衆議院

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第9号 平成15年4月23日(水曜日)

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平成十五年四月二十三日(水曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 村井  仁君
   理事 逢沢 一郎君 理事 砂田 圭佑君
   理事 蓮実  進君 理事 松下 忠洋君
   理事 伊藤 忠治君 理事 細野 豪志君
   理事 漆原 良夫君 理事 東  祥三君
      石田 真敏君    岩永 峯一君
      大村 秀章君    奥山 茂彦君
      金子 恭之君    亀井 久興君
      北村 誠吾君    竹下  亘君
      橘 康太郎君    谷田 武彦君
      谷本 龍哉君    福井  照君
      星野 行男君    松浪 健太君
      松野 博一君    宮澤 洋一君
      吉田 幸弘君   吉田六左エ門君
      石毛えい子君    大畠 章宏君
      後藤  斎君    今野  東君
      島   聡君    武正 公一君
      中村 哲治君    平岡 秀夫君
      山内  功君    西  博義君
      桝屋 敬悟君    黄川田 徹君
      春名 直章君    吉井 英勝君
      北川れん子君    保坂 展人君
      山谷えり子君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   国務大臣         細田 博之君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   内閣府大臣政務官     大村 秀章君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  藤井 昭夫君
   政府参考人
   (防衛庁長官官房長)   山中 昭栄君
   政府参考人
   (防衛庁人事教育局長)  宇田川新一君
   政府参考人
   (総務省行政管理局長)  松田 隆利君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  畠中誠二郎君
   衆議院調査局個人情報の保
   護に関する特別調査室長  小菅 修一君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十三日
 辞任         補欠選任
  滝   実君     奥山 茂彦君
  島   聡君     武正 公一君
同日
 辞任         補欠選任
  奥山 茂彦君     滝   実君
  武正 公一君     島   聡君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七一号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七二号)
 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出第七三号)
 情報公開・個人情報保護審査会設置法案(内閣提出第七四号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七五号)
 個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外八名提出、衆法第一〇号)
 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外八名提出、衆法第一一号)
 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(枝野幸男君外八名提出、衆法第一二号)
 情報公開・個人情報保護審査会設置法案(枝野幸男君外八名提出、衆法第一三号)


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     ――――◇―――――
村井委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び枝野幸男君外八名提出、個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官藤井昭夫君、防衛庁長官官房長山中昭栄君、防衛庁人事教育局長宇田川新一君、総務省行政管理局長松田隆利君及び総務省自治行政局長畠中誠二郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
村井委員長 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。石破防衛庁長官。
石破国務大臣 四月二十二日の報道を受け、自衛官の募集のための適齢者情報の収集について行った調査に関し、現段階で判明している内容について御報告申し上げます。
 まず、自衛隊地方連絡部、以下簡単に地連と申し上げます。自衛隊地方連絡部、地連における募集活動について御説明いたします。
 自衛官の募集は、自衛隊の人的基盤を支えていく上で極めて重要なものでありますが、地方公共団体、学校等の御協力を得つつ積極的に広報をしていかなければ、人材を確保することは困難であります。このため、地連におきましては、自衛隊に関する広報資料をダイレクトメールで送付し、関心を持たれた方に自衛官の職務内容を御説明したり、応募についての相談に応ずるなどの募集活動を行い、所要の人員を確保しておるところであります。
 このような地連が行う自衛官の募集の円滑な実施のために、自衛隊法施行令第百二十条の趣旨を踏まえ、防衛庁から各都道府県にあてた文書により、適齢者情報の提供の依頼を行っております。
 次に、地方公共団体からの適齢者情報の提供について御説明申し上げます。
 自衛官の募集に関する事務の円滑化を図るため、一部の地方公共団体におきましては、募集に関する手引を作成しております。このような手引を作成しておりますのは、二十四都道府県、百二十八市町村及び一団体であります。これらのうち、住民基本台帳法第十一条第一項の規定に基づき何人でも閲覧を請求することができる「氏名」「住所」「生年月日」及び「性別」の四情報以外の項目の提供について記載があるものは、三都道府県、二十七市町村及び一団体であり、その項目は「電話番号」「職業」「世帯主」「世帯主との続柄」「健康状態」及び「技能免許等」であります。
 手引を作成していない地方公共団体から適齢者情報の提供を受けておる場合もあり、実際には、七百九十四市町村から地連に対し適齢者情報の提供がなされております。このうち、三百三十二市町村からは、四情報以外の「世帯主」「保護者等」「筆頭者」「続柄」「郵便番号」「電話番号」「一連番号」「行政区」「職業」及び「父兄」の提供がなされております。これらは、募集に関する情報の連絡やダイレクトメールの送付に必要であったものであります。なお、地方公共団体から地連への適齢者情報の提供は、すべて紙媒体または口頭で行われております。
 地連におきましては、地方公共団体から提供された情報を、主にダイレクトメールの発送に利用しております。また、地方公共団体から提供された情報につきましては、地連において、施錠の上、保管されております。
 地方公共団体から提供された情報を電子ファイル化している地連の一部においては、四情報以外の「世帯主」「学校名」「筆頭者」及び「保護者」を電子ファイル化しておりますが、これらの情報につきましては、地連内において募集関連業務のためにのみ使用されており、外部に提供された例は確認されておりません。
 以上の事実関係について、行政機関電算処理個人情報保護法との関係について御説明申し上げます。
 地方公共団体から提供された適齢者の氏名等を地連において電子ファイル化したものについては、同法第二条第四号の個人情報ファイルに該当すると考えられます。
 この電子ファイルの内容について現時点で判明しておりますところでは、同ファイルは募集関連業務のために作成され、使用されていること、同ファイルに含まれる情報は募集関連業務の遂行上必要なものであること、同ファイルは外部に提供されていないことから、同法第四条第二項、第九条及び第十二条との関係で問題となることはないと考えられます。
 また、同ファイルは、保存期間が一年未満とされ、用済み後廃棄することとされていることから、総務大臣への事前通知の対象となる個人情報ファイルには当たらないと考えられます。
 個人情報の取り扱いについてはより慎重であるべきこと、また、無用の誤解を招かないようにすべきであることから、防衛庁としては、適齢者情報として入手すべき範囲については、四情報に限定することが適切であると考えております。昨年十一月に行われた募集担当者会議において、適齢者情報として入手すべき範囲については四情報に限定するよう指示を行ったところであります。さらに、この旨徹底するよう、直ちに文書をもって、私から陸上幕僚長を通じ各地連に指示をいたします。
 なお、今後の国会での御審議を踏まえつつ、さらに本問題につきまして精査してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
    ―――――――――――――
村井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。蓮実進君。
蓮実委員 自由民主党の蓮実進でございます。
 本日は、昨日の毎日新聞朝刊の一面で報道されました自衛官の募集のための適齢者情報の収集に関する件につきまして集中審議ということで、私から次の数点について御質問をしたいと思います。
 まず初めに、これははっきり申し上げます。防衛庁長官、また防衛庁の職員の皆さん、このような騒ぎになっていますが、何というぶざまなことだろう、きちっとしなければだめだと思います。与党としても、IT社会に不可欠である個人情報保護法案の成立に今全力を挙げているところであります。にもかかわらず防衛庁が足を引っ張っているという状況を、しっかりと認識をしていただきたいと思います。
 それでは、質問に入ります。
 昨日の毎日新聞の報道によりますと、防衛庁が自衛官などの募集に使うために、満十八歳を迎える適齢者の情報を住民基本台帳から抽出して提供するよう、全国各地の自治体に三十七年間にわたって要請をし、多数の自治体が応じていたことはわかっておりますとか、「父母ら憤りの声」とか、いろいろと報じられておりますが、これにつきましては、先ほど防衛庁長官から事実関係についての御報告がございました。
 さて、昨日の本委員会での質疑や先ほどの防衛庁長官からの報告によりますと、防衛庁として、適齢者情報として入手すべき範囲については、住民基本台帳法第十一条第一項の規定に基づき何人でも閲覧を請求することができる氏名、生年月日、性別、住所の四情報に限定することが適当であると考え、昨年十一月にこの四情報に限定するよう指示を行ったとのことであります。
 ここで、念のため、事実関係について防衛庁に改めて確認しておきます。昨年十一月の指示の後、新しい石川地方連絡部の自衛官募集の手引というものは存在するのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
宇田川政府参考人 今委員御質問の、新しい「自衛官募集事務の手引」というのは存在するかという御質問でありますが、平成十二年に石川県と石川県の地連の方でつくりました「自衛官募集事務の手引」はございますが、それ以降の改定はなされておりません。
 ただ、今も防衛庁長官からお話がありましたが、住民基本台帳法の第十一条第一項に規定する氏名、生年月日、性別、住所の四情報に限定するという方針が出ておりますので、これをもとにして改定していくという方向になるものと思っております。
蓮実委員 報道を見ますと、あたかも防衛庁が各自治体に対して強制的に適齢者の名簿を提出させたかのように報じられております。新聞報道から引用して読み上げますと、「昨年五月の防衛庁と関東近郊十一都県の募集担当者の会議。席上、「市町村における活動状況」という防衛庁作成の資料が配布された。都県別に市町村の適齢者名簿提供率の一覧表が記されていた。会議に参加した自治体職員は「「低い自治体は非協力的だ」と言われているように感じた」と反発した。」とされています。
 優秀な自衛官を確保することは、自衛隊の組織の精強さを維持する上で不可欠であり、自衛官の募集のためには、住民に密着した行政の主体である地方自治体の協力は非常に大切であると思います。新聞報道のように、防衛庁が地方自治体にあたかも強制しているような印象や誤解は、この際、きれいに払拭しておくべきだと思います。
 ここで防衛庁にお伺いをいたします。
 市町村に適齢者情報を求める法的な根拠をわかりやすく説明していただきたいと思います。
宇田川政府参考人 委員御質問の、法的な根拠でございます。
 自衛隊法の第九十七条第一項の規定がございますが、ここでは、市町村長は政令で定めるところによりまして自衛官の募集に関する事務の一部を行うというふうになっておるところであります。また、自衛隊法施行令の第百二十条では、内閣総理大臣は自衛官の募集に関し必要があると認めるときは市町村長に対し必要な報告または資料の提出を求めることができるとの規定がございます。
 この規定の趣旨を踏まえまして、防衛庁人事教育局長名で、都道府県の募集事務主管部長にあてて依頼文書を出しております。これによりまして、市町村長に対しまして適齢者情報の提供を依頼しているところでありまして、あくまで依頼でございます。
蓮実委員 さらに質問を続けたいと思います。
 今回の新聞報道では、住民基本台帳法との関係も話題になっております。報道では、多数の市町村が住民基本台帳から適齢者を抽出して、その情報を提供したとされています。閲覧以外の方法で提供することは、住民基本台帳法に規定がなく、法の趣旨に反するなどと指摘をされています。中央大学の堀部教授のコメントとしても、法の趣旨に反するとして、市町村の職員は国に身内意識があって、安易に個人情報を提供しがちだとされているのですが、果たして本当なのでしょうか。
 住民基本台帳法の趣旨について、総務省に確認をいたしたいと思います。
 報道では、自衛官募集に住民基本台帳の情報を提供することが住民基本台帳法の趣旨に反するとされていますが、総務省の見解をお伺いいたしたいと思います。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 先ほど防衛庁の方から御答弁がございましたが、自衛隊の募集につきましては、自衛隊法九十七条の一項の規定によりまして、市町村長は政令で定めるところにより自衛隊の募集に関する事務の一部を行っているところでございます。また、自衛隊法の施行令の百二十条の規定によりまして、内閣総理大臣は自衛官の募集に関し必要があると認めるときは市町村長に対し必要な報告または資料の提出を求めることができるとされておりまして、これらの規定に基づきまして、市町村長に対して適齢者情報の提供を依頼しているものと承知しております。
 したがいまして、適齢者情報の提供は、自衛隊法に基づく情報提供として違法となるものではないと考えているところでございまして、住民基本台帳法の趣旨に反するものではないというふうに考えております。
蓮実委員 次に、行政機関における個人情報の適法な取得に関する規定についてお伺いをいたしたいと思います。
 行政機関については、民間に比べましてより厳格な仕組みとすることは当然でありますが、行政機関について個人情報を適法に取得しなければならないとの規定がないことにより、昨日の毎日新聞の報道でも、行政側の不透明な情報収集を禁止する規定はなく、論議を呼びそうだと書かれております。また、この点をとらえて、官には甘く民には厳しいとの批判、私には誤解だと思われるのですが、それを生み出す土壌となっているように思われています。行政機関個人情報保護法案には、なぜこの適法な取得に関する規定がないのでしょうか。
 そこで、総務省にお伺いいたしますが、現在審議されている行政機関個人情報保護法案には適法な取得に関する規定がありません。行政機関個人情報保護法案に適法な取得について規定されていない理由について、見解をお伺いしたいと思います。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 行政機関が法令を遵守しまして適法かつ適正に個人情報の取得に当たるべきことは、日本国憲法のもとでは当然要請されるところでございます。日本国憲法におきまして、第七十三条でございますが、内閣は法律を誠実に執行するということが規定されているところでございます。また、職員につきましても、国家公務員法等の法令遵守義務等によりまして規律されているところでございます。国家公務員法におきましては、第九十八条で、職員はその職務を遂行するについて法令に従わなければならないと書いてあるところでございます。
 そのように、既に法律の規範が存在しておりますものでございますから、本法案において改めて、適正取得、適法取得の規定を置いていないわけでございます。
 仮に、行政機関によりまして個人情報が不適法に取得された場合、本法案におきましては、利用停止請求の規定の対象になるわけでございまして、新しい行政機関法案におきましては、第三十六条で、何人も利用停止等の請求ができるようになっておりますが、その一例としまして、「行政機関により適法に取得されたものでないとき、」という規定がございますように、決して本法案におきまして、行政機関が無謬である、悪いことをしないということを前提としているものではございません。
 また、本事案につきましては、先ほど来防衛庁の方から御説明がございましたように、自衛隊法等の法令にのっとって収集等が行われているものと承知いたしております。
蓮実委員 次に、いわゆるセンシティブ情報についての質疑を行いたいと思います。
 このセンシティブ情報については、これまでの本委員会における質疑の中で何回も取り上げてきております。これも新聞報道から引用しますと、一部の自治体は、家庭環境が推測されるような情報を提供、また健康状態などプライバシー性の高いセンシティブ情報の提供を取り決めた例もあったとされています。
 これも、総務省に確認をしたいと思います。行政機関個人情報保護法案にセンシティブ情報について規定されていない理由について、見解をお伺いしたいと思います。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 いわゆるセンシティブ情報につきましては、基本法であります個人情報保護法案におきましても同じような取り扱いでございますが、それを受けまして、行政機関個人情報保護法案等においても特にそのような規定を設けていないところでございます。
 その考え方でございますが、すべての個人情報は、その利用の目的ですとか方法等いろいろな条件によりまして、その個人の権利利益に深刻な侵害をもたらす可能性があるわけでございます。したがって、何がセンシティブ情報であるかをあらかじめ類型的に定義をするということは極めて困難ではないかと考えているところでございます。
 これは、この個人情報保護の議論の出発点になっておりますOECDの理事会勧告の解説メモランダムにおきましても、差別の危険性という各種のセンシティブ性の基準について議論してきたが、センシティブと万人に認められるようなデータを定義づけることは不可能であることがわかったという指摘もあるわけでございます。
 したがいまして、政府案におきましては、個人情報の類型あるいはそういう性質を問わず、あらゆる個人情報につきまして、行政機関による利用目的の達成に必要のない保有あるいは目的外利用・提供などを厳しく制限することによって、個人の権利利益を保護してまいりたいと考えているところでございます。
 さらに、これは基本法制の方でございますが、その上で、特定の分野において特に厳格な規律を要する場合には、官民を問いませず、個別の法制度や施策ごとにきめ細かく措置することを基本法案の第六条第三項で義務づけられているところでございます。
蓮実委員 先ほどの政府側からの答弁どおり、すべての個人情報は、その利用目的・方法、利用環境等で個人の権利利益に深刻な侵害をもたらす可能性があります。私も、法案にセンシティブ情報を類型的に規定することが重要なのではなくて、あらゆる個人情報について、行政機関による利用目的の達成に必要のない保有や目的外利用・提供を厳しく制限することが大変重要だと思っています。
 防衛庁長官、防衛庁にとって現在は、個人情報特別委のみならず事態特委での質疑も開始されようとする大変重要な時期に差しかかっていると思います。国民に不必要な不信感を持たれることがないように、しっかりと職員を督励していただきたいと思います。
 冒頭に申し上げましたとおり、昨年十一月の段階で既に、適齢者情報として入手すべき範囲は、氏名、生年月日、性別、住所の四情報に限定するよう指導を行ったとのことですが、最後に、防衛庁長官に改めて確認をいたしたいと思います。
 市町村に適齢者情報を求めるに当たって、かねて口頭指導している四情報に限るべきということを徹底すべきであると考えています。防衛庁長官のしっかりとした答弁をお願いいたしたいと思います。
石破国務大臣 冒頭委員からも御指摘がございましたし、今もお話がございました。
 おっしゃいますように、IT社会に不可欠である個人情報保護法、これは成立をさせねばならない、与党としても全力を挙げていただいております折に、私どもの方で誤解あるいは疑念というものを国民の皆様方に抱かせるような報道がなされた。そしてまた、そういうような、私どもとしては法令に従って適法に行ってまいったことでございますけれども、しかしながら、先ほど人事教育局長が申しましたように、この四つに限るんだということがありましてもなお手引の改定がなされていないということは、これは非常に問題だと私は思っております。
 委員御指摘のように、氏名、住所、性別等の四情報に限る、そういうことでなければいけないんだということを昨年十一月の会合において決めました。それが本当にどこまで徹底したんだということを私としてもきちんと確認をしなければいけないと思っております。
 単に言葉だけで申し上げるのではなくて、この四つの情報に限るべしということは、これは私から陸幕長を通じまして各地連に徹底をするということを、所要の形式を踏まえまして即刻行いたい。そしてまた、それが本当に徹底されたのかどうかきちんと私が確認をするということが必要なことだというふうに思っております。
 これは、私どもとして本当に責任を持ってやらねばならないことでございますし、必要があればその結果というものもきちんと御報告をしたいというふうに考えておるところでございます。
 御指摘を踏まえましてしっかりとやる所存でございますので、どうぞ御理解を賜りますようお願いを申し上げます。
蓮実委員 ただいま申し上げましたように、今私どものところでは、個人情報保護の特別委員会、非常に大事な時期に来ているわけであります。事態特もこれから始まるわけであります。どうかひとつ、防衛庁長官、しっかりとしたリーダーシップを発揮されて防衛関係に取り組んでいただきたい、そう思っております。
 私の質問を終わりたいと思います。
村井委員長 続いて、中村哲治君。
中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。
 私は本日、いわゆる適齢者情報を提供いただいたその法的根拠について主に質問をさせていただきますが、その本題に入ります前に、若干の事実の確認をまず防衛庁長官にさせていただこうと思います。
 本日、委員会で配付されました防衛庁からの報告書が手元にあります。その二ページ目のところに、募集に関する手引を作成していた団体についての記述があります。募集に関する手引では、四情報以外、つまり氏名、住所、生年月日、性別の四情報以外には、「電話番号、職業、世帯主、世帯主との続柄、健康状態、技能免許等が記載されている。」と報告書には書いてあります。その後に、報告書には、「手引きを特に作成していない地方公共団体にあっても適齢者情報の提供を受けている場合もあり、」と書いてありますが、手引をつくっていた団体に限って言った場合に、四情報以外の項目というものはどういうものが実際に提供されていたんでしょうか。
宇田川政府参考人 お手元の報告書の参考がございます。ページは打っていないんですが、四枚目がございます。四枚目の参考一でございますが、「「手引き」等における情報提供に係る記載内容等」というページがございます。この右の方に「四項目以外の情報提供の記載内容」という欄がございますが、ここで、例えば上から二つ目の函館でありますと、四項目以外の情報提供の内容としては電話番号がある、こういうことになります。
中村(哲)委員 とおっしゃるということは、四ページ、五ページの書かれているところですべて尽きている、すべて網羅されているということでよろしいですね。
宇田川政府参考人 報告書の冒頭で、「現段階で判明している内容を取りまとめたもの」と書いてあるように、現段階ではこのような状況を把握しております。
中村(哲)委員 だったら、現段階ということは調査できていないということじゃないですか。こんなので審議できるんですか。きょうはちゃんと出せるから審議をやって、そういう話だったじゃないですか。日程自体が、設定自体がおかしいことになってしまいますよ。どうなんですか。
石破国務大臣 これは、委員御指摘のように、それじゃ、現段階でこうであればまだこれから先もいろいろなものが出てくるのか、それじゃ審議できないじゃないか、こういう御指摘かと思います。
 これは、私ども、昨日からずっと、全国の地方連絡部、これは全国で五十ございます、そこに朝から徹底をいたしまして、明け方までかけましてすべての情報を収集いたしました。現段階で、不眠不休で、当然のことでございます、これは国会の御指摘もございますから、可能な限り調べまして、今、了しておりますすべてを出させていただいております。現時点におきまして私どもが知り得る限りの情報というもの、調査というものを提供させていただいているものでございます。
中村(哲)委員 私も、何も手引のないところまで包括的に、網羅的に現段階ですべて出せとは言っていないんですよ。手引をつくっているところははっきりわかっているわけでしょう。だから、手引があるところに関しては本日までにきちんと情報を出すのが筋じゃないですか。それができると与党も約束したからこそ、本日この集中審議の日程を入れたんでしょう。筆頭理事、そう約束したんじゃないですか。
 この点が非常に重要なんですよ。きのう、私たちが、もう深夜でしたよ、情報、紙一枚のペーパーをもらって、あしたまでにはきちんと調べてきますと防衛庁の担当者も言っていたじゃないですか。委員会の質疑の基本的なところが欠けてしまうわけですよ。こんなもの、審議できませんよ。
石破国務大臣 繰り返してのお答えで恐縮でございますけれども、これで私どもが今調べ得る限りの情報でございます。
 これで、まず、これが無謬ということがあるかどうか、本当に一つか二つどうなんだということを言われれば、それは一つ二つの数字の間違いというようなものがあるいは、すべて私どもが五十地連に行って全部見たわけではございません。全部見て確認した上で正確かと言われれば、それは行っておりません。しかし、ファクスであり、電話であり、それを再確認して、五十地連にすべて確認をした上で出させていただいておる資料でございます。いいかげんなものだとか、これがまだ不十分だとか、そのような不誠実な認識は私どもは持っておりません。
中村(哲)委員 五十地連の話をされましたけれども、手引を作成したのは、二十四都道府県、百二十八市町村、一団体、はっきりわかっているんです。手引をつくっているところははっきりわかっている。どういうような情報を実際に出していたかということも、たったこれだけに確かめるだけじゃないですか。二十四足す百二十八足す一ですよ。百五十余りじゃないですか。確実なデータを出せるじゃないですか。
村井委員長 きちんと答えてください。
宇田川政府参考人 委員御指摘のように、手引を作成している、県等では二十五カ所、市町村は百二十八市町村であります。これにつきましては、昨日、その現物、物を直接防衛庁の方にファクスで送信させまして、それを見ておるところであります。したがいまして、決してずさんな調査ということではございません。
中村(哲)委員 私は、何もずさんな調査なんか言っていませんよ。そんな皆さんを愚弄するような言葉は私は言ったことがありませんよ。真摯に仕事をしていただいて、それは敬意を持って質問させていただいていると思っております。
 それじゃ、例えば石川県の例があります。資料の五ページ目です。
 四情報、四項目以外の情報提供については、世帯主が四市町村、保護者等が六市町村、筆頭者が二市町村とあります。ということは、これ以外のものについては石川県ではないと考えてよろしいですね。
宇田川政府参考人 委員御指摘の、五ページですか、五ページの方になりますと、地方公共団体から地連への情報提供の内容でありますので、石川県から地連に情報提供の内容になります。これについてはここに記載されておるとおりであります。(発言する者あり)ありません。健康状態とかはありませんでした。実際の提供された分です。
中村(哲)委員 確認になりますが、石川県において、表に書かれている以外のものはないと断言していいということですね。提供されているものはないと断言していいということですね。
宇田川政府参考人 私がこっちに来る一時間ほど前まででは、そういうものはありませんでした。
中村(哲)委員 マニュアルがあるわけですから、これ以上あるかないかと証明するのはそちらの証明責任でしょう。
 これはないと約束できますか。
宇田川政府参考人 必ずしも、手引とかマニュアルと実際に提供されている情報とは異なっておりますので、石川県については、ここに書いてあるもの以外についてはございません。
中村(哲)委員 本日までにこういった情報をきちんとそろえてくると言ったことが、本日のこの日程の設定の前提だったわけです。与党もそれを約束していたわけですね。
 これに関しては、先ほども、ここにも書かれていますけれども、私も、何も手引を特に策定していない地方公共団体の数まで全部そろえてこいとは言っていないわけですよ。だけれども、手引をつくっているところに関してはきちんとした最終的なデータを出してくるんだなと。昨晩それは約束しているわけです。
 今おっしゃったことは、手引を策定していない地方公共団体にあっても、それをプラスした情報だったらおっしゃる答弁はわかるんですよ。でも、きのうは、手引を作成しているところに関してはしっかりあしたの朝までに調べてきますね、そういうふうに約束をしているわけです。にもかかわらず、現時点でということになると、昨日の約束がほごにされたことになりますので、そこを問題にしているのです。
村井委員長 宇田川人事教育局長、マニュアルが作成されている自治体についてどうだという質問者の問いでありますから、それについて、なお、その他の情報があるのかないのか、それだけ明確に答えてください。
宇田川政府参考人 マニュアル、いわゆる募集の手引についてのお話であれば、全部取り寄せておりますので、これ以外の、この四ページですか、四ページについての情報以外についてはございませんでした。
中村(哲)委員 ないと断言されているということでいいですね。
宇田川政府参考人 ありませんでした。この四ページに記載されている以外の、四項目以外の情報については記載はされておりませんでした。
中村(哲)委員 私が確認しているのは、これ以上のものがひょっとして今から出たときには責任を問われますよという意味なんです。それでいいですね、その覚悟はありますね。
宇田川政府参考人 本報告につきましては、私、責任持って作成しておりますので、募集の手引の関係であれば、今申し上げましたとおり、これ以外の情報については、募集の手引については記載されておりませんでした。
中村(哲)委員 誠実な答弁をいただいたと理解いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 さて、私が本日聞きたいのは、いわゆる適齢者情報を地方自治体から防衛庁がいただいていた、その法的根拠についてでございます。
 先ほどの蓮実委員の質問に対する御答弁の中では、自衛隊法九十七条そして施行令百二十条に根拠があるという御答弁でございました。
 それでは、百二十条による要件を満たせば、法的には何でも出せるということでしょうか。
宇田川政府参考人 委員御指摘の自衛隊法施行令百二十条は、「内閣総理大臣は、自衛官の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。」というふうに規定されておりますので、自衛官の募集に関し必要があると認めるとき、これに限定されているというふうに考えております。
中村(哲)委員 いや、私が申しておるのは、その自衛隊の募集に関し必要があると認めるときに当たれば何でも出せるということですかと。そういうことですよね、今の御答弁を法的に解釈すれば。
宇田川政府参考人 繰り返しになりますが、自衛官の募集に関し必要があるということでありますので、その限りにおいては、やはり必要があると判断されれば必要な報告または資料の提出を求めることは可能であると思います。
中村(哲)委員 つまり、自衛隊の募集に関し必要があると認めるときであれば、例えば住基情報以外のものでも法的には出してもらえるということですね。
宇田川政府参考人 法文上はおっしゃるような解釈になろうかと思いますが、ほかの法令の制約がある場合には、当然それの制約を受けることになると思います。
中村(哲)委員 長官、今の話でよろしいですか。ほかの法令にひっかかる場合ということもおっしゃっていましたけれども、何が制約になるんですか、百二十条の。
石破国務大臣 それは、何が必要かというその判断です。つまり、必要がないものはとってはいけないということですね。
 つまり、何が必要か。例えば、私は先ほど四つというふうに申し上げました、お名前であり、お所であり、お年であり、そして性別であり。必要なものについては、それは可能でしょう。しかし、逆に言えば、必要でないものは集めることはないわけです。
 法令上可能かと言われれば、可能ということになりますが、それは何が可能かといえば、必要なものが可能なのであって、必要でないものは、とれません、とりません。それは必要ではないからです。
中村(哲)委員 それでは、法的には何でも出せるわけです。何でも出せる中で何を出していたのかということになると、先ほどおっしゃっていたように、また報告書にもありますように、実際に出していたものは現時点では、ここに書いてありますように、世帯主、保護者、筆頭者、続き柄、郵便番号、電話番号のほかに、一連番号、行政区、職業、父兄の項目があったというので、これ以上のものはなかったということでいいわけですね。これは確認なんですけれども。
石破国務大臣 そういう御理解で結構です。
中村(哲)委員 自衛隊法九十七条の二項をお読みいたします。「長官は、警察庁及び都道府県警察に対し、自衛官の募集に関する事務の一部について協力を求めることができる。」とあります。どういう協力がなされているんでしょうか。
宇田川政府参考人 応募者あるいは受験者の住所の確定の事務について協力を求めることがあり得ます。
中村(哲)委員 ちょっとよくわからないんですよ。
 警察に対して受験者の住所を確認することを協力してもらっているということですか。
宇田川政府参考人 御指摘のように、志願者とか受験者の住所を警察に確認していただいている、こういうことであります。
中村(哲)委員 それは何のために、そして、どういう方法でなされているんでしょうか。
宇田川政府参考人 御質問は二点ありました。
 何のためということでありますが、志願者とか何かが本当にそこに居住しているかどうか、すなわち、連絡とかの問題がありますので、それを確認しないと違うところに行ったりしますしという問題があります。
 それから、何の連絡かというのは、それぞれの地連の担当官と警察の方で連絡しているところであります。
中村(哲)委員 国家公務員の募集のときに警察が一々受験者の住所は確認しませんよね。なぜ、自衛官の場合だけ住所を警察が確認する必要があるんですか。
宇田川政府参考人 自衛官の募集になりますと、今で二万人程度とかという数字が上がる場合もありますので、大変膨大な数に上がります。したがいまして、地連でやってもいいわけでありますが、ただ、それですと膨大な人手を食うとか、こういうことがありますので、警察の御協力を得ているということになっております。
中村(哲)委員 ほかの公務員の場合、行政官庁は、実際にそこに受験者が住んでいるかどうかと確認しますか。それと比べて、なぜ住所地をきちんと警察が調べる必要があるのか。そこの合理性はどこにあるんでしょうか。
宇田川政府参考人 自衛官以外の公務員についてどういうふうなことになっているかは私承知しておりませんが、自衛官の場合ですと、やはり数が多いものですから、それに対応して、住所を確認するには警察の手をかりているというふうなことになっております。
中村(哲)委員 数が多いから警察の手をかりている。皆さん、ちょっとおかしいとお感じになりませんか。
 ほかの公務員の場合に、公務員の数、多いですよ。しかし、受験者がきちんと応募票に書かれている住所に住んでいるかどうかということを警察が調べているかどうか、ほかの公務員ではないんじゃないですか。
 それは合理的な理由が何かあるんでしょう。それを隠さなくてもいいじゃないですか。自衛官だからという、ほかの公務員にはない特殊的な身分ですよね、それだからやっているのか。そういった説明だったらまだわかりますよ。ただ多いだけだったら、例えば郵政職員も公務員ですよね、多いですよね。
 そういったことを考えると、そもそもなぜ、応募者の住所、本当に現住しているのかということを調べる必要があるのか。そこはなぜなんですか。
宇田川政府参考人 繰り返しになって申しわけありませんが、現実にその場に居住しているかどうかを確認しておきませんと、合格通知とか、不合格の場合でも通知できませんので、それは必要になるわけでありまして、やはりその確認については警察に協力をいただいているということであります。
中村(哲)委員 委員長も笑っておられますけれども、だれが聞いてもおかしいと思う答弁ですよね。だって、採用を希望して出されているわけでしょう、受験者は。その住所が不適切で、また、うそをついていたりして届かないという場合には、採用されないわけですよ。そんな不利益なことを受験者がするはずがないじゃないですか。
 だから、自衛官だからという特殊的な事由があるんじゃないですか。それだったらわかるんですよ。長官、どうですか。
石破国務大臣 例えば、一般の公務員の方に対して、公務員を受験してくださいというようなダイレクトメールというものは発出をすることがないと思うのですね。例えば、地方公務員でも国家公務員でもそうですが、国家公務員になりませんかというようなダイレクトメールを発送するということはない。
 しかし、自衛官の場合には、自衛官に応募していただけませんかというような、少なくとも、先ほどお話しいたしましたし、そしてまたお手元の資料にもお配りをいたしておりますが、今でこそかなり応募をいただけるようになりました。しかし、以前は応募してくださる方は非常に少なかったのです。私どもの方から積極的に、自衛隊の内容、自衛官の職務の内容、そういうものをお話しし、国防の重要性をお話しして、そういうような注意を向けていただく、関心を持っていただく、そういうことが必要でございました。それは今もそうです。
 そうしますと、一般の公務員と自衛官と何が違うかというお尋ねで、この問題に限ってお答えをすれば、やはり、自衛官を受けていただけませんかということを発出する、それはかなり膨大な量に相なります。そういたしますと、これがもう本当にいないということになりますと、相当の国のお金のむだ遣いということになるわけでございます。したがいまして、どういうふうにして確認をするかということについて、一般公務員とどこが違うかといえば、その募集のきっかけということを行う行為、それが私どもで言う広報ということにも相なるわけでございます。そこにおいて、一般公務員と自衛官との相違ということは明確にあろうかと私は存じます。
中村(哲)委員 局長の答弁と長官の答弁で違うなと私が思うのは、局長の答弁では、住所地の確認というのは、応募者の住所地に対しては警察の協力をもらって調べる、そういう御答弁だったと思うのです。今大臣がおっしゃったのは、DMでたくさんの人に送って、たくさんの人の住所を確認する必要がある、そういう御答弁だったので、応募前と応募後というところで答弁が食い違っているんですね。それはどっちが正しいんですか。
宇田川政府参考人 今防衛庁長官の方から申し上げましたのは、例えばダイレクトメールなんかを出すほど募集について必死になっているという話だと思います。警察の方で確認してもらっているのは、志願者とかの住所であります。
中村(哲)委員 つまり、志願者の住所の確認なんですね。先ほど大臣がおっしゃったのは、ダイレクトメールを送るなど、最初のきっかけのところで非常に多くの人の住所を扱わないといけないから必要なんですという御答弁でした。今、局長は違っておりました。今たまたま長官が参議院の方に行く時間になってしまわれましたので席を離れておられますけれども、本当に数なんですか。
 私は、一般国民の立場から見たら、自衛官は特殊な立場だからだと思うんですよ。普通に考えたら、例えば過激派などが、テロ目的か何かわかりませんよ、そういった形で自衛官になるような人もいるわけです。そういうふうな懸念もされる可能性があるわけですよ。そういったときに住所を偽って出す可能性もある、そういったことを防止する目的で、治安上の目的とか公安上の目的で警察に協力をいただいています、もしこういう話だったらまだ聞いて理解できると思うんですが、こういうことではないんですね。単に数ですね。
宇田川政府参考人 先ほども防衛庁長官の方から御答弁申し上げましたが、私ども、応募状況、今は堅調な状況にありますが、バブル期とかは大変苦労したことがございます。したがいまして、志願した人間について、合格したのであれば必ず入隊してほしい、そういう感覚もありますので、先ほど申しましたように、正確に連絡をとれるようにということで、住居地の確認をしてもらっておるところであります。
中村(哲)委員 私はどうも理解できないのですね。確実に連絡をとるためなら、いろいろな方法があるはずです。志願者はきちんと住所を書くでしょうし、また住民票もつけますよね。それで、その住民票の住所と連絡してほしいところが違った場合にも、そういうふうにきちんと、連絡してほしいところの住所地が違う場合も書く欄はありますよね。にもかかわらず警察で調べないといけないというのは、ほかの理由があるとしか思えないんですけれども、もう同じ答弁ばかり繰り返しなので。非常におかしいと思います。
 私はかなり踏み込んで質問をさせていただいたつもりなんですけれども、このことは将来ひょっとしたら問題になるかもしれません。
 先ほど聞いていた質問の中で、どういう理由かというのは、先ほど数だという話でした。どういう方法でということをお聞きしたときに、防衛庁の職員の皆さんと警察の方と協力をしてやっておりますと言う。どういう協力をされながらやっておられるのでしょうか。方法について、答弁漏れがありましたので、確認させていただきます。
宇田川政府参考人 住居地の確認の方法でありますが、地連の職員の方が警察の職員の方に名前とか住所を伝えまして、それで確認してもらっています。
中村(哲)委員 地連の方で確認している。警察はどういうふうに協力しているんですか。
宇田川政府参考人 地連の方では、志願者の住所とか氏名は承知しているわけでありますので、それを警察に伝えるわけであります。そうすると警察の方で調べてくれるというシステムになっています。
中村(哲)委員 ということは、地連の人が受け取った情報、住所ですね、それを警察に伝える。警察は、その人がそこに住んでいるかどうかを、訪ねていって、表札が出ているのかなどで調べるわけですか。警察はどのように調べているのですか。
宇田川政府参考人 警察の調べる方法でありますが、私はつまびらかにしておらないところであります。
中村(哲)委員 九十七条二項で協力を求めていて、具体的にどういう協力がされているかは把握していないということですか。これは大問題ですよ。本当にそれでいいんですね。
宇田川政府参考人 警察の方でどういうふうな調査をやっているかにつきましては、一般的には場所を訪ねるとかあると思いますが、現実的にどういうふうな調査を行っているかについては、私は承知しておりません。
中村(哲)委員 だれが承知しているんですか。それで、防衛庁は知らなくていいんですか。
山中政府参考人 これは、法令の規定に基づきまして、私どもの方から警察に、先ほど人事教育局長がお答えをいたしましたように、応募者の住所の確認をお願いすることがあるということでございますが、その確認につきましては、警察が収集をし保有をしている警察の情報によって行っていただいているということでございます。
中村(哲)委員 そこについての質問は、これ以上聞きません。留保いたしまして、また後日お聞きするということで合意されたということなので、次の質問に移ります。
 総務大臣に伺います。
 住民基本台帳法の三十七条で、きょうの資料にもありますけれども、このように書かれております。三十七条一項、国の行政機関は「それぞれの所掌事務について必要があるときは、市町村長に対し、住民基本台帳に記録されている事項に関して資料の提供を求めることができる。」と書かれております。
 ちょっと細野委員の時間をもらっておりますので、続けて質問をしておりますけれども、この規定がなぜ今回の根拠にはならないんでしょうか。
片山国務大臣 住民基本台帳法の中心は四情報ですね。これについては、閲覧か住民への写しの交付かなんですよ。それ以外では法令に基づく場合なんです。これが基本的な考え方ですよ、住民基本台帳法は。
 そこで、今の三十七条は、これは国の機関等が情報の提供を求めることができるという規定でありますが、これは例えば統計をつくるとかそういうことに限定して解釈すべきだということに一貫してなっておりまして、基本的な情報は、今言いましたように、閲覧か写しの交付、その他法令で決める場合。自衛隊法の場合には、その他法令で定める場合に該当する、こういうことであります。
中村(哲)委員 そうなんですよ。私も旧自治省が書かれております逐条解説を持っておりまして、それに書いてあるのも、今大臣がおっしゃったことをそのまま書かれているんです。それを考えると、先ほど防衛庁が、自衛隊法と自衛隊法施行令で、根拠になってきたこの百二十条という規定で読めるということは法律上おかしいんじゃないかという議論が出てくるわけです。
 ここに私も、自衛隊法施行令をきょうとってきました。そこで、第七章の雑則というところからこういった問題の規定があるんですね。九十七条一項の、都道府県知事は「政令で定めるところにより、自衛官の募集に関する事務の一部を行う。」この規定の「政令で定めるところにより、」というのは、実はこの法形式を見ると、百十五条から百十九条の規定なんですよ。
 そして、百二十条は、先ほど総務大臣がおっしゃったような、この住民基本台帳法三十七条と同じような規定なんです。だから、本来、百二十条というのは、統計とか全体の計画とかをつくるための規定なんですよ。そうじゃないと、住民基本台帳法三十七条で情報は提供できないこととの整合性はとれないわけです。法形式では同じ規定の仕方をされているんですよ。
 それが証拠に、募集主体はだれですか。防衛庁の長官でしょう。自衛官の募集主体は長官ですよね。内閣総理大臣ですか。募集主体はだれですか。
片山国務大臣 防衛庁は研究していますから、私がとりあえず答えますが、九十七条がありますね、都道府県知事や市町村長は自衛隊募集に関する事務の一部をやるという規定がある。それは「政令で定めるところにより、」と。政令がいろいろ書いていますよ。百十九条が募集宣伝をやると書いてある、百二十条が資料の提出や報告を求めることができると。これは、事務をやらせることの一環でそういう百二十条という政令の規定があるわけで、私どもの方の三十七条とはそこは違うと思いますよ。
 私どもの方の三十七条も、読み方によっては広く解釈できるんですよ。ただ、これは、住民基本台帳法全体の趣旨と制度の仕組み、何度も言いますが、閲覧と写しと他の法令の場合、それ以外できるだけ限定化しようということが三十七条の昔からの有権解釈になっているので、防衛庁の場合はそうじゃなくて、自衛隊の募集の事務を市町村長がやる、都道府県知事がやる、その場合に必要があれば報告は求めたり資料の提出は求めることができる、こういうふうに読むべきだと思いますよ。
 法律の所管は向こうですから、ちゃんとした答弁があると思います。
宇田川政府参考人 今委員御指摘の募集についてでありますが、八章の九十七条、一項については「都道府県知事及び市町村長」になっていますが、二項で、長官は「自衛官の募集に関する事務の一部について協力を求めることができる。」というふうな規定ぶりになっておりますので、募集の主体は長官というふうに考えています。
中村(哲)委員 そうなんです。募集の主体は長官なんですよ。だから、百二十条が防衛庁長官はと書いてあれば根拠になり得るんですよ。しかし、これは「内閣総理大臣は、」と書いてあるんです。だからこそ、先ほど片山さんがおっしゃった住基法の三十七条の趣旨と同じだと言っているんですよ。統計をとったりするための目的で百二十条がある。
宇田川政府参考人 御指摘の自衛隊法施行令の百二十条の関係でありますが、これは百二十条の前に百十四条がございまして、募集期間の告示がございます。これは「二等陸士として採用する陸上自衛官の募集期間は、内閣総理大臣の定めるところに従い、都道府県知事が告示するものとする。」と書いてありまして、これは主体的には内閣総理大臣になっております。これとの並びで、例えば地方行政事務について所管する官庁と私ども防衛庁との関係で、内閣総理大臣が規定されているのではなかろうかと思います。
中村(哲)委員 百十四条と百二十条が並びというのは、私もそのとおりだと思いますよ。内閣総理大臣は企画一般に関して権限があるからですよ。だから、募集期間に関しては内閣総理大臣が定めているわけです。だから、統計とかそういう全体的なこと、そういうことを内閣総理大臣が決めているんです。募集の手続自体は、主体としては長官がされているということなんですよ。
 だから、今局長がおっしゃった御答弁そのまま考えると、百二十条は、個別具体的な個人の情報を求める、そういった権限を持った法規範にはなり得ないということなんです、今局長がおっしゃった答弁を前提にすれば。そこなんですよ。今御自分がおっしゃったことをおかしいということをお感じになっていませんか。
宇田川政府参考人 御指摘の自衛隊法施行令の百二十条の「内閣総理大臣は、自衛官の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。」につきまして、統計的な数字だけではなかろうかという御質問ですが、今までそういうふうな運用をされておりませんし、そういうふうなものではないというふうに考えております。
中村(哲)委員 法規範に違反して運営されていた場合に、今まで運営してきたからそれが適法なんですということにはならないでしょう。今までの運営がどうだったかと聞いているわけじゃないんですよ。そういった運営が法規範上違法ではないのか、そこを問題にしているわけです。そこは理由になっていませんよ。いかがですか、実質的な理由を答えてください。
山中政府参考人 御説明をいたします。
 今百十四条もお引きになりましたが、これも内閣総理大臣、百二十条も内閣総理大臣でございます。これは防衛庁の特殊性といいましょうか、内閣府の外局としての位置づけがされております。いわゆる主務大臣としての内閣総理大臣、これは内閣府の長としての内閣総理大臣という位置づけと、それから内閣の代表としての内閣総理大臣、二重の性格を持っているわけでございますが、百二十条等の内閣総理大臣というのは、内閣府の長として、いわば主務大臣として自衛隊法の規定に基づく一定の権限行使を行うという位置づけでされている規定ということでございます。
中村(哲)委員 そのことは私は最初から何も否定していませんよ。一定の範囲内でかかわる、それは、自衛隊のトップは総理大臣なんですから、当たり前のことじゃないですか。だけれども、募集主体は長官なんでしょう。だからここで、根拠にならないと言っているんですよ。実質的な理由は何も答えていません。
 もう時間もかなり過ぎましたので、細野委員に席を譲ります。ありがとうございました。
村井委員長 続いて、細野豪志君。
細野委員 防衛庁長官が、言われていた時間に帰ってこられません。参議院の質疑の状況もあるということで、これはやむを得ない部分もあるんだと思うんですが、きょうは、言うまでもなく防衛庁問題、長官がいて初めて成立する質疑でございますので、質疑時間については、与党の皆さんに御配慮いただいて調整をいただきたいというふうに思います。
 早速質問に入ります。
 防衛庁の皆さんが昨日大変な苦労をされてこの報告書をつくられたのは、皆さんが資料を昨晩十一時に持ってきていただきましたが、あのときの表情を見ていてもよくわかります。ただ、この報告書を拝見していて、率直に言っていろいろな疑義がございますので、細かい点になりますが、まずそれから聞いていきたいというふうに思います。
 資料の一覧表の部分なんですが、この表の二枚目ですね、「地連への情報提供の内容等」というふうに書いてあるもの、この一番右側なんですが、「提供情報の電子ファイル化の有無」というところで丸が十七ついています。三十は丸がついていないんですね。私が不思議でしようがないのは、何でデータを集めていたのかというのは一番前に書いてあって、広報資料を学生等にダイレクトメールで送るために集めていたんでしょう。電子化していないということはタックシールになりませんから、ダイレクトメールを残りの三十のところは手書きで書いていたということですか。これはどうなんですか。
宇田川政府参考人 適齢者情報をいただく目的の一つに、ダイレクトメールを出すとかという問題がありますが、これについて、ファイル化していなくて手書きで出したのかという御質問だと思うんですが、それについては、調べた結果では、ここに書いてありますように、丸がついていないところは電子ファイル化していないというふうな状況でございました。
 また、あて名印刷でありますが、これについてはまだ詳細は承知しておらないところでありますが、地連独自で収集した情報によるラベル化というものも考えられるかと思います。
細野委員 地連独自で入手した情報に、ラベル化するときは、住所とこのもらったデータが入らないとラベル化できないでしょう。
 私は、少なくとも石川県に関しては、具体的にDMが郵送された事実を聞いております。石川県は手書きで書いたんですか。石川県の地連はどうなんですか。
宇田川政府参考人 石川地連から適齢者に送られたダイレクトメールがラベル化されていたかどうか私は承知しませんが、石川地連独自で収集した情報によってラベル化された可能性があると思います。
細野委員 今の御答弁は、わかりませんが、もしかしたら電子化されていたかもしれませんという話ですね。いいですね。ラベル化されているということは、電子化されているんです。私ら後援会を持っているんだから、みんなラベル化するに決まっているんですよ。
 今の答弁は、ラベル化されたかもしれませんということは電子化されているかもしれません、そういうことでいいですね。
宇田川政府参考人 この報告書は、地連に対して地方公共団体から情報を提供されたものの電子ファイル化の有無についての調査でありまして、地連独自が収集した情報に基づいてラベル化されたかどうかについては言及されていないところでございます。
細野委員 何言っているんですか。四情報を提供したと言っているんでしょう。四情報に名前と住所が書いてあるんじゃないですか。何、それ以外の情報をラベル化するんですか。四情報を得ていてDMを出しているということは、電子化しているということでしょう。理屈が通らないことを言わないでくださいよ。ですから、これ一応調べたけれども、やっているかもしれません、そういう話にしか今の答弁は聞こえないんですよ。
 そこで、もう一つさっきの答弁で聞きますが、石川県でこれ以上情報を得ていませんねということに対して、何度も何度も中村委員の方から質問がありました。何度聞いても、ありませんでしたという答弁でした。いいですか。この石川県の地連で、健康情報についてこのマニュアルをつくって募集をしていた期間というのは何年あるんですか。まずそれを教えてください。いつからやっているんですか。
宇田川政府参考人 昨日私ども調査しましたものは、平成十二年の石川県と石川地連のマニュアルに基づくものであります。
細野委員 それ以前はやっていたんでしょう。昨年の十一月に削ったというのは書いてありますから、わかります。いつからやっていたんですか。
宇田川政府参考人 平成十二年のマニュアル以前にもマニュアルがあったか否か、あるいはどういう状態にあったかについては、今は承知しておりません。
細野委員 では確認しますが、ここに書いてある、ほかの情報は提供していませんというこの記述も十二年からの話ですね。それ以前はわからない、そういう話ですね。
宇田川政府参考人 きのう調べましたのは、現時点で持っている情報について調べました。それで、情報については中の本文で触れているところでありますが、保存期間がありますので、それ以前のことはちょっとわかりかねます。
細野委員 それ以上のことはわかりかねます、十二年以前はもらっていた可能性はある。
 与党の皆さんにも申し上げたいけれども、これは、センシティブ情報の収集をしているとすれば、この行政機関の個人情報保護法にも違反する可能性がある。その前提が今崩れたということですよ。
 再度聞きますが、さっき、ありませんでしたと答えましたが、宇田川局長、ないと言い切れますか。今までないと言い切れるんですか。言い切れないとしたら前提が崩れますよ。
宇田川政府参考人 これまで調べた情報ではございませんでした。
細野委員 法違反があるかもしれませんという答弁ですよ、今のは。かつて法違反が行われた可能性がありますが、今調べたところではわかりませんでした、そういう話ですね、ないと言い切れないということは。
 これは防衛庁長官にも聞きたいんだけれども、残念ながらいらっしゃらないので、後ほど聞きますが、この部分が一番調査で我々は知りたいんです。健康情報というのが実際にマニュアルに書いてあるのに、本当にないと言うなら、立証する責任は防衛庁にあるでしょう。その辺について責任持って、ないと答弁できないでしょう。ないと言うんなら、もう一度確認します。ないと言えますか。
宇田川政府参考人 また繰り返しになりますが、文書については保存期間の問題がありますので、少なくとも、調べた範囲ではございません。
細野委員 大変残念な御答弁です。調査の時間も限られていましたので、それが限界だという防衛庁の御発言だと思いますが、法案の審議に関してはその前提は通りません。
 法違反が行われている可能性があり、それをきょう調査結果という形で出していただいたけれども、法違反がなかったということについて立証できなかった、この重みをぜひ皆さんにも感じていただいて、今後の十分な審議をお願いしたいというふうに思います。
 では、続けてまいりますが、この表の中に一つ気になるのがあるんですね。山梨県の「職業」、一件だけあるんですよね。これはどうやってとったんですか。
宇田川政府参考人 今の「職業」があるというお話ですが、一連の情報で、いただいた情報の中で、あったという話であります。
細野委員 いやいや、そんなのないでしょう、あなた。職業を、どういうふうな情報を集めて、市町村が出したんでしょう、どうやって出したか。これは、全体を見たって、突出したデータじゃないですか。調査して、これを調べなくて何の調査なんですか、それ。ちゃんと答えてください。
宇田川政府参考人 ここに表題がありますように、「地方公共団体から地連への情報提供の内容等」と書いてありますが、地方公共団体等から提供された情報の中に職業があったという話であります。
細野委員 いや、そんなにいいかげんな話じゃないんですよ、これ。今も行政機関の個人情報ファイルに関する保護法があるんですよ。その中には、四条には、保有については適法にやらなきゃならないと書いてあるんですよ。しかも、これは、見てくださいよ、職業をとっている山梨県、これはファイル化しているじゃないですか。電子化して、必要がないものを持っているじゃないですか。これは、要するに、法律違反そのものを立証しているということでしょう。必要性をどう認めるんですか。
宇田川政府参考人 職業についての必要性でありますが、例えば自営業の人でありますと、ふだんの日に参ったとしても、商売をやっていればその人とお会いできませんし、そういう面から、職業というものを提供してもらったんではなかろうかと思います。
細野委員 私も、防衛庁が人材を一生懸命確保しなきゃならないというのはよくわかるんですよ。応募してきた人の職業を調べたり、住所を調べたり、場合によっては、思想を調べたりすることも必要でしょう。
 でも、これは、みんなにばらまくDMについて情報を集めたんでしょう。幅広く皆さんに知ってもらおう、防衛庁に関心を持ってもらおう、できたら応募してほしい、そういうことで集めたのに、職業という極めてこれは、どこからとってきたか何かわからないデータを使ってファイル化した。これは、どこがどう証明できるんですか、適法性が。これはちゃんと調べてください。これを聞いても多分答えてもらえないと思うんで、後ほど聞きますけれども、この部分についても、行政機関の現行法、個人情報保護法違反の可能性は極めて高いということを指摘しておきたいというふうに思います。
 もう一つ、私、片山大臣にもいろいろ言いたいことがあるんですよ、でかい声ばかり出して恐縮だけれども。
 さっき、一ついいことをおっしゃいました。というのは、住基法の三十七条ですか、これは情報は提供できるというふうに書いてあるけれども、これは有権解釈として、余り乱用しちゃいかぬから、個別法でちゃんと根拠規定を設けて、それを出すことにしました。これは総務省の一貫した見解でしょう。これを自衛隊法だったらやれるんですか、本当に。自衛隊法の趣旨は何なんですか。この部分について、住基のデータを紙媒体とはいえ提供することが、さっきおっしゃった趣旨ということにちゃんと合致をするんですか。
 総務大臣、これは防衛庁の法案だとおっしゃるけれども、出ていったデータはあなたのところの総務省の住基のデータですよ。そんな人ごとみたいな答弁は許されないんですよ。
片山国務大臣 私は人ごとの答弁をしていませんよ、ちゃんと責任を持ってやっているんで。それはもう十分あなたもわかっていただかなきゃいかぬと思います。
 三十七条は広くいろいろ運用できるんですよ、解釈上。ただ、住基全体の精神、趣旨、ほかの規定との関連で、こういう限定的に、統計をつくるとかなんとかというときに限ろうということが当初からの一貫した解釈だと。普通の解釈じゃないんですよ。そこは全体から見てそういう解釈をしているんで、本来、条文を、文言を普通に解釈すれば、もっと広く運用するというのが普通なんですけれども、そういうことを特別にやっている。
 自衛隊法の場合には、九十七条からきて百十九条や百二十条があるんで、募集に関して必要なものについては、それは資料の提出や報告を求めるのは当然だ、こういうふうに申し上げたわけであります。
細野委員 この委員会でも総務委員会でもずっと、いや特別委員会はないですね、内閣委員会でも、ずっと大臣はどういう答弁をしてこられたかというと、住基のデータはきっちり守るんです、法律できちっと書いてあるもの以外は出さないんですとずっと言ってきたでしょう。だから安全なんだと言ってきたんじゃないですか。
 それを、何ですか、これ、政令ですよ、施行令の百二十条で、総理大臣が必要性を認めたら出せる、そういう話ですよ。完全に今までの答弁と違うじゃないですか。
片山国務大臣 いやいや、それは委員は政令だからと言って、法律に基づく政令なんですよ。これは法令として一体のものなんですよ。細かいことは政令にゆだねているだけで、法律の授権なんだから……(細野委員「どこが細かいんだ、これの」と呼ぶ)いやいや、だから同じなんですよ、それは。
細野委員 では、防衛庁に聞きますが、この自衛隊法の九十七条とこの自衛隊法施行令の百二十条の関係、これちゃんと御答弁してくださいよ。
 これは紙を見るといいかげんなことが書いてあるんですよ。百二十条があって、その趣旨を踏まえて何とかかんとかと書いてあるんだけれども、九十七条には、都道府県知事及び市町村長は政令で定めるところにより事務を行うことができると書いてある。この政令が百二十条、本当に適用できるんですか。
 変なことになるんですよ。都道府県知事や市町村長が政令に委託をして、やれるのが総理大臣。順序が逆なんですよ。これをさっき中村委員は指摘をしていて、九十七条と百二十条は直接的な委任関係にはないということを言ったんですよ。
 これは本当に、九十七条に言う政令は百二十条を指していますか。これは答弁、大変な、これ間違ったら大変なことになりますよ。
宇田川政府参考人 委員御指摘の自衛隊法九十七条と自衛隊法施行令の百十四条から百二十条の関係でありますが、これは従来から、施行令の百十四条から百二十条は自衛隊法の九十七条を受けたものとして整理されてきているところであります。
細野委員 これは私も、相当弁護士とも相談をして聞いていますので、後ほどこれがひっくり返ることがないように祈りますが、少なくとも、総務大臣に言っておきますが、今まで、データはきちっと守ります、それについて出すときはこれは法律でしっかり縛るんです、具体的に書くんです。オンライン法には二百六十四、きちっと書いてあるじゃないですか。
 我々はあの法案を反対してきたけれども、こういう事務には使いますと書いてあるから、皆さん一応納得をして、住基に皆さん名前を挙げているわけでしょう。その情報をやすやすと、この自衛隊法施行令ですか、この百二十条で、総理大臣は必要な資料を提供することができるんです、このデータをこれでやれるとなったら、本当にその前提が崩れるんですよ。
片山国務大臣 委員は大変な誤解をしているんですよ。
 これは住基ネットワークから情報をとるわけじゃないんですよ。これは市町村が法定受託事務で自分の仕事になるんですよ、今の九十七条に基づいて。それについた情報を百二十条で提供するので、住基ネットワークとは何の関係もありません。
 住基ネットワークは、委員が御承知のように、法律にはっきり書いている事務について法律ではっきり書いてある機関にしか提供できない。当たり前の話であります。
細野委員 では聞きますが、防衛庁に聞きますよ。データをどういうふうにとったかが問題なんですよ。
 例えば、十八歳とか十三歳、これは全体の情報をとったわけでしょう、住基ネットから、住基データから。データをとったわけですよ。どういうふうに情報をとったんですか。
 では、七尾市の例をとりましょう。DMを送るために、では七尾市から地連はどういうふうな情報をとったんですか。情報の中身を教えてください。
宇田川政府参考人 委員御指摘の七尾市からいただいた適齢者情報の内容でありますが、氏名、住所、生年月日、性別、それから保護者、あるいは名前がちょっと、同じだと思いますが、名前が変わっていますが、保護者あるいは世帯主、筆頭者、これの情報の提供を受けたところであります。
細野委員 局長、もう少し趣旨を理解して答弁をしてください。
 ある年齢の該当者を全員データとして持ってきたんですね。どうなんですか、それは。
宇田川政府参考人 七尾市から一定の年齢の人間のデータはいただいております。
細野委員 総務大臣、ある一定の年齢を住基のデータからごっそり持っていくんですよ。これは住基と関係ないんですか。
 例えば五万人なら五万人のうちある世代、十三歳から十五歳とか、その世代のデータをごっそり持っていくんでしょう。これは住基データそのものじゃないですか。関係ないなんというのは通らないんですよ。どう関係ないのか、ちゃんと答弁してください。
片山国務大臣 よく聞いてくださいよ、答弁を。
 住基ネットワークと関係ない、こう言っているんですよ、今の住基ネットワークシステムと。住基の台帳からとった情報もありますよ。それ以外の情報もありますよ。それは市町村の事務になっているんだから、法定受託事務に。自衛官の募集に関する仕事は市町村の事務の一部になっているんですから、市町村の持つ情報で必要なものは、一覧表か何か知りませんがつくって、それは提供するのはちゃんと法令に根拠があるから提供しているので、住基ネットワークとは何の関係もない。ただ、住民基本台帳にある情報が、例えば四情報なんかが地連の方に行っている、これはありますよ。
細野委員 三十七条の話は住基のデータでしょう。ネットワークと関係ないですよね。データの提供に関しても、さっき総務大臣は、慎重にやって三十七条は使わないんだと言ったんですよ。でも、それ以上に漠然とした規定が自衛隊法にあって、そっちからずるずる出ていましたという今の話なんですよ。
片山国務大臣 何度もこれも申し上げているでしょう。住基の中では何人も四情報はとれるんですよ。また、何人も住民票の写しがとれるんですよ。それ以外は他の法令に根拠がある場合なんですよ。
 今回の場合には、自衛隊法と施行令に根拠があるから特例として認められるんですよ。
細野委員 総務大臣がいいかげんなことを言っちゃいかぬですよ。閲覧は、これは続き柄とかとれないでしょう。一般的にとれないでしょう。それをがばっと出しているじゃないですか。
片山国務大臣 何度も言っていますように、住民基本台帳からだけの情報じゃないと言っているんですよ、私は。何度も言っている。市町村の法定受託事務ですよ。市町村の事務になっているものについて、自分が持つ情報であって自衛官の募集に必要なものを求められたときは、それは出すんですよ。
細野委員 続き柄は住基のデータでしょう。それが出ているんじゃないですか。一般の人が見れない以上の情報をきっちり耳をそろえて、何千人か知らないですけれども、それががばっと行っているんですよ。明らかに違うじゃないですか。根拠は住基法にないじゃないですか。
片山国務大臣 何度も言っているじゃないですか。続き柄は住民基本台帳の情報なんですよ。十三情報の中なんですよ。これは、住民票の写しをとれば、何人でもとれるんですよ。写しをとれば、住民票の写しを。
 そこで、今言っているのは、住民基本台帳の情報ではあるけれども、ほかの法令に特別の根拠があれば、それは出せるんだということを言っているんですよ。
細野委員 堂々めぐりになるので申し上げませんが……(発言する者あり)何言っているんですか、三十七条の趣旨で出せないと言ったんでしょう。それが、違う根拠法があって、その自衛隊法ではずるずる出します、今そういう話でしょう。それが、総務大臣のおっしゃる住基のデータを守り――私は、総務大臣の話を聞いていて、一般的な情報といわゆる国民が心配をしている個人情報との区切りがあなたはついていないなと思うんですよ。
 自衛隊法の施行令の百二十条で言っているのは、そういう個人情報のことはここで言っていないんですよ、どう見たって。総理大臣がそんな個人のデータを請求してやるなんということを施行令百二十条は予定していないんですよ。それを個人情報でもいけるという、住基の今の大きな枠組みをこれは根底から崩す話なんですよ。これはもうこれ以上聞きません。いや結構です。
片山国務大臣 自衛隊法の体系は、何度も言いますように、市町村や都道府県にも、知事や市町村長ですけれども、自衛官募集の仕事をみずからの事務に法定受託しているんですよ。それに基づいて、自衛官の募集に必要がある限りですけれども、情報を求められたら出す義務があるんですよ。
 したがって、法律に基づいて、だから、住民基本台帳からの情報もありますし、それ以外の方から仮に必要がある情報があれば出すということでございまして、法律で決めている限りはそれは特別に認められるんですよ。
 法律というのは国会で決めるんですよ。住基法だけがあるわけじゃない、ほかの法律もあるんで、そこの調整は特別の定めがあればやれるということがすべての解釈であります。
細野委員 今大変な答弁をされたんですよ。これ資料の提供は求めることができるとさえ書けば、住基のデータ、全部持っていっていいという話ですよ。(片山国務大臣「募集に関し必要な場合はと書いているじゃないですか」と呼ぶ)必要があるかどうかという解釈は自衛隊がされるでしょうけれども、資料の提供を求めることができるとこの規定で書くというのは、今のオンライン法に書いてある、この法律はこういうふうに使いますということと明らかにレベルが違うんですよね。ここについてはもうこれ以上の水かけ論をしませんが、これ本当にこれからの八月の本格稼働を控えているわけですから、私は大変なことが起こったと思いますよ。多分、午後の野党の委員からの質問でもあると思いますが、私は、この問題は非常に根が深い、そう考えています。
 もう一つ、この報告書の中で、実はちょっと前言を翻しているところがありますので、それについて聞きたいと思います。
 聞きたいのは、ファイル簿として、ファイルとして掲載する違反の問題、きのう、防衛庁も総務省も一貫して、この各自治体に入ってきているデータは、これは人事に関するデータだからファイルとして掲載しなくていいです、そういう答弁をされました。総務大臣も確かにそうおっしゃっているんですね。一応読みましょうか。「何度も局長が答弁していますように、人事情報は、これは適用除外なんですよ。」とおっしゃっている。それに対して横路委員は、いや、これは、ここに書いてある採用に関する人事、給与もしくは福利厚生に関する事項その他云々という記載には当たらないんじゃないか、全員にDMをばらまくんだから違うんじゃないかということを何度も聞いたんですが、それに対しても、総務省も片山大臣も、いや、これなんです、これでやっていないから法違反じゃないんですと言ったが、きょうのを見ると、一年以内に消去するという、六号ですか、これに変えているんですね。これはどういうことですか。これは大臣が御答弁されていますので、大臣に聞きます。
片山国務大臣 この前の委員会で私が答弁しましたのは、人事情報ファイルについては総務大臣の事前通知あるいはそれによって起こる公表の対象外になるということを申し上げたわけで、法律にはっきり書いている。それから、一年以内に処分するものも事前通知は公表の対象から外れている。だからそういうことを申し上げたわけで、人事記録は。
 ただ、その場合に、個別のこの事項が人事情報に該当するかどうかというのは、これは全体の事実認定、個別具体の事実認定の上での判断ですよ。あることが採用試験に関する人事情報に入るかどうかというのは、これはケースによって違うわけであります。ただ一般論として私は何度も申し上げた。
細野委員 いや、きのう皆さん委員会に出ているんですよ。そんな恥ずかしい答弁しないでくださいよ。これは例外に当たりませんねと、このケースについて聞いたんですよ。DMを募集でばらまくことは、これは三号には当たらないんじゃないですかと聞いたのに対して答えているんですよ。総務大臣は一般論で答えてないんですよ。
 要するに、何が言いたいかというと、ここの三号に書いてあることというのはもう事実として明らかです。事実認定とおっしゃるけれども、住基のデータを集めて、それでDM出したという事実はきのうから明らかなんだから。それを前提に、三号に当たるかどうかということで、耳をそろえて、防衛庁も総務省の局長も片山大臣も、これに当たるんですときのうの委員会で断言したんですよ。この間違いは大変ですよ。
片山国務大臣 詳しい答弁は後で局長がするかもしれませんが、DMが人事記録に当たるなんと言った覚えないですよ。採用試験に関するものは人事情報に当たるので、採用試験に関するいろいろな事項の中でこれがどうかということは個別認定だ、これは当たり前の話であります。
松田政府参考人 昨日の御答弁について申し上げますと、私の方から、詳細はよくわかりませんのでという前提つきで、その前に防衛庁の局長の方から、例の三号の規定に該当する可能性があるというような御指摘がありましたので、人事情報に該当するならば総務大臣への事前通知あるいは公表の対象にはならないということを申し上げたわけでございます。その後の答弁におかれまして、防衛庁の局長の方から、三号に当たるかどうかということについて若干訂正される御発言があり、そして今回、本日の御報告になったものと考えております。
細野委員 事実認定が調査で明らかになるのは、どういう情報を出したかとか、何県出したかという情報であって、これは、DMを幅広く出したというのは、事実認定も何もなくて、きのう明らかだったんですよ。事実が明らかで、それを局長という法律の専門家が、このケースにどうですかというふうなことを聞かれているにもかかわらず、こういう答弁をするということは、要するに、この三号というのはいろいろ可変的で、人事に当たるという定義が、少なくとも事前に防衛庁と総務省のすり合わせもできていないし、ファイル簿に上げない、公表しないということも、個人情報保護法の六条のどれに当たるかということも検討せずに上げていなかった。検討していないんでしょう、少なくとも防衛庁としては検討しなかったんですよね。どうですか。
宇田川政府参考人 きのうの当委員会の午前中におきまして、委員御指摘のように、私は当初は三号に当たるんではなかろうかというお話をしました。ただ、午後の委員会のときには、事実関係をよく見たところ、採用試験に直に当たるかどうか疑問がありましたので、その後いろいろと調整した結果、そうではないという話になりましたので、今度の報告書に書いたのはその結果でございます。
細野委員 この委員会でも私、何度も強調していますが、ファイルとして掲載をするかどうかというのは、国民から見たときに、ファイルの存在の確認する唯一の方法なんですよね。それを防衛庁は、事前にどのファイルが適用除外かということも一切考えずに、とりあえず、一県や二県じゃないですよ、一県や二県じゃない、十数県の地連が、何の適用除外か、何の例外かということも、これも検討せずに、ファイルとして持っていたんですよ。そして、きのうからきょうにかけて、夜、総務省と相談をして、どういう結論になったかというと、いや、一年以内に消すファイルに該当するので適用除外にしましょうと。こんないいかげんな管理をしているということがわかったんですよ。こんないいかげんな話、ないですよ。
 私は、きのう七尾市のインタビューを聞いていて、これは違うなと確信をしています。七尾市は、九九年に提供した名簿をもとに、二〇〇二年六月二十八日に発送をした、そうきのうインタビューではっきり言っている。すなわち、十三歳から十五歳のときにとった名簿を、三年間たって、それをとっておいて発送しているんです、七尾市は。そうインタビューで言っているんですよ。
 本当に全部一年以内で消去するデータだった、確実にデータを消去してきたという確証があるんですか。これはないと、この変更がいかにいいかげんになされたか、そしていかに今運用が、防衛庁だけかもしれません、そう願いたいが、役所で行われているかということを、これは図らずも立証することになるんですよ。これはわざわざ変えてきたんだから、ちゃんと答えなきゃだめだよ。
宇田川政府参考人 報告書の三ページに書いてありますが、電子ファイルは、その保存期間が一年未満とされ、用済み後廃棄されるとされているということは、きのうの調査の結果であります。
細野委員 では聞きますが、きのう七尾市がインタビューで言った、三年前のデータを使ったというそれ、そうじゃないということを確認しましたか。ないと言い切れますか、局長。七尾市はうそをついたと言えるんですか。
宇田川政府参考人 私はその七尾市のインタビューを見ておりませんが、私どもが調査しましたのは私ども地連の保存の話でありまして、仮にそれが七尾市の話であるとすると、私、ちょっと承知していないところであります。
細野委員 七尾市はどういうふうにやっているかというと、コストは自分で持つからといって、地連が持っているデータを七尾市に送ってもらって、タックシールも張って、そして発送のお金だけ七尾市が持っているんです。そうインタビューでも言っているんですよ。
 すなわち、地連が三年間保存をしていて、それを七尾市に流しているんですよ。こういう調査はいいかげんなことをやってはいかぬですよ、本当に。解釈を変えて、人事にはどうも当たりそうにないから、一年以内に消去することにしましょう、こんなのは通用しないんですよ、国会で。
 では聞きますが、一年以内に廃棄をするという内規はあるんですか。何かそこについてきちっとした枠組みが防衛庁の中にあるんですか。あるんなら出してください。
 委員長、これ、大事な答弁です。時間、とめてください。まだ聞きたいことがたくさんあるので。
山中政府参考人 申しわけございません。私の記憶では、訓令か通知があったかと思いますが、確認をして当委員会の時間の中でお答えをさせていただきたいと思います。
細野委員 あったら出していただきたいですが、きのうの答弁で、これ一年以内と言っていないんですよ。人事上のファイルと言って逃げているんですよ。ここで一年以内という訓令や何かが出てきたら私はびっくりしますね。
 もともとあったなら、そういう答弁をすればいいんですよ。本当にありますね。これはちゃんと答弁してくださいよ。ありますね。
村井委員長 山中官房長、再度答弁してください。
山中政府参考人 確認の上、きちんとお答えをさせていただきます。
細野委員 防衛庁長官にも最後に聞きますが、その前に総務大臣に聞きます。
 いいですか、とにかく開示の義務に違反しているファイルも、いや一年以内、これは外から全くチェックもできない、そういうことで例外規定という運用もされていない、こうやって、怪しいんじゃないかと指摘をされたら慌てて、きのうは人事上ファイルと言ったのに、一年以内のファイルにする。この例外規定は本当に適切ですか。運用はきちっとできますか。
 ちなみに、現行法と新しい法案は、この部分、全く変わっていない。開示の例外規定、いっぱいあるわけですよ。これがこういう形で運用しているということについて、総務大臣、責任を持って大丈夫ですと言えるんですか。ちゃんと答弁してくださいよ。総務大臣ですよ、これは。
片山国務大臣 これは行政事務で、膨大なことになるということはある程度防がなきゃいけませんので、事前通知や公表については一定の考え方で整理している。その中に、一年以内で消去するようなものについては事前通知や公表の対象にしなくてもいいではないか、こういうことになっておりますが、しかし、一年以内で消去するものについても法律の規定の適用はあるわけでありますから、目的の範囲で必要最小限度であり、理由のない目的外利用や提供はしない、これは当たり前の話であります。
 ただ、手続として、私のところに事前通知をしてもらって、施行状況を公表するようなことは、一定の場合には、あらゆるものだと膨大なことになって、行政事務に支障があるようなことでは困りますから、そういう整理をいたしておるわけでありまして、今言われているのは現行法のお話でしょうけれども、基本的には、新法も同じような考え方に立っております。
細野委員 全然答えていないんですよ。一年以内に消去するというのを、総務大臣はどうやってチェックするんですか。そうなされているということに関してチェックする仕組みがあるのかということを聞いているんです。
松田政府参考人 法律の施行に関する話でございますので御説明させていただきますと、適用除外をいたしませんと、例えばあて先リストですとか、あるいは職員名簿ですとか、今のような一年未満のものですとか、そういうもの全体が対象になりまして、行政負担はもちろんでありますが、行政の国民に対するサービスも遅延をするという重大な問題になろうかと存じます。
 チェックの方法は、一定のものについては事前通知、公表、こういうことになっているわけですが、さらに別途、情報公開法におきまして、行政文書ファイル管理簿、これを公表することになっておりますので、何人も、自己の情報について、役所の文書の中でこういうところにあるのかもしれないというチェックはできる仕組みになっているわけでございます。
細野委員 情報公開法と個人情報保護法は違うんですよ。個人情報保護の中にこういう仕組みをつくらないと、今回の防衛庁のような問題が出てくる、今まさにその審議をしていたんじゃないですか。そんな寝ぼけた答弁をしちゃだめですよ。
 最後、防衛庁長官、帰ってきていただいたので、一つだけ、済みません、一つになってしまいましたが、聞きます。
 先ほど宇田川局長の方から、石川県についてこういうマニュアルが出ている、出ているそのものに対して、ないことをきちっとお約束できますか、ないと言い切れますかということを聞きましたら、十二年より前のことはわからないという答弁がありました。マニュアルはあるのに出していないということを、私は、証明する責任が防衛庁にはあると思います。
 それについて、これは法違反の可能性があります。行政機関の個人情報保護法案に違反する可能性があります。それ以外に情報を出していればですよ。これについてきちっと調査をしていただきたい、このことをきちっと答弁をいただきたいと思います。
石破国務大臣 それは、御指摘のきちんと調査をするというのも、全く当たらないとは思いません。しかし、証明する責任が防衛庁にある、こうおっしゃいますが、これをどうやって証明するのかということであります。
 そういうような資料がもう既に破棄をしてしまった、書類の場合には用済み後破棄ということになっているわけです。そういう書類を持っていて逆に何に使うんだということでありまして、そういうものは当然限られた目的、その目的を達するために必要でないということになれば、これは破棄をするのが当然行政としての立場だろうと思っております。破棄をしたものについてまでこれを証明せよという形になりますと、これは事実上困難である、物理的に困難であるということを申し上げざるを得ないと思います。
細野委員 時間が来ましたので終わりますが、今回のこの審議の中で、行政機関個人情報にこういう大きな穴があること、これはもう委員の皆さん、共通してお感じになったと思います。
 加えて、それぞれ主務大臣とはおっしゃるけれども、現場それぞれの、現場がやるんですよ、現場においてファイル簿のどういう例外かということもわからないようなずさんな今の現状において、民間法を主務大臣に任せることはできない、このことを強く申し上げて、私の質問を終わります。
村井委員長 午後零時五十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時五十三分開議
村井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、石破防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。石破防衛庁長官。
石破国務大臣 先ほどの中村委員の御質問に対します私どもの答弁で、警察が協力している調査の内容を住所の確認というふうに申し上げましたが、誤解を招きませんように申し上げます。
 これは、防衛庁といたしまして、隊員の採用に当たりましては、志願票に記載された事項の確認、自衛隊法第三十八条第一項に規定する欠格事由の有無、その他、隊員として真にふさわしいかどうかに関するものなどについて、必要な調査を行っているものでございます。
 以上であります。
村井委員長 質疑を続行いたします。黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 通告がおくれたり、あるいはまた通告していない部分で質問するところがあるかもしれませんが、よろしくお願いいたしたいと思います。
 まずもって、自衛官募集のため、満十八歳を迎える適齢者名簿の提供に関しまして、健康状態などプライバシー情報が漏れていたということの中で、ちょっと国民の怒りも高まっておる実態があります。
 そしてまた、私、地方の出身者でありますので、その私の目から見ますと、自衛隊は本来、例えば防災対策でお世話になったり、あるいはまた、今の経済状況の中で、正直に申しまして、地方にあっての就職難の中で、ある意味で貴重な就職先といいますか、そういうものになっているとか、自治体側からは心強い、そういう防衛庁、自治体であったはずであります。
 また、自衛官の募集でありますけれども、これはもう数十年来ずっと年月を経ておりまして、時代の流れ、空気がなかなか入らないといいますか、そういうことがあって、今あるプライバシーの保護であるとか、あるいはまた情報公開の時代、あるいはまた政策が評価される、そういう時代にあって、ちょっとそこから離れておるのかなと思っていました。でありますから、法定受託事務ですか、それを受ける自治体にとっても、防衛庁にとっても、これはしっかりとした取り組みをしてもらわなきゃいけないと思っております。
 そこで、まず最初にお尋ねいたしますけれども、今回、防衛庁の自衛官募集について、住民基本台帳の情報提供ということで、今さまざま、いろいろな事例が明らかになったわけでありますけれども、防衛庁以外に、他の省庁においてはこのような事例があるのかどうか。制度官庁の立場から、総務大臣、住基台帳の関係でほかの事例があるのか、お尋ねいたしたいと思います。
片山国務大臣 防衛庁のような、各市町村がリストを出しているようなことは承知いたしておりません。ということは、余りないのではないか、こういうように思っております。
 捜査機関は、これは刑事訴訟法に基づいて情報がとれるわけですね、これは特別に。こういうことでは出していることは、私はあるいはあるのかな、こう思いますけれども、一般的には、防衛庁のようなケースはないものだと考えております。
黄川田委員 通告しておりましたけれども、これは調査を実際にしてみた結果というか、事前に総務大臣がわかっている範囲での話ということでありますか。
 ひとつ、三千二百余の市町村がありますので、具体的に、こういうふうな住基台帳の提供であるとか、各省庁の実態をできれば調査してもらいまして、委員会に報告等もしていただきたいと思うんですが、委員長、どうでしょうかね。
片山国務大臣 何度も言いますけれども、閲覧でとる場合と写しをとる場合と、特別の法律がある場合には、法律ですからそれによるということでございまして、他の法律によって部分的に、部分的にというのは、情報の一部を出していることはあるいはあるかとも思いますけれども、全般的なあれは聞いておりませんですね。
 調査といいましても、これは大変なことですから、心がけて、できるだけ状況の把握には努力いたしたい、こういうふうに思っております。
黄川田委員 また、このような問題がさまざま出てきた場合には、責任は、大臣とりますか。
片山国務大臣 各大臣は、所管行政には責任ありますからね。ただ、ほかの法律に基づいてどうこうというのまでやると総理大臣になっちゃいますから、私の所管についてはそういうことのないようなことをさらに徹底してまいりますし、各省庁にもそういうことをお願いしよう、私どもの方はまとめ役、法律の所管大臣としてそういうことをお願いしてきておりますし、今後ともお願いしてまいりたいと思っております。
黄川田委員 それでは、自衛官募集の情報収集について、幾つか防衛庁にお尋ねしてみたいと思っております。
 きのうの報道によりますと、防衛庁が、自衛官の募集に関し、募集適齢者の住民基本台帳から情報を提供するよう、三十七年間ですか、各地方公共団体に要請しておるということでありますけれども、これについて、この事実関係、改めて防衛庁長官、お尋ねいたしたいと思いますが、事務方ですか。
宇田川政府参考人 自衛官の募集についてでありますが、全国に五十カ所設置されました自衛隊の地方連絡部が実施しているところであります。それと同時に、自衛隊法第九十七条の規定に基づく法定受託事務として、都道府県知事及び市町村が、自衛官の募集事務の一部、例えば自衛官の募集に関する広報宣伝等を行うものとされております。このため、各地方公共団体においては、自衛官に応募する可能性がある者の所在を確認するため、必要に応じて適齢者名簿の作成が行われているものと承知しておるところであります。
 このため、自衛隊地方連絡部が行う自衛官等の募集の円滑な実施のために、自衛隊法施行令第百二十条の、内閣総理大臣は、自衛官の募集の実施に関し必要があるときは、市町村長に対し、必要な報告または資料の提出を求めることができるとの規定の趣旨を踏まえ、防衛庁人事教育局長から各都道府県募集事務担当部長にあてた依頼文書によりまして、市町村長に対して、自衛隊地方連絡部に対する適齢者情報の提供について依頼を行ってきておるところであります。
 なお、防衛庁としましては、適齢者情報として入手すべき範囲につきましては、住民基本台帳法第十一条一項の規定に基づき、何人でも閲覧を請求することができるとされております氏名、生年月日、性別、住所の四情報に限定することが適切であると考えておりますので、昨年、十四年十一月に行われました募集担当者会議におきまして、この四情報に限定するよう所要の指示を行ったところであります。
黄川田委員 我が国の防衛を担う唯一の機関としての自衛隊に前途有為な若者が集まるということは必要であると思っておりますし、そしてまた、近年、この募集環境でありますけれども、厳しい経済状況の中にあって、採用試験の倍率もここ数年は高くなってきているというような話も聞いております。しかしながら、中長期的に見ますと、若年人口の減少を受けまして、隊員の募集環境、ますます厳しくなることも予想されると思っております。
 国を守る使命を担う自衛官にすぐれた人材を確保していくこと、これは大事だと思っております。そこで、このような募集のための方策として、今回の事案で議論されているような、地方公共団体から適齢者に関する情報を得ることの必要性について、改めて石破長官にお尋ねいたします。
石破国務大臣 委員御指摘のとおり、近年、自衛官の採用状況というのは堅調に推移をしていると思っております。ただ、以前は、志願制ではなくて懇願制ではないか、懇願制というのは、私どもの方からお願いですから入ってくださいという懇願制ではないかというようにやゆをされたような時代もございました。
 それに比べれば、大変堅調に最近は推移をしておるわけでございますけれども、御指摘のように、募集対象人口、十八歳から二十六歳まででございますが、平成六年にピークを記録いたしまして、八百九十二万人でございました。現在は、平成十五年度では、ピーク時の一八・四%減の七百二十七万人ということに相なっております。今後このような傾向は続くというふうに考えておりまして、募集の状況は、中長期的に見れば極めて厳しいというふうに思っております。
 私どもといたしましては、これまでに、曹候補士制度でありますとか、女性自衛官の活躍の場、すなわち、船というものには乗せないということでありましたのが、今は戦闘艦以外の船というものには女性に乗っていただいております。あるいはパイロットなどもそうであります。さらには、処遇の改善、定年の延長等々を行ってまいりました。そういうことで一生懸命努力はいたしております。
 しかし、自衛官としてふさわしい方々に入っていただく。そのためには、午前中の答弁でも申し上げましたが、私どもの方から、なかなか一般にはうかがい知ることができない、私どもの努力ももっともっとしなければいけませんが、自衛隊の情報というもの、ありのままの姿、そして国防の重要性、そういうものを多くの方々に御理解いただきますために、このような情報、四つの情報に限るということを今後徹底してまいりますけれども、多くの方々にそのようなことを知っていただき、国防に対する関心を有していただきたい、そういうようなことで行っておるところでございます。
黄川田委員 提出された資料でありますけれども、昨年十一月に、会議で四つの情報のみだということで口頭で指示したということでありますけれども、そうしますと、十五年度といいますか、今年度の募集からはしっかりとした四情報の中で進められるという形になっておるわけなんですか。
石破国務大臣 昨年の十一月、そういうような会合を開いて、口頭で指示をいたしました。当然のことでございますが、平成十五年度、本年度からの募集に際しましては、四情報に基づいて、四情報に限った情報に基づきまして、このようなことを行ってまいる所存でございます。
黄川田委員 それで、住基の四つの情報に限定することが適切だと判断されたということでありますけれども、これまでさまざま、それ以外の必要とされた情報をこの三十七年間にわたりいろいろと求めてきたと思うのでありますけれども、それは、今までは適法に取得された情報ということでよろしいわけでありますか。個人情報保護であるとか情報公開であるとか、そういう時代の流れによって、結果としてこの四つの情報を適切だと考えてこれから進めるということなんでしょうか。
宇田川政府参考人 委員御指摘のありましたように、プライバシー保護とか個人情報の保護、大変大事な問題であります。したがいまして、そういう認識を踏まえまして、先ほど申し上げました四項目で募集を行っていくというふうに決めたわけであります。
黄川田委員 今まで、さまざまそれ以外の情報を取得してきたと思うんですよ。それで、この四つの情報に限定して指示したということでありますけれども、適齢者の募集のためには、健康状態あるいはまた思想など、これ以外の情報も防衛庁は本来必要だというふうな認識でいたのではないですか。
石破国務大臣 必要最小限ということだと思います。すなわち、例えば電話番号でありますとか、郵便番号でありますとか、そういうものは、四つの情報に基づいて調べようと思えば調べられるわけでございます。したがって、四つの情報は必要最小限ということになろうかと思います。あとは私どもの努力にかかる。
 そしてまた、今委員御指摘の、例えて言うと健康情報でありますとか、そういうものにつきましては、実際に応募をしていただいた場合に、不健康な方といいますか、そういうように、自衛隊員としての任に必ずしも適さない方々というのはその場合に判別をすることができるわけであります。
 したがいまして、必要最小限ということで申し上げれば、先ほど来議論がございます四情報ということで必要最小限のものというふうに判断をいたしておるところでございます。
黄川田委員 自衛隊法施行令の第百二十条で、必要と認めれば報告、資料の提出になるんでありますが、県や市町村に、健康であるとか信条であるとか、そういうものも出してくれというようなことはこれまではやってこなかったわけですか。
石破国務大臣 石川県の例にございますように、四つ以外のものもございました。しかし、私どもの方から依頼をいたしましても、それは自治体としてこたえる義務がございません。例えば健康情報につきましては、提供された情報はゼロでございました。全くなかったということでございます。ですから、この情報を提供するかしないか、あくまで私どもは依頼をいたしておるわけでございますし、市町村は法定受託事務としてこれを行っておるわけでございます。私どもが依頼をしても、こたえる義務というのは必ずしもございません。
 したがいまして、私どもとして、本当にごく少数ではございますが、四つ以外のものをお願いしたということはございます。しかし、それが本当に必要なものであったかということを考えてみた場合に、私は今、必要最小限、本当に募集に当たって四つの情報のみがあれば、あとは私どもの努力なり、そしてまた実際の採用の段階において、試験でありますとか、いろいろなことをいたします。その段階において、本当に国を守る自衛官としてふさわしい方々ということを、私どもとしても関心を持たせていただき、試験の段階において評価をさせていただくということになろうかと思います。
黄川田委員 具体的に県や市町村に、法定受託事務ですか、そういう形でお願いしているということでありますが、都道府県あるいは市町村、どのぐらいの交付金が出ているんですか、この事業にかかわって。自治体の規模にもよるでしょうけれども、どんな形でお金が出ているんですか、交付金は。市町村はただでやっているんじゃないでしょう。法定受託事務ですから、交付金が行っているんでしょう。
石破国務大臣 ちょっと今手元に正確な数字を持ち合わせておりませんので、早急に調べましてお答え申し上げます。
黄川田委員 自衛隊の地方連絡部ですか、それを通じてということでありますけれども、自衛官の募集に係る業務以外に、この地方連絡部、主にどのような業務をなさっているのか、これを聞いてみたいと思います。
宇田川政府参考人 お尋ねの地方連絡部の業務であります。
 全国五百に設置されておるわけでありますが、自衛隊法第二十九条及び同条の委任を受けまして、防衛庁長官の定めるところにより、自衛官等の募集に関すること、予備自衛官及び予備自衛官補の人事及び招集等に関すること、即応予備自衛官の招集等に関すること、自衛官等の募集に伴う広報に関すること、自衛官の再就職援護業務の実施に関すること、情報公開開示請求に関する総合的な案内、開示請求の受け付け等及び手数料の徴収等について所掌しているところでございます。
黄川田委員 あわせて、自衛官の募集に関しまして、市町村長名と、それから地方連絡部長の連名で、民間から募集相談員を委嘱しておると思いますけれども、その実態、そしてまたその委嘱された方にはお金が行っておるわけですか。
宇田川政府参考人 先ほど、地連の数、五百と申しましたが、五十の間違いであります。
 それから、募集相談員であります。募集相談員でありますが、自衛隊及び地方自治体が行う自衛官募集に対する民間ボランティア的性格を有しまして、自衛官の募集に対し熱意を持って協力していただくとともに、防衛基盤の育成にも貢献しているところであります。
 内容的には、自衛官募集相談員は、適齢者及びその家族に対する説明と相談、入隊待機者に対する支援、入隊者の近況等について家族等への連絡等を行っていただきますよう、地域の実情に精通し、熱意を持った方々に御協力をいただいておるところであります。
黄川田委員 行政機関にあっても、さまざま、プライバシーの保護の時代、あるいはまた情報公開の時代、いろいろ動きがあるわけなのでありますが、しかしながら、防衛庁全体でも、東京にある本部、地方連絡部ですか、どうも、いろいろな行政のさまざまな環境が変わったんだということを、行政がしっかりしなきゃいけないというところが隅々まで行き渡っていないんじゃないかと思うわけですよ。
 その中にあって、また民間の方々もお願いしているということがありまして、この募集相談員の皆様方にも、今のこの世の中の動きといいますか、さまざま知っていただいて、しっかりと支えてもらわなきゃいけないと思うのでありますが、今のような、例えば防衛庁のリストの漏えいであるとかいろいろな中にあって、我々もしっかりしなきゃいけないというようなこと等々、この協力してくださる方に対して、この業務の中で、さまざまな場面でそういうのが浸透しているんですか。
 それからあと、無償と言いましたよね。無償ですよね、協力員は。
石破国務大臣 御指摘のように、例えばプライバシーの問題というものは本当に尊重されなければいけないということ、そういうようなことも含めまして、今、委員の表現をおかりしますと、時代はこういうふうに変わっているんだということを御理解いただくようなことは、折に触れて徹底をするようにいたしておるところでございます。これは、相談員の方々と地連との会合もございますし、そういう方々だけのお集まりもございます。また、私も、相談員の方々、自分の選挙区に限ってでございますが、よくお話をさせていただくことがありますけれども、そういうことは徹底しようと。
 ただ、これは委員も御案内のことかと思いますが、本当にそういうような相談員の方々というのがボランティアで、これは、私どもとして報酬というものをお支払いしておるわけではございません、ボランティアという形でやっていただいている。実費等はお支払いをしておるかと思いますが、今確認をいたさせます。そういう方々が本当にどれだけの熱意を持ってやっていただいているか。自衛官というものを本当に募集しなければいけない、自分はそういうような青少年の相談に乗ってあげたいということで本当に一生懸命やっていただいている実態というのは、委員の選挙区であります岩手県においても同様かと思います。
 私どもとしては、そういう方々のお気持ちを本当に大切にしながら、同時に、プライバシーの保護等々、今本当に我々が課題として取り組んでいかねばならないことについて御理解をいただくべく、一生懸命努めてまいる所存でございます。
黄川田委員 重ねてお尋ねいたしますけれども、いずれ、住民基本台帳の四情報の限定だということで、昨年十一月の会議で口頭でお話しした、なおも、文書をもって、陸上幕僚長を通じ各地連に指示いたしますというふうな報告なのでありますけれども、文書で指示だけでは、本当に末端まで通じるのかという、徹底された形の中で生かされるのかということをすごく心配するわけなんですよ。
 それから、今、相談員の話をしましたけれども、そして加えて、県、市町村に法定受託事務ということでやっているわけなのでありますけれども、県や市町村に対する要請等もあわせてこれからどうするか。
 重ねて、防衛庁の中の、機関の中の徹底と、県、市町村に対する要請等々、改めて伺います。
石破国務大臣 午前中の答弁でも申し上げましたが、これは、本当にそれが四つに限られたかどうか、私自身が確認をいたしたいと思っております。それは、五十地連全部出向いていくわけにもまいりませんけれども、どういう形で四情報に限ったかということをきちんと報告をさせ、確認をする、そしてまたそれのフォローアップも行っていくということをやっていかねばならないと思っております。あわせて、法定受託事務の主体でありますところの都道府県、市町村の方々にも、私どもの方からよく趣旨を徹底していきたい。
 私どもは、法定受託事務ではございますが、私どもの方から依頼という形をとっておるわけでございます。私どもの方からお願いをする立場ではございますが、同じ公共の機関といたしまして、そういうようなことを尊重していかねばならない、プライバシーの保護等々を尊重していかねばならない、そういう目的は共有するものでございますので、より連絡を密にしてまいりたいと考えております。
黄川田委員 では、防衛庁の方に最後の御質問でありますけれども、核問題等で、この北東アジアの情勢、これは大変な状況にもあるわけでありまして、防衛庁・自衛隊においてこのような問題がたびたび続くのであれば、我が国の安全保障の信頼、これが揺らぐというふうなことも危惧されるわけであります。
 防衛庁においては、このような事案を踏まえて、もう何度も何度も出ないように、国民の信頼の回復に一層努力すべきだと思いますけれども、この点について、長官から改めて御決意なり、お願いいたします。
石破国務大臣 御指摘のとおりだと思っております。
 私ども、本当に、開かれた自衛隊ということで、国民の皆様方の御理解を得るべく、隊員みんな努力をしてまいりました。おかげさまで、いろいろな公共の機関がございますが、自衛隊に対する国民の信頼というものは、かなり高い数字をいただいておると思っております。かりそめにもそれを裏切るようなことがございませんように、今回の問題につきましても、誤解なりいろいろな御懸念を国民の皆様方に抱かせたことは、これは間違いのない事実でございます。徹底してまいりまして、今後とも、国の安全保障政策に対します国民の皆様方の信頼をいただいてまいりたい。
 あわせまして、自衛官の諸君が、本当に日夜、事に臨んでは身の危険を顧みずという宣誓に基づいて一生懸命やっているわけでございます。彼らのそういうような気持ちにも、決してそれを裏切ることがないように、私として最大限の努力をしてまいります。
黄川田委員 それでは、この自衛官募集にかかわりまして、住民基本台帳法の運用について、改めて今度は総務省の方からお尋ねいたしたいと思っております。
 大臣、午前中答弁されておりますけれども、なお確認でありますけれども、今回の適齢者情報の提供は、昭和四十二年の住民基本台帳法に基づいて市町村が作成する住民基本台帳からなされておりまして、住民基本台帳ネットワークシステムから提供されたものではないと断言されておりましたけれども、これは確認されておるのですか。なお御答弁いただきたい。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 大臣も午前中御答弁申し上げましたとおり、これは、住民基本台帳ネットワークシステムは関係ございません。つまり、市町村が保有する住民基本台帳に基づきまして市町村が作成した資料を提供しているものでございまして、住民基本台帳ネットワークシステムから提供しているものではございません。
黄川田委員 それから、自衛官の募集のための適齢者情報の提供でありますけれども、住民基本台帳の一般的な閲覧により得られる情報ではない世帯主であるとかあるいはまた続柄、そういう情報も提供されておったところもあるということでありますけれども、これについては、先ほどの百二十条ですか、そこからやられている法定受託事務だから、それはそれで個別に市町村も出せるんだみたいな話でありますが、そういうことで住民基本台帳法上違法ではないということなのですか。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 これも午前中御答弁申し上げたかと存じますが、自衛隊の募集につきましては、自衛隊法の九十七条一項と自衛隊法施行令百二十条の規定によりまして、「市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。」というふうにされておりますので、これらの規定に基づきまして、市町村長に対して適齢者情報の提供を依頼しているというふうに聞いているところでございます。
 したがいまして、適齢者情報の提供は、自衛隊法に基づく情報提供として違法となるものではないというふうに考えております。住民基本台帳法の趣旨に反するものでもないというふうに考えております。
黄川田委員 これは防衛庁からの法定受託事務ということでしょうから、この点に関して、全国に三千二百余の市町村があるわけなのでありますけれども、これの取り扱いが個々ばらばらだとあれだと思うんですが、この点に関しては首長の判断だということで、総務省は、そういうものが来たらば、ここまでは出していいとか、出して悪いとか、そういうことは何も指示しておらないということでよろしいですか。
畠中政府参考人 あくまでも都道府県、市町村長の判断ということで、私どもとしてそういう具体的な指示はしておりません。
黄川田委員 なお確認でありますけれども、住民基本台帳法の第三条でありますけれども、市町村長等の責務として、「市町村長は、常に、住民基本台帳を整備し、住民に関する正確な記録が行われるように努めるとともに、住民に関する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」と規定されております。
 また、住民基本台帳法第三十六条の二に、住民票に記載されている事項の安全確保等として、「市町村長は、住民基本台帳又は戸籍の附票に関する事務の処理に当たつては、住民票又は戸籍の附票に記載されている事項の漏えい、滅失及びき損の防止その他の住民票又は戸籍の附票に記載されている事項の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。」こう規定されております。
 そこで、自衛官募集に住民基本台帳情報を提供することは、この住民基本台帳法第三条や第三十六条の二に照らしまして不適当なのではないかと思われるところもありますけれども、総務省の見解をお尋ねいたします。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 先生御指摘の住民基本台帳法第三条の規定でございますが、これは、市町村長に対して、住民に関する正確な記録の実施及び住民に関する記録の管理の実施のために必要な措置を義務づけておるものでございます。また、三十六条の二の規定は、市町村長に対して、住民票に記載されている事項の安全確保等を義務づけているものでございます。
 したがいまして、住基の規定によらずに、また他の法律の規定によらずに、むやみに住民基本台帳に記載されている情報を提供するということは違法でありますし、適当でないというふうに考えておりますが、今回の自衛官の募集のための適齢者情報の提供は、先ほども御答弁申し上げましたとおり、自衛隊法とその施行令に根拠を有しておるということでございますので、先生御指摘の三条とか三十六条の二の規定に照らして不適当であるとは考えていないところでございます。
黄川田委員 残り時間もなくなってまいりましたので、それでは、行政機関における個人情報の適法な取得に関する規定について、二つほどお尋ねいたしたいと思います。
 まず、行政機関について、個人情報を適法に取得しなければならないとの規定がありません。この点は、適法な取得の規定を盛り込んでいる野党案と政府案の違いが明確であります。今般の防衛庁の事案によりまして、政府案の不備が明らかになったと私は思っております。政府側は、役人は悪いことをしないと考えているのか。まさに、政府案は官に甘く民に厳しい法律であります。
 そこで、行政機関個人情報保護法案に適正な取得について規定されていない理由について、改めて総務省の見解を求めておきたいと思います。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 たびたび御説明させていただいているところですが、行政機関につきましては、法令を遵守しまして適法かつ適正に個人情報の取得に当たるべきことは、日本国憲法のもとでは当然要請されるところでございまして、また職員につきましても、国家公務員法等の法令遵守義務等により規律されているところでございます。したがいまして、そういうように既に法規範として存在しているものでございますので、改めて本法案で規定をするということはしていないわけでございます。
 仮に、行政機関によりまして個人情報が不適法に取得された場合、本法案の利用停止請求の規定の対象になるわけでございますが、その旨法案にも書いてあるわけでございまして、行政機関が無謬といいますか、悪いことをしないということを前提としているものではございません。
 また、民間を対象とします個人情報保護法に対しまして、行政機関の方はすべての個人情報を対象にいたしておりますし、かつ目的外等の利用につきましても非常に厳格に規定をいたしております。かつ、事前の総務大臣等への通知ですとかさらには開示請求権等々を厳格な制度にいたしておりますし、さらに、事後、第三者機関による不服審査の審議が行われるということで、決して官に甘く民に厳しいという御批判は当たらないのではないかと考えております。特に、本法案におきましては、新たに罰則も追加しているところでございます。
黄川田委員 お話しのとおり、憲法にもあるいは国家公務員法にもしっかりと規定されてあるんだからということでありますが、いずれ、役人といいますか、公務員の認識をしっかり持たないと、立派な法律があっても実行されなければ、お上は何をやっているんだという話になりますから、本当にしっかりしてもらいたいと思います。
 次に、いわゆるセンシティブ情報についてお尋ねいたしたいと思います。
 このセンシティブ情報でありますけれども、もう本委員会で何度も何度も取り上げられてきたところでありますけれども、これまでの政府答弁では、センシティブ情報をあらかじめ類型的にとらえるのは困難であると。しかし、今般の防衛庁の事案において、健康状態などプライバシー性の高いセンシティブ情報の提供を受けていた疑いがある。そしてまた、野党案には、センシティブ情報を明確に規定することが必要である、こう出ておりますので、改めて、行政機関個人情報保護法案にこのセンシティブ情報について規定されていない理由を重ねてお尋ねいたします。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 この点もたびたび御説明させていただいているところでございますが、すべての個人情報につきまして、政府といたしましては、その利用目的、方法等々によりまして、個人の権利利益に深刻な侵害をもたらす可能性がある、したがいまして、何がセンシティブ情報であるかをあらかじめ類型的に定義するということは極めて困難であると考えております。先ほども御紹介申し上げましたように、OECDの御議論でもそのような御説明がなされているところでございます。
 このため、政府におきましては、個人情報の類型といいますか、その性格といいますか、そういうものを問わず、あらゆる個人情報につきまして、行政機関による利用目的の達成に必要ない保有、それから目的外利用・提供を厳しく制限するということで、国民の権利利益を守ってまいりたいと考えているところでございます。
 センシティブ情報の規定がないから防衛庁のような話が起こるんではないかというお話でございますが、基本的には、その利用目的に必要な限度を超えて個人情報を保有するということになりますと、この新しい法律の規定におきましても抵触してまいるということでございまして、利用目的に必要な限度かどうかという点で厳しく制限していくことが適当かと存じます。
黄川田委員 残り時間わずかでありますので、最後の質問となります。
 残念ながら、今回の事例で明らかになったように、行政自身が個人情報の取り扱いをしますと、どうも個人情報が不適切に扱われる可能性があるという欠点が出ておるように思っております。
 そこで、野党案のように、やはり第三者機関をつくってしっかりとチェックしていくという方法が必要じゃないのかと思っております。これに対しては、再三、財政上の問題であるとかさまざま出ているわけなんでありますけれども、あるいはまた日本と諸外国との仕組みが違うということ等々出ているんでありますけれども、改めてお尋ねいたしますし、また、もし県、市町村にどのぐらいのお金が出ているんだということが調べ終わっていたら、それも答弁をいただきたいと思います。もし調べ切れないというのなら、それは後でも構いません。
片山国務大臣 第三者機関の話は何度も何度も出てまいりまして、また同じようなことをいつもお答え申し上げておりますけれども、個人情報保護委員会というのは、むしろ基本法制の方なんですね。私どもの方にも大変関係がありますが、そっちの方がむしろ中心じゃなかろうか、こう思います。
 何度も言いますけれども、やはり行政機関個人情報保護法制においても、主務大臣に責任を持ってやらせる。今、何度も言いますけれども、目的の範囲で必要最小限度の情報、目的外利用や提供は厳重に制限する。そして、事前に、個人情報ファイル簿は、総務大臣にその中身等について事前通知をしてもらって、私どもの方でチェックできるものはする。施行状況調査については、これは公表する、目的外の利用や提供も含めて。それからまた、不服がある個人がおられましたら、これは審査会にいろいろ、客観的、第三者機関的に審査してもらうということもありますので、そういう仕組みでやっていく方が私は効率的ではないか、実効的ではないか、こういうふうに思っておりますので、いろいろお考えはありましょうけれども、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
石破国務大臣 遅くなりまして申しわけございません。
 先ほどの、都道府県や市町村がただでやるわけはないではないか、こういうお尋ねでございます。私どもの方では、募集事務委託費ということで、総計、平成十五年度でございますが、本年度予算といたしまして一億三千四百五十九万七千円というものを計上させていただいておるところでございます。
 また、先ほどの募集相談員につきましてですが、これはボランティアでございますので、報酬をお支払いいたしておりません。ただ、会議等々に御参集をいただきますときに、実費、車馬賃のようなものでございますが、そういうものはお支払いをいたしております。
 以上でございます。
黄川田委員 時間でありますので、終わります。ありがとうございました。
村井委員長 続いて、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
 まず、事実関係をリアルに聞いていきたいと思います。
 適齢者名簿を住基から提供してもらう作業は、毎年五十の各地方連絡部が漏れなく行っているのか、それともどれぐらいの連絡部が行っているのか、またどの程度の自治体からその名簿を受け取っているのか、これをお知らせください。
宇田川政府参考人 委員お尋ねの件でありますが、きょう公表しました報告書でありますが、ここのところに書いてあります、これのところの五ページ目でありますが、「地方公共団体から地連への情報提供の内容等」、ここで記載されておるのが御指摘のところでございまして、地連の数は五十ございますが、そのうちの情報提供市町村と申しますと、七百九十四、こういうふうな数字に上がっておるところであります。
春名委員 どの程度の自治体からその名簿を提供していただいた上で、協力を得られない自治体にある適齢者の名簿はどうやって集めておられるのか、これを御答弁ください。
宇田川政府参考人 今申し上げました数字は協力を得ている市町村でありますが、協力が得られない市町村につきましては、住民基本台帳の閲覧を行っているところであります。
春名委員 それらを含めまして、年間にどの程度の適齢者名簿を全国で収集されているんですか。
宇田川政府参考人 昨日の調査では、トータルの数字は掌握しておりません。
春名委員 一学年、一年齢でいいますと、大体百二十万から百五十万人いるわけですよね。その適齢年齢ということで、七百九十四の自治体からは住基台帳からもらう、それ以外のものは、皆さんが閲覧に行って一生懸命チェックしているわけでしょう。ということは、一年間に百二十万人、ほぼそれぐらいの規模の適齢年齢の名簿を防衛庁は全国網羅して手に入れている、そういう仕掛けになっているのかどうかを確認したいわけです。
宇田川政府参考人 理論的数字といたしますと、人口動態等で見ますと、委員のおっしゃるような数字に上がると思いますが、申しわけありませんが、今のところ掌握しておりません。
春名委員 それでは、どの程度把握されているのか、きょう、今すぐわからないということですので、後でお知らせいただきたい。
 それから、適齢年齢というのは、防衛庁はどういうのを適齢年齢と言っておられるのか、何歳のことを指しているのか。実際に何歳から名簿を受け取るようにしているのか、高校卒業時か中学卒業時か、それともそれ以前かそれ以降か。そのあたりの適齢年齢、どういう認識、基準を置いているんですか。
宇田川政府参考人 自衛官等の募集は、幹部候補生から二等陸海空士までございまして、それぞれの年齢によって違います。例えば、二等陸海士の場合でありますと、十八歳以上二十七歳未満になりますし、また幹部候補生でございますと、二十歳以上二十六歳未満、こういうような幅がある数字になっているところであります。
春名委員 そうすると、適齢年齢というのはそういう幅のある年齢であって、その辺の年齢の名簿をすべて掌握されているというふうに理解していいんですか。
宇田川政府参考人 仮にこれをすべてやりますと、大変膨大な数になりますが、すべての適齢年齢を掌握しているわけではございません。例えば、中学卒業の方があれば、恐らく、その人が同じところに住んでいれば、中学卒業ですから、高校の卒業のときもまたその名簿は活用できるかもしれませんし、そういうふうなことで、すべてを掌握していることではありません。
春名委員 それでは、下限の年齢を聞きますが、先ほど細野委員も質問されていたもので、七尾市長あてに、自衛隊石川地方連絡部七尾出張所長が「自衛隊生徒募集における適齢者情報の提供について(ご依頼)」という文書を発表して、私も持っております。
 ここを見ますと、昭和六十二年四月二日生まれから昭和六十三年四月一日生まれの中学三年生、十五歳、男女別、六十三年四月二日から元年四月一日生まれの中学二年生、十四歳、男女別、平成元年四月二日生まれから平成二年の四月一日生まれの中学一年生、十三歳、男女別というのを御提供くださいということになっておりまして、つまり、十三歳からこの名簿を集めておられる。それを全国的にやっておられるのか、そのあたりをお聞かせください。
宇田川政府参考人 まず、募集要員の最下限の年齢でありますが、自衛隊の生徒というのがございます。いわば自衛隊生徒というのは一般の高校に該当するものであります。恐らく、その中一から中二、中三というのは、自衛隊生徒の募集のためだというふうに推測されるところでありますが、毎年一回集めるということもありますし、三年に一回ずつ情報提供を受けるということもございますので、三年に一回の場合に該当する場合には、今委員御指摘の中学一、二、三年生ということがあり得るかと思います。
春名委員 そうしましたら、自衛隊の生徒の募集ということで、十三歳から三年に一回集めるという場合があるということで、それはこの七尾市以外にも全国的にそういうことがやられているというふうに理解していいのか、その点をお聞かせください。
宇田川政府参考人 今、正確な数字を持っておりませんが、自衛隊の生徒の募集、全国でやっておりますので、そういうふうな地域もあろうかと思います。
春名委員 それでは、今度の事件で、国民の不安といいますのは二つありまして、一つは、自分の秘密的な情報、健康状態などが知らされていたんじゃないかという不安があるわけでしょう、否定されてあれしていますけれども。そういう不安と同時に、うわあ、三十七年間もこれだけの名簿が自治体を通じて自衛隊に全部行っていると。物すごい数ですよね。そういうことについての、いや、これはどうなってしまうんだろうという不安も含めて、国民の不安があるわけです。
 したがって、十三歳からどういう名簿を提供しているというのが全国でどれぐらいあるのかも、先ほど、一年でどれぐらい集めるのかも含めてお知らせくださいと言いましたので、その点も後で必ず御報告をいただくということでお願いします。
 さて、先ほど細野委員が、個人情報ファイルが一年で消去するから総務大臣に届けなかったということで、防衛庁長官がきょう御発言をされまして、昨日の答弁を、昨日の見解をひっくり返して、人事ファイルではないということがきょうお話がされました。その問題について、私からもお話を聞きたいと思います。
 先ほど私が示したこの七尾市長あての地方連絡部七尾出張所長からの文書によりますと、「さて、標記について平成十一年十月二十九日付により提出して頂きました、適齢者名簿の資料の期限が切れております。 つきましては、更新のため下記のとおり適齢者名簿のご提供をお願い申し上げます。」ということで、先ほど私が読み上げました十三歳、十四歳、十五歳の三年分の適格者名簿を御提供いただきたいという文書を明確に七尾市長に出しております。
 先ほどのお話を聞いていますと、名簿は一年間で必ずすべて消去するものであるから、人事ファイルでもないし、公表する必要もないし、総務大臣に通知する必要もないというふうにおっしゃいました。細野委員は、市の担当者のインタビューを引用して、そのようなことはない、毎年毎年そういう名簿が来て、ダイレクトメールを送っているとおっしゃいました。この文書によりますと、三年分の資料の期限が切れているので、また三年分の名前を提供していただいて、そしてこれを活用するということになっているわけでありますね。
 一年間で消去するというのはどこから出てくるのか、この文書の意味合いは何か、これをお答えください。
宇田川政府参考人 先ほどの保存期限が一年というふうに申し上げた件でございますが、その件につきましては、この報告書につきましても、本委員会の当初に防衛庁長官から読み上げました文書におきましても、電子化されたファイルについて言及しておりまして、その電子化されたファイルは保存期限が一年未満とされているというふうな御説明を行ったというふうに考えております。
 また、紙でいただいているペーパーについては、それは用済み後廃棄ということでありますので、必ずしも一年ということはございません。
春名委員 そういうことですか。そういうことで、この文書は電子化していないから、だからオーケーなんだという説明ですね。本当にそうなんですか。そうしたら、これは確かめたんですね、七尾市にも、それから地方連絡部にも。
宇田川政府参考人 七尾市と地連とのやりとりにつきまして今照会中でありまして、まだ回答が返ってきておりません。
春名委員 そういうことも明らかにしなければ、すべて一年で消去していると、していないじゃないかという例外を私が言ったら、それは電子情報ファイルじゃないんです、紙ですからこの法律には違反になりませんと。逃げてばかりですよね。しかし、その根拠をちゃんと言ってくださいよ。この場で言わなかったら、こんなことは話は進みませんよ。
山中政府参考人 午前中の細野委員の御質問で留保した部分とも関係をいたしますので恐縮でございますが、いわゆるファイル化された資料の保存あるいは廃棄の取り扱いにつきましてでございますが、防衛庁長官官房長名で、「防衛庁の保有する電子計算処理に係る個人情報の安全確保等に関する訓令の実施について」という通知を発出いたしております。その通知の中で、個人情報を含む行政文書及びドキュメントの管理といたしまして、個人情報を含む行政文書については、その保存期間を明示し、保存期間満了後、速やかに廃棄するものとするというふうに定められております。
 そこで、この通知に基づきまして、実際の保存、廃棄の運用でございますが、これは別途、防衛庁文書管理規則が定められておりまして、その別表におきまして、文書のそれぞれの内容、性質に応じた取り扱いを掲げております。その中で、いろいろ文書を羅列した最後に、「その他の行政文書」ということで、例えば月間、週間予定表、これは事柄の性格上、当然その期間をもって廃棄等がされるというものだろうと思いますが、「随時発生し、短期に廃棄するもの」さらに「一年以上の保存を要しないもの」、これらについては、一年未満をもって保存期間とするというふうに定めているところでございます。
春名委員 ですから、聞いているのは、これは電子情報ファイルではなくて文書ですから、三年間保存していてもいいんですというふうにあなた方は今言ったわけでしょう。だけれども、その文書なのかどうか。本当に七尾市の市役所は、ダイレクトメールとして、では文書でまた書いて、さっきもお話に出ましたけれども、連絡部からいただいて、そんなことを本当にしているのかどうか、確かめていないんでしょうと聞いているんですよ。確かめているんですか。
宇田川政府参考人 朝の委員会でそういう御指摘がございましたので、今確認中ですが、まだ回答は参っておりません。
春名委員 ですから、そういういいかげんなことを答弁されて、電子情報ファイルだからいいんだと、一年、もう本当にきのうからの話を聞いていると、私も頭にきてしようがないんですけれども、人事ファイルだということをきのう本当におっしゃったんですよ。
 それで、私もその採用試験にかかわるファイルというのは何かというのを全部詳しく調べてみましたけれども、合格、不合格、そして合格、不合格とその関係の資料だから、採用試験のファイルというのは人事ファイルの中に括弧づきで入れているんですよ。総務省の見解ですよ。そんなものには、こんな適齢者名簿なんというのは一切当たらないんですね。さすがに当たらないものだから、今度は一年で消去するというふうに言いかえてきているとしか、もうゆめ思えませんよね。しかし、その一年で消去しているのかどうかの根拠すら、具体的な事例で聞いているのに、お答えいただけない。これはどうやって信用せいというんですか。
宇田川政府参考人 昨日来、本委員会におきまして、私どもが保有しています個人情報ファイルについて、先ほど委員がおっしゃるような答弁を申し上げましたのは、そのとおりであります。その後、各地連から情報、資料を集めまして、それから判断した結果、必ずしもそれは当たらないんじゃないかということで、また、いろいろと関係先にも聞きまして、それは当たらないということで、該当しないというふうにしたわけであります。
 それでまた、その話と、その電子化された情報ファイルが一年以内という話は、必ずしも当時は、きのうの段階でありますが、結びついたものではございませんでした。
春名委員 ちゃんと調べてそれも明らかにした上で議論しましょう。そうしなければ議論が進みません。いいですね。
 次に進みたいと思います。
 「地方公共団体から地連への情報提供の内容等」というこの五枚目の資料で、その他の部分に、群馬、埼玉、千葉は一連番号というのが出てきますが、この一連番号というのは、一体何を意味しているのか。それから、島根県のその他では父兄というのが出てまいりますが、これはなぜ必要なのか。必要ないと思われますし、この二点、お聞かせいただきたい。
宇田川政府参考人 二つ御質問がございました。
 一連番号についてであります。一連番号は、四けたとか五けたの番号がありましたが、整理上の番号ではなかろうかと思いますが、具体的にどういうのかよく掌握しておりません。
 それから、父兄でございます。父兄につきましては、十八歳の場合であれば未成年でありますので、当然、お父さんとかお母さんの方に連絡して、自衛隊の勧誘をしたりすることがあるわけであります。そうした場合には、やはり父兄があると便利であるということから提供を受けたものと考えております。
春名委員 そうしましたら、ちょっと疑問ですが、石川県のこの七尾市の場合も保護者を知らせてもらうようにしていますよね。この調査の中には、これは手引だからというのかもしれませんが、調査した結果ですので、父兄というのは出てきませんね、石川県には。これは何でですか。
宇田川政府参考人 これは機械的に、上に書いてある分類で記入しております。したがいまして、世帯主と筆頭者、これは同じだと思われますが、こういう分類で書いてあるもので、その分類をそのまま載せたものであります。
 また、父兄についても、その父兄という欄がありましたので、そのまま載っけているということであります。
春名委員 これは私は朝もらったんですが、私がぱっと見ただけでも、そういう問題点が、これを見ただけでは全くわからないことがたくさんありますので、これで大体現時点でもう十分調査は済んだというふうにはとてもなりませんので、議論はこれから続くということを銘記しておいていただきたいのと、先ほどの一連番号というのは何かというあたりも、きちっと御報告をいただけるようにお願いします。
 さて、次の表の「「手引き」等における情報提供に係る記載内容等」の項目で、長野県を見ていただきたいと思います。
 長野県は、世帯主と職業というのが四情報以外に記載をされていたということが出てまいります。そこで、私はここに、長野県の市町村課の担当者からその長野県の資料を取り寄せてみました。そこで気がついたこと等、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、自衛官募集事務処理要領というのが長野県にあります。そこの中の四番目の括弧に「適格者名簿の作成等」というのが出てまいります。「市町村は、自衛官としての適格者があると認めた場合には適格者名簿を作成するように努めるものとする。」ということになっております。
 この適格者名簿というのは、今ここで議論している適齢者名簿のことを意味しているのか、別の概念なのか。適格者名簿というのは、一体何でしょうか。
宇田川政府参考人 委員御指摘の資料につきましては、私どもの報告書の後ろから三枚目に「自衛官募集事務の手引」、長野県総務部地方課とありますが、これと同一のものだと思います。
 ここで、御指摘のように適格者名簿という言葉を使っております。これは、実は昔、適格者名簿という言葉を使っておりまして、昭和四十八年だったと思いますが、国会でいろいろと議論があったときに、それは適齢者名簿に直すというふうな大臣の答弁があったわけでありますが、長野県の募集の手引はまだ直っていないということでありまして、私は、同じものを指すものだというふうに考えております。
春名委員 この適格者名簿というのは、適齢者名簿のことであるということですね。しかし、表現は適格者名簿という名前でまだ残っているということですね。
 確認しますが、適齢者の中で健康状態とかいろいろなものを調べて、その中にセンシティブな情報もいろいろ入って、市町村が、適齢者の中で絞り込んで、適格な名簿であるということを市町村長がつくって提出する、そういう趣旨のものではないというふうにはっきり断言できるかどうか、そこを確認しておきます。
石破国務大臣 今、局長からお答えしましたとおり、これは私、内部の議論でも申し上げたことですが、ここで適格者などという言葉を使ってはいけません。これは適齢者です。今、昭和四十八年でしたか、当時、山中貞則防衛庁長官であったかと思いますが、もう適格者という言葉は使わない、適齢者というふうにするんだというふうに言っておるにもかかわらず、ここに適格者という言葉が使われておるのは、もうまことに好ましくないことでございますので、即刻これは訂正をいたします。
 それで、ではどうなんだということですが、その健康情報等々を勘案して、では、適格者という概念を有しているかということでございますが、そのような観点から、適格者という概念はございません。
春名委員 それでは、その第三の項目に「市町村は、適格者に異動があった場合は、その都度地連部長等に通報するように努めるものとする。」という表現が出てまいりますが、これはどういう意味合いになるのか。適齢者に異動があった場合に全部一々通報するという意味なのか、適格者という一定の、今否定はされているわけだけれども、一定の掌握をした方の異動ということについて、これを通報するという意味なのか、これはどういうことですか。
宇田川政府参考人 この報告書の後ろから三枚目にフォームがありますが、これは「適格者名簿」と書いてありまして、氏名、生年月日、住所、職業とか書いてあります。この住所が変更した場合にという意味でありまして、今防衛庁長官から御答弁申し上げましたように、適格者の話でございます。(発言する者あり)失礼しました。適齢者です。
春名委員 適齢者の人が異動した場合には通報するという趣旨だということで今御答弁ありました。
 そこで、そうしますと、二ページはぐって、こっちの手引でも、こちらの文書でも「適格者名簿」というのが、名簿の様式がありますが、これを適齢者名簿に読みかえましょう。適齢者名簿で、こちらの報告の文書の中には、世帯主と職業が、適齢者名簿で余分なものを調べていたということが文書で出てまいりますが、この適格者名簿、適齢者名簿を見ますと、職業、世帯主氏名、同時に備考という欄も入っております。例えば、この備考というのには、どういうことを調査し記入するというふうにしていたのか。それはどういうふうな調査が進んでいますか。
宇田川政府参考人 この備考についてでありますが、これは今現物を取り寄せて見ているところでありますので、ちょっと今お答えできかねます。
春名委員 長野県の場合は、職業、世帯主氏名、備考ということが、実際の適格者(適齢者)名簿にはその様式がそのまま残っていて、それを提出してもらうという仕組みになっているわけですよね。実際、これを使って市町村はやっているわけでしょう。
 そうすると、この長野県の場合はどういう事例が具体的にあったのか、全くなかったのか。その辺まできちっと詰めているんでしょう。それを具体的に説明してください。
宇田川政府参考人 今の委員の御質問の調査につきましては、同じ報告書の五ページになります、「地方公共団体から地連への情報提供の内容等」というのがございます。長野県の欄のところを見ますと、長野県の方は四項目以外の情報提供はなしということになっておりますので、恐らく空欄であろうかと思います。
春名委員 それは何年間ですか。いつまでお調べになりましたか。
宇田川政府参考人 これは昨日の、現在地連の方で保管しています資料で調べておりますので、現存する資料の結果でございます。
春名委員 ですから、現存する資料の結果ということは、何年間の結果ですか。過去何年間ですか。
宇田川政府参考人 これの資料につきましては、今のところは、何年間か、ちょっと申し上げるわけにまいりません。
春名委員 これは肝心なところなんですよね、先ほど細野さんも言いましたけれども。このファイルが残っている二年間ぐらいはいそいそとやっていたのかもしれないけれども、それ以前は、こういう名簿が厳然として残って、しかも適格者名簿という名前まで残って、備考、何をしていたのかわからない。世帯主の氏名、職業も名簿として書いてもらうという様式がきちっと残っているわけですよね。二年間ぐらいは、何年とは言っていないけれども、二年間ぐらいはそういうことはなかったかもしれないけれども、それ以前はどうだったかということは当然大問題であるし、大きな問題ですよね。そういうことをきちっと調べていただかないと、本当にこの資料でわかりましたとはならないでしょう。
 きちっと、僕が言った長野県の例は、どこまでどういうふうに詰まるのか、ちゃんとやってもらえますか。
石破国務大臣 午前中の答弁でも申し上げましたが、これはもう廃棄してしまって、ないものもございます。今現存するもの、当然、用済み後破棄というお話を先ほど官房長がいたしましたが、これは、本当に期間が過ぎてしまって適齢期でないものになれば、持っておっても全く意味のないものでございます。したがいまして、当然破棄をいたします。それで、残っておるものにつきましてすべて調べたものがこれだというふうに承知をいたしておりますが、それでは長野県が何年前までなのか、あるいは他県が何年前までなのかということは、きちんと調べてまた御報告を申し上げます。
 しかし、これは過去はそういうことでございますし、そしてまた今後は四情報に限るということはぜひ御理解をいただきたいと思っております。
春名委員 現存する限り調査をしていただきたいと強く要望しておきます。
 同じく、福井県の広報・募集のしおりもここに手に入れました。福井県の募集のしおりも、住所、氏名、生年月日、職業、世帯主との続柄、世帯主名、備考、つまり、長野県と同じ様式をそのまま活用しているということになっております。これも長野県と同じで、この備考も含めてどういう活用がされたのか、それは何年前までさかのぼったのか、これは今明確であればお答えください。
宇田川政府参考人 委員御指摘の福井県の例も、お配りしました報告書の後ろから二枚目に、「自衛官募集・広報のしおり」、福井県自衛隊協力会連合会と、ここだけ一団体でつくったわけでありますが、ここで備考とかありますが、これについても掌握しておりません。
春名委員 掌握していないばかりなんですよね、聞いていただければわかるように。こういう部分を明確にしないと議論にはならないということを言っているわけです。福井県、長野県、具体的に申し上げましたので、明確にしてください。それに基づいて再び集中審議などをやっていただきたい。
 それから、一点確認しておきます。インターネットで拾ってみますと、滋賀県の日野町の自衛官募集事務処理要綱というのが出てまいりました。そこの中に、先ほど私が疑問を呈した「適格者名簿の作成」というのがここでも出てまいります。「町長は、適格者名簿を作成し、町の区域内に住所または本籍地を有する適格者の状況を把握するとともに、必要と認めた場合は、その情報を地連部長に通報するものとする。」というふうになっておりまして、その適格者名簿の名簿の様式が出てまいりまして、そこでは、氏名、生年月日、職業、世帯主との続柄、世帯主名、備考、備考欄には特技などを記載するということまで書いてあります。その後に志願者受付名簿というのが出てくるわけです。二つの名簿があるというように日野町のホームページには出ているわけです。
 こういう適格者名簿という表現も含めて、これは適齢者名簿のことなのか、自治体で名簿化してこういうことを町長がやるというところはたくさんあるのか、そういうことを指示しているのか、その点をお聞かせいただきたい。
石破国務大臣 例えば、今、お手元の資料に、長野でありますとか、石川あるいは三重、福井という例を出させていただいております。それは、県としてしおりをつくっておるところもあれば、あるいはそういう形、マニュアルがなくても市町村で独自にそういうものをおつくりになっておられるところもございます。それは千差万別でございます。
 いずれにいたしましても、この事務というものを円滑に行う、あるいは適切に行う、そのためのそういうしおりであり要領というようなものであろうというふうに考えております。
 私どもの方で特に指示をして、こういうものをつくってくださいということばかりではございません。むしろ、そういうものがあった方が事務が円滑に進む場合というものがあって、それぞれの判断において行われたものだと承知をいたしております。
春名委員 それぞれの判断でやったものというふうに言われますけれども、こういうものを勝手に町がやるとは考えにくいですよね。だから、それぞれのところに協力要請があって、ひな形なんかを渡して、こういうことでやってくださいということを受けてこういう名簿をつくるということは、当然想定しなければならないということだと思うんですね。ですから、この町のものを見ても、適格者名簿という表現になり、特技などを記載するということになり、そういうものがつくられているわけですね。
 先ほど石破防衛庁長官は去年十一月から四情報で徹底しているという話なんだけれども、本当に、個人の情報を守るという立場で、自治体も含めて、あなた方がかかわる事務が適正にやられているのかどうかというのは、そういう問題が、今ちょっと私が調べてもいろいろな形で出てくるわけですし、聞いてもなかなか答えていただかない、わからない部分が多いということですから、このことを洗いざらいにして、国民の疑念は明確に晴らす、疑念があるのかないのかも含めて、ということをどうしてもやる必要があるというふうに思います。
 それで、最後にお聞きしておきます。
 住基台帳と自衛隊法との関係ですが、その中で防衛庁の方に聞きたいのは、住基台帳の四情報以外ですね、住基台帳に載っている情報以外で、自治体から、例えば健康状況だとか保護者の状況だとかいうのは、住基台帳法に基づく十二情報の中には載ってませんので、そういうもの以外で自治体から情報をとっているという例はあるのか、どういうものがあるのか、要請しているのか、それをお答えください。
宇田川政府参考人 委員御指摘の地方公共団体から地連に情報提供があったものの内容でありますが、それにつきましても報告書の五ページに書いてありまして、「地方公共団体から地連への情報提供の内容等」ということがありまして、四項目以外の情報提供、世帯主とかあります。それからまた、その他のところで、先ほど御質問がありました一連番号とか職業とか父兄、こういうものが提供されているところであります。
春名委員 例えば、山梨の職業、それから島根の父兄、これは、どういう名簿から、自治体のどういう業務からこれを受け取るようにしているんですか。
宇田川政府参考人 市町村につきましても、法定受託事務としまして募集事務を持っていますので、彼らがその業務の範囲内でつくっているものと思われます。私どもは、向こうさんがつくった情報をいただいておる、こういう……(発言する者あり)失礼しました。地方公共団体からいただいているわけでありますが、地方公共団体の方でおつくりになったところからいただいている、こういうことであります。
春名委員 ですから、先ほど、総務大臣とはきのうもやったんですけれども、四情報は公開情報なのでまあ仕方がないというふうに皆さんは言ってるわけです。今は、その四情報だってDMに使われて、閲覧自由はやめようというふうな流れになっているんですね。いいですか、そういう中で、自衛隊の業務だけは四情報は当然、数も物すごい数。その上、住基台帳に載っていない情報だって必要だというふうにあなた方が判断してつくらせて、それでまた集めるということをやっているわけですね。
 私は、本当に驚くべき状況だと思いますね、はっきり言いまして。自衛隊法の施行令の必要という範囲をあなた方が恣意的に広げれば広げるほど、住基台帳だけじゃなくたって、先ほど言ったものもあるということが今でもやられているということです。自治体というのは国の下請機関じゃありませんから、本当にこういうことでいいのか。私はこういう業務はやめるべきだと思うし、市町村にそういうことはやらせてはならないということを改めて強く主張しておきたいと思います。
 時間が来ましたので、言っていただいていいんですけれども、同時に、今の議論の中で、私が呈した疑問についてほとんどお答えいただいていないものがたくさんありますので、それらを改めて鮮明にしていただいて、改めて議論をしていただくということは必ず約束していただきたいと思います。
石破国務大臣 なかなか御理解いただけないのかもしれませんが、これは法定受託事務でございます。法定受託事務として、市町村がそれに基づいて行っておるものでございます。私どもは依頼をしておるわけでございますし、そのことについてはこたえられないということであれば、それはそれでいたし方がないということでございます。
 そしてまた、恣意的に広げているというお話でございますが、私ども、恣意的に広げても何にも意味がございません。それは、私どもが本当に募集に当たって必要最小限な情報のみということをお願いしてまいりました。今後は、先ほど来るる申し上げておりますように、四つのことに限って行わせていただくということでございます。
 したがいまして、恣意的に広げるとか、そのようなつもりは全くございません。私どもの募集を行いますために必要最小限のものということであり、市町村においては法定受託事務で行っていただいているものでございます。
春名委員 法定受託事務だといっても、個人の情報をどんどん広げていいというふうにならないということと、同時に、住基台帳法は、昨日も言いましたけれども、その趣旨は情報を守る、四情報の開示だけということになっているわけでありまして、そういう趣旨を踏まえなければ政府の信頼は得られません。そのことは改めて銘記しておいていただきたいと思います。
 以上で終わります。
村井委員長 十五時から国家基本政策委員会合同審査会がございますので、それに間に合うように議事を進めたいと存じます。
 北川れん子君。
北川委員 社民党・市民連合の北川れん子です。
 まず初めにお伺いしたいんですけれども、適齢者名簿の利用目的の範囲はどこまでなのかということを教えていただけますか。
宇田川政府参考人 自衛官の適齢者名簿を使いますのは、自衛官の募集に関する事務であります。
北川委員 先ほども少し混乱をしていたわけですけれども、その適格者名簿という名前自身が七〇年代に疑問視され、適齢者名簿になってきたというんですが、その募集というのが、七〇年代の議論を見ましても、結局、募集であれば、宣伝ということに限定するならば、適格者名簿というものは要らないんじゃないか、徴兵名簿につながるものであり、要らないのじゃないかという議論があって、その中で名前が変わって適齢者名簿になったという経過があるようなんです。
 募集事務というのは、見ましたら、志願手続等に関する事務というところなんですけれども、じゃ、適齢者名簿の利用目的範囲というのは、この志願手続等に関する事務までが入るというふうにみなしてよろしいんでしょうか。
宇田川政府参考人 委員御指摘のほかにももう一点、募集広報という事務がございまして、募集広報というのは、いわゆる募集に係る広報であります。例えば、今回、陸上自衛隊の二士を採用するとか、こういうふうな意味もありますので、この募集広報のためには、やはり適齢者名簿がありませんとダイレクトメールも送れませんし、こういうものはぜひとも必要であるというふうに考えておるところであります。
北川委員 広報宣伝のダイレクトメールだから、その範囲ということで適齢者名簿というものがあるというふうにみなしてよろしいんでしょうか。
石破国務大臣 そのような御理解で結構です。
北川委員 ということになりますと、四情報に限定するということは、ダイレクトメールを出すのみというふうに理解してよろしいんでしょうか。
宇田川政府参考人 今、募集広報の手段としまして、ダイレクトメールを例に挙げましたが、そのほかにも、直接、適齢者の方あるいはその父兄にも働きかけるとか、あるいは学校の方で宣伝させていただくとか、こういうこともありますので、それのみに限られるというわけではございません。
北川委員 のみに限らないと、先ほど防衛庁長官も、最小限にすると。しかしながら、きょうの議論をお伺いしておりますと、その最小限の範囲も問題ではないかというところですね。そして、三十七年間の蓄積の中ではいろいろな個人情報がデータベース化されているという可能性が高い、ゼロという記載になっているんですが、どうもそうではないようだという議論なんですけれども、最小限に抑えると言った防衛庁長官のお言葉の中には、ダイレクトメールを送るのみの適齢者名簿としての利用目的という範囲に限定しないことには、この議論は尽きないのではないでしょうか。
石破国務大臣 必ずしもそういう意味ではございませんで、ダイレクトメールを出すだけであれば、確かに四つでよろしいわけでございます。そこから先に、では、その四つをどう使うか。
 つまり、先ほど来御説明申し上げております四つに限ります、必要最小限ということで限ります。ですが、それをダイレクトメールを出すためだけにしか使わないのかい、こういうふうに言われますと、ほかに、募集をいたしますときに、今局長がお答えをいたしましたが、未成年の方の場合もあります、その場合には、御父兄の方々にいろいろと御説明をし、御理解をいただくということもしなくてはなりません。そうしますと、四情報に限りますが、そこから、それじゃ、そこのお家へ行かなければお父さんにもお母さんにもお目にかかれないわけでございますから、それは、DMを出すということ以外に、この四情報を使うという意味で申し上げますと、それ以外のこともあるということを御説明しておるわけでございます。
北川委員 ダイレクトメールを送って、それから反応がある人、そういう人にそういう行動が伴ってくるということであって、初めの、四情報を使うのは、ダイレクトメールを送るときのみに利用目的を適齢者名簿とするという限定なものとして使っていけば、そういう問題というのは解決するんじゃないでしょうか。それを、利用範囲を、その後父兄のところへ行くとか、何とかかんとかといって、採用のところまでの、従来使われていた適格者名簿の利用範囲にまで今もなお重きを置いているところにこの問題の尽きないところ、四情報に限ったとしても、積極行動に使うときに必要だということで名簿化されていく、いろいろな情報が付加されていくということにつながっていくのではないかというふうに思うんです。
 ダイレクトメールを不特定もしくは適齢年齢者ということで、皆さんが規定されているのは十三歳から十五歳、もしくは十八歳から二十四歳という、その適齢者名簿という形のみの利用目的というふうに限定すればよろしいのではないでしょうか。
宇田川政府参考人 繰り返しになりますが、委員御指摘のように、ダイレクトメールに使用するというのも一つの方法でありますが、また、そのほかに、御父兄の方にも働きかけるというのも一つの方法ではなかろうかと思っておりますし、こちらの方にも十分活用してまいりたいというふうに考えておるところであります。
北川委員 父兄の方に働きかけるというのは相談員という方のお仕事の範疇に入ってくると思うんですけれども、これからのありようとしての個人情報というもの、プライバシーをどう守るかという面においては、利用目的の厳密化ということが言われると思うんですね。
 それで、先ほど防衛庁長官は、ダイレクトメールを出すこと自身も保護者に理解を得なければいけないこともあり得るからというふうな意味でおっしゃったかというふうに思うんですけれども、行政からのダイレクトメールを停止してもらいたい、そういうような世帯の意向というものが反映できる機能にはなっているんでしょうか。
石破国務大臣 恐らくこういうことかなと思います。
 例えば、Aという町がありまして、そこに適齢者の方々がおられて、適齢者名簿というものがある。そこへ、ある少年でも少女でもいいのでありますが、そんなもの要らない、そういう案内は要らないという考えの方があったらば、それはその意思が表示できるのかという意味だとするならば、それは、そのA町ならA町、B町ならB町という市町村が、そういうような住民の方が、私のところにはそんなものは送ってくれるな、適齢者名簿から自分の名前を削除してくれということであれば、それは市町村の判断において行われることになるというふうに考えております。
北川委員 それで、今回の分で、堀部教授も言われているんですけれども、住民基本台帳法を厳密にやれば、抽出という行為自身も法に違反すると。しかしながら、午前中の議論の中で、防衛庁の、自衛隊法の中にあれば認められるんだというふうになっていくところに、両方のバランスの問題としては、自衛隊法の方が地方自治体を拘束すると。
 それで、三割の自治体が協力するというふうに言われているんですけれども、自治体によっては、協定書なんかも結ばない、そして閲覧のみで、その閲覧も混雑時は避けてもらう。ですから、日時を特定して、この日に来てくださいと。そういう自治体もありながら、石川県の七尾市のような状況まで幅が広いという、こういうことに関しては、防衛庁長官はどういうふうに認識をされているんでしょうか。
石破国務大臣 それは、いろいろな自治体があろうかと思います。ただ、私どもの率直な気持ちを申し上げれば、もちろん、私どもは依頼をいたします。受けていただける場合もあります。そんなものは全然提供しない、今委員の御指摘のように、閲覧でやってくれ、でも混雑する時間は避けてくれ。私どもは、もちろん、市民の方々の御迷惑にならないようにということも同時に考えております。
 しかし、自衛官の募集と申しますのは、要は、事に臨んで危険を顧みずに働く、私は、ある意味、とてもとうとい仕事だと思っています。そういう方々を募集するということについての事務にはできるだけ御協力をいただければありがたいと、正直言って思っています。そして、先ほど来、ボランティアの相談員の方のお話がありました。そういう方々がボランティアでやっていただいている、そういう行為について、本当にありがたいものだというふうに思っております。
 あくまで、私どもは協力をお願いする立場であり、協力しないというふうに言われましても、それはもう本当にさようでございますかというのが立場でありますけれども、協力してくださる自治体につきましては、本当にありがたいことだというふうに思っております。
 そういうところがあって、自衛官というものの採用が円滑に進み、そして、自衛隊というものがあり、国防というものが成り立ち、国の平和と独立が保たれておると私は考えております。
北川委員 では、市民の側から、百二十条、百十九条までの根拠にのっとって、受託事務に、私の個人情報、私のもしかしたら子弟、子供の個人情報を載せないでほしいと要請があっても、適齢者名簿には記載しないでほしいという市民側からの要望というものは受けとめることができるんでしょうか。
石破国務大臣 先ほど、その件についてはお答えをいたしたつもりでございますが、もう一度、繰り返して恐縮でございます。
 もし仮に、市民の方から記載をしないでほしいということがあった場合には、自治体、つまり、法定受諾事務としてやっておられますところの市町村が、御自身の判断によって、何の何がしという方からそういうお申し出があったので、そういうものは載せないという御判断は当然あり得ることと考えております。
北川委員 それから、先ほど手書きというものが出てきたんですけれども、ダイレクトメールも、シールで張ったのと手書きで送っているのと二種類どうもあるようなんですけれども、手書きの方の守秘義務といった点においては、どのような機能がもたらされているんでしょうか。
宇田川政府参考人 委員の御質問は、手書きでダイレクトメールを出す場合のもとになる、紙になっている個人名とか住所が載っている文書があれば、それは、市町村からいただいたのは、募集事務に必要なためにいただいておるわけでありますので、それ以外に使うことはございません。
北川委員 手書きのあて名をアルバイトがやっていた、そういう情報が報道されているのであえてお伺いしたんですけれども、その点は守秘義務といった点においてはどうなっていたのかという点でお伺いしているんです。
宇田川政府参考人 あて名書きにアルバイトを使用したかどうかについては私今承知しておりませんが、仮にアルバイトがあて名書きをしたとしても、そのアルバイトが募集事務以外にそれを使うということはちょっと考えられないのではなかろうかと思います。
北川委員 それはわからないことでありまして、使わないか使うかはわからないというところをお伝えしておきたいと思うんです。
 この募集事務と広報宣伝の問題は尽きない問題に行くと思うんですが、きのう、いみじくも、これが事前通知をしなくていいのは、六条の三号に伴ってやらなくていいとおっしゃったのは、もしかしたら、この適齢者名簿、その上に適格者名簿があって、そして人事採用されたときには採用名簿となっている、その下書きに適齢者名簿があったのではないか、だから、あれだけのやじが議員席から飛んでも、何度も何度も、いや、これは事前通知をしなくていい、条例の担保は六条三号であると言い切られたのではないかというふうに思うんですけれども、その点はいかがでいらっしゃいますでしょうか。
宇田川政府参考人 今の委員の御指摘は、三重構造になっておって、採用者がいて、その下に適格者名簿があって、適齢者名簿という構造になっているかどうかというお話だと思いますが、そういうのはございません。
 あくまで、適齢者名簿に基づきまして広報宣伝を行い、その結果、試験を受けていただきまして、試験に受かって初めて採用する、こういう構造になっていますので、おっしゃるようなことはございません。
北川委員 では、きょうの午前中の議論で、一年以内の廃棄だったからということがつけ加えられた。その根拠が問われたわけですけれども、ただ単なる勘違い、認識違いであったということなんでしょうか。
 なぜ、人事ファイルというところに着目されて、六条三号が当たるからというふうに言い切られたのかは理解しにくいわけですよ。わからないですよ、これは本当に。なぜ、ただのダイレクトメールの募集宣伝活動に使ったものが人事ファイルになるんだとすぐに思われる発想に至るのか。それは本当にわからないです。そこは答弁いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
宇田川政府参考人 昨日、委員御指摘のような答弁を申し上げました。
 それはなぜかと申しますと、当初、朝、新聞報道があったわけでありますが、それを見たときには、まさしく三号の採用試験に関するものだというふうに判断したわけでありますが、実際に各地連から実物を取り寄せました。取り寄せる途中において、どうもこれは違うよ、直接結びつくものではないというふうに判断しました。したがいまして、昨日の午後の答弁では、疑義があるというふうな答弁を申し上げた記憶がございます。その後、いろいろと法解釈等を確認しましたら、どうも違うということで申し上げたわけであります。
北川委員 今の御答弁というのは、きのうの新聞を見て、これを見ただけで、すぐに採用に至った方のことを言っているんだと思ってしまったと。採用に至った人の健康状態などのリストが、採用された以降、自衛隊でどのように管理されているかなんということを別に問われるはずがないじゃないですか。採用されない、前の人たちであり、なおかつ、ダイレクトメールが自衛隊の方から送ってくる、送ってこないということも別に無意識下にある人たちの問題であったからこそ、こういう新聞の一面になったんじゃないですか。
 にもかかわらず、皆さんは、六条三で事前通知をしなくていいんだと言い切られた。大臣まで、もう総務省の隅から隅まで行政の範囲の事務にたけていらっしゃる片山大臣が言い切られたというところにおいて、先ほども春名委員の方からありましたが、適齢者名簿と適格者名簿、そして採用における名簿のありようというものが明確になっていず、使われ切っている。そして、ましてや、十三歳から十五歳までの分が三年間保存されて、十八歳でもあえて使われていくという七尾市のような状況があるということは、プライバシー侵害ではないでしょうか。
村井委員長 だれにお尋ねですか。だれに答弁させますか、北川君。
北川委員 片山大臣と石破防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 きのう私が申し上げましたのは、採用に係るものは人事情報ファイルになるんですよ。しかし、募集に係るものはならないですよ。ただ、その適格者名簿、適格者じゃないや、適齢者名簿か、ややこしいですけれども、適齢者名簿なるものの性格がわからない、私は。適齢者名簿ということの中身は私は知らない、わからない、きのうは。だから、それが募集に係るものならば、採用じゃないんですから、法律上書いているでしょう、採用に係るものは人事情報だとちゃんと法律に書いてある。だから、採用に係るものとすれば適齢者名簿ですよ。それは人事情報ファイルになって、事前通知や公表の適用除外になる。募集に係るものは採用じゃないんだから、これはならない。当然の話であります。
石破国務大臣 御指摘のようなプライバシーの侵害に当たるとは考えておりません。
北川委員 では、次の保坂議員とかわります。
村井委員長 続いて、保坂展人君。
保坂委員 社民党の保坂です。
 防衛庁長官に伺いますが、この健康情報は、手引にはあったけれども実際の提供はない、こういうふうにおっしゃっております。しかし、きのうの記者会見等でも、健康情報などはまずいというふうに述べられたようですが、改めて、なぜまずいのか。
石破国務大臣 必要最小限ではないというか、それを超えるというのがお答えになるだろうと思います。
 先ほど来申し上げておりますように、その方の健康状態がいかなるものであるか、自衛官としての任にたえるものであるかということは、まさしく、募集ではなくて採用の段階になりまして、いろいろな検査、身体検査等々、これはどこでもやっておることでございますが、そういうことによって私どもはそういうことを知ることになるわけであります。
 したがいまして、募集の段階において健康状態というものを知ることは、必要最小限を超えるものであり、結果として四つのもの以外ということになろうかと思います。
保坂委員 自治行政局長に来ていただいていますが、もし仮に自治体が健康にかかわる情報を出すとしたら、どうやって出すというふうに、方法について簡潔にお願いします。
畠中政府参考人 ちょっと私うっかりしていまして、どういう御質問の趣旨か聞き逃したのですが、根拠ということで……(保坂委員「根拠じゃなくて方法です。どういうものからどういうデータを」と呼ぶ)自治体、特に市町村につきましては、住民に直接直結するいろいろな事務を処理しておりますので、いろいろな情報を保有しておるところでございます。例えば、教育に関する情報とか保健に関する情報ですね、そういうものを保有しているというふうに承知しております。
保坂委員 防衛庁長官にお聞きしたいんですが、昨年のあの防衛庁問題で、教訓ということを考えるならば、やはり余り慌てずに、きちんとした正確な内容で報告などは出すということだと思いますが、きのうの問題がきょう出てきましたけれども、これはもう正確で間違いないということでよろしいですか。的確ですか。
石破国務大臣 きのう御指摘をいただきまして、最大限努力をしてつくったものでございます。間違いないというふうに私は確信をいたしております。
 なお、これは何しろ一日でやったことでございます。もちろん全力を尽くしてやりましたが、多少の数字の間違いとか、そういうものは全くないというふうに断言をするということは、もちろんこれから一週間、二週間かけてやれば、よりそれが間違いないということが確信を持って申し上げられますが、現段階におきまして、私は、これは可能な限り正確なものだというふうに考えております。
保坂委員 間違いがもし仮にあれば、これは大変なことだと思いますけれども、宇田川局長に伺いたいんですが、こちらの一覧表がありますね、それぞれのところで。四項目以外の出た情報、北海道のところを見てください。電話番号というふうに書いてありますね、函館のところですが、これで間違いないですか。
宇田川政府参考人 委員御指摘の、手引等における情報提供に係る記載事項のところの函館の欄でございますが、函館の欄、電話番号となっております。(保坂委員「いや、そんなこと聞いていないです、間違いないのかということです」と呼ぶ)ありません。
保坂委員 では、続いて聞きますが、これは報道されるようでございますけれども、宇田川局長、函館地連管内の四町が住基情報を提供していたと。厚沢部町については、二〇〇一年に四情報以外に親の住所提供があった、ことしの一月については個人情報なので出せませんということだった、上ノ国町については、〇一年に、親の名、続き柄などの提供があった、大成町、北檜山町については、〇一年、〇二年について、親の名前と住所を文書で出した、こういうことのようですよ。御存じないんですか。
宇田川政府参考人 今委員御指摘の内容については、承知しておりません。
保坂委員 承知していないじゃなくて、そういうことがあるんじゃないかと指摘しているんですよ。自信を持って間違いないと言うんだったらこんなのはうそですというふうに全否定するのか、いや、そう言われるのなら調べてみます、調べてみて間違いだったらこれは不完全でしたと言うのか、どっちかでしょうよ。それを答弁してくださいよ。
宇田川政府参考人 委員の御指摘の内容につきましては、現存する資料で見た限りはありませんでした。
保坂委員 防衛庁長官、このやりとり、非常に大事なんですね。私、一段一段階段を上るように聞いているはずなんですね。
 これを急いでつくられたわけです。ですから、言われたように、万全、一〇〇%と言えないかもしれないということをおっしゃいました。そのとおりだと思いますよ。ですから、これがもし今みたいな宇田川局長の答弁では、これは全然議論にならないわけです。
 私、具体的に指摘したんですね。ちゃんと調査して、これが間違いだったらきちっとこれを書きかえて、これが間違えているようだったら、もう少しきちっとした調査、これは健康情報も含めて、本当にどうだったのかということ、責任持てる報告をいただけますか。
石破国務大臣 それはそのように、間違いないものであるかどうか、きちんと確認をする努力はいたします。
 しかし、繰り返して申し上げますが、昨日、そしてまた本日、この委員会が始まるまできちんとできる限りの調査をいたしました。今あります情報というものを全部精査いたしまして、今ある限りで、これは現段階、可能な限り正確なものでございます。それが本当に数字の一つに至るまで、一字一句に至るまで間違いないかということをお尋ねであるのならば、その作業はいたします。
保坂委員 長官、そんな細かいことを言っていないですよ。誤植なんかは別に問題ないです。そうではなくて、今回問題になったのは、その四情報以外の情報が出ていたかどうかが問題でしょう。その基本的な問題について、四町と私は具体的に挙げたわけですから、これについて事実が違う場合にはぜひこの委員会に、そのことも含めて、さらに全体も精査して、再度提出していただきたい。
石破国務大臣 それは、また委員会として委員長から御指示があった場合に、私どもはそのようにさせていただきたいと思っております。
 委員御指摘のように、一字一句というお話ではなくて、本当に、四情報以外のものがあったかどうかということについては、これで間違いないと思っております。もう一度、これはさらに再確認をいたしますけれども、私の今の感じといたしましては、これでまず間違いないというふうに考えておるところでございます。
保坂委員 それでは、今の北海道の件について防衛庁でお調べいただくと思いますから、明らかに違っていたという場合には、他のところも精査をして、当委員会にきちっと報告書を出し直していただくように、委員長、求めてください。
村井委員長 理事会でお諮りをさせていただきます。
保坂委員 それでは、宇田川局長にさらにいろいろ聞いていきたいんですけれども、先ほど出ていましたけれども、このきょうの防衛庁長官の御報告の中に、実際に提供があったのは、例えば保護者等とありますね。保護者など。保護者はこういった住基の情報にあるかと思うんですが、保護者にかわる例えば親戚のおじさんとか、そういうことはないんじゃないですか。どこからこれは調べたんですか。郵便番号、電話番号もないはずですよ。どうやって調べたんですか。わかりますか。
宇田川政府参考人 保坂先生の御指摘の報告書の五ページの「地方公共団体から地連への情報提供の内容等」のところにある世帯主とか保護者等がありますが、このことだと思いますが、もともと地方公共団体は、みずからの募集事務を行うという目的のためにいろいろな資料を作成しているわけでありまして、私ども、それをいただくという格好になりますので、地方公共団体の内部でどのような手段を講じてとったかについては承知しておりません。
保坂委員 それでは、総務省にお願いしますけれども、総務省から見て、住基台帳の情報以外の手段でなければなかなか取り出せないものというのは、例えば今指摘した保護者等、つまり保護者にかわる人ですね、これは無理なんじゃないかと思うんです。それから、郵便番号、電話番号も無理なんじゃないか、それから職業というのは、大体、十三歳、十四歳は職業はありませんから、これは親の職業あるいは兄弟の職業ということなのかなと。こういうやつはどこから取り出したのかわかりますか、自治体の事務の中で。長官と大臣、どうですか。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 どこからとったかという御質問ですが、私ども、ちょっと具体的に、個々のケースについてどこからとったかというのは承知しておりませんが、住民基本台帳の住民票の記載事項につきましては、住民基本台帳法第七条に規定されているとおりでございます。例えば保護者云々という御議論がございましたが、住民基本台帳法第七条には「世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄」という記載事項がございます。したがいまして、世帯主については、これを見ればわかります。
保坂委員 両大臣、どうぞ移動してください。
 局長、もう一度簡潔にお願いしたいんですが、今、住基では取り出せないものはどれですかと私は聞いたんです。例えば電話番号とか、取り出せないんじゃないですか、郵便番号とか。それから親の職業とか、こういうのも無理でしょう。どうですか。
畠中政府参考人 ちょっと答弁が途中になりました。
 したがいまして、基本台帳法は十三項目を規定しておりますので、それ以外は住基からは取り出せません。
 具体的に、電話番号それから親の職業それから郵便番号等は住基の記載事項になっておりませんので、それらは取り出せないということでございます。
保坂委員 そうすると、親の職業なんかはどうやって調べるんですか。もう一回、そこだけ。
畠中政府参考人 私は具体的にどうやって調べているのか承知しておりません。少なくとも住基の記載事項ではございませんので、住基からとるということはないというふうに考えております。
保坂委員 これはしっかり調べてください。
 それでは、最後に細田大臣との議論を少し、短い時間ですが、やりたいと思います。
 私のところにもいろいろ反響がありまして、これはパソコンなど、あるいはカーナビということばかり言いましたけれども、その他のさまざまなハイテクの電子ツールが、事によったら、民間の、個人情報保護の解釈によっては、答弁が変わることで混乱があるんじゃないかという声が届いております。
 これは、経済産業研究所というのがありますね、そちらの研究グループのホームページを取り出してみたんですが、経済産業研究所の上席研究員の方が呼びかけ人になって、インターネットを規制する個人情報保護法案に反対するというんですね。それで、理由は私の言っていることとなかなかクロスしているんです。例えば、やはりウエブサイトにある情報の問題などの扱いで、インターネットはかなり逼迫をして混乱するおそれがあるということをおっしゃっています。
 きょうはもう時間がありませんから、パソコンを買ったらとか、あるいは携帯ナビを使ったらとか、あるいはカーナビによってとか、答弁がかなり変わりましたけれども、すっきり整理して混乱が一切生まれないように、そのことによって各業界の萎縮などがないように、やはりIT担当大臣ですから、IT担当でこれをやったらとんでもないことになったといったら始まらないわけですから、その決意を。
細田国務大臣 きのうまでの保坂議員またその他の議員の御指摘を踏まえまして、今最終的に、法制局も含めまして、検討をしております。
 ただ、その方向はどうかと言われますと、概略だけ申しますと、市販のものを買ってくる等、それを単純に使用していくという方は世の中に大変多いわけでございます。その方をもって、個人情報取扱事業者であるから法律の対象ですよということが、常識論から見るとかなりかけ離れているんじゃないかということが基本でございます。
 もちろん、その中でいろいろな情報を加工したりする方も、ごくわずかのことをするわけでございましょうから、実態上、この削除をその人に申し込んだり、いろいろな事件が起こるよりは、あるいは流用したりというよりは、もとの大きな情報をつくった人のところにこそ問題があるわけですから、事件が起こったときはそちらに行くだろうとは思いつつも、しかし定義の問題でございますから、定義は定義として十分考えて、一般のそういう方々、市民の方がどこかで買ってきたCD―ROM等、カーナビ等についてまであたかも法の対象になるというふうにすることは一般常識に反するということは、私も御答弁申し上げたとおりでございます。
 例えば、政令で定めるということで、「利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして政令で定める者」という今の第二条の三項四号の規定がございますので、その政令案として例えばどういうことを書くとこれがすっきりするだろうかという案を今最終的に詰めておるところでございますので、後刻、関係の皆様方にもまたお話しすることができると思います。きょうはちょっとまだ検討中でございます。
保坂委員 では、細田大臣に、あと一問だけ短く答えていただきたいんです。
 別におどかすわけじゃないんですが、年賀状ソフトの話しました。これは、電話番号で出てくるというのは、郵政省の旧ガイドラインではちょっとこれはアウトなんですね。ただ、現実には大変売れているんですね。私はあの後見てびっくりしました。一商品が一千万本超えて売れている。
 ただ、細田大臣がみずからの選挙に、この年賀状ソフトを使ったかどうかはわかりませんけれども、もし年賀状であれば、その手のものを使った場合、年賀状をつくるためのソフトなんで目的外使用だとかと言われかねないということもあるわけです。政治活動はオーケーですけれども、別の目的のものに、政治に転用した場合にそれはひっかかってくるとか、大変身近な問題なんですね。ですから、これは政令と言われましたけれども、法律は読んでわかるものじゃなければいけない。条文で考えていただきたいと思いますが、いかがですか。
細田国務大臣 法令で書ける範囲のことは一生懸命書いた方がいいと思いますけれども、やはり個別にこれを抜く、例えば五千件というようなことを申しております。五千件を法律で書いて、また一万件の方がいいとか三千件の方がいいというとまた法律で書くという考え方もありますけれども、法令と言われまして、全体が一本のものでございますから、適正でかつ機動的な運用をするためには、やはり政令、省令等も活用することは必要であると思います。
 なお、私は、年賀状ソフトを選挙に使ったのではなくて、電話番号と住所が連結したソフトがありますので、こういうことはいろいろ参考にさせていただいたわけでございます。
保坂委員 議論をぜひ続けさせていただきたいと思います。終わります。
村井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十六分散会


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