている整備資金は原子力の方だけに使われているというふうに理解をしておりますが、その辺、正しい理解でしょうか。

糟谷政府参考人 確かに、整備資金は原子力についてのものでございます。

 これは、最初に申し上げましたように、将来財政需要が非常に大きくふえるということに備えて、平準化のために積み立てておるものでございまして、特に原子力発電所の交付金の場合、その必要性が高いということで設けておるものでございます。

木下委員 ありがとうございます。

 原子力以外の部分といったところを考えたときに、いろいろな発電施設に対する交付金という形で使われているんだと。

 そこで、話がちょっとずつシフトしていくんですけれども、今回の電力システム改革というところで電力自由化ということがうたわれている。新たな参入事業者の発電施設についても、こういう同様の措置が考えられるのかということなんですけれども、そこについてはいかがでしょうか。

糟谷政府参考人 電源立地促進対策交付金ということで、地熱につきましては出力が一万キロワット以上のものについて、それから、水力発電については出力が一千キロワット以上の発電施設について対象となっております。

 これはいずれも、着工しましてから、運転から五年間にわたって交付をされるというものでありまして、今後、新規に地熱もしくは水力でこの対象となる発電所を設置される方については、同様の交付金の対象になるというふうに考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 そこで、考えられることなんですけれども、自由化ということで、理想をいえば、新たな新規参入者がどんどん出てきて競争が激化する、需要家の方に利益がちゃんと還元されるようにしていくということが一つだと思うんです。

 そうなったときに、一々というふうに言ったらあれですが、当然のことながら、ある程度の規模がないとこの交付金は適用されない形だと思うんですけれども、新たにどんどん出てきたときに、それに対して経済産業省として対応できるのかということも一つしっかり考えていかなきゃいけないことだと思うんですね。

 大臣、ここが私、実は重要なことかなと思っておりまして、ある程度、競争を助長するような形のことをやっていかなきゃいけない。ただ、そのときに、地域の住民に対して影響があるからということで交付金も計上していかなきゃいけない。

 ここのバランスがうまくとれないと、ある一定の地域、この地域については土地がたくさんあるからどんどん新しい事業者が入ってきて、そこに対して交付金が支払われるという形のこと、それから、経済産業省の中の人員も含めて、これをうまくコントロールしていかないとバランスがとれなくなっていくんじゃないかなというふうに思っておりまして、その辺、今すぐにどうこうしろという話ではないんですけれども、私は非常に懸念しております。

 その点について、大臣、何か御見解があればお願いいたします。

茂木国務大臣 再生可能エネルギーの導入拡大に向けて万全の体制で臨んでいきたい、そんなふうに思っております。

 そして、例えばエコポイントのように、一般の消費者が買って、それについてさまざまな補助がつくとかいうことに対する対応と、発電事業者の数というのは若干オーダーが違うと思います。

 いずれにしても、今後の伸びをしっかり予測しながら、体制整備もしてまいりたいと考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 この件についてはほとんどこれだけなんです。先ほど数字についてお話しいただいたんですけれども、なかなかこの数字が出てこなかったんですね。

 例えば、もともとの部分に返ってみて、会計検査院の報告書を見ても、指摘しているのは、整備資金についての積立金額が大きい、だから、それを削減しましょうよ、それを圧縮しましょうよというふうな指摘なんです。これは、ここで言ってもしようがないのかもしれないですけれども、会計検査院の報告は、そういうふうに書いておきながら、整備資金の積立残高については表記されていないんですね。

 何が書いてあるかというと、今までの交付実績額と、整備資金から立地交付金に充当された額だけが書いてあって、指摘していることと出していることがちょっと矛盾していて、何でこうなっているんだろう、果たして整備資金は幾ら残高があるんだろうということがなかなかわからなかった。経済産業省の担当の方々にちょっといろいろ調べてもらったんですけれども、きのう、昼からその話をしていて夜までかかってようやく出てきたということなのです。特にこれは指摘を受けていることなので、今後ある程度しっかりと数字を把握しておいていただければなというふうに思っております。ありがとうございます。

 次の質問に移ります。

 電力システム改革についてということで、大臣、何度も御答弁いただいているかと思うんですけれども、最終的には、二〇一八年から二〇二〇年に法的分離の方式によって送配電部門を分けていくんだ、中立性を一層確保するというふうな形のことをお話しされていて、この件については、ぜひぜひ早く、二〇二〇年、かかるかもしれない、ただ、慎重にやっていかなきゃいけないので時間がかかるのはやむを得ないというお話だったかと思います。ただ、できる限り早くやっていただきたい、これは要望させていただければというふうに思っておるんです。

 そこで、自由化について少し突っ込んでお話をさせていただきますと、新規事業者の参入となって競争政策をとるというふうになってくる、そのときに考えられるのが外国の事業者の参入についてだと思っております。それ以外に、海外で発電されていた電力の取り込みなどについても、ちょっとこれはしっかりと考えていかなきゃいけないのかなと思います。

 過去、平成二十年に、電源開発株式会社、Jパワーの発行済み株式の二〇%をケイマン諸島の投資ファンドが買いたいと言ってきた、それについて、事前にこれは外為法で届けなきゃいけないことになっているので、そこで内容が審議されて、結局は株式の取得は認められないというふうな話になったと聞いております。その際、その一つの理由として言われているのが、公の秩序の維持を妨げて、または公衆の安全の保護に支障を来すというふうなことについて審議をされていると。

 この電源開発というところは、原子力発電の施設だけじゃなくて核燃料サイクルの部分についても関与しているという形で、これはもう公の秩序を妨げるんだというふうなことについて審議されて、出資はだめよと言われたのは正しいと思っているんですね。

 ただ、この観点、公の秩序の維持というふうなものがないもの、例えば全然原子力と関係ないというものだった場合に、日本に外資が入ってきて、そこが発電施設をつくって発電して電気を売りますよとなった場合、これは容認するんでしょうか。

茂木国務大臣 電気事業への外資の参入につきましては、従来から外為法に基づき、委員御指摘の、公の秩序の維持を妨げるおそれがないかどうか、電気事業でいいますと、我が国の電気の安定供給の確保に支障を生ずることがないかどうか、こういった観点から個別に審査を行うことになってまいります。

 電力システム改革の目的は、電気の安定供給の確保、そしてまた電気料金の最大限の抑制、さらに需要家の選択肢、そして事業者の事業機会の拡大、こういった点にあるわけでありまして、これらの目的を実現するためには電気事業に多様な事業者が参入することが重要でありまして、その参入する主体が外資であることも想定されるわけであります。

 ただ、過去におきまして、委員も御指摘のように、海外のファンドによります電源開発株式会社の株式取得について、外為法に基づいて、例外的に中止命令を行った事例もあります。

 電力システム改革を行った後においても、我が国の電気の安定供給の確保などの観点から問題がないと認められる限りは、引き続き多様な事業者の参入を認める方向で考えたいと思っております。

木下委員 これなんですけれども、今の時点では、外為法に基づいて、ある程度中止命令なんかができるというふうに書いてあるんです。外為法の中に、対内直接投資というものについては、事前の届け出があって、公の秩序が保たれるような形のものだったらいいというふうに書いてあるんですけれども、これから先、それでは対応できないものが出てくるんじゃないかなと思っているんです。

 例えば、対内直接投資を伴わない、周辺国企業が海外から海底ケーブルを通じて日本に送電するといった場合は対内投資にはならないと思っているので、今の考え方は、外為法で全て対応していくというのは、これから先、なかなか通用していかないんじゃないかなというふうに思っております。

 それ以外にも、考えられることとして、例えば、お隣の韓国。韓国は、原子力発電をどんどん進めているということなんですけれども、彼らが日本に対して電気を売りますよといったとき、対内投資は当然ないです。しかも、彼らは原子力を使った原子力発電の電気をこっちへ送ってくる。ただ、日本は何を言っているかというと、脱原発依存をこれから先考えていくんだというふうに言われている。そんな中で、お隣の韓国で発電されている、しかも原子力発電の電気を買っていくことについて、これは今の法律の範囲内で制限するのはなかなか難しいんじゃないかなと思っております。

 それから、それ以外にもいろいろ考えられて、海外のファンドだったり、海外の資金が日本に入ってくる、もしくは海外の事業者が発電をして送ってくるというのがだめだというんだったら、例えば周辺国に日本企業が一〇〇%出資の発電設備を設置して送電した場合、一つ懸念されることは何かというと、政情の不安であったりとか情勢が悪化したときに、とまってしまう、送電されないということも考えられると思うんですね。

 そうやったときに、どこまでの規定をしていくのかということは今ある程度論じられるべきなんじゃないかな、それをやりながら電力の自由化ということをしっかりと考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思っております。

 例えば、海外からの電気が突然遮断されたとしても、ふんだんに電力を、ちゃんと発電所を持っているよという状態をつくっていれば余り問題にはなってこないかなと思っているんですけれども、ただ、そうはいいながら、ある程度の線引きをしっかりとこれから先論じていかなきゃいけないんじゃないかと思っております。

 その点について、大臣、一言御見解をいただければと思います。

茂木国務大臣 電力につきましては、いかなる事情よりも、やはり安定的な需給体制をつくっていくことが必要だと思っております。また、日本におきましては、それが良質な電源であるということが極めて重要だ、そんなふうに考えております。

 想定されることはありますけれども、安定的な電源を確保するということになりますと、では、海外からどこまで物が買えるかということを考えたときに、それは、政治的なリスクもあります、技術的なリスクもあります。そういったことも考えて、それが安定的な電源となり得るかどうか、こういう判断は必要だと思っております。

 同時に、確かに、海外で発電して発電コストが安いという場合もありますけれども、送配電網を張りめぐらせて、それを持ってきたときのコストということを考えると、コスト競争力が決定的に高いという状況には、少なくとも現在はないと思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 今の時点ではそうなのかもしれない。ただ、今後、新たなイノベーションが起こったときに、やはり、送配電コストという部分が低減されてくる可能性はあると思っておりますので、しっかりとこの辺、検討いただければと思います。

 最後に、それに付随してなんですけれども、海外とは関係なく、要は、安定的な電源が供給されることという、もとがちゃんとなっていないといけないんだと思うんですけれども、そのときに利用できるのは何かというところで、一つ、ちょっときょうは本当はスマートメーターの話もさせていただきたかったんですね。

 具体的なことは今度またお話を聞かせていただければと思うんですけれども、今の時点で、やはり、そのスマートメーターを使って、買うところをちゃんと決めていってやる、買うもとを、どこから買えるんだということを需要家の方がしっかりと選別できるようなことを考えていかなきゃいけない。

 二〇二〇年代の早いうちにちゃんとやっていくんだというふうに言っているんですが、これは前回もお話しさせていただきましたが、海外ではもう既に始まっているんだ。

 それで、今日本は何をしているかというと、インターフェースの規格がちゃんと決まっていないからできませんというふうに言っているんですけれども、インターフェースの規格が、また日本独自のものをつくっていくと、もう本当に携帯電話と一緒でガラパゴス化していってしまうという懸念もあると思うので、これはまたゆっくりと質問させていただければと思います。

 その点について一言だけ、何か今の状況について最後にお話しいただければと思います。

糟谷政府参考人 スマートメーターの規格について、まさに、ガラパゴス化はもう絶対避けなければいけないと思っております。

 その意味で、東京電力が昨年から、スマートメーターの規格について、外部の提案を聞きながら規格を定めております。これを我々も非常に注視し、適宜助言をしておるところであります。

 その中で、内外のいろいろな事業者の方がつくれるような規格ができていき、それに従っていろいろな方が参入をして、少しでも安い価格でスマートメーターの導入が進むということを期待しております。

 具体的に、政府としても、計量法の検定手数料を下げたりということを去年の七月にやりました。

 また、きょう付で、計量法の解釈通達を出す予定にしております。これは、スマートメーターに内蔵されるチップを書きかえる、ソフトウエアを書きかえるということが計量法の改造に当たって、改めて検定を行う必要があるんじゃないか、こういう御疑念がありましたので、そうではありませんということを明らかにさせていただきます。

 そういうことを通じて、少しでもスマートメーターの円滑な普及に努めてまいりたいと思っております。

木下委員 終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、福島第一原発における地下貯水槽からの汚染水漏れ問題について質問をいたします。

 この間、トラブルが相次いでいるのが福島第一原発で、仮設配電盤のショートによる使用済み燃料プールの冷却中断、さらには今回の、地下貯水槽から放射能汚染水が漏れ出すという問題がありました。

 これは、東電の責任とともに、原子力規制委員会、そして経済産業省の責任も問われる問題であります。ひいては事故収束のあり方が問われる問題、この立場で質問をいたします。

 最初に確認をいたしますが、この地下貯水槽からの汚染水漏れの現状と原因について、お願いいたします。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 福島第一原子力発電所の地下貯水槽からの漏えいの経緯でございますけれども、まず、四月五日に、ナンバー2と呼ばれます地下貯水槽におきまして、汚染水の漏えいが確認をされてございます。それから、翌日の六日でございますけれども、今度はその隣にありますナンバー3の地下貯水槽で汚染水の漏えいが確認をされました。さらに、先ほど申しましたナンバー2の地下貯水槽から漏えいが確認されておりましたので、あいておりましたナンバー1の地下貯水槽の方に移送をしておりましたけれども、四月九日に移送先のナンバー1の地下貯水槽においても漏えい、放射性物質が検出された、こういう経緯のものでございます。

 原因につきましては、私ども規制委員会、規制庁としましても、四月七日に、原因究明について検討するようにという指示はしているところでございますけれども、現在、東京電力において調査中でございまして、具体的な原因はまだ明らかになってございません。東京電力の原因調査について、規制委員会といたしましても、しっかり中身を確認し、しっかり行うよう指導していく、こういうことを進めたいと思っております。

塩川委員 一号、二号、三号基で汚染水漏れが起こる、その原因については現時点で明らかになっていない。改めて、事故が収束していないということが浮き彫りとなりました。七カ所ある地下貯水槽全てに汚染水漏れが起こるのではないかということが危惧される事態であります。

 そこで、そもそもこういった施設をつくるに当たって国も関与してきているわけですが、この地下貯水槽の設計寿命、耐用年数は何年か、この点についてはどのように東電から話を聞いているのか。

高原政府参考人 東京電力からは、地下貯水槽につきまして、通常、約二十年間使用可能と評価していたということを聞いております。

 以上でございます。

塩川委員 資源エネルギー庁から、東京電力の資料として、貯留タンクの設計寿命、耐用年数というペーパーをいただきました。これを見ますと、地下貯水槽については、当社、東電ですね、当社による劣化評価の結果、適切に管理を行うことで少なくとも十年以上使用可能ということも書かれております。今、二十年というお話がありました。しかし、実態は、水を入れたらすぐ漏れてしまったということであります。こういう点でも、こういった東電の計画について認めてきたのが国の問題として挙げられるわけであります。

 あわせて、鋼鉄製タンクの設計寿命、耐用年数というのはどうなっていたかわかりますか。

高原政府参考人 おおむね五年と聞いておりました。

 以上でございます。

塩川委員 この東電提出、エネ庁からいただいた資料でも、鋼鉄製タンクについては、耐用年数は、十年以上使用可能といいながら、ゴムパッキンの耐用年数が五年程度ということも挙げられているわけであります。

 そういう鋼鉄製タンクの耐用年数、今のようなお話ですが、本当に大丈夫なのか。そういう点について、今、実態がどうなっているか、はっきりとつかんでいるんでしょうか。総点検も必要だと思うんですが、その点はいかがですか。

高原政府参考人 ゴムパッキンの耐用年数は五年程度でございますけれども、耐用年数以降につきましては、接合部、外面の漏えい防止措置などによりまして耐久性を確保することといたしておりまして、当時、原子力安全・保安院がこれを確認したところでございます。

 今後も定期的に点検、補修を行うことによりまして、当該接合部も含めましてタンクの耐久性に問題がないことなどを確認いたしまして、汚染水の管理に万全を期してまいりたいというように考えております。

 以上でございます。

塩川委員 鋼鉄製タンクの実際の漏えい状況がどうなっているのか、こういうことについての点検というのは、規制委員会、あるいは事故収束にかかわる経産省としてきちっと行っているんでしょうか。

山本政府参考人 タンクにつきましては、先ほど御指摘のありましたように、鋼製のタンクでございまして、特にその接合部の経年劣化が非常に心配されるところでございますから、したがって、タンクの貯留状況、そういったものを東京電力にしっかり監視させるというのが基本でございます。

 私どもの規制委員会としましても、東京電力の監視状況、適切に行っているかどうか、こういったものを確認しておるところでございます。

塩川委員 改めて、こういう地下貯水槽の問題が起こっているわけですから、鋼鉄製タンクの現状についてどうかということを確認する指示とかというのは出されているんですか。

山本政府参考人 点検の実施に加えまして、もちろん経年的な劣化も想定されますから、そういう経年劣化を踏まえた保守管理、こういう計画を東京電力でしっかりつくらせて、それで対応する、こういう指示をしておるところでございます。

塩川委員 この間、事故収束、それから廃炉に向けた中長期ロードマップもつくられ、これも踏まえた経済産業省の原子力安全・保安院としての中期的安全確保の考え方が示されて、これに基づいて東電としての実施計画などもつくられてきているわけであります。そういう点でいいますと、これらの施設について、地下貯水槽や鋼鉄製タンクの耐用年数などについても認めてきたのが経済産業省の原子力安全・保安院だったわけであります。その点での責任も問われてくるわけです。

 この東電の計画に対して当時の原子力安全・保安院が評価を行っているわけですけれども、それを見ますと、この地下貯水槽の構造強度について、地下雨水貯留排水設備、あるいは管理型の廃棄物最終処分場との比較で評価を行っております。つまり、水漏れしても汚染が直接問題とならない洪水調整用の地下雨水貯留排水設備や、固形物を入れる管理型廃棄物最終処分場と同様の遮水シートで対応することを、信頼性を有するといって評価したのが経済産業省の原子力安全・保安院だったわけであります。

 こういった経済産業省原子力安全・保安院の対応というのは適切だったんでしょうか。

山本政府参考人 当時の規制当局でございました原子力安全・保安院の評価並びにその対応については、今現在、原子力規制委員会の方で引き続いて対応させていただいております。

 御指摘のように、当時の原子力安全・保安院では管理型の貯水槽の技術などを参考に評価がなされたものと承知をしてございますけれども、委員御指摘のように、今回こういう漏えいが起きているということになってまいりますと、やはり設計上の問題あるいは管理上の問題、施工上の問題があったのではないかと考えられますので、そういった技術的な問題点については、これから原因究明をしっかり行うことによって、技術的な課題、問題点を明らかにして対応していきたいというふうに考えておるところでございます。

塩川委員 もともと、原子炉等規制法の六十四条にあります危険時における応急の措置に基づいて、経済産業省原子力安全・保安院は中期的安全確保の考え方を示し、法律上の要求は満たさないけれども、応急の措置として、地下貯水槽の設置等々、東電としての計画の提出を求め、それらの施設の設置について容認をしてきたわけであります。

 一昨日、原子力問題調査特別委員会では、国会事故調の元委員の方の参考人質疑が行われました。そこでは、大熊町の商工会の会長で、フラワーショップを経営しておられた蜂須賀礼子さんも意見陳述をしておられました。

 蜂須賀さんは、毎日報道される原子力発電所のトラブル、事故原因があやふやにされた中でのトラブル、何一つ私たちの心に安心がありません、電力会社においては、トラブルが起きるとただ謝るばかり、二年たっても全て仮設設備、なぜに本格的な整備、設備ができないのでしょうか、私たち避難者は、国の命令で避難させられました、国民の命を守るための命令ならば、今の電気事業者の危機管理の甘さに対しても強い命令を出すべきだ、このように述べておられました。

 茂木大臣にお尋ねいたします。

 事故から二年もたつのに、事故収束対策、安全確保対策を応急措置のままにしてきた、これが今回の事態になっているんじゃないのか。また、その対策を東電任せにしてきたということが今回の事態につながっているのではないのか。この点についての大臣の認識を伺いたい。

茂木国務大臣 福島第一原発におきまして、汚染水の漏えい、そしてまた電源を一時失う、こういった事故、トラブルが相次いでいることに加えて、貯水槽の水位の低下の報告であったり、その対応がおくれるなど、東京電力の対応がこれまで後手後手に回ってきたことについては極めて遺憾だと思っております。

 このような状況を踏まえまして、一昨日、私から広瀬社長に対しまして直接、社長自身が陣頭指揮して、全社一丸となって事態の収拾、再発防止に向けてしっかり取り組むよう指示をしたところであります。

 具体的に四点申し上げました。その一つは、電源の多重化など機能喪失を起こさないための体制の構築、そして二つ目は、汚染水を外部に漏らさないための万全な対策の措置、三つ目は、今回の汚染水の周辺環境への影響に加え、中長期的な汚染水の管理、貯蔵に係る取り組みについての専門家による検証、四番目が、海外専門家による助言を踏まえた検証と結果の公表、さらには国際的な共有ということであります。

 そして、地下の貯水槽の汚染水、実際に水漏れが起こっているわけであります。今後はこれを地上の鋼鉄製のタンクに移送する、一号から七号まで全て含めて、今入っている一、二、三、六も含めて移送を進めるという方向で東電に指示をいたしております。当面の対策としてはそういうことであります。

 ただ、中長期的な対応につきましては、地下水の流入の抑制、そして最終的には阻止をしていかなければならない。さらに、放射性物質を可能な限り除去してタンクに管理、貯蔵するための多核種除去装置の早期稼働、そして多核種除去装置でも除去できないトリチウムをどのように処理するかの課題に対応する必要がある、こんなふうに考えております。

 やってきたこと、振り返ってみまして、リスクに対する考え方、こういったところに私はやはり甘さがあったのではないかなと思っております。そうならないように万全の指導を行っていきたいと思っております。

塩川委員 事故の対応について東電は後手後手だったという話がありました。

 最後におっしゃった、リスクに対する考え方に甘さがあったというのは、東電に甘さがあったのか。私は、経産省そのものに甘さがあったんじゃないのか、事業者任せにしたということもあり、何よりも、応急の措置のまま二年間ずっと推移してきた、そういう経済産業省を含めた国の対応に問題があったのではないのかと考えますが、その点はいかがですか。

茂木国務大臣 当省としてとり得べき対応、これからも万全の体制で、今まで以上の緊張感を持って臨んでいきたいと思っております。

 ただ、安全性の評価、これを一義的に行うのは規制委員会であります。そのことはぜひ御理解ください。

塩川委員 もともと、事故収束、廃炉に向けての取り組みは経産大臣自身も副責任者ですから、大きな役割を果たしているわけで、そういう立場でこれまでの国の対応がどうだったかということが問われているわけであります。

 先ほど馬淵委員とのやりとりでもありましたけれども、もう東電任せにしない、そういう点でも、国が前面に立ってやるべきことは全てやる、こういう立場で臨むというお考え、対応、それでよろしいんでしょうか。

茂木国務大臣 廃炉に向けたプロセス、そしてこういった地下水の問題、国としてやるべきこと、前面に立って対応していきたいと思っております。

塩川委員 先ほどの馬淵委員とのやりとりの中で、大臣が、地下貯水槽の汚染水、これが入っているものは全て鋼鉄製のタンクに移送する、鋼鉄製のタンクの建設も前倒しをし、今後、地下貯水槽は使わないというお話をされておられました。当然の措置だと思います。

 その際に、五月中に地下貯水槽から汚染水を移すというふうにおっしゃったと私は受けとめたんですが、大臣は、その後のやりとりでも、放射性物質が漏出して地下水とまざっている可能性は否定できないということもおっしゃっておられたわけです。そうしますと、汚染水が地下水とまざっている可能性が否定できないのであれば、五月中と言わずに、もう直ちに地下貯水槽の汚染水の移送ということを行う必要があるんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

茂木国務大臣 対応について若干整理して申し上げますと、まず、地下貯水槽第一と第二の汚染水が合計で今七千立米あるわけでありますけれども、これは速やかに鋼鉄製の地上タンクに移送させる。作業はもう始まっていると思います。そして、地下貯水槽第三と第六につきましては、当分の間、監視強化を継続いたします。しかしながら、万が一、何らかのトラブルがあった場合にも即時に鋼鉄製タンクへの移送が可能となるように、早急にタンクの増設を進めるよう指示をいたしました。

 それで、五月中には、全ての地下貯水槽の中の汚染水、つまり三と六の話でありますが、これが万が一の際にも鋼鉄製タンクに余裕を持って貯蔵できるよう地上のタンクを増設させて、その後は地下貯水槽は使用しないこととするということでありますから、今、汚染水が出ている一、二につきましては、タンクの容量に余裕がありますから、すぐに持っていきます。そして、三と、二から六に移した部分が二千ぐらいあります。この部分につきましては、まず監視をします。監視をしますけれども、基本的には移します。これは、タンクができていなかったら移しようがありませんから、タンクができた順に速やかに移していきます。

塩川委員 馬淵委員とのやりとりで、馬淵委員が政府内で収束作業に当たっていたときに、東電に遮水壁の建設を要求すると、決算もあるのでということで渋ったというやりとりがありました。これが事実であるとしたら非常に重大だと思っております。

 つまり、事故収束作業を事業者に任せるということは、一刻も早い事故収束や安全確保策よりも、その事業者のコストを優先するという事態も招くことになりかねない。そういう点でも、事業者任せにせず、国が責任を持って対処する必要がある。これこそ今求められていると思うんですが、その点について大臣から一言いただいて、終わりたいと思います。

茂木国務大臣 この問題、安全性の確保を第一に取り組みたいと思っております。

塩川委員 終わります。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘でございます。

 先日、サッチャー元首相が亡くなりました。改めて言うまでもありませんが、サッチャー元首相は小さな政府を唱え、電話、ガス、空港、航空、水道等の国有企業の民営化、規制緩和を断行した、それを踏まえてイギリス経済を立て直したというふうに言われております。

 この方の政策、みんなの党の政策とも近いというふうに考えておりますけれども、アベノミクスの三本目の矢、これにも近いものがあるのではないかというふうに考えております。また、フォークランド紛争での対応というのも示唆に富むというようにも考えております。私は、サッチャー元首相が現役のころ、イギリスのロンドン近郊に住んでいたということもありまして、個人的にも思い入れの深い方でございます。

 済みません、これは質問通告にはなかったんですけれども、まず、茂木大臣から見て、サッチャー元首相の業績についての評価を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 外交面、そしてまた経済の立て直し、行政改革等々にすぐれたリーダーシップを振るわれた、鉄の女と呼ばれた、本当に歴史に名の残る政治家だ、そんなふうに思っております。

 サッチャリズムという言葉はありましたが、こういう個人の名前が政策につく人というのは珍しいんです。私の思いつくだけでも、サッチャリズム、それからレーガノミックス、それともう一つがアベノミクス、この三つぐらいではないかなと思います。(三谷委員「わかりやすい答弁をありがとうございました」と呼ぶ)

富田委員長 委員長の許可を得てから質問してください。

三谷委員 はい。

 ぜひとも、後世から見て非常に評価される政策として、アベノミクスも進めていただきたいと思います。

 それでは、通告の順番をちょっと変えまして、コンテンツの振興から伺いたいというふうに思います。

 先日の本委員会の中での質問において、海外におきまして日本のコンテンツが甚大な被害を受けているというような答弁をいただきましたので、それについて質問いたします。

 まず、海外において、漫画やアニメ、こういったものの海賊版がインターネット等々を通じて流通してしまっているということが非常に見受けられるところではございますけれども、アニメと漫画というのは全く状況が異なります。

 アニメというのは、著作権法上でいうと、映画製作者という方が全ての権利を持つことができる。これは通常の場合は会社です。これに対して漫画というのは、原作者、個人が基本的に著作権を持つ中で権利侵害に対応していかなければいけないというような状況でございます。こういった海賊版に民事上の法的な措置を講じていく際には、原作者みずからが権利を行使しなければいけない。

 しかしながら、これは実は、漫画の原作者にとってみれば非常にハードルが高いというところもございます。海外の法廷に行かなければならないかもしれないと思うと、二の足を踏んでしまうというのが実情でございます。そういった後ろ向きのことに手を焼くよりは、前向きの新しい創作活動に励んだ方が得だといって、そういった海賊版への対策がおくれてしまうということも往々にして見られるところではございます。

 こういった場合に、漫画原作者が動かなくても、例えば出版者自身が権利行使をするなどの制度をつくるということは、本当の意味で権利侵害に対応していくためには不可欠なことだというふうに考えておりますけれども、このような制度を構築していく、そういったものを検討していくというような予定がございますでしょうか。お伺いしたいと思います。

作花政府参考人 お答え申し上げます。

 現行著作権法では、漫画などにつきまして著作権侵害があった場合、著作権者は訴えることができるわけでございます。また、契約によって特別に出版権というものを設定している場合は、その出版者がみずから訴えることができる、つまり訴権が付与されるわけでございます。ただ、先生が先ほど御指摘のとおり、単に出版の許諾を得たにすぎないもの、つまり単なるライセンシーの場合には、その出版者はみずから訴えることができない、こういう状況にございます。

 また、先ほど申し上げた現行の設定出版権につきましては、印刷媒体、紙の出版物を前提に規定されておりますので、今日普及しております電子書籍への対応とか、あるいはネット上の海賊版への対応ということが問題になるわけでございます。

 そういったところから、近年、超党派の議員の先生方や出版業界の方々で構成する印刷文化・電子文化の基盤整備に関する勉強会、あるいは日本経済団体連合会などから、この電子書籍に対応した出版権の整備を急ぐべきではないか、このような御提言を受けているところでございます。

 そういったことも踏まえながら、文部科学省といたしましては、近々、文化審議会著作権分科会におきまして、出版者への権利付与等についてどのような方策が妥当であるのか、検討してまいりたいと思います。

 なお、一言付言させていただきますと、海外における著作権侵害への対応につきましては、基本的には、侵害行為地における法律に基づくということが国際私法上の原則となっております。したがいまして、国内法の整備だけではやはり対応に限界があるということは認めざるを得ません。このため、今後とも、著作権者と出版者が協力して対応していくことが重要なことと考えております。

三谷委員 ぜひともその検討を進めていただきたいというふうに思います。

 続いて、前回の質問の際に明らかになりました、アメリカ及び中国におきまして、司法機関が日本のコンテンツを保護するために侵害者の逮捕等を行ったというような事例を、日本政府においては把握していないということでした。これにつきまして質問いたします。

 政府といたしまして、日本のコンテンツをアメリカ、中国において保護するように働きかけを行っていくという取り組みについて、教えていただきたいと思います。

作花政府参考人 お答え申し上げます。

 著作権の国際的な保護についてでございますが、我が国や、先ほど先生が御指摘の米国、中国を含め、今、多数の国が、著作権に関する基本的な国際条約でありますベルヌ条約というものに加入しております。この条約は一世紀以上の歴史を有するものでございます。

 また、今日のデジタル化あるいはインターネットといったものに対応しまして、一九九六年にはWIPOインターネット条約というものが制定されております。

 このWIPOインターネット条約というのは、詳しく言いますと、著作権に関する世界知的所有権機関条約、これはWCTと略称しております、それから実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約、これはWPPTと言っていますが、こういったものに加盟しているわけでございます。とりわけ、WCTの第十四条及びWPPTの第二十三条におきましては、締約国は、この条約が対象とする権利の侵害行為に対し効果的な措置がとられることを可能にするため、権利行使を確保するための手続を国内法において確保する、こういったことが明記されているところでございます。

 さらに、一九九四年に制定されましたWTOを設立するマラケシュ協定附属書一Cの知的所有権の貿易関連の側面に関する協定、これは通称TRIPs協定というふうに呼んでおりますが、この協定におきましては、民事及び刑事上の権利行使、エンフォースメントについての詳細な規定が設けられているところでございます。

 したがいまして、基本的には、これらの条約の加盟国においては、条約の規定に基づいて、適正に著作権侵害に対する措置が講ぜられるべきものと考えているわけでございます。

 その上で、とりわけ中国を含むアジア諸国におきましては、我が国の著作物に対する侵害事例というのが多数発生しているという状況にございますので、これまで、二国間協議の活用や、経済産業省、文化庁の呼びかけにより民間で設立されました、コンテンツ海外流通促進機構を通じた働きかけというものを行っているところでございます。

 特に、中国とは、中国国家版権局との間で平成十五年から継続的な協議を実施してきております。そして、平成二十二年三月には文化庁と中国国家版権局との間で覚書が締結されたところでございます。

 このように、これまでも、政府間協議であるとか、民間の権利者団体への支援を通じまして、我が国の著作権の適切な保護に努めてきたところでございますが、今後とも、我が国の著作権が適切に保護されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

三谷委員 そういった条約が存在するということはもちろん存じ上げている上で、追加でお伺いしたいと思っているんです。

 アメリカにおいて日本の著作物が侵害されているというような例が、それもアジアに比べると少ないというような御趣旨なのかもしれませんけれども、あることは事実だと思います。

 これは実は、後でまたTPPについてお伺いするんですけれども、ここだけ特出しで伺いたいと思っております。

 TPP交渉の一つのテーマに知的財産権というのが入っております。その中で、アメリカが日本に対して著作権の非親告罪化を求めているというようなことが報道ベースで言われているところでございますけれども、もしこれが仮に事実であるとすれば、日本もしっかりと言うべきことは言っていかなきゃいけないんじゃないかということを考えているわけでございます。

 何を言いたいかと申しますと、非親告罪にせよということは、アメリカの著作物をしっかりと保護せよ、アメリカの権利者が告訴をしないでも日本の司法官憲は動くべきだというようなことだとすれば、逆に今、アメリカはもう既に非親告罪の国になっています、日本の権利者がどうこう言う以前に、アメリカの司法官憲、著作権法につきましては連邦法でございますから、FBIが動いて日本の権利を保護するようになっているのかどうかということが、一つ考えていかなければいけないことじゃないか。

 要は、日本が非親告罪ということにするとすれば、もちろん日本人は真面目ですから、そういったことをやれば司法官憲がしっかりと動いていくということになるかもしれません。しかしながら、アメリカについてもっともっと言うべきことを言っていく、もともと非親告罪ということであれば、日本の権利をアメリカで保護するようにもっと動いてしかるべきじゃないかと訴えていただきたいと思うんですけれども、これについて政府の御見解はいかがでしょうか。

作花政府参考人 TPP交渉におきまして、知財条項がいかなるものになるのか、現段階では我々も具体的なところは承知しておりません。ただ、先生御指摘のとおり、報道等によれば、そういった非親告罪化ということも一つの検討課題になっているということは聞き及んでおります。

 したがいまして、今後、TPP交渉に参加した際、知財交渉で、アメリカ側から権利強化という事項が含まれているとすれば、我が国としても、我が国の著作物をちゃんと皆様も守っていただきたいということを申し上げるのが当然のことと考えております。

三谷委員 ありがとうございました。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 今、この四月一日からですか、「ドラゴンボール」の新作の映画が公開されております。「ドラゴンボール」というのは一つの例でありますけれども、連載が終わっても人気がある、そういったコンテンツの場合は続々と続編がつくられていくというような形になります。続編をつくるということは、力のあるコンテンツを有効利用していくという意味では、非常に奨励こそすれ、これを制限していくべきものではないということは衆目の一致するところではないかと思います。

 同一のキャラクターを用いて新たな創作を行っていく、続編をつくっていくということについては、著作権法的には原著作物の翻案に該当するというふうに解されるところでありまして、これは著作者人格権という観点からいけば、同一性保持権の問題というふうになり得るところでございます。

 原作者が存命中の場合は、続編をつくりますよといったときには、本人の、原作者の同意を得ていけば全くもって問題ないというところではございますけれども、仮に原作者が亡くなった場合、今の著作権法によれば、著作権法六十条によって著作者人格権の保護が続いていくということになりますから、続編をつくり続けていくことができるか否かというのは必ずしも明らかではありません。

 アメリカでは、アメコミというものが広まっていますけれども、こういったものを描いている人については、基本的に職務著作という処理がなされる場合が多いということですから、個々人のアニメーターやクリエーターの人格権が問題になるような場合は少ないところではございますけれども、純粋に産業政策ということで考えたら、こういう制度の方がそういったクリエーターの方が亡くなった後も使い勝手がいいという意味では、すぐれていると評価できるところではあるかと思います。

 そこで、ぜひともお伺いいたします。

 今の日本の制度で、原著作者が亡くなった場合、人格権の問題でコンテンツの利用に制限がされるということについて、どのように避けていくのか。今、漫画の原作者が徐々に高齢化しているところでございますから、急ぎ検討するべきことだと思いますけれども、これについてどのような解決、そして対策を講じようとしているのか教えてください。

作花政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の著作権法では、先ほど先生が御指摘のとおり、第六十条で、著作者が存しているとしたならば、その著作者人格権の侵害となるべき行為を死後においてもしてはならない、こういうことが規定されております。これは我が国固有の規定ではなくて、著作権の基本条約であるベルヌ条約上の義務でもございます。

 ただ、どのような場合に人格権侵害となるかという判断要素などにつきましては、六十条ただし書きにおきまして、行為の性質や程度、社会的事情の変動その他によりその行為が著作者の意を害しないと認められる場合には違法とならない、こういうことが規定されておりまして、これらの判断要件のもとに、個々の事案に応じながら裁判所が判断すべきもの、こういった立法趣旨になっているわけでございます。

 やはり人格権の問題でございますので、法があり、裁判所が事案に応じて判断する、その構造の中では、なかなかこれ以上に行政府が関与するということは難しいのかなと考えております。

三谷委員 結局は、個別の事案によって判断していかなければならないということになりますと、あらかじめ、どのようなコンテンツをどのように使っていくのかを考えていくというのもなかなか難しいということになりかねません。まさに今おっしゃった、法律そのものがこれからの日本の力のあるコンテンツの利用を妨げていくかもしれないような仕組みになっているということですので、ぜひとも、その点をどう乗り越えていくのかにつきまして、政府の御見解を伺いたいと思います。

作花政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、著作者存命中のものでもそうなんですけれども、やはりコンテンツ産業という面から見ると、著作権法に、財産権だけではなくて著作者人格権、とりわけ公表権、氏名表示権のほかに同一性保持権、つまり改変してはならない、そういうことが人格権として定まっているものですから、なかなか産業面だけからすると使い勝手が悪いという声は私どもも承知しております。

 ただ、いかんせん、この人格権を保護する義務というのは、先ほど申し上げたとおり、条約上の義務でもございますので、コンテンツ産業がよりコンテンツをつくりやすくするためということだけで、我が国がそこを何らか行使を難しくするような、そういった対応というのは難しいかなと思っております。

三谷委員 この問題につきましては、また引き続き伺っていきたいと思います。

 続きまして、コンテンツにかかる消費税の問題について伺いたいと思います。

 コンテンツの振興ということを考えた際には、同じコンテンツが違う値段で取引されている場合には、安いものの方が力を持つというのは当然のことかと思います。従前から問題提起されておりますとおり、例えば、楽天で音楽をダウンロードするというような場合には消費税がかかる、一方で、アマゾンでダウンロードするというような場合には消費税がかからない。同じものをダウンロードしていくということについて、どうしても日本の業者の方が競争力が下がってしまう。

 しかも、アマゾンでダウンロードして、アマゾンにお金を払ったとしても、その法人税は日本に払われないというような状況の中で、日本のコンテンツの振興を所管される経済産業省といたしまして、今の状況についてどのように捉えられているのか、お答えいただきたいと思います。

平大臣政務官 日本国内において、インターネット上で音楽、電子書籍等のデジタルコンテンツを購入する場合、今委員がおっしゃったとおり、販売事業者が海外企業の場合は消費税が課せられません。日本企業の場合は課せられるという状況になっております。

 このため、同一のコンテンツを扱う販売事業者であっても、販売事業者が海外企業である場合の方が安く提供することになり、不公平な競争環境であると言わざるを得ないと思っております。

 経産省では、こうした事態を解消するため、海外企業に対して税務当局への登録を義務づけるという欧州の取り組みを参考に、内外問わず消費税を課すための新たな仕組みを導入するよう財務省と協議を行っており、引き続きしっかり取り組んでいきたい、そのように考えております。消費税はまた今後上がっていくことも想定されておりますので、この不公平な競争環境は是正をしなければいけないと思っております。

 また、今、具体名を出されましたが、日本の会社と思われていても、それが海外の会社、別会社をつくってやっている場合はアマゾンと同じ取り扱いになる、そうすると、結果として、大手のインターネット販売会社と町の本屋さん、またそこで消費税において不公平な取り扱いになるということでございますので、引き続きしっかり財務省とこの問題については対応してまいるよう取り組んでまいります。

三谷委員 ぜひとも、経済産業の振興という観点から声を上げていっていただきたいというふうに思います。

 続きまして、新興国への日本コンテンツの振興という問題について伺いたいと思います。

 先日、これは日本経済新聞にも特集されておりましたけれども、日本のコンテンツと韓流のコンテンツの比較というような特集がございました。この中で、日本のコンテンツについては、韓流のコンテンツと比べて、豊かな国や地域には浸透していくというところはありますけれども、やはり面としての広がりには必ずしもつながっていないというような指摘がございました。国内での市場規模が今それなりに大きい日本の場合には、民間にそういったコンテンツの振興を任せるといっても、やはり効率のいいところに広がっていくというのが限界というところもあるかと思います。

 コンテンツビジネス単体としては成り立たないけれども、ほかの産業への波及効果というものを考えると意味がある、そういったコンテンツの振興の新しい側面ということを考えていくと、こういうところにこそ政府の力を発揮していくべきだと考えておりますけれども、ぜひとも、どういうふうにそれに政府が関与していくかについて、御見解をいただきたいと思います。

平大臣政務官 新興国といえども、今のマーケットが小さくても、今後の成長率を考えれば、魅力的なマーケットになるんだろうと思います。

 また、日本の苦手なところは、コンテンツ自体がバリューを持っていても、その周辺でお金を課金する仕組みが下手くそだ。

 例えば、ヨーロッパなどでいわゆるコスプレのイベントをやりました、ほとんど日本のコンテンツであるにもかかわらず、主催者は日本の人ではなくて、そこにお金が落ちる。コミックマーケットなどもそうであります。また、お台場にある機動戦士ガンダムの等身大のフィギュアは、四百万人集めたわけでありますけれども、だからといって、それに課金をされているわけではありません。そういうことを考えれば、コアのコンテンツと関連イベント、関連グッズ、さらにその周辺の事業に対して、どういう波及効果を持つかといった視点をしっかり持っていく必要があると思っております。

 経産省としては、クール・ジャパンの推進として、平成二十四年度の補正予算で、百七十億円の予算をつけております。第一段階として、海外において日本のブームを創出するために、日本番組の字幕や吹きかえといった日本のコンテンツの現地ローカライズ費用や、事業のプロモーション費用を補助して、コンテンツ輸出を一気に加速していこうということを考えております。

 また、今後は、クール・ジャパンの支援の機構などもできますので、そうした関連分野と一緒になって進出していくといったことも、ファイナンスの面、また事業の立案の面から支援をしてまいりたい、そのように考えております。

 ちなみに、定量的な評価をするのは難しいものですから、この辺について、どのような指標が適当かということは今後の課題になると思いますので、また委員から御示唆をいただければと思います。

三谷委員 今お話にありましたとおり、なかなか定量的な評価が難しいところではございますけれども、本当に多額の予算をこれから投じていくというような分野でもございますので、お金を使って、まあまあ広がってよかったねというような形でふんわりと終わっていくということにならないように、具体的な指標を含めて、これから検討を進めていっていただきたいというふうに考えております。この問題につきましても、今後とも取り組んでまいります。

 それから、特許庁システム開発の失敗につきましてお伺いをいたしたいと思います。

 これは、以前、本委員会及び予算委員会で行った質問によりまして、さまざまな問題が明らかとなりました。

 特許庁における新システムの開発が失敗したという内容でしたけれども、これはもともと何が問題だったか。幾つもありますけれども、落札予定価格をはるかに下回る金額で落札をされたというような状況というのがございました。

 それで、落札予定価格をはるかに下回るというような状況でしたので低価格調査がなされたというふうに聞いておりますけれども、低価格調査がなぜ機能しなかったのかについて、お伺いしたいと思います。

深野政府参考人 お答えをいたします。

 低価格調査でございますけれども、これにつきましては、法令に基づきまして、入札価格が基準価格を、この場合には入札予定価格の約六割でございますけれども、それを下回った場合に、本当にそういう契約について実施が円滑にできるのかということについて確認をするという趣旨で、企業の経営状況、組織体制、さらに当該期間中にほかの請負契約をどの程度やっていたかとか、そういったことにつきまして調査を行うというものでございます。

 東芝ソリューションにつきましても、今申し上げたような観点から、資料の提出を求めまして、またヒアリングも行いまして低価格調査を行いましたけれども、経営状況や過去のいろいろな契約の履行状況等について特段の問題を見出すことができず、これについて落札に至ってしまったということでございます。

三谷委員 過去の契約の履行状況に特段問題がないというふうなお答えがありましたけれども、それは具体的にどのような状況だったんでしょうか。

深野政府参考人 この時期に、既に契約をしておりました契約について、その時点までに履行状況がどうなっているかということを確認したということでございまして、特許庁との契約では全部で十二件ございました。さらに、ほかの、国、地方公共団体との契約が三十八件あったということでございまして、これはいずれも平成十八年度に契約をしておったものでございますけれども、そういったものの履行状況がどうだったかという確認をして、問題が見出せなかったということでございます。

三谷委員 その具体的な一つ一つの契約の中身といいますか、今回のシステムというのは非常に大規模なシステムだったというふうに理解をしておりますけれども、そういった大規模なシステムを履行するに十分な過去の契約状況があったというふうに判断されたということでよろしいでしょうか。

深野政府参考人 当時落札をされたような大きいものでは必ずしもなかったというふうに承知をしております。

 むしろ、この点も含めて、入札について、技術評価が不十分だったということについては、外部の第三者の委員会でも指摘を受けたところでございます。

三谷委員 結局、この低価格調査というのが形骸化していたと判断せざるを得ないというふうに考えております。ぜひとも、この入札のあり方そのものについても見直しをこれから行っていただきたい、こういうふうに考えております。

 それから、契約の相手方への責任追及というものの現状についても伺いたいと思います。

 今回のシステムの開発の失敗によって日本に生じた損害を幾らというふうに理解されておりますでしょうか。

深野政府参考人 契約の相手方との状況でございますけれども、平成二十四年一月に外部の評価委員会での結果が出まして、そこで、継続は困難である、中断すべきであるという結論が出ました。それに基づいて、現在、契約を中断いたしまして、これをどうするかという処理については検討を行っているところでございます。

三谷委員 検討中ということで、まだ具体的な損害も認識をしていないし、まだ具体的な請求もしていないということでしょうか。

深野政府参考人 これにつきまして、私どもの考え方といたしましては、今回の事業の中断というのは、設計、開発業者の技術力、プロジェクト管理能力に不足があった、これは第三者委員会でも指摘をいただいた点でございますけれども、したがいまして、こういう点を踏まえて、今厳正に協議を行っているところでございます。

三谷委員 現在協議中ということですので、それで進めていっていただきたいと思います。

 求めたいことは何かといえば、おざなりな損害賠償請求、責任追及にとどめていただきたくないというところでございます。しっかりと責任追及するべきは行って、次に生かしていただくというような形に、今回のものを生かしていただきたいというふうに考えております。

 時間も本当に限られておりますので、TPPについて伺いたいと思います。

 今、日米事前協議はおおむねまとまったというような報道が各紙でなされておりますけれども、日米の事前協議の中で一体何が協議されているのかという点と、ぜひとも国益を守るという観点で、どのようなことが日米事前協議の中での獲得目標になっているのかについて、簡潔にお答えいただきたいと思います。

茂木国務大臣 恐らくもう時間が過ぎておりますので、簡潔にと思います。

 日米間での協議につきましてはかなりの進捗を見せておりまして、合意に向け、双方の認識は相当程度そろってきている、こう考えております。

 今後、日本としては、可能な限り早期に交渉に参加する、そのことによって国益をできる限り増大させる、こういった方向で交渉に臨んでいきたいと考えております。

三谷委員 お答えとしては不十分なところもあったかと思うんですけれども、時間が過ぎておりますので、これにて終了させていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。穴見陽一君。

穴見委員 私は、大分一区から初当選いたしました自由民主党の穴見陽一でございます。

 本日、初めて質問に立たせていただき、大変光栄に存じております。富田委員長初め理事、委員の皆様に感謝申し上げます。また、本日は、御多忙の中、茂木大臣、そして佐藤政務官、御出席賜りまして、重ねて感謝を申し上げます。

 ふなれではございますが、一生懸命努めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 時間もございませんので、早速本題に入らせていただきます。

 本日は、私が日ごろから問題視しております我が国の少子高齢化に伴う課題、そして、硬直した産業や人材に関する課題について質問をさせていただきます。

 まず、配付資料の一枚目をごらんください。このグラフは、生産年齢人口の推移を示しております。二〇一〇年時点で八千万人強存在する生産年齢人口は、二〇一五年までに五百万人近く減少し、二〇三〇年には七千万人を切ってしまいます。このままでは、内需を保つこともできず、新たな産業も生まれない、さらには、社会保障制度の維持さえ困難になることが予想されます。

 次に、資料の二枚目をごらんください。このグラフは、一九七〇年以降、我が国の産業構造がどのように変化してきたかを示すものです。ここ四十年をかけて我が国の産業は、第二次産業から第三次産業へ転換、いわば成熟のあかしとも言える変化を経験してまいりました。このグラフが指し示す傾向をそのまま読み取れば、今後成長が見込まれる産業として、新たなサービス業が期待されます。しかしながら、第三次産業は、必ずしも生産性の高い分野ばかりではございません。

 資料の三枚目をごらんください。このグラフでは、産業別に実質労働生産性を比較しており、建設業、卸売・小売業、そしてその他一般のサービス業の生産性が低いという現状が推察されます。

 中でも、サービス業をさらに詳細に分類したグラフが資料の四枚目でございます。このグラフは、従業員一人当たりの売り上げを示すものでございますが、一人当たりの付加価値である労働生産性とほぼ同義とお考えください。このグラフが示していますように、サービス業の中でも相対的に生産性が低い産業は、飲食業、宿泊サービス業、教育、学習支援業、医療、福祉でございます。このグラフは、一般的に言われております、仕事は大変、さらに低賃金というイメージをそのまま映し出しているのではないでしょうか。

 ファミリーレストランチェーンを経営しておりました私自身の経験からも、このような低賃金、低生産性に悩む産業、企業には、深刻な人材不足が生じざるを得ないという実感がございますし、これらの産業は、一般生活者の一番身近なサービスを担っておりますから、国民生活にも大きな影響を及ぼすおそれがございます。

 まず、佐藤政務官にお伺いいたします。

 冒頭に申し上げましたように、我が国経済の持続可能性に大きな影響を与える生産年齢人口の減少等について、どのように対応すべきとお考えでしょうか。

佐藤(ゆ)大臣政務官 穴見委員にお答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、国内総生産額で見ますと、第三次産業が今七割を占めている状況でございまして、その中で、中核としてのサービス産業の位置づけというのは極めて重要でございます。サービス産業で高付加価値化が推進されれば、日本経済全体の底上げにもつながってくる、大変重要な点を御指摘いただいたと存じます。

 委員御指摘のとおり、サービス産業で人材不足が生じませんように、サービス産業におきまして、三つの観点、一つは、差別化や高付加価値化によります人材の賃金水準の向上、そして二つ目は、女性や高齢者の方々の登用促進で就労率を上げまして労働参加を改善していく、そして三つ目は、成長産業への失業なき円滑な労働移動を進めていく、これは安倍総理もおっしゃっておられることでありますが、こうした三つのアプローチで政策として進めていくことが重要であるというふうに考えております。

 例えば、徹底したIT技術の活用によりまして、昨今は、クリーニングサービス産業ですとか、こういったところで単位時間当たりの労働生産性が大幅に向上している、その結果、効率的なサービスの提供につながっているという事例もございます。

 また、同時に、介護現場などですと、ロボット介護機器の開発や促進、これが課題でございまして、この普及ですとか、あるいは、IT活用によりまして、介護職員の方々の負担軽減と人手不足の緩和、これが課題として挙がっているわけでございまして、こういったものも含めて、規制緩和も視野にいろいろな政策を考えていく必要があると考えております。

 いずれにいたしましても、政府といたしまして、年央に策定いたします成長戦略に向けまして、例えばほかの、健康関連分野ですとか、エネルギー関連分野などのサービス産業も含めまして、産業としての生産性の向上、女性や高齢者の就業率の向上、そして失業なき労働移動を促すような仕組みというものを検討してまいる所存でございます。

穴見委員 ありがとうございます。

 今後、労働力率を改善していくことは当然として、産業間の雇用、就業のミスマッチの解消は、おっしゃられましたように、非常に重要だと考えております。また一方、今後ますます労働参画の進展が望まれる女性、そしてまた、一昔前とは比べ物にならないほど元気で健康な高齢者など、我が国には眠った労働力が豊富に存在しております。こうした我が国の潜在的な労働力を有効活用し、生産力の拡大につなげていくことが不可欠であると考えております。

 そこで、また佐藤政務官にお尋ねをいたします。

 具体的に、女性や高齢者等の眠った労働力の掘り起こしに向けて、経済産業省はどのように取り組んでいかれようとお考えでしょうか。

佐藤(ゆ)大臣政務官 お答えいたします。

 まさに委員御指摘のとおりでございまして、生産年齢人口が減少している。そういたしますと、既存の生産年齢人口の中で、特に女性そして高齢者の方々の就労率を引き上げて、減少する労働人口の問題を克服していくことが極めて重要になってくる。それが、潜在成長率を上げる上での必須の条件になってくると思われるわけでございます。

 経済産業省といたしましては、こうした観点から、まず、育児で退職をした女性等の再就職支援ですとか、女性の起業や創業支援に取り組んでおりまして、女性や高齢者が働きやすい環境の整備に取り組んでいるところでございます。

 また、女性、高齢層の多様な人材の能力を最大限に引き出す経営者の方々を表彰する制度にも取り組みをしておりまして、具体的には、ダイバーシティ経営企業百選として、これらの企業を表彰する取り組みを行っております。

 中でも、女性活躍推進にすぐれた上場企業をなでしこ銘柄として投資家にも御紹介しているというような取り組みをしておりまして、これらの企業の努力というものを広く紹介し、取り組みをさらに加速化させていくところでございます。

 具体的には、二十四年度の補正予算で、中小企業新戦力発掘プロジェクトで、育児等で一時退職しまして、再就職を希望する女性等に、インターンシップ、中小企業等が職場実習を施す場合に、再就職を希望する本人に一日六千円から七千円を支給するというようなインターンシップ支援ですとか、あるいは、若者向けに地域需要創造型等起業・創業促進補助金、これも二十四年度補正でございますが、事業計画を募集しまして、計画の実施に要する費用を三分の二まで、二百万円まで補助するというような政策を打っているところでございます。

穴見委員 ありがとうございます。

 大幅な労働移動を促す施策や女性、高齢者等の多様な人材の労働参画に向けた環境整備は、最重要課題であることは間違いありません。しかしながら、繰り返しになりますけれども、二〇三〇年までに一千万人以上の生産年齢人口の減少が見込まれる今、労働力の確保は待ったなしの課題でございます。

 労働移動を促す施策、また、先ほどおっしゃっていただいた女性、高齢者の労働参画に向けた環境整備など、来るべき生産年齢人口の大幅な減少に向けて、スピード感を持って施策の実行に取り組む必要があると思いますが、ここで、茂木大臣に決意をお教えいただきたいと思っております。

茂木国務大臣 さすが、やはり若い穴見委員、新しいツールを使っての質問ということであります。

 また、大変わかりやすい資料を御提示いただきました。資料の中の四ページ目を拝見しますと、穴見委員、まさに実業家として取り組まれた飲食業であったりとか宿泊サービスは、従業員一人当たりの売り上げが低い。御苦労もされたんだと思います。

 例えば、宿泊でも、ビジネスホテルはなかなか厳しい状況にあるんですね。今までのビジネスホテルというのは、駅から見えるところにないと、どうしてもなかなかうまくいかないんです。というのは、ビジネスマンが地方に行ったときに、その場でふらっと宿泊先を探す、こういうことが多かったために、駅から見えないところは極めて立地条件が悪かった。

 ある企業経営者が、これを全国展開でネットワークしまして、そういったビジネスホテルについて、基本はネット予約、こういった形で宿泊の受け付けをとる。そして、石けんであったりとかタオル、アメニティー等についても一括購入することでコストを下げるということで、ビジネスモデルとして成功しているわけであります。

 具体的な施策につきまして、先ほど、まさになでしこ銘柄の佐藤政務官から答弁をさせていただいたところでありますけれども、まずは経済のパイを大きくしていく、同時に、成長分野をつくっていく、個々の企業の収益性をさまざまな形で上げる、こういった努力をしていかなければいけないと思っております。

 現在、産業競争力会議におきまして、こういった労働移動の問題も含めて、今後、我が国としての成長戦略をどう描くか、六月までに取りまとめを行いたいと思っております。ただ、六月を待つのではなくて、もう決めたこと、やれることから速やかに実施に移していきたい、このように考えております。

穴見委員 まことにありがとうございます。

 大臣のすばらしいスピード感を持った決意を聞くことができまして、大変うれしく思っております。

 今後、施策の取りまとめに向け迅速な対応をお願いいたしたいと同時に、この中でも、高齢者労働力に関する考え方について、ちょっとお聞きしたいと思っております。

 高齢者の活力を引き出す観点から、定年の延長、廃止や、また継続雇用の義務化といった論点もあろうかと思いますが、私としましては、単にこういったことを制度化するだけでは、企業の負担を増加させ、競争力を低下させるだけでなく、労働力の移転を阻害する側面もあると考えております。政府として行うことは、賃金上昇や生産性向上と同時に、労働力を企業に滞留させず、産業や労働力を適切に移動させる、いわゆる産業や労働力の新陳代謝について、その活性化を図ることが必要ではないかと思っております。

 そこで、茂木大臣にまたお尋ねしたいんですが、労働移動の促進、円滑化のための方策についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

茂木国務大臣 日本の産業の新陳代謝を進める、こういった観点からも、円滑な労働移動、失業なき労働移動、こういったことは極めて重要だ、こんなふうに考えております。

 その観点から具体的に申し上げますと、例えば、助成金のあり方について、これまでの過剰な雇用維持型から労働移動支援型に政策をシフトしていく、また、ハローワークが保有する求人情報や助成金の開放といった民間人材ビジネスを最大限活用するマッチング機能の強化、こういったことが極めて重要だと考えております。

穴見委員 ありがとうございます。

 新陳代謝を活性化する施策は、企業に活力を与える重要な政策でございます。ぜひ進めていただくようお願い申し上げます。

 もう質問の時間が終わったようでございますけれども、最後に一言だけ言わせていただきたいと思います。

 医療・介護制度等についても、その目的を単なる生活復帰とするのではなくて、社会復帰を目的として、いつまでも元気に働ける社会としていくことが重要だと考えております。

 そこで、最後に、佐藤政務官にお伺いできればと思っております。

 今後も生産力を維持し、持続的な経済成長を遂げるために、課題を解決するという観点での産業育成を図るべきと思いますが、どのような見解をお持ちか、お願いをいたします。

佐藤(ゆ)大臣政務官 手短にお答えさせていただきます。

 我が国の産業育成に当たりまして、やはり産業育成先にありきではなく、どのような社会を目指していくのか、その方向性のもとで必要とされる産業を育成していくという方針でございます。

 委員御指摘の社会復帰ということにつきましては、まず予防医療を徹底する、それから先端医療等で完治を目指していく社会、そして三つ目に、病気やけがをいたしましても早く社会に復帰できる、社会復帰を目指す社会、こうして女性や高齢層の方々の労働参加もふやしてまいりたい、そのように考えております。

穴見委員 どうもありがとうございました。

 以上で終わります。

富田委員長 次に、八木哲也君。

八木委員 ただいま委員長の御指名を受けました、自由民主党、八木哲也でございます。

 本日の質問につきましては、省エネ政策と経済の活性化という質問で行いますけれども、時間が何分限られておりますので、要点だけ、方向性も踏まえまして御質問をさせていただきたいと思っております。

 省エネ政策の一環として、トップランナー制度で二十六の機器を指定して、それぞれの機器の技術的革新による省エネ成果があらわれましたことはデータで知るところであります。それをつくっている企業も、その技術を武器に営業拡販がなされたと推察されますし、今後も成長していくと予測されます。

 今回、みずからエネルギーを消費しなくても、住宅、ビルやほかの機器などのエネルギーの消費効率の向上に資する製品が新たにトップランナー制度の対象に追加されました。期待するところであります。まさに、トップランナー制度は、三本の矢の第三番目の矢の成長戦略でもあります。

 省エネ政策は、重要な政策ですので推進しなければなりませんが、推進するだけでなく、経済の活性化に寄与しなければ意味がないと考えております。

 そこで、今まで行いましたトップランナー制度の定量的評価及び定性的評価についてどのように考えておられるのか、見解を求めたいと思います。

茂木国務大臣 省エネ政策、今委員おっしゃるとおり、単に省エネに終わらずに、産業競争力の強化に結びつけていくということが極めて重要だと思っております。

 我が国は、一九七〇年代、二度のオイルショックを経験いたしまして、それを乗り越える過程におきまして、さまざまな省エネの技術、そして製品、こういったものも開発をいたしております。

 トップランナー制度につきましては、これまで、具体的に家電であったりとか自動車等の製品を政令で指定して、現在のトップランナー製品を超える数値基準、例えば消費電力量であったり燃費、これを定めまして、製造業者、輸入業者に対し目標年度には基準を満たすことを求める、こういった制度であります。

 自動車の場合で申し上げますと、一九九七年度を基準年度といたしまして、二〇一〇年度を目標年度に設定いたしました。当時、燃費が最もすぐれていましたトヨタのコロナ、これが大体リッター当たり十五・八キロでありますけれども、これをトップランナー車に選定いたしました。その燃費に、省エネ技術向上によります見通しを考慮し、目標値、これはリッター当たり十六キロ、燃費向上率二三%というものを設定いたしました。

 トップランナー制度の指定によります製品の改善実績は、自動車、今申し上げた燃費改善でいいますと四九%、消費電力量の改善では、エアコン三二%、冷蔵庫四三%、テレビ三〇%。

 こういった過程におきまして、また液晶テレビが生まれる、そしてバックライトのLED化、エアコンでは冷媒の性能向上、冷蔵庫では圧縮機の性能向上といったイノベーションも誕生しております。

 今までは、熱を消費する、もしくはそれを使う側でありましたけれども、これからは、住宅であったりとかビル、これで使用されている断熱材などにもトップランナー制度を拡充するべく、この国会に省エネ法の改正を提出し、御審議をいただいたところであります。

 こういった取り組みを通じまして、今、日本は、エネルギー危機に次ぐ、新たなエネルギー制約に直面をしているわけでありますが、このエネルギー制約を克服する、そういった中から、さらに新しい技術、さらに新しい製品、こういったものを生み出していきたいと考えております。

八木委員 ありがとうございました。

 私は豊田市に住んでおりまして、トヨタ自動車の事例を挙げていただいたことに、御配慮いただいたことに感謝申し上げたい、こういうふうに思っております。

 ただいまの回答がありまして、るるエネルギーの効率についてのお話がありました。しかしながら、やはり、エネルギーの消費低減ということは大事な観点ではありますが、少なくとも、経済産業省でありますので、どのぐらい売れて、どのぐらい経済規模があったのか、そのぐらいは把握しておく必要があるのではないかと私は思っておりますし、どのぐらい売れたのか、どのぐらいもうかったのか、どのぐらいそれが経済的に潤ったのか、こういうことが、やはり企業が元気になるデータだと私は思っておるわけであります。

 私も、ある自動車部品メーカーで二十四年間、技術屋として働いておりましたので、自分たちの手がけた部品がどのぐらい売り上げに、会社に貢献していて、それが利益としてどのぐらいあるのかということは、毎月毎月、数値としてわかるわけであります。それがまた励みにもなっていくわけでございまして、そういう調査が本来はされるべきだ、こういうふうに思っておるわけでございます。

 昨日、ヒアリングで、そういう統計的なものはない、こういうことでございました。今後、そういうグロスといいますか、マクロな部分での評価というものをとっていくのかどうか、その辺、再度、質問させていただきたい、こういうふうに思いますけれども、いかがですか。

菅原副大臣 ただいまのトップランナー制度が我が国の成長につながると大臣から答弁をいたしました。

 今、八木委員からもお話がありましたが、企業においてイノベーションを通じて、その企業の利益がふえ、そして社員のモチベーションが高まっていくということは極めて大事なことでありまして、そういう意味においては、マクロ的には、御指摘のあったことを日本全体のこれからの成長戦略の肝として、いわばマインドとして持つように、そうした指導をしていきたい、このように思っております。

八木委員 次に、今回、トップランナーに加えられました窓や断熱材などは、スマートハウスの取り組みに朗報であります。

 私の住んでいる豊田市では、平成二十一年に環境モデル都市及びITS実証実験モデル都市に選定され、平成二十二年、次世代エネルギー・社会システム実証地域に選定されました。さらに、平成二十三年、次世代エネルギー・モビリティ創造特区に指定されました。環境問題に積極的に豊田市としては取り組んでいる、こういうふうに思っておるわけでございます。

 経済産業省から選定されました次世代エネルギー・社会システム実証地域では、三十五の企業、団体が参加して、スマートハウスを豊田市の東山町というところに二十八戸、高橋町というところに三十九戸、実証住宅団地をつくりました。高橋町と言いましたのは、実は私が住んでいるところでありますので、あえて言いました。

 ちなみに、過日、佐藤政務官が現地を視察していただきました。ありがとうございました。私が同行できませんでして申しわけなく思っていますが、同行していただければ近くのおいしいウナギ屋さんを御紹介しますので、よろしくお願いします。

 市民の実生活の中での実証は、全国で初めてのケースでありました。できてまだ日が浅く、十分なデータが蓄積されておりませんが、今のところ、従来の家とエコキュート及びプラグインハイブリッドの家と比較したときに、CO2排出量が約三三%削減されました。そしてさらに、今話題になっておりますHEMS、太陽光パネル、家庭用蓄電池、EDMSサービス適用を加えたフル装備の家では、従来の家に比べてCO2排出量が約七〇%削減されております。

 予想以上の効果でありますけれども、これを実験だけではなく、さらに拡大し、面へ広げていく必要があります。例えば、全国で行われている区画整理などにこのシステムの導入が考えられないだろうか。今後の点から面への展開と面的支援についてどのように考えておられるのか、所見を伺います。

佐藤(ゆ)大臣政務官 八木委員にお答えを申し上げます。

 八木委員お地元の豊田市におきましては、委員御指摘のとおり、私自身もことし一月にスマートコミュニティーの視察で訪問させていただいたところでございます。

 まさにその一部をなしますHEMSについての御指摘でございますが、今実証段階で、家電や太陽光発電、蓄電池などの機器と連携しまして、エネルギーの流れをコントロールして省エネ、節電を行うための機器でございます。具体的には、照明の照度ですとかエアコンの設定温度を快適性を損なわない範囲で抑制することにより、無理のない持続的な省エネ行動を促進することが可能な技術というふうにされているわけでございます。

 実際、豊田市のHEMSを導入しております御家庭も視察を私させていただきましたが、太陽光発電だけでエネルギーが賄えないときには散歩に出かけましたり、あるいは電力のピーク時を避けて掃除をするですとか、こういった最新のテクノロジーでライフスタイルの中に省エネの行動というものを組み込んでいく、それを可能にする技術と認識をしたところでございます。

 委員御指摘のとおり、これを全国展開に進めていくということに当たりまして、政府としましては、HEMSなどの機器の導入が円滑に進みますように、二十五年度までのエネルギー管理システム、BEMS・HEMS導入促進事業におきまして、これは平成二十三年度の予算額で三百億円、補助率がHEMSの一台当たり約十万円でございますけれども、これを既に措置いたしているところでございます。

 今後、HEMSの普及でふえ続けます、特に民生部門の電力需要、その中でも住宅部門のエネルギー消費の削減につながるものと期待をするところでございます。

八木委員 先に答弁されましたけれども、私は、点から面へどのようにしていくのかという質問でございました。その点について、もう一度お聞きしたいと思います。

 要は、スマートハウス、スマートコミュニティーという、実験的に小さいところでやっておるものですから、それを面として、例えば区画整理なんかにそういうシステムを導入できないか、こういう質問でございましたので、もう一度御答弁いただきたいと思います。

菅原副大臣 八木委員のお地元の豊田市のお取り組み、大変貴重なものだと思っております。

 また、ちょっと例が違いますが、北九州なんかではEdyを使ったり、豊田もそうですけれども、そうした新たな取り組みも進められております。

 点から面へというお話でございますが、この実証の結果を全国に広めていく過程の中で、いわゆる供給サイドの状況に応じて電力の需給を変化させる、いわゆるディマンドレスポンスが可能となる環境づくりが大切だと考えておりまして、特に、家庭部門へのスマートメーターや、あるいは、時間帯別の、季節別の電気料金メニュー、こうした導入がまだ図られておりませんので、そうした発展途上の部分、お話があったように、区画整理などとあわせて、さらに町、自治体全体に広がるような対策が必要だと思っております。国と自治体、しっかりと協議をしながら進めていきたいと思っております。

八木委員 先ほど佐藤政務官がお答えになりましたので、ちょっと違った観点でお話しいたしますが、最後にまとめをさせていただきたいと思います。

 先ほど、スマートハウスの効果が非常に大きかったよ、こういうことを言いました。今、佐藤政務官の方からいろいろなお話がありましたけれども、そういうことも確かでありますが、私は、何でこんなに下がったのかな、こういうふうに思いますときに、やはり、このHEMSが、エネルギーがどれだけ効率的に動いているよということと同時に、金額表示をするんです。ですから、幾ら得したよ、こういう表示方法になっておるわけでございます。

 家というのは、お父さんとお母さんが一緒になって一生に一度の買い物で大きいんですけれども、家計を預かっているのは主婦が多うございますので、主婦に訴えられるわけです。そうすると、主婦は、こんな高いものを買っちゃったから、もっとけちけちやらなければいけないね、毎日毎日見て、貯金しているような感覚でよかったんだ、それがある程度効果に寄与しているんではないか、こういうふうに思っておるんです。

 そうしますと、やはり女性へどのようにアピールしていくのかということがこの政策の大きな推進の考え方になるのではないか、私はそう思っておりますので、今後とも、そのことも留意しながら進めていただきたい、こういうふうに思います。

 冒頭申し上げましたように、やはりこれは環境エネルギー分野で新たなビジネスモデルの構築をしていかなければいけない、こういうふうに私は思っておりますので、新たな産業育成、そして産業の活性化のために御尽力いただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

富田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹でございます。

 先日は、省エネ法の一部改正について御質問させていただきました。本日は、中小企業の支援策、またエネルギー政策、この二点について、時間の許す限りお伺いしたいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。

 先日成立した補正予算のうち、経済産業省関係の予算は、成長戦略として一・二兆円、過去最大の規模となっております。そのうちの約半分に当たる五千四百億円が中小企業、小規模事業者対策、これに振り分けられ、さまざまな補助事業が設けられております。これらの補助事業が実際に中小企業、小規模事業者にちゃんと振り分けられているのか、行き届いているのか、この執行状況についてお伺いしたいと思いますけれども、質問の時間は二十分と限られておりますので、次の二つの補助事業に絞って、その執行状況をお伺いしたいと思います。

 まず、中小企業、小規模事業者向けのものづくり補助金制度がございます。これは、これまでの事業資金の低利の融資制度とは異なって、成長による富の創出、これを中小企業とか小規模事業者にもやってもらおうというような、これまでとは違う画期的な、注目する制度だというふうに思っております。

 また、大企業とは違った視点で地域のニーズを捉えた新しい商品、新しいサービスを提供する女性や若者の起業、創業を支援する補助金制度もございます。このものづくり補助金制度、また、創業補助金制度の公募の一次締め切り日は既に到来しておりますが、これらの執行状況がどうなっているのか、これについてお伺いします。

守本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御指摘のございましたものづくり補助金、これは一千七億円でございますが、三月十五日に一次公募を開始し、三月二十五日の一次締め切り分の応募状況につきましては、約千八百件となっております。現在、二次締め切りに向けて、引き続き応募を受け付けているところでございます。一万社のものづくり中小企業、小規模事業者が行う試作品の開発、設備投資を支援してまいりたいと考えており、今後とも多くの応募があるよう広報してまいりたいというふうに思います。

 次に、創業補助金でございますが、こちらの方は、まさにこれから創業しようとする人が対象でありまして、準備時間が若干必要なこと、しかしながら、いまだ広報が十分でないというようなこともございまして、現在のところは十五件の応募状況という状況でございます。

國重委員 ありがとうございました。

 ものづくり補助金の方は一定程度応募があるということですけれども、まだ創業補助金の方はほとんど進んでいないという現状だというふうに思います。

 私、一昨日、地元の大阪で開催されました、若手経営者が百人程度集まる会合に参加させていただきまして、その折、今回の補正予算の補助事業について、中小企業庁からいただきましたこのペーパーを全員に配付しまして、そこで御説明させていただきました。

 その後、参加した若手経営者の方、皆さん経営者の方です、その皆さんに、説明したこの補助事業の内容を御存じですかということで尋ねたところ、十人に一人も、この制度の内容について御存じありませんでした。もっと言うと、もっと少ないです。十人に一人というか、二十人に一人に近いというか、それぐらい数が少ないというのが現状でした。これが現実です。

 どんなにいい制度ができたとしても、その存在を知らなければ使いようがありません。せっかくのチャンスを生かすこともできません。宝の持ち腐れにならないように、中小企業、小規模事業者の皆さんに新たな制度を知ってもらうための工夫がより一層必要になってくるんじゃないかというふうに思います。

 このことは、私、省エネ法の一部改正の際に参考人の先生にも御質問させていただきましたけれども、弁護士時代、本当に強く感じたことがそのことだったんです。要するに、やはり情報格差というのが非常にあるなということを感じてまいりましたので、そのような観点から、中小企業、小規模事業者支援対策の広報の課題とその対策について、どのように考えられているのか。

 きょうは、先ほど茂木大臣が予算委員会の集中審議に出席されたということで席を外されておりますので、菅原副大臣の方から見解をお伺いしたいと思います。

菅原副大臣 國重委員におかれましては、現場に出られてそうした創業者や事業者の声を率直に聞くという、その行動力に敬意を表したいと思います。

 そして、今お話がありました中小企業の事業に対して、この補正におきまして、特に、中小企業だけではなく、これからは小規模事業者にもしっかり光を当てようということで、経産省、中企庁、力を合わせて今やっているところでございます。

 したがって、いい一定の効果が見込まれるであろう事業ができたとしても、それが実際に、今お話があったように、世の中にまだ知らしめられていない、こういう現状をしっかり重く受けとめなければならない、改めてそう感じております。

 そういう意味におきましては、この小規模事業者に対して、例えば創業なんかは初めて利用する方が多い、一方でものづくりなんかは、一旦とまっていましたけれども、前にある意味では免疫があって知っている方もいらっしゃる、この違いが先ほどの千八百と十五ということにもつながってきているのではないかな、こういう捉え方をしております。

 商工会、商工会議所、あるいは法人会、四千七百ありますこうした機関、あわせて、今回、認定支援機関六千七百ということで、新たな設置をいたしました。そういった部分に関しましてきちっと、PRをさらに深化させていきたい、こんなふうに考えております。

 特に新規補助金で認知されていないものは、時間がかかる、いわゆる利用希望者に知らしめられるまで時間がかかる、こうした状況をしっかり認識して、国としても、地方公共団体と力を合わせて、現場のそういう機関と連携をさらに深めていきたいと思っております。

國重委員 ありがとうございました。

 ぜひ、小規模事業者の末端の皆さんにまで支援が行き届いて、日本を元気にするためにも、これまで以上の広報をよろしくお願いいたします。

 次に、各種支援の窓口対応についてお伺いします。

 これも私が弁護士をしていたときですけれども、政府系金融機関、日本政策金融公庫の窓口に融資の相談に行ったけれども、あなたのところはこれまでの返済期間がまだ短い、そういう理由で、事業計画の書類も見てもらえないままに窓口で帰されたというような話を聞いたことがございます。資金繰りに困って、何とかしたいと思って、必死の思いで足を運んでいっているのに、その声をよく聞くこともないままに門前払いする。民間の金融機関ならまだしも政府系の金融機関です。これだったら、一体何のための政府系の金融機関なのか。審査の結果、融資が受けられないことは、これはやむを得ないにしても、借り手の声をまずしっかりと聞く、その上で、必要があれば認定支援機関等を紹介する。

 今回の補正予算でもさまざまな制度が設けられましたけれども、現場の窓口対応が悪ければ、制度の本来期待されていた役割を果たすことができません。相談者の、何とかしたいというこの前向きな心を折ってしまうことにもなります。

 大臣、また政府の方から、各関係機関に丁寧な窓口対応をいま一度しっかりと促していただいて、頑張ろうという人たちに対しできる限りのサポートをしていただきたいと思いますが、副大臣、いかがでしょうか。

菅原副大臣 せっかくいい技術やものづくり、新たな商品、製品ができても、あるいは、それがわずか五人や十人の企業であったとしても、資金繰りや新たな資本の投下ができなくて、その手前でとどまってしまう、こういう状況をしっかりと見据えて、今委員のお話がありましたように、特に政府系金融機関は、政府系の金融機関でありますから、民間とは違う持ち味あるいは責任をしっかりと認識して、対応を図っていきたいと思っています。

 とりわけ、先般、二月二十五日に全国の信用保証協会の会長を集めました。政府系金融機関のトップもそこに集めました。そこで、大臣、また私から、特に円滑化法が期限切れを迎える中で、今お話し申し上げたような対策、特に窓口においては、初めての方もいるわけでありますし、何度もチャレンジしてもなかなかままならない方もいる、そういう方々に、その当人の立場、気持ちになってしっかり対応すべきである、こういうことをお話をしましたので、今の委員の御指摘を受け、大臣とともに、政府系金融を初めかかわりのある機関、人々に対してさらに指導を徹底していきたいと思っております。

國重委員 どうかよろしくお願いいたします。

 本年三月末日に、中小企業金融円滑化法の期限が到来しました。しかし、今、金融機関が貸し付け条件の変更や円滑な資金供給に努めるべきということは、円滑化法の期限到来後においても何ら変わらないことになっております。ただ、貸し付け条件の変更を受けながら経営改善計画が進んでいない企業が多くあるのも現実です。

 そこで、自分たちだけでは経営改善計画ができない、困難な中小企業、小規模事業者に対して、全国の認定支援機関が経営改善等の策定を支援することになっております。中小企業にとっては非常に重要なこの認定支援機関、これに関する法律は平成二十四年八月に施行されましたが、現在までの認定支援機関及びその支援の状況はどうなっているのか、お伺いします。

守本政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業経営力強化支援法に基づきまして、これまで、税理士等の士業を初め、地域金融機関、商工会、商工会議所等、六千七百四十の機関を認定支援機関として認定させていただいているところでございます。

 こうした認定支援機関の方々には、現時点では、大きく分けて、先ほど御指摘ございました、中小企業、小規模事業者に対する経営改善計画の策定支援及びフォローアップ支援、もう一つ、ものづくり補助金、あるいは経営力強化保証などの各種支援策に対して中小企業、小規模事業者が申請する際に、計画策定や、その後の実行支援を行っていただくという二つの役割を担っていただいてございます。

 まず、経営改善計画の策定支援でございますけれども、これについての補助事業、始まったばかりでございますけれども、問い合わせをたくさんいただいてございます。こういう中で、積極的に取り組んでいただいているものというふうに認識をしてございます。

 また、先ほど申し上げましたものづくり補助金等において、認定支援機関による申請書の確認というものを要件とさせていただいていますけれども、これにつきましては、既に認定支援機関による支援が行われておりまして、認定支援機関による計画策定、実行支援を生かしまして、私どもとしても、しっかり事業の成果を上げていきたいと思っておるところでございます。

國重委員 今、お答えいただきましたけれども、その支援の現状の具体的な数値、支援の数が、どれだけ相談件数があるとかというような具体的な数値というのは出ているでしょうか。

守本政府参考人 申しわけございません。経営改善支援計画の策定につきましての相談件数は現在持っておりませんけれども、ちょっと戻りまして、確認をさせていただきたいというふうに思います。

 また、ものづくり補助金につきましては、先ほど申し上げました千八百件については、全て認定支援機関の確認がついておるということでございます。

國重委員 今後しっかりと状況を把握して、また、手を打っていただければと思います。

 次に、認定支援機関が相談者から受ける声、またその対応の中には、さまざまな現場の課題や今後の施策につながる貴重な情報が詰まっていると思います。制度をつくって、あとは現場に任せて、はい、終わりというのではなくて、これらの情報に関して、プライバシーにはしっかりと配慮しながらも、情報を集約して、点から面へ、現場のニーズに応じた政策へとつなげていくことが大事になってくると思います。

 そこで、副大臣にお伺いします。

 認定支援機関への相談にかかわる情報を集約する予定があるのか、仮にあるのであれば、報告を求める時期はいつなのか、もし、今そのような予定がないのであれば、ぜひとも認定支援機関が持つ情報をフィードバックして、中小企業を元気にする政策立案に生かしていただきたいと考えますが、副大臣の見解をお伺いします。

菅原副大臣 このたびの中小企業あるいは小規模事業者の支援のための認定支援機関は、ある意味では、新たな試みでございます。

 御案内のとおり、税理士、弁護士、あるいは金融機関、こうした方々が六千七百四十、認定をされて、中小企業者と相対でいろいろな話を聞いて、その経営改善を促進するものであります。

 そうした中で、お話がありましたように、現場の声、皆さんの声というのは生きた本当の情報でありますので、それをきちっと中企庁や経産省にもフィードバックさせることが極めて肝要であると思っています。

 既に全国の八十カ所、三千名を超える認定支援機関の参加を得まして、研修を行いました。これはこれからというときの研修でございますので、委員から御指摘のとおり、まだ日にちは決まっておりませんけれども、一定期間を見定めまして、現場の声を聞いて、それを次の極めて重要な情報として、今後の経営改善に、より現場の声が届く、そういう環境づくりをしていきたい、このように考えております。

國重委員 時間の関係がございますので、メタンハイドレートとアフリカのエネルギー資源開発の問題をちょっと聞こうと思っていましたけれども、メタンハイドレートに絞って、最後に御質問させていただきたいと思います。

 日本の燃料の自給率は、石油が約〇・三%、天然ガスが三%と、ほとんど海外からの輸入に依存しております。海外にエネルギー資源を依存する日本にとって、世界六位の領海、排他的経済水域からの自前のエネルギー源を開発することは、エネルギー安全保障の点からも、持続的な経済成長の点からも、極めて重要なものだと考えております。

 メタンハイドレート開発基本計画は、九〇年代末期の状況を踏まえて、二〇〇一年度から二〇一六年度までの期間で策定されておりますが、当時のエネルギー政策の柱は原子力で、基本計画もそれを前提に策定されています。しかし、二年前の東日本大震災以降、我が国はエネルギー政策の転換に迫られて、メタンハイドレート開発基本計画の位置づけも大きく変化しました。

 アメリカでは、シェールガス、シェールオイルの開発でエネルギーコストが大幅に下がって、アメリカ産業のカンフル剤になりつつあります。このシェール革命の日本版を実現するためにも、メタンハイドレート開発基本計画を見直して、その計画をスピードアップする、そして、安倍政権の三本目の矢である成長戦略、この中心の一つにメタンハイドレート開発を据えることが必要かと思いますが、いかがでしょうか。副大臣の見解をお伺いします。

菅原副大臣 我が国も、三・一一以降、いわゆる電源構成が変わり、今委員からるるお話がございましたように、どうしても火力が九割以上を占める現状にあります。

 その資源の、いわば九〇%以上を今まで海外に頼っていた。しかし、御案内のとおり、いわゆるホルムズ・リスクですとか、あるいはマラッカ・リスク等があって、いつ、どのような状況で、原油も天然ガスも、入ってくるか来ないかわからない状況も厳としてリスクとしてございます。

 そうした中で、御指摘がありましたように、我が国のEEZ内で、このたび、メタンハイドレート、三月十二日から六日間にわたりまして、渥美半島の八十キロ沖、志摩半島の五十キロ沖で新たに、世界初となる、減圧法によるメタンハイドレートの生産実験を実施いたしました。これは、いわゆる砂層型と言われるものでありまして、お話がありましたように、日本海側においても、表層型といったものに関しても、このたびの二十五年度の予算に十億計上させていただいておりますが、御審議中でございます。

 こうした方向性をより進化させて、我が国で天然ガス初め資源をしっかり採掘して、それをエネルギーに供給できる体制をとっていくように、まさに、おっしゃっていただいたように、安倍政権の成長戦略に資するような体制をとっていきたい、このように考えております。

國重委員 どうかスピードアップして推し進めていただきますよう、よろしくお願いします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十三分散会


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