衆議院

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第5号 平成15年4月17日(木曜日)

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平成十五年四月十七日(木曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 村井  仁君
   理事 逢沢 一郎君 理事 砂田 圭佑君
   理事 蓮実  進君 理事 松下 忠洋君
   理事 伊藤 忠治君 理事 細野 豪志君
   理事 漆原 良夫君 理事 東  祥三君
      石田 真敏君    岩永 峯一君
      大村 秀章君    金子 恭之君
      亀井 久興君    北村 誠吾君
      滝   実君    竹下  亘君
      橘 康太郎君    谷田 武彦君
      谷本 龍哉君    福井  照君
      星野 行男君    松浪 健太君
      松野 博一君    宮澤 洋一君
      山本 幸三君    吉田 幸弘君
     吉田六左エ門君    石毛えい子君
      大畠 章宏君    後藤  斎君
      今野  東君    島   聡君
      武正 公一君    中村 哲治君
      平岡 秀夫君    山内  功君
      横路 孝弘君    西  博義君
      桝屋 敬悟君    黄川田 徹君
      西村 眞悟君    赤嶺 政賢君
      春名 直章君    吉井 英勝君
      北川れん子君    保坂 展人君
      山谷えり子君
    …………………………………
   議員           細野 豪志君
   議員           山内  功君
   総務大臣         片山虎之助君
   国務大臣         細田 博之君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     竹中 平蔵君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   内閣府副大臣       米田 建三君
   厚生労働副大臣      木村 義雄君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   内閣府大臣政務官     大村 秀章君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    秋山  收君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  藤井 昭夫君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    栗本 英雄君
   政府参考人
   (防衛庁長官官房長)   山中 昭栄君
   政府参考人
   (金融庁総務企画局長)  藤原  隆君
   政府参考人
   (金融庁監督局長)    五味 廣文君
   政府参考人
   (総務省行政管理局長)  松田 隆利君
   政府参考人
   (総務省総合通信基盤局長
   )            有冨寛一郎君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (経済産業省商務情報政策
   局長)          林  洋和君
   政府参考人
   (経済産業省商務情報政策
   局消費経済部長)     小川 秀樹君
   衆議院調査局個人情報の保
   護に関する特別調査室長  小菅 修一君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十七日
 辞任         補欠選任
  北村 誠吾君     山本 幸三君
  大畠 章宏君     武正 公一君
  春名 直章君     赤嶺 政賢君
同日
 辞任         補欠選任
  山本 幸三君     北村 誠吾君
  武正 公一君     大畠 章宏君
  赤嶺 政賢君     春名 直章君
    ―――――――――――――
四月十七日
 個人情報保護法反対に関する請願(今川正美君紹介)(第一八二六号)
 同(植田至紀君紹介)(第一八二七号)
 同(大島令子君紹介)(第一八二八号)
 同(北川れん子君紹介)(第一八二九号)
 同(原陽子君紹介)(第一八三〇号)
 同(山内惠子君紹介)(第一八三一号)
 同(阿部知子君紹介)(第一八八二号)
 同(今川正美君紹介)(第一八八三号)
 同(大島令子君紹介)(第一八八四号)
 同(山内惠子君紹介)(第一八八五号)
 自己情報コントロール権に基づく個人情報保護法の制定に関する請願(中村哲治君紹介)(第一八三二号)
 自己情報コントロール権に基づく個人情報保護法制の制定に関する請願(五十嵐文彦君紹介)(第一八三三号)
 同(伊藤忠治君紹介)(第一八三四号)
 同(大出彰君紹介)(第一八三五号)
 同(大畠章宏君紹介)(第一八三六号)
 同(海江田万里君紹介)(第一八三七号)
 同(金田誠一君紹介)(第一八三八号)
 同(川田悦子君紹介)(第一八三九号)
 同(河村たかし君紹介)(第一八四〇号)
 同(菅直人君紹介)(第一八四一号)
 同(北川れん子君紹介)(第一八四二号)
 同(穀田恵二君紹介)(第一八四三号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第一八四四号)
 同(重野安正君紹介)(第一八四五号)
 同(城島正光君紹介)(第一八四六号)
 同(末松義規君紹介)(第一八四七号)
 同(仙谷由人君紹介)(第一八四八号)
 同(達増拓也君紹介)(第一八四九号)
 同(土井たか子君紹介)(第一八五〇号)
 同(野田佳彦君紹介)(第一八五一号)
 同(春名直章君紹介)(第一八五二号)
 同(平野博文君紹介)(第一八五三号)
 同(藤村修君紹介)(第一八五四号)
 同(保坂展人君紹介)(第一八五五号)
 同(細野豪志君紹介)(第一八五六号)
 同(前原誠司君紹介)(第一八五七号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第一八五八号)
 同(山内功君紹介)(第一八五九号)
 同(山口富男君紹介)(第一八六〇号)
 同(山田敏雅君紹介)(第一八六一号)
 同(山花郁夫君紹介)(第一八六二号)
 同(山元勉君紹介)(第一八六三号)
 同(横光克彦君紹介)(第一八六四号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一八六五号)
 同(春名直章君紹介)(第一八八六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七一号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七二号)
 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七三号)
 情報公開・個人情報保護審査会設置法案(内閣提出第七四号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七五号)
 個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外八名提出、衆法第一〇号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外八名提出、衆法第一一号)
 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外八名提出、衆法第一二号)
 情報公開・個人情報保護審査会設置法案(枝野幸男君外八名提出、衆法第一三号)


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     ――――◇―――――
村井委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び枝野幸男君外八名提出、個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官藤井昭夫君、警察庁刑事局長栗本英雄君、防衛庁長官官房長山中昭栄君、金融庁総務企画局長藤原隆君、金融庁監督局長五味廣文君、総務省行政管理局長松田隆利君、総務省総合通信基盤局長有冨寛一郎君、法務省刑事局長樋渡利秋君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君、経済産業省商務情報政策局長林洋和君及び経済産業省商務情報政策局消費経済部長小川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
村井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平岡秀夫君。
平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。
 きょうは、個人情報保護に関する関連法案質疑でありますけれども、特別委員会ということでこの委員会はスタートしたわけでありまして、当初、スタートするに当たって、官房長官についてもほかの大臣についても、私の理解では、要求があれば当然出ていただける、それのための特別委員会であるという私は認識であったし、いろいろとそういう約束も与野党間の中であったというふうに理解しておるんですけれども、きょう、私が本当にこの法案の中で最も重要な部分だと思っている部分について、官房長官に質問をしたいということで質問を投げたわけでありますけれども、官房長官は出席できないということで、まことに私はけしからぬ、けしからぬというよりは残念で残念でしようがない。せっかく貴重な時間をいただいて質問するのに、非常に申しわけないと思っています。
 そこで、ぜひ、官房長官が出てこられるときに再度時間をいただいて質問させていただきたいというふうに思っていますので、与党の理事の方々も、そして政府の方々もよろしくお願い申し上げたいと思います。
 そこで、きょうは、そういう意味で非常に残念ながら質問の順番を変えなきゃいけないんですけれども、さらにまた金融担当大臣さんも、何か別の委員会が待っているということで、十五分か二十分ぐらいしか出席できないというようなことであるので、これもまた、私にとってみれば、きょう私が質問する話というのは、これまでにない、余り検討されていない部分についての個別法の取り扱い、当然のことながら、これは個人情報保護法の中にも、六条の中にその文言があるわけでありますから、この問題についてもきちっとやはり政府としての見解を示していただかなければいけない。こういう状況の中で、たった十五分しか出れないよというんじゃ、本当に何のための特別委員会かわからないじゃないですか。よく反省してください、本当に。まことに、私は、本当にけしからぬ話だと思います。
 それで……(発言する者あり)ちょっと場外、黙ってください。それで、まず、基本法と個別法の関係でありますけれども、皆さん御存じのように、個人情報保護法……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。個人情報保護法の六条の三項というところに、国の行政機関、独立行政法人が六条一項、二項ですけれども、三項のところに、民間部門においても「格別の措置が講じられるよう必要な法制上の措置」を講ずるというような部分があるわけでありますけれども、ちまた、いろいろ言われております。信用情報の関係あるいは通信事業関連情報の関係、医療情報の関係、こういう分野は個別法の必要性があるというふうに言われておるわけであります。
 特に、きょうは、大臣としては金融担当大臣しか出ていただけなかったのでまず聞いてみたいと思うんですけれども、いわゆる個人信用情報、これについて個別立法の必要性をどのように認識しておられるのか。そして、その検討状況というのはどのようになっているのかということについてお聞かせいただきたいと思います。
竹中国務大臣 今、ここで御審議をいただいている個人情報保護法は、基本法、いわゆるアンブレラに相当するものであって、そのアンブレラのもとにぶら下がる個別の法律体系をどのようにつくっていくかということは、これはすべての省庁、すべての大臣にとって大変重要な問題であるというふうに認識をしております。
 金融分野においては、業態を問わず、個人、金融仲介機関とのかかわりにおいて、個人情報の取り扱いが重要な論点となるというふうに認識しておりますので、これまでも、個人情報の保護に関する法律案に加えて、追加的な措置が必要かどうか、その必要性等について金融審議会等で議論をいただいてきたところでございます。
 今後も、この個人情報保護法案の審議状況を勘案しながら、個人信用情報の保護等については何らかの立法措置が必要か否かも含めて、金融分野における個人情報の取り扱いについて検討してまいりたい、金融審議会等々でこういう議論がこれまでも行われておりますので、そうした中でしっかりと議論を煮詰めていきたいというふうに思っているところでございます。
平岡委員 今大臣が答弁されたのは、金融機関、金融機関という中には貸金業者なんかも入っているんだろうと思いますけれども、一般的にちょっと言われました。
 ただ、現在の法律制度というものを見てみると、貸金業規制法の中には、三十条というところに、要するに、信用情報の話が既に法律として書いてあるわけですね。ただ逆に、多分大臣の頭の中にはほかの、銀行とか保険会社とかあるいは証券会社といったような金融機関も入っているんだろうと思うんですけれども、それについては、個人信用情報とかあるいは個人情報の取り扱いについては、個別的な定めが、規定がないわけですよ。
 そうすると、既にそういう法律制度が存在しているものと存在していないものがあるということで、私は、とりあえずは個人信用情報、特に貸金業者の関係とか割賦販売業者の方の話をちょっと聞いたつもりだったんですけれども、今、とりあえず両方まとめて答弁されたように思うんですけれども、そういう既存の制度のあるものと、法律があるものとないものとで比較してみて、何か違いがあるんですか。私は分けて聞こうと思ったので、同じ答弁になるのかもしれませんけれども、再度その点だけ確認させてください。
竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、この法律の組み立てというのは、本来であったら、理想的に言えば先に基本法があって、その理念に基づいて各分野のものを一つずつ積み上げていくというのが本来の理想だと思います。しかしながら、今時代が非常に速く流れる中で、今この時点で、基本法である個人情報保護法について御審議をいただいている状況で、御指摘のように、貸金業等々については先行して一部その業法の中に個人情報を規定している部分がございます。
 我々の考え方としては、今既に規定しているものの中に今基本法として御審議をいただいているものと矛盾しているようなものがもしあれば、これは早急に取り組まなければいけないと考えます。しかし、我々の認識では、いわゆる矛盾している、何らか急いで調整を必要としているようなものは存在していないというふうに思っております。
 その意味では、委員のお尋ねは、部分的にあるものと今全くまだないものとをどう考えるか。これはまさに、総合的に金融行政全体の中で、基本法の精神を受けて詰めていかなければいけない問題である。その意味では、お尋ねに対する直接のお答えとしましては、そうした点も踏まえて、金融審議会等々で今後総合的な対応策を考えていきたい、このように考えております。
平岡委員 今、例えば既存の貸金業規制法の中にある情報の取り扱いの部分について、個別法と矛盾していないというような御説明がありましたけれども、本当にそうかどうかというのはこれから、大臣が多分いなくなってしまうんだろうと思いますけれども、少し詰めて議論をしてみたいというふうに思うんです。
 それはそれとしても、今検討しているというふうに言われました。この個人情報保護法は、施行日というのは、基本的には、第四章から第六章のいわゆるいろいろな個人情報取扱業者に対して主務大臣が何らかの働きかけをするというような部分の規定というものは、要するに「公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」というふうになっているんですね。
 それで、例えば金融審議会でいろいろ検討した結果として、個人信用情報とか、あるいは金融機関の持っている情報についての個別法がやはり必要である、だからこれをやらなきゃいけないということになったときには、これは変に考えると、個人情報保護法がまず施行されました、それで何か金融審議会でたらたら審議していて、施行されてから一年後とか二年後に、また今度は個別法が施行されるというふうなことになってしまうと、これは金融機関にとってみれば朝令暮改的になってしまって、せっかく自分たちはこういう仕組みの中で個人情報保護法に基づいてこうやっていたのに、さらに今度また二年後には変わらなければいけないというようなことになってしまうわけですね。特に、既に貸金業規制法があって、そのもとでしっかりとやっている個人信用情報の取り扱いについて、この今回の一般法に基づいて何か手当てをし、そして、それでやっていたら、今度は個別法が必要だというのでまた手当てをしなければいけない。私は、非常に混乱を生じさせるような気がするんですね。
 そういう意味では、その個別法を、できる限り、一般法としての個人情報保護法の施行とあわせて法律が施行されるように検討すべきではないかというふうに思うんですけれども、大臣、これは事前に通告してある話なので、よろしくお願いします。
竹中国務大臣 委員が御懸念になるように、これはやはり、全体として整合的なものできっちりと個人情報が保護されていくような体系、そういう社会をつくっていかなけりゃいけないというふうに私も強く思います。その意味では、いわば用意ドンで基本的なものと個別のものがスタートできれば、それは一つの理想ではあるわけでございますけれども、これは今まさに基本法の部分について御議論をいただいている。
 我々としては、重要な点は、個人情報取扱業者に不必要な混乱が生じないような配慮をする、これはもう当然のことでありまして、委員御指摘のような形での混乱が起こらないようなしっかりとした体制整備というのは、これは責任を持って、ぜひじっくりとやっていきたいと思います。
 具体的に申し上げますと、これは、金融審議会の話を先ほど申し上げましたけれども、今まで金融分科会の特別部会の中で過去六回ほど議論をしております。今まさにこの基本法の成り行きについて委員の皆さんも見守っているところでございますので、御懸念のような混乱が生じさせないように十分に配慮をして対応していきたいというふうに思います。
平岡委員 大臣、そういう混乱が生じさせないように十分に配慮していきたいと。配慮だけじゃなくて、もっと、本当に、実際に事業を行っている人たちにとってみれば、ある意味では生き死ににかかわるような問題にもなってきますので、その点は十分、配慮以上にしっかりと頭の中に入れておいていただきたいというふうに思うんです。
 この関係で、ただ単に個人信用情報だけじゃなくて、先ほども申し上げましたように、個別法の必要性が言われている分野としては、通信事業関連情報、医療情報といったような分野があるんですけれども、それぞれについて、今私が金融担当大臣に申し上げたような問題点が存在しているというふうに思うんですけれども、この点について、それぞれの担当大臣、きょうは何か大臣が来られないというふうに言われたので副大臣なのかもしれませんけれども、御答弁をお願いいたしたいと思います。
片山国務大臣 電気通信事業の関係は私の方ですから、お答えをさせていただきます。
 今回の法律は基本法ですね。基本法というのは全部にかぶる。そういう意味では、電気通信事業もこの基本法が成立して施行されればその適用を受ける、こういうことなんですが、電気通信事業は大変な多くの個人情報を収集して利用するわけですよ。その情報の中には機密性の高いものもあるし、それが漏えいその他をすれば大変な社会的影響を及ぼすものもありますから、特殊の取り扱いが必要だ、特別の取り扱いが必要だ、私もこう思います。
 基本法が施行されて、その状況を見ながら、いずれにせよどうしていくか、こういうことだと思いますけれども、公布から施行まで二年の間で政令で決めるようですから、少なくとも施行までにどういう扱いをするかの対応はしっかりしたい。今は、ガイドラインを私どもの方がつくっておりまして、それに基づいてやってもらっているんですよ。そのガイドラインの改定を含めて検討する。あるいは、個別法をいつ、どういう形のものをつくるかも検討する。それは電気通信事業者の皆さんの意向も聞かにゃいけません。これはなかなかやかましい人が大勢おりますから、こういうところの意向も十分聞く。
 そこで、私どもの方で今、二月に研究会をつくりまして、いろいろ研究を学識経験者にしてもらっておりますから、その検討の結果を待ちたい、こういうふうに思っております。
木村副大臣 医療関係は、これはもう大変、やはり個人の情報の保護という観点から、以前からちゃんとした仕組みを備えておりまして、例えば医師とか歯科医師等は、これは刑法で守秘義務が規定されております。それから、看護師とかその他の医療関係職種におきましても、それぞれの資格法におきまして守秘義務が既に法律で決められておりまして、少なくとも守秘義務に関しましては、これは個別法の必要はもうなく、完全に法律的な措置を講じている、既にされているところでございます。
 ですから、先生のような御指摘の点は、守秘義務ということに関しましては混乱を生じるようなものはないというふうに考えているところでございますけれども、厚生労働省といたしましては、現在、これからの診療情報の提供や保護のあり方につきましては、診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会におきまして議論をしていただいているところでございまして、今後、結論を取りまとめながら適切に対応してまいりたい、こういうことを今進行中でございます。
平岡委員 それぞれ関係するところの大臣、副大臣の方々から答弁いただきましたけれども、これから検討しなければわからない部分もいろいろあるんだろうと思いますけれども、早急に検討していただいて、社会に混乱を生じさせないようにしていただきたいということを要請しておきたいと思います。
 厚生副大臣さんは、もう結構でございますので。
 そこで、先ほどちょっと金融担当大臣にお話を伺ったときに、矛盾は生じていないんだというようなお話がございましたので、ちょっと幾つか確認をさせていただきたいというふうに思うわけであります。
 現在、貸金業規制法三十条の第二項には、目的外使用の禁止というのがあります。他方、この個人情報保護法の十六条の一項にも「利用目的による制限」というのがあります。ただ、これは両者を比べてみると、表現ぶりがいろいろ違うということでございます。
 例えば、貸金業を営んでいる人たちが、自分たちが得た個人信用情報、これについて何らかの、法律が予定していることとは違うことをやってしまったというふうな場合、貸金業規制法でいうと、これはどういうふうになるのか。この個人情報保護法によれば、主務大臣がいろいろ勧告とか命令をするという規定があるわけでありまして、それに背いた場合は罰則があるという仕組みになっている。貸金業規制法の方にはそういう罰則につながるような道は何ら設けていない。
 これでいくと、本来であれば個別法の方がもっと厳しい世界を想定しているにもかかわらず、個別の方が緩やかになってしまっている。これはどうやって考えたらいいんでしょうか。どういう関係になるんでしょう。まず、細田大臣から。
細田国務大臣 政府案の義務規定は、個人情報取扱事業者の事業内容を問わずに適用される一般的義務でありますから、特定の規定のない限りは、事業者要件に該当する者には本法案の義務規定が適用されるわけでございます。また、個別法において義務規定等が設けられている場合は、本法によることが適当でない場合については、必要に応じ、個別法において、本法との関係の調整規定が置かれることとなります。
 御質問の貸金業規制法におきましては、このような調整規定が設けられない場合には、貸金業規制法の規制対象者が個人情報保護法における個人情報取扱事業者である場合は、個人情報保護法の義務規定及び貸金業規制法の義務規定の双方が適用されることとなると考えております。また、その場合には、担当大臣の関与についても、それぞれの法律に規定される手続に従って行われることとなります。
 ただ、これは、議員おっしゃいましたように、さまざまな歴史があって、これまでの個別法がございます。それで、この一般法は、二年前に提案されて、また修正をして提出されておるわけで、その間非常にIT化、情報の処理の多様化、大量化というものが進んでおりますから、今一般法で定めておりますが、個別の法体系の再点検については各主務大臣等においてまた考えていただきたい、そういう規定もあるわけでございます。
平岡委員 これはたまたま法律が主務大臣という形になっているので、個人情報保護法に基づいて行動する主体が主務大臣ということになっているのでこういう問題が生じるわけでありますけれども、我々は、主務大臣じゃなくて、これは第三者機関である委員会、独立行政機関でやるべきであるということを主張しているという中においては、余り矛盾は生じないわけであります。
 こういうふうに、主務大臣とそして貸金業規制法の担当大臣である者が同じになった場合は、この両者がどのような視点に立ってどういう行動をとるのかというのを、ここはきちっと整理されていない限りは、非常に混乱を来すということになってしまうような気が私はするんですよね。そういう意味においても、私は一般法に対応する個別法という位置づけをきっちりとつくったものが必要であるというふうに思っているということをちょっとまず申し上げたいと思います。
 それで、例えば、それ以外の二十三条の一項の四号というところに、「国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。」には個人データを第三者に提供することも許されるような仕組みになっています。ところが、先ほど言いました貸金業規制法の三十条の二項では、これは「返済能力の調査以外の目的のために使用してはならない。」こうなっております。では、この関係はどうなるのかというところですよね。
 例えば、個人信用情報を取り扱っている貸金業者あるいは信用情報機関というものが、個人情報保護法二十三条の一項の四号で、四号に該当するとだれが認定するかはまた後で聞こうと思いますけれども、ということになったときに、これは出してもいいというような、あるいは出すべきであるというような取り扱いになるんですか。その点はどうでしょう。これは、担当大臣、大臣がいないので副大臣の方が答えるのがいいのかもしれませんけれども。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま細田大臣からお答えがありましたように、貸金業者に対する法律と、それから個人情報保護法義務規定の双方が適用される、現行法上ではそういう形になります。したがいまして、主務大臣たる内閣総理大臣は、それぞれの法律に基づく所定の関与を行うことになっております。
 先生御案内のように、現行の貸金業規制法三十条第二項は、貸金業協会員たる貸金業者に対して信用情報の目的外使用を禁止しております。これは、目的外使用の絶対的禁止でございまして、個人情報保護法の方は目的外利用の禁止の限定解除という形になっておりますので、この場合は当然のことながら目的外利用の絶対禁止の方が優先する、現行法においてはそういうふうに私ども解釈しております。
平岡委員 現実の取り扱いとして、私もちょっと関係者の方に聞いたんですけれども、現在、警察から例えば刑訴法の百九十七条二項によって捜査関係事項の照会ということで受けた場合でも、個人信用情報機関は、これは法律で貸金業規制法の三十条二項というのがあって自分たちとしては応ずることはできないということで、提供していないという取り扱いになっているんだそうですけれども、この個人情報保護法が成立してもその取り扱いで問題はないということですね。それを確認しておきたいと思います。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 私どもは、現行法上の取り扱いとしては、先生おっしゃるとおりだと思っております。
平岡委員 それから、現在、貸金業規制法あるいは割賦販売法に基づいて、個人信用情報というものについての取り扱いがいろいろ行われているわけですけれども、その中に、全国銀行個人信用情報センター、日本情報センター、そしてシー・アイ・シーという組織がそれぞれの業態別にあって、それらが互いに情報交流をしている。CRINというそうですけれども、こういう共同利用の問題についても、この個人情報保護法が成立したときにはどういう影響を受けるんだろうかということを、やはりそれぞれの関係者の方々は疑問に思っているという点があるので、ちょっとその点確認したいと思うんです。
 この個人情報保護法について言うと、二十三条、先ほどの解除される場合、第三者提供が限定的に認められる場合が書いてあるんですけれども、その規定を含めて考えて、今三者が行っている情報交流については、この個人情報保護法が成立するとどういう影響を受けるんでしょうか。あるいは、影響を受けないとすると、どのような考え方、規定に基づいて影響を受けないのか、この点を細田大臣にお伺いしたいと思います。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、現在、主な信用情報機関といたしまして、全国銀行個人信用情報センター、いわゆるKSCというものと、それから日本情報センター、JICというものと、シー・アイ・シー、これは信販関係のものでございますが、こういうものがございます。これらの三つの機関では、あらかじめ顧客の同意を得まして、CRINというシステムを介しまして、一定範囲の個人情報についての交流を行っているものと承知いたしております。
 個人情報保護法が制定、施行されますれば、これらの信用情報機関及びその会員事業者は、個人情報取扱事業者として、個人データの第三者提供等の際に法律上の規制が課せられることになります。
 現行法上の取り扱いを申し上げますと、信用情報機関及びその会員事業者は、現在におきましても、あらかじめ顧客の同意を得て個人情報の交流を行っているところでありますが、個人情報保護法施行後は、その規定にのっとりまして、利用目的の通知等や第三者提供に当たっての手続について再度きちっと点検した上で、必要な措置があれば適切に講ずることになると考えております。
平岡委員 今のを条文的に照らし合わせると、二十三条の一項に該当する場合として、あらかじめ本人の同意があるということによって三者間の情報交流ができるという解釈であるということでいいでしょうか。再度確認をしたいと思います。
細田国務大臣 今の共同で行う場合には、二十三条四項の三号に該当するということから解釈できると思っております。
平岡委員 これは、細かく読むと、今大臣が言われた二十三条の四項の三号で果たして今の現実に行っている情報交流が認められるのかどうかというのは非常に疑義のあるところなんですよ。これは、大臣にどこがどうしてかというのを説明しても、多分すぐには理解してもらえないのかもしれません。後で事務当局ともちゃんと詰めた上でまた再確認させてもらいたいと思いますけれども、今ちょっと耳打ちをされているようでありますので、再度答弁を確認したいと思いますけれども、よろしいですか。
細田国務大臣 一項は、同意があればオーケーということであり、四項三号は共同利用ということで規定されている、こういうことでございます。
平岡委員 だから、私は聞いているんです。先ほどから言っている三者による情報交流については、場合によっては四項の三号に該当する場合もあるかもしれません、それは確かに。だけれども、それに該当しないケースが実はいろいろ検証してみるとあり得るんですね。そのときには、やはり二十三条の一項で、本人の同意があるという位置づけの中で情報交流が今までどおりできるんだという解釈なんでしょうねということを確認したかったんですね。
 先ほどの金融庁の参考人の答弁は、その趣旨を述べられたわけであります。だから、その趣旨が、法律的にいうと二十三条第一項に基づいてできるんですねということを確認したいということなので、もし大臣が答えられなければ金融庁の方でも結構ですから、確認をさせてもらいたいというふうに思います。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 そのとおりでございます。
平岡委員 それで、情報交流について言えば今の解釈で差し当たりの問題は生じないのかもしれませんけれども、先ほど冒頭に質問した話として、個人情報保護法ができると、現在行っているいろいろな、特に個人信用情報について、かなり社会的には進んでいますから、これも影響を受けるのではないかというふうに考えられているわけでありますけれども、この点について、どういう影響があって、今つくられている例えば金融庁の事務ガイドラインあるいは経済産業省の個人情報保護ガイドライン、こういうものについての変更が必要になるというふうにお考えになっておられるんでしょうか。そして、もし仮に変更が必要であるというふうに判断しておられるとすると、どのような点が変更になるんでしょうか。それぞれ、金融庁そして経済産業省の方からお聞かせ願いたいと思います。
五味政府参考人 お答えいたします。
 現行の事務ガイドラインにおきましては、既に個人情報の保護の観点から一定の手当てが、銀行あるいは証券会社あるいは信用情報機関、貸金業者等においてなされておるわけでございます。貸金業者等においてはかなり細部にわたるものがございまして、それなりの手当てはあるということでよろしいのではないかと存じますけれども、ただ、金融機関が大量の個人情報を取り扱うということでありますから、金融機関における個人情報の適正な取り扱い、これは極めて重要な政策課題であります。したがって、今後この法律が成立をしまして関連法令が整備されるということになりました際には、改めて、法令において求められる個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務、こういったものをよく精査させていただきまして、そして現行の事務ガイドラインとこれを照らし合わせた上で、整合性をとるということが大事でございますから、整合性をとるという観点からこの整備を検討するということにしたいと思います。
 現状で、具体的にここがこうというところまでまだ分析をし尽くしておりませんが、かなりの部分はガイドラインで手当てできていると思います。ですから、あとの課題は整合性ということだろうと思います。
高市副大臣 ガイドラインの変更でございますが、必要だと考えております。
 現在の経済産業省のガイドラインは、あくまでも、積極的に個人情報の保護に取り組もうとする事業者団体などに対してガイドラインを定める際の指針となる事項を示したもので、いわゆる努力目標というんですか、提案型というか、そういったものでございます。
 他方、この法律案の中では、国は、事業者等が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るための指針を策定するということを法定いたしております。今のガイドラインの中には、特定の機微な個人情報の収集に対する制限ですとか、個人情報の収集に際しての本人同意の取得ですとか、それから、本人からの利用停止要求への対応といった事項も含まれておりますので、今回の法律案と照らし合わせますと、この法律に基づく措置として適用していくには明確性などの点でかなり困難と思われる事項が含まれておりますので、この法律案の内容に合わせて見直しをいたします。
平岡委員 今経済産業副大臣の方から、かなり見直しが必要だというふうに言われました。
 見直しが必要だということであるならば、先ほども言いましたように、やはりしっかりと検討していかなければいけないわけでありますけれども、やはり個別法が必要になってくる世界というのももしかしたらあるのかもしれないということも、直接的には出てこないんですけれども、この個人情報保護法に基づいてでも相当見直しが必要であるということであるならば、個別法によって対応しなければならない部分もあるのかもしれないということもあるんだろう。仮にそうなったとすると、そのタイミングがずれてしまうとまた無用な混乱を生じさせてしまいますから、個別法の対応が必要であるのかどうかということもあわせて検討しながら、この個人情報保護法の施行とずれて物事が進まないようにという視点をぜひ持ってもらいたい、こういうふうに思っているわけであります。
 それで、また個別法の世界に入っていくわけでございますけれども、私は、今回の個人情報保護法だけでは、これまでいろいろ事件になった問題について果たして適切に対応できている法律なのかどうかということをちょっと疑問に思う部分がありますので、確認をしたいと思います。
 これまで、金融機関に関連して、個人情報についていろいろな事件が起こっております。
 例えば、昨年八月に、ある証券会社から顧客データが名簿業者に流出したという事件がございました。平成八年の八月には、消費者金融を装って入会した十三の加盟事業者が個人信用情報を引き出したとされる事件がありました。平成七年の五月には、消費者金融業者の社員が顧客情報を持ち出したとされるような事件がありました。
 これ以外にもいろいろと事件があったわけでありますけれども、これらの事件に対して、それぞれの主務大臣といいますか、担当大臣がとった措置、あわせて、これらに対してとられた刑事処分はどういうものであったのか。とりあえずはそれをお聞かせいただきたいと思います。
五味政府参考人 お尋ねのありました三つのケースでございますが、まず第一の証券会社の顧客データの件でございますが、これは、当該証券会社から平成十四年の十一月に報告がございまして、報告内容は、合併をした証券会社なんですが、その母体であった一つの証券会社からの顧客名簿が流出をしたという事実、この件について警視庁に届け出をした、こういった報告を平成十四年の十一月に受けました。
 その後、年が明けまして十五年の一月に、この会社が社内処分を実施したということでありますので、一月の二十八日に、私ども金融庁から当社に対しまして、経緯等について証券取引法五十九条に基づく報告徴求を指示いたしました。
 その結果、三月二十八日に中間報告が提出されております。概要は、顧客情報の流出について詳細が現在捜査されているということ、それから、平成十二年四月の合併により顧客情報の管理体制を整備してきているけれども、本件を踏まえて、その時点までで判明している内容による対応として、新たなシステム対応、これは顧客情報の取り扱いのトレースができるようなことということで、これを実施している、こういうことでございます。
 現状、この件につきましては、そこまでが現在の当社に対する措置であります。
 なお、その後、これに関連をいたしまして、ことしの四月に、顧客情報管理を徹底するための事務ガイドラインを発出いたしております。
 それから、二つの消費者金融関連、平成八年、平成七年でございますけれども、これにつきましては、実は行政文書の保存期限が過ぎておりまして詳細が確認できないという状態でありますが、わかる範囲で調べてみましたところでは、最初の平成八年のケースは、これは福島県が事件の舞台になっておりますので福島県庁に問い合わせをいたしましたが、一つの業者は、福島県登録業者であって、八年六月に廃業している。ほかの二つについてはわからないということで、行政処分があったかなかったかがよくわからないというのが事実でございます。
 なお、この被告人ら三名につきましては、平成九年七月に、仙台地裁で、不正な手段によって貸金業登録をした貸金業規制法違反で、執行猶予つきの判決が出ているということでございます。
 それから、平成七年の事案、これは関東財務局に問い合わせをしてみました。これも、資料がもう残っていないのですが、報告徴求命令が出されたかどうかが確認できませんでした。いずれにしても、登録の取り消しや業務停止処分というのは行っていません。
 この消費者金融会社の行為者二人は、おのおの窃盗それから贓物故買ということで、平成七年に、窃盗については実刑判決、贓物故買については執行猶予つきの判決が出ているというふうに承知しております。
樋渡政府参考人 お尋ねの三件の事件の事実についてお答えいたします。
 まず最初の昨年八月の事件でございますが、この件につきましては、新聞等の報道がなされていることは承知しておりますが、法務当局といたしましては、現在までのところ、検察当局におきましてお尋ねの件に関する告訴等を受理したとか警察からの事件送致を受けたという報告は受けておりません。
 次に、平成八年八月の事件でございますが、この事件につきましては、平成九年三月二十六日、仙台地方検察庁におきまして、被告人三名を不正の手段によって貸金業の登録を受けたとの貸金業の規制等に関する法律違反の事実により公判請求をし、同年七月十七日、仙台地方裁判所におきまして、三名に対しそれぞれ懲役一年、同十月、同八月に処するとともに、いずれも三年間刑の執行を猶予する旨の判決が宣告され、その後、同判決が確定しているものと承知しております。
 三番目の、平成七年五月の事件についてでございますが、これにつきましては札幌地方検察庁において、消費者金融業者社員を、顧客情報をプリントした用紙を窃取したとの事実で窃盗罪により、また同人から同用紙を買い取っていた者を贓物故買罪によりそれぞれ公判請求し、窃盗事件につきましては平成七年六月十五日、札幌地方裁判所におきまして懲役一年八月の実刑判決が、贓物故買につきましては同年十二月二十五日、懲役二年六月及び罰金五十万円、同懲役について執行猶予五年の判決がそれぞれ宣告され、その後、両判決はいずれも確定しているものと承知しております。
平岡委員 今、過去の事件について概略説明してもらいましたけれども、では、今度の個人情報保護法が成立するとどういうことになるのか。今までとは違って、もっと個人情報の保護が図られるのかという点について当然関心があるわけですけれども、細田大臣、この法律ができると、今言った三つの事件についてさらに厳しい保護が何か図られるということになるんでしょうか。どうでしょう。
細田国務大臣 政府案は、そもそも御指摘のような漏えい事件の発生を防止するために、二十条「安全管理措置」や二十一条「従業者の監督」など、個人情報を適切に保護するための措置を事業者に義務づけるものであります。
 また、個人情報の取り扱いについては、社会問題化した場合は、実態に即しまして主務大臣が報告徴収、助言、勧告、命令を行うこととなっており、個人情報の保護のため十分な実効性を確保できる仕組みとなっていると思っております。
 なお、御指摘のような事例に関しまして、義務規定の違反となるかどうか、どのような行政対応がとられるべきかについては、それぞれ実態に即しまして、事実関係を踏まえて判断する必要があり、あらかじめお答えしにくいわけでございますけれども、それぞれの事例において、民法上の損害賠償請求、刑法上の適用その他は当然あるわけでございます。
 それから、たくさんの事例が発生しまして、その中でやはり一番問題なのは、先ほどおっしゃいました事例のような、金融等の膨大なデータをめぐっての情報漏えいが非常に大きな問題であり、これまで八年間に六十六件生じておりますけれども、多くは過失でございまして、故意にいろいろなことをやっておるこの手の事件については、社会全体で真剣に取り組んでまいるべき課題だと思っております。
平岡委員 今大臣が言われたように、この個人情報保護法というのは、勧告、命令という仕組みの中でしかできない。つまり、一遍いろいろな事件を起こしても、何か適正な管理をしなさいよ、従業員に対して適切な指導をしなさいよと言うことぐらいしかできなくて、そのこと自体に対して責任を問える仕組みになっていないんですね。
 だから、こういう個人信用情報みたいなものについて言うと、やはり個別法の世界の中できちっと個人の情報の保護を図っていくという仕組みができないと十分な保護はできていないんじゃないかという点を指摘させていただいて、ぜひ、個別法についてもしっかりと検討するように、各主務大臣に、全体を見ている細田大臣の方からも指導していただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
村井委員長 続いて、今野東君。
今野委員 民主党の今野東でございます。
 私は、今月八日のこの個人情報関連の法案の審議のスタートに当たって、本会議で代表質問をさせていただきました。そこでいただいた答弁等も確認させていただきながら、質問をさせていただきます。
 まず、センシティブ情報なんですけれども、センシティブ情報を定める必要があるのではないかという質問を本会議でさせていただきました。そのときの私の質問に対する答えは、「基本理念」として、すべての個人情報について、個人の人格尊重の理念のもとに慎重に取り扱われるべきことを明記しているから大丈夫なんだという答えを細田大臣からいただきました。
 それで、この「個人の人格尊重の理念のもとに慎重に取り扱われるべきこと」というのは、どういうものがあるんでしょうか。
細田国務大臣 これは、特定の分野というわけにはなかなかまいりません。というのは、これだけ社会構造も複雑になり、個人個人の情勢も多様化してまいりますと、やはりあくまでもセンシティブというのは、その個人にとって非常に大事な、人に知られたくない、また、その他勝手に扱われたくない情報でございますので、むしろ、例示をして、特定をして規定することには既になじまない実態があるのではないかということから、一般的にこれを扱って保護されるような規定がいいのではないか。
 それで、六条三項において、特定の分野において特に厳格な規律を要する場合には、官民を問わず、個別の法制度や施策ごとにきめ細かく措置すべきであるということを設けておるわけでございます。
今野委員 ですから、特定の分野というのは、それではどういうものが想定されますかとお尋ねしているんです。
細田国務大臣 これは、必ずしも明確にこれだということは申せませんが、例えば医療の分野、先般来議論が行われておりますが、あるいは先ほどもお話のありました金融分野とか、あるいは先ほど、電気通信分野においてガイドライン運用云々のことを総務大臣からもおっしゃられましたけれども、それぞれに社会の情勢変化によって必要性が生じてくる分野があると思いますし、先般、石毛委員からも、教育分野が必要であるということもございました。
 これはやはり個別の事情、それから社会において発生するいろいろな、個人情報保護に反するような事態の発生、これに従って検討すべきものであろうと思っております。
今野委員 何か、わかったようなわからないようなお答えなんですけれども、つまり、特定の分野という非常に漠としたもので、ですから、個人の人格尊重の理念のもとに慎重に扱うから大丈夫なんですよと言われても、そこにはやはり、限りなく大きな不安の種がまき散らされているという感じがするわけですね。
 私は、本会議で主張させていただきましたように、センシティブ情報というのをほかと分けて規定して、やはり注意深く扱う必要があると思うんですけれども、そこら辺、野党の案はそうなっておりますけれども、ぜひ、その辺の考え方というのを野党法案担当者の方からお尋ねしたいと思います。
山内(功)議員 今野議員には本会議でもお答えしたんですけれども、私たち野党案は、センシティブ情報の重要性にかんがみて、これはぜひ法案の中に書き込んでいかなければいけないという思いで規定をしております。
 政府の答弁を今お聞きしていますと、社会が多様化していくからセンシティブという言葉があいまいであるというふうな答弁をされていたと思うんですけれども、社会が多様化していても、個人の尊厳として守られるべき権利あるいは利益というものは、侵してはならない利益というものはあると思うんです。私は、それを野党案の中に書き込んだつもりでございます。思想と信条、そして例えば本当にセンシティブな、エイズの検査を受けた、そういうような情報、福祉のお金をもらっている、もらっていない、あるいは過去に犯罪を犯したかどうかというようなこと、それから人種、民族、社会的身分、あるいは同和問題、まだ解決をしておりませんので、そういうような問題、これは、社会がどんなに多様化しようと守られるべき重要な利益だと私は思っています。そういう考えに基づきまして、各自治体、あるいは社会通念、あるいは各種法律においてもこういうような、私が今まで述べましたような事由について規定している自治体、条例あるいは法律がふえてきたと思っています。
 プライバシーという権利がございますが、プライバシーというのは、与党の皆さんが批判されるように、自己情報コントロール権、自己決定権まで認めるというような意味でのプライバシーの概念まで広げることについて、まだ権利性を認めていいのかどうかというのは議論があると与党の皆さんがおっしゃるのは理解できないでもない。しかし、プライバシーの権利というのは、ほっておいてもらう、静かに、触れないでおいてもらいたい、そういうような権利、それはプライバシーの概念としても最も基本的な概念なわけなんです。
 だからまた、固定的な概念として権利をとらえるべきでもありませんし、万一、私たちが拾い上げた中にもし漏れるような問題があって重要な問題があれば、それはまた書き込んでいけばいいわけであると思いますので、私は、政府のような答弁というのは、個人の本人の権利利益の重要性を全く考えていない答弁だと思っています。
 具体的に少し話をさせていただきますと、センシティブ情報の取り扱いに関する規制を盛り込むのは国際的な流れともなっておりまして、一九九〇年に採択された国連のコンピューター化された個人データファイルに関するガイドラインでも、非差別の原則がありまして、人種、肌の色、性生活、政治的意見、宗教、その他の信念、並びに労働組合の構成員であることを含め、違法または任意の差別を発生させるようなデータは、作成されてはいけないというふうに規定もされています。
 これまで政府は、早く法案を通さないと、EU諸国から、情報をきちんと管理できない国家であるということで、仲間入りをさせてやらないよというようなこともこの個人情報保護法を制定させる大きな理由の一つだと説明をしてきたわけなんですけれども、そのEU指令においても、加盟国は、人種、民族、政治的見解、宗教、思想、信条、労働組合への加盟に関する情報を漏えいする個人データの処理、もしくは健康または性生活に関するデータの処理を禁止するものと規定もしております。
 政府案よりも野党案の方がグローバルスタンダードにもかなっていると私は自負をしております。
今野委員 今、野党の法案担当者の方から、この野党案についての理念を説明いただきました。
 私はそれを聞いていて、野党がセンシティブ情報として定めたものの中には、人種とか身分とか、あるいは犯罪履歴とか、保護されるべき方々というのは社会の中でも、全部とは言いませんけれども、やはり少数の方々であって、こういう方々の情報についてはきちんと特に守るんですよという姿勢を示す必要があると考えておりまして、センシティブ情報が必要なんじゃないかということをしつこく質問をしているわけなんですけれども、ここまでのところで、細田大臣のお考えをお話しください。
細田国務大臣 せっかくの野党がそれぞれ御協議の上御提出された法案ですから、私ども政府の方から、この野党の条文はこういう点がおかしいじゃないかとかなんとかということは余り申し上げたくなくて、これは、むしろ与党の議員の先生方から野党の提案者に御質問いただくのが筋だと思っております。
 ただ、私どももOECDの理事会勧告等はもちろん拝見しているわけです。地方によっても何か随分違うなと。組合活動だとか性生活だとか書いてあるとかいうのは、すべて、必ずしもどの国でも共通の項目があるわけじゃなくて、そして、国によっていろいろな事情があるということ。それから、OECDの勧告の中にも、何がセンシティブであるかということを、これでもってすべての外の枠が決まる、定義が決まるということを言い切れないということは書いてあるんですね、実は。
 したがいまして、野党は大変御苦労をされてこれが中核であろうということを例示されていることは理解はいたしますが、それでは、それですべてであろうかとかいう問題もありますし、結局、例示はされておられますが、二項の中にそれぞれの例外措置を講じておられるということもございます。
 個別に、先ほど申しました事情で申しませんが、思想、信条とか、そのほかの情報の中にも、一体これは本当に完全に例外にできるものであるのか否かということは、これからもっとさらに詳細に検討する必要のある項目がたくさん含まれておることも事実でございます。私どもは、そういうこともいろいろ考えたあげく、包括的な規定を置いて、やはりすべての情報というのは個人にとってセンシティブなことがあり得るという前提で、救済規定を設けることによって、今後、判例を積み重ねていったり、事案を積み重ねていく方がいいのではないかと考えたということも申し上げたいと思います。
今野委員 ここのところで余り多くの時間をとりたくありませんので、センシティブ情報、項目を定めるべきではないかという質問はこれぐらいにいたしますけれども、社会が多様化しておりますし、また、さまざまな私たちの生活のシステムというのも変わっていっているわけでありまして、ここは、だからといって特別に定めないというのではなくて、だから定める必要があるのでありまして、センシティブ情報という項を定めて、野党法案担当者がおっしゃっていたように、そこに書き加えていくという姿勢を持つべきではないかということを申し上げておきたいと思います。
 それでは次に、報道の定義なんですけれども、先週、国会において開かれた集会でも、報道の規定を政府がすることへの根強い警戒心が示されました。なぜ国家が「報道とは、」とこれを定義するのか。
 報道は、国家権力の不正を追及し、国民が国家を正しい方向に導くために機能するものであるというふうに私は思うわけなんですけれども、しかし、その形態は千差万別でありまして、政府がそれを定義してしまいますと、政府が何が報道でないかを決める権限を持つことになるわけですね。報道目的でないと一たん判断されたものは主務大臣の命令や刑罰に服することになるわけなんですけれども、こういうことが民主的国家の中でまかり通っていいんだろうかというふうに思うんですが、これは大臣、どうお考えでしょうか。
細田国務大臣 日本国家は法律の面でいいますと慣習法の国とは言えないわけでございまして、やはり法律的にきちっとした定義づけをしなければならない。
 過去をさかのぼって、報道というのはどういうふうに定義されているんだろうかということで、もうあらゆる法案を探したんですが、法律そのものを探したのでございますが、ないのでございます。しかし、やはりこれは一種の輪郭を定めないと、いろいろな意味で、権利等の規制の関係で、どう考えるのかがあいまいになってはいけない規定であるということから、内閣法制局において非常なる議論の末、このような規定を置いたわけでございまして、それは、「不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること(これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。)」というのが最大限の努力をした定義でございまして、この定義がない場合は、かえってこの法規定全体がむしろあいまいになるということです。
 ただ、そのときに法制局とも確認しておるのでございますが、「「報道」とは、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせる」と書いてあると、事実として知らせたんだけれども、後になって、客観的事実でないとか、故意に事実を曲げてうそを書いたとか、そういう場合はどうするんだというような議論が起こる場合に、やはり報道の性格から見て、そのようなことが起こるという前提で考えるべきではないので、いやしくも報道をされる以上、それは客観的事実を事実として知らせるために書かれておる、あるいは放送等されておるというふうに判断するんだというしっかりとした解釈をしておりますので、そのことを申し上げます。
今野委員 何度聞いても同じことだと思いますので、次の質問に行きますが、事業者に対する行政による監督についてなんですけれども、これは、主務大臣の報告徴収、助言、勧告、命令という権限が定められておりますね。主務大臣の権限行使には規制手段がないわけでありまして、これはたびたび皆さんも、多くの方々も質問して、おかしいなと言っているところなんですが、第三者機関を設置して主務大臣の権限行使へのチェックがきかなければ、国家が個人情報保護の名のもとに個人情報取扱業者を監督する、国家による情報規制法案という性質を持つことになるのではないかと思うんですが、先週のそういう私の質問に対して、大臣は、第三者機関を設けることは、事業を所管する大臣との間に二重行政が生じるというふうにお答えになりました。
 これは、二重行政というところが私にはどうももう一つよくわからなかったんですけれども、ここのところをもうちょっと丁寧に説明していただけますでしょうか。
細田国務大臣 これは、行政と、あるいは事業の内容によって大分違うと思いますけれども、これまでも我が国の行政庁は、例えば消費者相談の問題にしても、あるいはさまざまなあらわれました企業の不祥事等に関しましても、個別に、これがおかしいという場合には、もちろん警察その他の範疇の場合は別でございますけれども、事業所管大臣が行政の対象として是正を図って国民のために対応してきたことは事実でございます。そういったこととの関係をそういう表現で用いたということでございますし、むしろこれを裏返して申しますと、当面は今の事業所管大臣が対応すれば、今の個人情報の諸問題については一応足りるのではないか。
 ただし、先ほど来ありましたように、個別法においてさらに突っ込んだ検討が必要な場合には、それも事業所管大臣というものがあるわけでございますから、そこでまた検討していただくということでいいのではないかということでございます。
今野委員 イギリスやドイツ、フランスでも、こういうチェックする機関、第三者機関がありますね。大臣、それは二重行政だなとお考えなんですか。
細田国務大臣 ちょっと諸外国の規定についてはわかりませんが、日本ではかなり国会等の場で、ある業種についていろいろ御要望、御要請があり、世の中でいろいろな事情が生じた場合には各行政庁がそれぞれの対応をしてきたという伝統がございますので、その辺は多少違う面はあるかと思います。
今野委員 これについて、野党法案担当者はどうお考えでしょうか。
山内(功)議員 今野議員も御存じのとおり、個人情報の保護を確保したいというと、やはりほかの基本的人権とぶつかる場合もあるわけなんですね。そのときにどういうふうにさばいていこうか、規律していこうかという問題が出てくると思うんです。個人情報の保護という言葉に名をかりてほかの基本的人権が侵害されるということになれば、やはりそれはそれで問題なわけですから、監督機関がしっかりとしている、政治的な思惑に左右されない、そういうような機関をつくっていかなくちゃいけない。そのためには、そのためにこそ中立的な第三者機関をつくること、そして、政府からしっかりと独立した機関をつくることが必要だと思っているんです。
 毎年、約一人ぐらいの割合で大臣がやめていかれますよね。それはやはり、官僚に答弁を任せっきりにする、あるいは大臣というバッジとか席を使ってお金もうけをするというような、自分が業法で所管している分野についてしっかりと個人情報についても所管の大臣として監督機能をきちんとしていこうというのには、やはり私たちから見ていて能力的にちょっとクエスチョンだなと思うような大臣がちょっと続いていますよね。だから、そういう意味でも、やはり主務大臣、大臣に任せるということは、国民の立場から見ても大分不安があると思うんですよ。
 事業を所管する官庁が何か問題があったときについてもそれを監督するという今の政府案は、事業者について恣意的な介入を犯すおそれはもちろんですけれども、なれ合いとか癒着が起きる可能性も十分に考えられるわけです。だから、それら両面から考えてみても、私たちの方では、内閣府設置法四十九条三項の規定に基づいて、内閣府の外局として個人情報保護委員会を設置することとしたものでございます。
今野委員 私も、私個人の考え方として、権力という枝に実った果実は必ず腐ると思っているんです。だからこそチェックする機関が必要で、みずから律することももちろん大事ですけれども、外側からそれをチェックする機関というのが必要だと思っておりましてそういうことを御提案したわけですけれども、この第三者機関を二重行政だと言って切って捨てるという大臣の考え、これは非常に不見識であると私は指摘をさせていただきます。
 さて、次の質問ですが、法案の三十六条なんですが、「この節」、個人情報取扱事業者の努力規定のところですね、この「円滑な実施のため必要があると認める場合は、個人情報取扱事業者が行う個人情報の取扱いのうち特定のものについて、特定の大臣又は国家公安委員会を主務大臣に指定することができる。」となっておりますが、大臣、これは、大臣はそれぞれの主務大臣ですね、国家公安委員会というのは組織ですね。これはなぜ、大臣または国家公安委員長じゃなくて国家公安委員会なんですか。
細田国務大臣 国家公安委員会が主務大臣になりますのは、警備業とか自動車教習所業とか、特定のものに限られておるわけでございます。そして、その他、前段で申しますと、どうしても事業分野につきまして所管する大臣が明らかでない場合には、内閣総理大臣が確認的な観点から主務大臣を指定することができることとしておるわけでございます。
今野委員 何かどうもよくわからないんですけれども、さらに五十一条を見ますと、五十一条に「この法律に規定する主務大臣の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、地方公共団体の長その他の執行機関が行うこととする」となっております。つまり、主務大臣の役目を自治体の長やその他の執行機関にゆだねるという意味ですね。ここも執行機関というふうになっているんですけれども、そうすると、主務大臣の権限は都道府県の公安委員会に委任されるということもあるわけですね。
細田国務大臣 先ほど例示に挙げましたような事業のうち、やはり地方に委任した方がいいものもございますので、その場合には都道府県の公安委員会が行うこととすることもあり得ると考えております。
今野委員 そうしますと、都道府県の公安委員会がこの個人情報の管理について仕事をするということになると、つまり国家公安委員会ということは警察ですよね、警察官がこの情報管理についてかかわるということになるわけですか。
藤井政府参考人 御説明いたします。
 もともと地方公共団体に権限委任される場合の規定を置いたのは、今の大臣の御説明にもあった警備業とか運送代行業、こういったものは既に国家公安委員会から都道府県の公安委員会の方に委任されている。私どもの考え方が、従来御説明していますとおり、そういう業に対する指導監督、それとこの個人情報保護法に基づきますいろいろな関与、こういうようなものは一体的にやるべきであるということで、既にいわば業法で委任されている都道府県の担当セクションにこの事務も実施させる必要があるということで、こういう規定を設けているところです。
 ということは、言いかえますと、既に業で委任されていないところにまで本法の権限がおりるということはないわけでございまして、もう権限の委譲先は限定されているし、明確であるというふうに考えているところでございます。
今野委員 つまり、これは都道府県の公安委員会に委任をするということは、警備業とか自動車教習所業以外はないというふうに考えていいんですか。
細田国務大臣 本来、国家公安委員会が主務大臣となっておる業務が幾つかはあると思っておりますが、これは、その中で個人情報処理の事業者になるかどうかということはまた別でございますが、例えば風俗営業関係ですとか、そういったものも一応対象にはなっておるわけです。先ほどの警備業とか自動車の関係の代行業のようなものとかですね。したがって、自動車教習所業と警備業等に、ごく一部に限られているというわけではございません。
今野委員 ということは、さっきもお尋ねしましたが、警察官がこの個人情報の管理の仕事について権限を行使するといいますか、公安委員会に権限が委任されているとすれば、それを執行するという可能性があるということですね。
藤井政府参考人 当然、警察庁とか公安委員会というようなものは、警察業務が中心なわけでございますが、数少ない、いわば業法の指導監督ということもやっておられまして、あくまでこの個人情報の取り扱いに関して主務大臣として関与されるセクションは、そういう業法を所管しておられる立場からの関与であるというふうに理解しております。
今野委員 これは大臣にお尋ねしますが、もう一度同じ質問をします。
 警察官がこの権限を執行することができるということですか。
細田国務大臣 ここには前の国家公安委員長もおられますし、今は総務大臣が兼務しておられませんが、国家公安委員長もおられますので、適切な説明を私から申し上げることはなかなか難しいんですが、いわゆる国家公安委員会という委員会組織と、いわゆる警察官とか警察という組織は、それぞれ独立したものでございますので、その点は申し上げたいと思います。
 そして、国家公安委員会が主務大臣となりますのは、つまり、委員長というのは会の一員でございますので、会として主務大臣となりますのはそういった所管事業に限られるわけでございます。
今野委員 もう一度お尋ねします。警察官がこのことに関して執行することはありませんか。
藤井政府参考人 御説明いたしますと申しますか、警察庁の内部組織でどういう職務分担で実施されているかということについては、ちょっと私ども、つまびらかではないものですから、的確にお答えすることはできません。
 ただ、先ほど来申し上げておりますとおり、この個人情報の取り扱いに対する関与というのは、国家公安委員会がいわば業を所管しておられる、そういう立場からの関与であるということを申し上げたいと思います。
今野委員 職務分担がつまびらかでないから、つまりわからない。可能性があるということと受けとめます。警察官がこの個人情報の保護について権限を執行することができる、そういうわけですね。
細田国務大臣 例えば、例示で申しますと、自動車教習所というのは、もう毎年何千人も、大きなところには地方で免許を取りに来る人があります。その人がいろいろな状況を届け出ますと、自動車教習所には、十年ぐらいやれば、もう何万という情報が累積されます。その人のいろいろな、住所ですとか電話番号ですとか、その他の情報ですね。そこにおきまして、もしも悪い者が出て、それらの情報について何らかの漏えいその他のことを行います。そうすると、その地方の公安委員会の方で調査を始めるわけでございまして、その場合のいわば実動部隊としては、それぞれの県警の担当がそれを手足として調査をするということはあると思っております。
今野委員 実動部隊としてということはともかくとして、警察官がこの個人情報保護の管理について執行する、仕事をすることがあり得るということを今お認めになったわけですけれども、この三十六条と五十一条を合成しますと、警察権力強化法案なんですよ、これは。個人のプライバシー、市民生活を警察が簡単に掌握して介入できる社会がすぐそこにあるということでありまして、これは、市民を守る法律という体面の裏で、市民をコントロールする法案だということを指摘しておきたいと思います。
 さて、時間がありませんから最後の質問をさせていただきますが、これまでの質問を振り返ってみても、実際に、大臣、これはやってみないといろいろなことがわからないという法案だと思うんですね。実際に権限の幅もわかりませんし、それから、経済行為もさまざまに多様化しておりまして、広がっていっております。
 そこで、個人の情報をどのように守るかということは、実際にこの法案を採択して、そして世の中に出ていって、やってみないとわからないというところがあるんじゃないかと思うんですけれども、そういう意味で、介護保険のようにこれは見直しをする期間というのを定める必要があるのではないかと思いますが、野党は個人については三年後に見直しをするということになっておりますが、これを大臣と野党法案担当者にそれぞれお伺いいたしたいと思います。
細田国務大臣 社会保障の関係の法律の中には、確かに実際にそれを適用してみて、社会のさまざまな情勢に応じて、あるいは保険料その他の面でも適当であるかどうか、その他全体の仕組みが適当であるかどうかということが社会現象として起こってくる場合がございますので、はっきりとした見直し規定があるということが必要なケースもあると思います。
 この法案の場合は、しっかりとした個人情報保護を、ここまで守るという、一応規定をはっきりして、明確にして、個人の権利義務等を定める法律であるわけでございますから、私どもとしては、見直しの年限といいますか、三年後に見直すとか五年後に見直すということを盛り込むことは適当でなく、むしろ、毎年度の法の施行状況を把握いたしまして、必要に応じまして、国民生活審議会において検討できる仕組みを整備しておりますので、そのようにお考えいただきたいと思います。
 ただ、この法案自体が、運用してみて、わからないということは私は申しません。ただ、今後、IT化の状況や今後の状況によって大きく事情はまた変化をしてくるであろう。というのは、今までの不祥事が、七十件も八十件もこの八年半にありますけれども、それらは、非常に多くはうっかりミスのようなものもあるんですね、ソフトウエアミスとか。故意は、先ほどの平岡議員の質問にございましたが、中には非常に悪質な例もあるんですよ。
 したがって、まずはこのうっかりミスやほんのちょっとしたことが起きないようにするということが非常に大事なことでございまして、そのためには行政庁が、今この法案がもしできた場合には、皆さんに注意を喚起する。だから、規制行政をどんどんやるというようなことじゃなくて注意喚起行政で、こんな例がありますよ、あんな例がありますよ、こんなソフトウエアでやらなきゃいけませんよというようなことをまずやりますと、一つのいい進歩ができてくるという意味で、まだ、これからどういうふうに対応したらいいかということが決まるという意味では、今野議員の御趣旨にも賛同するところがあるんですが、まだこれからの運用だという意味では。しかし、見直し規定を設けるということについては、最初に申し上げたように、適当でないと考えております。
細野議員 野党案の方は、ただいま今野委員が御指摘のとおり、特に基本法制については、広く民間について個人情報の保護に関しルールを設ける、全く初めての法律でございますので、この変化の激しい時代ということを踏まえて、三年を目安にという形で見直し規定を設けております。三年という基準は設けてはおりますが、これは目安にということでございますので、変化に対応する場合にはその前にということも十分考えられるということでございます。
 一方、行政機関の方は、現行法というものが十年施行されて、その施行実績を踏まえての修正ということになります。したがいまして、初めての法律ではないということで見直し規定は設けておりませんし、野党案ではかなりそういう意味では厳しい規定を設けておりますので、今の段階ではこれに尽きるというふうに考えておりますが、こちらについても、状況の変化によって見直しすることはもちろんやぶさかではないという思いを持っております。
 以上です。
今野委員 それでは質問を終わりますけれども、この質問を通して、この個人情報保護法、国民の皆さんにも概要が何となく、なかなかわかりにくい、難しいものだというふうにイメージをお持ちなんじゃないかと思いますが、この委員会を通して、個人情報については警察官が介入するのだということ、そして見直すことは必要がないという大変高姿勢であるということがわかりまして、確認をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
村井委員長 次に、武正公一君。
武正委員 民主党の武正公一でございます。
 きょうは、政府そしてまた衆法提出者それぞれに御質問をさせていただきます。
 まず政府案について、個人情報収集でございますが、収集方法や収集範囲などを制限する規定がなく、官僚にフリーハンドを与える内容になっており、個人情報保護の観点から見て極めて問題が多い、大きいと考えるわけでございます。また、個人情報の目的外利用の要件が緩やかで、行政の裁量幅が大きく、本人の知らない間に個人情報が流用されたりするおそれがあるということでございますが、個人情報取り扱いに際し、行政機関に裁量の余地を与え過ぎない方がよいと私は考えるのでございますが、この点について、まず政府、そして衆法提出者、それぞれ御所見を伺います。片山大臣になりますね。
片山国務大臣 個人情報の収集につきましては、これは法令に基づいて、法令の範囲でやるということでございますから、殊さら規定を置いておりませんけれども、それは憲法なり国家公務員法にその種の規定がございますので、行政機関や公務員というものは法令を守るんだ、誠実にやるんだ、こういうことでございます。
 また、目的外利用につきましては、これは個人情報の利用目的を具体的に明確にする、その上で、行政機関による利用目的の達成に必要のない個人情報の収集や目的外利用・提供を厳しく制限する。
 具体的に、どういう場合に目的外利用や提供ができるかということでありますが、法令の定める事務の遂行に必要な限度である場合、また個人の権利利益を不当に損なうおそれが認められない場合で、しかも相当な理由が要る、こういうわけでございまして、この相当な理由につきましては、既にこの委員会でも何度も御説明しておりますように、原則禁止のものを例外的に認めるわけでありますから、だれでもが納得ができるような客観性が要る。したがって、個別事案に応じて、厳格にそれは考える、判断する、決して行政機関の裁量で自由にできるようなものではない、こういうことでございます。
 そういう意味では、もしそれについて不服がある場合には、審査会等に申し出てそれの是正ができる、こういう仕組みをとっているわけであります。
細野議員 武正委員御指摘のように、政府案に関して、やはり行政の裁量を余りに広く求め過ぎていると私どもも考えております。
 ただいま総務大臣が目的外利用を例に御説明をされましたので、フェーズを合わせるためでそちらの条文について申し上げますと、政府案の八条、これは目的外利用が書かれているわけですが、私ども、十条で規定をしておりまして、その三項では、目的以外のために個人情報を利用・提供する場合には、「情報公開・個人情報保護審査会の意見を聴かなければならない。」と規定をいたしました。さらに、目的外利用をした場合には、十条五項で、その理由とその他の事項を「記録しておかなければならない。」という規定を設けております。
 すなわち、こういうことでやるんだということではなくて、一方でそれを客観的に審査をするように、そういう組織をきちっと活用することによって、適切に目的外利用・提供がなされることを担保するということでございます。
 これについては、行政実務上、非常に事務が繁雑になるんじゃないかという御指摘があるわけですけれども、やはりこの程度のきちっとした制度は設けておかなければ、今の行政機関の状況というのを考えたときに、状況が改善されるということにはならないんではないかというのが私どもの考え方でございます。
武正委員 そういったことで、衆法の方は、いわゆる三条委員会というような形も含めて、独立した委員会というようなことを掲げているわけでございます。
 これはまず一般論として細田大臣にお伺いをするんですが、既に、行革に逆行するとか、あるいは二重行政であるとか、あるいは十五日の答弁を拝見いたしますと、三条は、これは大変強固なものである、あるいは独立機関はどんどんと自己的に進んでいってしまうというようなことを非常に懸念をされておられます。そうはいっても、主務官庁が担当大臣としてそれをチェックするといったことについては、やはり甘くなってしまうとか癒着だとか、あるいは相談に乗ってくれないとか、そういった両極端をきちっと押さえる必要があるというような御答弁をされているわけでございます。一般論として、戦後二十二あった三条委員会が現在八つということについては、民主党は既に、証券取引等監視委員会や原子力安全委員会も含めて、この三条委員会の設置を強く求めておりますが、政府とはいつもこの点で意見を異にしてきております。
 一般論ということで伺いたいんですが、八条委員会をこういった三条委員会にするということは、これもやはり行革に反するというふうに考えるものでしょうか。
細田国務大臣 私は、どの委員会であるということで申し上げておるわけではありません。
 ただ、非常にこの二、三年で確かにIT化が進みまして、政府もe―Japan計画、改定に改定を次いで、あらゆる民間、政府、個人間、企業間、行政間とのコンピューター化、インターネット利用を進めるという中で、今後、相当多くの問題が生ずる可能性はあると考えておりますが、これまで八年半の問題になった事例を見ますと、私が勝手に集計をしてみますと、六十六件が問題になっているんです。八年半で六十六件。
 そして、その中の、これは故意だなと、先ほど議員から御指摘のあった案件はその中に入りますけれども、これは悪質な故意も感じられるものだなというものと、ホームページへのアクセスがほかへ漏れてしまうという、単なるソフトウエアミスで、こんなことは民間企業は自己の利益から見ても本来やるはずがないことをうっかりやってしまったので、ソフトウエアさえかえればよかったのにという事故が非常に多くて、その六十六件のうち、そういったものを除いて、これは故意に近いものがあるのではないかと私が勝手に類推するものは十五件ほどでございます。
 この八年半で十五件あった事件が、今後どのようにふえるか。むしろこれは、私どもは、行政庁がちゃんと注意を喚起して、それぞれ日本にはそういうネットワークもございます。
 それから、これは私も含めて国会議員の責務、責任でもあると思うんですが、社会で問題が生ずれば、それはあなたは司法の問題だ、司法の問題だといって八割方司法に、多分、欧米ではそういうふうにしてしまうんでしょうが、いや、これは政府が何とか監督すべきである、これはけしからぬ、何とか対応しようというようなこともあって、それぞれ行政庁は、各業種について、強い監督というわけではありませんが、事情を聞いて、こういう国会の場でいつも状況を報告する。先ほどの金融庁はこういうふうにやりました、警察庁はこういうふうにやりましたというようなことも対応してきておりますから、その延長線で行政庁で対応をすることは可能ではないかと。
 そこで膨大なものになってきて、かつ、それが独立の組織、委員会でやるような社会情勢が生ずれば、私は一つの考え方であるということは何遍かお答え申し上げましたけれども、私は、この点はまだそういう状況ではない、むしろ行政庁、主務大臣で対応することが適当な客観的情勢ではないかなと思いますので、決して委員会提案を頭から否定しているということではなくて、日本の行政の実態等から見て、その方が当面はいいのではないかということを申しておるわけでございます。
武正委員 私が伺ったのは、一般論として、八条委員会を三条委員会に格上げすることが行革に反するんですかというふうに伺ったんですが、この点はいかがでしょうか。
片山国務大臣 三条委員会は、これは行政委員会なんですよね、執行権がある。八条委員会は、簡単に言うと諮問機関的なんですよ。そこで、私は、野党案の今の審査会も八条機関ではないかと思っているんですが、そこは規定上は必ずしも定かではない。
 そこで、三条委員会というのは、言われましたように、証券取引何とかだ、公取だとか国家公安委員会、皆三条委員会ですよ。これは戦後、アメリカは大統領制ですから、委員会がいっぱいあるんですよ。大統領に権限が集中していますから、むしろ分散的に委員会をたくさんつくっているんですよ。日本にそれを持ち込んだんですね、簡単に言うと。そこで教育委員会もでき、公安委員会もでき、何委員会も何委員会もできたんですよ。
 ところが、必ずしも、日本は議院内閣制ですから、それぞれの大臣が所掌事務については責任を持つ、内閣で意思決定する、総理はそれの主宰者だ、こういうことなものですから、行政委員会方式が全部いいというわけにはなかなかいかないんですね。
 だから、そういう意味では、日本の今の制度からいうと、私は八条の方がいろいろな場合にベターではないか、こう思いますし、今回の情報公開に、今度は個人情報保護のいろいろな不服申し立ての意見を言うことをくっつけますけれども、これは完全に八条なので、そういう意味では、私は八条を三条にすればいいということになかなかならないと。八条の方が、むしろ日本のいろいろな行政の仕組みにはフィットしているのではなかろうか、こう思っております。
武正委員 私は、行革の視点から、八条を三条にすると行革に反するのかどうか聞いたんですが、その点はどうでしょうか。
片山国務大臣 三条委員会は、これは行政委員会ですから執行権も持ちますから、相当な体制と人員を確保しなきゃいけません。人をふやさないといかぬ、こういうことになりますし、権限については場合によっては二重行政になるものですから、そういう意味では、行革の観点からいうと、必ずしも三条委員会がいいというわけにいかないと思います。
武正委員 新設であれば、確かに人員等はふえるんですが、これまでの既存の八条を三条に引き上げるについて、私もいろいろと調べてみました。それは、委員会の委員の給与が、例えば三条である公安委員会の委員と同じように引き上がる分は予算はふえるとはいっても、そのほかの人員については、既存のいろいろな人員を活用していくということであれば、決してそれが膨大なものになっていくということはないというふうに私は考えますので、既存のものを変えるのであれば、行革に決して逆行はしない。
 新設については、これは議論が分かれるところでありますが、もう既に衆法の提出者が言っているように、これについては大事なんだ、その分を行革で、ほかで要らないものを削れば十分。しかも、十八億とかそういった額ですよね。もう何百億、何千億あるいは何兆のむだがあるんだというような指摘ですので、私は、八条を三条に格上げして、それが行革に反するというようなことを、昨年五月、官房長官が実はこういった答弁をしているんですね、行革の視点から三条委員会はできないと。
 ですから、この委員会は昨年からの延長線上ですので、官房長官においでいただかなければならないというのは、これはもう我々一致した意見でございます。きょうもこうしておいでいただけないのは大変遺憾であることを私からも申し述べまして、これは衆法提出者の方にお伺いします。
 この個人情報保護委員会、これを独立した委員会、独立行政委員会とした理由。政府は、行革の視点から問題、大臣の責任があいまい、二重行政というふうに言っているんですが、行革の視点からといえば、決して三条委員会は行革には逆行しない。そして、予算がふえるわけでもない。ただ、新設については、これは政策判断だけれども、個人情報保護に関して、大事か否か、チェック機関が必要か否か、そういった観点だと思うんですが、この政府の行革の視点からの反対論、これについては衆法提出者はいかがでしょうか。
山内(功)議員 まず、個人情報保護委員会がなぜ必要かということが重要だと思うんですけれども、やはり主務大臣に任せるということは、本当に資質とか能力とか、もし、ない大臣が主務大臣であったときには、これはもう問題だなということが一つ。それから、大臣にしても中央の官僚にしても、まだ十分に政官業の癒着が断ち切れていない、そういう政治が行われているわけですので、やはり政治的に中立な第三者機関をつくって、政府からしっかりと独立性を確保する、そういう機関が必要だと思っています。
 だから、内閣府設置法四十九条三項の規定に基づいて、内閣府の外局として、こういうしっかりとした……(武正委員「三条委員会」と呼ぶ)そうです、三条委員会をつくっていくということが必要なわけです。
 行革の視点から申しますと、確かに、行革というのは大変大切な、国家としての最大のテーマだと私も思っています。国民から預かった大切な税金を垂れ流すようなむだな事業はしない、あるいは活性化を阻害するような規制は撤廃する、それが行革の理念だと思うんですね。
 しかし、新たな課題に対応するために必要な機関、そしてしっかりと仕事をしてもらうという組織をつくるということは、やはりそれは行革の本旨にかなった意味があると思いますので、私は、個人情報保護委員会は後の方の意味で設置するべきだと思っていますし、情報保護先進国である世界各国ともこの第三者機関を設定しておりまして、主務大臣に任せるというような仕組みは日本だと思いますので、グローバルスタンダードにもかなっていると思っています。
 それから、私たちの方でもう一つ触れておかせていただきたいのは、これは、国会あるいは国民に対してもきちんと責任をとった組織を私たちの方で考えているということでございます。個人情報保護委員会の委員は、まず両議院の同意が必要でございますし、もちろん職務上知り得た秘密については、職を辞したときも含めて秘密を漏えいしてはいけないということ、その漏えいに違反したときには刑事罰をもって委員にも臨むということ、それから、国会に対しては、内閣総理大臣を通じてしっかりと国会、国民に対して報告をするということも義務づけておりますので、そういう意味からも、国民の権利保護をしっかりと守っていく仕組みがつくれたと思っています。
武正委員 衆法提出者に伺いますが、この個人情報保護委員会を設けて、その予算はどの程度というふうにはじいておられますか。予算の方をちょっとお伺いしたいと思います。
山内(功)議員 予算の規模ですか。約十七億ぐらいを考えております。
武正委員 たしか公安委員会の三分の一程度の規模ではじいたというふうに伺っているんですけれども……(発言する者あり)公取ですね、十七億ですね。細田大臣、この十七億円、多いか少ないか。
 それとあわせて、大臣の責任があいまいになるんだよというようなことをおっしゃられますが、やはり準立法、準司法的なものは独立すべきであろうと。まして、一昨年一月六日に一府十二省庁ということで巨大官庁になっております。そういったところも考えて、行革の視点からも、行政改革会議の最終報告でも、この行政委員会、必要だ、存置させるべきだ、そして新設させるべきだ、こういった最終報告も出ております。
 どうでしょうか、三条委員会、予算は十七億。大臣の責任があいまいと言われますが、準立法、準司法的なものだけを三条委員会に移すわけでありますから、決してあいまいになるわけではない。しかも、予算、人事は内閣が握るわけですよね。内閣もきちっとコントロールする。しかも、国会にもちゃんと同意人事ということで、きっちり国会からもチェックができる。いかがでしょうか、細田大臣。
細田国務大臣 一〇〇%否定するべきお考えだとは思っておりませんけれども、やはり実際に起こってくる事故、先ほどのように十五件で十五億もかけるわけにもいきませんし、しかし、これから膨大に本当にふえてくれば、行政上非効率ではないという場合もあるかもしれませんし、もうちょっと私は、日本の今の行政の実態から見て、この第三者機関を設置すれば、よりいい行政が行われるようになるというふうには私は到底考えられませんので、また、個別にどういう問題があるかといったときに、先ほどの金融庁などが相当専門的にお答えしていましたように、またその個別の業として問題があるときには、そこがまたフィードバックされて、どう対応するんだというふうに戻っていく可能性も大きいわけでございますが、ちょっと投資効率の面でも時期尚早じゃないでしょうか。私は率直に思います。
 それから、ヨーロッパ等のそういう委員会は、届け出を受け付けるというのをまず最初の機能にしておりまして、どうも運用を見ておりますと、そういうことを救済する慣行は余り行政庁にはないということのようでございまして、諸外国の委員会組織もちょっと性格が違うので、向こうにあるからこちらにというのも早計ではないかなと思っております。
 ただ、これは、野党四党が慎重御審議の結果考えられて提案された中身でございますので、私があえていろいろ申し上げるよりは、また与党の皆さん等からの御質問等で御議論いただきたいと思います。
武正委員 十五日のときもそうですし、今もそうですが、件数がふえてくれば考えればいいとか、それから、時期尚早であるというようなことで見切り発車というのは問題だと思うんですよね。これだけ個人情報について問題が多いとされている中で、その万全な備えをしないでスタートしてしまう。そして、大臣も実際答弁で、主務大臣がある面甘く、あるいは癒着、あるいは相談に乗ってくれない、こういった可能性も御自身で認めておられるわけですよ。両極端ある、だからきちっと押さえるんだ、政府案はそれを担保しているよ、新三十五条と言っているんですが、三十五条だって、誤った判断をする可能性は低いと。低いということはないということではないわけで、やはりあるよと。あるときには、やはり主務大臣、改善命令、行政処分、裁判、行政事件訴訟法。片山大臣も、司法によってと。やはりあるわけなんですね。主務大臣だって過ちをすることはあるというふうに認めているわけでありますので、そういった意味では、発車して、スタートしてから考えるというのでは到底認められない、納得できないわけであります。
 また、先ほどから欧米の例というふうに言われますが、例えば、イギリスではADRというような形で行政が司法を行っている例、そしてフランスについても行政裁判、これはフランスでは、憲法よりも先にこのいわゆる行政裁判が法律として確定をしていたというようなことでありまして、ヨーロッパでは特に行政が準司法的なことをやっているということでありますよ。ですから、必ずしも行政と司法といった関係ではない。行政から準司法的、準立法的なものを独立させて置いていくというようなことは可能であるということなんですね。
 さて、行革、行革というお話が出ておりますし、なぜ細田大臣がこの担当大臣になったかということでは、IT担当だからという御答弁がありましたが、それでは、実際そのITに関して、情報システムに関して発注、年間二兆円でございます。
 政府は、既に、総務、財務、経済産業中心となって、情報システムの発注の問題点を指摘し、その見直しを進めておられます。昨年三月二十九日に各省に通知をし、見直しを求めました。一年たったわけでございます。そして、ことし三月十九日にその見直しも改定をいたしましたが、依然、官民の責任分担を明確化した契約書の導入、あるいは調達事例の情報共有、分析等については、引き続き検討というようなことも含めて、この一年間、連絡会議、課長級の連絡会議を何回開いたのか。そして、実際に平成十四年度、各省がどの程度やっているのか。ここの点について、これは総務大臣。手短にお答えをお願いいたします。
松田政府参考人 事務的な連絡会議の話でございますので、お答えさせていただきます。簡潔に申し上げます。
 情報システムに係る政府調達府省連絡会議ということで、極端な安値落札、そういうものを防止いたしましたり、あるいは、質の高い低廉な情報システムの調達を図るということで、各府省横断的に取り組むべき諸課題としまして、入札の評価方式の見直しですとか、あるいは入札参加制度の見直しですとか、それから今御指摘の調達管理の適正化、その三点について検討を進めてきまして、いろいろ、例えば複数年にまたがるプロジェクトについては複数年契約を導入していくとか、あるいは総合的な評価落札方式においては価格面と技術面を合わせました加算方式を導入していくとか、いろいろな措置を取り進めてまいっているところでございます。
 平成十四年度におきましては、さらに外部人材の積極的な活用等を通じました調達側の体制強化、それからプロジェクトマネジメント手法の導入など、調達管理の適正化のための方策を中心に、課長補佐クラスの検討部会六回、課長クラスの連絡会議二回開催しまして、具体的な成果の取りまとめを進めているところでございます。
 そして、今先生御指摘の各省の取り組み状況でございますが、先ほど申し上げました総合評価落札方式の加算方式による評価ですとか、あるいは低入札価格調査の実施ですとか、一部府省等において既に実施されていると承知いたしておりますが、なお、十四年度の各省の取り組み状況につきまして、本年五月を目途にフォローアップ調査を実施する予定でございます。
武正委員 まだ平成十四年度の実態については把握もされていないといったことでありまして、細田大臣、ちょっと質問通告ないんですが、ITについて、実はむだとかむらとか、いろいろ問題点、これはもう与党から指摘があってできたことなんですね。
 実際に、今、これは例えば日経パソコンの三月号で指摘されていますが、いわゆるメーンフレーム系のIT、要は、大型コンピューターを置いて、そして全部ソフトから何でも一括でというこういったやり方から、各パソコンがサーバーとして非常にレベルアップした、いわゆるオープン系という方にもう日本のIT、移管しなきゃいけないだろうというふうに言われながら、特に官公庁のITは相変わらずメーンフレーム系、COBOLとか昔の言語を使っている。これが実は、何かちょっと直そうとすると莫大な金がかかる。二兆円のうち、実は七割、一兆四千億はむだなんじゃないか、六千億で済むんじゃないか、こういうふうにも言われているんですね。実際、この点はまだまだ手つかずなんですよ。
 IT担当大臣として、先ほどから行革、行革と、衆法は十七億だと、十七億はこれは行革に反するというふうに言っていますが、一兆四千億むだがあると言われているのがITの分野なんです。政府発注、地方自治体発注二兆円のうちの七割がむだだと。この点、どうでしょうか。行革に関して。
細田国務大臣 議員からすばらしい御提案をいただきました。実は、私どももそういう点に大変な問題があるということは承知しております。
 自由民主党のe―Japan委員会というのもありまして、麻生政調会長みずから委員長になってこの辺を何とか全部変えろと、松下議員が事務局長としてこの間も内閣総理大臣に対して、私も同席いたしましたが、提案をいただきました。
 ぜひ野党の皆様方の御支援もいただきながら、いろいろな理屈や抵抗とか、いろいろな問題はあるんですよ。これまでの経緯、これまでの予算がみんなむだになるんじゃないかというような話も聞いておりますが、そういう一種の抵抗感があるところもありますが、御趣旨をよく踏まえまして、これはもう非常に大きな課題だと私どもも認識しております。そういう方向に向かって頑張ってまいりたいと思います。
武正委員 一兆四千億むだがあるよという指摘もある。そしてまたこれが、今いみじくも大臣が、いろいろ抵抗があるというふうに言われましたよね。現政府では、このITの情報システムに関する政府調達の見直し、緒についたとはいっても、先ほど言ったように平成十四年度の実態さえ各省庁から上がってきていない。これからやっと調べるという状況もあったり、安値入札についてはやっと手がつけられましたが、さっきのオープン系への移行とか、それからSLAあるいはEVMS、それから各省庁が調達事例を共有化すること、こういったこともまだ手つかずなんですね。それで今回、この個人情報保護委員会、十七億円、これは行革に反するというのはいかがなものかなというふうに思うんですね。余りにもやれるところをやっていないといったところだと思うんですね。
 そこで、ちょっと時間の関係もありますので質問を急ぎますが、最終的な担保は不服申し立てや訴訟によると、昨年五月十七日、片山大臣言っておられますし、これはもう今週のさまざまな答弁で、最終担保は司法だ、審査会でやるのも膨大なんだと、これは行政機関の個人情報保護法についても言っております。この司法でということなんですけれども、あるいは行政不服審査法等の施行状況に関する調査結果、これも平成八年以来やっていない、こんなこともありまして、地方自治法改正で、例えば地方自治体への訴えも二段階になったりということもありまして、最終的な担保が司法によるというのが、実は本当に最終的な担保になるんだろうかということが疑念でございますが、この不服申し立ての仕組み等、これは総務大臣、いかがでしょうか。実際にこれは機能するんでしょうか。総務大臣、お答えいただけますか。簡便に。
片山国務大臣 行政不服審査法は、これは昭和三十七年ですね、もう私は相当定着している、こういうふうに思っておりまして、処分庁に出すのは異議申し立て、それからその上の上級庁に出すのは審査請求、二段階で、相当活用されておりますよ。ただ、今委員が言われたように、統計が古いんですね。私もちょっと、これは何だと言って、きょう注意したところですけれども。できるだけ最新の統計をとりますが、相当利用されていますよ。
 それから、今、地方自治を二段階と言われたんです。これは二段階じゃないんです。今までは、首長個人あるいは首長の下の執行機関のポストにある人が個人で訴えられておったんですよ、納税者訴訟ですから。それを、機関ということにしたんですね、団体。そこで、団体と首長なんかの関係については再度ここで求償できるということで、そこを二段階といえば二段階ですけれども、訴訟そのものは一段階。
 そこで、司法が最終的な救済になるか。これは三権分立の基本ですから、もし司法が最終的な救済にならないんなら、司法を変えてもらわないけません。私は今なっていると思います。なっていますけれども、まあ時間がかかったりいろいろなことありますよ、手間や手続。だから、そういうことで今、司法制度改革に取り組んでおりますので、あくまでも三権分立における最終の救済は司法でございます。
武正委員 であるからこそ、独立した行政委員会が必要であるんですね。最終的には司法なんですよ。ただ、司法に行くまでのいろいろなやはり問題がある。司法制度改革で取り組まれている、さまざまな形で司法も今改革を急いでいるんですけれども、やはり準立法、準司法的なものは独立行政委員会にゆだねた方がいいだろうということなんですね。
 今のお話のように、先ほど触れたように、行政不服審査法の施行状況に関する調査結果、平成八年以来やっていない。平成八年以来やっていないんですよ。さっき、どんどん活用されていますよと言いますが、国民の皆さんに伺いますと、この行政不服審査申し立て、やはり敷居が高いと言うんですよ。各地方にありますね、そういう窓口が。行っても、やはり行政に物申すというのが非常に言いづらい、これがやはり国民の皆さんの率直なところですよね。
 だから、ここをやはり担保するためにも、主務大臣がコントロールするんじゃなくて、独立した行政委員会といった形で独立をさせるべきだというふうに再度申し上げますし、行政不服審査法といいながら、さっき言ったように全然調査もしていないということですので、これは一日も早い調査、実態把握、これを進めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
片山国務大臣 調査の方はぜひ急がせてやらせたい、こう思いますが、ただ、行政委員会、行政委員会というのは、今の議院内閣制といいますか、議会制民主主義は、やはり選挙で国民が議員さんを選んで、議員さんをたくさん持っているところが政権を持つわけですね、国会が選んで。そこで問題があれば、国会がそれを不信任するとかいろいろなことがあるし、最終的には選挙で審判を受けるので、国民や国会に対して責任を持っているのは当該閣僚なんですよ。議会制民主主義における与党というのかな、政府・与党なんですね。だからそれを、政府・与党と別の行政委員会をつくって、そこで何でもやればいい、行政の一部を。それは、国民や国会に対して責任を持ったことにはならないですよ。ただ、準司法的なものは専門的な点がありますから、それはやむを得ないと思いますけれども、野党案の言う三条委員会ですよ、基本法の方の。これは一種の行政委員会ですからね。だから、私は、アメリカ式の行政委員会は我が国の国情に合わないということを、この件でもありませんが、いつも申し上げているところでございます。
 調査の方は、急がせますので。
武正委員 先ほども、もう繰り返しになりますが、予算、人事では内閣がこの独立行政委員会に縛りを持っているわけです。ですから、決してもう完全に独立してどんどん自分で走り出すということがないわけですしね。そして、国会がというふうに言いますが、このチェックについては、国会でのチェックというものもやはり限界があります、正直、膨大な行政量ですから。だから、やはり準立法、準司法的なものは独立させて、それも国会が同意人事ということで縛りをかけるということが、一府十二省庁になって巨大官庁になった今、やはり必要だというふうに思うんです。
 最後の質問でございます。
 会計検査院の取り扱い。本法、行政機関法では、会計検査院を含めたところと含めないところがございます。これがなぜなのか。
 実際、検査院を対象とする必要がないんじゃないかという議論があります、憲法で独立した機関ですので。これは実は、情報公開法でも議論がありました。情報公開法の審査会でも、これは検査院法の改正で行っていいんじゃないかという議論があるんですね。
 これについて、総務大臣、いかがでしょうか。
片山国務大臣 これは私も経緯を聞いたんですが、今回の法案の立案を行う段階で、権威ある行政機関等個人情報保護法制研究会、こういうものにおきまして検討したようです。そこでいろいろな方に入っていただいて、いえば行政だけじゃないんですよ。そういうことの中で、今回はすべての行政機関を対象にしよう、こういうことで会計検査院を含めましたけれども、会計検査院については、今委員が言われましたように、例えば総務大臣に対する事前通知はしなくてもよろしいとか、あるいは審査会については会計検査院で独自で持つとか、そういう特別な扱いにしているんです。
 しかし、私は、やはり会計検査院を全くこの法案の外に置くよりは、中に抱え込んで、その中の一般的な規制といいますか、そういう適用を受けながら、やはり独立機関ですから、独立性が強いですから、そういうことについては独自の扱いをする、この方がいいんではないか、今の法制がいいんではないかと思っております。
武正委員 今の方がいいというお話ですが、権威あるその情報公開に関する審議会の、行政情報公開部会のときにも、やはり検査院は他省庁と異なるということで、会計検査院法の改正で、情報公開法並びにこの個人情報保護法に関しては別法にした方がいいんじゃないかという議論がこのときにもあったということを申し述べまして、であるからこそ、やはり、先ほど今野委員も指摘をいたしましたが、見直し規定が必要なんですよ。衆法は三年以内ということを言っておりますが、絶対に見直し規定が必要です。何といっても細田大臣が言っているじゃないですか、これからふえていく可能性もある、時期尚早である、まあ、ある面走りながらと。私はそれは問題だと思いますよ。それで、もし、百二十歩譲ってとだれか言いましたが、であるならば、見直し規定が必要ですよ。
 見直し規定が必要であることを最後に申し述べまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
村井委員長 次に、西村眞悟君。
西村委員 自由党の西村です。概観的、概略的な質問をいたします。
 高度情報通信社会というものの進展が本審議法案の背景にあるということでございますから、情報というものを扱う立法上の全体構想は何かといえば、情報には、個人の情報があります。今、個人の情報をやっておる。それから、国家の情報がございますね。それで、国家の情報をいかに保護するかという視点が抜けたまま、個人の情報の保護を今やっているということは押さえられると思います。
 それから、情報の管理という観点からは、これは情報の公開というものがある。そして、情報の保持、保護という二つの管理がある。それにいかに整合性をとるかというこの議論も、個人情報、国家情報、二つともに必要なんでございますね。憲法上の権利としては、情報の管理は国民の知る権利と、憲法の用語でいう公共の福祉というものをいかに切り結ばせるかという立法上の判断が要される場所だ、こういうふうに感じて、私は、本法案の周辺部分について今からお尋ねいたします。
 ケーススタディーとしては、一年ほど前の防衛庁資料請求者リスト問題ということを取り上げたいんですが、この防衛庁資料請求者リスト問題は、ある意味では個人情報の分野で評価されておりますが、国家情報保護の分野ではどう見るのかという観点が抜いたまま評価されたので、私は再度これを取り上げたいと思います。
 政府においては、このリスト問題を、いま再びどういう問題であったのかということを概略御説明いただけますでしょうか。
片山国務大臣 個人情報について、防衛庁のこの事案は、例えば、海幕の三佐が不必要な、必ずしも必要のない、例えば受験者の母を記録したリストをつくったり、また情報公開担当以外の職員にそれを提供したと。だから、不必要な取り扱い。必ずしも必要のない情報をとりまして、それを提供すべきでない人に提供した、これが海幕三佐の事案でございまして、これは現行法でもやはり法律に抵触する、こういうことで、懲戒処分になったわけであります。
 それから、空幕三佐の方は、情報公開担当以外の職員に開示請求者のリストを提供したという事案であります。これも現行法でいうと、やはり違反の疑いが大変ある。
 それからもう一つは、内局の情報公開室長と陸幕情報公開室長が、イニシアルや所属団体等を記載した進行管理表を内局等のLANに掲示した事案であります。しかし、これは現行法に抵触するということはない。まあ、適当かどうかの議論は残ります。
 それからもう一つは、防衛施設庁の施設企画課の専門官が、開示請求者の氏名が記載されたリストを、これも庁内LANの掲示板に掲載した。これも現行法の九条ですか何かに違反する。これも懲戒処分の対象になっておりまして、基本的には、不必要なものを必要でない人に見せるような状況に置いたりあるいは提供した、こういうことでございます。
西村委員 その問題についての過去のせんさくはここでいたしませんが、この問題が教えていることは、私は注意を持って見ておったんですが、やはり、この防衛庁の資料開示を求めてくる人の中に、例えば、国防上の秘密を盗むために、また、テロを施設に行うために効果的な位置を探るために請求してくるという人もなきにしもあらずだ、国はそのような人があるということを前提にして防御を固めねばならない、こういうふうに思うならば、現行の法制下で資料請求者がどういう人であるかということは確認できるのではないか、確認していいのではないか。そして、それがその公務員の乱用に当たるか、乱用に当たらないかは、まさに国家機密をいかに保持するか、その保持するための正当行為かどうか、この両者が相総合判断して初めて結論を得るのではないか、こういうふうに思うんですが、本法案の審議においても、国家機密の保持というふうなもう一方の考慮すべき観点がないというふうなことで私は非常に問題だと思うんですが、公務員の個人情報の漏えいが乱用だ、また乱用でないという判断は、国家公務員が国家機密を守るという観点を抜きにしては、何が乱用で何が乱用でないのかということは判断できないのではないですか。こういうふうに私は思うんですが、政府はいかに認識されておりますか。
松田政府参考人 情報公開法におきましては、その第一条「目的」で、「政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにする」、そういう観点から、これは第三条でございますが、何人も、この法律の定めるところにより、行政文書の開示を請求することができるという規定になっております。一方、現行の行政機関電算機個人情報保護法におきましては、規制の対象が電算処理された個人情報ファイルということであるわけでありますが、そういうファイルに利用目的にいわば関係のない情報を記載するとかいう、利用目的を超える情報の保有を制限いたしているところでございます。
 この防衛庁のリスト問題との関係におきましては、こういう情報公開法の趣旨及び行政機関電算機個人情報保護法の観点から、先ほど大臣から御説明ございましたように、その利用目的を超えた保有、記載がなされていたということで違反とされたものでございます。
 一方、国家として保護すべき情報につきましては、現段階では、国家公務員法の守秘義務の規定がございますし、それから別途、防衛上の機密に関する規定がございますが、それぞれその法律の観点から問題があるべきものは問題があるべきものとして処理がなされるという関係にあると承知いたしております。
西村委員 今、国家公務員の守秘義務等々が触れられましたけれども、本法では二年の罰則ですよね。個人情報についての公務員の漏えいは二年の罰則。国家公務員は一年の懲役ではないですか。したがって、これほどの落差を放置できるのか。個人の情報を漏らした者は二年の懲役である。国家の最大機密を漏らした国家公務員は一年の懲役である。この落差は明らかに法体系の欠陥を示しておる。したがって、政府が、国家の情報を個人と同様に、またそれ以上に守る必要を感じるならば、現状態を放置してはいけないのではないですか。したがって、政府は国家情報保護法制の確立についてこれから、この法案を提出した以上、まさに進むのか進まないのか、これについての政府の見解をお尋ねいたします。
片山国務大臣 今御提案申し上げている法律の五十三条はなるほど懲役二年ですね。これは正当な理由なく個人の秘密に属する事項を故意で提供した場合ですね。そこで、守秘義務は、なるほど今、委員言われるように一年ですけれども、守秘義務の範囲は物すごい広いんですよ。大変な国家機密に属するものからそうでないものまでかなりありますから、これは懲役一年ということで。こういう刑罰法規を決めるときは、御承知のとおりだと思いますけれども、法務省の担当のところと十分協議をし、内閣法制局等とも調整をして決めますからこういうことになりましたので、そこはぜひ御理解賜りたいと思います。
 それから、国家の機密情報についてどう考えるか。これは今大変議論がされております、政府の内外でも。そういうことの推移の中で、これは必ずしも私の担当でございませんので、私はそういうことをいろいろ言うのはいかがかと思いますけれども、事は大変高度の政治的な事項に属しますので、私も議論は大いにさせていただきたい、こういうふうに思っております。
西村委員 いや、私は、法定刑として、国家の機密を漏えいした者は一年以下、それ以上はない、個人の秘密を漏えいした者は二年である、極めて不均衡ですなと申し上げているんですよ。不均衡でしょう。
片山国務大臣 先ほども申し上げましたように、守秘義務の対象は国家機密に属するものからそうでないものまであるんですよね。相当幅が広い。しかし、その幅が広いものまで、それほどでないものまで懲役二年というのは、刑罰の程度としては、その他のバランスを欠くんではなかろうか、こういうことで、これは相当前に決まったあれでございますので、それぞれ刑罰については相当な検討をして決めておりますので、そこは御理解いただきたいと思います。
西村委員 高度の政治判断を要すると言われておる大臣ですから、余りしこしこと言っても仕方がないとは思うんですが、高度の国家機密を漏らした、例えばあした公定歩合が一%上がるとか、これも一年でしょう。そして、個人情報は二年ですよと。これはもう死刑相当ぐらいの国家的、財政的損失を与える情報を漏らしても一年だ。これは過去、陸将補のスパイ事件等々で繰り返されてきた議論ですよ。だから、今始まったことではないんですよね。
 したがって、高度の政治判断と言われるので、高度の政治判断をするのはまさに内閣であって、その内閣は常に高度の政治判断をしていただかねばならない。したがって、法定刑というこの問題、小さな問題で議論して、ここにも落差があらわれておる、不均衡があらわれておる。この法定刑にあらわれた不均衡は、国家情報保護法という体系がない大前提から生まれておるということであります。
 高度の政治判断をしていただくために、もう一度高度の御見解をお伺いいたします。やりますか、やりませんか、検討を始めるか、始めませんかということです。
片山国務大臣 国家の機密情報の保護についてはかねがね議論がありますね。いろいろな議論がある。そういうことの中で、やはり私は、個人的に一政治家として申し上げれば、国家の機密情報を保護するということも大きな課題だろう、こういうふうに思いますが、これはやはり国民の合意が要りますし、いろいろな観点が要りますので、これは幅広の国民的議論の中で、私は、国民的合意を得るべきことではなかろうか、こういうふうに思っておりますし、そういう意味では、西村委員のお気持ちはよく理解しているつもりであります。
西村委員 この法案審議の際に今質問している私の問題意識は、やはり日本人拉致問題ですね。あのときにやはり国家情報保護法を含む工作員対処法的なものが整備されておりましたら、出入国管理とか旅券不所持とかそういう微罪で涙をのむということはなかったし、百名を超えると言われる日本人の拉致は未然に防御できたのではないか、こういうことを考えておるわけでございます。
 ちなみに、亡命工作員のレフチェンコは、日本はスパイ天国であると言っております。スパイ天国の理由は、私が今政府に御見解をいただいた、この国家情報保護法の欠落、この体系の欠落であります。この体系の欠落は、国民的合意が要るというふうな御答弁ですが、まさに国民にそれを示して合意を得る努力をするのが政府であるというふうに申し上げて、私の気持ちもわかっておるとおっしゃるのですから、次に移ります。
 さて、先ほどの防衛庁リスト問題の、余分な記載をしておるんだ、こういうことで懲戒の対象になると言われた。揚げ足をとるわけではございませんが、それが余分な記載かどうかというのは、国家機密保持の観点から判断して初めて総合的に明らかになるのではないか、私はそう思っているわけですね。したがって、過去の懲戒また処罰についての当否を云々するわけではございませんが、同種事案において、余分な情報を漏らしたのか漏らしていないのかという観点で判断するならば、例えば防衛庁の職員については、その者が国家機密をいかにして守ろうとしておったのかという観点がどうしても必要であったのではないかと思いますが、これはいかがですか。
片山国務大臣 現行法には、利用目的に必要な範囲を超えた個人情報を保有してはならないとあるんですね。そこが例えば、病気のために自衛隊に入れなかった、自衛隊の試験に落ちたとか、受験がどうだったとか、こういうことが、それでは利用目的に必要な範囲なのかどうか、こういう判断ですね。それからもう一つ、現行法には、個人情報の内容をみだりに他人に知らせることは禁止しているんですよ。全く関係ない人にそれを知らせるということはやはり現行法に触れるんではなかろうか、こういう判断で、防衛庁長官が懲戒権者ですから、こういうことで懲戒処分にしたいと私どもの方にもお話がありました。
 だから、それはよく調べられて、防衛庁長官の御判断でそういうことなら、それはやむを得ないんではないでしょうか、こういうふうに私どもは、法律の、情報公開法の所管大臣としては申し上げたところであります。
西村委員 一刻も早く、情報の全体像をいかに保護するかという法制の前提で本件等々は議論したい、このように思います。
 次の質問は、概略をお述べいただきたいんですが、情報の管理という観点から、先ほども申しましたように、管理には、公開と、公開してはならない法律の守秘、保持、保護というものがある。この公開か保持かというふうな判断を分けるのは、憲法上の権利でいえば、知る権利と公共の福祉というものであろうかと思います。
 そこで、情報公開法制と個人情報保護法制をいかに整合していくかについて、概略お述べいただければ幸いでございます。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、情報公開法は、国民主権の観点から、政府の説明責任を全うするという観点から、何人も政府の行政文書について開示を求める、そういう権利を与えているものでございます。したがって、そういう国民に対する政府の説明責任という観点からの制度であるわけでございます。
 一方、行政機関個人情報保護法は、個人情報保護基本法の方に基づきまして制定されるものでありますが、行政機関における個人情報の取り扱いにつきまして、個人の不安感、そういうものを除去する、そして権利利益を保護するという観点から制定されているものでございます。
 両者の関係はそのような関係になっております。
西村委員 次に、我々今議論しております、それで、法的にはいろいろな争いがある、賛否両論あるわけですね。しかしながら、この高度情報通信社会の一番の強敵は、私は、その情報をどこから盗んでいるのかわからぬ者が盗むということであります。
 例えば、防衛庁リスト問題で大騒ぎをしている最中のころ、防衛庁のデータを盗んで、何々会社に売りに行った者があった。これは、すぽんと中身を抜かれておるわけですね。日本の、例えばあれは富士通だったと思いますが、富士通によく売りに行ってくれたと思うんですね。そやから発覚するわけです。某外国に売れば絶対わからない。中身すべて抜かれているということ自体をわからなくして、その中身でずっとやらす、しかしそれはもう筒抜けだということになります。
 最大の敵はハッカーではないか。このハッカー対策は国家を挙げて、情報があって初めて外交も成り立つ、国政もできる、国民の福祉もきめ細かく守られるというならば、この最大の脅威であるハッカー対策に最大の力を注がねばならないと思いますが、どのような体制で臨んで、どのような体制を構築されつつあるのか、お教えいただきたいと存じます。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 先生今御指摘のハッカー対策でございますが、これは官民を通じた問題でございますので、内閣官房を中心に取り組みを進められておりますけれども、便宜私の方から御説明申し上げますと、平成十二年一月の中央省庁のホームページ改ざん事案の発生を受けまして、政府におきましては、情報セキュリティー対策、すなわち、情報システムの安全性確保に向けた対策を強力に推進するということで、官民全体を通ずるハッカー対策等の基盤整備に係る行動計画を策定いたしまして、同じく十二年の二月に、内閣官房に情報セキュリティ対策推進室を設置して推進しているところでございます。
 また同時に、当時、高度情報通信社会推進本部、現在のIT戦略本部でございますが、そのもとに全省庁局長級から成ります情報セキュリティ対策推進会議を設けまして、また、そのもとに民間有識者の会合である情報セキュリティ専門調査会を設けまして、情報システムを防護するための施策を討議するなど対策を推進してきたところでございます。
 特に、コンピューターウイルスやハッカー等の脅威から情報システムを防護するために、総合的、体系的な対策を盛り込みました情報セキュリティーポリシーを各省庁それぞれつくっておりまして、また、先ほどの情報セキュリティ対策推進室がガイドライン等を示しながらそういうものをつくっておりまして、平成十二年七月に各省庁がセキュリティーポリシーを策定するためのガイドラインを決定して、また昨年十一月に改定をしておるということで、各省においては、これらを踏まえまして、それぞれ独自に情報セキュリティーポリシーを策定して取り組んでいるというところでございます。
西村委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。
村井委員長 続いて、保坂展人君。
保坂委員 前回に引き続いて、携帯電話の通信履歴や位置情報について、捜査の場合の扱いと、本人開示がどれだけされるのかという論点で聞いていきますが、まず法務省刑事局長に、捜索・差し押さえ令状と検証令状の違いを簡単に述べてください。
樋渡政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねにつきましては、捜索・差し押さえと検証の性質の違いについて申し上げますと、捜索は、人の身体、物または住居その他の場所につきまして物または被疑者の発見を目的とする強制処分であり、差し押さえは、有体物の占有を取得する強制処分であるのに比し、検証は、物、場所、身体の存在及び状態を五官の作用によって認識する強制処分であると承知しております。
保坂委員 そうすると、前回、警察庁の刑事局長に、携帯電話の通信履歴、位置情報などを必要に応じて捜査照会で、今話題に出た捜索・差し押さえ令状や検証令状による取得を行っているかどうか。また、位置情報についても、検証令状で必要な情報があればこれを取得することがある、こういう答弁を得ているんです。
 ここでちょっと伺いたいのは、個々具体的な事件についてはいいです、一般論で結構ですから。そうした場合に、過去の通信の情報、履歴などを取得する場合と、例えばこれから一週間とかいう未来の携帯電話所持者の位置情報を検証令状で取得するという場合がありますか。
樋渡政府参考人 一般論として申し上げますと、検証と捜索・差し押さえの違いは先ほど申したとおりでございますので、過去の携帯電話による通話の際の位置に関する情報が有体物に記載または記録されている場合には、その情報を記載または記録した有体物が差し押さえの対象になると考えられます。他方、携帯電話が、現在所在する位置を確認する場合のように、位置情報に当たる情報を五官の作用によって認識するような性質のものである場合には、検証の対象となると考えられます。
 したがいまして、先ほど委員の御指摘のように、過去のものを、これも検証による場合もあるようでございますけれども、これは有体物を差し押さえることができるのが普通でございます。将来の位置情報を知るというのは、検証によるのが通常ではないかなというふうに思います。
保坂委員 ちょっと語尾が不鮮明だったので。
 私が聞いたところでは、過去のは、刑事局長、もう一回聞きますが、未来のものについても検証令状でとる場合があるというふうに聞こえたんですけれども、間違いないですね。
樋渡政府参考人 一般論で申し上げますれば、そのとおりでございます。
保坂委員 これは大変なことになってきましたね。
 実は、盗聴法に私たちが反対したのは、確かにそういう手法が薬物取引とかいろいろ役に立つときもあるでしょう。しかしながら、そういった技術を捜査機関が持ったときに、これが実は幅広く使われてしまう懸念があるということを随分議論しました。当時、与野党の間でも議論しました。私は最初のころ与党でしたので、与党になって、野党になってもこの議論をして、大分よかったと思いますね、国会でそういう議論をしたことは。
 そして、通信傍受法では、この人を聞いてみよう、ちょっと怪しいということで通信傍受令状をとったときに、該当しなかった場合は本人告知があるんですね。それから、検証令状で、どこにこの人は行くのかな、いろいろ疑いがあったけれどもやはりまともな人だという場合に、本人告知はないんでしょう。これは問題じゃないですか、刑事局長。
樋渡政府参考人 まず、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律所定の傍受令状によって認められる通信の傍受といいますのは、「現に行われている他人間の通信について、その内容を知るため、当該通信の当事者のいずれの同意も得ないで、これを受けること」と定義されており、例えば、通信の内容を知ることなく通信の当事者の電話番号等の探知のみを目的として他人間の通信を受けることは傍受に該当しないとされておりますので、通信履歴や位置情報については、これをリアルタイムに収集する場合でも同法律の対象とならず、同法律制定前と同様に検証令状によるべきこととなると思います。
保坂委員 片山総務大臣に伺いたいんですけれども、そういった自己情報を開示すべきだというお話も前回伺いましたけれども、これは、事とすると、今どきそんなに大事な話というのは、これはいろいろ警戒しますから、大事な話はちょっと電話ではできないからという意識もあるんじゃないですかね。むしろ、どこに行ったかというのはプライバシー中のプライバシーという気がしますね。
 これについて、今おわかりになったように、本人に告知もされないで、疑われた場合に、捜査の過程で一定程度この人の動きを見たけれども関係なかったという場合は、やはり本人告知するべきだという議論をずっと通信傍受法のときにやったんですね。今の議論を聞いていてどう思われますか。
片山国務大臣 通信傍受法の議論は法務省の刑事局長等にやっていただけばいいんですが、私が昨日申し上げましたのは、位置情報について本人が開示をしてほしいと言うのならば、事業者の方がそれに対応できるのならする方が望ましいのではないかと。ただ、これは事業者側の都合もありますし、お金の問題もありますからね。
保坂委員 総務省の局長に伺います。
 いろいろ議論しているんですが、位置情報については、例えば、私が二週間前にどこにいたかというのを出してくれというのは結構大変だそうですね。出そうにも簡単じゃないというふうに聞いていますから、業者にかかる負担も大きいと思いますが、今議論しているように、これから一週間というふうに未来形で、これから十日間とかと言われた場合には、比較的システム的に簡単に位置情報というのは出せるものなんでしょうか。
有冨政府参考人 位置情報については、事業者によってかなりシステムが違っておりまして、例えば、ちゃんと基地局まで記録している事業者もあれば、それは記録しないで地域だけ記録しているような場合もありますので、その情報がどの程度の情報なのかにもよると思いますけれども、技術的には可能なものもあれば可能でないものもある。可能なものであっても、ログの中で取り出しますから、時間とかシステム的にはかなり手間がかかるというふうに聞いております。
保坂委員 私が述べているのは別に難しいことじゃなくて、現に捜査機関で行われている位置情報を、本人が大変なトラブルに巻き込まれて、いわばはかりごとを仕掛けられるようなケースがあるわけですね。会ってもいない人と、会っているじゃないか、あなたはここにいたという証人が次々と出てきておかしいというときに、この位置情報というのは使えますねということで、片山大臣には前向きな答弁をいただいたんです。
 では、警察庁にもう一つ伺いますが、Nシステムという便利なものがありますよね。自動番号読み取り装置ですね。四角い箱になっていて、通過車両をずっと読み取っていく。これは犯罪捜査上もいろいろな意味で役に立つシステムだと思います。
 ただ、一部、不祥事が警察官は多いですから、Nシステム情報を流しちゃったりとか、それを私的に見たりとかして処分された例も報道されています。
 さて、このNシステムについて、一定の期間残っているわけですね。例えば、首都高速の何号線をどなたかの、個人の車が通った、番号によってコンピューターに記録されているわけですが、今と同じように、本人が大変なトラブルに巻き込まれたり、あるいは本人が自己行動の証明をしたいときに、例えば、私は確かに首都高速の何号線を都心に向けてこの時刻に走ったということをNシステムで証明してくださいよ、そういうニーズにはこたえられますか。
栗本政府参考人 今お尋ねのNシステムにつきましては、都道府県警察が、捜査に活用するために犯罪捜査目的で保有しているものでございます。
 今お尋ねのように、特定の自動車の通過車両データを開示いたしますと、具体的にこのNシステムの設置場所が明らかになるということになりまして、今後犯罪者が逃走の際に設置場所を回避する行動をとるなど、今後の捜査活動に極めて支障を生じるものと考えておりまして、今の委員の御指摘のような本人の開示ということについても、できないと考えているところでございます。
保坂委員 私なんかは、ああ、これはNシステムだな、Nシステムだなと見ながら、きょうは幾つ出会うのかなと思って、車で動いているんですね。大分有名になってきましたよ、このNシステムも。
 ですから、片山大臣に聞きたいんですけれども、行政が保有する情報にやはり自己開示を求めてきたときに、今みたいな事例はどうですか。犯罪捜査の妨げになるという、Nシステムというのは、これは国会で審議されてでき上がったものでもないんですよ、かなりの予算を使っていますがね。だから、Nシステムというのは何となくできてきたということなんですね。ですから、そう大っぴらに宣伝するものじゃなかったはずなのに、たくさん出るものですから、県警の発表なんかでも出るものですから、時には。時には出るんですよ、県警の発表の中から。
 であれば、こういうものがあるということがわかった、犯罪捜査にも役に立っているということがわかったと。しかし、本人の必要で、あそこを通った、あそこには明らかにあの箱があるなというときに、開示を求める、いかがですか、片山大臣。いや、片山大臣。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 行政機関個人情報保護法案との関係でございますが、Nシステムについて、私ども詳細を承知しておりませんが、走行中の自動車のナンバーを自動的に読み取って手配車両のナンバーと照合するシステムと言われております。これは、聞くところによりますと、都道府県警察が設置、管理するものでございまして、同システムにより取得した個人情報については、当該情報を保有している各都道府県において適切な保護措置が講ぜられるべきものと考えております。
保坂委員 おかしいですね。Nシステムがあること自体をほとんど国民が知らなかった時代には、まあそういうことかもしれませんが、どこにあるかももう歴然とわかっているのに、ここを必ず通ったということを証明したいときには証明してくれないんですね。そこを一応確認しておきました。
 ちょっと、カーナビの話、私、前回驚いたので、またもう一回確かめたいと思いますけれども、内閣法制局長官に来ていただいていますか。はい、どうもありがとうございます。
 ちょっと急で申しわけなかったんですが、法案の議論をするときに、個人情報取扱事業者というのは一体どういう存在なのかということは、これは民間を縛る一番基本になってくるわけですね。そのときに、事業の用に供する者という、この法文上の意味はどういうことですか。これはちょっと鮮明に定義していただきたいと思います。
秋山政府特別補佐人 お答えします。
 事業の用に供する、これは法案二条三項の定義の中に使われている言葉でございますけれども、この意味は、その事業を行うために利用するという一般的な意味でございまして、特にその利用方法を限定されているものではございません。
 なお、事業と申しますときに、これは一般的な意味におきましては、一定の目的をもって反復継続的に遂行される同種の行為の総体を指すものでありまして、営利、非営利の別は問わないのでございますけれども、ただ、それぞれの法律の似たような言葉を使っておりましても、趣旨、目的でもって解釈というのが行われるわけでございまして、この法律の対象として必要な範囲内で、この事業の用に供するということを解釈上運用していくということになろうと思います。
保坂委員 私は、事業の用に供するの事業の業は、例えば業務上過失致死というのがありますね、これは仕事上運転していた場合ももちろんですけれども、別に仕事ならぬ運転をするという行為自体が業だというふうな解釈でおるわけです。
 藤井さんに伺いますが、私のところにも大分反響がありまして、カーナビですね、これはやはり調べてみましたら、多いものだと三千万件、一千万件とかデータを持っているんですね。これを例えば配達に使う、あるいは同窓会活動に使う、あるいは遊びに使う、さまざま継続反復して使う人というのはたくさんいるわけですね。この人たちが、やはり今回の法律の原理原則に立つと、個人情報取扱事業者に相当しますと答弁しましたが、これは間違いないですか。
藤井政府参考人 先日の私の答弁と申しますか説明では、一定規模以上の個人情報が識別可能な状態で、カーナビのデータベースの中に、地図情報あるいは電話帳情報ということでリンクされて、社会的に事業と認められる者、そういうものに用いられていれば、それは個人情報取扱事業者になり得るというふうに御説明申し上げております。
 今も御答弁ありましたけれども、第二条の定義からいくとやはりそういうことになるんですが、ただ、あえて補足させていただきたいんですが、カーナビに記録されている情報が個人情報と言えるかどうかということでございます。先日来の御議論では、当然、電話帳番号だからということで、氏名と電話番号、住所、そういったものがすべて入っているというふうに、ちょっと私ども勘違いしてお聞きしていたんですが、どうも実態は氏名までは入っていない場合が多いんじゃないかと思います。
 ということになりますと、そもそも個人識別性がないということになると、ちょっとそこはメディアでも誤解を受けたようでございますが、ちょっとそれそのものを個人情報データベースというふうに見ることは困難であるということでございます。
保坂委員 私がきのう調べたところによりますと、開発したところは、NTTで発行されている電話帳、これに掲載されている三千万件の個人情報を、まあ電話帳ですね、電話帳を入れたと。そして電話番号だけで、カーナビで引っ張れるんだけれども、あえて個人名もつけて出せるようにしたと。それはやはり大反響で、これは配達とかに使われて便利ですよね。これはどうですか。
藤井政府参考人 今御指摘のような詳細な実態についてということになりますと、私もちょっとつまびらかに承知しておりませんので、ちょっと、実態を見てみないと判断できないということでございます。
保坂委員 ちょっと委員長、これはおととい宿題になったものなんです。このカーナビ、細田大臣ともお話しして、カーナビまで入るのかと。カーナビだけじゃなかったんですよ、この前の話は。携帯電話で、例えば、これ自体がデータベースになっていなくても、何十万件というデータにつながっていけば、携帯の端末から個人情報を呼び出せばこれは該当すると、藤井さん何回も言ったんですよ。
 もう一個かぶせますが、例えばパソコンでNTTの、例えば藤井さんの名前をぱっと打って電話番号を引き出すシステムがあるじゃないですか、インターネットなどを使って。それを持って使っている人はやはり個人情報取扱事業者になるんですね。どうですか。
細田国務大臣 前回、非常にそういった詳細な御質問がありまして、若干答弁の方も、こうではないかということが、異なるようなことを申したこともありますが、一応我々も勉強しまして、かつ、法案との関係でこういう整理をしております。
 いろいろさらに御意見があればまたお伺いしていきたいと思いますが、実際のシステムの内容次第であるけれども、一般論として、カーナビ等の利用者が個人情報取扱事業者に該当するためには、幾つかハードルがある。
 まず、情報サービスにアクセスして個人情報を取得するだけの場合は対象にならない。もともとサービスがあって、ROMを買ってきて、それでアクセスだけするというような場合は対象にならない。取得したカーナビ等のデータベースの実態が、個人識別が可能なこと、かつ政令で定める一定規模以上であることというのは、当然五千人分を想定しておるわけでございますが、これはもともとの一つの前提ですね。そして、社会的に事業と認められるものに用いていること。例えば、自家用自動車の運転に用いているというようなことは、事業性がなく対象外。
 それから、以上のようにパソコン等の電子計算機で処理される個人情報を事業の用に供している場合と何ら変わらない場合に限り個人情報取扱事業者となるものであって、一部報道のように、カーナビ利用者のほとんどが取扱事業者になるというようなことはない、きょうのところは、ここまで詰めております。
保坂委員 法制局長官、「事業の用に供している」というその法文上の表記は、単に車を運転しているだけの人にも当てはまるんじゃないですか。どうですか。私は、これはきちっと解釈していきたいんですね。
 そうじゃないと、前回の藤井さんの答弁は、これはやはり非営利、営利問わず、この個人情報、例えばいろいろ調べるとありますよ、その三千万件の電話番号を入れたカーナビを持っていて、アクセスするためにあるんじゃないですね、使って、行くためにあるわけですから、これは事業の用に供するというふうにどう考えても読めるんです、この法律は。事業の用に供するというのは、例えば社会的な認知があるかどうかとか、そういう要素は含みませんよね。
秋山政府特別補佐人 御質問の冒頭に、業務上過失とかいう関連のことをおっしゃっておりましたけれども、業務上過失の場合には、これは、業務上課せられている注意義務に違反することによって一般人が傷害を受けるということから、世の中においてそれを防止しようという趣旨の立法でございますので、これは私的な用途であろうと、いわゆる私的でない業務性を帯びたもの、一般的な観念の業務性を帯びたものであろうと、生ずる危険は同じでございますので、継続性、反復性に着目して、今、業務上過失致死の対象には私的な用途も含まれるということになっているわけでございます。
 一方、この法律につきましては、先ほど冒頭の答弁で申し上げましたように、この法律の趣旨、目的等に照らして、対象にすべきかどうかという解釈の操作が入るわけでございまして、必ずしも、刑法の業務上過失において私的なものが入っているから、本件について入るということにはならないと思いますが、それぞれ運用の段階におきまして、必要かどうかということを判断されることになりましょうし、それから、もし疑義が生ずる場合には、今の二条三項四号で、政令でもって適用除外にするという手はあるわけでございます。
保坂委員 藤井さんにもう一回聞きます。
 いいですか。この前、やはり大変な答弁だったんですよ、今修正されましたけれども。カーナビにいろいろな種類が確かにあるんです。そういった電話番号等がいっぱい入っていないものもあるんです。しかし、例えば何千万という電話番号が入っているカーナビを使って毎日配達をする、あるいは友達に会いに行く。これは継続反復した使用ですから、社会的認知云々の概念はないんですよ、それは。事業の用に供しているという概念なんです。
 ここは、何が今までと違うかというと、私たちは、二千、三千あるいは上限五千だと言われてきた個人情報を、今まで、自分で集めるものについて主務大臣がついて、いわば指導監督をするんだというふうに考えてきた。しかし、前回の藤井さんの答弁でわかったのは、カーナビの体系的につくられた電子情報の体系、データベース、それにアクセスをする、そしてそれを使用するということでも個人情報事業者というふうに解しますよという答弁なんです。
 そうだと、例えばインターネットで検索エンジンで、じゃ、藤井さん、個人情報保護法と引いてみる、いっぱい出てきますよ。そういうことをネットサーフィンでいろいろやって個人の情報を見ている、継続反復して見ますから、これも個人情報取扱事業者なんですか。iモードで、携帯電話で、データベースにさまざま結びながら、いい情報がいろいろ入ってきますよ。それも個人情報事業者なんですね。これははっきりしてくださいよ。大変根本的な違いですよ、これは。
藤井政府参考人 先ほども御答弁いたしましたけれども、あくまでデータベースを事業の用に供するというところで事業者になるという意味で御説明していたところでございます。
 また、その辺は、先ほどの大臣からの御答弁もありましたように、単にアクセスするだけということでは用に供したということにはならないという御答弁がございましたが、私もそのように認識しておりますし、そういうふうに御答弁させていただきます。(保坂委員「では、使ったらどうなんですか」と呼ぶ)要は、事業の用に供しているかどうかということでございまして、事業に用いられているかどうかと……
保坂委員 そうしたら、なるんですか。これは大事な点なので。
 自分で個人情報を集めるということですよ、これまで私の理解は。しかし、そうじゃないんですよ、それこそ、やはりIT社会ですから。三千万件というデータベースがこんな小さなものに入っちゃうんですね、DVDとかに。そこにアクセスして、アクセスするだけなんという人はいませんよ、カーナビを買って、どんな調子かななんと言って。やはり運転して、あるいは運転してもらって行くのがカーナビの効能ですから。
 そうしたら、それは事業の用に供しちゃうんですよ。事業じゃないなんというのはだれが判断するんですか。これはだれが主務大臣なの、このカーナビは、判定するのは。
藤井政府参考人 御説明いたしますけれども、むしろ、だれが判断するかという問題より、アクセスということの意味内容は、ちょっと御説明が不十分だったのかなと思っております。
 要は、あくまで個人データベースを事業の用に供するということでございまして、その中の個々のデータ、それをアクセスしてばらばらな形で利用するというのは、データベース等そのものを、いわば体系的な個人データの集合物として利用しているわけではないということでございます。
保坂委員 ちょっと細田大臣、大丈夫ですか、これは。ちょっといいですか、質問。
 これは全然違うんですよ。前回かなり言い切ったんですよ、藤井さんは。私は、これはトータルに網をかけていくときに出てくる一つの欠点かもしれないなと思っていますよ。だって、もしカーナビのことで、それは違いますと言ったら、例えば個人情報のデータベース、一万人のものを集めた人だけじゃなくて、集めてコピーして渡して使っている人もかかるんだという、それはわかるわけです、一般原則は。しかし、一般原則はどこまでも広がります、今の答弁を聞いていると。その一千万件のデータベースを持ったカーナビ。
 そして、じゃ、パソコンで、それこそホームページを見る、携帯電話でも今ホームページを見られますよね。だから、人のホームページを見るのが大好きな人で、ずうっと見続けている、そのうちに情報源ができてきた、あるいは第二次的に何かつくり始めた。というのは、みんな、そういうふうな使用をする人は、データベースにネットでアクセスする、あるいは中継器を通したこういう携帯電話でアクセスをする、あるいはカーナビというデータベースが取り込まれているものにアクセスして使用すると。この使用するのも、ばらばらとかと言っていますけれども、配達だとか同窓会を成功させるためというのは、継続反復、ある一定の目的のもとに行うわけですからね。これが入ると言うのだったら、国民の何割が入るんですか。これは、しっかりそろえてください、答弁。
細田国務大臣 先般の答弁の中でも、私もちょっとこれはおかしいな、実態に合わないなと思いまして、私から検討をするということを申し上げて、実務的に詰めたわけです。
 それで、電話帳にしましても、いわゆるいろいろな情報の入っているCD―ROM、あるいはその他の情報関係の装置にしましても、まずそれをつくる事業者がいて、このつくる事業者は当然、私の情報が入っているようだがけしからぬ、電話帳と同じようにオプトアウトしてくれとか、これはおかしいとか、そういう関係は当然あるわけですね。ところが、でき上がった製品が販売されて、それがそのまま中身が漏れ伝わって、それは多くの国民が使っている。その使っている国民は、普通はそのまま使うわけです。これをまた加工してというよりは、いつも島根県のここの地域を走っているというと、もうそれで使っているわけですよね、打ち出して。そこで自動的に出るように使って、ここの家がお得意さんだとか、この人の電話番号は何番だ、電話して、いらっしゃいますか、今から行きますというように商売に使っている。
 だから、これは利便性に着目して、いわば普通に個人が個人の家を訪ねるような場合は当然先ほど言うように除外ですが、こういった市販されているようなナビゲーションなり情報、いわば大きな地図帳と同じようなものでございますね。それを買って使う行為についてまで、それがたまたま本屋さんだったり米屋さんだったり、そういう商売に使ったからといって事業者といって、たまたまそれをパソコンに全部打ち込んで、そこにお客の情報を全部また入れ直して五千以上になったというなら別ですけれども、そうでないような場合にまで適用するというのは、常識論として、おっしゃるようにおかしいですよね。
 ですから、私は、それが条文的に対応した方がいいのか、あるいは解釈でできるのかはまださらに、先ほどは一段階を詰めたんですが、おっしゃる事態につきましては、非常に影響も大きいので、さらに詳細に詰めさせていただきます。
保坂委員 前回の藤井さんの答弁、三、四回読んでみたんですよ。かなり練れた答弁なんですよ、藤井さんなりに。原則ですから、これは個人情報保護法の、政府案の。だから、一応は全部網をかけるんですよ、それが原則なんです。だからああいう答弁になっちゃうんです。今、細田大臣の答弁を聞いて、藤井さんはやはりちょっと顔をしかめていますからね。これは、大事な法案を推進してきた官僚の中での中心人物が、やはりこれはそうじゃないんだというふうに今大臣がおっしゃるようなことなら、やはりちょっとそこに、条文に反映されていかなきゃいかぬだろうというふうに私は思いますよ。全部が対象だと。
 行政の裁量として、そんな悪いことしませんよと。まさかカーナビを持っている人全部、パソコンを持っている人、携帯電話を持っている人、計七千万人が一挙に個人情報事業者として誕生して、主務大臣だれかなんて言われても困ると、こういう状況になってくるというのは本当にこれはおかしな問題だと思います。何かありますか、もう時間ですが。
村井委員長 藤井内閣審議官。短く。
藤井政府参考人 私の御説明が大臣の御答弁と違うという趣旨ではございません。あくまでもあり合わせのデータベースをただ使うだけというような行為はデータベース等を事業の用に供しているというふうには考えないというふうに申し上げたところでございます。
保坂委員 終わります。
    ―――――――――――――
村井委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま議題となっております各案審査のため、来る四月二十一日月曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十五分散会


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