衆議院

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第4号 平成16年1月30日(金曜日)

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平成十六年一月三十日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 斉藤斗志二君

   理事 小野寺五典君 理事 中谷  元君

   理事 西田  猛君 理事 三原 朝彦君

   理事 末松 義規君 理事 中川 正春君

   理事 藤田 幸久君 理事 河合 正智君

      今津  寛君    江藤  拓君

      金子 恭之君    木村  勉君

      岸田 文雄君    倉田 雅年君

      近藤 基彦君    桜井 郁三君

      塩崎 恭久君    竹下  亘君

      橘 康太郎君    谷本 龍哉君

      玉沢徳一郎君    西川 京子君

      野田 聖子君    萩生田光一君

      望月 義夫君    山下 貴史君

      吉野 正芳君    池田 元久君

      生方 幸夫君    岡島 一正君

      木下  厚君    首藤 信彦君

      田嶋  要君    達増 拓也君

      長島 昭久君    原口 一博君

      伴野  豊君    前原 誠司君

      松木 謙公君    松本 剛明君

      山田 正彦君    横路 孝弘君

      赤松 正雄君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君    山口 富男君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   外務大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     福田 康夫君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   防衛庁副長官       浜田 靖一君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   外務大臣政務官      田中 和徳君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    西川 徹矢君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            西田 恒夫君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            堂道 秀明君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        高木 孝雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月三十日

 辞任         補欠選任

  西川 京子君     吉野 正芳君

  達増 拓也君     松木 謙公君

  赤嶺 政賢君     山口 富男君

同日

 辞任         補欠選任

  吉野 正芳君     西川 京子君

  松木 謙公君     達増 拓也君

  山口 富男君     赤嶺 政賢君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法第六条第一項の規定に基づき、自衛隊の部隊等による人道復興支援活動及び安全確保支援活動の各活動の実施に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)


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     ――――◇―――――

斉藤委員長 これより会議を開きます。

 この際、政府に申し上げます。

 委員会は限られた時間の中で行っておりますので、答弁につきましては、質疑の趣旨を理解され、簡潔明瞭に、かつポイントを外さないように願います。

 内閣提出、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法第六条第一項の規定に基づき、自衛隊の部隊等による人道復興支援活動及び安全確保支援活動の各活動の実施に関し承認を求めるの件を議題といたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 きょうのこの冒頭の質問は、それこそ委員長が先ほど指摘されたように、大臣の答弁の不手際からこういう結果になっております。

 そこで、端的に聞きたいんですが、防衛庁長官、きのうは、サマワの市民評議会の議長と会ったがいつの間にか議長代行になり、そして代表に、答弁が二転三転変わっていきました。これは答弁の虚偽じゃないか、虚偽答弁じゃないかという指摘をいたしましたが、この二転三転変わったことについての政府の見解をきちんと示していただきたい。

 それから、あなたは、私が示した文書について調査をしないという答弁をいたしました。その後の理事会等で調査することになっておりますが、調査しないという姿勢はそのままなのか、そして、調査をしたのか。

 この二点について、端的にお答えしていただきたいと思います。

石破国務大臣 サマワ市評議会の代表、議長代行、そして代理というふうに答弁が、内容が変わっておったというのは御指摘のとおりでございます。その経緯は、きのう申し上げたとおりであります。

 そのような経緯によりまして、ファディール・アサブ氏をサマワ市評議会議長と答弁をしたものでございますが、知事公邸におきまして紹介を受けましたのは、この方はサマワ市評議会の代表であるということでございました。それが正しい言い方でございます。改めて訂正を申し上げたいと存じます。

 二点目の、文書の点についてでございます。

 この文書というものは、この文書自体がどうかということは別といたしまして、この文書の真贋というものはちょっと私の方でははかりかねる、認識しかねるところでございますが、このような文書を作成、いろいろな政府の文書をつくります過程でこのようなものがやりとりをされるということはあることでございます。

 私ども、確認をしてみましたが、この文書、つまり、委員が御指摘になった文書というものは残っておりません。したがいまして、真贋の確認のしようがないということでございます。

赤嶺委員 これは全然納得ができる話ではありません。

 第一に、議長問題について言えば、明らかに議長と会っていないのに議長と会ったかのような報告書を出し、そしてその後、答弁が二転三転変わったというのは、これは虚偽ではありませんか。私は、それを虚偽ではないかと聞いているんです。そのことの認識を、防衛庁長官、きちんとお示しいただきたい。

 それから、文書の存在を否定できないけれども政府としては調べようがないという態度は、これは本当に無責任です。全部調べて明らかにすべきであります。

 この二点、いかがですか。

石破国務大臣 先遣隊が知事の紹介によりお会いをした市議会の代表、市議会の代表と紹介された方を市議会議長と申し上げましたのは誤りでございます。

 二十九日、諸情報を総合して確認をいたしましたところ、同人は、当時、市評議会のメンバーであり、市評議会議長代理のファディール・アサブ氏であるということでございました。ここに訂正を申し上げますとともに、おわびを申し上げる次第であります。今後一層、正確な情報の入手に努めてまいる所存でございます。

 文書につきましては、先ほどの答弁と繰り返しになるかもしれませんが、この文書というもの、つまり、この文書かどうかはわかりません。なぜわからないかというと、委員が御提示になった文書というものを、存在したかどうか、これが私どもの方で確認ができません。それは、その文書というものは、通常、報告書なり文書の作成途上におきましていろいろと作業のプロセスで交わされるものでございますが、それは破棄をしておりますので、これはいずれにしても、その文書の真贋、存在そのものが確認できないということでございます。

赤嶺委員 今の二つの点、私は納得いきませんので、引き続き追及することを申し上げまして、質問を終わります。

斉藤委員長 次に、生方幸夫君。

生方委員 民主党の生方でございます。

 きのうに引き続き、質問させていただきます。

 石破長官、今、サマワ評議会の議長、何か、議長であっても代理であっても代表であっても同じような発言をされましたが、我々は、石破長官が、議長だから、議長にお会いしたからという発言を何度も何度も聞いているんですね。代理と会ったという話は全然聞いていないんですよ。議長と代理とは基本的に違うんですよ。議長がいて、代理がいて、まあ、代表というおっしゃり方しているけれども、何で代表なのかよくわかりませんけれども、代表という言い方もしているんですけれどもね。

 実際に石破さんの議長という発言をもとに我々は議論してきたわけですから、ただ単にそれが間違っていましたということじゃ済まないと思うんですけれども、いかがですか。

石破国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、この方は、二十九日確認をいたしましたところ、市議会評議会議長代理のファディール・アサブ氏であったということです。知事から御紹介をいただいたときは、この方は評議会の代表であるということを御紹介を受け、それを、代表であるからにはそれは議長なのだという形で申し上げた、それは誤りであったということでございます。

 この方が評議会というものを代表する人なのだよということで、私どもが行きましたときに知事さんから御紹介をいただいた、いろいろな方がおられ、この人はね、市評議会の代表なのですよということで御紹介を受け、ごあいさつを交わした、日本に期待しているよという表明があった。そのことを議長というふうに申し上げましたのは、それは誤りであり、訂正をし、おわびをいたしたところでございます。

生方委員 向こうの人に紹介されて、代表だからと言ったので議長というふうに理解したという。だから、そこのそもそも情報収集能力がないということを示していることでしょう。そのようにして紹介されたら、みんなそうやって、だれを連れてきたって、この人は代表ですと言われたら、それをうのみにする情報収集能力しかないということじゃないですか。

 それで、長官、議長だという発言は、月曜日の予算委員会のとき、もう既にしているんですよ。我々は、議長じゃないんじゃないかという指摘をそこでしているわけですから、何でそれが代理であったということがわかるまでに四日もかからなきゃいけないんですか。我々はもう指摘しているんですから、議長じゃないんじゃないですか、先遣隊が会ったのはということを何度も指摘しているのに、それを確認するまでに何で四日もかからなきゃいけないんですか。その理由を聞かせてください。

石破国務大臣 もっと早く確認をすべきであったと思っております。その点は不手際であります。おわびを申し上げなければいけないと思っています。

 なぜそのように思ったのかということは、これはもう今から申し上げても言いわけにしか聞こえないと言われれば、そのとおりだと思います。

 ただ、そこへ行って、知事さん、この方も、サマワあるいはムサンナ県のいろいろな政治状況あるいは治安状況、政治情勢を掌握する大事な方であります。初めて行って、知事から、この人はサマワ市評議会の代表ですよというふうに、恐らくアラビア語だと思います、紹介を受けたときに、この人が代表なのだ、それを議長なのだということを、ある意味でそれを日本のように、それは市議会議長というものに置きかえ、それを議長というふうに申し上げてきたこと、そしてまた、委員御指摘のように、御指摘があった時点できちんと確認をすべきであったということ、その二点につきましては、これは率直に反省をし、おわびをしなければいけないことだと思っています。

生方委員 きのうの総理の本会議場における訂正発言がございましたね。このときも、情報はオランダ軍とCPAに確認をしたと。自衛隊の確認はないんですね、総理の発言の中に。

 自衛隊の皆さんがいるのに、何でその確認がCPAとオランダ軍で、自衛隊じゃないと。おかしいじゃないですか、何のために自衛隊が行っているということになるんですか。当然、確認を自衛隊がするのが当たり前じゃないですか。それを、総理発言の訂正の根拠としたのはオランダ軍とCPA、こんな情けない話がどこにあるんですか。自衛隊の皆さんがいるのに、何で自衛隊が、総理、そこに入ってこないんですか、その確認作業の中に。いかがですか。

石破国務大臣 それは、御指摘を受ければ、そのようにすべきであったということはたくさんあります。初めて行って、いろいろとまだわからないことが多い中で、彼らは一生懸命やっているのだと私は思っています。そういうように、こうすべきであった、ああすべきであった、より情報の収集には適切を期さねばならない、そういうようなことをきちんとこれから生かしていかねばならないことだと思っています。

 それで、自衛隊と、あるいは外務省の職員の方、CPAの方、オランダ軍の方、それぞれが連絡をとり合い、確認をし合うということでございますが、もちろん、より完璧を期していかねばなりません。ただ、そのことだけみんなやっているわけではございませんので、そのときそのときにみんながやれる仕事を一生懸命やっていたということでございます。

 しかし、このような誤りが起きることのないように、今後さらにきちんとした体制を整えていかねばならないと思っています。

生方委員 総理にお伺いしますけれども、訂正をするというのは前代未聞のことなんですよ。これはないわけですから、過去に例が。そういうときに、どうしてその情報を確認するのに、日本の自衛隊が行っているのに、オランダ軍とCPAに確認をしてもらわなきゃいけないんですか。

 総理として、総理は自衛隊を総括する最高責任者ですから、当然、最高責任者として自衛隊の皆さんにまず情報を確認するというのが、総理として当然の役割じゃないですか。いかがですか。

小泉内閣総理大臣 情報はできるだけ確認をし、正確を期さなきゃならないということは当然でありますが、自衛隊が、オランダ軍なりCPAなりいろいろ協議をし、連絡を密にしながら、そういうような総合的な情報に基づいて報告するというのもいいと思います。自衛隊も自衛隊独自の判断もあるでしょうし、あるいは、そこに前から駐留といいますか、滞在しているオランダ軍なりCPAの関係者にどういう状況かということをよく聞いて報告するのもあっていいのではないかと思っております。

生方委員 私が聞いているのは、自衛隊の皆さんにも確認をしたのであれば、どうしてきのうの発言の中に、オランダ軍、CPA、自衛隊などに確認した結果というふうに、自衛隊が入らないんですか。何で自衛隊を除外しなきゃいけないんですか。その理由がわかりませんよ。当然、自衛隊の文字が入ってしかるべきなんじゃないですか。

小泉内閣総理大臣 それは政府が、自衛隊も含めて現地の情勢を総合的に判断したということであります。どういう文言を入れるかというのは、総合的に判断して政府自身が決めるべきことだと思っております。

生方委員 私は、それはおかしいと思いますよ。訂正する文書で、ちゃんと文書で残るんですから。そんなことは国民はわからないですから、自衛隊の人が云々なんということは。

 総理のきのうの発言はオランダ軍とCPAだけなんですから、日本の総理が自衛隊の情報収集能力を疑っているということにもなってしまうじゃないですか、見ようによっては。総理はそうでないと言ったって、文書はそれだけなんですから。

 だから、そういうふうに、自衛隊の情報収集能力が問題があるんじゃないかということが、議長になったり代理になったり会長になったり、そういうふうに二転三転して、総理が国会でまで答弁を撤回するというようなことがあれば、本当にこんなような調査で自衛隊の皆さんを派遣していいものかどうか、国民が大きな疑問を持つんですよ。

 では、石破さんに聞きますけれども、自衛隊の皆さんの中で、今派遣されている先遣隊の中で、アラビア語がしゃべれる方は何人いるんですか。

石破国務大臣 アラビア語に習熟した、委員が、話せるというのはどの程度かということを御指摘いただければ、日常会話、あいさつ、そしてまた安全を確保する上に最低限必要な言葉以上のものが、つまり、代表と言われたのを、これが議長なのか代表なのかとか、そういうような細かいことまでわかる能力を持ったという人間は、自衛隊の中にはおりません。それは、外務省の職員の方なりという方々の支援を仰いでおるということでございます。

生方委員 もともと自衛隊の皆さんは、PKOの活動が、大体十年ぐらい活動歴がありますね。だけれども、アラビアというかアラブ圏で活動したことはこれまでないですよね。だから、やはり私は、そういうような努力も含めて、まだ準備不足なんじゃないかという気がいたしますね、こういう情報の混乱を見ても。

 だから、情報収集の、自衛隊の皆さん方がふだんどういう訓練をしておるのか、伺いたいと思います。

石破国務大臣 これは中東地域には、ゴラン高原に随分長い間派遣をいたしております。シリア、イスラエルの国境地帯であると認識をいたしておりますが、そこにおいてはアラビア語も使われておるということでございまして、アラビア語圏に行ったことがないというわけではございません。

 ただし、本当にアラビア語というものに、私もこの点随分と気をつけているのですが、それがなお、あいさつあるいは安全を確保するために必要な言葉以上のものを出ないということは、率直に認めなければいけないことだと思っています。

 したがいまして、本隊を発遣するに当たりましては、これを、それだけではなくて、きちんとした形で、それはもうアラビア語というのはすごく難しい言葉ですから、急に速成で上達できるわけではない。そのことはよく承知をしておりますが、できるだけアラビア語というものが習得できるようにということで今やっておるところでございます。

 なお、情報収集ということにつきましては、これは外務大臣からも御答弁がありましたように、発展過程にあるわけでございます。民主主義というものが発展過程にあって、議会というものも、こういうものだということで議会運営規則というものがあるわけでもなく、そしてまた、今新しい選挙が行われるということにおいてもいろいろな情報がございます。

 Aはこう言い、Bはこう言い、Cはこう言いということがあります。それをどのように整理するかということの能力というものは、この日本においても、きちんとこういう形でやろうということを、認識を統一するべく努力をしていかねばならないと思っています。

生方委員 先ほどの話に戻りますが、サマワ市評議会が辞職していなくなったというような答弁を石破長官はなさっておりますが、きょうの報道だと解散はしていないんだというような報道もあるんです。実際、これは評議会は解散しているんですか、それとも解散していないんですか。どっちなんですか。

川口国務大臣 二十九日に改めてオランダ軍に確認をいたしましたところ、オランダ側としては、サマワ市評議会が総辞職をしたという認識には変わりがないというふうに言っているわけです。

 それから、同じ二十九日ですけれども、サマワのCPAの関係者から聴取をいたしましたところでは、サマワ市評議会のメンバーから辞意の表明はありましたと。ありましたけれども、次の人たちが決まるまでの間、職にとどまりたい、あるいは、執務を行ってもいいとしている人もいるということだそうです。

 総辞職をした後に、新たに市評議会が選出をされるまでの期間における市評議会の位置づけ、これにつきましては、オランダ軍もCPAも確たる見解は持っていないということでございます。

 二十九日にファーディル・アサブ・サマワ市評議会議長代理が、この同評議会メンバーはやめると言ったことはないといった旨を発言しているという情報に我々も接しております。接しておりますけれども、いずれにしても、我が方としては、今後ともサマワ市評議会をめぐる事態の推移につきましては注視をしていきたいと思っています。

 つけ加えますと、現地の行政サービス、これは淡々と継続して提供されておりまして、今次の辞職騒動によって治安情勢や日常生活に特段の支障が生じている、そういう報告には接しておりません。

生方委員 だから、日本としては、サマワの評議会は存在しているというふうな解釈なんですか、それとももう存在していないという解釈なんですか。どちらなんですか。

川口国務大臣 先ほど申しましたように、オランダもCPAも、ともにこの機関について、この位置づけについては確たる見解は持っていないということでございます。

 日本といたしましても、このことについて有権的に解釈をする立場にはないと思います。

生方委員 これは、地方の評議会に、今度、補正予算もつけて支援をするわけですよね。それが存在しているのか存在していないのかもわからないようなところに、私はどうやって予算を配分できるのかと思いますね。だれがいるのか、出てきた人が代理なんだか代表なんだか議長なんかもわからない。そうしたら、だれか知らない人が出てきて私にお金下さいと言ったら、渡しちゃう可能性だってあるじゃないですか。そんないいかげんなことで日本の国民の税金を注ぐことはできませんよ。

 存在しているのか存在していないのかも日本として確たるものは持っていない、確認したのはCPAとオランダ軍だと。何のために自衛隊の皆さんが先遣隊として行っているんですか。どうしてそこへ自衛隊の皆さんの話が出てこないんですか。おかしいじゃないですか、そんなことは。

川口国務大臣 千百八十八億円の補正予算のうち、今の時点でサマワの評議会を対象として何か具体的に考えているプロジェクトが計上されているかということで申し上げますと、サマワ市の評議会を対象とする支援というのはその中には入っていないわけです。

 いろいろな団体、例えばサマワ市の病院については、きのう申し上げましたように保健省ないしは病院ということで考えているわけでございますし、それから特殊車両、これについてはまた別なところを対象として考えているということで、合意の対象となるところというのは、中央政府もあれば、県の評議会あるいは県の当局というところもあるわけですし、NGOもあれば、組織も病院等のようなところもある。今の時点で、計上した中でサマワ市の評議会を対象として支援しているということではない。

 したがって、サマワ市の評議会が機能していないということが補正予算の執行には影響をしないというふうに考えております。

生方委員 サマワ市の評議会が機能しているから治安が安全だという報告が出ているんでしょう。機能していないというんじゃ、全然違うじゃないですか、報告が。機能していないからといって予算の執行に何の影響もないといったって、機能しているからサマワ市周辺の治安は機能しているということを言っているんでしょう。報告書と全然違うじゃないですか。こんないいかげんなことで、本当に自衛隊の皆さんを出せると思っているんですか。余りにずさんじゃないですか、本当に。

 こんないいかげんなことじゃ、これ以上もう質問できない。サマワ市に評議会があるのかないのかもわからないという状況で、機能しているのかしていないかもわからない状態で、自衛隊の皆さんがそこで何をしているのかもわからないじゃないですか。きちんと評議会に、あったのかどうかとかいう確認を自衛隊の皆さんがしているわけじゃないんでしょう。本当にいいかげんですよ。

 では、ここで、報告書で最新のイラク情勢というふうに書いてあって、それで、サマワの市評議会は市民の意向を代表したものであって、そこがうまく機能しているから治安は大丈夫だということが、派遣の前提の調査書に出ているわけでしょう。その地方評議会があるのかないのかもわからないというような状況じゃ、この報告書自体がいいかげんだということになっちゃうじゃないですか。

 だから、調査団に我々は話を聞きたいと言ったら、調査団の皆さん、すぐに帰っちゃったでしょう、向こうへ。話も十分聞くことができなかった。調査団自体も一・五日しかいなかった。これじゃ、本当にきちっとした調査がなされて、本当にきちんと送り出せるという状況にとてもなっていないじゃないですか。石破長官、いかがなんですか。

石破国務大臣 二十日の時点で有効に機能をしていたということであります。これは我々日本の感覚で、例えば千葉市議会でも浦安市議会でも何でもいいのですが、市議会が機能しておって、予算というものが上がってきて、条例を制定してという形で考えると、機能をしている機能をしてないというイメージが出てきます。

 ただ、このサマワ市の評議会というものが民主主義の生成過程にあって、きのうから御説明しておるように、どのように今の評議員の方々が任命されたか、それがどのように変わろうとしているか、それを市民がどのように受けとめているかというようなこと、そして、それが治安にどのようにして波及をしているのかということが私どもの判断でございます。

 これはお言葉じりをとらえるつもりは私は全くありませんが、評議会が有効に機能しているから治安が大丈夫だという、それだけをよすがにして報告書を作成したものではございません。そのほかいろいろなものを参考にし、もちろんそこに長くいるオランダ軍、CPA、そして知事、部族長、いろんな方の情報を総合して判断をしたものでございます。

 評議会のいろいろな誤り、それが代表と言われたことを議長と記したということ、その点は、これは訂正をし、おわびを申し上げたところでございます。幾重にもおわびを申し上げますけれども、そのことと治安の情勢というものは、そのことのみをよすがとしてこの治安を判断したものではないということでございます。

生方委員 一つの委員会で防衛庁長官が二度も発言を訂正しなきゃいけないというのは、いかにその大もとがいいかげんかということじゃないですか。

 私たちは、その一回の、たった一日、きょう二日目ですよ、二日目で二回も発言訂正しなきゃいけないような防衛庁長官のもとで、私はもうこれ以上議論できないと思いますけれどもね。責任をきちんととってもらわないと。ただ謝ればいいというものじゃない、ただ訂正すればいいというものじゃないんですよ。それに基づいて予算も執行されるし、自衛隊の皆さんが出ていくんですよ。たった二日の委員会の中で二度も訂正したなんということはあり得ない。総理大臣まで訂正している。こんないいかげんな情報をもとに自衛隊の皆さんを出すなんということはできませんよ。

 そしてまた、そういう二度も訂正しなければいけないような防衛庁長官のもとでこの論議をすることは私はもうできない。ちゃんと防衛庁長官の責任を明らかにするまで、もう私は質問できません。

石破国務大臣 委員長から御指名がございましたので、お許しをいただきたいと思います。

 これは、現地の状況というものがそういうような民主主義の生成途上にあり、そしてまた、役職というものの位置づけ、これはもっと正確に把握をすべきであった、あなたは本当に議長なのですかということを問い、日本のように議員便覧みたいなものがあるわけではございませんし、名刺社会で、私は議長ですというものを示して、例えばチェアマンとか、そういうような名刺をいただいたわけでもありません。

 そういう中において、私ども、代表というふうに御紹介を受け、それを議長というふうに申し上げたのは、訂正をし、おわびをするというふうに申し上げました。そのことはけしからぬではないかと言われれば、そのとおりです。これはおわびを申し上げる以外にありません。

 しかし、それが治安の状況の判断に本当に根本的な影響を与えるかといえば、私はそうは思っておりません。おわびを申し上げ、訂正するということ、そして、これから先、さらに正確を期すように今回の反省をもとにやっていきたいということが、私から申し上げられることでございます。

生方委員 では、もう一回だけ質問しますけれども、一つの委員会で、たった二日の論議の中で二度も訂正する。我々は、石破長官が月曜日におっしゃった、サマワの評議会の議長に会ったということを前提にこれまで議論してきたんですよ。その前提が崩れちゃうんですからね。ただおわびして訂正しますじゃ済まないんですよ。議長がいるんだということで、何度も何度も我々議論してきたんですよ。それをただ、議長じゃありませんでしたということじゃ、今まで積み上げてきた議論が議論にならないじゃないですか。

 だから、そういう責任も含めて、ただ謝れば済むという問題じゃないんですよ。非常に無責任な発言を繰り返してきたそうした防衛庁長官のもとで、自衛隊を派遣するような大事な問題をこれ以上もう議論することができないと私は申し上げているんです。

石破国務大臣 知事が紹介をしたのが、この人は議長なんだ、チェアマン、英語で何と言うのが正しいかどうか知りません、そう言うべきであったよとか、知事は代表と言われたけれども、あなたは何だったでしたかというふうに聞かなければいけなかった。それはそうだとするならば、なかなか、これは委員も現場を想起してみていただいて、初めて会うときに、あなたは何ですかということまで聞けるだろうかということでございます。結果的に、それをそうしなければならなかったということはおわびをし、訂正するというふうに申し上げました。

 それは、委員が先ほど来、市評議会議長ということを前提にして議論をしてきたのだというふうにおっしゃっておられます。私どもは、それは市評議会の代表ということで知事さんから御紹介をいただいたということだというふうに申し上げて、おわびをし、訂正をした。それでも前提が崩れたのだということであれば、それはそれで委員の御見解であるというふうに思っております。

斉藤委員長 石破防衛庁長官、もう一度、再度御答弁をいただきます。

石破国務大臣 おわびし、訂正し、今後正確を期すということで、今後とも努力をしてまいりたいと思っております。

斉藤委員長 生方君、どうぞ質問をお続けください。

生方委員 石破長官、きのうも、私どもの先遣隊は、CPAを訪問し、今の方々と会談をし、さらに、その際サマワの評議会の議長さんとも会談をしたということでございまして、私どもの申し上げていることが虚偽に基づくことだという御指摘は当たらないと言っているんですよ、きのうは。虚偽じゃないですか、うそなんだから。議長と会っているんじゃないんだから。議長と代理は違うんですよ。そんなことぐらい当たり前でしょう。きのう、そう言っていたんですよ、あなたはきのうの夕方の時点で。虚偽じゃないと言っているんだから。そういうふうに言い逃れようとしていたんでしょう。

 いや、ここにあるんですよ、長官。長官が言った発言が、虚偽じゃない、当たらない、その指摘はと。それで、きょうは虚偽だというんでしょう。では、この発言を撤回するということですか、きのうの発言を。

石破国務大臣 確認をし、訂正をし、おわびを申し上げるというふうに申し上げました。訂正ということでございます。

生方委員 おわびをすれば済むというものじゃないんだって。責任を明らかにしろと。こんないいかげんなもとにつくられた調査で、本当に自衛隊の皆さんを派遣していいのかどうかということを私は問うているんですよ。その長たる長官にその資格があるのかどうかという資格を問うているんですよ。我々は、こんな長官のもとでとても、こんないいかげんな調査のもとで自衛隊を派遣することはできない、長官をかえなきゃいかぬ、そういう指摘をしているんですよ。

石破国務大臣 現地の者がこの方にお目にかかり、どうでしたかと確認をさせていただき、私は議長代理であったと言った後からは、私はそのようなことを申し上げておりません。それを了知した後でもなお市評議会議長というふうに言い張ったとするならば、それはそのような御指摘も甘受しなければならないと思いますが、それが判明をした時点で、この方に会って直接確認をしたところ、知事から代表として紹介された方は市評議会議長代理であるというふうに本人がおっしゃった、その後にはそのように申し上げております。

 そしてきょう、その答弁を訂正し、おわびをいたしました。それも虚偽だというふうにおっしゃるとするならば、それは委員の御見解でございますが、今、おわびをし、訂正すると申し上げたところでございます。

生方委員 これは、きのうのもう七時過ぎに発言している発言なんですよ、石破さん。あなたがおっしゃっているのは、サマワの評議会の議長さんとも会談をしたということでございまして、私どもの申し上げていることが虚偽に基づくことだという御指摘は当たらないと言っているんですよ。これは八時ちょっと過ぎの時点ですよ。代理だと言った後ですよ、あなたが。今言ったことと全然違うじゃないですか、今言ったことと。

石破国務大臣 何時何分に何を申し上げたということを、私はそこまで覚えておりません。そのときに、では、議長というふうに、代表というふうに認識をしておる方にということでございます。もし、市評議会の議長ではなくて、その方は代理であるというふうに申し上げた後に市評議会議長とお目にかかりということであるならば、それは訂正を要するでしょう。

 しかしながら、申し上げておるのは、そこでお目にかかった方はそういう方であったということをはっきり申し上げ、そしてまた、そのことも訂正を申し上げておるわけです。それを訂正したとして、なお、それが全体の中で、おまえはここでこう言っているじゃないかというふうに言われれば、それはおわびを申し上げなければいけないことだと思っています。

生方委員 信憑性の問題ですよ。今言っていることだって違うんだから。代理と言った後に言ったんならそれは問題だけれどもと言っておきながら、代理と認めた後に言っているんですから。こんないいかげんな答弁を繰り返している防衛庁長官のもとで、本当に審議はできませんよ、こんなんじゃ。

 何で撤回もしないんですか。議事録がきょう出ているんですよ、これは、きょうのものが。何でそれを撤回しないんですか。撤回して、私は、責任をきちんと防衛庁長官がとらなきゃ、委員会の審議をもうこれ以上続けられないですよ。

斉藤委員長 委員に申し上げます。

 時間が来ております。(発言する者あり)

 再度、もう一度、石破防衛庁長官、御答弁願います。

石破国務大臣 昨日、隊員が評議会に赴きまして、そのお目にかかった方とお話をさせていただき、私は、あのときに、いや、これはもう正確に記録をとっているかどうかわかりませんが、私は代理であったということを確認をいたしました。そのことは、その確認がとれた時点で、この委員会の場において質問にお答えをし、その時点で確認がとれましたのでお答えをしたということでございます。その後に、なお、河合委員の御質問にお答えをして、私はそのように答弁を、その時点でとれましたので、お答えをいたしました。

 河合委員の御質問にお答えをした後に、なおそういうことを申し上げたとするならば、それは、事実、その認識、つまり、その方は評議会議長代理であったということにして全部御説明をしなければいけないものです。その前に、これはこういうことでしたということを私は申し上げ、ここにおられる多くの委員の方々に御理解をいただき、その前提で発言をいたしました。

 なお、その後に、そういうような、市評議会議長だというふうに言い張るようなところがあったとするならば、それは誤りでございます。(生方委員「虚偽じゃないと言っているんだから。委員長、だから……」と呼ぶ)

斉藤委員長 生方委員の質疑時間が終了いたしております。(生方委員「質疑時間はこちらでやりくりすればいいんです。大丈夫なんです」と呼ぶ)

 どうぞ、生方君。

生方委員 今の、だから、委員長……(発言する者あり)委員長から指名されたんだから、理事が言うことはないでしょう。委員長から指名されたんだから、理事が言うことはないでしょう。委員長から指名されたんですよね。余計なことを言わないで、指名されたんだから。(発言する者あり)そんなことはない。委員長から指名されたんだから発言権があるに決まっているじゃないですか。

斉藤委員長 御静粛にお願いします。

生方委員 委員長から指名されたんですからね。委員長から指名されたのに余計なことを言わないで……(発言する者あり)

斉藤委員長 はい、生方君。

生方委員 だから、石破長官、これはもう代理だと認めた後の発言ですよ。もう一回言いますから、よく聞いていて。これはきょう出た議事録ですから、きのうの。あなたがおっしゃったことは、私どもの先遣隊は、CPAを訪問し、今の方々というのはよくわかりませんが、今の方々と会談をし、さらに、その際にサマワの評議会の議長さんとも会談をしたということでございまして、私どもの申し上げていることが虚偽に基づくことだという御指摘は当たらないと言っているんですよ。虚偽じゃないですか。何でこれが虚偽じゃないになるんですか。

石破国務大臣 これは、前後のやりとりが何であるかで、わかりませんと、これとかそれとか。

 委員はそこに、お手元に議事録を持って、おまえのここが虚偽だというふうにおっしゃいますが、それは全体の流れの中で、何がこれであり何がそれでありということがわからないと、これはわかりません。わかりません。

 しかし、繰り返して申し上げますが、私は、河合委員の御質問に対しまして、確認したところ、そうでございましたというふうに申し上げたところでございます。

 その後に、委員が御指摘のように、私どもは市議会の議長さんにもお目にかかりということを申し上げたとするならば、それは、市議会の議長さんというふうに認識をした方、そしてまた、その場においてこれは市評議会の代表であるというふうに御紹介をいただいた方、その方にお目にかかったということでございます。それが、実は後から調べてみれば議長ではなかったではないかということですが、私どもが評議会の代表というふうに認識をしておった方がということを申し上げておるわけでございます。

生方委員 だから、ここで、虚偽という指摘は当たらないと言っているんですよ、虚偽だと言っているのに。議長だと言っていたのが議長じゃなかったのは虚偽じゃないですか。うそ以外の何物でもないでしょう。

 福田長官はいないけれども、うそつきは泥棒の始まりだと福田長官は言ったじゃないですか。そんなうそをつくような人が防衛庁長官のもとで、こんな審議なんかできるわけないじゃないですか。撤回もしない、反省も何もしていないじゃないですか。同じことをくどくどくどくど繰り返して時間ばかり長くしているというだけの話じゃないですか。何の誠実さも感じられない。そんな防衛庁長官のもとで、本当に私はこれ以上議論できないと思う。

石破国務大臣 うそつきは泥棒の始まりとおっしゃいました。私は、うそをついたというつもりはございません。その時点時点で判明した正確なこと、そのことをすべて申し上げておるところでございます。

 そして、先ほど訂正をいたしました。それは、その後の、評議会の代表というふうに確認をいたしましたという後の市議会議長というものは、市評議会の代表と紹介された方というふうに訂正をいたしたところでございます。

斉藤委員長 申し上げます。

 後刻、理事会におきまして、速記を精査いたした上で協議をさせていただきます。

生方委員 私は、極めて不誠実な態度だというふうに思いますので、引き続き、長官の罷免を要求いたします。

斉藤委員長 次に、岡島一正君。

岡島委員 私は、民主党の岡島一正でございます。まさか、こうした緊迫した場面で初めての質問をできるとは思っておりませんでした。

 私は、十二年前になりますが、自衛隊最初のPKOのカンボジアで、特派員として自衛隊を迎えて、自衛隊を送った日を、あのときを思い起こしながら御質問させていただきたいと思っております。

 きのう、けさの赤嶺議員のところで石破長官にお伺いしますが、議長ではないということは認めましたということは聞きましたけれども、昨日は、議長という言葉だけでなく、議長代理という言葉を何度かお使いになっておるわけです。

 今もそういった議論がありましたが、昨日の首藤委員の質問に対しましても、石破長官は、先ほど確認いたしましたところ、御本人が自分は議長代理であることをおっしゃいましたというふうにも明言されておられますし、その後には、念のため先ほど、先ほど確認を行いましたところ、議長代理であると本人が明確におっしゃったということでございますとおっしゃっております。

 議長でないことをお認めになったことはわかりますが、では、議長代理とおっしゃったことについては、これも間違いであったとお認めになるんでしょうか。

    〔委員長退席、西田委員長代理着席〕

石破国務大臣 二十九日に、このファディール・アサブ氏に対しまして照会をしたところ、本人は、サマワ市評議会議長代理というふうにおっしゃったということでございます。

岡島委員 しかし、その後、長官は、代表が議長代理という言葉に変わっていくわけであります。議長代理と代表という言葉が二つ出てきますと、聞いている方でわからないんですね。

 私もずっと取材した経験がありますけれども、初めて会った人の身分、肩書を確認することなしに、彼の言っている情報を正しいかどうか判断する根拠がなくなるわけですが、議長代理と代表の使い分けについて、長官には何か御基準があったんでしょうか。

石破国務大臣 それは、私の御説明の仕方が悪かったとすればおわびを申し上げますが、私が申し上げたのは、知事から、つまり二十日に知事公邸に大勢の方を知事が集められて、日本から自衛隊が来たというお話をなさり、初顔合わせを行った。そこで、ホストである知事から、ここにおられる方は評議会の代表であるということを御説明をいただいた、それで私どもは、評議会の代表だというふうに認識をした。

 そのときに、議員名簿とかそういうものがあって、知事が言っていることは本当なのかなということを確認すればよかったじゃないかと御指摘を受ければ、それは今になってみればそうだったのかもしれない。知事がおっしゃった方を、代表、すなわち市議会議長というふうに認識をしたことは、それは代表というふうに言えばよかったんだということは、御指摘を受ければ、そのとおりでございます。

 その後、私は、河合委員の御質問にお答えをいたしまして、念のために確認をした。まさしく委員会の現場におきまして指示をし、確認をさせたわけでございます。そして、この同人に面会をし、確認をしたところ、自分はサマワ市評議会議長代理であるというふうに御自身がおっしゃったということでございます。

 これは、委員御指摘のように、その人はだれであるか確認するのが当たり前じゃないかと言われれば、それはそうなのかもしれません。しかしながら、議会というものが生成過程にあって、議会運営規則というものがあって、議長というものはかくかくしかじかこのような職務を行う者である、代理というのはかくかくしかじかこのような職務を行う者である、そういうようなことではございません。私ども、それはもっとさらに確認をするようなことをやっておくべきだったということは申し上げますが、代表、代理、議長、それにつきましての私の申し上げ方、認識は、以上申し上げましたとおりでございます。

岡島委員 そうすると、代表という言葉をお使いになっていて、議長代理ということで確認されるわけですけれども、この情報は、そもそも、現場で代表という言葉を言われたと。

 では、現場で言われたものが当初は議長ということで認識されておったわけですけれども、そういった情報の間違いはどこで起きたんでしょうか。

 つまり、現場での一次情報を、代表と言われていたけれども議長だというふうに現場で、一次情報の段階で思い込んでいたのか。あるいは、それを東京に上げた段階で、いや、これは議長という認識でいいだろうとなったのか。あるいは、石破長官が、これは議長ということで言ってしまったのか。

 つまり、どこの段階で議長という言葉に代表というあいさつが変わってしまったのか。そこのどこを間違えたかを確認することなしに、根本的な情報が、これからすべての情報に関する信頼性が失われます。その辺についてお答えください。どこに誤りがもともとあったのでしょうか。

石破国務大臣 私に報告が上がってきた時点では議長という形になっておりました。これは責任転嫁をするつもりは全くございません。それはすべて私の責任でございますが、私に上がってくる時点で、議長という形で上がってまいりました。

岡島委員 私に上がってきたというのは、どこから上がった時点でしょうか。現地から直接長官に連絡が入ったのでしょうか。それとも、そこに情報の流れがあって、内庁なのか。とにかく、東京のしかるべき、どこから長官に上がったのでしょうか。どこで情報が間違ったかを確認することなしに、今後の指揮系統はできるんですか。

石破国務大臣 先遣隊の報告として私に上がってきた時点でございます。ですから、彼らが帰国をした日、二十三日ですね、二十三日の昼過ぎ帰国をし、夕刻、私は報告を受けたわけでございますが、その時点で議長という形になっておりました。

 今委員御指摘の、どこに誤りがあったのかと言われれば、私、それはもうきちんと精査をしなければいけませんし、これは電話ではなくて、本当に会って確認をするということをしなければいけないと思いますが、知事から、この人は代表であると言われたときに、これは議長というふうに考えてしまった、そこに誤りがあったのだというふうに思っております。

岡島委員 ということは、先遣隊の報告の段階で議長となっていたということは、現場での確認情報として、単なる一次情報じゃなく、現場での、先遣隊の中での確認情報として議長として扱われたと。

 これほど根本的に、非常に、第一次情報として、取材で言おうが何で言おうが、まず、会った人がどういう人かという、最も初歩的な段階でのミスを犯すようなそういった先遣隊で、果たして、安全かどうかということを含めた現地の情勢を正しく把握して報告することはできるとお考えですか。どうぞ。

石破国務大臣 それはいろんなお考え方があるのだろうと思います。

 ただ、私は、そこに知事が、例えば先生、千葉県のことをお考えになったときに、千葉県の知事さんがいろんな人を呼んできた。この人はこういう人だ、こういう人だ、こういう人だ、こういう人だと紹介を受けたときに、そうかというふうに思うだろう。やはり、現地の、ムサンナ県というものの行政に責任を持つ方が、この人は代表であるというふうに御紹介をいただいた、それを議長というふうにせずに、知事から、代表として紹介をいただいた何々氏というふうに申し上げればもっと正確であったということは、そのとおりでございます。

 これは、今後、私もよく、今回勉強いたしたことでございますが、再認識といいますか、要するに、民主主義の生成過程においていろんなことがある。そして、これから選挙が行われるのも、三週間から六週間という話もあれば数カ月という話もある。そこにおいて、この人はいかなる人であるのかということを、確認を、これから先、もっと正確にやっていかねばならないということでございます。

    〔西田委員長代理退席、委員長着席〕

岡島委員 私は自分の経験を若干申し上げますが、八八年ぐらいから、カンボジアを中心に、アジアの国際紛争の現場にほとんど立ち会いました、多くの場合に立ち会いました、自分で取材をしました。

 私の経験からいって、私がもしブッシュ大統領にお会いしたときに、あなたは大統領ですねと聞くことは一〇〇%ありません。が、しかし、今戦渦にあるところ、混迷に窮しているところ、そして、統治する政府の存在そのものが危うくなっている地域、まさにカンボジアやアフガニスタン、そうでした。そういったところで会ったその地域の統治しているはずの知事であり市長さんが、初めから市長だと言っても、その裏をとるということをしなければ、市長と名乗る人があちこちに出てくるようなことが混乱そのものだということを私は知っています。

 そういった中において、防衛庁のインテリジェンスが現地にいるのかどうか知りませんが、そういった皆さんの情報確認をきちんとしなくて、皆さんのすべての決断や判断は成り立たないということを申し上げておきたいと思います。

 そして次に、私はまた質問しますが、先遣隊がだれに会ったのかという報告のルートの話なんです。

 今回の問題で非常に問題なのは、情報がどう収集され、どういうルートで上がるのかということが全く明確じゃない、ここに問題があります。つまり、今後、撤退だの何だのというときに、長官が撤退命令を出す、あるいは小泉総理がさまざまな判断をする。問題は、情報なくして判断はできません。

 そこでお聞きしますが、先遣隊に最初に会った、先遣隊が知事に会った、知事室で会ったというふうに石破長官は何度も答弁を繰り返されておりますけれども、その報告をそれぞれの方がどのルートで知り得たのかをお聞きしたいと思います。

 まず、石破長官にお聞きします。

 先ほどと同じかもしれませんが、お答えください。先遣隊が最初に表敬訪問したということの事実について、どこから最初に知り得たのか、石破長官にお聞きします。

石破国務大臣 私に上がってまいりましたのは、先ほどの繰り返しになりますが、二十三日、先遣隊が帰ってきて、大臣室で私に対して報告をした時点でございます。

岡島委員 それでは、川口外務大臣にお聞きします。

 同じ質問ですが、先遣隊が知事室で向こうの代表者の方と会ったということについて、いつ、どこで、だれからお知りになりましたか。

川口国務大臣 そういった情報については外務省に公電で入ってくるわけです。私自身がその公電をいつ読んだかということについてははっきり記憶をしておりませんけれども、公電が着いた時点で私に上がることになっている情報は回ってきますので、大体の場合は、夜、家に帰ってその日の公電の束を読んでおります。

岡島委員 それでは、その公電は、今公電とおっしゃいましたので、外務省の場合、公電が何日何時何分に入ったことは記録が残っているはずですので、それは、外務大臣、後で確認して御報告できますでしょうか。

川口国務大臣 まことに申しわけないのですけれども、公電というのは秘扱いでございます。ということで、公電自体をお出しするということはできませんし、それから公電の時刻についても、これは申し上げることはできないということでございます。

岡島委員 それでは、二十三日の昼過ぎに、石破長官は、先遣隊から帰国した方々から聞いたとおっしゃいました。それと同時刻、同場所で、外務大臣はその情報をお知りになったのでしょうか、ならないのでしょうか、その時点について教えてください。

 石破長官がその情報を得たという、先遣隊からの報告で知ったとおっしゃいました、二十三日の午後ですね。その時点で外務大臣はその情報を同時に入手したんでしょうか。それとも、それとは違う時間帯、さっきおっしゃったのは、夜うちに帰ってとおっしゃいました、公電については。公電で知った時間が夜うちに帰ってとおっしゃった以上、二十三日の石破長官がその情報を得た段階では、外務大臣は既に知っていたか知らなかったかどちらかですが、どちらでしょうか。

川口国務大臣 これは、本当に正直に申し上げて、いろいろ多くの情報が私のところに参ります。イラクもありますし、それから北朝鮮もありますし、いろいろな情報が私のところに入ってきますので、その一つ一つについていつ知ったかというのは、これは一生懸命考えてもはっきり申し上げることはできないということでお許しいただきたいと思います。

岡島委員 ということは、私の認識としては、石破長官がこの情報を報告から知り得たときに、同時に川口外務大臣がそれをお知りになったということではないという判断になります。よろしいですか。

川口国務大臣 これは、本当に申しわけないんですが、思い出せたらと思いながら考えておりますけれども、記憶、本当に掘り起こせないものですから、それが石破長官と同じようなタイミングであったか違うかということについては何とも申し上げられない。情報の流れですから、基本的に大体同じようなタイミングで受けているのではないかと思いますけれども、何とも申し上げられないので、お許しいただきたいと思います。

岡島委員 わかりました。じゃ、いずれにしても、石破長官と同時刻だったかどうか定かでないことは確認いたしました。

 ここに、皆さん、政府の方でおつくりになって配った二十八日付の「サマーワ市評議会の解散に関する情報の流れ」という紙があります。この紙によりますと、サマワ市評議会が総辞職したことについて、陸自から、部隊から通信メールを通じて報告が出たのが、二十四日現地時間の土曜日夜です。そして、外務省のサマワ事務所から出たのが、二十五日現地時間の夜です。オランダ側からの報告があったということです。つまり、一つの情報に関して、同じ日本国を代表する機関の情報が、恐らくは二十四時間前後ずれた形で上がってきている。

 これについて、私は思いますが、現地でこういう基本的な、日本の派遣に関しての安全を保障する評議会の総辞職という重大な情報について丸一日も時間差があるということについて、現地でお互いに情報を共有し合う作業は、外務省の担当者、そして自衛隊の担当者、しているんでしょうか、していないんでしょうか。石破長官にお聞きします。

石破国務大臣 もちろん、現地ではオランダの宿営地、一緒のところに寝起きしておるわけでございますから、認識の共有というものを図るべく努力をしておるし、実際にそうでもあるということです。

 委員御指摘の点は、私もこれは問題意識を持っておりまして、確認をいたしました。本当に、じゃ、防衛庁というか自衛隊は自衛隊だけ、外務省は外務省だけ情報を持っていて、お互い現地で共有しないままに東京・霞が関、市ヶ谷に送っているのではないか、そういうことではいかぬのではないかということは申しました。

 今回の場合には防衛駐在官ではございませんので、外務省の身分を併任いたしておりません。それぞれ、外務大臣の指揮下、防衛庁長官の指揮下にあるわけです。それだから別々でいいという話じゃなくて、お互いに情報をいつも共有しておこうね、そしてそれが、同じものが外務省にも防衛庁にも上がるような体制というのをきちんと確立をしなければいけないという指示は出しておるところでございます。

岡島委員 ということは、現在では、同じように共有して、外務省なり防衛庁あるいは小泉総理のもとに同じような情報が上がるシステムができていないということですね。

石破国務大臣 そのように心がけてまいりました。ただ、それが委員御指摘のシステムとして動いているのか、それぞれの心がけでやるようにしようかといえば、それをシステムとして確立をするということが、さらにその確実性を担保するものになるということで、システムとして立ち上げるということを今行っておるところでございます。

岡島委員 この件についてはもう一点お聞きしますが、この総辞職の情報については、二十六日午後の予算委員会で、民主党の首藤委員が、サマワ市評議会は解散したという情報があるということを何度も申し上げております。

 が、しかし、それから丸一日といいますか、翌日ですね、翌日になって、この段階では予算委員会に全閣僚が出席されておったわけですから、総理初め皆さんが、この市の評議会解散しているだろうという情報は確認をしなきゃいけないという、この情報についてはお知りになっていたわけです。が、しかし、実際に本件について防衛庁長官や総理大臣が認知したのは二十七日の午後になります。

 ということは、これほど市の安定というものを保障する評議会の存在についての情報が、総辞職したかもしれない、したとも言われる、その情報について、およそ丸一日、総理初め皆さんは無関心であったのかと思われても仕方がないと思います。

 総理は、翌日まで、総辞職の流れの情報があったにもかかわらず、少なくとも一次情報として最高指揮官の小泉総理は耳にしたにもかかわらず放置していた、無関心であったと思われますが、いかがでしょうか。なぜ何も対応をとっていなかったんでしょうか。総辞職の情報を知り得ていたのに翌日の午後まで何の対応もとっていない、これについての総理の見解を伺います。

小泉内閣総理大臣 全体の治安状況、これが、市評議会にどういう問題があったか等によって治安情勢に大きな変化はないという報告を受けております。

岡島委員 報告は受けていても、今見ても、防衛庁から来る時間も違う、外務省から来る時間も違う。そして、二十六日になっても、局長からなんか来ていないわけですね、翌日になっても。

 これほど重要な情報の流れについて、自分に確認情報が来ないことについてどういうふうに対応されたんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 評議会がどういう状況にあるかということ、これは確認すべきであるということは当然であります。

 しかし、この問題が、自衛隊が派遣される予定でありますサマワ地域の治安状況に悪化を及ぼすという状況にはないということでございます。

岡島委員 ということは、自衛隊が派遣される現地の治安状況を確認する上で、評議会の存在そのものが直接的に関係するものだとは認識していないということでしょうか。

小泉内閣総理大臣 評議会の問題が直接サマワ全体の治安状況に悪化を及ぼすという状況にはないという報告を受けております。

岡島委員 とすると、私たちの認識としては、評議会というのは、サマワの市民の治安を含め、環境、生活を含めた、その生活そのもの、まさにそこの地域そのものを代表する機関と思っております。

 そういった中で、その評議会があるかないかは、日本の自衛隊を初め外務省の方もあるいはマスコミも、自分たちがよりどころとする一つの情報源であったり、基本的な環境が存在しないことは余り関係ないという認識は成り立たないと思うんですが、いかがでしょうか。それがあってこその自衛隊の情報収集であり、活動だと私は認識しております。いかがですか。

小泉内閣総理大臣 さまざまな情報がございます。評議会も一つだと思っております。

 しかし、評議会の問題がサマワ全体の治安に悪化を及ぼすような問題にはなっていないということでございます。

斉藤委員長 岡島君、時間が参っておりますが。

岡島委員 本来、まだ質問したいことはたくさんあるのでありますが、最後に、一つだけお願いしたいことがあります。

 今回の現地での自衛隊の活動について、マスコミへのブリーフィング、つまり情報開示、これは、陣地ができた場合、自衛隊の基地といいますか本拠地ができた場合、その本拠地内で行うのか、あるいは行わないのか。場所がどこであっても、マスコミに対する現地の自衛隊の活動についての情報開示、ブリーフィングはいかなる形で行うのかを石破長官にお伺いします。

石破国務大臣 これから検討してまいります。

 と申しますのは、きのうから申し上げておりますように、報道機関の方々の生命身体の安全を日本政府として守らなければいけない、そして報道の自由というもの、我々の積極的な広報というのも担保しなければいけない。

 今委員は、宿営地内でやるのか外でやるのかというお話がございました。それは、そういうことをすべて勘案をしながら、報道機関とよく調整をし、了解をいただいた上で決めてまいりたいと思っています。

岡島委員 最後に、自衛隊派遣隊は既に行っております。マスコミも既に行っております。基本的に、マスコミの皆さんは、我々国民が現地での自衛隊の活動の情報を知り得る一番大きなよりどころであります。それによって国民の世論も、この問題についての関心、情報を持っていくわけです。ですから、ぜひ、そうしたマスコミへの対応、情報開示はきちんと進めていくことを、ここで、ブリーフィングするということをお約束ください。お願いします。どうぞ長官。

 ブリーフィングを定期的に、自衛隊活動についてきちんと実行する。それがなければ、国民がこういった問題に持つ関心、判断の材料が得られない。白紙委任で任せよというわけにはいかないんです。そこについての長官のブリーフィングに関するお約束をいただきたいと思います。いかがでしょうか、開いていただけますか。端的に。

石破国務大臣 現在におきましても、先遣隊もブリーフィングは定期的に行っておることは委員御承知のとおりでございます。正確に報道するために、本隊派遣の後もそれを続けてまいりたい。

 ただ、場所をどこにするかということは、正確に、かつ安全にということに配慮しながら決めてまいりたいと思っています。

岡島委員 了解しました。

 いずれにしても、私は戦争取材をした経験から、銃が私を守ってくれないことがあっても、情報を持つことによって身の安全を確保した、その経験が十数年あります。そういったことをぜひ御承知おきください。

 以上です。

斉藤委員長 次に、池田元久君。

池田委員 民主党の池田元久でございます。

 たくさん申し上げたいことはございますが、総理が出席されておりますので、総理にちょっと趣の違った質問をさせていただきます。

 昨夜、総理は帝国ホテルで会合に出席されたということですが、そのことを、どなたにお会いになったんですか。

小泉内閣総理大臣 額賀政調会長と自民党議員と懇談いたしました。

池田委員 今問題となっておりますサマワ市の評議会の問題について、その会合というよりもきょうの現時点で、総理は評議会についてどのように認識されているか、お答えをいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 評議会については、総辞職したという報道もあったし、あるいは総辞職してないという報道もありますから、そういう点については今後よく情報を確認する必要があるなと思っております。

池田委員 昨夜の会合で、総理は、今おっしゃいましたけれども、サマワ市の評議会について、なくなったという話だったがやっぱりあったんだよなと。複数の出席者が明らかにした。これでよろしいわけですね。

小泉内閣総理大臣 いや、なくなったという報道もある、なくなってないという報道もある、よく確認しないといけないなという話をいたしました。

池田委員 ところで、総理は、二十九日の本会議で、二十七日の本会議の答弁において、サマワ市評議会が現在存在しているとの発言をいたしましたが、これを撤回しますと、本会議で明確に撤回をされたわけです。そして、今になって、わからないとか、あるいはとり方によってはサマワ市に評議会があると言っています。

 この関係について、あなたの発言について、このぶれについて、問題があると思われませんか。

小泉内閣総理大臣 問題があったとは思っておりません。それは、評議会の問題がすべて治安状況の悪化に影響すると思ってないからであります。

 評議会もサマワの一つの代表機関でありましょう。そのほかにも、部族長とかあるいはオランダ軍とか、いろいろな機関があると思います。そういう総合的な情報を勘案して治安状況というものは判断すべきだと思っております。

池田委員 この発言は、一般の市井の人が、あれがあったとかないとか、やっぱりあったとかという話じゃないんですね。自衛隊派遣にかかわる重要な判断材料の一つなんですね。そこで総理が、サマワ市評議会、自衛隊が派遣されるサマワ市にある評議会、住民の自治的な組織、ほかに余りないわけですからね、その組織が存在する、あるいは存在しない、またあるかもしれない、こんな発言のぶれがあっていいんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 それは、イラクの情勢と、我々の考える民主主義の生成過程と違った面もあると思います。イラク人がこれから民主的な体制を考えるのと、日本人が民主的な体制というのはどうあるべきかというのは、違いがあっても、その国の国情がありますから、それは当然だと思います。

 しかし、この評議会という問題が、あのサマワ地域全体の治安の悪化に影響を及ぼす問題はないという現時点での認識でございます。

池田委員 論点がちょっとほかの方へ行くような感じがいたしますが、今、総理の発言、総理の認識を聞いているわけでありまして、一国の総理の認識として、サマワ市評議会が存在する、次に、存在していないから発言を撤回する、本会議で撤回する。今度はまた、審議中で承認案件がかかっているときに、昨夜は、サマワ市評議会というのは解散していないんだよなと、言葉の具体的な表現は別として、わからないとか、こんなことがあっていいんでしょうか。どうですか、皆さん。(発言する者あり)

 いいかげんという言葉がございますが、我々の言葉じゃないんですよ、総理の言葉なんですよ。ですから、その総理の言葉以上に、政府がこの問題に対してぴしっと、これだというものを出してもらわなきゃ、我々審議ができません。

 くだくだくだくだ説明する必要はありません。総理は、ある意味においては非常に明快ですから。この問題について明確な見解を、総理から出してください。

小泉内閣総理大臣 本会議の答弁でも明確に言っておりますから、よく読んでいただきたいと思います。

 サマワ評議会の問題があの全体の地域の治安状況の悪化に影響を及ぼす問題とは認識しておりません。でありますので、今後ともサマワ市の評議会の動向については注視してまいりますが、全体の問題につきましては総合的に判断していきたいと思っております。

池田委員 安全の話はちょっとおいて、結局、本会議で発言を撤回した、それに対してまた修正するような発言をしているわけですから、我々としては、審議を円滑に進める意味からも、政府の方で、一体どうなっているんだ、サマワ市の評議会は今こうなんだと、統一的な、まとまった、一致した見解を出していただきたい。総理に求めます。

小泉内閣総理大臣 指名されましたから答弁いたしますが、基本的認識を既に出しております。サマワ評議会の問題が治安状況の悪化に直接結びつくものとは認識していない、全体の判断について、自衛隊の派遣についての判断については総合的に判断すると。

 現在において、今のサマワの評議会の問題が、自衛隊の派遣は適当でないということには結びつかないということを言っているわけであります。

池田委員 これは、お聞きになっている方も、簡単に、わかりやすく受けとめようとしていらっしゃると思うんですよ。

 サマワ市評議会が存在をした、存在しなかった、しかしまた、あるかもしれない、これについて、自衛隊派遣にかかわるから、総理の、あるいは内閣のまとまった見解を出してください。

川口国務大臣 先ほど来……(池田委員「求めていないですよ、外務大臣」と呼ぶ)委員長から御指名をいただきましたのでお答えをさせていただきたいと思いますけれども、先ほど来お話に出ています二十九日の総理答弁でございますけれども、これは、総理がおっしゃったとおり、サマワ市評議会議員は総辞職したとのオランダ軍及びCPAからの情報に基づく報告を受けたからでありということを総理がおっしゃっていらっしゃいます。

 これは、この背景としては、二十五日の定例治安会議においてオランダ軍からそういう話があった、それから、二十四日にCPAのサマワ関係者からもそういう話があったということでございます。

 それから、これは別な委員の方でお答えして、先ほど申し上げましたけれども、二十九日の時点で改めてオランダ軍に確認をしましたところ、オランダ側としては、サマワの市評議会が総辞職をしたという認識に変わりはないということを言っているわけです。

 それから、同じ二十九日、サマワのCPA関係者から再び聴取をしたところでは、サマワ市評議会のメンバーより辞意の表明はあった、しかし、あったが、次のメンバーが決まるまでは職にとどまりたい、ないしは、執務を行ってもいいとしている者がいるということを言ったわけです。

 総辞職をした後に新たな市評議会が選出されるまでの期間における市評議会の位置づけ、これにつきましては、オランダ軍及びCPAも確たる見解は有していない、そういうことでございます。

池田委員 ただ集めたことをおっしゃっているだけで、日本政府として、小泉内閣として重大な決断をするわけですから、その中で大きなファクターであるサマワ市の評議会の存否について、これだけ総理の発言が二転三転するのは非常に不安定、認識に混乱がある。もう一度言っても皆さんまた同じことを言うかもしれませんが、存在をする、存在しない、また存在するかもしれない。内閣としての統一見解をわかりやすく出してくださいよ。(発言する者あり)

斉藤委員長 御静粛にお願いをします。

小泉内閣総理大臣 何回も答弁しておりますが、正確を期すために、また再度、はっきりと正確に答弁いたします。

 二十七日の本会議の答弁において、私より、サマワ市評議会が現在存在しているとの発言をいたしましたが、これを撤回します。これは、サマワ市評議会議員は総辞職したとのオランダ軍及びCPAからの情報に基づく報告を受けたからであり、現地情勢については引き続き注視する必要があると考えております。

 いずれにしても、現時点において、市評議会の問題が治安情勢の悪化に直接関係があるとは見られないことから、自衛隊の派遣について、判断の前提となる現地情勢に対する認識を変更する必要はないと考えます。今後とも、現地情勢については十分に注視してまいりたいと考えております。

池田委員 今の発言は撤回に至ることを中心におっしゃっていまして、昨夜総理は、なくなったという話だったが、やっぱりあったんだと。要するに、少なくとも百歩譲ってあるかもしれないという認識に立っているわけですから、認識に混乱が見られるわけですから、明らかでしょう。ですから、これはちゃんとした統一見解を出してもらわなければ、我々は審議はできません。

小泉内閣総理大臣 統一見解だろうとなかろうと、私の答弁、これはもう、自衛隊の派遣について、判断の前提となる現地情勢に対する認識を変更する必要はないと考えます。今後とも、現地情勢については十分に注視してまいりたいと考えております。以下、明確でしょう。(発言する者あり)

斉藤委員長 質問を続けてください。質問を続けてください。(発言する者あり)総理は答弁をされました。池田委員、質問を続けてください。(発言する者あり)

 川口外務大臣に御答弁願います。

川口国務大臣 二十九日に改めてオランダ軍に確認をいたしましたところ、オランダ側としては、サマワ市評議会が総辞職をしたという認識に変わりはないとしています。また、同じ二十九日、サマワのCPA関係者より聴取をいたしましたところ、サマワ市評議会のメンバーより辞意の表明はあったが、次のメンバーが決まるまでは職にとどまりたい、ないし、執務を行ってもいいとしている者もいるということでございます。

 総辞職をした後に新たに市評議会が選出されるまでの期間における市評議会の位置づけについては、オランダ軍及びCPAも確たる見解を持っていないということでございます。

 いずれにしても、我が方としては、今後とも、サマワ市評議会をめぐる事態の推移については注視をしていきたいと思います。

 なお、現地の行政サービスは淡々として継続、提供されておりまして、今次の、先ほど来総理がおっしゃっていますように、辞職騒動により、治安情勢及び日常生活に特段の支障が生じているという報告には接しておりません。

池田委員 今の話は、ただオランダ軍やその他から受け売りのことをおっしゃっただけでありまして、これは、ずっと事態を注視しているということであれば、何も質問もしてないし、いいわけですよ。ところが、既に重大な場面で発言しているわけでしょう。報告書もそうだし、本会議ではこう言っているわけですからね、現在存在しているとの発言をいたしましたがこれを撤回いたしますと。これは総理の言葉ですよ。ところが、昨夜になったら、解散していないかもしれないとか、わからないよなとか、こんなことでいいんですか、本当に、まじめな話。本当にいいんですか。(発言する者あり)

 委員長、だから、委員長、まとめてくださいよ。統一見解を、現時点といいますか、統一見解を出していただく。今出していただく。

小泉内閣総理大臣 統一見解も何も、政府の見解ははっきりしているんですよ。(池田委員「していない、していない」と呼ぶ)これは撤回するという、一つ。二番目のこれは、サマワ市評議会議員は総辞職したとのオランダ軍及びCPAからの情報に基づく報告を受けたからであり、現地情勢については引き続き注視する必要があると考えております。

 いずれにしても、現時点において、市評議会の問題が治安情勢の悪化に直接関係があるとは見られないことから、自衛隊の派遣について、判断の前提となる現地情勢に対する認識を変更する必要はないと考えます。今後とも、現地情勢については十分に注視してまいりたいと考えております。これが私の答弁であります。

 現地情勢というのは変わり得るんです。常に固定していないんです。だから、十分に注視してまいりたいと考えております。これは、もう統一見解とかそういうことでなくて、今の政府の明確な認識であります。

池田委員 サマワの市評議会が存在をしている、それから、その後で、存在していないということで撤回をしたわけですから、まさにそのときは明確に、注視するじゃなくて、発言しているわけですよ、明示しているわけですよ、要するに、存在しているとか、していないとか。だから、今はどうなのかと聞いているわけですよ。政府の最終見解を聞いているわけです。要するに、まとまった見解を聞いているわけですよ。そこで突然、事態を注視するなんかということで、自衛隊を派遣できますか。

小泉内閣総理大臣 それは、先ほどから答弁しておりますように、総辞職したとの報告もあった。しかしながら、現地の情勢では、総辞職していない、存在しているという報告もある。そして、評議会がどういう位置づけになるかということは、まだ確たる状況にはない、だからこそ注視してまいりたいと言っているんです。これはサマワ市評議会だけの議論をしていますが、全体の問題は、治安情勢が大事なんです。

 民主党の意見、わかりますよ。イラク法案でも、何しろ絶対派遣しちゃいけないというのが民主党の議論でしょう。サマワ評議会がどうあろうと、イラク派遣はしてはいけないというのが民主党の立場だというのはよくわかっています。それは、評議会がすべてではない。イラク市評議会の問題というのは、現在、自衛隊の派遣の判断について、この治安状況が悪化しているということに直接結びついていないから、今後とも注視していく必要がありますが、この派遣の問題については、自衛隊を派遣するという状況にあるという認識は変わっていないということを言っているんです。

 それは、民主党と我々とは立場は違いますよ。民主党は、サマワ評議会がどういう状況にあろうとも、イラクに自衛隊を派遣してはいけないという観点でしょう。そういう全体の状況から議論しないと、一部だけとり続けて言われると、意見が違うんだから、意見が違うから質問できないとか、そういう問題じゃない。お互い、政党も違って考え方も違う。そういうことで、自分たちの意見に同調しないから質問しないとか、できないとかいう問題じゃないんです。(池田委員「聞いてない、聞いてない。総理、聞いてないよ」と呼ぶ)いや、政府の統一見解を出しなさいと言うから、私ははっきり答弁しているんです。意見の違いはあります。私も池田議員の意見には納得できない。私の意見に池田さんが納得できないのも、民主主義の日本ですから、これはあって不思議ではないんです。

斉藤委員長 答弁を簡潔にしてください。

 池田さん、どうぞ質問をお続けください。

池田委員 総理に申し上げますけれども、あとのいろいろな長広舌は要りません。今は、ただ一点、サマワ市評議会が存在するかどうか、その認識の一点だけ聞いているわけですから。「存在と無」という難しい本もありますけれども、そういう難しい話じゃない。それだけ聞いているわけですから。

川口国務大臣 二十九日に改めましてオランダ軍に確認をいたしましたところ、オランダ側としては、サマワの市評議会が総辞職をしたという認識に変わりはないということでございました。そして、同じ二十九日にサマワのCPA関係者より聴取をしましたところでは、サマワ市評議会のメンバーより辞意の表明はあったが、次のメンバーが決まるまでは職にとどまりたい、ないし、執務を行ってもよいとしている者もいるということです。

 総辞職をした後、新たに……

斉藤委員長 簡潔にお願いいたします。

川口国務大臣 市評議会が選出されるまでの期間における評議会の位置づけについては、オランダ軍もCPAも確たる見解は持っておりません。

池田委員 一国の最高責任者である総理大臣が、サマワ市評議会がなくなったという話だったけれども、やっぱりあったとか、あるかもしれないとか、そんなことで、皆さん、審議続けられますか。

川口国務大臣 それにつきましては、まさに総理がおっしゃっているような状況でありますから、我が国としてその状況を有権的に解釈する立場にはないということでございます。

 ほかの国の解釈は、先ほど申し上げたとおりでございます。(発言する者あり)

斉藤委員長 再度、再度、川口外務大臣には御答弁を願います。

川口国務大臣 二十九日に改めてオランダ軍に確認をいたしましたところ、オランダ側としては、サマワの市評議会が総辞職をしたという認識に変わりはないとしています。

 同じ二十九日にサマワのCPA関係者へも聴取をしたところでは、サマワの市評議会のメンバーより辞意の表明はあったが、次のメンバーが決まるまでは職にとどまりたい、ないし、執務を行ってもよいとしている者もいます。

 総辞職をした後に新たな市評議会が選出されるまでの期間における市評議会の位置づけにつきましては、オランダ軍及びCPAも確たる見解は有しておりません。

 我が国としても、有権的にこれを解釈する立場にはないということでございます。(池田委員「質問できませんよ、委員長。委員長、何とかしてくださいよ。それから、同じ答弁を繰り返すし、私の言うことに答えていない」と呼び、その他発言する者あり)

斉藤委員長 もう一度、国民がこの議論を聞いておりまして、有権的という意味はわかりにくいという御指摘がございますので、川口外務大臣におかれましては、有権的ということにつきましてもわかりやすく、わかりやすく御答弁を願い、御説明をいただきたいと思います。

川口国務大臣 有権的に解釈をする立場にないと申し上げましたのは、そもそも、イラクにおいて今いろいろなことが生成期にありますので、市評議会についての法律的な根拠が明確にあるわけではない。

 それから、仮にあったとしてもこれはイラクの法律でございまして、他国の法律を日本の立場で解釈する立場、日本として解釈をする立場にはないという二つのことを申し上げたということでございます。(発言する者あり)

斉藤委員長 それでは、再度、再度、再度御答弁をお願いいたします。有権的立場における解釈、それにつきまして、わかりにくいという御指摘もございますので、わかりやすいように、大臣、御答弁いただきたいというふうに思います。

川口国務大臣 有権的解釈ということの意味ですけれども、これは、国家機関が行う、拘束力を持つ法の解釈ということでございまして、わかりやすく申し上げれば、かみ砕いて申し上げれば、この解釈が唯一の正しいものだということで、それをそういうふうに決める、そういうことであるということだと思います。(発言する者あり)

斉藤委員長 それで質問を続行していただきます。大臣も答弁をされました。質問を続行してください。池田元久君。質問を続行してください。池田元久君。(発言する者あり)

 それでは、大臣から答弁をいたさせますが、その前に池田君から質問を再度していただいて……(発言する者あり)いや、事柄を明確にするという意味合いもありますので、もししていただければ。

池田委員 委員長に申し上げますけれども、私の質問時間を確保してくださいよ。向こうの原因で混乱していて、私の質問する時間ないわけですから。ちゃんと休憩といいますか、協議する時間は協議してほしい。

斉藤委員長 後刻、理事会で協議します。

 それでは、川口外務大臣。

川口国務大臣 私が申し上げた、我が国として有権的に解釈をする立場にないと言ったことの意味でございますけれども、まず、イラクにおいて、この市評議会を律する法律がまだないと思われるわけでございます。それで、仮に何かあったとしても、これについて、我が国の立場で、イラクのこの市評議会の現在の状況はこうであるということを、よその国の法律ですから、判断する立場にはないということを申し上げたということです。

 それから、一言、もう少しわかりやすくなるかと思いまして御説明をさせていただきますと、CPAというのは、この地域の統治に最終的な責任者を持っている組織です。それから、オランダ軍というのは、イギリス軍のもとでこの地域で治安に責任を持っている、この地域について責任を持っているわけでございます。

 我が国が、総辞職をしたというふうに最初に考えて総理がお話しいただいたわけですが、あのときに総理がおっしゃられましたように、CPAとオランダ軍の情報によればということを申し上げているわけでして、その二つがそういうふうに考えている。

 それから、今の状況については、先ほど私が申し上げましたように、総辞職をした後に新たに市評議会が選出されるまでの期間における市評議会の位置づけについては、オランダ軍及びCPAも確たる見解を持っていないということを先ほど申し上げたわけでして、オランダ軍とCPAは、それぞれこの統治及び治安について責任を持っている人の見解が、総辞職をしたと言い、現在の状況については見解をはっきり持っていない、そういうことを申し上げたわけでございます。

池田委員 今の説明で、常識的な感覚を持った人だったらこれはわかりませんよ、要するに。

 要は、何を聞いているかといったら、皆さん御存じのように、日本政府の認識を聞いているわけですよ。方針を聞いているわけですよ。ところが、それに対して結局結論はわからないということなんですよ。そんなことでいいんですかということなんです。日本は主体的にどうだということを聞いているわけですよ。

 それで、それは、今の話は非常に問題ではあるけれども、それ以前にもっと総括的といいますか総合的といいますか、非常に単純明快なことなんです。要するに、総理が、一国の総理が、市評議会がなくなったという話だけれども、あるかもしれないなということを大事な自衛隊派遣の前におっしゃっているわけですよ。

 しかも、その前に、公式といいますか、本会議でははっきりと明確な認識を表明されたわけです、そのときは、正しいか正しくないかは別として。それで、今になってわからないとはどういうことですか。ですから統一見解を出すべきだと言っているわけです。

小泉内閣総理大臣 それは何回も説明しているんですよ。

 二十七日の本会議の答弁においては、サマワ評議会が存在しているという、それは、オランダ軍とかCPAからそういう報告があったから答弁しているんです。ところが、その後いろいろな情報が入ってきて、総辞職をしたとかそういう情報があった。それで、現時点において、いや、実際は総辞職していないんだという話もある。そういう情報がある。

 いずれにしても、市評議会の問題が治安情勢の悪化に直接関係があるとは見られない、これが政府の正式な認識なんです。(池田委員「総理大臣のぶれなんだよ」と呼ぶ)ぶれでも何でもないんですよ。(池田委員「重大なぶれだよ」と呼ぶ)重大なぶれでも何でもない。

 それは、自衛隊をイラクに一切派遣してはいけないという考えから立てばそういう考えが立つかもしれませんが、これが、市評議会の問題が現地の治安情勢の悪化に直接関係するものではないという認識というのが正式なんですよ。極めて明確なんです。

池田委員 いやいや、これは大事なところなんで、これはもうわかりやすい話なんだ、総理大臣の発言のぶれを言っているわけですから。それに対して何ら正面から答えていない。本会議であれだけはっきり言いながら、今度は、しかもそういうところで発言しないで、暮夜ひそかにとは言いませんが、公人ですから、いろいろな人に会って話す、そこで、なくなったという話だったんだけれどもやはりあったんだよなというような発言をする総理、これで自衛隊を派遣できますか。

 発言について重大なぶれがあることは明らかじゃないですか。ですから、総理の今の統一見解、現段階のまとまった見解を出しなさいと私は言っているわけです。

小泉内閣総理大臣 何回も言っているでしょう。市評議会の問題について……(発言する者あり)

斉藤委員長 総理、ちょっと待って。(発言する者あり)戻ってください。戻ってください。それは失礼だよ。総理が答弁しているのに失礼だよ。

 引き続きどうぞ、小泉総理大臣、御答弁願います。(発言する者あり)小泉総理大臣、御答弁願います。

小泉内閣総理大臣 何回も答弁しているんですよ。いろいろな情報がある、しかし、市評議会の問題が治安情勢の悪化に直接関係するものではない、これからも注視してまいりたいということをはっきり申し上げているんです。ぶれても何でもないと。

池田委員 お聞きになったとおりでありまして、委員長、これは、自衛隊派遣の前にした総理の発言の二転三転の話ですから、話は全然解明されない。あなたの責任で問題を処理してくださいよ。

小泉内閣総理大臣 どこが二転三転しているんですか。一貫していますよ。市評議会の問題が治安情勢の悪化に直接関係するものではない、そういう認識を表明しているんじゃないですか。

池田委員 また二転三転していないと言いわけをされましたが、そのこと自体、客観的な事実経過からいってまさに二転三転しているわけですから、全くこれは遺憾ですね。

 こういうことでは我々審議はできませんよ。聞こうと思っているんですけれども、審議できませんよ。(発言する者あり)

斉藤委員長 民主党の質問時間、残っております。御質問を続行してください。

    〔委員長退席、小野寺委員長代理着席〕

    〔小野寺委員長代理退席、委員長着席〕

池田委員 先ほど来の経過は御存じのとおりでございます。

 大変日本にとって重要な、イラクに対する自衛隊の派遣にかかわって、現地の、派遣地のサマワ市評議会の存否について質問をしてまいりましたが、明確な、そして国民にわかりやすい見解を表明していただきたいと思います。

川口国務大臣 二十九日、改めてオランダ軍に確認したところ、オランダ側としては、サマワ市評議会が総辞職したとの認識に変わりがないとしている。また、同二十九日、サマワのCPA関係者より聴取したところでは、サマワ市評議会のメンバーより辞意の表明はあったが、次のメンバーが決まるまでは職にとどまりたい、ないし、執務を行ってもよいとしている者もいる。

 総辞職した後に新たに市評議会が選出されるまでの期間における市評議会の位置づけについては、オランダ軍及びCPAも確たる見解を有していない。

 日本政府としても、この点につき確たる判断を下す状況にない。

 いずれにせよ、我が方としては、今後とも、サマワ市評議会をめぐる事態の推移を注視していきたい。

 なお、現地の行政サービスは淡々と継続、提供されており、今次辞職騒動により、治安情勢及び日常生活に特段の支障が生じているとの報告には接していない。

 以上でございます。

池田委員 見解が表明されました。その見解についてさらにお尋ねをし、さらに、残余の問題については後刻質問をさせていただきますので、委員長におかれましては、質問時間を十分保障されるようにお願いをして、私の質問は終わります。

斉藤委員長 次に、藤田幸久君。

藤田(幸)委員 民主党の藤田幸久でございます。

 まず、小泉総理にお聞きしたいと思いますが、最近の報道で、アメリカのケイ前議長が大量破壊兵器の存在はなかったという発言に続きまして、国連の査察団の議長をしておりましたブリクス元議長が同じようにやはり、大量破壊兵器の存在はなかった、アメリカとイギリスによる魔女狩りであるというような発言もいたしております。

 そうしますと、今回の自衛隊の派遣は人道復興援助ということでございますが、そもそも被害を受けておりますイラクの一般の方々が、もし、大量破壊兵器がない、あるいは戦争の大義がなかったということでアメリカを中心とする軍事攻撃によって被害を受けたとしますと、これはいわれのないとがで犠牲になった方々でございます。

 一方、現在までの日本政府の立場は、このアメリカの戦争の大義を支持し、それに加担をした形でのかかわり方をしておりますので、もしこの大義がなかったということになりますと、いわゆる一般的な被害者ではなく、加害者側による人道援助ということになりますので、同じ自衛隊による人道復興支援におきましても、自衛隊員の方々が、にしきの御旗を飾って人道復興援助に行くのか、それとも後ろめたい思いで人道復興援助に行くのか、非常に大きな違いが出てくると思います。したがいまして、もし戦争の大義がなかったということが国際的に認知されるということが出てきた段階におきましては、この人道復興援助に対する考え方というものも当然変えていかなければいけないと思いますが、その点について、総理の見解をお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今でも国連は、すべての加盟国に対し、イラクの復興支援、人道支援に対して加盟国は協力してくれという要請をしております。そういう中で自衛隊の諸君がこの復興支援に赴くということについて、私は敬意を表しております。

 そういう点から、私は、復興支援、人道支援、日本としても必要だから、国際社会の一員としての責任を果たす必要があるから決断したわけであります。当然大義はあると思っております。

藤田(幸)委員 大義がないということが国際的により確定した場合に、自衛隊の方々を送る送り方、そして自衛隊員の方々の気持ちを思いますと、当然やはりそれに対する違った配慮、そして送る姿勢がなければ、自衛隊員の方々がイラクの国民に受け入れられる態度が変わってきますから、当然違った配慮が必要ではないか。その認識がもし変わった場合には、自衛隊員の送り方、日本政府の送り方が当然変わってくるのではないかということについて、お答えをいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 一日も早くイラク人が希望を持ってみずからの国づくりに立ち上がる、それができるように、日本も日本としてふさわしい協力をし、責任を果たしていきたいと考えております。

 そういう中で、もう自衛隊の諸君が行かなくても、イラク人が立派に、よその国の手をかりなくても自国の再建、復興ができる、そういう状況が早く来るように、日本としても協力を惜しまないつもりでございます。

藤田(幸)委員 もし日本がそういう大義ない側に加担していったという場合には、自衛隊員の方々は、いわゆる中立的な形で人道復興援助に行っている形じゃありませんので、当然むしろ民間の方の方が相手の国の方々により受け入れられ、そして、より効率的な、きのうも参考人の方々にも伺いましたが、民間機関の方が軍事組織よりも人道復興援助については比較優位があるということは、これはいろんな方が、専門家の方がお認めになっているわけですから、したがって、もし戦争そのものの大義が失われた場合には、同じ人道復興援助の性格が変わってくるだろうということを申し上げているんですが、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 自衛隊の諸君が行かなくても人的支援ができるということであれば、民間人であろうがNGOであろうが政府職員であろうが、行っていただきたい。人的支援は何も、自衛隊諸君だけがなすものではないと私は認識しております。

藤田(幸)委員 恐らく大義がないということがより確定した段階では、私はそういう状況が必要になってくるという点を今から申し上げて、早速また、サマワの問題に戻りたいと思っております。

 事実関係ですが、防衛庁長官は二十九日の答弁で、先遣隊の皆さんがサマワの評議会の議員一人一人を訪問したと答弁なさっております。これは二十九日です。そのことの事実関係の確認と、それから、昨日以来問題になっております、このサマワの評議会の議長代理であったということを確認をした、それは先遣隊の隊員が評議会を訪問したというふうに昨日言っておりますが、この二つ、事実関係は間違いありませんか。

石破国務大臣 手元に議事録がございませんが、私は一人一人訪ねて確認をしたということは申し上げた記憶はございません。(藤田(幸)委員「議事録に載っています」と呼ぶ)お一人お一人に確認をしたという記憶はございませんが、議事録を精査させていただければと思いますし、また、そのお取り扱いは委員長、理事会においてお決めをいただければと思っております。

 それから、後段の御指摘でございますが、これは繰り返しの答弁になって恐縮ですが、昨日サマワの評議会を訪ね、代表と紹介された方に直接お目にかかり、もう一度、失礼なことかもしれませんが、あなたはどういう肩書ですか、代表というふうに紹介をされましたがどういう肩書ですかというふうにお尋ねをしたところ、市議会議長代理である、それはアラビア語でどうなんだと言われれば、ちょっと私ここで答えるだけの知識を持ちませんが、そのようにおっしゃったということでございます。

藤田(幸)委員 議員一人一人を訪問したというのは、はっきり二十九日におっしゃっているんですね。それから、きのう隊員が評議会を訪問したということは、先ほど、きょう長官がおっしゃっているわけです。

 それで、なぜ私がこういうことを申し上げるかといいますと、実は知事の公邸で二十日にお会いされた、評議会の議長代理ということが確認されましたが、要するに、評議会、治安の根拠の一つと総理も答弁をされておりましたが、言っておりました評議会に関しては、もともとしっかりと訪問する意思がなかった、あるいはそういう行動が具体的にはとれていないということでございます。それから、きのう隊員が評議会を訪問したということは、隊員の人々が、あるいは先遣隊が評議会を訪問する意思あるいは目的があれば既に訪問ができていたにもかかわらず、きのうまで訪問しなかったということになっているわけです。

 ということは、この政府調査報告の全文がございますけれども、この「治安情勢」という大きな一項目の最後の結論部分の主語は「先遣隊は、」というふうになっているんです。実は、それまでの説明に関しては、サマワ周辺の情勢はとか南東部における治安はとか、そういう客観的な主語になっておりまして、「治安情勢」の最後の結論づけの主語の部分は「先遣隊は、」となっているわけですね。

 したがって、総理に確認をしたいと思いますが、先日の答弁で、治安情勢の根拠の一つとしては評議会とおっしゃいましたが、もう一つあるというふうにもともと二十七日にはおっしゃっているわけです。ところが、本会議においては、そのサマワの評議会が機能していないといって治安情勢が悪化したということにはつながらないとおっしゃっているわけですが、ということは、二十七日には、その評議会というものは治安の一つの根拠として挙げながら、今度は本会議においては、もう一つあった理由については述べずに、評議会が機能していなくても治安情勢に変化がないとおっしゃっているというのは、これは矛盾じゃないですか。

小泉内閣総理大臣 全然矛盾していません。総合的に地域の情勢を、報告を受け、判断しているからであります。市評議会の問題が直接治安情勢の悪化に関係するものではないという認識は変わりありません。

藤田(幸)委員 二つ挙げていた根拠です。そのうちの一つです。そして、訂正したときには、そのもう一つの方は挙げていない。大変な矛盾じゃないですか。

小泉内閣総理大臣 二つだけではない。「等」と、いろいろな、総合的に情勢を判断しているわけでありまして、評議会の問題が治安情勢の悪化に直接関係するものではないということは重ねて何回も答弁しているとおりでございます。

藤田(幸)委員 この「先遣隊」という主語のところですね。これは、まさにムサンナ州知事を訪問したというところで、この評議会の議長代理も同席したというところでございますが、そこで三十人の方々と面会された結論として、「サマーワの住民を代表して」というような記述、そして、「自衛隊の安全はサマーワ市の安全の一部と確信しており、市民の多くが自衛隊員の身の安全を確保することに協力する」と。そして一番最後の、これは結論の部分です、主語ですけれども、「先遣隊は、自衛隊の活動に関する地元の強い期待と友好的姿勢を確認。」となっているんですね。ということは、その先遣隊が主語なんですね。したがって、治安情勢の判断は先遣隊がしているわけですね。その先遣隊が知事に会って、そして知事の場で、評議会の議長代理という方々とお会いをしてと。

 言っていることは、そもそも評議会の存在自体が、この先遣隊が把握していなかったことを含めて、先遣隊の、この治安に関する主語の部分ですね、そして結論づけの部分が根底が崩れているし、この先遣隊という主語自身の調査自体が、これが信憑性がないということじゃないですか。

石破国務大臣 それは、そのようには思いません。先遣隊は、もちろん専門調査団やいろいろな調査、オランダからの情報、CPAからの情報、そういうものを予備の情報として持っていくわけでございます。すべて前提が崩れたというふうにおっしゃいますが、私は前提が崩れたとは思っていません。

 そして、サマワの地においてそのような状況が起こっておるということは、これはテレビがすべてだとは申しませんが、現地において、本当に自衛隊よく来てくれたね、歓迎するよと。そして宗教指導者の方が、自衛隊を守るのは宗教的義務であるというような説教をなさる。そういうような状況も生まれておる。そこに先遣隊が、いろいろな事前の情報に基づき、そして現地におけるいろいろな体験に基づき、そのように感じたということは、私は偽りでもなく何でもないと思っております。

藤田(幸)委員 先ほど申しましたように、先遣隊は、この評議会はきのうまで訪問していないんですよね。ですから、この「サマーワ市評議会」という記述が入っていますけれども、そもそもサマワ市評議会を訪問していない。そして、それも含めて、先遣隊という主語で、この治安というものに関して安全を確認したという報告をしている。

 ということは、そもそも評議会というものをこれだけ政府の報告書の中に中心的に書きながら、その正式な訪問もしていない。そして、それを確認したのはきのうのことである。そして、その主語が先遣隊ということになっているので、総理が、サマワ市評議会が機能していないことは直接治安につながらないと言うこと以上に、それも含めて総合的に先遣隊が間違っていたということじゃないですか。

石破国務大臣 そのようには全く思っておりません。総理が答弁なさっておられますように、そのことのみをもって判断をしているわけではない、いろいろなことを総合的に判断した結果としてそうなのであるということでございます。

 それは、先生も学者でいらっしゃいますからよく御案内のとおり、現地の評議会というものが生成過程にあって、我々のように、ある意味成熟した民主主義社会における議会というものとは当然異なるものである。そして、これはきのうも答弁を申し上げましたが、今の評議員の方々が、自薦で、おれが評議員になる、おれが評議員になるといっていらっしゃって、その中からCPAが選んだというものを、より民主的なものにしよう、そういうような成熟、生成の過程にあるわけでございます。それを一つの要素としてはもちろん考え、重視をしておりますが、そのほか、部族の皆さん方の状況、あるいは現地の犯罪の発生状況、あるいはオランダ軍の状況、住民の方々のお気持ち、そういうものを総合的に勘案し、先遣隊がという主語で物を書いておるわけでございます。

藤田(幸)委員 その評議会というのが、少なくとも初めは、この予算執行の対象の機関であるというふうに考えていたのは間違いないわけですね。ところが、その市評議会を訪問もしていない、あるいは連絡もしていない、しかしながら、この調査団の報告にかなり中心的な役割として書いている。そして、先ほどは、この評議会の存在について、CPAなりオランダ軍がという話がありましたが、私が今問題にしているのは、その評議会というものの存在を、この先遣隊が主語で認知をした上で報告書を結論づけているということは、この先遣隊が主語になっておりますこの治安情勢に関する報告そのもののクレディビリティーが喪失をしたということじゃないですかということを申し上げているんです。

川口国務大臣 市評議会とはこの先遣隊以前に何回も面会を日本政府としてはいたしております。その中には、サマワ評議会の議長とお会いをしたときもございます。これは防衛庁長官が御答弁なさることかもしれませんけれども、そういったことを総合的に積み上げた結果として報告があるということでございます。

 それから、先ほど、予算の支出の相手先として市評議会が想定されていたではないかというふうにおっしゃられましたけれども、もしその予算が経済協力予算についておっしゃっていらっしゃるのでしたら、サマワの市評議会を対象として、お願いをしている補正予算が検討されているということはございません。

藤田(幸)委員 サマワの市評議会の方々にこれまで政府の代表がずっと会っていないという答弁がきのうあったと思いますけれども、それに対して、例えば昨年の秋、これは池田議員に対しての質問だったと思いますけれども、それに対してまだ答えが来ていないんだろうと思うんですけれども、それで、今、議長に今まで政府の代表が会ったことがあるとおっしゃいましたが、いつ会ったんですか。

川口国務大臣 これは、昨年の九月から十一月にかけて、記録等によって確認できたもので四回お会いをしております。その中には、三回議長とお会いをしているのが含まれているということでございます。

藤田(幸)委員 したがって、それは昨年の話でございまして、今回、その先遣隊に関しては、評議会に訪問をした、あるいは先遣隊員が訪問したという、それから意図もなかった。しかも、知事のところでたまたま同席をした、そこで会ったという評議会の代表を議長と認知して、それに基づいて調査報告がなされている。そして、それも含めたほかの治安情勢も勘案した中での結論づけとして「先遣隊は、」となっているわけですね。

 ここ数日間の答弁で、オランダ軍とかイギリス軍とかCPAとか、そういう話が出ている中で、先遣隊が主語として、しかも、文書に残っているのは、この文章だけですよ、ほとんど。その先遣隊が結論づけた治安の根幹であるところのこの市評議会の存在が、今機能していない、あるいは確認がとれないということであるならば、この報告書そのものの一番根幹のところの信頼性がないということじゃないですか。

石破国務大臣 この意義づけにつきまして、そして、市評議会の位置づけにつきましては、総理が先ほど来再三答弁をなさっておられるとおりでございます。(藤田(幸)委員「いや、先遣隊が」と呼ぶ)報告書は「先遣隊は、」という言葉が先生御指摘のとおりございますが、それは、先生の御議論は、それを最大の根拠としてというようなことを我々が前提としてつくったというお話をなさっておられるのだと私は理解をいたしております。しかしながら、私どもはそういうことでこの報告書をつくっておるわけではございません。

 だから、先生がおっしゃいますように、仮にこの市評議会というものの存在をすべての前提とし、最大の根幹として論理が構成されているとするならば、先生のような御議論もあるいはあろうかと思います。しかし、私どもは、総合的に、いろいろなことを積み上げ、判断をして行っておる。そして、現地の状況というものが、部族社会であり、宗教指導者というものが力を持ち、そして今の評議会というものがどのように構成をされたかといえば、私がやりたい、私がやりたいという人の中からCPAが指名をしたというものであることは先生御案内のとおりです。

 それが二十日の時点では有効に機能しておった、そのことも、報告書にはその二十日の時点であったことを前提にして書いておるわけでございます。しかし、それが現在どうなっておるかということは、答弁の撤回あるいは訂正ということで、私ども最新の状況に合わせてやっておるわけでございます。

 繰り返しになりますけれども、それをすべての、唯一の根拠としてこの報告書を書いておるわけではございません。

藤田(幸)委員 それでは、この報告書の前に、事前にいろいろな準備をされていたという指摘も、きのうも文書も出てまいりましたけれども、例えば、バスラにおいて昨年七十件のいろいろな事件が起きたというふうなことについて、数字が出ない形でこの報告書に挙がっているわけですね。ということは、いろいろなこの情報について、全部、逆の情報があったはずでございますけれども、それについてのカウンターチェックはしていないんですか。

石破国務大臣 委員御指摘の逆の情報ということがちょっと私にはにわかには理解いたしかねますけれども、そのような数字がどうであるのか、犯罪の件数、あるいは、従来よりサマワの地は他地域に比べて比較的平穏であるが襲撃の可能性は否定できない、こう申し上げておるのは、その数字がどうであるのか。日本のように、犯罪というものは警察署できちんきちんと、何件何件、どのようなものが何件というふうにきちんと機能しておるとは認識をいたしておりませんけれども、その数字が、CPAあるいはオランダ軍等々を通じて、本当に信憑性のあるものなのかということには配意をしてまいっております。

藤田(幸)委員 そのオランダ軍ということでございますけれども、何かにつけてオランダ軍あるいはCPAという話が出ておりますけれども、けさの報道で、オランダ軍の司令官が、自衛隊はそもそも自分で自分たちの警護をするべきである、したがってオランダ軍に全部任せられても困る、基本的には自衛隊自身がという話がございましたが、一方でオランダの治安情報というものを根拠にしながら、あるいは、それもかなり勘案しながらこの政府調査報告もつくられていると長官の方も答弁がありましたけれども、そうすると、オランダ軍に一方ではかなり情報を頼っていて、あるいはオランダ軍に守ってもらって派遣といいながら、そのオランダ軍の司令官がそれを否定するような発言をしておりますと、非常に自衛隊の皆さんにとっては派遣の治安に対する不安というものが拡大するんじゃないでしょうか。

石破国務大臣 先般、カンプ大臣と私、直接お目にかかりまして、六時間か七時間お話をいたしました。その中で、当然のことでございますが、自分の国の部隊は自分の国で守る、当たり前のことでございます。そのことはお互いに当然のことである。ですから、自衛隊は自衛隊が守り、オランダはオランダが守る。

 しかしながら、仮に御承認をいただき本隊を派遣するということになったとして、宿営地を造成しているというような時点においては、どうしてもこれは軍事的に、立ち上がりのときというのは脆弱性を伴います。そのときに、オランダが警護をする、自衛隊の足らざるところを補う、それは当然のことであり、これもカンプ大臣とは確認済みのことでございます。

 そして、オランダ軍が持っております責任というのは、サマワ地区の治安全体にオランダは責任を持っておるわけでございます。そうなってまいりますと、仮に襲撃を受けたという場合に、当然自衛隊は自分で守るということでございますが、同時に、現地の治安、サマワの治安に責任を持っていますオランダが支援をするということは、当然あり得ることでございます。

 この点につきましては、国防大臣同士、私防衛庁長官と国防大臣、あるいは現地の司令官同士、そのような適切な連携のもとに密接な連携をとってまいりたい、このように考えております。

 カンプ大臣がおっしゃったことは、当然のことをおっしゃったまでのことであります。

藤田(幸)委員 いや、ですから、都合のいいときにはオランダ軍の情報、そして都合のいいときにはCPA、都合のいいときには先遣隊と、要するに使い分けをいろいろされておるわけですけれども、こういう形では、結局報告自体も、きのうも文書も出ておりましたけれども、既にでき上がった予定稿があって、そしてそれに合わせるような形であって、そしてそれに合わせる中心のいわば対象として市評議会があって、そしてその存在が実は確認がとれない。

 だけれども、結局、それまでの積み重ねがあったにしても、先遣隊が一義的には政府に報告をしているわけですけれども、その先遣隊自身がそもそも評議会の存在をしっかり確定せずに調査をしてきたということ自体は、やはり先遣隊自体の問題だろうと思うんですけれども。ということは、総理が答弁なさった、治安に関する、評議会の機能していないこと以上に、それを含めて先遣隊が報告したということ自体が、根拠が揺るぐんじゃないでしょうか。総理、答弁をお願いいたします。

小泉内閣総理大臣 先遣隊だけで判断しているわけではございません。先遣隊の報告もあります。これまで政府調査団も行っております。あるいは、現地のオランダ軍とかCPAの情報もあります。関係国の情報もあります。総合的に判断しなきゃいけない問題だと思っております。

藤田(幸)委員 きのう、先遣隊が初めて評議会に出向いているわけですね。そして、その議長代理という人に会ったと言っておりますけれども、この議長代理というのは、事務局長と同一人物でしょうか。

川口国務大臣 私どもは、その方を議長代理として認識をいたしております。

藤田(幸)委員 そうすると、事務局長ではないんですね。

川口国務大臣 事務局長というポジションがあるのかどうなのか、あったとして、その人がそうなのか、そういったことについては、いろいろなことが動いていますので、はっきり申し上げることはできません。

 私どもが把握しているのは、その方は、御本人もみずからおっしゃっていらっしゃるわけで、議長代理であるということでございます。

藤田(幸)委員 いや、これは重要なことで、先日、外務省の報告で、この事務局長というのは日本でいえば助役のような立場の方だと。

 つまり、評議員であるかどうか。つまり、そのもともとの事務方の方が、評議会事務局長をしているというその方と、それから、実は議長代理だとおっしゃっている方が評議員であるのか、これは非常に大きな違いなんです。

川口国務大臣 その方は、評議会のメンバーでございます。ファディール・アサブさん、評議会のメンバーであって、御本人みずから、自分は、日本の訪問した人に対して、みずから議長の代理であるということを言っているということでございます。

藤田(幸)委員 先日の外務省の説明では、市の助役のような方だというふうにおっしゃっておった。外務省の、外務委員会の理事会に対する、月曜日の四時、局長、中近東アフリカ局長でしたか。

川口国務大臣 市評議会といいますのは、日本にある組織とは大分違いますので、そういったことを御説明するために、今先生がおっしゃったことを外務省の者が言ったとしたら、そういったことをわかりやすく御説明することとして申し上げたのかもしれませんが、いずれにしても、この人について言えば、これは評議会のメンバーであって、代理である、議長が巡礼に行く前に評議会より議長代理に指名をされたということを御本人が言っていらっしゃるわけで、議長代理であるということでございます。

藤田(幸)委員 確認をしたいのは、この方が議員であるかどうかなんですけれども、そうでなければ、市のいわゆる事務方であったかどうか。同一人物ではないんですね。

川口国務大臣 評議会のメンバーは十二人いるわけですけれども、この方は、ファディール・アサブさんという方は評議会のメンバーの一人であります。事務局の人間ではないということです。

 別途事務局という組織があるかどうかとか、そういったことは、全部今生成中の、進化しつつある組織ですから、そういったことについて、例えば大勢事務局がいるとか、そういうことについてはよくわかりませんけれども、そういった評議会自体のスタッフという意味では、余り多くの人がいないと思われる組織であるということでございます。

 この人は、繰り返しますけれども、評議会の議員であります。

斉藤委員長 時間が参っておりますから。

藤田(幸)委員 とにかく、治安の根本であるところの先遣隊が、やはり非常にカウンターチェックも行った、現地の状況を把握した調査が行われていないということがいろいろな形で明らかになっておりますので、この派遣の調査、先遣隊というのは、総合的な中で一番中心的な役割を果たして、わざわざイラクまで行って総理ほかに報告に帰ってきたわけでございますので、その信頼性が非常に薄いということを指摘して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

斉藤委員長 次に、松本剛明君。

松本(剛)委員 民主党の松本剛明でございます。限られた時間でありますので、意義のある審議になりますことをお願いしたいと思います。

 まず、総理にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 先ほど、意見の違いというお話でございました。私どもは、大義なき戦いであるということに加担をすることになるのではないか、占領行政に加担をすることになるんではないかということ、また、この特措法の枠組みというのは無理があるんではないかということを申し上げて、イラク派遣に賛成できないということを申し上げてまいりましたが、このことを今ここではもう議論はいたしません。

 もう一つ、残念ながら、しかし今回の派遣に反対をする理由が加わってしまったような感じがいたします。これは、私たちの国民の自衛隊を派遣するという大変重大な判断をするに当たって、その判断のもとになる情報が、このように一日半も議論をしてもまだ確定しない。このような状況のもとで判断をされて出される自衛隊、その自衛隊の運用の責任を持たれるということに大変疑問があるんではないか。

 総理にお尋ねを申し上げたいのは、一つは、外交の責任者である川口外務大臣、先ほどイラクのことについて、サマワの情報がいつ入ったのかという岡島委員からの尋ねに対して、北朝鮮のことやら何やらいろいろあるので覚えていない、このようなお返事をいただいたように覚えております。外交がたくさんの問題を抱えていることは承知をしておりますが、たくさんのことがあり過ぎてとても手が回らないとおっしゃるんであれば、それは残念ながら不適格ということになるんではないかということをまず総理にお尋ねをしたいのと、防衛庁長官に関しましても、この一日半の間に二度三度答弁が変わる、しかも、どちらも我が党の議員の質問で問題の端緒は指摘をされていたにもかかわらず、速やかに確認をなされない。この点については長官からもおわびはありましたけれども、長官の今自衛隊を運用されるお立場を考えれば、速やかに動くということでなければ不適格ではないかというふうに思いますが、総理の見解を伺いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 それは、情報はいろいろ入ってきます。それを、何時に情報を受けて、どう言うかということは、覚えていない場合もあるでしょう、また、公表すべき情報と公表すべきでない情報もあると思います。それは、その時々の判断によって、これは公表すべきかそうでないかというのは、責任ある地位にある大臣としては、国会の審議にある場合にはそういうのをよく判断してなされなければならないと思っております。

 また、防衛庁長官といたしましても、情報の確認については、今までの反省点も踏まえまして、より的確に確認するよう見直すべき点は見直していかなきゃならないと思っております。

 いずれにしても、現地の治安情勢というもの、これがどういう状況なのかということについて自衛隊の派遣の是非がなされるわけでありますので、再三答弁しておりますように、サマワの評議会の問題が現地の治安情勢に直接悪化するということには現時点においてなっていないという認識においては、変わらないということでございます。

松本(剛)委員 そのようなことでいいと私は思いませんが、このことを延々と議論をしても時間がもったいないので、このように私どもの意見を申し上げたということで、次へ参りたいと思います。

 サマワの情勢についてもお伺いをしたいんですが、その前に、情勢判断と、それから我が国にとっての国益の判断の二つの理由で自衛隊を派遣されたことであろうというふうに思います。

 今派遣をされている三十七カ国のうち、外務省からいただいた資料によれば二十六だと思いますが、三十カ国近くはアメリカから援助をもらう関係にある。既に援助をもらい終わって返済をしているところもあるようでありますけれども、そういった関係にある。そういった関係にある国がアメリカからの要請に応じるというのも一つの国益判断だろうというふうに思います。また、英国等の同盟の関係というのもありますが、我が国は、そうしましたら、我が国の国益として何を理由にイラクに我が国民の自衛隊を派遣をされるのか、簡潔に国民に向けてもう一度お話をいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 イラクに安定した民主政権があってほしいというのは国際社会全体の認識だと私は考えておりますし、いかに早くイラク人が希望を持って自分たちの国づくりに励むことができるか、こういうイラク人の努力を支援しようというのが国際社会の認識だと思います。だからこそ、先般、主要な戦闘が終結した後、国連は、国連のすべての加盟国に対しまして、イラクの復興支援に協力するよう要請してきております。日本としても、世界の平和と安定の中に日本の安全と繁栄があるというふうに私は認識しております。

 そして、今まで日本の国も戦後多くの国の援助を受けて今日まで発展することができました。今、日本は世界に援助できる立場になりました。そういう観点から、日本一国だけでこれから日本の平和と繁栄があるとは考えておりません。国際社会と協力しながら、アメリカとも協力しながら日本の安全と繁栄を図るということを考えると、イラクに安定した政権ができる、イラクにテロリストが拠点をつくるような状況になってはならない。もしも仮に、イラクがテロリストの温床になった場合に世界はどうなるのか。こういうことを考えると、日本としても、日本にふさわしい支援をして、イラクに一日も早くイラク人によるイラク人のための政府を立ち上げて、イラクに安定した政権ができるということは日本の利益にかなうものである。そういうことを考えて、私は、資金的援助だけでない、人的貢献も日本としてするべきだ。

 現在の時点において、民間人が復興支援、人道支援のために汗を流せるような状況ではない。自衛隊であるならば、今まで日ごろ厳しい訓練にも耐えてきた、また、みずから危険を回避する能力も持っている。そういうこともあって、私は、自衛隊を派遣する意義があるし、日本も復興支援の意味がある。日本がイラクの復興支援に手を差し伸べるということは日本の国家利益に合致する。

 質問に丁寧に誠実に答えているわけでございます。

松本(剛)委員 時間が限られておりますので、委員長が冒頭おっしゃったようにお答えをいただきたいと思います。

 サマワの治安情勢についてお伺いをしなければならないわけであります。このことは、いただいた報告がこのとおり事実であれば、それを前提に次の話に行けたわけでありますけれども、その前提がいろいろ崩れているということで、このことをお聞きしなければならないことが大変残念であります。

 先ほどから市評議会のお話が出てまいりましたが、市評議会の存在、存否にかかわらず現地の治安情勢は安定をしているという今御認識だというふうに、先ほどの御答弁を聞いて御理解をいたしました。

 このイラク特措法によれば、実施区域は、これは現に戦闘が行われておらないことはもちろんでありますが、実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域でなければならない、また安全確保に配慮をされなければならないということであります。

 とすれば、先の見通しが大変重要なことになってくるわけでありますが、この治安情勢等を読むと、市評議会の部分は大変、このまま、もしこれが事実であったとすれば、先の見通しを明るくするものであります。しかし、ほかにあと五項目ほど出ておりますが、要点を申し上げれば、ここまでは大きな事件もなかった、デモも平和的であった、ただし、雇用問題等から反連合軍活動に結びつく可能性がある。後ろの二点も、外部の不審者は行動しにくい、しかし、巡礼のことですね、大規模宗教行事等による人の移動があって治安に影響を与える可能性。つまり、この市評議会の部分が崩れたら、この報告書を読む限り、先々安心できるとは読めない。

 総合的に判断をされてというふうにおっしゃいましたが、総合的の三文字だけで我々は審議をするわけにいきませんので、具体的に総理は何をもって判断をされたのか、お伺いをしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 現時点において、サマワ市評議会の問題が治安情勢の悪化に直接関係するものではない、結びつくものではないと述べているわけであります。現時点において、総合的には、現地の、いろいろな人たちがおります、機関もございます、そういう点を考えて判断したわけであって、将来、状況が変わるようなことがあれば、その時点でまた判断しなきゃならないと思っております。

松本(剛)委員 私たちは、承認について賛否を求められる議員であります。総合的に判断をして治安情勢が安定しているから賛成をしろと。これだけであれば、申し上げたいのは、この文章は結局書き直していただくかどうかしていただかないと意味をなさないのではないか。これも一つの根拠で、これだけでも到底短いと思いますが、しかもこれが崩れているわけでありまして、今残っているのは、唯一総理が、総合的に判断をして安定をしている、その言葉しか残っていないわけであります。この報告で我々に、イラクの情勢を判断し、このイラクの承認の賛否を決めろ、こうおっしゃるわけでありますか。総理の見解を伺います。

小泉内閣総理大臣 もともと民主党は、この報告いかんにかかわらず、賛否を判断するということではないと思うんですね。もう以前から、イラクに自衛隊を派遣することには反対だと表明されているわけであります。

 日本政府としては、自衛隊の先遣隊の派遣のみならず、現地のオランダ軍の報告とか、あるいは現地に住んでいる部族の皆さんとか、あるいは当地を代表する方々の意見、あるいはCPA、総合的に判断して自衛隊を派遣することが可能かどうかということを考えているわけでありますので、これが総合的ということでありますので、自衛隊の先遣隊の報告がすべてであるとは言っているわけではございません。

松本(剛)委員 今お聞きをしていれば、先遣隊でなくても確認のできることばかりではないかというふうに思います。

 総合的にとおっしゃる中で、その前に一つまず申し上げなければいけませんが、私どもは、イラク特措法では派遣をするのは適当でないという意見を申し上げて、また、その賛否も表明をしてまいりました。しかし、だからといって、この賛否で、国会承認を求めるに当たって、最初から特措法を認めていないんだから全く審議をしないと言っているわけではないんです。国民を代表する立場として、この承認にとって必要なことの情報をきちっと政府からお聞きして、国民にわかるようにするという義務があるから、ここでみんな時間をかけて質問に立っているわけでありますから、それに対して、最初から意見が違うからというような御答弁は撤回をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 いや、しかし私は本当のことを言っているんですよ。イラクの治安が、サマワの治安がよくても派遣には反対なんでしょう、民主党は。これ、私は本当のことを言っていると思っていますよ。

 そういう中で、イラクの現在の治安状況はどういう状況かということで先遣隊の報告もあった、また、CPAの連絡協議、状況をよく聞いている、オランダ軍とも密接な連携を保っている。同時に、サマワに住むイラク人の方々の意見も聞いている。そういう中にサマワ市評議会というものがある、そういう方とも今まで意見も交換してきた。今回の先遣隊だけでなく、昨年来から政府の調査団も派遣している。

 そういう点も含めて総合的に判断しているというわけでありまして、私は、民主党はサマワの地域が安定していれば自衛隊を派遣することに賛成かというと、そうでもないんでしょう。(発言する者あり)安定しているということでも民主党は反対だということに変わりないんでしょう。それが違うというのはどうかと。私の発言にどこに誤りがあるんでしょうか。私は本当のことを発言している。

 私は、現在認識していることを表明しているということを言っているんで、決して民主党の立場がけしからぬと言っているんじゃないんです。民主党の、イラクに自衛隊を派遣してはいけないということだろうと言っているんであって……(松本(剛)委員「委員長、時間がないんです」と呼ぶ)民主党の考え方がけしからぬとは言っていないんです。(発言する者あり)

斉藤委員長 簡潔に御答弁ください。

小泉内閣総理大臣 そういう意見はわかります。であるからこそ、安全面にも十分配慮して、日本のできることをやろうということを発言しているわけであります。

松本(剛)委員 私の質問時間を委員長に確保していただくように求めたいと思います。

 もうこのことを繰り返しても、また委員長が小さな声で総理の発言をおとめになるだけで、もう時間がもったいないので、サマワに対する治安情勢については総合的にという以上のお話はいただけなかった、そしてその理由として、民主党は最初から反対なんだろうという理由によって全く説明されようとしなかったということだけこの委員会で確認をさせていただいて、次の問題に行かせていただきたいと思います。私の時間も限られています。

 これは総理か長官かにお聞きをしたいと思いますが、昨日の長島委員の質問で、テロ、野盗、盗賊団等に対する実力行使は憲法が問題とする武力の行使には該当しませんと。これは、憲法九条の解釈論として問題があるとは認識していないということでよろしいですか。

石破国務大臣 正当防衛、緊急避難を危害許容要件として武器を使用することは、野盗、強盗のたぐいに対してそのような行為を行うことは憲法九条とは抵触するものではございません。

松本(剛)委員 正当防衛と緊急避難の範囲に限られるわけですか。

石破国務大臣 危害許容要件としてと申し上げました。

松本(剛)委員 国民にわかるようにもう一度説明をしていただけますか、危害許容要件。

石破国務大臣 恐縮です。委員はこの法律の仕組みをよく御案内かと思いましたので、失礼をいたしました。

 武器の使用というものは、例えば、空に向かって警告射撃をするとか、あるいはとまれと言って銃を構えるとか、そういうものも武器の使用に含まれるわけでございます。そういう意味で危害許容要件というふうに申し上げました。

松本(剛)委員 私は、実力の行使というふうにお聞きをいたしました。ですから、危害許容要件という意味で、それであれば結構ですが。

 テロについてお答えがなかったですが、いかがですか。

石破国務大臣 現在、テロというものが、国際紛争を解決するための武力行使あるいはその武力を行使する憲法九条に言うがところの主体とは考えておりません。

松本(剛)委員 そうすると、テロに対する実力の行使は、戦闘地域、非戦闘地域でいうところの戦闘行為には当たらないという理解でよろしいですか。

石破国務大臣 法的評価としてはそのようなことになろうと思います。

松本(剛)委員 米軍等が行うテロに対する掃討作戦も戦闘ではない、憲法違反ではない、法律で定めれば日本もできるという理解でよろしいですか。

石破国務大臣 これも何度もお答えをいたしましたが、我々が活動する地域は非戦闘地域でなければならないということを申し上げておるわけでございます。

 米軍がやっておること云々について私どもが申し上げるというよりも、日本が活動する、委員は御認識が違うのかもしれませんが、サマワにおいてそのようなことが行われているか。サマワにおいて委員が御指摘のような米軍の活動が行われているわけではない。そして、オランダが行っているものは治安維持活動である。サマワにおいて、そのような国際紛争を解決する手段としての武力の行使というものが行われているわけではない。それが、現に戦闘が行われておらずということでございます。

 そして、活動の期間において戦闘が行われると認められないということは、客観的にいろいろな、総合的ということを使ってもしいけないというふうに委員が御指摘になるのであるならば、もう一度報告書をごらんいただきたいと思いますが、現地は部族社会であり、外から入ってきた場合には容易にわかる等々のことから、活動の期間を通じて行われることが認められないというふうに申し上げております。

 したがいまして、我々が行う活動は、いかなる場合におきましても戦闘行為に該当するものではございません。

松本(剛)委員 サマワももちろんでありますが、バグダッド空港も活動地域だというふうに理解をいたしております。そして、その地域でこれだけさまざまな形でテロとおぼしき自爆テロも行われる中では、米軍の掃討作戦が行われる可能性もある。この米軍の掃討作戦が戦闘に当たるのかどうかというのは、私は西田猛委員の議論をベースに今お伺いをさせていただいているわけでありますが、そういう可能性もある。そして、実施される期間の間戦闘が行われないということであれば、この米軍の掃討作戦というのがやはり戦闘に当たるのか当たらないのかということはぜひお伺いをしておきたいと思いますが、その一点で結構です。お答えください。

石破国務大臣 私どもの活動は、戦闘地域では行わないということです。

松本(剛)委員 現に行われておらずということと、実施される期間において戦闘が行われないということをきちっと見ないとこの実施区域は定められないわけでありますから、そうなるとすれば、そこで米軍の掃討作戦が行われるのか行われないのかということも含めて、そして、戦闘とは何かということの、これはむしろ見通しではなくて定義を聞いているわけでありますから、米軍がテロに対して行う掃討作戦というのは、この戦闘地域、非戦闘地域でいうところの戦闘に当たるのかどうかというのは、非戦闘地域、戦闘地域の定義を定めればおのずと結論が出るのではないでしょうか。その結論を長官にお伺いしております。

石破国務大臣 それが米軍であれ英軍であれ何であれ、我々が行います行為は戦闘行為ではない、そして、我々が活動を行う地域は非戦闘地域であるということです。

松本(剛)委員 結局説明ができない。行ったところは非戦闘地域である、活動は戦闘行為でない。これ、先ほどの治安情勢の総合的なという説明以外にないじゃないですか。

 結局、法律というものをきちっと解釈して、それを現実の事情に当てはめるときに、結論ありきの小泉政権のやり方が続いているから同じことが繰り返されるということであります。(発言する者あり)いや、非と言いましたよ。非戦闘地域、非と言いましたよ。

 非戦闘地域と言われましたよね。私、近くで非と聞いていましたけれども。(発言する者あり)いやいや、非戦闘地域で活動すると言われましたよね。いや、もう確認だけしていただいていいですよ。

石破国務大臣 非戦闘地域でなければならないと申しました。

松本(剛)委員 一点、川口大臣にお聞きするのを忘れておりましたけれども、公電を家に帰ってお読みになるとおっしゃっておりましたが、公電は家に持って帰ってよろしいんでしょうか。

川口国務大臣 私が役所に残って、夜十二時まで残っているということは非常に迷惑がかかるということでございまして、いずれにしても、これは大臣として読んでおかなければいけないもの、これは読む時間が昼間は国会等で全くございませんので、結果的にそういうことにならざるを得ないということでございます。

 実態として私が役所に残っていられない、それを申し上げたわけです。

松本(剛)委員 小泉内閣の本質が出たような気がいたしますが、外務省の方に確認をするまでもなく、公電は外務省から勝手に持ち出すことはできないはずだと思います。大臣であれば何でもできる、法律もルールも何でもありだというところの体質がそもそも問題だということをまず御指摘したいというふうに思いますが、大臣はいいんですか、公電を持ち出して。

川口国務大臣 外務省において、大臣はすべての公電にアクセスする権限を持っております。大臣が公電を、それを読むために、だれかに渡すためではなくて、読むために自分の家に持っていってそれを読んでいけないという規則は外務省の規則にはございません。

松本(剛)委員 こんなくだらないことで時間をとる気はありませんが、大臣自身が公電に関して、これは一昨年の予算委員会でも問題になったからあえてお聞きをしているんです。公電というのは勝手に持ち出してはいけないということを外務省自身がおっしゃった。大臣であれば何でもオーケーだということを、もうそうおっしゃるのであれば、それだけ規定を確認させていただいて、あとは規定を見せていただくだけで結構です。もう時間がわずかですから、もう結構です。それでよろしいですね。

 それで、次にお聞きをさせていただきたいと思いますが、自衛隊は自己完結型だというふうなお話があったと思いますが、私の質問時間ももうわずかですので、二点まとめて防衛庁長官にお聞きをさせていただきたいと思います。長官、よろしいですか。(石破国務大臣「どうぞ」と呼ぶ)

 一点は、これは報道によればなので、私も確認をしていませんのでお問い合わせをさせていただきますが、一部現地の人を警備で雇うという話がありますが、そのことが事実なのかどうか。そして、雇うとすれば報酬が出るという話だろうというふうに思いますが、それはどのように扱われるかというのが一点。

 それからもう一点は、先般、自衛隊の装備品を、ロシアの民間会社でしょうか、輸送を依頼しているのをテレビで画像を拝見いたしましたが、これは、武器弾薬等も輸送を依頼しているのかどうか。

 その二点についてお聞きをしたいと思います。

石破国務大臣 現地で警備の方を、現地の方を雇うかどうかということについては、まだ確たる方針を出しておりません。

 委員御指摘のように、雇用はつくらなければいけない。基本的に自己完結ですから、そんなにもともとたくさん雇える組織ではないのです。では、警備をお願いするかという場合に、本当にお願いをして大丈夫なのかということには十分配意をしなければならないということがございまして、まだ確定をいたしておりません。慎重であらねばならないと思っております。

 それから、後段の、アントノフ輸送機に武器弾薬を積んだかということでございますが、これは、自分の身を守るために使う武器あるいは弾薬、これは当然、我々の部隊が参るものでございますので、輸送をいたしております。

松本(剛)委員 これで終わりますが、自己完結とおっしゃりながら、武器弾薬の輸送という、ある意味で軍の基本を民間会社に委託されているということは、必ずしも自己完結と言えないと思いますし、警備についても、オランダ軍等に依頼をしながら、現地にもひょっとしたら依頼をするかもしれないということであれば、到底自己完結とは言えない。民間会社が運べる。こういう形での派遣というのが今のイラク特措法での派遣であって、我々は賛成できないということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

斉藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

斉藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山田正彦君。

山田委員 総理にお聞きしたいんですが、先ほどから、民主党はイラクに対する自衛隊の派遣に反対じゃないかと言っていましたが、何で反対なのか、その辺の論議をしたいと思っているんです。

 総理は、イラクに対する戦争を支援した、国連決議一四四一とかいろいろありますが、いわゆるアメリカのイラク戦争に対する支援、これを支援する理由、それを、一つだけ、一番大事なこと、何で支援したか、言ってくれませんか。(小泉内閣総理大臣「民主党が反対した理由」と呼ぶ)何で支援したか、米国のイラク戦争を。

小泉内閣総理大臣 それは、一連の国連の決議にイラクが誠実に履行しなかった。そして、国際社会に対して、大量破壊兵器等を保有していないということを立証しなければならなかった、そういう国連の一連の決議に従わなかった。そういうことから、日本は、国連憲章にのっとって米英の姿勢を支持いたしました。

山田委員 総理のメールマガジン、これは二〇〇三年の三月十三日なんですが、この中に、全世界に対する大量破壊兵器を持っているイラクと断定しておりますね。さらに、二〇〇三年三月二十日のメールマガジン、これにも、問題は、大量破壊兵器を保有するイラクの脅威、断定しているわけです。断定しているわけですね、大量破壊兵器を持っていると。

 ところが、きのうの朝未明、アメリカの上院の軍事委員会でデービッド・ケイさんが証言された。その証言の中身は十分御存じだと思いますが、総理、どういうふうに証言されましたか、デービッド・ケイさんは。

小泉内閣総理大臣 一言一句わかりませんが、ケイ氏は、持っていたということの証拠はなかったというような発言をされていると思います。

 また、私のメールマガジンを引用されましたが、私は、イラクは、十二年間、国連との約束を破り十七回の国連の決議を無視して、これらの兵器の廃棄に協力してきませんでしたということも述べているわけであります。

山田委員 いわゆるケイさんの証言、アメリカのイラクにおける戦争、大量破壊兵器があるかないかの調査、この団長が、全く証拠はなかった、イラクに大量破壊兵器はなかった、こう言っているわけですね。

 そうすると、今申し上げました、総理は国会でのイラク支持の発言等もあるんですが、総理としては、大量破壊兵器があるから、そういう主張と、国連決議に反するからという主張と、二つしてきたわけですけれども、ところが、このメールマガジンの中で非常に大事なのは、これ以上査察を継続しても、査察国に十分な情報を提出しなければ、いつまで査察を続けても脅威はなくなりませんとメールマガジンにはっきり言っておるわけです。

 ところが、ブリクス当時の国連の査察団の委員長は、あと数カ月も査察を続ければ、一切、いわゆる大量破壊兵器はなくすることができる、そうなるんだ、戦争を何としても避けたいと言っているわけです。

 総理、そういう中で、さらにスコット・リッターさんというのが、国連査察の査察官として、九一年から九八年、イラクで査察してきたんですが、その中で、生物化学兵器に対しては九〇から九五%既にもう破棄されて、ないんだ、そういう報告がなされているわけです。実際に、このスコット・リッターさんも、そしてIAEA、ここの委員長も、イラクに核兵器はないと国連にはっきり言っているわけです。

 そんな中で、総理は、まだ査察を続けなければいけない、そういう状況の中で、もうこれ以上査察を続けても脅威はなくならないんだと。なぜそういう言い方をされてきたわけですか。

小泉内閣総理大臣 後ほどブリクス発言等については外務大臣から答弁いたさせますが、私の開戦について、先ほどの質問に対しまして、ケイ博士の発言を山田議員は発言されましたけれども、ケイ博士は、上院軍事委員会公聴会での証言で、二十八日、次のように発言しているんですね。

 イラク監視グループの作業は継続する必要がある。同グループのこれまでの作業に基づく私の判断として、というのはケイ博士の判断として、イラクが国連安保理決議一四四一の重大な違反を犯していたことは明らかである。調査が完了した暁には、一九九八年以降の絶対的に腐敗した体制のもと、大量破壊兵器の拡散の観点から、イラクは、我々の想像をはるかに超えて危険な国であったことが明らかになろう。

 同時に、二十七日、NBCのインタビューに答えて、ケイ博士は、米政府が国民を欺いたということかと問われ、それは公正な見方ではない、開戦前、アメリカ政府、米国情報機関のみならず、フランス、英国、ドイツ及び国連のすべてが、サダムが大量破壊兵器を所有していると考えていた、こうもケイ博士は述べております。

 そして、昨年の一般教書演説におけるブッシュ大統領の主張は不正確かと問われ、ケイ博士は、我々が今現地において見出した現実から見れば不正確であるが、あの時点において大統領ほかに提供されていたインテリジェンスに基づけば、正確な発言であった。

 開戦は賢明であったかと問われ、絶対に賢明であったと考えるともケイ博士は答弁しているわけであります。

山田委員 実は、私はきのうの早朝、外務省に対して、ケイ博士の上院での証言内容を早急に翻訳して、それをけさまでに届けてほしいと外務省に何度も何度も質問通告した。しかし、それに対して外務省は、けさ、きょうに至るまでそれを持ってこない。これじゃ質問できないじゃないですか。

 総理にだけ、今言ったようにその質問の内容を持ってくるとか。我々はまさに国政調査権があって、そういったものをきちんと、国民のために、それこそけさまでにちゃんとそれを持ってきて、我々に精査して質問させなければ、この委員会の意味がないじゃありませんか。

川口国務大臣 この英文の報告書でありましたらばすぐにお届けすることはできたわけですけれども、既に、国会対応その他でイラク担当の課はほとんど全員が徹夜という状況で過ごしております。という中で、これだけの長さの証言を日本語に訳して、それでお届けするということが非常に困難であるということを御理解いただきたいと思います。

山田委員 和訳できて、しかも英文でも構わないと言ったのに持ってきていない。ところが、総理にはちゃんと訳したそれを渡している。私はきのうの午前中から、朝から要求している。これじゃ質問できないじゃありませんか。

川口国務大臣 和文で届けてほしいと言われたというふうに聞いておりまして、先ほど申し上げたような事情で、これは本当に時間的に、きのうのけさまでということは、どう考えても時間の範囲を超えるということでございます。(発言する者あり)

 総理には全文をお渡ししているわけではございません。

山田委員 これは本当におかしいと思うんですが、私の質問時間も限られているんで。

 官房長官、官房長官は、きのうの朝、ケイさんの国会での証言等を聞いた後の記者会見、その中であなたは、日経新聞によると、むしろ大量破壊兵器はあるという可能性が高いと記者会見している。大量破壊兵器があるという可能性が高い、どういう根拠できのうそういう記者会見をしたのか。それを明確に答えてほしい。

福田国務大臣 私は、記者会見で質問がありまして、可能性が高いというのは、それは振り返ってみてください、開戦前の状況において、イラクがいろんな大量破壊兵器を隠匿している、こういうような情報はあったわけですね。それは国連でも証明していたじゃないですか。それがもとで国連決議もなされ、そして、大量破壊兵器放棄のことについてイラクに迫ったわけですね。

 ですから、そういうときのことを考えれば、やはり可能性が強いというのは当然だと思います。

山田委員 ケイさん、アメリカの調査団の団長がはっきりないと言っているわけですよ、証拠はありませんと。

 例えばトラック、可動式、いわゆる生物兵器、これをつくったんじゃないかというんですが、これもケイさんは、共通の認識としては、いわゆる生物兵器をつくるものじゃない、そうはっきり証言していますし、アルミニウムパイプ、これをパウエル長官は、ウラン濃縮の遠心分離機の装置の一部じゃないか、そう言ってきたんですが、それに対しても、それじゃない、いわゆるミサイルの一部じゃないか、そうはっきり言っているわけですよ。

 そして、何らの証拠もなかったとはっきり言っているのに、今なお可能性が高いと、一国の官房長官が。過去のいろいろないきさつからしてそういう状況があったからじゃないんですよ。ケイさんが上院で証言するという重み、それを受けてなお、ある可能性が高いと。今の官房長官の発言では、かつての事情からしてそうだ、あのときのいきさつからしてそうだと。それときのうの発言は違うんですよ、上院での証言を受けて、団長の証言を受けての発言だから。それなのに、可能性がなお高いと、一国の官房長官がそんな無責任発言をしていいのかと言っているんですよ。

福田国務大臣 ケイ博士のことについて聞かれたわけで、ケイ博士は、ないというように断定しているわけじゃないんですよ。ないんですか、それとも、本当に。

 ですから、そういう、ないという話については、それは今のところそういう証拠もないし、断定的な、権威ある人が言っているわけじゃありませんから。前責任者でしょう。現責任者は、なお捜査する、こういうふうに言っているんですよ。

 ですから、それは、あるから、あるだろうというふうに思うから、だから捜査するんでしょう。違うんですか。

山田委員 捜査するからというのと、そこまで、今までの団長が自分の職を辞職してまででもないと言っているのに。

 それから、今度は総理にお聞きしたいんですが、総理はかつて、フセインも捕まっていないんだから、わからないのは当たり前じゃないかと言っていましたね。でも、フセインさん、捕まったんですよ。それでも出てこないんですよ。どうしてなんですか。

小泉内閣総理大臣 それは、フセイン元大統領と大量破壊兵器、違いますからね。そして、大量破壊兵器も、あの広大なイラクの領土にどこに隠しているか、隠そうと思った人がどこに隠しているか言わない限りは、なかなかこれは見つけるのも難しいと思うんですよね。

 そして、確かに証拠はない。証拠がないからなかったか。大量破壊兵器がなかったということを断定もしていないんです。だから捜査を継続しているんです。

山田委員 大量兵器はあったと総理は断定しているんですよ、メールマガジンで。この責任はどうとるんですか。

 しかも、これは、これから先、アメリカが本当にイラクをいわゆる占領した、イラク戦争をしかけた、これは大変なことなんですよ。これによって、イラクで一万人以上の本当に普通の住民まで亡くなったんですよ。これは、もし大量破壊がなくて、国連の調査団が言っているように、もうほとんどないんだ、ブリクスさんが言っているように、あと数カ月待っていてくれればもう何にもなくなるんだ、そう言っているのに、戦争をしかけたんです。

 これは国連憲章に反するんです。明らかに国連憲章に反するんです。国連憲章の二条、いわゆる自衛権の場合と、あと国連憲章の七章、総理も御承知かと思いますが、国連安保理の決議がある場合なんですよ。ところが、国連安保理の中で、この国連憲章七章には、いわゆる平和に対する脅威、破壊もしくは侵略となっているんです。そのときの安保理決議となっているんですよ。

 実際にイラクにおいて、戦争に対する脅威、破壊そして侵略はありましたか、総理。これは大変なことなんですよ。総理、答えてください。

小泉内閣総理大臣 これは、開戦に対することに対して正当性があったかどうかというのは、今までに何回も質問されて、私も何回も答弁しております。

 それは国連憲章違反だという議論もわかります。しかし、私は、国連憲章にのっとって支持を表明したわけでありまして、しかも、今例に出しておりましたケイ博士も、イラク監視グループのこれまでの作業に基づく、ケイ博士が判断として、イラクが国連安保理決議一四四一の重大な違反を犯していたことは明らかであるということも述べております。

 そして、米政府が国民を欺いたということかと問われて、NBCインタビューに答えて、それは公正な見方ではない、開戦前、アメリカ政府、アメリカ国、アメリカ情報機関のみならず、フランス、イギリス、ドイツ及び国連のすべてが、サダムが大量破壊兵器を所有していると考えていたということも、ケイ博士はインタビューに答えて述べているわけであります。

 開戦は賢明であったかと問われ、ケイ博士は、絶対に賢明だったと考えるということも答えているわけであります。

 日本政府としては、国連決議にのっとって開戦を支持いたしました。

山田委員 国連決議と言うんですが、国連決議が武力行使を容認したのは、いわゆる一九九〇年十一月二十八日の六百七十八号ですよね。ところが、千四百四十一号の安保理決議というのは、深刻な結果に直面すると警告しているだけなんですよ。ところが、武力行使容認決議は、この六百七十八号というのは、いわゆる停戦の決議、停戦決議のところに、効力をなくしているんですよ。これをもっと正確に言うと、六百八十七号は、イラクによる大量破壊兵器の廃棄に関する査察の無条件受け入れらを停戦条件として認めているわけですね。そして、最後に、イラクはもう査察を全部受け入れると言っているわけですよ。

 そうすると、これはフランスとかドイツとかそういう国々が主張しているように、新たな武力行使容認決議がなかったら、あそこでアメリカが一方的にイラクに戦争をしかけるということは、これは国連憲章から見て絶対許されないことなんですよ。それを総理は加担したわけなんですよ。武力行使容認決議、いわゆる大量破壊兵器があるからとメルマガでは書いておるわけですが。

 それで、もう一つ大事なことをお聞きします。

 ケイ博士は、北朝鮮は大量破壊兵器を持っていて、平和に対する脅威であると言っていますね、今回の証言で。確かに、北朝鮮はみずから、核兵器を持っている、生物化学兵器を持っているということは認めています。イラクと北朝鮮はどう違うんですかね、これは。

 総理、あなたのお考えを聞きたいんですが、アメリカは何でイラクに戦争をしかけて、大量破壊兵器があるから、平和に対する脅威だからといって。では、北朝鮮に対してはなぜしかけないんでしょうか。総理の見解をお聞きしたい。

小泉内閣総理大臣 これは、イラクの場合は、国連安保理で議論され、幾つかの決議が採択されました。北朝鮮に対しては、そういう問題、今、国連安保理で決議もされておりませんし、これは今六者協議、アメリカ、韓国、日本、中国、ロシア等で、平和的、外交的解決を目指して努力している最中であります。

 それぞれの国の事情があります。どの国にどういう対応をするかというのは国によって違ってくると思います。

山田委員 これは一部には、これは一部の見解ですよ、私の見解だというわけじゃありませんが、イラクには石油がある、北朝鮮には粗末な石炭しかない。そういうところで、アメリカとしては、イラクに対しては戦争をして占領する利益はあるけれども、北朝鮮に対してはそのようなことはないという見方もあります。それをとかく言うわけじゃありません。

 しかし、もう一つ。総理、仮にアメリカが北朝鮮に対して脅威が、戦争になったら大量破壊兵器、イラクじゃなく、もう完全に持っているわけですから、しかけたとしたら、当然日本もそれに対して支持するわけですか。一言で答えてください。

小泉内閣総理大臣 アメリカは、北朝鮮に対して、平和的、外交的解決を目指すと言っております。

山田委員 川口外務大臣にお聞きしたいんですが、きのういろいろお話聞いておりました。ただ、その中で、五百五十九億、日本経済が大変厳しい、それこそ年金も引き上げられようかという中で、それをイラクに直接支援するということなんですが、補正で。そのために、先ほどから市の評議会の問題等々が随分、議長じゃないじゃないかとか、いろいろな話がなされてきたわけです。

 ところで、この五百五十九億の内訳に、病院とかあるいはパトカーとか、いろいろなことがあるわけですが、今度の補正予算を組むのに、それを積み上げて、これだけ必要であるという五百五十九億を出したわけです。その基礎となるもの、これについては、そのニーズは調査したと言っておりますが、その調査した内容、これを私はきのうの段階から、その調査内容を私の方に早く示してほしい、そうしないと補正の審議も何もできないじゃないかと。ニーズ調査、それに基づいて、どこどこに、パトカーに幾ら幾らという概算を出したわけですから、それを求めているのが、きょうに至ってもそれを持ってこない。どういうことなんですか、これは。

川口国務大臣 イラクの支援に対するニーズについては、まず、国際機関がこれについて調査をし、そして発表をいたしております。この資料については、私の手元に持っているのは英文のものですけれども、委員のところに御提示を既にしてあるというふうに考えています。

山田委員 きのう川口大臣は、日本政府として、あなたは、外務大臣として調査しているとはっきり言ったんじゃありませんか。日本として調査していなかったんですか。明確にしてほしい、その辺。どっちなんですか。

川口国務大臣 外務省として、そういった今申し上げたような国際機関のニーズの調査、それから、みずからもさまざまなルートで、どういうようなニーズがイラクにあるか、それについて、我が国としてこたえられるものがあるかということについては調べております。

 例えば、イラクの中で経済協力の活動を縦横無尽にするということがなかなか難しいものですから、今アンマンに、JICA、それから経協をやるチームを強化いたしまして、また、コンサルタントも大勢雇って、イラクの人たちと話をし、イラクの例えば電力省の人がアンマンまで来て話し合うというようなことをやって把握をいたしているわけです。

山田委員 私、先ほどまで私の部屋にいたんですが、外務省から英文の資料も届いていませんし、かつ、いいですか、日本でそれだけの査定をするのに、英文の国連の機関がやったものだけで、いわゆる概算の、例えばパトカーに五十九億とか、そういうものを出したのかどうか。そんなばかなことはあり得ない。それは当然、財務省との間にどういう、大臣ははっきりニーズの調査は終わっていると言ったわけですから、それについては、当然、そういった資料があるはずなんですよ。これを幾ら要求しても出してもこない。これは大事なことなんですよ。

川口国務大臣 英文の資料そのものについてはお出しをしましたと申し上げるしかないんですけれども、我が国として、先ほど申しましたように、いろいろなルートを通じて把握をいたしております。

 五百五十九億円、イラクへの直接支援ということについて言いますと、分野が幾つかございまして、一つは電力でございます。これについては話を電力省としておりまして、そこから、例えば、我が国が今まで手がけた発電所というのは三カ所ありますが、そこについてリハビリ、整備、これは変電所も含めてですが、してほしいということで、これは電力省と話をしております。それから移動式発電機、これは十台程度というふうに聞いておりますし、変電機、これも十台程度と聞いておりますが、これも電力省と話をいたしております。

 こういったデータをベースに積算しているということでございます。

山田委員 私の時間はなくなったので、以後、民主党の質問が続くと思いますが、この補正予算については、そういう計算のもとになるニーズの調査、これを国会に明らかにしない限り、これ以上、補正の予算も含めて、このイラク支援は審議できない、そういうことを言って、私の質問を終わります。

斉藤委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私が昨日この委員会で示しました「最新のイラク情勢と陸自派遣の調整状況等について」、この文書についてですが、朝の防衛庁長官の答弁では、そういう文書のやりとりをすることはある、同時に、しかし、今、途中の文書は破棄されており、その文書の真偽を確かめようがないということだったんですが、要するに、文書はあったということですね。

石破国務大臣 委員が御指摘になりましたが、私どもの手元にそのようなものはございません。したがいまして、確認のしようがないというふうに申し上げておるわけでございます。

赤嶺委員 つまり、この文書は、見ると明らかなんです。防衛庁と外務省が、先遣隊が今まさに現地調査を始めんとする一月二十日、二十一日にかけて、イラク情勢と陸自派遣の調整状況等についてやりとりした文書、いろいろ筆も入っていますから、意思形成過程の途中の文書ということが言えるかもしれませんけれども、要するに、こういう文書が今皆さんの手元にないということなんですが、では、こういう文書はなかったという、この文書、否定もできるんですか、否定もするんですか。

石破国務大臣 ないものと照合して確認をしろとおっしゃられましても、やりようがないということを申し上げておるわけでございます。

赤嶺委員 否定できない、明確な否定はしていないということだろうと思うんです。

 それで、この二ページに、私、手元に持っているんですが、「サマーワを中心とする南東部」の、「派遣先地域及び周辺の情勢」とするくだりがあります。

 そこの(イ)のところに、「襲撃等発生状況」とありまして、「ムサンナー県では、(昨年)二〇〇三年五月一日から(今年)二〇〇四年一月二十日までの間の連合軍(通過中の米軍等車列、パトロール中のオランダ軍)に対する襲撃等の発生件数は六件であり、最も新しいものは十二月六日のハンガリー車列に対する銃撃。」このような表現があります。

 二〇〇三年五月一日から二〇〇四年一月二十日までの間、ムサンナ県では何件の襲撃があったのでしょうか。

石破国務大臣 当該資料がいかなるものかは確認できないというのは、今申し上げたとおりでございます。したがいまして、委員がお示しいただきました資料に基づいてお話しはできないということをまずお断りを申し上げます。

 御指摘のように、イラクの南東部における襲撃の発生状況につきましては、もちろん治安にかかわることでございますから、把握に努めておるところでございます。

 それで、南東部におきます事件の七五%はバスラ県で起こっている、残りの二五%は主にマイサン県において発生をしておるということでございます。したがいまして、ムサンナ県におきます事件は著しく少なく、この傾向は現在も続いておると認識をしております。

 では、何件なのだということでございますが、これは、相手国との関係もございますので、明らかにすることは差し控えさせていただきたいということでございます。

赤嶺委員 ムサンナ県が治安上安定しているかどうか、襲撃の件数というのは極めて重要な意味を国民にとっては持つんですよ。

 この文書の中ではこう言っているんですね。「具体的な数字については対外公表不可。」今の防衛庁長官の態度と同じなんですね。「先遣隊が現地において公表可能な最新の数字を入手できればベター」、先遣隊は公表可能な数字を入手できればベター、このようにも書いてあります。

 先遣隊は、どういう襲撃の件数の数字を現地調査で得てきたのでしょうか。

石破国務大臣 繰り返しで恐縮でございますが、委員がお持ちの資料にそのように書いてあるということでございます。私どもの方としては確認のしようがございません。ですから、これを書いたということはどういうことだというふうにお尋ねになられましても、お答えのしようはございません。

 ただ、先ほど来申し上げておりますように、七五%がバスラである、二五%は主にマイサン県であるということでございます。いわゆるムサンナ県というものが本当に事件が少ない。七五、二五ということを考えますと、ほとんどゼロに近いわけでございます。

 その件数につきましては、先ほど申し上げましたように、相手国との関係もございますので、差し控えさせていただくということを申し上げておるわけでございます。

赤嶺委員 戦闘が現に展開されている地域で、襲撃が絶対数がはるかに多いところで、ムサンナ県が比較的安定という、自分たちに都合のいい数字は説明するんですが、先遣隊は襲撃件数を何件つかんできたんですか。これはちゃんと言ってくださいよ。比較的安定を言うための数字の説明はいいですよ。

石破国務大臣 数字につきましては、相手国との関係もあり、お答えを差し控えさせていただきたいと申し上げております。

赤嶺委員 もう、治安の安定について国民に説明しようとする姿勢が全く最初から放棄されていると言わざるを得ません。そして、都合のよい数字、比較的安定しているというぐあいに合致するようなそういう数字は出す。まさに、都合よく国民への報告をしているというような疑いは晴れません。

 それで、次に、バグダッドについて聞きたいと思います。

 やはりこの文書の三ページ目には、バグダッドについて、「いわゆる「スンニ・トライアングル」の一角であるバグダッドでは、引き続き襲撃等が頻発。その多くは米軍に対するものだが、大使館等への脅威が深刻。」このようにあります。

 バグダッドの情勢について、米軍に対する襲撃が頻発している、こういう認識ですか。

石破国務大臣 その文書の性格、真偽はともかくといたしまして、バグダッドにおきましてそのような襲撃が多いということ、そしてまた、米軍がその被害を受けておるということは、事実として承知をし、認識をいたしておるところでございます。

赤嶺委員 もうまさにスンニ・トライアングルの一角として襲撃が頻発している、ここに書かれている文書と認識は同じであります。

 それで、そのバグダッドについてですが、今度の実施要項で、バグダッド飛行場を非戦闘地域、このように指定しているわけです。バグダッド飛行場というのは、これまでも攻撃が頻発している地域であるわけですね。そのバグダッド飛行場で何件の襲撃があり、そして、その襲撃はだれによるものであったか、そのことについて、皆さんが掌握していることを説明していただけませんか。

石破国務大臣 今、正確に何件ということ、そしてまた、だれがやったかがわかればこんな簡単なことはないわけでありまして、それはわからないものが多うございます。これはもう、だれがやったかということも、それぞれ治安に責任を持ちます当局あるいは組織が調べておるわけでございますが、これはだれがやったか明らかにせよと言われましても、それは、私ども、そのようなことについて承知をいたしておりません。

 件数につきましては、これは先ほどと同じでございますが、はっきり何件ということを今ここで申し上げるだけの知識を持ち合わせておりません。

赤嶺委員 本当にひどい答弁ですね。

 小泉総理は、戦闘地域、非戦闘地域、私がわかるはずはない、こういう答弁を行って国民の批判を浴びました。そして、そのときは、今後、専門家による調査を行って明確にしていく、その根拠を明確にしていくということでありました。

 今、いよいよ最終的にバグダッド飛行場を非戦闘地域に設定したんです。その地域でどれだけの襲撃が起こり、だれによる攻撃であるか、これを明らかにするのは、法案を提出した皆さんの当然の責務じゃありませんか。

石破国務大臣 先生御存じのことと思いますが、私どもが指定をいたしておりますのはバグダッド飛行場でございます。そのような襲撃が起こっておりますのはバグダッド飛行場周辺ということでございます。これは、この委員会でお尋ねがあったかどうか正確には覚えておりませんが、私どもの飛行機というものは、C130という飛行機を用いております。

 バグダッド飛行場において戦闘行為があったということはございません。飛行場周辺においては、戦闘行為かどうかはともかくといたしまして、そのような危険が存しておるということは否定をいたしません。しかし、私どもはバグダッド飛行場を指定しておるわけでございまして、周辺というものを指定していないということは御承知のとおりでございます。

赤嶺委員 周辺を指定しているわけではないという言い方で納得できるものじゃないですよ。だれの攻撃かわかりようがない、こんな話がありますか。今この時期、皆さんが明らかにするというこの時期じゃないですか。

 サマワの陸上自衛隊の派遣の場所、サマワの治安状況についても昨日来大変な問題になっておりますが、答弁が二転三転、国会が続けば続くほど三転四転していくかもしれないような、そう見られても仕方がないような答弁が続いております。本当にサマワの治安はこれで大丈夫なんだろうか。

 二十七日の本会議では、総理は、サマワの治安について二つの点を答弁で述べております。それが、市評議会の問題と部族の問題でありました。それが今、治安に影響のない、こういう言い方に変わっている。本当に治安の調査についてこんなにずさんだったか、でたらめだったかということが明らかになりました。

 今度バグダッドを聞いたら、攻撃の相手がだれであるかわからない。それで、バグダッド飛行場が非戦闘地域であって、周辺は指定したわけじゃないということで、攻撃の件数も示さない。これじゃ、サマワと同じことを、航空自衛隊が配置されるバグダッド飛行場や、あるいはモスルの飛行場や、あるいはバラド、バスラ、これらの飛行場についても、全く治安の問題、それから、非戦闘地域であるかどうかという区分けの問題でもあいまいなままであります。

 私は、委員長、この四つの飛行場について、攻撃の件数、それから、攻撃した相手、だれであるか、この資料を提出するよう強く求めたいと思います。

石破国務大臣 先生御存じのとおり、事は軍事にかかわることでございます。それが表にならないということは当然軍事常識としてあることでございます。そして、その件数も、そしてまたその相手方も明らかにならない、あるいは明らかにすべきではない、そういうものがあることは、これは当然でございます。

 これは委員長に対しましての御要求でございますが、件数にいたしましても、相手方にいたしましても、それは安全を図るという面からも、そしてまた軍事上の当然の守秘という点からも申し上げられないことがあるということは御理解をいただきたいと存じます。

赤嶺委員 私、今の答弁、納得できません。

 サマワの治安状況についても、あれだけずさんででたらめな先遣隊報告が出されて国会で問題になっている。きょう、バグダッド飛行場やモスルの問題を言ったら、軍事上の秘密でこんなのが出せるわけはないと。

 では、この七月以来のこの国会での議論は何だったんですか。憲法違反になるならない、非戦闘地域であるかどうか、このことが、きちんと国民に説明し、納得させるためには、どうしても、航空自衛隊が配置される四つの飛行場についての資料が必要であります。私は、文書での資料の提出を強く求めたいと思います。

斉藤委員長 後刻、理事会で協議いたします。

赤嶺委員 これはしっかり理事会で協議をするよう強く求めます。

 そこで、角度を変えて聞きますけれども、七月三日に、石破防衛庁長官は、バグダッド飛行場についてこういう答弁をしているんです。ちょっと議事録から抜き出してみました。防衛庁長官は、周りじゅうみんな戦闘地域である、その中で、アメリカ軍に守られておることによって、そこにおいては戦闘が存在していないという概念が、つくろうと思えばできないことはないのかもしれない。しかし、そこがエアポケットのように、台風の目のように、そこは戦闘地域における非戦闘地域なのだよということを概念としてつくりまして、では、だからそこで活動ができるのだよということは、なかなか設定しにくい状況だと思っております。これは石破長官の七月三日の答弁でありますが、これに間違いないですか。

石破国務大臣 恐縮でございますが、私も七月のことを正確に覚えているわけではございません。委員御指摘の、議事録によれば、議事録によればということでございますが、委員の貴重な時間でもございますので、できれば事前に、何月何日の議事録においてということをおっしゃっていただければ皆様の時間を有効に使えるのではないかというふうに思いますので、ぜひともお願いを申し上げる次第でございます。

 さて、今の御指摘のとおり一言一句そのとおりかどうか、それは記憶をいたしておりません。しかしながら、今御指摘のような、戦闘地域における非戦闘地域という概念は、そもそもが概念矛盾のようなお話でございます。戦闘地域における非戦闘地域、そういうような概念は、そもそも、今から考えてみましても、成り立たないのではないかと言いましたことは、論理的な整合をとったものだと思っております。

赤嶺委員 七月三日、定かには覚えてないとおっしゃりながら、実際には、先ほど私が読み上げた中身を認められております。

 ところが、総理は、この同じところでこう言っているんですよ。「バグダッド飛行場やバグダッドの連合軍司令部施設については、防護手段がとられた隔離された場所であり、このような場所の中までは攻撃は及ぶことは想定しがたく、活動の期間を通じて戦闘が生じるとは考えておりません。」こう言っているんですね。バグダッド飛行場というのは、バグダッドの連合軍司令部施設については、ここは防護手段がとられている、それで隔離された場所であると。

 私も、当委員会の調査団の一員として、それから日本共産党の調査団の一員として、当該場所を見てまいりました。「このような場所の中までは攻撃は及ぶことは想定しがたく、活動の期間を通じて戦闘が生じるとは考えておりません。」こう言ってその場所を非戦闘地域に当たると判断して、実施区域で指定し、実施要項で決めたと答弁しております。先ほどの長官の答弁と違うのではないですか。

小泉内閣総理大臣 私は、私の答弁どおりだと思っているんですが、防衛庁長官がどういう答弁されたか、確認していただきたいと思います。

石破国務大臣 総理の御答弁は、まさしく委員がおっしゃいますとおり、外部からの侵入を防ぐため、防護手段により周囲を囲まれた一定の広さを有する隔離された場所であるということでございます。そのような場所の内部まで攻撃が及ぶことは想定しがたく、およそ戦闘行為が生ずるとは考えていないというふうにお話しになりました。そのとおりでございます。

 私が申し上げましたのは、戦闘地域でありながら非戦闘地域であるというような、白であるが黒であるとか、黒であるが白である、そういうような概念はそもそもおかしいのである、そもそも、我々が活動しなければいけないのは、非戦闘地域の要件を満たした地域でなければいけないということを申し上げておるわけでございます。

 総理がおっしゃいましたのは、その内部まで攻撃が及ぶことは想定しがたいのである、攻撃が及ばないところは戦闘行為が生じるとは言えない、これはもう当然のことでございます。

赤嶺委員 本当にむちゃくちゃな答弁ですよ。バグダッドというのは、スンニ・トライアングルの一角として、本当に戦闘が今なお続いている状態。その一角にあるバグダッド飛行場が、米軍の強固な警護によって守られているから、攻撃が届かないだろうから非戦闘地域になるだろうと。

 この総理の答弁というのは、石破長官の、そこがエアポケットのように、台風の目のように、そこは戦闘地域における非戦闘地域なのだよということを概念としてつくって、だからそこで活動できるのだよということは、なかなか設定しにくい状況だと思っておりますと明確に言っているじゃないですか。これ以上明確な答弁ないですよ。そして、そのあなたの答弁と総理の答弁が食い違っていることも明確じゃないですか。

石破国務大臣 何ら食い違ってもおりません。委員は、それは明確ではないかとおっしゃいますが、それは、私の言っていることを誤解されて、それで明確だというふうにお話しになられましても、これは、私はそのようなことを申し上げておるわけではございません。

 いずれにいたしましても、自衛隊が活動する地域は非戦闘地域でなければならないということでございます。

赤嶺委員 総理、石破長官が七月三日に答弁したことについて私はるる先ほどから申し上げているわけですが、この中で、周りじゅうみんなが戦闘地域である、長官は最初にそう述べているんです。周りじゅうみんなが戦闘地域である、バグダッド市内、そうですよね。そして、その中で、アメリカ軍に守られておることによって、そこにおいては戦闘が存在していないという概念が、つくろうと思えばできないことはないのかもしれないが、しかし、それはなかなか設定しにくい状況だ、このように言っているんですよ。こういう石破長官の答弁と総理が考えていること、同じですか、違いますか。

石破国務大臣 全く同じことを申し上げておりますし、総理のお考えも同じであります。

 いずれにいたしましても、非戦闘地域でなければいけない、それははっきりしている。バグダッド飛行場は非戦闘地域であるということでございます。

赤嶺委員 私、総理に聞いているんです。

小泉内閣総理大臣 私も、答弁しておりますとおり、飛行場は、防護はしっかりしておりますので非戦闘地域に当たるということを申し上げているということでございます。

赤嶺委員 もう七月三日の答弁が、今回既に覆された。別の、全く反対の概念で非戦闘地域に設定するようなことを行っている。これで本当に、憲法が担保された派兵という政府の説明さえも成り立たないんじゃないかと思います。私はこの点についても納得がいきませんので、改めて資料の提出を求めておきたいと思います。

 そこで、もう時間がありませんので最後にですが、先ほどの文書の中で、「バグダッド」の項目のところにこういう表現があるんです。「派遣隊員が勤務するCJTF―7」、米軍の連合司令部のことですね。「CJTF―7司令部に対し深刻な損害を与えるような襲撃等は」という記述があって、「バスラ」の項目で、「派遣隊員が勤務する多国籍師団(南東部)司令部(バスラ空港内)に対して」という記述もあります。

 自衛隊は連合軍司令部に勤務をするのですか、また、バスラの多国籍師団の司令部に勤務をするという考えなんですか。

石破国務大臣 勤務をすることはあり得ると考えております。

赤嶺委員 結局そこでも、私たちは、今度の派兵が連合軍と一体となった活動だという指摘を続けてまいりましたが、今、勤務するということをお認めになりました。

 どこから見ても憲法違反の自衛隊派兵は撤回すべきである、そして、私たちは、先遣隊のあいまいな報告は認められないということを申し続けましたが、改めて、調査の内容全体を国会に提出することを求めまして、私の質問を終わりたいと思います。

斉藤委員長 次に、中谷元君。

中谷委員 自由民主党を代表いたしまして、質問をさせていただきます。

 私は、小泉総理には、日本は世界から尊敬をされる国、そして誇りの持てる国にしていただきたいと思っております。そのためには日本はいい国にならなければなりませんが、じゃ、日本のいいところはどこかということをいろいろと考えてみましたら、私なりに、そのキーワードとしましてGNNを挙げます。GNN、義理、人情、浪花節。このように、心が通い、筋を通すこと。日本には、厳しい中でも人のために尽くして、人を思いやる気持ちがあるわけですね。

 今アメリカでは、「ラストサムライ」また「たそがれ清兵衛」、総理もごらんになったと、感動されたと思いますが、これがアカデミー賞にノミネートされました。また、この日本の武士そして侍の精神、これはまさに世界舞台で活躍をされ、評価をしておりまして、主演のトム・クルーズも、侍の生き方にあこがれたわけでございます。

 つまり、日本の教育とか精神というのは世界に誇るべきものでありまして、むしろこれからはそれを伸ばしていかなければならないと思います。豊かになるより人から好かれること、感謝されること、そういう人間となれ、自分の子供にはそう教えたいわけでありますが、そのためには、大人がそうであり、国がその心を持たなければなりません。武士道とは死ぬことと覚えけり、侍は死をもって主君を守り抜く、この武士精神。国は、果たして、戦後日本にそのことを教えてきたかどうか、考えるわけでございます。

 もう一度言います。GNN、義理、人情、浪花節、私は、この魂は非常に大事だと思います。

 さて、この戦後の教育を考えて、果たして、そういう精神を育てていくことを検証してみますと、まず一例でありますが、海外で青年の人たちがボランティア活動をいたしております。これはイラクにおいても、また、ティモールやアフガニスタン、こういう地域においても、非常に危険な地域においても日本の若者が活動しておりました。彼らに会いましたけれども、非常に目が輝いているわけですね。しかし、彼らが日本に帰ってきた後の生活の話を聞くと、就職ができないとか生活が苦しいとか、一度ボランティアに行って帰ってくる人たちに対して、社会というものは、敬意を表したり受け入れをしているかといえば、そういう点はまだまだ少ないわけでございます。

 さてそこで、今回、日本からイラク支援ということで自衛隊が派遣されるわけでありますが、私はせんだって、自衛隊の現場の指揮官に会いまして、今どんな教育をしているのかと尋ねました。その指揮官いわく、隊員たちにはABCをきちんとやっていこうということを教えていると言いました。このABCというのは何かと聞きますと、当たり前のことをぼうっとせずにちゃんとやっていこう、このABC、これをしっかりやっていこうじゃないかと、わかりやすく隊員に指導をしているわけでありますが、まさにこれから大変厳しい任務が待つわけでございます。

 まさに自衛隊が、身をささげて国事に尽くすという気概に燃えて、まさに、浮かれず、ひるまず、淡々、粛々と行動している人たちを温かく送り出して、その任務の完遂と無事を祈念したいと思いますが、総理は、そういった派遣される隊員へのメッセージ、そして、それを見送る日本の若者、日本人の皆さんに対して、総理から、一体日本人はこれから何を大切にしていかなければならないか、新しい時代に生きる日本人についての総理の日本人観というものを伺います。

小泉内閣総理大臣 自衛隊の諸君に対して上官がABCということを言っておられる。当たり前のことをぼうっとしないでちゃんとやるというのは、これは自衛隊の隊員だけじゃなく、すべての人間に通ずるんだと思います。私も、当たり前の質問にぼうっとしないでちゃんと答弁するように努めていきたいと思っております。

 また、日本の青年諸君が、海外で、みずから進んで、いろいろな困難な状況にある国や地域や人々に対して手を差し伸べて、協力しております。いわゆる青年海外協力隊の活動というのは多くの国々から高い評価を得て、その日本人の活動が、ひいては日本国の評価にも大きく寄与しているということを、外国に行っていろいろな方々の話を聞くと、私は痛感しておりますし、また、青年海外協力隊員が日本に帰国し、そういう方々と懇談の機会を持った際にも、今どきの若い者はと非難する方、たくさんおりますが、今どきの若い人にしっかりした人がたくさんいるなと、大変頼もしく、心強く思うところがたびたびあります。

 私は、今の時代、大きく変化しておりますが、どんな時代であれ、どんな国にも変わらないものがあると思っています。それは、日本人に対してどうかというよりも、どの国に対しても共通のもの、それは、一個人においても、一企業においても、一地域においても、一国家においても変わらない不変の真理というものは、最も大事なものは、みずから助ける精神とみずからを律する精神だと思います。自分たちの国は自分たちの手でつくり上げていくんだというみずから助ける精神、そして、みずからの国の利益を追求する余り、他国を無視してはいけない。やはり、節度のある、規律のある、自国の利益を主張する態度、姿勢。

 私は、個人においても、一生懸命頑張っているな、努力しているなという人に対しては、必ずやどこかでだれかが見ています。一生懸命やっている人に対しては、必ず他人が支援の手を差し伸べると私は思っております。日本国も、今まで多くの国からの支援を受けてここまで発展してまいりました。

 今、私がイラクの方々に言っているのは、日本がイラクを復興させるんじゃない、イラクの国を復興させるのはイラク人自身ですよと。イラク人自身が、自分たちの国は自分たちで再建するんだという強い意欲と姿勢を国際社会に見せれば、必ず国際社会はイラク復興の支援のために手を差し伸べます。日本ができるのは、そのイラク人がみずからの国を、意欲を持って、希望を持って、自分たちの国は自分たちの国でつくるんだという意欲を持って、足らざるところは日本に支援してくれと言うならば日本は喜んで協力しますということを申し上げているわけであります。

 私は、その自助の精神と自律の精神、しかしながら、どうしてもみずからの力だけではできない部分がある。そういうところは他人の力をかりる、あるいは国家の力をかりる、お互いが助け合う精神が一番大事じゃないか。そういう点につきましては、日本国だけでなく、全世界にも通ずる概念ではないかな、また、大事な精神ではないかなと思っております。

    〔委員長退席、小野寺委員長代理着席〕

中谷委員 どうもありがとうございました。

 海外においても、そういう日本人として誇りを持って頑張っている人たち、また、これから行く自衛隊に対しても、日本人の皆さんが温かい気持ちで送り出していただきたいと思います。

 そして次に、いまだに、なぜイラクに自衛隊が行かなきゃいけないのかということを疑問に思っている方も多いかと思います。そこで、総理から御説明をいただきたいのは、イラクの再建、復興がもし挫折した場合に世界がどうなるのか、日本がどうなるのかということを御説明いただきたいと思いますが、私は、このイラクの復興が失敗すれば、二十一世紀の国際秩序に次のように広範な影響を与えるのではないかと思います。

 ただ単にアメリカの言いなりと批判する人もいますけれども、現実にアメリカの威信が低下をし、影響力が低くなった場合に、世界は大変大きな不安定要因をつくり出す。いわゆる無法国家、テロリストが横行するような国際社会情勢に突入をする。そして、アメリカの国際社会への関与の消極的な動きは、世界の警察官からアメリカが手を引くということでありまして、今、政治、外交、いろいろな問題で難しい力を必要とする事態の解決の主役が不在になってしまう、こういう点でも不安な社会が出てしまうんじゃないかと思います。

 結局、イラクの復興というのは、二十一世紀の国際秩序に重大な影響を及ぼす可能性が大きくて、何としてでも成功させなければならない。日本は国際社会の一員として、その使命、そして役割を負って、これから政府は万全の体制でこのことをなし遂げるべきだと思っております。

 非常にのんきな考え方もありますけれども、国家というのは非常に大事なわけでありまして、それは国を失った人しかわからない。日本人も、一時期、戦争によりまして、国破れて悲惨な思いをいたしました。

 私は、最近、中国の残留孤児の帰国者と面会をいたしまして、彼らのこの四十年、五十年にわたる中国の生活、つまり人権がない、日本人であることを名乗れない、文化大革命のときに思想教育を受けて、考える自由も行動する自由も与えられていない。そして、日本へ帰ってきて手当で生活をいたしておりますが、この急激に速い、日本のテンポの速い社会についていけずに、もうほとんどの人たちが生活保護を受けて、幸せに暮らせるどころか、まだまだ苦しみがあるということを訴えられたわけでございます。

 何を私、感動したかというと、やはり、国家国民を守る国家がなければいけないということであります。

 そこで、今イラクには国家というものがないわけであって、その復興のために、治安、安全、社会基盤、政治システム、経済の再建、これをやっていかなければなりませんが、日本も果たせるところでやっていく。私が一番言いたいのは、今行く必要があるかということでありますが、六月三十日に、CPAからイラクの暫定評議会への権限移譲が行われます。これから六カ月が一番重要な時期で、この危機を回避するチャンスという時期はまさに今、今しかできないわけであって、今回のイラク派遣はそれの第一弾で、民間人や政府の職員、これが行けないから自衛隊が行ってその基盤づくりをする。つまり、イラク復興のための扉を開いて、道筋をつけるために自衛隊が派遣されるのではないかと思います。

 そういうことで、総理の方から、改めまして、今回のイラク派遣の意義、目的につきまして、国民に対してもう一度御説明をいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 イラクの復興を失敗させるわけにはいかないと思います。私は、これについては、今イラクに自衛隊を派遣することに反対だと言っている方々も、この考え方、イラクの復興を失敗させるわけにはいかないということには同調してくれるのではないかと思っております。

 イラクの復興、失敗したらどうなるか、考えただけでもぞっとします。イラク開戦の問題について意見が分かれたとしても、フランスも同じく、イラク復興、これは成功させなきゃならないと思っているはずであります。だからこそ、今、日本も、フランスやドイツ、開戦時では意見が違いましたけれども、お互いイラク復興のために何ができるか協力しようという具体的な検討を始めているわけであります。

 このイラクの復興、失敗したらという前提はないんだ、何としてでも成功させていかなきゃならない、これが、私は、現在の国際社会の共通した認識だと思います。

 そういうときに、それでは日本は何ができるのか。今、必ずしも一〇〇%安全じゃない、安全なときになったらば人的貢献しますよと言って、今、日本が国際社会の中でどういう立場になるかということも考えなきゃいけないと思います。

 今苦しんでいるのはイラク国民だけじゃありません。アメリカやイギリスだけでもありません。多くの犠牲者を出しながらも、まずイラク復興のためには治安の回復が必要だ、テロリストを撲滅しなきゃならぬ、テロを根絶しなきゃならないといって闘いながら、多くの犠牲者を出してもイラクを復興させなきゃいかぬということで、多くの国が今協力している。

 そういう中にあって、私は、日本は治安の回復のためにテロ掃討作戦には参加いたしません、戦闘行為にも参加しません、アメリカやイギリスとは立場が違いますということをはっきり申し上げている。しかしながら、復興支援、人道支援について、資金だけではない、お金だけではない、物だけではない、人的な貢献もいたしましょうということで、果たして、それでは今、外交官まで失ったこの状況で、何も、日ごろ危険を回避する訓練も能力も持っていない民間人に行ってもらう、民間の会社に行ってもらうということはできない。

 そういう状況を考えると、非戦闘地域内において自衛隊の諸君が活動できる分野があるのではないかということで、私は、自衛隊の諸君に、困難を伴う、ある面においては安全ではない、一〇〇%安全とは言えない、危険かもしれないけれども、自衛隊の諸君だったらそういう危険を回避する能力もあるんじゃないか、そして、非戦闘地域だったらば、イラク国民から評価される、歓迎される復興支援活動ができるのではないか、医療や給水や人道支援活動ができるのではないかということで自衛隊の諸君に行ってもらう。

 こういう積み重ねが、ひいては、一自衛隊員、日本国家全員ではないけれども、何十名、何百名かの自衛隊の諸君がイラク人から感謝される、評価されるような活動をすれば、これは最も恩恵を受けるのはイラク国民でありますが、同時に日本国も、自衛隊員の活動によって、日本人もよくやってくれたな、日本の国家も、我々の支援、手を差し伸べてくれたなという評価を将来必ずや受けると確信しております。

中谷委員 ただ単に遠いイラクの話ではなくて、日本の姿勢が問われるということでございますが、じゃ、その派遣された隊員や、このイラク復興支援の成功のためにということでお伺いします。

 川口外務大臣への要望でありますが、これは与野党を超えた要望になるわけでありますが、今後イラクの復興を成功させるためには、やはりイラク主権移譲に伴う新たな国連決議による復興体制を構築する。日本も独自にいろいろなところへ特使が派遣されてそれなりにやられていますが、ぜひ、欧州も巻き込んで、世界全体がイラクの復興支援に協力するために、そのもととなる国連決議、これを新たにしていただきたい、日本がまさにその力を発揮していただきたいと思いますが、これの見込み、取り組みはいかがでしょうか。

川口国務大臣 主権のイラク人への移譲についてでございますけれども、これは昨年の十一月十五日にCPAと統治評議会との間の合意ができまして、今、統治評議会において、二月末に向けて基本法、この制定準備を進めているという段階、状況でございます。

 安保理におきまして、このために、今後イラクの、すなわちイラクの政治プロセスの進展に従って新たな安保理の決議の採択の可能性ということもありますけれども、今の時点では、そうした具体的な議論はございません。もしそういうような動きが出てきましたら、それは我が国としても、もちろん最大限の貢献をしていきたいと思っております。

 現在の時点では、我が国としては、まず統治評議会とCPAの合意の着実な履行が重要であるというふうに考えておりまして、イラクの復興支援及び安定確保に対する国際社会の協力に関して、今のところ、既存の安保理決議で十分ではないかということが、国際社会で一般に考えられていることであると思います。

 いずれにいたしましても、おっしゃられましたように、我が国は今まで、イラクの復興に関しては国連の十分な関与が必要である、そういう立場に立って、国連の十分な関与を得ながら国際社会が一致して当たるべきであるということで、いろいろな機会をとらえて国際社会の協調の重要性を訴えてきたわけでございます。小泉総理もみずからそういうことをしていただいておりますし、また、総理の特使も派遣をしているわけでございます。

 イラク人によるイラク人のための政府、そういった政府の樹立に向けて、国際社会が、おっしゃるように協調していくことは重要でございますので、その国際協調の強化、これを目指して、我が国はいろいろな形で努力を傾注していきたいと考えております。

中谷委員 もう一つ外務省に要望したいことは、派遣される隊員の安全確保のためにそのバックグラウンドをつくっていただきたいということでありますが、これは野党からも御指摘もありますが、ODA、これをいかに現地にスムーズに活用していくかということであります。

 これは、現場に当たるのは自衛隊員であり、また外務省の職員さんでありまして、まさに防衛庁と外務省が緊密に連携をしていかなければならないわけでありますが、ODAということになりますと外務省の事項になりますので、外務省の中で意思決定が速やかに行われなければなりません。お役所ベースでいくと、いろいろと議論をしながらということで、どうしても時間がかかってしまうわけでありますが、これは官邸なり総理の方から、やはり外務省に対しても適切な指示を出していただいて、これを計画的にプログラムとして進めなきゃいけませんが、その点につきましては、どういう状況で、どういう考え方で行っていかれるのでしょうか。

川口国務大臣 イラクの復興に関しまして日本が我が国にふさわしい国際貢献をしていく中で、車の両輪として私どもが考えておりますのは、一つは自衛隊や復興支援職員による人的な支援であり、もう一つは経済協力、この二つが車の両輪であるというふうに考えております。

 おっしゃったように、これをやっていくに当たりまして、防衛庁と外務省が協調してやっていくということは大変に重要でございます。これは、現にサマワで一緒に同じところで暮らしているという状況でもございますし、今後ともきっちりスクラムを組んでやっていかなければいけないと思います。

 内閣を含める形で外務省と防衛庁と連携をとっていくというシステムもつくっておりまして、こういった点について一段と努力をしていきたいというふうに考えております。

 それから、経済協力については、御案内のように、五十億ドルを上限とする支援ということでございまして、当面十五億ドルの支援でございますが、電力、教育、水・衛生、保健、雇用といったイラクの国民の生活基盤の再建と治安の改善に重点を置きながらやっていくということで、これは可能な限り早急に実施をしてきたいと思っております。既に一億二千万ドルの支援を実施決定済みでございます。

 こういった努力を、ともにスクラムを組みながらやっていきたいと思っています。

中谷委員 次に、官房長官にお伺いします。

 これからの国際貢献の日本の取り組み方についてですけれども、テロ特措法にしてもイラク特措法にしても、国会においていろいろと、特措法という名のもとで一つ一つ議論が行われましたが、憲法的に整理するところは整理をし、また、議論するべきところは今後憲法議論でやっていかなければなりません。

 海外で自衛隊が出動して活動するという場合においては、インド洋もイラクも含めまして、恐らく今PKOの上限とされている二千人を超えるかもしれないという事態になりまして、これは時代の推移で国のあり方も変わり、国の機構も変えていかなければなりませんが、自衛隊法は専守防衛で、国の防衛というのが第三条でうたわれておりまして、国際貢献は、その本来の任務になっておりません。

 したがって、もうそろそろこの自衛隊法を改正しまして、自衛隊法三条、これに国際貢献を明記すべきではないかと考えますし、こういった法案も、一つ一つつくるんじゃなくて、基本的な一般法、恒久法をつくって、それぞれ対応においては、その都度自衛隊を出すか出さないかで国会承認に係らしむるべきだと思いますが、この点につきまして、内閣の考え方、これからの取り組み方、官房長官の御意見を伺ってみたいと思います。

福田国務大臣 御指摘のとおり、自衛隊が海外に派遣される、そして国際平和協力活動を行う、こういう場合には枠組みが必要でございますし、それは、今現在、国際平和協力法という法律のもとに平和協力活動をする、こういうことになっておるわけであります。

 しかし、国際平和協力は、もうさまざまな形があるんだろうと思います。現にアフガニスタンにおけるテロ活動の問題がありまして、テロ特措法ということがございましたけれども、ああいうような法律というものをその個々のケースに当てはめて立法して、そしてその後、自衛隊が活動する、こういうふうなことをしてまいりました。

 しかし、申しましたように、さまざまな将来の可能性ということを考えた上で、やはり、何か、自衛隊が海外においてどういう活動をどこまでするかといったようなことについての枠組みもしくは考え方、この辺は整理していかなければいけないというように思っております。

 しかし、あくまでも、例えば国際平和協力活動の範囲、では、国際平和協力活動の範囲というのは一体どこまでなのかといったようなこともあるんだろうと思いますので、この辺について、実は今、内閣官房で、どういう考え方があるのかということで整理はしておるんですけれども、これからその整理したものをもとにしていろいろな議論をしていかなければいけない。かなり大事な議論になると思いますので、これは政治家の議論が必要だというふうに思っております。

 今整理している段階でもって、いつその考え方を提示できるかということはまだはっきりいたしておりませんけれども、なるべく早くそういう考え方を提示して、そして御議論の材料にさせていただきたい、このように思っておるところでございます。

中谷委員 今後とも、国際的にいろいろなことが山積しておりますが、日本も、ABC、当たり前のことをぼうっとせずにちゃんとできる国家になるように御要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

小野寺委員長代理 これにて中谷元君の質問を終わります。

 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 私は、平成十六年のきょうは一月の三十日ですか、ちょうど一年前の今ごろを今思い出しておりました。といいますのは、あのイラクに対するアメリカ軍を中心とする連合軍の攻撃が始まったのが三月二十日ですから、一月の三十日ごろというのは、今から思いますればその約二カ月前だったんですが、私ども公明党は、懸命になってそれぞれの立場で、あの三月二十日に起こったような事態を起こさせないための努力をいたしました。党首がアメリカに行ったり、あるいは代表代行がイラク周辺に行ったり、さまざまなことをやりました。

 おまえはどこへ行ったのかという話ですが、私は仲間と一緒に東京で各国の大使と会うということをそれぞれ分担してやっておりました。私は、イギリスの大使ゴマソールさんに会った、そのときのことを今印象深く思い出すんですが、私も、その前後はいろいろなことをよく、それぞれの国にそれぞれの事情があるということを十分に踏まえていたつもりなんですが、私はそのときイギリスの大使に申し上げたことは、やはりドイツ、フランスのように、イギリスもしっかりアメリカにいろいろアドバイスをした方がいいんじゃないか、ありとあらゆる意味でアメリカの行き方というものに歯どめをかけなくちゃいけないよというふうなことを言ったことを思い出します。

 当時、ゴマソール大使さんは非常に不愉快な顔をしておりましたけれども、イギリスにはイギリスの理由があって、精いっぱいアメリカとイギリスとの関係の中でこのイラクに対する対応というものを考えているということを申しておりましたけれども、私どもは、要するに、あの事態に至るまで、何とかやはり戦争を回避したい、こういう思いが当然のことながら強かったわけであります。

 そうして、残念ながら三月二十日という事態を迎えた。ああいう残念な事態になったからには、一日も早くそうした戦争の状態というものを終わらせなくちゃいけないということで、またいろいろな意味で、いろいろな角度で努力をしたつもりであります。

 そういう中で、小泉総理がアメリカの決断というものに対して支持をされた、いち早く支持をされたということに対して、いろいろな角度から、ここで一々申し上げませんけれども、さまざまな理由で、私どもはやむない総理の判断だったということで、そのことを私どもの立場で、戦争は反対であるけれども、その決断に至ったものについての総理の苦渋の決断というものを支持する、こういうことにしたわけでございます。

 そこの背景には、一にも二にも、イラク、サダム・フセイン政権なるものが、この十三年にわたって、先ほど総理の御発言にもありましたけれども、国連の、十八回ですか、さまざまなる、何回も何回もの安保理決議というものに対してそれを裏切ってきたということがやはり大きな背景にある。やはりその部分をしっかり見据えないといけない、そんなふうに思います。

 同時に、大量破壊兵器の問題について、先ほど民主党の委員の方からも御質問ありましたけれども、私はその中で、今お話を聞いていて最初にちょっとお聞きしたいなと思っていることとの関連性があるので、今お聞きしていて非常に思ったことは、今、この一連の出来事の中で、やはりイラクに対するアメリカを中心とする連合軍の武力行使というもの、そして現在、今に至る問題の中で、戦争の大義というものに対して否定的な部分が投げかけられているということでございますけれども。

 それで、私は何を言いたいのかというと、先ほど、ケイさんの発言、アメリカの元調査団、大量破壊兵器を調査する調査団の責任者が大量破壊兵器はないと言ったという発言、そしてそれにまつわる報道、これは、実はさっき民主党の同僚委員からの質問で、要するに、ケイ氏が発言したことについてのいわゆる原文並びにその和訳というものは自分のところに届いていないということを厳しく言っておられましたけれども、実は私もそれは見ていない。私が見たのは新聞の報道であります。

 その新聞の報道、たまたま手元にあるのは朝日新聞でありますけれども、この新聞の報道を見ていて、非常に私は、さっきの総理の、実際のケイ氏が発言した発言全文と全然違うなという思いを持ったわけです。どうしてこういうことが起こるんだろう。これは、ぜひこの場でもう一度総理に、そのケイ氏の発言全文を私に対しても読み上げてもらいたいと思います。

 といいますのは、朝日新聞には、「大量破壊兵器 「イラクに証拠一切なし」 情報分析の誤り断言」というのがあったりしているわけでございまして、先ほどの総理の読まれた証言全文と、そして、この新聞にも「ケイ前団長証言(要旨)」と書いてあるものと、ほとんど違うんですね。どうしてこういうことが起こったのかなという感じがしますが、まずそのことについて、先ほど言われた証言の正式な訳の部分を読み上げていただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 全文ではなくて、概要を私は手に入れているわけであります。

 新聞報道というのは、必ずしも正確に報道していない場合もあるし、正確に報道する場合もある、両方あると思うんです。私などの発言というのは、いつも正確だと思われて、それを前提に質問されていますが、全然発言したことのないことまで報道しているときがありますから、これは、できるだけ正確に発言したいと思います。

 ケイ博士の発言ですが、概要です。これは、上院軍事委員会公聴会での証言の一部でありますが、「イラク監視グループの作業は継続する必要がある。同グループのこれまでの作業に基づく私の判断として、」これはケイ博士の判断として、「イラクが国連安保理決議一四四一の重大な違反を犯していたことは明らかである。集中的な調査努力を傾注した結果たどり着いた判断として、軍用配備可能な生物化学兵器の大量の備蓄が存在していた可能性は非常に小さいと思われる。無論、広大な国土のどこかに依然隠匿されている理論的な可能性は最後まで払拭できないが、生産過程などを消去法で検討すれば、大量破壊兵器の大量の備蓄はなかったというのが結論である。調査が完了した暁には、一九九八年以降の絶対的に腐敗した体制のもと、大量破壊兵器の拡散の観点から、イラクは我々の想像をはるかに超えて危険な国であったことが明らかになろう。」

 同時に、二十七日のNBCインタビューに答えて、米政府が国民を欺いたということかと問われ、それは公正な見方ではない、開戦前、アメリカ政府、米国情報機関のみならず、フランス、英国、ドイツ及び国連のすべてが、サダムが大量破壊兵器を所有していると考えていた。昨年の一般教書演説におけるブッシュ大統領の主張は不正確かと問われ、ケイ博士は、我々が今現地において見出した現実から見れば不正確であるが、あの時点において大統領ほかに提供されていたインテリジェンスに基づけば正確な発言であった。開戦は賢明であったかと問われ、絶対に賢明であったと考える。こういう、ケイ博士は話をしております。

赤松(正)委員 同じことを二回、国民の皆さんにわかっていただきたいために、あえて総理に読み上げていただいたわけです。

 実は私、先ほどの同僚委員の質問を聞く前までは、こんなふうに思っていました。ケイさんの発言、証言の要旨を書いたこの新聞には、実は、あえて今の総理の発言と類似するところを探し出せば、一カ所、ただ、過去十二年から十五年間に流出したイラクに関する情報を総体として見ると、イラクが大量破壊兵器によって、「WMD」と書いてありますが、によって世界への深刻な脅威を増していたと結論づけることはできる、このくだりは非常に私は的確だと思う。そのくだりを用いないで全く違うことを宣伝するというのはおかしい、そういうふうに思います。それがまず第一点でございます。つまり、この大義あるなしの議論というものについては、正確にやはりしっかりとらえていかなくちゃいけない、そんなふうに思う次第でございます。

 次に私が質問したいと思いますのは、実は、国会におけるさまざまな議論について、例えば一月の二十一日の日に菅民主党の代表が総理大臣に質問をされました。代表質問の中で、私はちょっと聞き捨てならない部分があるということを御指摘いたしたいと思います。

 実は、この問題については、あのときに、国会での演説を聞いて私は非常に深い感銘を受けました。何に感銘を受けたか。それは、民主党の菅代表が原稿を一切見ないでずっと発言をされていたということについて、これはなかなかできることじゃない、こう思ったわけであります。

 それに対して、私の同僚、きのう質問をしました河合正智委員が、その質問は、非常に私との論争になったんですが、何も見ないでやるというのはいいけれども、しかし、中身は非常に問題のところが多いということを言ったわけです。

 私は、そのときにそのことについて彼の指摘というものは十分にわかりませんでしたけれども、実は、きのうのこの委員会において、同僚委員が質問の中でこういうことを言っております。つまり、菅代表が二十一日の本会議におきます発言の中で言っているくだりを引用しているわけですけれども、あえてそれは、河合委員の発言ではなくて菅民主党代表の発言をそのまま用いますと、こう言っています。

 もし、総理が、イラクに自衛隊を送らなければ日本の平和が維持できない、そのように本当に思われるならば、その理由を明確にした上で、自衛隊をイラクに派遣できるような憲法改正を提起するのが筋ではないですか。かつて、ドイツは、NATOの領域内に限られていた軍の活動をNATOの領域外に広げるときに、その基本法、日本でいう憲法の改正をあらかじめやってから行動いたしました。小泉総理は、憲法を変えることもなく、明らかに憲法に違反する行動を命令している。まさに民主主義を破壊する暴挙とこれを言わないで、何を暴挙と言うんでしょうか。

 こういう発言をしておりますが、私は、これには三つの問題がある。

 一つは、きのう河合委員が質問しましたけれども、要するに、ドイツのNATOの領域内に限られていた軍の活動云々ということについて、これは認識に基本的に誤りがある、誤認識があるということが一つであります。誤認識に基づいて憲法を改正しろと言っている、これが一つ。それから二つ目は、憲法の原則を大きく破るものである……(発言する者あり)うるさいですな。

 破るものであるということは疑いのないところというこのくだり。そして三つ目は、憲法改正にそこからつながっていくということでありますが、この三つのうちに、まず一点目、ドイツがドイツ基本法を改正して派遣をしたんではないということについて、きのう川口外務大臣から肯定する発言がありましたけれども、その部分に限って小泉総理の感想をお聞かせいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 ドイツの憲法改正については川口大臣が正確に答弁を後ほどすると思いますが、私は、菅さんの発言を聞いていて、憲法を改正すべきだという考えは、これは菅さん自身の考えだから、これは否定しません。悪いとは言いません。

 しかし、今の自衛隊の派遣は、憲法を改正しなくてもできる範囲内でやっているんですから。自衛隊は、戦争に行くのでもない、戦闘行為に参加するものでもない、占領するために行くものでもない。まさに、復興支援、人道支援に行くんです。だから私は、憲法を改正しなくても、現行の憲法の枠内で自衛隊が派遣できる、自衛隊を派遣することができると考えているからしているのであって、自衛隊を派遣するんだったら憲法を改正しろという意見はいいですよ、菅さんの。しかしそれは、今後憲法改正の議論の中ですればいいことであって、私どもは、現行の憲法の枠内でいかに自衛隊を派遣できるかということを考えて派遣するんですから、その点は違う。

 あと、ドイツのNATO軍と憲法の関係の問題については、川口大臣から答弁をお願いします。

川口国務大臣 ドイツが軍隊をNATOの域外に派遣をするに当たって、ドイツは基本法の改正をしなかったということでございます。ドイツの憲法裁判所が、それについては合憲であるという判断を後刻行ったということでございます。

赤松(正)委員 私がここで申し上げたかったことは、今、その菅さんが質問された、いわゆる憲法の原則を大きく踏み破るということを堂々とおっしゃっている。

 一方、民主党のいわゆるホームページを見ますと、「イラク特措法の問題点」として、非常に抑制をきかせた言い方をされているわけです。「「イラク特措法」が想定する「非戦闘地域」の枠組みは、相手方の攻撃により一瞬にして「戦闘地域」に変わり得るなどの問題があるばかりでなく、海外における武力行使を禁じる憲法に抵触する恐れもある。」こう言って、抑制をきかせた、このイラク特措法の問題点を指摘している。いわゆる、「海外における武力行使を禁じる憲法に抵触する恐れもある。」こういうふうな言い方をしている。

 それに対して、先ほどの菅さんの発言は、大きくそれを踏み越える言い方をされている。そんなふうに思う次第でございます。

 そこで、この憲法をめぐる議論というのは、総理は、そういう言ってみれば誤認識に基づいて憲法を改正するというふうなことをおっしゃっている。そういう言い方で、一方、総理は、菅さんを相手にして、憲法改正の提起をやろう、要するにそういうふうな質問というかやりとりをされましたけれども、そういう憲法改正をめぐっての問題提起というものについては、しっかりと国民的議論を起こしてやっていかなければいけないわけですけれども、そういったことについてもう一度感想を聞かせていただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 私は、民主党自身が憲法改正についてどう考えるか、また、菅さんが、憲法を改正する必要があるからこれから議論を始めようと言うことについては、悪いことではないと。

 むしろ、民主党が憲法を改正するということを考えるのはいいことだし、自由民主党としても、二〇〇五年の秋ごろまでに、自民党としてどういう憲法改正素案がいいのか、改正案がいいのかということをまとめる作業を始めております。また、国会におきましても、衆参両院に憲法調査会が設置されて、近くその意見の取りまとめが行われるでしょう。

 民主党としては、菅さんの話によれば、自民党が二〇〇五年だから、二〇〇六年までには民主党としての憲法改正案をまとめたいということでありますので、これは、憲法改正というのは国民が大きな関心を持っておりますし、これから新しい時代にふさわしい憲法というのはどうあるべきかという議論において、与党のみならず、野党一党の民主党が積極的に改正論を提起し出したということについては、大変結構なことだと思っております。

赤松(正)委員 総理、そう言われるんですが、私に言わせれば、この野党第一党の党首と総理との憲法をめぐるやりとり、とりわけ総理のこの憲法部分の発言というのは、自由民主党も民主党も共通した理念を持っている方も多々あるようでありますので、その辺のところは、自民党一党だけでやろう、そういうこだわりは持っておりません。幅広く、多くの政党の方々、こういう呼びかけがありますが、与党第二党の公明党のことを全く触れておられないというのは、これはちょっといかがかなというのはあります。ここで初めて拍手が起こりましたが。

 実は、私がここで何を言いたいかというと、憲法の改正という非常に重要な問題をめぐって、総理大臣、自由民主党の総裁である、そして第一党の菅民主党代表が、要するに、非常に軽々しく憲法改正云々を言っている、とりわけ、九条について云々しているというのはどうなのかなという感じが強くいたしますもので、あえてこういう発言をさせていただいたわけであります。

 それについて御感想を、では聞かせてください。

小泉内閣総理大臣 私は、できるだけ多くの政党がこの憲法改正に参加していくということが望ましいということを言っているんであって、与党の公明党を除いてなんというのは一言も言っていませんよ。当然、公明党も与党ですから、自民党と公明党で協議していく。

 同時に、野党だからといって野党の意見を聞かないということじゃない。野党も、この憲法という問題、これからの国のあり方ということを考える場合には、国民全体での議論というものを喚起した方がいいと思うからこそ、できれば、与党と野党第一党で共通の認識を持つことができるような憲法改正ができればいいなということを言っているわけであります。

赤松(正)委員 私は、ここで大事なことは、やはり憲法九条をめぐって、大変に、例として菅さんを出してしまいましたけれども、いろいろな角度で、いろいろな人のさまざまなる九条をめぐっての発言、解釈があるわけですね。

 憲法九条については、やはり伝統的にといいますか、狭過ぎる九条の解釈というものが非常に横行している。一方で、拡大というそういう見方もなされるようなものが歴史的にありましたけれども、例えば、狭過ぎる九条の解釈ということでいえば、自衛権を否定する、つまり、自衛隊の存在が憲法違反であるというふうな、そういう解釈が出てくるような動きもある。つまり、それは、私に言わせれば、憲法九条を極めて狭めて解釈しているということだと思うんですね。あるいは、他国の武力行使への協力について全面的に否定をするというのも、やはり狭過ぎる解釈だろうと思うんですね。

 それに対して、武力行使に当たらない活動として、やはり、例えば米軍等に対する後方地域、非戦闘地域における支援、あるいは護身等のための武器の使用、こういったことについても、武力行使に当たらない活動であるにもかかわらず、それは武力行使につながっていくんだというふうな解釈を生み出すような、そういう日本の今のこの憲法をめぐる現状というものがあるわけです。

 そういった意味で、私は、改正どうこうというよりも、まず解釈の確定、それぞれの解釈について、九条についての解釈をどうするのかということについての大いなる議論というものがきちっと行われなくちゃいけない。それをしないで改正どうこうが先走るというのはまずい、こんなふうに思うんですけれども、いかがでしょう。

    〔小野寺委員長代理退席、西田委員長代理着席〕

小泉内閣総理大臣 憲法は九条だけではありません。前文初め各条項、それぞれ、各政党によって、また各議員によって、個人によって考え方が違う。また、学者によっては、今でも自衛隊は憲法違反であるという考えを持っている方もおられる。

 そういう中にあって、常に憲法九条の問題が憲法改正というと議論されますが、それは一番、今までの戦争体験、二度と戦争を起こしてはいけない、自衛隊が海外に出る場合にはどういう行動が必要かという今までの歴史の経験から、特に憲法九条の問題については、多くの国民が関心を持っている最大条項の一つだと思っております。

 これから、憲法改正議論におきましては、私は、九条だけでなく全般の議論が必要だと思っておりますので、その中で九条というもの、どうあるべきかということが議論されるべき問題だと思っております。

赤松(正)委員 ぜひともしっかりと落ち着いた議論をしていきたい、そんなふうに思う次第でございます。

 それから、きょうの朝、野党の皆さんからさまざまな御指摘があって、石破大臣に聞きますよ、さまざまな指摘があって、とりわけ、昨日の夜以来、サマワにおけるムサンナ県の知事とともに会った人物をめぐってのいろいろなやりとりがあって、最終的に、きょうの午前、石破防衛庁長官がここで訂正をされ、謝罪をされたわけですけれども、私ども、今回のこの事態にあって、やはり的確な正しい情報というものを総理、防衛庁長官、そこらがしっかりと掌握をしていただかないといけない、そんなふうに思うわけですね。

 そういう意味で、先ほど、午前中の議論、やりとり、非常に残念に思いますけれども、防衛庁長官の改めてのそれについての認識といいますか、とらえ方をもう一度ここで述べていただきたいと思います。

石破国務大臣 派遣されます自衛隊が、これから先、職務をきちんと果たすことができますよう、安全に果たすことができますように万全の措置をとらなければいけないと思っています。

 情報をどれだけ把握するか、そしてどう評価し分析するか、そこについては、より体制というものを考えてまいりたい。それで、私としては、今後とも責任を果たしてまいりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、混乱するような答弁をいたしました。与党である公明党の皆様方にも委員会にも御迷惑をおかけいたしましたことは、重ねておわびを申し上げる次第でございます。

    〔西田委員長代理退席、委員長着席〕

赤松(正)委員 私ども、今回の陸上自衛隊本隊のサマワに対する派遣については、慎重の上にも慎重にということを常々小泉総理に要望してまいりました。

 さきに、私どもの神崎代表が、総理の判断を尊重する、こう述べまして、その際に、自衛隊員の安全確保に万全を期してほしい、こういうふうな要望を強くいたしましたと同時に、現地でいろいろな問題が起こったときには正確な情報を提供していただきたい、こう言ったわけですが、現地でいろいろな問題が起こる前に、第一の情報の的確なるつかみ方という部分で、若干の錯誤というか認識の違いを起こしてしまったということは非常に残念だということについて、最後に総理大臣に御感想、御決意を聞かせていただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 現地の状況については、今後とも正確を期すために細心の注意を払っていきたいと思います。

赤松(正)委員 終わります。

    ―――――――――――――

斉藤委員長 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として防衛庁運用局長西川徹矢君、外務省総合外交政策局長西田恒夫君及び外務省中東アフリカ局長堂道秀明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

斉藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

斉藤委員長 原口一博君。

原口委員 民主党の原口一博でございます。総理並びに関係大臣に質問をいたします。

 大きな政策転換の意識があるのか、そして、その責任はだれが負うのか、国会に政府が提出している資料は果たして自衛隊派遣の承認に足る資料なのか、情報を開示し、説明をしっかりして、理解を求める姿勢があるのか、そして、政治が行っている議論のツケを自衛隊が負うようなことはあってはならないんではないかということを本会議でお話ししました。

 まず、首相に確認をしておきますが、この自衛隊派遣の安全確保の責任、これは総理におありになると思いますが、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 自衛隊員の安全確保には万全を期していかなきゃならないし、その責任は私にもあると思っております。

原口委員 私にもあるということですが、あなたがこの最高責任者ですから、あなたが最高の責任を負うということでよろしいですね。

小泉内閣総理大臣 すべて政治の責任は総理大臣である私にあると思っております。

原口委員 さて、そこで、国会の始まって以来という答弁の撤回が起こりました。私の質問に対する、これは委員長、お許しをいただいて資料を配付させていただきたいと思います。

 国会で、皆さん御案内のとおりですが、総理は私に、サマワの治安についてでございますが、住民の意向を反映した市評議会、穏健な宗教勢力のために治安は安定しと。つまり総理は、治安の安定の根拠に、住民の意向を反映した市評議会を最初に挙げられました。私は、これは、市評議会があれば間違ってはいないと思うんです。なぜならば、住民にとって一番身近な行政組織がしっかりとその意向を反映していれば、治安は安定するからです。しかし、この委員会あるいは予算委員会の審議のところでこれが撤回をされました。

 総理にまずお伺いしますが、これは国会で始まって以来のことであります。謝罪も何もなかったわけですが、始まって以来だということは御認識されていますでしょうか。

小泉内閣総理大臣 過去歴代の総理大臣が撤回したことがあるかどうかわかりませんが、私が総理になってから、撤回したのは初めてであります。

斉藤委員長 質問者より、答弁用にということで、資料を答弁者に配付させていただきます。

原口委員 初めてです。私が調べた中でも、総理になられてからでも初めてでしょうけれども、こんなもの、私が調べたあるいは私どもの国対で調べた限りにおいては初めてです。

 それで、じゃ、総理がどう答弁を変えられたかというと、この市評議会の存在については、なかったんだということをおっしゃっているわけです。これはこれでいいですか。そして、それは治安に結びつくものではないんだということをおっしゃっているんですが、再度総理に御確認をいたします。

小泉内閣総理大臣 私の発言を再度読み上げます。

 二十七日の本会議の答弁において、私より、サマワ市評議会が現在存在しているとの発言をいたしましたが、これを撤回します。

 これは、サマワ市評議会議員は総辞職したとのオランダ軍及びCPAからの情報に基づく報告を受けたからであり、現地情勢については引き続き注視する必要があると考えております。

 いずれにしても、現時点において、市評議会の問題が治安情勢の悪化に直接関係があるとは見られないことから、自衛隊の派遣について判断の前提となる現地情勢に対する認識を変更する必要はないと考えます。

 今後とも、現地情勢については十分に注視してまいりたいと考えております。

原口委員 資料二をごらんになってください。総理にもお渡しをしています。

 資料二は、私たちがこの委員会で求めて、理事それから委員長にも提示をされた政府の資料です。「サマーワ市評議会は住民の意向を反映した構成のため、実質的に機能している。」とここでちゃんと示しているじゃないですか。そして、皆さんこうも言っているんですよ。「サマーワ周辺では、連合軍に対する大きな事件は発生していない。」本当にこうですか。

 きょう私は、限られた時間ですが、これをごらんになっている方は、市評議会があるのかないのか、これが機能しているのか機能していないのかがいかに自衛隊派遣について大きな影響があるのかないのか、それをはっきりさせたいと思って、ここで皆さんに確認をしているんです。

 どれが本当なんですか。実質的に機能しているんですか。

川口国務大臣 サマワの市評議会につきましては、これは今、我々の認識として、総辞職をした後に新たな市評議会が選出されるまでの間の期間における位置づけということにつきましては、治安に責任を持つオランダ軍も統治に責任を持つCPAも、確たる見解を有していないということでございます。日本政府としても、この点について確たる判断を下す状況にはないということです。

 それで、機能しているかどうかということが実質的にサマワの町の状況に影響を与えているかという観点から申し上げますと、現地の行政サービスは淡々と継続提供されているということでございます。

原口委員 つまり、確たる確証を持っていないということを皆さんに、国民の皆さんの前で確認をさせていただきました。確たる確証を持っていないということで本当にいいんですか。私は、そのこと自体が大変問題だと思います。

 これは、長島議員がつくっていただいた、昨日の委員会でも皆さんに長島代議士から提示をされた戦闘による米兵の死傷者数です。皆さんが決断をされたこの十一月、報告を受けて、自衛隊派遣を前向きに検討するんだと言われたこの十一月、ごらんになってください。米兵の死傷者数はそれまでで最高です。そしてまた、これも一月に入って上がっています。

 そこで、外務省の参考人にお伺いします。

 市の評議会に最後に皆さんが接触をされたのはいつですか。前回の調査団のときにお会いになった、その事実があるのかないのか、その後にだれにお会いになっているのか、参考人にお伺いします。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 それは、十一月の十九日の日に、調査チーム一行がサマワ市評議会アリ・ダファーイ議長を表敬訪問しております。調査チームのそのときの目的等を説明いたしましたところ、当議長からは、歓迎の意を表するということ、それから、サマワでは地域住民が怪しい者を見かけたら積極的に警察に通報して協力することになっていること、それからまた、市議会として、またすべてのサマワ市民が自衛隊の来訪を待っており、必要なことがあればすべて協力したい、歓迎の言葉を大分述べていただきました。

原口委員 総理、なぜ今参考人からお話を伺ったかというと、まさにここが協力の拠点なんです。協力の拠点が、あるいは我が自衛隊、あるいは我が日本政府の意図を市民の皆さんに伝えるその結節点なんですね。その結節点が今本当になくなっていて、そのことで、我が自衛隊や我が政府の活動が円滑に行えるだろうか。

 そして、皆さんは、さっきの資料の二のところで、「住民の意向を反映した構成のため、実質的に機能している。」というふうに、これはこの間断言されたんですよ。私はこれをもとにあなたに質問したんです。ところが、どうですか。

 この市の評議会が解散をした理由、これも政府参考人に伺います。

堂道政府参考人 お答え申し上げます。

 このサマワ市評議会でございますけれども、昨年の六月二十四日に選出されております。その後、ムサンナ県においては多くの市評議会が順次設立されております。サマワはそのムサンナ県において最初に設立された市評議会でございます。

 その後の選出過程でございますけれども、徐々により民主的なと申しますか、より多くの住民が参加できるような形で選出が行われております。

 この解散につきましては、解散といいますか総辞職でございますけれども、まず、サマワ市の前に、一月の二十一日にルメイサ市におきまして……(発言する者あり)総辞職がございました。これは、その選挙の手続につきまして必ずしも手続が十分に認知されていなかったということで、ルメイサ市の評議員が総辞職したものであります。サマワ市におきましても、ルメイサ市と連携をする意味で総辞職をしたというふうに承知をしております。

原口委員 総理から不規則発言がありますが、やめてください。

 解散の、総辞職の理由を聞いているんです。一言言ってください。何で総辞職をしたんですか。

堂道政府参考人 この選挙につきましては、その手続について必ずしも十分に通知がされていなかったということを不満として、解散という動きにつながったと承知をしております。

原口委員 まさに民主的な手続の中でさまざまな不満があって総辞職をしているわけじゃないですか。違いますか。

 さらに、そうしたら、今度また参考人にお伺いしますが、テロリストの侵入を防ぐため、不審者を見つけた場合は、その場で市民が取り押さえ、警察に通報するということを、先ほど十一月についてはお話しになった。

 では、この不審者を通報するその行政組織あるいは市民の代表というものは今どこにあるんですか、だれですか。

堂道政府参考人 お答え申し上げます。

 この点については、御質問については必ずしも正確な答えを承知しておりませんが、一般的に申しますと、サマワ市におきましても、市評議会のほかに、いわゆる役所機能と申しますか、そういうものが存在している模様でございます。これは、その中で警察についても機能をしていると承知しております。

原口委員 市評議会以外の行政機構の名前を教えてください。

堂道政府参考人 このサダム・フセインの時代に、中央政府等より各省に携わる機関が存在していたと承知しております。

 現在、その機関のステータスについては必ずしも正確ではございませんが、統治評議会との関係では、統治評議会がこのような機関を企画、監督する立場にあるというふうに承知をしております。

原口委員 もう国民の皆さん、ここまでお聞きになっておわかりだと思います。

 では、どこが受け入れ先で、何が市の行政主体なのか。これだったらわかりますよ、総理が本会議で私に最初に答弁されたように、サマワ市民を代表する一つの行政組織が正統にあって、それは戦争の後の混乱ですからいろいろあるでしょう。しかし、それが実質的にちゃんと機能しているときと、今のように、どういう状況になっているかわからない、これで私たちは何を判断すればいいんですか。総理、お答えください。

小泉内閣総理大臣 それは、住民の意向を反映したのは、サマワ市評議会だけじゃないんです。サマワ市評議会だけじゃないんです。いろいろな機関がある。暫定評議会もあります。あるいは知事という方もおられます。あるいはCPAというようなものもありますし、それから、その地域の住民の意向ということを考えれば、族長の皆さんも住民の意向を反映した方々であります。それは、サマワ市評議会だけが住民の意向を反映したものではないということを申し上げているわけであります。

原口委員 CPAは占領組織ですね。そことの、まさにその市評議会との対立によって、解散をしている、あるいは総辞職に追い込まれたんじゃないかと思っているわけです。

 今の中に、サマワの市を、市民を代表する組織にCPAがあるなんという答弁、それはもう一回撤回しますか。

小泉内閣総理大臣 それは、CPAが今イラクに民主的な政権をつくるためにいろいろ努力しているわけであります。統治評議会、これとの連携も密にとっていると思います。それは住民とのかけ橋になっているんです。

 そういう中で、これは、総辞職したという報道と、一部に、まだ総辞職していないという報道もあります。そういういろいろな情報が錯綜しておりますが、これも民主的な手続、独裁政権のフセイン政権が倒された後に、やはりイラクの住民にとって自由な意見を表明する機会が出てきたというあらわれでありますし、どういう手続によってより住民の意向を反映した評議会なり機関ができるかというのは、今後、日本としてもよく注視していかなきゃならない。

 必ずしも、サマワ市評議会が当地域のすべての住民の意向を反映しているという一つの機関ではないということを言っているわけでありまして、一つの機関であるということも日本としてはよく注視していかなきゃならない。そのほかにいろいろな機関があります、住民がおられます、かなり権威のある方もおられます。そういう点も含めまして、よく、総合的に地域の住民の意向が反映されるような、また地域の住民の意向なり評価を得られるような活動をしていかなきゃならないと思っております。

原口委員 具体的にどういうニーズがあるか聞き取りをする、それは、県知事さんはいらっしゃって、県は機能しているというふうに聞いています。しかし、市は今、その代表は助役のようなものだと前におっしゃったじゃないですか、そういう行政組織が機能をしていない。

 では、逆にお伺いします。

 私たちは、給水、あるいは、自衛隊でいうとその設営、土地を借りなきゃいけないですね、それの契約は各部族とやればいいんですか。市のさまざまな行政の中で、そことの話し合いやあるいはその人たちの了解というのは要らないんですか。

川口国務大臣 経済協力の契約ということでいいますと、サマワ市を対象にして行うということは今考えていないということです。

 それから、先ほど御質問の、どのような当局があるかということですけれども、サマワ市に限らず、イラクというのはもともと非常に行政機構がしっかりしたところでございまして、先ほど堂道局長がお答えしましたように、サマワ市においても出先機関というのはずうっとしっかり機能してきた。例えば道路局ですとか保健局ですとか、そういったものが存在をしているということであって、こういった行政機関がきちんとしているので、先ほど来申し上げていますように、日常生活は淡々と行政サービスを受けることができるということであります。

原口委員 それでは、参考人にお伺いします。

 今、外務大臣がお話しになった、各行政サービスを供給している行政機関と市の評議会の関係はどうなりますか。

堂道政府参考人 市評議会と行政機関でございますけれども、市評議会は基本的に住民の意向を吸い上げる機能を果たしてきたと承知しております。同時に、行政機関に対して、あるいはCPAに対して、住民の意向を伝達する役割を果たすと承知しております。

原口委員 行政をつかさどるそのヘッドクオーターが市の評議会でしょう。違うんですか。

堂道政府参考人 基本的に行政の責任はCPAにあると承知しております。

 CPAにつきましては、市評議会との関係でございますけれども、二〇〇三年九月、六月にCPA指令によりまして、中央政府各省出先の活動をモニターする権限を市評議会の議長が与えられていると承知しております。

原口委員 CPAが行政の責任があるわけですね。そうすると、今外務大臣がお話しになったことと全然違うじゃないですか。

川口国務大臣 今局長がお話をしましたことは、イラクの統治の最終責任がCPAにあるということを申し上げているわけでして、日々の行政の監督それから企画、これはそれぞれの市の評議会、その市の評議会のあり方は、今まさにシステムが進化の過程にありますので、地域によって違うところはありますけれども、基本的に県あるいは市レベルの行政サービスの提供を企画、監督する立場にあるというのが地方の評議会であるということで、全体的に、最終的にCPAが責任を持つということで申し上げているわけです。

原口委員 今外務大臣がお話しになったとおりだとすると、それぞれの市の、先ほどお話しになった各行政機関を統轄するのが市の評議会でしょう、それがないわけですから、大変な混乱になるんじゃないんですか。

 もう一つお伺いします。治安についてお伺いします。

 治安について、先ほどこの数字を挙げましたが、サマワはこの二月―三月、まさに大規模な巡礼、これが来る、そのリスクヘッジをどうやるかということを本会議でお話ししました。しかし、皆さんは本当に国民の皆さんにちゃんとした襲撃の情報を上げているんでしょうか。

 サマワ周辺では連合軍に対する大きな事件は発生していないということを言っていますが、これは本当ですか。私が挙げただけでも襲撃事件というのはたくさんありますが、十二月―一月のサマワにおける連合軍に対する襲撃事件を、政府参考人、挙げてください。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 いろいろ報道等でもございますが、当方で現在把握しております連合軍に対します攻撃は、十二月六日のサマワ―ヒッラ間でハンガリー軍の車列が銃撃を受けたが死傷者がなかったという、この一件でございます。

原口委員 私たちは、そうは思っていません。十二月十五日や、あるいは、これは世界のさまざまなところで報じられているところを挙げただけで、この一カ月、二カ月の間、サマワでの襲撃事件あるいは治安の悪化は深刻化しているというふうに見るべきじゃありませんか。違いますか。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどちょっとお話ししましたが、報道等で伝えられておる、確かにデモだとか、あるいは、先般先生御指摘のように、市内北部でイラク人……(発言する者あり)そういう意味で、連合軍への攻撃は先ほど申した一件でございます。

 ほかのものは、いわゆるデモだとか、あるいは警察官の殺害、あるいはポルノ映画のビデオ、CDを販売している店舗で爆発があったとか、いわゆるそれ以外のものは大分報道等で上がっております。

原口委員 数十名の武装グループが十二月二十二日、サマワ及びホダル・シティーに続く道路で米軍を襲撃しているじゃないですか。僕らが拾っただけでもいろんなものがある。

 皆さんは、自衛隊を派遣しなければいけないということを先に持ってきて、そういったものを総理や官邸に上げるのを怠っているんじゃありませんか。違いますか。

西川政府参考人 これは一件と申しましたが、あとは、連合軍への攻撃という形では我々は把握しておりませんで、例えば、先生、報道等でございました、五名のテロリストを市内で拘束云々というようなことが大分報じられましたが、あれを調べてみましたら、やはりそれはそういうものではなかった。(発言する者あり)そうですか。

 私怨によりまして、私怨によって彼らがテロリストだというふうに、そういうふうに警察当局の方へ申し出た者がおりまして、それに基づいて逮捕しまして、いろいろ調べましたが、爆弾とかそういうものは一切出てこなくて、その後状況がわかったというようなことはございます。

原口委員 委員長、御注意いただきたいのは、私は具体的に日にちを挙げて、米軍が襲撃をされている、それは事実かということを聞いているんです。あなたは、十二月五日ですか、それ以降はないとおっしゃったじゃないですか。

 こんな基本的なことも違っていて、どうやって自衛隊を派遣できるんですか。もうこれ以上質問できないと思います。

石破国務大臣 先生、恐縮です。

 今十二月二十二日に米軍が襲撃されたというふうにおっしゃいました。それがどの地域で行われたものか。私は、サマワというふうに先生おっしゃいましたね、サマワ市内で米軍が襲撃されたのが十二月二十二日という御指摘だとするならば、私ども、そのような事象は承知をいたしておりません。

原口委員 私ははっきり申し上げました。サマワ及びホダル・シティーに続く道路でというふうにお話をしたわけです。(発言する者あり)ほかにもたくさんあるわけです。

 周辺の地域や皆さんが持っていらっしゃる情報をしっかりと出すべきだと思いますが、いかがですか。

石破国務大臣 恐縮です。

 わかりました。そこの道へ、サマワとほかの都市へ続く道路の上でそういう襲撃があったという御指摘であれば、それは御指摘、私どもが申し上げた中には入っておりません。

 ただ、私どもが申し上げておりますのは、サマワ市内においてどうなのかということを調べております。私どもが行動しますのはサマワ市内であり、そのサマワ市内における治安の状況がどうであるかということについて御報告を申し上げておるところでございます。

原口委員 だから、よく議論を聞いていただきたいんです。私は、サマワ周辺では連合軍に対する大きな事件は発生していないと皆さんがおっしゃるから、これは事実ですかということで、一つ一つ調べて、だれが市内に限ると言いました。

 そういう詭弁を弄して、そして国民に対して議論を逃げる、このやり方を強く糾弾して、質問を終えます。

斉藤委員長 この際、末松義規君から関連質疑の申し出があります。原口君の持ち時間の範囲内でこれを許します。末松義規君。

末松委員 民主党の末松義規でございます。

 この自衛隊の派遣、これは後でもっと詳しく述べますが、国民全体にかかわる話でございます。といいますのは、やっぱり今テロの脅威ということを、おどしが入っていたりしております。アルカイダとか、そういった国際的なテロ組織とか、あるいは幾つかのおどしが日本国民にも来ているわけであります。そういった意味で、今度この自衛隊をイラクに派遣するということはどういうことを意味するか。

 私もイラクの現地にいましたからそこは感じましたけれども、実際に、バース党のスンニ派とか、あるいはアメリカから侵略されたと思っているイスラム教の原理主義者とか、あるいはナショナリストでアメリカから侵略されたと思っているそういった反米武装勢力、これが依然として大きな勢力を保っているのがイラクの状況です。フセインという元大統領が逮捕されたとしてもその敵意がまだ残っている。そして、反米あるいは反英、そういったグループは、このフセイン以後、さらに憎しみを増している状況の中で自衛隊というものが入っていくということは、これは、日本よ、おまえもアメリカと一緒か、こういうふうに思われる危険性が非常に高いわけです。

 そういった意味で、私は、今日本の国民の警戒レベル、テロとかそういった襲撃事件が起こるとか、そういったことの警戒レベルを最高度に上げなきゃいけない時期だと思っておりますが、どうも政府の方は、万全の対策をとると言うだけで、その緊張感は見られません。

 総理、あなたがこのテロとの闘いの政策の総責任者です。そうですよね、今うなずいていられますけれども。そういうポジションにある方が、国民に対して、これから、例えばイラクにいる自衛隊だけじゃなくて日本国内でテロが起こる、あるいは海外で日本人コミュニティーに対して、大使館に対してテロが起こるかもしれない、そういった危険性をきちんと説明する責任があると思いますけれども、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 テロに対して緊張感を持って対応していかなきゃならないというのは、当然だと思っております。

 我々も、常に危機管理対策、安全対策、この点については最も国民が心配していることでありますので、万全の対応を期していきたいと思います。

末松委員 万全の対応をとると言われましたけれども、具体的にどんな対応をとりましたか。CIAとか入って、いろいろと情報機関を少し拡大したとか、そういう話はございますけれども、どんなことをやっているのか、そこをきちんと説明してほしいんです。

福田国務大臣 これは今に限ったことではありません。ありませんが、国際情勢、今のような状況とか、そういうものを反映させて、危機管理対策ということについては、これは十分な対応をしていく、そういう考え方のもとに、あらゆる政府の機関を動員いたしまして、体制を動員いたしまして、今対応に当たっておるということでございます。

 例えば一つ最近の例を申し上げれば、危機管理体制を官邸直結にしようということで、例えば成田空港それから羽田の空港、また主たる港湾、大きい港湾、こういうものには内閣官房の併任をかけた危機管理官をその対策に当てる責任者として配置をする、そういうふうなこともしておるわけでございます。

 今後、あらゆる対応について、必要なものについて積極的に取り組んでいくという考え方でおります。

末松委員 今の政府の対応を見たら、このイラク戦争支持から始まって、結局、テロを撲滅するためにテロとの闘いを進めたんですよね。それが今、国民に対して、より大きなテロの脅威に国民がさらされている。ここでもし何か大きな、私は起こらないことを祈りますけれども、大きな事件が起こったら、それは当然、小泉内閣が進めてきた対策あるいは政策、その責任だと思いますけれども、その責任感について、総理の認識をお願いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 すべての責任は私にあります。

 イラク開戦前から、テロ行為は世界各地でありました。ニューヨークのあの九月十一日のテロもイラク戦争開始前からあったんです。その前も各地区で、あるいはアメリカにおいてもニューヨークの九・一一前にもあったわけでありまして、イラク開戦があったからテロが起こったわけではありませんし、テロ活動というのは全世界各地で起こる可能性があるかと言われれば、これは否定できない。

 そういう中で、日本だけではでき得ない点、各国と協力しなきゃならない点、また日本独自でやらなきゃならない点、そういう点をよく考えながら、緊張感を持って日々その対応に心を砕いているわけでありまして、この闘いは長く続くということを覚悟しなきゃならないと思っております。

末松委員 長く続くと同時に、その危険性が増している。その原因は、私は小泉内閣に一因があるということを申し上げます。

 先ほど、この自衛隊の派遣の中で、原口議員がサマワの状況についてお尋ねしました。その中で、サマワ評議会がいかに重要か、これは政治上の議会ですから、それが重要だということで、私ども民主党、先遣隊のペーパーの中で、評議会が実質的に機能しているという文言、これがうそっぱちだったということ。これを、総理もまた防衛庁長官も撤回された、外務大臣も撤回されたと思うんですが、その中で、なぜそんなにサマワが重要かというのは、原口議員がきちんとおっしゃられたと思うんですけれども、自衛隊の活動をする場合に、実際に許可を得る必要があると私は思うんですよね、その政治組織。

 それで、サマワ市の評議会からも当然、先遣隊が行く前に幾つかの調査団も含めて行っていると思いますけれども、当然その許可はとっているんですよね、防衛庁長官。

石破国務大臣 今まで、専門調査団あるいは先遣隊が入りますときに、市の評議会の許可をいただいて入ったという認識は持っておりません。そういう事実もないと承知をいたしておりますが、確認はいたさせます。

末松委員 確認してください。

石破国務大臣 これは、参りました者にも確認をいたしましたが、協議はいたします、協議ですね。行きますよというようなお知らせ、ごあいさつといいますか。しかしながら、委員御指摘の、許可を得て入るということはいたしておりません。

 つまり、評議会が、入る入らないについて権限を有しておるというふうには承知をしておらないところでございます。

末松委員 私は、赤嶺議員が提出された防衛庁のペーパーと目されているペーパー、これをいろいろと精査いたしました。そこで、今回出てきたペーパーと見比べてみたんですけれども、かなり、数カ所に同じ表現、同じ文章、全部あって、これは役人が審議の過程で、防衛庁と外務省が審議をしながら、その過程でつくられたペーパーなのかなというふうな思いが私はしているわけですね。

 その中で、こういう文言がございまして、ムサンナ県評議会及びサマワ市評議会は、いずれも、自衛隊が同地に宿営して活動することについて、次回の会議に付議する予定だと。これは、評議会議長によれば、これは問題なく了承される見込みである、そういうふうに書かれているわけですよね。

 ということは、先遣隊が最重要事項として、アポイントメント、会うために行った評議会は、それはきちんとその話し合いをして、この活動を自衛隊が宿営をしてやるということについて了承してくださいねということを当然言っているはずだというふうに考えられるんですけれども、そこは私の全くの認識の誤りですか。

石破国務大臣 土地の使用についてもしお尋ねであるとしますならば……(末松委員「いや、私は、誤っているかどうか、そこをちょっと確認してください。私の認識が」と呼ぶ)御認識は、それは、現地のいろいろな行政について責任を持っておりますのはCPAでございます。CPAが行政について責任を持っているということは、先ほど外務大臣からお答えがあったとおりでございます。(末松委員「CPAが」と呼ぶ)CPAでございます。

 権限を持っておるものはCPAということは、これは確かでございます。

末松委員 そうすると、サマワの評議会は全くその了承を得なくてもいいんだ、これが政府の判断ですね。それに誤りはありませんね。

石破国務大臣 それは、委員も中東情勢には大変お詳しくていらっしゃいますが、それぞれ民主主義の生成過程として評議会があるわけでございます。権限を正式に有した組織ということでいえば、それはCPA以外にございません。

 しかし、サマワに入る、あるいはムサンナ県に入るというときに、評議会にごあいさつをし、そして協議をするということは当然あることでございます。しかし、そこが了承をしなかったから、それでは入れないという性質のものかというふうに言われれば、CPAが持ちます権能に照らしまして、そういうことには相ならないと申し上げておるわけでございます。

末松委員 そうしたら、もうこのムサンナ県の評議会とかあるいはサマワの評議会、そういったものについてはごあいさつだけでいいんだという位置づけですね。でも、それは、サマワの評議会が極めて重要だとあなた自身が言っていたじゃないですか。それは全く違うんじゃないか。CPAだけが重要なんですか、そうしたら。

石破国務大臣 一連の答弁の中で申し上げておりますように、評議会というものが民主主義の生成過程において重要なものである、そしてまた、評議会のメンバーが、自薦者の中、私がやりたい、私がやりたいといった人の中から指名をするというやり方から、コーカス方式になり、やがては直接民主主義になっていくのかもしれない、その過程において重要なものであるということは確かです。しかし、それが行政的などのような権限を持っているかという議論、それは先ほどお答えしたとおりです。

 住民の方々に歓迎をしていただく、温かく迎えていただく、あるいは御理解をいただくという中にあって、部族社会であるイラク・サマワにおいて、部族の御理解をいただく、そして評議会の御理解をいただく、宗教指導者の御理解をいただく、教育関係者の御理解をいただく、いろいろな方々の御理解をいただかなきゃいかぬわけです。その中の一つの重要な要素ではありますが、唯一無二のものではないということであります。

末松委員 それはもう全くあれですよね、占領行政だから主権が制限されている、そう言いたいんですか。主権が制限されているから、結局、生成過程、生成過程とおっしゃるけれども、実際にそこはきちんとした評議会があったわけですよね。それにきちんと了承もとらずにこの件を進めるということは、それは行政権限がCPA、これはCPAとも取り決めは行っているんですか、この件について。

川口国務大臣 そもそも、自衛隊が行くにつきましては、これは国連の決議に従って行くわけでございまして、行くことについてだれかの許可が要るということでは全くないということです。

 それで、実際にサマワに行きまして、ただ、もちろん、地位協定ではありませんけれども、そういった自衛隊の人たちの地位を確保する必要がありますから、CPAにはもちろん話をしています。CPAにはもちろん話をしていますが、それで、サマワに行ったときに、サマワのだれかが許可をしなければいけないということではないということです。

 ただ、実際に、円滑に活動していく上に、みんなの、関係者の了解をとっているということは、あるいは歓迎をされるということは非常に重要なことですから、そういう意味で、先般来問題になっている一月二十日の、県知事がホストをしてくださった会合、そこにおいて、県知事が大勢のその地域の主要な人たちと引き合わせてくださって、それで皆さんが歓迎をするということを言ってくださった、そういうことであります。

 許可が必要かと言えば、そういうことではないということです。

末松委員 先ほど、サマワ評議会が総辞職した、これはCPAとの対立によって総辞職したという話がございましたけれども、この防衛庁のペーパーには「存在する宗教勢力は穏健なもの。」と書いてあるんですけれども、この認識は、その根拠は何ですか。

石破国務大臣 そもそも、イスラム教というものが穏健な宗教であるということは、これはイスラム教と聞いただけで何か穏健ではないというような謬説がありますが、それは違う。イスラム教というのは、恐らく、多くの宗教の中で最も穏健なものである。その中で、イスラム過激派というような、恐らくもうイスラムの名からは違うのかもしれない、イスラムに藉口してといいますか、それで破壊活動を行うような、そういう勢力はサマワにおいては存在をしない。本来のイスラム、本来の穏健なシーア派の勢力がそこには存在をしておるということでございます。

末松委員 イスラムといった場合、まあ私も勉強したからなんですけれども、征服者あるいは侵略者が来たときには、とにかく、そこを聖戦と思ってはね返せという教えがあるんですよ。そういった意味でジハードということが出てきているわけであって、特に今、シスターニという一番最高位を持つ方、この方が六月の総選挙に向けて直接選挙を要求して、大きな今うねりになっているわけですよ。それの一環としてこのサマワでもそういう直接選挙のところの動きがあったんじゃないですか。

 そういったときであれば、彼らは彼らなりの宗教的な基準を持ってどんどんやっていきますよ。これが、六月に向けて政治的な混乱の大きなうねりになってきている。そこを踏まえても、要するに温厚だと言っているのですか。

川口国務大臣 選挙に関することでございますので、私からお話をさせていただきたいと思いますけれども、基本的に、おっしゃるように、間接選挙方式の流れというのはあります。それについていろいろなイラク国内に意見があるということもある程度事実ですけれども、サマワ市あるいはルメイサ市において、今後それをめぐってこの問題が相当に大きく尾を引いて問題となり続けるというふうには認識をしていないということでして、それは、信頼すべき情報筋あるいはCPA等の現地の見通しでいえば、三月、あるいは、それから三週間から六週間ぐらいのうちに選挙が行われるであろうということであります。

 それから、イラク全体としての統治方式の移行についての、そのときの選挙の方式についてどういうプロセスでやっていくかということについては、今まさに国連が技術的な調査団を送って、それについていろいろ調整の手続をとるということに今なっているということでございます。

末松委員 サマワの市議会の議長云々でいろいろと、ころころと答弁が変わるような情報能力ですね。評議会の議長が代表になったりあるいは代表代理になったり、その程度の情報を持ってきている中で、信頼すべき情報とか、その辺は言わないでほしいんですよ。宗教勢力だってそうですよ。これだってどんどんどんどん変わっていくんですよ、状況によって。だから、あたかも今は、何か非常に温厚な形、あるいは平和なように見えるけれども、自衛隊が行って本格的に活動すれば、どんどんどんどんさまざまな武装勢力が寄ってくる。それに対してどうするかというようなことがこれから大きく議論されなきゃいけないということを申し上げて、ちょっと時間がないので次の話題に移ります。

 非戦闘地域ということなんですけれども、戦闘地域とそれから非戦闘地域、従来から議論がございますけれども、もしサマワ近辺で武装襲撃事件等起こった場合、あるいは自衛隊員が直接に襲われた場合、これを戦闘行為と判断するのはだれですか。

石破国務大臣 それは、仮にそういうことがありまして、現場で行動する指揮官が退避をするという判断をとります。防衛庁長官は、中断するか、そしてまた実施区域の変更、そういう指示をすることになります。現場の指揮官がそこを退避するというときに、これは戦闘行為なのかどうなのかという判断をするところまで明確に判断せよということが求められているわけではありません。

 しかし、危険を回避するということは、現場の指揮官が判断をすることであります。それが戦闘行為であるかないかということにかかわらず、指揮官は抑制的にその危険を回避する行動をとるということは当然のことでございます。

末松委員 そうすると、戦闘行為が仮に起こったといった場合に、その判断は最終的には防衛庁長官がされるということですか。

石破国務大臣 これは法律上、実施区域の変更は防衛庁長官の権限になっております。そこが戦闘地域である、戦闘地域の定義はいたしませんが、そういうことになれば、それは変更しなければならない。その権限を持っておりますのは防衛庁長官であり、判断をするのは防衛庁長官であるということでございます。

末松委員 防衛庁石破長官は、何か、単なるテロは、これはもう戦闘行為ではない、そういうふうに言われたということですが、それはそうですか。

石破国務大臣 単なるテロというのを、何を指すかということでございますが、野盗、盗賊のたぐいはもうテロではございません。これが国または国に準ずる組織ではない、散発的なあるいは偶発的な、継続性のない、非国際性のものである場合には、それは戦闘行為の主体たり得ないということを申し上げておるわけでございます。

末松委員 それを判断するのは、あなたですか、それとも現場の隊長ですか。そして、だれが調査するんですか、それを。

石破国務大臣 それは先ほど来お答えをしておるとおりでございます。これは重畳的な考え方になるのかもしれませんが、指揮官は安全も確保しなければなりません。そこに起こっていることが、その場に即してみて、これが国際性を有し、継続性を有し、そういうことなのかどうかということが判断できるとは期待できません。(末松委員「だれが判断するの」と呼ぶ)指揮官がです。指揮官がその場において判断できるとは期待できないことでございます。したがいまして、そこは抑制的に、引くという判断を指揮官はすることになります。

 それで、だれが判断をするかといえば、それは防衛庁長官でございます。そして、それがどういうことかの判断は、総合的に行うとしか申し上げようがございません。

末松委員 私は、この防衛庁のペーパーの中に、何で外交官の、奥大使、井ノ上一等書記官の調査の報告もこれに盛り込まれなかったのか、非常に私は不満なんですよ。だって、あの事件は、本当に日本人を標的にしたのかどうか、非常にそれが問われた事件なんですよね。自衛隊の派遣のときに、そこを全く書かずに、そこで二カ月もたってまだ調査報告も出ていないじゃないですか。きょう、何か検視の結果が若干報告されて、カラシニコフという銃が使われたという話がありましたけれども、二カ月たってもその程度の報告しかないんですよ。

 こういった自衛隊を派遣する、自衛隊員の安全性を守るときに、そのときに、ああいった外交官のあの事件、これは全く関連がないと思われますか、総理。総理に聞きますよ。

小泉内閣総理大臣 残念なことに、奥大使また井ノ上書記官があのような殉職をされたことに対する犯行者がだれであるかということは、まだ解明されておりません。今後もこの事態の解明に努力してまいりますが、あの地域は、日本人のみならず、韓国の方も襲撃されたということを聞いております。かなり危険度の高い地域であるとも思いますので、あの地域には自衛隊は今回行く予定にはなっておりませんし、やはり自衛隊が派遣される地域において治安状況等を十分に配慮しなきゃいけないと思っております。

末松委員 総理、さっき石破長官に聞いていたのは、なぜ主体が主体がと私がこだわったのか、事件が起こったときにだれが判断をするか、その主体をこだわったのかというと、まさしく奥大使の事件で日本政府は本当に調べる気があるんですか。あなたの今の発言は、事件後二週間とか三週間だったらまだそれは了承できますよ。でも、二カ月もたって、まだ解明されていないのが残念だと。冗談じゃないですよ。

 まさしくそこをきちんと調べる能力もなくて、戦闘地域とか非戦闘地域とかあるいは戦闘行為とか、そんなことを判断できるわけないじゃないですか。冗談じゃないよ。また三カ月、四カ月たって、全くわからずに、結局は、テロかあるいは単なる物取りか、ずっとわからずにやって、その間自衛隊がずっと居残って、そこでまた新たな事件が起こるということなんですよ。我が国の外交官二人がああいう形で襲撃された、この事件一つも満足に解決できないんですよ。調査できない。

 そんなことでは、単に作文のペーパーだけで、これで自衛隊を送るということは、とんでもない話じゃないですか。それはどう思っていますか、言ってくださいよ。

石破国務大臣 お答え申し上げます。

 そういう地域にはそもそも行かないということが一つございます。あのような地域には、行くということは予定をされておりません。それが一つ。

 もう一つは、もちろん私どもとして、あの状況というものは、だれがやったか、それは私ども捜査機関ではございませんからわかりません、物もございません。しかしながら、こういう状況こういう状況というのはいろいろ想定は当然できます。どのようなものを持っていくか、装輪装甲車はどのようなものであるか、高機動車はどのようなものであるか、それは委員御案内のとおりです。ああいう状況が起こっても被害を受けないということがもう一つ。

 それから、戦闘行為かどうかということについて申し上げれば、先ほど最初の答弁で抑制的にというふうに私申し上げました。そういうことがあった場合には、相手がいかなる者であれ指揮官としては抑制的に避難等の行動を行う、それは指揮官たるもの当然のことでございます。者というのは組織、ものと申し上げても結構です。そのようなことにならないように、幾重にも私ども配慮をしておるところでございます。

末松委員 それは、では事件が解明されないようなテロ事件とか、あるいは自衛隊員がそこでかかわって大変な殺傷事件がもし不幸にも起きた場合とか、そういったことが調査が進まなくてわからない場合には抑制的に対応するということですね。(石破国務大臣「違う、違う、そんなこと言っていない、違うよ」と呼ぶ)さっきから同じことを聞いているんですよ。調査能力がない人がそんな戦闘行為かどうかを判断できるわけがないと言っているわけです。でしょう。だから、そんないいかげんなところを紙だけで済まそうというのはおかしいよということなんですよ。じゃ、最後に答えてくださいよ。

石破国務大臣 それは先生、抑制的にという言葉をお取り違いになっておられるのではないでしょうか。抑制的にと申し上げましたのは、そういうような事象が起こったときに、条文をお読みいただければわかりますが、その近傍においてというふうな表現をしてございます。そういうような近くにおいてそれが起こったときに、それが国際的なのか計画的なのかどうなのかということの判断をするよりも、まずそこから引くのだ、危険から離脱するのだという判断を指揮官は行う。それを先に行うということを、抑制的にと。まず被害を受けないということを中心に考える、それが人道支援のやるべき道だと私は思っています。

末松委員 つまり、そこで一たん引くのと、それから戦闘地域か非戦闘地域、それを区分する、この判断をする場合の、その調査能力はないでしょうということを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

斉藤委員長 この際、中川正春君から関連質疑の申し出があります。原口君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中川正春君。

中川(正)委員 民主党の中川正春です。

 まだ、このイラクの特別委員会はきのう始まったばかりでありまして、こうして議論すればするほど、ますますその論点が混迷してくるし、派遣命令を出したその基本的なデータあるいは情報そのものが、どうも捏造されたものじゃないか、あるいは故意に正当化だけをねらってその情報を集めてきただけのものじゃないか、そういう懸念が増してくる。

 そんな中で、実は、質問に入る前に一言しっかり言っておきたいんですが、この委員会の開催当初から、非常に異常な状況で開催されております。まず交渉して、これは理事会というものがこれをどういうふうに運営していくかという話し合いをして、与野党の合意のもとで進んでいくということが、これはもう議会のルールでありますが、話し合いをするたびに何が出てくるかといったら、採決なんですよ。まず採決ありき。採決やってくれ、それを前提にして日程を考えましょうと。

 ところが結局は、なるべく、話し合い、この議論はせずに、何とか包み隠してこの国会だけは通していこうというのが与党の中にしっかり見えている。さっき中谷筆頭理事は、義理と人情と浪花節ですか、そんなようなお話をされましたが、この議会運営に関しては、とにかく包み隠して、そして国会を通す、なるべく議論はさせない、そうした姿勢が見えていました。そのことに対して、改めて抗議を申し上げたい。

 それと同時に、実はきょうのお昼の理事会でも、きょう採決をしたいんだという与党の意思表示が理事会の中で出てきました。断じて許しません。こんなことで、与党の国民に対する説明責任は果たせないじゃないですか。どうして前向きに、自衛隊がそれこそ一つのリスクを負いながら、憲法の議論を控えながら行こうとしているんだ、だからこそ国民のコンセンサスが要るんだ、それは私もそのとおりだと思うんです。だったら、強行採決せずにしっかりと話し合っていくこと、これが原則だと思います。

 そのようなことを、義理と人情の、そしてまた浪花節の筆頭理事を信頼申し上げて、まさか強行採決はないだろうということを念頭に置きながら、議論を続けていきたいというふうに思います。

 まず、大前提でもう一回確認をしておきたいんですが、今回、陸上自衛隊本隊に対して命令が出ました。これをずっとたどっていく過程で、今回の先遣隊がもたらしてくる情報というのは大切だ、だから先遣隊の報告を待って、その上で総合的に判断をしたいというのが総理大臣の考え方であったんだろうというふうに思うんです。そういう意味では、先遣隊の報告というのはこの陸自の命令の母体になっている、基本になっている、そのことは正しいんですね。

小泉内閣総理大臣 先遣隊を初め各種情報収集をしっかりいたしまして、総合的に判断して、自衛隊を派遣するときはしなければならないと考えております。

中川(正)委員 それでは、しばらく、この先遣隊がもたらした報告に基づいて質問をしていきたいと思います。

 先ほども出たんですが、ここで、この二日間の間ですが、その間だけでも、先ほど話の出ましたサマワ市の評議会について、存在する、しない、もうさまざまに答弁が変わりまして、今でも、先ほどの答弁では、結局私たちにはわからない、判断できない、そういうようなことでありました。

 その上で、もう一つ改めてお聞きしたいんですが、これは先ほども少し答弁は出ていましたけれども、この評議会、なぜ皆やめてしまったのか。ここのところをもう一回、政府見解としてお話をいただきたいというふうに思います。

川口国務大臣 今回の評議会メンバーの辞職でございますけれども、これは基本的に、イラクの地方レベルの民主化努力の一つの側面であるというふうに考えております。

 今回起こったことは、サマワで選ばれる市評議会の委員について、その選び方について、これをコーカス方式といいますか、間接選挙方式にしようという動きがあって、その過程の中で、現在の市評議会の委員の人たちに十分それについての情報がもたらされる前にムサンナ県の知事がそれを公表してしまったということについての反発があったということであるわけです。それが直接的な辞職に至った要因であるということであります。

中川(正)委員 実は、それぞれこのことについて報道があるんですね。特に共同がもたらしているもの、あるいはその周辺もそうなんですが、ただ知事に対する、いわゆる知事が一方的にそうしたことを突然知らせてきたということに対する反発なんというのは、どこもそんな分析をしていないんです。

 その後ろにある宗教対立、これは先ほどシスターニ師という話が末松議員の方から出ましたが、このシスターニ師というのは、これはシーア派の代表的な教職者なんですが、この方についての情報というのは外務省は持っていますか。

川口国務大臣 持っております。シスターニ師というのは、現在シーア派の中で恐らく最も力がある方であろうというふうに考えております。

中川(正)委員 実は、CPAが選挙をそこで実施していく、その準備をしていく過程で、直接選挙にするか間接選挙にするか、このことがもう課題となっている、いわゆる一つの紛争の種になっているというのはよく御存じだと思うんです。

 その中で、間接選挙にすれば、シーア派、いわゆる多数を占めているシーア派がどうしても不利な状況になる、だから直接選挙で、多数を占めているシーア派がそのまま上がってくるような状況をつくるべきだということ、これがその背景にあって、このシスターニ師はアメリカの政策に対して反発をし、そしてこの反米感情、反米運動というのが、今シーア派、特に南部に占めている大多数のシーア派の運動の一つのきっかけになって、あちこちデモが起こり、そしてそれがそれぞれの評議会に連動しながら、一つの反対運動として辞職をし始めてきているということ。このことが報じられているんですが、それはそういうふうに、外務省、情報をしっかり持っていられますか。

川口国務大臣 イラクの人口のうち、シーア派が約六〇%を占めるという状況であって、そのことが、イラクにおいて選挙の方式を選ぶときに、いろいろな宗派によって意見の違いをもたらしているという側面はあると思います。

 それで、十一月の十五日に統治評議会とCPAとの合意があって、ことしの六月の末までに新しい政権をつくるということになりまして、今手続を急いでいるわけですが、そのために二月の末までに基本法をつくるということになっているわけです。その過程で、選挙の手続について、昨年の十一月の状況ではコーカス方式が想定をされていたわけですけれども、おっしゃるように、最近シスターニ師が直接選挙の実施を主張しているということであります。

 これについてはいろいろな長所、短所がございますけれども、差し当たって今起こっていることというのは、国連が、この間アナン事務総長が発表いたしまして、ミッションを送るということになっておりますけれども、こうした選挙の実施についての調査チームが派遣をされ、国連も交えた形で、このスケジュールがきちんと守られるような形でイラクがきちんとした選挙の方式を決めていく、そういうことになることが期待されているわけです。

中川(正)委員 実はこの報告書の中に、「治安情勢」という項目で、二番目の「サマーワ市周辺の情勢」、先ほど原口議員が示された、その項目があるんですね。その中に、一月三日に発生したデモの話があります。この一月三日のデモは、清掃作業に伴う雇用がプロジェクト終了に伴いなくなったことに起因する失業者によるもの、これはいいでしょう。もう一つ、その先の、ちょうど先遣隊が行ったときに、サマワCPA訪問時にその施設の前で「デモに遭遇したが、デモは平和的に実施され、終了したことを確認。自衛隊の活動に反対するデモの発生は考えにくい。」こういうふうにありますね。ここについて、これはどういう種類のデモで、この「自衛隊の活動に反対するデモの発生は考えにくい。」と判断されたのか、その根拠を示してください。

石破国務大臣 自衛隊先遣隊が遭遇いたしましたデモは、直接選挙を求めてのデモだと承知をいたしております。

 なぜ自衛隊反対のデモが起こらないかといいますと、やはり地元で歓迎をされている、自衛隊出ていけというよりは、自衛隊を歓迎するムードが、横溢と言ってもよろしいかもしれませんが、そういうサマワにおいて、自衛隊反対のデモというのは非常に想定しにくいというふうに認識をいたしておるところでございます。

中川(正)委員 実は、私の手元にレバノンのデーリー・スター、現地の新聞の記事があるんですよ。そこに、自衛隊が到着して四十八時間以内に起こった、さっきのシスターニ師との関連の中で、シーア派が直接選挙を求めながら、確かにそうある、もっと過激に自分たちの主張をしている。その過激な内容というのはどういうものかというと、「ウイ アー オール ウイズ シスターニ アンド ウイ ウオント ノー ワン エルス」これは、自衛隊に向けて、CPAに向けて、我々はシスターニなんだ、それ以外の組織、あるいは防衛長官の言われるそれ以外の者というのは要らないんだというデモが行われたんです。

 さらにこれを見ていますと、このデモに日本の自衛隊員が遭遇をして、そこでたたずんで、このプラカードも見ていたし、それから彼らのシュプレヒコールも見ていた、見ていたというより聞いていたという状況がありましたということが新聞報道されているんです。

 こうした中身、これはどうして報告書に載ってこないんですか。

川口国務大臣 おっしゃった、先遣隊がCPAを訪問したときにあったデモの性格というのは、私どもの理解では、これは直接選挙にかかわるものであったというふうに理解をしています。

 いずれにしても、自衛隊がここで、サマワで歓迎をされているということについては、先ほど申しましたように、県知事がこの地域の代表者の人たちに引き合わせて、みんなが口々に歓迎するということを言ったということでして、この地域は圧倒的にシーア派でございますから、シーア派の人たちが基本的に非常に歓迎をしている、そういうことであると理解をしています。

中川(正)委員 余りにも一方的な、例えばどこからその情報をとったかといったら、それぞれこれから援助をする対象の部族の長、それからCPA、オランダ軍、みんなそれは自分たちを取り巻いている同胞じゃないですか。そこから来た情報だけで、大歓迎されている、こういう話になって、もう片方で、これは深刻な宗教対立になっていく可能性があるということをこの新聞自体も警告していますが、スンニとシーア派の中で、昔はスンニが反米だった。それが、シーア派が今度は反米に向けて歩調を合わせてきて、それがそれぞれの地域に波及をしていて、そして評議会をばらばらにし始めたというこの状況をとらえずして、どうしてイラク派遣なんですか。

 そのようなベースによってこの情報が成り立っているということ、これが私は一つのあかしであろうということ、このことを改めて指摘しておきたいというふうに思います。

川口国務大臣 選挙にかかわる動きというのはもちろん注視をしなければいけないと思いますけれども、御参考までに、共同通信がやったサマワでのアンケート調査の結果をちょっと申し上げたいと思います。

 日本の自衛隊がサマワに来ることを支持しますか、支持する八六・三%、支持しない七・八%。それから、自衛隊がサマワにどのくらいの期間滞在すべきだと思いますか、一年以上五三・四、一年二五・五ということでございます。このほかいっぱい申し上げたいことはありますけれども、例えば、自衛隊に協力しますか、協力する七六・五といったようなことが出ております。

 委員がおっしゃっていらっしゃる選挙の動きということは当面注視をもちろんしていかなければいけないと思いますが、これは、先ほど申しましたように、イラクの民主化の過程の一つの過程、一つの側面であって、これが国連等のかかわりも得て、期待されているように、早くスケジュールどおりに解決していくということになることを国際社会も期待しているわけです。

中川(正)委員 先ほどの事実認識、それから、評議会でだれが代表かということに対する二転三転の答弁、それから、これから後、恐らく共産党から改めて問題提起がなされるだろうと思うんですが、きのう出てきたこの報告書のもとのシナリオ、これは、先遣隊が調査に行く前に、こういうふうな形の報告ができるように調査をしてきてくれという、そういうひな形、これが出てきた。

 そして、さらに言えば、私たちが、そうした疑いがあるから、やはり現場に行った人間が直接この委員会に出てきて、それで国民に説明をする。さっきのような疑問点というのは、現場の人間がどういうニュースソースでだれにコンタクトして、いつの時点で得たかというのを聞いたら、一発でわかるんですよ。そういうようなものをぜひここでやるべきだ、こんなふうな議論をしてまいりました。

 これは、この委員会、絶えずそういう方向で運営をしてきた。そして、与党の筆頭理事も委員長もその辺理解をしていただいて、防衛庁そして外務省、それぞれ、先遣隊の、日本へ向いて帰国した、報告をしに来た報告者に、そのことを可能かどうかというのを根回ししていただいた。その話をしている最中に何が起こったかといったら、この二人に、委員長にもそして与党の筆頭理事にも何の連絡もなしに突然帰しちゃったんですよ、現場へ。これは何ということだと。それほどまでして事実を隠したいという、そのことは何なんだと。

 そうしたら、きょうの新聞を見ていたら、去年の秋、同じようなことが起こりました。逆に、調査隊が現地に入って、日本に早く帰ってきたい、報告に帰ってきたいと言ったら、官邸の意思によって、そして、国会が開いておる間は帰ってきたらやばいから、二日、三日延ばして帰ってこい、そんな形で帰ってきたんだというのを、官邸の関係者から取材をした上での記事がきょう出ておりました。

 総理、それほどまで情報操作して、何をしたいんですか、あなたは。これ以上、国民に対して説明責任を果たさないおつもりですか。総理、改めて答えてください。

小泉内閣総理大臣 イラクに自衛隊を派遣する理由についても、私は、いろいろな機会を通じて国民に申し上げておりますし、国会の場におきましても説明しているつもりでございます。

 もとより、民主党の皆さんはイラクに自衛隊を派遣することに反対であるという意見も承知しております。その意思もわかっております。サマワの治安の状況がよくても反対だということもわかっております。(発言する者あり)しかし、そういう反対の意見をよく聞きながら、できるだけ国民に自衛隊の活動というものを御理解いただけるように、今までも誠心誠意答弁いたしてまいりましたし、答弁している最中にやじがあっても、誠意を持ってわかりやすく答弁しております。

 これからも質問に誠実に答えて、多くの国民から、一般国民ができ得ないイラクの復興支援、人道支援に自衛隊の諸君が立派に活動しているということに対して、国民の皆さんも、賛否両論を問わず、心の中で応援していただければなと思っております。

中川(正)委員 これだけ、ベースになっている情報が、クレディビリティー、信頼性、信用できないというようなことになってきたんですから、改めて要求します。派遣命令の撤回をしてください。あるいは、その上で再調査をして、現実どのようなことになっているのかというのを改めて国民に説明をしながらこの議論をするということ、そこまで、この派遣命令、撤回をしてください。

石破国務大臣 これは、派遣命令を発出しておりますのは私でございますから、私からお答えをいたします。

 先ほど御質問の、なぜ早く帰ったのかということでございますが、これは御存じのように、先遣隊の人数は物すごく限られております。一人が何人分もの仕事をしなければなりません。これはもう報告が終わり次第すぐに帰った。それは、現地の負担をいかに軽減をするかということでもございます。そういうような理由で早く帰ったものでございます。

 それから、派遣命令を撤回すべしということでございますが、何度もお答えをいたしておりますように、ニーズはどうなのか、そして治安の状況はどうであるのかということを御説明をいたしてまいりました。それは、先生御指摘のように、それでは、代表だと紹介された人を議長と言った、それはおわびをし、訂正をさせていただきました。しかし、基本的に、ニーズ、そしてまた安全、それは保てるということで政府としては御説明を申し上げているものでございます。

 先生方の御指摘を私どもも参考にしながら、今後、よりよい活動というものを目指してまいりたいと思いますが、命令を撤回する要ありとは私は考えておらないところでございます。

中川(正)委員 このイラク派遣というのは、この特徴は、アフガニスタンと比べてみると、なぜ今回の話が出てきたかというのはよくわかると思うんですね。

 テロ特措法、アフガニスタンの場合は、これはNATOが、あるいは国連が関与をしていた。だから、アメリカにとっては、その中で一つの国際世論というものがあって、そして、あそこの統治、新しい政府の樹立、それでネーションビルディングというのができつつあるということだと思うんですね。それに対して、日本はアメリカから、あそこへ来てくれよと。今イラクとアフガニスタンと比べると、まあまあのところなんだと思うんですが、アフガニスタンには陸自、いわゆるブーツ・オン・ザ・グラウンドという表現ですが、陸自は要請されなかった。

 ところが、イラクの場合は、これはアメリカが孤立してしまった。そして、ヨーロッパがアメリカの大義に対して、これは違っているよと。アメリカの一国主義というのはヨーロッパとしては許せない。特にフランス、ドイツ、これがそれなりの見識を持って自分の国の主張をやっている。だから、アメリカにとっては日本に頼らざるを得ない。ちょっとでも国際的と、あるいは周りの国々の応援を得ているんだというその実証のために日本が引っ張り出された。それで陸自なんですね。

 そういう構図の中で、日本としてはこれだけのリスクを負い、そして、ただアメリカとの同盟が大事だ、それだけの単純な判断でこれは送り込んでいるわけです。そこのところの構図をしっかり踏み込んだ上で、私たちのこの国の国益、そして私たちの国家観、あるいはまたアメリカに対しても、悪いことは悪いんだ、大義がないんだと、そのことを言える政治、そうした意味での強い強いナショナリズムというのがこの国にないことには、このまま巻き込まれるだけで、あるいは利用されるだけで、私たちのこの国の国益は守れないということ、このことを最後に総理に申し上げる。

 改めて、これ、二人の閣僚がおられますが、今回のこの捏造された、それぞれの情報操作というものに対しては重い責任を感じてもらわなければならない、大臣である資格は、ここまでやればないということ、このことを改めて申し上げて、私の質問にします。

 以上です。

斉藤委員長 これにて原口君、末松君、中川君の質疑は終了いたしました。

 次に、山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。

 イラクは、今なおアメリカとイギリスの占領の状態にあります。小泉内閣は、その占領下のイラクに対して、武装した自衛隊を派遣する命令を下しました。これは、憲法九条で禁じた武力の威嚇または行使、そして国の交戦権にかかわる重大な、徹底的な審議の求められる問題だと思います。

 まず初めに、私は、イラクの占領当局と自衛隊の関係についてただしておきたいと思います。

 総理にお尋ねしますが、ここにあります昨年十二月十二日付の占領当局者からの書簡ですね、ここで、占領当局の命令十七号において規定される連合国要員の処遇を受ける、自衛隊が、こういう書簡が出されておりますが、これは受け取っていらっしゃいますね。

小泉内閣総理大臣 この質問につきましては、前にも私はいただいたんじゃないかと思っております。その……(山口(富)委員「受け取っていることの確認だけです」と呼ぶ)受け取っております。

山口(富)委員 この占領当局が出した命令十七号なんですけれども、これは、イラクを占領している軍隊を中心としました連合国の要員に対して、十七号というのは、この文書のことですけれども、イラク国内で刑事、民事、行政のいかなる裁判権も免除され、逮捕、拘束もされないというもので、いわば占領者の特権と保護を定めたものです。

 こうして自衛隊は連合国の一員、占領の一翼を担うということになるわけですけれども、ところが、総理は、占領行政の一翼を担うものではないと言っているんです。どうしてそういうことになるんですか。

川口国務大臣 イラクに派遣される自衛隊が、これはあくまで我が国の指揮のもとで活動するものであって、CPAの指揮下に入ったり占領軍の一員となることはないということでございます。

 これにつきましては、十七号の解釈として、我が国は、ここにありますように、我が国の指揮下であって、CPAの指揮下ではない、占領軍ではないということは、米国、英国から確認をいたしております。

山口(富)委員 これは全くおかしな話ですね。この命令十七号の核心というのは、占領当局が、占領軍の要員の地位、その特権と保護を保障したものだと。そして、総理は、一方で、そういう占領特権と保護を受けながら、同時に、自衛隊は占領の一員でないんだということを言うんですが、これは私、今の答弁からいきましても、とても国際社会で通用する議論じゃないというふうに思うんです。

 少し角度を変えてこの問題を引き続き問いたいんですけれども、私はここに、一月二十一日付で外務省が作成して、きょうお聞きしましたらこれが一番新しい資料だということですけれども、「諸外国軍隊派遣の状況」こういうペーパーを持ってまいりました。ここには、現在イラク国内で活動を行っている国として、米英プラス三十五カ国が挙がっております。ヨーロッパでしたらアルバニア、アゼルバイジャン、ブルガリアとか、それから中南米でしたらドミニカ、エルサルバドル、中東ではヨルダンという国が挙がっておりますが、総理、ここに掲げられた国々は、日本の自衛隊と同じように、占領当局のこの命令十七号の適用を受けているんですか。つまり、連合国の一員ということなんですか。総理にお尋ねします。

小泉内閣総理大臣 法的な問題は外務大臣の方が詳しいですから。

川口国務大臣 三十五、米英を除いて派遣しているわけですけれども、それらの国々が、基本的には国連の安保理決議の一四八三における連合国であるという立場をとっている、大部分の国がそういう立場をとっているというふうに承知をいたしております。

 基本的に、十七号によってこれらの国々は、それぞれの国がCPAとの間でどのような確認をとっているかということについてはつまびらかにいたしませんけれども、CPAの十七号を読む範囲では日本と同じ立場になり得るというふうに、裁判等からの免除という意味では免除をされ得る立場になると思いますけれども、日本と同じような形で確認をとっているかどうかということについては、これはよその国の問題でございますから、我々としてはっきりしていません。

 連合国の一員であるかということについては、これは大部分の国が、先ほど言いましたように連合国であるという立場をとっていますけれども、一部の国についてはそれをみずから明らかにしていないということでございますので、全部についてそうであると確定的なことを申し上げることはできないということでございます。

山口(富)委員 総理が、法律に詳しいからということで外務大臣が答弁したんですけれども、聞いてみましたら極めてあいまいな答弁じゃないですか。大部分がそうでしょうとか、一部はそうじゃないかもしれないと言う。おかしいですよ。

 私は、これについては独自に調べてまいりました。

 私は、昨日、このリストに挙がっている国々の大使館に電話をいたしました。その一つに、中東のヨルダンという国があります。この国の大使からいただいた回答ですけれども、ここにあります。ヨルダンは、占領当局、CPAから独立している、独立してやっている、はっきりそういう回答をいただきました。

 このように、この外務省がつくった、あたかも全部が一つでまとまっているかのような資料の中身を見れば、一つ一つを見れば、連合国ではなくて、CPAの管轄下ではなくて仕事をしている国があるじゃありませんか。これが事実じゃないんですか。

川口国務大臣 ヨルダンについてはもちろん私どもも把握をいたしておりますし、ほかにもございますし、日本もCPAの監督下でやっているわけではございません。

山口(富)委員 総理はこうした事実を御存じなんですか。

小泉内閣総理大臣 はい、聞いております。

山口(富)委員 では、なぜ自分で答えないのか、私はやや、今の答弁を聞きながら不思議に思いますよ。

小泉内閣総理大臣 せっかく法的な質問でしたから、より正確に答弁するためには私より川口大臣の方が適切だと思ったから、今回、川口大臣に譲ったわけであります。

山口(富)委員 答弁にはルールがありますから、指名してからお願いいたしたいんですが。

 この問題は、私、CPAの傘下に入らない、つまり、占領特権のかかわりというのは、一体イラクに対してそれぞれの国がどういう立場をとっているのかを吟味する上で欠かせない基本の資料だと思うんです。この点で、外務省がつくられたというこの最新の資料だというものには、そういう問題意識が全くありません。私、これは大きな問題だと思います。

 そして、きょうの質疑の中でも明らかにされてきましたように、例のサマワの先遣隊の派遣報告、これが大変いいかげんなものだったということが大分出されました。私、連合国と各国との関係について言っても、これは憲法問題であるにもかかわらず、大部分だとか、違うところがあるかもしれない、これを繰り返していったら、とても憲法の問題でこの自衛隊の派兵の問題、これは許すわけにいかないと思うんです。

 もう一点、私、次に取り上げたいんですが、ここに連合軍のホームページを持ってまいりました。これは、正確に言いますと第七連合統合任務軍という、大分長いんですが、この中に、これは連合軍という主題なんですけれども、こういうふうに書かれております。現在、米国のほか三十五カ国が、総計およそ二万二千人の兵力を、イラクで継続中の安定作戦に提供している、こう書かれています。そして、このホームページの別のところでは、それはどういう作戦なのかというところで、作戦地域で、残存する抵抗軍を打破し不安定勢力を無力化するために攻撃的な作戦を実行することだ、こういうふうに書かれております。

 これでは、連合軍が言っているように、日本の自衛隊が連合軍の一員そのものになっている、その資料じゃないんですか。総理。

川口国務大臣 いずれにしても、我が国は、これは連合の司令部の指揮下にはないわけです。それから、そのことについては、CPA側、英国、米国に確認をしているということでございますから、全く、そのホームページのいかんを問わず、我が国としてはそういうことである。これは米国も英国も確認済みですから、確かなことであるということだと考えます。

小泉内閣総理大臣 アメリカ軍、イギリス軍はテロリスト勢力の掃討作戦を展開していますが、日本は、自衛隊派遣されたとしてもテロ掃討作戦には加わらないんです。戦闘行為には参加しないんです。武力行使しないんです。

山口(富)委員 総理、安全確保支援活動をやると書いているじゃありませんか。

 しかも、先ほど、私、ヨルダンを挙げましたけれども、ここに挙がっている三十五カ国には、ヨルダンは入っていないんです。アルバニア、オーストラリア、アゼルバイジャン、ブルガリア、ずっと続きまして日本が出てくるわけですけれども、ヨルダンは入らない。なぜ入らないかというと、それは占領当局の管轄下にないからです。先ほど外務大臣は、ヨルダンと同じようなものだという話をしましたが、明らかに違うじゃありませんか。

川口国務大臣 繰り返し申し上げますけれども、我が国が米軍の指揮下にもなく、我が国の独自の、我が国の指揮下にあり、そして占領を行うわけでもない、戦うわけでもない。総理がずっとおっしゃっていらっしゃいますが、ということは我が国みずから考えていることであり、同時に、我が国がそういうことであるということは、英国、米国と政府のレベルで確認済みの話でございます。

山口(富)委員 あなた、確認済み、確認済みと言いますが、どういう確認なのか。

 例えば、私たち、先日の予算委員会でも明らかにいたしましたが、この連合軍の司令部に対して、一体自衛隊はどういう扱いを受けるのかという問いを行いましたら、はっきりと即座に、自衛隊は連合軍の指揮下に入ることになる、こういう回答が寄せられるわけですね。

 どうしてこういうことになるかといえば、これは、命令十七号の適用を受け、占領特権を受け、そして連合軍の一員としてホームページにまではっきり紹介されている。つまり、現場では、これは占領軍の一員なんだ、連合軍の一員なんだ、そういう事態が現実に進行しているという、そのあかしじゃありませんか。

 日本は、憲法九条で、武力の行使や威嚇、交戦権を禁じております。この点からいきましても、私、きょうここで明らかにした問題というのは、占領軍、連合軍の一員になるという問題は憲法にかかわる重大問題だ、このことを徹底的に明らかにして、派遣命令をなくして、撤回して、イラクへの派兵を中止する、そのことを重ねて強く求めまして、質問を終わります。

斉藤委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳でございます。

 総理にお伺いいたします。

 私は、米英軍によるイラクへの戦争は、国連憲章を無視し、国際法に反する戦争であったと思います。同時に、米英軍のイラク戦争は、大義なき戦争でありました。いみじくも、開戦時にイラクが大量破壊兵器を保有した証拠はないと断言したデービッド・ケイ・アメリカ前調査団長の証言で、そのことが裏づけられました。

 小泉総理は、今でもイラクに大量破壊兵器がないとは断定できないなどとして、米英軍による戦争を支持した判断は正しかったと強弁をしております。小泉総理のこのような態度は、戦争の大義が揺らぐと、開戦を支持した責任、あるいは自衛隊派遣を決めた責任を問われかねないと考えた上ではありませんか。

小泉内閣総理大臣 私は、責任はすべて私にあると思っております。

 また、先ほど、大義がないという話でありますが、ケイ博士の上院軍事委員会公聴会での発言、さらにはNBCのインタビューの発言におきましても、開戦は賢明であったかと問われ、NBCのインタビューに答えて、絶対に賢明であったと考えるということをケイ博士も述べております。一部だけでその博士全体の発言ととりますと誤解を生みますので、そういう発言もしているということをあえて加えさせていただきました。

照屋委員 防衛庁長官にお伺いいたします。

 きのうから議論になっておりますサマワ市評議会の存在は、陸上自衛隊先遣隊あるいは政府が、イラク南東部の治安を安定していると結論づけた根拠の一つではありませんか。

石破国務大臣 それは報告書をお読みになればおわかりになりますとおり、幾つも幾つも挙げている中の、しかし重要な一つであります。そこには何項目も挙げております。宗教指導者の方々の動向なり、いろいろなものを挙げさせていただきました。その中の動向の一つでございます。それは重要なものでございまして、代表と紹介された方を議長というふうに訳し、そしてまた、ここで御説明をしたことは訂正をし、おわびを申し上げたところでございます。

    〔委員長退席、西田委員長代理着席〕

照屋委員 だから、長官、おわびをしたとかなんとか聞いているんじゃなくして、私の質問は、治安情勢に関する、しかも治安が安定をしていると判断した重要な根拠の一つでしょうと聞いているんだから、そうであるかそうでないか、はっきり言えばいいじゃないですか。

 同時に、自衛隊本隊の派遣を命令した重要な根拠の一つでもありますね。

石破国務大臣 治安が安定をしているということが、派遣命令を下したことの根拠でございます。その中に、サマワ市評議会、つまり、二十日にお目にかかりました時点では有効に機能しておったサマワ市評議会、その存在というものを一つの要素として考えておったことは事実でございます。

照屋委員 防衛庁長官、あなたは、それでは聞きましょう、きょうの時点でサマワ市評議会は存在をしているとの認識なんでしょうか、お答えください。防衛庁長官に聞いているんです。防衛庁長官に聞いているんです。

川口国務大臣 きょうの時点でということでございますけれども、二十九日の時点でオランダ軍に確認をいたしましたら、オランダ側として、サマワ市の評議会が総辞職をしたという認識に変わりはないと言っております。それから、同じく二十九日にCPA関係者より聞きましたところでは、これのメンバーから辞意の表明はあったけれども、次のメンバーが決まるまでは職にとどまりたい、あるいは、やってもいい、執務を行ってもいいと言っている者もいるということでございます。

 総辞職をした後に新たに市評議会が選出されるまでの期間における市評議会の位置づけについては、CPAも確たる見解を持っていませんし、オランダ軍も持っていないということでして、日本政府としても、この点について確たる判断を下す状況にないということでございます。

照屋委員 外務大臣は、民主党の池田委員から、政府として、サマワ市評議会の存否についての認識、判断を聞かれて、今のように、ちぐはぐなとんちんかんな答弁、酢のコンニャクだのと言ってはぐらかしておる。それで、我が国として有権解釈をする立場にはないとか、有権解釈とは国家機関が持つ法解釈であるなどと答えているんですよ。

 そんなことじゃなくして、政府としての認識を聞いているんです。何もあなたの有権解釈、国の有権解釈を聞いているんじゃないんですよ。

 では、防衛庁長官はどうですか。あなたは、サマワ市評議会の存在については、現段階でどういう認識を持っているんですか。

石破国務大臣 政府部内で全く同じ認識を持っております。外務大臣がおっしゃったことと同じでございます。有権解釈をする立場にないということも、委員、法律家でいらっしゃいますから、政府の立場は御了解いただけるものと思います。

照屋委員 だから、有権解釈を、法解釈を求めているんじゃないんですよ。このように、私はきのうきょうと、この委員会で、自衛隊のイラク派遣の承認を求める本当に重要な審議をしているのに、外務大臣も防衛庁長官もまともな答弁をしない。しかも、事実認識についても、総理がサマワ市評議会の存在について従来の答弁を本会議で撤回する。このような異常な事態。

 あるいはまた、サマワ市評議会の代理に会ったのに議長に会ったとか、あるいは、サマワ市評議会の議員が総辞職した、その情報が、外務省や防衛庁に伝わって二日後にしか官房長官や総理に届かない。このような情報収集や情報伝達の不手際。

 これで防衛庁長官が自衛隊を、本隊をイラクに送る。私は、とてもこれは国民に説明がつかないと思うんです。どうですか、防衛庁長官。

    〔西田委員長代理退席、委員長着席〕

石破国務大臣 ニーズにつきまして、そしてまた安全性につきまして、そして日本が果たすべき役割につきまして、いろいろな角度から検討し派遣の命令をした、総理の御承認をいただいた。総理が御承認なさったその理由は、先ほど来ずっと総理がおっしゃっておられるとおりでございます。

 私は、それは、委員がおっしゃいますように、知事からこの人代表ですよと言われた方を議長と言いました。それは訂正をして、おわびを申し上げました。それと情勢の認識が変わったかということは別の問題でございます。私は変わったとは思っておりません。要は、日本を大好きなサマワの人々が日本の助けを待っている、それを一日も早く行わねばならない。それに必要な治安の状況というものを、私は、自衛隊の権限、能力、装備をもって安全が確保できるというふうに判断をしておるわけでございます。

 それは、先生御指摘のように、代表を議長と申し上げた、その点は本当におわびを申し上げる次第でございます。今後さらに正確を期さねばならないと思っております。

 そしてまた、総辞職の件につきましてはいろいろな情報がございます。外務大臣からお話をなさったとおりでございます。今後、さらに情勢の的確な、そして迅速な掌握にさらに努め、任務の安全に配意したいと思っておるところでございます。

照屋委員 先ほど民主党の委員から、防衛庁長官それから外務大臣の大臣としての資質を問う、こういうお話がありましたけれども、私もそのとおりだと思いますね。防衛庁長官、外務大臣は、情報収集やその伝達の不手際、それから、指摘をされた事実誤認や虚偽答弁などに照らすと、もう大臣としての任にたえられない、その資質がない。私も、即刻その職を辞すべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 それでは、次に、総理にお伺いいたしますが、昨年十二月三日、官邸でアブドルアミール・リカービ氏にお会いになりましたね。

小泉内閣総理大臣 日にちは覚えておりませんが、リカービ氏に官邸で会ったことはございます。

照屋委員 リカービ氏とはどういう話し合いをやられたんでしょうか。また、どういう経緯で総理がリカービ氏にお会いをすることになったんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 リカービ氏は、イラクに民主的な政府をもたらしたいという思いで民主的な活動をされている方だと承知しておりまして、その方が日本に滞在している、できればイラクの問題について日本の総理大臣に会いたいというようなお話を聞いたものですから、私も、日本として、実際、イラクの民主化運動に今まで携わってきた方の意見をじかに聞くのもこれは有意義なことであると思いましてお会いいたしました。

 そして、リカービ氏は、日本の支援に対しましても、事細かに申し上げることは時間の関係で省きますが、メソポタミアの湿原の問題、こういう問題というのは非常にイラク国民に歓迎されるのではないか、当面の問題ではないが、中長期的に考えて、メソポタミアの湿原の問題に対して日本が支援の手を差し伸べてくれるということはイラク国民も大いに歓迎するのではないかという話等をいたしました。

 そういう話の中で、私も、早速、そういうお話であるから外務省に検討させて、日本としてどういう支援ができるか。と同時に、日本は、イラク国民が希望を持ってみずからの国をつくり上げようというそのお手伝いをするのである、日本がイラクの再建をするのではない、イラク国民が意欲的に希望を持ってみずからの国を立ち上げることに対して支援するのであって、イラクから歓迎されない、そのような支援は日本としてはしないからということも私はリカービ氏に申し上げました。

照屋委員 防衛庁長官、イラクが部族社会であるということについては、昨日、私と外務大臣との間でいろいろやりとりがあったことを覚えておられると思います。この強固な血縁社会を部族をもって結んでいるわけでありますが、これはどうも、部族として、もめごとの調整機能と同時に、一方では武装しているというんですね。だから、治安を脅かすような役目もあるだろうと私は思うんです。

 ところで、昨年十二月に部族長会議が開催をされて、自衛隊を守るための警護部隊をつくることがすべての部族の賛成で決められた、こういう報道がありますが、政府は承知しておられるでしょうか。

石破国務大臣 そのような報道がありましたことは承知をいたしております。

照屋委員 私は、この部族問題というのは、イラクの治安情勢を判断する上で大変大きな問題だと思います。同時に、イラクにおける政権移譲のプロセスをめぐって、先ほどもいろいろな議論が出ましたけれども、間接選挙か直接選挙か、このことをめぐって宗教的な背景で治安が悪化するということも十分に予測されることですので、政府としても、しっかりした事実確認、事実の掌握をやっていただきたいということを強く申し上げ、同時にまた、社会民主党は、今度の自衛隊のイラクへの派遣が憲法九条の武力の行使と交戦権の行使につながる、だからイラクへの自衛隊派遣を中止すべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。

斉藤委員長 次に、池田元久君。

池田委員 民主党の池田元久です。

 午前中の審議中断の結果、十五分いただきましたので、端的に御答弁をお願いいたします。

 今回の自衛隊のイラク派遣問題で、核心の一つである現地の治安状況についてお尋ねをしたいと思っております。

 陸上自衛隊が派遣されるイラク南東部サマワ市周辺で起きた事件の発生状況についてお尋ねをいたします。

石破国務大臣 イラク南東部で発生しました事件のうち、七五%がバスラ県、二五%は主にマイサン県とお答えをしておるとおりでございます。

池田委員 それは先ほどの共産党議員に対して繰り返しておりましたが、自衛隊が派遣されるサマワ周辺で起きた事件の発生状況、これはオープンにできる数字だと思います。ぜひ出してください。

石破国務大臣 周辺というのをどこまでお指しになるのか、それはちょっと私にはよくわかりかねますが、イラク南東部サマワで起こったこと、あるいは南東部全体で起こったことは、先ほどパーセンテージで、比率でお示しを申し上げました。この数字につきましては、お答えをすることを差し控えさせていただきたい。周辺につきましても同様でございます。

池田委員 ムサンナ県でも結構ですし、サマワ周辺でも結構です。自衛隊が派遣される現地の事件の発生状況すら、まさか公表できないというわけではないでしょうね。

石破国務大臣 個々の事象といたしまして、例えば先般の、一月二十四日でございますが、イラク人の警察官が、乗車中の車両の後方から銃撃を受け車両内で死亡した、報道ベースで明らかになっておりますこと、逆に申し上げれば、それが明らかにしてよいことと思いますが、それで傾向というものはつかめます。

 しかし、どれだけの数なのか明らかにせよというような仰せであるとするならば、それにお答えをすることは難しいということを先ほど来申し上げておるとおりでございます。

池田委員 防衛庁のこのペーパー、「陸自派遣に伴う最新の現地治安情勢等について」、冒頭部分に「ムサンナー県における事件は著しく少ない。この傾向は現在も継続。」と明記してあります。こう書いた以上は、当然、別に秘密事項でも何でもないと思うので、事件の数を教えてください。

石破国務大臣 この地域の治安を担当しておりますのはオランダ軍でございます。そこの地域の、今先生が御要求の数字等々は、それはオランダが掌握をしておるものであり、私どもとしては、明らかにするということについて、いろいろな事情があってできないということでございます。

 ただ、サマワ市においてどうなのだということでございますから……(発言する者あり)

斉藤委員長 御静粛に願います。

石破国務大臣 サマワ市においてそのような事象というものは極めて少ない、そうでなければ七五、二五、一〇〇から七五、二五を引けばゼロになってしまうわけでございます。それがそのような数字であるということでございます。

池田委員 自衛隊が派遣される現地での事件の発生状況を聞いているわけですよ。それを公表しないというか、言えない理由は何ですか。端的にお答えいただきたい。

川口国務大臣 発生状況については、これは関係国と情報の交換を通じて把握に努めているわけでございます。

 それで、そういった傾向については、先ほど防衛庁長官がおっしゃったとおりでございますけれども、具体的な事件の発生件数については、これは相手国との関係がありまして、お答えを差し控えさせていただきたいということです。

池田委員 全く何も答えない。

 相手国との関係というのはどういうことですか。端的に言ってくださいよ。

川口国務大臣 端的に申し上げれば、インテリジェンスの情報であるということです。

池田委員 インテリジェンスの情報ですか。皆さんね、この襲撃事件とかいろいろ事件の発生状況、非常に難しい事件で犯人が未検挙の場合に、事件の発生状況を協定によって秘匿することはある。しかし、この社会で、オープンな社会でそんなことはありません。全く理由としては説得力のあるものとは言えません。

 時間がありませんので申し上げますけれども、まず、赤嶺委員に対する答弁で、ムサンナ県というものは本当に事件が少ない、七五、二五ということを考えますと、ほとんどゼロに近いわけでございますというふうに言っているわけですね。ほとんどゼロってどうなんですか。どういう数字ですか。

石破国務大臣 パーセンテージで、一〇〇%から七五%を引き二五%を引けばゼロになるということを申し上げました。ただ、それは主にマイサン県ということも申し上げておるはずでございます。

池田委員 いわゆるムサンナ県でほとんどゼロに近いわけでございますとこれは言っているわけですよ、午前中ですか、先ほど言っているわけですね。ゼロに近いというのはどういう数字ですか。そこまで言うんなら数字を言ってくださいよ。

石破国務大臣 なぜ数字を出せないかは、今外務大臣がお答えになったとおりです。そういう……(発言する者あり)いや、先生が御理解なさらないということと、出せないということは別の問題でございます。

池田委員 このような、この程度のことについても隠すという理由は全くわからない。隠ぺい体質である上に、何か意図があるんじゃないかという感じすらいたします。

 ちょっと委員長から、審議は、ぜひ数字を出すように言ってくださいよ。

石破国務大臣 情報というものは、ある国から提供を受けるものです。それを仮に出してしまった場合には、以後の情報提供は受けられなくなります。それでもよいということであれば、それはそういう判断もございましょう。情報というものはそういうものです。外国と情報交換をするというものは、それぞれの信頼関係によって成り立っているものであり、それを毀損した場合には、修復することは極めて難しいということです。

池田委員 これは、皆さんわかりますか。審議促進する意味から、数字をまず出して、それから議論しようと思っているのに、それすら出せないということでは、本当にこれは審議ができません。

斉藤委員長 後刻、理事会で協議します。

池田委員 きのう明らかにされた「最新のイラク情勢と陸自派遣の調整状況等について」という文書は、皆さん御存じのとおりです。途中経過の文書だという説もありますが、ここでは、ムサンナ県では、昨年五月一日からことし一月二十日までの間の連合軍、通過中の米軍等車列、パトロール中のオランダ軍に対する襲撃等の発生件数は六件であり、最も新しいものは十二月六日のハンガリー車列に対する銃撃であるというふうに明記をしてあります。これはどういうことですか。

石破国務大臣 御指摘の件につきましては、昨日赤嶺議員から御提示があったものでございます。この資料については、私どもとしては確認をいたしかねる。その理由につきましても、午前中答弁を申し上げたとおりでございます。

 それでは、ハンガリー車列に対する銃撃であるという記述があるがということでございますが、この紙と別個に、この紙に対する評価は今申し上げたとおり、赤嶺議員が提示をされましたものにつきましての私どもの考え方は申し上げたとおりでございますが、それはそれといたしまして、報道等によりまして、昨年十二月六日、サマワ―ヒッラの間でハンガリー軍の車列が銃撃を受けた、死傷者は生じていないと承知しているわけでございます。

池田委員 個別の事件については聞いておりません。六件あるわけですね、六件。

 それで、さらに、先ほど我が党で調べた結果のことを原口委員の質問で出ておりましたが、例えば、十二月二十二日、数十名の武装グループが、サマワ及びホダル・シティーに続く道路で米軍を襲撃と。ほかにもいろいろな騒擾事件はいっぱいあります。

 ここで政府が、途中経過とはいえ、この文書で六件ということを明記しております。この文書は、なお、余人をもってはつくれないような、極めて具体的、しかも後でつくったペーパーと同一文章がいっぱいある。これは、ですから途中につくった文書であることは明らかだと思います。

 その文書の問題よりも、自衛隊のまさに安危にかかわる事件発生状況についてしっかりと答弁して、六件ですよというのならおっしゃってください。

石破国務大臣 文書につきましての性格は、私どもとして確認のしようがないと申し上げておるのは、先ほど来と同じでございます。

池田委員 この公表した文書、「ムサンナー県における事件は著しく少ない。」また「サマーワ周辺では、連合軍に対する大きな事件は発生していない。」こう書く以上は、事件の犯人がどうだとか、そんなことを聞いているわけじゃないんです、全体の数を明らかにしなさいということであなたに聞いているわけですから。あなた、我々に責任ありますよ。要するに、自衛隊派遣するわけでしょう、その安危にかかわるわけですよ。だれが犯人だとか、だれがテロリストだとか、そんなことを聞いているわけじゃない。発生状況を聞いているわけですから、正確に答えなさい。

石破国務大臣 数字がなぜ答えられないかというのは、先ほど来繰り返して申し上げているとおりでございます。

 これは、委員も外交関係の仕事をなさったこと、何度もおありだと思いますけれども、治安についての情報、治安についてだけではございませんが、一回、件数もそれは大事なデータでございますよね、何件起こったかというのは。(池田委員「何が大事だ」と呼ぶ)大事だからこそ、委員は出せというふうにおっしゃっておられるのだろうと思いますが、それを私どもが提供した国からの許しも得ずに出してしまえば、今後情報の提供が受けられなくなる、それは何度も起こってきたことでございます。したがいまして、数字は公表はいたしません。

 しかしながら、数字というものは極めて少ないということは、これは私ども、責任を持って申し上げておるところでございます。

池田委員 質問続行は同僚の了解もとってあります。

 ムサンナ県でほとんどゼロだ、こう言っているわけですね。しかし、ここに出ている、文書に出ている発生件数は、一月二十日まで六件あった。六件あったのを、これを過小評価というか、それをゼロに近いということは言えないと思うんですが、それは情報操作があったのではないか。ですから、隠ぺいせざるを得ない。私は、これでは本当に、数が出るまで質問をできませんよ。

斉藤委員長 石破長官、答弁いただけますか。

石破国務大臣 先ほど来答弁を申し上げているとおりでございますけれども、数字にいたしますと極めて少ない。そしてまた、六件というものにつきましては、それは確認をいたしておりません。それは、六件というものを、委員が私どもが確認できない文書をもとにして六件というふうにおっしゃっておりますので、確認ができないということでございます。

池田委員 全く今の答弁では納得できません。

 もう、この自衛隊を派遣するサマワ周辺でどんな治安状況か、そこが核心なんですよ。それについて、事件の発生状況も全く明らかにできない、しかも、実際は、多分政府の調べで六件あったのに、極めてゼロに近いとか、こういう考えをとっている。これ自身もおかしいし、これ以上質問はできません。

斉藤委員長 どうぞ質問をお続けください。どうぞ質問をお続けください。(発言する者あり)どうぞ質問を続けてください。

 答弁、どの大臣にお願いできますか。石破長官、もう一度御答弁を願います。

石破国務大臣 これは、この数字はインテリジェンス情報として私ども知り得たといたしましても、それは公にできないということは、先ほど来申し上げているとおりです。

 それでは、安全についてどうかということでございますが、ですから、南東部で、バスラ県で七五%、そして二五%という数字を申し上げた。(発言する者あり)関係ないんだというふうにおっしゃいますが、なぜパーセンテージが関係ないというふうに断言をなさるのか。それは、七五%、二五%ということで、本当に極めて少ないということ、私どもは、それを認識して治安の状況を判断している一助としておるということでございます。(発言する者あり)

池田委員 事件の発生件数がインテリジェンス情報というのはびっくりしました。

 皆さん、今自衛隊を派遣して、そこでどんな治安状況があるかということを調べて、それでいろいろ調査をする、それで事件の発生件数はこうですよと。石破長官自身でも、ほぼゼロに近いとか、そう言っているわけでしょう。しかも、この文書には、著しく少ないとか、傾向が出ていると。何で数が言えないんですか。何がインテリジェンスなんですか。とんでもないですよ。

 数が出るまで私は質問を続けられません。やりませんよ。

石破国務大臣 何度も同じことを申し上げて恐縮ですが、それは出せない。出してしまえば、これから先、そういう情報が得られなくなる。私たちは、それはそういうものなのです。隠ぺいするとかそういうことではなくて、それは委員も、先ほども申し上げましたが、外務委員会にも長く所属をされました。そういうものはどういうことなのか。犯罪の件数というものについて、提供する側が、これはインテリジェンス情報であり提供しないでもらいたいと言った場合に、これは提供できないのは、二国間のインテリジェンス情報の交換において、これは二国間の関係、当然のことでございます。

池田委員 これは当然出していただかないといけない数字です。しかも、すぐ出せます。もうデータがあるわけですからね。それで、なおかつ六件があったという確証が大変強いわけですね、これは政府が書いているわけですからね。それを六件をほぼゼロというのは、これはどうですかね。こういう情報操作をやってはいけない。それも含めて、件数を明確に出していただきたい。これが最後です。

石破国務大臣 相手国も出していないものは出せません。相手も出していないものがなぜ出せるのでしょう。

 それは、数字というのは、インテリジェンス情報は、なぜ犯罪の件数がインテリジェンスなのか、それは委員おわかりのことだと思います。向こうも出せないものはこちらも出せない。向こうも明らかにしていないものは明らかにできない。当たり前のことでございます。国と国との信義というのはそういうものです。(発言する者あり)

斉藤委員長 本件につきましては、後刻理事会で協議いたします。

池田委員 理事会で協議をしていただきたいと思いますが、こんな数字すら出せない。やはりこの今の防衛庁の一連の調査そのものの信頼性というのは、我々大きな疑問符をつけざるを得ないということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

斉藤委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。時間が限られていますので、端的に答弁をお願いします。

 総理、この間本会議で同僚の原口議員が質問されたことでありますが、総理、考え方が変わられましたですよね、宮澤内閣のとき郵政大臣をされていたときと。――変わられていない。変わっていない。ああ、そうですか。じゃ、読みましょう。

 そのときの郵政大臣であった小泉純一郎大臣は、PKOでは血を流してまで貢献しろとはなっていない、こういう発言をされている。それから、イラクがクウェートを侵略した後、湾岸戦争で米英仏などの各国は血を流して戦ったが、日本は憲法の関係から参加しなかった、日本が血を流して戦うのは、自国民の平和と自由が侵されたときだけであり、残念ながらよその国のためにそこまでの国際貢献はできないと世界に表明したんだと、これもおっしゃっています。認められますね。ちょっと待って、まだあるんです。

 それで、かわりに一兆三千億円もの資金を出したけれども、憲法前文にあるように、国際社会で名誉ある地位を占めたいならお金を出すだけでは済まないという反省も出てきた、それで、血を流さないまでも、せめて汗を流そうということでできたのがPKO法だ、憲法九条や前文に照らしてぎりぎりの考えだった、血を流しても国際貢献をという議論は否定されている、日本は自己中心と思われても仕方ない、それを選択したんだからと。

 つまりは、我々の今の考え方とこの小泉郵政大臣のときの考え方は同じなんですよ。つまりは、憲法はそこまで認めていないと。それでもなぜ変わっていないということを抗弁できるんですか。

小泉内閣総理大臣 全然変わっていませんよ。それは全くの誤解です。

 私は郵政大臣のときに、PKO活動、これは日本は血を流してまで国際貢献をするという状況になっていない、せめて血を流さないまでも汗は流さなきゃいかぬ、お金だけでもまずいでしょうということで、PKOという平和維持活動を国民の皆さんに理解と協力を求めたわけであります。

 そのとき、郵政大臣のときに、カンボジアでのPKO活動中に警察官が不慮の死に遭遇いたしました。そのときに国内で、PKO活動だからそういうことは当然じゃないかという議論が出てきたんです。だから、私は、とんでもない、当然じゃない、国会の議論をよく見なさいと。汗を流して国際貢献活動をしよう、そういう議論だったはずだ、血を流してまで国際社会に貢献しようという議論はなかったはずだと。だから、血を流すのは当然だという議論は全然国会の議論をわかっていないということを言ったんです。私、今でもその考えに変わりありません。

 今回も、自衛隊は血を流すために行くんじゃないんです。汗を流してイラクの復興支援活動に赴くんです。そこら辺を全く誤解している。

前原委員 いや、そう抗弁をする総理も総理ですけれども、拍手をする自民党議員もどうかしているんじゃないかと僕は思いますね。

 つまりは、これはちょっとよく聞きなさい、皆さん。つまりは、PKO法のときは参加五原則というのがあったんです。参加五原則というのは、ちゃんと国ができている、受け入れ同意がある、そして停戦合意もある、そういったもろもろの五原則があってPKOというものをつくった。

 しかし、どうですか、アフガンの、あの九・一一テロの後。つまりは、自衛権の発動をアメリカが行ってアフガニスタンを攻撃したんだ。PKOは自衛権の発動に協力するなんということは全然書いてない。だから特措法をつくったんじゃないですか。だから、一歩も二歩も踏み出しているんですよ。でも、そのアフガニスタンのときは、一応、洋上で油の補給ということで、武力行使の一体化にはならないということをやったんだ。しかし、今度は、次のこのイラクの問題については、初めて戦闘地域に行くんですよ。この間……(発言する者あり)違うことないよ、何言っているんだ。

 この間、小泉総理は私の閉会中審査の質問に答えて、イラクには戦闘地域があると明言されたんだ。そこに行かれるんだ。(発言する者あり)そのことは個別に話、後でします。

 いいですか、皆さん、つまりは全然違う状況に来ているんです、フェーズが。つまりは、今回は危ない地域にも行かせるんですよ、その地域にも。PKOのときと全然違う。二段階進んだんですよ。そして、これは同僚の長島議員、松本議員が質問されたけれども、人道復興支援活動だけじゃない、安全確保支援活動というのもやるんです。これについては、米軍が掃討作戦をやって、それの後方支援までやっていいということになっているんだ。ということは、これについては極めて危険な行為もあり得るじゃないですか。

 つまりは、それは私も血を流してほしくない、犠牲者は出してもらいたくない、だけれども、全然違う、PKOとは違う状況になっていながら、これは、憲法解釈を大きくゆがめて、伸ばしてきたためにようやくできた特措法じゃないですか。

 私は、法制局のその担当に当たられた方に話を聞きましたよ。PKOのときにこんな法案審議はできなかったと。つまりは、PKOを議論したときの法制局見解からかなり踏み込んだことをやっているんだと。ということは、血を流す決意もしたということがあらわれているんじゃないですか。それを、PKOのときと全く同じだと抗弁されるのは、それは総理として自覚が足りないんじゃないですか。もう一度答弁してください。

小泉内閣総理大臣 それは認識が違います。今までの議論の積み重ねで、日本はどこまで憲法の範囲内で国際貢献活動ができるかという中で考えてきたわけでありまして、かつては自衛隊も憲法違反だという議論があった。今は、まあ、ごく一部の政党か議員を除いて、自衛隊は憲法違反という考えは持たなくなったでしょう。PKO活動、このときも、自衛隊を海外派遣することは、PKO活動であっても憲法違反であるという反対論がたくさん出てまいりました。しかし、今や、そういう意見を言っている方も、PKO活動は憲法違反でないということに変わってまいりました。

 そういう議論の積み重ねがあるし、今回はイラクの復興支援に自衛隊を派遣するというのが議論になって、自衛隊は戦闘行為には参加しない、武力行使はしない、戦争に行くのではない、イラクの復興支援活動、人道支援活動に行くんだと。そういう中で、必ずしも一〇〇%安全とは言えない、危険を伴うかもしれないけれども、危険を回避する能力を自衛隊は持っているから、そういうために対しては安全確保に万全の配慮をいたしましょうと。そして、戦闘行為に参加するのではない、どれだけ人的貢献ができるかということで、自衛隊の諸君に、一般国民にはできない汗を流して、イラクの復興支援のお手伝いをしていただこうというための法案が通って……(前原委員「委員長、委員長、答弁短くしてと言ってください」と呼ぶ)

斉藤委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。

小泉内閣総理大臣 そして、今御審議をいただいているんです。

前原委員 これは、後世の批判に耐えられるような答弁じゃ全くないですよ。そんなことないよと言う議員は議員をやっている資格ないし、私は総理の資格もないと思う。

 つまりは、PKOのときと全然違う局面に入ってきたんだ。そういう法制局解釈を拡大してきたんですよ。それは実務に当たっている人らが一番よく知っている話だ。そういう人たちやいる人たちが一番よくわかっている話なんだ。

 違う観点から質問します。

 総理、じゃ、血を流しに行くんじゃないんだということを言われましたね。しかし、危険な任務もある、そして無事で帰ってもらいたい、これは同じ認識ですよね。しかし、この委員会でいろいろな情報が錯綜した、あるいは前代未聞の、本会議で自分が発言されたことまで訂正までされた。つまりは、情報がしっかりとれていない。情報不足。そして、今回の大量破壊兵器の問題もそうだけれども、一元的にしか情報をとっていないから、結局は、その情報が覆ったら何やっているんだというふうに言われる。つまりは、日本の情報収集の能力というのは私は極めて弱い。その前提に立って行かせるわけですよ。

 一つ簡単にお答えください。今回行かせる、いろいろな情報の誤認とか不足というものがあった、あるいは間違いもあった、だけれども、先ほど同僚の議員に対して、総合的な判断で行かせるとおっしゃった。総合的というのは、今の情報で、部隊を行かせるのに十分なそういう情報を得て、そして安全には万全を尽くしたと言い切って自衛隊を送れるのかどうか、その点について答弁してください、簡単に。

小泉内閣総理大臣 情報収集にこれからも努めますが、治安の状況に問題ないから私は自衛隊を派遣する。

 そして今、私の本会議での発言の撤回の問題については、サマワの市の評議会の問題です。あの答弁にありますように、サマワ市評議会の問題が現時点でサマワの治安状況に直接結びつくものではないという認識だから、今後サマワの市評議会の状況がどうなるか注視していきますよ。しかし、サマワ市の評議会が、現時点で、どういう手続で評議員が選出されるか、そういう問題とあの現地の治安状況と直接結びつくものではないし、この状況がさらに治安状況を悪化させるという状況でない認識を持っているんです。そういうことを述べたんです。

 だから、この問題については、私は、今後も注視していくけれども、現時点で認識を変える必要はない。

前原委員 認識を変える必要はないということは、情報分析で万全な対策を政府としてとる、これからもとる、情報分析等々含めて。だけれども、とにかく安心して行ってこい、とにかく職務を遂行しろというふうに責任を持って送り出せるのかということを聞いているわけです。

小泉内閣総理大臣 これは、責任を持って送り出すんです。しかし、一〇〇%安全と言える状況にはない、危険を伴うかもしれない、一般の国民にはでき得ない任務についていただく、(発言する者あり)血を流さないように最善の努力をしていかなきゃならない、そう思っております。

前原委員 拍手をするところじゃない、何も。

 PKOでは、血を流してまでは貢献しろとは言っていないということを前おっしゃって、先ほど、その内容は変わっていない、自分自身の考え方は変わっていない、こういうことをおっしゃっている。今おっしゃっていることと矛盾しているじゃないですか。

 つまりは、どんどんどんどん危険な任務に行かせることになっているんですよ。栄誉礼というのはどういう意味かわかりますか。つまりは、最高指揮官に対して、指示に従います、そしてその命令にはまさに命をかけてもやってくるということで栄誉礼をやるんですよ。それを指示するのが総理なんですよ。

 つまりは、ここだけは答えてもらいたいのは、そういう状況で行ったときに、万が一のことがないことを私も望んでいる、しかし、こういう情報が錯綜して不十分だと我々が言っている中で、それでも送り出したときに、何かがあったときにどういう責任をとるのかということをしっかり、もし栄誉礼を受けて送り出す立場であったら、しっかりとここで答弁することが自衛隊に安心を与えることじゃないですか。

小泉内閣総理大臣 自衛隊の諸君が、一〇〇%安全とは言えない、危険を伴うかもしれない困難な任務に赴く、そしてイラクの復興支援のために、人道支援のために立派に任務を果たしてくれる、このことを私は心から期待しておりますし、そういう自衛隊諸君、使命感を持って、そして自信を持って、みずから志願して自衛隊に入隊して、日本国民を代表して赴いてくれる自衛隊諸君に心から敬意と感謝の念を持っております。

 皆さんとともに、自衛隊の諸君が立派に任務を果たし、無事帰国されることをお祈りしたいと思います。

前原委員 何かがあったときのそういう送り出した者の責任とはどう考えて、それをどう考えて送り出すのかと聞いているんですよ。答えていない。

小泉内閣総理大臣 立派な任務をこなすように、安全面につきましても十分配慮して、そして自衛隊の諸君が現地で任務が活動できるように、できるだけの措置を講じていきたいと思っております。それが私の責任であり、今後とも、日本国民を代表して赴く自衛隊諸君の活動に対しては、その能力が発揮されるように最善の努力を尽くしたいと思います。

前原委員 我々は、情報が不足している中で本当に行かせて大丈夫かと言っている。そして、万全を期すのは当たり前のこと。それが責任を果たすのは、一方の責任としては当たり前。何かがあったときには、しかし、それが情報収集とかが不十分だった、安全確保対策が不十分だった、そのときどういう責任をとるのかと聞いているが、それに答えていないんです。答えてください。

小泉内閣総理大臣 それは、前から何回も答弁しておりますように、自衛隊の諸君が復興支援活動、人道支援活動に十分活動できるような対策、措置を講ずるのが私の責任であると思っております。(前原委員「質問に答えていない。何かがあったらどういう責任をとるのかということを聞いているんです。答えていない。何かがあったらどういうふうに、事前のことしか言っていないじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)

斉藤委員長 前原君、もう一度前原君、御質問いただきます。

前原委員 総理、怒りますよ。質問をしなさいよって、あなた、質問をしたことに答えていないから再質問を求めているんじゃないか。いいかげんにしろ。

小泉内閣総理大臣 質問していることに何回も答弁しているんです。前原さんが私の答弁気に食わないというのはわかりますよ。しかし、どのような責任をとるかと言うから、自衛隊の諸君が立派に任務を果たすことができるように万全の措置をとるのが私の責任であります。

前原委員 いや、答えていないんだよ。だから、我々は……(発言する者あり)答えていないよ。

 情報が錯綜している。我々は、不十分だ、こんな状況で本当に送っていいのか。送ることがありきで、そして、初めに先遣隊の報告を待つ前にいろいろと文もつくっていたんじゃないですか。そういう状況で送って、万全を期すのは当たり前だけれども、何かがあったときにどう責任をとるのかということに答えていないじゃないですか。

小泉内閣総理大臣 これは水かけ論になっちゃいますよ。それは、サマワの治安状況が全く安全で、危険も伴わない、情報がすべてあっても自衛隊をイラクに派遣するのは反対なんでしょう、前原さん。そういう民主党の考えからすれば、こういう答弁は不満なのはわかります。

 しかし、自衛隊の諸君が立派に任務を果たすように万全の措置を講ずるのは私の責任だ。これは、前原さんがそれは責任じゃないと言えば、これは仕方がない。政党も違うし、どんな状況でもイラクに自衛隊を派遣しちゃいかぬという民主党の立場から見れば不満なのはわかりますけれども、それは違うでしょう。(発言する者あり)

斉藤委員長 前原君の質疑時間は終了いたしました。

前原委員 ちょっと、違うよ。答弁になっていないからだめだと言っているんじゃないか。

 総理、サマワだけじゃないんですよ。バグダッドにも行かせるんですよ。CPAにも行かせるんですよ。(発言する者あり)

斉藤委員長 前原君の質問時間は終了いたしました。

前原委員 それは、見解の相違じゃないんだよ。(発言する者あり)

斉藤委員長 再度申し上げます。前原君の質疑時間は終了いたしました。(前原委員「あなた、公平な裁きしてないよ」と呼び、その他発言する者あり)

 次に、小野寺五典君。(前原委員「内容について不満だということで質問の中で答えているんじゃないですか。おかしい、おかしいよ。委員長、時間内に質問したことをしっかり答えていないから、答えろと言っているんじゃないですか」と呼び、その他発言する者あり)もう答弁しました。(発言する者あり)

 じゃ、ちょっとお戻りください。お戻りください。(発言する者あり)もう総理は答弁をしましたから。答弁をしましたから。(発言する者あり)もう時間終了いたしました。もう質疑時間は終了しました。(発言する者あり)

 前原委員の質疑時間は終了いたしておりますので、質問席をおあけください。(発言する者あり)

 前原君。

前原委員 私の質問は、とにかく、自衛隊員が本当に誇りとそして自尊心を持って行かれる、そしてその安全を期すというのは当たり前のこと。しかし、我々の認識というのは、先ほど申し上げたように、情報も錯綜している、不十分、そして先遣隊の報告を受ける前にもう文案ができている、そんな状況で、派遣ありきで行かせて、そして本当に精神論だけで十分だということが言えるのかどうかということを言っているわけです。

 そして、そのことについて、僕らとは認識が違うわけですよ。それは、派遣すべきかどうかとかいう問題ではない。つまりは、そういう不十分な状況で行かせたときに、もしものことがあったらどういう責任をとるのかということについては、逃げて答弁していないんですよ。だから、そのことについて私は聞いているんですよ。

小泉内閣総理大臣 もう何回も答弁しています。

 イラクに自衛隊を派遣することに反対という民主党の立場と我々の立場と認識が違います。しかし、そういう認識の違いは違いとして、自衛隊の諸君がイラクの復興支援、人道支援のために立派に任務を果たすように万全の措置をとるのが私の責任だと言っているんです。

 どのように責任をとるかということに対して、そのような安全対策等について、自衛隊の諸君がみずからの能力を発揮できるように、イラク人の復興支援に協力できるように立派に活動していただくような、そういう対策をとる、これが私の責任であります。そして、その現地の治安状況に対しての情報収集、今後とも正確な情報収集に全力を挙げていきたいと思います。

前原委員 総理――委員長に要望します、お願いしますけれども、万全じゃないと思っているから、どうするんだと言っているんです。立場が違うからどうのこうのなんて、そんなちんけな話をしているんじゃないんだ。十分な情報収集と安全対策がとれていたら、こういう質問を聞かないですよ。十分じゃないと思っているから、もしものことがあったらどうするんだということを聞いているんです。

 私はこの答弁には納得しませんので、ぜひそういった政府の見解、総理の決意を示してもらうように理事会で協議をして、ぜひこの委員会に出させてください。委員長、約束してください。

斉藤委員長 後刻、理事会で協議いたします。

 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 きょうは、本日最後の質問となりますが、こうして多くの方々がここにいらっしゃるということ、改めて、この問題の重要さ、深く痛感しております。

 日本は、戦争の不幸な歴史を持っています。国民の中には、イラクに自衛隊を派遣することについて慎重な考えを持っている方も少なくありません。しかし、あえて派遣し人道復興支援をする背景には、日本の国際的な立場の変化があります。今回の自衛隊の派遣につきまして、国際世論が冷静なのもそのあらわれかと思います。また、今困っているイラクの人々がいる、そしてまた、メディアで伝えられておりますが、自衛隊の先遣隊の活動は、地元にとって大変な期待を持ってもらっている、それも事実かと思います。

 そこで、総理に質問します。

 今まで数多くの御質問に答えられてきたと思いますが、ここであえて、イラクの人道復興支援に当たって、イラクの復興と民生の安定につながるものであると同時に、究極には我が国の国益に沿うものであるということが、そしてまた、このイラクの人道復興支援が、今、地元サマワで一番多くの課題となっています失業問題に対して多くの答えを得るものであること、そのことについてお話をいただければありがたいと思います。

小泉内閣総理大臣 私は、先ほどもお答えいたしましたように、イラクの復興支援のためにできるだけ多くの国が協力するということに対して、イラクに自衛隊を派遣することに反対の方々たちも、このことに対して余り異論はないと思うんです。イラクの復興支援を失敗させちゃいけない、これ、もしイラク復興支援が失敗したら、テロリストの温床になっちゃう。そういうことによって世界の中でどういう影響が出るかということを考えると、日本も応分の協力をして、イラクの復興支援に手を差し伸べなきゃいけないと思っております。

 そういう中で、資金の協力もしましょう、物の支援もいたしましょう、同時に、人的な貢献もいたしましょう、そしてイラクの復興支援のために何ができるかということを総合的に考え、今、人的貢献をする場合には自衛隊の諸君に汗を流してもらおうということで、自衛隊の派遣を決定したわけでございます。

 もとより、自衛隊の支援は、イラク国民自身がみずからの力でイラクの復興、再建に立ち向かおうという、その意欲を助けるためのものであります。イラク人が希望を持って、自分の国を自分たちの手で、イラク国民の力で立ち上げようということを支援するのが日本の立場であります。そういうことを考えながら、イラク国民との良好な関係を今後も維持発展させ、そして、自衛隊が赴く地域においては、住民から歓迎され評価されるような、そういう活動をしていくというのが日本としても必要じゃないか。

 そして、このイラクがテロリストの温床にならずに、国際社会の協力によって安定した民主的な政権ができることによって、一番恩恵を受けるのはイラク国民であり周辺諸国だと思いますが、同時に、全世界が、イラクが安定した民主的政権として発展することによって、全世界も恩恵を受ける。そして、日本もイラクの復興に協力してくれたな、日本人も汗を流してくれた、資金的な援助もしてくれた、日本国というのはよくあの苦しいときにイラクの国を助けてくれたということによって、日本国民も、私は国際社会の中で評価を受けるであろうと。その活動を、日本国民の代表として自衛隊の諸君が今やってくれようとしている。こういう自衛隊諸君に対して、敬意の念を持って国民が送り出していただければなと思っております。

小野寺委員 本当に今イラクの人たち、日本の支援を心から待っています。そしてまた、今、自衛隊の諸君、一生懸命そのために働いています。この問題、長い時間をかけて審議してまいりました。日本が戦後大きな転換を迎える重大な課題です。私もその委員の一人として、重責を感じながら議論に参加してまいりました。

 もとより、この問題は後世に大きな道筋をつくるものであり、さらにまた、この時点においても、イラクに派遣された自衛官や外交官が日々汗して、イラクの復興のために危険を顧みず努力しておられます。お二人の外交官の貴重な命も失われました。今後も犠牲が出ないとは言い切れません。本当に日本にとっては大きな転換となるものです。(発言する者あり)御支援ありがとうございます。

 また、審議の過程では、日本の国際貢献や憲法改正の問題など、日本の中長期的な課題もクローズアップされていました。このイラク人道復興支援活動に関する議論を通じ、私たち日本人、そして政治に携わる者が真剣に見詰め直さなければならないものがクローズアップされてきたと思います。

 私たち委員に付託されたこの復興支援に関する承認は、日本の歴史に残るものです。その重みを心に刻みながら、自分なりの判断をしてまいりたいと思っております。

 派遣された自衛官や外交官が、お一人もけが一つすることなく、人道援助、復興支援活動を全うし、無事御帰国されること、そして、イラクの人々に一日も早く平和が訪れることを心から願ってやみません。

斉藤委員長 三原朝彦君。

三原委員 動議を提出します。(発言する者、離席する者多し)

 質疑を終了し、討論を省略し、採決を望みます。

斉藤委員長 三原朝彦君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

斉藤委員長 起立多数。よって、動議のとおり決しました。(発言する者あり)

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

斉藤委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。(発言する者あり)

 本件の委員会報告書の作成は、委員長に一任願うことを、賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

斉藤委員長 起立多数。よって、そのように決しました。(発言する者あり)

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

斉藤委員長 これにて散会いたします。

    午後五時五十五分散会


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