衆議院

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第1号 平成13年11月16日(金曜日)

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平成十三年十一月十六日(金曜日)

    午前八時五十二分開議

 出席委員

  厚生労働委員会

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 棚橋 泰文君 理事 谷畑  孝君

   理事 森  英介君 理事 吉田 幸弘君

   理事 鍵田 節哉君 理事 釘宮  磐君

   理事 福島  豊君 理事 佐藤 公治君

      上川 陽子君    鴨下 一郎君

      木村 義雄君    北村 誠吾君

      佐藤  勉君    田村 憲久君

      竹下  亘君    西川 京子君

      野田 聖子君    林 省之介君

      原田 義昭君    菱田 嘉明君

      松島みどり君    三ッ林隆志君

      宮腰 光寛君    宮澤 洋一君

      森岡 正宏君    吉野 正芳君

      家西  悟君    大島  敦君

      加藤 公一君    金田 誠一君

      土肥 隆一君    永田 寿康君

      古川 元久君    松本 剛明君

      三井 辨雄君    水島 広子君

      山井 和則君    青山 二三君

      江田 康幸君    樋高  剛君

      山田 正彦君    小沢 和秋君

      木島日出夫君    阿部 知子君

      中川 智子君    井上 喜一君

      川田 悦子君

  農林水産委員会

   委員長 鉢呂 吉雄君

   理事 木村 太郎君 理事 岸本 光造君

   理事 滝   実君 理事 二田 孝治君

   理事 小平 忠正君 理事 鮫島 宗明君

   理事 白保 台一君 理事 一川 保夫君

      岩倉 博文君    岩崎 忠夫君

      岩永 峯一君    金田 英行君

      上川 陽子君    北村 誠吾君

      小西  理君    後藤田正純君

      七条  明君    高木  毅君

      西川 京子君    浜田 靖一君

     吉田六左エ門君    後藤 茂之君

      後藤  斎君    今田 保典君

      佐藤謙一郎君    筒井 信隆君

      楢崎 欣弥君    堀込 征雄君

      山内  功君    江田 康幸君

      高橋 嘉信君    中林よし子君

      松本 善明君    菅野 哲雄君

      山口わか子君    金子 恭之君

      藤波 孝生君

  経済産業委員会

   委員長 山本 有二君

   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君

   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君

   理事 後藤 茂之君 理事 田中 慶秋君

   理事 久保 哲司君 理事 達増 拓也君

      衛藤征士郎君    小此木八郎君

      大村 秀章君    梶山 弘志君

      後藤田正純君    高木  毅君

      西川 公也君    根本  匠君

      林  義郎君    平井 卓也君

      松宮  勲君    保岡 興治君

      川端 達夫君    北橋 健治君

      後藤  斎君    鈴木 康友君

      中津川博郷君    中山 義活君

      松原  仁君    松本  龍君

      山田 敏雅君    赤羽 一嘉君

      石井 啓一君    大森  猛君

      塩川 鉄也君    大島 令子君

      西川太一郎君    宇田川芳雄君

    …………………………………

   厚生労働大臣       坂口  力君

   農林水産大臣       武部  勤君

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   農林水産副大臣      遠藤 武彦君

   経済産業副大臣      古屋 圭司君

   経済産業副大臣      大島 慶久君

   環境副大臣        風間  昶君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   厚生労働大臣政務官    佐藤  勉君

   農林水産大臣政務官    岩永 峯一君

   経済産業大臣政務官    大村 秀章君

   経済産業大臣政務官    西川太一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  下田 智久君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局長)  宮島  彰君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局食品保

   健部長)         尾嵜 新平君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  小林 芳雄君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部

   長)           永村 武美君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・

   リサイクル対策部長)   岡澤 和好君

   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君

   農林水産委員会専門員   和田 一郎君

   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 厚生労働関係の基本施策に関する件(牛海綿状脳症問題)




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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより厚生労働委員会農林水産委員会経済産業委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 厚生労働関係の基本施策に関する件、特に牛海綿状脳症問題について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山義活君。

中山(義)委員 おはようございます。民主党の中山義活でございます。

 きょうはエネルギッシュな質問をしようと思いまして、きのう焼き肉をたっぷり食べてまいりました。

 今のその笑いの中に真理があると思うんですね。つまり、私は、焼き肉を食べるというのは、肉が全く安全だから、それで、これは安心して食べられると思うからおいしいわけですね。しかし、焼き肉屋さんに行かれない、すき焼き屋さんに行かれない、しゃぶしゃぶ屋さんに行かれない、ステーキ屋さんに行かれない、これはやはり頭のどこかに不安があるからなんですよ。

 経済というものも、大体考えてみますと、ほとんど心理的な要素が大きいですよね。将来不安があってお金が使えない、どこかに不安があるから物が買えない、こういうことだと思うんですね。今回の、今の、いわゆる焼き肉屋さんが空っぽになっちゃうとか、またはすき焼き屋さんが空っぽになっちゃう。なぜか。大変大きな心理的なものがあると思うんですよ。

 これは焼き肉屋さんが言っていましたけれども、今回のことはテロだと言うんですよ。けなげにまじめに一生懸命商売をやって、銀行からもうんと借りて、どんどん店を伸ばそう、そして税金を払おうと思っているのにこういうことが起きた、まさにテロだ、こういう話をしているんです。

 そこで、今回の事件は、私はテロとは思わないんですね。これを三人の大臣にひとつお聞きしたいんですが、今回のことは人災なのか天災なのか、それともテロみたいなものなのか、感想をひとつ述べてください。

    〔鈴木委員長退席、山本委員長着席〕

坂口国務大臣 これは難しい御質問を一番最初からいただきましたが、人災とか天災とかという言葉がなかなか当てはまりにくい話でございますが、動物が災害を受けたわけでございますから動物災でございますけれども、しかし、これは人間の方、我々役所の方がもう少しやはり目をみはっていなければならなかったという意味では、私はそうした意味で我々の責任というものもあるというふうに理解をいたしております。

武部国務大臣 イギリスでは、一九八六年に発生してもう十八万頭以上にも及んでいるんですね。それから、イギリスを除くEU諸国は、フランスが一九九一年に初めて発生して、もう二千二百頭以上にもなっているわけでございます。

 私は、就任以来、職員には、予期せぬことが起こり得る時代になっているんだ、したがって、絶対こういうことはない、そういう考えで仕事をしてもらっては困る、何でも起こり得るんだ、そういう認識を持って職務に当たってほしいということを、就任当初の職員に対する訓示の中で申し上げているわけであります。

 今回の場合には、それじゃ、予期せぬことであったのかと言われれば、もうEUやイギリスで大発生しているというような事態を踏まえて、私は、危機管理意識というのは極めて甘かった、このことは言わざるを得ないと思います。

 それだけに、私どもは、今委員御指摘のように、人の健康に影響を与えない、食肉等は安全なんですということを消費者の皆さん方、国民の皆さん方にわかってもらう、理解してもらうにはどうしたらいいかということは、英国やEUをしのぐ検査体制というものを構築することなんだ、屠畜場から安心な牛以外の食肉等が出回らない、そういうことを第一に考えて対処してきた所存でございます。

平沼国務大臣 中山議員からテロという言葉が出ましたけれども、やはり、一生懸命まじめに生産をする、それを流通経路に乗せる、そして販売をする、その牛肉を使って商売をされている、こういう方々の、本当に率直な皆様方の感じというのは、今言われたようにテロということは非常に適切なお言葉だ、私はこのように思わせていただいています。

 また、一生懸命それぞれ関係者はやっている、こう思っておりますけれども、しかし、だんだん事実が明らかになってくるにつれて、やはりもう少し十分にできたのではないか、こういう面もございますから、そういったところを反省材料として、より一層、本当に皆様方が安心できる体制をとっていかなければならない、このように思っております。

中山(義)委員 今平沼大臣がおっしゃったとおりで、中小企業者はこれによって大変今塗炭の苦しみを味わっていることはもう間違いないんです。私どもの党で試算したのでは、約二千億円から最近は三千億円にもマイナスがあるんじゃないか、このように試算をしているんです。この間、マックの方で二百億円売り上げが落ちた、お先真っ暗だとやっていましたけれども、こういうようなことはもっともっと起きてくる、このように私どもも思うんですね。

 そこで、一番、先ほどお話ししたように、安心感、安全だと。こういうことが頭の片隅から全部とれれば、このことは完全に直っていくと思うんですね。つまり、一番末端の消費者に対応しているのは、食肉業者、お肉屋さん、それからしゃぶしゃぶ屋さんとかすき焼き屋さん、ステーキ、それから焼き肉屋さんですね。そういう人たちが一番末端で感じているんです。だから、現場の声というのは、むしろ中小企業のその末端が一番感じていることだと思うんですね。

 そこで、幾つか今回のやり方に問題があった点を指摘したいんです。

 まず、十月十八日に安全宣言をしました。しかし、十八日に安全宣言をしたら、逆にお客さんから、じゃ、その前の肉はどうなんですかという心配が小売屋に寄せられているわけですよ。そして、その肉はあるんですかといって新聞記者が電話か何かかけてきて、取材に応じないと取材拒否だなんてやられて。おれたちは何の悪いこともしてないんだ、一生懸命毎日商売やっているのに何で新聞記者にそんなことを言われるんだ、こういうのが今の末端の業者の本当に偽らざる気持ちですね。

 そういう面では、まず不安をぬぐい去ることをしっかりやってもらいたい。例えば杉並区は、焼却に区でお金を出して、十月十七日前の肉は全部焼却しよう、こういう意気込みでやっていますよ。これは本来国がやれば、これで完璧だということになるんじゃないですか。大臣、どうでしょうか。

武部国務大臣 食肉、牛乳・乳製品等はもともと一〇〇%安全だということを、私たちは、科学的な国際機関による知見によって申し上げてきたわけでございます。

 しかし、当初そういうことをしきりに申し上げても、なかなか、テレビでは英国のくったくたになった牛が、ころんころん、ころんころん、私がテレビに出ても、後ろの映像はそういうところばかり報道、放映するわけですね。ですから、私どもが情報を徹底公開しようということで説明しても、そういうことよりも、あの気味の悪い牛の姿が頭にこびりついてしまっているというのが消費者や国民の皆様方の実態だと思うんです。

 幾ら科学的なことを申し上げても、なかなか理解できない。国会でいろいろ、危険部位はどこだというようなことを言っても理解できない。そのことでとにかく何が問題かというのは、検査体制が甘かったからですね、一頭といえ、食肉にはなっていませんけれども、出てしまったということで、まず全頭検査体制ということを、厚生省と一体となって、厚生省の大変な努力で行うことになったわけです。

 しかし、今委員御指摘のように、安全な牛だと言われていながらその食肉を焼却したとかなんとかということになりますと、安全でなかったのかと、逆にまた風評被害が拡大していくというおそれもあります。

 したがいまして、私どもがとった措置は、十七日以前の肉等については、卸売業者あるいは生産者団体が所有するものについて、国産牛肉在庫をすべて買い上げて冷凍保管し、冷蔵庫から搬出させないという措置を十九日に発表いたしたわけでございます。

 委員は今、十八日、全頭検査体制になってからの方が食肉の消費が減っているんじゃないかということでありますが、私どもの調査では、もう学校給食も、当初六割ぐらいがやめていたのが今四割ぐらいまで、自粛しているところは減っておりますし、私は、十八日の全頭検査体制以降は徐々に回復しつつあるのではないか。

 しかし、いずれにいたしましても、今委員御指摘のように、消費者や国民の皆様方の頭の中にはまだまだ不安というものはぬぐい去れませんので、これは、私や厚生大臣が肉を食べている、あれもちょっとやらせみたいなものがありまして、呼ばれて行って、口を大きくあけて食べろ食べろと言われてやった、そればかりのところを映されるわけですね。ですから、私どもが食べているところはかえって不安を喚起するのではないか、正直そう思いましたよ。

 ですから、科学者でありますとか専門家でありますとか、そういった方々の正確なコメントというものを掲載させていただいたり、今後PRなどに全力を挙げて、一日も早く、今、日本においては世界で最も安全な検査体制のもとで流通しているんだということを知っていただく。このことが何よりも、小売、中小段階の皆様方に対する一番大きな手だてではないか、こう思って、そのように努力したいと思っているわけでございます。

中山(義)委員 どちらにしても、そういう迷いがあって、冷凍保存したものを将来どうするかとかいろいろなことを考えるよりも、あのときすっぱり、十七日前のものは全部焼却しちゃおうと。我々が試算しても大体二百億円ぐらいだと思うんですね。その方がかえって効果があったんじゃないかと私は思うわけです。つまり、いつも国のやることはツーレート・ツーリトル。やはり、やるときは思い切ってぱっとやる、それで終わらせるということがすごく大事だと思うんですよ。

 私、もう一つ、狂牛病狂牛病と言っていますこの言葉も何となくひっかかることがありまして、BSEとかいって、我々はなるべくそういう言い方をして、そういう変な言葉が波及しないようにしたいと思うんです。狂牛病なんかも、うちの女房が、係員の方が牛と何か、牛と話はしていませんけれども、牛に何か言っているときに、あの牛にかまれたら狂牛病になっちゃうのかしら、こう言うんですよ。狂犬病と間違えているんです。だから、狂牛病という言葉自身も、もう一回そろそろ考えて、違う言葉を使っていかないとえらいことになるなと思うんですね。

 そこで私は、全国にPRも、今の学者の話とか、または例えば長島とかイチローを連れてきたっていいじゃないですか。そういう人たちが、もう肉は安全だ、肉を食べているから野球の選手でこれだけ頑張っているんだとか、そういう何か新しい宣伝方法を考えてくださいよ。もうちょっとやはりお金も使ってもらいたい。約十億ぐらいそういうことに計上してありますが、やはり二百億円ぐらい使ってくださいよ。これは根拠はありませんけれども、約二十倍ぐらいのお金を使って安全宣言をさせない限りは、この問題は解決できないと思いますよ。

 そういう面では、私は、小泉さんが総理大臣になるときも、テレビのあの映像からだんだんだんだん人気が出てきた、一気にあそこまで九〇%近く人気が出てきたとか、やはりテレビの効用というのはすごく大きいわけですよ。それから、逆にテレビが与える悪影響もすごく大きいわけですね。あの雪印の社長がいつか記者会見していて、まじめにやっていましたよ。最後、エレベーターに乗るときに、おれは二十四時間寝てないんだなんて言ったのがそのままテレビに映っているわけですね。前のことは全然映っていない。

 だから、政治家というのはどっちかというとマスコミに無防備ですから、もうちょっとマスコミに対する研究をして、今回のことについてもこの不安を払拭するために努力をしてくださいよ。さっきから言っているように、焼き肉屋さんはもう怒り心頭で、我々もこの間十人ぐらい集めて話を聞きましたけれども、怒っていますよ、本当に。

 そういう面では、まず政府がやるべきことをもっとやれ、金を使うときは使え、こう言っているんですから、その決意を述べていただきたいと思います。役人的な答弁じゃなくて、政治家武部勤としてもう一度、気合いの入った、何とかこれを払拭してやる、そういう発言をしてください。それから、金額も二十倍ぐらいにふやす、このくらいの発言をしてくださいよ。じゃなきゃ、いつまでたってもこの問題はおさまらない。どうですか。

武部国務大臣 非常に力強い御声援をいただいた、このように受けとめました。

 おっしゃるとおりなんです。しかし、委員会でも私は、当初は、狂牛病と言わないで牛海綿状脳症またはBSE、こういうふうに正式には申し上げていただきたいんですよと言っても、何を、狂牛病は狂牛病じゃないか、こういう御意見もございました。しかしこれは、当初そういうふうに消費者や国民がかなり神経質になっているんだからそれも仕方ない、我々はそれを受けとめていたわけでございます。

 今、PRの予算のことについても、私どもも官房長官などとも相談しながら、政府全体として徹底したPRに努めるように最大限努力してまいりたい、かように存じます。

坂口国務大臣 御指摘の点は、十分私たちも拝聴しなきゃならないというふうに思っています。先週の土曜日でございましたか、五大紙に大きな広告も出させていただいたところでございます。

 私も、狂牛病という言葉は避けて、ちょっと言いにくいですけれども、牛海綿状脳症というふうに言った方がいいんだろうというふうに思っております。しかし、これはなかなか言いにくいんですね。財務大臣が言い間違えるほど、これはなかなか言いにくい言葉でございまして、私も、先日予算委員会で牛海綿状脳症ということでお答えを申し上げました。そうしましたら、NHKでその場面が出まして、わざわざ牛海綿脳症イコール狂牛病と字幕を出してくれまして、これは余り意味がないなあというふうに実は思った次第でございます。

 御指摘のところを十分踏まえてやりたいと思います。

中山(義)委員 宣伝費を使ってやっても、すごく将来にわたって今回のことは意味があると思うんです。こういう社会不安をどうやって政府がなくしていくかというのは、景気対策もそうですよ、雇用不安であるとかいろいろな不安がある、だからお金を使えないわけでしょう。今どういう政治が行われているかというのをやはり政府が正確に国民に知らせる、これは義務だと思いますよ。

 今回のことも、学者を使ったりいろいろなことをして、危険部位がどこなのか、どうすれば安全なのかということを確認すると同時に、やはり、スポーツ選手であるとか、一番いいのは総理大臣が出て、私は焼き肉を食べているからこんな太っていますと、うちの総理大臣はそんなに太っていませんけれども、しかしながら、焼き肉を食べて健康だ、そういうことを示すことが必要なので、やはりもうちょっと宣伝の方法をしっかり考えてもらいたい。

 私は、いろいろな特殊法人の中にもお金を留保しているところがあるやに聞いているんですよ。肉を安定させる、そういうセクションがありますね。例えば農畜産物価格安定事業団ですか、この辺も、うちの党で調査した限りにおいては、一千何百億円の留保金があるやに聞いているんです。そういうところからだってこの際二百億ぐらい出して、本当にしっかりしたPRをやるべきじゃないですか。私は、今回の場合はあえて予算を出してもこれは絶対やるべきだと思いますね。

 再度、大臣、もう一度ぜひお願いします。この点、はっきりもうやると言ってくださいよ、お金を出してもやると。

武部国務大臣 これは、一日も早く消費の回復を図らなくちゃいけませんので、お金がかかっても、最善の努力をして、一日も早い肉離れから肉回帰への流れをつくりたいと思っておりますので、また御協力をお願いしたいと思います。

中山(義)委員 もう一つ、給食の問題があります。

 やはり、給食が始まったというのは大きなインパクトだと思うんですよ。これはどこで所管しているのかわかりませんが、給食を始める時点を、やはり閣議決定か何かして、ちゃんと文部大臣に言って、ちゃんと早くやらせるようにしなければいけないんじゃないですか。

 私どもとしては、学問的にも安全が確認されているわけですから、だとすれば、給食を早く始めるということもすごいインパクトだと思います。どうですか。坂口さん、お願いします。

坂口国務大臣 十月の十八日でございますか、全頭検査をいたしましたその日に、これは文部科学省の方から全校に対しまして、早く牛肉を使ってもらうべきだ、使ってほしいということを出してもらいました。

 その文言がなぜもう少しはっきり書けなかったかというような御指摘等も前にございましたけれども、かなりそうしたことを何度か出していただいておりますので、浸透していっているんだろうというふうに思っております。

中山(義)委員 その点についても、ぜひ早くお願いをいたしたいと思います。

 それから、新聞記事でも、最近、肉業者がいらいらが募って、殺人まで起きているんですよね。だから、こういうことが恐らく国民のいらいらを証明しているんじゃないかと思うんですよ。やはり、これによって被害を受けているのは中小の企業者ですね。つまり、焼き肉屋さんとかすき焼き屋さんが受けているわけです。

 それで、畜産農家にはある程度、牛が何十万円以下でどうしても安く売らなきゃならない場合にはこれだけ補てんするとか、結構現金でやっているでしょう。しかし、市中のすき焼き屋さん、焼き肉屋さんには、借金しろと言うんですよ。これはちょっと、農村と都市部の企業者と差があり過ぎるんじゃないですかね。おまえら借金しろと。今大変なんです、経営に。経営に大変なところに借金しろと言うよりも、例えば、リストラをしようとしているときに、しなければ幾らかどうだとか、何かもっと現金でやる方法があるんじゃないですか。

 今、大変塗炭の苦しみを味わっているのはそういう末端の業者だということを考えてください。その辺、どうでしょうか。

平沼国務大臣 確かに、関係の業者の皆様方が大変厳しい状況に置かれているということは、私どもはよく認識をしております。

 厚生労働省あるいは農林水産省でもそれぞれきめ細かく対応しているわけでありますけれども、私どもといたしましては、中小企業の皆様方に対するセーフティーネット、ここで対応させていただきまして、いわゆる保証の枠も二倍にしております。

 しかし、おっしゃるように、借金だけふえて将来に影響があってはいけない、こういうことで、適宜適切にその業態の内容とかそういうことをよく把握させていただきながら対応をさせていただいているわけでありまして、ちょうど九七年の貸し渋りが起こったときに、特別保証制度という形で対応してまいりました。これはもう委員御承知のように、異例、特例の措置としてこの三月三十一日で打ち切ったわけですけれども、それにかわる、保証の枠を二倍にする、そしてきめ細かく対応する、こういう形で私どもは当面一生懸命やらせていただきたい、このように思っています。

中山(義)委員 こういういろいろな保証対象でも、畜産農家の方は、すごい大規模であっても小規模であっても同じように助成をしているわけですよ。ところが、普通の外食産業だとか末端の業者、いわゆる一番川下のところは、ここは中小企業でこの範疇だから助成するけれども、これを超えたものは助成しない、例えば外食産業だったら資本金が五千万円で五十人以下のところじゃなきゃだめだよとか、勝手に枠をはめちゃっているんですよ。中小企業庁がやっている今までの普通の保証とか、または国金や何かで同じような形でやっているんですが、今回の場合は特別だということを考えてもらいたいんですね。そういう枠を外してもらいたい。

 ハム、ソーセージの業者でもそうなんですよ。ハム、ソーセージだって、やはり何か入っているんじゃないかなんて国民が思って、売り上げが落ちているんですね。これは五〇%とか六〇%とかいう売り上げの落ち方なんですよ。一〇%減だったら、今景気が悪いからというので、何とか対応しようという気持ちはあるし、それは何とか営業努力でと。ところが、営業努力なんというのは通用しない状況なの。本当に困っているんですよ。

 例えば、私が平沼大臣に贈答用に肉を贈る。だけれども、中山のやろう、何かおれに恨みがあるのかな、肉なんか贈りやがってと、こういうことを、絶対ないはずなんだけれども、そんなことだって、今国民の心理の中にあるんです。だから、贈答用の肉だって、うっかり上役に贈れない。こんなもの贈ったら、逆に、このやろうふざけるなとやられちゃう可能性もある。そういうさまざまな問題点が今うんと出てきているわけですね。

 だから先ほど言ったように、例えば大臣には、ぱっと早くCMで、またはテレビで、これをばっと抑えてもらいたい、ここが私の一番お願いなんですが、同時に、現実に苦しんでいる中小企業、それから肉を扱っている業者を公平に扱ってもらいたいと思うんだが、平沼大臣、ひとつその辺を。

古屋副大臣 今委員御指摘がありましたように、いわゆるハムだとかソーセージ、牛肉を使って加工している食肉業者にも大きな影響が出ている、これも私ども調べてみましたけれども、そのとおりだと思います。

 我々としては、農林省からの要請がありました十月の四日以降、いろいろな対応を始めておりまして、具体的には、まず、政府系の三金融機関に窓口を設置する、あるいは信用保証協会であるとか、あるいは全国に商工会議所あるいは商工会がありますので、ここにすべて相談窓口を開いておりますし、また経済局がございますのでそこにも相談窓口を開いて、今まで、十一月の十四日現在で大体七千十五件相談に応じております。

 また、融資の方ですけれども、これは別枠で政府系の三金融機関が融資に応じておりまして、その実績が、十一月の十四日現在で五百十件、五十億円ということになっています。

 また、今、セーフティーネット保証の充実、大臣からも説明がございましたけれども、これも別枠で対応させていただいておりまして、十一月の十四日現在で八百六十件、約百十億円でございます。

 今申し上げましたように、関係省庁あるいは関係機関としっかり連携をとって最大限の支援をさせていただきたい、このように思っております。

中山(義)委員 時間が来ましたので、本当に要望いたしたいと思いますが、とにかく一番川下の業者が大変苦労しているということなんですね。まずこれをわかっていただきたい。そういう面では、今回のことで被害に遭った人をすべて公平に扱ってもらいたい、これがまず一つなんですね。

 もう一つは、さっき言ったように、何かこれっぽっちでも不安が国民にあるものがあったら、それは金をかけてでも払拭するということが大事だと思うのですよ。私は一番初めに天災か人災かテロかと聞きましたけれども、天災だったら、これはもう災害ですから、または地震なんかでも阪神大震災のように国が徹底してやっていく。人災ならば、その責任はとってくださいよ。ちゃんと大臣の責任のもとに、宣伝はするし、不安なものは全部取る。

 最後に、さっき平沼大臣、大変お疲れのところだったのでございますが、テロと言いましたよね。テロだって、法律をつくってそれに対抗するくらいのいろいろなことをやっているわけですね。ですから、焼き肉屋さんにしてみれば、こんなにまじめに商売をやって、こんなに一生懸命店舗を伸ばして日本の経済に貢献しているのに、なぜこんなことが起きるんだろう、だれの責任だ、持っていくやり場のない苦しみだとか怒りに今本当に、国民がだんだんそうやって燃えてきて、我々のところに来ますよ、これから。そういう面では、やはりここで政府の確固たる姿勢をぱっと見せてもらいたい。

 そういう面で、私ども、これから鮫島議員が詳細にわたって厳しく追及をするそうでございますので、私は初めにジャブ程度で終わらせていただきたい、このように思います。

 以上です。

山本委員長 次に、鮫島宗明君。

鮫島委員 重複を避けるために、ちょっと通告と変わるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。

 初めに、厚生労働大臣に、狂牛病という名前じゃなくてどういう名前がいいとおっしゃったんでしたっけ。もう一度お願いします。

    〔山本委員長退席、鉢呂委員長着席〕

坂口国務大臣 牛海綿状脳症という言葉を使わせていただきました。

鮫島委員 大体そういうことを言っているからだめなんだと私は思うのですね。牛海綿状脳症という名前は家畜の病名でして、厚生労働大臣は、新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病と言わないといけないんですよ。そういう所轄自身が大体おかしくなっている。例えば、順天堂の北病棟に牛海綿状脳症の患者がいるなどという日本語はないわけでして、厚生労働大臣は新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、農水大臣は牛海綿状脳症、人畜共通の病名として言うときには、狂牛病と言うしかないんですよ。そういうワーディング自身がよくわかっておられない。だから、マスコミにたたかれる。

 それで、安全宣言を二人が出してから、実は牛の買い控えがさらに広まった。このことは、多分お二人とも数字をつかんでいないと思います。もしつかんでいるとしたら経済産業大臣ですけれども、多分正確につかんでいないと思いますが、牛の消費の落ち込み、安全宣言の前と後でどう変わったか、つかんでおられるでしょうか。通告なしで失礼なんですが。

平沼国務大臣 この数字に関しては、経済産業省ではそういう数字というものをつかんでおりません。ですから、これは、ほかの省庁と協力をしながら、もし御質問でしたら、後刻お答えをさせていただきたいと思います。

鮫島委員 私ども随分いろいろな分野で調べたのですけれども、つかんでいないのですね、末端の消費でどれだけ変化が起きているか。

 私ども、労働組合の各分野の方々を通じてそれなりに調べたら、やはり安全宣言を出して以降、末端の消費が落ちている。つまり、安全宣言が裏目に出たということなんですが、どうして裏目に出たというふうにお考えかどうか。先ほど農水大臣はお答えいただいたので、坂口大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 そのお話に答えます前に、病名の話でございますが、クロイツフェルト・ヤコブ病と言う場合には人間の病名でございまして、牛のときにこの病名を使うわけにはまいりません、これは人の場合でございますから。だから、そこは明確に区別をしなきゃならぬだろうというふうに思っております。

 それから、今御質問をいただきました点につきましては、我々の方も鋭意検討をいたしておりますが、十八日から検査をスタートいたしましたその時点におきましては、いわゆる屠畜場の牛の出荷は今までの半分ぐらいに減っているわけでございます。それが最近は八五%から九〇%ぐらいまで増加をしてきておりますので、その面ではかなり増加をしてきているのかなというふうに思っているわけでございますが、いわゆるお店屋さん、それぞれのお店屋さんにおいてどれだけ消費が落ち込んでいるのかということのデータというのは、私たちは持ち合わせておりませんので、お許しをいただきたいと思います。

鮫島委員 実際どのぐらい末端の現場で被害が出ているか、先ほど中山委員も訴えたところですが、まず、そこのところを正確につかんでいないというのが多分一番大きな問題じゃないかと私は思います。これは雇用にも関係してきて、もう既に、特に焼き肉屋さんでは、パートの職員の方はほとんどもう必要なくなるということで、今いられなくなっていると思います。

 安全宣言の出し方が間違っていたと私は思っています。次の日からせっかくお客さんが来て、両大臣が安全宣言を出したらしいけれども、きょうからの肉は検査済みなんですかと聞いたら、それに答えられない。きょう店頭に並べてあるのは、実は検査前の肉と検査後の肉とがまざっています、正直な肉屋さんはそう言うわけですから、そうすると、買おうと思っていたお客さんが買わなくなっちゃう。私は、これが安全宣言を出したのに消費が戻らなかった最大の理由だと思います。

 農水大臣は、私は今さら期待しませんが、この消費者のマインドというのをわかっていないのですね。牛肉は一〇〇%安全ですとまくら言葉のようにいつもおっしゃる。安全宣言を出して、食肉センターを使って卸段階のところだけは隔離保管している。牛肉は一〇〇%安全ですと言いながら、安全宣言を出し、全頭検査をやり、食肉センターで保管しているものは隔離保管する、こういう措置をとりながら、末端のところだけは手を打たなかった。私は、これがやはり致命的なことだったろうと思います。

 それからあと、農水大臣はいつもマスコミが悪いというようなことをおっしゃいますが、なぜマスコミにつけ込まれるのか。これは、明らかに安全体制をとる上での専門的に見ての欠陥がある。

 私は具体的に申し上げますが、例えば、屠畜場に持ち込まれる牛については全頭検査体制をしきました、危険四部位に関しては、健全な牛についてもこれだけは焼却処分することにしました、残りは肉骨粉にします、肉骨粉にして焼却します、したがって末端の処理まで安全です、こうおっしゃいますが、実は、死んだ牛がいるわけですね、死亡牛とか廃牛とか言われていますが。家畜共済の方で農林水産省は数字をおつかみだと思いますが、これが年間十四万頭から十四万五千頭出ると言われている。全部が家畜共済に入っているわけじゃありませんから、家畜頭数に少し換算して数字をもうちょっと詰めると、大体年間十八万頭から十八万五千頭、これが屠畜場以外のところで死んでいるわけです。この牛の扱いがどうなっているか。

 これは今どうなっているのですか、この死亡牛の扱いというのは。

遠藤(武)副大臣 委員先ほどおっしゃったように、平均すると、大体年間十六万頭程度と見られています。

 今回のBSEの発生に伴い、三年計画でやっておりました耳標をつける作業を年度内に終わらせるべくやっているわけですが、それと同じように、へい死した牛についても全頭検査する体制を整えるべく今やっているところでございます。

 ただ、人員及びそのシステムの構築などいろいろ問題がありますので、専門家から意見を聞いておるところでございまして、なるべく早くそういう方向に移行したい、このように体制を整えつつあります。

鮫島委員 もう一度確認したいと思いますが、皆様よく御存じの狂牛病の専門家、日本には三、四人しかいないと思いますが、その中でも第一人者と言われている東大の小野寺先生がヨーロッパに行って調査してきたところによると、フランスで、今日本と同じように屠畜場での検査、死亡牛の検査、これは二十四カ月齢以上の牛についてやっているようですが、屠畜場での検査によると、感染牛の出る比率が三万頭に一頭。フランスは延べで既に三百頭近い患畜が出ていますが、屠畜場での検査では三万頭に一頭ぐらい感染牛が出てきます。それに対して、死亡牛あるいは廃用牛だと、約千頭から千三百頭に一頭ぐらい。つまり、屠畜場の検査に比べると、死亡牛については三十倍ぐらいの高い頻度で感染牛が発見される。

 そういう意味では、日本では今、屠畜場での検査しかやっていないわけですけれども、数字は私の方が正しいと思いますよ、十八万頭近いですよ。これはなぜかというと、肉牛の三分の一は家畜共済に入っていないんですよ。その数字で補正すると、大体年間十八万頭の死亡牛及び廃用牛として扱われて死んだもの。集めると十八万頭から十八万五千頭、これが直接実は肉骨粉工場に運び込まれている。屠畜場を経由せずに、牛の火葬場ともいえる肉骨粉工場に直接運び込まれている。一切検査なしに、そのまま砕かれて肉骨粉になっている。

 一方で、屠畜場の方は、全頭検査で、しかも危険四部位を抜いて、それで肉骨粉の工場に持っていく。

 つまり、非常に厳密に検査してきれいにしたラインと、全く検査しないでどうぞ御自由にというラインが入りまじって肉骨粉の工場に行っているんです。

 私は肉骨粉工場の現場にも行ってきましたが、丸のままです。なぜかというと、肉骨粉工場の経営者たちは、解体、屠殺の免許を与えられていない。ですから、そこでは危険四部位を除去したり延髄を取ったりはできないんですね、業として。ですから、丸のまま燃しちゃう。十八万頭の、フランスの例でいえば感染の確率が三十倍高い十八万頭という集団が、農水省の監視もなければ厚生労働省の監視もないままに、そのまま肉骨粉工場に持ち込まれている。

 先ほど副大臣は、では、死亡牛、廃用牛含めて約十八万から十八万五千頭の牛について、今後は二十四カ月以上の牛について全頭検査をするとおっしゃったんですか。

遠藤(武)副大臣 委員おっしゃいますように、例えばフランスだと一対三十三とか、アイルランドも一対三十一とか、そういうふうな数字は私どももつかんでおります。

 そこで、へい死した牛などの検査も必要かなということから、そのシステムづくりをやっていただいている。先ほど大臣もおっしゃられたように、既存の私どものシステムというか機構ではなかなか容易じゃないだろうということで、厚生労働省等御協力いただいて、調査会、検討会をつくらせていただいて、そこに我々の持っている腹案ももちろん出しますが、そこでしっかりとしたシステムを構築していただくつもりでおります。

鮫島委員 今、屠殺場に持ち込まれる牛については全頭検査。年間約百三十万頭だと思います。と畜検査員の数は、直近の数字でいうと二千三百七十三人。

 一方で、農林水産省の所轄の家畜保健衛生所で家畜防疫員という検査員がいると思いますが、この厚生省の二千三百七十三人に比べて、家畜防疫員は何人いるんでしょうか。

遠藤(武)副大臣 家畜防疫員は都道府県で管理しておるわけですが、全国百八十三カ所に、十三年三月現在で二千六十六名おります。

鮫島委員 ですから、大体ほぼ同数いるわけですよ。厚生省の所轄の方の、と畜検査員が二千三百七十三人、今の家畜防疫員が二千六十数名と、ほぼ同数いるわけです。

 厚生省の方では、百三十万頭の牛、一頭残さず全部検査するという体制を整えた。一方で、死亡、廃用として十八万頭近い牛について、同じ数、二千人以上の検査員がいるわけですから、これが検査できない機構上の問題、構造上の問題、できない理由は私は何もないと思いますが、何かできない理由があるんですか。

遠藤(武)副大臣 十八万頭、まあ十六万頭平均と私つかんでおったんですが、検査すべく、今その体制を検討しておるところであります。

鮫島委員 補正予算で要求していないんですよね、ここのところを。ですから、それはしようがないですね、御自分の当初予算の配分の中から節約で対応していただくしかない。

 私、なぜこれにこだわるかというと、感染経路がこのままではわかるわけないんですよ。一頭しか出ていませんと。

 これは、人間の新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の例でいうと、一つの小さな村で五人の患者さんが出ました。五人が共通で食べているもの、そういう調査から初めてどうもくず肉らしいという話になっていったわけでして、一頭だけ幾ら追っかけていてもわかるわけない。やはり、肉骨粉場に持ち込まれる十八万頭近い死亡牛、廃用牛についての徹底した検査をやれば、多分、余りこういうことを言うとよくないのかもしれませんが、私は、二十数頭は出るんじゃないかというふうに思います。

 そういう数字が出れば、では共通にどういうえさを食べていたのか、あるいはどういう地域でそういう患畜が出るのかということから初めて感染経路について推定がついていくわけでして、たまたま発生した一頭の牛だけを幾ら追っかけ回しても、多分原因究明にはつながらないだろうと思います。

 多分、現場では、もちろん私は難しいことはいろいろあると思いますよ。もう死んだままで肉骨粉場に持ち込まれるわけですから、死後硬直していて非常に解体しにくいとか、解体の免許を持っていないわけですから、これは家畜保健衛生所の人に来てもらわなくちゃいけないとか。しかも、屠畜場のようにラインでわっと流れ作業で出てくるわけじゃなくて、きょうは三頭、あしたは五頭、その次の日はないかもしれないという、ばらつくような体制の中で、家畜保健衛生所の検査員が延髄を抜きに行って検査するというのは、現実的にはもちろん難しい面は多々あると思いますが、少なくとも、一方では完全に検査してきれいなライン、BSEフリーの肉骨粉の原料というものを確保しておきながら、こっちの十八万頭の方は目配りしていない、こういうことがマスコミにつかれるわけです。

 マスコミだっていいかげんに書くわけじゃなくて、根拠がなければたたかないですよ。農林水産大臣、厚生労働大臣は、何かいわれなき批判を浴びていると思っているかもしれませんが、全部マスコミがつつくような根拠をふたしておけば、これはたたかれるわけないんです。

 例えば、今言ったような十八万頭の方は全然知らぬ顔して安全宣言を出しちゃう、こういうことをやられるし、それから、末端で検査前の肉と検査後の肉がまぜられて売られるような中で、平気で安全宣言を出しちゃう。この無神経さが、非常に都会の消費者から反発を浴びている。そういう御認識を持っていただかないと、私は、これからの農林水産行政自身が成り立たなくなると思いますよ。

 つまり、消費者があって売られて初めて生産から消費までのラインが流れるわけで、縦割り行政で、おれは縦割りだから生産部分だけ責任持っておけばいいんだという時代は、実はもう終わっているんですね。本当は、橋本さんの行革が縦割りから横割りに直すような行革をやればよかったんだけれども、残念ながら、ようかんの厚みを切る切り方しかやらなかったと言われていますが、私は、川上から川下までが目配りをしてちゃんと流れるような体制をとらない限り、WTO体制での農業政策というのは成り立たないと思います。

 大臣は、いつも私がそう言うと不機嫌なお顔をなさいますが、やはり消費者は神様ですというところの意識を持たないと、これは農業そのものが成り立たなくなるというのは御認識を変えていただかざるを得ない。

 そういう意味では、安全宣言は間違っていたと思いますよ。つまり、次の日お客さんが行って、じゃ、きのうまでの肉と安全宣言後の肉とは見分けられるのか。見分けられない。(発言する者あり)お客さんのことをわかっていない人は、そういうやじを飛ばすでしょう。わかっていないんですよ。だから、わかっていない人が安全宣言を出してもしようがない。その辺、どうですか、大臣。

武部国務大臣 私どもは、安全宣言という形でやっていないんですよ。これは厚生労働大臣と、全頭検査体制が整い、それを実行できるようになりました、したがって、今後は屠畜場から流通される食肉等は安全な牛しかありません、そういうことを申し上げているのであります。

 それから、二重三重のブロックを当然考えてやっているんですよ。農場におけるサーベイランスも徹底強化しているわけですね。それから肉骨粉についても、輸入もそれから国産のものの製造、出荷もとめて、これは科学的には豚、鶏などには大丈夫だと言われているけれども、これにも使用しないというようなことをやっているわけです。

 今、委員の御発言でちょっと誤解があるのは、へい死牛、死亡牛について、そのままレンダリングに回ってそれが家畜に使われているかのような、そういう誤解を与えるように私は受けとめるんですね。そうじゃありません。へい死牛は、焼却処分にするか、またはレンダリングに回して肉骨粉にして焼却する、そういう体制をとっているわけであります。ですから、屠畜場から出る食肉等は安全な牛のものしか流通しなくなったんです、そういう事実を申し上げているわけであります。

 これから原因の、感染牛の感染源というものの徹底究明。それから、今申し上げましたように、農場段階における死亡牛に対する対策は、委員の提案も一つです。しかし、生産者からは、もう自分たちのところの牛は徹底してクリーンだということで、産地としての名誉といいますか、産地としてのブランド化を図っていきたいということで、多額の金をかけてでも焼却施設をひとつつくってやりたい、全部焼却したいというような提案も出ているわけですから、今副大臣が答えましたように、死亡牛に対する対策についてのシステムをどう構築するかということも今後の対策として検討しなきゃならない。まだまだあります。

 次から次とやらなきゃならぬことはあるだろう、このように思って取り組んでおりますので、その辺のところは誤解のないようにいただきたいと思います。

鮫島委員 私は先ほど、死亡牛及び廃用牛の中で死んだものは肉骨粉工場に持ち込まれていると言っただけで、別にそれがえさに使われているとかということは言った覚えはありません。

 年間に大体、死亡牛が、乳用牛、肉用牛それぞれ、乳用牛で五万頭程度、肉用牛で六万程度。廃用牛というのが、乳用牛の方が多くてこれが七万頭程度、肉用牛が二万頭程度出ているわけですが、廃用牛の中で死亡として扱われるものが、乳牛の場合四〇%、肉用牛の場合大体七五%。ですから、死亡牛として扱われたものと、廃用牛の中でその後死亡牛として扱われたもの、両方合わせての数字を私は先ほど申し上げたわけです。これが、一部は、家畜伝染病予防法のもとで法令によって焼却されるというものがごく一部あります、大体頭数で言うと一%程度。残りの九九%は、丸のまま肉骨粉工場に持ち込まれるわけです。それから、今の屠殺場から出た非可食部分も持ち込まれる。

 従来は、先ほど大臣がおっしゃったように、いろいろな利用のされ方をしていましたけれども、そのリサイクルのシステムがとまって、全部、少なくとも牛由来のものは燃さなくちゃいけませんというふうになりましたが、実はラインが別になっているレンダリング工場というのはそんなにない。ですから、牛も豚も鶏も、鶏だけ別というのはありますが、牛も豚も一般的には一緒にレンダリングされる。肉骨粉は区別つきませんから、これはまとめて焼却しなくちゃいかぬ。

 少なくとも私が調べた範囲では、現場が大変詰まっています。先ほど、生産から消費まで全体のラインが流れないとこれから農業はうまくいきませんと言いましたが、このリサイクルの話も同じで、肉骨粉まではいいけれども、そこから後の焼却がうまくいかないとこれは大変なことになるんですが、現状をどんなふうに把握しておられるでしょうか。肉骨粉の焼却処理がどの程度円滑に進んでいるか。どういう数字を持っておられるか。

小林政府参考人 今お話ございましたように、肉骨粉の処理を今進めております。十月四日に一たん使用も含めて全部停止いたしましたが、その後、いろいろな関係の皆さん、消費者の皆さんを含めて検討会を開きまして、こういった形で分別ができるとか、それからこういった形で安全に使えるというものを順次、今、解除していくということをやっております。

 その過程の中で、今お話ございましたように、これから特に牛の肉骨粉をどういった形で分別していくのかということが課題でございます。今私どもの聞き取りで把握している数字について申し上げますと、肉骨粉の年間生産量、おおむね四十万トンでございます。この中で、牛の肉骨粉が二割で八万トンということでございまして、これは近い将来を含めて、牛と区分した形で処理できる、具体的には豚、鶏の肉骨粉であるわけでございますが、こういうのが大体今の生産量の四割程度というふうに見ておりまして、ですから、それの分別がちゃんとできれば、区分できるものが十六万トンという形で活用できるというふうに見込んでいるところでございます。

鮫島委員 ちょっと質問とずれていると思いますが。牛由来の肉骨粉は燃さなければいけません、一般廃棄物として扱ってくださいというのが環境省からの御指導ですが、一般廃棄物として扱うのはいいんだけれども、ちゃんと燃せていますかということを私は聞いたんですけれども。

岡澤政府参考人 肉骨粉の焼却処理でございますけれども、今御指摘のように、一般廃棄物として、まず市町村に処理をしていただくというふうに考えているわけでございます。

 環境省が十一月十四日時点で取りまとめた数字によりますと、市町村の焼却処理施設で受け入れ可能な肉骨粉の量というのは、年間量として換算いたしまして約十二万トンになります。現時点においては受け入れは可能であるけれども受け入れ量は未定である施設だとか、あるいは受け入れについても検討中の焼却施設もございまして、これから市町村の受け入れ量が増加するというふうに一応見ております。

 ただ、これだけでは地域によりまして焼却能力が不足するということもございますので、セメント工場において肉骨粉をセメント原料として使用するというようなことを考えておりまして、十月十五日付で所要の告示の措置を行ったところでございます。

 現在、セメント協会では、セメント工場において肉骨粉を焼却している実績のありますヨーロッパを視察しておりまして、ここでの技術内容等を確認した上で、所要の手続をとってセメント工場での焼却処理を開始するというふうに聞いておりますので、私どもとしては、来週以降できるだけ早い時期にセメント工場での焼却が始まるというふうに思っていまして、セメント工場での焼却が始まれば、市町村の焼却施設と合わせて十分な能力が確保できるというふうに考えております。

鮫島委員 都道府県に電話して聞いても、現実的なことはわからないと思いますよ。全国に百六十四の肉骨粉のレンダリング工場があって、その中で牛専用に扱っているのは三十一工場しかない。つまり、全体の五分の一程度。ですから、ほかは、ある意味では豚も牛も一緒のラインになっていますので、牛由来の肉骨粉を燃しなさいと言っても、これはほかと一緒になって来ますから、かなりの量。

 私どもが現実に各工場に聞いたら、特に九州地区は九割方、山積みになっています。それから、関東でも半分以上山積みになっている。しかも半分は、屠殺場経由のものは全頭検査かもしれませんが、先ほど言った死亡、廃用の方は無検査で入ってくる。この肉骨粉が現場で山積みになっている。これは、ほうっておくと、いずれ誤用、流用でどこかに流れていく危険性もある。

 先ほどの農水大臣の御答弁も、イギリスで初めに狂牛病が出たころの担当大臣の答弁とまことによく似ているんですね、ある意味では大変危ないんですが。そういう、ちゃんと肉骨粉製造のラインが完全に正常化されていない環境の中で、豚と鶏の肉骨粉は肥料とペットフードとして使っていいですよという許可を突然出している。これはある意味では大変危ないんですよ。一方で牛由来の肉骨粉が山積みになっている、ふん詰まっているところで、豚、鶏由来はいいですよ、ペットフードでどうぞ、肥料でどうぞということを二週間後に解禁しちゃったんですね。これは、牛の方からの誤用、流用が完全にないという体制をとらない限り、こっち側は解禁すべきじゃない。

 誤用、流用を防ぐためには、色をつけるしかないんですよ、染色するしか。私どもずっと一貫して言っていますが、現場の人たちも、もしそういう行政指導が出れば技術的には何の問題もないと言いましたが……

鉢呂委員長 委員、まとめてください。

鮫島委員 なぜ着色しなさいという指導をなさらないのか。この質問を最後で終わります。

小林政府参考人 肉骨粉の取り扱いにつきまして、まさにこれから分別をしていく、それから、今ありました鶏、豚、今度一時解除したものにつきましても、その工程も含めてきちんと分別管理していくという、そのチェック体制も含めて検討会で御議論いただいております。

 そういった中で、これからの課題としまして、例えば施設の段階できちんと分別しなくちゃいけないという課題もあるでしょうし、それから、具体的に肉骨粉が原料として流出していく段階で、今御指摘のありましたような、例えば色をつけることはどうかということも含めて、我々は、きちんとした体制ができるように検討していきたいというふうに考えておるところでございます。

鉢呂委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時五十三分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時二十六分開議

鈴木委員長 休憩前に引き続き連合審査会を開会いたします。

 質疑を続行いたします。筒井信隆君。

筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。

 今、委員長の許可を得てお配りさせていただいております「農水省・厚労省十五の責任(含四つのウソ・五つの不作為)」、ここで、今度の狂牛病の問題についての行政の責任を整理しております。この中で、特に二重丸をつけたところが大きな責任ではないか、この一つだけでも責任者が責任をとるべき大きな問題ではないかというふうに考えております。

 一番最初の、肉骨粉の全面輸入禁止措置が遅過ぎた、あるいは不十分だった。それから、肉骨粉等の全面給与禁止が遅過ぎたし、また、やはり不十分だった。これ、ちょうど千葉県の、今回の当該狂牛病になった牛は九六年の三月に誕生しておりまして、肉骨粉のイギリスからの輸入禁止の行政指導が九六年三月、同じ時期でございました。そして、肉骨粉の牛への給与禁止の行政指導が九六年の四月、一カ月おくれでございました。この肉骨粉の全面輸入禁止と給与の全面的な禁止、これが九六年三月から行われて徹底されているならば、あの千葉県の牛は発生しなかった。肉骨粉が原因としか考えられませんので、そういう結論が出てくるわけでございまして、それがおくれたからあの千葉県の牛は発生した、こう言えるわけでございます。

 それから、きわめつきは五番、六番でございまして、その千葉県の牛が肉骨粉に加工され流通していた。さらには、その牛が焼却処分されたというふうに、焼却処分したというふうに、うその発表を農水省がやった。これが、一頭出ただけなんですが、消費者の不安を大きくかき立てた、風評被害の大きな原因になった。これも重要な問題だと思うのです。

 八番目が、サーベイランス体制、監視、検査の体制、これがきちんとしていれば、千葉県の牛、当初敗血症の診断をして、そして肉骨粉に加工していた、焼却されなかった、こんなこともなかったわけでございまして、監視、検査の体制が不十分だった。しかし、行政は、それが整備されている、十分である、有効に行われている、こういううそを言っていた。

 それらは、結局十番目の、この甘い見通しですね、これに起因するわけでございまして、欧州委員会が、リスクアセスメント評価で、四段階のうちの悪いところから二番目の三段階に評価して、日本でも発生する可能性あり、こういう評価をしようとしていたところが、農林省は、いや、日本では発生の可能性は極めて薄い、こういううそをついて、その評価を拒否した。まさに、ここでその甘い見通しが表に出てきているわけでございまして、それらの結果、最後の二重丸、生産、流通段階に多大の損害を与えた。先ほど同僚議員が二千億から三千億と言われております。そして、狂牛病対策費として一千五百億円が今予定されている。極めて多大の損害を国民に与えて、そして税金も使う。これだけの問題点を起こしながら、今現在、行政はだれも責任者が責任をとっておりません。

 ここでドイツの例を一つ挙げておきましたが、ドイツでは二〇〇〇年の十一月に発生した。翌年の一月に二人の大臣が、閣僚が辞任をした。この辞任の理由は、甘い見通しに基づいた対策のおくれ、不作為責任でございまして、日本の場合には、さらにその不作為責任が、先ほど言ったように五つもあるわけですが、さらにうそをついた、そういうプラスの責任もある。それでいながら、もう一度言いますが、いまだかつてだれ一人として責任をとっていない。これはなおさら問題だと思うのですが、まず農林大臣、その責任をとる、とらないについてはどう考えますか。

武部国務大臣 いろいろ御指摘をいただきましたが、当初段階におきまして、行政の不手際、混乱があったことはまことに遺憾にたえない次第であります。

 私は、一人一人呼びつけて、厳重な注意を促しました。こうまで言いました。とにかく二度とない人生だ、二つとない命だ、何でこんな甘い認識になっていたのか、とても信じられない、しかし今緊急の事態だ、したがって、とにかく将来において自分の役人生活の中であのときほど命がけで頑張ったときはなかったというぐらいの努力をしてくれ、そのことをしっかりやってもらわないと、それこそ国民に対して、消費者に対して言いわけにならないぞというようなことを、私は、一人一人呼んで、一人一人詰問して、とにかくその対応に全力を挙げるということを徹底した所存であります。

 私は、好きな言葉の中に、人事を尽くして天命を待つという言葉もあります。また、おれがやらなきゃだれがやる、今やらなきゃいつできる、この言葉も私の大事にしている言葉でありまして、その精神で今日までベストを尽くして努力している所存でございます。しかし、何度も申し上げておりますように、新聞、テレビで再三、大臣謝罪、陳謝、責任を認める、こういう報道ぶりがございました。それは甘んじて受けなければならないことだ、このように認識いたしております。

筒井委員 抽象的なことを聞いているのではなくて、具体的にどういう責任をとられるのか、これを聞いているのです。

 そして、先ほどからも話がありますように、十月十八日から、全頭検査の体制、屠畜解体の処理の適切な体制ができた、安全だと言われているわけですから、先ほど鮫島議員が言われたようにいろいろな問題点はあるのですが、しかし、大臣の言われていることだと、体制はきちんととった、人事を尽くしたということを言っているわけですから、ここで明確な責任を形としてとらなきゃいかぬ。それほどの内容ではないかというふうに思うのですが、形として、どういう責任を大臣あるいは農林水産省がとられるのか、それを具体的に聞いているのです。抽象的なことを聞いているのではないのです。

武部国務大臣 私は、具体的に答えている所存でございます。

 間断なく、まだまだやらなきゃならぬことが山積していると思いまして、そういったことをしっかりやり通すということが私自身の責任だ、このように思っております。その上で、今委員がさまざまな指摘がございましたが、客観的に、科学的に、我々としてもさまざまな指摘をいただいております。もっともだと思うところが多々ございます。

 したがいまして、第三者委員会というものを立ち上げまして、そこで過去にさかのぼって客観的に、科学的にしっかり検証していただき、その御議論を受けて、私どもも諸般の対応をしなければならない、このように考えているわけでございます。

筒井委員 別の場所で大臣は、責任問題は人事権者の私が判断する、こういうふうに言われておりますが、これは、そういう表現から見ると、行政の事務次官以下の責任のことを言われているわけです。これは具体的に、いつ、どういうふうに判断されるのかという点が一点。

 それから、大臣が就任されてからの、先ほど言った焼却処分したとうその発表をしたり、あるいは焼却されずに肉骨粉に加工してしまったり、こういうまさに失態が起こっているわけで、この最高責任者は大臣ですから、大臣自身の責任は、辞任とかを含めて、どういうふうに、いつ判断されるのか。この二つの点、答えてください。

武部国務大臣 行政の人事権については、私が持っているわけでございます。これは、これからまだまだやらなきゃならない、間断なく対応しなきゃならない緊急の問題が山積しておりますから、これらを徹底させるということが私の今の考えでございます。

 私自身のことは、先ほども申し上げましたように、間断なくやらなきゃならぬ責任を果たしていくというのが私の責任だ、このように考えております。

筒井委員 そうすると、まず、大臣自身がやめる意思は現在ないということですね。それから、部下に関しても辞任等の形でけじめをつけさせる気持ちもない。この二点、今そういう答えですね。

武部国務大臣 私は、今やめる意思は毛頭ございません。それは、そのことについては総理が人事権者でありますので、私は自分の職分のベストを尽くすということが私にとっての一番大事な責任だ、このことは強く考えております。おれがやらなきゃだれがやる、そういう気概でしっかり仕事をしようというのが私のとるべき責任だ、私はこう思っております。

 それから、部下のことにつきましては、これは先ほども申し上げましたように、私が人事権者でありますので、第三者委員会で人事の問題、責任問題を議論いただくというのは私は適切ではないと思いますが、そこで過去にさかのぼって、客観的に、科学的にさまざまな検証をいただくわけでございます。そういったことも参考にさせていただいて、いずれ私自身がしっかりした判断をしなければならない、このように考えております。(筒井委員「いずれというのはいつですか」と呼ぶ)いずれというのはいずれでございます。

筒井委員 では、時期も定まっていないということですが、極めて責任のない今の答弁だと思います。けじめをつける意思が全くないというふうに判断せざるを得ないと思います。

 具体的に、これからその一つ一つ、今までの失態についてお聞きいたしますが、その前に、厚生大臣、厚生労働省としての責任はどういうふうに考えておられますか。

坂口国務大臣 責任のとり方は、やはりそれぞれ考え方があるというふうに私は思っています。

 私は、就任いたしまして、最初KSDの問題がございまして、これは私のときに起こった問題ではございませんでしたけれども、しかし、私もそれなりの責任をとった次第でございます。

 今回のことにつきましても、いろいろの状況がございましたが、これらのことを勘案して、もし厚生労働省に責任があったということであるならば、それは最高責任者である私がある程度責任をとらなければならないと思っている次第でございます。

筒井委員 先ほどちょっと対応が違うのですが、最高責任者としての責任は具体的に考えておられますか。まだ具体的には考えておられませんか。

坂口国務大臣 今のところ、まだ具体的には考えておりません。

筒井委員 一つ一つの失態あるいは行政の問題点についてお聞きしていきますが、まず、すべての出発点は、千葉の問題の牛が肉骨粉に加工され流通していた、それについて焼却したといううその発表を農林省が行った、ここから始まっているわけでございまして、このために物すごい風評被害が拡大した。

 この牛について、脳を採取しておりますが、この脳の採取というのは農林省のBSEサーベイランス要領、臨床的にBSEが否定できない牛が発見された場合の対応、この文書に基づいて脳を採取して、病性鑑定依頼書とBSEサーベイランス搬入材料の詳細という書面を添えて動物衛生研究所に搬入した、こういう経過であることはまず間違いないですね。

小林政府参考人 今の、私ども四月から始めましたBSEサーベイランス体制、その中の一環として頭部を採取いたしまして、それで検査を始めたということで、そのとおりでございます。

筒井委員 本件牛は、八月六日時点なんですが、BSEが否定できない牛として判断されたのですか、それともBSEが否定できる牛として判断したのですか。どっちでしょうか。

小林政府参考人 八月六日の段階で、この乳用牛一頭につきまして、屠畜場でと畜検査員の方で診断したわけでございます。それは敗血症ということで診断されました。

筒井委員 私の質問に答えてほしいのですが、敗血症であることは敗血症だったわけでしょう。しかし、脳を採取して動物衛生研究所にBSEの検査を依頼しているわけです。この八月六日の時点で、農林省の通達で言うBSEが否定できない牛として判断されたのか、それともBSEが否定できる牛として判断されたのか、どっちですかという質問です。

小林政府参考人 BSEサーベイランスの中で一環としてやっておりますが、そのときには敗血症という診断でございまして、BSEにかかっているあるいはかかっている疑いがあるとかそういった判断ではございません。

筒井委員 BSEが否定できない牛として扱われたという答えでよろしいのですか。

小林政府参考人 サーベイランスの流れとしまして、中枢神経症状で見ています。それで、牛海綿状脳症が否定できない牛あるいはその他の中枢神経症状という形でございまして、したがいまして、この段階では敗血症なり牛海綿状脳症があるというふうに確定したわけではございません。そういう意味では、中枢神経症状というよりも敗血症という形で獣医師が判断されたということでございます。

筒井委員 余りこんなところで時間をとりたくないのだけれども、農林省の通達で言う文書は、臨床的にBSEが否定できない牛が発見された場合の対応という形で脳が送られているわけですね、その文書に基づいて。この牛について、否定できない牛だというふうに判断がされたのかどうか、そういう処理がされたのかどうか、その点の質問だけなんです。

小林政府参考人 あくまで敗血症という診断でございますから、BSEのサーベイランスの一環としてやっておりますけれども、BSEが疑われるあるいはBSEにかかっているとかそういった判断ではなくて、敗血症ということでございます。

筒井委員 全然答えていないのですが、時間がかかるだけですから。どうもBSEが否定したのか否定しないのか、今の答えじゃはっきりしないのですが、その牛について、頭部は焼却して、それ以外は肉骨粉にした。この肉骨粉にした中で、危険四部位の一つである回腸遠位部、小腸の一部、これも入って肉骨粉にしたのですね。

坂口国務大臣 そこから先は私の方の範疇に入ると思いますから、その肉骨粉にいたしましたときには、それは確かに、先ほどお話がございましたように、入ってまいりましたときには、いわゆる、平たく言えば、転んで動けなくなった牛だということで入ってきたわけでございますけれども、屠畜をいたしました結果、その結果としては敗血症であったことには間違いなかったわけでございます。それで一応敗血症として処理をした。それで、敗血症でございますが、肉はというか、多分小腸の一部も入ってそれは肉骨粉になっただろうと思います。

筒井委員 この後に厚生労働省は、九月二十七日ですが、この危険四部位についてすべて焼却せよという指導をやっている。発生した八月六日はその前だったので、小腸の一部、危険四部位の一部を含めて肉骨粉にされてしまった。この危険四部位をすべて焼却せよ、こういう行政指導が遅過ぎたのじゃないですか、厚生労働省、どうですか。

坂口国務大臣 その時点のところでは敗血症という病気があったものですから、敗血症として処理をしたということでございまして、そのときに、やはり敗血症はあるけれども、もう一つほかの病気もないかというところに少し頭が回らなかった。そこが我々としては一番問題点だというふうに思っているわけでありまして、一番中心の問題が敗血症であったことだけは間違いないのですが、しかしそれだけで、そこでストップしてしまったということを私たちも今反省しているところでございます。

筒井委員 その問題も一つあるのですが、今聞いているのは、危険四部位も含めて肉骨粉にされてしまった、その後に厚生労働省が、危険四部位は敗血症だろうがBSEだろうが関係なく全部について焼却指導せよという通達を出したでしょう。その通達がもっと早ければ、この時点でもう危険四部位は焼却処分されていたはずなんです。だから厚生労働省の通達は遅過ぎたのじゃないですか。

坂口国務大臣 その時点では、まだBSEが発生したということがわかっていない時点であったものですからそういう処理をしたわけでありまして、いわゆる九月の末のときには一例それが発生をしてから後のことですので、発生をした以上これはそういうふうに処理をしなきゃいけないというので出したわけであります。

筒井委員 だから、発生してから慌ててそういう措置をとっているところに私は遅過ぎたという趣旨があるというふうに言っているのです。

 それと、家畜伝染病予防法によりますと、疑似患畜、患畜、疑似患畜というのは要するに狂牛病にかかっている疑いのあるやつは全部疑似患畜というふうに規定されているのですが、これは焼却処分しなければならない、こういうふうに義務づけられていますね。そして、焼却処分しなかった場合に、それは犯罪である、一年以下の懲役または五十万円以下の罰金の犯罪であるという規定が家畜伝染病予防法にあることは、まず農林水産省、当時きちんと認識されておったですか。

小林政府参考人 疑似患畜、患畜の規定については、私ども十分承知しております。

筒井委員 疑似患畜というのは、伝染病にかかっている疑いがある家畜はすべて疑似患畜である、こういう規定になっていますね。

小林政府参考人 患畜に至る前の疑わしい段階の牛が疑似患畜ということでございます。

筒井委員 この千葉の牛に関して言えば、だから私は、先ほどから何回も、八月六日の時点で、BSEが否定できない牛と判断したのか、BSEが否定できる牛と判断したのか、これを確かめているんです。全然さっきから明らかではない。

 少なくとも、空胞が認められたのが八月二十四日の時点、それから九月十日の時点では陽性の診断がされた。客観的に見て、私は、八月六日の時点でもう疑いがあるというふうに判断しなきゃいけなかったし、遅くとも八月二十四日、空胞が認められたところで、伝染病の疑いがある、つまり疑似患畜、こういう認識をしなければいけなかったと思うんですが、どうですか。

小林政府参考人 BSEにつきましては、御案内のように、非常に多くの検査法といいますか、そういうのを駆使して、それで確実な確定をしていくという形に国際的にもなっておるわけでございます。

 そういう意味で、今先生から御指摘ありました段階におきましては、最初のうちは敗血症でございますし、またプリオニクス検査の段階では陰性に出る、そんなことがございました。そういう経過をたどりまして、九月十日の疑わしいということを受け、またさらに専門家の先生方の意見を聞いて、それで判断する、そういう手順をとったところでございます。それで、こういった手順をした上で確定していく必要があると考えております。

筒井委員 私の質問にまたあいまいで答えていないんだけれども、八月の時点で空胞が存在した、だれから見たってその時点で疑いがあるというふうに判断すべきだと思うんです。

 だから、その時点でこれは焼却すべき牛だったということがはっきりして、焼却しなかったら一年以下の懲役、五十万円以下の罰金だという問題点が起こるわけですが、その当時は、空胞が発見された時点では既に肉骨粉にされていた、それをずっと農林省はほうっていて、肉骨粉についての焼却指導をしたのが九月十四日ですね。どうしてそれまでほうっていたのか。ここをほうっていたのは、今の焼却すべきだという法律の規定を知らなかったとしか考えられない。あるいは、知っていたら完全に無視した。この点、どうですか。

小林政府参考人 今先生の御指摘にございましたいろいろなプロセスはありますけれども、BSEというこの病気の確定ということにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、やはりさまざまな検査をし、その上のチェックをする、そういう形で進めておるところでございます。

 したがいまして、その疑似患畜、患畜という形で決定していくに際しましても、そういった科学的な根拠に基づきますそういう検査、確定をした上で進めている、これが必要だと思っております。

筒井委員 全く今のあれもそうなんだけれども、これは永村畜産部長が大体この法律、焼却すべきだった、焼却に違反したら犯罪である、この法規定に気がつかなかった、鶏とか豚の飼料に使うのは問題ないと思った、こういうふうに読売新聞の取材に対して答えているんですが、これが本当だったんじゃないですか。

永村政府参考人 お答えをいたします。

 御質問の九月十六日付の読売新聞の記事につきましては、国と県との間、また、畜産部内の連絡体制の不備、さらに患畜由来の肉骨粉の追跡状況等について取材をされたものだということを記憶をいたしております。これに対しまして、私、九月十日の記者会見のときに、焼却したはずであると発言をいたしましたけれども、その直後に、本来であれば、患畜の屠体がレンダリングに回されていた、この可能性についても思いつくべきであった、思いつかなかったことは不覚であり、私自身深く反省せざるを得ない、こういうことを記者の方に申し上げた。

 それから、もう一つのお尋ねの肉骨粉の件でございますけれども、万が一BSEに汚染された肉骨粉でありましても、豚、鶏に給与した場合、BSEに感染することはない、こういう科学的な知見について御説明をした、こういうことを記憶をしております。

筒井委員 法規定に気がつかなかったといって、豚、鶏にやるのには問題なかったと思ったというふうに取材で答えている。しかし、家伝予防法では、疑いのあるやつは完全に焼却しなきゃいかぬ。全面的に焼却しなきゃいかぬということは、豚とか鶏にも使っちゃいけないということですよ、法律の趣旨は。全く法律の趣旨を理解しない、そういう対応を当時においてもまだやっていた、そういうことじゃないですか。

永村政府参考人 お答え申し上げます。

 BSEに係る汚染物品については、これは当然焼却すべきことは事実でございます。

 繰り返しになりますけれども、私が記者の取材に対してお答えをしたという記憶がありますのは、科学的な知見、あくまでもBSEに汚染された肉骨粉でありましても、鶏、豚に給与してBSEに感染したということはない、これについて説明をした、こういう記憶しかございません。

筒井委員 結局、今も言われましたが、この牛は焼却処分されるべきだったんですか、それとも焼却処分されなくて、結果としてされなかったんですが、されなくてもよかったんですか。これはどうですか。

武部国務大臣 私が畜産部の部下を一人一人呼びつけて詰問したのは、今委員が種々御指摘のあった事柄でございます。

 とにかく、我が国のBSEサーベイランスというのは、日本ではBSEは発生しないという清浄性を確認する、そういう基本的な考え方が念頭にあったということが私は一番大きな問題だった、このように思っているわけであります。

 私も八月五日、六日にさかのぼって、時系列的に、どうしてこうなったんだ、焼却処分にしていたと言ってそうでなかったということについても、どうしてこういうことなんだ、実際、農林水産省がやろうとしているサーベイランスは何なんだ。そこで少しずつわかってきたのは、サーベイランスというのは、今言いましたように、我が国の清浄性を確認するための検体を集めて検査をするということだということがわかってきました。

 つまり、今回の場合には、屠畜場に入って、敗血症という診断で、BSEを疑っていなかったということから外に出てしまったわけでありますが、しかし、なかなか農場段階でサーベイランス用の検体を集めるというのは容易でないので、各家保を通じて、食肉衛生検査所に適当な材料はないかということを要請していたんだそうです。そのうちの一つだということがわかりましたので、それで、その後の対応が時系列的にも我々が理解できないようなそういう形になっているわけです。

 したがって、ここが答えなんですけれども、本来、BSEを疑っていれば、当然焼却しなきゃならない。恐らく畜産部長の話は、BSEを疑っていたから焼却したはずだ、こういうふうに述べていたんだろうということをその後確認いたしましたけれども、そこで私どもは、これは検査体制が甘いということで、農場段階でも、このサーベイランスは清浄性を確認するんじゃない、清浄性を確認するということは非清浄性を確認することでもあるんだということで、九月二十日段階で通達を出して、全頭、起立不能等、中枢神経症状のあるものは屠殺して検査するようにというふうな措置をとったわけでございます。

筒井委員 今の回答ですと、BSEを疑っていたから焼却されるはずだったという判断だということですね。この点だけ。長々と余り答えなくていいですから。

武部国務大臣 屠畜場段階ではBSEを疑っていなかったんです。ですからレンダリングとして出ていたんです。しかし、当然、今回の場合はBSEを疑うべきだった。疑っていれば焼却処分にしなければならなかったという、そこのところが一つの大きな問題点だということを申し上げております。

筒井委員 BSEを疑うべきだった、しかし疑っていなかった、これが事実ですね、今回は。

 そうしますと、サーベイランス体制なんてこの件に関してはいいかげんだったということですね。

武部国務大臣 ですから、サーベイランスをもっと徹底していればこういうことは起こらなかったであろうと。検査体制に対して厳しい認識を持っていれば、当然、屠畜場に入った段階でBSEを疑って、そして焼却処分に至ったであろうというふうに理解しております。

筒井委員 焼却処分に本来されるべき牛が飼料の原料として加工されていた、肉骨粉に加工されていた、これが今回の消費者の不安を大きくあおった大きな原因である、これは認められますか。

武部国務大臣 そのことが非常に大きな要因だと思います。

筒井委員 そうすると、農林省の対応がまさに消費者の不安をあおって、今度のいろいろな消費の低下とか、いろいろな損害を与えた大きな原因であったということは認められるわけですね。

    〔鈴木委員長退席、谷畑委員長代理着席〕

武部国務大臣 私は、点検と確認、報告、連絡、相談ということを徹底すべしということを当初から申しておりました。その意味では、県や厚生省ときちっと連絡をとっていなかった、あるいは省内の連携がまずかった、確認をしていればこういう問題が起こらなかった、点検と確認を怠っていたということは事実だ、かように思います。

筒井委員 それが今回の莫大な、金銭的に限っても損害を呼んで、精神的な損害といったら物すごいまた別にある。これについて何にも、先ほどから、一番最初に確認しましたが、大臣もあるいは農林水産省もけじめをつけようとしない。ただ今後一生懸命やるというだけで済まない問題じゃないですか。

武部国務大臣 私は、農林水産省だけのことを申し上げているんじゃないんです。私が焼却処分だということを確認したのは翌朝の新聞ですよ。新聞で、どう処分したかと、全部廃棄とはどういうことかと。だから私は、これは県や厚生省や農林水産省との連絡がまずかったと。これは、十四日にわかっているんですから、もしその前に県や厚生省から、畜産部長が焼却処分にしたというのはそうではないという連絡があれば、当然、みんなプロの集団ですから、そういった連係プレーというのはあるはずなんですね。

 そういう意味で、その連携がまずかったということを申し上げているわけでございます。

筒井委員 全然答えていないので。

 これだけの大きな損害を与えて大きな問題を起こした、その大きな原因が農林省の対応にある、ここまでは認められているんです。そうしたら、それに対するけじめをきちんとこの段階でとらないのはおかしいじゃないですかという質問なんです。

武部国務大臣 委員は農林省、農林省と言いますけれども、そういう連携は農林水産省だけじゃありません。もちろん、確認をせずに焼却処分にしたという発表は、これは言語道断です。しかし、その後、だれからもそうではなかったと。

 普通は、こういう問題が起こったときには当事者がたくさんいるわけですよ。県も厚生省も、それから農林水産省の中にも。そうでなかったという、責任逃れをさせようと言っているんじゃありませんよ、事実を申し上げているのでありまして、そういったことについては、これは連携がまずかった、それは農林水産省も責任を感じていますから、私自身もたびたびそのことは申し上げているわけでありまして、責任を回避する考えはありません。しかし、事実関係を申し上げているわけです。

筒井委員 私も、別に農林水産省だけの責任だと言っていません。厚生労働省の責任ももちろんあります。ほかの責任もあるかもしれない。しかし、一番直接的なのは農林省で、農林省としての責任はどうなんだと。ほかの責任はまた別に聞きますよ、農林水産省としてのけじめはどうとるんだと、それに限定して聞いているんです。

武部国務大臣 当然そのことを承知の上で、私どもは、緊急の事態ですから、とにかくこの問題を解決に向けて、もう恐らく二週間以上は幹部以下農林水産省に泊まり込みのまま対策に当たったわけです。

 責任のとり方、とらせ方というのはいろいろあると思いますが、とにかく、この事態に対して適切な対応をするということが今一番臨むべき、今一番急ぐべきことだという認識でやってきたということでございます。

筒井委員 農林省が消費者の不安を引き起こして消費の低下を大幅に起こした大きな原因である、ここまでは認めながら、最後、責任のけじめになると一切認めないということなんだけれども、これは、そもそも農林省の責任、そんなに私は大臣自体が重視していないんじゃないかと思うんですよ。

 というのは、記者会見で、大臣、こういう発言をしているでしょう。しかも、大臣のホームページにそれを載せているんですが、

 「安全だ、安全だ、もう大丈夫だ、さあ食べろ、食べろ」と言ったって消費者心理というのは言われれば言われるほどなかなか食べたくなくなるんですよ。私の孫なんかも「どうして残すの。どうして食べないの。食べなさい。」と言ったって食べないですよ。「じゃあ、大きいのをパパ食べちゃうよ。」と言うと、「いや。」と言って食べたりするしね。

今のは大臣のホームページから私は引き出してきたんです、記者会見の速記録として。これが間違いだと言われるんですか。(武部国務大臣「最後まで言ってください」と呼ぶ)もう一回読むんですか。今の読んだところはいいでしょう。

 そこのところはこれから色々と多岐にわたった努力をしていく以外にないんじゃないかと思っております。

まさに、農林省の責任によって、行動によって消費者の不安が大きくなったんじゃなくて、こういう孫と同じような消費者心理のなせるわざだという、消費者に転嫁しているんですよ。

 先ほどから、テレビでどうだどうだというのも言っているんだけれども、まず、この発言、今何か否定されたので、この発言をしたのかしていないのか、それを答えてください。

武部国務大臣 それは、議事録だとかそういうものはないわけですし、そのホームページは私の秘書が記者会見で発言したものを書いているわけですから、それは、ホームページにそのまま載っているのであればそれを否定するわけにはいきませんけれども、孫のくだりのところはそういう表現でなかったと思います。

 しかし、それは、どういう状況で言ったかということは、消費者心理を考えて私は発言しているわけでございます。安全だ、安全だと私が言ったって、消費者が食べない、食べたくない、牛肉離れをしているという状況がいつまでも続くようであれば、なかなか消費は戻らない。だから、消費者に、あるいは国民にどうやって信頼を回復するかということが一番大事だと。

 その事例として、肉の好きな家族からそういう指摘があったという話をしたはずです。私どもの娘たちがみんながそういうことを言っているという事例として挙げて言ったはずでありまして、今ホームページに載っているわけですからそれは否定いたしませんが、そのときの状況を話をすれば、そういうことを申し上げたわけでございます。

 したがって、我々がやらなきゃならぬことは、この事態からどうして消費者に信頼を回復するかということを申し上げた所存でございます。

筒井委員 孫のところも認めるんですね。孫の発言のところが今違うとか言いましたが、認めるんですね。

武部国務大臣 うちのホームページがそのとおりであればそのとおりだと。だけれども、私は、そのときのことを振り返って、私の家族がほかの人の話などを聞いて、総合してそういうような表現を申し上げたということでございます。

 正確にはよく覚えておりませんが、書いてあるんだったらそのとおりでしょう。

筒井委員 十月二十六日の記者会見ですから、そんな昔じゃないんですよ。つい最近なんですよ。それで、今の、家族がこういうふうに言っていたとかいうやつは、十月二十六日では言っておりません。

 こういうふうに、当初、大臣は、そんなことは言っていないというふうに否定されて、最後は、ホームページから出したんだと言われたら認める。ここに今度の大きな風評被害や何かの責任が、それを消費者とかテレビとかマスコミとかに転嫁している。

 さて、先ほどから、農林水産省の行動によるんだということは言葉としては認められているけれども、本当にそれを心の底から認めていないから、だから、けじめとか責任に関しては全面的に否定するんじゃないですか。もう一度、その点だけ。

武部国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、私は、もう毎日のように新聞で、謝罪、陳謝、責任を認める、このように報道されているんです。そのことは私は常に認めているんです、素直に、率直に。農林水産省の責任も認めているんです。しかし、それに対して今何をしなきゃならぬかというのは、緊急の事態に間断を入れずに仕事をしていくことだということでございます。だから、先ほど人事を尽くして天命を待つというようなことも申し上げたのも、そういうことであります。

筒井委員 責任までは認めている。大きな責任も認めている。それに対するけじめをつけろと私は言っているんですよ。それについては一切認めようとしない。

 今一つの問題を指摘しましたが、肉骨粉の給与禁止、これも極めて遅過ぎた不作為責任があるし、また、給与禁止の行政指導が徹底されないで牛に給与されていたのに、その指導が徹底されている、こういううそを公文書でも出しておりますので、その点についてお聞きをいたします。

 まず、肉骨粉の給与禁止、これも先ほどどなたかが言われたけれども、小出しなんですよね。四段階にわたっている。最初、九六年の四月に、牛以外は自由で、牛に対する給与禁止の行政指導をした。次に、ことしの九月十八日に牛についてのみ法的禁止をした。これが二段階目。それからその次に、ことしの十月四日から全面的な、輸入、製造、出荷の禁止をした。これは行政指導をやった。十月十五日になって法的な全面禁止をした。その後、今度はすぐまた半月ぐらいで、法的全面禁止のうち、鶏、豚について解禁した。これを含めると、全部で五段階なんですよね。小出しにしている。

 これを、冒頭申し上げましたが、九六年三月に千葉県の牛は生まれたので、九六年四月の行政指導だったんですが、九六年の三月から全面的禁止、一挙に最初からそれをやっていれば、あの千葉県の牛は発生しなかった可能性が非常に強い。小出しでおくれる、この責任も、農林省、私は大きいと思うんですよ。

 ほかの国は、例えばイギリスは、八八年の七月に肉骨粉の牛への給与を禁止している。八八年ですから、日本の徹底されなかった行政指導でさえ八年おくれですよ。九六年にすべての家畜への肉骨粉の給与を禁止している。これは十三年ぐらいおくれですか。いずれにしても、外国の措置から比べたら十年前後おくれた。九六年の三月から四月に、法的に牛への給与を全面的に禁止する、この措置がとれなかった理由は何かありますか。とれなかった理由ですよ。

武部国務大臣 とれなかった理由というのは、私、当時の状況をよく承知しておりませんから、正確に責任ある答弁はここではできませんが、後でまた事務当局から答弁させますけれども、私は、結果論として、そのときに法的措置をとっていた方がそれはよかったのかもしれません。しかし、だからといって、行政指導だから今度の結果になったということを断定していいのかどうか、このような感じもいたします。

 やはり、この間、四百五十九万頭、十三万六千戸に及ぶ全頭、全戸の調査をいたしました結果、約五千頭の牛が給与してはならない肉骨粉を使っていたという結果です。しかしこれは、確率からいたしますと、比率からいたしますと〇・一一%とか、そのオーダーですね。

 しかも、私の知っている友人、農家はたくさんいますけれども、それは英国であれだけ大発生し、EUであれだけ大発生し、家畜というのは自分の大変大きな財産、資産ですね。毎日の糧です。将来を支える糧でもあります。そして、愛情をかけて飼育している存在でもあります。私の知っている友人など、真剣に酪農経営、畜産経営を営んでいる者は、行政指導があろうがなかろうが、プロの経営者としては肉骨粉などを給与するなどということは考えられない、こういうことを言っている。

 そういう友人がたくさんいるということを考えますと、これは、行政指導の不徹底という責任は免れませんけれども、しかし行政指導だけではない、これがすべてではない、私はこのように理解し、一定の効果があったんじゃないか、このように思っております。

筒井委員 当初、農林省でさえ、一万頭近くが肉骨粉が給与されていたと言って、最終的に五千頭ぐらいだというふうに訂正したこと自体もそうなんですが、行政指導が徹底されていなかったことは事実なわけですよ。それは、九千頭だからいい、五千頭だからいいという問題じゃないでしょう。確率の問題じゃないんですよ。五千頭とか九千頭給与されていて、そこから一頭でも出たら大問題なんですから。だから、行政指導ではなくて、完全に法的な禁止をしなきゃいかぬと私は先ほどから言っているんですよ。

 しかも、行政指導がこういうふうに徹底されていなかったことが後ではっきりしたのに、今も大臣は認めたのに、千葉県の牛が発生するまではずっと、行政指導は徹底されています、こう言っていたでしょう。肉骨粉の反すう動物への給与中止も有効に実施されております。しかも、そんな抽象的なことだけじゃなくて、具体的に、九六年四月以降、行政指導により肉骨粉の牛への給与が効果的に防止されている。これは農林省の公文書ですよ。九六年四月以降、肥飼料検査所が立入検査を行い、製造記録、製造設備の実地検査を行って、行政指導の遵守状況を確認している。徹底してなかったことが後でわかったのに、この千葉県の牛が発生する前は、行政指導が徹底されていますと公文書でうそをついている。この責任はどうなんですか。

武部国務大臣 責任は認めているじゃありませんか。ですから、行政指導が徹底してなかったという事実は事実として、私どもは認めているんです。(筒井委員「いや、うそをついていたのはどうですか」と呼ぶ)うそをついていたと。それはその当時はそう思っていたんでしょう。そういうことが認識の甘さだということで、私は、一人一人呼びつけて厳重に注意を促しているんですよ。その上に立ってしっかりやらなきゃだめだということを促して、対応をさせているんですよ。

 それはけじめの話もありますけれども、私は、そういった問題について、二度とこういうようなことがあってはいけない、行政上の縦割りの問題や、あるいは現場の家畜衛生保健所もあるいは食肉衛生検査所も、これは県段階が直接管理しているわけでありますから、そういったことにならないように。今委員の指摘されるようなことは、これまで国会でもいろいろ御指摘がありました。我が党内でもいろいろあります。そこで、これは、第三者委員会、調査委員会を立ち上げて、ここで専門家の皆さん方や消費者の皆さん方、そういった方々に、過去にさかのぼって検証をしていただこう、客観的に、科学的に検証していただこう、そして二度とそういうことにならないような体制づくりをしよう、責任を感じているから、そういう努力を今しつつあるわけです。

筒井委員 立入検査を行って、製造記録、製造設備の実地検査も行って、行政指導が徹底されていることを確認していますと言っているんですよ。こんなうそを公文書で出しながら、責任は認めます、それで済ましていたら、国民はもう農林省が言っていることは信用できなくなるじゃないですか。文書で出したって、これはまたどうかわからない、そのときはそう思っただけだと。

 そういう信頼を回復するためには、こんなことはめったにないんです、めったにないというか、このときだけです、はっきり、こんなおかしなことをやったのでけじめをつけます、今後はそんなことはしない、それを形であらわさない限りは、農林水産省が何を言ったってもう国民は信用しなくなっちゃいますよ。だから、けじめをきちんとつけることが、これからの牛肉の消費を拡大させるためにも必要なんだとるる先ほどから言っているんですよ。

武部国務大臣 だから、けじめをつけるために我々は今全力を挙げているわけです。あなたの言う、委員の言うけじめというのはどういうことを言わんとしているのか、理解できるところもあるし、そうでないところもありますけれども、それは、我々は、第三者委員会も立ち上げて、客観的に、科学的にも御検討いただいた上でいろいろ考えますよ。何もけじめをつけないなどと言っているわけじゃないので。

 だから、それは、その公文書はいつの時点か、私は正確に記憶しておりませんが、私が大臣になってからですか。私は、ですから、先ほども何度も申し上げておりますように、一人一人呼びつけて、そして厳重に注意を促し、二度とこういうことが起こってはならないということで、体を張って努力をすべきだということを言っているわけでありまして、今、私どもとしては、けじめをつけるその過程にある、このように御理解いただければありがたいと思います。

筒井委員 今の挙げた文書というのは、農林省の生産局が平成十三年三月に出した「我が国の牛海綿状脳症(BSE)ステータス評価手法の概要」、こういう文書です。

 そして、今の話だと、けじめは必ずつけます、時期はただ確定していないけれどもという回答ですか。

武部国務大臣 いろいろなけじめのつけ方はございますが、私は、きちっとしなければならないという認識で、今ベストを尽くしている所存です。

筒井委員 それから、この千葉で発生する直前に、欧州委員会がリスクアセスメント評価をしようとした。これは、そもそも農林水産省がその評価を要請した。その欧州委員会が日本でも発生リスクがあり得る、発生があり得る、つまりレベルスリー、四段階のうちの三段階で評価しようとしたところが、農林省は発生リスクは極めて低い、こういう判断を当時やっていて、それを拒否した。その直後に発生したわけですから、欧州委員会の評価が正しかったことが証明されたわけです。農林水産省のそのときの判断、評価が甘い、根拠のない見通しであることがはっきりしたわけですね。その点まず、そうですね。

小林政府参考人 ただいまの欧州委員会のステータス評価の経緯について御説明いたします。

 EUでは、今、第三国からBSEの侵入を防止するということで、今の御指摘のステータス評価を始めておりますが、我が国からしますと、EUの方に化粧品とか医薬品の輸出がありますので、それを対象ということで、まず交渉してまいりました。ただ、その過程におきまして、EUの方のこのBSE評価手法につきまして我が国と議論があったわけでございます。

 具体的には、そのEUの方の基準が各国の発生状況なりサーベイランス体制等、こういうのを考慮していないというのが一つございます。また、評価基準自体が、OIE規約という国際基準がございますけれども、それから大きくかけ離れている。いわば、そういったステータス評価をするときの基準の面で、我が国は国際的な基準の方に沿うべしということを主張したわけでございます。

 その後、EUの方も、今までの基準にかえまして、ことしの七月には今申し上げましたOIE規約、これはことしの五月に決まりましたけれども、を踏まえた新しい基準を採択したということでございまして、そういうことで、この経過の中で、我が国といたしましては、国際基準との整合性のない基準、これによる評価を行うことは適当でないということでEUの方に申し入れ、EU側と協議してきたところでございます。その結果、EUの方としても我が国に対するBSE評価を行わないという形で、この結論になったということでございます。

筒井委員 つまり、私が確認したかったのは、欧州委員会の発生があり得るという評価が正しくて、それを拒否した日本の農林省の発生リスクは極めて低い、日本の安全性は極めて高いという判断が間違っていましたねという、この点の確認なんですよ。大臣、どうですか。

武部国務大臣 私は聞いていたのは、EUのステータスを求めるという理由の一つに日本から輸出する医薬品、化粧品などがある、このためにステータス評価を求める、しかし、その後、それは不必要になったということが一点。それから、今局長から説明しましたように、EUのステータス評価というのはOIEの基準から相当かけ離れているということと、それから、OIEで総会を開いて新たな基準をつくる、つくったというかつくるというふうに言いましたね。そして……(発言する者あり)今、質問者に答えているんですからね。(筒井委員「私もこの質問をしているんですよ、どっちが正しかったのか、どっちが間違っていたのか」と呼ぶ)では、最後まで聞いてください、丁寧に発言しますから。その上で、EUも国際基準、OIEの評価に合わせるという情報もある。結果、EUも七月には国際評価に合わせたというふうに、その後報告を聞いております。

 したがいまして、私は部下に話をしたのは、これはきちっと評価を受けるべきであったんじゃないのかということは申し上げましたが、しかし、そういう理由から了解したということでございます。OIEの基準が新しくつくられる、日本はそれを求めたい、EUもそれに合わせるという情報もある、しかも化粧品だとか医薬品の輸出のためにこのEUの評価を求めるというのが当初の目的でもあったというふうなことから了承したということでございます。

筒井委員 基準の中身については、日本の基準のつくり方にいいかげんなところがある、これはこの後でまた聞くんです。結論として、農林水産省はこの点でも間違えましたねと。今のそれは、大臣、認められた趣旨ですね。

武部国務大臣 いや、間違ったというふうには思っておりません。

筒井委員 先ほど言いましたように、欧州委員会は日本でも狂牛病の発生があり得るという評価だった。農林水産省はそれを拒否して、そんなことはない、日本では今までも発生していないし、発生の危険性は極めて低い、こういう判断をしたんですよ。だけれども、その後発生したんですよ。もうはっきりしているでしょう。

武部国務大臣 私どもはそういう判断をしていないんです。EUが日本で発生する、そういう可能性ありと、しかし日本はそうではないという、そのことの理由で評価を受けなかったというわけではないということを申し上げているのであります。

 先ほども言いましたように、近くOIEの基準が改まって、それを求めたい、それから、EUも、情報によればその国際基準に合わせるというふうに聞いている、しかも、日本がステータスを求める一つの理由が化粧品や医薬品の輸出に関してその必要性があるからだということであって、新しい基準に合わせるというのであれば、それで結構だろう、こういうことを申し上げたということです。

筒井委員 結論として、明確に、農林省の危険性は極めて低いということが、これが間違いだったということは、狂牛病が発生したわけですから、これはもうはっきりしているわけです。それもなかなか認めようとしない。今の姿勢でそれがはっきり出ていると思うんです。

 そして、この肉骨粉の輸入なんですが、輸入禁止に関しても五段階、四段階ですか、極めて小出しにやった。当初は、イギリスからの肉骨粉禁止、これは九六年の三月。それから、その次、EU全体からの輸入禁止、これがことしの一月一日。それから、ことしの十月四日にすべての国から輸入全面禁止。最低限、三段階でやった、小出しにした。

 これは、アメリカは八八年に、つまり日本よりも十年ぐらいですか、八年かな、日本より八年早くイギリスからの肉骨粉の輸入を禁止した。EUからの肉骨粉の輸入禁止は、アメリカは九一年にやっていますから、十年日本より早い。

 だから、確認したいのは、まず、そういうふうに外国と比べて日本は大幅におくれた、その不作為責任を認められる、認めるべきだ。それから、大体、三段階とか四段階に小出しにするんじゃなくて、最初からやるべきではなかったか。この二点についてお答えください。

小林政府参考人 まず、この肉骨粉の輸入停止の経緯をちょっと申し上げます。

 今お話ございましたように、我が国では……(筒井委員「経緯はいいよ、時間がないから」と呼ぶ)要するに、OIEの基準がございます。例えて言いますれば、BSE発生国から入れる際には、肉骨粉の処理につきまして、いわゆるOIEで定めております加熱処理等の基準がございまして、この基準のもとに入れているということでございます。

 したがいまして、BSEとの関係でいきますれば停止ということもありますけれども、そういう加熱処理基準、国際基準を用いて輸入してくる、そういった対応をとってきたということでございます。

筒井委員 そういう結果、結局、このBSE発生国からの輸入量が日本は極めて莫大になったわけです、過去八年間において。ただ、農林省が、その量は計算によると十キログラムにすぎない、こういう計算をしているのです。だから、日本で発生の危険性は極めて低いなんて言っているんです。

 この十キログラムの計算の根拠として、過去八年間、発生国からの肉骨粉輸入量は、発生国の場合、肉骨粉としては明確に、オランダとフランスですが、失礼、イタリアとデンマークですが、ここからもう八年間で八万トンほど輸入している。これはどうも計算に入れているようですが、発生国からの骨粉とか血粉に関する輸入、大量にあるのですが、これは一切計算に入れていない。それから、イギリスからアジア、香港とかタイとか、そういうのを経て日本に来た肉骨粉等もあるのですが、これも一切計算に入れていない。この二つは計算から除外していることは、除外して判断していたことは認められますね。

小林政府参考人 今の十キロの考え方でございます。

 これは、イギリス等のBSE発生国からの生きた感染牛それから汚染肉骨粉を通じて侵入する、そういう仮定を置いたときに、今お話ございました八年の輸入量をベースに我が国に侵入した可能性のある汚染肉骨粉の量を試算したところでございます。

筒井委員 いや、だから、確認したいのですよ。

 発生国であるイタリア、デンマークから八年間で輸入した肉骨粉八万トン、これはその計算の中に入れているようですが、発生国からの骨粉とか血粉の輸入、これは一切計算から除外していたという点が一点。それから、イギリス等の発生国からアジアを経て日本に来る、この肉骨粉も結構いっぱいあったようですが、これも計算から除外していた。この二点を今確かめているのです。

    〔谷畑委員長代理退席、棚橋委員長代理着席〕

小林政府参考人 この推定に当たりましては、今申し上げましたように、BSE発生国からの感染牛とそれから汚染肉骨粉、これはリスク評価上発生源になるという仮定のもとでやっておりますので、血粉など他のものはこの発生の原因として主要ではないということで入っておりません。(筒井委員「それから、アジアからの迂回輸入の点も入っていませんね」と呼ぶ)それも入っておりません。失礼しました。

筒井委員 発生国から八年間で骨粉は二万四千トンも輸入されていて、血粉は約三百トンも輸入されている。それにプラス、イギリス、EUからアジアを経て輸入されたものも物すごい多額に上る、大量に上るわけですが、これを一切評価に入れないで、日本は安心だ、発生の危険性は極めて低いと。こういった判断自体が間違いなんじゃないですか。大臣、どうですか。

小林政府参考人 こういった前提のもとで試算したあれですけれども、先ほど申しましたように、加熱処理とかそういった形でBSE発生国からの輸入はやってきておる、そういう一つの国際基準に基づく安全措置というものを講じたというところが一つの背景としてございます。

筒井委員 私の質問に先ほどから答えないのだけれども、私が言っているのは、そういうふうに発生国からの血粉あるいは骨粉、全然危険性、リスク評価で一切考慮の対象から外した、アジアからの迂回輸入の肉骨粉等も全部リスク評価の対象から外した、そんなことを、大量のものを外した上でリスク評価したって、こんなのは間違うのは当たり前じゃないですかという質問なんです。大臣、どうですか。

小林政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、輸入に際しましては、今の国際基準でありますとか、それから、第三国の関係のお話ございますけれども、動物検疫のルールといたしまして、相手の国からの輸出証明、こういったところで、今の加熱処理だとか、それからどこで、どこの工場でつくられたか、そういう前提の中で輸入している。そういう前提の中ですから、危険度を評価するときに、肉骨粉なんかと比べて血粉とかそういうものは先ほどのような対応をしたということでございます。

筒井委員 リスク評価で今言った二つの点を外しても、これは間違いではなかったというふうに現在も判断されているのですか。最後にこの点だけちょっと確認したいと思います。

小林政府参考人 先ほど申しましたように、リスク評価をするときに一つの前提を置きまして、その中でいろいろな学者の先生方の意見も聞きながらやっていくという作業と、それから、今回BSEが発生いたしました、これについてどう評価するか、これについての私どもの今までの対応に対しまして種々御批判いただいているところでございます。それに対してどう評価するかということは、私ども分けて考えたい。

 したがいまして、今までの経過の中で先ほどのような作業をしてまいりましたけれども、これからの対応といたしましては、今回BSEが発生したということを重く受けとめて対応していきたいと考えております。

筒井委員 終わります。

棚橋委員長代理 次に、山田正彦君。

山田(正)委員 自由党の山田正彦です。

 質問をする前に、委員長に釈明を求めたいのですが、実は私は質問通告の中で、参考人として熊澤農水次官、きょうの連合審査は農水委員会とそして厚生労働委員会、経済産業委員会、この三委員会の合同審査だとお聞きいたしておりますが、先ほどの質問で武部農水大臣は、当時のことはよくわからないといった発言を何度も繰り返しておったようですが、いわゆる当時の飼料局長だった今の農水次官の熊澤さんをぜひともきょう参考人として私の方は強く求めておったわけですが、それが参考人として、政府参考人としてきょう呼ばれなかった。その理由を明らかにしていただきたい。

棚橋委員長代理 山田委員の要求につきましては、先般理事会で御協議いただきましたが、理事会での合意が得られませんでしたので、その旨御了解をいただきたいと存じます。

山田(正)委員 熊澤農水次官は、農水省として、いわゆる行政の最高の責任者である。今回このように至った。そして当時、その一九九六年、九七年当時、いわば畜産局長であった。その大事な立場にある人をこの連合審査において呼べない。

 その理由も明らかにせずに、ただ理事会でもって合意するに至らなかったというお話ですが、私どもの理事の方から話を聞いたのでは、委員長が、任せていただいて、その委員長の判断でいわば今回熊澤次官を呼ばないというふうに私は聞いておりますが、その理由を明らかにされない限り、この大事な連合審査において、いわゆる農水次官という大事な立場の人を呼べない、こんなことで、国会議員としての、私ども国会議員としてのこの事実の解明と責任に対する、いわゆる委員会としての機能を果たせない。

 これでは私は質問をできない。これ以上この質問をやることはできない、そう思いますが、ひとつぜひ御検討いただきたい。

棚橋委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長代理 では、速記を続けてください。(山田(正)委員「今の私の質問に対する大臣の答弁ですね、熊澤次官を呼ぶか呼ばないかについての大臣の答弁だと」と呼ぶ)はい。

 農林水産大臣。

武部国務大臣 その件は委員会でお決めになる話だろうと思います。(発言する者あり)その点は理事会で諮っていただくことだと思います。

山田(正)委員 いや、それでは入りません。

棚橋委員長代理 ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

    〔棚橋委員長代理退席、鈴木委員長着席〕

鈴木委員長 それでは、速記を起こしてください。

 山田委員に申し上げますが、事務次官の出席要求がございましたが、本委員会には総括的に統括をしております農林水産大臣が御出席でございます。それから、それぞれの立場につきましては、それぞれのつかさつかさの方が出席でございまして、行政として、その仕事の内容につきましては、組織として今の責任のある立場の方が、それが答弁すべきことであって、何か属人的にその人がずっと持って、責任にあるその立場を離れておるのに答弁をするのは適当でない、そのように判断をいたしました。事務次官は、全般にかかわることでございますから、全般にかかわることにつきましては、大臣が御出席でございますから、大臣から答えていただければいい、そういうものが判断であります。

 それから、委員長として答弁者に申し上げますが、質問者の質問にきちっと答えるような、かみ合った、そういう答弁をしていただきますように、これはお願いをいたします。

 では、山田委員。

山田(正)委員 委員長から丁寧なお言葉がありまして、その中で、私としては議事録にぜひとどめておいていただきたいのは、熊澤事務次官はいわゆる行政の最高責任者であって、いや、最高責任者は大臣、その次の統括的な責任者であって、しかも、当時、一九九六年当時、畜産局長という大事な立場にあった。そういう大事な立場にあって、その当時の事情をすべて知っておったその事務次官、行政の責任者がこの委員会において参考人として立てない、立てなかったということ、このことだけは議事録にまずとどめておいていただきたいと思います。

 私の質問を続けます。

 実は、先般の農水委員会で、いわゆる欧州からの肉骨粉の輸入、この肉骨粉の輸入業者について明らかにしていただきたい、そういう話をしておりました。そして、そのことについては、十月三十一日の委員会で十五業者だけ明らかにされましたが、そのほかの六社についてはいまだに明らかにされておりません。

 このことについて、ぜひ、質問通告しておりました。先ほどから筒井議員が聞いておりましたが、肉骨粉について、大変EUからの輸入は大事なことでございます。どこの業者がまず輸入したかということ、どれだけの量を輸入したかということ、それも含めて明らかにしていただきたい、そう思います。大臣、御回答お願いします。

遠藤(武)副大臣 あくまで途中経過であると御承知おき願いたいんですが、私ども、公表するに同意を得た企業については公表したいと思いますし、今後もそうしたい。また一方において、企業名が明らかになると他の営業にも響くということで、公表をされるならばだめだと言われている、そういう企業もございます。ですから、同意を得たものは随時発表させていただきたいと思っています。

 だから、あくまでこれは途中経過、今後も同意を得るように努力をしていますから、そこはお間違えなくお願いしたいと思います。

山田(正)委員 私がいただいているいわゆる輸出国証明書、イタリアとかデンマークとかあるいは香港等々においては、当然、その輸入業者がどこかということについてはすべてこの輸出国証明書の中に記載されておりますから、当然入っているわけです。ところが、これをこうして黒く塗りつぶしているということは、やはりわかっていてそれを明らかにしていない。このことは、行政機関の保有する情報の公開に関する法律、いわゆる人の生命、健康、生活または財産を保護するために公にすることが必要であると認める場合はいかに個人の事情であろうと何であろうと明らかにされなきゃいけない。

 調査中で、調査ができていないということならば話はわかります。しかし、こうしてわざわざ黒く消しているということは、わかっている、これは農水省からいただいた資料です、それでいて明らかにしないということはどういうことなのか。御説明いただきたい。

遠藤(武)副大臣 確かに、委員に差し上げた資料には企業名を塗りつぶしてあるのもございます。これはあくまで、先ほど申しましたように、公表を拒否され、同意が得られなかった企業については塗りつぶしています。そうでないのは明らかにしている。今後も同意を得られるように努力を続けてまいりたい、こう思っています。

山田(正)委員 同意を得られない云々と言っていますが、法律では、いわゆる人の生命、健康、そういったものに関しては必ず明らかにしなきゃいけない。これだけ狂牛病が大騒ぎされて、一千七百億というお金も、国の予算をつぎ込もうとしているときに、わかっていてそれを明らかにできないという、その農水省の体質そのもの。これは明らかに、私どもからすれば、いわば法の解釈を農水省誤っていて、同意できないものは明らかにできないと。何かを隠しているんじゃないか。

武部国務大臣 行政情報の公開に関する情報公開法の趣旨に照らしても、人の生命、健康を保護するために公にすることが必要な情報は開示しなければならないものということについては、十分認識しております。そのようなことから、今後、原因究明の調査が進展し、感染ルートが特定された場合には、感染経路に係る業者名も含めてその結果を公表してまいりたいと考えております。

 しかしながら、いまだ感染経路は明確ではありません。究明は十分に進んでいない段階である、残念ながらこう言わざるを得ません。こうした段階で、確たる証拠もなく関係者の名前を公表するということは、個人情報保護との関係や、今後の調査に協力を得られなくなる可能性もありますことから、これまで当該業者の同意を得た上で公表してきたところでございます。

 いずれにいたしましても、国民の不安を解消するためにも、できる限り早く調査状況を明らかにする必要があると考えております。現時点においては感染経路を解明するに至っておりませんが、今月中には何らかの形で取りまとめて公表したい、かように考えております。

山田(正)委員 今月中にはということですので、ぜひともそれを明らかにした上で公表していただきたい、そう思います。

 次に進ませていただきますが、私の方で、大臣、資料を配りました。

 肉骨粉の国別輸入数量、これを見ていただきたいんですが、一九九六年、九七年からアメリカもオーストラリアも肉骨粉の輸入、EUから禁止しておりますが、その前、これはほとんどEUから肉骨粉の輸入というのはありません。ところが、それ以後、九七年、九八年、九九年、二〇〇〇年と物すごい量で、例えば九六年には百五トン、九五年には二十一トンしかEUから肉骨粉が輸入されていませんが、ちなみに二〇〇〇年には、イタリアから二万八千トン、さらにデンマークから二万五千トン輸入されております。これは大変な輸入の量なんですが、では、このような骨粉の輸入について、実は農水省は、当時の畜産局長初め農水省そのものは十分承知しておったと思いますが。

 さらに、私が配りました資料の中で、「英国発の「狂牛病ミンチ」はどこへ消えたのか?」というところを開いていただきたいと思います。

 これは一九九七年五月二十八日のサピオの記事なんですが、この中で「牛肉に加えて最近では、狂牛病大量発生の原因とされるイギリス産の動物性飼料についても、不法輸入があるという疑いが浮上している。」これはフランスなんですが、「一月にフランスの超党派国会議員五十七人のグループが発表したレポートによれば、フランスが八九年にイギリス製の動物性飼料の輸入を禁止した後も、イギリス製品はアイルランド産と記されて国内に入ってきており、こうした不法輸入に関する証言を六十人から得たとしている。」そうあります。この資料等でいきますと、不法に肉骨粉がいわゆる第三国の名前でイギリスからEUに出ている可能性がある。

 さらにまた、皆さん方に配りました私の資料の中で、これは朝日新聞の九六年六月十五日の、九六年ですよ、記事ですが、「自国では禁止した飼料 英が輸出継続発覚」そういう記事があります。

 さらに、皆さん方にはお配りしておりませんが、私の手元には、当時、九六年七月三日のやはり朝日新聞の記事に、「EUの禁輸措置は「欧州に再輸出されかねない」との理由で非加盟国への輸出も対象にしている。英政府がそれを逆手にとって「第三国の国内消費用なら認めてほしい」と強硬に迫った結果」一部第三国への国内消費用としての輸出を認めているという記載の記事があります。

 九六年当時、既にEU内においては、英国産の肉骨粉及び肉あるいは血粉というものは、かなりイタリアとかフランスとかデンマーク等にどんどん入っていった可能性がある。しかも、第三国に、いわゆる第三国経由で流れていっていることは、当時の新聞等の資料からして十分考えられるわけであります。

 それで、お聞きしたいのですが、当時農水省としては、こういった肉骨粉等の輸入の問題、それがどんどん大変な量で、いわゆる何万トン、八万トンという輸入がEUからされてきた、これについて、そういった疑い、そういったおそれ、いわゆるこの狂牛病の伝播の可能性、それについての危険性、そういったものについて認識があったのかどうか。

 当時の農水大臣、農水大臣は当時大臣じゃなかったし、当時の畜産局長、熊澤次官に聞くしかない、そう思うんですが、これは今副大臣に聞いても仕方がないと思っているので、先ほど大臣、自分が答えられると言ったのですが、当時農水省としては、それだけの認識が十分あったはずだ。それがなかったのか、あったのか、それについて、それだけだったら大臣だって答えられるでしょう。

武部国務大臣 OIE基準等に沿って、この肉骨粉の輸入については適切な方法で輸入した、そういう認識にあったかと思います。

山田(正)委員 OIE基準によっての認識があったというのはどういう意味でしょうか。それを明確に答えてください。

武部国務大臣 それは、加熱処理でありますとか、そういった基準に照らして大丈夫だというふうに報告を受けておりますが、詳しくは、もしお許しがあれば生産局長に答弁させたいと思います。

山田(正)委員 どうやら大臣としては、そういうOIE基準等で輸入されればそれでよかったのじゃないかという認識のようですが、ところが、当時、改めてもう一度申し上げますが、九六年の八月十九日、日本農業新聞にはっきりと、折戸進彦さんというのですか、「視点」に載っている記事ですが、この中で、「BSE牛の発生原因は、死亡した牛、豚、羊、鳥などを精製する工場(レンダリング・プラント)で生産された肉、骨粉等を含む「牛用濃厚飼料」が主因であると疫学的に結論された。」そうはっきりと言っております。

 そういう中で、今言ったように、そういうものを輸入することについての不安がなかったのか、あったのか。農水省としてはどういう考えに至ったのか、お聞きします。

遠藤(武)副大臣 BSEについては、英国等の発症を見まして、平成八年の四月の早い段階で獣医学などのいわゆる権威とされる研究者、専門家、学者の方々にお集まりいただきまして、技術検討会を立ち上がらせ、また、その方々を中心として御意見をお聞きして、飼料及び肥料として使われる肉骨粉の取り扱いはそうした方々の御意見などを踏まえた上で決めておるというふうに私は調べさせていただいていました。

山田(正)委員 非常に納得できないところでありますが、もう一度、どうしてもこれは当時の飼料局長に聞かなきゃはっきりしないところですが、調べてみますと、いわゆる肉骨粉とか血粉とかそういったものを輸入する場合においては、家畜伝染予防法によって、四十四条ですか、こういうふうになっています。「指定検疫物が監視伝染病の病原体をひろげるおそれがないと認められるときは、農林水産省令の定めるところにより、輸入検疫証明書を交付」するということになっております。

 農水大臣、お聞きしたいのですが、この肉骨粉とか云々とかというもの、当時、先ほどから言っているように、欧州とか日本の新聞においても九六年当時あれだけ騒がれておって、狂牛病のおそれがあった。そういう段階において、この家畜伝染予防法からいけば、本当にそのおそれがないと認められる場合以外は輸入できない。ところが、それを輸入させた。これは農水省の判断でさせた。

 ということは、農水大臣、これは一体だれの判断で当時やったのか、なぜそういう判断に至ったのか、それを農水大臣答えられますか。

武部国務大臣 私どもは、農水委員会でありますとか予算委員会でありますとか、いろいろな場面で、過去にさかのぼっていろいろな問題の指摘がございます。私どもはまた、事務方からいろいろ報告も聞いております。

 しかし、私、大臣としては、これはやはり専門家の方々などもお入りいただいて、過去にさかのぼって、今委員指摘のような問題もしっかり検証していただくということが必要なんじゃないか。客観的に、科学的にきちっと検証していただいた上で、私ども、二度と今度のようなことが起こらないようなそういう体制づくりというものが必要だという認識のもとに、厚生労働大臣と私の諮問機関として調査検討委員会というものを立ち上げることになったわけです。

 その第一回目の会合が十九日に開かれるわけでありまして、私は、そういったところで御議論いただいて、いろいろ御意見を賜って判断をすることが適切だろう、このように考えております。

山田(正)委員 私が言っているのは、いわゆる狂牛病、伝染病が「ひろげるおそれがない」と認められる場合でなければ輸入を認めてはならなかった、農水省は。法律ではそうなっている。それに反したのじゃないか。反していないのか反しているのか、それだけをお答えいただければいい。

遠藤(武)副大臣 我が国が輸入する場合には、WHO及びOIEの国際基準にのっとって処理された肉骨粉については輸入することになっております。

山田(正)委員 副大臣、今WHO、OIEと言いましたが、WHOはそういう基準を出していますか。では、お答えください。

遠藤(武)副大臣 輸入肉骨粉は、熱処理、加熱処理したものでなければなりませんし、その基準がございます。WHO及び英国の加熱処理は、温熱で百三十六度、三十分間、その場合の気圧は三気圧以上になります。また、OIEの総会において採択された加熱処理基準は、温熱で百三十三度、二十分、三気圧、このようになっております。

山田(正)委員 今、WHOと言いましたが、これは後で明らかにしていただきたいと思いますが、議事録にとどめていただきたい。WHOではそのような基準はない。今言ったOIEにおいては確かにそのような基準になっておりますが、OIEとWHOは全く関係ない機関、副大臣。

 そういう意味で、このOIEの基準がこれまで厚生労働省その他でもいろいろ審議なされてきたと思いますが、現在、狂牛病問題、これは本当に異常プリオンの問題は解明されていない。

 僕はWHOのいろいろな書類等も調べてみましたが、WHOの一九九六年の報告の中においても、WHO自体の報告でもこういう報告があるくらいです。しかしながら、BSE因子は一般の微生物の感染性を消失させる物理化学的方法に極めて抵抗性であることは認識されなければならない。

 WHOとしても、一九九六年当時、今でもそうですが、この狂牛病の因子に対しては、実際にそれだけの、いわゆる熱処理していいものかどうかというはっきりとした科学的な可能性、科学的な認識というもの、そこまではなかなかないのだということを明らかにしております。その通告は日本にも九六年に来ております。

 そうすれば当然、九七年にアメリカとイギリスにおいては肉骨粉の輸入を法律でもって禁止した、それを日本はしなかった。どんどんそれを、伝播のおそれがあるのに、狂牛病のおそれがあるのに入れてきた。これは当然、農水省は、家畜伝染予防法にも反しているし、責任をとらなきゃいけない問題ではないか、そう言っているので、これは大臣がお答えしなきゃならない問題で、先ほど言っているように、これから委員会をつくっていろいろ討議するという問題ではないでしょう。

武部国務大臣 今副大臣から、現在の輸入停止以前の加熱処理基準は、WTO傘下の家畜衛生の国際機関であるOIEの国際家畜衛生規約中、九七年に採択された伝染性海綿状脳症の病原体不活化処理において定められている百三十三度、二十分、三気圧の加熱処理基準を踏まえたものであるということでございます。

 このOIEの基準は、世界的な獣医学の権威がさまざまな文献をもとに案を作成し、OIE加盟各国に対しその是非を問い、毎年五月にOIE本部で開催される総会で可決されて初めて採択されるものでありまして、国際的に認められた最も権威のある基準だ、この基準に照らして我が国は輸入を認めているということであります。

 委員は、先ほど言ったような第三者検討委員会で調査検討するなどということではだめだ、こうおっしゃいますけれども、私どもは、さまざまな意見、御指摘、こういったものを客観的に、科学的にやはり検証する必要があると思うのです。その上でどうするかということが一番大事なことではないか、かように考えて、さように私は申し上げているわけでございます。

山田(正)委員 先ほどから言っているように、OIEの基準そのものが、WHOそのもので非常に狂牛病についてはまだまだ危険性があってわからないのだというのに、ただそれだけで、その基準だけで、輸入していいとか、各国禁止しているのに輸入してきた責任があるのではないかと先ほどから言っているわけです。

 これ以上幾ら話しても先に進みませんので、次に進めていきますが、輸入した商社名、これはまだまだ明らかにしていないところもありますが、大体、先般、十五社については明らかにしていただきました。そして、その輸入量についても、けさほど輸入量をいただきましたが、丸紅商事とか三菱商社、そういったところはかなり大量のものを輸入しているようです。

 それでは、その輸入した肉骨粉をレンダリング業界に売却したというか回っているということは前回の農水委員会で一部認められたようですが、そのレンダリング業界の、どこのレンダリング業界にどれだけの量が回ったか、大臣、御答弁いただきたい。質問通告しておったはずです。

武部国務大臣 輸入された肉骨粉は、九社から、さらに三十六社の卸売会社、飼料会社、レンダリング会社等に販売されたことが明らかになっているところでございまして、現在、輸入業者から、仲卸会社等、さらにその販売先、最終製造工場、最終使途について順次調査を進めているところでございます。

 調査の中で明らかとなった業者名、購入量等を公表することについては、いまだ感染経路が明確ではなく、究明が十分に進んでいない段階で確たる証拠もなく関係者の名前等を公表すると、今後の調査に協力を得られなくなる可能性もあると考えておりまして、これまで、当該業者の同意を得た上で公表してきたところでございます。

 いずれにいたしましても、本件につきましても、国民の不安を解消するためにも、できる限り早く調査状況を明らかにする必要があると考えております。現時点においては感染経路を解明するに至っておりませんが、先ほど申し上げましたように、今月中には何らかの形で取りまとめて公表したいと考えております。

山田(正)委員 随分、一月近い前の私の質問において、私がレンダリング業界の関係者から聞いた話では、商社からどんどん大量に輸入された肉骨粉を、国内の肉骨粉の製造の中に増量材として――当然イギリスとかEU諸国においては、今の日本と同じように肉骨粉の処理に困ったので、第三国にそれを輸出で回した。これは当時の新聞等を調べていけば、先ほど私もお話ししたように、よく載っていることですから。そういったことから、そういったおそれがあった肉骨粉が、安いものを、レンダリング業界は、増量材として自分らがつくっている国内の肉骨粉にまぜて、それを国内の飼料会社に回していった。

 いわゆる国内の肉骨粉として、EUの問題の輸入肉骨粉が使われていったんじゃないか。そうすると、これは大変なことなんじゃないのか。

 八月にいわゆる最初の狂牛病の疑いの牛が出て、今までにどれだけの期間がたっているか。その間に、いまだにそのレンダリング業界の名前も明らかにしない、その感染経路も明らかにできない、これじゃ国民は納得いかない。やはり、そこは質問通告をしておったので、大臣としては今ここで、当然質問通告しておった、知らないとは言わせない。わかっているはずだ、それは。レンダリング業界に行ったということは認めているわけですから、十月三十一日の段階では。どこのレンダリング業界に行ったかわかっているはずで、それを明らかにできないというのはおかしいんじゃないのか。ぜひそれを御答弁いただきたいと思います。

武部国務大臣 委員に御指摘されるまでもなく、私どもも、今度のBSE問題については、まず一番最初に確立しなきゃならないのは全頭検査体制、屠場から安全な牛による食肉等以外が市場に流通しないこと、このための検査体制を一日も早く打ち立てるということを優先してまいりました。

 しかし、委員御指摘のとおり、なぜこの日本にBSEが発生したのか、そして、今回はどういう経路でどのようにして肉骨粉が給与されて発生したのかというようなことも徹底究明しなきゃならぬ、このように思っておりまして、委員御承知のとおり、英国、イタリア、デンマーク、あるいは最近は韓国、台湾、香港、タイ、インドネシア等々にも職員を派遣して、調査に当たらせているところでございます。その報告については、やはりきちっと突き合わせして、正確な調査報告をきちっと求めていかなきゃならぬ、こう思いまして、今その作業をしているわけであります。

 一方、輸入業者あるいは飼料工場、レンダリング工場等も含めて、私どもは今、徹底究明しなきゃならない、このようなことで、そういう作業もしている次第でありますが、委員、この時点で業者名や購入量等を公表するということについて強く求めておられますけれども、まだ感染経路が明確ではない、十分に進んでいない段階で確たる証拠もなく関係者の名前等を公表するということは、今後の調査に協力を得られなくなる可能性があるわけでありまして、これまで当該業者の同意を得た上で公表したところでありますが、いずれにしても、今月中には何らかの形で取りまとめて公表したい、かように考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。

山田(正)委員 私の手元に、デンマークそれから香港、この香港経由というのは、イギリスからの肉骨粉、これがいわゆる香港に回って、第三国経由で、これは当時のイギリスとかフランスあたりの新聞から推しても入ってきている可能性があるんですが、私がいただいたこの資料の中に、いわゆる製造業者、原産地が表示されていない。製造業者においては黒く両方とも塗りつぶしている、これは。ということは、製造業者さえ明らかにできないような、今の時点で明らかにできないような、そういういわゆる非常に不明朗なものを、本来ならば、法律によれば、病原体を広げるおそれがないと認められるとき、絶対認められないとき以外には輸入できないものを、こうしてやったということ、これ自体が大変問題があるんじゃないか。早急にこの点においても解明していただきたいと思います。

 同じく感染経路についてですが、実は、千葉県で発生した狂牛病の牛について、その飼料等の中、えさ等の中に、いわゆる肉骨粉は使用していなかった。えさのメーカー等についても明らかにして公表しておりますが、その中で、燐酸カルシウムとあります。この燐酸カルシウム、これは、私が聞いてみますと、鉱物由来だということですが、実際に本当に鉱物由来だったのか。動物由来、いわゆる骨粉による燐酸カルシウムの可能性があったのではないか。その辺の調査はどうなっているのかお聞きしたい。

遠藤(武)副大臣 委員おっしゃるとおり、確かに鉱物性の燐酸カルシウムの存在は認められておりまして、私どもの方もそれを今追求しているところでございます。

 なお、先ほどのレンダリング業者についてですが、公表をしないと言うておるのではございません。いわゆる情報公開法第五条は私どもも存じておりますが、委員御承知のように、レンダリングというのは肉処理の循環過程の中で非常に重要な位置を占めるわけであります。数も少のうございます。そこで、今後のいわば骨等の処理にいろいろ御協力願わなきゃならぬそのレンダリング業者が、ちょっと待ってくれ、こう言うので、私どもは、説得をして公表はしたいということですから、少し時間をおかしくださいと申し上げているのです。

山田(正)委員 では、そのレンダリング業者のことはいいんですが、燐酸カルシウムは鉱物由来だということでしたが、いわゆる鉱物由来だということは科学的検査をしたのか。私が聞いた限りでは、いわゆる聞き取りでもって鉱物由来だ、科学的検査でもって動物性の燐酸カルシウムなのかどうか、していないと。ということは、千葉県産のあの狂牛病の牛についても、実際には科学的検査をしてみれば動物由来肉骨粉だったんじゃないのか。いわゆる感染経路を、単なる聞き取りだけで科学的検査もせずに感染経路がわからないとしてしまうのは、無責任に過ぎやしないか。

遠藤(武)副大臣 まず、この前の委員会で委員からいろいろ御指摘をいただきました。また、専門的な立場でもいらっしゃる委員並びに鮫島委員からも御指摘いただいたものですから、鉱物由来の燐酸カルシウムについては早速調査を開始しろと命じたところでありまして、今取り組んでおります。

 それから、当該患畜農家は、絶対食べさせていない、こうおっしゃっております。それ以上の追及はできないわけで、北海道でも、私どもは肉骨粉そのものを供していない、そういうことだったわけです。私としては、白井市の四十七頭、例えば国営の牧場で八年ぐらいの潜伏期間飼っておってみたらどうだろうかと。しかし、皆処分してしまえ、焼いてしまえという大合唱のもとで屠殺、焼却したといういきさつもございます。

 かなり解明には難しい調査が伴うと思いますが、全力を尽くして、鉱物由来の燐酸カルシウムについても調査を進めてまいりたいと思っています。

山田(正)委員 私の持ち時間がもう本当になくなってまいりました。

 いわゆる感染経路についていろいろお尋ねいたしましたが、実際に、十八日以前の一万三千トン、いわゆる検査前の肉、それと、肉骨粉を食べさせたとする牛が五千頭いるということでした。この二つについての、五千頭の牛についても、一万三千トンの検査以前の流通した肉についても、これは当然早急に焼却すべきではないのか。例えば、その一万三千トンのいわゆる流通した肉についても、これを八カ月間、今度の補正予算で九十二億円かけて単に隔離して保管するということでやったら、これこそ税金のむだ遣いになるんではないか。そう考えますが、その焼却処分の意図についてはいかがですか。

遠藤(武)副大臣 まず、現段階で牛由来の肉骨粉を牛に給餌しておったという牛が五千百頭以上もおったということは、非常に残念だったなと私は思っているんです。いわば共食い現象みたいなものですから、非常に遺憾であると思っています。

 それはそれとして、十八日以前の、つまり十月十七日以前の処理された枝肉及び小売段階での肉、これについては、一万二千八百九十トンでございますが、論理的な整合性をとろうとしたことはおわかりいただきたいと思うんです。

 つまり、肉はそんなに心配しなくてもいいんですよ、危険な部位は取り除いてありますよ、検査済みですよ、出荷は自粛してくださいよ、こういうふうにしておりましたが、厚生省さんの方で今度は三十カ月齢以上から全頭検査となりました。そうすると、十八日の以降の肉と以前の肉との違いがここで出てくるわけです。そうすると、今まで安全だと言っていた十七日以前の牛は危ないのか、こういうふうな御意見もありました。そこで、論理的な整合性をとることにちょっと苦労しました。

 しかし、委員御主張のような焼却とかそういうことも含めて視野に入れて、私どもとしても責任を持って、政府の責任で処理をしたい、こういうふうに考えております。

鈴木委員長 山田委員、質問時間が経過しておりますので。

山田(正)委員 では大臣に最後、今の、責任を持って、いつまでに、どのように処理するのか。

 それともう一つ。私もかつて牛、豚を飼っておった者ですが、今生産者は本当に困窮している。肉牛は一頭当たり二十万ぐらい下がっている、なかなか市場も回復していないし、そういったことに対して農水省は責任ありと認めるならば、それに対する、食肉業者も含めて、いわゆる損失の補償、補てん、そういったものをどう考えているか。

 この二点についてお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

武部国務大臣 万全の対策を講じてまいりたい、かように決意を新たにさせていただきたいと思います。また、生産者はもとより小売段階に至るまで、可能な限りの安定対策を含めてしっかり対応してまいりたい、このように思っております。

 私自身も、生産地であります。委員は千葉千葉と言っておりましたけれども、この牛は私の選挙区から出ているわけでございます。この対応を間違えば次の選挙では出てこられないであろうというぐらいの、これはまじめな話そういう状況にありますので、しっかり対応してまいりたいと思いますし、委員から、これまでも農水委員会を初め本日もいろいろな示唆を与えられました。我々決して逃げません。徹底究明していこうというその気持ちは委員と同じでありますので、これからも適切な御指示、御指導をいただければありがたいと思っております。

山田(正)委員 終わります。

鈴木委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時三十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時十九分開議

鈴木委員長 休憩前に引き続き連合審査会を開会いたします。

 質疑を続行いたします。中林よし子君。

中林委員 日本共産党の中林よし子でございます。

 十月十八日に全頭検査が始まったことによって、政府は安全宣言をいたしました。しかし、午前中の審議の中でも明らかなように、まだ牛肉の消費は戻っておりません。それは、消費者が現在の政府の対応に対して不信感を抱き、不安が払拭し切れていない、さらに不安は広がっている、こういう状況があるからだというふうに思います。

 そこでお尋ねするわけですけれども、厚生労働大臣並びに農林水産大臣、なぜ十八日以降も消費者の不安が広がっている、このようにお考えになっているのか、認識をお伺いしたいと思います。

坂口国務大臣 十八日に我々は、これから全頭検査をしまして、そして消費に回ります肉につきましては御安心をいただきますということを申し上げたわけでございますが、そのことがさらに不安を生んだとは私思いませんけれども、きょう午前中にも議論がございましたとおり、それまでの肉とそれからの肉との間の区別を一体どうするのだというような御意見が出たことは事実でございまして、そうしたことが一つ、買い控えにあるいは結びついたかもしれないというふうに思っている次第でございます。

武部国務大臣 十八日を機に、EUを上回る全頭検査体制というものが整備されたわけであります。このことについては、私は、徐々に国民の皆さん方の間に評価されつつあるんじゃないのか、かように思います。

 消費がふえない、そういうお話でありますが、私ども、地方農政局長等を通じて、全市町村の九九%の市町村を直接訪ねまして、いろいろお願いなり、また啓蒙方申し上げているわけでありますが、学校給食でいいますと、ピーク時六〇%以上でしたが、今は四〇%台に自粛が減ってきております。

 したがいまして、今委員が御指摘のように、十八日以降もまだ消費者の不安がなくなってはいません。しかし、実際のところ、少しずつ理解が深まってきているんではないか、こう思いまして、今後徹底したPRに努めてまいりたい、このように思っております。

 また、我々が、今厚生労働大臣お話ありましたように、十七日以前の肉と十八日以後の肉については、十七日以前は政府の責任において完全に市場隔離するということを決めているわけでございます。それらのことについても、まだ国民の間に理解が深まっていないというふうに思っておりまして、しかし、一月に至っておりませんが、私どもはまだ理解が広がってはいないと思いますけれども、学校給食の自粛解除という傾向を見ますと、むしろ、当初心配していた以上に理解の広がりが、私どもが考えていたよりは早いんではないか、こう思っておりまして、これからさらに努力をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。

中林委員 やはり私は、農水大臣の認識は極めて甘いというふうに思うのです。

 それは、真剣な検討、これをやっている、やっていると言われるんですけれども、しかし、数字を見て若干回復しているとかそういうことで、私は、政府の対応、これが十分検討されなければならないというふうに思うのですけれども、消費者の不安を解消する、それが何よりも大切、それが消費を拡大する上で必要なんですが、疑わしいものは流通させない、そのための万全の対策をとる、このことが何よりも大切だというふうに思うのです。

 先ほど坂口大臣がおっしゃったように、今国民の間には、確かに政府は牛肉在庫緊急保管対策事業というのを実施されました。検査前のものを隔離するということに踏み切ったのは当然の措置だというふうに思うのですけれども、しかし、それがどう処分されるのかということがいまだにはっきりしておりません。

 私どもは、当然、焼却処分を国の責任においてやるべきだというふうに思うのですけれども、実は、消費者も不安だけれども、業者の間にも、各都道府県の団体ごとにこの買い入れが行われているわけなんですけれども、八カ月たった時点で牛肉を買い戻してもらう、そういう旨を書いた買い戻し特約、こういうものが結ばれております。

 政府が責任を持って焼却処分するというのならば、こういう特約は必要じゃないじゃないですか。それを結んでいるということなんですから、私は、本当に消費者に安心を与えていくためには、この検査前の牛肉、これを当然焼却処分、国が責任を持って踏み切るべきだというふうに思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。

武部国務大臣 市場隔離の最終処分については、今後検討することとしておりますけれども、さまざまな選択肢があると思います。焼却というお話もございました。しかし、私どもは、国の責任において、さまざまな選択肢の中から今後万全を期すということは前々から申し上げている次第でございます。

 これは簡単に焼却といいますけれども、まず一つは、安全だ安全だと言ってきたものをなぜ焼却するんだ、そういう声もあるんです。同時に、直ちに焼却するといっても、これを焼却すると、今、肉骨粉等の焼却その他、これも滞留しているという実態があるわけでございます。

 いずれにいたしましても、さまざまな選択肢を検討するということでありますので、このことについては少し時間をかけて、絶対に市場隔離から流通させないということをもう明言しているわけでありますので、また、今買い戻し特約のお話もございましたけれども、このことも決して心配させません。そのことも私はっきり申し上げます。一度市場隔離をして、国の責任で万全を期すということは、国の責任でしっかりやるということでございますので、御理解をいただきたいと思います。

中林委員 選択肢の一つに焼却処分もあるとおっしゃるんですけれども、そんなことを言うから、やはり国民は安心をしないということなんですよ。もうここで、市場隔離はする、そうであるならば、それは施設の問題などあるでしょう、だからその期間は必要だというふうに私どもは思いますけれども、そこは焼却処分をするという決定をされるべきだというふうに思います。

 そこで、買い戻し特約の問題で混乱は生じないようにするというふうにおっしゃったんです。これは民事上の約束で、国がそこに介入するということになるとまた新たな問題が発生するので、本当にこの買い戻し特約をして、八カ月たったらもう一回戻すよみたいなことで、小売店並びにその辺の業者への混乱が起きないように、大臣今確約されましたので、そこは念を押しておきたいというふうに思います。

 同時に、この買い入れの問題で、もう一つ大きな問題があるんです。それは、限定されているんですね。箱詰めの未開封のものということに限定されているんです。ところが、小売店などは、一たん開封した、しかし検査前の肉だったということで、ブロックのまま冷凍庫に保管をしている。そういうものが実は対象外になっていて、どうしようもないという状況になっております。

 これは当然、そのお店の人が検査前の肉なんだということをおっしゃれば買い戻しをすべきだ、これはもう大臣に決断をしていただかなければならないと思いますけれども、いかがでしょうか。

小林政府参考人 今の私どものこの事業でございますが、部分肉の流通の形でやっているもの、これを中心に進めておるところでございます。それで、小売段階の在庫につきましても、箱詰めされたまま保持されている部分肉、こういった再び戻せるような形態のものがありまして、これは当然引き取り保有するということで事業の対象にしております。

 ただ一方で、一たん箱から開封されまして取り出したもの、これはブロック肉であれ、あるいはスライス、ミンチしたものであれ、品質保持とか、それからあと原産地、品種、部位、製造年月日、こういった客観的な事柄の把握が困難であるということがございまして、こういったものにつきましては事業の対象外としているところでございます。

中林委員 検査前の肉は隔離して市場には出さないんだ、こういうかたい決意をさっき大臣は述べられたわけですよ。だから、それで品質が悪くなるとかそういうことはもう関係ないじゃないですか。だから、十八日前で小売店の皆さんが持っていらっしゃるもの、そこではもうどうにもならないわけですから、当然、買い戻す、買い入れを行う、これはもう当たり前ですよ、大臣。そこまでやはり国はきめ細かくちゃんとやっているんだということを示す必要があると。これはもう政治判断ですよ。大臣、いかがですか。

武部国務大臣 もう既にいろいろな努力をして、五割引きでありますとか、割り引きしながら努力している小売の皆さん方も数多くいらっしゃるわけでございます。

 したがいまして、小売段階の在庫についても、箱詰めされたまま保持されている部分肉については、卸段階に再び戻せるような形態であって、卸業者が引き取り保有することになるものについては事業の対象としているところでございますが、ただいま生産局長の答弁にありましたように、本事業においては、一たん開封された、箱から取り出されたブロック肉や、スライス、ミンチ等にしたものは、品質保持の面からも問題があることや、原産地、品種、部位や製造年月日等の客観的な把握が困難であるということから事業の対象外としている次第でございます。

中林委員 そういうことを言うから、品質が劣化するとかいろいろなことを言うから、また出てくるんじゃないか、こういうふうにどうしても思っちゃうんですよ。だから、そこは、引き取りますよ、買い入れますよという方向をぜひもう一度検討いただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。

 そこで、消費者が不安に思うのはそれだけではありません。今、今後、大問題になっていくのが肉骨粉の処分の問題だというふうに思います。肉骨粉が、流通停止以来、既に推計六万トンぐらいたまっております。今後、毎月二万トンぐらいずつ在庫がふえていくと予想されているわけです。この対策を進める上でネックになっている問題が肉骨粉の処理温度の問題だというふうに思います。

 現在、農水省、環境省は、八百度以上の温度なら異常プリオンは不活性化する、こういう前提で対策を進めておられます。しかし、一方、国内では、異常プリオンは千二百度から千五百度でないと不活性化しない、こういう話が流れているわけですね。そのため、各地の焼却処理場では、肉骨粉の焼却あるいは焼却灰、これに対するためらいが出てきていると伺っております。だから、これは科学的に解明しなければならない、そういう問題だというふうに思います。

 政府が異常プリオンが不活性化しないと言われているこの温度、八百度なら、八百度以上なら大丈夫と言われている科学的根拠、これを明らかにしていただきたいというふうに思います。

小林政府参考人 焼却いたしました肉骨粉中の異常プリオンの不活化、不活性化でありますが、これは結局、高温度の、高い温度によりましてそれが焼却されてなくなるということが必要でございます。

 そういう意味で、今、現場の焼却炉、これは平成九年十二月より施行されました廃棄物処理法の施行規則によりまして八百度C以上となっておりますが、それを基準にいたしまして、私ども、この異常プリオンに汚染したおそれが肉骨粉等でありましても、こういう八百度Cであります一般的な焼却炉の焼却温度、これで完全な灰になるまで焼却することによりまして十分不活性化するということ、これにつきまして、我が国の獣医学の権威の皆さんがお集まりいただいております牛海綿状脳症に関する技術検討会がございますが、そちらの方にそういった御説明をし、また、先生方からコンセンサスを得ているということでございます。

 あと、例えばヨーロッパ、イギリスなんかにおきましても、特定危険部位なんかにつきましては、特に、温度基準というよりも、完全に水分が取り除かれて灰になる、その焼却の仕方で十分だという基準になっております。

 私ども、こういった点、確かに、PRといいますか、こういうことで、大丈夫ですよということは、さらに引き続き関係方面に十分PRしていきたいと思っております。

中林委員 千二百度だとか千五百度、これはなぜこういう話が出るんですか。

小林政府参考人 温度が高ければ高いほどという考え方があるかもしれませんけれども、いずれにしましても八百度Cあれば、先ほど申しましたように、十分不活性化されるということでございます。

中林委員 私は、今局長が言ったことをやはり広く国民に周知徹底させること、非常に大切だというふうに思います。

 基本的にはこの肉骨粉の焼却について国が責任を持つというのは当然なんですけれども、現実にはなかなか進んでいないということがございます。

 そこで、環境省にお伺いするわけですけれども、これは現時点では各市町村が受け入れるということになっているんですが、焼却計画、本当に順当にやれていくのかどうか、どのように把握されているのか。今後の対応も含めて簡潔にお答えいただきたいと思います。

風間副大臣 廃肉骨粉につきましては焼却処理を今進めておりまして、現在、一般廃棄物処理施設でその処理が行われ始めているのも、先生御案内のとおりだと思います。

 環境省が十一月の十四日、おとついでございますけれども、中間取りまとめをさせていただきまして公表した市町村の廃棄物処理施設における受け入れ状況を、速報を求めましたところ、二百十一の施設で、受け入れ可能量を合計いたしますと、年間約十二万トン処理できると。現時点においては二百十一施設でありますけれども、さらに、受け入れは可能だけれども、受け入れ量がまだどのぐらいなのかということがそれぞれの当該施設で今検討されているようでございまして、そこがふえてまいりますと、またさらに市町村の受け入れ量はふえるということになろうかと思いますし、また、受け入れそのものについて検討中の焼却施設を持っていらっしゃる自治体も多数存在するため、これも受け入れてくれるということになりますと、さらにふえていくものというふうに予測しているところでございます。

 また、焼却処分をするだけじゃなくて、セメント工場で廃肉骨粉をセメント原料として利用が図られるように、今、十月の十六日に告示を行いました。現在、セメント協会で今週から、そのノウハウを持っているヨーロッパに行かれまして、フランス、ドイツは既にこのセメント化の実用化がなされておりますし、さらにイギリス、あるいはEUの本部のありますベルギー、四カ国に調査団をセメント協会が派遣をさせていただいて、今週末帰国する予定でございます。

 したがいまして、その現地調査を踏まえましてから、来週以降に再生利用認定に係る申請を行われる予定だというふうに聞いておりますし、そうなりますと、申請されましたら速やかに審査をして認定をしていきたいというふうに思っておりまして、来週以降の早い時期にセメント工場の受け入れがさらに、現在三十六工場あるわけでありますけれども、すべてでございませんので、三十六工場の受け入れは開始になるものと期待しているところでございます。

中林委員 これはもう待ったなしのことで、毎日毎日肉骨粉が積み上がっていくということですので、国が責任持って確保し処理できるようにお願いしたいと思います。

 それから、安全な肉を食卓にということで、検査体制の安定的な運営、これも非常に今求められております。これは、屠畜場の安定的な運営なしにはそれができないという状況にあります。BSE発生以来、十七日までは自主規制ということで屠畜数が激減をいたしました。十八日以降も屠畜数はまだ戻っておりません。

 一頭当たり幾らということで、実はその手数料で運営しているというのが今の実態なんですね。だから、今はこの屠畜場の経営も非常に大きな打撃を受けておりますし、それから全国の屠畜場のうち、市町村営や第三セクターが運営しているものが約半分だ、こういうふうに伺っているわけですけれども、屠畜に従事している方々は実はおおむね歩合制になっている、こういう状況になっております。一頭幾らということになるわけですので、実は屠畜の数が減れば収入が途絶えていくということで、今その従業員の方は、ほかのアルバイトしようかとか、いや、やめて職種がえをしようかとか、こういう声も出始めております。

 そこで、私は、この従業員の方々は大変な熟練した技術をお持ちなんですね。いざこの十二月を迎えて屠畜数が返ったとして、もしおやめになっていて、急に雇い入れるなどということは非常に困難な状況だというふうに思います。

 そこで、坂口大臣にお伺いしたいんですけれども、こういう屠畜場の経営実態、それを認識、把握されているのかどうなのか。それから、やはり何らかの支援が検討されなければならないんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 屠畜場につきましては、先ほどからお話をいただいておりますように、都道府県でありましたり、あるいは市町村でありましたり、そうした事業形態でございますが、したがいまして、私たちその経営状態をつまびらかにするというところまでは至っておりませんけれども、しかし、いわゆる屠畜頭数というものを見ておりますと、だんだんとふえてまいりまして、八割ぐらいには今戻ってまいりました。中には九割ぐらい戻っているところもあるわけでございますが、かなり戻ってきているという認識は持っておりますけれども、まだ以前の数量に達していないことは御指摘のとおりでございます。

 そういうふうになりますと、経営上どうかということもあるわけでございますが、その辺のところにつきましては、都道府県ともよく相談をしていきたいというふうに思っております。

中林委員 ぜひ実態を把握していただき、検討をお願いしたいというふうに思います。

 そこで、今回のBSE発生、それはもうずっとこれまでの議論で明らかなように、農家にも、あるいは関連業者にも消費者にも責任はないということは明らかです。

 そこで、このBSE発生によるさまざまな損害に対する対策の問題なんですけれども、農水省が関連の第二次対策でBSE対応肉用牛肥育経営特別対策事業としてすべての肥育農家を対象にして緊急対策をとっているわけです。

 これは、これまでの枠を超える措置なんですね。一定の生産費が補償されるということになっているわけですけれども、問題は、今農家には牛が売れなかったために金が入っていないということで、年内、えさ代などの支払いがもう来ているという状況で、年が越せるかということで大変苦労しております。

 そこで、これは年内には必ず支給できるようにする、こういう決意をお伺いしたいと思います。

武部国務大臣 今回のBSEの発生に伴いまして、現行の肉用牛肥育農家の経営安定事業、いわゆるマル緊事業では対応できない大幅な収益性の悪化に対応し得るBSE対応肉用牛肥育経営安定対策特別事業を創設したところでありますが、その実施に当たっては、現行のマル緊事業が四半期ごとに補てん金を算定し、支払いを行うということでありますけれども、緊急に経営農家の安定を図る観点から、一月ごとに概算払いする仕組みにしたところでございます。

 初回の農家への支払いについては、農家経営の安定のため、団体等の協力を得まして、事務手続をできる限り速やかに行いたいと考えておりまして、十二月上中旬に行うべく作業を進めているところでございます。

中林委員 それで、今金がないところはつなぎ資金でということで、融資対策を打たれました。しかし、今、農家は負債をたくさん、とりわけ畜産農家が負債を抱えていて、もう融資では間に合わないんだ。しかも、今回出された条件が一・六%、しかも一年間で返さなきゃいけない、こういう厳しいものですから、私、農水省に伺ったら、これは多分きのうぐらいの時点なんですけれども、全国で融資を受けている人が二十三件、金額にして九億七千万円にすぎない、こういう状況なんです。

 一方、中小企業庁がセーフティーネットの対応をやられました。これも厳しいんですけれども、しかし、一年据え置き、五年償還、こういうことで、きょう聞いていたらもう少し数がふえているんですが、私が伺ったのは十一月九日で四百九件、四十二億四千四百万円なんです。農民が借りるのと業者が借りるのと物すごく差が、これだけ条件が違うことによって出てきているんじゃないかというふうに思うんです。

 私は、では中小企業庁がいいと言っているわけでは決してありません。今、農家にも、あるいは関連業者、飲食店も含めて、災害だとおっしゃっているわけですね。そうすると、これまで阪神だとか有珠山だとか三宅島だとか、そういう災害のときは無利子融資だったわけですね。だから、当然、今回の中小企業庁の対策も無利子にしてほしい、これは非常に強い要望です。

 もちろん農水省の方も、せめて無利子で五年間ぐらいの償還期間を延ばしてほしいということなんですけれども、検討いただけますか。

 それぞれの大臣、簡単にお答えください。

武部国務大臣 いわゆる大家畜経営維持資金でありますが、BSEの発生によりまして現に深刻な影響を受けておられる畜産経営に対する緊急的な措置の一環として、当面の営農に必要な運転資金を措置したものでありまして、本資金は国からの利子補給により一・六%以内ということでありますが、現時点で十九の道府県において無利子化に取り組んでいるところでございます。今後とも、地方レベルとの支援協力をお願いいたしまして、本資金の円滑な貸し付けが図られるように努めてまいりたい、かように思います。

 また、これに加えまして、先般、現行のいわゆるマル緊事業では対応できない大幅な収益性の悪化に対し機動的に補てんする事業、子牛生産拡大奨励事業のほか、枝肉価格が安定基準価格を下回った場合の調整保管、十七日以前に屠畜解体処理された牛に係る滞留在庫の市場隔離等の措置を実施したところでありまして、これらを総合的に活用することによって償還財源が確保されると見込まれておりますし、償還期間を一年以内としておりますが、また、それで足りない場合にはさらに考える、検討するというふうに我々は努力をしていきたいと思っております。

平沼国務大臣 簡単にお答えさせていただきます。

 無利子制度、これを検討せよ、こういうお話でございます。

 私どもは、いわゆるセーフティーネットで貸付制度と保証制度、これは両建てで、かなりきめ細かくやらせていただいております。ただ、無利子制度に関しましては、阪神・淡路でございますとか三宅島という、この一定の広大な地域がひとしく激甚なそういう災害を受けたというのと異なりまして、やはりそういう意味では、災害ということをおっしゃられましたけれども、やはりその段階によってもそれぞれ差がございます。

 そういう意味で、私どもといたしましては、さらにきめ細かく対応はさせていただき、また、既に、既往のもの等については弾力的に対応させていただく、こういうことで全力を挙げて取り組んでいきたい、このように思っています。

中林委員 この辺のそばからも、行政のミスだ、ミスだとおっしゃっている。朝の平沼大臣の答弁も、テロと同じみたいなものだというお答えもありました。

 まさに今回の被害の問題は、これは政府の責任だということは明らかなんですよ。だから、これに対して政府が国民に対して誠実に補償を行うということは、狂牛病問題、BSE問題の本質だというふうに思います。

 そこで、関連業者の声なんですけれども、九月は二百万円の赤字で、ステーキが売り上げの八割だった、そのうちの八割が売れない、従業員が三十人もいるのにどうしたらいいのか、損害を補償してほしい、こういう声がありました。それから、松阪牛の産地の松阪市の業者の方ですけれども、融資ではもう絶対だめだ、借金のためもう書類は書けない、こういうことを言っているわけですね。

 今月七日の決算行政監視委員会で我が党の大森議員の質問に対して、損失補償について平沼大臣は、「主管の農林水産省が関連事業者の業態及び影響の内容等に応じて進められている個別事業ごとの対策の実施状況や、これも対応方針等十分踏まえながら、我々としては一緒にこういう形でやっていこう」というふうに思っておりますと答弁されている。要は、農林水産省がこの損害補償についてどう決断するか、それが要するに関連業者も含めて救える道だ。

 先ほど、マル緊の枠を取っ払って、すべての肥育農家にいわば生産費を補償できるようなものを出す、この決断をされたわけですね。そうすると、生産のところだけ出していいのか、いわばその末端の飲食業者、そこがちゃんと消費が保障できて初めて全体が回っていく、日本の畜産業だって回っていく。これは私は、農水大臣の決意いかんだ、そうすれば経済産業省も一緒になって考えていく、こういうふうにお答えになっているわけですから、損失補てん、これについてぜひ検討いただきたいというふうに思います。

武部国務大臣 しっかり述べます。

 今の食肉関連業者の経営の安定を図るということについては、一番大事なことは、風評被害が一日も早く鎮静化して、需要の回復を図ることが重要だ、このように私は考えておりますので、BSEに関する知識の普及、国産牛肉についての安全性のPRを実施してきたところでありますが、さらに、BSE検査開始前の国産牛肉の滞留在庫の市場隔離による流通の円滑化を支援する、牛肉価格安定のための調整保管も実施していくということでございまして、今後とも、これら事業を適切に実施することにより、食肉需要の回復と流通の安定を通して食肉関連業者を支援していくというふうに考えている次第でございます。

中林委員 これは農水省も調査していらっしゃるでしょう。大体、関連業者、どのくらい被害があったのか、売れ行きがどのくらい減ったかということは明らかにされているはずですよ。五割だとか六割だとか減になっている、こういう数字もありますし、私たちが聞いているのは七割、八割減だ。例えば、三十万円月給をもらっている人、七割減だったらば、九万円で生活しなさいというものでしょう。そんなこと、やれますか。できないから、いわば風評被害が戻れば収入が入りますという判断じゃないんですよ。

 これまで全然、収入ががたっと減った、今までだって不況だった、黒字になっていなかったところへもっていって、いわばもうこれでやめなさいと言わんばかりの状況になっているから、これは国が補償してほしい問題だ、こういう話ですよ。それに手をつけないということは、私は余りにもひどいというふうに思わざるを得ません。

 午前中から責任問題が出ておりました。これまで政府がとってきた対応はまずかったという点がるる明らかになりました。初動のところでちゃんとやっておればよかった、あるいは、発覚した以後の対応もまずかった、こういう点がるる事実でもって明らかにされたんですよ。

 ドイツの例も出されました。昨年十一月にBSEが発覚して、二カ月後には二人の大臣が、政府の対応に不手際があったということでおやめになっている。

 こういう状況を見て、これまで私は農水大臣の御答弁を聞いていて、人事を尽くして天命を待つみたいな話をされているんですけれども、第三者委員会立ち上げはいいです、過去の例を検証するのもいいでしょう、しかし、国民は何を見て信頼を回復できたと言えるかというと、やはり責任のとり方だ、その決断は大臣自身がなされなければだめだというふうに思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

武部国務大臣 けさほども申し上げましたように、おれがやらなきゃだれがやるという言葉は、私は大事にしている言葉であります。とにかく緊急事態ですから、間断なくやらなければならないことを速やかに適切に手を打っていかなきゃならない、そういう一念で私どもやってまいりました。

 確かに、初期段階においては行政の混乱があったこと、このことによって大変な迷惑をかけているということは、私もうたびたび申し上げておりますように、毎日の新聞で、謝罪、陳謝、責任を認める、こういうことばかりであります。

 しかし、英国で十五年間かかったこと、EUが十年間かかった全頭検査体制をようやく立ち上げて、そして今、消費者や国民の皆さん方に理解を求めて、そして一日も早く需要回復をしようということで真剣にやっているわけです。(発言する者あり)不規則発言も結構でありますが、我々がどれほど真剣にやっているか、真剣にやり尽くすということが私の責任だ、こう思って、これからもさらに努力したいということであります。

中林委員 時間が来たので終わりますけれども、しかし、イギリスが何年たった、EUが何年たったというんじゃないんですよ。そこをちゃんと日本の政府は見てきたわけですから、その対応をやらないできたその責任ですよ。その後の責任ですよ。そこを十分とらなければだめだ。

 そこを私は、間断なくとおっしゃるけれども、今までいろいろな形で大臣はおやめになっても間断なくやれてきているんです。だから、私は、これは責任を、やはり大臣自身が決断されることを希望いたしまして、質問を終わります。

鈴木委員長 中川智子君。

中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。

 まず最初に、坂口大臣にお伺いいたしますが、一昨日、東京地裁、その前には大津地裁で薬害ヤコブ病の裁判所の所見が出ました。先ほど本会議でも小泉総理大臣が、このことに対して、我が党の議員に対してのお答えをいただきましたが、大臣、一番最初に伺いたいんですが、この日本で、いわゆる行政の責任が問われた、国が責任を問われた薬害はどれだけありましたでしょうか。大臣のお気持ちの中にあります、記憶の中にあります、薬害の歴史ということについての大臣の御所見をまず最初に伺いたいと思います。

坂口国務大臣 急に薬害の数を言われましても、なかなか幾つあるのか思い出せませんけれども、すぐ思い出すものといたしましては、エイズがあり、それからスモンがあり、そのほかの、いわゆる薬剤のいわゆる副作用と言われておりますものはたくさんあるわけでございますが、それらのことは別にいたしまして、大きいものといえばその二つじゃないかというふうに思います。

中川(智)委員 厚生労働省の庭にも薬害根絶の碑が建っております。スモン、キノホルム、サリドマイド、エイズ、そしてヤコブと、なぜこの国は同じことを繰り返すのか。そのたびに反省をし、謝罪をし、二度と繰り返さないと誓いを立てて、そして原告たちは、思い余っての裁判の提訴から四年七カ月です。

 私は、議員になりまして、このヤコブ病の訴訟の原告にお会いして、こんなにひどいことはない、また、何回もお見舞いに行ったりして、そして、植物状態、人格が破壊され植物状態になり、みずからの声でそのつらさを訴えることもできない、治療法もない、数年で死ぬ、これをつくってしまった、この薬害をまたまた生み出してしまった、この被告、国の責任は重大であると思っております。

 大臣、なぜこんなにこの国は薬害を繰り返してしまうのでしょう。お考えを。

坂口国務大臣 幾つかの薬害問題を繰り返してきたことは紛れもない事実だというふうに私も思っておりますが、これらのことが起こるということは、これは非常に急激な科学の発達、医療の発達の中で、新しいものが次から次へと生まれてくる、それが薬でありましたり、あるいは医療器具でありましたり、これはさまざまでございますけれども、いつも常に新しいものが生まれてくる。

 その新しいものが生まれてまいりましたときに、それに対する、それがいわゆる国民、患者にとりまして、本当に薬としてあるいは器具として有効なものであるかどうか、その有効性というものを見ることも大事でございますが、しかし、それによって受ける副作用あるいはまた反作用と申しますか、そうしたことがまた起こらないかということも、これはやはり調べながら前進をしなければならないわけでございます。しかし、ある時点のところで、それは有効性があるということは認められておりますけれども、しかし、それに対する副作用でありますとかあるいは反作用でありますとかといったことが明確にわからない時期が存在する、そのことを一体どうするかという問題だろうというふうに思います。

 そこは、今までどちらかといえば、学問的に検証されるということを一番中心にして私は考えてきたというふうに思っております。例えば、今回のこのヤコブ病の問題にいたしましても、一九八七年ですかね、アメリカで第一例が出ましたときに、同じ年に日本でも発生をしている。そのときに、アメリカの方は、このことをおかしい、若い人でこういうふうに発生するのはおかしいというのですぐに取り組んだ。しかし、日本の国内におきましては、大学病院でそういうことが起こりましても、そのことを大きく取り上げてこなかった。それは、やはり日本の医療の中に、いわゆる確たる証拠、いわゆるその研究の成果ということが明確にならなければ動かないというところがあるからそういうことになるのではないかという気が私はいたしております。

 したがいまして、私は、厚生労働大臣に就任をさせていただきましてから、予防的措置、もし学問的結論が出なかったとしても疑いのあるときにはストップすべきである、その考え方を導入していく以外にないということを庁内でも申し上げているわけでございまして、今そういう考え方で進めさせていただいております。これはこれで、またいろいろと障害、あるいはまたいろいろの批判があることも事実でございます。なぜはっきりしないものをそんなことをするのかという非常に手厳しい御意見のあることも事実でございますが、そこはしかし、それによって障害者を出さない、あるいはまた被害者を出さないということを中心に考えれば、私はやむを得ざることだと思っている次第でございます。

中川(智)委員 私は、今大臣が最後におっしゃった部分が非常に大事だと思います。予防、本当に予防原則、被害を生み出してからでは遅いんだ。一たん本当に、そのような情報をきっちりキャッチして、縦割り行政の弊害を是正するためのシステムをつくり、そして危機管理に徹して国民の命を守る、そこに立つことが行政の長としての責任であろうと私は思います。

 私は、この問題は、昨年の九月、閉会中審査を、ヤコブ病の集中審議をやりました折に、承認時の問題もかなり議論になりました。一九七三年の承認時、これがもっとしっかりしていたならば、そしてこれほど、初めてのヒト組織を使ったものでありながら、医薬品とせずに単なる医療用具としての承認をしてしまった、そこに対して私は、大臣、しっかりと目を届かせていただきたいと思います。

 それにつながりまして、この所見の最後、裁判所からの所見の結びのところを少し読ませていただきます。

 被害者全員についての早期かつ全面的な救済という観点を十分踏まえた上で、和解に臨むことを、当裁判所としては、強く望むものである。

  他方、被告らは、CJDが患者及びその遺族らである原告らに与えてきた深刻な被害の実情を虚心に受け止め、被害者らの救済を図るべき地位にあるものとして、真摯にかつ積極的に本件和解に臨み、被害者全員を早期かつ全面的に救済するとともに、本件のような医薬品等による悲惨な被害を二度と発生させないように努力を重ねることを、当裁判所としては、強く望む次第である。

これが結びであります。

 これに対しての結論を、国としては、大津地裁には二十二日、東京地裁には二十七日、タイムリミットがございますが、大臣のこの所見を受けた、受けてからはそれに従ってというお言葉がこの間の御答弁でございました、きょうの時点での御決意を聞かせてください。

坂口国務大臣 ヤコブ病になられました患者さんの皆さん方はもとよりでございますが、御家族の方も含めまして、その御心中お察し申し上げるところでございますし、そして、まことに厳しい病状等を考えますと、本当に大変なことだというふうに私も思っている次第でございます。

 そうしたことから、裁判所の方におきましては、早期にこれは解決をした方がいいというので、今回、東京におきまして、あるいは大津におきまして、この双方に対しましての和解勧告というものが出されたのだろうというふうに思っております。

 そして、十四日の日にその内容が示された、最終の内容ではございません、こういう方向で和解を進めていきたいと思うがどうかという方向性をお示しになったというふうに思っておりますが、私もそれを昨日拝見をさせていただきました。そして、それを拝見させていただきました上で、その裁判所の御趣旨というものを十分に尊重すべきだというふうに思っている次第でございます。

 ただ、内閣におきましても、官邸でありますとか、あるいは正式には法務省等々と打ち合わせを十分にこれはしなければならない問題でございますので、最終結論は二十二日までに出されるものというふうに思っております。週を明けましたら間もなく出さなければならないというふうに思っておりますが、現在はそういう心境にございます。

中川(智)委員 私は、予算委員会その他厚生委員会で、何度もこの薬害ヤコブ病の問題を取り上げてまいりました。歴代の大臣におかれましては、宮下創平大臣のときに原告の方に会っていただきましたが、その後、坂口大臣にはまだ一度も当事者のお話を聞いていただいておりません。ぜひともその結論をお出しになる前に、議員連盟としても中川昭一会長名で、大臣に原告に会っていただくよう強く要請しております。会っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お願いします。

坂口国務大臣 厚生委員会でもお答え申し上げたというふうに思っておりますが、あるいは予算委員会だったかもしれませんけれども、お会いをさせていただくようにしたいというふうに思っている次第でございます。

 ただ、私がお会いをさせていただきますときに、患者さんやその御家族に対して単なるお見舞いを申し上げるというだけではこれは済まない話だというふうに思っております。したがいまして、この裁判所からの和解勧告を受け、そして、我々がそれに対する決意をした上でやはりお会いをさせていただかないと、これは御家族に対しましても甚だ失礼に当たるというふうに考えている次第でございます。

中川(智)委員 その結論を出すための一つの重大な証言として会っていただきたいということを強く望みます。

 国は所見を前提に和解手続をきっちり進めていっていただきたいと強く要望いたします。信じておりますので、本当に長い間の苦しみが報われますように、でも、もう既に七十六名の方は非業の死を遂げました。その方たちにはこの裁判所の所見、そしてその後の国の謝罪があるときには、その声はもう届かない、そのことをつけ加えておきたいと思います。

 大臣はもうちょっとしたらお出かけにならなければいけませんので、一言、人への感染。

 今の薬害ヤコブ病は、汚染された乾燥硬膜を移植されてヤコブ病になってしまった問題ですが、今回は、この狂牛病で今一番市民が、消費者が心配しているのは、イギリスは既に百六人の方、人間への感染がある。食べると、そして何か使うと感染するのじゃないか、あの悲惨なヤコブ病になってしまうのじゃないかという不安から、いろいろな食べ物への不安の中でなかなか口にできない。それも、もう何か本当に心配しながら物を食べなければいけないというのは、本当に食べることだけが楽しみな私にとっても非常につらい状況が続いておりますが、人への感染がもし、私はやはり出てくるというふうに思いますが、もしも人への感染、発症があったときの体制です。

 孤発性のCJDというのは百万人に一人なわけで、今、狂牛病でいろいろ問題になっているその潜伏期間なんかを計算すると、ヤコブ病になった、狂牛病にかかった人が、明らかに感染した牛などを食べて病気になったということがわかったときの体制というのは今しっかりあるのかどうかを伺いたいと思いますし、そのときに、何からうつったかわからない、また裁判をして因果関係を調べるのは本当に大変です。やはり、それに対しては明確に国が、人の発症のときにはこのような体制をというのを今からつくっておくべきだと思いますが、厚生労働省そして農水省の大臣の御見解、また今のシステムについてお答えをしてください。

坂口国務大臣 人への感染、これは、動物から人に感染するわけではございませんで、人間が何を食べたかということによって、その食生活によってこれは起こるわけでございます。今までのビールスやそれから細菌による感染ではこの病気はないわけでございまして、いわゆる食べるものによってこれは起こるということでございますから、そこは今までの病気とは大変違うというふうに思っています。

 ただ、それだけに、この食生活によってどのように起こるかということを、将来、これは何によって起こったかということをさかのぼりまして追求、追跡するということは、なかなかこれは難しいことではあろうと思うのです。牛ですらなかなかわかりにくいわけでございますから、多種多様のものを食べます人間にとりまして、それが何が原因であったかということを見るというのは、なかなか私は率直に言って難しいことだろうというふうに思います。

 O157のときですらなかなか何が感染ルートであったかということがわかりにくかったわけでございますから、ましてや長い期間、長い期間の間に何によったかということを見ることは非常に難しいことではありますけれども、しかし、そういう孤発性のものではなくて出てくるというものは、これは人間の場合にはいろいろ鑑別診断できるようになっているそうでございます。

 いわゆる孤発性で生じたものと、そして食べ物によって起こったものとの症状というのは違いがある。例えば脳波なら脳波をかけましたときに、脳波の症状は違うということでございますから、そこは私はある程度、いわゆる孤発性でこれはないということの診断はつくのではないかというふうに思います。

 そのときに、それが何によって、いつということになりますと、例数が少ない場合にはなかなかそこは難しいところだというふうに私は思いますが、ただ問題は、そういう人が生じたときにどういうふうに国として対応をするかということを私は決めておかなければならないというふうに思います。そういう、もし患者さんが将来生じたというときに一体どうするのか。

 どうするのかということは、どこで、どういうふうにして治療を受けるかということではございません。国が、そういう食べるものによって起こるような患者さんが生じましたときには、一体そのときにどういうふうにするのかということを私は決めておかなければならないというふうに思っている次第でございまして、今関係当局に対しまして、そうした将来のことも含めましていろいろと検討をさせているところでございます。

武部国務大臣 BSEの人への感染メカニズムについては、今厚生労働大臣の御答弁にもありましたように、いまだ十分に解明されておりません。英国におきましては五百万人に一人だ、こういうふうに専門家が述べておることは承知しておりますけれども、しかし、我が国において変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の感染事例も発生しておりませんので、補償のあり方などについては、今申し上げるのは非常に困難だと思います。

 しかし、厚生労働大臣がお話ししておりましたように、これは一般論として、いわゆる狂牛病といいますか、新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病というものについてのメカニズムということについても、もっと徹底した研究が必要でありましょうし、BSEの発症が、これは今のところ屠殺して延髄をとらなければならないということしか検査方法がないわけでありまして、今後、生きたままで、私は、今度のことで大変迷惑をかけましたけれども、最も気の毒だなという思いに至るのは牛であろうというふうにも思うのですね。ですから、生きたまま検査できるようなそういう研究も必要であろう、かように思います。

 いずれにしましても、現在は、十八日から食肉処理を行うすべての牛についてのBSE検査を迅速に実施しているわけであります。そして、BSEの陽性の牛についてはすべて焼却するということも委員御案内のとおりでありますし、なおかつ、特定危険部位である脳、脊髄、眼、回腸遠位部をすべての牛について除去、焼却するということもしているわけでございます。

 これによりまして、BSEに感染していない安全な牛肉以外屠畜場から出回ることはなくなったということでございますが、今委員御指摘のように、もう既にそういう病気になっていて潜伏期間に入っている、そういうような人が絶対いないのかということは、これは絶対ということは言えないわけでありまして、私ども、今後、食の安全を守るという立場に立ちまして、厚生労働省と連携してBSE対策に万全を期してまいりたい、かように考えております。

中川(智)委員 私がちょっとお尋ねしたのは、また本当に新変異型ヤコブ病が発症したときに、何だかこの人はイギリスに数カ月いたからそのときではないかとか、責任の所在が明らかにならずに、また長い裁判を経てそういうことにならないように、今も、これはやっと裁判で決着しそうですが、和解で決着しそうですけれども、医療費だけが免除と。

 明らかに、奥さんが先日亡くなられた山村さんは、だんなさんは看病のために会社をやめざるを得なかった、そういうふうに、家族はもうすべてめちゃくちゃになってしまうわけですね。そんな中で、医療費だけ無料、ただというようなことは許されない。きっちり、その責任は国にあり、そしてその補償はこういうふうになっているということで、その責任をしっかりと、人への発症があったときには、このような法律の中で悲惨な目に遭わないようにカバーしていくというのは当然のことです。

 牛にも発症しないと言っていたのがこのように発生しまして、また人間にもというのは、それはやはり、普通に考えればそのような事態が想定できると思います。そのための仕組みをつくっていただきたいし、野党共同提案で、医薬品等副作用被害救済機構法の改正、ヒト動物組織由来の医薬品や医療用具に対しては議員立法を提出しております。

 厚生労働大臣がいらっしゃらなくなったので、局長の答弁で結構ですが、このように、ヒト動物由来の製品に対して被害救済の枠組みをつくっておくというのは早急にやるべきだと思いますが、いかがでしょう。

宮島政府参考人 御指摘のように、人や動物の細胞、組織に由来する医薬品や医療用具につきましては、感染症を伝播するおそれがありますので、その安全性の確保が特に重要であるというふうに考えておりまして、本年四月には省令改正で新しい基準を設定いたしまして、こうした製品に対する規制を強化したところでございます。

 ただ一方、こうした規制強化等をいたしましても、やはりこういった感染症を伝播するリスクを完全にはなかなか否定できない面もありますので、こういった医薬品等による健康被害が起きた場合につきましては、その救済問題というのは非常に重要であるというふうに我々も認識しているところでございます。

 御案内のように、副作用につきましては昭和五十四年に救済制度が制度化されておりますけれども、感染症関係はその対象になっていないというところがございます。一月に、この感染症等を対象とした救済制度につきましての研究会を立ち上げまして、現在、研究を続けております。

 ただ、感染症の場合は副作用と違いまして、いわゆる因果関係の認定が非常に難しい、つまり感染ルートが非常に多様であるというようなこととか、二次感染、三次感染の問題をどうするかとか、いろいろ解決しなければならない問題があるわけでございますけれども、そういったものを今研究会で議論していただいておりまして、この八月に一応中間まとめをしていただきました。

 現在、この中間まとめをベースにいたしまして、患者団体やあるいは製薬業者の関係団体からヒアリングをやっております。このヒアリングが終わったらいよいよまとめに入って、できるだけ早くまとめていきたいというふうに思っておるところでございます。

中川(智)委員 かなりよくできた議員立法だと思いますので、閣法で早く出していただきたいと強く望みます。非常に必要に迫られているというふうに考えます。

 次に、肉骨粉のことで質問したいと思います。

 農水省の第二回目のBSE対策検討会によりますと、牛の肉骨粉については、在庫製品を肥料やペットフードに利用することを検討していると聞いています。この在庫は、狂牛病検査前の牛の汚染部位が含まれているものです。在庫の牛の蒸製骨粉も、OIEの基準を上回る条件で処理されたものを肥料やペットフードへ利用することを検討ということです。

 まず第一に伺いたいのですが、現在、製品在庫としてある牛由来の肉骨粉、血粉も含んでいただきたいのですが、在庫の量はどれぐらいになっていますでしょうか。

小林政府参考人 牛由来のものにつきまして、大体概略の数字、聞き取ったものを申し上げます。

 レンダリング工場の世界にありますのが、大体約五万トン程度ございます。また、配合飼料工場とかあるいは商社、こちらも豚、鶏由来も含まれておりますけれども、約一万トン程度。また、そのほかの肥料工場あるいは肥料の販売店といったところには、いろいろな肉骨粉とか粉末等を含めまして約四千トン。あと肥料関係でございますけれども、蒸製骨粉というのがございますが、こちらは大体六、七千トン、こういった状況でございます。

中川(智)委員 それらの在庫というのは今後どのようにするのでしょうか。

小林政府参考人 先般、十月四日でございます、私ども、肉骨粉の国内の使用それから輸入、これは一たんみんなとめました。その上で、例えば牛由来の肉骨粉につきましては、今、BSE体制のもとで、これはレンダリングして焼却していくということで進めておりまして、こういった在庫が一つはできておるわけですね、焼却していきます。

 それからもう一つは、今お話出ました、この肉骨粉の扱いをこれからどうするかということにつきまして、検討会、いろいろな消費者の皆さんを含めた関係の皆さんに集まっていただいた検討会を開きまして、一たんとめたものを、その安全性とか、それから、いろいろなものとまざらないという形で適切に利用できるようにやっていく、こういうことを御説明して、例えば、先ほどお話ございましたような鶏、豚の関係でありますれば、それを鶏、豚の飼料として使う。これはもともと、鶏、豚は科学的に大丈夫でございます。それから肥料につきましては、こちらも特にミールとか蒸製骨粉とか、そういう安全なものに限って、きちんと管理しながら使っていく、そういう体制をとっているところでございます。

武部国務大臣 役人というものは、余計なことを言うから誤解を招くのですよ。

 牛由来の肉骨粉は全部焼却しますからね。これしかないのです。それから鶏だとか豚由来のもの、これは科学的にも、使ってはならないということに国際基準でなっていないのです。しかしこれも、今全くとめているのです、これもですね。

 ただ、EUでは、肥料用、ペットフードについてはとめていないのです。これは全く根拠もないし、こういったことについて、一たんストップさせましたけれども、BSE対策検討会には専門家もおりますし、消費者の方々も入っておられますし、こういったところで科学的な根拠に基づいて、同時にその前提は、消費者の皆さん方が理解し、安心していただけるという大前提の上で、今後、そういったペットフードだとか肥料用、こういったことについてはBSE検討会を通じて御議論いただき、御検討いただいたものを受けて判断したいということでございます。

 牛由来のものは、これは完全にストップしていますから、そのことを誤解ないように。局長は頭がいいせいか、ああだこうだ、ああだこうだと、こういうところが役人の悪いところなんです。わかりやすく言わないから。そういうことですから、誤解のないようにお願いしたい。

 もう一つ言いますと、BSEに人間が感染するのでないかということについては、これは放送大学の近藤教授の話ですが、英国では五百万人に一人、発生頭数は十八万、そして人口は六千万、ですから近藤教授のいわく、五百万分の一掛ける十八万分の一掛ける一億二千万分の六千万、つまり二分の一ということで一兆八千億分の一だ、こう言っておるのであります。

 しかし、絶対ということはないという前提で我々は対策を、人間にはなかなか、種の壁もありますから、そう感染するものではないけれども、しかし、一般の人たちはすぐ感染すると思っているものですから、あえて私は申し上げますと、人間に感染するというのは極めて少ないけれども、しかし絶対ということはないのだ、起こり得ることが起こるというのが今の時代の現象だということで、我々は対策を立てていこうということでございます。

中川(智)委員 今、元気な大臣の答弁でしたけれども、科学的な根拠、安全とする根拠というのが、科学的な根拠と言われてもそこがなかなか安心できない。

 そして一つには、OIEの報告の中に、ダチョウにも海綿状脳症が発生したという報告があります。チータ、ダチョウ、トラ、そしてアメリカでは猫が六十頭発症しております。やはり、科学的根拠があっても、現実としてそのようなペットなどに感染しているという事実があります。ですから、今とめているとおっしゃったが、肥料やペットフードには使うべきではないと思うんですよね。いかがでしょう。

武部国務大臣 科学的な根拠というのは、国際機関がいろいろな形で調査、試験研究などをやったということも一つありますし、私どもとしては、BSE対策検討会には消費者の方もおられますし、いろいろな方々がこの検討会に入っているわけです、もちろん専門家の方々もおられますので、そこの検討によって、そこがどういう判断をなさるかということを重視してやっていきたい。ですから、牛由来じゃなくて、豚とか鶏由来の肉骨粉は飼肥料とかペットフードには使ってもいいという判断をしているわけでございます。

 いずれにしましても、それでもなおかつ、牛のえさに使ったらどうなんだ、これは法的に罰金三十万、それから懲役三年、そんなことをやるのは犯罪ですよね、私はそう思うんですよ。わざわざペットフードだとか肥料用にあるものを牛舎に持っていって牛に食わすという、これだけの問題が起こっていて、私は犯罪に等しいというふうに思うのでありますので、そういうようなことは、もしあったら、法的に今言ったような罰金、懲役という厳しい罰則になっておりますので、そこのところは御理解いただきたいと思うんです。

中川(智)委員 今、私がお願いしたのは、ペットフードや飼料や肥料、飼料や肥料もやはり田畑にまくわけですね、いろいろなところにまく。そして、やはりその中に汚染された骨粉が、肉骨粉が入っていれば、それは土壌の中に入り、水に流れ、川や海に流れていく。これは土の中で三年間、そのまま汚染されたものを入れていても三年間で不活化しなかったという実験のデータがあります。ですから、この感染のメカニズムというのはわかっていないわけです。鶏や豚にもかつてまだ発症していないというだけなんですね。

 ですから、予防原則というのは、疑わしきものは使わず、使った後に、ああ、使わなきゃよかったということにならないようにするのが予防原則ですよね。ペットや肥料や飼料にも、まだやはり慎重な検討会、さまざまなところから聞いて、それから解禁すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょう。

武部国務大臣 肥料用というのは、これは有機農業に使うんですね。ですから、有機農業を先生は否定するわけじゃありません。ペットの場合も、これはあの厳しい規制をやっているEUも規制しておりません。ですから、これは、私が今ここで私の裁量でやる話じゃありませんので、科学者でありますとか、専門家でありますとか、あるいは消費者の皆さん方も入ったBSE対策検討会で御議論いただいて、そして、万機公論に決すべしといいますか、そういう方々の一つのまとまった見識でやろうということでございますので、これは私の判断ではないということを御理解いただきたいと思うのでございます。

中川(智)委員 やはりそれが心配なのは、私たち普通の消費者は、十月十八日の後はもう安全ですよとおっしゃいました。だけれども、屠畜場に持っていかれて、そこで検査するのは安心かもわからないけれども、事故死とか病死、その牛が運ばれる。そして、レンダリング工場は、EUなどでは全部ラインが別ですよね、牛や豚、いろいろなのが全部ラインが別。日本はずっと一緒にラインがされてきていると聞いています。百六十三工場のレンダリング工場のラインというのはどのようになっているか、そして、今回のこの狂牛病のことを受けてどうしていくのかを明快にお答えください。

小林政府参考人 今のラインにつきましても、分別ですね、屠畜場から、レンダリング工場、それから飼料工場、そういったところにそういったのがまざらないように、きちんと区分けしてつくっていける、そういったようなシステムも整備しています。

 今までも、そういういわゆるコンタミネーションのないような形で飼料とかがつくられるようにそういった対策をやってきていますが、これからはそれをより完璧にして、まざりのない形で、牛は牛、鶏は鶏、豚は豚、そういう形で進めていきたいと思っております。(中川(智)委員「いつから」と呼ぶ)

 そのための、今とめました、そのためにやっと今対策を講じていますし、それから、いろいろな施設整備等が必要ですから、そういうものに対してはこれから支援をしていくということで進めております。

中川(智)委員 最後に、二点質問して終わりたいと思います。

 一つには、坂口大臣がいらっしゃらなくなって、武部大臣一人に伺うのは酷ですが、今回、本当に反省は、縦割り。農水が原料、そして厚生労働は食品というところで、非常に大変だったと実感されていると思うんですね。EUなどでは狂牛病のことを受けて食品安全庁というのを、農水と厚労の食の二元管理から、生産、流通、消費まで一元的に食の安全に取り組む組織をつくるということを決定して、それに対して動いています。日本でもそれが必要でないかと今回痛感したのではないかと思いますので、それに対して一点。

 そして、食品の回収なんですけれども、今回、業者に依頼して回収をしましたが、危険部位利用の加工品、これは局長でお願いしたいんですが、十三万二千六百四十五品目の食品のうち、特定危険部位の使用、混入があったとされる五十一品目と不明の三百七十三品目、合計四百二十四品目のうち、自主回収されたのは二十二品目。たったの二十二品目なんですね。このままで終わってしまうのかどうか、そこが非常に心配なわけです。

 表示は、製造年月日は書いてなくて、このごろは消費期限になっています。ですから、製造年月日というのが確認できない中で自主回収が二十二品目というので、あとはもう業者がやらなかったから終わりということでは不安は払拭できないと思いますので、組織の問題一つ、自主回収一つ、これを伺って終わります。

武部国務大臣 食品行政の一元化ということについては、私ども、今回の経験から痛いほど感じております。したがいまして、厚生労働大臣と私の私的諮問機関として調査委員会、第三者委員会を立ち上げまして、十一月十九日が第一回目でございますので、そこでいろいろ御検討、御議論いただいて、御意見を賜って、今後の対応に万全を期してまいりたい、かように思います。

尾嵜政府参考人 加工品関係の御質問でございますが、内容については先生よく御存じでございますので、御指摘のとおり、八千九百八十の製造加工業者の方から報告がありました十三万二千六百四十五の食品、そのうち自主回収なりの措置がとられたものにつきましては、二十二の食品は御指摘のとおりでございます。

 ただ、私ども、今回のこの公表をいたしました後、引き続きまして、それぞれ報告が参っているわけでございます。その内容について間違いがないか、あるいは不確かな報告もあるわけでございます。そういったものについては、この報告後も引き続き、都道府県等におきまして、必要に応じて製造加工施設の方に立入調査を行っていただく、そういうことで特定危険部位の混入、使用の有無について確認をするとともに、問題があれば適切に指導するように指示をしているところでございます。

 こういったことを進めながら、国民の不安を払拭するように万全を期してまいりたいというふうに考えております。

中川(智)委員 よろしくお願いします。

鈴木委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後四時四十分散会




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