衆議院

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第10号 平成13年11月26日(月曜日)

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平成十三年十一月二十六日(月曜日)

    午前十一時一分開議

 出席委員

   委員長 加藤 紘一君

   理事 亀井 善之君 理事 河村 建夫君

   理事 久間 章生君 理事 鈴木 宗男君

   理事 安住  淳君 理事 伊藤 英成君

   理事 田端 正広君 理事 東  祥三君

      逢沢 一郎君    赤城 徳彦君

      石破  茂君    岩倉 博文君

      衛藤征士郎君    大野 松茂君

      北村 直人君    坂本 剛二君

      実川 幸夫君    下地 幹郎君

      下村 博文君    田村 憲久君

      西川 京子君    浜田 靖一君

      原田 義昭君    菱田 嘉明君

      松宮  勲君    三ッ林隆志君

      宮腰 光寛君    宮澤 洋一君

      吉川 貴盛君    米田 建三君

      江崎洋一郎君    大石 尚子君

      金子善次郎君    桑原  豊君

      古賀 一成君    末松 義規君

      手塚 仁雄君    中野 寛成君

      永田 寿康君    藤村  修君

      松野 頼久君    三井 辨雄君

      山谷えり子君    横路 孝弘君

      渡辺  周君    上田  勇君

      河合 正智君    中塚 一宏君

      木島日出夫君    山口 富男君

      今川 正美君    辻元 清美君

      東門美津子君    井上 喜一君

      近藤 基彦君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当大臣)

   外務大臣臨時代理     福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当大臣)     村井  仁君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      中谷  元君

   防衛庁副長官       萩山 教嚴君

   外務副大臣        杉浦 正健君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    津野  修君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    首藤 新悟君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    北原 巖男君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君

   衆議院調査局国際テロリズ

   ムの防止及び我が国の協力

   支援活動等に関する特別調

   査室長          鈴木 正直君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十六日

 辞任         補欠選任

  石川 要三君     北村 直人君

  大野 松茂君     吉川 貴盛君

  坂本 剛二君     三ッ林隆志君

  西川 京子君     菱田 嘉明君

  原田 義昭君     宮腰 光寛君

  鹿野 道彦君     金子善次郎君

  桑原  豊君     藤村  修君

  玄葉光一郎君     三井 辨雄君

  島   聡君     大石 尚子君

  末松 義規君     手塚 仁雄君

  横路 孝弘君     松野 頼久君

  渡辺  周君     江崎洋一郎君

  今川 正美君     東門美津子君

同日

 辞任         補欠選任

  北村 直人君     石川 要三君

  菱田 嘉明君     岩倉 博文君

  三ッ林隆志君     坂本 剛二君

  宮腰 光寛君     原田 義昭君

  吉川 貴盛君     大野 松茂君

  江崎洋一郎君     渡辺  周君

  大石 尚子君     島   聡君

  金子善次郎君     鹿野 道彦君

  手塚 仁雄君     末松 義規君

  藤村  修君     桑原  豊君

  松野 頼久君     横路 孝弘君

  三井 辨雄君     山谷えり子君

  東門美津子君     今川 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  岩倉 博文君     西川 京子君

  山谷えり子君     玄葉光一郎君

    ―――――――――――――

十一月二十二日

 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、自衛隊の部隊等による協力支援活動、捜索救助活動及び被災民救援活動の各活動の実施に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)

同月二日

 テロの根絶を願い、報復戦争と自衛隊派遣新法反対に関する請願(木島日出夫君紹介)(第一八五号)

 同(春名直章君紹介)(第一八六号)

 同(山口富男君紹介)(第一八七号)

 米国同時多発テロの平和的解決に関する請願(石毛えい子君紹介)(第一八八号)

 米国の報復戦争と日本の戦争加担反対に関する請願(日森文尋君紹介)(第一八九号)

 テロ対策特別措置法案、自衛隊法改正案反対に関する請願(日森文尋君紹介)(第一九〇号)

同月十六日

 テロ撲滅のための平和的な国際協調等に関する請願(今川正美君紹介)(第四八五号)

同月二十二日

 テロの根絶を願い、報復戦争と自衛隊派兵反対に関する請願(大森猛君紹介)(第五五七号)

 同(春名直章君紹介)(第五五八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第五八七号)

 同(大森猛君紹介)(第五八八号)

 同(木島日出夫君紹介)(第五八九号)

 同(児玉健次君紹介)(第五九〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五九一号)

 同(中林よし子君紹介)(第五九二号)

 同(春名直章君紹介)(第五九三号)

 同(藤木洋子君紹介)(第五九四号)

 同(松本善明君紹介)(第五九五号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第五九六号)

 同(山口富男君紹介)(第五九七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、自衛隊の部隊等による協力支援活動、捜索救助活動及び被災民救援活動の各活動の実施に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)




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     ――――◇―――――

加藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、自衛隊の部隊等による協力支援活動、捜索救助活動及び被災民救援活動の各活動の実施に関し承認を求めるの件を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。中谷防衛庁長官。

    ―――――――――――――

 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、自衛隊の部隊等による協力支援活動、捜索救助活動及び被災民救援活動の各活動の実施に関し承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中谷国務大臣 ただいま議題となりました平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、自衛隊の部隊等による協力支援活動、捜索救助活動及び被災民救援活動の各活動の実施に関し承認を求めるの件について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 本年九月十一日にアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃は、アメリカ合衆国のみならず人類全体に対する卑劣かつ許しがたい行為であります。これに対し、現在、世界の国々が、立場の違いを超えて非人道的なテロリズムを非難し、力を合わせてこれに立ち向かっているところであり、我が国としても国際的なテロリズムとの闘いをみずからの問題と認識をし、国際的なテロリズムの防止及び根絶のための取り組みに積極的かつ主体的に寄与するとの立場に立ち、憲法の範囲内でできる限りの支援、協力を行うことが重要であると考えております。

 このため、政府といたしましては、同法第六条第二項、第七条第一項及び第八条第一項の規定に基づき、自衛隊の部隊等が協力支援活動、捜索救助活動及び被災民救援活動を実施することとし、同法第五条第一項の規定により国会の承認を求めることとした次第であります。

 以上が、本件を提案する理由であります。

 次に、本件の内容について、その概要を御説明いたします。

 本件は、同法第五条第一項の規定に基づき、自衛隊の部隊等による協力支援活動、捜索救助活動及び被災民救援活動の各活動の実施について、国会の承認を求めることを内容とするものであります。

 なお、別紙において、当該活動を外国の領域で実施する場合の当該外国について示しているところであります。

 以上が、本件の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御承認くださいますようお願いいたします。

加藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

加藤委員長 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛局長首藤新悟君、運用局長北原巖男君及び外務省北米局長藤崎一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

加藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤英成君。

伊藤(英)委員 今御提案されましたテロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画及び実施要項などについて御質問をいたします。

 まず、この実施要項の問題でありますが、この実施要項は概要が出されておりまして、実施要項そのものについては公表をされていないんですね。この問題は、国会で承認をするかどうかという問題を考えたときに、概要だけというのはいかにもこれは問題ではないか、極めて問題だ。

 私は、要するに、国会が本当に責任を果たして審議をしようと思った場合に、その中身が十分にわからないとその判断がなかなか難しいんですね。そういう意味で、実際にどの実施区域で本当にどういうふうにするのかということこそが今回問題なんですね。その具体的な場所がわからないというのは非常に問題だ、こう思うのです。

 そういう意味で、これをどういうふうに考えるのか、実施区域は本当にどうなっているのか、そしてまた、なぜこの実施要項について詳細な情報が出せないのか、そこについて説明をいただきます。

中谷国務大臣 実施要項につきましては概要を御報告いたしておりますけれども、テロ対策特措法において実施要項に定めるとされております実施区域、これは自衛隊が実際に活動を行う区域でございますが、これがあらかじめ明らかになった場合には、不法な意図を持つ者によって不測の事態が発生することが否定し得ず、活動を行う自衛隊の部隊の安全確保の観点から公表は差し控えさせていただきたいと思っておりますし、また、実施区域の設定に当たりましては、米国政府からの情報を踏まえた米軍の活動内容も考慮しているために、これが明らかになった場合には、自衛隊のみならず米国の活動をも推察されることになりかねず、米国の部隊の安全、米国との信頼関係にも影響を及ぼしかねない問題がございます。

 このように、この実施要項の実施区域につきましては、自衛隊や米軍の個別的、具体的な活動内容を推察させる事項が記述されることが予想されておりますし、また経由地や積みおろし地となる国名を公表することによって、相手先国との関係をも考慮する必要がございます。このように、部隊の安全、諸外国との関係も考慮して公表を差し控えさせていただきたいと考えておりますけれども、概要の形で可能な範囲でその内容についてはお示しをいたしております。

 この自衛隊の支援活動等の実施をすることについての適否の判断をしていただく材料につきましては、基本計画及び実施要項の概要によって活動の内容をお示しすることで提供に努めているところでございますので、この点で御理解をいただきたいというふうに思っております。

伊藤(英)委員 もうちょっと具体的に、協力支援活動あるいは捜索救難活動あるいは被災民救援活動について、もうちょっと整理をして御説明いただけませんか。

中谷国務大臣 協力支援活動の内容でございますが、例えば、艦船による補給と輸送を行います。これの地域としては、我が国の領域、ペルシャ湾を含むインド洋及びその上空、ディエゴガルシア島及びその領海、領空、オーストラリア領域、インド洋沿岸及び我が国領域からこれに至る地域にある経由地、積みおろし地となる国の領域、以上の二地点の艦船が通過する海域及びその上空となった区域の範囲から、活動の必要性や、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められることを考慮して実施区域を設定いたしております。

 この実施区域のうち、具体的には、その時々の米軍等のニーズ、実施部隊の対応能力によって異なるので、一概にお答えすることはできませんが、現時点で想定されている例としては、例えば、ディエゴガルシア島からインド洋に展開している米軍の艦艇に艦船用燃料を輸送したり、艦船用燃料をインド洋に展開している米軍の艦艇に給油することが考えられます。

 また、航空機による輸送として、同じくこの地域によって実施区域を設定しておりますが、これも現時点で想定している例としては、国内の米軍基地間や、これらと東南アジア方面やグアム島との間において、人員及び物品を空輸することが考えられます。

 また、被災民救援活動については、我が国からマラッカ海峡またはスンダ海峡、インド洋を経てパキスタン、カラチ港に至るまで被災民救援物資を自衛艦艇により海上輸送することを考えております。

 また、捜索救助活動につきましては、この輸送を行う区域を実施区域といたしまして、艦載ヘリコプターや艦艇によって行うことといたしております。現時点で想定している例としては、アフガニスタンでの戦闘に参加した米軍等の航空機が戦闘区域から離脱して帰投中にインド洋における我が国の実施区域内に墜落または不時着した場合に、捜索救助活動を行うことを考えております。

 以上が概要でございます。

伊藤(英)委員 今の、まず「艦船による艦船用燃料等の補給」「輸送」とありますね。あの「等」は何ですか。「艦船用燃料等」の「等」。

中谷国務大臣 これは、燃料のみならず食糧とかその他、相手国のニーズに基づいた物資を輸送するものでございます。

伊藤(英)委員 今の、ちょっともう一度言ってくださいますか。

中谷国務大臣 食糧及び水でございます。

伊藤(英)委員 その艦船用の燃料を補給するときに、どういうところでどういう補給の仕方をすることになりますか。

中谷国務大臣 場所につきましては、我が国領域、インド洋、ディエゴガルシア島、オーストラリア、インド洋沿岸及び我が国領域からこれに至る地域にある経由地、積みおろし地となる国の領域等においてこれを実施するということになります。

伊藤(英)委員 私が伺いたかったのは、どういうような状況で今のような地域で補給するのか。

 例えば、その補給の仕方によりますと、どういう状態で補給するかということによっては、つまり、いわゆる武力行使の一体化の問題に私は抵触してくるのではないかと思われるんですよね。そういう意味で、いわば軍事行動を行っている米軍に対して直接、航行しながら補給するということがあり得るんでしょうかね。

中谷国務大臣 米艦艇に対して燃料補給をする際には、艦船用の燃料の補給となりまして、海上自衛隊の八千百トン級の補給艦二隻、これは「とわだ」と「はまな」でございますけれども、これから米軍の艦艇に対して行うことでありますが、具体的な補給方法としては、一般的には、洋上において給油先艦艇と同じ速度で併走しつつ、あらかじめ補給艦と補給先艦との間にワイヤーを渡しますけれども、このワイヤーロープを伝う形で、補給艦の装備する送油管、これを給油先艦の給油口に接合して給油する方法が考えられております。

伊藤(英)委員 直接、軍事行動を行っている状態の中で補給するということはないんですね。

中谷国務大臣 この補給におきましては、戦闘行為が行われていない地域において設定された実施区域において実施するということは当然のことでございます。

伊藤(英)委員 先ほど実施区域について長官がいろいろお話をされましたけれども、現在、それぞれの国の同意を得ている状況だと考えていいんですか。

中谷国務大臣 現時点におきまして、我が国がその国において対応措置を行うことが予想されている国に対しては、当方からしかるべき説明を行っております。

 そして、当該国からは原則的合意が得られているところでございますが、この原則的合意ということは、現時点においては寄港の正確な日時、また寄港日数等が確定できないわけでございますので、これらを踏まえて、正式に口上書をもって同港の同意を求める必要がございます。このようにして同意を得ているということでございます。

伊藤(英)委員 今のお話は、正式な口上書の形にはまだなっていないけれども、さっきの原則的と言われたのは、口上書を得ていない状況のことを原則という意味で言われたんですか。

 そして、それは、対象としている、今考えている国からは、何というんですかね、口上書ではないけれども、あるいは口頭でというんでしょうか、同意は得ている、こういう意味ですか。

中谷国務大臣 現時点においては説明をいたしておりますが、寄港をすること自体の同意は得ております。

伊藤(英)委員 先ほど、艦船の中にオーストラリアが入っておりますね。オーストラリアはなぜ対象になっているんですか。

中谷国務大臣 この点につきましては、事前に米側との調整等を行いまして、この中で、米側のニーズと、また我が国の能力等を踏まえまして、オーストラリアの地域においても輸送並びに補給の必要性が出てくるということでございますので、オーストラリアを含めているわけでございます。

伊藤(英)委員 航空機による人員及び物品の輸送という中に、その人員にはどういう人が入るんでしょうか。あるいは、米軍の武装兵士も含まれることになりますか。

中谷国務大臣 人員につきましては、米側等のニーズに基づいて人員の輸送を行うわけでございますが、調整の結果、米国の軍人の輸送ということになりますと、これも含まれるということでございます。

伊藤(英)委員 そのときはどんな感じになるんでしょうかね。ある部隊をぼんと輸送するとか、どのくらいの規模のものを送るような形になり得るんですかね。

中谷国務大臣 現在、具体的な活動においては調整をしている最中でございまして、現時点において、人員、また規模、形態等においてはまだ固まっていない状態でございまして、お答えできる段階ではございません。

伊藤(英)委員 それは、かなりの規模の人員を輸送するということは結構あり得るということなんでしょうかね。

中谷国務大臣 具体的にどのくらいの数字になるのかという点については、例えば、どこからどこまでという場所の問題、時期の問題等がございます。

 この具体的な詰めにつきましては、調整委員会を初めとするテロ対策関連の対米支援の調整の枠組みが、あるさまざまなルートで現時点においても調整が行われている最中でございまして、現時点で固まっているわけではございませんし、また、米軍の作戦行動にもかかわることから、米側との信頼関係もありまして、さらに、場所となりますと、実際に活動していく相手先国との関係もございますので、お答えするのは差し控えたいわけでございますが、いずれにしましても、米側から提案された内容と我が国が実施し得る能力を十分検討した上で、我が国として主体的かつ誠実に判断してまいりたいというふうに思っております。

伊藤(英)委員 修理及び整備の部分について伺いたいんですけれども、艦船等の修理をする場合、実際には米軍も修理専門の部隊を持っていると思うんですね。それで、我が国がその修理及び整備という部分で活動する場合に、大体これは洋上ですることが多いのか、どこですることになるのか、その辺はいかがですか。

中谷国務大臣 修理及び整備につきましても、これまでの対米協議の中で米軍のニーズが示され、米軍との調整を経て、我が国として、自衛隊の能力を踏まえて主体的に検討した結果、我が国の領域、艦船による補給、輸送を実施する区域の範囲及び航空機による輸送の経由地、積みおろし地において、修理及び整備、修理及び整備用の機材並びに部品及び構成品の提供等を実施することといたしました。

 他方、これ以上に具体的な内容、例えば活動の実施先国、米軍艦船をインド洋で修理、整備するかなどにつきましては、現在、調整委員会を初めとするテロ対策関連の対米支援の調整の枠組みのもとにあるさまざまなルートでいろいろな調整が行われておりまして、現時点において固まっているわけではございませんし、先ほどもお話しいたしましたが、米軍の作戦行動にもかかわるわけでございます。

 また、具体的場所になりますと、実施先国との関係もあることからお答えを差し控えたいわけでございますが、場所につきましては、先ほどお話ししたとおり、我が国の領域や、また、今後活動する予定の区域の中で修理と整備を行っていくということでございます。

伊藤(英)委員 その修理及び整備を行う場合、日本の民間企業の人が海外に出かけてというふうに、民間企業の人をあるいはその技術者を派遣するということは考えておりますか。

中谷国務大臣 今般の協力支援活動は、基本計画の上、自衛隊の部隊等が実施するとされていることから、米軍艦艇等の修理及び整備のために日本の企業等に依頼するなど、民間の技術者を派遣するということは考えておりません。

伊藤(英)委員 艦船用燃料を今回米軍等に譲与することになりましたね。それはなぜ譲与という形にしたわけですか。

中谷国務大臣 これは法案の審議の過程で、今まではSACOという物品協定がございますけれども、この改正をするとなりますと、条約でございますので、米側との交渉等に数カ月要することもございまして、今回の一連のテロ対策等につきましては、燃料の実質的補給等に対しては譲与を行うということに結論としていたした次第でございます。

伊藤(英)委員 もう一度言ってくださいますか。なぜ譲与という形にしたか。

中谷国務大臣 ただいまSACOと申しましたけれども、これはACSAの間違いでございます。失礼しました。

 ACSAで従来は行っておりましたけれども、このACSAを準用するということも検討したわけでございますが、やはり今回は、テロリズムに対応する我が国の措置として、より積極的かつ主体的に寄与するということが目的とされておりますし、また、補給は自衛隊が行う協力支援活動の一つの重要な柱というふうになっておりまして、米側と所要の調整を含めて検討した結果、本法に基づく自衛隊の対応措置を実りあるものにするためには、艦船用燃料の譲与を行うことが適当というふうに判断したところでございます。

 燃料の調達は、補給活動を実施する防衛庁が中心となると考えておりますが、テロ対策の一環であり、財源を含めて内閣が一体となって取り組む必要があるということで、日本国としてこの艦船用燃料を米軍に譲与するということにしたわけでございます。

伊藤(英)委員 それから、被災民の救援活動について、今回、輸送艦ではなくて掃海母艦にした理由はどういうことですか。

中谷国務大臣 今回、被災民支援ということで援助する物資は、テント千二十五張り、毛布一万八千六百枚等で、大変大量の物資をパキスタンに輸送しなければなりません。それができる艦艇としては、輸送艦「おおすみ」及び「うらが」型の掃海母艦が候補となったわけでございますが、この輸送艦の「おおすみ」が現在修理中でございまして、この緊急の対応に、修理によって今般の輸送に使用できないということになりましたので、掃海母艦の「うらが」を使用することになりました。

伊藤(英)委員 今回、その派遣期間を十二月三十一日までというふうにしておりますが、これはなぜ十二月三十一日までですか。

中谷国務大臣 この救援物資を輸送する相手国はパキスタンでありまして、このパキスタンとの往路、復路の期間を勘案いたしますと、大体十二月三十一日には日本に帰還することが可能であるという観点で本年の十二月三十一日としたところでございます。

伊藤(英)委員 これは一度だけ行うということになるんですね。

中谷国務大臣 現在、我が国としてPKO等の本部に有する救援物資としては目いっぱい積載をして輸送するということでございまして、現時点におきましては、これ一回の輸送を考えております。

伊藤(英)委員 今回のこの自衛隊派遣にかかわる経費についてでありますけれども、主要な項目ごとに幾らとなるのか、そして同時に、その経費の支出の仕方、これについて御説明をいただきたいと思います。

中谷国務大臣 経費につきましては、海上自衛隊の活動にかかる経費、これは、補給艦二、護衛艦三、掃海母艦一、うち米軍等に譲与する艦船用燃料、補給艦二隻で実施しますけれども、これが合計いたしまして百六十二億円でございます。航空自衛隊にかかる経費としては、航空機が、C130Hが六機等でありまして十一億円で、合計いたしますと百七十三億円ということでございます。

 この予算につきましては予備費を考えておりまして、この予備費につきましては、手続的には、憲法第八十七条の規定によりまして、予見しがたい予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができ、すべての予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならないとされておりまして、財政法に定められておる手続に従って予備費の使用を閣議決定していただきました。

 この予備費の使用に際して、財政法第三十五条に基づき、各省庁の長、防衛庁に当たっては内閣総理大臣ということでございます。内閣総理大臣は、予備費の使用を必要と認めるときは、理由、金額を明らかにした調書を作製して、財務大臣に送付をし、財務大臣は、これを受けて、所要の調整を加えて予備費使用書を作製し、閣議決定を求めるといった手続をとるとされておりまして、先般、閣議決定を行っていただきました。

 さらに、この予備費をもって支弁した金額につきましては、財政法第三十六条に基づいて、次の国会の常会の開会後直ちに、各省庁の長は、その調書を作製し、財務大臣に送付し、財務大臣は、その調書に基づき予備費をもって支弁した金額の総調書を作製し、内閣は、総調書及び関係省庁の調書を次の常会において国会に提出して承諾を求めるといった手続をとるというふうにされております。

伊藤(英)委員 その実施区域の変更とか、あるいは活動の中断あるいは撤退をどうするかということは非常に重要でありまして、また同時に、民主党としても、この特別委員会でも何度も申し上げてきたりしましたのは、国会におけるシビリアンコントロールの話等も含めて議論をしてきているわけでありますが、この活動の中断、撤退について、実際にどういう状況になったらその活動の中断なり撤退をするのか、どういう手順でやるのか、その辺のことについて、そしてまた、どういう基準でそれをやるのか、その辺のことについて御説明をいただきたいと思います。

中谷国務大臣 派遣をされた場合にいろいろと不測の事態が生じる場合があるかもしれません。そういう場合におきましては、活動の一時休止、中断、撤退を行う場合がございますけれども、以下のような枠組みが設けられております。

 まず、部隊の長は、活動を実施している場所の近傍において戦闘が行われるに至った場合、また、それが予測される場合には、活動の一時休止または避難によって危険の回避を行うとともに、部隊の長は防衛庁長官まで報告をし、防衛庁長官による実施区域の変更または活動の中断の命令を待つわけでございます。

 防衛庁長官は、実施要項において指定した実施区域の全部または一部が法律や基本計画に定められた要件を満たさないというふうになった場合には、速やかに実施区域の指定を変更し、そして、その活動の中断を命じるわけであります。

 その指定が変更された場合には、部隊の長は速やかに変更後の区域に移動をいたします。また、中断を命ぜられた場合には、部隊の長は速やかに活動を中断して部隊の安全を確保すると同時に、米国等に中断を連絡し、そして、この活動の中断の間、関係国と密接に連絡を行うわけでございます。

 また、中断すべき状況が解消したと認められる場合には、部隊の長はその状況を長官まで報告をする等、期間中の連絡体制を密接にとるわけでございます。このようにして状況判断を行っていきたいというふうに思っております。

伊藤(英)委員 本委員会で私からもこの手続等について、本委員会ではなかったかな、ほかの委員会だったかもしれませんが、議論をしたことがあるんですが、今回、国会が、例えば撤退すべきではないか、撤退すべきだというような意思表示あるいは議決等をした場合には、当然内閣はそれに従わなければならぬ、このように思いますが、その辺のことについてはどのように考え、対応することにしていますか。

中谷国務大臣 これは重要決定でございますので、私がお答えするのがふさわしいかどうかわかりませんが、ある事項について議院の議決といった形で国会の意思が明確になった場合につきましては、政府としてこれを尊重して対応してまいりたいというふうに考えております。

伊藤(英)委員 今のお話は、官房長官、いかがですか。防衛庁長官は、自分がお答えになるのはふさわしいかどうかという話をされていましたけれども、そういう意味では、官房長官、いかがですか。

福田国務大臣 どのような状況でそのような国会の議決がされるか、それはちょっとわかりません。しかし、そのような状況になる前に何らかの措置を政府としてとっているんじゃないかな、このようなことも考えられると思います。

伊藤(英)委員 その前に、今の官房長官のお話は、そういうふうに議決される前に多分いろいろな措置はとられるでしょうという意味だと思うんですが、そういう意味ですね。したがって、もちろん、国会で議決すればそれは当然それに従います、こういう意味ですよね。

福田国務大臣 私もそういう事態がどういう事態なのかなと思って今一生懸命考えているんですけれども、そこまでのことである。要するに、議決されるほどの重大事だということであれば、当然そういうことになるんだろうというふうに今ちょっと考えているところですけれどもね。

伊藤(英)委員 これは以前にも内閣としてそういう答弁をしているんですが、今の、官房長官は当然そうなるでしょうという話ですが、これは絶対にそうしていただかないと困りますね、ということであります。

 それから、今、アフガニスタンの状況も非常に急進展、こんな感じだと私は思うんですね。十月の八日に米軍等の対アフガン軍事行動は行われたのですね。それは、北部同盟の攻勢とも相まって予想以上に急進展、私はこんな感じだと思うんです。

 それで、質問するんですが、まず最初に、何となく、何となくといいましょうか、今、アフガニスタンの一部南の方を残してほとんどが北部同盟支配下にあるというぐらいの状況にあると思うんですね。そういう状況になりまして、今さらこの時期に自衛隊を派遣するのは必要ないのではないか、こういう見方もできるかと思うんですね。それについてはどういうふうに現在判断をしておりますか。

中谷国務大臣 いろいろな情報が伝わってくるわけでございますが、基本的には、現状においては冷静沈着に分析をしなければならないわけでございまして、きょうの報道によっても、タリバンの逆襲というか、北部の地域においてはタリバンの襲撃等もあって犠牲者も出たのじゃないかというタリバン側の発表もございますし、南部の方も、従来から非常に長期戦にたけたタリバン軍でありまして、これから冬季を迎えますと山岳地帯での行動が米軍においても非常に困難になってくる面も予想されておりまして、米軍自身も、今回の行動は長期になるかもしれないというようなことを言っているわけでございます。

 そういう観点で見ますと、アフガニスタン情勢というのは非常に流動的でありまして、先般のテロ攻撃を行った者によってもたらされている脅威が存在する限り、これらの除去に努めている米軍等に対する協力支援活動を引き続き実施することが重要であるというふうに考えております。

伊藤(英)委員 では、防衛庁長官としては、今後のアフガニスタン等も含めて米軍の作戦の見通しについて、どんなふうに思っていますか。

中谷国務大臣 米軍の実施している作戦行動においては米側は余り具体的なことを言及しておりませんので、我が国が米軍等の作戦について予断をするということは適当でございませんけれども、米軍は今回の軍事作戦について、テロリズムとの闘いとして、タリバン及びアルカイダの排除を目的として今後も空爆や地上戦を実施していくものだというふうに考えておりますし、ラムズフェルド国防長官も、テロとの闘いはまだ初期段階である、敵の指導者が少なくなってもそれは必ずしも任務が容易になるということを意味するものではない、長い期間洞窟に隠れることができ、これには時間がかかると述べておりまして、防衛庁としてもそのように認識をいたしております。

 また、北部においては、マザリシャリフを拠点として米軍として人道支援を強化することができるようにしていく考えを表明いたしておりますが、状況は非常に流動的でありまして、今後の推移につきましても引き続き注視をして対応してまいりたいというふうに思っております。

伊藤(英)委員 防衛庁長官としての見通しといいましょうか、そういうのをもう少し伺いたいと思ったのですが、若干難しいのかもしれませんが。

 それで、先ほど私は中断あるいは撤退の仕方云々という話をいたしましたけれども、ちょっと具体的に伺うんですが、例えばタリバン政権が完全に崩壊した場合、そのときには米軍はどう対応すると思うか。そのときに日本はどういうふうに対応いたしますか。あるいはまた、ビンラーディンが拘束あるいは殺害されたとした場合に、米軍はどうすると思いますか、あるいは日本としてはどういうふうにいたしますか。

中谷国務大臣 この現象が起こったとしても、それではアフガニスタンに暫定政権がきちんとできたのか、またテロに対する脅威が本当になくなったのかという要素も勘案をしなければなりませんが。

 そもそも、今回の対応措置の目的というのは、米国で発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置でございまして、この判断材料としては、この法律が目的とするテロ脅威の除去がなされたかどうかという判断をする際の要素として、タリバン政権が崩壊したりビンラディン氏が逮捕または殺害されたという時点においてはそういう検討をしておかなければなりませんが、必ずしも常にテロの脅威の除去を意味するものではなくて、その判断は諸般の情勢を総合的に勘案して行う必要がございます。

 一般論として申し上げれば、これをもって九月十一日のテロ攻撃を行った者等による同様の攻撃が再発する蓋然性が高い状態が解消されたと認められる場合には、その目的を達成したものとして対応措置を終了して自衛隊部隊を撤収させるということになるというふうに考えられますが、このような対応措置の終了を行う場合においては、内閣総理大臣に御判断をいただいて、基本計画を閣議決定により変更するなどして、その内容の変更、対応措置の結果を決定した後、遅滞なく国会に報告することとなっておりまして、そういった時点において総合的に勘案していかなければならないというふうに思っております。

伊藤(英)委員 今アメリカの国防副長官にしても、あるいはライス補佐官にしてもそうなんですが、イラクへの攻撃について示唆しているといいましょうか、あるいは触れている方もいらっしゃいます。もしもイラクなどアフガニスタン以外の国に攻撃が開始されるというようなことが起こった場合に、あるいはきょうの新聞では、例えばソマリアとかスーダンとかイエメンとかいうようなところへの攻撃の可能性についてもちょっと報道もされたりしておりますが、もしもそういうふうになった場合に日本としてはどうするのか、あるいはこうした問題について日米で議論しておりますか。

福田国務大臣 米国が今後いかなる行動をとるかということを予断するのは、これはなかなか難しいことでございます。イラクに行くのかどうかといったようなことについて具体的に申し上げるというのは、私は、そのことによってまた我が国がどういう対応をするかということについて、これは、具体的なその状況とかそういうことに至る背景がわからない中において今申し上げるのは非常に困難なことだというふうに申し上げるしかないと思います。

 しかし、いずれにしても、我が国としては、このテロの脅威を、これを除去する、こういう大目的を持って今この行動に参加しているということでありますので、その目的というものは、これはあくまでも中心的な目的でなければいけない、こう思います。

 いずれにしても仮定の問題ということで、具体的な状況を踏まえない今の状況で、お答えしにくい。しかし、今回の対応措置の法律に照らして、我が国としてこれは主体的に考えていく、こういう問題だと思っております。

伊藤(英)委員 主体的に考えるということなんですが、米側とはそうした可能性について議論はしたりしているんですか。

中谷国務大臣 防衛庁は、まだそのようなことを議論はいたしておりません。

 イラクの攻撃の可能性等につきましては、そもそも今回の米軍の行動というのは、国連憲章を遵守する義務を負う米国等が自衛権を認められて、米国がその国連憲章の目的に沿って行動しているわけでありまして、そもそも、国連憲章の目的を逸脱するということは想定をされがたいというふうに思っております。

 判断基準といたしましては、その国の軍隊が正当な自衛権の行使の範囲を超えて武力行使をしているか否かということでございまして、まだどのような状況になるかわかりませんけれども、こういった国連憲章の目的に沿って行動しているかという観点で判断をしてまいりたいというふうに思っております。

伊藤(英)委員 時間がもう余りないんですが、アフガニスタンの復興及び和平の問題についてちょっと伺いたいのです。

 アフガニスタンの復興支援高級事務レベル会議も先般ワシントンで行われましたけれども、しかしこの会議の経過を見ますと、日本がいろいろ言ったりするんですが、他の国々の思惑やらいろいろな考え方があってなかなか容易ではないだろうと私は思うんですね。それはやはり、あの地域の地政学的な問題もあるでしょうし、あるいは過去の歴史の問題もある、あるいは資源という問題もある、そういう意味でなかなか重要な状況である、こう思うんですが、日本が今このアフガン復興の問題についてイニシアチブをとろうとしているわけですが、今どんな状況で、これからどういうふうに日本として持っていくことができるか、その辺のことについて伺います。

杉浦副大臣 お答えいたします。

 アフガン復興の問題については、日本がかねてから東京で会議を開こうということを提唱してまいったことは御案内のとおりだと思います。先ほど先生が申されたように、急速に事態が進展をいたしまして、そして今まさにこの復興の問題と和平プロセスの問題が、片っ方ではまだ軍事作戦が継続中なんですが、並行して進行する段階となったわけでございます。

 そして先日、御承知のとおり、日本とアメリカが呼びかけまして、復興会議をワシントンでやろうということで呼びかけたわけでございますが、先生がおっしゃるようにさまざまな利害が絡んだのですが、しかし、状況は急速に進展しているということで、一応事務レベルの対応ということで、三十カ国近い国が集まりまして相談をいたしました。そこで、次は日本で一月の後半にアフガン問題についての閣僚級の会議をやろうということは結論として決まっております。そして、議長国として、日米だけではいかぬのじゃないかという意見がございまして、EUとサウジアラビアを加えまして議長を務める、共同議長でやるということも決まっております。

 そこにどういう国を呼ぶのか、どういう形でやるのかということにつきましては、十二月にその四議長国を中心にして相談をして決めようということになっておりまして、まだその復興会議の先行きがどうなっていくか、不透明な部分が多々ございますが、東京といいますか、日本における閣僚会議までに、日米、ヨーロッパ、サウジアラビアが中心になっていろいろと検討してまいるというふうに相なると思います。

伊藤(英)委員 今、復興会議のことについて話がありました。

 もう一方の和平の方の話も、あすからドイツでアフガン代表者会議が開かれることになっております。このアフガン代表者会議には日本からも、どういう形であれ、代表としてどなたか行かれることになっておりますか。

杉浦副大臣 明日から、当初はベルリンの予定だったのですがボンに変わりまして、ピースプロセスの方の会議が開催されます。

 これにつきましては国連が主催いたしまして、ブラヒミさんという特別代表が主宰した形で、アフガンの当事者だけでやろうということで行われることに相なっております。それ以外の地域、国は入っておりません。

伊藤(英)委員 報道によれば、ステータスはどういうふうになるかはわかりませんが、アメリカ、イギリス、ロシア、パキスタン、インド、イランの代表団がボンに行くというふうに報道されておりますが、そういうことはありませんか。

杉浦副大臣 他国のことはよくわかりませんが、我が国も、その周辺におりましてその状況を十分把握するように考えております。恐らく各国ともそういう対応をとると思います。

伊藤(英)委員 日本からどなたが周辺に行くのですか。

杉浦副大臣 大使館がございますので、大使館を中心にして対応いたします。

伊藤(英)委員 実は、復興の問題については、日本が日本がと、こう言っているのですね。ところが、官房長官、和平の問題について日本はどれだけ、主体的にといいましょうか、イニシアチブをとろうとしているのかということが私にはよくわからないのです。よく見えないと思うのです。

 それで、実は、復興の問題もそうなんですが、日本にはどうしても何となく、資金さえ出せばいいと、ひょっとしたら日本自身もそう思っているのかもしれない。ほかの国も日本に対しては、資金を出してくれればという、要するに資金の部分だけが期待されていて、あるいは自分たちも、ひょっとしたら日本の政府もそう思っているかもしれないという気さえするのですね。

 ある意味では、もっと頭脳の部分というかソフトの部分といいましょうか、和平をどうやってやるかとかというようなところになりますと、何となく日本は蚊帳の外みたいな感じではないだろうかという気がするのですが、官房長官、どうですか。

杉浦副大臣 先生も御存じだと思うのですが、日本としても、かねてからアフガンの和平については陰ながらひなたながらやっておりまして、パキスタンでタリバンと北部同盟の人たちを引き合わせましたり、あるいは東京でやったらどうかという提案もいたしたりしておるわけでございます。

 今度、あしたから開催予定の会議には、四つのプロセス、つまり北部同盟と、国王周辺のローマの人たち、ペシャワールにいる避難民といいましょうか、アフガンから避難したパシュトゥン人主体の人たちでございますとか、サイプラス・グループとか四グループが集まることになっておりますが、それぞれについても、連絡をとって情報を収集するように努力いたしております。

伊藤(英)委員 官房長官、いかがですか。

 私は、和平の問題について、和平復興、金の部分だけの問題じゃなくて、日本が本当にこのアフガンのことに関与してこれをやろうと思えば、その和平の問題についても、まさに当事者の一人として取り組む話なんだろうという気がするんですね。しかし、そういうふうになかなかやはり見えないなという気がするんです。

 もちろん、この地域は、先ほどもちょっと触れましたけれども、どんなにか複雑な地域かと。歴史的に見ても、あるいはそれぞれの関係国の利害といいましょうか、そういう面から見ても非常になかなか難しいテーマだと私は思うのですが、しかし、それにしてもという感じを私は否めません。官房長官、どうですか。

加藤委員長 杉浦副大臣。まず、副大臣。

杉浦副大臣 アフガンのピースプロセスにつきましては、国際社会、アフガン問題のコーリションの各国の共通する認識は、国連を中心にして関与すべきだという意見でございます。

 そして、我が国の立場といたしましては、アフガンのピースプロセスは、アフガニスタン国民の意思が尊重されるということ、それから、アフガニスタン国民各層の幅広い支持を受け、周辺国との友好関係に基づき、国際社会に広く受け入れられる政権が誕生すべきだという基本的立場でございまして、この考えは、その周辺国を含む国際的な、アフガン問題のいわゆるコーリションと言われている各国にほぼ共通した考え方でございます。

 ですから今度の、あしたから始まる、ブラヒミ特使が主宰されるアフガン各派の話し合いの行方を、私ども、各国とも極めて注意深く見守っておるというのが実情でございます。

福田国務大臣 御指摘のように、復興の方には緒方さんが出られるというぐらいに力を入れている、しかし和平の方はどうなのか、現地大使館が対応する、こういうようなことで、それは、はたから見ればそういうことになるのかもしれません。

 しかし、この和平と復興というのは、これは言ってみれば車の両輪なんですね。ですからどっちも欠かすことはできない。日本は復興の方に、本当に動力源のような形でもってこれをしっかりやっていこうというようなことでありますし、和平の方は、これは関係の近い国々が新しい体制をいかにつくるかということについて全力を挙げる、こういうようなことでございますので、日本はまさに和平復興プロセスに密接に関与する、こういうふうに考えてよろしいのではないかと思います。全体的に考えるべき課題だと思っております。

伊藤(英)委員 では、ちょっと伺いますが、これは副大臣に聞きましょう。

 あすのボンの代表者会議で、どういう結果になるという見通しを持っていますか。例えば、暫定政権樹立についての手順は決まるだろうとか、あるいは、各派の連立の合意は得られるだろうとかいうような見通しを持てますか。

杉浦副大臣 結論から言うと、極めて見通しはつけがたいわけでありますが、ブラヒミ特別代表が十三日に発表いたしました新しい政権づくりに関する構想、これは五段階構想に相なっております。

 各派代表による会合から始まりまして、憲法制定、政府樹立に至るまで五段階のプロセスを経て新政権というふうに考えておるわけですが、今のところ、その五段階のうち、一、二、三の各派代表会合、暫定評議会設置、暫定評議会から暫定政府と、この三つぐらいはごちゃごちゃに、つまり展開が速かったものですから、話し合われるのではないかというような見方が多うございます。

 ブラヒミ特使が主宰されますので、そのブラヒミ構想に従って各派が話し合うということですが、その結論がどういうふうになっていくかは現在はちょっと見通しがつけがたいところがございます。

伊藤(英)委員 実は私は、本委員会でもそうですが、他の委員会でも何度も申し上げてきたりしたわけでありますが、今のように例えば国連国連と、こう言うんですよね。しかし我が日本は、今の小泉内閣、私は外務大臣もそうだと思っているんですが、例えば、日本が国連で常任理事国になることを希望するといいましょうか、国連の常任理事国にもなって活動しようという気構えかというと、そうでもありませんよね。今までそこのところについては慎重論をとってきたと思うんです。あるいは、国連外交についても、日本は必ずしも十分に私はやっているとは思えない、そういう状況ですよ。そういうことをやっていて、本当にそういう和平なんかいろいろできるかなということを、私はそういう心配をいたします。

 官房長官、文芸春秋の十二月号に、塩野七生さんがこのアフガンの問題について書かれています。彼女の大変な博識のもとに書かれておりまして、そこには、要するに、アフガンのは非常に複雑なあれなんだよと。だからアフガンの和平の問題等については、これはほかの国にやってもらったらどうですか、そして日本は、パレスチナ国家の支援のために、日本としては、私たちがやりますと、そういうふうにやる方が、むしろ国際的な面においてもいいのではないかというふうに提案されたりしておりますね。これはどう思われますか。

福田国務大臣 私、まだその塩野さんのものを拝見していないんですが、アフガンよりもイスラエル、パレスチナ、こういうお話のようなことでございますが、私は必ずしもそういうようには思っておりません。パレスチナの方を何もしないでいい、こういうことではありませんよ。そうでなくて、日本が有効に関与できるようなそういう機会があるならば、それはもう積極的に関与していくべきだというように思いますし、そのことが世界の平和に役立つ。なおもう一つ申し上げれば、そのことがイスラムとそれからそれ以外の対立とかいったようなことの原因でなくなるということであるならば、大いに活躍すべき場面だと思います。

 なお、アフガンのことについてちょっと補足、追加させていただきますと、和平の方にも、ブラヒミ特使の下で日本の外交官も活躍しているんですよ。政務官としてブラヒミさんのすぐ下で働いている、こういうこともありますので、そういう実際に役立つ人を派遣して、送り込んでやっているんだということは、これは一つ追加させていただきたいと思います。

伊藤(英)委員 時間になりましたので終わりますが、一つだけもう一度言えば、要するに和平の問題について、中東だけではなくて、中東の話もそうなんですが、アフガンの問題についても、和平の問題についても日本として積極的にやるべきだ、私はそう思っているんです。思っているんですが、そういう枠組みをどういうふうにやっていくんだとかいうところについての日本の努力といいましょうか、姿は本当になかなか見えないということだと思っているんです。

 そういう意味で、さっきスタッフに入っていると言われましたけれども、スタッフには入っているかもしれませんが、しかし日本の姿は見えませんね、和平についてどれだけやっているかは見えないよと。復興の話しか見えてこない。日本の財政状況とかを見れば、お金お金なんてそうできるわけじゃないと私は思うんですね。そういう意味でも、ぜひ日本政府としては、この和平の問題についてもっともっと真剣にというふうに私としては思いますということを申し上げて、終わります。ありがとうございました。

加藤委員長 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。桑原豊君。

桑原委員 先ほど民主党の伊藤委員の方からいろいろございましたが、その中で、アフガン情勢が急展開をして、事態が非常に変わってきている、タリバーンが事実上全土的な実効支配をできなくなって、敗退をして、北部同盟などを中心にした反タリバーン勢力がほぼ国土の大半を支配していると。ただ、その勢力間で主導権争いというものもこれから起きるのではないか、そういう懸念も一方ではされていると。また、冬をこれから迎えるわけですけれども、大変厳しいそういう寒さの中で、難民がどんどんふえていくのではないか、そういう心配があると。

 こうなりますと、米軍のインド洋上からの空爆といいましょうか、そういう攻撃中心のあり方から、いよいよ地上戦と申しましょうか、あるいはアフガンにおける治安維持と申しましょうか、そういったところに米軍の軍事行動も重点を移していくのではないか、こういうふうに見られるわけですね。

 そこで、自衛隊の艦船はきのう出航いたしました。現地に着いて実際の活動に入るのはいつごろになるんでしょうか、防衛庁長官。

中谷国務大臣 昨日、三隻の、補給艦、護衛艦、掃海母艦が日本を出発したわけでございますが、目的である活動地域に向けて前進をいたしております。

 その目的地でいつ実質支援活動をするかということにつきまして、米国政府等と協議をいたしておりますので、具体的な時期とか場所等についてはお話はできませんが、一般論といたしまして、シンガポールの海峡を経由してインド洋に入るまでには、一週間ないし十日ぐらいは一般的にはかかるのではないかというふうに思います。

桑原委員 そういうことになればなおのことなんですけれども、私は、アメリカがこれからやろうとする軍事行動と、日本の自衛隊がインド洋上で補給やあるいは輸送しようというこの支援活動、中心的な支援活動との間にテンポのずれがあるのではないか。要するに、もうそこから重点が移って、地上戦を中心にしたアフガン内部でのいろいろな活動、そういうものに移りつつあるときに自衛隊が出ていく、どうもそこにずれがあるんじゃないかというふうに思うんですが、そこら辺の情勢認識、どう認識されておいでるでしょうか。

中谷国務大臣 日々刻々事態は推移をいたしておりますが、現に、現時点においても米軍の空爆というものは行われているわけでありますし、また、今後、冬季を迎えて作戦の展開がどうなるかという点も非常に流動的で不透明な部分がございますが、我が国としては、先般のテロ攻撃を行った者によってもたらされている脅威が続く限り、これらの除去に努めている米軍を初めとする各国に協力支援活動を引き続き実施をするということをいたしております。

 具体的な内容等につきましては、米軍等と協議をして調整を行った上で、適切な支援が行えるようにいたしたいというふうに思っております。

桑原委員 ショー・ザ・フラッグということで、これは自衛隊を送らなきゃいかぬのだというふうに、かなりアメリカの言い方を曲解している部分もあったり、あるいはこれの意味するところは自衛隊を送る以外に――そのこと、そのものを言っているんだ、自衛隊を送ることそのものを言っているんだというふうなことで、かなり私は強弁の気味もあると思うんですけれども。

 ともかく、出そう出そうということで出すということになったわけですけれども、私は、出すことももちろん法律できちっと、基本計画できちっと定めていくことが必要なんですけれども、じゃ一体、いつどういうことがあったときに中止をしたり撤退したりするのかという、そこら辺の手続というものが、あるいは要件というものが、この法律や基本計画、実施要項の中でも極めてあいまい、不備になっているんではないか、こういうふうに思うんです。

 先ほど伊藤委員の方から、国会の決議があればそれを尊重する、こういうふうにおっしゃいましたけれども、それは、法律があろうがなかろうが、国会の権能というものを考えたときには、そのように対処するのが当然だということを言ったにすぎないというふうに私は思うんですが、具体的な、テロの脅威を除去するためのこの法の目的というものから考えて、どういうときに一体撤退すべきなのか、あるいはそのためにはどういう手続をすべきなのかというのは、私は、本来、この法の中でしっかりと決めておかなきゃならぬことじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。

中谷国務大臣 今回、我が国が行おうとする活動につきましては、先般の米国で起こったテロ事件に対して、国際連合を中心として、各国がこういったテロの除去、根絶をするために行っていることに対して支援をするという目的でございまして、やはり我が国としても、正しいことは正しい、こういったテロをなくすために、やるべきことはやらなければならないと。ただし、憲法の制約があるので、限られている範囲で実施をするという趣旨に基づいて、我が国としてのなし得る限りの支援を行うために実施をするわけでございます。

 こういう目的からかんがみますと、そのようなテロによる脅威が除去をされて、再び世界が平穏な状態に戻って、経済活動や文化活動等が安心な状態で行われるような状態に戻るというのが目的でございまして、そういった状況がいつの時期になるのか、これは、国際社会の動向をよく注視をして、我が国として総合的に判断をして、そのしかるべき措置を講じて終了させるというふうに考えております。

桑原委員 今おっしゃられたようなことは、私は、法律にちゃんと書いておかなきゃならぬのじゃないかと。目的の達成、いわゆるテロの脅威を除去する、これも非常に抽象的ですよね、いつをもってして、何をもってしてというのがわからないわけですから。

 そういう意味では、今回のこの特殊な事態に対応する法律だということになれば、私はもっと具体的に、例えば、犯人と目されるビンラディン氏の拘束だとか、あるいはタリバーンの崩壊とか、あるいはアルカーイダのせん滅とか、そこら辺、法律に明文のものを書かなくても、それなりの考え方というのはきちっと持っている必要があるのではないかと。

 アメリカがいつまで続けるのかもわからない、あるいは、今言われているところによれば、例えばイラクへやるかもしれない、スーダンへ逃げていったかもしれない、そんなことでだんだんだんだん、ある意味ではいろいろな、戦域が広がる可能性もありますし、そういったことなどを考えれば考えるほど、日本としてきちっとしたこの問題に対する、撤退の一つの考え方というのを持っていなきゃならぬのじゃないかと私は思うんですけれども、目的の達成というものについてももう少し具体的に考え方をお持ちなのかどうか、まずそれを一つお聞きしたいと思います。

中谷国務大臣 現在行っている支援の目的というのは、何といってもテロの脅威が除去をされるためにやっているわけでありまして、この終了の時点というのは、テロ対策特措法の目的であるテロの脅威が除去された場合において、この法律の目的が達成されたものとして、対応措置を終了して、自衛隊の部隊を撤収させるというふうに考えております。

 これはやはり、基本計画というのは安全保障会議を経て内閣で決定をいたしております。内閣総理大臣のもとに基本計画を策定し、また閣議決定によって変更をするわけでございますので、この結果は遅滞なく国会に報告をいたしておりますが、内閣総理大臣の御指示を仰いで終結をさせなければならないというふうに思います。

 一応、目安ということで、この目的が、ビンラディンの逮捕とかアルカイダのせん滅とかタリバンの崩壊とか、一つの結節の時期はあろうかというふうに思っておりますが、あくまでもテロの脅威の除去がなされたかどうかを判断する際の要素として考えられるわけでございまして、必ずしも常にテロの脅威の除去を意味するというのではなくて、この判断は諸般の情勢を総合的に勘案して行う必要があるというふうに思っております。最後の判断としては、先ほどお話しした法律の目的を達成した時期だというふうに考えております。

桑原委員 それからもう一つ、この行動を我が国が、自衛隊が行うためには、諸外国の、その該当する地域の同意を得なければならないとなっております。

 まず、この同意の中身についてちょっとお聞きいたしますが、この同意というのは、いわゆる活動の範囲、基本計画に定めてございますけれども、それぞれについて得るのか。もちろん得ると思うんですが。

 加えて、実施区域というのがございますね、実施区域についても、改めてまた同意を得ているのか。同意のあり方というのはどういうふうな中身になっているんでしょうか。

中谷国務大臣 当然、この法律に明記をされておりますが、活動を行う場合においては当該国の同意というものが必要になっておりまして、実際に活動する前には、同意を得るものだというふうに思います。

 現時点においては、自衛隊の派遣等についてパキスタン政府等にも、きょうは外務大臣が行かれておりますし、せんだっては与党の調査団も行きましたし、政府の調査団も行きまして政府関係者とお話をいたしておりますし、それぞれ支援を行う関係国並びに協力をいただく国に対しても、外交的にもきちんと説明をして実施をいたしておりますので、当然、活動する際においてはこの国の同意を正式にとって活動したいというふうに思っております。

桑原委員 そういう活動範囲の同意と、実際に実施する区域を実施要項で定めるわけですけれども、その区域についても改めて、こういう区域で実際の活動をやるんですよというような同意を得るんですか。

中谷国務大臣 今後具体的に活動する際は、何月何日に、どこで、何をということが明らかになってまいりますので、その時点において相手政府に対して、何月何日にと、より具体的な内容を示して、その上で同意を得たいというふうに思っております。

桑原委員 さて、もしこの同意が、相手国がそれを撤回する、あるいは、同意を得たけれども、その相手国の政府が事実上崩壊状態、その国の実効支配を一体だれがしているのかもはっきりしない、こういうような状態になって、その同意がある意味では失効したとみなさざるを得ないような、まさにそういう判断をせざるを得ないような状態になったような場合、まあ、同意がなくなった、こういったような状態のときには撤退ということになるんですか。その撤退との関係を教えてください。

中谷国務大臣 当然、その国においては活動できないということでございますので、その国においての活動は実施しないということでございます。

桑原委員 これも、ある意味では活動停止あるいは撤退というような一つの条件になる、こういうふうに理解してよろしいわけですね。

 それから、これは先ほども議論になりましたけれども、アメリカが、いわゆる正当な自衛権の行使の間はいいわけですけれども、それを超えていろいろな過剰な行動に移った、こういうようなことを判断した場合は、我が国はアメリカの支援をその時点で打ちどめる、こういうことになるのでしょうか。

中谷国務大臣 基本計画においては、この法律に基づく対応がこの法の目的達成のためということで、特にこの対象となる諸外国の軍隊等が、先般のテロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めることによって国際連合憲章の目的の達成に寄与するものであるということが前提となっておりますので、この国際連合憲章の目的の達成に寄与するものに限っての協力支援になるということでございます。

桑原委員 例えば、大量の民間人が犠牲になる、あるいは新しい新型の爆弾が投下されて、本当に、非常に悲惨な状態が現出してきたとか、あるいは周辺国にまで空爆が及ぶとか、例えば今イラクなどという話も出ておりますけれども、アフガン以外に戦火が拡大をするとか、そういったことなど、幾つか私は具体的に想定できるものもあるんだろうと思うのですけれども、どういった事態が国連憲章の目的から外れるというようなことになるのか、少し具体例を挙げて御説明いただけませんか。

 私は今ちょっと具体例を申し上げたのですけれども、少し具体例を挙げてお願いします。

福田国務大臣 今は、起こっていることについては、これはもう目的は明確なのでありますけれども、この目的というのは、特措法で定められている目的なんですね。ですから、この特措法の趣旨、目的から逸脱するようなことはできない、こういうことであります。

 具体的に、いろいろなケースが考えられる。例えば、ほかの国に飛び火するとかいったような事態が起こったとき日本はどうするのか、こういうようなことになりますけれども、今現在、そういうようなものを予断を許されることではないし、また、それを前提にいろいろ物を言うべきではないんではないかなというように私は思っておりますので、今お答えするのはなかなか難しい、このように思っております。

 それは個別の事情によって判断する、そして、その判断はこの特措法に基づいて行われるということと、それから日本の置かれている立場、これはもういろいろな制約もあるわけでございますので、その立場を十分にわきまえた上で自主的に判断をする、これ以外にないわけでございます。

桑原委員 常に、アメリカを初めとしたそういった軍事行動というものが、本当に国連憲章の目的にかなったものであるかどうか、あるいは正当な自衛権の範囲を逸脱しないものであるかどうか、そういったことは、私は、ちゃんとしっかりした評価を冷静にして、主体的にと今までおっしゃってきたわけですから、そこは法の目的をしっかり踏まえて対応していかなければならないということを申し上げておきたいと思います。

 さて、基本計画がつくられて実施要項がそれに基づいて作成をされました。私どもには、実施要項の概要というのが配られて、これでもって自衛隊の派遣についての対応措置をぜひ、基礎資料としてそれをもって判断して国会で承認してほしい、こういう政府側の考え方だろうと思うんですけれども、そこで、それらの問題について今から一つお聞きをしたいと思います。

 まず、この基本計画を策定するに当たっては、日米の調整の協議が行われました。その中で、まずお聞きしたいのは、アメリカ側から日本側にどういった支援をしてほしい、米軍はここが足らざるところなんだ、ぜひお願いしたい、そういう要望があって、そして、それは具体的には基本計画のどこに反映をされているのか、まずそこをお聞きしたいと思います。

中谷国務大臣 具体的な支援活動を行うについては、日米で調整委員会等を通じて所要の調整を行いましたけれども、これまで開催された調整委員会の概要を申し上げますと、まず、十一月の二日に第一回目の委員会が開かれまして、日本側から今回の法律に基づく対米支援についての基本的な考え方を説明したのに対して、米側から、日本の迅速な対応に感謝しており、日本の協力は有益で価値の高いものである、多国間協力を行う際には自己完結型の能力を持って参加することが重要であり、自衛隊の支援はこれを満たしている、本件は短期間のものではなくて息の長い協力をお願いしたいという意思が表示されました。

 二回目は、十一月の十四日でございますが、日本側から基本計画の検討の状況について説明したのに対して、米側から、日本側の提案を最大限有効活用していきたい、テロとの闘いは長期にわたることとなる、今回の協力内容は良好な日米安保関係が結実したものになっていると思っているなどの反応が示されまして、その後、この調整委員会の下にワーキンググループもございますし、その下に作業の部会もございまして、それに基づいて、より具体的な協力の調整を行っている段階でございます。

桑原委員 今の御報告からは、米側からは特に、これしてほしい、あれしてほしい、こういうような特別の要望はなかったのかあったのかよくわからないわけですけれども。

 それじゃ、具体的にお聞きしますと、イージス艦の派遣というものがいろいろ報道もにぎわわせておりましたけれども、そのイージス艦の派遣等については具体的に要請はなかったんですか。

中谷国務大臣 これにつきましては、これまでも米側の要人がいろいろと発言をされておりますが、これはあくまでも日本自身が決めることでありまして、米側から基本計画の策定に際してイージス艦の派遣の要請はございませんでした。

桑原委員 このイージス艦が具体的に俎上に上って、最終的には取りやめになったということがいろいろ報道されてきたわけですけれども、あるいは自民党の、あるいは与党の内部でもこの問題がいろいろ議論をされたわけですけれども、これが俎上に上って取りやめになった理由というのは何ですか。

中谷国務大臣 これは最終的に、昨日自衛艦艇の派遣がございましたが、これの前に実施要項を決定いたしました。そこによって、イージス艦を派遣するかどうか最終的な決断をしなければならなかったわけでございます。

 それまでイージス艦の派遣を検討したのは事実でございますが、やはり現時点における戦況の推移、またイージス艦を使った場合の優位性、並びに国会の議論を通じて与野党の皆さんからさまざまな御意見がございましたし、また派遣する上においては国民の合意も必要でございます。

 そういった総合的なものを判断いたしまして、最終的にはイージス艦を含めないということを決断したわけでございますが、見送った理由というのは、総合的に検討した結果でございます。

桑原委員 アメリカ側からは具体的な要望もなし、それからイージス艦以外についても、こういったことをぜひやってほしいというような特段の要望もなかったと。

 これはもう一度確認いたしますが、そういうことで実際に基本計画を決める段階では日本側の考え方で、アメリカ側の、いろいろな話し合いを通じて特に要望に配慮して決めたわけではない、こういうことですか。

中谷国務大臣 あくまでも日本側の状況判断で決定したことでございます。

桑原委員 輸送とか補給は、あるいは捜索救助活動などもそうですが、これは米軍がある意味じゃオペレーショナルな形で、私は米軍自身も自己完結しているような仕組みじゃないかと思うんですが、それはどういうふうに理解されたんですか。

中谷国務大臣 基本的に、我が国が行える能力という問題があります。それに米側のニーズという問題がありまして、双方で意見交換をした場合に、日本が協力した方が米側も非常に、行動等にとって大変ありがたいということに基づいた内容で支援を実施するわけでございますので、十分に日本側の能力と米側のニーズというものを話し合った結果、実際の輸送にしても補給についてもその支援の内容というものを決めているわけでございます。

桑原委員 どうもそこら辺、本当に必要な支援なのかということが、今のお話を聞いている限りではよく私は理解できません。米側が本当に、この部分は手薄なんだ、この部分は日本の力をかりたい、そんな形での議論ではなかったように、どうも今までのお話を聞いていますと受けとめるんですけれども、まあそれは私の感想として申し上げておきたいと思います。

 そこで、具体的に基本計画の中身に入りますが、まず、協力支援活動で、自衛隊艦船による米軍等の艦船用燃料等の輸送、これは認められるわけですけれども、武器弾薬というのはこの中に含まれないのですか、あるいは含まれているのですか。お聞きしたいと思います。

 それから、自衛隊の航空機による米兵や武器弾薬の輸送は、先ほどの御答弁でも、含まれているということですけれども、それでいいのかどうか、それも確認したいと思います。

中谷国務大臣 大もとは基本計画でございまして、この中には、自衛隊が実施する協力支援活動の輸送対象には武器弾薬が排除されているわけではございません。しかし、輸送の対象等については米側と協議をいたしますので、現時点で具体的な内容が固まっているわけではございませんので確たることは申し上げられる段階ではないので、今後、協議を踏まえて我が国として主体的に決定をいたしていきますが、法律にもございますとおり、武器弾薬の外国の領域における陸上輸送、これは行えません。

 また、航空機による人員輸送において米軍兵士を輸送するかという問題につきましては、航空機による人員及び物資の輸送等定めておりまして、この人員の中には米国軍人も含まれるというふうに考えております。(桑原委員「武器弾薬、航空機による」と呼ぶ)

 これも最初のお答えと同じで、支援活動として輸送の対象に武器弾薬は排除されておりませんが、実際にやるかどうかということにつきましては、今後、協議をして決定したいというふうに思います。

桑原委員 もしこれらを含むようになったときには、含むようになったということをどういう形で明らかにされるんですか。

中谷国務大臣 この点につきましては、米側と協議をして、実際に米側の行動にも影響することでございますので、いつ、どこに、何をという点につきましてはお話しできないのではないかというふうに思います。

桑原委員 いつ、どこにという話ではなしに、この輸送の中に武器弾薬が含まれるようになった、含まれるんだと。それは今は輸送しないと言っているわけですね。それで、輸送するときにはちゃんと、輸送することになった、こういうふうには一切明らかにならないわけですか、それは。いつの間にか武器弾薬も、排除されていないんだから含まれるんだ、そういう解釈でいくということですか。

中谷国務大臣 武器弾薬の輸送につきましては、国会でも御議論をいただきまして、この法律で認められ、そして基本計画でもその項目として入っているわけでございますので、我々としては、実施できる内容だというふうに思っております。

 ただ、実際に運搬するということを公表いたしますと、米軍の行動や米国政府にも迷惑をかける部分が出てくる可能性もございますので、この点につきましては、こういった事情は我が国としてもしっかりと守らなければならないと思います。仮に、公表しても差しさわりがないという状況でございましたら、公表することもあり得るというふうに考えております。

桑原委員 私は、基本計画の中身を一読しても判然としないわけですね、そこら辺が。そして、そういった武器弾薬等の輸送以外の燃料等の輸送も含めて、見方によってはやはり米軍等の武力行使との一体化、ある意味ではすれすれの活動だ。これが例えば国連決議のもとで行われるような行動であれば、敵の攻撃を受けても、ある意味では国際法上の認められる対象に、国際法上擁護される、そういう行動になるかもしれませんけれども、今のような状況で、すれすれの状態では、そういった行為が国際法上、一体これは大丈夫なのか。そこら辺はどうなんですか。

中谷国務大臣 これは法律のときの論戦でもお話をいたしましたけれども、武器弾薬を輸送するという輸送行為自体は武力行使ではございませんし、また、持っていく行き先も戦闘が行われていない場所でございますので、我々は、武器弾薬を運んだとしても、武力行使と一体化するものではないというふうに考えております。

桑原委員 例えば、場所によっては非常に危険なものになるのではないかという心配もあるわけです。アラビア海での米軍空母への艦船用燃料等の補給とか輸送がもし行われるとすれば、私は、アラビア海というのはかなり危険な状態にある地域と考えられるのではないかと思うんですが、そういう場合はどうなんですか。

中谷国務大臣 我々が物資、武器弾薬を含みますけれども、それ等を輸送する際には、戦闘行為が行われているかどうかよく先方にも確認をした上で実施いたしたいと思います。そういう戦闘行為が現に行われている場所には輸送を行わない。そういうことはあり得ないわけでございます。

桑原委員 今申し上げたアラビア海というのは、この活動の実施区域に入っているんですか、入っていないんですか。

中谷国務大臣 アラビア海といっても大変広い範囲がございますし、現に民間の商船やタンカーも航行いたしておりまして、戦闘が行われてないような状況がほとんどだというふうに思っております。そういう戦闘が行われてない地域のアラビア海には、物資の輸送等の協力は可能であるというふうに考えております。

桑原委員 首藤防衛局長は、アラビア海の北部の方は、北の方は戦闘区域になる可能性がある、こういうふうに発言をされたというようなことが新聞に出ていましたけれども、アラビア海の北部は除くということですか。

首藤政府参考人 新聞のどういう時点で申し上げたか、ちょっと今手元にございませんが、今大臣が申されたとおり、アラビア海、これもインド洋の一部でございますが、このアラビア海の中で戦闘が行われていない、行われることがない区域については、実施区域に含まれるということでございます。

桑原委員 一体どこが含まれているのか、どこが含まれていないのか、実施区域が明らかにされていませんから、そういうような問答になるわけですけれども。

 では、もう一つ聞きましょう。インド洋沿岸に入るパキスタンのカラチ港というのは実施区域に入るんですか。カラチ港までいろいろ物資を運ぶんだ、こういうようなことが報道されていますから入るのかなと思うんですが、これは具体的に明言できますか。

首藤政府参考人 被災民支援を実施する区域に含まれております。

桑原委員 協力支援活動を行う実施地域には含まれているんですか、いないんですか。

首藤政府参考人 他のインド洋沿岸地域の国と同様、協力支援活動を実施いたします国の具体的な国名については公表しない、申し上げないということになっているわけでございます。

桑原委員 被災民支援活動についてはカラチ港は入っている、しかし協力支援活動についてはわからない、言えないと。どうもそこら辺も考え方がしっかり統一がとれていないように私は思います。

 そして、実際に自衛隊を派遣してどこで行動するのかということをそれなりに判断できなくて、私は、やはりきちっとした承認、不承認の判断というのはできないんではないか、こういうふうに思います。そういう意味では、本当にポイントのところがよくわからないということでございます。

 それから、インド洋沿岸には人員の輸送、物品の輸送ができることになっていますけれども、例えば、パキスタンの空港などは入るんでしょうか。お尋ねをいたします。

中谷国務大臣 パキスタンの空港につきましては、現時点も民間航空が就航いたしておりまして、飛行機の着陸等は可能であるというふうに思っております。

 その判断をする基準は、戦闘行為が行われているかどうかということでございまして、パキスタンについては、実際の具体的な内容、実施地域については、米国とか活動の実施先との協議を経た上でお話をしなければならないわけでございます。

 現時点においてお答えすることは差し控えたいわけでございますが、いずれにしましても、我が国が主体的に決定をしていきたいというふうに思っております。

桑原委員 そこら辺もはっきりしないと。

 先ほど長官は、この区域がはっきり公表できないのは、自衛隊の安全の問題もある、あるいは米軍の作戦の問題もある、そういったことなども含めてできないんだ、こういうふうにおっしゃったわけですけれども、私は、こういった、ある意味では最低限の話でもお答えをできないということであれば、自衛隊のこの行動というのは、まさに軍事作戦そのものみたいな感じではないか、何にも明らかにできないということであればですよ。

 皆さんは、これは米軍に対する支援活動だけれども、武力行使ではないんだ、軍事行動ではないんだということで我々に説明をして、一体化しないんだ、あくまでも支援活動なんだというふうに説明をされてきたわけですね。ところが、ではどこへ行くんだ、何を含めるのかという話になると、それはいろいろなものにかかわるから明らかにできないんだということでは、私はどうも、話のてんまつがちぐはぐで矛盾しているんではないか、こういうふうに思わざるを得ないわけです。

 私は、全部明らかにしようとは申しませんけれども、しかし、ポイント、ポイントで、自衛隊が本当に安全に活動できるのか、そこなら大丈夫だ、こういうふうに我々自身が納得できるようなやはり説明をしないと、皆さんは、そんなところへ行かせないんだからということで、自分たちが判断をして決めるからそれで得心できるのかもしれませんけれども、聞く我々は、どこかのポイントをちゃんと判断材料としてお示しをいただいて、そこでなら大丈夫である、そこでなら問題だ、こういう判断ができなければ、私は承認しようがないというふうに思うんですよ。

 そういう意味で、極めて実施要項の概要だけと。実施要項の概要と基本計画の中身とほとんど違わないじゃないですか。違っているのは、イージス艦を除外したということと、少し実施期間を短縮したということが概要の中で明らかになっただけで、あとは全部、基本計画と概要は同じじゃないですか。実施要項の中身についてほとんど我々は知らされないままに判断を迫るというのは、極めて私は問題だというふうに言わざるを得ません。

 時間も大分迫ってまいりましたから、次に、国会の承認の問題についてお聞きをしたいと思います。

 まず、国会での承認事項というのは、具体的に何と何か。法律を見た限りではよくわかりません。私どもにこのことについて承認をしてくれというふうに事項が列記されてきて初めてわかったんですけれども、国会の承認事項というのは何と何なんですか、改めてお聞きいたします。

中谷国務大臣 まず、先ほどの公表するかどうかという問題は、事実、相手がある問題でありますので、日本が公表をした場合に不利益をこうむったり、また安全に問題が出てきたり、行動に支障が出たという点につきましては、我が国としても責任ある対応ができないという点でありますし、また、相手国の問題も、現実に最終的な許可が出てない限り、一方的に日本から国名を挙げてお話しするという点については、外交的な問題もございますので、こういう点は現時点においてはお答えができないということでございますので、何とぞ御理解をいただきたいというふうに思っております。

 国会承認については何をということでありますが、自衛隊の部隊等による協力支援、捜索救助、被災民救援の活動を実施することについてということでございます。

桑原委員 その中には、実施する区域、期間、そういうものも含まれるんですか。

中谷国務大臣 まず、国についてということでありまして、これらの活動の実施につき承認を求める前提として、承認議案において、活動を外国の領域で実施する場合の当該外国を記載するものでございます。

 これはなぜかということでありますが、国会の質疑を……(桑原委員「いや、そこまでまだ聞いていません」と呼ぶ)それはいいですか、はい。

桑原委員 まだ聞いていないことまでお答えをいただかなくてもいいんですが。

 実施する外国、そして活動内容ということなんですけれども、それぞれに国会の承認を必要とする理由があると思います。どうしてそれらが承認を要するのかという理由について、ひとつお聞きしたいと思います。

中谷国務大臣 この理由につきましては、国会の御質疑がありましたけれども、テロ対策特措法で法案の修正がされました。そして、修正をしていただいた提案者の方々の考えを踏まえまして、当初の基本計画の枠を超えるような変更があった場合には、当該変更において改めて国会の承認を要することとなると解するのが妥当だというふうに考えておりまして、例えば、当初の基本計画に定められてない活動を追加する場合、また派遣国を追加する場合が該当するというふうに考えております。

 したがいまして、派遣先国を追加する場合に改めて国会の承認を得ることを明確にするために、承認議案において当該国を記述、記載しているわけでございます。

    〔委員長退席、亀井(善)委員長代理着席〕

桑原委員 私は、そういうことよりも、なぜ派遣国が承認の対象になるのかと。というのは、具体的にやはり自衛隊がどこへ派遣されるのかということが国民の皆さんの関心事でもあり、心配事でもあるわけです。もちろん、派遣される自衛隊の皆さんにとってはどこへ行くかわからないということではだめなわけでして、そういうことがあって、それが承認事項になったのではないかと私は思うんですが、そのことを聞いているわけです。

中谷国務大臣 そのような趣旨で法の修正が行われて、国名を記載するということになったと、私もそう思っております。

桑原委員 改めて申し上げますが、だとすれば、今のような二枚の紙切れで、基本計画に定めた活動の範囲を超えない、その範囲内でのそういう提示では、本当に、自衛隊の皆さんがどこへ行くのか、そういうことがはっきりしないではないですか。

 そこら辺、私は、承認を求める側の皆さんに、一体我々にどういう判断基準を提供して承認を求めているのか、甚だこの承認を求めることの意味が疑われる、そんなことで国会議員が責任を持って承認できるか、そこを考えていただきたいと思いますよ。基本計画で決めたことと何ら変わらないじゃないですか、中身は。ぜひそこは猛省を促したいと思います。

 それと、基本計画の決定前に、防衛庁長官の実施命令の前に護衛艦等が三隻、既に事前に派遣をされました。このときのこの派遣された護衛艦等の任務と派遣の根拠は何なんですか。

中谷国務大臣 任務は、情報収集活動でございます。やはり部隊が的確に活動する上においては情報収集というのは大前提でありまして、阪神大震災においても、自衛隊が出動する前には、情報がなければ、どこへ行っていいのか行動ができないわけでございます。

 そういう意味で今回の情報収集活動を行ったわけでございますが、何を調べてきたのかというと、このテロ特措法に基づく協力支援活動の実施が予定されている海域にわたる船舶、航空機の航行状況といった、今後の活動の安全確保の観点から行う情報収集、また、気象、海象、寄港地の補給能力を含む港湾の状況に係る情報収集を行っております。

 それに基づいて基本計画及び実施要項の文面等に反映されたというよりも、その策定の基礎となる情報を提供したというふうに思っておりまして、自衛艦艇による情報収集活動というのは、協力支援活動を円滑かつ安全に行うためには必須のものであるというふうに思っておりまして、今後とも引き続き実施をしたいというふうに思っております。(桑原委員「根拠、根拠」と呼ぶ)

 この根拠は、何度もお話をいたしておりますが、防衛庁設置法五条十八でございます。

桑原委員 この艦船は、基本計画の段階で、そのままとどまって新たな任務を付与されたわけですが、この任務は何かということと、それから、従来の情報収集の活動、これは引き続き任務として残るのかどうか、お聞きいたします。

中谷国務大臣 まず、情報収集の根拠について御疑問に思っている方もおられますが、海外における自衛隊の活動において、例えば国賓の輸送とかまた邦人の救出とか、やはり港湾とか空港の状況を知っていないと、これは自衛隊の活動はできないわけでございます。よく御理解をいただきたいと思います。

 それから、現在行っている情報収集活動も、一定の成果が出た段階でこの情報収集活動から輸送とか補給の任務に切りかえるということにつきましては、基本計画にそのように定めておりまして、適切な時期に基本計画に基づいた輸送、補給の支援が行われるようにいたしたいというふうに考えております。

桑原委員 新たに基本計画で付与された任務は輸送ということですね。そして、従来の情報収集の活動は引き続きそのまま任務として残されているということですか。そういうことですね。どうなんですか。

中谷国務大臣 情報収集というのは当然の任務でございまして、常時行っていかなければならないというふうに考えております。

桑原委員 私は、こういった活動における情報収集の重要性というのはわかりますし、また、アメリカ軍へも情報を提供する、こういうような任務があるのかどうか、その点はどうなんですか。

中谷国務大臣 一般的な情報提供等については十分考えられるわけでありますが、ただ、米国から依頼されて、偵察的にこういう情報を知らせてくれということに基づく情報提供というものは行わないということでございます。

桑原委員 そこら辺が極めてあいまいなんです。

 私は、こういった活動を行う際の情報収集あるいはその活用ということは極めて重要だというふうに思います。そういう意味では、本来なら、法律の中にちゃんと協力支援活動あるいはその他の活動と同じような比重で情報活動を位置づけていなきゃいかぬのじゃないかと私は思うんですよ。それを結局あいまいにしたままで、実際は情報活動をやっていながら、そして事前に、防衛庁長官の命令前に、既に現在の防衛庁設置法を根拠にして出す、そして途中で切りかえる、こんなこそくなやり方では私はだめだと思います。

 恐らく、情報収集活動というのはアメリカ軍にとっても、ある意味では日本に期待をする活動の中ではかなり重要な位置を占めているんではないかと私は思うんですよ。そこら辺、やはりきちっと法律の中に明記をして、あるいは基本計画の中にはっきり明示をして、こういうことでやるんだ、そしてこういうことで米軍との情報の一体化というようなことはしないんだ、それはこういうことで担保されているんだというようなことをはっきりと国民に明らかにしてやってほしいと私は思うんですよ。

 こういう、何かわけのわからないうちに派遣をして、そしてわけのわからないうちに任務を変えて、情報収集は当たり前の活動だから当然やるんだ、こんなあいまいなやり方で、具体的に米軍とこの問題で一体化しているとしたら、大変なことなんですよ。ですから、そこら辺はやはりきちっと、はっきり位置づけてやるべきではないか、私はこういうふうに思います。

 米軍との情報の一体化というのはあってはならないことなんですが、そこら辺、具体的にどんな形で担保されているんですか。

中谷国務大臣 この情報収集や情報交換、また情報提供というのは、これはもう一般社会においても、人間の生活においても、また企業等の活動においても一般的に行っていることでありまして、例えば、電話をしたりファクスをしたりテレビを見たり、ありとあらゆる情報を皆得て、それで独自に判断をして、いかなる行動をするかという点を的確に判断していかなければなりません。

 そういう点においては、日本が行動する際も、米国を初めほかの国から正しい的確な情報をもらって、それで判断をするわけでありますし、また、米側においても、やはり同盟国とか友好国との間で一般的に行われる情報交換というものは当然の行為で、許容される部分もございます。しかし、武力行使に直接一体化をしてはなりませんので、こういう点においては、武力行使を直接支援するために偵察行動を伴うような情報収集を行うというふうに、特別に情報を収集し、それを提供したりするということはいたしませんが、一般的な情報交換の一環として情報を提供して、仮に我が国が提供した情報が結果として米軍の武力行使に裨益することがあっても、米国等による武力行使との一体化の問題で問題が生じることはない、憲法の問題は生じないというふうに考えております。

桑原委員 最後に、私の思いですが、情報収集なら何をいつやっても、それは情報収集なんだということで許されるということであってはならないと思うんです。この法案の目的のためにやるのなら、それはちゃんと明記をすべきだと思うんですよ、計画の中にも。

 そういうやり方というのは、私はやはり、情報収集の名のもとでいろいろなことを可能にしてしまう、ある意味ではシビリアンコントロールを非常に無意味なものにしてしまう一つの原因になりかねないということを指摘して、私の質問を終わります。

中谷国務大臣 御指摘の点につきましては、我々も今後対応してまいりたいと思いますが、今回、基本計画に定めて、この情報収集艦もこの中に含めたという点におきましては、この基本計画の定めている範囲、またその目的を逸脱しない範囲で行動するという点がございますので、この基本計画の範囲内で情報収集のための艦艇もともに活動していくということでございますので、この点については御理解いただきたいというふうに思っております。

亀井(善)委員長代理 これにて桑原君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 それでは、伊藤そして桑原両議員に続きまして質問をいたします。

 きょうの新聞報道で、これは昨日付のイギリス紙のオブザーバーに、アルカイーダがソマリア、スーダンあるいはイエメンというところでテロリストを集めて組織の立て直しに入った可能性が強まっている、アメリカ、イギリスの情報筋がそのように言っているということで報じられました。ビンラーディンの腹心が今アフガンを既に脱出して、秘密裏にこれらの国に入国している可能性が高いんだというようなことも報じられておりまして、既にアメリカ、イギリスは、MI6であるとかあるいはCIAが情報収集のために既にこれらの国に潜入をして具体的な攻撃目標を選定しているというような報道も既にもうあるわけでございますが、その点についてどのように、こうした報道を見ていらっしゃるかどうか、そしてまた、こういう事態が起こり得るのかどうか、これは官房長官もしくは防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。

福田国務大臣 御指摘の報道につきましては、これはそういう報道があったということは承知しておりますけれども、これまで米英両国政府ともそのような報道内容のものは発表していない、このように思っております。

渡辺(周)委員 こうした具体的な国の名前が報じられたのも、これはもしかしたら情報筋あるいは研究家の中ではもう既に幾つか取りざたされて、我々も、幾つかの国の可能性を含めていろいろこれまでも議論をしてまいりました。

 そういう点を考えますと、当然国の方でも、幾つかの国の具体名を挙げないまでも、想定してこれまでも議論しているかと思いますが、その点について、これも何らかのシミュレーション等してきたことがあるんでしょうか。

福田国務大臣 今現在、今挙げられた国名の国がどうするかとか、それに対してどうするといった、そういうような具体的な話はしておりません。

渡辺(周)委員 もちろん、していないというのは、公の場では、先ほど来の答弁、あるいはこれまでの幾つかの質疑をやりとりしながら、確かに、非常に我々としては納得しづらい答えをいただいているわけであります。

 しかし、アメリカのブッシュ大統領は、テロリストとそれをかくまう国は区別をしないというふうにも明言をこれまでもしてきているわけでありまして、そういうことになれば、アメリカは戦う相手、戦う相手といいましょうか、対象国をふやすことにこれは当然なるわけでございます。しかし、そうなった場合にどうなるかということは、政府内では当然検討されているんじゃないですか。それはどうですか、防衛庁長官。

中谷国務大臣 そういうことはまだ検討しておりません。

渡辺(周)委員 しかし、きょう、もう既に午前中の質疑で我が党の伊藤委員から、別の国、例えばイラクですね、例えばこういう国だった場合どうなるのかということも質問に出ました。我々質問する方としては、当然の想定として、もしいろいろな国になった場合どうなるんだと。つまり、今の対象国が非常に疑わしい関与をされた状況がある。この後にも質問しますけれども。

 そのときには、もっと言うと、この新聞等によれば、アメリカ、イギリス筋は、もう一月の下旬にもこの三国を攻撃する計画も立てているというふうに言っているわけなんで、全くそれについて政府の方で何ら考えていないということはあり得ないと思うんですが、その点はどうなんですか。実際、そういうことになった場合にはどうなんだと。

 では、百歩譲って、今まではそういう議論をしていなかったとしても、そういうことが実際もう報じられるようになって、それなりの対応はもう当然考えている、そういう場合にはどうするかという話については、それもまだ全然検討されていないんですか。

福田国務大臣 政府として正式に検討するとかそういったような問題について、これはなかなか明らかにすることは基本的には難しい問題でありますけれども、今現在、アフガニスタンに対するいろいろな措置は行っておりますけれども、それ以外のことについて、今特定の国名を挙げて云々するというそういう状況にはない、こういうことで御理解をいただきたいと思います。

 なお、もう一つ申し上げれば、もしそういうような事情が発生するかどうか、こういうことでありますけれども、これは一般論でありますけれども、そのときの状況に従って判断するということ以外ないわけでございまして、今そういう判断を求められているわけでもないし、またその必要もないと思っております。

渡辺(周)委員 その状況についてどう判断するかというのは、どういう状況かというのは、当然アメリカが何らかの軍事的行動を起こしたということを想定されていると思いますし、我々もそれを前提に話をしているわけなんですけれども。

 ちょっと言い方をかえますと、これまでそういう議論はしていないにせよ、その可能性については当然頭の中にあるわけですね。可能性についての検討は当然……。

福田国務大臣 人によりまして想像する範囲も違うだろうし、いずれにしましても、そういうようなことを考えなければならないという時期に、どういうような状況でそういう必要性が生ずるかとかいったようなことはよく考えて判断しなければいけない。

 今回活動をするその目的というのは、これは特措法に記載されているとおりでございますので、その記載されている目的を達成するための活動であるということでありますから、その目的にかなったものでなければいけないということであります。もとより、特措法は、日本のいろいろな法律の制限の範囲の中であるわけでございますので、そういうこともあわせ考えて判断すべきものである。

 しかし、その判断をする場合にも、それは、そのときの日本の政府がどう考えるか、それは主体的な立場でもって考えるわけで、アメリカが活動することにすべて一緒であるということではないわけですね。もともとアメリカと同じような活動をしているわけじゃない、その範囲が日本の場合には極めて限定的である、こういうことでありますので、それはそのときに自主的に判断をして決めることである、このように思っております。

渡辺(周)委員 わかったようなわからないような御答弁をされるわけでございますけれども。

 アメリカは、当然、このテロ組織が、今回の九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃、これがアルカイーダによるものということでこうした軍事的な行動を起こしている。そして、ある国、先ほど申し上げた例えばスーダンという国では、一九九六年までこの連中をかくまって実際に行動してきたということがあるわけであります。ですから、そういうことは、何を起こすかということは当然考えられるわけであります。

 もっと言えば、アメリカの例えば軍事筋ですとか、あらゆるメディアの報道等を見ていますと、あるいは識者の発言を見ていますと、やはりイラクという国に対してどうするかということも、これは当然出てくるわけであります。

 例えば、今のアメリカあるいはイギリスの行動が、もし万が一、今の状況から変わった場合、この場合は基本計画の変更ということに入るんでしょう。先ほど来の話、私も、想定している話としてもちろん言っているわけですから、その場合は基本計画の変更になるんですね。

福田国務大臣 御指摘のとおりでございます。基本計画を変更しなければならないと思います。

渡辺(周)委員 例えば、これまで、補給なりの活動を続けていく、そして、それによって、ある意味では、後方の支援をしてきたことが、例えば相手国が変わったという現状になって、例えばソマリアであったりスーダンであったりイエメンであったり、これはわかりません、もしかしたらイラクであったりということになった場合には、向こうからすると、というのは米軍からすると、アメリカからすると、引き続きの支援の継続という要請は当然その場合にはあるわけですね。どうなんですか。

中谷国務大臣 米軍の行動をどう評価するかということでありますが、基本的には、我が国が支援している前提は、米国にテロ行為を実施した者に対して、国連が、世界各国が、これに対応している国に対する支援ということでございまして、米国がイラクに対してどういうふうな目的で攻撃をするかということをよく注視しなければならないというふうに思いますが、米国が国連から認められていることは、個別的自衛権の行使でございまして、米国がその自衛権の範囲で行動するケースでございますが、そもそも、米国自身が、国連憲章を遵守するという義務を負う米国でございますので、米国がそのような国連憲章の目的を逸脱して攻撃をするということは、私は想定しがたいことであるというふうに考えております。

渡辺(周)委員 防衛庁長官、それはどういう場合が逸脱だとお考えでいらっしゃるのか。

中谷国務大臣 正当な自衛権の行使の範囲を超えて武力行使をしている場合でありまして、いろいろとケースがございますので、具体的にこういうケースというのを言うのはなかなか難しく思っております。

渡辺(周)委員 そうしますと、日本として、例えば米軍がイラクに対して軍事的行動をとるということに対して後方支援をするということが、この法によってできることもあり得る、あるいはできないのですか、できるのですか。どっちなんですか。

中谷国務大臣 いろいろなケースをもって判断いたしますが、アメリカ自身が、このアルカイーダとかテロを支援している国も敵対国だとみなし、自衛のための攻撃をするというふうに、自衛の攻撃をするとは言っておりませんが、敵対国とみなすというふうに言っております。

 どういうことが支援というのは、まだ私も具体的に明らかになっていないので言えませんが、それぞれのケースによって判断していかなければならないというふうに思っております。

渡辺(周)委員 今の答弁で、官房長官、どうなんですか、よろしいんですか。

福田国務大臣 付言することになるかどうかわかりませんけれども、そういう事態が生じたときの事情、そしてまた、本来、テロの脅威、今回のニューヨークにおける事件を起こしたあのテロの脅威を除去するという目的にかなうものかどうかという基本的な問題はございますけれども、それに、やはりそのときの国際情勢がどうか、国連がどう判断するか、いろいろなことがあると思います。そういうものを総合判断して、我が国としてできるかできないか自主的に決めることだというふうに思っております。

渡辺(周)委員 ですから、テロの除去ということでやるとなれば、当然、何らかの証拠が明確になければできないわけですね。

 この委員会でも、そもそものこの委員会の一番最初に、いわゆるアルカイーダが九月十一日のテロ事件を起こした首謀者であるということに対しての証拠をということが、その前にもアメリカの関係者が、イギリスであるとか各国に対して、こういう証拠があるということを言いました。私どもも、この委員会の中で我が党委員の方から請求がありまして、小泉総理がこの場で提示されたのですが、これが本当のところ証拠と言えるかどうかということも含めまして、我々としては何か非常に納得いかないことも当然あったわけであります。

 しかし、もしそうなれば当然何らかの、今回このテロの除去につながるということと、イラクに対して米英が何らかの行動を起こすということの明確な証拠の開示がなければならないし、また、それを我が国としては当然何らかの形で、できれば何らかの形で確約を求める、あるいは何らかの強い一つの約束事としておかなければいけないと思うわけですけれども、その点についてはどうなんですか。そうなった場合はどうなんでしょうか。

福田国務大臣 御指摘のとおりでございまして、それはそれなりに、しっかりした証拠と申しますか、その事情、そういうことを判断しなければならない事情というものは、これは我々としても確認をしなければいけないと思っております。

渡辺(周)委員 ですので、確認するとなれば、やはりある程度納得のいくものでないと、何か、証拠は確かに我々見ました、あるいは聞きましたと。しかしこれまでのように、もちろん、全部が全部、我々は最後まで見せろとは言いませんが、そうなったときに、これですということが当然なければ、これはある意味では――もし、ある国家に対してアメリカという国家が武力行使をする場合に、これは当然、今回のあるテロリストグループではなくて、国家対国家ということの何らかの衝突になるわけでありますから、その点について、これはぜひとも……。

 これは、こういうことになった場合にというのは検討されているのですか、そういう場合にはと。もしくは、それともう一つは、その場合にはどういう手法でこの具体的な証拠の開示ということを約束することができるのか。その点について、今どう考えるか。

福田国務大臣 ただいま具体的な国名を挙げて、ここで、どうなるかといったようなことをお話しするような段階でないということは、先ほど申し上げました。そういうようなことでございますので、証拠があるとかないとかというまだ段階になっていない、こう思います。

 それから、これもまさに御指摘のとおりでございますが、これは開示できるものとできないものがあるということ、そして、核心に近ければ近いほど開示できないこともあるんだというように思いますので、この辺はひとつ御理解をいただきたい問題だと思っております。

渡辺(周)委員 証拠の開示については、それは我々も、これは全メディアに発表しろとか、あるいはここに印刷したものを積んで置いておくから見ておきなさいというものではないことはもちろんわかっています。しかし、でき得る限り、関係するところには納得のいく形で、やはり国会でこの議論をする中で必要な部分はぜひ出さなきゃいけないと思いますし、またそれを、そういう事態になったときを想定して、今から、これはアメリカなりイギリス、関係する国とやはり我々はちゃんと話をしておかなければいけないんだろうと思います。

 それからもう一つですが、今度の法律に基づいてテロの根絶という言葉が出てくるわけですが、先ほど来、自主性という言葉が出てまいりました。我々日本の国として、その自主性というところの、先ほど来いろいろな委員からも質問が出ておりますけれども、どの時点において日本の自主性が発揮できるのかということが非常に、私、前のこの委員会の質問でも申し上げましたけれども、どの時点で状況が変わったということをどう判断できるかということでありまして、今までの話もそうであります。

 つまり、何らかの証拠が示されて、どこかの国が非常に密接に関与していたと。つまり、アメリカの言うところのこれはテロ支援国家であり、今回の九月十一日のテロに大きな関与があるということを我々が納得をして行った場合、行動した場合に、我々が一種の自動参戦装置のような形にならない担保のためにも日本の自主性というのは最後のとりでだと思うのですけれども、その自主性という先ほど来出ております言葉について、どういうふうな状況における判断が自主性というふうに考えていらっしゃるのか、お二方からお答えいただきたいと思います。

福田国務大臣 まさに、今回の活動の中身は、自主的な判断に基づいて行われたものだというように思っております。これから本当の活動が始まるわけでございますけれども、今までの活動の中身の決定については、これは自主的に判断されたというように思っております。

 これから、この事件と申しますか、いつ終結するかというようなことにおいても自主的な判断と、こういうことはあるかもしれませんけれども、しかし、いつ終わるかということを申し上げるのは、これは、そういうことが国際的にそういうように認知されるかどうか、終わったというように認知されるかといったようなことも極めて大きな要素であり、我が国だけでもって、もう終わったんだ、ひとり終わったんだ、こういうふうに言うわけにもいかぬことだろうというように思っております。

 ですから、その自主的という意味も、その時々に、またテーマごとに、どの程度自主的にやるのか、もしくは他の国と協調的にやるのか、他の国と協調的にやるということ自身も自主的に協調するというふうにも言えますけれども、いずれにしても、極力、我が国の考え方というものを中心にしていかなければいけないということは当然だと思っております。

 そういうような客観的な情勢の中で、どういうふうに判断するか。これは、我が国は我が国であり、我が国は我が国の法制の中でいろいろな活動をするわけですから、そのことを忘れて国際協調というわけにはいかないだろうというふうに思っております。

中谷国務大臣 今、内閣官房の責任者である官房長官がお答えをされたのでそれでよろしいかと思いますが、状況判断をする際には情報収集が必要であって、その収集した情報を分析し、活用する、またそれで収集をするというサイクルを繰り返しますけれども、味方の情報、敵の情報、一般情報、それから各国の大使館の持っている情報、マスコミの情報、このすべてが官邸の情報集約センターに集まるようになっておりますので、そういった情報等をよく分析され、最終的には内閣総理大臣が、必要に応じて閣議決定をして基本計画を変更するというふうになるわけでございますので、そのために精力的に情報を集めなければならないというふうに思っております。

渡辺(周)委員 今情報収集と言いましたけれども、先ほど申し上げたような、例えばソマリアとかスーダンとかイエメンという国で組織の立て直しに入ったんだというようなことが新聞報道されていて、それは知っているけれども、それについては全然まだ検討も何もしていなくてといったって、結局、情報収集という、これは新聞の記事でありますし、これはアメリカ、イギリスの情報筋から聞いたというイギリスの新聞記事が例えば日本の新聞に出た。それについての段階で、もう既にこの情報がここまで来ていても、今後まだ検討するんだみたいな話をしていらっしゃって、それでいて情報収集が大事だとか言われても、非常に何か当初の話とちぐはぐとしているということを痛切に感じるわけであります。

 ですから、もしそういうことであるならば、とにかく、本当のところはいろいろなシミュレーションをしていると思うんです。ここで、公的な場で具体的な名前を出して、どの国がどうだなんということはここで言えないけれども、当然これはテロ対策本部なり政府内では議論をされている、しかし、ここじゃ言えないというふうに思いますけれども。

 それともう一つ、先ほど官房長官が答弁の中で、すべて一緒であるということではないということをおっしゃいました。すべて一緒であるということではないという中で、自主性をまさに保って、撤退するときは撤退をするということを、これはやはりぜひとも、その状況に応じて、先ほど来の質問に対して、仮定の質問で個別の国の名前を出してここで答えることはできないけれどもと言いますけれども、すべて一緒であるということではないということであるのならば、その点についてもう一つ踏み込んで、それについてのやはり日本政府の確約をここでいただきたいと思うんです。いかがですか。

福田国務大臣 撤退ということについて、これは、撤退をしなければいけない状況というのが生まれたときに撤退する、これはそういう判断を自主的にするしかないわけですね。それは、まさに自主的な判断に基づく撤退だというふうに思います。

 すべて一緒というのは、いろいろなケースがあるということを申し上げたわけで、撤退のときに、自主的な判断をしなくてもいいんだ、国際世論の声を聞いてやればいいんだ、そういうふうなことを申し上げているわけじゃないんですよね。撤退は撤退。撤退というのは活動の撤退ですよ。

 それから、この事件が終了する、要するに、タリバンが壊滅するとかビンラディンが捕捉されたとかいったような、そういうときにおいて終了するというときのことを先ほどちょっと申し上げたわけでございますので、ひとつ御理解ください。

渡辺(周)委員 もう時間がなくなりましたが、もう一回確認をしますけれども、もしイラク攻撃、ある国に対して、別の国に対して米国が攻撃に踏み切った、そのとき日本に支援継続を要請してきた場合、ノーと言うこともあり得るわけですか。どうですか。

福田国務大臣 それはその状況次第でありますが、ノーと言うこともあり得るということは、これは断言できます。

渡辺(周)委員 その状況がどういう状況になるかということの中で、先ほど来も言われておる我が国としての主体性、これは最初のときも、ずっと委員会質疑でも言いました。これは、日本が自主的に、主体的に参加するんだといって、ということは、どこかで、いつになったら自分たちが撤退をする、撤退というのはこの使命を終えるということですが、そのときに、アメリカが続けている限りはこれはずっと続くんじゃないかということを非常に危惧して、際限なく日本が支援するということを危惧したわけであります。

 ですから、その点についてお尋ねをしてきたわけでありますが、今の説明によれば、今後、例えばそういう問題が起きたときには、そこの時点で状況をかんがみながらできるというふうに回答をいただいたと思いますが、防衛庁長官はそれでよろしいのですかね。

中谷国務大臣 あくまでも主体的に考えてまいりますし、この法律の目的、考えを逸脱しないように実施をしてまいりたい。当然、この目的を逸脱した場合には、計画の変更、中断、休止、あり得るというふうな考え方で臨んでまいりたいというふうに思っております。

渡辺(周)委員 先ほど来から、我が党の委員から質問しますと、いろいろな細部についても納得のできない答弁。そもそも今回の基本計画の概要も、わずか数枚の紙で、これで理解をしてくれというふうに当初から言われてきたわけでありますけれども、この点について、残念ながら、国民の方が納得いくように、この委員会の中ですべて納得いく質問、質疑をして答えを引き出したわけではありませんけれども、時間でありますので、ここで終わらせていただきます。

亀井(善)委員長代理 これにて渡辺君の質疑は終了いたしました。

 次に、東祥三君。

東(祥)委員 防衛庁長官、自由党の東でございます。官房長官、どうぞよろしくお願いします。

 まず初めに、今回のテロ対策特別措置法に対しては、我が党は反対の立場でした。その理由は何かといえば、卑近な例を申し上げれば、建物を建てるに当たって基礎工事をしてない、そういう建物だ。多分、政府・与党の場合は、ちゃんと基礎工事をやっていると。しかし、その場合でも、ある特定の条件下において、雨が降らない、台風も来ない、強風も吹かない、そういう条件のときだけに通用する建物をつくってしまった。多くの方々から、何で東さん賛成してあげないんだというふうに言われたときに、そのように申し上げたときに、あ、そういうことなのか、では、その基礎工事というのは一体何ですかと。

 それはまさに、唯一の武力組織を動かすに当たっての基礎工事とは何かといえば、それは憲法論である。この問題を常にないがしろにして、そして横に置いておいて、そしてその問題には、深めることなく、政府・与党が決断することなく、形だけ、格好だけつけて今回の特措法を成立させた。いずれこの問題というのは、必ず将来にわたって禍根を残すことになる。ちゃんと政府として、その腹をくくった上で、そして唯一の武力組織である自衛隊を動かすということであるならば、そのとき初めて議論がかみ合うのであって、それは今まで、戦後数十年間にわたってきた議論に決着も何もつけないで、その延長線上で今回のテロ特措法案をつくった。だから我々は明確に、そういうまやかしの、ごまかしのなし崩し的なものに対しては断固反対するということで、反対させていただきました。

 当然、それに基づいての自衛隊派遣というのは、根本それ自体がおかしいわけでありますから、我々は反対であり、きょうの議論が済んだ後、形式だけの反対討論をしても意味がありません。その意味で反対討論はしませんけれども、そういう前提の上で、なおかつ、今、戦後初めてですよ、戦争が行われているところ、また戦争を行っている連合国が展開しているその地域に自衛隊を戦後初めて派遣する、そのときに、総理もこの場に出ていないということは、何を考えているのかなと、いかにいいかげんな国会審議といいますか、国会を軽視した態度なのかなというふうに思わざるを得ないのであります。

 しかし、それはそれとして、そういう前提のもとで、今回のいろいろな議論を通して明らかになりつつある問題点、それを指摘したい、また意見交換させていただきたいというふうに思うわけであります。

 そこには、当然シビリアンコントロールという本質的な問題も入ります。さらにまた、政治家と、軍人と言っていいんでしょうか、いわゆる軍事を専門にしている人の立場、それぞれ判断の違いがあってしかるべきでありますが、ある意味で政治の軍事作戦への過剰な介入、そういうものもこの議論を通じていろいろ出てきているのではないのか、そういうことも含めた上で質問させていただきたいというふうに思います。

 総理大臣が本日いらっしゃいませんので、一応、総理大臣のもとで、総理のお考えを知悉していらっしゃる福田官房長官に来ていただいて、そして総理に聞きたいところを官房長官にお答えしていただきたい、そういう形で質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、今回、戦後初めて、ある意味で中谷防衛庁長官は、自衛官としての経験を有する自衛官長官、戦後初めての自衛官長官と申し上げてよろしいのでしょうか、そしてまた、戦後初めて自衛隊を戦時に、紛争の最中に派遣することを決断された長官であります。

 海上自衛隊だけでも、全体で、この枠組みの中で派遣される数が大体千二百名前後なんでしょうか、航空自衛隊も含めると約千四百名弱の自衛官が、今、中谷防衛庁長官の指示のもとに太平洋を下り、またマラッカ海峡を抜け、アンダマン海を越えて、遠くインド洋からアラビア海、さらには湾岸地帯まで派遣されようとしているわけであります。そこで日本は、米国や英国やフランスやイタリアや多くの他の連合国と合流することになります。

 ある意味で、大げさな言い方をさせていただければ、日本が欧米列強を中心とする連合国の中に軍隊を、唯一の日本の武力組織であります自衛隊を送るのは、北清事変や、あるいはまた第一次世界大戦以来のことであります。また、戦後、真の民主主義国家に生まれ変わってから、まさに初めて日本は武力紛争の真っただ中に自国の武力組織を送ることになるわけです。

 今までの議論を通じていても、多くの国民は理解していないと思います。私も全然理解できませんから。たとえ政府がこれを、この自衛隊派遣を後方支援と呼ぼうが、あるいはまた、武力行使はしないという詭弁を弄しようと、結局、今やっていることは、かつての帝国海軍と同じ海上自衛隊の旭日旗がアラビア海にたなびかされるわけでありますから、二十一世紀の最初の年に日本がテロリズムと闘うために連合軍に参加したという事実、これは世界の歴史に刻み込まれることになるのではないのか、一政治家として私はそのようにまず思います。

 そこで、中谷長官にお伺いさせていただきますけれども、先ほど自衛隊を派遣するに当たってのお話をされておりました。グローバルな国際テロリズムとの闘いというのは、テロリズムという卑劣な敵を相手とする、ある意味で第三次世界大戦、これに匹敵するような闘いだと私も思います。

 長官は、自分がそこに自衛隊、自分の部下であります自衛隊を参加させるという歴史的使命感、これを有しておられるのか、そしてまた、その重大な責任を本当に痛感しておられるのか。戦後初めて防衛庁長官として自衛隊を戦時に海外派遣し、連合軍の一翼を担って、愛国心あふれる自衛官を国際戦争に参加させるという責任を指揮官として持っておられるのか、大変僣越でございますけれども、まず最初にこの点をただしておきたいというふうに思います。

中谷国務大臣 自衛隊というものは、日本の国の財産でございまして、国の有事や、また我が国の安全保障に際しては、我が国の防衛のために断固として体を張って行動しなければならない組織であるというふうに思っております。

 今、国際貢献についての自由党のお考えを述べていただきましたが、自由党は自由党なりに国際貢献のあるべき姿を示されて、その点については敬意を表したいと思いますが、この土台の問題で、我が党また政府といたしましては、現行の憲法の解釈の範囲内、枠の中で、すなわち集団的自衛権を行使せずに、武力行使をしない、この枠の中でなし得る限りの貢献をするべきだというふうに考えております。

 この枠を飛び出すこと自体が、解釈を変更して枠を飛び出すこと自体がなし崩しになってしまって、これまでの国会での議論を踏みにじるようなことではないかと思っておりまして、私は、そういった行動をする場合には、やはり憲法を真摯に議論して考えて検討をし、そして国民の合意のもとにさらなる貢献をすべきではないかということで、この土台の問題で違うわけでありますが。

 自衛隊の行動につきましては、その前提が、日本国憲法を遵守し、また法律の枠内で行動するという観点でありまして、今回、国会で議論をして成立した法に基づいて、この法を、いかなるこのテロの、テロリズムと闘っている世界の国々の活動を支援すると同時に、被災民の救援をするという重要な任務を果たすのか、すなわち、国民を代表して自衛官がこの貢献を行っていくためにきのう日本を出発したというふうに思っておりまして、私は、防衛庁長官といたしまして、隊員がこれらの任務を自覚して、そして、けがをしたり事故を起こして病気になったりすることなく、全員無事、立派に任務を達成して帰ってくるということを心から望んでおります。

    〔亀井(善)委員長代理退席、委員長着席〕

東(祥)委員 歴史的使命感を痛感しているということなのだろうというふうに思います。

 そこで、今回の自衛隊派遣というのは、日本国が戦後、民主主義のもとで初めて武力組織であります自衛隊を戦時に海外派遣するという重大な先例を開く決断だ、その決断をされているのが総理であり、防衛長官であります。そこで私たちに突きつけられている問題というのは一体何なのかということです。それは、民主主義を信奉する我が国政府が、自衛隊という唯一の武力組織を統率して、そして本当に戦争というものを指導できるのかどうなのか、こういう問題であります。

 防衛庁長官は先ほどからのお話の中で、また官房長官も、そしてまたテロ特措法案において、小泉総理がいろいろな詭弁を弄しながら、これは戦争に私たち行くのではありません、それは武力行使しないのですから、憲法の枠内なのですからと。しかし、多くの国民にわかってきていることは、今現実にアフガニスタンにおいて、アメリカそしてまたイギリス、戦争をしている真っただ中なんですよ。その目的は何かといえば、テロの根絶だというふうに言っているわけです。

 その枠組みの中に私たち日本国政府が、そしてそのもとで唯一の武力組織である自衛隊を参加させようとしているわけですから、当然、全体の大枠の戦争それ自体に対して深くかかわり合いを持った形で初めて自衛隊を派遣させるのだ、こういう意識を持っていない限り、何のために自衛隊を派遣させるのかという意味そのものがよくわからなくなってしまうわけであります。

 その意味で、その戦争を、つまり防衛庁長官はそれを指揮する立場にあるわけで、そのことが本当にできるのかどうなのかというのが問われているわけです。それは別の言葉で言えば、本来の意味でのシビリアンコントロールというのは一体どういうことなのか、そのこともまた、今回のいろいろな議論を通して出てきている大きな問題なんだろう。

 では、そこで改めて防衛庁長官に聞かせていただきたいのです、お答えしていただきたいのです。

 今回の自衛隊を派遣する目的というのは一体何なのか。戦争の目的、つまり自衛隊を派遣する目的と目標を国民にきちんと説明して、そして国の運をかけて自衛隊を海外に派遣することの是非、これを問うために今回この委員会が開かれているのだろうと僕は思うのです。そこで、我々がそれを承認するのか、そうでないのかという問題提起が初めてなされなければならないのだろうと思いますけれども、もう既にテロ対策法案が通過してしまったのだから別に構わないや、また、そこで盛られていることは大したことじゃないのだから、そういう雰囲気が充満しているから、多分総理もこの場に出てこられなかったんだろうというふうに僕は思うんです。その後者の部分は私の印象論ですから。

 防衛庁長官に端的にお答えしていただきたいのは、今回の自衛隊の派遣の目的、僕の言葉で言えば、戦争参加に際して民主的手続の中で国民の支持をちゃんと取りつけたのか、取りつけていないのか、どうなんだということであります。つまり、目的と目標というのを明確にしていないんじゃないのかと。

 それは、端的に言えば、今回の特措法案の長い名前を見てもよくわかるじゃないですか。何を言っているかさっぱりわからない。テロ対策特措法案を議論しているときに私が申し上げたとおり、これは一体何のための法案だったのか、改めてここで問いかけたいと思うのであります。

 今回の自衛隊派遣の目的というのは、国連によるテロ対策支援なんですか、どうなんですか。

中谷国務大臣 今回の行動については、まず日本がテロに対してどう考えるか、どう見ているのかということでありまして、テロと断固闘うんだ、対岸の米国で起こった火事ではなくて日本自身のこととしてとらえて、そしてそれを、言葉だけではなくて行動で示さなければならないということでございます。

 一言で言って、テロに負けてはならないというのが根幹でありまして、やはり日本の現在置かれた国際的な地位と責任にふさわしい協力のあり方をするということと、世界の人たちに役に立つ行動、また評価をされ尊敬される国家であるべきであって、正しいことは正しいこととして毅然としてやるべきことをやることによって、二十一世紀の世界の平和、安定のために、今の憲法の容認する範囲内で、枠を超えることなくやっていくということで、今回自衛官を派遣したわけでございます。

 つまり、派遣された自衛官というものは国民の代表であって、国家を代表する者として毅然と、テロ撲滅のための国際社会の中で日本としてしっかりとした行動をやっていただくために派遣をして、支援活動また被災民救援活動を行うという認識で、日々錬成をされた成果を遺憾なく発揮して立派な仕事をしていただけるというふうに期待をいたしております。

東(祥)委員 中谷長官、一生懸命話してくれたのですが、よく意味がわかりません。もう一度僕、お話をさせていただきますが。

 今アフガニスタンでドンパチやっていますね。この枠組みの中に日本というのは自衛隊を参加させるんですよ。そうでしょう。それとは全然関係ないんですか。そうであるとするならば、今アメリカ、英国、フランス、イタリアその他のいわゆる連合国が展開している戦争の目的というのは何なんですかということを僕は聞かせていただいているんですよ。それは何なんですか。国連によるテロリズム対策の一環としてやっているんですか、どうなんですかということを聞いているんですよ。それが明確にならない限り、何のために自衛隊を派遣するかというのがわからないじゃないですか。

 中谷防衛庁長官は、許しがたいテロリストによるテロリズムが起こった、それに対して断固闘わなくちゃいけない、そのとおりですよ。その上で、では、自衛隊を派遣する目的というのは一体何になるんですかということを聞いているんですよ。

 その前に、今行われている戦争の目的というのは何なんですか。どのように防衛庁長官というのは認識されているんですか。国連によるテロリズム対策の支援としてやっていると認識されているんですか、どうなんですか、そうじゃないんですか、どうなんですか、このことを答えてくださいよ。

中谷国務大臣 今回の我が国の活動については、米国とか英国とかフランスとかそれぞれの国が対応いたしておりますが、決して多国籍軍のようなものに参加をするというのではなくて、やはり主権国家として、テロを撲滅する国際的な国々に対して支援を行うわけでございます。

 そして、武力行使をしない、または集団的自衛権にならない範囲で日本としてのなし得る限りの支援は何かということでこの国会でも議論をされましたけれども、先般成立した法の枠内で支援活動並びに国際的な救援活動を行うということで、この法律は、そういった活動においての大きな二本の柱ですね。一つは、そういった国々に対する支援と、もう一つは、国連を中心とする人道的な救援活動に対する支援という二つの柱を実施するものであるというふうに考えております。

東(祥)委員 まともに長官は答えられない理由があるわけですよ。それほど国民をごまかしながら、ある意味では国連の決議を利用しながら、国際社会が一致団結してテロリズム対策のために頑張っているんだから、日本としても何とかしなくちゃいけないでしょうと。それを導くために国連決議という、武力行使を一切認めていない国連決議ですよ、法案の中にもいろいろ引用している。どれ一本として、国連決議の中で、米国や英国に対して武力行使を容認している決議は一本もないでしょう。

 でも、ないにもかかわらずそれを引用しているというのは、国民に対して、これは国連協力なんですよ、国際社会が一致団結してやろうとしているんですよ、日本としても何かしなくちゃいけないでしょうと。何かしなくちゃいけないことってたくさんあるわけですが、自衛隊を派遣する何らかの、国民の目をごまかしながら、それを引き出してこざるを得ないからそういうことを使っているんでしょう。

 さらにまた、では、米国や英国に対して、今行っているのは彼らですから、戦争を。そうですね。では、その戦争を行っている具体的なことに日本は協力しようとしているんですか。それが今回自衛隊を派遣する目的なんでしょう、どうなんですかと。答えてくれないから、僕が思っていることを、中谷長官は、多分、答えれば自分自身ひょっとして論理が崩れてしまうかもわからないということで、別の言葉で僕にいろいろ説明しようとしているわけですが、全然響いてこないわけですよ、本当のことを言っていないから。

 では、もう一度言いますよ。国連協力のための自衛隊派遣ですか、それとも、米国、英国の軍事行動に対しての支援協力をしようとしているんですか、答えてください。

中谷国務大臣 まず、国連の一三六八というのは、国際の平和と安全に対する脅威を除去するために加盟国が必要な協力を行うというふうにしておりまして、我が国として必要な協力を行っているわけでございます。ですから、関係国の協力支援を行うということと、国連等が実施する人道的な被災民救援をやるという二つの項目の中で、我が国の憲法の範囲で、容認できる部分で支援を行うということでございます。

 米国は自衛権、また、NATOは集団的自衛権を発動してそれなりの活動ができるというふうに思っておりますが、日本の場合は集団的自衛権が認められておりませんし、また、今回行う措置も我が国の個別的自衛権とは違うわけでありまして、当然その制約においては、戦闘行為が行われていない地域において、また、予想されなかった不測の事態が発生したときは、一時休止、また計画の変更、中断等が伴うということで枠をはめております。

 本来やるべきところは何かという点については議論が分かれるところでございますけれども、現に、日本国憲法を持ちながらこれまで五十年にわたって国会でずっと議論が続けられたわけでございまして、やはりこの憲法の解釈を飛び出すということにつきましては、それこそなし崩しになるわけでございますので、やはりこの点については、憲法を、今調査会で議論をいたしておりますけれども、これ以上の活動をする場合においては、この憲法調査会等の議論において、我が国としての今後の国際貢献のあり方について議論をして考えていくべきだというふうに思っております。

東(祥)委員 長々とお話ししてくれているんですけれども、今引用している国連決議の中に、ただの一本でも米国や英国の武力行使を容認するものがありますか。あるかないかですよ。ありますかと聞いているんです。どうぞ。

中谷国務大臣 米国の個別的自衛権は、この国連決議によって容認をされているというふうに思っておりますし、我が国が行うのは必要な協力の範囲でございます。

東(祥)委員 防衛庁長官は根本的に間違っていると思いますよ、今の発言は。別に国連決議によって、アメリカの個別的自衛権、NATOの集団的自衛権を容認した決議でも何でもありませんよ。個別的自衛権というのは、一九四五年にできている国連憲章第五十一条に書かれていることを確認している決議以外の何物でもないですよ。武力行使を容認している決議じゃないですよ。

 もう一度答える場を与えます。

中谷国務大臣 どうもありがとうございます。

 この九月十二日の採択された決議の中に、全会一致で採択されておりますが、個別的または集団的自衛権の固有の権利を認識するというふうに明記をされておりまして、これはだれが見ても、今回テロ攻撃を受けてたくさんの、多くの被害が出たアメリカ自身であって、米国の個別的自衛権、集団的自衛権の権利を認めたというふうに私は解釈をいたしております。

東(祥)委員 これは政府見解ですか。防衛庁長官、それは政府見解ですか。別に、あれですよ、国連の決議では武力行使を容認していないんですよ。国連憲章五十一条の、各国が固有の権利として持っている個別的、集団的自衛権を有することを認識しているだけですよ。武力行使容認決議じゃないでしょうと聞いているんですよ。イエスかノーかですよ。イエスならイエスでいいんですよ。

中谷国務大臣 確かに容認決議ではございませんが、わざわざこの決議の中に個別的自衛権ということを書いております。したがいまして、この決議においては、自衛権が、国際連合憲章第五十一条で加盟国の固有の権利であることが改めて言及をされております、わざわざ言及をされております。その意味では、この決議は、九月十一日の米国におけるテロ攻撃に対して、米国などが個別または集団的自衛権を行使し得るということを確認したものだというふうに考えております。

東(祥)委員 防衛庁長官、本来、国連というのは、私が言うまでもなく、将来、国際社会の平和と安全のためにどうしていったらいいのか。日本で言えば、ある意味では警察機構ですよ。そのときに、個々人が何かけんかしたときに、そこにすぐさま割って入っていけるという力を有しているならば、あえて個別的自衛権、集団的自衛権というのを認める必要はないんでしょう。それは別に国連主導の問題じゃないんですよ。各加盟国がそれぞれの問題に対してどのようにとらえるかというその権利までも剥奪することができないということで入れていることでしょう。国連主導でも何でもないんですよ。だから、国連憲章五十一条に書かれている個別的自衛権、集団的自衛権を各国は持っていますねと。それをただ認識しているだけですよ。武力行使容認決議じゃないでしょうと。

中谷国務大臣 確かに、おっしゃることについてはごもっともなところがあるかもしれませんが、ただ一つ、集団的安全保障に基づく行動ということができるのは一体いつのことなんでしょうか。もうずっと国連創設以来、この集団的安全保障の、平和安全保障ということが言われておりますが、まだ一度も実行されておりません。

 しかし、今回起こったこのテロ攻撃に対してやはり何らかの対応をしないと国家というものは主体性を失ってしまうという中で、国連が当面の、この集団的安全保障がとられる間の措置として国連加盟国の固有の権利である自衛権の行使として行われたことをわざわざ言及し、これを確認しているわけでありまして、この武力行使に対して容認する新たな国連決議が必要だというふうにされるわけではないというふうに考えています。

東(祥)委員 別に私の今の論点は、新たな武力行使を容認させるようにせよだとか、何にも言っていないじゃないですか。お言葉の中にありましたとおり、国連を中心とする集団安全保障措置ができ得ない状況だから、日本政府としては、国連を中心とする集団安全保障措置をつくれるような形で日本政府として努力すべきなのではないですかということは、さきのPKO改正法案で私たち自由党は改正法案を出しているじゃないですか。その方向を目指して進んでいかなくちゃいけないんじゃないですか、不完全なんだから。

 ところが日本政府は、そういう問題に対して真正面から論じるのではなくて、今の現状あるいはこれまでの憲法論議を踏まえて、モザイク状に、できなかったことをできるというふうにしながら、今までしてこなかったことをできるかのような、国民をだましながら進んできているんじゃないですか。防衛庁長官が私に対して質問していることをそのままお返しさせていただきますよ。

 集団安全保障措置をちゃんと具体的に実行できるような形で日本政府として動けばいいじゃないですか。動く前に、その方向性を見る法律もつくらないで、それに対して真正面から努力しないで、そしていいかげんなことを言っているということは、断じて私は許すことはできない。

 現実の問題として、政府が引用されている幾つかの国連決議の中に、武力容認決議というのは一つもない。そしてまた、今米軍及び英国が行っている軍事活動、この根拠になる国連決議というのはありますか、それもまた決議として提出されていないではないかと言っているわけです。

 そうであるとするならば、防衛庁長官、歴史的な使命を感じて自衛隊を派遣されたという趣旨の、僕は百歩譲って中谷長官のお心を読んでそのように申し上げているわけでありますが、今回の自衛隊派遣の真の目的は何かといえば、それは、今戦争を展開している米軍、そしてまた英国その他の連合国に対しての支援以外の何物でもないでしょうと、そのことをどうして真正面からお認めにならないんですか。なぜ真正面からそういうことを言わないで、国連、国際社会一体とした動きに対して日本というのは何かやらなくちゃいけないんですよ、それで国民が本当に納得すると思いますか。時間がたつとともに、一体何のために自衛隊を派遣しているのかという、そういう本質的な問題がまた出てきますよ。

 だから、真正面からそういう形でお認めになれるんですか、なれないんですか。なれないとするならば、派遣される自衛隊員が自信を持って、防衛庁長官の言うこと、総理大臣が言われること、疑いの目を持ってこれから動いていってしまうんじゃないですか。そのことについてはまた後から質問させていただきますが、どうですか。

 自衛隊を派遣する真の目的というのはどこにあるんですか。もう一度お尋ねします。

中谷国務大臣 国連自身が今回のテロに対して決議をして対応するということでありまして、各国それぞれ受けとめ方と考え方とが違います。また、憲法も違います。それぞれの立場でこのテロに取り組んでいくということに対して国連が容認をしたわけでありまして、例えば米国に対しては、この前日に、自衛権に基づいてやる、また英国も、集団的自衛権を行使するという書簡を国連に送っております。それに基づいて決議が行われておりますが、どの国も、それはだめだというようなことを言ったことはなくて、むしろそういうことも織り込み済みでこの自衛権に対して言及をし、全会一致でこれを可決し、すなわち、米国の個別的自衛権、また、英国の集団的自衛権を行使し得るということを確認したということによってその根拠があるというふうに私は思っております。

 それから、自衛隊の派遣に関しては、それぞれ日本の憲法、法律があって、この範囲の中でなし得る限りの活動をするという前提で、政府が計画をし、またそれぞれの自衛隊が派遣をされるわけでありまして、私は、胸を張って、この根拠は日本国憲法であり、今回お認めいただいたテロ特措法であって、それに基づいてなし得る限りの貢献を、国民を代表する者として整々と行っていただけるものだというふうに思っておりまして、どこの国にも恥じるような支援ではない、どこの国にでも感謝をし、評価をしていただける内容であるというふうに思っております。

東(祥)委員 防衛庁長官が勝手にそのように思うのは、防衛庁長官の勝手であります。

 しかし、私が聞いていることに答えていただきたいのは、今回、補給艦も出航させていますよね。何の目的で補給艦を出すのですか。米国海軍に対しての補給でしょう。では、そうならば、私が何度も言っているとおり、今回、米国及び英国の軍事行動を支援する目的で日本の自衛隊を派遣しているのでしょう。どうしてそれを真正面から言えないのですか、どうしてそれはそのとおりですと言えないのですかと聞いているのです。違うのですか、私が言っていることと。そうでしょう。

中谷国務大臣 まさしく米国及び英国の活動に対して協力支援をするということを法律にも書いておりますし、そういうことが目的の一つであります。もう一つは、被災民救援の活動をするということでございます。

東(祥)委員 今度は、被災民、難民支援が自衛隊を派遣する目的だと言ってきている。では、これは人道活動ですか、質問しますよ。

 中谷長官、米国や英国などの連合国によって今どんどん戦況が変わってきています。マザリシャリフだとかクンドゥースやカブールの爆撃が、難民支援と一体どういう関係があるのですか。CIAや特殊兵によってのタリバーン幹部の爆殺が、人道支援と何の関係があるのですか。誤爆によって死んでいった貧しい罪もないアフガンの子供たちは、人道目的のために殺されたのですか。海上自衛隊による補給、輸送支援がどうして人道的なんですか。政府は、米国や英国のタリバーンやアルカイーダとの戦争を強力に支援しながら、それを今度は、それに人道支援の衣をかぶせて国民の目を欺こうとしているのじゃないですか。

 先ほどの話も同じなんですよ。米国及び英国の軍事行動に対しての支援でありながら、それを国連協力ということで国民の目を欺こうとしているから、それを引用せざるを得ないのですよ。だから、今回の特措法というのは、百数十字に上るそういう法案名を出しているのでしょう。どうしてそういうことを真正面から言えないのか。だから、自衛隊に対して、外に派遣しようとするときに、政府は何を考えているかわからないと。はっきり、言いたいことがあるならば、国民に真正面から言えばいいじゃないかと。

 先ほど、中谷防衛庁長官は、憲法解釈を変えちゃったならばなし崩しになると。冗談じゃないですよ。吉田元総理だって、自衛権がないというものを自衛権があるということで、この場でちゃんと解釈を変えているじゃないですか。真正面からやっているから国民は安心するのですよ。十年前にできなかったものを、憲法解釈は変えていません、憲法の枠内ですと言っておきながら、どんどんどんどん変えているじゃないですか。

 果ては、この法案を見る限り、いつの間に他国の領域に自衛隊を派遣することができるようになったのですか。周辺事態法のときだって、他国の領域まで入っていけないとなっていたでしょう。いつの間にできるようになっているのですか。

 そういうめちゃくちゃなことをあなた方はやっておきながら、いいかげんなことを国民に説明したとしても、国民は理解することはできないだろうと僕は申し上げているのですよ。だから防衛庁長官に、決意がちゃんとあるのですかと。戦後初めて、戦争をやっている戦域に送るのですよ。多分多くの与党の方々は、そんなことないよ、東さん、武力行使は直接やらないのだから、大したことじゃないよとみんな思っているのですよ。そうじゃないでしょう。あくまでも戦争という初めてのことですよ、それに対しての防衛庁長官の決意というのは甘過ぎるのじゃないのか、それだけの決意を持ってちゃんとやっているのかということを僕は申し上げているのですよ。

 僕に説明してくれますか。人道支援だと言っているわけですよ。今、一生懸命米英が爆撃をやって、子供たちもいっぱい殺されているのですよ。人道支援の目的ですか、それが。マッチポンプじゃないですか、そうしたら。

中谷国務大臣 私、米国のオペレーションは存じ上げておりませんが、この人道支援というのは米軍の重要なオペレーションの一つだというふうに思います。というのは、ベトナム戦争で非常に戦況が思わしくなくて、厭戦気分によって非常に挫折をしたという経験を生かして、今回の対応等においては人道支援の要素を非常に米国は重視をしている。そのために、食糧を投下したり、また難民の救済等にも力を注いでいるわけでございまして、現に日本の人道支援等につきましても、米国においては非常にそれはありがたいことであるということを評価されているわけでございます。

 つまり、人道支援なくしてもう実際のオペレーションは行われないような今時代背景になっておりまして、マスコミのいろいろな情報合戦も一つでありますが、いかにこの人道支援をスムーズに行って罪のない市民の犠牲を最小限に防いでいくかということは、現代の戦闘において大変重要な要素でございまして、この人道支援というものは、積極的に米国も、また日本も、当然のことながらやっていくべき問題であると。

 問題は、タリバンに隠されたテロ集団がいるということがこの作戦の目的であって、それを遂行すると同時に、罪のない傷ついた人を救っていくということも重要な要素であるというふうに思っております。

東(祥)委員 だから、一方において人道支援をしなくちゃいけないということはわかるのです。しかし、それに名をかりて、まさに米英が中心となってやっている、いわゆる国際テロリストの本丸、そしてネットワーク、これを壊滅していくんだ、壊滅するための軍事行動に対して日本が支援しているんだということを言わないがために、人道支援を隠れみのにして言うことを言うなということを僕は言っているわけです。

 同じように、国連決議を引用しながら、さも国連に武力行使容認決議があるかのような、そういう錯覚を国民に与えて、そして米国及び英国に対しての軍事支援をしていることを隠そうとするなということを言っているんですよ。

 そういうことを明確に言わないから、議論がどこに行っているのかさっぱりわからなくなってしまうということですよ。そう思いません、防衛庁長官。そうでなければ、何のために自衛隊が派遣されて、何をやろうとするのか、彼らはわからなくなってしまうじゃないですか。だから、それに対して本当に国民の理解を得られているのか得られていないのか、得られていないのですよということを僕は申し上げているのです。

 一生懸命政府が詭弁を弄しながら、形だけ整えようとする。形だけ整えることに対して国民は何となく空気的に理解してくれている、本質的な部分を語ろうとしないから。そうではありませんか。

中谷国務大臣 東委員のおっしゃっているようなことにおいては、私は、この法律には二つの面があるということで、両面についてはきちんと説明をしていると思いますし、またマスコミの方も、むしろ戦時下での派遣だということで大々的に取り上げて連日報道しておりますが、それに増しても、一般の国民は、そういった総合的な判断をした結果、今回の派遣に対してはおおむね七割ぐらい、海外において支援をすべきだというふうに理解を進めておりまして、むしろ国民の方が、こういった支援と人道的活動両面において日本が積極的にもっとやるべきだというふうに考えているのではないかというふうに思っております。

東(祥)委員 それは本当に防衛庁長官、いや、僕は恐ろしいと思いますね。国民の皆さん方は、自衛隊が派遣されて、その自衛隊が反撃されたときに逃げ帰ってくるなんということは存じ上げてないはずですよ。全然知らないはずですよ。(中谷国務大臣「法律に書いてあります」と呼ぶ)いや、法律に書いてあるって、そういうことをちゃんと国民の皆さん方に説明した上で、そういうことをやっていないじゃないですか。そういうことになったときに友軍を見捨てるということなんですから、国際社会からも放逐される。だから僕は初めに言っているわけです、基礎工事していないでしょうと。台風が来たときには耐えられない法案でしょうと。そういうことをちゃんと国民の前に赤裸々にわかっていただいた上で、支持なんて集めていませんよということを僕は申し上げておきますよ。

 長官、とんでもないことだと思いますよ。自衛隊という軍隊ですよ、外国から見れば。それが、戦闘地域でもない、戦闘行為を行っているところには行かないと言いながら、先ほど長官も認められているとおり、米軍と英国の軍事活動を支援しに行くのですよ。ということは、戦争をやっているその中に入っていくということなんですよ。そういうふうに言い切れないでしょう、長官。(発言する者あり)だから、そういうふうに言わざるを得ないわけですよ。そこにはまさに詭弁があるということでしょう。

中谷国務大臣 今回の対応は、武力行使をしないということで、日本は個別的自衛権を発動しているわけでもございませんし、また戦闘区域において活動するわけでもないという、枠のかかった範囲での支援でございますので、東議員の御指摘は当たらないというふうに思います。

東(祥)委員 それは歴史がちゃんと証明してくれると思いますから。ちゃんと議録も残りますからね。

 先ほど申し上げましたとおり、長官もまくら言葉でいつも引用されますけれども、僕は、今回、政府が自衛隊派遣の本当の目的を国民の目からそらそうとしているのじゃないのか、そういう感じを持ち続けてしようがありません。

 先ほど申し上げましたとおり、また防衛庁長官が言われたとおり、九月の十一日に、日本人を二十四人含む、また五千人とも、今だんだん犠牲になられた数が少なくなってきて三千名前後だというふうに言われておりますが、無辜の民の命を奪った卑劣な国際テロリズム、これとの闘いを米英がやっているわけです。それは僕らは共感することができる。

 しかし、防衛庁長官がおっしゃられるとおり、アメリカは個別的自衛権に基づいて、そしてまたヨーロッパあるいはまたオーストラリアは、NATO及びANZUSのいわゆる同盟関係から出てくる集団的自衛権に基づいて、数十の国々が連合国として国際テロ組織と闘っているんですよ。それを支援するタリバン政府を打倒するために立ち上がったんじゃないですか。

 そうすると、今回自衛隊の派遣の第一義の目的というのは、この連合国の一翼を担って、武力行使はしないけれどもその戦争の枠組みに参加することでしょう。どうしてそれを真正面から認めることができないんですか。それを認めることができないものというのは一体何なんですか。だから、どうして各国を納得させることができるんですか、自分たちの行動を。皆さん方がやっていることは戦争行動じゃないんですねと。したがって、戦争行動でない活動に関しては私たちは支援することができます、しかし皆さん方が行っている戦争行動そのものに真正面から国民にそれを説明することができません、そういうことでしょう。どうですか、そういうことでしょう。

中谷国務大臣 現に米国等は武力行使を行っているわけでございます。日本は、PKOなどは国連の武力行使をしない活動ですから、これは参加することは容認されると思いますが、こういった武力行使をしている国々とともに行動するとなりますと、参加といいますとどうしても武力行使の一体化の印象が出てまいります。ですから、我が国が行う活動においては協力、支援でございまして、やはり集団的自衛権に至らない範囲でのできる限りの活動を行うという点で、いろいろと議論がありましたけれども、協力支援活動を行うものでございます。

 決して国民の目をそらすのではなくて、真摯に国民の皆さんにこの範囲の中の協力活動であるという点で御理解をいただいているというふうに思っておりますし、国会においても、賛成議論もあれば慎重、反対議論もございます。そういう中で政府としてなし得る限りのことを盛り込んだ法案であったというふうに思っております。

東(祥)委員 視点を変えます。

 今回のいろいろな議論を聞いていて、もう一つの大きな問題を惹起しているんじゃないか。それはいわゆる政治家の軍事作戦への過剰介入、こういう問題であります。

 別の言葉で言えば、政治家及び文民というのは何を議論しなければならないかといえば、それは戦略の問題なんだろうと思うんですね。そして、自衛官また軍人というのは、その戦略目標が明確になったときに、それを達成するためにどうしたらいいのかという軍事作戦に責任を持つべき問題なんだろうというふうに思うんです。

 それが、戦後のこの五十数年間、強いて言えば、僕が政治家になって十一年目ですからこの十一年間、余りにも軍事的な知識がない、そういう政治家やあるいは法制局、法律家ですね、これが軍事作戦に異常に介入してきてしまっているんじゃないのかと。その結果、どういう問題が起こるのかといえば、まさに戦争の枠組みの中で自衛隊を派遣するときに、全くおかしな議論にならざるを得なくなってくるということを指摘したいというふうに思います。

 その上で、これは防衛庁長官にも責任がある問題でありますけれども、私はここで具体的に問題にしたいのは、一つはトマホークの問題であり、それからもう一つはイージス艦の問題であります。

 時間がある限りやらせていただきますが、一つは、なぜトマホークが問題になるか。防衛庁長官は、同僚議員との議論の過程で、トマホーク巡航ミサイルの発射は戦闘行為であるという答弁を行われました。その結果として、米国や英国などの連合国の艦船がトマホークを発射する間は、その周辺水域が戦闘地域となって、我が自衛隊はそこに入ることができなくなるということになりました。そうですね。

 それが我が国の憲法上の制約というのであれば、これは日本国内だけで通用するものであって、国際社会の基準から見れば笑い千万のものなんだと思います。憲法第九条のどこにトマホークを発射する艦船の周囲が戦闘地域になると書いてありますか。しかし、政府のこの不要な一言は、実際の連合軍全体の軍事活動を拘束することになっていくんだろうと思いますよ、もし本当に自衛隊が米国や英国との連携を保ちながら軍事作戦を展開していくとするならば。それは防衛庁長官が一番よくおわかりのことなんじゃないでしょうか。いかがですか。

 具体的に、中谷長官にお伺いしますよ。自衛隊がアラビア海で活動するとき、あるいは自衛隊がアラビア海を通過するとき、どのようにして周辺にいる連合国の海軍がトマホークを発射しないと保証できるんですか。どうですか。

中谷国務大臣 トマホークの議論はこの委員会で行われたわけでございますが、これは自衛官に任せるべき問題というよりも、むしろ法律の解釈でありまして、我々政治家が整理をしておかなければならない問題の一つではないかというふうに思います。このままあいまいのままだと、実際に米国はそれは当然どうでもいい話でありますが、我が国の自衛官の場合は、これが法律に違反するかどうか非常に迷うわけでありまして、自衛官に任せるべき戦術的な問題ではなくて法律の解釈の問題でありますので、こちらで議論をされたということは妥当であるというふうに思っております。

東(祥)委員 いいですよ、防衛庁長官がそういうふうに言うのは。

 僕の質問に答えてください。どうやって判断するんですか。どうやって保証できるんですか。アラビア海に浮かんでいる米軍の艦船からトマホークが発射されないという保証をどうやって取りつけるんですか。取りつけられないでしょう。どうやってやるんですか。

中谷国務大臣 この問題は、この議論があった後、米軍とまた防衛庁とも議論をいたしまして、絶対に撃たない区域はどこかというようなことも話し合いをされまして、戦闘区域等の指定も行いました。ですから、こういった点においては、御心配することはないというふうに思います。

東(祥)委員 では、その戦闘区域ではないところというのは、その距離はどうやってはかっているんですか。どうやってそれは算出しているんですか。今、防衛庁長官おっしゃいましたでしょう、米国海軍ともお話をしたと。自分たちが派遣される自衛艦、海上自衛隊の艦船は戦闘区域には入らないと。どうやってその距離を算出しているんですか。

中谷国務大臣 詳細にわたってはお話しすることはできませんが、我が国の法律が、現に戦闘行為が行われておらずに、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に限定されているという前提で話をしておりますので、この範囲で日本が活動するという点も十分先方も理解した上での調整を行ったわけでございます。

東(祥)委員 こんな詭弁を弄している国というのは日本だけでしょう、防衛庁長官。日本だけですよね。政治的にも軍事的にも、そして国際的にも唯一日本だけが通用するという議論を持っているんですよ。どのように米国海軍を説得したのですか。どのように説明したのですか。

 だって、普通理解できないわけでしょう。普通の感覚だと理解できないでしょう。日本は補給艦を派遣しますよと言っているんですよ。戦争をしているさなかに補給艦を派遣しますと言っているんですよ。では、それに対して、今防衛庁長官は、理解してもらったと言っているんですよ。僕はとんでもないことだと思いますよ、だれがやったかどうかわかりませんけれども。

 それを、私たちは、今一生懸命米国及び英国が戦っているそのさなかに、補給活動をさせていただきます、しかし、補給活動をさせていただくに当たって、私たちは戦争をやっているその地域には入れませんから、戦争をやっていない地域におりてきていただいてやらざるを得ないんですと、そういう説明しかできないでしょうということを言っているわけですよ。それは、外国から見るならば理解してもらっているということじゃないでしょう。日本が参加するに当たってはその枠組みだけしか参加できないと、みずからが、防衛庁長官、総理大臣、政府・与党の皆さん方が手足を縛りながらこの法律をつくってきているんだから。いかがですか。どうやって説得しているんですか。

中谷国務大臣 ことしは日米安保条約ができて五十年になりますけれども、この五十年間、日本の自衛隊と米軍の行動の長い経緯があります。その中で共同訓練等も行っておりまして、米軍も、我が国の事情やまた条件等は十分に承知をしてともに行動をしているわけでありますが、今回の法律においては、武力行使をしない、また、集団的自衛権は行使しないという前提に基づいた法律でありますので、この法律に基づく協力支援活動であるという点については我が国も説明した上で、米国もこの点については理解して、むしろ米国の方から協力をしていただいているんじゃないかというふうに思います。

東(祥)委員 トマホークを発射する艦船の周りにいると戦争に参加することになって、そして、それ以外の艦船、例えば戦闘機、爆撃機を搭載している空母の周りにいても戦争に参加したことにならない。いかがですか、防衛庁長官。

中谷国務大臣 それは実にテクニカルな問題でありまして、我々としては、議論をしても、ある程度の根拠に基づいて議論をいたしておりますが、この点についてはもうテロ対策特別委員会でさんざん議論をされておりますので、その点の議事録をお読みいただきたいというふうに思います。

東(祥)委員 このように詭弁を弄しながら、そして全く理解できない言葉で、トマホークを発射している艦船のそばに近づくことは戦争に参加することになり、自分たちが打ち立てているまさに詭弁に基づく、いわゆる憲法論議ですよ。それに基づくと戦争に参加することになってしまって、爆撃機が飛んでいく空母の周りにいるときには戦争に参加することにならない。めちゃくちゃでしょう。

 そういうめちゃくちゃなことをもう一度ちゃんと政治家が整理をして、そして虚心坦懐に、今までの議論は議論として踏まえた上で、小泉内閣が威信をかけて整理するというのが、ある意味で安全保障における構造改革じゃないんですか。それを、そのまま何もしないで今日まで、なし崩しですよ、それこそ。

 そしてまた、目隠しをしながら、ごまかしながらやってきたのが今回の法案であり、それに基づいて自衛隊を派遣するということに関しては反対するということを申し上げまして、時間が来ましたので、私、東祥三の質疑を終わらせていただきます。失礼いたします。

加藤委員長 これにて東君の質疑は終了いたしました。

 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男でございます。

 昨日、新たに三隻の自衛艦がインド洋に向けて派遣されたわけですけれども、私ども日本共産党は、テロ特措法の発動にも、そして自衛艦の派遣にも、これはやはり日本の憲法の平和原則を踏みにじりますから、反対の立場です。

 政府は、テロ特措法に基づいて、自衛隊の活動実施の承認を求めているわけですけれども、承認案件の審議となりますと、やはり派遣部隊の活動内容が具体的に検討され、吟味されるべきだというふうに思うんですね。そこで私、基本計画、それから実施要項、自衛隊の活動の内容について、立ち入ってただしていきたいというふうに思います。

 まず、中谷長官にお尋ねいたしますが、昨日、自衛艦の派遣の際に、報道されている内容では、この派遣が、国民の理解と合意のもとに派遣をしたというふうにおっしゃっていますが、これはどういう根拠に基づいてこういう発言をなさったんですか。

中谷国務大臣 この意味は、国会の中で、法案を提出し、真摯に御議論いただきまして、採決をされて本会議、衆参、成立をしたという点と、その後の報道各社によるアンケート調査におきまして、今回の派遣の対応措置について賛成という、容認をする御意見の方が多かった。そして、昨日の派遣をめぐる報道並びに雰囲気においても、決して拙速でもないし、また遅過ぎたわけでもないし、非常に整々と派遣ができたということによって、国民の皆様方から御理解をいただけたのではないかというふうに思っているわけでございます。

山口(富)委員 今の話は、かなりあなたの主観的な考えが反映しているように思うんですが。

 幾つかの世論調査を挙げられました。私、何を読まれたか知りませんけれども、十一月に入りまして随分、自衛隊の派遣に関して世論調査が発表されております。これを見ますと、派遣に反対する声というのは相当数に上っているんですね。

 例えば、十一月の十日、十一日にかけて行われたJNNの調査では、自衛隊の派遣に賛成が四二・七、反対が四九・八%です。それから、もう一つ例に挙げますと、これはテレビ朝日が行った調査ですけれども、十一月の十七日、十八日に行った調査では、自衛艦をインド洋に展開することについて、支持しないが五三%、こういう結果になっているんです。

 私は、この点からいっても、やはり合意などとてもない状態だ、これを今、長官は直視すべきだというふうに思うんです。理解と合意どころか、やはり批判と危惧の声が大変強い中での今回の派遣ということで、私、まず、きょうの質問の冒頭に、この点は厳しく抗議しておきたいと思います。

 さて、派遣艦艇なんですが、六隻出されたわけですけれども、これは艦船名でいいますと、改めて確認することになりますが、何と何を派遣したのですか。

中谷国務大臣 まず、マスコミのアンケート調査でありますが、NHKの調査によりますと、賛成の方が上回っております。

 それから、艦艇の名前でございますが、新たに派遣をする艦艇は三隻、護衛艦「さわぎり」、掃海母艦「うらが」、補給艦「とわだ」、そして、既に情報収集のために派遣している艦艇は三隻でありまして、護衛艦「くらま」、護衛艦「きりさめ」、補給艦「はまな」、以上でございます。

山口(富)委員 あなたは今NHKの話をされましたけれども、私が言いましたのは、国民の合意がないという例として二つの世論調査を挙げたのです。これは、NHKも含めまして、どれをとってみても、今度の自衛隊の派遣について理解と合意が得られたとはやはりとても言えない数字だというふうに思います。

 その上で、今六隻の名前を挙げられましたけれども、実施要項による活動の実施期間は三月三十一日、状況では五月十九日まで延長というふうになっておりますけれども、そうしますと、今挙げた六隻の艦船以外は派遣しないというふうに考えてよろしいのですか。

中谷国務大臣 これは基本計画に基づきまして、基本計画では艦艇の名前を記述しておりませんで、艦艇のタイプ、何とか系艦艇というふうに記述をしておりまして、この基本計画の期間中に艦艇の交換、交代はあり得るというふうに考えております。ただ、隻数においては、示しました三隻、三隻ということでございます。

山口(富)委員 交代することはあり得るということだったのですけれども、そして、基本計画の方ではタイプが示されているというお話でした。

 そうしますと、基本計画のタイプでいいますと、イージス艦の派遣というのは、交代する艦艇の中の一つとして検討され得るものなんですか。

中谷国務大臣 イージス艦の派遣につきましては、実施要項に明記をするわけでございますが、今回の派遣に際して実施要項に書いておりませんので、今の実施要項が変更されない限りは派遣をすることはないというふうに考えております。

山口(富)委員 そうしますと、大事なところですので重ねてお聞きしますが、今おっしゃいましたように、基本計画ではタイプを定めている、そして実施要項の方で具体的なところがあって、それはイージス艦に当たらないというお話が今ありましたよね。派遣する場合は実施要項を変更しなきゃいけないという話がありました。そうすると、実施要項を変更してまでイージス艦の派遣は考え得るという、そのあたりはどうなんですか。

中谷国務大臣 現時点においては、昨日日本を出航したばかりでございまして、まだ任務も実質開始をしたわけではございません。今後の状況、また実際の任務の内容等を見て、今後とも検討してまいりたいというふうに思っております。

山口(富)委員 そうしますと、実際の状況を見ていくと、実施要項の変更も含めまして、イージス艦の派遣は検討の選択肢の一つだというのが今の答弁だと考えてよろしいのですね。

中谷国務大臣 今回定めました実施要項は、来年の三月三十一日までというふうにいたしております。この活動期間においての艦艇等を選考して総合的に判断したわけでございますので、当面は、当初の計画どおり実施をしていくべきだというふうに思っております。

山口(富)委員 選択肢としては否定されなかったように思います。

 それで、基本計画と実施要項の概要を見ますと、協力支援活動の具体的な中身として、艦船用燃料の補給と輸送については明記されておりますね。これはなぜですか。これだけが明記されている理由は。

中谷国務大臣 この点につきましては、米側を初め関係国との協議をした結果、艦艇用の燃料の補給を実施していただきたい、また輸送していただきたいというニーズが高かったという点で書いたわけでありますし、また、「燃料等」の「等」というのは水と食糧でございます。

山口(富)委員 そうしますと、この艦船用燃料の補給と輸送というのが今度の協力支援活動の中心的な内容をなすというふうに考えていいわけですね。

中谷国務大臣 そう考えていただいて結構でございます。

山口(富)委員 今長官の方から、この点で米軍側のニーズが非常に高かったというお話がありました。私は、それはもう当然だと思うんです。

 といいますのも、空母機動部隊が作戦を展開していく場合に、一番消耗する消費物資というのが燃料なわけです。ですから、これを継続的にいかに補給し続けるのかというのが軍事作戦の一つのかなめですよね。空母でしたら艦船用の燃料、それからそれに続いて積んでいる飛行機の燃料や武器弾薬の問題がいろいろ出てきます。

 いずれにしましても、今、自衛隊を派遣して日本がやろうとしているのは、軍事作戦上でいいますと、任務上極めて重要な部分をやろうとしているということになると思うんです。それだけに、一体この支援の中身は何なのかということがきちんと明らかにされなきゃいけないというふうに思うんですね。

 それで、官房長官にお尋ねいたしますけれども、二十二日の閣議で、自衛隊派遣に必要な経費として予備費から約百七十三億円支出するということが決定されたようですけれども、その内訳を示していただきたいと思います。

福田国務大臣 申し上げます。

 海上自衛隊の活動にかかわる経費、これが八十一億八千四百万円、それから航空自衛隊の活動にかかわる経費十億八千百万円、米軍等に譲与する艦船用燃料にかかわる経費八十億六百万円、合計百七十二億七千二百万円でございます。

山口(富)委員 今お話に出ました艦船用の八十億六百万なんですけれども、これは基本計画でいいますと、2の(5)の中に、2というのは最初のところですね。2の(5)のところに、「自衛隊が実施する協力支援活動として艦船による艦船用燃料の補給を行うため、政府は、当該燃料を調達し、これを米国等の軍隊等に譲与することとする。」というふうになっていますが、この譲与に当たる部分が八十億六百万だというふうに考えてよろしいんですか。

中谷国務大臣 そういうことでございます。

山口(富)委員 そうしますと、八十億円分の艦船燃料というのは、軍事作戦上、一体どういう規模のものなのかというのが次の問題になってくると思うんです。

 それで、きょういろいろ、これを試算するとどうなるのかということを私もやってみたのですけれども、今度の艦船用燃料として軽油が想定されている、これを仮に日本で調達しますと、大体一リットル当たり七十円程度、途中の計算は省きますけれども、大体八十億円で十六万トン分の軽油が購入できる規模に当たる。今、「とわだ」が補給艦としてこれを運ぶということが想定されているわけですけれども、その最大積載量が大体五千七百八十六トンですから、そこから試算いたしますと、今度の艦船用燃料の八十億円分というのは、満載した場合ですよ、大体二十回以上は行えるという規模のものになる。なかなかのものだというふうに思うんです。

 それで、私がお尋ねしたいのは、補給する艦船用の燃料なんですけれども、これは実施区域内で当然積み込んでいくことになると思うんですが、こういう燃料を調達できるところは一体どこにあるんでしょうか。

中谷国務大臣 具体的に補給をする容量等については現在協議中でございますし、また、米軍に関することでございますので、詳細にわたってお答えをいたしますと関係国にも御迷惑がかかることにもなりますので、現時点においてはお答えすることはできません。

山口(富)委員 協議中とおっしゃるから、私は私の試算として、日本で考えたらこの程度のものになりますよということを申し上げたのです。これは特段否定されませんでした。

 それで、場所については、今のお話ですと、関係国との関係があるからお話しできないということなんですね。となると、もう少し聞きますけれども、それは、調達のめどはあるけれども報告できないということなんですか。それとも、そのことも含めて調整中だから話ができないという、どちらなんですか。

中谷国務大臣 現在調整中でございまして、その詳細においてはまだ固まった段階でないのでお答えすることはできません。

山口(富)委員 そうしますと、積み込まれる燃料、米軍に渡される燃料の問題なんですけれども、これは日本が購入し譲与する分だけを指しているんですか、それとも米軍所有の燃料を含んだものなんですか。この点、お答え願います。

中谷国務大臣 八十億円分については譲与をするということはそのとおりでございますが、いつの段階でどれだけということにつきましては、まだ協議の最中でございますので、現時点においてお答えは困難でございます。

山口(富)委員 私の聞きたいのは、米軍側に渡す燃料というのは八十億円分の譲与をされる燃料に限定されているんですか、それとも米軍側が持っている燃料を運んでいって渡すこともあるのかということをお聞きしているんです。

中谷国務大臣 輸送と譲与と両方やることはあり得るわけでございます。

山口(富)委員 そうしますと、日本側の予算でわかる範囲で考えますと、それだけで私の試算では二十回以上分満載できる量になっている。ところが、それに限らずに、いわば上限といいますか、アメリカの所有しているものも運ぶことができるというふうになってきますと、これは相当の作戦をやるということになっていくのじゃないですか。

中谷国務大臣 支援する以上においては米軍の行動に支障がないためにやるわけでございますが、いずれにしましても二隻の補給艦で実施するわけでございますので、おのずと一回の量等については限界があるわけでございます。

山口(富)委員 それは、一回の量に限界がないと、船、沈んじゃうと思うんですよ。

 それで、補給艦の「とわだ」と「はまな」なんですが、これが補給先艦として考えているのは米軍のどんな艦船なんですか。それは直接米空母に行うのか、あるいはミサイルを積んでいる船に行うのか、それか補給艦に行うのか、これはどういうことなんですか。

中谷国務大臣 まだ具体的なところまで至っておりませんで、現時点において調整中でございます。

山口(富)委員 私は、作戦上の調整や子細の問題を尋ねているんじゃなくて、基本的な補給のあり方として、どういう形で行うのかと聞いているんです。

 これは、皆さんが承認を求めている中身の、先ほど、今度やる協力支援活動の中心の中身はこれだと言ったのですから、その基本的なやり方を明らかにしていただかなければとても審議にたえないというふうに思うので、もう一回答弁をお願いいたします。

中谷国務大臣 米軍と自衛隊の艦艇による補給活動の具体的な調整等を踏まえて決定をされていきます。現時点においては、この調整の過程でございまして、まだその内容が固まっていない状態でありまして、今後とも調整作業を続けてまいりたいというふうに思っております。

山口(富)委員 調整調整と繰り返されますけれども、この一番大事な、あなた方が言う意味でですよ、一番大事で重要な中身だと言っている中身を調整のベールで覆ってしまったら、私たちは一体何を審議するんですか。

中谷国務大臣 事実、現時点においては協議をしておりますので、まだ決定をされたことではないので私もお答えすることはしかねるという現状でございますが、今の段階でイメージとして申し上げますと、この「はまな」と「とわだ」、これは八千百トン級の補給艦でございますけれども、洋上において、補給先の艦船と同じスピードで走行をして、あらかじめ補給艦と給油先艦との間に渡したワイヤロープ、これを伝う形で、補給艦の装備しております送油管を給油先艦の給油口に接合して給油をする方法、こういうことを考えております。

山口(富)委員 だったら、長官、そこまでおっしゃるんでしたら、その給油口はどこなんですか。それを私聞いているんです。

中谷国務大臣 まだ、どの艦船に給油するかということについては協議の最中でございまして、決定がされておりません。

山口(富)委員 政府の基本計画が決定された際に福田官房長官が談話を発表されています。これを見ますと、福田長官は、国民に「正確な情報を適時に提供するため、引き続き最大限の努力を傾注してまいります。」というふうに発表されました。

 私は今、中谷長官といろいろ質疑いたしまして、実際には、こういう談話はありますけれども、国会と国民の皆さんの検討を寄せつけないような対応が現実に行われているんじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。

福田国務大臣 でき得る限り正確な情報を申し上げなければいけないということは当然のことだと思っております。

 今、中谷防衛庁長官も、わからないことはわからない、要するに、決まっていないことは申し上げることはできないということを申し上げているわけであって、それは余り無理を言ってくれては困るのであります。

 今後とも、できる限りのことは申し上げなければいけない。ただし、その中には、米軍もしくはその他の国の活動との関係において申し上げられないというようなこともあるわけでございますから、その辺は御容赦願いたいと思います。

山口(富)委員 今の官房長官のお話ですと、私たちは、わからないこと、決まっていないことを審議するということになりますよ。これはとても、この委員会で、これだけの重大な問題、戦時の自衛艦艇の派遣、自衛隊の派遣、この問題を審議するという点で、政府の責任は厳しく問われなければいけないというふうに私思います。

 それで、協力支援活動の中心の中身さえ言えないわけですから、私たちは、補給という行為は軍事作戦上はもう武力行使そのものだというふうに見ていますけれども、この根本問題がベールに包まれているということに私非常に強い憤りを持つものです。

 さて、補給相手、燃料補給の相手の問題なんですけれども、相手があることですから、当然、実施区域は広くとってあるようですけれども、幾ら広くとっても、相手がそこにいなければ実施できないわけですからね。実際、どの区域で燃料補給をやるというふうに設定しているのかお答え願いたいと思います。

中谷国務大臣 活動を設定しております実施要項に基づく区域の中でございますが、現在、具体的にどこでやるかということにつきましては、先ほどお話ししたように、現にまだ協議の途上でございまして、まだ決まっておりませんのでお答えすることはできません。

山口(富)委員 そうしますと、政府は、やり方は言えない、やる場所も言えない、こういうことになるわけですね。

 それでは、もう少し聞きますけれども、角度を変えて聞きますが、基本計画を見ますと、アラビア海やペルシャ湾というのは実施区域の範囲になっております。ですから、基本計画上はこの地域で燃料補給ができるわけですね。

中谷国務大臣 補給につきまして米側と協議をした結果、我が国の領域、インド洋、ディエゴガルシア島、オーストラリア、インド洋沿岸及び我が国の領域からこれに至る地域にある経由地、積みおろし地となる国の領域において実施をするということでございます。

 例えば、具体的な調達場所、また積みおろし地などについては、先ほどお話ししましたが、調整委員会を初めとする調整の枠組みのもとにあるレベルで調整が行われておりますが、現時点においても協議中でございますし、また、今後の影響、また信頼関係等もありまして、現時点においてお答えはすることができないということでございます。

山口(富)委員 それはおかしな答弁でしょう。基本計画には、基本計画で見る限り、実施区域としてインド洋の中にペルシャ湾まで含むと書いてあるんですから、アラビア海やペルシャ湾は基本計画上から見れば燃料補給もできるということになるんじゃないですか。それさえも、実はそう書いてあるけれども、アメリカと調整中だからわからないということになるんですか、長官の基本計画の解釈というのは。そんなばかなことはないでしょう。

中谷国務大臣 委員のおっしゃるとおり、ペルシャ湾を含むインド洋でございますので、ペルシャ湾もその地域でございます。

山口(富)委員 そうしますと、基本計画や実施要項の定めている実施区域の問題なんですけれども、テロ特措法の規定からいきますと、この区域というのは「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」地域、これに限定されているわけですね。

中谷国務大臣 もちろんそのとおりでございます。

山口(富)委員 そうしますと、今の時点で政府が、インド洋でここは戦闘区域になっている、危ないというふうに判断されている地域はどこになるんですか。

中谷国務大臣 せんだっても先生とはトマホークの議論をいたしましたけれども、我が国の支援する場所は戦闘行為が行われていない場所でございまして、その点を踏まえて米側と調整をしまして実施要項に定めたわけでございます。

山口(富)委員 基本計画や実施要項の場合、テロ特措法の定めからいきましても、そこで決められる実施区域というのは戦闘区域であるはずがないんですよね。あってはならないわけですよね。

 そうしますと、今度の基本計画なり実施要項の中で、かなり広大な領域を実施区域としてとっているわけでしょう。そこには戦闘区域は一つも含まれないという、そういう立場なんですか。

中谷国務大臣 基本計画で定めました実施区域の中の一部に、戦闘行為が行われる可能性のある地域を定めております。

山口(富)委員 そうしますと、それは可能性の問題だけじゃなくて、現実に行われている地域が含まれているというところまで考えてよろしいのですか。

中谷国務大臣 実施要項で活動区域を定めておりますが、その区域は、米側とも調整をいたしまして、戦闘行為が行われていない場所にいたしております。

山口(富)委員 津野内閣法制局長官にお尋ねしますけれども、テロ特措法で実施区域として定められているのは、現に戦闘行為がなく、活動をやる期間を通じてそれがないと考えられるところだというふうにされておりますね。

 そうすると、今度の基本計画なり、それに基づくと言われる実施要項、ここには、先ほど中谷防衛庁長官がおっしゃったように、戦闘区域となり得る可能性のある区域を含んでいるんだというお話でした。これは、テロ特措法との関係で大きな矛盾を来すのじゃありませんか。

津野政府特別補佐人 お答えいたします。

 今回のテロ特措法に基づきます基本計画、それから実施区域、両方の関係でございますけれども、この協力支援活動の実施区域については、基本計画に定められた区域の範囲から、活動の必要性や現に戦闘行為が行われておらず、かつ、活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められること等を考慮して設定したということになっておると承知しておりまして、本件実施区域自身は……(山口(富)委員「それは実施要項の概要のことですね」と呼ぶ)そうです。実施要項におきましては、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域として設定されてあるというふうに承知しております。

山口(富)委員 いや、実施要項の概要を読み上げられても困るんですよ。それはテロ特措法の規定からいっておかしいものじゃないかとお尋ねしているんです。その点についてきちんとお答え願いたい。

津野政府特別補佐人 この対応措置でございますけれども、これは協力支援活動を含めてございますが、これは第二条の第三項におきまして、「我が国領域及び現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域において実施するものとする。」ということで、その実施する地域を二条三項で決めてあるわけでございますから、その実施する区域について、戦闘行為が現に行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域であればいいということでございます。

山口(富)委員 私は長官とは随分お話ししてきましたけれども、どうもそのお話はよく理解できないんです。ごく普通に考えまして、実施区域というのは、今もテロ特措法を読み上げられましたけれども、戦闘行為が現に行われていなくて、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められると。それしか実施区域に指定できないんですよ。

 ところが、今の基本計画ではインド洋をかなり広くとっている。その中に現に戦闘区域なり戦闘行為が行われているところはあるじゃないか、これは矛盾するものじゃないか、そこのところを法制局長官としてどう見ているのかをお尋ねしているので、この点に限って、短く答弁願います。

津野政府特別補佐人 まず、基本計画の定め方からでございますけれども、第四条で「内閣総理大臣は、次に掲げる対応措置のいずれかを実施することが必要であると認めるときは、当該対応措置を実施すること及び対応措置に関する基本計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。」ということで、その中で、四条二項のハで、「基本計画に定める事項は、次のとおりとする。」ということで、「当該協力支援活動を実施する区域の範囲」と書いてある。「区域の範囲及び当該区域の指定に関する事項」をまず定めます。

 さらに、防衛庁長官は、第六条におきまして「防衛庁長官は、基本計画に従い、第三条第二項の協力支援活動としての自衛隊による役務の提供について、実施要項を定め、これについて内閣総理大臣の承認を得て、防衛庁本庁の機関又は自衛隊の部隊等にその実施を命ずるものとする。」「防衛庁長官は、前項の実施要項において、当該協力支援活動を実施する区域を指定するものとする。」というふうに書いてあるわけでございまして、そういうふうに規定されているわけですね。

 ですから、最終的にここの二条の三項の「我が国領域及び現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域において実施する」ということで、それが行われていない地域であるということが実施要項なりそこで規定されているわけでございますから、そこは言っている特措法との関係で問題があるとは思いません。

山口(富)委員 実に奇妙な答弁だと思いますね。結局、読み上げられたのは、ここに矛盾があるんじゃないのかという具体的指摘をしたのにもかかわらず、出ている一連の文章を読み上げられただけにとどまりました。私は、今度の基本計画並びに実施要項の一つの大きな矛盾がここにあると思うのです。

 それで、首藤防衛局長が、先ほどもここに出てまいりましたけれども、自民党国防部会などでの合同会議で、アラビア海の北の方は戦闘区域になる可能性がある、こういう発言をされたと、これは日本経済新聞の十七日付です、こう載っています。

 私、心配になりまして、防衛庁にこういう発言をしたのかと確かめました。そうしましたら、その回答は、自民党の部会の中での話であり、外に説明できないという回答だったのです。いわば、この発言自体の中身は否定されなかったのです。

 それもそのはずだと思うのです。というのも、現在この海域に展開している部隊というのは、空母セオドア・ルーズベルト、それからカールビンソン、これを中心とした二個の機動部隊がここに展開しているわけですけれども、それがアフガニスタンへの軍事行動、爆撃を常時行っているわけですね。そういう問題が実際にあるからこういう発言が出てくるのも当たり前だと思うのです。

 ところが、ここで繰り返し聞きましたけれども、実施区域の問題でいいますと、テロ特措法の審議の際も、ここが中心的審議の一つの問題になったところですけれども、政府は、実施区域を例に挙げながら、これは戦闘行為がないし、武力行使と一体化しないから憲法と矛盾しないんだと盛んに言ったのです。

 ところが、その肝心の区域がどうなっているんだと、戦闘行為が現に行われ、戦闘区域になる可能性も先ほど中谷長官認められたわけですけれども、そういう区域が含まれているにもかかわらず、そのことをきちんと、問題だという指摘をしても答えようとしない、これはやはり非常に無責任な対応だと言わざるを得ないと思うのです。

 さらに聞きますけれども、派遣した護衛艦なんですが、これはいずれも米軍とのデータリンクシステムを持っておりますね。レーダー等で収集した航空機等の情報を共有できるシステムなんですが、十月の二十九日にベーカー駐日大使が情報の共有を望むというふうに発言されていますけれども、戦時下の米軍と派遣された自衛隊というのはこのデータリンクシステムを使って情報の共有を行うのですか。

中谷国務大臣 実施区域を公表できないという理由は、世界の各国、軍隊を持っておりますけれども、これはいわゆる軍隊の常識でありまして、いつ、どこで、何をするかということは、軍隊においては最もシークレットなところであります。

 それはなぜかといいますと、やはりその部隊の隊員の安全の確保にかかわる点でありまして、この種の内容につきましては、米国部隊の活動の安全確保や米国との信頼関係の保持の観点から差し控えさせていただきたいというふうに思いますし、また、あらかじめそれを公表したら非常に相手国にも迷惑をかけるということでございますので、この点につきまして御理解をいただきたいというふうに思っております。

 一方、情報収集につきましては、これは、私と委員がお話ししているのも、言葉のやりとりで、一種の情報交換なんですね。このように、人間社会また一般社会において情報の提供、共有、活用というのは必須のものでございますが、一般的な情報交換を行っていくということは、我が国の活動を確保するという点でも必要なことでございます。しかし、その点は武力行使にならない範囲でということで、例えば特定国の武力行使を直接支援するために偵察行動を伴うような情報収集を行うというように、特別に情報収集をしてそれを提供したりするということは認められないわけでございます。

 しかし、友好国や同盟国との間で一般的に行われる情報交換、これは問題を生じるのではない、一般的な情報交換の一環としての情報提供である限り憲法上の問題は生じないというふうに考えております。

山口(富)委員 私が最初に聞きましたのは、実施区域を明らかにしてほしいという話でなくて、その実施区域の中に戦闘区域が入り込んでくる、この問題をどうするのだというお話をしたのです。

 中谷長官は、安全の確保にかかわるんだという話をされましたけれども、それは、そういう立場なら、自衛隊が派遣される実施区域というのはかなり危ない、戦闘区域になり得るということを常時念頭に置いている、そういう立場であるということをみずから表明されたという話だと思うんです。

 それで、情報の問題なんですけれども、私が言っているのは一般的な情報ではないのです。戦時下の米軍との情報のやりとりをやるのかと。派遣された護衛艦、いずれもデータリンクシステムを持っているけれども、これを使うかどうか、それをお聞きしているのです。

中谷国務大臣 これは、やはり一つの主体的な組織と考えれば、情報を受け取って、それを考えて行動するというのは、あくまでも自分の脳みそ、頭脳で考えて行動するわけでありまして、基本的に独自の判断において組織や物は対応するという前提でございます。

 このデータリンクシステムというのは、艦艇等に搭載された互いのコンピューターを無線通信で接続して、レーダー等のセンサーで収集した航空機等の位置に関する情報に基づいて、相互にデータを送受信することによって情報を共有する通信システムでございますが、この通信システムで自動的に攻撃が行われるというわけではなくて、それに基づいて改めて攻撃の目標の識別を行うと同時に、攻撃に割り当てた武器ごとの射撃統制レーダーによって攻撃目標としての特定、捕捉、攻撃方法の決定、攻撃実施の対応、これを米国独自でやるわけでございます。そういう意味では、データリンクシステムというのはデータの通信の形態でありまして、通常の無線通信とかファクス、そのような本質は異なるところはないわけであります。

 したがいまして、自衛隊がその所掌事務を遂行するために主体的に収集した情報をデータリンクシステムを介して米軍に情報提供する場合があったとしても、それが一般的な情報交換の一環として行われる限り、憲法上の問題を生じるおそれはないというふうに考えております。

山口(富)委員 ことしの防衛白書を見ましても、海上作戦の中心的なものとして、データリンクシステムは図解されて説明されているんですよ。ですから、情報の共有というのが今度インド洋などに行った場合に問題になるというのは、常識の問題だと思うんです。

 それで、盛んに一般情報は問題ないとおっしゃいますけれども、このデータリンクシステムというのは、どこまでが一般情報で、どこからが渡してはならない情報なんという区別をどこかでやるんですか。

中谷国務大臣 その画像が映ること自体が、私は一般情報だというふうに思っております。

 例えば、例えはよくないんですが、地方新聞と全国新聞があって、例えば共同通信とか時事通信とか、時々刻々に情報を送っております。ところが地方新聞は、共同通信とか時事通信の記事を自分の社なりに、これはおもしろいとか、これは県民に必要だということで取捨選択をして紙面をつくるわけでありまして、データリンクというのはこれに似たようなもので、やはりその受けとめ方が、必要なものに基づいてそれを取捨選択して活用するということでありまして、私は、御質問のような一般的な情報交換の一つであるというふうに思っております。

山口(富)委員 そういうお立場でこのデータリンクシステムを運用しようとしたら、やはりとんでもないことになると思いますね。だって、この間やられました自衛隊法の一部改正でも、防衛秘密の一つとして、長官おっしゃいましたけれども、画像が取り上げられたんですよ。それさえ、今のお話ですと、これはデータの渡す形態の問題だから、情報の共有に問題ないということになります。これは非常に重大だと思います。

 といいますのも、基本計画にも、そして実施要項の概要の中にも何ら定めがない問題なんですよね。これを皆さんの裁量の範囲でやられるということになったら、やはり、戦時の状態の中で部隊を派遣する問題として、憲法上の重大な問題、集団的自衛権の行使にかかわる問題が起こるということを指摘せざるを得ないところです。

 次に、私もう一点お尋ねしたいんですが、航空機による人員、それから物品の輸送という問題が出ておりますけれども、ここで言う人員というのは米兵だけなのか、そして、その米兵は重装備した、いわゆる完全武装の兵隊も含めて運んでしまうのか、その点をお尋ねします。

中谷国務大臣 お尋ねの人員の輸送につきましては、米兵も含まれるわけでございます。その装備等の問題等につきましては、今後米側と協議をして、実際に実施するかどうかまた検討をするわけでございますが、定められた法律の項目には含まれております。

山口(富)委員 となりますと、武装した兵隊、米兵をどこからどこへ運ぶのかというのが次の問題になると思うんですが、基本計画を読みますと、グアムからディエゴガルシアに、いわば基地から基地に運ぶことも可能だというふうになっておりますが、これは、例えば基地から基地に行うのか、基地から洋上の艦船に行うのか、それから洋上にある艦船から艦船に行うのか、どういう形態で行われるんですか。

中谷国務大臣 これも実際の支援項目において法律の範囲で実施することは可能でございますが、本当に実施するかどうかということにつきましては、今後米側と協議をし、また、受け入れ国等につきましても、相手先国の同意や許可に基づいて実施されるわけでございますが、現時点において、必ずしも輸送ということで具体的に実施するというところまでは固まっておりません。

    〔委員長退席、鈴木(宗)委員長代理着席〕

山口(富)委員 いずれも実施可能だというのは、ちょっと驚くべき話ですね。

 そうしますと、あれですか、自衛隊は完全武装の兵隊を艦艇から艦艇に運ぶようなこともやっていくんですか。

中谷国務大臣 まだ調整をしなければなりませんので具体的にはまだ決まっておりませんが、先ほどお尋ねの中で、艦船に人員を輸送するかという質問がございましたが、人員輸送をする部隊がC130とU4しか航空機を用いませんので、陸上から陸上までということしか想定できないわけでございます。

山口(富)委員 そういうことですよね。答弁を修正されたわけですね。(中谷国務大臣「はい」と呼ぶ)

 それで、基本計画で、ディエゴガルシアに補給、輸送することができることになっているんですけれども、今あの基地は、アフガン攻撃との関係でどういう役割を果たしていると認識されていますか。

中谷国務大臣 これも米英の作戦行動に関することでございまして、私に関して、ディエゴガルシアの位置づけ等について詳細を存じ上げているわけではございませんので、お答えしかねます。

山口(富)委員 お答えしかねる場合は時としてあると思いますけれども、この問題は、実施計画の中で、そこに補給なり輸送することが可能だとされている地域なんですよ。それなのに、どういうふうになっているのかわからないというのでは、これは実施計画を実施しようがないんじゃないですか。

中谷国務大臣 具体的な地名はほかにも載せておりますが、一般的な話でございますけれども、ディエゴガルシアというと、一般的な物資の集積基地であるというふうに私は理解しております。

山口(富)委員 これは一般的な話じゃないんです、実際に軍事攻撃やっているわけですから。

 私、きょうここに持ってきましたのは、米軍の準機関紙と言われる「星条旗」の六日付なんです。これを見ますと、一面でディエゴガルシアの基地について紹介しているんですけれども、こう言ってますよ。三千メートル級の滑走路があって、最大で二千人の兵員と三十二機の爆撃機、空中給油機が、戦闘作戦行動を展開するための兵たん物資、装備、燃料を維持する能力があると。そして、単なる兵たん基地ではなくて、ここにB52、B1が配備されて、実際にアフガン爆撃に出撃していると。ですから、作戦基地になっているわけですよ。

 こういうところに、いわば陸の空母というような例えができるかもしれませんけれども、こういうところに軍事物資や燃料を、その補給、輸送を行えば、これは武力行使と一体となるという危険は極めて高いんじゃありませんか。

中谷国務大臣 物資を輸送すること自体は武力行使ではありませんし、このディエゴガルシア自身も現在においては戦闘行為が行われている地域ではないというふうに思っておりまして、その点におきまして、物資をディエゴガルシアまで輸送するということは武力行使ではないというふうに理解をいたしております。

山口(富)委員 一般的な話として最初にディエゴガルシアの問題をお話しになりながら、今は具体的な話として問題ないということになりましたけれども、やはりそれはとても納得できる話じゃありませんね。

 それからもう一つ、パキスタン政府の現地調査団の十四日の報告を見ますと、この中で、パキスタンに対し自衛隊の医療部隊を派遣することに関して、難民との関係で困難な問題を招く可能性があると予想される、そういう理由で期待されておらず、また、適当であるとも考えられないというふうに私がいただいた文書ではなっておりましたが、これはどういう中身なんですか。どうしてこういう危惧が、どんな困難を招くというふうに現地は考えているんですか、自衛隊を派遣した場合に。

中谷国務大臣 現地の政府調査団におきましては、九日から十四日にかけて、カラチ、イスラマバードを訪問して関係者と面会を行いましたが、カラチ港につきましては、海上輸送に適する港湾として確認をしたということでございます。

 また、十四日にUNHCRから要請が参りまして、生活関連物資の輸送を行うということを基本計画に定めたところでございます。

 また、医療等の支援物資の可能性につきましては、基本計画において、パキスタン及び国連との協議、調整を行った上で、可能な限り早期に具体的な調査検討を行い、関係行政機関による実施を目指して努力するということで、前回の調査においては具体的に実施を行えるようなまだ段階ではなくて、さらにもう少し調査が必要でありますし、現に、田中外務大臣がパキスタンの難民キャンプ等に行って、より詳細な情報をもたらしてくれるというふうに思っておりますので、この成果等を勘案しながら引き続き検討はしてまいりたいと思いますが、前回の調査において派遣ができるという段階ではなかったということでございます。

山口(富)委員 私がお尋ねしたのは、自衛隊の医療部隊を派遣した場合に、難民との間で困難な問題が起こるというふうに政府の現地調査団の報告がなっておりますから、困難な問題とは何なんですかとお聞きしたのです。

 時間が限られておりますので答弁は求めませんけれども、私ども日本共産党は現地の調査団を出しましたけれども、そこでもやはり、自衛隊の派遣について、パキスタンの国内の難民それから医療関係者、いろいろなところから、本来中立の立場で行うべきいろいろな活動に支障を来すという声は私どもも聞いてまいりました。

 それから、長官がおっしゃいましたから言いますけれども、UNHCRですけれども、ここの要望というのは、要するに、自衛隊を出してくれという要望じゃないんですよ。生活関連の物資をパキスタンに届けてほしいというのが要望の中身でしょう。ですから、これを自衛隊派遣と結びつけてしまったというのが今度の計画の一つの問題なんです。

 さて、もう一つ、アフガニスタンにかかわるのでお尋ねしておきますけれども、今、アフガニスタンを見ますと、北部同盟がカブールに入ってタリバン政権が壊滅、崩壊状態に追い込まれている。そういう中で、事態が非常に流動化しているわけですけれども、アメリカの政権内部から、テロ対策を名目にしてイラク攻撃をするという話が随分聞こえ始めてまいりました。これに対して政府は、アメリカによるイラクの軍事攻撃、これも支援するおつもりなんですか。

中谷国務大臣 その点につきましては、先ほど他の議員にもお答えをいたしましたけれども、アメリカの攻撃が、今回の米国で発生したテロ組織の撲滅等に関係するものであるか否か、また国連が認めております米国の行動の範囲を容認するものであるか否か、そういうことで、事具体的な状況になった場合に政府として判断されるものであるというふうに思っております。

山口(富)委員 今長官は、この米軍のイラク攻撃の問題を踏み込んで、具体的状況について言うと、一つが、テロ組織をつぶすかどうかという問題と、国連の認めている範囲でやるかどうかということで具体的に見るというところまで踏み込んでお話しになりました。

 こういう立場で見ていくと、今、皆さんは米軍のアフガニスタンの行動も支持し、支援されているわけでしょう。だったら、イラクの攻撃も支援するということに、これは論理的になっていくんじゃないですか。

中谷国務大臣 現時点においては確かにおっしゃるとおりでございますが、今後米側が作戦に対してどのようなことをするのかについて、現時点において予断をして発言するということは適当でないというふうに思っておりまして、今後の状況の推移を注目して慎重にまた検討してまいりたいというふうに思っております。

山口(富)委員 これだけ問題になっているのに、あえて否定されませんでした。

 私、きょう質問いたしまして、政府が、テロ特措法にかかわって、憲法と矛盾しないということを繰り返しましたけれども、実施段階になってみると、やっぱり、支援する中身の問題でも区域の問題でも、憲法の平和原則に反する集団的自衛権に入っていく危険があるということが非常にはっきりしたと思うんです。

 それから、アフガン情勢との関係でも、今流動化しておりますから、日本がやるべきことは、やはりアフガンに和平をもたらして、そして難民の支援、テロの撲滅の点では、根絶の点では、世界が大同団結して根絶の方向に向かう、そういうところにやはり力を注ぐべきだというふうに思います。

 この自衛隊派遣の承認については、やはり世界の平和と我が国の平和にとって重大な禍根を残すという点で反対であるということを改めて表明いたしまして、質問を終わります。

鈴木(宗)委員長代理 これにて山口君の質疑は終了いたしました。

 次に、辻元清美君。

辻元委員 社民党の辻元清美です。中谷防衛庁長官中心に質問をさせていただきます。

 昨日、海上自衛隊の艦船三隻がインド洋周辺海域に向けて出発した模様です。出発したのは、補給艦の「とわだ」と掃海母艦「うらが」と護衛艦の「さわぎり」と聞いております。「うらが」はカラチまでの物資輸送に当たり、そして残りの二隻は、今月九日に出発した三隻と合流して、戦後初めて戦時下にある他国の軍隊を支援するために海外に出ていったという認識です。

 先ほどから、この委員会の質疑のやりとり、それに当たっての国会承認という議論をしているんですが、先ほどから他の委員からも長官の答弁に対しての緊張感のなさのようなことを指摘されておりますが、国会議員の方も、先ほど共産党の議員が質問されたときは、自民党の議員の方、六人しかいらっしゃらなかったです。議員の方も、与野党含めて、国会承認を、戦後初めて実力部隊である自衛隊が海外に出ていくということに対してどうかという議論をしているのに、私は、緊張感が委員会自体足りなさ過ぎるというようにまず指摘させていただきたいと思います。

 質疑はあと数名委員が残っておりますけれども、しっかり緊張感を持って長官には御答弁いただきたいし、このような国会のあり方でいいのかと先ほどから疑問を持ちながら質疑をしていることを言ってからしたいと思います。

 さて、そういう中で私たち社民党は、この根拠法となっているテロ対策特別措置法に対しては、皆さん御承知のように、なし崩し的に自衛隊という実力武装部隊を戦時下に海外に出し、憲法の範囲を逸脱するということで反対の立場をとりました。

 さてそこで、この法律に従いまして基本計画それから実施要項が出されましたが、この基本計画についても、国会承認にあわせて提出された、その中にある活動内容、実施要項についてはたった二枚、A4判の紙二枚。それから、きょうの趣旨説明も、どこで何をするかさっぱり書いてない。表紙を含めてA4判のペーパー四枚。肝心の活動内容に対しては、部隊が展開する可能性がある国名が別紙として添付されているだけ。これでどう判断しろというんでしょうか。かつ緊張感がない。これでいいのかと。

 そこで、長官にお伺いしたいのですけれども、この後、自衛隊の行動をどのように情報公開していくおつもりなのか。どういう方法をとられるのか、まずお聞かせください。

中谷国務大臣 実施要項を定めた折には、私自身が記者会見をいたしまして、記者さんの御質問には対応いたしました。

 今後のことにつきましては、事オペレーションにかかわることが非常に多くなってくるというふうに思っております。したがいまして、オペレーションになりますと、相手国の事情、また受け入れ国等の問題等もございまして、日本が独自の判断でお話をするということについて、ほかの国に御迷惑もかかることが生じてくるわけでございますので、すべてお話しすることはできませんが、一般の国民の皆様方に対して発表しても差し支えないことがございましたら、防衛庁としても情報公開、発表をしていきたいというふうに思っております。

辻元委員 それは、今後の情報公開はオペレーションにかかわることに決まっているじゃないですか。差し支えない範囲というのは具体的にはどういうことですか、例えば。

中谷国務大臣 大体、世界の国の軍隊のオペレーションというものは機密事項でありまして、どこの国もつまびらかにいたしておりません。

 どの部分が話せるかということにつきましては、米軍自身も適時記者会見を行ったりいたしておりますように、派遣された隊員や、また活動自体に支障のない限りと思われる部分において発表できるというふうに思っておりまして、その範囲にとどまるというふうに認識をいたしております。

辻元委員 その範囲はどういう範囲かというのを聞いているわけです。

 これは、戦後初めて自衛隊が外に出ていく、情報公開のあり方そのものも問われるわけです。シビリアンコントロールの国ですよね、日本は。今の御答弁は、今後、この実施要項、たった二枚、そしてきょう示されたのはA4判でたった四枚で、四枚のうちの一枚のペーパーなどはほとんどが、法案の名前が長いですから、何行も法案の名前ですよ、各ページ。その後は、いやあ、情報公開、難しいという御答弁で、白紙委任状を渡せとおっしゃっているに等しいという御認識ですか。そういうことですよ、長官がおっしゃっていることは。違いますか。

    〔鈴木(宗)委員長代理退席、委員長着席〕

中谷国務大臣 活動の内容等につきましては、これまでの国会審議や法律の内容、また基本計画の定め方によって、大体のガイドラインというものが皆様も御理解できたのじゃないかと。

 例えば、協力支援においては輸送と補給を中心に行っていく、その輸送に関しては艦艇の燃料を中心に水と食糧を行う、また、人員の輸送も航空自衛隊で行っていく、また、被災民救援も、物資の輸送は行うが医療の支援については今後検討するということで、大体のガイドラインについてはもう既に報道もされておりますし、大体の範囲というものが明確になっていると思いますので、それの範囲で我々としても最大限の支援活動をやっていきたいというふうに思っております。

辻元委員 これは、新聞でもこの問題点は指摘されていますけれども、集団的自衛権の行使に触れるのか触れないのか、武力行使と一体化しているのかしていないのか。大まかな範囲、インド洋とか、そんな話じゃないんですよ、今まで議論してきたことは。それをどうやって私たちは判断できるのかということです。

 先ほどからの長官の答弁の中に、アメリカ軍のどの艦船に補給するかは今まだ話し合っているとおっしゃいました。どこで補給するかも話し合っていると。ですから今答えられないとおっしゃいました。決定したらお答えになるということですか。

中谷国務大臣 どの艦艇に補給をしたかということを発表しますと、その艦艇の動きがもう世界じゅうに明らかになっていろいろな支障が出てくるわけでございますので、艦艇の名前については、日本から米国の許可なしに申し上げるということはできません。

辻元委員 そうしますと、物資の買い付けをされると思いますが、この寄港地情報、これは防衛秘密に当たると理解していいわけですか、我が国の。どうなんでしょうか。これは公表できないわけですね、どこの寄港地に行くかというのは。防衛秘密ですか、いかがですか。

中谷国務大臣 これは、公表できないというのは、相手国の、受け入れ国の立場がございまして、一方的に日本から発表されますといろいろな問題があるということで公表を差し控えさせていただいているわけでございまして、防衛秘密に指定するというふうには考えておりません。

辻元委員 そうすると、例えば自衛隊の隊員の方々は、既に出発されていますが、どういうルートでどういう行動をするかは、あらかじめそれはきちっとレクチャーを受けて行かれると思うんですが、この隊員の方々に対しては、これは一切口外するなと、家族にも言えないというように禁止されているということですか、この事項は。いかがですか。

中谷国務大臣 自衛隊員は国家公務員でございまして、守秘義務がございます。事こういった行動に際しては、派遣される隊員の安全にもかかわることでございまして、こういう点を勘案しますと、こういったことを家族にも話すことはやはり守秘義務に違反するというふうに理解をいたしております。

辻元委員 そうしますと、今回の自衛隊員の派遣の場合は、寄港地などから自宅に電話をしたり手紙を出したり、そういうことは一切できないと禁止しているということですね。カンボジアなどのときにはお手紙一生懸命書いてはりましたよ。今回は、守秘義務に触れるという理由で一切禁止していると理解していいですね。事実関係はどうですか。

中谷国務大臣 寄港地等について言えないというのは、現在調整中でございまして、相手国が理解して許可をいただきますと公表できる部分もございます。また、隊員の日本に残された家族の方々との交流とか電話等につきましては、支障のない範囲で大いに実施できるように私どもも配慮をして工夫をしたいというふうに思っております。

辻元委員 いいかげんなんですよ。国会では言えないけれども、隊員の皆さんは守秘義務があるとおっしゃって、その後、いや、相手国の了承を得ることができたらそこから電話をかけていいようにするとか公表できるようにする、日本の方針はどういうことなんですか、一体。

 守秘義務があるとおっしゃいましたね。そうしましたら、今回のオペレーションで防衛秘密に当たるものは何ですか。今ほとんど答えられないとおっしゃっていましたけれども。自衛隊法に防衛秘密はちゃんと指定されていますね。この法にのっとって、公表できない事項は何ですか。

中谷国務大臣 まず、部隊の行動というのは、辻元先生も外国の軍人とお話ししたことがあると思いますけれども、非常に厳格で、それこそ十八歳、十九歳の階級の下のクラスの兵士も、実際、自分たちがどこへ行って何をするかということについては部外者には絶対に言いません。これは軍隊の中で一番厳しく言われているところでございます。

 それから、防衛秘密の指定につきましては、まだ実施を始めた時期ではございませんで、法律の施行から一年以内にやるということでございまして、現時点において防衛秘密の指定をまだ一件もしていないという状況でございます。

辻元委員 そうしますと、今この国会に、例えば「とわだ」はどういうルートでインド洋に行くのか、もしくはどういう活動を具体的に行うのかというのは、言えない言えないとずっとおっしゃっていますが、法的根拠はあるんですか。

中谷国務大臣 現時点においては防衛秘密はございませんが、一般的に庁秘というのがございまして、これは国家公務員の守秘義務に関することでございますが、そのことが、秘密が漏えいすることによって国家やまた国民に支障がある場合においては庁秘に指定して、秘、極秘、機密ということで部内の秘密保持を守っているわけでございます。

 実際にどこへ行って何をするかということにつきましては、先ほどもお話ししましたけれども、相手先国に迷惑をかける、また、実際に米軍を初めとする国に安全面において支障を与えるという観点で、日本側から進んでお話しすることはできないということでございますので、この点、御理解をぜひいただきたいというふうに思います。

辻元委員 一方では、武力行使との一体化ではなく、単なる支援、協力だとずっとおっしゃっているわけです。しかし、その内容を言え、言ってくれ、示してくれと申し上げますと、要するに米軍の作戦行動に支障を来すから言えないという答弁なんですよ。米軍の作戦行動に支障を来すということは、日本が行う行動は集団的自衛権の行使の一環に入るということでしょう。違いますか。――違いますか。では、なぜ言えないんですか。

中谷国務大臣 それは、米国人及び米国の部隊の安全面でございます。具体的に、いつ、どこで、何にということを公表しますと、それこそテロ集団の一味が来て、爆弾を抱えて突っ込んでくるかもしれませんし、不測の事態も発生しますし、やはりそういったことを考えますと、安全面において公表できないという点がございますので、この点につきましてはぜひ御理解をいただきたいと思います。

辻元委員 どうして安全面に配慮が必要かといえば、戦闘行動を行い、戦争中であるからということですよ。その行動に日本が参加するということですよ。ですから、すごく無理があると思うんですね。

 かつ、法的根拠がない。先ほどシビリアンコントロールと申し上げましたが、法的根拠はないが活動の具体的内容は言えない、それは機密扱いであるということですね。要するに、米軍に対する協力、支援の内容であったり、どこで何を買い付けるのか、どこに寄るのかというような内容が言えない。法的根拠がないのに、その範囲のことを国会に報告もせずに国会承認を得たいということは、シビリアンコントロールの関係で問題だと思いませんか。

中谷国務大臣 世界各国、お墨つきといいますか、マンデートといいますか、ある程度議会が政府に対して裁量権を与えてそれぞれの仕事をさせているわけでございまして、我々といたしましては、法律の制定を受けてマンデートをいただいたというふうに認識をしておりますが。

 実施要項等をつくって概要はお示ししましたけれども、この中でも、先ほど言った理由によって明らかにできない部分がございますし、法的根拠がないというふうに言われますが、これは自衛隊法の五十九条で、「隊員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を離れた後も、同様とする。」と、秘密を守る義務がございまして、法的にはこういうものに定めておりまして、やはり派遣される部隊の安全等も勘案しなければならないというふうに思います。

辻元委員 私が今申し上げました法的根拠は隊員の守秘義務の問題ではなく、法的根拠もなく極秘扱いにしているということ。庁秘でとおっしゃった。なぜしなきゃいけないかというと、軍事行動だからですよ。その一環だからですよ。でないと、お手伝いで何か物を運びに行きましょう、どこで何を買うか言えませんとはならないはずなんですね。ですから、そこをごまかしていらっしゃると私は申し上げているわけです。それで、何も言わずに国会承認と、それは認められないんじゃないかと申し上げているわけです。

 さてそこで、もう一点ちょっとお伺いしたいのですが、先ほどから米軍が攻撃目標を変えた場合の話が出てきています。ブッシュ大統領も数日前に、テロ組織を支援する国はほかにもある、米国は、すべての脅威をつぶすまで安全とは言えないと表明して、イラクをターゲットにしようとしているのではないかというような話が非常に現実味を帯びてきたと私は考えています。

 先ほど中谷長官はアメリカの個別的自衛権の行使とおっしゃいましたが、アメリカがイラクを攻撃した場合、個別的自衛権の範囲だとお考えですか。

中谷国務大臣 これは、まずアメリカ自身がこの攻撃等を自衛権に基づくものであるかどうかということを考えるわけでございますが、ブッシュ大統領はテロを支援する国も同罪とみなすというふうに言っておりまして、どのように対応するかという点につきましては、他国の問題でもございますし、現時点においては何とも申し上げることはできないわけでございます。

 我が国の対応措置といたしましてはお話をいたしておりますけれども、今回の対応においては、国際連合においてテロを撲滅するために、その支援をするために世界各国の国々に対して日本なりの支援を行うということで、この一連の行動が、九月十一日に発生した米国のテロの関連の措置であるかどうかということを観点に判断をしてまいるというふうに思っております。

辻元委員 今の御答弁は、アメリカが個別的自衛権の行使と言うのかどうかを待って判断するというように私は受けとめたのですが、我が国の防衛庁長官ですから、防衛庁長官として、日本として主体的に、今のような状況下であしたアメリカがイラクを攻撃したら、個別的自衛権の行使の範囲を逸脱しているとお考えなのか、正当性があるとお考えなのか、日本の防衛をつかさどられるプロ中のプロの中谷防衛庁長官としてはどういう御判断かと聞いているわけです。

中谷国務大臣 米国も世界のリーダーたる国家でございますので、そもそも米国が国連憲章の趣旨や枠組みを逸脱した行動を突発的にとることはなくて、十分に関係国と協議をし、また、それなりの正当な理由に基づいて行動する国であるというふうに私は思っております。

辻元委員 今の御答弁は、ですから、そういうふうに長官が信用されている米国ですので、米国が個別的自衛権の行使であると言った場合は、即長官も、あ、そうだなと自動的にそのように判断されるという御答弁ですよ、今のは。違いますか。いかがですか。

 では、個別的自衛権の行使でないという御判断をされることもあるということですね。

中谷国務大臣 米国が個別的自衛権かどうか判断するというのは、あくまでも米国自身の判断の話を言ったわけでございまして、我が国としての判断は、主体的に、米国の行動がこの一連のテロの活動に関連するものであり、また、国際社会において容認をされ、支持をされ、そして、国連においてそれが認められる行為であるかどうかという点で判断すべきだというふうに思います。

辻元委員 それは、いつ判断するんですか。もしも攻撃したら、攻撃が開始されてから判断をするということですか、日本は。どうなんですか。今議論していないとさっきおっしゃいましたね。長官としてそういうことについては議論しておりませんと。そうすると、他に攻撃目標を変えてアメリカが攻撃を始めたら、始めてから議論をするということですか。どうなんですか。

中谷国務大臣 現在の状況をかんがみますと、あしたにでも攻撃するという状況ではないというふうに思っておりまして、もう少し事態の推移や今後の国際的な環境、各国の状況等を見つつ、我が国として主体的に判断すべきだというふうに思います。

辻元委員 先ほどから他の委員もイギリスでの報道にも触れられまして、ソマリア、スーダン、イエメンの三カ国に対して、攻撃目標の調査に入ったのではないかというようなことも指摘されているわけですね。私、今の長官の御答弁は、えらいのんきやなと思いますわ。それでいいのかなと思います。自衛隊は出ていっているわけですよ。

 そのときに、先ほど福田官房長官は、攻撃目標が変わった場合は基本計画を変えますと答弁しています。基本計画のどの部分の変更が考えられますか。

中谷国務大臣 まず、スーダン、イエメン、ソマリアに潜伏したのではないかという情報は、マスコミの事実としては把握をいたしておりますけれども、その真偽、信憑性等につきましては分析をする必要がございますので、今後とも、貴重な情報として十分検討をして確かめなければならないというふうに思っております。

 それから、基本計画の変更等につきましては、私は、この基本計画に定めた要件に合うのかどうか、満たされることがないようになった場合には、速やかに実施区域の変更または中断を行っていかなければならないというふうに思っております。

辻元委員 ですから、この基本計画の条件に合わないようになった場合というのは、アメリカが攻撃目標を変えたときは、今はアフガニスタンですが、この基本計画に合わないようになったときと判断されるわけですか。それは答えられますよね、そんなことも答えられずに基本計画を出しているとは思えませんから。いかがですか。

中谷国務大臣 今回の基本計画に定めた目的というのは、米国で発生したテロに対してこれを撲滅している国際社会に対して支援を行うということと、人道的な被災民の救援活動を行うということに基づいて行うわけでございますので、それが基本計画の方針であるというふうに私は理解をいたしております。(辻元委員「ですから、攻撃目標を変えた場合はどうなのかということ」と呼ぶ)

 米軍が行っているものは、米国で発生したテロですね、テロ集団において、その脅威の根絶と除去でございますので、それが米国の攻撃目標というか、本来の目的であるというふうに思っております。

辻元委員 答弁になっていません。攻撃対象を米国が変えた場合は基本計画を変えるのか、ほかの国や地域に攻撃をかけるようになった場合には基本計画を変更するのかどうかと。さっき福田官房長官は、変更するとおっしゃったわけです。防衛庁長官はいかがかと聞いているわけです。全然答弁になっていないじゃないですか。

 ですから、攻撃目標をアメリカが変えた場合は、基本計画はやり変えるわけですね、つくり変えるわけですね。

中谷国務大臣 基本計画のそもそもの目的というのは、米国を初めとする各国が、今回のテロの脅威から脱却すべくテロの根絶を目指して行動いたしておりまして、そのことに基づく支援をするということになっておりますので、当面その方針に従って行動するというふうに私は思っております。

辻元委員 全く答えになっていないです。

 もう一度聞きますよ。アメリカが攻撃対象を変えた場合ですよ、今スーダンとかイラクとか出ていますよ、話が。変えた場合には基本計画を変更するのかと。先ほど福田官房長官は、変更するとおっしゃったんですよ。中谷さんの答弁によっては閣内不一致ですよ。どうなんですか。議事録にも残っていると思いますよ、先ほど官房長官は変更するとはっきり言い切りましたよ。聞かないと答えられないんですか。防衛庁長官ですよ。今度ははっきり答えてくださいよ。

中谷国務大臣 福田長官の発言は、個別具体的に攻撃目標が変わるという前提の質問ではなかったかと思います。仮定の質問において答えたわけでございますので、基本計画の変更等につきましては、この現在定められた条件に合うか合わないかということでございまして、個別具体的なことが発生した時点で政府部内で検討されるというふうに思っております。

辻元委員 先ほど、福田官房長官は、私と同じような質問に対してそうお答えになったんです。それで私はリマークしましたよ。ああそうかと思いましたよ。ですから質問しているんですよ。中谷防衛庁長官の答弁と違うじゃないですか。おかしいですよ。何で官房長官と防衛庁長官で、基本的なことですよ。今そこが非常に焦点になっていますよ。イラクや他国に、このまま自衛隊は支援を続けるのかと。

 今の御答弁ですと、何とかごまかしておこう、これでごまかして、その時点になったら、アメリカ支援が来たら、自衛隊も支援を急に打ち切れないから、何とかごまかしてフリーハンドを持っておこうという下心があるんじゃないですか。

 もう一回お伺いしますけれども、福田官房長官は基本計画を変更するとおっしゃいました。防衛庁長官、いかがなんですか。

中谷国務大臣 福田官房長官は個別具体的なことに基づいて変えるとおっしゃっていなくて、私は、現在の基本的方針、また条件が変われば変更するというふうに発言されたと思っておりますので、私も福田官房長官と同じく、現在の条件が満たされなくなった場合には変更すべきだというふうに思っております。

辻元委員 そうしますと、今の御答弁の基本的条件の中に、今はアフガニスタンという国の中を攻撃していますが、違う国に攻撃をかけるということは、これは基本的条件に入るんですか入らないんですか。

中谷国務大臣 個別具体的な事柄に基づくことでございますので、そういった事態が発生したら真剣に検討してみたいというふうに思っております。

辻元委員 個別具体的ではなくて、対象国が変わるというのは非常に一般的なことですよ。それが基本的条件に含まれているかどうかもあいまいな基本計画なんですか。この対象国が変わるというのは、基本計画の非常に根幹にかかわる部分だと中谷防衛庁長官は認識されていませんか。いかがですか。どこでもいいんですか、対象国は。違うでしょう。

中谷国務大臣 基本計画に書かれておりますのは、九月十一日に起こったテロ事件のテロリストに対して、この根絶を図るために行動するということでございますので、それを基本に考えてみたいというふうに思っております。

辻元委員 福田官房長官に早々で恐縮ですがお伺いしたいのですが、先ほど御答弁の中に、アメリカの攻撃の対象国が変わった場合に基本計画を変更するとおっしゃったのですけれども、そのとおりでよろしいんでしょうか。

福田国務大臣 今の状態がどういうような変化をするかわかりません。ですから余り予測することもできないんですけれども、その状況いかんでね、基本計画を訂正しなければいけないような状況が来ればそういうことはしなければいけないと思います。

辻元委員 先ほどは、質問にお答えになりましたときは、今アフガニスタンを攻撃していますが、それ以外の地域や国、攻撃の対象国が変わった場合、基本計画をそれは変更しなきゃいけませんとお答えになったのですが、そのとおりでよろしいですか。

福田国務大臣 状況が変わって、そして日本がどういうことをするかということを決めるわけですね。この基本計画を変更しなければいけないような活動をするというような場合があれば、それは変更しなければいけないでしょうということを言っているんです。

辻元委員 そうしますと、官房長官にもう一点お伺いしますけれども、それは、状況が変わったという中に対象国の変更ということはもちろん入りますよね、攻撃対象国の変更。

福田国務大臣 ですから、基本計画を変更しなければいけないような状況があれば変更するということであります。

辻元委員 今これをやっていても押し問答になりますが、後でちょっと官房長官の先ほどの議事録、私細かくメモしたのですけれども、精査させていただきます。これは非常に重要なポイントだと思うんです。

 要するに、今の御答弁ですと、二人ともごまかしてはります。対象国が変わっても行ける範囲にしておこう。というのは、基本計画のここに、「テロ攻撃に対応して、本年十月八日以降、米国等はタリバーン等に対する軍事行動を開始した。」と。「タリバーン等」の「等」、これは何ですか、防衛庁長官。

中谷国務大臣 米国を初めとする世界各国のねらいというのはテロの根絶でありまして、このテロを引き起こすオサマ・ビンラディン氏を中心としたアルカイーダ、それを支援するタリバン政権ということで、「タリバーン等」というふうになっていると私は考えております。

辻元委員 もう一度防衛庁長官にしつこくお尋ねしたいのですけれども、今の御答弁ですと、基本的条件とおっしゃいました、基本計画の変更については。ということは、アメリカがアフガニスタン以外の対象国に攻撃をかけた場合も日本は継続的支援をする場合もあり得るということですか。

中谷国務大臣 この目的というのはテロがなくなることでありまして、例えば、タリバン政権が崩壊したり、ビンラディン氏が殺害されたといっても、現実にテロが起こる可能性や恐怖がなくならない限りはこの目的を達していないというふうに思っております。したがいまして、この行動の目的というのは、米国で発生したテロ組織の撲滅のための行動であるというふうに私は認識をいたしております。

辻元委員 ということは、その目的を述べ、アメリカ軍が攻撃対象国を変えたとしても、日本軍の支援を継続する可能性はあるのかないのかですよ。それをお答えいただきたいと思います。なぜ今答えられないんですか。

中谷国務大臣 目的は、アフガニスタンという国をせん滅するということが目的ではなくて、このテロの組織を抱える政権や組織、これを撲滅してテロをこの地球上からなくしていこうということで各国が行動いたしておりまして、この基本計画の基本というのは、先ほど辻元先生がおっしゃった文言で書かれておりますので、それが基本計画の基本であるというふうに思っております。

辻元委員 今おっしゃったようなこの基本計画や実施要項、これはやっぱり承認できません。いつまで何をするのか、そして今後の可能性にもどう対応されようとしているのか、さっぱりわからないじゃないですか。(発言する者あり)ちょっと静かにしていただきたいんですけれども。先ほどまで全然座っていらっしゃらなかったでしょう。そういう方、多いんじゃないですか。ですから静かにしてくださいと申し上げているんです。

 例えば、危機感が足りない。今の話でも、対象国が変わった場合についてもどうするのか。それから先ほどの、法的な、防衛機密の扱いなのかどうかも、何となく秘密だというようなあり方で、国会に報告できないと。それで提出されている。私は、日本の法治国家としての根幹を問われると思うんです。

 さて、そういう中で、一点だけ、外務副大臣にもお越しいただいていますので。

 今回のこういう基本計画を実行されたということで、邦人に対するテロの危険性などが高まっているということは、これはアメリカで指摘されているわけです。米国が出している渡航注意によって、アメリカと緊密な関係を有する同盟諸国の権益などを標的としたテロ行為が発生する危険性は高まっていると。これは日本も入っていると思うんですね。

 国会での審議もあいまいなまま、そして、国民に対しても、今回自衛隊が出ていったことによる国民に対する影響についても、私は、はっきりと日本国民に対して危険度が高まったということを言うべきであると思うわけですね。アメリカでもこういう指摘、されているんですが、外務副大臣、いかがですか、アメリカで指摘されていますね。

杉浦副大臣 お答え申し上げます。

 先生は海外危険情報の判断基準はよく御存じだと思いますが、在外公館が現地の動向を収集いたしまして、国民保護の観点から、治安情勢、テロ情勢を分析して情報を出しております。この危険情報は常時見直しておりますけれども、それ以外にも、邦人安全対策といたしましては、とりわけこの事件発生以来、在外公館長に対しまして、陣頭指揮をとって邦人安全対策や公館警備に万全を期するように全在外公館に対して指示をしてまいっております。

 一番最初に出しましたのが九月十六日でございます。事件の発生を受けて出しました。それから九月十九日には、政府が七つの措置をとったことを受けまして、全公館に出しております。その後、空爆が開始された十月八日。十一月十六日に基本計画が発表されたわけですが、それを踏まえまして、九月十一日以来、都合四回にわたりまして、在外公館に邦人保護及び在外公館の厳重な警備等に努めるよう指示を行っております。

辻元委員 ちょっと今の御答弁、はっきり申し上げまして、日本の国民に対して危険度が高くなったということをかなり厳しく言うべきだと思うんですよ。今、そういう状況ですよ。

 副大臣に引き続き一点だけお伺いしたいと思いますけれども、私はホームページでいろいろ見てみました。そうしますと、外務省のこの海外危険情報、特にアメリカについては一切出されていないわけですね。一とか五とか二とか、トルコとかいろいろな国に出されているわけですが、アメリカに対しては「現在発出されていません」と書いてあるわけです。

 どういう状況でこの危険状況を分類しているかといえば、アルカイダやイスラム過激派が過去に活動していたかとか、今回の事件と関連してどのようなテロの脅威があるのか、軍事施設など、テロのターゲットとなり得る施設があるのかという基準で判断して、アメリカは、一切危険度はゼロ。そのホームページの下に、カリフォルニア州知事が、ラッシュアワー時の時間帯に橋が破壊工作の対象となると信じるに足る情報が存在するので注意してくれとか、金門橋で二個の不審なケースが発見されたという事実があるという情報を日本政府は流していらっしゃるんですね。これで、トルコとか怒っているわけですよ。

 アメリカは危険がゼロで全然出していなくて、ほかの国にはたくさん出しているんですよ、ロシアにも出していますし。どうして正確に情報を出さないんですか。日本人も仕事でアメリカに行く人もいらっしゃるわけですから、いかがですか。

杉浦副大臣 外務省は、現在、米国だけでなくて先進国については危険度は発出いたしておりません。ただ、米国については、テロ攻撃があった関係上、おっしゃったような点ですとか、司法省が発表する未確認情報とか、そういったことを正直に流しまして注意を喚起いたしておる次第であります。

辻元委員 今の御答弁で、先進国に対しては出しておりませんという御答弁でした。今、その反発を買っているんじゃないですか。

 そうしたら、出しているところはどういう国ですか。ブラジルもありますよ、ペルーもありますよ。ロシアもありますし、これらの国々はどういうふうに見ていらっしゃるわけですか。これが、国際社会に対して貢献するとさんざん言って国際協調すると言っている日本の国の姿ですか。いかがですか。

杉浦副大臣 先進国に対して危険度の発出をしないということを決めているわけではございません。先ほど先生が御紹介されたような情報は各地とも流しておりますけれども、今後とも、危険情報については現地の状況を綿密に注視して適時適切に提供してまいるよう努めていきたいと思っております。

辻元委員 今、五十カ国が加盟する在日外国政府観光局協会が日本に抗議文を出しているわけですよ。それで、こういう対応、外務省もあいまいですよ。邦人保護をする気があるのかとも思いますし、もうこれは日本の対応は支離滅裂だと思いますよ。アメリカに対しては今後も危険度ですね、一切、現在発出しておりません。このままなんですか。

杉浦副大臣 海外、各国が出している情報にも注意を払っておりますし、頻繁に見直しまして、適切な情報を出すように努めております。運輸省、今は国土交通省ですか、そちらの方とも連絡をとってやっておる次第でございます。

辻元委員 適切な対応をとりますって、全く不適切ですよ。検討して見直して、変えますとおっしゃってください。これは日本の信用問題ですよ。いかがですか。

杉浦副大臣 適時適切に検討しております。去る十一月十六日にも大幅な引き下げを行いましたし、今後とも状況を検討して適切に行われるよう努めてまいる所存でございます。

辻元委員 国際的に名誉ある地位を占めたいとか言っている国のすることですかね。事実をきちっと国民に知らせるというのが基本じゃないですか。

 そういうような情報のとり方で、外務省と、それから私は、先ほど中谷防衛庁長官の答弁はもう本当に不満足ですが、基本計画についてもあいまいなまま、答えられないばかり。この外務省と防衛庁が中心になって今回の対応を主になされる。これはもちろん、国会では承認はできないだけではなくて、私、もう一回自衛隊を引き戻して考えた方がいいと思います。こういうような外務省も情報を集める能力しかない中で、隊員の皆さんもかわいそうですよ。そう思いますわ。

 最後になりますけれども、以前、自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議というのを国会では行っているわけです。その中で、

 我が国の場合には、自衛とは海外に出動しないということでなければなりません。如何なる場合においても、一度この限界を越えると、際限もなく遠い外国に出動することになることは、先般の太平洋戦争の経験で明白であります。それは窮窟であつても、不便であつても、憲法第九条の存する限り、この制限は破つてはならないのであります。外国においては、過去の日本の影像が深く滲み込んでいるために、今日の日本の戦闘力を過大評価して、これを恐るる向きもあり、又反対に、これを利用せんとする向きも絶無であるとは申せないと思うのであります。さような場合に、条約並びに憲法の明文が拡張解釈されることは、誠に危険なことであります。故にその危険を一掃する上からいつても、海外に出動せずということを、国民の総意として表明しておくことは、日本国民を守り、日本の民主主義を守るゆえんであると思うのであります。

  何とぞ満場の御賛同によつて、本決議案の可決せられんことを願う次第であります。

ということで、これは可決されているわけです。

 戦後日本はこの姿勢で来たことを、戦後初めて海外に戦時下で自衛隊を出すという審議なわけです。

 私は最後に申し上げたいのは、きょう五時間半しか審議しないということも納得できません、打ち切らずに審議を続行していただきたい。それぐらいの重みがあることを私たちは今しようとしているということを申し上げて、同僚議員の東門議員にバトンタッチします。

加藤委員長 これにて辻元君の質疑は終了しました。

 次に、東門美津子君。

東門委員 時間がかなり短いですので急いでいきたいと思いますけれども、私も質問に入ります前に、一言申し上げたいことがございます。

 なぜこの場に小泉首相がおられないのか、とても疑問に思います。今、辻元議員も話しておりましたけれども、本当に大事なときだと思います。戦後初めて自衛隊が海外に派遣されるという状況下、そういう中で、総理としての責任、権限は集中する、リーダーシップは強化していく、そういう中で責任というものが見えないと思います。やはりこの場には総理みずから御出席なさって、議員の質問に答えていくべきだと思います。それを申し上げておきたいと思います。

 まず、第一番目の質問です。

 防衛庁長官、今回の自衛隊派遣の目的、それは米軍支援ですか、それとも人道支援ですか、それとも別にあるんでしょうか。短くお答えいただきたいと思います、時間がありませんので一言で。

中谷国務大臣 その三つが三本柱でございます。

東門委員 私、二つプラスそれともと申し上げました。それともの後ろは何ですか。

中谷国務大臣 協力支援活動と被災民救援活動と、それから捜索救助活動でございます。

東門委員 いや、私の質問は目的です。米軍支援ですか、それとも人道支援ですか、それとも別なんですかとお聞きしたんです。三つの活動が計画されているのは知っております。その前です。なぜ自衛隊は派遣されたのですかという目的です。

中谷国務大臣 目的は、国際社会の中でテロ行為を撲滅するために自衛隊が協力支援を行うということでございます。

東門委員 自衛隊が出ていき、米軍を支援し、ほかの国々も参加するかもしれません、そういう中で、テロは根絶できるという自信を持っておられるんでしょうか。

中谷国務大臣 根絶しなければならないというふうに思っております。

東門委員 根絶しなければならないということは一緒だと思いますが、私は、これでできるという御自信がありますかと申し上げました。

 では、続けます。

 先ほど長官もおっしゃっておりました三つの活動、協力支援活動、捜索救助活動、そして被災民救援活動があるとおっしゃっていました。その三つの活動にかかる費用、それぞれ幾らになりますか。

中谷国務大臣 費用につきましては、せんだって十一月二十二日に閣議決定をされまして、百七十三億円でございます。

東門委員 合計ですね。

 先ほども伺いましたが、私は、協力支援活動に幾らですか、そして捜索救助活動、被災民救援活動にそれぞれどれだけずつが配分されるのですかとお聞きしております。

中谷国務大臣 そういう区分けは行っておりませんが、捜索救助活動というのは、まだ実際にやれるかどうか、その必要に応じて実施をするわけでありますが、当面は協力支援活動がメーンになるわけでございます。

 それから被災民救援活動は、カラチに向けて毛布、テント等の物資を輸送するということで、区分けとしては、海上自衛隊に係る経費が百六十二億円、航空自衛隊に係る経費が十一億円ということでございます。

東門委員 そうすると、これは全部協力支援活動に行くというふうに理解してよろしいのでしょうか。

 私は、質問通告の中では、それぞれ幾らになるか、別々に示してくださいとお願いをしました。

中谷国務大臣 それぞれ同じ艦艇とか飛行機を使用しますので、それぞれの活動ということでの経費の算出は非常に難しゅうございます。

東門委員 一九九六年に締結されましたACSAでは、それぞれ返還だとかあるいは償還が前提であるという、有償ということになっておりましたけれども、今回の場合は無償ということですよね。なぜ無償なのでしょうか。

中谷国務大臣 こういうテロを撲滅する国際社会に対して、我が国としては積極的かつ主体的に、我が国の問題に関することとして活動するわけでありまして、そういう考え方に基づくわけでございます。

東門委員 そうしますと、在日米軍駐留経費の総額、年間幾らですか。

杉浦副大臣 何年度ですか。(東門委員「年間です」と呼ぶ)何年度。(東門委員「十二年でもいいですよ」と呼ぶ)

 平成十三年度は、在日米軍駐留経費負担額は総額で二千五百七十三億円、そして基地借り上げ経費等を加えた関連経費総額は六千五百三十四億円でございます。

東門委員 ちょっと質問を変えますけれども、今回のテロが発生しましてから、在日米軍基地からアフガン攻撃に出向いているという部隊はありますか、防衛庁長官。

杉浦副大臣 米側と日ごろから密接に協議を行っておりますが、その結果、在日米軍の部隊等の一部が移動いたしまして、先般のテロに対応するための行動に従事していることは承知しております。

東門委員 その部隊はどこですか。どこに駐留している部隊ですか。

杉浦副大臣 そのような行動に従事している部隊等の具体的行動につきましては、承知しておりません。

東門委員 今、さきの御答弁では、そういう情報が入っております、一部の部隊が行動に出たというふうなお話だと私は伺ったんですよ。そうですね。そうしますと、その部隊はどこに駐留している部隊ですかとお伺いしたんですが、それはおわかりにならないということですか。

杉浦副大臣 おっしゃるとおり、具体的なことは承知いたしておりません。

東門委員 そうすると、在日米軍の動向は全然おわかりにならないということでしょうか。そうですか。在日米軍の動きは全然把握しておられないということですかということです。

杉浦副大臣 今回のテロに対する米軍の行動との関連で、具体的なことは承知していないというふうに申し上げたつもりでございます。

東門委員 在日米軍基地への平時の支援に六千億余り、七千億近く出費する。そして、今回の有事支援に、先ほどでは、全部じゃないんでしょうけれども百七十億円余とありました。かなり大きな額が使われるというわけですが、それに対して、このテロ発生後、何よりも身近な在日米軍の活動について把握しておられない。

 例えば、沖縄のトリイステーションにいるある部隊が動いたという話があるかどうか、私はそれをお聞きしたかったんです、そういうのが聞こえてきますので。そういうのがおわかりにならない、あるいは言えないというのかもしれませんけれども、私は、外務省としては、在日米軍がどういう動きをしているか、機動隊にあれだけ強固に守られている中でどういう動きをしているか、知っているべきだと思います。

 ぜひ御答弁をお願いします。

杉浦副大臣 事前協議の対象となっていない移動につきましては御相談を受けておりませんので、十分承知していないということでございます。

東門委員 事前協議の対象になっていない。

 例えば、ベトナム戦争、湾岸戦争、結構沖縄の基地から出撃していきましたけれども、そのとき事前協議ありましたか。事前協議がなされて出撃しましたか。

杉浦副大臣 事前協議はなかったと承知しております。

東門委員 であれば、今の御答弁もおかしいですよ、事前協議がなかったということ。

 今、テロが発生してかなり緊張していると思います。沖縄県の状況はもう皆さん御存じだと思います。緊張している中で、在日米軍は、私は沖縄県だけを申し上げておりません、全国です、やはり政府が在日米軍基地ではどういう動きがあるかということを把握しておられないと、国民はどういうふうに対応すればいいのでしょうか。

杉浦副大臣 事前協議の対象となる戦闘作戦行動については、委員御承知だと思いますけれども、例えば、航空部隊による爆撃、嘉手納空港を発進して航空機がどこかを爆撃する場合とか、空挺部隊の戦場への降下とか、地上部隊の上陸作戦等が具体的に挙げられておりますけれども、個々の行動、任務、態様の具体的内容を考慮しての判断ではございませんが、通常の補給、移動、偵察等、直接戦闘に従事することを目的としない軍事行動のための施設・区域の使用は事前協議の対象とはならないということに相なっておりますので、先生のおっしゃるような内容については私ども承知していない、こういうことでございます。

東門委員 時間がないのがとても残念ですけれども、最後の質問をさせてください。

 自衛隊派遣の影響です。

 今回、自衛隊を派遣しました。私たちは、それは戦闘行為に参加をすると見ております。政府はいろいろ、詭弁を弄してといいましょうか、答弁は違いますけれども、とにかく参戦をする。そういう中で、私はその影響、特に在日米軍基地への影響をどのように見ておられるか、そういうのがあるのかないのか、そこも含めて御答弁いただけたらと思います。これは防衛庁長官、お願いします。

中谷国務大臣 在日米軍への影響というのはどういう意味でございますでしょうか。

東門委員 在日米軍基地を抱えている自治体、かなり緊張していると思います。いえ、しております、事実。そういうところの影響。自衛隊を派遣することによって何か……(発言する者あり)関係ないと今久間先生おっしゃるんですけれども、そうですか、全然関係ないと。ですから、米軍基地が別に守られなくてもいいとか、そこの住民は気にしないでもいいとか、そういうことになるのか、あるいは何らかの影響があると考えておられるかということです。

中谷国務大臣 基本的には影響がないというふうに思っております。

 というのは、今回の自衛隊の派遣というのは、国際的にテロ撲滅のために我が国がなし得る行動として自衛隊が協力支援を行うわけでありまして、在日米軍の目的といいますと、我が国及び周辺の安全保障ということでございますので、直接影響はございませんし、特に沖縄県に与える影響もないのではないかというふうに思っております。

東門委員 その議論はまた別の機会にさせていただきます。大きな影響が出ているということを、まあ、自衛隊そのものとは関係ないので、テロとの関係ですけれども、それをまたさせていただきたいと思います。

 終わります。

加藤委員長 これにて東門君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして、本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

加藤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。木島日出夫君。

木島委員 私は、日本共産党を代表して、自衛隊の部隊等による協力支援活動、捜索救助活動及び被災民救援活動の各活動の実施に関し承認を求めるの件について、反対の討論を行います。

 第一の理由は、本案件が承認を求めているものは、戦後初めて日本の自衛隊が実際に戦場に乗り出し、米軍への兵たん活動を行うものであり、これは、憲法で恒久平和をうたい、戦争を放棄した日本国憲法に反して、許されないからであります。

 現にアフガニスタンを攻撃している米軍への補給、輸送など、兵たん活動そのものが武力攻撃と不可分のものであり、政府も行使できないとしてきた集団的自衛権の行使そのものだということであります。また、今回派遣されている海上自衛隊の護衛艦には、米艦艇などと情報を共有するデータリンクシステムがあり、その情報を米軍に提供するという重大な憲法問題もあります。以上のように、今回の自衛隊派遣の実施は、憲法の平和原則を踏みにじる行為であり、容認することはできません。派遣を即刻撤回すべきであります。

 第二に、今回の派遣の具体的内容について、国民や国会に報告義務のある本案件の枠組みをなす基本計画では、極めてあいまいで包括的であるのに、他方、具体的、詳細な自衛隊の活動内容を定めているはずの実施要項は、秘扱いとして国民や国会に報告すらしないということです。

 武器、弾薬、燃料等の補給、輸送、提供の行われる区域が、戦闘区域内なのか区域外なのか、武器、弾薬、燃料等の米軍への供給、提供の具体的ありようが、米軍の戦闘攻撃と一体となる供給なのか、そうでないのかなど、政府自身の憲法判断の基準にかかわる具体的内容が国民や国会に一切明らかにされないまま国会の承認を求めること自体が、議会制民主主義のじゅうりん以外の何物でもありません。

 第三に、被災民救援活動では、UNHCRからの日本への要請は、難民支援のための生活関連物資の提供及び当該物資のパキスタンまでの輸送の依頼であって、輸送手段として自衛隊での要請はなかったという問題です。被災民救援のための自衛隊派遣は、自衛隊を派遣する口実として小泉内閣が利用しているにすぎないことが明らかであります。

 最後に、アフガニスタンでは、タリバン政権が崩壊し、事態が急展開し、世界じゅうで空爆中止、戦争終結の方向を強めているこの時期に、米軍への支援協力を強化する必要がどこにあるのか説明がつきません。まさに、今回の自衛隊海外派兵が、何が何でも自衛隊で、日の丸をインド洋に立てたい、集団的自衛権の壁を突破したいという小泉内閣の思惑からの強行であることが明らかになったということを指摘して、私の反対討論を終わります。(拍手)

加藤委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 社会民主党を代表して、テロ対策特措法に基づく自衛隊の部隊等による協力支援活動、捜索救助活動及び被災民救援活動の各活動の実施に関しての承認に対して、反対の立場から討論を行います。

 まず第一に、米軍の軍事行動に対する評価の問題であります。

 テロリストに対抗するためであれば何をしてもよいということにはならないと思います。米国は既に、核兵器に次ぐ威力を持つとされるデージーカッターと呼ばれる大量殺りく兵器を使用していますし、アフガニスタンをそういう形で攻撃し、大地を焼き尽くすという作戦を行っています。こうした攻撃でたくさんの一般市民も命を落としました。米国は、今回のアフガニスタンへの軍事攻撃を自衛権の行使と主張していますが、既に自衛権の要件である緊急性と均衡性の要件を満たしていないと考えられます。そういう中で、テロ対策特措法の正式名称にある「国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して」実施する措置とは言えないと考えます。

 次に、テロ対策特措法自体の問題です。

 この法律によって、我が国は、半世紀にわたって歩んできた平和主義の道を大きく踏み外すことになりました。PKO協力法では一年余り、周辺事態法でも八カ月をかけて国会審議が行われたことを考えれば、わずか数日間の形式的な審議で採決を強行し、成立させたテロ対策特措法の審議は余りにも拙速であったと思います。憲法をないがしろにし、アメリカの顔色ばかりをうかがう政府・与党の姿勢は、私は容認できないというように考えます。

 次に、基本計画の内容自体に関する疑問です。

 既に、空爆と内戦によってタリバン政権は実質的に崩壊しつつあると言われ、焦点はタリバン後の政権の枠組みや復興のあり方に移りつつあります。日本政府は、きょうの質疑でも、米軍攻撃の情報もほとんど持っていない、かつ、米軍への支援の具体的中身も明らかにできないというような姿勢です。そういう中で承認するわけにはいかぬと思います。

 また、被災民支援活動として予定されている内容も、自衛隊が行うより、NGOや文民による支援の方が効果的であることは、私自身もパキスタンのペシャワールなどに行って現地調査をしてきましたけれども、明らかにしてきたとおりです。

 基本計画に定められた措置は、まず自衛隊ありきの対策であり、アメリカへのおつき合いというような側面が否めないと私は思います。いつまでに何をするのか、全く具体的に示されない自衛隊の海外での行動を承認するわけにはいきません。このような状況下で国会承認を与えることは、国会が自衛隊に白紙委任状を渡すことに等しく、将来に大きな禍根を残すことになると考えます。

 最後になりますが、テロの根絶には、その背景にあるテロの温床である貧困や抑圧をなくすことが肝心であるということをもう一度再確認し、日本は法治国家としての見識を取り戻し、憲法の理念に沿った道に日本の行動を戻していくべきであると訴えたいと思います。

 本基本計画は、自衛隊の創設以来初めて他国の戦争に直接関与するものであり、断じて承認はできないことを最後に申し上げて、反対討論を終わります。(拍手)

加藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

加藤委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、自衛隊の部隊等による協力支援活動、捜索救助活動及び被災民救援活動の各活動の実施に関し承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

加藤委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

加藤委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十二分散会




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