衆議院

メインへスキップ



第9号 平成28年4月27日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十八年四月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高木美智代君

   理事 神山 佐市君 理事 佐々木 紀君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 田中 良生君

   理事 山際大志郎君 理事 伴野  豊君

   理事 升田世喜男君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    石川 昭政君

      尾身 朝子君    大見  正君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    塩谷  立君

      関  芳弘君    平  将明君

      武村 展英君    寺田  稔君

      冨樫 博之君    中谷 真一君

      野中  厚君    福田 達夫君

      星野 剛士君    三原 朝彦君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山口  壯君    大畠 章宏君

      近藤 洋介君    篠原  孝君

      田嶋  要君    中根 康浩君

      本村賢太郎君    中川 康洋君

      中野 洋昌君    藤野 保史君

      真島 省三君    木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   参考人

   (電気事業連合会会長)  八木  誠君

   参考人

   (東京大学社会科学研究所教授)          松村 敏弘君

   参考人

   (公立大学法人都留文科大学社会学科教授)     高橋  洋君

   参考人

   (NPO法人社会保障経済研究所代表)       石川 和男君

   参考人

   (一般社団法人太陽光発電協会理事)        平野 敦彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  福田 達夫君     中谷 真一君

  中野 洋昌君     中川 康洋君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     福田 達夫君

  中川 康洋君     中野 洋昌君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、電気事業連合会会長八木誠さん、東京大学社会科学研究所教授松村敏弘さん、公立大学法人都留文科大学社会学科教授高橋洋さん、NPO法人社会保障経済研究所代表石川和男さん、一般社団法人太陽光発電協会理事平野敦彦さん、以上五名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず八木参考人にお願いいたします。

八木参考人 皆様、おはようございます。電気事業連合会会長の八木でございます。

 本日は、このような機会を賜り、まことにありがとうございます。また、平素より電気事業の運営に関しまして、多大な御理解、御協力を賜っておりますことに、この場をおかりいたしまして、厚く御礼を申し上げます。

 それでは、今回御審議されております再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の改正法案につきまして、私どもの考えを申し上げたいと思います。

 再生可能エネルギーは、国のエネルギー基本計画において、重要な低炭素の国産エネルギー源と位置づけられており、日本のエネルギー供給の一翼を担うエネルギー源として、近年、その重要性はますます高まっていると認識しております。

 昨年、政府において策定された長期エネルギー需給見通しにおいても、二〇三〇年度の電源構成において、再生可能エネルギーを現在の約二倍に当たる二二から二四%程度まで拡大することを目指す方針が打ち出されています。

 この再生可能エネルギーについては、私どもといたしましても、震災以前から自主的な取り組みとして、太陽光発電の余剰電力を電気料金と同額で買い取ってきたほか、RPS法のもとでも、毎年増加する義務量の確保を着実に達成するなど、従来から再生可能エネルギーの利用拡大に業界を挙げて取り組んでまいりました。

 そうした中、二〇一二年七月に導入された固定価格買い取り制度は、震災後の再生可能エネルギー導入を求める機運の高まりと相まって、事業者や家庭における再生可能エネルギーの利用拡大に大いに貢献してきたものと認識しております。

 一方で、制度の導入後、再生可能エネルギーの中でも比較的短期間で導入が可能な太陽光発電の導入拡大が急速に進み、再生可能エネルギー電源ごとの導入量に偏りが見られるようになったことや、再エネ賦課金による国民負担が急速に増加してきたことなど、制度導入による課題も顕在化しつつあるものと認識しております。

 今回の改正法案につきましては、各電源ごとの価格目標の設定や入札制度の導入などにより、こうした現行制度のもとでの課題を解決することで、再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担の抑制との両立を目指して提案されたものと受けとめております。我が国において今後、再生可能エネルギーを推進していく上で、大変重要な施策と考えております。

 私どもといたしましても、改正の趣旨を踏まえ、持続可能な再生可能エネルギーの導入拡大に向け、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。

 その上で、今回の法改正に当たり、私どもとして御配慮いただきたいことについて、三点申し上げたいと思います。

 一点目は、固定価格買い取り制度における小売電気事業者間のイコールフッティングの確保についてであります。

 今回の改正法案では、再生可能エネルギー電気の買い取り主体が小売電気事業者から送配電事業者に変更されることが規定されています。これによって、送配電事業者が買い取った再生可能エネルギー由来の電気はおおむね、卸電力市場を経由するか、送配電事業者から卸供給約款に基づき、小売電気事業者に引き渡されることになると認識しております。

 この小売電気事業者への引き渡し方法については、今後具体的な検討が行われると承知しておりますが、制度の詳細設計に当たりましては、小売電気事業者への電気の配分に当たり公平性が損なわれるといったことがないよう、小売電気事業者間のイコールフッティングがしっかりと確保される仕組みを検討していただきたいと考えております。

 二点目は、法施行に向けた実務面への配慮についてであります。

 今回の法改正により、法施行予定日である来年四月一日時点で、系統への接続契約が締結されていない案件につきましては、原則、現行法に基づく認定が失効することとなると理解しております。

 そのため、国の認定を取得されていながら、一般送配電事業者と接続契約を締結されていない事業者の皆様から、契約締結に向けた御要請が今年度末までの一時期に集中することが懸念されます。

 私どもとしましても最大限対応してまいる所存でございますが、人的資源や施行までの期間に制約がある中、事業者の皆様の御要望にお応えできなくなることを極力回避しなければならないと考えております。

 このために、いつまでにお申し込みをいただければ改正法の施行までに契約締結を円滑に行うことができるか、その目安となる申込期日をできるだけ速やかに明らかにし、周知させていただきたいと考えております。

 国におかれましても、新認定制度への移行が円滑に行われるよう、経過措置の内容や申し込みに係るスケジュールなどについて、事業者の皆様に広く周知いただくようお願いいたします。

 また、来年四月の法施行に向けては、今申し上げました新認定制度への移行に加え、買い取り義務者の変更や買い取り価格の決定方法の見直しなどに伴い、さまざまな実務面での対応が必要となります。法施行に向けて、私どもが準備作業などに必要な期間を十分確保できるよう、制度の詳細設計の検討を迅速に進めていただきたいと考えております。

 三点目は、再生可能エネルギー受け入れのために必要な系統安定化対策コストの着実な回収についてであります。

 太陽光や風力などの自然変動電源の導入が進みますと、気象条件の変化などによる急激な出力変動に対応できるよう、電力系統の設備対策や余剰電力対策などの系統安定化対策が必要となってまいります。

 とりわけ、こうした自然変動電源の電力系統への受け入れに当たっては、火力発電などの調整電源を確保することが必要となりますが、自然変動電源の導入拡大により、火力発電所の稼働率が低下し、発電所を存続させることが困難な状況が想定されます。

 実際に、ドイツにおいては、再生可能エネルギーの大量導入の影響で電力の卸価格が大幅に低下し、火力の稼働率低下と相まって、最新鋭の天然ガス火力でさえ固定費を回収できず採算性を損ない、事業者が閉鎖を表明するといった事態も生じていると伺っております。

 こうした状況等に備え、再生可能エネルギーが大量導入される中にあっても、火力発電などの調整電源の固定費回収を含め、安定供給を維持するために必要なコストを適切に回収できる仕組みのあり方について検討していただきたいと考えております。

 以上、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の改正法案に対する私どもの考えを申し上げました。

 最後になりますが、本法案は、附則において、施行後三年以降に検討を加え、必要に応じ見直しを行うことが規定されています。

 本制度を導入した諸外国においても、近年は、課題が顕在化する都度、適宜、制度の見直しを行うことで、それぞれの国情に応じた再生可能エネルギーの支援制度になるよう努めているものと認識しております。

 我が国におきましても、法に基づく検証や見直しとともに、エネルギーミックスの達成状況も確認しながら、不断の検証を行い、必要に応じた見直しを進めていただくようお願いしたいと思います。

 その際には、再生可能エネルギーの導入拡大が、エネルギー自給率の向上や環境負荷の低減など国民全体の利益につながる点を考慮し、電気の使用者のみが費用を負担するのではなく、広くエネルギー消費全体で負担することもあわせて御検討いただきたいと考えております。

 本改正法の施行に当たりましては、私どもといたしましても、今後行われる制度の詳細設計の検討状況も踏まえながら、円滑な制度移行が実現できるよう尽力してまいる所存でございます。

 引き続き御指導、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

高木委員長 ありがとうございました。

 次に、松村参考人にお願いいたします。

松村参考人 東京大学社会科学研究所の松村と申します。

 本日は、このような機会をいただき、ありがとうございます。

 きょうは、FIT法改正に関する私の意見を申し上げさせていただきます。資料の最初のページの「要旨」と書いたところで言いたいことを全て書いておりますので、ここだけ見ていただければ、言いたいことは全て伝わるかと思います。

 まず第一に、再生可能エネルギー、再生可能電源を普及させていくためには、パネルだとか架台だとか、あるいは設置コストだとかブレードだとか、そういう直接コストや賦課金というだけではなく、系統コストも含めた全体のコストを下げていかないと、普及拡大を推進することができないということで、系統費用も含めた総コストをどう下げていくのかというのがこれからの重要な問題になると思います。

 今回の法改正は、そのためのとても重要な一歩になっていて、前進になっていると思いますが、しかし、まだ今後も継続的な努力は必要なんだろうと思っています。

 それから、二〇三〇年断面で再生可能電源二二から二四%というエネルギーミックスというのが既に打ち出されています。

 このエネルギーミックスに関しては、この割合を高めるというためには、やはりコストをさらにドラスチックに下げていかないととても難しい。それから、現在でも、この二二から二四というのでも、相当なコスト削減を見込んだ上でリーズナブルな選択肢として出ているということをきちんと認識して、今後も、事業者、政府を含めて、大きな努力というのをしていかないといけないと思っています。

 それから、FIT制度の改革というのと電力システム改革というのは車の両輪だと思っています。電力システム改革の成果というのを最大限生かして、系統対策コストも含めてこれを下げていくという努力を今後も継続していくべきだと思います。

 それから、再生可能電源に関していつも注目が集まりますが、再生可能電源だけではなく、熱も含めた普及拡大というのがとても重要なんだろうと思います。その際には、エネルギーの地産地消というのがとても重要になってくると思いますが、この地産地消というのを普及させるためにも、公平に公正に競争できるシステムというのを構築していくことが今後の大きな課題だと思っています。

 既に御案内のとおり、再生可能電源というのは、エネルギーミックスにおいて二二から二四という数字が挙げられているというわけですが、これは、再生可能エネルギーをさらに拡大すべきだという人の立場から見ると、ささやか過ぎないかというような意見というのも出ているかと思います。

 これに関しては、いろいろな制約を考えてこの数字が出てきた。自給率だとか電力コストだとか、あるいは環境だとかというような制約を考えながらこの数字が出てきたわけですが、当然、再生可能電源というのは、環境という点から見ても、エネルギーの需給という観点から見ても望ましいというわけですから、数字が制約されるのは専らコストの要因だ。したがって、このコストの要因を何とか解消していくということがより高い目標を上げるというためには必要不可欠であり、あるいは、この数字を死守するという点でも相当なコスト削減というのが必要だと思っています。

 コストを削減することが再生可能エネルギーを普及させることに直結するという局面になってきたということをきちんと認識し、今回の法改正でも、再生可能事業者にとって若干不利と思われるようなものも入っているじゃないかというのに関しては、それによってコストを下げて、全体として再生可能エネルギーを普及させていくということであって、決して再生可能エネルギーに関して逆風の改正ではないのだということをきちんと理解する必要があると思います。

 それに関して、特に賦課金などでは、一家庭当たり幾らの負担になる、これが重いとかというようなこともありますが、これは産業用を使っているということはきちんと認識する必要はあるかと思います。

 さらに、再生可能エネルギーを普及させるためのコストとしては、賦課金だけではなくて、系統安定コストというのがとても重要になってくる。送電線の建設費用というだけでなくバックアップのための電源のコストだとかというのも必要になってきて、そのためには、再生可能エネルギーも、不安定な電源だけではなく、小水力やバイオだとかという安定的な、あるいは出力調整も可能な電源というのをバランスよく入れていくことが非常に重要だと思います。

 そのために、枠取りというようなことにより、ほかの開発期間がよりかかる電源が入れない、こういう状況を防ぐことというのはとても重要であり、今回の改革というのはこのためにも重要な一歩になっていると思います。

 さらに、買い取り価格の決定時期というのを、太陽光に関しては発電時にするということをすれば、この枠取りというもののインセンティブはさらにドラスチックに減らすことができますが、ただ、この場合には、系統接続のための期間というのが不透明だ、こういう状況を考えると、今すぐやるというのは時期尚早というのは間違いないと思いますが、今後も継続的にこの点については検討していく必要があると思います。

 さらに、入札制というようなものに関しては、早い者勝ちというのを抑制して、全体として、コストを下げ、適正なバランスというのをもたらすためにもとても重要な一歩になると思います。対象範囲に入っている事業者というのは、この範囲をできるだけ狭くしてほしいとかというような要望は当然出てくると思いますが、これは全体の観点から入れているのだということをぜひ御理解ください。

 それから、再生可能エネルギーを入れるためには送電投資が膨大に必要だというのも、これも事実ではあるわけですが、例えば、北海道が再生可能エネルギーの適地であり、需要は本州にあるというような場合に、連系線を初めとして送電線を大規模に整備するということもとても重要なことですが、一方で、電気を消費地まで運んでくるのか、あるいは北海道に需要を誘致して適正に使ってくるということをするのか、需要を運ぶ方がいいのか、電気を運ぶ方がいいのかというのは、コストが低い方をやればいいということだと思います。

 地域振興というのを考えるときに、再生可能エネルギーで地域振興というのも重要ですが、需要を誘致するということによって系統コストを下げるという地域振興も考えられるべきかと思います。

 それから、さらに将来的には、フィード・イン・タリフという発想からフィード・イン・プレミアム、つまり、再生可能エネルギーの価値の部分というのを直接補填する、こういうシステムにして系統対策コストを下げるということも長期的には考えられるべきかと思います。

 今までの発想というのは、需要に合わせて発電投資をする。したがって、ある種の変動というのがあれば、火力などを大増設して、それで調整しなければいけない。そうすると調整費用が膨大にかかるということはあるかもしれませんが、これはシステム改革の文脈で、需要の方をうまくコントロールしていって系統対策コストを下げるという視点もこれから重要になってくるし、システム改革によってこの道がどんどん広がってくると思います。

 電力システム改革というのは順調に進んでいると認識しています。しかし、一方で、まだ積み残しの課題、将来に向けて積み残しの課題というのもあると思います。託送料金の体系だとかというのは、地産地消に関して今の段階では不利になり過ぎているのではないかと認識しています。これは、現行のシステムとしては合理的だったかもしれないけれども、今後の、将来を目指せば、数年のうちに改革していくべきなのではないかと私自身は考えています。

 こういう地産地消に不利な託送料金の体系というのを長期的に変えることなくずっと維持したまま、それで補助金だとかというのによって地産地消を促進しようとすると、そのコストが膨大にかさんでしまって、また国民負担がふえるということになりかねないので、フェアな競争ができるという環境をまず整えるということが近い将来において重要なのではないかと思います。

 最後に、再生可能エネルギーというのを普及させるために地産地消というのを推進することというのは、コストの低減という点でもとても重要な点だと思います。そのときには熱というのを有効に利用するということも考える必要があり、しかも、この熱というのをうまく利用して系統コストを下げるというような視点もあり得るかと思います。

 このためにも、地産地消というのがフェアに競争できるような競争環境というのを地道に電力システム改革の文脈でも進めていくことが、遠回りのようですが、再生可能エネルギーというものの普及に資すると思います。

 以上です。ありがとうございました。(拍手)

高木委員長 ありがとうございました。

 次に、高橋参考人にお願いいたします。

高橋参考人 おはようございます。都留文科大学の高橋と申します。

 このような機会を与えていただき、まことにありがとうございます。

 お手元にございます資料に沿って御説明をいたします。

 再生可能エネルギー特措法に対してということです。

 まず、一ページ目、グラフが描いてございます。左側が風力、右側が太陽光、世界の上位国の累積設備容量をあらわしたグラフです。

 先生方も十分御承知かとは思いますけれども、今世界で一番伸びている電源というのは、再生可能エネルギーである。しかも、特に近年を見ますと、中国とかインドですとか、そういう発展途上国までどんどんこういう分野に投資をしている。以前は、欧州諸国などが、CO2フリーですとかエネルギー需給という観点から、ある意味お金をかけて入れていくべきものという認識だったわけなんですけれども、ここ五年ぐらいを見ますと、本当に発展途上国までが導入している。要するに、コストが非常に下がっているからだということであります。

 したがいまして、CO2の制約等を考えますと、やはり今後二十年、三十年、四十年と、再生可能エネルギーをどんどん導入していくということは、我が国においてももう不可避かつ急務にやるべきだということをまず確認しておきたいと思っています。

 次のページに行っていただいて、その際の大きな武器となりますのがFITということで、今回の法案につながるわけです。

 釈迦に説法かもしれませんが、FITの本質というのは投資リスクを下げるということにあると思っております。

 再生可能エネルギーは、基本的には、設備初期投資が極めて大きくて、ランニングコスト、特に限界費用はほぼゼロであるという特徴を有しております。ただ、幾つかのリスクが、事業者、投資する者から見ると、あるということです。

 一つは、先ほど安くなったと申し上げましたけれども、やはり世界平均的に見ますと、まだ少々高い。

 本当に費用が回収できるのかということを考えたときに、市場価格プラスアルファ、これが賦課金になるわけですけれども、そういう高い価格というものを設定しましょう、かつ、それを固定するということで、では幾らリターンがあるんですかということが簡単に計算できるということになるわけです。

 二点目、では電気がちゃんと買い取ってもらえるのかということも、一つ問題としてはございます。

 これは、新規参入者が再エネの投資をやることが多いということもございます。通常の電源であれば、当然、みずからの責任で市場で売れというのが常識なわけでありますけれども、そこも優遇をして、ドイツであれば送電事業者、日本であればこれまで小売事業者に買い取りを義務づける。これも、確実にリターンが計算できるという特徴なわけです。

 例えばドイツなんかの場合には、特に長期目標、二〇三〇年五〇パー、さらには二〇五〇年八〇パーというような長期目標を国が法律の中に明記して設定している。これも、政策、制度の継続性という意味で、投資事業者のリスクの低減につながっている。

 三点目が、系統運用の話ですね。経済的に確実にリターンがあるということがわかった場合に、系統運用上、本当に接続されるんですか、給電されるんですかというリスクがまだ残っております。

 これについては、欧州の場合は、指令、ディレクティブですね、こちらの方で優先接続、優先給電を義務づける。系統運用者が競争阻害的に接続しない、給電しないということがないようにしましょうと。もちろん、最終手段として出力抑制は、安定供給の方が重要ですから、やむを得ないわけですけれども、ドイツなどの場合には、これを有償とすることによって、やはりリスクをできる限り下げている。

 このような環境を与えることによって、確実にもうかる。これは誤解なさらないでほしいんですけれども、ぼろもうけさせる制度では決してないということですね。確実に利益は出るんだから安心して投資をしましょうということを促進するのがFITだということになります。

 今の総論をドイツの話に置きかえたのが、次の三ページ目でございます。

 ドイツは二〇〇〇年からFITを本格的に始めまして、もう十五年ぐらいたつわけです。再エネの導入率が三〇%を超えている。水力を除いても三〇%ぐらいまで来ている。

 今の三点について見ていきますと、価格については、ドイツでも継続的に下げてまいりました。ただ、一年に一回だとやはり改定頻度が少ないということで、四半期に一回にしたりですとか、さらに、太陽光については毎月自動的に低減をするといったような措置をとってきている。それでも、賦課金が非常に上がっているとか、そういう問題はございます。ですので、今般のドイツの改正においては、大規模案件に、PV、太陽光と風力ですけれども、入札制度を導入しようということが決まっているわけです。

 買い取り義務については、ドイツは送電事業者に基本的には義務づけてきたわけです。ただ、先ほど申し上げましたが、普通ならば発電事業者が売るべきだろうということで、市場に近づけるために、二〇一二年からは、直接販売の選択制、さっき、フィード・イン・プレミアムという話がございましたけれども、事業者が直接マーケットに販売する、自己責任で販売するということもできるようになった。今般の入札制度とあわせて、基本的にこれを義務づける、大規模案件については発電した人はみずからの責任で売ってください、プレミアムは差し上げますよという制度に変わるというふうに進化、変化してきているわけです。

 最後の、接続、給電、これが一番技術的には重要なわけですけれども、優先給電、優先接続が維持されてきている。その点、先ほどもございましたとおり、変動電源がふえてまいりました。安定供給の問題も出てきました。したがって、最近、ここ五年ぐらいは、フレキシビリティー、柔軟性をいかに高めるか、システム全体でいかに変動性をとっていくのかということに非常に今技術革新が進められているところなわけです。

 次のページに行っていただきまして、では日本はどうなのかということですね。この四、五年間の成果と課題を見てまいりたいと思います。

 まず一点目には、大量にふえた、これは私はもっと高く評価されてもいいと思います。これまでは、日本には再エネは入らないんだということをずっと言われてきましたので、このわずか三年半ぐらいの間に二十五ギガ程度ふえたということは、極めて大きなこの法律の成果であったともっと胸を張って言うべき、非常に高く評価できることだと思っております。

 他方で、やはり四年、五年やってまいりますと、いろいろと弊害、問題点も見えてまいりました。先ほど八木会長の方からも御説明ございましたけれども、例えば非住宅用のPVに偏っているという話ですね。九割以上の案件がこちらの方になっている。逆に言えば、風力とか地熱、これは環境アセス等の問題もあるわけなんですが、ほとんどふえていないという問題がございます。

 それから滞留案件ですね。去年の暮れで見ますと、五十三・五ギガワットが認定されているんだけれどもまだ未運開だと。もちろんこれから運開するものもあるわけなんですけれども、一般には四十ギガぐらいがいわゆる不良案件、滞留案件ではないかというふうに言われている。これも、年に一回しか価格改定をしないですとか、認定時期の問題ですとか、そういう問題が原因でこういうことが起きているということですね。

 PVに思った以上に偏ってしまったということは、PVは賦課金が高くなりますので、結果的に想定以上に賦課金が上がってしまっている。今は家庭用電気料金の八、九%ぐらいまで来ているので、これももう少し速度を下げていきたいな、抑えていきたいなというのもごもっともだと思います。

 したがって、この三点は比較的運用上の対策が求められるところだと思っています。

 次に、買い取りルールの変更、これがかなり私は本質的な問題だというふうに思っています。去年の一月に、こういうルール、省令だったと思いますけれども、これが変更になったわけなんですけれども、急速にPVが入り過ぎたということで、接続可能量というものを設定して、接続問題というよりも給電問題だと思うんですけれども、給電順位というものを明確にした。要するに、風力、太陽光というのは劣後するんだということになって、接続可能量以上のものについては無制限、無補償の出力抑制もあり得ることを御了解くださいという制度になってしまったわけです。

 もう一つが、去年の夏に非常に議論をしていただいて、電源ミックスを決めたわけなんですけれども、全体で見ると二二から二四パー、PVで七パー、風力で一・七パーということですので、欧州の、例えばドイツとかスペインであればもう達成しているような、比較的低い水準の長期目標が出たということになっているわけです。

 今の話を整理しましたのが五ページ目ということなわけなんですけれども、日本の状況ということで、買い取り価格については、もちろんこれまで、毎年四円ずつぐらいですか、PVは下げてきたわけなんですけれども、私はまだやはり高いとは思っています。ですので、これをさらにコスト削減等をしていくということは当然必要だろうとは思っています。今回の法制度は、それに対して入札制度というのも選択肢になるんじゃないかということが書かれているわけです。

 買い取り義務については、今回大きな変更がございます。小売事業者であったものを送電事業者、送配電事業者に変更しようと。これは電力システム改革との関係もあるわけなんですけれども、これが一つの内容になっている。

 最後、赤く書いてありますけれども、接続の問題が、私はかなり本質的な、深刻な問題だと思っているわけなんです。優先接続というのが本来法令で明記されていたわけですが、私は、実態は非優先的な接続だったと思っています。それを今回、その規定を廃止する、電事法の方で改めて書き直すからという理由のようなんですけれども、そういうふうになってしまった。

 さらに、給電の方については、もともと法令上は明記されていなかったわけなんですけれども、非優先の給電という状態が今後も続くということになっているわけです。

 次が、最後、以上の件をまとめて、私の意見を整理して申し上げます。

 まず、一点目の、PVに偏り過ぎているじゃないかということについては、運用上の問題でございます。これはぜひ徹底してやっていただければと思います。私も大賛成でございます。不適格な案件の排除です。価格改定についても、もっと頻度を多くするですとか、適正化すべきことは山ほどあると思いますので、大賛成でございます。

 買い取り義務者の変更についても賛成です。ニュートラルな送電事業者が買い取り業務をやってマーケットに流すという方が、制度の安定性が高まる。ただ、スポット市場は規模が小さいですので、やはり当初は、変動電源がこれだけ大量に入ってくるということに対しては注視をする必要があるとは思っています。

 次の三点目、四点目がかなり本質的な問題だと思っています。

 まず、長期目標、これは非常に重要なわけなんですけれども、現行は非常に低い。ややもすると上限のような捉え方をされることがございます。ですので、これはやはり、本当にこの数字で大丈夫なのかということは、引き続きエネ基というのは議論をされると思いますので、見直していただきたいと思っております。さらに、三〇年以降どうなるのかということも事業上極めて重要なポイントになりますので、四〇年、五〇年の目標というものも必要ではないかと思っています。

 接続、給電のルールにつきましては、やはり優先給電というのが基本だろうと思っています。これは、再エネを特別扱いしろということではなくて、限界費用がほぼゼロなんだから当然優先して給電されるべきであろうという合理的な理由で優先給電をすべきであろうということを申し上げたいと思います。

 最後に、入札制につきましては、将来的には私は必要だとは思っておりますけれども、何分、先進国のドイツですらようやく一七年から本格的にやっていこうという段階です。中小事業者が排除される危険性がありますので、こういう先行事例をよくよく見てから、例えば二〇二〇年とか、それ以降に導入しても遅くはないのではないかというふうに思っております。

 以上、御清聴ありがとうございました。(拍手)

高木委員長 ありがとうございました。

 次に、石川参考人にお願いいたします。

石川参考人 おはようございます。よろしくお願いいたします。石川でございます。

 私はA4縦の資料を用意してございまして、まず、本法案につきましては、私は、ここに書いてございますけれども、早く成立をしていただきたいと思っております。それは全てが満足かと言われたらそうではありませんが、大方こういう路線でいって、再生エネルギー推進を加速させていくべきということについては、私は基本的に大賛成でございます。

 ですから、きょうは、この法案の是非ではなくて、施行に向けてまだ細かな、省令でありますとかガイドラインでありますとか、詰める点があると同時に、実は、法案の附則二十条というところに三年後にまた見直そうじゃないかという規定があります、サンセット条項がありますので、次に向けて何を検討していくべきかということ、この二つをこの場をかりまして提案させていただきますとともに、これから本格的な審議が国会の場で行われると思いますけれども、その審議を通じて、きょう私が申し上げたことが少しでも反映されていけばな、こんなふうな思いで、きょうはお話をさせていただきたいと思います。

 まず一番目なんですけれども、どうしても再エネを進めていく上で懸念されますのは、現在もそうなんですが、高いんじゃないですか、賦課金というのは高いですねというような話があります。確かに、今までいろいろな努力がなされてきて、二〇一二年七月の施行以降いろいろな努力がなされてきて、少しずつコスト削減というのは続いているのかもしれませんが、それはあくまでも市場の面における競争でありまして、市場競争というのは必ずしも価格の低下を招くわけではない、どこかでストップしてしまう可能性があります。

 FIT法ができた経緯というのは、二〇一一年三月十一日の朝、閣議決定がなされた。その六時間後に東日本大震災が起きたということでありまして、FITの方が先なんですね。決して震災によってFITをつくったわけではなくて、FITありきで、その後に不幸にも震災が起きてしまったということであります。

 したがいまして、その後の経緯がいろいろありましたのでこのような形になっているわけですけれども、そのときは、エネルギーミックス面におきまして原子力というものが歴然と存在していたわけですね。ところが、その後、原子力がだめだということになってしまって、どうも日本の電力コストの調子が悪いという中で、再エネ賦課金という問題があってどうしようかという、これは二重苦のような状況にある。

 先ほど、高橋先生がドイツとおっしゃいました。私もドイツに去年行ってまいりまして、政府五カ所、地方政府二カ所、産業界、消費者団体、いろいろなところにヒアリングをさせていただきまして思いましたけれども、ドイツはドイツで、大変再エネ先行国で、いいと思いますけれども、地図で見ますと隣にフランスという国がありまして、これは原子力大国でありまして、あちらはあちらでまた原子力が七〇%。再エネについて、ドイツは、去年の実績で、発電電力量ベースで、風力を中心として三〇%になりました。地図で見ると、両方とも偏っちゃっているんですね。

 しかし、我々はFITを審議する際に、政府の審議会でも国会でもドイツをよく見てきました。再エネだけを見ればドイツを見るということになりますが、やはりエネルギーミックス、日本における国産資源、原子力、再エネということを両方考えると、エネルギーセキュリティーその他の観点を含めますと、我々はこれからドイツだけを見るのではなくて、ドイツとフランス、たまたま接していますので、あの二つ。人口構成でいえば、ドイツは八千万人、フランスは六千万人、合わせて一億四千万。日本は一億三千万ということで、合わせると、ちょうどいいあんばいになります。

 したがって、今後FIT法を審議され、これは成立していただきたいのでありますが、その後、やはり、再エネだけではなくて、エネルギーミックスという話が必ず出てまいると思います。そのときにぜひ国会の先生方で認識いただきたいのは、ドイツだけを見るのではない、フランスだけを見るのではない、両方をあわせて見るという形で考えていただければ、それが一番の、再エネと原子力の抱き合わせということであります。

 原子力は、誰がどう言おうと、既設原発は安いんです。新設はなかなか難しいかもしれませんが、既設原子力につきましてはやはり安い。これは本当にそうであります。したがいまして、再エネと原子力をブレンドすることによって極力電力コストを下げるということで、賦課金減免制度、今八割ですが、私はこれは十割ぐらいまで上げるべきだと思っております、競争力等々の観点から。

 ということで、一番は、ドイツだけを見るのではなくて、ドイツ、プラス、フランスで見るという提言であります。

 二つ目に行きます。

 FITは、家庭用の屋根は十年、そのほかは二十年ですが、どうもたくさんいろいろな事業者さんが入ってきて、私は、その二十年、FITが終わった後どうしようかというところの視点をそろそろ入れるべきかなと。

 まだFITは始まったばかりですけれども、必ずいつか終わりが来ますので、そのときに、太陽光にせよ、あるいは風力にせよ、中小の事業者さんがたくさんいますけれども、本当にそれで大丈夫かなと。私は、今から、例えば電力会社であるとか、ガス会社であるとか、石油会社であるとか、そういうエネルギー企業、資本の非常に大きいそういう企業に設備を集約していくようなスキームもそろそろ考えておかなければいけないんじゃないかなと。

 FIT後のことも長期的視座として持っておくべきというのが、二番目の提言であります。

 それから、三つ目であります。

 これは意外となかなか知られていないんですが、再エネを入れ過ぎちゃうと、ドイツなんかでもそうなんですが、ガス発電所を閉鎖するみたいな話になっています。入り過ぎちゃっているんです。ただ、再エネはやるんです。両方やらなければいけません。火力はバックアップです。バイオマスや地熱や水力は安定していますからバックアップは要りませんが、太陽光、風力は、それを推進する際にはバックアップが要ります。ですから、実は、太陽光、風力というのは火力との抱き合わせです。

 しかし、そこに対するバックアップの政策が、今エネ庁の方ではるる検討はされていると思いますけれども、なかなか国会の場まではまだ来ていないということで、その視座をぜひ先生方に持っていただきたいというのが、三番目の御提案でございます。

 それから、四番目、これは少々細かい話なんですが、三つほど。

 入札が今回入るということで、私はよろしいと思います。優先接続云々の話については、現行制度でも改正法でも、私の解釈であれば、これは全員競走の用意ドンということで、どっちを優先するとかいう規定はないので、それはそれでよろしいんじゃないかなということであります。余り再エネだけを優先するというのは、これはいささか自由化という思想からは外れる点におきましては、そこについてはよくよく今後の御審議の中でただしていけばいいのではないかと思っております。

 それから、二つ目ですが、環境とか安全。自然エネルギーも再エネも安全、環境は大事です。特に景観トラブルなんというのが最近いろいろな地方で起きていますけれども、アセスメント、自治体アセスメントがある場所はいいにしても、ない場所もあるので、そういうところは国法で担保するというようなことも必要かなと思います。

 それから、三つ目は未稼働案件ですが、これは権力機構がきちんと仕切らなければいけませんので、各経済産業局、そういったところできちんとやるべきと思います。

 まとめということで青い字で書いておりますけれども、要するに、さっきのフランス、ドイツの話というのは、日本は原子力をとめて、追加燃料費で三兆、四兆が外に出ております。外国に上げるお金を日本国内で回すということであります。

 その場合には、本委員会の議案ではございませんけれども、原子力規制委員会のバックフィット規制という、ちょっと世界にも類を見ない厳し過ぎるルールがありますので、ここはぜひ、ルールのあり方については私は政治主導で変えていくべきだと思います。細かな話は三条委員会ですからだめですが、ルールのあり方は国会議員が決めるべき話、国会で決めるべき話というふうに思っております。

 そして、再エネと原子力、再エネと火力というのはどうも対立概念になっておりますけれども、そうじゃなくて協調していく。今申し上げましたとおり、ドイツ、フランスをパッケージで見ていただきたいということと、火力はバックアップということであります。全部推進が日本の立場でありまして、余り選んでいるような余裕のある、そんな国ではないと思っております。

 そして、最後のところですが、やはり再エネは、既認定未稼働の案件に見られますように、何かどうもすぐ逃げちゃう人がいるんですね。これはよくない、そういう人は要らないということで、今回、新認定制度が改正法で出ておりますけれども、私はこれは非常にいいと思っております。そういう中で、そろそろ大甘だった運用を厳し目にしていくことも必要かなということで、本法案についてはその点においても賛成であります。

 そして、もう一つありますけれども、三枚目ですが、これは大きな視座でありまして、二つほど。

 再エネ電気の普及増というのは電気の需要家の負担増をもたらすということをきちんと認識すべきであります。電気だけに負担を課すというのがいいのかなということについても、よくよく考えていくべきと思います。ほかのエネルギーとのシェアも考えるべきかなと。

 それと、もう一つでありますけれども、FITと電力・ガスのシステム改革というのは、私の感性からしますと、どう考えても整合いたしません。しかし、同時並行で進めていくというのがいわば今のエネルギー政策ですので、それを上手に合理的に進めていくには、エネルギー間競争の環境と、あと電源間競争についても、いずれかに、例えば原子力に偏るとか再エネに偏るとか、そういうことなく、公平な市場設計をぜひこの委員会での審議を通じて実現していただければと思います。

 ありがとうございました。(拍手)

高木委員長 ありがとうございました。

 次に、平野参考人にお願いいたします。

平野参考人 おはようございます。太陽光発電協会の理事を務めております平野でございます。

 本日は、このような場をいただきまして、まことにありがとうございます。

 太陽光発電協会は、太陽光発電システムに関連します利用技術の確立やまたその普及促進並びに産業の発展によって、我が国経済の発展また国民生活の向上に寄与し、もって会員の共通の利益を図ることを目的に設立されておりまして、太陽電池セル・モジュールメーカー二十七社、周辺機器・部品・素材メーカー三十七社、電力・エネルギー九社、ゼネコンや住宅メーカーを含む販売・施工会社五十九社など、合計百四十二の会社と団体によって組織されております。

 私自身が代表取締役を務めておりますソーラーフロンティア株式会社は、NEDO、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の支援のもと開発に成功いたしました国産の技術によりまして、宮崎県並びに宮城県の自社工場にて太陽電池モジュールを製造し、国内外で販売をするとともに、メガソーラー発電所の開発や運営を手がけております。

 本日は、このような太陽光発電業界としての立場から意見を申し上げさせていただきたいと存じます。

 今回のいわゆるFIT法改正案につきましては、太陽光発電協会といたしまして賛成をしております。法改正の内容でも、特に未稼働案件の早期整理が必要なことを含め、本国会での成立を望むものでございます。

 以下、五点に関しまして、まとめて申し上げたいと存じます。

 まず一点目でございます。未稼働案件の整理についてということでございます。

 先ほど来お話が出ておりますが、平成二十四年度に始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度によりまして、太陽光発電の設備認定量は約八千万キロワット、八十ギガワットに達しておりますが、実際に運転開始したものは昨年末で約二千五百万キロワット、二十五ギガワットであり、この差でございます約五千五百万キロワット、五十五ギガが未稼働の滞留案件となっております。

 これら未稼働案件が多いことが太陽光発電設備の導入見通しを難しくし、結果的に、賦課金の将来の見通しのみならず、今後導入される太陽光発電設備の出力抑制リスクの算定などを極めて困難にしております。また、電力系統への接続に制約がある地域においては、接続枠を確保したまま稼働開始の見込みのない未稼働案件が後発の新規参入を妨げるようなケースが存在しているというふうに思料いたします。

 今回の改正によりまして、運転開始の見込みのない未稼働の案件が整理されれば、新たな調達価格で認定される新規案件の導入が進み、結果として、国民負担のより少ない太陽光発電の導入拡大が進むものと期待をしております。

 二つ目でございます。長期安定稼働に向けてという点です。

 発電時に地球温暖化ガスを排出しない太陽光発電設備を長期にわたり安定的に稼働を継続させることは、日本の国益となります。固定価格買い取り制度の買い取り期間を終えた太陽光発電設備は、燃料費を必要としない低コストの電源であり、将来的には安価な電気を国民に供給することが期待されております。

 太陽光発電設備は、固定価格買い取り期間が終了した後においても、適切に点検、保守、保全を行うことで、長期間稼働させることが可能でございます。

 長期間安定的に稼働できる電源となることを目的とした今回の法改正は、業界としても賛同できるものであり、その推進に協力してまいりたいと存じます。

 三番目は、地域との連携、共生という点でございます。

 地域との共生という面において、FIT法で認定された再生可能エネルギー発電設備については、土地利用や景観、設備の安全性等に関する法令、条例について遵守を確保するため、平成二十八年四月一日より、当該関係法令に基づく業務を行う地方自治体や関係省庁に対して、設備認定情報を提供するシステムの運用が開始されております。

 太陽光発電設備の認定に関して、地方自治体との情報共有が推進されることは、産業界としても、継続的な発展の面で大変喜ばしいことだと考えております。

 さらに、法改正後は、関係法令に違反し、関係省庁や自治体より指導、命令等がなされた事案について、FIT法に基づき改善命令が行われ、最終的には認定取り消しを行うことができる仕組みとなります。

 太陽光発電協会は、この改正に賛同し、地域との共生を図りながら、適切な設備導入により、地域創生に貢献してまいりたいと存じます。

 四番目の点でございます。コスト効率的な設備の導入ということでございます。

 再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担の抑制の両立に向けての制度の見直しは重要な課題であるというふうに認識しております。

 その一方で、我々太陽光発電産業に携わっている者の使命といたしましては、日本の持つ技術優位性を発揮することで、太陽光発電コストを他の電源に比して競争力のあるレベルまで低減し、自立的に導入が進む電源とすることでございます。太陽光は究極の分散型発電システムであり、この優位性に発電コストの競争力が加わることが、抜本的な課題解決、さらには自立的な需要拡大に必ずやつながるものと確信し、事業に取り組んでおります。

 改正案に盛り込まれた中長期的な買い取り価格目標の設定は、事業の予見性を高めるために有効であり、さらに技術力の向上を促すものだと存じております。ただし、その設定におきましては、市場の状況に十分配慮いただき、再生可能エネルギーの導入に急ブレーキとならないようお願いしたいと考えております。

 また、住宅やビル等の建築物への導入を後押しするネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、いわゆるZEHや、エネルギー・マネジメント・システム、EMSの導入促進など、省エネ施策や蓄電池の導入支援に関連した制度的な支援の充実をぜひお願いしたいと存じます。

 住宅用太陽光発電に関しましては、多くの国民が直接導入することのできる、需要者設置の分散型電源でございます。現在、我が国の戸建て住宅は約二千七百万棟、このうち太陽光発電が導入可能な住宅がおよそ半分、一千二百から一千三百万棟といたしまして、現在の導入量は約二百万棟でございますので、まだ約一千万棟の導入が可能でございます。価格低減のスケジュールについては、住宅用設置者の意欲を低減しないよう御配慮いただければというふうに考えます。

 事業用の太陽光発電に関しては、毎年、トップランナー方式を採用しつつ入札制度を活用することが示されておりますが、入札制度に関しましては、その効果と課題を十分に吟味しながら運用の見直しを行っていただきたいと考えます。

 五番目の点でございます。電力システム改革を生かした導入拡大ということでございます。

 再生可能エネルギーの導入拡大に際しての大きな課題が、電力系統への接続に関するものです。計画的な広域系統の整備並びに効率的な運用のルールの策定で、再生可能エネルギーの最大限の導入を推進いただきたいと存じます。

 特に地域間連系線に関しては、設備増強とあわせて既存の連系線の有効活用が重要であり、電力系統のよりコスト効率的な運用に寄与するだけでなく、再生可能エネルギーの最大限の導入を推進するものであります。

 地域間連系線運用ルールにつきましては、マージン等の考え方を含め、より有効活用ができるよう見直しをお願いしたいと存じます。

 また、ローカル系統の制約に関しては、上位系統の費用負担のガイドラインが設定されたことは高く評価できるものの、電源接続の入札が必要となる案件についてはFIT入札との整合をとることを検討いただきたくお願いします。

 今後、コスト効率的な系統運用と再生可能エネルギーの出力抑制の最小化には、再生可能エネルギーの発電予測の精度向上と系統運用の効果的な活用が不可欠であり、そのためには技術開発、ノウハウの蓄積、情報システムの構築など、国の支援のみならず、一般送配電事業者と再生可能エネルギー発電事業者が相互に協力し、取り組んでいくことが重要と認識しております。

 最後になりますが、FIT法改正に当たっては、見直しの趣旨が正しく認識され、再生可能エネルギーの導入拡大に対してマイナスとなるような誤解が生まれないよう、必要かつ十分な周知広報を行っていただくようお願い申し上げます。

 以上をもちまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

高木委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより質疑に入ります。

 まず、参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。八木哲也さん。

八木委員 改めまして、おはようございます。自由民主党の八木哲也でございます。

 一番バッターに御指名いただきましたことに感謝申し上げたいと思います。

 そして、きょうは、五名の参考人の皆様方、公務御多端の中、わざわざお越しいただき、御高説を拝聴できましたことに感謝申し上げたい、こういうふうに思います。

 さて、電気事業法が昨年大幅に改正されまして、本当に電気事業始まって以来の大改革であったと思います。そういう中にあって、四月一日から電気の小売の自由化がスタートいたしました。電気事業の新たな局面を迎えたわけでございますけれども、どのような局面があろうとも、安全性を大前提として、安定供給、経済効率性、環境適合性、このことは遵守していかなければいけないと思っております。

 そこで、まず八木参考人にお聞きしたいと思うんです。

 どのような局面ということは、いかなる局面、今回、四月十四日に熊本地震が発災したわけでございますけれども、そのエリアは大分まで拡大しております。犠牲になられました皆さんにお悔やみ申し上げますとともに、一日も早い復旧復興をしていかなければいけない、こういうふうに思っておるわけでございまして、復旧のために輸送路の確保、生活のためのライフライン、水だとか、当然のことながら電気、ガス、石油などがありますけれども、まず第一に、その確保に取り組まなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。

 先ほど言いました電気の安定供給ということにつきましても、こういう場合も安定供給が第一に優先されなければならない、こういうふうに思っております。

 そういう中にあって、あの発災後、電事連は、本体は九州電力になるかもわかりませんけれども、どのように対応をして、今どのような状況にあるのか、まずそのことだけお聞きしておきたい、こういうふうに思いますので、よろしくお願いします。

八木参考人 八木でございます。お答え申し上げます。

 まず初めに、このたびの熊本の大地震によりましてお亡くなりになられました方々に対しましてお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々に対しまして心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 熊本の地震は、今月の十四日と十六日に大規模な地震が発災をいたしました。その関係で、熊本県内を中心とした停電が発生いたしました。これは、原則としては当該発災地域の九州電力がこの復旧を優先するということでございまして、まずは九州電力で最大約三千名を超える動員を行い、昼夜を問わず復旧作業に当たっております。

 それに加えまして、九州電力に対しまして、全国の電力会社から約六百名の社員が応援要員として現地に駆けつけました。加えまして、発電機車、これは全国で百十台をお送りしましたし、同等規模以上の作業車両とかいわゆる応援車両、こうしたものを派遣いたしております。

 この結果として、現実に崖崩れとか道路が破壊されている関係でどうしても復旧が困難な箇所、これはちょっと難しゅうございますが、それ以外のところにつきましては四月二十日の十九時に送電を再開できたという状況になってございます。

 こういう余震が続く中、また降雨などの厳しい状況の中での作業であったと聞いておりまして、こうした災害の早期復旧に、九州電力を初めとする全国の電力マンが、安定供給をやはりやらねばならない、そういう気持ちを持って、使命感を持ってなし遂げたと思っております。そうした取り組み、努力に対しては御理解いただければというふうに思っております。

 現在、復旧はいたしましたが、引き続き断続的な地震も発生しておりますし、また予断も許さない状況かと思います。九州電力を中心として、今電力供給に最善を尽くしておりますが、今後、電力広域的運営推進機関とも連携しながら、引き続き私どもとしても最大限の応援を実施して、電力供給に当たってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

八木委員 ありがとうございます。

 一日も早い復旧復興をしていかなければいけない、そういうふうに思いますけれども、やはりエネルギーというものは大事な要因でございます。といいますのは、今回、FIT法の改正においても、やはりエネルギーがどのように大事だということについて、また私の考え方も含めてお聞きしていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。

 そういう中にあって、今、熊本県が大きな被害を受けておるわけでございますけれども、実は熊本県に約五万三千の企業があるわけです。そういう中で、大企業は六十五社程度でありまして、ほかの九九・八八%、ほとんどが中小企業という形になるわけであります。

 大企業は、本社機能とかいろいろな協力会社の方から支援があって、生産再開の見通しが出始めてきておることは新聞等でもわかっているわけでございます。しかしながら、中小企業の被害実態をまだ経産省としては十分つかみ切れていない。要は、そこにまだ手が差し伸べられていない心配があるわけでございます。

 そういう中小企業が一日も早く経済活動をしていかなければ経済の好転は見込めない、こういうふうに私は思っておるものですから、その辺の支援をしっかり我々もしていかなければいけないし、また、そういう面において、電事連としてもしっかりサポートしていただければありがたい、こういうふうに思います。

 せっかくでありますので、引き続いて八木会長さんの方にお聞きしたいと思っておるんです。

 今まで五人の皆さんからお話を聞いた中で、関連しておる事案についてお聞きしたい、こういうふうに思います。

 今回の法案が、やはり再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担の抑制の両立がある、これらの現行制度の課題に対するための必要な措置を講ずるものである、こういうふうに記載されておるわけでございます。

 そういう中で、再生可能エネルギーの最大限の導入ということについて、電力会社ないしは電事連として、導入の拡大についてどのように考えているのか。どのような取り組みを行っているのか。また、先ほどもお話がありましたけれども、どのような系統安定化対策が必要になるのか。そして、そのためにどのぐらいのコストがかかるのか。再生可能エネルギーの拡大による電力の変動が大きい、こういうふうに御指摘もされたわけでございますけれども、これに備えたバックアップ電源の考え方についてお聞きしておきたいと思います。よろしくお願いします。

八木参考人 お答え申し上げます。

 まず、一点目の再生可能エネルギーの導入拡大への電力としての取り組みという御質問でございます。

 私ども電気事業者といたしましては、エネルギー自給率の向上と環境性にすぐれる再生可能エネルギーというのは最大限活用していくべきだということで取り組んでまいっております。

 まず、これまでは、当然のことですが、もとより水力開発を中心として、みずから積極開発に取り組んでまいりましたが、その後、太陽光、風力、地熱などもみずから開発をする、こういう考え方が一つ。

 一方で、各事業者が開発した、こういう再生エネルギーをできるだけ電力系統に受け入れる、こういうことでございます。

 ただ、受け入れるためには不安定な電源でございますので、いかにこれを受け入れるかということで、さまざまな技術的な課題がございます。こうした課題に対して、影響の検証あるいは対策の検討等々に取り組んでいるところでございます。

 今後のさらなる拡大という意味では、こうした系統の情報をできるだけお客様に公表させていただいて、こういう状態で入れますというルール、そういうものを明確にお示しするとか、あるいは、会社間の連系線がございますが、こうした連系線を活用して入っていただく、これもやはり新たなルールをつくっていく必要があると思っております。

 こうしたことを含めまして、さらなる導入拡大、電力系統の着実な受け入れにできるだけ取り組んでまいりたいと思っております。

 一方で、バックアップ電源の御質問がございました。

 これは先ほど来いろいろ御説明がございましたように、やはり再生可能エネルギーというのは、出力がどうしても天候条件によって変動するということで、太陽光、風力を中心とした再生可能エネルギーというのは、導入が進んでまいりますと、その変動によって電力系統、特に電圧とかあるいは周波数という電気の品質に影響がございます。こうした影響によって電力の品質が悪くならないようにするためには調整力を持っておく必要があります。これが火力発電とか揚水発電でございます。

 こうした電源は、瞬時瞬時の変動だけでなく、例えば日によって天気の日、曇りの日というのはありますから、こういうバックアップ電源という形で維持をしていくということが大事であります。場合によっては、再生可能エネルギーの方がたくさん入ってきますと、送る需要よりも上回ってきますと、余剰が発生いたします。こうした余剰対策というようなことが必要になってまいります。

 一般的には、こうしたことについて、火力、揚水等々、ここに変動用の能力を持たせるということでやっておりまして、系統安定化のためには、例えば火力発電の稼働率を下げます。そうしますと、熱効率が下がることによって燃料費が増加する、こういった問題がございます。あるいは、具体的に、停止したり起動したりと頻繁にしますと、そうした停止、起動のコストもかかります。

 こういったことで、アバウトでございますが、国の審議会で、二〇三〇年度に大体、エネルギーミックスで考えておられる風力、太陽光が入るという条件でいくと、年間で四千七百億円程度のいわゆる系統安定化コストが出るというふうに言われています。ただ、これはまだラフに見積もって、まだ保守的なサイドで算定しておりますので、実際はもう少しふえるのではないかと思っております。

 いずれにいたしましても、やはり我々は、電力の安定供給という責務があります。一方で、先ほど御説明がありましたように、四月一日から自由化という競争環境下の中で競争を維持していく。この二つの面からいきますと、こうした系統安定化費用というのは、やはり適切な負担のあり方をぜひとも御検討いただきたいと思っております。

 また、そういうことをきちっと検討していくことが再生可能エネルギーの導入拡大にもつながっていくのではないかというふうに思っておるところでございます。

 私からは、以上でございます。

八木委員 ありがとうございました。

 ただいまは、電気事業者の立場からのお話でございました。

 次の質問はそうではなくて、特に松村先生、高橋先生、石川先生にお聞きしたいというふうに思います。

 今説明された内容について、おおむね皆さん前向きに考えていただいている、こういうふうに判断するわけでございます。

 今回、エネルギーミックスで二〇三〇年の電源構成というものを一応つくったわけでございますけれども、第四次エネルギー基本計画の中で、先ほども申し上げましたけれども、安全性をまず第一にして、安定供給、経済効率性、環境適合、すなわち三EプラスSを具体的な目標として出されておるわけでございます。

 そういう中にあって、エネルギー構成を再生可能エネルギー比率として二二から二四%、こういうふうに定めたわけでございます。この電源構成の前提として、経済成長を毎年一・七%、徹底した省エネで一七%の改善、これを前提条件にして電源構成をつくったわけでございます。

 このことをするに当たっては、やはりその前提条件をしっかりやっていかなければいけない、これは我々の政策として展開していかなければいけない必要もあるんですけれども、そうしたときに、エネルギーから見た経済成長をどうしていくのかという視点で若干質問させていただきたい、こんな思いがしておりますので、三名の皆さんの御意見を聞きたい、こういうふうに思っておるわけでございます。

 そういう中で、平成二十四年からFIT制度が導入され、急激に非住宅用太陽光発電、メガソーラーがふえてまいったのは御承知のとおりであります。平成二十四年の九十万キロワットから平成二十七年時点では二千百六十万キロワットと、二十四倍も増加しておるわけでございます。設備認定量を含めると約八十五倍の申請があったと推計されております。再生可能エネルギー設備認定量に対して未稼働が六百万キロワット、約六十万件もあるわけでありまして、やはりこの数字は異常であったし、今回の改定の引き金になっていることも否めない、こういうふうに思っておるわけでございます。

 FITの買い取り費用が平成二十四年に千三百六億円あったのが、平成二十七年は一・三兆円、十倍に増加しており、二十八年には一・八兆円になるのではないか、こういうふうに予測されております。そして、二〇三〇年のときには三・七から四兆円、こういうふうに試算されているわけでございます。このことが需要家負担の大幅な増加になってくるわけでございます。

 若干冒頭でも述べましたけれども、日本企業の全体で見ますと、九九・七%は中小企業であります。そういう中にあって、需要家負担の増加は中小企業にも非常に影響が大きいわけであります。やはり中小企業の活力がなければ経済成長はなし得ない、こういうふうに私は思っております。そういうことでありまして、ことしのものづくり白書、まだ出ておりませんが、素案を見ますと、そこの中に、生産性を上げるために何が必要か、こういうアンケートで、電力コストの低下を挙げているのが二番目に多いわけであります。

 そういうことを考えていくと、やはりエネルギーコストに経営が大きく左右されておる、こういうことになるわけでございます。そこの中でも、特に電力多消費事業者、例えば鉄鋼関連においては、国際競争をしていく中でエネルギーコストが直接経営を左右しておる、こういう状況下にあると思います。

 したがって、私としては、電力多消費事業者に対する賦課金免除、減免措置というのは積極的に取り組んでいかなきゃいかぬ、こういうふうに思っておるんです。先ほど述べましたように、また先生方の中でも同じ意見を持っておられる方もおられましたけれども、中小企業の活力ということを考えたときに、賦課金のあり方を検討する必要がある、こういうふうに思っておるんですけれども、そのことについてどのように考えるのか。まず、三人の先生方からお答えいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

松村参考人 減免措置を中小企業にも拡大するというのは、長期的には検討する余地というか価値は十分あると思います。

 ただ、その場合に考えなければいけないのは、そこで減免すれば誰かが負担しなければいけないということになる。一般会計から出すとすれば、それは国民全体がほかの形で負担するということになりますから、これが本当に望ましいかどうかというのは慎重に検討する必要があるのではないかと思いました。

 以上です。

高橋参考人 減免措置については、松村先生とほとんど同じ意見です。

 もう少し対策として考えた場合には、単価が上がるという話に対しては、例えば省エネを徹底して進める。要するに、消費量を減らすことによってエネルギーコスト全体を下げることができるというのは一つ考えられます。

 それから、自由化が四月から始まっています。賢く選ぶということも、これまで高圧に入っていなかった小さな事業者とかも積極的にこれを活用することができる、そういうことによって少しでもエネルギーコストを下げるというのが、一つ対策としては考えられます。

石川参考人 私は、産業分野については、減免は十割、全部やめるべきというふうに申し上げましたけれども、それはなかなか難しいのでありますけれども、今の中小企業に拡大ということについて言うならば、私は拡大すべきと思います。

 その場合には、再生エネルギーの推進速度というのを、ひょっとすると、推進はするんだけれども、そのスピードは下げざるを得ないということも考えなきゃいけないと思っております。

八木委員 ありがとうございました。

 今、そういうふうに拡大していったときに、負担が国民全体、需要者全体にかかわってくる。したがって、そちらの方でふえてくるということになる、こういうふうに思うんです。

 そうすると、今回、再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担のバランスということが一番大事になってくる、こういうふうに思うんです。そうしたときに、やはり今のFIT制度、導入してまだ日が浅いわけでございますけれども、そのバランスについて、今後もまだ課題は出てくる、こういうふうに思うんです。

 そういう中で、一部の先生方にはお話がありましたが、いろいろな方法があると思うんですけれども、二〇三〇年までの中で、現行のFIT制度で解決していくべきなのか。また新たな仕組み、FIPというお話もありましたけれども、そういう仕組みを新たに加えていかなければいけないのか。その辺の見通し等について、三名の先生方からお話をいただきたい、こういうふうに思います。

松村参考人 私が途中で申し上げたフィード・イン・プレミアムは、FIT制度の微修正だというふうに思っていますが、これで合理化できるという面もあると思います。

 ほかにもいろいろ取り組むべきことというのは山のようにあり、これから制度を抜本的に変えていって効率化し、国民に支持されるような再生可能エネルギー推進方策に変えていかなければいけないと思っています。

高橋参考人 先ほど私が説明いたしましたドイツが、フィード・イン・タリフの運用という意味では一番成功している事例だと思っています。もちろん、ドイツも非常に苦労をしてきて、微修正、微修正を重ねてきたわけですけれども、フィード・イン・タリフの運用という意味では最もうまくいっている国だと思います。

 そういう意味においては、松村先生の意見と重なりますけれども、例えばフィード・イン・プレミアムに徐々に移行していく、もう少したった後には入札制度を導入していくといったような形で、少しずつ再生可能エネルギーの電気の市場化、市場への統合というものを進めていくことがコスト削減にもつながっていくと考えております。

石川参考人 先生、私の資料の二に、大手への集約化と書いておりますけれども、長期的には、やはり事業者の体力ということを考えますと、大手に集約することによって今つくった再エネ設備をきちんと維持していくということも非常に重要かと思っております。

 そういう点でいうと、私は、フィード・イン・タリフというのは、この改正案には賛成ですけれども、長期的にはFITというのはもうやめるべきでありまして、やはりその前のRPSということで、大手の事業者にある程度再エネの枠を義務づけること、つまり、再エネ事業者を育てるのではなくて、再エネ事業を育てるという観点から、そういうような見直しが今後必要かというふうに思っております。

八木委員 時間がございませんので簡単に質問したいと思います。

 最後は、太陽光発電協会の平野先生の方にお伺いしたいと思います。

 このFIT制度によって太陽光発電の急激な普及があったわけでありますが、特に非住宅用の買い取り価格が高過ぎたのではないか、それも一因ではないか、私としてはこういうふうに思うわけでございますけれども、認定量に対して七二%が未稼働だ、こういう数字を見ますと、やはりここに大きな問題がある。このことは我々としても、政治としても反省していかなければいけないことだし、事前にもっと手を打たなければいけなかったのではないか、こういうふうに思うんです。しかしながら、やはり協会の自律性という部分も私は必要なような気がしておるんです。この辺の自律性について御見解があればお聞きしたい。

 同時に、やはり御説明の中でも、まだまだ市場拡大ができるよ、こういう話であります。国内もしかりかもわかりませんけれども、先ほど先生方からデータを見させていただいたように、海外においても当然のことながら伸びていくわけでありまして、この国際戦略をどのように協会として担っていくのか、その辺についての御所見を伺いたいと思います。

高木委員長 平野参考人、恐縮ですが、申し合わせの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

平野参考人 はい。

 協会として、この未稼働案件に対しての自律性という御質問でございますけれども、正直のところ、先ほど申し上げたように、協会は百四十社の会社と団体から成っておりますが、必ずしも全ての発電事業者あるいは今回認定をとった事業者と重複しているわけではございませんで、なかなかそこで自律性を発揮するということは難しいかと思います。

 ただ、そのような、かかる事態を受けまして、先ほど意見表明いたしましたとおり、協会といたしましてもやはりこの状態を早く解消しないといけないということで、このような形で意見を述べさせていただいているということでございます。

 海外戦略に関しましては、先生おっしゃるとおりでございまして、我々としては、日本の技術力を持って、これは太陽光産業だけではございませんで、もう少し広く考えて、省エネ技術またエネルギーソリューションという分野で、日本企業がより力を合わせまして、海外におきますCOP21の動きを受けて、この温暖化ガス対策という極めて大きな市場に対して展開していきたいというふうに考えている所存でございます。

 以上でございます。

八木委員 どうもありがとうございました。

 これで私の質問は終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、富田茂之さん。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 五人の参考人の皆さんには、本当に貴重な御意見をありがとうございました。八木会長そして松村先生には、毎年この委員会に出ていただいて、電力改革のことでいろいろ御指導をいただいておりますし、高橋参考人にも以前こちらの委員会で御指導をいただきました。きょうは、本当に示唆に富む御意見をいろいろいただきました。

 その中で、まず松村先生にお伺いしたいんですが、先生の先ほどの御指摘の中で、再生可能電源の中のベストミックスも考える必要がある、太陽光や風力に偏らず、より安定的な小水力、地熱、バイオもバランスよく入れていくことが重要だというお話がありました。

 超党派で地熱議連というのをつくりまして、アイスランドに視察に行ったり、また、この委員会でも、実はニュージーランドで地熱発電所を見に行くこともありました。昨年、イタリアのラルデレロという、初めて世界で地熱発電を起こした、もうちょうど百年やっていますが、そこも個人的に見てまいりました。

 なかなか日本では地熱発電が、可能性があるのに広がらない、そういった意味で、再生可能エネルギーの中でのベストミックスを考えるべきだという先生の御指摘は本当に大事だと思うんですね。

 今回のFIT法の改正にあわせまして、リードタイムの長い電源の導入促進ということも図られています。経産省ともいろいろやりとりをしましたが、数年先の認定案件の買い取り価格を決定することによって、事業化判断の際に、環境アセス後の認定案件の買い取り価格が決定されることで事業の予見可能性が高まるだろう、そういうふうに考えて、こういうふうにしたい。また、環境アセスメント手続の迅速化、こういったことも取り組んでいくというふうに経産省、エネ庁の方では言っておりました。

 ただ、これまでこの委員会でも私は質問をさせていただいたんですが、そういうふうにFIT法を改正し、また環境アセスの手続を迅速化しても、地熱発電の事業化検討開始から実際に運転が始まるまで、十三年というようにエネ庁の方では考えています。

 去年十月、ラルデレロでエネル社という会社の所長に聞いたんですが、この会社では、北米、南米、アフリカでいろいろ事業をしているんですけれども、北米では、事業化検討開始から五年で実際の発電に至ったというんですね。何で日本でこんなにかかるんだとエネ庁の皆さんと話しましたら、富田さん、北米でエネル社がやっているところは平地で開発がしやすいんですよと言うんですけれども、ただ、それだけではないんだと思うんですね。

 やはり、十三、十五年先に事業を開始できるというのでは、安定した電源であるのに、なかなか開発が進まないんじゃないかと思うんですが、こういった状況に関して、先生が言われる再生可能エネルギーの中のベストミックスを考えたときに、どういうふうにすれば地熱発電とか小水力発電の開発が進んでいくというふうにお考えでしょうか。

松村参考人 御意見、もっともかと思います。

 地熱発電に関しては、私たちも物すごく期待している、貴重な電源だと思っています。

 それから、開発期間というのが一定かかるというのはやむを得ないとしても、本当に十三年かかるというのが合理的なのかということはきちんと考えていかなければいけない。

 これに関しては、まず、FIT法だけで地熱発電をうまくサポートできるのかどうかということは少し考える必要があり、比較的開発期間の短いものに関しては優位性はあるかもしれないけれども、長いものに関しては別の手段、例えば、開発調査のための補助金のようなスキームもあわせて考えるということもまずあり得ると思います。

 次に、アセスの期間が長過ぎるというのは、確かにそのとおりでして、ほかの電源の開発を含めても、今までのアセスの期間というのを半減できないかということで、さまざまな取り組みがなされており、地熱については特にその必要性が大きいと思います。この点についても、私たちはまだ汗をかかなければいけないところがいっぱい残っていると思います。

 さらに、規制改革という観点が決定的に重要でして、開発のためになぜこんなに時間がかかるのかというと、さまざまな規制があるからだ。そのときに、ある種の環境保護のためのアセス、最低限必要なものというのをすっ飛ばせということは決してよくないと思いますが、本当にこれは最低限必要なことなのか、合理的なことなのかというのを規制改革の文脈で、例えば、国立公園の中にあるとかというようなこともありますし、保安林の中というような可能性も極めて高いということで、他省庁にまたがる規制というのを改革していくことも極めて重要かと思います。

 以上です。

富田委員 今の松村先生の補助金の話とか規制改革の話というのは、非常に大事だと思うんですね。

 実は、アイスランドの視察をして帰ってきたときに、視察に行ったメンバーで環境省に行きまして、次官に面談しました。日本では国立公園内での直接掘りができていませんでしたので、斜め掘りだけ許可されていた。アイスランドでその話をしたんですね。そうしたら、おまえらはばかかと言われた。斜めに掘っていったら一点しか当たらない、アイスランドでは直接掘っていって、最後に何方向かに分かれていって地熱の熱源を見つけるんだ、そんなことも知らないのかと言われて、その話を次官にぶつけましたら、通知を変えてくれまして、第二種地域等では直掘りできる、今回も第一種地域に向けて斜め掘りしていった上でやれるという、いろいろ規制は変わってきていますけれども、今先生が最初におっしゃられた補助金とかのシステムはなかなかありません。

 開発事業者の皆さんと勉強会をやっていますと、やはり試掘するときにかかるお金、これが無駄になってしまうんじゃないかということを大分言われます。ちょっと下世話な言い方ですけれども、チャリンというお金の音が欲しいんだよねというふうに業者の方は言われたんですが、そういったところでバックアップできるようになれば、今先生がおっしゃったように、地熱発電というのも進んでいくのではないかなというふうに感じました。

 再生可能エネルギーなどのベストミックスという意味で、できましたら高橋参考人、石川参考人にも、地熱発電、小水力発電等について、何かお考えがありましたら教えていただきたいと思います。

高橋参考人 委員おっしゃるとおりでして、どうしても風力、太陽光というところに目が向きがちですけれども、再生可能エネルギーは多様です。ですので、いわゆるベースロードになるような地熱とか、あるいは変動性ですね、出力調整が可能なバイオマス、あるいはコジェネが可能なバイオマスとか、それぞれ特性が違います。

 ですので、多様な再エネを総合的、包括的に開発するということが安定供給の観点からも極めて重要ですし、地域の創生、例えば太陽光が強い地域もあれば地熱が強い地域もあるわけでして、というところにも重要になりますし、コストを総合的に削減するという観点からも重要になってくると思います。

 小水力について申し上げると、私の大学のあります都留というのは、まさに小水力発電が有名なところでございまして、市を中心として、行政がある程度かかわって、もちろん地域住民もかかわって、その小水力を開発してきたというような実績がございます。

 他方で、やはりなかなか、小規模の施設とはいえども、メンテナンスにかなりノウハウが要ったりですとかコストがかかったりですとか、あるいは、農業用水とかを使う場合にはどうしても水利権の問題等がございます。

 今、政府としても、資源エネルギー庁のFIT法だけではなくて、例えば農林水産省ですとか国土交通省ですとか、さまざまな省庁が協力してこの再生可能エネルギーを導入するということに取り組んでおられることは承知しておりますので、そういう連携をさらに発展させることによって、例えば農林水産省の方でこういう規制を変えてみようとか、国土交通省の方でその問題を解決しようとか、やはり総合力でそういうさまざまな規制を改めたりですとか、どうしても補助が必要なところには当然補助金ということもあるのかもしれません。

 あるいは、地方自治体も非常に大きな役割を担っていると思います。条例等で先行している自治体もあるわけなんですけれども、そういうところも国と地方が連携することによって多様な再生可能エネルギーを開発していくということが重要かと存じます。

石川参考人 お答え申し上げます。

 地熱と水力ということでございますが、まず水力からなんですけれども、私は水力関係はもう九〇年代半ばからいろいろおつき合いをしておりますけれども、そのころに既に開発地点がもう余りなくなっちゃってきた。というのは、そのころから地球環境問題、地域環境問題というのが盛り上がってきまして、例えば水力の場合ですと河川の、要するに流量を維持する、維持流量というのがあるんです。こういうところで非常に厳しい運用になって、例えば魚がすんでいる、これは大事じゃないか、それはそれで大事です。電力も大事なんですけれども、どうも河川環境を大事にするという価値観の方が政府あるいは政治サイドでも大きくなってきたというのが一つあろうかと思います。

 ただ、水力については、小水力ということであれば、地点は多数あろうかと思いますので、あくまでも小水力なんだということをあらかじめわかった上で、今のFIT法を、私は多少は上げてもいいと思うんですけれども、水力については引き取り価格を上げてもいいと思いますが、そういうことで推進していくべきと。水力については、規制緩和というのはちょっと難しいのかなと思います。

 それから、地熱については、確かに経済産業省の資料を見ると十二、三年というのが出ていますが、これも、私も九〇年ぐらいからずっと見ていますと、十三年でもしんどいかなと。確かに、環境省の温泉規制とかいろいろあるんですが、これは規制だけではなくて、やはり日本は平地には余りないんですね。平地は人が住んじゃっているんですね。したがって、山岳部しかないので、これはコストが非常にかかるという観点から、どんなに大きくても二万、三万キロワットかなと思います。

 ただ、FITということで考えますと、地熱については、インセンティブという点も含めて、私は引き取り価格は上げてもいいのかなというふうに思っております。

 以上です。

富田委員 ありがとうございました。

 次に、八木参考人にちょっとお尋ねをしたいんです。

 八木参考人の陳述を聞いておりまして、バックアップ火力のお話、石川先生の方からもありましたけれども、ちょうど去年の四月二十二日のこの委員会で私はバックアップ火力の質問をしているんですね。

 そのときに参考にしましたのは、東京大学生産技術研究所エネルギー工学連携研究センターの副センター長であります金子祥三先生に我が党の勉強会に来ていただきまして、FIT法ということで、ドイツに学べという話になるんですが、いやいや、そう簡単にドイツに学ぶべきじゃないよということでいろいろ資料をいただきまして、バックアップ火力の話をそのとき初めて伺いました。

 この委員会でエネ庁の方に、エネルギーミックスを考える上でどういうふうに考えていったらいいのかというふうに質問したんですが、きょうは八木参考人のお話の中に突然その話が出てきましたのでびっくりした、やはりそういうふうに思われているんだなと思いました。

 太陽光や風力などの自然変動電源の導入が進むと、気象条件の変化などによる急激な出力変動に対応できるよう、電力系統の設備対策や余剰電力対策などの系統安定化が必要になるというふうに先ほど言われて、自然変動電源の導入拡大により、火力発電所の稼働率が低下して、発電所を存続させることが困難な状況が予想される。ここまでいくのかなと思うんですが、ただ、ドイツでの例を八木参考人の方でお示しいただきました。たまたま去年私が質問したのが全く同じところだったんですね。

 そのときの議事録の中で、ドイツの状況を東大の金子先生の資料をもとにお話をさせていただいたんですが、ドイツの再生可能エネルギー、導入が進んでいてすばらしいという面はもう否定はできないと思うんですが、二〇一一年時点でのドイツのエネルギー状況を見ますと、再生可能エネルギーは二四パー、ただ、ほかに褐炭での火力が二六パー、石炭での火力が二〇パー、天然ガスが一〇%、そして原子力が一五%、こういう形で、特に褐炭の二六%がバックアップ火力になっているということで、CO2の面ではかなり問題です、そういった指摘を金子先生からいただきました。

 もとの問題は、実は二〇〇八年三月のドイツでの負荷変動幅、一番大きいときと小さいとき、それをどれだけバックアップするかというのは、一千四百万キロワット、これは東北電力の電力に相当する。そして、二〇一二年の負荷変動幅が二千四百万キロワット、これは八木会長の関西電力の電力量に相当する。それだけのバックアップがないと再生可能エネルギーというのはきちんともたないんだということを指摘いただきましたので、この委員会で紹介をさせていただいたんです。

 こういう状況の中でどうなったかというと、先ほど八木会長が言われた、石炭火力、天然ガス火力の運転時間が大幅に低下していって、ついには最新鋭の高効率天然ガスコンバインドサイクルが運転停止に至ったということを金子先生から教えていただきました。

 その結果、ドイツの電力業界では、石炭、天然ガスの既設発電所が運転できず、売電収入が減り、大変な赤字となって、人員削減などの縮減対策をとらざるを得なくなった。新設火力は採算が合わないので建設ができず、採算が合うのは風力発電のみなので、大手電力もこぞって風力発電設備を建設するようになった。火力の新設がないので、製造メーカーも疲弊し、二〇一四年には、ついにはドイツのボイラーメーカーが消滅するに至ったということを教えていただきました。

 八木参考人が先ほどの陳述の中で、やはりそういう心配がある、ここをきちんとしていかないと大変だというふうに言われましたが、私が紹介したこのドイツの事例等を踏まえての陳述というふうに理解してよろしいんでしょうか。

八木参考人 先生御指摘のように、先行するドイツで非常に再生可能エネルギーが普及したことによって、私の陳述でも申し上げましたように、ドイツでそういった再生可能エネルギーが入っていくことによって、いわゆる再生可能エネルギーの変動を吸収するというのは、基本的には火力発電、揚水発電も一部はございますが、火力発電でしか吸収できませんので、そういう意味では、余り過度に入ってくるとそういう事態が発生しているということで、これは私ども、ドイツの例を参考にして、日本も海外の事例をしっかりと踏まえながら、日本としてのいわゆる再生可能エネルギーをしっかり導入していくということと、いわゆる国民負担を抑制する、これをしっかりやっていくべきだということで、まさに先生がおっしゃるとおり、その例を用いて意見陳述させていただきました。

富田委員 ありがとうございました。

 石川参考人にお伺いしたいんですが、調査室の方から事前にいただいた資料で、石川参考人が先ほどドイツに行ってこられたという霞が関政策総研の資料を読ませていただきました。

 この中で、ちょっとびっくりしたのが、「再エネ補助金「来年度二倍増」が生む国民負担 先行したドイツの苦い教訓に耳を傾けよ!」というふうな表題で記事を書かれていました。

 石川参考人がドイツに行かれたのは、ドイツでいろいろ事例を学びたいということで行かれたと。「私の「今回の訪問では、ドイツの再エネ政策の成功と失敗の両方を学びにきた」との問いかけには、「エネルギー政策は、それぞれの国が、それぞれの事情を勘案しながら進めていくべきことだ」とごくごく当たり前の回答が返って」きたということで、そういう結果、先ほどの石川参考人の、ドイツとフランス両方を学ぶべきだという結論に至ったと思うんですが、ドイツの失敗というのはどういうところにあったというふうに参考人はお考えですか。

石川参考人 私がドイツに行ってまいりまして、やはり政府関係者の方にお伺いして、相当複数の方がおっしゃっていて私が思いましたのは、まさに二〇一一年の震災後における再生エネルギーのシフトの、思想的というか空気というんですか、それに非常に近いものがドイツの経緯にちゃんとありまして、それはドイツの教訓として失敗だったと。

 ただ、成功ということについては、確かに再エネが導入された、機運が高まった、これは成功だと思いますけれども、余りにも日本についてはドイツを見習い過ぎて急速にやったので、ドイツと同じように、やはり向こうではエネルギー貧困、エナジーパバティーというふうに言っていましたけれども、それが実は社会問題化しているけれども、なかなかメディアは取り上げない。

 だから、そういう空気という点では、ドイツというのはそこの点では失敗だった、そういう意味でそこは書いたつもりであります。

富田委員 高橋参考人にもお伺いしたいんです。

 今、ドイツの失敗に学べという石川参考人のお話ですが、実は高橋参考人の資料も調査室の方からいただきましたら、「日本は今こそドイツに学べ!」という、これは週刊東洋経済です。

 この中で、ドイツの家庭の電気量が二〇〇〇年から見て二倍になった、でも、今が最高値であって、これからは下がっていくんだというような御指摘をされて、やはりドイツはそこを頑張ってやるんだろう、多分そこを学ぶべきだというお話だと思いますし、褐炭火力の廃止まで検討しているというような指摘がこの記事の中にありまして、私はびっくりしたんです。

 先ほど御紹介したように、褐炭がバックアップ電力としてかなりドイツではやられているというふうに認識していたんですけれども、先生のこの解説記事によりますと、そこまでドイツはもう考えているんだというようなことでした。

 先生が言われる「日本は今こそドイツに学べ!」というこのキーは何でしょうか。

高橋参考人 先ほども申し上げましたけれども、ドイツも、さまざまな失敗といいますか、苦労をしつつここまで来ている。なので、成功ばかりというようなうまい話はないということをまず申し上げておきたいと思います。

 その上で、ドイツがどうして成功かと申し上げると、明確な長期的な目標を国民合意のもとに確立して、それにのっとって必要な政策、施策を打って、かつ、それを頻繁に軌道修正しつつも維持、継続させてきている。その結果として、確かに電気料金が上がるとかというような弊害も出ていますけれども、やはり、安定的に再生可能エネルギーをふやしていく、二〇三〇年に五〇パー、二〇五〇年に八〇パーというのが当面の長期目標、これはぶれていないわけなんですけれども、その方向性は何ら揺らいでいない、前向きに努力を続けている。それは政府もそうですし、産業界もそうだということです。そういう意味において、総論的に見ると成功しているということが私の言いたかったポイントでございます。

 その中で、電気料金について申し上げると、確かに今、家庭用の電気料金の中に占める賦課金の割合というのは二三%ぐらいになっています。これは日本の割合でいうと三倍ぐらいの数値ですので、果たして日本でこれが受け入れられるかどうかというのは議論の余地があるとは思います。各種の世論調査によれば、ドイツではこれは支持されているという結果が出ている。

 ただ、これ以上上がるというのはかなり問題があるだろうということは言われていて、恐らく、その記事で私が指摘したのは、ドイツは二〇〇〇年からFITを始めておりますので、二〇二〇年以降は初期の案件がなくなっていくわけです。そういう意味において、二〇一六年、一七年、一八年、ここ数年が最もFITという意味では賦課金が上がる時期に来ています。

 ただ、新規案件はそれほどの賦課金の額にはなりませんので、実際、見ると、伸びといいますか、賦課金のふえ方というのはかなり減ってきている、ほぼ横ばいになってきている。そういう意味において、今が一番しんどいところじゃないかということを申し上げたつもりです。

 もう一点。

 褐炭について申し上げますと、済みません、私の理解では、最も今設備利用率が下がって困っているのはガス火力だと思っています。

 褐炭の方は、原子力の割合が減ってきている中で、比較的限界費用が低い電源であり、かつ、褐炭は国内でとれるという政治的な問題もありますので、国内でとれる褐炭を使うという理由で、比較的褐炭火力というのは利用されている。

 ただ、その分、褐炭というのはCO2が最も出る電源でございますので、CO2の観点からすると、これを減らしていかないといけない。

 そういう意味において、多少の補助金といいますか、さっきバックアップ電源の話が出ましたけれども、待機させるかわりにお金を出すといったような方策もドイツでは今行われようとしているというふうに認識をしております。

富田委員 ありがとうございました。

 もう時間も参りましたので、最後に平野参考人に一点だけお伺いしたいんです。

 先日、テレビの報道番組で、山梨県に太陽光発電が大量に入ってきて、風光明媚なところにせっかく引っ越してきて、老後を楽しく暮らしていこうと思っていたのに、家の周りが全部太陽光パネルで囲まれてしまって、風通しがよくて冷暖房は要らなかったのに、太陽光発電のおかげで何か生活環境が変わってしまったみたいな、そういう報道がされていました。

 やはり協会としても、行政の規制がない分野がありますので、そういったところに住民の理解を得ながら進めていくということを何か考えていらっしゃるんでしょうか。

平野参考人 御指摘のとおり、再生可能エネルギーの導入が急速に進んだというメリットがある一方で、一部ではそのような現象が起きているということは認識しております。

 ここは、先ほど私の方から意見陳述でも述べましたとおり、平成二十八年四月一日からの新たな業務システムの運用ということに加えまして、やはり協会としましても、協会員あるいは産業に対しまして、地域との共生というメッセージを今まで以上に出していく必要性はあるというふうに感じております。

 以上でございます。

富田委員 ありがとうございました。終わります。

高木委員長 次に、田嶋要さん。

田嶋(要)委員 民進党の田嶋要です。

 きょうは、参考人の皆様、貴重な時間をありがとうございます。大変示唆に富んだ多くの御指摘をいただきました。

 私もこのエネルギーの分野は、三、四年ずっとやってきているつもりですが、つくづく、技術的といいますか、自然科学の世界でもあり、学んでも学んでもよくわからないことがたくさんあるというのが正直なところでございます。加えて、日進月歩で技術が革新をしていくという側面があるので、きのうまでできなかったことがきょうはできている、アメリカのシェールガスの話も含めて、やはりそういうことも片方である。

 と同時に、同じ時代に、日本とドイツ、日本とフランス、あるいは日本とデンマーク、やっていることが相当違うんじゃないかというような感じもしておるわけでございます。しかし、最終的には、今を生きる人たちが、人類が、どういう未来社会をつくっていきたいかというその思いが、私は選んでいくことにつながるんだろうと思います。

 今、大きな問題の一つは地球温暖化の問題でありますし、それから、いま一つは原発の事故や、テロや、そして最終処分という、極めて重たい、悩ましい問題です。この二つに直面している今を生きる私たちが、子供たち、孫たちにどういう社会を本当に残していかなきゃいけないのか。そういうことをそこはかとなく全ての人が今強く考えているときではないのか。最終的にどういうエネルギーミックスになるかは、私は、今を生きる人類がどういう未来社会をつくっていきたいかということに一番かかっているのではないのかなというふうに思った次第です。

 そして、きょう、石川先生と八木会長が割と同じような発言をして、少し意外な感じも受けたわけでございます。

 石川さんにちょっとお尋ねしますけれども、私もこれは詳しくわかっていないんですが、調整力の話もございました。今私が申し上げた大きな話を踏まえて、自然エネルギー、再エネをふやしていくためには調整力、調整電源、バックアップが必要だというお話がありましたが、私は、そういう詳しい方の発言を聞くときに、本当にそうかなというふうに、常に立ちどまって考えなきゃいけないと思います。あるいは、きのうまではそうかもしれないけれども、きょうからは違うかもしれないという考え方も忘れちゃいけないと思うんですが、まず最初に、石川さんに、確かに火力も調整、バックアップで要るという定説がありますが、きょうは電気の話ですけれども、では、将来、きょう議論している再生可能エネルギー電気は、一〇〇%になるということは無理なのか。

 デンマークは二〇五〇年に全てのエネルギーを自然エネルギーにしようとしています。つまり、ガソリン自動車も販売させないんだろうと思うんです、新車は。デンマークの方針ですよ。それはできるかできないかわからないけれども、政治がそう決めているのかもしれません。私は昨年デンマークに行って、ドン・エナジーとか、あるいは発送電をやっている送配電の独占事業体のエンジニアと話してきました。彼も言っていました。俺は長いこと火力発電のエンジニアをやっていたんだよ、しかし、突然政治が風力でいくと決めたから俺は今風力発電のエンジニアだ、風力こそがこの国の基幹電源だと言っているんです。目からうろこというか、まさに火力でずっとやってきたデンマークが、政治の転換によって、今風力でやっている。ということは、日本の常識とデンマークの常識は今違うんです。

 そういうことを考えたときに、固定観念にとらわれてもいけないし、いろいろと研究されている石川さんから、先ほどそういう調整電源の発言がありました。それでは、将来、一〇〇%再生エネルギーという時代は、調整、バックアップということを考えたら、絶対やってこないというふうにお考えなのか。そこはいかがですか。

石川参考人 私はいろいろなところで言っていますけれども、将来、私のひ孫ぐらいの世代になれば自然エネルギー一〇〇%も実現するだろうと思っています。それは、バックアップの必要もない。

 なぜかというと、今、これは資源エネルギー庁の方でもいろいろ補助政策をやっておりますが、蓄電システムです。太陽や風力というのは不安定電源でありますが、蓄電システムがもし商業化されて、それが普及されてくれば、私は遠い将来において、化石燃料は要らなくなってほしいと思っております。資源は必ずなくなります。原子力も同じだと思っています。

 ですから、実はエネルギー政策当局に私は長くおりましたけれども、エネルギー政策の根本は、化石燃料も原子力も過渡的なものというものが僕は根底に流れていると思っておりまして、そういう点では、自然エネルギー一〇〇%を目指して今何をやっておくか。

 しかし、当面の太陽、風力の不安定な状況におきましては、蓄電システムが商用化されるまではバックアップは必要だというふうに思っております。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。私としては、私と同じような意見で安心しました。

 確かに、調整電源が必要だ、バックアップが必要だということも事実だと思いますが、しかし、それを言い続けると、遠い将来がどんどん遠くなっていくという心配も僕はあると思うんです。遠い将来をいかにさらに身近に引き寄せるかということも、エンジニアも政治も考えなきゃいけないのではないか。これだから無理なんだよ、これ以上はできないんだよという固定観念だと、デンマークみたいな社会は絶対日本にはつくれないということになってしまうことも僕は片方で心配しています。

 きょうは資料はお配りしていませんが、ある方から見せていただいたドイツの大手電力の関係の電源構成の図を見て驚くわけですが、ドイツ全体としての電源構成は、再エネが今、二〇から三〇の間にございます。しかし、例えばイーオンとかRWEという大手は、ほとんど自然エネルギーをやっていない。

 私は何を申し上げたいかというと、八木参考人に御質問させていただきたいんですが、私は、電力会社の将来あるいは株主に対する責任ということを考えたときに、大変危機感を持っているんですね。つまり、今の石川さんの発言も含めて、確かに調整電源は大事、火力は大事、しかし、思い切った経営のかじを切らないと時代に取り残されてしまう。それは、最後には、今を生きる国民、人類が、こういう社会をつくりたいという先には自然エネルギーがあるからだと思うんです。温暖化の問題を考え、原発の怖さを考えたときに、確かに有用な面はいろいろあるけれども、当面の問題じゃなくて、長い中長期の先を見たときには、自然エネルギーは恐らく世界で圧倒的なシェアになると思うんです。

 そういう意味で、その中で最も牽引車になっていただきたい、十電力、九電力こそが自然エネルギーの牽引車になっていただきたいというふうに私は思っておるんですが、それは、株主に対する責任という意味でも、将来を見据えた経営という意味でも、極めて大事だと思います。だけれども、調整電源が大事だからとそちらだけ強調すると、私は、道を誤って、十年後、二十年後には株主から責任を問われてしまう心配もあると思っておるんですが、会長、どのようにお考えか、教えていただきたいと思います。

八木参考人 再生可能エネルギーをどう導入するかということですが、ヨーロッパの国々と、少し日本の状況を考えたときに、日本はやはり一つの島国であって、他国と電力系統が連系していないという点。

 先ほどの場合は、スウェーデンやドイツはほかの国と系統がつながっております。ある意味では、ヨーロッパ全体、EU全体でベストミックスがなされているという関係もあります。したがいまして、あるヨーロッパの一つの国が一つの電源に偏ることが、必ずしもそれが安定供給になっているかというと、それは他国からのいわゆる電力供給の応援もある意味では前提になっている。

 そういうことを考えますと、日本全体を考えたときには、他国との系統連系がない、この日本の中で、資源のない国で、やはり特定の電源に頼るということが本当にいいのか。やはり、特定の電源あるいは特定の燃料源に頼らずにベストミックスを考えていくというのがまずは基本的な考え方であろうというふうに私は思っております。

 その上で、自然エネルギーの再生可能エネルギーを導入していくことについて、全くこれについて否定するものではありませんし、これは当然導入していくべきだと思います。

 ただ、今先生がおっしゃったように、しかし、残念なことながら、太陽光、風力が自然環境によって左右されるという事実は、これは紛れもありません。つまり、変動は必ず起きるわけです。したがって、変動をほっておくことはできませんので、この変動を必ず回収する、吸収する、そういうものが要る。それが今現在は火力かもしれませんが、将来は、もっともっと技術開発した、コストの安いバッテリーかもしれません。

 しかし、必ずやらなければならないことは、そういう自然変動電源を受け入れるための技術開発をきっちりやり、電力の安定供給を守る、品質に影響を与えないということを前提にし、なおかつ、それが国民にとって一番経済的な低廉な電気である、こういうことを念頭に置きながら検討していく必要があると思っております。

 私ども電力といたしましても、そういったことを念頭に置きながら、再生可能エネルギーの積極的な導入につきまして、技術開発も含めまして取り組んでまいりたいと思っております。

 以上でございます。

田嶋(要)委員 ぜひ、資本力もある、そして人材もそろっている電力会社の皆さんが再生可能エネルギーの先頭に立っていただきたい、そのことを改めてお願いしたいと思います。

 本当にそれに私は尽きると思うんですが、きのうまでがそうだったとしても、きょうは状況が変わるということが、やはり、よその国に行くと、目からうろこのこともございます。

 連系線の話も今ございましたが、日本は一億三千万の国でありますから、やはり、例えばデンマークなんというのは五百六十万の小さな国です。ほかの国とつながっているという意味では、日本の一億三千万は、十電力がしっかりと連系しているという意味では、日本国内は、確かに日本国と外とはつながっていないのが現状ですが、日本国の中で見れば、一億三千万の巨大マーケットがEUのような連系線がしっかりとできているというふうにも見られるわけでございまして、こういう違いがあるから日本にはできないんだという発想には立たない方が僕はいいと思うんです。

 私は十日間デンマークに行ってまいったので、限られた知識しか得られません、言葉の壁もあります。しかし、PhDの方々が、どうやったらこの不安定な、自然を相手にする分野を自分たちのコントロール下に置けるかということに私は日夜努力しているということに理解をいたしました。ウェザーニューズという日本の天気予報のデータを提供する会社も提携をしながら、まさに見事に、あしたの風による風力発電がどのぐらいの量かということがほぼ的確に予測できるような、いろいろグラフも見せていただいたんですね。

 だから、不安定だからだめなんだというふうに片づけるのではなくて、不安定をどう我々の味方に引きつけるかというようなスタンスで、やれなかったことができるようなブレークスルーをぜひ私はお願いしたいと思います。

 高橋参考人から、もし何か御意見をいただければというふうに思いますが、いかがですか。

高橋参考人 不安定性をどう対処するかという問題だと思います。

 バックアップ電源、さっきから議論が出ております。必要かと言われれば、それはおっしゃるとおり必要なわけなんですけれども、それはこれまでもあったわけです。例えば、揚水とか石油火力というのは以前からあって、そして、バックアップといいますか、出力調整用に使われてきた。日本は世界で最も揚水発電が多い国なんですけれども、その設備利用率を私が計算したら三%しかありませんでした。どうしてこれで問題が起きなかったかというと、それは総括原価で設備投資が賄われてきたから問題はなかったということです。

 ただ、今、発送電分離も行われようとしていて、本格的な自由化時代になってきますと、そういう設備利用率が低い電源をどうファイナンスして引き続き持っているのかという問題が浮上をしてきています。したがって、再エネのせいというよりも、そもそも自由化によって、設備利用率が低い電源をどうファイナンスしていくのかという問題が起きていて、その上に、今変動性の電源がふえてきていますので、単純に火力を廃炉にするわけにはいきませんよね、それがいわゆるキャパシティーメカニズムの議論、欧州で今起きている議論なわけです。ですので、そこはいろいろ整理をして考える必要があるというのが一つです。

 もう一つが、では、いろいろな対策がありますよというのが二つ目の話で、まさに今政府が電力システム改革を進めていらっしゃるように、広域運用をしていく、これも一つの対策です。先ほど八木会長からも御意見がございましたけれども、蓄電池とかストレージというのを今後効果的に使っていく。あるいは、既存のストレージとして、先ほどの揚水発電、これも設備利用率は極めて低いわけですので、これをもっと有効に活用していくということも考えられます。あるいはディマンドレスポンスですね。需要家側に、出力調整といいますか、需給調整に協力をしてもらう。さまざまな方策が選択肢としてはある。それをまさに、欧州は今、もう既に問題が顕在化しつつあるから、先取りして、技術革新によって解決をしようとしている。

 日本も、さまざまな企業が関連する技術は持っています。持っていますので、まさにこれから再生可能エネルギー、変動電源がふえていくという前提に立つのであれば、当然、政府も一丸になってそういう技術を伸ばしていくということが重要だと思っております。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 先ほど石川参考人の方から、将来的にFITはなくしていくべきだという御意見、これは私もそうじゃないかなと思っています。これは、FITというのは市場原理にのっとらない仕組みであって、あくまでも初期のブースターだというふうな認識を私もしておるわけでございます。

 それにしても、初期には必要なものとして、先進での事例を参考にしながら制度設計をしてスタートしたわけでありますが、私の印象は、余りにも日本は、大型水力を除く再生可能エネルギーの比率がまだ全然小さいのに、いろいろなつまずきをしているなという印象でありまして、もっとスムーズに二割、三割ぐらいまでは上がっていってほしいなと。要するに、一番後発で電力自由化も行っているわけですし、ドイツなどのいい面も悪い面もいろいろ見て制度が始まったわけでありますから、何でこんなに数%のところでつなぐ、つながないというような問題がたくさん起きているのかということを私は思うわけであります。

 まず最初に、平野参考人にお尋ねしたいと思いますが、最大の原因は何だと思いますか。もちろん、私が今申し上げたような問題設定自体に御異論があれば、要するに、全然伸びていないなという私の印象、何でこんな低いところで足踏みしているのかなという問題設定自体に御異論があれば、それに関しても御意見をいただきたいと思います。お願いします。

平野参考人 まず、太陽光に関しましては、設備認定の規模ということに関しましては、順調に、非常にFITが機能して、多くの投資家あるいは設置者というものが太陽光を積極的に導入しようという動きには必ずつながったというふうに思っております。

 しかしながら、残念ながら、先ほど来話のあるような未稼働案件が多くあり、結果的には導入量が思ったほど進んでいないという点におきましては、かなりいろいろな問題があったというふうに思っております。そこは、太陽光発電ということ自体に余りにも安易に取り組んでみて、実際にやってみたらそこにファイナンスがつかなかったであるとか、あるいは、そこにおきます長期の事業性というところに関しての十分な理解がないままに設備認定の申し込みを行った等の問題があったのではないかなというふうに思っておりまして、そこは、逆にもう少し慎重な事業者としての検討を踏まえた上での手続というものがあれば、恐らくこのような、大きな未稼働案件というものはなかったのではないかというふうに考えております。

 あとは、我々事業者としての立場からいけば、さらにコスト競争力を上げて、FITに頼らない自立型の発電システムにしていくという努力は、片やこのFITによって大きく市場が伸びたことも一つの原動力としてコスト下げを進めていかないといけないというふうに思っております。

田嶋(要)委員 それでは、松村参考人からも、何が最大の原因だと考えておられるかを中心にお話しください。

松村参考人 現実に、確かにこれだけ低いところで、これだけ多くの問題が起こっているということについて、私たちは深く反省しなければいけない点はあるかと思います。

 ただ、これについて考えるときに、例えばメガソーラーがもう少しゆっくりしたスピードで順調に伸びていった、それで今の未稼働案件に到達するような、かなり先になって到達したときにこれだけ大きな問題が発生したかどうかということを考える余地というのはあるかと思います。実際に、コストを下げる点でも、急激にふやして、その後スタックするよりは、はるかに着実に順調に伸ばしていった方がよかった、こういうことはあると思いますので、日本の潜在力がこれだけの再生可能エネルギーでスタックしてしまうほど脆弱なところであるというふうに考えるのではなく、今後の制度改正と制度設計を合理化することによってまだまだ伸ばしていく余地はあるかと思います。

 以上です。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 それでは、八木参考人からも、同様に見ておられるか、私は何でこんな低いところで足踏みしているんだという思いでございますが、そこに御異論があれば、それも含めて、あるいは何が大きな原因だと考えられておるか、そこを教えてください。

八木参考人 再生可能エネルギーにはいろいろな種類があるということでございます。一番端的な例は、我々は水力の開発をやってきたわけでございますけれども、これは先ほど参考人の意見の中にもありましたように、やはり水力というのはもう大型の案件、開発地点がなくなってきておりまして、今、維持流量を使った発電とか、あるいはリフレッシュをする場合に機器を効率化することによって効率を上げるというような、なかなか、水力というのは、そういう意味ではもう開発地点がない。

 そういう中で、太陽光エネルギーにつきましては、これは、今、松村先生の御指摘のように、非常に短期間の間に急速に拡大してきている、そういう意味では一定の効果があるんじゃないかと思います。ただ、御指摘のように、系統に受け入れるに当たりまして、大量に一どきに入ってきますと、どうしても変動する電源の吸収ということについての技術的な開発がまだまだ追いついていないという点があるんじゃないかと思っております。

 それとまた、風力、地熱など、開発のリードタイムの長い電源についてはなかなか進んでいない。こういったところで、いわゆる再生可能エネルギー間のバランスがとれていないということだと思います。

 それにはいろいろと理由があろうかと思いますが、今回の制度改革において、リードタイムの長い電源に対して、複数年の買い取り価格を提示することによって事業の予見性が立つようにするとか、あるいは環境アセスメントの期間を短縮するとか、こういったことは非常に環境が整備されつつあるのではないかと私は思っております。

 そして、何よりも、再生可能エネルギーを導入することと、それから国民負担を軽減することの両立という意味では、再生可能エネルギー単体の技術開発、つまりコスト低減の技術開発を、今後もっともっとスピードアップして進めていかないと、導入することによって負担がふえてしまうのでは、国民から受け入れられないのではないかと思いますので、そういう技術開発、コスト低減開発といいますか、これをしっかりやっていかなければならないのではないかというふうに思っております。

 以上でございます。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 それでは、仕組みの中で、今回新たに導入が計画されている入札制度についてもお尋ねをさせていただきたいと思います。

 これは、FITの中身の改正というよりは、FITの外に、FITをやめて入札というふうに私は認識をいたしておりますが、大変いろいろな方面から懸念も聞こえてきておるわけでございます。初めて、やりたいと言った人が必ずしもやれない状況になっていくわけでございまして、入札で自分が落札できた場合にしかやらせてもらえない。だとすると、いろいろな意味で中小企業にとっては負担が大きくなるのではないか。

 ドイツのような、発展ステージ、すなわち二〇から三〇までいった国にとっては、そろそろ量的なコントロールが重要だからこそ太陽光、メガソーラーに関しての入札というものを始めたというような状況認識だと思いますが、いかにも日本は、それこそドイツだけに学んじゃいけないという話であれば、ドイツが始めたからといって、今回、いきなり入札というものを入れることが本当にいいのだろうか、三年後の見直しがあるのなら、三年後の見直しでぐらいが、ひょっとしたらもう一度考え直した方がいいのではないかというような感じもするわけでございますが、石川参考人と平野参考人から、この点に関しましてどのようにお感じになっておられるか。

 少なくとも、明確に、メガソーラー、十メガ以上とかの限定をして始めないと、ふたをあけたら意図することと違うことがまた始まってしまう。結果的に、分散型、小規模、中小企業の皆さん方も参入をし、そして地産地消のエネルギーをつくっていく流れ、あるいは住んでいる方々も自己投資をして、リスクマネーで投資をしてというような、そういうような地域活性の役にも立つような、そうした流れを封じてしまうようなことにもなりかねないかなと懸念もしておるところでございます。

 まずは石川参考人から御意見をいただきたいと思います。

石川参考人 お答えいたします。

 入札制度に関しての私の考えですが、ドイツがやっているからというのは余り私は関係ないと思っておりますが、そろそろ日本のFITの中に入札というような、そういういわば競争性を入れ始めてもいいかなと思っております。

 ただ、実際、再エネ五電源を見たときに、入札をするほどの規模になっているのはやはりメガソーラー。だから、恐らく、今回の政府の資料にも、私が読むと、メガソーラーから入れます、こういうふうに解釈できる。

 それ自体はいいと思いますが、しかし、入札制度を本当に入れていくのであれば、ずっとメガソーラーならメガソーラーだけを入札の対象にするということではなくて、例えば、私は資料で書きましたけれども、半年とか一年ぐらいで入札対象を随時、恐らく追加ということになるんだと思うんですが、そういう機動的な入札制度の追加ないしは中身の見直し、やっていけばそごが出ることがあると思うので、そういったものを勘案しながら徐々に進めていって、最終的には、松村先生は再エネのベストミックスというふうにおっしゃいましたけれども、私も、それに関連する思想としては、太陽光以外のものも将来的には入札の中に入れていくということが望ましいのかな、そんなふうに思っております。

平野参考人 おおむね、今、石川さんのお答えと私の考えが一致したものでございます。

 入札制度に関しましては、先ほど来お話があるとおり、ドイツでは試行的な形として始まっているということで理解しております。

 また、入札によって価格自体を決めるということ自体は、我々は問題ないというふうに思っておりますけれども、やはりその運用につきましては、事業者の予見性が失われないようなこと、また日本の実情に合わせた事業者の声に傾けて、具体的な運用を進めていただきたいというふうに考えている次第でございます。

田嶋(要)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、藤野保史さん。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 きょうは、参考人の皆様、大変貴重な御意見を本当にありがとうございます。大変参考になりました。今後、FIT制度をよくしていく、あるいは国会でのFIT法の審議にも生かしてまいりたいというふうに思っております。

 それでは、始めさせていただきたいと思いますが、まずは八木参考人にお伺いしたいと思います。

 参考人は、二〇一一年七月二十九日、当委員会でのFIT法の参考人質疑におきまして、このようにおっしゃられています。「今回の買い取り制度の中で、再生可能エネルギーに対しまして電力系統との接続義務が設定されているというふうに認識しておりまして、そういう意味では極めて重たい責任が生じるものというふうに認識している」こうおっしゃっているわけですが、今度議論する法案は、参考人が極めて重たい責任とおっしゃった接続義務を、ある意味、その根拠規定である五条、これを削除する、こういう中身になっております。

 参考人はこの規定の削除をどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

八木参考人 お答え申し上げます。

 確かに、現行の再エネ特措法においては、送配電事業者に接続義務が規定されております。私どもとしては、その規定に基づき、公平性、透明性の確保を大前提として、安定供給に支障を及ぼすといいますか、懸念がある場合などの特殊な事情を除いて、基本的には受け入れに努めてきております。

 今回の法改正でその接続請求に関する義務の規定が削除されるというふうに伺っております。ただ、私どもの事業は、もともと電気事業法において規定されております。この電気事業法の中におきまして、全ての電源に対して公平に接続請求に応じる義務がもう既に規定されておりますので、私としては、今回の法改正によっても何ら我々の義務が変わるものではなく、系統接続に関する義務は引き続きあると思っております。

 したがいまして、再生エネルギー電源からのいろいろな系統の申し込みに対しましては、やはり公平性、透明性を大事にして、しっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。

藤野委員 再エネ電気を全量、そして固定価格で買い取るというのがこのFIT制度の大原則だと思うんです。

 ところが、二〇一四年九月に起きた九州電力などによるいわゆるショックですね、九電ショック、これによりまして接続保留の問題が出てきて、その後、経産省は、いわゆる省令改正によりまして、法律ではなくて省令改正で接続可能量の算定を電力会社に委ねて、ある意味、無制限、無補償の出力抑制というのが容認されるようになったと認識しております。ある意味、接続義務が骨抜きになってしまった。

 再エネ導入のためには、あるいは促進のためには、接続義務強化というのが私は筋だと思うんですけれども、今回、この根拠条文を削除することになりますと、これはむしろ逆行していくということになるのではないか。今、参考人は、電気事業法でもともとそういうのはかかっているということでありますが、しかし、特別にFIT法でそういう接続義務を、あえて極めて重い責任とおっしゃられたようなものを課していた現行法のもとでもそうした形で骨抜きになってきて、実際には接続が果たされてこない、むしろ抑制されているというもとで、これを電気事業法に移しても、これは改善していくという保証は何もないと言わざるを得ないと思います。

 しかも、電気事業法では、今参考人もおっしゃいましたけれども、電源間の優先順位がつけられていない。FIT法ですと、まさにそこが優先接続、優先給電なわけですけれども、ここがなくなってしまって、電気事業法に移るからいいんだというのは、電源間の優先順位のない世界ではこれはなかなか難しいのかなと思うんです。

 あえて重ねてお聞きしたいんですが、電気事業法のもとに移っても、電源間の優先順位はつけられていないけれども、再エネの優先順位は後回しにしないというふうにお考えということでよろしいんでしょうか。

八木参考人 基本的には、先ほど申し上げましたが、まず、電気事業法にそうした規定がきちっとされているということ。それから、我々電気事業者としても、やはり再生可能エネルギーというのは日本にとって大変重要な電源であると認識をしております。

 したがいまして、事業者からの接続の申し込みに対しましては、公平性それから透明性、やはりここをしっかりとお客様に御説明できるように、今後とも適切に対応してまいりたいと思います。

 確かに九州電力が一時的にお客様の申し込みが殺到したことによって御迷惑をおかけいたしましたが、その後いろいろ制度改正も行っていただきまして、現在は適切に対応させていただいております。しっかりと対応してまいりたいと思っております。

藤野委員 先ほど他の委員からも指摘がありましたけれども、時代の流れという点から見ますと、やはり再エネの時代というのは否定できない。

 参考人も、ヨーロッパと島国日本で違うんだというお話がありました。確かにそういう面はあると思います。しかし同時に、おっしゃったように、技術開発の問題や、あるいは、国内での系統そのものがまだ全然生かされていない、系統強化義務も課されていないもとで、全然使われていないという問題もあります。あるいは、国内の再エネ資源というのも発掘、バランスというお話もありましたけれども、これもまだこれからの課題ということで、他の国と日本、違う面は大いにあるとは思うんですが、しかし、これから、世界の流れという点で見ますと、やはりそちらの方向に政治も向かうし、経済も向かう、企業も向かっていくという時代に入っているんだと思うんです。

 先ほど株主の観点から御指摘がありましたが、私、消費者の観点からも同じことが言えるんじゃないかなと思っています。

 一昨年の十一月ですか、ドイツの最大手エーオンが、解体、みずからの手で原発を手放して、再エネと送配電事業でやっていくんだ、そういう大きな発表をされまして、私も驚いたわけです。そのときのエーオンのヨハネス・タイセン社長が、二〇一四年十二月の記者会見でこうおっしゃっております。従来の巨大設備と大規模な取引によるシステムは必要だが、技術革新で新しい世界も急成長している、再エネの投資はふえ続け、コストは急激に下がった、何より顧客がクリーンで持続可能なエネルギーを求めていると。

 私は、何より顧客がクリーンで持続可能なエネルギーを求めているというのが非常に大事かなというふうに思っております。

 この点で、八木参考人に最後になるんですが、顧客が求めている、これに応えていく、そういう意味で、やはり原発にこだわっているとここへどうしても乗りおくれていく、逆に言えば顧客のニーズに応えられない、こういうことになってくるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

八木参考人 我が国のエネルギーは、自前のエネルギーがない国において、しかも、先ほど申し上げましたが、他国とも系統連系のない中で、やはり、今、安全の確保はもう大前提でありますけれども、安定供給、それからいわゆる環境保全、経済性、この三つのEのバランスのとれたベストミックスをまずは目指していくというのが日本の電源構成のあるべき姿だというふうに思っております。

 そういう意味では、再生可能エネルギーと原子力というのは、自給率の向上あるいは環境性にすぐれたという面で、非常にすばらしい電源だというふうに思っております。また、国のエネルギー基本計画においても、原子力発電はベースロード電源というふうに位置づけられております。

 したがいまして、私どもといたしましては、こういう国のエネルギーミックスの姿を踏まえつつ、各電力会社においてそれぞれの電源開発を進めていくわけでありますが、基本的にはやはり再生可能エネルギーの導入拡大、それから原子力の活用、これは最大限頑張ってまいりたいと思っております。

 その前提として、再生可能エネルギーは、やはりみずからも開発するとともに、みずからの系統でいわゆる導入が拡大できるように、今後ともいろいろな技術開発、そうしたことを進めていく必要があると思っております。

 また、原子力につきましては、これはもう当然のことながら安全の確保が何よりも大前提でございますが、安全の確保を大前提として、原子力規制委員会の規制を守ることはもとより、この規制の枠を超えて、自主的、継続的に我々事業者が安全確保に努め、そしてまた、そうしたことを国民の皆様にしっかり御理解を賜るよう努力をしていくということが何より大事じゃないかというふうに思っております。

 以上でございます。

藤野委員 高橋参考人にもお伺いしたいんです。

 先ほど本質的な問題だということで御指摘があった、優先給電がこの間否定されてきた、二〇一五年一月に改定されたいわゆる新ルールのもとで出力抑制が無補償、無制限に行われるようになったということなんですが、これがなぜ問題なのか、この点について改めてお聞かせいただければと思います。

高橋参考人 先ほどの私の意見陳述の中で、FITというのは投資の確実性を高める、要するにリスクを減らすというのが最大のポイントであるということを申し上げました。

 その意味において、発電所が接続されている、しかしながら、さまざまな事情により給電されない、とめられてしまうというのは、当然、当初の目算が大きく狂うわけですから、それは再エネの発電事業者にとってみると、投資のリスクが非常に高まるということです。

 今のところ、まだ、いわゆる滞留案件が実行に移されている部分がたくさん残っておりますので、極端に導入量が減っているという数字は出てきておりませんけれども、個別に再エネの発電事業者、投資の方々にお話を伺うと、やはりこの出力抑制が無補償で無制限というルールになってしまったということは、ファイナンスがおりない、銀行がお金を貸してくれないということを多くの方がおっしゃっています。

 したがって、この給電のルールが継続されれば、今後、一年後、二年後ぐらいになってくるとその効果があらわれてくるという危険性はあると考えています。

 もちろん、電力会社さんは安定供給に責任を持っていらっしゃるわけで、出力抑制を本当に無制限にするとは私も思っておりません。最大限努力した上で、本当にやむを得ない部分だけ出力抑制をする。これまでも、多分、種子島とかそういう特別な事例においてのみ報告をされているわけですので、実際には本当に無制限にされるとは思ってはおりませんが、やはりファイナンスという観点からすると、その可能性があるということが極めて重要な問題であり、FITの投資リスクを下げるという本質的なところにもかかわることであり、かつ、限界費用が低い電源を出力抑制するというのは合理的でもありませんので、そこは欧州の考え方とは大きく異なるというふうに理解をしております。

藤野委員 今の投資の確実性を損なうという点は非常に重要だと思っていまして、それと関連してもう一問、高橋参考人にお聞きしたいんです。

 本法案では、一般送配電事業者に系統増強あるいは強化を義務づけることなしに、FITの買い取り対象となる事業者の認定制度を、これまでの設備認定から系統連系契約後の事業認定に変更することになっております。

 系統が強くなるか、受け入れてもらうその連系が強化されるかどうかわからないまま、その契約の後に認定されるということになって、設備認定のときよりも、いわゆる予測可能性という点で、つないでもらえるのかと。今でもいっぱいいっぱいだと言われているもとで、その認定をさらに変更するということで、これでは一層、一般事業者主導といいますか優位といいますか、逆に言えば、本当に自分たちがそういう事業を継続できるのかというところについての不安というのがあるのではないかと思うんですが、これについてはいかがでしょうか。

高橋参考人 設備認定についての御質問です。

 設備認定は、これまでは経済産業省・資源エネルギー庁の方で認定をするというところで価格が決まってまいりました。それは基本的には早過ぎるだろうということで今回の法改正になったということです。

 したがって、より後の適切な時期に価格を決めるということについては私も賛成です。なるべくおくらせて、確実に事業を開始するということがわかった段階で価格を決めるというのは合理性があると思っています。滞留案件、不良な案件を排除するという点からも合理性があると思っております。

 他方で、今委員が御指摘の点は、接続の方の問題だと思っています。認定の問題というよりも、接続が確実になされるということが極めて重要です。

 先ほど八木参考人もおっしゃったとおりに、そもそも送配電事業者というのは、あらゆる電源について接続をすることが基本です。その上で、設備、系統の容量を増強するとかという場合には、どうお金を負担するのかという問題が次に出てくるわけです。その場合、専門的に言うとディープ方式ですとかシャロー方式ですとか、要するに発電事業者がどこまでその費用を負担するのかというような選択になってまいります。

 欧州は、発電事業者ではなくて系統運用者の方が設備、系統の増強費用を払うというのが基本的な考え方になっておりますけれども、日本は、そうではなくて、発電事業者の方に相応の負担をしてもらうという原因者負担のルールが現状でも続いているというふうに認識をしております。

 ですので、そこは、再生可能エネルギーをどれぐらい優先して接続をするのかというルールの考え方だと思っております。

藤野委員 私たちは、再エネ導入のためには、接続義務を果たさせるとともに、系統運用者に対して送電網の増強、強化の義務を課していくというのが車の両輪として必要だというふうに思っています。

 今お話ありましたように、ドイツでは系統運用者に増強義務が課されているというふうになっていて、そういう意味で託送料金なんかもそれに使われているという状況だと思います。ですから、そういう意味で、FITのような導入促進策と系統システムの増強というのは、やはり両方進めていく必要があるというふうに思っております。

 そして、ちょっと時間もなくなってきたんですが、もう一問だけ高橋参考人にお聞きしたいんです。

 参考人は、福島民報二〇一五年三月二十三日で以下のように述べておられます。現存する原発を再稼働させても、運転開始から四十年で終えるなら、二〇三〇年時点の割合は一三%となり、その先さらに減る、ドイツのように期限を区切って脱原発を進めるべきだ、再生エネを優先的に入れ、送電網を有効活用するようルールを変えれば、三〇年に四〇%までふやせると。

 二〇三〇年に四〇%まで再エネをふやせるという目標値だというふうに思います。

 この点について、どのように実現していくのか、教えていただければと思います。

高橋参考人 二〇三〇年に四〇%、これは水力を含めた数字ですので、残りの再エネは約三〇%ぐらいということですね。

 これはもちろん、さまざまな政策を総動員していく必要があるわけです。FITという制度はもちろん必要ですし、先ほどから、FIT以外にさまざまな規制があるから、例えば地熱ですとか小水力とかの立地が進みませんよねと。風力も環境アセスが厳し過ぎるんじゃないですかとか、そういうさまざまなルールとか規制がございますので、そういうものは当然改めていく必要があるだろうということはもちろんのことです。

 さらに、系統関係でいうと、既存の系統網が必ずしも十分に使われていない、系統運用のルール上なかなか柔軟に使えないというような問題もあります。これも今、広域機関の方で検討を進めていらっしゃるわけなんですけれども、そういうような既存のベースロード優位の空押さえのようなルールというのを改めるとか、そういうこともしていく必要があります。

 もちろん、それでも足りないところがやはりあります、系統が足りないところがございますので、そういうところは当然つくっていく、ふやしていくということが必要です。それについては、部分的には共同で入札をして負担し合おうとか、これは東京電力のケースですけれども、そういう取り組みも行われているわけなんです。もう少しそういうものをよりルール化して、先ほども透明性とか公平性という御意見が出ていましたけれども、そういうふうにして適切に増強していくということも当然必要だと思います。

 それでもやはり広域運用だけでは変動性対策は十分ではないかもしれませんので、先ほど申し上げたとおり、ディマンドレスポンスですとかストレージを使っていくだとか、そういう対策も当然必要になっております。

 もちろん賦課金の負担というものも、そのスピードで上げていくというものであれば、ある程度の上昇というものはやむを得ないと思われますので、そこは当然国民合意というものが必要になっていきます。

 ですので、そんな非常に簡単なことであるというふうには私も全く認識はしておりませんが、諸般の事情、スリーEプラスSを総合的に考えれば、中長期的に再生可能エネルギーを基軸としていくということは、特に日本にとっては肝要かというふうに考えております。

藤野委員 ありがとうございます。

 松村参考人にお聞きしたいんですけれども、きょうも、積み残しの課題ということで、託送料金について御指摘をいただきました。

 地産地消の電源にとっては不利な料金体系になっている、あるいは分散型電源には不利なビジネスモデルであるという御指摘もされていると思うんですが、今後この点についてどのようにしていく必要があるというふうにお考えかということが一つ。

 もう一つは、この間、いわゆる効率的な送電網の全国的な構築、これは極めて重要だというふうに参考人は指摘されていると思います。この点で、二〇一四年三月四日のNHK「クローズアップ現代」でも、参考人は、日本の送電網は極めて貧弱だった、設備投資が圧倒的に足りなかったともおっしゃっていらっしゃいます。

 その点で、私たちは、一般送配電業者にやはり力に応じて責任を果たしてもらうことは必要だと思っているんですが、こうした問題をどう考えていくか。参考人は、先ほどから話に出ている広域的運営推進機関の評議員も務めていらっしゃいますので、この一年間評議員としてかかわってこられて、どう感じていらっしゃるか。

 この二点についてお聞かせいただければと思います。

松村参考人 まず、託送料金については、長期的にエネルギーの地産地消モデルに不利にならないようにということが重要なことだと思っています。

 今までの託送料金の発想というのは、遠隔地に大規模発電所を立てて、これを順番に圧力を落としていく、こういう形。今でも主力であるのは間違いないので、現時点で大幅に変えるのは難しいかもしれないけれども、しかし、ビジネスモデルとしては、分散型の電源を置いてその地域で消費するということは十分あり得るということが見えてきたところですから、これからすぐにでも検討を始めて、近い将来に入れられるようにということも必要だと思います。それ以外にも、いろいろな形で設備投資を効率化するための託送料金の改革というのは、今後進めていかなければいけないと思います。

 それから、送電投資が今まで余りにも貧弱だったというのは確かに事実で、そのためにある種の送電投資の義務というものを考えるべきだというのは、それはお気持ちはとてもよくわかるのですが、一方で、きょうも説明しましたが、本当に送電投資をしてやるのがよいのか、例えば需要を動かすということの方がいいのかというようなことで、コストを最小にするという発想も必要なんですね。義務づけで、とにかくやみくもに投資をするというのを促すのではなく、コスト効率的なということを考えなければいけないと思います。

 今まで足りなかった部分については、広域機関が主導権を持って一生懸命やっていくという方向が打ち出されて、現在までのところはうまく機能していると理解しております。

藤野委員 ちょっと時間の関係で、平野参考人、そして石川参考人にお伺いしたいんです。

 平野参考人は太陽光発電協会理事として御活躍されているということで、二〇一五年十二月十五日の再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会の第六回会合で、きょうもお見えのようですけれども同協会の亀田事務局長がこういう指摘をされております。先ほど出てきている話ですけれども、無制限、無補償という言葉が市場を席巻しておりまして非常に新規導入に暗い影をもたらしていると。

 こういう指摘なんですが、この無制限、無補償の出力抑制の影響をどのように感じていらっしゃるか。

 そして、石川参考人は、先ほど、将来、再エネ一〇〇%も可能だという御指摘をされましたけれども、それに向けて何が必要なのか、政治に何が必要というふうにお感じなのかというのをあわせてお聞かせいただきたいと思います。

平野参考人 無制限、無補償の出力抑制ということに関しましては、九電ショック以来、非常に大きな影響が国内需要にあったことは事実でございます。それは、亀田事務局長から十二月に申し上げたとおり、やはり言葉がひとり歩きしたということがございます。

 その後、太陽光発電協会としましては、現実的な出力抑制というのはどの程度になってくるのかということについてシミュレーションを行いました。それを産業界、業界の中に伝達するということで、現実的な出力抑制というのは、言葉ではなくて、各電力区域内においてどの程度なのかというのがだんだんと理解が広がってきたということで、一部におきましてはファイナンスがつくようなことも始まってきたということで、これから我々として求めてまいりたいのは、やはり、先ほど八木参考人の方からございましたとおり、電力会社様から系統に関する情報を広く共有いただきまして、我々としては、現実的な出力抑制というものがどの程度なのかというのをきちっと理解していくということが必要だというふうに考えております。

石川参考人 自然エネルギー一〇〇%というのは、さっき申しましたとおり、やはりバッテリーだと思います。

 それに対する投資をきちんとやるためには、やはり私は、エネルギー産業界において、今は外国に相当程度お金が流れていますので、これを早く国内に戻す。ありていに言ってしまいますと、原子力の正常化を早く政治主導でやっていただきたいということであります。

 そして、これはまたいろいろ議論があると思いますけれども、四十年の寿命と言われておりますけれども、実際にはやはり六十年まではいけるというようなことで、安全管理をしながらきちんと原子力を使い切って、やめる。私は、安い電源でやっていってお金をためて、並行しながら蓄電システムの投資にお金と人と物をかけていくべきと。

 実現時期については、さっきも申しましたけれども、私が生きている時代は無理だとは思いますが、せいぜい私のひ孫ぐらいのころには、日本国において蓄電システムが商用化されて、それぞれの家に普及すれば、私はいけると思っております。

藤野委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

高木委員長 次に、木下智彦さん。

木下委員 おおさか維新の会、木下智彦です。

 きょうは、もう三時間ほどになりますのでお疲れだと思いますけれども、あともう少しおつき合いいただければと思います。ありがとうございます。

 先ほどからお話があったところで、接続義務の話がちょっとあったと思うんですね。いろいろとお話を聞いていて、日本の場合は発電会社の方が接続に対する費用をある程度持つということを言われていたんですけれども、先ほど、一番最初に八木会長の方からお話しされていた中で、駆け込みがあるだろうと。だから、駆け込みに対して、時間と、それから申し込み方法等々もちゃんと先に知らせてという話をされていたんですね。

 それを思ったときに、今のところは全部接続することを基本としていると言いながら、実質的に発電会社が、発電する方がどういうふうな準備ができているかというのは、これは認定で政府がする部分もあると言いながら、実質的には送配電事業者の方に任されている部分が相当でかいんだろうと私は思っているんです。そうなったときに、実際、実務の面でどこまでのことを送配電事業者の方が任されるか、私はこれは結構重要だと思っているんです。

 というのは、本来の商行為の中では、相手と、与信の問題であるとか、実際に彼らが発電をして電気を流してくるような能力を持っているかどうか、その判断をしなきゃいけない。認定するのは政府だというような感じのことを言いながら、実質的には送配電事業者にそれを任せることになるんだということであれば、どういったところが具体的に問題になるのかといったところを、実務的になるのでちょっと難しいかと思いますけれども、教えていただけますでしょうか。

八木参考人 今回の新しい法制度によりまして、旧の認定をとられているお客様が、来年の四月一日までの間に、いわゆる接続契約、電力系統の接続契約を完了しないと失効する、こういうことであります。

 当然、今から、既にお申し込みいただいている方々、これから恐らく駆けつけで申し込まれる方がいらっしゃると思いますが、私どもの場合は、大体標準的な期間を定めておりまして、低圧のお客様ですと大体一カ月程度、それから、特別高圧とか高圧になってまいりますと、電源線をつくったりしますとやはり九カ月ぐらいかかります。

 したがいまして、ある程度の標準期間がやはり要る。この間に、実際は、高圧、特別高圧の場合は、送電線をつくるに当たりましては、その送電線が本当にできるのかどうか、実際の現地の調査から、いわゆる工事内容の選定。それから、実務的に複雑な場合は、同じ地域にいろいろな方がお申し込みをなされますと、いわゆる先着優先順で評価していくわけですけれども、これがどんどんどんどん入っていきますと、やはり系統増強のあり方等々も変わってまいります。

 そういうことで、お客様に対してしっかりとその中身の御説明をし、お客様もそれを御理解いただくということが大変重要でございます。

 この点において、我々としては、これからの新しい法制度の中で、先ほど申し上げました大体の標準的な期間、こういうことをしっかりとお示しして、少なくとも早目早目にお申し込みいただきたい、最低でもやはりこの程度のことは覚悟した上でお申し込みいただかないと、ふくそうしてしまうと難しいので、はなから我々は、先ほど申した接続の義務がありますので、接続検討はしっかりと、これはお客様に公平性、透明性を大事にしてやってまいりたいと思いますが、やはり我々側にもどうしてもマンパワーというのもございます。

 そういったこともしっかりと、ある意味では、この法改正を受けたら、我々自身もお客様に、事業者に説明していきますが、ぜひ国におかれても、こういった制度の内容、こういうことの状況をしっかりと御説明いただいて、御指摘のように、そういったお客様への対応に漏れがないようにしっかりやってまいりたいと思っております。

木下委員 私思うのは、今聞いていてもあれなんですけれども、むやみやたらに、接続義務があるから接続してよというふうにいろいろな話が出ていると思うんです、それがいいか悪いかは別として。でも、実際、今のお話を聞いていると、相当これは難しいと思うんですね、現場サイドというふうなところで見ると。

 これはちょっと、どっちの立場に立って話すかというところが難しいところなんですけれども、法律で縛られながらも現実感がなければこれは動いていかないと思っていますので、今のお話を聞いていても、まだまだ法律に対して現実感というのが追いついていないのか、現実感に対して法律が勘案されていないのかというところがまだちょっとあるかなというのを思った次第です。

 次に、これも、ほとんど八木会長にお話を聞くところばかりになってしまって申しわけないんですけれども、もう一つ言われていたところが、ドイツなんかは再生可能エネルギーの大量導入の影響で火力発電がとまったりとかそういう感じのことが起こっている、こういう状況の中で、火力発電などの調整電源の固定費回収を含めて、安定供給を維持するための必要なコストを適切に回収できる仕組みのあり方について検討していただきたいと考えておりますというふうにおっしゃられていたんです。

 これは、確かにこういうことは起こり得ると思うんですけれども、では具体的にどういう回収する仕組みというのがあると思っていらっしゃるか。これは検討すべきだとは思うんですけれども、適切に回収できる仕組みを検討してほしいとおっしゃられているので、どういった適切な回収する仕組みというのを逆に御提案されるかというところをちょっと教えていただきたいと思います。

八木参考人 お答え申し上げます。

 今御質問ありました電源の固定費の回収ということにつきましては、これは海外でも幾つか事例がございます。そういう意味では、いわゆる固定費回収の予見性を高めるという意味では、容量メカニズムに関する議論というのが各国で議論されております。

 例えば、アメリカ、イギリスでは小売事業者が容量に応じた費用を負担するという制度もございますし、フランスでは発電事業者と小売事業者の間で容量を取引する制度、ドイツでは系統運用者があらかじめ必要な予備力を確保する制度、いろいろな制度がございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、こうした欧米の制度を少し参考にしていただきながら、こういった固定費の回収方策について議論をしていただきたい。

 我々としては、やはり、再生可能エネルギーを導入するということとバックアップ電源の固定費をきちっと回収するというその両建てが、むしろ再生可能エネルギーをしっかりと拡大できる政策であるというふうに思っております。

 これから詳細な制度設計が進んでいくと思いますが、ぜひそうした議論を進めていただければと思っております。

木下委員 恐らく、その後の方にも同じような感じのことを、ちょっと意味合いは違うのかもしれませんけれども、電気の使用者のみが費用を負担するのではなくて、広くエネルギー消費全体で負担することもあわせて検討いただきたい、そこもちょっとそういう部分が入っているのかなというふうには思うんです。

 これはほかの参考人の方々に聞きたいんですけれども、今、八木会長は、実質的に、そういうコストの回収の仕方、仕組みというのは、今海外ではこういうふうなことがあるというふうに言われていたんですけれども、そういう必要性があるのかどうかということが一つ。それから、このコストをしっかり満遍なく回収する最善の方法と思われるのは何かといったところを各参考人の方々からお話しいただければと思います。

松村参考人 再生可能電源を拡大していくというのは、エネルギーの利用という点から見て全ての人が負担すべきだというのは正論だと思います。ある意味で、賦課金というのは、電力の消費だけにかけるのではなく、ガスの消費、石油の消費とかというようなところにも拡大していくということは技術的には可能だと思います。

 ただ、これを議論するときには、逆に一般会計から例えば電力の方に大量にお金が入っているとか、もちろんほかの業界もそうなんですが、そういうことも含めて、本当にある種公正になっているのかというのは、全体の制度を一気に変えるときにきちんと議論するという方が効率的なのではないかと私は思っております。

 以上です。

高橋参考人 キャパシティーメカニズムに対する御質問と捉えてお返事をいたします。

 先ほど八木参考人のまとめていただいたとおりで、広くはキャパシティーメカニズムというふうに言われています。

 これまでは、キロワットアワーに対して消費者がお金を払うというのが、エナジー・オンリー・マーケットとかというんですけれども、これまでの電力に対するお金の払い方だったわけなんです。確かに、そういう出力調整用の電源、要するに、通常は待機をしているんだけれども、どうしても必要なときのみ動かす。なので、必要なんだけれども、キロワットアワーの販売に対しては余り収益が上がらないという電源が今後ふえていくだろうということです。

 したがって、イギリスは、キロワットの権利を取引するという市場を導入し始めたところです。ドイツは、市場をつくってしまうというのはかなりコストがかかるということを鑑みて、とりあえずは、火力発電所に対する補助金のようなものを出すことによってそういう電源の費用を回収させようと。ですので、マーケットではなくてキャパシティーメカニズム、リザーブというふうに呼ばれているわけなんですけれども、そういう仕組みの導入を今しようとしているところです。

 ですので、各国で状況がいろいろ違いまして、市場の制度がどれぐらい成熟しているのかとか、再生可能エネルギーの比率がどれほど高まっているのかとか、その結果、火力発電所の設備利用率がどれぐらい下がっているのかとか、そのほかに調整用の電源というのがどれぐらいあるのかとか、さまざまな要因によって決められるべきものと考えております。

 したがって、日本においてはまだそういう問題はほとんど顕在化していないというふうに思っていますので、そういう欧米の事情を見つつ、今後検討していくべきというふうに考えております。

石川参考人 財源問題ということで申し上げますけれども、確かに、松村先生がおっしゃる一般会計というのは、私もそうだと思うんです、原則論は。しかし、実際の行財政を見ますと、仮に消費税を、今は八ですが、一〇%に上げたとしても到底賄い切れない、社会保障費に全額をつぎ込んでそれでも足りない、さらに教育費、公共事業費、いろいろあるわけですね。

 そうなりますと、そういう一般会計の世界からエネルギーの世界に持ってくるというのは、私は、行財政の現実を考えると無理、要求するのがそもそも不見識と思っております。

 そうすると、やはりエネルギーの中で仕切るということを考えると、エネルギーに対する課税というか賦課金というか、どちらでも構いませんが、ただ、たまさか再エネ賦課金の場合には電気料金で回収するのが便利なわけなので、電気料金で回収する仕組みをとっているというふうに私は理解しております。

 これについては、今再生エネルギーをやるんだ、それは確かに国是かもしれませんが、さっきも申し上げていますけれども、震災以降、原子力がはっきり言っておかしな状況にある、これを正常化しない限りにおいては、どこでどうひねり出してもお金がないですね。

 したがって、それを正常化した上で、さっきも申しましたけれども、海外に出ている巨額なお金を日本に戻すというスキームとパッケージで、新たな再生エネルギー、国産エネルギーに対する財源論というものを考えていただければなというふうに思います。

平野参考人 先生の御質問に直接お答えにはならないかと思いますが、我々、太陽光に携わっている産業といたしましては、やはり回収する固定費を最小限にしなければならないという意味において、この太陽光発電がシステムの安定化にどう寄与していくのかというのが大きな鍵だというふうに思っております。

 よって、そのシステム負荷を下げていくという意味において、従来型の売電方式ではなく、先ほど来申し上げている自立型の発電になることによって、自家消費を住宅においても産業においても促進していくということが重要だというふうに思っておりまして、その上では、省エネ技術あるいはストレージ技術、ディマンドレスポンスというところにやはり技術力を結集すべきだというふうに考えております。

 NEDOでは、二〇二〇年に発電コストを十四円、二〇三〇年に発電コストを七円に下げていくということで、従来型の発電に対して十分コスト競争力があるものを技術力をもって達成しようということでございますので、我々のできる範囲というのは、我々も一緒になって技術力を高めていくというところにあろうかというふうに考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 皆さんの今のお話を聞いていて非常におもしろかったんですけれども、特に松村参考人が一般財源からというふうに言われたこと、それに対して石川参考人の方からお話しいただいたこと、まさしくそこは非常に難しいところだと思うんですね。実際に電気料金の方で賄っていくのか、それとも税金をそういう形で使っていくのかということに集約していくんだと思っているんです。この話をしていると、恐らく議論が尽きないなと思っております。

 例えば、ここはちょっと、石川参考人のおっしゃられることはすごくよく私もわかるんです。ただ、例えば原子力をうまく活用していくんだというふうな形だと思うんですけれども、私が個人として一番頭を悩ますところは、今、石川参考人がおっしゃられていることをうまく回していくために必要なこととなると、どうしても、きょうも聞いていてわかるとおり、原子力発電に対して反対の方々、そういった方々に対するコスト、安全のコストも含めてですけれども、そういったものがではどこから出ていくのかということだと思うんですね。立地交付金であるとかそういうのも含めてですけれども、そこがまた税金が使われているというところもあって、そういうことに対する一部の人たちというのか、大きなパイの数だと思うんですけれども、そういった人に対するコストも考えたときに、今おっしゃられていることが、経済学的に考えても、普通に考えても、そういうやり方でうまく回ればいいと思いながらも、安全性が確保されるという大前提の中でですけれども、実際には、これは政治も含めてコストがかかり過ぎるんじゃないかなというところがあると思うんです。ここをどう考えるかというところが一番悩ましいところだと、多分、八木会長なんかは一番思われているんだろうなと思うんです。

 その辺の解というのはなかなか難しいところだと思うんですけれども、そこを、ちょっと全然私が予定していた質問じゃないんですけれども、石川参考人にお答えいただければと思います。

石川参考人 恐らく、先生がおっしゃっているのは、安全というよりも安心だと思います。これは、実際の行政現場でも非常に難しいものがあると思っていますが、これについては、私はやはり、不安とか安心というのはどうしようもないと思いますね。

 例えば福島のあの事故の画面を見せられれば、誰だって、これは困った、嫌だというふうになると思います。しかし、では、実際の事故の影響とか、あるいは、例えば人類は原子力事故を福島の前に二回経験しております、スリーマイル島とチェルノブイリ、その後処理の方法、本当に原子力を全部停止したのか、そのときどうやってアメリカ政府はメディアを通じて国民と対話したのかということをもう一度真摯に勉強しながら、政治と行政がやはり地元も含めてきちんと説得して、ただ、いつかは原子力は必ずやめるので、やめるまではきちんとやって、そして次の世界、蓄電システムだと私は思っていますが、自然エネルギー、そっちに持っていくための過渡期ということで、これはもう心と心の対話で、これは政治、行政が説得に当たることしかないと正直思っています。

木下委員 まさしく私もそうだろうなと思いながら、私も含めてそこまでのことが政治で今回していけるのか、これから回していけるのか、これは非常に大きな課題だというふうに受けとめて、そこから先どう進んでいくかというところは難しいところだと思うんですけれども、みんなで頑張っていきたいなというふうに思います。

 もう少し時間があるようなので、もう一つちょっと聞かせていただきたいんです。

 この制度、この法案に戻るんですけれども、今回の件に関して見ると、要はコストの予見性が高まるというふうにそれぞれの方が、言われていた方がたくさんいらっしゃったと思います。コストの予見性が高まる、そして事業の予見性も高まるというふうに言われていたんですけれども、これは、再生可能エネルギーに関するコスト、もしくは再生可能エネルギーの事業に関する予見性は確かに高まるような気はするんです。

 ただ、本音で私も含めてどうなのかなと思うのが、これは三年後に見直しをいろいろするとかいうふうな話があります。制度に引っ張られて、実際に事業をやられている方なんかは特にそうだと思うんですけれども、予見性は本当に高まるのかどうかなと。これは制度によってどんどんどんどん変わってしまう可能性を秘めているんだと思うんです。海外の事例も含めてこれから先見ていかなければいけない。そういう意味では、再生可能エネルギーの分野に対する予見可能性というのもどうなのかということもあります。

 それからもう一つ、これはちょっと軽い言い方で非常に申しわけないんですけれども、国民の大半の方々が一番気にしていることというのは、端的に言うと電気料金なんですね。

 電気料金という話になると、八木会長に一番最初に聞かせていただいたように、全体でどういうふうにコストマネジメントするかということにかかわるんだと思うんですけれども、この法案、この制度が全体の電気料金というかコストの予見性が高まることにつながるのかどうか。それ以外にも、電力システム改革であったりとかエネルギー基本計画であったり自由化の話であったり、いろいろな要素があると思うんですけれども、事この法案を一つの要素として考えたときに、その全体に対する影響というのをどう考えられているか。

 これは、事業者としてどう考えられているかというところをちょっとお答えいただきたいんです。

八木参考人 再生可能エネルギーの固定買い取り制度というのは、いわゆる電気料金の上の増分コストですね。ですから、この増分コストの部分について、これは、こういった事業、例えば今回のような入札制度が入ることによって、コスト効率の高いものが入っていくことによって、ここのいわゆるコストが下がっていく可能性はあります。逆に言うと、将来の賦課金の上昇が少し抑えられて、再生可能エネルギーの導入と国民負担の両立が図れる方向での制度見直しがなされているんじゃないかと思います。

 電気料金というのは、そのベースの部分は再生可能エネルギーの導入とは余り関係ないといえば関係ない、賦課金とは直接関係ありません。

 ただ、御指摘のように、電気事業者が電力を供給するに当たって、電源構成をどうするかという中で、そのポートフォリオの中で再生可能エネルギーをどう位置づけるかということ、その中で電気料金にどう反映できるか、それは必ずしも再生可能エネルギーだけじゃなく、やはり原子力というのを含めて、トータルで考えていく必要があると思います。

 そういう意味では、こういった再生可能エネルギーの買い取り制度の法改正によって再生可能エネルギー自体の事業の予見性が高まっていくということは、ある意味では、我々事業者にとってみれば、そういった面で全体としてのポートフォリオをつくりやすい方向に行く可能性もありますので、電気料金をできるだけ上げない方向、できるだけ低廉に電気をお客様に供給するという方向に持っていける要素はあるのかなとは思っております。

 ただ、電気料金というのはそれだけの状況では決まりません。これから我々事業者は競争環境に入りますので、そういったことも含めて、やはり経営判断として電気料金は決まっていきますので、最終的にはちょっと何とも申し上げられませんが、そういう方向にあるのかなという気はいたします。

木下委員 ありがとうございます。これを事業者の方に聞くのは酷だったかもしれないですね。

 ただ、一つ一つの要素の積み重ねをどう組み合わせていくかということを考えて実質的なエネルギー政策を考えていかなきゃいけないと思っておりまして、実際どうなのかなというのがちょっと私の方の疑問でありました。

 本来であれば皆様にその辺の御意見を聞きたいところなんですけれども、もう時間がないようなので、きょうはこれで終わりにさせていただきます。

 ありがとうございます。

高木委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 次回は、来る五月十一日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.