衆議院

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第8号 平成15年5月12日(月曜日)

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平成十五年五月十二日(月曜日)
    午後一時二分開議
 出席委員
   委員長 鳩山 邦夫君
   理事 木村 太郎君 理事 久間 章生君
   理事 中谷  元君 理事 浜田 靖一君
   理事 前原 誠司君 理事 渡辺  周君
   理事 田端 正広君 理事 工藤堅太郎君
      浅野 勝人君    岩屋  毅君
      臼井日出男君    奥山 茂彦君
      金子 一義君    上川 陽子君
      佐藤 静雄君    佐藤  勉君
      菅  義偉君    中本 太衛君
      西川 京子君    萩山 教嚴君
      林 省之介君    原田 義昭君
      松島みどり君    水野 賢一君
      森岡 正宏君    山口 泰明君
      山本 明彦君    吉川 貴盛君
      吉野 正芳君    伊藤 英成君
      大島  敦君    大谷 信盛君
      大畠 章宏君    川端 達夫君
      玄葉光一郎君    首藤 信彦君
      末松 義規君    中山 義活君
      平岡 秀夫君    三井 辨雄君
      赤松 正雄君    上田  勇君
      中塚 一宏君    樋高  剛君
      赤嶺 政賢君    木島日出夫君
      今川 正美君    重野 安正君
      井上 喜一君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   議員           平岡 秀夫君
   議員           前原 誠司君
   議員           都築  譲君
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長) 谷垣 禎一君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   外務大臣政務官      土屋 品子君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    秋山  收君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    海老原 紳君
   衆議院調査局武力攻撃事態
   への対処に関する特別調査
   室長           小倉 敏正君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十二日
 辞任         補欠選任
  荒巻 隆三君     上川 陽子君
  近藤 基彦君     佐藤  勉君
  中山 正暉君     水野 賢一君
  大畠 章宏君     中山 義活君
  桑原  豊君     三井 辨雄君
同日
 辞任         補欠選任
  上川 陽子君     荒巻 隆三君
  佐藤  勉君     近藤 基彦君
  水野 賢一君     佐藤 静雄君
  中山 義活君     大畠 章宏君
  三井 辨雄君     桑原  豊君
同日
 辞任         補欠選任
  佐藤 静雄君     中山 正暉君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 安全保障会議設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百五十四回国会閣法第八七号)
 武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案(内閣提出、第百五十四回国会閣法第八八号)
 自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第百五十四回国会閣法第八九号)
 安全保障基本法案(一川保夫君外一名提出、衆法第一四号)
 非常事態対処基本法案(一川保夫君外一名提出、衆法第一五号)
 緊急事態への対処及びその未然の防止に関する基本法案(前原誠司君外三名提出、衆法第一八号)


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     ――――◇―――――
鳩山委員長 これより会議を開きます。
 第百五十四回国会、内閣提出、安全保障会議設置法の一部を改正する法律案、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案、自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案及び内閣提出の三法案に対する久間章生君外五名提出の各修正案、武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案に対する前原誠司君外一名提出の修正案並びに一川保夫君外一名提出、安全保障基本法案、非常事態対処基本法案及び前原誠司君外三名提出、緊急事態への対処及びその未然の防止に関する基本法案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として外務省北米局長海老原紳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
鳩山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤英成君。
伊藤(英)委員 民主党の伊藤英成でございます。実は、この武力攻撃事態対処法等、本件についての私の思いも含めて本日は質問をさせていただきたい、このように思っております。
 言うまでもありませんが、民主党は、結党したとき、九八年四月に結党いたしましたけれども、私自身としても、新しくつくる民主党が文字どおり政権を担う政党として、これから大きく発展をさせよう、そして私たちこそ政権を担って日本の運営に、こういう思いで党をつくりました。そのときの基本政策の中にも、緊急事態法制の整備の必要性について、私どもはそこにうたってきたわけであります。
 そして、翌年、九九年の六月には、民主党として、私が座長になりまして、安全保障基本政策というものを取りまとめました。その安全保障基本政策の中にも、緊急事態法制の整備についてさらに詳しく、考え方も含めてそこに述べてきたつもりであります。
 そして、昨年の通常国会、このいわゆる事態法につきまして、私自身も本会議場で党の責任者として代表質問に立ち、そしてまた、事態特の筆頭理事として昨年一年間この問題について取り組ませていただいてまいりました。私自身としても、ぜひとも国民のための緊急事態に対処するすばらしい法律として成立をさせたい、こういう思いであります。
 昨年の八月に、この事態特のメンバーで理事が中心になりまして、欧州各国に緊急事態の法制についての調査に参りました。そのときに実は、私は、ドイツに参りましたときに、ドイツが、この緊急事態法制についてのドイツの基本法の改正等、そのときの政治状況はどういう状況であったかということを私から尋ねました。そのときにドイツの代表の方は、ちょうどドイツが一九六六年から六九年まで大連立の時代でありました、まさにそのときに法整備を行った、こういう状況であります。
 現在、日本の状況は、もちろんそういう状況ではありません。しかしながら、私は、こういう法律の性格上、いわば有事法制という性格上、与党だけで成立させてしまうというようなことはあってはならないだろう、もしもそういうふうにしたならば、それは本当には使い物にならないかもしれない、私としてはそのように思っておりますし、そういうふうにぜひしたいものだ、こんなふうに思います。
 そこで、突然ですが、久間委員にお伺いいたしますが、私が今申し上げたそういうような形で今回のこの緊急事態法制の問題についてぜひ、与党だけではなくて野党も一緒になって本当にいいものにつくり上げたい、こういうふうに私は思うんですが、そのことについての気持ちあるいは決意、それについてお伺いいたします。
久間委員 私どもが今回修正案の提出者になりましたのも、これまでのここでのいろいろな審議をお聞きしながら、やはりこういう点については現在の政府提案を変えた方がいいんじゃないかという思いがあって出したわけであります。そういう意味では、少しでもたくさんの皆さん方の意見の集約を経て、全員とは言いませんけれども、七割、八割の賛同を得ながらこういう法制が整備されることが望ましい、大変いいことだ、そういうふうに思っているところであります。
伊藤(英)委員 もう一つ、意欲といいましょうか、その辺について私としてはしっかりと答弁していただきたい、こういう思いでありますが。
 今回、民主党が緊急事態への対処及びその未然防止に関する基本法というものを出しております。もちろん武力攻撃事態についての修正案も出しておりますが、そういう形で出しております。
 それで、民主党の提案者に伺いますが、今回民主党の出しているこの基本法について、実はこの基本法も、私自身としても去年の五月段階でほぼ似たような形の基本法、もし出すとすればこういうものをということで考えてみた話なんですが、私自身もそもそもこういうものについてしっかりと基本法をつくってこの問題に取り組むということは非常に重要な話だ、こう思っていますが、民主党の提案者に、今回のこの基本法を出している考え方について、この場の人たちやら、あるいは国民にもしっかりと知っていただくためにも、その考え方を述べていただきたいと思います。
前原議員 今お話をされましたように、もともと筆頭理事を伊藤先生が務められて、また党内の緊急事態法制の座長を長らく務めておられましたので、そちらでお話しいただいてもいいことかと思いますけれども、提案者からもしっかりとこの場で発言をせよということだと思いますので、御答弁をさせていただきたいと思います。
 そもそも、憲法の中には緊急事態に対する規定というものがございません。したがいまして、先ほどボン基本法との兼ね合いをおっしゃいましたけれども、ボン基本法には、ドイツの憲法には、緊急事態における国のあり方、そして国が例えば国民の権利、自由をどう考えていくのか、協力体制をどう考えていくのかということを、緊急事態を前提にした文言がございますけれども、我が国にはそういうものがございません。
 したがいまして、基本法というものを、我々は準憲法的なという位置づけをあえて申し上げたいと思いますけれども、基本法をつくって、緊急事態における例えば国の責務、対処に対する基本的な理念、あるいは民主的統制のあり方、そしてまた緊急事態において憲法で保障された国民の権利、自由というものをどう保護していくか、そういった考え方をしっかりと書くべきだろうというふうに思っております。
 しかしながら、政府案あるいは与党の修正案にいたしましても、武力攻撃事態対処法というものは設計図が極めて悪いという認識を持っております。基本法的な基本理念、そして具体的な法律、そしてまたプログラム法という三つのものが混在をしているわけでありまして、そういう意味からも、我が党が出している基本法をもとに設計をし直すということが望ましい修正のあり方だというふうに考えて、提案させていただきました。
伊藤(英)委員 与党の久間理事に伺いますが、今のような考え方はこれからの極めて重要な考え方と思いますし、今回の、いわば今いわゆる修正協議というのが行われているわけでありますが、その中にも、この問題は、こういう形あるいはその精神を酌んだ形にぜひすべきだと私は思いますが、与党理事としていかがですか。
久間委員 今憲法調査会でいろいろな議論が、憲法の議論がされておりますけれども、そういう中でも、そういう緊急事態に対応する規定があっていいんじゃないかという意見が非常に強いわけであります。それを法律でカバーしようとするときに、いろいろと個別法でやっているわけでございますけれども、そういう基本法的なものがあった方がいいんじゃないかという意見は、確かに御指摘のとおりかもしれません。
 しかしながら、今民主党さんが出されてきました基本法を見てみますと、災害、原子力あるいはまたテロ、いろいろなものを網羅しておりますけれども、これで全部網羅しているかどうかも含めて、その法案の中身についてはやはりもう少し議論をする必要がございますので、今直ちにこの基本法案に賛成かと言われますと、そうは言えないという立場でございますけれども、これらについては、多くの国民の世論を背景にしながらどういう方向に持っていったら一番いいのか、これから先の検討すべき、できるだけ早く結論を得べき問題じゃないかという認識は持っております。
伊藤(英)委員 事の重要性についてはしっかりと認識をされて、今後いろいろと検討していかなきゃならないという認識のようでありますから、これはぜひこれから鋭意進めていただきたい、こう思います。
 次に、基本的人権の問題でありますが、民主党としても、先ほども申し上げたように、党の立党のときもそうでありますし、先ほど申し上げた民主党の安全保障基本政策の中にも、シビリアンコントロールの問題と、そして同時にこの基本的人権並びに表現の自由等、こうしたことについての重要性、そのためにこそこのいわゆる緊急事態法制というのはやるんだということを私ども述べているわけでありますが、この基本的人権について、与党として民主党の考え方についてどのようにこれから対応しようとされるのか、伺います。
久間委員 基本的な人権を確保していくということにつきましては、憲法の規定もございますし、そしてまた、今度政府が出しました法案の中におきましても三条四項でその理念が生かされておるわけであります。
 これで十分でないからというようなことで修正案を出されたのかもしれませんけれども、基本法の中に盛られておる条項等を見ましたときに、やはり、さはさりながら、ではこれに盛り込まれなかった点については扱いはどうなんだ、そういう思いもございまして、これらのいろいろな規定の表現の仕方については、いろいろあろうかと思いますが、私どもとしては、現在政府が出してきているこの案について、大体憲法上確保しなければならない問題点が網羅されている、そういうような認識をいたしておりますために、修正案としては提案しなかったわけであります。
 したがいまして、この問題については、なお引き続き検討させていただきたいと思いますけれども、私は、今の段階では、政府の原案で、基本的人権を守らなければならないというのは、平時においてだけではなくて、こういう武力攻撃事態等においてもそうだということがこの条項によって確保されておる、そういう認識でございます。
伊藤(英)委員 本当は順序が逆で、最初に民主党の考え方を聞いた方がよかったのかもしれません。順序が逆になりますけれども、もう一度、今度は民主党の提案者からこの基本的人権等についての考え方を述べていただけますか。
平岡議員 今、久間提出者の方からも、憲法における基本的人権の規定とこの武力事態対処法における基本的人権の規定の関係のお話がありました。
 確かに、憲法というものは法律の上位にある法規範でありますから、当然に、憲法に書かれていることはこの武力攻撃事態対処法においても守らなければいけない、そういう位置づけであろうとは思うんですけれども、ただ、緊急事態というのは、より迅速かつ強力な対処措置が必要になるというようなことから、憲法に書かれております公共の福祉というような制約についても、平常時と比較して異なる場合が想定されるというようなことで人権侵害の危険性が非常に生じやすい、そういう問題があるのではないか。さらに、過去の我が国の歴史を見てみますと、こういう非常時に名をかりた思想統制、言論統制が行われていたということも歴史の中にはあったというようなことでございます。
 そういうことを考え合わせてみますと、憲法で保障している基本的人権の中でも、緊急事態において、ともすれば侵されやすいおそれの強いものについて、入念的にその保障をうたうとともに、権利の救済について重要な事項を明記することが必要と考えました。憲法で既に概括的に規定されていることでありますけれども、さらにあえて我々の基本法案の中に明記させていただいたということでございます。
伊藤(英)委員 久間先生のお話等も聞いていてもそうなんですが、例えば憲法に述べられているからこれはいいんだよという話でももちろんない、もちろんないというか、それは前提になります。そしてまた、さらにわかりやすくこの法の中にもしっかりと物の考え方を述べることは、私は非常に意味のあることだろう、こういうふうに思うんですね。
 先ほど民主党の提案者からも話がありましたけれども、日本の場合に、過去の経緯もある、そういうことを考えれば余計にそうだ、こう思いますし、このことは極めて重要でありますし、国民の多くの人が、この辺がどうなるかということについては非常に心配をしていることだろうと私は思います。そういう意味で、ぜひこのことについても真剣に与党としても考えていただきたい、このように思います。
 次に、国会による、私どもの言う民主的統制という問題について伺いますが、これは、特に今回のこの事態法の中で、その事態対処のことについて国会で終了すべきという議決をした場合の、その法文上に明記をする問題でありますが、実は、おととしになりますね、テロ特措法の平成十三年の十一月の審議のときに、その当時私自身が、当時のテロ特措法についての問題のときにも、自衛隊を派遣して、それの派遣のこと、それからまた撤退の問題についても国会の関与を確保すべきだということで、この問題について私からも提起をいたしました。そのときも政府の方からは、私のいろいろな意見に対して、結局は、議院内閣制のもと、立法府が決議等で決めればそれに従いますという見解をそのときも出されました。そして、今回のこの事態対処法の問題につきましても、私が、平成十四年の四月二十六日、本会議で、党を代表して質問をいたしましたときもこの問題を申し上げました。それについて、小泉総理からも、それは国会の議決について尊重いたしますという話をいたしましたし、そしてまた昨年のこの事態特でも、七月二十四日に、私からこの問題についても明確にすべしということで発言をいたしました。そのときには福田官房長官が、国会の意思が議院の議決等により明示されれば、政府としてこれを尊重して対応することは当然のことでありますというふうに答えられました。
 私は、国会が機能する、こうした問題について十分に国会によるチェック機能を果たすことはどんなにか重要か、こう思います。そういう意味で、この問題について法文上にしっかりと明記することは極めて重要な意味を持つ、このように思います。与党の提出者はいかがですか。
久間委員 これまでの答弁で政府側も答えておられるように、国会が決議したときは、終了はまず間違いなくなされると思います。特に、大統領制と違いまして、我が国は議院内閣制でありますから、そういう意味では、国会の衆参両院で議決されれば、それは終了するということはまず一〇〇%間違いないわけであります。
 そういうことでございますから、法文上に書かなくてもそのように機能すると思いますけれども、書くことについてあえてそれを否定する意義もないんじゃないかと思いますし、そういう前例が警察法等においてもあるわけであります。それは、布告しておるのを、国会が衆参でもう布告の必要性をなしというふうに判断したときは布告をやめるということになっておるわけですから、立法例としてもないことはないわけであります。
 しかしながら、議院内閣制のもとで、そういうふうなことをされて政府がするよりも、情報その他を早く集めておる政府が、むしろ国会のそういう決議の前にそれはやめるというのが通常じゃないか。民主党さんがもし政権をとっておられれば、こういう規定があろうとなかろうと、国会がそういうふうにするときにはまず最初に自分の方でやめられるというふうに思いますので、あえてこの規定について追加することについて異議は申しませんけれども、そういうようなことを考えますと、それほど必要かなというような思いもないわけじゃございません。
伊藤(英)委員 民主党が政権をとれば、即座にこのように法文の中に明記いたします。それは何かといいますと、国民の代表たる国会がどういうふうに機能するか、そして、こうしたいわば緊急事態に対してどのようにフォロー、チェックをするか、そういう機能がどんなに重要か、それをしっかりと明記する話は非常に大きな意味があると思っているからです。今、久間提案者は、そういうふうに直すのにやぶさかでないということのようでありますから、これは、即今回、そのように修正をしてください。
 それから、今の話にも関連するんですが、国民への情報提供の問題であります。
 これは民主党といたしましては、修正案の中に国民への情報提供義務ということを盛り込んでおります。これは、国民にしっかりと状況を知らせるということと、同時にもう一つは、先ほど来申し上げております、国会がそのチェック機能を果たすためにも、適時適切なる情報提供ということは重要である、このように思っております。
 そのようにすることについて、政府並びに与党はどのように対処いたしますか。
福田国務大臣 武力攻撃事態におきまして、政府が国会や国民に対して適切な情報提供を行うということは、これは極めて重要なことでございます。ですから、政府案でも、第九条に対処基本方針の国会承認、第十条に対策本部の設置に係る国会への報告の規定を設けておりまして、行政府と立法府の統一的な意思のもとで武力攻撃事態に対処していくという考えを明らかにしております。
 また、先日の委員会で御説明もいたしました国民の保護のための法制につきましての中で、武力攻撃事態等の状況や被災状況の公表、安否情報の提供など、国民に対する情報の提供についても政府として積極的に取り組むということを明らかにいたしております。
 こういうように、政府としては、武力攻撃事態への対処全般にわたりまして、国会や国民に対する適切なる情報の提供に努めていく考えでございます。
久間委員 このような義務規定を法律で設ける必要があるかどうかは、議論がいろいろあるところだと思います。しかしながら、政府としては、国民に対して絶えず情報を提供することがやはり国民の方から見ても望ましいことでもありますから、そのような規定を入れることについてあえてこれも反対ではございませんが、ただ、義務規定を置くということは非常に、何か、では義務規定がなければ政府はやらぬでいいのかということにも反論すればなるわけですから、そういうことじゃないんじゃないかという思いがちょっと残ります。
伊藤(英)委員 私は、本当は義務規定がなくたってちゃんとやらなきゃいけない話だと思っています。
 参考までに申し上げますが、先般、テロ特措法に基づくイージス艦の派遣のとき、私ども民主党は、イージス艦の派遣について反対をいたしました。私自身は、責任者として反対の形の意見にまとめたんです。なぜかといいますと、情報をちゃんと流さないということなんです。私は、あのときに、本当に憲法にも問題なく、法律上もそれは可能であって、本当に必要性があるなら出すことについてやぶさかではありません、しかしながら、その必要性と状況等について幾ら質問をしてもちゃんと答えない、政府が。だから……(発言する者あり)いや、何を言おうがです。そういう状況だったからこそ反対の形にいたしました。
 要するに、きょうはイージス艦の問題じゃないんですが、情報提供ということがどんなに重要かということなんです。だから、さっきの久間先生の意見では、これもそういうふうにするのはやぶさかではありませんということでありますから、これは、民主党の考え方のように情報提供する義務規定を入れるようにしていただきたいし、そして今後、政府としても本当に、国民に対して、国会に対して情報提供することについて、全力でといいましょうか、十分にそのことについてやっていただきたい、このように思います。――そういうことだから、やってください。
 その次に、民主党が、今回、危機管理庁の設置についてこの基本法の中に入れております。これは、今の日本が縦割り行政等々いろいろな問題がある、そのときに、こういう緊急事態に対してどのように取り組んでいくかといったときに極めて重要な考え方だ、このように思っております。そこで、この問題について本気に取り組んでいくことが必要だ、私はこのように思います。
 そういう意味で、官房長官並びに与党提出者に、今後これについてどういうふうに取り組むのか、伺います。
福田国務大臣 危機事態への対応は大変多岐にわたっております。対応の仕方もさまざまでございます。緊急事態への対応を統括します組織を持つというのも一案ではございますが、既存の組織の協力連携なしには適切な対応はできません。
 そのため、我が国においては、関係省庁が所掌事務に応じて的確に対処し、事態によって関係省庁間の協力連携を図りまして組織の持つ能力を十二分に発揮する、こういうことをするとともに、これら組織の総合調整を機動的、有機的に行うために、内閣官房に関係省庁の危機管理部門を統括する内閣危機管理監を設置するなど、政府全体としても危機に対処する体制を整えてまいりました。
 そういうようなことから、現時点で危機管理庁のような新たな組織を設置することは考えておりませんが、政府としては、国民の生命財産を守るために、今後とも緊急事態における危機管理体制について不断の点検を行い、我が国に合ったシステムの整備充実にさらに努めてまいらなければいけないと思っております。
久間委員 民主党さんの案が、アメリカのFEMAみたいなものを想定しながら出してこられたんだろうと思っておりますけれども、ただ、日本の場合とアメリカとは若干違いますのは、アメリカは、やはり各州が一つの政府として機能しておりまして、そういうものとの兼ね合いでできておるような気がいたします。
 しかしながら、我が国の場合も、危機のときにどうするかの問題については、現在できました危機管理監のもとには情報としては集まってくるし、総合調整もできるけれども、各省庁の上部団体としての機能というのはないんじゃないかというふうな、そういう意見も一方ではございます。
 また一方では、今、行政改革が言われておりますときに、常設機関としてこういう機関を置いて、しかも、民主党さんの案では全国に地方の事務所までを設けるということになっておりますから、そこまですることが国民の世論に合致するのかどうか。その辺については、いまいちやはり議論をしてみる必要がございますので、今直ちにここであの案に賛成かどうかと言われれば、ちょっと賛成すると直ちに言いにくい点もございますけれども、やはり、危機管理におけるそういう主体の組織のあり方、これについては大いに検討してみたいというふうに私たちも日ごろから思っているところであります。
伊藤(英)委員 これは、民主党の提起している内容のこと、それについて、さらにそれをどういうふうに改善した方がいいかとかいう見方は、僕は幾らでもあると思っているんです。しかし、ああいうようなものは非常に必要なんだろう、こう思うんです。
 先回の参考人質疑のときにも、参考人の方からも、ぜひこれを、こういう考え方は非常に重要だからということで推奨をしてくださった方もいらっしゃると思っていますし、そしてまた、官房長官先ほど言われましたけれども、現在の日本の危機管理監を中心とした云々というのは、体制としては非常に脆弱な体制だと私は思う。そういうことでありますし、ぜひこれは今後真剣に検討をすること、そういう形で進めていただきたい、このように思います。
 それから、時間が余りありませんが、この武力攻撃事態対処法の施行日の問題なんですが、これは私もいろいろなときに、今回のこの法律について、いわゆる国民保護のために、国民のためにやるんですよということで、国民保護法制の重要性について何度も申し上げてきたつもりです。そして、この国民保護法制が整備された段階で今回の事態対処法が施行されるという形にすべきだというふうに民主党は考えております。
 それは、さっきも申し上げたように、地方公聴会の意見も、非常に説得ある言い方をされた方もいらっしゃるし、私はもっともだという気がするんですね。また同時に、もう一つつけ加えれば、先回の、昨年の七月二十四日のときも私は申し上げました。この法律ができて二年以内にと書いてあるんだけれども、国民保護法制の整備について、そんなことを待たずに早く体制を整備して、この国民保護法制についての整備の準備を進めてくれという話もこの間もいろいろ申し上げたりいたしました。
 そして、今取り組んできていらっしゃると思いますが、去年から比べれば、二年といったって、もうあと一年しかないぐらいの感じですよ、実際には。だから、まさにこれから力いっぱい頑張って、国民保護法制が整備できたらこの対処法は効力を発するというふうにするのは、私は非常にわかりやすい論理だ、こう思います。どうですか。
久間委員 国民保護法制と非常に関係のあるような事項といいますか、例えば内閣総理大臣の指示権等については、これはそのような考えもあろうかと思いますけれども、今やはり国民が求めておるのは、我が国が武力攻撃事態等の緊急事態になったときに一体どうなるのかという全体像を早く示してくれ、そういう法律がないじゃないかというのが国民の求めているところでございますから、そういう法律については一日も早く成立させて施行させて、その中で国民保護法制と密接な関係がある条項については、今言われたように、もう少し時間をかけていいじゃないかとおっしゃるならば、それもやはりできるだけ速やかに、一年以内に国民保護法制をつくって、それと同時に施行するというのも一つの方法じゃないかと思います。
 いずれにしましても、この法律を早く通してもらいたい、早く成立させてもらいたいというのが今国内の圧倒的な世論ではないか、そういうふうに受けとめておるところであります。
伊藤(英)委員 国民は早く通してほしいと言うんですが、国民を守るための保護法制がしっかりとされていなくて、自衛隊だけが動ける部分を早くしてくれというふうには国民は思っていないと私は思うんです。それは、何のためにこの法律をつくろうとしているかという基本にかかわる問題です。そういう意味で、この国民保護法制を一刻も早く整備をしていただいて、それができたら動けるようにするというふうにぜひしていただきたいということです。
 私に与えられた時間がほぼなくなりましたのでこれだけにいたしますが、実はきょう谷垣大臣にもおいでいただいて、直接質問する時間がなくなって申しわけありませんでした。
 一つだけ申し上げておきますと、実は私は、今この武力攻撃事態法そのものの中身について、幾つかについて触れました。しかし、何といっても、いわばこういう武力攻撃事態なるものが発生しないようにすることが大事でありますし、起こったときに、国民みんなが力を合わせて、協力してそれに対処できるようにしなきゃいけませんね。そのときに、では今の予防外交という外交面がどんなに重要かということで、本日はそれについてもちょっと質問しようと思ったんですが、できなかったんですが。
 そのことと、もう一つは、私は、今日本でいろいろなところに遵法精神が国民になくなりつつあるんじゃないかということを非常に心配するんです。この間もテレビでもやっておりましたけれども、例えば犯罪があるところで起こった。そうしたら、目撃者の人に意見を聞こうと思ったら目撃者が出ないというような話がいろいろ報道もされたりしておりました。何となく私はわかる気がするんですよ。
 例えば、交通の今の状況を見てみなさい。駐車違反、どこでもここでも駐車禁止ばかりにするものだから、みんなが守らない。本当に禁止すべきところを駐車禁止にする、決めたらそれは守るようにするというふうにしなきゃいけない。これはスピードも同じですね。四十キロや五十キロに制限をしているところを九十キロや百キロでぼんぼん走っている。法律は守らなくてもいいかのごとき状況が起こっている。私は、今日本の遵法精神をなくさせている役所の一つは、その要因は警察関係そのものじゃないかとさえ思っている。
 だから、そういうことも含めて、本当に国民が、法をつくったら守るようにしよう、ルールをつくったら守るようにしよう、そういうような社会にしなければ、一たん事あるときにみんなが協力してやるようになるかどうか、私は疑問なんです。
 だからこそ私は、この国会で小泉総理が施政方針演説をされたときも、代表質問の中で一つ犯罪の問題を申し上げたのは、今の日本の状況は本当にいいんでしょうか、そういう意味で、いろいろな決めているルールも本当によくないならそれを直していこうということで、敢然とそうした改革をやらなければ本当に日本はつぶれますよというつもりで申し上げたつもりなんです。この緊急事態の話も皆同じなんですね。
 ということで、ぜひそうした意味で取り組んでいただくことをお願いして、済みません、質問できなくて申しわけありませんということをもう一度申し上げて、私の質問にいたします。どうもありがとうございました。
鳩山委員長 次に、末松義規君。
末松委員 民主党の末松でございます。
 きょうは、質問に入る前に、ちょっと今の議論を聞いていて、前原理事と久間理事の関係で、伊藤先生の方から話をしていた中で、憲法にこういった緊急事態を規定していない、私は、緊急事態、こういう武力攻撃の敵が侵入してきたような事態というのは、基本的にやはり憲法が崩壊する危険性、その過程に対して、現憲法が守っている国民の権利とか自由なんかをきちんと担保することがこの法律の必要なことだろうと思うんです。
 その前原理事の方から、憲法改正というのは、方向的にはそういうことが一番望ましいのかもしれないですが、今実際に憲法改正というのは急には現実問題としてなかなかできにくいということであれば、やはり基本法案として民主党が提出しているような形でまとめること、これはまずは憲法との関係できちんとすべきことじゃないかと、そういう意を強くしたんですけれども、再度ちょっと久間先生、憲法調査会で憲法のことは考えているから後はということは、今はという話ではなくて、そこのところをもう少しきちんと御説明いただきたいと思います。
久間委員 いや、決してそういう意味で言ったわけじゃございませんで、憲法でそういう規定があった方がいいという議論が憲法調査会でも出ておるし、そして憲法にそういう規定がない現段階でどうした方がいいのか。今、日本ではいろいろな個別法がありまして、それで対応してきている。だから、それはそれで一応機能しているわけですね。
 そして、基本法をつくったときに、今の民主党さんの案では、いわゆる原子力災害あるいはまた災害、こういったことまであるけれども、それらについても災害対策基本法という基本法がございますし、あるいは原子力災害特別措置法という法律もございますから、そういった形との整合性の問題もありますし、あるいは治安関係については、警察法で内閣総理大臣が布告を出すような形にもなっておりますから、全部そういう形をどういうような構図でつくり上げるか、やはりこれは議論をしていく必要があるので、今の段階で民主党さんが出されている基本法に賛成しろと言われても、直ちに賛成しかねるという意味で言ったわけでございまして、そういう考え方を否定しているわけではございません。
末松委員 そうしますと、では、そういう整理の仕方ですね、緊急事態という整理の仕方で、そういった切り口で問題を考えること自体については極めて意味があるというお考えでよろしいですか。
久間委員 それも一つの方法だとは思いますけれども、ただ、いろいろな切り口があるわけでございますし、いろいろな、内容がばらばらなものですから、それを一つの概念で一つの法律としてまとめることが適切かどうか、これもやはり議論はしてみないといけないんじゃないか、そういうふうに思いますので、私は、基本法というのがあっていいじゃないかなという思いがある反面、では、どういう形の基本法というのがつくれるのかなと思ったときには、必ずしも一つの解が、ここで解答が出てくるほど今まとまっていないということで、今こういうふうにお答えをさせていただいているわけであります。
末松委員 民主党の提案の方が、まさしく緊急事態になったときにどうあるべきかと。それに対するいろいろな訓練とかのことをやはりやっていかないと機能しないんですよ、幾ら法律をつくっても。だから、危機管理庁ですか、民主党の方の法案の中には、そういった組織を全体として総括するようなことの中で国民に対して啓発をしていき、あるいは、国民の皆さんからの協力をいただくようなそういう場も、やっていく中で緊急事態そのものに対して国民が習熟していただくというようなことが一番の大きなポイントでございますので、どうかその点をお含みおきいただきまして、ぜひこのお話し合いを深めていただきたいと思います。
 では、それで結構です。
 それから、今の民主党の法案の観点からいいますと、例えば、情報公開等がきちんととられないといけないという立場から官房長官の方にもお伺いするのでございますけれども、例えばアメリカなんかでは、戦争時において政府のとった措置の記録をすべて保管あるいは保持して、そういうことを義務としてきちんと保管すべきという義務規定があるんですね。
 これは、どうしてそういうふうなことがあるかといいますと、後できちんと政府のとった措置が適切であったかどうかを、ある意味では裁く、裁かれるという前提のもとでむちゃなことはできないという趣旨でもありますし、また、国民に対して補償をしなきゃいけない。そういった観点からも、その根拠となるべき政府がとった措置についてきちんと保管、保持するという義務規定があるやに私は聞いておりますが、政府がこういった措置をとったということがないと、今度は、勝手にそれは何か戦争時に自分で逃げてやった行為だから、それは補償の対象にはなりませんよとか言われたら、後で泣き切れないわけですよ。
 ですから、そういったことについてこの法律ではどういう担保がなされているのか、お聞きしたいと思います。
福田国務大臣 武力攻撃事態におきましては、この法案は、我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するために、国が主体的な役割を担って万全の措置を講ずる、こういうことになっているんです。
 そういう際に、政府のとった措置の記録を初め、いろいろ残すべきものがあるんだろうと思いますが、そういう文書等につきましては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づきまして、適切に保管、管理されるということになります。(末松委員「この法律では、ないんですか」と呼ぶ)この法律、ですから、武力攻撃事態という、これに対処する法案としては、そういう極めて大事な事案というか記録すべき内容があるわけですから、それは、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づいて適切に記録され、そして保管されなければいけないということになるわけであります。
 いずれにしても、政府としては、これは今委員もおっしゃられたように、この武力攻撃事態への対処に際して、国民への説明責任というものは、これはもう極めて大事なことでありまして、そのことは、その責任を全うするために十分なる対応をしていかなければいけないというように考えております。
末松委員 そのような観点も含めて、次に参りますけれども、やはり戦争時において人権が制約されるということが過去あったわけですね、第二次大戦でも。そして、特に戦争反対を叫んだら警察にしょっぴいていかれるとか、そういうふうなことで大変な目に遭ってきたわけですが、ちょっとこの前の四月二十四日の事態特において、工藤委員の質問に対して福田官房長官が、土地建物などの一時使用とか収用に関しましてこういう発言を行っているんです。
 例えば、政府が国民に土地建物の一時使用とか物件の使用、収用に協力を要請した場合に国民が従わなかった、そうした場合に罰則はあるのかと言ったら、これに対して長官の方で、「同意の求めや要請を正当な理由なく拒否したときは、都道府県知事が土地等を同意なくして使用し、または物資を収用できるようにすることを想定しておりますけれども、拒否したことについて罰則を科すということは考えておりません。」という話なんでございますけれども、この場合、政府が考える正当な理由、その正当な理由がない場合は、それは都道府県知事が勝手にもう使用していいという話になるわけですよね。
 これは、やはり基本的人権の関係からいって、何が正当な理由なのかということ、これをちょっと明示してもらわないと、なかなかここはおかしいなということになるんですが、その点いかがですか。
福田国務大臣 正当な理由というのは、これは要請に応ずることが極めて困難な客観的な事情がある場合に限られる、こういうことでございます。
 例えば具体的に申し上げれば、その対象となる家屋が老朽化が進んでおって、そして使用に適さない、こういう場合もあるかもしれません。それからまた、対象となる家屋が既に他の避難住民などでいっぱいになってしまっているというような、事実上使えないというようなこともあるわけでございまして、そういったようなことを想定しているわけでございます。
末松委員 そうしますと、やはり自分としてはどうしても先祖伝来のこの土地の建物にしがみついて、これは何とかしてずっとそこにいたい、そしてその家屋についてのけと言われても嫌だという話になった場合には、これはどういうふうな、正当な理由ではないということで土地を収用されるとか、そういうことになるわけですかね、建物が。
福田国務大臣 ただいまの事情だけでは正当な理由というわけにはいかないだろうと思っております。
末松委員 そういったことについて、何かガイドラインみたいなことは公表されることになるんでしょうか。
福田国務大臣 この辺につきましては、今後、国民の保護の法制を議論するときに、いろいろとその必要性があるかないかといったようなことについて、こちらももちろん考えますけれども、御検討、御討議願いたいと思っております。
末松委員 こういうことを考えると、やはり国民の方は非常に不安になってくるわけですよ。だからこそ、民主党が言うように、まず国民の保護に関する法制をも示していただきたい。
 それが、この事態対処と同時に国民の保護の法制、これを一体化してもらわないと、単にまずこの事態対処だけあると、自由に、当然自衛隊としてはまずは敵をせん滅することが主な目的ですから、これは当然のことながらやっていただかなきゃいけないんですけれども、ただ、そのときに、逆に国民の方がその前方でいろいろいたり、何だかんだ住んでいたりすると、これこそ自衛隊そのものも機能しなくなるわけですよね。だから、一緒に緊急避難させる。させたときに、では、その次の日から途方に暮れないように、食物とかそういったことを同時的にやらないとやはり理屈としてはおかしいんじゃないかと思うんですよね。ぜひその点についてちょっと御意見といいますか、お考えを。
福田国務大臣 おっしゃるような、これは二つの要素があると思います。それは、最終目標は何かということ。武力攻撃を受けるという緊急事態が生じたときに、国家国民、また自分も含めて地域の隣人、そういう人たちの安全を守るというために行われるということでございますので、それはそのときの状況を見て恐らく当事者である方々も理解をしてくださるものだろうというふうに私は思いますけれども、しかし、確かに微妙な判断というのはあるんだろうというように思います。
 そのときは、当然、人権を守るということもございますし、また、守らなければいけないことはこれは守っていかなければいけないということもございますので、この点について今後具体的にどういうものが、どういう内容が適切であるかということはお示しさせていただきたいというように思っております。
末松委員 多分、日本の国民は非常にそういった意味で遵法精神が強いですから、そういった意味で協力はしていただくことになると思いますけれども、自分の財産権とかいう話になってきますと、最後は裁判という話になってきますから、そこはやはり法的にきちんとしたものが当然必要だろうと思います。
 それと、武力攻撃の関係でいきますと、イラクの戦争が一番最新の我々の事例なんですけれども、あの中で私は極めて際立ったのは、まず、戦争という場合、日本が巻き込まれる場合、ミサイルがどんどん飛んできて、日本の防衛の中枢神経などを破壊して、それから地上軍がやっていくというような、これからの近代戦というのはああいう形でなるんだろうというのをアメリカが手本を示したことだろうと思います。
 そういった中で、ミサイルの問題についてもちょっと触れておかなきゃいけないんですけれども、この前、内閣法制局長官が、例えば万が一、これは仮定の話ですが、北朝鮮がミサイルを発射する蓋然性が高い、そしてその照準が日本に向けられていることが極めて高い、そして、防衛庁長官も言われましたが、そこで燃料の注入などをやっているということであれば、これは攻撃の着手であるということで、これに対して我が国の自衛権を行使することができるというお話をいただいたわけでございます。これは法理論上でございます、そしてその能力はないということなんでございますけれども。
 ただ、そのときの自衛権の場合、必要最小限度という話に当然なりますから、そういった場合には、例えば北朝鮮のミサイル基地といっても、ノドンというミサイルは二百以上の基地が日本に照準を向けているという話を言われているんですけれども、それに対して先制的に、ミサイル攻撃の着手が始まったという認識のもとでそこを攻撃、法的にはできるということですが、もし二百とかそのくらいのたくさんになってきました場合に、これは大変だなと思うわけですが、そういうときに、日本の場合は、法理論的には二百なら二百を攻撃できるんでしょうか。
石破国務大臣 委員、すべて御案内のことかと思いますが、先制攻撃という概念は私どもとっておりません。したがって、先制攻撃的というようなお話をなさったのだろうと思っております。
 これは、二百であろうが幾つであろうが可能なのだという考え方をとるのか、それとも、その中で日本を向いているのがどれなのかということなんだろうと思います。
 理屈からいいますと、日本に向けてまさしく攻撃の着手とみなし得る一つの要素たり得るというような事象が起こったミサイルに対してやり得るのであって、その全部、例えばそのミサイル基地が北朝鮮全土に、仮に北朝鮮としましょう、全土に分散をしておった場合には、これは必要最小限なのかどうなのかということにかかってくるのだろうと思っています。
 ですから、まさしく委員御指摘のとおり、すべて、その二百全部に対して、自衛権の発動としての武力攻撃を我が方がなし得るかどうかというものはそのときの判断だと思いますが、必要最小限というところにかかってくるというふうに判断をしておるところでございます。
末松委員 ミサイルが飛んできてどこかの都市が大被害を受ける、そうしたら、その来た基地に対しては、また来る蓋然性が高いということ、プラスほかにも飛んでくる可能性もあるということで、そこは今の防衛庁長官の答えであれば、法理論的には可能だということですね、必要最小限度を超える自衛権の行使ではないということですから。
 今度は、アメリカが、日米安保条約の履行ということでこの北朝鮮の基地をたたいていった場合に、それに対して、北朝鮮から、日本に対して当然攻撃をしてくる、あるいは日本の中における在日米軍に攻撃をしてくるということもあるかと思うんですけれども、その場合でも、当然のことながら、同じ日本国の自衛権の行使として、飛んでくる蓋然性の高い基地に対しては法理論的には日本は攻撃できる、これは同じことを聞いているんですけれども、米国が攻撃をしたとしても、それは、日本に例えばカウンターアタックで来た、あるいは来る蓋然性が高い、情報が明らかであるという場合には、攻撃できるということでよろしいんですね。
石破国務大臣 現在の政府の立場といたしましては、それはガイドライン等々に基づきまして、その打撃力の行使というのは米国にゆだねておるという政府の立場は、まず申し上げておきたいと思います。
 また、そういう委員の御指摘のようなこと、すなわち、アメリカが先にそのようなことを行うだろうか、先制攻撃のようなことを行うだろうかということは、私は極めて想像しにくいことではないかなというふうに思っております。
 アメリカが攻撃をした、それに対して北朝鮮の方から、仮に米軍基地であれ日本の本土であれ、攻撃があった場合にどうなるかということでございますが、それは本当に、冒頭申し上げましたように、その場合の打撃力は合衆国にゆだねておりますので、私どもとして考えられるのは法理論上どうかということになりますが、法理論上、次から次へ、では次はどのミサイルが撃たれるのかわからない、北朝鮮のミサイルというのはかなりの部分が地下化されておると思われますので、モグラたたきみたいな話になりますが、どれが撃たれるのかわからないというような状況になったときに、必要最小限という判断をどう行うかということだと思います。
 しかし、その場合には、もう実行の着手どころか、我が国は被害を受けておるわけでありますし、そしてまた、もうほかにとるべき手段もないというような状況になっておるのかもしれません。そのときに必要最小限というのは何なのだろうかということですが、何度も何度も一番最初に戻って恐縮ですが、私どもとして、そういう相手国に対して武力攻撃をみずから行うということは現在想定をしておらない、政府の方針としてもとっておらないところでございます。
末松委員 北朝鮮が国連安保理で経済制裁がまず仮にとられたとする、そういったときには宣戦布告行為であるというふうに受け取るんだということを報道で北朝鮮の関係者が言っておりましたですが、こういう場合には宣戦布告行為という形で受け取るのであるという位置づけを彼らがやった場合、この場合は、この法案におきまして武力攻撃の予測事態というようなことになるんでしょうか。
石破国務大臣 これは、仮に経済制裁を行ったときに、それは宣戦布告だ、こう言われても、なかなか国際法的には、本当にそうでしょうかということになるんだろうと思います。もちろん、これはもう委員が一番よく御案内のとおりで、宣戦布告という行為が今あるのかという議論はさておきまして、経済制裁をしただけで宣戦布告とみなされましても、これは私どもとしては、そんなつもりは全くないわけでございますね。
 それで、ではそれがそういう事態になるかといえば、それは個々具体的な事象に照らしてみないとわからないと思うのです。向こうが、それは我が国に対する宣戦布告とみなしたぞ、こう言いましても、それだけですべて予測事態あるいは武力攻撃事態というものになるわけではございません。やはりそれは、向こうがどういうような行為に出るか、そして意図の明示がどのようにあるか、それぞれを個々具体的に判断をするものだというふうに考えておるところでございます。
末松委員 時間がなくなってきましたので、現実に即した質問をもうちょっとさせていただきたいんです。
 例えば、これも仮にですよ、これは仮定ですけれども、最後の質問になるかと思いますが、九月十一日のような米国のテロ事件が日本で発生したとしましょう。それが例えば、これも全く仮定の話ですが、北朝鮮の工作員がやったというような事実が判明したといった場合に、アメリカは九月十一日の行為を、あれは戦争である、戦争だということで彼らは自衛権の行使に至ったわけでございますが、では、日本がこの法案で、そういう大規模なテロをもって、これは具体的にケース・バイ・ケースで判断されるんでしょうけれども、ただ、それが戦争行為であるというふうに認定した場合には、これはこの法律の発動になるんでしょうか。
石破国務大臣 そういうケースは排除されないのだと私は思っています。
 それは個々具体的な場合によりますが、アメリカがあれを戦争だと言ったのは、ここのところは国際法的な詰めが必要ですし、アメリカの中にもいろいろな議論があると聞いておりますが、要は、オサマ・ビンラーディン率いるがところのテロ集団に対して戦争だと言ったのか、それとも、それをタリバン政権なるものがかくまっていて警察権が及ばざるような状況が発生したので、それで戦争だということになったのか、そこのところは、実は、私はもう一度整理が必要なんだろうというふうに思っています。
 しかし、今委員御指摘のように、それが北朝鮮の工作員により組織的、計画的に我が国に対して九・一一のようなことが起こったということであり、それが国家というものがほとんどクロスしたような状況で関与しておるというような状況になるとするならば、それが我が国に対する組織的、計画的な武力の行使であるということになり、そしてまた、これは自衛権行使と武力攻撃事態とまた認定が少し違いますけれども、それが武力攻撃事態となるような状況であるというほかのいろいろな状況が積み重なってくれば、そういう事態は最初から排除はされないというふうに考えています。
 ただ、それがどのような事象であるのかということと、そしてまたそれを加えたものがどのようなものであり、国家との間にどういうような関係があるかということを精緻に見なければいけないので、一概のお答えは難しいかと思います。
末松委員 そこで、戦争と認定された場合には、外務大臣、せっかく呼んでいますので、そのときには、日米安保条約の日本国の領土における攻撃がなされたということで、発動になるという理解でよろしいですね。
鳩山委員長 いいですか、末松君、時間が来ておりますので。(末松委員「わかりました。もうこれで終わりです」と呼ぶ)
川口国務大臣 まず、安保条約によれば、御案内のように、我が国に対して武力攻撃が発生をした場合には、これは日米安保条約の第五条の対象になるわけですけれども、具体的なケース、今おっしゃったようなケース、これもいろいろな形、今防衛庁長官がおっしゃったようにいろいろな形をとり得ますので、これが具体的にあらかじめそうであるかないかということをお答え申し上げるというのは難しいかと思います。
末松委員 以上です。終わります。ありがとうございました。
鳩山委員長 次に、田端正広君。
田端委員 公明党の田端でございます。
 大臣並びに提出者の皆さん、大変に御苦労さまでございます。
 有事関連三法案は、昨年の通常国会、臨時国会、そしてことしの通常国会と、三国会にわたって議論されてきました。今日、そのトータルの審議時間は既にもう八十五、六時間に達していると思うわけでありますが、私は、そういう意味でも非常にじっくりと時間をかけ、慎重に議論してくることができたな、こう思っております。
 そしてまた、先般、国民保護法制に対する考え方といいますか骨子ということも提案され、そしてまた民主党及び自由党からも対案、修正案も提案されました。今また、与党と民主党との間では修正協議ということで精力的に議論もされているわけでありまして、私は、国家の主権と独立を守り、そして国民の生命財産を保護する、そういう立場から、この修正協議がぜひ合意し、そしてまた多くの賛成を得て成立することが望ましいという意味で、民主党との合意というものを非常に期待している一人であります。そういう前提で二、三質問させていただきたいと思います。
 国民保護法制について、まず民主党の提案者の方にお伺いしたいと思います。
 国民の避難誘導、救援、これに関しての国民保護法制の制定というのは大変大事なことだと思っておりますが、民主党の修正案によりますと、政府案にある国民保護法制二年以内制定という文言が、整備目標が削除されているといいますか、ないわけであります。そういう意味で、民主党案の考えのように、国民保護法制が制定されるまでの間は関連三法案は施行しないということも一つの考え方ではあるとは思いますが、しかし、今は非常に時間的にも大事なときであると思いますから、そういう意味で、いつまでに保護法制を整備されるべきなのか、どのような時間的目標をお考えになっているのか、まずお尋ねしたいと思います。
前原委員 今御指摘がありましたように、有事法制というのは、有事に際して国がどう国民や地方公共団体に協力を求めていくのかという部分、これももちろん大切でありますけれども、それと同時に、協力を求められた国民なりが、憲法上で認められた基本的人権をどう保障されるのか、あるいは侵害された場合の補償手続、損害賠償等はどうあるのかということも極めて重要であります。
 したがいまして、国民保護法制と他の法案というものの施行期日の一体化を我々は求めているということで、その点は、今指摘をされたとおり、我々は主張させていただいております。
 では、具体的にいつまでにそれをということでありますけれども、もともと、昨年の通常国会にこの法案は出されているわけですね。そのときにもう、二年以内ということでありますので、それから考えると、私は、一年以内にはやはり国民保護法制は出されるべきだと思いますし、この有事法制というものを一体としてスタートさせるためには一年以内、しかもできるだけ早い方がいいというのが我が党の考え方であります。
田端委員 官房長官、今民主党の提案者の方から、民主党としてはあと一年が時間的なタイムリミットだ、こういうお話がございました。今お話があったように、昨年法案が出されてから二年以内ということですから、既に一年が経過した。そうすると、残る一年、つまり来年の通常国会ということがそういう意味では確かに当時からの目標設定であったと思います。
 そうしますと、この法律は、そのままでいきますと、ちょっとそこのところの整合性がおかしくなると思いますが、官房長官はどうお考えなんですか。私もやはりあと一年が時間的な制約のタイムリミットだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
福田国務大臣 国民の保護の法制は、国民の生命、身体及び財産を守る、そういうことのために必要な事項を定めるというものでございまして、その重要性というのは政府も十分認識しているところでございます。
 他方、法制の内容は、国民の権利義務とも関係がありますし、検討事項も多岐に及びますので、今後とも、地方公共団体や関係する民間機関等の意見を聞きまして、十分な国民の理解を得ながら整備を進めていくべきものであるというように考えております。
 政府は、したがいまして、武力攻撃事態対処法案の成立後、早急に、関係する団体や機関との本格的な調整を進めまして、そしてできるだけ早期の整備に努めてまいりたい、こういうように考えているところでございます。
田端委員 できるだけ早急にというお話であり、当初の目標からいくと来年の通常国会、それができるだけ早急にということかな、私はそういうふうに理解させていただきたいと思いますが、その場合に、地方自治体あるいは関係民間団体との話し合いといいますか、理解を求めていくということが大変大事だと思います。
 先般、統一地方選挙があったために、知事会に対する説明とかあるいは意見聴取、話し合いというものがちょっとおくれたんじゃないかというふうに伺っておりますけれども、市長会、町村長会等は進んでいるのかもわかりませんし、また民間の方も進んでいるんだろうと思いますが、その辺の経過はどういうふうになっているんでしょうか。今後の方針をお示しいただきたいと思います。
福田国務大臣 地方公共団体に対しましては、国民の保護のための法制の輪郭につきまして、今年一月以降、都道府県を初め、全国市長会それから全国町村会等に対する説明会を実施してまいりました。これに対する地方公共団体の質問とか意見につきましては総務省を通じて取りまとめを行いまして、その主なものについては一問一答形式で地方公共団体に回答するということをしておりますが、と同時に、官邸のホームページにも掲載をいたしております。さらに、その意見の一部につきましては、さきの委員会で御説明をいたしました、国民の保護のための法制についての内容にも反映をいたしているところでございます。
 国民の保護のための法制については、武力攻撃事態対処法案の成立後、本格的な調整に着手するということにしておりますが、今後とも、節目節目で地方公共団体の御意見を伺うことが必要であるというように考えております。
 その中で、都道府県知事から直接御意見を伺う機会を設けることもぜひ必要と考えておりまして、現在総務省において日程調整を行っておるところでございます。都道府県知事から直接御意見を伺うという会は、これはもう既に一回やっております。そこでいろいろ御意見を徴しておるところでございます。
田端委員 次に、修正協議で大きな焦点になっている人権の問題についてお尋ねしたいと思います。
 国家緊急時における有事法制の目標、究極の目標というのは、私は、やはり国民の人権を保障するということが大きなテーマだ、こう考えているわけで、そういう意味では大変大きな、人権というのは大事な問題だ、また、当然ここのところはしっかりさせなきゃならない、こう思っているわけであります。
 政府案では、既に憲法で保障されている自由と権利の尊重についての規定ということで、憲法との関係からいって、特別に個別の法律にその人権の部分を特記するというのはそれなりの必要があるんではないか、それなりの理由がなければやる必要はないんじゃないかといいますか、既に憲法できちっと整合性があるからそれでいいんではないかというお考えのようでありますけれども、具体的な事例といいますか、こういうものを特記して明確にするというふうなことについてはどういうふうなお考えなのか。政府としては、考え方としてそういうことを示すのはいいんではないかというふうなお考えのようだと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
福田国務大臣 日本国憲法は国の最高法規でございます。憲法に規定されている事柄につきましては、これは国家がそれを遵守しなければならないのは当然でございまして、法律において同様の内容の事柄に関する規定をあえて設ける必要はないものと考えます。しかし、一般論として申し上げれば、立法の手法として、憲法に定められている事柄を尊重する旨の規定を法律に設けることも、これはあり得るものと考えております。
 政府案では、第三条第四項において、「日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならず、これに制限が加えられる場合は、その制限は武力攻撃事態に対処するため必要最小限のものであり、かつ、公正かつ適正な手続の下に行われなければならない。」と明記いたしておりまして、武力攻撃事態への対処と国民の自由及び権利との関係に関する基本理念を述べております。これは憲法における基本的人権についての考え方にのっとったものでございまして、同項の規定は、武力攻撃事態において、憲法に定められている事柄を尊重する旨の規定として適切な規定であるというように考えておるところでございます。
田端委員 今官房長官の方から、この三条四項のところ、これで基本的人権に対する考え方は明確に示されている、こういう御説明でありました。
 民主党の提案者の方にお尋ねしたいと思いますけれども、民主党の緊急事態法の六条のところで、緊急事態における基本的人権の保障ということで六点にわたっての具体的な事例が提示されているわけであります。これはそれぞれ大事なことだと思うんですが、例えば、六番目に書かれている「緊急事態に対処するために実施された措置に係る損失補償、不服申立て、行政事件訴訟等の手続においては、国民の権利の迅速かつ確実な救済のため、特別の考慮が払われなければならないこと。」こうなっていますが、平時、有事を問わず、行政不服審査法とか行政事件訴訟法、国家賠償法あるいは個別の損失補償の規定というものは既に整備されているわけでありまして、また、そういう権利の侵害に対しては裁判ということも考えられるわけであります。そういう上でなおかつこういうことを示されているということについて、人権保障という点でどのような具体的な問題があるなり、あるいは法的整備が必要なのかという意味で、ここの個別具体事例との関係性をお示しいただきたい、こういうように思います。
平岡議員 確かに、委員が御提起ありましたように、現在の日本の法制度の中では、さまざまな国民の権利侵害に対する救済の制度というのは整備されているというふうに我々も思っておりますけれども、ただ、緊急事態ということを考えてみますと、いろいろなことが大量に起こってくる、短期間の間に大量に起こってくる、そういう特殊性があるというふうに思っていまして、そういう場合には、いかにして迅速に円滑にそういう権利侵害を救済していくかということが非常に大事な問題だろうというふうに思っています。
 そういうことで、具体的にどういうことがあるかということはこれからも検討しなければいけませんけれども、当面念頭に置いておりますのは、例えば、いろいろな権利侵害が起こった場合にどういう救済があるのかというその救済の手段なり内容なりということを国民の皆さんが相談できるような窓口を各地に設けたり、あるいは裁判になった場合でも、たくさんの裁判が起こってくる可能性がございますので、裁判所において特別にそういう事態に対応できるような、臨時にそういう部署を増設するといったようなことで迅速な権利の侵害に対する救済を図っていこうということで、法律の中で、特別の考慮を払わなければならないというような形でお示しさせていただいたということでございます。
田端委員 よくわかりましたが、官房長官、そうしますと、私は、やはり政府案においても、武力攻撃事態が終了した段階で、国民のそれぞれの被害に対する、あるいは復興復旧に対しての施策というものを明確に示す必要があるのではないか。例えば積極的な公的支援というものをやっていくという、このことを明確にしておかないと、こういう、今民主党がお話があったように、いろいろなことが起こるのではないかという不安になってくるわけでありますが、その点について、官房長官、いかがでしょうか。
福田国務大臣 今の御質問ですけれども、これは一言で申し上げれば、やはりなかなか難しい問題ではあるんです。
 御説明申し上げますと、武力攻撃事態における武力攻撃がどのような規模でどのぐらいの期間継続するか、それから事前に予測すること、そういうことを事前に予測することは、これはもう不可能ですよね、これは実際問題として。したがいまして、武力攻撃による国民の被害についても、どのぐらいの大きさのものになるのかは、あらかじめ想像することは、これは困難でございます。
 また、武力攻撃事態において国力がどの程度損耗するかということも、事態によって大きく変わってまいります。国の財政が武力攻撃終了後どのような状況にあるかということも、これも予測するのが困難であるわけでございます。
 したがいまして、そうした前提のもとに、いわゆる戦災補償について法律であらかじめ定めるということは極めて困難な問題であるということでございます。
 そういうように、武力攻撃による国民の被害にはさまざまな場合がありまして、個別具体的な判断が必要と考えております。その上で、補償等の問題については、武力攻撃事態終了後の復興施策のあり方の一環として政府全体で検討すべきものと考えております。
 なお、これとは別に、今後の個別の事態対処法制におきまして、土地の使用や物資の収用などの対処措置を定める場合には、この実施に伴う国民の損失について、それぞれの法制の中で当該損失を補うための損失補償に関する規定を置くことになるものと考えておるところでございます。
田端委員 武力攻撃事態が終了した時点で、そういう復興施策に関して積極的にやる、こういう御説明がありましたので、そういう意味では、そういうことを踏まえて、また民主党のお考えとここのところはすり合わせる必要があるかな、こういうふうに判断した次第でございます。
 もう一点だけお伺いいたしますが、FEMAという一つの大きな、アメリカのFEMAを想定した危機管理庁ということを民主党はお考えになっているようであります。私もこれは理解できるわけでありますが、しかし、これはなかなか難しい問題だなと思います。
 先日アメリカに行ったときに、安全保障関係の人たちからいろいろな意見交換をさせていただいたときに、アメリカの現状についていろいろお伺いしました。そうしたら、やはり米国でも縦割りの弊害というのは大変あるようでありまして、そしてまた各州の独立した政府、その各州間の温度差というものも非常にあるようでありまして、アメリカにおいて、文民サポートチームというものが国家警備隊と一緒になって活動しているという事例は三十二州になっている、こういうことでありました。したがって、日本においてもこれはなかなか難しい。整合性、各省庁の関係、法律との関係、役割分担あるいは行政改革の問題等々いろいろあるなというふうに思いましたが、この問題について官房長官の御説明をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
福田国務大臣 今、委員御説明ございましたFEMAにつきましては、これは日本語に訳せば連邦緊急事態管理庁、こういうことになるのでありますけれども、これは本当に縦割りの弊害を排除する、そういう趣旨も強いんだろうと思いますけれども、横断的に、本当に大胆な改革をするということであると私も理解いたしております。
 しかし、我が国においては、既存の官庁がありまして、そして、そのおのおのの官庁が今しっかり対応しているということであります。それは縦割りのことでございますけれども、横断的にという意味におきましては、これは事態によるわけでございますけれども、関係省庁間の協力連携を図るために、組織の相互調整を機動的、有機的に行うがために、内閣官房に、関係省庁の危機管理部門を統括する内閣危機管理監というものを置きまして、縦割りの弊害を努めて排除する、こういうような体制にしておるわけでございます。
 それから、日ごろから、さまざまな緊急事態への対応マニュアルの整備とか実践的な訓練などを通じまして、それぞれの事案への対処能力の向上に努めるということをいたしておりますとともに、実際に事案が発生した場合には、必要に応じて、災害対策基本法とか閣議決定などに基づいて政府としての対策本部を設置するというようなことでもって政府が一体となって対処する体制を整えてきております。
 そういうことから、現時点で、FEMAとか危機管理庁とか、そういったような新たな組織を設置することは考えておりませんが、国民の生命財産を守るという観点から、政府といたしましては、これは今後とも不断の努力をして、抜け穴がないかどうか、そして緊急事態に機動的に対応できるかどうか、そのことに思いをいたしながら体制の整備にさらに努めていくということを考えておるところでございます。
田端委員 以上で終わります。ありがとうございました。
鳩山委員長 次に、工藤堅太郎君。
工藤委員 自由党の工藤堅太郎でございます。
 法案の質疑に入ります前に一点だけお伺いをしておきたいと思うのでありますが、それは、九日発覚した日本飛行機株式会社の水増し請求問題であります。
 これまで、防衛庁の調達本部とかかわるいろいろな産業、ついこの前も、十二社で水増し七百二十五億円を返還したといったようなことで出ているわけでありますが、この日本飛行機株式会社の件も、役員も認めているといったようなことで、何でこういうようなのが起こるのか。そのほとんどが、いわゆる工数のつけかえといいますか、民間用の作業を防衛庁向けと偽って、そして不正請求をするといったようなことで、ほとんどのところがこういうことをやっているというような、そう考えてもいいように数が多いわけであります。
 それで、何で防衛庁がこうなのかというようなことなのでありますが、調査がなかなか難しいので一遍に出てこないというようなことを恐らく理由にすると思うんですけれども、そんなことでは通る話ではない。これがもし、例えば雪印みたいな国民の口の中に直接入るような食品の場合なんかであれば、ほとんどは、倒産とかやっていけないぐらいの致命的な問題になりますよ。それを、知らないところでそういうふうにやっている。
 これが、我が国の防衛産業を育成するといったようなことで、それはまた大事なことでありますけれども、四倍も五倍も高いものを買っているということなんですね。これは、四割高いとか五割高いじゃないんですよ。四倍も五倍も高いものを買って、それで、しかもまだ水増しをして、本来、今自動車でも何でも国際競争力の時代ですよ。こんなことをやっていて、いつまでも許されるものじゃないというように思うんです。
 私は、一番驚くのが、悪いことをした、不正をした、発覚した、金を返せばいい。そういうようなことじゃないだろうと思うんですね。それで、新聞にもちょっと出ておったんですけれども、返還をするまでは次の指名競争入札には入れないということを通告したとか決めたとか、当たり前の話ですよ。金を返せばそれを指名競争入札に入れるといったようなことだからこういうふうになると思うんですが、防衛庁長官、いかがでしょうか。
石破国務大臣 委員の御指摘は、かなりの部分そのとおりなのだろうと思っています。
 ただ、一つは、委員よく御案内のとおりですが、その会社しかつくっていないというものが結構ありまして、そこを入れないということにすると、そもそも飛行機が成り立たないとか戦車が成り立たないとか、そういうことがございます。防衛産業は、委員も戦車は千社という言葉を御存じだと思いますが、一両の戦車をつくるのに、ではどれぐらいの会社が入っているかというと千社ぐらいも入っているという話でありまして、それで戦車は千社なんというような言葉があるんですけれども。そこのところは、だからそこに甘えるなということはあると思うんです。甘えちゃいけないんだということがあります。
 それで、その損害額の倍返してもらおうということで、今回が初めての例になるわけですが、倍なんかじゃ足りないという議論もあるんだろうと思います。要するに、今回、私ども、別に性善説に立っているわけではないのですけれども、会社ぐるみで国をだまそうとしたわけですね。私どもとしては、サンプル調査しかしていないので、これを、では全部悉皆調査するかということになるのだろうと思います。結局、それだけ信じられないという話になってしまうわけです。
 本当に、雪印でも国民の健康と安全です。我々の防衛というのは国の独立と平和です。そうすると、これはどうすればこういうことが防げるのかということ。
 そして、私も庁内でいろいろ議論をするんですが、二割とか三割なら話はわかるが、こんな水増ししていて、少し高いなということがなぜわからないかという話でございます。このあたり、どうすれば納税者の方々にきちんと御納得いただけるか。今回は、本当になかなか気づかないような周到なやり口で、民間の工数を紛れ込ませるというやり方でやりましたので、書類上はきちんとなっているわけですね。これをどうやって見抜くのかということを考えますと、やはりこれはちょっとおかしいのではないかという気持ち、感覚を私たちは持たなきゃいかぬのだろうと思っています。
 それから、金を返せばそれでいいんだということではないんだということは、私もそのとおりだと思っております。
 私どもの体制も、調本事案がありましてから、相当に改善をしたとは思っております。しかし、万全ということはございませんので、委員の御指摘もございますので、今後さらに、よく納税者の御期待に沿うように尽くしてまいりたいと思います。
工藤委員 防衛庁長官、どうすれば防げるんだろうかというようなお話を御答弁されておったんですけれども、これは簡単なんですよ。三年も指名しないとかなんとかというようにやれば、これは犯罪ですよ、その犯罪をやったのを、金を返せばいい、倍返しとか、そんなばかなことをよく決めたものだ、そう思っているんですが、三年とか五年とか指名しない、そういうのは今後はじくということにすればやらなくなりますよ。
 どうすればいいか。だから疑うわけですよ。金を返せばいい、それまで、また指名競争入札に入れるということになれば、いわゆる防衛族と呼ばれるような人たちが、国会議員がパーティー券を買ってもらったり、政治資金、活動資金をもらったりしているからするんじゃないかなんて国民が疑ったって、これは不思議はないんですよ。すぐこういうことをして、しかも、今までも何回もありましたよ。
 さっき申し上げたとおり、返還したのが十二社で水増しが七百二十五億も返したとなっているわけですから、このほかにもよく調べたら、どうなっているかわからないような状況なわけでしょう。ですから、疑われたってこれは仕方がないんですよ。
 聞きにくいことを申し上げるが、まさか石破防衛庁長官はパーティー券を買ってもらってはいないでしょうね。どうなんですか。
石破国務大臣 これは全部帳簿を見なければわかりませんが、ここで一枚も買ってもらっていませんということが申し上げられるかどうか、これはちょっと調べさせてください。
 ただ、委員御指摘のように、買ってもらっているから手心を加えていたりとかなんとか、そのようなことは私はないと、私自身はそうです、そうあってはならないものだと思っています。これは断言しなければいけないので、そういう疑われるようなことは一切やってはならないものだというふうに考えています。
 ただ、繰り返しになって恐縮ですが、要は、防衛産業というものが、本当に小さな小さな町の鉄工屋さんみたいなところから始まって大手のメーカーまで、非常なピラミッドによって成り立っている。今回の日飛みたいなのはかなりメジャーなケースでございますが、もっとちっちゃな会社さんもたくさんあるわけです。そういうような実態というものをもう一回、防衛産業のあり方も含めて私たちは常に見直さねばならないことだと思っています。
 これは汎用品ではございませんので、特殊な技術ですから、それがなくなってしまうとシステム全体が成り立たないということがあります。したがって、一罰百戒みたいな話でもよいのですが、これはどうすれば本当に防げるのかということは、本当にぎりぎり考えていかなきゃいかぬ。そのときにあってはならないのは、委員御指摘のように、天下るからとかパー券を買ってもらっているからとか、そんなことで手心を加えるというようなことは一切あってはならない、当然のことでございます。
 そして、その責任追及のあり方を、これは防衛庁だけではございませんが、国としてどう考えるのか。これは委員御指摘のように、まさしく犯罪だという考え方もあるわけです。これは詐欺の構成要件に該当しているんじゃないのと私は個人的には思っているのですけれどもね。しかし、それを国としてどう考えるか、そして訴訟をやった場合にそれが維持できるのか、どうやって証拠を出すのか、そういうようなこともございます。
 いずれにいたしましても、そういうことがないように、私どもとしてもさらに万全を期してまいりたい。そして、いわゆる会社さん、メーカーさんの方にも、こんなことが絶対にあってはならないということで、私ども、もう一度趣旨を徹底させねばならぬというふうに考えております。
工藤委員 こういうものがあれば、必ず、今後ないようにとかなんとかという、この日本飛行機株式会社のホームページにももう載っていますよ、今後はしないように気をつけるとかなんとかと載っている。当たり前のことで、やらないのが当たり前なんです。
 ですから、いわゆる日本の防衛産業を育成するということは大事なことですよ、それと犯罪とは違うわけです。その辺をきちっとやらないと、疑われても仕方がないというようなことになりかねないので、きちっとやっていただきたいということを、これ以上は、時間もなくなって、本当に言いたくなかったんですけれども、一言申し上げておきたいと思います。
 それでは、法案の質疑に入らせていただきますけれども、官房長官と防衛庁長官にお伺いをします。
 我が自由党の安全保障基本法案及び非常事態対処基本法案、これは、国民生活を根底から覆すような武力攻撃とかテロ、自然災害等の非常事態が生じた場合に、政府が、すべてに優先して、いかにして国民の生命財産を守るかということを規定したものであります。
 本来、非常事態において国家が国民の生命財産をどのような手段、方法で守るかということについては憲法に規定されているべきでありますけれども、言うまでもなく、我が国の憲法にはそのような規定がございません。とすれば、現憲法の前文等の趣旨に照らして、まず、我が国の安全保障並びに非常事態にどのように対処すべきかの基本法を策定することが最優先されるべき課題である、このように考えるわけであります。
 先週の参考人質疑でも、何人かの方々から、憲法上、安全保障、非常事態に対する規定がない以上、この空白部分をきちんとするための基本法が必要である旨、説明、指摘がございました。これらの論議をお聞きになって、これら基本法の必要性、さらに、こうした考え方を今後検討していくお考えをお持ちなのかどうか、お二方にお伺いをしておきたいと思います。
石破国務大臣 我が国憲法にそういう非常事態の規定がないことはおっしゃるとおりで、参議院の緊急集会しかないというのは、これは有名なお話でございます。
 さすれば、そういう緊急事態に備えた基本法が必要かということなのですが、私も大分考えてはみたのですけれども、例えば自然災害というのがあります。事故というのがあります。それから警察権の対象たるテロとかそういうものがあります。今度は自衛権の対象たる、いわゆる有事というんですか、狭義の有事になりますが、ということがあります。それが、それぞれ起こっている事象が全部違い、対処する法律が全部違いということになりますと、これを全部貫く基本法というものがどういう形でできるのか、これが、ドイツの基本法とそのあたりが違うのだろうと思っています。
 ドイツの基本法も、私、全部読んでみましたが、これを日本に入れたときにきちんとワークするだろうかというと、これはしないんだろうと思っています。それが、ドイツの基本法みたいな考え方をとるということになりますと、今申し上げたように、自然災害あるいは事故、警察が対象とする事態、自衛隊が対象とする事態、そういうものも全部見直すということになってまいりまして、私は、そのことにそれほど大きな実りがあるとは考えておりません。
 考え方としては、もちろん緊急事態に対する考え方は一貫することが必要でございますが、我が国の法制に合わせた場合に、そのような統一的な基本法の作成を必ずしも必要だと考えないゆえんでございます。
工藤委員 次に、民主党の基本法案提出者に、憲法の関係において幾つかお伺いしていきたいと思いますが、政府の武力事態法案の目的、民主党の基本法案の目的、基本理念の各条項を見ても、現憲法との関係について一切触れておらないわけであります。繰り返しになりますけれども、本来、憲法で規定されていない安全保障、非常事態等にいかなる手段で対処をするのか、そのための憲法上の解釈をきちんと整理して、憲法との関係を明確にすることがまず初めに手がけるべき作業だというふうに思うわけであります。
 そこで、憲法と基本法の関係についてどのように考えられてこの基本法案を策定されたのか、まずお聞きしておきたいと思います。
平岡議員 委員も先ほど御指摘されましたように、緊急事態において国が国民の生命財産を守るためどのように対処するかについては、諸外国の立法でも多く見られるように、本来ならば憲法に規定があるべきものと我々も考えております。しかし、現行の我が国の憲法にそのような規定が存在しない、先ほどの参議院の緊急集会ぐらいしか見当たらないというのも御指摘のとおりであります。
 という考え方に立って、我々は、現行憲法の枠内において、緊急事態対処のための理念等を明確にするために基本法が必要であるというふうに判断いたしまして、今回のような法案を提出させていただいたということでございます。
工藤委員 いいんですが、いいんですがというのは変だが、私ども自由党は、安全保障基本法案の第三条に「自衛権の発動としての武力の行使」に関する規定を設けまして、憲法に基づいて、自衛権発動の要件を明確にしているわけであります。言うまでもなく、自衛権は、個別的であろうと集団的であろうと、その範疇にあるというのが私どもの党の見解でありますが、我が国の過去における歴史を冷静に振り返ったときに、諸外国からの無用な憶測とかあるいはあつれきを避ける意味からも、こうした規定は極めて重要である、このように考えているところであります。
 そこで、民主党の提案者にお尋ねをいたしますが、今回与党との修正協議に臨んでおられる民主党の基本法案の中で、この自衛権の行使の概念、特に政府の、自衛権は行使できるが、憲法上、集団的自衛権の行使はできないとの見解を踏まえて、どのようなお考えでおられるのか、御答弁をいただきたいと思います。
平岡議員 民主党案でいきますと、緊急事態の一つの形としての武力攻撃事態というような位置づけになっているわけでありますけれども、その武力攻撃事態の中におきまして自衛権のあり方をどのように考えているかということについて申し上げますと、これは自由党の考え方と一致している部分だと思いますけれども、外国から違法な侵害を受けた場合の個別的自衛権の行使まで放棄したものではない、これは当然のことでございます。
 ただ、御指摘のありました集団的自衛権の問題については、民主党では、一九九九年六月に安全保障基本政策というものを出しておりまして、そこで見解を示しているところでございます。参考までに、関係の部分だけちょっと読み上げさせていただきたいと思います。
 まず政府の考え方を説明した上で、民主党としては、「集団的自衛権の行使とは「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利を行使すること」と定義されるが、この権利行使を解釈として認めることは重大な解釈の変更になり、また憲法第九条は侵略戦争を禁止しているに過ぎないということになりかねない。以上を踏まえ民主党は、集団的自衛権行使の是否を憲法解釈の変更により行うべきではないと考える。」このような立場に立っておることでございます。
 したがって、今回の緊急事態基本法案、そして、そのもとにあるという位置づけになっております武力攻撃事態対処法案の中でも、こういう基本的な立場の中で立法、提案をさせていただいているということでございます。
工藤委員 もう一点、民主党さんにお伺いをしておきますが、私ども自由党では、憲法の精神を踏まえて、国際の平和及び安全の維持に関する国際協力は当然積極的に進めるべきだ、このように考えているところでございます。よく国連中心主義、こう言われますけれども、今の国際連合が国際平和の維持に関してパーフェクトの組織だ、このようには別に言うつもりはないわけでありますが、しかし、現実の問題として、国際紛争等の解決手段としてのグローバルな機関は国際連合しかないこともまた事実であります。
 それならば、国連の一員として国連の活動に積極的に参加するということは、国際平和を希求する我が国の立場としてごく当然なことである、このように思うわけであります。その上で、国連のより一層の充実に寄与していくことが国際平和のために極めて重要である、このように思うわけでありまして、自衛隊の役割とは別に、我が党の安全保障基本法第七条及び八条において、国際平和活動及びその担い手として「国際連合平和協力隊の創設」を明記しているわけであります。
 この点、民主党案では、第十九条で「国際連合平和維持活動等に対する協力」を規定していますけれども、例えば、国連の安保理で武力行使容認決議がなされた場合、憲法のどの部分をよりどころにして参加して活動しようとしているのか、その際、我が国の武力行使をどのような形で展開するおつもりなのか、お尋ねをしておきたいと思います。
前原議員 自由党さんが示されているように、PKO活動の必要性というものについては、我が党も同じ考えを持っております。
 ただし、若干異なりますのは、御党が別組織という形で国連の平和維持活動に積極的に参加をすべきだという御意見でありますけれども、我が党は、自衛隊の活用においてPKO活動に積極的にかかわるべきだという考え方を持っております。
 なお、今回我が党が提出をいたしました基本法の十九条、御指摘をいただきました十九条に書いてございますのは、十九条のみならず四章が、いかに戦争を起こさせないような努力をするか、あるいは未然に防止をするか、また、その予防をしていくのかといったところを国家の基本と置くべきであると。つまりは、緊急事態にならないような施策というものをできる限りとるべきであるという観点から第四章というものを基本法に書かせていただき、また、その中にPKO活動への積極関与というものを書かせていただいているところでございます。
 なお、お尋ねの、武力行使容認決議というものがなされた場合においてはどういう憲法上の法的根拠をということでございますが、先ほど平岡提案者からも御答弁をさせていただきましたけれども、国連の武力行使容認決議に基づいて、例えば多国籍軍に参加をする、あるいは国連軍というものが仮にできた場合に参加をするということは、集団的自衛権あるいは集団安全保障と法理的には軌を一にしていると思っておりますけれども、やはりその整理がなされなければそういった活動には参加できないと考えておりまして、我が党は、今の憲法上の解釈においては、武力行使容認決議がなされたとしても、多国籍軍やあるいは国連軍に参加をするということは憲法上認められない、そういう視点に立っております。
工藤委員 今の御答弁、ありがとうございました。ただ、もちろん、外交努力によって、話し合いによって戦争を回避しよう、これはもう当然のことでありまして、そんなのを書く書かないにかかわらず、それはやっていかなきゃならないことなわけです。
 そればかりを質問しているわけにもいきませんので、時間もなくなってきましたので、今度は、通告はしておりましたけれども、若干はねさせていただきます。
 自由党案の提出者からお聞きをしておきますが、平時から非常事態対処会議を設置しておくというようなことでありますけれども、自由党のこの考え方は、どういう理由から設置しておくというようなことを盛り込んだのか、その点をお答えいただきたいと思います。
都築議員 今御指摘の非常事態対処会議を平時から設置しておくというのが自由党の基本的な考え方でございまして、その考え方は、背景といたしまして、先ほど防衛庁長官からいろいろと、非常事態ということで想定し得るものとして、例えば自然災害とか事故があるとか、あるいはまた警察活動で対応する治安の維持の面とか、さらに自衛隊が出動するような有事の面、こういう御指摘がありまして、その中で、事態の性質、類型、こういったものが違うから、一様にその対応を決めておくというのは適当ではないのではないか、こういう御答弁があったというふうに思います。
 ただ、私どもは、憲法に確かにこういう緊急事態とか有事といった問題についての条文が欠けているという状況ではございますけれども、では、規定がないから何もしなくていいのかというわけではなくて、それなりにしっかりとした対応を十分用意しておかなければ、いついかなるときにどういう事態が発生をいたしまして、そして、国民の生命とか自由とか財産といったものが危機にさらされることは考えられるわけでございますから、そういったものを事前によく想定しておいて、そして、いついかなるときも的確迅速に対応できるような方途を講じておくのが、本来、国としての役割であり、また責務である、こんなふうに考えております。
 国民の生命、身体、財産、先ほど申し上げましたように、危険にさらされるような事態といたしましては、当然自然災害で、一番大きなのは、先年の阪神・淡路大震災のときのような大規模な地震が起こって何千人もの方がお亡くなりになるというような事態とか、あるいは大きな風水害ということで台風の災害とか、さまざまなことが想定をされます。
 また、事故ということでいきますと、これだけ近代科学技術が発展し、便利になった一方で、例えば原子力発電所の事故の問題なども大変大きな心配を、国民を惑わしますし、先年の茨城のあの原子力燃料の事故なども大変住民の皆さんに大きな不安を与え、あの程度でよくおさまったものだなというのが実態のところではないか、こんなふうに思います。
 さらにまた、最近の近代科学技術の発展ということになりますと、本当に想定もできないような、例えば生物化学兵器といったものもありますが、サイバーテロといったような事態も想定されるというふうなことを考えますと、では、非常事態ということで、東西冷戦のときのような、どこかの想定敵国から武力をもって戦艦が押し寄せてくる、あるいはまた飛行機が押し寄せてくる、そういう事態だけを想定して対応していればいいのか。現実にそういう武力攻撃のような事態というのは、国交が悪化をする、二国間の関係が非常に険悪化してくる、恫喝が繰り返される、あるいはまた最後通牒まがいのものが起こってくる、こういう事態になれば、そのための対策を講じなければならないのは政府として当然の義務であります。
 ただ、実はそういったものだけを今の政府の案といったものは想定しておられるのではないか。いついかなるときにどんな事態が国民の生命や自由や財産を侵すような事態として発生してくるかは予見ができないわけでありますから、だからこそ、想定される事態が今私が具体的な例を申し上げただけでもたくさんあるわけでございますから、そういった類型ごとにどういう対処をするのか、そういった基本的な方針をまず定め、そしてそれぞれごとに基本的な事項も定めて、対応が迅速的確にできるようにしておく必要があるということが一番大切ではないか。
 災害は忘れたころにやってくるという寺田寅彦さんの大変有名な言葉がありますけれども、忘れたころにやってきたから、ではそれで慌てて泥縄でやりましょうといったって間に合わなかったのが阪神大震災のときでございました。
 私などは、本当に今の国の安全保障といった問題全般を考えますと、実は破れ傘のような安全保障原則ではないか。ばらばらっと大雨が降り出しているときに、傘をぱっとあけたら、武力攻撃事態だけはちゃんと布が張ってありましたけれども、ほかのところは全部雨がばあっとみんな国民の肩にかかってしまう、大変な目に遭ってしまう、そんな思い。さらに、阪神大震災のときなどは、私などが考えますと、それこそ破れ傘どころか、傘の骨と柄が十分にくっついていなくて、開こうと思っても開かなかったような事態ではないか。
 こんなふうに思うと、これで本当に国民の期待にこたえて、国民の安心や安全を守ることができるのかということをもっともっと真剣に考えていかなければならない、こんなふうに私どもは考えております。
工藤委員 時間もほとんどなくなってまいりましたので、手短にお願いをしたいんですが、もう一点お伺いします。
 非常事態対処法案の自由党案と民主党案、この大きな相違点の一つということになれば、アメリカの危機管理庁のような常設組織を設けるか設けないかといったようなことも一つあると思いますけれども、自由党案では、どういう理由で設けないということにしたのか、その点をお答えいただきたいと思います。
都築議員 御指摘をいただきました点でございます。
 私どもも、実は先ほど私が御答弁したような状況の中で常設の本部を設置するということであれば、常設の危機管理庁といったものも十分平時から備えておくべきではないか、こういうことも真剣に検討したわけでございます。
 しかし、実際には、今日のこの国の行政組織といったものは、それぞれの省庁が縦割りの中でそれぞれの権限を強大に持っておりまして、それ自体が実は行政改革の対象になるのではないか、こんなふうにも思うわけでありますが、そういう実態を前提とすれば、実は大統領制とは違った形で対応していく必要があるだろうと。
 逆に、今の縦割り行政の中に、例えば危機管理庁類似のものを設けたとしても、縦割り行政の中にもう一つ縦割りを設けて、いざ緊急事態となったときに、ではそれが本当に権限を発揮できるのかといったら、それぞれまた権限争い、積極権限争いと消極権限争いなどを繰り返して、実際には今までと全く同じだというのであれば、そこに配置した人員が何千名になるかもしれませんけれども、結局またむだな予算を消費しているにすぎない、こういうことになってしまうわけでありまして、むしろ実際に、どこの省庁が、どういう権限を、どういう事態に対して持っているかといったことをつぶさに精査いたしまして、そしてそれをちゃんと調整し得る仕組みを設け、そして同時に、内閣総理大臣に権限を集中し、総理大臣が対処会議で決定した基本方針に従って直ちに権限を行使していける、そういうふうな形で実効的な、効果ある施策を実施していくことの方がより重要である、こんなふうに考えて危機管理庁という構想はとらなかった、こういうことでございます。
 以上です。
工藤委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
鳩山委員長 次に、赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。
 沖縄に安保の見える丘という地域があります。嘉手納町にあるわけですが、沖縄にいると、日々安保と一緒に暮らしを余儀なくされているようなものであります。
 そこで、この武力攻撃事態法案、これは中でも米軍の支援、これが中心になっていくだろうと思います。その米軍支援の中身についてこれまでたびたび質問してまいりましたけれども、一切その中身というのが明らかになっていない、これがきょうまでの到達点です。そういう中身が明らかにされないまま、今度の事態法案の採決、いろいろなことが言われておりますが、そういうことは絶対に私は認められないと思います。
 法案の第二条の六号のイの2、修正案では七号のイの2になりますが、ここには「自衛隊の行動及びアメリカ合衆国の軍隊が実施する日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に従って武力攻撃を排除するために必要な行動が円滑かつ効果的に行われるために実施する物品、施設又は役務の提供その他の措置」こういうことを定めているわけですね。それで、これまで、その中身はどうだと聞きましたら、有事対処法制の整備の中で検討すると言うだけで、一切明らかにされていないわけです。
 私は、本当にどんな支援内容が考えられるのか、手がかりになるようなことを過去の国会のいろいろな議論の中から考えてみました。(資料を示す)そうしたら、一番いいのは周辺事態法の審議のときの別表ですね、周辺事態法三条の別表。それから、テロ特措法の別表。これは別表をそのまま持ってきたわけではありませんが、私なりに整理をしてみました。
 そして、今度の武力攻撃事態法案の審議の中で、周辺事態法やあるいはテロ特措法に定められていた支援項目、答弁の中でかすかなりとも出てきたのかどうかということで、いろいろ整理してみたけれども、一切出ていません。私がつくった資料では空白のままです。そういう空白のままでいいのかどうか。実際に、今度の武力攻撃事態法案ではどういう支援内容を検討しているのか、これについてきちんと答えていただきたいと思います。
川口国務大臣 武力攻撃事態における米軍の行動の円滑化に関する措置についての御質問でございますけれども、この武力攻撃事態対処法案に定めてありますように、米軍が日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な行動が円滑かつ効果的に行われるという観点から、物品、役務の提供などが考えられるということでございます。
 このような措置が適切かつ効果的に実施をされるようにするために必要となる法制につきましては、これは事態対処法案成立後、この法案に示された枠組みに基づきまして整備をすることとなっております。これまでの国会の御審議も踏まえまして、論点を整理するという作業を行っているところでございます。
 ただ、この内容につきましては、現在、作業中でございまして、お答えができる段階ではございません。
赤嶺委員 私たちから見れば、米軍というのは、沖縄にとどまらず、在日米軍基地のあるすべての周辺地域においてそうなんですけれども、安保の目的達成にとどまらず、アメリカの国益のために、在日米軍基地を自由に、かつ効率的に、円滑に使っているわけですよ。そういう米軍にどんな支援をしていくのか。これが、周辺事態法のときには別表になって出されていた、テロ支援法のときにも出されていた、今度は一切何も明らかになっていない。今後検討します、こんなことでこの法律の審議なんか絶対できないと思いますけれども、それでいいんですか。
川口国務大臣 まさにこの法案に示された枠組みに基づいて整備をするということになっているわけでございまして、これにつきましては、ただいま論点の整理をする作業をやっております。したがいまして、具体的な内容を今の段階で申し上げることができる段階ではないということでございます。
赤嶺委員 これは絶対に納得できないんですよ。枠組みは承認してください……(発言する者あり)まず、外務大臣の言い方でいけば、枠組みを承認してください、中身はこれから検討しますと言うけれども、実際、今声が上がりましたけれども、枠組みだってない。周辺事態法のときやテロ支援法のときには、はっきり支援項目というのは出ているわけですよ。何で武力攻撃事態法では出せないんですか。
 何で出せないのか、なぜ明らかにしないのか、そしてどんな支援内容を考えているのか、そういうのがはっきりしないと、これは絶対納得できないじゃないですか。答えてください。
川口国務大臣 おっしゃっていらっしゃる御質問は武力攻撃事態法案自体についての御質問であるかと思いますので、私がお答えするよりは官房長官あるいは防衛庁長官からお答えした方がよろしいかと思いますけれども、いずれにいたしましても、委員の御質問のとおり、第二条第六号イ2に書かれておりますように、「武力攻撃を排除するために必要な行動が円滑かつ効果的に行われるために実施する物品、施設又は役務の提供その他の措置」ということでございまして、これをいかにすれば円滑かつ効果的に行われるようになるかという観点から、まさに今後これは整備をするということでございます。
赤嶺委員 それじゃ官房長官、ちょっと答えてくれますか。
福田国務大臣 今回の武力攻撃事態対処法案は、これは要するに、外部から日本国が武力攻撃を受けたときにどういうような対応をとるかということについての考え方を、考え方というか、枠組みというふうに申しましたけれども、そのときにどういうふうにするかということを、これを規定しているわけでございます。我が国を自分の国で守るんだ、そういうときに、具体的にどういうふうに、どういう手続で行うのかということを決めているんですよ。
 ですから、そういう大きな考え方を決めていただいた上で、また、国民の保護の問題とかそういうことはございますよ。日米だけの問題じゃないでしょう。国民の保護の法制の問題もあるんですよ。ですから、そういうことについてはこれから決めますということを申し上げているわけでございます。これはちゃんと法律に書いてある。
赤嶺委員 今、官房長官、日米の問題だけではない、国民保護の問題もある、こうおっしゃいました。国民保護法制については、輪郭なりそれなりのことが、それでも、どんなことがその中に隠されているか全く見えませんけれども、それなりに出た。
 ところが、この米軍支援については、この法案のどこを探してみても、二条六号イの2「自衛隊の行動及びアメリカ合衆国の軍隊が実施する日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に従って武力攻撃を排除するために必要な行動が円滑かつ効果的に行われるために実施する物品、施設又は役務の提供その他の措置」と書いてあるだけで、それ以外何にもわからないんですよ。何がわかりますか、ここで。
 我々から見たら、米軍は極めて自由に、そして自分たちの目的達成のために効率的に動いておりますよ。そういう米軍に、今この法律ができたら、どんな支援活動になっていくのか。ただでさえ基地の負担を押しつけられている基地周辺自治体、沖縄から見れば、このことに疑問を感じて、その中身を少しでも明らかにしてほしい、こう聞くのは当たり前じゃないですか。質問が間違っているんですか。
福田国務大臣 御理解賜りたいと思うんですが、また、理解するように努力もしていただきたいとも思っております。
 今申しましたように、この法案は、これは、我が国がそういう武力攻撃を受けたときにどうするかということについて決めているわけですよ。ですから、まず、我が国がということがあるんですよね。
 その上で、日米の問題を言っておられますけれども、それは、日米安保条約というものはあるし、そしてまた地位協定というものもあるわけでしょう。ですから、それはそれでもって対応できるというように思います。しかし、日米の円滑な作業は進むように、これは、今後いろいろと細かい点について決めていかなきゃいけないことがあれば、それは決めていきたいということでありまして、国民の保護の法制は別途まだ、基本的な考え方は示しておりますけれども、しかし、個々の具体的なことについていろいろとこれも決めていかなければいけない、そういうようなことについては、これはなるべく早く決めるということについて、また御理解を賜っておるところでございます。
赤嶺委員 官房長官、今、我が国が武力攻撃を受けたときの話をしているんだ、このようにおっしゃいました。
 しかし、この法案の中には武力攻撃予測事態があるわけですよね。武力攻撃予測事態になって自衛隊がどんな対米支援活動を行っていくのか、この中身さえ一切明らかになっていないんですよ。周辺事態法のときには、そういう別表の中で明らかになっていた。しかし、今度の武力攻撃事態法の中では一切明らかになっていなくて、それで予測事態にどんな支援をするか、これさえ全く見えてこない。
 ですから、予測事態になればどんな支援をするかということを皆さん考えているんですか。官房長官。
福田国務大臣 ですから、再三、これはさっき外務大臣も答弁しておりましたけれども、そこのところはまたよくお考えいただきたいんですけれども、そういう、適切かつ効果的に実施されるようにするため必要となる法制については、武力攻撃事態対処法案成立後に、この法案に示された枠組みに基づいて整備することとなっているということですよ。だから、これからこの法案をまず成立させていただく、その上でもって整備をさせていただくということです。
 この法案そのものに反対されているというお立場はよくわかりますよ。わかりますが、しかし、それはお立場ということでありまして、我々は、そのような考え方でこれを進めていきたい、こういうように考えているところでございます。
赤嶺委員 官房長官の答弁というのは極めてあきれた話ですよ。予測事態のときにどんな米軍支援が考えられるかという質問は、反対の立場だからやっているんじゃありませんよ。多くの国民がそういうところを知りたがっているわけでしょう。全然答弁にもなっていないんですよ。
 そこで、一つ具体的に聞きたいんですけれども、弾薬の提供の問題が議論されました。川口外務大臣は、四月二十四日の審議の中での答弁はこうなっています。米軍が日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な行動が円滑かつ効果的に行われるように検討すると。ここでもオウム返しなんですね。
 私、弾薬の提供について、予測の事態のときという段階で、米軍が安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要だ、このように判断をしたら武器弾薬の提供も行うんですか。
川口国務大臣 いずれにいたしましても、その支援、米軍に対してどのような支援をするかという具体的なあり方、これにつきましては、今後、政府全体の問題として関係省庁の間で協議をして、そして米側とも協議をしていくということになるわけでございます。
 この中には、ACSAを武力攻撃事態においても適用するために改正をするという可能性も含めまして、政府全体の問題として協議をし、その上で米側とも協議をするということになるわけでございまして、もしそのときに国会にお諮りするということがあれば、当然にその時点でお諮りをするということになるわけでございます。
赤嶺委員 法律は通して、そして今後検討して、そのときに改めて国会に提案するといったって、それはだめですよ。武器弾薬の提供は予測の段階でできるかどうかということは、今度の武力攻撃事態法の審議の中でも極めて中心的な大事な問題ですよ。
 周辺事態と武力攻撃予測の事態は併存をする。しかし、予測事態というのはまだ武力攻撃が行われた段階ではない、そういう段階のときに、何で武器弾薬の提供ができるかどうか、すぱっと答えられないんですか。極めて簡単なことじゃないですか。
石破国務大臣 委員は、そんな簡単なこととおっしゃいますが、かなりそれは難しいケースなんだろうと私は思っています。
 これは、この法案が持っておりますプログラム法的な部分がございまして、これによって整備をするので、国民保護法制もそうです。米軍に対する支援の法制もそうです。今外務大臣からお答えがありますように、例えて言えば有事版ACSAみたいなものは考えられるということでありますけれども、それは、政府が法律をつくり、そして国会で御審議をいただくわけでございます。そこでこれはだめだということになれば、それは法律にならないわけでございますから、これがわからなければこの事態法もだめだというような理屈は、立法府としてはいかがな御議論かと私は思います。
赤嶺委員 防衛庁長官、武器弾薬の提供ができるかできないかというのは難しくて答えられないというのがあったんですが、そういうことですか、さっきの答弁は。
石破国務大臣 それは、一概にこういう事態だというふうにすっぱりと決められるようなものではございませんということです。
 つまり、周辺事態と予測事態が併存するということをおっしゃいました。それは併存することは理屈の上からいってあり得ます。それは、こういう場合に併存をするのであり、こういう場合に例えば武器弾薬の提供はどうなのかということは、それぞれケース・バイ・ケースにおいて判断をされることであって、一概にこうですというふうに申し上げられないということを言っているだけのことでございます。
赤嶺委員 そうすると、武器弾薬の提供というのは、提供できないという原則があるというわけじゃなくて、ケース・バイ・ケースで、予測事態で、いわば提供できるケースもあれば、できないケースもある、そういう答弁ということで理解してよろしいですか。
石破国務大臣 それも含めてこれからの法整備ということでございますから、今ここで予断を持って申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
 ただ、繰り返しになって恐縮ですが、併存するこのような場合というのを設定して、併存する場合であっても、いろいろなケースに分かれます。そこで、では、原則できなくて例外できるかというようなことは、今ここで一概に、何が原則で何が例外かということを申し上げられる段階にはないということでございます。
赤嶺委員 本当に大事な問題を、議論を素通りして、とにかくプログラム法だから成立してから後審議をするんだといっても、これは納得いく問題じゃないんですよね。
 例えば、周辺事態法の審議のときに、武器弾薬の提供が問題になっているんですよ。これは皆さん御存じです。そのときに、大森法制局長官は、憲法上の適否について慎重に検討を要する問題だと、周辺事態法のときにこのように答弁しているんですね。
 この間の、武力攻撃事態法の去年の審議のときには、当時の中谷防衛庁長官は、周辺事態のときの武器弾薬提供を別表で除いたそのことの理由について聞かれて、「米側からのニーズがなかったからでございまして、憲法上それができないというからではございません。」ということで、もう何か、憲法上の理由というのは、大森法制局長官が答えた段階から消えてしまっているわけですね。
 それで、今度は、修正案の提出者の久間委員は、この間の質問に答えて、武器弾薬の提供は「予測事態のときにどこまでやれるか、これはまたいろいろ議論があろうかと思います。」と、このように言っているわけです。
 私、ここではっきり答えていただきたいのは、武器弾薬の提供を予測の事態に行うことは憲法上の問題でないのかあるのか、このことについて答えていただきたいと思います。
石破国務大臣 我が国が行います支援、例えば武器弾薬等の提供にいたしましても、するかしないかということにつきましては、憲法に触れるような形で行うことはないということは当然のことでございます。憲法の範囲内においてのみ行うということに相なります。
 ただ、これは、周辺事態法のとき、テロ特措法のときと比べてどうなんだ、こういう御指摘が先ほど来あるようでございますが、武力攻撃予測事態、ましてや武力攻撃事態というのは我が国自体が攻撃をされておるという事態でございます。そこのときに、集団的自衛権に基づいて我が国を防衛するために行動しているアメリカというものに対してどうするかということについては、私は、それは全く違った場面での議論なんだろうと思っています。
 しかしながら、そういう場面であっても、我が国が行います支援というものは、当然憲法の範囲内において行われる。しかし、その場合に、我が国として個別的自衛権を行使しておるという場面もあるわけです。アメリカ合衆国が我が国を守るために集団的自衛権を行使しておるということもあるわけでございます。そこを念頭に置きながら、私どもとして、憲法の許された中において何ができるかということを考えてまいるということでございまして、一般的に九条との関係で問題が生ずることがないというのは、そういう意味でございます。
赤嶺委員 私は、今の石破防衛庁長官の答弁を聞きましたけれども、さっぱり中身が理解できません。ただ、皆さんが言っているのは、憲法上、憲法違反にならないようにやるというその結論だけであります。
 場面が、周辺事態と武力攻撃予測事態と違うと言いました。まあ、テロ特措法は今わきに置いておきましょう。しかし、周辺事態は我が国に武力攻撃がまだ行われていない、そのときでもそうですよね。日本の平和と安全に云々というのがありますが、どこで共通しているか。周辺事態のときも武力攻撃予測事態のときも、いわば我が国に対する武力攻撃はまだ行われていないわけですよ。そういう共通項がある。
 そして、周辺事態のときには、その我が国に武力攻撃が行われていない段階の行動をとらえて、憲法違反にならないように、これは憲法上、武器弾薬の提供については慎重な検討を要すると大森法制局長官は答えているじゃないですか、そのときには。ところが、その後、中谷前長官は、あたかも憲法上の理由ではなくてニーズだと。それで、久間委員は、どこまでやれるかと。
 いわば、本当に、今私が質問しているところで、どこまでやるのか、何をやるのか、ここが全く見えてこない。全く見えてこないから、この法案について、これは武力攻撃のない段階から本当に憲法違反の行動にわたるような行動に入っていくんじゃないか、そういう懸念を持つのは当然じゃないですか、官房長官、いかがですか。
福田国務大臣 御懸念は御懸念として、ただいま石破長官からも答弁しましたように、これは、細かいことにつきましてはこれから詰めていくことにはなりますけれども、今長官から言われたような説明で、これは考え方としては、それをぜひ御理解をしていただきたい、今の段階ではそういうことでございます。これから詰めさせていただきたいというように考えております。
赤嶺委員 質問をして議論をすればするほど、憲法違反に重なっていくグレーゾーンというのは全く明らかにされていません。
 それで、周辺事態法のときには、周辺事態法の法律の中では、憲法違反にわたらないように、基本原則の中で、「対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであつてはならない。」このようにしておりました。それから、地域支援の区域についても、憲法違反にわたらないように区域が定められました。
 同じなんですよ。武力攻撃事態の予測事態と周辺事態とは、同じ時期なんですよ。その周辺事態のときには憲法にわたる重大な問題として検討を必要としていた問題が、今度の武力攻撃予測事態にできるかできないか、それは憲法上どうなんだということについて、もっとはっきり答えるべきじゃないですか。
石破国務大臣 おまえの答弁はさっぱりわからないとおしかりをいただきますが、どうも問題の御指摘自体が、ちょっと私どもよくわからないところがありまして、つまり、こういう場合はどうなんだというケースに分けて考えなければいけないと思っているのです。
 いずれにしても、私たちは憲法に反するような行動というのはできない。しかしながら、武力攻撃予測事態と周辺事態というのは、必ずしもぴったり重なる事態ではないわけです。そのまま放置すれば、我が国の平和と安全に云々というくだりは、これは一つの例示でございます。しかしながら、武力攻撃予測事態というのは、我が国に対する攻撃というものを念頭に置いてつくっておる、そういう事態でございますから、事態そのものが違っているというふうに私は考えております。
 いずれにいたしましても、私どもは、我が国の責任ある政府といたしまして、国の平和と独立、これをどうやって守るか、国民の生命財産というものをいかにして守るかということにおいて、憲法を当然遵守しつつ、責任を果たすために何ができるかということで、責任を持ってこれから法律をつくってまいりたいということでございまして、国の平和と独立を守るために憲法にのっとって本当にきちんとした法律をつくっていくということが私どもの立場でございます。
赤嶺委員 質問の意味がわからないと言うのでもう一度聞きますけれども、周辺事態のときにできなかったことは、しかし、武力攻撃予測事態になったときに、周辺事態と併存している場合、そういうときに、周辺事態にはできなかったことでもできることはこれからも出てくる、そういうことで、しかも、それは憲法上の問題もクリアできる、そのように考えているんですか。
鳩山委員長 赤嶺委員、もう質問時間は終わっておりますが。
 石破防衛庁長官。
石破国務大臣 繰り返しになりますが、その場合場合によります。私どもは、憲法の定められた範囲に従って、国の平和と独立を守るためにきちんとした責任ある立法をしてまいりたいということでございます。
赤嶺委員 一切、何も明らかになりませんでした。
 これで質問を終わります。
鳩山委員長 次に、今川正美君。
今川委員 社会民主党の今川正美です。
 私は、きょうは政府に対して、大きく二点にわたって質問をいたしたいと思いますが、まず、この武力攻撃事態対処法案の第九条にかかわってお尋ねをしたいと思います。
 まず最初に、日米の共同作戦計画についてであります。
 一九六三年の自衛隊制服組による統合防衛図上研究、いわゆる三矢研究は、朝鮮半島有事を想定して日米共同作戦を行う研究でありました。このいわゆる三矢計画、三矢研究なるものは、今回政府から示されている有事関連三法案に比べると、戦争をやるという立場から見ると実に辛らつに、例えば国家総動員体制、政府機関の臨戦化あるいは治安維持体制、機密保護、国民統制など、今回政府が提出された法案よりも中身はわかりやすいですね。
 そこで、この三矢研究は、二年後の六五年に大変な政治問題になったことは御承知のとおりであります。しかしながら、米軍や自衛隊の制服組は、その後も日本有事を想定した日米共同緊急統合作戦計画を政府や国会の承認も得ないまま作成していたということが、昨年十二月、明らかになりました。
 朝日新聞社と高原孝生明治学院大学教授が米国の情報自由法に基づいて入手した米太平洋軍作成のコマンドヒストリー六七年版によると、六七年、六八年両年に有事計画の、具体的なそうした作戦計画がつくられていたと。しかもこれは、当時の関係者によると、毎年改定、作成をされているというふうに伺っておりますが、その作戦計画の実態なり、また毎年改定をされているとする点について、政府に具体的にお伺いをしたいと思います。
    〔委員長退席、浜田委員長代理着席〕
石破国務大臣 実は三矢研究と似たようなものではないかという御指摘であります。
 三矢研究につきましては、これは私も、何しろ物が残っておりませんので、これが三矢研究だとかいうような、そういうようなジャーナリズムに書いてあるものでしか私は見たことがないので、真偽のほどはわかりません。
 しかし、あのときに政府といたしまして、これは政府、防衛庁として行ったものではないということでありますし、あわせて、これはシビリアンコントロールというものに反するものではなかったというような整理をいたしておるはずでございます。
 さて、今回、委員が御指摘の、朝日新聞の一部に報道がありましたような件につきましてでございますが、このような事実につきまして、私どもとして確認ができておりません。したがいまして、そういうような事実に基づいてこのシビリアンコントロールがどうなのかということにつきましては、やや、ちょっとお答えをいたしかねる面がございます。
今川委員 石破長官、もう一度確認ですよ。これは、先ほど申し上げたように、アメリカの情報自由法に基づいて、明治学院大学の教授が具体的に開示請求をして、機密性を解除された上で公開された文書なんですね。過去も、私は安全保障委員会などでこういう重要な文書などに関してお尋ねをすると、そういう、米側が具体的に機密解除をして公開された文書の存在を承知しないという答弁がほとんどなんですね。こういうことで、今回、今提出をされている有事関連三法案という非常に重大な法案にかかわっても同じことが言えるんです。
 問題なのは、この国会はもちろんですが、広く国民の皆さん方に真実を伝え、こういう法案でどうですかということを示さなきゃいかぬのに、こういう具体的な事例というものが、たとえ報道機関であれ、米国のそういう法律を通して公開されたものを我が国政府として知らないということで済むんですか。
石破国務大臣 この報道は私も拝見をいたしました。当庁といたしまして、こういうようなものについては、記録も残っておりませんので、確認のしようがないということだと思っております。何せ、六七年、六八年、こう申しますと、昭和四十三年というお話になりましょうか、四十二年、四十三年というお話になるわけで、このことにつきまして資料が残っておりません。したがいまして、いいかげんなことを申し上げておるわけではございませんで、私どもとして確認のしようがないということだと思っております。
 委員御指摘の、そういうシビリアンコントロールというものをないがしろにするようなことでいいのだろうかということにつきましては、それはそれぞれいろいろな形でシビリアンコントロールを担保するような仕組みがあるというふうに私としては承知をいたしておりますが、この委員御指摘のもとになる文書につきましては、恐縮でございますが、確認ができないということでございます。
今川委員 それでは、石破長官、これは先ほど私、申し上げました。これは日米の制服組の手によって、毎年、やはり世の中の情勢は変わるわけですから、一部改定をされていっている、毎年更新されていっているということなんですが、現時点でそういう事実というのは防衛庁としても確認できないんですか。
石破国務大臣 内容というものをその時々の情勢に合ったようにそれぞれ改定していくということは、当然のことでございます。これが日米間のものにつきましては、それぞれの場におきまして報告がなされ、あるいは2プラス2の場において報告がなされ、これはあくまで報告なわけでございます。それをそれぞれの国の、私どもでいえば防衛庁で長官の承認をとるというような形をとっておりますので、それぞれ、その事態に合ったように、時期に合ったように改定をする、改修をする、中身を改める、そういう作業は常に行っているところでございます。
今川委員 それでは、旧日米間のガイドライン、それから一九九七年に改められました新しい日米のガイドライン、この中では具体的に、そのガイドラインに基づいて、周辺事態の場合の日米の相互協力計画、さらに有事の場合の日米の共同作戦計画、これはありますね。それで、日米制服組で、二年前の九月に、制服組同士で具体的にサイン済みだということでありますけれども、その概要を示すことができますか、長官。
石破国務大臣 済みません。その中身につきましては、ここでお示しをすることはなかなか困難かと存じます。
今川委員 それでは、今申し上げた、二年前の九月に日米の制服組で既にサインは終わっているということは確認できますか。
石破国務大臣 そこでサインを行っておるということは、それが防衛庁として、政府として承認をしたということを意味しないと考えております。
今川委員 いや、防衛庁として承認をしたかどうかを今私はお聞きしているのではなくて、自衛隊のトップと米軍のトップで一昨年の九月に共同作戦計画なり相互協力計画書に対してサインをしたということを確認できますかとお尋ねしておるんです。
石破国務大臣 そこにおいて署名は行っております。
 その署名はどういうことかといいますと、それまでの作業の進捗を確認するために行いました、BPCの共同委員長である統幕事務局長と在日米軍副司令官との間の署名でございます。それは、先ほど申し上げましたように、作業の進捗を確認するために行ったものでございます。共同作戦計画についての検討と相互協力計画についての検討の双方の作業の進捗を確認するために署名を行った、サインを行ったというものだと承知をいたしております。
今川委員 それでは、次にお尋ねするのは、新ガイドラインでは、平時においては包括的メカニズムに基づく共同計画検討委員会、これも日米の制服組で構成されていますね。そこで計画を検討し、有事においては調整メカニズムに基づく共同調整所で作戦を調整する、こういうことですね。
 そこで、この武力攻撃事態対処法案で言う事態対処専門委員会、これと、今申し上げた共同計画検討委員会なり共同調整所との相互の関連性、いま一つは、この事態対処専門委員会の構成メンバーというのはどれくらいの人数で、どういうスタッフが入るのか、そこを御説明ください。
石破国務大臣 済みません。具体的な人数等々につきましては、ちょっと私、今手元に資料を持ち合わせておりません。
 ただ、委員もよく御存じのとおりですが、それが直接の関係を有するということには立たないのだと理解をしています。それぞれ別の事態というもの、つまり、何を調整するかということにつきましてのメカニズムの対象とする事態が違っておりますものですから、それが直接に関係をするというふうには私は理解をしておりません。
 例の包括的なメカニズムという御指摘でございますが、これは、指針に基づきまして、我が国に対する武力攻撃に際しての共同作戦計画及び周辺事態に際しての相互協力計画についての検討を初めとする日米共同作業を実施するために、自衛隊及び米軍の関係者から成る共同計画検討委員会を含め、日米両国政府の関係機関の関与を得て日米両国政府により構築をされているものということでございますし、調整メカニズムというのは、我が国に対する武力攻撃及び周辺事態に際して日米が行う活動に関する調整を行うことを目的としたものであり、両国政府の関係機関の関与を得て、平素から構築し、かかる事態に際して適用されるものであるということでございます。また、ここにおける共同調整所といいますのは、調整メカニズムの一環として、自衛隊及び米軍が双方の活動について調整するということでございます。
 それぞれが物が違いますものですから、それぞれが連絡をとり合うということはございますが、相互が連関をしてということは、私としては理解をしておらないということでございます。
今川委員 それはちょっとおかしいですね。
 防衛白書などででも、例えば包括的なメカニズムの構成だとか調整メカニズムの構成、非常にわかりやすく図表化してあるんですよね。
 そこでは、やはり、平時における特にかなめになるところ、いろいろな物事を分析したり調整したり立案をしたりというBPC、共同計画検討委員会、これが、戦時の場合には日米共同調整所とか、あるいは、今、有事法制関連法案でも出されているような、安全保障会議を補佐する事態対処専門委員会というのは、それぞれ、平時か有事かにかかわって、きちっとした相互の関連性というのは当然あるはずなんですね。
 そこで、福田官房長官にちょっとお尋ねしたいんですけれども、これは昨年五月段階で、今私が申し上げた事態対処専門委員会はどういう人員構成になるのかという質問、それから自衛官が事態対処専門委員会委員となる可能性はどうかということに関して、福田長官の御答弁は、この委員会の委員には内閣官房及び関係省庁の中から局長級以上の関係者を任命する云々とあります。それから、その際、この知見を有する幹部の中で軍事の専門家として自衛官の高級幹部を任命することはあり得るとまでは御答弁になっているんですが、私がお聞きしたいことは、どの程度のメンバーかというのは今後検討するとなっているんですけれども、これは一年前の話ですから、大体、事態対処専門委員会、一番肝心なところだと思うんですね。そこの人員構成、それから自衛官の高級幹部といった場合に、例えば統幕議長なのか事務局長なのかという、そこら辺は具体的に固まっているんでしょうか。
福田国務大臣 確かに一年前に、事態対処委員会の概要を申し上げる、その説明の際にそのようなことを申し上げましたが、この法案ができましてから、通過しましてから、その具体的な人選はしなければいけないというように思っておりますけれども、いずれにしても、局長級以上の関係者ということでございますから、そこで大体の見当はつくんだろうというように思います。
 ただ、その場合に、例えば防衛庁ではどういう局長なのかといったようなこととか、外務省ではどういう局長だとか、一人なのか二人なのかとかいったようなこともございますので、その辺は今後具体的に検討してまいりたい、このように考えておるところでございます。
今川委員 そこで、次に移りますが、日米同盟、いわゆる日米安保条約が一九六〇年改定をされるときの密約の問題であります。
 一九六〇年一月六日、いわゆる藤山・マッカーサー口頭了解事項という、あの有名な話でありますけれども、そのときの、例えば核の持ち込みに関する例のイントロダクションの問題、そうしたものが、事実上、密約として、事前協議の対象扱いにならない。あるいは、一九六九年十一月二十一日の佐藤・ニクソン会談において、沖縄返還に伴う密約の問題であります。佐藤・ニクソン共同声明に関する合意議事録にはっきりとあるわけですね。
 こうした、安保条約を運用していく上で一番肝心な節目のところは、ほとんど国会でも明らかにされない、事実上密約扱いにされているということに非常に大きな懸念を持つわけです。
 こうした密約だらけの安保の運用と言っても構わない、こういうことで、実際に、有事の際の事態の認定とか、あるいは事態法案にうたわれているところの対処基本方針を本当に適切に決定できるんだろうか。ここは官房長官、いかがですか。
川口国務大臣 密約のことは安保条約の関係でございますので、その部分についてお答えをさせていただきますと、事前協議についての密約のことについてお触れになられ、また沖縄の返還についての密約のお話ございましたけれども、これまで総理大臣あるいは外務大臣がずっと、歴代の方々がお答えになっていらっしゃいますように、安保条約についての密約というのはないということを再度私から申し上げさせていただきます。
    〔浜田委員長代理退席、委員長着席〕
今川委員 何度お尋ねをしても、そのような答えしか返ってこないんですね。
 しかし、これは先ほど別の件で申し上げましたが、既にアメリカは機密文書指定のものを、一部例外を除いて、三十年を超えますと情報公開される、公にされる。それをわざわざ海をはるかかなた渡ってアメリカに行かないと、日米関係の一番肝心なところがわからない。それが国会でお尋ねをすれば、今のように、密約は存在しない、こういうことでは、およそ国民は納得しないと思うんですよ。
 だから、本当に日米同盟、日米安保が大事であればあるほど、そういう運用にかかわる、小さなことを言っているんじゃないんです、一番肝心なところです。例えば、核兵器を持ち込む、持ち込まないという問題も、アメリカの方が正直ですよ。イントロダクション、つまり、陸揚げ、貯蔵しない限りにおいて、核兵器を搭載したまま佐世保や沖縄などに、日本の港に出入港を繰り返してみても、これは該当しないんだという、アメリカの方が正直ですね。ですから、そのような、国民が、賛成反対両方あって構わないんだけれども、なるほどと言えるような事実の確認をきちっとしていかないと、とても危なっかしい、私はそのように思います。
 そこで、今からもう九年前、一九九〇年のいわゆる北朝鮮の核開発疑惑問題において、米軍は、平壌を制圧するための作戦計画五〇二七号というのを実際に作成しました。これに基づいて、我が国に対してもおよそ二千項目ほどの、こういう支援をしてほしいといういろいろなことを出し、これを政府として一定整理をして、報道などによると一千五十九項目に整理をしてみたけれども、実際にその支援体制というのはとれなかった、こういう経過があるはずであります。
 このいわゆる五〇二七号というのは、九四年以来二年ごとに改定をしている。現在のものは、五〇二七その〇二というふうになっていますね。この時点では、少なくとも地上軍六十九万人を投入する、こういう中身になっていたはずであります。
 しかしながら、御承知のように、アフガン戦争やイラク戦争で見られたように、米軍がこの十年間で飛躍的に戦力が強化をされているということもありまして、実際は来年改定の予定が、既に前倒しをして、現在、五〇二七の〇三年版を改定作業中であるという記事を見かけました。そこでは、主に空軍、海軍の戦力を重視して、限定攻撃を加えるんだ。しかも、この改定作業には、米太平洋軍司令部で核作戦担当の米戦略軍スタッフも参加をしている。その目的は、寧辺の核関連施設攻撃をも検討するためだとされております。
 こうした、今申し上げた五〇二七号作戦計画、あるいはこれが二年ごとに改定されている問題、特に今看過できないのは、申し上げたように、有力な選択肢の一つとして、少なくとも米太平洋軍のもとで北朝鮮の寧辺の核関連施設攻撃も検討項目に加えているということがありますが、我が国政府としてその事実の確認なり、どこら辺までを御承知なのか御答弁ください。
海老原政府参考人 お答え申し上げます。
 これは、累次、国会でも御答弁申し上げておりますし、最近では、周辺事態安全確保法のときに当時の野呂田防衛庁長官が御答弁されておりますけれども、今、今川委員がおっしゃいました米軍の作戦計画、これは米韓連合軍の共同作戦計画のことだと思いますけれども、これを我が方といたしましては承知をいたしておりません。
 また、いわゆる九〇年代初めの危機のときに、朝鮮半島におきます緊張状態のときに、我が方に対しまして、先ほどおっしゃいましたようなことを含みます、いわゆる対日支援要求というものが固まった形で日本政府に対して提示されたという事実はないというふうに承知をいたしております。
今川委員 今米軍の方では、ついこの間、今申し上げたような、具体的に朝鮮半島有事を想定したような米韓の合同演習、フォール・イーグルが実施をされました。さらに、今伝えられるところでは、新たに新型の機甲戦闘旅団の韓国駐留計画があるといいますし、あるいは、今の在韓米軍司令部なり在日米軍司令部を統合して、北東アジア軍司令部構想というものも浮上しているそうであります。非常に事は具体的です。
 そうして見ますと、結局、今回政府が提出をしたこの武力攻撃事態法案の中で、この第九条にかかわる武力攻撃事態の認定、それから武力攻撃事態への対処に関する全般的な方針及び対処措置に関する重要事項、このことに関しまして、問題なのは、やはり先ほど包括的メカニズム、あるいは調整メカニズム、さらに事態対処専門委員会、あるいは共同計画検討委員会、日米共同調整所などをるる申し上げましたけれども、結局のところ、この武力攻撃事態あるいは武力攻撃予測事態いずれを問わず、日米制服組の中でもはるかに情報量の多い米軍、つまり今回の場合には、より具体的に言うと、事態の認定に当たって、その主体というのは米太平洋軍ということになるんではないでしょうか。これは官房長官、防衛庁長官、どちらでも結構です。
石破国務大臣 それは、我が国が主体的に行うものだということは、もう当然委員御案内のとおりでございますが、委員御指摘のように、そういうことで、実質的にはそうなってしまうのではないかということを御懸念なんだろうと思います。
 そういうことにならないように、先ほど委員がおっしゃいました五〇二七の改定というもの、そのことについて我が国は直接かかわるわけではございません。しかし、これから先、例えば朝鮮半島で我が国と合衆国がどのように動いていくか、そういう場合に、アメリカがどういうふうにして計画を立てていくかということについては、当然我が国としても強い関心を有するべきだというふうに思っております。
 すべての中身を了知しておらねばならないというわけではございませんし、それをシェアしなければいけないというものではございません。しかし、そういうふうに、ではフォール・イーグルを踏まえて五〇二七がどのように変わっていくのか、変わっていくとするならばどういうものであるのかということにつきましては、強い関心を持っておるところでございます。
 実質的に、それじゃアメリカが勝手に決めているんじゃないのというようなことにならないように、主権国家としてきちんとした対応をしていくのは当然のことでございます。
今川委員 防衛庁長官、いわゆる米軍が勝手にとは言っていないんです。問題はやはり掌握している情報の量ですから、これはもう自衛隊よりも米軍の方がはるかに情報を握っているわけですよね。そうしますと、こういう事態の認定、今長官もおっしゃったように、小泉総理もおっしゃったわけですが、あくまでも日本が主体的に判断すると幾ら力んでみても、米軍が例えばここで、予測されるに至った事態であるということを言った場合に、それを上回る情報なり、判断の具体的な何か根拠を持たないと、米国、米軍に対して、いや、それは違うんだということが、反論が可能なんでしょうか。
 そういう意味で、日本の主体性ということは非常に大事なことなんだけれども、実態としてはやはり、例えば米太平洋軍が一たんあらゆる情報を分析した上で、これは日本にとってもあるいはアメリカにとっても予測の事態だと言った場合に、そうではないというふうなことが言えるんでしょうかね。
石破国務大臣 それは、私どもとしても、きちんとした情報を持ちませんと、そういうような委員御懸念のようなことにもなりかねない。そういうような情報をいろいろなチャネルからきちんととっていくということは当然のことでございます。
 しかし、ではアメリカと同じだけ、あるいはそれ以上の情報を我々が持てるか、こういうふうに言われますと、なかなか、はい持てますというような調子のいいお答えをするわけにはいかないのだろうと思います。つまり、起こっている事態というものがアメリカにとってどういう事態なのであり、我が国にとってどういう事態なのでありということにおいて、我が国とアメリカの置かれている立場はまた違うのだろうと思っています。
 そして、私どもとアメリカとの信頼関係、これは、委員も佐世保にずっといらっしゃって、いろいろなお立場からアメリカと日本の関係を見ていらっしゃるので、私なんかよりもよく御存じだと思いますが、本当にアメリカと日本との信頼関係というものを高めていく、そういう不断の努力の上に、幾つもの情報を総合した事象を日本にとってアメリカにとってきちんとシェアしていく、そしてそれが主体的な判断によって行われるということは、私は可能なのだろうと思っています。
今川委員 もうほとんど時間がありませんので、次に、有事の際の日米の指揮権に関しては次回またお尋ねをしたいと思いますが、一点だけ、これも防衛庁長官にお尋ねしておきたいと思います。
 イラクの戦争ですね、先般のイラクの戦争です。この場合には、イギリスはもとより、米軍とともにこの戦争に参加をした幾つかの国がありますね。そういう国々というのは、カタールに司令部を置いた米中央軍の事実上の指揮下に入ったわけですよね。これは、先般私は石破長官にもお尋ねしたんですが、自衛隊の補給艦や護衛艦も、実質的にはバーレーンに拠点を置く米第五艦隊の指揮下に入っているはずなんですね。いかがですか、もう一度。
石破国務大臣 そのような事実は全くございません。
 事実上の指揮下とおっしゃるのがどのような意味なのか、ちょっと私ははかりかねる部分がございますが、私どもは私どもとして行動しておりますので、そのような米軍の指揮下において行動したという事実は、今回のテロ特措法に基づいて行っておる行動の中で、あったということを私は一切承知しておりません。
今川委員 もう時間が来ましたので、きょうはこれで終わりにしたいと思いますが、委員長、一点だけ委員長にお願いをしておきたいことがございます。
 私どもは、理事会の中でも、社民党としても、もうここまで議論が進んできた以上は、ちょうど一年前の通常国会のときに、久間委員を初め与党の皆さん方が中央公聴会を設定したいとおっしゃった。私たちは中央公聴会そのものに反対したのではなくて、久間先生、審議を今から始めますよというときに中央公聴会が出てきたから、それはいかがかということで反対したわけであって、今こそ中央の公聴会なり、できれば一、二カ所、地方の公聴会をぜひ開いていただきたいということを委員長にもお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
鳩山委員長 本日の理事会でも今川委員からは同様の希望が寄せられておりますので、今後また理事会で協議いたします。
今川委員 よろしくお願いします。
鳩山委員長 次に、井上喜一君。
井上(喜)委員 一昨年の九月十一日のニューヨークのテロ事件以降、安全保障という問題について、国際的な関心はもとより、日本におきましても安全保障論議が活発に交わされ、大変関心が高くなってきていると思うんです。あと、アフガンの戦争でありますとかイラクでの米英軍の武力行使だとか、あるいは北朝鮮の核開発あるいはミサイルの開発、配置のようなこと、こういったことについて、安全保障上、やはりきちっとした対応をしないといけないというような関心が強まった、こういうことだと思うんですね。
 周辺事態法の審議で、これまでの我が国の防衛政策につきましてかなり総括的な質問が私は出てきたと思いますし、また、副次的な効果といたしまして、国民の間で、安全保障に対する理解といいますか、その必要性というのは大変認識されるようになってきたということはいいことだと思うんです。
 そこで、これまで防衛政策の中で、幾つかの基本原則といいますか、そういうようなものが私は二つあると思うんですが、一つは専守防衛という概念ですね。それからもう一つは、集団的自衛権はあるんだけれども憲法上行使できない。これはわけがわからないんですよ。あるけれども行使できない、では、ないということなのか、よくわからないんだけれども、そういう二つの概念というのは大変重要な柱になっていると私は思うんです。
 この専守防衛の概念、これはきちっとやはり確認しておく必要があると思うのでありますけれども、長官自身、どういうことが専守防衛なのか、それからまた、この思想といいますか、用語はいつごろから一般的に言われるようになりましたのか、お聞かせをいただきたいと思います。
石破国務大臣 私もこの専守防衛という言葉は一体いつごろ出てきた言葉かなと思って調べてみますと、今まで通説的には、中曽根白書というのがあったんだそうです、昭和四十五年ですか、中曽根康弘先生が防衛庁長官をお務めのときにできました中曽根白書と言われる昭和四十五年の防衛白書、ここにおきまして、我が国防衛政策の基本を指すものとして公式に用いられた。しかし、よくよく見ますと、昭和三十年代の国会答弁においても専守防衛という言葉が出てきます。
 その意味するところは、政府としては、相手からの武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための最小限度のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢、こういうことになっております。
 政府の立場で申し上げますがところの専守防衛というのは、こういうことであります。
井上(喜)委員 かなり、状況に応じて、弾力的といいますか、幅広く解釈されるような余地があるように思うんですね。
 特に、武器の体系というのがその当時と今日と非常に変わってきておりまして、即時に対応しないと攻撃を受けてしまうというような場合だってあり得るわけです。
 それは御答弁も何回かありましたので、私、これは確認しておきたいんですけれども、じっと待っていて自分の土俵の中で守るんだ、こういう意味ではない。つまり、攻撃がもう目前に迫ったような場合は、座して死を待つんじゃなしに、そういう事態につきましても武力行使ができるんだ、こういう理解でよろしいですか。
石破国務大臣 自衛権の三要件を満たしました場合には、私は、法理上は自衛権の行使としての武力の行使は可能である、これは従来から政府がとっておる立場だと承知をいたしております。
井上(喜)委員 先週、参考人質疑がありまして、六人の方が来られまして意見を述べられたんですが、私はそのときに、先制攻撃ということにつきましてどういうふうなお考えですか、こういうように聞きますと、先制攻撃をするしないの賛否はありますけれども、理論的には一応認められるというのが大部分のお考えだったように思うんですね。
 ただ、その中で、やはり日本の場合は専守防衛というものをもう少し考え直すといいますか再検討して、今の時代に合うような対応の方がより現実的ではないか、こういうような御意見がありましたけれども、まさに今長官の御答弁というのは、そういうことも含まれているんじゃないかなとも思うんですね。
 先制攻撃がないんだけれども、要するに先制的に攻撃できる、こういうことにつきましての長官の御意見を伺いたいと思います。
石破国務大臣 こういう話が出てきましたのは、大量破壊兵器並びに弾道ミサイルの拡散と私は連動した議論なんだろうと思っています、ある程度は。やあやあ我こそはと言って名乗りを上げて、古式ゆかしくというかセオリーにのっとってというか、そういうようなことをやっておるような時代ならばまだよいのでございますが、弾道ミサイルが冷戦真っただ中には二カ国しか持っていなかった、冷戦が終わるときは十カ国だった、今や四十六カ国であるという状況、そして、その上に載っけるがところのNBCのようなものが恐ろしい勢いで拡散をしておってという状況、そして、弾道ミサイルというものが撃たれれば数分で届いてしまうという状況、それががらっと変わったのだろうと思っています。法理論上は何ら変わるものでもありませんし、我が国として、その場合の打撃力は合衆国にゆだねるという立場も何ら変わるものではございません。
 しかし、本当にそれが物すごくスピードが速くなったということと、それによって受ける被害がまことに甚大であるということをどのように考えたらよいのだろうかという御議論、それがまたこの間の参考人との間でも行われたものだというふうに理解をしておりますし、これからまた国会の中でそういう御議論があるのかなというふうに思っております。
井上(喜)委員 新しい事態に対応できる安全保障の体制をしっかりと検討していただいて、きちっとしたものをつくっていただきたい、こういったことを希望いたしまして、終わります。
鳩山委員長 次回は、明十三日火曜日午後一時五十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十一分散会


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