衆議院

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第10号 平成15年7月18日(金曜日)

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平成十五年七月十八日(金曜日)
    午後一時四十四分開議
 出席委員
   委員長 高村 正彦君
   理事 浅野 勝人君 理事 中谷  元君
   理事 浜田 靖一君 理事 松下 忠洋君
   理事 末松 義規君 理事 中川 正春君
   理事 赤松 正雄君 理事 一川 保夫君
      荒巻 隆三君    伊藤 公介君
      金子 恭之君    北村 誠吾君
      小島 敏男君    小西  理君
      新藤 義孝君    杉浦 正健君
     田野瀬良太郎君    谷田 武彦君
      谷本 龍哉君    仲村 正治君
      馳   浩君    林 省之介君
      福井  照君    牧野 隆守君
      松島みどり君    松浪 健太君
      松宮  勲君    宮腰 光寛君
      宮澤 洋一君    森岡 正宏君
      渡辺 博道君    大畠 章宏君
      桑原  豊君    原口 一博君
      平岡 秀夫君    前原 誠司君
      山口  壯君    吉田 公一君
      渡辺  周君    佐藤 茂樹君
      丸谷 佳織君    中塚 一宏君
      樋高  剛君    赤嶺 政賢君
      木島日出夫君    児玉 健次君
      今川 正美君    金子 哲夫君
      山谷えり子君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   防衛庁長官政務官     小島 敏男君
   外務大臣政務官      新藤 義孝君
   政府特別補佐人
   (内閣法制局長官)    秋山  收君
   政府参考人
   (防衛庁運用局長)    西川 徹矢君
   政府参考人
   (防衛庁人事教育局長)  宇田川新一君
   政府参考人
   (外務省アジア大洋州局長
   )            薮中三十二君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長
   )            安藤 裕康君
   衆議院調査局イラク人道復
   興支援並びに国際テロリズ
   ムの防止及び我が国の協力
   支援活動等に関する特別調
   査室長          前田 光政君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月十八日
 辞任         補欠選任
  杉浦 正健君     馳   浩君
  高木  毅君     小西  理君
  仲村 正治君     渡辺 博道君
  福井  照君     宮澤 洋一君
  松宮  勲君     林 省之介君
  佐藤 公治君     樋高  剛君
  木島日出夫君     児玉 健次君
同日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     松島みどり君
  馳   浩君     杉浦 正健君
  林 省之介君     松宮  勲君
  宮澤 洋一君     福井  照君
  渡辺 博道君     仲村 正治君
  樋高  剛君     佐藤 公治君
  児玉 健次君     木島日出夫君
同日
 辞任         補欠選任
  松島みどり君     高木  毅君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二一号)


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     ――――◇―――――
高村委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として防衛庁運用局長西川徹矢君、防衛庁人事教育局長宇田川新一君、外務省アジア大洋州局長薮中三十二君及び外務省中東アフリカ局長安藤裕康君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
高村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
高村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。末松義規君。
末松委員 この前、海上の活動をしている、給油の活動をしている、その目的である、海上にタリバンやあるいはアルカイダのテロリストたちが逃げ出すことを阻止するために海上活動を行っているということの効果あるいは成果を知るために私は質問をいたしまして、その一環として、一つは、二年前百数隻の船だったのが、今二十隻まで下がった、それほど低くなったということと、あと、海上捕捉したテロリストがどのくらいいるんだろうということをお聞きしまして、そこで、この数字が出てこないという状況でございましたので、私の方はこれ以上質問できないということで、この委員会は中断したわけでございます。
 そこで、委員長の方から外務省に対して、この数字についてきちんとした答えを持ってくるべしという言葉も含めて、そして理事会でもそういう形になりまして、今の質問を再度繰り返したいと思いますが、外務省の答弁をお聞きしたいと思います。
川口国務大臣 一昨日に御質問の際には、答弁が十分ではなくて御迷惑をおかけいたしました。
 そして、そのお尋ねの点でございますけれども、これは、これまでも数回にわたり米側に照会をしてきたところでございますけれども、この前の委員の御質問の重要性にかんがみまして、改めて、我が国でのこの法案をめぐる国会審議の重要性や国民への説明責任の重要性を米側に対しましてるる説明をいたしまして、海上阻止活動によるテロリストの捕捉数の開示を求めました。そして、ぎりぎりまで米側と折衝をいたしました。
 その結果といたしまして、米政府として、本件が日本の国会審議において極めて重要な問題となっているということを十分に理解した上で、改めて米政府部内で注意深く検討した結果として、次のとおり回答がございました。
 四点ほどございますので、順番に申し上げたいと思います。
 まず一点目として、九・一一テロ以来、今までに、百カ国以上の場所でアルカイダのメンバーは三千人以上捕捉をされ、アルカイダ上級幹部の三分の一以上が殺害、拘束されている。この数字は海上阻止活動によるものだけではないが、海上阻止活動は、このような全世界的に展開するテロとの闘いの中で極めて重要な役割を担っている。すなわち、これまでインド洋においては、約一千件の船舶に対する検査、約四万六千件の無線照会を行っており、こうした集中的な検査等を実施することを通じて、テロの脅威が世界各地に拡大することを抑止し続けている。
 二点目といたしまして、他方において、米国政府として公表できる数字は以上のものであり、海上阻止活動という個別の作戦によって何人のテロリストが捕捉されたかを明らかにすることは困難である。米国内においても、議会を含む公の場において質問が行われた場合にも、陸上または海上阻止活動によって捕捉されたアルカイダ指導部がいるとのみ回答をし、テロリストの捕捉数や具体例については明らかにしないこととしている。海上阻止活動の成果についてこれ以上具体的な説明を行うことは、テロリストに手のうちを明かすことになり、作戦行動の効果を損なうことになるからである。
 三点目といたしまして、加えて、捕捉者数という具体的な数字のみに着目することは、海上阻止活動の実効性を図るための適切な方法とは思われない。実際に他の移動手段をとろうとしたテロリストは海上阻止活動の抑止効果を考慮したものと思われるが、こうした効果を数値化する方法がない。
 四番目、最後の点ですが、今後とも、我々は、海上阻止活動の実施海域における国際テロリストの移動を阻止する現在の努力を維持する必要があると考えている。特に、日本の自衛隊による補給支援及び輸送支援は、海上阻止活動が安定的な形で継続されるために極めて重要な役割を担っている。
 以上の回答を米政府から得ております。
 政府といたしましては、対テロ作戦に対する日本の支援について一層の国民の理解を得ていくために、引き続き米国政府と緊密な意思疎通を堅持していきたいと思います。それとともに、米側の理解も得つつ、作戦の全般的状況等について、できるだけの情報提示、情報開示に努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
末松委員 米国の政府に聞いたというお話でございますが、どのレベルで聞いたのか。在京の米大及び在米の大使館を通じて、どのレベルから、そしてアメリカの政府のどのレベルに対してやったのか、それをちょっとお聞きしたいと思います。外務大臣、もしわからなければ、別に事務方の方でも結構ですから。
川口国務大臣 これは、最初はこちらにある大使館と、それからワシントンにある大使館と両方からやりましたけれども、結果的には、ワシントンの公使のレベルで、米国の国務省を経由いたしまして、さらに、国務省以外の部署、国防省、これは非常に関係がありますので、国防省の次官補レベルのところに聞いております。非常に高いレベルでは判断をいたしてもらっています。
末松委員 正直言って、今の話を聞いて、いわゆる情けないんですよ。
 日本の国会がとまったわけですよね。外務大臣、防衛庁長官、官房長官、皆さん出られて、我々は大臣レベルでやっているわけですよ。それで向こうが、次官補レベルというから、まあ局長ですよ。それの判断でやられるんですか。向こうは少なくとも国防長官あるいは国務長官レベルまでこの話をしていただかないと、むしろこれは日米の信頼問題になるんじゃないですか。そこら辺は、もう次官補レベルでいいと判断されたわけですか。
茂木副大臣 次官補レベルでいいという判断をしているわけではありません。ただ、問い合わせをする段階で、先ほど大臣の方から答弁申し上げましたように、アメリカとしても、国内で、例えば議会の公聴会で発言する場合もこの範囲でとどめる、こういうことに決めておりまして、レベルが上がったとしても回答は変わりません、こういう話を聞いております。
末松委員 少なくとも、それは、結果がわからないというのはそうかもしれない。でも、あくまでも私たちは対等の立場でアメリカとつき合っているんじゃないですか。少なくとも国務長官あるいは国防長官からの回答を大使館は持ってくるべきじゃないですか。そう思いませんか。外務大臣、そう思われませんか。
川口国務大臣 おっしゃったとおり、もちろん、上に上がれば上がるほど、そういう意味では、答えとしては政治的な判断であるということであると思いますが、政治的な判断という意味でいえば、次官補というのは政治的なアポインティーでございまして、これ以上、上に上がっても、今茂木副大臣からお話をしましたように、答えは同じである、そういうことでございましたので、そういう判断をいたしております。
 もちろん、時間的な制約の範囲内でベストを尽くした結果ということを御理解いただきたいと思います。
末松委員 情けないね、話を聞いていると。
 要するに、あなたは電話もできるわけでしょう。それは向こうから上げてもらっていて、あなたがアメリカに電話をすれば、それだけでもうできる話じゃないですか。
 要は、次官補レベルの判断でこちらの国会のことがすべて決められているような形というのは、外交的にも、国民の皆さんの立場に立ってもまずいと思う。やはり日本はなめられているんじゃないか、そう判断されざるを得ないじゃないですか。そこを猛烈に反省してもらわないと、日本とアメリカはやはりレベルが全然違うんだなということは、国民に対しても情けないと私は思いますよ。そこをもう一回答弁してください。
川口国務大臣 国務省経由で、国防省、国防省の軍の統合参謀本部に聞いております。
 そして、ここは、次官補クラスと言いましたけれども、それと、それから国防省の判断ということでございます。これ以上、上に上げても返事は同じであるということで聞いております。
末松委員 それは官房長官にもお伺いします。同じ質問ですが、いかが思われますか。
福田国務大臣 今まで外務大臣が答弁をされたとおりでございます。
 次官補というのは、向こうでは、やはり大きな権限を持っている、対外的にも大変責任を持つ立場にあります。私は、決して低い立場の人ではないというように思います。
 また、今外務大臣から説明いたしました中身について、これは御理解いただけるんではないかというふうに思います。やはり、安全保障上の問題とか軍事的な問題については言えないことはあるんですね。それから、全体のオペレーションというか、作戦行動の中で一部を公表するということが全体にどういう影響を与えるかといったようなこともあわせ考えなければいけないわけですから。ですから、そういう意味においては、今の答弁というのは御理解いただかなきゃいかぬ問題だというふうに私は思っております。
末松委員 これまた情けない話ですね。
 では、もうちょっと違った角度から形式的に聞きましょう。
 米国の議会あるいはマスコミとか公の場で、この数字が実は過去あったんだという話になったら、それはどうされますか。では、責任をとられますか。
川口国務大臣 これは、先ほど申しましたように、今回のやりとりの中で、こちら側からは、まさに委員がおっしゃったような、そういうことは私たちに言えないんであれば、そういうことは絶対にないんですねということを聞いております。それに対しては、米側からは、先ほど申しましたように、議会を含む公の場において質問が行われた場合にも、陸上または海上阻止活動によって捕捉されたアルカイダ指導部がいるとのみ回答をし、テロリストの捕捉数や具体例については明らかにしないということを言っているわけです。これは、米国の政府としてそういうことを言っているということです。
 今後、万が一、委員がおっしゃるようなことがあったということであれば、我々としては、これは外交チャンネルでそういうことをこちらから聞いた上でそういう回答をもらっているわけですから、万が一そういうことがあったとすれば、それはその際にまた外交チャンネルで日本としてはそれを問題にしていくということであると考えています。
末松委員 そこは日米の外交問題になるという話ですから、きちんとフォローしていただきたいと思います。
 それから、五月一日付の日米の調整委員会で、数名の海上捕捉者が出たということを米側から説明があったという話が出ましたけれども、米側はそういうふうに、海上で捕捉したのは数名しかいないんじゃないかという話が出ていますけれども、それについてはいかがですか。
川口国務大臣 これは、海上でということに限定をしたということではなくて、全体の話をしているということであります。
 それでまた、これについては幹部についてのお話をしているわけでして、タリバン幹部は、要するに幹部のうち数名は捕獲されたものの、恐らくは、オサマ・ビンラーディンを含め、その他のアルカイダやタリバンの幹部は依然逃走しているということで、全体についての数字であるということと、それから幹部についての数字であるということでございます。
 なお、英語で言いますと、数名はというふうに書いてありますけれども、サムというのが原文でございまして……(末松委員「サム何と言っているの」と呼ぶ)フルの英文ですか。サムとアザーズということで言っていると承知をしています。
末松委員 三千人以上ということなんですけれども、この委員会で、全体として捕捉されたアルカイダのメンバー、その幹部という話ですけれども、幹部というのはそんなにたくさんいないんですね。
 今、海上も陸上も含めてという話でした。幹部は、これは海上だけに限らないんだと。その捕捉というのは、正直言って、今、たった二十隻近くしかなくなってしまった海上のオペレーション、そこの中で、いろいろと漏れ聞いていく話では、本当に数名、ごくごく一握りの人たち、メンバーしか捕らえていないんじゃないかという。それで、アメリカ軍は一切言っていないということなのでこれは推測ということになりますけれども、そこはきちんとさらにフォローして、米軍に対して、日本の人たちの税金を使ってやっているわけですから、本当にそこは、継続的にまたお願いをしたいと思います、この数。
 それで、私自身思うのは、時間も少なくなりましたから、あと、ほかのことが言えないので言いますけれども、海上も、百隻余から二十隻ぐらいにもう本当に低くなって、プライオリティーが低くなっているんですね。それで、捕捉数も、そんなに、二けたの数ではない。本当に細々とした形の活動をやっていて、三千名といっても、それは時系列的に追っていけば、最初はたくさん、陸上も含めていたかもしれませんけれども、どんどん少なくなっていっているというふうにも、私は専門家から聞いています。
 そういった意味でいけば、この海上の活動が、では、何隻ぐらいになったら終わるのか。どうですか、そこのところについてもお答えいただけますか。
 例えば、米側とそういうことを話したことがありますか。つまり、十隻ぐらいになったら日本はやめるのか。あるいは、この活動は、数隻では少なくともやるんでしょう。それをずっと、日本としては今後ともおつき合いするのか。その辺についてはいかがですか。
 結局、これは一番最初の私の質問、いつになったらとまるんですか、やめるんですか、ここと一番大きく関係してくるんです。お願いします。
石破国務大臣 これは、何隻になればやめるという筋合いのものではないような気が私はしています。
 これは例えて言いますと、シーレーン防衛をするときに、何隻船があればいいだろうかという議論のときにもいろいろな考え方があると思います。つまり、船があることによって、これはどこにいるかわからないわけですね、相手方にも、我々のそういうような艦隊、船がどこにいるかわからない。それによって抑止というものもあるわけでございます。
 こういうようにいろいろな議論がございますけれども、やはりアメリカともよく議論をしながら、逃亡していく人間の数が減っていく、それは逆を申し上げれば、陸上で捕捉される人間の数がきちんとしたものに上って、アルカイダの幹部というものが捕捉をされ、テロの根絶というものが相当程度進んだということとの相関関係に立つものだと思っております。
 ですから、何隻になったらということではなくて、本当にこのテロリスト、その幹部の捕捉がどこまで進んだのかということをよく見きわめながら、ただ、おつき合いをするということは考えておりません。そのことは、主体的に私どもは米側と協議をしながら、国民の税金をきちんとした形で使うという義務は負っております。
末松委員 時間がなくなりましたのであれですけれども、見きわめられないから要するに判断できませんよという、捕捉数についてこういう話になるわけですから、そういった意味で、これから米側と、あるいは各国と一回話し合って、どういうふうにこれは海上を考えるんだということをやっていただかなきゃいけないと思うんですね。そうじゃないと、本当に際限なく日本の税金を垂れ流すという話になってしまう。
 あと、また聞きたかったんですけれども、まあこの次の機会に聞きます、機会があれば。
 要は、今、日本が抜けて、ほかのところで活動できるかどうか。あるいは、自衛隊の訓練として、私たちは、最後はやはり日本の周辺の訓練にこれが生かせるような形にもする必要が日本の防衛からあると思うので、その辺の視点も踏まえながら、単に給油活動だけでない形での可能性、これについても当然考えていくべきですし、このままこれを続けるのであれば、この法律について極めて私は厳しい見方をせざるを得ないということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
高村委員長 次に、桑原豊君。
桑原委員 ただいま末松委員からいろいろと、海上阻止行動の効果についてお話がございましたけれども、やはりアフガンの現状というものをどのように正確に把握して、その正確な情報の上に立って日本として主体的な判断をしていくということが、私は、これから二年間延長したいという提案をするに当たっては、当然政府側として前提にしておかなければならないことでございますし、そのことを、国会審議をしていく我々に対してもちゃんと開示をして、そして、私たちが、この二年間、さらにその必要性があるかどうかということを我々自身がちゃんと判断していかなきゃならぬわけですから、そういう正確な情報がなければ、これはもう判断を停止、停止というか判断することができないわけですね。皆さんの役割というのは、政府側の役割というのは、そういった情報をきちっと提起するということが、私は一番大事な役回りだというふうに思うんです。
 そこで、今ほど来の質問にも関連をしていくことになろうかと思いますが、まず最初に、アフガンの現状について、どのような情報源からさまざまな情報を得て、主な情報源ですね、判断をされているのか、現状をとらえておられるのか。個々にこんな情報源だということは、それは言えないと思いますけれども、主にどういう情報源から、ルートからさまざまな情報を得ているのかということをまずお聞きしたいと思います。
安藤政府参考人 お答え申し上げます。
 現在、アフガニスタンの日本大使館には十九人の大使館員が活動しておりまして、我が国が国際社会において主導しているDDRの分野を初めといたしまして、種々の事項に関して、独自の収集あるいはアフガニスタン政府との意見交換を行っているところでございます。また、館員は、今カブールに大使館はあるわけでございますが、カブールだけではなくて、カンダハル、バーミヤン、ジャララバード等の地方にも必要に応じて出張を行いまして、情報収集に努めております。
 また、本省からも随時人が出かけてまいりまして、先方政府との間で意見交換をしているということでございます。
 一例を申し上げますと、この六日から十三日にかけて、総理の特別代表を務めておられます緒方貞子代表が、カブール、バーミヤン、マザリシャリフ等を訪問されまして、現地の人道状況や治安状況等を視察され、また、カルザイ大統領以下アフガニスタン政府とも十分な意見交換を行ってきているわけでございます。
 こういったようなさまざまな機会を活用いたしまして、今後ともアフガニスタンに関する情報収集を進めていきたいというふうに考えております。
桑原委員 イラクの問題でも、やはり開戦の前に大量破壊兵器のあの情報については情報の捏造があった、にせ情報がつかまされた、いろいろな疑惑が明らかになっているわけですね。ですから、情報というものをちゃんと吟味して、あらゆる角度から検討を加えて、そしてどう対処していくかということに結びつけていくというのは大変私は大事なことだというふうに思います。
 又聞きの情報で、その又聞きの情報すら、先ほど来の話では与えられないというようなことでは、私は適切な対処はできないのではないか、こういうふうに危惧をいたしておるわけで、ぜひその情報の問題については、さらに広範に、そして精密にといいましょうか、緻密に分析をして、きちっとした状況を把握していくべきだろう、こういうふうにまず思います。
 そこで、アルカイダとタリバンの状況なんですね。やはり我が国の支援の目的というのは、テロの根源になったそういう勢力を掃討していく、あるいはそういう勢力を無力化していく、そういうところに最終的な目的があるんだろうと思います。
 まず、五月一日のブッシュ大統領の演説では、これは空母のリンカーンの艦上で演説をされたわけですけれども、この時点では、パキスタンからフィリピン、アフリカの角に至る各地で、我々はアルカイダの殺人者を追っている。十九カ月前、私は、テロリストを米国の忍耐強い正義から逃しはしないと誓った。これまでに、アルカイダ幹部の約半数が拘束または殺害された、五月の時点ではそう言っているわけですね。先ほどは何か三分の一以上の幹部が殺害されたとかいうふうにおっしゃっていましたけれども、ブッシュ大統領の演説では半数というようなことを言っていますね。半数が拘束または殺害されたと。
 それから、イラクの解放は、対テロ戦争における重要な進展だ。我々はアルカイダの同盟国を放逐し、テロリストの資金源を断った。一つ確かなことは、今後、どんなテロ組織も、イラクの政権から大量破壊兵器を入手することはないということだ。なぜなら、その政権はもう存在しないからだということで、イラクを攻撃したことによってアルカイダの今後のそういう危険性はなくなった、大量破壊兵器をイラクから手にするということはなくなった、こういうふうに言っているわけですね。
 また一方では、我々の任務はまだ続く。アルカイダはダメージを受けたが、まだ壊滅していない、こういうふうにも言っておられる。
 それから、対テロ戦争は終わっていないが、永遠に続くものではない。勝利の日がいつかはわからないが、我々は情勢の変化を目にしているとも言っている。
 それから、この日に同じくアフガンを訪れておりましたラムズフェルド国防長官がカルザイ大統領とお会いして、その後会見をしたわけですけれども、その段階で、彼は、主要な戦闘というものは一応終わりを告げたと。ただ、だからといって終戦だという宣言はしなかったわけですけれども、そういうふうにもおっしゃっておる。
 一方で、最近、新聞のいろいろな報道などによりますと、タリバンの復活というものが伝えられておりまして、特に、三月の時点でアメリカのイラク攻撃が行われた、そのとき以来、米軍に対するゲリラ攻撃のようなものが、反米といいましょうか、そういう機運の中で激しくなってきた、こういうようなことも伝えられておるわけであります。
 現状、このアルカイダ、タリバンというものがどういう状況にあるのか。とりわけアフガンの現地の中でどういう状況にあるのか。いわゆるテロの温床としてのアフガンというものがどういう状況にあるのか。そういうものが克服されつつあるのか、あるいは極めてまだ不穏な状態にあるのか。日本政府としてどういう判断をしているのかということをまずお聞きしたいと思います。
安藤政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま、ブッシュ大統領の五月一日の演説を引用されましたけれども、これは、この時点で、確かに、イラクにおける戦闘というものは、とりあえず、ひとまず終了したということを言った上で、まだまだそのほかにも不安定なところがある、テロとの闘いは続けなくてはいけないということをブッシュ大統領はおっしゃったわけでございまして、その関連で、アフガニスタンについても特に注意を喚起されたわけでございます。
 それから、委員御案内のように、その後、ラムズフェルド国防長官がアフガニスタンを訪問したり、あるいはアーミテージ国務副長官も現地を訪れて、アフガニスタンにおけるテロとの闘いの継続の重要性を強調しておられるわけでございます。
 そこで、アルカイダ、タリバンの状況というお尋ねでございますけれども、アメリカ等によるアルカイダの掃討作戦によりましてアルカイダの一部幹部が拘束されるなど、テロとの闘いは一定の成果を上げつつあることは事実でございます。しかし、依然として、ウサマ・ビンラーディンや、タリバンの最高指導者であるオマール師等、アルカイダやタリバンの主要メンバーはまだ拘束されておりません。
 その結果としてテロ等の行為も続いておりまして、二、三、具体例を申し上げますと、七月の三日には、ジャラリ・アフガニスタン内務大臣によりますと、タリバンのメンバーによりNGO関係者等に対する攻撃があったということを発表されておられます。また、ちょっと前の六月二十一日には、アルカイダ関係者によると見られるテロ攻撃の声明が、イスラマバード発のAP電により伝えられております。それから六月七日には、カブールにおいて、ISAF、つまり国際治安支援部隊でございますけれども、この車両をねらったアルカイダによると見られる自爆テロも発生しております。そのほか、幾つか事例が見られるということでございます。
 このように、アフガニスタンにおきましては、アルカイダやタリバン残党によると見られるテロ事件が頻発しておりまして、また、アフガニスタンから外に逃亡したアルカイダのメンバーは世界各地に拡散して、今後もテロを計画し、あるいは実行する可能性があるなど、国際社会にとっての脅威になっているというふうに認識しております。
 アフガニスタンの外でのアルカイダの事件といたしましては、ことしの五月の十三日、リヤドで爆弾テロ事件がございましたし、それから五月の十六日には、カサブランカで爆弾テロ事件がございました。これはいずれもアルカイダによる犯行ではないかというふうに強く疑られている、そういう状況でございます。
桑原委員 先ほど、アルカイダの幹部の三分の一ぐらいが拘束され、あるいは殺害されたというふうにおっしゃられた。大臣、そうじゃなかったですかね。大統領は、半分ぐらいを拘束した、こういうふうに言っているんですけれども、その違いはどういうことなんでしょうか。これは大統領がおっしゃったのは、五月という今からかなり前の段階でそういうふうに言っているんですが、その幹部というのは一体何人いるんですか。そこら辺は正確なんですか、本当に。
川口国務大臣 テロ組織でございまして、軍隊あるいは自衛隊と違って、例えば佐官以上は何とかとか、そのような、はっきり組織があって、人数を一、二、三、四、五と数えられる組織ではないということかと思います。
 私が申し上げた数字についていえば、これは本当に、つい昨日アメリカとの間で話をして、米国からもらった数字でございますので、大統領とその数字がなぜ違うかということについて、はてと私も実は思ってしまうわけですけれども、幹部がはっきりわかっていて、そのうち何人、だれとだれとだれが拘束をされ、だれとだれが殺されたという形でテロ組織というのは動いていないということかと思います。
桑原委員 本当に、何といいましょうか、一体私たちはこの戦争の目的をどこに置いているのかということで考えれば、そういったアルカイダの勢力というもの、あるいはタリバンの勢力というものをどう駆逐していくか、そして、復活することのないようにとどめを刺していくのかということが大事なんですから、結局はそういうことをはかる尺度といえば、そういった力をどれだけそいできたかということを正確にはかっていくということがやはり大事ですから。
 いや、テロなんだから、相手はどうなっているかわからない、そのときそのときの数え方でいろいろふえたり減ったりするようなものなんだと。しかし、そんないいかげんな話では、我々が今までやってきたことの効果をはかるにしても、私は、極めて尺度があいまいになってしまう、事実把握としては極めていいかげんだと言わざるを得ないんではないかというふうに思うんですが、そんなものなんですか、大臣。
川口国務大臣 委員がおっしゃられるように、情報というのをきちんと把握していく努力、これは非常に重要であると思っています。そして、これについては、先ほど申しましたように、今後引き続き米国との間では不断にこういう努力をしていく必要があると考えております。
 数字、何名かということについて、先ほど申し上げた数字は、三分の一以上というふうにアメリカ政府から聞いているということでございますし、先ほど委員の引用なさったブッシュ大統領の演説は、私はちょっと手元には資料を持っておりませんので、委員がおっしゃるように半分ということでしたら、それは組織というのは、テロ組織がそういうタイプの組織であるというふうに考えるということではないかと思います。
桑原委員 もう一度お聞きしますが、幹部というのは大体把握しているわけでしょう、どれぐらいだと。それはどれぐらいなんですか、幹部。よく幹部という表現で何分の一というふうに出てきますけれども、幹部というのはどれぐらいなんですか。
安藤政府参考人 お答え申し上げます。
 幹部というのは、なかなか定義が難しいというか、それによってどこまでを含むかというのはなかなか難しい問題かと思いますけれども、大体私ども、約三十名ぐらいが幹部というふうに見られていると承知しております。
桑原委員 カルザイ政権、一年たったわけですね。そして、いろいろと政策を打っているわけですけれども、最近は、米軍がねらわれるということももちろんあるんですが、米軍にすれば、できるだけ治安の問題などは、米軍が直接、あるいは外国の軍隊が直接やるというよりも、むしろ現地の政府軍に早くかわって、現地で政府軍が担当するようにというような、そういう思いもあると思うんですけれども、しかし、政府軍は極めてまだ弱い。それから、相変わらず地方の軍閥はなかなか言うことを聞いてくれない。そして、カルザイ氏自身が、見方によっては本当に実権を握っているという立場ではなくて、むしろ、変な言葉で言えばスピーカーだというふうに表現する人もいるわけですね。
 そういう意味では、カルザイ政権の安定度、そして治安の状況、そういうものを政府としてどういうふうに把握されているか、お聞きしたいと思います。
安藤政府参考人 二〇〇一年の十二月にボン合意ができまして、アフガニスタンの政権が暫定的に発足したわけでございますけれども、それ以降、緊急ロヤジェルガあるいは移行政権の発足等もございまして、これまでのところ、和平プロセスは着実に進展してきているというふうに言えると思います。
 他方、ただいま委員御指摘のとおりに、カルザイ政権の国内基盤ということでいいますと、依然として盤石であるというふうには言えない状況にございます。我が国としても、このカルザイ政権をできるだけ支持、支援していきたいというふうに思っているわけでございます。
 そこで、アフガニスタンの治安面について少し申し上げますと、まずカブールにつきましては、昨年一月から、国際治安支援部隊、ISAFと呼んでおりますが、これが展開しておりますために、おおむね安定していると言えるかと思います。他方、地方では、現在も二十万人程度と見られる武装勢力がまだ存在をしておりまして、また、軍閥同士による武力衝突も散発的に発生しているということでございます。それから、アフガニスタンの東部あるいは南部におきましては、タリバン、アルカイダ等の掃討作戦が展開されているという状況でございまして、まだまだ治安面については問題が山積ということが言えるかと思います。
 そこで、先ほど委員御指摘のとおり、治安の分野でカルザイ政権が取り組んでいく課題は多々あるかと思いますけれども、お話のありました国軍につきましても、これをできるだけ早く整備し、創設するということが一つの課題でございますし、そのほか、今の点を含めまして、治安の分野では重点分野が五つぐらいあろうかと思います。
 一つは今の国軍の創設、警察の再建、司法の整備、それからDDR、これは元兵士の武装解除、動員解除及び社会復帰でございますけれども、それから麻薬対策、こういったような五つの分野で施策を進めることが治安を改善することになろうかというふうに考えております。
 このように、カルザイ政権にとりまして多くの課題がございますけれども、今後、ことしの十月に予定されております憲法制定ロヤジェルガの成功に向けて今邁進しているというふうに承知しております。
 我が国といたしましても、アフガニスタンに平和が定着するように、和平プロセス、治安、それから人道復興支援、こういったようなものを軸にして支援を行っていきたいと思っております。
桑原委員 いろいろと現状の御報告がございました。この現状を踏まえて二年間延長するというふうに提案をされるわけですが、こういう現状だから二年間あれば何とか回復するという見通しを持って提案されるのかと思いますけれども、二年間というのはそういう内容を持っているというか、そういう見通しを持っての二年間、そういうことでよろしいわけですか、大臣。
福田国務大臣 この法律は二年間の時限立法でございますが、なおその情勢を見て、必要とあらば二年間また延長する、こういうことで今二年間の延長をお願いしている、そういうことでございます。
 その二年間というのはどういう意味があるのか、こういうことになりますが、これは、今の情勢から考えればこの活動を中止するわけにはいかないというのが前提でございますが、そうしたら、それでは、その活動を必要とする期間というのはいつになればということになりまして、これはやはり、そういうアルカイダとかタリバンのテロの脅威の除去、そういう目的にかなうような、そういうような時期がいつ来るかということにかかっているわけであります。
 その時期を今的確に当てろ、こういうふうに言われても困るのでありますけれども、二年間延長して、その期間に終了するかもしれないし、もしかしたらまたさらに延長するかもしれぬということは、それはないわけではないということでございまして、二年間ということについては、今の二年間を延長する、同じように二年間延長させていただく、こういうことでございまして、二年間ですべてが終了する、そういう意味ではないということでございます。
桑原委員 結局、現状はこうだという説明はできても、その現状をこういうふうに変えていこうということについての主体的な、主導性といいましょうか、そういうものはアメリカが握っているわけですね。結局は、アメリカが行う間はずっとそれを行うということを説明しているにすぎないわけで、二年間というふうな延長も、今まで二年やってきたから、まあ区切りとすれば二年だという程度の二年であって、その二年の中でどうしようこうしよう、そういうことを考えても、ある意味ではやれる立場にないわけですね。
 そういう意味では、私は、主体的に主体的にといろいろおっしゃっておるけれども、基本的にはアメリカやその他の活動次第だということを違う言葉で言っているというだけの話で、そういう内容だというふうに理解してよろしいんですか、長官。
福田国務大臣 今委員のおっしゃっているような意味ではないということであります。
 主体的にというのは、アメリカの言いなり、実態はそうではないか、こういうお話でございますけれども、それは、国際社会が協力してやっている、そういう状況の中で、我が国は、本来の目的はもう達したんだから、では日本としてはやめますというような状況に今ないし、また将来も、日本だけで判断するというものではないというふうに思います。ですから、自主的というのは、そういうことでなくて、やはり各国と協議をして、そして自主的に判断をするということなのでありまして、すべて米国のとおりだというふうな意味ではない。
 ただ、米国が中心的な活動を行っているということになりますと、やはり協議をする場合においても、米国との協議というのは、これは十分に行っていかなければいけない、こういうふうには思います。
 いずれにしても、日本が判断するときというのは、これは、そういう活動を必要としないという判断、すなわちテロの脅威がなくなるという判断ですね、そういうことであると思います。
 また、全体として見なければいけないこともあります、陸上と海上と。という問題もございまして、海上の仕事がなくなる、活動の必要性がなくなるということでは、私は、その場合には陸上の方の活動もなくなってくるんだろうと。陸上から海上伝いに逃亡する、そういうようなアルカイダとかタリバンがいないんだということが想定される状況になれば海上の活動も自然に停止される、こういうことになると思います。
桑原委員 主体性というふうに言葉を添えておっしゃるなら、二年というのは一応の目安だと言うけれども、しかし、陸上でこういう状態になったとき、あるいは海上でこういう状況になったときは、これは独断では決められないけれども、そういう状況になったら、いろいろアメリカなどとも相談をして判断したいという何らかの目安のようなものをあわせて提示して初めて、主体的に、ああ、なるほど、日本はそういうことを判断基準に置いてそれなりにアメリカと協議をして決めていく腹なんだなと、これならわかるんですけれども、そんなことを一切出さずに、ともかく、そのときの状況で判断をしたらこうだ、こういうことでは、私はやはり主体性という言葉を使うにはふさわしくない言い方ではないかということを申し上げておきたいと思います。
 それからもう一つ、私は当初からいろいろ疑問があったんですけれども、米軍等の海上阻止行動です。
 確かに最初の段階は、そういったテロリストが海上を伝って逃げるということは十分考えられたわけです。そのときは、私はそれなりの意味があるのかなと思ったんですね。
 ところが、現段階で、執拗に末松委員も、何人なんだ、時系列的にどうなんだというふうに聞いたのは、海上阻止行動という一つの特殊性から、私は、そういうことが効果を判断するときに必要だということで恐らく聞いたんだろうというふうに思いますし、私自身もそういうふうに思うんですよ。当初は海上から逃げるというのはわかるんですけれども、今の段階で果たしてそういった行動というのがどれぐらいあるんだろうなと。ほとんど考えられないような気もするんですね。
 だから聞くわけですけれども、アフガンというのは内陸国でありまして、西の方はイラン、あるいは南の方も含めてですけれども、そして東はパキスタンということで、陸続きなんですね。海上からもし逃げるということであれば、その国を伝って海に出て逃げるということになるのでしょう。陸で十分防ぎとめれば、海上という経路というのはだんだん細っていくのは、もう常識的に私はそうではないかというふうに思うんですけれども、海上阻止行動をいつまでも続けていくというこの意味、逆にほかから海上を伝ってアフガンに上陸していくんだ、そういうことがあるのかどうかよくわかりませんが、海上阻止行動の持つ意義、これがよく私は理解できないので、そこら辺をちょっと詳しく教えていただきたいと思います。大臣、海上阻止行動。
石破国務大臣 委員御指摘のようなことは確かにあるのだと思いますが、陸上できちんと阻止できればというお話でございます。
 あの中東の地というのは、どうも我々日本人が島国において考えるような状況ではない。そしてまた、テロリスト同士がどのようなつながりがあるのか。たとえ違う国であっても、同じような、タリバンあるいはアルカイダ、そのシンパシーを持つ人たち、そういうのがいるわけでございます。したがいまして、陸上できちんとしていればということが担保できれば委員の御指摘のようなこともあろうかと思いますが、私、現時点でそのようなことが担保できるというふうな認識はいたしておりません。
 同時に、これはどっちがどっちみたいな議論なのでございますが、それでは、仮に海上阻止行動というのをやめたとしたら何が起こるのか。これはやめてみなければわかりません。やめてみた結果として何が起こるかということにつきましては、私どもは責任が持てません。抑止というのはそういうものだと私は思っています。今もうほとんどいないからやめてもいいじゃないかというような御議論は、それはそれとしてありますが、では、やめたとしたら何が起こるのかということについて、特に相手がテロリストの場合には、これは非対称的脅威でございますから、何が起きるかわからない。ありとあらゆる可能性を私は想定しておくべきだと思っております。
 開き直りで申し上げておるわけではなくて、本当に私ども、そのようなことを考えていきませんと、テロリスト、つまり従来の我々の軍事の常識でもってははかり知れない、そういうような人たちに対する抑止あるいは阻止ということは達せられないものと考えております。
桑原委員 やめてみなければわからない、しかし、やることによって恐らくいろいろな意味での効果が間接的にしろあるんだろうというふうな言い方なんですけれども。
 私は、今、この法案を延長するかどうか、その必要があるかどうか、かなめになっている行動は、海上の阻止行動の我が国の給油による支援なんですね、これが中心だと思うんですね。ですから、それに効果があるかどうかという議論に集約されるわけですよ、結局は、具体的な議論は。だから、末松委員も先ほど来、先般来、何人なんだと。
 例えば、一千件という臨検にしても、あるいは三千人という捕捉にしても、海上で時系列的にどういう変化があるのか。私は、行動の中身を見直す必要があるかどうかということを判断するためにも、そこら辺がわからなかったら、結局、議論は何か抽象的な話で、漠然と、効果があるかないかというだけの話をするしかないわけですよ。そういう意味で、何人だということの必要性というのは私は大変重要だというふうに思うんですが、その重要性について、何遍にもなりますけれども、これは外務大臣にお答えいただく話になるのかと思うんですね。
 外務大臣はお聞きになったと、アメリカへ。アメリカは、そういう理由で言えない、こう言ったというわけですけれども、この法案の必要性を議論するときに、延長の必要性を議論するときに、その重要性というのは本当に大きなものがあると私は思うんですけれども、どうですか。その数字、もう一度聞きます。
    〔委員長退席、浜田委員長代理着席〕
川口国務大臣 その件についての、お知りになりたい、その重要性というのはよく理解をいたしております。
 いろいろな情報があればあるほど、それは効果についての御説明ということにはなるだろうと思いますけれども、先ほど申しましたように、この効果というのは、海上でどれぐらい捕まえたかという、これはアメリカ側もそういうふうに言っていますけれども、何人捕まえたかということ、そういう具体的な数字のみに着目をするということは、海上阻止活動の実効性をはかるための適切な方法ではないだろう。一千件臨検をしました、それから四万六千件無線照会を行いました、そういうようなことがあるから、海上を通じては逃げられないというふうにみんなが思っていくわけで、それが効果であるわけですね。
 それを、何人、あるいはどういう形で、数字で申し上げるというのは非常に難しい。もし、これはよくわかりませんが、最初に多くて、どんどん海上で捕捉される数が減ってくるようなことがあったとしたらば、これは逆に、海上からは逃げられないということをみんなが思い始めて、陸上経由で逃げようとしたということであるかもしれない。そういう可能性があるわけですね。
 先ほど官房長官が、海上をやめるときというのは陸上も終わりになるときなんだという趣旨のことをおっしゃられましたけれども、全体として考えてどれぐらい捕まるかということであって、この効果というのは総合的に出てくる、全体としてはかるべきだということであるかと思います。
桑原委員 私も、その数字のみをもって効果を判断するなどということを言っているわけじゃないんですよ。その数字というのは、効果を考えていく上で、あるいは海上のこれからの行動を続けていく上で非常に重要な意味を持つ、こういうことを言っているわけで、そのことだけを言っているわけじゃないんです。
 それと、先ほどちょっとやじの中にもありましたけれども、大臣が教えてもらえないというのはやはりおかしいんですよ。これだけ厳しい条件の中で日本は支援をしているわけです。そうでしょう。そして、本当に、国民の負担だって決して生易しいものではないわけですよ。
 そういう意味じゃ、やはり大臣はこの情報を少なくともちゃんと入手できて、しかしながら、いろいろな意味でこれは明らかにはできないんだ、アメリカでもそうなんだ、こういうふうに言うんなら私はわかるんですよ、ある意味で。
 しかし、全然日本もそれは教えてもらえない、こういうことについては憤りを感じませんか。独立国として対等の関係で支援をしている国の責任者としてそんな数字すら教えてもらえない。公開するかしないかは独自で判断する、そういう問題かもしれません。しかし、数字すら教えてもらえないということがさっきはっきりしたわけですけれども、これはおかしいんじゃないですか。どうですか。
川口国務大臣 先ほども申しましたけれども、これは、軍あるいは国防省、ひいてはアメリカ政府全体としての、組織としての判断である。私一人がある数字を知りたいから、ラムズフェルド長官に教えてちょうだいというお話とはこれは違うわけですね。組織として、国会でこれを開示するということについて、米国政府としては、これは米国内であっても、日本であっても、ほかのどこでもしないということであります。
桑原委員 アメリカと共同して作戦をやっているわけですよ。直接軍事作戦ではなくても、給油しているわけですよ。給油しなかったら艦船が動かないわけですから、大変重要なパーツを担っているわけですね。そういう協力している国にそれくらいのことは情報として知らせるのは当然じゃないですか。それを公表するとかしないとかはまた政治的な判断があるわけですけれども、それは当然じゃないですか。
 そんな弱々しい対応の仕方で、それは数字なんか出てきっこありませんよ。もうちょっときちっと、毅然と、我々は我々の主体性でやっているんだから当然だろうがと言って当たり前じゃないですか。そんなことすら言えないようで、自主的な判断でやっていますなんて、どこで言えるんですか、そういうことを。もう一度、大臣。
川口国務大臣 申し上げているのは、私が個人的にある数字を知りたいという話であれば教えてくれる可能性は非常に大きいと思います。そういうことに意味があるわけではない。
 これは、末松委員が非常に大事な御質問をなさって、それは我々も重要だと思いますから、それに対して、また国会を通じて国民に開示をすることができればその方がいいともちろん我々も思っているわけでして、そういう意味で日本政府として米国政府に問い合わせたということの結果を先ほど申し上げたということでございます。
 大臣一人がアメリカ政府の大臣にある情報を聞く、こういうことはほかにもたくさんございます、あなたには言っておくという情報は、それはないわけではありませんけれども、そういったこととこの海上捕捉者数の開示ということとは性格が違うということだと思います。
桑原委員 大臣が責任を持って、この法案の延長を提案するときには、最低限それくらいの数字を把握して、その上で正確に判断をするということが大前提なんですよ。それは個人的に何か知りたいという話じゃなくて、この法案を延長するときの大前提の一つですよ。当たり前ですよ、そんなものは。そんな感覚で提案をされるというのは本当に無責任のきわみでありますし、また、極めて自立性のない、本当にアメリカの言い値をそのまま受け売りするというだけの話じゃありませんか、大臣。
 私は、この質問は、以前、安保委員会のときにもどなたかやられたと思います。私はあのとき思ったのは、この問題は確かにいろいろな影響もあるから、大臣は数字をわかっているんだけれどもこれは言えないんだな、こういうふうに私は善意に思っていましたよ。あのとき、みんなそういうふうに思ったと思いますよ。まさか大臣も数字を知らないなんて、そんな情けない位置にあるなんて、だれも思っていませんよ。私は、本当に情けない状態の中で日本は判断をさせられているのかというふうに思わざるを得ません。
 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、こんな状況で、いかにも延長が必要だ、こういうふうに押し切ろうとするのは本当に無責任のきわみだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
浜田委員長代理 次に、渡辺周君。
渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。
 一昨日の前原委員から、末松、桑原委員と、民主党の持ち時間の中でトリを務めるわけでございますが、今質問が、きょうも末松委員あるいは桑原委員からありましたように、我々が最も知りたいのは、このテロ特措法が成立をして今日まで、我が国が一体役に立っているのかどうなのかということなんですね。幾つか役に立っているかどうかということを知らなければ、この法律の審議をしていく上においては我々は判断ができない。
 そこで、最初にちょっと外務大臣、今の質問の続きでお尋ねをするんですけれども、末松委員から一昨日質問がなければ、外務大臣として、外務省として、今回の今あった海上阻止行動においてどれだけの成果が見られたのかということについては情報を持たずにこの法案を審議するつもりだったのかどうか。つまり、先ほどの話を聞いていますと、末松委員の質問があったから、この点についてはアメリカのワシントンなりあるいは在日米国大使館なりを通して聞いたということでありますが、我が国として、今も桑原委員がまさに指摘したとおりでございまして、当然のことながら知っておいて、ウィル・ノットとキャン・ノットという二つの言葉をちょっと使いますけれども、知っているけれども言えないんだということなのか、あるいは知らなくてもいいと思っていたということなのか。
 私どもは、今回、ウィル・ノットであるならばそれは仕方がない、知ってはいるよ、知ってはいるけれども、これは政治判断上言うことができないんだということであるならば納得をするというのが今までの質問でございました。ところが、これは末松委員から言われたから、それは大事な指摘だと思って、要は慌てて、アメリカのワシントンなりあるいは日本の米国大使館なりに問い合わせたんだということ、そういう趣旨のことをおっしゃいましたけれども、そうではなくて、もともとの認識からして、その点については、外務省、外務大臣はどうだったんですか。その点を確認しておきたいと思います。
 知っていてしゃべれないのと、全く知らなかった、いわばしゃべることができない、手元にそれだけの情報を持っていなかった、それで今日まで来てしまったということでキャン・ノットなのか、どちらなんですか。
川口国務大臣 これについては、先ほども申しましたけれども、末松委員の質問の前に、数回、米国政府には問い合わせをしております。そして、そういった経緯を経て、その過程でも、先ほど申し上げたような理由で米国政府としてはこれは開示ができないということを聞いていた。それについて末松議員から一昨日また御質問がありましたので、そういった、国会がこの問題を非常に重要だと考えているという情報、それについては日本政府としても全くそう思うのだけれどもということで再度、再度といいますか再々度といいますか、また聞き直した、そういうことでございます。
渡辺(周)委員 開示ができないということを聞いて納得をしてはいけないんですね。ですから、開示をできない、だったら、我が国は同盟国としてこの法律を成立させて、あなた方に対してこれだけの協力をしているじゃないかと、それは日本政府の代表者として、外務省は外交の責任者として、それができないんだということであれば協力できないというぐらいのことは言ってもいいはずなんですね。
 開示ができないから、ああそうですかというわけにはいかないんです。開示はできないけれども、これは同盟国のまさにパートナーとして知っておくけれども、それは、先ほどのオペレーション上の問題として国会では公表はできない、言わない。しかしながら、やはり政策判断において、知っていることは心に秘めながらも、開示しなくとも、同盟国としてはせめてそれぐらいの共通の情報を持っているということならばわかるんですけれども、開示できないと言われて、ああそうですかと言って、これまでの二回のやりとりの中で、日本政府としてはそれでよしとしていたんですか。そこはどうなんですか。外務大臣、ぜひ。
石破国務大臣 このことは防衛庁も同じ問題意識は持っております。これはまた先生と議論をさせていただきたいのですが、私どもも数カ月前から、これだけ自衛隊員が過酷な中でそういう任務をやっておる、そして国民の税金も使わせていただいておる、そういうような数字が明らかになる必要があるのではないかということで、私どもは私どもで問い合わせを何度もいたしました。そして、同じ問題意識を外務省とも共有いたしております。その結果、きょう外務大臣が御説明になったような最新の情報、私どもも同じような情報を得ておりました。
 そのときに、何度か申し上げたのですが、一つは、捕捉者数だけでこの効果をはかることができるかどうかということを議論したのでございます。多ければ多いなりに、少なければ少ないなりに、その効果はどうなのだということになります。その捕捉者数のみをもってこの効果を議論することはできないということ。
 そして、委員御案内のように、例えば同じように過酷な任務、命がけでやっている、ネービー・ツー・ネービーという関係もございます。そこにおいて、ネービー・ツー・ネービーでも聞きました。しかしながら、そこにおいて明らかにならない。一つは、その効果の問題があります。もう一つは、軍事上の機密といいますか、それは軍事機密という言葉を使いませんけれども、そういうような、明らかにできること、できないことというのがあるのだろう。アメリカ合衆国海軍と我々海上自衛隊というのが非常に強い信頼で結ばれておることは委員もよく御案内のとおりでございます。そこで本当に開示がされないということは、私はそこにそれなりの理由があるのだろうというふうに思わざるを得ません。
 そして、先ほど、洋上照会の数そしてまた実際に検査をした数の公表がございました。このことだけでも、それはアメリカ合衆国と相当に折衝して、照会の数そして検査をした数を公開したわけでございます。
 私は、そのことをもって、日本が主体性を持っていないとかいいかげんに扱われているとか、そのような判断をいたしてはおりません。
川口国務大臣 今防衛庁長官がおっしゃられましたように、まさに海上捕捉者数のみで成果がわかるということではないわけでして、海をしっかり閉めれば陸に回る、そこで捕まえやすくなるということであります。逆に海をあけてしまえば、陸から逃げるのではなくてみんな海に向かうことになる。そういう、いかに、どれぐらい、できる範囲で包囲をしていくかということで、捕まるかどうか、どれぐらいの成果が上がるかということでして、そういう意味で、三千という数が、全体として、どこで捕まったかにかかわらず、それがその成果として意味があるということであるというのが、アメリカ政府もそういうことを考えておりますし、私どももそういうことを考えております。
 その中で、海上捕捉者数について、わかればわかった方がより明快になるということですけれども、先ほど別な委員の方に申しましたように、では、減ってきたら成果が上がっていないというのか、あるいは上がったから減ってきたというべきなのか、ふえてきたらばその逆なのか、どうなんだろうかというようなことがあるわけでして、海上捕捉者数については、これはこれで重要な情報ですから、それは知りたいということで我々も過去数回アメリカ政府とこの話はしてきているわけでして、その結果について、先ほども申しましたように、情報開示というのは重要ですし、我々としても今後、委員が先ほど来おっしゃっていらっしゃるように、一緒に苦労をともにしてテロに対する闘いをやっているわけですから、もっとこれは教えてもらいたいということは引き続き言い続けていく、そういうことで考えております。
渡辺(周)委員 教えてもらいたいじゃなくて、これは知っていて当然だと思うんですね。
 それは例えば、ちょっと質問変えますよ、どれぐらいの頻度で日本とアメリカはこのアフガニスタン・テロ対策について情報交換しているんですか。月に一遍ですか、週に一遍ですか。どういうレベルの話をしているのか。それについてはどうなっていますか。つまり、電話で問い合わせしてワシントンや大使館にその都度聞かなかったら教えてくれないじゃなくて、最低限の情報は共有していなきゃおかしいわけです。それはどうなっていますか。
川口国務大臣 これはいろいろなルート、ありとあらゆるレベルでやっております。調整委員会というのがありまして、これは定期的にアフガニスタンについての支援について意見交換をしている場、局長クラスでやっている場ですし、それから、外交ルートを通じて、あるいは先ほど防衛庁長官がおっしゃったようないろいろなコンタクトの場でこれはやっております。
渡辺(周)委員 ですから、その調整会議はどれぐらいの頻度で定期的に行われているんですか、どのクラスの方が出ていて。
川口国務大臣 一番最近の場は五月でございます。それから、前回行われたのは十一月でございました。
渡辺(周)委員 ということは、半年に一遍というふうに理解していいんですか。
川口国務大臣 そういう委員会としては約半年に一回ですけれども、それ以外にも日米の間でのコンタクトというのは、東京で、ワシントンで、あるいはその他の場で、もう頻繁にやっております。アフガニスタンでもやっております。パキスタンでもやっております。そういう意味で、何回とかどれぐらいの間隔でとか、申し上げようがないぐらい頻繁にやっております。
渡辺(周)委員 いや、回数、頻繁にやっている、頻繁にやっていると。我々が一番知りたいのは、最初に申し上げましたように、我が国のこの支援が一体どれだけ役に立っているのか。結果的には政治的判断によって公表はできなくとも、その点についてはちゃんと話し合いをしているんです、しかし、残念ながらこの場ではオペレーション上申し上げることができませんと。
 例えば、今も外務大臣がおっしゃいました、洋上を封鎖して、まあ封鎖というのか、洋上で逃亡を阻止すれば、私らでも、正直言って、タリバンが例えば何か商船の中に紛れ込んでどこかの国へ逃亡しようとした、ところが、洋上で検査を受けたら、実はその連中が船員の格好をして潜んでいた、どこかに逃亡するはずだった、しかし、これは今のオペレーション上は非常に不可能だから、そうなると、洋上から逃げるよりも、例えばアフガニスタン国内からどこか近隣の国へ陸路から国境を越えて逃げよう、そこを捕らえて一網打尽にしようという、当然そういうことは考えるわけであります。その方がある意味では袋小路に追い詰めることができるという、それはオペレーション上の判断もあると思います。
 ですから、その点については事細かにこれは言えませんと、さっき外務大臣は言ってしまいましたけれども、実際、そういうことはみんなある程度わかっている中で我々も議論を当然しているんです。
 それともう一つ、数を、三千人が減ってきたから効果があるかないか、それも我々が言っているんじゃないんです。例えばたった一人でもいいんですよ。そのかわり、もし中枢にいる、テロリストの幹部と先ほどおっしゃった方々、アルカイダなり、例えば何らかの幹部を一人捕まえるのと、言葉は悪いですけれども雑魚を百人捕まえるのとどっちが効果があるかといったら、それは幹部一人捕まえた方が大変な効果があるわけですから。
 我々は人数をどうこうと言っているわけじゃなくて、我々が知りたいのは、我が国の国民に対して最低限説明できる情報を共有している、それがあるけれども、言えないんだ、そういう答弁が欲しいわけでありまして、お願いをして何とか頼み込まないと教えてもらえないなんという話でこの法案を何とかしてくれというわけでは、これはもう納得できないわけでございます。その点をさっきからずっと、それぞれの委員が言葉を変えながら、あるいは視点を変えながらも、その本質について聞いているわけです。
 それについては我が国はこれからどうするんですか。同じ議論を何度も繰り返しても次の質問へ行けませんので、外務大臣、その点について、例えば定期的に場を設けて、我が国の貢献がどういう効果をあらわしているか、それについては定期的に本当に議論する気はないんですか。
 そんなたくさんのチャンネル、パキスタンでもやっている、アメリカでもやっている、どこそこでもやっているじゃなくて、やはり定期的な報告は受けるべきですし、それによって我が国がどう貢献しているかということを、何らかのやはり客観的なことを最低限、国民にそれこそ言うことはできると思いますが、その点についてはどう考えていますか。
川口国務大臣 調整委員会、これはことしの五月の段階が第五回目の調整委員会ですけれども、そういった場でも必ず、日本の支援の継続のニーズがあるかどうか、評価がどういうものかということは話をいたしております。
 先ほど申し上げたような数字、海上捕捉者数に限定をしてお聞きになりたいということでしたので、それについては開示できないということでありますけれども、全体としての評価、これは、例えば三千名とかいろいろ申し上げているわけで、その抑止効果というのがありますということであります。
 例えばことしの五月の段階でも、日本の支援の評価、支援の継続のニーズということについては、これは米国としては非常に高く評価しているということを言い、アフガニスタンの一部では治安、秩序が回復したところもあるけれども、アルカイダ、タリバンによる活動は完全には終わっていない、テロリストによる脅威は残っている、したがってテロの逃亡に対応してオペレーションを継続する必要があるというようなお話が延々とあるわけで、今後引き続き、こういうような会合を持つ中で、これについては確認をし続けていく所存でございます。
渡辺(周)委員 先ほど桑原委員が繰り返し、質問の最後に言っていましたけれども、とにかく、我が国の自衛隊がどう役に立っているのか、我々の税金がどういうふうに使われて、それによって、この法の主目的でありますテロ掃討というものにどういう効果があらわれているかというのは、ある程度定期的に出していただかないと、何か、どこか知らないところでやっている。
 もっと言ってしまえば、国会図書館から、例えばアフガニスタンの今のテロ掃討のことについて何らかの形で新聞切り抜き等をちょっと集めてみても、べた記事ですよ、はっきり言って。べた記事で、何をやっているかわからないようなところで進んでしまっている。これで、政府が責任を持った、まさに中間報告なり定点観測をして定期的に報告しなかったら、これははっきり言って、国民の判断、国会議員すらこの場で判断する資料すらないということでございます。
 そのことをつけ加えて、とにかく徹底的にこの点についてはアメリカ政府に対して、同盟国の一員として我が国がこれだけのことをしているのだから、最低限のこれだけのことはよこせということは、ぜひ本当に毅然として申し入れていただきたいと思うわけです。
 それと、時間が限られておりますので、再び質問をちょっと変えますけれども、先般、防衛庁からいただいた「テロ対策特措法に基づく自衛隊の活動状況等について」という資料がございます。
 この中で、「海上自衛隊艦艇による給油実績」というので、一昨年、平成十三年の十二月からことしの六月までの給油実績がございます。これをいただいているわけでありますけれども、これを見ると、これまでの給油実績が一番高いのが平成十五年五月でございまして、このときには約三十二、三万キロリットル、その次に多いのが、やはり本年、平成十五年の四月の記録でありまして二十五万キロリットル、その前月、三月に至っては十万キロリットルもいっていないわけでございますけれども、これはなぜことしの、平成十五年の四月と五月が突出をしているのか、この点について御説明いただけますか。
石破国務大臣 私どもの御説明の仕方が悪かったのかもしれませんが、棒グラフになっておりますのは給油の回数でございます。委員がお持ちの資料の中でオレンジのカラーになっておるのは、折れ線グラフになっておりますのは累計の補給量でございます。
 したがいまして、本年五月が一番多くなっておるのは給油の回数でございまして、量ではございません。
渡辺(周)委員 では、質問を変えます。
 それでしたら、これは私のグラフの見方が悪かったにしても、じゃ、なぜ五月に給油の回数が三十回を超え、四月の給油の回数が二十五回を数えているのか。つまり、九・一一テロの後にこの法律ができて、それによって、その後、基本計画等が策定をされまして出動してから、最も回数がふえているのが本年の四月、五月でございます。そうすると、この二つの、今ここでお答えできるかどうかあれですけれども、じゃ、給油実績は給油量にするとどれぐらいなんですか。それがもしお手元になかったら結構ですけれども、なぜこの四月、五月がこれだけ回数が突出しているんですか。
石破国務大臣 量について御説明申し上げます。
 本年五月が、一万キロリットル、回数が三十二回ということでございます。その前の四月は、九千キロリットル、回数二十五回。六月が、量が五千キロリットルで、回数が二十回ということになっております。
 これは、給油対象国がふえました。それからもう一つは、船が小さくなっております、サイズが。そうしますと、給油の量といいますか、それが回数がふえるということに相なります。船が小さいものですから、小さくなってまいりますと頻繁に給油を行わなければいけないということ。必ずしも完璧な相関関係に立つわけではございませんが、対象国がふえた、船が小さくなったために回数の増加を見ているということでございます。
 数字につきましては先ほど申し上げたようなことでございまして、例えば三月を見ますと八千キロリットルでございます。先ほど四月の例を申し上げましたが、三月が八千キロリットル、回数が十一回、四月は九千キロリットル、つまり一千キロリットルしかふえておりませんが、回数は二十五回というふうに、二倍以上にふえてございます。
渡辺(周)委員 ということは、これは、船が小さくなったから当然運ぶ回数がふえたということですね。そういうことですね。
 我々からこれを見ますと、何でここだけ回数がふえたんだろう、どうしてこのときに船が小さくなったんだろうかということでございまして、ここにある、対象国がふえたというのは、そうしますと、いつの時点で対象国が急にふえたんですか。その点について御説明いただけますか。
石破国務大臣 お答え申し上げます。
 アメリカ、イギリス以外にふえました対象国は、フランス、ニュージーランド、イタリア、オランダ、ギリシャ、カナダ、スペイン、ドイツ、こういうことになっております。
 フランスに初めて給油をいたしましたのは本年三月、ニュージーランドも三月、イタリアも三月でございます。ギリシャに対しまして補給を第一回行いましたのは四月、カナダも四月、スペインも四月。ドイツに対しまして初めて給油を行いましたのは本年六月。こういうことになっております。
渡辺(周)委員 この給油実績を見ますと、回数を見ますと、四月、五月というのは、当然、イラクで戦闘が行われていたときというふうに我々は見るわけですね。この時期に日本の給油実績、回数がふえている。しかも、九千キロリットル、一万キロリットル、突出してふえているけれども、この時期に、我々も少し調べましたけれども、インド洋上における、アフガニスタン国内における掃討作戦が非常に熾烈をきわめた、あるいは、大変大きな軍事的テロ掃討の作戦があったということは出てこないんですけれども、なぜここだけ対象国がふえて、なぜここに、それでは質問を変えますけれども、九千キロリットル、一万キロリットルという膨大な量になっているんですか。その点、説明をしていただきたいと思います。
石破国務大臣 急に膨大になったという認識は、私どもは持っておりません。
 例えば、平成十三年の十二月から始めておるわけですが、一万六千キロリットル、十四年の一月には二万六千、マックスでございます十四年の三月には四万というふうになるわけでございます。その後、一万五千、一万九千、一万六千、一万七千、一万三千、一万九千、二万三千、一万、一万七千、こういうふうにまいりまして、本年の一月に八千、二月に二万、三月に八千、四月に九千、五月に一万、こういうふうになっておるわけでございまして、数字が急に、御指摘のようにこの四月、五月にふえたというふうな認識は、私どもとしては持っておらないところでございます。
渡辺(周)委員 この点についてはもう一回、ちょっと我々も腑に落ちない部分が実際ございますので、改めて安保委員会でもやりたいと思います。
 いずれにしても、イラク戦争のときに日本の補給艦から給油を受けたという例えば証言がある。この点については、アメリカ側から否定的な発言があって火消しされたのはわかっていますけれども、こうした、まさに何がどうなっているかが全くわからないわけでございます。
 別に油に名前が書いてあるわけじゃございませんから、その点については非常に疑心暗鬼を持って、まさに先ほど最初に外務大臣に質問したとおり、どういうことになっているかというのは全くわからないままに我々は言われてきた。だから、要は、ガスステーション、ガソリンスタンドなんだというようなことをやゆされながら今日まで来てしまったわけでございます。
 この点については、ちょっと時間がありませんので、次の安保委員会なり、また新たな機会で、私どもももう一度情報収集してやりたいと思います。
 そこで、防衛庁長官に聞きたいんですが、過去何回か飲酒事案がございました。この飲酒の事案というのが、ある意味では我々も、士気が低下しているんじゃないのかと。つまり、だれも見ていないのをいいことに内部規定なんかを無視して、しかし、それが後から写真週刊誌なんかに出てくるわけです、酒を飲んでいる写真が。
 もしかしたらこれは、どの時点の写真かわかりませんけれども、例えば、もう帰国するに当たって仲間で記念写真を撮った、そんなのが流出したのかもしれませんけれども、それについてはとやかく言いませんが、酒を飲んで赤い顔をしているところが写真に撮られて写真週刊誌に出て、しかも規律に違反していたというようなことが行われると、我々の血税で過酷なインド洋に行って活動しているのかと思っていたら、何だ、随分楽なことをしているなというふうに我々は思ってしまうんです。
 この点について、今後一層このようなことがないように努めるとか規律を厳しくするというような御答弁はもういいですから、やはりこういうことについては、まさに士気が低下しているんじゃないかと心配するわけですけれども、これは長官はどんなふうに見ていらっしゃるでしょうか。
石破国務大臣 正直申し上げまして、今委員がおっしゃったのと同じ懸念を私は持ちました。大変だ大変だというふうに言っている割にはそうでもないんではないか、士気が完全に緩んでいるんじゃないのというようなことは申しました。私もその点についてはかなり徹底的に議論をして、調査もしたつもりでございます。
 はっきり申し上げますが、一番過酷な任務を行っておる船にこのようなことは発生をいたしておりません。一番過酷な任務を行う、もちろんみんな過酷なんですけれども、「はまな」という給油艦はもう三回も行っておって、補給活動を実際にやっておるわけですから、内容についてはもう委員御案内のとおりです。そういう船においては一度もこのようなことが起こっておりません。今回こういうような事案が発生しましたのは、初めて行った船でございます。
 これは、私、実際にそういうようなインド洋に行った司令官あるいは幕僚、そういうものを務めた人たちに聞きました。これは言語道断、許しがたいということでございます。一番厳しい任務を行っている人たちがきちんと規律正しくやっているにもかかわらず、このようなことで示しがつくものでは絶対にないということ。
 そして、飲んでは絶対にいけないと申し上げておるわけではなくて、規則に従って飲んでよしということは言っておるわけでございます。そのことも守れなくて、私が申し上げましたのは、国民が一番最後によりどころにするのは自衛隊ではないかということ、そして、過酷な任務で本当によくやってくれているというふうに評価をしてくださる方々もおられるわけで、そういう方々の信頼を裏切るということは絶対にあってはならない。
 したがって、これは厳しいようであるけれども、いつ、どのようにして酒を渡され、そしてそれをどのように返したか、何だかまるで生活指導みたいな話なのですけれども、私はそんなことをやりたくはないのですが、そこまでやらないと国民の信頼を裏切ったことになる。
 そのことについてこれでよいかということについて、海上自衛隊の制服の皆様方にも、私はこう思うけれども、あなた方実際に船乗りとしてこれでよいかということも聞きました。そのことによりまして、処分あるいは今後の改善策を講じております。
渡辺(周)委員 別に私も、酒を飲むなとか届け出制にしろとか、そんなことを言うつもりはございませんけれども、正直言って、やはり繰り返しそれをやってくると、もう士気が低下しているんじゃないか、だんだん、言っちゃ悪いですけれどもやっつけ仕事みたいになってきて緊張感がなくなってくるんじゃないのかな、そんなことを思いまして、こういうことが報道されているということで、一体何をしに行っているんだというのが国民の感情の中に出てくるわけでございますので、まさに生活指導のところまで、ああせいこうせいと子供に言うようなことはもちろん申し上げませんけれども、ぜひその点についてはこれからも規律を守ってしっかりやっていただきたいと思うわけでございます。
 それと、もう時間がありませんので、この八月中旬にもイージス艦が帰ってくる。帰ってくるイージス艦が、当時は、居住性が非常にすぐれているからということで派遣をして、行ってみたけれども、ここへ来て戻ってくる。
 この戻ってくる理由については、一つには、日本海を含めて空白になってしまう。今、二隻がドックへ入っているんですか、要は整備中である、一隻が。ということは、戻す理由、なぜ戻すのか。一つには、居住性ということが言われながら戻すということ。それから、これで戻すということは、北朝鮮に何らかの変化があるというふうに考えているのか。それからもう一つは、再びイージスを派遣することがあり得るのか。
 ちょっと関連しますので、まとめてお答えいただけますか。
石破国務大臣 先生御案内のとおり、これは自衛隊法によりまして、「自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、」というふうに書いてございます。四隻イージスは持っておりますが、一隻はドックに入っているということでございます。
 私どもとして必要欠くべからざることと思っておりますのは、高練度艦が一隻もない。高練度艦が、つまりドックから出たばかりでまだ乗員の練度も上がっていない、そういう船では困るわけです、イージスが実際に動いておりましても。実際にイージスで高練度艦というものが一隻もないという状態は、この法の趣旨に反するものでございます。私といたしましては、高練度のイージス艦が一隻日本近海にいるということは、北朝鮮の情勢いかんにかかわらず、それはもう完璧に四海波静かで、北朝鮮が全く平和な国になりましたとか、そういうことであれば話はまた別でございますが、高練度艦を一隻、イージスを置いておかねばならない、こういう理由に基づくものでございます。
 イージスを派遣いたしますことを決定いたしました際も、居住性というお話はいたしました。同時に、ローテーション論というものも申し上げました。ずっとイージスを出すわけではなくて、イージス、DDHということはあり得る。必要欠くべからざるは、やはり指揮通信機能というものを備えた船でなければいけないということでございます。それは、DDHもしくはイージス、DDGということに相なります。その二つを兼ね合わせまして、日本に高練度艦を置いておかねば、日本近海に置いておかねばならない。しかしながら、このテロ特措法に基づく活動に指揮機能を備えた船は必要である、そのローテーション論とあわせまして今回のようなことになっております。
 今後、イージスを派遣することがないということはございません。ローテーション、あるいは練度を持った船を日本近海に少なくとも一隻後置するということ、その両方の要求をどのように満たすかという状況によろうかと存じます。
渡辺(周)委員 今の質問に関連して、ちょっとアフガニスタンから離れますが、北の話を触れましたので、ちょっと残り時間で、北朝鮮の状況について質問をしたいんです。
 先般、中国の筆頭外務次官が訪朝して、アメリカとも近く協議、きょうですかね、十八日、そこで、北に何らかの意図があると。アメリカの高官からも、米中朝三カ国なのか、あるいは日韓が参加して五カ国になるのかわかりませんが、多国間協議に何らかの進展があるという、期待を示されるような発言が、きのう、きょうとございました。
 この点について日本政府は、例えば中国の特使がどのような形で北朝鮮の幹部と会って話をしたか、この点については何か情報は持っていますか。
川口国務大臣 中国の外交部の戴秉国副部長が、次官ですけれども、十二日から十五日まで北朝鮮に行きました。そこで金正日総書記、外務省の姜錫柱第一次官等々と会談をした。このほかに白南淳外務大臣、金永南最高人民会議常任委員長といったトップクラスと会談を、ずっとお会いしたわけです。
 この内容については、私どもは十六日に中国政府からブリーフを受けております。
 中国としては、北京で四月に第一回の会談、三カ国会談があったわけで、その後引き続き、会談をぜひ再開したいということで考えて、さまざまな努力をしているわけです。この会談の後、中国は、この北朝鮮との会談というのは非常に有益で重要であったということを言っておりますし、北朝鮮側も、言葉は違いますが、プラスの評価をしているように見受けられます。日本といたしましても、これについては非常に中国の努力を多としております。また、中国は有益で重要な努力をしたというふうに思っております。
 今後の進展がどうなるかということは、まだはっきり、よくわからないわけでございますけれども、我が国としては、韓国それから日本が加わった形で多国間の対話が行われる、対話のプロセスの継続が行われるということは重要であるというふうに思っておりますし、この我が国の考え方については、中国にも、つとに連絡をいたしているわけでございます。
渡辺(周)委員 中国政府から、もうブリーフを受けているということです。
 内容については、有益だとか、多とするというのは新聞にも、中国からも発言しているんですが、我が国政府として有益な情報が、中身を言えるかどうかわかりませんけれども、かなり突っ込んだ話し合いはあったんですか。中国政府から聞いているんですか。
川口国務大臣 お察しのように、具体的に何が話されたかということについては、関係国のこともございますので、ここで私の口から申し上げるわけにはいかないわけですけれども、中国側は大変に努力をしているというふうに思っています。
渡辺(周)委員 ということは、多国間協議に進展するということについては日本政府も、三カ国か五カ国かわかりませんが、まず一つは進展をするだろうという確証はお持ちですか。そういうことですか。
川口国務大臣 今の段階で、いつ次の多国間協議が行われるかということについて、何ら決まっているわけではございません。ございませんが、我が国としては、関係国がこういった国際的な努力を積み重ねるということが重要であるというふうに考えております。
 関係の国々もみんなそれぞれ、平和的に外交的に問題を解決したいと思っておりますので、対話のプロセスというのが重要だということについては意見を一にしていると思います。
渡辺(周)委員 だから、さっきから申し上げているとおりに、わかっていて言えないのか、わからないで物を言っているのかというところがやはり今の日本の政府の問題でございまして、中国からそういうことは聞かされているけれども、今答えられないんだということなんですかと私は聞いているんですよ、重要な示唆があったんですかと。
 だから、それはいいです、そんな中国の努力を多とするどうのこうのなんて、もうそんなものは結構ですから、あったんですかと。別に、それについて中身をどうこう聞きませんよ、もう時間もありませんから。そういうことを聞いているんですねということを私は尋ねたんです。
川口国務大臣 中国と北朝鮮の間にあった話というのは相当聞いていると思います。そして、これに基づいて今後どのような進展があるかということについては、関係国が幾つかありますから、そういった関係国の状況、対応あるいは考え方、そういうことに依存をすると思います。
 いずれにしても、今の時点で、いつ次の対話が開かれることになるかということについては何ら決まったわけではない。みんな連携をしながら、そういう方向に向かって動く努力をしているということでございます。
渡辺(周)委員 大臣は中身を知っているんですかということなんですよ。要は、大臣の耳に入っていないんじゃないか、大臣のところまで上がっていないんじゃないかと。何か中国政府からそういう話があったけれども私は知らないというのか、知っているけれども今は言えないよというのか。
 別に、いつ今度は開かれるかなんという話を私は聞いているんじゃなくて、日本が今後、多国間協議、三カ国か五カ国かわかりませんが、日韓の参加は不透明じゃないかというふうに例えばあるマスメディアは書いているわけですよ。北朝鮮に対して中国がどういうカードを使いながら交渉したかわかりませんけれども、日本政府としてはその情報を、中身を知っているんですかということをお尋ねした。それが外務大臣の耳には入っているんですかと、そういうふうに聞きます。
 といいますのは、もう時間がありませんけれども、北朝鮮はプルトニウムの再処理を始めて既に抽出を終わったんだと。あるいは、アメリカのメディアは、クリプトン85といういわゆる放射性ガスを大気中でキャッチしていると。保有しているということを前提に考えていれば、今後の多国間協議で大変大きな問題でありますけれども、例えばそういうことについて日本はわかって対応しているんですかと、そういうふうに聞きます、もう時間ありませんから。中身、わかっていますか。
川口国務大臣 いろいろ御心配をいただいておりますけれども、日本が知っている北朝鮮、我が国として知り得る、要するに政府ベースで知り得る情報ということは、我が国の政府のこの問題に関係をする閣僚等によって完全にシェアをされているということを申し上げておきます。
 それで、これについて今、どこまで物事が動くかというのは、先ほど申しましたように、関係国がこれらについてどう考えるか、どのような対応をするかといったことにも依存しますし、事態は刻一刻、いろいろそういう意味では動いていくわけでございます。(渡辺(周)委員「そんなことを聞いているんじゃなくて、中国から、中国と北朝鮮がどういう話し合いをしたかということを、中身を知っていてしゃべっているのですね、あなたは知っているか、それを聞いているんですよ」と呼ぶ)
 ですから、先ほどお返事をいたしましたように、我が国として知り得る北朝鮮の関係というのは、関係をする閣僚によってシェアをされているというふうに申し上げたわけです。当然にそれは、私を含めて、官房長官も含め、総理も含め、そういうことでございます。
渡辺(周)委員 官房長官、いかがですか。中国と北朝鮮が今回重要な話し合いをしたというふうなことは、ある程度中身は知っているわけですね、官房長官、政府は。
福田国務大臣 今、外務大臣がお話をしたことと同じこと、要するにそういうことでありまして、私どももそういうように認識をいたしております。
渡辺(周)委員 もう数分しかありませんから、こんなこと一言で、いや、知っているけれども言えないと言えばいいんですよ。だから、中国が、北朝鮮が、シェアしている、シェアしていると言うけれども、本当に知っているんですか。もういいですよ、そんなことは、どうせこれ以上の答弁は出ませんから。
 問題は、こういうことが日本を抜きにしてどんどん話し合いが進んでいって、日本は実は情報の外に置かれているということがやはり問題なんですね。とにかく、アメリカと中国と北朝鮮で話し合いしています、日本と韓国は非常に当事国として、まさに当事国でありながら日本の政府がその情報の土俵の外に置かれていて、知らないところで三カ国の協議が進んでいるということであるのならば、またそこに主体性の問題が出てくるわけでございますから、これもまた必ずどこかでお尋ねをしたいと思います。つまり、知っていて答えられないというのと全く知らされていないというのでは、全く物事の本質が違うわけですから、それが、ずっと繰り返し言ってきた日本の外交のまさに問題点だろうと思います。
 最後に二つまとめて質問しますが、一つは、ちょっとさっき申し上げましたけれども、北朝鮮がプルトニウムを抽出したというふうに主張しているわけですが、この点について、日本政府はそうだというふうな見解をお持ちなのか、いや、これはブラフであると思っているのかが一つ。
 それからまた、昨日行われた、南北のDMZでいわゆる銃撃戦が、北朝鮮の方から韓国に向かって機関銃が撃たれた。これが意図的であるか偶発的であるかということもわからないわけですけれども、例えばこういう行為を、時々、北朝鮮はするんですよね。突然領海に出てきて、ワールドカップで韓国の躍進に祝電を打ったと思ったら、なぜか洋上では領海を越えてきて衝突したりするわけです。
 今回のこの北朝鮮の相変わらずわからない行動について、例えば、南北の銃撃戦というのは日本はどういう情報を持っているのか、それから、プルトニウムを抽出したということについて日本は情報を持っているのかどうか、その点を最後にお伺いしたいと思います。
川口国務大臣 まず、再処理を完了したということを北朝鮮が米国に対して言ったということでございます。
 これは、当然、米国との間でこういう情報のシェアはございます。
 それが事実かどうかということについては、これは、日ごろ、アメリカとの間ではさまざまな情報の交換をやっておりますし、我が国としても、分析、評価ということは我が国独自にやっております。しかし、米国も含め、我が国も含め、これについて北朝鮮の言っていることが正しいかどうかということを今の時点では確認はしていない、確認できていないということです。
 それからもう一つ、DMZのきのうの銃撃戦ですけれども、これは偶発的なものか、あるいは意図的なものかということについては、重要なポイントでございます。これについては、韓国も、みんな今、関係の国は分析中であるということで、どちらかということについてはっきり申し上げられる段階ではないということです。
渡辺(周)委員 官房長官なり防衛庁長官、この点について何か御答弁はありますか。
 つまり、今もなんですよ、確認しておりませんじゃなくて、確認してなきゃだめなんですよ。確認しておりませんじゃなくて、確認してなきゃいけない話であって、アメリカ政府とそういうふうな話をシェアしているけれども、私が聞いているのは、再処理、プルトニウム抽出は終わったんですか、そういうものについて日本はどういうふうな判断をしていますかと。それによって対応が違うわけですから。
 最後に、では防衛庁長官、このプルトニウムの抽出については、日本政府はこの事実を事実として思っているのか、あるいはブラフだと思っているのか。
石破国務大臣 いろいろな情報には接しております。しかし、ああいう閉鎖的な国でございますし、私ども、自分の目で見たわけではございません。それはそういうような機会も持ちません。
 いろいろな情報には接しております。しかし、その可能性は排除できない。しかし、確認したかどうなのかと言われれば、自分の目で見て確認をしたということは申し上げられないということでございます。
渡辺(周)委員 非常に欲求不満になるようないつも答弁、いつも質問しているわけですからね。ぜひまた外務大臣、この国会が二十八日までの間に質問する機会があるかどうかわかりませんが、とにかく主体性を持って、日本が後追いみたいなことで、すべて、言われて初めて事を起こして確認しているような、まさに日本政府の外交の姿勢ではなくて、とにかく判断できるだけの、あらゆることに対して外交チャネルを使って外交を進めていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
浜田委員長代理 次に、樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。
 きょうも質疑の時間をいただきまして、ありがとうございました。
 官房長官、記者会見があられるそうでありますので、先に、端的に二、三質問申し上げますので、どうか誠実にお答えをいただきたいと思います。
 テロ対策特措法、これは米軍等後方支援法案というふうに私は命名しているのでありますが、いわゆるこのテロ対策特措法の憲法上の根拠、一体どこにあるでしょうか。
福田国務大臣 テロ対策特措法案は対米支援法案とは言っておりません。テロ対策特措法でございまして、これは憲法上は第九条に抵触しない範囲、こういうことでありますが、それと同時に、憲法の前文及び九十八条――九十八条というのは、国際協調主義の精神に沿って我が国が実施し得る活動として、国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際的な取り組みに積極的かつ主体的に寄与する、そういう活動を規定するものでございます。
 また、テロ対策特措法に基づく我が国の活動は、それ自体は武力の行使に当たらない、そういうことでありまして、また、その活動の地域などにかんがみれば、米軍などの武力の行使と一体化するというものではなくて、憲法上は問題ない、こういうように考えております。
 このような主張は、政府がかねがね、何度も説明を申し上げておるとおりでございます。
樋高委員 一言で言うならば、憲法の枠内であるとか、武力行使と一体化していないと繰り返し言いながら、私の問題点は、実は国民にわからないように実質的には憲法解釈の変更を少しずつ巧妙に行ってきたのではないかという問題意識を持っているわけであります。自衛隊という日本の唯一の軍事組織を動かすことは政治の究極の判断であって、その判断を無原則、かつ、なし崩し的に行おうとする政府の態度は、決して許されるものではないというふうに思います。
 総理は、テロ特の委員会審議でも、自衛隊は戦力であるとおっしゃいましたし、先般は事態特、参議院の方でしょうか、事態特では、自衛隊は軍隊であると認められました。これは事実上の解釈改憲そのものであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
    〔浜田委員長代理退席、委員長着席〕
福田国務大臣 自衛隊が軍隊であるかどうか、これは軍隊の定義いかんに帰する問題である、これは総理が、どこですか、委員会で申し述べているところでございます。
 また、こういうふうにも言っているんですね。外国から見れば軍隊と見られても当然でしょう、しかし、日本では憲法上のいろいろな規定もありますから、自衛隊を軍隊とは呼んでおりません、こういうようなことでございまして、自衛隊には、常識的に考えれば戦う力がある、こういうことを総理は申し上げたものでございます。
 憲法が保持を禁じております戦力というのは、これは自衛のための必要最小限度を超える実力でありますから、自衛隊は自衛のための必要最小限度内の実力組織であるということから、自衛隊は憲法に違反するというものでないということでございます。
樋高委員 もう一問だけお尋ねをいたしますが、要するに、あのときの政府の答弁の中には、爆弾を積んで突っ込んでくるテロのトラックに反撃できるというお答えでもありましたし、また、誘導ミサイルの発射は戦闘行為に当たらないとも言ったわけでありますけれども、政府は、いわゆる集団的自衛権の行使は憲法上許されない、武力行使はできないとしながらも、まさに国民をごまかして、なし崩し的に憲法解釈を変更して、知らず知らずのうちに自衛隊の行動範囲を拡大しているのではないかというふうに私は申しているわけであります。
 総理はみずから、あいまいさをその審議でも認められました。法律的な一貫性、明確性を問われれば答弁に窮すると総理自身がおっしゃっておいででありました。自衛隊を派遣したいのであれば、やはり政府は明確に、憲法解釈を変えたいならば変えると国の内外に明言をして、日米安保条約の改定も含めて、集団的自衛権の行使を認めた上で派遣をすべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
福田国務大臣 これまで自衛隊は何度も海外に国際平和協力活動という形で出動いたしておりますけれども、これは戦争に行くんじゃないんです。ですから、武力行使でございませんから、集団的自衛権というものとは関係ないんですね。あくまでも国際平和協力、こういうような趣旨で行っているわけでございます。
 そういうことで、もちろん米軍などの武力の行使と一体化するというものではなくて、国家による実力の行使に係る概念であります集団的自衛権との関係においては問題はない、こういう考え方をしております。
樋高委員 今の官房長官の答弁自身が要するにごまかしではないかと私は思うわけであります。
 どうぞ、記者会見に行かれてください。
 自衛隊という武力組織を動かすこと自体が、後方支援であろうとなかろうと武力行使に該当するのは世界の常識であると私は思います。
 武力行使はしないと言いわけを今もしておりましたけれども、自衛隊を派遣して諸外国と共同行動をさせる政府の姿勢は、憲法が否定する、つまり、自国のことのみに専念して他国を無視する姿勢そのものではないかというふうに思います。自衛隊という軍事力を動かす政治の最も重い決断を場当たり的、なし崩し的に行うことは、敗戦に至る昭和史の教訓を忘れたものであり、日本を再び誤らせることになると言わざるを得ないのであります。
 自由党の安全保障に関する基本原則は明確でありまして、一貫いたしております。すなわち、日本国憲法において武力の行使を含む自衛隊の軍事行動が認められるのは、個別的であれ集団的であれ、我が国が直接攻略を受けた場合、あるいは、放置すれば武力攻撃に至るおそれのある周辺事態における自衛隊の発動、また、国連の武力行使容認決議がなされて、その要請に基づく平和活動に限られるというものであります。
 この見地から申し上げるならば、国際社会への挑戦であるテロという行為に対しては、国連加盟国が一致協力して闘っていく姿勢を示すことは重要であり、もちろん、国連において武力行使容認の決議が行われれば、平和活動に我が国も積極的に協力しなければなりません。しかしながら、そうではなくて、米国が単独で行う個別的自衛権の行使に対して日本が軍事的に支援しようとするのであれば、これは集団的自衛権の行使に当たり、これまでの政府の憲法解釈では許されないと思います。
 そこで、防衛庁長官に伺います。
 このまま憲法の解釈を変更せずに、テロ特措法を延長して自衛隊を海外へ派遣し続けるということであるならば、湾岸戦争のときに海部内閣のもとで憲法上できなかった自衛隊による物資協力や輸送協力などが、なぜ今になって憲法上合憲、今になって憲法上可能になったということなんでしょうか。論理的に、誠実に御説明をいただきたいと思います。
石破国務大臣 これは私どもの御説明の仕方が悪いのかもしれませんが、定義というものはきちんとお互いに相互で認識をしながら議論をいたしませんと、そういう決めつけみたいな話になってしまいます。
 私どもは、何度か衆参のイラク特別委員会において答弁を申し上げましたが、どうやって憲法に抵触をしないようにするか、そのことに本当に細心の注意を払いまして法案をつくっております。よく、非戦闘地域とは何事だというおしかりをいただきますが、非戦闘地域でなければ自衛隊は活動してはいけないのです。そのことを制度的に担保しますために、戦闘行為が行われていない場所でなければ行動できない、あるいは、近傍で戦闘行為が行われる、あるいは予測される事態に至った場合には、そういう規定を設けておるわけでございます。
 委員の今のお話を承っておりますと、武器の使用と武力の行使というのを、意図的かどうかは知りませんが、混同して議論をなさっておられるように思います。
 私どもが申し上げております武器の使用とは何か。「火器、火薬類、刀剣類その他直接人を殺傷し、又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置をその物の本来の用法に従って用いること」これが武器の使用という定義をいたしておるわけでございます。そしてまた、国際的な武力の紛争というのは、国または国に準ずる組織の間において生ずる一国の国内問題にとどまらない武力を用いた争い、こういうことを政府は何度も何度も申し上げまして、この定義に基づきまして議論をしておるわけでございます。
 武器の使用と武力の行使を混同して議論をされますと、それは集団的自衛権の行使だ、そしてなし崩しな憲法の解釈の変更だということになります。しかし、我々は、海外においてできますのはあくまで武器の使用であって、武力の行使ではない。そのことに幾重にも歯どめをかけまして、このイラク特別措置法を提案し、そしてまたテロ特措法の延長をお願いしておるわけでございます。
 委員御指摘のように、では、海部内閣のときにできなかったことが何でできるんだというお話でございますが、海部内閣のときに、憲法上これはできないということを政府として申し上げたことはございません。それが憲法上できないというふうに、理由をもって、それこそ論理的に御説明を申し上げ、憲法上できないというふうに海部内閣当時申し上げたことを今できるというふうに言っておれば、それはなぜそのように変わったのかということを論理的に御説明する必要があろうかと存じますが、海部内閣のときにそのようなことを申し上げたとは私は承知をいたしておりません。
樋高委員 当時、海部内閣のもとで、自衛隊がサウジアラビアに赴くことが憲法に違反したのに、現在、自衛隊がインド洋やインド洋沿岸の港に行くことがどうして合憲なのかという国民の皆様からの疑問に対して、わかりやすく御説明いただきたいから申し上げたわけなんでありますけれども、国会の中での論理的な議論を、きちっとやはり説明責任を果たした上でやっていかないとだめだということも同時に御指摘申し上げたいから申しているのであります。
 いずれにいたしましても、政府は、テロリズムとの闘いを我が国の安全確保の問題と認識して主体的に取り組むとしておりましたけれども、我が国の安全確保、すなわち日本の安全保障は、即日本国憲法の運用解釈そのものにかかわるものであるし、やはりここを真っ正面から議論していかなくてはならないというふうに私は思うからであります。それにもかかわらず、政府の憲法解釈の問題意識、何ら新たな判断も示されていないということが、やはり国民に対するごまかしではないかということを私は申し上げているわけであります。
 具体的に伺ってまいりたいと思います。
 テロ特措法に基づく自衛隊の活動についてでありますが、この約二年近くにわたります活動をやはり検証、総括する必要があると思いますけれども、実際に協力支援活動、特に艦船による給油支援活動、きょうも議論になっておりますけれども、概要はいかがなものになりましたでしょうか。補給は何回、何万リットル、そしてトータルで幾ら相当なさったのですか。
赤城副長官 お答えいたします。
 これまでのテロ対策特別措置法に基づく協力支援活動の概要でございますけれども、海上自衛隊の艦船による米英軍等の艦船に対する艦船用燃料の補給回数、補給量、その金額のお尋ねでございました。
 平成十三年の十二月二日から平成十五年七月十六日までの合計で、まず補給回数が二百六十九回、補給量が約三十一万三千キロリットル、金額は概算値にして約百十七億円分となっております。
樋高委員 重ねて伺いますけれども、二百六十九回にも及ぶ艦船用の燃料の提供、これは、不朽の自由作戦の海上阻止活動に従事している、あるいは、その後従事しようとしている船に対して行われたという認識でよろしいのですか。
赤城副長官 お尋ねの点は、テロ対策特別措置法以外の目的で使われているのではないかという御趣旨かと思いますけれども、これはあくまでテロ対策特別法に基づく協力支援として行っているということを、米国など対象国との間で交換公文で明記しております。また、協議の場などを通じてこの趣旨については十分説明をしておりまして、先方もそのことは了解しておるということでございますので、あくまでテロ対策特別法の目的にかなった活動に用いられているというふうに考えております。
樋高委員 交換公文云々という話は重々伺っているわけであります。
 では、事実関係として、イラク戦争に参加をする艦船がインド洋を通ります、そのインド洋を通ったときには、対アフガニスタンの作戦に従事する、つまり不朽の自由作戦に従事をしているということで、そこで補給活動が行われる。つまり、その艦船がその後イラクに、もしかしたらイラク作戦、つまりイラクの自由作戦に従事するかもしれない艦船に燃料の補給をインド洋で行ったことがありますか、ございませんか。
赤城副長官 これは一般論として、インド洋海域における米海軍部隊が一定期間を通じて複数の任務を付与されるということはあり得ると思います。ただ、ある期間、個々の時点においてはそのいずれかの任務に基づいて活動を実行しているのでありまして、任務の切り分けというのは十分可能であるというふうに考えております。
 したがって、その当該任務に基づく活動がテロ対策特措法の目的に合致している場合には、同法に基づいて艦船用の燃料を提供するということは可能でありまして、これは交換公文なり協議の場で十分その趣旨を説明し、相手方はそのことを承知の上でテロ対策特別措置法の目的に従って使用する、こういうことでございますので、その切り分けに基づいて、あくまでテロ対策特別措置法の目的の範囲内で使用されている、こういうことでございます。
樋高委員 つまり、イラク戦の任務を受けていても、そのときには実際にイラク戦には従事していないで、いわゆる対アフガニスタンの不朽の自由作戦には任務中だということで、両方の任務を兼務していても問題はないという認識、そして、現実の問題として、両方の作戦、つまり、不朽の自由作戦とイラクの自由作戦を兼務している同一の艦船に燃料補給活動を日本は行ってきたということですか。
赤城副長官 これは、ある艦艇が複数の任務を与えられるということはありますけれども、その時点においてはどちらかの任務についているわけです。したがって、テロ対策特措法に基づいて日本が燃料を提供するという場合は、あくまで、その艦艇はテロ対策特別措置法に基づく任務を行っていて、また、その任務のために使用するということで、それは切り分けができるということでございます。ある艦艇がその時点でどちらの任務についているか、あるいは、その燃料がどちらの任務のために使われるかということは切り分けは可能だ、こういうことでございます。
樋高委員 区分けは可能じゃありません。それがごまかしであり、まやかしであるというふうに申し上げているんです。
 要するに、テロ特措法によって派遣された日本の自衛隊が、実は、間接支援どころか、イラク戦争についてでありますけれども、テロ特措法に基づいて、まあ海の上のガソリンスタンドという表現もありましたけれども、給油所という表現もありましたけれども、事実上、イラクに向かって、その戦争に参加をしようとしている艦船に対して、日本は、日本の税金を使って無料で燃料を補給し、事実上、直接支援をしていたということにほかならないと思いますけれども、防衛庁長官、いかがでしょうか。
石破国務大臣 今副長官がお答えしたとおりでございまして、それをごまかしとおっしゃいますが、それをごまかしとおっしゃいますのは、私どもは、それは決めつけなのだろうと思っています。
 私どもは、アメリカ合衆国との間に交換公文を結んでおって、テロ特別措置法の目的以外には使わないということを、これは政府と政府の間で、外務大臣から出していただいておるわけでございますが、きちんと確認をしておるわけでございます。それが信用できない、ごまかしだとおっしゃるのは、それは委員のお考えで、委員の御見識としてそのようにここでおっしゃることは、それは当然御自由でございますが、私ども政府といたしましては、このことが交換公文によって担保をされておることによりまして、さらにそれが信頼性が増しておりますように、テロ特措法の目的に従ってこれが使われている、そのことを合衆国との間で私どもは交換公文で確認をしておる、これはごまかしでも何でもございません。事実、そのとおりだというふうに私どもは考えております。
樋高委員 それでは、交換公文に基づいて、いわゆるテロ特措法の法律の目的以外に使っていないということは、もしくは、米軍との信頼関係であるということ以外に、つまり、アメリカと約束をしている以外に、目的以外に使っていないと担保できる根拠はございませんか。ないということですか。
赤城副長官 これは、ちょっと別の観点からお答えしたいと思うんです。
 実際にどういうふうに給油活動を行うかということなんですが、実際の運用の仕方として、海上自衛隊が、不朽の自由作戦の運用部門からアメリカの中央艦隊補給部門を通じて給油の調整を受けて、同作戦に従事している艦艇に対して補給を実施するという、その部門を通じて、つまり、不朽の自由作戦運用部門からこれだけは補給してほしいということで調整をして補給をしているということで、実際の現場においても、その目的に沿って使用されるようにということを実際の運用場面でも担保しているところでございます。
 また、こちら側からだけでなく、米側との間でも、我が国がテロ対策特別措置法に基づき提供した艦船用燃料が同法の目的達成のためでない活動に使用されないことは、これは米側とも確認しております。過去にも委員会で答弁させていただいたとおりでございまして、米側とも目的以外には使用していないということを確認しておるということでございます。
樋高委員 同時に幾つかの任務を受けて、その時点で何に従事しているか、あるいは、その時点で何の業務を遂行しているのかということをうまく使い分けをして、その中でごまかしている、その中で、そもそも、本来やるべき目的、このテロ特措法にうたっている目的を私は逸脱しているんではないかという考えを持っているからお尋ねをしているわけなのであります。
 そもそも、このような事態になるということは、このテロ特措法ができたのは一年半前、一昨年の秋でありますけれども、そのときにはイラクがこういった情勢になるということは予想し得なかったから、新たな事態が生じてきたからちょっとおかしくなっちゃったというところが正直なんではないんでしょうか。したがって、今回、こういう事態を考えたときに、やはりそのような、二年前にはこういう事態は想定していなかったわけですから、このまま無責任に放置をして、ただ単に延長するということは私はおかしいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
赤城副長官 これは再々御説明いたしているように、これまで行ってきた燃料補給、これはあくまでテロ特別措置法の目的に沿ったものであり、そのことは交換公文、協議の場、さまざまな場を通じて確認もし、アメリカ側もそのことは十分承知しておる、そのように使用しておるということを確認してやっているわけでありまして、イラク戦争が起こったからといって、そこらに混乱が生じているということは全くございません。この切り分けは十分可能ですし、これまでもそのようにしてきたということはるる説明してきたとおりでございます。
 このテロ特別措置法の延長につきましては、これまで委員会で御説明してきておりますように、テロとの闘い、これがまだ続いているということで、その脅威を取り除くために各国が活動し、それに対して我が国が支援をしておるというわけでございまして、その支援、テロの脅威を取り除くという活動が引き続き必要であるということでこの延長をお願いしているというところでございます。
樋高委員 では、角度を変えます。イラク戦争に向かう途中の米艦艇、通過をしている、そのイラク沖に向かって航行している船に対していわゆる燃料の補給をするということは集団的自衛権の行使そのものに当たると私は思いますけれども、いかがでしょうか。防衛庁長官。
石破国務大臣 それは、先ほど官房長官からも答弁がございましたように、武力の行使にならなければ、あるいは自衛権の行使にならなければ、そもそも集団的自衛権の問題にはならないのでございます。
樋高委員 この問題、私も安全保障委員会の理事として何度も行ってまいりましたけれども、話が前へ進みませんので、次に進みたいと思います。
 まず、イラク支援法に基づく自衛隊の活動についても若干触れさせていただきたいというふうに思います。
 従来、各地に派遣されたPKO部隊、テロ特措法に基づく派遣部隊、幸い自衛隊員が死亡するというような事態には至らなかったのでありますけれども、その延長線上で、つまり、今まで大丈夫だったから今回も大丈夫だろうというような安易な考えでイラクに派遣をするということは、そもそも間違っているというふうに思います。イラク支援法の議論を振り返ってみますと、認識が甘いと感じられてならないわけであります。戦争は終わったとしても、今も現在、戦闘が続いている戦場へ日本が自衛隊を派遣することが余りに軽く論じられていると思えてならないのであります。
 今回のイラクの場合は、従来と全く異なった環境であります。戦闘地域、非戦闘地域の区別は、国会の論議やあるいは役所の定義とは関係なく、日々刻々と変化をしているわけであります。陸上自衛隊の方々とも若干議論をさせていただきましたけれども、装備品、装具の問題であります。我が国の環境下での使用を前提にされていて、著しく環境の異なるイラクにおいては、種々の不測のふぐあいが予想されるということであります。昨日も現地は摂氏五十度、そして砂あらしも舞っている地域もあるということのようであります。
 また、陸上部隊が行動する場合、訓練に裏打ちされていることが必要不可欠でありますけれども、全く未知の領域であって、訓練もなされていない。一方で、現地では、フセイン政権の残党だけではなくて、盗賊などのたぐいもかなり武装しているということであります。
 自衛隊の派遣については、やはり国家として確固たる覚悟を持って送り出さなくてはならない。その覚悟なしに派遣した場合、国際社会への貢献あるいは米国との友好関係の向上どころではなくて、国益を著しく損なう事態にもなってしまうのではないかと私は懸念をいたしております。
 環境の整備、私が申し上げたいのは三点でありますけれども、陸上部隊に限っての話でありますが、イラクに派遣をする場合は、やはり必要かつ十分な装備を携行させるということ、そして行動については、国際基準に基づいた軍隊としての行動を可能にするということ、そして自衛隊員に対しては、参加各国が適用しているように、いわゆる戦時処遇を十分に与えること、これらの環境を整備することが政治の責任であるというふうに思いますけれども、防衛庁長官、いかがでしょうか。
石破国務大臣 ごめんなさい。これは、先ほど委員がちょっと答えを聞かずに質問を終わられましたので、これは私のお願いでございますが、私の理解が悪いのかもしれませんが、自衛権の行使によらない集団的自衛権の行使というものが、もしそういう概念があるとすれば、ぜひどういうものかお教えをいただきまして、私の理解の足らざるところを御教示いただきたい、このように思っております。
 今のお尋ねでございますが、委員の御認識は私どもも同じように持っておるところでございます。もちろん五十度でございます。パウダー状の砂じんが舞っておるところでございます。それは、それに見合った装備を持っていかなければ、持っていっても何の役にも立ちません。それは、それに命を託す、あるいはそれをもって責務を果たす自衛官が一番よく知っておるところでございまして、いろいろな自己を守るために必要な装備品、あるいは人道支援のために必要な装備品につきまして、そういうような状況で使用が可能なのか否か、可能でないとすればどのようにすれば可能になるかというようなことを、当然、法案が通りましてから具体的に検討をすべきものでございますが、現在、庁内におきまして、いろいろな可能性を論議しておるところでございます。
 それから二点目の、国際基準に合わせよという御指摘でございますが、恐縮でございますが、これが国際基準というものがあれば、ぜひ御提示をいただきたいと思っております。
 私どもはよく、国際基準に到達しないようないいかげんな武器使用基準で自衛官を派遣するとはけしからぬという御指摘をいただきますが、私が知ります範囲におきまして、例えばPKOにおいて国連SOPというような、標準武器使用コードというものはございます。しかしながら、UNDOFでありますとかUNTACでありますとかUNMISETでありますとか、それぞれにまたそれと違う武器使用基準があり、なお各国のROEというものは公表されないということは委員御案内のとおりでございます。
 今般のような事態に際しまして、では、これが国際標準である、自衛隊の武器使用基準はこれにこれだけのものが足りないのである、よってこれを補うべきであるというような具体的な御提案があれば、ぜひ御教示をいただきたいというふうに思っております。
 私どもといたしましては、自分の身を守るために必要な、つまりこの法案第十七条に基づきまして、あるいは自衛隊法九十五条に基づきまして、憲法が許容します範囲、そして我々の行動として必要な範囲、この武器使用基準というものは考えております。そしてまた、それを可能にするようなルール・オブ・エンゲージメント、そしてまたそれを実際にできるような訓練、そういうものを施しまして、自衛官が、少なくとも、武器使用基準が十分でない、権限が与えられない、それによって不測の事態が生じたというようなことがないように、それは政府の責任であるという気持ちは明確に持っておるところでございます。こことここが足りない、したがってここを追加せよというような御議論があれば、ぜひ御教示をいただきたいと思っております。
 それから、これは私の聞き方が悪かったのかもしれませんが、戦時食、これは食べ物のことだと理解してよろしゅうございますか。(樋高委員「戦時処遇です」と呼ぶ)処遇ですか。処遇のことですか。処遇ですね。失礼をいたしました。聞き違いをいたしました。
 戦時処遇というものがどういうことなのか。例えば、不測の事態が生じたような場合にどのように遇するかということだといたしますならば、それは、仮にこのイラク特別措置法が国会においてお認めをいただきまして、自衛官がその法に従って行動をする、国会においてお決めをいただいた、国権の最高機関においてお決めをいただいた法に基づいて行動をし、そこにおいて不測の事態に遭遇をしたということになれば、それは国家として当然の処遇というものは必要だと考えております。
 私は、自衛官が今回仮にイラクに赴きますときに、必要なのは、国民が、国家がきちっと彼らの活動に対して理解をし、評価をし、そのことが一番必要なのだというふうに思っております。委員がそのようなお気持ちでこの質問をしていただいているというふうに思っておりますが、そのお気持ちに対しましては心から感謝を申し上げ、このことにつきましても万全を期してまいりたいと考えております。
樋高委員 確認でありますけれども、このイラク支援法が成立をして、その後、実施計画を定めるんだと思いますけれども、陸上部隊を派遣する可能性はあるのかないのか、改めて伺いたいのがまず一つと、それと同時に、私、心配しておりますのは、自衛隊員が劣化ウランで被曝する可能性があるのではないかということが私は心配でならないのであります。
 記者会見におきまして、米軍の幹部なんですけれども、公の場で、劣化ウラン弾を使用したと発表しております。戦場は劣化ウランに汚染をされている、これは事実のようでありますけれども、ウランで被曝する可能性は全くないということは、私、保証できないと思いますけれども、防衛庁長官、御見解を伺います。
石破国務大臣 お答えを申し上げます。
 陸上自衛隊の派遣があるかどうかというお尋ねでございます。これはまだ、きちんと確定をいたしておりません。いろいろな議論を行っておるところでございます。
 ただ、きょうは行かれた方もいらっしゃいますけれども、与党あるいは政府の調査団、多くの調査団が出ておりますが、例えば利便性、水ですとか電気ですとかあるいは下水でありますとか、そういうユーティリティーの確保、横文字を仮に使うといたしますとユーティリティーの確保等々において、あるいは、そのほか、陸上自衛隊でなければできないことというのがあるというふうに現在のところ考えております。
 陸上自衛隊が参りますことについて現在検討をいたしておりまして、それは何で自衛隊なんだという御指摘をいただくことがあります。でも、これは委員もよく御案内かと思いますが、戦争は終わっていない。主要な戦闘は終わったが、戦争は終わっていない。そして、これを戦闘行為と言うかどうかは別にいたしまして、治安状態はそんなによろしくない。温度は五十度。そして、水も出なければ電気もつかない、病院は満杯、下水はあふれている。そういうような状況にあって、だれが本当に国際社会から与えられた責務を果たすことができるんだろうか、陸上においてできるんだろうかということを考えましたときに、水も電気も食糧も住むところも、あるいは医療も自分でできる。そして、日ごろ訓練を積み、自己を守るために必要な権限、装備を与えられた陸上自衛隊以外にそれが果たせる者が何かほかにあれば、それは話はまた別でございます。私ども、ぎりぎり考えまして、それ以外にないというふうに考え、そしてユーティリティーということを申し上げさせていただいておるわけでございます。
 劣化ウラン弾について、米国は、イラクにおいて劣化ウラン弾を使用したということを申しておりません。しかしながら、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、この法律案にございますように、防衛庁長官は、隊員の安全というものに責任を負っておるわけでございます。その一環といたしまして、隊員が安全に職務が遂行できますように、多くの要素を考慮しながら、基本計画あるいは実施区域の設定というものをやってまいりたい、それが責務であると考えております。
樋高委員 記者会見で、米軍の幹部が公の場で言っているんです、劣化ウラン弾を使ったと。劣化ウラン弾で被曝した家屋、もしかしたらその撤収作業を自衛隊がやるかもしれない。また、それを運搬するという業務をやるかもしれない。また、劣化ウランの粒子を含んだ砂が風で舞い上がって、吸い込んで被曝してしまう可能性も私はあるというふうに思うから申し上げているんですが、いかがでしょうか。もう一回、お尋ねします。
石破国務大臣 これは、委員がどの記者会見を指しておられるか、ちょっと私、つまびらかではございませんが、米軍が、今回の対イラク軍事行動で劣化ウラン弾を使用したということについて明らかにしたとは、私ども、承知をいたしておらないところでございます。
 委員御指摘の米軍が明らかにしたということを私が存じないのかもしれませんけれども、何月何日にだれがこのような英文でもって明らかにしたということがあれば、御教示をいただければ幸いでございます。
樋高委員 また後ほど、その発言なさった方と日時については防衛庁長官にお伝えさせていただきたいと思います。
 不幸にして、この劣化ウラン弾に限らず、自衛隊員に犠牲者が出たといった場合は、政治の現場において一体だれが責任をとるのかということも私は考えなくてはいけないと思います。だれが責任をとるんですか。
石破国務大臣 先ほどお答えをいたしましたように、自衛官たちは何に基づいて行くのか、法治国家でございますから、当然法に基づいて参るわけでございます。そして、基本計画は閣議において決定をし、実施区域は防衛庁長官が総理大臣の承認をいただいて決し、そして、自衛隊が行くか行かないかの可否は国会においてお決めをいただく、これは事後承認という形でございますけれども。そういう形で、文民統制というものの担保を私どもとしてはこの法案において提案をいたしておるものでございます。
 しかしながら、どの地域で活動をするかということは、総理の御承認を得て防衛庁長官が決めます。そして、第九条に基づきまして、「内閣総理大臣及び防衛庁長官は、対応措置の実施に当たっては、その円滑かつ効果的な推進に努めるとともに、イラク復興支援職員及び自衛隊の部隊等の安全の確保に配慮しなければならない。」こういうような配慮義務があることも、第九条において委員御案内のとおりでございます。
 その場合に、だれが責任をとるんだということでございますが、それは、それぞれ決めたことにおいて、その人間が決めた責任というものがあろうかと思います。それは、私は、実施区域を決め、そしてまた安全確保の配慮義務というものを負っております。そのことについて、もしそれが万全でなかったとしたら、それはそれなりの責任を負わなくてはなりません。
 当然のことでございますが、非戦闘地域において、これは憲法上の要請に基づくものでございます。そして安全なところというのは、自衛官が訓練を積み、権限を与えられ、自己を守るための装備を有する、権限を有し装備を持っていく自衛官にとって安全なところという意味でございますけれども、そこにおいて何が発生するか、そういうことが発生しないように、これは万全のことを考える責任というものを政府としては負っております。それにもかかわらず不測の事態が生じたとするならば、それは何に基づくものであるのか、これはきちんきちんと考えていかなければいけません。
 だれが、何に基づいて、いかなる責任を負うのか、それは、責任を負うのが嫌だとか逃げるとか、そういう意味で申し上げておるわけではございません。しかし、責任をとるからには、何に基づいて責任をとるのだ、ただ責任をとるということですべてが片づくとは私は考えておりません。みずからが行ったことに誤りがあった、それは十分な責任を負う。当然のことだと思っております。
 自衛官の安全に責任を持つということがそんなに生易しいことだと私は思っていません。本当にこのことについて日夜自衛官の方々と議論をし、私がいつも申し上げているのは、私は自衛官ではない、プロの自衛官たちが実際に行ってみて、どこでなら何ができるのか、そういうことをきちんと自分たちで見てくださいと。そして、シビリアンコントロールというのは、それによって私が実施区域というものを判断し、そして国会において実施の可否について御承認をいただく、私はその仕組みをきちんと理解をしながら議論をしなければいけないものだと思っています。
 責任をとるのが嫌だとか、そのようなことを申し上げているわけではありません。そこについて、今委員がおっしゃったようなことも一つ一つきちんと検証しながら、自衛官たちが本当に誇りを持って行けるような環境をつくるために、与党であれ野党であれ議論をいただくということが肝要であり、説明責任を果たすことが政府の義務である、私はこのように考えておるところでございます。
    〔委員長退席、松下委員長代理着席〕
樋高委員 私が申し上げておりますのは、要するに、その覚悟の部分、防衛庁長官がきちっと覚悟を持って、自分が責任を持つから堂々とやってこいというふうに言われないと、自衛隊員の方々が本当に誇りと自信を持って正義のために向こうで従事をする、職務を遂行するということができないから申し上げているわけであります。
 でも、自衛隊員の方々は明確なそういった答えが、今も随分長くしゃべっていただきましたけれども、よくわからないのでありますが、自衛隊員の方々は、そうは言われても、命令があれば、本当に一生懸命職務を遂行しようと頑張られると思いますけれども、万一のことがあったときの政府の対応、責任のとり方にやはり重大な関心を持っている。
 それは、自衛隊員だけではなくて、国民が、そして歴史が持っているという、大きな責任が課せられているということをどうか認識していただいて、今後、私もまた引き続き責任を持って議論をしてまいりたいと思いますので、どうか、私も冒頭、前半申し上げましたけれども、集団的自衛権の解釈の見直しもひっくるめて、やはり議論を積極的に展開していただきたいということを強く申し上げまして、私の議論を終わりたいと思います。ありがとうございました。
松下委員長代理 次に、児玉健次君。
児玉委員 日本共産党の児玉健次です。
 私は、六月二十四日の本会議で、小泉首相に対して、このテロ特措法のもとでの自衛隊の活動の実態を国会に対しても国民にも明らかにしないまま法律を延長することは許されない、こういうふうに指摘をしました。長官も聞いていたと思う。その立場で、以下、若干の質問を具体的にします。
 その一、海上自衛隊のインド洋派遣で、民間技術者の派遣人数、派遣企業を明らかにしていただきたい。長官、どうですか。
赤城副長官 このテロ対策特別措置法に基づき派遣された自衛艦の修理を行うために派遣された民間企業の従業員の数ですが、七月十五日現在、延べ二十八名であります。
 なお、この企業名ということでございましたが、これは、当該企業の正当な利益等が害されるおそれがあるということで、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
児玉委員 八回、二十八名。もう一遍確認しましょう。私は回数と延べの人数を聞きたかったんだけれども、八回、二十八名ですね。
赤城副長官 そのとおりでございます。八回、二十八名でございます。
児玉委員 そこで、企業名を言えないということだけれども、昨年五月十七日の特別委員会の質問で、私は、東ティモールに物資輸送した輸送艦「おおすみ」について、技術者の派遣を聞いた。当時の防衛庁長官は明確に、三井造船五名、川崎重工二名と答えています。なぜ今回それが答えられないのか。危険の度合いが高いから答えられないのか、明確にしてほしい。
赤城副長官 修理につきましては民間企業にお願いするわけでありますけれども、一般的な修理については、通常は、保有する装備品、船舶、航空機の修理は、基本的にみずから行うけれども、その能力を超える高度な修理などにつきましては、民間企業と協議して、その合意を得た上で、契約に基づいて依頼する、民間企業との間の協議、合意、契約、そういう関係で成り立っているものでございますので、具体的な企業名を挙げるということは、先ほど申し上げましたように、その企業の正当な利益が害されるおそれがあるということで、相手方との関係もございます。そういうことでお答えを差し控えさせていただきたいということでございます。
児玉委員 防衛庁長官、私はあなたに聞きたいんだけれども、東ティモールのときは会社名を明らかにした。そのとき、今副大臣が言った、企業との取り交わした書面の中に、企業名を明らかにしていいと書いてあったのかどうか。そして、今回はそれがないのか。
 結局、これは民間との契約だということは私も承知している、その是非は別として。問題は、あなたたちが、PKOでは明らかにしたけれども、このテロ特措法のもとでは明らかにしない。それは危険度の違いから来ているのではないか、そう聞いているので、端的に答えてほしい。
赤城副長官 先ほどお答えいたしましたように、危険度の違いということではございませんで、これは相手方、民間企業と商行為、民間企業は商行為を行っているわけでございますし、私どもとの間では、依頼をし、協議をして、契約関係でこの修理をお願いしているわけでございます。
 したがいまして、個々の企業名が明らかになることによって、商行為を行っております民間企業の利益が害されるおそれがあるという、まさに相手方のあることでございますから、その点についてのお答えは差し控えさせていただきたいということで、危険度がどうこうという理由ではございません。
児玉委員 委員長もお聞きになっていておわかりだと思うけれども、それでは、東ティモールのときは、企業との民間契約の中で、企業名を明らかにしてよいという項目があったのかどうか聞きたい。
石破国務大臣 先ほど来副長官がお答えをしておるとおりでございますが、企業名を明らかにするかしないかということは、これは、こちらが明らかにしたい、あるいは向こうがしたくない、両方の意思が合致をしなければ、明らかにすることには相なりません。
 このことにつきまして今確認をいたさせておりますけれども、これは危険になったから明らかにしないのだということではなくて、明らかにする、しないということについてお互いの意思が一致をしなければ、これは明らかにすることにはならない。
 その理由について、それは危険だったのではないかということではございますが、それは、そういうことだとは私どもは認識をいたしておりません。今副長官が申しましたように、それは正当な利益が害されるおそれがある、したがって、これは明らかにしないということでございます。
児玉委員 長官、では、今のあなたの言葉で、契約を精査してみると言うから、私の質問が終わるまでにその部分を示してほしい。
 そこで、さらに聞きます。
 イージス艦「きりしま」の場合、ふぐあいと修理の内容を明らかにしていただきたい。作業は航海中に行われたか、それとも寄港地で行われたか、いずれであったか明らかにしてほしい。
赤城副長官 お答えいたします。
 イージス艦の修理につきましては、発電機用の原動機のふぐあい解消のために作業を行いました。寄港中の修理でございます。
児玉委員 その箇所ですが、「きりしま」の主エンジンであるガスタービンの下にある補機発電機の駆動歯車箱三基のうち一基のふぐあい、これを修理した、そう承知しているけれども、確認します。
赤城副長官 御指摘のとおり、このガスタービン主発電機の金属粉検知器に、補機駆動歯車箱にある軸受けの金属粉を発見したということでございます。
児玉委員 そこで、「きりしま」のガスタービンはアメリカのアリソン社です。日本での製造は石川島播磨が行っている。このときの派遣は七名、四名と三名のチームが同時に派遣されたと私は承知しているけれども、石川島播磨から派遣されたのではないか。イエスかノーか、答えてほしい。
赤城副長官 これは、先ほど来お答えいたしていますように、相手方との契約関係もございますし、個々の具体名、企業名についてはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
児玉委員 否定も肯定もしないということですか。
赤城副長官 企業名についてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
児玉委員 これも、冒頭言ったように、国会にも国民にも必要なことを明らかにしないまま、法律の方は延ばす、そういう態度の一部ですね。
 そこで、そういった民間技術者が差し出されている企業がどんな雰囲気なのか。ある日忽然として特定の技術者が姿を消す、そして何日か後、その技術者がまた職場にあらわれる。その間、どこに行って何をやったかということは、一言も話すことがない。その職場でどういうふうに言われているか。戦場出張という言葉が出ている、戦場に行かされていると。皆さんが民間の契約だと言うけれども、結果として、これは民間の技術者に対する苦役の強要になっている。
 そして、技術者の安全がどうかという点でいえば、昨年の質問のときも当時の防衛庁長官に私は指摘したけれども、川口さん帰ってきたので、あなたも承知しておいてほしいんだけれども、二〇〇二年の五月の八日、同じようにインド洋の軍艦に対する民間技術の提供のために、フランスの民間技術者九名がカラチで許しがたいテロによって命を失う、こういう事態があった。御承知だと思う。これらの民間技術者の安全を確保するために防衛庁はどのような方途を講じているのか、具体的に示していただきたい。
石破国務大臣 それは、今、戦時徴用とおっしゃいましたか、戦地出張とおっしゃった……(児玉委員「後者です」と呼ぶ)お言葉をお使いになったと思います。
 これは、法に基づいてこの船は出ておるわけでございます。それがふぐあいを起こしたとするならば、この法に基づいた我々の職務の執行というものができなくなります。その船のふぐあいを直すということは、この法を執行するために必要不可欠なものでございまして、それは戦地出張でも何でもございません。国会においてお認めいただいた我が国の責務、法に基づいた責務、これをきちんと果たすために行っているということでございます。
 どこに行ったかわからないということでございますが、例えば「きりしま」という御指摘が今あります。どの船がどこで修理を行っているかということを明らかにすることは、まさしく私どもの安全、技術者の安全、それを侵すことにほかなりません。そういうようなことで、公にできることとできないことがございます。
 そして、どのような安全確保措置をしておるかというお尋ねでございますが、それは、その船がどういう状況で修理をしているかということによって異なります。それがドックに入っているか、あるいは岸壁につながれているか、洋上で直す場合があるのか、それにおきまして、現地の治安当局の関係はそれぞれ異なるものでございます。
 この内容について明らかにすることはできませんけれども、それが洋上にある場合、ドックに入っておる場合、岸壁につながれている場合、それぞれ現地の治安当局との関係に基づきまして私どもは万全を期しておる、そのお答えで精いっぱいのところでございます。
児玉委員 精いっぱいの答弁は簡潔にしてほしいですね。
 あなたは、どの港に行ったかというのをわからない、示さないまま、安全とかなんとかということを議論することは、そもそも前提が成り立たないんですよ。シンガポールだったらどうなのか、ムンバイだったらどうか、カラチはどうか、それぞれの特徴があって、我々も調べればわかる。寄港地がどこかということを言わずに、安全のための努力をしていると。これでは国会の議論は成り立たない。
 私は具体的に指摘しましょう。「きりしま」の寄港した場所は、長官よく聞いておいてほしい、アラブ首長国連邦のフジャイラではないか。答弁を求めます。
石破国務大臣 それは申し上げられません。
 先生がお調べになってそうだとおっしゃるのは、それは御自由でございます。私どもは、テロリストというものをそんなになめてはいけないと思っています。テロリストが……(発言する者あり)国会議員はテロリストではございません。私ども政府として、そのようなことを明らかにすることは、この法をきちんと遂行するために適切ではないと考えております。
 それは、日本共産党がいろいろなルートでお調べになって、それはここではないかというふうに御指摘になりましたとしても、私どもとして、どこへ寄港し、どのような修理をしたかということをお答えすることは、まさしくそこにおいて民間人の方々の安全を確保することにもつながりません。私どもの法を執行し、目的を達成することにもつながりません。したがいまして、明らかにすることはいたしかねますということです。
児玉委員 この問題は、ちょっと事態を皆さんに見ていただきたい。(パネルを示す)この中で、フジャイラというのはここにある。そして、直近のところにホルムズ海峡があって、その沖のところがオマーン湾、ここでキティーホークに対する間接給油が行われたと私たちは承知している。このホルムズ湾を通り抜けると、すぐもうペルシャ湾です。イラクはここにあって、アフガンはここですから、どちらかというと、主たるテロ特措法の海上自衛隊の行動がインド洋本隊からぐっとイラクに移動している。これはこの寄港地の点からも明らかです。
 そして今、石破さんは、日本共産党の調査とおっしゃったけれども、我々は調査能力はそれほどないので、その点で言えば、むしろ皆さんたちの……(発言する者あり)ちょっと静かにさせてください。
松下委員長代理 どうぞお静かにお願いします。
児玉委員 もう私は具体的に言いましょう。ある全国紙の五月九日版、何て書いているか。五月八日の自民党総務会で、「テロ対策特別措置法に基づきインド洋などで活動している海上自衛隊のイージス艦の活動範囲をめぐり懸念の声が相次いだ。」自民党の中で。そして、山崎拓幹事長はいつどこに行ったか。この四月、五月の連休に与党三党の幹事長が出かけた。そして、こう言っているじゃないですか、「ドバイ近くのフジャイラにたまたま燃料補給でイージス艦が来ていたので激励した」。
 長官、これはミスリードですか。
石破国務大臣 政府として、どこの港に寄ったかということは、これは明らかにはしないということでございます。したがいまして、ミスリードであるともそうでもないとも申し上げられません。
児玉委員 ここは国権の最高機関である国会ですよ。そして、ある法律を延ばすかどうかと議論しているときに、なぜそのくらいのことが明らかにできないのか。何ですか、それは。これほど具体的に指摘している。長官、きちんと答えたらどうですか。
石破国務大臣 それは、この法をどのようにして運用し執行することが目的の達成に資するかどうかということが一番重要でございます。国権の最高機関に最大限の敬意を払うべきであるし、提供すべき情報を提供するのは、これは当然の責務であると私は考えます。
 しかしながら、隊員の生命あるいは民間人で修理をされる方の生命、そしてテロリストから我々の任務妨害を守るということ、そのことの優先性も考えていかなければいけません。そのことを開示いたしますことが、委員御指摘の、法案の審議を、例えば継続をお願いして審議をいただいております、そのことにおいて必要不可欠である、それは隊員の安全よりも優先をするのである、そういうようなことであれば、またそれは御議論としてあろうかと思いますが、私どもは、隊員の安全、任務の遂行の万全性等を考えましたときに、このことは開示をできないと申し上げておるのでございます。
児玉委員 客観的には、既にあなたたちの党の総務会の中で議論があって、そして、それは全国紙の報道を通じて周知のことになっている。それがなぜ国会で明らかにできないのかと厳しく言っておきましょう。
 そこで、依然としてフジャイラです。アメリカの海軍海上輸送軍団、略称MSC、公式の機関誌として「シーリフト」という印刷物を発表しています。これがそうです。「シーリフト」六月号です。この「シーリフト」の六月号にこういう写真が載っていた。委員長もよく見ていただきたいし、官房長官も見ていただきたい。写真の説明にこう書かれている。補給艦エリクソン(写真下部)、これですね。エリクソンの排水量は四万七百トン、長さ二百三メートルです。そのエリクソンに対して、日本海上自衛隊補給艦「ときわ」、八千百トン、長さ百六十七メートル、大きさが完全に違いますね。それが何をやっているか。こう書いてある。ペルシャ湾におけるイラクの自由作戦、英語ではオペレーション・イラク・フリーダムで給油を受けているところと明記されている。アフガンのテロ支援ではなくて、イラクに対する自由作戦で給油を受けているところとはっきり書かれている。私は、委員長にも見ていただきたいので、よろしければ、これを差し上げましょう。長官にも参考に差し上げましょう。
 明確じゃないですか。テロ特措法では何と言っているか。そこでは、もう誤解の余地なくこう言っていますね。九・一一に発生したテロリストによる攻撃、これによってもたらされている脅威の除去に努める、極めて限定的です。それでも私たちは、もちろんこの法律に反対をした。
 そして、さっき、副長官その他は、日米交換公文について言及した。ここに写しを持ってきている。はっきりこう書いているじゃありませんか。「後方支援の分野における物品又は役務を提供することができる旨を特に規定している」、ちょっと長いから一々読まないけれども、このテロ特別措置法に基づいてなされるということが誤解の余地なく交換公文でも明記されている。
 明らかにこれは、法を逸脱しているじゃありませんか。こんな状態でこの法律を延長することが許せますか。答えてほしい。
石破国務大臣 これは、委員御指摘になりましたホームページは訂正をされております。そのことは御存じのとおりでございます。
 これは、出ております写真は同じものでございますが、確かに委員が御指摘になりましたのには、イン・ザ・ペルシャン・ガルフ・デュアリング・オペレーション・イラク・フリーダム、こういうふうに書いてございます。訂正後はどうなっておるかといいますと、イン・ザ・ノーザン・アラビアン・シー・イン・マーチ・ツーオーオースリー、こういうことになっておるわけでございます。これは、アメリカのホームページにおきましても訂正をされておりますことをまず申し上げさせていただきたいと存じます。
 そして、これは実際はどういうことかと申しますと、まず第一点として、私ども海上自衛隊の補給艦が、ペルシャ湾におきまして、米海軍の艦艇に対しまして給油を実施したという事実はございません。したがいまして、委員御指摘のようなことはないわけでございます。アメリカにおきましてもこの間違いに気がつきまして、そのようにホームページを訂正いたしておるということでございます。
 現在、インド洋北部におきまして、米英軍に対しまして艦船用燃料の補給を実施しておりますが、そのことがテロ対策特別措置法の目的にかなったものであるということは再三申し上げておるとおりでございます。
    〔松下委員長代理退席、委員長着席〕
児玉委員 事柄は、やはり事実に即してやらなきゃいけない。委員長、見ていただいたらわかるけれども、これはホームページではありません。「シーリフト」というアメリカの海上輸送軍団の正規の機関誌です。そして、その正規の機関誌の中のこの部分は何て書いてあるか。私たちの仮訳によれば、こう書いてあります。エリクソンの乗組員は、イラクの自由作戦のための増強が開始されたときに戦闘行動のただ中におり、海軍艦船はペルシャ湾地域に殺到した。エリクソンの支援任務は、燃料切れ状態で海域に到着する艦船が増加する一方の状況で、二倍にも、最終的には三倍にもなった。エリクソンは、三月二十日、イラク攻撃が始まったときには、強襲揚陸部隊を支援してペルシャ湾の最も北部にいた。
 ホームページじゃありませんよ。機関誌の中のこの部分の記載です。これはもう活字になっているので、ホームページをいじくるなんというようなことはできはしない。どうですか。
石破国務大臣 正確に申し上げます。機関誌のホームページ版を見ればということを申し上げております。
 この機関誌は、常に、先生も御案内のとおりでございますが、ホームページ上にも載っております。ホームページと申し上げましたのは、「シーリフト」が機関誌であることは私もよく存じ上げておりますが、この「シーリフト」という機関誌のホームページ版において、そのような記述が訂正をされたということを申し上げておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、私どもが法に反した給油を行っておるという事実はございませんし、ペルシャ湾でこのような給油を行ったということもございません。そして、交換公文によりまして、この法の目的というものはアメリカも理解をし、それは担保をされておるということを先ほど来申し上げておるところでございます。
児玉委員 この委員会の同僚諸君はよく記憶なさっていると思う。キティーホークに対する間接給油のとき、あのときも、日本政府はホームページの変更ということを言った。同じことを今二度繰り返しているんですね。(発言する者あり)そう。この本文は変えられないんですよ。これがミスリードだといって七月号に出てくるかどうか、そこのところははっきりしているので。
 私は、長官、別の角度で今の点を聞きたいんだけれども、防衛庁に対して、さまざまな艦船ではなくて、先ほども同僚議員がお聞きになったけれども、この間、アメリカ軍に限定して、何月、何回、幾らの給油をしたかという資料を要求した。六月二十六日現在のものをわざわざつくって持ってきてくれた。そして、この委員会で随分議論になったキティーホークに対する給油、二月の二十五日だったということをあなたたちは私たちに資料としてお示しになった。二月二十五日、キティーホークに給油した給油艦に八十万ガロンの給油、こういうふうにあの防衛庁の資料で明らかになった。
 そこで、私は聞きたいんだけれども、二〇〇三年、平成十五年三月五回、給油約二億円、四月五回、米軍への給油二億円、五月十回、給油二億円、六月四回、約一億円、この中のどの月に属しているか、明らかにしてほしい。
石破国務大臣 恐縮ですが、お尋ねの趣旨がちょっとよく理解できません。私どもが何月に何回補給をしたかということをお示ししておりますが、そのこと以上に何の資料をお求めでいらっしゃいますか。
児玉委員 聞けばわかるじゃないですか。先ほどの、この給油の行動は、あなたたちの資料の平成十五年三月から六月までの中のどの部分で行われたかということを答えていただきたい。
石破国務大臣 私がわかりませんと申し上げたのは、キティーホークとおっしゃりながら、この写真をお示しになっておられます。これはキティーホークではございません。これであれば、「イン・マーチ・ツーオーオースリー」ということになっておりますから、三月でございます。
児玉委員 三月であるという点ははっきりさせておきましょう。
 そこで、委員長に求めたいんですが、これはテロ特措法の施行にかかわる根本的な問題です。今まで政府は、例えば、ある艦船に対して日本の給油艦が給油をした、そのとき複数の任務についていた、アフガン支援の任務とイラク戦争の任務についていた、そのいずれにもついているんだから云々という弁明をしたこともあるし、さまざまですが、少なくとも、この六月号の「シーリフト」が明記しているところによれば、イラク・フリーダムの作戦に単数に参加しているわけだから、日時、そして給油量、どの場所で、この点を本委員会理事会に報告するように、委員長、計らっていただきたい。いかがですか。
高村委員長 理事会で協議します。
児玉委員 では、そのように速やかにしていただきたい。
 そこで、官房長官が帰ってみえたから、官房長官に聞きたい。二つ目の問題です。
 報復戦争によってテロの土壌がなくなったか否か、これが厳しく検証される必要があります。そのことを抜きにしてテロ特措法の延長の可否は論議できません。あなたたちがテロの脅威を除去するためにと言ってこれをやったんだけれども、一昨日の論議もそうだったし、きょうの論議もそうですが、テロの土壌がなくなったのかどうか、これ抜きには議論はできない。そして、その点で、私は今度は長官と川口外務大臣に聞いていきたいんだけれども、日本国内ではさまざまな議論がされています。先ほども、べた記事だというお話があった。ところが、アメリカの議論の中では相当な量の報道がなされています。
 例えば、最近のものでいえば、六月十六日のワシントン・ポスト、そこで、ブッシュ大統領のテロ対策部門の最近まで筆頭補佐官であったランド・ビアーズ氏が、この種の発言をしています。そこの中で、例えばビアーズ氏はこう言っている。ブッシュ政権の行為、これは報復戦争のことです。ブッシュ政権の行為は、米国民をより危険な状況に追い込んでいる。テロリストは、アフガン全土をたやすく移動できる。オサマ・ビンラディンはアフガニスタンのほとんどすべての箇所にあらわれ得る。テロ対策の筆頭、トップアドバイザーがこう言った上で、こうも言っている。ブッシュ政権は、テロの土壌にねらいを定めることに失敗していると。これを読んでいて、私が非常に興味があったのは、テロの土壌というのを何と英語で言っているか。ザ・ルート・コージズ・オブ・テロだと言っている。まさにテロの土壌ですね。そこにねらいを定めることに失敗していると。
 福田長官、アフガンの現状をあなたはどのように認識していますか。
福田国務大臣 アフガンの現状については、今までいろいろと外務大臣からも御説明申し上げているとおりでございますけれども、国際テロの撲滅には、米軍によるアルカイダ掃討作戦の遂行とともに、幅広い分野において国際社会が緊密に協調してあらゆる手段を講じていくことが重要であると考えております。
 我が国も、テロ対策特措法に基づく支援だけでありません。テロ関連情報の収集、またテロ資金対策等々、諸外国との協力関係を強化しながら、引き続いて主体的に取り組んでいく、こういう考え方をしております。
児玉委員 福田長官、私がお聞きしたいのは何かというと、アフガンの現状をあなたはどう認識なさっているかという点です。
福田国務大臣 ですから、今申し上げましたとおり、アフガンの現状については、外務大臣から説明していると思います。私の認識もそのとおりでございます。
児玉委員 ところが、アメリカ国内で、ブッシュ大統領のトップアドバイザーがさっき述べたように言っているんです。そして、これも最近出た、アメリカの有力なシンクタンクである外交問題評議会、アジア協会、そこがかなり大部のレポートを出しました。相当のページ数になります。
 読んでみた。何と言っているか。タリバンの敗北から一年半、アフガニスタンは、だんだんと治安の悪い国になってきている。状況は悪化している云々と。そういう中で……(発言する者あり)いい言葉を聞いたけれども、一年十カ月やってこの状態だということは、テロ特が誤った道を歩んだということを示している。
 その点でも私は、私たちでなくてアメリカの識者の言い方、例えばジェームズ・キャロル氏は、アフガンにタリバン政権崩壊後に入って、こう言っている。我々の誤りは、最大は何だったか。九・一一のテロ攻撃は、戦争行為ではなく、犯罪行為として定義できたはずだ。そうすることによって、迅速で力強い警察的な対応が可能であった。戦争ではなく、警察行動である。相手は、貧しい国の国民ではなく、テロの犯罪者こそ罰を受けなければならない。私は、これは的確な指摘だと思う。
 そこで、外務大臣に聞きたい。
 外務大臣、日本の国連大使が国連総会で日本政府を代表して演説するとき、演説内容は本省の訓令を受けますか。
川口国務大臣 受けて行います。
児玉委員 今述べたジェームズ・キャロル氏の指摘との関連で、私が振り返って非常に今注目しているのは、二〇〇一年十月二日、九・一一の直後ですね、第五十六回国連総会で、国連日本政府代表部佐藤行雄大使は、どのような演説を日本政府を代表して行ったか。これも、外務省からそのままテキストをいただきました。
 佐藤大使はこう述べている。「我々のテロリズムとの闘いは、広範かつ多岐にわたる分野で行われなければなりませんが、テロリズムの実行者、組織者及び支援者はもとより、テロリストを援助し、支持し若しくは匿う者を法の裁きに服さしめるために、より効果的な国際的な法的枠組みを創設することは国連総会の厳粛な責任です。」こう演説していますね。
 川口大臣、この方向で、日本政府はその後、どのような努力をなさったか、具体的に示していただきたい。
川口国務大臣 おっしゃった佐藤大使の演説というのは、恐らくウサマ・ビンラーデン等について言ったのではないかというふうに思いますけれども、国際的なテロ事件、これに対応していく、あるいはこれに処罰を与えるために特別の国際法廷を設置するという考え方というのは、これはあり得るというふうに思います。
 ただ、国際的なテロ行為について、国際社会としては、その犯人が最終的にはいずれかの国の国内法廷で処罰をし得るよう、協力の枠組みを構築してきたという経緯がございます。そして、このウサマ・ビンラーデン、捕まってもおりませんけれども、あるいは、今回の同時多発テロについては、現段階で特別の国際法廷の設置をするという必要が生じているというふうに我々は考えておりません。
児玉委員 そうすると、外務大臣はこの十月二日の段階で、当時、川口さんは確かに外務大臣ではなかった、田中真紀子さんだった。あなたの大使が、「テロリズムの実行者、組織者及び支援者はもとより、テロリストを援助し、支持し若しくは匿う者を法の裁きに服さしめる」、今あなたは国内法でと言ったけれども、ちょっと私は、外務大臣としてそれは見当外れだと思う。
 例えば、ユーゴの元大統領ミロシェビッチ、国連安保理事会が人道に対する罪で訴追したのが一九九三年五月のことです。彼が逮捕されたのは二〇〇一年の四月一日です。九三年に訴追されて、逮捕されたのは四月一日、オランダ・ハーグに移送されたのが六月二十九日で、その後、この法廷では五十名を超える検察側証人が出ている。米国駐ユーゴ大使ウォーレン・チマーマン氏も証人として出廷していますね。この裁判は確実に進行しています。その道を、日本政府としては、佐藤大使が大きな方向で提起したように努力をすべきではないか。
 テロも戦争も許さないというのが、この九・一一からアフガン戦争、イラク戦争の中での世界の多くの方々の共通の声です。テロも戦争も許さない、ではどうしたらいいか。それは、国際正義の旗のもとに、国際司法、国際警察、その緊密な協力でなければテロの土壌はなくならない、そのことを私は改めて強調して、きょうの質問を終わります。ありがとうございました。
高村委員長 次に、今川正美君。
今川委員 社会民主党・市民連合の今川正美です。
 私は、きょうはテロ特措法の関連で質問をいたしますけれども、その前に、一点だけ石破防衛庁長官に、今月三日の当委員会での質疑の中で、いわゆるこのイラク特措法で言うところの戦闘行為の定義をめぐって、改めて再確認をしておきたいことがあるんです。
 長官は、いわゆるこの戦闘行為の定義をめぐって、私の質問に対して、例えば、かつての中国での内戦とかベトナム戦争における南ベトナムの解放戦線、この事例を示したところ、石破長官は、「全く国際性がなく、」とおっしゃっています。それから、組織性、計画性、継続性が明らかではない、つまり、「国または国に準ずる組織の意思に基づいて遂行されておるとは認められない、よって戦闘行為ではない」とおっしゃったんですね。
 あのベトナム戦争を例にとりますと、米軍それから南ベトナム政府軍、これと戦う解放戦線、双方に数万人規模の死者が出たんですね。しかし、あなたの説明による限り、あれは戦闘行為には至らない、戦闘行為ではないというふうになってしまうんですね。これはもう国際的な常識の範囲をはるかに超えていますよ。
 そこで、私は、このイラクの情勢に関して一つだけ具体的な事例をお示ししますので、戦闘行為の定義をめぐってお答えをいただきたいのですが、一つは、今月の八日に、毎日新聞のインタビューに応じて、バグダッド周辺で米軍へのゲリラ攻撃を続ける武装集団のうち最大級とされる組織の幹部にインタビューしていますね。
 そこでは、「幹部によると、米軍攻撃にはイラク最大の部族「ドレイミ族」が組織的に加わっている。イスラム教スンニ派のドレイミ族は、バグダッドの西約九十キロの町ラマディが拠点。」であるとされています。そして、「我々の多くは反フセインで蜂起した経験がある。また、イスラム主義よりも民族主義の立場に立っており、「テロリスト」ではない」と強調している。そうした上で、「日本の自衛隊がイラクに来て米軍に協力すれば、占領軍とみなし、攻撃対象にする」と明言しているわけですね。いいですか。
 今、バグダッドや地方都市の中でも米軍が最大の標的にされています。これは、政府がよく答弁しているような強盗、野盗のたぐいとは違うわけですね。武装集団が極めて組織的に、計画的に米軍を攻撃している。つい先般も、米中央軍の司令官が、今イラク全土は事実上ゲリラ戦状態にあるということを率直にお認めになっています。
 そうした場合に、今のイラクの状況で、戦闘地域か非戦闘地域かという、言葉の遊びじゃなくて、そういう、しかし、石破長官の説明による限り、今申し上げたドレイミ族などが組織的に加わっているゲリラ攻撃というのは戦闘行為にはならないんですか、いかがですか。
石破国務大臣 お答えを申し上げます。
 繰り返して申し上げますが、戦闘行為とは何か、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し物を破壊する行為、これは、正しい、間違っているとかいう話ではございません。これは、我が日本政府がこのように定義をしておるということでございます。それでは、国際的な武力紛争とは何ですか、こう言いますと、国または国に準ずる組織の間において生ずる一国の国内問題にとどまらない武力を用いた争いということです。
 要は、何が申し上げたいかといいますと、戦闘行為、あるいは非戦闘地域において行われなければいけない、そのような言葉をきちんきちんとやっておりますのは、委員のお言葉を返してまことに恐縮ですが、言葉の遊びをしているわけではありません。日本国が憲法第九条というものの趣旨を守るために、法的に、制度的にそれを担保するために、非戦闘地域という概念を用い、そして戦闘行為という言葉を使い、日本国が海外において武力を行使したという評価を受けないために細心の注意を払っているものでございます。
 仮に、国内において、あくまで国内においてとどまる部族間同士の争い、それを国際紛争と言うかといえば、それは言わないでしょう。あくまで国内のみにとどまる、例えば、以前、何とか族とかんとか族というものの争いがございました。それは、少なくとも国際的な武力紛争とは言わないはずでございます。
 私ども日本国がそのようなものに加担をしてはならない、国際紛争に巻き込まれるようなこと、あるいは、国際紛争の当事者として評価をされるようなこと、日本国が海外において武力の行使をしたというようなことの評価を受けないようにしなければならない、そういうことを私は申し上げておるわけでございます。
今川委員 いや、私が今具体的に、毎日新聞がインタビューをしたという、現に今米軍がゲリラ攻撃を受けている、その武装集団の最大級の組織の幹部と言ったんです。そういう武装集団が日々米軍を襲撃し、一日平均二人ほどの米兵が命をなくしている。こういう現実の行為は戦闘行為とは呼ばないんですか、定義しないんですかと聞いているんです。
石破国務大臣 それは、以前からお答えをしておりますように、あくまで例示ではございますが、例えば、フセイン政権再興というものを夢想して、夢見て、バース党再興、フセイン政権もう一度みたいなことで、組織性を持ち、計画性を持って、継続性を持って武力の行使を行うような、そういうような集団があるとするならば、それは戦闘行為であることを否定しませんということを私は以前から答弁を申し上げております。
 それは、すべてそういうものは全く排除されるとかされないとか、この場合にはどうだ、この場合にはどうだということを今ここでそれぞれ場合分けをして議論することが、それほど有益なことだとは私は思っていません。
 要は、我が国が、憲法に禁じられている武力の行使、国際的な武力紛争、その一環としての武力の行使、そのことに当事者たり得ない、その当事者にならない、我が国は武力の行使をしない、そういうようなことのために、私どもは条文をきちんと組み立て、そして運用はそのとおりでなければいけない、そういうことを申し上げておるわけでございます。
今川委員 例えば、今申し上げたように、我が国政府としては、自衛隊を派遣するに当たって、長官が何度もおっしゃるように、非戦闘地域というふうに十分確定をしたつもりで入っていく。ところが、米軍をいろいろな形で支援するわけですから、水の補給だとか、そうした場合に、今申し上げるその武装組織の幹部が言うには、日本の自衛隊がイラクに来て米軍に協力すれば、占領軍とみなして攻撃対象にすると明言しているわけですから。今の今まで、行ってテントを張るまでは、駐屯するまでは非戦闘地域だったかもしれないところが、武装組織から攻撃を受ければ、それは戦闘行為であり、一転して戦闘地域に変化するのではないんですか。
 あらかじめ、こことここは非戦闘地域だという線引きなど、現実を直視する限り、できないのではないか。自衛隊が派遣されるところは非戦闘地域という、そういう非現実的な話じゃないです。米軍だって、最初は非戦闘地域と見られるところにテントを張り、駐屯した途端に攻撃の対象になれば、現実に攻撃を受けているわけですから、それはもう既に戦闘地域に変化をするわけでしょう。いかがですか。
石破国務大臣 これは、この法案の審議以来、何度も私は申し上げておることでございます。戦闘地域でないところで活動しなければならないということが条文には書いてございます。つまり、それは、憲法九条の趣旨をきちんと生かすために、我々が活動するのは戦闘地域でないところ、非戦闘地域でなければいけないということを、制度的に、法的に担保しておるのがこの条文でございます。
 これは、私は、日本国憲法に対して誠実であろうと思えばあろうと思うほど、この条文というものは必要なものだ、憲法を守らねばならないということであれば、この条文は政府として誠実に設けたものだというふうに考えておりまして、線引きをするということを私は申し上げたことはありません。イラクという日本の一・二倍の国土において、はい、ここは戦闘地域、はい、ここは非戦闘地域、そういうふうに線引きができる、私はそのようなことは考えておりません。法的に、制度的に担保する概念であるという答弁を申し上げておるところでございます。
 他方、非戦闘地域ということと戦闘地域ということを概念で考えましたときに、それは、危ないところなのか危なくないところなのかという概念とぴったりと重なるものではないという答弁も何度かいたしております。それは、先ほどどなたかにも答弁を申し上げましたが、防衛庁長官は、自衛隊員の活動に対して安全であるように配慮するという責務を負っております。そのことも充足をしていきながら、実施区域というものを決めていくわけでございます。
 非戦闘地域でなければいけないという法的な概念というものを担保しつつ、安全確保義務、それは、一般人においても安全である、何の訓練も受けない人が行って安全であるということではなくて、きちんと訓練を受け、そしてまた権限を与えられ、装備を持ったそういう者において安全が確保される地域というのを選ばなければいけない。そういう意味で、委員のおっしゃるような、まさしくそういうことになったとするならば――ただ、毎日新聞のインタビューにお答えになった二十何歳かの司令官のおっしゃることが全部正しいかどうかはわかりません。それは、我々が行き、きちんと政府として判断をするものでございますが、危険を避けるという安全配慮義務というものも私ども政府としては負っておるということを御理解いただきたいと存じます。
今川委員 この法案に、イラク特措法案の中で、戦闘行為とは何かという定義があるから、危ないか危なくないかということも大事なんだけれども、少なくとも、お言葉を返すようだけれども、我が国の憲法に忠実であろうとするなら、いかなる理由であれ、自衛隊を海外派遣できませんよ。そうでしょうが。憲法に忠実であろうとすればできないんです。しかし、まず日米のトップが自衛隊派遣をやりますと約束してしまった以上、国際約束ですよ。そこが最初に出てしまったものだから、憲法に照らせば矛盾だらけです。つまり、戦闘地域というのは戦闘行為が行われている地域なわけだから、戦闘行為とは何かということをしつこいほどにお尋ねしているんです。
 これは、フセイン政権の残存勢力であれ、反フセイン派のさまざまな武装集団であれ、これが米軍もしくはそれを支援する自衛隊に襲いかかってくる、極めて組織的、計画的にやってくるわけですね。これを、だから、今あなたの説明によると、戦闘行為ではありませんと言っているわけでしょう。こんなばかな、国際常識を超えるような、非常識的なことがありますかと言っているんです。
石破国務大臣 憲法に忠実であろうとするならばそもそも行くなというお話になりますが、そうしますとPKOにも行けないということになるはずでございます。それは、ですから、社会民主党として、PKO法も憲法違反である、したがって我々はPKO自体も反対である、こうおっしゃるのであれば、それはすべて理屈として通ったお話でございます。私は、不勉強でございまして、社会民主党がPKO法にも反対であるということを失念いたしておりました。それはお許しをいただきたいと存じます。
 そういたしますと、私どもが考えておりますのは、海外において日本国が武力の行使をしてはいけない、これが憲法九条の趣旨でございます。PKOにいたしましても、テロ特措法にいたしましても、あるいはこのイラク特措法にいたしましても、武器の使用ということは認めておりますが、武力の行使というものは一切認めておりません。そして、武力の行使というのは、先ほど来るる申し上げておりますように、国際紛争の一環としての武力の行使ということを申し上げておるわけでございます。それができないようにこの法律はできておりますし、実際にこれが組織的、計画的な国または国に準ずる者の、それが国際性は仮にないといたしましても、そういうようなことは安全確保義務に反するわけでございます。
 同時に、これが、何度か議論がございましたが、ではその人間が国または国に準ずる者であり、国際的な武力紛争の当事者であるかどうか、そんなことは現場で判断できるわけがないだろう、それは確かにそういう面はございます。我々がいろいろな基準を現場に提示いたしましたとしても、それはわからないことが多いです。最終的に判断をしますのは、そういう場合には、活動を一時休止し、危険を回避し、防衛庁長官の実施区域の変更その他の指示を待つというふうなのが条文の仕組みでございます。
 判断をするのは、最終的に防衛庁長官が判断をすることになりますが、そういう場合には、いずれにいたしましても謙抑的に、そういう事態を回避しつつ安全を確保し、そしてまた一時休止をする、そういうような行動をとることになります。したがいまして、私どもが武力の行使、あるいはそのように評価をされるようなことにはならない、そういうふうに運用をいたしてまいりたいと考えております。
今川委員 もう一度お聞きしたい。
 いいですか、まだ今は派遣されていませんけれども、仮にこの法が成立をして、それに基づいて自衛隊を派遣するとします。米軍や自衛隊に反フセイン派の武装組織がまさしく組織的に、計画的に攻撃を加える、これは戦闘行為と呼べるんですか。
石破国務大臣 今おっしゃいましたのは、例えば毎日新聞のインタビューあるいは米軍の現地司令官の発言でございます。
 これは、ずっとこの答弁で申し上げておりますように、政府といたしましては、我が国として主体的な判断、だれがこう言っているからとかそういうことではなくて、私どもとしていろいろな情報は得ます。いろいろな意見交換もいたします。しかしながら、実際に行く人たちが、日本国としてどのように判断するか。そして、シビリアンコントロールとして基本計画を閣議で決定し、そして実施の区域を総理の御承認のもとに防衛庁長官が定めるという中におきまして決めることになります。
 したがって、どこがどう、どこがこうということを申し上げるのは必ずしも適切ではございませんが、しかし、委員御指摘のように、本当にフセインのバース党政権の復活をねらい、組織的、計画的に米軍に対して攻撃をしかけておる、そういうような行動が行われているところは、戦闘地域、少なくとも非戦闘地域ではないという評価を受けることはあり得ます。そしてまた、そういうところが、条文に定めますところの安全に対する防衛庁長官の義務ということを履行したことにならない、そういうところになる可能性は、私は否定はいたしません。
 したがいまして、今委員がおっしゃるような地域において活動しないことがあるということを私は決して否定をいたしませんが、その地域がどういうところなのかということは、実際に我が国が主体的に判断をする、そのための材料もきちんと我々は把握をしなければいけないと思っております。
今川委員 これだけで時間を費やそうと思わないんですが、答えがずれているんです。私は、戦闘地域か否かということを聞いているんじゃないんですよ。
 今申し上げたのは、あなたはバース党の元党員たちがまたもう一度フセイン政権をよみがえらせたいとかおっしゃっているけれども、だからあえて私は、反フセイン派の武装組織が米軍などを攻撃しているじゃないですか、そのこと自体が戦闘行為に当たるのかどうか。
 つまり、もう一度言いますよ。この法案による定義あるいは政府の説明によれば、簡単に言いますと、国際性の問題、それから組織的、計画的であるか、いま一つは国及び国に準ずる者であるかどうか、大きくこの三つの基準を設けられているわけですね。ですから、今申し上げたような反フセイン派の武装組織が米軍を襲撃した、攻撃を加えたということは、今申し上げた大きく三つの判断基準からして戦闘行為と呼べるのかどうか、三つのうちの一つでも満たせば戦闘行為というのか、三つとも要件を満たさなければ戦闘行為ではありませんというのか、そこだけをお答えください。戦闘地域がああだこうだとは聞いていないんです。
石破国務大臣 戦闘地域とは戦闘行為が行われている場所のことでございます。そして、委員が幾つか今おっしゃいました、組織性、計画性であるとか、国際性でありますとか、継続性でありますとか、そういうことを、では、どれか一つでも欠けたらだめなのかとか、そういうことを今ここで申し上げることは適切だと私は思いません。これは総合的に判断をするものだということは、決していいかげんなことを申し上げているわけではなくて、要は、我が国として武力の行使を海外において行ったというふうな評価を受けない、そのことが一番肝要だと私は思っております。
 あわせまして、隊員の安全に対して配慮する義務ということをきちんと防衛庁長官として果たしたかということが、あわせて肝要なことだというふうに考えておるわけでございます。
 それは総合的に判断をすることになりますので、今それはどうなのだというふうに御判断を求められても、お答えをいたしかねるゆえんでございます。
今川委員 長官、とんでもないですよ。この法律が成立した前提で物を言います。今から自衛官を派遣する、今おっしゃるとおり、憲法は武力による威嚇も武力行使もかたく禁じているわけですから、そういうものが想定される地域に派遣できないのは当たり前です。問題は、戦闘行為が行われている地域というから、その戦闘行為とは何かという一番肝心かなめの、このイラク特措法案の定義の一番基本になるところでしょうが。その戦闘行為とは何ぞやということを今問いました。
 繰り返しますけれども、あなた方が説明しているんですよ、国際性の基準、それから組織的、計画的であるか、それともう一つはそういう武装組織が国もしくは国に準ずる者であるのかどうか、この三つの説明を何度も聞くものですから、今言うように、米軍を日々攻撃している、襲撃している武装集団の行為を戦闘行為と認めるのかどうかということを聞いているんです。いま一度。
石破国務大臣 何度も同じことを申し上げて恐縮ですが、戦闘行為とは国際的な武力紛争の一環としてと申し上げております。だから、それに評価を受けるか受けないかということです。そして、私は、その場になってみなきゃわからないとか、そんないいかげんなことを申し上げているわけではございません。このことは極めて厳格、あるいは、言葉をかえれば謙抑的になされるべきものだというふうに考えております。
 例えば、委員も条文を御案内かと思いますけれども、第八条をごらんいただければ、例えば「当該活動を実施している場所の近傍」、近くですね。「近傍において、戦闘行為が行われるに至った場合又は付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合には、当該活動の実施を一時休止し又は避難するなどして当該戦闘行為による危険を回避しつつ、前項の規定による措置」、すなわち、防衛庁長官による実施区域の変更でございます。あるいは活動の中断でございます。その「前項の規定による措置を待つものとする。」こういう条文をつくってございます。
 これは、実際にそういうことに遭遇したということではなくて、近傍において、近くにおいて行われる、あるいは周りの状況に照らしてそのような戦闘行為が行われることが予測される、そういう場合には、実施を一時休止し、または避難するなどして防衛庁長官による指示を待つ、措置を待つということになっておる。そういうことにならないように、ならないようにということでこの条文はつくってございます。
 戦闘行為というのは、今申し上げたような定義以外のものは我が国としてございません。これは、憲法九条の要請を満たしますために、この戦闘行為というものを設けております。これがどうなのかわからない、強盗、野盗のたぐいなのか、あるいはバース党の再興なのか、あるいは委員おっしゃいますように反フセイン勢力なのか、しかし、それがどうなのかわからないという場合には、やはりそれは、この条文の趣旨に照らしまして、一時休止する、避難する、そして判断を待つということになるわけでございます。
 私どもは私どもとして、日本国政府として、日本国が武力の行使をした、そのような評価を受けないために、幾重にもこの法案におきましてそのような措置を講じておる。どうか御理解をいただきたいと存じます。
今川委員 いや、もうこの問題はやめますよ。石破長官は本当は、本音では、あなたは非常に勉強家でもあり非常に詳しいから、今の御答弁とは違う言葉が国会の外では出てくるはずですよ。
 一番肝心のところなんです。あのベトナム戦争は、米軍や南ベトナム政府や解放戦線との間のまさに戦争であり戦闘行為そのものなのに、戦闘行為ではないというびっくりするような解釈が出てくる。組織性、計画性があったとしても、国際的武力紛争の一環でなければ戦闘行為とは認めない、あるいは、国に準ずる者ではない限り、どんなに激しい戦闘行為であっても我が国政府としては戦闘行為とは定義しない、そういうでたらめな定義の置き方で自衛官を派遣するんですか。とんでもないです。
 もうあと時間が十五分ほどしかありませんから、テロ特措法に関して、まず私の考えを少し述べさせていだだいて、具体的な質問を行いたいと思います。
 やがて、敗戦五十八周年を迎えます。これほど平和で豊かなこの日本で、戦争の是非がこれほど鋭く問われる局面に遭遇しようとは私は思いませんでした。九・一一米国テロ事件を契機としたアフガン報復戦争とこのたびのイラク戦争において、多くの国民世論や世界の世論は反対したんです。にもかかわらず小泉内閣は、これら不法な戦争を支持してしまいました。私たちは、混迷する状況の中で、折に触れ過去の歴史の原点に立ち返る必要性があると思う。
 世界にもまれな戦争放棄をうたう我が国の憲法です。その憲法の趣旨に反して創設された自衛隊。しかし、今は国民の七割以上の合意を得て、アジア諸国の警戒心を払拭したのは、言うまでもなく、専守防衛、海外派兵禁止という基本原則があったからではありませんか。アフガンやイラク戦争で専ら米国におもねて自衛隊を派兵するのは、憲法に反することはもちろん、自衛隊という武装組織の運用原則を大きく逸脱している。雑則運用です。
 そして、何よりも私が重視したいのは、自衛官は消耗品じゃないんです。自衛官の人権を全く無視して派遣しようとしているということを強く申し上げたい。
 そして、一昨年の十一月から現在まで、インド洋、アラビア海への自衛隊の派遣は二十カ月を超えました。これは二日や三日で議論できる状況じゃない。この二十カ月間の派遣の実態、そこを徹底的に検証し総括する、そのことを抜きにしてこの二年延長問題というのはないと思いますよ。
 とりあえず私は、具体的質問に入る前に、大きく三つの点でこれまでの二十カ月間を振り返ってみたい。
 一つは、制服組トップによる暴走の問題です。あのテロの直後、制服トップが独自のイージス艦による米空母護衛計画を立てた。あるいは、現在行っている護衛艦や補給艦は、事実上、米海軍の高速戦闘支援艦グループ、つまりAOEの中に、その指揮下に組み込まれている、こういう実態があります。
 それから二点目に、テロ特措法からの逸脱です。一つは、前回の委員会で申し上げましたが、同盟国でもないタイ国の陸軍工兵隊を大型輸送艦で輸送したこと。あるいは、先ほども野党の質問の中にもありました、空母キティーホークなどイラク攻撃の任務を帯びた米海軍艦艇への燃料補給の問題です。さらに、テロ特措法では想定していなかったはずの民間技術者の派遣です。
 三点目に、一番私が重視をしているのは、派遣されている自衛官のいわゆる任務忌避、嫌だ、こう言っている自衛官は実に多い。このことを申し上げたい。
 既に、石破長官、いいですか、これは昨年五月のテロ対策特別委員会では、今そこにお座りの中谷さんが防衛庁長官のときでした。敵の攻撃を受けたわけではないけれども、アラブ首長国連邦のドバイという港で、大切な自衛官の命が二つ、二人亡くなりました。しかし、いいですか、この国会に政府の側からきちんと説明があったでしょうか。私の質問があって初めて答えられた。問題は、きょうのこの委員会でも、十一月一日でこの特措法そのものの期限が切れるわけですから、本来なら、政府の公文書でもってこの二十カ月間のあらゆる活動実績をきちんと報告をする、それくらいのことが必要なんじゃないですか。余りにも軽々しく扱っています。
 だから、一昨日の民主党の末松議員の質問も非常に大事な質問だった。しかし、海上阻止行動によってどの程度のテロ組織のメンバーが捕捉されたか、その数字すら明らかにできないということも含めて、ここでは、この二十カ月間の検証、分析、総括を通してあと二年延長するのかしないのかということを決めなければならないけれども、肝心かなめの情報がこの委員会で明らかにされないで、私たち一人一人の委員は何をもとに判断するんですか。ほとんど肝心な情報が伏せられてしまっている。これでは、シビリアンコントロールそのものが機能するはずがないじゃないですか。
 そういうことを申し上げながら、具体的に質問いたします。
 一つは、護衛艦「はるさめ」の艦内における飲酒事件です。まず、防衛庁の方から、「はるさめ」事件の発覚の理由とその概要を簡潔に説明してください。
宇田川政府参考人 インド洋に派遣されておりました「はるさめ」における飲酒事案でございます。
 最初に、発覚の経緯でございます。
 本年六月、海上幕僚監部に対しまして、インド洋に派遣されていた護衛艦「はるさめ」において、服務規律違反に当たる艦内飲酒があったのではないかとの問い合わせが部外からあったところであります。これを受けまして事実関係を確認したところ、「はるさめ」の一部の乗員が、海上幕僚長から許可された場所以外で、また許可された時間外で艦内飲酒を行っていたことがわかったものであります。
 また、事案の概要であります。
 本事案につきましては、本年六月十三日に設置されました事故調査委員会が事実関係を調査しまして、以下の事実が判明したところであります。
 「はるさめ」においては、艦長及び先任海曹長を含む六十二名の乗員が服務規律違反に当たる艦内飲酒。内容としましては、許可時間外飲酒、航海中飲酒、許可範囲を超える量の飲酒または許可範囲外の場所での飲酒を行っていたことが判明しました。
 また、「はるさめ」の艦長でありますが、自己の権限を超えて、海幕長から許可された範囲を超える量及び場所での飲酒を乗員に許可しておりました。また、同艦長は、許可された時間、場所以外において部下が艦内飲酒を行うのを看過したところであります。
 また、「はるさめ」艦内では、個人による酒類、お酒の持ち込み及び保管が禁止されていたにもかかわらず、出国時及び寄港時、酒類を無断で艦内に持ち込み、無届けのまま個人で保管していた乗員がおりました。
 この本事案にかかわった者に対しましては、本年七月四日に厳正な処分を行ったところであります。
今川委員 これは昨年も、佐世保から出港した護衛艦「あさかぜ」の飲酒事件もありました。今回の「はるさめ」事件、先般の「あさかぜ」事件ですね。「あさかぜ」事件では二十名を超える自衛官が処分を受けていますね。あのときも再発を防止すると言ったはずですが、なぜあの教訓が生かされなかったんですか。石破長官、どうお考えですか。
石破国務大臣 これは、「あさかぜ」における事案、今回の「はるさめ」における事案、これは何が違うのか、委員御指摘のように、何で教訓が生きなかったのかということを私どもとしてもよく考えてみたところでございます。
 いずれにいたしましても、この「はるさめ」におきまして、今人教局長から御説明をいたしたとおりでございますが、「あさかぜ」の場合には、これは海曹長ではなくて、もっと上の人たちが飲んでいたということがございました。やはり、だれが飲んでいたのかということにおいて違いがございました。
 ただ、いずれにいたしましても、艦内における規律の維持の任に当たる者がそのようなことをやっていた、あるいは、先ほども渡辺議員の御質問にお答えいたしましたが、もっともっと過酷な任務をやっている船においてはそういうことはなかった、やはり規律の緩みというものがあったのだろう。形式的と言われるかもしれません、生活指導とおしかりをいただくかもしれません。やはり何本飲んだか、そういうことについて、きちんと数量管理まで含めてやらなければ、これはだめだというふうに私は思っています。
今川委員 少なくとも、自衛隊の艦船の中でお酒などを飲む場合の内部の規則があることは存じています。
 もう一度お尋ねしたいんだけれども、規律の緩みとおっしゃいました。なぜ規律が緩むんだろうか。私は、いかなる規則であれ、とりわけ自衛隊のような武装組織にあっては規則はきちっと守っていかなければならない、上部、下部を問わず。私は、個人的には、あんなくそ暑いところで四カ月も五カ月も、飲んでいなきゃやっていられない、そういう意味で同情はしますよ。しかし、飲んでいけないものは飲んでいけない。こういう飲酒事件の原因、背景。もともと専守防衛のはずの、そう思って入隊した自衛官が、いきなりインド洋、アラビア海。入隊したころは夢だに思っていませんよ。なぜこういう過酷な訓令を受けるのか。
 今、私はここに一般隊員の宣誓書を持ってきています。あなたも、北海道でつい最近講演された折に、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託にこたえることを誓います。」このように宣誓しているわけですね。しかし、それが、一番最初に、「私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し」。我が国の平和と独立に全然関係のない、はるかかなたのインド洋に半年近くも派遣されるわけですから、しょうちゅうの一つも飲みたくはなりますよ。
 それで、二度にわたってこういう重大な規則違反が起こった、その原因なり背景を、陸海空自衛隊の指揮官であるあなたはどのように認識をされていますか。
石破国務大臣 私は、そのようには考えておりません。
 日本国の平和と独立を守る自衛隊の使命、私は、PKOにいたしましても、あるいはテロ特措法にいたしましても、あるいは今御審議をいただいておりますイラク特措法にしても、日本の平和、独立と無関係なものだとは思っていません。そして、今日における日本の国際的な責務、そしてイラクの人々、そういう人たちへの人道的支援をするという国際連合の要請、これにこたえるのは自衛隊であるということは自衛官は知っておるはずでございます。そして、「日本国憲法及び法令を遵守し」、宣誓の中にそういう文言があるのは、今川先生よく御案内のとおりでございます。
 私は、先ほど来、この国会において御審議をいただいた法律、あるいは国会において成立した法律と申し上げましたのは、私どもは法律なくして何の行動もできません。国会において御審議をいただき、国権の最高機関において成立した法律、テロ特措法もそうです、イラク特措法ももし成立すればそういうことになります。「日本国憲法及び法令を遵守し」というのも宣誓の中に入っておるのでございます。テロ特措法に基づいて、法律に基づいて行動しておる。そして、日本国の平和と独立を守る自衛隊の使命、それにも十分値する任務。そして、一番過酷なことをやっている「はるな」において、そういうことは一度も発生をしていない。
 委員がおっしゃいますように、一番強力な武力集団であるがゆえに、その規律は最も厳正でなければならない。私は、そこにおいて、暑いからとか、こんなことやってられるかとか、そういうことが安易に許されていいとは思いませんし、語られていいとも思っておりません。
 これは、私も聞いてみました、自分が自衛官になったことがないから。私の言っていることは誤りかということを、多くの海上自衛官に聞いてまいりました。これは長官が知らないからそんなことを言っているんだと、私の言っていることは間違いなのかということを、実際にインド洋に行った人たち、司令官だった人たちに聞いてみました。それは、そんなことが許されたら自衛隊という組織は成り立ちません、海上自衛隊という組織は成り立ちません、そういう答えでありました。
 私は、自衛隊というのはそういうものだ、自衛官というのはそういうものだ、私はそういう思いを今川委員と共有したいと思っております。
今川委員 もう時間が来てしまいましたので、また後日、機会を改めて質問したいことがたくさんあります。
 防衛庁長官、最後に一言だけ申し上げておきたい。
 自衛隊の基本任務の中でやるんだったらいいんです。私も佐世保にいますから、率直に申し上げて、補給艦「はまな」は三度目、今行っています。八月には帰ってくるでしょう。気持ちとして、もう行きたくないというのがあって当たり前じゃないですか。基本任務を外れた海外派遣の総数、ゴラン高原、東ティモール、インド洋、そして今度予定されるイラク、常時二千五百名近くが海外に派遣されている。だったら、基本任務についている自衛隊の定数から外せばいいじゃないですか。我が国の基本任務、関係ないんでしょう、この二千五百名は。合わせて延べ七千名。
 テロ対策、人道支援に名をかりた米軍支援、自衛官をまるで消耗品、機械のように扱う自衛隊活用は断じてだめです。憲法の平和主義を破壊する。自衛隊の海外派遣なり海外派兵とテロ特措法の二年延長は断固反対だということを申し上げて、私の質問を終わります。
高村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十二分散会


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