衆議院

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第4号 平成17年10月18日(火曜日)

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平成十七年十月十八日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 船田  元君

   理事 石崎  岳君 理事 岩屋  毅君

   理事 中谷  元君 理事 三原 朝彦君

   理事 渡辺 具能君 理事 末松 義規君

   理事 伴野  豊君 理事 佐藤 茂樹君

      猪口 邦子君    宇野  治君

      木村 太郎君    岸田 文雄君

      斉藤斗志二君    桜井 郁三君

      清水鴻一郎君    鈴木 馨祐君

      谷本 龍哉君    寺田  稔君

      冨岡  勉君    中川 秀直君

      丹羽 秀樹君    西村 康稔君

      福田 良彦君    松浪健四郎君

      松本 洋平君    御法川信英君

      宮澤 洋一君    山内 康一君

      山口 泰明君    山中あき子君

      吉野 正芳君    北神 圭朗君

      後藤  斎君    神風 英男君

      田島 一成君    武正 公一君

      達増 拓也君    古本伸一郎君

      細野 豪志君    山井 和則君

      赤松 正雄君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君    阿部 知子君

      野呂田芳成君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   防衛庁長官政務官     北村 誠吾君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  井上 源三君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  樽井 澄夫君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  飯原 一樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 善久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 高田 稔久君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            吉川 元偉君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十八日

 辞任         補欠選任

  大島 理森君     丹羽 秀樹君

  玉沢徳一郎君     吉野 正芳君

  西村 康稔君     福田 良彦君

  長島 昭久君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  丹羽 秀樹君     大島 理森君

  福田 良彦君     西村 康稔君

  吉野 正芳君     玉沢徳一郎君

  北神 圭朗君     長島 昭久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)


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     ――――◇―――――

船田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官井上源三君、内閣官房内閣審議官樽井澄夫君、防衛庁長官官房長西川徹矢君、防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛庁運用局長山崎信之郎君、防衛庁人事教育局長飯原一樹君、外務省大臣官房審議官遠藤善久君、外務省大臣官房審議官高田稔久君及び外務省中東アフリカ局長吉川元偉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

船田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。御法川信英君。

御法川委員 おはようございます。自由民主党の御法川でございます。三十分お時間をいただいております。よろしくお願いしたいと思います。

 本論に入る前に、三点ほどお願いしたいと思います。実は通告しておりませんので、もしお答えできればという範囲でよろしくお願いしたいと思います。

 まず一つは、けさのニュースあるいはインターネット等で、パキスタンでの地震の被害に伴う救援の自衛隊のヘリコプター、きのう大野長官が派遣の経緯等、詳しく御説明いただいたわけですけれども、活動を開始したということでございました。数日前にはパキスタンのヘリコプターが墜落したということもありましたので、ぜひ安全には万全の気を配って、無事に皆さん帰ってこられるように心から御祈念申し上げております。

 それと、きのうの小泉総理の靖国参拝に絡んだいろいろな報道がきのうの夜そしてけさとなされているわけですけれども、その中で、今週末に予定をしていた日中の外相会談、これが行われないのではないかということ、あるいはことしの末に盧武鉉韓国大統領との首脳会談、これもちょっとまだわからないのではないかと、いろいろな憶測が流れているわけでございますけれども、このような波紋に関しまして、もしコメントあるいは御所見があれば聞かせていただきたいなと思います。

町村国務大臣 今後の外交日程、それぞれまだ固まっているわけではございませんけれども、今週末、あり得るものとしての日中外相会談、あるいは十二月の今委員お触れになった日韓首脳会談等があり得るわけでございます。

 まだ、昨日の総理の靖国参拝を受けてそれがどう変わる、あるいはどうなりそうだということについて先方から明確な話があったわけではございません。したがって、私は、予定どおりそうした各種のレベルの政治会談というものは行われるものと理解をいたしておりますし、また、一つのことがあるとその他のすべての交流がストップしてしまうというのはおかしなことであろう、こう思います。こういうときであればあるこそ逆に、率直に外相レベルあるいは首脳レベルでいろいろな話し合いをすることが必要なんだろうと思います。

 現に、昨年のチリで行われました小泉・胡錦濤会談、あるいはラオスで開かれました小泉・温家宝会談、いずれも非常に率直な会談であったというふうに私は理解をいたしております。両首脳同士がこれほどまでに率直な言葉でお互いに話し合いをする。一見その言葉だけを見れば友好的ではない雰囲気であったかもしれないけれども、しかし私は、問題があればあるほど首脳同士がかえって率直な話し合いをすることに意味がある、こう思います。

 私は、日韓であれ、日中であれ、そういういろいろな政治レベルの会談がしっかりと行われ続けていくことが、長い目で見たそれぞれの国の関係をよりよく維持発展させていくために必要なことである、こういう確信を持っておりますので、引き続き、私どもとしてはそうした一連の会談が開けるような外交努力はしていきたい、かように考えております。

大野国務大臣 御法川先生から、パキスタン災害救助活動については十分安全に留意して頑張ってほしい、こういうありがたいお言葉でございました。

 第一陣ヘリコプターUH1をC130で搬送いたしまして、実は十五日には着いているわけでございますけれども、現場が初めてでございます。その点、やはり現場の地勢にもなれなきゃいけない、それから飛行した場合、訓練もきちっとやっていかなきゃいけない、こういう訓練等がありまして、十分その点を配慮して、それから悪天候がありましたのでちょっと期間が延びましたけれども、実際の活動は昨日の日本時間の十九時十五分から始まりました。

 なお、現場からの報告によりますと、ヘリコプター搬送のニーズが大変大きいという報告でございますので、我々は、なろうことなら、あとヘリコプター三機を送れないものかどうか、こういうことを今考えておるところでございます。

 先生の大変ありがたいお励ましをちょうだいしまして、安全にはなお十分留意して頑張るように伝えておきます。

御法川委員 ありがとうございました。

 町村外相の今のお話は、昔毛沢東主席がいみじくもしゃべった内容と同じかなと。いろいろなレベルで言い争いをするけれども、それが最終的にはお互いの国の友好につながるんだというようなことではないかなと思います。引き続きの御尽力をよろしくお願いしたいと思います。

 もう一件、これはニューヨークの時間で十七日ということになっておりますが、国連代表部の小澤大使が国連総会で、国連の予算の分担率についての演説をしている。そのまま読みますけれども、安保理常任理事国五カ国中四カ国が、そうした地位を与えられていないただ一つの加盟国よりも、これはちょっとわかりにくいですけれども、要はアメリカを抜いた四カ国よりも日本は多く分担率を払っているということだと思いますが、その少ない財政負担しか引き受けないような現状が続くことが許されるのかと述べたというふうになっております。

 許されないわけでございまして、こういう状況は何とか変えていかなくてはならないんだろうと思っております。しかしながら、この状況はきのうおととい始まった話ではなくて、日本の分担率がこれだけになってかなりの年月がたっているというふうに思いますが、この点について、もし大臣、御所見があればお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 小澤国連大使の発言、ちょっと正確な一言一句まではまだ私は目にしておりませんが、そういう趣旨の発言があったことは聞いております。

 私自身も、国連総会一般演説の場で同趣旨のことを発言いたしてまいりました。それは、今まさに御法川委員御指摘のような、アメリカ以外の、イギリス、フランス、ロシア、中国の国連の分担金の割合が一五%台、日本は一九・五%ということでありますから、そのアンバランスはだれの目にも明らかであります。

 日本も、基本的なベースというものは、御承知のように、GDPの大きさということでありましょうが、それからいろいろな、補正係数とでもいうんでしょうか、発展途上国割引でありますとか、あるいは米国の負担の上限を引き下げるアイデア等々があるものですから、日本が相対的により多く負担をしているという姿になってきております。

 ただ、これは安保理との絡みで日本が急に主張しているわけでも何でもございません。この主張は既に数年前から日本も行っているわけでございまして、そういう意味のアンバランス感、しかも日本はこれだけの巨額の財政赤字を抱えているという中でございますから、国民の皆さん方の理解も得ながら、こうした国際機関への拠出等の支出をしていかなければいけない。そういう折に、果たしてこれだけのものを出し続けることに納税者の理解が得られるであろうかといったことを考えたときに、私どもとしては、来年いっぱいかかるわけでございますけれども、この分担金の割合の変更、三年に一回の交渉がありまして、来年末がその期限でございますので、これから一年余の間にそうした交渉をやっていくという基本方針を私が述べ、その趣旨をもう少し小澤大使がまた国連で述べたのだろう、こう理解をいたしております。

御法川委員 昨今、国連の改革も言われているこの時期でございますので、ぜひ日本の主張も声高に、そして実現ができるように、これも一層の御尽力をお願いしたいと思います。

 それで、本編に入りますけれども、この委員会の名前も大変長い名称でございますが、今回改正する法律案も大変長い名前でございまして、「平成十三年」から始まる名前でございますけれども、この改正、延長について御質問をさせていただきたいと思います。

 基本的には、政府の御説明どおり、一年間の延長はやむを得ないんではないかなというふうに考えております。その中で、細かい部分もありますけれども、いろいろと御質問をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。

 まず、きのう十一人の委員の方から、さまざまな角度からのこの法案についての説明あるいはテロ対策ということについての質問がございましたので、若干重複する部分もあるかと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 一つ、ちょっと前後するかもしれませんが、今アフガニスタンの方は、九月十八日の国民議会の選挙ということで政治プロセスの方は一段落をしたのかな。その間、もちろん日本はいろいろな形で援助を行っているわけですが、ODA支援の方の内容について、今まで九億五千万ドルという大きな枠の数字で言われていたわけですけれども、どうも十億ドルにならんとする金額でのODAだということでございますが、この内容について若干御説明を願えますでしょうか。

町村国務大臣 今委員御指摘のように、日本のアフガニスタン復興支援、約十億ドルを実施決定済みということであります。その内訳は大きく分けると四つになっておりまして、一つは政治プロセスの分野で約一億二千八百万ドル、治安の改善で一億四千六百万ドル、復興分野で五億七千二百万ドル、そのほかの人道支援として約一億五千四百万ドルという数字になっております。

 政治プロセスの分野につきましては、委員御指摘のような大統領選挙、ことしの下院・県議会議員選挙で約三千万ドルの選挙支援を行ったほか、選挙監視団の派遣というものも行っております。

 治安の分野につきましては、日本が国連とともにやっております、特に日本が主導いたしました武装解除、DDR、こう言われておりますけれども、これをやってまいりまして、既に六万人以上の武装解除が完了して社会復帰が進んでいるという状況でございます。

 復興につきましては、道路等のインフラ整備あるいは保健衛生の分野、学校等の教育の分野等の支援をやっておりまして、一番わかりやすい例で言うならば、カブール―カンダハルという主要な幹線道路があるわけでございますが、これを二〇〇三年に開通を見ております。また、日本を含めてほかの国々の支援もあるわけでありますけれども、今や六百万人の児童が男女を問わず就学するに至っているというようなことでございまして、復興支援五億七千二百万ドル、内訳はいろいろあるわけでございますが、農業からインフラ整備、草の根・人間安全保障等々さまざまな分野での支援を行ってきているところでありまして、それぞれが成果を上げてきつつある、このように理解いたしております。

御法川委員 アフガニスタンがなぜこうやって出るかというと、やはりここが安定しないとテロの温床になってしまうというようなことからだと思います。

 それで、これは九月に防衛庁の方でつくっていただいた資料があるわけですが、この中で、アフガニスタンの現状という中に、麻薬の生産あるいは密輸の拠点であるという記述がございます。それで、アフガニスタンの総所得の六〇%というふうになっております、これが麻薬に関連したものだということだと思います。実はきのう町村大臣が同じような答えをいただいたんですが、そのときにはGDPの六〇%という話だったと思います。

 ここについて、とりあえず御確認を願いたいと思います。どちらでございましょうか。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日の大臣答弁の関係での御質問でございますが、国連の機関の一つに国連薬物犯罪事務所というのがございます。この統計によれば、アフガニスタンでは世界の八七%のアヘンが生産されていて、麻薬に関連するアフガニスタンの地下経済はアフガニスタンのGDPの六割にも相当するということが言われておりまして、昨日の大臣発言はこれをベースにして行ったものでございます。

御法川委員 ありがとうございます。GDPの六割、大変、看過できない比率ではないかなと思っております。

 別の資料で私が持ってきた話ですけれども、二〇〇四年のアフガニスタンのいわゆるGDP、国内総生産が約四十六億ドルということでございます。百二十円換算をすると大体五千五百億円ぐらいなんですけれども、私が生まれ育ちました秋田県の県の予算が六千億ちょいですから、それよりも小さい国の経済だ。その中の六割が麻薬に関連しているということになりますと、仮に、大統領が選ばれ、国民議会ができて政治的な体裁はできても、国がこれから安定して発展していく、そういうものからこれはほど遠い現状があるのではないかなというふうに心配をいたしているところでございます。

 そういう意味で、先ほど、ODAの方から復興支援にかなりの金額を割いていられるわけですけれども、この麻薬関連の産業をまず撲滅しながらも、新しい雇用を創出するなりいろいろな形でアフガンの国民がやっていけるような施策、これをODAでやっていくというのが日本の大きな一つの施策になり得るのではないかなというふうに私は考えますけれども、この点についての御所見がありましたらお伺いいたします。

町村国務大臣 秋田県が大変大きな経済であるということをよく今理解させていただきました。

 確かにこの六割というのは、推計であるにせよ、大変異常な数字であるということはもう間違いがないことだろうと思います。どうやったら麻薬撲滅ができるのか。結局、これほど高収益を上げる他の農産品といいましょうか、土地を利用したものがないという現実が悲しいけれどもあるということなんだろうと思います。

 たしか私の記憶では、自民党の皆さん方が中心となって、ミャンマーでもやはり麻薬をやっているということで、ここにソバを植えて代替をさせようというプロジェクトを支援していたわけでございますが、残念ながら、麻薬とソバでは収益が違うということがあって、なかなか普及するに至らずというようなこともあったようでございます。

 したがって、いろいろな国がいろいろな努力をしているんでしょうが、現実、なかなかうまく進まないようでございます。

 この麻薬問題は、国際的な分担でいいますと、主としてイギリスがアフガンでは担当をしてやっております。日本としてもいろいろなことをやっておりますけれども、代替生計支援というようなことでの地域開発支援などもやっておりますし、また、麻薬については、内務省とか麻薬対策省というのがあって、それが管理したり、集まったものを焼却したりするというようなこともやっているようでございます。

 そういったことで努力はしているようでございますが、率直に言って、なかなかうまい対応がし切れていないのが現状かなと思いますが、引き続き、各国と協調しながら、いろいろな努力をしなければいけないんだろう、こう考えております。

御法川委員 ありがとうございます。

 アフガニスタンというのは、御案内のとおりでございますが、山岳地帯が多いところということで、農業と一口に言ってもなかなか難しいところがあるんだろう。しかし、ぜひ日本を初めとする各国が知恵を出し合って、この点についても努力をしていただきたいな、そういうふうに思っております。

 それで、不朽の自由作戦、OEFの海上阻止活動というものに参加している国が、今現在では何カ国になっておりますでしょうか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 海上阻止活動の現在の参加国でございますが、我が国を含めまして七カ国、計十六隻の艦船が派遣されております。

御法川委員 ありがとうございます。日本を含めて七カ国、そして船舶数でいくと十六隻ということでございます。

 防衛庁の方の資料で、カナダあるいはオランダが再派遣をする予定があるというふうに書かれておりましたけれども、期日等の具体的な予定があるのかないのか、まずはお教え願いたいと思います。

山崎政府参考人 お答えいたします。

 両国とも再度OEF・MIOに参加をするという話を聞いておりますけれども、期日についてはまだ確定した話を我々は承知しておりませんし、通告を受けておりません。

御法川委員 ありがとうございます。

 まだ具体的な日程は定まっていないようでございますけれども、このOEF・MIOだけをとりましても、こうやってこれからも参加国がふえる、あるいはふやさざるを得ないというような状況にあるとすれば、やはりこのテロの脅威、一般的にこれはアルカイダを中心とするテロリストグループに関連するテロの脅威というふうに限定をしてお伺いいたしますけれども、これが決して減少はしていないという認識でよろしいのでございましょうか。

町村国務大臣 全体として脅威がふえているのか減っているのかという分析というのはなかなか難しい面がありますけれども、いずれにしても、この海上阻止活動が持っております抑止力、あるいは現実の阻止している活動というものの効果は非常にあるという見方では一致しているようでございます。

 そういう意味で、こうした海上阻止活動の継続の必要性ということは幅広く認識をされている。そういう背景もあるものですから、今委員御指摘のようなオランダあるいはカナダですか、こうした国々もまた参加をしようということになってきているんだろうと思います。

 そういう中での日本の活動の役割というものも、補給という、ある意味では大変技術的に難しい作業になっているわけでございますが、補給艦をそう多く持っている国も少ないわけでございまして、日本の期待される役割、しっかりとした国際的な位置づけもある、このように考えております。

御法川委員 非常に大事なオペレーションだと私も考えておりますし、そういう意味で、今回の延長、これはやはりやらざるを得ないんだろうというふうに思っておりますけれども、一方、今回のOEFのあり方というものを考えてみると、従来の例えばPKOとは全く違う枠組み、コアリション、有志連合のような形でやっている今回のこのオペレーションだ、活動だということでございます。

 日本もMIOの方には、補給でありますけれども、非常に大事な位置でこれに参加しているということになると、このMIOそのものあるいはOEFそのものがある程度終息してこないと、やはり日本もそこから一抜けたということにはなかなかなり得ないのではないかなというふうに考えておりますし、私は、基本的には、そういう作戦全体が終息していった段階において日本も撤退あるいはそういうものを考えていくというのがあるべき姿だとは思うんですが、その辺についてどうお考えでしょうか。御所見をいただきたいと思います。

町村国務大臣 委員御指摘のとおりだと思っております。

 実際に、テロとの闘い、アルカイダの指導部がかなり逮捕された、捕まったとか、一定の成果ももちろん上がってきているわけでございますし、先ほど委員御指摘をいただいたような政治プロセスも着実に進展をしている。他方、治安情勢を初めとして、先ほどの麻薬問題等、非常に憂慮すべき問題も依然としてある。

 こんな情勢を踏まえまして、ことしの八月二十三日に安保理議長声明が出されております。ちょうど日本が八月、安保理議長であったわけでございますが、安保理での議論を踏まえて、タリバン、アルカイダ等の攻勢の増加を懸念し、ISAF、OEFに支援されたアフガンの取り組みを支持する、こういう議長声明が出され、国際的な認知を受けているわけでございます。

 今後のことでありますから、なかなか、今後の見通しを今の時点で明確に、いつごろどうなるかということを予見するのは難しいわけでございますけれども、しかし、当面こうした状況が続くということであれば、少なくとも、今回の措置によって、一年間日本が給油活動を可能ならしめるような活動をしていくことは当然必要であろうということでございまして、また、それは折に触れて見直しながら、国際的なテロ対策、日本も重要なその一翼を担うという姿勢で今後取り組みを続けていくことが肝要であろうと思っております。

御法川委員 ありがとうございます。

 なかなか、出口戦略と一言で言っても、具体的に、ではどういう状態になればというのは、今の段階ではそれを表現できない難しい状況にあるのだということは私も理解をいたします。

 ただ、この法案、今回一年という延長でございますが、これは、あの長い題名の法案が言っておりますように、一義的には、十三年九月十一日のアメリカ、ニューヨークにおけるテロ行為を受けた形でのさまざまな諸外国の活動に対して、日本がどういうふうに関与していくかということを決めているのが今回のこの法案だというふうに私は理解をしています。

 そうであれば、今後、例えば、この間バリ島でもありました、アルカイダ以外のいろいろな国際テロ組織がいろいろな活動をする可能性がある、あるいはそういう活動をしているということになれば、そういうものに対する法案、あるいはちまたで言われるところの一般法あるいは恒久法的なものを、これはこれとしてやりながらも議論をする、あるいは策定に向けて動いていく、そういう部分も必要なのではないかなというふうに私は考えますけれども、この点についての政府の御所見を伺えたらと思います。

樽井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のテロ対策、大変重要でございまして、大変重要な御指摘をいただいたと思います。

 それ以外に、昨今の国際情勢を見ますと、非常に多様化しておりまして、それにつれまして、国際平和協力のあり方全般が非常に複雑多様化しております。

 そういうものを全部踏まえまして、我が国としてそもそも国際平和協力をどうするのかということで宿題がございまして、内閣官房を中心に鋭意、非常に広範な分野にわたって、御指摘の面も含めて検討しております。

 今後とも、ただいまの先生の御指摘も十分踏まえまして、検討を続けていきたいというふうに思います。

御法川委員 時間でございますので終わりますが、今後も、政府、よくこの政府の方の御答弁の中には主体的な判断というような言葉が使われるわけでございますが、これが頻繁に使われるということは、逆に言うと、主体的な判断をしていないのかというふうにうがって見られることもありますので、ぜひ日本政府としての政策、施策を果敢に実行していただきたい、そういうふうにお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

船田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、テロ特措法について聞いていきます。

 九・一一の同時多発テロ事件から四年がたち、そしてテロ特措法も既に一度延長し、今回もさらに延長するということになっているわけですが、延長する必要があると判断した理由は何ですか。

細田国務大臣 確かに、同時多発テロから四年が早くも経過したわけでございます。このテロ特措法も二度にわたって二年間ずつ延長してまいりました。

 我が国としても忘れてはなりませんのは、日本人二十四人がまさに突然の攻撃によりあっという間に生命を失い、そして、その親族が悲痛に暮れたわけでございます。このようなテロは二度と許してはならない、このようなかたい決意も込めてこのテロ対策を国際的に共同して実施しよう。しかし、日本として行う役割はそれぞれ制約がございますから、日本のやれる範囲で、この二十四名の生命というものも考え、テロの悲惨さ、むごさ、そういったことも考えて対応しよう、こういうことでやっておるわけでございます。

 若干日にちはたちましたが、今、明らかになっております真犯人のテログループがアフガンにおいてなお活動している。これと闘う方々がいる。そして、その中で、我が国としては、政府としてこれに協力を継続すべきであるという判断をしたわけでございます。

 ただ、さまざまな情勢変化もございますので、これまでのような二年単位という判断ではなく、今回は一年の単位で延長をお願いして、そして、今後のさらなる状況をよく見守りつつ判断をしていきたい、こういうことでございます。

赤嶺委員 テロが許されない行為であることは、これはもう明らかです。

 テロとの闘いはまだ続いているということをおっしゃっていましたが、それでは、この四年間で、アフガニスタンにおけるアメリカなどのこのテロとの闘い、日本も参加してきた、これによって、アフガニスタンの情勢は安定しているんですか。

吉川政府参考人 昨日からの議論で大臣からも答弁申し上げておりますとおり、政治プロセス、治安それから復興というこの三つを見ましたときに、政治のプロセスについては、大統領選挙も終わり、それから議会の選挙も終わって、非常に順調に進んでおります。経済関係を見ましても、GNPも着実に上がっておりますから、この点でも非常に、経済の復興というのは見られると思います。

 残念ながら、治安については大きく改善しているという状況にはございません。昨日の本委員会でも御紹介申し上げましたが、ことしの八月に国連の事務総長が出しております報告によりましても、治安情勢は依然として不安定であって、今後の見通しは予断を許さない、特にパキスタンと国境を接する南東部は懸念すべき状況が続いている、こういう認識でございます。

赤嶺委員 治安情勢は不安定だということですが、それでは聞きますけれども、二〇〇一年以降、多国籍軍に対する攻撃の件数、死亡者数、これはどうなっていますか。年度ごとに答えていただけますか。

吉川政府参考人 ただいま多国籍軍に対する攻撃の件数と死亡者数の御質問がございましたが、まず攻撃件数については、残念ながらお示しできるような統計というものは我々の方では把握しておりません。

 次に死亡者数でございますが、これは昨日、民主党、達増先生から同じような御質問をいただきました。ことしの十月十三日現在でアメリカの国防省が発表しております数字によりますと、アフガニスタン、それからその周辺国でありますパキスタン、ウズベキスタン、この三カ国でこれまでに戦闘行為で死亡した米軍兵は百十七名という数字が出ております。それから、イギリス国防省がこの間に四人死亡しているという数字を出しております。

赤嶺委員 四年間、アフガニスタンは安定したかどうかの経緯を見たい、そのために、攻撃数、死亡者数の合計ではなくて、二〇〇一年度何人、二年度何人、三年度、四年度ということで詳しく聞きたいという通告もきのうはしてありますので、そこで答えていただけますか。

吉川政府参考人 失礼申し上げました。

 ペンタゴン、アメリカの国防省は、先ほど申し上げたような、戦闘で死んだ人の数を出しております。年別についてお尋ねでございますが、この国防省の数字の中には何年に何人死んだというのが実はなくて、これはワシントンにありますブルッキングズ・インスティチュートというシンクタンクでございますが、これによりますと、作戦が始まりました以降、これは米兵の死亡者の数を入れておりますが、この数字は戦闘行為で亡くなった人に病気、事故、すべての要因が入っておりますが、これをさっと申し上げますと、二〇〇二年が六十人、二〇〇三年が十二人、二〇〇四年が四十三人、それから二〇〇五年九月の段階で七十五人、合計百九十人。これは戦闘、それ以外の数字、したがって、先ほど申し上げた百十七人に加えまして病気ですとか他の事故の人たちの数字も入ったものだと思います。

 これが我々がつかんでいる数字で、これはさっき申し上げたようにシンクタンクの集計結果でございます。

赤嶺委員 政府はシンクタンクの集計の結果を持ってこられていますが、私たちは、外務省から提供されました、また、国防総省ホームページの数字を全部拾い集めて集計をしてみました。今の局長の数字と数字は違いますが、傾向は、二〇〇一年十一名、二〇〇二年四十七名、二〇〇三年四十四名、二〇〇四年四十九名、二〇〇五年八十二名、皆さんがお出しになった資料から私たちが拾い集めて集計をしてグラフにしてみたものであります。

 次に、テロの発生件数、民間人の死亡者、これはわかりますか。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 アフガニスタンにおけるテロの件数と、それによって亡くなられた方の数についての御質問だったと思いますが、アフガニスタンの政府がこういう数字について公的な統計を出しているということは承知しておりません。

 これもまた、アメリカの団体、アメリカ内務省の助成を受けましてテロ防止のために活動しております非営利団体のMIPT、メモリアル・インスティチュート・フォー・ザ・プリベンション・オブ・テロリズムという団体がありますが、この非営利団体は、テロについてのいろいろなデータベースを提供しております。これによりますと、二〇〇二年からことしの九月までのテロの件数は、二〇〇二年六十五、二〇〇三年百五十、二〇〇四年百四十六、五年の九月までが百十一件、これに対応いたします亡くなった方、死者の数は、二〇〇二年が七十九、二〇〇三年百三十三、二〇〇四年が二百二十九、それからことしの九月までが二百九人、こういう数字を得ております。

赤嶺委員 今の数字で、不朽の自由作戦に基づいてアメリカの兵士の死者も年々ふえている、それからテロの犠牲者もふえているという数字であります。

 それで、政府の説明資料を見ておりますと、今後の見通しは予断を許さない情勢、あるいは、反対勢力の活動が再活発化し、南東部ではタリバンやアルカイダ等がテロの規模・対象を拡大させている、このようになっているわけです。政治プロセスは進んでいる、治安は不安定、経済は復興していると言いますが、経済は、先ほど外務大臣が答えたような状況があるわけです。

 四年間やってきて、見通しは予断を許さないとか、反対勢力の活動が再活発化しているだとか、タリバンやアルカイダ等がテロの規模・対象を拡大させていると政府が認識せざるを得ないような、何でそんなふうになっているんですか。外務大臣、いかがですか。

町村国務大臣 何でなっているかとそう大きな声で問われても、私がこれが明確な原因でありますということを申し上げるのはなかなか難しい点もございます。

 先ほど申し上げた国連安保理の議長総括、あるいは安保理に対して国連事務総長が出した報告などの分析というものを、多分、委員の方に我が方の事務当局から、こういうふうに国際的には見られておりますということについて御説明を申し上げたんだろう、こう思っております。

 一見政治プロセスが進みながらなぜ治安状況が改善をしないのか。これはイラクにおいても、政治プロセスは進むものの、イラクもまた地域によって治安状況が異なるというような状況は確かに現実にあるんだろうと思います。相当程度のテロ対策が進み効果が上がる、他方、まだ諸般のいろいろな状況から新たにテロリストの戦列に加わってくる者もあるというようなことから、なかなかそういう意味でのテロリストの勢力が弱まるということにはなってこないわけでありましょう。したがって、テロ対策、軍事的なオペレーションは当然必要だと思います。

 それと同時に、先ほど申し上げた、例えば麻薬の根絶に向けての努力、あるいは、それを支えるであろう民兵の組織といいましょうか、非合法な軍閥組織の解体に向けての努力でありますとか、また、もう一つの背景にあると思われます貧困対策をしっかりやっていくという意味での開発支援といったようなものを総合的、複合的に講じていくことによって、次第次第に民生が安定をし、テロリストが跳梁ばっこする背景が次第に失われていくのではないか。

 そういう意味で、私どもとしては、軍事的なオペレーション以外の分野でもさまざまな支援を行っている。そのことが、ひいてはこの国の治安状況の回復に役立つであろうということを考えているわけでございます。

赤嶺委員 これまでいろいろテロとの闘いをやってきて、治安が安定していない、拡大している。そして、政府の文書でも、アルカイダ等のテロの規模・対象も拡大し、予断を許さない情勢で、反対勢力の活動が再活発化していると。これについては、難しいというようなことをおっしゃりながら、今後いろいろなことをやっていく、そういう答弁だったと思うんです。

 では、それでもテロ対策を進めていく、効果も上がっている面もあるとおっしゃいましたので、効果の面で私ちょっと伺いたいんですけれども、政府の説明では、インド洋で行われている海上阻止活動で武器弾薬を発見し、九トン以上の麻薬を発見して押収したと言っております。その押収した九トン以上の麻薬のうち、どの程度がテロとの関連性があるというぐあいに見ていますか。外務大臣、効果は上がっているとおっしゃっていましたから。

山崎政府参考人 OEF・MIOによりまして麻薬等について押収している例示的なものが、我々としても各国から報告をいただいておりますけれども、それが直接テロとの関係においてどういう結びつきがあるのかということについての明確な説明というのは、まだ聞いておりません。

赤嶺委員 テロとのかかわりについて、どういう関係があるのか明確な説明を聞いていないんですが、海上阻止活動の効果として、テロとの闘いとして麻薬を押収したというのが効果として載っている。こういうのは、私、国民に対してまともな説明というぐあいにはちょっと受けとめにくいですね。先ほども出ていましたが、麻薬の生産がいわゆる国民の総所得の六割を占めるという国で、麻薬が本当にいろいろなところに国民経済として出ていっている。それを九トン押さえたからテロとの闘いに効果があったんだというような、話として、説明としても、これは余り納得させられるものではないと思います。

 それで、この延長期間の問題についても聞きますが、ここでも非常にあいまいだと思うんですが、一年とした理由、政府の説明をきのう聞いていても全くわかりませんでしたが、国際社会のテロとの闘いの様相やアフガニスタン内外の情勢の変化をきめ細やかに注視すると言っています。テロとの闘いの様相の変化というのは具体的に何ですか。

細田国務大臣 それはやはり、アルカイダその他のテロリストグループに対する抑止といいますか、そういう効果が上がってくるかどうかということが大きな要素であると思っております。

赤嶺委員 先ほどの御説明では、海上阻止活動の抑止効果、あるいは不朽の自由作戦全体が抑止効果としていかがなものかという面も感じたわけですが、そういうことも念頭に入れておられるわけですか、様相の変化とは。

細田国務大臣 このグループというのは、世界的なテロの挑戦をしているグループであり、一挙に三千人の人の生命を奪うテロ行為を謀略のもとに実施したとされるグループであります。これからもその可能性は極めて高いわけですから、そして、各国で今発生しておりますテロについても何らかの可能性もあるということが言われておりますが、私は、その大もとでありますここの根を絶たなければいつまでたっても同じことが起こるということで対応しているのが、米国を初めとする多国籍の今の目標設定であろうかと思いますから、これがやはり、根絶やしとは言いませんが、テロ活動をこれ以上世界に広げていくようなことを阻止するだけの効果を上げるべきである、こういうことは確かであろうと思います。

 日本がその中でどういう貢献をするかということは若干別の考え方もあるわけでございますが、ただ、その基本というものを、あたかもテロリストを根絶やしにするという行為自体を否定するようなことをおっしゃることは、私は受け入れられないわけでございます。

赤嶺委員 私、冒頭申し上げましたように、テロの根絶は必要です。国際社会が力を合わせるべきだと思っています。

 四年間やってきて、治安は悪化し、経済は、麻薬経済と呼ばれるような、状態が悪化しているわけです。四年間で事態がよくなったというような説明ができなかったわけですよ。それで、海上阻止活動の麻薬の押収についても、テロとの関連性は定かじゃないということをおっしゃっているわけです。そういう中で一年延長しているわけですから、効果あらしめるために何か対策を皆さんがとるというなら、テロとの闘いの様相の変化とは何かと聞いたわけです。

 同じ質問ですが、アフガニスタン内外の情勢の変化ということはどういうことですか。それによっては、一年後、撤退もあり得るということですか。

細田国務大臣 さまざまな情勢変化によって、そういうことも当然視野には入っているわけでございます。我が国としての選択肢というものは当然ある、こう考えております。

赤嶺委員 そうすると、政府の説明文書を見ますと、「「テロとの闘い」は長期にわたる困難な闘いであり、当分の間継続する見通し」というぐあいに一方で皆さんの説明の資料では書かれているわけです。このことと、一年とした、そういうこととの関連はどのように説明いたしますか。

細田国務大臣 まず、二つに分ける必要があると思います。つまり、テロに対して各国が対応してテロの根を絶つという努力、これは、今苦難の中にあるけれども、効果的な部分もあります。アフガン、松浪議員も、詳しい方もたくさんおられるわけですが、アフガン全体としての治安状況等はよくなっている。しかし、日本の方がああして突然殺されたりするように、治安状況自体はいろいろな問題があるわけです。

 その中で、テロ対策、テロリスト対策も私は進んでいると思いますが、そのこれからの判断と、我が国がインド洋上において石油、水等の補給をするという判断とは、それぞれの事象でございますから、それはそれで我が国としての判断はあると考えておりまして、これは状況の変化によってまた流動的でございますので、一年間の延長をお願いしている、こういうことでございます。

赤嶺委員 説明に納得できませんけれども、きのうの質問との関連で、あと一つ質問を、今度は防衛庁長官にいたしますけれども、長官は、サマワではオーストラリア軍が撤退した場合に自衛隊の安全確保をどうするのかと聞かれて、みずからも安全確保を図ることが可能でありますとおっしゃいました。それは、現在可能であるということで理解してよろしいんでしょうか。

大野国務大臣 まず、オーストラリア軍、イギリス軍というのは、ムサンナ県サマワにおきまして治安の維持活動、それからイラク側の治安維持組織の育成に努めているわけでございます。撤退という問題を考えた場合に、両軍は、まさにイラクのサマワの治安維持組織が育成されて、そして治安維持権限というものを多国籍軍からイラクへ、サマワへ移すことができれば撤退、こういう筋書きになることはもう十分御存じのとおりでございます。したがいまして、まず、そういう意味で、現在のところ、イギリスそれからオーストラリアは撤退ということについては何ら決定をいたしていない、こういうことであります。

 そういうもとで、問題は、ですから治安がよくなる、かつ治安維持機能が、権限がイラク側に移って撤退した場合、こういう前提で私は答弁をさせていただいているわけであります。オーストラリア軍それからイギリス軍のこれまでのサマワにおける治安維持活動、治安維持機能育成、このことに対する貢献は私どもは大変高く評価しておりまして、その中で自衛隊は安全にやっておる、そして自分自身も、自衛隊自身も安全確保に十分努めている、そのことを昨日も御説明申し上げました。中身は、どういうふうにしてやっているか、このことはもう昨日申し上げましたのできょうは省かせていただきますけれども、そういう前提でお話をさせていただいております。

赤嶺委員 この問題は引き続き取り上げていきたいと思います。

 きょうのテロ特措法の延長についても、政府が全く見通しも何もないということがわかりました。速やかに自衛隊はインド洋から撤退すべきだということを申し上げまして、私の質問を終わります。

船田委員長 次に、阿部知子さん。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私のちょうだいいたしました時間は二十分ですので、少し早口かもしれませんが、よろしく御答弁をお願いいたします。

 まず冒頭、質問通告外のことで細田官房長官に一問お伺いいたします。

 昨日の小泉首相の靖国参拝問題は、我が国にとっては、対アジアあるいは対中国との戦略的対話をどう進めるかということに当たっての非常に大きな陰りをもたらすものだと思います。町村外務大臣も二十三日には中国の首脳部とお会いになる、あるいは十一月のAPEC、そして十二月の東アジア首脳会議など、この秋にはそうした外交課題がメジロ押しでございました。

 細田官房長官として、この首相の靖国参拝が、形式としては私的なものをとる、あるいは違憲判決に基づいて拝礼の方法を変えるなどやっておられますが、しかしながら、もう一歩大局的に見れば、先ほどの戦略対話ということにおいて大きなマイナスをもたらすものと思いますが、どのように善処、対処していかれますか。一問お願いします。

細田国務大臣 昨日も小泉総理がいろいろお話ししておられますように、近隣諸国との外交関係、さまざまな歴史の問題については八月十五日にも考え方を述べておられるとおりでございますし、これからの対話につきましてもさらに深め、かつ、近隣諸国との友好を深めたいということを強く言っておられるわけでございます。

阿部(知)委員 強くおっしゃることと、現実に一つ一つの行動がどういうそごを来していくかということは、外交では基本のイロハのイだと思います。

 あえて、官房長官はそれを支えるお立場でありますし、先ほど町村外務大臣の御答弁なども聞いておりますが、やはり早急に我が国からいろいろな働きかけ、これは細田官房長官が中心になって行っていただかないと、外交や、あるいはエネルギー問題でもそうですし、経済協力もしかり、安全保障もしかりで、日本にとって大きなマイナスになると存じますので、政治家としてよろしくお願いしたいし、小泉首相にはそういう大局観がないということで、非常に残念でもあり、遺憾でもございます。

 では、本日の本題でございますテロ特措法の延長問題で御質疑させていただきますが、インド洋上に自衛隊が派遣されてから、炎暑の中、厳しい状況で活動しておられるという実態が今日も続いております。

 果たして、本当にこの後も必要な活動であるのか、あるいは、さらに違う位置づけの中で日本の役割を考えるべきかということが本日の議題と思われますが、先ほどの赤嶺委員の御質疑にもありましたが、政治プロセスと国内の治安、復興の三つが必ずしも連動しない中で動いているアフガン情勢の中で、九月二十日のAP通信あるいは共同、そして日本の毎日新聞配信によりますと、アフガニスタンでカルザイ大統領が、アメリカが現在、同国でアメリカ主導で二万人以上の軍隊がいわゆる対テロ作戦ということをやっておられて、それは空爆も含めて、あるいは民家への強制的な調査ということも伴ってやっておるが、これが非常に人心の反発を買い、なおかつ空爆は効果がないということを、カルザイ大統領みずからアメリカにお申し出であるということであります。

 既に、五月の段階でも同様の発言をカルザイ大統領はしておられて、同国の大統領でもありますし、援助を受けるその国自身が、そのやり方はちょっといかがかとおっしゃっている現段階、やはり情勢は刻々と動いておりますが、町村大臣は、このようなアフガニスタン・カルザイ大統領の指摘、米国の行動のあり方への指摘、それはひいては我が国の援助活動への指摘と思いますが、この点についてはどう受けとめておられますでしょうか。

町村国務大臣 カルザイ大統領のこの報道、発言、全体が必ずしも正確にわかっているわけではございませんが、今委員が御指摘のような発言もあったようでございます。

 他方、同じ記者会見の発言の中で、外国政府はテロリストの訓練場所、基地、資金等に関心を集中させるべきであるとか、空爆はもはや非常に有効な手段であるとは言えないようなものかもしれない、それが私の言う戦略上の変化であるというようなことで言っておられるわけです。

 その後、また十月三日に、フランスのフィガロ紙とのインタビューで、アフガニスタンはテロとの闘いにおいて全面的にアメリカとの協力を継続する、これは非常に質の高い協力であり、すべてが順調に進んでいる等々の発言もありますし、また、実はラムズフェルド国防長官自身も、九月二十一日、地上に多くの敵の部隊がいない場合には空爆の有効性は少ないといったような発言もしております。

 したがって、軍事オペレーションのあり方として一体どういうものがいいんだろうかということは、やはりすぐれて軍事的な側面からいろいろな見方、考え方をしていかなければいけないということであろうかと思いますので、私はそういう意味で、テロとの闘いにもいろいろなフェーズがあるんだろうというふうには思っております。

 ただ、テロとの闘いが局面によって変わってくることはあっても、その必要性はカルザイ大統領も、またラムズフェルド長官も否定をしていないどころか、テロとの闘い、軍事的なオペレーションの必要性というのは言っておられるわけでありますし、そういう意味で、日本として今回の海上阻止活動に対する支援としての給油等の活動の必要性というのは変わっていないんだろう、私はこう理解をいたしております。

阿部(知)委員 テロとの闘いの必要性は当然でございますし、まさに町村大臣の御答弁にございました、カルザイ大統領が戦略的な変化を今もう明確にすべきだとおっしゃっているということを、日本の外務省も含めて、もうちょっと情報収集なり真剣な論議が必要であると私は考えます。

 そして、後段の御答弁である海上阻止行動ということに移らせていただきますれば、これは、いただきました資料等々を見ても、当初の空爆中心、当初の空爆して逃げてきた残党と言われる人たちを海上で捕捉、捕まえるという形態から、平成十五年あたり、恐らく一回目の延長と思いますがこの前後、少しさかのぼって、いただきました資料の中のような麻薬とか銃器の押収ということに海上阻止行動の力点が移っております。

 そして、私は思いますが、先ほど来、このアフガニスタンが現状でなぜ世界で最大の麻薬国になるか。空爆によって疲弊した国土の中で、一たんアフガニスタンは、それ以前は麻薬を栽培しない国になっていたわけです。それが、再び戦乱の中で麻薬に頼るような経済になり、今後の麻薬取り締まりというのは、むしろ中長期的な戦略の中で、この地域の安全性や安定の中に明らかに組み込まれていくべきだと思うのです。

 この間のこの法律の延長は、そうした現状の変化、状況の変化に見合ったものとせずに、私は基本計画の変更、七回にわたる変更もずっと見させていただきましたが、技術的な面での改変、それも軍事的な面での改変のみが先行して、果たして今の状況下に世界は何をすべきかということにおける日本の顔が見えないように思います。

 海上阻止行動が、もしもこれからもアフガニスタン国内の麻薬栽培や、あるいはこの間のパキスタンの地震もそうと私は思いますが、カシミール地方のみならずパキスタンはアフガニスタン問題ではとりわけ重要な位置にある国ですから、そうした国の震災による被害を最小限に食いとめ、今後の中東の平和の中にどう組み込んでいくかという息の長いプロセスの中に取り組むべきであって、いたずらに本法案を延長して、中身だけを繰り返し、ある意味で国民にごまかしながら変えていくということはもうやめるべきであると私は思います。

 そこで、私が本日この件に関してもう一つただしておきたいことは、この基本計画七回の変更は、例えば米軍が使用する飛行場の整備等に給油も可としたりヘリコプターに可としたり、そういう戦術的なところはあったとしても、当初のこの法案の目的であった被災民の救援ということにおいては、四年間七回の基本計画の変更の中で全く手つかずでございます。

 アフガニスタンから多くの難民が発生して、パキスタンとの国境沿いにかつてはキャンプがあり、今もありますが、そこがテロ組織の温床となったと言われている地域で、当初の、この法律の制定当時、たしか皆さんは何人も御答弁なさいました、被災民の救援ということをしっかりとやるんだ、パキスタンへの医療支援をしっかりとやるんだ。そういう項目が、早急に調査し実施するが、七回も早急に調査し実施すると同じ文面で続いております。

 果たして、ソフトも含めて本当の人間安全保障における我が国のこのアフガニスタン問題、特にパキスタンの難民支援はどのように進展してきたのか。この件についても町村大臣にお伺いいたします。

吉川政府参考人 阿部先生御承知のように、アフガニスタンというのは世界で最大の難民を発出した国であります。六百万から八百万と言われる数の方々が外に出た。それが、国内が安定してきて、この四年間に大量に戻っております。現在、国内に戻った避難民、難民の数は四百万を超えております。UNHCRのこれまでの事業の中でも最も成功した仕事だと言われております。

 先ほどから御議論いただいているように、アフガニスタンの経済、政治、治安、いずれも問題は大きいわけですが、そういうふうにして四百万の人たちが自分の国に帰ってきたということは、そこにアフガニスタンの将来に対して希望を見出しているからだと思います。

 御質問いただきました難民分野における日本の活動というのは、先ほどから外務大臣が御答弁申し上げておりますように、日本の復興支援、人道支援の大きな柱であり、特にUNHCR、高等弁務官を務められた緒方貞子さんを日本はアフガン復興の政府の代表に任命してこの間仕事をやっていただき、緒方さんの考え方を使いまして、パキスタンやイランから戻ってくる難民がアフガニスタンの復興復旧の中心的な存在になる、そういう地方総合開発計画、緒方イニシアチブと呼んでおりますが、こういう格好で、日本としては、難民を単なる難民問題ととらえないで、復興の中に位置づけて対応してまいりました。

阿部(知)委員 今のは非常に表面的な御答弁で、難民は、あるときはアフガニスタン側に居住し、あるときはパキスタン側の難民キャンプに出てきて、移動は本当に自由でございます。あるときは、もちろん治安が安定したからどどっと戻る。しかし、また出てきている。この状態がずっと繰り返されております。七回のこの基本計画の中でどんな実態調査をされたのですか。今のような、とってつけた答弁というんです、そういうのは。

 実際にパキスタン側のペシャワールで医療支援をしているNGOもございます。そこからもいろいろな情報が寄せられております。少なくとも基本計画の中に書かれたことについて、国会に報告があってしかるべきじゃないですか。洋上の阻止活動については、このような立派なパンフレットもいただきました。これはこれで一つの御報告だと思います。しかしながら、三つの柱の一つであった難民支援については、昨日私が投げて、そして、そんな表面的な答弁。何ら、私どもに資料も来なければ、実態も渡されておりません。

 日本が世界の中でどんなふうに活躍していくのか、プレゼンスを出していくのか。私は、先ほど来、テロで、例えばニューヨークのテロで二十四人の邦人がお亡くなりであった、大変に深刻と思います。また、スマトラでも三十九人の邦人が亡くなられる。今は自然災害や戦乱が多数の死者と混乱を生み、その後の人間の安全保障、医療やソフト面も含めて、本当に日本が持続的に頑張るんだというところが、最も日本が世界に尊敬される役割としてあると思います。

 少なくとも、この七回の基本計画の毎回毎回に書かれた、パキスタンの医療事情を調査し早急に対策するということに見合う資料を、後ほどで結構です、御提示いただけますよう町村大臣にお願いします。いかがですか。

町村国務大臣 被災民救援活動、これは平成十三年十二月に海上自衛隊の掃海母艦「うらが」により、毛布、テント等をパキスタンに輸送したということが実績としてございます。

 その後、現地の状況等を私どもなりに調べまして、ただいま現在、被災民救援活動の所要があるというふうには考えてはいないわけでございますけれども、今後、現地政府からのそういう要請等がありますれば、その実施については検討していくことは当然であろう、こういうこともあるものですから、引き続き基本計画には記載をし続けているということでございます。

阿部(知)委員 これは、基本計画の当初の論議の中でも、日本が何をなすべきかというところでかなりウエートを置いた部分であるはずだと思います。

 その意味で、何度も繰り返しますが、日本が世界に向けて、例えば国際緊急援助という初動、それからそれに基づく医療、そして最後に、もっと中長期的に行い得るさまざまな活動ということともリンケージしてまいりますので、やはりこのような形で七回、ただただ延長し、中身もなく、論議に足る俎上のデータもなく行政側が行うということはやめていただきたい。

 そして、最後に、防衛庁長官にお願いいたします。

 この間の何人もの議員がお取り上げになりました日本の海上阻止活動は、麻薬や銃器ということについてこれからも深刻化するであろうし、このテロ特措法の延長上にそれを見るかあるいはもうちょっと国際的な仕組みで他の方策によるかは別として、麻薬という問題は非常に重要になってまいります。

 そして、その中で、我が国の自衛隊も大変にこれまでの厳しい状況下で活動してくださったわけですが、一方で、国内における自衛官の、特に潜水艦の乗組員に広がった麻薬汚染という問題は極めて深刻でございます。自衛官がさらされるさまざまなストレスはあると承知しておりますし、彼らの働きを本当に認めながら、どういうふうな人間として成長してくださるかは政治家の務めと思いますが、一方で、麻薬が、ある一つの「さちしお」なら「さちしお」という潜水艦の中に蔓延するような状況というのは、構造的な麻薬汚染と思います。

 防衛庁長官としてどう取り組まれるか。既に二〇〇〇年にも防衛庁長官の指示という言葉で、文書は出ておりました。しかし、出ていてさらに起こっております。この件について、大野防衛庁長官のお考えを伺います。

大野国務大臣 阿部委員おっしゃるとおり、ことしの七月以降、これまでに、海上自衛官でございますが、七名が大麻取締法違反の容疑で逮捕されております。五名の者が起訴されておるわけでございます。また、海上自衛隊にとどまらず、陸上自衛官あるいは航空自衛官の中にもそういう事案が発生いたしております。

 おっしゃるとおり、平成十三年に横須賀、下関でも事案が発生して、そのとき対策をきちっと講じたわけでございますけれども、再発したことに対しまして、深く反省し、今後絶対このようなことがあってはならない、こういう気持ちで取り組んでいるところでございます。

 まず、自衛隊の活動というのは、やはり国民の皆様の自衛隊に対する信頼のもとに成り立つわけでございます。ほとんどの自衛官は、今阿部先生みずから御指摘いただきましたように、インド洋であるいはイラクで、サマワで、本当に厳しい環境の中で、使命に燃え、厳正な規律を守って高い士気で任務に励んでいるわけでございます。また国内でも、地震とか災害発生の場合にいち早く救援活動に出向きまして、国内からも高い評価を受けているわけでございます。

 こういう状態の中で、一部隊員により今般のような不祥事が発生したことは、本当に国民の皆様の信頼を損ねたものとして、防衛庁長官として重大に深刻に受けとめております。そして、絶対にこのようなことがあってはならない、うみを出し切るつもりでこれから対策を講じてまいります。私は、早速、今般の事案を踏まえまして、今津副長官を頭として、薬物問題対策検討会議を発足させました。防衛庁、陸海空自衛隊が一丸となってこの問題に取り組んで、再発防止策を検討するように指示したところでございます。

 この方向性といたしまして、三つばかり申し上げたい。

 一つは、服務指導を徹底する。これは、やはり集団で生活しているわけですから、その中で服務や生活を指導する鬼軍曹、まあ優しい鬼軍曹ですね、こういうようなものが必要なのではないか。あるいは、教育をきちっとして、いかに薬物というのが恐ろしいものか、それは国民の皆様の自衛隊に対する信頼を失うものだ、こういうことを徹底的に教えていかなければいけないんじゃないか。

 それから、現職自衛官に対しまして、薬物検査、尿検査等をきちっと導入していかなきゃいけないんじゃないだろうか。この点に関しましては法律上の問題がありますので、その辺もきちっと法的な整理を含めて検討して、そして、今後絶対このようなことが起こらないように、せっかく国の内外で高い評価をちょうだいしてまいっております自衛隊の活動でございます。信頼を失わないように、国民の自衛隊でございます、そういう意味で、これからうみを出し切るつもりで頑張ってまいります。

阿部(知)委員 服務指導は、いろいろな採用の違う方々が一堂に会しておりまして、鬼軍曹であれば優しくてよいかというと、そうでもないと思います。

 あともう一点、長官にぜひともお考えいただきたいのは、今、アメリカ社会は麻薬が軍隊の中のみならず社会的に蔓延しております。自衛隊員も、海外派遣で、アメリカ研修等々で麻薬との接触を持つ機会が多くなってございます。これは、中谷さんは笑われましたが、現実には非常にあり得ることです。この問題は社会的に本当に大きな禍根になりますので、さまざまな観点から、私は本当の原因を探っていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

船田委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。最後のバッターでございます。よろしくお願いいたします。

 本題に入る前に、私も総理の靖国参拝の問題について若干私見と、それからちょっと角度の違った話を細田官房長官にぜひお聞きいたしたいと思います。

 私は靖国参拝の問題というのは、過去にこの場においても二回ほど総理に直接お話ししたこともありますが、要するに、一九八〇年代半ばで靖国の問題は基本的には終わっている、その後、中国がいわゆる国内、内政的な角度で、言ってみれば道具に使っているという側面が非常に強い、こんなふうな基本的な認識を持っております。そういう意味では、この靖国問題は宗教問題であり、そして日本国憲法にまつわる問題だ、そんなふうな位置づけを私は個人的にしてまいりました。

 そういう点からしますと、昨日の総理のいわゆる参拝のありようというのは、私としては、非常に工夫をされているというか、先ほど言った私自身の問題意識からいえばクリアされているかな、そういう側面が強いという認識を持っております。

 ただ、総理の御発言、新聞等で出ておりますけれども、こういうことをおっしゃっています。本来、心の問題に他人が干渉すべきじゃない、ましてや外国政府が、日本人が日本人の戦没者あるいは世界の戦没者に哀悼の誠をささげるのをいけないとか言う問題じゃない、こんなふうな言い方をされているんですが、こういうふうにおっしゃると、私の立場からいっても、少しどうかなという感じがします。

 それは、要するに、日本人のさきの大戦で亡くなられた方というのは実にさまざまな分野にわたっているわけでありまして、軍人、さきの戦争で直接それに日本人として参画をされて亡くなられた人から始まって、言ってみれば無辜の民、いわゆる無差別空襲、こういった部分で亡くなられた方もいらっしゃるわけであります。もちろん、広島、長崎も含めて、さまざまな戦争被害者というのはいるわけであります。

 そういったときに、総理がおっしゃる心の問題というふうな観点からすれば、私は、あとう限りといいますか、あらゆる角度からさきの大戦の被害者、犠牲者に対する哀悼の誠を尽くされるという姿勢があって初めて、そういう総理のお心のとうとさというか広大さというものが日本人にとっても理解されるという側面がまずあろうかと思うんですね。

 そういう点で、官房長官、ぜひお聞きしたいのは、私、兵庫県姫路市に住んでおりますが、生まれて育ったところでありますけれども、姫路に、実は、太平洋戦の全国戦災都市の空爆で亡くなられた空爆死者たちの慰霊の塔が昭和三十一年にでき上がりました。三十一年を一回目にしていますからことしが五十回目になるわけでありますが、まず、こういった施設、慰霊塔、ここにやはりお参りしていただくというか、そういうお気持ち、お心というものは非常に大事だと思うんです。

 ところが、過去において、姫路市当局が言っておりました。総理大臣にも、今は総務大臣ができていますが、総務大臣の前は官房長官、招待状を出す、来ていただきたいと。その慰霊の儀式が行われるのは、昭和三十一年十月二十六日にちなんで、大体その日あたり、その日中心にやるわけですけれども、一度も御本人は来られていない。官房長官の後、総務大臣、総理大臣両方に出していますけれども、来られない。

 随分古い話を持ち出してしまいましたけれども、小泉総理の過去四年に限定しても参っておられない。これはちょっとどうなのかな、ぜひいらしていただきたい、そう思うんですが、官房長官、この問題のとらえ方につきまして、前段はいいですから、後段のそういう一般の戦没者に対する問題について、官房長官御自身の考え方を聞かせていただきたいと思います。

細田国務大臣 さきの大戦におきます空襲などによる一般戦災死没者五十万人以上と言われておりまして、大変な数に上っておることは承知しております。

 私も、先般、戦後の写真集を出版することで海老名香葉子さんという林家三平さんの奥さんとも対談をしましたが、あの方も東京大空襲によって一家が全員死亡されて、孤児としてどんなに苦労されたかというお話をしておられました。そういう御苦労をされた方が本当に数が多いと思っております。

 また、そういう死没者に対する追悼祈念式が十月二十六日に姫路市において開催されていることは承知しております。祈念式におきましては、総理追悼文を政府からの参列者が代読しておりますが、本日、赤松議員から、戦後六十年ということもございまして、特にこのことを強く出席について御要請がございましたので、早速総理にもお伝えすると同時に、検討いたしたいと思っております。

赤松(正)委員 ことしは戦後六十年であると同時に、この姫路におきますところの慰霊塔ができて、そして儀式が始まって五十回目という非常に大事なときでもあります。先ほど申し上げましたように、非常に大事な場所に大事なものがあるわけでございますので、ぜひ総理にその旨御進言をしていただきたい。十月二十六日でございます。よろしくお願いいたします。

 次に、アフガン、このテロ特措法、本題に入りますけれども、私は、きのうからきょうにかけての同僚委員の皆さんの議論を聞いておりまして、幾つかの点を質問いたしたいと思います。

 まず最初に、テロ特措法、この一年延期が、きょうのこの私の質問の後、採決に付されるわけですけれども、この問題について、関係各国との協議の場、そういうものはあるんでしょうか。

 つまり、先ほど阿部委員との話の間でありましたけれども、今主たる、ほとんどすべてと言っていいぐらいの仕事は海上阻止活動になっているわけですけれども、日本のこの地域におけるこういう役割、自衛隊の役割。このテロ特措法における自衛隊の活動についての関係各国との協議の場というのはあるんでしょうか。

町村国務大臣 アフガニスタンにつきましては、折に触れて、まず大臣レベルといいましょうか、やっております。

 一つは、例えばこの四月に私がアフガニスタンを訪問し、当然話題になったわけでございますし、五月に先方アブドラ外相が来日するときも、日本の支援のあり方、その一環としての海上阻止活動のあり方についても議論をいたしております。また、当然のことでございますけれども、日本の在アフガニスタン大使館大使以下、さまざまな議論もやっております。

 また、軍事面だけについて申し上げれば、テロ特措法に基づくインド洋で行われる海上阻止活動に関する参加国につきましては、アメリカ政府を初めとする海上阻止活動参加国政府や、あるいは、米国中央軍の司令部がアメリカのフロリダにあるわけでございますが、そこで主として制服の方々が、どういうようなオペレーションをやるのかということについて常時接触を持ちながら議論し、最適な運用ができるようにその場を活用しているところでございます。

赤松(正)委員 外務大臣、それは何か特定の、特定というか定期的に、参加するメンバーが決められた格好でというんじゃなくて、通常の外交ルートというか外交のレベルのさまざまな場面で今言われたようなことをやっている、こういうことでしょうか。簡単に。

町村国務大臣 大臣レベルで定期的にというわけではございませんが、先ほど申し上げました制服レベルの話は、これは常時現場に日本からも常駐をしておりまして、その場でオペレーションのあり方等についての議論はやっております。

赤松(正)委員 防衛庁長官は、今外務大臣からあったそういう一連のもの、現場におけるさまざまな問題も含めて、アフガンにおける海上阻止活動についての協議の場というのは一回も出られたことはないんでしょうか。

大野国務大臣 今外務大臣お述べになりましたとおり、軍事面の調整というのは、アメリカ・フロリダ州タンパにおきまして、ここに、多国籍軍村といったらいいんでしょうか、コアリションビレッジというのがありまして、そこで毎日毎日、常時やっております。まず一番目には、情報をいかにお互いに共有していくか、それからもう一つは、どこの艦船にどういう補給活動をするか、こういう細部にわたってもきちっと調整しております。

 この調整というのは、バーレーン、中東でも行われているわけですが、本部はタンパ、多国籍軍村でございます。

赤松(正)委員 今言われたようなことは恐らくそうであろうと思っていたわけですが、私がなぜこういう角度の質問をするかといいますと、二つあります。

 一つは、きのう大野長官が盛んにおっしゃっていたのは、こういう自衛隊の活動というものが内外になかなか知られていないと。各国には情報の提供をお願いしている、また国内にも、国内世論に向けてもそういう自衛隊のテロ阻止活動等についてわかってもらうようにやっているんだけれども、私たちの広報宣伝活動が足らないのかもしれないけれども余りよくわかってもらっていない、こんなふうな御発言があったことが一つ。

 もう一方で、これはイラクの例でありますが、きのうの、あるいは以前本会議における私どもの佐藤議員の質問にもありましたけれども、例えばイギリスは、イラクのジャファリ首相を中心に組織された治安権限移譲のための合同委員会、こういう場での議論をイギリスの国防大臣がイギリスの議会の中で、そこでどういう議論があったかということを説明しているわけですね。

 こういうことと、きのうの大臣の発言をつなぎ合わせますと、ちょっと申しわけないけれども、御自身のそういうことに対する説明というかプレゼンテーションが足らない。そういう場を使って日本がどういうことをやっているのかというようなことを、もっと直接大臣がいろいろな場面で出られて、あるいは出るという定期的な協議の場がないようなんですけれども、そういうことをするべきじゃないのか、こういうふうな観点で思ったわけでございます。

 これは答弁は結構でございます。今うなずいておられるから、そういうことは大筋同意をされているんだろうと思います。

 先般、うちの佐藤議員の質問で、このテロ特措法に基づく協力支援活動を行う自衛隊の今後のあり方についての判断基準を求めるという質問がありまして、これは細田長官だったでしょうか、四つの点を述べておられます。テロリスト掃討作戦の進捗状況、二つ目が同国内外の情勢、三つ目が国際社会におけるテロとの闘いへの取り組みの推移、四つ目が我が国の果たす役割、種々こういう要素を総合的に勘案する、こういうことを述べておられます。

 これは、ある意味であらゆることを述べたにすぎなくて、当たり前のことといえば当たり前のことなんですけれども、一つの見方、判断基準という部分ではそういうことだろうと思います。

 さっき述べましたイラクの場合の、わかりやすいからイラクの例を出すわけですけれども、イギリスの国防大臣が言っているような、治安維持というものについてイラク人に権限を移譲する、こういうことが例えばイギリスの役割の一つのゴールということでわかりやすいわけですけれども、今、日本がアフガンで行っている海上阻止活動、あるいはまたイラクで行っている、サマワを中心に行っている人道復興支援、こういうものは、ある意味で終わりがない。イラクの場合の人道復興支援というのは、なかなか、いつどこで線を引くというのは難しい側面があろうかと思うんですね。

 一方、アフガンの場合の海上阻止活動というのは、私たち、現在のアフガンをめぐる状況の中で、日本が過去四年果たしてきた役割というものも総合的に勘案して、適切な行動であろう、こう思うんですが、これから先の、きょうここで一年延長が議決されるということになるわけですけれども、きのうの議論を聞きましても、一年後には幾つかの可能性がある、もちろん一年後にすべて撤退するという可能性も理論的には否定できない、さらにその後、続くこともある、こういうふうな御答弁だったわけです。

 ここで、さっきの阿部委員の御質問とも関係してくるんですけれども、今、海上阻止活動に従事している、ここに力点を置いている。これは私が先ほど言いましたように、やむを得ざる現時点での自衛隊を中心とする日本の活動だということは認めるわけですけれども、先ほどあったようないわゆる難民の救援活動というふうなところに力点を移していく、基本計画に書かれていることに力点を移すという事態が来るには、極めてまだ、アフガンにおけるさまざまな治安という部分でとてもそういうところに主軸を移すというのは難しい、こういうふうな判断でよろしいのかどうか、ここをお聞きしたいと思います。

細田国務大臣 全体的な状況に応じて柔軟にそれぞれ考えていく必要はあると思います。

 何が必要であるか。次第に事態が展開していけば経済復興支援のような形が必要な場合もありますし、それから、他の地域におけるさまざまな活動、先ほど難民支援という話もありましたけれども、そういうものが必要になる場合もあるし、他の要素もございます。ただ、今のところ、この法律、基本的には給油、給水活動に限られているものですから、世の中の方が非常に、ガソリンスタンドをやっているだけじゃないかというような批判もあるわけですが、そういうあり方についても基本的に考える必要があると思います。

 また、私は、イラク等については、状況に応じて切れ目なくシームレスな活動を、まずは今は人道復興支援をやって、それから民間の活動とか、そういうふうにシームレスにやれるかどうかというのはやはり個別の状況にもよりますので、しかし、必要、ニーズに応じてさまざまなことを弾力的に考えていくような柔軟さというものは我が国としては必要だな。何かを決めると、ややかたく対応しているのかなという気もしております。

赤松(正)委員 それは極めて大事な視点でございまして、せんだって安全保障委員会で外務大臣ともこの部分はお話ししましたけれども、ODAやNGOが自由に活動できるような状況になるまで今の活動でなきゃいけないというんじゃなくて、そこをシームレスにつながっていくような角度で、さまざまな可能性を模索しながら柔軟な対応をしていくべきだ、そんなふうに思う次第でございます。

 次に、昨日も、またきょうも与野党の議員の皆さんから問題提起がされた、いわゆる一般法、恒久法の問題でございます。

 この問題について官房長官にお話をお聞きしたいわけですけれども、きのう官房長官はどなたかの御質問に対しまして、さっき樽井審議官の方から状況の説明があったんですが、それと、きのうの大臣のお話をつなぎ合わせてみますと、ある意味で浮かび上がってくる一般法、恒久法の問題についての政府の現時点のとらえ方といいますか、わかってくるわけです。

 皆さん、この特別措置、アフガンあるいはイラクに限定的に時限立法でこういう格好でやるということについて、これはやはり一般法を考えるべきときじゃないのか、恒久法はどうなんだというお話がありましたが、これはなかなか言うはやすく行うは難しいという側面がある、そういうふうに私は思います。

 思うんですが、きのうの官房長官の御答弁、また樽井さんのさっきの御答弁は、過去の官房長官やあるいは総理大臣の御答弁からしますと非常に後退しているというか、随分雰囲気が違うなという感じを受けるわけです。

 特に福田前官房長官もいろいろなことをおっしゃっています。端的に言えば、国会議員の政治家の皆さんに政府としての物の考え方を大至急提示します、こうおっしゃっています。だからこそ、今樽井さんを中心に内閣官房でやっておられるんだと思うんですが、きのうの細田官房長官のお話では、政治家の皆さんとの間のキャッチボールをやらなきゃいけない。キャッチボールというのは、だれかが最初に投げなければキャッチボールは始まりません。

 何となくこちらにげたを預けるような言い方をされましたけれども、細田官房長官の一般法、恒久法に対する、官房長官として、過去の先輩官房長官あるいは総理大臣の発言を受けての現在の姿勢をお伺いしたいと思います。

細田国務大臣 これまで、アフガンのテロ特措法、イラク特措法あるいはPKO法等で個別に対応し、個別に判断してきたことについて、統一的な考え方のもとに恒久法をつくって、そして、日本政府あるいは立法府ももちろん含んで、日本国家としてこういうふうに対応するんだという考え方を統一した方がいいんではないかという御提言は過去にもたくさんいただいておりますし、政府としても、福田前官房長官も、できる限りの努力をしてそういった統一的な考え方ができるように努力したいということをお答えしていることは事実でございますし、その努力は今でも内部でしております。

 赤松議員も公明党の中でそれぞれのお考えを示され、与党の中でも自民党との間で御議論をされておられる。しかし、例えば赤松議員の、こういうふうにやるべきだというお考え方もそれぞれあると思うんです。自民党内にもある。そして、国会で議論をしてみると、各野党にも相当な議論があって、では、一般法だから何でもある程度そのときに判断できるようにしていいと言っている方が多いかというとそうじゃなくて、いろいろ限定して、要件を考えて、これは憲法との関係でこう考えてというありとあらゆることを考えろという御示唆がありまして、悩み深きところでありますが、そのたたき台等を用意して、たたき台にはやはり与党の皆様方の御意見も反映したような格好でやらなきゃいけない、こういうことでございますので、キャッチボールという意味はそういうふうに理解していただきたいと思います。

赤松(正)委員 細田官房長官の苦しさというか、現状の苦労しておられることがよくわかる御答弁でございました。

 私も、さっきも言いましたように、言うはやすく行うは難しい。憲法の枠の中でというふうなことを言うのは簡単ですし、私も過去に言ってきたことはありますが、これはなかなか、武力行使の一体化という問題があって、本当に際どい話になってくる。それをどう整とんさせるかというのは本当に難しい問題だろうと思います。

 今、憲法調査会の五年の調査を終えて、憲法調査特別委員会という格好で議論は一方で行われています。また一方で、安全保障基本法という格好で、憲法とはまた違う角度で、憲法とは別に、憲法の中身を規定するのを法律でやろう、そういう動きも一方であります。また、そういうふうな今の日本の憲法における国際平和協力業務そのものが、大体憲法にきちっとした位置づけがされていない。

 そういう状況の中で、言ってみればこういう特別措置法という格好でいろいろな形での自衛隊の国際平和協力業務というのをやってきている。私は、これは非常なる知恵であって大事な側面だと思うんですが、やはりここらあたりで一つずつ整理をしていかなくちゃいけない。

 そういう点で、一挙にどんといくのか、あるいはまた順次段階を経ていくのかという観点からすれば、自衛隊の国際平和協力活動というこの業務が、今雑則の中に位置づけられているというふうなことではなくて、本来的な自衛隊の任務であるという位置づけをすることがまず最初に来るべきことなのかな。そこから始まって、順次、先ほど来官房長官がおっしゃっているような、お互いの考え方の披瀝のし合いというか詰めた議論に入っていくスタートになるのかな、こんなふうな感じがいたしますが、今の件について、防衛庁長官。

大野国務大臣 問題は二つあります。今の自衛隊の国際活動を付随的任務から本来任務化する、こういう問題と、今の自衛隊の国際活動を一般法で規定していく、こういう二つの問題でございます。どちら優先かという問題であります。

 それは事の本質によってお考えいただきたい、御議論いただきたいと思うのでありますけれども、第一の本来任務化、これは言うまでもありません、昨年の新しい防衛大綱におきまして二つの問題点、一つは、多機能、弾力的、実効性のある防衛力という問題が一つ。それからもう一つは、国際安全保障環境を改善していこうという自衛隊の国際活動の問題。この二つが並んで書かれているわけですね。

 ところが、国際的な自衛隊の活動というのは付随的ということで、これを一体どう考えたらいいんだろうか。これをやはり本来任務化という位置づけにしてもらいたいな。

 なぜならば、第一は、そういうことによって、日本の自衛隊が本当に国際的な安全保障環境の改善に一生懸命頑張っているんだというメッセージを国際的に出していきたい、これが一つであります。それからもう一つは、厳しい環境の中で頑張ってくれている自衛官が本当に誇りと自信を持ってやれるような国際活動の位置づけにしてもらいたい、こういう問題があります。これは恐らく、そう議論しなくても、そういう御理解が得られればできる問題だと思っております。

 それから、一般法の問題でございます。これは、本当に根本的に自衛隊のあり方を考え直していかなきゃいけない。

 それはなぜかといいますと、今の自衛隊の位置づけというのは、法律上、憲法上、できることを規定していこう、いわばポジリストで書いてあるわけであります。これを一般法にするとなればネガリストで書いていかなきゃいけない。その場合の議論として、先ほども御議論ありました、武力行使あるいは武力行使と一体化しない、こういうような問題、あるいは治安維持活動ができるんだろうか、警護活動ができるんだろうか、こういう問題をきちっと整理していかなきゃいけない。そういう意味では憲法論議とも関係してくるかもしれない。そういう基本的な、本当に深い議論の上で議論していかなきゃいけない問題だと私は思っております。

 どうぞ、そういう意味で、国民の自衛隊、皆様の自衛隊でございますので、一番目の問題、二番目の問題、それぞれ御議論いただいて、我々も真剣にこの問題に取り組んでまいりたいと思っております。

赤松(正)委員 ありがとうございました。終わります。

船田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

船田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、議題となっておりますいわゆるテロ対策特別措置法の一部を改正する案につきまして、賛成の立場から討論を行います。

 平成十三年にアメリカで発生した九・一一同時多発テロは、日本人二十四人を含む三千人以上の死者、行方不明者を出した残酷かつ卑劣な事件であり、国際社会は、国連安保理の求めに応じ、国際テロを根絶するため、テロとの闘いを続けてまいりました。

 しかしながら、ウサマ・ビンラディンやオマル師等は依然として逃亡中であり、本年七月のロンドン地下鉄等爆破テロ事件や十月のバリ島における連続爆破事件等、世界各地でテロ事件が引き起こされています。テロとの闘いは長期にわたる困難な闘いであり、当分の間継続せざるを得ないものと考えられます。

 このような状況の中、世界の延べ約八十カ国がアフガニスタンにおける不朽の自由作戦等に対する貢献を行っており、そのうち約二十カ国がアフガニスタン本土に部隊、将校等を派遣しています。

 我が国は、テロ対策特措法に基づいて、これまで四年間にわたり、インド洋に海上自衛隊の艦船を派遣し各国艦艇に燃料を提供するなど、テロとの闘いに積極的かつ主体的に寄与してまいりました。こうした活動は各国が極めて高く評価しているところであり、引き続き、我が国の支援に対して大きな期待が寄せられております。

 もとより、テロとの闘いは我が国自身の安全の問題であり、テロの根絶のために主体的に取り組んでいくことが重要であります。同時に、テロの脅威を払拭するためには、国際社会が一丸となった粘り強い努力が必要であり、我が国としてもこうした取り組みに積極的に寄与していくことが国際社会の一員としての責務であると考えます。

 このため、現行のテロ対策特措法の有効期限である十一月一日以降においても引き続き活動できることとする必要があります。

 また、テロ対策特措法は二年前に一度延長され、同法に基づく活動は既に四年間に及んでおります。この間、アフガニスタンの復興は進展し、国際社会の取り組みも変化してまいりました。このような状況の変化を踏まえれば、本法案が、前回の延長とは異なり、延長期間を一年とし、一年後に立法府において、我が国の活動の必要性や内容について改めて判断することとしている点は妥当なものと考えます。

 以上から、テロ対策特措法を一年延長するための本法案をぜひとも成立させ、我が国の取り組みを引き続き実施できるようにする必要があると考えます。

 これをもちまして、テロ対策特措法の一部改正案について、賛成の立場からの討論を終わります。

船田委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりましたテロ対策特別措置法改正案に反対の立場から討論をさせていただきます。

 二〇〇一年九月十一日のアメリカ同時多発テロの事件から四年がたちました。民主党は、この卑劣なテロ事件を繰り返さないように、国際社会が一致団結してテロ撲滅に取り組むことの重要性を主張してまいりました。

 その一環として、アフガニスタンにおけるテロ掃討に対して国際社会の多くの国々が協力する中、民主党は、国会による事前承認を政府が認め、シビリアンコントロールがきちんと担保されるのであれば自衛隊の活用もあり得るとの立場を明確にしました。テロとの闘いの名のもとに、実力組織である自衛隊が政府の恣意的な判断で無原則に海外に派遣されるべきではないからであります。

 しかし、政府は、納得できる説明もなしに事前承認を拒否したので、特措法自体には反対せざるを得ませんでしたが、同法成立後、政府が示した自衛隊の活動に係る対応措置については、期間、活動範囲等が妥当と判断し、承認したところであります。

 その後、政府は、イージス艦の派遣の必要性やイラク戦争との関係もうやむやにしたまま、委員会などでの私たちの質問に対して、オペレーションにかかわる内容はつまびらかにできませんとの答弁を繰り返してきました。今次法案の期限が一年であるにしても、今回再び二年間の時限立法が期限を迎えるに当たり、アフガニスタン周辺におけるテロとの闘いがいかなる成果を上げ、今後いかなる課題を残しているか、また、いかなる目的を達成すれば自衛隊の任務が終了するのか等について再三にわたり詳細な説明を求めていたにもかかわらず、またしても政府は、明確かつ十分な説明を行いませんでした。

 また、民主党は、政府の取り組みが力のみに依存するテロとの闘いになりがちであることに警鐘を鳴らしてまいりました。

 昨年九月、アフガニスタンで活動する日本のNGO諸団体は、国際NGOの動きと呼応する形で、小泉総理あてに継続的なアフガン支援を求める要請書を連名で提出しています。これに対して、総理そして政府から誠意ある対応が見られなかったと聞いていますが、自衛隊の活動以外の分野の支援は十分なのでしょうか。麻薬対策、女性への支援などにはどの程度支援の手が差し伸べられているのでしょうか。

 我が国は、実力組織による活動以外のテロの根を摘む分野で、ODAを効果的に活用しながらリーダーシップを発揮すべきであります。そうしてこそ、日本国民の血税によるODAも生きてくると思うのですが、政府の取り組みは甚だ不十分と言わざるを得ません。

 以上のような観点から、本法案に反対の立場からの討論を終わらせていただきます。

船田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、日本共産党を代表し、テロ特措法延長案に対し、反対の討論を行います。

 テロ特措法は、九・一一テロに対しアメリカが始めた報復戦争を支援するため自衛隊を海外に出動させるという明白な違憲立法であり、その延長は断じて認められません。

 テロは、どのような口実であれ、絶対に許されない犯罪行為であります。しかし、戦争でテロをなくすことはできず、かえってその土壌を拡大することは、この四年間の経過を見れば明らかです。アフガニスタンの情勢は、安定に向かうどころか、ことしに入り、一層悪化しています。米軍の死亡者数は急増し、政府自身がタリバンやアルカイダによるテロの再活性化を指摘せざるを得ないのが実態です。九・一一テロの実行犯ビンラディンは、今に至るも拘束されていません。

 今政府がなすべきことは、報復戦争開始から四年たった今なおこうした状況にあるのはなぜなのか、正面から検証することにほかなりません。

 ところが、政府は、テロの脅威が依然として存在している、テロとの闘いは長期の闘いなどとこれまで同様の説明を繰り返し、インド洋での自衛隊の給油活動を継続しようとしています。需要が引き続きあると言いますが、給油量が激減しているもとで、なぜ活動を継続する必要があるのか、それがテロの脅威の除去にとってどういう意味があるのか、まともな説明はありません。

 こうした問題にすら答えることなく、テロとの闘いの一言で再延長するなど、絶対に許されません。

 テロをなくすためには、戦争ではなく、国際的な司法と警察による協力こそ必要です。アメリカの報復戦争支援の自衛隊派兵は直ちに中止するよう強く求め、討論を終わります。

船田委員長 次に、阿部知子さん。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 私は、社会民主党・市民連合を代表し、内閣提出のテロ特別措置法の一部改正案に対し、反対の討論を行います。

 まず第一に指摘しなくてはならないのは、テロとの闘いそのものの内実です。

 米国はアフガニスタン攻撃を自衛権の行使として正当化いたしましたが、当初から、自衛権の要件である緊急性と均衡性を満たさなかったことは明らかであり、まして、既に四年を経て新政権がアフガニスタンに発足している中で、不朽の自由作戦と称する軍事行動を領内で続けることに十分な正当性があるとは言えません。

 アフガニスタンの治安は依然問題がありますが、カルザイ大統領も先月、これ以上の多国籍軍の活動は必要がない、必要がある場合はアフガン軍が行うと語り、米軍の活動に否定的な見解を示しています。後方支援として米軍等の軍事行動を支え続けることは、アフガンの復興に逆行することにもなりかねません。

 第二に、二年間の時限立法であった同法を二〇〇三年の改正に続いて再改正しようとすることは、自衛隊の海外派遣を恒常化しようとする意図すら感じさせます。

 同法の期限切れが差し迫っていながら、さきの総選挙では延長期間問題を棚上げし、選挙が終わればすぐに再改正を閣議決定するような政府・与党の姿勢は、国民を欺く行為であります。

 これまでの活動の詳細や今後の出口あるいは活動計画などが一切明らかにされないままの派遣延長は、米国追従の批判を免れるものでもありません。インド洋から海上自衛艦を速やかに撤退させることを強く求めます。

 テロの根絶のためには、武力報復やテロリストの掃討作戦を進める以上に、テロの温床となっている背景を見据え、住民の生活を再建するための貢献こそが求められています。平和国家として我が国の歩むべき道筋を大きく踏み外したテロ対策特措法の誤りをこれ以上続けるべきではないことを強く訴え、社民党としての反対討論を終わります。

船田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

船田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

船田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

船田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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