衆議院

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第10号 平成28年5月11日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十八年五月十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高木美智代君

   理事 神山 佐市君 理事 佐々木 紀君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 田中 良生君

   理事 山際大志郎君 理事 伴野  豊君

   理事 升田世喜男君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    井野 俊郎君

      石川 昭政君    小田原 潔君

      尾身 朝子君    大見  正君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    小林 鷹之君

      塩谷  立君    助田 重義君

      関  芳弘君    平  将明君

      武井 俊輔君    武村 展英君

      寺田  稔君    冨樫 博之君

      根本 幸典君    野中  厚君

      福田 達夫君    藤原  崇君

      星野 剛士君    堀井  学君

      前田 一男君    三原 朝彦君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      簗  和生君    山口  壯君

      大畠 章宏君    落合 貴之君

      近藤 洋介君    佐々木隆博君

      階   猛君    篠原  孝君

      田嶋  要君    高井 崇志君

      中根 康浩君    本村賢太郎君

      中野 洋昌君    藤野 保史君

      真島 省三君    木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣       林  幹雄君

   経済産業副大臣      鈴木 淳司君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     住田 孝之君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          井上 宏司君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 松尾 剛彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 日下部 聡君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官) 吉野 恭司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        藤井 敏彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 深見 正仁君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     武井 俊輔君

  石川 昭政君     根本 幸典君

  寺田  稔君     堀井  学君

  冨樫 博之君     藤原  崇君

  福田 達夫君     小田原 潔君

  宮崎 政久君     井野 俊郎君

  近藤 洋介君     佐々木隆博君

  中根 康浩君     階   猛君

  本村賢太郎君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     簗  和生君

  小田原 潔君     助田 重義君

  武井 俊輔君     穴見 陽一君

  根本 幸典君     小林 鷹之君

  藤原  崇君     冨樫 博之君

  堀井  学君     寺田  稔君

  佐々木隆博君     近藤 洋介君

  階   猛君     中根 康浩君

  高井 崇志君     本村賢太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     前田 一男君

  助田 重義君     福田 達夫君

  簗  和生君     宮崎 政久君

同日

 辞任         補欠選任

  前田 一男君     石川 昭政君

    ―――――――――――――

五月九日

 原発再稼働をやめ、再生可能エネルギー中心の社会への転換を求めることに関する請願(島津幸広君紹介)(第一六五九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八二二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房商務流通保安審議官住田孝之さん、経済産業省産業技術環境局長井上宏司さん、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長松尾剛彦さん、資源エネルギー庁長官日下部聡さん、資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官吉野恭司さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長藤井敏彦さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘さん及び環境省大臣官房審議官深見正仁さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高井崇志さん。

高井委員 岡山から参りました民進党の高井崇志でございます。

 きょうは、質問の機会を与えていただき、ありがとうございます。

 再生可能エネルギー特措法、通称FIT法、極めて重要な法律だと思いますが、幾つか問題点があると考えておりますので、きょうは志願をして質問させていただきました。

 ただ、ちょっとその前に、先般の一般質疑でも取り上げた川内原発の問題について、二、三お聞かせをいただきたいというふうに思います。

 先般、私、環境委員会でもこの問題を取り上げたんですが、その際、丸川大臣それから田中規制委員長にもお越しをいただいて御質問いたしました。そのときも申し上げたんですけれども、やはり今、この状況の中において、川内原発は一時停止をすべきではないか、私個人としてはそう考えております。

 理由は三つあります。

 一つは、科学的根拠。これは再三、田中委員長からも御答弁を繰り返しいただいていますが、しかし、さはさりながら、いろいろな専門家がいろいろな角度から見解を述べている。その一つ一つについて田中委員長もコメントする立場にはないと思うんですが、ただ、政府の地震調査委員会の委員長の平田先生、東大の地震予知研究センターのセンター長でもある平田先生は、こうおっしゃっています。今後さらに大きな地震があるのか問われても、今の地震学では答えようがない。あるいは、今回の地震が火山に与える影響を予測するのは簡単ではない。マグマが刺激され阿蘇山が噴火しやすい状態になる可能性はある。あるいは、最新の科学成果を入れて評価を見直してきたが限界がある。

 こういう率直な思い。まさに私は、やはり科学的な判断というのも限界があるんだろうというふうに思います。

 それともう一つは、これも取り上げてきましたが、今回の川内原発は免震重要棟がない。緊急時対策所というもので代替していて、これは現在原子力規制委員会で審査中のものであり、この一月二十七日の記者会見で田中委員長も、免震重要棟を変更するということは納得できるものではないとはっきりおっしゃっている。

 それから三つ目は、避難計画がやはり不十分ではないか。今回は、熊本や大分に鹿児島から避難しようと思っても、そこが、道路が寸断されていたり、あるいは避難できる態勢にはない。あるいは、UPZ、三十キロ圏内は屋内退避という避難計画になっているわけですが、まさに今回の地震で、屋内退避しようにも、その屋内が怖くて結局車の中やあるいは青空のもとで避難をされている方がたくさんいた、新たなこうした事実がわかったわけであります。

 今、事務方に聞くと、この避難計画というのも随時見直しを行っていく、今回の熊本地震の教訓を踏まえてまた見直しをこれから行っていくと。そうであれば、私は、その見直しを行うまでの間、やはり不安を解消するためにこの原発は一時停止をするということがあってもいいと思います。

 改めて、原子力規制委員長、六百二十ガルとか百五十ガルという説明はもう何度も聞いたので、そういうことではなくて、四月十八日に委員会を開いて結論を出して、もうそろそろ一カ月近くたつわけです。この間、いろいろな声を聞いていると思います。あと、インターネットで十二万の署名が集まったとか、いろいろなそういう声も聞いた上で、改めて議論を行って見直しをする、停止を検討するというお考えはないでしょうか。

田中政府特別補佐人 幾つかの御質問がありましたけれども、いわゆるガルの話はもう結構だということですので、原発の稼働と地震との関係について若干触れさせていただきたいと思います。

 原子力規制委員会の役割は、御存じのように、原子炉等規制法に基づき原子力発電所の基準適合性を確認し、必要な措置を講じるということにあります。

 こういった目的のため、新しい規制基準では、福島第一原発事故の深刻な反省に基づいて、今回のような地震、あるいは津波、竜巻、外部火災といった非常に過酷な自然災害に対して、重大な事故に至らないような対策を原子炉施設に求めております。

 加えて、そういった対策をしたとしても事故が万が一生じた場合においても人と環境への影響を極力抑えるという、いわゆるアクシデントマネジメント対策についても多層に求めておるところであります。

 そういうことプラス、先般お答えしましたように、こういった対策の中で、川内原発に対する地震動というのは、今回の地震動の状況を見ても既に想定されている範囲内にあるということで、私どもとしては原発をとめないという判断をさせていただきました。

 地震を踏まえて、先生御指摘のように川内地域の避難計画を見直すかどうか、それまでとめたらどうかという御提案でありますけれども、私どもの立場からいうと、原子炉等規制法上、自治体による避難計画の改善、見直しが原子炉の運転の可否を判断するものにはなっていないということを御理解いただければと思います。

高井委員 私も、原子力規制委員会の役割、権限、こういったものを勉強すればするほど、確かにおっしゃるとおり、なかなか規制委員会としてそういう判断をするのは難しいということもわかります。本当に、原子力規制委員長にその任を負わせるのはちょっと酷じゃないかと。やはり、そういう意味でいうと、私はこの法体系にも不備があるんじゃないかと思っているんです。

 ちょっと委員長にもう一つ聞きたいんですが、委員長は、二〇一四年の七月に、川内原発を再稼働というか、基準に適合しているかどうかを判断するのが原子力規制委員会でありますから、その際の記者会見で、基準に適合しているかどうかは見ているけれども、安全かどうかという判断はしていないんだ、安全だとは言えないんだ、そういうふうに記者会見をしていますが、この認識は今回も同じということでよろしいんでしょうか。安全だということを判断したわけではないという認識でしょうか。

田中政府特別補佐人 私の言葉が若干短縮されて誤解されているところがあるので、この際申し上げますけれども、私どもが考えられる限りの安全対策を要求し、安全の確保に努めております。その上でも、いろいろな科学技術の歴史的なこと、考え方の基本みたいな、哲学みたいなものとして、絶対安全だということは申し上げられない、何が起こるかということまでは、全てそれを否定することはできないという意味で、絶対安全だとは申し上げられないということを申し上げてきました。

 これは、絶対安全と言うことは、福島第一原発事故の深刻な反省というのは、結局、安全神話に陥っていたということですから、そのことの裏返しになります。そういう意味で、安全でないというふうに捉えられていますけれども、私の趣旨はそういうことでございます。

 ですから、今回の地震に対しても、先ほど来申し上げましたように、十分それに対処できるような安全対策は求めているということは申し上げてよろしいかと思います。

高井委員 絶対安全とは言えない、そのとおりだと思うんですよね。であれば、やはり、私は、今こういう非常事態であり、熊本や大分の皆さんが不安な気持ちを持っている中で、一時停止したらどうかと御提案しているわけです。

 これはよく誤解されていて、一旦停止をしたらもう再稼働が大変だから、だからとめられないんじゃないか、あるいはほかの原発にも影響するからということをよく世間の方は言うんですが、私がこの間事務方に確認したら、そうではない、仮に一時停止したとしても、それをまた動かすときは、新規制基準に照らしてどうかとかいう再稼働に係るような審査は必要ないと聞いているんです。

 これは、委員長、確認ですけれども、仮に一時停止した場合、そういう審査というのは必要になるんでしょうか。

田中政府特別補佐人 私どもの事務方がお答え申し上げましたように、施設の補修とか改造工事とか、そういった設置変更許可というものがない限りにおいては審査は不要であります。

高井委員 今御答弁いただいたとおりですね。であれば、本当に、一カ月とか二カ月とか三カ月の間とめることはそんなに大変なことではない、問題ではないわけでありますから、私はとめるべきじゃないかと思いますが、これ以上規制委員長に聞いてもお答えは変わらないと思いますので、大臣にお聞きしたいんです。

 私は、本来であれば、科学的根拠以外の、先ほど私が申し上げた避難計画とか、あるいは熊本や大分の方のお気持ちなども考えて、政治的判断でとめるということが法律上あってもいいと思いますが、現行法にそういう規定はありません。ただ、私はやはり政治判断というのはあってもいいと思うので、かつて浜岡原発を経産大臣からの要請という形でとめたということがありますので、経産大臣からそういった要請をする、あるいはそれを検討するというお考えはないでしょうか。

林国務大臣 川内地域の避難計画については、策定段階から政府がしっかり関与しておりまして、一昨年九月に、総理を議長とする原子力防災会議におきまして、具体的かつ合理的であることを確認して、了承をされているところでございます。

 ただし、原子力災害対策にこれで完璧ということはありません。政府としては、引き続き、一旦策定した避難計画であっても、支援と確認を継続して行いまして、避難訓練の成果なども踏まえまして、原子力災害対策の改善強化を図っていきます。

 原発については、安全最優先といたしまして、独立した原子力規制委員会の専門的な判断を尊重することが基本方針でございます。この方針に従って対応してまいります。

 これらを踏まえ、川内原発について、今回の地震を受けて、政治判断により原子炉の停止を要請する考えはございません。

 なお、川内原発の状況については、国民の不安に応えるべく、先月、四月十五日、経産省から九州電力に対しまして、正確な情報を迅速に発信するよう指導したところでございます。また、菅官房長官から原子力規制庁に対しまして、正確な情報を迅速にしっかり発信するよう指示が行われておりまして、規制庁において対応されているものと承知しております。

 引き続き、政府といたしましては、原発は安全最優先ということで適切に対応してまいりたい、また、政府全体として情報提供を強化してまいりたいと思います。

高井委員 この件は最後の質問にしたいと思いますけれども、大臣にもう一つお聞きしたいんです。

 今、大臣がそういう判断をされたということでありますけれども、この避難計画が大臣も評価できる避難計画であるからとめる必要はないんだということかと思うんですけれども、では、もしこれが、仮に避難計画が破綻するような大災害が今後起こったときに、法律上、それを勘案してとめるという法律の構造になっていないんですよ。原子力規制委員長は避難計画が不十分だからとめるということには法律上なっていないんですね。

 そこが私は法の不備じゃないかと思っていまして、アメリカなんかでは、NRCという原子力規制委員会が、各州が策定する避難計画、これは日本も一緒です、都道府県が国と相談しながらつくる避難計画、これを連邦緊急事態管理庁、FEMAに評価を依頼して、その評価を審査の基準にしているんですね。法律上、明確に避難計画を審査の基準にしている。一昨年に規制委員会を退任された大島賢三さんという方が、日本もそういう制度を入れるべきじゃないかということを提言されています。

 それと、もう一つ、この間環境委員会でも御紹介したんですが、国立国会図書館のレポートです。

 国立国会図書館のレポートだから権威があるとは全く思いませんけれども、ただ、書いてあることがもっともなのでちょっと紹介すると、「地震想定については、専門家の間においても意見が分かれるケースがあり、巨大噴火の予測のように現段階の科学的知見では困難である事項も少なくない等、自然科学には限界がある。」「最終的な判断においては、人々の暮らしや次世代への責任を勘案した価値判断、すなわち、科学を土台とした社会的な判断を完全に排除することは難しい。」

 要すれば、社会的な判断、政治的判断をやはりしなければ、科学の根拠だけで判断をしていい問題ではないと。私は本当にそのとおりだと思います。

 先ほどの避難計画の話もそうですけれども、やはり、再稼働するときのことは独立した第三者機関というか三条委員会でやる、そういう法改正を私も支持をしますけれども、とめるということに関する検討が私はいささか足りなかったんじゃないかと思っております。

 そういう点から、大臣、この原子力の法体系を見直すというお考えはありませんか。

林国務大臣 原子力規制委員会は、川内原発も含めて個々のサイトごとに、最新の科学的知見に基づきまして基準地震動や基準津波を定め、その上で、これに見合う十分な安全対策と、過酷事故が生じた場合の対策を原子力事業者に求めております。

 また、実際に地震が生じた場合に備えまして、基準地震動よりも余裕を持った自動停止の仕組みを設けることも求めております。さらに、災害発生の急迫した危険がある場合においては、原子力規制委員会が災害を防止するために緊急停止を求める権限も有しています。

 その上で、先ほど規制委員長からも説明があったように、今回の地震の場合、原子力規制委員会は、現状において、川内原発について設定した基準と実際の地震の強度を比較した上で、十分安全が保てると判断をいたしまして、緊急停止を求める必要はないとしたというふうに承知しております。

 原発の安全性については、独立した原子力規制委員会が専門的な見地から下した判断を尊重することを基本としておりまして、この点は、原子力規制委員会を発足するための国会審議の過程で与野党問わず一致した考えだというふうに認識をしております。

 こうした経緯を踏まえてつくられた現行の法体系は適切だというふうに考えておりまして、見直すべきではないというふうに認識しています。

高井委員 今、原子力規制委員会の判断を尊重することを基本とするとおっしゃいましたから、基本とするということはそうじゃないケースもあるのかなと思いますが、しかし、法律上そういう判断をできるようになっていないですよね。

 だから、原子炉等規制法六十四条には、急迫した危険がある場合に緊急の必要があると認めるときは停止することができると書いていますが、その根拠は科学的知見であって、先ほど申し上げた避難計画がいいか悪いかとかそういうことは判断の基準になっていないわけでありますから、そういったものを総合的に判断をする、科学的知見を尊重しつつも総合的に最後は判断をする権限をやはり政治家である大臣が負うという法体系の方が私はいいと思いますが、確かに与野党問わず賛成をした現行法でありますので、これは問題提起にとどめて、今回の件を受けて私もさらに研究をしていきたいというふうに思います。

 それでは、本題に入らせていただきます。

 再エネ特措法、FIT法について、法律の中身に入る前に、私はこの再生可能エネルギーというのはぜひ全力を挙げて進めていただきたいと思いますが、現在、日本の目標は、二〇三〇年度に二二から二四%ということで、これは先般、一般質疑でもお聞きして、大臣からは、現行の四倍をやるんだ、大変野心的な目標なんだという答弁はもう何度も聞いているんです。

 しかし、実際、今現在、ヨーロッパでは既に二〇%を達成している。そして、二〇二〇年、もうすぐですね、二〇二〇年には三〇%以上にする。そして、二〇三〇年にはドイツは五〇%にする。

 ヨーロッパ各国の数字、正確に調べていませんが、五〇%という中で、確かに日本が後発であることは認めます。だからこそ、もっともっと力を入れて、二二から二四%というのではなく、我が党民進党は今三〇%以上という目標を掲げていますし、私がかつて所属していた維新の党では四〇%という目標を掲げております。

 こういった数字に近づけるべきではないかと考えますが、大臣、いかがですか。

林国務大臣 再生可能エネルギーの導入につきましては、風況などの自然条件、あるいは送配電ネットワークの状況など、我が国の実情に合わせた検討が必要であります。一概に数値だけで諸外国と比較することは適当ではないというふうに考えております。

 例えば、欧州や北米には大規模な風力導入が可能な広大な平原が広がっておりまして、これらを利用して、稼働率の高い、しかも低コストな風力事業の展開が大規模に進められているのに対しまして、我が国は、山岳部が多い島国であるだけに、風力導入にはやはり限界があるわけでございます。

 そういった中から、我が国のエネルギーミックスで示した二二から二四%という水準は、やはり、導入拡大の余地が大きくない水力の八%を除けば、先ほどからも委員が指摘しているように、極めて野心的な目標値だというふうに思っておりまして、決して低い水準ではないというふうに思っています。

高井委員 失礼しました、規制委員長、もう結構でございます。原発関係の質問はもう終わりましたので、どうぞ関係者の方は御退席ください。

 確かにヨーロッパとは単純には比べられないということはもちろん理解はいたしますけれども、我が国ならではの取り組みというのもやはりあると思うんですね。そういう意味では、これ以上言っても水かけ論ですので、具体的に中身の方でぜひ問いただしていきたいと思うんです。

 今回の再エネ特措法が改正されて、では本当に再生可能エネルギーの促進につながるんだろうか、政府としてこれで力を入れているということになるんだろうかというと、実は、そうではない、逆の、マイナスのメッセージで受けとめている方もたくさんいらっしゃるということでありますので、もし誤解があるのであれば、そこは誤解をこの質疑の中で正していきたいと思います。

 まず、その誤解の一つかなと思われるのが、第五条の接続義務の条文が削除されているということであります。

 これは事務方に聞くと、第五条の接続義務や優先給電というのは削除されているけれども、改正された電気事業法の十七条の四項、こちらに再エネ以外のものも含めて規定をされている、あるいは、これからこの法律が通った後につくる省令や運用で、第五条、削除したものと全く同じものが担保されるんだ、そういう説明を事務方から受けているんです。

 大臣、責任者として、それは全くそのとおり対応可能なのかどうか、改めてお聞きをいたします。

林国務大臣 御指摘の現行FIT法第五条においては、認定済みの案件について、送配電会社の接続義務を定めております。

 今回の法改正によって、未稼働案件の防止などの観点から新たな認定制度を創設しまして、認定前に発電事業者と送配電会社の接続協議が行われることになります。したがって、法技術的な観点から、第五条の規定は削除するということにしておるところでございます。

 しかしながら、現行FIT法で定めている電力系統への接続義務については、FIT法の制定後に改正された電気事業法において、送配電事業者に対して同様の義務が課されております。この結果、系統接続については、第五条の規定を削除しても現状と何ら変わらないわけでございます。

高井委員 ありがとうございます。

 このことが、結構、世間では、第五条が削除されたということで、接続義務がなくなって優先的に接続されない、給電されないんじゃないかという不安があるんですけれども、なかなか経済産業省はそのことをPRしないというか、説明の資料にも余り書いていなくて、ちょっと誤解が生じているなと思うんです。

 もう一つは、省令や運用で対応すると言いますけれども、では、本当にこの法案が通った後にどういう省令、運用になるんだ、そこがわからないとやはり皆さんは不安で心配なわけでありますけれども、これは具体的にどういう省令や運用を想定しているんでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 現行のFIT法第五条で接続義務というのが定まっております。これは、電気事業者が接続することを求められたときは、「次に掲げる場合を除き、当該接続を拒んではならない。」と書いてありまして、具体的には三つの号に分かれて書いてございます。

 一つ目が、その接続に必要な費用を負担しない場合、それから二つ目が、電気の円滑な供給の確保に支障を生ずるおそれがある場合ということであります。この二つにつきましては、先ほど御紹介ございました電気事業法の第十七条第四項ということで、この接続義務の中で同様の担保が可能でございます。

 それから三つ目が、経済産業省令で定める正当な理由がある場合は接続拒否ができるということで、これは、あらかじめ再エネの事業者と送配電事業者の間で取り決めておいていただきたいこと、これを省令で定めているところでございます。

 この中には、先ほど高井先生からございました優先給電、出力制御が必要になったときにどういう順番でとめていくのかという合意、それから、出力制御の条件と申しますか、三十日ルールあるいは三百六十時間ルール、さらには指定制度といったようなものが含まれているわけでございます。

 こういったものに関しましては、再エネ事業者と送配電事業者の間で取り決めておいていただくということでございますので、改正後のFIT法第十六条のいわゆる買い取り契約、この中でこういった同様の内容を担保していただくということになりまして、改正FIT法第十六条の中に定めてございます省令の中で、こうした優先給電あるいはそうした出力制御に関する条件というものを明記していく、こういった方向で考えておりまして、現行と同様のものを全て担保していく、こういう考えでございます。

高井委員 もう少し踏み込んだ具体的なものも聞きたかったんですけれども、いずれにしても、省令で書くとおっしゃっていただいたので、それでは、この省令は、いつ、どういった手続で決めるのか。余り時間があくとまたその間不安になると思うんですけれども、いつ決めるんでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、なるべく早い段階でお示ししていくことが必要だと思っております。

 改正に伴う省令、運用等につきましては、この国会で御審議いただきまして成立した暁には、速やかに審議会を開催いたしまして詳細の検討を行いまして、その結果を踏まえてパブリックコメントを経て、最終的に省令等を決定していく、こういう流れになってまいります。

高井委員 この省令が非常に大事だと思いますので、法案が通った暁にも我々もしっかりウオッチをしていきたいと思います。

 それでは、今度は優先接続です。

 優先給電、優先接続と、用語が実は違っていて、これも世の中は誤解をしている部分がかなりあるような気がしております。

 ヨーロッパなどでは再生可能エネルギーに対して優先的に接続するという規定がある国もあるわけでありますが、一般的に、FIT法第五条で接続義務というのがあったことによって、火力とかあるいは原子力とか、そういったほかの電源に比べて再エネは優先をされている、優先接続があるんだというふうに理解をしている方が多いと思うんですけれども、この事実関係はいかがでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今、高井委員から御指摘いただいたとおりでございまして、現行のFIT法第五条はまさに接続義務ということでございまして、接続の申し込みがあった場合には正当な理由なく拒んではならないというものでございます。

 一方で、では、FIT以外のほかの電源についてはどうかと申し上げますと、これも先ほど来申し上げております電気事業法のもとで、正当な理由がなければ拒んではならないということでございますから、再エネ電源だけに接続義務が確保されていて、ほかにそれがないという状況ではございません。これは、改正後も同様ということになるわけでございます。

高井委員 優先接続についてはいろいろなコメントがあって、曖昧だとか言う人もいたり、あるいは優先接続されていると言う人もいるんですが、今の御答弁では、現行法もこれからも優先接続はないということだと思うんですね。

 しかし、私はそれが問題じゃないかとも思います。

 いろいろ調べたら、要するに出力抑制する順番というのは、事務方に聞いたら、我が国の場合はまず最初に火力を出力抑制する、その次がバイオマス、そしてその次に太陽光と風力が来て、最後にベースロード、水力、地熱、そして原子力も含む。つまり、最後に来るベースロードが、一番最後まで出力抑制をしないということは、優先されるということだと思うんですね。

 再エネを進めるために、ヨーロッパがEU指令、RES指令というそうですけれども、そこで再生可能エネルギーについての優先接続というものを各国に求めている。もちろん、求めているので、必ずしも全ての国がやっているわけではありませんが、EU指令というのは基本的には国内法の整備を求めるものであって、少なくともドイツではこういった優先接続を義務づけています。

 私は、我が国でもこの優先接続というのはやるべきだと思いますけれども、いかがですか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 ヨーロッパのEU再生可能エネルギー利用促進指令というものでございますが、この中で、優先接続ということに関しましては、各国の判断に任せた任意ルールという扱いになっているというふうに承知してございます。

 一方で、今御紹介ございましたドイツでございますが、ドイツは再生可能エネルギー法第八条で、再生可能エネルギー電源は火力等の他の電源に優先して系統に接続される、つまり、接続の申し込みがあった場合は経済的に不合理な場合を除いて接続される、こういうような中身になってございます。

 それで、まさに高井先生御指摘あったように、優先接続というのは何を意味するかということなんでございますが、これは先ほど来申し上げましたとおり、現行のFIT法においても、それから改正後のFIT法においても、接続の申し込みがあって、それについて正当な理由がなければ接続を拒んではならない、つなぐことが原則だという接続義務という意味であれば、これは日本においても担保されているわけであります。

 さらにそれを超えて、ほかの電源を押しのけて優先されるかという意味で申し上げますと、例えばそうなってきますと、後から再エネが申し込んできた場合に、今まで例えば石炭あるいは水力、いろいろなものが使っているわけですけれども、それを押しのけて再エネがつながるということになるわけでありまして、これは、先行する事業者にとっては非常に事業の関係で不確実性、不透明性を増してしまうということでありますので、ある意味公平性を欠くということになるのではないかと考えております。

 そういった考えから、私どもとしては、そこまで踏み込んだ優先接続というのはとり得ないのではないかというふうに考えているところでございます。

高井委員 確かに優先接続の定義は難しいと思うんですが、では、ちょっと言いかえて、出力抑制。

 ドイツでは、再エネの出力抑制というのは最後の手段だと。日本は、さっき言ったように、火力を先にとめ、次にバイオマス、太陽光、風力をとめ、最後にベースロード、地熱、水力そして原子力を出力抑制するという順番だと聞いています。そこの順番がやはり逆なんじゃないかということ。

 あるいは、ドイツでは、再エネを出力抑制した場合には規制機関に報告を義務づけている。このことによって、なかなか簡単に出力抑制ができない仕組みをつくっている、こういったこと。

 さらには、ドイツの場合、再生可能エネルギーについて出力抑制した場合の補償措置というものも明確に規定をしている。我が国もあるわけですけれども、しかし、先般の省令改正で指定電気事業者という制度ができて、そこが非常に不安定になった。

 ドイツのこの仕組みは、出力抑制の補償というのは電気代に転嫁しているそうです。つまり、消費者が負担する。そうなると消費者が今度怒るんじゃないかと思いますが、しかし、結果的に見ると、消費者に幾ばくかの、本当に数円の負担をお願いしても、再生可能エネルギーの出力抑制がないことによって競争がどんどん進んで、再生可能エネルギーがどんどんふえていけば、トータルで見れば発電コストは下がっていく、FIT価格も下がっていく、そういう考えに基づいてドイツはこういう制度をやっていると聞いております。

 こういうドイツのような制度を我が国でも導入するという考えはないですか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一つ、出力抑制の順番ということでございますけれども、今御指摘のように、ベースロード電源と言われるものについては、これは長期的、安定的に発電していくということが技術的にも前提になっている、あるいは制度的にも前提となっているものでございますので、これが出力抑制の順番として最後に来るというのはある意味やむを得ないというか、技術的な制約から考えればそういったことであろうというふうに思っております。

 それから、出力抑制に関する補償の問題を御指摘いただきました。これもドイツに関しての御指摘がございましたが、私どもが理解しているところによりますと、大きく二つに分かれております。

 一つは、ネットワーク全体で電気の供給量が需要を上回ってしまう場合。これは、大規模な停電を引き起こす場合がございます。周波数が乱れてしまうという場合でございますが、この場合に関しては、ドイツを含めて、日本も含めてでございますが、補償なしで出力制御を行うというのが大体世界各国の共通したルールになっているというふうに理解しております。

 よく言われております出力制御の問題というのはまさにそういう問題でございまして、したがって、日本において無補償でそういった出力制御を行う前提になっているということに関しましては、日本だけの特別なルールではないということでございます。一種、停電を防ぐための緊急避難であると御理解をいただきたいと思います。

 一方で、ドイツで何を補償しているかというと、これは、ローカルな送電網、ローカルな地域で送電線が足りなくなって、その結果抑制せざるを得ない場合について補償しているというものでございます。これは、日本とドイツとの送電設備の設備形成に関する、例えば費用負担の考え方の違いといったようなところにあるのではないかというふうに理解してございます。

高井委員 では、ちょっと別の観点からお聞きします。

 経済学的に言うと、燃料費は短期限界費用です。燃料費の安い電源を優先するということが経済合理的だと思います。であれば、燃料費がゼロの再エネを優先して給電すべきなんじゃないか。

 先ほどの出力抑制の順番で、地熱、水力、これも燃料費ゼロですからわかりますが、原子力がベースロードだという理由で出力抑制の一番最後に来ているんです。これは、経済学的に言えば、燃料費がかかる原子力というのは優先すべきではない、再エネの方を優先すべきだと私は考えますけれども、この見解についてはいかがお考えでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 出力制御の関係でございますけれども、確かに、私ども、現在のルールでは、長期固定電源といたしまして、水力、地熱と並んで原子力を同じカテゴリーに入れているところでございます。これは、運転コストが低廉であること、そして、長期にわたり安定的に運転が行われれば便益が高い、こういうベースロード電源の特性に着目したものでございます。

 今の先生の御指摘は、そうは言っても、燃料費、短期限界費用に着目した場合に、地熱や水力と原子力を同列に扱うのはどうなのか、こういう指摘でございます。私どもの理解といたしましては、確かに、海外を見ますと、フランス等で出力制御運転を前提とした原子力の設計、こういったものが行われている例がございます。他方で、我が国の場合には、既設の原発につきましては、ベースロード電源として運転することを前提に設計されておりまして、出力制御運転を行う場合には、新たに設計変更を行うことが必要となります。また、機器やシステムが運用上問題ないかという点も慎重に確認しなければならない、こういった技術的な課題があるものと承知をいたしております。

 こうしたところを踏まえますと、燃料費はゼロではないということは御指摘のとおりでございますけれども、やはり原子力について、長期にわたって安定的に運転を行うことのメリットというのはあると考えられまして、これを安定的に稼働させることは、エネルギーの安定供給あるいはコストというものを考えた場合に、エネルギー政策上妥当でありますし、かつ必要である、このように私どもとしては考えている、このようなことでございます。

高井委員 再エネを進めたいという人からすると、どうしても原子力を優先しているんじゃないかというふうに見えるんだと思うんですね。

 もう一つ、そう見えてしまう、再エネ抑制的じゃないかという理由として、接続可能量という言葉がありますが、これは実は関西大学の安田先生がおっしゃっているんですけれども、接続可能量という言葉はヨーロッパにはない、幾ら英語で訳して説明しても意味がわからないというふうに言われるそうなんですが、なぜこの接続可能量という概念は日本にあるんでしょうか。

 これはなくすべきじゃないかと考えますが、いかがですか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘がありました接続可能量という概念でございますが、まさにこれは日本特有の概念でございます。接続可能量とはそもそも何かというと、これは先ほど接続義務のところでお話がありましたけれども、接続契約を結ぶ際に、年間の出力制御の条件を年間三十日にしますよという上限をあらかじめ結んだ上で契約をするということを日本では行ってまいりました。これは日本だけの制度でございます。

 一方で、大量に再エネが入ってきた結果、とてもこの三十日のお約束を守れそうもなくなってきたということでございますので、ではとめちゃうのかというと、ではこの三十日のお約束なしで入っていただくということにしましょうということになります。したがって、この接続可能量というのは、三十日でお約束できる限界値という意味でそういう言葉を使わせていただいている。

 したがって、三十日という上限を設定して契約するというのが日本特有のやり方である以上、この接続可能量という考え方も日本特有のものでございます。

 接続可能量という言葉自身、やや誤解を生むということでございますので、昨年から、我々、正式には三十日等出力制御枠というような言い方をしておりますけれども、今後も、その趣旨について、できるだけ誤解のないようにきちっと説明に努めてまいりたいと思っております。

高井委員 我が国だけの制度ということで、そこも確かに誤解ができるんだと思いますが、もう一つ、この接続可能量をつくったとしても、その数字が、ベース電源、特に原子力を過大に評価し過ぎなんじゃないかという指摘があります。

 これは、設備の利用率を震災前過去三十年間の平均値としている、あるいは、原発を最大限稼働させる、大間原発や島根三号機、まだ建設中のこういった原発についても稼働するという前提でつくっていますが、これが過大じゃないかという指摘がありますけれども、これについてはどうお考えになりますか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話し申し上げましたように、三十日等出力制御枠、いわゆる接続可能量ですけれども、これはどういう趣旨かというと、今後、再生可能エネルギーをFITで買い取るに当たって、年間三十日の出力抑制の上限で、そういう約束で買い取りますよというお約束をさせていただく数字でございます。

 それで、では買い取りは何年かといいますと、太陽光の場合は二十年間買い取るということになりますから、今後二十年間にわたって、どんなにいっても三十日におさまりますよ、こういう保証を申し上げる数字ということになるわけでございます。

 したがいまして、原子力あるいは水力、地熱に関しましても、長期的にどういうような電源が出てくるのか、それが長期的にどういうような発電動向を示すのかということを踏まえて計算しなければならないということでございまして、決して、原子力を優先したいがゆえにその数字を高く算定しているというものではございません。

高井委員 もう一つ、この数値に、去年、私は予算委員会でも質問したんですけれども、系統連系、広域融通が十分反映されていないんじゃないかということも指摘させていただきました。

 ヨーロッパでは、例えば再エネの設備容量導入率、これは年間の最大電力に対する再エネの設備容量の比率ですが、ドイツだと九〇%、デンマークが八五%、スペインが七〇%というような高い数値なんですが、日本の場合は、一番大きい九州電力が一九%、あとは大体一〇%台、ここが非常に低くなっている。

 ここの部分を改善できないかということと、あわせて、今の広域融通、系統連系をもっと我が国も活用していかなきゃいけないと考えますが、この点はいかがでしょう。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のように、ヨーロッパに比べまして日本の再エネ容量導入率というのが低いということでございます。

 これに関しましては、要は、日本において再エネの導入がまだヨーロッパほど進んでいないという状況を端的に示しているものだと思っております。

 一方で、恐らくお使いになった数字は二〇一三年、一四年ごろの数字だと思いますが、それに比しても、足元はぐっと再エネは入ってきておりますので、これは今後高まっていくのではないかというふうに考えているところでございます。

 また、再エネ導入が高まってくるにつれて、当然のことながら、今御指摘のように、連系線の活用ということが非常に重要になってくることは、私どもとしても認識しているところでございます。

 このため、再生可能エネルギーの導入拡大という観点から、系統運用の柔軟化、連系線のさらなる活用ということで、本年四月から、一般送配電事業者に余剰電力が生じた際には、太陽光や風力の出力抑制を行う前に、連系線を活用して他エリアに送電する要請を行うということを定めたところでございます。こういったようなルールあるいは運用の見直しを通じまして、地域間連系線が十分活用できるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

高井委員 時間がなくなってきましたので最後の質問にしますが、炭素税についてお聞きをしたいと思います。

 これは、先般の国際金融経済分析会合でジョセフ・スティグリッツ教授が、消費税の増税よりも、炭素税を強化して化石燃料の価格が上がれば、省エネ投資も進み、景気が刺激され、地球温暖化対策にもなると。まさに、景気もよくなり、地球温暖化対策も、一石二鳥、三鳥だと思います。

 この温暖化対策税は、ことしの四月から値上がりして、今二百八十九円ですか、年間約二千六百億円ほどの税収があるということです。私は、これをもっと上げて、消費税一%分の二兆円ぐらい、十倍ぐらい上げなきゃいけないわけですけれども、そこまでやって、これを例えば社会保障や、これは経団連が嫌がると思うんですが、であれば、法人税減税に充てるという手もありますし、あるいは省エネ投資に回すという手もあると思っています。

 今回、パリ協定が結ばれましたが、これは中国とアメリカが手を組んでかじを切った。この流れに日本が乗りおくれることには、私は非常に危機感があります。中国は来年から排出権取引でやると言っています。こうした流れにおくれないためにも、省エネ投資を炭素税を活用して進めていくというのも一つの案。

 いずれにしても、この炭素税というのを強化して、さまざまな使い道があるわけですが、こういったことを経済界を説得してやるというお考えはありませんか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 炭素税につきましては、ただいま高井委員からも御指摘がございましたように、経済理論上、炭素排出にコストがかかることによって、低炭素技術等への投資が進むということが言われております。他方で、企業の負担が重くなることによって、かえって長期的な地球温暖化対策のための投資でありますとか、あるいはイノベーションの原資を奪ってしまうのではないかといったような指摘もございます。

 また、これも先ほど高井委員から御指摘ございましたけれども、我が国におきましては、温暖化対策関連の税といたしましていわゆる地球温暖化対策税が導入されておりますけれども、これにつきましては、本年四月、先月に最終段階の税率の引き上げが行われたばかりという状況にございます。

 これらの点を踏まえまして、現在検討中の政府の地球温暖化対策計画案におきましては、環境関連税制等の環境効果等につきまして、諸外国の状況を含め、総合的、体系的に調査分析を行うこと、また、地球温暖化対策税の税収を活用してエネルギー起源CO2の排出抑制施策を着実に実施していくこととしているところでございます。

高井委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、野中厚さん。

野中委員 自由民主党の野中厚でございます。

 冒頭に、先月発生しました熊本、大分を中心とした大震災によりお亡くなりになられた方々に対してお悔やみを申し上げるとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 政府の取り組みとして、十三日に閣議決定を予定しているとのことですが、一部報道によりますと、熊本地震の復旧復興に特化した補正予算、約七千七百八十億と報道されております。経産省としても、ガスの災害特別措置の認可、また、マル経融資に迅速な対応を行うように商工会、商工会議所に要請を行うなど、それぞれ政府の取り組みに敬意を表するところであります。

 さて、今回、九州地方、熊本、大分を中心に震災が発生したわけですが、九州には地熱発電所が多く立地をされておられます。今回の震災によって地熱発電所にどのような影響があったのか、お伺いします。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の熊本地震によって被害が大きかった熊本県、大分県には、八丁原、滝上、大岳という三つの大型の地熱発電所が立地をしております。九州電力からは、送電網のふぐあいにより数日発電できない日があった、ただし、地熱発電設備自体の損傷等の被害はなかった旨、報告を受けております。

野中委員 三つの大型発電所は設備自体に大きな問題がなかったということで御答弁をいただきました。改めて、この安全性を確認させていただきました。

 次の質問に入らせていただきたいと存じます。

 今回のFIT法改正法でありますが、平成二十四年七月にFIT制度をスタートしまして、今日まで約四年が経過をしたところでございます。FIT制度施行後、今日までの成果、そして今回の法改正の目的、また狙いについて、林大臣にお伺いします。

林国務大臣 固定価格買い取り制度は、再生可能エネルギーを固定価格で買い取ることで、発電コストの高い再生可能エネルギーの投資回収に見通しを与え、導入の促進を図るということを目的としておる制度でございます。

 二〇一二年の開始以降、再生可能エネルギーの導入量は倍増するなど、同制度は大きな成果を上げているものと認識しております。他方、太陽光発電の急速な導入が進みまして、国民負担増大の懸念、あるいは電力系統への受け入れ制約の発生、制度の認定を受けながら稼働しない未稼働案件が大量に発生するなどの課題が生じているところでございます。

 こうした現行制度の課題に対応するため、今回のFIT法改正を行うこととしておるわけでございまして、まず、新たな認定制度を創設しまして、未稼働案件の防止や適切な事業運営を確保する、二つ目として、入札方式など新たな価格の決定方式を導入してコストを引き下げる、三点目は、買い取り義務者を送配電事業者に変更して、さらなる再生可能エネルギーの導入を可能とするなどの見直しを行うことで、再エネの最大限の導入、そして国民負担の抑制、この両立を実現していきたいということでございます。

野中委員 ありがとうございました。

 これまでの四年間の成果、そしてまた、この四年間で生じた課題を正していくための法改正という御答弁をいただきました。

 導入のために国民負担がふえたというのは事実でありますが、私は、制度開始当初、高い買い取り価格を設定したということは大きな意義があったというふうに思っております。それは、国自身の本気度を示すため、そしてまた再生可能エネルギー導入拡大のための起爆剤、両点から大きな意味があったと思っております。

 私は、地方議会におったときに、まだ日本ではFIT制度がスタートする前でありましたけれども、ドイツに視察に行ったことがあります。当時、ドイツでは、四十円だったでしょうか、買い取って、そしてそれよりも安い価格で販売していた時代だったと思います。規模としましても、軍事基地の跡地一面に太陽光パネルを設置して、地方議会だったものですから、国の国策というのはここまでダイナミックなものかというふうに私は感心をしました。

 過日、参考人質疑の中で、参考人が、ドイツには成功と失敗があって、そして、ドイツから学べ、私はその成功事例の時代に訪れたわけですけれども、そういった経験からも、私は、高い買い取り価格にしたというのは大きな意義があったというふうに思っております。

 しかしながら、それを継続すると負担がふえるというのも事実でありますので、やはり普及、認知された再生可能エネルギーから順に自立化を目指していくことが大切である、そしてまた、普及、認知されていない再生可能エネルギーについては国が率先して旗印を上げていくということが私は大切だというふうに思っておりますが、国はどのように今後取り組みを行っていくのか、お伺いをしたいと思います。

日下部政府参考人 今先生から御指摘のありました話、FIT制度というのは、我々も、再生可能エネルギーの起爆剤であり、その自立化に向けた橋渡しの制度だと思っております。そうしますと、施行後四年たちまして、それぞれの電源ごとにその普及状況がどうなっているのかといったところを見きわめながら、制度の設計を自立に向けて考えていくという視点は非常に重要だと思っております。

 具体的には、今回のFIT法改正法案に、普及拡大が特に進んでいる太陽光につきまして、コスト効率的な導入を促したいということで、入札制度等の新たな買い取り価格決定方式を盛り込んでおります。また、あわせて、これはFIT法の外になりますけれども、低コスト化、高効率化のための技術開発、これもあわせて取り組んでいこうと思っております。

 他方で、太陽光に比べますと、地熱、風力、あるいは中小水力のようにリードタイムの長い電源、これはまだまだ十分に導入が進んでいないという認識でおります。

 このため、こうした電源につきましては、今回のFIT法の改正法案におきまして、数年先の認定案件の買い取り価格を決定できる仕組みを導入するという点、あるいはFITの認定を取得する前に系統への接続申し込みを可能とするという点、さらには、これは規制の関係なんですけれども、環境アセスメント手続の迅速化を図っていく、また、地熱や中小水力の初期リスクの低減の観点から、地熱の資源量、河川の流量の調査への支援、あるいは地熱の探査技術の精度を向上するといった、法律に基づかないその他のさまざまな総合的な施策を進めることによって、導入が今まだ途上にあるこうした電源に対する支援を拡大して、導入を促進していきたい、こういうふうに考えております。

野中委員 普及拡大が進んだものには自立を促して、そしてまた、これからのものには拡大のために後押しをしていくということだと思います。

 そういった取り組みが、今後目指しております、二〇三〇年、再生可能エネルギーを現在の二倍にする、二二から二四までの拡大というのは大変大きな目標だ、そのために必要な施策だと思っておりますので、ぜひとも御努力をお願いしたいと思っております。

 今、最も普及拡大が進んでいる例として太陽光発電が挙げられたわけですが、やはり普及が進んでくると問題が生じるのも事実でございます。悪質な業者による環境破壊、そしてまた景観問題もあれば、そして、これは昨年だったでしょうか、因果関係はわかりませんが、鬼怒川の堤防付近にソーラーパネルが設置されておりまして、決壊したときに非常に印象に残ったということであります。

 実は、私の地元というのは利根川流域でありまして、河川が決壊した場所だったんですが、埼玉県が堤防に太陽光パネルを設置できないかという問い合わせを河川管理者の国交省にしたことがありまして、地元の人間として、それはもう堤防が決壊しない前提ですが、仮に堤防が決壊したらその太陽光パネルは人々を襲うものになってしまうということで、県議会の方で御努力していただいて、もちろん河川法で堤防の機能を損なわないという条項が入っていますから、そこの条件としてパネルは当てはまらないとは思ったんですけれども、そういった事例もありまして、設置の問題というのもあったかと思います。これが出てくるのではないかと思います。

 ただ、特に私が気になるのは、近年、突風や台風によって太陽光パネルが吹き飛ばされる、こういった事例が続きますと、やはり太陽光発電の安全性についての懸念が高まってしまうと思います。このような現状についてしっかり対応を行う必要があるのではないかという問題が一点。

 そしてまた、長く使うというのが前提でありますけれども、設置をし、値段に見合うというんでしょうか、その普及拡大が進んでいる最中というのはばんばんできますけれども、やはり物事には終わりがありまして、その事業終了後、パネルの不法投棄とか設備を放置したままにならないよう、事業者に適切な対応を求めていくべきと考えますが、あわせてお伺いします。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました突風や台風といったような対策に関しましては、電気事業法におきまして安全性の技術基準を満たしていただくということが必要になるわけでございますが、昨今の不適切な設計、施工方法によって、この技術基準を満たしていない事案が散見されるということがございまして、この三月に開催いたしました審議会の方で今後の安全対策というのを取りまとめたところでございます。

 一つは、太陽光パネルを設置するに当たって、複雑な強度計算というのをやると、なかなか面倒でやってもらえないということがございますので、太陽光パネルを設置する架台あるいは基礎の具体的な設計例を技術基準に例示していくといったようなことでございますとか、あるいは、一定の出力を有する太陽光発電設備については、運転開始前に事業者みずからがきちんと検査をして、その結果を国に届け出てもらう制度というのを導入する、さらには、太陽光パネルの脱落、飛散を伴う損壊事案については広く事故報告を求めるといったような規制措置をしっかりとっていくということにしたところでございます。さらに、水没時の感電防止、パネル飛散防止対策についても今後検討を進めてまいりたいと思っております。

 また、廃棄の問題でございます。

 現行制度におきましては、事業終了時に廃止届を出していただくということになっておりまして、その際、廃棄物処理法に基づくマニフェストの添付を義務づけて、適正な処理がなされているかを確認しております。

 また、新認定制度に移りますと、事業計画を認定する入り口の段階でそういった確認をさせていただく。その中で、設備更新、事業廃止のスケジュールを書いていただいて、発電設備が適切に廃棄、リサイクルされるかどうかをあらかじめ確認するといったような運用をしてまいりたいというふうに考えております。

野中委員 ありがとうございます。

 次に、小水力についても質問させていただきたいと思いますが、大規模な水力発電というのはほぼ開発済みであるということで、やはり次に目指すは小水力ではないかというふうに思っています。

 私の地元の埼玉県というのは、河川が占める割合というのが全国で一番、そして水辺、用水路を含めますと全国で四番目という地形でございます。また、平地が多くて山は少ない、そして海もないものですから風力も合わないとなると、やはり水力じゃないかというふうに思いまして、三・一一、東日本大震災が発生した際に、再生可能エネルギーの埼玉県の可能性ということで、私は、栃木県の那須野ケ原の土地改良区がやっている、農業用水路を生かした小水力発電というのを見てまいりました。落差も二メートルぐらいの場所でありまして、それだったら我々の埼玉県でも可能性はあるなということを記憶しております。

 このように、わずかな高低差でも活用できる、そしてまた安定的に発電できるすぐれた電源、これが中小水力であると考えます。国として積極的な導入を推進していくべきと考えますが、お伺いします。

星野大臣政務官 野中委員にお答え申し上げます。

 中小水力発電は、安定した出力を維持することが可能な電源でありまして、再生可能エネルギーの導入拡大に当たって重要な役割を担うものと認識をしております。

 また、中小水力発電は、これまでに開発が進んでいる大規模水力発電と比較しても、今後の開発可能な地点が数多く残されておりまして、積極的に開発に取り組まなければならない電源であります。他方、小規模な発電設備は導入コストが高くなる傾向にあることも事実であります。

 このため、固定価格買い取り制度におきましては、中小水力発電の出力に応じまして三つの調達区分を設けて、出力が小さい区分をより高い調達価格とすることで、小規模な水力発電の導入を進めております。

 また、予算面でも、中小水力発電事業開始前の流量調査などの事業性評価に対する支援、落差が小さな地点でも発電量を確保できる水車の技術開発などを実施しているところでございます。

 引き続き、こうした支援策を講じることによりまして、各地域における中小水力発電の取り組みを政府としてもしっかりと支援してまいりたいと考えております。

野中委員 政務官、ありがとうございました。

 当時、私の記憶でも、やはり設置するための機器が高いというふうに言われた記憶があります。ただ、今政務官にお答えいただきました、買い取り価格に差をつけて高く買い取る、そしてまた流量の調査、水車の技術の開発、こういった入り口を広げていくことで中小水力の可能性というのが広がりますし、また、何より国としてちゃんと意識しているんだというメッセージが伝わるのではないかというふうに思います。

 時間も来ましたので、最後の質問をさせていただきたいと思います。本当は二つに分けて質問をさせていただこうと思ったんですが、六の二の方だけ質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今回、賦課金減免制度の見直しというものがございますが、この賦課金、電力を大量に消費する事業者には賦課金の減免措置が設けられている、これが製造業平均の八倍、非製造業平均の十四倍を超える電気を使用する事業所が対象になっているということであります。ただ、時間もちょっとございませんので、恐らく、その中に多くの、今まで日本を支えてきたものづくりの業種が入っているのではないかというふうに推察をします。

 減免措置を受けている企業の業種、これは国の経済を支えてきた業種、ものづくりが多く存在するとするのであれば、やはり大企業の観点からいえば、国際競争力の維持強化の点ということです。また、中小企業が減免措置の対象を受けているかというと、それは実際少ないかもしれませんが、ただ、今まで減免措置を受けてきた大企業に関係のある中小企業にも影響を及ぼすのではないかというふうに考えております。

 この点からも、対象事業者に、減免措置を見直すことによって大きな影響が出ないか、私はそれを大変危惧しておりまして、大きな影響が出ないように取り組む必要があるというふうに考えておりますが、その点についてお伺いをして質問を終わります。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 減免制度は、今御紹介がございましたように、我が国の国際競争力の維持強化という観点から大変重要な制度だと思ってございます。実際に、製造業でも、鉄鋼、化学等々、大変幅広い業種において使われておりまして、また、比較的規模の小さい企業にも御利用いただいているといったような制度でございまして、私どもといたしましても、真に必要な事業者の方には本制度をしっかり使っていただく、しっかり維持していくということが重要だと思っております。

 一方で、この制度についての、減免を受けていらっしゃらない皆様方の御理解を得るという観点から、省エネの取り組みでありますとか、あるいは国際競争力の観点から、しっかり取り組んでいらっしゃるかどうかについてしっかり確認をしていくということは今回の改正法の中で入れ込ませていただいたわけでございますが、真に必要な事業者の方については、この制度をしっかりと維持できるような形で私どもも取り組んでまいりたいと思っております。

野中委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

高木委員長 次に、勝俣孝明さん。

勝俣委員 自由民主党の勝俣孝明でございます。

 本日は、先ほどの委員の皆さんに引き続き、FIT法の改正法案について質問をさせていただきます。

 まず初めに、大臣に、エネルギーミックス達成のための全体的な施策について、少しお尋ねをしていきたいと思います。

 昨今のエネルギー政策は大きな転換点を迎えております。

 二〇一一年、東日本大震災により福島第一原発の事故が発生し、全ての原子力発電所が稼働を停止いたしました。このため、発電用燃料コストが増大、電気料金は上昇し、結果として、一般家庭や中小企業などに大きな負担を強いることとなりました。依然として厳しい状況にございます。

 震災後、再生可能エネルギーは、原子力の代替エネルギーとして期待が高まり、二〇一二年に固定価格買い取り制度がスタートいたしました。

 昨年七月に策定されたエネルギーミックスでは、二〇三〇年度の電源構成において、再生可能エネルギー電源は二二から二四%を占め、年間の買い取り費用は三・七から四兆円になるということが想定されているわけでございます。

 しかし、制度開始から三年が経過いたしました。この時点で、再生可能エネルギー電源は、全体の約一割、水力発電を除くとわずか三・二%しか導入が進んでいないという事実もございます。にもかかわらず、買い取り費用は、今年度には年間二・三兆円に達するということが予想されているわけでございます。

 このような現状を踏まえると、エネルギーミックスの目標数字は、再生可能エネルギーの最大限の導入とコスト削減を非常にうまくバランスした場合の野心的な数字のように思われますが、本当に達成することが可能なのかどうか、政府としてエネルギーミックス達成のためにどのような取り組みを行うのか、固定価格買い取り制度だけではなく、全体的な施策として、大臣にお伺いをいたします。

林国務大臣 エネルギーミックスにおきまして、再生可能エネルギーについては、最大限の導入と国民負担抑制、この両立を図ることにしておりまして、具体的には、二〇三〇年度時点で、買い取り費用を三・七兆円から四兆円程度に抑えつつ、足元から二倍程度の導入拡大となる二二%あるいは二四%の水準を実現するということを見込んでいるところでございます。

 このため、FIT改正法案では、風力や地熱などリードタイムの長い電源の導入拡大を図るため、数年先の買い取り価格まであらかじめ提示できる仕組みを盛り込んでおります。と同時に、コスト効率的な導入を促すため、中長期的な価格設定や入札制度の仕組みを導入しているところでございます。

 こうしたFIT制度の適切な見直しとともに、まず、発電施設の低コスト化や高効率化のための研究開発、そして環境アセスメントの迅速化などの規制改革など、施策を総動員いたしまして、関係省庁と連携しつつ、エネルギーミックスにおいて示された水準の実現に向けて取り組んでまいりたい、このように考えています。

勝俣委員 ありがとうございます。目標達成に向けて全力を尽くしていただきたいというふうに思います。

 続きまして、先ほどもありましたけれども、未稼働案件についてお尋ねをしていきたいと思います。

 固定価格買い取り制度は、電気の需要家の負担によって再生可能エネルギー発電の導入拡大を図る制度だと認識をしております。制度開始から現在までに固定価格買い取り制度の認定を受けた発電設備の容量は合計で約八千五百万キロワットに及んでおりますが、このうち稼働している案件は約二千六百万キロワットであり、三〇%程度にとどまっているわけでございます。

 こうした未稼働案件の中でも、特に問題なのは、制度開始直後の平成二十四年度、平成二十五年度に認定を取得した太陽光案件でございます。既に三、四年が経過しているにもかかわらず、運転を開始していないものが非常に多いというわけでございます。

 平成二十四年度、平成二十五年度に認定を受けた事業者は、認定取得当時の四十円、三十六円で買い取られることが約束をされているわけでございます。しかし、これまでの四年間で、太陽光パネルの価格も大幅に下がっているわけですから、これから事業を開始するのであれば、平成二十八年度の事業用太陽光の買い取り価格、二十四円で十分に発電が可能ではないかなというふうに考えるわけでございます。

 四十円、三十六円という価格はあくまでもその当時の発電コストを勘案して決められているものでございますので、現在のコストで事業を開始した場合、事業者はかなりの利益を上げることができるのではないかというふうに考えられております。

 固定価格買い取り制度は国民負担の上に成り立っているわけでございますので、非常にこの考え方が大事なわけでございます。年々賦課金が増大していく中で、過去の認定を権利のごとく保持したまま運転開始をしないような事業者を政府はどのように捉え、考えているのか、未稼働問題への対応について、今回の制度改正の内容と政府の取り組む姿勢についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の認定制度は、接続契約を締結する前の事業計画の初期の段階で認定を取得することが可能であります。このため、認定を取得したものの、土地の確保や系統接続ができない場合のみならず、設備の値下がりを待つために意図的に運転開始をおくらせる場合なども含めまして、メガソーラーを中心に大量の未稼働案件が発生をしております。

 こうした未稼働案件は、再生可能エネルギーの導入拡大につながらないことはもとより、系統接続の枠を空押さえしている結果となっていて、より低コストで発電可能な後発の事業者の参入を阻害する大きな要因になっていると考えてございます。

 したがいまして、この法律案におきましては、まず、新たな認定制度を設けまして、接続契約の締結など、事業の実施可能性を確認した上で認定を行うこととしております。また、同時に、既存の認定案件につきましても、原則、改めて新しい制度での認定の取得を求めることによって、未稼働案件の排除、防止、あるいはその弊害を治癒していきたいと考えてございます。

 以上でございます。

勝俣委員 ありがとうございます。

 次に、先ほども出ましたけれども、発電コストの低減と買い取り価格の設定についてお尋ねしたいと思います。

 今後の大きな方向性として、再生可能エネルギーの導入を拡大していくためには、発電コストをさらに引き下げていく必要があります。中長期的には、固定価格買い取り制度による支援がなくても再生可能エネルギーの導入が進んでいく、そんな戦略が必要でございます。

 他方、現状の買い取り価格を見ると、太陽光については、日本の二十四円に対して、ドイツが約十一円、フランスが約十三円、インドは約九円であり、日本は海外の二倍から三倍となっております。また、風力についても、日本の二十二円は、ドイツの約十二円、フランスの約十一円、中国の約九円と比べると二倍の水準でございます。

 今回の法改正では、発電コスト低減のためにどのような方策を考えているのでしょうか。また、ドイツを初め、欧州では入札制度を導入することで買い取り価格の低減を図っています。今回の改正法案にも入札制度が盛り込まれております。買い取り価格を下げるという方向性には賛成でございますけれども、入札制度を導入することで必要以上に買い取り価格が下がってしまい、結果として再生可能エネルギーの導入が抑制されることになっては意味がないわけでございます。

 事業が成り立つ価格水準を満たしながら発電コストの低減を促すために、入札制度をどのように運用していくのか、政府としてのお考えをお聞かせください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、再生可能エネルギーにつきましては、中長期的には、FIT制度から自立した形で導入が拡大していくということが重要でございます。

 このため、まず、事業者自身が発電コスト低減努力をしていくということが重要でございまして、これを促すということから、今回の改正案におきまして、電源ごとに中長期的な買い取り価格の目標を示して、これに向けて、イノベーション、コスト低減努力をしていっていただく、それから、競争を通じて価格を下げていくということで、入札を入れていくといったような内容としているところでございます。

 入札制度につきましては、今後の導入量の見込みでございますとか、あるいは実際の事業の競争の実態といったようなことをよく勘案いたしまして、また、調達価格等算定委員会、第三者委員会の意見もよく伺いながら、発電コスト低減が着実かつ適切な形で進められるように、その運用に努めてまいりたいというふうに思っております。

 また、こうした事業者の努力だけでは進まないところもございます。先ほど御紹介申し上げましたが、コスト低減に向けた研究開発などについてもしっかり支援をしてまいりたいというふうに思っております。

勝俣委員 ありがとうございます。

 次に、再生可能エネルギー導入拡大により引き起こされる環境問題についてお尋ねをしていきたいと思います。

 固定価格買い取り制度の導入により、特に太陽光発電が急速に導入を拡大してまいりました。その一方で、無計画な太陽光パネルの設置で、周辺の景観が破壊されたり、地元住民から苦情が出たり、先ほど野中委員からもございましたけれども、土砂崩れなどの危険地域にパネルが置かれたりするなど、環境問題や周辺住民とのトラブルが発生している地域があるということも聞いております。

 私の地元は静岡県の伊豆半島なんですけれども、豊かな自然に恵まれ、風光明媚な名勝地として知られております。周辺には、昨年八十周年を迎えました富士箱根伊豆国立公園や富士山もございます。毎年多くの観光客の皆さんにお越しいただいております。地元でも太陽光発電の導入が進んでいるところでもございますが、ほかに類のない価値を持つ景観を無視して、黒いパネルが勝手に置かれるというような状況にならないように、政府には最大限の努力をお願いしたいというふうに思っております。

 景観や防災のための取り組みとして、地元の例を挙げますと、例えば、地元の伊豆の国市は、伊豆の国市景観条例という条例を設けまして、土地に直接太陽光発電設備を設置しようとする場合には、市長への届け出を求めて、市が定める環境配慮の基準を満たすことを義務づけています。また、これも地元ですけれども、伊東市は、一千平米以上の太陽光発電施設を設置する場合は、市が設けた土地利用事業の適正化に関する指導要綱に基づく承認申請を求めるということになっております。

 このように、再生可能エネルギー発電と地域との共生を図るための取り組みを行っている自治体は今非常に多くなっているわけでございますけれども、こうした取り組みは、地方自治体だけでは十分に対応できておりません。国は、環境問題や周辺住民とのトラブルに対応するため、地方自治体との連携を強化していくべきではないかというふうに考えておりますけれども、政府としてのお考えをお聞かせください。

星野大臣政務官 勝俣委員にお答え申し上げます。

 固定価格買い取り制度の導入によりまして、太陽光発電を中心として急速に再生可能エネルギーの導入が進む中で、一部の地域におきまして、景観や防災上の懸念から地域でトラブルになる事例が出ているという指摘がございますし、実際、多くなってきているなと実感をしております。

 このため、自治体が各地域で再生可能エネルギー発電事業において、地域トラブルへの対応を的確に行うことができるように、本年四月から、自治体に認定情報を提供するシステムの運用を開始いたしました。認定情報を活用して、自治体が個別の事業者に対して指導を行うことが可能となっております。

 さらに、本法律案において、土地の利用規制など関係法令の遵守を認定要件とすることによりまして、他法令に違反した場合に経済産業大臣がFIT法上の改善命令や認定取り消しを行うことが可能となる仕組みを盛り込んでいるところでございます。

 このように、国から提供される情報を自治体がまず活用をしていただく、関係法令に違反をする事業があれば、自治体から国に情報提供を行って、国が改善命令等を行うなど、まずしっかりと国と自治体が連携をして、そして地域と共生をした形で再生可能エネルギーが普及するよう、全力で取り組んでまいりたいと思います。

勝俣委員 ありがとうございます。

 最後の質問になりますけれども、バイオマス発電についてお尋ねをしていきたいと思います。バイオマス発電、特に木質バイオマスの振興についてお伺いをします。

 私の地元は伊豆半島でございますけれども、先ほど野中委員からありましたけれども、野中委員の地元は山がなくて海がない平野部だということだったんですけれども、私の地元は逆でございまして、山ばかりで海に囲まれている伊豆半島でございまして、約八五%が実は森林地帯で占められているんですね。

 しかし、近年は林業の担い手が大変減少してしまった、要はきこりさんが本当にいなくなってしまったということで、多くの問題が生じています。例えば、きこりがいないということで、間伐が十分に行われなくなった。この結果、土地がやせ、土砂崩れや有害鳥獣の被害ということで、特産物であるワサビの芽を食べてしまったり、シイタケの芽を食べてしまう、そういった農作物の被害が大変増加しているんですね。このような問題というのは、多くの我が国の森林地帯で発生しているというふうに言われております。

 このような事態を打開するための政策として、私は、地域でのバイオマス発電の振興が有効ではないかなというふうに考えております。

 バイオマス発電で利用するための間伐材の需要が高まれば、林業も再び活気を取り戻すのではないかなというふうに期待をしているわけでございますけれども、木質バイオマス発電の振興に向けた政府のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

 一方で、固定価格買い取り制度の導入以降、この制度で利益を拡大することをもくろんで、石炭火力をバイオマスと混焼用に更新して、輸入材を主な燃料として使う大規模な発電所が増加しております。しかし、このようなバイオマス発電は、バイオマス専焼の発電所と比べて追加投資が少なく済んでしまい、かつ、地域の活性化に資するものではないというふうに考えております。

 未利用の森林資源を利用し地域活性化にも貢献する地域型バイオマスと、石炭混焼に代表される輸入材を中心とした大規模バイオマスについては異なる扱いをすべきではないかというふうに考えております。この点について、政府の考えをお聞かせください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 地域に存在しますバイオマス資源を使った発電ということは、地域の活性化にも資するという観点から大変重要だと考えております。

 このため、経産省としましては、一つは、固定価格買い取り制度の中で、二千キロワット未満の小規模の未利用木質バイオマス発電については、別の買い取り区分を設けて価格を高目に設定するといったようなこともやっておりますし、また、農林水産省と連携いたしまして、こういった原料の安定的な調達のための実証事業といったようなものにも取り組んでいるところでございます。

 一方で、今委員御指摘のように、石炭混焼あるいは輸入材といったような大規模なバイオマス発電については、こういったようなものまで果たしてFITのもとで応援する必要があるのか、あるいはエネルギーの安定供給という観点からどうなのかといったような御批判があることも事実でございます。

 他方で、国産の燃料、材料がなかなか集まらないというのも現実でありまして、こういった石炭混焼あるいは輸入材の一定の利用なしにはバイオマスというのは広がっていかないのではないか、こういったような御指摘もあるところでございます。

 さまざまな御意見があるところでございますけれども、そういったバイオマス発電の普及を拡大する上での課題、あるいは燃料ごとのコストの実態、さまざまなことを、全体を検討いたしまして、適切な支援のあり方についてさらに検討を深めてまいりたいというふうに思っております。

勝俣委員 いずれにしても、このFIT法は国民負担の上に成り立っているということをしっかりと意識し、再生可能エネルギーの導入をさらに推進していくことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、中野洋昌さん。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして、質問をさせていただきます。

 東日本大震災以降、我が国のエネルギー自給率は六%程度ということで極めて低い水準になっております。再生可能エネルギーというのは枯渇をしない国産のエネルギーでございますし、エネルギー安全保障の観点から、またCO2を排出しないという環境負荷の観点から、最大限の導入を図っていく必要がある、このように考えております。

 そのために、このFIT制度というのは再生可能エネルギーの導入のためには大変に大事な制度である、このように考えておりますけれども、現在のFIT制度、さまざまな問題点を指摘されているということも事実でございます。

 先ほど来述べられておりますけれども、認定量の約九割が例えば事業用の太陽光に集中をしている、あるいは国民負担額が非常に増加をしてきた、今一・三兆円近くまで増加をしている、あるいは接続保留の問題、こういうものも生じてきたということでございまして、四月の参考人質疑におきましても、多くの参考人から同じ問題意識、やはり指摘がされたというふうに思っております。このFITの見直しの必要性というものは多くの方が御認識をされている、このように改めて感じた次第でございます。

 以下、具体的に質問をさせていただきます。

 今回の改正の大きなポイントは、やはり何といいましても、未稼働の事業用太陽光をしっかりと整理していく、こういう仕組みを導入したのが非常に大事である、このように考えております。

 先ほども数字が少し出ましたけれども、平成二十七年十一月末時点で太陽光というのは約八千万キロワットが認定をされている。これは、認定をしている量だけ見ると、二〇三〇年のエネルギーミックスの目標値というのを、六千四百万キロワットでございますので、既に超えている。しかし、未稼働のものが大変に多くて、それが約五千四百万キロワットだ。こういう状況でございまして、しかも、これは調達価格が非常に高い時期に認定を受けたということでございます。

 これを、施行日までに契約の締結に至らないものについては認定を失効させる、こういう仕組みを導入した。私は、これによって未稼働案件というのはしっかり整理をすることができる、国民負担も抑えることができる、大変に大事な仕組みである、このように考えております。

 他方で、もちろん、この未稼働の中にはいろいろな方がいらっしゃって、きちんと事業をしようとする方も恐らくかなりいらっしゃる。系統の制約の問題ですとか、いろいろなプロセスがあって時間がかかっていたり、いろいろなケースがあるというふうには考えております。太陽光、未稼働のもの、整理すべきものはしっかり整理をしていくと同時に、これから法律が仮に成立をしたら、駆け込みで恐らく多くの契約申し込みというのがどんどん出てくる、こういう制度になっておりますので、きちんと事業を行おうという方についてはしっかりと契約の締結が計画的にできる、こういう仕組みがやはり必要であると考えております。

 一定の猶予期間も設ける、このように承知をしておりますけれども、それでも本当に間に合うのかな、こういうふうにおっしゃる方もいらっしゃるわけでございまして、これは事前の周知も含め、相当計画的に対応する、このように考えておりますけれども、この対応方針につきまして、まずは政府にお伺いをしたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律案では、新たな認定制度を創設いたしまして、接続契約の締結など、事業の実施可能性を確認した上で認定を行うということでございまして、過去に認定を受けている案件のうち、新法の施行日であります平成二十九年四月一日までに接続契約を締結していないものについては現在の認定が失効する、こういう仕組みになってございます。

 ただ、今御指摘ございましたように、失効に関しましてさまざまな要因がございますので、一つは、平成二十八年七月以降に認定を受けられた方については、その認定を受けた日から九カ月間はその認定の効力を認めるということにしております。

 それから、今、接続ということで問題になっておりますけれども、それを解消する方法として、系統の入札手続というのを行っておりますけれども、これが比較的期間を要するものでございますので、系統の入札手続を行っている案件については、その手続が終了するまでの間ということで、猶予期間を設けようというふうに考えてございます。

 あわせまして、各電力会社においては、既に系統接続相談窓口というのを設置していただきまして、それぞれ個別の対応ということについて相談を進めていただいているところでございます。

 今後、政府といたしましても、しっかり事業者の方に、新しい認定制度はこういうことになりますよ、こういうふうな移行になりますよということを周知いたしますとともに、電力会社とも協力いたしまして、遺漏なく対応できるような体制をつくってまいりたいというふうに考えております。

中野委員 よろしくお願い申し上げます。

 太陽光はかなり進んでいる、他方で、地熱ですとか風力、バイオマス、小水力、こういう電源は時間がかかる、リードタイムが長い、いろいろな側面があって、なかなか買い取り価格が確定をしないまま事業化の判断をしていかないといけない、こういう状況でもございます。

 今回の制度では、こういうものについて長期的な形でも買い取り価格を設定するであるとか、安定的な導入を見込む制度にしよう、こういう仕組みにしていく、こういうことを伺っておりますけれども、他方で、風力であるとか地熱、こういう事業者の方からは、やはり環境アセスですとか、こういう手続にかなり時間がかかるので、そもそもリードタイムが長いんだという御指摘もございまして、環境アセスの迅速化をしてほしい、こういう御要望が大変強いわけでございます。

 環境省の方でも、アセスの期間はおおむね半減を目指すんだ、こういう方針が出ているというふうに思いますけれども、今後、環境省でどのように取り組みを進めていかれるのか、これについてお伺いをしたいというふうに思います。

深見政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省では、風力発電などの導入促進の観点から、環境アセスメント手続の迅速化に取り組んでいるところでございます。

 風力発電所等の設置に関しましては、環境アセスメント基礎情報整備モデル事業によりまして、環境基礎情報をデータベース化して公表しておりまして、事業者が準備書の作成などに利用できるようにしているところでございます。また、国と自治体のアセスメント審査を並行して行うなどにより、審査期間の短縮化に取り組んでおります。

 さらに、平成二十七年度からは、風力発電などの適地において、自治体が主導して事業者と地元関係者との調整や環境配慮の検討を一体的に進めるなどにより、環境アセスメント手続を含めた事業の構想段階から着工までの期間を短くすることに役立つモデル事業を実施しているところでございます。

 こうした取り組みを進めまして、経済産業省とも連携して、引き続き質が高く効率的な環境アセスメントが迅速に行われるよう努めてまいります。

中野委員 環境アセス、通常三、四年かかるというふうに伺っておりますので、これの迅速化というものが、やはり風力であるとか地熱であるとか、こういうものの早期の導入にもかなりかかわってくると思います。しっかり取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、系統の制約について少しお伺いをしたいと思います。

 接続保留の問題もございましたけれども、やはり再エネを導入するに当たって系統制約をどう克服するのか、これが非常に大事でございまして、特に、実際に再エネを導入しようとすると、山間部であるとか、あるいは過疎地であるとか、かなり送配電網が脆弱な地域にこれを置かないといけない。そうすると、系統に接続をする部分までは事業者の負担だということで、これがかなり負担が大きくてなかなか進まない、こういう指摘をいただいているところであります。

 また、日本全体のより広域的な側面から見れば、例えば、北海道は風力の適地であるけれども、発電したものをどんどんエネルギーを使う場所、電力を使う場所に運ぶには、やはり系統が脆弱であるから、広域的な部分の連系線、こういうものも増強していかないといけない。これは、どのように国民負担として考えていくのか、こういう大きな問題でもあるというふうに思います。

 いずれにしましても、系統制約の克服に向けた取り組みというのが大変に今後重要な課題である、このように認識をしております。これからどのような取り組みを進めていくのかということを御答弁いただきたい、このように思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、現在、系統の容量が制約となって、なかなか接続が進まないといったような問題が生じていることは事実でございます。こうした中で、系統の制約というのが再生可能エネルギーの大きな障害とならないようにということで、我々、ハード面それからソフト面、両方から取り組んでおります。

 まずはハード面のことについて御紹介したいと思いますが、特に上位系統の増強工事が必要となるという場合には負担が非常に高額となる、こういった問題がございます。

 そこで、費用負担ガイドラインというものを改めてつくりまして、その中で、これまでは発電事業者の特定負担という形であったものを、上位の二系統については一般負担というふうな整理をする。さらに、それ以下であっても、一般負担と特定負担の割合を算定するための考え方というものを整理するということによりまして、事業者の負担そのものを下げるとともに、事業者にとっての予見性を確保する、こういった取り組みをしております。

 さらに、ローカルな部分については、こういったことをやっても、それでも単一の、単独の事業者ではなかなか負担をしにくい、こういった問題がありますものですから、先ほど藤木部長の方からも言及がございましたけれども、新たに入札募集ルールというものをやっております。

 これは、個々の再エネ事業者の費用負担を軽減するということで、系統接続を希望する複数の事業者の方々をオークション方式で募りまして、系統増強に必要な工事費をそれぞれの発電出力規模に応じて共同で負担していただく、こういったプロセスをつくりまして、これを電力広域的運営推進機関におきましてルール化をし、現在既に九エリアで実施中でございます。

 こうしたハード面の取り組みのみならず、現在の設備をうまく使っていくという意味で、ソフト面の対策もやっております。

 まずは、一番手っ取り早いのは、系統情報を公開するということでございます。どこに容量があいているのか、ここは混んでいるのか、これが事業者の方々にとって発電する場所を決める大きな要因となります。これは既にやっております。

 さらに、出力抑制ルール、先ほども言及がございましたけれども、こうした中で、再生可能エネルギーの出力抑制をする前に他の地域に送電を行う、電気を逃がすというか、そうした形で広域融通をすることによって再生可能エネルギーの出力抑制をする機会を減らす、こういった取り組みもやらせていただいているところでございます。

 こうした系統面での取り組みというのは、再生可能エネルギーの導入にももちろん役立ちますし、電力システム改革で目指しております国全体の電気の融通、あるいはメリットオーダーを構築していく、こうした観点からも大変重要な取り組みでございますので、私どもとして積極的に取り組んでいきたいと思っております。

中野委員 ありがとうございます。

 大変重要な問題であると思いますので、よろしくお願いいたします。

 先日の参考人質疑でも出た話題でございますけれども、ドイツに学べということがあると同時に、ドイツの失敗というか、うまくいっていない部分も学ぶべきだ。

 それは何かといいますと、再エネの導入の拡大が進んだときに、発電量の変動がかなり大きいですので調整電源が要る、それをどうやって確保するのか。ドイツでは、実際に、最新鋭の天然ガス火力発電所も採算が悪化して運転を停止する、こういうようなお話も出てきたわけでございますので、再エネの導入を進めたときに、では、調整電源を中長期的にどうやって安定的に確保するのかというのはこれからどんどん大きな課題になっていくのではないか、このように感じた次第でございます。

 この中長期的な調整電源の確保のあり方についてどのようにお考えなのか、御答弁いただきたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、再生可能エネルギーの導入拡大が大きく進みますと、その反面といたしまして、燃料費等の可変費が高い火力発電の設備利用率が低下する、また、電力卸取引市場で価格が低下して市場からの売電収入が減少して、採算が悪化する、こういった可能性があるわけでございます。

 その結果として、いわゆる調整電源というものが市場から撤退せざるを得ない、あるいは減っていく、こういった懸念があるわけでございまして、実際に、ドイツなどの例ではそのような問題が現に発生している、こういうことかと思っております。

 私ども、今、先生の御指摘をまつまでもなく、自由化された市場の中でこうした調整電源が減っていくという問題には、しっかりと制度的な工夫をしていかなければならない、こういうふうに考えております。

 ドイツなどの欧米諸国では既にこうした問題が発生していることもあって、市場からの売電収入を補完して、電源に係る投資回収の予見性を高める一つの仕組みとしまして、容量メカニズムと呼ばれるような、いわゆるキロワットに着目したような制度を導入、あるいは導入を検討している、こういった国々があるところでございます。

 私どもといたしましても、必ずしも、もともと調整電源を確保するという目的ではございませんけれども、小売の全面自由化、あるいは、電力システム改革全体の中で、国全体としての供給力が不足する事態が起こらないかといったような観点、安定供給に支障がないかという観点から、一つのアイデアとして、容量市場の創設といったものも指摘がなされてきたところでございます。

 私ども、今後とも安定供給をしっかり確保していく観点からも、調整電源となる供給力の不足が生じないように、容量メカニズムの具体化などにつきまして検討を進めていきたいと思っております。

中野委員 再エネの導入につきましては、関連する省庁が複数にまたがっているというのも特徴でございまして、やはり政府が司令塔機能をしっかり発揮していかないといけない、こういうことで、公明党はかねてから、再生可能エネルギー等関係閣僚会議をしっかりと有効活用してほしい、こういう訴えをしてまいりました。

 先日も行われたと記憶しておりますけれども、やはり地域の活性化と再エネを省庁が連携してしっかりと進めていく、つなげていく、こういう取り組みがアイデアとしてどんどん出てまいりまして、これをやはり進めていく必要があるな、このように感じた次第でございます。

 複数の省庁が連携して、あるいは協力をして施策を進めていくこと、これをまた同会議などを活用してしっかりと進めていっていただきたい、このように思いますけれども、これも答弁をいただきたいと思います。

日下部政府参考人 今の御指摘にありましたとおり、再生可能エネルギーは関係省庁が多岐にわたります。したがいまして、去る二月に公明党からいただいた申し入れも踏まえまして、三月八日に、官房長官主宰で再生可能エネルギー等関係閣僚会議を開かせていただきました。

 そこでは、許認可手続の迅速化や規制改革の推進、あるいは関係府省庁連携のプロジェクトを進めていくこと、福島新エネ社会構想を具体化するなどの決定が行われておりまして、現在、関係省庁の局長レベルの会議を設けて、その具体化を進めてまいっているところであります。

 時機に応じて再エネ閣僚会議を開きながら、全政府を挙げて再エネの拡大について取り組んでいきたいと考えております。

中野委員 しっかりと取り組みをお願い申し上げます。

 最後に、先ほど少しお話にも出てまいりました福島県の再エネの導入について、ぜひ最後に質問させていただきたいと思います。

 福島県は、二〇四〇年に県内エネルギー需要を全て再エネで生み出そう、こういう大変高い目標を掲げておりました。私ども公明党も、浜通りを中心として福島イノベーション・コースト構想をしっかり実現する、こういうことを訴えてまいりまして、その中の再エネ分野について取り組みを加速化させる、こういうことで福島新エネ社会構想を検討するんだ、こういう動きになっているというふうに承知をしております。

 やはり再エネといえば、福島が再エネの先駆けの地となるんだということで、国がしっかりと前面に立って、また政府一丸となって、ぜひ取り組みを進めていただきたい、このように思いますけれども、今後の政府の取り組みについて、ぜひお伺いをしたいと思います。

鈴木副大臣 福島の思いをしっかりと受けとめて、福島が再生可能エネルギーや、あるいは未来の水素社会を切り開く先駆けの地となりますように、経産省としましても全力で最大限努力をしたいと思っております。

 総理から御指示がありました福島新エネ社会構想につきましては、三月二十七日に、林経産大臣も参加した、官民一体の構想実現会議の第一回を開催しまして、検討を開始したところであります。

 この構想の中におきましては、福島での再生可能エネルギーの導入拡大を支援すること、例えば阿武隈山地、福島沿岸部における風力発電につきまして、効率的に送電線を増強することや、水素の分野につきましては、二〇二〇年までに、福島で再生可能エネルギーから燃料電池自動車一万台分に相当する水素をつくること、これをまた県内のみならず、東京オリンピック・パラリンピックで利用することなどを検討してまいりたいと思っております。

 今後、六月ごろに構想の骨子を検討し、夏ごろに取りまとめを行い、その後、速やかに実行に移してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、落合貴之さん。

落合委員 民進党の落合貴之でございます。

 本日は、引き続きまして、この法案、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 この法案の提案理由を読んでみますと、まず、再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、そして国内で生産できるエネルギーであることから、その最大限の導入を進めていくことが必要というふうに前段であります。そして、平成二十四年七月に、固定価格買い取り制度、FIT制度が始まりました。それから四年近くたって、適正な運用を図っていく必要が出てきたということで今回の法案の改正になったということでございます。

 この基本ラインは私は賛同できるものです。ただ、提案理由の中にも、再生可能エネルギーの導入は着実に進展、一方で、太陽光発電の急速な導入というような言葉も書かれています。実際にはまだ日本の電源構成における再エネの割合は数%にしか達していませんので、法改正によって再エネの事業が適正化されるということは大変いいことですけれども、今回の改正で、適正な再エネの拡大、適正な部分にもブレーキがかかったりしないように、そしてまた、改善されるべき点がまだ改善されていないんじゃないかというようなことを本日は一つ一つ確認させていただければと思います。

 まず、経産省からいただきました法案の説明のペーパーにもありましたが、景観や安全上のトラブルが発生している状況に鑑みて今回いろいろ改正をしますとあるんですが、トラブルの具体的な中身、それから把握している件数などを教えていただければと思います。

鈴木副大臣 固定価格買い取り制度の開始後三年で、急速に太陽光発電中心の導入が進む過程におきまして、一部の地域においては、太陽光発電事業者と地域住民の間でトラブルが発生している事例がたくさんあると承知いたしております。

 具体的には、太陽光発電設備の設置に当たりまして、土地利用規制に関する法令で定める手続を遵守していないもの、景観への影響が懸念されるもの、樹木の伐採により土砂崩れが懸念されるなどの防災上の安全性が懸念されるものなどがあると承知いたしております。

 実際、私の地元におきましても、環境博覧会で知られた愛知万博の隣接地で、砂防法や森林法に基づく許可をとらずに伐採されて、太陽光発電設備が設置された例がございました。

 また、経産省におきましては、昨年度、九州地域における台風十五号による太陽光発電設備の被害状況につきまして調査を実施しております。五十キロワット以上の設備三千百六十二件のうち、七十九件で発電設備の被害が発生をし、このうち、発電所構外へのパネルの飛散が四件、発電所構内でのパネルの飛散、脱落が三十一件等構造面で問題のある可能性の高いものが五十四件発生しております。

落合委員 ほかの法律を遵守していないものも調べてみたら結構あったということで今回の改正に至ったんだと思います。

 これは、参考のために、参考人の方の答弁でいいんですが、地震などの件数というのは、今回突発的に起こったものですけれども、ふだんトラブル等についてどのように確認しているのか、教えていただければと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども経済産業省といたしましては、電気事業法で太陽光パネルの設置の安全性というのは確保しているところでございますので、これで重大な事故に至ったものについては報告が上がってくるということでございますが、これまでの運用では、例えば飛散したとしても重大な事故に至っていないものについては報告が上がってきていないというところでございまして、必ずしも十分把握できていないところでございます。

 また、各省庁の規制に係るものにつきましてはそれぞれの省庁において把握しているということでございまして、現時点において統一的な把握がなされていないというのが実情でございます。

落合委員 固定価格買い取り制度が四年前に始まって、一定のトラブルが出てきた、ふぐあいが出てきたということで、今回の法改正で、初めの審査だけではなくて、事業実施中の点検、保守や事業終了後の設備撤去の遵守、また、違反時に改善命令を出したり、認定取り消しを可能にするというような内容であるというふうに思います。

 これ自体は悪いことではない、むしろやるべきことであると思いますが、やはり中立公正にジャッジを行いますということをしっかり担保していくのが重要だと思いますので、今後、しっかり運用されているのかということも注目をさせていただければと思います。

 それでは次に、先ほど高井委員からもありましたが、現行法の五条一項で、一般送配電事業者に対して、再生可能エネルギーの系統接続をすることを求められた場合に接続を拒んではならないという規定がしっかり書いてあるわけです。そして、もし万が一、例外的に接続を拒む場合の条件についてもかなり詳細に規定がされています。

 しかし、今回、接続拒否してはならないという条項が全て削除をされているわけです。これはやはり、再エネ事業者、今やっている事業者も、それから新規参入する事業者にとっても、この部分が変えられたことというのはかなり不安を与えるものであると思います。

 したがって、改めて、この条項を削除した理由を教えていただければと思います。

鈴木副大臣 御指摘の現行FIT法第五条におきましては、FIT法によって認定済みの案件につきまして、送配電会社の接続義務を定めております。

 今回の法改正に当たりましては、未稼働案件の防止などの観点から新たな認定制度を創設し、認定前に発電事業者と送配電会社の接続協議が行われることになります。したがって、法技術的な観点から、第五条の規定は削除することといたしております。

 しかしながら、現行FIT法で定めている電力系統への接続義務につきましては、FIT法の制定後に改正されました電気事業法におきまして送配電事業者に対して同様の義務が課されておりますことから、この結果、系統接続につきましては、第五条の規定を削除したといたしましても、現状と何ら変わりはないものと考えます。

落合委員 これは、もし的確に運用されない場合は、かなり大きな問題になるものだと思います。接続が認定の前になるので、法文上規定されていたらおかしいので削除しましたということですが、接続できないことが公平中立でない状況でどんどん行われることがないように、そして、電事法で同様の規定があるということですが、明確でない要素もあると思います。したがって、しっかり運用できるかどうか。これは、もし問題があれば、また取り上げさせていただければと思います。

 やはり、接続拒否が正当な理由でないと思われる形で乱発されれば、事業の安定性や業界の健全な発展を決定的に阻害する要因となってしまうと思います。真面目にやっている再エネの発電事業者の業務が適正に担保されるように、重要なポイントであるということを改めて指摘させていただきます。

 次に、新しい状況を踏まえた、今回導入される認定制度でございます。

 この新しい認定制度については、九条などに詳細が書かれています。認定に当たっての具体的な基準等については省令で定めるということでございます。これは具体的にどういう中身になりそうなのか、事前の議論もあると思いますので、現時点でのこんな感じで考えているというものをお聞かせください。

藤木政府参考人 改正法の第九条におきまして認定要件を定めてございますが、一つは、事業内容が再生可能エネルギー電気の利用を促進するものであること、それから二つ目が、その事業が円滑かつ確実に実施される見込みであるということ、それから三つ目が、設備が安定的かつ効率的に発電することが可能であるということ、こういったようなものを要件としているところでございます。それぞれ、その具体的な中身について省令で定めようということで考えております。

 今検討中の内容といたしましては、一つは、例えば適切に点検、保守を行って発電量の維持に努めていただくこと、設備の更新または廃棄の際に適切な処分に努めていただくということ、それから、事業の円滑、確実な実施という観点からは、接続契約を締結していただいていること、また土地利用に関する法令をきちんと遵守していただいていること、それから、設備の適切性という観点からは、設備の安全性に関する法令が遵守されていること、またそうした事業内容についてしっかりと記載した標識等を掲示していただくことといったようなことを省令で規定するということを今検討しているところでございます。

落合委員 これは、発電事業者に対してはより細かいものを求めることになるということでございますが、先ほど質問したように、接続義務自体は削除されていますので、電力自由化における電力会社同士の関係においては、送配電事業者の立場が今ぱっと見ですと強くなって、再エネ事業者の立場が法的に大丈夫なのかなということも解釈できると思います。そのところ、この法改正によって送配電事業者が強くなり過ぎないか、いかがなんでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたが、五条を削除したことに伴いまして何らかの変化があるのかと申し上げますと、接続義務に関しましては電気事業法で担保されるということになりますし、また、優先給電等の必要な規定については新しいFIT法の省令の中でも担保されるということになっているわけでございます。

 したがいまして、こういった点で、送配電事業者の力が一方的に高まって、接続拒否が頻発するというようなことはないというふうに考えているところでございます。

 いずれにしましても、電事法あるいはFIT法の運用の中で、そういった不適切な取り扱いがないかどうかということについては我々としてもしっかりとチェックをし、監視をしてまいりたいと思っております。

落合委員 これは、この四年間のFIT法の運用においても、再エネ事業者側、参入する側から送配電事業者に対する苦情というのはかなり経産省にも上がってきていると思います。

 やはり、市場を発展させていくためには、新規参入者に対してある程度門戸を開かなくてはなりませんので、ぜひここには細心の注意をいただければと思います。

 そして、認定制度が新しくなる、これは、今から申し込む事業者に対してだけではなくて、既存の認定案件についても新制度での認定の取得が求められるわけでございます。

 固定価格買い取り制度のスタート時、平成二十四年、二十五年に認定されたものの稼働していない件数が約三割あるということで、ここはやはり精査の必要はあると思います。まず、この未稼働の中で、ちゃんとやっているんだけれども、例えば送配電事業者側の都合でまだ稼働できていないというような案件も探してみればあるんじゃないかなと思いますので、しっかりこれはフォローをするべきだと思います。

 この件だけ、通告はしていないですけれども、先ほどの質問を踏まえまして、未稼働の案件の中で、正当な理由があって稼働していない案件が一律ばっさりと切られちゃうことはないということでよろしいですね。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、この法律におきまして、二十九年の四月一日に施行されるわけでございますが、その時点で、送配電事業者と接続契約を締結していらっしゃる方、あるいは、そこからさらに進んで実際に発電をされている方に関しましては、新たな認定制度のもとでも、旧認定を新たな認定とみなすということで移行するということになっております。

 一方で、その時点で接続契約の締結に至っていらっしゃらない方に関しましては、その認定は失効するということになってございます。

 それで、今、契約に至っていない事由というのをいろいろ調べてみますと、一つは、事業者側の方で準備が整っていない、例えば土地の手当てができていないとかいったようなものでございます。こういったようなものについては、なるべく早く準備を整えていただいて、契約締結を進めていただくということでございます。

 一方で、電力会社の方で契約に関してちょっと回答を保留しているといったような案件もあるというふうに承知しております。こういったようなものにつきまして、今、電力会社の方で体制をつくっていただきまして、そういった契約の条件についてきちっとオファーを出していただく。それを受けるか受けないかというのは事業者の方の選択でございますけれども、少なくとも二十九年の四月一日までの間にはそういった契約締結の機会がきちっと与えられる。その結果、契約に至るかどうかというのは、これは当事者間の問題ではありますけれども、そういったような体制をしっかりとらせていただきたいというふうに考えております。

落合委員 ここはかなり重要な問題だと思います。

 幾つかの再エネ事業者からの意見では、思っていたよりも接続料金とか契約料が高過ぎて、全部準備できているのに契約が結べないというような状況だという意見もありました。

 電力会社が回答を保留している部分をある程度見ますということですが、一方的に送配電事業者の力が強くなり過ぎて新規参入が阻害されないように、ここはフォローすべき点であると思いますので、これはまた改めて、この法案がもし通りましたら、私も調べさせていただきたいと思います。

 それで、稼働している案件、しっかり今でも稼働している案件も、新たに計画などを出させて、再認定の手続をとることが求められるわけでございますけれども、これは附則の四条などに書かれていますが、稼働している案件がしっかり今はうまくいっているのに、再認定の手続をする過程で認定取り消しになってしまう可能性もあり得るんでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、二十九年四月一日の段階で稼働しているもの、あるいはその手前で接続契約に至っているものについては、その段階で新たな認定を受けたものとみなすということになります。

 一方で、今回、新たな認定制度におきまして、例えば、さっき申し上げた、ちゃんとメンテナンスしているかどうかとか、あるいは廃棄に向けた計画をちゃんととられているかどうか、あるいは関連の法令を守られているかどうかといった義務は、こういった既に発電をされている方にも及ぶということになります。

 したがって、事後的に、例えば何か必要な許認可をとっていなかったというような場合には、その段階で指導し、改善を命令し、それに従わない場合は取り消しもあるということは可能性としてあるということでございます。

落合委員 悪質なもの等についてはやはりそういう対応をするべきだと思いますが、途中で制度を変えるということは、市場においては大変大きな問題だと思います。

 もしよろしければ、副大臣、先ほど手を挙げられていたので、違う言葉で確認をさせていただきたいんですけれども、既存事業者でしっかりやっている方が、送配電会社との関係等で、気に食わないからといって締め出されてしまう、そういうことにはならないというふうにしっかりと言えますね。御見解をお願いします。

鈴木副大臣 旧制度のもとで認定を取得して既に発電を開始している案件につきましては、改正後の新たな制度による認定を受けたものとみなす旨の経過措置を設けておるところであります。これによって、これまでの売電契約のまま、改正後も引き続き売電を行うことができます。

 ただ、こうしたみなし認定を受ける案件につきましても、新たに認定を取得した場合と同様に、新制度に基づいて、発電設備の維持管理の適切な実施や、他法令の確実な遵守などが求められることとなりまして、そのあたりをしっかりと確認していきたいと思います。

落合委員 法律ですとか省令ではこう決まっているけれども、真面目にやっている人たちが割を食うことがないようにすることがやはり我々国会議員、政治家の役割だと思いますので、ぜひ、具体的な問題が出てきた場合は、政治家としての判断をお願いしたいと思います。

 次に、入札制度も今回導入される大きなポイントでございます。

 今回の改正のポイントですけれども、四条に、何々と認めるときはと、できる規定で入札制度について規定されているわけですが、実際にどういうときに入札制度を行うのか、その条件をお聞かせいただければと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 入札対象電源の指定に関しましては、経済産業大臣が調達価格等算定委員会の意見を聞いた上で行うということになってございます。

 その条件に関しましては、法律上は、電気の使用者の負担の軽減を図る上で有効であると認められるとき、すなわち、発電のコストを下げるのに有効である場合にはやるということでございますが、その判断に当たりましては、これまでの導入量の実績、あるいは事業の実態、さらには競争環境といったようなものも勘案いたしまして、そういう中で入札を行うことが価格低下につながるかどうかという見きわめをした上で、これが適当である場合には入札の対象にするということでございます。

 具体的には、私ども、特に今導入が進んでおります大規模な事業用太陽光発電を念頭に置いてスタートするということになるのではないかというふうに考えております。

落合委員 入札制度はコストもかかりますので、大規模なものから導入されるものと思いますけれども、これらの規定を読んでみますと、主語が経済産業大臣はとなっています。

 これは、入札制度が恣意的にならないように、公平公正であるように、そのための仕組みは担保しますということでよろしいですね。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 入札制度を実施するに当たりまして、それが公正公平に行われるということは当然の大前提でございますので、私ども、これからこの制度を運用していくに当たりまして、それを第一義として取り組んでまいりたいと思っております。

落合委員 これからどんどん再エネの市場を発展させていかなければならないわけですので、一部の人たちの利益のために入札制度が運用されるということが国民から見てもないようにここの担保をお願いしたい、そして、私も注視させていただきたいと思います。

 この入札制度につきましても、再エネ事業者からも意見とかも出ていると思います。保証金を出す、手数料も払う、入札に当たって恐らく事務もある程度膨大なものになるということであると思います。

 これは発電事業者に新たに負担を求めることにはなると思いますが、過度な負担にならないように工夫はされるんでしょうか。

鈴木副大臣 保証金につきましては、落札した事業者が着実に再エネ発電事業を開始することを担保するための制度でありますが、予定どおり運転を開始した場合には事業者に返還することを想定いたしております。

 事務経費に充てるための手数料や入札手続の設定につきましては、発電事業者の負担にも配慮をしつつ、今後の具体的な制度設計において工夫をしていきたいと思っております。

落合委員 これも今後の制度設計によるものなんですが、ここもしっかりと注視をしていかなければならない部分であると思います。

 保証金も返ってくるものではありますが、保証金自体をある程度のロットを確保するには経営体力がないといけないということで、これはある程度のバーが設けられているものだと思います。事務手続も大手でないと難しいということになりましたら、運用の仕方によっては、これから適正に発展するべき地域の事業者ですとか小規模事業者が締め出されてしまうということにもなりかねないことだと思います。

 これに対してある程度の配慮はしっかりとしていくということでよろしいですね。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 入札制度、保証金を取る、あるいは事務手続ということでコストがかかるということでございますが、一方で、この入札制度を通じてなるべく多様な事業者の方に参画していただくということが重要な点でございまして、その保証金や事務あるいは提出書類等々、細部の設定に当たりましては、そういったようなことにも十分配慮していきたいというふうに考えております。

落合委員 多様性を確保する上でというふうにおっしゃいましたが、余り入札制度の割合がふえ過ぎると、これは逆に多様性を失わせるものだと思います。したがって、ここも今後の大きなポイントだと思いますので、指摘をさせていただきます。

 一般的な件について伺いたいんですが、再エネの産業が発展するということは、特に地方、自然豊かな地方の経済にも寄与する、そして地方に仕事や雇用をもたらすものだというふうに考えます。したがって、再エネ事業者の多様性、大きい事業者から小さい事業者まで確保することは重要だと思います。

 昨年の電事法改正案の審議の際も、たびたびエネルギーの地産地消という言葉が出てきました。先日、私も賛成者の一人になって、分散型エネルギーを促進する議員立法も提出させていただいています。

 地方経済の面でも、それから、分散型にすることで電力網をある程度強くしていくという上でも、エネルギーの地産地消、これは重要な観点であると考えます。

 改めて、現時点でエネルギーの地産地消についてどのようにお考えであるか、お聞かせください。

林国務大臣 地域に存在する再エネ資源の活用は、エネルギー政策の観点のみならず、地域活性化の観点からも重要だろうというふうに考えています。

 また、分散型エネルギーは、地域の特性に合わせた形での普及拡大を図ることが大事だろうと思いますし、地域主体の取り組みは大きな役割が期待されているというふうに認識をしております。

 経産省では、先導的な地産地消型エネルギーシステムの構築支援などの分散型エネルギー政策を進めているところでございます。例えば、地産地消型エネルギーシステムの普及を支援する事業において、事業者が地元自治体と連携して地域に根差した取り組みを進める場合に、より手厚い支援を行う、例えば補助率を二分の一から三分の二に引き上げるなどの工夫を行っているところでございます。

落合委員 これは、働く人も減ってきて、産業も余りないという地域にとっては、かなり有望な産業であると思います。ぜひ、地域の産業政策としても後押しをしていくべきだというふうに私も思います。

 では、入札制度の話に戻させていただきますが、入札制度の導入によって、今回、指定入札機関として指定法人に事務を実施させるということがこの法案の中に規定をされています。この指定法人というのはどういう組織を考えていますでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 入札の実施に際しましては、入札資格の審査などの業務が発生することが想定されておりまして、こうした業務につきまして、民間事業者のノウハウを活用して効率的に業務を実施するということで、国が指定する法人に業務を行わせることができるように法律上規定をしてございます。

 その要件に関しましては、例えば、職員でございますとかその業務の実施方法が適切なものであるということ、それから、そういった業務を行うに足る経理的基礎を持っているということ、それから、その機関、団体が担うことによって入札業務が不公正になるおそれがないことといったような要件を課した上で、こういった要件にのっとって業務の適確な実施が可能な機関というものを選定して、この入札に関する事務を行わせるということにしていきたいというふうに考えてございます。

落合委員 ちょっと詳しく伺いたいんですが、この指定法人を選ぶに当たっては、公募にするということでしょうか。

藤木政府参考人 詳細はこれから決めますが、基本的には公募するということを前提にしております。

落合委員 中立性というような、違う言葉ですがそういうような言葉もありましたが、そういうところにももちろんしっかり配慮をしていくということでよろしいですね。

藤木政府参考人 法律上の要件の中で、「入札業務が不公正になるおそれがないものであること。」という規定もございますので、当然のことながら、そういったところは重要な審査のポイントになるというふうに考えております。

落合委員 これは、新しい法人が電力システムの中で重要な役割を果たすということですので、どういう法人が指定されるのか、私も注視をさせていただきたいと思います。

 いろいろ法案の中身を見させていただきますと、現時点でもこういった機関が、違う仕事をしていますけれども、費用負担調整機関というものがあります。請求書が来て電力会社にお金を払うときに、賦課金が幾らというふうに書かれていますが、それを電力会社から納付されて、それをまた電力会社に交付するというような役割を果たしているわけです。これは、現行法では十九条から三十条、改正案では五十五条から六十六条に規定されています。

 この業務を引き受けているのは一般社団法人低炭素投資促進機構というところなんですが、この法人の役員構成、それから事務局の規模、事務局員がどのような人たちで構成されているのかについて、お聞かせいただければと思います。

藤木政府参考人 費用負担調整機関として指定されております一般社団法人低炭素投資促進機構という組織でございますが、二十八年四月現在におきまして、役員五名、役員以外の職員二十三名ということでございます。

 業務としては、FIT法の業務以外に、例えば低炭素投資促進法に基づくリース信用保険事業、あるいは産業競争力強化法に基づく先端設備等導入促進事業等を実施しているところでございます。

 もともと平成二十二年七月に設立された団体でございまして、先ほど御紹介いたしましたリース信用保険を実施するための法人として設置されたものでございます。

 社員としては、大手の損害保険会社が中核になっているというふうに認識しておりまして、当然のことながら、役員それから主要な職員に関しましては、こういった損保会社からの関係者も多いというふうに認識しております。

落合委員 ありがとうございます。

 参考のために、この法人は公募で選ばれたということでよろしいでしょうか。

藤木政府参考人 そのとおりでございます。

落合委員 何で伺ったかといいますと、格好いいホームページがあっていろいろな業務について書かれているんですが、事業計画とか事業報告もそれぞれ二ページぐらいしかなくて、それだけ見たら余りよくわからない団体であったということからこの法人を取り上げさせていただきました。

 それでは、続きまして、電力システム改革を本改正案でも生かしていきますというようなことがうたわれていますので、電力システム改革と今回の改正案の関係する部分について何点か、残りの時間で伺えればと思います。

 昨年通った電事法の改正案によって、三段階の電力システム改革が完成をしますということでございました。電力会社の法的分離なども今後行われてまいります。大手電力会社が発電、送配電、それから小売の三つに分けられる。

 今回、第二条で、電気事業者の定義も変えられています。今までは小売事業者が電気事業者の中に入っていたわけですが、これが電気事業者から外れます。この理由を改めてお聞かせいただければと思います。

鈴木副大臣 今回の改正法案におきましては、FIT法上の買い取り義務を負う主体を、電気事業法上の小売電気事業者等から一般送配電事業者等に変更することといたしております。

 FIT法上での買い取り義務を負う者を示す略語であります電気事業者の対象も、この内容の変更に伴いまして、小売電気事業者、一般送配電事業者及び登録特定送配電事業者から、一般送配電事業者及び特定送配電事業者に変更を行っているところでございます。

落合委員 これも先ほど指摘させていただいた、送配電会社というのは公的な役割が大きいので、ある程度法律でいろいろ規定をしていかなきゃいけないということで、やはり、大きく見れば、法的に強くなってきているということが大きな目で見たところのポイントだと思います。

 この点なんですが、参考人の答弁でいいんですけれども、提案理由のところに、「再生可能エネルギー電気の調達義務者を小売電気事業者から一般送配電事業者に変更する」と書いてあるところの理由、前段の部分に、「再生可能エネルギーの更なる導入を可能とするため、」というふうに書いてあるんですが、これは、電気事業者を送配電事業者というふうにばしっと決めたことで、この変更でどうして再生可能エネルギーのさらなる導入が可能になるのか。

 この部分、もう少し詳しく御説明いただければと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来の議論で出ておりますけれども、再生可能エネルギーを導入拡大していくに当たりましては、例えば、太陽光あるいは風力といった変動電源を多く入れていく、こういったようなものは時として需要に対して余ってしまう可能性がある、そういったような場合は、買い取った事業者が他の事業者に融通していくといったようなことも重要であるというふうに思っております。

 そうしたときに、例えば、九州エリアで余った場合に他のエリアに送るといったようなことをする場合に、これは、今度、まさに小売自由化になっておりますけれども、大変多数の小売事業者間で余剰の電力をやりとりするというよりは、送配電が一括した形でそのやりとりをやるといった方が円滑に一層の融通ができるといったようなメリットがあるというふうに考えております。より多くの再エネ電気を入れていくというためにも、送配電買い取りにしていくということが合理的ではないかというふうに考えている次第でございます。

落合委員 これは、理論的にはそう言えると思うんですが、我が国の歴史的な経緯上、所有権分離はされない、送配電会社のグループ会社の中に発電会社もあるということで、ここは本当に中立公正に送配電会社が機能するのかということは、監視機関もつくりますけれども、かなり注視しなければならない。これは日本のシステム独特の問題だと思います。

 先ほどの規定の中でも再エネの発電事業者との接続義務も言葉上では外れているわけですので、送配電会社の力というのは強くなっているわけですので、ぜひここは、このFIT制度を安定的に発展させていくためにも重要なポイントだと思います。

 それで、この公的な役割がかなり大きい送配電事業者の公正性、中立性はこの法案が通ってもしっかりと担保されていますということをしっかり国民に示すべきだと思うんですが、この法案が通っても、公正性、中立性はしっかり担保されるということを改めてお話しいただければと思います。

林国務大臣 落合先生御指摘のとおり、今回の改正によりまして、一般送配電事業者は、FIT電源の接続義務に加えまして、買い取り義務を負うことになります。再生可能エネルギーの普及拡大に一層重要な役割を果たすこととなるわけでございます。

 一般送配電事業者の接続義務や買い取り義務については、全ての電源について中立公平に扱うことが求められるわけでございます。

 法制度上もこれを担保する仕組みを設けておりまして、接続義務については電気事業法において、買い取り義務については改正FIT法において、それぞれ経産大臣による勧告あるいは命令、罰則の規定などを設けております。

 これらの措置を通じまして、一般送配電事業者が中立公平性を持って義務を果たすよう、万全を期してまいりたいと考えています。

落合委員 大臣からしっかりお言葉をいただきました。

 それで、冒頭、大臣がいらっしゃらなかったときも取り上げたんですが、再エネの事業者からすると、送配電会社に対する不満というのもある。これは一方的な意見ですので、どっちの意見もあるでしょうが、やはりこの公正性というのを確保することが重要な問題だと思います。

 昨年、電気事業法の改正案第三弾目が通りました。電力システム改革の番人として、本当に送配電事業者が公正に機能するのかということも含めて監視する機関として、監視委員会があるわけでございます。今回の法改正においても、監視委員会に対する規定が新設されているわけです。

 この法案が通ったことによって、電事法の審議のときに言っていた、監視委員会の公正性それから中立性等が後退するということはないと考えてよろしいですね。

松尾政府参考人 私ども電力・ガス取引監視等委員会でございますけれども、これはまさに先生おっしゃいました、電力取引の適正性あるいは一般送配電事業者の中立性の確保という観点から市場監視を行う組織でございます。この点は全く今回も変更がないというふうに認識をいたしております。

 特に、今次の改正法案との関係で申し上げますと、十九条一項におきまして、一般送配電事業者が買い取った再エネの電気を他者に供給するあるいはみずから利用するという場合に、情報の目的外利用でございますとか特定の小売電気事業者に不公平な取り扱いをするというふうなことを禁止いたしております。これにつきましては、私ども委員会といたしまして、関係事業者から、具体的な問題等が起こっていないか、不断に情報収集を行いますとともに、必要があれば報告徴収あるいは立入検査等を通じまして、厳正な監視を行ってまいります。

 また、その結果といたしまして、違法行為があるなど、必要があると認めますときには、当該一般送配電事業者に対しまして是正措置を講じますように私ども委員会が直接勧告を行う、あるいは経済産業大臣に対して命令を行うよう勧告、建議をするなど、必要な措置を講じていく所存でございます。

落合委員 市場の番人である監視委員会は、去年の法案の審議においては、割と役人の方が、エネ庁の方がそれなりに入りますという話でした。先ほどの送配電事業者は、電力会社であるわけです。両方とも公的な役割を今回の電力システム改革の中で担っていて、この二つがしっかりと、ある意味で厳しい関係でなければ新しい市場が発展しませんので、ぜひこの部分は私も注視させていただきたいと思います。

 次に、先ほども取り上げられていましたが、広域連系線についてでございます。

 昨年の電事法改正案の審議の際に、電力会社の再エネ事業者に対する接続拒否の問題、これを何回か私も取り上げました。結局、突き詰めてみると、電力会社間の連系線の使用量がもっとふえれば、各送電事業者の安定性が増すわけでございます。

 電力システム改革、新しい発電事業者の参入を促進していく上でも、この広域連系線の役割は重要でございます。この四月から広域的な系統運用が開始されております。今後の広域連系線の強化について、改めて、現時点でどのようにお考えであるか、お聞かせください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、広域連系系統を強化していくということは、再生可能エネルギーの推進にも当然役立ちますけれども、我が国全体の電力システム改革、これを確実なものにしていくという観点からも大変重要なものだと思っております。

 御指摘の広域的運営推進機関は昨年の四月に設立されまして、その後、ハード、ソフト両面からこの問題に対して取り組んでいるところでございます。

 ソフト面の対策といたしまして既にやっていること、昨年の四月にもう取り組んでいることでございますけれども、既にある連系線の利用を柔軟にするという観点から、これまでは一年間、年度で固定されていた空き容量というものにつきまして、三十分単位できめ細かく管理するということにいたしました。

 また、連系線の利用予約の申し込みについては、これまでは小売事業者だけに限られておりましたけれども、発電事業者、これは再エネの事業者も含めてでございますが、発電事業者も申し込みを行うことができるようにする、こういった取り組みは既に行ったところでございます。

 そのほか、実際にハード面、設備の増強につながることでございますけれども、これは全体的なマクロの話とミクロの話、二つ、両面から動いております。

 わかりやすい個別の具体例から申し上げますと、既に、国からの要請に基づきまして、東京―中部間の周波数変換設備、いわゆるFCです、東西のヘルツが違ってというところ、ここをどうするかという問題につきましては、現在百二十万キロワットの容量ですが、これを二百十万までやる計画は既にあったところでございます。これをこの広域機関の方で検討いたしまして、二百十万をさらに三百万キロワットに上げる、こういったことを決めたところでございます。

 工期は十年程度かかりますけれども、総工事費が千七百五十億円程度、こういったことに具体的に取り組んでいるところでございます。

 今申し上げましたFCは国からの要請でございますけれども、事業者の方々からの要請ということで、東京と東北の連系線も弱いということが、特に再生可能エネルギーを北の方でやって首都圏の方に電気を流したいという事業者にとっては大きなネックになっているところでございます。こちらにつきましても、現在五百七十万キロワットという容量ですが、これを千百二十万キロワットに上げるというふうなことを、これは工期については七年から十一年程度ということでまだ確定はしておりませんが、こうしたことに取り組んでいるところでございます。

 こうした具体的な取り組みに広域的運営推進機関が中心となって取り組むということ、さらには、今後の十年を超える期間を見通して全国の送電網はどうあるべきか、我々は広域系統長期方針というふうに申しておりますけれども、これを電力広域的運営推進機関において現在策定中でございます。

 国民負担の考慮というのも大変重要な視点でございますけれども、基幹送電網、我が国において脆弱な部分があるのも確かでございまして、ここを計画的に増強していく、これが全国のあるべき系統網をつくっていく大変重要な取り組みであろうかと思っております。

 なお、先ほど来、送配電部門の中立性の重要性の御指摘をいただいております。電事法の改正の審議の中でも多々いただきました。私ども、システム改革の実効性を上げる観点から大変重要な部分だと思っておりまして、ここでも、監視等委員会もございます、我々資源エネルギー庁も、送配電部門の重要性というものをしっかり認識して、この問題に対してはしっかり取り組んでいきたいと思っております。

落合委員 日本の電力システム全体で考えても、広域連系線というのが公的にも大きな役割をこれからもっと担っていくものと思います。これは経済成長戦略の一つとして、ある種の公共事業のように捉えて積極的に国が後押ししていく、公的な資金を使っていくということも検討していいのではないかというふうに私は思います。これは重要な問題ですので、これからも取り上げさせていただきたいと思います。

 では、今回の法改正にもあるんですが、電力自由化においても、卸電力取引所の役割が、自由化されればされるほど重要であると思います。私も、昨年、先ほどの広域推進機関と、それから卸電力取引所を訪問させていただきました。

 その際に、今は利用量は少ないけれども、四月一日に小売自由化になったら、恐らくどんどん役割が増していく、量がふえていくというような意気込みも伺いました。私も注目をしていたんですが、ちょうどその四月一日に、卸電力取引所でシステム障害が発生というニュースが流れました。

 このシステム障害の内容を把握されていますでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 ことしの四月一日の卸電力取引所におけるシステム障害の件でございます。

 電力広域的運営推進機関のシステムの方におきまして、日本卸電力取引所との間で通信機能にふぐあいが発生いたしまして、その影響で、三月三十一日の深夜より、日本卸電力取引所が開設をいたしました一時間前市場、これの取引が一時停止をいたしました。これは事実でございます。

 その後、夜を徹しての復旧作業が進みまして、翌四月一日の六時三十分から無事取引を再開することができました。

 電力小売の全面自由化の初日の四月一日から関係者の方々には大変御心配をおかけすることになりまして、こうした事案が生じたことは大変遺憾であると考えております。この点につきましては、林大臣の方からもそうしたコメントをさせていただいたところでございます。

 この件に関しましては、三月三十一日の深夜に私どもは第一報を受けました。この第一報を受けて、私どもの方から、復旧に全力を挙げるということを指示いたしまして、翌四月一日付で、六時三十分に取引再開があったわけでございますけれども、電力広域的運営推進機関と日本卸電力取引所双方に対しまして、ふぐあい発生の経緯及び対応状況、それからその原因、そして再発防止策、これらについて報告徴収を求めたところでございまして、既に四月四日の日に回答を得ております。

 電力広域的運営推進機関からの報告によりますと、今回のトラブルの原因は、広域機関と卸電力取引所との間の通信に際しまして、広域機関側のシステムにおけるデータ受け渡しプログラムの一部が正常に作動しなかった、これが原因だということが報告されております。

 いずれにいたしましても、引き続き、先生御指摘のように、卸電力取引所の役割というものが電力システム改革の実効を上げるために大変重要でございます。推進機関そして取引所などの市場関係者が今回のトラブルを教訓といたしまして、今後の対応に万全を期すように指導してまいりたいと思っております。

落合委員 報道によりますと、幸いまだ市場が大きくないので、保留になったのが三十六件で、全部復旧して、取引における大きな問題はなかったということでした。

 これは、きょうの新聞にも電力の先物市場の話ですとかも取り上げられていますけれども、これから自由化が進んでいけば、どんどん取引所が活性化していくものと思います。

 私も金融の出身ですが、取引所ですとか中央銀行のインフラというのは、本当に行政も物すごく注目して細心の注意を払っているものでして、インフラとして大変重要なものですので、これは、これから体制を新たに構築しなければならない問題だというふうに思います。

 実際に、四月一日の小売自由化を経て、取引量というのはふえたのかどうか。今、五月になりましたので、四月の量というのが出ているとは思うんですが、実際に数字というのはどうなんでしょうか。

星野大臣政務官 お答え申し上げます。

 小売全面自由化が開始をされました本年四月において、卸電力取引所において開設されているスポット市場、前日市場の月間取引量が、前年同月に比べまして約一・四倍に増加しております。

 小売全面自由化という大きな制度の変更が行われたばかりでありまして、卸電力取引所における取引量につきましては、引き続き、その推移について注視してまいりたいと考えております。

落合委員 一・四倍ですので、成果があったと言えるとは思いますが、もともとの量が物すごく少ないので、これからどんどんやっていかなければならない問題だと思います。

 私も、今回、取引所でどれぐらい取引されているのかと比率なども見ますと、シンクタンクの論文では、ヨーロッパで進んでいる国は半分ぐらいが取引所の取引ですが、ここの論文の数字では日本は一・四%、経産省の資料も見てみたんですが、最新の資料で一・六%となっていました。やはりこれは、取引量が十倍になっても、割合はまだまだ、先進的な国と比べたらまだまだということです。

 今回、法改正が行われて、ある程度玉出しを、取引所にも流していくということも規定されています。これは重要な問題だと思いますが、それも含めて、この卸電力市場の利用を促進していく方向性についてお伺いできればと思います。

星野大臣政務官 お答え申し上げます。

 小売市場における新規参入を促し競争を活性化させるためには、卸電力取引所におきまして十分な取引量が確保されていることが重要でございます。委員御指摘のとおり、今二%程度ということでございます。

 今般の改正法に基づきまして、送配電事業者が買い取ったFIT電気につきましては、卸電力取引所を経由した引き渡しが原則とされていることから、これにより、卸電力取引所の取引量が徐々に増加をし、取引所取引の活性化に寄与するものと期待をしております。

 こうした変化による取引所取引の活性化の状況も見きわめつつ、今後も適切な競争環境を確保するため、これまでのいわゆる自主的取り組みの改善を促すことも含め、卸電力取引所のさらなる活性化に向けた取り組みについて引き続き検討をしてまいりたいと考えております。

落合委員 ありがとうございます。

 最後の質問になりますが、今回、賦課金の制度なども調べていまして率直に思ったのですが、賦課金が導入されたときに、一方で、電力システムのために国民が払っているお金として託送料金というものがあります。この中身は、今現状、消費者はわからない、請求書にも書いてないわけでございます。

 今、国のエネルギーのあり方について、再エネがいいか、原発がいいか、もしくはどれぐらいの割合かという議論が国民の間でも結構熱く行われていますが、託送料金の中に、例えば原発の電源開発促進税一二・六%がこのFIT制度が始まったときに入っています、あと、再処理費用が三・四%入っています。

 新しく賦課金制度ができたから、賦課金だけ外に出て金額が書いてあるわけですけれども、やはり国民が原発の意義、再生可能エネルギーの意義、それからそれぞれのコストを理解していく上でも、国の政策として、それぞれどれぐらいコストがかかっているのかということを国民にもう少しわかりやすく開示していくべきではないかというふうに感じました。

 これについてどのようにお考えになるか、伺わせていただければと思います。

高木委員長 星野大臣政務官、申し合わせの時間が経過しておりますので、簡潔に答弁願います。

星野大臣政務官 簡潔にお答えいたします。

 小売電気事業者が行う消費者への情報提供については、本年一月に定めた電力の小売営業に関する指針の中で、消費者保護や消費者の選択促進の観点から、一定のルールを示したところでございます。

 その上で、同指針に取り上げられていない情報の取り扱いについては、本年二月、審議会において議論が行われました。

 電気料金の原価に含まれる各種費用につきましては、国民の知る権利の観点から情報提供が必要との意見もありました。しかしながら、小売電気事業者自身では把握できない情報について、制度として情報提供を求めることは適当ではないという意見が強かったため、結論に至らず、引き続き検討を行うことになりました。

 御指摘の電源開発促進税や使用済み燃料再処理等の費用のうち、積立制度創設前には料金原価に含まれていなかった使用済燃料再処理等既発電費、いわゆるバックエンド過去分の取り扱いについても、それを明示的に個別に議論したわけではありませんけれども、小売電気事業者自身では把握できない情報であることから、現時点において、小売電気事業者に対して何らかの情報提供を制度的に求める方向にはないと考えております。

落合委員 ここはエネルギー政策における重要なこれからの検討課題だと私は思います。

 時間になりました。終わらせていただきます。ありがとうございました。

高木委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五十分開議

高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。本村賢太郎さん。

本村(賢)委員 民進党の本村賢太郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 四月十九日に本会議でFIT法の質問をさせていただきまして、林大臣からも答弁をいただきました。まず、その十九日に答弁いただいた内容に沿いまして、数点質問させていただきたいと思っております。

 国連の報告書によりますと、二〇一五年の再生可能エネルギーへの総投資額が二千八百六十億ドル、日本円でいうと約三十二兆三千億円と過去最高に達しておりまして、発展途上国による投資が史上初めて過半数を占めているという結果が出ております。

 発展途上国でも再生可能エネルギーを中心としたエネルギー構成へと向かっていることが顕著にわかるわけでありますが、二〇三〇年に再生可能エネルギーを最大限導入する考えを放棄したのかという問いに対し、大臣は、再生可能エネルギーを最大限導入するとの考えに何ら変わりはないとのことだが、世界各国の再生可能エネルギーへの取り組みと比べると、とても最大限導入とは言えないのではないか。

 そもそも、日本だけが原子力と石炭火力を中心とするエネルギー構成を目指すことで、ますますガラパゴス化しているように思えるわけであります。

 例えば、米国では石炭火力発電への規制を強め、事実上の新設が困難になっていること、カナダでも石炭火力発電所の排出規制を導入したこと、イギリスでは二〇二五年に石炭火力発電所を全廃することを決定しているわけでありますし、ドイツでは、御承知のとおり、二〇三〇年に再生可能エネルギー比率を五〇%、デンマークでは二〇五〇年に一〇〇%を目指しております。また、隣国の中国におきましては、中国政府、能源研究所が二〇一五年五月に、中国は二〇三〇年に五三%、二〇五〇年に八六%を自然エネルギーでの電力供給が可能と発表していることなどを踏まえまして、大臣の見解をお伺いいたします。

林国務大臣 再エネ導入については、風況などの自然条件あるいはまた送配電ネットワークの状況など、我が国の実情に合わせた検討が必要でありまして、一概に数値だけで諸外国と比較するということは適当ではないんじゃないかというふうに思っております。

 昨年七月に策定いたしましたエネルギーミックスは、安全性の確保を大前提に、自給率をおおむね二五%まで改善する、そして、電力コストを現状よりも引き下げる、また、欧米に遜色ない温暖化ガス削減目標を掲げる、以上三つの目標を同時に達成するよう検討を行いまして、その中で、徹底した省エネ、再エネの最大限の導入、火力発電の高効率化などを進めつつ、原発依存度を低減させる姿を示したものでございます。

 再エネ導入に当たっては、国民負担を抑制しつつ、出力が安定している地熱、水力、バイオマスにつきましては、環境規制の緩和や地元住民との調整などが順調に進むことなども見込んだ、言ってみれば野心的な導入であります。

 そしてまた、自然条件により出力が変動する太陽光、風力については、電力コストを現状より低減する方針のもと、これも最大限の導入を図りまして、二〇三〇年度時点で二二%から二四%の水準を実現するということにしているところでございます。

 この水準は、導入拡大の余地が大きくない水力の八%を除けば、足元の四%から四倍も導入拡大するという極めて野心的なものでありまして、決して低い水準ではないというふうに認識しております。

本村(賢)委員 水力発電の八%を除いて、太陽光は四倍になって、野心的な数字だという話を大臣は言われておりますが、残念ながら、そこは私どもと少し認識が違うなというところは指摘をしておきたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 日本は三分の二の熱を捨てている状況にございまして、火力発電所ではほぼ半分の熱が捨てられております。製造業の配管保温材劣化で原発七基分の熱量ロスがあるという指摘がなされている一方、太陽熱、地中熱などの再生可能エネルギーの利用が進んでいないなど、日本では熱の有効利用が十分になされていないということを私ども理解しておるわけであります。

 そこで、四月十九日の衆議院本会議での大臣の答弁からまた質問させていただきますが、電気だけでなくエネルギー全体の最適性、効率性を考える視点が必要だという指摘に対し、大臣は、総合的なエネルギー効率について、FIT制度が電気の需要家の負担によって成り立っている制度であることから、慎重に考える必要があるとのことでありますけれども、熱エネルギーの利用促進についてはどのように考えていらっしゃるのか、現在無駄にしている熱エネルギーが多く、利活用の促進をすべきだと思わないのか、お伺いいたします。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、熱エネルギーの有効活用というのは大変重要な課題でありまして、私どもといたしましても、熱の有効活用を促すため、さまざまな措置を講じているところでございます。

 一つは、省エネという観点でございまして、例えばほかの工場で発生した廃熱を自社の工場で活用するといったような取り組みについては、さらにこれを後押ししていきたいというふうに思っておりまして、これを省エネ努力の評価の中できちんとカウントする。熱の有効活用を促進していきたいというふうに思っております。

 また、規制法だけではなくて、支援措置といたしまして、省エネ補助金におきまして、廃熱回収設備や熱損失を低減する保温材の設備導入、こういったものを支援するとともに、熱エネルギーを一定の地域で面的に融通し合って効率的に利用する、いわゆる地産地消型のエネルギーシステムを構築する取り組みに対して支援を行っているところでございます。

 こういった施策を通じまして、熱エネルギーの利用ということにもしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

本村(賢)委員 昨年四月の国土交通委員会の水防法等の一部改正の質疑に立たせていただきましたが、下水熱などの再生可能エネルギー利活用を推進する規制緩和が含まれておりまして、新潟県十日町市の保育園や仙台市のスーパーマーケットで利用されている例も紹介されておりました。

 民進党といたしましては、四月二十八日に熱エネルギー利用促進法を含む分散型エネルギー社会推進四法案を提出しておりますし、また、ドイツでは、熱電供給の場合には買い取り価格を発電のみの場合よりも優遇しておりまして、最終的には、熱電供給でなければFITでは買い取らないこととしていることなど、さまざまな取り組みも進んでおりますので、ぜひ経産省として、この熱の利用も大いに進めていただきたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 次も大臣答弁からであります。

 二十年を過ぎても太陽光のパネルは使うことができるようでありますけれども、発電量が落ちるなどの経年劣化や技術の進化を思えば、買いかえが発生することも想定されておりまして、太陽光発電の設備の廃棄やリサイクルの問題について、現行制度では、事業終了時に廃止届を求め、廃棄物処理法に基づき適正な処理がなされることを確認しています。また、本法律案では、事業の認定段階でも発電設備が適切に廃棄、リサイクルされる計画となっていることを確認する仕組みを導入しますとの大臣からの答弁をいただいたわけでありますが、FIT法を契機に、一気に太陽光発電が進んだことを考えますと、同時期に大量廃棄が発生することが懸念をされております。

 環境省の試算では、太陽光パネルが老朽化によって廃棄物になる量は、二〇三〇年度には現在の十倍に当たる年三万トンに上るわけでありますし、二〇三五年度には約六万トンとなり、二〇四〇年度には約八十万トンに達すると予想がございます。

 そうした中で、太陽光発電設備はどのように処理をされていくのか、また、どの程度の量であれば処理することが可能なのか、今のうちから整理し、可能な限り再利用できるように対策を行っていくことが必要ではないかと思いますが、御見解をお伺いいたします。

星野大臣政務官 本村委員にお答え申し上げます。

 現時点では、廃棄される太陽光パネルの量は多くはありませんけれども、将来的に設備更新等の際に廃棄される太陽光パネルは、廃棄物処理法に基づき、産業廃棄物として適切に処理されるものと考えております。

 二〇三〇年度におきまして廃棄される太陽光パネルの排出量につきましては、産業廃棄物の最終処分量の一%未満にすぎず、十分処理可能な量と想定をしております。

 なお、太陽光パネルのリサイクルについては、アルミ、銀、ガラスなどの再利用が考えられますが、現状はコストの制約があるため、将来への備えとして低コストで太陽光パネルをリサイクルするための技術開発を行っているところでございます。

本村(賢)委員 廃棄物は、産業廃棄物として埋立処分がされたり、また、その中に有害物質が一部含まれていることもございますが、銅や銀といった有用な資源もあり、再利用や資源を取り出す方法も模索されているというふうに伺いました。ぜひとも、そういった再利用や資源を取り出す方策を進めていただき、廃棄物がより有効な形になるように、また経産省として、引き続きの御指導をお願いしたいと思っています。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、賦課金の減免制度についてお伺いさせていただきます。

 FIT導入後五年で賦課金単価が十倍まで上昇するというお話でありまして、さまざまな御意見を皆さんからいただいておるわけであります。

 まず冒頭に、FIT制度による賦課金の負担は、家庭はもちろん、企業にとっても大きなものとなっているということはもう大臣も御認識されていると思いますけれども、とりわけ電力を多く消費する事業者にとって、キロワットアワー当たりの電気料金に上乗せされる賦課金の負担の増加は、国際競争力に深刻な影響を与え、事業の継続を難しくする場合も考えられるわけでありまして、賦課金の負担は本年度どれだけ増加したのか、お伺いいたします。

藤木政府参考人 平成二十八年度の賦課金単価は一キロワットアワー当たり二・二五円となっております。昨年度、二十七年度の賦課金単価がキロワットアワー当たり一・五八円ということでございますので、昨年度から今年度にかけて、負担は約四割増加しているということになります。

本村(賢)委員 賦課金の四割の増加というものは、電気を多く消費する事業者にとっても、非常に負担となっている点、これはもう皆さん御承知だと思います。

 例えば、電力多消費事業者である電炉業では、国内市場や海外市場において、日本より廉価な中国鋼材や韓国鋼材との厳しい国際競争にさらされている中で、国内での事業存続は今でさえ大変困難だというお声をいただいておりまして、そういった点を十分踏まえていただきたいと思っております。

 また、韓国の電気料金は、日本よりも圧倒的に安いわけでありますし、日本の産業用電気料金は、イタリアに次いで世界で二番目に高いという視点もありますので、ぜひ賦課金の推移というものをよく見守っていただきたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 現在、電力多消費企業の賦課金の負担を軽減する特例措置として、賦課金の減免措置が導入されておりまして、この制度は、そうした企業の国際競争力の維持強化の観点から、引き続き非常に重要なものであると考えております。

 この制度の重要性に鑑み、引き続き減免措置を維持すべきだと私は考えておりますが、経産大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 賦課金の減免制度は、電力多消費事業者の国際競争力の維持強化を図る観点から、賦課金の負担を八割軽減する措置でございます。

 他方で、現在、賦課金の水準が上昇していく中で、本制度に対してさまざまな意見があるのも事実でございまして、具体的には、賦課金が一律八割軽減される制度の対象者と、制度対象にならない家族や事業者との間で不公平が拡大するではないかとか、制度の適用を受けているものの中に、省エネ努力をせずに電気をたくさん使っているもの、あるいは国際競争力とは関係のないものまで含まれているのではないかというような意見が出ているのも事実でございます。

 そこで、経産省としては、電力多消費事業者の国際競争力の維持強化の重要性に鑑みまして、本制度は引き続き維持をしていきます。

 その上で、制度の対象とならない方々にも御理解をいただけるよう、省エネの取り組みを行っているかどうか、国際競争力の観点から賦課金を軽減する必要があるかどうかを新たに確認するなどの見直しを行うこととしているところでございます。

本村(賢)委員 今大臣からも、この減免制度の重要性、引き続き維持をしていただくという御答弁をいただきました。非常に心強い答弁だったことを感謝申し上げます。

 続いて、減免措置の重要性は先ほど御確認いただいたとおりでございますけれども、一方で、この制度は、特例措置を受けていない事業者や家庭の負担のもとで成り立っていることも踏まえる必要があります。これは、大臣からもお話がございました。

 制度の対象とならない家庭や事業者にも理解を得られるよう、この特例措置を真に必要とする企業が説明責任を果たし、措置を受けられる制度とすべきであると私は考えておりまして、そのために、対象事業者に国際競争の状況や省エネの取り組みについて説明を求めるなどの改善を図るべきだと考えておりますが、具体的にどのように説明責任を果たすことを担保するのか、お伺いいたします。

藤木政府参考人 ただいま大臣から答弁申し上げましたとおり、本制度は、我が国の国際競争力の強化を図る上で重要な制度でありまして、持続可能な形で維持していくという必要がございます。

 そのために、今御指摘ございましたように、国際競争の状況、省エネの取り組みについて、事業の実態をよくお聞かせいただきながら確認をしていく、その上で制度の適用を受けていただく、こういった見直しをしてまいりたいと思っております。

 具体的には、これは、制度の適用を受けていただくには、毎年度、年度が始まります前に申請をしていただくことになりますけれども、その申請の段階で、その事業の実態、それから過去の省エネへの取り組みといったようなものについて、御報告をいただいて確認をさせていただくといったような手続を想定しているところでございます。

 詳細については今後検討してまいりますけれども、制度趣旨をしっかり踏まえて、真に必要な方が減免制度を受けられるというような制度を維持するために、しっかりと検討してまいりたいと思っております。

本村(賢)委員 多くの事業者が既に省エネや省電力に限界まで取り組んでいるというお話を、いろいろな、鉄鋼連盟の方や、そして地元の中小企業の皆さんからもお話を聞いてきたわけでありますが、そうした声の中で、省エネ対策以外のコスト削減として、例えば、電気料金の安い平日夜間や休日に生産活動をシフトされていたり、事業所を統廃合されていたり、それから設備集約をしていたり、あとは働く皆さんの賃金カットなどをして、さまざまな努力をされておる点もございますので、その点も十分御理解された上で、今後もこの改善を図るべき方向で御指導をお願いしてまいりたいと思っております。

 次の質問に入らせていただきます。

 固定価格買い取り制度導入時に、当初は百円程度を賦課金と想定したというふうに伺っております。既に、買い取り費用は今年度約二・三兆円、平均的な家庭で毎月六百七十五円に達していること、これは皆さん御承知だと思いますが、制度開始以来、二〇一〇年の経済産業省の調査及び二〇一四年の環境省の調査では、受容できる月々の賦課金負担は百円以下であるというアンケート結果も出ておりまして、そう答えた人がもう半数以上に上っているというふうに伺っています。

 消費税と同様に、電気代には逆進性があるというふうに私は思っているんです。つまり、賦課金額の上昇は、裕福でない家庭ほど家計に大きな打撃を与えるものだと認識をしております。

 こうした課題についてどのような取り組みを行っていくのか、お伺いいたします。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のとおり、賦課金の負担が家計においても負担となってきているというふうに認識しておりまして、当然、再生可能エネルギーの導入を拡大していけば、それに伴うコストというのは出ていくわけでありますが、そのコストの抑制ということと両立させていくことも大変重要だと思っております。

 そうした観点から、今回のFIT法案におきまして、価格に関する中長期目標を設定して事業者のコスト低減を促していく、あるいは入札方式などの価格決定方式を導入してコストを引き下げていくといったようなことも取り組んでまいりたいと思っております。

 さらに、設備機器の低コスト化に向けた研究開発といったようなことで、再生可能エネルギーに係るコスト効率化ということを可能な限り進めていくことが対策になるというふうに思っております。

 また、エネルギーミックスにおきましては、再生可能エネルギーに係る費用とあわせて、電力料金全体をいかに抑えていくかということも、また重要なファクターであるというふうに思っております。

本村(賢)委員 環境省が二〇一四年に実施したアンケートによりますと、賦課金を認知している国民は三六%、そのうち、およその金額まで知っている国民はわずかに六%しかいないという結果が出ております。賦課金があることを知らなかったと答えた国民が六五%というアンケート結果が出ておりまして、これは非常に大事な数字だなと思っております。

 ここの数字から考えた中で、四月十九日の衆議院本会議での大臣の答弁からも、国民負担を抑制しつつ、再生可能エネルギーを最大限導入することは容易ではないと私は思っているんですが、まずは国民に賦課金について丁寧に説明をして、正しく理解して御負担いただくことが重要だと思っております。

 大臣も、賦課金を国民の皆様に負担していただくに当たっては、賦課金の趣旨や意義について丁寧に説明してまいりますとの答弁をいただいておりますが、具体的にはどのように説明をしていくのか、お伺いいたします。

藤木政府参考人 今御指摘いただきましたように、固定価格買い取り制度というのは、全国の電気の利用者の皆様の御負担の上に成り立っている制度でございまして、その趣旨、そして、どういったような負担でどういったような効果が生じているのか、そういったようなことについて、きちっと御説明をし、御理解を得ていくということは大変重要なことであるというふうに思っております。

 今回、この固定価格買い取り制度を見直すに当たりまして、本年の二月から三月にかけまして、全国各エリアでシンポジウムを開催いたしまして、今回の改正法案の内容、見直しの方向性、あるいは今後の導入に向けた議論といったようなことについてシンポジウムの中でお知らせする、あわせて地方での広報も行うといったようなことを進めてきたわけでございます。

 今後、今回の法律の見直しということも含めまして、より多くの事業者、一般国民の方々に、この制度、それに基づく負担、そしてその効果というものがしっかりと御理解いただけますように、さらに適切な広報活動に努めてまいりたいというふうに思っております。

本村(賢)委員 やはり、国民が知らない中で、電気料金の請求書の中に、再エネ賦課金という記載があるんですが、国民に広く理解していただく説明が私は非常に大事だと思っておりますので、ぜひ経産省といたしましても、環境省とも協力をしながら、国民の皆さんに丁寧に広く、この賦課金というものがどういうものであるのか、私は丁寧に説明すれば国民の皆さんから御理解いただけるお話であると思っておりますので、知らないうちに何だか電気料金が高くなったなという認識ではなく、ぜひとも丁寧に、この賦課金の御説明を、広く理解いただけるような方向でお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は買い取り価格についてお伺いさせていただきますが、入札制度において、対象を具体的には限定していないため、理論上は全ての再生可能電気を入札の対象とすることが可能ということになり、これから事業を行おうと考えている事業者を萎縮させる効果があるのではないかといった懸念がございます。

 そこで、大規模太陽光に限定されているならば、法律に明記すべきだと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 入札制度の対象につきましては、競争を通じて買い取り価格の低減を促すことができる大規模な事業用の太陽光発電のみを対象とすることを想定しております。具体的には、本法案の成立後、これまでの導入量など事業の実態を勘案し、競争を通じた買い取り価格の低減が見込める電源について、調達価格等算定委員会の意見を聞いた上で決定をされることになっております。

 入札制度の対象につきましては、これを法律上規定すべきとの指摘もございますけれども、買い取り価格の決定と同様に、法律にて固定的に取り扱うのではなく、調達価格等算定委員会の意見を尊重しつつ、事業の実態や導入状況に応じた柔軟な対応ができる仕組みとすることが適当であると考えております。

本村(賢)委員 経産省の考え方もよく理解しているつもりでありますけれども、やはり、法律に明記することによって国民の皆様がよりわかりやすいのかなということは指摘をしてまいりたいと思います。

 次に、民進党は、再生可能エネルギーは、地域の資源を生かして地域が主導して行い、その利益を地域に還元することにより、持続可能な地域を構築していくためであるという考えでございます。

 また、四月二十八日に分散型エネルギー社会推進四法案を提出いたしまして、私どもの山尾政調会長が、地域の資源を生かした再生可能エネルギー活用により、地域のお金を地域で回すことで地域の活性化につながるよう、日本各地で起こりつつあるエネルギーの地産地消、自給自足の動きを加速し、民進党の政策である二〇三〇年代原発稼働ゼロを目指すとともに、二〇三〇年に再生可能エネルギー三〇%以上、温室効果ガス一九九〇年比三〇%以上削減を実現するということも既にお話をされているわけであります。

 先日の衆議院本会議の大臣答弁の中で、地域優先、小規模優先での買い取り価格の設定を行うことについては慎重であるべきとの御答弁をいただいたわけでありますが、エネルギーの地産地消についてはどのように考えていらっしゃるのか。エネルギーの安全保障の観点からも、地産地消を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、地域に存在をする再生可能エネルギー等の資源を地域の特性に合わせた形で効果的に地産地消することは、地域活性化に貢献するとともに、海外の燃料への依存を減らすという点において、エネルギー政策上も重要だと考えております。

 このため、当省では、FIT制度によります再生可能エネルギーの導入支援に加えて、先導的な地産地消型エネルギーシステムの構築支援を進めております。

 具体的には、長崎県島原市におきまして、未利用熱を温泉の加熱に活用し、エネルギーの有効活用や維持管理コストの低減を図る取り組みを支援しております。

 こうした支援を通じて、地域のエネルギー資源の有効活用に向けた取り組みをしっかりと進めてまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 エネルギーの地産地消、自給自足ができるようになれば、送電ロスが少なくなったり、熱の有効利用が可能であったり、災害時でも供給しやすくなったり、また地域雇用の創出などの効果が考えられます。

 例えば、地産地消の例といたしまして、衆議院本会議でも指摘をさせていただきましたが、北海道稚内市では、風力発電などの再生可能エネルギーの地産地消を進め、環境と観光による地域経済の活性化を進めております。エコツアーなどの環境を前面に出した観光振興を進めており、年間約一千五百人以上の視察を受け入れております。また、現在までに、合計七十四基、七万六千三百五十五キロワットの風車が稼働しており、市内の年間電力需要の八五%に相当している。さらには、風車の建設工事や保守管理などによる地元雇用の創出に加え、市が所有する発電設備で電気代を節約するとともに、売電収入を有効活用して市民に利益を還元、子供への環境教育も実施をされ、さらに、固定資産税や法人市民税が増収となり市の財政基盤の強化にも貢献をしているという実例がございますので、先ほど政務官が言われた長崎と、そういった実例も踏まえて、全国各地で、この地産地消、自給自足が広まることをより推進していただきたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は四月二十七日の参考人質疑で各先生方からいただいたお話から質疑を何点かさせていただきます。

 認定件数全体に対して未稼働案件件数は現在何割あるのか。最新の数字をまずお伺いしたいと思います。

藤木政府参考人 現在、手元の最新のデータ、昨年の十二月末時点でございますが、太陽光全体の認定案件は約百八十三万件、そのうちまだ動いていないものが六十一・八万件でございますので、未稼働割合は三分の一程度ということになってございます。

 今のは件数ベースでございますが、容量ベース、キロワットベースで申し上げますと、太陽光全体の認定容量が約七千九百三十五万キロワットでございます。そのうち動いていないのが五千四百十七万キロワット。したがって、未稼働割合は約七割というふうになっているところでございます。

本村(賢)委員 今の未稼働件数や、あと割合ですか、非常にまだ高い数値でありますので、ここの取り組みが今後必要だなというふうに非常に思っております。

 そういった中で、電気事業連合会の八木会長からも、国の認定を取得されていながら一般送配電事業者と接続契約を締結されていない事業者の皆様から、契約締結に向けた要請が今年度末までの一時期に集中することが懸念をされる、また、国におかれましても、新認定制度への移行が円滑に行われるよう、経過措置の内容や申し込みに係るスケジュールなどについて、事業者の皆様に広く周知していただくようお願いしたいというような発言がございました。

 いわゆる空押さえの対策でありますけれども、先ほども別の委員の方が質問されて、新制度について、この新認定制度が創設されるということであって、各事業者との連携をしながら広報を協力してやるというお話をいただきましたが、具体的にはどのように進めていくのか、お伺いしたいと思います。

藤木政府参考人 新しい認定制度の創設に関しましては、再生可能エネルギーの発電事業に関係する皆様方にとって極めて関心の高い事項であるというふうに認識しております。そのため、私どもとしても、関係者に積極的に説明を行ってきているところでございます。

 先ほど御答弁申し上げましたように、既に、本年二月から三月にかけまして各地でシンポジウムを開催、九都市でシンポジウムを開催しておりまして、延べ千六百人を超える事業者、報道関係者等に対しまして、今回の改正法案の内容等々についてお話をさせていただいております。

 また、さらに多くの事業者や一般国民の方々にもこの改正案の内容について御理解いただけますように、わかりやすいパンフレットの作成を行って、地方経産局あるいは電気事業者の方にも御協力をいただいて、この配布、さらには再エネ広報のホームページなどに掲載して、周知に努めているところでございます。

 また、新法の施行日、今、二十九年の四月一日を想定してございますが、対応が求められる接続契約の案件の数が相当程度増大するということも予想されるところでございます。この件に関しましては、各電力会社とも協力して、体制を構築してきておりまして、各電力会社は既に系統接続の相談窓口を設置して対応を進めているところでございますが、今後、政府としましても、事業者に対して、新たな認定制度への移行が円滑になされますよう丁寧な周知を行いますとともに、電力会社と協力して、遺漏なく対応できるような体制整備をさらに進めてまいりたいと思っております。

本村(賢)委員 次に、FIPについては、松村教授が、こういうシステムにして系統対策コストを下げるということも長期的には考えられるべきかと思いますというお話があったり、高橋教授から、例えば、FIPに徐々に移行していく、もう少したった後には入札制度を導入していくといったような形で、少しずつ、再生可能エネルギーの電気の市場化、市場への統合というものを進めていくことがコスト削減にもつながっていくと、お二方から御発言がございました。

 そうした参考人質疑の中でも、FIP制度の検討が話題として上がっていたわけでありますが、政府としては、長期的視点から見たFIT制度のあり方をどのように考えているのか、また、今後、FIP制度の検討などを行う予定はあるのか、お伺いいたします。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 FIT制度、固定価格買い取り制度というのは再生可能エネルギーの導入拡大のために必要な制度でございまして、これも、ただずっと続けるということではなくて、改善を繰り返しながら、やがては自立的に再生可能エネルギーが導入されていく、そういうことに向けて制度を運用していくということが重要だというふうに思っております。

 その中で、今委員から御指摘ございましたFIP制度、フィード・イン・プレミアムというふうに呼んでおりますけれども、これは、再エネ発電事業者がマーケット、卸市場や相対で電気を販売した場合に、その売却価格に国が一定のプレミアムを上乗せしてお支払いするというような方法であるということでございます。

 それで、現在、ドイツ等でもこういったFIP制度というのがとられているところでございますが、かなり国によってタイプの違う制度になっておりまして、例えば、プレミアムが一定ではなくて変動するというような制度であるとすると、今日本がやっているFIT制度と余り大きな、内容的には変わりがない、実質的にはプレミアム変動型のFIPと同じような制度になっているという言い方もできます。

 また、ドイツの方は、フィード・イン・プレミアムという制度に移行していくわけであります。これは、より市場機能を重視して、再エネ導入を市場機能を使ってふやしていくという趣旨のものでございますけれども、これに関しましては、やはりドイツにおいてそういった再エネ事業者が育ってきているといったような実態、それから、マーケットの育っている状態、普及の状態といったようなことも勘案しながら、今後検討していく必要があると思っております。

 したがいまして、我々、現行のFIT制度について、今後の状況も含みながら、その時々、必要な見直しを行っていく。その中では、FIP制度ということについても当然検討の一項目に入ってくるというふうに思っております。

本村(賢)委員 松村教授が指摘したように、FIPに関しては系統対策コストを下げるということも長期的には考えられるべきかな、私もそう思っておりまして、少し長い期間を使って、世界の流れも見ながら御検討いただければというふうに思っております。

 次の質問に入ります。

 まず一点、ちょっと質問というよりも御指摘をさせていただきたいんですが、先ほど別の委員からも御指摘がありましたが、大規模太陽光発電の導入が進んだことで地域とのトラブルも随分起きているとのことでありまして、例えば、山梨県の北杜市では、日照時間が一番長いということで、そうした環境もあり、大きく太陽光発電の導入が進められておるわけでありますが、パネルの照り返しが近隣の家屋に迷惑をかけているとか、地域の景観を阻害しているとか、突然住宅街に太陽光発電設備が設置されたといった声が出されておりまして、困惑の声も出ております。

 北杜市は清里もある別荘地でありまして、日本のドイツといって売り出す不動産業者があるほど景観がよく、八ケ岳、富士山の見える絶景の場所でもあるわけでありますが、森林伐採され、景観が大分変わってしまったという住民の声も聞いております。

 また、九州においては、いいかげんな据えつけをした工事の関係で、太陽光パネルが台風の突風で飛び散ってしまったという事例もありまして、近隣住民との問題や環境保全についても、再生可能エネルギーを拡大していくに当たってはあわせて対策を講じていく必要があると思っておりますので、そのことを一点指摘しておきたいと思います。

 先ほど別の委員からも御質問があったので、ぜひともそういった、せっかく再生可能エネルギーが前へ進んでいるときに、こういう事案で皆さんから理解されないような方向にならないよう、経産省としても強いリードをお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 東京電力、中部電力、関西電力以外の電力会社では、三十日ルールがなくなりました。無制限、無補償で出力制御が可能となったわけでありまして、その点において、おととし、九州でいわゆる接続保留問題が発生をいたしました。一部のエリアでは、もう太陽光発電事業ができなくなってしまうかのような印象を持っている方が多いという声も伺っておりまして、これは太陽光の出力制御に関する三十日ルールが変更になったからでありまして、なぜ変える必要があったのか。

 また、出力制御が発生することがやむを得ないとしたら、それによって事業者や金融機関が不安を覚えて太陽光発電事業ができなくなることを回避するために、政府や電力会社がしっかりと説明をして、対策を講じていくことが必要ではないかとも考えておりますが、いかがでしょうか。

藤木政府参考人 出力制御の問題でございます。

 電気の供給が需要を上回ってしまった場合、すなわち電気が余っている場合には、停電が発生するという可能性もございますので、つくる側、発電所の出力制御を行う必要があるというふうになります。

 これも午前中議論になりましたけれども、これは優先給電ルールのもと、まず火力から抑えるということをやった上で、さらに隣の地域への融通ということもやるわけでありますが、それでもなおかつ余るというような場合には、再生可能エネルギーにも出力制御をお願いしなければならない、こういうことになるわけであります。

 それで、普通の電源に関しましては、もともと上限がなくて、必要な場合には出力制御をやりますというルールでやっているわけでありますが、再生可能エネルギーに関しましては、導入当初の円滑化という観点で、年間三十日以内という特別ルールをつくってこれを運用してきたところでございます。

 ところが、九州を初めといたしまして、再生可能エネルギーが急速に導入が進んだということで、この三十日というお約束ではおさまり切らない、逆に三十日というお約束を前提とすると、これ以上受け入れられないといったような事態が生じてしまったわけでございます。したがって、今回、三十日というルールではなくて、その外で受け入れをさせていただくということで、いわゆる指定制度というのが設けられたところでございます。

 それで、これに伴って、再エネ事業者の方あるいはこれにお金を貸される金融機関の方々の間で、いろいろ御不安あるいは予測可能性が下がったというような御指摘もあるというふうに伺っております。

 したがいまして、我々、一つは、電力会社の方で、実際に出力制御というのは起こるのか、どういうふうに起こるのかという見込みを公表してもらうということを義務づけております。また、各電力会社が三十日の枠というのをどういうふうに算定したのかというデータを公表していただく。それから、では、三百六十五日、二十四時間、実際に需給がどうなっているのか、どういう電源からどれくらい出ているのかといったようなデータを、これもまた各電力会社から公表していただくといったようなことを通じて、実際にどの程度出力制御というものが起こりそうなのか、あるいは起こりそうもないのかということをシミュレーション可能なようなデータを公開していきたいというふうに考えております。

 我々としましても、こうした出力制御の考え方、そしてそのためのデータというものについて、よく関係の事業者の方に御説明をして、御理解を得て進めてまいりたいというふうに思っております。

本村(賢)委員 そもそも需要がないところに設置してもうからないのは通常のビジネスなら当たり前だとの経産省の主張も一理ございますけれども、通常のビジネスにするための市場競争力をつけるためにFIT制度があるのではないかという点、指摘をしておきたいと思います。また、三十日ルールがなくなることで特に金融機関が出資しにくくなることがないようにしなければ、やはり再生可能エネルギー導入拡大を阻害する要因となるのではないか、このことも指摘をしてまいりたいと思います。また、市場を縮小しようというメッセージを発することが求められているというふうに思っておりますので、その三点をちょっと御指摘しておきたいと思います。

 次は蓄電池について御質問させていただきたいと思っております。

 近年はリチウムイオンが普及をしていることはもう御承知だと思いますが、かつては国内メーカーが九〇%と高いシェアを占めていましたが、二〇一一年に韓国に逆転をされまして、四〇%程度となっております。しかし、先進技術への評価は依然として日本産の国内メーカーが高い評価を得ている点、そして、リチウムイオン電池については、小型リチウムイオン電池、PCやスマホでシェアは失っているものの、家庭用や車載用、電力貯蔵用の大型リチウムイオン電池について日本勢の今後の活躍が期待できるということも、日本政策投資銀行の二〇一三年七月のレポートからも見受けられるわけでありますが、このことからも考えて、再生可能エネルギーの導入促進に当たって、蓄電池の開発、普及促進が重要であると考えております。

 特に太陽光や風力は、自然条件によって出力が大きく変動するため、電力を安定的に供給する観点からは、バックアップのための火力発電設備や蓄電池の導入が必要となっております。現状では一キロワット当たり数十万円の高価なものとなっており、補助金があってもなかなか購入しにくいというのが市場の声であります。

 さらなる技術開発と普及促進を行うことは、国内の再生可能エネルギーの導入促進のみならず、海外に向けても市場競争力をつけていくことになり、経済産業省が積極的に支援をすべき分野であると考えますが、大臣のお考えをお伺いいたします。

林国務大臣 蓄電池は、太陽光や風力などの出力が不安定な再エネの導入を拡大する上で、有効な対策の一つでございます。他方で、コストが依然として高いため、これを克服するための技術開発あるいは導入支援を進めていく必要がございます。

 具体的には、大容量の電気をためられる大型蓄電池について、現在のコストを半減させることを目標とした技術開発を推進しております。また、電力会社の変電所に大型蓄電池を設置いたしまして、系統安定化を行う実証実験を実施しております。さらに、再生可能エネルギーの発電設備や、家庭や工場などの需要家が蓄電池を導入する際の支援を行っているところでもございます。

 こうした取り組みを通じまして、蓄電池の活用促進を図りまして、再エネのさらなる導入を促進してまいりたい、このように考えています。

本村(賢)委員 ものづくり立国日本として、国内メーカーのシェアが以前は九〇%と高かったわけでありますが、現在では韓国に逆転されているという非常に悔しい結果が出ておりますので、ぜひ経済産業省といたしましても、蓄電池の開発に対しまして、より強い御支援をお願いしてまいりたいと思います。

 リチウムイオン電池にはコスト、安全性、寿命等で課題がまだまだあることは承知をしておりますし、次世代の蓄電池としてNAS電池やレドックスフロー電池などが注目されているわけであります。NAS電池は九州電力が太陽光の調整用に実証実験中であるということ、また、レドックスフロー電池は北海道電力が実証事業を行っており、国内で開発をリードしている住友電工は、二〇二〇年にはエネルギー関連で約一千億円の売り上げを目標に掲げているなど、各企業が今こぞって頑張っていらっしゃるわけでありますので、ぜひとも他国に負けない強い支援をお願いしてまいりたいと思っております。

 次の質問に入りますけれども、次はまとめ的な質問になります。

 高橋教授から、四月二十七日の参考人質疑の際に、二〇三〇年以降どうなるかということも事業上極めて重要なポイントになりますので、例えば四〇年、五〇年の目標というものも必要ではないかと思っていますという発言がございました。

 私も、二〇三〇年以降の再生可能エネルギーの導入量について政府がどのように考えているのか、二二から二四%を達成したとしても、さらなる導入目標を持っていくべきではないかと考えておりまして、最後に、経済産業省に二〇三〇年以降の目標をお伺いしてまいりたいと思います。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 昨年の七月に策定をいたしましたエネルギーミックスにおきましては、今御質問にありましたとおり、二二から二四%程度というところをお示ししているわけでございますけれども、この水準を実現するためには、まさに今御指摘いただいております固定価格制度の見直し、それから環境アセスメントの迅速化などの規制改革、さらには再エネ発電設備、それから今し方も御質問ありました蓄電池などの技術開発支援といったところ、こういった施策を総動員しながらでなければなかなか実現できないものというふうに考えておるところでございます。

 このため、まずエネルギーミックスでお示しをした導入水準の達成に向けて全力を挙げて取り組む、これが重要でありまして、まだ今の時点ではその先のことを考える段階じゃないというふうに考えております。

 二〇三〇年度よりも先の話となりますと、例えば火力や原子力を含めた各電源をめぐるその時点での動向、それから、電力需要の方もその時点でどのようになっているのかといったところ、さまざまな要素を仮定して、全体として検討を行う必要がございますので、現時点でその先のことというのをお答えすることは難しいというふうに考えております。

本村(賢)委員 人口減になって、環境も変わってまいります。経産省の御意見も十分理解しておりますが、ぜひとも二〇四〇年、五〇年、他国に負けない高い数値を掲げながら、国民全体で取り組んでいただくことをお願いして、質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、篠原孝さん。

篠原(孝)委員 民進党の篠原孝でございます。

 FIT制度について質問させていただきたいと思います。

 きょうは、資料を二つほどお願いしたんですが、追加の資料も一つ加えさせていただきまして、質問させていただきたいと思います。

 五十分ほど時間をいただきましたので、ゆっくり、じっくりやらせていただきたいと思います。

 まず、今お配りしております私の統計資料を見ていただきたいと思います。統計学の講義、プロテストじゃないです、レクチャーになろうかと思いますけれども、ちょっと見ていただきたいと思います。

 まず最初に、この表を見ていただいて、かつてのうそというか、よく言われた風評が違うということを暴きたいと思っております。

 この数字、ちょっと眠たい時間かもしれませんが、よく見ていただきたいと思います。いろいろなことがわかるんです。数字は正直で、いろいろなことを物語っております。

 まず、この表を見ていただきたいんですが、大臣もよく見ていただきたいと思いますよ。日本の経済というのはやはり為替レート、特に、貿易関係になると、為替レートと原油価格に相当左右されるということ、これが大きく変動しているということをすぐおわかりいただけると思います。

 一九九〇年、四半世紀、二十五年前は一ドル百四十一円でした。これが、二〇一一年には七十九円の円高になり、今は百二十円の円安。円安、円安と騒いでいますけれども、二十五年前と比べれば大したことはないんです。それまでに戻っただけなんです。

 原油価格は、今、一バレル四十九ドルというふうになっていまして、もう今時点だと三十ドルぐらいになっているそうですけれども、これは一九九〇年が二十五ドルだったんです。三倍ぐらい、あるいは四倍ぐらいになって、また下がっている。

 これに大きく左右されて、一番上の貿易収支。貿易収支、問題がありまして、これについてですけれども、原発事故が起こったのが二〇一一年の三月十一日、これで原発がとまったので、化石燃料の輸入がふえて、そして困っている、だから原発の再稼働が絶対必要なんだ、今もずっと言われていることです。それが本当かどうか。

 数字を見ていただきたいんです。まず、真ん中のあたりに、化石燃料輸入量、輸入量の全体にはならないんです、その下の石油、石炭、LNGのところを見てください。この網かけのところをよく見ていただきたいということです。

 二〇一一、一二、一三と、石油の輸入量を見てください。よほど目がゆがんだ方じゃない限り、目というか、おかしな方でない限り、ほとんどふえていないんです。ほとんど一定です。石油の輸入量は一定。石炭も、ちょっとふえたりしていますけれども、それほどふえたりはしていない。LNGがふえているんですね。LNGはふえているんです。ちょっとふえたりしていますけれども、全体の輸入量は変わらないんです。

 原発がないこと、火力発電に大きく頼っていることが日本の貿易構造をゆがめている、日本の国力を下げているんだと言われますけれども、その原因というのは何かというと、為替レートなんですね。

 ずっと円安になっていった、いっぱい円を払わなくちゃ化石燃料が買えないということで、これが、二〇一一年からマイナス二・六兆円、二〇一二年が七兆円近く、それで十一兆円になって、そして二〇一五年になると、急に回復しているわけなんです。十三兆ほどの貿易赤字だったのが、三兆円、二兆七千九百十六億円に下がっている。これは下の原油価格が半分になったからなんですね。こういう結果なんです。

 ですから、原発と化石燃料、この関係を直していただきたいんですね。あのころ、ずっとこれが言われていたんです。この数字を見たら明らかだと思うんです。日本が貿易赤字国になっていったのは為替レートの関係なんです。

 これは、経産政務官はどのようにお考えでしょうか。こんなものは正していただきたいんです。化石燃料の輸入がふえて、これがもとで貿易赤字がずっと続いているというのは、そんなのはうそなんですよ。これはいかがでしょうか。

星野大臣政務官 篠原委員にお答えいたします。

 二〇一四年の我が国の貿易収支は、御指摘のとおり、十二・八兆円と過去最大の赤字となりました。この背景として、御指摘のように、円安により輸入価格上昇が輸出価格と比べて大きかったことに加えまして、化石燃料の需要増及び好調な内需を背景に輸入数量が増加をしたこと、そして三番目に、新興国の需要が減速したことや、円安にもかかわらず、日本企業が現地価格を余り引き下げなかったこと等から、輸出数量の増加が弱目の動きとなったことなどが挙げられると考えております。

 なお、原発の稼働停止によって火力発電への依存度が九割となる中、原発稼働停止に伴う火力発電のたき増しによって、二〇一五年度の推計値において、震災前に比べて、燃料費が約二・〇兆円増加していると試算をされます。このうち、為替の円安影響が〇・八兆円、八千億円ということでございますが、このことは貿易赤字の原因の一つでございます。

 いずれにせよ、輸出入の動向は、内外の経済情勢、為替レートや資源価格の動向など、さまざまな要因の影響を受けるものでありまして、今後ともしっかり動向を注目してまいりたいと考えております。

篠原(孝)委員 いろいろいっぱい言われましたけれども、それはいろいろな要因があるのは決まっているんです。ですけれども、僕が言いたいことは、原発が動いていなくて、それがために化石燃料をいっぱい輸入しなくちゃならなくて、それが国力を弱めているというのはやめてくださいと。今言われたように、輸出の問題もあったというのもある、いろいろな問題があるんですから。

 だから、原発を再稼働したり、原発を維持すること、違う理由で言うんだったらいいんですけれども、こればかり言う人が多いので、それは絶対違うということをよく心得ていただきたいと思います。

 それで、一番下が電力料金なんですね。私はなかなか大したものだと思いますよ。いろいろ、さっき言いましたように、為替レートがこれだけ変動している、それから原油価格もこれだけ上がったり下がったりしている、それにもかかわらず、国民生活に大きく直結する電力料金、これは上がったり下がったりしていると見るのか見ないのかわかりませんけれども、上の大幅な変動と比べたら、私は相当安定しているんじゃないかと思います。これは経産省というか日本の政策の成果だと思っております。

 ですけれども、やはりタイムラグがあって、先ほどちょっと政務官が言われましたけれども、輸出系企業がもうけを考えて、円安になっているにもかかわらず、それをちゃんと価格に反映しないとかいうのがあるんですね。それは国内でも同じじゃないかと思う。

 これで、原油価格が一バレル当たり四十四ドルも下がって、半分近くになっている。それだとしたら、原油と発電はそれほど直結していないかもしれませんけれども、相当かかわりがあるはずなんですよ。全体が下がったりしているということで、化石燃料価格全体が下がっていると思いますけれども、電気料金の値下げに反映されているんでしょうか。私は余り反映されていないような気がするんですが、いかがでしょうか。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、二〇一四年後半以降の原油価格の低下等により、二〇一五年度の電気料金の平均単価は、家庭向けについては一キロワットアワー当たり二十四・二円、産業向けについては一キロワットアワー当たり十七・六円となったところであります。

 比較になりますが、この価格は、一年前の二〇一四年度と比較して、家庭向けは約五%、産業向けは約六%低下したものでございます。

篠原(孝)委員 それなりに下げられていると思いますけれども、二〇〇〇年から二〇一〇年はちゃんと下げているんですね。やはり経済原則にあわせて、原材料費が低くなったら、ちゃんと下げていただきたいと思います。

 次に、FITの関係なんです。

 若い皆さんは覚えておられないかもしれませんが、私なんかは、一九七三年の第一次石油ショック、私が大学を卒業して仕事を始めたときです。それから六年後の一九七九年、第二次石油ショックがありました。だから、石油代替エネルギーとか盛んに言われました。変わっていくんだなと思ったんです。それで、石油代替エネルギーの開発もさんざっぱら言っていました。私は、もう役人として、隣の通産省の行政を見てきました。

 ちょっとおさらいしてみますと、七四年にサンシャイン計画というのを、サンシャインビルとかいうのができました、もう古い話ですけれども、すぐまねをするんですね。それで、一九八〇年に石油代替エネルギー法ができました。NEDOができました。

 大筋でいっておきますと、九三年には、省エネ等のムーンライト計画と一緒にして、あわせてニューサンシャイン計画ができました。九七年には新エネルギー特別措置法ができました。二〇〇二年に、RPS法ができて、エネルギー政策基本法ができました。二〇〇八年に、低炭素社会づくり行動計画というのができました。しかし、本当に再生可能エネルギーの導入は進んだのでしょうか。余り進んでいなかったんじゃないかと思います。

 そうすると、手前みそになりますけれども、どこが契機になって入ったかというと、思い出していただきたいんですけれども、二〇〇九年九月に政権交代があったんです。それは過大な目標過ぎたかもしれませんけれども、鳩山首相が国連総会に行って、CO2の排出ガスを二五%下げるという大演説をして、今も問題になっています。こんな調子のいいことを言って何だというのがありましたけれども、それをきっかけとして、経産省の中にも新成長戦略というのをつくりました。電力の固定価格買い取り制度の拡充等による再生可能エネルギーの普及拡大支援策、こういうのが盛り込まれて、超意欲的過ぎたわけですよ、ゼロエミッションだと。

 これは、今考えると間違っていたかもしれませんけれども、原子力をCO2を出さないからクリーンなエネルギーだ、ゼロエミッションだ。原発と再生可能エネルギーを合わせて二〇二〇年までに五〇%にする。原発を十四基ふやす。正直に言っているんですよ、だめなものはだめと。そのころは間違っていたんです、こんな事故が起こるというのがわかりませんでしたし。二〇三〇年には、原発も含めてですけれども、七〇%にする、超ウルトラ意欲的な数字を示したわけです。やはり政治主導だったと思います。

 それで、腰が重かったと思います、経産省は先をちゃんと読めていたかどうかは知りませんけれども、〇九年の十一月、二カ月後にFIT制度の導入のためのプロジェクトチームができて、そしてようやく、東日本大震災が起きた、あのどたばたのころ、これは余り言いたくないんですけれども、これができなきゃやめないと菅さんが言い出して、そういうのは一つのきっかけになりましたけれども、僕はそこからだと思う。だから、このFIT制度は大事なんですよ。これが本当のきっかけになっている。

 それから、インターナショナルのことを我々日本は忘れていたんじゃないかと思います。

 国際的には、一九八八年にIPCCが設立しました。それから、九二年にはリオの地球環境サミットがありました。世界はずっとそっちの方向に行っているんです。そして、我が日本国も負けておれないということで、一九九七年に京都でCOP3を主催したんです。京都議定書ができました。影響はあるんですよ、主催国でやったにもかかわらず、後々ここから、こんなものはもうやっていられないとか言って離脱をしたりするのは本当に恥ずかしいことだと思いますけれども。

 このときに、後に原発を廃止する決断をするメルケル首相は、環境お姉さんだかおばさんだったかわかりませんが、環境大臣として京都に来ているんですよ。だからこそ、彼女は、このころは原発を同じようにクリーンなエネルギーとして推進していたんです。しかし、私がやっていたことは間違っていたということで、もう原発はやめようということになりました。だめなものは反省すべきということで、ちゃんと心得ていただきたいと思います。

 日本は一体何でこんなに進まなかったのか。

 どっちが表か裏かわかりませんが、二枚紙の裏側の国際比較の数字を見ていただきたいんです。これはちょっと古いんですけれども、いろいろなときに、ちょっと順序をかえては使っているんです。この前は温室効果ガスの問題だったんですけれども、そっちを一番上にしておきましたけれども、今回は電源構成なり再生可能エネルギーなので、そこのところを太くしてあります。

 国際比較を見てください。前に質問した人たちもいろいろ触れましたけれども、一番上の現在の電源構成、各国で特徴があります。日本は圧倒的に安いというか、天然ガスに頼っている。四九・四%。先ほど本村委員も触れられましたけれども、イギリスを見ると、イギリスは、やはり石炭がいっぱいあるので、二七%なんですね。ドイツはもっと多くて、石炭はいっぱいあるので、四七%。しかし、その他、これは再生可能エネルギーですが、二二%。これはちょっと古い数字なんですけれども、今や二七・八%になっている。

 日本は、やはりしみったれているんですね。見てください、現在三・二%です。三〇年のエネルギーミックスのところでいうと、二二%から二四%で、辛うじて、これはいいことですけれども、原子力よりも上だということを一生懸命苦労して、二〇から二二が原子力、その二二から二四が再エネだといって、より現実的な数字ですよ、先ほどの五〇とか七〇と比べて。これは絶対実現してほしいと思いますけれども、非常におくれているんです。

 何でこんなにおくれたのか。先進国の中でこれほどおくれているのはないですよ。国際比較、国際比較とみんな大好きですよ。いつも言っているわけです、みんな国際レベルに達しましょうとか。僕の大嫌いなTPPもそれでやろうとしている。何でこの世界だけこんなにおくれていて、知らぬ顔しているんですか。どうしてこうなったんでしょうか。大反省をしていただかなくちゃならないと思いますけれども、政務官はどのように認識されておられますでしょうか。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 大変重要な御指摘をいただいているというふうに思います。

 我が国の再生可能エネルギーの導入比率が欧米よりも低い水準である理由としては、まず第一に、FIT等の再生可能エネルギー推進施策の導入時期が遅かったこと、第二に、自然条件の違い等が挙げられると考えております。

 具体的には、石油危機以降、各国はその国の状況に応じて、エネルギー安全保障や地球温暖化対策等の観点から、エネルギー政策の転換を図り、ドイツやスペイン等の欧州では、一九九〇年代以降、FIT制度等の活用により、再生可能エネルギーの導入を進めてまいりました。一方で、日本は、RPS制度を二〇〇三年から導入した後、東日本大震災を踏まえたエネルギー政策の見直しの中で、FIT制度を二〇一二年より導入することとなりました。

 また、陸上風力を中心として再生可能エネルギーの導入が拡大してきた欧米では、大規模な風力導入が可能な広大な平原が広がっている一方で、山がちな島国である我が国では、陸上風力の導入適地が限られていたといった違いが挙げられると考えます。

 こうした条件の違いがある中で、昨年策定したエネルギーミックスでは、二〇三〇年度に再生可能エネルギー全体で二二%から二四%、水力を除けば足元の四%から四倍も導入拡大するという野心的な導入見通しを示したところでありまして、固定価格買い取り制度に加えて、発電設備の低コスト化等の研究開発や、環境アセスメントの迅速化等の規制改革などの施策を総動員することで、その水準を実現してまいりたい、このように考えております。

篠原(孝)委員 今のを聞いたら、言いわけばかりにしか聞こえません。

 やろうと思えばできるので、FIT制度がないときだって、太陽光発電は、たしか二〇〇四年ぐらいまでは世界で一番やっていたはずなんです。さっき本村委員が指摘した蓄電池だって、二〇〇七年ぐらいまでは世界第一位だったはずなんです。それをどこかで手を抜いているんです。簡単なんです。やすきに流れているんです。先のことを考えて我慢して正しいことをやっていこう、先を見越してやっていこうという姿勢が見られないんです。そのときそのときで、一番安いのでちょうどいいやという感じでやってきているんです。大体そういうことをやってきているからいけないんじゃないかと僕は思いますよ。

 だから、よくいろいろなところで例に出されますけれども、今苦労していても、先のことを考えてというので、省エネもやったし、排ガス規制なんというのは、日本は苦労して、もう先にやったんです。それは効果をあらわしてきているんです。そういう姿勢をなくしちゃったんです、途中から。今、一番楽な方向に行こう行こうというふうにやっているのが私は問題だったんじゃないかと思いますよ。だから、それは大きく反省していただきたいと思います。

 それから、ほかの皆さんとダブらないようにしますけれども、電力事業者の賦課金の金額の減免制度、これは悪いことではないと思いますけれども、優しい制度だなと僕は思うんです。

 僕は農政にずっと携わってきていたんですけれども、国内で何か農業を保護すると、けしからぬといって怒られるわけです。農政は、皆さん御存じだと思いますけれども、農業補助金は緑と黄色と赤の補助金と分けられているんです。赤の補助金はすぐやめろ。生産刺激的なものをやめろ。緑はニュートラルだ。黄色はボーダーライン。減免制度なんというのは、国際競争力を維持強化のためにみんなが払っている賦課金を払わなくていいなんというのは、こんないい保護政策はないんですけれども、これが堂々と行われて、何も文句を言われないというのは不思議だなと思うんです。

 農業の世界なんかは、さっき条件が悪いからだめだという人もいましたが、農業こそ条件は悪いわけです。だから、そのぐらいしたっていいのに、けしからぬと言われて、補助金を下げろ下げろと言われてきて、そしてだめになっているわけです。これだけいろいろ輸出したりして、昔ほどじゃないですけれども、貿易黒字をためて世界から嫌われているというのにもかかわらず、こういうことをしていて何も言われないんですね。

 それで、ちょっと聞きましたら、ドイツがこういうことを取り入れたし、日本もやっているんだということなんですけれども、これは、工業補助金というのは、確かにガット、WTOの世界で議論されたことはないですけれども、余り問題にならないんでしょうか。ドイツがやっているというんですけれども、ほかの国もやっていて、公然とやっていいことなんでしょうか。それを教えていただけたらと思います。

星野大臣政務官 減免制度についてでありますけれども、今、委員から御指摘もありましたように、法律制定時の国会修正によりまして、電力多消費産業の国際競争力の維持強化を図ることを目的として導入をされた制度であると承知をしております。

 このように、FIT制度による電力多消費事業者の賦課金を直接の対象とした負担軽減措置はドイツでとられておりまして、この制度の導入に当たっては、ドイツの例が参考にされたものと承知をしております。

篠原(孝)委員 国際交渉の中で問題にならないならそれでいいのかもしれませんけれども、多分、ドイツが認められているのは、ドイツは非常に努力してCO2を出さないようにしたりしている、そういったことを、だから、競争力をそぐようなことを片方でしているので、その見返りとしてやっているから許されているんじゃないかと僕は思います。

 日本なんかはそういうことをしていなくて、何もないから、石炭も石油もない、LNGもない、だから何でもいいから一番調子のいい安いものを買う。ドイツは国内の石炭を使わなくちゃいけないというのがあるわけです。そういうのがないから、一番国際的に便利なのを買っちゃっている。それでやってきている。だから、日本がやったら、私はやはり問題だと思いますね。だから、国際社会において日本を問題にしろなんということは言いませんけれども、余り農業の世界ではわからないんです。しかも、大規模の方だけ、大規模の方をバックアップする。これもあり得ないことです。

 ただ、当然、ドイツでも大規模の方はFIT制度の対象からなくなっていますけれども、それを、日本は大規模の方をうんとバックアップして、中小企業の方には使ってくださいとか言っているとさっき答弁の中にありましたけれども、何を言っているんですか。中小企業にこそ、使ってください、こういう制度があるんだから、こうやってと言ってやらなくちゃいけないことだと思います。

 後で触れますけれども、経産省の行政は冷たいんです。勝手にやってくださいというものなんです。これは非常によくないことだと私は思いますよ。反省してください。

 次に、太陽光発電。

 僕なんかはエコロジストの端くれです。だから、緑の羽根もちゃんとやっていますよ。まだやっている。いつまでやるのかどうか知らないんですけれども、やっています。

 ドイツ、北ドイツへ行きましたけれども、あんまりしっくりしないですね。風力発電がすごいですよね。何でこんなにしつこくやるのかと。だけれども、ちょっと思い直すと、これが二十年、三十年あるいは五十年たったら、オランダの風車と同じで、地域の景色として定着するのかなという思いもないではないんです。

 しかし、これは僕の気持ちですけれども、優良農地のところに、ただでさえ農地が少ないところに太陽光パネルがずっと設置されているんですね。これは国家の資源の無駄遣いだと思います。

 その前に、耕していないからしようがないんだというのがあるのかもしれませんけれども、それは耕せるようにすべきであって、そんなところに太陽光パネルを設置すべきじゃないと思います。どこかおかしいんです。エネルギーはエネルギー政策だけでやっているんですね。もしそういうふうにやるんだったら、私は考えてほしいと思うんです。そういうことに口を挟んでほしい。

 なぜこれを言うかというと、そちらの皆さん、よく聞いてくださいよ、事務方の皆さん。経産省の行政は産業政策で、小さな政府で勝手にやればいいんだと。僕は、どの産業を興してどうやってやっていくかはそれでいいと思います。

 しかし、昔は鉄は産業の米だと言われていましたけれども、何でそんなことを言うのかなと、だから大事なんだというのをよく言っているんですけれども、僕は、産業の米とかそんなことを言うんだったら、米と同じように扱われていいものに電力があると思うんです。エネルギー、電力料金、電気があると思うんです。これは、経産省はくまなく目を光らせてというか、目配りしてやるべきことだと僕は思います。だから、皆さん勝手にやってくださいというのじゃいけないと思っているんです。

 その典型的なものが原発ですけれども、どうも腰が引けている。民間がやればいいみたいな感じで、国策民営会社とよく言われますし、そうなっている。このエネルギーは、地方にも目配りして、はい、皆さん、こういうFIT制度ができましたから、これでやればいいんだというような、そんなことだけではやってほしくないと思うんです。

 きょう追加の資料をちょっと見ていただきたいんですけれども、これは皆さん、自分の県がどうかというのをよく見てください。海がなくて平地しかなくて山もないという埼玉県と、山ばかりで海はあるのと、長野県は山ばかりで平地もないし海もない。どういうのがいいのかというと、これを見てみると、各県によって違うんですよね。

 ちょっと飛ばした質問のところになりますからよく見ていただきたいんですけれども、再生可能エネルギーというのも各国によって違う。例えば、スペインが最初風力発電でやっていたけれども、今や太陽光発電に相当力を入れているというのは当たり前ですよね、地中海で天気がいいわけですから。

 こうやっていって見ていくと、僕らのところ、上からいって、風力に北海道は力を入れている。この1、2というのは順番です。秋田県なんというのは林業の盛んなところで、バイオマスがゼロなんですね、FITの。そして、一番下の方を見ていってください。宮崎県も林業県です。ここはちゃんとやっているんですよ。一番です、バイオマスの。何で秋田県がやらないのか。

 これは何年たつんですか、FIT制度を導入して。経産省が冷たいというのはこういうことなんです。農林水産省だったら、秋田県は何をやっているのか、こういう制度があるんだからやったらと懇切丁寧に言ってやりますよ。そして、パイロット事業、バックアップもしますよ。これをほっておいて、あんたら考えて適当にやってくれと。これはほかの産業政策と変えてほしいと思います。だから、これをわざわざ追加の資料でお願いしたんです。

 よく見てください。これを見ると、なかなか気のきいた県と気のきかない県なんて言っちゃ悪いんですけれども、その差が出てくるんです。絶賛すべきは静岡県ですね。川勝平太知事、どうでもいいことですけれども、親しい友人であります。エコロジストで、彼は同じような価値観を持っているんです。知事の一声というのが大分きいているんじゃないかと思います。鹿児島県も、伊藤知事、この人は何かよくでかい口をたたいているんですけれども、まあ、立派なことをされていて、やることをやっておられるんです。

 皆さん、地元の県によく行って、やれとやっていただきたいと思うんです。これは本当に県の姿勢云々です。

 だから、太陽光の非住宅のものは企業がやっていますので、これは何番とはやりませんでしたけれども、丸がいっぱいついているところと全くついていないところで、恥ずかしながら、我が長野県はどうかというと、さすが中小水力はあります、山ばかりで、川がいっぱいあるわけですから。中小水力、特に小水力の適地だらけだと思います。こんなのは、適地適電なんてやったらとんでもないです。川が流れて、落差があったらどこでもできるんですよ。だけれども、恥ずかしいんですよ。だから、正直にバツしてありますよ。

 長野県は山ばかりなのに、バイオマス発電とかFITがほとんどない、ほとんどじゃないですが、秋田県よりはましですけれども、やっていないんですね。こういうのは問題があるんです。これを放置しないでいただきたい。こういうことをちょっと考えていただきたいんですね。

 だから、農地なんかにやるんじゃなくて、やるんだったら、こういうことがあると思うんですよ。経産省の所管ですよ。郊外にショッピングセンターのモールができて、これはよくないことですが、シャッター通りをつくっちゃっているんです。広いところにつくっているわけですが、その屋根に全部太陽光パネルを設置しろと言ってやればいいんですよ。わざわざ農地を潰してショッピングセンターをつくったら、その上を太陽光パネルにしろというふうに義務づけたって僕はいいと思うんです。ほったらかしにしておいて、あいている農地だからやれとやって、どうぞ、これは間違っていると思うんですね。そういうことは考えられないんでしょうか。

 さっき、日下部長官が、各省といろいろ連絡をとって、いろいろなかかわりでやっていると言いましたけれども、これは政治家が、政治がきちんと声を立ててやらなくちゃいけないと思います。ピンポイントでいいですよ。

 これも僕は前に怒られちゃったんですけれども、大分昔に、FITなんかないときですけれども、パチンコ店も同じようにあるんですよ。いっぱい電気を使って音楽を流してやっているんだから、自分の電力ぐらい自分で調達しろ、自立分散型発電をしたらいいんじゃないかと言ったんだ。これは大分前に言ったんですけれども、今こそその時期だと思いますけれども、いかがでしょうか。

星野大臣政務官 お答えをしたいと思います。

 一つ、太陽光の農地への設置、これにつきましては、国内の農地をしっかり活用して自給力を高めていくことが国全体として極めて重要だというふうに思っております。

 他方、議員の指摘のように、日当たりのよい屋上は太陽光発電に適した場所でありまして、FIT制度開始以来、役場のような公共施設や、マンション、店舗といった民間施設の屋上を使った案件が多数稼働しております。

 また、強度や美観の観点からも、太陽光発電の設置を一律に義務づけることは、ここは少し慎重であるべきだろうなというふうに考えております。

 今後も、FIT制度や自家消費用の再生可能エネルギーへの補助制度などの施策を活用して、屋上への太陽光導入を、個別にいろいろ状況は勘案しなきゃならないと思いますが、全体としては進めてまいりたいというふうに思っております。

 さらに、今、場所によってさまざまあるという御指摘をいただきました。

 経産省が冷たいという御指摘もいただきましたので、しっかりと受けとめたいと思いますけれども、例えば、再生可能エネルギーの各地域の特色による電源ごとのポテンシャルに応じた導入は、今委員御指摘のように、徐々にではありますが、進んでいると思います。

 例えば、風況がよい、北海道や東北地方では風力発電の導入が進んでおりますし、地熱資源に恵まれている九州や東北地域では地熱発電の導入が進んでおります。

 こうした地域ごとの再生可能エネルギーの導入をさらに後押しすべく、国として、北海道、東北地域を対象とした風力発電の送電網整備の技術実証事業など、特に課題やポテンシャルが大きい地域での先導的な実証実験に取り組むことによって、より一層の再生可能エネルギーの導入促進に努めてまいりたいと思っております。

 ちなみに、先ほど御指摘がありました秋田県も、五万キロワットの大規模バイオマス発電を導入する予定となっておりますので、ほったらかしということでは決してないというふうに御理解をいただければ大変ありがたいと思います。

篠原(孝)委員 そういえば、神奈川県もなかなか成績優秀ですね。(発言する者あり)国会議員もいいんじゃないですか。住宅の太陽光は五番目ですし、バイオマスが二番目ですね、この数字によると。

 今、政務官がお答えになったとおりでして、地熱なんかはもう圧倒的に地域が限定されますし、長野県は温泉がありますからバイナリーはできるんですけれども、熱い岩がなくてだめなんですよね、熱が少なくて。

 だけれども、風力は、同じようでも、秋田県は一位なのに、同じように山形の庄内平野も風ばかり吹いているんです、それなのに庄内平野にはない。こういうのがあるので、これをちゃんと見越してやっていただきたいと思います。

 それで、FIT制度を導入して、そこそこうまくいっていると思います。僕はなかなかうまくいっていると思いますよ、すったもんだしていると思いますけれども。すったもんだしていると思いますけれども、お金でインセンティブをつけてやっていって、うまくいったらなくすというのは、ドイツの制度をまねしているわけですけれども、野中委員が言われたとおり、ドイツにいい見本があるわけです。ですから、それでいいと思いますけれども、このままでいっていいのか。

 FIT制度のどこがよくて、今後どういうふうにしていくかというのを、大臣、お考えだと思いますけれども、お答えいただきたいと思います。

林国務大臣 篠原先生の御指摘のこの都道府県ごとのもの、千葉県は成績が悪くて、ちょっと肩身が狭いわけですけれども、お答えしたいと思います。

 FIT制度は、再エネを固定価格で買い取ることで、発電コストの高い再エネ投資回収に見通しを与えまして、導入の促進を図る制度でございます。

 二〇一二年のこの制度の開始以降、再エネの導入量は倍増しておりまして、同制度は大きな成果を上げているというふうに認識をしております。

 他方、太陽光発電の急速な導入が進みまして、国民負担が増大している。こういった懸念や電力系統への受け入れ制約の発生などの課題が生じているわけでございます。

 そうした課題に対応するため、本法律案においては、新たな認定制度を創設しまして、未稼働案件の防止や適切な事業運営を確保する、そして、入札方式など新たな価格の決定方式を導入しまして、コストを引き下げる、三番目として、買い取り義務者を送配電事業者に変更しまして、さらなる再エネの導入を可能とするという見直しを行うことにしているところでございます。

 再エネについては、中長期的にはFIT制度による支援によらず、自立した形で導入が拡大していくことを目指しているわけでございます。ただし、その実現時期については、我が国における将来の再エネの導入、あるいはコスト低減の状況等々を踏まえて判断されることとなるわけでございます。

篠原(孝)委員 FIT制度については、日本は二番手ランナー、三番手ランナーで仕方がないと思いますよ。あちらの制度は、いい見本があるんですから、まねしていただきたいと思います。

 先ほど、藤木部長がいろいろバイオマスについて答弁されておられました。バイオマスは全体のエネルギーが小さい、そのとおりです。それから、原材料が集まりにくい。材料というか、集まりにくい、そのとおりです。だから、国の観点からはいま一つ身が入らない、そういう意味の答弁をされていました。そのとおりだと思います。ですけれども、それはちょっと違うので、発想を変えていただきたい、地方を活性化するためにこれを使っていただきたいと思うんです。

 だから、どこに鉄工所があって、どこに電機メーカーがあったって同じですよ。これは地域密着型なんです。だから地産地消という言葉が使われるんです。それだったら、地域の実態に合わせたことをしていただきたいと思います。

 私も、余りお金がないので海外出張はしないんですけれども、二〇〇七年に、一週間以上、十日ぐらい、ドイツの林業政策なりその関連の視察に行きました。シュバルツバルト、黒い森のところに行きました。

 そこの材木工場に行ったとき、非常に印象的でよく覚えているんですけれども、その当時もう既に、材木工場は広いんです、おわかりになると思います。公共建築物といいましたけれども、材木工場は広い敷地が必要です。その屋根が全部太陽光パネルでした。それで、材木がどんどん来る。木くずと間伐のものと、それでもってバイオマス発電もしている。FITです。

 その社長がどう言ったかというと、自分はEUやドイツ政府に足を向けて寝られない、これがあるからここでやっていける、雇用もできるということなんです。つまり、太陽光パネルは一回設置すればそれだけですけれども、そこにFITでお金を出して、所得の再配分に役立っていると思います。バイオマス発電は雇用も維持している。ですから、そうやって地域をバックアップしているんです。

 そういう観点が経産省の行政には一かけらもないんです。原発をつくったら、そこで電気をいっぱい大量に消費するアルミ精錬事業なんかを起こせばいいんですよ。そういうことをしないで、みんな東京に持ってくるわけです。柏崎刈羽も、メリットは導入のときだけですよ、福島の第一原発も。エネルギーの地産地消なんて全然考えていない。みんな東京に持ってきている。今度、初めて自立分散型になるんです。

 だから、政策の考え方を根本的に改めていただきたいと思うんです。日本全国のエネルギーとして小さいからじゃなくて、その地域に合ったエネルギーがあってその地域を活性化する、それだったら、バイオマス発電なんかはずっと仕事が続きますから一番いいんですよ。相当金がかかっても、ちゃんとやるべきだと思います、林業とセットでできるわけですから。間伐材も全部使える。間伐材は今ほったらかしになっているんですよ、山の中に。それをちゃんと使えるようになるんだから、そういう発想でぜひやっていただきたいと思うんです。

 ドイツや何かはそういうことをしているから、日本のように見苦しい限界集落なんて生まれないんです。そうやって国策全体で地方を支えていこうというふうになっているんです。

 そうなっていない、そんな地方のことなんか農林水産省だけが考えていればいいやと。農林水産省だけでやっていられないんです。皆さんも考えていただきたいんです。そのきっかけにこれがなるんじゃないかと私は思うんです。ですから、ドイツや先進国、イギリスの制度をどんどんまねしていただきたいと思います。ぜひ進んでやっていただきたいと思います。

 それで、僕はわからないことも結構あるんですけれども、今度、価格目標を定める改正がなされている、先の見通しと。それを見て、一体何のためになるのかというのがちょっとよくわからないんです。

 FITでは、農林水産省的な政策になっているんです、バイオマスで、風力で、太陽光で、これにこれだけのお金を出すよという。農業者戸別所得補償は、米、麦にこれだけ出すというので、農家はそれを見て、自分に都合のいい組み合わせを考える。だからいいんだろうと思いますけれども、先の目標を定めるということがどうやって導入につながるのかどうか、ちょっとよくわからないんです。

 この仕組みは、どういうことを考えてこの改正をなされたんでしょうか、大臣。

林国務大臣 今回の改正案では、事業者の努力やイノベーションによるコスト低減を促す、そういう観点から、政府が中長期的な価格目標を示すことにしているわけでございます。この価格目標を勘案して買い取り価格を算定することによりまして、コストを引き下げながら再エネの導入を図ってまいりたいというふうに考えております。

 なお、具体的な価格目標の設定に当たりましては、国際的な価格水準や発電に要する費用の低減見込みなどを勘案することを想定しておりまして、具体的には、法律が成立した後、調達価格等算定委員会において御議論をいただくということになろうかと思っております。

篠原(孝)委員 ちょっと僕もよく理解できないんですけれども、何でこれを聞いたかというと、さっきの追加の表の延長線上なんですが、こんなにお金を出すんだよといって、やってやるからと誘導して、バックアップして、そして、東京へ出てこなくちゃやっていけないというような状況をなくしてほしいと思っているんです。田舎に幾らでも住みかはあるんだし、環境もいいんですよね。田舎で素直に育てば僕のようなのが育つので、ちょっとあれですけれども。

 だから、都会で育ったような、そういう人たちばかりになると日本はいびつな国になると思っているのです。地方に幾らでも住めるのに、もう全然、地方の人口減少は仕方がないんだ、とめようがないんだという固定観念があって、それに対する政策が余り行われていない。僕は、このFIT制度なりエネルギーの地産地消が一つのきっかけになる、きっかけというか、そんな大ブレークするほどにはなりませんけれども、地方でやっていけるという見本になるんじゃないかと思っている。だから、こういうのをきちんとやっていただきたいと思っているんですね。

 最後に、やるとなったら、地方にどういう人材が要るか。

 さっきの表で見ますと、千葉県はそんなに意欲的でないかもしれませんけれども、愛知県とか神奈川県とか大阪府とか兵庫県とかは結構数値がいっぱい入っているのはおわかりだと思います。なぜかというと、やはりこういうことに気がきいた人たちがいるからなんですよ、経営者、産業界に。

 田舎の方には、真面目で働いている人はいるけれども、こういうところにすぐ飛びついてやるというのがないんですね。では、田舎のそういう資源で、人材で、こういうことにちゃんと飛びついてやれる人が一体誰がいるかといったら、私は市町村役場だと思うんです。市町村役場の皆さんに頑張ってもらわなくちゃいけない。

 だから、経産省の発想は、いっぱいつくって売電してほしい、そういう感じなんです。それが中心なわけです。売電なんです。そんなのはでっかい電力会社のところがやっていればいいので、地方はやはり自立分散型にしていくべきだと思います。熊本の大地震が起きました。電気もストップする。地域で発電していたら、災害にも強くなるわけです。それが、太陽光でもいいですしバイオマス発電でもいいし小水力でもいい、ちょっと直せる、すぐ電気が復旧する。

 そういうことを考えたら、やはり地域で自立したバイオマスのエネルギーとか、バイオマスだけじゃないんですよ、何でもいいですから、それをやるべきですし、パイロット事業的に経産省は全力を挙げていい見本をつくってほしいと思うんです。地方自治体にやっていただく、それしかないと思う、何とか村なんて、企業なんてないんですから。

 こういうことはお考えになっておられるんでしょうか。ぜひやっていただきたいと思う。林経産大臣の力でぜひ始めていただきたいと思っていますが、いかがでしょうか。これで最後にします。

林国務大臣 地域に存在する再エネ資源の活用は、エネルギー政策の観点だけじゃありませんで、地域活性化の観点からも大変重要であるというふうに認識しています。

 地方自治体みずからが行う、つまりFITに頼らない自家消費型といいますか、この再エネ発電事業にも一定の役割が期待されているというふうに理解をしているところでございます。

 経産省では、環境省と連携をいたしまして、地方自治体みずからが設備を導入する場合には環境省、民間事業者が設備を導入する場合には経産省というような役割分担のもとで、自家消費型の再エネ発電設備の導入に対しても支援を進めておりまして、力を入れていきたいと思っております。

篠原(孝)委員 ぜひ頑張ってやっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

高木委員長 次に、田嶋要さん。

田嶋(要)委員 田嶋要でございます。

 大臣を初め、七時間コース、御苦労さまでございます。水分をよくとってやっていただきたいと思います。

 私の資料が今配付中でございますので、ちょっと資料と関係なく、きょうもいろいろな質疑がやりとりされましたけれども、せんだっての参考人質疑のとき、私も聞かせていただきました、ドイツが二七%、日本はわずか三・五%、何でこんなに低いんだと。今、篠原先生からもございましたが、そのときの政務官の御答弁の中に、要するにFIT制度の導入が遅かったんだという御指摘がございましたが、では、何で導入が遅かったんだというところを聞きたくなるわけですよね、そこは。

 FIT制度というのは、言うまでもなく、非常に象徴的ですけれども、三・一一の起きた日の朝に閣議決定されているものなんですね。そして、震災の大変な状況の中で何とか法律ができた、私は当時福島におりましたけれども。そういうものです。

 では、なぜFITの導入がこんなにおくれたんですか、ドイツやほかの国々に比べて。そこが大事だと思うんですけれども、通告はもちろんございませんが、大臣、何か、どういうふうに思っていらっしゃいますか、そこは。

林国務大臣 先ほども答弁があったとおりでありますけれども、確かにおくれた理由はさまざまあるのではないか。

 というのは、例えば風力にしても、地形的な問題などもあり、また資金が結構かかるという、あるいはまた環境アセスが結構時間がかかるとかさまざまな問題があって、FIT制度がおくれた理由の一つにはなるのではないかというふうに理解しています。

田嶋(要)委員 私は違うと思うんですね。

 やはり違いは、こういう国にしたいという政治の意思が働いていないからだと思うんですよ。前回も私は申し上げましたが、最後は、日本の国民一人一人がどういう日本にしたいか、子供や孫たちの時代に、原発中心の日本がいいか、化石エネルギー中心の日本がいいか、そういうものじゃない日本をつくりたいかという国民のふつふつとしたそういう気持ちを、我々政治家がそれを受けとめて、政治がリーダーシップをとれるかどうかだと私は思います。そのリーダーシップがなかったからここまでおくれてしまったんじゃないか、私はそう思っています。

 先ほど篠原さんが配られた資料、私も配ろうかなと思ったんですけれども、この都道府県のものを見て、まだら模様なんですよ。そうですよね。大臣と私は同じ千葉県です。千葉県、余りよくないですよ。

 ただ、私が期待するのは、全国四十七都道府県、経産大臣が所在する県はただ一つですよ。どこですか。千葉県ですよ。よろしくお願いします。本当に頑張っていただきたい。せっかく銚子の選挙区から大臣がいらっしゃるんですから、ここで千葉県は巻き返していただきたいと私は思うんですよ。風力はもう三十基以上ありますからね。

 それで、なぜまだら模様かなんです、要は。やる気のあるところはやっているんです。別に法律が何もなくたってやっているんです。先ほどは大臣も分散型エネルギー政策推進と、大臣か政務官か、おっしゃいました。同じ考えは、言葉上はある。だけれども、まだら模様になっている。なぜか。それは、それぞれの首長さんに任せ切りになっているからじゃないでしょうか。

 私たちは、先ほども本村委員から出ました四法案、分散型のエネルギー社会を強力に国が背中を押す四法案を出させていただいたんです。その一本目が、今申し上げた、国が自治体の取り組みの背中を押す、交付金の措置もする、そういったことをやるわけです。やっている自治体から見れば当たり前のことですよ。だけれども、やっていない自治体もあるんだから。

 だから、それをまだら模様じゃなくて全国一律にもっと強化をしていくためには、やはり国のリーダーシップが必要なんです。何でそういう法律が全然出てこないんですか、ずっと私も期待しているけれども。野党は出させていただいた。国からは一向に、分散型エネルギー政策推進という言葉は言っていますけれども、法律は出てきませんよ。なぜですか。大臣、御答弁ください。

林国務大臣 全て法律で縛り込むということが果たして我が国になじむかどうかということもありますし、やはり先ほど言ったように、風土それから国土の問題もございますし、地産地消というくらいですから、ある意味ではそういった自主権で進めていくという分野も大きいのではないかというふうに思います。

田嶋(要)委員 おっしゃるとおりですね。

 ただ、我々が今申し上げた四法案の一本目は基本法でありますから、これはやはり理念として、こういう国づくり、社会の方向を目指すんだ。やっている自治体にとっては、もう始まっていることを確認するだけです。ただ、首長さんによっては、エネルギーというのは国の政策じゃないか、エネ庁もあるしなんて思っている人もいるから、地域の資源をもう一度見直して、何を最大限生かせるかということを考えるきっかけにする政策がやはり必要ですよ。

 それから、あと三本に関しては、これはむちではありません、あめなんです。いろいろなインセンティブをつけて、それでやってみようという背中を押す法律なんですね。だから、あれもこれも法律で縛るんじゃないんです。背中を押す法律なんです。

 私たちはその四法案をもう既に出させていただきましたので、今回は無理でしょうけれども、今度の国会でもぜひ審議をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、配付資料も配られたようでございますので、通告に沿って質問させていただきたいと思います。

 資料の一をごらんください。これは調査室の冊子からですが、改めて、過去のFITの買い取り価格の一覧をごらんいただきたいと思うんですけれども、二十四年度の末に政権交代が起きているんです。我々の時代に閣議決定しましたけれども、安倍政権が始まったのが二十四年度の終わり、すなわち十キロワット未満四十二円の終わりがけのころに安倍内閣が始まった。

 私は思うんですけれども、このFITに関しては、値段が高過ぎたとかいろいろな話が太陽光についてあったけれども、しかし、これをよく見たら、ほとんど安倍政権の時代なんですよ。安倍政権になってからの時代の料金表なんですね、専門家の皆さんがお決めになられる。

 しかも、現在の法律上のたてつけは、そういう専門家の皆さんの意見は十分尊重をするわけでありますが、法律事項ではございません、言うまでもなく。運用で決められるわけでありまして、高過ぎたら高過ぎたで下げればいいわけですよね。下げればいい、そういうふうに思うわけであります。

 要は、まさに皆さんが執行していく中で、そうした最適化の太陽光に関する料金設定は十分できたのではないのかなというふうに思うわけでございますけれども、しからば、ソーラーばっかり入り過ぎたとか、そういう話をたくさんおっしゃいますけれども、では、最適化の努力というのはなされてきたのでしょうか。そこのところを教えていただきたい、どのように今御評価されておられるのかをお聞きしたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 FIT制度につきましては、今御紹介がございましたように、平成二十四年の七月にスタートいたしまして、これまで約四年を経過しているところでございます。この間も、私どもは運用の見直しを必要に応じて進めてきているところでございます。

 一つは、先生にお配りいただきましたこの資料にございますように、特に太陽光を中心といたしまして買い取り価格の見直しということも進めてきております。また、現在問題になっております未稼働問題に関しましても、動いていないものについて報告徴収をかける、あるいは、設備等の手当てができていないものについては一定期間内に設備の手当てを求めるといったような運用の改善も図ってきてございます。

 また、出力制御に関しましても、これも御記憶に新しいところだと思いますけれども、三十日ルールということでスタートしておりますが、これを三百六十時間で運用する、七百二十時間で運用するといったような運用の見直しというのは随時行ってきているところでございます。

田嶋(要)委員 私が申し上げているのは、大型ソーラーに偏り過ぎてしまったという話がよく言われるんですが、価格によってそこは相当コントロールできて、そのコントロールの権限は全部皆さん方の政権がお持ちなんですよということを申し上げているんです。

 だから、最適な料金設定になってきているというふうに御認識をされているんですよねということを確認しているんですが、いかがですか。

藤木政府参考人 買い取り価格に関しましては、今ほど申し上げましたように、毎年見直しをやってきておりまして、通常要する費用を基礎に適正な利潤を勘案して算定するということでございまして、これは実績データをもとに、まさにデータに基づいて調達価格等算定委員会で御議論いただき、この意見に基づいて決定しているというものでございます。

 買い取り価格に関しまして、こうして実績データに基づいて、適正な手続のもとに価格を設定してきている、その中で、太陽光については順次引き下げを図ってきている、こういうことでございます。

田嶋(要)委員 確かに、現在の法律の附則の七条というので、配慮期間というのがございましたね。

 そういう意味では、最初は、初めてのことでございますから、少し高目に設定をして、ちゃんとリターンが出る、ある意味では、参入者がこの事業に参入したいという意欲が十分引き出せるような設定でスタートしたんだろうと思います。しかし、平成二十四年はそういう高い料金だったのかもしれませんけれども、二十五年以降、そういうことをどの程度下げていくか。

 あるいはまた、今の法律の三条のただし書きには、半期ごとに決めることもできる。あるいは、一年に一回決めるにしても、決める時期は一年に一回でも、料金をその一年間に四回下げるなんという芸当だって、今の法律のたてつけ上、できたわけであります。

 しかし、実際には、資料一を見てもわかりますとおり、年に一回料金を下げるというようなことが運用上行われてきたわけですから、私は、料金設定が高過ぎたからこういうことになってしまったというのは、本来おかしな議論ではないのかなというふうに感じておるわけでございます。

 それで、私はむしろベストミックスの観点から、逆に分子の議論よりも分母の議論、すなわちソーラー以外の部分が何でこんなに低いままなんだろうということを考えたときに、では、逆に今おっしゃったように、よくわからないまま、ある意味スタートしたけれども、毎年毎年実績が積み上がっていくわけですから、ここはちょっと安過ぎたんじゃないか、そんな話、例えば小水力の話でもフィードバックがありますけれども、そういったケースというのがもっとあってしかるべきなのかなという感じもするわけでございます。

 資料一をごらんいただくと、料金が上げられたケースというのは、バイオマスの二千キロワット未満、四十円に上がった事例が、この二年間、ございますが、それ以外、一切ございません。その辺はどのように考えておられるのか。料金が変わっていないものは、五年間ずっと、これが最適な値段だというふうに経済産業大臣は判断をされてきた、そういう理解でよろしいんですか。

林国務大臣 FIT制度の開始後、開発期間の短い太陽光の導入は進みましたけれども、それ以外の地熱、風力、水力などのようなリードタイムの長い電源は、十分に導入が進んでいないのが現状でございます。

 つまり、現行制度では、田嶋委員御指摘のように、買い取り価格が低いからというより、むしろ、環境アセスメントや、先ほど申し上げましたけれども、地元調整などに時間を要する中、価格が毎年度決定される仕組みとなっているため、投資判断が難しくなっていると考えているところでございます。そのため、今般の改正において、数年先の認定案件の買い取り価格を決定することによりまして、事業者投資判断をしやすくし、導入拡大を促すこととしております。

 加えまして、再エネの導入拡大には、FIT制度による経済的な支援のみならず、地元との調整や系統接続の確保など、事業実施の環境整備が重要だというふうに思います。必要な規制緩和、あるいはまた研究開発の実施なども含め、総合的な対策を講じてまいりたいと考えております。

 なお、買い取り価格の水準につきましては、各電源の事業コストの実績データをもとに、調達価格等算定委員会の議論を踏まえながら決定しているところでございます。引き続き適切に対応してまいりたいと存じます。

田嶋(要)委員 リードタイムが長いからなかなかその分野の再生可能エネルギーの数字が上がってこないというのであれば、ある意味やむを得ないわけで、もう少し待てば地熱も数字ががっと上がってくればいいんですが、この値段ではちょっと厳しいというようなことがもし仮に起きているとしたら、先ほど小水力の例を出しましたが、それは、現場の皆さんの声によくよく耳を傾けていただきたいと思うんです。

 今おっしゃっていただいたとおり、調達委員会の皆さんとともに、現場からのフィードバックをもとにアジャストするメカニズムになっているようでございますが、本当にそうかというところをしっかりと見ていただかないと、この再エネの中でのベストミックスとも言われるような部分、明らかに今ほかの部分が伸びていないという印象はありますし、何か大型ソーラーがふえ過ぎているというのはあくまで相対的な話で、何度も言いますけれども、いまだに全体の数字が三・五%ですから、もう全然始まったばかりですよ。だから、そういう水準だということをよくよく肝に銘じていただきたいというふうに思います。

 それからもう一点、各論でございますが、太陽光に関しては、逆にかなりついてきた結果として、いろいろな声、特に価格設定が大ざっぱ過ぎるという指摘が相当いろいろな方面からございまして、ごらんいただくと、十キロワットで分けているわけでありますが、十キロワット以上が一つの料金設定になっている。これは余り大きい規模ではないですね。十キロワットを五分割、六分割という提案も先進的にたくさんやっておられる地域の方や事業者の方からも、あるいは行政の方からも私のところに提言が来ているんですね。

 それからまた、野立てか屋根置き、それによってコスト面でも大分違うぞということ。それから、野立てはいろいろ地域とのトラブルが起きやすい側面もある。

 そういう事情が違いまして、ここは、何か十キロワット以上は五年間、事実上一つの価格設定ということでやってきているのは、私は余り柔軟な対応をされていない印象を受けるわけでございますが、これは法律事項ではございませんけれども、どうでしょうか。今回この法律改正と同じタイミングでございますので、これからもう少し、メガソーラーに関しても価格の細分化ということを考えていただけないでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 買い取り価格に関しましては、先ほども御答弁申し上げましたように、さまざまな実績データ、あるいはさまざまな事業のコスト構造など、必要に応じて見直しを行って、必要な区分を新たに設ける等々の対応を行ってきているところでございます。

 ただ一方で、買い取り区分を過度に細分化するというようなことは、かえって国民負担の増大につながるというおそれもありますので、そこはよく見きわめてやっていく必要があると思っております。

 今御指摘の点でございますが、確かに、太陽光でも大規模な案件と小規模な案件ということでコストに差があるということも事実でございますが、これもデータで申し上げますと、システム費用、かつては、平成二十四年は、一メガ級のものと、十キロ、五十キロくらいの小さなものですと、キロワット当たり十三万円くらい差があったということでありますが、これが二十七年になると三・六万円くらいということで、かなり差が詰まってきているということでございます。

 それから、屋根置きと野立て、どちらが有利かという問題でございますけれども、残念ながら、足元の土地造成費の方が上昇しているということがありまして、これも業界関係者なんかによりますと、今後は土地造成を要しない屋根置きの方がむしろ有利になっていく可能性があるといったような声も出てきているところでございます。

 いずれにいたしましても、私ども、こういった事業の実態、コスト構造、コストの実績といったようなものを踏まえて、適切な買い取り価格の設定ということを引き続きやっていきたいというふうに考えております。

田嶋(要)委員 いろいろふえてきてわかることはもちろんたくさんあるわけでございまして、今最後におっしゃっていただきました、屋根置きと平置きというんですか、それが逆転傾向にもしあるのであれば、例えばその二つに関しては少なくとも価格を分けるとか、そういうことも含めて、今後、機動的な対応をぜひお願いしたいというふうに思います。

 あともう一点、バイオマスに関しても、先ほどもバイオマスに触れられておりましたが、これもよくお詳しい方々から言われる話でございますが、実は、FITが始まったときも、バイオマス発電には余り未来はないんじゃないか、バイオマスこそ熱なんだという話、そういう意味では、コージェネレーションをベースに考えるべきじゃないかということ、それから、規模がでか過ぎる機械を入れると大体失敗する、オーストリアもそうであったということでありながら同じ失敗が日本でも続いているということで、後発であるメリットが余り生かされていない印象でございます。

 バイオマスに関しても、FIT発電、発電に軸足を置いているようでございますけれども、ここもそういう検討をされているのかどうか。私は、ひょっとしたら、FITのバイオマス発電というのは余り基本に考えずに、コージェネレーションをベースにしたFITに考えていくべきじゃないかな、そういう検討をなされているんでしょうか。いかがでしょうか。

藤木政府参考人 バイオマス発電、木質バイオマスが中心になろうかと思いますけれども、こういったようなものについて、電気だけでなくて、地域における熱利用ということもあわせて考えていく、進めていくということは大変重要なことであろうというふうに思っております。

 今、田嶋委員から御指摘ございました欧州のドイツ、オーストリアといったようなところで熱利用が大変進んでいる、プラスの面とマイナスの面があるわけでございますけれども、こういった先進事例もあるわけでございます。

 一方で、こうした地域と比べますと、熱需要自体が少ない、あるいは、こういった面的に熱を供給するということがなかなか難しいといったような状況の違いというのはあるわけでありますが、しかし、その中で、我が国としてバイオマスをどう使っていくかという中で、電気だけではなくて、熱の利用も考えていくということは大変重要だと思っております。

 我々といたしましては、固定価格買い取り制度というのは電気に注目した制度になっているわけではございますけれども、例えば、再生可能エネルギーの熱利用設備といったようなものに対する導入支援、あるいは、熱を一定地域内で面的に活用する場合の支援措置といったようなものもあわせて講じまして、こうした熱利用ということにも視野を置いた支援をしていきたいというふうに考えているところでございます。

田嶋(要)委員 これは、例えば熱FITみたいなことを料金設定するんだったら、それも専門委員会の皆さんに任せるんですか、その辺の検討は。

藤木政府参考人 仮定の話でございますが、仮に現行の固定価格買い取り制度の価格に反映させるということであれば、法律上、調達価格等算定委員会にお諮りをして、その意見を踏まえて決めるということに手続上はなろうかと思っています。

 一方で、今のFIT制度に熱を乗せるということについては、これは電気の利用者の方々に御負担いただいて成り立っている制度ということでございますので、なかなか難しい面があるのではないかというのが正直なところでございます。

田嶋(要)委員 だから、そういう場合には、調達委員会だけでは決められないということですよね。

 しかし、我が国も五年前から、特にバイオマスに関しては熱利用が大事だという指摘は当時のいろいろな論文なんかにも出ていて、そして、この間、いろいろ回ってきても、どこでもやはりそういう話になるんですよ、高知でもそうだし、下川町でもそうだし。熱は遠くに飛ばせないんだから、分散型のエネルギー社会をつくっていくと、熱を最大限活用することが一番省エネルギーにもつながっていくということは、寒いヨーロッパであろうが、余り寒くない地域であろうが、それは十分検討に値するというふうに思うんですね。

 それを委員会だけで、専門家の皆さんだけで決められないのであれば、当然、政治、行政の中でこういった可能性を今後考えていただきたいということをお願い申し上げさせていただきます。

 それから、法律事項に関してもお尋ねをしたいと思います。

 入札制度でございますけれども、これは、算定委員会の話をさせていただくならば、タイミングですね、今、入札をやりたいということが法律に入っているわけですが、では、一体いつから入札をやるのかということに関しては、これは逆に言えば、資料一のこの価格は決めないことになるわけですから、それと表裏一体の関係になるわけですから、入札をいつから始めるかということに関しては専門委員会の御判断を尊重する、こういうたてつけになっているという理解でよろしいですか。

藤木政府参考人 御指摘のとおりでございます。

 入札制度は、価格算定の一種、例外の一つでございますので、この区分については入札をもって価格を決めるということを調達価格等算定委員会で御議論いただいて、その上で決めるということになりますので、まさにおっしゃるような手続で進んでいくということになります。

田嶋(要)委員 それにしても、先ほど言った、ドイツが二七%、日本はわずか三・五%、FITが始まって四年足らずですよ、そうした状況の中で、私は、今回の入札制度の最大の懸念ポイントは、初めて量的な枠を設定するということだと思うんですよ。価格が下がれば、それはそれで結構なことですけれども、量的な枠を設定するということは、国側が全体をコントロールするということですよね、どのぐらいふえていくかということに関して。

 これは、全体として、やはり再エネに対する多くの皆さんの関心を抑制してしまう。そういったおそれがあるのではないのかな。特に中小企業の皆さん方はこれからもっともっとやっていただきたいけれども、うちのいろいろな意味でのリソースでは無理だな、あるいは価格競争して、大企業には勝ち目はないよな、そういうふうにいろいろな意味で諦めてしまう効果を生むのではないのか、そのことを非常に心配しております。

 今の話で、専門家の御判断があってタイミングが決まるということはいいことでございますが、大臣、その辺の懸念に関してはどのように捉えていらっしゃいますか。

林国務大臣 入札制度につきましては、これまでの導入量など事業の実態を勘案しまして、競争を通じた買い取り価格の低減が見込める電源を対象とすることにしているわけでありまして、これにより、早期の自立化を目指して、コストを引き下げながら導入拡大を進めていくわけでございます。

 具体的な運用については、法案が成立後に調達価格等算定委員会の意見を聞いた上で決定することになりますが、審議会等の場において、中小企業などの多様な事業者が参入できなくなる懸念が指摘されていることなども踏まえまして、大規模な太陽光発電を対象とすることを想定しているわけでございます。

 なお、中小企業を初め、多様な発電事業者が入札に参加できるよう、入札制度に関する情報をわかりやすく発信するなど、きめ細かく対応していきたいと思っています。

田嶋(要)委員 大臣、では、今おっしゃった、大規模なとおっしゃる意味の数字の目安をいただけませんか。

林国務大臣 入札制度の対象につきましては、競争を通じて買い取り価格の低減を促すことができる大規模な事業用の太陽光発電のみを対象とすることを想定しているわけでございます。

 具体的には、先ほど言ったように、算定委員会の意見を聞いた上で決定されることになりますが、対象につきましては、これを法律上規定するべきとの指摘もありますけれども、買い取り価格の決定と同様、法律にて固定的に取り扱うのではなく、委員会の意見を尊重しつつ、事業の実態や導入状況に応じた柔軟な対応ができる仕組みとすることが適当であるというふうに考えております。

田嶋(要)委員 その点は別の委員もお聞きしました。

 私が申し上げているのは、大規模と大臣がおっしゃるときの数字の目安をいただけないでしょうか。最終的には専門家のおっしゃることを、尊重義務があるわけでございますが、大臣としての大規模とおっしゃる意味はどこにあるんですか。ひょっとしたら大規模というのは、ここで切っている十キロワット以上、これが全部大規模に入っちゃったら相当まずいんじゃないかなと思うんですけれども、そういう不安が今広がっているんです、皆さんの間に。何か言っていただけませんか。

林国務大臣 現時点では確たる数字はございませんし、申し上げるわけにもいきません。

田嶋(要)委員 それでは、次の質問をさせていただきます。

 第五条の五項のところ、入札実施指針、供給価格の上限額ということの記述がございますが、これはいいんですけれども、逆に供給価格の下限額、すなわち最低落札価格、こういったことを少し考慮しなくていいんだろうかということです。

 これも入札でございますから、公共事業等々では常に出てくるダンピングの問題、これを心配しなくていいんだろうか。しかも、ドイツ以外に余り事例がない。日本の国内では、ほかの分野での入札というのがあるわけです。初めてこういうエネルギーの世界で導入するわけですから、その辺を備えておかなきゃいけないのではないのかなと。

 聞くところによると、仮にもし特定の事業者がそんなことをしてぽっかり穴があいてしまったら、穴のあいた分だけ入札でとれる供給量は減ってしまう。予備の方が繰り上がり当選ということはこの世界はない、そういう想定を置いているという説明も聞きましたけれども、であれば、やはりこういうことが起きないような、最低入札価格みたいなことの設定を必要とするのではないかというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 入札をした場合、札がどのように適正に入るかということを確保していくというのは大変重要なポイントでございまして、まさに入札制度の具体的な中身をいろいろ工夫、検討していく中で考えていくべき問題だと思っています。

 一方で、入札の方式にもよりますけれども、今回の入札は、例えば太陽光の場合ですと、入れた札の価格で二十年間事業を続けていただくということになりますので、仮にダンピングして、大幅に安い札を入れて、それで落ちちゃった場合、それで二十年間事業をし続けるということになりますので、そういったことが起こりやすいのかどうなのかということも、またよく見きわめる必要があると思います。

 ただ、田嶋委員御指摘のように、一種、戦略的なビディングというような言い方をしますけれども、何か枠だけとって、実際には事業を始めないみたいなことになりますと、これはせっかく入札をやった意味がないわけでございますので、こういったものを防止する方策というのは必要であろうと思います。

 例えば、保証金を納付していただいて、運転開始に至らない方は、その保証金を没収するといったようなこともございますし、それから、仮に空き枠ができてしまった場合の、その空き枠の処理のやり方といったようなこともございます。

 また、極端な安値のものについて、委員のおっしゃるような最低落札価格みたいな規定がいいのか、あるいは公共工事でありますような価格調査のようなやり方がいいのか、いろいろな考え方があろうかと思いますが、それぞれ制度の詳細にわたることでございますので、これからいろいろ検討して、なるべく適正なビディングが行われるという方向に持っていきたいと思っております。

田嶋(要)委員 繰り返しですが、初めてこういう概念をエネルギーの中に入れるわけでありますから、余り予断を持たずに、先進のほかの分野、建築関係での入札、どういうことが今まで起きてきたのか、いろいろ起きるのが入札の世界でありますから、そこはよく研究を、虚心坦懐にしていただきたいというふうに思います。

 関連でございますが、大規模ソーラーを想定した入札につきましては、やはりコスト効率を重視せざるを得ない。そういう意味で、地域との調和を犠牲にするようなことも懸念をされるわけであります。そういう声はございますし、きょうもいろいろ指摘が出ていますが、現在も地域でトラブっているケースがあるわけでございます。

 これをどのように回避していくのかということでありますが、私は、環境への配慮のぐあいとか、地元雇用や、地元の資本の比率とか地元への利益の還元とか、それはもちろん、差別的扱いになって無理なものは無理でしょうけれども、何がしかそういうことを総合的にチェックする。定量化が困難であっても、言葉としては、私も総合評価方式なんという言葉も聞きますけれども、価格だけに着目をするような今のたてつけはいかがなものかなということで、七条の六項でしたか、そこには、とりあえずはそうじゃないケースも想定されているようでございます。

 七条の六項を読みますと、供給価格以外の要素を勘案して落札者を決定することが特に必要であると認めるときは、この価格決定による方法以外の方法で落札者を決定することができる規定になっておりますが、私は例外中の例外というふうに読めてしまうわけでございまして、むしろ、この五年間のいろいろな先進地域、篠原さんの長野県を初め、そういったところでの御苦労を考えると、むしろ原則としては、総合的な評価をする入札制度の方がいいのではないか。

 価格はもちろん大事だし、価格を下げたいけれども、価格を下げることだけに精いっぱいやっちゃうと、いろいろな意味で地域の調和を犠牲にするような、よからぬものまで落としてしまう。落とすという意味は、入札で勝ってしまう、こういうことが起きてしまうんじゃないかなという懸念を持っておりますが、総合的な評価による入札制度を原則にすべきかどうか。いかがでしょうか、大臣。

林国務大臣 固定価格買い取り制度は、全国の電気の使用者に一律で御負担をお願いしておりまして、その御負担のもとで再エネの導入を進めていく制度でございます。

 このため、より安価な買い取り価格で電気を供給することができる案件から順番に落札する制度とすることが適当だろうというふうに考えております。

 なお、今回の改正では、認定制度の見直しを行いまして、自治体の条例に違反するなど、事業の円滑な実施が困難な案件に対しては、改善命令や認定取り消しが可能となる仕組みとしておりまして、こうした取り組みを通じまして、環境配慮など、地域社会と共生した形での導入が図られるよう取り組んでまいりたいと思います。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

田嶋(要)委員 認定制度の方でそういう配慮があるのは私もお伺いしましたが、手続としては、認定は入札の後に来ることになるようでございますので、そうすると、入札でとれてしまった人が、後でそういう不都合がわかったときに、ぽっこりそこだけ穴があくわけであります。

 それが役所の説明でありますから、せっかくこれだけの枠を入札にかけようと思っても、ふたをあけたらこれだけしか実際には発電ができなくて、繰り上がり当選というのはない、そういう仕組みでは私はよろしくないんじゃないかなというふうに思いますので、ぜひとも、価格以外の要素をしっかり考えていくということを心がけていただきたいと思います。

 そもそも、この五年間の経験で、現場自治体からの声としても、地域との調和ということを再生可能エネルギーの促進の基本原則に置いてほしいということ。なるべく負担を安くして導入、それも大事。最大限の導入、それも大事。

 しかし、霞が関で設置しているわけじゃないですね。田園風景の広がるところや住宅地にいろいろなものがついていくわけでありますから、法律には書かれていませんけれども、地域との調和ということはやはり最重要原則、私はそのように共感するところがありますが、大臣、銚子の風景を想像力たくましく思っていただきまして、御答弁いただきたいと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 そういったいろいろな、さまざまな意見を聞きながら、そういう懸念がないよう、しっかりと捉えていきたいと思っております。

田嶋(要)委員 あともう一点。

 僕が申し上げました、枠でコントロールするのはこの入札というのが初めてなんだということの結果として、そこで入れなかったら、一体自分はいつ事業が始められるのかという未来予測が全くできない仕組みになるおそれがあると思います。一年間に何回入札があるのか。一体どのぐらいをやらせてもらえるような見通しを国は立てているのか。その辺を予測可能な仕組みにしないと、例えば一回入札してみたけれども、だめだったところは一年待たされることになるのか。その辺がこれまでのやりたい人が自由に参入できた仕組みとの大きな違いなわけでありまして、価格をなるべく下げていこうとする余り、結局はやる気をそいでしまうという、冒頭申し上げた点が実際に起きてしまう懸念もたくさん寄せられております。

 その点に関しまして、大臣、どのようにしてボリュームに関する将来の予測があらかじめできるのか、御答弁をいただきたいと思います。

林国務大臣 やはり具体的スケジュールや入札対象量があらかじめ見通せることは大変大事なことだと思っておりまして、具体的な手続などにつきましては法案成立後に決定することになりますけれども、可能な限り事業者にとっての見通しが確保されるように取り組んでまいりたいと思っています。

田嶋(要)委員 例えば、視界が一メートルしかない場所を歩くのは歩きにくいですよね。だけれども、視界が十メートル見えているけれども、最初一メートル分の入札をする、そういうやり方だったら、今回だめでも次があるというのはわかるわけでございまして、そういう何らかの情報の開示の仕方、投資家の皆さんが参入する意欲を失わないような仕組みをぜひお願いしたいと思っております。よろしくお願いします。

 次に、賦課金の減免制度についてお伺いをいたします。

 大臣、条文に、我が国の国際競争力の強化を図る観点からという一文を五年たった今入れるわけでありますが、入れるには入れる理由があると思います。何を狙って入れるんでしょうか。

林国務大臣 本法律案における、我が国の国際競争力の強化を図る観点からという文言の追加は、国際競争にさらされている電力多消費事業者の賦課金の負担を減免するという制度趣旨を明確化したものでございます。

 この国際競争力の観点のみで減免制度の適用を受ける事業者数がどうなるかを一概にお答えすることは困難でございますが、今後、制度の適用がされる事業について、国際競争力の観点から制度を適用する必要があるかどうかの確認を行い、真に必要な事業者に対して支援を行ってまいりたいと思います。

田嶋(要)委員 きのうまでと若干変わっておりますけれども、要は、これを入れることによって、やはりそういう観点が明記されていないときに恩恵を受けていたところはちょっとやり過ぎていたんじゃないかという反省のもとに、もう少し絞らなきゃいけないという気持ちが込められているんでしょうか。今、千数百社あるようでございますけれども、やはりこれは今後減る方向にある、そういう理解でよろしいですか。

林国務大臣 減免制度の適用を受ける事業者数が減少するかどうかを一概にお答えするのは困難でございますが、国際競争力の観点から制度を適用する必要があるかどうかを確認することによって、制度の適用対象外となる事業者が出ることはあり得るのではないかというふうに考えております。

田嶋(要)委員 この減免制度は、今までにもいろいろな意見がありましたけれども、かなりざっくりとしたルールになっておりまして、私もいろいろな業界の方とのお話もさせていただきました。八倍というのも、ドイツと同じ八という数字ではあるわけでありますが、実際これは八倍といっても、二十倍近いようなところもあれば、八倍ぎりぎりなところもあるわけであります。

 そして、現在の法律では、百分の八十を下らないというふうになっておるところが、今回の法律改正では、百分の八十を超えない範囲ということで、ボトムだった八十が天井に今回なるわけで、こういった法律改正も珍しいなと私は思うわけであります。

 例えば、電炉メーカーさんなんかもそういう例だと思いますけれども、やはり八倍どころか大変厳しい。これはちょっとシビアじゃないかなということを私もお伺いしています。働く人たちの働き方も含めて、かなり極端なというか、そういうことをしないと厳しい状況にある。そういうことを考えると、もう少しめり張りをつける必要があるのではないか。

 そして、今回、何かいきなりひっくり返しちゃっていますけれども、八割を超えることも場合によってはあるのかな。前回、参考人の方のお一人もそんなことをおっしゃっていましたけれども、その点に関してはどのようにお考えですか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 減免制度の軽減率につきまして、現行法は、田嶋委員御指摘のとおり、八割を下らない範囲ということで、八をボトムにしているということでございますが、これに関しましては、この法律が最初にできました二十三年、二十四年の段階で、適用の対象になるであろう電力多消費産業のいろいろな実態を調べた上で、一律八割ということが適切ではないかという判断で、一律八割を適用しているところでございます。

 一方で、今回の見直しでございますが、国際競争力の維持強化を図るという観点からこの減免制度が重要な制度であるということは、先ほど来、大臣以下繰り返し申し上げているところでございます。

 したがって、この制度を維持していくことは重要なのでございますが、一方で、減免を受けていらっしゃらない事業者の方あるいは家計といったようなところとの公平感という観点から、しっかり説明責任を果たしていくことが必要ではないか。

 そういう中で、国際競争力の維持強化という観点を確認する、あるいは省エネ努力を行っていらっしゃるかどうかを確認するという方向で今回の見直しをするということでございます。

 したがいまして、今回、電力使用の原単位に応じてどうするかという議論は当然あるわけでありますけれども、八割減免というのをさらに引き上げて、さらに格差を広げる方向に改正するということではなくて、むしろ、この八割という水準を維持しながら、できるだけ説明責任を果たして、御理解を得ながら制度を維持していくというのが今回の趣旨であるというふうに御理解いただければと思います。

田嶋(要)委員 お配りしている資料の二に、少し前のデータかもしれませんけれども、相当な電気使用でありながら、やはり減免に関しては規模的なものではかなり大きさが違うなという印象を受けます。一番上から減免額の多い大企業でしょうけれども、下の方に行けば、減免額はさほど大きくなくてもたくさん数があるという状況でございます。

 次の三ページをごらんいただきたいんです。

 これは今は百万キロワットとルール上なってございますが、これも、三・一一の後の混乱期の中での議員間修正ということもあったのでしょうが、若干おかしなことが今のルール上起きているということは大臣もお聞き及びだと思います。きょうはここの点に関しては、私は質問いたしませんけれども、こういう状況があるのはちょっと変な話だ。いっぱい電気を使っている人の方が結果的には余り払っていない現象が一部起きているということは御指摘を申し上げたいというふうに思います。

 そして、省エネの観点を今回導入することは大変結構だし、最初からそうしていかなきゃいけなかったんだろうというふうに思うわけでありますが、先ほども御指摘がありました、もう乾いた雑巾だよ、何もこれ以上できないよというふうに悲鳴を上げておられる方、業界もあると思われるわけです。

 そこで、資料の四ページ目をごらんくださいませ。

 これは私どもが少し得た情報でございますが、当然、右肩上がりの二十世紀のころにGDPが伸びるにつれてたくさんの設備投資が行われたということは、今見ると、相当古い年代の設備がふえてきている。当たり前のことであります。

 今、安倍内閣も、民間投資をもっと刺激していきたいということで、いろいろな手を打っておるわけでございますが、私は、こうして、もう本当に乾き切った雑巾だ、だけれども今回省エネの観点を入れるぞというふうにおっしゃるのであれば、さらに一押し、そうした業界の皆さんが安心して設備投資を打てるような追加的なインセンティブというのを検討してもいいのではないか。もちろん期間限定かもしれませんが、これはやはり単位がでかければ勇気が要りますよね、経営判断として。だから、日々の努力によってできる省エネはもうやり切っているけれども、しかし、大きなお金をかければ当然最新の設備を買うことができるということで、二十世紀に我々日本が大変成長した反動として今こういうハードが残っているのは当たり前のことでありますから、これをもう少し背中を押すような仕組みが、今回のこの省エネという観点をFITの中に入れるということとセットにすべきではないかと思いますが、いかがですか。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

藤木政府参考人 お答えを申し上げます。

 省エネルギーの推進は大変重要なポイントでございます。

 今回、FITの中で省エネルギーの努力というのを確認させていただくこととあわせまして、例えば省エネ法の運用という方でもきっちりとインセンティブを高めていくというふうにしていきたいと思います。

 また、支援という意味で申し上げますと、例えば中小企業における省エネ設備の導入の補助というのを平成二十七年度の補正予算で四百四十二億円手当ていたしまして、ちょうど一次公募が終わりまして二次公募が始まったところでございますが、こういったようなものもやっております。

 また、いわゆる省エネ補助金というのも、二十八年度予算は昨年度予算に比べまして百億円増額した五百十五億円ということで計上しているところでございまして、こういったインセンティブ措置もあわせて、省エネの推進、特におっしゃるような中小規模の省エネということにフォーカスして政策を進めてまいりたいというふうに思っております。

田嶋(要)委員 日本が省エネ先進国というのは、ある面事実ですけれども、ある面九〇年代からとまっている部分もいろいろ指摘を受けております。こうした供給側の設備投資、お金のかかる部分に関しては、当時頑張ったがゆえに、その反射として、今古いものを使っているというのは当たり前になってしまっていますから、そこのところをもう少し国として応援していただけるようにお願いしたいと思います。

 最後に、もう一点だけ。

 賦課金のこの減免制度、もう一つ大事だなと思ったのは、どのぐらい価格転嫁ができているかということがあります。これは、確かに、電力をいっぱい使っていれば大変だなと思いますけれども、その電気代のコストが全部御自分のその商売の中で価格転嫁できていれば、その人はある意味腹は痛まない状況になるわけでありまして、これは消費税のときも、中小企業は価格転嫁が難しいとか、そういう議論がたくさんございました。

 そこで、この点はどのように考えておられるのか、大臣に御答弁いただきたいと思います。

林国務大臣 賦課金の減免制度については、国際競争力の観点から制度を適用する必要があるかどうかの確認を行いまして、真に必要な事業者に対して支援を行うことにしているわけであります。

 国際競争にさらされている事業者については、賦課金に相当するコストを製品等に価格転嫁することが困難な場合が多いというふうに考えておりまして、ただし、価格転嫁の実態を客観的に確認することは事実上困難であるというふうには考えております。

 今回の改正後の制度の具体的な運用に当たっては、専門家の意見も聞きながら、国際競争にさらされているかどうかについて、判断基準を検討してまいりたいと思います。

田嶋(要)委員 簡単ではないと思いますが、それは省エネ努力の評価も同じような話もありまして、難しいから一切考えなくていいではなくて、やはりどうしても、負担をしない人がいる分、誰かに負担のしわ寄せが行くという意味では、予算措置をしても、電力の値段で調整しても、どちらにしても同じことが起きるわけであります、電力の調整であれば、もっと傾斜が強まるわけでありますから。

 そういうことも含めて、ぜひなるべくフェアな仕組みを心がけていただくことをこの改正の際にお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、真島省三さん。

真島委員 日本共産党の真島省三です。

 二〇一二年七月にスタートした固定価格買い取り制度、FITは、それまで極めて低水準の新エネ利用しか義務づけてこなかったRPS方式を大きく転換し、電力会社に対して、再エネで発電した電力の全量を固定価格で買い取ることを義務づけました。FITによりこれまで導入された再エネ電気の量は二千六百二十三万四千キロワット、これはRPS時代の一・二五倍に相当します。

 私どもも、再エネの導入促進にFITが一定の効果的な役割を果たしたと評価をしておりますけれども、改定案の中身に入る前に、大臣はFITの役割をどのように評価しておられるでしょうか。

林国務大臣 固定価格買い取り制度は、再生可能エネルギーを固定価格で買い取ることで、発電コストの高い再生可能エネルギーの投資回収に見通しを与え、導入の促進を図ることを目的とした制度でございます。

 二〇一二年の開始以来、再エネ導入量は倍増するなど、大きな成果を上げているというふうに認識をしております。

 他方、太陽光発電の急速な導入が進みまして、国民負担増大の懸念、あるいはまた電力系統への受け入れ制約の発生、制度の認定を受けながら稼働しない未稼働案件が大量に発生するなどの課題が生じてきております。

 こうした現行制度の課題に対応するため、今回のFIT法改正を行うこととしておりまして、まず、新たな認定制度を創設し、未稼働案件の防止や、適切な事業運営を確保する、そして、入札制度など新たな価格の決定方式を導入しましてコストを引き下げる、そしてまた、買い取り義務者を送配電事業者に変更いたしましてさらなる再エネの導入を可能とするなどの見直しを行うことで、再エネの最大限の導入と国民負担の抑制の両立を実現してまいりたい、このように考えています。

真島委員 再エネ導入が進んでおります欧州各国を見ましても、FITが再エネ導入促進に大きな役割を果たしたと言えると思うんですけれども、我が国は、再エネ導入が進んだとはいえ、水力を除けば三・二%にすぎません。スペインが二六%、ドイツが二三%、イギリスが一七・六%という状況です。

 なぜ我が国で本格的に導入がなかなか進まないのか。私は、その一つに、FITの第五条が義務づけております接続義務が果たされていないんじゃないかというふうに思うんです。

 それは、第五条が義務づけております接続義務に関して、FIT法制定時の当委員会の審議で、北海道電力などが当時買い取り量に上限を設けていた風力発電の接続量をどう拡大するのか、電力会社に接続義務を果たさせるかということが重要な論点の一つになっておりました。FIT法の第五条が、電気事業者に接続義務を課している、例外的に免除される場合を省令で規定するとなっていることについて議論があったんですね。

 二〇一一年のこの委員会で、次のような答弁を資源エネルギー庁長官がされている。再生エネルギーをできるだけ系統に流そうという試みでございますので、四条の契約の申し込み、五条の接続の要請については、原則、全部受けるということです、例外的にこれこれの場合ということで規定を設けておりますけれども、あくまで限定的なもので、省令の中でもまさに限定的である実をあらわしたものにしていきたいとおっしゃっています。

 また、当時の海江田経産大臣も、例外規定により拒否されるケースは極めて限定されたケースになろうかと思っておりますと言われております。

 この点は間違いないでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 第五条に関してでございますが、第五条は、電気事業者が接続することを求められたときは、次に掲げる場合を除き、当該接続を拒んではならない、第一号が、必要な費用を支払わない場合、第二号が、電気の円滑な供給の確保に支障が生ずる場合、第三号が、省令で定める正当な理由がある場合ということになってございます。

 これは、当時、資源エネルギー庁長官、それから海江田経産大臣が答弁したとおり、接続をするというのが原則になっていて、その例外を定める規定であるというふうに考えております。

真島委員 ところが、この四年間の実際の法の執行がどうだったのか。制定時に経産省が説明されていた五条の接続義務、原則全ての再エネを受け入れる、省令の例外規定による接続拒否は極めて限定的なケースにすぎないという立場が貫かれたかどうかということが今問われていると思います。

 二〇一四年九月に、認定太陽光発電設備の出力が、想定される最低需要電力量を超えたということで、九州電力がまず新規の系統接続申し込みを保留いたしまして、これに北海道、東北、北陸、四国、中国、沖縄の六電力も続くという、いわゆる九電ショックと呼ばれる事態が起きました。

 この際に、経産省は、省令を改正し、これまで三十日以内に限っておりました出力抑制の範囲を無制限、無補償とする指定電気事業者制度を創設しました。

 これは、省令の例外規定による接続拒否は極めて限定的なケースとするという対応とは非常に正反対の、接続義務を骨抜きにするやり方ではありませんか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 三十日ルール、三百六十時間ルールでございますけれども、これはFIT法に特有なルールでございまして、出力制御を行う必要がある場合は、上限なしで無補償で行うということが通常の契約なのでございますが、FITに関しましては、導入初期であるということに鑑みて、年間三十日、その後三百六十時間となったわけでございますが、その上限の中で契約をするといったようなことをやってきたわけでございます。

 一方で、急速に太陽光等の電力が入ってきた結果、この三十日ではお約束できないというような状態になったわけでございます。そうなりますと、当時のこの省令でいきますと、三十日で受けられない場合は正当な理由として接続を拒否できるという規定になってございました。

 したがって、そのまま放置すれば、九州電力等では、接続できません、断りますということで終わってしまったわけでございますが、まさに省令改正によりまして、三十日でおさまらない部分については無制限でやる可能性ありということを御納得いただけるのであれば、つないで構わないというルールを新たに設けることによって、むしろ接続を可能にしたというのがこの省令の改正でございまして、接続義務を骨抜きにするという御指摘は必ずしも当たらないのではないかというふうに理解してございます。

真島委員 接続義務を骨抜きにしていない、接続義務の原則は残っているんだというふうにおっしゃるんですけれども、事実上は省令でその原則を壊したと私は思うんです。九州電力など七電力の一般送配電事業者による事実上の再エネ接続拒否というものを追認し、そして再エネの接続可能量の算定を電力会社に委ねて、無制限、無補償の出力抑制も容認するという、まさにFIT制定時の先ほど言われた国会答弁に反する省令改定をされたというふうに私は思います。

 原則全ての再エネを受け入れる、省令の例外規定による接続拒否は極めて限定的なケースにすぎないという五条の接続義務を空文化させるような、こういう省令の制定というのは立法府として認めていないと私は思います。

 さらに問題なのは、今のこの問題での、各社ごとに定めた接続可能量の設定の仕方です。

 想定される電力需要から、震災前三十年間の原発の平均稼働率を掛けた原発の電力供給量を差し引いた残りを再エネ受け入れ可能量としていますが、その受け入れ可能量も、電力会社ごとの営業区域の範囲で試算されたものであって、連系線を活用した他の電力会社との融通ということがほとんど考慮されていないんですね。これはまさしく、原発最優先の空押さえと、電力会社の再エネ受け入れ努力の免除で二重三重に再エネを抑制するという許しがたい仕組みだと私は思うんですよ。

 大体、FIT法の接続義務を果たしてこなかった一般送配電事業者が、電気事業法ならばその義務を果たすんだという根拠はどこにあるんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、FIT法で接続義務を果たしてこなかったという御指摘がございましたけれども、接続義務をもし果たしてこなかったとすれば、これは、法令上、措置を受けるということになります。

 電気事業法では、接続を行うために必要な費用を発電事業者が負担しない場合などの正当な理由がなければ、一般送配電事業者は接続を拒んではならない、こういう規定になっております。したがいまして、系統接続希望者は、適切な費用負担を行っていただければ、系統への接続が可能な状況となっております。

 最近では、御案内のとおり、太陽光等の再生可能エネルギーの導入拡大に伴いまして、多数の再エネ事業者の方々のお申し込みが集中する、こういうふうな結果、上位系統の増強工事が必要となるといったようなケースもたくさん出てきております。いずれにしても、そのような場合でも、必要な工事費を支払っていただければ系統への接続が可能となることに変わりはないところでございます。

 他方で、そうはいっても、工事費を払っていただく、これが支障となるということがあることは事実だと思っております。その場合に、事業者の方々がお金を払えない、これで接続ができないという場合があることは確かなんですが、これが接続義務を果たしていないということではないということは申し上げておきたいと思います。

 その上で、この費用負担をできるだけ軽減できないかという観点は私どもももちろん持ち合わせております。したがって、工事費の負担金の全額をこれまでは発電事業者が負担すべきだとされていたところではありますけれども、昨年の十一月に費用負担ガイドラインというものを定めまして、一般負担と特定負担の算定の考え方を整理いたしまして、再生可能エネルギーの系統接続費用の負担を軽減させていただいております。

 また、単独で工事費を負担することが難しいという場合もあろうかと思いますので、複数の事業者が系統増強に必要な工事費をそれぞれの発電規模に応じて共同負担することで道を開くということで、電源接続案件募集プロセス、こうしたものも電力広域的運営推進機関においてルール化をしているところでございます。

 こうした取り組み、環境整備をすることによりまして、また、電気事業法十七条四項の規定に基づきまして、一般送配電事業者は適切に接続義務を果たしていくものと考えておりますけれども、仮に先生御指摘のような接続義務違反といったような事態があれば、電気事業法に基づきまして、業務改善命令あるいは当該行為の停止または変更を命ずる、こういった措置につながっていくことと考えております。

真島委員 接続義務を果たしてきたというふうにおっしゃるんですけれども、接続保留とか、ああいう事態を追認されているだけなんですよ。

 九州電力には、山ほど、再エネの事業者から、どうなるんだ、どうなるんだという苦情や相談が相次いでいる。ほかの電力会社もほぼ変わらないと思いますよ。そういう状況が現状です。

 電気事業法に書いていると。ところが、電気事業法では電源間の優先順位がつけられておりません。そのために、再エネが後回しにされることも懸念されております。再エネ導入促進というFITの目的を裏づけるための第五条の接続義務の削除というのは、私は、法の目的に逆行するものだというふうに思います。

 実際に、私の地元九州ですが、この接続義務が果たされなかったことで再エネの取り組みが阻害されています。九電ショックの影響を受けました小水力発電の事例を二つ紹介したいと思うんです。

 一つは、大分県九重町が、県営の農業用ダム、松木ダムの管理が二〇〇八年に町に移管されたということを機に、ダムからの配水で小水力発電をして、それで生み出した電気代でダムの管理費を賄おうと、ささやかな計画をしています。

 九重町は、御存じのように、大岳とか八丁原とか有名な大きな地熱発電所がありまして、長年そういう再エネ導入に熱心に取り組まれているんですけれども、この小水力発電というのは、水利権を取得するのに物すごく時間がかかって、その後調査をし、本体設計に入って、どうしても四、五年はかかるんですね。

 配付資料一の図一のように、九重町は発電機も据えて、二〇一四年八月に九州電力に系統接続を申し込んだ直後に接続保留になって、計画がストップしている。

 確認しますけれども、現在、九州電力は、時間帯を限定した契約について個別協議をやっているというふうに聞いているんですけれども、九重町に対してどんな説明をしているんでしょうか。

藤木政府参考人 御指摘の案件に関しまして、状況を御説明申し上げます。(真島委員「簡潔に」と呼ぶ)はい。

 今先生から御案内がございました九州地区におきましては、太陽光発電がかなり大量に入っているということがございまして、例えば太陽光が発電していない時間帯に発電が可能なものについては、その時間帯に限って空き枠を使ってつなぐといったようなことも行われているというふうに聞いております。

 それで、実はこの案件につきましては、むしろ、九重町の方からそういうやり方がないかというような御提案があって、それに基づいて九州電力と協議が行われたという経過があるようでございます。

 ただし、その後、九州電力でこの電線の系統の利用状況を精査したところ、実は、ここは太陽光でいっぱいになっているというわけではなくて、ほかの水力でございますとか、要するに二十四時間使う系統でいっぱいになっているということがあって、その方式もなかなか難しいのではないかということで、低圧に落として接続するか、あるいは設備の増強を待って接続することにするかというようなことでお話がなされているというふうに伺っているところでございます。

真島委員 非常に困り果てて、そういう提案もされたというふうに思うんです。本来二十四時間発電できる小水力発電を、協議されているのは、最大で十八時間、一日に三分の二しか使えない、しかも九電の上位系統に制約が生じたらそれすら保障できないという協議がされてきたわけですよね。

 今、そういう難しい協議や、いろいろな負担も求められて、それで、そういう条件をのんで、それでもすぐに売電できる状況ではないんですね。九電は、つながった先の送電系統もいっぱいだから待ってくれというふうに言っています。

 九電は、この九重町の地域に関して、受け入れた電気を需要地に送るための上位系統対策にはどんな工事が必要で、その期間はどれだけかかるんだというふうに説明しているでしょうか。

藤木政府参考人 御指摘の系統に関しましては、このダムの案件だけでなく、太陽光も含めて、かなり多くの、百件を超える案件の接続の御要望が来ておりまして、今、それらについて九州電力の方で調整をしているところでございます。

 現在、その関係者に意思確認をしている系統対策の内容といたしましては、日田変電所の系統用変圧器、かなり大きなものでございますが、これを一台新設する、それから、六十六キロボルトの電線を合計しますと約二十キロくらい張りかえて、鉄塔を六十基くらい建てかえる、こういうような予定の計画で御説明をしていて、工期はこれでいきますと八年程度かかるのではないかというような計画で関係者の御意見を聞いていらっしゃる最中というふうに認識しております。

真島委員 この松木ダムの小水力発電所というのは、そんな大きいものじゃなくて、わずか百六キロワット、設備認定は既に取得済みなのに、つなげたとしても上位系統の対策工事が終わるまで八年も待てと。

 FITがあっても使えない、こんなケースでも、この改正案が施行された後、旧認定扱いとして認定が失効してしまうということになるんでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 新しい法律が二十九年四月一日に施行された段階で、接続契約を締結していないもの、逆に申し上げますと、接続契約が締結されているもの、あるいは、さらに進んで運転開始に至っているものというのは新認定をとったものとみなすということでございますので、本件に関しましても、二十九年の四月一日までに接続契約が結ばれていれば、旧認定が新しい認定とみなされるということでございます。

 それからさらに、今後の事態の推移によるわけでありますが、九州電力の方でこの系統に関して例えば入札手続を実施するということになれば、その入札手続に参加されている間はその旧認定が生きるというような規定になっているということでございます。

真島委員 自治体が何年もかけて準備してきた小水力発電が、九州電力側の系統制約を理由にしてFITを使えないという大変理不尽なことになっています。九重町側にくれぐれも不利益をもたらすことがないようにしていただきたいというふうに思うんです。

 もう一つの事例は、大分県由布市の元治水井路土地改良区の小水力発電計画です。

 二〇一五年度に三百三十キロワットの小水力発電機を購入する予定だったんですが、九電から送電網増強のためといって約一億七千万円の負担金を求められ、急遽購入を延期しています。

 ここの佐藤高信理事長は、売電収入を農村再生に役立てようと、水利権の協議など六年以上も前から進めてきたが、ようやく形になった段階で莫大な費用を出せと言われて、この先負担がどれほど膨らむのか、いつから買い取ってもらえるのかの見通しも立たないと頭を抱えておられました。

 地域の高齢化が進んで、土地改良区の賦課金の負担すら困難な組合員もいる中、配付資料二の写真のように、先祖が手掘りでつくってくれた水路を使った小水力発電の売電収入で地域を支えたい、それなしではもう地域が支えられなくなるということで、地方の農業者の皆さんは、小水力発電にそういう切実な思いを乗せて取り組んでおられるんですね。

 配付資料三をごらんください。

 九州電力が連系に制約が出ているエリアを地図でこういうふうに公表していますが、九重町や由布市だけではありません、何と九州のほぼ全域が制約の発生を示すピンク色で塗られているような状態です。

 九重町の甲斐正敏副町長は、お会いしましたけれども、水利権の問題などで開発に時間がかかるが、昼夜を問わず二十四時間安定的に供給できるのが小水力発電だ、太陽光とは別枠で優先接続できるように制度を見直してほしいとおっしゃっていました。

 九重町や元治水井路など三土地改良区は、二〇一五年の十月末に、九州農政局を通じて、小水力発電を優先接続できるように関係各省に働きかける要望書を出されています。

 二〇一二年にFITが始まった当初から、送電網の増強、強化の必要があるということが言われてきたわけです。十電力は系統増強に努力しなきゃいけなかった。国もそれを後押ししなきゃいけなかった。

 二〇一〇年度以降、十電力の年間の流通設備の設備投資額の推移はどうなっているでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一〇年度以降の電力会社の流通設備設備投資額の推移でございますが、有価証券報告書によりますと、電力会社十社の送配電設備に関します設備投資額の合計は、二〇一〇年度が八千百八十三億円、二〇一一年度が七千百七十三億円、二〇一二年度が七千三百九十億円、二〇一三年度は六千八百五十四億円、そして二〇一四年度は七千五十七億円と承知しております。

真島委員 FIT開始前より設備投資額が減っているんですね。これでは、十電力がFIT法による接続義務を果たすために送電網を強化する努力をしてきたと言えないと思いますよ。

 再エネの受け入れをふやすためには、どうしても送電網の強化が不可欠です。ところが、今、それが脆弱なために、中小の再エネ事業者に巨額の接続負担金が求められ、取り組みの足を引っ張っている。

 FIT制度があっても利用できないという事態を一刻も早く打開するためには、一般送配電会社任せではなくて、国の責任で、いつまでにどこにどれだけの送電網を増強するのかという計画を明確にして、一般送配電会社にその実行を義務づけ、市民、地域主体の中小の再エネ事業者には接続負担を軽減するという支援策をやる、そういうことをやるべきじゃないでしょうか、大臣。

林国務大臣 再エネの導入量を拡大するに当たって、地域間連系線や基幹送電線といった送電網を増強していくことは大変重要だと思います。このため、電気事業法に基づき設立されました電力広域的運営推進機関において、広域的な送電網の増強を計画的に進めるため、長期方針を策定し、これに基づいて個別の増強計画を策定することにしているところでございます。

 加えて、経産省では、再エネの系統接続の円滑化にも資するべく、地域内の送電網整備の実証、そして受け入れ容量拡大のための大型蓄電池の実証、三つ目は電力系統の運用技術の高度化等について予算措置を講じて取り組んでいるところでございます。

 また、系統整備に関する資金調達を円滑化するため、平成二十八年度予算において、利子補給制度を新たに盛り込むなどの措置を講じているところであります。

 こうした取り組みを通じて、地域の再生可能エネルギーの導入拡大を推進してまいりたいと思います。

真島委員 私は、送電網というのは、道路と同じで、公共的なインフラだと思うんです。

 例えば、携帯電話等エリア整備事業というのがあるんですが、国民生活に不可欠なサービスになりつつある携帯電話等が、地理的条件や事業採算上の問題で利用困難な地域を利用可能にして、電波の利用の不均衡をなくすために、基地局建設や伝送路の整備に国と自治体が補助金を交付して、通信産業といったら大手ばかりですよ、ところが、この大手の事業者負担を、基地局建設はゼロ、伝送路整備は二分の一から三分の一にしているんです。

 地方の農山村にある再エネ資源を本当に地域の活性化のために使いたい、そのために準備の段階では農水省とか環境省の補助も受けて地道に準備をしてきた市民、地域主体の中小の再エネ事業者の皆さんが、送電網の整備の重い負担を求められてFITを使えないということに対して、私は、もっと踏み込んだ支援が必要だということを申し上げたいと思います。

 再エネの拡大には、FITのような導入促進策とともに、送電網などの系統対策の強化、これを今申し上げたように両輪で進めることが必要だと思うんですが、現行のFIT法は、再エネ電気の買い取りルールを定めるだけで、送電網を維持運営する一般送配電事業者に対して、系統の増強、強化ということまで求めておりません。

 この点は、ドイツではどうなっているでしょうか。

藤木政府参考人 我が国におきましては、電気事業法に基づきまして、発電事業者が接続に要する費用を負担する等の一定の要件を満たす場合には、接続を行う義務を一般送配電事業者に課しておりまして、その場合は一般送配電事業者が系統の増強を行うこととなっております。

 ただ、御指摘のとおり、一般送配電事業者がみずからの持ち出しで系統の増強、強化を行うということまでをFIT法で求めているものではありません。これは、一般送配電事業者の負担ということは、結局、電気の利用者の負担になるということに関係するからであります。

 一方、お尋ねのありましたドイツでございますが、再生可能エネルギー法というものがございまして、接続の申し込みがあった場合は、原則として全て再生可能エネルギーについては接続し、送配電事業者は系統増強の義務を負い、その増強費用は送配電事業者が負担するものとなっております。ただし、経済的に不合理な場合には接続の義務は負わないというような規定があるというふうに聞いております。

真島委員 ドイツと日本の仕組みというのは同じじゃないんですよね。

 ドイツでは、今おっしゃったように、優先給電と系統増強が義務づけられております。日本のように送変電設備の容量不足とかいう都合で接続拒否できないという仕組みになっております。今、経済上の問題でその義務というのは果たさないでいい場合もあるというようなことをおっしゃいましたけれども。

 送配電事業者の設備投資というのは、総括原価方式で託送料金に乗せられます。本当に再エネ導入のために必要な送電網の整備、強化というところで使われた設備投資というのは、私は必要な原価として認められることになるというふうに思うんですね。

 これは電力会社任せではなかなか進まないと思うんです。再エネの全量買い取りを保障するための一般送配電事業者への系統増強、強化の義務づけ、これなしに、FITの買い取り対象となる事業者の認定制度というのを、今回、これまでの設備認定から系統連系契約後の事業認定に変えると、今でも優位に立っている一般送配電事業者が一層優位になるんじゃないかという不安の声が上がっています。

 法案では、一般送配電事業者が主導するのではなく、再エネ事業者との対等性、これを確保するという仕組みはどのように講じられているんでしょうか。

藤木政府参考人 まず、一般送配電事業者とFITとの関係で申し上げますと、一つは電力系統への接続ということがあるわけでございますが、これは、先般来議論になっておりますけれども、電気事業法におきまして、一般送配電事業者には全ての電源を平等に接続する義務、オープンアクセス義務というのが課されております。このことで、一般送配電事業者が恣意的に接続を拒むということはできないわけでありまして、優位に立つということはないと理解しております。

 また、今度、送配電買い取りに変わることによりまして、買い取りに関する特定契約というのも一般送配電事業者が当事者となるわけでございますが、これは、新しいFIT法第十六条におきまして、正当な理由がある場合を除き、特定契約の申し込みに応ずる義務というのが課せられておりまして、これも送配電事業者が一方的に優位になるということではないというふうに理解しております。

真島委員 先ほど申し上げましたように、現場では、結局、九電側の都合で電気を買ったり買わなかったりという一方的なことが起きております。再エネ事業者の皆さんは、収支の見通しも立たない、だから金融機関の融資もおりない、本当に経産省はこのことをわかっているのかというふうにおっしゃっているんですね。

 本法案では、再エネの買い取り価格低減のために入札制度も導入するとしております。

 FITは全量固定価格買い取りというのが原則です。一方で、一定の導入量を低価の落札者から順番に調達するという入札制度、これはいわばRPS的な仕組みだと思うんです。

 FIT法の中に入札制度を入れるというのは本質的になじまない問題じゃないんでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 FIT制度、固定価格買い取り制度というのは、あらかじめ決まった価格で、発電された電気を長期間にわたって購入し続けるという契約でございます。したがいまして、今回導入しようとする入札制度は、この固定価格買い取り制度を前提とした上で、価格を決める方式を入札で決める、ただ、一旦決まった価格についてはそれで二十年間買い続けさせていただくということでございますので、固定価格買い取り制度の本質を変えるものではないというふうに理解しております。

 また、FITを入れております各国、ドイツ、フランス、南アフリカを初めといたしまして、多くの国でFITを前提として入札を行っている実態もございまして、入札は本質的にFIT制度になじまないというような御指摘は当たらないのではないかというふうに考えております。

真島委員 あらかじめ導入量を設定する入札制度というのは、全量固定価格買い取りというFIT制度の原則を根本的に変質させかねない危険も持っていると私は思います。

 入札制度については、今、ほかの国でもやっているんだとおっしゃいましたけれども、欧州でもまだ余り事例がない。

 先行例として挙げられているドイツで、買い取り価格はこれで低減しているでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 ドイツでは、二〇一五年の四月に第一回の入札を行っておりまして、このときの平均落札価格が九・一七ユーロ・セント・パー・キロワットアワーということになってございます。その後、第二回が二〇一五年八月で、平均落札価格八・四八、第三回が二〇一五年十二月で八・〇〇、第四回が、先般でございますが、二〇一六年の四月でございまして、このときの平均落札価格が七・四一ユーロ・セントということでございますので、回を重ねるに従って買い取り価格が低減するという傾向にあるというふうに理解しております。

真島委員 私は、これは単純にドイツと比較できないと思うんです。ドイツは水力を除く再エネ比率二三%、日本は三・二%という状況です。そのドイツの入札制度も、二〇一五年から実施されて、今言われたように四回だけです。

 再エネ導入促進改革小委員会でも、入札制度については、詳細な制度設計は極めて慎重にという声が出ております。

 小委員会報告書へのパブリックコメントでも、次のような意見が出ております。

 気候ネット。入札方式によって再エネコストの低減につながる保障は何もない、入札方式を採用することによって地域密着型の事業者ではなく大規模企業が有利になり、地域活性化や地域立発電所の縮小化のおそれもある。

 自然エネルギー財団。入札制度についての既知の課題に関して委員会でほとんど検討されないまま導入決定がなされた感がある、したがって、今回入札制度を導入することに関し反対である、小規模な事業者は入札制度になじまないと考えられ、入札制度の導入に関しては委員会で出た意見を反映して大規模な太陽光発電設備に限定すべきであり、その旨を法律に明記すべきである。

 環境エネルギー政策研究所。ドイツの入札でも明らかなように、入札制度では少数の大規模事業者がほぼ全てを落札し、地域の事業者、協同組合など小規模な事業者は締め出される。

 こういうことが出ています。こういう意見にこの改正案はどう応えた中身になっているでしょうか。

藤木政府参考人 FIT制度に関しましては、再生可能エネルギーを量的に順次拡大しながら、同時に価格の引き下げを図るという中で、再生可能エネルギーを中長期的には自立的に導入していくというための制度でございます。

 この中で、入札制度というものに関しましては、競争ということを使いながら価格を下げ、国民負担を抑制しながら、その中で最大限の導入を進めていくという方策として、先ほど御指摘がございました、私どもの審議会でも多くの賛成意見を得て、そういう中で導入が検討されてきたものでございます。

 一方で、パブリックコメントを初め、さまざまな御懸念の声もあったわけでございます。

 一つは、小規模な事業者の方がこういった入札についていけないのではないかというような御議論もございましたので、私どもの審議会の報告書の中でも、大規模な事業用太陽光発電を対象として行うということで、小規模なものについてはこれまでと同様に取り扱っていくということが適切ではないかということになっております。

 また、入札手続につきましても、多様な発電事業者が参加できるように、情報の発信等々、きめ細かく対応してまいりたいと思っております。

 それから、そういった大企業ばかりになってしまうんじゃないかというような御批判はあるわけでございますが、先行例のドイツで申し上げましても、例えば、第三回におきましては落札者の約二割を協同組合が占めているといったようなことで多様化が見られているところもございます。

 我々といたしましても、こういった先行事例も参考にしながら、しっかりと制度設計に取り組んでまいりたいと思っております。

真島委員 今、ドイツの例を言われましたけれども、一回目、二回目は協同組合などの落札はゼロ、三回目でようやく、四十三件のうち八件が協同組合などのそういう中小だったということが正しいんですね。

 法案第四条で新設されております入札を実施する再エネ発電設備には、条文上、その対象にする電源の規模も明示をされておりません。だから、中小規模の再エネ電源まで対象になってくるんじゃないかという懸念が払拭できないんだというふうに思うんですね。これは先ほど来議論されてきましたけれども、なぜ大規模太陽光だったら大規模太陽光と明文化しないのか。

 もう時間がないからあれしますけれども、経産省にいろいろとやりとりで聞く中で、将来的には風力も考えているということもおっしゃいました。日弁連も、現時点で入札方式の導入には反対だという意見書を出されています。

 これは、条文上限定しない、国会のチェックもなしに経産省に白紙委任、こういうやり方は認められないというふうに私は思います。

 ここでちょっと、自然災害に伴う太陽光パネルの飛散事故多発の問題への対応についてお聞きします。

 配付資料四の上の写真は、大分県由布市のメガソーラー建設予定地、今、震災と観光への影響で大変苦しんでおられますが、温泉地別府と湯布院の中間にある標高七百メートルの塚原高原というところです。ここは、夏でも涼しい風が吹き抜ける別荘地なんですね。

 この一角に、この見えている黄色い斜面一帯、十五ヘクタールに、四万枚の太陽光パネルを設置するという計画が進んでいます。事業者は千代田区の投資会社、年間売電収入は約三億六千万円を見込んでいるそうなんですが、地元への恩恵というのは固定資産税ぐらいで、地元の最大の財産である自然や景観を失う代償としては余りにも見合いません。

 同時に、住民の皆さんが懸念し警鐘を鳴らしているのは、安全面です。

 この塚原高原は、由布岳と鶴見岳の谷合いを吹き抜ける風の通り道になっておりまして、配付資料四の下は、一九九一年の台風十九号で、建設予定地の真ん前の県道沿いの電柱が軒並み倒れたときの写真です。電柱というのは、風速毎秒四十メートルの風圧に耐えなければいけないという規定になっているんですね。だから、それ以上の風が吹いたということになります。

 経産省は、太陽光発電設備の設計基準で、地域によって基準風速を三十から四十六メートル毎秒とされておりまして、由布市は三十メートル毎秒という規定になっています。

 経産省九州産業保安監督部は、昨年の台風十五号による被害調査を受けまして、事故報告対象を拡大し、工事計画を要しない五百から二千キロワットの発電所に対しても使用前自己検査の対象とすることにしました。

 このような対応を全国的に行って、全ての被害に対して事故原因の究明などの調査を行い、そしてJIS基準の強化、あるいは国の審査、そういった保安面の強化が今必要になっていると思うんですが、いかがでしょうか。

住田政府参考人 ただいま御指摘ございましたとおり、経済産業省におきましては、昨年の九月の台風十五号の被害調査を行ったところでございます。それに加えまして、全国でもやはりいろいろな形で設備が損壊をしている可能性があるじゃないかということで、全国におきましても、FITの認定設備のうち長期間売電を停止しているような太陽光発電設備を対象といたしまして報告徴収を行いまして、実態調査を行ってきたところでございます。

 これを踏まえまして、本年三月に、産業構造審議会の電力安全小委員会で今後の方策について議論をいたしました。

 その中では、まず第一に、ただいま御指摘のございましたように、技術基準の再検証をしようじゃないかということ、そしてまた、取り組みやすい安全対策、例えば架台とか設計といったものの具体的な例示をしていこうじゃないかといったようなこと、それから、運転開始前の自己確認制度による安全性の確認を徹底していく、さらには、事故報告の対象を拡大するといったような対策を取りまとめたところでございまして、現在、これを順次、省令等の措置によって実施に移しているところでございます。

 加えまして、ことしの台風シーズンを前にいたしまして、やはり点検の強化あるいは簡易な形での補強の必要性といったようなことについて全国の事業者に対して注意喚起を先月末に行ったところでございますし、さらには、技術基準に適合していない疑いがあるのではないか、さまざまな情報収集のもとに、こういった事案につきまして、個別に、電気事業法に基づきまして立入検査を行い、必要な改善指導を行っているところでございます。

 こういった対策を通じまして、御指摘のように、太陽光発電設備の安全が確保されるようにしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

真島委員 飛ばされたら凶器になる太陽光パネルがこれだけふえているんですから、建築確認のような審査も求められていると思いますし、JIS基準も今までのでは不十分だという実験結果も出ているんですね。ですから、深刻な事故が起きる前にぜひ対応していただきたい。

 次に、FITを食い物にするような悪質な再エネ事業者が全国各地で乱開発を行い、住民との間で深刻なトラブルが起きております。これを放置すれば本格的な再エネの導入の障害になってくると思うんですね。

 二つのことを紹介します。

 一つは、福岡県飯塚市の二瀬、幸袋地域にまたがる白旗山一帯に、一条工務店という会社がメガソーラーを建設しようとしています。

 資料五の下に同社が提出しております完成イメージ図を出しておりますけれども、二〇一四年三月に経産省から設備の認定をとり、予定地周辺には約八千七百人の住民が住む住宅地があります。私も現地に行ってきたんですが、この時期は新緑が非常にきれいで、野鳥がさえずって、爽やかな風が吹き渡る里山です。そこに、約三十四ヘクタールの森林を切り開いて、二十ヘクタールに太陽光パネル五万六千枚を敷き詰める。この環境が気に入ってここに家を建てたのに景観と住環境が一変してしまう、住民の皆さんは大変怒っておりました。

 この予定地の一帯の急斜面には三十カ所の土砂災害警戒区域が点在しておりまして、この四月は、熊本の地震の影響で、飯塚市でも震度四の地震が一回、震度三が二回、震度二が十回、震度一が十回あっております。住民の皆さんからも、土砂災害が非常に心配だという声が上がっておりました。それで、住民の六割以上に上る六千六百二十一人分の署名も県の方に出されている。

 この一条工務店は、地元の自治会長や飯塚市の幹部を前にした説明会のときに、地元の同意がなければ工事は着工しませんと約束していたんですが、去年になって、林地開発許可申請には地元同意は要らないんだ、工事は進めると、それを翻しました。

 もう一つ紹介したいのは、大分県別府市の住宅地で温泉バイナリー発電施設が乱立して、住民に騒音や噴気被害が出ている問題です。

 配付資料六をごらんください。

 別府市の小倉地区というところなんですが、南北四百五十メートル掛け東西百五十メートルというところで、民間業者十社が七カ所に三十六基の温泉バイナリー発電施設をつくろうとしているんです。既に五基の発電機が稼働し、一基が試運転中です。

 住民からは、家の四方を発電機に囲まれ、夜も昼も二十四時間、発電機のキーンという音やシューシューという噴気音に悩まされている、三十六基もできれば暮らしはどうなるんだ、大量の熱水が側溝に排水され、道路や住宅は湯煙に包まれ、窓もあけることができず、洗濯物も外に干せない、住民への説明も不十分だ、設備認定した国の責任で企業の無法を何とかしてほしいという声が相次ぎました。

 騒音規制法では、当該地では夜間の規制値は四十デシベルとなっているんですが、一号発電区域では、昨年の八月の事業者の測定では四十八から五十八デシベル、規制値を超えていました。二号発電区域でも同様なんです。それで、事業者は防音壁を、普通の塀なんですけれども、設置したんですが、その後市が行った調査でも基準値を上回っている。経産省が認可した設備から法に違反する値の騒音が出て、いまだに改善されていないという状態ですね。

 今、各地の自治体では、こうした事態に、やむにやまれず、再エネ発電施設設置に係る条例をつくって、立地区域の規制、届け出、住民説明会、首長の同意の義務づけ、首長による指導、助言、勧告を明記する、そういった踏み込んだルールづくりをやられています。ところが、これは強制力がないために、乱開発をとめることはできないんですね。

 昨年の十月の第百十七回九州市長会総会は、再生可能エネルギー・省エネ対策の普及促進についてという国への要望書を採択しております。その中で、再生可能エネルギー発電設備の設置に際し発生する設置事業者と近隣住民等とのトラブルの回避に向け、再生可能エネルギー発電設備の設置場所の決定に係る関係法令手続状況報告書の実効性を高めるべく、報告内容の厳格な確認を行うとともに、国による認定審査の重要な判断要素とするなど、当該報告書の適正な運用を図ることと要望されております。

 今回の法案は、こういう事態を踏まえて、第九条五項で、経産大臣は認定再生可能エネルギー発電事業計画のうち省令で定めるものを公表するとして、認定事業者を公表することで、地方自治体が、法令等を遵守しているかを確認できるようにする、経産省は、地方自治体と連携して、法令等に違反するなど事業計画に違反しているという場合には指導助言、改善命令、認定取り消しも行うんだということを打ち出しておられます。

 これは、法案が施行される前に認定された案件にも当然適用していくことになるんですよね。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 新しい認定制度では、今御紹介がございましたように、事業計画の情報を公表する、それから事業計画に従って事業を行っていない場合には改善命令や認定取り消しができる仕組みということになっているわけでございます。

 過去に認定を受けている案件につきましては、先ほど来申し上げています接続契約締結済みのもの、運転開始済みのものについては、新認定を受けたものとみなしまして、その上で、事業計画を記載した書類を改めて提出していただくということになってございます。

 したがって、その提出していただいた事業計画の公表、それから事業計画に従って事業を行っていない場合の改善命令、認定取り消しについては、そういった新しくみなされた認定案件についても適用されるということになるわけでございます。

真島委員 これは非常に地方の皆さんにとって心強い改定だと思うんですね。

 経産省の方からわかりやすく御説明していただきましたけれども、自治体とFITで、自治体と経産省で悪質業者を挟み打ちにするんだ、法律を守っているかどうかというところで、それも事業計画の中に入っていますから、そういうことで正していくんだと。今まで本当にこういう事業者の乱開発とか横暴をとめる方法がなかったんですけれども、今回のこの改定は、これが大きな改善につながる可能性があるんじゃないかというふうに私は思っております。

 通告しておりませんが、ちょっと大臣にお聞きしますけれども、先ほど御紹介した九州の市長会が、先ほど言ったような要望を出されております。再エネ発電設備の立地に当たって設置事業者と近隣住民らの間で深刻なトラブルが広がっているということで、市長会がそういう要望を出されているということはまさしくそういう深刻な事態だと思うんですよ。

 だから、ぜひ、こういう改正をやったわけですから、経産省として、そういう紛争が起きている現地にどんどん出向いて調査をしていただきたい、そして、乱開発に苦しんでいる住民の皆さんに心を寄せた対応をしていただきたい。

 そういう現場に行ったら、こういう看板が出ているんです、経済産業省認定事業。悪質業者が大きな看板を出していて、住民の皆さんは、まるで経産省が後ろ盾になってその悪質業者がやっているみたいな印象を持っているんですよ。経産省の姿が全く見えないんです。いじめられているばかりで、その看板をもう本当に恨みに思って皆さん見ているんですよ。だから、本当にそういう現場に行って、そして心を寄せて取り組んでいただきたいと思うんです。

 大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 これを進めるに当たりまして、一部の自治体では条例を制定したり、あるいは再エネ事業を行うに当たり、自治体の同意やら地域住民に意見を聞くことを事業者に求めているところもあるというふうに認識しております。

 景観あるいは防災などの観点から、自治体や地域住民の同意が必要ということであれば、個別の景観保全や防災を目的とした法律や自治体の条例において対応すべきものかなというふうに考えております。

 FIT法においては、今般の改正において、土地利用規制や景観など、地域のルールを守ることを求めております。一方、地元住民の合意まで要件とすることは、再エネの利用の促進というFIT法の目的、趣旨に照らし、困難であるかなというふうに考えるところでございます。

真島委員 地元住民の合意までは今回のルールに入っていないわけなんですが、そういう事業者というのは、強制力がないからということで条例とかは全然守っていないですから。地方がせっかくつくった、今おっしゃったような条例というのは、そういう事業者をチェックする上で非常に役立つものだというふうに思います。

 最後に、配付資料七。

 これは逆に、温泉発電を、全国に先駆けて地域ぐるみの取り組みにしております長崎県雲仙市の小浜温泉の温泉バイナリー発電。これは私が昨年の九月に視察したときの写真などを掲載しておりますが、先ほどの別府の事例とは違って、発電機の騒音問題も考慮して、温泉宿からできるだけ離れた場所に設置をして、防音のための建屋もしっかりしておりました。

 FIT導入前からここでは何度か大手資本主体の地熱発電計画が持ち上がったんですが、その大手資本が温泉の新規掘削を要求したために、地元の大反対が起きて、中止になっています。

 その後、長崎大学から、未利用温泉水を活用したエコな発電をしようじゃないかという提案がありまして、地元の旅館経営者の皆さんに一年をかけた丁寧な説明を重ねて、二〇一一年に、旅館経営者、観光協会、商工会、県、市、長崎大学から成る協議会をつくった。この協議会で、環境省の委託事業による実証実験を一年間やって、さらに設備の管理を委託した民間事業者の皆さんと一緒に技術改善にも取り組んで、採算ベースに乗せるコスト削減を実現し、ここも接続保留の影響でおくれているんですが、九電に申し込んで、昨年の九月に売電を開始している。

 ここでは、発電以外にも、二次温泉水を浴用に使うとか、温室ハウスで活用するとか、魚の養殖に活用するとかいう多面的な活用も計画しておりまして、二〇一三年度は、全国から百八十二組、二千四百五十九名の視察を受け入れている。大臣にも、ぜひここを一回見に行っていただきたいと思うんです。

 このように地域との調和を図りながら地産地消でやっていくという再エネの導入を強く後押しする、そういう施策が今必要だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 我が省では、先導的な地産地消型エネルギーシステムの構築支援などの分散型エネルギー政策を進めているところでございます。

 例えば、地産地消型エネルギーシステムの普及を支援する事業において、事業者が地元自治体と連携しまして地域に根差した取り組みを進める場合に、より手厚い支援、今までは補助率二分の一でしたけれども、これを三分の二にかさ上げして行うなどの工夫を行っているところでございます。

 これからもそういった形でしっかり取り組んでまいりたいと存じます。

真島委員 時間が来ましたから終わりますけれども、この小浜温泉のプロジェクト全体をコーディネートしております小浜温泉エネルギーというところの佐々木裕事務局長という人は、長崎大学在学中、学生さんの時代から小浜に通い詰めて、二〇一二年の春からはついにここに移住して、もう骨を埋める覚悟でやっているという、地域に愛着を持った若者です。

 彼が言っていたのは、個人の収益のためではなく、協議会方式で町、地域主体で活用の道を模索した、売電はあくまでも一つの手段で、目的は町全体をどう盛り上げていくかということだった、これが成功の鍵だったと。

 こういう取り組みをぜひ力強く後押ししていただくことを強く求めまして、私の質問を終わります。

高木委員長 次に、木下智彦さん。

木下委員 おおさか維新の会、木下智彦でございます。

 きょうもお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 では、早速お話しさせていただきたいんですけれども、今回、FIT法ということで、再生可能エネルギーの割合を増加させていくためにこのFITというのは結構重要だということなんですけれども、まず最初に、再生可能エネルギーを我が国の中でどういう全体的な位置づけにしていくか。エネルギー計画というふうな面で見たら、どれぐらいの割合にするとか、そういうふうな話はあります。でも、私は、そこに本来とどまっていてはいけないのではないかというふうに思っております。

 それはなぜかというと、やはり、原子力の平和利用というふうなことがもともとはあったと思うんですね。日本が唯一の原爆被爆国というふうな状態の中で、原子力の有効利用、平和利用というのをしていこうということで考えられたのが原子力発電。その原子力発電で日本が世界をリードしていくような、そういう立場にかつてなろうと。それでリードしていって、日本の経済的な成功に導いていこうというふうな考えのもとに、もともとは原子力発電というのは考えられたと私は理解しているんですね。

 なおかつ、いつも、なぜ資源エネルギー庁が経済産業省の下にあって、経済産業省がこのエネルギー政策をつかさどっているのかなと。

 いろいろな観点があると思います。でも、一番大きなところは何かというと、やはり、産業をどうやって振興していくか、エネルギーをどうやって活用してやっていくのか、そういう観点が一番大きな役割なんだろう、だからこそ経済産業省がやられているんだ、私はそういうふうにして思っているんです。

 やはりそういう観点で再生可能エネルギーを捉えていくべきなんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、ちょっと冒頭であれなんですけれども、大臣、私の今の理解で正しいかどうか、大臣と認識が合っているかどうかという部分でお話しいただきたいんです。お願いします。

林国務大臣 冒頭申し上げますと、認識は同じでございます。

 再エネの導入拡大は、エネルギー政策上重要であると同時に、今、先生御指摘のとおり、雇用の創出や経済活性化など産業政策の観点からも意義が大変大きいというふうに思います。

 経産省としても、我が国の太陽光関連産業の国際競争力を高めていくための取り組みを今進めているところでございます。

 具体的には、世界最先端の太陽電池、つまりパネルですね、この開発や、蓄電池の低コスト化のための研究開発に官民挙げて今取り組んでいます。また、IoTを用いました高度なエネルギーマネジメント技術などによりまして、分散して存在する太陽光発電や蓄電池の最適制御技術の高度化に今取り組んでおります。メンテナンス人材の育成など、コスト競争力と長期信頼性を兼ね備えた太陽光発電産業の育成を図っているところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、我が国の太陽光関連産業が国際競争力を持つように支援を行ってまいりたいというふうに考えています。

木下委員 ありがとうございます。

 そうなんですよね。太陽光パネルなんかは、高度な技術というのを日本で、我が国でやはり開発していかなきゃいけない。それから、蓄電池の話もされました。そういうクオリティーの面というのはすごく重要なのかなと。そうやってやらないと、もう既に中国なんかでつくられている太陽光パネルに、値段の面で見たら絶対勝てないと思うんですね。

 そういう状態になってしまっている中で、やはり日本の生き残る道というのがどういうものがあるかということなんですけれども、今言われたようなクオリティーという部分が相当重要ということは理解できるんです。

 ただ、これも、私は、もろ刃の剣と言ってしまってはなんなのかもしれませんけれども、相当ここも難しいことは難しいと思うんです。

 なぜならば、前回の一般質疑でシャープの件をちょっとお話を聞かせていただきましたけれども、液晶パネルなんかは日本はクオリティーも高かったんですね。ただ、そのかわり、あれがだんだんコスト集約的な製造過程に世代がかわるごとに、世代というのは、要はパネルに世代があるんですけれども、その世代がかわるごとにどんどんそうなっていってしまって、日本が取り残されてしまった。

 こういう技術に関しても、そういうことは起こり得ると思うんです。ましてや、世界的にも、こういう再生可能エネルギーに関しては各国いろいろな形で振興策をとっていますので、そういうことは十分考えられる。

 だから、ここは非常に難しいところだけれども、やはりそれを考えたら、長々と話しますけれども、我が国のエネルギー基本計画、これは、第一は安定的なエネルギーの供給であったりとかそういうことを主眼に書かれていて、いろいろな割合であるとかそういうことも書かれている。でも、もっと大きな意味で、我が国の産業振興のためにはこういうことが必要で、そのためにはこういうエネルギーを、こう力を入れてやっていくんだ、こういうこともあわせてエネルギー基本計画の中に書いちゃっていいんじゃないかなと私は思うんです、次回以降。それぐらいのことをしないと、私はインパクトがないと思うんです。

 中国なんかは、こうやって太陽光パネルのコストが下がっています。それ以外にも、ドイツなんかは風力にすごい力を入れられていますね。ジーメンスなんかを国策であるかのように担ぎ、どんどん進めていっている。

 では、我が国は実際そういうことというのは何があるのというふうに言っても、国会議員の皆さんもそうだと思いますし、そうでない人もいらっしゃると思う、しっかりわかっていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、一般の人なんかは、我が国は世界でどういうふうなところで再生可能エネルギーで技術的に優位性を保っているのか、どう思うかというふうに聞いて、何と何と何と答えられる人はなかなかいないと思うんです。

 確かに、力を入れて蓄電池を今やっているようだよとかというのはあります。でも、例えば、自動車の世界だったら、世界のトヨタだとか言われるわけですよ。三菱自動車はちょっと今大変なことになっていますけれども。そういうことが言えるような、そういう産業をやはりこのエネルギー政策の中でつくっていくことが一番重要なことなんじゃないかなというふうに私は思うんです。

 そういった観点で、大臣に、私の認識が間違っているかどうか、もうこれだけなんですけれども、もう一度聞かせていただきたいんです。お願いします。

林国務大臣 先ほども答弁させてもらったんですけれども、先生の考え方が間違っていると大それたことは申し上げませんで、やはり日本の技術を生かして、それで産業を興すという基本的なことにつなげられるということには私も同感でございまして、大いに取り組んでいきたいなと思っております。

木下委員 その点について、もうどんどんお話になってしまって大変申しわけないんですけれども、参考人でいろいろな方々が来られて、いろいろお話を聞いていたんです。そうしたら、元経産官僚の方が参考人でいらっしゃいまして、石川さんとおっしゃる方だったんですけれども、その方がいろいろ言われていたんですね。

 その中で、再生可能エネルギーは非常に重要だ、それと同時に、やはり再生可能エネルギーというのは変動性が高いので安定する電源をちゃんと確保しなきゃいけない、ベースロード電源というふうな形でまず本来だったらあるべきなのは原子力発電だ、その両輪がうまく回っていきながら、ただ、いずれ原子力発電はいつか近い世の中でなくなっていくだろう、ただ、一旦それを再稼働させることをしなければ日本の資産がどんどん海外に流れていく、これをしっかり食いとめなきゃいけないんだというふうに彼は言われていたんです。

 それは、うん、すごくいいなと私は思いました。そういう意味ではいい。ただ、それを実現するためにどれぐらいのコストがかかるのかというふうなことで、私、聞かせていただいたんです。いや、わかります、非常によくわかる、理想的にはそういうふうになればいいと思います。ただ、原子力発電を再稼働させる、今再稼働をいろいろされています、その中でどれだけ実際にコストがかかっているのかというと、電気料金は安いだとかいろいろな話はありましたけれども、でもそれ以外のコストがあるでしょうと。やはり、言っちゃあれですが、狂信的に反対だとおっしゃられている方もいらっしゃいます。それは何でかというと、不安というのがあるからだと。では、その不安を解消するためのコストというのはどれぐらいかかるのか、これは今の現実としてはかり知れないですよねと。

 経産省も、先日かな、大阪と神戸で最終処分地のお話をされたようですけれども、ああいうことを全国でこれから先やっていかなきゃいけない、そうやって選定をしていかなきゃいけない。本当に、地域住民も含めて、自治体も含めて賛同を得られるかというと、これは相当難しいと思います。

 そういうコストも全体的に考えたときにどうなのかというふうな意味合いで、では、実際にそういうことというのはどうやったら実現できるんですかとその参考人の方に聞いたんですね。そうしたら、何と言われたかというと、最後は心と心の触れ合いだと言われたんです。政治、行政のそこの手腕が一番期待されるところだと。

 私は思ったんですね。確かにそうだと思うんです。でも、心と心の触れ合い、実際、現実感があると思いますか。それで何とか乗り越えられると思いますか。大臣、どう思われますか。僕は難しいと思いました、正直。正直難しいと思ったんですけれども、大臣はどうでしょうか。

林国務大臣 物事全てが心と心との触れ合いで解決するかどうかはちょっと難しいかもしれませんけれども、物によっては十分そこは理解できるのではないかというふうに思います。

 ただ、では原子力に対してもそうかと言えば、やはり一つ一つ丁寧に理解を求めていくことしか今の段階はないのではないか、それを基本にして理解を深めていくということだろうというふうに理解しています。

木下委員 ちょっと答えづらい話を聞いてしまったんですけれども、でも、本質はそこだと思うんですよ。

 このFITの法案からどんどんずれていっているところもありますけれども、再生可能エネルギーを何とかしよう、何とかして進めていく、それで今のエネルギー政策全体を本当に回転させるようにしようと思ったら、そういったことを本当に一個ずつ潰していくしかないんだろうなというふうに思ったので、まずこういうふうなお話を聞かせていただきました。

 そういう流れがあれば、私はこの話はすごく簡単だとは思っているんです。

 ただ、その話をする前に、もう一個質問を忘れていたので、ついでで聞かせていただきます。

 産業政策の中で、産業振興策、もっとどんどん進めていけばいいよねというふうなお話をさせていただいたんですけれども、その中で、我が国が本来やるべきなのに余り力が注がれていないんじゃないかなというふうに思っているところがありまして、それが送電網の整備です。

 これはなぜかというと、二年ほど前ですか、私もドイツの方にこの委員会から視察で派遣していただきまして、行かせていただきました。

 それで、いろいろ話を聞いていると、彼らの場合は風力発電をどんどん進めている。その中で、北部地域と南部で発電の割合が大分違ったりとかする、風がずっと起こっているところと全然とまっているところとあるので。そういうことを解消していくということをうまくやれば、要は、発電の量の変動が少なくなるということのようなんですね。

 そのために、彼らは莫大な予算を組み立てて、送電網を整備していこうと。私が聞いたときに、幾らと言っていたか、二百兆円とかいうぐらいの金額を言っていたような記憶があるんです。ちょっとこれは定かではないのであれなんですけれども、それぐらいの金額を言っていた。

 我が国の場合はここがやはりちょっと少ない、島国だからという部分はありますけれども。例えば、北海道から首都圏に対して、特に、普通の送電網じゃなくて、これは直流送電、直流の送電線、こういったものももう少し研究開発をしていくべきなんじゃないか。何か、直流の送電線というのは、うまくやれば減衰もすごくなくて、非常に効率的にできるんじゃないかというふうな感じのことを言われているんです。こういったところももう少し進めていくべきなんじゃないか。

 というのは、これから先、現実問題あるかどうかわかりませんけれども、島国であるから、ヨーロッパの場合はそうじゃなくて、よそとのやりとりができるからと言っていますけれども、この技術をうまくやれば、大陸側としっかり結んでいくことだってできると思うんです。そういったことに対する研究開発を、やっているんだろうと思うんですけれども、もう少し大きく掲げてやっていくということはできないのかなと思ったので、そういった質問をさせていただきたいんです。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 再生可能エネルギーを入れていく上でも、そのほかの電力システムの安定という意味から見ても、系統整備を進めていくというのは大変重要な課題だと思っております。

 きょうの質疑の中でも出ておりますけれども、一方で系統整備は大変時間とお金がかかる問題でございまして、きちっと計画を立てて、中長期的な方針に基づいて、計画的に着実に進めていくということでございます。今、電力の広域的運営機関というのができておりますけれども、こちらで電力の系統の長期方針というのを策定している途中でございます。こういったようなものをつくりながら、しっかりと取り組んでいくということだと思います。

 それから、今お話にございました、新しい系統のコントロールの仕方、あるいは新しい送電の仕方、直流送電というようなことも含めて、そういったような新しい技術にチャレンジしていくということもまた重要でございまして、これも御明察のとおりでございます。我々としても、既にそういった技術開発等々に取り組んでいるところでございますけれども、今後とも、しっかりそういったものを、先進的なものを取り入れていける、そういったような環境をつくっていきたいというふうに思っています。

木下委員 大変お金がかかるということなんですね。

 やはりそこは難しいところですけれども、お金がかかるということは、他国でも同じようなことをするとお金がかかるということです。となれば、日本がそういった技術をしっかりと持っていれば、外に対して、これはインフラですから、どんな発電方法であったとしても、この送電部分については、技術をしっかり持っていて、コントロールすること、マネジメント、コンサルテーションも含めてできるのであれば、これはすごいビジネスチャンスになると私は思っていますので、ぜひとも、そういった観点でこういうことを進めていっていただきたいなと思いますので、よろしくお願いします。

 次のお話をさせていただきます。

 次は、再生可能エネルギーはもう一つの役割があると思っているんです。もう一つの役割といいながら、これも経済産業省的な役割だと思っているんですけれども、これは何かというと、分散型電源として、やはり地域との共生という部分です。

 地産地消とよく言われている部分なんだと思うんですけれども、実際に発電したところと近い地域で、さっきは電線の話をしましたけれども、逆に、近い地域でそういうふうなことができると、地域の経済政策として非常にこれは有効な政策になるんじゃないかなと思っているんです。今回、法案の中にもそういったこともちょっと書いてあるところもあったりとかして、非常にそういうところというのは必要なのかなと。

 エネルギーじゃなくてもやはりこういうことというのはすごく重要だなと思ったのが、実は、この連休中に、私は地震のあった熊本に一人で行ってきたんです。熊本に行って、ずっと一人で、熊本でレンタカーを借りられなかったので福岡で、博多でレンタカーを借りまして、高速に乗って、被災地の本当にど真ん中をぐるぐる回って、いろいろな人と知り合って、いろいろな話を聞いてきました。

 そうしたら、一般のボランティアの方で一人会った方が、農業をやられている方、まだ三十代中盤の方だったんですけれども、その人は、お父さんもお母さんも、一家の誰も農業をしていなかったらしいんです。ただ、日本の農業を変えたいという思いがあって、自分でやられた。それで、今ボランティアをしていて、自分のつくった米を一般の民間の避難地の人たちに炊き出しで出していたりとかして、私も一緒にカレーライスをつくって出したりとかしてきたんです。

 その人が言っていたんです。これから先、復興というのは物すごく長い間かかるでしょうと。でも、本当に復興になるのは、彼は自分で近くで米をつくっているからというのもあるんでしょうけれども、自分たちのところでつくったものをちゃんと自分たちのところで消費して、その上、ちゃんと外にも売れる、そういうふうなサイクルがないと、幾ら物がないからといって外から支援物資だというふうにしてやっていても、これから早く抜け出していかなければ復興という道筋は立たないだろうというふうに言われていたんです。これが、熊本が復興するというよりも、もっと大きく花開く、そういった町に逆にこういった震災をばねにやっていく、そういう力にしたいと思っている、だから何かあったら協力してくれと、すごく切々とお話をされたんです。

 長くなっちゃいますけれども、そういう話を聞いていて、特にやはりこれは重要なのかなと。再生可能エネルギー、まず最初に産業政策としての再生可能エネルギー、そして、それが地域にも貢献できる再生可能エネルギー、そういう形になるべきなんじゃないかなというふうに私は思うんです。

 そこで、ちょっと聞かせていただきたいんです。

 分散型の電源としての再生可能エネルギーは重要です、地域主体の投資を促すことで地域経済の活性化に資するものだというふうに言っているんですけれども、太陽光は初期のパネル投資を行ったら終わりじゃないんですね。その後のメンテナンスもしっかりと行うことが重要だということで、そういったメンテナンスを実行するために、各地域で再生可能エネルギーをサポートするような事業や産業というふうなこともやっていくことというのはあるんじゃないかなと思うんです。

 例えば、発電効率が変わりますから、ほこりがあったらちゃんときれいに掃除してあげるとか、メンテナンスをするだとか、そういったものは地域にある人の雇用につながってくるんだろうというふうに思っているんですけれども、政府では、そういったことに対する取り組みはやられているんでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに御指摘のとおりでございまして、今回の改正法案で新しい認定制度を導入するわけでございますが、この中で、例えば、単につくるだけではなくて、その後の保守点検、こういったようなことをちゃんとやって、発電量の維持に努めるということも発電事業者に求めていきたいというふうに考えているわけでございます。

 そうなりますと、当然のことながら、メンテナンスをするということが必要になってまいりまして、これが地域での新しい雇用であったりあるいは仕事をつくっていくという意味で大変重要なポイントになってくるのではないかというふうに思っております。逆に、そういったサポート産業が各地域に整備されないと、ちゃんとメンテナンスをするといっても、それは絵に描いた餅になってしまうというところがございます。

 経産省としましても、まさに地方自治体あるいは関係の業界とも連携いたしまして、こういった地域において、そういったサポートサービスを提供できるような産業というのを育てていくとか、こういったようなものに取り組んでまいりたいと思っております。

 一つは、例えば、発電事業者向けに、こういうメンテナンス、こういうような取り組みが必要だというようなガイドラインをつくるでありますとか、あるいは、施工やメンテナンスをきちっとできるような事業者のデータベースをつくって提供していくとか、そういったような形。役所のガイドラインがいいのか、あるいは業界のガイドラインがいいのか、いろいろなやり方があると思いますけれども、そういったようなやり方で、ぜひそういったサポートのサービスを地域につくるというような取り組みを進めてまいりたいというふうに思っております。

木下委員 そうなんだと思うんですね。そういった雇用につながるようなこと、それで地域の産業、経済に貢献するようなこと、これは重要だなと。

 なぜそれを言うかというと、逆のパターンもあるんですよね。どこかの会社が、今まで緑のあったところを、木を伐採して太陽光パネルをばっと並べた。そういうことによって景観が問題になったりするわけですよ。それで自治体とトラブルがあったりとかする。しかも、そういうところに限って、設置はしたけれども発電していないとか、設置は形だけ一応とっているけれども誰が何をやっているのかわからない。そういうことが起こっているから、今回のこの法案につながっているんだろうなというふうに私は思っているんです。

 逆に、今言ったように、そういうところに対するメンテナンスとかに地域がちゃんと絡めるようにしてあげれば、そこでちゃんと可視化されますし、しかも、それが地域への貢献につながるだろうというふうに思っているんですよ。私は、そういうことを考えてそういう取り組みをやるべきだというふうに思っているんです。

 そういった観点で政府としてはどんな対策を講じられているのかな、そこをちょっと教えていただきたいです。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 正直申し上げて、今、その取っかかりとなる制度構築ということで法案を提案しているという状態でございますが、実際、一部のこういったメンテナンス等を実施されているような事業者の方、業界関係者、あるいはこういうことに熱心に取り組まれている自治体の方との意見交換をスタートさせておりますので、この法案が成立した暁には、そういったようなメンテナンス体制を各地で整備するような取り組み、どういったような取り組みがあるのか、これを鋭意進めてまいりたいというふうに思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 こういうこともちゃんと進めていっていただいて地域に貢献するように、よろしくお願いします。

 では、本題というのか、FITに関してなんですけれども、FITは、要は、私が思っているのは、再生可能エネルギーはやはり今はコストが高いですよね、初期コストが。その初期コストを何とか抑えていって、そうすれば、資源としては、ゼロ円と言ったらあれですけれども、もともとは再生可能なものを使うわけですから、何かオイルを輸入してきてやるとかそういうものじゃないから、それが回っていくまでの間にやる、こういったものをFITと言っているんだと思うんです。

 ということは、逆に言うと、いつかはこういう制度はなくなるというふうに私は理解しているんです。でも、本当になくなるのかな、どうなのかな、いつまで我慢していれば夢のような世界が来るのかなと私は思っているんです。

 これは、実際に、過渡的なものであって、市場拡大がちゃんとなされて適正な価格に素の状態でなれば、このFITはなくなるということでいいんですか。

林国務大臣 木下先生御指摘のとおりなんですが、言ってみれば、中長期的には再エネ導入が進んで十分な低コスト化が実現するということで、FIT制度から自立した形で導入が拡大していくということを目指しております。

 本法律案においても、中長期的な価格目標の設定、入札制などの買い取り価格決定方式の採用などを盛り込みまして、将来の自立化に向けたコスト効率的な導入を促すということにしているわけでございます。

 低コスト化、高効率化のための技術開発にもあわせて取り組んでまいります。再エネの自立化を進めていく考えでございます。

 一方、先ほどから先生が申し上げているように、地方に対しても、分散型エネルギー、地域の特性に合わせた形で普及拡大を図るというのは非常に大事だろうというふうに思っておりまして、今、その役割が大きく期待されているわけでございます。

 経産省としても、先導的な地産地消型エネルギーシステムの構築支援ということで、今、分散型エネルギー政策を進めているところでございます。例えば、普及のための支援をする事業において、地元自治体と連携しまして、支援を、今までは二分の一の補助率だったのを三分の二にかさ上げして行うといったことなども進めているところでございまして、しっかり支えていきたいなというふうに思っております。

木下委員 ありがとうございます。ぜひ、よろしくお願いします。

 ちょっと私が質問した方の話にもう少し戻りたいんですけれども、要は、いつまで我慢していればいいのかなと思ったら、なかなかそうはいかないと。そうなんだと思うんです。

 なぜならば、さっきもシャープの液晶の話をしましたけれども、今の投資で一番高効率のものに対して適用される、初期コストが高いから。どんどん技術開発をしていって、もっと効率の高いものが生まれていかなきゃいけないはずなんですね。しかも、そういったクオリティーをちゃんと保ったような、そういう技術こそが世界に名立たる日本の商品、日本の技術だというふうに、まあ最初に言った話とつながってくると私は思っているんですね。

 そうしないと、そこらに太陽光パネルを設置したから、五年もつか十年もつかは知りません。でも、どんどん新しいものが出てきて、また新しい投資が生まれていく。それを、このFITをずっとそういうものに対してやっていると、いつまでたっても実際にそのコストが電力料金として消費者の負担になっていってしまうんですよね。

 でも、今のままそうやってやっていると、そういうことはあり得ると私は思っているんです。だから、どこかで、どういう形で収束させていくのか、どこまで技術を追っかけていって、どこまでにそういった形のFITみたいなものを導入していくのか、これは早く決めなきゃいけないと思っているんです。

 今はこれでしようがないと思うんです。とにかくもっと目標値に、再生可能エネルギーの割合をちゃんと決めているような形まで持っていくことは重要です。でも、そこから先も含めて考えたとき、もしくは、そこにもうちょっとでといったときにあと一回カンフル剤を打つ、あり得るかもしれないです。

 でも、どこまでやっていくのかということは、私は、これとは並行してちゃんと議論するべきだというふうに思っているんですけれども、今、政府としてそういうことも含めて考えられているのかどうかということをお願いします。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 まさにFIT、あるいはFIT後も照らしてどういうふうに進んでいくのかということでございます。

 今回の改正におきまして、FIT後までということにはならないわけでございますが、一つは、中長期的な価格目標を設定するというような形で、やや中長期的な将来を見ながら、こういったシナリオでコストを下げていくんだ、それはある意味、自立していくんだということとほぼ同義だと思っておりますけれども、そういったシナリオを書いていくということは一応法律の一部になっているわけでございますが、おっしゃるように、この法律以外のところでどう自立の絵を描いていくのか、そのときそれを支える産業の姿はどうなっていくのかということはあわせて議論をしていく必要があると思っております。

 まさにこの法律を運用する中で、そういった議論も念頭に置いてしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。

木下委員 まだまだこれは多分議論が必要なんだと思いますので、そういうこともちゃんと念頭にある、その上で今回の法案だという位置づけであればいいんだと私は思っているんです。

 ただ、これは、本当に真剣に議論していかなければ本当の意味でのエネルギー基本計画というのは達成が難しいんじゃないかなと思っておりますので、大臣も、そこにぜひとも主導的な立場でおつき合いいただきたい、こういうふうに思います。

 では、最後、今まで話した側面とは全然違うんですけれども、今回の法案の中で未稼働案件への対応といったものがあると思うんです。

 何かというと、認定を受けていながら稼働していないような、さっきもちょっと言いましたけれども、過去の認定案件、これは相当厳しく対応していくべきだと私は思っているんです。

 今回の法案でいろいろ書かれているんですけれども、実際にどういうふうな取り組みになっていくのかということ、この概要をお話しいただきたいんですけれども、お願いできますでしょうか。

日下部政府参考人 未稼働案件に対する対応です。

 一つは、未稼働案件がなぜ生じたかということをもう一度振り返ってみると、現行の認定制度は接続契約を締結する前の事業計画の初期の段階で認定を取得することが可能となっていたということが、この未稼働案件を生む大きな背景になってきたと考えております。

 したがって、新しい法律では、新たな認定制度を設けて、接続契約の締結など、事業の実施可能性を確認した上で接続認定を行うという制度に変えることによって、未稼働案件のさらなる発生を防ごうというふうに思っております。

 同時に、既に発生している既存の未稼働案件なんですけれども、これに対しては、既存の認定案件についても原則改めて新制度での認定の取得を求めることによって、既存の未稼働案件のうち、実際上事業の意思のあるものについては救われますけれども、そうではないものについてはもう一度一からやり直してもらうという形で整理をしていく、こういうふうに考えております。

木下委員 そうなんですよね。既に持っていた人というふうに言っておきながら、認定を取得していた人、でも実際やっていないんですよね、そういう人たちも。

 この法案だったら、今考えているのだと来年の四月一日からという形になるから、この法案が通ったとしたら、新たな認定を取得できなかった場合はもともとあった認定は失効するということになるんだと。うなずいていらっしゃるから、そうだと思うんです。

 でも、そうしたらどうなるかというと、保持していたもともとの買い取り価格、それの権利も失うことになってしまうということだ。まあ、そんなのは私はいいと思っているんです、だってやらなかったんですから。

 でも、いろいろと言う人はいるんですよね。いろいろと教えていただいたんですけれども、見ていると、やはり、憲法上保障されているような財産権の侵害に当たるんじゃないかというふうなことを言う人もいらっしゃる。

 でも、そうはいっても、認定を受けた後、長い期間持っていたわけですよ。そんな人たち、そんな人たちと言っちゃあれかもしれないですけれども、それで空押さえしたりしているわけですから、やはりここはちゃんと毅然とした態度で臨まなきゃいけないんじゃないかなというふうに私は思っているんです。

 ここは、ちゃんとそういうことを考えて取り締まりというのか、毅然とした態度で臨んでいただけるんですか。そこだけ最後にお話しいただいて、終わりたいと思います。

日下部政府参考人 未稼働案件の方々に対する扱いは、一方でわかりやすく仕組みをつくっていく必要があると思っています。

 したがって、先ほど申し上げましたように、今は未稼働案件なんだけれども、これから実際に発電が始まるだとか、あるいは実際に接続契約に至ったという方については、新しい認定制度のものだというふうにみなそうと思っていますが、そこまでたどり着かなかった方々については、申しわけないですけれども、今まで取得した権利というのは失効する、わかりやすく言えばそういう形で処理をしていきたいというふうに考えております。

木下委員 割とはっきりとおっしゃっていただいたので、ぜひともそういう形で進めていく、そのためにはちゃんとしたアナウンスも必要だと思いますので、そういうことも忘れずに進めていっていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

高木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 この際、本案に対し、真島省三さんから、日本共産党提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。真島省三さん。

    ―――――――――――――

 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

真島委員 私は、日本共産党提出の修正案について、その提案理由及び趣旨を御説明いたします。

 二〇一二年七月にスタートしたFIT制度は、それまで、RPS方式により、電力会社に対し極めて低水準の新エネ利用しか義務づけてこなかった我が国にとって、まさに画期となる制度となりました。このもとで二千五百万キロワットを超える再エネの導入が進んだことは、FIT制度が再エネ導入促進策として大きな役割を果たしてきたことを示しています。

 今後、再エネ導入を加速するためには、一般送配電事業者に接続義務を果たさせることと系統増強の義務づけが不可欠です。しかし、政府案にはこの点についての踏み込んだ措置は講じられておりません。

 そこで、政府案の問題点を解決するとともに、制度上の不足を補い、運用上の問題を是正するために、この修正案を提出することといたしました。

 以下、要旨を説明します。

 修正案の内容は、第一に、政府案では削除するとされておりますFIT法第五条の、いわば優先接続を義務づける規定を維持するものです。

 第二に、一般送配電事業者の系統拡張義務を新設し、接続保留の問題を起こさないよう、系統増強を初めとした措置を講ずることを義務づけます。

 この二点の修正により、再エネ発電により生み出された電気が確実に系統に接続され、供給されます。FIT制度があるが使えない現状を打開するものになると期待しています。

 第三は、今回新たに導入される入札制度をあくまで試験的、限定的な導入にとどめるための修正です。そもそも、一定の導入量を低価の落札者から調達する入札制度は、全量を固定価格で買い取るFIT制度の根幹を本質的に変えるものになりかねません。また、地域密着型・中小規模の再エネ事業者の参入を阻害するとの懸念の声も多く寄せられていることから、対象電源を大規模太陽光に限定するとともに、入札業務を行う指定入札機関に関する規定を削除することといたしております。

 第四は、一般送配電事業者への系統拡張義務づけに伴う国民負担の軽減と、原発から再エネへの転換を図るために、電気料金に上乗せされている電源開発促進税を再エネ設備の設置や系統増強費用に充てること等、再エネ電気の利用拡大に係る財源について速やかに検討を行い、所要の措置を講ずるものとするものです。

 委員各位の御賛同を賜りますようお願いを申し上げ、私の提案理由説明といたします。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。藤野保史さん。

藤野委員 私は、日本共産党を代表して、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案に対し、我が党提出の修正案に賛成、修正部分を除く政府原案に対し反対の立場で討論を行います。

 二〇一二年七月にスタートしたFIT制度は、再エネ導入促進策として一定の役割を果たしてきました。しかし、再エネの割合はまだ全体の三%にすぎません。今求められているのは、再エネ導入をさらに強く後押しするための改革です。ところが、本法案は逆に、一般送配電事業者の主導性を一層強め、再エネの導入を抑制する中身になっており、容認できません。

 反対理由の第一は、FIT制度の根幹である接続義務規定を削除するものだからです。

 第五条の接続義務について、経産省は、FIT法制定時には、接続要請は原則全て受ける、省令の例外規定により拒否されるケースは極めてまれと答弁していました。

 ところが、系統容量の不足を口実とした九電ショック以降の接続保留により、FIT制度があっても使えない事態がもたらされました。経産省は、この事態に対し、接続義務を果たさせる責任を投げ捨てて、再エネの接続可能量の算定を電力会社に委ね、無制限、無補償の出力抑制を容認したのです。その結果、法律による義務づけが省令で骨抜きにされる、まさに脱法的な省令改正が行われました。

 この対応への反省もなく、いわば優先接続規定とも言える本条項を削除したらどうなるか。再エネ導入のブレーキとなることは明白です。

 反対理由の第二は、FITの買い取り対象となる事業者の認定制度をこれまでの設備認定から系統連系契約後の事業認定に変更することにより、一層、一般送配電事業者主導の仕組みとなるからです。

 再エネの導入が進んでいるヨーロッパの例を見ても、FITのような導入促進策と系統システム強化対策を両輪で進めることが不可欠であり、その方向にこそ踏み出すべきです。

 反対理由の第三は、対象となる電源や規模を明示しないままで入札制度を導入することが、地域密着型・中小規模の再エネ事業者の参入を阻害しかねないからです。

 日本共産党は、二〇三〇年に四割の再エネ目標を達成するために、再エネより原発を優先する仕組みを見直して、市民、地域主体の地産地消の取り組みを後押しする施策の実現に全力で取り組みます。その決意を表明して、反対討論といたします。(拍手)

高木委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、真島省三さん提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、山際大志郎さん外三名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ、公明党及びおおさか維新の会の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。升田世喜男さん。

升田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 再生可能エネルギーについて、国民負担を抑制しつつ、持続的かつ最大限の導入を進めていくとともに、中長期的には固定価格買取制度に依存しない自立的な導入を目指すため、既存の再生可能エネルギー発電設備の高効率化・低コスト化や、新たな再生可能エネルギー源利用に向けた技術開発・実用化支援、更には規制改革等の環境整備に総合的に取り組むこと。また、今後のエネルギーミックス及び温室効果ガス削減目標の見直しに当たっては、こうした取組の成果を的確に反映すること。

 二 入札の実施については、経済産業大臣の判断基準を明らかにし、調達価格等算定委員会で入札が適当と判断するに至った審議経過を明らかにするとともに、まずは対象を大規模太陽光発電に限定し、入札の効果に関する検証を行った上で、その結果を公表すること。また、地域主体の事業者など幅広い事業者が応札することができるよう運用の工夫を行うこと。

 三 我が国の国際競争力の強化を図る観点から、電力多消費産業への賦課金減免制度を確実に維持し、真に必要な産業が現行と同様の措置を受けられるよう制度設計を行うこと。

 四 再生可能エネルギー発電事業の適正な実施を担保するため、既に運転開始している案件も含め、地方自治体とも連携しつつ、安全規制や立地規制などの他法令の遵守の徹底や認定情報の公開に取り組むこと。特に、太陽光発電設備については、安全上の問題に対処するため、認定基準や関係法令の遵守状況等の観点で不適切な事業者に対しては認定の取消等、厳正に対処すること。また、安全管理上の事故が発生している太陽光発電設備の保安規制については、公衆安全並びに作業安全を確保する観点から強化を図ること。

 五 風力や地熱、中小水力、バイオマスといったリードタイムの長い電源については、導入が十分に進んでいないことから、実態を踏まえた上で、複数年度にわたる買取価格の設定を行うとともに、環境アセスメントの短縮化などの規制改革、送配電事業者への系統接続の早期化などの環境整備に取り組むこと。

 六 電力系統の整備のあり方や費用負担については、系統整備コストの負担に留意しつつ、諸外国の取組を参考に更なる検討を行っていくこと。さらに、再生可能エネルギーの効率的な導入の観点から、地域間連系線運用ルールの見直しや系統利用情報の随時開示も含めた更なる開示等の検討を行うこと。また、系統への接続について、経済産業省と電力広域的運営推進機関が適切な監視を行うとともに、再生可能エネルギー発電事業者に対する不当な接続拒否が発生しないよう基準を明確化すること。

 七 再生可能エネルギー発電事業者の予見可能性を確保する観点から、国が出力制御の運用についての考え方を示すとともに、出力制御の状況について監視し、適切な情報開示を行うこと。

 八 再生可能エネルギーの最大限導入に加え、分散型エネルギーの導入促進や地域活性化への貢献の観点から、再生可能エネルギー熱、未利用熱の利用への支援や、自治体による分散型エネルギーシステムの構築に向けた取組の支援を抜本的に強化すること。

 九 新たな認定制度への移行に当たって、旧認定の取消や失効を含めた認定判断はすべて政府の責任において行うものであることに鑑み、関係事業者及び国民各層に対し、改正内容の説明を丁寧に行うこと。また、買取義務者の変更に当たっては、経過措置により新旧制度が併存されることに伴う関係事業者の負担に配慮すること。

 十 今後の固定価格買取制度の詳細設計や運用に当たっては、公平な競争環境の確保を図るとともに、再生可能エネルギーの増加と電力安定供給の確保を両立するため、調整電源の固定費回収等の課題について検討を進めること。

 十一 二〇一九年十一月以降に買取期間が終了する住宅用太陽光電源については、当該電源が、エネルギー供給の一翼を担う自立した電源として長期安定的な発電を継続していくことができるよう、必要な措置の検討を進めること。

 十二 今後の再生可能エネルギーの導入拡大の下で、エネルギー間の公平な競争環境を確保する観点から、再生可能エネルギーの導入がエネルギー自給率の向上や環境負荷の低減など国民全体の利益につながる点を勘案し、電気の使用者のみが費用を負担するのではなく、広く負担することも含め費用負担の在り方等について検討を進めること。

 十三 本制度を導入した諸外国においても、近年は課題が顕在化する都度、適宜、制度見直しを行うことで国情に応じた再生可能エネルギーの支援制度になるよう努めており、我が国においてもエネルギーミックスの達成状況も確認しながら、不断の検証を行い、必要に応じた見直しを行うこと。

以上であります。

 附帯決議の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 終わります。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、林経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。林経済産業大臣。

林国務大臣 ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

高木委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

高木委員長 次回は、来る十三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十八分散会


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