衆議院

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第8号 平成16年12月13日(月曜日)

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平成十六年十二月十三日(月曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 船田  元君

   理事 中谷  元君 理事 三原 朝彦君

   理事 渡辺 具能君 理事 小泉 俊明君

   理事 末松 義規君 理事 藤田 幸久君

   理事 佐藤 茂樹君

      宇野  治君    大島 理森君

      嘉数 知賢君    川上 義博君

      岸田 文雄君    斉藤斗志二君

      桜井 郁三君    柴山 昌彦君

      菅原 一秀君    武田 良太君

      谷本 龍哉君    寺田  稔君

      西村 康稔君    西銘恒三郎君

      葉梨 康弘君    馳   浩君

      浜田 靖一君    宮澤 洋一君

      山口 泰明君    井上 和雄君

      大石 尚子君    大出  彰君

      岡島 一正君    岡田 克也君

      吉良 州司君    篠原  孝君

      島田  久君    神風 英男君

      首藤 信彦君    鈴木 康友君

      中川 正春君    中山 義活君

      長妻  昭君    村越 祐民君

      赤松 正雄君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   内閣官房副長官      杉浦 正健君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   外務副大臣        谷川 秀善君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  増田 好平君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            吉川 元偉君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  佐藤 重和君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    井戸 清人君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月八日

 辞任         補欠選任

  玉沢徳一郎君     馳   浩君

同月十三日

 辞任         補欠選任

  竹本 直一君     菅原 一秀君

  平沢 勝栄君     柴山 昌彦君

  宮澤 洋一君     葉梨 康弘君

  鈴木 康友君     中山 義活君

  本多 平直君     村越 祐民君

  牧  義夫君     岡田 克也君

同日

 辞任         補欠選任

  柴山 昌彦君     平沢 勝栄君

  菅原 一秀君     竹本 直一君

  葉梨 康弘君     宮澤 洋一君

  岡田 克也君     井上 和雄君

  中山 義活君     鈴木 康友君

  村越 祐民君     本多 平直君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 和雄君     牧  義夫君

    ―――――――――――――

十二月三日

 一、国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件(イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更等)


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     ――――◇―――――

船田委員長 これより会議を開きます。

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件について調査を進めます。

 この際、イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について政府から報告を求めます。細田内閣官房長官。

細田国務大臣 イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について御報告申し上げます。

 イラクの復興と民生の安定を図ることは、中東地域のみならず、我が国を含む国際社会全体の平和と安全の観点から重要であります。多くの国がイラクの国家再建を支援している中で、我が国は参加しないということでは国際社会の信頼を得ることはできません。

 イラクにおいては、明年一月三十日に予定されている国民議会選挙の実施及びそれに伴うイラク移行政府の成立、八月十五日までの憲法草案の起草及び十月十五日までのこれについての国民投票の実施、十二月十五日までの新憲法に基づく国民議会選挙実施、十二月三十一日までの新政府発足といった政治プロセスが予定されています。

 これらのプロセスを円滑に進展させるために、現在、約三十カ国が多国籍軍の中でそれぞれの選択に従ってさまざまな支援を行っており、我が国としても、我が国にふさわしい分野において、引き続きイラクの復興に積極的に貢献していくことが重要です。

 陸上自衛隊の部隊は、サマワでの厳しい生活環境にもかかわらず、高い規律と士気を保ち、給水、学校や道路等の公共施設の復旧整備、医療といった人道復興支援活動を行ってまいりました。これまでに、給水については四万トン以上の水を提供しました。公共施設の復旧整備については、約二十カ所の学校や道路補修等が既に完了し、さらに現在約二十カ所において引き続き作業を実施しております。医療については、四カ所の病院において医療技術指導を行っています。また、人道復興関連物資等の輸送及び陸上自衛隊の現地での活動を支援する等のため、航空自衛隊の部隊が物資輸送を行っており、その回数は延べ約百回、輸送物資重量は総計約百九十トンに達しました。

 こうした自衛隊の活動に対しては、イラクのアラウィ首相、ジバリ外相、ハッサーニ・ムサンナ県知事等、そしてまた、現地サマワの一般市民からも、感謝の意とともに自衛隊の活動の継続を望む期待の声が寄せられていたところです。イラクの復興は道半ばであり、ムサンナ県でもさまざまな復興支援需要が依然として存在する中、自衛隊による人的支援と政府開発援助、ODAによる資金協力とを車の両輪として、イラクの再建に協力していくことが引き続き強く求められています。

 ムサンナ県の治安情勢は、引き続き予断を許さないものでありますが、イラクのほかの地域と比べれば比較的安定していると認識しております。これまでに自衛隊の宿営地内外に対する砲撃事案が八件発生しておりますが、我が国が独自に収集した情報や諸外国から得た情報等を総合的に勘案して判断すれば、イラク人道復興支援特措法の求める非戦闘地域の要件を満たしていると認識しております。

 自衛隊の活動に当たっては、最新の治安情勢を常時把握するための情報収集の徹底、各種監視装置を活用した宿営地周辺の警戒及び監視の強化、宿営地内にある施設の防護措置の強化、宿営地外における部隊活動時の警備の徹底等の措置を講じているところであり、今後とも、部隊の安全確保に万全を期していきます。

 こうしたイラク復興の状況や現地治安情勢等を総合的に検討した結果、九日の臨時閣議において基本計画の変更を行ったところです。

 派遣期間につきましては、計画的に復興支援を行い、実効的な成果を上げるために、ある程度まとまった期間をとることとし、平成十七年十二月十四日までの一年間の延長としました。

 また、派遣期間内の大きな情勢の変化や活動目的の達成状況に対して臨機応変かつ適切な対応を行うとの趣旨を、基本計画上、より一層明確にいたしました。

 イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置の実施は、我が国が、世界の他の多くの国とともに、中東地域及び世界の平和と安定に寄与しようとする取り組みを具体的に実践するものです。これは、日米同盟と国際協調に立脚するという我が国の国益にかなうものです。引き続き、政府としては、基本計画に定められた対応措置を、安全の確保に十分配慮しつつ、円滑かつ適切に実施していくため全力で取り組む所存であります。

 このような今回の閣議決定につきまして、委員各位の御理解、御協力をお願い申し上げます。

船田委員長 これにて報告は終了いたしました。

    ―――――――――――――

船田委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官増田好平君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛庁運用局長大古和雄君、外務省中東アフリカ局長吉川元偉君及び外務省経済協力局長佐藤重和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

船田委員長 この際、政府から説明を聴取いたします。防衛庁運用局長大古和雄君。

大古政府参考人 イラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊の部隊の最近の活動状況について御報告いたします。

 まず、サマワの陸自部隊においては、安全確保に十分配意しつつ、宿営地における給水活動を初め、ムサンナ県内のヒドル、ルメイサ、ダラージ及びサマワにおける学校補修、ナジミ及びサマワにおける道路整備を引き続き実施しています。これらの活動により、これまで一日当たり三百名から五百名程度の雇用を創出しているところです。また、病院における医療活動も引き続き実施しています。

 給水活動に関しましては、十二月以降、一日当たり百トンから二百四十トン程度を給水しております。なお、三月二十六日から十二月十二日までの間に、計約四万五千トンを給水しました。

 また、十二月六日に業務の引き継ぎを完了した第三次復興支援群は、昨十二日をもって全隊員が帰国いたしました。

 十二月一日以降のサマワ周辺の情勢について、主な事件等は次のとおりです。

 現地時間六日夜、サマワ市街から北北東約四十キロの場所で、ワルカの地元住民が複数の不審者を発見して追尾しましたが、不審者から銃撃を受け、地元住民が応射し、不審者は逃走したとのことです。その後、イラク警察が地元住民と周辺付近を捜索し、約二百キロの爆発物を発見したとのことです。

 本事案において現地部隊に異状がないことを確認しておりますが、現地部隊においては、さまざまな情勢を踏まえ、その活動も慎重に行っているところであり、引き続き安全確保に細心の注意を払いつつ活動を実施してまいります。

 航空自衛隊の部隊については、十二月一日から十二日までの間、陸自関連及び関係各国、関係機関等の人員の輸送を計六回実施したところです。

 引き続き、イラク国内の各飛行場の安全性や輸送ニーズ等を慎重に勘案しつつ、C130機による輸送を行ってまいります。

 以上でございます。

船田委員長 次に、外務省中東アフリカ局長吉川元偉君。

吉川政府参考人 最近のイラク情勢について御報告申し上げます。

 今後のイラクにおける政治プロセスのかぎであります国民議会選挙につきましては、十一月二十一日、独立選挙管理委員会が、選挙を明年一月三十日に実施すると発表いたしました。一部の勢力によりその延期を求める動きがありますが、ヤーウェル大統領及びアラウィ首相を初めとするイラク暫定政府は、選挙を予定どおり実施する方針であると表明しております。

 選挙準備につきましては、同委員会が国連等の支援を受け準備作業を進めているところであり、一部地域を除き順調に進んでいると承知しております。有権者の登録につきましては、十一月一日より開始され、十二月十五日まで行われる予定であると承知しております。また、政治団体の登録につきましては、十一月一日より開始され、既に二百以上の団体が登録を済ませたと承知しております。

 イラクの治安情勢につきましては、脅威の度合いは地域により異なるものの、駐留多国籍軍と武装勢力の衝突、車爆弾、ロケット弾等によるテロ、民間人の拘束、殺害が続いており、依然予断を許さない状況です。最近の傾向としましては、事件はバグダッドを含む中部地域等に集中しております。

 イラク暫定政府は、十一月七日、北部のクルド地域を除くイラク全土に対し非常事態を宣言しましたが、十二月十二日現在、同宣言を受けてとられている措置は、バグダッド、ファルージャ、ラマディ等における外出禁止令等であり、自衛隊が活動するムサンナ県では、同宣言を受け、同県の治安維持のため具体的な措置がとられたといった情報はございません。

 十一月八日に開始されたファルージャにおけるイラク治安部隊と駐留米軍による反政府武装勢力に対する掃討作戦につきましては、十二月十二日現在、戦闘はおおむね終了したものの、依然、武装勢力による攻撃が散発的に発生している模様です。

 以上で報告を終わります。

船田委員長 これにて説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

船田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤松正雄君。

赤松(正)委員 おはようございます。公明党の赤松正雄でございます。

 あすの十二月十四日でイラク特措法に基づく自衛隊のサマワ派遣の期限が来るということで、先ほど官房長官から報告がありましたように、一年間の延長ということを基軸にした基本計画の変更というものの御報告がございました。

 私たち公明党の基本的な姿勢というのは、このイラクにおける自衛隊の派遣という問題は、国際政治のリアリズムという観点から、あるいはまた日本の国益という観点から、このことを支持するものでございます。今この瞬間も、日本が得ている利益というものは、私ははかり知れないものがある。

 ただ、危険というものも同時にあるわけでございまして、その危険というものを一身にサマワに派遣されている自衛隊の皆さんが背負っているということは紛れもない事実でございまして、こうした皆さんの安全確保を第一にも第二にも図っていかなくちゃいけない、こういう観点が強く意識されるわけでございます。

 私どもは、先般の当委員会でも、同僚委員、佐藤委員の方から、総理大臣出席のもとの委員会におきまして、私どもの神崎代表が四つのケースを挙げまして、一つは、人道復興支援の目的が達成されたとき、二つは、自衛隊派遣にイラク政府の同意が得られなくなったとき、三つは、自衛隊の派遣地域が非戦闘地域ではなくなったとき、そして四つは、自衛隊の安全確保ができなかったとき、こういう四つのケースのいずれかが起こり得たときには撤退せざるを得ない、撤退を臨機応変にするべきである、こういうふうな条件というかケースを想定した上での話をいたしまして、総理大臣の方からも、それは非常にいい案であるというふうな、賛成であるという答弁があったわけでございます。

 今回のこの基本計画の変更の中に、四つの項目というんでしょうか四つのケースというんでしょうか、そういった四つの項目が盛り込まれた上で、それぞれの変化に対応して、「必要に応じ適切な措置を講じる」、こういうふうな表現がありますが、まず、こういった、「必要に応じ適切な措置を講じる」というこのくだりの持つ意味というものを官房長官の方から改めてお話し願いたいと思います。

細田国務大臣 赤松議員の御指摘、また公明党からの御意見、本当に重要な論点でございます。

 そして、お尋ねの点でございますが、イラク特措法に基づく対応措置を実施するに当たりましては、常日ごろから、我が国独自の情報や諸外国から得る情報の収集に努め、これを総合的に分析するなどして、情勢の変化に臨機応変かつ適切な対応がとれる態勢で臨むこととしております。

 今般、一年間の派遣延長を決定いたしましたが、派遣期間内には、さまざまな政治プロセスの進展など復興支援活動を進めていく上で考慮すべき節目となる事象が幾つか予測されることから、当該期間内においても、さきに述べたような態勢で臨むという姿勢をより一層明確にするために規定を設けたわけでございます。

 具体的にどのような措置をとるかということについては、個別具体の事情がございますので一概には申し上げることはできませんが、例えば、活動の内容の変更、活動区域の変更、安全確保策の強化等が考えられるわけでございまして、公明党さんから強く御主張になった点も十分考慮の上の決定でございます。

赤松(正)委員 今官房長官からお聞きしたんですが、ちょっとその点について、さらに確認をしていきたいと思います。

 まず、一般的に、先ほど申し上げました、政府の基本計画の変更の中にある四つの項目を含めた「必要に応じ適切な措置を講じる」ということについて、私は、いささかの誤解が世の中にあるんではないかというふうに思います。

 どういう誤解かといいますと、これは私自身もいっとき誤解をしたというふうに自分で思うんですけれども、要するに、先ほど述べた、私どもの代表が述べたような、そういう撤退の四条件というケースというふうなことに適応するものではなくて、一つの総合的な観点から事態を勘案するその材料として四つの項目を挙げたにすぎないのではないかという話と、もう一方で、そうじゃなくて、これは言ってみれば撤退に至る四つの条件なんだ、こういうふうなとらえ方をする向きがあると思います。

 そこで、まず私自身こういうふうなケースを申し上げますので、どちらかということを言っていただきたいんですが、まず一つは、この「必要に応じ適切な措置を講じる」というのは、まず期間は一年間、これは当たり前のことですが、一年間であると。つまり、一年間に対して、未来、一年を超えてずっと未来全体にわたることであるというとらえ方、まずそれが一点。

 二つ目が、サマワに関することである、そうではなくて、サマワを含むイラク全土に関することである、そういう地域性の問題。つまり、「現地の」という言葉がありますが、その「現地の」というのはサマワを指すのか、イラク全体を指すのか、そういう観点です。

 三つ目は、四項目がそれぞれ自立しているのか。四項目それぞれ、復興の進展状況、政治のプロセス、治安、そして多国籍軍、こう四つの項目が並べられているわけですけれども、それぞれ自立した項目なのか、それとも、四つ一緒にして、全部相互に絡み合っているということなのか。

 四つ目は、自衛隊に関することなのか。あるいは、自衛隊だけではなくて、自衛隊を含めて、政府全体の対応、ODAを含めて自衛隊以外のさまざまな対応。

 こういうふうに二つに分ける。つまり、一年間、サマワ限定、自立、そして自衛隊対応、こういう四つの観点をAとしますと、Bの方は、一年間じゃなくて未来に及ぶ、そしてイラク全土だ、そして全部関係している、そして、自衛隊だけではなくて、ODAとか政府全体がやることに絡んでくるんだ。こういうことに関することで、最終的に、今申し上げましたAとB、どちらに関することなんでしょうか。

細田国務大臣 今、四つに分けた御質問がございました。

 一年の期間内なのかという点については、まさに一年でございます。

 それから、サマワに限定されるものかどうかということでございますが、基本的にはサマワについてということでございますが、全土の状況等も判断をするということでございます。

 それから、四項目は相互に連関していくのか、自立的なものであるのかという御質問がございましたが、相互に連関をしていくというふうに考えております。つまり、現地の復興の進展状況の変化とか、選挙その他のプロセス、あるいは現地の治安に係る状況、そして多国籍軍の活動、構成の変化というものは、それぞれに総合的に配慮すべき事項であるというふうに考えられます。

 それから、自衛隊を含めて、ODAその他、全体の政府の対応を含むのかということでございますが、大きな視点から考えていくべきであると考えております。

赤松(正)委員 最終的にこの問題、私のとらえ方、官房長官に聞きますけれども、そうしますと、この「必要に応じ適切な措置を講じる」というのは、その「適切な措置」の一つの究極の措置が自衛隊の撤退。それ以外に、先ほどさまざまな措置と言われたけれども、いろんなパターンがある。四つを総合的に勘案して、どういう段階があるかわからない、どういう対応があるかわからないけれども、幾つかのことをやっていくケースがある。そして、言ってみれば、最悪といいますか、最悪という表現は適切じゃないかもしれません、一つの究極のケースが、サマワからの撤退というものがこの四つのさまざまなケースの混合的な判断の中から生まれてくる。そういうことだというとらえ方でよろしいんですね。

細田国務大臣 まさに、日本国民の多くの皆様方も、政府によるそのような対応を注目してそれぞれに御判断をいただいておりますし、公明党からの御意見も、そのような観点からおっしゃっていただいていると思います。

 おっしゃった、派遣期間の短縮、撤収ということもあり得るのかということでございますが、可能性としては排除をしておらず、状況に応じてそのようなことも考えられておるということでございます。

赤松(正)委員 それでは、具体的に一つずつについて確認をしてまいりたいと思います。

 まず第一点目の、「現地の復興の進展状況の変化、」という問題でございます。

 この「現地の」というのは、先ほどの官房長官の答弁からしますと、基本的にはサマワだけれどもイラク全土を含む、こういうふうに解釈するということだろうと思いますが、この「現地の復興の進展状況の変化、」という問題については、先般、大野防衛庁長官も現地に行ってこられたということで、また、私どもの幹事長も自民党の幹事長と一緒に現地を訪問したわけですけれども、そういった現地の報告も聞いております。そういう中で、今サマワで行われている人道復興支援について、この現状で満足しているのか、あるいはどういうニーズがさらにあるのか、こういうふうな話が現地でいろいろ交換をされたようでありますけれども、今現地からはインフラの整備というのが求められている。

 このインフラの整備というのは、これは自衛隊がやるべきことじゃなくて、ODA、外務省を中心に政府全体として取り組まなくちゃいけないようなテーマであろうと思いますけれども、自衛隊の人道復興支援が十分になし終わった、こういうふうに、言ってみれば、サマワの復興の進展状況の変化が、最も極端なケースとしては、なし得たときというのは、一体どういうときを人道復興支援がなし終えたと、サマワにおける人道復興支援がなし終えたという基準をどこに置くんでしょうか。

細田国務大臣 お尋ねに正確にお答えするということはなかなか難しい点はあると思います。というのは、現地サマワにおきましても、平和な土地であるとはいうものの、戦争の傷跡、その他、教育環境にしましても、あるいは病院その他の医療環境、そして社会資本の状況についても極めて憂慮すべき状態にあり、これを自衛隊の諸君が一生懸命、今復興支援活動を行っておるところでございます。それが一体どこまでいけばこの目的を達したと考えられるかということは、今後の全体の環境も評価していかなければなりません。

 しかし、復興支援活動として日本が行える範囲、これが終了したな、あとはやはり現地で対応もできるしという状況が起これば、これは活動を終了させることはできるということも当然視野に入れているという意味でございます。

 いろいろニーズの変化等もございますので一概には申し上げられませんが、そのようないわば哲学論を言っておるというふうに御理解をいただきたいと思います。

赤松(正)委員 そうしますと、今は、水と、いわゆる病院を中心とした医療活動、そして子供たちの学校の施設、そういう教育施設に対する補修整備ということが、基本的に三つの大きな仕事として自衛隊の皆さんが取り組んでいる人道復興支援でありますが、その三つについて、引き続きこれから一年このことをやっていく可能性が大なのか、あるいは、現在の時点で、先ほどインフラ整備ということを申し上げましたけれども、そういった大がかりなものではなくて、今申し上げた三つに並行的に加える四つ目のようなことが今の時点で想定されるのかどうかということが一つ。

 もう一つは、先ほど官房長官が述べられた、人道復興支援が終了する、これはなかなか判断は難しいわけですけれども、それ全体、イラクの今自衛隊に求めていることがこの一年の中で終了するというふうに見通しを持っておられるのかどうか。この二つについてお願いいたします。

細田国務大臣 当然ニーズの変化というのはあると思います。現地の要請もいろいろ、次はこういうことをやってほしい、それが人道復興支援に当たるかどうかということも考えていかなければならないと思います。

 また、実際の需要は、イラク全土においてさまざまな需要も本当はあるわけでございます。したがって、私はよく言うんですが、これは、我々は今サマワにおいて人道復興支援活動、主としてそこでやっておるわけでございますが、一隅を照らすような姿勢で、そこで我々は、限られた任務ではございますが、一生懸命取り組むことによって日本の自衛隊がイラクの復興のために一つの貢献をしておる、こういう見地でございますので、またさらに今後そういったいい活動があれば、また検討をする必要もあると考えております。

大野国務大臣 ただいま三つの分野における支援でございますけれども、その中で水の問題、これは浄水機がそろそろ据えつけられてきております。実際この目で見まして、宿営地のすぐそばに浄水機二基、もう建設中でございました。したがいまして、この水に対するニーズというのはだんだん減ってくるのではないか、このように思っております。

 また、今後一番大きな問題として、失業率が非常に高いものですから、やはり雇用の問題、これは大きなニーズとして存在しておると思いますし、また、インフラ整備ということをしきりに要求、要望があるようでございますが、こうなってくると、やはり自衛隊だけの人道復興支援活動では賄い切れるものではない、もっともっと大型なものが必要なんじゃないか、こういう現状ではないかと思います。

赤松(正)委員 この一年で終わり得る見通しはということについてはお答えがなかったので、次の質問のときに一緒に答えていただきたいんですが。

 政治プロセスの進展状況ということですが、これはもう来年の一月三十日の国民議会選挙というものを初めとして、来年の十二月の終わりに至る憲法に基づく新しい国民議会の選挙というこのスケジュールがもう既に決まっているわけでございまして、この選挙の実施がスムーズに進んだ場合は問題ないんでしょうけれども、進まなかった場合でも、やはり、では、進まなかったからといって、日本の自衛隊対応、日本政府がどう対応するかということについては余りなし得ることがないんじゃないのか。つまりこれは、個別に政治プロセスのことだけを取り上げた話を今しているわけですけれども、個別に政治的プロセスのみのこの進展状況を取り上げたときに、進んだからあるいは進まなかったからといって、何か自衛隊の活動に変化があるんでしょうか。

細田国務大臣 政治プロセスにつきましては、国際的な協議あるいは関連する国々との協力によりまして進められるべき問題であると思いますし、一日も早くこれが終了いたしますように、そして安定的な民主主義国家が発足いたしますように、大いに期待しておるわけでございます。

 したがって、我々は、そのようなプロセスが終了すれば当然任務は終了するというふうに考えておりますが、それ以上の、このことに限っての、政治プロセスが例えば十分進展しなかった場合はどうかということについては、目下想定しておるわけではなく、今計画されておる来年末までのプロセスが必ず完了して、一日も早く国家の体制が整備されること、そうなれば、また日本としても、自衛隊による協力でなく、民間によって大いなる、日本の最も得意な分野でもございますし、いろいろな形での協力ができるようになるわけですから、そのことを期待していると申し上げるほかはございません。

赤松(正)委員 といいますと、今の現地の復興の進展状況そして政治プロセス、両方とも、この一年ということを考えたら、劇的な変化は起こらない。つまり、一年を超えた時点について、例えば政治プロセスの進展状況がずっとおくれていった場合、一年で終わりにするかどうかは、もちろんここでどうこう言うべき筋合いのものじゃないかもしれませんが、つまり、一年から先のことについてこの現地の復興の進展状況あるいは政治プロセスが大いに絡んでくる、この一年以内は余り関係がない、こういうとらえ方でよろしいんでしょうか。

細田国務大臣 四つの項目をそれぞれ例示してありますが、その一つに限って言えば、おっしゃるとおりではないかと思っております。

赤松(正)委員 イラクの治安部隊の能力向上など現地の治安状況というこの三つ目のくだりでございますが、この「現地」が何を指すのかというと、これはサマワを中心にイラク全体だというお話が先ほどございました。イラクの治安部隊の能力向上など、サマワを含めてイラク全体の治安状況というものについては、先ほどの外務省、防衛庁の報告等で既に、サマワについてはほかの地域と比べれば比較的安定をしている、これについては、大臣あるいはまた私どもの幹事長からしっかりと状況は聞いております。

 そういうことであるんですけれども、今後の状況は極めてどうなるかわからないというのはもちろん、この三項目めの項目については、先ほどの一、二と比べて非常に流動的な要素があるわけでございます。

 そういう点で一つここで確認をしておきたいのは、大野長官がかつて当委員会で、前々回だったと思いますけれども、八回にわたるサマワの宿営地に対する何者かによる攻撃があった、これに対して、そのいわゆる加害の主体というものは何者なのかということについてはわからない、正確に把握はでき得ていないというお話がありました。

 先般、現地に足を運ばれて、この八つの攻撃、それぞれケースが違うのか、あるいはどれとこれという差異化ができるのかどうかは別にいたしまして、この問題をめぐる現場における調査というものをどのようにされて、どのように今認識をされているのか、長官にお伺いいたしたいと思います。

大野国務大臣 まことに残念でございますけれども、今の段階でもはっきりしたことは申し上げられないということでございます。

 我々は、もちろん、ムサンナ県の治安当局あるいはサマワの治安当局と十分連絡しておりますし、また、オランダ軍あるいは現地で採用させていただいている現地雇用の皆さんからも情報をとらせていただいているし、また、部族の方にも積極的に接触しましていろいろな情報をとらせていただいておりますけれども、まだわかりません。

 せんだって、私、参りましたときも、この問題、ハッサーニ知事と議論しました。ハッサーニさんは、十月のロケット弾事案は、私は、ハッサーニさんのことですが、私は攻撃とは呼ばないけれども、多分、ムサンナ県外の者のしわざであり、組織的なものではない、また、治安情勢に影響を与えるものではないし、自衛隊に対する最後の事案になることを期待しているなんということもおっしゃっていました。また、オランダ軍の大隊長、ドーレンさんとも話をしたのでありますけれども、わからないとしか言えない、オランダ軍やイラク警察としても判断は難しい、こういう話でございました。

 何さま、夜さっとやってきて、そしてどんと撃って、そしてまたさっと引き揚げていくということで、もし昼間でしたらどういう人なのかよくわかるのでありますけれども、今のところ、想像というか推測を皆さん述べておられるのにすぎない、こういう状態であります。

 なお、そういう情報収集、我々としても一生懸命やらせていただいております。

赤松(正)委員 現地に行ってもよくわからないということでありますが、ムサンナ県の知事が述べられた話の中で、私が聞いている話によりますと、今も大臣がおっしゃったように、このサマワ地域以外の人間によるものであり、それはまた組織的な、意図を持ったそういうグループではないと思われる、こういう話です。

 よそ者が入ってきたらわかるというふうな話があったと聞いておりますが、仮によそ者が入ってきて、さっき、夜さっと来てさっと帰っちゃうという話がありましたが、昼間そういうことがあった場合、夜でもいいんですけれども、そのムサンナ県の知事、サマワの現地住民の皆さんは、そういった行為、よそ者だったらわかる、わかった上で何かの行動を起こす、断じてそういうものは許さないという行動を起こすという確証は得られたんでしょうか。

大野国務大臣 ムサンナ県というのは比較的部族の意識が強い県でございます。そういう意味で、近所の皆さんがどういう人なのかよくわかるような地区だと思っております、判断しておりますけれども、そういうところでございますから、わかると言いますけれども、現実には、だれがロケットを撃ったのか、だれが迫撃砲を撃ったのかわからない、想像しているにすぎない、こういう状態であります。

 もしそういうよその者が入ってくればわかるはずだと言っておりますけれども、完全にわかるというふうにはまだ私ども聞いておりません。だけれども、わかる確率は極めて高いということであろう。それはなぜかといいますと、冒頭申し上げましたような部族社会である、こういうことだと思っております。

赤松(正)委員 四つ目の、「多国籍軍の活動状況及び構成の変化」という問題でございますけれども、イラクにおける多国籍軍の動向というのは、現在、先ほどの報告にもありましたように、約三十カ国、十六万三千人の多国籍軍の参加というものが見られている、こういうことであります。

 既に派遣を終了させた国が、サウジアラビアやスペインを初めとして八カ国、新規に派遣に向けた動きが、トンガとかフィジーとかが既に派遣をし、検討中がアルメニア、マレーシア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、こういうふうなことだというんですけれども、NATOが八月に既に派遣をしている、こういう報告がありますが、このNATOの派遣実態というものはどういうものなんでしょうか。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 NATO軍につきましては、目下NATOの中で協議をしておりますが、まだ派遣そのものについて決めたというふうには承知しておりません。

赤松(正)委員 そちらの方からもらった資料には、NATOが八月に既に派遣というふうになっている。では、この資料は誤りなんですね。そのことは後で確認します、時間がありませんので。それについては――ありますか、何か。言いたいことはありますか。

吉川政府参考人 赤松先生、私、担当していない政府委員がこんなことを申し上げて、申しわけございませんでした。

 NATO自身につきましては、現在、現場に五十人ぐらいの人を出して、今後どういうふうにするか、そういう準備をやっているというのが我々の理解でございます。

赤松(正)委員 五十人というのはすごい数だと思いますね。吉川さん、しっかりと状況を把握しておいてくださいよ。

 多国籍軍の活動につきましては、これも先ほどの一番最初の一項目、二項目と同じように、要するに、多国籍軍の活動状況が際立って多くなる、これ以上にどんどんたくさん参加する、そういうケースがあるかどうか。極めてレアケースだろうと思いますが、そういう場合。あるいは、どんどん少なくなっていくケース。そういうふうに仮に、例えばアメリカ、イギリスを中心とする二カ国だけというようなことに極端な場合なるのか。

 そういう多国籍軍の活動状況及び構成の変化というものがあったら、どういうふうにこの適切な対応というのをするんですか。

細田国務大臣 現在はそのような状況ではないわけでございますが、多国籍軍は、一たん参加してもいつでも撤退も自由であるということは政府も言ってきておりますし、そのようにする国も確かに中には存在するわけでございます。

 したがいまして、今後の様子というものは見ていかなきゃなりませんが、現在のところ、そのような状況は予測されておりませんので、そういったときに、多国籍軍に期待されている役割が何であるか、その中で我が国にふさわしい活動は何であるかという点について留意をする必要がある、こういうことだと思っております。

赤松(正)委員 時間が参りましたので、終わります。

船田委員長 次に、岡田克也君。

岡田委員 民主党の岡田克也です。

 まず、本題に入る前に、我が党は、この委員会に総理が出席をして答弁をされるということを求めてまいりました。先般の十一月二十五日のこの委員会においても、私がいろいろ質問したときに総理は、何で今私がここで話す必要があるのか、必要な時期に私は説明するというふうに、いわば開き直った答弁をされたわけであります。

 官房長官、なぜ今総理はここに御出席されないんでしょうか。

細田国務大臣 私は、総理の考えを直接今伺っているわけではございませんが、どうしてもこのことについては党首会談をやろうということをおっしゃっておられたということを考えますと、党首会談において党首同士で直接のお話をしたいということであったのではないかと思います。

岡田委員 あの党首会談も極めて不本意なものでありました。私は、出るか出ないか一瞬考えました。あの党首会談においても、全部公開でやろうという提案もいたしました。しかし、それもかないませんでした。

 一番大事なことは、やはり国会ですね。この国会で議論するということは、その国会での議論を通じて国民に対して直接政府から説明する、総理から説明するチャンスでもあるわけです。それを、密室での党首会談でもって、それで事足れりというのは、明らかに違うと思います。

 官房長官、現に数字を見ていただきたいと思います。まだ国民の大多数はイラクへの自衛隊の派遣に対して反対をしておりますし、何よりも、政府が説明責任を果たしていないということを圧倒的に多くの国民が言っているわけであります。そういう中で、なぜこのチャンスを生かそうとしないのか。

 官房長官は今、総理の日程を承知していないと言われましたが、我々は真剣にこの委員会への出席を求めてきたわけですから、官房長官として、総理の日程を調整して、出るように努めるのがその責任じゃありませんか。知らないというのは答えにならないじゃないですか。どうなんですか。

細田国務大臣 日程を知らないというふうに申し上げたのではございません。総理御自身の今のお考えについてつまびらかにしないと申したのですが、総理の出席問題については、国会内において与野党間でも御協議が行われたのではないかと承知しております。

 それからもう一つは、確かに、まだまだ国民の皆様方への説明、十分であると私どもは考えておりませんで、機会をとらえながら説明をさらに続けてまいりたいと思っております。

 きょうの御審議もそうでございますし、総理の記者会見においてもそういう努力をされたものと思っております。

岡田委員 本来であれば、説明責任は閣議決定する前に行われるべきものですね。国会を閉じるまでは、まだ決めていないということで、基本的な答弁を全部逃げて、そして国会が終わった瞬間に九日あるいは十日という話が出てきて、事実上決まっていたということは国民の目にも明らかですが、そしてその間、九日までの間、審議もせずに先送りして、決めてからこういった形でやる。しかも総理は出てこない。全く国民に対して説明責任を果たしていない、そのことをまず申し上げておきたいと思います。

 その上で、きょうは基本的なことだけお聞きしたいと思いますので、どうか、国民に対して説明している、そういうつもりで丁寧にお答えをいただきたいと思っています。

 まず、何度も何度も総理ともやりとりしたところでありますが、サマワが非戦闘地域であるということについてです。

 非戦闘地域、つまり、今後一年間サマワにおいて戦闘行為が行われることがない、そう判断した根拠を明確に述べていただきたいと思います。一度もその根拠をお聞かせいただいたことはありません。

細田国務大臣 自衛隊の活動する地域につきましては、その活動の具体的内容を踏まえまして、これまでに我が国が独自に収集した情報や関係機関等から得られた情報等を総合的に分析いたしまして、活動期間中の状況変化の可能性等を含め、合理的に判断いたしまして、今後そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと判断しているわけでございます。

 例えば、これまでサマワで発生した事案を総合的に判断いたしますと、イラク特措法に言う「戦闘行為」に該当するとは認識しておらず、自衛隊の活動するサマワ及びその周辺が非戦闘地域の要件を満たさなくなったとは考えていないわけでございます。

岡田委員 我々は基本的に、イラク全体、サマワも含んで、これが非戦闘地域とは言えない、こういう見解に立っておりますが、仮にそのサマワという特定の地域で戦闘地域、非戦闘地域というイラク全体とは違う判断があり得るとしても、今の官房長官の説明は全く説明になっていないわけですよ。今まで起きたことを分析した結果ということはわかります、それが戦闘行為じゃなかったと。しかし、それが一年間、これからそういうことが、同じことが行われない、あるいは戦闘行為が行われないということについての説明は、今全くなされなかったわけですね。そのことをきちんと説明すべきだ、国民に対して説明すべきだ。

 もう一度質問したいと思います。

細田国務大臣 ムサンナ県の治安情勢は、引き続き予断を許さない状況にはございますが、他の地域と比べまして比較的安定をしております。また、現地警察関係者によれば、ムサンナ県におきまして、部族の影響が強く、また県民の相互間の関係が強いために、部外者の行動に関する情報はすぐに入ってくるということでございます。十一月の現地世論調査で明らかなとおり、サマワの住民は、全体として自衛隊に協力的であり、外部の大規模な武装勢力に対して、協力したりかくまったりするというようなことは基本的にはないと考えられます。

 このようなことなどから、今後、自衛隊が活動を実施する期間、県の外部からの犯罪者等の流入の可能性を含めても、サマワにおいて、国家または国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いは生ずる可能性はないと認められるわけでございます。

 いずれにしましても、活動場所の付近で戦闘行為が行われるようになるなど非戦闘地域の要件を満たさなくなった場合など、自衛隊は特措法の規定に従って、実施区域の変更、活動の中断、一時休止、避難などの措置をとることになる、このように考えております。

岡田委員 今、官房長官は予断を許さない状況という表現を使われましたが、総理は、記者会見において、予断を許さない厳しい状況というふうに言われたわけですね。いずれにしても、そういった予断を許さない厳しい状況ということと、一年間戦闘行為がないと認められるということは整合性がないと思うんですが、いかがでしょうか。

細田国務大臣 油断ができない状況だと言っているんじゃなくて、予断を許さない、つまり、あらかじめこうだと断定できないという意味で言っておりますので、そういう意味だと承知しております。

岡田委員 総理は、予断を許さない厳しい状況だ、こう言われたわけです。

 それじゃ具体的に、一つは、サドル派の動向ということがあると思います。最大の問題はサドル派ではないか。

 サドル派は、自衛隊は占領軍であるとの、そういう判断を示したとも言われていますが、まずこのことについて、それが事実であるかどうか、サドル派として、自衛隊は占領軍であることを、そういった決定を行ったのかどうか、そのことについてお聞きをしたいと思います。

 政府委員の答弁は認めておりませんから、委員長、よろしくお願いします。(発言する者あり)事実関係ではありません。基本的なことです。こういう基本的なこともわからずに判断しているんですか。

船田委員長 吉川中東アフリカ局長。

岡田委員 いやいや、認めていませんから。私の答弁、今まで政府委員の答弁を認めたことはないんですよ。私が求めていないのに、どうして答弁をさせるんですか。基本的にそれは間違っているでしょう。こんな基本的なこと、どうして大臣が答弁できないんですか。

町村国務大臣 まあ、事実に関することですから、岡田さん、そう声を荒げなくてもいいんじゃないかと思いますよ。

 その上で申し上げますけれども、サマワにおいてサドル派の指導者アブドルラザクが十日の金曜礼拝で、自衛隊の撤退を求める、こういう発言を行ったという報道があるということは、報告を私も聞いております。

 しかしながら、十一月十一日、サマワでは、市民から駐留を求めるというような要請があったり、また、本邦有力紙の現地住民に対する世論調査、これでは、自衛隊駐留賛成、大いに賛成、おおむね賛成が八四%にも上っているということ、さらに、今月の九日の自衛隊派遣延長決定後も、サレハ副首相初め多数のイラク暫定政府要人及び現地ムサンナ県関係者から、日本政府の自衛隊派遣延長決定に感謝が表明をされているといったようなことから、自衛隊の活動はムサンナ県民の大半によって支持をされているということだと私どもは認識をいたしております。

 いずれにしても、サドル派の動向を含めて、現地情勢には細心の注意を払っていくというのは当然のことであろうと思っております。

岡田委員 今の外務大臣の答弁、最初の答弁は取り消していただきたいと思うんです。基本的に国会は政治家同士がやるんだ、そして質問者が求めたときに政府委員の答弁を認める、こういうルールをつくったじゃありませんか。だから、私は政府委員についての答弁を求めておりませんので、今申し上げたように、大臣が答弁すべきだと申し上げたわけですし、しかも、サドル派の動向というのは非常に重要なんですよ。そういう基本的なことについて閣僚が御存じない、そういう中で判断している、そんなことはあり得ないと思うから私は大臣に答弁を求めているわけです。

 私の質問に対して今答えていただけなかったんですが、自衛隊は占領軍である、そういう意思決定をサドル派は行ったんですか、どうなんですか。

町村国務大臣 サドル派なるものがどういう機関決定を行い得るものか、詳細は承知をしておりませんが、私どもが承知をしている限りでは、そういうある種の機関決定というんでしょうか、あるいはサドル師本人がそう言ったかどうか、そこについては確認をしておりません。

岡田委員 サドル派が、そういった意思決定といいますか、占領軍であるということをはっきりと言ったという報道は何回かなされていますが、そのことについて確認はしていないんですか。

町村国務大臣 報道は報道としてあるかもしれませんが、それは、あなた、本当の決定ですかということをどうやってサドルさんに聞くんでしょうか。方法があったら教えていただきたい。

岡田委員 まさしくそれは開き直りですよ。つまり、サドル派の動向というのが、サマワのこれからの戦闘行為が行われるかどうかということについて基本的に重要な問題ですから、きちんと情報収集するのが当たり前でしょう。そんな開き直りをしてどうするんですか、大臣が。

 それではお聞きしますが、サドル派はムサンナ県やあるいはサマワでどういう活動状況があるんですか。何人ぐらいサドル派と称される人たちがムサンナ県に存在するんでしょうか。

町村国務大臣 正確なことはわかりませんが、四、五十人程度ということは聞いております。

 なお、これは、シャルムエルシェイク、十一月二十二日、私がジバリ外務大臣と話したときの先方外務大臣の話でございますけれども、サマワでは市民の関心は選挙に集まりつつあって、最大の危険因子はサドル派であるが、最近活動は停滞している、ファルージャの影響がサマワに及ぶというのは全く非現実的である、私との会談の中で先方外務大臣からそういう発言があったということを申し添えさせていただきます。

岡田委員 今の外務大臣の答弁は非常に混乱していると思うんですが、ファルージャはサドル派と関係ありませんね。ファルージャの話を今サドル派の話の中で一緒にされましたが、ファルージャの話は全然違う。サドル派というのはシーア派ですから。

 そこで、私がお聞きしているのは、そのサドル派がこれから一月選挙に向けて活動を活発化させる、サマワないしムサンナ県において、その可能性があるのかないのか。そこが、ないと判断したからこそ戦闘行為が行われない、こういうことになったんじゃないんですか。そこをきちんと説明していただきたい、国民に向かって説明していただきたいということを申し上げているわけです。

町村国務大臣 現地の情勢につきましては、もちろん自衛隊もそうでございますが、外務省のサマワの事務所というものに常時五名の者が勤務をし、二チームで一カ月ごとに交代をして、現地情報収集に……(発言する者あり)いや、もちろん外にも出ていっております。そういう形で、サドル派の状況、最大限情報収集をしているところでございます。

 それから、サドル師に対しても大変影響力を持つと言われております大アヤトラ・シスターニは、選挙を支援する、選挙運動に参加をしていく、こういう発言もしているところでございます。

 いずれにしても、いろいろな動きがあろうか、こう思われますので、私どもとしてはそれらについて最大限の注視を行っていくということであります。

岡田委員 今、サマワにおける外務省の情報収集の話がありましたが、サドル派というのは、別にサマワとかムサンナ県だけの問題ではもちろんありません。サドル派全体のこれからの動向というのは、自衛隊が引き続きとどまるべきかどうかということについて非常に大きな影響を及ぼすわけであります。

 そのサドル派の情報収集がきちんとイラクの中においてできる体制になっているのかどうかということをお聞きしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

町村国務大臣 サマワでの活動、それからもう一つは、バグダッドにおいて私どもの大使館員が活動を行っております。現実的にバグダッドで自由な活動ができるかというと、それは一定の制約があることは事実でございます。しかし、常に暫定政府あるいはその下部機関であろうところのいろいろな治安組織との連絡をとりながら、それぞれのグループがどのような活動をするのか、あるいは治安以外の面でも、選挙の情勢がどのような展開になっていくのか等々の必要な情報収集あるいは相談といったようなものは密接に行っているところでございます。

岡田委員 私は、サドル派の動向というのは非常に重要だという認識を持って質問したわけですが、先ほどの外務大臣の答弁だと、いや、占領軍であるなんということがわかるのか、サドルさん自身に聞かなきゃいけないじゃないかと。そういう開き直った答弁からは、本当に自衛隊員の立場に立って、サドル派の動向が非常に大事だという視点で情報収集をして、そして間違いのないようにしよう、そういう熱意を余り感じられなかったわけですね。

 そして、外務省、バグダッドに大使館があるといっても、これは香田さん人質事件のときにもはっきりわかったことでありますが、大使はほとんど大使館を出られない状況ですね。そういう中で本当にきちんと情報が入ってくる体制になっているのかどうか、そのことについて根本的な疑問を持っているということをまず申し上げておきたいと思います。

 次に、自衛隊の安全を確保するための措置ということでありますが、まず先ほどのお話の、二百キロの爆弾が発見されたということでありますが、これは一体何に使われるというふうに想定される、どう思われるでしょうか。

大野国務大臣 まず、複数の不審者を発見し追尾いたしておりますが、その中で、ついに追尾できなかったということであります。しかし、イラク警察と地元住民が周辺地域を捜索いたしましたところ、おっしゃるとおり、二百キログラム余りの爆発物を発見したということを確認はいたしております。

 なお、言うまでもありませんが、サマワ宿営地の自衛隊には何らの影響もなかったということでありますし、また、隊員、装備については異状がありませんでした。

 しかし、いずれにしましても、現地部隊においては引き続きこのような事案については情報を収集すべく努力いたしておりますし、また、細心の注意を払いながら活動を実施しているところでございます。

 なお、自衛隊が宿営地外で活動を実施したというのは、既にもう二百数十日に及んでおります。宿営地内にとどまって、宿営地内での活動というのは、自衛隊が派遣されまして以降四十日ばかりでございますけれども、その他については何ら攻撃もされなければ事案も発生していない、このことは申し上げたいと思います。

岡田委員 二百キロの爆発物が発見されたということは、今までのロケット砲や迫撃砲による攻撃とは違う目的だということは容易に想像できるわけですね。例えば自爆テロ、そういったものに使うために用意されたのではないか。自衛隊も当然、宿営地の外で活動しているという今の御説明ですが、そういうときに、そういった爆発物が使われる可能性が否定できない、そういう状況だと思います。

 ぜひ、ここのところについてもしっかり引き続き調査をしていただいて、そして、そういった自爆テロの可能性がかなりあるんだということを改めてしっかりと銘記していただきたいと思います。

 そこで、この安全の問題を議論する際にもう一つ重要なのは、オランダ軍の問題ですね。オランダ軍の撤退が決まっているということであります。そのオランダ軍の撤退の後のいわば穴埋めといいますか、かわって自衛隊を守る、そういった役割はだれがどのようにして担うんでしょうか。

大野国務大臣 基本的に言いますと、オランダ軍の方の意思決定というのは、来年選挙が行われまして移行政権になりますと、かなり現地ムサンナ県の治安組織が育成されていく、強化されていくのではないか、こういう前提に立っておると思います。

 その上で申し上げたいのでありますけれども、私が十月にラムズフェルド・アメリカ国防長官に会いましたときは、治安というのは大変大きな問題だから、これは各国と話していきましょうということでありますし、最近も、日本で基本計画を延長した場合におきましても、イギリスの方から、これは、イギリスがあの南東部の治安の責任を持っているわけでありますから、しっかり話していく、そういう点については責任を持って決めていきたい、こういうような話がございました。

 したがいまして、今現在では、どこがどうする、こういう話は出ておりませんが、これからしっかり話し合っていこう、こういうことでございます。

岡田委員 オランダ軍は、装甲車やアパッチヘリコプターやあるいは対戦車火器などを持つ、そういう重装備の部隊であります。

 今、現地の治安組織がこれにかわるというお話でしたけれども、一体、では、現地の治安組織の今の状況、装備の状況、人数、どのように把握されているんですか。

大野国務大臣 これは、私、数字を手持ちで持っておりませんが、しかも、この数字というのは、ある程度全体で出ているものでございます。サマワでどうということは、私、わかりません、ちょっと記憶いたしておりませんが、かなりの角度で伸びているということは記憶いたしております。ただ、この数字は、今後の問題でありますから、外部に出してくれるなということも言われた記憶がございます。

 それからもう一つ、訂正というか、私が申し上げたことと岡田先生の印象が違ったことは、オランダ軍に比べてサマワの治安組織があるいはムサンナ県の治安組織が強いんだ、大きいんだ、こういう印象を持たれたかと思います。それは評価の問題でありますので、そこは、私はそういうふうには申し上げておりません。ただ、現地の治安組織が今後育っていくだろう、こういう観測をオランダの方はやっているというふうに聞いております。

町村国務大臣 イラク全体のそれぞれの機関ごとの数字がありますが、特に今ムサンナ県の警察組織というお話でございますので、サマワを含むムサンナ県では、イラク国家警備隊、イラク警察、イラク国境警察、施設防護隊、この四つが当たっておりまして、これらの治安部隊要員は全体で約五千人程度、こう言われております。

岡田委員 五千人ということですが、装備の状況はどうなんですか。つまり、オランダ軍千三百人の穴を埋めるだけのそういった状況があるんですか。しかも、五千人と言われましたけれども、その中身は、私、よくわかりませんが、それは一般の治安活動も行うわけですか。オランダ軍の抜けた穴を埋めるだけのそういう実態があるのかどうか、そういう視点で聞いているわけです。装備の状況についてもお話しいただきたいと思います。

町村国務大臣 オランダ軍がイラク警察に対していろいろな支援をやっておりまして、ムサンナ県内のイラク警察の教育訓練を実施いたしております。訓練内容は、武器の使用、検問所における車両停止、巡回、職務質問、逮捕、こうした基本的な教育訓練を実施しているというふうに聞いております。

 なお、これは、日本政府が決定をした後、イギリス政府が公式の発表をいたしておりまして、イラク南東部の多国籍軍師団を統括する責任を有する英国政府は、オランダ軍が撤退する際には、英国政府として、ムサンナ県の治安及び安定を確保するため、責任を持って多国籍軍の中の調整を行うことを保証する、このために必要な部隊配備の詳細については、多国籍軍参加国及びイラク当局との間で議論され、また、それは今後、オランダ軍撤退までの事態の推移を踏まえて決めることになる、英国政府は本件について引き続き日本政府と緊密に協議を行っていくことを保証する、こういう英国政府の公式の発表がなされているところでございます。

岡田委員 今の外務大臣の答弁ですけれども、そうすると、いつまでにそういった結論は出るんですか。そのイギリス政府の声明はわかりましたが、そのことに基づいて、結局これは日本とも協議していく話ですが、三月のオランダ軍の撤退が始まるまでに結論が出るということをまずしっかりと明言していただけませんか。

町村国務大臣 この点は、今後イギリス政府と緊密に協議をしていくという最後のくだりが結論でございますけれども、当然、オランダ軍の撤退までの事態の推移を踏まえて決めるということでありましょうから、オランダ軍撤退が実際には三月、そして、そこから徐々に撤退が始まっていくということでしょうから、実際にオランダ軍が本当にいなくなるのは三月いっぱいということではなくて、多分、五月とか六月とか、徐々に減っていくということになるんだろうと思います。その辺を踏まえながら、現実的にどういう形でこの治安を確保していくのかということを、今後よくイギリス政府と私どもは相談をしていこうと思っております。

岡田委員 このオランダ軍が撤退をするという問題は、自衛隊の安全確保という観点からいうと最も現時点では大きな問題だと思います。

 したがって、今外務大臣も御答弁ありましたが、しかし、撤退が始まった後で、間に合わないということでは、これは自衛隊自身がとどまるべきかどうかという判断をもう一回しなきゃいけないことになりますから、ぜひ早い段階できちんと自衛隊の安全が守れるように政府を挙げて責任を持ってやっていただきたい、そのことをお願いしておきたいと思います。

 そして同時に、さっきの大野長官の答弁を聞いて私は唖然といたしました。つまり、サマワにおける現地の治安部隊、警察、そういった現状について全く把握をされていなかったわけですね。自衛隊員にとって最も重要な安全の確保、その中で、このオランダ軍の撤退の問題というのはポイントですよ。自衛隊員一人一人の安全ということについて、命の保証ということについて責任を負うべき防衛庁長官が、最も重要なことについて自分の問題としてきちんと把握していないじゃないですか。

 私は、そういった状況の中で、本当に、私たちは自衛隊撤退すべきだという意見でありますが、しかし、命令に基づいて行く自衛隊の皆さん、その皆さんの身の安全がきちんと確保されるということも同時に重要なことだと考えておりますので、ぜひ、自分の問題として、単に四、五時間行ったらそれでよし、そんな冗談みたいな、政治的なショーをやるんじゃなくて、本気になって自衛隊員の皆さんの安全について責任を果たしていただきたい。

 そのことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

船田委員長 次に、藤田幸久君。

藤田(幸)委員 きょう、細田官房長官に質問できるのを楽しみにしてまいりました。

 九九年だと思います、コソボの紛争のときに超党派の議員として一緒に動いていただきまして、当時、NGOに直接援助が行かないときに、当時で五億円だろうと思いますけれども、ジャパン・プラットフォームの創設につなげるような、そういったリーダーシップを発揮していただいた。きょう御質問することもそのことと関連をしておりますので、事前に質問通告もいたしましたが、少し根本的なお話で質疑をさせていただきたいと思っております。

 実はこの数日間、私はいろいろなところで、偶然ですけれども、戦争中にシベリアとか南方で戦ったという昔のいわば兵士の方とお会いをいたしました。その方のお一人が、十二月八日ですけれども、藤田さん、同じ十二月八日になるかもしれないねとおっしゃいました。私はふと思って尋ねますと、その方いわく、昭和十六年十二月八日と平成十六年十二月八日、同じ十六年十二月八日だなというお話でございました。そして、その昔の兵士いわく、あした自衛隊の派遣延長になるようだけれども、同じ十六年十二月八日の過ちを犯しちゃいけないねというお話でございました。

 偶然、私はたまたま十人ぐらいの昔の日本軍の兵士の方とお会いしましたけれども、全員が、そしてつけ加えるならば全員が自民党の支持者でございますけれども、その戦争体験のある方全員が、今回のイラク、自衛隊の若い命をむだにさせちゃいけないよ、何とかしてとめてほしいなというのが皆さんからの本音でございました。そういった立場から質問をさせていただきたいと思います。

 まず官房長官に二つ、ちょっときょうはたくさん質問をいたしますので簡単にお答えいただきたいんですが、一つは、今サマワに自衛隊の方が駐留をされておられますが、行っていらっしゃる自衛隊員は自己責任で行っていらっしゃるんでしょうか、それとも政府の責任で行っていらっしゃるんでしょうか、簡単にお答えいただきたいと思います。

細田国務大臣 それは当然、政府の責任で行っていらっしゃると思っております。

藤田(幸)委員 次に、総理が国会において、自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だという発言を繰り返しておられますが、この総理の答弁、発言は適切であるかどうか、これも簡単にお答えいただきたいと思います。

細田国務大臣 若干、御発言の後、さまざまな誤解のある評価があったことも承知しておりますけれども、イラク特措法においては、各活動を実施する地域について、現に戦闘行為云々が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められるということが求められておりまして、総理の発言というのはこの法の趣旨を端的に説明したものではないかと思っております。

藤田(幸)委員 全く違っておりまして、私どもの仲間の岩國哲人さん式に言いますと、本来横断歩道は青信号でなければ渡れないわけですけれども、それを、渡ってしまえば青信号、文句を言うなと言ってしまったような、つまり、今長官が答弁されたことを答弁されずに、総理は、自衛隊が行くところは非戦闘地域と言い切ってしまっているわけですね。ですから、説明せずに青信号と言い切って、渡ってしまえば青信号と言ってしまったということ。つまり、事前に、これは青信号です、これは赤信号ですと説明する、解釈がある、そして根拠がある、それを言わずに、渡ってしまえば青信号と言ったようなことでございますから、私は、これは大変大きな問題だろうと思うのです。

 ついおとといですけれども、今度派遣される自衛隊員あるいはその家族の方に説明会が行われたという報道があります。その説明会で配られたしおりには、遺族特別援護金というものが書かれて、防衛庁は補償もばっちりですと大きく書かれていたという報道もされております。

 要は、自衛隊員の皆さん、恐らく全国で、今はインターネットでこの国会の質問状況が聞けるんですね。多くの自衛隊員あるいは家族の方がこの委員会を聞いているんじゃないかと思いますけれども、その自衛隊員あるいは家族の皆さんにとっては、補償金がばっちりと言われることよりも、非戦闘地域というものがどういうものであってとちゃんと説明をしてもらった方がはるかに補償以上に重要なことである。ところが、それを、渡ってしまえば青信号なんだと。

 先ほど長官がおっしゃったように、自衛隊員は自分で渡れないんです。命令されて渡らなければいけないんです。命令をする人が渡ってしまえば青信号だと言うことは、法律はどうであっても、おれが命令をすればおまえたち行けということを言ったことになるんじゃないですか。そのことについてちゃんとお答えをいただきたいと思います。

細田国務大臣 いろいろな条件を判断しているわけでございまして、青信号のように絶対的に青いというような信号がともっていればいいのでございますが、必ずしもそうではない。しかし、あらゆる状況、地元の状況などを判断しますと、これまで一年間振り返ってもそうでございますが、自衛隊を派遣するには一番日本としてはいい場所を見つけたなと思っておるわけでございます。

 そういった意味も込めまして先ほど申しましたとおりの判断でございまして、非常に端的に言われたものですから、ちょっと誤解があったかもしれませんが、趣旨はそういうことでございます。

藤田(幸)委員 全く違っております。

 今、答弁の中にありましたように、何々するには、あるいはどういう状況であれば送るというのが本来の法律の根拠であるけれども、総理は、何々するにはとか、状況というものを説明しないで、あるいはできないので、自衛隊が行くところは非戦闘地域だ、渡れば青信号だと言い切ったわけですね。つまり、法律の根拠を示していない。したがって、私は、この発言は笑い話ではなくて、自衛隊の皆さんの命にかかわる問題だろうと思います。

 つまり、まず、この発言は法の支配を否定しているわけですね。それから、本来は司法権を持った人々が青か赤かというのを判断するべきところを総理が勝手に判断してしまって渡ってしまうという、渡ってしまえば非戦闘地域だというふうに断定してしまっているわけですから、司法権の越権行為であります。

 それから、先ほどの岡田代表の質問のいわば結論でありますけれども、命を全く大切にしていない、つまり、非人道的な行為。自衛官や家族に対して全く残酷に、おれが決めるんだから渡れ、渡れば非戦闘地域だというふうに、送るべき立場にある総理が決めてかかっているということがあるわけです。

 したがって、先ほど官房長官もお答えいただいたように、自衛官がサマワに行くというのは政府責任です。その責任者であるところの総理が政府責任を放棄してしまった。したがって、私は、このイラク戦争に大義がないということは非常に国際的にも今明らかになってきましたけれども、今回のイラク特措法そのものが、大義がこの発言によって失われたと思いますけれども、いかがでしょうか。

細田国務大臣 そもそも非戦闘地域というものは、法律に従いまして、きちっと、あらゆる条件、状況を加味して判断しているわけでございますから、そういったことを判断せずに、例えば実際は戦闘地域であるようなものを、あれは赤い色をしておるが青だぞと言いくるめて、さあ行け、こう言ったかのようにおっしゃるのは全く誤解でございまして、すべての状況を勘案して、法律に基づいて出しているわけでございます。

 この議論はずっと、その総理発言の前から一年にわたって行われており、しかも二月には現に自衛隊が派遣されており、十カ月間、極めて住民とも安全に、しかも友好関係を深め、人道復興支援活動をやってきておるわけでございますから、その点の判断は正しかったと思いますし、これからの判断においてもそのような基準で考えておるわけでございます。

藤田(幸)委員 つまり、今おっしゃった条件とか状況を全く総理はおっしゃらずに、それから、二月以来ということであるならばそれを説明すればいいけれども、説明せずに、自衛隊員が行っているところが非戦闘地域だと言ったということは、条件とか状況とか、あるいは法律の根拠そして責任について一切言及せずに、結果だけを認めろと言っている発言。ですから、青信号、赤信号の話は、これは象徴的なことではなくて、極めて本質的に総理の発言を言い当てているんだろうと思っております。

 したがって、こういう認識で最高司令官が自衛隊員を送り出しているとするならば、全く命を無視して送り出しているという、これはもう本当に責任放棄そのものだろうと思います。

 官房長官の先ほどからの答弁は、状況、条件を説明しているんです。私の質問は、そういった条件、状況を説明せずに総理が決断して送ったということの意味について聞いているわけですから、そのことについて答えていただきたいと思います。

細田国務大臣 非常に端的に表現をされる方ですから、そういった条件、状況をすべて判断して自衛隊を派遣している、したがって、そういうふうな判断をもとに派遣している地域は非戦闘地域であると言われたのではないかと思いますので、誤解のないようにお願いします。

藤田(幸)委員 全く答えになっておりませんけれども、時間がありませんので、ちょっと一たん防衛庁長官の方に質問を回したいと思います。

 今回サマワに行かれましたけれども、結局、ゼロ泊三日の訪問と言われておりますけれども、一泊もサマワにされておられない。それから、お出になるときも何か逃げ隠れするように成田空港から飛んでいかれましたけれども、なぜ一泊もされずに帰ってきてしまったのか。それだけ危険なのか。

 それから、州知事やオランダ軍司令官にも、普通であれば、今回の目的からして、出向くのが外交上も妥当ではないかと思いますけれども、結局は、そういった方々を宿営地内に呼んでお会いになった。つまり、それだけ危険であるということではないかと思いますが、いかがでしょうか。

大野国務大臣 私は、サマワに参る際に、宿営地内で一泊したいということをかねがね事務方には言っておったわけでございますけれども、極めて残念ながら、日程上、防衛大綱等の仕事があったものですから、どうしてもゼロ泊三日で帰ってこなければならなかった。もちろん予算もそうですけれども、そういうスケジュールの中で、非常に残念な思いでございました。

 私の目的は、もちろんその一つは、大変厳しい環境の中で一生懸命人道復興支援のために活動してくれている自衛隊員を励ますことでありますから、ともに行動を、宿泊して一緒に食事をさせていただいて、そういう皆さんの苦労話も聞いてみたい、こういうことでありましたけれども、残念でした。

 それから、空港を立つときに逃げ隠れするようにとおっしゃいましたが、私は、まさかこういう大勢のマスコミの皆さんが空港でお待ちになっているとは知らなかったのでありますけれども、逃げも隠れもせずに、そのとき、堂々とプレス、記者会見にも応じておりますし、きちっと私の目的等についてもお話を申し上げている次第でございます。

藤田(幸)委員 サマワは、私は、何か台風の目の中にあるような状況じゃないかというふうに思っています。台風の目の中というのは、快晴で雲一つありません。ところが、台風の目というのは、中谷さんが今うんとおっしゃっていただいたように、周りは暴風圏なんです。

 台風の目の中だけ判断をして、台風全体が安全だとは言い切れない。むしろ私は、イラク全体が今暴風圏であり、そして、暴風圏全体を把握せずに、サマワの台風の目の中だけ数時間調査をし、何を調査されたか。しかも、宿営地の中、ほとんど調査をされて、これで全体でもってイラク特措法の基本的な安全面の調査ができたというふうにはむしろ思っておりません。

 何か今回の特措法を見ておりますと、サマワ特措法にすぎないんじゃないか。イラク特措法ということであるならば、やはりイラク全体の状況を把握していなければいけない。しかし、先ほどの岡田代表との質疑を聞いておりましても、ほとんどそういった具体的な情報を持たずに判断しながらやっている。ですから、私は、サマワ特措法というふうに変えるべきではないかというような気がしております。

 したがって、今回の長官の訪問も、サマワ特措法を政治的に、いわば後づけ的に証明するだけのものであったんじゃないかという気がしております。

 それで官房長官に申し上げたいと思いますが、私も実はこの間、ヨルダン等、周辺を回ってきました。イラク全体はやはり本当に戦闘が拡大をしております。外国人でいること自体が非常に危険な状況。それから、ヨルダンから非常に人道支援をやっている方々のお話ですけれども、イラクでそういった物資を実際に現場で配っている方々が外国人と携帯電話で話しているだけで攻撃の対象になってしまって、実際に殺された人もいて、したがって、そういったことが原因で撤退をした有名な国際NGOもいる。

 先ほど私が台風の目と申しましたのは、サマワ以外は暴風圏であります。そして、ファルージャを中心として、本当に人の死体の山がどんどん広がっている。

 これも、実は最近、オーストラリアのある女性がずっとイラクの中でいまだに活動しております。その方のレポートにこんなことが書いてあります。「毎日死が、周りにあふれている。イラクでは、命が一番安物になってしまった」。

 官房長官、済みません、戦後生まれ、戦前……(細田国務大臣「昭和十九年です」と呼ぶ)

 官房長官は人の死体というのをごらんになったことがございますか、戦争等で亡くなった人の死体。

細田国務大臣 亡くなった方にはたくさんお目にかかっていますが、そういう戦闘等でお亡くなりになった方にはお会いしたことはありません。

藤田(幸)委員 今回、サマワが台風の目ということを申し上げたと同時に、今回の非戦闘地域あるいはサマワの状況を見ていますと、何か、虚構というか、バーチャルな中での法律あるいは自衛隊の方々の派遣のような気がいたします。

 サマワ以外は毎日これだけ人が亡くなっております。ボディーカウントという団体ですと一万六千人という数字ですが、最近の報道によりますと、別の、ジョンズ・ホプキンス大学、アメリカの大学の調査によると、実は十万人ぐらいの死者があるんじゃないかという報道もあります。

 戦争で人が亡くなるというのは、頭を撃たれれば脳みそが飛び出しますね。それから、おなかを撃たれればはらわたが飛び出します。それが戦争の実態で、そして、一万六千人か十万人かわかりませんが、ほとんどの人が無実でイラク全体で亡くなり、そういった戦闘が拡大している。

 そうしますと、今回の延長の法律ですけれども、結局、一つの限られた台風の目のサマワ特措法ならば、この非戦闘地域ということを、百歩譲ってそういった存在があると認めたとしても、これはイラク全体が、全く法律で言っているところと逆の状況になっている。

 例えば、特措法の第一条の「目的」には「国民生活の安定と向上、民主的な手段による統治組織の設立等に向けたイラクの国民による自主的な努力を支援し、」とかありますが、最近のいろいろな連合軍によるところの攻撃は、全く、国民生活の安定と向上をむしろ妨げて、統治組織の設立等を崩して、そして自主的な国民の努力をむしろ妨げるような動きをしている。

 そうした、むしろサマワ以外のことも想定した法律であり、そして今度の延長でなければいけない。まるでギャップが多過ぎるという気がいたしますが、官房長官、いかがでしょうか。

町村国務大臣 台風の目というお話がございました。

 私どもが例えばイラクの暫定政府の高官と会って話をしたり、そういう中で必ず出てくるのは、確かにそれは全土が完全に平定された状態ではないけれども、十八前後の県のうち、危険だと言われているのは二つ三つの県であり、いわゆるスンニ・トライアングル以外のところは、全国的に警戒警報といいましょうか非常事態宣言は出されているけれども、特段の措置はとらなくても済んでいる。現にムサンナ県では、非常事態宣言が出された後、何ら特段の措置を必要としていない。それがその他の県においても数多くあるというような状況があるということと、今の委員の、もう全国的に騒然たる状況になっているという認識は随分違うなと思って伺っておりました。

 それから、ちなみに、選挙の準備などの状況を見ましても、約五百カ所以上ある登録センターのうち、八五%がオープンされて登録作業が進んでいる。もし全国的に極めて危険な状況であれば、こんなに数多くの登録センターがオープンして活動できるはずがないのでありまして、したがって、私は、イラク全土が戦闘地域であるとかないとか、そういうことをこの法律に想定していないわけでありますから、そういうことを申し上げるつもりはありませんが、少々委員の表現には誇張が多過ぎるのではないかという印象を持ちました。

藤田(幸)委員 それでは外務大臣にお聞きしますが、アメリカを中心としてイラク戦争が昨年ございました。いわゆる攻撃をするというときの兵士の数と、一たん戦闘が終わった後、統治のために必要な兵士の数と、それから、今度選挙の準備にかかりますが、に必要な兵士の数。もう一度確認をします。攻撃に必要な兵士と、その後の占領統治に必要な兵士の数と、それから、選挙準備あるいは選挙支持のために必要な兵士の数、その三つのうちでどの状況が一番兵士が多いと思われますか。

町村国務大臣 私の今頭の中にある、具体の細かい数字のあれはわかりませんが、比較の中で言いますと、今アメリカは、最後の、いわば治安を全国的に確立するため、なかんずく政治プロセスを成功させるために、十二月か一月かちょっと忘れましたけれども、さらにイラクに対する米軍の増派を行うというふうに聞いております。

藤田(幸)委員 つまり、攻撃をするよりも占領統治の方がはるかに軍隊の兵士の数が要るんです。それから、選挙の準備になるとさらにもっと要るというのは、これは中谷さんよく御存じだろうけれども、それだけ選挙というのは大変なものなんです。

 したがって、これはブラヒミ特使、私もことし何回かお会いしましたけれども、結局、米国とアラウィ首相が五十人を殺せば、五百人が抵抗運動に加わるだろうという発言もしています。

 そして、選挙監視をするということは、その五百カ所に一般の住民が出かけていくところを守らなければいけないわけですから、これは大変な数が要るんです。

 そして、アナン事務総長は、その選挙の支援のために国連の人員を送ろうとした、ふやそうとした。ところが、国連人員一人に対して五人の兵士をつけなければいけない。各国に要請をしたけれども、フィジーの百五十人以外は、どこの国も、選挙監視のための国連要員の保護のために、国連の人員掛ける五人の兵士を出そうという国がない。これは二週間ぐらい前の話でしたけれども、変わっているかもしれませんけれども、そのくらい大変な話なんですね。したがって、五百ぐらいがオープンされた、そんな夢物語な話じゃないんです、選挙をやるということは。

 ですから、外務大臣自身がそんな形で選挙ができると思っていたならば、これは大間違いですよ。まして、いろいろな種族あるいは宗教関係者を結果的に排除するような第二次ファルージャ攻撃というのは、選挙の安定のためと言いながら、むしろ混乱をさせて、先ほどのブラヒミ特使がおっしゃるようじゃないけれども、米国あるいは暫定政権に反対するような人をどんどんまき散らしてやっているわけですから、なおさら増派をしなければいけない。そんな中で本当に選挙ができるのか。

 そして、もし本気で選挙を、少なくてもサマワでやるとするならば、では、自衛隊の皆さんをサマワにおける選挙監視の要員として送る気はありませんか。どうですか、長官。

大野国務大臣 自衛隊がどういう活動をするかというのは基本計画に定められております。選挙監視ということは書いておりません。

藤田(幸)委員 外務大臣、五百カ所も開いた、さっき、うまくいっているというお話ならば、日本政府として、このイラクのための選挙監視団、送る気はありませんか。

町村国務大臣 今、私どもとして、具体の形で、選挙支援については四千万ドルの拠出を行ったということがございますが、人の面で協力する、選挙監視を行うという計画は今ございません。

藤田(幸)委員 非常事態宣言も起きておりますし、大変厳しい選挙の中で、選挙監視団を今送れるような状況じゃない。実際に、先ほど来のお話を聞いていましても、政府の方できちっとサマワ以外の情報も把握をしていない、あるいはサマワを含むサドル派全体の動きも把握していない。これでいて選挙の支援ができようはずがない。

 私は、今、日本政府にとって必要なのは、長官、お聞きいただきたいと思いますが、台風の目の中におけるいろいろな間接的な人道復興援助、そもそもサマワは、昨年のイラク戦争でも被害がほとんどなかった地域、そこにおける間接的な人道復興支援よりは、今イラクで一番必要としているのは、サマワ以外の暴風圏における緊急人道援助だろうと思います。緊急人道援助というのは、私もヨルダン等で聞きましたけれども、いろいろな国際的な機関、国連機関も含めまして、イラクの中にいろいろな物資を送っています。この方がはるかに、今は人道復興援助以前に、緊急人道援助の段階です。

 ですから、私、コソボのことを先ほど申し上げたわけですけれども、まだ予算で使い切っていない部分があるはずです。それを、もちろん、ドイツと一緒にUAEで警察官の支援もすることもできる、エジプトで医療の支援もすることができる。しかし、まず、緊急の医薬品なり食料なり、いろいろなものがしっかりした形でイラクの必要な方に渡るように、これは例えばヨルダンなんかで、今国王がいらっしゃっていますけれども、そういった本当の暴風圏に対する人道緊急支援が必要ではないかと思いますけれども、官房長官、いかがでしょう。

細田国務大臣 まさに五十億ドル、そのうちの無償援助十五億ドル、これらは私も最初は誤解して、かなりサマワばかりに、あるいはムサンナ県ばかりに使っているのかと思いましたが、そうではなくて、できる範囲内では、イラク全土に医薬品等を送る、あるいは発電機その他の援助を行う等はやっておるそうでございますが、まさに私も同じ思いでございまして、藤田議員と共通の知人のNGOの人たちもたくさんおられて、今待機している。しかし、今イラクに入って、特に北部、中部に入って、本当に必要とされる支援を行うには余りにも厳しい状況である、イラクに入るには。その状況が一日も早く回復して、多くの日本人あるいは企業グループも含めまして、イラクの復興に貢献できる日が早く来ることを願っております。

 そういった意味で、サマワにおける人道復興支援は、一隅を照らして一生懸命やっておるわけでございますが、これはイラク全土から見ればごく一部の台風の目ではないかというふうに言われればそういった面もありますが、いましばらく全土の様子を見守りたい、それで、一日も早い安定と日本人による貢献を実現してまいりたい、こう考えております。

藤田(幸)委員 官房長官、私が申し上げましたのは、日本人が隣接国から中に入るということを申し上げているんじゃなくて、隣接国から現地の人を使った支援、今かなりやっていますけれども、やはりまだまだ規模が小さい。そして、今、日本政府がいろいろな第三国なんかでもやっているようなお金とか活用して、それに集中することによって、国際的な機関も使いながら、現地人を使ってやることができる。

 それで、吉川さんが手を挙げていますけれども、ACTEDに対して車を四十数台提供するというふうになったという話も聞きましたけれども、それを、台風の目の中のサマワじゃなくて、それに加えて、もっと今緊急、ファルージャなんかも三十万人のうちの二十五万人が実は避難民になっているわけです。それから、ヨルダン国境が無人地帯になるぐらいに難民として出てきているんです。

 どうも私は、先ほど来見ておりまして、残念ながら現地の情報が、官房長官あるいは大臣、ましてや総理にも伝わっていない。したがって、サマワの台風の目だけを見ながら判断しておられて、そして、青信号を渡ってしまえば非戦闘地域というような感じになっている。(発言する者あり)裸の王様と今話がありましたが、これではやはり、十二月八日、平成十六年という同じ過ちを繰り返してしまうのではないかという気が非常に強くしております。

 それで、官房長官、最後に一言。

 私は、やはり日米同盟は非常に重要です。したがって、困ったときには、あるいは意見が違ったときに、はっきり物を言うのも友人だというふうに金曜日にドイツのシュレーダー首相もおっしゃっておりましたけれども、これは本当に選挙を成功させるためにも、サマワ以外の地域で、やはりもう少し国際的な形で、本当の意味で民意を、心をとらえて選挙ができるような活動ができるようにアメリカ政府にしっかりと物を申していただく。そういう立場に私は日本があるんではないかと思いますけれども、そのことについて官房長官に御質問をさせていただきたいと思います。

細田国務大臣 おっしゃいましたことは大変必要なことだと考えております。かつ、サマワ以外にも大いに支援を、間接的な手法もできるわけですから、もっとやるべきである。せっかく五十億ドルの協力も表明しておるわけでございますから、そのことも一生懸命取り組んでまいりたいと思います。

藤田(幸)委員 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

船田委員長 本件調査のため、本日、政府参考人として財務省国際局長井戸清人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

船田委員長 次に、中川正春君。

中川(正)委員 民主党の中川正春です。

 引き続き質問に入らせていただきたいと思います。

 先ほどからいろいろ議論を聞いていて、二つのことを思いました。

 一つは、小泉総理の例の発言でありますが、自衛隊の行ったところが非戦闘地域だということです。最近の議論を聞いていても、私が法律だ、私の言っていることを皆が理解しないのが悪いんだ、こういうことだと思うんですね。すべてがそんな流れで動いていまして、この国がそうした大きな転換期に来ているときに、そんな総理大臣を抱きながらやっていく危うさ、ここがあると思うんです。それが象徴的に出てきた言葉なんだろうなということを一つ思います。

 それからもう一つは、先ほどから、それぞれ大臣、議論を重ねておられるわけですが、しっかりとした情報と、それから検証に基づいた議論がされていない。閣内あるいは役所役所でしっかりとした議論の積み重ねがないままに物事がまた流れてきているという印象を受けました。そういう意味で、国会でさらにその一つ一つを国民に説明していくという説明責任、これからが勝負だと思うんですよ。これを一つ外していけば、日本の進路にとっても大変な事態になってくると思うんです。その意味でも、今の皆さん方の対応に非常に危機感を持っている。この二つの思いというのを新たにした次第であります。

 その上に立って、防衛庁長官大野さん、行っていただいたわけでありますが、現地に。いかにも遅かったなと思うんですよ。自衛隊が現地に行ってから初めてのことですよね。

 どこかの記者会見か何かで大野さんが言われたらしい。野党は現地を見てきていない、私は見てきたんだ、見てきていない人が無責任なことを言うのはけしからぬ、そんなような発言があったとかということがありましたけれども、実はこの委員会も、去年の国会が終わった後、行っているんですね。私たち民主党の調査団、議員も現地に入って、それぞれの思いでやってきております。

 そのときに、例えばデメロ国連代表、CPAとともにまずイラクに入って、国連の立場というのをしっかり築き上げていこう、そういう思いというのをしっかり聞かせていただいた、そういうことがありました。

 それから、イラク評議会唯一の女性議員だったんですが、ハシミさんという方がおられて、評議会のメンバーとも我々はその当時話をしたんですが、それは、アメリカがああいう形で入ってきたということ、そして、これまでのとんでもない政治を一掃したということ、それについては当然感謝しているという話も出てきます。

 ところが、このハシミさんというのは、その公の会見が終わった後、私たちと個々に話をする機会があったんですが、実は、公ではそうではあるけれども、しかし、やはりイラクの国民としてはできるだけ早い時点にアメリカというのは出ていってほしい、占領統治ということをやったら、長くなっていけばいくほど泥沼になっていくんだ、だから、そこのところを懸念している私たちの気持ちをしっかり日本としても酌み取ってほしい、こういう話を聞かせていただいたのがハシミさんです。

 実は、デメロさんも、それからハシミさんも、その後八月、九月と、国連の自爆テロでデメロさんは亡くなりました。あのとき、二十九人の犠牲者が出ております。それから、ハシミさん自身も暗殺されたんですね。そういう思いを抱きながら、大丈夫だ大丈夫だという長官の話を聞いていまして、いや、あれから相当事態が悪化しているはずなんだけれども、もっともっと状況というのは悪くなっているはずなんだけれども、どうもいつの間にか我々の感覚というのが麻痺してしまって、今の状況が常態になって、さっきの話もまさにそうなんですが、イラクの国民の中にあるものと、それからテロ組織、それぞれ、その背景にある宗教の中である思い入れと西洋に対する敵対心、そういうものが常態になって、それが当たり前のような状況になって我々の存在がそこにあるというふうなことになってきているんじゃないか。麻痺している、そういうことをつくづく今思っております。

 その上で大野長官にお尋ねをしたいんですが、五時間ぐらいあそこに滞在された。どんな思いで見られてきたか、どういう状況を把握されてきたか。これは何回もテレビやラジオで言っておられますけれども、改めてお尋ねをしたいと思うんです。

大野国務大臣 私、まず冒頭に申し上げたいと思います。

 私が、野党の皆様は現地を見ていないではないかというようなことは一切申し上げた記憶はありません。そういうことを申し上げるつもりもございません。

 ただ、短時間ではございます。短時間ではございますけれども、私はサマワを訪問させていただいて、その目的というのは、一番は、自衛隊の皆さん、自衛官の皆さんを激励したい。それから、やはり安全確保というのは総理大臣並びに防衛庁長官の責任でございます。安全確保をきっちりとやれているかどうか、こういう問題であります。もちろん、三番目、三番目というよりも一番大事な問題でありますけれども、治安というものがどういうふうにあるのか、そしてまた現地のニーズはどうなんだろうか、こういうことであります。

 全部申し上げますと時間がかかりますので、簡単に申し上げますけれども、一つは、自衛官の士気は大変旺盛で、高いものでございました。

 それから、安全はかなり高い程度で確保されておりました。

 それから、治安でございます。私も市内へ出てまいりましたけれども、そのとき感じましたのは、サマワの子供たちが我々の車に対して大きく手を振ってくれるということでありますし、また、大人の方々も仕事の手を休めて手を振ってくれる。ああ、これはやはり日本の努力が高く評価されているんだな。ハッサーニ知事に会いましたときも、自衛隊の皆さんの仕事は大変高く評価しているからずっといてほしい、こういうような話でありましたし、また、私も評議会の議長等から手紙をちょうだいしますけれども、その中でも、自衛隊というのは東アジアから来たまさに平和のハトである、こういうような表現で自衛隊の仕事を高く評価してくれております。そういう意味で、やはりもっともっと日本の自衛隊に現地へとどまってもらって、そして仕事を続けてもらいたい、こういう期待感が大きくあることは強く感じました。

 さらに、市内を見て回りますと、新築の住宅がかなりふえている、それからパラボラアンテナがかなりたくさんございまして、これはフセイン政権のもとではなかった現象でございますけれども、こういうふうに住宅が新築されている、あるいはパラボラアンテナでテレビを見ている、こういうようなことを見ますと、やはり生活の安定が治安の安定につながっていくんだろうかな、こういうふうな感じでございました。

中川(正)委員 さっきの認識に、少し視点の持ち方の誤りがあるんじゃないかなと思うんですよ。

 迫撃砲が飛んでくる、あるいはロケット砲、また、オランダ軍は直接攻撃をされた。その攻撃をしてくる相手、これは市民とは全く次元の違う、例えば、テロ組織をネットワーク化しているその流れが活動をこういう形で活発化してきているということ、あるいは、先ほどお話が出ましたが、サドル派がそれなりの、ムサンナ県の中でも勢力を伸ばしつつある、あるいはまた、それ以外のさまざまな形で、ひょっとしたら市民の中にアメリカに対する敵対心というものが醸成されてきて広がりつつある、そういう背景と、一般の市民が、日本の自衛隊があそこで道を直してくれる、あるいは水を供給してくれるということで歓迎して手を振ってくれるという話とは、全くこれは違う次元の話なんです。

 我々が何とか自衛隊の安全を確保していこうとする相手というのは、長官、あなたが見てきたその姿じゃないんですよ。その後ろに隠れている、そして、その勢力が広がりつつある、それがどこでどういう形で爆発するかしれないという、そのエネルギーをどういうふうに評価するかということがこれからの一年の決め手になると思うんです。そういう意味で、私はさっきのような説明というのは、記者会見等々通じて何回も何回も目で見るんですけれども、いや、これは違うな。

 我々が入っていった中でも、さまざまな人たちから話を聞いていますが、NGOの人たち、あるいは、特に外人記者クラブで聴取した話。これは入っていったというのは、実は、ことし、この委員会で再び入っていったんですよね。そのときに、イラクの中に入るということで我々その準備をしたんですけれども、どうも中谷筆頭の話によると、そのときには、まだ防衛庁長官が現地に入っていないから委員会は先に行くなというふうな話もあって、大義としては危ないからという話だったんですが、そんなことで我々は阻止をされまして、クウェートの前線基地でとまってしまったんですよ。

 しかし、アンマンで、さまざまな人たちがイラクから出てきた。出てきた人たちに聞いていると、どうも防衛庁長官の話は表面的な話であって、中は非常に大きな流れができてきている、アラブ全体が一つの渦中に入りながら大きな流れができてきている、そういう感覚を私は持っています。そういう意味で、相当話が違うんだろうというふうに思うんですね。

 それと同時に、もう一つ、ムサンナ県の知事、あるいは、私たちはこの日本でイラク政府の閣僚とも懇談をしているんですが、彼らも同じように日本の自衛隊の活動というものには感謝をしています。これは共通で出てきます。これは当然のことだと思うんですが、しかしもう一方で、実は本当にしてほしいことは、さっき長官も言われましたけれども、社会インフラ、特に電力関係ですね、こういう大規模プロジェクトへ向けてしっかりとコミットをしてくれないだろうか、それぞれの経済を根本から回してくるような形で資本コミットをしてくれないだろうか、あるいは、最終的には雇用というものをしっかり創出してくれないだろうか、これですよ。これは、自衛隊とは関係のない話なんですよ。

 自衛隊あるいは軍隊というのは武力をもってその機能をなすわけですから、これは治安なんですよ。日本に本当にイラクの人たちが期待をすることというと、もう一つの部分、日本ができることはもっとあるでしょう、もっとコミットしていただけることがあるでしょう、こういう部分なんですね。それに対してこたえていないということが、よく報道でも言われる、向こうの期待と日本がやっていること、日本は自衛隊ばかりにこだわっている、何とかアメリカに顔を立てなきゃいけないというので自衛隊ばかりにこだわっているから、その話と、それから、実際にイラクの役に立っているのかという話とがだんだんだんだん乖離してきて、何のために我々が貢献をしているかというのが特に現地の人たちにとっては見えなくなってくる、そのことが、ここから一年先、起こってくるんじゃないかということ、ここなんです。

 そういう意味からいって、外務省、大臣の方に答えていただきたいんですが、こういう流れでいいんですか。改めてお尋ねします。こういう流れで本当にいいんですか。貢献できているんですか。

町村国務大臣 一九九〇年、湾岸戦争がありました。そのとき日本は、一兆円以上の資金、お金を出しました。特別な税金までつくってやりました。しかし、残念ながら、それに対する国際的な評価は限りなくゼロに近いものがあったのは委員御承知のとおりであります。

 その反省に立って、その後十数年間、私どもは、PKOの法律をつくり、各地区にPKO活動ということで自衛隊を派遣してまいりました、カンボジアしかり、東ティモールしかり。そして、さらにアフガンへの協力、イラクの今回の支援という形でさまざまな人的支援を拡大する。

 もちろんそれだけではありません。私ども、イラクにおいては、自衛隊とODA、資金的な協力、これを車の両輪ということで協力しておりますけれども、お金さえ出せばすべてそれでいいんだということにはやはりならないという教訓を私どもは得たからこそ、ここ十数年かけてさまざまなそういう活動を展開してきたんだという事実。そして、それによって、日本という国はやはり国際社会の一員としてそういう活動に貢献をする国なんだということで日本という国に対する評価が非常に高くなっているということを、まず委員、御認識いただきたい。その上で……(発言する者あり)その当たり前のことができなかったところが問題だったんです。

 そして、資金協力について言うならば、私ども、十月に東京で支援国会合を主催いたしました。さらに、パリ・クラブにおいては、イラクに対する債務削減八割という大変大幅な削減にも協力をいたしております。また、資金的な面でいくと、十五億ドルの無償、そのうちかなりのものが既にディスバースをされております。その中には、今委員御指摘のあった電力等々、まさに彼らが一番欲していると言われておりますインフラ部門を含めて、さまざまな無償資金協力をやってきております。

 そのようなことで、私どもとしては、現地のニーズに合った支援活動をやっている。だからこそ、先般来、大統領も首相も、あるいはムサンナ県知事も、あるいはムサンナのいろいろな方々も、日本の活動というものに対して、自衛隊の活動及び資金を通ずる活動両面の協力について評価するということになってきているのではないでしょうか。やはり私どもは、それは車の両輪、両方が必要だと。そのことはアラブの皆さん方もよくわかっている。

 今ちょうど逢沢大臣が、先週末、モロッコで行われました中東和平に関する国際会議に出ました。そこで、アラブ連盟の事務局長、前エジプトの外務大臣ですが、日本は今回自衛隊の派遣延長ということについてすばらしい決断をしてくれて感謝するという、アラブ連盟というアラブの各国の取りまとめのその事務局長さんがそういう発言を逢沢さんにしているという公電にきょう接したところでございますが、そういう形で、アラブ全体も日本のそういう活動をきちんと見て評価しているということだと私どもは認識をいたしております。

中川(正)委員 その同じアラブの事務局長が、アメリカの長期駐留に対しては非常に批判的なんですね。これではイラクはまとまっていかないという批判をしています。そのこともつけ加えて言わなきゃ、これは話にならないんだと思うんですよ。

 だから、アラブはそういう意味では非常に複雑な形で今動き出しているということ、それに対して、日本の戦略というのがなし崩しに崩されていっていいのか、それが問われているんです。当たり前のことができない。それはできなかったんですよ、憲法があったから。しかし、これをやったことによるコストというのは、憲法を空洞化したということなんですよ。そうした流れをしっかり一つ一つ整理していかないと、ただなし崩しだけで日本の国益が守られているということ、これは大きな間違いであると思います。

 その上で改めて聞いていきますが、日米同盟だと思うんですよね、皆さん気にしているのは。日米同盟が大事だからイラクにおつき合いをする、そういうスタンスというのは何回も何回も出てきて、文書の中でもそういう話になっている。これは、昔だったら、憲法九条があるから日本はできないという断り方をしたんです。それが通じなくなったから今の流れになってきているというのが、今、大臣の説明なんですよ。

 違うでしょう。もう少し冷静に考えていって、この日米同盟の中身、これを具体的に聞いていきますけれども、では、このことで、例えば今の朝鮮半島の情勢、拉致問題でアメリカが日本の後押しをしてくれなくなる、そういうおそれがありますか。あるいは、ミサイル、核問題ありますけれども、これで日本が安全保障の上で守られなくなる、アメリカがそっぽを向くという可能性がありますか。

 一つ一つこうやって見ていくと、違うでしょう。そんなリンクは出てこないでしょう。そのことを、どのように日米同盟をとらえておられるのかというのが私はわからないんですよ。日米同盟に影響するということを何回も何回も、国会答弁の中でも小泉さん自身も強調されているんです。その中身がわからないんです。どこに影響されるということなんですか。

町村国務大臣 ちょっと御質問の意味を正確に私は受けとめておりませんかもしれませんが、日米関係というのは、軍事的な側面でいえば、それはまさに日米安全保障条約というものが、改定をされながらも今日まで来ているということによって一つの基盤が築かれているのは事実でございます。

 しかし、日米関係というのは、日米安保のみならず、政治的なつながり、経済的なつながり、文化的なつながり、あるいはさまざまな人的な交流等、重層的な関係になってきている。そうしたものの積み重ねが日米間の信頼関係というものになってきております。したがって、この一つがないから、では、それがほかの行動にどう影響を与えるか、そんなに単線的な関係ではない、私どもはそう思っております。

 したがいまして、私どもは、今回、北朝鮮があるからイラクに行ったんだろう、そんな単純な結びつけをしているつもりはありません。私どもは、日本とアメリカの幅広い同盟関係、友好関係というものをさまざまな方法で、その一つは、確かに今回のイラクに対する自衛隊の派遣、ODAの供与というイラク復興支援活動というのもあるわけでありますけれども、別にそれだけが、日米関係あるいは対北朝鮮政策を決める要素ではない。もっと幅広い、さまざまな日米間の信頼醸成を積み上げてきた結果が今日あるんだというふうに御理解を賜ればと思います。

中川(正)委員 アメリカの報道機関の活動の中でスピンという言葉があるんですね。これは、時の政権が一つの方向性を持って世論操作しながらリードをしていく、一つの方向性を向いてぐっと流していく、そういう手法をいうんです。

 この間から見ていると、先週末に拉致特が開かれて、骨がにせものであったという報道に基づいた我々の議論をやったわけですが、これを出してくるタイミング、それから、きょうのこの延長問題、さらにいけば、国会が終わった後こういうものを重ねて、国民としては非常に腹が立つ、日本は弱いじゃないか、頑張れ、こういう背景をつくりながら、この延長問題を議論し、自衛隊の大綱というのを出してきて、MDも既存のものにしていく。そして、アメリカのトランスフォーメーションというのがあって、アメリカの再編という流れの中に日本の全体の流れを合わせていって、トータルでいくとアメリカの属州になっていくような安全保障というものがそこから見えてくる。そういうのをこうしてマスコミのスピンをかけながらずっと流していって、では、具体的な議論がここでできているか、国民にしっかりと説明をし尽くしているかということになると、そこのところはだんまりを決めながら、国会の期間中にやるどころか、それをあいている期間でずっと流し込んでいく、そういうことが見えてきます。

 これは、こうした一番基本的な部分でアメリカの傘下の中に入っていくのかどうか。特に、もう一方で、靖国の問題を抱えながら、小泉さんは中国に対して真っ向からあんな形で意地を張っているわけです。我々のアジア外交、片方、こうしたスピンをかけながらアメリカの中へ向いてぐっと入っていく体系をつくりながら、中国に対して、一度、アジアの安全保障について一緒に相談しようじゃないですかと、そんな話が持っていけそうなことがない。こうしたことが本当に、この国の一番今大事な分岐点に来ている中でいいんだろうか、非常に危ない状況に向いて今流されている、それをつくづく今感じるわけなんです。

 だから、イラクの問題というのは、町村さん、全くそのとおりなんです。ここ一つに限った話じゃなくて、トータルで見ていくと日本の分岐点をここで決めているような、もうアメリカ一辺倒でいくんですよという意思表示を日本がつくりかけているような流れですよ。そこのところをもう一回原点に戻って議論しようじゃないですか。そこのところを指摘させていただきたいというふうに思うんです。改めて答弁があればしてください。

町村国務大臣 なかなか日本国政府、そんなに巧みに世論誘導ができるほどの能力を持っているかどうか、持っていたら持っていたではあるんでしょうが、そんな能力が果たしてあるのかなと思ったりもして今のお話を聞いておりました。

 それはさておいても、大局に見て、日本とアメリカとの関係、日本とアジア、なかんずく中国の関係、このままでいいのかという御指摘であったかと思います。私ども、常にそこはバランスをとっていくことが大切だろう、こう思います。

 例えば、よく批判があります、小泉さんはアメリカ一辺倒だと。しかし、小泉さんはブッシュ大統領と会うと必ず、やはりアメリカの一国主義はだめだ、単独行動はだめだ、国際協調、なかんずく国連というフレームワークを常に尊重するようにあなたはしなきゃだめですよということはかなりしつこく何度も言っているというような意味で、私は、小泉外交といいましょうか、小泉総理の姿勢というものは、決してアメリカの言いなりでもなければ、アメリカの言うとおりにすべてを決めているわけでもないというふうには思っております。

 ただ、日米関係が基本、基礎であることは重要であり、多分これは委員もお認めいただくんだろうと思いますが、その上に立って、さらに他の国々との関係、アラブとの関係、ロシアとの関係、中国あるいはアジア諸国との関係をそれぞれしっかりどう築いていくか、これは非常に重要なポイントだ、こう思っておりますので、また今後御指摘をいただければ、こう思っております。

中川(正)委員 それだけに、イラクの自衛隊の引き際とそれに対する大義、そのところがいかに大事か、ここで私たちのしっかりとしたアメリカに対するメッセージというのも必要なんだということを指摘しておきたいと思います。

 ぜひ具体的な条件をつくり上げましょうよ、引き際の。そんなごまかしみたいな四つのポイントをここへ入れましたけれども、これは条件じゃないんです。これはごまかしですよ。そういう話じゃなくて、具体的に我々の自立した外交というのをつくり上げていきましょうよ。そこのところを改めて指摘しながら、終わります。

 ありがとうございました。

船田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私たちは、自衛隊の派遣延長にはもちろん反対です。自衛隊の派遣は憲法違反であり、撤退すべきだと考えております。

 今度延長を決めた政府の立場について伺っていきますが、大野長官は、サマワを訪問されまして、サマワの治安は予断は許されないがかなり安定、このように述べられました。ハッサーニ・ムサンナ県知事と懇談をしたときに、知事は、サマワの治安は以前よりもさらによくなっている、こう述べていたとのことであります。サマワの治安は以前よりかなりよくなっているというのが長官の認識ですか。

大野国務大臣 ハッサーニ知事はそういうことを言っておられました。

 私自身の目で見たことは別といたしまして、いろいろな衝突案件があります。その衝突案件を見てみますと、もちろん、イラク全体といたしましては、例えば八月あるいは十一月のラマダンの時期、ファルージャ総攻撃の時期にはかなり件数が上がって数多くなっております。しかし、サマワあるいはムサンナ県だけを見てみますと、十一月のラマダンの時期あるいはファルージャ総攻撃のときにも安定して、件数は極めて少ない、こういう状態であります。その件数を以前と比べてみますと、ことしの三月、四月に比べまして数は多くなっていない、こういうことであります。

 したがいまして、私自身、サマワは以前よりどうなっているかという判断はわかりませんけれども、以前に比べて悪くなっていない、こういうふうには言えるのではないか。件数から判断するとそういうことは言えると思います。

 それから、私自身の目で確かめてみまして、これは先ほど申し上げたことでございますから繰り返しませんが、サマワの人たちと自衛隊との間に一体感が出ている。こういうことは、自衛隊がサマワで活動する上で非常に安心できることではなかろうか。

 ただ、唯一我々が重大に受けとめておかなければならないのは、何といっても迫撃砲、ロケット弾が自衛隊宿営地の方向へ向かって飛んできた、あるいは宿営地の中に入ってきた、こういうことであります。そういう意味で、自衛隊員の宿営地の安全確保はどうだろうか、こういうこともつぶさに今回見てまいりましたけれども、安全確保措置というのはかなり高いレベルで確保されている、このように思っております。

赤嶺委員 衝突の件数をおっしゃっておられるようでありますが、治安の維持という点では、それを担当していたオランダ軍が二人の死者を出して撤退をする、にもかかわらず、治安は以前よりはるかに安定していると言う、そこの感覚が理解できません。

 現に、長官がサマワを訪問したその日にサマワの中心部の音楽CD店で大きな爆発があったとか、あるいは六日には、皆さんも発表しておりますが、サマワの近郊で武装集団との間で武力衝突があったとか、あるいは九日になりますと、地元の警察当局者によると、住宅街の空き地にロケット弾が着弾をした。毎日のようにこういう事件が起こっているわけです。それでも治安はかなり以前よりよくなった、そういうことをおっしゃるんですか。

大野国務大臣 まず、オランダ軍が死者を、犠牲者を二人出しているじゃないか、こういうことでございます。だからオランダ軍の方は、治安が悪くなったから帰るんだというような印象の御発言でございましたけれども、オランダの国防長官等から話を聞いてみましても、オランダはそういうことじゃなくて、来年の政治プロセスを経まして、来年には現地の治安組織が育っていくから、そのあたりで撤退することができるだろう、こういうような発言でございます。

 また、具体的にそういう犠牲者の数の問題から考えてみますと、例えば、ファルージャのあるところでございますけれども、アンバール県におきましては三百数十件の犠牲者が出ている、こういうことでございます。それに比べまして、イラク十八県ある中で、北部のクルド族の県では、三県ございますけれども、犠牲者が全く出ていない県が二県、一人だけの県が一県。そして、その後続きますのがムサンナ県の二件でございますが、極めてそういう件数は少ない、こういうことだろうと思います。

 それから、私が視察に行った後も連日のようにというお話でございます。例えばCD店の爆発という問題も今御指摘がありました。しかしながら、このCD店の爆発事件その他につきましても、全く負傷者、犠牲者は出ていないということは御留意いただきたいと思います。

 では、どうしてそういうことになったんだろうか、どういうふうになったんだろうか。このあたりの問題はもちろん残ります。残りますけれども、こういう点については事情をよく調べないと、私もうかうか発言はできません。

 ただ、私から申し上げたいのは、一つは、やはりムサンナ県というのは非常に治安が安定し得る背景があるということであります。その背景は何か。それは、大変貧富の差が少なくて、その恨みとかそういう感情的なものが比較的少ない県である。それから、部族の力が比較的強い。したがいまして、ほかの者が入ってきた場合にいろいろ情報がとれる、こういうような背景があるということも一つ考慮していただきたいと思っております。

赤嶺委員 私、長官がサマワに行かれたというものですから、サマワに行かれてつかんだ新しい認識を聞きたかったんですよ。部族社会で云々というのは、もう一年間繰り返し皆さんが説明していることですから、別に長官から今説明されなくても、今までも聞いている話であります。

 長官が本当に治安の安定というのを心底確かめに行ったのかと。起こっているCD店の爆破についても犠牲者は出ていないじゃないか、この程度の感覚で、サマワは一層安全になった、こういうことをおっしゃられたら、聞く側から見れば、派遣先にありきの治安の安定の説明をするために行った、やはりスタンドプレーと言わざるを得ないと思います。問題の背景をきちんとつかんできたのか、問題の深刻さを実感してきたのか。戦闘地域であるイラクに行かれた大野長官からそういう発言が聞かれないということは、残念であります。

 そこでもう一つ、先ほど長官言われました。マスコミの報道でも、長官は自民党の合同部会の席上で、ロケット砲による攻撃だけは気がかりだ、こういう報道がありました、先ほど答弁もありましたが。そうしますと、今回、派遣を延長した後、そういうロケット砲あるいは迫撃砲、これらについて対策をとる、例えば言われている対迫撃砲レーダー、こういうのは導入されるんですか。

大野国務大臣 対迫レーダーを導入するかどうか、十分今検討している段階でございます。オランダ軍が撤退した後どのようなことになるのか、これも一つの材料でございますけれども、何といっても、発射地点がわかるような対迫レーダー、これは場合によっては必要である、こういう認識で今検討しているところでございます。

赤嶺委員 やはり、サマワは一層安定してきたといっても、対迫撃砲レーダーを新たに装備するという側面を持っていらっしゃる。今回、陸上自衛隊の人員は六百人ということで変わらないわけですけれども、派遣の枠内で警備要員をふやす、こういう予定もあるんですか。

大野国務大臣 それは、先生は対迫レーダーを入れた場合ということで御質問されているのではなかろうか、こういうふうに思いますけれども、これは六百人の範囲内でそういうことを考えているわけでございます。したがいまして、今、どうすればどうかという具体的なことは申し上げられません。対迫レーダーが入ってくる、しかし、その場合も六百人の中でやりくりしていこう、基本的にはそういう考えでおります。

赤嶺委員 サマワの安定と装備の強化、警備要員の増員、この説明にはやはり矛盾を感じることにならざるを得ません。

 そこでもう一つ、これからの自衛隊の活動について聞いていきたいわけですが、これまで給水活動というのは自衛隊の復興支援活動の柱でありました。その給水活動についてですが、先ほどの長官の説明でも、宿営地のそばに浄水装置が設置されていくんだ、このようにおっしゃっていたわけです。外務省がODA予算でムサンナ県に浄水施設を設置する。これは何基ぐらい設置するのか、そして給水能力はどのぐらいになるんですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ムサンナ県に対します浄水設備でございますけれども、私どもとして、ODAによって六基設置するということを予定いたしておりまして、既にその機材そのものは現地に到着いたしております。それから、浄水能力につきましては、この六基によりまして約三千百トン余りの浄水能力があるということでございます。(赤嶺委員「一日当たりですか」と呼ぶ)そうでございます。

赤嶺委員 浄水能力が一日当たり三千トン以上、今自衛隊がやっている給水が二百トンから三百トンですから、十倍を超えるわけですね。そうしてくると、当然、相対的に自衛隊の給水活動の位置、比重というのはこれから変わっていくというぐあいに考えてよろしいですか、長官。

大野国務大臣 今外務省から報告がありましたようなことであります。どの時点で六基すべてが稼働し始めるかという問題はございますけれども、問題は、そういたしますと、浄水というニーズはなくなってくるということであります。ただ、自衛隊員自体が使用する水というのは浄水をしなきゃいけない、これだけの問題は残ってまいります。

赤嶺委員 結局、サマワでやる浄水というのは自衛隊が自分で使うためだということになりますが、実は、給水活動というのは宿営地の外に出ていって行っていたわけではありません。宿営地の中でやっておりました。そして今後、給水活動のニーズが、あるいは活動の比重が相対的に低くなっていく場合に、当然、人道復興支援活動というのは、自衛隊が外に出ていって行う機会がふえてくるわけですね、道路や公共施設や病院という場合に。その場合に、明らかに今までと、自衛隊の活動の柱であった給水活動は皆さん流に言うと宿営地の中で安全であったかもしれないけれども、今度は宿営地の外に出ていく活動が多くなる。そうすると、危険度は高まるんでしょうか、それともより一層安全になるんでしょうか。

大野国務大臣 前にも御説明申し上げましたが、ロケットが飛んできたということで用心のために宿営地外の活動を差し控えた、これが過去三十日ばかりございます。それから、イラクのいろいろな行事のために宿営地外へ出られなかった、これが十日ばかりございます。過去四十日間、宿営地外では活動をしておりません。ただし、そういたしますと、二百数十日ですね、二百七十日ぐらいを宿営地外で活動しております。

 そして、ここで申し上げたいのは、宿営地外で活動しても何らの衝突事件がない。それどころか、子供たちが本当に手を振って歓迎してくれる、大人の皆さんも仕事の手を休めてそういう好意的な姿勢を示してくれる。そして、イラク、サマワの一般的な評価を申し上げますと、自衛隊の仕事は本当に丁寧にやってくれているな、自衛隊の皆さんありがとう、こういうような評価でございます。だからこそ、いろいろな方々が、自衛隊の皆さん、撤退しないでどうかいてください、そして人道復興支援を続けてください、こういうような意見が出てくるのだと私は思っております。

赤嶺委員 宿営地外で活動しても問題はなかったとおっしゃいますけれども、例えば道路工事、自衛隊員は実際道路工事をやっていらっしゃるんですか。道路工事をやっているのはどなたですか。そして、自衛隊はそういう道路工事の中でどんな役割を負っていらっしゃるんですか。

大野国務大臣 私も、道路工事をやっております現場を訪ねさせていただきました。そして、工事を一緒にやっている方とも話をいたしました。彼らは、自衛隊の皆さんと一緒にこういう復旧作業ができるのは本当にすばらしいことだという発言でありました。

 それで、具体的に何をやっているかでありますけれども、具体的には、土を運んだりというようなことではございません。そういうこと全体をどういうふうにするかということで、現地の皆様が働いてくださっているわけでございます。自衛隊の皆さんは、ここをこういうふうにやっていこう、ここをこうしたらどうだろうか、こういうことで、いわば仕切りをしているというような感じになりましょうか。現実にスコップを持って運んでいる、こういうことではございません。

赤嶺委員 そういう、いわば道路工事の実際は現地の地元業者が請け負ってやっておられる。そういうことであれば、支援の仕方というのは、先ほどもありましたが、国連を通じてとか、あるいはNGOだとかあるいはODA予算を使って、イラク人自身が計画をし、イラク人自身が工事をやっていくということは十分できるわけですよ。自衛隊は給水の役割も低下していく、人道復興支援でも、まさに皆さんの立場からいっても、派遣を延長するような根拠は失っているんじゃないか。

 外に出ていっても安全だとおっしゃいますけれども、長官、占領されている側は、占領軍に対して、自分たちの意思が自分たちによって決められるのではなくて、占領軍がすべてを決めていく、そういうものについて一番抵抗するんですよ。抵抗の感情が生まれてくるんですよ。こういう基本的な位置関係を認識しないで、占領軍の一員として日本の自衛隊がイラクで活動する、これがどんなに間違ったことであるかということを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。

船田委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 政府は、自衛隊の派遣期限切れ直前に一年間延長を決めました。この自衛隊の派遣期間延長については、国民の六割以上が反対をしている世論がございます。したがって、今度の決定は、私は、国民世論を無視して、同時に国会を軽視した決定であるというふうに強く批判せざるを得ません。そして、決定後も、ある世論調査によりますと、八割以上の国民が、まだまだ政府の説明は不十分だ、こういうふうに強く指摘をしているわけですね。

 もとより社民党は、米英軍のイラク開戦は大義のない戦争であり、同時に、国際法に違反をし、国連憲章を無視する戦争であるというふうに言い続けてまいりました。イラクへの自衛隊派遣にも反対をしてまいりましたし、イラクから自衛隊は速やかに撤退をすべきだというのが私どもの考えでありますが、今回の派遣期間の一年延長というのは、私はやはり、悪化するイラクの治安状況に対する政府の配慮がない、同時に、派遣された自衛隊員の生命身体の安全に対する配慮義務を欠いた決定であるというふうに言わざるを得ないと思っております。

 それで、最初に聞きたいのは、きょうの当委員会における防衛庁の説明の中で、十二月六日の夜、サマワ市街から北北東約四十キロの場所で約二百キロの爆発物を発見した、こういうことでございましたが、その爆発物というのはどういう爆発物なんですか。

大野国務大臣 確たることは言えませんけれども、言われておりますのは、TNT火薬ではないかということでございます。

照屋委員 私は、長官は、どういう爆発物であるかということは、事務方が一々メモを渡さなくても十分に承知をしておくべきだと思いますよ。

 きょうの報告では爆発物が発見されたということだけですが、これについてはイラク警察軍との間で応戦もあって、戦闘行為もあって、犯人も捕まったんじゃないんですか。

大野国務大臣 現在のところ、今先生のおっしゃったような情報は入ってきておりません。

照屋委員 マスコミ報道では、バグダッド南方に拠点を持つスンニ派の男二名が逮捕されたというふうに報じておるのがあります。

 私が聞きたいのは、このスンニ派の特に過激派がバグダッド南方からサマワに南下をして、サマワを攻撃するんじゃないか、こういうふうに指摘をする識者がおりますけれども、防衛庁はその事態についてはどういう予測をしておられるんでしょうか。

大野国務大臣 十分にそういうことは今後警戒を持ってやっていかなきゃいけない問題だと思いますけれども、たびたび申し上げておりますが、外部から人が入ってくるということは、ムサンナ県、サマワというのは大変部族社会でございますので、直ちにわかるであろう。そしてまた、ハッサーニ知事によりますと、以前に比べまして治安はよくなっている、こういうことでございますので、今後の問題につきましては予断は許しませんけれども、我々もまた十分注意を持って対処していきますけれども、これは今のところ確たることを申し上げられる段階ではございません。

照屋委員 私は、今の長官の発言を聞いても、本当に派遣された自衛隊員の生命身体の安全に対する配慮を尽くしているのかなと強く疑わざるを得ません。サマワは部族社会だから、外部から人はなかなか入ってこれないだろうとおっしゃるんですが、イラク全土が部族社会なんですね。サマワだけが部族社会じゃないんです。しかも、このイラクの部族というのはそもそも武装しているんですよ。そういうこともしっかりと認識をしていただきたいと私は思います。

 それでは、官房長官にお伺いいたしますが、総理は、この派遣延長に当たって、記者会見その他で、現地に歓迎される復興支援活動を通してイラクの民主化に寄与するんだ、あるいは日米同盟や国際協調体制の強化をおっしゃったりしておりますけれども、サマワの限られた地域での給水や道路の補修といった活動を続けて、地元の歓迎を受けることがイラク全体の民主化にどうつながるというふうにお考えなんでしょうか。

細田国務大臣 先ほども他の議員の御質問があって、十五億ドルの無償援助なども念のため詳細に調べましたが、今の計画では、イラク全土において、間接的な援助等も多いわけでございますが、できる限り人道的な支援を実行する、こういうことは当然考えているわけでございます。その中にありまして、自衛隊が直接人道復興支援活動を行うのはサマワの地区であって、これを総合的にイラクの方々の復興のために貢献をしたい、こういうことで派遣をするものでございます。

照屋委員 私が聞きたかったのは、サマワという限られた地域で自衛隊が活動しているのは私もよく承知をしております。しかし、そこで給水活動をしたり学校や道路の補修工事をやったからといって、総理がしきりに強調されるイラクの民主化には私はつながらない。よくわからないんです。だから八割近い国民が、なぜまた一年間延長するんだ、こういうことを思っておるんじゃないかと私は思うんですね。

 ところで、官房長官、きょう当委員会で基本計画の変更について御説明がございました。その中では、イラクにおいて来年一月三十日に予定されている国民議会選挙に始まる一年間の政治プロセスのお話がございました。確かに、イラクでは来年一年かけて、新憲法に基づく正統なイラク政府を樹立して、イラク戦争後の占領統治体制から完全に脱却をする予定になっております。しかもそれは、政治プロセスがうまくいくだろう、その日程がうまくいくだろうという前提なんですね。

 ところが、一方では、いろいろな宗派やあるいは民族対立も加わって、来年以降一年間の政治プロセスは必ずしも順調に運ばないのではないかというふうに指摘をする識者もいっぱいおるわけであります。そうすると、政治プロセスがうまくいかなくなりますと、イラクの再建過程の中で、イラクの分断あるいは内戦という最悪のシナリオすら予測されるわけであります。

 そこでお伺いいたしますが、基本計画の変更に当たって、来年一年間の政治プロセスが順調にいくだろう、こういう政府の判断の根拠について、具体的にわかりやすく御説明いただきたいと思います。

細田国務大臣 政治的なプロセスは、議員御指摘のように、いろいろな紆余曲折、困難も伴う可能性はあると思っております。そのことをあえて否定しようというわけではございません。やはりこれだけの大きな変化の後の民主化でございますから、そして民族、宗教、いろいろな問題がございますから。しかし、そのことを乗り越えてもらって初めて、イラクの真の平和、発展が訪れるわけでございますから、そのような協力は惜しみなく行うという精神で考えておるわけでございまして、この自衛隊の派遣延長についての考え方とはまた別の問題でございます。

照屋委員 きょうこの委員会で民主党の岡田代表から、こんな重大な決定である派遣期間の延長問題について、なぜ委員会に総理が出席をして直接国民に説明をしないのかという追及がございました。

 私は、もっともなことであり、本当に政府はイラク特措法の国会における承認義務についてきちんと把握をしておられるんだろうか。私は、本当に国会での承認義務を尊重するのであれば、臨時国会でも会期内でも説明する、あるいは会期を延長してでも十分説明すべきであったというふうに思っております。そういう点では、総理が直接出てこられない、あるいは、この間の派遣延長の決定に至る政府の政策形成というのは、イラク特措法の国会承認義務にも違反をしておる、それを尊重していないということを私は強く申し上げて、時間でございますので、質問を終わります。

船田委員長 次に、渡辺具能君。

渡辺(具)委員 自民党の渡辺具能でございます。

 外務大臣、外交日程があると聞いておりますので、どうぞお引き取りいただいて結構でございます。

 細田官房長官そして大野防衛庁長官には、大変お疲れだろうというふうに思います。私も、野党の質問を聞いておりまして、大変疲れました。というのは、どうも質問を聞いておりますと、野党の皆さんには、政権運営の重大さというか責任の重さがおわかりになっていないんじゃないか、そういう思いをいたしたわけであります。国を運営する当事者意識があるんだろうか、そういう思いをいたしまして、これはやはり任せられない、自民党が頑張らなきゃいかぬなという思いをしながら聞かせていただいたところであります。

 ただ、新聞を読みますと、民主党の中にも、撤退撤退とだけ言っていていいのかというような議員がおられるということを書いてありまして、そういう議員がふえることを期待しているわけであります。

 そこで、きょうは、きょうの最後の質問でありますし、これまでの質疑を整理してというか総括しながら、質問させていただきたいと思います。

 このたびの小泉総理の政府決定の決断というものは大変重いものであった、恐らく総理にとっては骨身を削るような思いでこの決断をされたのではないかというふうに思います。

 小泉総理が一番大きく問題とされたというか、考えられた点は、国民の中には、できたら自衛隊を帰したいという方々がおられる。それは私だって、できたら自衛隊を帰したいと思いますよ。しかし、今、我が国の立場、国際貢献のこと、あるいは日米同盟のことを考えると、なかなかそうはいかないところに難しさがあって、大変骨身を削るような思いで決心をされたのだと思います。

 総理は、国際貢献、日米同盟を考えると、今協力を続けることが結局は日本のためになるということを明確に伝えておられます。私は、総理の発表といいますか記者会見を聞いておりましたが、総理は、手に原稿は持っておられましたけれども、自分の言葉で語りかけておられたというふうに思います。先ほど来、説明不足だとかいろいろな批判が出ておりましたが、私は、そうではなくて、ぎりぎりまで熟慮を重ねて決心されたということが伝わってきたわけであります。

 それで、あの質疑の中で、NHKのこういう質問がありました。私はいい質問だなというふうに思って聞いていたんですが、総理は延長を決断するに当たって迷いや苦労はなかったですかとNHKは聞いていました。私はいい質問だと思いました。総理はこう答えられたんですね。判断した後は迷いはないが、率直に言ってという前置きをされながら、決心するまでは深くあれこれ考えることはたくさんあった、率直に言って、できるだけ多くの人の意見も聞いた、本当にあれこれ考えたということをおっしゃっておったわけであります。

 野党の皆さんは、説明責任を果たしていないとか、サマワ訪問も形づくりだけだとか、全く当たらない批判だ、失礼な批判だというふうに私は思うわけであります。

 そこで、この小泉総理の決断を一番近くで見ておられた、あるいはその思いが一番わかるであろう細田官房長官に、その辺の重大なる小泉総理の決断をどう受けとめられたか、そして、この決断を受けて、どのようなつもりでこの一番難しい問題に向かわれるか、決意をお伺いしたいと思います。どうぞ、国民にその辺のことをお伝えいただきたいと思います。

細田国務大臣 記者会見におきましても、小泉総理は、派遣の延長に当たりましては熟慮に熟慮を重ねて決断をした、判断をしたというふうに言われているわけでございます。

 国会でもさまざまな御批判があります。今、イラクにおける状況が、北部、中部等においては非常に大変な状況でもあります。そういったことも勘案し、かつ、これまでサマワに送ってきた自衛隊諸君の今後の安全の問題もあります。

 したがって、責任ある総理としては、簡単には決められないという思いで、しかし、安全も確認をして、しかも、国際的な面で、国際協調、日米同盟の全体的な流れの中で、どうやったらイラクの民主化が早期に達成するか、そして、日本は、従来、湾岸戦争のときには百数十億ドルのお金を税金で出してそれなりに貢献をしたけれども、それだけでもいけないという反省も多くあったわけでございます。そういったことなどをよく勘案しまして決断をされたというふうに理解しております。

 そのような思いについて、渡辺議員が、これはどういう思いであったろうかということをそんたくなさるわけでございますが、我々も、政権を担当する人の苦渋というものは感じ取ったわけでございます。

渡辺(具)委員 派遣延長一年が決定されたことを報じている十日の新聞で、毎日新聞にこんな記事が出ていました。見出しは「東南アジアから見たイラク派遣」という記事でありまして、これは、恐らくバンコクだと思いますが、海外に在住している記者が送ってきた記事でありました。

 その記事は、まず、タイ海軍幹部の発言を紹介するところから始まっているんですね。タイ海軍幹部はこういうふうに発言しているんですね、このたびのことについて。「自衛隊のイラク派遣をめぐる日本国内の議論は透明性がある。日本政府は繰り返し派遣目的を復興支援と説明しており、事実、サマワの活動はその通りだ。」これはここの記者が書いているわけではなくて、タイ海軍幹部がこういうふうに発言しているということなんです。

 そして、これは記者が海外から見て感想を書いているんですが、「外から見る日本の国会は「非戦闘地域」といった言葉の定義づけをめぐり、一年前も現在も、出口のない議論を延々と続けているように見える。時にはアジア諸国の”抵抗感”が、派遣反対論の補強に使われることもある。しかし第二次大戦時、日本軍が甚大な被害を与えた東南アジアでさえ、自衛隊の効果的な貢献を求めている、というのが偽らざる実感である。」外から記者が見てこう言っているんです。つまり、よそから見れば、海外から見れば、日本の出口のない神学論争を冷ややかに見ている、こういう感想を持っているわけです。

 そして、最後にこういうふうに結んでいるんですね。「戦火から復興の道を歩んできた東南アジア諸国は、イラクでの自衛隊の活動ぶりを注目している。」というふうにこの記事は結んでいるわけであります。

 私は、これまでの野党の皆様の議論を聞いていまして、一〇〇%安全な場所でなければ国際貢献はできない、こういうふうに私には聞こえるんです。一〇〇%安全な地域なんてありませんよ、おとぎの国じゃないんだから、おとぎの世界じゃないんだから。私は、そんなことを言っていたら国際貢献はできないと思うんです。私はやはり、できる範囲の中で精いっぱいの汗を流すことによって評価されると思うし、日米同盟の信頼関係だって、苦しいときに助け合うのが日米同盟ですから、ぎりぎりまで協力しなければ信頼関係は生まれないと思うんです。立場を考えてみればわかることです。一〇〇%リスクのない協力なんて、私はあり得ないと思う。

 だから政府もこう言っているわけです。予断を許さない状況下での厳しい支援活動だから自衛隊が行くんですと。自衛隊が行くといっても、もちろん憲法の許す範囲ですよ、戦闘行為が行われることがない地域ですよと。そして、しかも……(発言する者あり)人が言っているとき聞きなさいよ。人道復興と安全確保の支援活動に限るんですよ、こう言っているじゃないですか。この話のどこがおかしいのか、私はわからないんです。

 やはり日本は、やりたくないからやめるんじゃなくて、一〇〇%安全じゃないからやめるんじゃなくて、憲法の許す範囲でやれることはやらないと国際社会からも評価されないし、日米関係もしっかりしたものにならない、そう思うんです。

 私はそう思いますが、細田官房長官から改めて御意見をお伺いしたいし、その後、その安全について、サマワの実態を見てこられた大野防衛庁長官も、ぜひその辺のことについて国民に向かって発言をしていただきたいと思います。

細田国務大臣 渡辺議員のお考え、まことにそういうお考えに対して意を強くしたわけでございます。ただ、もちろん、政府でございますので、あらゆる意味での安全性に配慮しながら派遣をする、そして自衛隊の諸君も十分に活動していただきながら、けが等をすることのないように万全の準備をする、こういうことでございます。

 やや、全体から見れば一隅を照らすような支援かもしれませんけれども、ただ、これは、政府の支援の資料などもございますので後でごらんいただきたいと思いますが、ムサンナ県には無償でいうと五千万ドル程度、それ以外のものについて十二億五千万ドル、さまざまな案件について間接的にいろいろ大変な地域にも支援をしておる、病院であったり学校であったり発電等であったりしておりますので、そういったことで一日も早くイラクの発展が可能なような政策ができる環境になってほしいものだ、こう考えております。

大野国務大臣 渡辺先生からお励ましをいただきまして、ありがとうございます。

 一〇〇%安全でなくてもというような御発言もございましたけれども、やはり我々は、自衛隊の皆さんに人道復興支援に汗をかいてもらうためには安全を確保しなきゃいけない、これは私どもの責任でございます。今回の基本計画の延長に当たりましても、総理から、特に治安の状況はよく見なさい、また隊員の安全確保については十分配慮しなさい、こういう指示をいただいております。

 安全確保につきましては、簡単に申し上げますと、私、自分の目で見させていただいて、約八百メートル四方の宿営地でございますが、そこに壁がある。その外にまた何重かの防護措置がとられております。また、監視装置がある。空中監視装置もありますし、入り口は一つでございますけれども、そこはジグザクとなっておりまして、簡単には自爆テロが車で入ってくるわけにもいかないだろう。宿泊しているところだけを見ましても、壁も厚い、天井も厚い、こういうことで、安心できたな、私自身の目で見て、安全確保はかなり高いレベルで保たれているな、こういうことでございました。

 ただ、渡辺先生おっしゃるとおり、この我々の活動というのは、まさにイラクという国を民主主義国家としてよみがえらせる、生まれ変わってもらうための国際協力の一環である、そういうことで自衛隊員の皆さんに働いていただいている。

 私、本当に自衛隊の皆様の姿を見て誇りに思いました。宿営地内に入ってみますと、「油断せず、助け合って、真心支援」、こういうスローガンがかかっておりまして、そういうスローガンのもとに、自衛隊諸君は士気高く、規律正しく活動している。そういうふうに、一生懸命頑張って感謝されるという喜びを、若い、平均年齢でいいますと三十三、四でございますけれども、そういう若い自衛官が人生勉強で学んでくれているんだな、こういう思いでございました。

 また、先ほども申し上げましたが、市街へ出てみますと、いろいろな人が手を振ってくれる。ここにやはり一体感ができているんだな、日本とサマワの人、イラクの人、あるいは自衛隊とサマワの人の心の触れ合いがあるんだなと。この心の触れ合い、先ほどからいろいろな議論が出ております。単にお金を出したら済むことではないかという議論もあるかもしれません。しかし、私は、人間が触れ合う、これが平和の基礎である、こういうような信念を持ちました。そういう意味で、サマワの人、ムサンナ県の人々から、自衛隊はまさに東アジアから平和と安全のためにやってきた平和のハトなんだな、こういうお手紙をいただいております。

 そういう意味で、いろいろな意味で私はこの活動が有意義であるというふうに感じました。

渡辺(具)委員 引き続き安全にはできるだけのことをしていただきたい。私が申し上げたのも、一〇〇%安全であるということはなかなか説明できない、それでも、一〇〇%安全であるということが説明できなくても、私は、国際協力というのはやらなきゃいけない場面もあるということを申し上げているわけです。したがって、そういう場合は、とにかくありとあらゆる方法で、一〇〇%に近づくように、安全のための努力をしていただきたいというふうに重ねてお願いしたいと思います。

 それから、議論の中に、派遣の時期を少し明示すべきだとか、撤収のシナリオを準備したらどうかというような意見があります。これもよくわかるような気がいたしますけれども、私は、なかなか現実的でないと。そういうものを前もって明らかにしたのでは、これはまた非常に危険な事態が起こることが予測されるわけであります。だから、そういう意味もあって、このたび、いろいろな四つの場面を想定して、慎重な措置をとる、適切な措置をとるということを書いてあるわけですね。

 そういう意味で、いつも状況を見定めながら今後とるべき措置について考えられるわけでありますが、仮にもう撤収しようというような事態になった場合、念のために聞いておきたいんですが、具体的にはどういう順番といいますか、どういう手続をしながら撤退になるんでしょうか。大野防衛庁長官にお伺いしたいと思います。

大野国務大臣 撤収する場合の手続でございます。

 これは、当然でありますが、撤収の判断を下す。具体的にどのような手続をとるか、そのときの事情に応じて個別具体的に判断することとなろうと思いますが、政府としましては、しかるべき意思決定を行った上で、防衛庁長官、私の方から撤収命令を出す、これが第一でございます。そこで、イラク特措法の第五条によりまして、対応措置終了後、内閣総理大臣が遅滞なく国会にその結果を報告する、こういうことになります。

 以上でございます。

渡辺(具)委員 それからもう一つ、政府は予断を許さない状況にあるということをたびたびおっしゃっておるわけでございまして、私も先ほど、安全性が一〇〇%に近づくようにできるだけのことをすべきだというふうに申し上げました。

 そういう状況の中で派遣を延長するということを決めたとすれば、安全性を高めるという意味でも、人員をふやすことも考えられたのかどうか。これは、六百名以内という現行の基本計画の枠は変わっていないわけでありますが、人員をふやすことによって安全性をさらに高めるというようなことは検討されなかったんでしょうか。

大野国務大臣 そういうような、先生がおっしゃられるような意味合いで六百人ということを決めさせていただいております。

 今後の問題、これはいろいろ出てくる場合もあるかもしれません。しかし、我々は、ここ一年、延長期間内で、六百名内で安全確保もできるだろう、そしていろいろな活動もできるだろう、こういう意味合いで六百名と決めておる次第でございます。もしこの六百名をふやすということになりますと、これは再び基本計画を改定する、こういうことになるわけであります。

渡辺(具)委員 それから、日米対話の問題といいますか、米国追従ではないかという意見が、これもオウム返しのように繰り返されているわけであります。それに対して総理は、常々、ブッシュ大統領と会談して、私の考え、日本政府の考えを述べております、そして、アメリカを孤立させてはいけないと思っております、アメリカを世界とともに協力するような体制をつくる、それが国際協調だと思っております、日本はアメリカとともに国際協調を築く役割を担っておりますし、アメリカに対しても国際協調体制を築く重要性は常にブッシュ大統領に申し上げております、こういうことを国民に向かって説明されておりました。私も、この日米対話が極めて重要だと思うんです。

 このイラク特の中でだったと思うんですが、民主党のどなたかが、今こそ勇気を持って撤退を話しかけることが重要だ、こうおっしゃっていましたが、私は、それはいい意見だというふうに思うんです。ただ、撤退だけの話、対話という意味では賛成しかねるところがありますが、やはり今こそ日米対話が必要だ。今後のことについてどうするかということを、あらゆることを想定して、相談をしていただきたい。

 私は、それが必ずしもブッシュ大統領と小泉総理の間の首脳会議だけではなくて、閣僚級の会談だとかあるいは事務的なトップレベルの情報交換ですとか、そういうことが、今も一生懸命にやっておられるんだと思うんですが、これをもっともっとやるべきだ。そして、そのことを、やはりもっと役所も努力して、少し皆さんに、国民にわかりやすいように伝えることが国民の安心につながっていくんではないかというふうに私は思うわけです。

 町村外務大臣にお伺いしたいところでありますけれども、総体的な話ということで、細田官房長官にこの辺のことについてお伺いしたいと思います。

細田国務大臣 今世界じゅうの人が、例えばサダム・フセインという者が政権から追い出されたということについては、よかったなということはほとんど異論がない。イラン戦争を起こし、湾岸戦争を起こし、クルド難民を迫害し、核開発に着手しておった。これは幸い、国際的な動きに応じて廃棄をした後は、その後再びの核兵器の製造等には着手しておらなかったようではございますが。

 そういった国際的な世論、テロとの関係等々を踏まえて、アメリカが今努力をしている。それも、あくまでも、なかなか自力では民主化ができなかったイラクの国が民主化をして、新しい民主主義国家として生まれ変わる、そのための経過ではないかと思うわけでございまして、我が日本国もそのようなことに大いに力をかしていきたい、そのことが基本的な考え方でございます。

渡辺(具)委員 私は、そういう対話というのは、外務省だけではなくて、防衛庁にもぜひそういうものが必要ではないかというふうに思うんですね。アメリカと防衛庁との対話が必要じゃないかというふうに思うんですが、せっかく防衛庁長官もいらしておられるので、ぜひお聞かせください。

大野国務大臣 全く渡辺先生がおっしゃるとおりでございます。

 せんだってもラムズフェルド国防長官とワシントンにおきまして会談ができましたけれども、本当に率直な意見交換ができたと思っております。

 いずれにいたしましても、我々は安全保障という立場から考えて、世界の中の日米同盟、つまり、自分で守ることが一番であります。そして、同盟関係を大切にする。それが世界の平和につながっていくし、また、世界の平和を同盟関係の中でつくっていくことが日本の平和にもはね返ってくる。世界の平和は日本の平和、同盟関係を強化していく、これが世界の平和につながっていく、日本の平和にもなる、こういう信念で頑張っていきたいと思っています。

渡辺(具)委員 それでは、最後にいま一度、防衛庁長官初め政府の方々には、自衛隊員の安全についてはくれぐれも細心の注意を払って取り組んでいただきますようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

船田委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十四分散会


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