衆議院

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第25号 平成27年7月1日(水曜日)

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平成二十七年七月一日(水曜日)

    午後二時十一分開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 鈴木 淳司君

   理事 田中 良生君 理事 三原 朝彦君

   理事 八木 哲也君 理事 中根 康浩君

   理事 鈴木 義弘君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      石川 昭政君    岡下 昌平君

      梶山 弘志君    勝俣 孝明君

      神山 佐市君    黄川田仁志君

      工藤 彰三君    今野 智博君

      塩谷  立君    白石  徹君

      関  芳弘君    武村 展英君

      冨樫 博之君    野中  厚君

      福田 達夫君    宮内 秀樹君

      簗  和生君    若宮 健嗣君

      神山 洋介君    近藤 洋介君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      渡辺  周君    落合 貴之君

      木下 智彦君    國重  徹君

      藤野 保史君    真島 省三君

      野間  健君

    …………………………………

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            佐藤 悦緒君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月一日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     工藤 彰三君

  佐々木 紀君     今野 智博君

  細田 健一君     宮内 秀樹君

  宮崎 政久君     簗  和生君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     大見  正君

  今野 智博君     佐々木 紀君

  宮内 秀樹君     細田 健一君

  簗  和生君     宮崎 政久君

    ―――――――――――――

七月一日

 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君、中小企業庁長官北川慎介君及び中小企業庁事業環境部長佐藤悦緒君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 この数日、どの政党に所属しておられる方々も、国会に対する不信の声を地元でお聞きになっておられるんじゃないでしょうか。

 言論封殺、言論統制ではないか、民主主義の根底を覆す、揺るがすような極めて信じがたい、国会議員の資質が問われる発言ではないかと言われているのが、六月二十五日、安倍総理の応援団と言われる自民党若手の勉強会、自民党文化芸術懇話会が自民党の本部で行われた、ここには政府高官である加藤官房副長官や萩生田総裁特別補佐も出席をしておられたという席でありますけれども、この勉強会において出席議員から、安保法案に関して、マスコミを懲らしめるためには広告収入がなくなるのが一番、文化人が経団連に働きかけてほしい。とんでもない発言が自民党本部で交わされていたということであります。

 大臣、まずお尋ねいたしますけれども、この件に関して、国民から何が批判されているとお思いになられますか。

宮沢国務大臣 党の非公式の会合での話のようでございますので、政府の一員としてコメントするのは差し控えた方がいいと思っておりますけれども、今の御質問ということであれば、やはり報道の自由といったものが、今御質問にありましたように、民主主義にとってはまさに必要不可欠、大変大事なものである、それを脅かすような発言があったということに対して批判の目が向けられている、こういうことだろうというふうに思っております。

中根(康)委員 そのとおりだと思います。

 それで、自民党は、この懇話会で不適切な発言をされた三人の議員を、一人は一年間の役職停止、三人は厳重注意という処分を決めたわけでありますけれども、この処分はなぜ行われた、なぜ厳重注意あるいは役職停止という処分が下されたのかということについては、大臣はどのようにお考えですか。

宮沢国務大臣 党で行われたことでございまして、私は、どうして行われたかという理由についてはつまびらかにしておりません。

中根(康)委員 私は、つまりは、国民の皆様がとんでもない発言であるというふうにあきれ返っているその理由、それは、今大臣が御答弁をされた、民主主義の根底を覆すような、表現の自由、報道の自由を否定するかのような発言であったということであると思います。

 他方で、自民党が四人の議員に処分を下したのは、マスコミがうるさいから圧力をかけて黙らせよう、こういう自民党の本質あるいは本音というものをばらしてしまったことがいけないということに対する処分ではないか、ここに自民党の本質と国民の常識的な感覚とのずれがあるのではないかというような気がいたしているところでございます。

 それで、大臣、これは何らかの成功体験があって、経団連などに働きかけてほしいというような発言になったんじゃないかということなんです。

 これは、六月二十七日土曜日の朝日新聞の報道によるということになりますけれども、処分をされた一人の井上貴博議員は、福岡の青年会議所理事長のとき、マスコミをたたいたことがある、広告の提供にならないことが一番こたえると。つまり、福岡の青年会議所理事長のときにマスコミをたたいたことがあって、それで何かうまくいったことがあるから、今度、国会議員になっても同じようなことをしてやろうというような、過去の成功体験を今度国会で応用していこう、こういう思惑で発言をされたということにもなるかもしれません。

 やはり、経団連なり日商なり、こういう会員の方々からしてみれば、経済産業省を初めとする政府、あるいは巨大与党である自民党の議員の皆様方からこういう発言がなされたということだけで、今後広告を出すことに対して萎縮をしてしまいかねないということにもなるわけでありますので、ぜひ大臣、今後、経済産業大臣としては、もう一切そのようなことは許されないことである、とんでもない考え違いであるということを、経済界あるいは事業主、企業家の方々にこの経済産業委員会を通して発信していただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 私は、自民党の役職には当然ついておりませんが、自民党員ではございます。そして、自民党は今御質問になりましたような党ではないということはよく知っております。

 また、青年会議所云々というお話がございましたけれども、マスコミの報道というものが常に正しいわけではない。そういう中で、一青年会議所がどう行動されたかということは、それぞれのお考えの上でされたことだろうというふうに思っております。

 そして、私自身が、経産大臣の立場として報道の自由をまさに脅かすような発言をする考えもございませんし、そうした行動をとる考えも一切ございません。

中根(康)委員 ぜひ、経済産業を所管する大臣として、政府として、あるいは与党として、そのようなことは決してこれからしないし、また経済界においてもそういう圧力に屈することのないようにしていただきたいと、本当はここでメッセージを力強く発信していただきたかったところでございますが、若干弱目の御答弁であったような気がいたします。

 また今後、今後といいますか、場合によっては何らかの形で、経済産業省の名前でやっても正確な答えは出てこないのかもしれませんけれども、これまで、これは民主党政権のことも含めて、政府あるいは与党から何らかの、今回のように、広告を控えるようにというような圧力を経験したことがあるかどうかというようなアンケート調査を行っていただきたいというようにも思うわけでありますけれども、これはいかがでしょうか。

宮沢国務大臣 アンケート調査をしても、その結果を我が省としてどう使うかということがなかなか頭に浮かばないものでございますから、アンケート調査はしない方がいいんだろうと思っております。

中根(康)委員 いずれにいたしましても、今回の自民党の懇話会、勉強会における発言は大変不見識な発言であったと言わざるを得ませんし、処分をされた一人の大西議員さんという方、僕は直接の面識はありませんけれども、懲りずにまたきのう、何かマスコミに圧力をかけるというか、広告を引き揚げるのは当たり前だというような発言をされておられるというのは、これは一体、自民党の幹部の方がなめられているのか、あるいは、ある意味、そういう発言を何らかの意図を持ってやらせているのかという気がしないでもないような、とんでもない不見識が重ねてなされているということに対して厳重に抗議をしておきたいと思います。

 それと、六月二十六日、これも新聞報道によるということなんですけれども、経済産業省は、来年四月に電力の小売が全面自由化された際に、再生可能エネルギーを販売するときの規制についての議論を始めたとありました。その議論の中で、FIT制度を使った電気について、地産地消という宣伝文句は認めるけれども、環境に優しいとうたうことは禁止するという考え方を示したというふうに報道されているわけであります。

 私は、再生可能エネルギーが環境に優しいと表現するのは決して不適切なものではないような気がいたしますけれども、なぜ経済産業省としてはFIT制度を使った電気について、環境に優しいということを禁止するお考えをお持ちなのか、伺いたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの件は、私どもが現在パブリックコメントをしているものでございます。

 私どもの考え方を簡単に御説明させていただきますと、コストが高くても再生可能エネルギーの電気を使いたい、こういった需要家の方々がおられると思います。そういった需要家のニーズに対しまして、固定価格買い取り制度、FIT制度でございますが、FIT制度による交付金を受けないで実際に高いコストを支払って再生可能エネルギー電気を調達した小売電気事業者、こうした方々が需要家の方々に対して、これは環境に優しいですというふうに環境価値を訴えて、こういった販売をすることは自由であるかというふうに考えております。

 他方で、小売電気事業者の方々が、FIT制度という、全国民から徴収しました賦課金を元手にして原資とした交付金で費用補填を受けて、そうした事業者がそれを電気として売るときに、これは環境価値であります、高いですというふうに申し上げてそれをやるというのはよろしくないのではないかと思っております。

 つまり、全国民から集めました賦課金をもとにした費用補填を受けている、この時点で環境価値というものは、全ての需要家の方々がひとしく、薄く広く、もうそこで負担をされている、帰属している、こういうことであります。

 したがって、小売電気事業者は、費用補填を受けた段階で、この電気は環境価値がありますということを訴えて売るということはよろしくない、こういうふうに考えているわけでございます。環境に優しいと先生おっしゃっていただきましたが、グリーン電力とかいろいろな言い方があるかと思いますが、小売電気事業者が、環境価値を有する電気であるかのように需要家に訴えて電気を売るというのは適切ではない。

 これを言いかえますと、FIT制度で費用補填を受けた段階で、その電気はいろいろな電気がもうまざっているということになっているわけでありまして、それでCO2フリーであるとか環境に優しいというふうに言うのは、それはちょっと違う、こういう考え方に基づくわけでございます。

 そのような考え方で今検討をしているということでございます。

中根(康)委員 なるほどというような感じもしますし、納得できないような感じもします。きょうは時間がありませんので、また引き続き、これは勉強させていただきたいと思います。

 再生可能エネルギーが環境に優しいということは間違いないことだろうと思いますので、FIT制度を使ったものについてはこれをうたい文句にしてはいけない、こういうことだろうと思いますが、何かここに、再生可能エネルギーが環境に優しくないというふうに疑われかねないような規制というようなことになってしまってはいけないと僕は思うんですけれども、もう少しいい知恵はないものかなと思います。

 最後に、法案について一つだけ触れたいと思います。

 今回の改正法案、官公需法による創業十年未満の新規中小企業者への配慮としての調達と、それから既に制定されている障害者優先調達法による障害者就労施設からの調達、これをそれぞれ伸ばしていかなければいけない、ふやしていってほしいということでございます。これがお互いに食い合うようなことになってはいけないし、できればそれぞれの特性、それぞれのよさを生かした調達の仕方として配慮してほしい。

 つまりは、障害者からの調達ということであれば障害者らしい分野で、十年未満の新規中小企業者ということであれば、これは最新の技術を持ったとか、独自の技術を持ったとか、そういったものを生かしていく、こういうような計画を立ててほしいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

関大臣政務官 中根議員おっしゃるとおりで、それぞれ法律があるということは、それぞれの法律の趣旨がありまして、大切な内容だという意識で取り組んでいこうと思っております。

 改正官公需法の方では、各省各庁の長が、毎年度、中小企業、小規模事業者の受注機会の増大の目的のために、中小企業、小規模事業者からの調達目標を盛り込んだ契約方針を策定しますし、一方、障害者優先調達推進法に基づいた障害者就労施設の調達目標等を、しっかりと意見を酌んだ調達方針を、そちらの方はそちらの法律でまたしっかりとつくっていこう。

 これは、方針がそれぞれ相矛盾することなく、適切に、緊密なまた連絡、情報提供等を受けながら、相談しながら、双方の法律をしっかりと生かしていくように努力してまいります。

中根(康)委員 ぜひ、今の政務官の御答弁のような形で推進されていく、調達がふえていくということを期待いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 この法案につきましては、私たち日本共産党も賛成の立場で臨んでおります。

 その上で、きょうは、地方公共団体における官公需の重要性と、それを応援していく国の姿勢のあり方といいますか、そういったものを質問させていただきたいと思っております。

 資料をお配りさせていただいておりますが、一枚目は、ちょっと字が小さくて恐縮なんですけれども、国交省の資料でありまして、インフラの施設、さまざまあるものが今後どれぐらい老朽化していくかというのを示した表でありまして、真ん中のちょっと字が大きくなっている部分、三月現在のものが左、それで十年後、二十年後というふうになっております。

 三月現在でいいますと、五十年たっているものというのはそれほど多くなくて、三%とか一〇パーとか、それが大宗を占めているわけですけれども、十年たち、二十年たちますと、これがやはり大宗を占めてくる、六五%とか八〇%とか九〇%というふうになってくる。身近な公園やあるいは橋、道路といったものを含めて、やはり身近なインフラというものがこれから維持補修を必要としてくる、これはもう皆さん本当に御承知のことだというふうに思います。

 私、大事だと思いますのは、地元を回ってもそうなんですけれども、これだけあって大変だということではなくて、こういった仕事が地元にあって、維持補修を必要とされている。これはそれほど大規模な工事でもありませんし、ある意味、地元の業者が担い得る業種といいますかレベルの仕事でもあるということで、仕事量としてもたくさんあるし、担い手としての地元の業者というものがそういうものを担い得るという点でも、うまくやれば一石二鳥になり得る分野ではないかというのが一つ目の趣旨であります。

 具体的な実例としてきょう御紹介させていただきたいのが、各地、ほとんどの都道府県に広がっております小規模工事契約希望者登録制度というのがあります。これは小規模な工事ですね、幼稚園だとか小学校のトイレの改修だとか、あるいは学校のフェンスの塗装だとか、本当に小規模な工事をやりたいという人をあらかじめ登録、お願いしておいて、自治体の発注の際にそこに割り振っていくという制度でありまして、これは本当に各地で大好評という状況です。

 全国商工団体連合会の調査によりますと、若干古いんですけれども、二〇〇九年段階で、全国四十六都道府県四百十一自治体で実施されております。ですから、二〇一五年段階ではもっとふえているというふうに思うんですね。それだけやはりニーズの高い事業だと思っております。

 最近は、これにさらに工夫を加えて、まちづくりとセットでやっているという自治体もありまして、私は北陸信越ブロック選出なんですが、その一つであります新潟県聖籠町というところ、ちょっと北の方にあるんですが、ここは二〇〇三年に、今から十年以上前に、今紹介した小規模工事契約希望者登録制度をつくったんです。

 その後、これはなかなかいいということで、少したってから、実態調査を町内の四百事業所全てにやりまして、さらなる要望はないですかということで、ほとんど悉皆調査、全事業所調査のようなことをやりまして、返ってきた声というのが、家とセットで事業をやられているところが多いということで、宅地の助成とか、そういうものに使える助成金というのができたらありがたいという声がありまして、町として、宅地の購入費の二〇%を補助する制度というのをことし二月につくりまして、これも相まって大好評ということになっております。

 つまり、小規模企業というのは、町長さんのお話、渡辺広吉町長さんという方なんですが、この方は、小規模企業の集積はまちづくりの重要な基盤だ、こういう考え方をおっしゃいまして、大企業誘致だけに頼らないまちづくりのためにも、さらにこうした施策を充実させたいという旨おっしゃっていて、私もなるほどなというふうに思ったんです。

 こういう官公需、小規模工事を支援していくということが、経済産業的な支援というやり方もあると思うんですが、まちづくりという視点からもやはり非常に大きな役割を果たす可能性があるんだなというふうに勉強させていただきました。

 その点で大臣にお聞きしたいんですけれども、こうした自治体のさまざまな取り組みが、官公需をめぐっても、それからさらに、それにプラスされる形でも広がっている。私は、こうした自治体の取り組みに学んで、それを国として応援していくことが今非常に大事になっていると思うんですが、この点での大臣の御認識を伺えればと思います。

宮沢国務大臣 今お話にありましたように、今は公共事業関係のお話が主だったわけですけれども、やはり地域の、まさに中小・小規模事業者を育てていくということはいろいろな意味で大変大事でありまして、特に公共事業関係でありますと、例えば災害が起こったときの、防災協定を結んでしっかり対応してくれる、最後のとりでの役割をしてくれる等々といったことで、大変大事であります。

 そして一方で、国のもちろん官公需も大事でありますけれども、地方の方がまだ大きいわけでありまして、地方で、まさに官公需に地域の小規模事業者また中小事業者がどんどん入っていくという環境を整えていくということは大変大事であります。そして、今おっしゃいましたように、各地でそれぞれ知恵を出してくださっている。そして、その知恵を横展開していくということはまた大変大事だろうと思っております。

 これまでも、自治体における中小企業、小規模事業者の受注機会の拡大に関する事例集の取りまとめを行ったり、また、取りまとめた事例集をホームページ上で公表するとともに、全ての都道府県において、都道府県や市町村の発注担当者に対して紹介をしてきております。都道府県知事、全市町村長宛てに、経済産業大臣名の文書で国等の契約の方針に準じた取り組みを求めておりますけれども、この契約の方針におきまして、地方自治体の官公需施策に資するものとして事例集を明確に位置づけて参考にしてほしい、こういうことをこれまでやってきたところであります。

藤野委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたように、発注事例集を私も見せていただきまして、やはりなかなか参考になると思いました。

 私が今紹介した小規模工事登録制度も、北海道恵庭市と東京都調布市のものが紹介されております。それをネットにまとめた官公需情報ポータルサイトというのも私も見せていただきました。なかなか使い勝手がいいといいますか、都道府県ごとに、初め、ぱっと見たときはちょっとわからなかったんですけれども、下に行きますと都道府県がありまして、例えば長野とか新潟を押しますとそこのまた市町村がばっと出てきて、そこを押しますとまたさらに工事が出てくるということで、なかなか充実しているなというふうに思いました。こういう取り組みをどんどん具体化して、さらにブラッシュアップしていただきたいというふうに思っております。

 その上で、もう一つ私が注目させていただきましたのは、昨年一月に中小企業庁が行われた、小規模企業で四千社、そして小規模企業以外で四千社、つまり八千社の中小・小規模事業者を対象にしたアンケート調査、委託調査ですけれども、これも私は大変参考になるなと思って読ませていただきました。

 配付資料二でもそのごく一部を紹介させていただいておるんですが、この配付資料二といいますのは、中小及び小規模業者が、例えば(1)でいいますと、今後の経営戦略において行政機関等からの受注の位置づけはどうですかと、要するに官公需を経営上どう考えていますかというのを聞きますと、小規模業者、上の方でいえば、最重要というのが三〇・五%、そして重要というのが五六・四%、それ以外の中小企業者でも、最重要、重要、それぞれ非常に高くなっております。

 私がきょうちょっと質問したいのは(2)の方で、重視している行政機関ということで、中央省庁もそれなりにあるわけですけれども、やはり圧倒的に多いのが地方公共団体ということで、小規模企業においては六割以上、中小企業については七四・八%ということで、やはり官公需の分野でも、小さな企業、地元の企業ほど地方の官公需の期待が高いというのがこうした調査でも浮き彫りになっていると思います。

 そこでお聞きしたいんですけれども、先ほど大臣がおっしゃった契約の方針、私も読ませてもらいましたけれども、この中でも、国として地方の事例を収集してそれを情報公開するというふうに最後の方に書かれていまして、これは実践されているというふうに思うわけです。

 ただ、私が今回調べてみますと、例えば、小学校のトイレの改修だとかさまざまな配管の工事だとか、こういうものが意外と文科省の事例として載っていたり、あるいは、トンネルの剥落とか、あるいは橋、こうした問題は国交省のサイトに載っていたりということがありまして、官公需を自分たちがやれるんだというところにたどり着くまでになかなか力が要る。

 この八千社に行ったアンケートでも、先ほど紹介した情報ポータルサイトについての意見というのもありまして、もちろんこれを受けて改善されているとは思うんですが、やはり多くの地元の業者は一人だとか二人しか人が割けない、社長が自分で見ていろいろ探しているとか、こういう生の声も寄せられております。

 ですから、やはりもっとこうした、経産省だけではわからない、国交省で初めて見つけた、私も地元の長野の岡谷市の事例を文科省のサイトで初めて見つけまして、これは使えるんじゃないかというふうにも思ったりしました経過もあって、やはりこうした、提案なんですけれども、これは全てやっていただければいいんですが、例えば、冒頭紹介した小規模工事契約希望登録制度、これはほとんどの都道府県に広がっていますし、非常に効果も上げている、試され済みの制度だというふうに思うんですね、十年以上にわたって。

 例えば、こうした制度を一つの横串にして、官公需の分野でも一覧できる、すぐアクセスできる、こうしたような制度というのを検討、具体化していただけないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 まさに今回、法改正をお願いしているわけですけれども、官公需に参加するということは、それで事業が獲得できるということに加えて、信用力がアップするといった意味で、大変大事だと思っております。

 そして、今御提案でありますけれども、まさに業ごとにそれぞれの省が持っておりますけれども、中小企業、小規模事業者という横串は、経産省、中小企業庁で担当しているわけでありますので、今おっしゃったようなもの、もう少し使い勝手がよくなるような、省庁間の調整がどのようにできるか、検討していきたいと思っております。

藤野委員 ありがとうございます。

 最後になりますけれども、おっしゃった、災害の最後のとりでということも本当にそうだと思いますし、やはり日常的に官公需を使って小規模業者を育てておくことが、いざというとき、あるいは日常の安心にもつながると思いますので、本法案でしっかり手当てしていただくことを求めて、質問を終わります。

江田委員長 次に、野間健君。

野間委員 無所属の野間健です。

 最後の質問となりますけれども、お時間いただきましたことを感謝申し上げます。

 今回の地域資源法の改正についてでありますけれども、近年、平成十九年に地域資源活用促進法、平成二十年に農商工連携の促進法、二十二年に六次産業化法、また、昨年はまち・ひと・しごと創生法など、地域の中小企業や農林水産業者の皆さんへの数多くの支援策が短期間のうちに次々と制定がされています。これは利用者の側から見ますと、それぞれ法の趣旨とか手法は微妙に違いがあるんですけれども、似たような制度や施策が並立している感が非常に強く、どれを使ったらいいのかよく判断できないというお話も聞かされるわけです。

 この改正について異論があるわけではないんですけれども、やはり利用者の側に立った施策の整理とか、体系の再構築、再編成が必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 それぞれの法律は異なる立法趣旨でできておるんですけれども、地域の事業者にとりまして使いやすいものにすることは大変大事なことだと思っております。

 今般、法改正に伴います実施要領を見直してまいりますけれども、そういったところで、相談案件につきまして、各地方支分部局でも横串を通して情報交換をするなり、あるいは中小企業基盤整備機構とも連携しまして、それぞれの事業者の方のニーズ、こういったものに応じて、最適な支援策の紹介、あるいは申請手続の支援を行えるようなことにしていきたいと考えております。

野間委員 ぜひ、使い勝手のいい、また、それぞれの制度にこういう違いがあるというのをわかりやすく説明をしていただければと思います。

 次に、この法改正も含めてですけれども、中小企業の支援策全般について、確かに、地域の中小企業者の皆さんと話すと、商工会議所、商工会などを通して、さまざまな支援策やいろいろな施策を教えてもらえる、手とり足とりといいますか、かゆいところに手の届くような、いろいろな施策があるということはよくわかるんだけれども、そこまでしてもらう必要があるのか。

 やはり中小企業者の方にとって、最後の、行き着くところはやはりお金、資金の支援の問題というのが一番大事で、常にそれに頭を悩ませているということで、この対応で、充実した施策もいいんですけれども、行く行くは、金融、そういったところに特化した非常にシンプルな支援策というのが、実際、本当は最終的に経営者の皆さんが求めているものだということをよく聞きますし、今すぐどうということはないにしても、そういうものに収れんさせていくのが中小企業政策にとって必要ではないかと思いますけれども、大臣の御所見はいかがでしょうか。

宮沢国務大臣 私も、二十五年近く前に、中小企業金融関係の予算を大蔵省で担当しておりましたけれども、やはりその当時からそうだったわけですが、中小企業政策のまさに一番大きな部分は金融だと思っております。

 予算的にも、補正予算を含めて圧倒的に金融関係が多いわけでありますけれども、やはりいろいろな意味で、中小企業に対する金融、これは信用保証協会を含めてですけれども、これを充実したものにする。そして、ある意味では政策的に誘導していくものにするということが基本であります。

 ただ、一方で、例えばものづくり・サービス補助金とか小規模事業者の持続化補助金とか、それはそれなりに意義あるものとして大変評価の高いもの、これらもうまく配分させながらやっていきますが、常に一番の中心にあるのは間違いなく金融だと思っております。

野間委員 ありがとうございました。

 終わります。

江田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、鈴木淳司君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党及び日本共産党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。篠原孝君。

篠原(孝)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 国等の契約の基本方針の策定及び毎会計年度又は毎事業年度の終了後の契約実績の概要の公表に当たっては、官公需契約の総発注量に占める創業十年未満の新規中小企業者の割合等を明示すること。

 二 官公需における中小企業者の受注率を高めることにより、随意契約や一社発注などの比率が必要以上に高まり、競争が後退することのないよう、契約の競争性・透明性の確保と適正化により一層努めること。なお、官公需の発注に際しては、国等は小企業者(おおむね従業員五人以下)を含む小規模事業者の特性を踏まえた配慮を行うほか、官公需適格組合制度の活用促進に努めるとともに、国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律に基づき適切な調達業務がなされるよう、当該法律をはじめとする官公需に関係する法制度・施策を個々の発注担当者に十分理解させるべく周知徹底に努めること。併せて、刑務所出所者等を雇用する協力雇用主に対しては、国等の契約の基本方針に協力雇用主に対する配慮を盛り込む等、政府全体で支援の推進に努めること。

 三 ベンチャー企業の支援策については、従前の施策が必ずしも十分な成果を挙げられなかったことに対する評価及び検証を十分に行った上で、ベンチャー企業が起業準備段階に始まり、起業、成長の各段階においてその成長過程に応じた支援を受けられるよう、資金、経営ノウハウ、人材、情報等、適切かつ総合的な支援に努めること。

 四 地域産業資源活用事業及び地域産業資源活用支援事業の実施に際しては、各事業の効果を測る評価指標を確立するとともに、事業の実施状況を適切に把握すべく関係自治体等と密に連携しながら適切なフォローアップを行うこと。

 五 地域におけるエネルギーの地産地消を実現するための分散型エネルギー社会の構築が地域経済の活性化や雇用の創出につながることに鑑み、再生可能エネルギー資源の導入促進に加え、関係府省で協力し、林業や農業等の他産業との有機的な連携の推進を図るなど、中小企業者を中心とした地域における産業資源としてのエネルギー資源の開発及び利活用の取組に対し、十分な支援を行うこと。

 六 本法に盛り込まれた官公需に係る情報の集約・提供、市町村への協力業務を含め、近年、独立行政法人中小企業基盤整備機構の役割が拡大していることに鑑み、同機構が求められる役割を着実に果たすことができるよう、適切な指導・支援を行うこと。同時に、同機構の貸付け業務に当たっては、従来から指摘されている高度化融資の課題及び会計検査院の指摘を踏まえ、国民負担を増大させることがなきよう債権管理に努めること。

 七 中小企業者に対する各種支援施策については、非常に多数の施策が用意されている上、施策が短いサイクルで頻繁に変更されることから、事業者にとって分かりにくいものとなっていることに鑑み、施策の積極的な周知に努めるとともに、種々の施策の再評価を行った上で類似した施策の統合や整理を行い、利用者にとって簡素で利用しやすい体系に再構築すること。

以上であります。

 附帯決議の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

江田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、宮沢経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。宮沢経済産業大臣。

宮沢国務大臣 ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

江田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

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    〔報告書は附録に掲載〕

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江田委員長 次回は、来る三日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十二分散会


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