衆議院

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第6号 平成16年2月18日(水曜日)

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平成十六年二月十八日(水曜日)

    午後六時一分開議

 出席委員

   委員長 斉藤斗志二君

   理事 小野寺五典君 理事 中谷  元君

   理事 西田  猛君 理事 三原 朝彦君

   理事 末松 義規君 理事 中川 正春君

   理事 藤田 幸久君 理事 河合 正智君

      今津  寛君    金子 恭之君

      木村  勉君    岸田 文雄君

      倉田 雅年君    近藤 基彦君

      桜井 郁三君    塩崎 恭久君

      田中 英夫君    竹下  亘君

      橘 康太郎君    谷本 龍哉君

      玉沢徳一郎君    中山 泰秀君

      西川 京子君    萩生田光一君

      山下 貴史君    池田 元久君

      生方 幸夫君    岡島 一正君

      木下  厚君    首藤 信彦君

      田嶋  要君    達増 拓也君

      長島 昭久君    原口 一博君

      伴野  豊君    前原 誠司君

      松本 剛明君    山田 正彦君

      横路 孝弘君    赤松 正雄君

      丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   防衛庁副長官       浜田 靖一君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   外務大臣政務官      田中 和徳君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    瀬川 勝久君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  小林 誠一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   北島 信一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            堂道 秀明君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        高木 孝雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十八日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     中山 泰秀君

  望月 義夫君     田中 英夫君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 英夫君     望月 義夫君

  中山 泰秀君     江藤  拓君

    ―――――――――――――

二月十三日

 自衛隊のイラク派兵反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二六七号)

 同(石井郁子君紹介)(第二六八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二六九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二七〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二七一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二七二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三二〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三二一号)

 同(山口富男君紹介)(第三二二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四三二号)

 同(石井郁子君紹介)(第四三三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四三四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四三五号)

 同(志位和夫君紹介)(第四三六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四三七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四三八号)

 同(山口富男君紹介)(第四三九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四四〇号)

 イラク特措法廃止に関する請願(中塚一宏君紹介)(第二八九号)

 イラクへの自衛隊派兵の中止とイラク特措法廃止に関する請願(金田誠一君紹介)(第二九〇号)

 同(今野東君紹介)(第三二三号)

 イラクへの自衛隊派兵反対、イラク特措法廃止等に関する請願(肥田美代子君紹介)(第二九一号)

 同(大出彰君紹介)(第三二四号)

 同(佐々木秀典君紹介)(第三二五号)

 同(佐々木秀典君紹介)(第三三三号)

 同(山本喜代宏君紹介)(第三三四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件


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     ――――◇―――――

斉藤委員長 これより会議を開きます。

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁警備局長瀬川勝久君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛庁運用局長西川徹矢君、防衛庁人事教育局長小林誠一君、外務省大臣官房長北島信一君及び外務省中東アフリカ局長堂道秀明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

斉藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

斉藤委員長 この際、政府から説明を聴取いたします。防衛庁運用局長西川徹矢君。

西川政府参考人 イラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊の部隊の活動状況について御報告いたします。

 この約一週間におきます派遣部隊の活動状況等は、以下のとおりでございます。

 まず、陸上自衛隊の部隊については、現地の治安状況等に関する情報の収集や人道復興支援活動実施のための諸調整を引き続き実施しているところです。

 自衛隊の活動のニーズについては、引き続き、医療関連については、県保健局やサマワ総合病院等との調整により、給水関連については、県水道局等との調整により、施設改修関連では、県教育局や道路橋梁局等との調整により、それぞれ確認するとともに、CPA等との間でも各種調整を行っています。

 宿営地につきましては、予定地の使用経費に係る調整を引き続き実施しつつ、設営工事を鋭意実施しています。

 なお、二月十日及び十二日に宿営予定地付近で不発弾等が複数発見され、オランダ軍がこれを処理いたしました。また、二月十二日にはサマワ市中心部に対しロケット弾が発射されるという事案が発生し、現在、鋭意情報収集に努めているところであります。しかしながら、これらの事案が直ちに今後の隊員の安全確保に重大な影響を与えるものであるとは考えていません。

 次に、航空自衛隊の部隊については、現地の治安状況等に関する情報収集や人道復興支援活動実施のための諸調整を引き続き実施しているところです。また、クウェート及びイラク上空においてC130機三機が所要の訓練等を行っています。

 今後、しかるべき時期にC130機により、クウェート国内の飛行場施設を拠点とし、イラク国内の飛行場施設等との間で、人道復興支援物資を中心に輸送を行うことを予定しています。

 なお、バグダッド飛行場周辺等においては、二月三日及び五日に着弾があったところであり、さらなる情報収集に努めているところでございます。

 最後に、海上自衛隊の部隊につきましては、二月十四日に輸送艦「おおすみ」が呉を、二月十六日に護衛艦「むらさめ」が横須賀を出港し、それぞれ室蘭に入港しています。当該部隊は、室蘭において陸上自衛隊の派遣に際して輸送する車両等を搭載した後、本邦を出国することとなります。

 なお、お手元の方に隊員の部隊の活動の一部を示す形で写真を配付しておりますが、これはキャンプ・スミッティの中での、一枚目はいわゆるブリーフィングの、広報関係の記者からの報道対応のところでございまして、二枚目は、これは広報担当官であります当方の清田一佐とオランダ軍の広報将校との交歓の場を写したものでございます。三枚目は多国籍師団の長とのあいさつをしているところを写しております。四枚目のところでテントの内部の様子等を、ほか、その次のページは食事の風景、これはキャンプ・スミッティの中での様子を出しております。

 それからあと、当方の設営部隊が着いたときに、オランダ軍の支援を受けまして、トレーラーからいろいろ荷物をおろしているところ、あるいは宿営予定地における役務の状況、それから、サマワの市内の様子を写したのを一枚、雰囲気を入れるために出しております。それからあと、サマワの総合病院、これはいろいろニーズがあると言われております、この病院の全景、そしてその中での勉強会の様子等を御紹介しております。

 それから最後に、これは自由女性機構事務所が開所されまして、その開所式にオランダの司令官とともに当方の佐藤一佐が招かれまして、それに参加した様子を示した写真でございます。

 一応、簡単でございますが、状況を御報告いたします。

斉藤委員長 次に、外務省中東アフリカ局長堂道秀明君。

堂道政府参考人 イラクの治安情勢について御報告申し上げます。

 イラクの治安情勢につきましては、その脅威の度合いは地域により異なっておりますが、引き続き、スンニ・トライアングルを中心に連合軍、イラク警察及びソフトターゲットに対する攻撃が顕著であるとの構図が基本的には継続しております。

 最近では、例えば、二月十二日にアビザイド米中央軍司令官のファルージャ訪問中、同地のイラク市民防衛隊の本部が攻撃を受ける事件が発生する等の事件が発生しております。これに対しまして、米軍等による掃討作戦もスンニ・トライアングルを含め続けられております。十五日、バグダッドにおいてムハンマド・サードゥーン元内務大臣の拘束が発表される等、旧政府幹部の拘束も進んでおり、フセイン政権残党等の拘束は一定の成果を上げていますが、現在もテロは継続しており、今後とも治安状況は予断を許さず、その動向を注視していく必要があります。

 イラク南東部に関しましては、十二日にサマワの中心部でロケット弾による爆発がありましたが、死傷者はありませんでした。今次事件についての事実関係等はオランダ軍や現地警察が調査中と承知しています。この事件を踏まえ、外務省はスポット情報を発出し、イラク全土について退避を勧告し、また、渡航の延期を勧告しておることにつき改めて注意を喚起したところであります。昨十七日には、サマワの遊技場及びCD販売店で爆発がありました。サマワを含むムサンナ県の治安については、イラクの他の地域に比べ比較的安定していると考えていますが、現地情勢については、今後とも十分に注意を払っていきたいと考えております。

 イラクの治安改善は、政治プロセスの着実な進展とも密接に関連しています。ブラヒミ国連事務総長特別顧問を初めとする選挙調査チームは、イラクの暫定選挙のあり方を調査するためにイラクに派遣されており、その結果は近々報告される予定と承知しています。二月十二日、アナン事務総長は、調査チームのイラク人との接触から、直接選挙が完全な代表性と正統性を有するイラクの議会及び政府の設立のための最良の方法であるとのコンセンサスが生じてきている、同時に、選挙は、慎重に準備され、技術上、治安上及び政治上の諸条件の中で組織される必要があるとの広範な合意がある旨表明しています。

 いずれにしても、選挙に関する知見を有する国連の十分な関与を確保しつつ、イラク内の各派の間で幅広い合意を得ていくことが重要であり、今後とも、政治プロセスの動向を注視していく必要があります。

 この関連で、国際社会の動きについて御紹介させていただきます。

 二月十四、十五日、クウェートにおいて、クウェート、サウジアラビア、ヨルダン、バーレーン、イラン、トルコ、エジプト、シリアの八カ国がイラク周辺国外相会合を開催し、国連よりブラヒミ特別顧問等、イラクよりはジバリ暫定外務大臣が参加いたしました。会合終了時に出された声明は、次のような点に言及しています。

 イラクの統一性の重要性を再確認。イラクにおける暴力及びテロを非難。暫定統治期間中、国連が担う役割を増進する重要性を強調。イラク国民への権限移譲のタイムスケジュールについて規定している安保理決議第一五一一のパラ七を含むすべての関連安保理決議に対する支持。

 また、近々、イラクに関するフレンズ会合が国連において開催予定であり、我が国も出席予定です。イラク復興をめぐる国際協調の強化のため、同会合や、今月下旬のアナン事務総長の訪日等をとらえ、可能な限りの働きかけを行っていく考えです。

 我が国は、イラクの復興が治安の改善にも資すると考えており、この関連で最近の事例を御紹介いたしますと、今月九日には、ムサンナ県水道局に対し、給水車十二台の供与を決定しました。また、保健・医療分野における我が国政府の対イラク支援について協議するため、今月十二から十八日の日程で、JICAの招聘により、アル・サファール・イラク保健副大臣が訪日中です。また、サマワ周辺地域の各部族等の有力者にも、日本の対イラク復興支援に対する理解を深め、協力を得る観点から、サマワ周辺地域の部族代表者その他の有力者を日本に招聘することを考えており、今後、具体的対象者やタイミングを含め、検討をする方針です。

 外務省としては、現在、サマワにおいて自衛隊の円滑な活動を支援する目的で外務省員数名を派遣しており、自衛隊の活動を含め、我が国による対イラク人道復興支援策につき地元関係者等に説明していくに当たり、今後とも、自衛隊と緊密に協力していく考えです。

 我が国としては、今後とも、自衛隊の派遣と人物招聘やODAによる支援を車の両輪として連携させ、可能な限り迅速な支援に努めてまいります。

斉藤委員長 これにて説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

斉藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三原朝彦君。

三原委員 私は航空自衛隊と陸上自衛隊の結団式には、長官が出席された、私も末席を汚させていただいて結団式にも出させていただいて感銘も受けたわけでありますけれども、まさに彼ら隊員諸兄、諸兄姉ですね、女性もいましたから、は、平成の防人とでもいうものであろうか、こんな気もして感慨ひとしおだったんです。

 万葉集をひもといていましたら、

  家にして恋ひつつあらずは汝が佩ける大刀になりてもいわひてしかも

わかりますか。私もよくわからないので、調べてみたら、留守宅にお父さん、日下部使主三中の父という人が、我が子が西国の太宰府の方に守りに行くというのでつくった歌なんですけれども、留守宅にいてせがれを恋しがっているより、おまえがはいておる太刀になってでも一緒に行きたいものだ、こういう話なんであります。

 いま一つ見ていましたら、

  旅衣八重着重ねて寝のれどもなほ肌寒し妹にしあらねば

これは玉作部國忍という人、この人は防人そのものなんですが、つくった歌で、寒い夜空で幾ら重ね着したって寒さはいつまでも直らない、やはり妻がそばにいないから、こういう、妻を思っての歌なんですよね。

 こういう感じ、気持ちを持ちながら、我々、今イラクを議論していますけれども、それだけじゃない。ゴランハイツや東ティモールに我々を代表して隊員諸兄姉が行ってもらっているというので、こういう千二、三百年前の優しい大和心を持った人たちが行けば、必ずや異郷の地でも十二分な活躍をしてくれるものだ、私は、こう信じて疑わないわけであります。無事息災に戻ってきてほしい、これを祈りながら、私自身、旭川と小牧で彼らの勇姿を見送ったわけでもありました。

 ところで、残念ながら、昨夜遅くテレビのニュースを見ていましたら、防衛庁の近隣の寺院の境内から何か爆発の音がした、こういって、今朝のテレビを見ていましたら、何か発射装置みたいなものがあったそうであります。それが、今度の我々の決断、イラクに人道支援で送ったそのことと関係しているのかしていないのか、これはまだ定かではありませんけれども、この件に関して、テロということなんであろうかと大いに心配もいたしておりますけれども、ひとつ説明を関係の役所にしてもらえれば、こう思っています。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの事件は、昨日の午後十一時ごろでございますが、東京都新宿区内の墓地に設置されたいわゆる時限式発射装置から、防衛庁へ向けて飛しょう弾が発射をされたという事案でございます。

 本件は、現場の遺留品等から判断いたしましたところ、自衛隊のイラク派遣に対する反発を強めております極左暴力集団が防衛庁を標的として敢行したゲリラ事件と見ておりまして、現在、警視庁において、現場付近での聞き込み等所要の捜査を推進しているところであります。

 なお、現在までのところ、当該飛しょう弾は発見に至っておらず、また、被害の有無も不明でございます。

三原委員 まずは、被害が不明というか、不明ではなくて、なければ一番いいことでありますけれども、それを心からこいねがわずにはいられないわけでありますけれども、そういうやからがおるということも我々は無視もできないわけであります。

 テロといえば、まだまだ裁判が続いておりますように、例のオウム真理教の無差別な状況もあったりしましたが、ここで、いま一つ、テロ一般に対して、警察の方としてはどのように対処、対応、備えあれば憂いなしの気持ちでやっておられるかということを、我々に少しく安心を与えていただくために説明していただければ、こう思っております。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ありましたとおり、テロには、各種といいますかいろいろな勢力によって行われるものがあろうと思います。オウム真理教もそうでございますし、それから、先ほどの防衛庁に対する発射弾事件のような、いわゆる極左暴力集団によるテロ、ゲリラというものもございます。それからさらに、今我々として最も警戒をしなければいけないと思っておりますのは、いわゆる国際テロという問題であります。

 テロ対策の現状についてのお尋ねでございますが、平成十三年の米国における同時多発テロ事件がございました。これ以降、国際テロの脅威というのが特に高まってきたわけでありまして、私どもとしましては、入国管理局との連携によるまず水際対策で、国際テロリストを国内に入れないということを第一だと考えております。さらに、国内外における情報収集、これは海外の治安機関との連携も含むわけでありますが、テロリストを発見し検挙するという活動。それから最後に、やはり重要施設等をしっかり守るという警戒警備の強化。大きくこの三つの柱で推進をしておりまして、未然防止を図っているところでございます。

 なかんずく、生物化学テロというものが近年非常に心配な状況にございますので、こういったものに対する対処能力を強化するということも努めているところでございます。

 こういった状況で来たわけでございますけれども、特に、昨年の三月の米国によるイラクに対する武力行使ということがございました。先ほど申し上げました米国同時多発テロ事件の際に、警察庁におきましては、米国における同時多発テロ対策に伴う警察庁緊急テロ対策本部というのを設置して対処してまいったわけでございますが、これを警察庁緊急テロ対策本部ということで改編いたしました。自衛隊施設を含む我が国の重要施設や米国関連施設等、総計で約六百五十カ所になりますが、こういった施設に対する警戒警備を、それ以来、恒常的に実施してきているところでございます。

 さらに、今般、陸上自衛隊のイラク派遣等の諸情勢を踏まえまして、全国警察におきましてこれらの警戒警備をさらに強化しているという状況でございまして、国会周辺等におきましても、今週に入りましてから警視庁でも大変な警備体制の強化も図っているというのも、この一環でございます。

 このほか、新東京国際空港あるいは関西国際空港等におきまして、ハイジャック防止対策の強化はもとよりでございますが、ターミナル内における警戒として、機動隊のみならず、警備犬を利用した警備というのも実施をしておりますし、それから、新幹線への警乗等の鉄道警察隊による警戒も強化をしているということであります。それから、水際対策の強化ということで、今般、空港危機管理官というものが設置をされました。こういった関係機関との連携の強化も図っております。

 今後とも、国内外の関係機関としっかり連携をしてまいりまして、情勢の変化に的確に対応して、テロ、ゲリラの未然防止に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

三原委員 万般怠りなくやっていただきたいと思いますけれども、そうこう言いながら、都会というのは全く脆弱なところでもあります。御承知のように、痛ましい事件が、つい数日前ですけれども、モスクワでも起こりましたからね。あれもやはり、話によるとチェチェンのテロだろうと言われていますが、悲惨なことが起こる前に、やはり水際で必ず防止するという覚悟でやってもらいたいと思います。

 同様の質問ですけれども、防衛庁の中でもやはりテロ対策あたりのこと、さらに覚悟を決めてやっていただいておるとは思いますが、どうでしょう。防衛庁の中でもそういうたぐいのことは、人の出入りだ何とかだというようなことを、各自衛隊の基地あたりではそういうことは考えておられませんか、今までどおり以上の対策みたいなことは。どうでしょう。

石破国務大臣 一般的に、テロ対策に対しましては、これは法改正も行いました。基本的に、テロというものは警察機関においてまず第一義的に対処すべきものである、警察そしてまた海上保安庁において対処すべきものではございますが、その能力を超えました場合等々、治安出動あるいは海上警備行動、こういうような形にいかにスムーズに移行するかということで、警察、海上保安庁との連携も図る法改正も行ったところでございます。

 委員から、昨夕の事件につきまして御指摘がございました。防衛本庁に限らず、私どもの陸海空自衛隊の基地等々につきましても、テロに対して、もちろん脆弱であってはならないわけでございまして、中身の詳細はなかなか申し上げられないところがございますけれども、特に九・一一以降、態勢の見直しというものを図りまして、やはり防衛のかなめであります私ども防衛庁・自衛隊の施設というものがテロに対して脆弱であるということはあってはならないことでございます。いろいろな態勢等々、もう一度不断の見直しをかけるべく、現在も行っておるところでございます。

 これで万全ということは世の中にはないと思っておりますので、常にこの態勢の見直しを行っておるところでございます。

三原委員 長官おっしゃったように、覚悟を新たに、テロに対する断固とした対応、決意を持っていただきたいと思います。

 ところで、この前はトルコで、やはりテロで痛ましい被害をこうむった、イギリスの領事館ですか、ございましたが、我が国の在外公館でのテロ対策というもの、これに対してどのように対応しておられるか、また、どのような覚悟でおられるかということを説明していただきたいと思います。

逢沢副大臣 委員御指摘のように、我が国の在外公館の安全確保、テロ対策、万全を期していかなくてはならない、強い決意で外務省としても臨んでいるわけであります。

 特に九・一一以降、あるいは昨年の秋、イラクで我が省の省員二人が、今となってはテロと断定をしてもよかろうかと思いますが、殺害をされるという痛ましい事件が起こりました。そういうものを受けて、しっかりとした安全の確保、テロ対策をさせていただいております。

 特に、去年の秋、ウサマ・ビンラディンによると見られる日本を名指しした声明がございました。日本を標的にする、そういう声明であったわけであります。先ほど警察庁の方からも、国内の安全対策、テロ対策、るる説明がございましたが、とりわけ、そういう声明があったということもあり、在外公館の安全の確保、テロ対策、これは従前にも増して万全を期していかなくてはならない、そのように承知をいたしております。

 今までも、人的、物的両面において可能な限りのさまざまな対応をしてきたわけでございますけれども、全在外公館に対して、警戒レベルをさらに高め、必要な措置を講ずるよう、改めて指示を出しているところであります。

 今後とも、安全を確保するために、警備の強化等々なし得る限りの努力をしてまいりたい、そのように承知をいたしております。

三原委員 在外公館なんかを訪ねると、警察とか防衛庁、自衛官の人が外務省に出向した形でおられること、心強いことでもあります、やはり専門家、プロですからね。それだけでも足りないかもしれませんけれども、今副大臣が言われたような覚悟を実際の行動で、テロからなめられないような、すきを見せないような、そういう在外公館になってもらいたいと思います。

 残念ながら、我が国は昔ペルーでの問題もあったこと、経験もありますから、お人よしだけでも世の中ってうまくいかないということは肝に銘じておくべきであろうと思います。

 ところで、十四日の日に、私は、地元で第十七次ゴラン高原の派遣隊の結団式に行ってきたわけです。それは福岡の第四師団でありましたから行ってきたんですが、十七次ですから、もう八年やって、九年目に入るんですね、あっという間に九年目かと。今度も四十三人行くんですが、その人たちにじかにお会いして、あなたたちのおかげでゴラン高原で平和が保たれておるんだから、元気で行って元気で帰ってきてね、こう言ったんです。

 こういうことからも、既に、それだけ長く積み重ねておれば、今のイラクの人道派遣とは状況は、国、地域によって違うでしょうけれども、学んできたものはやはりたくさんあるんだと思うんですね。

 自衛隊を出して、自衛隊というかあれは平和協力隊だけれども、自衛隊ですね、出していって、それの何か学んできたもの、イロハみたいなのがあって、そしてまた、それが、これから先とか今やっていることに役立つような具体的な、よかったこと、悪かったこと、反省すべき点、さらに進めるべき点みたいなところ、ありますか。そういう面があれば国民に少し教えていただいて、そして、なおかつ国民のさらなるサポートを得られればと私は思っております。どうでしょう。

石破国務大臣 先般の福岡におきます行事には、委員御出席をいただきましてまことにありがとうございました。昨日、防衛庁におきまして、私から辞令を交付いたしたところであります。

 委員御指摘のように、平成四年にPKO法が成立いたしまして以降、カンボジア、ティモールにおきまして施設業務、モザンビークでは他国との輸送調整、ゴランでは輸送、ルワンダでは医療、防疫、給水等を陸上自衛隊は行ってまいっております。また、ザイール、東ティモール、ヨルダンにおける難民救援等におきまして、航空輸送業務を実施いたしてまいりました。

 一つは、私も防衛副長官のときにゴランは行ってきたことがございますが、相当に条件は厳しいというところですね。幾らピースキーピングとはいいながら、気象条件も厳しいということがございます。そのような厳しい状況の中で整々と業務を遂行するということ、これが一番大きな経験であり、教訓であると思っております。

 もう一つは、他国とどのようにして協力してやっていくかということでございます。PKOが行われますまでは、私ども、基本的に、一応日米安全保障条約というのはございますが、他国と共同して実オペレーションをやるということはなかったわけでございまして、このことによって得た教訓というのは非常に大きかったと思っております。

 そのことによりまして、先般、昨年の十月でございますが、国連の安保理事会公開会合におきまして、国連東ティモール支援団のシャルマ国連事務総長特別代表から、日本のPKOは非常に高い評価をいただきました。こういうような評価をこういう場においていただくのは極めて異例のことであるというふうに聞いております。要は、日本のPKOというのは非常に正確である、責任感が強いということ、本当に信頼するに足るPKOであるということで高い評価をいただいたことは、私ども、ありがたいことだと思っております。

 もう一つつけ加えて申しますと、これも東ティモールで聞いた話でございますが、日本の自衛隊PKOというのは、どうやって現地の人たちと一緒にやるかということを考えているのだ。それがいい場合もあれば、あるいは危険と裏腹の場合もございますけれども、どうやって現地の人たちと一緒にやるか。ですから、魚を上げるんじゃなくて魚のとり方を教えるのが大事なんだという話、私は委員から教えていただいたような気もいたしますが、そのように現地の人とやるのが大事なんだよということ、それも私どもが学んだ教訓だろうと思っております。

 反省点はその裏返しみたいなことですね、いろんなことはございます。

 しかしながら、私どもが国際社会の信頼が得られたということ、そしてまた、他国と一緒にやるということにおいて多くの教訓を得たということ、そして、現地の人たちと一緒にやっていくんだというのが大事なこと、私は、そういうことが、得られた大きな教訓ではないかなというふうに考えております。

三原委員 まことに心強い答えをいただいて、私どもも、サイドからサポートする国民の一人として、出かけていってくれている隊員諸君に対して頼もしく思うし、感謝も本当にしたいと思います。

 今まさに長官が言われた、向こうから教えてもらうぐらいの、向こうのカルチャーを学ぶといいますか、文化を学ぶというような、やはりその配慮というのが、必ずや、ああいう外国に行って何か行うに当たって、すごくその地の人と円滑な意思の疎通を図る基本だと私は思っております。

 ところで、より具体的なことを聞きますけれども、第一陣で佐藤隊長が着かれたときに、先遣で行っておった航空自衛隊の将官の人かな、アッサラーム・アライクムとぱっと言って、あいさつの仕方から皆さんやりましょうなんて言っていましたほほ笑ましいテレビがありましたが、例えば外国に行って我々が平和協力のための活動をするときに、彼らは、語学の教育とか、今まさに言われた意思の伝え方、風俗、習慣、そういうたぐいのこともちゃんと少しくは教育の内容の中に入っておるんですか、そういうことをちょっと知りたいなと思いまして。

石破国務大臣 それは可能な限りの教育はしてまいりました。ただ、委員も青年海外協力隊であちらこちらへいらしてよく御案内のことかと思いますが、とにかくアラビア語というのは難しい。右から左に読む。そしてまた、あの字は何を意味するのか私はいまだもってよくわからないが、基本的な会話はできるようにならなければいけないというふうに思っております、極めて難しいことではありますが。

 それと、あとは、イスラムの宗教、文化というものに尊敬の念を持つということは極めて重要なことだと思っております。慣習においてもそうであります。そういうものに対してとにかく尊敬の念を持たなければいけないのだと。また、酒は飲んではならない、豚肉は食べてはいかぬ、賭博はしてはいかぬ、モスクに入ってはいかぬ、左手を使用することは不浄であるというようなこともよく教育をしてございます。また、女性に対して敬意を持って接する。またはやり方が少し違う場合もございましょうけれども、そのようなことをできるだけ、とにかく失礼にならない、向こうの宗教、文化を重んじるということでやらせていただいておるところでございます。その教育にはこれでもう十分ということはございませんけれども、やはり尊敬の念を持つというのは大事なことではないでしょうか。

 そしてまた、イスラム教というものについて全く知識がないということで行くことがあってはならないのだと私は思っております。イスラム教についても基本的な知識を持つこと、そのようなことを心がけておるところであります。

三原委員 よその国を尊敬する、よその国の文化を尊重するということは、まず仲よくする基本だと思いますね。僕らから考えたら、イスラムの人は、日に五回かな、時間を決めてメッカの方に向かって座ってお祈りするんだそうですけれども、そんなことやったら生産性が下がっちゃうじゃないかなんというのは我々の考えでありまして、彼らはそれによってまた新たなエネルギーをもらってあの過酷な自然の中でも生き抜いていくわけですから、そういう面では、まさに長官が言われたように、相手の文化を尊重し、相手の人たちの行動、風俗、習慣あたりを理解すること。私は、国際協力、人道支援に行って、幾らブルドーザーを使って、ユンボを使って穴を掘ってみたりなんかしてみてもそれは副次的なもので、やはりまずは、行った四百人なり五百人の我が隊員がみんな国際的に相手の国をちょっとでも理解して帰ってくるというその態度が私は必ずや大いに役に立つことだと信じておりますので、その方面でも長官の方から、万般怠りなく、部下の皆さんに叱咤激励と同時に、そういうことにも思いをはせるべく御指導いただきたいと思います。

 ところで、そうやって苦労している人たちに、まあ今のイラクでは、ちょっと休みをもらってメソポタミア文明のチグリス・ユーフラテスのところを遊覧なんていうことはできないでしょうけれども、例えば、私、十四日に、ゴランに行く人たちの前で、一緒に飯を食いながら言ったんです。君ら休暇もあるかと言うと、何か休みの日ももらえそうですと。そうしたら、あのあたり、シリアだったらパルミラとかアレッポとかいう古代の町があるじゃないか、ああいうところも行くようにしようよとか言ったら、そんなふうにさせてくれればいいですがね、こう言って喜んでいました。それならちゃんと本を買って少し勉強していけよと言ったらえらい喜んでいましたけれども、そういうたぐいの自由みたいな余裕は、ちゃんと、長官、防衛庁では与えているんでしょうね。

石破国務大臣 イラクに限って申し上げますと、現在、非常に派遣人数が少数で行っておりますので、これまでは余りお休みはとらせておりません、正直申し上げまして。しかし、今後、本当に軌道に乗ってきていろいろなものがうまく回転をするようになりますと、今の委員の御指摘も踏まえ、同時に安全というものも配慮をしながら、他国の例を参考にしつつ検討させていただきたいと思っております。

 ゴラン高原に出しておりますPKOにつきましては、なるべくそういう見聞を広める機会というのは与えたいと思います。実際、そのようなことも今までやってきております。

 きのう、私、長官室で、今度行く隊員の代表たちとも懇談をいたしました。まさしく今委員がおっしゃったのと同じことを申しまして、陸上自衛隊がほとんどで、あとは航空自衛隊、海上自衛隊、少しおりますが、文化あるいは文明、民俗とともに、いわゆる防衛に対する意識でありますとか、あるいは、イスラエルという国はきちんと見ておく価値があると。それをどう評価するかは別にいたしまして、それぞれの国によって国防意識というのは違います。そういうものの見聞も広めなければいけないだろう。私は、海外で勤務をするということについて、本当にそれを生かした見聞の広め方、同時に休養の与え方というものをよく検討してまいりたいと思っております。

 イラクにつきましては、まだ今後検討事項が多うございます。

三原委員 いや、今の長官のお言葉を聞いて、私も心から賛成したいと思います。

 彼らは選ばれて外国に行って、国の代表として国際協力をする。そして同時に、千載一遇のチャンスを与えられたんですから、その国の文化を、歴史を、あらゆることを学んでくること、そのチャンスを与えられている以上は十二分にそれをやってもらいたい。そのことが、彼ら一人一人の人間性も豊かになるだろうし、私は、自衛隊自体の、さらなる柔軟性のあるよい人材を生み出していくことだと思っておりますので、その面でも大いに勇気づけられました。ありがとうございました。

 質問を終わります。

斉藤委員長 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。

 防衛庁長官、また、ほかの皆さんにおかれましては、終日の委員会でお疲れのことと思いますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、イラクの情勢からお伺いをしたいと思いますけれども、私も、昨年の八月でございますが、この委員会の調査団でイラクの方に、短い期間でしたけれども行かせていただきまして、現地の様子を見てまいりました。

 私たちが行ったときには比較的バグダッドも治安が安定しているというふうに見受けられましたけれども、その後、バグダッドを含みましてイラクの状況が変わってきている。その中で、じゃ、実際にイラクの復興のために我が国として何ができるのかを考えたときに、やはり比較的治安が安定しているところを選んで、そして人道復興支援を主にしていくという、この重要性を肌で感じながら、この委員会あるいは国会の中の審議に当たらせていただきました。

 そこで、まず、イラクの情勢からきょうはお伺いをしたいと思うんですけれども、八月にイラクに行った際に大変にあちらでお世話になりました外交官のお二人、犠牲になられました奥大使、そして井ノ上一等書記官の死亡のニュースについては、今もなお大きな痛みを持って私も覚えているわけでございます。この貴重な外交官の犠牲というのを決して忘れることなく、これからも、海外で多くの外交官が日本を代表して活躍していただいていますけれども、彼らの安全の確保というのは、より強化していかなければいけない重要なテーマだと考えております。

 そこで、今回、イラクの大使館について警備の強化を図っていられると思いますけれども、この点について、その後イラク大使館について、警備の強化、どのように図られてきたのか。あるいは、今後さらなる強化が必要というふうにも考えますけれども、その中では、現行法の中でできること、あるいは今後、将来的に法改正も含めて考えていかなければいけないこと、両面あると思いますが、この点について外務省としてはいかがお考えになっているのか、逢沢外務副大臣にお伺いします。

逢沢副大臣 イラクにありますバグダッドの大使館、安全の確保、また、先ほども申し上げましたけれども、テロの脅威に対して十分な対応をしていかなくてはならない。委員御指摘のように、昨年の秋、省員二人がテロによって殺害をされる、そういった痛ましい事件もございました。それを受けて、より一層安全の確保については努力をさせていただいております。

 詳細な具体的な説明は、事柄の性質上、申し上げにくい部分もあるわけでございますけれども、とにかくイラクの大使館は、率直に申し上げて、数多くございます我が国在外公館の中で最も外的脅威度の高い公館であるということは、はっきり申し上げてよかろうかというふうに思います。

 その後、警備要員の増強、そしてそれを配置する、防弾車をふやす、それを配備する、コンクリートブロックの設置、つまり、大使館の正面玄関までジグザグで通らなければ到達ができない、そういった状況を確保いたしました。なお、事務所の外壁の強化ということもさせていただきました。

 以上申し上げましたように、人的、物的両面からなし得る限りの警備対策を講じ、安全確保に万全を期しておる、こういうことでございます。

 一方、法的な、あるいはまた今後新たな取り組み、対応についていかがかといったような趣旨の御質問もございました。

 委員御承知のように、ウィーン条約等に定められておりますとおり、一義的には、その公館の安全を確保するのは接受国の責務でございますが、事、今のバグダッドの情勢を見ますときに、やはり在外公館の安全確保についてほとんどの国の公館が、それぞれの国の軍隊なり、例えば軍警察のような特殊警察、事実上軍に近い実行力を持つ警察なりによりみずからの警備を行っているという現実、実態があるわけでございます。したがいまして、外務省におきましても、イラクのような危険のある国において我が国の在外公館の警備をどのようにすべきかといったようなことについては、現在鋭意検討をさせていただいております。

 いずれにいたしましても、警備体制を強化するにつきましてはいろいろな選択肢がございます。幅広い観点から十分検討を行っておるところでございますが、防衛庁を初め関係各省とも協議を行っておるということを申し上げておきたいと思います。

丸谷委員 ありがとうございました。

 現在できることの中で、法律の中で十分に世界各国で活躍する外交官の皆さんの安全を確保していただくとともに、将来的なことを、検討も含めて対応していただきたいと思います。

 報道を見ておりますと、残念なことに、今月に入りましてもイラクではテロ攻撃というのは発生し続けております。ただ、そのテロ攻撃のターゲットが変わってきているようにも思われてなりません。今月の一日には北部のアルビルのクルド人政党事務所、そして十日にはイスカンダリヤの警察署前、十一日はバグダッドのイラク軍採用事務所前、そして十四日はファルージャの警察署と、テロ攻撃が行われているんですけれども、国連あるいは米軍に対するテロから、ターゲットが、主権移譲プロセスに絡んだ、より内部的な、イラク人に対するものになってきたのかなというふうにも見受けられます。

 実際に今陸上自衛隊の皆さんが行っていらっしゃる南部の地域というのは、この主権移譲の影響を非常に受けやすい地域だと言ってもいいのかと私は考えております。というのは、この南部サマワというのはシーア派の皆さんが多くいらっしゃいまして、シーア派の皆さんは六月の直接選挙を望んでいらっしゃる。しかしながら、なかなか直接選挙というのは難しいのかもしれない。その中で、テロとまではいきませんけれども、デモであったり抗議集会であったり、そういったものが、今後、六月の選挙を前にしてもっとふえてくるのかなという気がします。

 そこで、今自衛隊の皆さんがいらっしゃいますこの南部の治安の状況について、また、六月まで、選挙が行われるまで、そして方法が決まるまでの間の南部の治安状況の見通しについてお伺いをします。

逢沢副大臣 サマワを中心とするムサンナ県でございますが、冒頭、堂道局長の方から状況についていささか報告をいたしたわけでございますが、残念ながら、十二日にサマワの中心部でロケット弾による爆発がございました。また、昨十七日も小規模のショップ店での爆発があったというのは率直な事実関係でございます。

 しかし、サマワを含みますムサンナ県の治安につきましては、イラクの他の地域に比べると比較的安定をしている、相対的には安定をしている地域であるというふうに私ども承知をいたしておりますが、今後とも、現地情勢につきましては、十二分に情報をとりながら注意を払ってまいりたい、そのように承知をいたしております。

 また、治安の確保と政治プロセスの着実な進展、非常に相関関係があるのではないかといった趣旨の御発言をいただきました。私どももそのように率直に理解をいたしているわけでありまして、イラクの治安改善は政治プロセスの着実な進展とリンクをしている、密接な関係があるんだという理解をいたしております。

 委員御承知のように、二月十二日、アナン事務総長が声明を発表いたしました。調査チームのイラク人との接触から、直接選挙が、完全な代表性と正統性を有するイラクの議会及び政府の設立のための最良の方法であるとのコンセンサスが生じてきている、しかし同時に、選挙は、慎重に準備をされ、技術上、安全上、また政治上の諸条件の中で組織される必要がある、そういった状況の中で選挙が行われる必要があるとの広範な合意がある旨表明したというふうに私ども承知をいたしております。

 今後明らかにされますブラヒミ報告、国連チームの調査結果を注目いたしているわけでありますが、いずれにしても、五月の選挙、六月の主権、また統治権限の移譲に関する政治プロセスが着実に進むということがよりよい治安を確保する、そのことはリンクをしているということに十分注意をしながら対応してまいりたい、そのように承知をいたしております。

丸谷委員 そうしますと、六月末までに選挙を行い、主権移譲を考えたときに、この選挙方法については直接選挙というのが最良の方法である。ところが、直接選挙の方法をとろうとすると、例えばイラクにおいては、有権者の登録であったり、まだ準備に非常に長い時間がかかる可能性もある。そうなると、六月の主権移譲を前に選挙が行われない可能性もあるのではないかという気がするんですけれども、実際に日本の新聞にも、イラク統治評議会のメンバーで元イラクの外相でありますパチャーチ氏が、選挙法が未制定であって、有権者の登録に時間がかかるなどの理由で、数カ月以内に直接選挙を行うことは難しい旨述べていらっしゃいます。

 しかし、パチャーチ氏は、選挙が延期されたとしても六月末までの主権移譲という合意の実行は重要だとして、選挙が行われなかった際の主権移譲の受け皿として現在の統治評議会の拡大ということを示唆されていらっしゃいますけれども、日本政府としましては、この主権移譲、六月までに主権移譲する、また、選挙が行われない場合の受け皿としての統治評議会の拡大等のあり方、このパチャーチ氏の考え方についていかがお考えになるか、お伺いをします。

逢沢副大臣 御承知のように、昨年十一月、統治評議会とCPAが一つの合意を得たわけでございます。その合意によりますと、御承知のように、本年五月末までに暫定議会を選出する、そしてその後、六月末までに統治権限の移譲が行われる、そのようになっているわけであります。

 先ほど答弁をさせていただきましたように、現在、国連が選挙調査チームをイラクに派遣いたしておりまして、今、鋭意調査を進められているわけでございますが、早晩その調査結果が報告されるというふうに理解をいたしております。

 委員先ほど御指摘のように、統治評議会のメンバーであり元イラク外相のパチャーチ氏が幾つかの発言をなさっておられるということは承知をいたしておりますが、我が国政府といたしまして、いずれにいたしましても、早期の統治権限の移譲が重要である、予定どおり六月末までに統治権限の移譲が着実に、昨年の十一月の合意どおり行われることが望ましいというふうに考えているわけでありまして、そのことがまず確保されるべきである。

 まあ論理的に申し上げれば直接選挙が理屈上は最も望ましいということになろうかとも思うわけでありますが、一番大切なこと、プライオリティーを何に置くべきか。それはやはり、六月に統治権限が移譲されるということに対して解が出されるものと私どもは承知をいたしております。

丸谷委員 わかりました。ありがとうございました。

 そこで、国連の方でイラク復興担当の国連事務総長特別顧問に任命をされていますブラヒミ氏が実際に日本にやってくるという報道を見ました。また、時は違いますけれども、アナン事務総長も日本に来日する予定だというふうにお伺いをしています。

 そこで、外務省に続けてお伺いをしてしまいたいんですけれども、アナン事務総長との協議の目的、そして訪日準備の状況、この点について御説明を願います。

逢沢副大臣 アナン事務総長は二十一日にも訪日をされる予定というふうに承知をいたしております。その後、国会での演説等も含め、詳細な日程は現在国連側と調整中というふうに申し上げたいと思うわけでありますが、来日をされるアナン事務総長とは、イラク情勢あるいは国連改革など、国際社会が直面する重要な課題について緊密な意見交換を行いたい、そのように申し上げておきたいと思います。

 アナン事務総長は、二十一日にも来日をなさいます。

丸谷委員 では、続きまして、ブラヒミ特別顧問につきましても来日準備が進んでいるかと思いますが、この点については外務省、いかがでしょうか。

逢沢副大臣 ブラヒミ国連事務総長特別顧問でございますが、国問研、日本国際問題研究所の招きによりまして、二十四日に来日をされる予定であります。同研究所と国連大学共催の公開シンポジウムに参加をされる予定でございます。

 当然のことでございますが、ブラヒミ特別顧問と我が国政府の要人との会談がございます。日程等は現在調整中でございますが、イラクの情勢、またアフガニスタン情勢等、国際社会が直面する大切な課題について意見交換を行う、そのようなことになろうかと思います。

丸谷委員 我が国の外交の姿勢のあり方として、当然日米関係は重要である。とともに、今回のイラクについての討論の中で多く聞かれた声が、国連中心なんだ、国連中心なんだという声がたくさん出てきました。これは車の両輪であろうというふうに理解をしていますけれども、日本にブラヒミ氏、そしてアナン事務総長がやってくる。このことは日本にとって、また外交の力の中で非常に重要なことだというふうに思いますし、来日をしていただく以上にやはり重要になってくることは、その会談の中身、コンテンツが重要になってくると思われます。

 ある方は、日本のイラクに対する貢献のあり方、自衛隊が非常に、自衛隊がイラクに行くか行かないのか、何をするのか、これが大きく毎日毎日取り上げられているわけですが、日本がしている貢献、また、できる貢献一〇〇%が自衛隊ということでもない、もっとほかにも、資金提供であったりODAであったりとか、いろんなところでイラクに対して協力をしているわけで、その方が言うのには、一〇〇%にしたら、自衛隊というのは一〇%、残り九〇%が、何か資金であったり文化的な支援、文化保護あるいは警察的な支援とか、いろいろな支援があるはずだ、また、それをしているのが日本だというお話も聞いたことがあります。

 そこで、こういった国連を中心にしたイラクの支援のあり方について、日本において、ブラヒミ氏、またアナン事務総長と協議が行われることというふうに思いますけれども、例えば一つ大きなテーマになってくるであろうと思われることは、六月までに、先ほど副大臣も、主権の移譲は大事である、プライオリティーは高いというふうにおっしゃったことから考えますと、六月以降、主権移譲がなされるとCPAは解散をするということが考えられます。

 このCPAを解散した後のイラクにどう国連がかかわっていくべきなのか、あるいは、CPA解散後のイラクの新暫定統治機構に、アメリカのかかわり方、イギリスのかかわり方というのはどのような形が望ましいと考えていくべきなのかということも議論のテーマになってくるというふうに思いますけれども、この点について日本政府はどのようにお考えになっていますでしょうか。

逢沢副大臣 政治プロセスについては、今委員も御指摘をなさったとおりでございます。統治評議会とCPAの合意に基づいて、繰り返しになりまして恐縮でございますが、本年六月末までに移行行政機構が選出、承認をされる。そうなれば、その時点で統治評議会は任務が終了するわけでありますし、CPAも解体をされるということになるわけであります。

 その後のイラクは、まさに主権また統治権限がイラク側に帰属をする、こうなるわけでございます。しかし、引き続き国連の十分な関与を得ながら、国際社会が一致してイラクの復興支援に当たる、そのことが大変重要なことになろうかと思います。国連は、やはり政治プロセスを強力に推進する大きな役割を背負うことになろうかと思います。

 また、その後のことについては慎重を期して発言をしなくてはならないかと思うわけでございますが、しかし、やはり英米にあっては、恐らく治安の確保について一定の役割を果たしていくということが望まれるものと、現在の段階で私どもはそのように承知をいたしております。

 なお、委員が御指摘のように、ムサンナ県サマワにおいて自衛隊が人道復興支援に積極的に当たる、一方、補正予算でもお認めをいただきました、また、御議論をいただいております十六年度の予算で経済支援をしっかりイラクに対しても行っていく。車の両輪を遅滞なく機能を発揮させていくということが我が国の大きな責務であるというふうに理解をいたしております。

丸谷委員 ありがとうございました。

 では、続いて防衛庁長官にお伺いをしていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 私、北海道で、先日、若い女性の皆さんといろいろと政治的なテーマについて話をする機会があったんですけれども、やはり興味がおありになるのがイラクの問題だというお話をしていました。そして、実際には戦争に行くんですかという御質問をいただきまして、状況を話して、戦争に行くのではありません、人道復興支援ですということを議論し合ったわけなんですけれども、国際貢献はわかりました、だけれども、やはり実際に北海道の旭川から第二師団の方が行っていただいているということもありまして、自衛隊の現地の皆さんの状況というのをもっと知る方法はないんでしょうか、こういったお話もいただきました。

 この若い女性のみならず、本当に今、南部で活動をしていただいている自衛隊の皆さんに対して、日本の国民すべてが、本当にすべてが、とにかく安全で元気いっぱいに活躍をして帰ってきていただきたい、こういった思いで、自衛隊の皆さんの活動について日々心配をしながら、また見守るような気持ちでいらっしゃるのかなというふうにも思いました。

 その中で、国民に対する情報提供というのも非常に重要なんだな、こういうふうに感じたわけなんですけれども、最近の世論調査を見てみますと、日経新聞が二月十二日から十五日に実施をされました世論調査では、イラクの自衛隊派遣については、賛成が四三%、反対が四二%で、同種の調査としては賛成が初めて反対を上回ったという結果も出ています。

 また、こういったことを見ていきますと、国民の理解あるいは支持というのはだんだん深まってきているなというふうにも思いますけれども、やはり自衛隊の皆さんが今後一生懸命頑張っていただく意味において、もっともっと国民の皆さんの理解を深め、支持を深めていく努力というのが必要だと思います。

 それを達成するためのツールとして情報提供というのが非常に重要かと思いますけれども、国民の理解を図っていくための情報提供を政府はどのようにお考えになっているのか、お伺いします。

石破国務大臣 先生に御指摘いただきましたように、先般の日本経済新聞では、イラク派遣賛成四三%、反対四二%、あるいは読売新聞の一月調査では、自衛隊派遣を評価するとおっしゃってくださった方が五三%、評価しないが四四%という形になっております。

 委員がおっしゃっていただきましたように、着実に御理解は深まりつつある。これは何が一番理由なんだろうと、私よく聞かれるのですけれども、一応、政府・与党の努力というのはあります。しかし、一番大きな理由は、テレビに映る自衛官たちの本当に真摯な姿なのだろうと思う。イラクの人たちのために役に立ちたい、戦争に行くのではない、本当にイラクの困った人たちのために自分たちは働きたいんだ、そういう真摯な姿が映像になって映ることが国民の共感を呼んでいるんだ、私は正直にそのように思っております。

 そういうような観点から、その姿というものを国民の皆様方にちゃんとお伝えをするということは、国民の御理解をさらに深める意味でも最も重要なことだと考えております。

 現在、本庁におきまして一日一回現地の情勢を御報告をし、現地におきましては二回ブリーフィングを行っております。これから、本隊が到着をし、実際に活動を始めるというような段階に入ってまいりますが、その際においてどのような形で適切に広報を行うかということは、隊員の安全に関することは、これは言えないことはあります。そしてまた外国との信頼関係にかかわることは、これは言えないことはあります。しかしながら、基本的にいろいろな情報を包み隠さずお伝えをしていく、そういう姿勢で臨みたいというふうに考えておるところでございます。

 現在、詳細は検討中でございますが、一部に言われておりますように、包み隠すとか、ましてや大本営発表とか報道管制とか、そのようなことは一切考えておりませんし、できるはずもございません。

丸谷委員 そのようなことをなさるとは思っておりませんけれども、実際に旭川市で、これは私も毎日チェックをさせていただいているんですけれども、旭川市の方でつくりましたイラク派遣自衛隊員留守家族支援チームがつくっていますホームページで、ほとんど毎日のように第二師団の皆さんの様子が更新をされています。一月十六日クウェートに向けて出発します、一月二十日先遣隊がイラクに到着しました、二十一日サマワに無事到着の知らせがありました、あるいは一月二十六日スコールに見舞われましたとか、いろいろなテーマとともに更新をされている。こういったホームページを皆さん見ながら、ああ、こういう活動をしているのかと。

 できる範囲での情報提供、素早い情報提供というのがこれほど国民にとって理解を深めるのに役立つんだなということは、こういったホームページを見ながら感じたわけでございまして、国におかれましても、日本を代表して行っていただいている自衛隊の皆さんの活躍、できる範囲内で情報提供というのを積極的に、またいろいろな工夫をしながらやっていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 また、自衛隊の皆さんが現地で今やっていただく仕事として人道復興支援というのが非常に大きなポイントとしてございますけれども、医務官の方、行っていただいています。その中で、私がイラクで見たときも、病院のひどい状況に反比例をしまして非常に患者さんが多い状況なんだけれども、手当てができていないという状況を目の当たりにしました。

 そこで、自衛隊で行っていただいている医務官の方に、当然、自衛隊の皆さんの医療業務を行わなければいけないので限度はあると思いますけれども、例えば地元の医療機関を建設するにはある程度の時間がかかる、それまで待つのではなく、既にあるものの中で、できる範囲内で地元民の医療活動をするようなことも非常に日本の貢献の仕方として目に見える貢献になると思いますけれども、この点については、やっていくべきだと私は思いますが、どのように取り組まれていかれるのか、お伺いをします。

石破国務大臣 これは委員が現場を見てこられたので一番お詳しいと思いますが、私の認識では、お医者さんはいるんだ、お医者さんはいる。そしてまた、かなり高いレベルの医療技術、最新ではないにしてもですね、これを持っている。だとしますと、我々の医官というのは、やはり基本的にイラク人の方による治療というものをメーンにしながら、どのようにして助言を行うか、治療方針や診断等々、検査技術についてもそうですが、そういうことが望ましいのではないかと一般論としては考えておるところでございます。

 もちろん、状況に応じまして私どもの医官が診療に当たるということはございますけれども、どういう形の医療がいいか。例えば今韓国が医療支援というのを行っておるわけですけれども、そうしますと、では、現地のお医者さんはどうなっちゃうんだということもございます。そのようなことをよく考えながら、一番大事なことは、何が一番現地の人たちに喜んでもらえるのかということに重点を置きたいというふうに考えております。

 自分が自分がというふうに目立つことが、ある意味でアピールすることも必要でございますが、何が一番現地の方々の福祉増進に資するのかということをよく考えてまいりたいと思っております。

 また今後とも御教授いただければ幸いです。

丸谷委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

斉藤委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。

 通告に従いまして、質問を順次させていただきたいと思います。

 まず防衛庁長官に伺って、そして次は外務大臣にお伺いしたいと思いますけれども、私のまず初めにお伺いしたいことは、イラクに送っている自衛官あるいは内局のメンバー、そしてまた外交官、このサポートをどのようにしていくのか、あるいは、送られた立場に立って、どのようなローテーションなりメンタルケアというものを考えていくのか、こういうことについてまず質問をさせていただきたいと思います。

 防衛庁長官に質問したいわけでございますが、今、前に質問された委員に答えて、自衛官の真摯な活動というものが映像を通じて国民の共感を得て、そして、それがイラク復興支援、自衛隊を派遣することの賛成というか評価につながっている、こういうことでありました。

 我々は、送る、送らないについては立場は違いますけれども、しかし、送られた自衛官については無事にまた任務を全うしていただきたい、こういう気持ちでおりますので、そういう意味で、先ほどおっしゃったことについては理解をしております。

 ただ、では、送られた隊員のことについてどれだけ政府が考えているかということについて、少し建設的な議論をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、私は前提条件としてお話をしたいのは、米軍、もちろん活動内容が違いますけれども、かなりの自殺者が出ているということ、これは長官も御存じのとおりだと思いますし、また、脱走して戻ってこないという人たちもかなりの人数に及ぶ、こういうふうに聞いております。

 あれだけ米軍に死者が出ていればそれもわからないでもないなと思うわけでございますけれども、任務は違う、あるいは、政府の言うところの非戦闘地域、これは括弧つきでありますけれども、送るにしても、やはりアメリカ軍では全土をコンバットゾーンということで戦闘地域に指定をしている、その地域の一部に、今は平穏だけれどもこれからどうなるかわからないというサマワに送られているということを考えれば、隊員の立場に立ったローテーションをどのように考えていくのか、休暇あるいはメンタルケアをどういうふうに考えていくのかということは極めて重要なことだと思います。

 まず事実関係から伺いたいと思いますが、今送られている部隊のローテーション、あるいは定期的な休暇等々はどのように考えられているか、そのことについてお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 ローテーションについて、今はっきりと何カ月ということを決めておるわけではございません。これは実際にやってみませんと、ここで例えば何カ月というふうに申し上げても、あるいはそれよりも早く交代をさせなければいけないということが生じる場合もあり得ます。

 しかしながら、では、かわりに今度どこがどれぐらいの練度を上げて行くのかという、今度は国内的な回し方の問題もございます。したがいまして、まず行って宿営地を造成し、実オペレーションに入ってみるということをやってみませんと、ここで何カ月ということを軽々しく申し上げることは難しいのではないかというふうに考えております。

 また、今三原委員にもお答えをいたしましたが、現在ほとんど、きちんとした休みというものを暦どおりにとっていないということはございます。この部分も現在の状況にかんがみればやむを得ないことかとは思っておりますが、一定の間隔でお休みをとりませんと、とても緊張が続くものではございません。ああやってテレビでにこにこ映っておりますが、現場では相当な緊張を強いられておるというふうに聞いております。この辺も順次改善をしていきたいというふうに考えております。

前原委員 事前の話では、PKOは大体半年というタームでやっているということでありますので、当然ながら、今のお話を含めて考えると、それより短くしなければいけないんだろうというふうに思います。

 それにしたって、例えば三、四カ月という期間だと仮にいたしましても、今おっしゃったような、暦どおりには休みがとれていない、こういうような状況で、果たしてその三、四カ月という、仮にですよ、おっしゃっておりませんので、それは言えないということであればおっしゃらなくていいんですが、仮にそういうスパンだとしても、その精神的な緊張と、そして、任務遂行のための使命感というものがあったとしてもなかなか続くものじゃないというふうに思います。一番初めの方はそれこそパイオニアですので、今おっしゃったように、どのぐらいの期間になるか、あるいはどういう回し方になっていくか、それを試して、オン・ザ・ジョブ・トレーニングみたいなところがあると思いますけれども、しかし、そういった人たちにこそ、まさにある程度本国が気を使って、そして休暇なり、いろいろな意味でのストレスを和らげる場というものが必要だと思いますけれども、そういうことについては何かお考えになっているんでしょうか。

石破国務大臣 週に数回、地元といいますか、旭川が中心でございますが、電話連絡ができるというふうにいたしております。近い将来、画像も使って、元気だよというような、そういうような絵が送れるようにしたい。やはりそれが一番大事なのだろうなと思っております。家族の姿が確認できる、声が聞けるということが一番大事だろう。

 それからまた、いわゆるメンタルヘルスケアにつきまして、そのようなカウンセラーの資格を持った者を相当配しております。また、医官も、そういうことに対応できるように送っております。PTSDということに本当になるのかどうか、第一次大戦後の例のざんごうの体験に基づくような、そういうようなことが起こるかどうか、これはわかりません。わかりませんが、メンタルヘルスケアにはよく気をつけておきたいと思っております。

 休暇も、委員御指摘のように、最初のうちはそれはもうやむを得ない場合もありますが、軌道に乗ってきますれば、やはりきちんとしたお休みというものがとれるようにしたいと考えております。

 期間が半年よりも短くなるということは、これは当然あり得ることだと思っておりますが、それが三カ月か四カ月か、ちょっと現在申し上げられないところでございます。

前原委員 同じような質問を外務大臣にもお聞きしたいと思います。

 今外交官が行っておられるのは、サマワそれからバグダッド、この二カ所に行かれているわけでありますが、サマワの話を聞いておりますと、クウェートも近いものですので、出たり入ったりということで、その緊張緩和というものはできるような状況にある、こういう話は聞いておりますけれども、片や、バグダッドの大使館あるいはCPAにこれから詰める外交官の方々というのは、イラクの治安情勢、特にバグダッドの今の治安情勢をどう見るかということは非常に難しいことだと思います。さはさりながら、ソフトターゲットといいますか、イラク人をねらったテロというものもかなり多いですし、バグダッドで勤務をする外交官の方々の心労というのは、私はやっぱりはかり知れないものがあるんではないかというふうに思っています。

 十日ほど前に国際会議でロンドンに行きまして、中国からCPAに行かれるという宮家公使にたまたまお会いをいたしまして、少しお話をする時間があったんです。御本人はそれはお元気で、使命に燃えておられる、こういうことだろうと思いますけれども、奥大使の後にCPAに行かれるということでもありますし、今のところは一人ということですね。

 そういうことを考えると、私は、やはり今、あのようなどこで何が起こるかわからないようなところに、しかもCPAも当然ねらわれる、また、実際問題、奥大使や井ノ上参事官もお気の毒に亡くなられたわけでありますので、そういう部分での後を引き継ぐ人たちの心のケアというものをどれだけ外務省本省が考えながらやっていくのかということは大変重要なことだというふうに思います。

 それと少し矛盾をすることかもしれませんが、さはさりながら、例えばCPAなんかに入ったら、余りころころ人をかえられたら困る、やはり、ある人が集中的に仕事をやって、そして人間関係もでき、そしてまた信頼関係もつくる中で仕事をしていかなきゃいけない、こういう部分もあると思います。両面あると思いますね。

 そういうことを勘案して、今は、CPAに送られる方一人、あるいはイラクの大使館の方も数名程度という話を聞いておりますけれども、その方々に対する本省としてのメンタルケアというか、もっと言えば、身辺をどう本当にきちんと守ってあげるかということと、それから、心の緊張というのはそれほど長く続かないと思います、そういう部分でのケアというものを本省としてどのように考えておられるか、その点についてお答えください。

川口国務大臣 まず、イラクに行っている、バグダッドとサマワにいる外務省の人間の体の状態、あるいはそのメンタルケアについて御心配をいただいていますことについて感謝を申し上げたいと思います。このことは、特に、残念な事件がありましたので、我々としては、最も重要な考えるべきことの一つであるというふうに考えております。

 それで、具体的にどういうことをやっているかということですけれども、イラクには、当然に、先生がおっしゃったように大変な厳しい環境、恐らく、今外交官が勤務をし得るところの中で一番過酷な環境であり、したがってストレスも非常に大きいということでございますので、やはり、一定期間の後に交代をしながらやっていくということが重要だというふうに考えております。

 それで、一定期間、これはどれぐらいで交代しますということを申し上げてしまうと、またそのころに異動するんだろうということでターゲットになったりしてもいけませんので余り申し上げたくないんですけれども、相当に頻繁に交代をするということで考えております。

 それで、外に出て、休暇をとり、そして日本に戻ってきて、そこで、外務省にはカウンセラー、お医者様がいますので、その方に健康診断を受ける、それからカウンセリングを受ける、そういうことを今考えております。

 なかなか外務省のアラビストチームも人数が限られておりますので、どのような人を次に勤務にするかということのアレンジで、人事当局、毎日相当夜中過ぎまで仕事をしているという状況にそれだけで今なっていますけれども、我々としても、御心配をいただいているようなことは非常に大事なことだというふうに思っています。

 それから、バグダッドですけれども、これも大変に過酷な環境でございまして、どのようにして安全と、それから、行っている人たちの健康あるいはメンタルケアを考えるかということを我々はずっと考えてまいりましたし、特に、不幸な事件の後、そこについては非常にいろいろ議論もしたわけです。今バグダッドについて考えておりますのは、これはバグダッドにあるほかの大使館がどのように物事を考えているかというようなことも参照しながら、今こういうことかなと思っておりますのは、二つのチームをつくる、それで、その二つのチームの間で適宜交代をさせるということであるかなというふうに思っています。

 それで、やはりずっと長くいますと、ある種のなれといいますか、だんだんにそこになれてくるというような問題もありますし、また、違った人が一定期間ごとに交代をして、要するに二チームで交代をしながらそういう状況を見ていくということも安全の対応に資するのではないかというふうにも考えているわけです。

 そういうことで、我々としては、おっしゃった問題は非常に重要な問題だと考え、いろいろ厳しい制約のもとでそれを乗り越えようといろいろ考えているということでございます。

前原委員 いろいろ御検討をされているようでありますけれども、ぜひそういう観点というものを大事にしていただいて、仕事ができる環境、それは限られた資源とはいえ、やはり人数をある程度補充しながらうまく回していって、そして、やはり一人に仕事を余り集中させないということだろうというふうに思います。集中されれば、先ほどのお話のようにねらわれやすいということも出てまいりますので、そういう部分も含めてぜひ万全の配慮をしていただきたいということを私の方からもお願いしたいというふうに思います。

 次に、政権移行と選挙の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 先ほどもいろいろと質問されて逢沢副大臣がお答えをされておりましたけれども、私の方からも改めて質問をさせていただきたいのは、これは、外務大臣、簡単で結構です、六月の政権移行というものは動かすべきでないと考えるのかどうかということと、あとは、選挙のあり方としてはどのような形が日本政府として今の段階でベストと考えておられるのか、その二点について質問します。

川口国務大臣 先ほど、逢沢副大臣から相当丁寧にお答えを申し上げていらしたと、私、来て伺っていましたけれども、六月末の政権の移行、これを守るということは重要なことだと考えております。

 今、国連の調査団が入っていますので、シスターニ師、いろいろな方に恐らくお会いになっていらっしゃるんじゃないかと思いますので、そういった話を聞いてみたいと思っております。ちょうど来週のきょう、ブラヒミさんが恐らくおいでになられる可能性がありまして、お会いするということで今調整をしているところですけれども、じっくり話を伺いたいというふうに思っています。

 それで、選挙のやり方として何がいいか。イラクの人たちと接触をした結果として、直接選挙が、完全な代表制と正統性を持つイラク人の政府をつくるために最良であるというようなコンセンサスが今でき上がりつつあるやに承知をしております。そういうことが現実であれば、恐らく、どっちをとるにしてもいろいろな問題点があるわけで、選挙法がないとか登録がないとかいろいろなことがあるわけでして、幾つかの要因を、連立方程式を解くような話になると思いますけれども、調査団の成果を待ちたいというふうに思っています。

 それで、その上でどういうような展開になるかということについては、大変に重要なことですので、注視をしていきたいと思っています。

前原委員 今答弁されましたように、六月の政権移行というのは、これはブレマー氏も、あるいは国際社会全体が、まあすべてですね、六月末の政権移行というのは動かさない、こういうことだろうと思います。

 ただ、その選挙のあり方については、まさに今大臣がおっしゃったように、国連のブラヒミさん中心に調査団が入って、そして、今まさにそれも御答弁をされたように、直接選挙というものが、やはり正統性などを考えたときに望ましいのではないかという考え方がだんだんだんだん強まっているというのは、その選挙のあり方、現地に入られた方の判断ですので、そういった部分というのは尊重しなきゃいけないというふうに思います。

 そうすると、簡単な話、時間が足りないということになったときに、よく言われているように、十二月の末とか、ずれ込んでくるという可能性はあるんではないかというふうに私も思っています。

 そこで、ちょっと実質的なことをお伺いしたいんですが、じゃ、七月からどんな政権、暫定行政機構というのができるのかということのイメージが、だれがどう考えてもわからない。つまりは、選挙していないわけですよね。選挙をしていない、しかしCPAは解散する、そしてまた、先ほど逢沢副大臣が答弁されたように統治評議会もなくなる、解散するということになれば、一体その暫定行政機構のメンバーとあり方と権限というものが具体的にどのようになって、それが本当に正統性を持つのかどうか。

 こういう言い方をすると少し極端かもしれませんけれども、アメリカは、イラク攻撃でイラクの政権をつぶすことはやったけれども、その後のことは余り考えていなかった。大統領選挙が十一月にある、そういうものもタイムリミットであるし、結果的には、今、クルドやシーアあるいはスンニ、いろいろなグループがいろいろなことを言い出してきて、そして、今までは排除をしていた国連もかませて、どういう選挙制度がいいのかということを、ある意味で正統性を付与させようとしているということで、皮肉なことに、国際関与を強めなきゃいけないような状況になっているわけですね。

 だれかが責任を持って、その移行する政権のあり方、メンバー、そしてまたその力というものがしっかりと見える形のものになっていれば、仮に十二月に直接選挙をやるとしても、それまでの移行はできるかもしれないけれども、何もそういうものが固まっていない、具体的なイメージもわかないような状況で、はい、政権移行はやりますよ、CPA、統治評議会は解散ですよということになったら、もうぐちゃぐちゃになっちゃうんじゃないかというような気がしてならないわけです。その見方を外務大臣としてはどうされているのか、その点は心配ないのかどうなのか、あるいは日本政府としてどのような関与をされているのか、御答弁をいただきたいと思います。

川口国務大臣 今委員が御指摘になった、それならば、じゃ、六月の三十日以降どのような暫定的な政府になるのかということは、今、恐らく国際社会で、選挙と表裏一体の話ですので、非常に大きな課題であるということだと思います。

 来週ブラヒミさん、あるいは今週末にアナン事務総長と私はお会いをする、お話をしようと思っておりますので、そういった議論も踏まえなければいけないと思いますけれども、私なりに考えれば、やはり大事なことは、イラク人のオーナーシップということであると思います。

 これがどのような具体的な形になるかということについては、多分幾つかオプションがあるんだろうと思いますけれども、これはもう主権が移転するわけですから、イラク人のオーナーシップが確保されるという形であることが大事だと思います。

 いずれにしても、これは暫定的な政権であるわけですから、その次の憲法あるいは選挙につながるような過渡期の話として考えるべき組織になるだろうというふうに思っております。

前原委員 そこで、もちろん暫定行政機構ですから暫定的なもので、過渡的なものになるのはそれはそのとおりなんですが、例えばそのオーナーシップ、今、イラク人によるオーナーシップということをおっしゃいましたけれども、もっと具体的に言えば、だれか一人がリーダーシップを発揮するような仕組みになるのか、あるいは集団指導体制のようなものになるのか、合議的なものになるのか、そういったところも見えてこないわけですよね。つまりは、アフガニスタンだったらカルザイさんという名前があって、簡単に言えば、そんなに組織がきっちり決まっていなくても、だれがリーダーシップをとるんだということが衆目の一致するところであれば、安心感があって、その人を中心に回っていくんだろうという、何かそういう期待感というか予想はできるんですけれども、今は全く見えないですよね。

 だから、そういう意味での、もう少し掘り下げた質問なんですけれども、だれがトップになるものなのか、あるいは、そういうことじゃないんだ、集団指導体制あるいは合議体制なのか、そういうことについても、どのように今、外務省、外務大臣としてはごらんになっていますか。

川口国務大臣 今委員がアフガニスタンの例を引かれましたけれども、イラクとアフガニスタンというのはよく比較をされますけれども、幾つかある相違点のうち、一つの相違点は、イラクにはカルザイ大統領がいないということであるわけです。すなわち、一人の突出したリーダーが現時点では存在をしないという現実があるわけで、それはきちんと踏まえなければいけないと思います。

 どのような暫定的な組織ができるにせよ、これは、イラクの主要各派、シーア派とかスンニ派とかクルド人のグループですとか、そういう人たちが合意ができるという形でなければ、これは全くうまくいかない。ですから、それは最初の一つの条件であると思います。

 いずれにしても、ブラヒミさんがいろいろな人と恐らくお会いになって話をしてこられたと思いますので、そういった話の中から少し見えるものがあるのではないかというふうに思いますけれども、日本の立場で今このような姿であるべきであるということを申し上げても、それは余り意味がないことであって、現実にイラクの人たちが、しかもその各グループが何を望んでいるかということをまずきちんと踏まえた上で、それが妥当な方向、暫定的な組織として妥当な方向であればその方向に持っていくような努力を、我が国として、国連とも協調しながらやっていくということではないかと思います。

前原委員 この質問はこれぐらいにさせていただきたいと思います。

 今まさに外務大臣がおっしゃったように、これから詰めていかなきゃいけない問題なんだろうと思いますし、そしてまた、ブラヒミさんやアナンさんが来られて意見交換をされるということでありますが、私からお願いをしたいことは、ぜひ、だれかが責任を持って考えているんだろうということで他人事ではなく、日本も、金を出し、そして復興支援のための債権放棄をある程度やり、そして自衛隊を出すという、人も出しということでありますので、それで日本としての対米公約やあるいはイラク復興支援に対する役割は終わったということじゃなくて、イラクの安定的な政権をいかにつくるかということが今まさに主目的になっているわけですので、そこはしっかりと私は主体的なコミットメントをお願いしたい、その意識を常に持ち続けていただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。

 防衛庁長官に次に質問させていただきたいと思うのでありますが、きょう、イラク人道復興支援特別措置法に基づく自衛隊部隊の活動状況についてということで、説明を一枚紙でいただいているわけでありますが、サマワでの陸自の活動と同時に、私が、今後活動していく上で、むしろ危険性という上では陸自より心配をしている部分が、航空自衛隊の輸送業務であります。

 特に、具体的に、モスルとかバラドとかバグダッドそれからバスラ、そういったところの空港名が挙がって、そしてそういったところの輸送業務を行う。必ず行うじゃなくて、そういう枠組みがつくられているわけでございますけれども、きょう説明をいただいたところにでも、バグダッドの空港で着弾があったとか、それについて情報収集をしているとか、こういう話でございますけれども、クウェートで今訓練されているわけですよね。今後の航空自衛隊の輸送計画、これによると「人道復興支援物資を中心に輸送を行う」ということでありますが、今後どういう活動を行おうとしている、また、それはどこを利用してどういったものをどこに運ぼうとしているのかということといわゆる危険性との問題、あるいは、そもそも法律に書かれている非戦闘地域ということに当てはまらなきゃいけないわけですから、そこの整合性をどのように考えておられるのか、その点について御答弁をいただきたいと思います。

石破国務大臣 非戦闘地域でなければ飛べないということであります。そして加えて、C130が持っております装備、あるいは飛び方、あるいは乗員の練度で危険が回避できる、この両方を充足しなければいかぬということだと思っています。

 バグダッド空港についてどうだというふうにピンポイントでお答えをするのは極めて難しいのですが、着弾したという情報は知っておるところでございます。この内容についてさらに分析を進めておるところでありまして、バグダッド空港の性質上、これは委員御案内のとおりでございますが、内容について申し上げられないものがございます。

 あとは、人道支援物資を中心に行うということでありまして、報道でありますように、クウェート領域内におけます飛行訓練というものは大体了した、イラク国内において飛行するということを現在行っておるところでございます、天候によってやめたりすることもございますが。

 そうしますと、非戦闘地域でなければいけない、安全が確保されなければいけない、そして人道支援物資を中心に、あくまで中心ですが、これで輸送を行う、このことは、いずれにせよきちんと確保していかなければいけないことだと思っています。

 飛行機が飛びます場合にも、そのときそのときに合わせまして、本当にその条件が充足されているかどうか、このことは、私、責任を持ってきちんと確認をしていかなければいけないと認識をしております。

前原委員 時間が参りましたのでこれで終わらせていただきたいと思いますが、今の私の質問の意味というのはよくおわかりをいただけると思います。

 つまりは、普通の戦闘状況ではない。テロというのはどこで本当に襲撃をされるかわからない。しかも、空はある意味では逃げ場がない、やられたら、落ちたらもう終わりだというような状況の中で、今天候の話もされましたけれども、天候が悪かったら飛ばないということは当たり前でありますし、危険であれば飛ばないということはしっかりと担保していただく中で、やめることの勇気というものをしっかりと、また、そういう危険を察知するということもぜひしっかり考えていただいて、運用には万全を期していただきたいということをお願い申し上げて、終わります。

斉藤委員長 次に、松本剛明君。

松本(剛)委員 民主党の松本剛明でございます。

 政府に質疑をさせていただく前に、委員長に。斉藤委員長、一言よろしいですか。

 先週の新聞で、自衛隊の無事帰国を願う超党派の議員連盟に民主党議員が参加していることをやり玉に上げ、やり玉というのは、これは記者が書いたことですからわかりませんが、足を踏んづけながら頑張れと言っているとおっしゃったということですが、発言の有無と真意を御確認したいと思うんですが。

斉藤委員長 いろいろな考え方、見方が多様におありになるのかなと、その一つの、そういう一つの見方もあるのかなということで私は発言をさせていただいたところでございます。

松本(剛)委員 委員長と審議というのはやりにくいんですが、そういう趣旨ではないというふうに思います。

 公正中立な委員長ですからお願いをしたいと思うんですが、この議員連盟については、たしか第一回は石破長官もゲストとして行かれた。自衛隊の無事を、恐らく、ここにいる委員はもとより、すべての国会議員が願っていることはそのとおりだろうと思いますし、先ほど私どもの前原議員の質問も、ある意味でしっかりと任務を果たしてほしいということでの建設的な議論をさせていただいたと思いますので、足を踏んづけながらということについては、もし、赴くことに反対していることが足を踏んづけているということになれば、国会での自由な討議というのができなくなると思いますので、これ以上このことにかかわる気はありませんが、誤解のない発言を委員長にはお願い申し上げたいということを申し上げて、政府にお伺いをいたしたいと思います。

 先週の当委員会での達増委員との質疑において、日米関係に関連をいたしまして、日米同盟、日米安全保障体制、日米安全保障条約という概念を使い分けていわば御答弁を、防衛庁長官、外務大臣、されておられたと思うんです。一言で申し上げたら、日米安全保障条約を含む広い概念として体制があるんだ、同盟があるんだ、このようなお話だったというふうに思いますが、そのような理解を含めて、この概念、お話をいただきたいと思います。

川口国務大臣 おおむねそういう趣旨で申し上げたということでございます。

 日米同盟関係という言葉ですけれども、これは、私どもが考えておりますのは、一般に、日米安全保障体制を基盤として、日米両国がその基本的な価値及び利益をともにする国として、安全保障面を初め政治及び経済の各分野で緊密に協調、協力していく関係、それを総称して使っているわけです。

 それで、日米安保体制というのが何かということですけれども、これは、日米安保条約及びその関連取り決め並びにこれらに基づく協力の実態を総称するものとして使っております。その中で、日米安保条約そのもの、これは日米安保体制の基盤をなすというふうに考えているわけでございます。よろしいですか。

石破国務大臣 当然のことながら、外務大臣と同じ認識であります。

松本(剛)委員 今回のイラクへの自衛隊派遣について、日米同盟関係は磨き続けなければいけない、そういった言葉とともにイラクへの自衛隊派遣が語られることがあるわけでありますが、イラクへ自衛隊を派遣するべきであると政府が御判断をされて今自衛隊が派遣されておられるというふうに思いますが、これは、日米同盟関係に基づいて派遣をするべきであると判断したという理解でよろしいわけですか。

川口国務大臣 何で我が国が自衛隊の派遣を決定したかということですけれども、繰り返しになりますけれども、イラクの復興というのは、中東地域全体、ひいては国際社会全体の安定にとって極めて重要であるということがございます。

 それで、次に、国際社会が平和であって安定をしていること、これは我が国自身の安定と繁栄に不可欠であるということであります。そして、不可欠でありますので、その実現に向かって積極的に我が国として貢献をしていかなければならないということであります。

 イラクに対して自衛隊を派遣することを決めたということは、こうした考え方に基づいて我が国が主体的に決定をしたということであります。

 よりもう少し詳しく申し上げると、イラクを、例えばテロリストの横行する破綻国家、これにしないようにするためには、やはり、イラクが復興して新しい国家として立ち上がるということが大事ですので、国際社会全体としてイラクに支援をする必要があるということです。そして、我が国がそのために貢献をする。これは、人的な貢献として自衛隊を送りますけれども、それだけではなくて、いろいろな、資金、自衛隊を含む人的な支援、これは我が国にとって国益でもあるという考え方であります。

 それで、日米関係、日米同盟との関係ですけれども、まず、日米の関係というのは日本の外交のかなめであるというふうに考えていまして、国際社会がいろいろな問題があるときに、それに対して日米両国が協調してやっていくということは我が国にとって重要であるということです。我が国が国際社会の責任ある一員として行動をするということは、我が国が米国にとって信頼できる同盟国であるということに通ずるというふうに考えているわけです。

石破国務大臣 何に基づいて出すかといえば、イラク特措法に基づいて出すわけであります。日米安全保障条約に基づいて出すわけではございません。

 今外務大臣から御答弁がありましたように、私、日米同盟の信頼性をさらに高めるという意味は持っているのだろうと思います。イラクに自衛隊なんかを送らなくたって、それは、日米安全保障条約というものは直ちに影響を受けるものではないでありましょう。それで、アメリカ合衆国が日本の防衛義務を果たすということは、イラクに出そうが出すまいが一緒じゃないかという御議論は、それはそれとしてある議論なんだろうと思っています。

 しかしながら、やはり私は、日米の信頼関係、あるいは安全保障体制と申し上げてもよろしいが、それは、一片の紙という、日米安全保障条約だけで成り立っておるものではない。やはりお互いの信頼関係というものが大事なのだろうと思っています。その中において、我が国が憲法の範囲内において法律に基づき人道支援を中心に行うということは、私は、日米関係の信頼を、日米安保体制の信頼性をさらに高めるものであり、そのことこそが我が国の国益に資するものである、このように考えておる次第でございます。

松本(剛)委員 日米同盟を強化するとかいうふうに今おっしゃった部分が、信頼性を高めるという表現をとられたんですかね、おっしゃった部分があろうというふうに思うんですが、イラク特措法に基づいては当然でありまして、その特措法をつくられるという判断まで含めて冒頭のところからお聞きをしているわけです。

 この日米同盟の、日米安全保障体制と言うのが正確でしょうね、石破長官も、これが世界じゅうに広がるものではないというふうに、先週も、「日米安全保障体制というものが世界じゅうに広がるとか、そのような考え方を持っておるものではございません。」こうおっしゃっておられるわけです。今のお話を伺うと、当然、国連の要請があったと、これは解釈もいろいろあるところだと思いますけれども、先週おっしゃっておられましたが、一四八三号の決議を指しておっしゃっておられるんだと思いますが、イラクがそういった形で復興に支援を必要としている国である、そして米国と協調をして当たるということは大変重要なことであると。これが日米同盟だと先ほど外務大臣がおっしゃったと思うんですが、国際的な課題に協調して当たると。

 こうなりますと、世界じゅうどこでもそういった問題を抱えているところがあり、米国も、これは復興支援なり何らかのことをしなければいけないということがあったときには、信頼性を高めるというためには、論理的には日本は世界じゅうどこへでも出ていく可能性があり得る、こういう理解でいいわけですか。これは外務大臣にお伺いしましょう。

川口国務大臣 今引用なさったことの前に申し上げたことは、イラクに自衛隊を送るという決定は我が国の主体的な決定であるということをまず申し上げたわけです。その理由については先ほど言いましたので繰り返しませんが、そういった主体的な決定がまず初めにありきということであると思います。

 そして、日本とアメリカというのは、先ほど申し上げたように、価値観なりさまざまなことを共有している国であるわけですから、そういった世界の課題に我が国が国際社会の責任ある一員として対応していくということは、同盟関係にある国として、もう片方の同盟国であるアメリカとの間で信頼性を高めることに通ずるであろうということを申し上げたわけです。

松本(剛)委員 ですから、主体的に判断をされれば世界じゅうどこへでも行けるという理解でよろしいわけですねというふうに申し上げているわけです。もちろん、その判断があることは前提で結構です。

川口国務大臣 行けるということをおっしゃっていらっしゃることの意味ですけれども、先ほど来申し上げていますように、イラクに送るということは、日米安保体制を超えたものであるわけです。日米安保体制、日米安保条約に基づいてイラクへの貢献を考えるということではない。条約の権利義務関係に基づいてこれを考えているわけでは全くありません。これはまた違う話であります。

 それで、日本は既に、ルワンダにも行っていますし、ティモールにも行っていますし、ゴラン高原にも行っていますし、さまざまなところに行っているわけです。それは、我が国がそれぞれ、今挙げた例ですと、国連の要請にこたえて人的な貢献をするということで自衛隊を派遣したということですから、今、世界じゅうどこにも行けるんですねというお話からいえば、既に行っていますということであると思います。それは日米安保条約と全く別なものであるということであります。

松本(剛)委員 今政府が重視をするとおっしゃっておられる、日米同盟を大切にするという考え方。この同盟という言葉がどういう、安全保障条約、安全保障体制を超えるものである、より広いものであるというお話はわかりましたが、どんな広いものなのか。アメリカとの信頼性を高めるためには、アメリカへの協力というのはやはり大変重要であると。もちろん、主体的な判断があるということはわかっていますが、同時に、信頼性を高めるということがプラスになるかならないかということも判断の一つの材料として入っておられるということであろうというふうに思います。

 この場合、アメリカの政権のやり方次第によっては、やはりアメリカにとって信頼性を高めるためには、協力をするのがアメリカが喜ぶことであることは、それは間違いないだろうというふうに思います。ですから、アメリカの政権の方針いかんによっては相当な協力も求められる。それが、今の政府が重視する同盟という関係だという理解でよろしいわけですか。

川口国務大臣 日米同盟関係というものは、これは日米安保体制のみを指すものではないということです。

 それで、一般に日米同盟関係というのは、まさに先ほど申しましたように、日米安保体制を基盤とはしているけれども、いっぱいいろいろ共通しているところがある、価値観あるいは利益も共通をしている。そういうことがある二つの国として、安全保障面、経済面、政治面、さまざまな面で国際的に協力をしていくという関係であるわけです。

 それで、それに基づいてすべて判断をするのかということでおっしゃっていらっしゃるとするならば、我々は、イラクのケースで申し上げたように、我が国の国益に基づいて判断をしているということであります。

 一つの例を挙げれば、私が環境大臣のときに一生懸命に取り組んだ京都議定書というのがあります。アメリカは入っていません。日本はこの京都議定書のルールづくりに大変に大きな貢献をして、これを可能にしたというようなケースもあるわけです。

 我が国は、国益に基づいて主体的に決定をしていくということであります。

松本(剛)委員 環境の問題にまで付言をされましたが、むしろそうであれば、しっかり環境の問題についても米国に対してもっと物を言っていただきたいということは申し上げておきたいと思いますが、これはここで議論をすると長くなるかと思いますので、私の意見としてお聞きをいただきたいと思います。

 申し上げたいのは、総理は北朝鮮のこともあるからというようなこともおっしゃっておられますが、それは違うという理解でよろしいですか。

川口国務大臣 日米同盟関係あるいはいかなる同盟関係であったとしても、それを築き上げていくために双方が努力をしていくということは重要であるというふうに思っています。それは、同盟関係というのはお互いに選んでいるわけですから、お互いが魅力ある存在でなければいけないという関係だと思います。

 もともと日本とアメリカというのは、非常にさまざまな、考え方、利益、そういうものをともにするベースが非常に広いわけですね。だからこそ同盟関係がつくれるという言い方もできると思いますし、日米安保条約の中にも、そういう考え方については、まさに安保だけじゃなくて協力という言葉が入っているわけですから、そういうことについても触れているということであります。

 ですから、コアは条約である。そしてその外側に、同じ意識を持つ二つの国としていろいろ、世界の中の同盟関係というふうに小泉総理とブッシュ大統領とおっしゃられましたけれども、そういう広い協力の分野がある。それをやっていくということが、日米の同盟関係、そこに重要な信頼性、相互の信頼性、それを強化していくことに通ずるものがあるということであります。

 そういう同盟関係、お互いの信頼性がなければ、何かあったときに自分の国の青年の血を流して日本を守ろうというふうにはなかなか思わないということであって、そのためには同盟関係の強化というのが重要であるということだと思います。

松本(剛)委員 北朝鮮の問題があるという理解でいいわけですね、大臣。そのことについてのお答えを今いただいたのか、いただいていないのか、はっきりしない御答弁だったと思いますが。

 条約というものを御所管になっている外務大臣でいらっしゃると思います。もちろん、人のやることですから、一片の紙では済まないと先ほど防衛庁長官はおっしゃった。これは、その言葉の意味も私も全く否定をするわけではありませんが、国と国の間で条約をし、批准をし、そこで権利と義務をいわばお互いに決め合うわけでありますから、そして、今お話があったように、日本とはもう条約を結び続けるのには足らないということになれば、条約を改定するという話もそれは出てくるであろうというふうに思います。

 しかし、今おっしゃったように、北朝鮮のことがあるから今行かなければいけないというような論理が成立をする、今の川口大臣の答弁はそのことを否定されなかったというふうに私は理解をしたわけでありますけれども、これは、我々も日本とアメリカとの関係は大変重要だというふうに思いますが、我々がやるべきこと、できること、そして、アメリカはある意味では世界じゅうを常に、世界の警察という言い方をされる場合もあるように、世界じゅうを見る。これに信頼性を高めるために、我々は本当にどこまで出ていくのか、みずからに歯どめをかけておく。ある意味では、ですから、日米安全保障条約というのに地域の、まあ地域というのか性質というのかわかりません、極東条項についても議論がいろいろあったことはここで繰り返しませんけれども、一つの歯どめがかかっている。これを、今の日米同盟の両大臣がおっしゃっていた論理で行く限りは何も歯どめがなくなってしまう。もちろん特措法に基づいて行くわけですが、特措法を出して成立させて行くという過程から考えたら、何も歯どめがかからなくなってしまう。

 主体的に判断をする、その主体的な判断に関して、当初からの歯どめというのは何もなく、そのときそのときの総理なり内閣がお決めになるという歯どめだけですよね。それ以上の歯どめはないという理解じゃないですか。もう時間が限られていますから、何かほかに具体的なことがあるのであれば、お話しいただきたいと思います。

石破国務大臣 特措法だから時の内閣の思うままというのは、それはよくわからないお話でございまして、私どもが、内閣として、時の政府が、これに対してこのような法律が必要であるということで法律を提出をし、それを成立されるのは、否決されるのは、国権の最高機関たる国会が立法府として行われるわけですから、私は、これは民主主義国における最大の歯どめであるというふうに考えております。

松本(剛)委員 この点については、私どもは昨年の選挙のマニフェストでも申し上げましたが、政府と与党の使い分けというのはぜひやめていただきたい。政府、与党一体であるわけでありますから、今、議院内閣制で過半数を持っておられれば、事実上、もちろんそれですべてだとは言いません、当然議論があることは認めます。しかし、今回のイラク特措法でも、かなりの高い可能性で、総理、内閣がお決めになったら出せるという形になる、このように言わざるを得ないのではないかと思います。

 時間が限られていますから、幾つか質問の通告をさせていただいておりましたが、一点、イラクへの人道復興援助ということについて、防衛庁長官、外務大臣にそれぞれお答えをいただきたいと思います。イラク全体の復興の計画なり、その中での日本の位置づけということもお伺いをしたいんですが、時間がもうわずかになってまいりました。

 相当いろいろな形での復興の援助がイラクでは必要だろうというふうに思いますが、なぜ自衛隊がサマワで人道復興援助をすることにしたのか。復興援助が必要な、ニーズがある地域はかなり広いだろうというふうに思いますが、サマワで復興援助をすることにした理由、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。

石破国務大臣 一つは、委員御指摘のとおり、ニーズがあるということですね。医療であり、あるいは教育現場であり、あるいは水でありというようなニーズがあるということ。そして、非戦闘地域の要件を満たし、なおかつ治安が安定している、それがサマワを選んだ理由でございます。

松本(剛)委員 このイラク特措法を読みますと、今回の人道復興援助というのは、イラク特別事態、つまり、今回のイラク戦争で発生した被害を救援するということであろうというふうに思いますが、その理解ではないということですか。違いますか。防衛庁長官、どうぞ。

石破国務大臣 そのように因果関係に基づいて特別事態というのを規定しておるわけではございません。

松本(剛)委員 イラク特別事態、この第一条のところを読ませていただいて、いわゆる今のイラク戦争、武力行使及びこれに引き続く事態、これをイラク特別事態というふうに書いてあると思いますが、そこの因果関係はないということですか。

石破国務大臣 一条に合致する事態という意味でそのように考えております。

 ですから、先ほど申し上げましたように、イラク特別事態というのはそこに書いておるとおりのことでございまして、戦争による被害というような因果関係を規定をしたという理解は持っておりません。

松本(剛)委員 例えば、今回、自衛隊の方々は給水をされる。暫定的な給水が望ましいのか、恒久的な水道施設を整えることが望ましいのか、こういったことを含めて議論があるだろうというふうに思いますが、水道そのものは戦争によって被害を受けたのか、いつから被害を受けたのか、そういったことは把握をしておられますか。

石破国務大臣 戦争によって被害を受けたとは承知をいたしておりません。

 いわゆる湾岸戦争後、特に、スンニ派ではないシーア派の地域でありますサマワにおいて、水に限らず、社会的な基本的なインフラの整備がおくれておった、あるいは、かつて整備がされておったとしても、それの維持補修が相当におくれておったということに起因するところが大であるという理解を持っております。

松本(剛)委員 そうすると、この人道復興援助というのは、整備がおくれていた、いわば途上国援助のようなものもすべて包含をするという、このように理解をするものなんでしょうか。

川口国務大臣 先ほど防衛庁長官がおっしゃった一条の特別事態、ここに書かれていますことは、国連決議三つが書いてありますが、「並びにこれらに関連する同理事会決議に基づき国際連合加盟国によりイラクに対して行われた武力行使」、その次ですが、「並びにこれに引き続く事態」というふうに一条に書いてあるわけです。

 それで、なぜサマワかということですけれども、先ほど防衛庁長官もおっしゃったように、ここがさきの武力行使によって大きな被害に遭ったというふうには承知をしていませんけれども、そもそも、四半世紀の期間、圧制によって疲弊をしていて社会基盤がおくれていたということに加えて、政権が崩壊をし、住民が困難な状況に置かれ、いろいろな必要が大きいという判断があった。したがって、この一条に書いてある「武力行使並びにこれに引き続く事態」、要するに、政権が崩壊をして、そして、その後いろいろな問題が生じたということがサマワにおいて生じているわけでして、それに対応するということであるわけです。

 したがって、先ほど防衛庁長官がおっしゃったように、一条に基づいてというのはそのとおりであるということです。

松本(剛)委員 人道復興支援活動については三条の一号に定義をされておると思いますが、「イラク特別事態によって被害を受け若しくは受けるおそれがあるイラクの住民その他の者を救援し若しくはイラク特別事態によって生じた被害を復旧するため、」というふうに書いてある。四半世紀にわたるものが特別事態だというふうに読むということに解釈をされるという理解でよろしいんですか。

川口国務大臣 先ほど申しましたように、今おっしゃったような、四半世紀における圧制の疲弊状況というのはあったわけですけれども、申し上げたいのは、それに加えて、政権が武力の行使によって崩壊をした、そして、住民がその結果として非常に困難な状況に置かれたという事態があるわけですね。それが先ほど一条で申し上げた「武力行使並びにこれに引き続く事態」ということであって、ですから、武力行使が行われて政権が崩壊をした、それによって住民が非常に困難な状況に置かれたということを申し上げているわけで、そのベースとして、今までの長い疲弊の状態というのがあったということであります。

松本(剛)委員 時間が来たので終わりますが、またお伺いをする機会があると思います。この議事録を拝見させていただいて、改めてお聞きをいたしたいと思います。

 最後に一点、これも前原委員が申し上げたことと重複をすると思いますが、これは防衛庁長官にお願いだけさせていただいて、終わります。

 サマワにおける迫撃砲の攻撃は問題がない、バグダッド空港については十分に注意を払う必要があるといったようなことを、事態が発生したときの記者会見等でもおっしゃっていたように記憶をいたしますが、どちらもやはり、私も現地へ行ったわけでありませんし、情報がつかめておりませんが、かなり注意を払うべき事態ではないかというふうに思います。

 陸上自衛隊は、大変今回は大きなテーマとして行っていることは事実であろうというふうに思いますが、引くに引けないからという御判断になられないことを祈って、私の質問を終わりたいと思います。

斉藤委員長 次に、木下厚君。

木下委員 民主党の木下厚でございます。

 先ほど来、外務大臣あるいは防衛庁長官から国益というお話が盛んに出ています。これは、国益という問題については、これまでも随分議論されてきました。私は、違った角度からちょっとこの問題を議論してみたいと思うんですが、我が国の外交、安全保障、あるいは経済、金融、あらゆる分野で国益を守っていく、そのためには、やはり外務省の情報収集あるいは分析、あるいは危機管理能力というものが極めて重要になってくると思うんですが、今回の米英軍によるイラク攻撃だけではなく、北朝鮮問題、あるいは中国問題、ロシア問題、すべて、どうも外務省のやっていることは、十分に情報収集、分析、あるいは的確なものをしていないんじゃないか、そんな思いがしているところでございます。

 そこで、その一つとして、奥克彦大使並びに井ノ上一等書記官の殺害事件について、重ねて質問させていただきたいと思います。なお、肩書については当時のままとさせていただきますので、御了承をお願いしたいと思います。

 まず、これはこの前ちょっと触れたと思うんですが、もう一度、奥参事官の当時の任務と身分について具体的にお話をいただきたいと思うんですが。

    〔委員長退席、西田委員長代理着席〕

堂道政府参考人 お答え申し上げます。

 奥大使は、当時、在英国の大使館参事官でございましたけれども、イラクの復興支援に関する我が国政府の種々の任務にかかわるために、イラクへ長期出張しておりました。

 奥大使は、これらの任務遂行の過程で、最初はORHA、いわゆる復興人道支援室でございますが、その後、CPAで緊密にその連絡をしておりましたが、奥大使は、あくまでも外務大臣の指揮下に置かれて任務を遂行したものであります。

木下委員 それではお伺いしますが、ORHAの設立経緯と目的についてお伺いしたいと思いますが。

堂道政府参考人 お答え申し上げます。

 ORHAでございますが、当初は、イラクの人々に電気、医療といった基本サービスの再開を始めるということから始めまして、イラクの復興人道支援のために、暫定政府ができるまでということでございますけれども、連合の活動とあるいはNGO、その他の国際機関との活動を調整するという目的で設立されたものであります。

木下委員 ORHAはいつできましたか、何年何月。それから、所管の官庁はどこですか。

堂道政府参考人 ORHAの設立は、二〇〇三年の一月二十日、米国大統領の国家安全保障指令というものによって設立されたと承知しております。所管の官庁は、アメリカの多くの省庁がかかわっておりますけれども、国家安全保障局が主管していると承知しております。

木下委員 所管は国防総省、ペンタゴンじゃありませんか。もう一度確認します、ペンタゴンじゃありませんか。

堂道政府参考人 ORHAの組織でございますけれども、先ほど申しましたとおり、米国国家保障会議、いわゆるNSCの下に設立された米国政策の実施機関でございまして、大統領が国防長官を通じて指示を出す仕組みになっていると承知しております。

木下委員 このORHAというのは、今御答弁いただいたように、要するに、イラク戦争の始まる前に既につくられていたわけですね。二〇〇三年一月二十日に設置されたわけですが、これを設置したのは、もちろんブッシュ大統領の命令によって、ラムズフェルド国防長官やチェイニー副大統領、そういった人たちの指示で、フランクス中央軍司令官らによるいわゆるイラク攻撃のオペレーションを練り上げるとともに、イラク制圧後の占領統治プランを準備させる、そのためにつくったわけですね。これは間違いございませんか。

堂道政府参考人 ORHAでございますが、最初の設立は今申し上げた経緯でございますけれども、最初にクウェートに設立がされたと承知しております。

 それで、米軍による武力行使がございまして、それとあわせて、先ほど申しましたとおり、人道復興支援、それから将来の政権に向けての文民統治への準備を進める、こういう目的でつくられたというふうに承知しております。

木下委員 イラク攻撃が始まったのが三月二十日です。ですから、一月二十日に既に国防省内、ペンタゴンの中にORHAというものができて、そしてイラクの攻撃のオペレーションをここで練っていたわけです。そして、イラク制圧後の占領統治プラン、これを一生懸命やっていたわけですね。ラムズフェルド国防長官あるいはチェイニー副大統領、こういった人たちの指揮のもとにやられていた。

 このORHAの最大の設立の目的は、一つは石油問題なんです。世界第二位の埋蔵量を持つイラク、この原油の利権は、これまで二十四年間、フランス、ロシア、ドイツ、これが一手に握っていた。これを何とかして取り返そうというのがORHAの、あるいはラムズフェルドとかチェイニーさんの、あるいはそれをバックにした、いわばネオコンの人たちの思惑だった。

 そして第二に、いわば戦後のイラク復興のビジネスなんです。そして、既に御承知のように、ORHAのトップに任命されたのはジェイ・ガーナー元陸軍中将。このガーナーさんは、九一年の湾岸戦争当時はサウジに駐屯し、パトリオットミサイル部隊の司令官として活躍された。そして、退官後は、世界最大の軍需産業であるロッキード・マーチン社の子会社の社長、こういう経歴の人がORHAの室長になっていたわけです。

 これは間違いございませんか。

堂道政府参考人 当初の責任者は、先生も指摘されましたとおり、ガーナー退役陸軍中将であったと承知しております。

木下委員 では、もう一度お聞きします。

 奥参事官が派遣されたORHA、先ほどのお話だと長期出張という形でイギリスから急遽派遣されたわけですが、このORHAへの参加についてはアメリカからの要請があったわけでございますね。外務大臣、お答えください。

堂道政府参考人 当初アメリカから要請があったかどうかということでございますけれども、そういう要請に基づいて派遣したものではないということでございます。

木下委員 そんないいかげんなことを言っちゃいかぬですよ。要請があったから急遽行ったんでしょう。実質的に、ORHA、これは軍事占領ですよ。それに派遣するにはやはり派遣命令書が正式に出せない、そういうことで長期出張という形にしたんじゃありませんか。

 では、お聞きしますが、米英以外でORHAの求めに応じて正式に辞令を出して派遣した国、これはどんな国がありますか。

堂道政府参考人 ORHAに職員を派遣した国としましては、米国以外でございますけれども、英国それからオーストラリア、韓国、デンマーク等があると承知しております。

木下委員 それは、この奥さんが書いた「イラク便り」にも書いてあります。

 そして、奥参事官のORHAにおけるポジション、地位というのはどういう立場だったですか。どうぞお答えください。

堂道政府参考人 最初に申し上げましたとおり、奥大使、当時は英国大使館の参事官でございましたけれども、ORHAの任務に従事していたわけではございません。私どもとしましては、ORHAが人道復興支援にかかわるということのためという目的で設置されたと理解しておりまして、それとの連絡調整を行うために派遣したものであります。

木下委員 奥参事官のポジションは、国際法学者のマイケル・モッブズ文政官が担当する文民統治部門、ここにあったわけですよ。そして、直属の上司はティム・クロス次長というイギリス陸軍准将ですね。いわば、奥さんは軍人の部下として活動していたんじゃありませんか。もちろん外務大臣のいろいろな指図を受けていたんでしょうが、実質的には、奥参事官のオフィスはORHAのあるサダム・フセイン宮殿の中にあって、そして、常に一緒に行動していたわけです。そうじゃありませんか、外務大臣。

川口国務大臣 先ほど来、堂道局長が御説明をしていますように、奥大使は私の指揮のもとで、私のもとにあって調整をやっていたということであります。日本国政府とORHAの間の調整をやっていた、そういう意味では、もちろんORHAの人たちと接触を綿密にやっていたということであります。

木下委員 そんなうそを言っちゃだめですよ。この「イラク便り」の中に奥さんはちゃんと書いているんですよ。

 この中の、例えば二十六ページ、これは井ノ上書記官がORHAに入ったときのことを書いています。「井ノ上書記官はガーナー局長の事務局員として、私がクウェートから一緒に車を運転してきたゴレジノフスキー事務局長の片腕として働くことになっています。」こう書いてあります。あるいは、「井ノ上書記官の事務局参加をガーナー局長以下幹部も大変歓迎してくれています。」こういう記述があります。あるいは、三十ページには、私が所属するORHAも忙しくなればなるほど復興のペースが上がってきたということでしょう、こう書いています。あるいは、九十七ページ、これは彼が悩んでいる。これはORHAからCPAにかわったときのことを書いています。「我々も、ORHAの一員なのか、CPAの一員なのか、あるいは両方なのか人それぞれに色んな解釈をする有様で、現場が混乱しています。」「我々も、」と書いてあるんです。

 要するに、身分がはっきりしなかったんです。そうじゃありませんか。それは外務大臣のいろいろな指揮に基づいていても、実際に現地にいる奥参事官は、気持ち的にはORHAの一員として一生懸命に占領統治あるいは復興その他について一緒になって動いていた、これはもう「イラク便り」なんかではっきり書いています。外務大臣、どう説明しますか。

堂道政府参考人 奥大使が、当初はORHA、その後CPAでございますけれども、そこで勤務をし、大使館と連絡調整したのは事実でございます。その中で、先生御指摘のとおり、奥大使がいろいろな活動をしたということも広く知られております。

 その基本的な目的は、最初からございますように、人道復興支援及びその復興のためにORHA、CPAがその中心的な役割を果たしてきた、これに対して日本としても参加していこうという目的で活躍したということでございます。

木下委員 ORHAの設立から、それからイラク戦争後の復興統治、この動きを見ていると、まさにかつて日本であったような、イラク版のGHQですよ。そういったところに日本の外交官が参加して活動すること、これは許されるんですか。外務大臣、どうですか。それだけ主体的に向こうのORHAの人たちと一緒になって活動している、これは許されることですか。

川口国務大臣 繰り返し申し上げていますように、奥大使は私の指揮下にあって、CPAやORHAの任務に従事をしていたわけではないということであります。

 それから、奥大使がORHAのそういう調整業務をやっていたということが我が国の憲法との関係で問題になるのかならないのかということにつきましては、これは、まず米国等が軍隊を駐留させてイラクに対してその復興を図る、そのために暫定的な施政、これを行う中で我が国がORHAによるイラク復興のための民事部門の活動に対して人的な協力を行ったとしても、それ自体は武力行使ではないということであります。それから、このようなORHAを通じた人的な協力を行うことによって、我が国が武力行使を行うという評価を受けるものでもない。

 いずれにしても、奥大使は私の指揮命令下にあったということであって、このことについて特段の問題が生ずるというふうに考えておりません。

木下委員 そんなへ理屈言っちゃだめなんですよ。それは、外務大臣がどう説明しようが、あるいは日本国内でどう説明しようが、イラクの人たちというのは、あれだけ奥参事官があちこちORHAの人たちと一緒に行動している、言葉を言えば、占領軍の一員として見ていたんですよ。国内で幾ら、外務大臣の指示を受けて動いています、それは国内だけで通用すること。イラクへ行ったら、やはりアメリカの占領統治の一員なんですよ。

 だから、テロがあれだけ起こって、そして一時期、ORHAから日本人のスタッフは退避せよという、あれはORHA側ですか、それとも日本側からそういう指示が出ているんですか、出たことがあるんですか。

堂道政府参考人 今、奥大使の退避のお話をいただきましたけれども、私ども、恐縮ですけれども、その事例について直ちに承知しておりません。

木下委員 それだったらなぜ、例えば、先ほど米英以外にオランダ、韓国、オーストラリア、これが正式な辞令を出してORHAに入れたと。何で、三カ月あるいは長期出張で身分不安定なまま、そういう活動をさせたんですか。きちんと辞令を出してORHAに入れればいいんですが、入れられない事情があったんでしょう。どうなんですか。

堂道政府参考人 先ほど、ORHAに派遣している国は米国以外はどこだという御質問をいただきましたときにお答え申し上げましたけれども、数カ国ございますが、これらの国がどういう身分でいかなる手続で派遣したかまで、私どもとして承知しているわけではございません。したがいまして、正式にこれらの国がORHAに派遣したということまでは承知しておるわけではございません。

木下委員 その点は、私は前から、調べておいてくれと申し上げているはずです。この質問をしようと思ったのは二週間前ですよ。そのときから、私はきちんと身分を調べておいてくださいとお願いしていたわけです。これはきちんと調べてください。

 それから、もう一つ問題なのは、このORHAにかわって、CPA、これがつくられたのは、ORHAが余りにも軍事色が強過ぎる、そういうことでブッシュ大統領がブレマー元オランダ大使を派遣してCPAをつくったわけでしょう。そして、ORHAはその一部門に格下げされ、そして六月一日、ORHAはCPAに権限を移譲し、ガーナー室長はイラクを去っている。そして、奥参事官はそのままORHAから今度はCPAへ移って、また同じ仕事をしている。

 そして、このCPAというのは、これは先ほど言いましたように、ORHAが余りにも軍事色が強い、しかも米英中心ということで、二〇〇三年五月二十二日、例の一四八三、これが採択されて、そして、六月一日にCPAができたわけですよ。ですから、それができる前の、国連決議一四八三が採択される前は、米英の占領統治の中に、要するに奥参事官はまともに入って活動していた。そうじゃありませんか。どうですか、大臣。

堂道政府参考人 ORHAができた経緯、それから、安保理決議一四八三が五月二十二日にできたこと、その後、六月一日にCPAが設立されたこと、この流れは先生御指摘のとおりだと思います。

 しかし、このORHAへの派遣でございますが、奥大使の派遣は、あくまでも連絡調整及び情報の収集ということでありまして、ORHA及びその後のCPAもそうでございますけれども、その任務を遂行するために我が国として派遣したものではございません。

木下委員 そんないいかげんな答弁をしちゃだめですよ。せっかく奥大使が、これだけの活動をして、これだけの本を残された。私は何回も読みましたよ。本当に一生懸命になってやった。そして、活動すればするほど、彼はどっぷりとORHAの中に入っていったんです。ですから、どこへ行っても、奥参事官は動けば動くほど顔が知られる。そして、奥参事官はORHAの人間だ、アメリカの占領統治の人間だ、そう言われて、だから、ここに苦しみがいっぱい書いてありますよ。

 なぜもっときちんと身分をしてやらなかったんですか。あるいは、少なくともイラク大使館が再開してからは、井ノ上さんはきちんとした辞令を持って行っている。三カ月の、あるいは長期出張では、いわばロジ業務は、ロジはどうやってやるんですか。予算がつくんですか、きちんと。

 だから、あれは上村臨時大使ですかが着任してからは、今まで使っていた防弾セダン、強い防弾のものは上村臨時大使に渡し、自分は軽防備しかしていないランドクルーザーに乗って、そして射殺されたわけですよ。ちゃんと普通の大使館で現地へ行けば予算がつく、警備もきちんとしたものがつけられる。それが支援です。後方支援です。ロジですよ。ちゃんとそれだけの手当てをしてやりましたか、どうですか。

北島政府参考人 お答え申し上げたいと思います。

 外務省におきましては、現地の在外公館等に発令されているか、ないしは出張という形で現地に滞在しているかにかかわらず、常に職員の安全確保のために最大限の措置をとっているということでございます。発令の有無によって職員の安全確保に差が生じることはございません。

 お尋ねの、奥大使についてのロジはどこがやっていたのかという点でございますが、これは大使館でございます。

 防弾車の話が出ましたけれども、奥大使のケースにつきましても、奥大使が長期出張であるということを理由として在イラク大使館員と異なる警護態勢となっていたことはございません。ですから、防弾車にしましても、何を使うかというのは、そのときの状況に応じて使われていたということでございます。

木下委員 ですから、これは、先ほど来言っているように、要するに、日本側は、外務大臣は、私の指揮下で動いていた、これは日本国内だけでしか通用しないんですよ。さっきも言いました。イラクへ行って、そして奥参事官は必死になって動いた。そして、動けば動くほど、先ほども言いましたように、ORHAの人間になっちゃったんです。そして、いろいろな利権が絡む、利害が絡む、反米運動も起こる、テロも起こる、そういう状況の中で殺害された。

 しかも、ラムズフェルド国防長官、チェイニー副大統領、先ほど言いましたように、ORHAの仕事というのは、石油の利権確保と、そして戦後の復興支援なんです。だから、それについて奥参事官も何とか日本も加えようと、そして岡本行夫さんもそれに沿って動いていたわけです。

 実際に、では、もう既にあれだと思うんですが、ブッシュ大統領の主要な人たち、例えばラムズフェルド国防長官、彼は、ロッキード・マーチン社の社外重役、軍事ハイテク機器メーカーであるゼネラル・インスツルメント社の元会長。チェイニー副大統領、油田関連サービスのハリバートン社の元会長。その子会社のケロッグ・ブラウン・アンド・ルート、KBR、ここはイラクの油井の消火、復旧作業を一手に引き受けた。しかも、ハリバートン社は、イラク復興事業をめぐって、ガソリン代金の水増し請求や社員の収賄などの疑惑が浮上している。

 しかも、最近の日経新聞によると、チェイニーさんがかかわっていたハリバートン、米国防総省が発表した二〇〇三会計年度、二〇〇二年十月から三年九月の同省関連事業の企業受注額ランキングで、多額のイラク復興事業を受注した米油田サービス大手ハリバートンが、二〇〇二年度の三十七位から実に七位に浮上している。しかも、米軍からイラクの油田修復事業を請け負った子会社、ケロッグ・ブラウン・アンド・ルートの受注額は二十一億七千万ドル、この大半を占めているということです。

 ですから、私は、今回のイラク戦争が本当に、ブッシュ大統領あるいはその取り巻きたちによる、まさに正義なき、これはもうその後いろいろ言われています。アメリカも今、ブッシュ大統領に対して、正義なき、あるいは大義なき戦争であったというような形で揺れ動いています。イギリスも同じ。この点のきちんとした情報を、あるいはしっかりとした方針、これを示せないまま、奥参事官をああいう形で派遣した、私は、その犠牲になった、そのことだけをお伝えして、質問を終わります。ありがとうございました。

川口国務大臣 委員が誤解をしていらっしゃるように思いますので、ぜひここで、ひとつ誤解を解いていただきたいというふうに思います。

 奥大使が行かれたというのは、先ほど来申し上げているように、我が国の人道復興支援との関連でORHAあるいはCPAと緊密に連携をしていくということが大事であったからそういうことをしたわけであって、本来、CPAに配置されるべきであるというふうにおっしゃっていらっしゃるようですけれども、それは、我が国のために奥大使は仕事をしたということであって、私の指揮下にあって出張という形をとっているということが一番適切な形であったということであります。ということが一つ申し上げたい。

 それから、先ほど官房長が言いましたように、出張者であったということは奥大使の安全に何ら影響を与えているものではないということです。

 それから三番目に、これは非常に大事なポイントだと思いますけれども、奥大使は占領軍の一員と見間違えられてイラク人に殺されたというふうにおっしゃっていらっしゃるように私には聞こえましたけれども、少なくとも私どもはそういうような確たる情報を持っておりません。

 ということでありまして、奥大使はいかにイラクの人たちに愛されていたか。これは、奥大使の亡くなられたときに、それに際していろいろな言葉がイラクから寄せられたということからも明らかであります。イラクの人たちに占領軍の一員だから殺害をされたというようなことを、もし委員がそう思われてヒントなさっていらっしゃるんでしたら、そういうことではないということを申し上げたいと思います。

木下委員 一言だけ。

 私は、イラク人に殺されたなんて一言も言っていません。そこだけは訂正しておいてください。

西田委員長代理 これにて木下厚君の質疑は終了いたしました。

 次に、伴野豊君。

伴野委員 民主党の伴野豊でございます。

 この委員会におきましては二回目の登板ということで、できるだけ同僚議員と重複しないように、国民の皆さん方の素朴な疑問をできるだけ御理解いただけるように質問をしていきたいと思いますので、もう既に委員会が始まりまして二時間半を超えておりますが、私も相当疲れておりますが、委員の各位も皆さん方疲れていると思いますが、あと一時間程度だと思いますので、両大臣の方も頑張っていただきますようよろしくお願いします。

 では、まず、きょういただいたペーパーから質問をさせていただければと思うんですが、私が神経過敏なのかもしれませんが、まず一番目の中で、二月十二日にアビザイド米中央軍司令官のファルージャ訪問中、死傷者は出なかったものの、同地のイラク市民防衛隊の本部が攻撃を受ける事件が発生、これを今、外務省からのペーパーでいただいたわけでございますが、まず外務大臣、この事件についてどう認識、あるいはどう分析していらっしゃるか、お答えいただければ。

川口国務大臣 国際社会やイラク人やみんながイラクの復興のために懸命になって努力をしている中で、イラクの復興に対して邪魔をしようというふうに考える人たちがいるということについては、これは大変に残念なことだというふうに私は思います。

 イラクの市民防衛隊ということですから、これは、イラク人がイラク人の手でイラクの治安を守っていくということは非常に重要な、今後を考えたときに大事なことであって、それを妨害しようとしている勢力があるということは大変に遺憾であるというのが私の感想でございます。

伴野委員 防衛庁長官はどのように認識され、分析されていらっしゃいますでしょうか。

石破国務大臣 外務大臣と同じ認識でございます。

伴野委員 それで、そういう御認識だと思うんですが、これは間々あっていいことなんでしょうか、異常なことなんでしょうか。いかがでしょうか。外務大臣に。

川口国務大臣 ちょっと質問の御趣旨がよくわかりませんけれども、我々としては、こういうことは一つでもあってはいけないというふうに思っているわけです。

 それで、どうしたらこういうことを少なくすることができるかということであるわけですけれども、今イラクに対して復興支援をするということは、まさにそのイラクの人たちがいい生活ができるようになる、普通の生活ができるようになる、そして政治のプロセス、これをきちんと進めていって、六月の末に主権をイラク人の手に渡すということが非常に重要である。そういうことをやって、将来に希望を持ってもらって、そういうテロ等が起こらないようにするということが重要であると思います。

 そういうテロが起こるということ自体が、まさに主権の移行、安全について、イラク人の手でそれを行っていくということをおくらせる障害になるということで、大変に残念に思います。

伴野委員 間々あっていいのか、異常なのかということからすれば、当然あってはいけないことだと私も認識しておりまして、私はちょっと考え過ぎなのかもしれませんが、司令官の行動が漏れているとすると大変なことだなというような認識をしているんですが、そんなことはないんですよね。外務大臣、いかがですか。

川口国務大臣 どういう状況でそのテロが行われたか、それがアビザイド司令官をねらったものなのかそうでないのか、そういうことについては確たる情報を持っておりません。

伴野委員 そう言われるだろうとは思っておりましたが、漏れていないことを私としては期待するしかないわけでございます。

 次へちょっと行かせていただきたいわけでございますが、次は二枚目。二枚目を開いていただくと、三つ目のフレーズの中に、最後のところですね、「いずれにせよ、選挙に関する知見を有する国連の十分な関与を確保しつつ、イラク内の各派の間で幅広い合意を得ていくことが重要であり、今後とも、政治プロセスの動向を注視していく必要があります。」と。注視ということでございますから、ずっと見ていくのかなということでございますけれども、一部有識者の中には、今回一部の部族を排除したがためにいろいろテロ的な活動が頻発しているというような見識もあるわけでございます。

 そういった、一部を排除しているからテロが頻発しているというお考えに対して、外務大臣、どういう御認識をされているのかというのと、やはりこれは注視していくだけしかないんでしょうか。日本として何か積極的にかかわる方法は、すべはないんでしょうか。いかがでしょうか。

堂道政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、部族間の関係あるいは民族間の関係でございますけれども、御指摘のとおり、治安情勢に関しまして申し上げれば、スンニ・トライアングルにおいてかなりの事件が集中している。米軍に対する攻撃もそうでございます。そこはいわゆるスンニ派というところでございまして、このスンニ派の中において、もちろん連合軍に対する攻撃が一番激しいということは言えると思います。そのことから申せば、やはり、イラクにおいてはスンニ、クルド、シーアとございますけれども、基本的に、今後のイラクの将来を考える際に、このスンニ派をどういうふうにするのかというのは認識しておくべき課題だというふうに私どもも認識しております。

 それから、先生御指摘の選挙の点でございますけれども、選挙については、先ほど外務大臣より御答弁申し上げているとおり、今、国連の調査チームが入りまして、国連の知見を得て、その上で今後の将来について検討していこうという状況でございます。

 直接選挙、間接選挙、いろいろ議論がございますけれども、そういう議論を踏まえてこれから決めていこうという情勢でございますので、そういう意味で、私どもとしても、アナン事務総長の訪日等ございますし、そういう機会を利用して注意深く情勢をフォローしていく、日本としての考え方も場合によってはきちっと伝える必要があるというふうに認識しておるところでございます。

伴野委員 こういった地域において有効な情報をとるというのは危険と背中合わせになっているわけでございますが、できるだけ危険を回避していただきながら、有効な情報を各部族から主体的にとっていただけるように、お願いと祈念をしておきたいと思います。

 さらに、ちょっと、四つ目のフレーズの中で、同じようにこれは、今度、国連にどう働きかけていくかというところで、先ほども少し同様の質問があったやに聞いておりますけれども、アナン事務総長が訪日の際に、我が国として可能な限りの働きかけをしていくということでございますけれども、具体的に今の時点で何か、こんなことをお願いしていくとか、こんなことを働きかけていくという具体的な何かあれば教えていただけますか。

川口国務大臣 我が国として、ずうっと国連がより大きな形で関与をしていくということが重要であるということは、武力行使の前から言ってきたことであるわけです。

 私も、最近、二度ぐらいアナン事務総長と電話で話をさせていただきました。そういった中で、特に選挙のプロセスについて国連がより大きな関与をしていくということが重要であろうというふうに考えていますということも申し上げました。それから、国連は、新しいこういった状況で政府ができるという過程について、今までさまざまな知見を持っているわけでして、そういった知見を使って関与をしていくということが重要であるというふうにも申し上げました。

 いずれにしても、国際社会で、今後のイラクの動いていく過程で、国連がもっと大きな役割を果たしていくということを望んでいるという観点から、そういうことを申し上げているわけです。

伴野委員 続いて、五つ目のフレーズの中には、今度は、サマワ周辺地域の部族代表やその他の有力者を日本にお招きするという項があるわけでございますが、これは直観的に考えると、よりいい関係を持つということであれば、こちらから出向いていってもいいような気もするわけですし、また、そんな重要な人に、今こちらに、日本に来ていただくような暇があるのかなというような感じもするわけでございますけれども、具体的にどんな効果を期待してお招きするのでしょうか。

堂道政府参考人 お答え申し上げます。

 最初にお配りしましたこの報告でも触れておると思いますけれども、私どもとしましては、自衛隊による人道復興支援と人物招聘やODAによる支援をいわば車の両輪として連携させて、可能な限り迅速にイラク支援を進めるというふうに考えている次第であります。

 そういう観点から、例えば、自衛隊を派遣するサマワ周辺地域の各部族関係者等の地元有力者にも日本の対イラク復興支援に対する理解を深めてもらい、協力を得ることが重要だというふうに認識しているわけでございます。そのため、サマワ周辺地域の部族関係者等を日本に招聘することを考えているということでございまして、現在、タイミングや人選については検討中でございます。

 なお、現地におきましても、自衛隊を含めまして、これらの部族の方々の何人かとは既に接触をしている状況でございます。

伴野委員 最後は、大臣にぜひお答えいただきたいんですが、緒方貞子さんの人間の安全保障というのは御存じだと思いますけれども、このペーパーの中にも、自衛隊の派遣、人物をお招きすることやODAによる支援を車の両輪ということを書いていらっしゃるわけでございますが、そういった緒方貞子さんの人間の安全保障という考え方は、これからのODAに関して加味されていくんですか。いかがでしょうか。

川口国務大臣 人間の安全保障という考え方は、非常に今の世界にあって大事な考え方であると思います。地域、一つの国の中での紛争、国内での紛争、国内避難民、あるいは国境を越える避難民、さまざまな現象がずっと出てきているわけでして、国がそれぞれの個人を守っていくということが当然だとは言い切れない世界になってきているわけですから、そういう意味で人間の安全保障という考え方は非常に重要であると考えております。

 我が国として、ODAの中に草の根・人間の安全保障無償というカテゴリーを持っておりまして、その中でそのために必要なことを支援していくということをやっております。それから、国連の中にも人間の安全保障基金というのができておりまして、これに対しても我が国は相当大きな金額をこの基金に支出しています。

伴野委員 外務省の職員の皆さん方におかれましては、とにかく危険を回避しつつも、主体的な日本のかかわり方、特に国連主導の復興を目指して、ぜひ情報をとっていただきますよう、そして御活動いただきますよう心から祈念をして、続いて、こちらの、防衛庁さんからいただいたペーパーについて、防衛庁長官から二、三お聞きしたいんですが、二点お聞きしたいと思います。

 「二月十日及び十二日に宿営予定地付近で不発弾等が複数発見され、オランダ軍がこれを処理しました。」とありましたが、これは、今の行っている自衛隊では処理しちゃいけないんでしょうか。あるいは、技術的に処理不可能だからオランダ軍にお願いしたんでしょうか。このあたりはいかがでしょうか。

西川政府参考人 お答えいたします。

 防衛庁から行っております部隊でありましても、ある程度の力、能力はございますが、原則として、第一段目といたしましては、治安を維持しておりますオランダ軍、これが第一義的にやっておりますので、今回、そこに連絡いたしまして処置をしたと。原則的に、やはりそういう形のすみ分け的なことをもっとやっていきたい、こういうふうに考えております。

伴野委員 今、お仕事のすみ分けというお話が出たわけでございますが、すみ分けが仮にないとしたら、今行っている部隊は不発弾を自分たちで処理する能力は今有している、それはいかがでしょうか。有しているのか、していないのか。

西川政府参考人 その能力ですとかはちょっとここで具体的にはあれでございますが、あるかないかについては、ちょっと、部隊全体の安全がございます、ちょっとそこは答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが。

伴野委員 後日教えていただくわけにはいきませんか。お取り計らいいただけますか。

西川政府参考人 部隊の中の編成とかそういうことにわたり、能力云々にわたることが敵にわかれば、敵といいますか相手方に、不法行為を行う者にわかれば、安全性等にいろいろ問題がございますので、それなりの、例えば、いろいろ不発弾を発見するための基本的な力は当然持っていること等は言えますが、どの程度云々という具体的なことについては御勘弁いただきたいと思います。

伴野委員 そう言われちゃうとなかなか追及しづらいところもないわけじゃないんですが、要は、素朴な疑問として、自衛隊が自己完結であってほしいわけで、私は、個人的には別に自衛隊がやっていただいても問題ないと思っているんですよ。逆に、見つけたらすぐやった方が、動いた方がいいと思いますからね。そういう観点なんです。

 それで、続いて、今オランダ軍の話が出ましたので、少し、これは私の地元へ帰るとこういう質問をぶつけられた、これはもう本当に一般の方でございます。どうも自衛隊がオランダ軍に守られて、確かに治安の部分と自衛隊のやることが違うという整理の中かもしれませんが、どうなんでしょう、防衛庁長官、今オランダ軍にしてもらうような仕事を今後自衛隊がすることがあり得るのか。いや、現行法ではやはり無理なんだ、今オランダ軍がやってくれている仕事ですね、これは無理なのか、このあたり。あるいは、もし将来自衛隊がその仕事をするとすれば、イラク特措法では無理だから新法で対応しなきゃいけないんだということになるのか。このあたりはいかがでしょうか。

石破国務大臣 このあたり、結構話が錯綜しておりまして、まず、最初に先遣隊が入りましたときには、オランダ軍がイラク国内に入った後はエスコートしたというのがございました。これは、何しろ初めて入るものでございますから、土地も不案内であるということがありまして、現地の治安に責任を持ちますオランダ軍にエスコートをお願いした、向こうもやってくださったということがありました。本隊が入りましたときは、エスコートはついておりません。それは、今委員がいみじくも御指摘になりました、自己完結である自衛隊が、エスコートはオランダにお願いしますなんというようなお話にはなりませんわけで、基本的に自分の国の部隊は自分の国で守る、当たり前のことでございます。

 したがいまして、現在キャンプ・スミッティにおりますけれども、これが新しい宿営地が完成をいたしました暁には、警備というものは当然自分たちで行うということになります。それとオランダ軍が地域の治安に責任を持つということは、また別の問題でございます。

 それでは、何か新しい法律が必要なのかねということでありますが、今自衛隊がやろうとしておりますのは、法律に基づきまして人道復興支援、そして安全確保支援ということであります。それでは、安全確保そのもの、別の言い方をすれば治安維持そのものが果たしてできるであろうかということにつきましては、これは御議論が必要なのだろうと思っております。ストレートに憲法九条に違反するからだめというようなことを申し上げるつもりはございませんが、これは憲法との関係というものをよく精査した上でなければ難しい。

 いずれにいたしましても、今のイラク特措法で治安維持活動ができるということにはならないのは、先生御案内のとおりでございます。

伴野委員 では、状況がどうなるかは別として、おいおい自己完結になっていくという解釈でよろしいんだと思うんですが。

 それで、続いてもう一つペーパーに関連することとして、ロケット弾が十二日にサマワ中心部に発射されたと。ここには、「隊員の安全確保に重大な影響を与えるものであるとは考えていません。」と書いてございますけれども、これも私が過敏なのかもしれませんが、もしや我が国の自衛隊の真ん中に落ちたらというようなことも考えないわけでありませんで、例えば、迫撃弾がどれぐらいの射程距離を持っているのか知りませんが、考えられる射程距離のところの警備を強化したとか、何か対策は打たれたんですよね。

石破国務大臣 半径何キロとか、そういう数字を申し上げるわけにはまいりません。また、今自衛隊はオランダのキャンプ・スミッティにおりますので、オランダの警備状況につきまして、我が方が強化したとかいうことについて申し上げるわけにもまいりません。

 ただ、この事案がありました。迫撃弾に対してどのようにしてまず事前に情報を察知するか。つまり、この場合も、あるいは先般のビリヤード場ですか、撃たれたというのも、夜間とか明け方まだ暗いうちとか、そういう時間なわけですね。そういうような時間ですから、幾らよそ者が来たらわかるとか、怪しげなことをすればすぐ通報体制があるとかいいましても、夜の夜中とか明け方まだ暗いうちとか、そういうことだとなかなかそういうのがきかない場合もございます。

 そうすると、夜間でも見渡せるという能力はある程度持たねばならぬであろう。そしてまた、何キロということは申し上げられないということを申しましたが、そこの警戒というのもやっておかねばならぬだろう。まず、撃たれないこと。迫撃弾にいたしましても、急に一分二分でぱっと持ってきてどんどん撃てる、こういうものではないわけで、事前に準備というものはある程度必要です。そうすると、必ず準備行為というものがあるはずなのであって、それをどのようにきちんと察知をするか。そして、仮に撃たれた場合にどうするかということにつきましては、当庁内におきまして、本当にありとあらゆるケースを想定して議論はいたしておるところでございます。

 今回の件があったから特にばたばたと慌ててというわけではございません。従来より行っておることをさらに精査してまいりたいと思っております。

伴野委員 質疑時間もあと十分を切ったんだと思いますが、イラク復興に向けての諸課題、いろいろ山積しているかと思いますが、その中で幾つか気になることを時間の許す限り質問させていただきたいと思います。

 まず、先ほどの議論の、前のお話に戻ってしまうかもしれませんが、イラク住民の今の意識といいますか、特に反米意識といいますか、先ほど、特定地域の住民や部族を除いたためにいろいろ起こっているんじゃないか、そういう御意見もあるというお話をいたしました。最近起こっている事件なんかを私なりに考えてみますと、CPAに協力しているイラク人がソフトターゲットになっているんじゃないかな、そんなような危惧もしているんですが、外務大臣は、どんなふうにそのあたり分析していらっしゃいますでしょうか。

堂道政府参考人 お答え申し上げます。

 連合軍は、イラクの治安の確保に向けてイラク人の治安部隊の増強をするという政策を統治評議会等とも確定して、そういう方針で進んでおります。イラク治安部隊のその増強は、ことしじゅうには二十二万人という形で、その目標になっていると承知しております。

 その中で、米軍に対する攻撃も引き続き一定の地域、特にスンニ・トライアングルで続いておりますけれども、同時に、イラクの治安関係者、特に警察についての被害というのがふえているという状況にあると承知しております。

伴野委員 とにかく、専門家でも部族、宗派対策も複雑怪奇とまでは言いませんが複雑で、びっくりするぐらいの部族と宗派の傾向があるというふうに聞いておりますので、なかなかその一つ一つを対策とるというのは難しいのかもしれませんが、ぜひともきめ細かくやっていただくとともに、今一番やはり現地で危惧されているのは雇用対策ではないかと思うんですね。

 この地域は、農業が中心という一方で、セメント工場なんかもあり、オランダ軍がその一部を復興させて雇用対策の一助を担っているというお話があるわけでございますが、ただ、そういう小さな雇用対策も重要なんですが、やはり主要産業の復興計画の中に、イラク人の考えといいますか、イラク人を主体的に入れていくということもこれから重要なんじゃないかな。その中で日本がとるべき仕事というのはたくさんあるんじゃないか。

 このあたり、主要産業、特に発電所、製油所の復興計画に日本はどう今後かかわっていくのか、今お考えがあれば教えていただけますか。

川口国務大臣 イラクが、イラク人がオーナーシップを持った形で、イラク人がみずから、みずからの復興に一生懸命になってやっているという状況をつくりながら支援をしていくということは、大事なことだというふうに思います。

 我が国が今幾つかの分野について、これは十五億ドルの無償という話をしましたけれども、その中で、幾つかの分野について我が国がやるのが適切であろうという分野がございますけれども、おっしゃった電力というのは、かつて我が国が電力について支援をしたという経緯がありますので、そういった発電所、変電所のリハビリと修復ということは一つ大きな分野であると思っております。

 それで、当面、十五億ドル無償でという世界で必要なことをやるわけですけれども、その先、イラクが自立をしていくために、みずからの強い産業基盤を持っていくということは大事である。特に、石油産業ということはイラクの一つの大事な外貨獲得源ですから、これをきちんといい形にしていくということは重要であろうと思います。そのあたりというのは、当面の、ここ一年とかいうことをさらに超えて、中長期的に考えていくということであると思いますし、その段階では民間企業がかなり参加をする形で復興ができるような状況になっている、あるいは、そうでなければまたやっていけないということであると思います。

 今後、民間企業が日本のみならずいろいろな国から入って、それぞれの持てる技術や能力を生かしてイラクの復興に支援をしていくということが大事なことだと思います。

伴野委員 質疑時間が来ましたので、最後に、私だけではなく、今回のこのイラクの問題で、いろいろな方がいろいろな立場で学ばれたと思うんです。両大臣におかれても、相当の御経験を今回積まれたのではないかと思うわけでございますが、それを生かしていただく意味においても、国家においての改革というのは安全保障抜きには語れないと私は思っております。

 ぜひ、今回の御経験を生かして、二十一世紀の日本の安全保障のあり方をぜひとも御提言いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 以上です。

西田委員長代理 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょう、この当委員会に、外務省が「イラクの治安情勢」という二枚紙を出されました。大変大事な出来事について触れていると思います。

 二ページ目の四の項目に、二月十四日、十五日、イラク周辺国外相会議が開催された旨、記録をされております。そして、そのイラク周辺国外相会合、その会合終了時に出された声明の要約がここに出ております。

 非常に、イラクの周辺国が今、イラクの人道支援、復興支援、イラクの安定にとって何を考えているかということを知るのは、日本にとっても大事なことだろうと思うんですが、実は、その周辺国会合の声明の要約がせっかく出されていながら、マスコミ等で報道されているこの周辺国会合では、占領軍が撤退する状況を国連がつくり出す、声明にはそういうくだりもあるんですが、この要点には触れられていません。それはなぜでしょうか。外務大臣。

川口国務大臣 おっしゃったことというのは、これは声明の中で「国連はイラクの暫定統治期間中、重要な責任を負っており、(イラク再建において)国連の担う役割を増進する重要性を強調する。」というふうに書かれています。そして、「右は、早急に占領軍が撤退する状況を創り出すこと、新憲法の準備及び選挙実施のために専門家を派遣すること、更に、イラク国民が自国を統治し天然資源を活用する権利を回復するためにも、早急に権力をイラク国民に移譲することを含む。」ということが書いてありまして、これはもうとっくに決まっていることでありまして、昨年の十一月十五日にCPAとそれから統治評議会との間で合意ができて、六月の三十日、末にイラク人に政権を移行するということが決まった話、それをここに書いてあるということでございます。

 なぜこのお配りした二枚紙からこれを落としたかということでございますけれども、これは、その一部は「国連の担う役割を増進する重要性を強調する。」というところに入っているわけでして、今申し上げたのは、それがその後に書いてあることであって、その宣言文自体でもその後に書いてあることでありまして、もう当然に決まっていることであるので、あえてここに書かなかったということであると思います。

赤嶺委員 私、今、このイラク周辺国会合の声明の中で注目すべき新しい点、つまり、国連の責任として占領国の占領を、早急に占領軍が撤退する状況を国連がつくり出すこと、ここに触れたものが、これは非常に大事なことでありまして、それが皆さんの要点に触れられていないのは残念なことであります。

 ところで、皆さんが翻訳した仮訳、この中には、全文がここは出ておりますが、ただ、その仮訳の中を見ていても、そしてこの要点を見ていて、今外務大臣が読み上げられた「暫定統治期間中、国連が担う役割を増進する重要性を強調。」こうあるんですけれども、間に欠落した部分があるんですね。

 それは、国連はイラクの暫定統治期間中、中心的な責任を負っており、国連の担う役割を増大させる、国連が暫定統治期間中、中心的な役割を持ってほしいということがこの会議では出ているわけです。私は、そういうぐあいに今回の会議の声明を理解しているんですが、外務大臣、いかがですか。

川口国務大臣 国連の安保理決議のたしか一四八三であったと思いますけれども、きちんと占領軍の役割が規定をされているわけです。その占領軍の役割というのが、まさに今委員がおっしゃった、暫定統治期間中の役割として規定をされているわけで、そこには、国連がその役割を果たすという書かれ方はしていないわけです。

 したがって、これは周辺の国々としてそういうことを希望している、国連を激励するといいますか、国連にそういうことをやってほしいと思っているんだということを知らせるという意味で周辺国が書いたということであろうと思いますけれども、実際、六月三十日に移行するまで、主権が移転をされるまでの間は、国連安保理の決議によって占領軍がその役割を果たすというふうに規定をされているということであります。

    〔西田委員長代理退席、委員長着席〕

赤嶺委員 ですから、私、この周辺国会合が今イラクの復興のために何を望んでいるのか、今回の声明によくあらわれていると言いました。一四八三で米英の占領という問題が定められ、そして一五一一で国連が中心的な役割を果たす上で、その決議に賛成をした諸国でも、なお、国連のかかわり方に対する米英の態度が不十分だという共同声明つきの決議がありました。

 私、今、イラクの状態というのはもう大変な事態になっていると思うんですよ。サマワは比較的安全だという、あの地域で砲弾の爆撃があって、通報する地域社会の仕組みがあると言われていたのに、早朝や深夜は無理だろうと。治安にすきありというんでしょうか、そういうことが起こると、いろいろな取ってつけたような弁解をしていくような説明がある。そして、新聞等でも、親米勢力と反米勢力の内戦に広がっていくんじゃないかという不安が出されている。

 そういう中で、イスラム周辺国が、やはりイラクを早く復興させるためには、占領軍の撤退の条件を国連がつくってくれ、そして政治プログラムにおいても国連がもっと中心的な役割を果たしてくれ、これはイスラムの周辺国だけの希望ではないと思うんですよね。

 皆さんは、コアリション、米英中心の占領が、そこに協力することがイラクの治安につながるかのように言っておりますが、イラクというのは、国際社会全体が力を合わせなければ復興できないというのははっきりしております。

 私、ここにコアリションの国々の名前を書いた紙を持ってまいりました。これはホワイトハウスのホームページからとったものです。このホームページでコアリションの国々を紹介しているんですが、去年の四月三日の時点で、アメリカを含めて四十九カ国の名前があります。そして、ことしの二月四日の時点で比較すると、イラクの復興のために国際社会の力が広がっているかといえば、同じ四十九カ国なんですね。そして、新しい国もない。同じ名前の国々ばかりです。

 やはり、イラクの周辺国が心配をしている米英占領のイラク国民に対する横暴な、掃討作戦に見られるような横暴なやり方、国連が中心になっていないあり方、これがイラクの復興をおくらせている大もとにあるんじゃないかと思いますが、その点、いかがですか。

川口国務大臣 我が国もずうっと、武力行使前から国連の役割が重要であるということは一貫として述べてきているわけです。それは、多くの国がそういうことを言っている。それに反対をするという国は恐らくないわけでして、ただ、先ほど申しましたように、一四八三においては、当局は、「国際的に承認された代表政府が、イラク国民により樹立され当局の責任を引き受けるまでの間、」権限を行使するということが書かれているということでございますので、それをやるのは、占領軍がこれをやるということは、国連によってオーソライズされているということであるわけです。それで、同時にその一四八三では、「国連が重大な役割を果たすべきであることを決意」ということが前文に入っているわけでございます。

 ということで、我が国としても、それについてはできるだけ国連がそういう役割を果たすようにということを事務総長等に働きかけてきているということであります。

赤嶺委員 私が申し上げているのは、米英の占領当局、占領行政の枠組みの中で国連の役割の重要性を主張しても、これは世界の国々の信頼を得ることにはつながらないんです。国連にまず中心的な役割を与える、そして国連は米英占領軍の撤退の基盤と条件をつくり上げる、こういうことをこの周辺国の声明の中でははっきり出しているんです。

 外務省の仮訳のところで疑問に思うのがありますが、その二のところに、国連はイラクの暫定統治期間中、重要な役割を負っている、これは外務大臣も先ほどそのように答弁いたしました。重要な役割を負っているというところは、報道と違うものですから、どうも変だと思いまして、それで外務省に原文を求めたんです。アラビア語の原文を持ってまいりました、せめて英語のものが欲しかったんですけれども。そこで、私たちのアラビア語を読める、そういうスタッフの人たちに、きのう晩遅くでしたけれども、大急ぎで翻訳をさせていただきました。

 原文のところは、アラビア語では、皆さんが重要な役割、重要と訳しているところはニフワリーア、これはアラビア語で中心的、このように言っているそうです。それから、ロイターの記事、発信しておりました。ロイターもこの部分は、皆さんが重要な役割という部分はセントラル、中心的なということで、明らかに、国連が果たすべき役割の位置について、それを米英の占領の枠内でもっと重要な役割を負えよと。いわば、米英の占領を支援するようなやり方を求めていくのか、米英の占領の枠組みを外して、国連が中心的な役割を果たすべきだということなのか、この違いがあると思うんですよ。それで、日本政府は前者の立場に立っていらっしゃる。

 こういうことでは、本当に国際社会から一致協力したイラクの復興への支援は得られない。一年たっても四十九カ国、そしていつまでも四十九カ国、国内の治安は荒れ放題、そういう状態になっていくと思いますけれども、この点はいかがですか。

川口国務大臣 少し現実的に物事を考えてみたいと思うわけでございますけれども、国連は今国際職員は一人もイラクの中にいません。みんな国外に退避をしている。それから、デメロさんの後任である特別代表、まだ任命されていません。代行が一人いるということでございます。

 いろいろな国の国連に対する思いというのは、日本も含めてありますけれども、現実的に、では国連が今、そういうことの責任を担い、イラクの中において治安を維持していく能力が本当にあるだろうか。思いを述べるということは、この声明でもやっているわけですし、それはあると思いますけれども、現実に今大事なことは、六月の末までにイラク人に対して主権を戻すために復興を行い、治安を維持する、治安を回復するということであるわけです。

 それで、先ほど来申し上げていますように、決議の一四八三において、その責任を果たすというのは、統合された司令部、オーソリティーである、要するに占領軍である、米英軍であるというふうに書かれている、そういうことであります。

赤嶺委員 外務大臣は、本当に事態の深刻さを何も理解していないと思います。国連がそういう状態だからこそ、イラクの周辺国は、国連が中心的な役割をもっと果たしてほしいという要望が出ているのであって、そして今、米英占領軍が撤退する条件をつくる、基盤をつくる国際的な努力がどんなに大事であるかということを主張しているのであります。四十九カ国、大したものじゃないかというお話がありましたが、そういう感覚だから世界の支援は得られないと思います。

 四十九カ国の内訳というのは、イスラム諸国会議機構五十七カ国のうち七カ国です。アラブ連盟は二十一カ国一機構のうち一カ国です。湾岸協力会議は六カ国のうち一カ国です。G8は八カ国のうち四カ国です。安保理事国は十五カ国のうち六カ国です。これが本当に、世界の力が合わさったイラクの復興につなぐことができるのか。ここの大もとは米英占領当局の姿勢にあるということを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。

斉藤委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳でございます。

 質問がしんがりになりまして、いろいろ、各委員の共通の関心事というか、論点が集中をしておりまして、重なる部分があるかもしれませんが、両大臣にはお許しをいただきたいというふうに思います。

 最初に、治安情勢の関係で幾つかお聞かせをいただきたいと思いますが、去る二月十日朝、バグダッド南方のイスカンダリヤで警察署への自動車爆弾テロと思われる事件が発生をして、五十人以上が死亡したというふうに報じられております。この事件などとの関連で、イラク国内の反米武装勢力は、イラク人警官を占領者米国の手先とみなして警察署などへの自爆テロを重ねておる、もう既に警察官が約三百人犠牲になったという報道もございます。

 一方で、二月の十一日には、バグダッド中心部のイラク新国軍の新兵募集事務所に同じように自動車爆弾テロと思われる事件があり、四十七名が死亡したという報道もございます。

 これらの自動車爆弾テロを総合いたしますと、六月末のイラク主権移譲期限を前にして、イスラム教シーア派が多い地域の情勢を不安定化させて、シーア派とスンニ派を反目させることをねらった可能性が強い、こういうふうに論評する人もおります。

 いずれにしろ、警察やあるいは新国軍の新兵募集事務所への攻撃、これらは、六月を目標に進められている主権移譲の前提になる治安そのものを打ち砕くというふうな意味が込められておるのではないかというふうに考えるんですが、両大臣の所感があればお聞かせをいただきたいと思います。

石破国務大臣 いかなる目的を持ってやったかということについて、私は確たることを申し上げるだけの知見は持っておりません。

 しかしながら、私は、シーア派とスンニ派を反目させるというような論評については、さて、いかがなものかなという感じは持っております。

 ただ、今回のいろいろなことを概観して思いますのは、警察がやられ、新国軍がやられ、あるいは小学生が爆弾で死傷するというようなことを見てみますと、米英占領統治に反対するイラク国民がそれに対して自爆テロをしかけたという見方は、必ずしも当たらないのではないだろうか。むしろ、これは断定的なことは申し上げられませんけれども、そのことによってイラクに自由と民主主義が根づくということについて、何らかの不利益あるいは不愉快な気持ち、そういうものを持つ、イラク国民の大多数とは反する勢力もしくは外国の勢力によるものであると考える方がかなり筋が通ったものではないかというふうに、私は個人的には考えておるところでございます。

川口国務大臣 イラクが新しい民主的な国家として復興をしていくためには治安が重要であって、それをイラク人の手でやっていくというために、警察それから軍というのが今組織をされ、訓練をされかかっているわけです。

 まさに、占領軍を早く国の外に出して、イラクの独立を回復するためにはそれらのことというのは非常に重要なことであるわけですけれども、実際は、そういう人たちがソフトターゲットになっているということが今起こっていることであると思います。

 すなわち、イラクが新生イラクとして、新しい国家として国際社会でやっていくということをよしとしないグループ、これはさまざま想像がつくわけですけれども、そういうグループがこういったことをやっているというふうに考えます。イラクの復興を邪魔しようとする人たちがやっているということだと思います。

照屋委員 最近の治安情勢との関係で、私が注目をし、あるいはまた私たちが関心を払わなければならない出来事、それは二月十二日に起こった二つの事件だと私は思っております。一つは、米軍のアビザイド中央司令官がロケット弾による攻撃を受けたという事件。もう一つは、やはり何といっても、サマワの中心部でロケット弾による爆発事件が起こったということであります。

 この二月十二日のサマワでのロケット弾による爆発事件、これは今までずっと、外務省、防衛庁がサマワは極めて治安情勢安定をしているんだというふうに言ってきたことからすると、私は、恐らく外務省、防衛庁も、この事態というのを深刻にというか、真剣に受けとめておるのではないかというふうに思いますが、この二月十二日のサマワの件については、いかがお考えでしょうか。

石破国務大臣 先ほど伴野議員にお答えをしたことと繰り返しになったら恐縮でございますが、こういうことが、サマワにおいて迫撃弾の攻撃がないというようなことを所与のものとして、前提として、私ども、サマワにおいて行動するということを考えたものではございません。

 いろいろな可能性はあるであろう、しかし、比較的他地域に比べて治安が安定しているということは、いまだもって変わっていないと思います。しかし、迫撃弾がああいう形で撃たれたということは、これは重視をしていかねばならぬことでありまして、そのことについての我々の安全確保ということには、さらに万全を期すべく努力をしてまいりたい、このように考えております。

照屋委員 そのサマワのロケット弾の爆発事件に関しては、私はマスコミで、官房長官が深刻にこの事態を受けとめているというコメントを読ませていただきました。

 私は、やはり自衛隊の安全を確保するという点では、この事態を軽んじてはいけない、まさに官房長官がおっしゃるように、深刻に、真剣に受けとめて対処をすべきだということを申し上げておきたいと思います。

 もう一つ、治安情勢との関連では、二月十四日にイラク中部の、これはファルージャというんでしょうかね、そこで発生をしたロケット弾や自動小銃による組織的、計画的と思われるかなりの武装勢力による警察や保安隊などに対する攻撃、これは、これまでのテロ攻撃と違った様相を帯びているのかなという心配を持っているんですが、両大臣はどのように受けとめておられるんでしょうか。

川口国務大臣 ファルージャは、スンニ・トライアングルと言われる、今までもかなりテロ活動が盛んな地域の一部にあるわけでございまして、ここでまた、おっしゃったようなことが起こったということだと思います。

 それで、米軍等による掃討作戦なども行われているわけですけれども、引き続き治安の状況については注視をしていく必要があるというふうに考えております。

照屋委員 それでは次に、連合国暫定当局、CPAは、アブムサブ・ザルカウィ氏の書簡を公表いたしました。このアブムサブ氏は、イラクにおいて反米武装勢力の活動を指導していると米軍が見ている人物だと報道されております。このアブムサブ氏の、国際テロ組織であるアルカイダの幹部にあてたとされる書簡ですね。この書簡は、もう詳細というのは外務省、防衛庁は承知をしておられるんでしょうか。

川口国務大臣 これは、ザルカウィと思われる人物、思われる人物ですが、これがイラク国外にあてたとされる文書を収集、公表したということについては承知をしておりますし、その概略については聞いております。

照屋委員 この書簡ですね。米軍、シーア派、クルド人勢力に加えて、新イラク軍、警察を占領者の手先と断じて、力をつける前に標的にする、自爆対象にするということを明確にしているようでありますが、私もこれはCPAのホームページで見たものですけれども、この書簡の内容を、外務省あるいは防衛庁はどのように評価、分析をしておられるんでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。

川口国務大臣 これは、ザルカウィと思われる人物が国外にあてたとされる文書でございまして、本当にそうであるかも含めてよくわからないところがあるわけで、政府として、その内容に対して逐一コメントをする立場には必ずしもないというふうに思います。

 この文書が言っていることは、シーア派や米軍への敵対意識についていろいろ述べている。それから、イラク軍及び警察が強化され、イラクに統治権限が移譲されれば戦闘が難しくなると言って、シーア派に対する攻撃の必要性を強調するといった内容であるというふうに承知をしておりますけれども、これが本物であるとかないとか、いろいろわからないことが多いので、これについて、これがこのような位置づけの文書であろうということをコメントするということは差し控えたいと思います。

照屋委員 ほかにも通告をしてございましたが、時間でございますので、残りの件は後日また質問をしたいというふうに思っています。

斉藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後九時四十六分散会


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