衆議院

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第15号 平成14年6月24日(月曜日)

会議録本文へ
平成十四年六月二十四日(月曜日)
    午前九時十五分開議
 出席委員
   委員長 瓦   力君
   理事 衛藤征士郎君 理事 金子 一義君
   理事 久間 章生君 理事 米田 建三君
   理事 伊藤 英成君 理事 玄葉光一郎君
   理事 工藤堅太郎君
      石破  茂君    岩屋  毅君
      大野 松茂君    嘉数 知賢君
      熊谷 市雄君    小島 敏男君
      斉藤斗志二君    桜田 義孝君
      田中 和徳君    竹本 直一君
      西川 京子君    浜田 靖一君
      林 省之介君    林  幹雄君
      増田 敏男君    松島みどり君
      森岡 正宏君    山口 泰明君
      渡辺 博道君    伊藤 忠治君
      枝野 幸男君    桑原  豊君
      首藤 信彦君    末松 義規君
      肥田美代子君    藤村  修君
      細川 律夫君    細野 豪志君
      前原 誠司君    渡辺  周君
      上田  勇君    漆原 良夫君
      田端 正広君    中塚 一宏君
      樋高  剛君    赤嶺 政賢君
      木島日出夫君    今川 正美君
      東門美津子君    西川太一郎君
      宇田川芳雄君
    …………………………………
   内閣総理大臣       小泉純一郎君
   総務大臣         片山虎之助君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      中谷  元君
   防衛庁副長官       萩山 教嚴君
   防衛庁長官政務官     木村 太郎君
   政府参考人
   (防衛庁防衛参事官)   柳澤 協二君
   政府参考人
   (防衛庁人事教育局長)  宇田川新一君
   衆議院調査局武力攻撃事態
   への対処に関する特別調査
   室長           鈴木 明夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月二十四日
 辞任         補欠選任
  岩永 峯一君     竹本 直一君
  近藤 基彦君     松島みどり君
  七条  明君     林  幹雄君
  川端 達夫君     細野 豪志君
  筒井 信隆君     細川 律夫君
  中野 寛成君     藤村  修君
  白保 台一君     漆原 良夫君
  井上 喜一君     西川太一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  竹本 直一君     岩永 峯一君
  林  幹雄君     渡辺 博道君
  松島みどり君     近藤 基彦君
  藤村  修君     中野 寛成君
  細川 律夫君     筒井 信隆君
  細野 豪志君     川端 達夫君
  漆原 良夫君     白保 台一君
  西川太一郎君     井上 喜一君
同日
 辞任         補欠選任
  渡辺 博道君     七条  明君
    ―――――――――――――
六月十一日
 有事法制反対、憲法に基づく平和政策に関する請願(葉山峻君紹介)(第四七九六号)
 同(山元勉君紹介)(第四七九七号)
 同(五島正規君紹介)(第四九八六号)
 同(葉山峻君紹介)(第四九八七号)
 同(家西悟君紹介)(第五一六〇号)
 有事法制立法化反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四七九八号)
 同(大森猛君紹介)(第四七九九号)
 同(木島日出夫君紹介)(第四八〇〇号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第四八〇一号)
 同(春名直章君紹介)(第四八〇二号)
 同(藤木洋子君紹介)(第四八〇三号)
 同(阿部知子君紹介)(第五一六三号)
 有事法制三法案の廃案に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四八〇四号)
 同(大森猛君紹介)(第四八〇五号)
 同(金子哲夫君紹介)(第四八〇六号)
 同(木島日出夫君紹介)(第四八〇七号)
 同(児玉健次君紹介)(第四八〇八号)
 同(穀田恵二君紹介)(第四八〇九号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第四八一〇号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第四八一一号)
 同(土井たか子君紹介)(第四八一二号)
 同(東門美津子君紹介)(第四八一三号)
 同(中林よし子君紹介)(第四八一四号)
 同(春名直章君紹介)(第四八一五号)
 同(松本善明君紹介)(第四八一六号)
 同(山口富男君紹介)(第四八一七号)
 同(石毛えい子君紹介)(第四九八九号)
 同(北川れん子君紹介)(第四九九〇号)
 同(土井たか子君紹介)(第四九九一号)
 同(東門美津子君紹介)(第四九九二号)
 同(阿部知子君紹介)(第五一六四号)
 同(土井たか子君紹介)(第五一六五号)
 同(東門美津子君紹介)(第五一六六号)
 有事法制三法案反対に関する請願(大森猛君紹介)(第四八一八号)
 同(中林よし子君紹介)(第四八一九号)
 有事法制反対に関する請願(今川正美君紹介)(第四八二〇号)
 同(金子哲夫君紹介)(第四八二一号)
 同(金子哲夫君紹介)(第四九九三号)
 同(北川れん子君紹介)(第四九九四号)
 同(阿部知子君紹介)(第五一六七号)
 同(伊藤忠治君紹介)(第五一六八号)
 有事立法と憲法改悪反対に関する請願(石毛えい子君紹介)(第四九八八号)
 同(大島令子君紹介)(第五一六一号)
 同(中西績介君紹介)(第五一六二号)
 憲法違反の有事法制三法案廃案に関する請願(大島令子君紹介)(第五一五六号)
 有事法制の制定反対に関する請願(阿部知子君紹介)(第五一五七号)
 有事法制の立法化反対に関する請願(伊藤忠治君紹介)(第五一五八号)
 有事法制反対、憲法九条を生かした国際貢献に関する請願(植田至紀君紹介)(第五一五九号)
同月十二日
 有事法制三法案廃案に関する請願(藤木洋子君紹介)(第五二八〇号)
 同(横光克彦君紹介)(第五二八一号)
 同(重野安正君紹介)(第五六三五号)
 有事法制の立法化反対に関する請願(伊藤忠治君紹介)(第五二八二号)
 同(筒井信隆君紹介)(第五四三九号)
 有事法制反対、憲法九条を生かした国際貢献に関する請願(東門美津子君紹介)(第五二八三号)
 同(中西績介君紹介)(第五六三一号)
 有事法制反対、憲法に基づく平和政策に関する請願(大島令子君紹介)(第五二八四号)
 同(重野安正君紹介)(第五二八五号)
 同(東門美津子君紹介)(第五二八六号)
 同(家西悟君紹介)(第五四四〇号)
 同(菅野哲雄君紹介)(第五八九五号)
 同(日森文尋君紹介)(第五八九六号)
 有事法制立法化反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五二八七号)
 同(木島日出夫君紹介)(第五二八八号)
 同(児玉健次君紹介)(第五二八九号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第五二九〇号)
 同(中林よし子君紹介)(第五二九一号)
 同(不破哲三君紹介)(第五二九二号)
 同(山口富男君紹介)(第五二九三号)
 同(赤嶺政賢君紹介)(第五四四一号)
 同(大森猛君紹介)(第五四四二号)
 同(木島日出夫君紹介)(第五四四三号)
 同(児玉健次君紹介)(第五四四四号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第五四四五号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第五四四六号)
 同(中林よし子君紹介)(第五四四七号)
 同(春名直章君紹介)(第五四四八号)
 同(松本善明君紹介)(第五四四九号)
 同(山口富男君紹介)(第五四五〇号)
 同(吉井英勝君紹介)(第五四五一号)
 同(赤嶺政賢君紹介)(第五八九七号)
 同(木島日出夫君紹介)(第五八九八号)
 同(児玉健次君紹介)(第五八九九号)
 同(志位和夫君紹介)(第五九〇〇号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第五九〇一号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第五九〇二号)
 同(中林よし子君紹介)(第五九〇三号)
 同(春名直章君紹介)(第五九〇四号)
 同(不破哲三君紹介)(第五九〇五号)
 同(藤木洋子君紹介)(第五九〇六号)
 同(松本善明君紹介)(第五九〇七号)
 有事法制三法案の廃案に関する請願(土井たか子君紹介)(第五二九四号)
 同(東門美津子君紹介)(第五二九五号)
 同(土井たか子君紹介)(第五四五二号)
 同(東門美津子君紹介)(第五四五三号)
 同(土井たか子君紹介)(第五六三三号)
 同(東門美津子君紹介)(第五六三四号)
 同(北川れん子君紹介)(第五九〇八号)
 同(土井たか子君紹介)(第五九〇九号)
 同(東門美津子君紹介)(第五九一〇号)
 有事法制三法案反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五二九六号)
 有事法制反対に関する請願(家西悟君紹介)(第五四五四号)
 同(筒井信隆君紹介)(第五四五五号)
 有事立法と憲法改悪反対に関する請願(土井たか子君紹介)(第五六三二号)
 有事法制反対と平和政策に関する請願(菅野哲雄君紹介)(第五八九四号)
同月十三日
 有事法制反対、憲法に基づく平和政策に関する請願(大島令子君紹介)(第六〇六〇号)
 同(菅野哲雄君紹介)(第六〇六一号)
 同(保坂展人君紹介)(第六〇六二号)
 同(石毛えい子君紹介)(第六三三四号)
 同(桑原豊君紹介)(第六三三五号)
 同(小林守君紹介)(第六三三六号)
 同(仙谷由人君紹介)(第六三三七号)
 同(日森文尋君紹介)(第六三三八号)
 同(山口わか子君紹介)(第六三三九号)
 同(横路孝弘君紹介)(第六三四〇号)
 有事立法と憲法改悪反対に関する請願(海江田万里君紹介)(第六〇六三号)
 同(玄葉光一郎君紹介)(第六三四一号)
 有事法制三法案の廃案に関する請願(土井たか子君紹介)(第六〇六四号)
 同(石井郁子君紹介)(第六三六三号)
 同(東門美津子君紹介)(第六三六四号)
 有事法制立法化反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六三四二号)
 同(石井郁子君紹介)(第六三四三号)
 同(小沢和秋君紹介)(第六三四四号)
 同(大幡基夫君紹介)(第六三四五号)
 同(大森猛君紹介)(第六三四六号)
 同(木島日出夫君紹介)(第六三四七号)
 同(児玉健次君紹介)(第六三四八号)
 同(穀田恵二君紹介)(第六三四九号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第六三五〇号)
 同(志位和夫君紹介)(第六三五一号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第六三五二号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第六三五三号)
 同(中林よし子君紹介)(第六三五四号)
 同(春名直章君紹介)(第六三五五号)
 同(不破哲三君紹介)(第六三五六号)
 同(藤木洋子君紹介)(第六三五七号)
 同(松本善明君紹介)(第六三五八号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第六三五九号)
 同(山口富男君紹介)(第六三六〇号)
 同(山口わか子君紹介)(第六三六一号)
 同(吉井英勝君紹介)(第六三六二号)
 有事法制三法案反対に関する請願(大森猛君紹介)(第六三六五号)
 同(木島日出夫君紹介)(第六三六六号)
 同(葉山峻君紹介)(第六三六七号)
 同(春名直章君紹介)(第六三六八号)
 同(不破哲三君紹介)(第六三六九号)
 同(松本善明君紹介)(第六三七〇号)
 同(山口富男君紹介)(第六三七一号)
 有事関連三法案の廃案に関する請願(石井郁子君紹介)(第六三七二号)
 有事法制反対に関する請願(横路孝弘君紹介)(第六三七三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 安全保障会議設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第八七号)
 武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案(内閣提出第八八号)
 自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八九号)
 安全保障基本法案(東祥三君外一名提出、衆法第二一号)
 非常事態対処基本法案(東祥三君外一名提出、衆法第二二号)


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     ――――◇―――――
瓦委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、安全保障会議設置法の一部を改正する法律案、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案及び自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案並びに東祥三君外一名提出、安全保障基本法案及び非常事態対処基本法案の各案を一括して議題といたします。
 本日は、各案の審査に関し、防衛庁の情報公開請求者リスト問題について集中審議を行います。
 この際、防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。中谷防衛庁長官。
中谷国務大臣 初めに、六月十一日に公表いたしました調査報告書及び六月二十日に行いました処分について説明をいたします。
 五月二十八日の報道に対し、私より指示をし、萩山副長官のもと、徹底した調査を行ってまいりました。本報告書は、海幕三等海佐開示請求者リスト事案、内局、陸幕及び空幕リスト事案及びこれら事案への対応等につきまして調査結果をまとめております。また、施設庁についても、あわせて調査結果を公表いたしました。
 まず、海幕三等海佐開示請求者リスト事案について説明をいたします。
 前海幕情報公開室三佐が、同室勤務当時、情報公開業務に必要な範囲を超えて、請求者の個人情報を付加したリストを作成しましたが、当該リストには、情報公開業務とは何ら関係を持たない個人に関する記載があり、行政機関電算処理個人情報保護法、以下簡単に法と申し上げますが、第四条第二項違反と評価いたしました。
 また、同三佐は、当該リストを内局、各幕の情報公開室や海幕調査課担当者等に配付をしており、調査の結果、計十四名が当該リストの受領、閲覧または保管に関与していましたことは、個人情報の内容をみだりに他人に知らせてはならない旨定めた法第十二条違反と評価いたしました。
 さらに、同三佐の上司である海幕情報公開室長やリストを受領した者については、法に抵触しませんが、個人情報の取り扱いに関する認識が低かったなど、その対応は不適切であったと考えております。
 次に、内局、陸幕及び空幕リスト事案について説明いたします。
 請求者のイニシアルや団体を示す略号、職業または会社名等が記載されたリストが、五月二十八日の新聞報道後、内局、陸幕及び空幕の情報公開室において、それぞれのLANのホームページから削除等されましたが、調査の結果、各リストに請求者を特定できるような情報の記載がないことなどから違法ではないと評価いたしました。
 しかしながら、個人に関する情報の取り扱いについては、慎重かつだれもが広く利用することができる情報公開法の趣旨に沿って疑念を生じないようにすべきとの点において配慮に欠けるものと考えます。
 また、空幕情報公開室員延べ二名が、東京地方調査隊隊員一名に対して、請求内容に氏名等を加えた文書を配付しており、個人情報の内容をみだりに他人に知らせてはならない旨定めた法第十二条違反と評価いたしました。
 これら事案発生後の対応については、個人情報保護に対する認識の低さとチェックの甘さなどにより、上司に対する適時適切かつ正確な報告がなされておらず、結果として、防衛庁の発表の信頼性を損ない、国民の信頼を著しく失墜させることとなりました。このことは、的確な判断と正確な事実認定を欠いたためであり、防衛庁の業務処理手続において大きな問題があったと考えております。
 次に、防衛施設庁の事案について説明いたします。
 施設部の情報公開担当の専門官が、上司への報告、了承なしに開示請求書に記入された請求者の氏名及び所属団体名等を転記したリストを作成し、LANの施設部掲示板に一時期掲載しました。このことは、情報公開業務に直接関係しない職員が閲覧可能だったことから、結果的に当該資料処理情報が目的外の参考資料として掲示されたこととなり、法第九条第一項違反と評価いたしました。
 防衛庁においては、調査結果により確定いたしました事実関係に基づき、六月二十日付で、大臣の補佐等、実行行為、指揮監督責任の三つの観点から、減給四名、戒告四名の懲戒処分計八名、訓戒三名、注意十名、口頭注意八名の計二十九名に対する処分を行いました。
 詳細は、次のとおりであります。
 まず、私への補佐等が不十分であったため、職務上の注意義務違反と指揮監督義務違反により、事務次官を減給二カ月五分の一、官房長を減給二カ月十分の一、文書課長を戒告といたしました。これは、内局、陸幕及び空幕の各リストを違法なものとして早期の公表を進言し、あたかも防衛庁において問題となり得る行為が行われていたかのような印象を国民に与えることとなったことなどによるものであります。
 次に、実行行為について、法に反したことにより、職務上の注意義務違反として、前海幕情報公開室三佐を減給一カ月五分の一、空幕情報公開室員と前室員の三等空佐計二名を戒告、防衛施設庁施設部の専門官を訓戒といたしました。
 このほか、法に違反しませんが、前海幕情報公開室三佐の上司の海幕情報公開室長を、同三佐に対して是正のための特段の指示をせず、開示請求者リストをみずから保管したことにより、職務上の注意義務違反と指揮監督義務違反として、減給一カ月五分の一といたしました。
 また、内局情報公開室長を、上司に報告することなく五月二十八日の新聞報道直後にホームページ上の資料の削除を指示したことなどにより、職務上の注意義務違反として、戒告といたしました。
 さらに、指揮監督責任について、各幕僚長及び防衛施設庁長官を、組織の長として隊員に対する指揮監督が不十分であったことから、注意処分といたしました。なお、陸上幕僚長は、海外出張中のため、帰国後処分を行います。
 また、情報公開に絡む問題として社会的影響が大きいため、一次監督者のみならず二次監督者まで処分を行いました。
 次に、再発防止策について触れたいと思います。
 情報公開業務における今般の事案の根本には、大半の職員の個人情報保護に対する認識の低さとチェックの甘さがありました。
 今後は、全職員の意識改革、個人情報に関する教育研修、個人情報保護のチェック体制の充実及び情報公開業務実施手続の改善を柱とした再発防止策を徹底し、これらを通じて、国民が安んじて情報公開請求を行えるよう最大限努力をしてまいります。
 次に、海幕三等海佐開示請求者リスト事案等に係る発表用資料の作成経緯について説明をいたします。
 防衛庁としては、当初、「調査報告書の概要」と「調査報告書」に加え、「防衛施設庁施設部における「情報公開処理状況(施設部関係)」に関する調査結果」と法的評価に関する参考資料としての「「個人情報」とは」の四つの資料を作成し、官邸及び与党への説明をした上で、これらの資料を使用して与野党国会議員や記者の方々へ説明を行うことを考えておりました。
 このため、事務次官が、十日に官房長官に、四つの資料のうち施設庁に関する資料を除く三資料を持参の上、「調査報告書の概要」の案に基づき調査結果のポイントを、十一日、総理にも四つの資料を添えて調査結果の主要なポイントを説明し、総理からは、国民にできるだけわかりやすい形で説明せよとの趣旨の御指示がありました。
 また、十一日午後、人事教育局長が与党幹事長及び国対委員長に説明した際には、「調査報告書の概要」の証拠隠しに係る記述については、証拠隠しを行っていないなら誤解を受けないような表現にする必要はないか、「調査報告書」はバックデータにすることも考えられるといった趣旨の御指摘をいただきました。
 その後、私は、国民に対し簡潔でわかりやすい説明を行うとの趣旨に立ち、発表用資料については、法理的に端的な表現で書かれているものの方がいいとの判断から、「調査報告書の概要」を若干修文した「調査報告」を作成いたしました。会見等では、これと個人情報に関する参考資料を配付し、「調査報告書」及び施設庁に関する資料の内容を口頭で補足して説明することとし、午後五時ごろ、人事教育局長が記者ブリーフィングを開始いたしました。
 一方、午後五時半ごろには、衆議院武力攻撃事態への対処に関する特別委員会理事会において、「調査報告」を提出し、この際、出席した防衛局長は、その時点における防衛庁の正式な発表用資料が「調査報告」であることから、その旨を述べたところであります。
 当日の記者ブリーフでは、実際に配付された資料が簡単なものであったことを背景として、記者側より事実関係の細部についても強い関心が示されましたので、「調査報告書」及び施設庁に関する資料も配付いたしました。委員会には次の日配付をいたしました。
 発表用資料の作成経緯は以上のとおりであります。
 私としては、精いっぱい判断し、努力をし、対処したつもりでありますが、今回の調査結果の発表の際の防衛庁の対応により、結果として混乱を生じさせたことは遺憾であります。御批判は謙虚に受けとめ、今後の国会審議の中で誠意を持って説明するなど対応してまいりたいと考えております。
 以上です。
    ―――――――――――――
瓦委員長 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛参事官柳澤協二君及び防衛庁人事教育局長宇田川新一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
瓦委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細野豪志君。
細野委員 おはようございます。民主党の細野豪志でございます。
 ただいま防衛庁の長官の方から、今までの調査の経緯、御説明をいただきました。冒頭の部分でずうっと書いておりますのは、今回防衛庁がやってきたことに対して、情報公開法という趣旨に基づいて明らかに反する行為があったというところをお認めになった報告になっております。
 ここの部分については、もちろんこれは大問題として私ども議論の対象としていきたいと思っておりますけれども、もう一つ、まず冒頭で私が問題としたいと考えておりますのは、この後半の部分、最後の部分に出てきております、この資料の発表の経緯であります。
 きょうは六月の二十四日でありますけれども、当初、この特別委員会の開催は六月の十三日が予定をされておりました。私もその十三日の質問に向けて準備をしておった、その十一日、この資料が発表されたわけですが、発表される経緯の中で、五時過ぎでしょうか、この四ページのものが、これが調査報告書だよという発表がございました。五十ページぐらいのものが出てくるという話はずっと前から防衛庁から出ておりましたので、これはどうなんだということで、我々野党の中からも、そしてその情報を国民に伝える、そういう義務がある記者の皆さんからもさまざまな要求があって、そして九時過ぎでしょうか、四十ページ近くにわたるこういう報告書が出てきたという経緯がございます。
 まず総理に伺いたいんですけれども、私、この報告書が出てきた経緯、この四十ページのものが出てきた経緯、これは与党とか野党とかいう立場を超えて、夕方からの混乱というのは大変私は残念である、防衛庁としては大変情けない対応であったというふうに私は思っております。総理はこの部分についていろいろコメントはされていますけれども、この十一日の経緯について、しっかり、どういう見解を持っていらっしゃるのか、その話をまだ伺うことができておりません。
 まず、この十一日の混乱の経緯について、総理としてはどういう評価をされているのか、それを伺いたいと思います。
小泉内閣総理大臣 この防衛庁のリストの問題につきましては、できるだけわかりやすく国民に説明すべきだという指示をしていたわけでありまして、そういう中において無用の混乱を来したということは大変残念であると思います。
 いろいろな御批判を真剣に受けとめて、今後、このような混乱、不安を与えないように信頼回復すべき、しっかりした対応をとってもらいたいと思っております。
細野委員 無用の混乱という話がございましたけれども、何といいましょうか、総理のこの部分についての主体性に関して、私、やはり、この先ほど防衛庁長官に説明いただいたものを見ても、大きな疑問を持つわけであります。
 というのは、総理は、事務次官から四資料、すなわちこの四十ページのものを含めた御説明を受けられたわけですね、防衛庁の方から。当然、これを全部国民に公表する前提で、このときお話を聞かれたんじゃないんですか。
 四十ページの報告書、総理自身、このとききちっとごらんになって評価をされたんですか。この点伺います。
小泉内閣総理大臣 概略を説明を受けまして、これをわかりやすく説明しなさいと指示いたしました。
細野委員 わかりやすくという意味は、この四十ページの報告書を国民に公表しろと。
 これは、細かい話じゃないですよ。この報告書をみんな待って、どういう事態があったのかと関心を持っていた。情報公開のあり方が今防衛庁でどういうふうに運用されているのか、これを知りたがっていたんですよ。
 これを、総理としては、出す前提で防衛庁に指示されたということでよろしいんですか。
小泉内閣総理大臣 私はそこまで、何ページのものを出せ、どれを出せという、そういう細かい指示は出しておりません。
細野委員 これは、総理、政府の報告書ですよ、政府の報告書。防衛庁が出す報告書で、総理がそれを事前にごらんになって、それで総理は、そんな細かいことは知りません、そんなことをおっしゃって本当にいいんですか。
 細かいことに興味を持ったのはだれですか。それは、与党の幹事長三人じゃないですか。
 今回の問題の経緯で一番不可解なのは、総理はこの部分に関してほとんど御関心がない。ああそうですか、国民に頑張って説明してくださいということをおっしゃって、与党の幹事長三人は、この四十ページのものは、これは参考資料にしたらどうだ、そういう話があった。
 この官邸の無関心さと、そして与党のこの圧力というものが相まって、こういう形でどっちらけたわけじゃないですか。私、この温度差、総理、本当に反省していただかなければならないと思いますよ。
 防衛庁長官にお伺いしますが、先ほど御説明ありましたけれども、この四十ページの報告書に関しては、与党の三幹事長から、この問題に関して、これは出さない方がいいんじゃないかという御意見が出るまでは、これは出すおつもりだったわけですよね。そして、総理にこの説明をされるときは、当然それを出す前提で説明をされたんじゃないんですか。この点、事実関係をまず防衛庁長官にお伺いします。
中谷国務大臣 当初は、その報告書の存在につきましては、記者会見等でその前の週にも記者の皆さんとはお話ししたこともございますし、当日はブリーフにおいてそのような説明を行うという予定でございましたが、しかしながら、与党三党を初めいろいろな人の御意見を伺いまして、その説明の際の正式な資料としては、明確でわかりやすく、簡潔、そして法理的に端的な表現で書かれているものの方がいいという御意見もありました。
 さまざまな意見のある中で、最終的に決めたのは私でございますが、そのような観点において、報告書といたしましてはその四枚紙でありましたけれども、ブリーフィングにおきましては、報告書に基づいて丁寧にわかりやすく行ったわけでございますが、その報告書を出していただきたいという要望がございましたので、それに応じて提出をしたというのが正直なところでございます。
細野委員 それは、四ページのものの方が読みやすいですよ。読みやすい。
 事実関係を知りたい人にとっては、これはちゃんと読む方がわかりやすいに決まっているじゃないですか。口頭で説明するよりも、資料できちっと書いてあるものの方が皆さんにわかりやすい、こんなの当たり前でしょう。
 では、お伺いしますが、今、要求があったからこの四十ページの報告書を出したとおっしゃった。では、仮に要求がなかったら、これを出すことはなかったんですか。ここをきちっと答えてください。重要ですよ。
中谷国務大臣 その四十ページの資料も四ページの資料も、質は同じでございます。その四十ページの内容を端的に、簡潔で、明瞭に、わかりやすく、結論的に書いたのが四ページでございまして、質は同じだと考えておりまして、仮に要求があったらその本体の報告書はお出しをするつもりでございましたが、要求がない場合は、それはお出しする必要がないということでございますが、要求があったから提出をしたわけでございます。
細野委員 要求がなかったら出すつもりはなかったとおっしゃいましたね。当初出すつもりだったものを、与党からそういう話があって、幹事長から話があって、要求がなければ出さないことにした。これを隠ぺいと言わずして何を隠ぺいと言うんですか。
 それで、同じとおっしゃったけれども、明らかに一カ所変わっている点がありますね。二カ所あります。一番問題になっているのは三ページの部分で、証拠隠しを行ったと言われてもやむを得ない、この記述が、この四ページのものでは削除されているんですよ。本当に初めからこれを出すつもりであったならば、こっちには、証拠隠しの意図があったと思われてもやむを得ないという記述が残っているんですよ。
 何でここを削除したんですか。こっちを出す気がなかったから、こっちだけ削除したんじゃないんですか。ここを削除した理由、これをきちっと答えてください。
中谷国務大臣 それは、結論としては同じでございます。不適切であるという表現は変えておりません。
 そこで、私が考えたのは、法理的にどうであるかという指摘でございまして、その与党の指摘の中に、証拠隠しに係る記述については、証拠隠しを行っていないなら誤解を受けないような表現にする必要はないか、その記述は情緒的で回りくどいので法理に照らしてどうなのか、もう少し明確な表現にする必要はないかという指摘がございました。
 そういう意味で、この証拠隠しの表現につきましては、非常に主観的な表現でございますが、結論的には不適切であるということでございますので、その法理的な御指摘が、なるほど、そうであるというふうに感じたからでございます。
細野委員 証拠隠しの部分については、後ほど、もう少し議論をしたいと思います。
 ここでは、それは、私は、証拠隠しの意図が明らかにあったと思いますよ。それについてはきちっと後ほど議論をいたしますが、私が防衛庁長官に申し上げたいのは、あなたは本当に国民の側を向いていたのかということを確認したいんですよ。(発言する者あり)
 委員長、ちょっと静かにさせてください。
瓦委員長 静粛に願います。
細野委員 防衛庁長官、この決定を下したときに、四十ページのものではなくて、四ページのものを出そうという結論を出されたときに、国民に対する説明責任を果たそうという思いが、あなたにはありましたか。与党の側を向いていたんじゃないんですか。この部分、本当に政治家としての良心はどうなんですか。防衛庁長官にこの点をしっかりと答えていただきたい。
中谷国務大臣 資料としては簡潔明瞭でわかりやすく、法理的に端的なものがいいというふうに判断いたしましたけれども、その際の説明につきましては、報告書に基づいて丁寧にわかりやすく説明をすることを命じまして、担当者もそれに従ってやったわけでございます。
 そして、その上において、その報告書を出してほしいという要求がありましたらお出しする予定でございましたので、そういう点におきましては、我々としては、その当時の判断としては、国民にわかりやすく丁寧に説明をしたいということでございます。
細野委員 いや、正直、四ページの方がよかった、そういうことをおっしゃる中谷防衛庁長官のお顔を拝見していて、非常に苦しそうだなと。どちらを向いていたかというのは、その表情を見ているだけで私はよくわかる、そういう思いを持ちました。
 防衛庁長官、今回この報告書を出す前のさまざまな記者会見で、あなたはこういうことを言っているんです。防衛庁長官、あなた、責任をとるべきじゃないですかという記者からの質問に対して、何度も何度も、調査した結果をすべて国民の前で明らかにすることで責任を全うしたいとおっしゃっている。四ページの報告書だけを出してきた時点で、あなたはこの言葉に反していませんか。すべて国民の前で明らかにすると何度も何度もあなたはおっしゃった。この政治的な責任をあなたはどう考えているんですか。
中谷国務大臣 この調査につきましては、私の政治生命をかけて、今回の防衛庁に関するリストの問題について、事実を包み隠さず調べまして、それを報告書にまとめました。そして、それを報告する際におきましては、簡潔明瞭でわかりやすく、そして、法理的に正しい報告をしなければならないということで、文書といたしましてはこの四ページの調査報告をしましたけれども、それのブリーフにつきましては、この調査報告に基づいてすべて誠実にお答えをいたしましたし、また、報告書の求めに対しましてそれを提出いたしたわけでございまして、私の当初の考えはいささかも変わっておりません。
 しかしながら、やり方におきましていろいろと御批判があるわけでございまして、この点につきましては謙虚に反省をし、そして、至らない点は改善をいたしたいと思いますが、結果として報告書を出しております。この点において、いささかもこの事実関係について隠ぺいするとかいう意思はなかったという点について、ぜひ御理解いただきたいと思います。
細野委員 私はこう思うんですね。確かに、最終的に四十ページの報告書は出てきました。でも当初は、この四十ページの報告書を中谷防衛庁長官は出すつもりだったわけですよね。にもかかわらず、与党から言われて四ページのもので済ませようとした。その後確かにこの四十ページの報告書は出てきましたけれども、当初この報告書をきちっと出して説明をされていたら、こんな混乱はなかったはずなんですよ。この四ページの報告書を出したことによって、この報告書自体の信頼性も本当に落ちてしまっている。
 私は、防衛庁の中の方、いろいろと話を伺いましたけれども、やはり調査を担当された方も、大変残念だ、この報告書の信頼性自体が落ちたことを大変残念だとおっしゃっている。
 この部分に関する責任は、中谷防衛庁長官、あなたにあるんでしょう。この部分に関して、あなたがきちっと責任をとる意思があるのかどうか、私はこれを問いたいんですよ。
 確かにあなたは、中谷防衛庁長官は、今回処分を発表された。いろいろなかなりの数の人が確かに処分の対象になっています。私、記者会見の中で一番気になりましたのが、官房長の更迭の問題であります。官房長がいろいろ不適切な行為が、不手際があったので、これについては更迭をするという結論を出された。そして、記者会見の中であなたはこう言っているんですよ。今回の報告の経緯、十一日に四十ページのものが出てくる、四ページのものが出てくる、ここでもめた、そのことによりまして出てきたこの混乱についても官房長に責任がある、そういうことをおっしゃっていますね。
 この一連の混乱の責任は一体だれにあるんですか。これは本当にはっきりさせないと、官房長に対する、中でこれは更迭をされたわけですけれども、極めて無責任な人事と私は言えると思いますよ。この責任、中谷防衛庁長官自身にあるというのをお認めになるのかどうか、お答えください。
中谷国務大臣 今回の措置につきましては、防衛庁の開示請求者のリストの一連の問題でございます。最初から終わりまですべてを勘案し、懲戒処分に相当するものは何かという点で判断いたしましたら、やはり法律違反に伴うリストの関係、これによる懲戒処分でございます。
 人事に関しましては、こういった処罰とは別に、防衛庁としていかなる体制をとっていくべきかということを考えました。もちろん、すべての責任は私にあるわけでございますし、この報告のあり方においても私が責任があるわけでございますが、今後のことを考えまして、いかなる体制をとれば防衛庁が機能を回復し、また情報公開業務における適切な対応ができることになるのかという観点をかんがみまして、その担当の部局であります官房、また防衛庁のすべての組織の中のコントロールタワーである、すべての情報が集中する官房機構、ここに一番の力点を置いたということで人事異動の措置を行ったわけでございまして、処分は処分として、人事においては今後の防衛庁の体制をどうとっていくかという観点で考えて実施したわけでございます。
細野委員 私が確認をしたかったのは、今回の十一日の報告書を出す時点での混乱、そしてその後の国会の混乱は、原因が、与党のサイドにも大きな問題がありますが、防衛庁の中では、前官房長ではなくて中谷長官自身にあるんですねということを確認しているんです。簡潔に御答弁ください。
中谷国務大臣 この報告のあり方の決定につきましては、いろいろな意見を聞きまして最終的に私が決断をしたことでありまして、私に責任がある問題でございます。
細野委員 混乱の責任を部下になすりつけて、ここの部分に関して記者会見であなたは確かにそう答えているんですよ、今回の報告のあり方についての混乱の責任も含めて官房長が更迭だとおっしゃっている。明らかにこの部分逃げているじゃないですか。
 これは、防衛庁というのは非常にモラルが大事、規律が大事な組織、だれにどの責任があるかはきちっと判断していただかなきゃならない。その防衛庁長官自身が、報告書のあり方に関するその部分の責任も評価の対象になっているとおっしゃって、自分の責任については言及がない、処分されない。これは、私は本当に、防衛庁、今後のことを考えると深刻な問題だと思いますよ。
 では、総理に伺いますけれども、もう一つ、今回の防衛庁の問題に関して、正直、大変心配になったのは、本当にこの組織に日本の危機管理を任せていいのかという問題であります。
 報告書がもう五時ごろには記者の手に渡っていて、我々野党のところにも情報が来ている。それで、この特別委員会の理事会でも、いや、そういう報告書はありません、これだけですとおっしゃっている。明らかにその時点でもう危機管理が成り立っていない、情報管理が成り立っていないわけですね。
 総理は、今回のことに関して、混乱に関して、よく調査をして国民の不安を取り除くようにとおっしゃいましたけれども、今のこの防衛庁の体制、防衛庁の長官の十一日の対応は、本当に私は優柔不断であったし、危機管理がなっていなかったし、そして、最終的に責任もとられない。この防衛庁長官に本当に日本の危機管理をこれから任せていくのが総理は適当だとお考えになるのかどうか、お答えください。
小泉内閣総理大臣 今後、反省すべきは反省し、国民に不安と混乱を起こさないような体制をとるのが防衛庁長官の責任だと考えております。
細野委員 総理はこの問題に関して、今の答えだと何にもしないということですよ。では、総理、伺いますが、この防衛庁に対する信頼と、そして情報公開法を政府できちっとした形で運用していくということに関して、これからどういう行動をとられるんですか。どうやって信頼を回復されるんですか。今後の総理の何をされるのかという点について伺います。
小泉内閣総理大臣 情報公開と個人情報を保護すべき問題、これについてよく注意して、不安を起こさないような各省庁内の体制をとることが重要だと思っております。
細野委員 ほとんど一般論に終始される総理でありますけれども、この問題はもう少しきちっとフォローしていかなきゃなりませんので、その時点でもう一度、いつか総理にこの質問についてはお伺いしたいと思います。まず報告書の中身、もう少し入っていきたいというふうに思います。
 防衛庁長官中心にお伺いしますが、報告書の中では、三等海佐、一番今回大きな問題になった三等海佐の問題については、あくまで個人の発意で行ったとされていますね。さんざん、いろいろ議論があった。これは組織的な違法行為なのか、もしくは、これはあくまで個人の行為なのか。この部分に関してさんざん議論があったところですが、この表現方法というのは、これは三等海佐が個人で行ったというふうに防衛庁長官が判断されたということなんでしょうか。
瓦委員長 防衛庁宇田川人事教育局長。(細野委員「長官にお伺いしています。長官です」と呼ぶ)
 防衛庁長官中谷元君。
中谷国務大臣 本件につきましては、事実関係を詳細に調べました。その本人の証言、またほかの証言等もあわせまして、その結果といたしまして、該当の三佐がこのリストを作成したのは、三佐の発意によるものでありまして、上司の指示やほかの部署からの依頼に基づくものではなかったという点。また、このリストの作成作業は、専らこの三佐によって行われたものでありまして、この三佐以外の者が、リストの作成のために使用されることを認識しつつ開示請求者の個人情報を同三佐に提供したとか、同リストの作成作業に協力したというような事実は確認をされなかったわけでございます。
細野委員 あくまで個人の発意によってなされて完結をされた、そういう判断だというふうに思います、今の御答弁を伺う限りですよ。でも、この報告書、結構、私熱心に読んだんですけれども、これ、本当に個人の行為だとは思えないんですよ。
 まず第一点は、そもそもこの三等海佐は、海幕の情報公開室の担当に平成十三年の四月になっているんですね。その数カ月後、七月の時点では、上司である海幕の情報公開室長は、この三等海佐がリストをつくっていることを知っているんですよ。組織の長がですよ。それでそのまま放置をしている。
 さらに、もっと言うと、三等海佐に異動の内示があったのは、平成十四年の二月となっています。そして、その時点で、同じく上司である海幕の情報公開室長にリストをどのように扱いましょうかということを相談しているんですね。そして、上司がそのリストを引き取って、さらにもう一つ非常に重要なのは、この三等海佐は、自分のこのファイルについては、みずからは削除している。上司に託して、みずからは削除している。個人で持って歩いているんじゃないですよ。
 この引き継ぎ行為があって、しかも海幕の情報公開室長が今回の事件が発覚するまでこのファイルを持っているという事実をもってしても、これは明らかに上司と部下のことを考えて、組織自体としてこのファイルをつくっていた、これは明らかじゃないですか。この上司と部下の関係を組織じゃないとしている根拠は一体何なんですか。
宇田川政府参考人 事実関係については委員御指摘のとおりではございますが、引き継ぎを受けた海幕の情報公開室長は、それをそのまま保管していたということでありまして、一切手を加えておりませんし、使用した形跡はございませんので、それをもってして組織的に作成したと言うことはできないと思います。
細野委員 長官、いいですか、違法性の認識も共有しているんですよ。三等海佐もこれは違法かもしれないなと思っている。上司も違法かもしれないなと思っている。そこでデータが引き継がれていて、これは組織的な違法行為じゃないという根拠が、防衛庁長官、あると思いますか。しっかりこれ答えてください。
中谷国務大臣 組織的とか、組織とは何かということでございますが、事実に基づいて調査をしまして、これを作成したのは、該当の海の三佐が業務に使うのに便利じゃないかという思いで作成をし、上司もそれを黙認していましたが、最終的にそれを受け取ったという点におきましては非常に不適切な行為であるという点で懲戒処分の対象にいたしまして、処分をいたした。これは事実に基づいてそのように行ったわけでございます。
細野委員 では、もう少し詳しく伺いますが、人事教育局長、三等海佐から上司である情報公開室長にどういう引き継ぎがあったのですか、何を話をしたのですか。これは組織か個人かという判断をする上で極めて重要ですよ。きちっと答えてください。
宇田川政府参考人 報告書にも述べたところでありますが、三等海佐は、自分の転勤が近くなったということから、自分の持っているフロッピーをどうしようかということで海幕の情報室長に相談したわけであります。そうしたところ、ほかに引き継ぐ者がないということから自分が引き継いだわけでございますが、これは、あくまでそのものを保管するという意味だけでありまして、その上司が、海幕の情報公開室長がその後ほかの部下に命じたり、あるいは自分でほかの情報を収集したり、あるいはまたフロッピーを更新したりということは一切しておりませんので、その時点で……(細野委員「それは聞きました、それは結構です」と呼ぶ)はい。
細野委員 今、人事教育局長からは引き継ぎという認識はあったというお話ありましたね。私もいろいろ仕事、今まで変わってきまして、部署も異動した経験がありますけれども、引き継ぐ、何を引き継ぐかといったら業務の内容を引き継ぐんですよ。これは、業務として少なくとも三等海佐が認識をしていたということは明らかじゃないですか。個人じゃないですよ、これは。
 委員長にお願いします。これはきちっと、海幕の情報公開室長に来ていただいて、どういう形で引き継ぎがあったのか、それをどう認識をされたのかということについて聞かないと、ここの事実関係は明らかになりません。これは、個人の問題なのか、もしくは組織の問題なのかということを判断するのに極めて重要な参考人だと私は考えます。ぜひこの委員会での出席を求めたいと思います。
瓦委員長 後刻、理事会におきまして協議をいたします。
細野委員 私は、組織という意味において、今海幕の情報公開室についての話をしました。もう少しこれは拡大する可能性があると思っているんです。といいますのは、この海幕の情報公開室の三等海佐がつくっていたリストというのは、海幕に出された情報公開のリストだけではないんですね。内局に出てきたものも、陸幕に出てきたものも、空幕に出てきたものも、その全体のリストを作成している。
 そして、そこで載ってきている、問題となった受験生、受験者、括弧、これは何か病名が書いてあったという報道があります。センシティブ情報ですので私側からは申しませんが、それで失格であるとか、反戦自衛官であるとか、そういう問題となった記述は、その他の情報公開室の担当者から聞いたという話になっている。三等海佐が見られたのは行政文書の開示請求書だけという記述がありますので、これは他の情報公開室の室員から聞いたわけですよね。
 この部分に関して、どういうところが、どういう形で情報を提供したか、この辺しっかり調査されているんですか。そこの記述がほとんどこの報告書にないんですよ。御答弁ください。
宇田川政府参考人 今お尋ねのA三等海佐が入手した方法でありますが、それはほかの情報公開室の担当者との意見交換や雑談の中で得たものであります。そのことは報告書の四ページに記述されております。
 ちょっと読み上げますと、「A三等海佐が他課室の担当者から入手したとする個人情報は、これら担当者との意見交換や雑談の中で同三等海佐が得たものであり、担当者の方にしてみれば、意見交換や雑談の中で聞かれたことに答えることが、開示請求者リスト作成のために協力することになるという認識はなかった。」というふうなことで、一応調べたものは記述しております。
細野委員 では、具体的に一点だけ伺います。
 「受験者の母」という情報は、これは受験者のリストを持っているところからしか得られないですね。これはどこから情報を得ているんですか、三等海佐は。これは場合によっては、そこに受験者のリストがあったとすれば、そのリスト上の情報を流しているという意味においては、この行為自体、行政機関の個人情報保護法の十二条に違反する可能性はありませんか。この情報をどこから得たのか、御答弁ください。
宇田川政府参考人 委員お尋ねの、海幕三等海佐が、受験者、病歴でありますが、そこの、母という情報を得た経緯でありますが、これは開示請求者から情報公開請求に関する作業の過程において受験者の病歴を知った他の職員、これは陸幕でありますが、陸幕の情報公開室員との意見交換の中で得たものであると承知しておるところであります。
細野委員 陸幕から得たということでありまして、これは、それぞれ本当にちゃんと調べないと、相当いろいろな問題がある可能性がありますよ。
 加えて言うと、私、この報告書を見てみて、なるほどなと思った部分がある。それは、この三等海佐がなぜそのリストをいろいろな人に配って回ったかという問題なんです。自分でつくっておいて整理をするだけなら、自分で持っていればいいわけですよね。わざわざ他の部署の情報公開室にこのリストを配ったのは、そういう情報をくれた人に対して感謝の気持ちがあったと書いてあるんですよ。(発言する者あり)何がいいことなんですか。感謝の気持ちがあったということは、情報を提供した側、出した側ともらった側、これは同じである可能性もあるんじゃないですか。というか、そう考えるのが自然ですよね。情報を出した側と情報をもらった側、例えば同一人物がいるとしたら、ここの記述、明らかにおかしいじゃないですか。ここは矛盾しているんですよ。同一人物いないですか、お答えください。
宇田川政府参考人 委員の御質問は、お互いに相互の関係があったということだということであれば、私どもの調査の結果はそうではございませんでした。と申しますと、この三等海佐は頻繁によその情報公開室に行って雑談とか意見交換の中で情報を収集しているわけでありますが、渡した方、結果的に渡す結果になっているんですが、渡した方はA三佐がつくっているリスト作成のために協力する意識は全くございませんでした。これは何回も確認しましたが、そうでございました。しかしながら、A三佐の方で、あなた何で渡したのかというのを確認しましたら、それは、彼がいろいろなほかの情報公開室とのやりとりで入手した情報も自分がつくっているリストの参考としていますので、これら担当者への感謝の気持ちもあったということでありまして、はっきりと一方通行の話であったと認識しています。
細野委員 局長、感謝の気持ちというところ、成り立たないじゃないですか。三等海佐は情報をもらった感謝にそのリストを渡したと言っているんですよ。同一人物がいるのかいないのか。
 もし仮にそれがいないとすると、逆にこの感謝の意味は極めて深刻になるんですよ。というのは、それぞれの、違う、陸幕や内局の情報公開室が組織として情報をくれたから、その組織の人間に渡したということになるじゃないですか。しっかり答えてください、この部分は。
宇田川政府参考人 先ほども申しましたが、間違いなく三等海佐はほかの情報公開室員から情報をとっております。ところが、とられている、あるいは情報を提供したとA三佐が思っている人間については、報告書にも書きましたけれども、A三佐のつくっている開示請求者リスト作成のために協力するという認識は全くございませんでした。したがいまして、A三佐は感謝の気持ちを持っていましたが、片方は全くそういう意識はなかったというのが調査の結果であります。
細野委員 いや、ここはやはり一番矛盾しているんですよ。
 本当にそれぞれの情報がどこから来たのか。例えば、これですよ。情報を出した側がリストをもらっていれば、そのリストを見たら、自分の出した情報が書いてあるの、すぐわかりますよね。その感謝が、仮に一対一の関係でないとしたらもっと深刻で、組織としてお互い認識していたということになるじゃないですか。
 この部分に関しては、本当、私、防衛庁全体の問題としてきちっと調べていただきたい。ここの部分に関して、もしきちっとした調査ができないんであれば、陸幕と、そして空幕と内局、それぞれの情報公開室の担当者に出てきてもらって、どういう情報のやりとりがあったのかというのを正確にこの委員会で議論をする必要がある。どちらかをきちっと防衛庁に担当していただくように委員長にお願いをいたします。
瓦委員長 当委員会におきまして、委員の質疑をそのままお続けください。よくまた理事会におきまして御相談をさせていただきます。
細野委員 これはもう理事の皆さんにお任せするしかありませんが。
 海幕の情報公開室の話をしました。そして、この報告書を見ただけでは、陸幕や空幕や内局の情報公開室もつるんでいたという可能性がある。この報告書を見たらそう読めるんですよ。それに関してきちっとした答えが出なければ、これは防衛庁に対する疑念なんてとても晴らせませんよ。その意思があるのであれば、きちっとそういう調査をしていただきたい。理事会ではそういう議論をしていただきたい。これは私から最後に要望させていただきたいというふうに思います。
 時間もなくなってまいりましたので、最後、一つ私が一番怪しいと思っている人物について御質問させていただきたいと思っております。
 防衛庁の情報公開室のE室長。防衛庁の情報公開室ですからいわゆる内局と言うんでしょうか、そこの情報公開室長。彼は、実は五月の二十七日、毎日新聞社からこの問題について問い合わせを受けた、一番初めに問い合わせを受けた人物です。そうですね、この報告書によると。そして、その調査にずっと主体的にかかわってきているのがこの内局の情報公開室長。
 その情報公開室長は、二十七日にその請求を受けた後、二日後、二十九日に、内局にも情報公開のリストがあったことがわかった、それにイニシアルがついていることがわかった。それを部下に命じて消させているんですね、イニシアルの部分を。しかも、そのデータを上書きしていること、そしてそのことを、データの存在も、そしてそれを消去したことも上司には一切報告していないんです、内局の情報公開室長は。
 さらにもう少し先を読むと、五月の三十一日には中谷防衛庁長官自身から、シンガポールへ行かれる前に、もっとちゃんと調査をするようにという指示をこの内局の情報公開室は受けている。主体的に調査を始めているんです。そして、陸幕や空幕、それらの情報公開室の担当者を集めて、ちゃんとリストを出せということを請求して、まさに内局の情報公開室にそのリストを集めて、これは問題があるんじゃないかという議論をしているんです。
 このときに内局の情報公開室長は、当然ですけれども、みずからのところにリストがあること、みずからはその情報を消去したことを知っていたはずですね。それであるにもかかわらず、内局のリストの存在が明らかになったのは、何と防衛庁の長官が記者発表、中間発表をされる直前の六月の三日の未明。この二十七日から三日の経緯を見ると、内局の情報公開室長は、まさにこの調査の真ん中に座っていたにもかかわらず、一番最後まで情報を出していないんですよ、みずから調査していたのに。これは、隠匿の意思はなかったと報告書に書いていますが、明らかに、陸幕、空幕のリストと比較して、内局が同じ種類のリストであることをわかっていたはずです。それが最後まで出てこなかった。本当にこれ、隠匿がないとお考えなんですか。
 けさ、私、一つ新しい情報を得ました。この内局の情報公開室長は、他の部署に異動になった。これは、隠匿の意思があったということで防衛庁の長官が判断されたというふうに考えてよろしいんですか。これは、隠匿の事実があったかなかったかを判断する上で極めて重要。
 さらに、最後に、この四枚で出すときに証拠隠しの意図はなかったと。消されたことに関する重要な政治責任も含んでいます。
 防衛庁長官に、最後、この点については御答弁いただきたいと思います。
中谷国務大臣 結論といたしましては、証拠隠しをした事実はなかったものの、証拠隠しをしたと見られてもやむを得ず、不適切であるということであります。
 事実、内局のLANにつきましてはイニシアルでありまして、それが法律に触れるかどうか、正直言って彼自身もわからなかったと思います。その時点で法律に触れるんだということがわかったら、その申告を行うべきでございますが、事実として、このイニシアルが法に触れるかどうかという点についてはわからずに、一時的に、これが違法性じゃないかということでほかの部署から指摘をされて、それで報告を上げたわけでございますが、結果として違法でないと評価をいたしておりまして、まさに、それが法律に触れるかどうか彼自身も迷っていたし、当然、違法であると彼自身思ったら、その時点で報告をしてきたというふうに判断をいたします。
細野委員 違法かどうかということをここで問題にしているのではないんです。防衛庁という組織は命令系統はきちっとしていなきゃならない。仮に、きちっと調査をしろ、そういう命を防衛庁長官から受けて、みずからそれを隠していたとしたら、これは組織としては完全に破綻しているんですよ。その部分について証拠隠しの意図があったかどうかということをきちっと委員会の場所でもはっきりしていただきたいということを申し上げているんです。
 最後に、委員長に、この内局の情報公開室長はなぜか、ほかの情報公開室長と違って、彼だけは先週の金曜に異動されたということですが、長官官房の秘書課付の部員ということでございますが、きちっと出てきていただいて、その辺の意図について御答弁をいただきたい。その参考人を要求して、私の質問を終わりまして、同僚議員に譲りたいと思います。ありがとうございました。
瓦委員長 この際、枝野幸男君から関連質疑の申し出があります。細野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。枝野幸男君。
枝野委員 民主党の枝野でございます。
 今の細野さんの質問に続きまして、リスト問題についてお尋ねをしていきたいと思うんですが、少し整理をしたいと思います。
 この問題、いろいろな問題点があるんですが、まず出発点になった、特に、海幕が一番最初にわかったわけですけれども、リストをつくっていたという問題。これは、何がよくないことなのか、なぜ問題なのかということについての御認識が十分にあるのか。法律のどこに違反をしましたとかしませんとかということは報告書に書いてあります。しかし、実質論、本質論として、なぜ法律で規制をされているのか、なぜ今回国民的な批判を浴びているのか、どこが問題であったのか、まず総理にその見解をお尋ねいたします。
小泉内閣総理大臣 必要でない情報はとる必要はない、これをやはり趣旨徹底されていたのかどうか、そして情報公開と個人情報保護という認識を各職員がしっかりと持っていたかどうか、そういう点について甘い点もあったのではないかと反省すべきは反省して、このような不安や混乱を起こさないように今後対処しなきゃならぬと思っております。
枝野委員 まだ抽象的なんですよ。
 情報公開法というのはどういう法律なのか。何人も情報公開請求できるという法律です。そして、情報公開法の手続は、開示請求をする者の氏名や住所、そして何を公開してほしいのかということさえ申し出れば、あとは公開できない秘密に属する事項なのかどうかという判断だけで、どんな人が請求したものであっても公表されるという法律なんです。その情報公開法に基づいて請求をした人の個人について関心を持つこと自体が、情報公開法の趣旨を理解していないということじゃないですか。
 これは防衛庁長官。
中谷国務大臣 まさにそのとおりでございまして、情報公開法の趣旨に沿って業務を行っていかなければならない、これは反省点として謙虚にそして重大に受けとめて、反省をさせていただきたいと思います。
枝野委員 時々、一部の新聞にも出ておりましたし、新聞に載っていた与党内部の会議、報道ですから正確かどうかはわかりませんけれども、中には、情報公開で防衛庁の情報に関心を持つような請求をした人のリストをつくるのはある意味当たり前じゃないか、つくっていたのがばれてしまったのが問題なんだという議論をする人がいますが、こういう意見について、総理、どう思いますか。
小泉内閣総理大臣 それは、どういう人が何を言っているのか、私は確認しておりませんが、今議員が指摘したような情報公開の趣旨をよく理解すべきであれば、そのような発言はなかったのではないかと思っております。
枝野委員 ぜひ、総理御自身がそういう正確な御認識をいただいているのであれば、そういったわけのわからない議論が出てこないように、政府・与党のトップとして指導力を発揮していただきたいというふうに思います。
 ちなみに、行政の情報公開法にはきちんと、公にすることにより国の安全が害されるおそれのある情報は公開しなくていいということが書いてあるわけですから、どんな人が求めてきたとしても国の安全にかかわる情報は出さなければいい、出しても問題のない情報を出すんだということですから、逆に、本当に国の秘密にかかわる、安全保障にかかわるような情報にアプローチしたいと思っている、例えば外国の情報機関のようなものが、正々堂々と表玄関から情報公開法で情報公開をしてくるはずがないわけなんで、今のような、先ほどの私が取り上げたような議論はそもそも観念論で、実態を全く見ていない議論だということを指摘しておきたいと思います。
 さてそこで、先ほど来、個人の問題なのか組織の問題なのかということが議論になっています。これは特に、この三等海佐の処分が重いのか軽いのかというようなところにもつながっていく話でありますが、今私が申し上げたとおり、これは情報公開法の趣旨というのをよく理解していなかったというところが本質的な問題点であるのだとすれば、リストをつくったのは、これは例えば、三等海佐個人が自分のパソコンに向かって、あるいは自衛隊の自分の預かっているパソコンに向かって入力をしてリストをつくっていたんでしょう。
 しかしながら、皆さんのなさった調査報告の中でも、九名ですか、この三等海佐の方は、自分でつくったリストを防衛庁・自衛隊の中にまいていらっしゃるわけです。その中には、情報公開の海幕の室長なども含まれている、情報公開の責任者も含まれているわけです。途中でどなたも、このリストをつくったとされる三等海佐を処分しようとか、まあ人間、やったことを、まずいことをばれるのは嫌ですから、少なくとも途中でやめさせる、問題にするという行動を、例えばこの海幕の問題一つとっても、だれもしていない。
 つまり、受け取った人たちも皆さんもみんな、このリストをつくったことをまずいかなとは思いながらも、まあいいやと思っていたということは明らかですね。これはお認めになりますよね。
中谷国務大臣 この点については極めて不適切でございまして、懲戒処分の対象といたしまして、各室長はその行為が非常に不適切であったという点で認めております。
枝野委員 この三等海佐、情報公開の窓口の担当ですよね。そして、海幕の情報公開室長などにも渡っていた。情報公開の担当者が情報公開法の趣旨を全く理解していなかったということになるわけですよね。だれがこんな人事をしたんですか。
中谷国務大臣 この点につきましては、情報公開や個人情報保護という観点で、防衛庁といたしまして認識が低かったことでございまして、厳に反省をいたしまして、二度とこのようなことがないように、教育を徹底し、システムを改善しまして、開示請求をしてきた方の個人情報が庁内不必要なところに漏れることがなく、またプライバシーも厳重に守られるように、そのような体制をとっていかなければならないと思っております。
枝野委員 質問にお答えをいただきたいのですが、だれがこういう人事をしたんですかとお尋ねしているんです。
宇田川政府参考人 自衛隊員に対する人事権一般につきましては、自衛隊法第三十一条の規定するように、原則として防衛庁長官あるいは施設庁長官が有しているところでありますが、隊員の階級等に応じまして、各幕僚長に人事権を委任してこれを行わせているところであります。
 今般の海幕三等海佐開示請求者リスト作成事案等において、違法行為を行った前海上幕僚監部情報公開室員の三等海佐、それと航空幕僚監部情報公開室員及び前室員の三等空佐二名の人事権につきましては、基本的にそれぞれ海幕長、空幕長であります。それからまた……(枝野委員「いいです」と呼ぶ)はい。
枝野委員 そうですね。それぞれの幕僚長が人事を行っている。
 ちなみに、では、例えば防衛庁所管法ではない、今回は情報公開法であったり個人情報保護法であったりする、いろいろな法律があります。省庁内の担当者が新しい法律をきちんと勉強して、その趣旨にかなった対応をするようにというような管理の責任はだれが負っているんですか。
宇田川政府参考人 新しい法律とか制度ができた場合の教育につきましては、大きい場合には、新しく局長クラスを頭にしたプロジェクトチームをつくりまして、そこに各幕僚監部とか内局とか各機関が入ったプロジェクトチームをつくって推進する場合もあります。
 それからまた、そうではなくて、それほどでないものにつきましては、それに関連する所管課というのがあります、関係する部局でありますが、ここが検討することになることになります。
枝野委員 それでは、今回、情報公開法というのは平成十三年四月一日の施行です。済みません、これ、きちんと通告していなかったので正確にすぐ答えられるかどうかはわかりませんが、これだけ大きな法律ですから、あるいはプロジェクトをつくったということであれば記憶があると思うんですが、いかがですか。
宇田川政府参考人 済みません、ちょっと正式名称は忘れましたが、前年度から、かなり前から全庁を挙げたプロジェクトチームをつくりまして、そこで方法とかいろいろなやり方を検討していた、検討しておるところであります。
枝野委員 そこがちゃんと教育をし、教育のできた人を責任者、担当者にしていなかったからこういう事件が起こったんじゃないんですか。防衛庁長官、これは。判断の問題ですから。
中谷国務大臣 私が就任する前でございましたけれども、聞く話によりますと、これの事業を始める前にはプロジェクトチームを設けて、そこで研修をしたり、またそれに必要な資料等を配付して、情報公開の趣旨また個人情報保護等に対する研修また教育等は行われておったというふうに聞いております。
枝野委員 ですから、そういう研修とかをきちんとしていれば、情報公開法というのは、何人もという要件で請求を認めるということでありますし、当然そういった人たちの、どういう方が請求したのかなんということについて、受験生の母みたいな、反戦自衛官みたいな、個人の属性にかかわるようなことをいろいろリストにしたりしちゃいかぬということは、当然教育できていなきゃいけなかった。それなのに、この三等海佐の方も情報室長すらもそういった意識に欠けていたということは、その準備の教育研修のところに問題があったからというのは明白じゃないですか。そうじゃありませんか、防衛庁長官。
中谷国務大臣 非常に、結果としてこのような事態を招いたという点につきましては、大いに反省をしたいと思います。
枝野委員 私は、そういうところは間違いなく組織としての問題としてとらえていただかなきゃいけないんですよ。それはどんな組織だって、最後に何かの実行行為を、物理的行為を行うのは一人なんですよ。それから、どんな組織が、例えば組織ぐるみと言われるような違法行為をするときでも、ある組織の中の一部の機関の何人かの人たちが違法な行為をするんですよ。問題は、それがそれぞれの組織全体の中でのさまざまな原因に基づくものであるのか、それとも個人がちょっと特殊な、変わった、困った人だったから起こったことなのか、そこが本質的な問題なんですよ。
 この三等海佐は、この個人の方が特に変わった、困った人、遵法精神に欠ける困った人なんですか。私は、少なくとも防衛庁の調査報告を見る限りは、そうではない。むしろ、こういった程度の教育とこういう感覚のままで担当窓口にさせられたという意味では、国民に対しては加害者かもしれないけれども、防衛庁の中では被害者じゃないですか。違いますか。
中谷国務大臣 基本的には情報公開と個人情報保護法に基づいて実務を行ってきたと認識をいたしておりますが、これに逸脱した行為がその三等海佐にありまして、それは非常に国民に対して申しわけない行為でございます。また、それに気づかずに、またそのリストを受け取ってもそのまま保持をしてきた者にとりましても、やはり情報公開また個人情報保護、これの認識が必要なものでございますが、基本的には法を犯した者がよくないということでございます。
枝野委員 それは国民との関係では、それは公務員の方はどんな現場の方でも法を守って国民に迷惑をかけないようにするという責務をそれぞれ個人としては負っているわけですから、私は彼が責任がないなんと言っていません。国民との関係では、彼は法に触れることをしてしまったんだから責任はある。
 だけれども、きちんとした教育も、きちんとした情報公開についての意識を持った室長も置かないような情報公開を始めてしまったという、組織全体としてのゆがみの一種の犠牲者じゃないですか。違いますか。長官です、これは。政治問題です。
中谷国務大臣 組織として甘かった点につきましては認めざるを得ませんが、この三佐の行為が、上司の命令によって行われたものではなくて、あくまでも、この三佐が自分の仕事をしていく上において海上だけではなくてほかの幕僚やほかのデータも知りたくなった、そういうことによって行われたものでございます。
枝野委員 これは多分、この程度の処分にとどめたのは、私が申し上げたことが本音ではわかっていらっしゃるからだと思いたいんですが、逆に、個人のことだ、個人のことだということを余りにもおっしゃられ過ぎると、逆の問題が生じてくるんですよ。
 自衛隊というのはどういう組織なんですか。それはどんな組織だって公務員組織は、上司の命令、最終的には各閣僚、内閣の決定に従って役所の皆さんは仕事をしていただかなきゃならない。それは普通の、文部省とか、総務大臣来ていただいていますが総務省とか、どの役所でも一緒です。どの役所でも一緒です、同じですが、特に自衛隊という組織、しかも内局ではない、現場、いわゆる制服と言われている部局です。こういういわゆる物理的な有形力を持っている自衛隊の現場の組織というのは、上司の了承も得ずに、上司の命令も待たずに勝手に行動してもらっちゃ一番困る組織じゃないのですか。その組織で起こったことについて、そのトップである、あるいはナンバーツーである防衛庁長官が、個人でやったことだ、個人でやったことだということをそんなに強調してしまって、本当にいいんですか。
中谷国務大臣 これにつきましては、懲戒処分におきまして、違法行為また指揮系統等でどうであったかという点を勘案いたしまして、処分をいたしております。組織にとりまして、そのような個人の問題というだけではなくて、やはりこの行為についての総合的な評価に基づいた対処をしなければならないと思っております。
枝野委員 情報公開法に基づく基本的な観念に反してこんなリストをつくった。そして、今、個人情報の保護法が議論されている中で、コンピューター情報だけは幸い昔からつくってあった、この法律に明白に違反をしている。法律に明白に違反するような行為について、上司の了承も得ずに勝手にやった。それを、評価として本当にそう思っていらっしゃるんだったら、本当に、減給五分の一でしたか、そんなものでいいんですか。自衛隊の現場の人たちが法律に明白に違反をするようなことを個人の責任で勝手にやった場合でも、減給五分の一ぐらいで済んじゃうんですか。そういう組織で本当に自衛隊というのはいいんですか。
宇田川政府参考人 懲戒処分の一般論を申し上げますと、いかなる種類の処分をどの程度まで科すべきかは、非違行為時において懲戒権者が決定するわけであります。このときの要因としましては、当該非違行為の原因、動機、結果、影響等のほか、当該隊員の職務内容、改悛の程度、選択する処分が他の隊員及び社会に与える影響等、諸般の事情を考慮して、規律維持の観点から相当とされる量定を選択するものであります。
 今お話の……
枝野委員 いいです。
 もちろん、やったこととの関係、どの程度重いことをやったのかということとの関係でやらなければならないのはもちろんです。しかしながら、法に明白に触れた、違反をしたということは、これは防衛庁自体もお認めになっているんですよね。
 それは、動機、意図、いろいろあるでしょう。動機、意図、いろいろあって、だけれども、別に日本だけを言うつもりはありませんが、軍事的な組織で、いろいろと後になってみたら、あれはやり過ぎだったんじゃないかとかと問題が起こったような行為があったときに、私利私欲、個人の欲で軍が暴走するだなんという歴史は果たしてどれぐらいあったんでしょう。普通は、これが国のためになるとか、平和のためになるとか、そう思ってみんなやっているんですよ。たまたまそれが、たまたまじゃない、でも、そういうことをルールに反してやると大体結果的に悪い結果になっていますねというのが歴史なんですよ。
 だから、通常時から自衛隊の皆さんには、法は破っちゃいけないんだ、法は徹底して守らなきゃいけないんだというのは、普通の役所以上に何十倍も持っていただかなきゃならない役所なのに、明白に法に触れたような今度のことで、本当にこの三等海佐の個人の行為だと言い張るんだったら、余りにも処分、軽過ぎるじゃないですか。法に触れても、この程度のことだったらこの程度で済んじゃうのねという自衛隊になっていいと思っているんですか、防衛庁長官。
中谷国務大臣 処分や処罰につきましては、決して、個人のものであったという認識に立っておりません。私初め政務官また事務次官以下、それ相応の責任を持って、処罰の対象といたしておるわけでございます。
 この三等海佐に対していかなる処罰を行うかという点につきましては、法律によって罰則がないわけでありまして、懲戒による処分に基づくわけでありますが、一般的に、自衛隊の懲戒処分等を考えてみますと、免職という規定がございますが、このような重い処分にするには、この隊員が職務遂行上の特に重大な影響を及ぼす規律違反、特に悪質な刑事犯に相当する規律違反を行った場合など、社会的に許されない行為、自衛隊の信用を失墜させる行為ということで、特に飲酒運転による人身事故とか、また、悪質な刑事犯、禁錮以上の刑に処せられる場合等を基準といたしております。
 そのような基準から勘案をいたしまして、先ほど人事局長が申し上げた事情等を考慮いたしまして今回の処分を行ったものでございまして、違反行為を行った四人に対する処分は適切なものでありますし、また、組織としての管理責任等は、それぞれの者が、懲戒の対象といたして、組織としてのこの至らざる点を認めているわけでございます。
枝野委員 幾つか申し上げたいんですが、一つは、確かに、例えば飲酒運転などで業務上過失致死に該当するようなことをやった、そういう人たちを処分する、これは民間企業でも一緒ですよ。問題は、先ほど来申し上げているのは、自衛隊というのは物理的な強い有形力を行使する、できる組織なんですから、特に遵法精神が求められる。その組織で、今回、明白な法律違反だとお認めになっている。
 私は、先ほど来申し上げているとおり、この三等海佐をより重く処罰するかどうかということについては、先ほどの議論のとおり、もっと上の責任じゃないかという思いがありますから、必ずしも、彼をどうしろという話をしているわけじゃない。だけれども、事実上、事務次官が二カ月になっているとかありますが、一番重いクラスの中に入っている、でも、その一番重いクラスが減給五分の一程度である。
 今御答弁の中で、この違法行為には罰則がついていないということをおっしゃいました。ちょっと、きょうの委員会の趣旨とは直接かかわりませんが、わざわざ総務大臣に来ていただいて、この議論は、いわゆる行政機関の個人情報保護法につながっている話です。行政機関の個人情報保護法、今はコンピューター情報だけだけれどもそれを拡大するというのが、民間個人情報保護法と一緒に議論されていますが、あそこで、民間は刑罰があるのになぜ行政には刑罰がついていないんだといったら、行政には、行政の人たちについては懲戒、いろいろな処分がありますからということを御答弁になっていますよね。だけれども、罰則がついてない違法行為については軽く処罰する、そういうことだったら、全然、行政個人情報保護法での御答弁と食い違うじゃないですか、総務大臣。
片山国務大臣 懲戒処分と罰則適用の刑事処分は全然違うんですね。刑事処分の方は、公益に対する重大な侵害だとか、個人の権利利益の重大な侵害については罰則でいく。懲戒処分の方は、難しく言いますと特別権力関係、行政内部の秩序維持なんですよね。
 そこで、行政機関の個人情報保護法をやるときにいろいろ検討しまして、ただ、例えば秘密漏えい、守秘義務違反については、罰則の適用は、現在、国家公務員法でありますし、自衛隊法にもある、あるいは、職権濫用罪、公文書毀棄罪、そういうものは刑法上にある。そうすると、懲戒処分でいけば、法令遵守義務や上司の命令を守る義務が国家公務員法上ありますから懲戒処分でやれる。懲戒処分には、今、枝野委員言われたように免職ですよね、懲戒免職、停職、減給、戒告ですから。だから、そこで十分な担保ができるのではなかろうかというのが我々の考えで、罰則がないから懲戒処分を緩くするというのは、これはおかしいんですよ。考え方が全然違う。懲戒処分は独立してきっちりやってもらう、こういうことであります。
枝野委員 今の、閣内不統一じゃないですか。刑罰法規に触れたわけでもないんだから、この程度じゃないかと防衛庁長官は御答弁になった。官房長官、整理してください。どういうことなんですか。
 つまり、確かに刑罰法規と行政処分とは違います。それは片山大臣のおっしゃるとおりです。だけれども、行政上の懲戒処分をするに当たっては、それは行政処分は行政内部の特別権力関係なり秩序維持かもしれませんが、しかし、今度の件でもそうですが、明白に、国民に対する、国民と政府との信頼関係であったり、国民の広い意味でのプライバシー権という意味での権利を侵害している事案じゃないですか。
 ですから、特別権力関係の内部の問題にとどまってないんですよ。どの程度公益を害しているのか、政府の信頼を害しているのか、そういう観点から、例えば行政処分であったとしても、懲戒処分であったとしても、きちんと処分をしなければならない事案じゃないですか。官房長官は整理をする役割ですよね。
片山国務大臣 私が言いましたのは、今の防衛庁の処分がどうであるということではなくて、懲戒処分というのは独立して物を考えて決めてもらえばいいので、罰則があろうがなかろうが、それは懲戒処分そのものには関係ありません、こういうことを申し上げたので、諸般の事情を勘案して恐らく防衛庁は現在の懲戒処分をお決めになった、こういうふうに思っております。
宇田川政府参考人 私も記者ブリーフのとき、ちょっと短絡的な物の言い方をしたわけでありますが……(枝野委員「いいです、そのことは追及していませんから」と呼ぶ)懲戒処分の対象となった行為のうちには個人情報保護法違反の事実があるということでありますが、個人情報保護法を担保するものとして、自衛隊法の秘密漏えいや刑法上の規定があります。今回の懲戒処分についてもこれを勘案したところであります。
枝野委員 大事なことですから、私は、金曜日の質問取りのときに、政府参考人の方は基本的には要りませんと申し上げたんですが、前の質問者との関係とかいろいろの中で、私の方から、ではこれは局長にということでないときはお答えをしませんから、登録してくださいとちゃんと申し上げているんですから、そこは約束を守っていただきたいと思います。
 今の片山大臣のお話は、その限りではよくわかりますが、だから、行政機関の個人情報保護法においても、行政内部の懲戒処分という意味とは別に、個人情報保護法で守らなきゃならない、行政機関に情報を握られている国民、公益との関係、国民の権利との関係でちゃんと刑罰をつけなければ、防衛庁が法律違反をしても、しかもこれぐらい明白な法律違反とみずからお認めになっていることをやっても減給五分の一ですかという話では、個人情報保護の議論はとても進みませんねということを申し上げておいて本案に戻ります。
 これは、防衛庁全体としてもっともっと強い危機感を持っていただかなければいけないことをあらわしている事件で、もう一点違った視点からお尋ねをしておかなければならないことがあるんです。長官は、この事件の発覚以来、何度か会見その他で経緯をお話しになっていますが、何度も事実上の訂正を余儀なくされましたね。なぜ、そんなことになったんですか。
中谷国務大臣 大きな事実上の訂正は、六月の三日に行いました私の会見によりまして、陸空内局のLANが法律的に問題があるということでございました。その点につきましては、事実、法律に触れていないという評価になりまして、大きな事実の誤認があったということでございます。
枝野委員 防衛庁長官あるいは防衛庁の幹部の皆さんは、最初に毎日新聞にこの事件が載ったときから、これは重要な問題だと、大事な問題だと認識されてなかったんですか、されてましたよね。
中谷国務大臣 もちろん、大変重要な問題といたしまして、全力でこの真相の解明に努めてきたところでございます。
枝野委員 これまた防衛庁・自衛隊というものの特性を考えるときに、そんな重要問題について大臣が途中で訂正をしなきゃならない、確かに明白な訂正は今の一点だと思いますが、細かいことは、御自身からお認めにならないでしょうが、たくさんありましたね。そんなことで本当に、例えば今有事法制を議論されていますが、機能するんですか、この組織は。
 大事な問題で、事によったら防衛庁が国民から不信感を買うかもしれないというような大変重大な案件ですよね。それについて、防衛庁・自衛隊の内部で持っている情報すらどこかで突っかかって、大臣のところにきちんとしかるべきタイミングで届かずに、大臣は訂正発言を余儀なくされる。これが、ましてや万が一有事のようなときには、防衛庁内部の情報じゃありませんよね。日本の国外にあるさまざまな情報が、きちんと防衛庁長官、総理大臣のところに上がってこなければ正しい判断できないわけですよ、本当の有事のときには。
 防衛庁内のこんな問題で、大臣のところに正確な情報が上がってこなかった、訂正を余儀なくされるようなプロセスがあった、この組織的な問題をどう解決するんですか。
中谷国務大臣 おっしゃるように、組織としては、正しい報告また正しい指示がなされなければなりません。
 今回の件につきましては、至らない点がございましたわけでございますが、それの一つ一つを真剣に教訓として受けとめて、二度とこのようなことがないように、さらに組織として整々に活動できるように、誠心誠意、機能できる組織をつくるために万全を期したいと考えています。
枝野委員 一回目なら、そういう御答弁もまあやむを得ないのかなと思うのかもしれません。しかし、例えば施設庁の調達問題、ありましたね、あのときも同じような話だったんじゃないですか。その後、何がどう改善されたんですか。同じことを繰り返す。あのときも、きちんと正しい情報が上に上がっていかなくて、結局、防衛庁長官が辞任に追い込まれていますよ。同じことをやっているじゃないですか。
 初めてだったら、実は戦後五十年間平和の中にいたので、危機対応、しっかりとやる場がなかったので、少し穴がありましたね、一回目ならまだ酌量の余地があるかもしれない。でも、ついこの間、施設庁の調達問題などで、きちんと上に情報が上がらないという問題で、防衛庁、袋だたきに遭ったばかりじゃないですか。それから何の対応したんですか。お答えになれますか。
中谷国務大臣 組織といたしましては、全力で取り組んできたわけでありますが、その間に、意思の疎通や連絡のミス等はあろうかと思います。そういった点につきまして、至らない点と受けとめまして、このようなことがないように、精強な組織をつくるように全力を挙げてまいりたい。
 また、もう一点、今回の反省でございますが、やはり情報公開の趣旨、また個人情報保護に対する認識が少なくて、それに伴って、判断や、また分析等におきまして欠けたる面があったわけでございまして、そういった点の認識を深めるということも必要だと思います。
枝野委員 到底納得できませんが、時間がなくなってきたので、もう一点。
 先ほど細野議員もお聞きをしました。せっかく四十ページもの調査報告をまとめたのに、いつの間にか四ページの紙だけしか出てこなくて、マスコミや我々が、四十ページあるはずじゃないか、出せと相当深夜まで頑張ったらようやく出てきたというプロセスについてお尋ねしたいんです。これ、四十ページのものを含めて、防衛庁は与党三党の幹事長に御説明に行かれていますが、だれのどういう判断で、幹事長、国対委員長のところに説明に行かれたんですか。
宇田川政府参考人 与党の幹事長、国対委員長に御説明に参ったのは私でございます。私は、土曜日かのときに、事務次官から、幹事長、国対委員長に説明に行くように指示を受けたところであります。
枝野委員 それは大臣は了解してやっていたんですか。大臣の指示なんですか。
中谷国務大臣 これは私も承知をいたしておりまして、そのようにいたしました。
 与党への説明につきましては、これは議院内閣制でもございますし、従来からの慣例といたしまして、国会にお諮りする前等につきましては事前に説明を行っておりますが、それも含めまして、私の指示において説明をさせたわけでございます。
枝野委員 そこがよくわからないんですよ。防衛庁という現場の実動部隊、例えば有事のときには、与党に御説明をしてその了解を得て内閣として防衛出動命令しますだなんてことは、普通は、特に緊急事態、急に、突然何かが、有事が起こったら、できないですわね。そういった場合には、総理大臣と防衛庁長官と内閣がまさに行政の責任としてきちんと責任を負っていく組織ではないかと思わないではない。しかしその一方で、議院内閣制ですから、政府が政府だけで勝手に走ったら、国会に法案を出してきても、総務大臣の別のもう一つの法律のように、与党の反対でとまったりするような話になりかねない、だから与党にも了解をとらなきゃならない。
 しかし、まさに防衛庁・自衛隊だなんという話については、指揮権が一本化をして、そのかわり指揮官が責任をとる。おかしなことがあったら、内閣総理大臣が自衛隊の最高責任者なんですから、内閣総理大臣と防衛庁長官が責任をとるという縦系列で物が動いていかなきゃいけない組織です。
 しかし、一方で与党にも説明を事前にするということはどういうことなんですか。いや、それが悪いと言っているんじゃないんです。与党に説明をするということは、与党の御了解をいただかなければ前へ進まない話ですねと御判断しているんじゃないですか。与党としては、そこで御意見をおっしゃるということは、当然政府にその意見はかなり取り入れてもらえるだろうという前提で、与党の最高責任者の皆さんが意見をおっしゃったんじゃないですか。
 それは一参考意見にすぎないということだったら、何で事前に説明に行くんですか。我々と一緒に、世間、国民と一緒に、こうやって調査がまとまりましたと発表すればいい。事前に御説明に行くということは、そこで言われた意見に従って、何か考慮しなきゃならないことがあったら考慮しようということだから、世間に発表する前に事前に持っていったんじゃないですか。どうなんですか。
中谷国務大臣 防衛庁として最終的に意思決定、判断をするのは私でございます。また、自衛隊におきましては、最高指揮官は総理大臣でありまして、総理の指示のもと、私も行動をいたしております。
 与党に説明をするというのは、参考意見の一つとして謙虚にそういった御意見を聞くということもございますが、いろいろな意見があっても、最終的に防衛庁としてどう対応するかということを決定するのは、私の防衛庁長官としての判断でございます。
枝野委員 本当に政府としてそれでいいんですか。与党に事前に御意見を伺うのは参考意見だと。それでよろしいんですね、総理。
小泉内閣総理大臣 ケース・バイ・ケースだと思いますが、政府・与党としては、緊密な連携をとりながらいろいろな問題に対応する必要があるということも大事だと思っています。
 今回の防衛庁の問題におきまして、日ごろの与党のしかるべき人に連絡、相談するのも、これは別に否定すべきことではございませんし、しかしながら、防衛庁としてどういう判断を下すかというのは、最終的に、いろいろな方々の意見を聞きながら、防衛庁として判断を下すべき問題だと思っております。
枝野委員 非常に形式的な議論としては、今のお話は筋が通っています。
 しかし、防衛庁の局長さんが、与党の、しかも防衛庁経験者でもある三幹事長、三国対委員長がそろっているところに御説明に行って、そこで意見を言われて、それと違うことで行動できるということだとしたら、それはそれでまた困ったことですよ。議院内閣制で、政府・与党で一体となってやっているはずなのに、与党の最高責任者から意見を言われたことを、役所が勝手に、それは、じゃあ無視してやっちゃいましょう、これはこれでまた困ったことですよ。
 与党と政府とで意見がずれたときには、まさに大臣がその窓口である、あるいは総理が窓口である、そこで調整するべき話なのであって、当然、官僚の皆さんベースのところで物を解決しようと思ったら、それは与党の言うとおりに従わざるを得ない。
 それなのに、私は非常に腹が立っているのは、責任を防衛庁長官だけに押しつけて、自分たちは意見を言っただけだと。形式的にはそうでしょう。しかしながら、自分たちが言った意見で、防衛庁が従った、そのことが世間から批判されたら、意見を言っただけだ。それが、しかも防衛庁長官の経験者だ。そんな無責任な態度で防衛庁に責任転嫁をする。
 中谷大臣も、新聞には悔し涙を流したという報道もありましたけれども、お気持ちの中ではいろいろ思っていらっしゃるでしょうが、防衛庁長官は政治判断できるからいい。防衛庁の現場の、あるいは自衛隊の現場の人たちからしてみれば、そんな無責任な与党なのかと。意見だけは言うだけ言って、決めたのは防衛庁なんだからおれは知らないよ、そんな与党で本当にいいと思いますか、防衛庁長官。
中谷国務大臣 これは、やはり筋論は筋論でありまして、政府の中で意思決定をする、防衛庁の中で意思決定をするのは私でございます。
 与党には、この報告書の説明に行かせたわけでありまして、説明者はこの内容について説明をし、その意見や指摘を聞いて私のところに報告に来まして、この報告に従って私なりに判断をした結果、このような決定をしたわけでありまして、筋としては、私が主張しているのが筋でございます。
枝野委員 そんなことは、中谷大臣が、山崎幹事長の意向に反して行動できる、あるいは、本当は山崎さんの方が悪いんだと言えるはずないというのは、政治的にはみんなよくわかっていますよ。
 問題は、中谷大臣はそれで納得できるかもしれないけれども、自衛隊・防衛庁の皆さんがそれで納得するのか、それで本当にいいと思うのか、そんな与党のシビリアンコントロールなんかに従えるかという気持ちに、もしもなってしまったら大変なことだ。そういう大変な話だということを三幹事長はわかっているのか。
 ぜひ国会の場できちんとお聞きをしたいので、衆議院議員山崎拓君を参考人としてお呼びをいただきたい。お願いをいたします。
瓦委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
枝野委員 時間がなくなりましたので、最後に、先ほど申しましたとおり、三等海佐が問題ではない。三等海佐がこうしたことをして、なおかつそれが放置をされるということ、個人情報保護法や情報公開法についての周知がきちっとできていなかったこと、そして、事件が起こって、発覚をした後も大臣のところにしっかりと上がってこない、これは初めてではないと申し上げた。そういう状況の中での今回の処分は、本当にこれでいいんですか。
 自衛隊、大臣も制服組の御出身でいらっしゃる。上司に責任がない場合であっても、責任はおれがとるから現場はしっかりやれというようなメンタリティーが、それはいろいろな組織で求められますが、一番求められる組織が自衛隊なんじゃないですか。
 今回のように、組織全体としてこんな空気をつくってしまって、しっかりと教育もせずに情報公開の担当にした上の方にむしろ問題がある話なのに、下の方に責任を押しつけて、しかもこの程度の軽い責任で、だれもきちんとしたけじめをつけようとしない。
 ついでに申し上げますが、私も国会で質問をした会計検査院名義の文書、明白な文書偽造行為を行ったことについてのけじめも、これまたしっかりとっていない。
 むしろ、いろいろあったけれどもおれが責任をとるから、防衛庁の現場の人たちはこれから出直して、自衛隊の人たちはしっかりやるから、今回はおれが責任をとるから勘弁してくれ、そのかわりしっかりやらせる。普通は、防衛庁長官や幕僚長がそういうしっかりとしたけじめと潔さを示すから、自衛隊はしっかりとした組織として立ち直っていくきっかけになるんじゃないか。
 そのことを申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。
瓦委員長 次に、中塚一宏君。
中塚委員 自由党の中塚です。
 まず質問に先立ってお話をしますが、やはり現下、日本の最大の課題は、経済の立て直し、景気の回復ということだと思うんですけれども、会期延長がされまして、重要法案が四つあるというふうに政府の方ではお話しになっているわけですが、私は、この四つの法案、全部ピントがずれているというふうに思うし、また、その中でも健康保険法の一部改正案のように、国民負担増をして景気の足を引っ張るような法律まで含まれてしまっている。そして、それに加えてこの防衛庁のリストの問題というものが出てきて、政府・与党が大変に混乱をしているというふうなことがある。
 そして、その混乱の原因というのは、私は、このリストの問題について言えば、必要性とその責任の所在の問題であるということだと思うんですが、その二つの観点からまずお伺いをしたいと思います。
 防衛庁長官、まずこのリストについてですが、海自のA三佐と言われる人がつくったリストについて、これは全情報開示請求者についてつくってあったのかどうか、いかがですか。
中谷国務大臣 そのようなことでリストを作成されました。そのことは報告書にも書いたとおりでございます。
中塚委員 さて、次に伺いますが、そういうリストをつくった、情報開示請求書以外のプロフィールも書かれていたということなわけですが、それをつくったということは、海自三佐は、やはり必要性があったからつくったということだと思うんですね。なぜその請求書に書かれていないようなことについても書き込む必要があったのか、そこはいかがですか。
中谷国務大臣 本人の述べるところによりますと、請求者から出された行政文書開示請求書には、法律上記載する必要のない請求者の所属等が記載されている場合がありまして、自後、開示請求の状況分析を行う上でこれらの情報を活用できるかもしれないと考え、そして、防衛庁全体に対する開示請求データを把握することによって海上自衛隊に対する開示請求を予測できるのではないかと考え、そして、その情報公開業務において開示請求者がどのような行政文書を要求しているのか明確でない事例が多いことを踏まえて、開示請求に対して迅速かつ的確に行政文書の特定を行うためには開示請求者の背景を知ることが有効でないかと考えたということでありまして、これは、本人の、情報公開業務等につきまして、開示請求者の個人情報を記載した開示請求者リストを作成したものであるというふうに承知をいたしております。
中塚委員 今、分析を行う上で活用できるというお話をされましたが、この報告書、「調査報告」四枚と、あと「調査報告書」四十枚あります。この四枚の方には、開示状況の分析を行う上で活用できるかもしれないということは書いていないんですね。こっちの四十枚の方に初めてそのことが書いてあるわけです。これをもって、その報告ですべて足りるというふうな考え方というのは絶対におかしいし、初めから間違っているということだと私は思います。
 そして、開示状況の分析を行う上で活用できるかもしれないということだが、それでは、やはりその必要性というものはあったということですね。その必要性、つまり業務を効率的に運用していくという上で必要性があったということになるわけだけれども、そのことについて長官はどういうふうにお考えになりますか。
中谷国務大臣 このリストにどのような項目を載せるかということは必要最小限にとどめるということは法律で規定をされておりまして、同三佐が行った必要以上の情報を記入するということは、法律の四条に違反することでございますので、これは不適切な行為であったというふうに思います。
    〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕
中塚委員 法律に合っている合っていないということとは別に、その業務の進行において本当に必要なのかどうなのかということをお尋ねしているんです。法律に合う合わないということは、それは裁判所なりが判断することだと私は思っていますけれども、そうではない、国会の場なんですから、そういったことに本当に必要性があるのかないのか、そのことはどうですか。
中谷国務大臣 私も、開示請求の実態をいろいろと聞いてみますと、単に名前、住所、要求分野という項目だけでは、文書は適切なものは探し切れません。やはり、何の目的で使いたい、また、どういうものが欲しいという細部においての請求者からの情報に基づいてそれぞれの資料を探し当てるわけでありまして、やはり業務を行う上におきましては、記載されたもの以上の情報、また御本人との連絡確認のために必要な情報はあるということは認識をいたしております。
中塚委員 政府の皆さんと私どもでは考え方が違うかもしれないけれども、この事件についてやはり責任がどこにあったのかということで処分等があるのは、もう大変大事な話だと思います。ただ、海自三佐が必要性があるというふうに考えてつくったということについて、今の法律とは別に、じゃ、それが本当に必要なのかどうなのかということについての議論というのが全くなされていないし、この報告書には書かれていないということ、そのことを指摘しておきたいというふうに思います。
 そして、次に、この三等海佐は、私はこれが一番の問題だと思うんですけれども、この四十ページの調査報告書、またこっちの方です、こっちの方にしか書いてないんです。この報告書によれば、行政文書の開示、不開示を審査するための基準づくりを担当したということがあるわけですね。つまり、基準をつくる担当者がリストを作成したということは、これは例えば、反戦自衛官とか受験生の母といったプロフィールによって情報の開示、不開示が左右をされるかもしれない、そういう疑念を国民にもたらすわけです。
 本来はそんなことはあってはならないし、ないはずだというふうに思いたいけれども、このことによって、つまり、この三等海佐が行政文書の開示、不開示を審査する、そういうふうなことにかかわっていたという人であった、そのことをやはりちゃんと報告しなければいけないにもかかわらず、四ページ物で済まそうとしたということ、そして、その行政文書の開示、不開示審査の基準づくりをした人がこういうふうな行為をしたということについて、お考えはいかがですか。
中谷国務大臣 委員おっしゃるとおり、開示請求を行う場合には、公平であって、だれかれと峻別なく行うということはやっていかなければならないわけでございます。そういう意味におきましても、この三佐の行為は適当でなかったというふうに思っております。
 報告のあり方につきまして、私なりにああいうスタイルをとったわけでございますが、この点におきましては、御質疑のある中で質問されたら答えるというスタイルでございますが、その報告書に基づいたとおりでございまして、今後、国会の質疑等でさらにお答えをしてまいりたいと思っております。
中塚委員 もう一つは、やはり防衛庁自身の危機管理能力とか情報管理能力ということも問われているんだと思うんですね。つまり、こういうリストが必要だということなら、そのことをちゃんと議論して、制度をつくり上げるということを提案なさるべきなんですよ。そのことが、私がそれに賛成するかどうかは別です、私どもが賛成するかどうかは別ですけれども、そのかわりに、ちゃんと管理者を決めて、セキュリティーレベルに応じて情報にアクセスできるような、そういう仕組みをつくらなければいけないにもかかわらず、今回のように、ちゃんと教育もされていないわ、何がどこでだれがどうなっているのかも全然わからない、おまけに、LANに掲示をされるというふうなことで、また、あるいは十四人の人に配付をされるというふうなことで、使い回しまで行われていた、そういうふうな可能性まであるわけですね。
 そのことに関連してお伺いをいたしますが、この海自三佐のつくったリストについて、孫配付というのはされているんでしょうか。それとも、孫配付されたのであれば、その回収状況というのはどうなっているんでしょうか。
中谷国務大臣 今回その三佐が作成されましたリストは、防衛庁の情報公開室の係長一名、陸幕情報公開室の二等陸佐二名、陸幕の総務課二等陸佐一名、空幕の情報公開室の二等空佐二名、海幕の調査課情報保全室の二等海佐二名、海上自衛隊の中央資料隊の三等海佐一名というところで、九名に配付をされておりました。
 その他ございますが、結局、これの調査の結果におきましては、これを業務に使ったことはないということでございまして、それ以上にこれが広がったということは確認をいたしておりません。
中塚委員 組織的でなかったという先ほど来のお話なんですけれども、やはりこの情報公開法教育とか個人情報保護というものの教育というのがなされていなかったということになるわけで、三佐から引き継ぎを受けた情報公開室長というのは、やはり引き継ぎを受けた段階でそれを破棄するべきだったはずなんですね。そこのところはどうでしょう。
中谷国務大臣 その点につきましては、そのまま保管をいたしたということでございますので、この点につきましては懲戒処分の対象に入れまして処分を行いました。
中塚委員 いや、どうするべきであったかということをお聞きしたわけですけれども、やはりこれはその時点で、もうしかるべき対応というものがなければいけなかったわけですね。そのことをずっとほったらかしにして今日まで延びてきてしまっているということだと思います。
 先ほど来、四枚物とこの四十枚物の報告書の違いについてお話を伺っているんですが、次に、総理に伺いたいというふうに思いますけれども、政府・与党一体であるということではありますけれども、それなら初めからちゃんと政府・与党一体で調査をして、厳しい調査をした上で報告書をつくり、公開をすればよかっただけの話なわけですね。ところが、そういったことは全然されていない。そして、萩山副大臣のもとに調査チームも初めはできたんだけれども、結局、報告書の改ざんによって、政府が相変わらずこの大本営発表的な、さきの戦争のときと同じように、自分の都合のいい情報しか国会に報告しないということになってしまっているわけです。
 国会というのは国権の最高機関で、主権者たる国民の代表としてみんな集まっているわけですから、国会に対する報告書を改ざんするというのは、これはまさしく国民を欺くというふうに言わざるを得ないわけで、先ほど申し上げました、重要と言われている四つの法案の中でも、例えば、中身はほとんど役所の言い分が通っているばかりであって、ところが、こういうふうな事実関係に対する調査のみ政治家が口を出すというのでは、全くもって話にならないというふうに言わざるを得ない。
 特に、今この委員会で審議をされています武力攻撃事態法であれ、また昨年成立をいたしましたテロ対策の特別措置法であれ、国会に報告をするとか承認を得るという手続が含まれているわけですけれども、そういったことについても、与党の政治家がごちょごちょっと言えばその中身が変わるんじゃないかというふうな疑念を抱かざるを得ないわけですが、小泉総理、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 政府と与党の関係は、政策問題につきましては、常に連携協力を密にするというのは、これは当然だと思っております。
 また、それぞれの問題におきましては、各省庁内で事が済む問題、あるいは与党の意見を聞いた方がいい問題、それぞれあると思います。それは、ケース・バイ・ケースで判断すべきではないかと思っております。
中塚委員 ですから、テロ対策特別措置法であれ武力攻撃事態対処法案であれ、国会に報告を求めるだの承認を求めるだのということがあるわけですね。そういうふうな承認案件、報告案件ということについて、本当にこれは国家の一大事なわけですよ、この委員会で審議されている法律が本当に発動されるようなときは。そのときに、国会に対してなされる報告なりそういったことについて、与党の介入によってその事実がねじ曲げられるようなことが本当にこれからはないというふうに言い切れるんですかというお尋ねなんですが。
中谷国務大臣 この法律に関しまして一点申し上げたいのは、与党の御意見の中で、やはり法理的に基づいてどうなのか、これについてはしっかりと明確にした方がいいという御意見と、簡単、簡単というか簡潔明瞭、そしてわかりやすくという観点で、そういうことを決定したわけでございます。
 政府としてどうあるべきだったかどうか、私なりにも謙虚に反省をしなければならない点があるわけでございまして、このような点につきましては、今後、誠実に国会で答弁をしてまいりたいと思っております。
中塚委員 簡潔明瞭とか、そういう問題じゃないんですよ。
 私が申し上げているのは、武力攻撃事態なりテロ対策特措法なりで、国会に対して報告する、承認を受けるというときにも、いや、ここの表現はちょっと変えた方がいいんじゃないのかとか、あるいはこれは言い過ぎだろうというふうなことによって、その報告書なり承認案件というものが改ざんをされるようなおそれはもう今後ないんですかということを総理にお尋ねしているんです。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 改ざんされるということはないと思います。
 特に、これは与党と政府、関係は密接ですから、どういう状況かというのは政治家が意見を申しても結構だし、また、その意見を役所がどういうふうに判断するか、これも大事な点であります。その点は、改ざんということじゃなくて、いかに国民にわかりやすく説明するかということが大事でありまして、そういう点については自由な意見交換というのはむしろなされてしかるべきものだと思っております。
中塚委員 この四枚の報告書では書いていないことが、現に四十枚の方にいっぱい書いてあるわけですね。しかも、総理、構造改革ということをおっしゃっているんですが、三佐が、情報の開示、不開示を審査するための基準づくりを担当した人であるということは、まさにこれがこの事件においての構造問題じゃないですか。
 だから、そういったことがテロ対策の特措法なり武力攻撃事態法の国会承認ということについても行われるおそれがないんですかというふうにお伺いをしているんですから、そんなおそれはないというふうにお答えになればいいわけですよ。
 次に、公務員の処分ということについて伺いますけれども、やはり公務員の処分というのが大変に甘いというふうに言わざるを得ないですね。
 民間は、法律がある、ないにかかわらず、やはり市場原理なりマーケットというものにさらされているわけで、みずからちゃんとその基準をつくり、みずからを律するということをやっているわけです。
 今回、情報の管理というものもなっていないし、その責任の所在の管理というものもほとんど行われていないということがあったわけで、まさに、教育が不十分だということも私はそこに関連するんじゃないかというふうに思うんですが、やはりこの情報公開法なりなんなりに、個別に、ちゃんと公務員に対する罰則規定を設けるべきだというふうに思うんですね。
 今まで、行政権というものは絶対で、公務員は悪いことをしない、だからきつい規定はないということになっているわけですけれども、やはりここのところ、役所またあるいは政治家ということだけが悪いことをして、規定がないからといって、罰則もない、罰せられない、そして退職金をもらってまた再就職するというふうなことばかり相次いでいるわけですね。
 だから、そういうふうな不信を払拭する、起こったことにどう対処するのかということと、あともう一つ、これからはもう起こらないようにするということ、そのことが必要なわけであって、今回の情報開示請求ということになって、もし開示請求書以外に書き込まれた情報によって不利益をこうむるようなことがあるとすれば、それは個人が不利益をこうむるわけですから、やはりそれと同様に公務員もこの情報公開法の中にきちんとした罰則規定というものを設けるべきだし、そういうふうに違反事例ごとに処分をできる法律に改正するべきであるというふうに思いますが、官房長官、いかがですか。
    〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕
福田国務大臣 国家公務員は、情報公開法及び個人情報保護法を含む法令に従いまして行政を遂行する義務を負っておるわけであります。このことは、国家公務員法の法令遵守義務に対する懲戒処分ということがございます。それによって担保されているところでございます。また、個人の秘密を漏らした場合には守秘義務違反ということもございまして、これは国家公務員法の対象でございます。
 そのほか、犯罪として刑罰を科すべきものとしては、職権濫用罪とかそれから公用文書の毀棄罪等という、刑法によりまして、必要なものについては既に刑罰の対象となっております。
 それから、情報公開法や個人情報保護法の運用の適正性の確保ということについては、以上のような事情をもって十分に担保されているというふうに考えておるところでございます。
中塚委員 だから、そういうふうなことはもうわかっているんですよ。わかっているんだけれども、情報公開法自体に罰則規定というものがないから教育だってろくに行われないわけでしょう。そうじゃなくて、この法律のこの規定に違反をしたらこういう罰則があるんだということになれば、ちゃんと情報公開法なり個人情報保護法についての教育だって真剣に行われるようになっていくだろうということをお話ししているんです。
 最後に、このリストに、反戦自衛官とか受験生の母とか、そんなことが書かれていたと。行政権というのは、司法、立法以外はみんな行政権と言われるぐらい本当に強大なものであって、その行政の責任者である皆さんは、やはりもっと真剣に、そして慎重に事に当たってもらわなければいけないというふうに思いますが、これらのリストに書かれた人が、今後、行政上、不利益をこうむることがないようにしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
瓦委員長 木島日出夫君。
木島委員 日本共産党の木島日出夫です。
 最初に、調査報告書の隠ぺい問題について、総理にお伺いをいたします。
 防衛庁は、情報公開請求者の身元調査リスト問題で、この三十八ページの調査報告書を作成しておりました。作成しておきながら、十一日の特別委員会理事会で、そのようなものは存在しない、報告書そのものを隠ぺいしようとしたわけであります。その日の理事会の場で、私から、四ページの「調査報告書の概要」、これが出ているじゃないか、「調査報告書の概要」があるのなら「調査報告書」があるではないかと私は理事会で詰めたわけでありますが、防衛庁の担当はないと言う。国会に、理事会にうそをついたわけであります。
 この事実は消せないわけであります。私は、これは国会の国政調査権に対する許しがたい冒涜である、そして国会と政府との正常な関係を壊したものとして重大だと考えております。
 総理は、先ほどの答弁で、無用の混乱を来して残念などと言っておりましたが、そんな程度の認識なんですか、総理。国会と政府との関係、重大な問題ではなかったか、そういう認識はないんですか。総理、総理です。
小泉内閣総理大臣 今の御意見は、共産党の立場でそういう意見というのはわかります。
 私は、どういう事実関係があったかというのは後ほど防衛庁長官に答弁させますが、私は、不必要な混乱を来さないように、これからもしっかりと調査してわかりやすく国民に説明しなさいということを指示したわけでありまして、その点について、防衛庁側に対応のまずさもあったのかなと思っております。
 しかし、今の共産党の言い分に対して、必ずしも防衛庁側がそういう認識かどうかということに対して、防衛庁長官からも答弁をさせたいと思います。(木島委員「要らないです。委員長、要らないです」と呼ぶ)
瓦委員長 ちょっと待ってください。
木島委員 委員長、要らないです。時間むだです。委員長、要らないですよ。総理の認識だけが必要なんだ、私の質問は。
瓦委員長 中谷防衛庁長官。
中谷国務大臣 先ほど、うそをついたというふうな点につきましては、事実関係として申し上げますけれども、当時の防衛庁の決定はあの「調査報告」でございまして、もっとほかにないのかという点におきまして、防衛庁長官の決裁を得て国会記者クラブに防衛庁として調査結果として提出したものはこれですということを説明したものでございまして、国会にうそをついたということはございません。
木島委員 私は理事会に出席して、私が体験しているんですから。私がこれを出して詰めたんですから。もうこれ以上触れません、この問題は。しかし、総理が、こんな三十八ページの「調査報告書」がありながら、ありながら、これを理事会に出さなかった、こういう問題に対して、先ほどの程度の認識だということは重大だ、こんな認識では、これからも政府の調査報告書がまともに国会に出されないおそれがあるのではないかということだけ指摘をして、次の問題に移りたいと思います。
 身元調査リスト作成問題であります。
 昨年四月から情報公開制度が始まりました。国民主権の憲法理念に基づいて、国民の知る権利を保障し、公正で民主的な行政を推進するための極めて重大な制度が発足したわけであります。国民だれであれ、差別なく行政庁の持っている情報の公開請求ができることが、この情報公開制度の肝心な点であります。だからこそ、情報公開法では、請求者はみずからの氏名、住所だけを明らかにすればよいという仕組みになっているわけであります。
 ところが、今回、防衛庁でとんでもないことが行われていたわけであります。情報公開請求をした市民の身元調査が行われ、それがリスト化され、防衛庁・自衛隊の中でばらまかれていた。そのリストには、ここにありますが、「市民オンブズマン」、「受験者の母」、「三十代医療過誤?」、「○○新聞社会部」などなど、優先的に保護されるべき市民の思想、信条、宗教、犯歴、病歴など、いわゆるセンシティブな情報が調査され、リストに書き込まれていたわけであります。
 私は、恐るべき事態だ、状況だと思います。こんなことが行われては断じてならぬと思いますが、総理の基本的な認識をお聞きします。
小泉内閣総理大臣 情報公開とそして個人情報を保護する、この認識をきっちりと持たないといけないと思っております。
木島委員 こんなことが行われては断じてならぬ、こんなことが二度と行われないように徹底した調査が必要だ、そのための調査が行われたはずであります。
 問題は、今回、防衛庁によってどんな視点で調査が行われたかということではないでしょうか。
 私、この「調査報告書」をつぶさに検討してみました。率直に言って、防衛庁の調査の観点は、個人情報保護法に違反するかどうか、そういう非常に狭い視野でのみ調査が行われている。そして、このような市民の身元、身辺調査が行われたことをほとんど問題にしないで、そしてリストがつくられたことが法に触れるかどうか、リストが配付されたことが法に触れるかどうか、個人情報保護法四条、九条、十二条、これに該当するかしないかのみの視点で調査が行われている。そして、ほとんどの場合は、これは法による個人情報に該当しない、個人情報ファイルに該当しない、こんな結論づけになっているわけであります。視点が狭い。問題は、このような市民に対する身元調査をすること自体がまず問われたはずであります。
 そこで、こんな調査、こんな視点では、防衛庁は、個人情報保護法四条、九条、十二条に違反しなければ防衛庁は幾らでも市民の身元調査をしてもいい、そんな観点、立場でこの調査を行ったんですか、お聞きをいたします。
中谷国務大臣 今回の調査につきましては、厳正に精力的に行ったわけでございますが、防衛庁といたしまして開示請求者の身元を調査したり、またそれの思想を調査したり、そういう事実はございません。
 この三佐の行動によりまして、不適切な点がありまして、法律にも触れるわけでございまして、この点、開示請求者の皆様方に大変御迷惑をおかけし、そしてこの点につきましては心からおわびを申し上げたいと思っておりますが、この「調査報告書」に書かれていた点につきましては、事実関係をすべて書いておりまして、それに基づいて法律に従って処罰をし、また、情報公開の全般の問題等につきましても勘案をいたしまして、それなりの責任の所在を明らかにしたところでございます。
木島委員 だから、私が指摘したのは、この報告書は、例えば海自の三佐の問題についても、「評価」のところを見てください、開示請求者リストの作成の問題と配付の問題だけですよ。問題は、こんな身辺調査、思想調査まがいのことをしたこと自体がまず根源的に問われているんじゃないか、そこがほとんどこの調査の対象になっていないということを厳しく私は指摘しておきたい。
 具体的に質問をしたいと思います。問題の発端であり、報告書も個人情報保護法違反と認めたのが、海上幕僚監部情報公開室の三佐、三等海佐による個人情報の調査収集、リストの作成、配付の問題であります。
 お聞きをします。この三等海佐の経歴はどのようなものか、調査部門にいたことはないか、端的に答弁願います。
中谷国務大臣 この三佐は、昭和五十二年に海上自衛隊に入隊をした後、「てるづき」、「ゆうしお」、「やえしお」等、潜水艦の勤務をいたしまして、その後、海上幕僚監部等におきまして、調査部調査課二課、このときはロシア担当の調査官だったそうでございますが、その経験、それから海上幕僚監部調査部調査課、そして平成十年より横須賀地方総監部の防衛部第二幕僚室長、これは主に前で作戦をする職種でございますが、それを経た後、平成十二年より海上幕僚監部で海幕情報公開室開設のための準備に従事をし、平成十三年四月より公開室の勤務を経て、平成十四年より岩国調査分遣隊長となっております。
木島委員 ほとんど調査畑を歩いてきた人物であります。
 この三等海佐がリストを手渡した主な相手が、海上幕僚監部調査課情報保全室の二等海佐と海上自衛隊中央調査隊の三等海尉の二人であります。いずれも調査部門の人間であります。
 防衛庁長官にお聞きをいたします。調査部門の基本的な任務は何ですか。
中谷国務大臣 調査隊の任務でございますが、特に海上自衛隊の中央資料隊といいますと、海上幕僚監部並びに東京都に所在する海上自衛隊の部隊及び機関の保全のために必要な資料及び情報の収集、整理、配付に関すること等でございます。
木島委員 調査部門の一般的な任務を聞いたわけでありますが、海上幕僚監部に関する答弁をいただきました。答弁のとおりです。防衛庁からいただいた概要によっても、調査部門の任務は、部隊や機関の保全のために必要な資料及び情報の収集、整理、配付であります。
 要するに、防衛庁あるいは自衛隊のいろいろな秘密というんですか、これに近づこうとする者に対して逆調査する、近づけさせない、それが基本的な任務なんでしょう。市民の知る権利を保障するべき情報公開室に、このような防衛庁・自衛隊の機密を保全することを主たる任務とする調査部門の人間が配置されていた。問題だと思うんですが、一体何人いたのか。陸海空各幕僚監部、そして内局、さらに防衛施設庁、それぞれ、情報公開室の人員とそのうち調査部門、調査課とか調査隊とか保全室と言われておりますが、それの経歴を有する者の人員は何人か、数字だけきちっと明らかにしてください。
中谷国務大臣 人員の数でございますが、まず、陸上情報公開室に現在勤務している者は九名でありまして、そのうち情報及び調査部署の経歴を持つ者は二名でございます。海幕情報公開室に現在勤務している者は九名でありまして、そのうち情報及び調査部署の経歴を持つ者は二名であります。航空情報公開室に勤務している者は十名でありますが、そのうち情報及び調査部の経歴を持つ者は二名であります。内局の情報公開室に現在勤務している者は六名でありまして、そのうち情報及び調査部署の経歴を持つ者は一名であります。防衛施設庁情報公開室に勤務している者は五名でありまして、そのうち情報の経歴を持つ者はおりません。
木島委員 今回、海幕の事案ですが、調査畑の経歴を有する人物がすべての公開請求者の身元を調査した、そしてリストをつくった、そしてこれを配付した。そして、リストを受け取った相手側の人物も調査部門の人間だった。国民の情報公開請求権を担当するそういう部署に、国民の基本的な権利、情報公開請求を担当する、そんな部署に、逆に国民を監視し、国民の情報を収集することを任務とする調査部門の人間が配置されていた。今、施設庁を除く陸海空三幕、内局すべて配置されていた。答弁のとおりであります。
 今回の問題は、情報公開制度を利用して自衛隊や防衛庁の情報を得ようとしたすべての市民、当然の権利を行使しようとしたすべての市民を監視し、敵視し、これらをマークするために調査部門ぐるみで行われていたんじゃないですか。それがこの問題の根本的な核心ではないですか。防衛庁長官の答弁を求めます。
中谷国務大臣 まず、事実関係でありますが、この調査に基づきまして、先ほどお渡しをした、各部局また海上自衛隊の中央資料隊においては、このリストなるものを業務上使用していないということが確認をされております。
 また、情報公開室等の人選でございますけれども、職員の配置につきましては、本人の技能、能力、適性を総合的に勘案して行っております。
 その際の教育等におきましても事前に行っていたわけでございますが、今回このような違法行為がございましたので、この点につきましては、今後、情報公開における開示請求者の個人情報またプライバシーを保護する、また、公平に扱って分け隔てなく峻別を行う情報公開にするということと、自衛隊の本来任務でございます国の防衛に関して、その情報の収集、保全をやっていくという二つの問題、これはきちっと峻別をいたしまして、決して情報公開に来られた方々のプライバシーがその分野の外に出ないような体制を講じるとともに、人事のあり方等におきましても、厳正に検討をし教育を行っていかなければならないと思っております。
木島委員 防衛庁長官は盛んに、今回つくられたリストは配付を受けた者によって利用されていないと言います。「調査報告書」にもそういうことが書いてあります。しかし問題は、市民の情報が調査され、それが調査部門によって保管されている、そのこと自体が大問題なんですよ。
 航空幕僚監部の情報公開室でも全く同様の状況があった。これは報告書に書かれております。リストを作成した三人の三等空佐は、いずれも調査部門の勤務経験を有しております。そして、リストを渡されたのは航空自衛隊東京地方調査隊の三等空尉であります。そして、彼は情報を受けたことを調査隊長にまで報告していたわけであります。紛れもなく、これは調査部門ぐるみじゃないんですか。どうですか。
中谷国務大臣 この点につきましては、調査した結果、航空自衛隊で口頭によって報告をされたのは開示の内容でございまして、防衛庁に情報公開があって、その中央資料隊等に開示請求のあること、また、その所管する場所等に対して開示請求があったということでございました。
木島委員 今、短い時間で明らかにしましたように、今回、海上幕僚監部でのリスト作成、配付も、また航空幕僚監部でのリスト作成、配付も、明らかに調査部門ぐるみだと評価できるんじゃないでしょうか。情報公開請求をする市民の信条や思想を調査し、これを監視するために行っていたんじゃないか。
 「調査報告書」を読みますと、これを、挙げて個人の発意でなされたもの、顔見知りの仲間意識で渡したものなどとしておりますが、こんな調査は、身内をかばう防衛庁の保身でしかないんじゃないんでしょうか。こんな報告書で一件落着というわけにはいかないと私は思いますが、論議を聞いていて、総理、どう思いますか。総理の認識を聞きます。
小泉内閣総理大臣 国民に不安と混乱を来さないように、今までの御指摘を踏まえて、再発防止、そして信頼されるような対応を防衛庁もきちんととるべきだと思っております。
木島委員 今回の核心部分については、全くまともな調査がされていない。当委員会で、参考人招致を初め、徹底したこの問題についての解明が必要だということを主張して、質問を終わります。
瓦委員長 次に、東門美津子君。
東門委員 社会民主党の東門でございます。
 小泉総理には、昨日、本当に暑い中、沖縄全戦没者追悼式に御参列いただきました。お疲れさまでございました。
 冒頭ですが、今回の防衛庁問題に入ります前に、昨日の総理のごあいさつの中でちょっとお聞きいたしたいと思いますので、よろしくお願いします。あいさつの中に、沖縄における米軍の存在は、我が国のみならずアジア太平洋地域の平和と安定に大きく貢献しているという点がございましたけれども、その点についてお伺いいたします。
 これは、去る五月の復帰三十周年記念式典でベーカー米国大使が発言されたのとほとんど同じで、私はそこに座っておりましてちょっと驚いたのですが、総理のお気持ちの中には、我が国のみならずアジアの平和と安定に貢献しているのだから、そのまま我慢してくれというお気持ちがあったのか、お聞かせいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 その後のあいさつにも、沖縄県民が米軍の存在によって多大の負担に苦しんでいるというこの現状を解決していかなくてはならないということも述べているわけであります。アジアの安定、これは日本の安定にも不可欠でございます。日本とアメリカが日米安保条約を締結して、日本にも米軍基地がありますが、そういう日本とアメリカとの安定、これはやはりアジアの安定にも寄与しているのではないかという認識でございます。
東門委員 余りきょうこれに時間を割くわけにいきませんので、あと一点だけお聞かせください。
 その後に、関係各位の理解と協力を得ながら県民の負担軽減に向けて誠心誠意取り組んでまいりますとあるんですが、その関係各位というのが、どういう方々が総理の頭にあったのか、そして何が県民の負担と考えておられるのか、その負担を軽減するとおっしゃるわけですが、負担というのは何なのか、そこをお聞かせいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 まず、米軍の基地の七五%が沖縄に存在している、この整理縮小、こういうものにつきまして、政府も、アメリカ側初め、地元の沖縄の県を初め、あるいは基地の所在地の自治体の方々、いろいろな関係者がおられます。そういう方々の理解と協力を得ながら、沖縄県民の負担を少しでも軽減できるような対策を今とっているわけであります。特別行動委員会、さらには沖縄の振興開発計画、それぞれこれは関係各位の御理解と御協力を得ることが大変大事でありますので、そういう趣旨を私は関係各位ということで表現したわけでございます。
東門委員 関係各位、何か県民の姿が見えないで、ぽっぽっといかれたような気がするんですが。
 それと、県民の負担という負担は何を意味しておられますかということには答えていただかなかったんですが、どういうことを負担と考えておられるのか。いわゆる基地の面積なのかあるいは兵員の数なのか、そういうところをお聞かせいただきたい。何が負担だと、これをどのように軽減、まあ、どのようにはともかくいいんです、何を負担だと思っておられるのか、そこをお聞かせください。
小泉内閣総理大臣 基地の存在自体も負担でしょうし、あるいは、米軍の人数の点あるいは飛行機等の騒音の点、いろいろ負担はあると思います。基地のない県にしたいという気持ちもよくわかります。そういう観点と安全保障上の観点、そういうものを御理解いただきながら、沖縄の皆さん方にはいろいろ御負担をおかけしておる、そういう点にも配慮しながら、この米軍基地の整理縮小について政府としても誠心誠意努力の必要があるなと思っております。
東門委員 ぜひ、今おっしゃった負担、その軽減、それに向けてやはり総理には頑張っていただきたいと思います。
 次に、防衛庁のリスト作成問題についてお伺いいたします。
 少し私はさかのぼりますけれども、六月の初めごろになりますが、防衛庁が、情報公開請求者に関して請求フォームには記載されない情報まで書き加えた個人情報リストを作成して、それを防衛庁内のLANなどで公開し、それが外部に漏えいした問題に関して、防衛庁長官は、まことにゆゆしき問題で言語道断、請求者に御迷惑と不安を与えたことを心からおわび申し上げたいと述べ、謝罪をしておられますが、長官は、この問題の何がいけないと認識をして、何を謝罪しておられるのか、その問題の所在についてまずお伺いしたいと思います。
中谷国務大臣 問題は、情報公開を請求してきた方々の個人情報が防衛庁の中で不法に利用をされて、それに基づくリストがつくられ、それが配付をされ、閲覧をされていた事実。また、LANに関しましては、一時的にはそのような認識を持って私自身国民の皆さんにおわびをしたわけでありますが、この点につきましては、よく調べてみると、そのリストだけでは個人が判定できないようなリストでありまして、これは間違っていたわけでございますが、いずれにいたしましても、情報公開で請求をしてこられた方々のプライバシーを大切にしていなかったという点につきまして、心からおわびを申し上げる次第でございます。
東門委員 では、まず作成そのものがいけなかったということで理解してよろしいですね。作成がなければ、ほかの問題は続きませんものね。このリスト作成、それもおっしゃったわけでしょう、それが問題だと。だから、そこがなければ、作成がなかったならば、今のような問題は起こらなかったわけですよね。ですから、長官の認識としては、まず作成に大きな問題があったというふうに理解してよろしいのでしょうか。
中谷国務大臣 この個人情報リストというのは、事務処理のために必要な部分もございます。しかし、法律によって不必要な情報の入った個人情報リストをつくってはならないと定められておりまして、その点、不必要な項目等が記載されたリストをつくった点について、大変こちらとしても国民の皆さんに申しわけないということでございます。
東門委員 済みません、私もちょっと間違えました。作成そのものじゃなくて、個人情報の収集に問題があったというふうに理解していいわけなんですね。
 続けます。
 五月三十一日の衆議院内閣委員会でも実際答弁されておりますし、また、今回の報告書でも出ております、いわゆる行政機関個人情報保護法に違反であると。例えば、個人情報保有を事務遂行に限定するべきであるという第四条、あるいは目的外利用を禁ずる第九条、そして個人情報をみだりに漏えいすることを禁ずる第十二条、そういうふうに違反しているということは報告書にも明らかになっているんですが、その中でお伺いしたいのは、第五条、行政機関の長、この場合は防衛庁長官御自身になるわけですが、個人情報の漏えい等の防止のための必要な措置を講ずる、そういう旨を定めた五条になぜ言及しておられないのか。報告書にもありませんし、内閣委員会での御答弁にもなかったんですが、なぜでしょうか。
中谷国務大臣 この点につきましては、報告書の最後に「まとめ」という形で、今回、情報公開の法律の趣旨や個人情報の保護に関する法律に照らして、防衛庁として大変至らない点があって、その点は心から反省をしておわびを申し上げますということで、今回の点につきまして防衛庁として至らなかった点があったことは認めます。
 そこで、この五条との関係でございます。
 五条におきましては、行政機関が個人情報を確保する措置及び個人情報の正確性を確保する措置を講じるよう努めなければならないということを規定いたしております。防衛庁としては、個人情報の取り扱いに対し、安全確保の観点から、システムのセキュリティーの向上、また関係規則等についての教育の充実に努めていたところでございますが、しかしながら、全般的に個人情報に対する認識が十分でなかったことが明らかとなって、国民に不安と疑念を与えたことは遺憾でございまして、このようなことが二度と起きないように、全力で再発防止に努めてまいりたいと考えております。
東門委員 私の質問以外のことも随分入ってきたんですが、私がお尋ねしたいのは、防衛庁長官の責任のとり方がそれでいいのかということなんですよ。いわゆる二月間、五分の一の給与の自主返納という形をとっておられます。それに関してなんですね。
 私は、やはり行政のトップ、組織の長として、責任はまず長官にあると思うんです。そこから、私は、やはり御自身で辞任する、あるいは、これは総理の任命権者としてのもちろん権限になろうかと思いますが、それがあってしかるべきだと思っているのです。
 それともう一点。今回の処分の中で、官房長はたしか給与の、それは十分の一の二月になっていますが、しかし、更迭をされましたよね。ところが、事務次官は更迭はされない、そのまま留任。御本人は、責任は私にあるということで長官に進退伺も出されたというふうに記者会見の中ではっきり述べられておりますけれども、その事務次官、いわゆるトップに長官、そして行政、事務方のトップとして事務次官がおられるわけですよ。そのお二人は軽い。どちらかといえば、官房長、文書課長に比べればかなり軽いと私は思います。そういう処分の仕方でいいのか、本当に妥当なのか、長官の見解を伺いたいと思います。
中谷国務大臣 今回の事柄に対する責任は、最高責任である私が有するものでございますが、まず懲戒処分としても、最高の処分として、この給料の五分の一、二カ月というのをやりました。
 それから、今後の責任のとり方といたしましては、やはり私自身がもう二度とこのようなことを起こさないような体制をつくっていくか。やめて責任放棄をしてしまえばそれで終わりでありますけれども、今までずっとこの問題を中心に調査をしてまいりました。また、防衛庁全般にも責任を負っていかなければなりません。この職にとどまって、もう二度とこのようなことが起こらないように全力でやる、責任を持ってやるという責任のとり方をいたしたいと考えております。
 よく世間では、トップが責任とってやめろと言いますけれども、問題は中身であります。もう二度とこのようなことを起こさないようなシステムをどうつくっていくのか、そのために中をどう改革していくのか、そのために何をなすべきかということが重要でありまして、私にとりましては、このような情報公開に関して二度と国民の皆様方に御迷惑をかけないようなシステムを全力でつくっていきたいという気持ちで今後対処してまいりたいと思っています。
東門委員 今の御答弁、ちょっとよくわからないのですけれども、事務次官を一番重い懲戒だとおっしゃるんですが、私は官房長の方がはるかに重いと思います。どうしても理解できないんですよ。事務次官の方が軽い。職員の皆さんもほとんどそう思っておられるんじゃないですか、防衛庁の皆さんも。そういう次官のもとで、あるいは長官のもとで、本当にこれから再発防止策に向けて、庁を挙げて、庁内一丸となって動けるかというのをすごく疑問に思うんです。特に事務次官、私はやはり、官房長を更迭された、そうであれば事務次官もその対象になるべきだと思います。ですから、そこはぜひ考慮していただきたいと思います。
 時間がないので急ぎます。
 長官は、二十日の記者会見で、今回のリストの問題から、今後は行政の透明性を確保する情報公開と防衛庁の情報保全を行っていくと発言されておられます。防衛庁にとって、開示とそれから保全、どちらが重要なのでしょうか。どのように両立をさせていくお考えか、そこをお聞かせいただきたいと思います。
中谷国務大臣 まず、人事につきましては、やはり官房というのは情報がすべて集まって、それを処理されるという、いわゆるコントロールタワーの部分でありまして、その部分において強化をしていきたいという観点で行ったものでございます。この点につきましては、事務次官に責任を持って防衛庁の立て直しをさせるということでございます。
 それから、お尋ねの点……(東門委員「情報の保全と開示」と呼ぶ)これはやはり、今回のことを教訓といたしまして、情報公開についての情報について、申し込まれた方のプライバシーが守られる、また公平に、分け隔てなく開示請求が実現できるような、そういうことをやっていくのと同時に、防衛庁の本来国を守るという任務に関して、国の安全に関する情報を収集し、また保全をしていくというものは、これはないと防衛庁は任務を果たせませんので、この二つをきちんと峻別して、その情報が入り込まないように仕分けをするというふうなことを、具体的にいろいろと考えておりますけれども、講じることによりまして、両者が両立できるような体制をとってまいりたいと考えております。
東門委員 事務次官の件ですが、実際に報告書にも出ていますよね、長官がシンガポールにおられるときに空幕の情報を上げなかったと、はっきりと彼のミスだということが出ている。それにもかかわらず、やはり残ってもらうということがよくわからないんですが、時間がありませんので、これはこの次にまたお聞きしたいと思います。
 今の情報保全と開示の両立の件ですが、情報保全も確かに大事だと今おっしゃいました。でも、今のこの集中審議もそうですが、今回は新聞報道で、リスト作成が、個人情報を収集して、余分のものが入っている、そういうのが明らかになったわけですね。これは防衛庁の情報が外に漏れたということであって、長官のおっしゃる情報の保全にはなっていないと思うんです。
 マスコミに情報が漏れた、その事実をどう思っておられるのか、今後は情報管理を厳しくしていこうとお考えなのか、今回の件からです、お聞かせください。
中谷国務大臣 今回の件におきましては、新聞報道で、情報公開における防衛庁としてのあり方というものを私自身把握したわけでありまして、今回の件を考えますと、やはり防衛庁における情報公開のあり方につきまして、国民の皆さんから信頼の置ける体制をどうとるかというところに、一番の教訓としてとらえてまいりたいと考えております。
東門委員 とても大事な点だと思います。本当に国民から信頼される政府、信頼される防衛庁、情報開示、しっかりとしていただくということなんですが、本当に今回のケースで、新聞報道がなければ、私たちは一切それを知らなかったわけですよ。
 例えば、私が開示を請求したとしましょう。私についてどういう情報がついているのかというのは、請求した本人としてはとても嫌な思いでいると思います。そういうことに対して、今国民の防衛庁に対する、あるいは政府全体に対する不信感というのはとても大きくなっていると思うんですね。それを本当に具体的に国民に理解していただく、そういう方法を私は考えるべきだと思います。
 そういう中で、きょう、二十分という時間、すごく短い時間です。これでは絶対に不足です。私もたくさん質問を準備してまいりました。余りにも短くて半分もできません。それで、委員長、この防衛庁の問題、いろいろ私も今申し上げました、事務次官の処分の問題等もあります。ぜひ参考人等をお呼びいただいて、審議を続けていただきたいと思います。
 終わります。
瓦委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五十八分散会


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