衆議院

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第11号 平成16年4月12日(月曜日)

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平成十六年四月十二日(月曜日)

    午後四時開議

 出席委員

   委員長 斉藤斗志二君

   理事 小野寺五典君 理事 中谷  元君

   理事 西田  猛君 理事 三原 朝彦君

   理事 末松 義規君 理事 中川 正春君

   理事 河合 正智君

      江藤  拓君    金子 恭之君

      木村  勉君    倉田 雅年君

      後藤田正純君    近藤 基彦君

      桜井 郁三君    菅原 一秀君

      竹下  亘君    谷本 龍哉君

      玉沢徳一郎君    西川 京子君

      西野あきら君    野田 聖子君

      葉梨 康弘君    萩生田光一君

      早川 忠孝君    山下 貴史君

      山本 明彦君    池田 元久君

      生方 幸夫君    岡島 一正君

      神風 英男君    首藤 信彦君

      田嶋  要君    達増 拓也君

      長島 昭久君    原口 一博君

      伴野  豊君    前原 誠司君

      松本 剛明君    山田 正彦君

      横路 孝弘君    赤松 正雄君

      西  博義君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君    山本喜代宏君

    …………………………………

   外務大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   外務副大臣        阿部 正俊君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    西川 徹矢君

   政府参考人

   (外務省大臣官房領事移住部長)   鹿取 克章君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)   堂道 秀明君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  古田  肇君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長   高木 孝雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  木下  厚君     小宮山泰子君

同月十二日

 辞任         補欠選任

  今津  寛君     菅原 一秀君

  岸田 文雄君     葉梨 康弘君

  竹下  亘君     後藤田正純君

  橘 康太郎君     早川 忠孝君

  西川 京子君     山本 明彦君

  望月 義夫君     西野あきら君

  小宮山泰子君     神風 英男君

  赤松 正雄君     西  博義君

  照屋 寛徳君     山本喜代宏君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤田正純君     竹下  亘君

  菅原 一秀君     今津  寛君

  西野あきら君     望月 義夫君

  葉梨 康弘君     岸田 文雄君

  早川 忠孝君     橘 康太郎君

  山本 明彦君     西川 京子君

  神風 英男君     小宮山泰子君

  西  博義君     赤松 正雄君

  山本喜代宏君     照屋 寛徳君

    ―――――――――――――

四月五日

 イラク派兵反対、自衛隊の撤退に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四五六号)

 同(石井郁子君紹介)(第一四五七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四五八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一四五九号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四六〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四六一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四六二号)

 同(山口富男君紹介)(第一四六三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一四六四号)

同月九日

 イラク派兵反対、自衛隊の撤退に関する請願(穀田恵二君紹介)(第一五九四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一六二二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六二三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件(在イラク邦人人質事件)


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     ――――◇―――――

斉藤委員長 これより会議を開きます。

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件について調査を進めます。

 この際、在イラク邦人人質事件について政府から発言を求められておりますので、これを許します。川口外務大臣。

川口国務大臣 八日午後六時二十分、イラクにおいて三人の邦人が人質になったことを示唆する映像が存在するという情報が外務省にもたらされました。

 外務省では、直ちにイラク人質事件緊急対策本部を立ち上げ、関係在外公館と連絡をとり、情報収集に努めるとともに、御家族と連絡をとりました。また、逢沢外務副大臣をアンマンに派遣して、十日午前、逢沢副大臣を本部長とする現地対策本部を設置し、現地における体制を強化したところです。

 テロ行為はいかなる理由であれ許しがたい行為であり、今回の事件が発生したことは極めて遺憾であります。御心配されている御家族のためにも、拘束されている今井紀明さん、郡山総一郎さん、高遠菜穂子さんが一刻も早く無事に解放されるよう、外務省としても引き続き全力で取り組んでいく考えです。

 本件人質事件をめぐる動きとしては、昨十一日午前三時ごろ、これは日本時間でございますが、アルジャジーラより、三人を拘束しているとするグループが邦人の人質を二十四時間以内に解放することを決めた旨の報道がありました。他方、同午後十時過ぎ、アルジャジーラは、人質解放の情報を否定し、抵抗指導部の声明として日本政府に対する新たな要求を紹介する、ドレイミ氏なるイラク人の発言を報じています。また、その数時間後には、同人の発言を否定するイスラム宗教家の発言を紹介しました。

 このように、本件をめぐっては種々の情報がありますが、現在、政府としては、状況を的確に把握するための情報収集に全力を挙げており、ヨルダンの現地対策本部を指揮している逢沢副大臣及び在イラク大使館とも緊密に連絡をとりつつ、引き続き確認中です。

 犯行グループについては、サラヤ・アル・ムジャヒディンと名乗っていますが、この団体については、現時点でその正体は不明であり、現時点で犯人像について確定的なことを申し上げることは困難です。

 日本政府としては、本件事件の早期解決のために、引き続き最大限の努力を行っていく考えです。

 そのような努力の一環として、人質の安全かつ速やかな解放を求めた私のビデオメッセージを収録し、同メッセージは、昨十一日午前一時ごろ、ロイター及びAPTNにより全世界に向けて配信されたところです。

 また、CPA及び統治評議会を初め関係国政府等関係各方面への働きかけを引き続き行っているところです。私からは、直接、シャラ・シリア外相、シャース・パレスチナ自治政府外務庁長官、ハラジ・イラン外相に協力要請を行いました。これら働きかけを通じて、我が国はイラクの復興のために協力しているのであって、今回の人質事件がいかなる理由であれ許されない行為であるとの認識が共有されました。

 関係国政府等からは、本件の早期解決のために可能な限りの協力を得ているところであり、引き続き働きかけを行っていきたいと考えています。

 今回の事件発生を受けて、再発防止のため、イラクに滞在しているプレス関係者を含む邦人に対しては、イラクに退避勧告が発出されていることにつき再度明確に注意を促し、早急にイラク国外に待避するよう、改めて強く勧告をしているところでございます。

    ―――――――――――――

斉藤委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁運用局長西川徹矢君、外務省大臣官房領事移住部長鹿取克章君、外務省中東アフリカ局長堂道秀明君及び外務省経済協力局長古田肇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

斉藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

斉藤委員長 この際、政府から説明を聴取いたします。外務省中東アフリカ局長堂道秀明君。

堂道政府参考人 イラクの治安情勢について御報告申し上げます。

 イラクの治安情勢は、ここ数日来、緊迫化しております。三月二十八日に、CPAが、シーア派指導者の一人でありまして、反米で知られますムクタダ・アル・サドル師が主宰する週刊紙アル・ハウザを、反米行動を扇動したとして六十日間の発行停止処分としたこと、また、四月二日に、連合軍が、昨年のアブドルマジード・アル・ホーイ師暗殺への関与の容疑で、サドル師の片腕でありますムスタファ・ヤアコービー師を拘束したことを機に、ここ数日、イラク各地で、サドル師支持者と駐留連合軍との衝突が続いております。

 具体的には、四月四日、ナジャフ及びバグダッドで、サドル師の支持者によるデモ隊が駐留連合軍等と衝突し、エルサルバドル軍兵士を含め多数の死傷者が発生いたしました。五日には、バスラで、サドル師を支持する民兵組織マフディ軍を含む群衆が県知事公舎を占領いたしました。このほかにも、ナシリヤでは、四日より、サドル師の支持者による抗議デモが発生し、イタリア軍兵士が負傷、六日には、クートで、ウクライナ兵一名死亡、五名負傷、アマラやカルバラ等でも、衝突が発生する事案が生じております。

 五日、CPA報道官は、ホーイ師暗殺の容疑でイラクの司法機関がサドル師の逮捕状を出していることを明らかにいたしました。同五日、ブッシュ米大統領は、サドルは民主主義が繁栄するのを許すかわりに実力行使をする人物である、これをそのままにしておくわけにはいかない、我々は最後まで任務を続けなければならず、これを行っていく旨、発言しております。七日、駐留米軍のキミット准将は、我々はマフディ軍を壊滅するために攻撃を行う旨、述べました。

 また、シーア派の最高指導者でありますシスターニ師は、六日付でファトワを発出し、一連の事件の対処における占領軍のやり方を非難する、平和的方法を通じて事態の収拾を図ることを求めるとともに、さらなる混乱と流血につながる行為を避けるよう求めております。

 サマワでは、七日にサドル師の支持者によるデモが行われる予定でしたが、県側や部族代表等と話し合いを持たれた結果、一時中止されました。しかしながら、結局、九日に平和裏に実施されております。

 また、七日、サマワの自衛隊宿営地近傍にて爆発音が三回あったことが確認されておりますが、自衛隊員及び外務省職員に被害はありませんでした。また、日本時間九日でございますが、宿営地よりCPA方向で爆発があったことが確認されております。

 こうしたサドル師支持者との衝突とは別途、スンニ・トライアングルに位置し、三月三十一日に米国民間人四名が殺害される事件が発生したファルージャ等において、米軍により掃討作戦が強化されております。ファルージャにおいて七日に米軍によるモスクへの攻撃があった旨、大きく報じられておりますが、これに対し、米中央軍は、実際に空爆したのはモスクから離れた外壁であり、市民の犠牲者はなかった、モスク自体に損傷はなかった旨の発表をしております。

 九日に、ブレマー行政官は、ファルージャでの作戦行動を一時停止する旨の考えを表明していましたが、昨十一日に午前十時(現地時間)から十二時間の停戦が成立し、その後、統治評議会メンバーと武装勢力側との交渉により、停戦期限が十二日午前十時(現地時間)まで延長されることとなりました。

 六日、ラムズフェルド米国防長官は、こうしたイラク国内における状況を踏まえ米軍を増派する考えはないかとの質問に答え、現時点では米中央軍は計画に変更はないとしているが、いつでも増派要請を行うことができる旨、発言しております。また、四日、ブレマー行政官は、アラウィ貿易相の国防相への任命を発表しておりますが、イラク人治安要員の強化、増大も引き続き行われております。

 十日、マフディ軍は、シーア派の宗教行事でありますアルバインが開催される十一日は巡礼者の混乱を避けるためにカルバラでの戦闘行為を行わないようにとのメッセージを発出したとされており、この行事は大きな混乱はなく終了した模様でございます。

 現地の治安情勢については、今後とも、引き続き、十分に注意を払っていく考えであります。

 なお、政治プロセスに関しましては、国連報道官より、四月四日にブラヒミ国連事務総長特別顧問がバグダッドに到着した、同特別顧問及びそのチームの今次ミッションは暫定政府の設立及び選挙準備を支援する旨の発表がございました。

斉藤委員長 次に、防衛庁運用局長西川徹矢君。

西川政府参考人 イラク人道復興支援特措法に基づきます自衛隊の部隊の最近の活動状況について御報告いたします。

 まず、陸上自衛隊の部隊につきましては、公共施設の復旧、整備として、これまで、ムサンナ県ダラージ村の中学校の補修やルメイサ近郊の道路整備を実施してきたほか、給水活動については、サマワ宿営地において給水車への配水作業を行ってまいりました。

 医療支援活動についても、引き続き、サマワ総合病院における症例検討会に参加したほか、サマワ市の母子病院に供与されました医療器材を利用した診療技術の指導助言を実施してまいりました。

 他方で、サマワの陸自部隊においては、さまざまな情報に基づいて宿営地外での活動を慎重に行っており、現在、給水活動を中心に復興支援活動を実施しているところでございます。

 現地部隊におきましては、現地時間四月七日二十三時過ぎ、サマワ宿営地の近傍において、迫撃砲またはロケット弾によるものと思われる爆発音が三回あり、翌八日、捜索を実施したところ、宿営地北東数百メートル及び約一キロメートルの場所でそれぞれ弾着地点を発見し、また、サマワ市内アル・ヤシリ周辺で迫撃砲底板、弾薬箱、りゅう弾一発を確認したところでございます。なお、派遣隊員については全員無事を確認しております。

 また、サマワCPA付近で発生した爆発事案に関し、現地部隊においては、現地時間八日二十二時半ころに爆発音があったことを確認しております。

 このほか、現地部隊の報告によれば、九日にサマワ市内で二百ないし三百人規模のデモが発生いたしましたが、平和裏に終息したとのことでございます。ムクタダ・サドル師の支持者によるものと思われますが、詳細は不明でございます。

 これらの事案の詳細につきましては、現在、オランダ軍やサマワ警察と連絡をとりつつ、情報収集を行っているところです。いずれにいたしましても、現地情勢につきましては今後とも十分に注意を払いつつ、部隊及び隊員の安全確保に最大限配慮することが重要であると考えております。

 次に、航空自衛隊の部隊につきましては、一日から十一日までの間、人道復興関連及び関係各国、関係機関等の物資、人員の輸送を計五回実施したところでございます。

 また、十二日の朝、C130機の交代機一機が航空自衛隊小牧基地を出発いたしました。同機のクウェート到着後、しかるべき時期にC130機一機が帰国することになります。

 引き続き、イラク国内の各飛行場の安全性や輸送ニーズ等を慎重に勘案しつつ、C130機によります輸送を行ってまいります。

 続いて、海上自衛隊の部隊につきましては、輸送艦「おおすみ」及び護衛艦「むらさめ」がクウェートにおける陸上自衛隊の車両等の陸揚げを完了いたしまして、本邦への帰路にあったところ、八日、両艦とも無事本邦に帰着いたしました。

 なお、三月三十一日から四月四日までの間、先崎陸上幕僚長がイラク及びクウェートを訪問し、復興支援活動や安全確保に関する状況を、また、四月五日から八日までの間、津曲航空幕僚長がクウェートに展開している現地部隊の任務実施状況を確認したところでございます。

 最後に、イラクで日本人三名が武装グループに拘束された事案につきましては、防衛庁といたしましても、今後とも、官邸及び外務省等関係省庁と密接に連携し、人質の解放に向けて協力してまいる所存でございます。

 なお、本事案の発生を受け、安全確保の観点から、八日以降、現地の邦人報道関係者等をサマワ宿営地に受け入れているところでございます。

 以上でございます。

斉藤委員長 これにて説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

斉藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。

中谷委員 先日、イラクで発生しました邦人の人質事案に関しまして、政府は、現在、全力で取り組んでいるわけでございますが、一刻も早く人質が全員無事解放されるよう、引き続き、関係国、関係機関に最大限働きかけをいただきますように要望いたします。

 そこで、その上で、今回、政府は、イラクの自衛隊の派遣につきまして、継続するという決断を下しました。

 私は、今回、日本が示したこの態度は、まず、テロの卑劣な手段に対して、日本人を標的にしてもむだである、テロに日本は屈しない国であるということを示したと思います。そして、世界の中の日本、国際社会の一員としての日本の立場をしっかりと示すことができたと思います。

 この自衛隊のイラクへの派遣につきましては、イラクに平和と安定を築くために、そして、イラク人に夢と希望を持たせるために、しっかりとした信念とそして確かな根拠に基づいて派遣をいたしておりますので、幾ら脅迫してもこの思いははっきり変わらないということを日本人及び世界の人たちに示したと思っております。

 ここで思い出すのは、奥大使の言葉であります。奥さんはイラクの復興のために身をもって取り組んでおられましたが、奥大使が残した言葉は、私たちが酌み取るべきことはテロとの闘いに屈しないという強い決意ではないかということであります。私たちは、そのことを肝に銘じて、勇気を持って、このテロというものを撲滅し、そして、平和のために取り組んでいかなければなりません。

 この自衛隊の派遣につきまして、今、イラクを安定するということは、単にアメリカのためにやっているわけではありません。日本や世界の利益につながるものであります。世界の平和というものは一国だけの努力では成り立たない、だから、各国がイラクに部隊や兵を送って、日本も自衛隊を派遣しているわけでありまして、今、自衛隊を撤退させれば、これまで犠牲を出してもイラクの復興のために努力をしている国が見ればどう思うだろうか。

 政府は、非常に難しい判断となりますが、国際社会の一員として、このテロ組織の卑劣な要求に対して今後とも毅然たる態度で応じるべきだと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

川口国務大臣 政府といたしましても、人質になられた三人の方の一日も早い帰国が実現しますように、今、全力を尽くしているところでございます。

 そして、お尋ねのテロに対する政府の考え方でございますけれども、そもそも、無辜の民間人三人を人質にするということはあってはならないことであって、大変に遺憾に思っております。一国の政府の政策がテロリストのおどしによって変わることがあってはいけない、そういうことがあってはならないというふうに考えております。

 政府としては、今、中谷委員もおっしゃってくださいましたように、人道復興支援をイラクの人たちに対してしていくというのが基本的な考え方でございまして、自衛隊もそのためにサマワに行っているということでございます。イラクの人たちはこの日本の考え方を十分に理解し、そして、それを歓迎していると考えております。

 引き続き、イラクの一日も早い復興が可能となりますように、日本として全力を尽くしていきたいと考えております。

中谷委員 今回、今、日本が身をもって感じていることは、イラクの現状は、民間人のボランティアとかNGOの皆さんにとって極めて危険な地域である、とても単身で活動できるような地域ではないということでございます。

 イラクの自衛隊の派遣は、こうしたリスクがあるから、政府は民間人のイラク入りをやめるように再三呼びかけておりましたし、イラクの特措法の議論のときに……(発言する者あり)

斉藤委員長 御静粛に願います。

中谷委員 この法案の議論のときに、野党は、イラクの復興は民間人やボランティアでやるべきだと主張をされました。今回の事件を見てもわかりますように、政党は、この現実を見て、謙虚にこの事実を見て、そして反省をしていただきたいと思いますが……(発言する者あり)

斉藤委員長 お静かにしてください。

中谷委員 今回、安全上、極めて民間人は危ない、危険なことが起こるので、外務省としては、何度も退避勧告を発出しておりました。にもかかわらず、個人の判断で入国をしたために起こってしまったわけでありますが、外務省といたしましては、今後、このような事案の再発を防止するためにどのような対策を講じていかれるのか、この点についてお伺いをいたします。(発言する者あり)

斉藤委員長 委員はお静かにしてください。

川口国務大臣 政府といたしまして、イラクに対して退避勧告を出しております。それからさらに、昨年の八月から今に至るまで、二十七回のいわゆるスポット情報という注意情報、注意喚起情報でございますけれども、それを出しております。ことしに入ってからだけで十三回、三カ月の間に出しているということでございます。

 そういった中に、イラクの人を助けたいというお気持ちを持っていたにせよ、退避勧告が出ているところに行かれたということは、今回、非常に残念なことであるというふうに思っております。

 この退避勧告でございますけれども、これについては、イラクにおいてはテロ攻撃の可能性が最近の事例を見てもわかりますようにございますので、引き続き注意喚起を強力に行っていきたいというふうに考えております。

 これについて、さまざまなことを今やっております。例えば、旅行会社で切符をとるというようなことをやっているわけですけれども、そういうところに行きました場合には注意書きを渡すとか、広報を空港あるいはほかのところでするとか、いろいろやっておりますが、引き続きさらに強化をしていきたいと考えております。

中谷委員 この委員会でもいろいろと議論をされたところでありますが、自衛隊を派遣するときに当たりまして、人道復興支援は自衛隊でなくNGOなどを主体に行うべきという意見が一部にありました。

 しかしながら、今回の事案を通じまして、改めて、治安が不安定な状況において、自己完結能力、自己防衛能力及びほかの国の軍隊と情報のネットワークを有する自衛隊以外の、例えばNGOなどが人道復興支援を継続的、組織的に行うことは難しいと示されたと認識しておりますが、政府の見解は現時点においていかがなものでございますでしょうか。

石破国務大臣 先生の御指摘のとおりだと思っております。

 一月に共同通信が公表しました世論調査の結果ですが、これは、イギリスの調査機関が、BBCやABCやNHKあるいはドイツの放送局、それの委託を受けて行ったものでございますが、自衛隊がサマワに来ることを支持するイラク国民が全体の八六%である。市民から歓迎されているということは間違いない事実である。

 そして、今回、迫撃砲が近傍に発射されたということがございました。それで、ムサンナ県知事初め現地の関係者の方々、大勢の方々が我々の宿営地を訪れて、大変に迷惑をかけた、済まなかったというふうに言っておられるわけでございます。自衛隊がこのようなことで下がるようなことがないようにということ、そういう市民の声が我々の宿営地にも伝えられておるということでございます。

 そのことから勘案してみますと、先ほど外務大臣からも答弁がございましたが、本当に一部のそういうテロ、無辜の市民でも誘拐をして自分たちの要求を聞けというようなテロリストたち、それとサマワの市民との感情は乖離しているのではないかと私は思っております。

 先生御指摘のように、自己完結能力を持つということ、あわせて情報がきちんととれるということは、極めて重要なことだと思っております。そういう能力は自衛隊以外は有してはおりません。したがって、イラク市民の期待にきちんとこたえる能力を持っている者、その組織は何なのかということになれば、それは、先生おっしゃるとおり、自衛隊をおいてほかにないということだと私は考えております。

中谷委員 そのようなことで、現在、イラクの復興のためには政府としては自衛隊を中心にサマワ地区で活動が行われておりますが、現時点において問題点というと、いよいよ支援が始まった段階で、地元のニーズをうまくくみ上げることができるかどうかだと思います。

 雇用の問題、産業振興の問題、大変過大な要望がやってくるわけでありますが、この点を処理する上において、自衛隊のみならず、政府全体の協力体制、支援体制というものが必要になってくるわけでございますが、このサマワの復興プランについて全体のグランドデザインがしっかりしているのか。

 例えば、サマワを日本政府の復興モデル地区に指定して、ODAを主体に、浄水場をつくるとか、また発電所をつくるとか、そのようなきちんとしたモデルを成功させることによって、その効果をイラク全土に普及すべきだというふうに私は思います。

 そういう点で、自衛隊以外に、外務省の職員、また、民間の浄水能力のある会社、発電能力のある会社、そういう人をイラクの復興職員として採用して、そして、チームとして、政府、省庁そして民間企業から成るチームをしっかりつくるべきだ、そして、身の安全を図るためにそれに対して自衛隊員が警護をすることによってサマワ地区が安定する形で発展すべきではないかと考えますが、今後のこのサマワにおける支援活動をより計画的にする意味において、現在、外務省の考えを、そして政府のお考えをお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 委員がおっしゃられますように、サマワの住民、サマワの人たちが将来についてのビジョンが持てるような形で我が国の経済協力が進んでいくということは基本的に大事なことだろうと思います。それから、そのビジョンに当たっては、これは、経済協力のやはり基本は、オーナーシップとよく言いますけれども、サマワの住民たちが自分たちの町をどうしたいかという考え方、これがその基礎にあるべきであろうと考えております。

 今、サマワにつきまして、先ほど石破長官からお話ございましたように、自衛隊がその復興支援をやっておりますし、私たちの外務省の職員も数名、自衛隊の活動の円滑化ということでサマワに行っております。それから、本省、外務省におきまして、あるいはヨルダンの大使館におきまして、イラクに対する経済協力については、イラクのニーズを十分にくみ上げつつイラクのためになるような復興を、イラクの中央政府と話し合いながら、サマワに特に重く流れますような形で支援しているわけでございます。

 今の時点で中長期的にどのようなことをやるということを的確に申し上げるというのは難しいわけでございますけれども、もう少し時間がたちました時点で、サマワあるいはイラクがある程度軌道に乗ってきた時点、六月三十日に主権が移ったその後で、またイラクの政府とそういった中長期的な考え方についても意見交換をしながら、サマワの市の方々とも意見交換をしながら、我が国としてできることは何かということを相談しながらやっていきたいというふうに考えております。

中谷委員 安全確保上、やはり自衛隊がいるということが活動にとって不可欠であるとわかりましたので、ぜひ、イラク全体のODAというものは要ると思いますが、サマワ周辺の地域振興のために、住民に合ったニーズを実現するためにも、自衛隊に、そして民間企業やまた政府機関、そういうものをくみ上げた計画を立てていただきますようにお願いいたしまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

斉藤委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 今回のイラクでの日本人人質事件、本当に卑劣なことかと、恐らく多くの日本にいる方、世界の方が怒りを覚えていると思います。また、この瞬間にも、本当にその解放を心待ちにしている多くの方がいらっしゃる。また、今回、報道は二転三転しておりまして、その中で、あるときは期待を持ち、また、あるときは失望し、その繰り返しをされている御家族の皆様、本当にその心痛、察して余りあると思っております。そしてまた、この事件発生以来、ほとんど不眠不休で活躍されている川口外務大臣ほか多くの担当の皆様、本当に御活躍、心から私どもも応援申し上げております。

 その中で、お話をまず伺いたいんですが、先ほど大臣の方から現在の人質の救出の状況について御説明がありましたが、私ども、恐らく、実際に言えること、言えないこと、多々あるとは思いますが、もし、今こういう形で進めている、あるいはこのぐらいの見通しが立つ、そのような言えるようなお話がありましたら、まず初めにお聞かせ願いたいと思うんです。

川口国務大臣 今、小野寺委員もおっしゃってくださいましたように、御家族の方の御心痛はいかばかりかというふうに私も推察申し上げております。それにしても、あのようなテロの行為というのは許されるべきではないと強く思っているところでございます。

 それで、先ほど、どういうような経緯できょうに至ったかということについてはかいつまんで申し上げたわけでございますけれども、今、どういう状況にあるかということについて、あるいは、今、政府が何をしているかということにつきまして、ぜひ御理解をいただきたいのは、これは人質の命の安全がかかっておりますので、私がここで一言言ったことがどのように影響するかわからないというふうに考えて物を申し上げなければいけないということで、大変に申しわけないんですが、今、余り申し上げることはできないということでございます。

 三人の人質の方について、けさ、官房長官も記者会見で言っていらっしゃいますけれども、今現在、元気でいるとかということについて確認をすることはできない、逆の情報も全くないんですけれども、確認はできないということでございます。

 どのような見通しを持っているかということについても、これについて申し上げるということも難しいかというふうに思っております。

 いろいろな情報がございますし、その中には、正しい情報も、あるいは結果としてそうでない情報もいろいろございますので、我々としては、そういった情報についてはいろいろ接しておりますけれども、情報を一つ一つ吟味し、そして、今まで既に行っている関係国の政府の方々との共同関係については今後引き続き強くこれを維持し、一日も早い人質の解放を目指して頑張っていきたいと思っております。

小野寺委員 今、川口大臣おっしゃいましたように、今回の事件、よく見ていますと、実は、日本のいろいろな政治あるいは世論の動向というのが逆に世界に発信されております、ですから、恐らく、ここでの審議もいろいろなメディアを通じて今回の実行犯に伝わる可能性もある。本当に、そういう世界の情報が、今、筒抜けになっている。本当に重い事態の中でいろいろな政策をとらなければいけない。本当に、言えること、言えないこと、多々ある。心中を察しておりますが、私ども、精いっぱい応援してまいりますので、ぜひ御活躍、そしてまた、一日も早いこの人質の無事な帰還を心から願っております。

 その中で、ちょっとさらに突っ込んでお話を伺いたいんですが、今回の事件、仮に今、犯人側の卑劣な要求といいますか、そのような要求が来ておりますが、例えば日本政府が百歩譲ってその要求をのんだとしても、恐らく、この種の事件というのは全く解決につながらない。それでこのテロがおさまる、あるいは人質が解放されるというような、そんな可能性も恐らくないんだろう。

 そしてまた、逆に言えば、日本の姿勢というのが世界に広がり、いろいろなところで、いろいろな形でまた日本が、日本の私どもの国民がテロに遭う、そういう危険性もはらんでいる。本当に難しい重い課題だと思っております。

 その中で、実は、もう直近に、例えば現在サマワで活動されています自衛隊、ここにも何らかの今アクシデントが起きている、そういう報道も私どもは聞いております。

 今回、このような形で日本が一つのテロの標的になったということを踏まえて、ますます、例えばサマワで活動されております自衛隊の安全確保に対する対策とか、あるいは、先ほど大臣の方からお話がありましたが、ソフトターゲットの対策とか、そういうことが重要かと思いますが、そのような問題、これからまたこのような問題が起きないためにどのような対策が今行われているか、そのことをお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 あと、石破長官に足していただきたいと思いますけれども、まず、誘拐事件を含むいわゆるソフトターゲットに対するテロ事件としてどのような安全策を講じているかということでございますけれども、まず、情報を政府としてきちんと持ち、そして、それを海外に行かれる方に対してきちんとお伝えするということが重要であると思っております。

 それで、先ほど、二十七回、八月以来、注意喚起情報を出していると申し上げましたけれども、これにつきましては、頻繁に、その事態を見ながら必要な注意喚起情報を出しているということでございます。それから、在留邦人に対しましても、そのような情報提供を行っているわけでございます。

 テロ等の不測の事態に対しての体制の整備ということにつきましても、あるいは体制の再点検ということにつきましても、累次行っております。

 在留邦人と在外公館は定期的に会合を行いまして、その中で、海外進出企業を中心といたしました危機管理に関するセミナーを行ったり、それから、NGOや報道機関の方々に対しても注意喚起を行っております。

 先ほど申し上げましたように、海外に出ようとなさる方、危険な地域に行かれようとなさっていらっしゃる方に対しては、旅行社でその手続をする時点で、旅行の契約を結ぶ前に、こういった危険がありますということを旅行代理店の方から出してもらうというようなこともやっております。

 また、機内誌ですとか、それから、空港等の大きなスクリーンがありますけれども、そういったところでも出しているということでございます。外務省から自動的にそういった情報が流れるようにしていて、たしかその先が千カ所ぐらいのところに流れるというふうに記憶をしておりますけれども、そういったこともやっております。

 非常に重要なことなので、今後、また関係各国とも連携をしながらテロ対策を進めていきたいと思っております。

石破国務大臣 何がソフトターゲットで何がハードターゲットかは議論のあるところだと思いますが、自衛隊について申し上げれば、七日の二十三時過ぎに爆発音が確認されたという事案がございました。このことにつきましては、迫撃砲またはロケット弾によるものだと思われますけれども、現在、詳細を確認中でございます。

 要は、いかにして情報をきちんと把握するかということでございます。これは、現地のオランダ軍との連携も必要でしょう。そしてまた、現地の市民の方々との密接な情報交換、連携というものも必要でしょう。

 そして、どのようにして情報を事前に察知するかということでございます。このことは、私ども、日本を出ます前から、そういうことも念頭に置きながら、ありとあらゆることを考えてまいりました。

 今回の事案が起こりました後、私も現地と直接お話をいたしましたけれども、現地は極めて平静であり、そしてまた、対応も極めて冷静でございます。

 そして、仮に万が一、攻撃を受けたときは、いかにしてそれを極小化するかということでございます。そのことにつきまして、ありとあらゆる可能性を想定しておりますけれども、さらに万全に近づくように努力をしてまいりたいと考えております。

小野寺委員 最後に、イラクの和平の取り組みについてお伺いをしたいと思っています。

 今回の人質の問題というのは、本当に卑劣な問題です。ですから、日本政府は毅然とした態度をとるべきだということには私も賛成です。

 ですが、この問題の根底にある問題、どうしてこれほどイラクがいろいろな形であちらこちらで紛争が起きているのか、そのことはもっと真剣に今考えるべきときに来ていると思います。

 きょうの外務省の報告を見ましても、イラクの治安情勢はここ数日来緊迫化しているという報告がなされております。私ども、実は、この自衛隊の派遣について、当初理解していた中では、イラクというのは、基本的には、今いろいろな紛争が起きていても、それはサダム・フセインのもしかして残党がある面ではいろいろなところで紛争を起こしている、火事で言えばいわゆる残り火みたいなところで、そこに自衛隊が安全なところに入っていっていろいろな支援活動をしていく、人道復興支援だ、そういうことで、私ども、この政策に対して一生懸命後押しをしております。

 ですが、どうも最近、少しずつ状況が違うことも起きております。

 例えば、サドル師が、今まではシーア派というのは、比較的、連合国に共通歩調をとるのかなと思っておったのですが、そのサドル師を中心とするようないろいろな紛争も今起きているというふうに私ども聞いております。どうも、当初予定していた、あるいは考えていたところよりも少しずつ何かイラクが余りよくない方向に行っているのではないかということを感じているのは私だけではないと思います。

 その中で、アメリカという存在が非常に大きくなっています。そしてまた、このアメリカに多くの支援をし、また、アメリカに信頼を得ているのが日本だと思います。自衛隊の活動はとても大事、それはしっかりやる、また、今回の人質の問題に対しても毅然とした態度をとるという前提の上で、ぜひ、アメリカに対して、このイラクの和平に対してもう少し配慮して、このような紛争が起きないような、あるいは、イラクの中で今度新しい政権ができるときに、しっかりとした、いろいろな意見が合わさった安定した政権ができるように、アメリカへの平和的な取り組みへの要請というのは、恐らく、今、日本がするべき立場かと思っております。

 まだ日本はイラクの方に銃口を向けた経験がありません。その日本だからこそできる今の立場だと思いますので、ぜひ、その和平への取り組み、そしてまた、きょう、チェイニー副大統領が日本にお見えで、小泉総理とお話をされたと伺っております。そのことも踏まえて、これからこの和平への取り組みというのをぜひ日本の姿勢として最後にお伺いしたいと思っております。

 恐らく、この大臣の答弁あるいは考え方というのが報道を通じて世界じゅう知ることができると思います。この人質を日本にもう一度取り戻すためにも、ぜひしっかりとした対応をお答えいただければと思います。

川口国務大臣 先ほど、小泉総理とチェイニー副大統領との会談及び昼食会がございまして、その中で出たお話の中に、いろいろなお話をなさったわけですけれども、その中の一つにイラクの問題もございました。

 そして、小泉総理から、国際協調の確保が必要であって、そのためにも国連の役割が重要であるということを述べられた。そして、日本としては、アメリカの大義そして善意、これを確信しており、それゆえに当初から米国を支持してきたということをおっしゃられ、また、その関連で、安保理改革等を含む国連の改革が重要であるということもおっしゃられたわけでございますけれども、イラクにおいて、六月三十日に主権の移譲をするということになっております。これを守っていくことが非常に重要であって、今、ブラヒミさんもイラクに入っているということでございますけれども、イラクのいろいろな諸勢力が、この間、基本法に合意をしたわけですから、さまざまな相違を乗り越えて引き続きイラクの復興のために貢献をしてほしい、日本としてもそれを支援していきたいと考えております。

小野寺委員 どうもありがとうございました。平和を祈って、質問を終わります。

斉藤委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。

 三人の方の一刻も早い、無事救出されることを民主党として祈ってやみません。また、そのために努力をされているあらゆる方々については、私は、これは政府関係者も含めて、心から敬意を表したいというふうに思います。

 ただ、今の質問を聞いておりましても、腑に落ちない点がたくさんあります。

 一つは、後で石破防衛庁長官にお伺いしたいと思いますけれども、イラクへの自衛隊派遣を決めた段階でありとあらゆる可能性を想定していたと長官はおっしゃいましたね。つまりは、このような事態が起きることも十分想定していたにもかかわらず、では、もちろん退避勧告が出ていたということはありますけれども、邦人保護を含め、つまり、マスコミの皆さん方も入っているわけです、あるいは後で質問する自衛隊の方々も行っているわけですが、万全であったかどうかということについては、私は、大きな疑問があると思います。

 つまりは、こういう事態になったこと自体がやはり私は政府の責任であるということをはっきり申し上げたいと思います。(発言する者あり)それを違うと言っていたら、私は、政府の危機管理対応とか、あらゆる事態を想定していたということは絵そらごとだというふうに思います。

 まあ、順々やっていきましょう。したがって、このような事態を招いたこと自体が、やはり私は、小泉政権として結果責任を負うべきであると。つまりは、自衛隊を出したということに伴ってこういう事態が起きている。

 先ほど中谷理事がおっしゃったことで、私はちょっと違うんじゃないかと思うことがありました。つまりは、ボランティアの方々がこういう危険な地域に行ったらだめだと言っていた、だからこういうことになったんだというようなことをおっしゃいました。そうなんでしょうか。私は、違うと思います。

 今、その犯人グループ、もちろん、それについて、我々は、その主張をうのみにすべきだということは民主党として一切申し上げておりませんが、犯人グループの主張は、自衛隊を撤退させるべしであるということを言っているわけですね。つまりは、我々は、自衛隊を出すべきではないということを言ってきました。つまりは、自衛隊が出ていなかったら、ボランティアの方々はこういう目に遭ったんでしょうか。こういう危険な目に遭ったんでしょうか。つまりは、それは議論の立て方として本末転倒だと私は思うんですね。私は、自衛隊が出たからこそこういう事態になっているのではないかという謙虚な、真摯な議論というのは絶対に必要だというふうに思います。

 また、そもそもこういうことが、自衛隊を送らなかったら人質にはなっていない可能性があるわけですね。つまりは、自衛隊を撤退させろということで盾になって人質になっているわけですから、我々としては、先ほどの、自衛隊ならよかった、ボランティアでイラクの復興支援ということは暴論だとおっしゃったけれども、私は、議論の立て方として根本的に違うと。つまりは、本当に自衛隊を出したことがイラクの復興支援につながったかどうかということを根本的に問いただす、リセットしてゼロに立って考えるべきときに来ているということをまず冒頭申し上げたいと私は思います。

 まず、外務大臣にお尋ねをしたいと思います。

 きょうは、傍聴席に三人の御家族の方々も一部来ておられます。その御家族の方々と外務大臣は会われました。そして、全力を尽くすということをおっしゃいましたけれども、いまだに内閣総理大臣がお会いになっていない。これは何なんでしょうか。なぜ、小泉内閣総理大臣はこの御家族の方々と会われないんでしょうか。会ってお話を聞いてほしい、そして家族の胸のうちを聞いてほしい、そういう思いがあるのに、なぜ、小泉総理大臣は聞かれないんでしょうか。(発言する者あり)いないから聞いているんですよ、外務大臣に。外務大臣しか来られていないから聞いているわけです。

 やはり私は、外務大臣が会われたのであれば、そういう気持ちというものを伝えて……(発言する者あり)ちょっと、こちらには注意して、何で向こうには注意しないんだ。

斉藤委員長 御静粛にお願いを申し上げます。

前原委員 外務大臣が会われて、本当に家族の方々の声というものを真摯に聞かれたんだったら、小泉総理に、会われるべきじゃないですかという進言をされてしかるべきだと私は思いますが、そういうことをおっしゃったのか、それとも、そういうことを言うつもりはないのか。なぜ、総理大臣として御家族の方に会っておられないのか。その点について御答弁ください。

川口国務大臣 今の御質問にお答えする前に、冒頭に前原委員がおっしゃったことにつきまして、私の考えているところを申し上げさせていただきたいと思います。それは、日本が自衛隊を派遣したから日本人が人質になったのかどうかということであります。

 自衛隊は、これは前原委員に繰り返すまでもありませんけれども、イラクの人たちのための人道復興支援に行っているということであります。他方で、人質が大勢、最近ふえている。この中には、殺されたと報道されているドイツ人、ドイツ人は軍隊を派遣しているわけではございません。カナダ人、カナダ人も軍隊を派遣しているわけではございません。そしてまた、報道では中国人が人質に、七、八名でしょうか、なったという話もございました。中国も派遣しているわけではございません。

 これは、自衛隊が人道復興支援のために行っているということと、今の一部のイラクの人たちが自分たちの要求をテロという形で通そうとしていることと、全く別な問題であるということだと私は考えております。

 それで、テロというのは、どういう状況にあっても、これは許されるべき行為ではない。この問題の原因は日本政府にあるということではなくて、そもそも我々は、テロリストがそういった行動によって要求を通そうとしているということを非難するということで、これは一貫してそのような主張を持っておりますし、それを変えるつもりはないということでございます。

 それから、家族のことでございますけれども、これは、政府の中で役割分担がございます。邦人保護、海外に出ていって人質になられたケースについては、今までも外務省がこの担当を領事移住部において行っております。領事移住部においては、この御家族の方々と緊密な連携をしながら努力いたしているわけでございまして、そして、そういうことの関係で、外務大臣というのが閣僚としては責任を持ってこのことに当たっているということでございます。

 総理におかれては、まさにこの問題を解決するために日夜腐心をしていらっしゃるということでございます。

前原委員 質問していないところまで答えられましたので、私からも申し上げなくてはいけません。

 まずは、中谷理事にしても外務大臣にしても、テロリストという言葉を軽々に使い過ぎじゃないですか。テロリストというのは一体何なんだという定義になると思いますよ。私は、犯人グループという言い方をしました。テロリストかどうかわからないでしょう、それは。だって、情報すらつかめていないんでしょう。それを、なぜテロリストという言い方をするわけですか。僕は、そこから大きな問題だと思いますよ。テロリストということではなくて、犯人グループという言い方をしたらいいじゃないですか。

 もともと言えば、彼らからすれば、例えば、それはフセインについては憎んでいたけれども、今のアメリカのやり方にはもうとても我慢ならないということで立ち上がっている人たちもいっぱいいるわけですよ。アルカイーダというグループはこれに乗じていろいろなテロリストを送り込んでまたテロ活動を行っているかもしれないけれども、初めは、フセイン政権が崩壊をしてアメリカの支配でうまくなるかもしれない、よくなるかもしれないと喜んでいた人たちもいっぱいいるわけじゃないですか。それが、うまくいかないようになってきているどころか、同胞を殺され続ける。結局うまくいっていないじゃないかということで、こういう過激な行動に走っている人が多くなっているんじゃないですか。そういう人たちをテロリストと十把一からげにするのは、私は、定義としてまず間違っているということを強く指摘しておきたいと思います。

 それから、二つ目の問題でありますけれども、別問題ではないということは、先ほど、ドイツ、カナダ、中国の例をおっしゃいましたけれども、まずドイツは、警察を出していますね。それから、カナダあるいは中国、だれがカナダ人でだれが中国人、東洋人ということで捕まったケースもあるわけですよ。向こうの人たちからすれば日本人か韓国人か中国人かわからない、そういうことで、初めは東洋人だということで捕まっていたわけです。

 だから、そういう一人一人のまさにいろいろな活動を行っている人たちにとって、それは、どの国を特定してということではなくて、今私が話をしているのは、真摯に耳を傾けてもらいたいのは、まさに日本人だとわかって、あの映像にはパスポートを見せて、そして、要は自衛隊の撤退というものを要求している。その内容についての是非じゃなくて、要求しているということからすれば、自衛隊を出したからそういう要求が出ていると考えるのは自然な考え方じゃないですか。それを、いろいろな国を、この国は違う、この国は違うということであげつらって、そして、質問をしていないことすらも答弁してそれを否定しようとするのは、私は、外務大臣の姿勢としては謙虚さに欠けるし、問題だというふうに思います。その点についても指摘をちゃんとしておきたいと思います。

 それから、総理の仕事じゃないと。ここからが質問だったわけですが、総理の仕事じゃないと。私は、そんなマニュアルで行う話じゃないと思うんですね。まさに、この対策本部長は官房長官でありますけれども、私はこれから続けて言おうと思っていたんですけれども、総理が頑張っているって、頑張っている姿勢は何も見えないじゃないですか。

 きのう一日、それはいろいろな情報は行っていたでしょう、当たり前のことながら仮公邸には。だけれども、普通の神経であれば、例えば、外務省のオペレーションルームを一たんのぞいてみて、それこそ外務省の方々に対しても、よく頑張っているなと激励をすることも一つじゃないですか。そして、そのことについて言うことも首相としてはあるべき姿だと私は思う。そしてまた、官邸に入って、ただ単に聞いているだけじゃなくて、官邸で一生懸命に、まさに二十四時間働いている人たちも激励をして、そして、みずから、実際問題、御家族の方にもお会いして話を聞くということはあってもいいじゃないですか。

 それができていない。また、総理のリーダーシップが全然見えない。そしてまた、官房長官に丸投げをしている。これは、私は、結果論ではなくて、小泉首相のこの問題に対する意識が余りにも薄い、そしてまたリーダーシップが見えない、このことについては厳しく指摘をしておきたいと思います。

 それでは、個別の問題について質問させていただきます。

 先ほど外務大臣がおっしゃったように、このやりとりというのも向こうに情報として伝わるんでしょう。それを想定して、言えることと言えないことについては峻別をしていただいて結構です。しかし、本当に言えないことなのかどうなのかということについては、私もよくよく考えた上で、そのことについて再度質問するかもしれません。そのことも、あわせて、あらかじめ申し上げておきます。

 私は、この間、説明責任というのがきっちり果たされていないということを思い続けてきました。御家族の方々も、外務省から連絡が入らないということで、当初、非常にいらいらされていたということを、私どもも、北海道選出の議員が我が党は多いものですから、横路先生初めそういった方々からもお話を聞いています。そして、国民も、この三日間、情報というものはまさに錯綜して、どれが本当なのかどうなのかということがわからなかった。政府がそれをわかっていなかったということであれば、それはもう仕方のないことかもしれませんけれども。持ち得ている情報でここで伝えられることについては、しっかり御答弁をいただきたいと思います。

 まず一つは、これは未確認の情報でありますけれども、先ほど、自民党の中でもそういう情報が流れたと聞いておりますし、我が党にもそういう情報が流れたと聞いておりますが、三人の人質の方の解放というものの新たな情報が入ったと。アルジャジーラが三時に放送をしようとしたけれどもやめた、こういう話があると聞いています。そしてまた、それは三人でなくてまず一人であったという話も未確認の情報としてありますが、そういう情報について、今、政府は持っておられるのか、確認をされているのか、その点について御答弁をください。

川口国務大臣 アルジャジーラが日本時間のきょう午後三時ごろにそのような報道を流すかもしれないという情報には接しておりましたが、その内容については、あるいはそれがなぜ放送されなかったか等々については、申し上げるということについては差し控えさせていただきたいと思います。

前原委員 わかりました。それについては、さらに突っ込むことはやめましょう。

 次に、サラヤ・ムジャヒディン、聖戦士軍団と名乗る犯人グループ、これが、まずちょっと時系列的に、国民が、我々が聞きたいことについて質問をしていきます。お答えのできる範囲でお答えをください。

 このサラヤ・ムジャヒディンと名乗るグループが、十一日午前三時、これは日本時間ですね、カタールのアラビア語衛星放送のアルジャジーラに三人を二十四時間以内に解放するとの声明をファクスで送ってきたと放送した。これについて、政府は信憑性が高いという判断でありました。これは私も直接政府の方にも伺った、あるいは与党の幹部の方にも聞いて、信憑性は高い、信頼性が高いと判断をされたと聞いています。なぜ、信憑性が高いと当初判断をしたのか、その根拠について聞きたいのがまず一つです。

 その後、解放されるという時間が逆に刻々刻々と過ぎてしまって、いら立ちと、逆の意味での不安というものが御家族初め多くの国民にもまた襲いかかってきたときに、細田官房副長官が、いろいろ内容的にはっきりしないところがあるということで、修正する発言を行っていますね。

 つまりは、もともとこの情報というものを信憑性が高いと言っていた根拠は何なのか。そしてまた、その次に、いろいろ内容的にはっきりしないことがあると修正された部分があったのはどういう点なのか。その二点についてお答えください。

川口国務大臣 その情報が信憑性が高いということを政府として申し上げたということは、私は、ないというふうに思います。

 ただ、一つ申し上げられることは、そういった種類の情報を一つならず入手していたということはございます。

 それから、細田副長官がそういう御発言をしたということでございますけれども、その御発言をなさったという事実も、どういうことをお考えになって言われたのかということについても、ちょっと私は、よく聞いておりませんので、わかりません。

前原委員 信憑性が高いということを政府として言ったことはないということでありましたけれども、要は、しかし、流れで、早くに解放されるのではないかと。しかも、現地では受け入れの飛行機まで押さえていたんでしょう、ヨルダンまでの飛行機まで。陸路にするのか、空路にするかということも含めて押さえていたわけでしょう。ということは、その情報に基づいて動いておられたのは事実ですよね。ということは、その情報についてどういう確認をされたのか。その点、御答弁ください。

川口国務大臣 人質の方々が解放された場合にどのようなことを政府としてしてさしあげられるかということについては、これは常に政府として考えていなければいけないことであるというふうに思っております。

 具体的にどういうことをということは申し上げることを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、常にそういった可能性を、いつ起こっても大丈夫なように用意をしておかなければいけない、それが政府の立場であるというふうに思っております。

前原委員 普通の質問ならもう少し突っ込むところですけれども、それで結構です。

 人質三名のことについてお伺いします。

 先ほど、中谷理事の質問の中で、安否については確認できないという発言をされました。悪い意味でも確認できていない、こういうことをおっしゃいましたけれども、その三人の方の居場所、ファルージャということはよく言われております。捕まったのが目撃されたのもファルージャの西側というふうに言われておりますけれども、今、三人がおられるのはファルージャでいいんですか。そして、どういう状況なのか。その点について、お答えのできる範囲で結構です。

川口国務大臣 この点については、まさに人質の安全にかかわることでございますので、答えを控えさせていただきたいと思います。

前原委員 ちょっと後でまたまとめて質問します。どういうところが人質の安否にかかわるかどうかということも含めて、後で質問いたします。

 なぜそういうことを申し上げるかというと、もちろん機微に触れる話です。我々も、三人の方に早く無事に帰ってきてもらいたい。だから、無理な情報についてここで開示せよということを言うつもりはありませんが、それに隠れて、答弁できない、しないということも私は十分あり得ると思っていますので、その点、ちょっと後でまた確認をさせていただきたいと思います。

 我々の思い、国民も含めて、これはだれと人質交渉しているのかということです。つまりは、犯人グループと直接に交渉しているのか、あるいは、よく言われているのは、地元の部族長なのか、あるいは宗教指導者なのか、あるいはその他なのか。その点について、だれと交渉しているんですか、そしてまた、だれが交渉しているんですか。日本が本当に交渉しているのか、あるいはCPAに任せているのか、米軍に任せているのか、あるいは違う人に任せているのか。その点について御答弁ください。

川口国務大臣 冒頭で申し上げましたように、これについては、いろいろな関係国、関係者に協力をお願いし、打てる手を打っているということでございます。

 それらの方々が、例えば、申し上げられるのはCPA、これはまさにイラクの統治を行っているという意味で治安に責任があるわけでございますし、そういった意味ではもちろん御相談をしているということであるわけでございますけれども、いろいろな国、若干は、例えば、ヨルダンは逢沢副大臣が協力をしていただいていますけれども、私はイラン、シリアそしてパレスチナの外務大臣とお話をしたということは表に出させていただきましたけれども、そのほか、いろいろどういう動きをしているかということについては、それぞれのまさにお立場、いろいろありますので、ここで申し上げるということについては控えさせていただきたいと思っております。

前原委員 相談に乗ってもらっているということよりも、どういう方々が実際に交渉で動いているのかということを私は伺いたかったわけです。

 つまりは、私も考えながら質問しているんです。これが本当にお答えになることのできる問題なのか、できない問題なのか、常に今も考えながら質問しているわけでありますが、言ってみれば、犯人グループなり交渉している人たちは、それはだれと交渉しているかわかっているはずですよね。つまりは、それは、わかっていることというのは、機微に触れる話じゃなくて、公表してもおかしくない話ではないでしょうか。

川口国務大臣 そういった関係国、関係者の方々とは密接に連携をとっておりますけれども、それがどういう方々であるかということについては、その方々あるいはそういった国の立場、いろいろございますので、この場で御答弁することは控えさせていただきたいと思います。

前原委員 防衛庁長官、逢沢副大臣が現地に行かれておりますけれども、マスコミ等の報道によりますと、逢沢副大臣とは別に警察の特別組織、TRTというんですか、TRT、これが現地に行っているということでありますけれども、それは事実ですか。

石破国務大臣 そのような報道は承知をいたしておりますが、所管外のことでございますので、私として、責任を持ってお答えはいたしかねます。そのような報道は承知をいたしております。

前原委員 イスラム法学者組織、イラク・ムスリム・ウラマー協会、この要請に基づいて、当初、犯人グループは、人質を二十四時間以内に解放すると言ってきていると。このイスラム法学者組織、ムスリム・ウラマー協会というのはどのような組織だと把握をされているのか。また、直接そこに接触をされているのかどうなのか。いかがですか。

川口国務大臣 先ほど申しましたように、どういった国、どういった関係者の方々と接触を持っているかということについては、これはいろいろな方のお立場がございますので申し上げられないということで、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

前原委員 二つ質問をしたんですね。つまり、接触をしているかということについては、今の御答弁で結構です。どういう組織なのかということについて、わかる範囲でお答えください。

川口国務大臣 この団体の概要ですが、これはそもそも、一九五三年以降、イラクにおいてムスリム・ウラマー連盟なる組織がもう存在をしていたということでございます。そして、一九六八年にバース党による政権奪取がありました後、活動が凍結をされていたということでございましたけれども、サダム政権が崩壊後に協会を結成して再出発したということでして、スンニ派のイスラム法学者の集合体ということでございます。

前原委員 日本時間の十一日午後十時過ぎに、アルジャジーラが、ファルージャの抵抗勢力と接触したとするイラク人権擁護協会の会長を務めると自称するミズハル・ドレイミ氏とのインタビューを放送しました。その部族の一員だということでありますけれども、それを否定する見解も後ほど示されております。それは先ほどお話があったとおりですが、この人の話、信憑性、この点についてどのように分析をされているのか。これは取るに足らない、余り大した話じゃないというふうに思っておられるのかどうなのか、その点についてお答えください。

川口国務大臣 これについては、おっしゃったような名前の方にインタビューをしたという放送が、昨日の夜遅くでございましたでしょうか、あったということで、それをまた数時間後に別な方が否定をなさったということについてはもちろん承知いたしておりますけれども、政府として、これを、一連の動きをどう評価しているかということについては、これはいろいろな関係がございますので、評価を差し控えさせていただきたいと思います。

前原委員 結構です。

 先ほど、私が質問していないところで、他国の人質にとられた方も含めて、いろいろな国を列挙されました。

 もちろん、当然考えておられると思いますけれども、他国の比較、そしてまた解放された条件、また、どういう形をとったのかといったことは、これは当然のことながら、徹底的にそれぞれのケースをケーススタディーでもって分析されているというふうに思いますが、その他国との違い、また、今までのケースと日本のケースとの、応用ができる部分あるいは違い、それをどのように分析されているのか。

 先ほどお話しされたように、いろいろな国があります、韓国とか中国とかあるいはカナダとかイギリスとか。イギリスでも釈放されているんですよね。要はアメリカ、イギリスによる攻撃であったにもかかわらず、イギリスでも釈放されている部分があるわけです。つまりは、逆の言い方をすると、自衛隊が来ているから人質にとった、撤退しろということも彼らは、犯人グループは言っているわけですけれども、しかし、別のグループのイギリスの人は釈放されているわけですね。

 そういったケースを踏まえてどのような分析を他国の例をひもといてされているのか、その違いを含めてどういう分析をされているのか、その点、御答弁ください。

川口国務大臣 外国人の民間人の方々が拘束をされたということについては、先ほど申し上げましたように承知をいたしておりますけれども、我が国の人質事件とこれらの事件が関連のある事件であるというようなことを示すような情報には、今の時点では接していないということでございます。

 幾つかケースがございまして、韓国につきましては、これは、八日の夜に発表を韓国の外務省、外交通商省がしたわけですけれども、韓国人の牧師八名がバグダッドの西方で武装勢力によって検問を受けて七人が拘束をされたという発表がありまして、その後、現地時間で八日の深夜に至って、七人全員が無事解放されたということでございます。

 それから、英国ですが、六日からナシリヤで消息を絶っていた英国民間人が十一日に解放された。これは報道ベースでございますが、それとは別途、英国の外務省によれば、九日に、米国企業の警備員として働いていた英国人一名が殺害をされたということでございます。

 それから、イスラエル人二名それからカナダ人一名というのがございますが、報道によりますと、イスラエルの外務省は、イスラエル人、これはアラブ系のイスラエル人二名がイラクで誘拐をされたと。それから、八日に、カナダの外務省が、イラクで人道支援に当たっていたカナダ人一名が七日、ナジャフ近郊で人質になっているということを明らかにしたと承知しております。ただ、このイスラエル人二名のうち一人がイスラエル旅券を所持したシリア系のカナダ人であるということでございまして、カナダの外務省の言うカナダ人一名、これと同じ人物であるという報道もございます。

 ほかに、米国人、イタリア人それからドイツ人、ブルガリア人といったようなことについて報道がございます。

 それで、我々としては、こういった方々についての状況について可能な限り把握をし、あるいは状況によっては把握をしつつございますけれども、その内容、そして、どのような経緯で拘束され、どのような経緯で釈放に至ったかということについては、我々の立場で申し上げるべき話ではないというふうに思っております。

前原委員 申し上げるべきではない、そういうことを聞いているのではなくて、そういったケースというものをどのように分析されているのかという話を私はしているわけです。

 時間がなくなってきましたので、聞いておかなきゃいけないことが幾つかあります。

 まず、今回ちょっと、解放が二十四時間以内ということよりも長引いている。長引いている理由の一つとして、ファルージャの停戦という問題がかなり深くかかわっているのではないかというふうに思います、地理的な問題も含めて。私は、この停戦の問題と人質になっておられる方の解放というものはかなり密接に結びついてくるんじゃないかというふうに考えております。

 そのことについて、今、チェイニー副大統領が日本に来日中でございますけれども、イラク情勢、人質の解放の問題を要請されたと聞いておりますけれども、そのときにこのファルージャの停戦の問題についても議論されたのかどうなのか、その点について御答弁ください。

川口国務大臣 小泉総理と副大統領は、この人質の話を含む多くの、イラクのいろいろな側面についての議論もございましたし、イラク以外のことについてもいろいろなお話をなさったわけでございます。

 そして、そのイラク情勢につきまして、チェイニー副大統領から、アメリカとしては、平和で民主的で安定したイラク再建のために、六月三十日のイラク人への主権移譲につき引き続き強くコミットをしていくということをおっしゃられて、現在のイラクにおける暴力は少数の勢力によって引き起こされているものであって、大多数のイラクの人々はこのような考えを持っていないと考えているというふうにおっしゃられたわけでございます。

 それで、これに対して小泉総理から、日米として、イラク人自身が前面に立った形で復興努力をする、復興努力に対する支援を継続していくという必要がある、そういった前面にイラク人が立った形での復興努力に対して支援をしていくことが必要である、国際協調の確保が必要であるということをおっしゃられたということでございます。

 そういった形でイラクの問題が議論をされたということでございまして、特に個別地名を挙げて議論があったということではありませんが、イラクについての考え方、現在のイラクにおける暴力は少数の勢力によって引き起こされているものであるということにお考えがあらわれているのかというふうに思います。

前原委員 私は、指摘しておきたいのですけれども、これは政府も当然ながら同じ認識だと思うんですけれども、ファルージャの地域で六百人を超えるイラクの人が亡くなった、米軍の攻撃によって亡くなったということを言われておりまして、今、ここの停戦をどのようにしていくのかということが――アメリカからしても珍しいことなんですね、みずから停戦を持ちかけるということは。そういうことから考えると、私は、ここの問題と人質の解放の問題というのは非常に強くリンクしているというふうに思います。そういう意味で、地名が出なかったというのは、私は認識としていかがなものかというふうに思います。

 全体の会談内容をまだ伺ったわけじゃないので、詳しくは申し上げられませんけれども、ぜひこれからもこういう問題については、やはりアメリカとしっかりと議論をする中で、この停戦をうまく、そして軌道に乗せる、そうしないと、今から質問する六月三十日の主権移譲というのは私は無理だと思いますよ。そういう意味で、ぜひ、このファルージャの問題というのは、個別の地名の問題じゃなくて、今まさにイラクをどう展開していくか、もちろん人質の解放をどう展開していくかという大きな核になるところでありますので、私は、そういう意識を持っていただいて議論していただきたいと思います。

 さて、防衛庁長官、我々は、犯人グループのおどしに屈するべきではないということは申し上げてきました。しかしながら、イラク特措法という法律に照らし合わせたときに、まさに我々が何度も何度も嫌がるほど指摘してきたように、どこが戦闘地域でどこが戦闘地域でないんだという議論がやはり現実のものになってきたのは間違いないことだと思うんですね。

 つまりは、ある時点でサマワは安全だった、安心だったと。サマワに行かれた与党の党首の方もおられました。三時間ちょっといて、安全だ、大丈夫だ、こういう話でありますけれども、我々が言っていたのは、送ったらまさに協力するとしてねらわれるんじゃないかという話をしていて、それが残念ながら現実のものになりつつあるわけです。

 先ほど西川運用局長からも話がありましたように、サマワのCPAあるいは自衛隊の宿舎の近くにも迫撃砲が撃ち込まれるということで、今、宿営地の中に待機している状況ですよね。宿営地の中での活動しか行っていない状況ですよね。外での復興支援はできていない、こういう状況だと聞いています。

 つまりは、そういう、宿営地の中にいなきゃいけないような状況ということは、まさに、昔言っていたような、サマワの安全な地域だ、自衛隊が行く前の安全な地域だと、今のイラクの状況から考えたときに、もはやそういうことは言えなくなった。まさに我々が、テロ、ゲリラ戦の、いわゆるアメリカが全地域をコンバットゾーンに指定をしているような状況から考えたときに、送ればそこがねらわれるということになれば、戦闘地域になり得るという状況が生まれてきているわけですよね。ということは、非戦闘地域だということがもはやサマワでも言えなくなりつつある。

 私が伺いたいのは、どういう認識をまずサマワで持っておられるのかということと、法的な要件を満たさなくなったと認識をしたとき、それはどういう認識かどうかというのは見解が分かれると思いますので言いませんが、なったときには、これは法律に基づいて、法治国家なんですから、中止、退避、撤退というものがあり得るのかどうなのか、その二点について御答弁をいただきたいと思います。

石破国務大臣 これは、先生、すべておわかりの上でお尋ねだと思います。ですから、認識が違うともおっしゃいました。要は、国または国に準ずる組織による国際紛争を解決する手段としての組織的、計画的な武力の行使というものが行われているかといえば、そのような認識はいたしておりません。それが最初のお答えでございます。ですから、危険な地域かどうかということと、戦闘地域かどうかというのは違う概念であるということは、今さら申し上げるまでもございません。

 それから、後段の御質問にお答えしますと、これは先生おっしゃるとおり、法治国家ですから、要件を満たさなくなればそうなることは当然でございます。しかしながら、その前に、そうかどうか判断するときに困難な場合もございますから、それは法律の規定に従いまして、一時中断、退避するなどして、実施区域の変更の指示を待つ、それも条文に記されておるとおりでございます。

前原委員 要は、こういったいろいろなゲリラ活動とかあるいは迫撃砲が撃ち込まれるとか、そういった状況のときには、言ってみれば、今おっしゃったような危険地域か危険地域でないかという問題ではなくて、法律に言うところの戦闘地域か非戦闘地域かという、戦闘地域の状況になったらもう遅いんですよ、こういう戦われ方が行われている地域においては。つまりは、法律も、もともと我々はそういう線引きをすること自体がフィクションだということを申し上げた。そして、総理自身も、そんなもの、どこが戦闘地域か非戦闘地域か、おれだってわかるわけないとおっしゃった。つまりは、そういうフィクションの世界で線引きをしているわけですよ。

 だから、私が申し上げているのは、人質の解放をとにかく一刻も早くやらなきゃいけない、自衛隊員の身に何かが起きてからでは遅い、そういう状況の中で、今のサマワの状況というのは、少なくとも、送ると決めたときの状況とはかなり悪化をしているのは間違いない、あるいはイラク全土についてもかなり悪化をしているのは間違いない。そういうことの認識の中で、我々は、今の状況というものが、つまりは、さっき申し上げたように、攻撃されて死者が出る、犠牲者が出てからでは遅いんですよね。そういうことも察知をする中で、退避あるいは中止、あるいは一たん例えばクウェートに移動するということも、この時点で選択肢としてあり得るわけですよ。

 だから、そういうことの判断の状況に私はなりつつあると。なったかどうかというのは、さっきも話があったように、それは見解の分かれることかもしれないけれども、つまりは、何度も我々は申し上げてきたように、イラクへの戦争は大義のない戦争だった、そして占領統治について我々は反対をしている、そして、そもそも特措法というものが、戦闘地域、非戦闘地域に分けること自体が今のイラクの現状にそぐわなくなってきている。しかし、現実の問題として、まさに危険か危険でないかということをおっしゃったけれども、送ったときよりも違う状況になってきているのは間違いのないことじゃないですか。

 その中で、私は、決断がおくれたら大変なことになる、そういう状況が残念ながら近づきつつあるのではないかというふうに思っていますが、その認識をもう一度お伺いします。

石破国務大臣 これは、法案審議のときも申し上げましたが、危険か危険ではないかという判断と戦闘地域かどうかという判断は、ダブる場合はあります。この概念は、一部においてダブる概念でございますから、どちらにしても安全を確保するということが重要なことは言うまでもございません。先生もよく御案内のとおり、自衛隊の持っておる権限、そして装備、そしてまた能力をもってしてその危険が回避できるかどうかということでございます。

 前の委員に対する答弁でも申し上げましたが、このことについて、本当に、陸上幕僚監部も、そしてまた私も、現地と緊密に連絡をとりながら、どうなのかと。実際に行っているのは彼らですから、彼らの目から見て、委員御指摘のようなことが本当に起こるのかどうなのかということにつきましては、本当に常に確認をとっております。

 私は、現地の指揮官の判断というのは、それは信じたいと思っています。現地の指揮官として、本当に一人も傷つけたくない、一人も殺したくないということは、本当に使命感を持ってやっております。彼は、すべての状況を把握し、そして責任感のもとにやっております。責任をとるのは私ども政治家がとりますが、私は、現地の判断というのはきちんと尊重したいと思っている。そして、一人もけがをすることがないように、一人も命を落とすことがないように、そのことに向けて政府全体、そしてまた防衛庁全体として常に真剣に取り組んでまいりたい、その気持ちに全く変わりはございません。

前原委員 いや、気持ちはそれでいいと思うんですけれども、これは自衛隊員の人たちも、行っている人じゃないですよ、行っている人じゃありませんが、自衛隊員の人たちも言っているのは、迫撃砲というのは、これはもう逃げようがないんだ、今持っていっている装備でも、それは、非戦闘地域か戦闘地域かというのんきな議論を国会でしている間に一発撃ち込まれて、そこが宿営地の寝ているところだったら、もうそれでひとたまりもないんです、犠牲者が出るんですと。これが現地というか現場の、いわゆる自衛隊の方々の認識でもあるわけですよ。そういうねらわれ方もするわけですよ。だからそういう議論をしてきたわけですよ、我々は。だから、フィクションとして、送るべきではないということを言ってきたわけです。

 実際にそういうことが起こってしまえば、今回の、自分で責任をとるとおっしゃったけれども、防衛庁長官が責任をとるとらないの話じゃないんですよ。つまりは、私どもは、法律が、まさに戦闘地域、非戦闘地域と分けること自体が、イラクの今の戦われ方、あるいは今のような迫撃砲が撃ち込まれるような状況からすると、もはやそういう議論をしている状況じゃないだろうと。

 現地の人たちは、もちろん判断をするでしょう。隊員の人、特に番匠さんなんかは、自分たちの部下が本当に安全かどうかということをぎりぎりまで判断するでしょう。しかし、本当に、本国が、防衛庁長官が、内閣総理大臣が、危険な状況が予知されるときに、もう、ちょっと中止、待避をしてやれというふうなことも、今のサマワ、これからのイラクの六月三十日に向かっていく状況、そしてまた今回の人質の事件でも、自衛隊撤退しろといってこういう要望が出ているわけですね。

 何度も申し上げますが、我々はおどしに屈しろと言っているのではない。ただ、状況から考えて再考の時期に来ているんじゃないかということを私は申し上げているわけです。だから、そのことは真摯に今考える時期に来ているのではないか、私はそのことを申し上げているわけです。

 だから、今おっしゃったように、現地の判断、それは重要でしょう。でも、現地では判断できないこともあるんですよ。そのところは、まさに予防的な措置としてしっかりと防衛庁長官なり総理大臣が、私は、これからの六月三十日の政治状況の移行あるいはこういう人質事件が起きたということを踏まえても、判断するべき時期に来ているんじゃないかということを申し上げているのです。

 もう一度答弁してください。

石破国務大臣 先生、今、迫撃砲は防ぎようがないというふうにおっしゃいました。(前原委員「僕が言ったんじゃない」と呼ぶ)いやいや、と言っている現地の自衛官も、現地かどうかわかりません、先生がどなたに確認なさったか、それを私は問うことはいたしません。しかしながら、なぜ私どもがあのように非常に広い敷地内で宿営地を持っているか、そしてまた夜間も含めて監視態勢というものをしいているかということでございます。

 そして、先生の御指摘も踏まえてというわけでもございませんが、どのようにして警戒能力を高めるかということ、そして、迫撃砲というのはかなり飛んでいる時間があるわけですね、放物線を描いて飛びますから、そういたしますと、その間にどうやって被害を極小化できるか、そういうこともきちんと考えるべきなのだと私は思っております。

 しかしながら、犠牲が生じてからじゃ遅いんだ、先生の御指摘はそのとおりでございます。したがいまして、私どもとしてどうすれば本当にそのような被害というものを防ぐことができるかということに向けてさらに努力をしてまいる責任があるというふうに考えております。

 御指摘はよく考えてみたいと思っておりますが、私どもとしてそのような迫撃砲に対して、それはもう仕方がないんだというようなことを考えたことはございません。どうやってその被害を防ぐかということが我々の務めだと思っております。

 いずれにいたしましても、状況の正確な把握、認識に努めてまいりたいと考えております。

前原委員 私の質問時間は終わりましたのでこれで終わりにいたしますが、二つだけ簡単に申し上げて私の質問を終わりたいと思います。

 一つは、全力で早く人質の方が解放されるように御努力をいただきたい、引き続き御努力いただきたいということ。

 もう一つは、防衛庁長官、今まで日本が積み重ねてきたいろいろな国際貢献の歴史というのはあるわけですね、それは賛否分かれたときもあった。しかし、本当にフィクションに基づいて、我々は何度も言うけれども、あの特措法で危険地域か危険地域でないかという分け方をしているわけじゃない、戦闘地域か非戦闘地域なのかと。全く私は、今のイラクの情勢に合わせると、そういう分け方自体がナンセンスなんだろうと思うんですね。

 実際問題として、これからますます治安は悪くなりますよ、残念ながら。そのときに、本当に、政治責任だけじゃなくて、今までの国際貢献というものも台なしにしないような決断というものを求められていると私は思いますし、我々としては、おどしに屈した形で撤退しろと言っているのではない、その点については今まさに考える時期に来ている、そのことを真摯に考えてもらいたいということを申し上げているわけです。

 そのことを再度私は指摘して、質問を終わります。

斉藤委員長 次に、松本剛明君。

松本(剛)委員 民主党の松本剛明でございます。前原委員に続いて質問を申し上げたいと思います。

 まず、今もお話し申し上げたところでありますが、私からも、今回の日本人の拘束事件というのは、犯人グループの行ったことは許しがたいことであるということ、そして、まず邦人の保護に責任のある政府には全力を挙げて救出を行っていただきたい、同時に、我々も国会にあって、また公党として全力を挙げてできることはさせていただきたいと思っているということも申し上げたいと思っております。

 そして同時に、こういった脅迫というような犯罪に応じて我々が考え方を変えるべきでない、屈するべきでないということもまた意識を持っているということも冒頭申し上げてまいりたいと思いますが、その中で、この拘束事件に関しては、一つは、全力を挙げて救出に御尽力を、当たっていただかなければいけない政府の姿勢。

 それから、情報についても、今御質問を申し上げ、また、通常のときとは違いますので、回答に対する対応も、前原委員の対応も通常のときとは異なっておったと思いますが、その中でも、公開の場所でおっしゃっていただける情報というのもあるだろうというふうに思いますし、また、わかっておられるけれども公開をすることができない情報というのもあるだろうというふうに思いますし、また、わかっておられない情報というのもあるかもしれません。わかっておるかおられないかということそのものが言えないといった性質のものもあるかもしれません。しかし、同時に、わかっておられて公開の場所では申し上げられない情報であっても、例えば御家族の方にはお伝えをすることができる情報とか、種類の性質によって分かれるだろうというふうに思います。ぜひそこを、しっかりと御家族の気持ちも酌んでいただきながら御対応をいただくことを求めてまいりたいと思います。

 まず、改めて確認ですが、政府の対策本部長、官房長官以下、体制を確認申し上げたいと思いますが、外務大臣、御答弁をお願いいたします。

川口国務大臣 ちょっと今手元に資料がございませんが、本部長は官房長官です。副本部長が外務大臣でございます。そのほかにメンバーとして入っていますのが、国家公安委員長、それから法務大臣、防衛庁長官、お二人の内閣官房副長官、内閣危機管理監、警察庁長官、外務省の中東アフリカ局長でございます。

松本(剛)委員 本部長である官房長官は、御家族にお会いになられましたか。

川口国務大臣 先ほど申しましたように、これは、政府の中で邦人保護、こういった人質のケース、外国における人質のケース等を含みますけれども、それは外務省の所掌でございまして、この人質事件対策本部の中では、これについては外務省が担当するということになっております。

松本(剛)委員 対策本部の中で、邦人保護、御家族、そういったことは外務省の所掌であるということであれば、当然救出も含めて御家族にとっての問題だろうというふうに思いますが、対策本部の使命というのは、じゃ、何になるんですか、外務省以外の。

川口国務大臣 この対策本部でございますけれども、この人質事件、それの迅速な解決等に向けまして政府が一体として取り組んで、関係省庁が一致協力して必要な施策を強力に推進をするために設けられたものでございます。

松本(剛)委員 今、前原委員からも申し上げましたし、私どもの菅代表も御家族にお会いになりました。そのときに、御家族の気持ちを一〇〇%我々としてそのとおり行動するということができるかどうかというのは、その時点で確約を申し上げることができなかったわけでありますけれども、しかし、それでもやはり会ってお気持ちを酌むということは必要だと思ったからこそ外務大臣もお会いになったんだろうというふうに思います。そして、当然、対策本部長である官房長官、また、今、政府として一体として取り組むとおっしゃいました。当然、政府のトップは小泉総理であるはずであります。

 やはり私は、ぜひお会いになって御家族の気持ちをきちっと酌み取る、それが政治家としての誠意であろうということを申し上げてまいりたいというふうに思います。これはもう、今お会いになっていないわけでありますから、ぜひ御家族の気持ちもお酌みいただき、私どもの提言もお酌み取りをいただき、早急にお会いになるように求めて、次の話題に、テーマに移りたいと思います。

 先ほど、総理も頑張っておられるというお話がございました。さまざまな外交ルートを通じて救出に向けて努力をされているという話もありました。重複をする部分があるかもしれませんが、チェイニー副大統領との会談でも本件についての協力要請というのを行ったんでしょうか。そして、回答というのはどんな回答が出たんでしょうか。

川口国務大臣 これにつきましては、総理から、イラクにおける日本人三名の人質事件について、三名の無事な救出に全力を政府として挙げているということをお話しになられて、米国の協力に対して謝意を述べられたわけでございます。

 これに対しまして、チェイニー副大統領から、米国として解決のためにあらゆる協力を行うことを約束するというふうにおっしゃっていらっしゃいます。

松本(剛)委員 あらゆる外交ルートをということでお話しでしたが、そのほかには、米国以外にはどのようなところに協力を求め、また活動を行っているか、おっしゃっていただける範囲で御回答をお願いします。

川口国務大臣 例を挙げて申し上げさせていただきますと、今、逢沢副大臣がヨルダンで現地の対策本部をつくっていらっしゃいますけれども、ヨルダンにはいろいろ御協力をいただいているわけでございます。それから、私からは、シリア、イラン、そしてパレスチナに、外務大臣に対してお願いを申し上げた、国際電話を申し上げたということでございます。

 このほかに、いろいろな国、関係者と連携をとりながら、協力をいただきながら、この問題の解決に取り組んでいるということでございます。

松本(剛)委員 頑張っておられる総理はどのような国々に働きかけをされたか、例がありましたらおっしゃっていただきたいと思います。

川口国務大臣 総理は、一国の総理として、この問題の解決のために、どのような基本方針でどのようなことをやっていくかということについて常に考えていらっしゃいまして、常に的確な御指示をいただいているということでございます。

松本(剛)委員 国と国との協力を求めるという意味では、トップから働きかけを行うということは大変重いし、かつ、効果があるものだろうというふうに思いますが、外務大臣としてそういったことが必要であるという認識を持たれるケースはないということでございますか。

川口国務大臣 私の働きかけで十分だと思っていただけませんでしょうか。私は、そのように今考えて、やらせていただいているわけでございます。

松本(剛)委員 大臣のお仕事ぶりについては今ここで評価を申し上げることはいたしませんけれども、総理というものがやはり国のトップであり、当然、トップ会談とかそういったものが存在をするということは、そのことに意義があるからだ。今おっしゃったお話であれば、何らそういったことには意味がないということにすら極端に言えば結論がなってしまうわけでありまして、全力を挙げて頑張っておられるということであれば、できることはすべてやっていただくべきであると思いますし、やはりトップから要請があるということと御所管の大臣から要請があるということには必ずしも重みに、一致をするというふうには私は思いません。

 ぜひ、全力を挙げて、残念ながらまだ出口が必ずしも見えていないようでありますから、今からでもしっかりとできることをやっていただきたいということを要請申し上げたいと思います。

 もう一点、この事件は、これだけ国民の関心を集める事件となっております。申し上げられること、おっしゃれること、おっしゃれないことがあるということは私も理解をいたしますが、やはりできるだけ国民の前でその内容もしくは姿勢というのをお示しになる必要があるというふうに思うわけであります。これについても、外務大臣はもとより総理御自身も、国民に対して、先ほどの再発防止のことも含めて、さまざまな形でメッセージをお出しになる必要があると思いますが、そのようなお考えについて、外務大臣の所見を伺いたいと思います。

川口国務大臣 まず、一般論といたしまして、透明性といいますか、国民に対する説明責任というのは大変に重要なことだと私は思っております。総理もそうお思いでいらっしゃると思います。

 ただ、この人質事件、これについては、考え方というのは非常に違えていかなければいけないと思っております。一番大事なことは、人質事件の場合に、人質の方が安全に無事に帰ってきてくださるということでございます。そして、今まさに国際的なコミュニケーションの時代でございますから、日本政府がそのために何を言い、何をしたかという一挙手一投足は全部伝わっていると思って行動しなければいけないということでございます。私どもが今ここで何も関係がないだろうと思って不用意に申し上げたことが、実は、その後、非常に大きな意味を持つことになってくるかもしれない。非常に不確定性もあるわけでございます。

 ですから、人質の方の無事な解放、御帰国、これを私どもは全力を尽くしてそのようにしたいと思っておりますので、非常に注意深く、申し上げられること、申し上げられないこと、まさに委員が冒頭でおっしゃってくださいましたように、いろいろなケースがございますので、これにつきましては、大変に注意深く、慎重に御答弁を申し上げなければいけないということについてぜひ御理解をいただきたいと思います。これはまさに人質の命がかかっている、ほかの何事にもかえがたい命がかかっているということであればこそということでございます。

松本(剛)委員 大変重い人の命のかかっている話であると思うからこそ、私どもも、ここでしっかりとお話を伺っていきたいということで申し上げているわけであります。

 今お話しされましたように、大変、メッセージを出すということ一つも容易なことであるというふうには思いませんけれども、いろいろな意味で一つ一つの言葉が重たいだけに、きちっと吟味をされた上で、しかし、これだけ情報が錯綜して混乱をするということを考えれば、やはり政府がしっかり情報を開示していくということによって混乱を防ぐということも大変重要なことだろうというふうに思います。

 さらには、今、この質疑の途中でも申し上げたように、御家族に対する情報開示というのは一段の配慮を払っていただく必要があるだろうということも、まず、ぜひ申し上げてまいりたいというふうに思っているわけであります。ぜひ、この点はまだこれから改善をしていただくべき点があるのではないかと思いますので、外務省そして対策本部の皆様に、強くこの点を要請いたしたいというふうに思っております。

 今、一言の重みがそれぞれ大変重要だというお話がありましたが、先ほどお話にもありましたように、大臣がビデオメッセージをお出しになられました。そうですね。そのビデオメッセージの内容について、議論があったという話を承知しておりますが、それは事実ですか。

川口国務大臣 ビデオメッセージにつきましては、出させていただきました。それについて、政府とは異なったお考えということが御家族の方におありになったということも承知いたしております。

松本(剛)委員 既に新聞で報道されていることですから、ここで内容をきちっと申し上げてお話をした方がいいのだろうというふうに思います。

 自衛隊について言及することについて、御家族と外務大臣の見解が違ったということなんですか。救出にとって自衛隊のことは言及をしない方がいいという意見が、御家族のみならず、あちらこちらから寄せられたというふうに私は承知をしておりますが、私の事実の認識が違っているのか、外務大臣の御答弁をいただきたいと思います。

川口国務大臣 御意見が私の意見と異なったということは、まさにその点について申し上げたわけでございます。

松本(剛)委員 自衛隊を正当化することが今回の救出についてどのように必要だという認識でビデオメッセージに織り込まれたんでしょうか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

川口国務大臣 そもそも、自衛隊というのは、国際協調のもとで、国連の決議、安保理の決議を受けてイラクの人道復興支援のために行っているわけでございます。そういう我が国の態度につきましては、これは、世論調査もございましたけれども、イラクの国民から理解をされて歓迎をされているというふうに思っております。したがいまして、我が国としては、自衛隊のやっていることについて、常にきちんとした理解が得られるように、今までも努力をしてきているわけでございます。

 犯人グループが、そのステートメントの中で、自衛隊のイラクにおける活動について言及をしていたということでございます。日本政府としては、イラクにおける自衛隊の人道復興支援、これについての基本的な考え方、これを述べるということが適切であるということを判断したということでございます。

 なお、このメッセージにつきましては、これは、アラブの世界を初めとする全世界に対して発信するということを目的としたもので、政府の責任において作成をしたものでございます。

松本(剛)委員 先ほど、自衛隊を派遣しなければこういう要求はなかったのではないかといったことを前原委員が申し上げましたが、犯人グループの要求そのものが自衛隊に関することであったわけであります。その中で、ああいった形でわざわざ大臣のビデオメッセージに織り込むことが本当に適切だったのかどうかということを、そして、そのことの持つリスクというのをどのぐらい吟味されたのかということは、残念ながら、今の答弁から伝わってくるようには思えませんでした。

 政府のお立場を表明する機会としてこのビデオメッセージを利用したと言われてもやむを得ないのではないかというふうに思いますが、人質をまさに全力で救出しなければいけないときにそういったことをわざわざそこに織り込む必要があるということは、今の説明では、私は理解ができないということであります。

 そこで、今、自衛隊は、これは防衛庁長官にお伺いをした方がいいのかもしれませんが、自衛隊は人道復興支援のために行っている、同時に、イラク特措法に基づいて安全確保支援活動もされておられると思いますが、それでよろしいですよね。

石破国務大臣 人道復興支援活動を中心に行っておりますが、一部、安全確保支援活動も行っております。

松本(剛)委員 一月の本会議でも議論をいたしました。公開をされている内容でありますが、当然、安全確保支援活動は外国の軍隊の支援につながることもあり得るというお話で、そのときに答弁をいただいたわけであります。ですから、自衛隊の今の活動の内容というのは大変微妙なものを含んでいるというふうに私は申し上げざるを得ないというふうに思うわけであります。

 そこで、このイラクの情勢認識ということについても申し上げていかなければいけないと思います。

 先ほど、戦闘地域、非戦闘地域の話がありましたが、同時に、イラク特措法では、第九条だったかと思いますが、安全に配慮をしなければならないという言葉も入っていると思います。つまり、この法律に基づいても自衛隊を行かせるということでありますが、大変、この特措法というのは、少なくとも外国の軍隊がイラクに赴いているのとは全く違う法的な枠組みで、もちろん憲法も違うと思いますが、行っているという形になってくるし、活動の内容も、当然、米軍、英軍などとは異なってくるということになると思います。

 ですから、この安全であるということ、非戦闘地域、まあ危険であるかどうかと戦闘地域、非戦闘地域は違うと長官はおっしゃいました。しかし、この法文で、安全に配慮しなければいけないということも読み合わせると、危険であるということについても十分な認識を持ち、それに対する対応をとらなければいけない。

 先ほど、与党の筆頭の中谷委員も、イラクは危険な地域であると断言をされました。中南部の方は状況が大きく変わっている。今、そうしましたら、サマワは安全な地域であるというふうに石破防衛庁長官はおっしゃいますか。

石破国務大臣 それは先生、その危険というものがだれにとって危険なのかという概念だと思います。

 何度も答弁を申し上げていることでございますが、自衛隊の権限、装備、能力をもってして回避できるかどうか、一般人であれば回避できないような危険も、自衛隊に与えられた権限とそして装備と能力をもって回避できれば、それは自衛隊にとっては危険ではない地域である。

 私どもは、危険な地域だからこそ自衛隊が行くということも今回申し上げておるわけでございます。それは、一般人であれば危険だけれども、自衛隊の能力をもってすれば、その危険を抑止し、回避し、被害を最小限にして、与えられた任務を遂行でき、イラクの人々の期待にこたえることができる、そのような意味合いを持って、国会において法律を決めていただき、そして実施の措置について御承認をいただいたもの、私どもはこのように理解をしておるところでございます。

松本(剛)委員 サマワの宿営地付近での砲撃の問題、日本時間で言うと四月の八日前後に判明をした案件でしょうか、これについてはどのように分析をされておられますか。自衛隊の宿営地がねらわれた、ねらわれていない等についても、可能性の段階もあるでしょうけれども、分析をお聞かせいただきたいと思います。

石破国務大臣 これは、事実関係、先ほど運用局長からお答えをしたとおりでございます。

 その意図等につきましては、これは、正確なことは現時点をもって把握をできておりません。私がやりましたという人が出たわけでもございません。したがいまして、現状は、先ほど運用局から御報告したとおりでございます。

 そのことが自衛隊をねらったものであるかどうか、それはわかりませんが、そのような爆発音が聞こえた、そして、後で検証した結果、そのようなことがわかったということで、私は、現状というものを軽視するつもりはございません。事実は事実としてきちんと認識をしなければいけないと思っています。

松本(剛)委員 こういった地域では、リスクをやはり管理する、計算していかなければいけないというふうに思います。その意味で、お話を伺う限り、また、私どもが調べた事実を掌握する限りは、自衛隊をねらったということを必ずしも否定はできないというふうに私は思いますけれども、長官、いかがですか。

石破国務大臣 わかりません以上、全否定ということはできない。しかしながら、必ずしもねらったということが断言できるものでもない。だから、事実は事実としてきちんと認識しなければいけないということをお答えいたしました。

松本(剛)委員 今申し上げたように、リスクを管理するという意味で、もちろん、さまざまな可能性、高い可能性、低い可能性、常識的に考えられる可能性、そうでない可能性、可能性という言葉にも大変幅があるというふうに思いますけれども、今申し上げたように、これまでにはなかった状況だという理解でよろしいですか。

石破国務大臣 これは、先生が状況という言葉をどのような意味合いでお使いになったか、そこのところはわかりませんが、今までになかったことが起こったということではそうでございましょう。

 しかしながら、迫撃砲というものはどういうものであるか、ロケット弾というのはどのようなものであるか、それがどのような地域からどのような状況で撃たれるか、それは軍事専門家といろいろな議論をしながら、ありとあらゆる可能性を分析はいたしております。それは当然のことであります。

松本(剛)委員 今ここでこれ以上の御答弁はいただけそうにありませんが、意図も含めて、また、武器の使用の形態等も含めて、いろいろな意味で、残念ながら、リスクは高まってきているのではないかという可能性は否定をできないというふうに私は思うわけであります。

 もう一つ、リスクという意味で申し上げると、今も話がありました、現時点で脅迫に屈して撤退をせよと私ども申し上げる気はありませんが、法律的に撤退をしなければいけないときがある、また、先ほども議論があったように、安全という面からも撤退を決断しなければいけないときがあるはずだというふうに思います。

 今、サマワの地域そして周辺の中南部も、派遣をしたときとは状況が変わってきているというふうに思います。当然、撤退に向けてのシミュレーションであったり、どのルートを使って撤退をするか、陸上部隊の撤退というのは大変難しいものがあるというふうに思うわけでありまして、そういったことを御検討されておられると思います。

 具体的にどのルートをどう検討したかを今ここで言えというふうには申し上げませんが、御検討をいただいているかどうか。そして、今これだけ状況が変わっている中で、私どもが見る限りは、随分と撤退の選択肢は恐らく減ってきていると考えざるを得ないのではなかろうか。

 今申し上げた、自衛隊の部隊に責任を持たれる長官として、撤退も含めて、そういったリスクを御判断の材料とされるつもりかどうか、その点をお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 具体的なことが言えるはずはないのは、先生御指摘のとおりでございます。

 私どもとしては、さまざまな状況を想定いたしまして、ありとあらゆるシミュレーションをやっています。万が一ということが起こって、そんなことは想定もしていませんでしたということであれば、それは軍事に対する責任者として失格だと私は思っています。したがって、万通りというのは表現が誇張かもしれませんが、ありとあらゆる可能性は、それは考えるのが当然の責任だと思っています。

 しかしながら、では今実際の状況がそのような状況であるかということとは全く別の問題でございます。私どもとして、今そのような状況にあるとは考えておりません。

 しかし、先生御指摘のように、陸上部隊が仮に撤収あるいは移動ということが極めて難しい状況である。したがって、今回のような状況で陸上自衛隊を出したということから考えた場合に、そのことの重さというのは、当然、政府として認識をしておるところでございます。

松本(剛)委員 撤収ができなくなってからでは遅いので、ぜひそこはしっかりと御認識いただきたいということを申し上げたいと思います。

 そこで、危険な地域であるかどうかということ、非戦闘地域であるかどうかということ、さまざまな判断を組み合わせた上でお出しになっていると思いますが、バグダッドについてもオペレーションの可能性がある地域としては否定はできないというふうに思っておりますが、それはよろしいですか、法律上、基本計画上。今行っているかどうかということは別にしてですね。

石破国務大臣 それは、示しておりますとおり、バグダッド空港というのは入っております。

松本(剛)委員 そうしますと、そこへ、バグダッド空港でオペレーションができるかどうかということを御判断いただかなければいけないということになると思います。極めて近い地域の、今のファルージャであるとかそういった地域も、非戦闘地域なのかどうか、危険な地域なのかどうかということを常に政府としては御判断いただかなきゃいけないと思いますが、その御認識を伺いたいと思います。

石破国務大臣 おっしゃるとおりです。ですから、私どもは、非戦闘地域において活動するということでございますから、当然、バグダッド空港というのを入れております以上は、そこでオペレーションをやる場合にそこは非戦闘地域だということでございます。

松本(剛)委員 現在のファルージャについての御判断を伺いたいということで御質問いたしましたが、回答はないということでよろしいんでしょうか。ファルージャの地域が、危険なのかどうかは今聞く必要はないと思います、停戦中ですから、戦闘地域か非戦闘地域かということをお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 バグダッドは入っているかというお尋ねかと思いましたので、バグダッド空港についてお答えをいたしました。

 ファルージャにつきましては、これも法案審議中からお答えをいたしておりますが、イラクのあちらこちらを特定いたしまして、はい、ここは戦闘地域、はい、ここは戦闘地域ではないというようなことを分けることが法律上求められているわけではございません。

 自衛隊が活動するところは、すべからく非戦闘地域でなければいけない。そして、非戦闘地域の要件というのは、これはここで先生に繰り返すことはいたしませんが、そのことが本当に非戦闘地域の要件を満たしているのかどうかということについても、それはきちんと要件を満たすようなところでなければいけない。だから、自衛隊が活動するところ、すなわち非戦闘地域ですよというようなことを申し上げているわけではないのであります。(発言する者あり)

 ファルージャにつきましては、これは実際にその中に入っておりませんので、ファルージャについての評価を今することが法的に求められているわけではございません。

松本(剛)委員 あえて最初に申し上げたように、バグダッド空港から決して遠くない地域がどうであるかということは見きわめて動く必要があるのではないかということでお聞きをいたしました。

 ナジャフとかクートとか中南部の地域に関しても、米軍の実効支配から一時外れたというような情報があり、また、それをリテーク、取り返すというような話もありました。では、例えばこういった地域というのは、中南部、決して自衛隊から遠い地域ではないというふうに考えていかなければいけない、将来いろいろな意味で波が来ることも考えられるわけでありますから判断が求められてくると思いますが、こういったケースについても判断を留保するということですか。

石破国務大臣 留保をするというよりも、そのことについての判断というものが今求められているわけではございません。それがあって、それについて答えないということであれば、それは先生御指摘のように留保しているという評価をいただくことになるのかもしれませんが、現在、私どもとして、そういう地域において活動をするということは考えておりません。したがいまして、留保するとか、そのような御指摘ではないと私は思っております。

松本(剛)委員 法律に概念があります。定義があります。議論をいたしました。当然、それをさまざまな事象に当てはめて、当てはまるのか当てはまらないのかということを決めていくのが大切なことだろうというふうに思います。結局、今のお話を聞けば、政府が自衛隊を派遣すると言ったところが非戦闘地域である、これはもうトートロジーのような話でありますが、この話は何遍もいたしました。

 しかし、これだけイラクの状況が、私は、変わったというふうに認識をしております。変わってきた中で、そして、このイラク特措法という法律を最初に申し上げましたけれども、自衛隊を派遣された。この特措法の枠組みで自衛隊を派遣するということは大変無理があるというふうに私どもは申し上げてまいりました。

 この無理がある特措法の枠組みで、そして、これだけイラクの状況が変わってきた中で、今あえてファルージャのことであったりナジャフやクートのことをお聞きいたしました。前原委員も、最後の段階で判断が遅くなることはぜひ避けていただきたいということを申し上げました。撤退のことも私はお聞きをいたしました。イラクの情勢というのは大変な状況に来ている。この辺の政府の認識が甘いというふうに私は感じられるわけでありますが、では、どうぞ、言葉があれば。

石破国務大臣 これは先生、そういうような御指摘は、今、変わったというふうにおっしゃいました。それは、政府が申し上げておりますところの非戦闘地域ではなくなった、すなわち、国または国に準ずる組織が登場して、そしてまた組織的、計画的な国際紛争を解決するための武力の行使が行われているので、これは戦闘地域だから満たさなくなったという御指摘なのか、それとも、危なくなったからだめだという御指摘なのか、どちらでございましょうか。

 それは、先生が御指摘になりますのは、戦闘地域になったからだめだという御指摘なのか、それとも、危なくなったからだめだという御指摘なのか、どちらであるのかということをぜひ御教示いただきまして、議論というものを整理させていただきたいと思っております。

 これは法案のときから議論のあることでございますが、そのあたりをきちんと整理いたしませんと、また同じ話が、トートロジー、先生のお言葉をかりればトートロジーみたいな話になってしまいます。ですから、危険だからこれは考えなさいということであれば、それはそれで一つの理屈かと思います。私どもは、そのような考え方をとっているわけではございません。

松本(剛)委員 私たちは、最初から、戦闘地域、非戦闘地域という分け方で、これは憲法の問題があったのかもしれませんが、法律をつくって、そしてこれで自衛隊を出すということにそもそも無理があると。ですから、私たちは、非戦闘地域、戦闘地域という分け方そのものに意味があるというふうには思っておりません。そういう意味で今お聞きをしたわけであります。同時に、自衛隊の安全に責任を持たれるべき長官としてやはり御判断というのをしていただきたいということを申し上げたわけであります。

 よろしいですか、外務大臣、お聞きをしていきたいと思いますが、今、イラクの情勢が変わったのか変わっていないのかということを、若干、防衛庁長官と議論になったわけであります。それを否定されたわけではありませんので、議論というのかどうかわかりませんが。私どもは、変わったというふうに認識をしておりますが、そしてまた、先ほども与党の小野寺委員からも、イラクはよくない方向に進んでいるように感じられるといったニュアンスの御発言がありました。

 この六月の状況、政権移行に向けてということですね、今、かなり早いうちから、専門家の方は、六月の政権移行に向けて、主導権争いも含めて相当状況が悪化する懸念があるという指摘をしておりましたし、私どもも、そういう認識があるということを承知して分析してまいりました。

 今の状況、そして六月の政権移行に向けての状況をどのように認識されておられるのか、お伺いをしたいと思います。

川口国務大臣 イラクの基本法が三月の八日に、イラクの中の各派の合意によってできたわけでございまして、それは、イラク人による政権をつくっていくということに向けての政治プロセスの枠組みをつくったということで大きな意味があるというふうに思います。

 今、既に幾つかの省庁においては、六月三十日以前のこの時期に前倒しをして、例えば保健省は例であったと思いますけれども、そういうところに権限がもう既に移されているということで、着々と進みつつあるというふうに思っております。

 六月三十日に向けて、いろいろやらなければいけないことはまだ残っているということです。例えば、次にできる、六月三十日以降にできる暫定政権、これをどういう形でつくっていくかということについてもこれから決めなければいけないということですし、そういった課題はたくさんあるわけです。これを、まずイラク人が今中心になって、それに国連が、ブラヒミ顧問等がアドバイスをしながら、この過程を進めているということだと思います。

 今、確かにイラクの国内の各派の中に意見の相違があるということは事実であると思います。ただ、その相違は、この前、統治評議会の議長がおいでになられたときにお話をさせていただきましたけれども、大事なことは、そういった基本法についての合意がまずできたということを大いに評価するというふうに議長もおっしゃっていらっしゃいましたけれども、その合意をベースに、さらに妥協に妥協を重ねて、そういった次のステップに進んでいただくということが大事であって、国際社会が一致団結してそれを支援していくということが重要であるというふうに思っています。

 我々としては、ブラヒミさん、四月のたしか四日からイラクの中に入っていろいろなアドバイスをしていらっしゃるわけでございまして、そういった国連の支援も含めて、今イラクの状況については注視をしている。確かに難しい、困難な課題をクリアしなければいけないということはあるわけですけれども、そのための努力をイラクも国際社会も懸命になって行っているということだと思います。

松本(剛)委員 間もなく私の持ち時間が尽きるかと思いますが、先ほど、あえて、イラクは変わったかどうかということを申し上げてお聞きをいたしました。このファルージャの包囲の間に、統治評議会のメンバーの方で、辞表を出された、ファルージャの包囲に抗議をされたという方もいらっしゃる。また、必ずしもそれとリンクをしているかどうかわかりませんが、辞表を出した閣僚もいるといったような状況で、ここのところで急速に間違いなく状況が変わってきているわけです。今のように、何カ月も前からのお話を今この場でお聞きをしているわけではないわけであります。

 ぜひ、私たちも真摯に日本の国のために考えて議論をしているわけですから、そのような答弁をこれからも繰り返すことなく、誠意ある御答弁をお願い申し上げたい。

 そして最後に、やはり残念ながら、この委員会というか、私の持ち時間の間にでもこの拘束事件の朗報が聞ければと思っておりましたが、何も届いていないようであります。一刻も早い救出を願うと同時に、先ほど申し上げたように、御家族の方々に対する情報提供や面談等の対応、ぜひ血の通ったものにしていただきたいということを最後に申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

斉藤委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 私たち日本共産党も、先ほど志位委員長が三人の日本人の方の御家族とお会いになりました。そこで出された要望は、今までも出ておりますが、御家族と総理大臣、家族の気持ちを総理にぜひ伝えたいという切実な願いでありました。

 私は、これは最低限かなえるべきだと思いますが、外務大臣、いかがですか。

川口国務大臣 先ほど申しましたように、御家族との関係については、担当しているのは外務省でございます。もちろん、私がお会いをしたときに御家族の方から伺ったお気持ちについては、あるいは政府に対する要望等については、きちんとお伝えをしてございまして、総理もこのことについては御家族のお気持ちはよくおわかりでいらっしゃると思います。

赤嶺委員 家族が総理に訴えたいというこの気持ちを外務大臣は阻まないで、ぜひそれを実現するように強く要求しておきたいと思います。

 そこで、この日本人の三人が拘束されて、まだ事態が何も変わらないままこの委員会が開かれているわけですが、御家族の方の焦燥感も大変だと思います。もちろん、NGOやジャーナリストを人質にして、要求が入れられなければ殺害する、こういう脅迫は、要求がどういうものであれ、絶対に許されないものであると私たちは考えております。

 そういう三人の日本人の方々がイラクでどんな活動をしていたか、これも国民の間にも広く知られるようになってきました。文字どおりのイラクの国民のための人道復興支援、そのために全力を挙げてきた方々であります。

 政府は本当に万難を排してこの三人の救出のために全力を挙げる、こういうことを私たちとしても最初に外務大臣に聞きたいのですが、この点はいかがですか。

川口国務大臣 テロ行為、人を人質にして、あることを要求し、それが聞き入れられなければその人質を殺害するということは許されるべきことではないというふうに政府としては考えております。これは皆さん同じであるというふうに思います。

 政府としては、この人質になられた方の、まさに無事で御帰国をいただけますように全力を挙げて今取り組んでいるところでございます。小泉総理の御指示も、この救出、これを一番のプライオリティーにしてやるようにということでございます。

赤嶺委員 それで、本当に全力を挙げていくということとのかかわりで、さらに伺います。ファルージャの問題です。

 ファルージャでは米軍が軍事作戦をずっと展開しております。名づけて不断の決意、こういう名前をつけているそうですが、海兵隊が約千三百人、沖縄から海兵隊が三千人イラクに派兵されたということですが、その海兵隊が千三百人もファルージャを取り囲んでいる、ファルージャ全体を取り囲んでいる。包囲したばかりか、クラスター爆弾を使って無差別の殺りくを展開している、モスクまで攻撃をした。そういう点では、極めて残虐な行為をやり、そして憎しみと怒りをイラクの国民の間にかき立てていると思います。統治評議会からも辞任者があらわれている、このファルージャの戦闘に関して。

 イラクの人たちは目の前で、幼子が、あるいは家族が、米軍のこういう無謀な作戦によって殺されているというのを目撃しているわけであります。アナン事務総長も、ファルージャでの米軍の行動、軍事作戦、抑制的にと、このように声明を出しました。

 日本のイラク問題に詳しい酒井啓子さんは、この中でこのように述べています。アジア経済研究所参事の酒井啓子さんの発言として報道にありましたが、「人質解放に向け、まず日本がなすべきことは、ファルージャの状況を理解し、米軍に自制を求める姿勢をはっきり示すことだろう。イラクの現状に懸念を示したアナン国連事務総長の発言に続くべきだ」、このように述べています。

 日本政府も、ファルージャでの米軍の横暴な軍事作戦について、その即時中止を直ちに申し入れるべきだ、このように考えますが、外務大臣、いかがですか。

川口国務大臣 ファルージャにつきましては、これは、四人のアメリカの民間人が殺害をされたということを契機にして、米軍による掃討作戦が強化をされているということでございまして、六日にファルージャを包囲するに至ったわけでございます。

 それ以降、激しい戦闘が繰り広げられていたわけですけれども、十一日の現地時間の十時から十二時間の停戦合意が成立をしたわけでして、その後、さらに十二時間延長されたということで合意があったということを聞いております。

 見通しについて申し述べるということは難しいわけでございますけれども、我が国としては、これについて、ぜひファルージャにおいて、できるだけ早い機会に秩序そして治安の回復が図られて情勢が鎮静化するということを望んでいるわけでございます。そして、六月三十日に主権がイラク人の手に渡るということが重要であるというふうに思います。

赤嶺委員 私、ファルージャの状況を今聞いたのではなくて、ファルージャの町を取り囲んでクラスター爆弾で攻撃をするような米軍のやり方――私たちも、アメリカの四人の民間人を殺害し、ああいう形でやる蛮行というのは絶対に許せない、このように考えています。

 しかし、米軍の占領に対して、暴力が暴力を呼び、そしてそれがさらに大きな暴力の連鎖になり、民間人や子供たちまで殺害されている。そういうファルージャでの米軍の軍事作戦について、日本は明確に、この作戦を直ちに中止すべきと、今、停戦が続いているというようなお話がありましたが、こういう作戦をまず中止すべきだというのを政府として申し入れるべきだ、申し入れるかどうかということを聞いているんです。

川口国務大臣 ファルージャでクラスター爆弾が使われたかどうかということについては、確認をいたしておりません。

 それから、先ほどモスクということをおっしゃいましたけれども、実際に空爆をしたのは、モスクから離れた外壁であった、市民の犠牲者はなかった、モスク自体に損傷はなかったという旨の発表を米国はしていると承知をいたしております。

 また、キミット准将がこれにつきまして記者ブリーフで、非戦闘員たる市民への被害を最小限に食いとめる努力を行っているということを言っているということも承知をしております。

 いずれにしても、我が方としてファルージャについて考えておりますことは、できるだけ早く秩序と治安の回復が図られる、そして、情勢が鎮静化するということが重要であると考えているということでございます。

赤嶺委員 けさ、チェイニー副大統領が来日し、政府、総理と意見交換を持っていると思います。どんな話し合いをやりましたか。

川口国務大臣 これは、両国の、副大統領と首相の間のお話でございますから、人質事件、イラク、経済、北朝鮮の問題、中国の話、話題は多岐に及んでおります。

赤嶺委員 そこでファルージャでの米軍の行動についても意見交換をしておりますか。

川口国務大臣 イラクについて、ファルージャという限定的なことではなくて、一般的に情勢の議論を総理と副大統領はなさっているわけでございます。我が国としてのイラクへの考え方、国際協調の必要性、そして今イラクに起こっている暴力、これが少数の勢力によって引き起こされているということ等々が話題となっております。

赤嶺委員 私は、今のファルージャに関する外務大臣の答弁を聞きまして、クラスター爆弾を使ったかどうか確認されていないとか、モスクそのものを攻撃したわけではないとか、あるいは非戦闘員の犠牲を少なくしようとしているとか、こういうことでアメリカを弁護するようなのは、今起こっている事態からしても国民は絶対に納得できないものだと思います。

 町を囲んで、戦闘機がどんどんその町を攻撃するようなやり方というのが、世界のどこでそういうものが許されますか。こういうことをやはり強く申し上げておきたいと思います。

 事は、今イラクで起こっている問題は、そのファルージャでの無差別な攻撃にとどまりません。別の問題として、ムクタダ・アル・サドル師、そのサドル師の陣営の動きがあります。きっかけは週刊紙を発行停止処分をした、これを機にイラク全土で米軍とサドル派住民の衝突が続いており、それがイラク中南部にも広がっている、こういう問題ですね。

 そこで、防衛庁長官に伺いますが、そういう情勢の認識として伺いますけれども、サドル派あるいはイラク住民と占領当局との衝突が全土に広がりつつある、その広がり方、これについてどのように考えていますか。

川口国務大臣 サドル師は、これはシーア派の一部であるということでございまして、シーア派の宗教指導者のシスターニ師は、ファトワを六日に出されて、サドル師側及び米軍の双方に対して、暴力拡大、混沌と流血をもたらすいかなる行動も回避するようにというふうに呼びかけたというふうに考えております。したがいまして、サドル師の考え方あるいは行動がシーア派全部のものと一体であるということは、今必ずしも言えないという状況であると思います。

 この動きがシーア派全体に波及するかどうか、これについて確たることは申し上げられないわけでございますけれども、今後についても我が国としては注視をしていきたいというふうに考えております。

赤嶺委員 米軍と米軍占領に対するイラク国民の不満が続く限り、だれも、この衝突が抑えられていく、広がらないという可能性を言える人は、主張できる人はいないと思います。

 それで、自衛隊はイラクで人道復興支援をやっているんだと言っておりますが、既に宿営地の中でしか行動できないような状態に置かれている。ただ、その中でも航空自衛隊は別でして、今月の一日から十一日まで、航空自衛隊による安全確保支援活動を展開しています。

 航空自衛隊の幕僚長は、空自の輸送部隊が武器を携行した連合軍兵士の輸送を行っているということを明らかにしているわけですが、それはそのとおりで間違いないですね。これは記者会見の中身ですから。

石破国務大臣 空幕長が会見で申し上げたかどうか、私も正確には記憶をいたしておりませんが、先生御指摘のとおり、安全確保支援活動というものは法律にも規定をされておるわけでございます。

 ただ、それを、どこからどこへ向けて何を何回運んだかというようなことは、これは、安全確保支援活動の性格から考えましても、そういうことを申し上げられないのは当然のことだと思っております。

赤嶺委員 どこからどこに向けて何回という質問は今発していないんですよね。安全確保支援活動、つまり、武器を携行した連合軍兵士の輸送を行ったんですねと、こういう確認であります。

 結局、イラクがこんな緊張しているときに、全土で占領軍とイラク国民の衝突が広がり、あるいはデモや抗議の声が広がり、そして、ファルージャでの米軍の作戦行動が続けられる、こういう中で、武器を携行した連合軍兵士の輸送を航空自衛隊が行う、一方で陸自は宿営地の中でしか行動できない。これでは、占領軍の支援、これだけはきちんとやっているということになるんじゃないですか。占領軍の一員と言われて、そういう指摘を否定することはできないんじゃないですか。

石破国務大臣 何度もお答えをしておりますが、一つは、先ほど来、宿営地の中から一歩も出ないじゃないかというお話ですが、その中で、浄水活動、給水活動というのはきちんと行っているわけですね。それは以前からまだ、市内へ出て自衛隊の給水車で市民に水を配るということは以前からやっておらないことです。それで、サマワの市民がどれだけきれいな水にアクセスできないで苦労しているかということは、これは私が申し上げるまでもございません。

 そういたしますと、それが占領軍の一員としての活動しかしていないとか、あるいは全くサマワの市民に役に立っていないとか、そのような御指摘は全く当たらないものでございます。

 そしてまた、占領軍の一員としてということが当たらない。それは、コアリションの一員ではあるけれども、占領軍の一員として指揮命令系統に従ってやっているというわけではないというのは、これも累次答弁を申し上げておるとおりのことでございます。

 要は、この国会において法律を御審議いただき、そしてまたこの国会において実施の措置を御承認いただき、そのことに基づいて私どもは法にのっとってきちんとやるべきことをやっておる、そういうことでございます。

赤嶺委員 民間のNGOは、世界のNGOは、サマワでもイラク国民と対面しながら人道支援活動をやっている、こういう状況で、そして、人道支援活動は軍隊と一線を画することによって安全を確保する、これは当委員会で日本国際ボランティアの熊岡代表が述べたことでもあります。

 イラク全土が戦闘地域、これは紛れもないことであります。そういう意味でも、自衛隊の撤退を強く求めて、そして、日本人三人の救出に全力を挙げる、こういうことを強く要求いたしまして、私の質問を終わります。

斉藤委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党の山本喜代宏でございます。

 今回のイラクの人質事件でございますけれども、いかなる理由があるにせよ、こうした行為は断じて許すことはできません。御家族の皆さんの心中を察しますと、一刻も早く解決してほしいというふうに願わずにはいられないわけでございます。

 しかしながら、今のイラクの情勢というのは、大義も正当性もない米英軍の武力攻撃と占領統治、アメリカ主導の暫定政府づくりに対して、多くのイラク国民が反発をしているということのあらわれではないかというふうに考えるわけでございます。

 先般のこの特別委員会の参考人質疑で、日本国際ボランティアセンターの熊岡代表理事から、自衛隊が派遣されるとNGOの活動が危険にさらされるという指摘がありました。まさに心配された事態が起きたわけでございます。

 日本政府が米英の占領統治を支持し、これに協力する形で自衛隊を派遣したことが今回の事件の原因であるということは明らかであります。こうした点についての社民党の考え方をまず明らかにしておきたいというふうに思います。

 先ほど、社民党本部に三人の家族の方々が見えられまして、福島党首に要請をしておりました。大変涙ながらに、切々とした訴えをされたわけでございます。

 その中で、先ほど来言われておりますが、家族の皆さん、ぜひ首相に会ってお話を聞いていただきたいということ。それから情報ですね。今、時間が経過するに従って、どうなっているのか、大変家族の方々はいたたまれない気持ちだと思います。そうした意味で、時間を適切に考えながら、情報がないならないでもいいですし、そうした家族に対する血の通った対応というものを考えていただきたいということですが、この点について、外務大臣のお考えをお伺いします。

川口国務大臣 今、政府といたしましても、御家族の方々のお気持ちを考えますとき、非常におつらいものがあるというふうに思っております。一日も早く解決をしたいということで、全力を挙げているところでございます。

 御家族に対しての情報の御提供、これにつきましては、十分でないということでしたら、これは改善できることは改善をしていきたいと思いますけれども、私は、領事移住部に対しては、新しいことがあってもなくても頻繁に御連絡を申し上げるようにということを指示いたしております。引き続き、十分でないということでしたら、どのようなふうに改善できるかということについては考えていきたいと思います。

 非常に不安なお気持ちでいらっしゃるわけですから、そのお気持ちに対して、それに十分にこたえてさしあげなければいけないというふうに思っておりますし、領事移住部もその私の指示にこたえて今一生懸命に取り組んでいるというふうに思っています。

 それから、総理でございますけれども、先ほども申しましたように、官邸に対しては、私は、御家族とお会いをしたときのことについてきちんとお伝えをいたしておりますし、総理もそのお気持ちについては十分に御理解をしていらっしゃると私は思っております。これは、御家族との関係については領事移住部、すなわち外務省がこれを担当するということでございますので、引き続きベストを尽くさせていただきたいと思っております。

山本(喜)委員 もう一点、家族の皆さんからお話しいただいた中身は、人命を第一に考えてほしい、そして、自衛隊の撤退も選択肢に入れてほしいという要望でありましたが、この点について、大臣、どういうふうにお考えですか。

川口国務大臣 この点についての政府の考え方は、官房長官が最初に記者会見でおっしゃったとおりでございます。

山本(喜)委員 それからもう一つ、先ほど大臣は、ビデオメッセージのことで民主党の委員の方にお話ありましたが、人質事件というものの解決は、犯人を刺激しないということが前提になると思うわけですが、なぜわざわざ大臣はこのビデオメッセージで犯人を刺激するようなことを言われたのか。人命を尊重するということが、果たして本当にお考えがあったのかどうか、もう一度お伺いします。

川口国務大臣 私は、この問題の基本的な解決というのは、犯人側が、我が国がどういう意図を持って自衛隊をイラクに派遣しているか、我が国がいかにイラクの復興のために支援をしているかということについて十分に理解を持つということであるというふうに思います。

 そして、もちろん、この三人の方がいかにイラクの人たちのために今まで働いてきたかということについても十分にイラクの犯人側にわかってもらう必要があるというふうに考えておりましたので、そのような内容を盛り込むということが適切であるというふうに考えたわけでございます。

山本(喜)委員 しかしながら、犯人の要求は、自衛隊を撤退しろ、してくれということなわけであります。

 当初、自衛隊が派遣されたころと情勢が全く変わっているという認識はないのかどうか。当初、フセインが排除されてイラクの国民は喜んだというふうなことがあったと思いますが、現状は、六月三十日の政権移譲に向けてイラク国内が非常に混乱をしているということの認識はないわけですか。

 ですから、自衛隊が、復興支援といいますけれども、アメリカのやり方に対する反発というのがかなり大きく広がっているという認識はないんですか、大臣。――どちらでもいいですよ。

石破国務大臣 情勢は、それは確かに動いていると思っています。しかしながら、法律に定められた要件を満たさなくなったかどうか、それはまた別の問題でございましょう。そしてまた、本当に復興したい、職が欲しい、民生を安定させたいと思う国民と、そうなってはいかぬのだということで多くのそういうようなことを起こしている国民と、それは違うのだと思っています。

 イラク国内が完全に不安定になった、だから法律の要件も満たさなくなった、危険でもある、よって撤退せよという論理は、かなり現状の認識に、もうちょっと正確に物事を見なければいかぬのじゃないでしょうか。そしてまた、法律的な要件も、それはきちんと見なければいけないことだと思っています。

山本(喜)委員 イラクの治安の悪化ということで、特に今、先ほどから言われているファルージャの件であります。アメリカ軍の攻撃によってイラク国民六百人以上が死亡し、そして千二百人以上の方が負傷している。これは、まさにアメリカ軍による虐殺ではないかというふうに言っても過言ではないと思います。

 このファルージャの事件が人質問題の解決をおくらせているのではないかという情報があるわけですね。ファルージャの付近で人質になったという中で、今、停戦ということが言われていますが、攻撃の悪化、イラク国民の犠牲の広がりということについて、この人質問題が二十四時間ということが今延びているわけですね。このことについて、リンクしているのかどうか、外務大臣、そういう認識はありますか。

川口国務大臣 まず、ファルージャについては、停戦合意があったということで、政府としては、できるだけ早くファルージャに秩序そして治安の回復がもたらされるということを望んでいるわけでございます。

 それから、この人質事件とファルージャとの関係については、これについて、一番最初の犯人側の要求にファルージャが触れられているということはないわけでございます。まあ一カ所名前が別なコンテクストで、別な文脈で述べられていますけれども、人質事件との関係について直接言及しているわけではないというふうに承知をいたしておりますが、いずれにしても、このファルージャのことについては、できるだけ早く鎮静化するように我々としても望んでいるということでございます。

山本(喜)委員 ファルージャの件が鎮静化するということを願うだけでなくて、アメリカに対して、攻撃を自粛するようにと、作戦の停止を求めるという考えはないのかどうか、お伺いします。

川口国務大臣 我々としては、米国に対しまして、国際協調のもとでイラクが早く安定をし、六月三十日の主権の移譲、これがその期日どおりに行われるということが重要であるというふうにはずっと申し上げてきているということでございます。

山本(喜)委員 時間が参りました。

 最後に、社民党は、イラク全土が戦闘状態であり、イラク特措法から見ても自衛隊の派兵は誤りであるというふうに主張してきましたが、この間のイラク情勢は社民党の指摘どおりになってきているというふうに思います。三人の方々を救うためにも、自衛隊の即時撤退を求めて、私の質問を終わります。

斉藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時五十一分散会


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