衆議院

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第12号 平成26年4月23日(水曜日)

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平成二十六年四月二十三日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 山際大志郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 田嶋  要君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    穴見 陽一君

      石崎  徹君    小田原 潔君

      越智 隆雄君    大見  正君

      勝俣 孝明君    佐々木 紀君

      白石  徹君    新開 裕司君

      菅原 一秀君    瀬戸 隆一君

      田中 良生君    武村 展英君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      細田 健一君    宮内 秀樹君

      宮崎 謙介君    村井 英樹君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      枝野 幸男君    岸本 周平君

      武正 公一君    寺島 義幸君

      伊東 信久君    木下 智彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      三谷 英弘君    小池 政就君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        関  博之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 下川眞樹太君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大菅 岳史君

   政府参考人

   (文化庁長官官房審議官) 作花 文雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     加藤 洋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           宗像 直子君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          菅原 郁郎君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            鈴木 英夫君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          横尾 英博君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          富田 健介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監)    糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山本 哲也君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          大村 哲臣君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役社長)        廣瀬 直己君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     小田原 潔君

  越智 隆雄君     村井 英樹君

  福田 達夫君     新開 裕司君

  宮崎 政久君     瀬戸 隆一君

  近藤 洋介君     武正 公一君

  辻元 清美君     寺島 義幸君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     石崎  徹君

  新開 裕司君     福田 達夫君

  瀬戸 隆一君     宮崎 政久君

  村井 英樹君     宮内 秀樹君

  武正 公一君     近藤 洋介君

  寺島 義幸君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  宮内 秀樹君     越智 隆雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)(参議院送付)

 電気事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、特許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案につきましては、去る十八日質疑を終局いたしております。

 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、特許法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

富田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、宮下一郎君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び結いの党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。田嶋要君。

田嶋委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    特許法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 「特許異議の申立て制度」の創設に当たっては、現行の特許無効審判との関係が複雑化するおそれがあることから、両者の相違点等について国民に対して分かりやすく周知するとともに、本改正の趣旨に反して特許無効審判と併存することに伴って解決までの期間が長期化することのないよう、迅速な紛争解決のための運用に努めること。

 二 「意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定」に基づく意匠の国際登録出願制度の導入に当たっては、利用者に対し、手続内容や留意事項についてガイドラインの公表等を通じて周知徹底を図るとともに、意匠法及び関係法令との整合性の確保や我が国の制度利用者の利便性の向上を図るため運用面を含め適切な措置を講じること。

 三 色彩や音といった新しいタイプの商標の保護対象への追加に当たっては、権利範囲の特定方法や登録要件について早急に具体的な基準を策定するとともに、今回の改正で保護対象とならなかった対象についても、今後のニーズの高まり等を踏まえて保護対象への追加に向けた検討を進める等、グローバル化へ対応するための企業の多様なブランド戦略を支援していくこと。また、地域団体商標の登録主体の拡充に当たっては、各地域の期待の高まりや同制度の地域活性化に果たす役割に鑑み、地域ブランドの積極的な運用のための体制の強化を図ること。

 四 出願前の発明に関する弁理士の相談業務の明確化に当たっては、利用者の利便性向上の観点から、相談内容に応じて弁護士や中小企業診断士等他の専門家との連携を図るとともに、研修等の充実を通じ、弁理士の更なる資質向上を図ること。

 五 「世界最速・最高品質」の特許審査の実現に向けて、平成三十五年度までに「特許の権利化までの期間」と「一次審査通知までの期間」を大幅に短縮する旨の新たな目標が設定されたことも踏まえ、審査官の増員を含め一層の審査体制の強化を図るとともに、新興国の特許文献の提供など、「世界最高の知的財産立国」の実現に向けた取組を強力に推進すること。

 六 知的財産の裾野を拡大する観点から、中小企業の知的財産活動を支援するため、「知財総合支援窓口」の一層の強化拡充を図るとともに、海外展開を指向する中小企業の知的財産の権利化及び模倣品対策に係る支援策のさらなる強化を図ること。

 七 システム開発の発注者としての能力向上、外部人材の活用などにより、「特許庁業務・システム最適化計画」(平成二十五年三月十五日)の着実な実施を行い、経済活動のグローバル化や新興国の知財大国化等の環境変化や産業界の知財活動の活発化、多様化に対応できるよう特許庁システムの改善、強化を図ること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

富田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、茂木経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。茂木経済産業大臣。

茂木国務大臣 ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

富田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

富田委員長 次に、経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として総務省大臣官房地域力創造審議官関博之君、外務省大臣官房参事官下川眞樹太君、外務省大臣官房参事官大菅岳史君、文化庁長官官房審議官作花文雄君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官加藤洋一君、経済産業省大臣官房審議官宗像直子君、経済産業省経済産業政策局長菅原郁郎君、経済産業省通商政策局長鈴木英夫君、経済産業省貿易経済協力局長横尾英博君、経済産業省商務情報政策局長富田健介君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監糟谷敏秀君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君、中小企業庁長官北川慎介君、原子力規制庁長官官房審議官山本哲也君及び原子力規制庁長官官房審議官大村哲臣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。枝野幸男君。

枝野委員 おはようございます。

 前回の一般質疑では最後に広域的なガスパイプラインの質問をさせていただきましたが、きょうはまず電力の広域的な送電網についてお尋ねをしたいと思っております。

 この後、電気事業法の改正が議論になってまいりますが、これを進めるに当たっても、広域的な送電システムの強化は大きな意味を持っていると思いますし、何といっても、自然エネルギー発電を推進していくに当たっては、先日、風力についても取り上げられておりましたが、特に風力発電については送電網がしっかりと充実されていかないと、それがネックになりかねない。今後風力発電について期待される、風が年間を通じて一定に強く吹くような地域の多くが、送電能力に乏しい地域にあるということでございますので、これは大変重要なことであると思います。

 さらに言うと、広域的な電力融通を図ることで電力供給の安定性というのは高まってまいります。これは、五十ヘルツと六十ヘルツが分かれているところ、この間の断絶がよく注目をされますけれども、実はむしろそれ以上に問題になるのは、本州と北海道との間、そして本州と九州との間の送電能力、この方が解決が相対的には容易であると同時に、ネックになり得るリスクのあるポイントではないかと思っております。

 ただ、従来の地域割りの電力会社の立場から見れば、そこを越えたような送電網であるとか、あるいは、今後、従来の電力会社以外が多く行っていくと思われる風力発電に備えた送電網を引くようなことは、個別の電力会社からすればインセンティブにならない分野であります。

 民間でできることは民間でという言葉がありましたけれども、民間だけではできないのがこの送電網の強化、特に今求められている部分での強化ではないかというふうに思っております。

 そうした観点から何点かお尋ねしたいと思います。

 まず、風力発電に対応する送電網の現状がどうなっているのか。特に、風力発電に適した場所の多い北海道それから東北地方の北西部において、現状では、風力発電が今後どの程度伸びるまでは対応可能なのか。あるいは、今後、風力発電の伸びに対応して、こうした地域における送電網の増強の計画や見通しがどうなっているか。これは、まず政府参考人からお答えください。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 風力発電に対応しております送電網の現状、それから今後の整備計画等々でございます。

 御案内のとおり、風力発電に適する、立地可能な場所というのは、風況がよくなければいけないということで、北海道や東北というところに実際上は偏っているということでございます。他方で、こうした地域は人口が少ないということで送電網が脆弱でございます。

 現状を申し上げますと、風力発電の受け入れ可能量というものについて、既存設備も含めまして、北海道電力管内では五十六万キロワット、それから東北電力管内では二百万キロワットと公表されているところでございます。この五十六万キロワットのうち既に連系が行われているものの数字を申し上げますと、この三月末の時点で約三十二万キロワットという状況でございますし、東北電力管内二百万キロワットの可能量のうち既に連系が行われている量は、同じく約六十二万キロワットという状況にあるわけでございます。こうした風力発電をさらに拡大していくためには、送電網の整備が不可欠であると考えております。

 私ども経済産業省といたしましては、この送電網の整備実証事業ということを現在実施しております。この事業は、技術面あるいは事業面でもリスクが高いということから、実際にその地で風力発電事業を行いたい事業者が出資をいたしまして、リスクを負って送電網の整備と実証を行う取り組みに対しまして、政府といたしましても、平成二十五年度から財政面も含めて支援をしております。二十六年度の予算でいいますと、約百五十一億円の予算を用意させていただきまして、二分の一補助でこうした事業者を応援させていただこうと考えてございます。

 その進捗状況でございますが、平成二十五年度の予算におきましては、北海道でこの事業を開始いたしました。商社あるいは風力発電事業者などが出資する二事業者が昨年十月に採択をされまして、現在、送電網の整備実証に向けて、開発可能性に関する詳細な調査を行っているところでございます。今後は、早期に調査を終了いたしまして、送電網の設計、整備の段階に取り組みを移していくという予定になっております。

 また、平成二十六年度の予算におきましては、北海道における事業をさらに継続していくということに加えまして、新たに東北におきましても補助対象事業者の公募を行っていくということを考えております。

 こうした取り組みを進めることによりまして、我が国におきましても風力の導入を進めるための環境整備ということを行ってまいりたいと考えているわけでございます。

枝野委員 もう一つ、いわゆる北本連系線と言われる北海道と本州との間の送電能力、それから本州と九州の間の送電能力、これが従来どれぐらいの能力があって、今後どうなっていく見通しであるのかといったことについて、政府参考人の方でお答えください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現在の設備容量でございますけれども、北海道本州間の連系設備であります北本連系線は六十万キロワットでございます。それから、本州九州間の連系設備になる関門連系線は五百五十六万キロワットとなってございます。

 それから、今後の増強計画でございますけれども、北本連系線につきましては、北海道電力が二〇一九年三月の運用開始を目標に現行の六十万から九十万キロワットまで三十万キロワットの増強を行うこととしておりまして、現在、着工に向けた準備を行っているという状況でございます。

 また、関門連系線につきましては、現在のところは具体的な増強計画はございませんけれども、平成二十四年六月に緊急時の運用容量の拡大を認めるという運用の見直しを行ったところでございます。

枝野委員 関門の方は量的に多いのは今のお話でわかったんですが、最後のところで御説明された部分、特に二〇一一年、一二年ぐらいのときには、その間の送電の余力が十分ではないので電力不足が心配だといったことが今の最後に話された対応で大分よくなったという趣旨だと思うんですが、ちょっと具体的に説明してください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一二年の二月に九州電力管内で電源の脱落がございまして、そのときに緊急的な容量の不足がございましたので、それまでは三十万キロワットの運用をしておりましたけれども、これを現在では約六十万キロワットの運用容量に拡大してございます。

枝野委員 今のお話で、関門の方は運用の見直しもしたことで、どこかの電力会社で局地的に電力不足が生じたとしても、九州から本州に送ったり、逆に九州が足りなくなったら九州に送ったりということについては大分かつてのような不安はなくなってきているというふうに理解をしましたが、北本の方は六十万しかない。しかも、ふえる計画があっても三十万ふえるだけであるということを考えると、特に、当面の安定供給はもちろんですけれども、今後北海道で風力がふえていっても、しょせん北海道の中でしか使えないよということでは、多分、余力というか潜在力に比べて、なかなか発展の見通しが立てにくいところもあるのではないかと私は思います。

 北海道の風の適地でどんどんやっていただいたものが本州にもどんどん送られてくるという構造が必要だと思います。また、そもそもその地域における送電網も、今支援は始まっているけれども、まだまだ十分ではないと思います。

 この問題は、電力システム改革を今後どう進めていくにしても、安定供給の観点、そして自然エネルギーの増大に向けて重要な課題であることは大臣も十分認識をされていると思いますが、今後の方針や決意についてお尋ねをしたいと思います。

 特に、送電網の強化については、先ほど申しましたとおり、個別の企業、電力会社からすれば、自社の利益だけ考えたら、必ずしもそこに投資をすることが合理的と言えるかどうかという部分がありますから、逆に、ちゃんとしたものをつくって、そこに例えば風力発電所がつながったりすれば、そこについての使用料を取ることで、出したお金が真水で全部使われてしまうという話ではない、今後回収できる。そういった意味では、民間資金も使えるでしょうし、公的なお金も、真水じゃなくても使いようがあるしという部分だろうと思います。

 ただ、なかなか長期にわたって安定的にお金を確保するという、金融面でしっかりとしたお金が調達できるのかとか、長期にわたっての事業ですから、既存の電力会社以外のところにとっては、なかなか長期にわたっての事業計画でこういったことに投資していくことは困難なところもある。

 そういうことを考えると、いろいろとうまくやれば、真水での税金をそれほど使わなくても、国としてもっともっとバックアップができる余地があるのではないかと思います。

 そうしたことも含めて、大臣の決意と方針をお聞かせください。

茂木国務大臣 今後、再生可能エネルギーの導入を拡大していくためには、太陽光はもちろんでありますが、委員から御指摘をいただいた風力発電等に一層力を入れていくことが必要であります。

 御指摘のように、我が国では、風力でいいますと、風況がよく大規模な風力発電の立地可能な場所が北海道であったりとか東北に偏っている。これはドイツでも、消費地はバイエルンの方にあるんですけれども、実際に風力発電ができるのは、北の、昔のプロイセンの方になってくるということで、送電網の整備等もドイツでは図られているところであります。こういった消費をする地域と発電をする地域の送電網の強化が不可欠な課題であると考えております。

 そこで、まず、地域内の送電網を整備実証する風力発電事業者を支援する補助事業、平成二十五年度、二十六年度、FS調査等々も行ってきているところであります。

 現在の地域間連系線の強化の計画につきましては、先ほど政府参考人から答弁をさせていただいたところでありますが、例えば、ことしの夏の電力需給の見通し、四月の末ぐらいには見通しそのものはお示しできるのではないかなと思いますが、御案内のとおり、地域において相当ばらつきが出てまいります。恐らく、ことしだけではなくて今後もそういったことがあるのではないかなということを考えると、単に北本連系であったりとか東西の周波数変換設備だけではなく、全国レベルで今後どうするかということも考えていかなければいけないと思っております。

 加えて、電力システム改革を進める上でも、送電網整備は、地域を越えた電力取引の拡大により、全国レベルで低廉な電源の方から活用することによって電気料金の抑制に寄与するということと同時に、災害時を含む電力需給の逼迫の際の安定供給の確保にも寄与するものである、そのように考えております。

 昨年十一月に改正をされました電気事業法、これが電力システム改革の第一弾ということになるわけでありますが、ここで広域的運営推進機関が設立をされることになりまして、この広域的運営推進機関が中心となって、電力の広域的な運用を拡大するための地域間連系線等の送電網の強化を進めることとしております。

 この点につきましては、四月十一日に閣議決定をいたしました新しいエネルギー基本計画におきましても、政府が示す政策方針に基づき、広域的運営推進機関が中心となって地域間連系線等の送電網の強化を進めていくこととしておりまして、国として、政策上必要な地域間連系線等の広域的な送電網の強化を進めていきたいと思っております。

 確かに、個々の事業者に任せているだけでは、なかなか、外部不経済といいますか、どうしてもこういった送電網を、今まではそれぞれ縦割りというか地域独占でやってきたわけですから、それを外に延ばそうというインセンティブが働かない、委員御指摘のとおりだと思っております。

 その点、やはり先ほど申し上げたような、地域内の送電網整備実証事業等を通じて事業リスクを低減させることによって民間の投資を喚起する、こういった政策を国としてしっかりとっていくことが、まさに電力の安定供給であったりとか、できる限り電気料金を抑制した形でそれを達成していく上で極めて重要な課題である、このように考えております。

枝野委員 ぜひ積極的、具体的に進めていっていただければというふうに思います。

 ここから先の話は、多分認識が若干違うかもしれないのでお答えは結構なんですが、当面、足元での電力不足に対応と。二〇一二年のときは夏も冬も冷や冷やしながら、大丈夫かなと思いました。大分、夏については対応が、あのころに比べればいろいろな意味で余力が出てきているなと思いながら見ているんですが、やはりまだ冬の北海道は相当冷や冷やすることが、今野党の立場から見ていても、この冬も何回か感じました。やはりここは、北本連系線が早く十分に強化されるだけで冬の北海道の最悪のリスクということは解消できると思いますので、ぜひこの辺も含めてよろしくお願いをいたします。

 二点目。先日もミャンマーについてお尋ねをいたしました。私自身、この後、ゴールデンウイークに野田前総理などと一緒にミャンマーにまた行ってこようと思っておりますので、この件についてちょっと具体的なところを確認した上で行かせていただきたいと思っております。

 まず、日本も関与して、ミャンマーの開発の大きな目玉であるティラワの工業団地、これの一期工事と言っていいんでしょうか、最初のエリアの工事が進んでいる。何割ぐらい進み、今どのような状況なのか、いつごろ完成して、いつごろに最初の工場が稼働する見込みか、政府参考人の方からお答えください。

横尾政府参考人 お答え申し上げます。

 ティラワの第一期分約二百ヘクタールの工事の状況でございますが、現在、土地の造成工事はほぼ完了しております。雨水の排水設備の設置、あるいは道路の舗装工事等を始めておりまして、設備工事を含む開発工事全体の進捗率は、今週初めの時点で、金額ベースで一八%という状況でございます。これから、来月に給排水設備、さらには十一月には配電設備について着工の予定でございます。

 今後、雨季の雨量等によって変更はあり得ますが、来年五月には全ての工事が完成をする見込みでございます。

 それから、入居企業の稼働見込み状況でございますが、現在、ミャンマー政府とこの工業団地の運営会社との間で土地リース契約の調整を行っております。当初、今月中の予定でございましたが、若干ずれ込んで、来月から正式に販売開始の予定になってございます。したがいまして、企業によっては早ければ来年六月ごろには工場の操業が可能になるという見通しを持っております。

枝野委員 やはりこれは、具体的にそこに工場が建ち、日本を初めとして世界に名の通った企業が出てきたということになると、ミャンマーの国民の皆さんも、なるほど、民主化をするとこういういいことがあるんだなということにつながって、民主化を後押しすることにもつながっていくんだと思いますので、もちろん、気候の問題とか、この後申し上げるいろいろな障害があるのはよくわかっておりますが、しっかりと後押しをしていただきたいと思うんです。

 来年、早ければ六月にも工場が稼働しそうだという流れの中で、どうなんでしょう、日本企業はどの程度この工業団地に進出をしようとしているのか。もちろん、正式な契約交渉になっていないわけですからお答えできる範囲は限られていると思いますが、当然、経産省としてあるいはジェトロを通じていろいろな形で相談をしているわけですから、個別企業の企業秘密を害しない範囲内でお答えできることについてお答えいただければと思います。

横尾政府参考人 昨年来、日本企業からティラワの工業団地への進出表明がなされておりまして、また、先月、ジェトロ主催のティラワSEZ投資ミッションに参加をした四十六社の日本企業のうち数社から早期進出の表明があったという状況でございます。

 昨日時点におきまして日本企業二十二社から進出の関心表明があったと聞いておりまして、順調に進んでいるというふうに認識をしております。加えまして、アジアや欧州の外国企業十一社も関心を表明していると聞いております。

枝野委員 関心を示す企業が順調に出ていることは結構なことだと思うんです。とはいいながらも、いろいろと障害というか問題、課題があるのも間違いないと思います。

 二つ側面があると思っていまして、ティラワ工業団地固有の問題点、それからもう一つ、全体としてのミャンマーに経済進出をするに当たっての問題点、両方の側面があるんだと思いますが、どういったところが日本企業が進出に当たってちゅうちょしちゃうんじゃないかなという要因になっているのか、そういったことについて御説明ください。

横尾政府参考人 日本企業のミャンマー進出に当たっての課題でございますが、第一に、電力を初めとする基礎インフラの不足でございます。これにつきましては、円借款等を活用いたしまして、電力、道路、港湾といったインフラの整備を迅速に進めてまいりたいというふうに考えております。

 第二に、法制度及びその運用の問題、特にその不明確さあるいは手続の遅さでございます。例えば、会社設立などに必要な諸手続が不明確で、進出企業の不安材料になっているという話を聞いております。また、二〇一二年十二月に外国投資法ができましたけれども、これに基づく投資許可の取得で例えば四、五カ月かかるといった問題もありますし、ビザの取得あるいは通関にも時間がかかるという課題を伺っております。

 そのほかにも税制、送金規制あるいは外国企業向けの公共料金の設定といった課題が挙がっておりまして、これらの諸課題については現地大使館等を通じて改善を働きかけているところでございます。

枝野委員 そこで、今の課題の幾つかについて具体的にお尋ねをしたいと思うんです。

 一つは、ティラワに必ずしも固有とは限りませんが、特にティラワに進出するに当たっての課題として、インフラ全般に問題があるわけです。特に、一つは電力の安定供給、それからもう一つはヤンゴンとの間の円滑な交通手段の確保、この二つが大変深刻というか問題ではないかと思っております。

 ヤンゴンとの円滑な交通手段については、ヤンゴンとの間を事実上橋一本でつないでいますので、私も工事が始まる前の段階でお訪ねをしたときに、その橋を通って、片側一車線ですし、大分傷んでいる古い橋だし、本当にこれ一本じゃだめだよねと実感をいたしました。

 電力の安定供給と、橋の問題を含むヤンゴンとの円滑な交通手段の確保についての改善に向けた状況を具体的に御報告ください。

横尾政府参考人 ティラワへの電力供給の問題でございますが、昨年五月に供与を決定しました円借款によりまして、まず、配電線の整備によってミャンマーのナショナルグリッド、基幹送電網からの電力の供給を確保する。それから、五十メガワットのガス火力発電所の新設と、それに必要なガスを供給するガスパイプラインの整備。さらには、高圧送電線と受電変電所の整備によってロスを減らすことによって電力の安定供給を図ろうということで今取り組んでおります。

 それから、ヤンゴンとの交通手段でございますが、まず、昨年末に円借款供与を表明いたしましたヤンゴンとティラワを結ぶ十キロメートルのアクセス道路については、現在、交換公文の調整をしております。それから、委員御指摘の橋でございますが、今、ヤンゴンとティラワを結ぶ橋、タンリン橋は確かに古くなっておりまして、新しい橋、バゴー橋の建設について、現在JICAが協力準備調査というのを行っております。これはミャンマー政府側からまだ正式の要請は出ておりませんが、ミャンマー側の要望も踏まえまして、今後の円借款供与について検討していきたいというふうに考えております。

枝野委員 特に橋の問題は、私がお訪ねをしたのは二〇一三年の一月だったと思いますが、そのころから、ここがネックだよねと。工業団地本体に幾ら我が国が支援をしても、ここがネックになっていると日本企業が十分に活動できません。大分時間がたっていて、これは後でお尋ねをするように、ミャンマー側の事情が大きいことは十分承知もしていますが、ぜひ積極的に、早く進むように、努力をさらに重ねていただきたいというふうに思います。

 電力の方は、ティラワについては何とかしようということで進んでいることは今お答えをいただきましたが、ミャンマーは構造的に電力不足の状況です。

 一つには、ガスの産出国でありながら、ガスそのものは海外に売って外貨を稼いでいるので、ガスそのものが足りないという側面もあるんですが、何といっても、もともとそれなりに水力発電所とかがあったにもかかわらず、長い間ちゃんとしたメンテナンスがなされていない。それは送電網などについても言えるんだと思います。

 まず、こうしたところにできることとして、既存の発電所、特に水力発電所であればガスをどこから調達するかという問題はありませんので、水力発電所を中心に既存の発電所のメンテナンス、これは日本がある意味では一番得意とする支援かもしれない、こういった部分についての後押しを進めてきたものであります。

 どの程度、どういった支援がなされて、どのような成果が上がったか。そして、今後はこういう見通しでということについて政府参考人からお答えをください。

横尾政府参考人 委員御指摘のとおり、ミャンマーは電力の七割以上を水力発電に頼っておりますので、水力発電所のメンテナンスというのは特に重要な課題でございます。ミャンマーの主要な水力発電所でございますバルーチャン第二水力発電所につきましては、日本の無償資金協力によりまして、リハビリ、すなわち発電、変電設備の補修、更新というのを実施しております。加えまして、発電所の運用に係る運転保守の指導、あるいは定期点検、精密点検の実施方法に関する指導というのもあわせて日本企業が行っているところでございます。

 そのほか、電力不足解消に向けましては、二〇一二年に緊急の無償資金協力で十三台のディーゼル発電機を供与しておりまして、これがヤンゴン市内、マンダレー地区等で稼働しております。

 加えまして、昨年五月にヤンゴン市内の発電所、変電所のリハビリに百四十億円の円借款供与を決定しておりまして、今、工事に向けた準備作業中でございます。加えて、ことしの三月に全国の基幹送変電設備の整備のため二百五十億円の円借款供与を表明しまして、これは現在、交換公文の調整を行っているところでございます。

枝野委員 ぜひ、さらにきちっと進めていっていただければと思いますが、ミャンマーに対する支援をしっかりしていく上では、相手側、受け入れ側の体制整備といいますか、ソフトインフラの整備というのが大変重要であると思っています。

 最近民主化をされて、それまで民主化されていなかった期間が非常に長かったわけです。その中でも、幹部の方は非常に優秀であり真面目である、何とかこの国を早く発展させようと思っていらっしゃるし、多くの国民の皆さんも、この国の国民性は非常に真面目だと思っていますが、何しろ長年トレーニングをしてこなかったということで、実際に行政を回したりとか、あるいは実際に現場の技術をしっかりと身につけたりとかということについては、やはりしっかりとした支援が必要だ。

 教育水準は高かったけれども近代化システムになれていなかった、明治維新のころの日本みたいな側面があるんだと思います。あのときは、明治の先人たちが欧米のいろいろなものを積極的に学び、あるいは、あちらからの指導を受けたことによって、日本は急速に近代化を進めることができました。今、ミャンマーにとっては、あのときと同じように、いろいろな近代国家としてのシステムをしっかりと取り込んでいく、それを我々としてもしっかりとサポートしていくことが重要だと思います。

 人的な協力や人材育成、こういった点についてどんな支援を進めようとしているのか。外務省と経産省、それぞれの立場から、できるだけコンパクトに御説明ください。

大菅政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、ミャンマーが改革を進める各分野におきましては、人材の育成や各種の経済社会制度の整備が大きな課題になっていると考えております。

 我が国は、金融ですとか税関、運輸、通信といった経済分野ですとか、さらに医療、保健、教育、防災、こういった基礎生活分野において、いわゆる箱物ですとか機材の供与といったハード面の支援のみならず、各種規則や手続の整備、人材育成、こういった面での支援を専門家の派遣、研修等を通じて実施してきております。

 今後も、ハード、ソフト両面にわたりまして、ミャンマーの改革努力や経済成長を後押しするために必要な支援を引き続き積極的に実施したいと考えております。

横尾政府参考人 ソフトインフラ、特に産業人材、日本企業が進出する際のパートナーあるいは取引先となる現地企業の人材不足への対応というのが重要でございます。

 このため、経済産業省におきましては、一般財団法人海外産業人材育成協会を通じまして、現地企業の経営層、それから実務の中核を担う中間管理層の育成を支援しております。主要産業である縫製業につきましては二〇〇八年から人材育成協力を行っておりますが、現在、さらにミャンマー商工会議所連合会とも連携をしまして、食品、機械、電機などの業種に拡大をしております。

 また、政府系機関の能力向上ということも重要でございまして、ミャンマーの国鉄に対しましても、インフラの運営・管理能力の向上のための研修というのを昨年度から実施してございます。

枝野委員 鉄道なんかもなかなか大変らしくて、ヤンゴンの環状線は、山手線と同じ年にでき上がったものだけれども、その後のメンテナンスが全然違うので、山手線と比べるとなかなか状況がわかるよということで、実際に今回も時間があればちょっと乗ってこようと思っているんですけれども、ぜひそうしたところの支援をしっかりやっていただきたいと思うんです。

 もう一つ、ミャンマーの発展、そして日本企業の進出に当たってネックになり得るのは少数民族問題です。

 少数民族との和解に向けて、どんな現状にあるのか、そして日本がどういった形でコミットしているのか、外務省から簡単にお答えください。

下川政府参考人 お尋ねのありました少数民族の問題でございますが、ミャンマーにおきましては、二〇一一年八月にテイン・セイン大統領が少数民族武装勢力に和平交渉を呼びかけて以来、これまで十六勢力のうち十四勢力と停戦合意に至っていると承知しております。

 現在、ミャンマー政府とこれら勢力との間で、全国規模の停戦合意式典の早期開催に向けた協議が行われていると承知しております。もともと、この停戦合意式典は、去年十二月にも行われる予定だったわけでございますが、今延期されておりまして、この夏ぐらいまでには実施する方向で努力しているというふうに承知しております。

 こういったミャンマーの安定と持続的発展のために、少数民族との停戦、和平の達成は極めて重要なことでございます。こういう観点から、我が国は、昨年二月、これまで長年にわたりましてミャンマーの少数民族支援に尽力されてきました笹川陽平日本財団会長をミャンマー国民和解担当政府代表ということで任命させていただきまして、ミャンマー政府と少数民族との和解プロセスの進展のための働きかけを行っているところでございます。

枝野委員 和解を進める上でも、あるいはまた和解が進んでそれを安定させるためにも、もちろん少数民族以外の皆さんも大事なんですが、少数民族の皆さんの生活の安定、あるいは改善、向上、こういったことが重要であるというふうに思います。

 そうした観点からの生活支援といいますか、そうしたことについてはどういった取り組みをされているんでしょうか。これは、経産省ではないでしょうね、外務省ですね。

大菅政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、特に少数民族地域につきましては、住民が停戦、和平の具体的な果実を実感できるようにするということで、和平に向けた努力を後押しすることが重要、そのように考えております。

 こうした観点から、JICA、それからWFP、UNHCR、こういった国際機関、それから我が国のNGOを通じまして、少数民族地域の基礎インフラの整備や人道支援等を積極的に実施してきております。本年一月には、少数民族地域の民生向上のために今後五年間で百億円の支援を行う用意があるということを発表しております。

枝野委員 大臣、お聞きいただいているとおり、日本企業が進出をして日本経済にいい影響を与える、あるいはミャンマーが経済的に発展してくれることでいろいろな効果があるということで、ミャンマーについてのコミットは大変重要である。

 これは軸になるのはやはり経産省というか、日本の民間企業が出ていって活躍するということなんですが、そのためにやらなきゃならないことは実は経産省の所管を超えている。今も外務省にお答えいただきました。あるいは、日本から駐在されている皆さんにとっては、医療の状況はまだまだ十分ではない、こういったことなども厚生労働省と連携しなきゃいけないし、橋の問題などは国土交通省とも連携しなきゃならない。

 外国のことについて全体を取りまとめるのは外務省かもしれませんが、ミャンマーがいかに重要かということはやはり経産省の視点からですから、ぜひ大臣には、省庁横断的に、各省庁のコミットを促すような努力をしていただきたいと思います。もう一問聞きたいので、短くお答えいただければと思います。

茂木国務大臣 このゴールデンウイーク、委員はミャンマーに行かれるということで、私はお許しがいただけましたらカンボジア、ラオスですから、ニアミスということになるかなと思っております。

 ミャンマーにおけますビジネス環境の改善、これは日本企業の進出にとっても重要ですし、また、ミャンマーの経済を底上げする意味からも重要でありまして、当然これは、医療の問題、査証の問題、税の問題、さまざまな所管にまたがってまいります。昨年の三月から、日・ミャンマー両国の官民双方の関係者が出席する日・ミャンマー共同イニシアチブを開催して、日本側から、医療、査証、税制を含めたビジネス環境を改善するためのアクションプラン、これを今、ミャンマー政府に提案しているところであります。

 また、政府におきましても、内閣官房が事務局となりまして、関係省庁及び関係機関、団体が参加いたしますミャンマーに関する官民合同タスクフォースにおきまして、我が国としての具体的な支援策であったりとか投資環境改善に向けた方針について議論を進めているところであります。

 このミャンマーの案件は経済産業省としてもぜひしっかりと進めたいと思っておりますし、私も、関係大臣とも協力をしながら、省庁の枠を超えてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

枝野委員 ありがとうございます。

 今の大臣の決意はしっかりと、ミャンマーに行ったときに相手に伝えてきたいと思います。

 最後に、時間が短いので簡単に。

 最近、ベンチャー有識者会議という大臣の諮問機関が報告書を出されたということで、幾つかおもしろい点があるんです。ベンチャーの定義を、「起業にとどまらず、既存大企業の改革も含めた企業としての新しい取組への挑戦である。」とされている。創業支援というイメージばかりが強かったんですが、必ずしもそうじゃないという視点は大変大事なことだと思います。

 その上で、大臣は十分御認識だと思いますし、余りにも当然なので大企業と書いたのだと思うんですが、この場合の既存企業は、むしろ中小、中堅こそ持っている潜在力をうまく引き出して、新たな第二の創業といいますか、そのことによって大きく発展していく、こういうことは当然過ぎるので、中小、中堅は書いていなくて大企業と書いてしまった、こういう理解をしているんですが、それでいいのかどうか。そして、そうした観点から頑張っていくことについての決意をお述べください。

茂木国務大臣 ベンチャー、これは単に新しいIT企業等々にとどまらず、まさにこれから十年後、二十年後には日本の主要産業、主要企業になっていく、こういう思いでありまして、大企業といいますとベンチャーをやらないという認識でとられますので、一部のIT産業だけにとらわれず、あらゆる産業を含むんだという意味で対極にあります大企業も含めという表現を使いましたが、もちろん、委員御指摘のように、中小企業、中堅企業の新しい事業へのチャレンジも含むものであります。

枝野委員 終わります。

富田委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 民主党の岸本周平でございます。おはようございます。

 先週の一般質疑に続きまして、商品先物取引市場の活性化について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、先週、東京商品取引所そのものの経営状態について大臣政務官にお伺いをいたしました。その際、田中大臣政務官からは、二〇〇八年度から、決算が確定していませんが二〇一三年度、昨年度まで六期連続の赤字であるという御説明がありました。主な理由は、一つは取引量が減っているということ、それから、意欲的なシステム開発をなさった、そのための営業費用がふえているという二点を御説明されました。

 その上で、では、二〇一四年度、ことしの見込み、あるいは、当然、東京商品取引所としては中期計画等がありますでしょうから、監督官庁として、今後数年間どのような経営状況になるのだろうかということについての御見解を承りたいと思います。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 まず、二〇一三年度の決算でありますが、これは東京商品取引所では五月末ごろに公表すべく今作業を進めているということであります。また、東京商品取引所におきましては、今後の決算見通し、そうしたものは公表されていない状況にあります。ただし、今まで六期連続の赤字ということを見れば、やはり今後も厳しい状況が続くということは予測されるものであります。

岸本委員 そうしますと、企業として、中期的な経営状況について明確な指針を出していないということであり、監督官庁としてはそれでいいというふうにしているということですか、政務官。

田中大臣政務官 その点においては、もちろん監督官庁としてはさまざまな支援策をやっていくのは当然のことでありますが、あくまでも、総合取引所としての統合ですとか、いろいろなシステム改革、こうしたものも見込んでいくものと思われます。そうしたものをしっかりと見ていきたい、監督していきたい、そのように思っています。

岸本委員 どうして中期的な東京商品取引所の経営状況についてお聞きするかと申しますと、昨年来、私の質問だけではなくて、各委員会、参議院も含めて、経済産業省としては、総合取引所への統合についてはやる、統合はやりますと明快に茂木大臣もおっしゃっている。ただし、すぐにやるのか。一度、LNG先物であるとか電力先物の総合的なエネルギーの先物市場を東京商品取引所でつくってという、二段階論をおっしゃっているわけですね。

 そうすると、二段階やっている間に東京商品取引所が倒産するようなことがあったら、どうしようもないわけですね。その可能性は大変高いのではないか。六期連続マイナスで、黒字に転換する見込みも全くないということでしょう、決算の状況をおっしゃれないんだから。システム開発の費用だと、償却ですからキャッシュフローには関係ないかもしれませんけれども、これだけ赤字が続くと、今後キャッシュフローの問題にまで影響してくるわけですね。

 そこで、少し建設的な質問をしたいと思うんですが、そことの間合いで、東京商品取引所の経営問題と、先週もお話をしましたが、LNG先物、大体いつごろそれが市場として成り立って、東京商品取引所で上場するのか。さらには、今週から、きょうお経読みがありますけれども、電力改革における電力先物がいつごろ東京商品取引所で取り扱われるようになるのか。この辺についてのスケジュール感を大臣政務官に教えていただきたいと思います。

田中大臣政務官 まず、総合的な取引所の実現に関しては、今までも答弁しているように、経産省としても統合を目指していく、これは考え方は共有しているところであります。ただ、やはり、当面、エネルギーの安定的な供給が最優先課題であることから、LNGまた電力の先物市場、この取引が軌道に乗ることが重要であるということであります。

 そのために、LNGの先物に関しては、まずはスポット取引価格に関する政府統計を今月から公表しております。信頼性の向上を図っていきたいということです。そしてまた、本年夏を目途に、東京商品取引所と石油仲介会社の合弁会社において、LNGの店頭取引を仲介する事業を開始する予定としております。いずれにしても、これらの取り組みの進捗状況を勘案しながら、速やかに準備を進めていきたい。

 そして、電力先物についてでありますが、現在、商品先物取引法において電力を対象とする改正案、御案内のとおり、これを国会に提出しているところであります。実際の上場についてでありますけれども、これはやはり電力の現物取引の厚みを見ながら、国が上場の認可の判断を行っていきたいと考えております。

 何といいましても、商品先物市場は、事業者が価格変動リスクをヘッジする場であると同時に、適正な価格形成の場でもあるということであります。これらの取り組みをしっかり強化していきたい、そのように考えております。

岸本委員 今、大臣政務官から具体的なスケジュールをお示しいただけませんでした。

 LNGについては、先週、大臣ともお話ししましたが、スポット市場ができることが重要であると。シェールガスの日本への輸入は二〇一七年以降でありましょう。そうすると、ちゃんとしたスポット市場ができるにはやはり一年、二年かかりますから、どうしても二〇一七、一八というようなスケジュール感だろうと思います、スポット市場ができてくるのが。

 電力先物についてはまさに政務官がおっしゃいましたけれども、これは二〇一八年以降、いつできるのかわからない、現物を見なきゃわからない。直観的に二年か三年というふうに置いておきましょうか。そうすると、もう二〇二〇年の声が聞こえてくるんですよ。東京オリンピックですよ。そうすると、今から五年も六年も先というような感じになるわけですね。

 また、実際にビジネスをなさっている方々も、ヘッジするためには厚みのあるマーケットにしてもらいたいから、自分たちがきちんと参画するにはやはりそう簡単なものではないということですから、大体マーケットの方も五、六年というようなイメージ。まあ一年、二年、少し早くなったとしても数年かかるわけです。その数年の間、一体、東京商品取引所はもつのかということ。これは水かけ論になりますから、これ以上は言いませんけれども。

 大臣にお聞きしたいんですけれども、第一次安倍内閣当時から総合取引所を実現しますということはうたっておられます。政権がかわりましたけれども、民主党政権も、合理的に考えると総合取引所しかないということで、二〇一二年の九月に法改正をしております。当然、自民党さんもいろいろなマニフェストやらプラットホームに書かれていますから、賛成をしていただいた。昨年の六月には、第二次安倍内閣でも、総合取引所を実現するんだということで閣議決定までされているわけです。

 口先では目指しますとおっしゃいながら、五年も六年も引っ張っていく、二段階論だというのは閣議決定の趣旨に反するのではないか。そうやって引っ張っていくということについて、内閣で決定されている方針を五年も六年も先送りするというのはいかがなものかと思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。

茂木国務大臣 事業はそれぞれ本格的な立ち上げまでに時間のかかるものもあります。社名は言いませんけれども、例えば、がん保険で大きな会社は日本で立ち上げるまでに十年以上かかっています。今はしっかりしたビジネスができています。三年だからできないという問題ではないと私は思っておりまして、できるだけ早期にとは思っております。

 では、今まで何もやっていないのかといいますと、委員も御案内のとおり、二〇一二年九月に成立をいたしました改正金融商品取引法があります。そして、安倍政権が発足をしまして、昨年の六月、規制改革実施計画において、総合的な取引所の実現に向けて所要の整備に積極的に取り組む、このことが閣議決定をされまして、それを受けて、経済産業省としても、関係省庁と協力のもとで総合的な取引所の実現に向けた取り組みを進めております。

 実際、ことしの三月に決定、施行いたしました政令におきまして、金融商品しか扱えなかった金融商品取引所がそれ以外の商品も取り扱えるように定めるとともに、金融商品取引所に商品を上場するために必要な手続、関係大臣の協議、同意の手続も整備をしたところであります。

 私も、最終的なゴール、目指すべきところについては委員と共有している、このことは何度も申し上げてきております。そこの中で、当面、電力の安定供給とも関連をしてまいりますLNGそして電力の先物をどうするか。こういったこともしっかりにらみながら、現実的かつ優先順位を踏まえたアプローチで総合取引所の実現をしてまいりたいと考えております。

岸本委員 今大臣から政令、法律改正等のお話がありました。一段階論なのか二段階論なのかというのは、それぞれ考える基本が違うのでありますけれども、少し政務官に聞きます。

 法律のたてつけからいたしますと、まさに金商法の施行令第一条の十七の二で、協議が行われて今大臣が御説明になったような事態が実現していくわけですけれども、今二段階論をとっておられるわけです。コモディティーデリバティブを扱う総合取引所の規制、監督を一元化しますという法律改正が行われた、そして政令が準備された、しかし、二段階であるならば、施行令一条の十七の二の協議に経済産業省は当面応じないということになると思うんです。

 せっかくどの政権も総合取引所はやりましょうということで法令の整備をしたにもかかわらず、およそ協議に応じないということでいいんですか、大臣政務官。

田中大臣政務官 御案内のとおり、平成二十四年の金融商品取引法の改正によりまして、金融デリバティブ商品として指定すれば、金融商品取引所においても取り扱いは可能になるということであります。

 仮に金融庁から協議要請があれば、もちろん施行令の規定に従って適切に対応していきたいと思っております。

 ただ、その際の具体的な判断基準というものも重要でありまして、これは規定上定められた要件、すなわち、十分な取引量が見込まれるか、当該商品の価格形成や需給の事情を勘案しながら金融商品取引所で取引が行われることによって公正な価格形成が図られるのか、また価格変動のリスクヘッジを適切に行うことができるかどうか、こういったことを勘案しながらしっかりと検討していきたい、そのように考えております。

岸本委員 今の御答弁ということになろうかと思いますけれども、もう一つの考え方としまして、東京商品取引所はなかなか統合に一歩を踏み出してくれないということであるならば、もう日本取引所グループ、JPX単体で、金とか白金とかゴム、そのようなもののコモディティーデリバティブを上場するということも法律上のたてつけは可能だと思います。金商法の第百九十四条の六の二における協議と同意があれば単独での上場も可能だと思うんですが、その点については、大臣政務官、その理解でよろしいですか。

田中大臣政務官 金融商品取引所が具体的に商品先物を上場する場合には、取引法に基づきまして、金融担当大臣が商品所管大臣に協議して、その同意を得た上で認可を行うということになっております。

 同意するか、またしないかということでありますが、これは具体的に、上場する商品の商品特性ですとか産業構造などにより事情が異なるということであります。もちろん、先ほども申しましたが、協議を受けるということでありますが、法律のたてつけ上は単独でも上場できるということはあろうかと考えます。

岸本委員 ありがとうございます。

 大臣のお考えは多分そう変わられないと思うので、二段階論でお進めになられるんだろうと思うんですけれども、どう考えても、これだけ東京商品取引所をめぐる経営環境が悪化し、商品先物市場、これは規制強化だけに責めを負わせるのもいかがなものかと思います。十年間、三回ぐらいにわたって累次の規制強化、特に不招請勧誘のあれは厳しかったと思いますけれども、やはり合理的に考えると、一日も早くコモディティーを総合取引所に統一していくことの方が合理的だと思います。

 最後に、これも大臣にお聞きしますけれども、もともと経済産業省はこれに積極的だったんですよ。スタート時点では非常に積極的にむしろ経済産業省の方から東京商品取引所の活性化のために、じり貧に陥っていますから、ここで一発逆転を狙い、アジアの中で大きなマーケットをつくるためには統合しかないということで、淡々と、着々と進んできたわけであります。

 それが、方針が突然変わるんです。私は横で見ていましたけれども、突然変わるんです。業界は痛くもない腹を探られているわけですよ。

 今の東京商品取引所の江崎社長、五代目です。経済産業省の方が五代社長を続けられて、三十二年間独占されています。もちろん、途中から人事は第三者委員会でやっていますということで、役所はあっせんしていませんということでありますけれども。

 昨年六月四日の参議院の審議、当時は平大臣政務官でしたけれども、平政務官の御答弁でも、違法ではないと。形はつくっていますから。違法ではないが、どう見てもやはり異様な形なんだと正直思いますと。つまり、経産省出身の官僚が三十二年間、五代にわたって独占しているのは正直異様な形だとおっしゃっていますし、同年六月十二日の本委員会で茂木大臣も、李下に冠を正さず、こうおっしゃっています。全くそのとおりだと思うんですね。

 ですから、無用な、全く痛くもない腹を探られるようなことで先物市場の動向が左右されることのないように、天下り問題については監督官庁として厳しい姿勢を示して指導されるということについて、大臣の御覚悟をお聞きしたいと思います。

茂木国務大臣 経済産業省が途中で方針が変わったと。恐らく、もしそういうことであれば、三十二年以上前、五代連続の前ということになってしまうんですね。そこのところが、まず委員のおっしゃることは若干の矛盾があるのかなと私は感じますし、また、取引所の形態、社外取締役が過半数を占める委員会設置会社でありまして、役員の指名は当然、社外取締役が過半数を占める指名委員会の手続を経ることになっております。

 また、国家公務員の再就職につきましては、御案内のとおり、いわゆる天下りあっせんは禁止されていて、当然それはできないということになるわけであります。

 その上で、私が、李下に冠を正さず、こういう言葉を申し上げました。これは、御案内のとおり、中国の六朝時代、隋の前ですから四世紀前後になるわけですけれども、古楽府にあります君子行、君子はこうあるべき、こういう言葉の中から引いた言葉でありまして、スモモの木の下で手を上げて自分の冠の曲がっているのを直すと、まるでスモモの実をとっているように見えるから、そういう疑われるような行動はやってはいけないということであります。

 例えば、再就職の際に、あっせんなど法律で禁じられていることをやっているのではないかと疑われる、もしくは、そこの役員についても、かつていた省の利益を代弁するようなことをやっているんじゃないかと疑われる、こういうことであればまさに李下に冠を正さずだと思いますけれども、そういう事実があるとは承知いたしておりません。

 ちなみに、私は、委員がかつての出身省庁の意見を代表して御発言されているとも毛頭思ってございません。

岸本委員 出身省庁に骨を埋める気はなくて政治家になっておりますので、そこは茂木大臣のおっしゃるとおりであります。確認させていただきます。

 なお、三十二年間、五代にわたり、一つの省庁出身者が社長を続けることが李下に冠を正しているというふうに私たちには見えるということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会、伊東信久です。よろしくお願いいたします。

 さて、私は大阪府の枚方市、交野市というところの選出なのですけれども、大阪なので関西です。その地元関西で、ことしの夏の電力供給について、私は維新なんですけれども実は関西経済同友会に所属していまして、そういう経済会は関西にも幾つかあるんですが、そのうちの一つの関西経済連合会の森会長が定例会見におきまして、ことしの夏は原子力ゼロの夏になるという可能性が高く非常に厳しい、そういうコメントをされました。

 今は四月で、春になりまして、暖かかったりちょっと冷えているなというときがあったりとか、朝晩の気候が変わることもありますけれども、毎年の温暖化の傾向を考えると、毎年毎年最高気温を上回る夏になる、そういった可能性も考えられます。その中で、やはりことしの夏は電力需要が昨年を上回る可能性は十分あると森会長は指摘しておられました。

 これは、だったら再稼働とか、そういった話ではなくて、安定供給に最低限必要な電力というのが、供給余力三%という数字が出されましたけれども、その供給余力三%を確保するために、関西の話ですから、例えば周波数が異なる東日本管内の電力会社から電力融通を受ける考えも示されておるんです。午前中の周波数、発送電の話も関係してくると思うんですけれども、国民の、特に私の地元関西の夏の不安を払拭する対策があるのか。具体的なプランがあれば示してください。

茂木国務大臣 確かに、春になってきまして、春にまつわる漢詩でしたら幾らでも御披露できるんですが、時間の関係で割愛させていただきたいと思っております。

 先週の十七日に、総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会のもとの電力需給検証小委員会を開催いたしまして、二〇一四年度夏季の需給見通しの案をお示ししたところであります。関経連の会長は電力の分野にかかわっておられて、当然この分野についていろいろ造詣も深く、またいろいろ心配もしていただいていると思うところでありますが、ことしの夏は、関西そして九州電力管内を中心に、中部から西日本におきまして、電力需給は大変厳しくなる見通しとなっております。

 具体的に申し上げますと、幾つか要因がありまして、一つは、関西電力の大飯原発三、四号機が稼働停止になっている、それから、電源開発の松浦火力発電所の二号機の定期検査中のトラブルの影響等によりまして、昨年と比べて供給力が大幅に低下する見込みであります。

 余力のある東日本から周波数変換装置を通じて西日本に電力融通を行いますと予備率三・四%を確保できる見通しでありますが、これをやらない場合、もちろんやる予定でありますけれども、予備率は、関西電力で一・八%、九州電力で一・三%、そして中部、西日本全体でいいましても二・七%ということでありまして、電力の安定供給に最低限必要な、御指摘の予備率三%を確保できないことになります。

 今後、電力需給検証小委員会におきましてさらなる検証を行いまして、四月中をめどに二〇一四年度夏季の電力需給見通しをまとめる予定であります。その結果を踏まえまして、政府において速やかに、恐らく五月ということになると思いますが、二〇一四年度夏季に必要な需給対策を、厳しい状況に対応した相当な対策になるのではないかなと思っておりますが検討したい、このように考えております。

伊東(信)委員 関東からの、東日本からの電力融通の話もありまして、ちょっとテクニカルというか細かくなるんですけれども、周波数を変換して、例えば直流から交流にするだけでいわゆる慣性モーメントが五%減ったりもして、それによるロスとか経済的なコストとかも考えられるんですけれども、東日本からの電力供給を安易に言っていいものなのだろうか。つまり、大きな電力量になると、それ自体もコストのかかるようなことになるかなということ。省庁の方でこの辺のところを、ちょっと細かい通告をしていないのであれなんですけれども、もし答えられる方がおられたらお願いします。

茂木国務大臣 まずやりますのは、周波数を変換しない状態で、中部、西日本の管内で、例えば余力の少ない関西であったりとか九州に対しまして比較的余力のあるところから融通する、こういうことをやります。ある程度の平準化を行います。

 しかし、各管内もやはりある程度の余力を持ちたいということでありますから、若干のばらつきも出るわけでありまして、それで、関西そして九州については二%にいかないような、一・八、一・三ということになってしまう。そうなりますと、どうしても、東西を越えた変換によります融通を行っていく。二段階目の融通を行うことによりまして中部そして西日本でも三・四%を確保するということでありまして、東西融通を行わずに例えば西日本だけでできるんだったらその方が問題はないと思っておりますけれども、今の見通しですとできない状況であるということですから、東西融通も考えるということであります。

伊東(信)委員 ありがとうございます。おっしゃることはもっともだと思います。

 先ほどの周波数の変換に関しては、テクニカルなことですので、また機会を見て詳しく御質問したいと思います。

 大飯原発の話も出ました。私の地元の関西電力のことに関しまして、大きな問題だと思いますので理解はしているつもりなんですけれども、であるならば、エネルギー基本計画についてお尋ねします。原発の活用自体を明記して重要なベースロード電源と位置づけていますけれども、依存度については可能な限り低減させるということです。電源に対する比率は書かれていないわけなんですけれども。

 この質疑というか議論は本当に何度となくされていますし、何度となく答弁されていますし、日々進捗状況というのも刻々と変わると思うんですけれども、現在、きょうの時点で、平成二十六年四月二十三日に指し示すことのできるロードマップについて御説明ください。

上田政府参考人 原子力発電の依存度の件でございますけれども、御案内のとおり、今回のエネルギー基本計画におきましても、全体のエネルギー構成につきましては、エネルギーの特性を考えますと、安定供給あるいはコスト、環境面、安全性、あらゆる面ですぐれたエネルギーはないということで、現実的かつバランスのとれたエネルギーの需給構造をつくっていきたい、こう考えております。

 今先生御指摘の大きな方向性といたしましては、原発依存度につきましては、再生可能エネルギーの最大限の導入、高効率火力発電などのエネルギー源の多様化、それから徹底した省エネルギーの推進、ディマンドコントロールなどを進めまして、可能な限り原発依存度を低減するということが具体的な基本方針でございます。

 こういったことを検討しながら、将来のエネルギーミックスを一体どの程度とするか、何%にするかといったような問題につきましては、今回の新しいエネルギー基本計画の考え方を踏まえまして、省エネルギーの取り組みの進展、再生可能エネルギーの導入状況、原子力発電所の再稼働の状況、海外からの資源調達コストの状況、高効率火力の技術開発の見通し、こういったことを見きわめながら、できるだけ早くベストミックスの目標というものを策定していきたいと考えております。

茂木国務大臣 委員御指摘のロードマップということで申し上げますと、今、上田長官の方から答弁がありましたように、エネルギーのベストミックスの目標というのをまず決めなきゃなりません。これについてはできるだけ早くということでありますから、二年も三年もかける問題ではない、このように考えております。

 一方で、ベストミックスの目標を達成する、ベストミックスの状態をつくっていく、これは若干時間がかかります。これにつきましては、十年以内にベストミックスの需給構造に持っていきたいと考えておりまして、そこに至ります、現在の構成から始まりましてベストミックスの状況が生まれる、この間のラインをどう描いていくか。それが直線になるのか、少し曲線で上がっていく、例えば再生可能エネルギーとか、そういうものが途中からさらに加速化していくのか、それはロードマップの中で描いていきたいと思っております。

伊東(信)委員 大臣も加えての答弁、ありがとうございます。

 本当に、ベストミックスというのは、一体どれがベストなのかという評価は難しいと思います。一方で、再稼働するのか否かのツーウエーでの場合分けによるロードマップという方法もあるんですけれども、二通りの道というのは政府として混乱を示すというのも理解できるわけなんです。

 先ほどの長官の答弁で、高効率火力発電、つまり、火力発電の話というのはやはりどうしても避けられない話なんです。その火力発電の資源としましても、ミドル電源としての天然ガス、LPガス、ベースロード電源として再評価されている石炭などのエネルギーもあるわけなんですが、これは我が党の今井議員が再三質疑しているわけなんですけれども、天然ガス、LPガスをミドル電源と見るのかどうかということですね。

 安定性に関してはそんなに変わらない、コスト面によって変わるんだという答弁を、この委員会でも部会でのヒアリングでもレクでも聞くわけなんですけれども、そのことに対して、ちょっとコスト面に関しての計算が甘いのではないかという疑念もございます。しかしながら、原発再稼働の場合もツーウエーで考えて、火力発電のコスト面、安全性、安定性のエネルギー政策を進めるべきだと思うんです。

 火力発電に関しての見解をもう少し詳しくお願いします。

上田政府参考人 委員御承知のとおり、現在、原子力発電所がとまっている状況にございまして、その分を何で賄っているかといいますと、その圧倒的な部分を火力発電で賄っているわけでございます。

 御存じのとおり、二〇一二年度で見ますと、原子力発電がとまった分、天然ガス発電というのが拡大しておりまして、動いていた二〇一〇年度には約三割の天然ガス発電だったわけでございますが、現在それが四二・五%まで拡大しております。また、石油火力発電につきましても、二〇一〇年度には七・五%であったものが現在一八%まで拡大している状況にあるということでございます。

 現実問題といたしまして、原子力発電所がとまったところを天然ガス火力発電あるいは石油火力発電等々で補っているという状況であるわけでございまして、こういった化石燃料による発電に対する依存度は約九割近くになっている状況にございます。そういう意味におきまして、火力発電というものが我が国の今後のエネルギー需給構造の中においてもなお重要な役割を担っていくということは間違いないと私どもは考えております。

 その中で、コストの話がございましたけれども、やはり石油等々に比べますと、例えばコスト等検証委員会のデータによりましても、石油火力につきましては二十二キロワットアワー当たりの発電コストが二十二・一円、これに対しましてLNG火力が十・七円、石炭火力が九・五円という数字が出ておりまして、こういったことも踏まえまして、委員御指摘のようなベース電源あるいはミドル電源といったような概念を作成しているところでございます。

 私どもは、火力発電につきましても一方で中東依存といったリスクがございますので、こういったことも踏まえながらさまざまなエネルギーのミックスというものを考えていく必要があると考えておりまして、やはり特定のエネルギーに依存するということは非常に危険性が高いということから、そういう形で、非常にリスクの少ない形でのベストミックスを目指していく必要がある、このように考えております。

伊東(信)委員 中東依存のいわゆる化石燃料という御答弁をされていました。

 石炭をベースロード電源として再評価する理由の一つに、コスト面で天然ガスやLPガスに比べて安い、低コストだと。そういった回答をレクのときでもヒアリングのときでも受けたわけなんですけれども、その理由として、石炭は、中東ではなくオーストラリアからの輸入にかかわるところが大きいということなんです。であるならば、そのあたりのところだけでベースロードとするのはいかがなものかなと。あとは、コスト面を考える場合、安定性とか事故のこととかいわゆる設備のメンテナンスとか、いろいろなポイントが入ってくるんですけれども。

 ミドル電源としてガスを、ベースロード電源として石炭を捉えた理由に関して、コスト面を踏まえて見解を詳しく教えてください。

上田政府参考人 ベースロード電源でございますが、まず、このベースロード電源は、エネルギー基本計画の中にも書いてございますが、低廉で、安定的に発電することができる、昼夜を問わず継続的に稼働できる、こういった電源のことを指しておりまして、具体的には、我が国では原子力、石炭、一般水力、地熱、こういうものがベースロード電源であると考えております。

 また、ミドル電源あるいはピーク電源というものにつきましては、電力需要の動向に応じて出力を機動的に調整できる電源であるということでございまして、このうち、天然ガスなど運転コストがベースロード電源の次に安価な電源をミドル電源、また、石油火力や揚水発電など運転コストが高い電源をピーク電源というふうにしているわけでございます。

 コストにつきましては、先ほども申し上げましたけれども、コスト等検証委員会の試算によれば、キロワット当たりの発電コストにおきまして、例えば石炭火力は九・五円、LNG火力が十・七円、地熱が九・二円から十一・六円、石油火力が二十二・一円から三十六円、一般水力が十・六円、こういう状況になっているわけでございます。

伊東(信)委員 どうしてもそういった答弁になってしまうと思いますね、ベースロード電源、ミドル電源の御説明も。よくわかっているつもりなんですけれども、このことに関して、我が党、特に今井議員の試算とは違うわけなんです。これは本当に水かけ論というか、無駄な時間になってしまうので、またこの点に関しては、特に化石燃料に私はこだわっているわけではないので、次に移らせていただきます。

 今後のエネルギー基本計画を考える上で、再生可能エネルギーの割合を上げていくという、この認識は恐らく変わらない、共通の認識だと思うんです。水力、太陽光、風力で約一割、そこのうち八%はほとんど水力であると。この再生可能エネルギーの数値目標について、三年間で導入を最大限加速させるということが書かれていますけれども、三年間というのはどういうことでしょうか。三年間の具体的な計画を御説明ください。

上田政府参考人 今般、四月十一日に決定いたしましたエネルギー基本計画の中では、先生御指摘のとおり、三年間、最大限の導入拡大を図るという方針であったことに加えまして、その後におきましても積極的に推進していくということで、三年間に限らず、再生可能エネルギーを積極的に推進していくという方針を明らかにしたわけでございます。

 具体的にどのように取り組むのかということでございますけれども、まさに委員御指摘のとおり、総発電量に占める再生可能エネルギーの割合は現在一〇%でございますが、水力を除きますと一・六%という数字でございます。その導入のためには、コストの高いところをどう克服していくのかといった問題、出力不安定性への対応の問題、立地制約の克服等、こういった課題があるわけでございます。

 こうした課題に対応するために、私どもは、まず、固定価格買い取り制度というものを現在運用しておりますけれども、これを安定的かつ着実に運用していくということが基本であると考えておりますが、これに加えまして、低コスト化、高効率化に向けた技術開発、蓄電池を活用した出力の変動の調整や送配電網の運用技術の高度化、あるいは環境アセスメントの迅速化といった規制緩和、こういったことを総合的に推進していく必要があると考えて、そういった方向で努力をしてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 先ほど茂木大臣は、曲線的なのか、加速を加えていきたいということなんですけれども、微分係数がかなり大きなものになる、dy/dxが大きくなる、そういった計画なのだと思います。

 再生可能エネルギーの割合をふやそうと思えば、今は水力ということなんですけれども、例えば太陽光に関しても、まだ二〇%ぐらいしか、計画は立っているけれども稼働していない。風力に関しても、洋上風力を使う、浮体式の技術も進んでいるということなんですけれども、そういったことで考えれば、例えば風力だけでも一〇%の伸びが期待できる。水力に関しても、ダムに関しても、まだ全然使われていないダムもございますから、それだけで一〇%、二〇%上がっていくわけで、二割というような目標もあったわけなんですけれども、それも超えて三割にも四割にもいくというのは不可能なのでしょうか。

上田政府参考人 御案内のとおり、例えば風力発電であれば適地の問題がございまして、現在では、北海道あるいは東北の一部、こういったところにおいて風力発電は積極的に推進していく必要があると考えております。

 また、太陽光発電につきましては、現在、相当程度推進しておりますが、先生御指摘のとおり、なかなか認定しても発電の事業が実際に開始されないといったさまざまな課題があるわけでございます。

 では将来どの程度にするのかということでございますけれども、実は、前回策定したエネルギー基本計画、これは二〇一〇年に閣議決定したわけでございますが、そのときに、あわせてエネルギーの需給見通しの姿ということをお示しさせていただいております。その際に、再生可能エネルギーの電源構成に占める割合は全体として二〇三〇年で二一%、二割強にしようということでございまして、その内訳として、太陽光が五・六%、風力一・七%、地熱一・〇%、水力一〇・五%、バイオマス等が二・一%ということを想定しておりました。

 そういう意味で、大幅に伸ばしていくということについてはさまざまな課題があると思いますが、こういった策定時につくられた数字ということも参考にしながら、今後、再生可能エネルギー全体の目標につきましても、ベストミックスを検討する中におきまして検討してまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 各再生可能エネルギー、バイオマスもあれば地熱もありまして、地域差もあれば技術力の差もある。評価の時間差もありまして、評価をミックスしてというのはなかなか容易ではないということは理解はできます。しかし、一方で、それぞれがそれぞれに突っ走りますと、例えばメガソーラーとかでも、ふやすことは構わないけれども、その分、そこの土地としてはかなり広大なメガソーラーパネルが置かれることになる。景観の問題もさることながら、土地開発に対する環境への影響も考えられます。

 例えば、今、三年なり現在の計画ということを私は尋ねていますけれども、逆に、二十年後、ソーラーパネルはベストミックスとしては不適だ、そういった判断がされた場合、ソーラーパネルなりはどうなるんですか。メンテナンスも必要ですし、不必要なことになるとまたマイナスの遺産になったりする可能性もあるんですけれども、エネルギー基本計画となれば、そういう将来的なことも、十年後もしくは二十年後のことも考えて計画されているのでしょうか。

上田政府参考人 先ほど申し上げましたけれども、前回、エネルギー基本計画を策定したときに、あわせましてエネルギーの需給見通しの姿というものをお示しさせていただきました。それは、二〇三〇年ということを目標にして、そのときまでに、そのような電源構成をどの程度と考えて、それに向かってどのようなものをどの程度入れていくのかということをお示しさせていただいたものでございます。

 今回、エネルギーミックスというものも策定するということを検討しているわけでございまして、先ほど来申し上げましたように、できるだけ早期にこれを策定したいと思いますが、どの程度の導入目標にしていくのか、どの程度のタイムスパンにしていくのか。それから、今先生の御指摘のような、例えば廃棄物をどう処理していくんだろうか。それから、そもそももう一つ重要なことは、再生可能エネルギーの場合はやはりコストダウンということが非常に重要でございまして、そうした見通しについてどういうふうに考えていくのか。そういったことを総合的に勘案しながら、エネルギーミックスの中で検討してまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 そうですね、やはりコストダウンの話が国民の皆さんにとっては大事なことだと思います。電気料金が値上がりすると国民の生活に多大な影響が及ぶというのは間違いのない話なんです。

 特に、ここで取り上げても仕方がないんですけれども、消費税も増税されて、しかしながら、社会保障にも必要だ。そんな中で、我々日本維新の会は、こういったことを改革するために、まずは身を切る改革として、議員歳費の三割削減とかを目指しておるわけなんです。

 国民の皆さんへの多大なる負担という中で、どうしても最後にお聞きしたかったことは、ちょっとエネルギー問題から外れるんですけれども、ことしの四月九日、つい最近なんですが、ウィンドウズXPのサポートが終了しまして、ニュースにも取り上げられております。自治体とかでも六万台ほどですか、まだ稼働している中で。

 例えば、私どもの医療法人、個人の医療法人なんですけれども、ソフトを入れかえようと思いましたら、そのソフトの入れかえによって動かなくなるソフトもある。しかしながら、医療法人であるので、いわゆる個人情報の塊なんですね、私どものPCといいますのは。もちろん、いろいろなトラブルを防ぐために、電子カルテであるとか電子レセプトのPCとは分けております。

 しかしながら、三台ほど入れかえようと思いましたら十五万ほどの経費を費やしまして、医療法人といいましても、一つの事業体でいうとおおよそ五名ぐらいの医療スタッフですので、小企業になるわけですね。こういったところで、まだうちのところは何とかかんとかやっていきましたけれども、これはやはり国民の皆さん、経済の中でも、商売をされる方でもかなりの打撃なり深刻な問題だと思います。こういったところに関して、このウィンドウズソフト、OSソフトに対する見解というのをお聞かせください。

富田政府参考人 お答えを申し上げます。

 ウィンドウズXPでございますけれども、御指摘いただきましたように、二〇〇七年の一月にウィンドウズXPのサポート終了をマイクロソフトが発表いたしまして、それ以後、七年間にわたりましてさまざまな広報活動を行ってきたということ、それから、マイクロソフト自身も、パソコンの買い取りでございますとか、あるいは金利の優遇など、利用者の利便性の観点からさまざまな支援を行ってきたというふうに承知いたしております。

 経済産業省におきましても、IPAを通じまして、利用者の目的に応じたウィンドウズXPからの移行プランの紹介といったようなことも含めて普及啓発に取り組んできたということとあわせまして、今委員から御指摘いただきました中小企業、小規模事業者の支援という観点からは、例えば、これは日本政策金融公庫でございますけれども、IT活用促進資金といったような制度、税制で申し上げますと中小企業投資促進税制、あるいは少額減価償却資産の取得価額の損金算入制度、そういった優遇措置を講じながら支援させていただいておるということでございます。

 ただ、昨今、サイバー攻撃等がふえておりますので、ITを利用するという際にはやはり情報セキュリティー対策というものに万全を期していくことが重要でございまして、ぜひ、企業や国民におかれては、こういった制度を活用しながらXPからの移行を進めていただきたいというふうに考えておるところでございます。

伊東(信)委員 大学病院に勤めているころ、私の上司というかドクターはマックの信奉者でして、私どももマックを使っていたんですけれども、すぐフリーズしたりトラブルがありまして、それがマックのかわいいところやと言っていたんですけれども、全然かわいくないわけですね。ウィンドウズを自分が独立するようになって使って、この問題は、私だけじゃなくて本当に深刻な問題だと思いますので、政府としての対応を今後ともよろしくお願いします。

 以上です。

富田委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高です。

 続きまして、私からも一般質疑を続けさせていただきます。

 まずお伺いしたいんですけれども、先般、安倍総理が我々地元大阪の方に来ていただきまして、地方の景況を見ていただくということで、中小企業を訪問していただいたということでございます。

 早速大阪の方でもいろいろなテレビで取り上げられておりまして、揚げ物の文化ですので、串カツは大阪では二度つけたらあかんのですけれども、二度づけ禁止だというのを指摘されたのをずっと大阪のテレビでやっていまして、うちの地元のお母さん方も、安倍さん来ておったな、二度づけしたらあかんのよ、ちゃんと言うときやと言われまして、まあ、でもちょっと私から申し上げるのもあれなので、もう既にお話は入っていると思いますけれども。

 一方で、総理から、大阪の景況を見ていただいて、大臣にも具体的な指示が行っているというふうに伺っております。

 大臣も、たしか昨年、電気自動車の件で大阪の方に来ていただいて、御視察いただいていると思うんですけれども、大臣の御見解も含めまして、地方の景況、そして特に大阪、関西に来ていただいたので、そのあたりの景況。そして、特に大阪ではいつも言われるのは、東京ばかりやんか、東京ばかりではいけないんじゃないかという声が多くあります。そのあたりも含めまして、大臣の御見解や、また意気込み等をお伺いできたらと思うんです。

茂木国務大臣 二度づけは絶対禁止だと思います。千円罰金というお店もあるようでありますけれども。

 安倍政権が発足して一年四カ月がたつわけでありますが、日本経済全体で申し上げると明らかに景気回復の兆しが見えてきておりまして、さまざまな調査によりますと、大阪を含めた関西地区の景況感も東京と同様に着実に持ち直しているものの、全国津々浦々まで景気回復の実感が行き届くという状況にはまだないと考えております。

 東京と地方の経済格差が現に存在する中で、地域が活力を取り戻していくためには、地域が持つ特色のある資源を最大限活用して多様な発展をしていくことが必要であると考えておりまして、特に、大阪もそうであると思いますけれども、地方に多い中小企業、小規模事業者がそれぞれの技術とか持っているサービス力をいかに生かせるかというのが極めて重要だ、こんなふうに考えております。

 安倍総理も、先週の金曜日に大阪を訪問しまして、中小企業三社を視察させていただくのと同時に、あべのハルカスで橋下市長、それから松井知事にも御案内いただいて全体の再開発の風景を見たりとか、さらにはマスコットキャラクターのあべのべあも登場した、こんなふうに大歓迎を受けたと聞いておるところであります。

 私も、昨年、大阪を訪問させていただきまして、中小企業も何社か訪問させていただきました。例えば、東京のスカイツリー、あそこのボルト、ナットをつくっているねじの会社、これはハードロックという会社なんですけれども、極めてすぐれた会社であります。昭和三十年代に東京タワーができましたときは、棟梁桐生五郎を中心とする、とび職のたくみのわざといったものが注目されたわけでありますけれども、スカイツリーにおいてはそういった大阪の持つ、まさに東大阪の極めてすぐれた、絶対に緩まないねじ、ボルト、ナット、これは神社のいわゆる締め方というか、それを参考にしてそこの社長がつくられたらしいんですが、そういうものも拝見したところであります。

 総理が先週の金曜日に大阪の企業、それぞれ特色があります、女性が活躍する中小企業であったりとか、電気料金の値上げに苦しむ中小企業、さらには販路拡大で賃上げを実現した小規模事業者を視察される中で、私に対しまして、現場の実態に合わせて平成二十五年度の補正予算と二十六年度予算に計上された各種施策を改善していくようにと、その場で指示がございました。この指示を踏まえまして、経済産業省として早急に方策を検討いたしまして、既に対策を決定いたしておりますが、三つございます。

 一つは、子育てで退職した女性が中小企業に再就職して活躍できるように、職場実習支援事業、インターンの支援事業でありますけれども、これにつきまして、これまで職歴を二年以上としていたものを一年以上に緩和して、さらに、その職歴の中にパートとかアルバイトの期間も算入できるという形をとりました。

 また、エネルギーコストの上昇に直面する中小企業の省エネ投資を支援するために、省エネ補助金につきましては投資額は小さくても省エネ効果の高い案件について支援対象とすることで、できるだけきめ細かい案件が拾えるような状態をつくることにいたしました。

 さらに、従業員の処遇改善に取り組む事業者に対しては、既にものづくり補助金等々についてもそういった事業者を優先的に採択するということでありますけれども、今回、栄光技研という会社、これは販路拡大で賃上げを実現した小規模企業でありますが、そこを総理も視察されまして、国内外への販路開拓を支援するため、小規模事業者の販路開拓を支援する事業と、中小企業の海外への販路開拓を支援する事業の補助上限を倍増するということをいたしました。

 この三つの施策の改善をすることとしたわけでありますが、これらの改善につきましては、今後、公募を開始するなどの時点から直ちに適用したい、このように考えております。

丸山委員 中小企業対策はしっかりやっていただきたいんです、地方は大臣がおっしゃるように多いんですけれども。

 一方で、大阪はちょっと特殊、特有かもしれませんが、実は私、もう一つの観点で気になっているのが、昔から大阪はいろいろな大企業も本社があったりしたのが、どんどん東京の方に移していくという現状がございます。三・一一以降、やはり全て東京に集中するというのは危険でございますし、何より、国としても、東京だけどんどんよくなっていくというのはいい状態ではないと思いますので、このあたりの集中の話はまた違う機会にお話しさせていただきたいんですが、こういった点も御指摘させていただいて、次の質問に移りたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、少し先ほど伊東委員からもございました今夏の電力の需給見通しのお話を伺いたいと思っていたんですが、もう既にお話もございましたので、簡単にお伺いしたいんです。

 先ほど、四月中をめどに、五月には基本的な方針、方向性を出したいというお話が大臣からありました。

 一つお伺いしたいのは、特に西の方、関西、九州の八月の予備率がかなり厳しいんじゃないかというふうに認識しています。特に、東電から融通を受ければ三%ということなんですけれども、関西圏に関しましては融通がなければ一・八%の予備率だということでございます。このあたり、政府としてどのように御認識されているのか、見解を簡潔にお伺いできたらと思います。

上田政府参考人 先ほどの質疑応答でもございました、先週の木曜日に総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会のもとの電力需給検証小委員会というのが開催されまして、そこで二〇一四年度夏季の需給見通しの案というものをお示し申し上げたわけでございます。

 その内容につきましては委員御指摘のとおりでございまして、周波数変換装置を通じた電力融通を行わない場合につきましては、関西電力管内の予備率は一・八%、九州電力管内の予備率は一・三%程度と想定されているところでございます。

丸山委員 先ほどのお話ですと、五月ぐらいまでにこの夏の方向性をということでございます。震災以降、ここ最近は数値目標を出されていなくて比較的あれなんですけれども、一方で、先ほど伊東委員からもありましたが、関西の方でもやはり電力の安定供給に対してはかなり御不安がある。先日、東京の方も経団連さんに行ったらやはり同じ話題で、電力の安定供給、そして価格、コストの問題の御指摘がありましたので、このあたり、重々御承知だと思いますけれども、しっかりと五月の発表のめどに向けてやっていただきますようお願い申し上げます。

 そういった意味で、我が党としても、政府として取り組まれているベストミックスのお話も含めまして、この国のエネルギー政策がどの方向に向かうべきかということを再度我々の方でも検証を始めておりまして、エネルギー調査会の方で進めておるところなんです。

 一方で、その観点も含めまして、政府の方でどのようにお考えなのかということをこちらでも検証させていただいている中で少し気になっているところが、ベストミックスは二、三年もかけずにやると大臣はおっしゃいましたけれども、一方でまだない状況だというふうに認識しておりまして、特にやはり需給の中でも需要の方の予測をしっかり早目に立てていかなければ、これはもちろん供給が先であるわけではないと私は思いますので、需要の予測こそ多分一番根本の部分で大事な、先にやるべきところだと思うんです。

 特に、省エネ技術を進めるというお話も出ておりますし、スマートメーターも含めてシステム改革の話で需要は低下するとお考えなのか、逆に、やはり需要は経済の規模にどうしても比例してしまいますので、伸びるとお考えなのか。大まかでも構いませんが、このあたり、長期的な需要の方向性をどのように政府の方で、ベストミックスはまだ出せないという話ですけれども、きちんとした数字じゃなくても構いませんので、需要に関してどのようにお考えなのか。それとも、ないならないで構いませんので、現時点のお話を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 まず省エネを行うということは極めて重要でありまして、今回のエネルギー基本計画におきましても、それぞれの供給としてのエネルギー源の前に、省エネの章、チャプターを立てております。

 心はやはり、まずは使う方、ここでどこまでセーブできるかということ、特にピークコントロールも含めてやっていくことが大切だ、こんなふうに考えております。その上で供給を積み上げる。今までやはり、電力会社の発想というのは、需要は所与のものだ、それに対して供給を積み上げる。こういう発想を変えていくために、さまざまな料金メニューの多様化をしたり、スマートメーターを設置したり、努力していきたい。

 その上で、ここ数年のトレンドというのを見ておりますと、かなり地域によってばらつきが出ております。この一年間、アベノミクスの効果もありまして景気が回復している、こういう地域におきましては、かえって省エネをやっても、それ以上に電力消費が伸びているところもございます。

 また一方、例えば東電の管内は省エネがかなり定着してきておりまして、逆に経済は伸びているんですけれども、それ以上に省エネの効果が出ている、こういう地域もありまして、一概に日本全体として、省エネによってダウンする部分と、経済の成長によって増加する部分、どちらが大きいと見通すのは若干難しい状況にあるのかなと思っております。

 ついでに、先ほどハードロックのことで、神社のつくりを参考にしてと申し上げましたが、正確に申し上げると、神社の鳥居に入れるくさびを応用するという話を言いたかったんですけれども、言葉足らずの部分がございました。

 さらに、先ほど岸本委員の発言の中で、李下に冠を正さずという言葉も申し上げましたが、私は、李園に入ってはいけないという話を申し上げているわけではございません。

丸山委員 きょうの大臣はいつもにも増して饒舌でございまして、お時間が大変気になってくるところなんですけれども。

 ハードロックさんは実は私もお伺いしたことがありまして、非常にすばらしい技術をお持ちだと思いますので、引き続き、地場の産業の応援をよろしくお願いいたします。

 一方で、私は先ほどの話をなるほどなと思って、難しい部分は確かにあると思います。企業さんのお話を伺っていますと、最近、地域によって電気料金の格差もかなり開いてまいりまして、具体的には、北海道の方がかなり安くなったり、一方で関西の方は高いというお話を伺ったりしております。

 そういった意味で、需要は非常に見通しが立ちにくいところではあるんですけれども、一方で、二、三年もかけずベストミックスを出すとおっしゃっているということであれば、需要の方はまさしくそれより先にある程度見通しを立てなければ進まないと思いますので、このあたりは我々維新の会としても注視しておりますけれども、しっかりと取り組んでいただきますよう重ねてお願い申し上げます。

 きょうは、少しお伺いしたいメーンのところがございまして、少しお話はかわってしまうんですけれども、福一の、福島第一原子力発電所の特に凍土壁のお話をお伺いしたくて、規制委員会と東京電力さんに御足労いただきました。

 まず、原子力規制委員会にお伺いしたいんです。

 委員会の検討会でこの凍土壁を、東電さんから認可の申請が来て今検討されているところだと思うんですけれども、報道ベースなんですが、凍土壁をつくることで原子炉建屋の地盤沈下が起きたり、また、地下水の水面の関係の影響で問題があるんじゃないかと。具体的に、資料が足らないということで再度請求されるというふうに報道がございますけれども、このあたり、まず事実ベースなのかどうかということ。

 そして、今の規制委員会のお考えをお伺いしたいので、もちろん、出てきたものに対してきちんとチェックして、問題がなければ速やかに認可されるでしょうし、問題があればもう一回、再度ということでございますけれども、一方で、今回の東電の申請書の内容について、出てきた報道ベースだと、問題があるんじゃないかということで差し戻しているかのように見えるんですけれども、そのあたりの件。

 そして、スケジュール感。もちろん、東電さんも事業をされているので、スケジュールを考えてやっていらっしゃると思うんですけれども、このあたり、規制委として、出てきたからと速やかに通すというわけではないということなんでしょうか。

 このあたり、スケジュール感と中身に関して、御見解をお伺いしたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 私ども規制委員会におきましては、東京電力福島第一原子力発電所の汚染水対策として遮水壁を設置するという計画、これは実施計画で、法律上の計画として今申請がなされております。これを今審査しているという状況でございます。

 先般、これを審査するに当たりまして、有識者、専門家から成ります評価・検討会というものを開催いたしまして、そこで、東京電力、あと資源エネルギー庁も御参加いただいておりましたが、凍土壁の計画概要についていろいろ中身を聴取したところでございます。

 私どもは、あくまでやはり安全の観点から、この対策が大丈夫なものかどうか、こういう観点から審査する、こういう立場のものでございます。特に、私どもで安全上重要と考えておりますのは、凍土壁を設置いたしますと地下水位が当然下がってまいりますが、一方で、建屋の中には汚染水が滞留してございますので、この水位が逆転いたしますと周辺に汚染水が出てしまうおそれがございます。

 したがって、タービン建屋の水位の管理、それから、凍土壁によりまして周りの地下水の水位の管理をどのように技術的にやっていくのか、特に、その考え方のみならず、その技術的な手法、あるいは技術的な裏づけ、こういったものがきちっとしたものであるかどうかを確認していきたいというふうに考えておるところでございます。現在、そういう技術的な詳細につきまして、質問事項というような形で私どもで整理いたしまして、再度、東京電力にそれを提示して、その具体的な中身を聴取して評価、検討していくというようなところでございます。

 スケジュールのお話がございましたけれども、私どもといたしましてはやはり安全の観点からしっかり見ていくということでございますので、必ずしもスケジュールありきではございませんが、一方で、この汚染水対策が大変急がれる問題であるということも重々認識してございますので、そういった中でしっかりと確認していきたいというふうに考えておるところでございます。

丸山委員 東京電力さんにお伺いしたいんですが、この凍土壁の建設に向けて試験ボーリングが既に開始されているというふうに伺っているんですけれども、これは事実かどうかということ。

 そして、認可、もちろん思いどおりにいかない場合もあるとは思うんですけれども、このあたりのスケジュール感につきましても、東電さんの御見解を伺いたいと思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 ボーリング試験につきましては、既に二月から開始しております。目的は、どこまで深く凍土壁を下までおろすかということで、その間の地質であるとか水質であるとか、そうしたものをチェックするということでやらせていただいております。

 それから、これから、山本審議官のお話がありましたように今審査いただいているところでございますが、御存じのように、何分全く初めての凍土壁ということでございますので、当然いろいろ御質問もあろうと思っております、それに対してしっかりお答えしていくということがまず第一だと思っておりますし、実証試験を一方でやらせていただいていますので、そこで結果も出てきております、比較的よい結果が出てきておりますので、そうしたことも含めてしっかりと御説明させていただくということがまずは必要だというふうに思っております。

 最初にスケジュールありきということではないというのは全くおっしゃるとおりで、私どももそう考えておりますが、一方で、水をとめて、なるべく一日四百トンというのをとにかく減らしていこうということも必要だというふうに思っておりますので、とにかくしっかりと御説明していくというふうに考えております。

丸山委員 経済産業省としては、このあたり、どのようにお考えなのか。御担当者の方、よろしくお願いします。

糟谷政府参考人 この凍土遮水壁については、原子力災害対策本部に設置された汚染水処理対策委員会で去年の五月に汚染水の増加を抑えるのに有効な対策とされたものでありまして、去年の九月の原子力災害対策本部決定においても、汚染源に水を近づけない対策の一つとして今後講じるということを決定しております。その後、汚染水処理対策委員会のもとに専門家から成る陸側遮水壁タスクフォースというのを設けまして、ここでさまざまな論点についての検討をしてきております。

 ちなみに、この汚染水処理対策委員会、それからタスクフォースには、原子力規制庁からも規制当局として参加いただいて、規制の観点からの助言等をいただいてきております。

 確かに、四月十八日の監視・評価検討会で、凍土壁をつくることに伴う地盤の沈下とか浮き上がりのリスクはどうか、水位管理が確実にできるか、海側の遮水壁が損傷した場合に汚染水が漏れることはないか、長期に確実に運用できるか、解凍したときにはどうなるか、そういう論点をいただいておりまして、詳細は近く質問事項として東京電力にいただけるというふうに考えております。

 こういう点については先ほどのタスクフォースでもずっと検討してきておりますし、実際に、福島第一原発のサイト内において実証試験をやっております。十メーター四方の凍土壁を実際につくって凍らせるという試験、それから、井戸を掘って水をくみ上げたり、あとは、注水して水位がどう変わるかということを見て、ちゃんと水位コントロールができるということの確認、こういったことをやっておりまして、こういったデータをお示しして、安全面の論点についての懸念を払拭して、御理解をいただいてまいりたいというふうに考えております。

 いずれにしても、福島第一原発の汚染水対策、廃炉については、時間がたてばたつほどリスクが高まるという面がありますので、先ほどの規制庁からの答弁にもありましたように、本当にスピード感を持って対応していかなきゃいけないというふうに考えておりまして、何とか六月の本格着工、本年度中の凍結開始を目指してしっかりと対応していきたいというふうに考えております。

丸山委員 マスコミなんかには、規制庁と経産省、東電さんがやり合っているみたいに書くのもあるんですけれども、私はいい関係だと思います。推進する方と、やはりしっかり見たいという側がないと変な方向になってしまいかねないので、何百億という国家予算を投入する事業でございますので、しっかりとそれぞれの立場でやっていただけますよう強くお願い申し上げます。

 お時間もありますので、適宜、東電さん、規制委員会には御退席いただいても構いません。ありがとうございました。

 引き続き委員会でもこの件をお伺いしていきたいんですが、もう時間がなくなってきましたので、最後に質問したいものがありますので、話題をかえたいと思います。

 文科省で、日本のいわゆるクールジャパンコンテンツといいますか、アニメや漫画、ゲームなどの専門家をASEANに派遣されるというふうなことを伺いました。具体的には、現地の大学や学校で御講義される専門家の方を派遣するということなんですけれども、これがまず事実かどうかという点。

 そして、私はそれを見たときに、大事な点ではあるのでやっていただきたいというのはもちろん思うんですけれども、少し気になるのが、一方で、そういった方を向こうに派遣すると、変な言い方かもしれませんが、日本の持っているテクニカルな、日本だからこそ生み出せるようなものが海外に波及してしまって、逆に、本当に一番やりたい、日本に来てもらうとか、日本のものが売れるというようなものにつながっていかないおそれもあるんじゃないか。そのあたりに関しましてどのようにお考えになるのか、そういうふうにつなげるためにどうすればいいかも含めまして、まず文科省のお話を伺いたいんです。

作花政府参考人 お答え申し上げます。

 先週末にベトナムのフエ市で開催されましたASEANプラス3文化大臣会合におきまして、下村文部科学大臣から、文化分野における今後のASEANとの具体的な協力方針の一つとして、ポップカルチャーの分野の専門人材を派遣するということを提案したところでございます。

 この事業は、ASEAN諸国の教育機関などへ専門人材を派遣し、日本文化あるいはコンテンツ創作の専門技術を学ぶ若者を対象に集中講義などを行うほか、訪日研修等を実施することを内容としています。これにより日本文化への理解が深まり、現地での日本ファンの増大につながることにより、中長期的には日本企業の海外展開に資するものと考えております。

 ただいま委員御指摘の御懸念についても私どもも共有はしておりますが、日本企業が海外展開するに当たっては、ローカライズという言葉に象徴されていますように、やはり現地のパートナーというものの存在が不可欠であると思います。そういう意味で、我が国の企業が現地に事業展開するに当たっての将来の有力なパートナーになるということを期待しているところでございますし、また、この事業により日本文化への関心が深まるごとに訪日される方々も増大するものと期待しているところでございます。

丸山委員 経産省でもクールジャパン機構法を昨年通されまして、現状で動き始めていると思うんですけれども、最後に、このあたりはどうなっているのか、特に一号案件は大体いつぐらいに出るのかどうか。そして、私が先ほど来気にしている、日本製のものをどう売っていくかもそうなんですけれども、来てもらうためにどうするかとか、インバウンドの観点も含めまして、このあたり、クールジャパン機構の最新の状況につきまして、御担当者のお話を伺いたいと思います。

富田政府参考人 クールジャパン機構のお尋ねでございます。

 まず、機構の第一号案件ということでございますけれども、私ども政府といたしましては、成長戦略の一日も早い実現という観点から、可能な限り早いタイミングで案件が組成されるということを期待いたしております。一方で、実際に投資決定を行うという際には、投資案件の熟度、そういったものをしっかり勘案しながら慎重に精査していくという必要もございますので、明確な時期につきましては、この場での発言はちょっと御容赦いただければと思います。

 ただ、機構は昨年十一月に設立されて以降、既に相談案件が百件ぐらい寄せられているというふうに聞いております。

 あくまでも一般論でございますけれども、現段階では、初期の案件として、例えば、現地の放送枠を買い取ってジャパンチャンネルという形で使うといったような事業でございますとか、あるいは、海外の主要都市において日本のファッション、食あるいは生活雑貨などを販売するショッピングモールを整備していくとか、そういったものを想定しながら検討しているというふうに聞いております。

 委員御指摘いただきましたインバウンドでございますが、これも大変重要だと思っております。まずはやはり海外の方々に日本のすぐれた商品、サービスというものを手にとっていただき、またそれをお買い上げいただく。そういった普及が進む中で、日本の生活文化あるいは日本の商品、さらには日本に行ってみたいという方々がどんどんふえてくるということが私どもの期待しているところでございまして、まさに観光庁とも連携しながら、インバウンドにつながるような案件の採択というものを進めるように、大いに指導してまいりたいと思っております。

丸山委員 しっかりやっていただきますようよろしくお願いしまして、私、丸山穂高の質疑を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日は二十分間ということで、大変貴重な時間、よろしくお願いいたします。

 まず一点目ですけれども、ここ二日間ぐらいは、町を歩いていても、非常に物々しい警備が東京じゅういろいろなところに見られる。その理由はもちろん明確でございまして、今晩オバマ大統領がいらっしゃるということで、日米首脳会談が開かれるというタイミングでもあります。本日、最初は、それに関連した質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 いろいろな会社があります。例えば、この経済産業委員会の中にはリクルート出身の委員もいらっしゃいまして、根本委員が恐らくそうだと思いますけれども、どうしてもリクルート出身というと、ビジネスの世界で、何となく鼻が高くて、俺はリクルート出身だみたいな感じで、ベンチャーですとかいろいろ起業みたいなことをやるには非常によいというような、太鼓判というような側面もあろうかというふうに思っております。何を隠そう、私も、しばらくの間リクルートの中に常駐をしたこともございまして、その意味では、一部でもそのDNAを受け継いでいるんじゃないかというふうに思っております。

 それはさておきまして、オバマ政権と安倍政権というものの共通点を探してみました。そうしたら、一つ浮かび上がってきたのは、実は、いずれもマッキンゼー出身の優秀な仲間がいるということなんじゃないかというふうに思っております。オバマ政権の方にはスーザン・ライス大統領補佐官がいらっしゃるということで、今回、TPPに関しても、アジア太平洋地域へのリバランス政策の重要な側面があるということで、TPPを推進するということについて強い意欲をお持ちだというようなことでございます。

 ぜひとも、日本のまさに経済をつかさどっていらっしゃる茂木大臣に、このTPPの重要性と、そして日本の経済への影響について御見解を伺えればと思います。

    〔委員長退席、江田(康)委員長代理着席〕

茂木国務大臣 三谷委員には、きょうもグリーンのネクタイで登場されて、爽やかに質問をありがとうございます。

 自由貿易の拡大、そして経済連携の推進、これは日本の通商政策の柱であります。これからは特に、成長著しいアジア太平洋地域の成長を取り込んでいくことが、まさに日本の成長にもつながっていくと考えております。

 この点、本日来日されるオバマ大統領と安倍総理の間でさまざまな分野について議論が行われると思いますが、その焦点の一つでもありますTPP、これは、物やサービス、投資の自由化はもちろんでありますが、知財であったり金融サービス、電子商取引、環境、国有企業など、さまざまな分野でアジア太平洋地域に二十一世紀の新たな経済統合のルールのまさに土台、ベースをつくっていくものだ、こういう野心的な試みだと思っております。

 我が国企業にとりましても、工業品の関税の撤廃であったりとか、サービス、投資の一層の自由化を初め非常に幅広い分野において、新たなルール整備を通じて日本企業の競争力の強化であったりとか海外市場の獲得につながるものだと考えておりまして、具体的に一点だけ関税について申し上げますと、我が国がTPP十二カ国、相手でいいますと十一カ国ということになるんですが、それに支払っております毎年の関税、これは四千七百億円に上るわけでありまして、輸出企業にとっても、これによって関税が相当下げられるということになりますと、競争力の強化につながっていくのではないかなと思っております。

 また、新しいルールづくりの一環として、先生も御専門の知財の分野でいいますと、各国の税関当局によります水際の執行の強化が実現されれば、日本でつくられる高付加価値の商品であったりとかコンテンツ、これがより適切に海外でも保護されることにつながっていくと考えております。

 さらに、日本のコンビニ、世界で一番ですよ、やはりどう見ても。それがなかなか今の状態でアジアの国々に入っていけない状態というのもあるわけでありまして、コンビニの持っているさまざまなシステムであったりとか商品のラインナップ、こういったものも大いにアジアに展開をできるのではないかな、こんなふうに考えております。

 世界のGDPの四割を占める巨大な経済圏に我が国企業が有利にアクセスをして、また安心して取引できる環境をつくり出すということでありまして、そういった意味からもTPPは非常に大きな意味を持つと思っております。

 現在、まさに二国間でぎりぎりの交渉といったものが続いているところでありまして、引き続き、できる限り早期の妥結に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 我が党としても、TPPをぜひとも早期に妥結していただきたいということで、全力で頑張っていただきたいというふうに思っております。

 それでは、質問の中身に移らせていただきます。まず、クールジャパンについて伺いたいというふうに思います。

 先日、このクールジャパン機構に関して、投資先決定、こういったところに投資するんだというような報道がございました。それに対して、クールジャパン機構のホームページでは、そういう投資決定をしたという事実はございませんとありました。

 海外を見てみると、例えばサンフランシスコにあるジャパンタウンですとか、いわゆる日本人街というものはいろいろなところにあるんですけれども、非常に寂れてしまっている例が多々あるのではないかというふうに思っておりまして、その中で、そういう施設を買って、うまく運営して利益を上げるというのは必ずしも容易ではないというふうに思っております。ただ、今、クールジャパン機構も決まって、進んでいることですから、ぜひとも成功していただきたいというふうに思っております。ですので、この点についてちょっと質問をさせていただきたいというふうに思います。

 あの報道は、まだ決まっているものではないから、その意味では間違えているということは前提であるとしても、今後、投資先を決定するまでのプロセスというものについて改めて確認をさせていただきたいと思います。

富田政府参考人 お答え申し上げます。

 機構の投資決定のプロセスのお尋ねでございます。

 機構におきましては、具体的な投資決定を行うまでに、まずは政策的な意義、そのために設立されたわけでございますので、それを踏まえまして丁寧な案件組成への支援を行う。その上で、これは民間ファンドと同様でございますけれども、投資リスクを適正に把握する、そのための多角的な事前調査、デューデリジェンスでございますけれども、そういったものを行うということでございます。

 その上で、実際の投資判断につきましては、経済産業省が定めております支援基準といったものに基づきまして、具体的には、機構の中の海外需要開拓委員会が政策的意義、収益性、さらには波及効果というような観点から中立的に決定をするということになってございます。

 海外需要開拓委員会につきましては、機構法を踏まえまして、まずは社外取締役を中心に構成をするということ、その運営につきましては、各委員が独立して職務を執行する、出席の過半数の決議で決定をする、それから特別の利害関係を有する委員は議決に加われないといったようなことが決まっておりまして、そういった仕組みのもとで中立公正な投資決定判断を進めていくというふうに承知をいたしております。

    〔江田(康)委員長代理退席、委員長着席〕

三谷委員 一応、念のため伺うんですけれども、そこで言う決定のプロセス、検討の過程というのは、一部でも公開はされるものなんでしょうか。

富田政府参考人 具体的な海外需要開拓委員会の中における議論の詳細を逐一公表するかどうかというのは、個別企業のさまざまな事業活動にもかかわることでございますので、そういったものをそのまま公表するというのは難しゅうございます。

 しかしながら、決定プロセスがいかに公正に行われているかということについて、しっかり国としても監督をしていく必要がございますし、国民の理解を得ていくということも重要でございますので、必要な範囲で最大限の情報開示というものをやっていくという方針をとっておるところでございます。

三谷委員 今、この点を質問させていただいた趣旨は、今回のクールジャパン機構、もちろん政府が出資しているのが大半ではございますけれども、さまざまな民間企業も出資をしているというところですので、お金が民間企業から入っているということになるわけです。これはある意味、いいところもあり、悪いところにもなりかねない。

 どういう形で悪いことになりかねないかというと、お金を出してくれたところを優先的に、そういったところがやろうとしている事業に対して投資先を選ぶというようなことが起きたら、このクールジャパン機構というのは到底国民の理解は得られなくなってしまうということですし、もちろん、そういうようなことではないというふうに思っております。そういう懸念を持たれないような運営をしていただきたいというふうに思っておりますけれども、この点について見解をお願いします。

富田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただいた点は大変重要な点だと思っております。

 利害関係ということでございますけれども、投資先と関係が深い経営陣がいたり、あるいは機構の株主などが利害関係者ということで想定されるわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、こういった利害関係がある者は海外需要開拓委員会における決定には関与できないと法律にしっかりと明記した規定がございますので、法律に従ってしっかりと運営をしていくということで進めてまいりたいというふうに思っております。

三谷委員 その法律の規定は私も存じ上げておりますけれども、それだけで全てが担保できるものではないだろうというふうに思っておりますので、ぜひとも、今後、一号案件、二号案件と進んでいく中での議論のプロセスも含めて、これからしっかりと注視してまいりたい、このように考えております。

 続きまして、福島第一原発の事故に関して質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 本日は、御多忙な中、東京電力の廣瀬社長、そして規制委員会の方にもお越しいただいておりますけれども、先ほどの丸山委員の質問にも絡んだことですので、多少は捨象させていただきます。

 今回、いわゆる凍土遮水壁の計画に関して、規制委員会から今のままでいいんですかというような指摘が入ったということなんですけれども、改めて、これについて東京電力としては今後どう対応していくのかについて簡単にお答えいただきたいと思います。

廣瀬参考人 先生御指摘のように、丸山先生の先ほどの質問にかぶりますけれども、私ども、三月に変更申請をさせていただいて、何分とにかく初めての設備でございますし、いろいろ御質問等々もあろうと思っておりますので、今、監視・評価検討会というところでまさにその審査をしていただいているところでございます。それに対してしっかりお答えして、完全に安全だというふうに御理解をいただいて進めてまいりたいと思っておりますし、先ほども話がございましたように実証試験もやらせていただいておりまして、その結果も踏まえていろいろな知見も出てきておりますので、そうしたものもしっかり御説明させていただきたいというふうに考えておるところでございます。

三谷委員 重ねて一つ質問します。

 そのさまざまの対応については、具体的にどれぐらい時間を要するというふうに東京電力では見られているでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 私ども、中長期ロードマップというのでこれから、汚染水対策も含めて今計画をやっておるところでございますが、そこにのっとれば、六月から遮水壁の工事を始めたいというふうに考えておりますし、来年の三月ぐらいから実際に動かして凍らせていきたいというふうに考えておりますけれども、まずスケジュールありきでなくて、しっかり御説明をして御理解をいただかないと、認可をいただかないといけないというのは当然のことでございますので、今、それに向けてしっかり対応させていただきたいと思っております。

三谷委員 今お答えいただきました、スケジュールありきではなく、もちろん、物が物ですので、中途半端なものをつくられるよりは、しっかりとしたものをつくっていただいて、ちゃんと、地下水を近づけないというようなことをやっていただきたいというふうに思っております。

 この点、先ほどの丸山委員との質疑のやりとりを聞かせていただいたんですけれども、規制委員会でも今しっかりと急ぐんだというような話をされておりましたし、経済産業省においてもスピード感を持ってというような話がされておりました。

 凍土遮水壁という話が突然出てきましたということで、申請を受けたら、それは何か問題じゃないかというふうに指摘をされるんだったらまだわかるんですけれども、凍土遮水壁の話は去年の九月からもうずっと話としてはあるはずでありまして、今もう四月の終わろうとしている段階で、申請を出されたから、そのことによって審査を始めますということで、本当にスピード感を持って急いでやっているのかというふうに考えるかどうか。規制委員会そして経済産業省、いずれからもお答えいただきたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 凍土壁の検討につきましては、資源エネルギー庁で昨年からずっと御検討いただいていることは承知しておりますし、その検討の場には、規制当局の立場から私どもも参画しております。

 それで、凍土壁に関します安全性に係ります懸念については、その検討の場で、文書あるいは口頭という形で意見を提出させていただいているところでございます。したがって、その問題意識は、東京電力にせよ資源エネルギー庁にせよ、私どもと一緒の問題意識は共有をしていただいているというふうに考えております。

 大事なことは、そういう安全に係ります懸念を払拭するための技術的な方策、具体的なものでいえば詳細設計ということになるわけでありますけれども、そういったものがこれからやっと明らかになってくるというのが実態でございます。

 基本的な考え方は私どもも理解をしているところでございますけれども、それを実現するための技術的な裏づけ、データ、そういったものをきちっとそろえていただいて、確かにそうだなということを私どもとしては確認していきたいというふうに考えているところでございます。

 現在、東京電力、それから資源エネルギー庁で実証試験などをやっておられるというふうに聞いてございますので、そういうデータをもとに、技術的な観点からきちっと確認をしていきたいというふうに考えているところでございます。

糟谷政府参考人 汚染水対策、対策を講じるまでに時間がたてばたつほどリスクが高まるというふうに考えております。その意味では急がなければいけません。

 他方で、安全上の懸念についても払拭をするということが必要でありまして、これまでの実証試験で得られたデータ、結果、その辺をしっかりと御説明して、予定どおりの着工につなげていきたいというふうに考えております。

三谷委員 時間も限られているので、この点にもう少し特化して質問をさせていただきます。

 去年の九月からこの話がありました。アイデアを共有していた、懸念も伝えていたという話を今規制委員会からお答えいただきましたけれども、四月十六日なりなんなり、この三月、四月で言われていること、そこで指摘されていることって物すごくレベルが低いなというような感じを正直受けています。

 それは、具体的な、どうやって進めますかということがわからない段階で、いわゆる凍土遮水壁というアイデアをいただいた段階で、こういう問題点があるんじゃないですかというのは当然指摘できる話だと思いますし、その指摘を乗り越えたものを、こういう計画でやっていきますというふうに届けてもらうというようなところまで事前にコミュニケートしてからじゃないと、これは全くもって、言葉は悪いですけれども餓鬼の使いなんですよ。

 だからこそ、本当に早く汚染水対策を進めていくということであれば、どうして、そういう実際上の懸念を共有して、もっともっとそれを乗り越えたような形の申請を出してもらわなかったのかということについて、もう一度規制委員会のお答えをお願いします。

山本政府参考人 安全上に関します懸念といいますか問題点、あるいは規制上の要求のポイントにつきましては、昨年の十月に私ども規制委員会でまず全体的な懸念事項あるいは安全上必要な事項は何かということを議論いたしまして、十月三十日の私どもの検討会でも技術的な検討をさらに加えて、これを公表しているところでございます。したがって、昨年の秋に既に技術的な問題点については公表しております。さらに、その上で検討を加えて、ことしの一月三十一日ですが、同様に私どもの検討会におきまして技術的な要件を具体的に提示いたしまして、それを公表し、伝えているところでございます。

 したがって、申請に当たりましては、昨年の秋からこういう懸念、問題点、課題を示しているところでございまして、それを踏まえた形での申請が行われているというふうに考えているところでございます。

 大事な点は、それを具体的に、単に防ぎますよ、あるいは大丈夫ですよということではなくて、どういう方法で、さらにはその実施方法の技術的な裏づけがきちんとあるものかどうか、これを私ども審査という観点から見ていくものでございますので、そういう技術的な実証データ、根拠を示していただきながら、それをしっかり確認していく、こういう対応を今までしてきているところでございます。

三谷委員 もう時間がないので、一点、確認だけです。

 そういう意味では、懸念は十分に伝えていたけれども、その懸念を払拭するような申請が今回なされなかったというふうに考えているという理解でよろしいでしょうか。

茂木国務大臣 確かに、原子力発電所の施設内におけます安全性の確保、放射能等々の問題につきまして、すぐれて規制委員会におきまして審査を行うということでありますが、凍土壁等々、これは基本的には工学の技術なんですね。これによってどこまでとめられるか、水というものが物理的にどこまでとめられるか、この検証というのが私は一番大切だと思っておりまして、そこがきちんとできた上で、では、それをやるときに、さまざまな放射能の問題であったりとか、安全上問題が出ないかという観点から、規制委員会においてチェックをするという課題であると考えております。

三谷委員 時間になりましたので、以上です。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就です。お疲れさまでございます。

 きょうはちょっと打順が上がりまして六番バッターということで、ヒットを狙えるような質疑をさせていただきたいと思います。

 きょうは法案審議の前ということでありまして、法案そのものよりは、今ある制度でありますとか、ちょっと電力と違う角度からエネルギー分野について少し確認をさせていただきたいと思いますし、また、制度の改善等について一緒に議論させていただきたいと思っております。

 まず、熱の利用という面でございます。

 今回、エネルギー基本計画におきましても、コージェネレーションの推進等は一応は載っているところでありますが、その中身は本当に一般的で、かなり抽象的なものであります。改めて、その意義でありますとか目標でありますとか、それから、現在どのような課題があって、これからそれをどうしていこうかということについてお伺いさせていただきたいと思うので、よろしくお願いいたします。

茂木国務大臣 委員もよく御案内のとおり、我が国におけますエネルギーの多くは、最終的には給湯用であったりとか冷暖房用、熱の形態で消費をされることが多いわけでありますから、自然界から得られる熱であったりとか、工場、家庭から出てくる熱を熱エネルギーとしてそのまま有効利用する、これは極めて効率的なことなんだと思っておりまして、実際に、二〇一三年度の末時点でコージェネレーションが九百八十五万キロワット導入されております。この九百八十五万キロワットというのはかなりの量でありまして、ピーク時の家庭用電力の約一八%に当たるという量が導入されております。

 当省としては、その導入促進を図るために、家庭用の燃料電池システム、いわゆるエネファームを導入支援するための補助金、これは平成二十五年度の補正で二百億を計上いたしております。また、コージェネレーションを含みますエネルギー効率の高い設備導入を促進するための税制などによりまして、積極的に支援を図ってきているところであります。

 コジェネ全体の導入目標をどうしているかということになりますと、当然これはエネルギーミックス全体の問題ともかかわってまいりまして、そこの中で、例えばそれぞれの比率を決めていく中でコジェネというものを導入していくということになってくるんだろうと思っておりますけれども、コジェネを導入するに当たってのコスト上の課題であったりとかさまざまなことについては、既にこれまでの予算措置でも対応してきておりますし、さらなる導入拡大に向けまして支援策も一層検討していきたいと思っております。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 数値を出してくださいということではなくて、ある程度の目標を持っていないと、今回のエネルギー基本計画におきましても、確かにエネファームについてはそれを促進していくということはうたわれているんですが、ではそれをどこまでこれから広げていくのか、またそれをどうやって地域社会に活用していくのかということをしっかりとビジョンとして持っていただきたいと思っております。

 今回の補正でも二百億積まれておりますし、それを今度は拡大するだけじゃなくて、もう少し、熱プラスコジェネという形で実効力を持った使い方というものもぜひ考えていただきたいと思います。

 参考人にちょっとお伺いさせていただきたいんですが、今のエネファームにつきましては、ここで発生された電力が逆潮流できないような仕組みになっていると思いますが、その理由についてお伺いさせていただけますでしょうか。

木村政府参考人 今御指摘のコージェネレーション等からの逆潮流でございますけれども、現行の電気事業法におきましては、これを妨げるような規制措置というのは存在はしておりません。

 したがいまして、こうした逆潮流を認めるかどうかということにつきましては、燃料電池を設置する者と一般電気事業者の間の協議によることとなるというふうに承知をしてございます。

 他方、普及が進んでおります家庭用燃料電池につきましては、現在、逆潮流防止装置というものをつけてございますので、実質問題として、家庭用燃料電池により発電される電気の取引というものが妨げられているという声があることも事実でございます。

 先日決定されましたエネルギー基本計画におきまして、「燃料電池を含むコージェネレーションにより発電される電気の取引の円滑化等の具体化に向けて検討する。」ということで表記がございまして、今後、燃料電池、コジェネの導入促進のためにはどのような施策が適切なのか、検討してまいりたいと考えてございます。

小池(政)委員 実質、今できない状態にあるということで、ここをぜひこれから前向きに検討していただきたいと思います。

 現状、発電についても、一定の需要がないと発電機能がしっかりと活用されないということでありますとか、また、今は停電時も自動停止という状態になっているところでありまして、これはエネファームだけに限ったことではないわけでございますが、結局、停電時に自動停止ということで本来ある電気を活用できないのであれば、スマートグリッドそのもののこれからの可能性というものもかなり低減することになってしまうわけでございます。

 例えば、インバーター等でそれを域内で調整するとかいうことも考えられるわけでございますから、これからの活用に向けて、ぜひその点は前向きに考えていただきたいと思います。

 また、別の制度になりますが、熱を何とか有効活用していこう、熱を利用させるために、熱を発生するような機器の経済性を改善していこうというような制度がありますので、その活用について少しお伺いをさせていただきたいと思います。

 先日、この委員会でも、例えば熱の固定価格買い取り制度はどうだという話がありました。イギリスでやられている制度でありますけれども。ただ、それを考える前に、ちょっと振り返ってみますと、実は日本にはグリーン熱証書という、平成二十一年の四月から進められている制度がございます。

 スキームを見ますと、きょう皆さんにお配りをしております資料、絵が描いてある方になりますけれども、グリーン熱事業者がいまして、ここは、例えばバイオマスでありますとか太陽熱という手法で熱を発生する。真ん中の日本自然エネルギー株式会社というところを通して、認証センターがこの熱を認証して、これはグリーンな発生装置から出たものですよという形でこの証書が発行されるという制度でございます。

 本来は、この証書、この制度を生かしながら、この仕組みの中で自分たちの経済性を改善していくというような取り組みだったかと思いますが、これについて、現状の取り組み、また課題等をお伺いさせていただけますでしょうか。

木村政府参考人 グリーン熱証書でございますが、太陽光あるいはバイオマス、雪氷熱といったところから生み出されます再生可能エネルギー熱の利用の促進のために、その環境価値を評価するものとして平成二十一年に創設されたものでございます。現在までに合計二十七件の熱設備がグリーン熱証書発行対象の設備として認定されてきた、そういう実績がございます。

 グリーン熱証書の購入には、そのままではなかなかインセンティブがつかないということもございますので、グリーン熱証書の購入者が、その購入量相当分をみずからのCO2削減量として、地球温暖化対策推進法に温室効果ガス算定排出量の報告義務というのがございますけれども、これの履行としてそのデータを用いることができるようにする。それから、そのために、グリーン熱証書をCO2削減量に換算するための認証制度を昨年十二月から環境省と共同で開始したところでございます。

 それから、熱証書発行の前提となります熱量の計測にコストがかかるという問題もございまして、この計測費用の削減に向けまして実証等を行ってきたところでございます。

 いずれにいたしましても、CO2削減量に換算できるグリーン熱証書制度自体はまだスタートしたばかりでございますけれども、こうした取り組みを通じて利用拡大を図ってまいりたいと考えてございます。

小池(政)委員 スタートしたばかりということでございますが、そのスタートのダッシュが順調にこれから進んでいけばいいと思うんですが、どうも、スタートをしたはいいけれども、走ることすら今できていないんじゃないかという状態に思えてしまうわけでございます。

 先ほど見ていただきました資料の裏側がグリーン熱証書の認定された設備の一覧になりまして、先ほど二十七とおっしゃっていましたけれども、ことしの三月三十一日現在におきましてはこのような中身ということになっております。

 この一番右、ちょっと見にくいんですが、認定日を見ていただきますと、平成二十一年九月から始まりまして、一番最後は平成二十四年三月なんですね。その後は一件もふえていないということでございます。また、この設備から発生する認証された熱につきましても、年間で見てみると数件ぐらいしかないという状況になっているわけでございます。

 完全にちょっと制度としても、本当にこれで進めていくことができるのかなという心配を持ってしまうわけでございますし、事業者、それから、きのうちょっと役所の方にも聞いたらこの件はほとんど知らなかったということでもありますし、ほとんど認知が広がっていないような感じもいたします。

 今のお話の中で、計測は確かに難しいということはあるかと思いますが、当然それはそもそも想定された取り組みだと思いますし、また、この計測の実証に対して今まで十億ほど予算をつけて実験等を重ねてきているわけでございますから、これは、走り出した以上は、この先続けるのであれば、しっかりと続ける必要があります。

 また、この制度に乗っかって、事業者の方が少ないとはいえこれだけおります、かつ、その中で例えばソニーとは年に八千トンという国内で最大規模の証書を生かした熱の認証等も乗り出したという過去もある中で、果たして、これをなかったことにしてしまうと、こういう人たちが、今度改めて新たな熱の制度を政府がやるとなったときに、もう信用できないということで多分二度と入ってくることはなくなってしまうわけでございますから、現状をしっかりと検証して、これから改善するなり、また改めて仕組みを整えるなりしていただきたいと思います。

 この点について大臣からお伺いさせていただきたいんですが、この仕組みがあるから生かさなきゃいけないということだけではなくて、やはり私は国内にまだまだ賦存しているエネルギーの可能性を生かすことはできると思っております。

 例えば中山間地でありますとバイオマスというのがございます。先日ちょっとお話をさせていただきましたように、それを生かすためには、必ずしも補助金みたいなあめのやり方だけではなくて、例えば託送料金も全て均一化してそれでいいのか、そういう環境があるところには、託送料金も均一化するんじゃなくて、当然負荷がかかるわけですから、少し高くすることによって、自分たちで今度は何か取り組みを行おうというような制度も重要じゃないかという話もさせていただきました。

 また、このような制度があるのであれば、それを生かして地域で今度は熱も自分たちで活用していく、それによって経済性を高めて、だんだんと地域の活性化につなげていくという取り組みが非常に大事だと思っておりますので、ぜひ、この件につきましても大臣の御意見をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 再生可能エネルギー、基本的には分散型の電源ということでありまして、地域でどう使っていくかということを今後大きな課題として考えていかなきゃならないと思っております。

 基本的に、どうしても現段階においてはコストが高いという問題であったりとか、どうそれを違う地域に送るか、その場合の送配電のあり方等々について課題があるわけでありますけれども、委員おっしゃるように、単なる補助金だけではなくて、もっと導入促進に向けたさまざまなスキームというものは考えていく必要があると思いますし、これまであるスキームにしても、常に導入の実績等々、きょうもお示しをいただきましたが、そういったものを見ながら、よりよい制度にどうしたら変わっていくかという観点からの検証が必要だ、このように考えております。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、これから継続して関心を持っていただきたいとともに、やはり市場をつくるというのは大変難しいんだということも認識していただきたいと思います。排出権取引市場もそうですし、このような熱の認証制度というのもそうですし、また、これから活性化しなくてはいけない卸の電力市場ということもそうであります。継続的にそれを検証しながらしっかりと活性化していかなくては、残念ながらその制度に乗っかった人がかえって損をしてしまうということになってしまいますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 ちなみに、この件は、過去五年間の国会の議事録を検索させていただきましたけれども、それでもこのグリーン熱というのは出てこなかったわけでございまして、完全にやはり埋もれていた制度だなということを改めて感じました。

 次に、ちょっと時間もなくなってきましたが、別のテーマで、信用保証制度というものについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 経産省からは、多分この委員会で、中小企業等に関する法案というのが恐らく後半で出てくるかと思いますので、そのときにもう少し詳しくやることになるかとは思いますが、この信用保証制度につきましても、やはり中身をしっかり見ていく必要があるかなと思っております。

 現状の意義と有効性ということを確認するとともに、この中の構造として、やはり信用保証制度によってモラルハザードが起きてしまうんじゃないか。結局、それを代位弁済されることによりまして、責任の所在が曖昧になったり、地方自治体がそもそも全くコミットしていないところに、自分たちが保証したことによって、そのことの責任を結局とらなきゃいけない。

 また、政府側も機関を通してそのスキームの中に入って自分たちの負担をしなくてはいけないにもかかわらず、最初の取り組みのところでしっかり貸付先の信用等を評価しているとは言いがたい中で、かつ、この保証というのが一〇〇%もあったり、他国とかに比べてもかなり高い信用保証がされているわけでございまして、モラルハザードをどうやって防いでいくかという観点が必要だと思うんですが、その点についてお伺いさせていただけますでしょうか。

茂木国務大臣 信用保証制度につきましては、中小企業、小規模事業者が民間の金融機関から資金の調達を受ける上で、大きな役割を果たしてきたと考えております。平成二十四年度末の実績で申し上げますと、中小企業、小規模事業者三百八十五万社の四割に当たります百五十万社が利用しているということであります。

 ただ、この制度は、一〇〇%保証ということですと金融機関は何のリスクもとらなくていいということでありまして、もともとは一〇〇%で始まりましたが、やはりこれは金融機関にもある程度の責任を持ってもらおうということで、平成十九年に、融資額の八〇%について信用保証協会が保証を行い、残りの二〇%は金融機関の負担とする責任共有制度、これを中心とする運用に移行したわけであります。

 ただ、その後、リーマン・ショックが起こりまして、中小企業等にとりましても緊急的に資金的な手当てが必要になるということで、一旦、業種も広げまして、セーフティーネットの保証ということで一〇〇%のものに広げたわけでありますけれども、現在は、通常に戻すような、責任共有の原則に従った運用としているところであります。

 金融機関のモラルハザードというのは防いでいかなくちゃならない。その一方で、中小企業、小規模事業者に対して円滑な資金供給ができなければいけない。この二つのバランスを考えながら、しっかりとした運用をしてまいりたいと考えております。

小池(政)委員 時間になりましたので、その供給先についても、これからまた時間があれば議論させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 廃炉経費を誰が負担するのかということが問われております。

 昨年十月に、電気事業会計規則の改正が行われました。原発の廃止措置の制度を二つの点において変更するもので、一つが発電所設備の減価償却、もう一つが解体引当金に関する見直しであります。

 きょう取り上げるのは発電所設備の減価償却に関してのところですが、廃止措置中も電気事業の一環として事業の用に供される設備について、運転終了後も原子力発電設備に含まれる旨を電気事業会計規則に明確に規定するとあります。

 そこで、経産省にお尋ねします。

 この改正において、廃止措置中も電気事業の一環として事業の用に供される設備というのはどういうものなのか、原子炉の廃止に必要な固定資産とは何なのか、原子炉の運転を廃止した後も維持管理することが必要な固定資産を含むというのは何を指すのか。この点について御説明をいただけますか。

上田政府参考人 昨年十月一日に、電気事業会計規則を改正いたしました。その中で、電気事業固定資産として二つのものが含まれることになったわけでございます。一つは、委員御指摘のとおり、原子炉の廃止に必要な固定資産、もう一つは、原子炉の運転を廃止した後も維持管理することが必要な固定資産でございます。

 最初の、原子炉の廃止に必要な固定資産でございますが、これにつきましては、例えば、燃料取り出しのためのクレーン、あるいは解体時に使用する工具等々が含まれるわけでございます。

 それから、原子炉の運転を廃止した後も維持管理することが必要な固定資産ということにつきましては、平成十九年五月の総合エネルギー調査会電気事業分科会原子力発電投資環境整備小委員会におきましてその一覧というものが示されておりますが、具体的には、例えば、使用済み燃料プールの水温維持等を行う冷却設備や、使用済み燃料プールへの給水設備、あるいは各設備機器に要求される機能を維持するための変圧器等の電源設備、あるいは原子炉格納容器、原子炉容器、蒸気発生器等の放射性物質の外部への漏えいを防止するための障壁の機能を有する設備等々のものがこれに該当すると考えております。

塩川委員 次に、この廃止措置においては、事故を起こした原子炉も対象としているのか。その点で、事故炉の廃止措置に向けて新たに取得する設備というのは具体的にはどういうものを考えているのか。御説明いただけますか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御指摘は、事故を起こした原子炉というものも廃止措置に含まれるのか、新たに取得する設備はどんなものかという御質問でございました。

 先ほど申し上げましたように、原子炉の廃止に必要な固定資産、それから原子炉の運転を廃止した後も維持管理することが必要な固定資産として、減価償却費を料金原価に含み得るということとした設備でございますが、これには、通常に運転を廃止した原子炉に係る設備のみならず、事故炉に係る設備も対象に含まれると考えております。

 平成二十五年九月に取りまとめました廃炉に係る会計制度検証ワーキンググループの報告書におきましては、今回の見直しにより、例えば東京電力の場合、制度改正前までの引き当てにおいて見積もられた設備のほかに事故炉の廃止措置に向けて新たに設備の取得が必要となる場合には、この減価償却費が追加的に原価算入され得るということでございます。

 事故炉の廃止措置に向けて新たに取得する設備の具体例ということでございますが、これは、現状、東京電力のこの事故の話がございます。

 御案内のとおり、東京電力は、福島第一原発の一号機から四号機までの廃止措置の費用といたしまして、昨年十月までに合理的な見積もりが可能であった範囲内で、これまで九千六百八十九億円を費用計上しているわけでございますが、これは既にもう引き当てているわけでございまして、これらの引当金を取り崩して設備を取得したとしても、これらは料金原価ということにはならないわけでございます。

 事故炉の廃止措置に向けて新たに今後取得する設備ということでございますが、今申し上げました、費用計上いたしております九千六百八十九億円以外の設備というものでありまして、例えば、今後増設される予定になっております多核種除去設備、ALPSといったものや、あるいはフランジ式のタンクであって、今の九千六百八十九億円に入っていなかった部分等々が想定される、こういうことでございます。

塩川委員 通常の廃炉だけではなくて事故炉も対象になるということと、あわせて、特損で処理しました九千六百八十九億円を超えて費用が出た場合についても、ALPSの増設や、あるいはフランジ式のタンクの増設などがこの九千六百八十九億円を超えて費用として出た場合には対象となり得るという話であります。

 要は、この会計規則の変更を議論しました廃炉会計制度検証ワーキンググループでは、事故を起こした原子炉かどうかにかかわらず、原子力を利用して電気の供給を行うに当たっては、運転終了後も長期にわたる廃止措置が着実に行われることが大前提と、通常廃炉と事故炉を区別せず議論がなされているわけであります。

 もう一つお尋ねします。こんなことがあってはなりませんけれども、今後、原発事故が発生するようなことがあったら、その事故炉の廃炉の費用というのも対象になるという考えでしょうか。

上田政府参考人 委員御指摘のとおり、また先ほども申し上げましたけれども、事故炉につきましては、廃炉に関する会計制度検証ワーキンググループの検討の結果も踏まえまして、まず第一に、運転終了後も長期にわたる廃止措置が着実に行われるということが電気の供給を行うための大前提であるといったこと、それから二番目に、廃止措置中も電気事業の一環として事業の用に供される設備につきましてはそういうふうな形で使用している実態があるということから、運転終了となる原因いかんにかかわらず、廃止措置に向けて新たに設備の取得が必要となる場合には、その設備の減価償却費というものを料金原価に含め得るということにしたものでございます。

塩川委員 今後事故が起こるようなことがあった場合でもそれは対象となり得るという話で、これはやはり、電気料金のそもそもの原則を考えたときに、こういうことでいいのかということが問われてまいります。

 電気料金は原価主義の原則、公正報酬の原則、公平の原則をもって定められるというのが電気事業法の規定でありまして、電気料金は能率的な経営のもとにおける適正な原価でなければならない、このことが電気事業法の十九条二項一号で定められております。

 今回の会計規則の改正に当たって、この十九条二項一号に基づいてどんな議論が行われたんですか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 廃炉に係る会計制度検証ワーキンググループの議論というものの中で、具体的には、事故炉の廃止措置に向けて新たに取得する設備の減価償却費計上ということにつきまして、仮に今後、原子炉設置者である電力会社が事故を起こしたとしても、廃止措置に係る費用については料金で回収することが可能となることによってモラルハザードが引き起こされることがあってはならないといったような御指摘がございました。

 他方で、廃炉が確実に行われると安心して見ていられるからこそ発電が行えるのであって、発電と廃炉を一体の事業と見るべきであるといったような議論もございました。

 こうした議論を踏まえまして、御案内のとおり、最終的な報告書では、運転終了となる原因のいかんにかかわらず発電、廃炉は一体の事業と見ることができるとされたわけでございまして、したがいまして、事故炉であったとしても、廃炉に向けて活用される設備につきましては、その減価償却費を料金原価に含め得るということとしたわけでございます。

塩川委員 いや、電気事業法の十九条二項一号に即した議論が行われたのか、あったのか、なかったのか、その確認なんですけれども。

上田政府参考人 これは議事録が公開されておるわけでございますけれども、その議事録によると、十九条の一条が云々ということよりも、今申し上げましたような、事故炉の話につきまして、事故を起こしても最終的に事業者は料金で助けてもらえる印象につながるようであれば嫌だなと思っておりまして、そういうふうな印象にならないようにしてほしい等々の議論があったと承知しております。

塩川委員 十九条二項一号に即した議論というのはないんですよ。議論が行われておりません。

 大臣にお尋ねします。

 能率的な経営のもとにおける適正な原価ということが、電気事業法で定める電気料金の定め方の基本の一つであるわけです。そういったときに、事故を起こすような経営そのものが能率的な経営なのか、このことが問われていると思うんですが、その点ではいかがですか。

茂木国務大臣 能率と事故に直接相当因果関係があるということはどう考えてもあり得ない、常識的に考えて私はそうであると思っております。では、能率だけを追求すれば事故の発生確率が減っていくか。全く逆の方向に行くんじゃないかな、私はこんなふうに考えております。

 その上で申し上げますと、事故炉の運転終了の原因にかかわらず、先ほど来政府参考人から答弁させていただきますように、廃炉に向けて活用される新たな設備の費用も見るということでありますけれども、これは、電気料金の改定を行わない限り料金原価に算入することはできないわけであります。

 その際、電気料金は、電気事業法十九条二項一号に沿いまして、能率的な経営のもとにおける適正な原価に適正な利潤を加えたものであることが認可基準として規定されているために、仮に電気料金の値上げ申請があった場合には、事故炉の廃炉に係る費用についても、能率的な経営のもとにおける適正な原価として認められるかどうか、厳正な審査を行うことは当然のことであります。

塩川委員 厳正な審査を行う前提の規則が改正されているわけで、そこのところが問われているわけです。通常の廃炉と事故炉の廃炉というのを同列に扱っていいのかということが問われているわけです。

 その点につきますと、十九条二項一号に基づく議論というのは、その前の年に、平成二十四年七月の東電の供給約款変更認可申請に係る査定方針においては、その過程の中での議論が行われているわけですね。この査定方針においては、事故直後に特別損失として認識し処理した費用については、このときは約九千億円ですけれども、料金原価に含まれることはない、また、これ以外に新たに必要となる経費のうち、資本的支出、設備投資が生じた場合、原価にも算入されないと。こういう考え方に立って、原価から除外すべき、こういうことが査定方針の中で明らかにされたわけであります。それは、議論の中で、十九条二項一号に即した議論が行われていたからであります。

 二〇一二年五月二十九日の第三回総合資源エネルギー調査会総合部会の電気料金審査専門委員会におきましては、公認会計士の永田委員が、費用の原価性を認めるに当たっては、これは電気事業法十九条二項一号に書かれている料金が能率的な経営のもとにおける適正な原価であるかどうか、なおかつ、国民が認めるかどうかというのが重要なポイントだ、特損処理した九千一億円についてはまさしく非効率的な状況、経営環境の中で起こっており、非効率的な経営状況のコストであるので、当然として、これは原価算入は認められないと。

 こういう議論のもとで、原価算入を認める費用はプラントの安定状態維持継続に係る経常費用に厳に限ると、設備投資分を電気料金に上乗せすることを認めていなかったわけで、こここそやはり議論の土台であるわけで、それをこの問題についての議論もなしにひっくり返すということ自身の方が大問題じゃないですか。

 私は、そもそも、事故炉の廃炉経費を料金原価に含めるというのがこの電気事業法の十九条二項一号の規定を超えているんじゃないのか、そういうふうに率直に思いますが、大臣、いかがですか。

茂木国務大臣 御指摘の九千六百八十九億円は既に計上済みでありまして、この範囲で支出される費用につきましては、現在の東京電力の料金原価に含まれておりません。

 また、今後新たに発生する設備費用についても、先ほども答弁申し上げましたように、電気料金の改定によらなければ料金原価に反映させられないわけでありまして、そこのところは厳正な審査を電気事業法に基づいて行っていくということであります。

 恐らく、認識が違うのは、能率的な経営を行う、これは、できる限り電気料金を抑えるという観点から行うわけでありまして、先生がおっしゃるように、能率的な経営をすれば事故が防げるという問題では全くない。では、能率だけを追求していったときに原発の安全性が保てるか、私は違うと思います。

塩川委員 電気料金に転嫁するという問題だから大問題なんですよ。事故を起こした東電の責任、負担、これを曖昧にした形で電気料金に上乗せをするような中身になっているということが問われているわけで、そのときに、事故を起こすような経営そのものが問われているわけです。

 だからこそ、ここにも挙げてあるような、平成二十四年七月の査定方針における、その前の過程の議論の中で、封じ込めのランニングコストそのものを電気料金に転嫁するかどうか、これ自身も議論が必要だと思いますけれども、さらなる設備投資をするものについては切り分けて、電気料金の原価には認めないという整理を行った議論の中にこの能率の原則を取り上げて議論を行っているわけですから、それをひっくり返すようなことについて何の議論もなしに改定を行うということが、そもそも、規則でやるような、省令でやるような話じゃないんじゃないのかということが問われているんじゃありませんか。

茂木国務大臣 安全性を重視した経営を行ってもらわなきゃなりません。それが事故を起こさないことにつながっていく、重層的な対策をとらなければいけない。一方で、能率的な経営を行う、これによりまして国民負担をできる限り抑え、料金原価も抑える。両方のことをやらなければいけないと思っておりますが、能率的な経営イコール安全性の向上につながるものではない。何度も申し上げているとおりです。

塩川委員 では、もう一度聞きますけれども、査定方針のときに、設備投資分を電気料金に上乗せしないということを整理した、その議論の中にこの十九条二項一号があったわけですけれども、それをひっくり返すような議論が行われたんですか。

上田政府参考人 前回の東京電力の値上げの際に、平成二十四年七月におきまして私どもの方から、東京電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針、委員御指摘のものをお示しさせていただいたわけでございますが、その後、一つは、平成二十四年九月に施行されました新たな改正炉規制法というものがございまして、これによりまして、災害の発生した原子力施設は当該施設の状況に応じた適切な方法により管理を行う等々、いわゆるバックフィットも含む新しい規制というのが施行されたわけでございます。

 そういった状況も踏まえまして、去年の六月でございますけれども、こういったバックフィットの規制の導入を初めとする新たな規制の展開、それから、運転終了後も一定期間にわたって放射性物質の安全管理が必要という廃炉の実態、こういうものを踏まえまして、廃炉に関する現行の会計制度というものについて再度検証するということで、先ほど申し上げました廃炉会計に関するワーキンググループというものを設けて検討し、今のような結論に至ったということでございます。

塩川委員 通常の廃炉経費の費用負担について、解体引当金の見直しですとか、あるいは廃炉経費についての減価償却に関しての、通常の廃炉についての手続の見直しというのはあるでしょう。

 しかし、事故炉というのを同列で扱うということ自身が、この東電と、ひいてはさらに政府、経済産業省の責任が問われる問題でもありますし、費用負担の問題を棚上げして、電気料金という形で利用者、国民に負担を転嫁するというやり方というのは認められないということを申し上げなければいけないし、こういったことを省令改正で、役所の中で決めて、さあ行きましょう、こういう決め方自身も大問題だ、国民の理解は得られないということを強く申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

富田委員長 次に、内閣提出、電気事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。茂木経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 電気事業法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

茂木国務大臣 電気事業法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 東日本大震災以降、我が国が直面している新たなエネルギー制約を克服し、現在及び将来の国民生活に責任あるエネルギー政策を構築するためには、電気の安定供給の確保、電気料金の最大限の抑制、需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大を目的とし、広域系統運用の拡大、小売及び発電の全面自由化、法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保を改革の三本柱とする電力システム改革を着実に実施していくことが極めて重要であります。

 このため、まず、三本柱の一つである広域系統運用の拡大などを実現することによって電気の安定供給の確保に万全を期すとともに、具体的な実施時期を含む電力システム改革の全体像を法律上明らかにする改革プログラムを附則で定めた電気事業法改正法案を昨年の国会に提出し、昨年十一月に成立したところであります。

 今回提出させていただいた本法律案は、改革プログラムに基づき、電気の小売業への参入の全面自由化を平成二十八年を目途に実施するために必要な措置を講ずるものであります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 まず、電気事業法の改正に関するものであります。

 第一に、現行の電気事業法においては、一般電気事業者のみが家庭等に対する電気の供給を行うことが可能とされておりますが、今後は、経済産業大臣の登録を受けた小売電気事業者であれば、家庭等を含めた全ての需要家に対する電気の供給を行うことができることとし、これに伴い、一般電気事業を初めとする現行の電気事業法における事業類型を見直します。

 第二に、小売全面自由化を実施した後も電気の安定供給の確保に万全を期すため、現在の一般電気事業者の送配電部門に当たる一般送配電事業者に対しては、電圧及び周波数を維持する義務、どの小売電気事業者からも電気の供給を受けることができない需要家に対する電気の供給を最終的に保障する義務、離島における需要家が離島以外の地域と同程度の料金水準で電気の供給を受けることを保障する義務などを課すことといたします。

 一方、これらの義務を着実に履行できるよう、一般送配電事業者に対しては、料金制度により、必要な費用を送配電ネットワークの利用料金から回収することを制度的に担保することとしております。

 また、小売電気事業者に対しては、契約により供給する相手方の需要に応ずるために必要な供給力を確保することを義務づけるとともに、我が国全体で供給力が不足すると見込まれる場合に備えて、広域的運営推進機関が、発電設備の建設に係る入札など、発電設備の建設を促進するための業務を行えることといたします。

 第三に、需要家保護を徹底するため、小売電気事業者に対しては、需要家に対する料金その他の供給条件の説明義務などを課すとともに、現在の一般電気事業者の小売部門に対しては、当分の間、経過措置として、料金規制を継続することとしております。

 第四に、小売全面自由化を実施した後は、電力の卸取引の重要性が高まることが想定されることから、卸電力取引所を電気事業法において位置づけるとともに、商品先物取引法を改正し、電力の先物取引に係る制度の整備を行います。

 加えて、電気事業に係る事業類型の見直しに伴い、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法などの関係法律について、所要の改正を行います。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

富田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十五日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


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