衆議院

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第9号 平成26年4月11日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十六年四月十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 山際大志郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 田嶋  要君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      穴見 陽一君    池田 佳隆君

      石崎  徹君    小田原 潔君

      越智 隆雄君    大見  正君

      勝沼 栄明君    勝俣 孝明君

      神田 憲次君    菅家 一郎君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      菅原 一秀君    田中 良生君

      田野瀬太道君    武村 展英君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      細田 健一君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山田 賢司君    山田 美樹君

      枝野 幸男君    岸本 周平君

      近藤 洋介君    辻元 清美君

      細野 豪志君    伊東 信久君

      木下 智彦君    丸山 穂高君

      國重  徹君    三谷 英弘君

      小池 政就君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          茂木 敏充君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           田中 正朗君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監)    糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉基盤整備総合調整官)    藤原 正彦君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房原子力安全技術総括官)   竹内 大二君

   参考人

   (京都大学原子炉実験所教授)           山名  元君

   参考人

   (関西大学特任教授)

   (京都大学名誉教授)   大西 有三君

   参考人

   (東京大学公共政策大学院非常勤講師)       諸葛 宗男君

   参考人

   (大阪市立大学大学院経営学研究科教授)      除本 理史君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     池田 佳隆君

  石崎  徹君     山田 賢司君

  越智 隆雄君     菅家 一郎君

  佐々木 紀君     田野瀬太道君

  宮崎 謙介君     勝沼 栄明君

  岸本 周平君     細野 豪志君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     小田原 潔君

  勝沼 栄明君     神田 憲次君

  菅家 一郎君     越智 隆雄君

  田野瀬太道君     佐々木 紀君

  山田 賢司君     石崎  徹君

  細野 豪志君     岸本 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     穴見 陽一君

  神田 憲次君     宮崎 謙介君

    ―――――――――――――

四月十一日

 電気事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、京都大学原子炉実験所教授山名元君、関西大学特任教授・京都大学名誉教授大西有三君、東京大学公共政策大学院非常勤講師諸葛宗男君、大阪市立大学大学院経営学研究科教授除本理史君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず山名参考人にお願いいたします。

山名参考人 皆さん、おはようございます。

 京都大学原子炉実験所の山名でございます。

 私からは、この法律改正案に対して、大学教授として、現在までこの一Fの廃止措置のロードマップの策定に関与してまいりました。また、このための技術研究を進める組織としての技術研究組合国際廃炉研究開発機構の理事長として開発を見てまいりました。このような技術的な側面から、私がどう考えているかについて申し述べたいと思います。

 お手元のレジュメをごらんください。

 まず、総論のところに書いてございますが、私は、損害賠償、電気の安定供給に加えて廃炉等の遂行を行う東電の責務、この三拍子に対して政府の包括的な支援と監督を確実にする体制の早期構築が必要である、こう考えてまいりました。そういう意味で、この法案はこの方向性に極めて沿っていると考えているわけでございます。

 まず、当初、私は、賠償という問題と廃炉の技術的な側面というのは別な次元にあるというふうに考えておりました、率直に申し上げまして。ただ、今、東電の現在の状況、あるいは廃炉に対して取り組んでいる政府、東電、技術研究組合、こういった全体の状況を見ていますと、その技術への取り組みも、基本的に、例えばファイナンスの問題とか、東電における技術ガバナンスの問題とか、非常に強い経営的な問題あるいは社会的な責任に関与しているということがわかってまいりました。

 そういう意味で、私は今、この廃炉というのが、汚染水問題のようにある意味で派生的なトラブルは被災者の方の将来への希望を損なう、あるいは、風評被害の発生、国際的信頼の喪失等の非常に大きな影響をもたらす、国民に対する大きな損失をもたらすという中で、この廃止措置、廃炉への取り組み、この責任は、決して分けて考えるべきではないという思いに至っております。賠償支援や廃炉を確実にするということは、やはり大きな土俵の、同じ土俵の中で行っていくべきものという考えに至っております。この廃炉というものが国にとっての重大なリスク要因であるというふうに考えておりまして、そういう意味で、この法案の意義があるかというふうに考えております。

 それが前提でございますが、レジュメの三に、三角形のポンチ絵を描いております。この廃炉というものをきちんとやるには、この三つの関係、つまり、技術的な戦略、技術判断、それから現場のオペレーション、それから技術開発、この三つが強くリンクして、連携して、三位一体で行われなければ、成功裏に、この廃止措置を円滑に進めることはできないという思いがあります。

 事の問題は、この三角形が現時点ではまだ完璧ではない、私はこう理解しております。技術戦略については、もちろん、政府の閣僚等会議のもとでロードマップをつくり、それに従って東電が現場オペレーションを行う、それから私どものような技術研究組合などが技術開発に当たっていくという形をつくってきたわけでありますが、まず、東電、現場オペレーション、この部分が弱いという本質的な問題があります。

 それは、東京電力において技術的な対応能力が弱い。実際、トラブルが頻発しているということがありますし、どちらかというと、目の前の応急的措置に明け暮れるという状態が続いております。そういう意味で、中長期的な視点が弱い、技術的なガバナンスが弱い、リソースの投入が不足しているのではないかというようなことが考えられるわけです。

 しかし、最も本質的な問題は、東電における技術的な専門性の集約の低さにあるというふうに私は考えております。東電にいる技術者は、やはり発電炉を運転する技術者として育ってきた人たちであって、今のこの特定原子力施設、私はいつもぶっ壊れた再処理工場というふうに呼んでおるんですが、これは発電炉とはかなり違う次元のものであります。これに技術的な専門性を集約するという状態にまだ至っていないという問題があります。

 それから、技術的戦略性の問題では、政府が主導的に、強いリーダーシップを発揮して、今までロードマップを策定し進めてまいりましたが、まだまだ幾つかの問題があるわけです。

 一つは、技術的集約性に関して、国際的な知見の集約がまだでき上がっていないという問題であります。これは私のIRID、技術研究組合でも努力はしておりますが、海外から見ると、日本国全体としての廃炉への取り組み、海外の人はジョークで、ジャパン・インク、ジャパン・インコーポレーションですね、廃炉に関する日本廃炉取り組み全体会社は一体どうなっているんだという問い合わせがいつも来るわけです。それは、くしくも、国際的な専門性を一体日本のどこに集約すればいいかということを問われているわけです。そのプラットホームが弱いという問題です。

 それから、もう一つ大きな問題が、廃炉を進めていくに際して、それを最後どういう状態に持ち込むか、我々はエンドステートと呼んでおりますが、終末戦略、これが実はまだ十分議論されておりません。例えば、大変膨大な廃棄物が発生します。燃料デブリを取り出しても、それを最終的にどう扱うかという本質的な問題が残ります。こういったものは東電では考えようがないわけです。国としての大きな、長期的な戦略が必要だということであります。

 それから、もう一つの戦略上の問題は、安全規制の問題であります。廃炉を進めていくということは、特定原子力施設に関して、ある合理的な安全規制を適用して、安全を守りながら、とにかくリスクを下げるということが必要になります。もちろん、安全規制は安全委員会の独立案件でありまして、これについて方向性を出すことはできませんが、本来、原子力規制委員会と胸襟を開いて、本当にどうやって住民へのリスク、労働者へのリスク、最終的なリスクを下げるかという最適解を求めていく必要があります。

 それから、技術開発についても、現在は技術開発の内容を政府の収束対応室の方で絞りながら研究開発を行っておりますが、実は、重要なのは、この三角形の行きつ戻りつの矢印の部分なんです。例えば東電の現場から開発に対して何かの要求が上がってくる、それに対して最適な技術を開発する、それを現場に投入する、問題があればまた開発に戻す、必要があれば開発戦略のところに戻るというフィードバック、これがまだ不足している、これを強化していく必要があるというふうに考えております。

 このような状況のもとで、今回提案されている法改正は、賠償支援機構の方に廃炉支援の機能を持たせるということでありまして、我々としては、そこにできるだけ専門性の高い場所をつくるということが、このトライアングルを有効なものにするのに非常に有効になるだろうというふうに考えているわけであります。

 そういう意味で、ここで戦略的な研究開発の方針をつくり、今のところ弱い東電に対して助言、指導、勧告を行って、もっと有効な、実効的な廃炉オペレーションと開発を現実的なものにしていく。

 もし、ここで、この場で非常に専門性の高い組織を構築することができれば、当然、そこには国際的な知見を入れる。場合によっては海外の人を入れてもいいと私は思います。あるいは、海外では、たくさんの廃止措置に取り組んできた経験、過酷事故に取り組んできた経験がありますから、そういった組織と強い連携をとって、最新の知見を入れながら、先ほどのトライアングルに生かしていくということができる、こう考えるわけです。

 そういう意味で、NDFの中に廃炉支援、廃炉に関する技術的な研究開発を支援し勧告する機能を持たせるということは、その牽引役になると信ずるところであります。

 最後に、四のところに書いておりますが、このような高い専門性の組織ができれば、幾つかの派生的な効果が発生するだろう、こう考えます。例えば、専門性の高い集団ができることで、人材育成のような、本来、これはこの法定業務には入っておりませんが、ここに集まる専門性を利用して、この廃止措置に長期にわたって従事してくれる若い人材をどうやって育てるかというようなアイデアもきっと出てきますし、あるいは、関係する諸機関と情報共有して、そこで情報を集めて、その情報を政府の方にお伝えする、あるいは東電の方に流すといった情報の提供、あるいは情報の集約化、あるいは情報のアーカイブ。

 この情報のアーカイブというのは、世界の原子力安全あるいはこういった過酷事故の収束に対する情報として、世界で本来共有すべきものであります。別な言い方をすれば、これは、日本のある種の技術になるものであります。こういったものをアーカイブして世界に発信するようなことも、派生的な業務としては可能になるのではないかというふうに思うわけであります。

 以上、総括いたしまして、私は、技術的な立場から、こういった三角形をもっと強力なものにしていく、それを牽引する母体としてこの賠償支援機構の機能を高めていくという今回の法の改正の案につきましては、これが今できる最大の手法であるというふうに信じております。そういう意味で、ぜひこの法律を実現していただきまして、こういったより強固な廃止措置への取り組みの体系をつくりたい、こう思っている次第でございます。

 以上でございます。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、大西参考人にお願いいたします。

大西参考人 皆さん、おはようございます。

 私の立場は、皆さん御存じのように、汚染水処理対策委員会の委員長という役目を仰せつかっておりますが、それとともに、大学の教員としての見方をしばらく皆さん方にお示ししたいと思います。

 まず、汚染水処理対策につきましては、先ほど山名先生がいろいろ御説明になりましたが、福島第一原発の廃止措置のロードマップの中の、そのロードマップに従った一部分を担うという形で設置されているというふうに考えておりまして、いかに早くロードマップに沿った形のプロセスが進んでいくかというのを助ける、すなわち、原発の中にあります廃炉部分の特に水に関する、地下水が流れ込んでいる部分を、できるだけ早くそれをなくして、中で作業ができ、かつ廃炉措置のいろいろなプロセスが進むという形に進めていきたいということでございます。

 現状を多少申し上げますと、昨年の九月に基本方針が出されまして、十二月に汚染水処理対策のいろいろなことを包括した報告書を出させていただきました。その中では、汚染水を取り除くということ、汚染水を近づけないということ、それから汚染水を漏らさないという、この三つの大きな柱に沿って全体の作業を進めていくということにいたしております。

 除染作業とかALPSを初めとする多核種除去装置の増設とか、それから地下水バイパス、凍土壁、表面遮水、海側遮水壁、溶接型の貯水タンク、さまざまな施策を行ってまいりましたが、それぞれについて、予防的かつ重層的に組み合わさって安全を確保するという方向で検討しているわけでございます。その過程におきまして、その内容が非常に幅広くわたっておりますので、専門的なサブグループとかタスクフォースを設置いたしまして、それぞれの内容を精査してまいりました。

 今まで検討を進めてきたわけですが、皆さん御懸念のように、現在、ALPSによる処理が終わったとしても、大量のトリチウムがタンクに貯留されて残ってくるということがございます。これにつきましては、単に技術的な問題だけではなしに、いわゆる社会科学的な見地からきちっと国民的な合意を得る形に持っていかなければなかなか対応はできないだろうということもございますので、トリチウムタスクフォースというグループをつくりましてさまざまな選択肢を鋭意検討中でございまして、早々に何らかの形の案をお示ししたいというふうに思っております。

 汚染水処理対策そのものは、全体の枠を考えますと、おおむね計画どおりに進んでいるとはいいましても、かなり、細かい点で詰めなければならない技術的な課題がたくさん残っております。

 地下水、地盤というものは自然物でございますので、かなりわからないところもございます。試行錯誤的な面もたくさんございますので、さまざまな不測のトラブルや予想されないことが起こるということもございます。単に計画を立てただけではなしに、計画も臨機応変に中身を変えていく、現場に対応していくということを考える必要がございますので、現場との一層緊密な連絡体制、協調体制というものが必要になるかと思います。

 汚染水が漏れたとか、いろいろトラブルが報告されることが現在までに多々ありましたが、それらの原因究明を早急にやるとともに、徹底的な対策を講じるということ。過酷な環境条件、すなわち労働条件のもとでたくさんの人が作業を行っておるわけですが、その作業をいかに軽減するか。人が非常に大事でございますので、人をどういうふうにうまく動かして働いていただくか、かつ、その作業が全体的に安全確保につながってくるかというのを考える必要があると思います。

 そのためには、これから技術開発が非常に大事になってまいります。例えば、いろいろな形のロボットの開発とか、それから無人化技術、そうしたものを投入して汚染水対策をやる必要があるというふうに思っております。

 我々、対策をいろいろ講じているわけですが、こうした作業の内容が余り外にきちっと説明されていない。非常な問題点を感じておりまして、こうした国が行っている、あるいは東電が行っている内容が国民に理解できるように、あるいは世界で理解していただくように、きちっとした説明責任がございますし、かつ、その内容をわかりやすく説明するという必要があると思います。

 どうも、専門的な用語でざっと説明をするだけで、それで終わったように感じられる点が多いと思いますので、ぜひその点は今後気をつけていきたい。そうしたことが今回の法案の改正につながってくるのではないかというふうに私はまとめをしたいと思います。

 新しい機構の中で廃炉作業を着実に進める、その中で、技術開発あるいは技術のコントロールをしっかりやるというのが大きな柱の一つになるのではないかというふうに思っております。

 先ほど申し上げましたように、汚染水処理対策というのは、短期的には非常に急ぐことで、これを早くやらないと、廃炉対策のメーンの部分が進まないということでありますので、できるだけこの部分は我々としても対応を考えていきますので、その部分を盛り込んだ形の法案にしていただきたいというふうに思っております。

 その中には、高度な技術、あるいは高度なリスクマネジメントというものが必要になります。ただ単に技術開発をやればいい、あるいは単に管理をやればいいということではなしに、全体をマネジメントできるような形の組織が必要ではないかというふうに思っておるわけです。

 今までたくさんの課題が示されております。これは、皆さん方、新聞報道等、あるいはいろいろな審議の中で御存じかと思いますが、課題の解決を早急にやらないとというのは、我々の非常に重要な問題だと思っております。これは、法案の中で、そうした課題を解決するための注力ができるような形の法律の形態をとっていただきたいということでございます。

 それから、リスクマネジメントの観点から、課題の掘り起こしをしていただきたい。これができるようなシステムをつくっていただきたいというふうに思っております。今まで、わけのわからないといいますか、不測ということで、予測のできない事象が起こることがございました。これに対応するための人的対応、組織的対応というのが、どうも今までうまく動いていない面がございます。これをこの法律ですっきりさせていただきたいというふうに思っておるわけでございます。

 もう一つ肝心なことは、先ほど山名先生の中にもちらっと出てまいりましたが、非常に長期にわたる廃炉プロセスというものがあるわけでございますが、その中に、技術開発に関連した人材育成というものを盛り込んでいただければというふうに思っております。

 廃炉作業は、簡単にすっと終わるものではございませんし、人が非常に重要になってまいります。御存じのように、大学等でも、原子力に対する批判がいろいろあって、学生たちが行かないというような分野にもなりつつありますので、こういう点も含めて、人材育成を考えた上での組織体制というものを御考慮いただければと思います。

 組織の中に、インターンシップとか、それからポスドクの受け入れとか、教育的な部分も中に盛り込んでいただいて、この廃炉の場所、現場があるというのは非常に大事でございます。法案の中に、現場を見ながら技術開発を進めていくという点がはっきりわかるように、検討をしていただければというふうに思います。

 最後に、広報でございますが、幅広い人々への広報というのは非常に大事であります。これはもう、国民の方々の理解を得ない限りどうしようもないという面がございますので、できるだけわかりやすく、技術的な面も、社会科学的な面も、しっかりとした説明、皆さん方に理解していただくような広報をしていかなければならない。単に、拙速に話を、何か起こったからすぐ出す、あるいは説明するということではなしに、それをかみ砕いてわかりやすくというのを、ぜひこの機構の中でも検討できるような体制を組んでいただきたい。

 諸外国に行きますと、こうした原子力関係の広報というのは非常に充実をしておりまして、我々が尋ねても、極めて簡潔明瞭かつわかりやすい説明がされるようになっている。そういう組織ができ上がっておりますので、それも、この法案の中に、そういうことができるような形の文言等を盛り込んでいただければというふうに思うわけでございます。

 最後になりますが、できるだけ、現場と司令塔をつなぐ頭脳実務集団、頭脳を使いながら実務がきちっとできる集団を養成する、つくり上げる、そういう組織の役割を課するような法案であってほしいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

 以上で私の説明を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、諸葛参考人にお願いいたします。

諸葛参考人 諸葛でございます。おはようございます。

 私自身は原子力学会でさまざまな活動に携わっております。せんだって、事故調査委員会の報告書を三月の八日に公表いたしまして、その事故調査委員会の幹事役として廃炉の部分も担当させていただいておりました。それから、事故直後はチーム福島という福島の建設やら運転に携わった学会のメンバーを集めまして、今大活躍している循環冷却システムの提案を行いました。

 さまざまなそういう活動に携わってまいりましたので、その視点から、きょうはこの法案そのものというよりは、廃炉の問題全般について四つの視点で私の意見を申し上げさせていただきたい、こう考えております。

 最初は技術的な視点ということで申し上げさせていただきます。

 最初に、やはり一番重要なことは、廃炉の問題、廃炉に限らず原子力の基本的なミッションは何かといいますと、その中で取り扱っている放射性物質を外に出さない、これが最大の原子力施設の安全の課題ということになります。これを私どもは閉じ込めと呼んでいるわけでございます。

 原子炉の場合には、よく、とめる、冷やす、閉じ込める、三段階と申しますけれども、この三段階というものの最後の閉じ込めを実現するために、原子炉が動いているときにはその三段階で閉じ込めをやらなければいけない。もう福島の一号機から三号機はメルトダウンしていますけれども、今、とめる、冷やすは実現しておりますので、閉じ込めるをいかに実現するかということが大事なわけでございます。

 そうしますと、その閉じ込めの対象はどうしても、溶けてしまった燃料、溶けた燃料デブリをどうやって取り出すかというところに関心が集まってしまったんですけれども、実は閉じ込めという観点で一番脆弱なのは汚染水の方だったわけですね。もうこれは申し上げるまでもなく、脆弱な、言ってみれば閉じ込めに関するバルネラビリティー、脆弱性の一番高いのは燃料デブリではなくて汚染水。あんな千基もの汚染水タンクが並んでいる原子力施設というのは世界じゅう探してもないわけでございまして、この汚染水が外に漏れないようにすることが今当面の最大の課題だと私は認識しております。

 どうしても技術的に高度な技術が必要になる燃料デブリの方に神経が向かってしまったために、汚染水への配慮が少し薄かったのではないか。ですから、最初に申し上げた閉じ込めという観点で見たら、燃料デブリよりも相当、危険性は汚染水の方が高くて、国民とか世界の目から見れば、燃料が漏れようが汚染水が漏れようが、放射性物質が外に漏れるという観点では同じぐらいやはり不安を与えるわけでございます。

 ですから、そういう観点で、今回の改正案の中で研究開発ということがフォーカスされているんですけれども、汚染水の閉じ込めには研究開発はほとんど必要ありません。ローテクでできるわけでございます。ローテクでできるけれども量が多いですから、これは大変な作業になります。ですから、汚染水対策にフォーカスして対策をとる必要があるのではないかというのが技術的視点で申し上げたいことでございます。

 二点目は、プロジェクト管理の視点からの意見でございます。

 廃炉にかかわる関係機関というのは、今回の改正で、原賠機構、先ほど山名先生が御発言されましたけれどもIRID、実際に実務に当たっている東電、それから研究開発に当たっている原子力機構、さまざまな関係者がいるわけでございますが、廃炉のプロジェクト全体のプロジェクトマネジメントをきちんと遂行していくということが非常に重要なことになります。この関係者の役割分担を明確化して、それぞれのインターフェースをきちんととっていく。

 これが、昔でいいますと月面着陸を実現したNASAのプロジェクトマネジメントが有名でございますけれども、それに匹敵するぐらい、この廃炉は、世界で初めての、溶けた燃料が三つの原子炉に入っているという、非常に技術的にも難しい、月面着陸にも匹敵するぐらいのプロジェクトでございます。ですから、関係者の役割分担を明確化して、スケジュールを管理し、コストを管理し、進捗状況を管理し、それをPDCAで回していく、これが非常に重要なことだと思います。

 ですから、今回の改正案で、このプロジェクト全体のそういうプロジェクトマネジメントの役割がよく見えておりませんけれども、今後の作業の中でそういうことを明確化していく必要があるのではないかということを申し上げさせていただきます。

 三つ目の視点が、経営的な視点からの意見でございます。

 申し上げるまでもなく、現場は高い放射線で、まだ作業者は、大変苦労、肉体的にも精神的にも困難な作業を強いられております。どの作業も、ハイテクの部分もございます、ローテクの部分もございますが、難しい作業ばかりで、高い技術力が求められているわけでございます。

 この作業は、一カ月、一年で終わるわけではございません。三十年、四十年と続くわけでございます。ですから、今、一線で活躍しておられる方々は、そのうち新しい人たちにかわらなければいけません。ですから、経営的視点で一番重要なことは、新陳代謝をいかに図っていくか、つまり人材の確保ということであります。

 非常に難しい作業でございますから、技術力の高い、優秀な、モチベーションを持った技術者に来てもらわなければいけないわけでございますが、三十年、四十年といいますと、これはライフワークになるわけですね。ですから、その若い人が一生をここにささげてもいいと思えるような魅力的な職場にしないことには、若い人たちが集まってこないのではないかと危惧されます。

 ところが、今の仕組みを見ていますと、原賠法の四十一条に、お金を出すときには一々経営合理化の計画を立てて特別事業計画というものを提出しなさい、こういう縛りがある。つまり、言ってみれば、事故を起こした東電に対するパニッシュメント的な色彩が色濃く残っているわけでございます。

 そういうパニッシュメントの職場に本当に若くて一生をささげる若い優秀な技術者が来てくれるだろうかというところを、私は大変危惧しているわけでございまして、東電の責任問題と廃炉の事業というものは切り離して、新しい人材、若い人たちが夢を持って取り組めるようなビジネスにしなければいけないのではないかということで、東電はこの四月から社内カンパニーに組織がえいたしましたが、私は、もっと踏み込んで、別会社化をする検討も必要なのではないかと申し上げさせていただきます。

 四点目は、視点をもうちょっと広く見まして、国家的視点からの意見ということで申し述べさせていただきます。

 福島第一原発の廃炉で蓄積される技術は、これは世界的に貴重な技術資産になることは間違いございません。ですから、ここで蓄積される技術は、我が国はもとより、世界じゅうの原子力関係者にとって非常に貴重な資産になります。

 それをどうやってパイルアップしていくかということでございますが、これは百年の計でございます。先ほど処分のことも検討する必要があると。そのとおりでございまして、燃料デブリを取り出した後、それを処分まで考えますと、百年の計ではなくて、千年、一万年の計が必要になってくるわけでございまして、そういう長期的な視点で取り組む体制を構築する必要があるのではないかと考える次第です。

 一つの事例として、私はイギリスの仕組みを紹介させていただきたいと思います。

 イギリスでは二〇〇五年に国営の英国原子力廃止措置機関、略称NDAと呼ばれている機関が設立されまして、廃炉技術の一元管理が行われております。

 NDAを設立した主な動機は、イギリスの場合に、廃炉の積立金が非常に少なかったということが背景にあったやに聞いておりますが、そのほかにも、その資料にお書きしましたが、廃炉の経営負担リスクと電力会社の電力の安定供給という目的を切り離すということが一つ。それから、先ほど申し上げた、非常に長期にわたって責任を負わなければいけませんので、一民間企業にそれを委ねることは適当ではないのではないかというのが二点目。三つ目は、冒頭申し上げた、廃炉技術の一元管理が必要だ、こういう視点があったやに聞いております。

 我が国でも、今後の大きな検討課題として、こういうような仕組みも視野に入れて先生方に御検討いただければと考えている次第でございます。この仕組みは、先ほど経営的視点で申し上げた、夢のある形にこの廃炉ビジネスを転換する必要があるのではないかという観点とも合致するのではないかと思う次第でございます。

 私が申し上げたかったのは、以上四点でございます。

 ありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、除本参考人にお願いいたします。

除本参考人 おはようございます。除本と申します。よろしくお願いいたします。

 私はこれまでの先生方と少し違った角度から、私は環境経済学というのをやっているものですから、これまで環境被害の問題、環境被害の補償あるいは被害の回復等に対する責任とか費用負担の問題を研究してまいりましたので、その観点から、今回の法改正案につきまして二つの点で意見を申し上げたいと思います。

 二枚物の資料をつけてございますので、適宜参照いただければと思います。

 一つ目に申し上げたい点なんですけれども、今回の改正案を先ほど申し上げた責任と費用負担という観点から見る場合に、どういう基本的な見方をすべきかという観点についてでございます。

 私としましては、原発事故の収束ですとか賠償に一定の国費を投入することが必要かもしれないんだけれども、ただ無原則にそれをやるというのはちょっとまずいんじゃないかというふうに考えているわけです。どういう基本的な原則が必要だろうかということを考えたいということでございます。

 政府は、昨年の九月に、汚染水対策に四百七十億円の国費を投入するという方針を打ち出したわけでございます。それで、これも昨年でございますが、十二月二十日に原子力災害対策本部がいわゆる福島復興指針を決定しまして、ここでは、中間貯蔵施設などに国費投入を広げていくということが決められているわけですね。

 確かに、今まで先生方がおっしゃったように、廃炉の体制の問題、事故収束の体制の問題というのがございます。原発事故の収束とか汚染水対策を東電任せにするのではなくて、国が前面に出て、国内外の英知を結集して収束を進めていくというのは必要だろうということでございます。ただ、そのことと国が無原則に国費を投入していくこととは全く違うことだろうというふうに考えているわけです。言いかえれば、事故収束の体制の話と費用負担の問題というのは区別をしなければならないということであります。

 例でございますけれども、除染なんですけれども、放射性物質汚染対処特措法というのがこの原賠機構法と同じ時期に成立しているわけでありますけれども、これの仕組みは、御存じのとおり、除染の実施主体というのは国とか自治体ということになっているわけですが、その費用は東京電力が支払う、東電に請求されて支払われるということになっています。これは、原子力損害賠償法に基づく賠償責任に基づく負担であるというふうに定められているわけです。もしここに国費を充てていくというふうになりますと、要するに東電の賠償責任を国が肩がわりするという構図になっていきますので、一方で東京電力の責任が免除されるというふうに当然ながらなっていくということになります。

 ただ、先ほど申し上げましたように、国費の投入が一定必要であるという場合に、では、どういう条件が必要だろうかということを考えたいということでございます。

 二つの前提が必要だろうというふうに思っておりまして、第一は、東京電力は、私は事実上経営破綻しているというふうに思っているんですけれども、法的な整理をきちんと行うことが必要だろうと思います。これは、モラルハザードを避けるためにも必要です。

 具体的な法的な整理の仕方というのは、電力システム改革などとの関係で慎重に制度設計をしていく必要があるかと思いますけれども、基本的な考え方としては法的な整理が必要だろうということであります。株主に対して減資を受け入れていただいて、債権者に対する債権カットというのを行って、それによって東京電力の資産を吐き出させて資金を確保していくことが必要だろうということです。

 ただ、先ほど国費投入が一定必要になるというふうに申し上げたのは、それでも全然足りないだろうと考えているからであります。いろいろな考え方があり得ますけれども、国費の投入というのは必要になるだろうというふうに思われるわけです。

 では、その場合、何が必要か。今回の事故被害に対する国の責任をきちんと認める、それに基づく負担だという点を明確にすべきではないかということであります。

 今、改正が問題になっている支援機構法の中身を見ますと、国は社会的な責任を負っているんだということが述べられているわけです。では、その社会的な責任に基づいて何をするのかといいますと、この法律の中身は、国は東電に対して資金援助をする、そういう立ち位置になっているわけです。これではちょっと十分ではないのではないかということですね。

 国が責任を認めるというのは、これまで原発を推進してきた政策、これまでのあり方というのを真摯に反省する、そして行財政のシステムを見直して政策を転換していくんだ、そういうことが必要になるのではないかということであります。

 以上、申し上げました二つの前提に照らしますと、支援機構法にはそもそも大きな問題があるのではないか。

 私、二〇一一年の七月十三日に衆議院の東日本大震災復興特別委員会で、参考人としてお招きいただきまして、この点について意見を述べさせていただきました。福島原発事故を起こしたことで、東京電力は、先ほど申し上げましたとおり、事実上経営破綻をしているというふうに考えていますので、それに対して支援機構が資金援助をすることで延命をさせるというのは、株主や債権者の責任を曖昧にするものではないかというふうに考えています。

 振り返りますと、私が研究してきたこととの類似性を考えますと、水俣病の事件で非常によく似た仕組みがあります。加害企業、チッソに対する金融支援というのを行ってきた。ただ、これはいろいろな問題を引き起こしている。

 東京電力に対して今やっている支援機構の仕組みというのは、例えば、東京電力に第一義的な責任があるということで、先ほど申し上げましたように、国はその背後に退いて資金繰りを援助するという立ち位置になっています。したがいまして、東京電力の経営基盤を強化することが、賠償や廃炉を進めるためにも必要だ、だから原発再稼働も必要なんだという話にどんどんつながっていく。先ほどの原発事故を反省して政策を転換していくという方向性と正反対の方向に話が進んでいっているのではないかというふうに感じております。

 以上の基本的な考え方に基づきまして、支援機構法の今回の改正案の具体的な中身について、二つ目の点として申し上げたいと思います。

 いきなりちょっと細かな条文に入りまして恐縮なんですけれども、支援機構法の改正案を見ますと、第四十一条のところに、廃炉に関します第三項というのが新たに加わることになっております。

 ちょっとこの解釈はよくわからない点もあるんですけれども、この四十一条自体が原子力事業者に対する資金援助というのを定めておりますので、これは、廃炉や汚染水の対策に支援機構から資金援助をしていく、その範囲を廃炉・汚染水対策にまで広げていく、そういう趣旨なのではないかなというふうに読み取れるわけです。

 特に、もともとあります四十一条一項一号に資金交付というのが定められています。これまで、賠償とは違いまして、賠償には除染費用を含むわけですけれども、廃炉や汚染水の対策の費用にはこの資金交付が適用されないと考えられてきたというふうに私は理解しています。これが、今回、四十一条三項が加わることによってどう変わるのか、廃炉・汚染水対策の費用のうち、どういうものに対してどういう形態の資金援助を行うことになるのかという点をぜひ明確にしていただくよう、先生方には御議論いただきたいというふうに思っております。

 配付資料なんですけれども、支援機構法の仕組みという図をつけてございます。

 支援機構法の基本的な考え方というのは、四十一条一項一号に定められた資金交付によって、支援機構が一旦賠償の肩がわりをするんだけれども、後で電気料金などから原子力事業者が返納していくので、国民負担は最小化される。特に、負担金の中でも、電気料金に転嫁される部分というのは一部に限定します、そういうことで国民負担が最小化されるんだ、そういうたてつけであったろうと思います。

 しかしながら、昨年十二月の、先ほど申し上げた福島復興指針でこの点に変化が起きています、転換が起きています。具体的には、支援機構法の第六十八条というのがございますけれども、これに基づいて、中間貯蔵施設、これは一・一兆円というふうに言われていますが、この費用相当分を対象にして、国が機構に資金交付をするということがうたわれているわけです。ちょっとややこしいんですけれども、要するに、東京電力などの原子力事業者が返納すべき部分を圧縮して、そこに国費を充てるんだということが、昨年十二月の復興指針でうたわれたということであります。

 振り返りますと、支援機構法ができたのは民主党政権時代なんですけれども、当時、国会での政府答弁、二〇一一年十月二十四日でございますけれども、この政府答弁、復興特の中身を見ますと、これを下につけておりますが、六十八条による資金交付というのは福島の事故での発動は想定していない、そういう答弁があったわけで、それを覆すような方向が今打ち出されてきているというふうになっています。

 こういう経緯を考えますと、まとめに入りますが、なし崩し的に、賠償から除染、中間貯蔵施設、廃炉・汚染水対策というふうに国費投入の範囲が広がっていくのではないかという懸念が生まれても不思議ではないのではないかと思います。

 先ほど、一つ目の点、基本的な考え方ということで申し上げましたけれども、本来、東京電力が負担すべきものを国が肩がわりするということであれば、明確な理由が必要です。無原則な国費投入というのは、東京電力の資金繰りを助ける救済措置でしかないということになります。電力システムの改革、エネルギー転換を阻んでいくことにもなりかねません。

 これだけの大事故が起きていて、いまだに十三万人以上の方が避難生活を送っているわけです。にもかかわらず、これまでの原子力政策に対する反省が曖昧にされるようでは、被害者は浮かばれないだろうというふうに思います。

 新聞報道によりますと、策定中のエネルギー基本計画案の序文から、一度は福島の事故に対する深い反省という文言が削除されて、その後、また復活したという報道がありました。二枚目につけた資料でございますが、これに対して地元の方々からは非常に深い憂慮の声が上がっているわけです。

 最後に、繰り返し申し上げますが、国が前面に出るということは、国費を投入して東京電力を救済するということではないだろう。何をすべきなのかということをぜひ御議論いただきたい。このことを繰り返し申し上げまして、意見陳述を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅家一郎君。

菅家委員 おはようございます。自由民主党の菅家一郎でございます。

 各参考人の皆様方の今ほどのお話を承って、非常に参考になりました。

 まず、東日本大震災、平成二十三年三月十一日時点では、実は会津若松の市長をしていまして、本市の災害の復興とともに多くの避難者の受け入れ、特に大熊町さんを初め、受け入れをしてきたわけでありますが、現在も二千人を超える方が長期避難を余儀なくされておられます。まさにこれからの生活不安、補償をどうするのか。

 あるいは風評被害、これも実は深刻でして、観光においても、修学旅行、やはりお母さん方が不安なんですね。シーベルトを見てみますと、会津若松は〇・〇台、〇・〇九とか八マイクロシーベルト・パー・アワー。ですから、全く問題がない地域なんですけれども、非常に不安で、修学旅行が激減しているというのが現状です。

 それから、農作物も百ベクレル・パー・キログラム、これは世界では本当に安全な値以下にもかかわらず、米も全量検査しているんですね。しかし、先月の記事で、香港の吉野家ですか、福島の米は使っていませんというようなラベルを出して、まさに、全く安全なのにもかかわらず、このような状況が今でも続いているんですね。残念としか言いようがありません。私は、やはりもっと、大丈夫なんだから、大丈夫だというふうに、吉野家さんにはメッセージをして、自信を持ってやってほしいなと要望していきたい、このように思うわけであります。

 こういった状況を踏まえて、今回の原子力損害賠償支援機構法の一部を改正するということで、今度はまさに賠償と廃炉を一体にした改正、目的規定に「廃炉等の適正かつ着実な実施」を追加している。

 先ほどの山名先生のお話を聞いて私も心を強くしたわけでありますけれども、やはり一番大事なのは、先ほど先生のお話にありましたように、全体的なマネジメントをどうするか。この三つ、技術戦略・技術判断、現場オペレーション、技術開発、これらをもって、我々福島県人としては、やはり汚染水が、物すごい風評被害、ダメージだし、その原因も廃炉が密接に関係しているのは言うまでもありません。

 先ほど申し上げた総合的なマネジメント、つまり、新機構と現場の東電をいかに、この大きな課題を解決するための新機構の役割、やはりこれはきちっと明確化してマネジメントすべきと思いますが、先ほどのこの三者の連携が必須な中で、もうちょっと具体的な御提言があれば、お聞かせいただければと思います。

山名参考人 ありがとうございます。

 先生がおっしゃいましたように、この三つの連携が、この矢印、行きつ戻りつの関係をつくることが非常に大事であります。そのためには、この三角形全体を統合的にマネジメントする、かなり強いガバナンスといいますか、統率力、リーダーシップというのが必要です。東電にはそれをやる能力がございませんし、研究開発を担っているIRIDはそれを担う組織ではありません。

 そういう意味で、この三つを統合的に束ねるような力を、ある種の権限を付与して、技術的な内容も含めて、行動を要求するというような指導監督、それから措置命令も含めてつくることが多分一番重要であろうと思います。これが、まず枠としての仕組みとして求められるものです。

 それからもう一つは、その枠のもとで、実際に情報共有する、本来求めるべきリスク低減の考え方を共有する、選んでいく戦術を共有するという細かな技術的な戦略、戦術の共有が必要です。このためには、技術者が密に話をする、同じ土俵でそれを議論するという仕組みをつくる必要があります。

 私は、そのためには、この三角形の三つが一緒に議論して、責任を明確にして、ある統一方針をつくっていく会議体が必要であるというふうに思います。その会議体には、当然、東電の責任者、新機構の責任者、それから技術開発を担うセクターの責任者が一堂に会して、そこに外国の知見なども入れながら技術戦略を練っていくというような会議体をまず創設すべきであろう。これは法律では求めておりませんが、この三者がきちんとそれをやっていけばできる話であります。

 そういった共通で戦略をつくる会議体をつくって、そのもとで三者が責任を果たしていく、これが重要であろうかというふうに思っております。

 以上でございます。

菅家委員 極めて重要な御提言だと思うんですが、もう一方では、例えばオーケストラ、いろいろな役割があるわけですが、これを指揮者がまとめるわけですね。そして、ハーモニーになるわけです。

 私は、いろいろな機関をつくって、おのおのが責任を持ってやっているわけですけれども、この機構自体がそういう役割を担えるのかどうかというのが一番関心があって、また、やっていただければいいかな、こう思うんですが、この視点について御見解があれば教えていただきたいんです。

山名参考人 基本的に、オーケストラの音楽ディレクターに当たるのは、恐らく政府、主務官庁であるエネ庁がそれを担うことになると思います。指揮者としてのコンダクターも事実上は政府が行政的に行うんですが、実は、そのコンダクターの横に新機構の廃炉を担う専門家集団が確実に控えている。それは、情報提供し、東電に対する研究計画等の勧告等も行いながら、その状況を政府に上げていって、指揮、コンダクティングにそれを反映させていくような形に恐らくなるだろう。

 そういう意味では、この新機構がそのまま音楽ディレクターになるというよりは、どちらかというと、政府の措置命令権限のもとで、実効的な判断あるいはそれを可能にする情報を提供していくような強い技術的サポート集団としてそこに備えているというイメージで私は考えております。

 ぜひ、こういう形を実現していただきたいと思う次第でございます。

菅家委員 大変参考になりました。ありがとうございます。

 次に、先ほどの風評被害、深刻なダメージを受けているわけです。その原因は、何といっても汚染水の漏えいが一つだと思うんですね。

 やはり福島県とすれば、一日も早く、とにかく漏えいをとめてほしいし、廃炉に向けて加速化してほしいというのが悲願なんですけれども、現実問題は、ALPSもそうですけれども、国が今回力を入れて、除去するんだということなんですが、なかなか本格操業まで至っていないのが現状なんです。でも、私は期待したいんですね。何とかこれを本当に円滑に利用してほしいと思うんです。

 これはどうなんでしょうか、技術的な視点で。今はいろいろなトラブルをやっていますが、これにしっかりと対策を講ずれば、正常に本格運転に当然つながると私は思うんです。この点について専門的な知見、これは大西さんでよろしいんですか。では、先生よろしく。

大西参考人 私は、実はそういう方面の専門家ではないのでわかりませんが、技術開発あるいは技術的な検討という面から見ますと、もちろん、多々の失敗といいますか、不備は起こると思います。それをいかに早く迅速に改良して次のステップに行くかというこの体制をつくっておかないと、いつまでも同じようなことを繰り返すということになりますので、ぜひそのあたりを期待していただき、日本の技術力はそれなりのものを持っていると思いますので、機械メーカーたちもいろいろ苦労してやっているとは思いますが、その辺は、私は希望的観測を持っております。

菅家委員 それでは、山名先生にちょっとお聞きしたいんです。

 本改正案では、機構の業務として廃炉に関する技術の研究開発等が追加されることになったわけでありますけれども、先生は、福島第一原発の現場とも密接に協力しながら、世界じゅうの知見を集め、燃料デブリ、溶融燃料の取り出し、そして汚染水の問題を解決する技術の開発につなげたいというような記事も拝見させていただいたわけであります。IRIDでも、原子炉格納容器を水で満たしてからデブリを取り出す以外の手段や、デブリの位置特定技術に関する情報を募集されておられるというふうにも伺っております。

 格納容器の貫通部は一基当たり最大二百カ所程度ある、完全な止水は難しいというような記事も拝見させていただいたんです。また、格納容器上部から底面までは三十五メートル程度の距離があることから、機器の制御が困難だというような記事もあるわけで、私も、ここは非常に不安で、一番大事な課題だと思っているんですけれども、この機構でも、そういう廃炉に関する技術の研究開発等が追加されたということで、まさしくこの点についての研究をしてほしい、このように思うわけであります。

 先生は気中でのデブリ取り出しを含めたさまざまな代替工法の可能性を探っておられるというような記事も見て、非常に心強い思いをしているわけですが、一日も早く廃炉を目指すための今後の対応とか、今先生が取り組んでおられる見通し等があれば、せっかくですから、お聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

山名参考人 ありがとうございます。

 技術的な考え方についての御質問と承ります。

 まず、基本的なことを申し上げますと、こういった高放射性のものを最も安全に、安価に、効率的に扱うのは、水の中で扱う手法なんです。これは、私がおります京都大学の原子炉実験所でも、深い水の中で、研究炉の使用済み燃料を長い棒を使って扱うということをやっております。全国共通のものです。

 したがって、水で満たすことができれば、これにまさるものはないというのがまず基本原則であります。しかしながら、先生がおっしゃいますように、今、格納容器からの水が漏れております。漏れの箇所も、十分にはまだ特定できておりません。配管のペネトレーション等を完全に止水することの確実性についても、今は明確な判断ができない状態にあります。

 基本的には、止水の開発でできるだけ努力をして、水を満たすことができるようになることを、まず第一義的なベストの手法として探求すべきであるという技術的な判断を持っております。したがって、その開発に今資金を投じて進めているわけですが、これだけに依存していると、それがまず不確定になったときに時間のロスが発生するということがありますから、それだけに依存しない、代替的な手段を同時並行で開発するという手法を今とっているわけです。

 それは、先生が御指摘の気中取り出しでありまして、水を満たさなくても、先ほど言いました、多少リスクはありますが、大きな遮蔽を設置して、空気中でも遠隔の技術で取り出すということは工学的には可能であります。あとは、お金がどれぐらいかかるか、時間がかかるかというような判断になってきますけれども、恐らく可能であるというふうに考えています。

 今、同時並行でその開発を、可能性のあるものを海外の提案も含めて探っている状態にあります。我々としては、先ほどの水で満たすという基本シナリオをメーンに、いつでも代替手法に乗りかえられるような開発を同時に進めるということで、今、万全の体制をとってやろうとしているということでございまして、資源エネ庁の方でも、そのための予算確保に御尽力いただいているという状態です。

 そういうことで、先生の御懸念は極めてクリアでありまして、それに対しても、私たちはあらゆる可能性を考えながら、ロスが生じないような盤石な体制で開発を進める、こういうことをしております。

 以上でございます。

菅家委員 大いに期待してまいりたいと思います。

 時間も限られますので、もう一点、大西先生、凍土方式の対策を講じているわけですが、先生の研究で、遮蔽壁を囲むことにより、構造物下の液状化層を閉鎖空間化するという概念に着目をされて研究されているというのを読ませていただいたんです。国の凍土遮水壁対策はさまざまありますが、今の先生の研究との関連と、それから、我々も期待しているんですね、ブロックするための。この辺に対しての先生の御所見を、せっかくですから、お聞きしたいと思います。

大西参考人 御質問ありがとうございます。

 土を凍らせるというのは、そう難しい技術ではないんです。しかし、今回のように非常に大規模に凍らせていくというのは、本当に何が起こるかわからない。特に、先ほど申しましたように、自然の地盤を相手にしますので、かつ、ああいう非常に複雑に配管系が地下に埋まっている可能性もある中で、どういうふうに本当にきちっと水をとめていくか、そういうところにポイントがあると思う。

 今まで凍土壁に関していろいろ御懸念があった中で、今回は計測というのを非常に重要視しております。土が凍っているかどうか、岩盤が凍っているかどうかというのをしっかりチェックしながら、ここを凍らせていこうということを考えています。

 凍っているかどうかというのは温度をはかればすぐわかりますので、零度以下になっていれば凍っているわけですから、それを確実に確認しながら、壁、すなわちアイスキャンデーを一個ずつつくっていくようなもので、それを並べている。一番課題になるのは、アイスキャンデーとアイスキャンデーの間が凍っているかどうか。そこのところが確認できていけば、かなり確実性の高い方法になってくるのではないかということで、そういう点には注意を払いながら凍土壁の完成を目指していくという状況でございます。

菅家委員 ありがとうございます。大いに期待していきたいと思います。

 実は、機構に新設される廃炉等技術委員会というのがあって、この委員について、原子力工学、土木工学その他の廃炉等を実施するために必要な技術に関して専門的な知識を有する者と定められているんですね。これは、先ほどの作業する方の人材もあわせてなんですけれども、やはり、いかに人材を確保するか、これが重要だと思うんです。

 まずは、この委員の選任について、優秀な研究者を招聘するため、どのような待遇条件だとか、委員の人選のあり方というんですか、専門的な立場で、これから人選するに当たって何か御意見等があれば、せっかくですから、お聞きしたいと思うんです。

 時間が来ましたので、それとともに、原発の安全性確保や数十年にわたる廃炉作業の着実な実施のための原子力技術者の育成確保、先ほどお話がありましたね。これについてもあわせて、国としてどのような対策を講じたらいいのか、せっかくですから、お聞きしたいと思います。

 これは山名先生でよろしいですか。では、よろしくお願いいたします。

山名参考人 廃炉等技術委員会のメンバー構成についてです。

 基本的に私どもが申し上げる話ではないんですが、私が先ほどのオーケストラの音楽監督の立場に仮想的に立ったとすれば、やはり、原子力工学の人間の中でも、原子炉安全やバックエンド、廃棄物の問題なんかは非常に重要になってくるんです。広い原子力を見てきた、余り狭くない専門的知識をお持ちの方、さらに経験が非常に豊富である方、こういった人は少なくとも不可欠であろうというふうに思います。

 それから、先ほどおっしゃいましたように、気中取り出しとか水中取り出しとか遠隔技術というのは、やはりキーになってまいります。そうすると、遠隔ハンドリングですとか、取り出すための工学的な専門性の高い方というのは必ず必要になります。

 それから、地下水汚染の問題とかは土木工学的な話になりますから、土壌修復とか地下水の扱いの専門家の方たちは必ず必要になると思います。

 それから、今、原子力的なことを申し上げましたが、原子力でないような専門家の方、やはり異分野のアイデアというのは極めて重要で、そういう意味で、広い取り組みができる方に入っていただくということもやはり望まれるかというふうに思います。

 次に、御質問の人材育成の件ですが、これは実に多岐にわたる話です。

 私は、大学教授の立場からいいますと、やはり、原子力や廃炉の技術を引っ張っていく、ある種のリーダーシップを持ったエンジニアが欠けていくことが非常に怖いんです。それは、イメージで言うと、大学院における修士課程を出ていったような連中です。こういう人たちは、必ず現場やヘッドクオーターのリーダーになっていきます。その人たちが、実際に放射性物質を扱うとか、原子力のリスクを真剣に考えるという経験を積んでいくような教育を継続していかないといけないわけなんです。

 しかし、非常に残念なことに、現在、日本の大学では、私がおります原子炉実験所のような、実際にホットなものを扱っていく場が減っていっているんですね。しかも、そこに来る学生が減ってきている。これは、今望まれることとは全く反対のことが起こっているわけです。そういう意味では、文部科学省的な立場から、やはりそういう基盤的な場を確保、維持するということが、一つの大きな、行政的、政策的な措置として求められるというふうに思います。

 それからもう一つは、やはりこういった場にたくさんの人が集まるためには、たくさんの情報発信が必要なんです。今は、マスメディア情報の中で、何となく汚いものだとか危ないものだとか、イメージだけが先行されて報道している。この中には優秀な学生は集まりません。

 であれば、やはり、こういった技術の底辺にある科学技術というのは、貴重であるとか、おもしろいとか、発展的であるとか、チャレンジであるとか、そういうことを大学からも、あるいは業界からも発信していかなければならない。そのためには、文部科学省だけでなくて多くの省庁のお力も必要ですし、私たち大学などの力ももっと上げていかなければならないと思います。

 ぜひ、先生方のお力添えをお願いしたいところでございます。

菅家委員 時間になりました。大変貴重な御提言、御意見を賜りましたことに感謝を申し上げまして、終わらせていただきます。

 本当にありがとうございました。

富田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 本日は、参考人の皆様、御多用な中、本委員会までお出ましいただき、貴重な御意見を賜り、心より感謝と御礼を申し上げます。

 今回の法案ですけれども、原子力損害賠償支援機構法の一部を改正して、原賠機構の機能を拡充して、これまでの賠償支援業務に加えて事故炉の廃炉関係業務を追加することとなっております。

 きょう、私は二人目の質疑者でございますので、まず、大きな視点から質問をさせていただきたいと思います。

 まず、山名参考人、大西参考人、諸葛参考人にお伺いしたいと思います。

 これまでの汚染水対策等、後手後手に回ってきた感がありますけれども、これまでの廃炉・汚染水対策の主たる問題点はどこにあったのか。また、それを乗り越えるためのポイント、今後の廃炉・汚染水対策の急所というのはどこになるのか。

 先ほど御開陳いただいた御意見の中で含まれていた点もあると思いますけれども、また改めまして追加する点等もございましたら、それも含めて教えていただければと思います。よろしくお願いします。

山名参考人 ありがとうございます。

 非常に難しい御質問でございます。先ほど私のペーパーの中で三角形を提示させていただきましたが、私は、東電の現場オペレーションにおける、プロアクティブといいますか、あの非常に混乱した状態の中で、きちんと先を見て、技術的予見に基づいてエンジニアリングをジャッジするという機能がなかったという点が、まず第一にあると思います。

 しかしながら、東電は火事場におりますので、応急措置に明け暮れるという状況も現実にはあるわけでして、そういう意味では、それを外から、広い目で、俯瞰的な目で、技術的にこうすべきだという提示、指導を出す全体的な俯瞰的なマネジメントが、私どもも含めて十分有効に機能していなかったという問題があるかと思います。先ほどの御質問にありましたように、全体を見て統合的にエンジニアリングのマネジメントを引っ張っていく機能が、やはり弱かったということであるかと思います。

 そういう意味で、この法改正において、その指導的な戦略を出していく機能が高められていくことが提案されているということでございますから、今先生の御質問は、まさに、その過去のウイークポイントを問われているものだというふうに理解しております。

 以上でございます。

大西参考人 ただいまの御質問に関してですが、なかなか難しい点がたくさんあります。中身は、今、山名先生の言われたことと全く同じでございます。

 汚染水対策に関しても、当初は、全体を見回す、そういう司令塔が余りしっかりしていなかった。東電の現場と、こちらのいろいろ方策を考えるグループとの認識の差といいますか、そこのところが理解されていなくて、いろいろ錯綜が起こったということでございます。大前提は、汚染水を漏らさない、外に出さないという前提に基づいた何をしなければならないかという整理が十分されないまま、いろいろな施策が行われて、結果的に、部分的に漏えいが起こってしまったりとか、そういうことが問題ではなかったかというふうに思われます。

 その後、国が前面に出るということも含めて、あらゆることの見直しをやりながら、リスクマネジメントの観点から何をやればいいかというのをかなり整理してまいりましたので、現在は、相当安定的に施策が行われているのではないかというふうに思っております。

 以上でございます。

諸葛参考人 今回の汚染水問題の根源的な原因は、QMSと私ども呼んでおりますけれども、原子力施設の場合には、通常の施設よりも高い品質で、設備、機器の設計、製作、工事に当たらなければいけないということで、非常に厳しい品質の目標が設定されているわけです。

 ただ、緊急事態でございますから、緊急事態に、出血しているのに品質なんて言っている場合ではございませんので、緊急措置として行われたものに品質は目をつぶって、とにかく火事をとめなければいけないということで、さまざまな手が打たれてきたわけでございますが、そのときに、その緊急措置をきちんとした原子力施設の品質にかなうように改善していかなければいけないという長期的な施策に欠けていたのではないか。

 ですから、緊急対策としてやることと、それは例外ですよ、原子力施設のクライテリアから外れていますよということをきちんと認識した上で、それをいかに本来の姿に変えていくかというところの対策に少しおくれがあったのではないか。

 今、そういう対策が立てられて進んでおりますから、そういう計画に早く置きかえていって、ああいうタンク、最初に漏れた地下式の汚染水の貯水槽の仕様などを報道で見る限り、通常の廃棄物、産廃の廃棄物場の仕様に比べても劣るような仕様でやられていたやにお聞きしております。

 ですから、あれは、原子力の施設の品質の基準から見たら目を覆わんばかりの対策でございましたから、最初の緊急対策としてやむを得なかったとしても、なぜそれを放置していたのかというところが私は大変疑問に感じる次第でございます。

 以上でございます。

國重委員 大変示唆に富む御意見、それぞれありがとうございました。

 次に、山名参考人にお伺いします。

 先ほど、御意見の冒頭あたりにあったと思いますけれども、今回の改正法案、賠償の支援業務と廃炉関係の支援業務、これが一緒になることはいかがなものかと当初は思っておった、ただ、今は違う、一緒にやることに意義があるということでおっしゃいました。

 こういう意義があるんだということは先ほどもおっしゃられましたけれども、二〇一四年一月十日の朝日新聞に掲載されました山名参考人の御意見として、ここに出ていましたのが、まずは廃炉に向けてどんな技術戦略をとるかが重要だ、それから、戦略を進めるためにどんな組織が最適か、費用は幾らかかるかを考えないといけないということで、今回はちょっと順番が逆になっているんじゃないかというような御意見がここに書かれている気がするんです。

 参考人の中で、今回の法案は評価すべきだと今思われているということですけれども、何が大きな要因として変わったのか、そのあたりのところを詳しく教えていただければと思います。

山名参考人 ありがとうございます。

 先生の御指摘のところが、実は一番核心でございます。

 まず第一に、私のレジュメにも書いておりますが、廃止措置の失敗は、賠償の努力や被災者の復帰に向けた努力を全て無にしてしまう、それだけのインパクトを持っている爆弾でございます。したがって、賠償という、ある人の人生や価値観に補償するということのために廃炉の成功というのは必要条件になっている、こう考えてよろしいかと思います。

 さらに、これは、賠償の対象でない一般国民や国益にも影響を与える重大なリスク要因になっているということですから、少なくともこれを完全に分けることは適切でない、今、そう思っていることが一つございます。

 それから、朝日新聞の記事で申し上げたかったことは、先ほど諸葛先生から、NDAという英国の手法について御紹介がありました。私も実は、ある種、国民の同意を得て、国民の支援のもとに、こういった大きなレガシーに国として対処していく組織が究極的には必要だろうというふうに思っておりますし、現在もその思いは残っておるんです。

 ただし、実は、諸葛先生のお話の中にあったのと日本の状況では、一つ大きな違いがございます。イギリスは、国営の原子力発電所の始末を国民負担で対処するためにNDAをつくっているわけです。今回は、東京電力という民間企業が起こした事故の始末であります。この始末に失敗すると国益を損するという意味では高い公益性を持っておりますから、国の強い参画が必要であるというのは間違いないんですが、完全にNDA的なものが今すぐできるというのは、少し時期尚早であろうというふうに思っております。

 そういう意味で、私は、賠償支援機構の中に廃炉機構を置いていくということは、先ほどの賠償の基本が廃炉であるというコンセプトのもとに、今できる集約的な廃炉の組織を実現するためには、最も現実的にとれる、つまり、国民負担という非常に究極的な問題に集中突破で立ち入ることなく、まずは国が強く関与したガバナンスをきかせる手法として最も現実的な手法なんだろうなという一つの現実解に至ったというわけです。これは、半年ぐらい前にそう思うに至りました。そういう意味では、ホップ、ステップ、ジャンプのステップの部分にあるというふうに思っています。

 当面、この賠償支援機構、新しい機構のもとで取り組みを進めて、もし、こういう取り組みに対して広い国民の支援が得られるようになってくれば、さらにNDA的な組織について考えるという余地は残すべきであるというふうに考えているわけです。

 これが私の考えでございます。

國重委員 非常によくわかりました。ありがとうございました。

 また、引き続き、山名参考人にお伺いしたいと思います。

 今回、新機構に廃炉関係業務が追加されることになりますけれども、原賠機構につけ加えられることになりますけれども、廃炉・汚染水対策の実効性を高めるために、今現在あるIRID、国際廃炉研究開発機構と新機構は、それぞれ、どのような役割を果たして、どのように連携をとって、実効性のある廃炉・汚染水対策を講じていくべきとお考えか。国内外の英知を今結集されているということでお聞きしておりますけれども、今のIRIDの現状を踏まえて、これからの機構とどのように連携してやっていけばいいのか、実効性が高まるのか、これについて御意見を伺いたいと思います。

山名参考人 ありがとうございます。

 現在、今、私はIRIDの理事長として全体的なマネジメントを行っておりますが、今の現状で、私たちがIRIDとして理想と思う状態を一〇〇としますと、まだ七〇ぐらいでしかないというふうに思っております。

 その理由の一つは、東京電力の現場と開発というのは、さっきの三角形で強くリンクしていなければならぬのですが、ここの間の情報流通にまだ不足があると考えている、これが一つです。

 常識的に考えればすぐわかりますが、現場から離れた開発というのは、ほとんど意味がありません。開発というのは、それを使うカスタマーの要求に沿ったものをつくって、実際に投入しないと意味がないわけです。ですから、この連携を強くする必要があるというのが一つでございます。

 それから二つ目は、国がつくるロードマップに従って、私たちは研究開発を国から受託して行うという立場にあるんですが、その研究開発戦略をつくるところにIRIDとして徹底して深く参画する状態にまではまだ至っていない。それは私たちの力不足もありますし、そういう役割をIRIDが今は担っていないわけです。ですから、先ほどの、戦略部門に強いリーダーシップを持った機能が、国側に非常に強い機能が要るだろうというふうに思うわけで、それがこの法改正の案になるということであります。

 それからもう一つつけ加えますと、先生御指摘の国際性の問題です。

 IRIDは、今、海外の機関といろいろコネクションして、彼らの提案なども受け入れておりますし、ディスカッションも行っておりますし、海外のアドバイスも受けております。しかし、それは先ほどの三角形の中の技術開発の部分についてのアドバイスや連携を受けるだけでありまして、実は、海外から見ると、日本政府にもアクセスするし、東電にもアクセスする必要があるわけです。矢印が三つあるわけですね。そのうちの開発の部分だけ私たちは国際的に連携しているんですが、これは何か、ある一部分だけを請け負っているようで、とても気持ち悪い。

 さっき言いましたように、海外は、ジャパン・インクといいまして、一Fの廃炉は日本株式会社がやっているんだろうと思っているんですよ。ですけれども、矢印が三つありまして、私たちはその一部についてやるけれども、ほかの部分についてはアクセスできていないというのが現状でありまして、ここを何とか広げていきたいという思いを強く持っております。

 それが今の現状でございまして、そういう意味で、やはりこの新しい法案がもし成立すれば、そういう海外との連携についても非常に強い連携ができて、IRIDとしては、新しくできる新機構と非常にコネクションを持たせていただいて、そこを強化してできるのではないか、こう期待している次第でございます。

國重委員 ありがとうございました。

 では、最後の質問をさせていただきたいと思います。

 大西参考人、諸葛参考人にお伺いします。

 先ほどは山名参考人が答弁されておりましたけれども、今回、廃炉関係業務を追加するということで、いかに優秀な人材を確保するかということが焦点になってくると思います。もちろん人材育成も今後していかないといけないんですけれども、まずは、今、人材を確保しないといけない。廃炉委員会もありますし、次は職員、これは政府への質疑の中で出てきましたが、大体五十名ぐらい職員として予定しておるということなんですけれども、今、こういう人材を集めるのがなかなか難しいということも聞いております。

 今回の廃炉関係業務に当たっての職員、どのような人材を集めればいいのか、また、五十名と言っていますけれども、どの程度の規模で、どのような人材を集めればいいのか。また、今、なかなか人材を集めるのが大変だということですけれども、もし人材の確保の方法で何か示唆に富む御意見がありましたら、教えていただければと思います。

大西参考人 ありがとうございます。

 なかなか難しい御質問なんですが、やはり我が国には使命感を持った人たちというのはたくさんおります。したがって、マネジメント能力があって、かつ、技術的なバックグラウンドのしっかりした、こういう条件を満たす人というのはそれぞれの分野にたくさんいますので、そういう募集をする。誰がやるかというのは、これは今後の問題でしょうが、そういう募集の仕方をすれば十分集まるという希望的観測を私は持っております。

諸葛参考人 先生の御質問は大変難しい御質問でございますけれども、私も、先ほど人材の問題を申し上げさせていただきまして、非常に大きな問題だと思います。

 ただ、今回の法案でうたわれている、原子力工学、土木工学の専門家というくだりもございますけれども、先ほど山名先生がプロジェクトマネジメントのことを御指摘されましたけれども、私は、この新しい組織に求められる人材は、全体を俯瞰して、そのプロジェクトのマネジメントが行えるという統括能力だと思います。ですから、必ずしも原子力の専門家ではなくても、プロジェクトマネジメントの素養のある、そういう実地の経験者、そういう人材が必要なのではないか。

 もちろん、原子力の、先ほど私が申し上げた、QMSといいますか、品質のマネジメントができる、原子力の品質がわかった人材もいませんと全体の統括ができませんので、そういう人材、原子力の関係法規に明るい人、原子力の特別な品質管理に精通した人、それからプロジェクトマネジメントに精通した人材、こういう人材を新しい司令塔になるべきところに集めるのがいいのではないかなというふうに考える次第でございます。

國重委員 本日は、参考人四人の皆様にお越しいただきまして、貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございました。私たち国会議員も、しっかり被災地の復旧復興、生活再建のために全力を尽くしてまいります。

 本日は、本当にありがとうございました。

富田委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 おはようございます。民主党の岸本周平です。

 本日は、四名の参考人の皆様、お忙しい中、当委員会の御審議に御参加をいただきました。まず感謝を申し上げたいと思います。また、山名参考人から折々直接お話を聞く機会もいただいており、参考になっております。きょうも、時間が限られておりますけれども、できれば四名の方にお聞きをしていきたいと思います。

 まず最初に、今の國重委員の問題意識、最後に御質問された人材の点から入りたいと思います。まず、山名参考人、大西参考人、諸葛参考人の三名の方にお聞きしたいと思います。

 まさに参考人の皆さんも最初からおっしゃっていらっしゃるように、この組織、ある意味、木に竹を接ぐような話でありまして、やはり損害賠償と廃炉というのは、幾ら何でも、これは業務の質が違います。賠償の方はやはり事務的な作業でありますし、片や、かなり高度な技術的な組織でありますから、これが一緒になるというのは、あくまでも便宜的な、やはりスピードが求められますから、全く新たなエンティティーをつくるというよりは、今あるものに足していく。これは、現実的にはこのアプローチしかなかったんだろうと私も自分の経験から思いますが、しかし、それでもかなり無理があると思います。

 それと、これも正直に申し上げると、日本の官庁の組織の遺伝子というのがありまして、これは、残念ながら、言葉を選ばないといけませんけれども、法学部至上主義なんですね。事務職が偉いんですよ。技術職というのは、若干、どこの役所においてもいささか劣後する。これは、正直、私はその中におりましたので、いいか悪いかは別にして、そういう伝統があります。

 これはよくないことであり、また、東京電力とは言いませんけれども、日本のブルーチップの会社も、主として事務職の方が強かったり、あるいは企画部門とか総務部門の方が社長になられたり、なかなか技術畑でたたき上げの方が社長になるというところは少ない。なったところは、これはよしあしで、うまくいった例もあるし、うまくいかない例もある。別に法学部出身でも、うまくいっている例もあれば、そうじゃない例もありますので、一概に決めつけてはいけませんけれども、ぜひ、今度の新しくできる組織については、やはり技術者至上主義で、技術部門の方が実質的に采配が振れるようになってほしいなという思いが強くあります。

 五十人の職員でスタートするわけですけれども、当然、事務的な部分というのは、多分、経産省なり役所から出向者が行けば、マネジメントは完璧だと思います。それ以外に、どれだけの技術者の方に来ていただけるのか。ただ、これは、最初は多分、出向者という形にならざるを得ないと思います。だって、法の公布後三月以内に発足するわけですから、今さら公募するわけにもいかぬでしょうから、最初は出向者でスタートする。

 これももちろん優秀な方に来ていただきたいわけですけれども、その先、本当に、今参考人の方もおっしゃった若い方、前途有望な方がどんどん入ってこられるような形にするにはどうすればいいのか。例えば、外国の知見というお言葉もありましたけれども、廃炉という意味ではほとんどが外国の方が進んでいるわけですから、むしろ外国から優秀な方に来ていただく。

 これは報酬の問題もありますので、もう少し柔軟にしていく必要はあると思いますけれども、報酬の問題は別にして、外国の最先端の技術者がどんどん来る、そして、それこそ、私、公用語は英語でやればいいと思いますよ、楽天じゃありませんけれども。当然、英語で仕事をする、外国の人が半分以上いる。

 そうすると、そういう最先端の技術者が海外から集まっている組織であれば、若い人は行きたがるわけですよ、きっと。あるいは、インターンシップとかポスドクの育成というようなお話も出てまいりましたけれども、今までの日本の役所が関与する組織とは全く違うようなものをぜひつくっていただきたいと思うんです。

 お三方に、今言ったようなマネジメントも含めて、採用あるいは人材の確保、育成ということについて、さらに、今までお述べになった以外に御意見を賜れればと存じます。順番に、よろしくお願い申し上げます。

山名参考人 お答えしたいと思いますが、まず、この新機構に私たちが求める専門家のスペクトルからお話ししたいと思うんです。

 恐らく、これは、東電の現場に対して助言、指導、監督を行うという、生ものを見られる力というのが物すごく大事になります。例えば汚染水問題、東電で何か危険の芽があるだろうと発見する力というのは物すごく大事です。こういう力は経験力なんですね。教科書に書いてないんですよ。ということは、豊富な経験、修羅場を踏んできた人間の目が必要だということを意味しています。年齢構成でいえば、高くなってしまいますね。

 先生おっしゃるように、急に引き抜きのような形で持ってくることは難しいかもしれないけれども、それを持ってこないと、多分、機能しないんですね。そういう意味で、現実的にできる可能性があるとすれば、そういう修羅場を踏んできた経験者、リタイアした直後の人たちとか。優秀なそういう現場力を持った技術者というのは、結構、本流から離れて浮いている場合もあるわけですよ。宝の持ち腐れ、そういう人たちをまず集める。

 あるいは、もし現役であっても、その方の所属している会社、組織ときちんと交渉して、今国難ですから、そういう人たちもぜひ来ていただける交渉をするという価値も、もちろん十分あると思います。そういう意味で、現場力。

 それから、やはり研究開発のことが必要ですから、今度はエンジニアリング力と、ある意味での基礎学問的な能力も必要になります。これはメーカーとか研究所とか、そういうところに恐らく逸材はいるだろう。そういう人をどうやって持ってくるかというリクルート戦略を法律至上主義の力でお願いするというのが、私たち技術者の立場ですね。

 それから、外国人を持ってくるということは、私は大賛成です。やはり外国人には、若くて経験がなくても、めちゃんこ優秀なやつがいて、勘どころを見きわめる力があるやつが四十代でも三十代でもいるんですよ。そういう人間をどうやって持ってくるかということは、少し戦略的にこの新機構で考えていただけるんじゃないか、こう期待しております。

 以上でございます。

大西参考人 御質問ありがとうございます。

 非常にこれも難しい問題だと思うんですが、基本的には、職場を魅力あるものにしていかないと、どんな人を呼んでも、嫌になると思います。したがって、長期計画を含めて、どのような魅力をこの職場に示すことができるかというのは、まず第一義的に必要だと思います。

 今日本では、理系の人より法律という話を先ほどされましたが、理系だからいいというわけでもなくて、やはり根本は人であると思います。人間力というふうに表現されておりますが、そういう点がしっかりしていないと、どんな分野に行っても難しいだろうというふうに思います。

 特に、本当に修羅場となる現場を対象にするわけですから、いわゆる胆力というものがないとだめですので、それをどうやって鍛えるかということですが、現状では、鍛えた人を入れざるを得ない。先ほど山名先生がおっしゃったように、ある程度の経験のある人となると、かなり定年に近いような人たちが候補に挙がるかと思いますが、働き場所はかなり、呼び込めば来ていただける人も多いんじゃないかというふうには思っております。

 それから、外国人に関しましては、外国人は、若くても、トップクラスといいますか、マネジメントをしっかりした人もたくさんいますので、こういう分野、原子力に限らず、全体をマネジメントして、会社経営とかいろいろな形でやれる人を、ある程度短期でもいいですから、そういう人たちを入れて、ディスカッションができる、次の方向性をしっかり決めるというような人たちを中に入れて組織をつくるということが大事ではないかというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

諸葛参考人 御質問ありがとうございます。

 私は、二つにこの問題を分けて考える必要があると思います。一つは、この原賠機構の中の人材の問題、それからもう一つは、先ほどプロジェクトマネジメントと申し上げましたけれども、プロジェクト全体のマネジメントの問題、これは二つに分けて考えるべきだと思っております。

 先に後者の方から申し上げますと、どうして私がイギリスのNDAを参考にすべきだと申し上げたかといいますと、NDAは大変クレバーな方法をとっております。何かといいますと、現場のプロジェクトマネジメントを、新しいNDAという組織の人間がやっているわけではありません。世界じゅうの原子力のプロジェクトのマネジメントを経験した企業に公募いたしまして、イギリスの施設ごとに、公募した企業にそれを発注しているんです。

 例えば、ある施設はウェスチングハウスが受注してマネジメントをやって、そこで得られる利益をきちんと企業の利益として、利潤が生まれるような仕組みでその経営を委ねているんですね。その企業が真面目にきちんとマネジメントをやっているかどうかをNDAが監視をして、ウオッチをして、いいかげんなマネジメントをやっているようであればすぐ首をすげかえて、おまえ、もうやめろと言って、新しい公募をして新しい企業にやらせる。

 ですから、今いろいろな施設の廃炉が進められているんですが、ほとんど世界じゅうの企業がみんな参加しています。アレバがやっているところもあれば、ウェスチングがやっているところもあれば、日本の企業も何社か手を挙げて、落選したようでございますけれども。

 そういう外国の人の技術を活用するというのは、幾ら優秀な人間でも、個人を連れてきて、おい、おまえ、マネジメントをやれと言ったって、これはなかなか難しいことでございます。ですから、その組織に、戦略としてそれぞれ世界じゅうの企業のそういう経営ノウハウを、企業に配当金という形で利潤を与えることによって吸収しているというところがNDAのすばらしいところ。

 私は、人材の問題はそういう二つに分けて、発注側、原賠機構の人材については先ほど申し上げたとおりでございます。

 以上でございます。

岸本委員 ありがとうございます。

 諸葛参考人にもう一度お聞きしたいんですが、プロジェクトマネジメントという考え方なんですけれども、これも残念ながら、日本政府にはほとんどそういうことに対してのセンシティビティーがありませんでした。今もありません。申しわけありません。

 つまり、政府調達をする側なんですけれども、政府調達の部分で、例えば、公共事業関連、当然、防衛装備、それから今でいうとITの開発、この三つの分野は主としてプロジェクトマネジメントが全てを決するわけであります。

 世界では、アメリカのペンタゴンが、IT担当、それと防衛装備品の、彼らがやっているのは武器ですけれども、調達。つまり、戦艦だと三年かかる、戦車だと三年かかる、そういうことだし、橋だと三年かかる、そういうプロジェクトマネジメントという意味で、ペンタゴンが事務局をして、イギリス、EU諸国、それからオーストラリア、ニュージーランド、カナダ、そういうところで学会があります。

 日本では経済産業省だけが参加しておりまして、私、課長で参加しておりました。国土交通省は参加しておりませんでした。理由を聞いたら、英語をしゃべれる人がいないということで参加しない。当時防衛庁、防衛省はなぜ参加しないかというと、そんなことをしても意味がない、これ以上は申しませんが。そういうことで参加しなかったということなんです。

 つまり、日本のいわゆる官庁系の方々にプロジェクトマネジメントという発想自体が全くないんです。したがって、今おっしゃったようなことは、ぜひもうちょっと強く言っていただくか、あるいは委員に入っていただかなきゃいけないぐらいの思いでおって、プロジェクトマネジメントはとても大事なんですけれども、もちろん民間企業でも、実はそれほど、世界的に見て、全ての企業が進んでいるとは思わないんですけれども、なぜ、日本でプロジェクトマネジメントの専門家が育たないというか、そういう発想がないのか、それをどうしていけばいいのか、本件にもかかわりますので、御所見があればお聞きしたいと思います。

諸葛参考人 ありがとうございます。

 私自身は三十年以上プロジェクトマネジメントの世界で育ちましたので、ちょっと僣越ではございますけれども、少し所見を述べさせていただきます。

 原子力学会にも、官庁からのシニアの方に加わっていただきまして、今先生の御質問の、官庁でどうしてプロジェクトマネジメントが育っていないのか、それをどうしたらいいのかというのは、もう何年にもわたって学会の中でも議論を重ねております。

 プロジェクトマネジメントで何が必要かと一言で言いますと、そのプロジェクトに参加するメンバー、上層部から末端に至るまで、個々人の役割分担を明確化して、あなたはどういう役割を果たしてどういう責任がありますよということを明文化する、それが一番基本的なことなんですね。それが完成すればプロジェクトマネジメントの八割方が完了すると言っても過言ではないぐらい、そこが重要なのでございますが、日本の場合には、守備範囲と責任を余り明確化しない、明文化しないという文化が特に官庁にはおありになるのではないか。

 もちろん、民間企業もかつてはそういう風土でございまして、アメリカでは一九八〇年代にその改革が行われまして、特に軍事部門が中心でございましたけれども、改革が行われて明文化がされるようになり、九〇年代に至ってその改革が日本の企業にも及んでまいりまして、九〇年代、二〇〇〇年代と日本の企業はその改革が行われて、大分その風土が現在では変わって、明文化され、明確化されるような仕組みになってございます。

 これは、国際基準でいいますと、ISO9000であるとか、原子力ですとJEAC4111とかいうようなもので定義されているわけでございますけれども、その仕組みをやはり官庁にもぜひ導入していくことが、今後の大きなプロジェクトマネジメントを遂行できるようにするための一つのきっかけではないかというふうに考えております。

 以上でございます。

岸本委員 ありがとうございます。大変参考になりました。

 最後に、除本参考人にお聞きしたいんです。

 ちょっと抜本的なことになりますが、きょういただいた資料にもありますけれども、この今の支援機構法のスキームをつくるときに、我々は与党だったわけですが、大変な議論をいたしました。本当に、民法学者のこれはという方全員に意見を求めて、つまり、原賠法の読み方として、そもそも天変地異に当たるじゃないか、そもそも、天変地異じゃないとは言えないだろう、しかし、天変地異としたときに、国が廃炉までの費用をどうも出せなさそうだという、法の欠缺とまでは言いませんけれども、そういうことを前提に、現実的にこういう仕組みを、預金保険機構のスキームをかりたわけですけれども。

 そもそも論として、除本参考人としては、こういうシステムがいいのか、あるいは別のものとしてこういうものがあるとお考えならば、その辺の御所見を承れればと存じます。

除本参考人 ありがとうございます。

 当時の事故直後の対応としてどうだったのかという点でいえば、さまざまなやり方はあったかもしれませんけれども、私としては、国の関与をする場合でも、例えば仮払い法のようなものができましたけれども、国がもうちょっと前面に出て賠償に責任を持っていくというやり方はあり得ただろうというふうに思っています。

 ただ、実際は、この仮払い法はほぼ機能せずに終わってしまったということはありますけれども、仮払い法がいいかどうかは別にして、少なくとも、東京電力を温存していくということにだけ選択肢があるわけではないだろうということでございます。

 今、事故後三年たった時点でどうかということで申せば、やはり、本来の筋に立ち返ってきちんと仕切り直しをするべきだし、電力システムの改革というのも一方では進んできているわけですから、それとの関係でどのように東京電力の経営形態を変化させていくのか。

 少なくとも、今までのような一民間企業としてアクティブに活動していくという方向性を東京電力は立てているわけですけれども、それをすると、一方では、株主や債権者の責任が曖昧になったりというようなモラルハザードの問題が出てこざるを得ないだろうというふうに考えていますので、筋論としてはきちんとした上で、どのような形で改革をしていくのかというのを考えていかなくてはいけないというふうに思っております。

岸本委員 時間が参りました。四人の参考人の先生方には、本当に貴重な御意見、本日はありがとうございました。

 終わります。

富田委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 本日は、四人の参考人の皆様、本当にお忙しい中、来ていただきましてありがとうございます。

 私、丸山からも、少し細かい点も含めまして、また、これまで参考人の皆様にお話しいただいて、そして委員の方がお伺いした中で、もう少し詳しくお伺いしたいところもございますので、少し重なりもあるかもしれませんが、よろしくお願い申し上げます。

 まず、山名参考人にお伺いしたいんですが、実は私、地元が大阪の熊取町を含んでおりまして、KURがあるところでございまして、いろいろなところでそのお話は伺う機会が多うございます。

 先日の委員会でも少し文科省の方に質問させていただいたんですけれども、今般、新基準に十二月から原子炉の規制がなりまして、そうした関係で、日本には十四基、今動いている試験研究用の原子炉が、どんどん閉じてきているという話で、そのうち、うちの地元にありますKURも一基、原子炉の二つある中の一つが今停止で、今度五月ぐらいにもう一基停止だというふうに伺っています。

 そうした中で、新基準への適合がちゃんとできるのかどうかとか、また、とまるときの人材交流のあり方だとか、そのあたりについて役所の話を伺ったんですが、役所の話だと、国際原子力人材育成イニシアチブという形で、具体的に補助金も、京都大学さんも含めましていろいろな試験研究炉に入っているということ、また、人材交流をその中のスキームとしてやっていきたい、引き続き強化していきたいし、それによって、人材育成が妨げられるような、研究の促進が妨げられるような状況は避けたい、しっかりやっていくというお話をいただいたんです。

 このあたり、現場にいらっしゃいまして、人材交流というのはできているのかどうか、また、具体的にどのようにすれば研究者の研究が促進できるのかという点を少しお伺いしたいと思います。

 KURは、エネルギーというだけじゃなくて、医療用、BNCTのお話だとか、また農業用とか、さまざまな分野で非常に重要な技術だと思いますので、そのあたりを促進していくための方策を国としてどのようにやっていくのか、現状どうなのかというところをお伺いできればと思います。

山名参考人 京大炉に今特化しての御質問かと思いますが、実は、今議論しているこの廃炉等の人材育成とか、廃炉等の支えになるような基礎技術、基礎科学の日本における位置づけの問題にも関与してくる問題であります。

 先生おっしゃいますように、国内にこういった放射性のものを扱うとか、原子炉を生で扱うとか、核燃料物質を扱えるような大学や共同利用の研究施設というのは、本当に今、私どもの京都大学の施設ぐらいしかなくなってきております。多くの大学がそういう施設を中止したり、運営できなくなってきているわけです。

 先生おっしゃるように、京大炉の場合も、実はその新基準の適用とか、使用済み燃料の将来の措置とか、運営のために必要な予算の獲得とか、非常に困難な状況に今直面しているわけです。

 そういう意味では、こういった私どもの施設のようなものがなくなっていくと、まさに廃炉を支えるような人材が育つ場が日本になくなっていくという、すごい危機感につながる話であります。

 先ほど、人材育成イニシアチブのようなこともありましたけれども、ああいう政府の施策というのは、どちらかというと短期的なもの、五年間ぐらいでやろうとか、奨学金を出すよとか、講座開設に補助金を出すよとかいう話になってくるんです。

 やっている側の現場の人間から見ると、どちらかというとバンドエイド的といいますか、そういうところがありまして、やはりもっと事の問題は重大でありまして、日本における廃炉等にかかわるような研究教育基盤を根本的に将来にわたって残すにはどうしたらいいかという施策が問われるんですね。これはもう技術開発政策、大学教育政策の問題でありまして、非常に本質的なものであります。

 そういう意味で、私どもは非常に難しい状況に直面しながら頑張っているということをまず御理解いただいて。

 実は、きのうも、福島県の県議会の先生六名が京大炉に見学に来られました。六名の先生は、被災者の代表の方でもあるわけですね。それで、異口同音におっしゃったことは、原子力や核エネルギーを使うということがこんなに多岐に利用できるということは、福島の人間は知らなかったとおっしゃるわけです。

 医療にも使える、農業にも使える、新しい物質の製造にも使える、科学研究に使える、教育にも使える、そういうマルチパーパスな機能を持つということは、必ずや廃炉も支援しますし、ある意味で俯瞰的な科学技術見識を持つ人材の育成にもつながっていくわけです。そういうことを日本的に広く共有できるような場を残したいという思いが強くあります。

 そういう意味で、廃炉に関しても、そういう施設の重要性というものを私たちは強く感じておりますから、ぜひ先生方もそのあたりを御理解いただいて、人材育成の一環、それから科学研究の維持という意味でも御理解をいただきたいと思っております。

丸山委員 ありがとうございます。

 非常に貴重な意見をお伺いして、特に印象に残ったのは、今やっている日本のイニシアチブを受けまして、対症療法的、バンドエイド的だというふうにおっしゃいましたけれども、一方で、もっと大事なのは、日本における、廃炉の技術も含めまして、あらゆる技術を守るために根本的な対策が必要だというお話がありました。

 具体的には、そういった試験研究炉がどんどん少なくなってきているというお話がありました。少しそのあたりを詳しくお伺いしたいんですけれども、この理由といいますか、どうしてこれが減ってきているのか。そもそも人材が減ってきているのか、それとも予算がどんどん削減されているのか、立地ができないのか、そのあたりをもう少し詳し目にお話ししていただければと思います。

山名参考人 いろいろな理由があります。

 一つは、法的な運営上の難しさがあるということです。核燃料物質や原子炉を扱いますと原子炉等規制法の規制がかかりますし、放射性同位元素を使う場合には放射線障害防止法の規制がかかってきまして、これに取り組むマンパワーとかお金の問題というのは極めて大きいです。私どもの研究所では、教授が二十一人おりますが、そのうちの四、五名が法規制対応に当たるような、そういう立場にあるわけです。勉強していないんじゃないかという批判が出るぐらい大変な作業になっておるわけですね。これが、法律的な問題が一つ。

 それからもう一つは、風評被害といいますか、社会受容性といいますか、そういった施設が町内にあるとか、熊取町でありますから御理解いただいているわけですけれども、住民の理解を得るときにいろいろ難しい点があるという問題があると思います。

 それから三つ目は、ニーズ。つまり、放射性の研究や教育をやっていくことのディマンドがやはり全体的に低くなっていった。これは実は福島の事故が起こった原因にも遡及する話なんですけれども、何でかというと、日本では、原子力研究というのはできていったけれども、原子力軽水炉産業が定着していったから、もう大学研究は要らないだろうとか、基礎研究は要らないだろうという風潮が伸びていったというふうに理解しています。そうなりますと、予算も減りますし、そこに入ってくる学生も当然減ってくるわけであります。

 つまり、これは、話が広がってしまいますけれども、文部科学省と経済産業省の関係の話にもなるわけでありますし、文部科学省の中でも、原子力開発を担っていた旧科学技術庁の問題と高等教育の問題との関係の問題になってくるというわけです。そういう大きな本質的な問題がそういった教育の場のニーズを社会的に低くしてきた可能性があります。

 最後に申し上げるのは、原子力政策の話です。

 今、原子力政策はかなり揺れておりますし、原子力委員会の立場も変わってきました。そうなると、それに力をかけていこうという大学としてのインセンティブ、理由づけ、予算獲得の理由というのが曖昧になっていくわけです。やはり、明確な政策、それに基づいた施策としてこういった研究開発の場の強化というのは必要なわけですから、その政策が早く固まるというのは非常に重要であるというふうに思っております。

 以上です。

丸山委員 非常に示唆に富んだ御意見、ありがとうございました。

 次に、少し視点を変えて、賠償の話を除本参考人にお伺いしたいんです。

 先ほど岸本委員からお話があったときに、最初、マクロ的な視点で、東電の賠償のあり方、民間企業のままでよいのか、また、債権者のモラルハザードの問題等、いろいろ御指摘をいただきまして、マクロの話では、国がもうちょっと前面に出ていくのはどうかという話もありました。

 一方で、ミクロの視点でも御知見がおありだと思うんですけれども、特に除本参考人はことしの三月の毎日新聞にコメントを寄せられておりまして、そこで、そもそも賠償のあり方に問題意識をお持ちで、特に、枠組みが加害者主導というふうに書かれておりますけれども、いわゆる原賠審、審査会の方とそして東電が事実上、賠償の範囲を決めていて、それによってかなり被害者の方々にも御不満の声もあるという新聞記事を拝読させていただきました。

 ただ一方で、私も福島の方に伺いましてお話を聞いて、また、担当弁護士の方も含めまして、東電の方も含めまして、いろいろな方のお話を伺う中で少し感じるところもあるのは、被害者の方の御不満もたまっておりますけれども、一方で東電の方を見ると、来た案件が、言い方は気をつけなきゃいけないんですけれども、丸のみといいますか、そのまま受け入れざるを得ない。

 通常の何か訴訟でありましたら、ある程度交渉の余地があって、その額が動くところがあるんですけれども、東電の方がスキームを決めた関係で、向こうの方がおっしゃったことを、証明できないところも含めまして、大多数のものがそのまま受け入れられているという話も耳に挟んでおります。

 マクロの話は伺ったんですけれども、ミクロの点では、もちろん、一つ一つ案件によって違うところがあるので、一概には言えないんですけれども、このあたり、もし除本参考人におかれまして御知見また御意見がございましたらお伺いできればと思います。

除本参考人 ありがとうございます。

 今の点は、賠償の範囲をどのようにして決定するのかということであります。

 東京電力が今、文部科学省の下にある原賠審の指針をもとに賠償基準をつくって、それでさらに賠償請求の書式もつくって、それを被害者の方に送付をして記入をする。一見丁寧な対応のように見えるんですけれども、被害者の方がみずからの事情を訴えにくい、そういう問題も引き起こしているのではないかと思います。

 ほとんどマークシートの試験みたいな書式になっていまして、何でそういうふうになるかといいますと、東京電力が定めた基準に従って、自分の聞きたいところだけを聞いていくという形の書式になっているわけですね。被害者の方々が、いや、そうではないんだ、私たちにはこういう被害があるというふうに訴えることすらできない。確かに自由記述欄はありますけれども、三行ぐらいしか書けないというようなことがあって、そういうところからもう既に問題がいろいろこじれてきてしまっている。

 やはり、納得のいく解決というのを求めるためには、被害者サイドと加害者サイドがきちんと合意形成をすることが必要ですけれども、被害者サイドからすると、押しつけられているというような感じを持っていますし、先ほど冒頭の意見陳述で申し上げたように、全体として自分たちが置き去りにされて政治の意思決定が進んでいるんじゃないかという気持ちをお持ちになっている方もいらっしゃる。こういう点にも目を向けていただければというふうに思っております。

丸山委員 御意見ありがとうございます。

 非常に難しい問題で、東電の方はコストの問題も恐らくあるんじゃないかなという話もあって、やはり一つ一つお聞きしていくことは非常に重要で、政治家も日々、まさしく一つ一つ、お一人お一人の声を聞こうと回っているんですが、一方で、どうしても漏れが出てしまう。政治として全体的に全ての方をというのが難しいのは、自分自身が日々の仕事の中で感じているところなんですけれども、東電も今、そのジレンマに陥っているところかなと思います。

 ただ、やはりそこは加害者側として責任を果たす必要は私も絶対あると思いますので、先ほど、すばらしい御知見、例えば自由欄が少な過ぎるとか、お話がありましたので、また少し、時間もないのであれですけれども、この辺の御知見を賜りまして、できる限り被害者側に寄り添った賠償スキームのあり方というのを東電側も努力するように、我々の委員会、私も委員の一員でございますので、きちんと伝えておきます。ありがとうございます。

 そして、少し時間がなくなってまいりましたが、諸葛参考人にお伺いしたいんです。

 先ほど来、ガバナンスのあり方のお話がありました。私も、非常に大事なところだと思います。東電の広瀬社長に何度もお伺いしまして、また、現地で、福一の方でお話を伺っても、どうしても対症療法的になってしまっている、東電では限界があるという話も伺っております。

 その中で、今回、東電さんも、廃炉は別カンパニーにされて、少しガバナンスを変えられるということですけれども、でも、先ほど岸本委員も言いましたけれども、根本的には、多分、まだまだガバナンス全体としては余りうまくいっていないんじゃないかなと思うところなんです。

 このあたり、諸葛参考人も、資料を読ませていただくと、モグラたたきのレベルから一歩も踏み出していないという、かなりお厳しい御意見も伺いました。ガバナンス、先ほど少し大まかにお話しいただきましたが、もう少し、具体的に、もしこういう方法をとればよりよくなるみたいなお話をお伺いしたいのと、そしてもう一つ、やはり人をどうやって集めるか。

 重ねて、ガバナンスの話で、働きがいのある魅力的なものにするためにというお話もありましたけれども、このあたり、技術者の方にとって、また、ガバナンスの面でも構わないんですけれども、具体的にどのようにすれば魅力ある場所になって、そしてガバナンスもきくようなものになるのか。少し細かい話でも構いませんので、具体的にお教えいただければと思います。

諸葛参考人 ありがとうございます。

 私が、汚染水問題が起きるたびに取材を受けたときに、モグラたたきになっているとコメントを申し上げているんですけれども、それは何かといいますと、汚染水が漏れている、その漏れているところの対策を、みんな、東電の対策がずさんじゃないかということでそこに集まって、それでは、そこの、例えばタンクの肉厚をどうしたらいいか、フランジをどうしたらいいか、あるいは堰の高さをどうするか、そういう議論になってしまうんですけれども、それは全く根本的な対策になっていない。

 私、先ほど申し上げましたけれども、なぜ漏れるかというと、もともとそういう緊急の応急措置でやっているだけの話ですから、抜本的な措置がされていない。どうして、その抜本対策の方の議論をせずに、血が流れている傷口の話ばかりに皆さんの目が向いてしまうのかということを申し上げたくて、モグラたたきというふうに言わせていただいています。

 それから、後段で御質問の、それではどうすればこれからの体制が改善されるのかといいますと、私は、皆さんが、皆さんがというのは国民を含めてなんですけれども、長期的なところに目が向きがちなんですけれども、二〇一一年三月十一日の七時三分に発せられました原子力緊急事態宣言、これがいまだに継続しているわけなんです。つまり、まだ鎮火していないんです。緊急事態が今継続しているわけなんですね。

 ですから、政府も、原子力災害対策本部という緊急事態の態勢が継続しているわけでございまして、それに対する態勢と、それから中長期施策に対する体制の峻別が全くできていないのではないか。つまり、まだ火災が継続しているわけでございますし、態勢としては、いつ何どきまたメルトダウンの状態、臨界状態に戻るかもしれない、そういう緊急事態に備えた即応の態勢をきちんとまだ継続する必要がございますし、それと中長期的な体制と分けて考えるべきではないか。

 ですから、IRIDの組織、あるいはこの原賠機構の新しい組織が、そういう緊急時の対策に関与するのかしないのか、中長期的な体制にはどうあるべきか、その仕分けをきちんとしていくことが非常に重要なことではないかなというふうに考えております。

 以上でございます。

丸山委員 まだまだお伺いしたいことはたくさんあるんですが、もう時間が来てしまったので、ここまでで私の質疑とさせていただきます。

 本日は、貴重な御意見、本当にありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日は、本当に最前線にいらっしゃる皆様の貴重なお話、まことに参考になります。大変御多忙の中、お時間を割いていただきまして、心から感謝を申し上げます。

 それでは、質問に移らせていただきます。

 まず、山名参考人にお伺いしたいと思います。

 もちろんIRIDの理事長というお立場もありますけれども、ここではそうではなく、京都大学原子炉実験所の教授というお立場への質問にさせていただきたいんですけれども、一度聞いてみたいというふうに思っておりました。

 福島第一原発のあの事故の映像というのをごらんになっていらっしゃると思います。一号炉が爆発し、そして三号炉が爆発するという中で、この一号炉と三号炉の爆発の様子というのははた目で見ても違うのではないかというふうに思っておりまして、一号炉も三号炉も同じような水素爆発だという説明はにわかに信じがたい部分もありますけれども、その点について、専門家の観点から、特に三号炉の爆発についてどのように分析されているか、お答えいただきたいと思います。

山名参考人 御質問のことは非常に難しい問題で、基本的に私は専門的な立場からそれについてはお答えできないと言わざるを得ないです。

 三号炉について、水素爆発である、ないというのは、一般人として考えますと、あれだけの大きな爆発力を持って、しかもメルトダウンによって発生している最も大きな化学的エネルギーが、水素が充満しているというのは少なくとも間違いない話でありまして、水素爆発であろうというのを漠として化学屋としては私は理解しております。

 ただ、正確なメカニズムについては、過酷事故の専門家に聞かないと、私は軽々にここでお答えすることができないので、ちょっとその点については御容赦いただきたいと思うんですが。

三谷委員 大変失礼いたしました。

 私自身もどのようなメカニズムで爆発したのかということも一つ重要なポイントになるのではないかと常日ごろから思っているものですから、つい質問させていただきました。お答えいただきましてありがとうございます。

 それでは、本日、さまざまお話しいただいた内容について質問をさせていただきます。

 もともと、今回の廃炉ですとか汚染水対策というものについては、東京電力が基本的には最前線に立って、そして、適宜、政府が指導監督をするという状況にあったというふうに認識はしていますけれども、その中でIRIDができまして、その後、この原賠機構に廃炉・汚染水対策という役割が付加される。東電と政府の間にそういう機関がふえているという状況になっているわけであります。

 その中で、まずは諸葛参考人に伺いたいと思うんですけれども、こういうふうに間に幾つかの機関が入ることによって現場の役割分担というのが錯綜するのではないか、参考人もおっしゃっていたと思いますけれども、その点に加えて、戦力が分散されるという点もあるんじゃないかなと。本来的には戦力の逐次投入は避けるべきだ、戦争でも何でも一点突破ということで、全ての力は一カ所に結集させるべきだということはある一方で、今回のように、政府なのか、IRIDであり原賠機構であるのか、それから東電になるのか。廃炉ですとか汚染水対策の専門家が分散しかねない現状についてどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

諸葛参考人 ありがとうございます。

 プロジェクトマネジメントの観点からいいますと、起きるトラブルの大半はすき間で起きるんですね。ですから、すき間をたくさんつくればつくるほど、そのリスクが高まります。ですから、組織を複雑にした場合に、複雑にして個々の役割を限定した方が個々のコストは下がる傾向にございますので、例えば、物の発注の場合に、できるだけ分割発注して安く、全体の調達コストを下げようとするのは、どこの分野でも共通でございます。しかし、分割度を上げてまいりますと、すき間がたくさんふえてまいりますので、どこまでそれを分割できるのかというのは、全体を統合する、そういう統合能力があるかないかということにかかってまいります。

 したがいまして、今回、四つの組織がかかわるわけでございますけれども、その四つの組織のすき間を誰がどのように埋めて、それを統合するのか、これが非常に重要なことではないかというふうに考えております。

 以上でございます。

三谷委員 貴重な御意見をありがとうございます。

 そこで、すき間の有無というところでIRIDの動きについて伺いたいと思います。今度は山名参考人に伺いたいと思います。

 今、IRIDの方では、さまざまな先端的な技術力、そういったものを一生懸命集められているところでございますけれども、そういったものを集めたところを、政府に言えばいいのか、または原賠機構に言えばいいのか、それとも東電に言えばいいのか。または、それぞれの機関からいろいろな問い合わせがあるというようなこともあろうかと思うんですけれども、その辺、現場のオペレーションとして混乱している、そういった事態が現実に起きているのかどうかということについて伺いたいと思います。

山名参考人 先ほど申しましたように、特に海外からの声が、先生の御質問でいうと非常に関与しますね。海外から日本を見ると、誰に言えばいいのかと。特に、技術が一体どういう流れで実用に向いていくのかというのを問われるんですね。

 現在、政府の予算をいただいて、私ども、受託して開発を行っております。これは東電で使っていただくために開発をしているわけですが、先ほども申しましたように、東電と開発側のリンケージが今まだ弱いところがあります。今その改善に努力している最中でございますが、弱いところがあって、結局、開発から実用の流れの大きなパスをつくるところにまだ改善の余地がたくさんあるというふうに思っているんです。

 そういう意味で、誰が何をやっているかという、先ほどの諸葛先生の統合という意味で、こう開発してここで実用していく、そのためにはもっとここの性能を上げる必要がある、こういう循環、PDCAといいますか、先ほどの三角形のリンクの強化というのが実に求められているわけでありまして、現状で、私のお話で申し上げましたように、そこにまだ弱さがあるということであります。

 そこを何とか、研究開発をつくる新機構と、研究開発を実施するIRIDと、つくられたものを使っていく東電がもっと強くリンクする体系をつくりたい。そのマネジメント、統合能力を新機構に持ってほしい。それを実効的にするために、先ほど提案しました、何らかの、三者が集まった強い会議体のようなものをつくっていく必要がある。それを行うことによって先生の御懸念は解消していけるのではないかというふうに思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 この点、機構の点については、また後ほど伺いたいと思います。

 それでは、汚染水対策について質問をさせていただきたいと思います。

 今回の原賠支援機構法の改正案の附則の三条には、国内外の不安が早期に解消されるよう万全の措置を講ずる旨が記載されておりますが、そのためには、不安が解消されるためには、やはり根本的には、汚染水はこれ以上漏れないという状況をつくるということだろうと思っております。

 同じ質問を先日もさせていただいたんですが、政府ではなかなかお答えいただけなかったというところもありますので、専門家のお立場から、汚染水というのは、現在の作業を進めていくことによって大体いつぐらいにとめられるというようなことは想定できるのかということについてお答えいただければと思います。

大西参考人 ありがとうございます。

 どういう定義で汚染水をという意味になるかと思います。

 海に放出といいますか、海に出ていく分をどういうふうに見るかということと、それから敷地内で部分的に漏えいが起こる、そうしたことを全部をゼロにするというのは、これはもう相当先の話になるかと思います。

 今、我々が注力しているのは、先ほどから申し上げておりますように、建屋内に流入する分をできるだけ早くとめて、廃炉作業を迅速に進めるためのバックアップを早急にやりたいというところと関連して、かつ、周辺敷地内にいろいろ汚染水のもとになるものがありますので、それをきちっととめる、そういう作業を主眼としてやっておりますので、いつ全部終わるかと言われますと、相当長い時間がかかると思います。

 ただし、流入分につきましては、地下水の建屋内の流入につきましては、今、凍土壁というのをつくって、そこで基本的な流れはとめていこうということでございますので、それは一、二年のうちにはかなりの量が減ってきて、作業がやりやすくなるだろうというふうに思います。

 かつ、バックアップ体制としては、周辺のフェーシングを行うとか、いろいろな施策を組み合わせて、かなり一般作業もやりやすい形にはしていきたいというふうに思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 今まさに言及されました凍土壁なんですけれども、もちろん凍土壁というのは、全て水を凍らせれば、その凍った水をほかの水が通過できないということで、遮蔽率一〇〇%というようなことは言えるんだろうとは思うんです。ただ、土を凍らせる上で、先ほど参考人もおっしゃいましたけれども、その中に、例えばパイプが途中であったりとか、いろいろな構造物がある中で、平たく凍らせると言っても、なかなか場所によっては完全に凍っていない部分もできるんじゃないかという懸念等々もあるんだろうというふうに思っております。

 その中で、先ほど、凍らせるものの間に温度計を設置すれば、そこで凍っていれば大丈夫なんじゃないかというようなこともおっしゃっておりましたけれども、現状、東京電力がさまざまなモニタリングポスト等を設置しているんですけれども、結構壊れていて、実際その数値が出てこないということが間々あるという現状の中で、この凍土壁というものを設置することで、それを運用することで汚染水を漏らさないというようなことが、東京電力にその管理能力があるのかということについてどのように分析されているのか、お答えいただきたいと思います。

大西参考人 ありがとうございます。

 その点につきましては、管理につきましては、我々管理をしています陸側遮水壁のタスクフォースというグループがございます。そこには、遮水といいますか、凍らせることに関しての専門家が集まっておりまして、どういうふうにコントロールする、かつ、計測、管理をすればいいかということも議論しておりますので、そういうことを含めて東京電力とは綿密な打ち合わせをしておりますので、かなり信用できる形で運用ができるのではないかというふうに考えております。

三谷委員 汚染水絡みに関して、もう一点だけ質問させてください。

 先ほど、トリチウムの話も最初に言及されましたけれども、なかなか技術的にトリチウムだけを分離するということが難しいんじゃないかと素人的には思う部分もあるんです。この点、将来的にトリチウムを分離することが技術的に可能というふうに予測されているのか。もし、それがなかなか難しい場合には、どのように処理されるということを検討されるのか。簡単に言えば、放出するというのも一つの手段ではないかというふうに考えておりますけれども、その点について御認識を伺えればと思います。お願いします。

大西参考人 ありがとうございます。

 実は、私はトリチウムの専門家ではございませんので、確たることはわかりませんが、基本的にはかなり難しいだろうというふうには聞いております。

 しかし、これについては、莫大なお金をかけて分離をすればいいのかということに関して、国民的なコンセンサスが得られるのか、あるいは、諸外国でも部分的にやっておりますように、空中散布とか海洋放出とか、いろいろな形が本当にできるのかどうかについては、技術的な問題と、それから先ほど最初にも申し上げましたが社会科学的な問題、社会で受け入れられるかどうか、そのあたりを十分議論しながら進めていくということで、かなりの頻度で今議論を重ねているという途中でございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 それでは、続きまして諸葛参考人に伺えればと思います。

 人材育成の重要性について言及されておりましたが、余り後ろ向きな話ばかりでも仕方ないので、NDAの話もされておりましたけれども、世界において、いわゆる廃炉ビジネスというものがビジネスとして成り立つ余地があるというふうに考えられているのかどうかについて伺えればと思います。

諸葛参考人 廃炉のビジネスが事業として収益を生むかどうかという御質問だとすれば、それはかなり難しいお話だと思います。

 イギリスのNDAを参考までに申し上げましたけれども、イギリスの場合には、年間の経費が八千億円。まだ運転している発電所もございますので、その収益が約一千億円。したがいまして、その差額七千億円を毎年支出し続けるという計画になっておりまして、約百年間、累積で七十兆円に上るような、要するに、全然採算としては合わないけれども国の責任としてやり続けなければいけないというのが、やはり国際的な、共通的な考え方かなと思います。

 その中でも、NDAの場合には受注した企業には収益がもたらされるような仕組みになっているということは先ほど申し上げたとおりでございます。

 以上です。

三谷委員 そういう中で、なかなか若い人に来てほしいといっても難しい部分もあるんじゃないかなとは思うんですが、それだけではないのかなというふうに思っています。

 例えばイギリスですと、事故が起きたわけではないという原子炉についての廃炉を進められているという現状だと思います。日本だと、どうしても福島第一原発という、サイトは放射線量が非常に高い状態で、ある意味だだ漏れの状態で、現場で働いている方々が多いというときに、幾ら現場ではないからといって、たまには現場に行って現状を見るということも必要だとは思います。

 その意味では、若い方に、余り放射線量、それこそ本当に恒常的に浴びかねないようなところに、これは夢もなかなかないし、希望もないし、でも必要だから来てよといっても、なかなか難しい。それを、そういう状況でどうやって人を呼んだらよいというふうに現実的な問題としてお考えか、アイデアがあればお答えいただきたいと思います。

諸葛参考人 先ほど申し上げましたとおり、トータルとして、廃炉の全体の仕組みとしては、国がお金を投入しなければいけないという構図になろうかと思いますけれども、それは、裏返して考えますと、国から毎年七千億円も投入される事業でございますから、若い技術者で、非常に安定的な収益が上がるというふうに見ることもできるわけでございます。私は、七千億も毎年赤字になって、税金を投入しなければいけないという事業であっても、若い技術者が進んで、それはライフワークとしてやってもいいんじゃないかなと思えるのではないかと。

 ですから、将来的な見通しがはっきりすれば、優秀な技術者が飛び込んでくるような環境はつくれるような気がいたしております。

三谷委員 質疑の時間がなくなっておりますけれども、最後に一分だけ除本参考人に伺えればと思います。

 今の仕組みですと、基本的に廃炉等々の費用というのは全部電気料金で回収されていくことになりますが、一方で、会社債権者ですとか株主の責任負担、その負担というのは余りないという状況になっているというふうに思われます。この中で、いまだに東電の株式が東証で取引されているということについてどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

除本参考人 株主のといいますか、株式が取引されているということに関しては、やはりさまざまな東電を保護するというメッセージが強く発せられているというところから、まだ価値があるというふうにみなされている部分もある。それから、債権、中でも社債の方なんかもきちんと保護されているということもあって、そのあたりのステークホルダーの責任をきちんと問うということが必要じゃないかというふうに思っております。

三谷委員 ありがとうございました。

 本当に貴重な御意見、まことに参考になります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就です。

 きょうは朝からお疲れさまでございます。

 私で六人目になりまして、こういう同じテーマの委員会ですと、だんだん後になってくると同じ質問が飛んできて、政府側の答弁者はいらいらしながら同じ答弁書を読んだりとか、こっちは重ならないように質問しようとすると、それは通告にないでしょうということでまた注意されるわけでありますけれども、きょうは、本当に親切に、また答弁のたびに新しい知見をいただきまして、本当にありがとうございます。私も、有意義に質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、除本参考人にお伺いさせていただきます。

 先ほど法的整理のお話をされまして、国会でもそういう議論というのはされてはいるんですが、ただ、その際に、やはり一つネックになるのは電力債の扱いでございます。担保がついているということから弁済が優先されているという中で、果たして賠償の責任がしっかり果たせるのかどうかということが少し課題となってしまうわけでございますが、その点について何かアイデアはありますでしょうか。

除本参考人 その点、私も必ずしも専門の領域ではございませんけれども、例えば今後発行する部分に関して、優先的な弁済というところを外していく。それによって、例えば東京電力の企業価値というものが電力債の市場においてもきちんと評価されるということが重要なのではないかなというふうに思っております。

小池(政)委員 そうですね。事故の前と後で分けるということで、確かにそんな一つのアイデアもあるかと思います。ありがとうございました。

 次に、諸葛参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 NDAのお話、大変参考になりました。特に、そこで働く方のモチベーションということを考えた際に、非常に大事な観点だなということでお伺いさせていただきました。

 日本版NDAということを構想された際に、例えば、今分散している研究者でありますとか機関でありますとか、そこら辺がどういう形で収束していくということをイメージされているのかなということをお尋ねさせていただきたいんです。

 例えば、東電にも廃炉カンパニーというのがあったりとか、IRIDさんがいたりとか、JAEAとか、大学でありますとか、一部は多分かぶっているところも多々あるとは思うんですが、そこら辺、どのようなイメージを持たれているか、お願いします。

諸葛参考人 ありがとうございます。

 NDAの話ばかり参考に申し上げて大変恐縮なんですけれども、NDAの社長さんの年収は何と八千五百万円とお聞きしております。恐らく社長さんがそれだけ高額の収入が支払われているということは、社員の方々にもそれなりの待遇がされているんだと思います。ですから、待遇面で優遇すれば、そういう技術を持っている人たちが意欲を持って、あそこの職場はいいぞということで集まってくる。

 ですから、現時点の仕組みで、今お尋ねの分散されている仕組みで、それぞれの人たちがそれではどういうインセンティブで取り組んでいるだろうかということを、私、考えますと、非常に暗たんたる思いを抱くわけでございます。

 ですから、その今の仕組みが、別にイギリスの方式を導入する必要はございません、日本式の、NDAにかわる何らかの形で、除本参考人のおっしゃられたように責任の問題はございます、ですけれども、責任は会社なり経営者の問題だと思います。ですから、廃炉の作業に当たっている人たち、大変苦労しておられるわけでございますから、その人たちにパニッシュメントが与えられるような仕組みはぜひ避けて、そういうパニッシュメントではなくてインセンティブを与えるような仕組み。

 具体的には、やはり一つは、成果に対するリターンといいますか、いい仕事を、汚染水対策でも、いいアイデア、いい成果を出した人にはきちんとそれに見合ったリターンが得られるような仕組みにどんどん変えて、これは、IRIDもJAEAも含めまして、全て共通だと思います。新しい原賠機構の人たちにもそういう仕組みを導入する必要があるのではないかと思います。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 また諸葛参考人にお伺いさせていただきます。

 先ほど、三谷議員の質疑の中におきましても、廃炉の事業ということについて、経済的な価値についてお伺いしていたわけでございますけれども、その際には、国から、八千億、ネットで七千ぐらいの支出がされているということでございました。裏を返せば、やはりそれだけお金が必要なんだということを少し聞かせていただいたわけでございます。

 逆に、これからその廃炉の技術が必要とされるような国も多々出てくるわけでございまして、そのようなところでも、やはり廃炉は廃炉で必要であって、それは民間であれ国であれ負担しなければならない。そんなときに、やはり技術を持った日本というものが、例えばサービス契約であったり、どのような形かわかりませんけれども、そういう形である程度貢献していくこともできるんじゃないかなということを考えているんですけれども、その理解でいいんでしょうか。

諸葛参考人 ありがとうございます。

 廃炉、あるいは、先を見通しますと処分の問題まで含めまして、これは、原子力の推進、反対にかかわらず必要になってくる技術あるいは事業でございますので、やはり私はオール・ジャパンで取り組める課題だと思っております。

 ですから、先生方も、いろいろなお立場、原子力に対するお立場があろうかと思いますけれども、私は、廃炉処分の問題は、共通的に一致団結して、オール・ジャパンでぜひ前向きに取り組んでいただいて。

 先ほど人材の問題がありましたけれども、実は、事故が起きる三月十一日の二日前に原子力学会で開いた、当時はまだ原子力政策大綱を、どういうふうに新しい政策大綱をまとめるかという打ち合わせの場で、文科省、経産省の方からお聞きしたのは、原子力の安全研究の予算と人材が、十年間で十分の一に減っているという説明を聞いて、原子力学会、その参加したメンバーは愕然といたしまして、これは新しい政策大綱で抜本的な改善対策を提案しなきゃいけない、そういう議論をした二日後に事故が起きてしまったわけでございます。

 ですから、先ほど山名先生がおっしゃられた大学の人材、あるいは研究炉の予算がつかなくなっているという、そういうところに対する施策、これはやはりオール・ジャパンで改善していくべき課題かと存じますので、ぜひ先生方に御尽力いただければと思います。

    〔委員長退席、江田(康)委員長代理着席〕

小池(政)委員 どうもありがとうございました。貴重な御提言だったと思います。

 次に、大西参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 汚染水の対策でありまして、私も昨年の十月に福島第一原発に視察に伺って、そのときにお聞きした話ですと、汚染水は必ずしも山から来る水だけではなくて、むしろ地層。山からの水というのは、それは違って、むしろサイト内に降ってくる雨水、これが大きな問題なんだというお話をされていたんですけれども、その場合においても凍土壁というのは汚染水対策に当たるのかなということをお聞かせいただきたいと思います。

 もし雨水が非常に問題だということでありますと、素人感覚で、凍土壁でカバーされているのであれば、それがあふれて、上から結局出てしまうんじゃないかとかいうことを考えてしまうわけでございますけれども、その点はどうなんでしょうか。

大西参考人 ありがとうございます。

 今先生がおっしゃられた、今の地下水汚染流入量のほとんどが雨水というのは、これは確かであります。

 昨年の九月以降、新しいワーキンググループ、サブワーキンググループをつくりまして、徹底的に地層調査、それから地盤の調査をいたしました。それでかなりのことが確定的にわかってきたんですが、やはり雨水が支配的な要素である、これは確実であります。

 したがって、上から降った雨が地層を通って、それで原子炉建屋に向かって流れて、そこに流入した分を今八百トンという日量でくみ上げているわけですが、そのうち四百トンはまたもとに戻すという形で、四百トンずつが毎日たまっていく。それをできるだけ減らすということで、凍土壁が一番確実であろうということで採用されております。

 今おっしゃった、あふれるということなんですが、凍土壁に囲われた中に雨水が降っても、その分は建屋内に流れ込みます。それをまたくみ上げてという形ですから、今、現状では、地下水面の水位よりは、建屋内の水位は低くしておりますから、建屋内から外には水は漏れない形で運用がされております。これをずっと続けていく。

 したがって、凍土壁ができますと、その辺のバランスが多少微妙になりますので、両方コントロールできるような工法をとって対応を進めていこうということで、今オペレーションが行われているということでございます。

小池(政)委員 どうもありがとうございます。

 もう一点でありますけれども、その凍土壁は、年間、結構なランニングコストがかかるというお話も聞いているところでありますけれども、大体、見積もり等はあるんでしょうか。

大西参考人 ありがとうございます。

 直接幾らというのは、私は確定はできないんですが、年間十億から二十億ぐらいのお金じゃないかというふうに聞いておりますが、まだ細部のオペレーションが始まっておりませんので、確定ではございません。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 山名参考人にお伺いさせていただきます。

 これも少し技術的な話になりますが、廃炉は最終的にいつぐらいまで続くかということに関係する話であります。燃料デブリを何とか取り出せた後におきまして、建屋の処理というのはこれからどうされるのかなという点であります。

 といいますのは、チェルノブイリにおきましても、建屋の処理というのは、どうするかということが決まっていないということから、まだずっとそのまま残ってしまっているわけでございます。最終的な、廃炉の終結というのはどこまで指すのかわかりませんけれども、建屋というものを最後にどうすることが、この廃炉、特に福島第一におきましては必要なことなのか教えていただけますでしょうか。

山名参考人 現在つくっておりますロードマップは、十年以内に燃料デブリの取り出しを行いまして、それが十年、二十年以内に仮に完遂すると、その後は建屋の解体に入る。ざくっと見て、全部合わせて四十年ぐらいという大きな見積もりをしているわけです。

 ただ、先ほど言いましたように、エンドステート、つまり最終的にどこの状態に持ち込むかというのは、こういう状態に確実にこうするということは実はまだ明確には示していないという理解でおります。

 先生おっしゃるように、少なくとも建屋というのは、今、中が非常に汚染しておりますし、燃料デブリを取り出せば、大きな事故に至るリスクというものはほとんど低減できて、あとは残物をどう処理するかという段階に入りますから、意味が変わってきます。

 そういう意味では、例えば時間をかけてもいいという考え方もできないことはない。つまり、大方のリスクはもう取ったので、あとは合理的に廃棄物を減らせるように粛々とやるという考え方ももちろん可能なわけです。

 一般的な原子力発電所ですと、高放射性の場合を除いた後の建屋解体というのは数年から十年以内ぐらいに大体終わるんです。それは放射性がほとんどないですから。ただ、今回の場合には、中が汚染しているという大きな問題があって、それの廃棄物処理処分をどうするかという技術的な課題とペアになってきますので、そこのエンド戦略を決めていかないと、どれぐらいかかるかというのは今ちょっと何ともお答えできない。ただ、力をかければ、やはり十年とかそれぐらいの単位で十分できる範囲にあるだろうなという感触は持っております。

 とにもかくにも、そういった最終戦略にどう持ち込むかということをこれから考える必要があります。

 メニューとしては、建屋を解体してサイトを固定化していくというような考え方。あるいは、サイトで汚染した部分もクリーンアップして、いわゆるグリーンフィールド、本当の更地に戻すという考え方。さまざまなオプションがあります。

 それは、リスクの低減戦略とコスト、それから長期的なリスクの残存をどうしていくかということをかなり精緻に分析した上で決めていくべきものだと思いますので、そういった戦略を実はこの支援機構で政府と一緒に考えていくようなことになるのではないかと我々としては期待しております。

    〔江田(康)委員長代理退席、委員長着席〕

小池(政)委員 ありがとうございました。

 その際に、これも多分大変難しい想定かとは思いますが、支援機構に廃炉機能がつきますと、やはりそこに東電が最終的に、または原子力事業者が返済するといっても、一旦は公金が入るわけでございますから、それが果たしてどのくらいになるかなという見通しも必要でございまして、福島第一におきましては、大体、廃炉の想定されている見積もりというのはどのくらいになっているんでしょうか。

山名参考人 大変申しわけないですが、私の現在のIRIDの立場ではそれは掌握しておりません。

 基本的には、現在の東電への支援という形で一・一兆円、こういう形で計画がされているんですが、今言ったように、エンドステートのことを考えると、それが一体幾らになるのかというと、今明確に出せる数字は、恐らく明確には言えないと思いますし、私自身の立場で今それを掌握していないということでございます。大変申しわけございません。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 そうしたら、諸葛参考人の立場だと、何か、どのくらいの見積もりかというのはわかりますか。

諸葛参考人 ありがとうございます。

 原子力学会の立場でも全く掌握しておりません。新聞記事レベルの知識でございます。申しわけございません。

小池(政)委員 どうもありがとうございました。

 時間になりましたので、これで終わりにします。ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、四人の参考人の皆様から、それぞれの専門のお立場で貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございます。

 最初に、喫緊の課題であります汚染水問題について、大西参考人に伺います。

 やはり地下水の全体の挙動把握が必要だ、そういう点でも大西参考人は御専門でございますが、全体状況はどの程度把握をされているのか。私は、この間、地下のさまざまな水の流れの中で、浅い透水層だけではなくて、深い透水層も一定の放射性物質の汚染があるのではないのか、こういう指摘もし、一部東電のデータなどでは、それに類いするような検出もあったというふうにお聞きしているんです。

 そういった地下の汚染状況について、それがさらにまた海洋まで及ぶような状況もあるのではないのか、こういう御専門の方からの御指摘もあるんですが、この点についてぜひお聞かせいただけないでしょうか。

大西参考人 ありがとうございます。

 汚染の範囲につきましていろいろ問題点が指摘されていますのは、実は、爆発当時のフォールアウトも含んだ形で、どこまで汚染というふうに定義をするかということにもかかってくるかと思いますが、今、汚染水対策としてやっている範疇では、そういう透水層の深いところの汚染はないだろうというふうに見ております。

 それで、いろいろな数値モデルを使って計算をしておりますが、その範囲も、当初、昨年の八月ぐらいまでは割と幅の狭い範囲で検討しておったわけです。その後、いろいろな専門家の方々の指摘を受けた上で、そういう人たちも加わってモデルのつくり直しを行って、相当広い範囲をカバーして水文学的な検討及び汚染の伝播についていろいろ調査をしましたが、それほど深部、いわゆる互層より少し下の方につきましては汚染はないだろうというふうに見ております。

塩川委員 いろいろ懸念の声もあるものですから、そういった観測、検査ポイントなどもふやしていただく、こういう取り組みなどもぜひお願いしたいと思っております。

 対策として、凍土壁の有効性の話もございました。同時に、多重でやることが必要ではないのか。そういう点でも、さらに陸側の遮水壁や海側の遮水壁とか、次なる対策ということも必要ではないかと思うんですが、この点について、大西参考人としてはどのようにお考えでしょうか。

大西参考人 ありがとうございます。

 この点につきましては、予防的、重層的な対策ということで、フェーシング及びそれに付随した遮水壁というものが非常に効果的ではないかというふうなレポートを出しております。

 遮水のためのフェーシングというのは、全体的には有効なんですが、効果が出るまでに相当時間がかかるだろう。あの敷地内を遮水、フェーシングしても、多分数年から五年ぐらいかかってその効果が出てくるだろう、今、我々が当面課題にしているような問題にはなかなか対処しにくいということで、現在は、凍土壁をベースにして、それに補強的にそうしたフェーシングを徐々に進めていくという対策を考えております。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、諸葛参考人にお尋ねいたします。

 お話の中でも、現場の作業者の方々が大変高い放射線量下の中で困難な作業に当たられている、これは、ハイテクであってもローテクであっても、困難さは同様に大変厳しいものだ、難しい作業を行っておられるというお話がありました。

 私も、特に現場でのさまざまな作業をしておられる方の労働条件の改善をこの委員会でも取り上げてまいりました。特に、放射線量が高い中での作業、健康管理の問題、安全対策の問題もあります。同時に、それに見合うような賃金、日当なのかという点も含めてあるわけであります。

 実際、お聞きしますと、現場の労働者の方の日当が一万五千円とか一万三千円、除染作業で、環境省がやっている事業で受け取る日当よりも少ないような状況がある。これでは、本当に意欲を持ってできるのか、モチベーションが働かないじゃないか。東電としてもそれは上げる方向でと言っているんですが、重層下請構造というのはなかなかくせ者でありまして、実際に現場までしっかりと手当てができる状況ではない。

 こういう点について、全体を本当に前に進める上で何ができるのか、その辺でお考えのところがありましたら、ぜひ教えていただけないでしょうか。

諸葛参考人 ありがとうございます。

 企業経営の立場では、ある二つの社内カンパニーがあって、同じような仕事の職種で、こちらで百円だったものがこっちに行くと百五十円になるというのは、やはり経営者の立場ではなかなか難しいかと思います。

 ですから、今回の組織改革で社内カンパニー制にされたのは、そういう待遇面で横並びを少しでも改善しようという東電の経営努力の一つだと思いますが、さらに踏み込んで、私が御提案させていただいたような別会社の仕組みにすれば、今先生がおっしゃられたような待遇の改善は、さらに手が打てる可能性はあるのではないかと考えております。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、除本参考人にお尋ねいたします。

 先ほど、丸山委員の御質問で、賠償のスキームのお話もいただいたところです。その点について、御説明いただきましたように、原賠審が指針をつくって、東電の方が基準をつくり、その際に、いわば申請書式まで東電が聞きたいことを聞くという書式で、被害者の方々の訴えが反映しにくいというスキームのお話がございました。

 こういった中で、被害者の声が反映されない、届かない、そういう思いというのが原発事故の被害者の皆さんにあると思うんですが、その辺で、例えば現地の方に行かれて、そういった被害者の具体的な声とかお聞きになっていることがありましたら、こういう機会でぜひ御紹介いただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。

除本参考人 ありがとうございます。

 賠償に関して被害者の方々からの声を聞きますと、東京電力の対応は非常に不誠実に見えるんだという声がやはり多いわけですね。福島民友という地元紙でも、大きな賠償の記事が出たときにそういう声が紹介をされていました。

 何でこんなようなことになるのかといいますと、東京電力が今は無過失責任で賠償するということになっていまして、結局、事故に関する責任というものの検証が、確かに事故調などがありましたけれども、十分ではないのではないかということであります。

 東京電力からしますと、まだ訴えられている裁判の中でもいろいろな主張をしてきていて、さすがに非常に巨大な天災による免責というところまでは言わないにしても、実際のところ、本音でどう考えているのかわからないような主張まで出てくるということがありまして、そういう中で、加害者としての自覚があるんだろうかというような指摘が被害者サイドから出ています。

 そうした状況を変えていくためにも、やはり東京電力のステークホルダーの責任をきちんと追及していくということが必要なのではないかなというふうに考えております。

塩川委員 ありがとうございます。

 その点で、今後どうあるべきかというところでお聞きしたいんですが、被害者と加害者の合意形成が必要だというお話も先ほどありました。

 昨年十月に、研究者の方々から、原発事故被害者の権利回復に関する意見なども出されたというふうに聞いております。

 本当に被害者の立場に立ってこの賠償を進めていくという点で、今こういう方向でまずは進める、将来的にはこういうことを目指す、その点での具体的な方向性などについて、お考えがございましたら、お聞かせいただけないでしょうか。

除本参考人 まず、きちんと金銭で賠償すべきところはするというところが必要ですし、それだけではやはり今回の被害というのは回復できないというところで、地域の再生あるいは復興というところの政策も総合的に打っていく必要があるだろうなというふうに感じています。

 というのは、金銭の賠償というのは個人の被害に対するものですけれども、今回の場合は、自治体が消滅の危機に立たされているというような地域レベルでの被害というのがありまして、これはなかなか賠償というスキームに乗りにくい。こうした地域の再生ということになりますと、やはり政策的な措置も必要になってくるだろうということであります。

 ですので、賠償でできるところ、それから政策的な措置をきちんと打つところ、こういうものを総合的に組み合わせて、被害者の方々の権利回復を図っていく必要があるのかなというふうに大枠では考えております。

塩川委員 ありがとうございます。

 それから、引き続き除本参考人にお尋ねしたいのが、今回の法改正ですけれども、除本参考人は、もともとこの機構法をつくるときの参考人でも陳述いただいたわけであります。そのときと今回、特に、東電への資金援助のスキームでどういう違いがあるのかというところをお尋ねしたいんです。

 そもそも私は、機構法のスキームそのものが、加害責任のある東電を存続、延命させる、こういう仕組みであること自身に問題があると考えておりますけれども、そうはいっても、当初の機構法には一定の枠があったわけでありまして、今回、それがどのように変わっているのか。その点について幾つか整理して御説明いただけるとありがたいんです。

除本参考人 ありがとうございます。

 先ほど一番最初に、四十一条の問題について少し申し上げました。四十一条がどのように今後機能していくのかというところが、非常に重要な問題かなというふうに思っています。

 東京電力に対する資金援助として、資金交付とか資本注入とか、いろいろな形態があるわけですけれども、今の制度では、資金交付、つまり返済義務のない交付というのは、賠償の履行に充てるためだというふうに限定がされているわけですね。今回、四十一条の三項が入ることによって、ちょっとその位置づけがよくわからなくなってしまっているところがある。

 つまり、賠償というものを超えて、廃炉とか事故収束にまで資金交付というのが広がっていくというふうになると、例えば、支援機構法ができたときに、資金交付というのは賠償に限るというような附帯決議も国会で、参議院だったと思いますが、なされています。こういうものに反するような無原則な東京電力救済、加害企業救済みたいなものが進んでいくというのは、非常によろしくないだろう。先ほど申し上げた被害者サイドから見た場合の問題ということも考えると、より一層問題になるのではないかなというふうに思われます。

塩川委員 ありがとうございます。

 関連して、事故炉の廃炉の費用について、電気料金に上乗せするという仕組みの話もございました。

 昨年十月に、廃炉関係規則の省令改正で、廃炉中も電気事業の一環として事業の用に供されるものとして整理されるものは、事故炉についても、運転終了後も引き続き減価償却費を料金原価に含め得るものとした。

 私は、こういった事故炉の廃炉費用も電気料金に上乗せするような仕組みであると、これはやはり国民の理解を得られないんじゃないのかと率直に思うんですが、この点についての除本参考人のお考えをお聞かせください。

除本参考人 事故炉の廃炉とか賠償というような事故対応のコストというのをあたかも経費であるかのように電気料金に転嫁をしていくやり方は、やはり非常に問題だろう。これは、経営者の責任を問うということもありますし、きちんと利潤から出していく、損失としてみなしていくという仕組みが本来必要なのではないだろうかというふうに思います。

塩川委員 ありがとうございます。

 残りの時間で山名参考人に御質問いたします。

 IRIDに、汚染水対策を初めとして、いろいろな技術提案が寄せられたところであります。国内外の知見が寄せられた。そういう中で、大西参考人にも伺いました汚染水対策との関係で、トリチウムについてです。

 幾つか選択肢も示しながら、トリチウムについて、これを取り除く技術、あるいは安定的に貯蔵する技術、海洋放出というのも選択肢として挙げられているわけですけれども、私は社会的な合意が得られないと考えております。

 そういう点で、トリチウムを取り除く技術について、どんな技術提案があって、その可能性あるいは課題、その辺について、どんなものになっているのか御紹介いただけたらありがたいんです。

山名参考人 まず、冒頭にお断りしますが、IRIDは、汚染水のさまざまなアイデアの世界からの公募を、エネ庁から受けまして担当いたしました。ただ、この内容についての技術的な判断、あるいは今後どうするかという判断は全て、閣僚等会議のもとの汚染水処理委員会が担う、つまり、大西先生の委員会で御判断いただくというたてつけになっております。したがって、私がここで答えるべきではないというのが一つございますが、私どもが世界から集めた公募案件の七百九十何件のうちのある部分はトリチウムのことであります。

 技術的に申し上げますと、トリチウムの濃縮技術に対する提案というのは、その中でかなり入っているわけです。トリチウムの濃縮技術といいますのは同位体濃縮でありまして、一般的には、重い水素ですから、普通の軽い水素との質量の差による化学的な違いを利用して、微々たる分離を行っていこうということです。これは、蒸発において発生する分離を求めたり、電気分解において発生するわずかな化学的な違いを利用したり、あるいは固体にする場合の違い、いろいろな方法がありまして、それぞれを網羅するような提案が各国からあったと思います。

 各国なりに、それぞれの経験に基づいて、有効な手段である、つまり分離効果が高いものであるという主張を各国がしてきたというように記憶しておりまして、そういういろいろな提案を、今後、大西先生の汚染水処理委員会で検討、今、現にタスクフォースというのがありまして、そこでもんでおられるというふうに理解しております。

塩川委員 ありがとうございます。

 それと、今回の法案においては、機構の業務として追加されるものの中に、廃炉業務を通じて得られた知見情報の国内外への提供というのがあります。そういう点で、廃炉業務を通じて得られた知見というのが知的財産として発生するものもあります。

 こういった知的財産の所有権というのはどういう扱いになるんだろうか、その辺について少し、お考えがありましたら教えていただけませんか。

山名参考人 これは非常に難しい問題で、少なくとも私の立場でお答えできるものでも実はないんですが、今までIRIDの研究開発に従事している中で、幾つかIP上の問題なんかを見ていますと、情報の中身によると思います。

 まず、わかりやすい例からいきますと、事故がどうして起こったかとか、事故の結果、どういう反応が起きていたかというような情報というのは、これはある特定のセクターや会社に属す情報というよりは、むしろ原子力安全にかかわる、世界的に共有すべき知見というような、公的な財産的な位置づけのものがやはりかなりあるというように感じております。

 一方で、廃炉を進めていく中で、プライベートな資金が入って開発したものによって出てくる成果ですとか、あるいは、もともと東京電力のプラントに付随しているようなものについては、確実に知的財産の所有権がその部分にかぶさっているというところがあるわけです。

 ですから、その扱いについては、それぞれの知的財産の所有者がどういう判断をするかということが、どこかで議論されるべきであるというように思います。

 一言申し上げますと、技術開発的に扱ってきたものについては、今、IRIDに参加していただいている法人の間では、そこを明確に定義しております。どちらかというと、共有していこうよという理念を大切にしようという思いが参加している組合員にはあります。

 ただ、これはあくまで参加している組合員の話なので、今後、東電を初め、ほかの世界の多くの組織に対してそれをどう知的財産として扱うかというのは、まさにこれからかなり戦略的に考えていくべきものだと思いまして、情報提供のあり方は、まさに新機構の仕事として、これから戦略として考えていくものに入っているというふうに理解しております。

塩川委員 時間が参りました。ありがとうございました。

富田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時三十一分開議

富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官田中正朗君、厚生労働省大臣官房審議官大西康之君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監糟谷敏秀君、資源エネルギー庁廃炉基盤整備総合調整官藤原正彦君及び原子力規制庁長官官房原子力安全技術総括官竹内大二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細野豪志君。

細野委員 きょうは金曜日の、しかも本会議の後ですので、大臣は答弁をされた後ということで、大変お疲れさまです。お疲れだと思うんですが、非常に大事な法案でございます。私の方もしっかりと質問したいと思いますので、御答弁をよろしくお願い申し上げます。

 まず、原子力損害賠償支援機構法ですが、これは私も内閣におりましたときにつくられた法案でございますので、これに基づいて賠償がしっかりなされることについては、大臣として責任を持ってやっていただきたいというふうに思っております。

 また、最終的な法案の姿としては、この機構に廃炉部門をあわせて設置するという形になっておりまして、いろいろな途中の経過の中で私どもの意見も相当反映をしていただいたというふうに承知をしておりますので、全体としては前に進んだという評価を私はしております。ただ、その中で若干幾つか気になることがありますので、それを個別に確認させていただきたいと思っています。

 まず、茂木大臣にお伺いをしたいんですが、原賠機構そのものの中に廃炉部門を設置する理由は何かということなんです。

 というのは、もともとこれは賠償のためにつくった組織ですから、当初は廃炉をここに設置するということは予定していなかったわけですね。私どもは実は当初はやや違う形を考えておりましたが、政府から出てきたものは、賠償の機構そのものに廃炉の部門を設置するという案が出てきました。これをあわせて設置するという考えに至った理由をお聞かせいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 まず、原賠法の要請に基づきまして機構法というのをつくらせていただいたわけでありますが、細野委員も、事故直後から事故収束に向けたさまざまな取り組みで先頭に立って取り組んでいただきまして、やはり福島の復興の加速化を進める上で、第一原発の廃炉そして汚染水対策は最優先の課題である、これは共通の認識である、このように考えております。

 確かに、廃炉と賠償、業務そのものとしては異なる業務という部分はありますが、事故炉の設置者である東電がそれぞれ主体的に行っている事業でありまして、原賠機構は、委員よく御案内のとおり、賠償円滑化のために東電に資金援助を行い、経営全体を監督している組織でありまして、ここが、賠償支援に加えて、事故炉の廃炉に関する技術支援等を総合的に行うことが廃炉を加速化する上でも適切、このように考えて、今回、法改正をお願いしているところであります。

 実態面から見ましても、原賠機構は東電の最大の株主ということでありまして、日ごろから実質的に強い監督ができる。さらには、原賠機構法に基づいて作成をされます特別事業計画に廃炉の実施状況や実施体制の整備に関する記載を追加することで、必要な場合には主務大臣による命令も発動できるようにしたところであります。

 このように、原賠機構のスキームを活用することで、国が廃炉・汚染水対策に積極的に関与でき、実効ある対策の実施と監督が可能になる、このような考え方のもとで、今回、新たな廃炉業務を追加させていただく法案を提出した次第であります。

細野委員 今大臣がおっしゃった後段の部分はよく理解できます。すなわち、機構は最大の出資先ですから、東電に対しては経営上の非常に強い影響力を行使し得る。したがって、廃炉についても、さまざまな問題があった場合には指摘をしやすい、ここは理解できるんですね。

 前段の部分がちょっとよくわからないんですよ。つまり、二つを、賠償と廃炉をやることによって相乗効果があるというような趣旨の御答弁がありましたけれども、ここが本当に相乗効果があるような形に持っていけるのかどうか。大臣、そこはちょっと率直に、どんな感覚でお感じになっているか、お答えいただけませんか。

茂木国務大臣 先ほど申し上げたように、東電が実施主体という中で、当然、賠償業務にしましても廃炉業務にしましても、相当な人材を割かなければならない。また、相当な資金というものも必要になってまいります。

 そういった人材、資金、それを双方ともに適正に配分していく、こういう観点から、一つの組織において賠償そして廃炉に対しての支援業務を行う、こういう形をとっております。

細野委員 そこがやや、なぜ一緒にやるのかというところが、一時的にはそういうことも理解はできなくもないんだけれども、すとんと落ちないところがあるなというふうに私の中では実は残っております。

 それと同時に、それでは具体的に、このスキームが、例えば廃炉に向かって、恐らく三十年、四十年かかるのではないかと言われているわけですね。冒頭、茂木大臣から御発言がありましたけれども、私もその責任の一端を担っていますので、それを今政府の中でやっていただいていることに関しては、心より敬意を表したいと思います。頑張っていただきたいと思います。そのことについて応援する意味からして、この形で本当に四十年、廃炉に向かってやれるのかということについては、やや私は疑問を持っています。

 もう一つ違う視点として、実は、廃炉というのはこれから世界じゅうで相当大きな需要が出てきていて、それに対応することも非常に重要ではないかというふうに思っているんです。

 茂木大臣、ちなみに、ちょっと数字を御紹介したいんですが、去年の一月の時点で原発が世界じゅうで幾つあったか。恐らく大臣は数字を把握されていると思うんですが、大体四百二十九基なんですね。そのうち、四十年を超えているものというのは大体何基ぐらいあるか。これはどれぐらいだと思われますか。まあ、質問はしません、クイズじゃないので。四十年を超えているものは四十基あるんです。三十年を超えているものにさらに拡大をしますと、百七十基あるんですね。ですから、三十年を超えてきているものというのはそろそろ廃炉が視野に入っているので、世界じゅうならば、二百基以上の原発の廃炉が視野に入ってきているわけですね。

 廃炉で世界に貢献すべきだということをこれから考えていかなきゃならない中で、賠償という重い負担と廃炉がセットになってきていて、東電の一番厳しい部分を政府としてバックアップするというこの組織形態で、本当に廃炉で世界に打って出られるかどうか。もしかしたら、受けとめ方としてはいろいろあるかもしれないけれども、これはビジネスにもなる話ですから、世界にも貢献できて、日本としてはビジネスとしてもやっていかなきゃならないことについて、永続的な体制になっているのかどうか。

 ここに私は、一時的なものとしては受け入れます、ただ、長期的に果たしてそういう体制になっているかどうかということに疑問を持っておるんですが、大臣、その辺の廃炉の体制ということについてどうお感じになっているでしょうか。

茂木国務大臣 当面の課題として賠償と廃炉をしっかりと進めるということで、事故炉におけます廃炉、これは委員御指摘のとおり、三十年から四十年、極めて長期での取り組みが必要でありまして、それに必要な人材をしっかり確保していかなきゃいけないと思っております。

 一方、賠償についてでありますが、これはできるだけ速やかに、適切にそれぞれの被災者の方に対して行われることが必要でありまして、スパンとしますと、廃炉のスパンとは若干変わってくるのではないかな、私はこんなふうに思っているところであります。

 今回の法改正は、事故炉に対します廃炉の支援業務、これは、東電の福島第一もそうでありますが、万々が一にも将来事故が起こるようなことがありましたら、その事故炉に適用させていただくということになるわけでありますが、そこで積み上げられますさまざまな高度な技術であったりとか知識、ノウハウというものは、蓄積をされるものであります。

 先ほど委員の方から御指摘をいただきましたように、世界で今四百基を超える原発のうち、四十年を超えるものが一割、そして三十年を超えるものが四割といった中で、通常炉の廃炉というのも出てくるわけであります。もちろん、日本におきましてもそのような状況は生まれてくると思いますが、それにつきましても、必要な技術の共有であったり提供といったことは今回の措置によって将来的に可能になってくる、このように考えております。

細野委員 今、大臣の御答弁の中で、賠償のスパンと廃炉のスパンは違うんだというお話がございました。

 そこをちょっと確認したいんですが、今大臣がおっしゃろうとしたことは、賠償に四十年というのは、さすがに、ここまでかけるべきではないですよね。もっと早くきちっとけじめをつけるべきだと思います。一方で、廃炉は残念ながらそれぐらいはかかってしまうだろうという中で、そうしますと、機構の役割自体も、事故炉ということに限定してではあるけれども、賠償から廃炉にウエートを移していくべきだ、そういうお考えですか。

茂木国務大臣 実際に行います賠償はできる限り前倒しで速やかに、このように考えておりますが、当然、資金の回収であったりとか、そういった問題はある程度の期間がかかる問題であると思っております。

 機構におけます人的資源のシフトがどうなっていくかということを今確定的に申し上げるわけにいきませんけれども、大きな流れとしましては委員御指摘のような方向になっていく、そのように考えております。

細野委員 わかりました。

 もう一つ確認をしたいのが、大臣は、これはあくまで事故炉だということをおっしゃいましたね。認識としては、同じ廃炉でも、事故炉の廃炉と通常炉の廃炉は別物なので、これは一緒にやるべきじゃない、相乗効果がややあるというような言い方も少しされましたけれども、分けて考えるべきだというお考えですか。

上田政府参考人 今回の法律では、御案内のとおりでございますが、第三十五条という機構の業務に、新たに廃炉等に関する情報の提供という業務を追加させていただきました。

 この趣旨は、事故炉に関しても当然のことでございますが、事故炉の廃炉に関する研究開発等を通じて得られました最新の技術情報やノウハウ、例えば高い放射線下でのロボットをどのように運営していくか、あるいはデブリをどう取り出していくか、さまざまな情報というものは通常の廃炉にも十分適用することができるものもあろうということでございます。

 したがいまして、こういった三十五条で情報の提供業務を置くことによりまして、今申し上げました事故炉の廃炉で得られた技術情報あるいはノウハウを、通常の廃炉に関しても有効な情報や知見として幅広く提供できるような形で考えております。

 その意味で、今回、あくまでも事故炉の廃炉を中心とした法律ではございますが、これらの情報は通常の廃炉にも幅広く適用していく、そういう考え方に立ったものでございます。

細野委員 今の上田長官の答弁は私も同じ意見です。つまり、今回の事故炉の廃炉というのは、考え得る中でいうと最も困難な作業をやることになりますから、これをやり得る技術、例えばさまざまな無人化の技術なんかは、当然、通常の廃炉においてもいろいろ応用可能なわけですよね。ですから、相乗効果が非常にあるところだろうと思うんです。

 そういう観点に立つと、今回の政府が出してきているスキームというのは、廃炉に関してのいろいろな主体が複雑に分かれ過ぎてはいないだろうか。

 つまり、機構の中にも廃炉部門ができますよね、技術的ないろいろなアドバイスをする組織ができる。これまであったIRIDという廃炉のコンソーシアムみたいなものがある。これは、メーカーも電力会社も入っていますから、つくってよかったと思います。一方で、廃炉の現場は電力会社がやる。しかし、そのもとでメーカーがやっている。

 では、国際的に廃炉が非常に大きなニーズが世界じゅうで出てきている中で、どこが主役になって、そこで日本が貢献をしていくという役割を担うんでしょうか。それは、この機構ですか、IRIDですか。それとも電力会社ですか、メーカーですか。実にこれはばらけていますよね。これで本当にやれるのかというのが私の問題意識なんですが、大臣はどう思われますか。

茂木国務大臣 廃炉支援に関します全体的な企画であったりとか総合調整に関しましては、この法案をお認めいただけましたら、新機構において行うということになります。

 そして、IRIDであったりとか事業者であったり、それぞれの役割分担は明確に考えておりまして、もし必要でありましたら、参考人の方から答弁をさせていただきます。

細野委員 ちょっと私の質問に今必ずしも答えていただけなくて、役割分担があるのはわかっているんですよ。機構は技術的なアドバイスをする、IRIDはメーカーなんかが集まる、現場は東電なり、あとはいろいろなメーカーがやる。わかっているんですけれども、どこが主体となって、ここをしっかりとビジネスとしても育てていくし、世界に貢献をしていくという役割を担うのか。そのエンジン役はどこですかということを聞いているんです。

 実際に、例えば、国際的に廃炉についていろいろな技術的なアドバイスであるとか、場合によっては委託というような形で、日本のメーカーなり何らかの組織が受けなければならない形があり得ますよね。それを受けとめるのはどこですか。

茂木国務大臣 廃炉について、ビジネスという言い方が適切な言葉としてどう捉えられるかということはあると思うんですけれども、恐らく、機構がビジネスとしてこういったことをやるということをなかなか想定はしにくいと思っておりまして、言ってみますと、国際貢献であったり、さまざまな我が国としての原子力の安全性向上であったり、そういった責務として進める、また国際協調の一環として進めるということであると思います。

 実際にそういう廃炉を例えば海外でやる、実施主体になるとなりますと、事業者を中心に、場合によっては関係の企業等も含めたコンソーシアム等々をつくってやる形態というのが想定をされるのではないかなと考えます。

細野委員 大臣が御答弁をされたとおり、機構が、その音頭取りは無理だと思いますね。これだけのおもしを言うならば負っているわけですし、積極的に何かやるという組織ではないですよね。むしろ、これだけの事故があったことについて、これにしっかりと対応していく、このマイナスをできるだけ埋めていく役割をやるんでしょう。

 そうなってくると、では、IRIDにどこまで期待できるかということにもなるんですけれども、ここは結構頑張っていると思うんです。専任のスタッフが約二十人、ほかの企業がいろいろな応援をしてくれているということでありますけれども、組織としては非常に小さいですね。

 これは上田長官に聞きます。

 廃炉は、ビジネスという言い方がいいか悪いかは別にして、国際貢献という観点からも、日本が役割を果たすべきだというのは大臣も多分賛同していただけますよね。そういう国際貢献という観点からも世界の廃炉をやるべきだと、一般論としてはほとんど、反原発の皆さんも含めて、原発をゼロにすべきだという方も含めて口をそろえておっしゃるんだけれども、では、どこが受けとめて、それをどうこれから生かしていくのかということについて、青写真を描いているところはどこもないんですね。エネ庁としては、そこをどう考えているんですか。

上田政府参考人 御案内のとおりでございます。今後の世界の廃炉というのは大きく進むことになります。国内ですら、通常の廃炉も含めまして、今後多くの案件が出てくる可能性があるわけでございます。

 私どもといたしましては、先ほども大臣の答弁にございましたけれども、この企画立案、総合調整、特に廃炉に適用する技術あるいはノウハウ等の企画立案、総合調整というものは、今回のこの機構が中心になると考えておりまして、IRIDは、基本的には技術研究組合でございますので、企画立案された研究計画のもとで個別の具体的な研究開発を推進していく主体という位置づけになるかと思います。

 そして、ここに集まった知見を、例えばほかの国で廃炉がある場合、こういうことはあってはならないわけですが、万が一にも事故があって国際協力をしていく場合に、その情報の提供の主体となり得るのは、恐らく、将来的には機構が中心になるかと思われます。

 ただ、御案内のとおり、まだこれからつくる組織でございますので、当面は、ここでしっかり研究開発や福島第一の廃炉事業を進めながらそういった知見を蓄え、そういった知見を蓄えた状況を見ながら海外の事業に対する協力を進めたり、あるいは国内で仮に将来廃炉ビジネスを行うという方がおられれば、その方々に対して情報提供や技術情報を提供するといった形でお手伝いしながら廃炉ビジネスにもかかわっていく、そういった形態を想定しているところでございます。

細野委員 今の上田長官の答弁はちょっと苦しいと思いますよ。賠償を抱えている機構がそんなことできますか。ここはまさに、福島の問題に対応する、もう本当に最前線の組織になるわけですよね。これだけのおもしをここに載せておいて、廃炉のいろいろな国際貢献だとか、そこについてもここにやれというのは相当無理がありませんか。そんなこと、本当にできると思いますか。

 これは長官の答弁ですから、長官で結構です。

上田政府参考人 原賠機構そのものが大変おもしを負っているというのは、お話しのとおりだと思います。私ども、さはされども、ここには技術委員会をつくりまして、専任のスタッフを相当程度備えながら、ここに知見を蓄えていこうと思います。今すぐに、それが直ちにできるとは思いませんけれども、将来そういう機会があった場合には、基本的な考え方は、先ほど申し上げましたように、法律にある情報の提供ということが中心になるわけでございますが、そういったことを中心といたしまして、国際的にも、必要に応じまして、そういった情報の提供をすることなどにより貢献することは可能であると考えております。

細野委員 大臣、この後、御答弁をいただきますので。

 ちょっとこれをごらんいただけますか。これは皆さんに配付している資料なんですけれども、その辺のことをいろいろ考えまして我々が提案しているのが、これは私も直接かかわらせていただいたんですが、この提案なんですね。

 廃炉機構というふうに銘打ちました。これは、賠償は別です。賠償と別に廃炉機構をつくることによって、ここに人材と技術を全て集中するという考え方なんです。

 具体的に言いますと、東京電力に関しても、廃炉の部門についてはやはりここに集めていく。ここに、事故炉の、つまり東京電力福島第一原発だけにするか、ほかも含めるかというのは、やや議論があるところですが、最前線でやっているところについては集めていくことが必要だというふうに思います。当然、資金的な部分も、東京電力からはこちらに提供していく必要がある。

 片や、廃炉ということに関して言うと、例えば左側のIRIDももちろんですけれども、JAEA、ここも文科省のもとにありますが、どう組織としてこれでやっていくのか。専門家は相当いるんだけれども、必ずしも廃炉にフルコミットできているわけではない。さらには、事業者、これはメーカーを指していますが、東芝、日立、重工を初めとしたところも、IRIDに協力はしているけれども、人を出しているわけではありませんから、後方支援という形にとどまっている。

 さらには、一番下に小さい字で書いていますが、これから恐らく大きな問題になってくるのが原電ですね。ほとんど唯一の廃炉経験がある電力事業者は原電です。一方で、敦賀については、一号機が四十年を超えてくる、二号機も活断層の問題でどうなるかわからない、三号機、四号機はなかなかつくれない中で、原電の経営問題というのはいつか必ず出てくる。もう出ていると言ってもいいかもしれない。

 そういったことを考えたときに、もうオール・ジャパンで廃炉、この問題に人材を集めていくためには、こういう組織の方がむしろいいのではないか。こういう形で賠償と切り分けることができれば、この組織自体はある種、福一の廃炉という困難な問題はあるけれども、賠償から切り離されるという意味では、今回政府が提案しているものよりは相当身軽です。廃炉に特化していますから、人材と技術も集まっていますから、当然、世界に対してもいろいろなアドバイスもできるし、事業を受けることもできるでしょう。これぐらいの構えにしないと、恐らくこれから世界に対して日本が貢献をすることは難しいのではないかというので描いた絵がこれなんです。

 大臣、今すぐにとは言いません、今すぐにとは言わないけれども、次の段階では、こういうことも視野に入れて世界にさまざま日本の取り組みを貢献という形でアピールしていくということをお考えいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 今、拝見をいたしまして、真剣な検討に値する御提案だと思っております。

 そこの中で、二点申し上げたいと思うんですけれども、国際展開に関して、先ほど、私、ビジネスという言葉遣いがいいのかどうかというのは自分なりに考えると申し上げたのは、恐らく、例えば水ビジネスとか鉄道インフラといったものは、日本として積極的にセールスをしていくというビジネスであると考えておりますけれども、廃炉について、これが日本として、どこかの国が廃炉を進める、要請がない中で日本が各国を回って、廃炉は日本が一番技術的にすぐれているから、ぜひこれを受注させてくださいというのとは、若干性格が異なるのではないかなと思っております。

 そういった意味で、さまざまな蓄積をされた技術であったりとか、情報、ノウハウを提供することは、日本の責務としてしっかり進める。その上で、要請があった場合、いわゆる実際に廃炉をする組織の形態については、先ほど申し上げたような、恐らくこれは国際的なコンソーシアムとかそういうことになっていくのかもしれませんけれども、そういう形になる可能性が高いのではないかなということで、国際展開という観点から廃炉部門を考えることは余り適切ではない、これが今見た上での個人的な見解であります。

 その一方で、これからこの新機構が担う業務ということでいいますと、廃炉というのは、三十年、四十年続いていく話であります。一方で、賠償の方はそんなにかけてはいけないということですから、資源的には当然廃炉が中心になるような状況が出てくるんだと思います。

 もう一つ真剣な検討が必要なのは、通常の廃炉の問題というのを機能なりを集約してやることが本当にいいのか、やはりそれぞれの炉の設置者において、少なくとも通常の廃炉については技術的にも確立された分野でありますから、それぞれがきちんとした人材なりノウハウを持って進める方が、炉の安全性の確保であったりとかさまざまな観点から望ましいのか、そこについては、今後しっかりした検討をした上で判断すべき項目だ、そのように考えております。

 拝見して、私としては、冒頭申し上げたように、傾聴に値する、そして、今後の、将来の課題として検討すべきものである、このように考えております。

細野委員 確かに、言葉の使い方は気をつけなきゃならないと思うんですね。

 ただ、大臣、現実として、二百基を超える原発がそろそろ廃炉のプロセスに入ってきていて、世界の中でそういう経験を持っているところがほとんどない。一番早く走っていて比較的経験があるのはイギリスですけれども、イギリスで、いわゆる原発関係で技術的に突出した会社があるとも、経験はあるんだけれども、これからそれがどんどんイギリスとしてできるかというと、必ずしもそうとも言えない。その中で、日本が世界的に貢献できる分野だという認識はやはり持った方がいいと思うんです。あと、それをどう表現するかはいろいろあっていいと思いますよ。

 後段の部分なんですが、ちょっと私の所見を申し上げますと、東京電力の福島第一原発にかかわるようになって、いろいろな皆さんと原発について、改めて、かつての上辺のつき合いではなくて、もう本当にどっぷり私は入りましたから。

 そこで感じたことは、それが東京電力であれ、関西電力であれ、東北電力であれ、原発をやっているところというのは、電力会社も確かに大きな役割を果たしているんだけれども、廃炉とかいうことになると、それ以上にメーカーが大きな役割を果たしているということに気がつくわけです。そうなったときに、つくっている側ですから、当然つくった人が廃炉についてもやり方は一番わかるわけですね、行ったところを戻るというプロセスになるわけですから。

 そういうことを考えると、廃炉を電力会社がばらばらにやるよりは、メーカーのノウハウを蓄積して、そこで一つの会社でやった方が恐らく効率はいいだろうと思います。安全にやれるだろうと思います。

 ですから、そこは、各電力会社がやっているんだよねという認識ではなくて、メーカーが大きな役割を果たしているんだということを前提に、国内の廃炉についても機能を集約した方がより安全にやれるというのが私の感覚なんです。これは世界に対してもそうです。そういう観点から、この一元化をもう一度検討していただきたいと思います。

 再度、しつこいようなんですけれども、一時的にはこの政府案を我々も認めようと思うんですね。ただ、これは東電の事故のおもしをかなり負った中での廃炉について、ある種、その機能の一部としてやる形になっていて、これでは今私が申し上げたような大きな絵は描けないと思います。この絵よりは、むしろ特化をした形できちっとやるべきだと考えますので、再度、そこも踏まえて御答弁いただけますか。

茂木国務大臣 事故炉、特に福島第一、現実に今起こっている事故炉の廃炉と通常炉の廃炉を若干分けてお答えをした方がいいかと思うんです。

 まず、これは単に事業者だけの問題ではなくて、メーカーも含めて、炉の構造がどうであるとか、さらに、事故炉で申し上げると、遠隔操作ロボットが必要になってきたり、そして汚染水の問題、これは、私も大臣になって感じたんですけれども、基本的に申し上げると土木工学の世界ですね、そういう問題も出てくる。さまざまな、単純に電気事業を営むのとは違った科学的な知見であったり技術が必要なものである、そのように考えております。

 通常炉の廃炉になりますと、そこまでのもの、例えば本当に遠隔操作ロボットが必要なのかといいますと、恐らく必要ない場合というのが多いのではないかなと思います。

 それにしましても、その構造を知っているメーカーであったりとか、また、土木工学も含めたさまざまな知見の集約というのが必要である、その点に関しましては委員と意見を共有するところであります。

 通常炉まで、その部分まで本来的に全て一つの機構なり一つの組織が持つのがいいのか、それともある程度、やはり炉の設置者としては最低限のそういった技術を集約するということが必要なのかということについては検討が必要だ、こういう意味で申し上げております。

細野委員 ありがとうございます。

 次に、人材の問題に移りたいと思うんです。

 私がこの機構の絵を見たときに、東電が引き続き、カンパニー制をとったとはいいながらも廃炉の主役を担うという絵、やむを得ないところがあると思うんです。やむを得ないんですが、これを見たときに直観的に感じたのは、長い目で見たときに、この体制で人材の確保ができるだろうかということなんですね。

 まず政府委員にお伺いしたいんですけれども、ここ数年、平成二十三年度からですけれども、相当の人材が流出していますね。どれぐらいの人材が流出しているのか、把握をしている数をちょっと教えていただきたいのと、そのことについてどれぐらいの深刻な認識を持っているか、さらにはどういう手を打っているか、経産省、エネ庁としてお答えいただけますか。

糟谷政府参考人 東京電力の社員につきまして、たしか七百名余りの人材が退社をしたというふうに聞いております。特に、管理職になるかならないか、三十代前後の方を中心にやめられた人が多いというふうに理解をしております。

細野委員 私、事前に申し上げたつもりだったんですが、ちょっと私の方が数字を把握していますので申し上げると、平成二十四年度だけで七百十二人ですね。平成二十三年度に四百六十五人。平成二十五年度になって、もう二十四年度に相当おやめになったので数が減っているんですが、それでも四百八十八名。ですから、これを合計すると、千人じゃきかないぐらいの人がやめている。

 より深刻なのは、これはエネ庁としてぜひ認識しておいてほしいんですけれども、三十歳以下の若い社員がやめた人の四三%を占めるんです。四十歳以下、これは管理職手前ということですが、これが二六%。合わせると約七割が若い人なんですよね。これだけやめて現場が本当にもつのか。

 私がかつて一緒に仕事をやった人というのは、五十代から六十代で、まさに原発を何十年もしょってきた人で、しかも事故の当事者だったから、彼らは、それこそ歯を食いしばって頑張りますよね。当然、最後までやめないという方がほとんどですよ、それだけの責任感のある方は。

 ただ、人生の初期の段階で、二十代とか三十代で事故に直面をしたときに、一年、二年は頑張れても、その後、職場に未来がなくて、給料が上がらなくて、自分の未来のことを考えたら、やめる選択をする人が出てくるのは、これはなかなかとめられないところがあるのが現実なんですね。

 これにエネ庁としてどれぐらい危機感を持っていて、どういう手を打っているのか。ここはどうですか。

上田政府参考人 東京電力の人材流出の話でございます。

 全く御指摘のとおりでございまして、私どものデータでも、例えば、平成二十四年度、七百十二人やめて、累計だと、過去、この三月末までで約千八百人ぐらい退職をしている。うち、三十代までの若年層の人材流出が、おっしゃるように、三分の二を占めているという状況でございます。こういった状況について、私どもも昨年来、把握をしておりました。

 この人材流出の最大の問題は何だったんだろうかということを私ども考えておりましたけれども、それはやはり、去年の時点の段階では、非常に、廃炉対策等々で費用も時間もかかる、また損害賠償にも費用がかかって、東京電力そのものがいわば未来のない会社であるというところが根本的な問題であったと考えました。

 昨年末に、復興加速化に向けてということで、東京電力に対してさまざまな措置を講じ、また東京電力に対しても、社内分社化を初め、さまざまな措置を要求したわけでございますが、その一つの非常に重要な視点が、東京電力そのものを、しっかりと賠償していただきながら、しかし、未来のある会社に戻していこうという視点でございました。

 私どもといたしましては、去年の閣議決定を踏まえていろいろな措置を講じているところでございますが、こういった措置を通じまして、東京電力が未来のある会社として、さらに企業価値を高めていただけるということを期待している状況でございます。

細野委員 一般論としてはそう答弁するしかないんだと思うんですけれども、事態は相当深刻ですね。

 そこで、廃炉部門を切り分けるという、少し私としては大胆な提案をしたのは、もちろん東京電力全体がしっかりやってもらわなきゃいかぬのは事実なんですよ。賠償ももちろんしっかりやってもらわなきゃならないし、送電、配電もやっていただかなきゃならない。お客さんのサービスもやってもらわなきゃならない。安定供給というのをやってもらわなきゃならない、重要なので、また違う意味で原発の廃炉というのは重要な仕事じゃないかというふうに思っていまして、そこの人材の待遇であるとか安全であるとか、そこは特別の責任が政府にはあるので、ある種、違う扱いもできるようにするという意味もここで含まれているんですね。

 茂木大臣、ちょっと過去のことになるんですけれども、私は、かなりそこは、ここまでやっていいかなと思うぐらい介入していた時期がありまして、例えば、福一の現場で廃炉をしている人の手当みたいなものはもっと出すべきだとか。東京電力全体の給料は下がりますよね。当然、原発の人の給料も下がるわけですよ。あれだけシビアな環境で働いているんだけれども、給料が下がるわけですね。

 下請の人も含めて、そこはぐっと政府が踏み込んでやっていかない限り、やめている人の数の中に相当原発部門も最近は含まれているというふうに聞いています、これはとめられないですよね。

 ですから、幾ら資金的な援助をこの機構でするといっても、そういったところにきちっと注文をつけられるような何らかの形にしておかないと、にっちもさっちもいかないということがあるんですね。だから、切り分けた方がシンプルじゃないかというのも含まれている。

 大臣、ここをもう一回チェックしていただいて、この機構を通じて何ができるのかというものの確認をしていただけませんか。

茂木国務大臣 御提案のありましたチェック、大切なことだと思いますので、改めてやらせていただきたいと思うんです。

 ちょっと横道にそれるんですけれども、先日、テレビのドラマを見まして、これは「リーダーズ」という番組だったんですけれども、アイチ自動車、実際にはトヨタ自動車でありますけれども、これが戦後すぐにかなりな経営危機に陥る。そこで出てくる言葉は、経営危機になると、優秀な人材から社を去っていく。

 同じような状況というのがまさに東電にもあったから、お示しいただいたような数字というのがあらわれてきていて、これは危機的な状況であって、やはり、事業の再生であったり、将来が見える会社にしていかなきゃならない。

 同時に、そういう難しい部門に取り組む人たちの、これは単なる処遇だけではなくて、やりがいも含めて、東電として手厚い措置が必要であろう。

 私も、広瀬社長にも、個人的にさまざまなお話をさせていただいております。なかなか、個人的にお話ししていることを全部つまびらかにはできませんけれども、細野委員が感じていらっしゃる問題意識は私も共有をいたしております。

細野委員 大臣にもう一歩踏み込んで御答弁いただきたいんですけれども、ここでできる廃炉部門と東京電力のカンパニーというのが、まさにこれは一対一に符合するわけですね。

 カンパニーの責任者は、増田さんという福二の所長をやっておられた方で、私もよく存じ上げているけれども、しっかりやると思いますよ。やると思うので、この廃炉部門とカンパニーが一対一の関係になるんだから、そこの待遇とかそこの人材をどう集めるかみたいなことについて、東電全体をぼわんと捉えるのではなくて、これだけ直接な関係でやれるわけだから、やるような組織運営というのはできませんか。そこが、こういうものを新しくつくることの意味でもあると私は思うんです。いかがでしょうか。

茂木国務大臣 細野委員、私、質問の意味が正確にとれているかどうかなんですけれども、廃炉の実施主体、これはあくまで炉の設置者である東電である、このように考えておりまして、ただ、国としても、それに対する支援を強化していかなければいけない、こういった思いから機構法の改正をお願いしているわけでありまして、東電がやっている廃炉の一部の人材であったりとか一部の業務というのを、既にやっているものをこの新機構の中に取り込むということになってきますと、例えば国民負担の問題であったりとかさまざまな課題をクリアしなければいけない、こんなふうに思っております。

細野委員 私もそれは理解しているんです。

 私が言ったカンパニーというのは、東電の中のまさに福一に関するカンパニーですから、それが存在することは認めた上で、それに対して廃炉の専門技術的な助言であるとか指導とか勧告をするのがこの新しい機構の組織ですよね。そこが一対一の関係にあるので、人材の部分も含めて、場合によっては給与面も含めてしっかりとやり得るようなところまで踏み込んでやらないと、単に、こんな新しい技術がありましたからどうですかではなくて、そこまで踏み込めるような関係になった方がいいのではないかという提案なんです。

 改めて、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 趣旨はわかりました。基本的な認識は共有をいたしております。

 ただ、この新しい機構の給与レベルと、こちらの廃炉カンパニーの給与レベル、これが完全に合うかどうかは別にしまして、廃炉カンパニーで実際の業務に当たる貴重な人材、長期にわたって優秀な人材が確保できるような処遇というのは考えていく必要があると思っております。

細野委員 私は、機構の方のこの部門の人の給料は正直余り関心がないので、そこは優秀な人が集まるような形にしていただきたいと思いますが、それを言っているんじゃなくて、現場に近いところにいる技術者の待遇をちゃんとしてもらいたいという意図ですので、十分大臣はそれを理解していただいたというふうに思いますけれども、ぜひお願いしたいと思います。

 もう一点、ちょっと横道にそれるんですけれども、人材を集める中でもう一つ重要なのが、やはり安全の問題なんですね。もう馬淵委員の方でかなり質問をされたようですので、ちょっと確認も兼ねてなんですが、原発作業員の安全ということを考えたときに、悩ましい問題があるんです。

 この悩ましい問題というのは、現場に一番近いところにいるのは、今で言うならば原子力規制庁の職員、かつてであれば保安院の職員なんですね。ただ、この人は放射線管理の労務管理みたいなことはやらない。つまり、それは厚生労働省の仕事だからなんですね。

 一番現場に近いところにいるので、安全にやられているかどうかというのは本当は一番近いところで見られるんだけれども、それは厚生労働省がやるという問題があって、そこのそごがあって、一時期、私はもう保安院がそこもやった方がいいんじゃないかなんということも感じたぐらい、ちょっとジレンマを感じた部分があったんですが、そういう状況なんですね。そこは、役割分担として、厚生労働省が役割を果たすのは私も理解をします。ちょっと気になっておりますのは、厚生労働省の方で人材をふやした、具体的に言うと、放射線管理専門官をふやしたと聞いています。厚生労働省の政府委員、来ておられますか。これは必要なんですよね。福島の富岡労基署、実際にはこれはいわきにあるんですか、いわきにある中で三人ふやしたということなんですけれども、この人たちがいわきにいることが本当に、現場のいろいろな状況に対応できているかということに正直ちょっと疑問を感じています。

 Jヴィレッジに現地事務所をつくりましたよね。そこに各省が集まっていて、一体でやっている。当然、エネ庁なり規制庁が中心になっているんですけれども、そういう現場に近いところに、それこそ中で働く人たちの安全の問題も含めて対応できるような布陣に直した方がいいんじゃないかと思うんですね。

 現場に時々、月に一回ぐらい行っているという話も聞きましたけれども、これは厚生労働省としてはどう考えていますか。

大西政府参考人 委員御指摘のとおり、私どもの所轄は富岡労働基準監督署になっておるところでございます。

 それで、これも御指摘いただいたところでございますけれども、定期的な立入調査ということで、福島第一原子力発電所で働いている作業員の方々の労働環境、特に健康管理面の把握、被曝線量の管理ですとかあるいは健康管理の問題については、そういう立入調査を通じてしっかり把握をさせていただいているところでございます。

 また、労働者の方からの具体的な相談というのもしっかり受けとめなければいけないと思っておりまして、そういった労働者の方々から相談を受ける相談先を明記したリーフレットも作成して、配布しているところでございます。

 そして、事務所の場所の件でございますけれども、確かに、震災以降、富岡労働基準監督署につきましてはいわき市内に事務所があるところでございますが、本年の四月から、少し近いですか、双葉郡の広野町というところに臨時事務所を開設いたしまして、そういった労働者の方々からの相談を受けて労働環境の把握ができるような体制の充実を図ったところでございます。

細野委員 Jヴィレッジがあるのは広野町なんですよね。広野町に十七名いて、経産省、復興庁、文科省、農水省、国交省、環境省、規制庁、JAEAもいるわけですよね。そこに入ればいいじゃないですか。一緒の場所ですか。

大西政府参考人 先ほど申し上げた広野町の臨時事務所につきましては、Jヴィレッジの場所とは異なる場所でございます。

細野委員 大臣、私は原発事故担当というのをやっていたので、ある種、オールラウンドでやれたんですよ。厚生労働省であろうが経産省であろうが環境省であろうが入り込んでいろいろやって、各大臣の御協力で動かせたんですけれども、今、茂木大臣は経産大臣でおられるので、機構という観点からするとできるけれども、今のような話にはなかなか口を突っ込めないでしょう。

 でも、大臣、よく考えていただきたいんですけれども、一番、現場に、三人ぐらいの原子力に関しての専門家が規制庁から出ていますよね、これは必要です。ここまで厚生労働省が行けとは言わない。ただ、この現場においては労務管理は極めて重要ですよ。ということを考えたときに、除染も含めた労務管理をやっているJヴィレッジのところに厚生労働省も入ってやることが合理的だと思いませんか。

 今いわきにあるのを、現場に行くんですというのでわざわざ違う事務所をつくって、時々現場に行くんですというのは、私は、政府全体としてはちょっとピントが外れていないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

茂木国務大臣 私の所管ではないので現場の状況がどうなっているかわかりませんけれども、何らか、物理的にとか業務的に障害になる著しい要因がなければ、私は、Jヴィレッジで一緒にやった方がいいのではないかなと思っておりますけれども、現場の状況がわかりませんので、ここで、確実にそうすべきだとは答弁できません。

細野委員 大臣にかなり踏み込んで御答弁いただいたので、ちょっとチェックしてみてもらえませんか。現場があって、そこのバックオフィスがJヴィレッジまではいいと思うんです。ただ、そのさらにバックに、労務管理についてやる人が、監督者が、チェックする人がいるというのはちょっとバランスが悪いですよね。やはりそこはできるだけ現場に近い方がいいわけです。

 しかも、増員していますからね。これは我々のときに増員したんですけれども、増員して人を配置しているわけだから、踏み込んで入れるような、いろいろな形で連携できるような体制に、ぜひ大臣、ここはやっていただきたいというふうに思います。うなずいておられるので、もうこれ以上、では一言お願いします。

茂木国務大臣 ちょっと厚労大臣にも状況を聞いてみたいと思います。

細野委員 そろそろ時間も少なくなってまいりましたので、次に、資金の問題についてお伺いしたいと思います。

 まず確認なんですけれども、この法律に基づいて新しく廃炉部門が設置をされますね。廃炉部門が設置をされるんですが、廃炉に係る費用についてはこの機構がどう関与することになるのか、そこをまず、政府委員で結構ですので御答弁いただけますか。

上田政府参考人 廃炉に関する原賠機構の資金の面での関与でございますが、御案内のとおり、この原子力損害賠償支援機構は、賠償に充てる資金の交付あるいは株式の引き受け、資金の貸し付け、こういうことができることになっております。

 そして、この原賠機構法の四十一条で「原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保」ということが書かれておりまして、これの中にはいわゆる廃止措置、廃炉というものも含まれると考えております。

 資金交付そのものは、これは交付国債の資金を用いて行うわけでございますが、これにつきましては、損害賠償の履行に充てるとされておりますので、交付国債の資金を用いて行う資金の交付、これは賠償に限られるわけでございますが、それ以外の出資といいますか、株式の引き受けといいますか、資金の貸し付け等々につきましては、廃炉ということで、制度といたしましては、それに対して原賠機構として資金を提供することができる、こういうことになっています。

 実際にも、平成二十四年七月に、東電の財務基盤強化ということではございますけれども、機構法に基づいて約一兆円の株式の引き受けを行っているわけでございます。

 ただ、委員御案内のとおり、東京電力におきまして、廃炉のために既に約一兆円の資金の準備というのを行いまして、さらに今後、十年間程度をかけて約一兆円の資金準備を行う、合計二兆円の廃炉のための資金を確保するということを予定されておりますので、現段階で追加的な資金援助を行う必要というのが生じているわけではございません。

細野委員 ここは我々も気をつけて発言しなきゃならないと思っているんですね。というのは、やはり国民負担がどんどんふえていくということになると、これはもう大変なことですから、できるだけそこは少ない方がいいわけです。

 ただ一方で、今は回っているとしても、廃炉について、いろいろ口は出す、いろいろアドバイスはするけれども金は出さない、当然、償還をするということは前提だとしてもですよ、というわけにはなかなかいかぬ可能性があるわけですね。

 では、上田長官、もう一回確認しますが、そういったことが出てきた場合には、この機構を通じてきちっと資金を確保できるようなスキームにはなっている、そういう理解でいいですね。

上田政府参考人 法律上の制度のスキームとしてはそういうことでございます。

細野委員 ここからちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、昨年、遮水壁とALPS、これに四百七十九億円、予算がつきましたよね。これは私も責任があるので、ああいう段階で国費投入ということで、その緊急性とかも含めて対応されたことは評価したいと思います。

 ただ、なかなか悩ましいのが、いろいろなことがこれから出てくる可能性があるので、こういう機構と関係ないところで国費を直接投入する、先進的な研究だとかいうようないろいろな理屈はつけるにしても、別の、機構とは離れたスキームを国費直接投入という形でどんどん拡大するのは、ちょっと私は、これから余りいいことではないのではないかと思っているんです。

 まず、そこはいかがですか。

茂木国務大臣 汚染水対策につきましては、技術的に難易度が高い分野について国が前面に出て取り組むということで、今お話のありましたような、高機能のALPSといいますか、多核種除去設備になるわけでありますけれども、そういったもの、さらには凍土方式によります遮水壁の建設等におきましては、国が責任を持って対応するということにしております。

細野委員 大臣にお伺いしたいのは、いろいろなことがこれからトラブルとしても起こる可能性がありますね。緊急性があるものもあるだろうし、さらにより先進的なものを投入しなきゃならないケースは出てくるわけですね。そういう場合も、またこのスキーム、国費投入という直接的なスキームを使うことをどう思われますか。それを聞きたいんです。

茂木国務大臣 基本的に、廃炉そのものにつきましては、東電において既に九千六百億積み立てを行っておりまして、今後十年間でさらに一兆円の積み立てを行う。基本的にはこの資金によりまして廃炉事業を進めてもらうということになるわけでありますけれども、一方で、今後の廃炉等に活用可能な遠隔操作ロボットであったりとか高度な研究開発、これにつきましては国費によります研究開発を進めたいと思っております。

 一方で、汚染水の問題につきましては、これも事業としては基本的に東電に進めてもらいますけれども、技術的な難易度の高い、先ほどのような事業については国において行う、こういう役割分担に沿っております。

 今回のスキーム、先ほど上田長官の方から答弁をさせていただきましたように、廃炉について資金が出せないということではございませんけれども、基本的な目的というのは廃炉業務の支援ということでありまして、賠償と違いまして、資金的な援助を何らかの形で想定して今回の機構法の改正をお願いしている、こういうことではございません。

細野委員 よくわかりました。

 私が申し上げたかったことをもう一度言いますね。それは、国費投入のALPSとか凍土壁でやったスキームよりは、必要になった場合ですよ、本当に必要なときに限定すべきですけれども、いろいろな事故がこれから起こることは、防がなきゃならないけれども、可能性がある、最新の技術も投入する必要があるかもしれない、そういったときに、むしろ、国費投入の直接的なスキームよりはこの機構を使ってやった方が、スキームとしてもしっかりしているし、理屈もしっかり説明をしやすいということも含めて、こっちの方が活用するとしたらいいのではないかという問題意識なんです。

 これはいかがですか。そういうことがあった場合。

茂木国務大臣 一つの考え方としては理解できるわけでありますけれども、実態として廃炉を進めるという事業に、言ってみますとこの資金的な援助スキームをどこまで使っていったらいいかということについてはかなり慎重な検討が必要でありまして、やはり基本は東電にやってもらう、こういう大前提のもとで、何らかの場合に検討すべき課題だと考えております。

細野委員 最後に、法案から離れますが、再稼働の問題について。

 川内原発の再稼働の審査が今規制委員会の方でかなり精力的に行われているというふうに承知していますが、ちょっと国民の側から見るとわかりにくいのは、では誰が再稼働の判断をするかということなんですね。

 そのときに、ちょっと大臣に確認をしたいんですが、そもそも直接的に技術的なことは規制委員会がやりますね。ただ、規制委員会が例えば自治体に行ってこれを動かしたいんだという説明をするのは、私はこれは絶対やっちゃいかぬことだと思うんです。ですから、そこは、再稼働の是非の判断も含めてこれは政府にあり、政府の中でも経産大臣にある。つまり、再稼働の最終的な判断、総理が判断されるんでしょうけれども、説明も含めて、自治体や住民の皆さんに対する説明責任も茂木大臣が果たされるということでよろしいですね。

茂木国務大臣 細野委員もよく御理解の上で御質問いただいているんだと思いますけれども、法律上で申し上げますと、新規制基準への適合審査が終わりましたら、事業者みずからの判断で再稼働ができるという仕組みになっております。

 ただ、実際に再稼働を進めるとなりますと、立地自治体等関係者の理解を得る必要がある、国を挙げて取り組まなければいけない、このように思っております。

 再稼働の問題でありますから、経済産業大臣としてしっかりと責任を持って説明をしたいと思いますが、それぞれの分野によりまして、具体的な説明をする人といいますか、する部門というのは当然変わってこざるを得ない。では、本当にこの炉が安全なんですかという説明は、やはり規制委員会の方にやっていただくのが適正なんだと思います、審査についてどういう審査をしたかという説明については。

 さらに申し上げると、防災関係でいいますと、内閣府の原子力災害対策担当、こういうところがやると思いますし、では、この再稼働する原発が日本のエネルギー政策においてどういう位置づけになるんだ、専ら資源エネルギー庁が説明に当たるという問題でありまして、私としてはできる限りのことをやりたいと思いますけれども、それぞれの説明というのはやはり適切な人間に行っていただくべきだ、このように考えております。

細野委員 役割分担としては、そういうことだと思います。

 ただし、規制委員会と資源エネルギー庁というところで、そこの押しつけ合いだけはしないように、客観的な判断は規制委員会がきちっと、適合審査そのものはやるけれども、説明なりとかいうところは、経産省、エネ庁、そこにあるということだけは忘れずに、そういうケースが出てきた場合については、しっかりその役割を全うしていただきたい、そのことを最後に申し上げたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 本日は、原子力にかかわる法律の審議ということでありますので、まず最初に、きょう閣議決定をされましたエネルギー基本計画の中で原子力にかかわる部分、ここについて質問をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 本会議のときに田嶋委員が御指摘をされておられましたけれども、全く同じ問題意識を持っていらっしゃるんだなと思って聞いておりましたが、「はじめに」というところです。

 二月のところでは、「政府及び原子力事業者は、いわゆる「安全神話」に陥り、十分な過酷事故への対応ができず、このような悲惨な事態を防ぐことができなかったことへの深い反省を一時たりとも放念してはならない。」ということがまず一番最初に書いてありました。

 実は、午前中の参考人の方が持ってこられた福島民友、四月五日付のところに、「原発事故「深い反省」削除」、福島の新聞です、第一面に書いてある。

 ですから、党内手続の過程で、これは一回落ちたわけですね。そしてまた復活をした。復活をしたんですけれども、どの部分に復活をしたかというと、冒頭ではなくて後半の方に移っています。それで冒頭はどういうふうに変わっているかというと、「我が国は、エネルギー源の中心となっている化石燃料に乏しく、その大宗を海外からの輸入に頼るという根本的な脆弱性を抱えており、」云々と書いてあります。

 つまり、日本はエネルギー自給率が非常に低いので、非常にエネルギーの問題が脆弱である、だから原発が必要なんだというふうにとれるような文章で始まっているわけです。

 福島の国会議員に聞きましたけれども、福島の方は大変怒っておられるそうですよ。まず冒頭に、やはり福島の反省というのが来るべきであって、その後にいろいろなエネルギー政策があるんだと。総理もいろいろな場で、まず福島の反省を反省をと各所でおっしゃっておられるわけです。

 であれば、一度削除したのも言語道断だと思いますが、戻されるのでしたら、冒頭にこれを戻したらよかったんじゃないですか。どうしてこれを冒頭にもう一度戻さなかったのか、大臣に御答弁いただきたいと思います。

茂木国務大臣 このエネルギー基本計画につきましては、政府原案を二月の二十五日にお示しをした後、与党において丁寧な議論を進めていただきました。その後、四月八日、与党として了承をいただいて、本日閣議決定をいたしました。

 決定に至る過程で、構成であったりとか表現の変更、これは今までさまざまな計画であったりとかさまざまな政策をつくる中でも一般的によくあることだと思っております。

 そして、この「はじめに」の文章をごらんいただきますと、基本的には、一ページ目に書いてありますことは、なぜエネルギー基本計画というものがあるのか、つくっているのかという経緯等々について書いておりまして、その後、では今回のエネルギー基本計画はどうするのかというのが四ページから始まるわけでありまして、そこでの冒頭に福島のことが書いてあるというのが普通の読み方といいますか、構成になっている、このように考えております。

 そういった意味も含めまして、今回のエネルギー基本計画におきまして、東京電力福島第一原子力発電所事故で被災された方々の心の痛みにしっかりと向き合い、寄り添い、福島の復興再生を全力でなし遂げることが、エネルギー政策を構築するための出発点であり、東京電力福島第一原子力発電所事故によって、被災者の皆様を初めとする国民の皆様に多大な困難を強いる事態を招いてしまったこと、事故の発生を防ぐことができなかったことを深く反省しなければならない、こういう政府の姿勢は変わっていない、このように考えております。

今井委員 今の御答弁は、聞いていますと、政府の原案の構成が悪かったんだということをおっしゃっているように聞こえます、だから変えたんだと。構成を変えることはもちろんあります。ありますが、構成を変えることにはそれなりのメッセージがあるわけですね。

 だから、まず福島をどんと最初に書いていたものを後ろに持っていったということは間違いないわけです、それは事実ですから。それを福島の方がどういうふうに感じられるか。それは政府としてもうちょっと配慮すべきだと私は思いますよ。私は被災地じゃありませんけれども、今でも原発で本当に苦しんでいる方はおられるわけですから、安倍政権で初めて出すエネルギー基本計画なんですから、まずそこを最初に書くというのが私は人としての配慮だというふうに思います。閣議決定されてしまっているのでもう仕方ありませんが、そのことは本当によく考えていただきたい。

 やはり、ちょっとしたことで人は傷つくんですね。特に、そういう虐げられているというか、そういう環境を余儀なくされている方は余計過敏ですから、そういうところはぜひ配慮をしていただきたいということを最初にお願い申し上げておきたいと思います。

 次に、これは予算委員会のときに大臣ともやりましたけれども、その後、今回、閣議決定されましたが、八ページのところ、相変わらず三・六兆円コストがふえましたということが書いてありますので、改めてこの数字はおかしいということを申し上げたいと思います。

 この三・六兆円のそもそもの根拠は、二〇〇八年から二〇一〇年、三年の間に使った電力の平均、そこで発電した、原発で発電した発電量、それを今の二〇一三年度に置きかえたら三・六兆円になる、そういう計算の仕方をしてあります。

 この計算方法には、私は三つの問題点があると思っています。

 まず一つは、福島の第一原発、これは二〇〇八年―二〇一〇年、ずっと三年間とも稼働しています。でも、今、福島第一原発の五つの炉は、四号機も五号機も廃炉ということになっていますから、もう動いていない、将来的にも動かないんです。決して動くものではないんです。でも、この決して動くはずのないものが動いたらという仮定で三・六兆円は計算されているんですね。

 大臣、まず最初にお伺いしたいんですけれども、動いていないものを計算に入れるのはおかしくないですか。

茂木国務大臣 その前に、先ほどのエネ基の「はじめに」の書き方でありますけれども、当然これは、福島の皆さん、被災をされた皆さんの思いを思いとしてしっかりと受けとめて、そのもとで今後のエネルギー政策を進めていくという思いは変わりません。

 ただ、先ほども申し上げたように、エネルギー基本計画とはといいますか、その今までつくってきた経緯等々について、冒頭の三ページで書いてあるわけであります。どういう構成がいいかということについてはいろいろな意見があると思いますが、その後、具体的な内容に入ります四ページ目の冒頭は、LNGでもメタンハイドレートでもなくて、福島の反省から入っている。内容の最初は福島の再生である、福島の反省である、このことはぜひ強調させていただきたい、そのように思っております。

 その上で、御質問いただきましたコスト比較の中で、我々は、原発が動いたらという前提で、動いたらということではなくて、動いていたときと今を比べてどれだけ違うかということで、その差を三・六兆円ということで出しているわけでありまして、動かない福島第一の一から六を動くという前提で計算しているものではございません。

今井委員 計算の角度が違うんですけれども、でも、実際にどれだけコストがふえたかということをやはり考えなきゃいけないわけですね。ですから、これから原発が全部再稼働していったら、さも三・六兆円コストが下がるみたいな、そういう印象を受けているんですね。それはやはりおかしいんです。

 それと、もう一つは、福島の原発の事故以降、日本に非常に省エネのムードが上がって、皆さん、電力をできるだけ使わないようにする、ピークをカットする、そういうことを努力してきて、消費電力量が減っているんです。そのことも、ここの中では計算の中に入っておりません。これが二点目の問題です。

 三点目。これはやや小さい話でありますけれども、もともとの前提が二〇〇八年から二〇一〇年の三年間の平均ということでありまして、二〇〇八年というのは、御存じのとおり、リーマン・ショックがあったときです。大変大きな経済の落ち込みがあったときであって、本来、比較数値をつくるときは、そういう特殊な経済状況のところは除くべきなんですよ。それは異常値なんですから。本来、統計学はそうですよね。異常値が出た場合はそこは除かなきゃいけないのに、それを入れているので、そこの部分もおかしいということだと思います。

 ですから、私は実は自分で計算したというのは、これは予算委員会でちょっとお話ししましたけれども、何をしたかといいますと、それぞれ、化石燃料ですね、LNG、石炭、原油、重油、これの発電にかかわる部分での輸入、これが二〇一〇年から二〇一三年まで一体幾らふえたのかということの数値を、実数を出しています。ただし、二〇一三年の一―三月だけは、経産省に言ったらまだ数字がないということでありましたので、前年の数字から推計しています。ですから、多少ぶれていますけれども、ほぼ間違いのない数字です。

 具体的に幾らふえたかということなんですよ。それに政府が使っている価格を掛けまして、一体本当に電力に係る燃料代は実数幾らふえたんでしょうかという計算の仕方をしています。これは国が実際払ったお金ですから、こちらの方がより正確なんですね。それを計算すると、二兆円ちょっとです。二・一兆円か二・二兆円ぐらいになります。これが実数ですね。

 だから、本来であれば、これはなぜこれだけ減っているかといったら、一つは、省エネでみんな頑張っているからなんですよ。それでこれは減っているんです。そういうものを全部加味しないで、一番大きな数字を出してきている。私は、そういうところに非常に意図的なものを感じるんですね。

 ですから、原子力政策というのは、私は、すぐなくせとか、そういう派じゃありません。しかし、この間も申し上げましたけれども、議論をするときには、やはり正しい数字、より正確な数字、そこで議論すべきであって、こういう数字を出してくるというのは、まさに、大変だ大変だ、原子力がなければやっていけないんだというように追い立てているように私は見えるんですね。ですから、そういうところの検証をもう一度やっていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 仮定の置き方というのは、いろいろな置き方があると思うんですね。そこの中で、まず、リーマン・ショック、二〇〇八年の話でありますけれども、ここを入れないで九年、一〇年だけでやるかとか、もしくは七年の数字をとるか。

 一つの考え方ではあるんですけれども、この間からこの議論をしていて、恐らく委員と若干認識というか見方が違う部分というのは、ベースロード電源、ミドル電源、ピーク電源ということを考えたときに、一番動かないものが基本的にはベースロード電源だ。ベースロード電源というのを使った上にミドルがあり、そして、ピーク時に対応するために、コストは高いわけでありますけれども、立ち上がり等々も速いピーク電源を使う、こういう基本的な認識に立っておりますので、例えば、需要が落ち込んだにしましても、ベースロード電源というのが一番変動は少ないであろう、そういう仮定であります。

 恐らく、委員の場合は、それとは違った前提という形で、では実際に減った分はどれだけなんだということで、震災前後の発電用の化石燃料、主にこれは、LNGでいいますとミドル電源、そして石油でいいますとピーク電源、この輸入量の変化に着目をされた。こういう計算をされたのは委員が初めてであるので、これは極めてユニークと。これは本当にいい言葉なんですよ。英語ではユニークは唯一ですから。こんなことをした人はいないんですから、新しい発明なんですよ、ある意味、という意味で申し上げているわけであります。

 だから、ベースロード電源をどう使うかということに対する認識の違いというのがある程度試算に出てくるのではないかな、このように考えております。

今井委員 私が何を申し上げたかったかというと、これが実際にふえた金額なんです。これ以外に、当然、原子力が動いていたとしても化石燃料というのは輸入していますから、その分が、円安とかによってふえている部分もコストはふえているわけですね。それが、両方の要因で輸入量が大変ふえてしまっているわけですけれども、実は、原発がとまっていて、ある意味国富が、国のお金が海外に流れているというのは全体の二割程度であって、七割から八割ぐらいは既存のものの円安によってふえている部分だということをまずやはり正しく認識しないとスタートラインに行きませんねということを申し上げたんですね。

 もちろん、ふえているんです。だから、二兆円といったって、それはすごく大きな金額ですから、ふえていることは間違いないんですけれども、一番大きくなるような数字をとってやっているんじゃないかなという疑念を抱かれるような数字の出し方は、私はやはりやめた方がいいと思いますし、先ほどの福島の話でもそうですけれども、どちらかにリードしているというふうに思われるようなやり方は余りよくないんじゃないかなと思っています。

 その観点でいうと、ちょうど今大臣がまさしくベースロードの話をされましたので、その質問をしたいと思います。

 エネルギー計画、一番最後に図がありますから一番わかりやすいんですけれども、ベースロード電源というのは、出力が一定でコストが安い。これは、原子力、石炭、一般水力、地熱、この辺がベースロード。ミドル電源というのは、コストが中、出力変動可能、天然ガス、LPガスということでありますけれども、石炭がベースロードであって、天然ガスがベースロードにならないのはどうしてなんでしょうか。

上田政府参考人 御案内のとおり、この表にございますとおり、電力というのは需要が変動する。それに対応するために、電源についてはその特性ごとに、ベースロード電源、ミドル電源、ピーク電源という区分を行っているわけでございます。

 天然ガスは、ベースロード電源に位置づけている電源と比較をして、やはりコストが高い一方、電力需要の変動に応じた出力変動ができるということから、我が国においてはミドル電源として位置づけているところでございます。

今井委員 今の御答弁はおかしいです。

 二〇一一年に、平成二十三年十二月十九日に、政府がコスト等検証委員会報告書というのを出しております。それぞれの電源のコストをここで出しています。

 この中にどう書いてあるかといいますと、原子力は一キロワットアワー当たり八・九円です。ただし、これは、損害賠償六兆円というベースでやっていますから、下限であると書いてあります。今後の状況によってはもっとふえると書いてあります。

 さらに言うと、この時点では、安全基準は前の安全基準であります。新安全基準になったら、さらにいろいろな基準対策をしなきゃいけないわけですね。そのコストも当然乗らなければいけませんので、原子力は、少なくとも八・九円よりは高くなっているのは間違いありません。

 それはそれで、原発のコストというのは一体幾らなのかというのは今後やっていきたいと思いますが、問題は、ほかのものです。

 石炭は十・三円。地熱は九・二円から十一・六円。一般水力、十・六円。LNGは幾らかといいますと、十・九円です。つまり、ほかのベースロード電源と比べても別に高くないんですよ。今、コストが高いからミドル電源だとおっしゃったでしょう。これが間違っているということですか。

上田政府参考人 今の委員の御指摘は、コスト等検証委員会におけるそれぞれのコストの数字だと思います。

 ただ、今、このエネルギー基本計画で、まさにこの図にございますとおり、需要というのは変動するものでございまして、その需給の変動に合わせて燃料を入れてたいたり、それをやめていったりということでありますので、ここで言うコストというのは、中心的になるのはやはり燃料費ということでございまして、燃料費で見ますと、委員も御承知だと思いますけれども、例えば、二〇一二年度のキロワットアワー当たりの燃料単価というものは、石炭の場合は大体約四円ぐらいでございまして、LNGの場合は十一円から十三円程度ということでございます。

 日々の燃料の需給変動に応じるためには、燃料費ということが非常に重要であるということから、そういうことを申し上げたわけでございます。

 固定費も含めたトータルの燃料費コストは、一つの試算としてコスト検証委員会の試算があるのは事実でございます。

今井委員 今まさしくおっしゃられたとおりで、この中には燃料費も入っているんですよ。燃料費も加味されているんですから、燃料費のところだけ取り出して高い、安いとおっしゃるのは、これはおかしいですよ。全てのものを合わせているのがコストじゃないですか。なぜ燃料費だけ取り出すんですか。おかしいです、今の答弁。もう一度お願いします。

上田政府参考人 先ほど申し上げましたように、今回のエネルギー基本計画の最後のページというのは、日々の、一日の、二十四時間の間の需給変動ということに対応いたしまして、それにおけるコストの位置づけ、それにおける電源の位置づけというものを示したものでありまして、日々の需給変動の中では、そういう形で燃料費というのが非常に大きな役割を持ってくるということから、今申し上げたことを申し上げたわけでございます。

 他方、コスト等検証委員会におきましては、原子力、石炭火力、LNG火力、それぞれにつきまして固定費も含めた上で分析をしているわけでございますが、実際問題といたしまして、多くの電力会社は、現在は石炭のコストが安いということから、原子力、石炭を非常にベースとなるものと考えて使っている。そういった実態も踏まえまして、石炭につきましてベースロード電源と申し上げているわけでございます。

今井委員 官僚答弁だとそうなるんでしょうけれども、でも、私が言っていることはおかしいですかね。燃料費も含めて、全てのそれぞれの電力のコストを出しているんです。それが本当のコストでしょう。それが、LNGは決してほかのものより高くないのに高いとおっしゃっているのは、私はその答弁は間違っていると思いますよ。

 もう一つ言わせていただければ、天然ガスというのは、確かに出力変動可能という便利なものでありますが、出力一定にもできるんです。できますよね。どちらにでもできるわけです。つまり、天然ガスというのは、そういう意味では、ミドル電源にもなり得るし、ベースロード電源にもなり得るという、非常に万能な電源だということじゃないですか。

上田政府参考人 天然ガス、LNG火力発電は、御指摘のとおり、出力一定で運転することも可能でございます。そういう意味では、ベースロード的に使うことも不可能ではございませんし、現に、現在原子力がとまっている状況では、LNG火力を相当程度たき増すことにより代替的に使っているのは事実かと思います。

 しかしながら、電源の性質といたしましては、先ほど申し上げたような区分にするというのが我が国においては適切であると考えております。

今井委員 私はこれにも意図的なものを感じるんですよ。石炭は、CO2をたくさん出しますから問題がある。地熱は、やはりなかなか場所が見つからない。一般水力も、実はもう結構つくる場所がないんです。だから、この辺はそれぞれ問題を抱えているんですね。唯一できそうなのが原子力だと。でも、そこにベースロードとして天然ガスを入れれば、また見えている図が違ってくるわけですよ。だから、いろいろなものを差っ引くと、ここのベースは原子力でやるしかないよねというふうに結論づけているように私は見えるんですね。

 先ほどの話と全部つながっているんですけれども、そういうことのないように、もっと中立に議論していただきたいということをここでお願いしておきたいというふうに思います。

 大臣、もしよろしければ。

茂木国務大臣 御紹介いただいたこの図、これは私がつくったんですよ。自分で描いたんです。ああ、そういうとり方をするのかと。

 私、逆に、これを見ると、きっとこれから高効率の石炭を重視する、こういうふうにとられたら、ニュートラルに描いているのにどうしようかな、こういう思いも含めながら、さらに、この時間軸も、最初、二十四時間でやるのと春夏秋冬も組み合わせてつくろうと思ったんですけれども、なかなかうまくいかないんですよ。夏が上で、冬も結構上へ来るんですけれども、二十四時間の図と春夏秋冬の図がうまくいかなくて、しようがなくて最終的に二十四時間の図で描く、こういう形にしたわけであります。

 できるだけ客観的にはつくらせていただいたつもりでありますが、そういう受けとめがあるということも踏まえながら、今後はよく考えてみたいと思います。

今井委員 ベースという言葉があるので、ベースというのは一番大事な部分という印象がありますから、そこのところはやはりみんな見るということで、そういうところもよく配慮していただきたいということであります。

 もう時間がなくなってまいりまして、本当はこの間の賠償法の件をやろうと思ったんですけれども、これは次回に回しまして、最後に一つお伺いをしたいんです。

 きょう本会議の質疑の中で、再稼働に関しては、安全基準を満たしていくものは順次再稼働していきます、ただし、新設の原子力に関しては、現在、つくることは考えておりませんと安倍総理がはっきりおっしゃっておられました。

 そこでお伺いしたいんですけれども、今建設中のものがありますね。例えば、中国電力の島根の三号炉、東電の東通の一号、それから大間の原発の一号、この辺が建設中だと思いますが、これは新規になるんですか。これはもうつくらないということでよろしいんですか。

茂木国務大臣 これは再三答弁を申し上げておりますが、既に工事認可も受けているものでありまして、これは既設の範疇として捉えておりまして、新増設というくくりではございません。

今井委員 わかりました。

 そうしたら、計画中というのはどうですか。これは新規ですね。

茂木国務大臣 まだ認可を受けていない計画中のものにつきましては、新しい方ということになります。

今井委員 では、計画をして認可を受けたものからもう既設のもの、そういう認識でよろしいですか。

茂木国務大臣 現段階においてはそうであります。

今井委員 わかりました。明快な答弁、ありがとうございました。

 ちょっと時間がありますけれども、金曜日の午後ということでございますので、これで終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

富田委員長 次回は、来る十六日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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