衆議院

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第11号 平成28年5月13日(金曜日)

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平成二十八年五月十三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高木美智代君

   理事 神山 佐市君 理事 佐々木 紀君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 田中 良生君

   理事 山際大志郎君 理事 伴野  豊君

   理事 升田世喜男君 理事 富田 茂之君

      青山 周平君    穴見 陽一君

      石川 昭政君    尾身 朝子君

      大見  正君    岡下 昌平君

      梶山 弘志君    勝俣 孝明君

      門山 宏哲君    塩谷  立君

      鈴木 隼人君    関  芳弘君

      平  将明君    武村 展英君

      寺田  稔君    冨樫 博之君

      根本 幸典君    野中  厚君

      福田 達夫君    星野 剛士君

      三原 朝彦君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    山口  壯君

      大畠 章宏君    落合 貴之君

      近藤 洋介君    田嶋  要君

      中根 康浩君    本村賢太郎君

      中野 洋昌君    藤野 保史君

      真島 省三君    木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣       林  幹雄君

   内閣府副大臣       冨岡  勉君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            齋藤 通雄君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 金子  修君

   政府参考人

   (財務省国際局次長)   吉田 正紀君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       広畑 義久君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       三浦 正充君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           保坂  伸君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中山 隆志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           黒澤 利武君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          柳瀬 唯夫君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            片瀬 裕文君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          安藤 久佳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官) 吉野 恭司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    豊永 厚志君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 青木 由行君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            加藤 庸之君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 亀澤 玲治君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     根本 幸典君

  宮崎 政久君     鈴木 隼人君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 隼人君     門山 宏哲君

  根本 幸典君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     大見  正君

  門山 宏哲君     宮崎 政久君

    ―――――――――――――

五月十二日

 中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)(参議院送付)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局参事官齋藤通雄さん、法務省大臣官房審議官金子修さん、財務省国際局次長吉田正紀さん、厚生労働省職業安定局雇用開発部長広畑義久さん、農林水産省農村振興局農村政策部長三浦正充さん、経済産業省大臣官房審議官保坂伸さん、経済産業省大臣官房審議官中山隆志さん、経済産業省大臣官房審議官黒澤利武さん、経済産業省経済産業政策局長柳瀬唯夫さん、経済産業省通商政策局長片瀬裕文さん、経済産業省製造産業局長糟谷敏秀さん、経済産業省商務情報政策局長安藤久佳さん、資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官吉野恭司さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘さん、中小企業庁長官豊永厚志さん、国土交通省道路局次長青木由行さん、観光庁観光地域振興部長加藤庸之さん及び環境省大臣官房審議官亀澤玲治さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大見正さん。

大見委員 おはようございます。自由民主党の大見正です。

 きょうは二テーマ、質問をさせていただきたいというふうに思います。

 初めに、三菱自動車が軽自動車四車種の燃費試験データを不正に操作した問題について、質問をさせていただきたいと思います。

 燃費データが操作をされておりました三菱自動車名古屋製作所、これは愛知県岡崎市にあるんですけれども、選挙区でいいますと、経産委員会では民進党の中根康浩議員の選挙区でありますけれども、最寄りの駅というのは私の選挙区であり、実は私の自宅からは車で十分ほどのところでありまして、当然、関係する企業も大変近くにたくさんあるということで、関心を持っているところであります。

 ちなみに、関連の一次下請、仕入れ先というのは、生産拠点がございます愛知県が二百七十八社、岡山県が百五十六社、京都府が六十九社、岐阜県が四十六社あるということであります。普通車や大型車なども含まれておりますので、これらの企業全てに影響があるというものではないというふうに思いますけれども、いずれにしろ、愛知県には関連する企業が岡山県と同様に多く存在するということから、企業の皆さん方は今回の事案を固唾をのんで見守っているというのが現状であります。

 不正をされました経緯については、一昨日の記者会見でも、新たに軽以外の乗用車でも不正が発覚をするなど、全容解明や、その後の国の対応、三菱自動車と日産自動車の資本業務提携の今後など、信頼が失われた軽自動車販売が持ち直すまでには相当な時間がかかるというふうに思われます。

 自動車産業の裾野は広く、東京商工リサーチによりますと、三菱自動車及び同グループと取引があると見られる一次仕入れ先は千三百五十六社、総従業員数は約四十一万三千人に上り、同社と直接取引のある千三百五十六社のうち、資本金五千万円未満の中小企業は九百十三社、従業員数が五十人未満は八百八社と、大半を中小企業が占めているとのことであります。関連する下請の中小部品メーカーや個人経営のディーラー、中古車販売業者などへの影響は何としてでも最小限に食いとめなければなりません。

 三菱自動車は関係者への補償も検討しているというふうに聞いておりますけれども、メーカーの中には、補償時期が遅くなれば経営に影響するところも出てくるというふうに心配をしております。当面の資金繰りや雇用への影響が出ないように、国の対応もしっかりと求めてまいりたいというふうに思っております。

 この事案につきましては、石井国交大臣は、国の自動車審査の信頼性を根本から損なうもので、断じて許すことができないと強く非難をしているところでありますけれども、林経済産業大臣のこの事案に対する現時点での御所見をお伺いいたしたいというふうに思います。

 また、下請部品メーカーなどへの当面の資金繰りなどの対応についてと、その周知をどういうふうにしていくかということも、あわせて伺いたいというふうに思います。

林国務大臣 今回の三菱自動車の不正は、ユーザーの信頼を裏切ると同時に、取引先などにも影響を及ぼすものでありまして、まことに遺憾に思います。

 経産省としては、三菱自動車に対しまして、ユーザーや取引先、販売店などへの対応に万全を期すこと、そして事実関係、原因などの報告を行うことを指示いたしました。

 三菱自動車の取引先企業への影響を把握するため、職員を岡山県に派遣してヒアリングを行っておりますし、また地元自治体、岡山県、倉敷市と連携したアンケート調査なども進めているところでございます。

 一昨日、岡山県知事から我が省の北村政務官にも御要望いただいたわけでありますけれども、三菱自動車と取引関係がある全国の中小企業への資金繰りを支援するセーフティーネット保証につきまして、現在進めている調査結果を踏まえまして、必要と認められればできるだけ早期に適用するということにしたいと思っております。

 適用となれば、三菱自動車の取引先を含めた自動車部品業界、各地の中小企業団体、信用保証協会などさまざまなルートでこの制度の周知を図りまして、取引先企業への資金繰り支援に万全を期してまいります。

大見委員 幅広い産業の裾野があるということ、また影響の範囲も相当広いということでありますので、三菱自動車の対応というのも早くしてもらわなきゃならないところでありますけれども、比較して、政府の対応の方も同じように迅速にお願いしたいと、改めてお願いをしておきたいと思います。

 続きまして、二つ目のテーマ、なかなかなじみの深いものではありませんけれども、象牙取引と管理について、質問をさせていただきたいというふうに思います。

 連休中の報道で、ケニア政府が、象牙を目的とした象の密猟撲滅を訴えるため、押収した象牙約八千頭分、百五トンを焼却処分した。近年アフリカゾウは密猟で数が激減をしており、ケニアのケニヤッタ大統領は象牙取引の全面禁止を国際会議で訴える方針という報道がございました。

 我が国の伝統文化に深くかかわる鯨やイルカ漁と同様に、昨今、象牙取引においても日本国内での取引や管理に問題があることから、日本国内における象牙取引がアフリカゾウ等の密猟の増加の原因になっているとの批判が海外のNGOや一部メディアにより展開されていることや、インターネット上では特定の企業数社を狙い撃ちするかのような状況も見られ、今後の展開を懸念しているところであります。

 我が国におきましては、象牙は古くから工芸品として珍重され、今でも印鑑の材料としては大変なじみの深いものの一つとなっております。そのことから、かつては確かに大きな需要が存在したことは事実でありますけれども、一九八九年のワシントン条約で象牙の国際取引が禁止された以降は、日本では、象牙の輸出入及び国内取引や管理については適切に管理をされていると承知をしております。

 しかし、近年こうした批判が起こっているという状況から、密輸を助長するような取引や管理について、現在の体制に問題はないのか、改めて環境省にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 我が国では、ワシントン条約のもとでの義務の実施のため、経済産業省が、外国為替及び外国貿易法、いわゆる外為法により、象牙の商業目的の輸出入を原則禁止し、関係省庁が連携して、厳密な輸出入管理を実施しております。また、我が国では、近年、大規模な象牙の密輸摘発の事例はないと承知しております。

 さらに、違法に輸入された象牙が国内で流通しないように、種の保存法に基づきまして、全形を保持した象牙の登録制度に加え、象牙製品やその原材料としてのカットピースを取り扱う業者の届け出制度によりまして、象牙の国内取引管理を実施しております。このため、現在の取引管理体制が密輸を助長しているとの批判は当たらないと考えております。

 今後とも、引き続き関係省庁が連携して、象牙の輸出入及び国内での取引管理を厳格に行ってまいりたいと思います。

大見委員 国内での取引は厳正にやっていること、また大規模な摘発もないというようなことの趣旨を御答弁いただきました。

 私も調べましたところ、世界自然保護基金、WWFジャパンというところでありますけれども、その取引調査部門が先ごろ発表いたしました報告書でも、我が国の象牙市場というのは縮小傾向にあるということ、象牙を豊かさやステータスシンボルと見る社会的な風潮というのも変化をして衰退をしてきているということ、そしてまた、今後もその傾向というのは強まると予想しているというようなことが書かれておりました。

 このため、一部の海外NGOが行っているような、我が国の象牙取引がアフリカでの密輸を助長しているかのような、いわれのない批判は当たらないのではないかというふうに考えております。

 その意味から、象牙取引や管理が適切に運用されているということを官民が一体となってしっかりと発信をしていくことが重要だというふうに認識をしております。また同時に、国際社会に対しても我が国の取り組みについて正しく認知されるように、さまざまな機会を捉えて情報発信を適切に行っていくことも極めて重要だというふうに考えております。

 折しも、ことしは五月に伊勢志摩サミットが開催をされて、自由、民主主義、基本的人権の尊重、とりわけ法の支配という基本的価値観を共有する絶好の機会があるということ。この中で象牙取引が扱われるということではないのかもしれませんが、法の支配ということにしっかりと価値観を置いて取り組んでいるというところ。

 また、八月二十七日と二十八日の両日で、我が国が主導して開催をしてきておりますアフリカ開発会議、いわゆるTICADの第六回の会議が、今回初めてアフリカで開催をされる予定で、その開催場所も冒頭で取り上げましたケニアであること。

 また、九月二十四日から十月五日、南アフリカ共和国のヨハネスブルクにおきまして、第十七回ワシントン条約締約国会議が開催をされるということから、折に触れ、我が国の立場と取り組みについて、国際社会に対しても丁寧な説明を行っていくことが必要だというふうに考えております。

 そのため、国内への発信また国外への発信、この情報発信をどのように行っていくのか、御見解を伺いたいというふうに思います。

糟谷政府参考人 象牙取引についての情報発信に関して御質問をいただきました。

 国内取引の着実な規制や制度の運用を徹底した上で、国内外に対して、我が国における適切な運用管理に取り組んでいることについて、さまざまな機会を捉えて丁寧に繰り返し説明していくことが重要であるというふうに考えております。

 例えば、最近の取り組みについて申し上げますと、ことし一月に開催されたワシントン条約の常設委員会におきまして、我が国の象牙取引制度について文書を配布しながら説明をするということ、また、これと同じ内容の資料は関係省庁のホームページにも英文で掲載をして、情報発信を行っているところでございます。

 また、国内向けには、ことしの三月に、世界野生生物の日を捉えて、経済産業省の本館ロビーで一般国民向けのパネル展示や押収品の陳列を行いました。これは、いろいろなプレスの方に報道いただきまして、そういう形で国内にも発信をしたところでございます。

 加えて、今月中に、関係省庁だけではなくて、象牙取引にかかわる事業者や専門家が参加した形で、適正な象牙取引の推進に関する官民協議会を発足させたいと考えております。最近、インターネット取引がふえておりますので、こういう関係の事業者の方も入っていただいて、官民で一緒になって象牙の国内取引の適正な運用管理を徹底するということ。加えて、国内外への広報について協議をして、より手厚くしていきたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、我が国における象牙取引管理について、国内外で正しい理解が広まるように、国際会議といった政府間の場にとどまらず、さまざまな場を通じて情報発信をすべく、関係省庁や団体等と連携して取り組んでいきたいというふうに考えております。

 特に、御質問いただきましたように、ことしの秋にはワシントン条約の締約国会議がありますし、こうした場において、種と生態系の保全を前提としつつ、象牙及び象牙製品の持続可能な利用と象生息国の持続可能な開発について、科学的根拠に基づく客観的な議論がなされるように、関係国への働きかけや情報発信を進めていきたいというふうに考えております。

大見委員 丁寧な御答弁をありがとうございました。

 ワシントン条約締約国会議、COP17でありますけれども、その場では、象牙はもちろんでありますけれども、我が国のイルカ漁あるいは鯨、そのほかマグロやウナギ、海洋国家としてはいろいろな海洋資源について、さまざまな議論がされるというふうに思いますけれども、同時に、特定の考え方を持った海外NGOの皆さん方も相当ピンポイントで批判なり問題の指摘をされてくるだろうというふうに思っております。

 そのことによって、我が国の伝統的な、文化的な背景のあるそうしたものが攻撃をされるというのは、なかなか厳しいものがあるかなというふうに思っておりますので、そういう意味では、しっかりとした事前の対話も含めた情報公開、適切な説明、こうしたものを繰り返しやっていただくことを強くお願いをさせていただきまして、私の質問を終了させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、富田茂之さん。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 きょうは、時間を十五分いただきましたので、高レベル放射性廃棄物の最終処分場問題について、何点かお尋ねをしたいと思います。

 実は昨年の三月十八日のこの委員会で、スウェーデンの例を引きまして、当時の宮沢大臣に何点か御質問をさせていただきました。その際、宮沢大臣は、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定問題に関しまして、選定方法について政策の見直しを行っているということで三点述べられておりました。

 地層処分を前提に取り組みを進めつつ、将来世代に再選択の可能性を残すんだ。そして二点目として、これまでのいわゆる手挙げ方式から転換して、科学的有望地を提示していく。そして三番目として、全国的な理解活動や自治体との丁寧な対話を重ねていくというふうに表明をされて、その後、経産省、エネ庁の方で、全国で説明会等を開いていただいております。

 このゴールデンウイーク前に、四月二十七日付の毎日新聞ですが、佐賀県の岸本英雄玄海町長のインタビュー記事が朝刊一面の左側にぼんと載っておりまして、具体的には二面に中身が書いてあったんですが、びっくりしました。二面にかなり詳しく載っていた町長の発言を何点か御紹介させていただきたいと思うんです。

 記者さんの高レベル放射性廃棄物の最終処分場を受け入れる考えはという質問に対して、町長はこんなふうに答えられております。「選択肢の一つ。受け入れを考えるようになったのは(二〇一三年にスウェーデンの)最終処分場(候補地)を見に行き、これならば日本の技術なら造ることができる、国内にも造るべきだとひそかに思ってきた。町内には処分場を造るだけの面積が足りない可能性があると考え、昨年十二月議会でも、そう答えていたが、国内に必要なものは必要だ。」と非常に明確に答えられておりました。

 この最終処分場候補地というのは、スウェーデン・オスカーシャム自治体のエスポ岩盤研究所のことを指していると思うんですが、私も、今民進党に所属されておりますが、増子輝彦参議院議員と二〇一三年、この町長と同じ年です、九月十八日にこのエスポ岩盤研究所、五百メートルの地下まで潜らせていただきまして、ずっと回ってまいりました。

 高木副大臣もこのゴールデンウイークに行かれたということで、後で御質問させていただきたいと思うんです。

 町長さんは、続いてこんなふうに答えられているんですね。経済産業省の作業部会が今月、海底地下建設について技術的可能性があるというふうな報告書を出したけれども、どうだろうか。これに対して、「考え方が前向きになる影響はある。玄界灘はそれほど深くない。そういう意味では技術的には可能かなという気はしている。現時点で手を挙げて応募するつもりはないが、東日本大震災の前から議会と非公式に議論してきて私と同じ考えが広がっていると思う。」とまで言われています。

 記者さんの方から、政府の方では年内に処分場の科学的適地をマップで公表する予定だがと問われて、町長さんはこんなふうに答えています。「玄海地域は適地になるだろう。問題は町民の理解が得られるか。こちらが覚悟を決め、住民に説明しなければならない。町民の中からは処分場に応募したらどうかという声もある。だが町全体で賛同を得られるか分からない。マップが公表されてから住民の説明会というスケジュールになるだろう。」とまで述べられております。

 そして、記者さんの方から、熊本の地震があって、活断層の影響が想定を超えるという懸念もあるじゃないかというふうに畳みかけられたんですが、それに対して、「まったくないとは言えないが、玄海町の場合は大きな岩盤が地下を占めている。実際に熊本地震で震度二から三だった。また過去千五百年くらい津波が来た形跡がまったくない。未知の断層についても国が調べ、ないとしている。玄海に大きな地震が来ることはないだろう。」というふうに言われています。

 そして、今全国で処分場の説明会が開かれているが、昨年五月に佐賀市でも開催されているけれどもというふうに問いかけられて、「玄海町を含む(佐賀県北西部の)唐津地域で説明会があれば当然聞きに行くつもり。町内は土地が狭く、海岸に砂浜がないが、それでも処分場を造ることができるのか。もう少し国の説明を聞き、細かい相談ができることが前提条件だろう。」と言われています。「将来の日本のエネルギー政策をきちんと成り立たせていく責任が立地地域としてあると思っている。」と大変前向きな発言をされて、すばらしいというふうに思うんです。

 きょうは、昨年の委員会質疑の際にも使わせていただきました資料一を皆さんの席に配らせていただいております。これは、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社の社長でありますクリストファー・エッカーバーグさんが、平成二十六年の五月二十二日に、高レベル放射性廃棄物等の最終処分に関する議員連盟の第三回総会に出席してくださいまして、わざわざ日本語版の説明資料をつくっていただきました。昨年も配らせていただいたんですが、これをちょっとごらんになっていただきたいんです。

 一ページめくっていただきまして二ページ目、下の方にオスカーシャム、このエスポ岩盤研究所があるオスカーシャムが書いてありまして、実際の処分場建設予定地は上のフォルスマルクに決まったんですね。オスカーシャムも適地なんですが、それよりもさらにいい場所が見つかったということで、最終的にはフォルスマルクに決まっております。

 もう少しめくっていただきまして、五ページには、スウェーデンでの最終処分場の選定に至る経過が書かれております。約四十五年ぐらいかけてここまで持っていくんだということで、一九七六年から二〇二九年を予定して書いております。今、その途中段階、二〇一五年のあたりにいるわけですけれども、最終段階に向けて動いているというところであります。

 そして、七ページの真ん中の図に、エスポ岩盤研究所、地下にこういう坑道がありますよというふうな図面が載っております。

 もう少しめくっていただきますと、次の八ページが、用地選定の進め方の一般の図なんですが、スウェーデンでは、幾つかの地域が途中でフィージビリティー調査で選ばれたんですが、サイト詳細特定調査ではエストハンマルのフォルスマルクに決まっていったという経過が書いてあります。日本は、残念ながら、この地質調査のもっと前、文献調査にもまだ入っていないという段階ですので、これからはさまざまな手続を進めていく必要があります。

 その上で、十一ページにちょっと写真がありますが、一般の住民の方も坑道の中に入って、こういうふうにやっているんだというところを見せております。右側に写っている車は、これも私と増子先生も見させてもらいましたが、これはキャニスターを運搬する車で、一台五億円ぐらいするというような物すごい車でしたけれども、こういうところまで今はスウェーデンでは進んでいるというような状況であります。

 この資料では、あと残りのページを使って、住民との対話をどういうふうに進めていくか、また、スウェーデンと日本との関係についてもかなり詳細にいろいろ書いていただきました。

 高木副大臣は、ゴールデンウイーク中にこの研究所を視察されたというふうに思います。今御説明しましたSKBの知見や現地を視察された経験を踏まえて、岸本玄海町長の発言をどのように受けとめられているでしょうか。

高木副大臣 今御指摘いただきましたように、この連休中に、オスカーシャム、SKBの岩盤研究所を見てまいりました。昨年はフィンランドのオンカロ、そしてフランスのビュールと、富田先生がずっと回られたところも私もずっと見てまいりまして、まず、そこで感じたのは、日本でこれは必ずできる、そういう確信を持ちました。

 というのは、やはり地層の問題だけではなくて、土木の技術の問題、特にトンネル技術は日本は世界最高峰でございますから、そういったことを加味すると、これはできるであろう、このように考えられました。

 もう一つは、オスカーシャム、SKBでずっとお伺いをしたのは、住民との対話が大変重要だということで、広報の方がもう三十年もやっておられる。地域の方々も、しっかりとお互いに話し合いができるような状況をつくる中で、先ほど、一般の方々が地下五百メートルに入っていると言いましたが、そこのオスカーシャムの中学生は、中三になると全員がその岩盤研究所の地下に入られて、その地層をしっかりと自分の目で見ている、そういうような中で、またそこの出身の方々がSKBに就職するという流れもあるという、そこまで徹底している。

 しかも、私たちがやる説明会というのは、住民集会みたいな、マスで捉えますけれども、一対一を含めた、さまざまな角度で対話を繰り返している、こういうことを伺いました。

 そういった中で、玄海町長がインタビューを受けたということを、これは私も読んで、えっと思いましたけれども、事務方の方で再度玄海町に問い合わせたところ、みずから積極的に誘致するという考えはないが、最終処分の問題は国のエネルギー政策を考える上で非常に重要な問題だ、したがって、将来的に国から話があれば話を聞く用意はある、その際に町民や議会の意見をよく聞く必要があり、難しい話だと考えている、こういうふうにおっしゃったそうであります。

 そういったことを考えますと、やはり住民の皆様方にどう御理解を得るかというのが大変重要であり、これは、国はもちろん、当事者であるNUMOもしっかりと体制を整えてやっていくということが必要であろう。役所も、またNUMOも、すぐに部署が二年ごとにかわってしまう、こういうような流れでは、この最終処分はできない。

 もう一つ申し上げたいのは、きょう、この委員の先生方も、中には原発に対して反対の方もいらっしゃると思います。賛成の方も反対の方も、いずれにしても、今現在、原子力発電所が日本にあって、その燃料は最終的に処分をしなければいけないという問題で、この問題については、原発を推進しようが、原発に反対しようが、私たちがやらなければいけない問題だということをどうか委員の皆様方も御理解をいただいて、一緒になって取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。(発言する者あり)

富田委員 いい答弁だと後ろから出ておりますが、私もそのとおりだと思います。

 町長の発言を聞いていても、やはり、現場を見るということと、町民の理解をどうやって得ていくか。本人が、覚悟を持って町民の皆さんの理解を得たいというふうに言われています。また議会でも、ずっとそういうふうに勉強会を重ねてきたというような経過もあるようです。

 残念ながら、日本では、二〇〇七年に、高知県の東洋町の町長さんが手を挙げようとして、その後の選挙の争点になってしまって話が立ち消えになってしまいました。

 そういったふうにならないように、こういうふうに玄海町の町長さんが関心を示してくれる、これは大事なことだと思うんですね。これを、今高木副大臣が言われたように、全国的な議論につなげていかなきゃいけないというふうに思うんですが、林大臣はどのように感じていらっしゃるでしょうか。

林国務大臣 高木副大臣から答弁がありましたけれども、まさしく同感でございまして、今富田先生から御指摘があったように、東洋町に関しましては、NUMOの全国公募に応じて、そして町内外の議論を経て、結局取り下げるということになったわけでありますけれども、ここは住民理解がまず先だろうということだと思っておりまして、住民の理解よりも自治体の判断が進行してしまった一つの例ではないんだろうかというふうに感じます。

 これからは、まず国民や地域の方々と対話を丁寧に重ねて、処分の重要性、安全性など、やはり住民に理解を深めていただくということに注力をしてまいりたいというふうに思っておりまして、そういった積み重ねをもって進めることが大事だろうというふうに感じております。

富田委員 先ほど高木副大臣の方から、NUMOが二年でかわっちゃうのもよくないというふうな話がありましたけれども、このエスポ岩盤研究所でいろいろな坑道を各国に提供しているといって、NUMOにもこの坑道を使ってもらいたいみたいな話もあったんですね。

 そういった意味で、日本もかなりのところまで行けると思いますので、ぜひ経産省、エネ庁を挙げてNUMOをバックアップして、国民の理解を進めていくように活動をしていただきたいというふうに思います。

 第四次産業革命について質問しようと思って、柳瀬局長、糟谷局長にお出ましいただきましたが、ちょっと時間がなくなりましたので、また次の機会にしたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、近藤洋介さん。

近藤(洋)委員 おはようございます。民進党の近藤洋介であります。

 先ほど富田先生と高木副大臣、また林大臣の質疑を聞いておって、私も全く同感でございます。やはり最終処分の議論というのは、いずれにしろ、国民の広い理解というのが不可欠であります。と同時に、先ほどの御答弁にもございましたように、原子力発電所の稼働、再稼働の立場を超えて、少なくとも過去の使用済み燃料というのがある以上、それはやはり国家の責任として逃げるわけにはいきませんし、責任を持った対応が必要であるということ。

 加えて申し上げると、この議論の中で、我々国会というか議会も、役所任せにせずに、よい意味でしっかりかかわっていくということも重要であろうと思うわけであります。このことをまず冒頭申し上げて、早速質問に移りたいと思います。

 私からは、きょうは一般質疑の機会をいただきましたので、幾つか最近の状況についてお伺いしたいと思うのです。

 まずは、九州、熊本の震災復興の対応についてお伺いをしたい、このように思います。

 委員長のお許しを得て、資料配付をさせていただいております。

 この資料にはございませんが、震災の発生から一カ月が経過をしようとしております。電力、ガスについては、それぞれ民間事業者の方々の懸命の努力で復旧をされた。電力については非常に素早い復旧。しかも、今回大変特筆すべきは、ガスは予想以上に早かったということだろう、こう思います。大変素早い対応をされた、このように思います。ただ一方で、まだ被災をされた方々は多くいらっしゃる、こういうことであろうかと思います。

 そこで、経産大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、熊本県を中心とする被災地の産業界、とりわけ中小企業の方々に現時点でどのような影響が出ていると経済産業省では分析をされているのか、まず端的に御答弁をいただけますでしょうか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 経産省では、発災後速やかに現地に職員を派遣し、また滞在させ、情報収集を行いますとともに、政府系金融機関や商工会、商工会議所に特別相談窓口を設置し、被災した事業者の相談に応じてまいってございます。

 産業についてでございますけれども、自動車部品から電機、電子といった製造業、また、ホテル、百貨店といったサービス業、それから商店街といったところまで、大小を問わず被害があると承知しております。

 とりわけ中小企業につきましてでございますけれども、五月十二日、昨日の時点で特別相談窓口に寄せられた件数で見ますと、熊本県で三千九百二十六、大分県で三百十六、合わせて四千二百四十二件の相談をいただいてございます。

 この相談の中身でございますけれども、約七割が政府系金融機関に寄せられている資金繰りの相談と承知してございますけれども、これ以外にも、災害復旧に係る建屋や設備に対する補助、それから雇用の維持のための助成、罹災証明の早期の発給、それから観光業の風評被害に伴う予約のキャンセルに対する支援といった幅広い相談が参っておりまして、幅広い業種、また規模の大小を問わず、さまざまな影響が出ていると承知してございます。

近藤(洋)委員 今長官から御答弁があったように、やはり中小企業の相談が非常に多いということでございました。

 自動車産業を中心とする被災については、一定程度復旧が進んでいるという報道はされておりますが、商店街を含めた中小企業、店舗の被害、または工場の建屋の状況というのは、まだ非常に心配な部分が多いわけであります。

 こうした中で、本日の閣議で補正予算七千七百八十億円が決定されたと伺っております。本日の衆議院本会議でこの議論が始まりまして、我々民進党としても、この震災復興についてはきっちり協力をするという観点から、本日から、また月曜日の予算委員会で議論が始まる、こういうことであります。

 七千億円分は予備費での計上、こう承知をしております。率直に言って、この計上の仕方というのはいろいろ議論のあるところかと思います。ここの計上の仕方は予算委員会でみっちり議論させていただくことにして、いずれにしろ、道路の復旧といった公共事業費は当然としても、先ほど長官から御答弁があったように、中小企業の実態を踏まえて、やはり中小企業への支援が極めて重要であろう、こう思われます。

 資金繰りの相談が多かったという現状も踏まえてでありますけれども、経済産業省として、恐らく信用保証の拡充といったことが予想されるわけでありますけれども、具体的に大臣としてはどのような対策予算を計上するおつもりなのか。これは、予備費として枠はとっているわけでありますけれども、具体的な積み上げはこれから各省において財務省と折衝して決定していく、こういう運びだと聞いておりますけれども、具体的にどういった中身を対策費として予定をされているのか、御答弁をいただけますか。

林国務大臣 まず、中小企業の復旧支援などに充てるのが大事だということから、二十八年度補正予算案に予備費を計上しているわけでありますけれども、その予備費を活用いたしまして、まず金融支援、そして、工場あるいは商店あるいは旅館などの設備や施設の復旧支援を含めまして、どのような支援を実施していくか、被害状況を踏まえて、早急に検討してまいりたいと思っております。

 この補正予算の成立後、速やかに支援策を実施できるよう、今事務方に調整を指示しているところでございます。

近藤(洋)委員 全部をとは申し上げませんが、やはり予備費の議論がこれから国会でされるわけであります。予算というのは、極めて国民の血税の使い道でありますから、つかみ金でよし、こういうわけにはなかなかいかないというのは御理解いただけるかと思うんですね、我々国会の立場とすると。

 ですから、せめて中小企業対策費として、いつぐらいまでに決定をする。時期は、大体経済産業省として、これはそれぞれ閣議決定で中身を今後決めていかれる、補正予算の予備費が決まり次第、予備費の総枠が決まり次第、それぞれの対応は閣議決定で決められる、こういうスケジュールだと思います。

 少なくとも今月中には、特に中小企業対策費というのは急がれるんだろう、こう思いますし、具体的には、例えば信用保証の枠というのは大体どれぐらいの規模を想定されているのか。数百億程度なのか。そんな規模ではないのか。せめていつぐらいの時期を目安にしているのか。

 また、東日本大震災のときには、我々は、当時は旧民主党政権でありましたが、例えばグループ補助金といったような制度を行いました。こういったことも政府においては検討されておるのかどうか。この辺も含めて、具体策を御答弁いただけますでしょうか。

林国務大臣 このたびの地震で、熊本県や大分県から、特に宿泊施設の被害、つまり観光産業に相当なダメージがあって、ゴールデンウイークの宿泊予約のキャンセルがどんどん相次いだということで、観光産業にかかわる事業者の方々は大変苦しんでいるというように承知しているところでございます。

 こういう中で、経産省としては、中小企業の資金繰り支援として、一〇〇%別枠で保証するセーフティーネット保証四号、この措置を今講じているところでございまして、熊本県はもちろんですけれども、大分県なども対象にして進めているところでございます。

 また、厚労省においても、従業員の休業などを助成する雇用調整助成金の助成率の引き上げ、あるいはその支給要件を緩和するなどの支援を今検討しているというふうに聞いてございます。

 また、観光シーズンに向けて、可能な限り観光客を呼び戻すということが重要でありますから、そういった意味においても、しっかりと進めていきたいと思っております。

 私としては、中小企業対策、観光対策、この二つを重点として考えておりまして、まず、中小企業に対する金融支援と設備に対する復旧支援で調整を進めたいと思っていますし、観光対策に関しましては、例のプレミアム旅行券の発行や国内外へのPRなどについて、観光庁と連携して調整を進めてまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 幾つかの案がある、こういうお話でございました。

 いつまでに、遅くともいつまでに、連休、確かに相当キャンセルが出たという話を伺っております。かつ、熊本、大分、これは深刻でありますけれども、宮崎の友人に聞くと、宮崎はほとんど被害がないわけでありますけれども、相当キャンセルが出ている。特に修学旅行などはかなり被害を受けた、こういう話も聞いております。ですから、特に観光関係は、恐らく九州全体にわたっているんだろう、これは相当想像できます。

 そうなると、まずは資金繰り、こういうことになりますし、これは早く手を打たないといけない、こういうことだろうと思いますので、遅くとも月内には、資金繰りの話などというのは枠をかち取って安心感を与えるということが必要かと思います。最低、遅くとも月内には決めないと話にならないと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 修学旅行のキャンセルは九州全土に及んでいるということでありますので、今先生の御指摘のとおり、可及的速やかに対応しなければというふうに思って対応していきたいと思っています。

近藤(洋)委員 ぜひ素早い対応をお願いしたい、こう思います。

 やはり観光の風評被害というのは本当に気の毒な話でありまして、これは他人事ではないといいましょうか、東日本大震災の風評被害は、私の地元の山形県はいまだにこの風評被害から立ち直っていないなという気がしているわけであります。

 特に九州もそうでしょうし、これは修学旅行も深刻なんですが、やはり海外からのお客様、九州も恐らく台湾、韓国からのお客さんが特に多い、こう思うわけですけれども、東北地方などは、それこそ原発事故の影響で、韓国なり台湾のお客さんがまだ復活できていない、こういう状況で苦しんでおるわけであります。

 ここは要望にしておきたいと思いますが、日本は、現実として、やはり地震の多い国であることは間違いありません。しかし、地震は多いけれども、きっちりとした安全対策がとれている国である。したがって、海外から来られても安全である。素早い対応ができるのである。例えば電気はすぐ復旧するとか、さまざまな安全PRを、国を挙げてしっかり、地震列島であることを前提にした対外的な発信を、これは経済産業省も知恵を出して、観光庁なり外務省と一緒に連携をして仕組みをつくっていただきたい。このことを要望したい、このように思います。

 続いて、ちょっと話題はかわるんですが、先ほども議論になりましたが、三菱自動車工業の話を伺いたいと思います。

 三菱自工、私も、実は三菱の車は、昔は憧れの車でございまして、今も嫌いじゃないんですが、高級車は、もちろん、トヨタのセンチュリー、クラウンということでありましたけれども、私のイメージはデボネアという車種が高級車のイメージでありまして、これは社長さんの車というイメージなんですね。いつかはデボネア、こういう思いで、高校生とか大学生のころ見ておったわけです。残念ながら、デボネアに乗る機会は恐らくないと思うわけでありますが、それだけ日本の、ある意味でフラッグシップというか、立派な車をつくっていたメーカーだ、こう思っておったわけであります。

 しかし、この三菱自工でありますけれども、三度目なんですね。二〇〇〇年、そして二〇〇四年に続いての不祥事。前回二回はリコール隠しであります。そして、今回はデータの不正申請、こういうことでありますが、大きな不正は、二〇〇〇年代に入ってこれが三回目ということであります。

 配付資料の一枚目に、今回の不祥事案に係る経緯ということで国土交通省の資料を添付させていただいておりますけれども、道路運送法上の違反調査については国交省が調査中であります。事案については、軽自動車四車種に関する不正についてはもう既に会社側も認めております。まず、このことは、消費者に対する大変な裏切り行為であることは間違いありません。極めて残念であります。

 大臣に、まず冒頭、改めて伺います。

 日本を代表する三菱グループ、日本の代表的な企業グループでありますが、この企業グループに属する自動車メーカーでこのような大きな不祥事が三回も続いたということについて、所管する大臣として、どのように受けとめていらっしゃるかというのが第一点。

 そして第二点は、経済産業省所管の法案もあろうかと思うんですね。省エネ法違反のケースもあるのではないか。もちろん、国交省所管の法律の問題点もあるんですが、経産省所管の法案の違反もあろうかと思うんです。例えば省エネ法、例えば不正競争防止法はどうなのか。これは明らかに不正競争を図ったと私は個人的に思うわけでありますが、これはどうなのか。これは経済産業省が直接所管ではありませんけれども、不当表示であれば、そうした表示関係の問題もあるわけでありまして、これはあらゆる角度から、この不正事案、どういう法的な問題があるのか、経済産業省所管としてどのような状況にあるのか、どのようなチェックを今されているのか。

 まず、日本を代表する企業グループでこのような三度にわたる不祥事が起きたことに対する受けとめと、現在の調査状況についてお答えください。

林国務大臣 今回の三菱自動車の不正は先生御指摘のとおりでございまして、ユーザーの信頼を裏切ると同時に、取引先などにも影響を及ぼすものでありまして、まことに遺憾でございます。こうした不正は、もう二度起こしているんですけれども、起こしてはならないというように考えております。

 また、三菱自動車は、徹底した原因の究明を行い、再発防止につなげる必要があるというふうに考えておりまして、現在不正の全容解明が進められているわけでありますけれども、法令違反には厳正に対処いたしますし、また、再発防止に向け、どういった対応が必要か、国交省を初め、関係省庁とよく議論してまいりたいと思っております。

 また、昨日、三菱自動車と日産自動車との提携が公表されました。これによりまして、再発防止に向けたしっかりとした体制の構築が進むことを期待したいと思っております。

 省エネ法の規制でありますけれども、これは国交省と共管になっておりまして、現在、三菱自動車で燃費に不正があったとされる軽自動車四車種につきまして、国交省において燃費の確認試験を実施しております。六月中に取りまとめるものと承知してございます。この確認試験の結果を踏まえて、燃費値の不適切な表示や虚偽報告がなかったかを精査いたしまして、これに対する省エネ法上の措置あるいは再発防止策の検討などについて、国交省と連携しつつ、適切に対応してまいりたいと思います。

 なお、不正競争防止法では、不正の目的をもって品質や内容等について誤認させるような表示をした場合について、刑事罰の対象としております。起訴や罰則適用の判断については警察や司法においてなされるものでございまして、経産省としては、個別事案についての現時点でのコメントは差し控えたいと思っています。

近藤(洋)委員 これは事務方でも結構なんですけれども、不正競争防止法上、コメントは差し控えるというのは結構なんですが、要するに、対象となることは、法令的には排除しないということでよろしいんでしょうか。いかがなんでしょうか。これは、答えられる方はいらっしゃいますか。

中山政府参考人 お答え申し上げます。

 不正競争防止法上、今大臣から答弁差し上げましたとおり、品質や内容について誤認させるような表示をして商品を引き渡した場合、これは不正競争として、大臣の御説明がありましたとおり、例えば刑事罰の対象になり得る、あるいは、民事上それによりまして争いがあった場合は、営業上の利益を侵害された側から差しとめ請求をすることができる、こういったような規定を用意させていただいておるというふうに理解しております。

近藤(洋)委員 だとすると、今回、これは調査によりますけれども、既に報道されているように、本社の指示によってデータの改ざんが行われた、この関与の度合いにもよりますけれども、意図があってこのような不正な表示が行われた。

 燃費というのは大事な評価基準ですから、それによってエコカー補助等々ができる、こういうことですから、これはかなりの確率で不競法上の対象になり得るんだろうと私は思うんですね。余り過度にたたく必要はないとは思いますが、私は、この事案というのはやはり厳正に対処すべき問題だろう、こう思うんですね。

 何となれば、やはり燃費を向上するということは、エコカーをつくっていこうということは、これまでずっと経済産業省も、また国としても進めてきたことなわけです。この進めてきたものに対して明確に裏切ったということは極めて重要ですね。ですから、この点については、やはりきちんとした対処が必要であろうかと思います。道路運送法上のペナルティーというのは、確かに経営上極めて大きな影響を与えるとは思うんですが、不正競争防止法は刑事罰にもなりますし、あらゆる法的な対応というのは考えていく。

 私は、企業のコンプライアンスということから考えても、それを徹底させるということも含めて、また、あえて言うと、これは三度目ですから、三度目ということも含めて、やはりしっかりした対応を経済産業省としても考える必要があるのではないかということをこの時点では申し上げたいと思います。

 と同時に、大臣、この三菱自工なんですが、しかしながら、企業の体質としては問題だと言わざるを得ないんですが、自動車メーカーというのは多くの方々がかかわっているわけですね。主力工場である水島の軽自動車の生産ラインというのは今とまっている、休止している、こういうことであります。この三菱自動車工業と取引のある中規模、小規模の企業も、岡山県に限らず、多くあると予想されるわけであります。

 一昨日も県知事が経産省に来られた、こういうふうな話を伺っておりますけれども、やはり地元の産業界にとっては大変な影響でしょうし、地元に限らず、取引先にとってみますと、これは天災というか、人災ですけれども、それに遭ったようなものであります。取引先の中小企業なり孫請、下請にとってみると、大変気の毒な話だと思うんですね。

 したがって、これは何らかの、他方で罪のない中小企業、取引先企業には、ここは経済産業省としての対応方が必要だろう、こう思うわけであります。

 二ページ目に、セーフティーネット保証二号というものの資料を出させていただいております。こちらは、例えば、これは信用保証協会が通常の保証とは別枠で一〇〇%保証するセーフティーネット保証二号というものでありますけれども、過去においても、まさに三菱自動車工業の前回の不祥事の際にも適用をされておるわけでありますが、この二号を適用する状況に至っているのではないか、このように思うわけでありますが、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 昨日、三菱自動車と日産自動車が資本提携を進める方向で合意したということでありますけれども、今般の三菱自動車による不正について、再発防止に向けたしっかりとした体制をつくってもらう、そして、我が国自動車産業の競争力の強化、地域経済、雇用への貢献などを初めとして、最大限の効果を上げることを期待しているところでございます。

 今回の不正を受けまして、経産省としては、取引先企業などへの影響を把握するため、職員を岡山県に派遣して、ヒアリングや、あるいはまた倉敷市等と連携したアンケート調査なども進めているところでございます。

 今委員からのお話もございましたが、一昨日、岡山県知事から我が省の北村政務官に御要望いただいたわけですけれども、三菱自動車と取引関係がある全国の中小企業への資金繰りを支援するセーフティーネット保証二号につきましては、現在進めている調査結果を踏まえまして、必要と認められればできるだけ早く適用するということにしたいと思っております。

 いずれにいたしましても、三菱自動車の取引先中小企業への資金繰り支援に万全を期してまいります。

近藤(洋)委員 大臣、ぜひここは、三菱自動車工業の経営の体質改善、これはしっかりチェックをする、と同時に、やはりある意味で人災に遭ってしまった中小企業への対応については万全を期していただきたい、このように思います。

 さて、自動車産業をめぐる経営環境というのはことしになって大変大きく変化をしているわけであります。一昨日でしょうか、記者会見、決算発表といいましょうか見通しを発表されたトヨタ自動車の豊田章男社長は、ことしに入って大きく潮目が変わった、こういう発言をされております。その言葉のとおり、今期は何と、本業のもうけを示す営業利益が大幅に減って、四割も減るという見通しを立てているわけですね。この理由は、要するに円安のメリットが剥がれたということであります。要するに輸出環境が悪化している。年初から円安が進んだ結果、円・ドル、また円・ユーロ、それぞれでありますけれども、為替の要因で、何と九千三百五十億円、これはトヨタ一社でありますけれども、これだけ減益する。これは大変なことであります。

 トヨタの場合は、今期のドル・円の為替レートの想定は、前期と比べて十五円円高の百五円と想定しております。仮にドル・円が百五円となった場合、日本の経済の成長に全体としてかなりのマイナス、このようになると私も考えますが、大臣の御認識はいかがですか。

林国務大臣 為替レートの特定の水準、例えば一ドル百五円、あるいはまた各企業が決算などで発表をしている想定為替レートについて、政府として評価を述べることは適当ではないと思いますし、そこは答弁は差し控えたいと思います。

 もっとも、一般的に、為替の円高方向への推移は輸出産業の収益を押し下げるというところから、経済の好循環に影響を与えるおそれがございます。

 また他方、円高は輸入製品の価格が下がります。それによって家計の購買力が上がりまして、企業の原材料費が低減したりするなどプラス効果もございます。円高が及ぼす全体的な影響を一概に申し上げることは難しいというふうに考えております。

 このため、為替レートの動向やそれが及ぼす影響について、しっかりと注視していきたいと存じます。

 いずれにしても、為替を含めた外部環境が変化していく中で、日本企業が競争力のある製品を不断に生み出し、しっかりと稼いでいくということが大事だろうというふうに思います。

 経産省としては、日本企業の稼ぐ力を強化すべく、イノベーション創出に向けた研究開発の促進、中小企業の生産性向上への支援、こういったことで成長戦略の強化にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 大臣、それは公式答弁としてはよくわかるんですけれども、私が聞きたいのは、あれだけ稼いでいたトヨタが、為替がこれだけ変わる、円が十五円変わっただけで九千三百五十億円もうけが吹き飛んでいる。社長みずから、潮目が変わった、こう発言しているわけですね。これはやはり大きいと思うんですね。

 何となれば、これは一つの例ですけれども、トヨタは、販売台数はふえているわけですよ。いいものは出しているわけです、そこそこ。そこそこというか、いいものは出しているわけです。いいものは出していて、いい製品は出しているから販売台数はふえているけれども、やはり十五円レートが変わると、これだけダメージを受ける。四割もうけが減るんです。しかも、この一年間は円安だったわけです、黒田効果もあって、日本銀行の黒田バズーカで。

 ここまで来ると、百五円という水準が一年間続くというのは、やはり日本経済にとってよいことではないという危機感はお持ちではないですか、こういうことなんです。水準のことは言いませんけれども、この傾向は、経済産業省としては、もうちょっと危機感を持たれた方がいいと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 そういった意味での危機感は共有したいと思っていますけれども、いずれにしても、為替レートの推移やその影響については、しっかりと注視していく必要があると思います。

 経産省としては、日本企業が稼ぐ力を向上させるべく、成長戦略の強化に全力を挙げてまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 為替については、直接の担当は財務省なんですね。財務大臣は結構危機感を持っているんですよね、麻生さんは。

 四ページ目、これは五月九日の決算委員会の議事録なのですけれども、ここでは、麻生大臣は、この数日間、連休中進んだ円高について、参議院においても相当な口先介入を行われております。要は、この議事録というのは、米国政府が日本政府を為替の監視リストに指定されたと。

 その一ページ前、三ページ目ですけれども、米財務省の為替報告書。四月二十九日、米国財務省が為替報告書を発表しました。ここに監視リストというのを発表した。今回初めて、本邦初であります。中国、日本、韓国、ドイツ、台湾、この五カ国・地域を発表、監視リストに指定したわけであります。要注意の国として指定をしたわけであります。この為替監視リストに指定をして、もしこれが全て、これは監視リストですから、さらに監視リストによる三つの要件を全て満たした場合は為替操作国と指定をされる、こういうことでありますが、為替操作国に指定された場合は、米国政府は必要な対応をとるといったスキームであります。

 この内容について麻生財務大臣は五月九日の参議院決算委員会で問われて、こう答えていらっしゃいます。最初の線を引いている、四ページ目ですが、リストを挙げられた単なる評価結果にすぎぬのですから、何ということはないなと基本的にはそう思っておりますと。何ということはないなというのはかなり大胆な発言でありまして、これは何ということはあるんですけれども、何ということはないなと答弁をされた。これは麻生さんらしい発言だな、こう思うわけであります。また、為替政策は往々にして制約を受けるというわけでもありません、このように御発言をされております。

 そこでお伺いしたいのですけれども、財務省、日本政府が為替監視リストに入ったことの意味合いというのを実際政府としてはどのように受けとめていらっしゃるのか、また、このことによって制約を受けることはないということでよろしいのでしょうか。

吉田政府参考人 お答えを申し上げます。

 米国の為替報告書の監視リストについての御質問でございますけれども、これはあくまで、経常収支黒字額でありますとか対米貿易黒字額でありますとか、そういったデータに基準値を設けまして機械的に評価をしたという結果にすぎません。

 したがいまして、これによって、米国が日本の為替政策を不当と考えておりますとか、米国が日本に対して何らかの行動をとるといったことを意味するものではないというふうに理解しておりまして、日本の為替政策が制約をされるものではないというふうに考えております。

近藤(洋)委員 確かに、一見それはそのとおりなんですけれども、では、伺いたいと思うんですが、この三ページ目、まさにこの三つの要因がなければ為替操作国とは認定しない、こういうことなんです。一つは対米黒字の額、対米経常収支のGDP比率、そして為替介入額、GDP比の二%を超えるものを継続的に一方的な介入を行っているか、この三つの要件が満たされればこれは為替操作国だ、こういうふうに認定する、こういうスキームですよね。認定をされたらば、米国政府は必要な措置を行う。これは、新たに制定をされた米貿易促進法に基づいて必要な対処をとられるわけであります。

 では、まず日本でありますけれども、この三ページ目に書いているとおり、対米貿易黒字が年間二百億ドル超かどうかというのは、これは六百八十六億ドルありますから大幅に超過している。経常黒字は三・三%ですから、これも超過している。問題は介入ですけれども、これはゼロ、こういうことでありますが、過去、二〇〇〇年以降、GDPの二%を超える介入を、すなわち十兆円ですが、十兆円を超える介入を行ったケースはたしかあると思うんですが、いつでしたか、お答えいただけますか。また、どのような理由によるものですか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 米国の為替報告書におきまして、確かに年間での外貨取得額がGDP比で二%を超えるかどうかというのが基準として挙げられてございまして、年間で日本の介入額が十兆円を超えた年につきましては、二〇〇〇年以降で、二〇〇三年、二〇〇四年、二〇一一年が該当いたします。

 そのうち、二〇〇三年、二〇〇四年当時の介入の要因でございますけれども、まず、二〇〇一年の同時多発テロ以降のテロ懸念の継続、それから、二〇〇三年のイラク戦争といった地政学的リスクの高まりを背景として円買いが進んだということが指摘されます。

 それから、二〇一一年でございますけれども、これは東日本大震災を契機といたしまして円買いが進んだということが指摘されています。

近藤(洋)委員 当時、我々は政権におりましたから、私が記憶に新しいのは二〇一一年、安住財務大臣のときの十一月の大型介入というのが、あれは数日間でたしか十兆円規模の介入をした記憶があるんです。大変大きな介入をした。

 要するに、十兆円ぐらいの介入というのは、変な話ですけれども、一カ月もあればそれぐらいの介入は、やろうと思えば財務省はやれるんですよね。ですから、大した額じゃないんです、はっきり言って。問題は、継続的にという要件があるから、十二カ月のうち八カ月連続で介入をし続ければ継続的に。ただ、GDPの二%という上限は、あっという間に超える額だということなんです。

 ですから、何を言いたいかというと、この三番目の要件も、場合によってはすぐ超える可能性が起き得るということなんです。私は、為替報告書における三要件を満たす可能性は非常にあると思うんですね。

 そこで、ちょっと確認したいんですけれども、財務省は、麻生大臣、これは立派な答弁をされているとは思うんですが、この四ページの下で、急激に変動が起きるということは、これは貿易政策上も経済政策上も財政政策上もいろいろな意味で影響が出ますので、こういったものは望ましくないという立場でございますので、こういったことをやる場合には、我々としては当然介入する用意はありますということを申し上げる。明確におっしゃっていますね、断固介入すると。

 その前段のところでは、実はこの数日間の動きのことを言っているんです。この数日間で五円動いた。これは結構大きい額ですよということを麻生財務大臣はおっしゃっているんです、この数日間の、この連休中の動きについて。これが続いたら介入するぞということをにおわせているんですよ。実は答弁で相当なことをおっしゃっているんです。断固介入するぞということを答弁でおっしゃっているんですが、確認です。

 要するに、こういう事態の中で、改めて、財務省は急激な変動に対しては断固介入するわけですね。よろしいんですね。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 個別具体的な為替施策についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、その上で、最近の為替市場について申し上げれば、一方向に偏った急激な投機的な動きが見られるというのも事実でございます。

 それで、G20の場でも確認されておりますけれども、為替市場における過度の変動や無秩序な動きは経済に悪影響を与えるというものでございまして、投機的な動きが継続することのないよう、為替市場の動向につきましては、私どもとしても緊張感を持って注視して、必要なときにしっかり対応していきたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 米国は、今回のこの数日間の動きについて、秩序立った動きだということをコメントしているんですよ。日本は、秩序立っていないというふうに麻生財務大臣は答弁されているわけです。やはり米国と日本では全然立場が違うわけですね。

 でも、はっきりしているのは、十円、十五円、為替が動けば、平均レートが動けば、トヨタ自動車はあっという間に利益が四割吹き飛ぶ、こういうことなんですね。これが日本経済の実態であります。

 経産大臣、要は、為替監視リストが公開されると、この為替監視リストに基づいて為替操作国に指定された国は一定の対応をとられるというのは、どういうことに基づいて行われたかといえば、この二月に施行された米国の貿易促進法という法律に基づくわけですね。これは米国の通商政策の大変大きな部分、変わり目だ、こう思っているわけです。相当為替に対してナーバスになり始めた、こういうことだと思うんですね。

 加えて、大臣にお伺いしたいのは、この資料にあるように、TPPでも為替について触れられているわけです。

 五ページ目、環太平洋パートナーシップ協定、TPP交渉と同時並行で進められました環太平洋パートナーシップ参加国のマクロ経済政策当局間の共同宣言というのがございます。それは五ページ目でございます。

 全文を時間もないので読み上げませんが、要は、この共同宣言は、TPP交渉と同時並行で、日本の場合は財務省でありますが、マクロ政策当局が締結をした共同宣言です。ここには為替政策で協調しましょうということを書いておりますが、はっきりその一番目のところに、「通貨の競争的な切り下げを回避し、競争力を目的として自国の為替レートを誘導しない。」こういうことを書いているんです。

 これは、一見当たり前のことでありますけれども、立場が変われば、米国から見れば日本の円安は明らかに切り下げた、こういうふうに見れるのかもしれないわけですね。だから、為替監視リストに、機械的かもしれないけれども、あえて公表したし、しかも、GDPの二%なんというのはあっという間に超える水準なわけであります。その目標値も設定したわけであります。その上で、米国は必要な措置を二国間交渉でとる、こういうことを、これはTPPとあわせてやっている。しかも、この協定を守らなければいけない、遵守しましょうということもTPP協定の前文に書いております。

 さて、大臣にお伺いしたいのは、通商担当の大臣として、こういう一連の動き、米国のこの動きは相当日本に対して風当たりが強まっているんじゃないか、私はこう思わざるを得ないわけであります。

 大統領選でも、共和党候補確実と言われているトランプ氏が、完全に為替操作国について、日本も含めて、中国も含めてですけれども、名指しをされておりますし、またクリントン候補も、通商関係について大変ナーバスになられております。

 日本を含めた輸出国への政策圧力が非常に強まるということが予想されると思いますが、経産大臣の御認識はいかがですか。

林国務大臣 アメリカの為替報告書の監視リストについては、あくまで経常黒字額あるいは対米貿易黒字額などのデータに基準値を設けて機械的に評価した結果にすぎないと思いますし、これによって日本の為替政策が制約されるものではないと思っています。

 また、TPP参加国のマクロ経済政策当局による共同宣言に基づいて、マクロ経済に関する政策協調が進められることになったわけでございます。

 近年の日米間の貿易関係を見ますと、一九九五年には、アメリカの貿易赤字のうち三七%を日本が占めておりました。これに対しまして、二〇一五年には、この占める割合は九%まで低下しているわけでありまして、かつて日米二国間の貿易摩擦が大きな問題とされたときとは状況が異なるものというふうに思います。

 アメリカ大統領選挙の候補者の個々の発言についてのコメントは差し控えたいと思いますけれども、国際ルールに基づく自由貿易の推進は、日本経済のみならず、世界経済の成長にとっても重要でございます。引き続き、アメリカとも協調して自由貿易の推進に努力していきたいと考えています。

近藤(洋)委員 もう時間なので、この議論はまたの機会にぜひ、TPPについては、秋に特別委員会がまた開かれますし、しっかり経産大臣とも議論したい、私が委員であればTPP特別委員会でもやりたい、こう思います。

 はっきりしているのは、確かにアメリカとの貿易の比率は低くなっているかもしれません。ただ、当時のアメリカとは状況が変わったという御答弁でありますけれども、もう一つ変わったのは、アメリカの自由貿易を守ろうという意思も、もしかしたら、これから低下するのかもしれない。要は、世界経済におけるアメリカの力も、もしかしたら、だんだんというか、現実として落ちている。だとすると、自由貿易を守らなければいけないというそのインセンティブもアメリカの国内で落ちている。しかも大統領選を見ると、そういうふうに思わざるを得ない。クリントン大統領候補の発言もそうであるし、またサンダース民主党候補の発言もそうであるし、トランプ候補の発言もそうである。そういうことを見るにつけ、アメリカの政治が変わろうとしているんじゃないかという危惧を思うわけであります。

 そこで、大臣、いずれにしろ、為替頼りで、追い風参考記録で数字を上げるというのは限界に来ているんじゃないか、こう思わざるを得ないわけでありまして、自動車について言うと、やはり何といっても税制だと思うんですね。輸出で稼ぐというよりは、これは自動車税制を、ことし重要な局面を迎えますから、車体課税のしっかりした改革というか引き下げをきっちり実行すること、これは極めて重要だと思いますので、お約束ください。頑張ってください。いかがでしょうか。

林国務大臣 経産省では、ユーザー負担の軽減あるいは簡素化などを図るべく、車体課税の見直しに取り組んでまいりました。

 平成二十八年度与党税制大綱では、「安定的な財源を確保し、地方財政に影響を与えないよう配慮しつつ、自動車の保有に係る税負担の軽減に関し総合的な検討を行い、必要な措置を講ずる。」と明記されているところでございます。

 現在、二十九年度税制改正に向けまして、自動車税の引き下げ等を含めまして、要望内容の検討を進めております。業界とも議論を行っているところでございまして、さらなるユーザー負担の軽減が実現できるよう、全力で取り組んでまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 ぜひ、ここは重要なポイントですので、我々も提言をしていきたいと思います。

 時間なので、最後の質問です。

 租税について言うと、最近、租税回避地の利用実態を暴いたパナマ文書問題が大変問題になっております。日本を含む各国の企業、個人のリストが公開をされたわけであります。広範囲にわたるものでありますし、分析はこれからでありますけれども、一般論として、租税回避の行き過ぎというのは、税制の不公平感を強め、また不正の温床になるわけであります。

 こうした事態を招いた要因の一つに、多国籍企業の誘致のため、各国が競って法人税率を引き下げた法人税率引き下げ競争が進んだ結果ではないかといった指摘も有識者にございます。また、企業税制が極めて複雑になっているからこうしたことになったのではないかといった指摘もございます。

 法人税制にかかわる経済産業省の大臣として、パナマ文書で明らかになった実態をどのように受けとめていらっしゃるか。また、法人税引き下げ競争のマイナスの回避策があれば御提起をいただきたいのですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 いわゆるパナマ文書に記載されている日本の個人や企業名が公表されたことについては承知しております。

 一般論としては、過度な租税回避や脱税については問題があるというふうに思っております。

 この対応をするためには、国際的な制度調和、あるいは課税当局間の情報交換の強化が大事だろうというふうに思います。

 これまでもG20やOECDの場において議論されているというふうに認識しておりますが、これを積み重ねていくことが重要だろうというふうに考えます。

 なお、国際的に法人税率の最低水準に合意すれば、御指摘の引き下げ競争を回避することは論理的には可能でございます。しかしながら、企業がシビアな国際競争に入っているわけでありまして、各国が法人税を含む事業環境整備を精力的に進めておりまして、現実問題として、国際的な合意形成は容易ではないというふうに考えているところでございます。

近藤(洋)委員 グローバル企業と国家とのかかわりというのは、これは恐らく二十一世紀の最大のテーマの一つなんだろう、こう思うわけですね。なかなか大変なテーマでありますが、しかし、やはりいろいろな矛盾が出てきているのは明らかであります。

 ぜひ経済産業省は、産業の実態を所管する官庁として、税制当局と連携をしながら、どういう仕組みができるのか、国際的な取り組みを含めて研究を深めてもらいたい。

 以上を申し上げて、時間ですので質問を終わります。

高木委員長 次に、升田世喜男さん。

升田委員 民進党の升田世喜男であります。

 きのうも九州、熊本地方で震度四の余震があったとニュースを伺っておりますが、今なお、九州、熊本地方またその周辺では余震が続いているわけでありまして、私は、一日も早くその余震がおさまって、そしてその地域に安心と安全が返ってきてほしいなと思っております。政府におかれては、被災された自治体と密に連携をして、そしてきめ細かな対応策で対応してほしい、私はこのように思います。

 きょうは一般質疑ということでありますので、私は、東北の経済振興の観点から何点か質疑をさせていただきたいと思います。

 昨年、二〇一五年でありますけれども、爆買いあるいはインバウンドなどが、訪日観光における関連ワードとして流行語となったわけでもあります。

 そして、その訪日観光客といいますか外国人の数が、二千百三十五万人ですか、いわゆる二千万人を突破したということで、ぐんぐん日本全体では伸びているんですが、残念ながら東北地方というのは、震災を経て五年がたっているわけでありますけれども、ようやくに、約四十八万人というデータはありますが、五年かけて戻ってきたというのが今の実態であります。

 そこで、東北の経済のこれからを考えるときに、やはりインバウンドでもって高めていこうという考えというのは、恐らくこれは共通認識だろうと思うんですね。安倍総理は、五十万人から三倍の百五十万人にするんだということを公言しております。

 そこで、五十万から百五十万人にする、その実現のためにどんな手法で行おうとしているのか、まずこれを冒頭お伺いしたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、訪日外国人客が全国的に急増する中、東北地方は昨年ようやく震災前の水準を回復したにとどまってございます。このため、政府として、ことしを東北観光復興元年として、これまで以上に力を入れて取り組むこととしてございます。

 具体的には、まず、今後五年間で、海外の旅行会社、メディアなどを二千人規模で東北に招いて、東北の魅力を大々的に海外に発信いたします。全世界を対象としたデスティネーションキャンペーンとして、東北プロモーションというものを実施いたします。

 また、訪日外国人旅行客を地方へ誘客するためには、一つの県だけではなくて、広域での魅力発信が重要であるということで、広域観光周遊ルートというものを設定してございます。このルートに基づきまして、今後、東北のコース上の魅力的な観光資源の磨き上げなどの地域の取り組みを重点的に支援していきたいと考えてございます。

 加えまして、ことしの予算におきまして、地域からの発案に基づいて実施する取り組みを支援する新たな交付金制度を設けてございます。これによりまして、体験プログラムなど滞在コンテンツの充実強化、プロモーションの強化、受け入れ環境整備など、こういった支援を行ってまいります。

 観光庁として、関係省庁及び自治体との連携を強化して、施策を総動員することで東北の観光復興の実現に全力で取り組んでまいりたいと考えてございます。

升田委員 通告をしていないんですが、この機会にちょっと確認というか教えてもらいたいことがあるんです。

 国内の観光客がその地域に一泊した場合、おおむねどのぐらいの金額を消費するのか。それと比べて、外国人というよりも中国人がそこに泊まったときにはどのぐらいの消費額かというデータをお持ちでございますか。

加藤政府参考人 ちょっと通告いただいておりませんでしたので、今手元にデータがございませんが、国内の観光旅行客に比べて、海外、特に中国の観光客の方が消費額が多いということのデータはございます。

 私の記憶が確かであれば、中国の方はたしか二十八万円ぐらいだったのではないかという気がしてございますが、ちょっと確認をして、また後ほど御説明申し上げたいと思います。

升田委員 通告しないで恐縮です。

 中国人は二十八万というのは相当高いなというような感じがしますが、いずれにしても、十四、五万からそのぐらいの数字が出るのでありましょう。

 では、これも恐縮です、国内の観光客はどうなんですか。わかりませんか。

加藤政府参考人 申しわけございません。ちょっと今手元に資料がございませんので、また後日、お願い申し上げます。

升田委員 済みません。これは私の記憶でありますけれども、二万五千円前後なんですね。これは青森県のデータです。地域によっても違うかもしれません。

 これをなぜお伺いさせていただいたかというと、日本人が使うお金と中国人のがもう五倍も六倍も七倍も違うということなんですね。ですから、東北地方に特に中国人関係を引っ張ってこないと、東北の経済を元気にしないといけないという、まず数字でそこは知ってほしい。僕は、それはある程度はもう知っているのかな、こう思ったんですが。

 あともう一つ、北海道に比べて、東北がすごく悪いんですね。北海道が約二百八十九万人ぐらいの数字が出ていますが、東北が五十万でありますから、相当。認知度が、北海道が六五%あるにもかかわらず、東北は一一%しかない、こういうことであります。

 ここで、次にお伺いしたいのは、東北地方の観光について、いわゆるインバウンドも含めてですが、何をポイントとして売ろうとしているのかというところですね。

 私から申し上げさせていただくと、さっき答弁があったのかもしれませんが、政策の総動員というお言葉がありましたけれども、北海道、東北というのをひとつコンビとして売り出してほしいなというところもあるんです。その辺も踏まえつつ、何を売りにして東北の観光を高めようとしているのかというところをちょっとお答え願いたい、こう思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 東北のインバウンドの水準が低いことには、今御指摘がありましたように、東北の魅力が十分外国の方に発信されてこなかったこと、それから東北の中、あるいはその近隣も含めまして、県とか市町村間の連携が十分でなかったり、あるいは観光客目線での資源の磨き上げが十分でなかった、こういったような課題があったのではないかというふうに考えてございます。

 このため、まずは、観光庁の方で、東北の基礎的なマーケティング調査というものを行うというふうに考えてございまして、この結果を地域に御提供して共有することによりまして、外国人旅行者を誘致するための取り組みを効率的、効果的に実施していただきたいというふうに思ってございます。

 また、先ほど申し上げました予算の交付金でございますけれども、これも、地域において、外国人目線に立った取り組み、外国人のニーズを踏まえた観光資源の磨き上げ、こういったものをやっていこうというふうに考えてございます。

 御指摘がありましたように、北海道とか関東とか近隣の地域との連携、こういったことも広域の周遊ルートの中でまた考えてまいりたいと考えてございます。

 こうした支援を通じまして、東北の魅力の発信、観光資源の磨き上げが外国の方の目線に立って促進されるということで、東北の観光復興につなげていきたいと考えてございます。

升田委員 ただいまマーケティングの調査を行うという御答弁をいただきましたが、ぜひ、今の答弁の中にもありましたけれども、外国人の目線でもって詳細にわたる調査をしていただきたい、こう思うんですね。

 外国人といったって、アメリカ人もあればヨーロッパの方もあればアジアの方もある。それぞれに何を魅力として感じているかというのは違いがあるんだろうと私は思います。私の知り得る範囲では、特にアジア関係は、温泉、桜、雪。青森県も相当雪が降るんですが、北海道に負けてしまっている。同じ雪なのに負けているというところが僕は納得がいかないんですけれども。あと、アジアの方々は、神社仏閣というのも何かあるらしいんですね。

 ですから、私が申し上げさせていただきたいのは、東北は特にアジアが多いわけで、アメリカとオーストラリアが急に何かふえているのは私はどういうわけか知りませんが、しかし、いずれにしてもアジア関係というのはこれから伸びていくと思いますので、そこはさらに詳細に、東北の何に魅力を感じるのかというところを調査していただいて、それを各自治体におろしていただいて、これが経済振興につながるような方向で頑張っていただきたい、こう思います。

 そこで、冒頭に私は、九州、熊本地方の地震について触れさせていただきました。

 九州というところは東北以上にインバウンドが来ているところで、東北は低いんですけれども九州は物すごく高いんです。

 今、ニュース等々では、震災でほとんど半減という数字が出ていまして、私は、東北がさきの東日本大震災の影響でぐっと下がって、それから五年間かけてようやく今戻ってきたんですけれども、そのことの経験といいましょうか、この教訓を九州の方にも生かせるものはどんどん生かして、五年もかからないで、すぐ、一、二年で昔に戻った、前に戻ったよということにぜひ取り組むことが必要だという認識は深く持たないといけない、私はこう思うんですね。

 そうしないと、私も青森県人、東北人の一人でありますから、生かせないということは極めて残念でありますので、その辺の認識についてお尋ねしたい、こう思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘のとおり、九州でも観光は地元の経済、雇用を支える主要な産業の一つでございます。

 今般の地震によりまして、九州各県のホテル、旅館において多数の宿泊キャンセルが出ているということでございます。このため、私どもとしては、まず、経産省を初めとする関係省庁とも連携をいたしまして、宿泊事業者に対する事業継続のためのつなぎ融資、あるいは雇用を守るための支援措置、こういったものについて進めてございます。

 そしてまた、風評被害の防止ということも大きなことでございまして、九州の宿泊施設とか交通機関についての正確な情報発信、特にインバウンド、外国人旅行者に向けましては、日本政府観光局を通じて、英語での情報発信とか二十四時間体制での電話受け付け対応、こういったものをさせていただいてございます。

 さらに、文科省を通じまして、都道府県の教育委員会に対して、九州方面への修学旅行の取りやめについては慎重な対応をお願いしたということが現状でございます。

 今後でございますけれども、地元の御要望もお聞きしながら、自治体と緊密に連携をしまして、被災地域を中心とする観光プロモーションの実施を含めた観光振興策に、ことしの夏休みの観光シーズンを念頭に置いて、スピード感を持って取り組んでまいりたいと考えてございます。

 御指摘いただきましたように、東北の教訓を生かして取り組んでまいる所存でございます。

升田委員 インバウンドのインフラということを考えていきますと、今答弁の中にもありましたが、英語を聞ける、英語で説明できる、そういう人材の確保と、あとは、英語で表示するところが充実されているか、あともう一つが、ちょっとこれは私、発音が恐縮ですが、WiFiですか、この完備がないと、この三つがないとなかなか来ないというデータもあるんですね。ですから、英語の表示と、英語を聞ける、話せる人材と、通信環境、これをしっかり。東北もそうでありますし、気になるのは、九州の方の通信網が、まあ大丈夫なんだろうけれども、より以上、いわゆるインバウンドのインフラ整備を完備していくという視点を、東北、九州のみならず日本全体に、もう一度、観光庁はそこに詳細に取り組むということを頭の中に入れてほしいな、私はこのように思います。

 次に、東京オリンピックと東北の経済の関係についてお伺いしたいと思います。

 私は、東京オリンピック、成功してほしいなと、日本人の一人ですから思うわけであります。一方では、東北人でもありますので、ぜひ、この二〇二〇年の東京オリンピックは、東日本大震災で大変大きな被害を受けた我々東北の希望の大イベントでもあってほしいな、こう思うわけであります。

 そのオリンピックと東北の経済、これをどうリンクさせて高めていこうと考えているのか、この辺をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 東北経済の振興についてでありますけれども、三月に総理が発表しました、福島県などと検討を進めております福島新エネ社会構想では、二〇二〇年には福島県で再生可能エネルギーから燃料電池自動車一万台分に相当する水素をつくる、これを、県内のみならず、東京オリンピック・パラリンピックで利用していただくということを考えているところでございます。

 これに加えて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催は、世界じゅうの視線が日本に向かう絶好の機会でもございます。この機会を利用して、世界に東北の魅力を発信し、東北観光への誘導を推進してまいりたいというふうに考えております。

 具体的には、東北地方の代表的な夏祭りを一堂に集めた東北復興祭りパレードのイタリア・ミラノ博での開催支援などに取り組んできているところでございます。また、各地の伝統的工芸品などの地域資源を活用した、観光需要の獲得のための支援も行ってまいりたいと思います。

 今後とも、東京オリパラが東北を含めた地方経済の振興につながるよう、関係省庁と連携しながら、チャンスの具体化に向けた地域や企業の主体的な取り組みを支援してまいりたいというふうに思います。

升田委員 今、答弁の中で、東北の観光に誘導をしてまいりたいというお話がございました。これに関して、一つ、私の御意見を述べさせていただきたいと思います。

 それは、オリンピックはスポーツの大イベントでありますので、一回戦勝ち上がって、二回戦勝ち上がって、決勝、金メダルといく方もいれば、一回戦で負けてしまうと、私も剣道をさせていただいておりましたので一回戦で負けると、あとは応援しかなくなっちゃうんですね。時間が相当あくんです。すぐ帰るわけにはいきませんので、ですから、そこにとどまるんですね。

 私は、これを考えていきますと、外国から来られたオリンピック選手に、ちょっとお時間にもし余裕があるならば、その間でも一度は観光をする、むしろそういう誘導もちょっと頭に入れてほしいなと。

 まず、日本に来たときに、その関連でちょっと近場を観光すると、今度はゆっくり来ようねということでリピーターになっていく可能性がありますから、ただスポーツで終わって、全部がずっと試合に出るわけじゃありませんので、時間のあいている選手あるいはスポーツ関係者をしっかりと観光に誘導するような促しをしていただきたい、これを御指摘させていただきたい、こう思います。

 そしてまた、答弁の中で、水素関係で環境というのを売り出していくということであります。これは大賛成でありまして、この水素の関係で、これはまた東北の経済にも大きく関係してほしい、私はこう願っている一人であります。

 福島の方から始めていくということでありますが、政府の方と意見交換させていただくと、水素関係はまず自動車から始めていくんだという答弁でありますが、自動車に視点を当てられてしまうと、どうしても自動車の台数が多いところは都会になっちゃうので、地方は負けてしまうんですね。

 地方で水素関係で何が一番需要があるかというと、家庭用あるいは業務用の燃料電池だ、私はこう思うわけであります。この燃料電池を普及拡大していくということが福島から始まって、いわゆる東北全体あるいは日本全体に水素社会といいましょうか、それを振興させていくのに極めて重要なポイントは、家庭用の、いわゆるエネファームでありますけれども、この視点が大事だと私は思うんですね。

 そこで、課題というのが当然あると思うんです。それは高いということなんだろうと思うんです、今現在、その燃料電池が。これがもっと安くなっていくと、当然、資料でも出ておりますが、補助金を出さなくても一般の方が買えるような、そういう値段設定になっていったときに爆発的に普及されるだろう、こう思います。

 そこで、低コスト化をするに当たっての課題というのはどんなことが存在しているのかということをお尋ねしたい、こう思います。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 水素社会の実現に向けては、段階的に取り組みを進めることとしておりまして、足元では、水素利用を飛躍的に拡大させるため、燃料電池の普及を図ることとしております。

 その際、まさに今委員が御指摘いただきましたとおり、低コスト化が課題であります。

 まず、家庭用燃料電池、いわゆるエネファームでございますけれども、このエネファームにつきましては、現在、工事費込みで百四十万円程度の価格となっておりますけれども、二〇二〇年ごろまでに八十万円程度まで引き下げ、七、八年程度で投資回収が可能となるように、メーカーに価格低減を促す補助スキームを導入するなどの取り組みを今行っております。

 そして、エネファームについてはこうでありますが、燃料電池車についても一言だけ言及をさせていただきたいと思っております。

 燃料電池車につきましては、量産効果を下支えする導入支援を行うとともに、高効率、高耐久、低コスト化を実現する部品等の技術開発に今取り組んでいるところでございます。経産省にはホンダのクラリティという燃料電池車が納入をされました。私、その一号車を試運転させていただきまして、非常に快適な車だなと。乗っておるのはエネ庁の長官が乗っておりますが、導入の際の試験は私がやらせていただきました。

 このように、官民で連携をしながら、燃料電池の低コスト化に向けた取り組みを今後とも力強く進めてまいりたいと考えております。

升田委員 今答弁の中で自動車のことも触れられましたけれども、そこで、一つ、これもまた指摘というか注文なんですが、いわゆる東北地方、地方は、自動車といっても軽自動車、そして第一次産業のことを考えていくと軽トラックなんですね。ですから、これはまだ段階があるんでしょうけれども、乗用車はこれまた都会優先でございますから、軽自動車と軽トラックを同じ目線で開発していくんだということをやってもらわないと、これまた都会がよくなった後に地方で、地方がよくなればいいけれども、来ないと一体何なんだとなる。私は、いろいろなやる事業がやはりどうしても都会目線であるというところに釈然としない。

 ですから、車においても、軽自動車と軽トラック。これはなかなか難しいと思いますよ、車としては。だから挑戦のしがいがあるし、これをクリアした場合は地方が活性化しますので、その辺のもし考えがあったら、どうぞ。

星野大臣政務官 委員の御指摘を正面から重く受けとめて、今後の自動車開発に生かせるように考えてまいりたいというふうに思っておりますが、指摘はそのとおりだと思います。

 ただ、技術面のことは、私も専門家ではありませんけれども、やはりこれは軽自動車とか軽トラックに燃料電池車のシステムを入れていくというのはそれなりにさまざまな課題があると思いますので、今の御指摘をしっかりと正面から受けとめて、今後の政策に生かしてまいりたいというふうに考えております。

升田委員 課題の壁は高く厚いだろうけれども、諦めたら前に進みませんので、イノベーションというのはもう可能な限り追求するところから始まっていくと思いますので、ぜひお願いしたいし、答弁に感謝したい、こう思います。

 燃料電池のことでコストの面を言いましたが、もう一つの問題もあるんですね。使用期間、いわゆる燃料電池が三十年ぐらい、これは理想中の理想だと思いますが、今は十五年ぐらいもつんでしょうか、十年ぐらいなんでしょうか、この辺はどうなんでしょう、お答え願いたいんですけれども。多分二十年もたないと思うんです、今。二十年以上超していくというところまでの技術開発をしていかないと、いわゆる低コストと長期間にわたって使用ができるねというのが一つになったときに家庭用にこれは普及していくということなんですね。

 この辺に対するお答えを願いたいと思います。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 少し曖昧なところもございますけれども、現状でも燃料電池は、家庭用のものですけれども、十年程度は使えるということでありますが、先ほどの答弁にもございました八十万円ほどのコストまで低減できますと大体七年、八年で回収できるということですので、そこまでいけば、十年の耐久性があれば商業的にも成り立ち得るというふうにも思うところでございます。

 以上でございます。

升田委員 十年程度ということです。八十万だと十年程度でいいということは、年間八万円ですね。

 今までよりはコストが安くなるというか、出費が少なくなるのでそれでペイになるよということでありますけれども、八万円行くかな。私の周りのいわゆる研究している人ですと、やはり五万円から六万円というのが現実的ではないかなということなんですね。そうしますと、八十万円でも十年じゃやはりとんとんにならないんです。

 ですから、とにかく、十年ではなくて、まずは早期に十五年、二十年ですね。二十年まで使用できる燃料電池になってくると、また社会に新しい展望が開ける、私はこう確信をしております。

 といいますのも、燃料電池のよいところは熱利用ができるということなんですね。これは雪国にとって、玄関先に配管をしておくと雪を片づけなくてもいい。あるいは、住宅のそば、お隣、ここに農地を持っているお方があると、その熱利用でハウス栽培をやって、小さな所得を得るというチャンスが得られるんです。

 ですから、雪の降る地域と、そして農業県にとっては、燃料電池というのは所得の向上になるんですね。なので、家庭用あるいは商業用の定置型の燃料電池に力を入れてくださいというのは、私の思いは、すぐれて東北の事情を勘案して発言させていただいている、こう思っておりますので、ぜひ本当に力を入れてほしい。

 なぜこれをこれほどまでに訴えるかというと、ずっとまた関連するんですけれども、我が日本というのは今人口減少です。ことし生まれた子供が成人式、二十になるまでにどのぐらいの人口が減るかというと、一千四百万人です。この一千四百万人というのは、東北、北海道で一千四百五十万人ですから、ちょうどそのぐらいなんです。しかも、一人人口が減りますと、経済損失というのは百万円と言われている。一千四百万人だと十四兆円なんです。これは相当なんですよ。

 残念なことに、地方から人口減少が始まる。なので、いわゆるオリンピックにしろ、あるいはインバウンドにしろ、あるいは科学技術の燃料電池にしろ、私は、地方、東北というところに恩恵のあるようなところをこの委員会というか国会の場で声を上げていかないと、もうバランスが崩れてしまうなというところが私の思いの中であるので、これは取り上げさせていただいたということなんでございますので、受けとめてほしい、こう思います。

 そこで、次に、また関連してもう一点でありますが、二〇二〇年に東京オリンピックがございます。私は、このときに、少なくても、福島の農水産物がここで堂々と提供できる状態にならないといけない、こう思うんですね。

 ここで福島の農産物を提供できないとしたら、世界に対して、まだ日本は危ないね、少なくても福島は危ないね、こういうふうな発信になってしまいます。ぜひ、福島の農水産物をとりわけこのオリンピックでは、より以上、これはえこひいきでも何でもありませんから、現実的なこと、いわゆる日本の安心を世界にPRするため、あるいはとりわけ原発事故で今なお苦しんでいる地域に希望を与えるためにも、二〇二〇年のオリンピックというのは一つの節目にしないといけない、私はこう思います。

 ここに対して、これは、ここの中で一番偉い、思いとしては林大臣、ひとつ御見解を……(冨岡副大臣「私でいいですか、文科ですので」と呼ぶ)そうですか。では、どうぞ。

冨岡副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のように、東北地方、特に福島を中心とした被災地の復興をアピールするということは、二〇二〇年のオリパラの目的の一つではないかと私たちは考えているわけでございます。

 したがいまして、東京大会の選手村等で提供される食事における被災地の農産物の活用や、大会を通じて被災地の農産物の風評被害を払拭するために、安全、安心のアピールは本当に大事な取り組みだと考えております。

 二〇二〇年の東京大会に提供される農産物については、組織委員会が調達することになり、今後、関係団体の意見等を踏まえながら、幅広い視点から検討されると聞いております。

 したがいまして、政府としても、大会関係施設における被災地の農産物の提供に向けて、組織委員会等への働きかけを行ってまいりたいと思っております。

 さらに、被災地におけるホストタウン構想等がございます。したがいまして、事前合宿の受け入れや競技種目関連の国際大会の開催などを通じ、被災地の元気な姿を発信することも、風評被害を払拭する絶好の機会になるかと思います。

 したがって、今申しました組織委員会や関係省庁と連携をとりながら、取り組みをさらに進めてまいりたいと思っております。

升田委員 私、オリンピックと言って、パラリンピックのことを触れていないので、今ちょっと訂正させていただきます。私の言うオリンピックは、パラリンピックも含めてオリンピック、こう思っておりましたので。

 そこで、これは、政府が直接的に使いなさいと言うのは仕組み上、ルール上できないであろうということは私も理解をしておりますが、いろいろな会議でそういう空気感というか流れに持っていくということは可能な限りできると思います。今の答弁でもその意向の答弁が出ております。

 本当にここがある意味大事なポイント、転換点だと思うんですね。オリンピック・パラリンピックのときに、ここで日本全体が安全、安心だよというところを発信していくことが重要であるということを私は再度御指摘させていただきまして、次は、ジェトロの問題について質問させていただきたいと思います。

 まず、日本貿易振興機構、いわゆるジェトロでありますが、私は勉強不足で恐縮でありますが、この予算的な規模云々、この辺はどうなっているんでしょうか。

片瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 ジェトロの事業の柱は四本ございます。対日直接投資の促進、農林水産物、食品の輸出促進、中堅・中小企業等の海外展開支援、それから我が国企業活動や通商政策への貢献ということでございますけれども、そのジェトロの事業運営のために必要な経費として、平成二十八年度におきまして二百三十八億六千万円を交付金として交付しております。

 さらに、交付金に加えまして、中小企業の海外展開支援事業あるいは農林水産品の海外展開支援事業、そういった事業を、経産省だけではなく他省庁それから自治体から約五十七億円程度受託しております。

 また、ジェトロのさまざまなサービス、そういうものを通じたいわゆる自己収入として、三十五億円の収入がございます。

 そういうものを合計いたしまして、平成二十八年度当初予算額ベースでは、約三百三十億円の予算となっております。

升田委員 金額は聞きました。

 それでは、海外展開支援の実績状況についてお尋ねしたい、こう思います。

片瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 ジェトロの海外展開支援事業でございますけれども、海外展開というのは、まず各企業の海外戦略の計画段階、取引先を探す段階、それから商談、契約交渉、そういうさまざまな段階があるわけでございますけれども、その各段階におきまして、国内及び国外での相談対応、それから貿易投資に関する情報提供、さらに展示会それから商談会への出展支援、海外バイヤー招聘、それからミッションの派遣、そういう多岐にわたる支援を展開しているところでございます。

 実績でございますけれども、平成二十七年度の実績といたしましては、まず、国内の貿易投資相談件数は年間約九万件実施しておるところでございます。さらに、実際の海外展開の支援件数は約一万件となっております。こういった支援の結果、実際に成約した契約の件数でございますけれども、約四万件の成約件数になっております。

 支援企業の方に、ジェトロのそういう事業についての満足度調査ということを並行してやっておりまして、その満足度評価では九五%を超える評価をいただいておりますけれども、さらなるサービスの向上、事業の充実、こういったものを支援してまいりたいと思っております。

升田委員 今、TPPという新しい通商交渉のルールが議論されているさなか、今の世界の経済のありようというのを考えていきますと、私は、ジェトロの役割というのは、より以上に重い時代あるいは大きい時代が本当に来たなという認識なんですね。

 ですから、金額も聞いたというのは、どのぐらいの予算規模を今かけているのかなということを確認したくてお伺いをさせていただきましたが、正直言って、少ないんじゃないかなというふうな思いなんですね。

 これは、先ほども述べさせていただきました、人口が一千四百万人減るということは需要が減るということで、消費も減るということで、普通でいったら経済が縮小になるということですから、当然、海外の需要を我が国の需要と見るというのは、私も、これを否定する人というのは誰もいないと思います。

 では、そこでどの機関がといったら、ジェトロだと思うんですね。なので、経済産業大臣、もっとこれに予算をつけてもよろしいんじゃないですか、私はこう思いますよ。

 それはどうですかとはお伺いしませんが、ただ一方で、例えば私の青森県は農林漁業でありますが、ジェトロさんにお世話になるんだけれども、最後までの面倒というか、きめ細かくないねという声が意外とあるんですね。

 ですから、手をかけてくださったならば最後までしっかりと、四万件という大変な数字はありますけれども、私が聞く範囲においては、途中までは親切なんだが、後は頑張ってちょうだいみたいなところがあって、実はそこの、後の頑張ってちょうだいのところが一番しんどいんだと。いわゆる、どこに売りに行けばいいのと。ルールは教えてもらったが、では、どこに行けばいいの、その先が一番大変なんだというのが現場の声なんですね。

 ですから、ここはきめ細かに支援するということが必要だと思いますので、その辺に対するお考えをちょっとお聞かせください。

林国務大臣 ジェトロに対して御理解をいただきまして、本当にありがとうございます。しっかりやっていきたいと思います。

 中小企業白書によれば、輸出を行う中小企業がふえる傾向にありまして、現在、約六千社の中小企業が直接輸出をしております。まだ輸出を行っていないという中小企業の約四割が海外展開に意欲を示しております。

 そういう中で、今御指摘のように、中堅・中小企業の海外展開には、現地でのビジネスパートナーをどう探せばよいかわからないとか、あるいは海外ビジネスを担う人材が不足しているとか、そもそもどのように海外展開を進めればいいのかわからないといった課題があるわけでございます。こうしたことに応えるためにきめ細かく支援を行う必要があるという点はまさに先生御指摘のとおりでございます。

 そのために、ことしの二月に、ジェトロ、中小機構などの機関の参加を得て、新輸出大国コンソーシアムを設立いたしました。ここでは、商社のOBなど海外ビジネスに精通した専門家を多数採用いたしまして、ジェトロに配置いたしました。そして、三月十四日から窓口を開いて支援を開始したところでございます。四千社程度を目標として、中小・中堅企業に対しまして、海外事業計画の策定、そして支援機関の連携の確保、また現地での商談のサポートなどの支援をまさにワンストップで行うということにしているところでございます。

 新しいチャンスをつかんで外需を獲得できるよう、政策を総動員して中堅・中小企業の支援をしてまいりたいというふうに考えています。

升田委員 大臣より大変前向きな答弁で、大変安心しました。ワンストップ、これは最初から最後までのワンストップということで、そういう認識のもとで取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、今度は、ジェトロが頑張っていろいろやります。ただ、ルールや手続や、あるいはパートナー、これも今答弁があったようにとても大事なんですが、一方で大事なのは、米などの農水産物を輸出していこうということで、今政府はこれを大きな柱に掲げておりますが、需要がないと売ることはできないですね。物をつくりました、向こうが欲しくないと売れないわけでありますから、その外国、その地域での需要拡大の戦略を持つということはこれまた極めて大事な視点である、私はこう思います。

 この辺の取り組みについて、またお尋ねしたいと思います。

林国務大臣 御指摘の米を初めとする農水産品の輸出拡大は大変重要な課題だと思っています。この海外展開に関しましても、ジェトロを通じて、海外でのセミナーあるいは試食会などを通じたプロモーション、また大規模な食品展示会での販路開拓支援、あるいはまたバイヤー招聘などを実施しているところでございます。

 このような取り組みに加えて、先ほど申し上げました新輸出大国コンソーシアムを通じて、ワンストップでの海外支援を行うということで今進めているところでございます。

 さらに、コンビニエンスストアの海外展開とあわせて日本の食品を海外に売り込むため、ことし一月にコンビニエンスストアとジェトロとの協議会を設置したところでございます。まず、十一月にもベトナムの日系コンビニエンスストア二百店舗でテスト販売を実施する予定でございます。

 今後とも、農林水産物、食品の海外展開を一層推進するために、内閣官房に設置されました農林水産業の輸出力強化ワーキンググループには私も副座長として参画をしておりまして、昨日、農林水産業の輸出力強化戦略を取りまとめたところでございます。

 今回の戦略は政府を挙げて取り組むこととしておりますけれども、経産省の関連としては、まず、現地のニーズなど輸出に関する情報をジェトロに一元化をして集約し、ユーザーが使いやすい形で提供する、また、プロモーションの企画、実行については、ジェトロの機能を最大限活用しつつ、官民一体となって統一的なプロモーションの企画、実行を推進するということなどが盛り込まれたところでございます。

 経産省としても、ジェトロの取り組みをしっかりと後押しして、関係省庁と連携しながら、政府一丸となって農林水産物あるいは食品の海外展開を進めてまいります。

升田委員 農林水産物の貿易産業化というのは、私は否定しません。しかしまた、過大な期待というのも意外と危険だなと思います。

 やはりその意味においては、需要が拡大できるような取り組みというのはとても大事なことだと思いますので、しっかりそこは取り組んでいただきたいと同時に、今大臣の方からジェトロという言葉が何回も出てまいりましたから、やはりこれは予算はもっとあっていかないと私はだめだと思います。

 あと残された時間、農山漁村の再エネ、風力発電に関することで一点だけお伺いしたい、こう思うんです。

 きのうFIT法案が通りましたけれども、風力発電に取り組んでいる現場の声を聞きますと、農業振興地域内の農地転用というのが意外と足かせになっているんだという声が聞こえるんですね。

 時間の関係上、これは答弁を求めるともう時間が来てしまいますので、私の思いだけを伝えさせていただきたいと思います。

 私もいろいろ聞きました、自治体とかにも。そうしましたら、農業振興地域内の転用というのはなかなか難しいということなんですね。

 しかし、取り組んでいる現場の声を聞きますと、小型風力発電は六メートル掛ける六メートルぐらいのエリアで大丈夫なんだ、ですから、土地の隅っこ、角隅の土地なんかはもっと柔軟にやってもらいたいと。

 そして、これは現場の相場観ですが、土地を貸すと、大体一万円をその持ち主に上げているんですね。しかも、その土地というのは高齢者が持っているのが大半の例なんです。

 そうしますと、年金のほかに月一万円の収入があるとしたら、これは高齢者にとっては大変貴重な収入になる。私の知り合いで六万五千円を満額でもらっている方は、私は余り出会ったことがありませんよ。四万か五万、この間が大体現場の空気感なんです。

 そこで一万円の収入が入る。仮に二カ所をそのお年寄りが貸すことができたら、月二万円ですよ。これは相当重要な収入源になりますので、そういう現状を見きわめて、再エネを進めたいという方向性も鑑みて、ここはもっと柔軟に工夫していただきたいということを申し上げて、お時間が来たので終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、藤野保史さん。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私は、熊本地震における中小企業、個人事業主への支援についてお聞きをしたいと思います。

 一カ月たちましても余震が続く、本当に身体的にも精神的にも大変厳しい状況で、業者の方も苦しんでいるというのが現状です。

 私も、四月二十四日と五月七日に現地に入りまして、さまざまな方からお話を伺ってまいりました。

 大変被害が大きかった益城町では、傾いて潰れている、周り全部がそういう状況ですけれども、ある理髪店が営業されておりました。水は当然ないんですが、給水所からポリタンクでくんできたり、あるいは雨水を使ったりしながら、お客さんに使うわけじゃないですけれども、さまざまな形で水を確保して、それをもとに営業している。

 御主人は、気持ちいいと言ってくれるのが本当にうれしくて、散髪したりいろいろなことをしています、営業していますとおっしゃっていました。本当に頑張っていらっしゃる。

 他方で、大きな被害を受けている方もいらっしゃいまして、宇城市でスナックを営む四十代女性は、三人の子供を育てるシングルマザーですけれども、もう気がおかしくなりそうだ、少しも気を緩めることができない、毎日毎日精神的に限界だとおっしゃっていました。

 収入がない、しかし月々の支払いはある、修理費は持っていないし、お金が借りられるかもわからない、本当に、従業員のことも、家族もあって、補償もしてあげたいんだけれどもできない、助成があると本当に助かります、こういうお話でした。

 このほかにも、修理代はどうなるんだ、あるいは貯金がない、こういう声をたくさん伺ってまいりました。

 大臣にお聞きしたいんですけれども、やはり、地域にとっては、中小企業、とりわけ小規模事業者というのが復興していけるかどうかというのが大変重要な意味を持っていると思います。

 二〇一四年には、小規模企業振興基本法も制定されました。ここで本当に、地域における、あるいは地域経済、地域の雇用における小規模企業の役割というのに改めて政府としても光を当てたというふうに認識をしております。

 今後、震災からの復興、この復興策、支援策を経産省としても具体化していく上で、やはり小規模事業者に光を当てた支援に力を入れるということが特別重要じゃないかと思うんですが、大臣の御認識をお願いします。

林国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、中小企業あるいは小規模事業者、これが大変今苦しんでおりますので、それをまず、お話を聞き、対応していく、寄り添って対応するということが非常に大事だろうというふうに認識しております。

藤野委員 その立場でぜひお願いしたいと思います。

 具体的な制度について、ちょっとたくさんあるので聞いていきたいんですが、まず雇用調整助成金であります。

 これは、私も熊本県知事と懇談させていただいたときにも、やはり雇用調整助成金、必死で頑張って雇用を支えている、ぜひこれは要件緩和してほしいという要望もいただきました。お伺いすると、本庁への相談が既に百件を超えていて、県への相談も千件を超えているとお聞きをしました。

 これは政府にお聞きしたいんですが、雇調金について、この間要件緩和されていると思うんですが、どのような要件緩和がされているか、そして、そのことをどのように周知徹底しようとしているか、御答弁ください。

広畑政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきました雇用調整助成金でございますが、今御紹介いただきましたように、相談件数でございますが、一昨日、五月十一日時点で、厚生労働本省におきましては、電話相談でございますが百六十八件、熊本労働局におきましては千八百八十八件。これは実は全体では九千件を超えるのでございますが、雇用保険の方が多くて、雇用保険は五千七百件程度ということでございます。

 御指摘の特例措置の内容でございますけれども、熊本地震の発生に伴って事業活動の縮小を余儀なくされた事業所につきましては、雇用の安定を図ることが極めて重要でございます。

 雇用調整助成金の要件につきまして、まず四月二十二日でございますが、生産量等の減少の確認期間を前年同期の三カ月から一カ月に短縮する特例措置を講じております。それから、五月九日でございますけれども、九州各県内に所在する事業所が休業を実施した場合の助成率の引き上げ、具体的には中小企業は三分の二から五分の四へ、それから四月一日に入職をされました新規学卒者等を念頭に置きまして、雇用保険の加入期間が六カ月未満でも対象にするといった内容でございます。

 こうした措置を周知するために、熊本労働局におきましては、商工会議所の協力を得まして、事業主に対する説明会をこれまで十数回開催いたしまして、今後も十回以上を予定してございます。それから、先ほど御紹介申し上げました熊本労働局と各ハローワークで個別の相談に対応してございます。

藤野委員 本当に、きのう聞いたよりも相談件数がさらにふえているということですので、ぜひしっかり周知して活用を進めていただきたいと思っております。

 そして、冒頭紹介したように、修理に対する要求というのはやはり業者の皆さんはかなり多くて、もちろん応急修理制度等あるわけですが、それにとどまらず、やはりさまざまな支援を行っていく必要がある。現行制度でも、耐震補強のための助成はございますし、住宅リフォーム制度もございます。こうしたものを、震災に合わせて拡充して、ぜひ実施していただきたい。これはすぐできるというふうに思うんですね。

 その上で一つ御検討いただきたいのが、今、業者に焦点を当てた商店リフォーム制度というのもあるんですね。住宅リフォーム制度というのはかなり全国に広がっておりますが、商店、商店街とか業者さんとかがお店を修理する、改築する、こういうリフォーム制度が実は群馬県高崎市で既につくられていて、もう大歓迎をされております。費用の二分の一補助で店舗の改装とか備品の購入ができるということで、これをぜひ、今回困っていらっしゃる方々、修理や備品をどうするかという人に、政府としても、既に動いて歓迎されている制度ですから、参考にしていただきたいということを求めたいと思います。

 そしてもう一点、東日本大震災で大変力を発揮したグループ補助金制度、通称ですけれども、これがやはり今まさに求められているというふうに思うんですね。

 東日本大震災を受けて、中小企業の皆さんがグループをつくって、さまざまな形で補助を受けていくわけです。ただ、これは大変重要なんですが、東日本に特化してつくられた初めてで非常に画期的な制度だと思うんですけれども、東日本大震災を契機につくられていますので、それをそのまま熊本に持ってきてというふうになりますと、やはり被害の状況も違いますし、なかなか、熊本の皆さんあるいは大分、九州各県の皆さんに使い勝手がいいとは必ずしも限らないというふうに思うんです。

 そこで、やはり今回、熊本に特化した形で、新しい、ちょっと変形するような形でのグループ補助金制度をつくることを検討したらどうかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

林国務大臣 今御指摘のグループ補助金につきましては、東日本大震災による被害が、サプライチェーンに悪影響を及ぼすほど範囲が広く、かつ甚大であった、そして被災事業者の取引先にも連鎖的に悪影響が及ぶことから、中小企業等がグループを構成して早期復旧を図る必要があったということを踏まえて、特別に措置された制度でございます。

 今般の熊本地震への対応につきましては、発災直後より相談窓口を設置すると同時に、激甚災害指定を受けた融資の金利引き下げや、通常の保証とは別枠での一〇〇%保証などの措置を講じてきたところでございます。

 被災地のためにできることは全部やっていくという考え方のもとで、現地の被害状況あるいは支援ニーズに応じまして、グループ補助金のような施策も含めまして、どのような支援を実施していくか、また、本日閣議決定された補正予算案に計上されている熊本地震復旧等予備費を活用した支援策を検討してまいりたいと思います。

藤野委員 グループ補助金のような制度も含めてという答弁でしたので、ぜひ現場の業者の皆さんが求める支援を具体化していただきたいと思っております。

 引き続きまして、金融支援につきましても、これは大変重要だというふうに思っております。

 被災地では、ローンの返済をとにかく猶予してほしいという、いわゆるリスケの要望というのがもう既に多数寄せられていると聞いております。この点につきましては、事前にお聞きもしているんですけれども、時間の関係上こちらでちょっと紹介させていただきますが、熊本では約二千四百件、大分では百三十件ということだと伺っております。五月十日段階ですので、恐らくまたふえているかもしれません。

 こうした声に金融支援としても応えていく必要があると思うんですが、この点でお聞きしたいのが、いろいろされておりますけれども、先ほど大臣もお触れになったセーフティーネット、信用保証協会のセーフティーネット保証四号であります。これは大変重要な制度だと思いますが、二点だけちょっとお聞きしたいんです。

 一つは、このセーフティーネット保証四号は、直接被害があった業者さんだけではなくて、間接的な被害を受けた方も対象になる、例えば、直接被害じゃなくて、取引先が被災して注文が減ったとか、いわゆる発注量が減ったとか、これによって被害を受けた間接的な被害も対象になるということでよろしいでしょうか。ちょっと確認させてください。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、セーフティーネット保証四号につきましては、間接被害、いわゆる間接的な取引先、それからまた予約のキャンセルといったような間接被害にも対応させていただいてございます。

藤野委員 もう一点確認させていただきたいんですが、現時点でこの保証四号の適用は熊本、大分そして鹿児島だと認識をしております。しかし、やはりなかなか影響は広がっております。

 長崎では、例えば地元の銀行のシンクタンクの調査では、影響があると答えた地元企業が五二・五%とかなりやはり広がっておりますし、先ほど近藤委員からは宮崎の事例も紹介されておりました。観光産業などは特に裾野が広くて、今後、さまざまな業種に影響が及ぶ可能性があると思っております。

 その点で、今後、今の三県にとどまらず、機動的に対象を広げていく、この構えであるということも確認させていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員のおっしゃったとおりだと考えております。

 当初、熊本、大分と適用しましたけれども、既に、私どもからお呼びかけする形で鹿児島県が呼応されましたし、ほかの県にもニーズがあればということでお声がけをしており、近々そういったことが具体化していくものと期待しております。

藤野委員 ぜひ、声をかけることも含めて、政府のイニシアチブを発揮していただきたいと思っております。

 そして、金融ということでいえば、こういう大災害の場合は二重ローンというのが大変大きな問題になります。

 配付資料をお配りさせていただいておりますが、これは熊本の保証協会が出している雑誌から抜き出した、いわゆる保証債務残高の件数と金額であります。

 熊本市全体でいえば一万五千五百四十四件で千百六十四億円、益城町が四百八十九件で三十四億二千九百万円、大変大きな被害であります。もちろん保証つきだけですので、実際には、保証がついていない民間のローンというのもあると思うんですね。調べましたら、地銀、第二地銀、信用金庫、信用組合の中小企業向け貸出残高は、熊本県だけで二兆八千七百二十二億円という形ですから、配付資料にとどまらない大きな影響があるとは認識しております。

 熊本県の商工団体連合会が五月二日に行った緊急要請の中でも、二重ローンの解消ということが要求されております。

 そこで、金融庁にお聞きしたいんですが、全国銀行協会、いわゆる全銀協が昨年十二月に、自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを発表したと思いますが、これは債務者にとってはどのようなメリットがあるか、簡潔にお答えいただければと思います。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねいただきました自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインでございますけれども、これを活用していただくことで、債務の弁済が困難となった被災者の方々におかれては、法的な倒産手続による不利益を回避しつつ債務免除を受けることが可能となる、さらに、手続に要する弁護士費用等については国の補助を受けることができるということで、大きな意義を有しているというふうに考えております。

藤野委員 これはやはり、二重ローンをどうしようかと悩んでいる方にとっては、大変大事な制度だというふうに認識しております。

 これは四月から適用が始まったということで、そして四月十四日に熊本地震が起きたということで、まさにこのガイドラインが適用される初めての震災がこの熊本地震になるというふうに思います。

 大事なのは、やはり、東日本大震災のときはこうしたガイドラインがまだ完全には整備されていなくて、皆さんに周知される前に、もう返しちゃったよとか、大変だったけれども借金だからということで払ったという方がかなりいらっしゃったというふうにも聞いております。今回は、このガイドラインがもう既に動いているわけですから、そうした、知らずに払ってしまったという方がないように、ぜひ周知徹底をお願いしたいなというふうに思っております。

 そして、この点についても、課題という点で一つだけ確認したいんですけれども、確かに大事な制度ではあると思うんですが、実は、このガイドラインの前にもう一つガイドラインがありまして、個人債務者の私的整理に関するガイドラインというのが大震災を契機につくられて、それが大震災後五年間運用されて、今回のものに結実したというふうになっているわけです。

 それとの関連もあるんですけれども、今回新しくできたガイドラインについて、仙台弁護士会の会長名で声明がことし一月二十八日に出されていると思うんですが、ここで、いわゆる今のガイドラインのもとになったガイドラインの解釈、運用がちょっと厳しかったんじゃないかとか、支払い不能の要件認定が厳しかったとか、そういう指摘がされていると思うんです。

 金融庁としては、これらの指摘をどのように認識されているのか、これをどう今後に生かしていこうとされているのか、御答弁をお願いします。

齋藤政府参考人 東日本のときのガイドラインについて、先生御指摘のような点が言われているということは私どもも承知をいたしております。

 今般の自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインですけれども、東日本のときにつくられたガイドラインを基本的にはベースといたしまして、それを全国に展開していくというものでございます。

 このガイドラインを取りまとめるに当たりましては、法曹関係者等有識者の方々の御意見も踏まえてつくられておりますし、また、実際にその運営をされていく段階では裁判所の特定調停の制度なども使われていくということでございますので、債務者、金融機関、どちらか一方の立場に偏るということではなくて、中立的な問題の解決が図られていくということを期待しているところでございます。

藤野委員 事前のレクでは、世界的に見てもこうした制度は珍しいと。やはり災害国日本で二重ローンというのがたび重なる問題の中で、知恵と力を合わせてつくられてきた大事な制度だというふうに私も思っております。

 だからこそ、やはりこうした制度をより債務者が求める形で運用していただきたいし、そうした立場で政府が臨んでいただくことを強くお願いしたいと思います。

 そして、このガイドラインを実効性あらせるためにも大変大事な問題だと思っておりますのは、今、義援金が各地から寄せられておりまして、私も四月と五月に行ったときもお持ちしたわけですけれども、これはほっておきますと、この義援金が資産だと言われて差し押さえの対象になってしまう。ここに金があるじゃないかということで差し押さえられてしまって、せっかく寄せられた思いが全く生かされないということがあると思っております。

 五月九日には日本弁護士連合会の中本会長も緊急声明を出されまして、この問題を指摘されました。その中で、こうおっしゃっています。「義援金は被災者の被害復旧と生活再建のために集まった善意の金員であり、債権者が債権満足の原資として期待すべきものでもなく、一律に差押禁止財産とすることが相当」と述べております。私はそのとおりだというふうに思うんです。

 東日本大震災のときは特別立法が超党派でできまして、差し押さえ禁止が実現をしております。今回もこうした動きが既にあるというふうに思っております。

 私がお聞きしたいのは、災害のたびにこういうものをつくるよりも、金融庁さんとして、こうしたものを恒久的な制度として検討した方がいいんじゃないかというふうに思うんですが、こうした点はいかがでしょうか。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 義援金を差し押さえの対象から外すかどうかというところについては、まさに先生御指摘のとおり、東日本のときには超党派議員立法でそれが措置された、今般についてもそうした動きが出てきているということで、私どもも承知をいたしております。

 この点についてより一般化した制度をというお尋ねでございますけれども、この点については所管はむしろ法務省ということになろうかと思いますけれども、そちらとも連携をとりながら、私どもとしても、状況もフォローしつつ考えてまいりたいというふうに思っております。

藤野委員 そうなんですけれども、ぜひ、二重ローンの問題をやられている立場で力を発揮していただければと思っております。

 このガイドラインは大事なんですけれども、二重ローン問題の根本的解決にはやはりもっともっといろいろな制度が要ると思っております。

 東日本のときにも政府が債権買い取りの機能を持つ組織を二つもつくっていろいろやられましたし、民間のガイドライン任せ、大事なんですが、それだけでなく、やはり政府としても、そうした買い取り機構も含めてイニシアチブを発揮していく必要があると思っておりますし、二重ローンについては抜本的な支援が引き続き今後も重要になってくる。今回、とりわけ建物の被害というのが多いので、この点は要求をしておきたいと思います。

 最後になりますけれども、安倍総理も四月二十九日に熊本に入られて、二十三日も入られていますけれども、官邸のホームページを拝見しますと、総理はこうおっしゃっております。「熊本の商店街の皆様からも、こうした困難な状況の中において、何とか現在の生業を維持し、そして活力を失わないように頑張っている姿から大変な感銘を受けたところでございます。」と。

 私は、この「生業を維持し、」という言葉を総理が使われたこと、大変重要だと思っております。何かもうけを上げてとか、何か効率よくとかではなくて、やはり、暮らしながら、雇用を維持しながら経営もやる、まさにこのなりわいという言葉を応援していく。冒頭の小規模企業振興基本法にもつながる精神だと思うんですが、これに一番きくのは、やはり壊れた店舗をどうするのか、店の修理をどうするのか、設備再開のための費用をどうするのかという直接支援だというふうに思うんですね。

 大臣、最後に決意をお聞きしたいんです。経産省としても、先ほどおっしゃいましたが、やれることを全部やるということを、やはり直接支援を含めてこれからも取り組んでいただきたいということを、最後に決意をお聞きして、質問を終わりたいと思います。

林国務大臣 私も被災地の現状を、五月七日でしたけれども、この目で見て、この耳でお聞きするというために訪問させていただきました。

 被災された特に中小企業の方々が一日も早く事業を再開できるということが被災者そのものを元気づけることになるだろうし、熊本県そのものの元気につながっていくというふうに考えておりまして、精いっぱいこれに対応してまいりたいと思っております。

藤野委員 ありがとうございました。質問を終わります。

高木委員長 次に、木下智彦さん。

木下委員 おおさか維新の会、木下智彦でございます。

 本日もお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは一般質疑ということで、私の方から話させていただきたいのは、中小企業それから小規模事業者に対する対策というところで、今、経産省さんを初め政府としては、今までの直接金融や間接金融というところから、その上を行くいろいろな形の支援というふうなことを考えられていて、単純ではない問題だと思いますけれども、今までのやり方とは違って、国内の産業がしっかり活発化していくというふうなことに本気で取り組むような形にちょっと進み出したのかなと思って、私は非常に期待をしておるところでございます。そういった観点できょうは質問させていただきたいんです。

 きょう、法務省さんも来ていただいているんですけれども、ちょっと前の話になるんですけれども、二月十五日に一つの裁判で中間判決というのが出ていまして、きょうはその話をちょっとクローズアップさせていただきたいと思います。

 この中間判決はどういったものかというと、アップル社、アメリカのアップル社ですね、アイフォンであるとかアイパッドであるとかマックというPCであるとか、こういうものをつくっている会社、当然皆さん御存じだと思いますけれども、そこと日本の中小企業の一社が争った裁判であります。日本のその中小企業は、アップル社のマックというパソコンのある部品をつくっておりまして、アップル社に対して納入をしていたんですけれども、そこでいろいろな問題が出てきまして、裁判を起こした。

 この中間判決がおもしろかったんですけれども、私が説明するよりも、その経緯であるとか、今どういう状況にあるのかということについて、法務省の方からまずちょっと御説明いただきたいと思うんです。お願いいたします。

金子政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の事案は、島野製作所という会社が、アップル社の債務不履行や不法行為を理由として、損害賠償の支払いを求める訴えを東京地方裁判所に提訴したものと承知しております。

 訴えを受けたアップル社の方は、島野製作所の訴えが、裁判管轄をアメリカ合衆国カリフォルニア州とする島野製作所とアップル社との間の契約書の定めに違反するとして、島野製作所の訴えを却下するように求めていたわけであります。

 東京地方裁判所は、今委員御指摘のありましたことし二月十五日の中間判決によりまして、島野製作所とアップル社との間の管轄に関する合意が一定の法律関係に基づいてされたものではないのでその効力を生じないとして、訴えを却下するアップル社の主張に理由がないという判断をしたものでございます。

木下委員 ありがとうございます。

 法律的にお話しされたのでちょっと難しかったこともあると思うんですけれども、要は、どんなことかというと、アップルに島野製作所さんが商品を納入しました。その契約書の中に何て書いてあったか。これは普通に契約書の中に書くんですけれども、何か問題が起こったときに、訴訟行為なんかが起こったときにどこで裁判を管轄するかということが契約書の中に書いてあった。そこには、アップル社があるカリフォルニア州の裁判所で全てのものについて管轄するというふうに書いてあったらしいんですね。

 それが、問題が起こってしまった。どんな問題が起こったかというと、商品を納入してやっていたんですけれども、島野製作所さんがいきなり取引をとめられちゃったような形になったんですね。なぜかというと、アップルが同じような部品を違う国の、これは台湾だったかどこかだったと思うんですけれども、そこに納入元を変えちゃったんです。しかも、その特許権を持っているのが島野製作所なんじゃないかというふうな主張をされていたんだと私は記憶しているんですけれども、契約書でちゃんとやって納入していたのに、そうしたらいきなり違うところに変えられた。

 もっとひどいのは、いや、もう頼みますよというふうに島野製作所がアップル社に言ったら、今度はどういうふうに言ったかというと、取引を再開していいよとアップルが言った。その前に、発注を受けていたので、自分の会社の設備投資を思いっ切りして、アップルと契約してやっているんだからと思いっ切りやって、なのに、設備投資した途端にいきなりもうほとんど発注されないという状態になった。おい、ちょっと困ったなと。

 アップルといろいろもめまして、取引を開始できるようになった。なったら今度はどういうふうに言ったかというと、今まで納入した分も含めて、最初に決めた金額ではなくて、今アップル社が台湾だったかどこかの会社と契約している金額との差額分をリベートとして払えと。とんでもない話だと私は思うんですけれども、契約の内容によってそういうこともあり得るんだと思いますけれども、そういうふうに言ってきた。

 そこまでして、しかもまだ安定しない状態で、それはもうさすがに困るよねということで裁判をする。でも、裁判をするというふうになったらどこでやるかというと、中小企業がカリフォルニア州でやらなきゃいけないという状態に陥ってしまったということなんですね。

 中間判決で何があったかというと、その契約書の中にはどういうふうなことに対してという範囲がいわば特定されていなかった、全てのものについてというような感じのことが書いてあったので、それはさすがにむげですよねというふうな話になって、日本の裁判所でそれについて訴えをして、本来であったらカリフォルニアでやらなきゃいけないんだけれどもこれはどうなのというふうに言って、それで日本では、いや、一定の法律関係の部分ではないものなので、この契約書の内容は無効ではないか、そういうふうな中間判決が出たということだと思うんです。

 今説明したんですけれども、大体そんな感じで間違っていないですか。ちょっともう一度、私の今言った理解で間違っていないかどうか。

金子政府参考人 契約書にどのような記載があるかというような細かいところまでは実は私の方は承知しておりませんで、委員の方がお詳しいんだと思いますが、法律的な問題の整理としては、今、委員御指摘のとおりの判断がされたものというふうに理解しています。

木下委員 ありがとうございます。

 余り法律の話を言ったらちょっとあれなんですけれども、ここがまたおもしろくて、ただ、そうはいいながら、日本の国内では、一定の法律関係云々ということで、縛られる部分がちゃんと決まっていたんですね。契約書が取り交わされた年度の中で、国内の契約に関してはそういうふうな取り決めがあったんですけれども、海外との取引については、そういう取り決めというのか、法律でなかったんです。

 ただ、そのかわり、裁判所の判断として、条理に基づき判断されるべきだと。要は、国内ではそういうふうになっていたわけだから、海外についても同じような考え方に基づいてやるべきだという、ちょっと難しい判断をしてそうなったらしいんですね。

 それはいいと思うんですけれども、私は法務委員会でもこの話をさせていただいて、その後に国際取引についてもそういうふうな条項がついたのでいいんですけれども、やはりこういうことをちゃんと整備していくべきだよね、もっとそういうことまでちゃんと考えましょうねという話を前にさせていただいたんです。

 では、問題はどういうことかというと、やはりこういうことはこれから先起こると思うんです。

 私は、今の国会議員になる前は総合商社で国際取引をずっとやっていたので、特にこういうことを思っているんですけれども、契約書を書くときに、私のいた会社なんかは定型フォームがあるんですよ。定型フォームの中に必ず書いてあるのが、裁判管轄はどこにするか。これは契約するときに必ず日本と書けというふうに、かたく書かれています。

 でも、外の会社とするときはここでまず争うわけです。いや、こんなのは、あんたたちとするにしても、うちも、例えばアメリカだったらアメリカの管轄裁判所にしないとあんたたちと契約を結べないと、ここでまず物すごく戦うわけですね。そのときはどうするかというと、利益がどれぐらい生まれるのか、契約としてどれぐらいのインパクトがあるのか、それから、どれぐらい安全なのか、信用調査もします。

 そういうことをした上で、最後に、会社の中に法務部といって法務をつかさどる部署があるんですけれども、そこに弁護士資格を持ったような人がめちゃめちゃいるわけですよ、そこと営業マンの私とかがめちゃめちゃ戦うんですね。いや、これぐらいのことをしないと契約をとれないんだ、あんたがどういうふうに言ったって相手がそういうふうに言っているからといって、ここで戦って、はっきり言って、対外の契約交渉より社内の交渉の方にパワーの七〇%ぐらい使うと私は思っていました。

 それぐらい厳しい審査であるとか、そういうものをして海外と契約する。これができているからこそ、それなりの利益も上げられるし、安心して取引がなされる。これが今までの商社の一つの役割でもあったんだと思っているんです。

 ただ、このアップルにも見られるように、これから先、海外のというか国際企業と契約をするところが、当然アップル社なんかはもう商社なんか使わないです、本当に技術がある、中小企業であっても技術があって、場合によっては少量生産しかできないようなところに対しては、例えばそこに対して投資を行って、そして契約を結んでいくという形をとっていく。

 そうなると、やはり強い者、弱い者という関係がそのまま維持されたままの契約になっていくので、こういう問題がどんどんどんどん出てくることはこれから先否めないと思っているんです。

 こういった中小企業もしくは小規模事業者は技術を本当に持っています、今政府がそういうふうに言われていますよね。そういったところをどんどん伸ばそうとされる。こういったところこそ、しっかりと何かしらの援助をしていかなければならないんじゃないかなというふうに思ったので、きょうはちょっとこういうお話、ほとんど私のお話でもう既に十五分ぐらいたっておりますけれども。

 大臣、ちょっと、ここまでお話ししてですけれども、どういうふうにされようと思われていますか。中小企業対策それから小規模事業者対策、本当に必要なのはこういうことだと私は思っているんですけれども、具体的に何かしらの対策というのはこれから打っていこうとされているかどうかということをお話しいただけますか。

林国務大臣 今、現実的な話を拝聴いたしまして、やはりどうしてもそれは具体的に対応が必要だなという実感を得ました。

 ジェトロではそういったことに対応していくし、また、これをもう少し踏み込んだ形にするのが大事かなというふうに感じました。

木下委員 ありがとうございます。

 先ほどの質問でもジェトロのお話が出ておりましたので、これはちょうどいい話かなと思ったんです。ワンストップサービスでやる。

 もう少し具体的に言うと、何が必要なのかなと。

 これは結構難しいんですけれども、先ほど私が商社だったらこうこうと言いましたけれども、まず一つは、見きわめが難しいんですね。本当にその中小企業もしくは小規模事業者が持っている技術がそれなりの、海外でも国際的な競争力を持っているかどうかという見きわめができなければ、そうじゃないところに対しても一律の援助をしていくというのは、これは今までの経産省のやり方。一律にやっていったら、要は、言っちゃ悪いですけれども、本当に技術を持ち得ていないかもしれないようなところがそういった援助策なんかに乗ってくる可能性もある。それが悪いかどうかというところはありますけれども、やはりそこは限界があるんだと思っているんです。その見きわめ。

 その見きわめをした上で、もう一つ重要なのは、契約時点、契約書をやるとき。

 中小企業が海外のそういった大企業と契約をする、前にもちょっと法務でも質問したんですけれども、そういうときにどうするんですかというふうに言ったら、顧問弁護士なんかが中小企業についているから、そういったところからのアドバイスで何とかするというふうに言われたんですけれども、考えてみてください、アップルがやっている法務の部門なんといったら、本当に国際裁判で絶対勝つんだぐらいのすごい弁護団ですよ。そこの人たちが考えた定型フォーム、それをバックボーンにした契約交渉に、幾ら顧問弁護士がついているからといって、なかなかこれはいい条件の契約を交わすのは難しいと思います。

 ですから、まず契約を交わす時点で、そういったアドバイス、もしくはそういったものに政府として何かしらの取り組みがやはり一つは必要なんじゃないかなと思うんです。

 それからもう一つ。もしもこういうことが起こったときに、当然、司法の場で裁かれることにはなります。どこでやられるかという問題はあるかもしれないですけれども、今度は、本当にそういった弁護団と戦うことになるんです。島野製作所さんは相当頑張られました。でも、この後のことを考えてみたら、島野製作所さん、こうやって権利を主張されて、中間判決で、最後どうなるかわかりませんけれども、本当に、もともと考えていたような利益を回復することができるかどうかというのは非常に難しい状態ですよ。

 ここもやはり何とか援助してやらなきゃいけない。そうなれば、大弁護団に勝てるような大弁護団をつくらないとやはりだめなんですね。彼らは自分らの力でそれは多分難しいでしょう。そういった事象が起こったときに、政府として、どういう形でやるかということ、これを考えていっていただきたいと思っているんです。

 大臣、うなずいていただいているので、本当に私の言いたいことはおわかりだと思うんですけれども、その辺を踏まえて、今コメントをいただければと思います。

林国務大臣 先生御指摘の相談体制というのは非常に大事だと思っています。

 まず、先ほども申し上げましたけれども、ジェトロの国内事務所もございますし、そういったところを拠点にしていろいろ相談をしていただくというのが一つ。

 それからまた、そういう訴訟とかいろいろなものが起こるということになれば、新輸出大国コンソーシアム、ここには、先生のような商社のOBだとか、あるいは国際的に取り組んでいる弁護士さんだとか会計士さんだとか、そういった者をどんどん入れまして、そういった形の中で具体的に相談をしてもらうし対応していくということで今進めているところでございます。

 中小企業の方々が海外展開する際に直面するこういうさまざまなリスクに対して、しっかりと支援をしていきたいというふうに思っています。

木下委員 私なんかはぺいぺいの商社マンだったので、私と違ってそういうところへ行かれている方はすばらしい方ばかりなんですけれども。

 これから先の中小企業対策は、毎年のように中小企業関連の法案は出てきますけれども、そういうことをしっかりと踏まえた形の中小企業対策に邁進していただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 以上です。ありがとうございます。

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、内閣提出、参議院送付、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。林経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

林国務大臣 中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 中小企業・小規模事業者等は、地域に根差した特色ある事業活動を行い、多くの就業機会を提供するなど、地域経済の活性化や雇用の確保に重要な役割を果たしています。しかしながら、中小企業・小規模事業者等は、労働力人口の減少や海外との競争の激化といった厳しい事業環境にさらされています。また、その生産性は大企業の半分以下の水準にとどまっており、近年さらに格差が拡大する傾向にあります。

 このような情勢下において、我が国経済の持続的な成長を図るためには、地域経済を支える中小企業等の経営力を向上し、生産性を高めることで、その収益の拡大を実現し、経済の好循環を確かなものとすることが重要であります。そのためには、これまで行ってきた創業や新事業活動の展開に対する支援に加えて、中小企業等による経営力向上のための取り組みを支援することが必要であります。

 以上が、本法律案を提案した理由であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、事業分野を所管する大臣が、経営力向上についての優良事例を踏まえ、人材育成や情報システムの導入による効率化など、当該事業分野の特性に応じた経営力向上のための事業分野別指針を策定します。ここでは、事業分野ごとに、中小企業等の経営力向上のための取り組みの指針となるべき事項を、中小企業等にわかりやすく示すものとします。

 第二に、中小企業等が、事業分野別指針に沿って、経営力向上のための計画を作成した場合、これを事業分野を所管する大臣が認定し、その計画に基づく取り組みを支援します。具体的には、認定を受けた事業者を、金融支援の特例措置等の対象とします。また、中小企業等に対する支援を行う経営革新等支援機関が経営力向上計画の策定や実施を支援します。

 以上が本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願いを申し上げます。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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