衆議院

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第3号 平成14年5月17日(金曜日)

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平成十四年五月十七日(金曜日)
    午後二時三分開議
 出席委員
   委員長 二田 孝治君
   理事 衛藤征士郎君 理事 久間 章生君
   理事 小島 敏男君 理事 原田 義昭君
   理事 安住  淳君 理事 伊藤 英成君
   理事 田端 正広君 理事 東  祥三君
      浅野 勝人君    石破  茂君
      臼井日出男君    大島 理森君
      木村 隆秀君    笹川  堯君
      実川 幸夫君    虎島 和夫君
      浜田 靖一君    松野 博一君
      松宮  勲君    御法川英文君
      宮澤 洋一君    森田  一君
      山口 泰明君    米田 建三君
      奥田  建君    桑原  豊君
      玄葉光一郎君    古賀 一成君
      島   聡君    末松 義規君
      中野 寛成君    永田 寿康君
      藤村  修君    横路 孝弘君
      渡辺  周君    上田  勇君
      河合 正智君    中塚 一宏君
      赤嶺 政賢君    木島日出夫君
      児玉 健次君    今川 正美君
      菅野 哲雄君    井上 喜一君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      中谷  元君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   防衛庁長官政務官     木村 太郎君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    津野  修君
   政府参考人
   (防衛庁防衛参事官)   中村  薫君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局長)    守屋 武昌君
   政府参考人
   (防衛庁運用局長)    北原 巖男君
   政府参考人
   (防衛庁人事教育局長)  宇田川新一君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局長
   )            谷内正太郎君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長
   )            安藤 裕康君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    縄野 克彦君
   衆議院調査局国際テロリズ
   ムの防止及び我が国の協力
   支援活動等に関する特別調
   査室長          鈴木 正直君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十六日
 辞任         補欠選任
  小島 敏男君     阪上 善秀君
五月八日
 辞任         補欠選任
  阪上 善秀君     小島 敏男君
同月十七日
 辞任         補欠選任
  西川 京子君     松野 博一君
  中野 寛成君     藤村  修君
  赤嶺 政賢君     児玉 健次君
  中西 績介君     菅野 哲雄君
同日
 辞任         補欠選任
  松野 博一君     西川 京子君
  藤村  修君     中野 寛成君
  児玉 健次君     赤嶺 政賢君
  菅野 哲雄君     中西 績介君
同日
 理事小島敏男君四月二十六日委員辞任につき、その補欠として小島敏男君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
四月八日 
 テロの根絶を願い、報復戦争と自衛隊派兵反対に関する請願(児玉健次君紹介)(第一三九〇号)
 同(中林よし子君紹介)(第一三九一号)
 同(藤木洋子君紹介)(第一三九二号)
同月十一日 
 テロの根絶を願い、報復戦争と自衛隊派兵反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六五六号)
同月十五日
 テロの根絶を願い、報復戦争と自衛隊派兵反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八五〇号)
同月二十二日
 テロの根絶を願い、報復戦争と自衛隊派兵反対に関する請願(石井郁子君紹介)(第二二三四号)
 同(大幡基夫君紹介)(第二二三五号)
 同(吉井英勝君紹介)(第二二三六号)
同月二十五日
 テロの根絶を願い、報復戦争と自衛隊派兵反対に関する請願(小沢和秋君紹介)(第二四〇一号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第二四〇二号)
同月二十六日
 テロの根絶を願い、報復戦争と自衛隊派兵反対に関する請願(石井郁子君紹介)(第二五二一号)
 同(志位和夫君紹介)(第二五二二号)
 同(藤木洋子君紹介)(第二五二三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する件


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     ――――◇―――――
二田委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
二田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 それでは、理事に小島敏男君を指名いたします。
     ――――◇―――――
二田委員長 次に、国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する件について調査を進めます。
 お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛参事官中村薫君、防衛庁防衛局長守屋武昌君、防衛庁運用局長北原巖男君、防衛庁人事教育局長宇田川新一君、外務省総合外交政策局長谷内正太郎君、外務省中東アフリカ局長安藤裕康君及び海上保安庁長官縄野克彦君の出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
二田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
二田委員長 この際、テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更及び現在までの自衛隊の活動実績について、政府から報告を求めます。中谷防衛庁長官。
中谷国務大臣 テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について御報告申し上げます。
 テロ対策特措法に基づく現在の基本計画では、協力支援活動等を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等の派遣期間が来る五月十九日までとされていることから、これを六カ月間延長し、本年十一月十九日までとすることが、昨日の安全保障会議の後、本日の閣議で決定されました。なお、あわせて、私が定めている実施要項についても、総理の承認を得て変更し、実施期間が本年十一月十九日までとなります。
 次に、今回の基本計画の変更に係る背景について説明をいたします。
 国際テロの脅威につきましては、アフガニスタンではタリバーン支配が終了し、アルカイダも、アフガニスタン国内での活動が困難となりつつあります。しかしながら、ビンラディン、オマル等のアルカイダ、タリバーンの幹部はいまだ捕まっておらず、逃走しており、また、各地には、アルカイダ、タリバーンの残存勢力も残っております。したがって、これらが再結集し、米軍、暫定政権等を攻撃する可能性があるなど、残存するアルカイダ等によってもたらされている国際テロの脅威は、今も除去されておりません。
 これに対する国際社会の取り組みとしては、軍事、経済、外交等のあらゆる手段を講じてアルカイダのネットワーク及びテロ組織の根絶に取り組んでおり、現在、軍事組織の派遣を含め、何らかの形でこのような取り組みに参加している国は、約七十カ国に及んでいると承知をしております。
 こうした国際社会の取り組みのうち、特に諸外国の軍隊の活動としては、アフガニスタンやその周辺においてアルカイダの残党の排除などのための作戦が継続されており、いまだ終結にはほど遠く、今後も時間を要するものと考えております。
 すなわち、テロ対策特措法による我が国の支援の対象となる昨年九月十一日のテロ攻撃の脅威の除去に努める米軍等の活動については、昨年十月のタリバーン等への軍事行動開始以降、依然として続いていると言えます。
 具体的には、アフガニスタン領内においては、米軍等によるアルカイダのメンバーの追跡、掃討のための活動が継続しております。また、各地のさまざまな施設の捜索とともに、さらなるテロを阻止する等のための情報収集も行われております。
 最近においても、本年三月には、アフガニスタン東部において、米軍のほか、ドイツ、フランス、カナダ軍等を含む約二千人が参加した大規模な掃討作戦(アナコンダ作戦)が行われ、本年四月以降も、米英軍等による東部における掃討作戦(マウンテン・ライオン作戦)が継続しております。現在も、三、四千メートル級の高山が並ぶアフガニスタン東部の山岳地帯等でアルカイダの残党を追跡、掃討し、あるいは捜索するという活動が続けられており、大規模な作戦が再び行われる可能性も残されております。
 現在、アフガニスタンでは、このような作戦のため、約七千人の米軍が活動しているほか、諸外国からも、国際治安支援部隊(ISAF)とあわせ、約七千人の兵員が提供されているところであります。
 インド洋上を含むアフガニスタン周辺においては、アルカイダのメンバーが逃亡して国際テロの脅威が拡散することを防ぐための活動等が引き続き行われております。
 米国の説明によれば、こうした活動のため、米軍の一個空母戦闘群のほか、十五カ国から二十八隻の艦船、さらにフランス等から空母戦闘群が、また英国よりは海軍任務部隊がこの海域において活動を続けております。なお、米軍以外からの艦船については、米軍の軍事行動の初期段階で十一カ国からの二十一隻であったのが、次第に増加したものとのことであります。
 このような諸外国の軍隊の活動に関し、現時点において撤収した国があるとの情報には接しておらず、また、このように現在も多くの国が参加して諸外国の軍隊による活動が活発に実施されていることは、テロとの闘いの継続が各国の共通認識となっていることを示すものと思われます。
 今述べたような状況にかんがみれば、今後とも、我が国がかかる国際テロ根絶への取り組みに積極的かつ主体的に寄与していくことは重要であります。現在の状況から見て、我が国の対応措置の種類や派遣規模について、特に変更する必要性は認められないことから、今般、基本計画のうち、自衛隊の部隊等の派遣期間のみを変更することといたしました。
 次に、これまでに実施したテロ対策特措法に基づく自衛隊の活動実績について申し上げます。
 被災民救援活動については、昨年末、国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)の要請に基づき、掃海母艦「うらが」により、テント、毛布等をパキスタンのカラチに輸送いたしました。
 協力支援活動については、現在、海上自衛隊の補給艦「ときわ」、護衛艦「はるな」「さわかぜ」がインド洋北部において活動中であり、昨年十二月二日以降現在までの間に、米軍等の補給艦、駆逐艦等に対し、艦船用燃料を七十五回、約十二万九千キロリットル補給するなどの活動を行っております。また、航空自衛隊においては、C130H型輸送機等により、昨年十一月二十九日以降現在までの間に、計五十二回の国内及び国外輸送を行っております。
 先日、私自身も、インド洋上で活動している自衛艦を訪問し、士気も高く立派に任務を遂行している隊員の姿を見てまいりました。
 現在までの約半年間にわたるこのような自衛隊の活動については、二月に来日したブッシュ米大統領が国会での演説の中で、日米両国はテロリスト組織を捜し出し、粉砕すべく努力をしている、日本の自衛隊は後方支援という重要な役割を担っていると評価を示されていることを初めとして、日米間の累次の会談等の場で感謝、評価の意が示されているほか、各国から高い評価を受けております。
 これらの活動は、我が国として、国際的なテロリズムとの闘いをみずからの問題と認識し、国際テロリズムの防止及び根絶を目指す国際社会の取り組みに積極的かつ主体的に貢献するという非常に重要な意義を有しているものと考えております。防衛庁としては、引き続き、従来と同様の活動を実施することにより、国際テロ根絶への取り組みに寄与できるよう、また、国民の期待にもこたえることができるよう、全力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、御理解、御協力をお願い申し上げます。
二田委員長 以上で報告は終わりました。
    ―――――――――――――
二田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤英成君。
伊藤(英)委員 今、防衛庁長官から御説明をいただいたわけでありますが、このテロ特措法に基づく対応措置に関する基本計画が十九日をもって期限切れになる、こういうことで、今般、その派遣期間がさらに半年間延長することが決定をされたということであります。
 そこで、まず最初にお伺いいたします。
 この実施期間の変更についてでありますけれども、政府がこの期間延長を決定するに当たりまして、テロ再発の可能性あるいはアフガニスタン情勢をどういうふうに認識をして延長したということになるのか、ちょっと伺います。
川口国務大臣 アフガニスタンにおきましては、昨年十二月のボン合意以降、ボン合意に基づきます暫定政権の成立等、和平プロセスが着実に進みつつあるわけでございます。
 現在、六月十日に緊急ロヤ・ジルガという、部族大会と言われますが、大きな集会がございまして、そこで次の政権が選ばれるわけですけれども、そこに向けた準備が本格的に今動いています。
 また、一月にはISAFといいます国際治安支援部隊、これは今はイギリスが中心になってやっていますけれども、これがカブールに本格的に展開をいたしまして、カブール市内の治安状況はある程度安定をしているということでございます。
 また、地方に軍閥がいるということで、これが大きな問題ですが、アフガニスタンの南部では緊張状態が続き、また東部、北部では有力者間の武力衝突が起こっているということでございまして、アフガニスタンとその周辺の地域の山にメンバーが残存しているというふうに思っております。
 これは、数がどれぐらいあるかというのは必ずしも明らかではありませんけれども、かなり戦闘も行われている、そういう状況にございます。例えば、五月だけでもアルカーイダ及びタリバーンの残存勢力による米軍攻撃が八回に及んだということでございます。
伊藤(英)委員 アルカイダとタリバンの残存数というのはどのぐらいいると思われますか。また同時に、どこにいると考えられますか。
安藤政府参考人 お答え申し上げます。
 アルカイーダとタリバンのそれぞれ残存数、それからどこにいるかということについては、必ずしも全貌が明らかになってはおりません。ただ、山岳地帯等を含めて種々いろいろな箇所に分散しているのではないかと言われておりますし、また数につきましては、これも正確な数はわかりませんけれども、それぞれ数千人程度ではないかというふうに見られております。
伊藤(英)委員 どの辺にいるかもほとんどわからないということですか。
安藤政府参考人 アフガニスタン及びその周辺地域に広く分散しておりますので、この地域にということで具体的に特定して申し上げることはできないと思います。
伊藤(英)委員 この地域というのはどこの地域かよくわかりませんが、隣で、自分たちはわからないんじゃないか、わかっているのはアメリカじゃないかという話をしている人もいますから。
 では、米側から、このテロ作戦の進行状況や今後の見通しについてアメリカからはどういうふうに聞いていますか。
川口国務大臣 まず、テロ特措法のもとで対米支援の調整のために日米調整委員会というのがございますが、そこで十日に第三回の日米調整委員会が開催をされまして、米側からは、アフガニスタンにおける戦いは終わっていない、まだ行うことはたくさんある、もし日本が支援の継続を決められるのであれば多とするということはアメリカ側は言いましたけれども、日本側へ要請はなかったということでございます。我が方としては、この支援活動の延長を主体的に決定をしたということでございます。
伊藤(英)委員 それでは、今後の見通しについてはどういうふうに聞いていますか。
中谷国務大臣 まだ今後の見通し等につきましては、せんだって行われました日米調整委員会等におきまして、この状況については、地上作戦の規模は一見縮小したように見えるが、アフガニスタンとその周辺地域に残存するアルカイダメンバーが依然として国際社会の脅威になっており、アフガニスタンにおける戦いは終わっておらず、まだ行うべきことはたくさんあるということであります。
 それから、最近の関係者の話によりますと、五月一日のラムズフェルド国防長官の記者会見によりますと、アフガニスタンの状況は終わりにはほど遠い、米軍並びに関係国は、これまでも、現在も、今後も、さまざまな任務のためアフガニスタンでさまざまな作戦に従事する。これには、アルカイダとタリバンが戻らないようにするための地域の掃討、タリバンやアルカイダがいるかもしれないとの情報のある地域の掃討、捜索に値するとの情報のあるトンネル、洞窟、機微な場所の捜索が含まれると。
 また、五月八日の同長官の会見によりますと、アフガニスタン国境の出入りしやすい性質、また、対処すべきアルカイダとタリバンがいることにかんがみれば、実際の任務の終了まである程度の時間がかかる。現時点において、アルカイダ、タリバンがまだアフガニスタンとその周辺国にいる。彼らはまだ、カルザイ暫定政権を不安定化させるためにできることをしようとしている。我々はそうならないようにしようとしている。我々は作戦の終了日を告げるつもりはないというふうにその認識を示しておりまして、現時点においては、まだまだ続くという状況でございます。
伊藤(英)委員 今、防衛庁長官がお話しになったのは、後の方はもうほとんどが国防長官の記者会見等の話ですよね。直接聞いているのは、そうすると、日米調整委員会で聞いているということでしょうか。
 調整委員会というのは頻度はどのぐらいありますか。
中谷国務大臣 最近行われましたのは、十日に第三回の日米調整委員会が行われました。また、この席以外にも日米間で防衛当局の者が協議をする機会もございまして、そういう機会には、この情勢と認識については意見交換を行う場はございます。
伊藤(英)委員 だから、本当に具体的に、どういうチャンネルでどれだけのことを聞いているのか。したがって、現在の状況はどうなんだろうか、見通しはどうなんだろうかということを考えて、日本としては、例えば、この期間を延長するかとか、あるいは支援の内容をどうするかというふうに考えるはずですよね。
 今のお話ですと、いかにもわかりませんよね、それは。本気に、現在どういう状況になっているかということについて認識しているんだろうか。現実には、アメリカから聞いて云々という話でしょう。それではいかにもわからないな、抽象的ですねと、どうですか。
中谷国務大臣 この情報収集につきましては、先ほど言った公式の場もあれば、外交的な日米間の話もありますし、また、防衛庁といたしましても、実際に部隊を派遣しておりまして、そういった調整の場においても情報収集する機会もございます。
 私もせんだって現地へ参りまして、関係国の軍事責任者とも意見交換をいたしましたけれども、まだまだこういったテロ組織を支援するグループも周辺国にはある。そして、総合的にいろいろな話を伺いますと、テロの発生する可能性というものは完全になくなったわけではなく、現時点においてもテロの脅威の可能性がある状態が続いているというふうに判断をしているわけでございます。
伊藤(英)委員 では、もう一度改めて伺います。
 今回、基本計画の見直しをするということに当たって、どこからどういう情報を得て判断をしたんですか。
中谷国務大臣 日米間の話し合いにおきましては、最終的には、十日に行われました第三回日米調整委員会においてアメリカ側からの意見を聞きました。日本側からの意見も申し上げましたけれども、最終的な決定と申しますと、昨日行われました安全保障会議におきまして政府側として判断をしたところでありまして、これまでの間は、政府の中で今後どうするかということを検討した結果でございます。
伊藤(英)委員 では、今の状況をちょっと聞きたいんですが、現地で補給をする場合には、具体的にはどういうルートで行われるんでしょうか。補給の要請はどういうふうに来るんでしょうか。その要請に応じて行うかどうかはだれが判断するのかですね。そのときに、これは、ある担当する海域が決まっていてやるのか、あるいは補給すべき艦船を決めているのか。これはどういうやり方で行われるんですか。
中谷国務大臣 現地の状況をどう判断しているかということでございます、また活動をどう判断するのかということでございますが、米艦艇への補給、給油については、インド洋北部を担当するアメリカ第五艦隊司令部などによりまして、補給の時期、場所、対象部隊、補給量など、補給の概要について自衛艦隊司令部などに要請、調整がありまして、さらに、給油実施に際しましては、その日時や具体的な場所、ポイントなどの細部については、現地の派遣部隊司令部間で調整が行われることになっております。あらかじめ日米間で自衛隊が担当する海域を決めている、あるいはあらかじめ補給すべき艦船を決めているということではございません。
 また、大きな話等につきましては、米艦艇等への補給の実施に当たりましては、その基本計画及び実施要項に基づきましてこれを実施すべき旨を私の命令のもとで発しますけれども、自衛艦隊司令官または現地部隊指揮官の判断によりましてこれを行うということにいたしております。
 海域につきましては、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる実施区域において実施されるわけでございますが、この点につきましてはあらかじめ実施要項で定めておりまして、その区域では実施せずに、残りの区域で実施するということでございます。
伊藤(英)委員 ちょっと聞き漏らしたかもしれませんが、補給の要請があるときはどこからどういうふうに来るのですか。
中谷国務大臣 アメリカの第五艦隊司令部より、補給の時期、場所、対象部隊、補給量などの補給の概要について、自衛艦隊司令部などに要請、調整があります。
 さらに、実際の給油の実施に際しましては、その細部でございますので、現地の派遣部隊司令部間で調整が行われることになっております。
伊藤(英)委員 では、その補給対象のアメリカの艦船あるいは搭載機は、今は具体的にどういう作戦を展開しているのでしょうか。
中谷国務大臣 先ほど概要をお話しいたしましたが、アフガニスタンの国内の行動並びにその周辺海域での場所で活動いたしておりますけれども、細部の作戦の具体的内容等につきましては、米軍の行動規定にかかわることでございまして、現時点におきましてお話をできる状況というか、機密にかかわることでございますので、お話しすることはできないわけでございます。
伊藤(英)委員 いや、艦船は、基本的にはあの海域を、海を監視しているんじゃありませんか、今。それがほとんどということじゃありませんか、艦船の関係は。
中谷国務大臣 行動等につきましては細部を申し上げることはできませんけれども、日米の調整会議におきまして、あらかじめ日本の支援できる条件、このテロ対策特措法に基づく支援であるという点を説明いたしておりますし、米軍もそれを踏まえた要望をいたしているわけでございます。
 私の認識といたしましては、アルカイダ、またタリバンによるテロ関連の活動、それを防ぐための活動をしているというふうに認識をいたしております。
伊藤(英)委員 私が聞いているところですと、基本的には、逃げたりなんかするいろいろな関係の人たちがいる、それを監視しているのが中心だというふうに聞いているんですが、今の防衛庁長官の話は、もちろんいろいろと細部、公表できないものもあるのかもしれない。かもしれないんだけれども、本当に具体的に何をしているのか、そして、それによって我が日本としてどうするのかということについて判断しているのかどうかということが、今の話なんか聞いたりしていると、いかにもわかりにくいなという感じを抱くんですよ。どれだけの押さえをして日本は判断しているんだろうかということなんです。
 もう一度聞きますけれども、当然そういうことを考えて本来この基本計画の見直し等はしていると思うんですよね。でも、さっき言ったように、わかりにくいなと。
 では、伺うんだけれども、先ほど、アメリカも含めて各国の状況についても若干説明がありました。では、例えばアメリカはこの四月まで、空母戦闘隊、戦闘群といいますか、空母戦闘群を二つ置いて展開していたんだけれども、四月から一つ減らして、一つの空母戦闘群に態勢を減らしたと私は思うんですよ。にもかかわらず、本当に日本は同じような規模のものが要るんですか。
中谷国務大臣 まず、米軍の内容につきましては、アフガン周辺の海域における米軍の艦艇の状況ですけれども、これは、アフガニスタンにおける作戦への支援及び海上逃亡阻止を行っておりまして、米側の説明によりましたら、こうした活動のために、米軍の一個空母戦闘群のほか、十五カ国から成る二十八隻、さらにフランス等の空母戦闘群が、また英国からは海軍任務部隊がこの海域において活動を続けておりまして、米軍以外からの艦船については、米軍の軍事行動の初期段階では十一カ国から二十一隻であったのが次第に増加したものであるというふうに聞いております。
 なお、米軍の一個空母戦闘群といいますと、空母一隻のほかにトータル十五隻ぐらいの艦艇のグループでございまして、この中には潜水艦もあれば巡洋艦もあるし護衛艦もございますけれども、十五隻程度のユニットを通常一般的に一個空母戦闘群というふうに言っております。
伊藤(英)委員 と今防衛庁長官が説明されたとおりに、今トータル十五隻ぐらいと言われましたよね。かつては二つの空母機動部隊を展開していた、この四月からは、四月からか四月半ばぐらいからかな、それを一つ減らして半減させているという状況なんですよ、そういうふうなこと。
 先ほど冒頭、川口外務大臣からアフガンの状況について、それこそ暫定政権も生まれました、あるいは来月にはロヤ・ジルガも予定もされているというように、もう多くは申し上げませんが、アフガンの情勢はかつてと比べれば非常に大きく変わっているということなんですよ。そのときに、本当にこれだけの規模のものを日本側は同じように維持するということの説明はどういうふうにつくのかなということなんです。
 どうですか。どういうふうに判断を政府はされたんですか。
中谷国務大臣 トータルなお話でございますけれども、現時点において各国の隻数を必ずしも公表しているわけではございませんが、報道されている情報をまとめれば、現在、十一カ国、計五十一隻の艦船がございます。また、三月中旬の発表でも、百隻のうち四十隻が米艦艇であり、六十隻が同盟国の艦船である、これは三月中旬の発表でございますが。
 一方、地上軍の活動につきましても、現時点におきましては、かなり規模の方は逆に大きくなっておりまして、その活動自体の量というものは決して少なくなっていない。特に、中の治安維持の部隊の活動等もございます。
 そういうことで、その隻数が増減はしている事実はございますけれども、実際に、自衛隊に対する所要、ニーズと申し上げますと、各月の給油の実績がございますけれども、十二月から平均して十四回、また十五回というのが続いておりまして、海上自衛隊部隊に対する給油活動のニーズは必ずしも減少しているとは考えておらず、それなりのニーズに基づいて活動をしている量というものは継続して一定でございますので、活動量の面におきましての変化はないわけでございます。
伊藤(英)委員 陸上でいろいろ活動している話もありました。しかし、日本が支援している部分は海上の給油が中心でしょう、関係ない話をされている。
 私が言っているのは、日本が本当に支援する実体は何なのか。その相手はどうなのか、その相手の中心的なものが半減しているんでしょう、そういうことを申し上げているんです。
 さらにもう一つ言えば、さっき、例えばほかの国が云々という話をされたときも、報道によれば、報道によればと。一体、日本は米軍との、あるいはアメリカとの関係で、どんな関係でこの支援活動をしているんだろうか。
 先ほど申し上げるように、今のあの支援の活動、支援というか米軍を中心としたテロの対策のための活動の状況も、そして今後の見通しについても、最初伺いました。いかにも、本当に事実をちゃんと聞いて、聞くなら聞いて、そして自分たちで納得して判断をしてというふうにやっているという、そのプロセスがわからない、見えない。それで少し聞けば、報道によれば、報道によればと。一体、日本はどんな関係で仕事をするんだろうか。
 外務大臣、外務大臣はこの間アフガンに行かれて、タリバン支配の問題も終わったような話もいろいろ聞かれたという話ですよね。それからまた、イランにも行きまして、イランの軍事行動の問題についても議論をしたというふうに思うんですが、外務大臣はどういうふうに評価していらっしゃいますか。
川口国務大臣 アフガニスタンでいろいろな、今の暫定政権の、暫定行政機構のリーダーの方々、カルザイ議長を初めお会いをいたしました。そのときに、タリバーンの支配の話等、それからアルカーイダがどれぐらいいるかといったようなお話も伺いました。タリバーンの支配が終わったということではなくて、今はまだその残党は、アルカーイダの残党もいる、いろいろなところにいるんだ、都市部にもいるんだというお話を聞きました。
 それから、ビンラーディンほかがどこにいるのかということについても、今これはわからない、死んだという話をきちんと聞いているわけではない、行方はわからないという話が多かったように記憶をいたしております。
伊藤(英)委員 では、もう一つ聞きますけれども、これは防衛庁長官かしらん、官房長官かしらん。今度六カ月間延長することにいたしたですね。これはなぜ六カ月間ということなんですか。
中谷国務大臣 部隊の運用や今後の所要等を考えますと、ある程度まとまった期間が必要だと考えておりますが、その期間の程度等につきましては、余り長過ぎてもだめでございますので、前回の活動期間が六カ月が一くくりでございました。大体六カ月後、もう一度情勢を見て判断するのがいいだろうという観点で六カ月としたわけでございます。
伊藤(英)委員 今、私の理解では、米軍はアフガンの中に、最近機構改編等々も行われまして、あそこに統合司令部を設置した云々という話も伝わってきたりいたします。そして、案外長期戦の話もしたりしているということが一つありますね。
 もう一つ、一方では、やはり何といっても、イラクのいろいろなことが報道もされたりいたします。それで時々、じゃ、イラクに対して攻撃が行われたらどうだろうか、あるいは、イラクに対する状況について今アメリカの方でも、あるいは米国内においてもそうなんですが、イラクのことが報道されたり、あるいはイラク周辺の諸国に対する外交活動もいろいろ行われていると私は理解するんですよ。
 そういう状況で行われるんですが、日本がこの支援を継続しているときに、ひょっとしてイラク云々といったときに、日本もそこにいわば入り込んでいくといいましょうか、そういう危険性はないのかしらんというようなことが言われたりするんですね。
 日本は、今申し上げたようなこともあるんですが、このテロ特措法に基づいて協力支援活動を続けるというふうに本日も閣議決定をされた。じゃ、これは、日本はこれからどういう状況になったら終わるんでしょうか。そのときの、撤収をするときの基準といいましょうか、それはどういうふうに考えておりますか。
福田国務大臣 この法律の目的がいかなる場合に達成されたと判断するかということは、現在の状況においてこれは予断はできるものではございません。具体的なお答えは困難でございます。
 ただ、一般論として申し上げれば、先般のテロ攻撃を行った者などによる同様の攻撃が再発する蓋然性が高い状態が継続していると認められなくなった場合に、この法律に言う脅威が除去されたということが認められ、対応措置を終了させることと考えております。
伊藤(英)委員 なかなか難しくなっていくかもしれないなと、私がこう思っていますのは、例えば、ちょっと仮になんですが、これから先の話なんですが、米軍の一部が、もちろんアフガンの攻撃活動をそのまま継続をしている、そのうちの一部がイラクに攻撃に転じるというパターンがあったといたしましょう。まずそのときには、イラク攻撃の第一撃がある、その前には米側から日本に事前の通報はあると想定しておりますか。
福田国務大臣 米国がイラクに対して軍事行動をとることを予断するということは、これは今現在において考えることは適当でないというように考えております。特定の国の名前を挙げて申し上げるということは、これは我が国の今の立場として適当なことでないというふうに考えておるところです。
伊藤(英)委員 いえ、私が聞いておりますのは、もしもそういうときに、日本に事前に、直前かもしれませんが、情報が、あるいは連絡があると想定しておりますかと。これは攻撃するかどうかの話じゃないのですよ。そうした場合には日本に対して通報がちゃんと、通報といいましょうか、その連絡があると考えているかどうかということを伺ったのです。
福田国務大臣 日米関係という意味において、イラクとは申しません、何か国際的な軍事活動をするというときに、米国が我が国に何かの通報をしてくる可能性というのは十分にあると思いますね。
 しかし、この今のお話は、これはテロ特措法の趣旨にかなったものであるかどうかというそのときの状況の判断というものがございますので、それは今申し上げることはできないということです。先ほどの答弁と同じでございます。
    〔委員長退席、原田(義)委員長代理着席〕
伊藤(英)委員 僕は非常にわかりにくいと思っているんです。
 じゃ、もしも、直前に連絡があるか、あるいはない場合、そのまま攻撃が行われるかもしれないなというふうに想定されるならば、ひょっとしたら日本が補給をした船から飛び立って攻撃をするということが起こるという意味ですよね。いいですか。
中谷国務大臣 作戦行動につきましては、先方のアメリカの国防長官に対しまして、昨年十二月に首脳会談を行いましたが、その際に私の方から、仮に米国がアフガニスタン以外へ軍事行動を開始する場合には前広の情報提供をお願いしたいというふうに発言をいたしました。
 これに対して、ラムズフェルド国防長官からは、テロリズムの脅威に対して各国が行動する際に対して、国の事情により実施できることとできないことがあるが、この戦いに対する任務は時とともにシフトすることがあるかもしれないが、その際は日本の立場を十分理解して行動するという旨の発言がございましたので、当然、我が国の支援の範囲を考えた米側の対応になろうかと思います。
 イラクへの軍事行動に関して、米軍が行動するかしないか、まだ現実にはその決定を行っていない段階でございますので、そういった事態に対して日本としての対応も決めなければなりませんし、その際の行動等につきましては、我が国の立場をよく説明をいたしまして、法律を逸脱することがないようにしていかなければならないというふうに考えております。
伊藤(英)委員 実は、本日はこの問題、本当はいろいろなことがありまして、そんなことを念頭に置きながら私は申し上げているんですが、例えば、今度のような協力支援活動には直結はしていないんですが、私の記憶が間違っていなければ昨年の二月だったと思うんですが、イラクに対してイギリスとアメリカが空爆をいたしました。二月十何日だったと私は思いますが、されました。
 あの空爆をしたそのときに、そのときその時間に、日本の外務副大臣がアメリカのペンタゴンで国防長官、副長官と多分一時間か二時間話をしていたんですよ。そのときに一言も言われておりませんよね、日本は。
 私は、その直後にワシントンに行ったんですよ。そして、その話を聞きました。私は、ペンタゴンにも国務省にも、ホワイトハウスでも言ったんですよ、これは何事だと。イラクに空爆をしている、そのときに日本の外務省の高官が一緒に話をしていて、アメリカは説明していないんですよ。こんなことを何で許していいんだろうかと私は申し上げたんですよ。きょうは、そのことについての先方の言い分等はもうここでは申し上げませんが、そんなことも思いながら私は言うの。
 そして今回は、こうやって、協力支援活動ということで、非常な思いで、憲法の問題とかいろいろなことを思いながら日本は送っているわけですよ。これは冒頭からも、米側との関係について情報の問題についても伺ったりしたときも、どれだけ本当に事実をちゃんと把握して判断しているんだろうかと。先行きをどれだけ見て考えてやっているんだろうかというようなことについて話なんか聞いていますと、私からすれば、いかにも頼りないなという感じです。もう片一方では、この委員会室で有事法制の議論をしているんですよ、今。こんなやり方していて本当にいいのかなと私は思います。
 ちょっともう一つ伺うんですが、今まで、この五月十九日までの活動で費用の実績はどのくらいの見込みになるんですか、経費は。
    〔原田(義)委員長代理退席、委員長着席〕
中谷国務大臣 三月末までには九十一億円を執行いたしました。
伊藤(英)委員 では、十九日までの見込みと、それから今度の六カ月間延長するその予算、これは幾らで、それはどこから手当てするんでしょうか。
中谷国務大臣 現時点でございますが、五月十四日までの数字でございますが、十二万九千キロリットルで四十五億円程度でございます。(伊藤(英)委員「今度の六カ月間の見込み、見通しは」と呼ぶ)
 今後六カ月の計画につきましては、今検討中の段階でございます。こういった燃料の経費に加えまして、艦船の修理費とかその他の運営費用等の算定がございまして、正確な数字は現時点におきましてはまだ取りまとめの段階でございます。(伊藤(英)委員「どこから出すの」と呼ぶ)
 現時点におきまして、四月一日以降の活動につきましては、防衛庁の所定経費の中から出しております。
 今後につきましても、現在財政当局と財政のあり方につきまして協議を続けております。
伊藤(英)委員 官房長官、私は物すごく信じられない。これだけのものを本日閣議で、これから六カ月間ということで閣議決定をされたと言いました。そのときに、どれだけ予算がかかるのかもわかりません、どこからそれを手当てするかも決まっていません、何でそんなものが決まるんだろうかと。私からいうと、この無責任さは何だと。
 先般、実は、五月の八日に瀋陽のあの事件がありました。そして五月十日の日に民主党の鳩山代表と私が官邸に参りまして、小泉総理大臣とお話をいたしました。三人で話しました。
 そのときに私からはこう言ったんですよ。自分たちの申し入れ書もお渡しもしながら、その中に、何という無責任な体制なんだと。無責任と私はあえて書いたんですよ。なぜ書いたか。瀋陽の問題も一緒なんです。それぞれの職にある人は、自分の職務を本当に忠実に遂行しているんですか、人道主義や倫理観も持ちながら全力でやっていますか、やっていないじゃないのと。何もひょっとしたら外務省の人たちだけじゃないかもしれぬ、ひょっとしたら日本全体かもしれない、しかし役所は何だ、こう言ったんですよ。そうしたら総理大臣は何と言われたかというと、本当にそうだよな、マスターキーもどこかに行っちゃうなんていうことも起こっているしなと言われたの。
 いいですか、きょうこの重大な問題について閣議決定をしたと言うんだけれども、予算がどれだけかかるかもわかりません、どこから手当てをするかもわかりません。さらに、さっき申し上げたように、このベースとなりますその情報等についても、いかにも事実を把握してないじゃないかと。そんなことで本当に何で送れるんでしょうかね。どう思いますか。
福田国務大臣 自衛隊のこれからの活動についてその裏づけとなる財政的な説明というのは、これは当然なされなければいけないと思います。ただいま防衛庁長官がお答えすることになっております。
中谷国務大臣 状況は、現在財政当局と調整中と申し上げましたのは、本日の朝、閣議の決定があったばかりでございまして、それを受けて今後防衛庁として実施要項を作成いたしまして、今後の活動を決定するわけでございます。そういう観点で、財政当局との正式な調整で現在申し上げられないというふうに言っているわけでございますが、これにつきましては、予備費の使用も含めて検討中でございます。
 概算につきましては、ことしの三月末までに約九十一億円執行済みでございます。今後六カ月につきましては、これの約一・五倍程度ということで百数十億を見込みをいたしておりまして、この数字について財政当局と調整を行っております。
伊藤(英)委員 もう質問者が交代をする時間でありますので交代するんですが、実は私は、何か今五割増し云々と言われましたよね、予算が。何で五割――一・五倍でしょう。(中谷国務大臣「期間が一・五倍ですからそういうふうにした。三月までの期間と、今後六カ月の」と呼ぶ)期間が一・五倍ですか。
 ちょっともう時間がないからあれですが、私が言っているのは、いかにも無責任じゃないかと、予算のことについても、何にしても。そして、さっき申し上げたように、米軍だって二個の空母機動部隊が半分になったりしているんですよ。そういうようなことも含めてということですよ。
 実は、きょう、本当は法制局にも来ていただいたりしているんですが、後、ちょっと同僚議員に譲りますが、そもそも、今回、何で国会報告だけでいいんだろうかと。基本的にこれは国会承認にすべき問題ではないかということを申し上げようと思って、法制局の方に来ていただいております。それで、安住議員のときに、法制局の方もちょっと残っていただいてお願いしたいと思いますが、今のような状況を見れば一層その感を強くします。そのことを申し上げて終わります。ありがとうございました。
二田委員長 次に、安住淳君。
安住委員 ということですから、法制局長官、私は通告していませんけれども、ちょっと残ってください、引き継ぎますから。
 さて、私は、きょう朝、CNNのニュースを見ていましたら、官房長官、ニューヨークのグラウンド・ゼロ地点の行方不明者の捜索についてニューヨーク市長が会見をなさっていて、今月いっぱいで捜索を打ち切る、そして五月の最後の日に追悼式をやって、そこで一つ区切りにしたいと。捜索活動も三カ月ほど早く、ニューヨークの消防の皆さんを含めて大変な苦労で、空からの俯瞰の映像を私見ましたけれども、非常に整地をされていた。私は、本当にこの七カ月の間、やはり状況というのは随分変わったなということを感じました。あの九月の時点から見て、本当にアメリカも、ある意味では少し落ちついたといいますか、そういう認識をやはり持たないといけないと私は思うんですが、まず、長官、現時点でどう思っていらっしゃいますか。私と同じような感覚でありますか。
福田国務大臣 九月十一日からもう大分たったわけでございますが、半年以上たちまして、九月十一日の、世界の見たあのときの思いというのはだんだん、記憶に強く焼きついたものと思っても、少しずつ新しい変化に応じて薄れてくる、これは当然のことだというふうに思います。
 ニューヨークで捜査が終わるというふうな話でございましたけれども、本当にでき得る限りの力を尽くして捜査をした、その結果ここで区切りをつけようというふうになったことで、それが万全であったかどうか、それはわかりません。わかりませんけれども、やはり時間がたってそういう時期になったのかな、こういうふうに思います。
 しかし、翻って、アフガニスタンの状況を見た場合には、これは先ほど来御説明申し上げているとおり、いろいろな状況というものは従来と変化はあっても、やはりテロの温床というものはいまだに残っておる、こういう認識というのは、これは国際社会における共通の認識だというように思います。
 また、ここでもってそういう国際社会の監視が弱まると、温存されているテロの力がまた復活するかもしれぬ、これはまた大きな問題になるかもしれぬ、そういうことがあってはならぬという意味も込めて、今、国際社会が全力を挙げてこの活動に参加しているというように理解をいたしておるところでございます。
安住委員 私はそこまで実は聞いていなかったんですが、長官、そこまでおっしゃるのであれば、結局、脅威の除去をどう考えるかという伊藤委員の質問はありましたけれども、では、そこからさらに踏み込んだ話をしないといけないと思うんです。
 なぜかというと、あの戦争が、戦争といいますか、始まった当初に比べたときに、では、いかがでしょうか、制空権、制海権、本当にそれを脅かすような脅威は今あるでしょうか。いかがなんですか。どういう認識を政府は持っていらっしゃるんですか。例えば空対地の攻撃は、アメリカの戦闘機を含めた、アフガニスタンの上空を飛んでいる例えば飛行機に対するそういう脅威は本当に今も除去されないままあるんですか。これは、防衛庁長官、どういう認識なんですか。そこをちゃんとやはり詳しく説明していただかないといけませんよ。ちゃんと示してください、根拠も。
中谷国務大臣 そもそも、昨年九月のテロ自体が新たな脅威の一形態でありまして、従来のように、たくさんの飛行機が来たり、地上兵力が上陸したりというような状況ではなくて、少人数の、また民間人を装った者が大量に被害を及ぼすテロを引き起こすということでございます。
 そういうことから判断しますと、海域におきましても海上テロの危険性もございますし、地上においても同種のテロが引き起こされる危険性もある。それにいかに備えるかというと、これは、国際社会が協力をして、軍事のみならず、経済においても、また情報においても、いろいろなシステムを使ってこのテロの情報を察知してそれに対応する。
 すなわち、現時点においてもアルカイダとかその他の支援組織があるわけでありますので、そういった組織が活動できないように監視をして阻止をするという活動でございますので、従来のような制空権、制海権という発想ではなくて、このテロ行為自体を撲滅するという観点でありまして、そういう意味では、引き続き国際社会のこの共同行動というものを続けていく、それによってテロの発生を防ぐという活動が必要であると考えております。
川口国務大臣 防衛庁長官にちょっと補足をさせていただきますと、私どもの在外公館からの情報によりますと、米英軍の対アルカーイダ攻撃が今引き続きアフガニスタンで行われているわけですけれども、その中で、五月一月をとっても、アルカーイダ及びタリバーン、この残存勢力による米英軍への攻撃、ロケット砲攻撃が八回行われたということでございまして、また、五月の十二日にカンダハールの北部で、アメリカの特殊部隊がアルカーイダの隠れ家を捜索していましたところ、交戦をする、攻撃を受けてということでございまして、したがって脅威はまだあるということです。
安住委員 いやいや、そんなことを私は聞いているんじゃないんですよ。防衛庁長官、ちょっと丁寧な議論をしましょう。だから必要なんだという結論にまで導かないでほしいんですよ、私はそんなこと聞いてないですから。
 つまり、あの時点と比べて、この七カ月の、今の、つまりアイ・エヌ・ジーの状況の中で、米軍を初めとする部隊はかなり、アフガニスタンのカンダハルを含めて中心部を非常制圧をしていって、山岳地帯で今一部残っていにるという状況なんじゃないですかということですよ。
 そういう中で、海を含めて、テロの攻撃のことを言っているんじゃないですよ、その危険性、つまり制海権、制空権、何も領土進出戦争を、軍が進出していってそれを支配しているということを僕は言っているんじゃないですよ。現実の世界の中で、そこは、アメリカを中心とした作戦も、空爆も効果はあってかなり前進したんじゃないですかということを聞いているんですよ。いかがですか。
中谷国務大臣 その脅威が除去されたと聞かれれば、除去されてないわけでありまして、各地には逃走をしている勢力が残っております。それから、そういった勢力が再結集をして、米軍や暫定政権等を攻撃しようとする意思も能力も残されておりまして、総合的に判断をいたしますと、依然として危険な存在でありますし、そういったことをする能力をも持っているというふうに考えます。
安住委員 いや、余りそういう話をしていくと、本当に反論したくなるんですよ。
 では、今言った、意思や能力が残されているというのは、どういう情報で判断しているんですか。防衛庁は、そういう判断をなされるぐらい立派に情報を持っていて、みずからアフガニスタンの奥地まで行ってそういう情報をちゃんと収集して私にしゃべっているんですか。いかがなんですか。根拠を教えてください。
中谷国務大臣 この点につきましては、現在のアフガニスタン情勢、また、米軍の関係につきましては日米調整委員会で米側からの話を聞いて、総合的に判断をしたわけでございます。
安住委員 それじゃ、米軍に教えてもらってそういうふうに言っているだけで、断定的な言い方はできないじゃないですか。ちゃんとクレジットをつけなきゃだめですよ、米軍の情報ではこうだと。
 つまり、私が申し上げているのは、延長をするに当たってのきちっとした国民に対する説明義務ですよ、それがないと、やはり理解は得られないと私は思いますよ。なぜかと。ここはちょっと長官ともう一回、この法律の原点についてやはり考えないといけないと思うんですよ。それは、私も説明受けました。アメリカを含めて、かなり多くの国がまだこのオペレーションに参加していることは事実です。
 しかし、長官、これは防衛庁長官じゃないですよ、福田長官に私は話をしますけれども、それは、各国ともいろいろな、みずからの国の条約や法律に基づいて派遣をしているんですよ。だから、我が国は、ほかがいるから我が国もいるという理屈には絶対ならないはずですよね。まずそれを確認しますよ。そうでしょう。
福田国務大臣 我が国は我が国としての立場での判断というものは、これは当然なされなければいけませんね。ですから、そういう判断をどうしてなされるかといえば、あらゆる情報、外交的な情報、それから軍関係の情報とか、さまざまなチャンネルがございますから、そういう情報を総合して、さらに日米の調整委員会でもって具体的な、内容的な話をしている、こういうことで、総合的な判断ということではないかと思います。
安住委員 この法律はもともと、九月十一日に起きたテロに対する国際社会の取り組みに対する支援であります。そういうことですね。だからこそそれは、我々の国では現行憲法上においてのさまざまな制約があるので、あのときの話は私はもうぶり返しません、私もいろいろな苦い思い出もありますから。しかし、一つ言えることは、あのときのテロの除去ということに対する主体的な判断をするのは、まさに政治だったわけです。
 ですから、そういうことからいうと、今我が党の伊藤委員が質問していたのは、つまり、結論から申し上げますと、アフガニスタンの国内におけるテロの脅威が本当に事実上除去をされたのかされないのか。また今、アメリカのジョン・F・ケネディ航空母艦を中心とする空母群がいて、キティーホークやセオドア・ルーズベルト航空母艦はもう帰ってきた。
 つまり、そういういわば戦線の縮小というか、アメリカ軍的にはもう機動部隊を一つにしたという状況を総合的に勘案したときに、本当に延長があっていいのかどうかということを、少なくとも閣僚同士がかんかんがくがくやったり、議論をして話し合ったという形跡が全くないことが問題になっていると私は思うんですよ。官僚がそれを言って、アメリカがそう言ってきたから追随してこうですという、私は、そういうふうにしか見えないからこの延長に対してちょっと疑問を持っているんですよ。
 本当に閣僚同士でそういう情勢の分析、なさいましたか。私は聞いたことないですよ、そんなことをやったというのは。いかがですか。
福田国務大臣 この決定に当たりましては、最終決定は昨日の安全保障会議、けさの閣議、こういうことでありますけれども、それに至る過程においていろいろな議論はしてきておるわけでございます。ですから、そういう議論の積み重ねの結果の安全保障会議であり閣議であり、そういうプロセスを経て来ているものでございまして、今おっしゃるような、議論なくしてということでは全くございません。
安住委員 私は、そうだとは思いません。
 なぜかというと、この七カ月間におけるオペレーションによって、結果としてどういうふうな成果が得られて、そして我が国としての貢献がどういうふうになったのかということを、そうであればきちっと国民の前に、紙でも何でもきちっと明らかにすべきじゃないですか。今の話を聞いたらば、結局最後は、必要だ必要だ、とにかく必要だから延長するんだと。
 私はちゃんと、この戦域の中でのオペレーションの中で具体的に、アルカーイダもほとんどせん滅状態になって、やはりそういう中では脅威がかなり減っているということは、これは認めないといけないと思いますよ。そうでなかったらオペレーションを何のためにやってきたんだという話になりますから。そういうことをきちっとわかる形で議論をしたとは私は思えないんですね。
 私のところにも防衛庁も説明しに来てくれましたけれども、結局、資料を見ると、参加国が七十カ国に及んでいる、艦艇はもう二十一カ国も出しています、だからやりますとしかむしろとれないわけですよ。日本の役所が持っている伝統的な最もあしき横並び主義で、どこも引かないし、まあとにかくアメリカの言うことだから、ここはとにかく、とりあえず延長するということが当たり前のような議論でやってきたんじゃないですか。私は、それに対して非常に反省を求めたいと思っているんですよ、長官。いかがですか。
福田国務大臣 今までの活動の実績がどうこうというのを定量的に申し上げることはなかなか難しいと思いますね。もしそういうふうに申し上げるのであれば、どれだけの活動をしたかということを、艦船の補給の数と物資の量とか、そういったようなことになろうかと思います。
 ただ、今申し上げたいのは、そういうような実績もさることながら、今現在どうなっているかというアフガニスタンの状況、そして、それに対する国際社会の取り組みが今なお行われているということですね。そしてまた、テロの脅威の撲滅というか根絶ということがその法律の目標であり、かつ活動の中心であるわけでございますから、それが今継続の最中であるということですね。
 したがいまして、横並びといえばそれは横並びというふうに言えないわけではないかもしれぬけれども、国際社会の中で活動する場合には横並びも大事なときもある、こういうように申し上げたいと思います。
安住委員 いや、これは長官、失言になるかもしれないですよ。それはおかしいですよ。だから私は言ったじゃないですか。議論の前に、我が国は我が国の独自の判断でこの法律をつくりましたねと。制約された法律の中で決めたんですから、そうですよね。
 それは、軍事オペレーションの中で減らしたりふやしたりというのは、私はあってしかるべきだと思いますよ。だけれども、今度のことで言うと、それは、何といいますか、オペレーションの質もかなり実はもう変わってきているということもあるわけですよ。アフガニスタンの国内におけるこのアメリカ軍を中心としたオペレーションは、当初に比べたらかなり変わってきました。地域もかなり限定された山岳地帯の中での掃討作戦ということですよね。そういう中にあって、横並びといえば横並びという発想では、やはりそれは不適切な発言だと私は思いますよ。
 我が国が独自の判断で、本当に必要なものかどうかということを国民の皆さんにきちっと説明し得なければ、延長というのは本当はやっちゃいけないということになっちゃいますよ。いかがですか。
福田国務大臣 数の面においては、敵の攻撃能力が全般的にある程度低下しているということは認めていいと思います。事実そうだと思います。私も詳しく承知しているわけじゃございませんけれども、防衛庁長官の方から答弁があったことでございますけれども。
 しかし、敵が小規模な集団になったということは、これは小規模で拡散をしている、そういう側面もございますので、そういうことに対して作戦を実行するというのは、これはなかなか人手も要ることだし、また、物量作戦という面も多くなっているのではなかろうか、こういうふうに思います。
 ですから、そういうことを総合的に判断してこの継続ということをお願い申し上げている次第でございます。
安住委員 まあ、このことで押し問答しても仕方がない。何でかというと、考え方がどうも違うんじゃないかなと。
 長官、やはりあのときのことをもう一回考えますと、戦時下の海外に、少なくともその戦闘の行われている周辺地域やそれに参加をしている海外の外国の部隊に対して、結果的に協力というか支援活動をする、テロ撲滅のためのオペレーションをやっているものに対して。
 ということは、平たく言いますと、戦時下の外国に初めて自衛隊を出すという、これはやはり歴史的な私は出来事だったと思うんです。そうでしょう。だからこそやはり、文民統制といいますか、それをしっかりやらないといけないのであって、国民の皆さんの納得のない限りテロの撲滅はできないんですから。そういう点からいいますと、私は、延長するための根拠というものをもっと明確に示してほしかったということなんです。
 そこで、法制局長官、お待たせして恐縮でした。伊藤委員の質問のところですけれども、それを引き続きますと、今の話でも、やはり延長するときには、私は、これはしっかりとした国会の承認というのを求めないといけないと思うんですよ、国会の承認。これ、報告で済ませて本当に私はいいんだろうかという非常に疑問を持っております。今回、報告で済ませるということに対する法的な根拠をお示しいただけますか。
津野政府特別補佐人 今回の国会承認の関係のことの法律的なお答えをさせていただきますと、このテロ対策特別措置法の第五条第一項によります国会承認と申しますのは、基本計画により定められました自衛隊の部隊等が実施いたします協力支援活動、あるいは捜索救助活動、または被災民救援活動の実施について求めなければならないというふうに定められているわけでございます。そこで、当該承認は、これらの対応措置の実施の可否を対象として行われるものと解されるわけでございます。
 したがいまして、当該承認の対象となる対応措置の同一性が保たれないような変更が行われる場合には、新たに国会の承認を求めることが必要となりますが、従前の対応措置と同一性があると考えられる範囲における変更につきましては、これは新たに国会の承認を求める必要はないものというふうに解されるわけでございます。
 なお、このことは、法第十一条第一号が、基本計画の変更について国会への報告を定めておりますけれども、これは、基本計画を変更した場合におきましても国会承認を必要としない場合があるということを当然の前提としているというふうに考えられるわけでございます。
安住委員 長官、まだちょっといてください、すぐ答弁してもらいますから。
 実施の可否のことだけれども、期限の変更というのは、同一性の保持という点からいうと、期限の変更は同一性から外れますよね、今回。それはいかがですか。
津野政府特別補佐人 これは、先ほど申しましたように、これらの対応措置の実施の可否を対象として行われているというふうに解されるわけでございますので、同じ内容のものを単純に延長するということでございますから、そこのところは同一性は変わらないというふうに考えております。
安住委員 長官、そういう判断で内閣としては、今回は報告で済ませるということですか。
福田国務大臣 ただいま法制局長官がお答えしたとおりであります。ただ、この法律は二年間という期限が区切ってあるわけですね。ですから、これを超えることはできないわけであります。
安住委員 いや、そんなのはわかっていますよ。だけれども、二年間はずぶずぶと、同一性があれば計画だけで、つまり、国会の承認を得ないままこれをずっと報告で延々とやっていくという話になったら、これはおかしいんじゃないですか。
 私は、法律の趣旨からいうと、ちょっとえらい拡大解釈しているなと思うんですけれども、いかがですか。
福田国務大臣 これは、この法案を御審議いただいたときに何度もお話をしたところだと思います。(発言する者あり)期限の問題もしております。我々の考え方としては、このことについては、法律の趣旨という点から考えましても、二年間の限度においては、期間の延長ということは、これは報告でよろしいという判断をしております。
安住委員 いや、だけれども、やっぱり、期間を延長してやるということは、実は、今私が申し上げたように、例えばアフガニスタンでの状況をどう判断するかに非常に起因するわけですよ。そのときに期間をどれだけ延長していくかという問題は、実は極めて政治的に重要な話であって、それが結局自衛隊の派遣を長引かせるということになれば、それは結果として、長官、国会にちゃんと承認求めたっていいじゃないですか。やはり、そういうふうにやった方が私は国民には映りはいいと思いますよ。いかがですか。
福田国務大臣 ですから、二年を超えるような事態が生じた場合には、これはまたその段階でいろいろな、その国会……(安住委員「違うんですよ。二年で法律は終わるんだから、それは承認じゃないです」と呼ぶ)
 わかりました。テロの根絶というそういう趣旨の、その趣旨を全うするために必要とされるかもしれぬという期間として二年間をお願いしたわけでございまして、そういう趣旨が変わらないという、そういう限りにおいては、この期間の延長というのは、今回六カ月というふうにお願いしましたけれども、それは許されるものであるというふうに考えております。
安住委員 次の質問がありますけれども、同一性を維持するということで、期間を半年とか一年というものを延長するのに、同一性があるから報告でいいという考え方は、民主党は反対です。
 これはちゃんと国会承認をきちっとやる。でないと、また行く自衛官の皆さんに、私は、逆に、正当性をちゃんと持たせて行かせてあげるためにも、これはあのときの議論にもありました、国会の承認をしっかり受けてやはり行った方がいいと思いますよ。
 長官、国会で、疑念を持たれるんだけれども、報告でいいからいいから君ら行けと言うよりは、承認を受けたからしっかり行きなさいと言うのがあなたの仕事じゃないですか。いかがですか。
中谷国務大臣 官房長官のお話ししたとおりでございますが、我々の認識といたしましては、今から七カ月前に出発した当時に、国民や国会の皆さんから御承認をいただいて活動を始めた時点と同じ認識でございます。
 もう一度説明させていただきますけれども、アフガニスタンの情勢等につきましては、現にまだ残存兵力が残っておりますし、三月にはアナコンダ作戦という約二千人から成る地上部隊の投入と、アメリカとフランスによる空爆の活動がありました。また、四月以降も、マウンテン・ライオン作戦と申しておりますが、イギリスの海兵隊約千七百名が増派をされまして、テロ組織撲滅のためのさらなる戦いが行われておりますし、その海域においてもたくさんの艦船が残っておりますが、どの国も、一つの国とも、それを撤収してなくしたという国はございません。今そういう状況が依然として続いているというのが国際社会の感覚でございます。
安住委員 いや、だから、そういう横並びの議論をしているんじゃなくて、もうちょっと細かい議論でやっていきましょうと言っているんじゃないですか。だめですよ、そんな木で鼻をくくったような答弁をして。私は、そんなことは聞いてないですから。出すことに対してきちっと国会承認を求めるかどうかという質問をしたんですからね。ですから、これは委員長、ちょっと注意してください、本当に。ちゃんと、やはり聞かれたことにだけ誠実に答えていただければ結構ですから。
 ところで、川口外務大臣、ちょっとお伺いしますが、アフガニスタンの国内は今戦闘が中心ですか、それとも復興が中心ですか、どういうふうにお考えですか。
川口国務大臣 今の御質問にストレートにお答えしますと、いろいろなものが今併存しているということだろうと思います。戦闘も、私がおりました五月の初めには、マザリシャリフの近くでは戦闘が行われておりました。それから、さらに地域で、地方の軍閥といいましょうか、それぞれの兵力を持った勢力が争っている、あるいはその力を伸ばそうとしている。それから、カブールを中心にして、そこでは復興が行われていて、ロヤ・ジルガをめぐって、今まさに、戦争から復興へという過程で進んでいるということだと思います。
安住委員 しかし、新政府ができまして、やはり復興を中心としてやっていくというふうな局面に移ったと私は思うんです。全土が戦闘状態に入っているわけでもないし。
 そういう中で、私は、日本の外交が本当にこのアフガンの復興に対してどれほどサポートできるか。テロの除去も大事ですけれども、日本はこれからそっちにいわば軸足を置いていく、私は、スタンスがそっちに実はいかないといけない時期に来ているんじゃないかと思うんです。(発言する者あり)いや、テロの除去なんか日本なんかできないんだから、どうせ。お手伝いしているだけだから。
 むしろそっちを一生懸命やった方が、私は、これからアフガニスタンで、私もアフガニスタンには行ったことはありません。しかし、本当にあの厳冬の中で、靴のないはだしの子供たちが氷点下十度、二十度のところで走り回って凍傷にもなっている。靴を履かせてあげれば随分寒さはしのげる。そういうことに対して、どういうふうにサポートするんですか。そういうことを一生懸命やるのがあなたの仕事じゃないですか。
川口国務大臣 アフガニスタンを民主的な国家に戻していくという国際的な努力というのには、私は今三つのことを同時にやることが必要だと思っています。
 一つは、まさにロヤ・ジルガが六月の初めに開かれようとしていますけれども、政治的なプロセスをつくっていくこと。
 それから、非常に重要なのが治安でございまして、これは先ほど申しましたので繰り返しませんが、大変に重要。特に、それぞれの武器を持った元兵士が武器を持ったままいますので、これをどうするか、地方の軍閥をどうするかという問題があります。
 それから三つ目の柱が、今委員がおっしゃった、経済の復興、学校をよくする。窓のない学校で授業を受けている子供たちがいるということをどうするかという、この三つを日本としては力を入れてやっていきたいということでございます。それぞれにそれなりの資金を使ってやっていくことが必要だと思います。
安住委員 ぜひこのアフガンの復興についてのイニシアチブをとってください。強く要請をしておきます。
 ところで、アメリカに目を転じますと、この連休中のアメリカのニュースを見ても、どうしても各社の世論調査がだあっと出ているんですね、中間選挙も控えて。しかし同時に、アメリカでは各社とも、報道機関の皆さんが世論調査をしますと必ず、福田長官、最初に聞くのは何だと思いますか、今。イラクの空爆に対してイエスかノーかなんですよ。
 私は、やはり私たちが思っている以上に、これからの中間選挙を含めたアメリカの政治的なプログラムの中には、一つオプションとして、アメリカの国民の皆さんもそうだし、ホワイトハウスも含めていろいろな議論が起きている、その証左なんだろうなと思うんですね。
 そこで、外務大臣、アメリカがイラクを空爆する可能性というのは、あり得るんでしょうか、ないんでしょうか。
 また、長官、これは確認ですけれども、仮にそういう事態があっても、起こった形態によるというふうに長官は言うかもしれないけれども、これは言質をとったりはしませんけれども、このテロ特措法における派遣というものを、イラクの空爆をアメリカを中心とする部隊が仮にやったとした場合に、それに対してはこの法案では対応は無理ですよね。これは確認をしておきたいと思います。お二人、どうぞ。
川口国務大臣 イラクに対する空爆の問題でございますけれども、これは、大統領が悪の枢軸と言うところにイラクを含めて、特に非常に話題になっています。国際社会として、イラクが行っている大量破壊兵器の開発については、そしてそれについて査察を受けないということについては、非常に懸念を持っているわけです。
 二月にパウエル国務長官が来ましたときにこの話が出まして、アメリカは、すべての選択肢を排除したわけではないけれども、平和的に問題を解決したいと思っている、外交交渉というのが大事だと思っている、ということを言っておりました。
 したがいまして、御質問の、これが起こりそうかどうかということについては、これは仮定のお話でございますので、直接にお答えを申し上げることはできないと思います。(安住委員「否定はしませんね」と呼ぶ)
 繰り返しになりますが、すべての選択肢を排除していないけれども、平和的に解決をしたいということがアメリカの立場だと私は考えております。
安住委員 あなたも否定はしていませんね。
福田国務大臣 特定の国に対して軍事行動をとるということを予断して我が国としての支援のあり方をお答えする、これは適当でないというのは、これはもう先ほども答弁したんですけれども。
 その上で申し上げて、テロ対策特措法に基づく協力支援活動について、一般論になりますけれども、あえて申し上げれば、この活動は、昨年の九月十一日のテロ攻撃によってもたらされた脅威の除去に努める、こういうことでございまして、国連憲章の目的の達成に寄与する諸外国の軍隊等に対して行うものでありまして、今後の協力支援活動のあり方等については、かかる原則に基づいて我が国として主体的に判断していく、こういうことになります。(安住委員「だから、イラクはもう無理ですね」と呼ぶ)
 ですから、一般論として私申し上げたので、特定の国を指して申し上げるのは適切でない、こういうふうに申し上げております。
安住委員 極めて難しい話だと思いますけれども。まあ、無理だと言っても私は差し支えないと思います。
 私が心配しているのは、もしアメリカが何かを言ったときに、ノーと言えない今のこの体制、体質というのを私はやはりひどく感じちゃうんですよ。ですから、いろいろなことを理由をつけて、ぎりぎりそのときにでもやっちゃうんじゃないかという疑問を持っている国民はいると思いますよ。
 中谷長官、やはりこの法律に基づいたら、イラクを仮にアメリカが空爆したときに、それをサポートするということはできませんよね。確認をさせてください。
 それから、イージス艦の派遣については、念押しさせてもらいますけれども、ないですね。これも二つ、確認します。
中谷国務大臣 イージス艦の派遣につきましては、現在予定をいたしておりません。
 それから、イラク攻撃につきましては、官房長官もお話ししたとおりでございます。その時点で国際社会がどのように評価をするのか、現時点におきましては、イラクに対する制裁を一部解除したというニュースもございますが、その時点の国際情勢、また国連等の背景等もございますので、現時点でのお話は控えさせていただきたいと思います。
安住委員 長官、失礼ですけれども、あなた、この法律のことわかっているんですか。ちゃんと読みたくなる。九月十一日に起きたテロに対する支援なんですよ、これは。国際情勢を考えながらイラクの空爆なんて、そんなばかなことを言ったら大変な話になりますよ。違うでしょう、今の。訂正してくださいよ。何をおっしゃっているんですか。
中谷国務大臣 今までの議論の経緯の延長の話でございます。この法律の趣旨にのっとった観点での国際情勢を踏まえての判断でございます。
安住委員 それならそれでちゃんと答えないとだめです。今の答弁は、私は認めません。
 イラクでの空爆等々の事態が起きたときは、この法律での対処というのは難しいということは、法制局長官、答弁できますか、これは一言で。できないと答弁できますか。
津野政府特別補佐人 イラクに対して米国が武力行使をした場合、それでこのテロ特措法との関係はどうかというようなことだと存じますが、テロ対策特別措置法は、昨年九月十一日に米国において発生しましたテロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めることにより国連憲章の目的の達成に寄与する諸外国の軍隊等の活動に対しまして我が国が実施する対応措置等を定めることを目的とする法律でございます。
 我が国が同法に基づく協力支援活動等を実施することができる諸外国の軍隊等の活動は、昨年九月十一日に発生したテロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めるものであり、かつ、国連憲章の目的の達成に寄与するものであるという要件を満たしているものでなければならないわけであります。
 お尋ねの、今米国がイラクに対する武力攻撃をした場合に、我が国がテロ対策特別措置法に基づいて米軍に対する協力支援活動等を実施することができるかどうかは、これは先ほど言いましたような米軍の活動が同法の要件を満たしているか否かによるところ、その判断につきましては具体的な事実関係に基づいて判断すべきものであるというふうに考えております。
安住委員 やはりそれはそうなんですよ。全くそうで、つまり、イラクは国連のあれじゃないんですよ。いいですか、イラクはまだ査察なんですからね。査察ということは、まだ国連の決議も何も決まってないんですからね。大体、要件を満たしていないんですよ。まして九月十一日の関係にはないんだから。それは念を押しておきます。
 そこで、長官、北朝鮮の船籍と思われる不審船の引き揚げについては、政府はもう引き揚げるという決断をなさったんですか、なさらなかったんですか。
福田国務大臣 今回の不審船の事件につきましては、関係当局において捜査を進めております。引き続き事実関係の解明に向けて全力を尽くしておるところでございます。
 その一環として、二月下旬から水中カメラによる調査に引き続きまして、今月の一日から八日間、潜水士及び潜水艇により、沈没している不審船の船体の外観調査及び証拠物件の回収を実施いたしました。現在、今回の調査結果の詳細な分析を実施いたしまして、船体の引き揚げが技術的に可能かどうかなどについて検討中であると承知しておりまして、その上で最終的な判断をすることになっております。
 なお、申し上げれば、現場は我が国が事実上中国の排他的経済水域として扱っている、そういう地域でございますので、中国とも調整を図りつつ、適切に対処してまいりたいというように考えております。
安住委員 終わりますが、最後は本当は政治的な決断であって、技術的な決断でないことはわかっているんですから、国家としてちゃんとこの引き揚げをするよう強く求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
二田委員長 次に、東祥三君。
東(祥)委員 東祥三でございます。
 先ほど防衛庁長官から御報告がございました。御報告に関して若干質問させていただきたいのですが、一つは、「現在、アフガニスタンでは、このような作戦のため約七千人の米軍が活動している」、そういう御報告がありました。これは、軍事活動を展開されてから相当の月日がたつんですが、兵力は増強されているんですか。
 ある情報を読みますと、ことしの二月の段階では約四千名、そういうのが出ている。それが七千名となっているのは兵力が増強されているのかどうなのか、この点について御説明願いたいと思います。
中谷国務大臣 米軍の地上部隊の数でありますけれども、二月は大体五千人以下でございました。ところが、三月になりますと、下旬に七千人に増強されまして、現時点におきましても七千人ということでございます。
東(祥)委員 それを踏まえた上で防衛庁長官に質問させていただきますが、まず、我が党はこの特措法に対しては、そもそも極めて場当たり的だということで反対をさせていただきました。しかし、現在、護衛艦並びに補給艦において一生懸命現場で活動されている自衛隊の方々に対しては、心から敬意を表したい。
 その上で、改めて日本政府の物の基本的な考え方、このことについて御質問させていただきたいというふうに思うわけですが、この特措法の目的においても、「我が国が国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に積極的かつ主体的に寄与する」、このように規定されている。それに基づいて自衛艦を派遣しているわけでありますけれども、基本的に、今同僚議員が質問させていただいている本質的なところは何かといえば、あくまでもテロ根絶のために日本政府としても主体的に、積極的に頑張っている。そのやり方としては、あくまでも、補給艦を派遣することによって、軍事行動に参加している他の国際社会の部隊に対してその支援活動を行う。
 そうすると、この目的であるテロ根絶のためのピリオドが打たれるまでこれを続けなくちゃいけない、そういう話ですよね。いかがですか。
中谷国務大臣 法の趣旨は、九月十一日のテロ等に対する、テロの脅威を除去しようとしている国際連合の目的に寄与する軍隊に対する支援でございます。我が国としてこれに参加をするということは、政府としての決定でございますが、この、テロを根絶していこうという我が国の意思を我が国の姿勢として発揮するものでございまして、このような脅威が除去するまで続けられるということがその考え方だと私は理解をいたしております。
東(祥)委員 防衛庁長官、防衛庁長官ですから、当然軍事オペレーションに関して極めて関心が高いものをお持ちだと思います。
 多分、これは推量でありますけれども、ブッシュ大統領が米軍をアフガニスタンに派遣させるに当たって明快な目標を与えたんだろうと思います。それは、オサマ・ビンラーディン並びにオマル、そしてまたアルカイーダ、これがまさにテロの温床だ、これをせん滅せよということなんでしょう。また、その目的を持った形での活動が展開されている。日本政府として、米軍が、米国がこのテロの問題に対しての軍事行動を展開するに当たってのその目的、それを日本政府もまた共有しているんだろうというふうに思います。
 したがって、先ほど法制局長官もお話ありました、この特措法の趣旨から照らしたとしても、テロのまさに温床となっている部分を根絶させていくために、日本は日本の枠組みの中で積極的に、主体的に活動していく。その積極的、主体的に活動していくということはどういうことかといえば、それは補給艦を派遣する、そういうことでしょう。
 であるとするならば、その大目的が達成し得るまで、つまり、米国がここまでやった、これで根絶できたというところまで基本的に日本はやり続ける、そういう話になってきますよね。いかがですか。
 だから、別の言葉で言えば、防衛庁長官は、自衛艦を派遣するに当たって乗組員の方々に何を言ったんですか。何をやってこいと言ったんですか。それがない限り、これがまさに政治的な決断なんですよ。シビリアンコントロールと言われる本質はそこにあるわけですよ。あなた方の目途はこういうことだ、大目的はこういうことだ、それをやり続けろと、やめるかやめないかというのは、それは政治的な判断があるわけでありますから。基本的にはそういうことなんじゃないですかと。いかがですか。
中谷国務大臣 私が部隊に言ったことは、このテロ特措法の趣旨に基づいて、そのテロを撲滅しようとする国際社会の中で主体的、積極的に支援を行うということでございます。
 いつまで続けるのかということでございますが、一般論として申し上げれば、先般のテロ攻撃を行った者などによる同様の攻撃が、再発をする蓋然性が高い状態が継続をしていると認められなくなった場合に、この法律に言う脅威が除去されたと認められる対応措置を終了させることとなることと考えておりまして、そのような状況が認められなくなるまで続けていくべきだというふうに思います。
東(祥)委員 だから、私が言っていることと同じことでしょうと。
 つまり、日本自体は主体的に、積極的にと言っているんですけれども、行っている活動は、ある意味で国際社会の諸部隊が活動している限りにおいて、それは今おっしゃられる、テロの脅威が除去されているという状況じゃないわけですから、したがって、それは日本国政府として判断できない問題であって、そこに参加している国々が十分テロの温床をたたいた、根絶した、そのときに初めて日本が主体的、積極的に、撤収する、撤収しないを含めた上で判断することができるということなんだろうと思います。まあ、これは幾ら続けていてもしようがないので。
 もう一つ、この報告を聞いていて、米国から感謝される、ブッシュ大統領から感謝される、違うんじゃないですか。日本国が、米国に対して感謝しなくちゃいけないんじゃないですか。
 それは、防衛庁長官、今回のテロ特措法に基づいて、官僚の皆さん方が、米軍あるいはまた他の軍隊との折衝において大変苦労したんだろうというふうに僕は思います。本来ならば、軍事オペレーションというのを考える場合、その海域までちゃんと入っていって、他国の軍隊が動いているところまで入っていって、そして補給してあげなくちゃいけないんですよ。ところが、日本の場合は、へ理屈に基づいてつくり上げためちゃくちゃな法律、日本だけにしか通用しない論理、それに基づいて、どうか米軍の皆さん、下におりてきてください、そこまで入っちゃうと国会においてずたずたにされてしまいます、この法律それ自体が機能しなくなりますと。
 そういう意味においては、あなた方が言っている、主体的、積極的に行う行動をなさしめてもらっているのは米軍のおかげなんじゃないですか。米軍に対して、感謝して、私たちの活動に協力していただいてありがとうございますということを言わなくちゃいけないんですよ。逆に、防衛庁長官初め、外務省もそうでありますけれども、また総理大臣もそうですけれども、自分たちが積極的に、主体的にやっていることに対して、米軍から感謝されることに対して、恥ずかしがらなくちゃいけないんじゃないですか。
 あるいはまた、別の角度から見るならば、官僚が、こういう交渉というのはもう嫌だと思っているはずですよ。よくぞ米軍の艦隊は、日本のある意味ではわがまま、しかし、日本はけなげにも一生懸命こちらに近寄ってきてくれている、その気持ちはちゃんとわかってあげようということですよ。これが世界の実態ですって。イギリスにおいても、あるいはまた米国の方々とお話しさせていただいて、本音で話をさせていただければ、まさにこの部分が出てくるわけですよ。この点に関して、長官、いかがお考えですか。
中谷国務大臣 いずれの国も、参加する、しないは主体的に行っているわけでありまして、感謝する、しないというのも一つのバロメーターでございますが、ともに協力をしながら行うという認識で、それぞれの立場でなし得る限りの努力を行っていくという気持ちで活動をすることが大切であるというふうに考えております。
東(祥)委員 それは表面的な話であって、防衛庁長官あるいは外務大臣、外務大臣は外交のところをやらなくちゃいけないわけですが、つまり、そこで、現場で働いてくださっている方々に明確な目標を与えてあげて、そして、それに基づいて動かしてあげるというのが政治家の役割だということを申し上げておきたいというふうに思います。
 さて、これからのテロの問題に対して考えなければならないことは、これは米国の認識を私も共有するんですが、いわゆるテロ行動というものが大量破壊兵器と結びついたときに、それをどうするのかということが最大の直近の脅威なんだろうというふうに思います。
 日本においては、近隣に北朝鮮という国がある。ミサイル百発は持っているだろうというふうに言われている。生物兵器、化学兵器を持っているとも言われている。それと大量破壊兵器が結びついたときに、どのようなことになるのか。当然、別の委員会において、特別委員会において、いわゆる有事法制関連三法案において議論されていると思います。ここはまさにテロ特措法の問題でありますから、テロと大量破壊兵器とのリンクの問題、この問題について、まず防衛庁長官、どのようにお考えですか。
中谷国務大臣 NBCテロが我が国で発生したときの対処の要領でございますか。
東(祥)委員 違う。NBCと、つまり大量破壊兵器とリンクしたものがもし起こるということになるとするならば、それが最大の脅威ではないのかと、認識を問うているのです。
中谷国務大臣 そういう事態も起こり得るわけでございまして、現状の法体系の中で最善の努力を尽くすわけでありますが、現状におきましては、自衛隊法八十三条の災害派遣の規定に基づき、取り急ぎ、自衛隊の化学部隊、衛生部隊を中心として所要の活動を行うわけでございます。その状況を見つつ、政府としてそれ以上の判断を行うことになろうかというふうに考えます。
東(祥)委員 防衛庁長官はいい人ですから先走って言ってくださっておりますけれども、基本的に、今やっているオペレーションの延長線上に来るものはテロの根絶でありますから、したがって、既にアメリカの上院の公聴会においても、イラクが長年にわたってテロに対して支援活動をしてきた、こういう報告もなされています。イラクがなぜ怖いのかといえば、大量破壊兵器を持っているからであります。したがって、それとテロ行動が結びついたときにどうなるのか。
 僕はかつて、議員になる前は、ちょうどトルコ共和国にいました。イラ・イラ戦争の末期です。そこで、イラン、イラクからクルド人を扱っていたわけです。生物化学兵器でやられてしまった人もこの目で僕は見ているんですよ。したがって、そういう生物化学兵器も当然持っている、このように考える。そして、もしそういうことが行われるようなことになるならば、あるいはまた、近隣諸国に対して人道的な視点から考えたとしても、そのような事態になるとするならば、米軍は必ず攻撃する、このように私は見ているんです。
 したがって、その考え方それ自体は、今までここずっと議論してきている、日本の政治として、日本の政府のスタンスとして、当然そういう事態を想定した形でもって考えておかなくちゃいけない。しかし、米国が言っているその認識というのは、大量破壊兵器とそしてテロ、これが結びついたとき、これがまさに最大の脅威である、そういう認識なんですよ。日本としてもその認識を共有しているんですか、どうなんですかということを言っているわけです。日本のすごい情報網によって、そういうことはないんだということが言えるなら話は別ですよ。
 だから、これから起こるだろう、また、今行われているテロ根絶のための行動というものが、さらにある意味で進んでいかなくちゃいけないのだろうと思うんですが、根絶できるまでの間、そういう可能性があるということを認識しているのかどうなのかということをまず聞いているんですよ。いかがですか。
中谷国務大臣 我が国において、将来起こり得る脅威の一つだというふうに認識をいたしております。
東(祥)委員 それに対しての対処の仕方ということは、これから、まさに有事法制そのものの中で議論されなければならないわけでありますが、今特別委員会において議論されている中身を見る限り、全くその辺の配慮はなされていない、このように僕は認識しているんですが、防衛庁長官、いかがですか。
中谷国務大臣 この対処等につきましては、そのような脅威が言われ始めてから、防衛庁としても研究と検討と対処を行っておりますし、防衛庁のみならず、ほかの機関におきましてもその対策をいたしているということでございます。
東(祥)委員 防衛庁長官、本来、有事法制で出してこなくちゃいけなかったものは、僕が言っているあのいわゆる穴掘り法案じゃなくて、いわゆるミサイルが飛んでくる、またミサイルが飛ぶ前、あるいはまた、飛ぶ意思を他国があるいは国に準ずる組織が計画的に意図しようとしているときに、それをたたけるという形に自衛隊法を改正しなければいけないんだろうというふうに思っていますが、それは当然頭の中に入っていると思いますので、それは横に置いておいて。
 では、ところで、九月十一日のあの世界を変えた日と言われる大規模テロ、これがもし日本において起こったらどうなるのかということです。防衛庁長官、どうするんですか。どうしますか。
 つまり、具体的に申し上げますと、九月十一日にあの同時多発テロがアメリカで起こった。これに対して米国はどのような対応をしたかというと、まず民間航空機の離発着を、飛ぶことを禁止させるんですよ。大統領令でやるんですよ。日本でできますか。いかがですか。
二田委員長 これは答弁は。(東(祥)委員「官房長官なんでしょうね、総理大臣いないから」と呼ぶ)内閣官房長官。
福田国務大臣 これは、状況判断で行政命令は出すことはできるのではないかと思います。
東(祥)委員 今、有事法制で議論されているんでしょう。だから、その有事法制が、三関連法案が通ればできるのか、僕はそういう話をしているんですよ。できますか。いかがですか。
福田国務大臣 今回提案して今審議をいただいておりますいわゆる有事法制の中では、そういうような有事における全体的な枠組みを決めていただく、そしてまた、今申されましたような具体的なことについてこれから議論を進めていくということになります。ですから、この二年以内に法制整備をするというその中に入ってくると思います。
東(祥)委員 役に立たないという結論を言っているんですよね。できないと。でも、にもかかわらず、問題はまさにそこにあるわけですね。
 九月十一日に、だれも予想しなかった、全世界も予想しなかったことが起こったんですよ。当然あの問題は、米国に起こった問題のみならず、我が国に起こった問題のごとくとらえた上で、テロ及びそのテロの温床を根絶していくというすばらしい発言が総理大臣からあったんじゃないですか。九月からはや一年近く経過しておりながら、それに対して何も考えていない、これから考えていきます、そういう法体系になってしまっているところに、全く役に立たないと言われるゆえんがあるんですよ。それも、政治が決断していないから。
 私は、きょうは特別委員会じゃありませんから、また特別委員会で立つときにお話しさせていただこうと思っておりましたけれども、日本の政治が、いわゆる官邸を中心として有事法制をつくるに当たって、その作業を任される人に、どういう考え方のもとにこの有事法制をつくれと、そういう示唆が全くないんですよ。つまり、官僚に依存してしまっているというその姿が明らかになってしまっている。だから、全く魂のない、役に立たない、僕の言葉で言えば、四月の二十六日に本会議でお話をさせていただきましたけれども、支離滅裂だし、あいまいもこだし、さらにまたアナクロニズム、時代錯誤以外の何物でもない。
 現実に、九月十一日に、すべての人々が、全世界じゅうが注目しているあの問題に対して、それに対して、もし日本で起こったならば、どのような形でもってあれに対して対処することができるか。
 具体的な形で米国が、九月十一日の当日だったんでしょうか、民間航空機の離発着を停止させる。日本がそういうことをもしできないとするならば、どうなってしまうのか。第二次、第三次、同じような状況があってしまうのではないのか。その時点でもって、もう日本の国というのは機能していないんじゃないのか。そこがまさに問われるのが、備えあれば憂いなしという、そういうことなんじゃないですか。それに対して猛省を促したいと思いますが、いかがですか。
福田国務大臣 今の制度の中で、また法体系の中で、いろいろ不備なところはあるんだろうと思います。まさに、今回のテロ特措法、これを今それに基づいて実行している。ああいうこともそれまで考えたことのない新しい仕事でございますし、そういうようなことはこれからも次々と起こってくる可能性はあるんだろうと思います。
 そのときに、それを予知してということができればよろしいんですけれども、予知できないということもあろうかと思います。今現在でも不備なところもあるんだろうと思います。そういうところは、極力そういうことがないように法整備を進めていかなければいけない、または、いろいろな面における体制整備も進めていかなければいけないと思っております。
東(祥)委員 いや、それを官房長官、きょうテレビで放映されていませんからよかったんだろうというふうに思いますけれども、今のお話を聞いている限り、国民の生命だとか国民の財産を保護するだとか、そういう責任感が全然ないじゃないですか。
 米国は、米国ですら、ああいう事態というものを想定していなかった。しかし、その瞬間すぐ、大統領というのは二億数千万の国民の生命と財産を守らなくちゃいけないということで、そして民間航空機の離発着を禁止させるんですよ。どこにその法律があるのかと僕は多くの方々に聞きました。非常事態令が発布されるのは数日後ですから。それだけの覚悟をしない限り、国民の生命財産なんて守れるはずないじゃないですか。まして昨年の九月からことしの五月までこれだけの時間が経過しているにもかかわらず、これから考えていきます、どうしてそんなのうてんきなことを言っているんですか。それがまさにすべてに反映しているんだと思います。
 外務大臣、ぽっと話題を飛ばさせて申しわけありませんけれども、瀋陽の総領事館の問題だってそうでしょう。常に弛緩しているんですよ。それは、総領事館の人間あるいは大使、そういう問題ではなくて、外務大臣あるいはまた内閣、そういう非常事態が何が起こるかわからない、そういうことを日ごろからちゃんと考えていない。
 まして、僕は難民救済活動を国連でやっていましたから、あのときのああいう状況というのはよくわかるんですよ。しかし、そういう問題に関して日本政府は、九〇年以降、一貫して僕は質問させていただいているんですよ、日本の難民支援、難民認定、世界最低じゃないですか。もともと、政治亡命者を受け入れる、かつて孫文が日本において受け入れられたとおり、そういう土壌というのはいつの間にかなくなっちゃっているんですよ。
 今は法務省が管理して、できるだけ難民というのは認定しようとしない、帰ってもらおうと。阿南大使が言っていることが本当かどうかわかりませんけれども、あれは阿南大使が悪いだけじゃなくて、日本政府そのものが映し出されている表現ですよ。多くの方々はああいう表現を聞いたときに、阿南何するものぞ、総領事館の対応を見たときに、総領事館の副領事何するものぞ、みんなこういうふうにこぞって、その人間に責任転嫁していくけれども、日本政府そのものじゃないですか。
 今のお話を聞いても、九月十一日に現実のああいう悲惨な状況を見ていても、日本政府、最高指揮権者がそういうものに対して対処しようとしていない。それが如実に今回あらわれている有事法制関連法案を見れば、一目瞭然じゃないですか。二年以内に何とか考えていく、それほどめちゃくちゃな国になっているんですよ。外務大臣、いかがですか。
川口国務大臣 私も、危機管理ということに着目をした場合に、この間の外務省の瀋陽総領事館の事件というのは、全くその非常にいい例をお見せしてしまって大変に申しわけないと思っておりますけれども、それぞれの組織、あるいは日本国全体と申し上げてもいいかもしれませんが、余りにも平和な状態を当然としてきた状態が長く続いたということがあったと思います。
 これについては、とにかくできることから危機管理ということはやっていかなければいけないと私は思っておりまして、そういう意味では、今回の外務省の瀋陽総領事館の件がございましたので、外務省でできることについては、組織内でできることについては、これは早速手をつけていきたいと私は考えております。
東(祥)委員 外務大臣、大変だと思いますけれども、頑張ってください。
 少なくとも、外国に出たときの日本政府、日本国民を代表するのが外務省の外交官であります。少なくとも、他国の、まあ人道主義という視点でもって五人の北朝鮮国籍の方々に対しての視点が脚光を浴びておりますけれども、外交官というのは一億二千六百万、七百万人の国民を代表するわけですから、その恥辱とも言える、そういう状況を醸し出してしまったわけですから、日本の国民の一億二千六百万人を守るという意識がないからですよ。
 官房長官の今のお話にありましたとおり、それはこれから考えていく、何とかなるんじゃないでしょうか、そんな指導者にだれが日本の国民ついていくんですか。それがまさに問われている問題なんだろうと思いますよ。だから、有事法制は、あれはもう一度つくり直した方がいいということを言っているんですよ。
 僕らが提出させていただきました非常事態対処法案というもの、それは、皆さん方が認めてくれるならば、そういうことがちゃんとできるというふうに政治的な決断をしている問題ですよ。どうぞ。
福田国務大臣 今、有事法制のお話がございましたけれども、まさに、そういう日本の今まで整備されなかった部分について今回手当てをしておこう、こういうことでこの有事法制をお願いしているわけでございます。
 こういう大事な部分について、大事なということは、武力攻撃を受けるという事態にどういうふうに対処するか、こういうことについて法整備がなかったというぐらい、言ってみれば日本はすきがあるというように言ってもいいのではないかと思いますけれども、それを今回整備するということでありますから、今委員のおっしゃっていることは、私も、少しオーバーな部分もあるかもしれぬけれども、よくわかるところもございます。そういう趣旨にのっとって、その方向に、委員のおっしゃる方向に大きな一歩を踏み出した、こういうふうに考えてもいいのではないかと思っております。
東(祥)委員 時間が来ましたのでやめさせていただきますが、官房長官、答弁していること違うじゃないですか。
 僕は、今回の有事関連三法案が通れば、九月十一日に起きたあの問題に対して、いわゆる日本の政府として対処できる法案になっていますかということを言っているわけですよ。具体的には、大統領令によって発出されたと同じように、民間航空機の離発着をとめることができますかと具体的なことを聞いているんですよ。それはできませんよ、あの法案を見ている限り、プログラム法ですから。ということは、それに対して対処できません。
 ということは、大きな前進における一歩だというのはうそですよ。まさに一歩を踏み出すためには、少なくともわかっている問題に対して日本の政府として対応できるような処置が盛られていない限り、一歩前進どころではなくて、これまでの日本の政府の得意な、問題の本質を先延ばししていく問題だということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 以上です。
二田委員長 次に、児玉健次君。
児玉委員 日本共産党の児玉健次です。
 昨年の十月十二日、この特別委員会で、お三方の大臣や、そして小泉首相と随分激しい議論をしました。今それを思い出します。
 きょう私は、まず、自衛隊の海外出動への民間人の派遣について質問をいたします。
 防衛庁長官、今、東ティモールにPKOとして出動している自衛隊、その物資の輸送の際に、輸送艦「おおすみ」に積載されているLCAC、輸送用エアクッション艇、これの故障修理のために民間技術者が現に派遣されたと承知しています。その会社名、技術者の人数、どのような資格で派遣されたか、そのことについて明らかにしていただきたい。
中谷国務大臣 会社名は、三井造船と川崎重工でございます。(児玉委員「人数、何人派遣されたか」と呼ぶ)人数は、七名でございます。
児玉委員 三井造船五名、川崎重工二名。
 資格は、どういう資格で派遣されていますか。
中谷国務大臣 その企業に雇用をされておられます従業員でございます。
児玉委員 これらの民間技術者は、「おおすみ」が寄港したオーストラリアのダーウィンと東ティモールとの間を往復する期間、四月の二日から十五日にかけて、航行中の「おおすみ」に乗艦したまま作業を行ったと。トランスファーチューブの損傷と交換、これは三井造船の五名が担当する。ガスタービンの高温化の補修は川崎重工の二名が担当する。私はそのように承知しておりますが、その点、確認してください。
中谷国務大臣 そのとおりでございます。
 本件につきましては、PKO活動を準備する際に、実際に「おおすみ」に搭載しておりますLCAC二隻が、それぞれエンジン及び推進用プロペラに乗員では復旧が困難な故障が発生したために民間企業に修理を依頼したものでございまして、この事故の発生後に民間企業と修理内容、修理場所等を協議いたしまして、合意した上で契約の締結を行い、実施したものでございます。
児玉委員 福田長官に伺いますが、PKOのいわゆる設定していた原則を解除する法案を昨年秋やはり我々は審議しました。今、PKOの性格の変化というのが随分言われています。紛争の終了という点で、かつてのような状況ではない。そして、当事者の合意と言っているけれども、一方の当事者がいなくなることもある。中立という場合に、片方の当事者がいなくなったらそれは何かということになる。そういった東ティモールに対する日本からの派遣に、今お答えのあったとおり、七名の民間の技術者が、現に四月の二日から十五日にかけて、航行中の自衛隊の艦船に乗艦したまま作業に従事をした。
 政府は、民間人の安全、万一の際の補償に対してどのような責任がとれるんでしょうか。これは、福田長官に答えていただきたい。
中谷国務大臣 この件につきましては、あくまで故障の修理ということで民間企業と契約の締結を行い、実施したものでございますので、基本的には、修理を行うことにつきましては、その民間企業の責任のもとに行うということでございます。
児玉委員 私は、はっきり指摘しておきますけれども、これは、民間の船、例えば日本郵船の客船がどこかに行ってふぐあいが起きる、そのとき契約に基づいて技術者を派遣してもらう、それとは事態が全く違う。そういう認識では国民の安全は守れない。その点を指摘しておきます。
 今、皆さんに資料を配付いたしました。一つは、平成十三年十月五日、防衛庁航空幕僚監部装備部長からのものです。もう一つは、平成十三年十一月十六日、ごらんのとおりです。
 中谷長官、これは自衛隊が発出したものであることを確認できますね。
中谷国務大臣 お尋ねのとおり、防衛庁の担当の者の作成文書でございます。
児玉委員 この文書の発出について、一つは昨年の十月五日、もう一つは昨年の十一月十六日。その当時、中谷長官は承知されていましたか。
中谷国務大臣 当時は承知をいたしておりませんでした。
児玉委員 そこで、私は指摘をしたいわけですが、十月五日というのがどんな日だったか、昨年の十月五日。このテロ特措法が国会に提出されたのが十月五日です。本会議の趣旨説明は十月十日のことです。そして、先ほど言ったように、最初のこの特別委員会で私が質問したのは十月十二日です。この航空幕僚監部から出されているものは十月五日。何と書いているか。「テロ対策支援法等に基づく」云々じゃないですか。まだ法律は未成立ですよ。どうしてこんな文書が発出されるのか、はっきり答えてもらいたい。
中谷国務大臣 お尋ねの文書につきましては、昨年の十月の五日に、アフガニスタンの難民の国際協力業務、PKOでございますけれども、これの実施計画が閣議決定をされて、自衛隊が救援物資の輸送を行うことになったこと、また、テロ特の法案が成立すれば、直ちに同法に基づく自衛隊による協力支援活動の実施が求められることが予想されたということから、これらの活動を円滑に実施できるように関係企業に対して必要な連絡を行ったものでありまして、このような連絡が不適切なものであったというふうには考えておりません。
 なお、この文書の最後に、依頼をするということでございまして、これは強制ではございませんし、実際に実施をする際につきましては新たに契約等をするわけでございますので、このような連絡が不適切なものであったというふうには考えておりません。
児玉委員 今のは重大な答弁ですね。人道支援云々というのは確かに書かれていますよ。しかし、テロ対策支援法、これが成立することを前提にして準備を求めているじゃありませんか。こんなやり方が、結局、戦前の軍部の独走を許したんじゃありませんか。この点ではどうやってシビリアンコントロールが確保されているのか、非常に不適切です。
 そういう形であなたは擁護をされる、ますますこの後、危険が深まっていきますね。防衛庁として、こういう事態について厳正に処置をすべきだと思うが、どうですか。
中谷国務大臣 このような通知をいたしましたのは、このテロ対策特措法が成立しましたら、直ちにこれに基づく協力支援活動等の実施が求められると予測されたことから、これらの活動を円滑に実施できるように関係企業に対して必要な連絡を行ったものでありまして、このような連絡を行うことが不適切なものであったというふうには考えておりません。
児玉委員 私は、介護保険法を審議したときのことを思い出します。あのとき厚生労働省は、国会で審議中であった法案について、それが成立したと予想してという張り紙を出して、厚生労働省はそれを撤回しました。事態は同じじゃないですか。こういうやり方を許すわけにいかない。どうですか。
中谷国務大臣 これは、先ほどもお話ししましたけれども、実施が求められると予想をされたことから、円滑に実施できるように必要な連絡を行ったわけでございますし、これは依頼でございまして、強制でもございませんし、一般的な通知でございまして、申し込みを行ったということでございます。
児玉委員 非常に重要な問題ですから、これはこの後、大いに追及していきます。
 そこで、この通知、要請書に基づいて何が進められたか、進められようとしているか、この問題です。
 横須賀造修補給所からの通知に基づいて、十一月二十九日、海上自衛隊横須賀造修補給所で説明会が開催された。参加したのは何社ですか。
中谷国務大臣 約二十社でございます。
 なお、先ほどのお話でございますが、このテロ特の文書の通知が十一月の十六日となっておりますが、テロ特が成立したのが十月の二十九日、十一月二日が施行でございます。十月五日につきましては、この日に閣議決定がされまして、一般命令が発出をされております。
児玉委員 そういう言いわけは見苦しいですね。
 今の、約二十社が集まった、その場で担当幹部がどのようなことを述べたか。出動艦船の装備品、武器等の故障に対応するため、関係企業に対して、ここに書いているように、「修理態勢の確立 緊急時における連絡網整備」「技師の派遣準備 パスポートの取得等」、これらを要請している。
 既に幾つかの社から派遣技術者のリスト、パスポート番号が提出されていると思いますが、何社から提出されているか。この人たちが派遣される場合、どのような資格を考えているか。はっきり示していただきたい。
中谷国務大臣 パスポートにつきましては、来ているものと来てないものがございまして、はっきりつかんでおりませんが、前者は何でしたっけ……(児玉委員「何社から来ているか、資格はどう考えているか」と呼ぶ)資格につきましては、言っておりません。
児玉委員 パスポートが来ているということは、派遣技術者の予定リストが来ているということですね。そうですね。
中谷国務大臣 パスポートにつきましては、いざというとき、まだこういう事態が発生しておりませんので、万が一のときにということで取得をしていただきたいということでございます。
 具体的にいつ行ってくれということも言っておりませんし、実際にその時点で行っていただくかどうかというのは、この相手方の御判断によるものだと思いますが、そういう活動をしている際に、万が一自衛隊の中で故障を直すことができない場合におきましては、専門家の民間の方にお願いをしなければなりません。そういう際に、事前に、そういうこともあり得るけれども行っていただくことができますかというような事前のお話でございまして、そういう際に行けるのか行けないかという点につきましては、当然のことながら、この業者の判断によるものでございます。
児玉委員 その説明会で担当幹部が、自衛艦艦船の入港予定地はカラチ、ムンバイ、コーチン等となるであろう、労働ビザは不要である、部品、工具は海上自衛隊で準備する、こういった具体的な説明がされていますね。
 パキスタンのカラチ、福田長官も川口外務大臣も、五月の八日、カラチで何があったかということを御存じだと思う。フランスの民間技術者が、極めて残念なテロによって八名、九名死亡するという不幸な事態がありました。
 私はまず聞きたいけれども、このカラチ、ムンバイ、コーチン、これらを防衛庁は紛争地域だと考えていますか。どう考えていますか。
中谷国務大臣 実際、カラチにおきましては、その後毛布を運んだ実績もございまして、紛争地域であるというふうに考えてはおりません。
児玉委員 この幾つかの社から、派遣技術者のリストとパスポートナンバーが届けられている。既にその中の一部は派遣されたのではありませんか。どうですか。
中谷国務大臣 派遣をいたしておりません。
 それは個別契約を結んでから派遣をされるわけでございますし、そういうふうなことを伺ったのは、万が一故障した際の対応でございますが、ほとんど、電話連絡等で所在を確認して、口頭によって、こういうふぐあいがあるけれどもどうしたらいいかというような場合にまず聞けるように、そういう連絡体制を確立しておくということ。それから、時期がお正月とか年末等になりますので、事前にパスポートをとれる方はとっていただいた方が、すぐに行っていただく可能性もございますので、そういう場合の措置ということで、必ずしも行っていただくというお話ではございません。
児玉委員 今多くの職場で、技術者の間で、ひそかに戦場出張、そういうふうに名づけられて、不安と危惧が広がっています。今度、基本計画が六カ月延長される。武器、装備等のメンテナンスはどうするのか。今、中谷長官は、行くか行かないかは相手の判断によると言ったけれども、じゃ、防衛庁は派遣を要請するつもりですか。答えてください。
中谷国務大臣 お願いすることもあろうかと思いますが、当然のことながら、派遣される場合の状況、特に安全であるかどうか等確認をしてからお願いするわけでございますし、そもそも、このテロ支援活動にしてもPKOにしても原則がございまして、危険な地域または戦闘が行われている地域では実施しないわけでございます。民間の方を派遣する場合には、当然のことながら、それ以上の安全性を確認してからお願いするわけでございます。
児玉委員 それでは当該の職場の技術者の不安が広がるだけでなくて、国民全体にこういった自衛隊の公然たる海外出動というのが何をもたらすのか、そのことに対する怒りが広がるばかりです。私は、こういった民間の技術者の派遣を予定すべきではない、そのことを強く求めておきます。
 そこで、次の問題です。
 基本計画の変更ですが、先ほどから随分議論がありました。私は具体的に聞きますけれども、この六カ月間でアフガンをめぐる状況は大きく変化しています。一部は先ほどの政府報告でもそれを認めている。
 そこで、具体的に聞きましょう。五月の十日に、テロ特措法に基づく日米両政府による第三回調整委員会が行われた。場所は防衛庁です。そこでアメリカ側からの参加者が、対テロ軍事作戦は依然として継続されており、後方支援も所要があるとして、日本の自衛隊の出動継続に期待感を表明し、日本側は、自衛隊の支援活動期間の延長について近日政府が決定する、そう伝えたと報道されています。五月十六日のものですね。
 福田長官、そういう経過であったのかどうか、答えていただきたい。
中谷国務大臣 確かに、今月の十日に防衛庁におきまして日米間の調整会議を行いました。これは三回目でございます。当然のことながら、米側からは現状に対する認識を述べられましたし、我が方からも、我が方としての考え方を述べたわけでございます。
児玉委員 その会合で守屋防衛局長は何と言っているか。自衛隊の支援活動はテロの脅威の削減に貢献し、強固な日米同盟のあかしとなると考えている、そう言って、米軍が対テロ戦争を継続する以上、日本はどこまでも協力するという意思を表示している。ここに独自の判断などありますか。福田長官、どうですか。
中谷国務大臣 会議の議事録を詳細に認識いたしておりませんが、我が国の姿勢といたしましては、総理がこの法律の提案時に申し上げましたけれども、我が国としては断固テロと闘う、そしてテロを撲滅して、そういったテロの脅威がない社会、世界をつくるために目に見える貢献をするということでございますので、その趣旨にのっとって発言をした内容であると認識しております。
児玉委員 日米同盟のあかしだと言ったら、これはもうエンドレスじゃないですか。そういうやり方のどこに主体性があるのか。
 そこで私は、もう少し具体的に聞きましょう。三月二十九日のこの委員会で、我が党の赤嶺議員が、オーストラリア軍艦への日本自衛艦からの給油について質問をしました。そのとき、中谷防衛庁長官は何と答えたか。こう答えていますね。
 ことしの二月に外交ルートを通じましてオーストラリア側にこのオーストラリアの艦船の目的を確認したところ、国連安保理決議に基づく対イラク禁輸措置活動、オーストラリアの軍艦は対イラク禁輸措置活動の一環として海上阻止活動を行っているという旨の回答がありまして、日本としては、オーストラリア側に対して日本の側からの補給はできませんという旨を回答したところでございますと答弁されています。御記憶ですね。
中谷国務大臣 覚えておりますが、そのような政策判断をする際には、当然のことながら、法律の趣旨にのっとった内容にしなければなりませんので、そのように判断をしたわけでございます。
児玉委員 それはそうですよ。法律に反して何かやるわけにいかない。
 そうであれば、オーストラリアの艦船に対してそうであれば、インド洋で活動している米軍艦船であっても、その目的が対イラク禁輸措置活動の一環としての海上阻止活動である場合は、日本の自衛隊は当然補給ができないということになる。中谷長官、当然ですね、これは。
中谷国務大臣 まだそのような話をいたしておりませんし、実際にどうかというふうに尋ねられたら、そのとおりでございます。
児玉委員 まさにそのとおりですよ。この間、アフガンにおいてはタリバンの支配が終了し、アルカイダの主要拠点も制圧された。
 そこで、これも先ほどからの議論ですが、一方、軍事的には、アメリカのイラク攻撃が取りざたされてきています。四月二十八日付のニューヨーク・タイムズ、つい先日のものです。そこで何と言っているか。イラクのフセイン大統領打倒のため、ブッシュ大統領が来年初頭に地上作戦などの大規模攻撃を実施する作戦を立案中である、これまでイラク攻撃は年内にも行われると見られていた、こう報道していますね。
 そこで、私は、外務大臣に聞きましょう。
 先ほどの日米調整委員会です。藤崎北米局長がこの五月十日の調整委員会に参加されている。アメリカに対して、日本の外務省として、このニューヨーク・タイムズなどで報道されているイラクに対する新たな作戦計画について何らかのことを問いただしましたか。お答えください。
川口国務大臣 私は承知いたしておりません。
児玉委員 大臣、早速照会をしてお答えいただきたいと思います。いかがですか。
川口国務大臣 まず、イラクとの関係につきましては、ことしの二月にパウエル国務長官と私が話をいたしましたときに、アメリカは、イラクに対していかなる選択肢も排除はしていないけれども、平和的に話を進めたいと思っている、外交交渉で解決したいと思っているということを述べていまして、それに……(児玉委員「藤崎さんの発言を私は照会しろと言っているんです」と呼ぶ)そういうふうに今のアメリカのポジションはあると私は理解をいたしております。
児玉委員 質問に答えてください。あなたの見解を聞いているんじゃなくて、後から聞きましょう、それは。
 藤崎さんがこの調整会議でイラクの攻撃に関する新たな計画について問いただしたかどうか、その点、照会してお伝えいただきたいということです。
川口国務大臣 その点について何かその場で話が出たかどうかということを確認することはできますけれども、その内容をお伝えするということは恐らくできないと思っております。
児玉委員 そういう重要なことを国会にも伝えられないんですか、外務省は。
 先ほどあなたは、ブッシュ大統領のこの一月の教書、悪の枢軸論についても言及をされた。そこで、私は言いますけれども、これについて諸外国がどういう反応をしているか。
 例えばフランスです。フランスのベドリヌ外相は、放送のインタビューに答えてこう言っていますよ。我々は、今日、世界のあらゆる問題をただ反テロ闘争だけに還元するという新しい単純主義に脅かされている。率直じゃありませんか。ドイツのフィッシャー外相は何と言っているか。私は反米では決してない、しかし、民主主義のもとでの同盟関係は服従関係に還元されはしない、同盟国は衛星国ではない、こう言っていますね。
 外務大臣、この後日本のことを考えるときに、私は、この二人の外務大臣の発言というのはすぐれた見識だと思います。こういった立場をあなたは参考にされるべきだと思いますが、どうですか。
川口国務大臣 まず、先ほどの御質問について藤崎局長に確認をいたしましたところ、その件については全く会合では話が出ていない、話をしなかったということでございます。
 それから、今お話しになられた外務大臣の御意見につきましては、私は、今までお目にかかったすべての外務大臣の意見については非常にすぐれたものがある、私は、すべての人から勉強をさせていただいております。
児玉委員 このような形での基本計画の延長は到底容認できない、そのことを述べて質問を終わります。
二田委員長 次に、今川正美君。
今川委員 社会民主党・市民連合の今川正美です。
 私は、具体的な質問に入る前に一言申し上げたいと思うんですが、実は今、インド洋方面に自衛艦三隻がまだ活動中でありますが、その中の一隻、護衛艦「さわかぜ」の乗員が、今月の八日、非常に残念なことに支援活動中にお亡くなりになりました。私は、心から哀悼の意を表すると同時に、残された遺族の方々に心からお悔やみを申し上げたいと思います。
 実は、この船は佐世保に配備をされておりまして、御遺族の方は、私の住む佐世保のすぐ隣町の長崎県東彼杵郡川棚町にお住まいであります。
 まずそのことを申し上げた上で、きょう実は政府がこの委員会に提出をされました政府報告でありますけれども、今申し上げた「さわかぜ」の乗員の死亡のことに関して、少なくとも政府の側からしますと、与野党いろいろな議論があった中でテロ特措法をつくりまして、防衛庁長官の派遣命令に基づいてインド洋方面に赴いた自衛官であるわけですね。この報告書の中に一行もそのことが触れられていないということは一体どうしたことでしょうか。国にとって大切な任務を負って派遣された隊員のはずです。非常に悔しい思いがしますね。
 あのテロ特措法をめぐる議論のときにも、あるいは自衛艦が派遣されたときにも、当時、小泉総理大臣は、米軍等に対する自衛隊による支援に関しては、多少の犠牲は覚悟でもテロ撲滅のために支援活動を行うとおっしゃいました。そうした意味では、多少の犠牲はしようがない、そういう意味もこもってこの政府報告に一行もないんでしょうか。これは政府報告ですから、福田官房長官、これはいかがでしょう。
中谷国務大臣 まず、「さわかぜ」に乗っておられた方の亡くなったことにつきまして御説明を申し上げますけれども、五月八日の水曜日、日本時間の十一時三十八分に、「さわかぜ」艦内におきまして、渡邊省三海曹長五十一歳が、起床の後に、食堂におきまして乗員の皆さんと会話中に突然意識不明となりまして、その直後に心停止、呼吸停止となったわけでございます。直ちに医務長による蘇生処理を実施いたしまして病院に搬送いたしましたが、十二時四十五分に現地医師により死亡が確認されたところでございます。
 なお、死因につきましては、現在調査中でございます。
 私も、この五月の八日の一週間ほど前の二日、三日に「さわかぜ」を訪問いたしまして、その際、この渡邊海曹長は、この「さわかぜ」の機関ですね、エンジン部分の担当の現場の責任者でございまして、その機関室でお会いしてお話をいたしましたが、非常に使命感に燃えてまじめに勤務をされておられました。この活動期間中に隊員が死亡したこと、非常に残念でございまして、心から哀悼の意を表したいと存じます。
 本件につきましては、現在、病気等の内容につきまして調査中でございまして、はっきりした原因がわかりましたらまた改めて御報告をいたしたいと存じますが、今回の活動内容等につきましては、今後活動をする上におきまして必要事項等を記載したことでございまして、この渡邊省三さんが亡くなられたことにつきましては記載をしなかったわけでございます。
今川委員 人一人の命がなくなったんですね。少なくとも、本委員会の冒頭に、官房長官であれ、あるいは直接の上司である中谷防衛庁長官が哀悼の意を表するのが当然じゃないですか。余りにも不謹慎だと思います。
 では、この故渡邊省三氏に関して、少し気にかかるところがありますからお尋ねするんですが、今月十三日付の防衛庁から入手した「インド洋派遣部隊隊員の死亡に関する資料」によりますと、「死亡日時、場所」、その「場所」です、「沿岸国病院にて現地医師により死亡確認」、このように記載をされていますが、これは、どこで、どういう病院でということを具体的にこの場で明らかにすることもできないんですか。いかがですか。
北原政府参考人 御答弁申し上げます。
 私の方からも、渡邊省三さんが残念ながら亡くなられたということにつきましては、心から哀悼の誠と、それから御家族にお悔やみを申し上げたいと思っております。
 なお、御質問の件でございますけれども、私ども、死因等につきまして現在調査中でございます。それからまた、お亡くなりになられた場所等につきましては、防衛庁からもお示し申し上げましたように、インド洋の沿岸国の入港中に亡くなられたというものでございます。
 なお、御理解をぜひとも賜りたいと思っておりますのは、協力支援活動等につきましては、私ども、実施要項に定められました実施区域におきましてこれまでも適切に行ってきているところではございますけれども、具体的な活動地域ですとか今先生御指摘の寄港地、この船はたまたま沿岸国に寄港していたわけでございますが、等につきましては、私どもの、現在七百名の隊員が行っておりますが、派遣部隊の隊員の安全等を確保する必要、また寄港地、相手先国等との関係も尊重する必要がございまして、御答弁を申し上げることを差し控えさせていただきたい、御理解賜りたいと思います。
今川委員 今のような答弁では、亡くなられた方に対して失礼ですよ。これは、アラブ首長国連邦のドバイに停泊中だったんでしょう。そういうことをなぜ明らかにできないんですか。
 私は、米軍が今とっている軍事作戦の詳細にわたってこの場で明らかにしてくださいと言っているのとは違いますよ。日本から派遣された大切な一人の自衛官が命をなくしたんです、この活動の中で。御遺族のことも思えば、少なくとも、こういう支援活動中に、アラブ首長国連邦のドバイに停泊中にこうこうこういうことがあったということぐらいは、この委員会で明らかにして何の支障があるんですか。いま一度。
北原政府参考人 具体的な場所等につきましては、また現在オペレーションの行われている真っただ中でございますので、先ほど御答弁申し上げましたようにお許しをいただきたいと思いますけれども、今後このオペレーションが、いわゆる協力支援活動等が終結した場合には、当然のことながら、またお示しをさせていただきたいと思っております。
 なお、先般、実は防衛庁といたしまして、渡邊省三さんの葬送式が十一日に行われております。私も行っておりますが、また総理、官房長官初め、本当に内閣を挙げまして弔意があらわされているところでございます。私ども、決してとうといお命というものを軽んじているわけではございません。
 また、御遺族に対しましては、具体的な亡くなられたときの状況等につきましては誠心誠意御説明をさせていただきまして、また、現地からは、渡邊さんの部下だった方等も一緒に、御遺体とともに日本に付き添ってまいりました。
 等々の、私どもといたしまして、防衛庁・自衛隊といたしまして、できる限りの最善を尽くし、故人に敬意を表しているところでございますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
今川委員 次の質問のことがありますので、時間の関係もありますから、できるだけ簡潔にお答え願いたいんですが、この亡くなられた渡邊省三准海尉、当時海曹長ですね、派遣される前に、健康状態などはどうだったんでしょう。
北原政府参考人 御答弁申し上げます。
 お尋ねの渡邊さんにつきましてでございますが、私ども、個人の隊員の健康状態あるいは病歴等につきましては、個人のプライバシーにかかわるということで、お答えは差し控えさせていただきたいと思っております。
 ただ、ぜひとも御理解いただきたいと思っておりますのは、テロ対策特別措置法に基づきまして派遣をされる隊員につきましては、私ども、本当に過酷な、あるいはストレスが大変たまる厳しい環境のもとで、かつ長期間にわたりまして海外でまた重要な任務を遂行していただくといったことを慎重に考えまして、あらかじめ健康診断を行うことを義務づけておりまして、「さわかぜ」につきましても、健康診断を実施し、あらかじめ健康上問題ある不適な隊員につきましては要員から外すといった措置をとっているところでございます。
 そしてまた、この「さわかぜ」を含めまして、二月に出港したわけでございますが、派遣された隊員の方々に対する健康面の配慮といったことにつきましては大変重視をいたしております。医官等を派遣しております艦艇に乗船させまして、疾病の予防の指導あるいは相談、あるいは疾病が発生した場合には必要な診療態勢を速やかにとるといったことで整備に努めているところでございます。
 いずれにいたしましても、現在七百名、延べにいたしますと千八百名の海上自衛隊員が厳しい任務のもとで頑張ってきております。こうした中で、渡邊さんのようなことが、悲しいことが二度と起きないように、私どもとしても努力していかなければならないと思っております。
今川委員 御本人の、あるいは御遺族のプライバシーのこともあるでしょうから、これ以上その点に関しては避けますが、少なくとも、しかるべきところでお聞きをしますと、非常に気になることがございますが、ここではもう遠慮したいと思います。
 いずれにしましても、私どもは当時、こうした自衛官のインド洋派遣に対しては社民党としては大反対でした。そして自衛隊創設以来初めて戦時海外派遣、そういった事態の中で痛ましいこういう事故が起こったわけであります。私は、そうしたことを考えてみますと、通常どおり彼が国内勤務をなさっていたら、今までどおり平和な、幸せな家庭生活が今後も続いていただろう、そういう思いがしてならないわけであります。
 さて、次の点に移ります。
 きょう、政府から出された政府報告でありますけれども、この約七カ月に及ぶインド洋方面での支援活動の全容に関しては、既にこの中に一定程度記載をされていますからはしょりたいと思いますけれども、前回、他の委員会で中谷長官にお尋ねした折に、現在三隻でありますが、部隊活動のあり方からして、あと二隻追加派遣をいたしたい、こういう答弁もございました。
 しかし、先ほど他の委員からもそれぞれ、現在のアフガン情勢のもろもろのことを考えると、もうここら辺で、当初の計画どおり今月十九日で期限を切って撤収すべきだ、そういう思いがありますけれども、今私の手元に、これは実名が出ているわけではありませんが、防衛庁幹部が語ったというくだりがありまして、簡単にいきますと、「米軍に補給する燃料費として八〇億円の補正予算を組んだが、これまでのペースで行くと予算をかなり下回る出費で納まりそう。補給回数も予想ほど多くなく、五隻を三隻に減らしても活動に支障ない」、こういう発言等もあり現在三隻になったんだと思うわけであります。
 そもそも、これは答弁はいただきませんが、先般の質問の折に、この自衛隊の護衛艦や補給艦は実質的に戦闘行動の後方支援をやっているわけでありますから、米軍指揮下のAOE、高速戦闘支援艦隊に実質的に編入されているはずであると私は認識しているのです。ちなみに、アフガンのISAF、いわゆる国際治安支援部隊の場合も、その司令部の主導権は、最大の人員を派遣している、千八百人、イギリス軍が事実上指揮権をとっているというふうに私は聞いております。そういった意味では、もっと国民に正直に、そういった活動の実態というのはやはり明らかにしていくべきだと私は思うのです。
 そこで、時間の関係もありますので率直にお聞きしたいと思いますが、私は、今アフガニスタンの情勢は、先ほどそれぞれの委員からもございましたように、昨年十二月十七日のトラボラ制圧で事実上終結をしている。この政府報告では、米軍などが、初動の段階からしますと、かえって部隊の数などは他国の軍隊も含めてふえていると言わんばかりに記載されておりますが、実は、石川海上幕僚長はこうおっしゃっています。「米軍の対テロ作戦が継続しているかどうか、判断の外にある。インド洋にいる艦艇の隻数は変わっておらず、支援続行する状況と思う」このように語っておられるわけですね。そして、この政府の報告書の中と私のこの手元にある資料から見ますと、二月下旬現在で、インド洋には八カ国で七十六隻もの海軍艦艇が残っているというふうに記されています。
 そうしますと、政府報告書の中では、米軍の一個空母戦闘群、十五カ国から二十八隻の艦船、さらにフランス等から空母戦闘群、あるいは英国より海軍任務部隊等と書いてありますが、少なくとも海に関しては、現時点でははるかに各国の隻数も減っているんじゃないですか。防衛庁長官、いかがですか。
中谷国務大臣 隻数等につきましてはお話をしたとおりでございますが、実際に活動の内容につきましては全く変わっておりません。四月においても米軍の艦艇に十一回の補給活動を行っておりまして、海上自衛隊部隊に対する給油活動のニーズは必ずしも減少はいたしておりませんし、この態勢につきましても、現在三隻の態勢でやっておりますが、ノーマルは五隻でございます。
 私もせんだって、この現場の視察をいたしましたが、大変長期間のインド洋上での、暑い中での過酷な任務で、隊員の仕事ぶりは非常に精いっぱいやっております。これが補給艦一隻の場合におきましては、やはり給油地で補給をして実際の補給ポイントに行くわけでございますが、これも長時間かかるわけでございまして、一隻でやりますともうひっきりなしの感じになるわけでございます。
 これが二隻になりますと、片一方で補給をして片一方でポイントにいることができるという交代体制も組めますし、その際に、護衛をする護衛艦が二隻、それから調整をする護衛艦が一隻、やはり五隻態勢というのがノーマルでございまして、今後の支援活動を考えますと五隻態勢に戻したい。現在三隻態勢をとっているのは、この補給艦の一隻が定期的な修理を行う必要があるということでありまして、この修理が終わりましたら五隻態勢にする必要があると考えております。
今川委員 そこでもう一点、先ほども他の委員から出ておりましたが、この政府報告書では、この約七カ月間で艦船用燃料などを補給した、提供したという記載がございます。そこにかかわる費用のことは全然記載もないんですね。委員から質問がなければ記載もしない。そういうことじゃだめだと思う。作戦の細々したことは別にして、何隻の船がこの半年間で、あるいは七カ月間でどれほどの燃料を補給し、したがって、どれほどの財政措置が必要となったということをはっきりすべきじゃないですか。先ほどの答弁を聞いていても、どうもはっきりしない。
 防衛庁長官の答弁がはっきりしない割には、もう既に、本日の一部新聞報道によりますと、これから派遣期間を約半年延長する、十一月十九日まで。そうしますと、これまでの支援活動には百七十三億円の予備費が計上された、うち艦艇用燃料八十億円、使用期限の年度末までの執行は九十一億円、今回それを上回る百五十億円を計上する点については、防衛庁や与党内にも疑問の声が上がっているという新聞報道がございます。この点は、長官、いかがですか。
中谷国務大臣 金額につきましては現在精査をしている段階でありまして、御指摘のような数字を言ったことはございませんし、そのような議論になっていることは聞いたことはございません。
 数字につきましては、せんだって、今川委員から委員会の方で御質問がございましたのでお話をいたしましたが、三月末までに全体として九十一億円、そのうち米軍への油の譲与分が三十七億円でございます。今回の所要額につきましては、この数字等を参考にいたしまして、現在、財政当局と調整をしている最中でございます。
今川委員 いずれにしましても、今のアフガニスタンの状況、自衛隊の活動のあり方、いろいろな観点から見ましても、ここは速やかに撤収をすべき時期に来ていると思います。
 少なくとも、政府は、今米軍のアルカイダ掃討作戦はまだ続いている、あるいは、NATO諸国を初め、他国の海軍などもまだ撤収していない、そういったところをにらんで、日本だけ引き揚げるわけにはいかない、こういう心情が働いているように私は見受けるのです。そこは、撤収の期限をもっとはっきりしなければならないと思いますよ。
 そうしないと、自衛隊制服組の一部には、これはあくまでもあるジャーナリストのレポートですから、中東や中央アジアでの発言権確保をにらんで、二年の時限立法であるテロ対策特措法の続く限り、つまり二年間の派遣を主張する声も内部にはある、こういうレポート記事もあるんです。とんでもないことだと思いますよ。
 そこで、これは内閣官房長官にお尋ねしたいと思いますが、撤収の基準というのは、どのようなものがあるんでしょうか、ないんでしょうか。お教えください。
福田国務大臣 今回の自衛隊の活動につきましては、本法の、この法律のもとで我が国が実施することでございまして、この法律は、九月十一日の米国におけるテロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めるということによって、国連憲章の目的の達成に寄与する諸外国の軍隊等の活動に対して行うものである、こういうことになっているわけですね。
 その上で、いかなる場合にこのような脅威が除去されたと認められる状況となるかについては、今の段階で予断ができるものではございません。現段階で具体的にお答えすることは困難でございますけれども、いずれにしましても、どのような場合にどのような内容の対応措置を実施するかということについては、我が国として主体的に決定していくものであります。
今川委員 もう余り時間がなくなってまいりましたので、一言だけその点に関しては申し上げておきたいと思うんです。
 この問題は、日本国憲法とのかかわり、あるいは創設以来、自衛隊の専守防衛という基本的な原則があると思うんですね。そこをあえて、テロ撲滅という大義名分を立てて踏み込んでいった以上は、やはり明確な撤収の基準、まさしく小泉首相がおっしゃるとおり、アメリカがどうであれ、他国がどうであれ、日本自体の総合的な情勢判断に基づいて、主体的に、撤退するときには撤退するというものがはっきりしていなければ、国民を納得させることはできないと思いますよ。
 さて、もうあと何分かしかありませんので、もう少しお伺いしておきたいと思います。
 実は、インド洋方面から佐世保には数隻の自衛艦がもう戻ってまいりました。やっと隊員たちも解放されまして、そうした生の声をできるだけ聞きたいということで、私もいろいろと声を聞いてみましたが、そのすべてをきょうちょっと紹介できませんけれども、こういうところがあるんですね。
 インド洋では、当初補給港がムンバイだったので比較的安全だった。しかし、インドと日本には地位協定がないので、自由に上陸や外出はできなかった。外務省の手配で観光見物ができたのが唯一の慰めだった。そういうことを言っている隊員もおりますし、次いで、バーレーンに補給拠点を移したが、同じく地位協定がないので、停泊中の上陸はできても外出はできない。まあ、それでも遊びに行くやつはいたけどね。それから、遠洋航海や練習航海では、洋上にいるのは通常長くても一週間程度なんだけれども、今回は実に長期間で、しかも長期の航海をするように護衛艦はできていない。もともと専守防衛だったんじゃないのか。そういう設計になっているはずだよ。それでも自分たちはよく頑張ったと思う。また行きたいとは思わない。いろいろな声が聞こえてくるのであります。
 そこで、中谷長官、これはどちらになるんですかな。例えばパキスタンのカラチであるとかインドのムンバイであるとかアラブ首長国連邦のドバイであるとか、いわゆるインド洋の沿岸諸国に立ち寄るときに、当然地位協定などは結んでいませんので、例えば派遣された隊員の側からしますと、食料とか燃料の補給、あるいは、やはりたまには上陸をして飲み食いしたいと思うけれども、治安状況によっては、そこの当事国の警察が守ってくれるわけでもない。非常に不安定な中で派遣をされているというふうに私は聞こえてくるわけですね。そこら辺を政府としては、今回の派遣に当たってどの程度のことを考えておられたのか、説明ください。
中谷国務大臣 今川委員の地元は佐世保ということでございまして、隊員を激励いただき、また生の声を聞いてくださいまして、非常にありがたいと思いますし、その声を届けていただいたというのも今後の参考になります。
 この事前の調査につきましては、昨年の十一月九日に情報収集のための部隊をインド洋に派遣して、寄港地等の状況に関する事前調査を行いました。また、テロ特に基づいて現在派遣されている自衛隊部隊による情報収集、また外務省在外公館等を通じた情報収集等につきましても、継続して実施をいたしております。
 寄港地に関しましては、現地の状況を踏まえながら、運用上の必要性、現地の安全性、給油施設を含む港湾の状況などを総合的に勘案しつつ、外交ルートを通じて慎重に調整を行っております。
 寄港地等における外出につきましても、現地の治安状況を踏まえまして一定の制約を課すことはございますが、これは部隊全体の隊員自身の安全確保のためにやむを得ない措置でございますが、安全が確認をされた場合におきましては、隊員の休養等もさせる必要がございますので、そういった時間もとることが必要であるというふうに考えます。
今川委員 時間が参りましたので、最後に一言だけ。
 今回のような政府報告書は、少なくとも事前に提出をしていただきたいんですね。そうしないと、事前通告をするときに、これが見えませんから、それは困るんです。
 それと、やはり、政府にとっては非常に大切な活動であるという御認識でしょうから、ここはもっときちんとした報告を、その都度、中間報告も含めましてやっていただくのと、やはり重大な、派遣期間を延長するとかいうときには、きちっと国会の承認をとる、そのことで国民の皆さんに十分納得をしていただく、理解をしていただく、そういう基本的な姿勢がなければならないと思います。
 少なくとも私は、そういった意味で、今回は速やかに撤収していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
二田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十七分散会


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