衆議院

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第8号 平成17年12月19日(月曜日)

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平成十七年十二月十九日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 三原 朝彦君

   理事 石破  茂君 理事 岩屋  毅君

   理事 西村 康稔君 理事 松浪健四郎君

   理事 渡辺 具能君 理事 末松 義規君

   理事 伴野  豊君 理事 佐藤 茂樹君

      石原 宏高君    今津  寛君

      宇野  治君    江渡 聡徳君

      大塚  拓君    金子善次郎君

      清水鴻一郎君    鈴木 馨祐君

      谷本 龍哉君    玉沢徳一郎君

      土井 真樹君    冨岡  勉君

      中根 一幸君    中森ふくよ君

      西本 勝子君    橋本  岳君

      藤野真紀子君    町村 信孝君

      松本 洋平君    宮澤 洋一君

      山内 康一君    後藤  斎君

      神風 英男君    田島 一成君

      武正 公一君    達増 拓也君

      長島 昭久君    細野 豪志君

      村井 宗明君    高木 陽介君

      丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君

      阿部 知子君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  井上 源三君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  樽井 澄夫君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 善久君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            吉川 元偉君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  佐藤 重和君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二日

 辞任         補欠選任

  木村 太郎君     下村 博文君

  後藤 茂之君     江渡 聡徳君

  桜井 郁三君     松本  純君

  菅  義偉君     山本 幸三君

  馳   浩君     塩谷  立君

  山口 泰明君     河井 克行君

  山中あき子君     金子善次郎君

  赤松 正雄君     高木 陽介君

同月二十二日

 辞任         補欠選任

  船田  元君     石破  茂君

同月二十四日

 辞任         補欠選任

  石崎  岳君     藤野真紀子君

  河井 克行君     橋本  岳君

  佐藤  勉君     今津  寛君

  斉藤斗志二君     町村 信孝君

  塩谷  立君     土井 真樹君

  寺田  稔君     中森ふくよ君

  松本  純君     西本 勝子君

  御法川信英君     石原 宏高君

  山内 康一君     安次富 修君

  山本 幸三君     中根 一幸君

  山本 有二君     大塚  拓君

十二月八日

 辞任         補欠選任

  阿部 知子君     日森 文尋君

同月十五日

 辞任         補欠選任

  日森 文尋君     阿部 知子君

同月十九日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     山内 康一君

  山井 和則君     村井 宗明君

同日

 辞任         補欠選任

  山内 康一君     安次富 修君

  村井 宗明君     山井 和則君

同日

 理事三原朝彦君十一月一日委員長就任につき、その補欠として石破茂君が理事に当選した。

同日

 理事中谷元君十一月一日委員辞任につき、その補欠として松浪健四郎君が理事に当選した。

同日

 理事石崎岳君十一月二十四日委員辞任につき、その補欠として西村康稔君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

十一月一日

 一、国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件(イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更等)


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     ――――◇―――――

三原委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動及び私の委員長就任に伴い、現在理事が三名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三原委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に

      石破  茂君    西村 康稔君

   及び 松浪健四郎君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

三原委員長 委員会の調査に先立ちまして、十四日と十五日、理事さん方の理解をいただきまして、国内視察いたしました。御協力いただきまして、本当にありがとうございました。また、現地の各部隊にもいろいろ御配慮いただきまして、ありがとうございました。防衛庁長官からも、委員会の皆さんがいろいろ勉強したとお伝えいただきたい、感謝していることをお伝えいただきたいと思います。

     ――――◇―――――

三原委員長 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件について調査を進めます。

 この際、イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について政府から報告を求めます。安倍内閣官房長官。

安倍国務大臣 イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について御報告申し上げます。

 イラクの民主化、イラク人自身による新しい国づくりは、今重要な局面を迎えています。十二月十五日には、新憲法に基づく国民議会選挙が滞りなく実施されました。今後、新政府の樹立が進めば、イラクの真の民主化に向けた大きな前進となります。

 国際社会においても、二十八カ国が多国籍軍の中で活動するというイラク支援の協調体制が続いており、先般、イラク政府からの要請に基づき、国連安全保障理事会は、イラクに駐留する多国籍軍の権限を来年末まで一年延長するという決議千六百三十七を全会一致で採択しました。

 我が国は、イラクに民主的で安定した政権ができるよう、政府開発援助、ODAの戦略的な活用も含め可能な限りの支援を行うことにより、国際社会の一員としての責任を果たすべきと考えます。

 自衛隊が行ってきた人道復興支援活動に対しては、ODAによる協力とあわせて、イラクのジャファリ首相、ジバリ外相、ハッサーニ・ムサンナ県知事等のイラク政府関係者や現地サマワの一般市民からも、感謝の意とともに、その活動の継続を望む期待の声が寄せられているところです。

 こうしたイラク復興の状況、現地の要望及び国際社会の動向等を総合的に検討した結果、今月八日の臨時閣議において基本計画の変更を行ったところです。

 派遣期間につきましては、平成十八年十二月十四日までの一年間の延長とし、この期間内においても、部隊の活動については、国民議会選挙の実施及び新政府の樹立などイラクにおける政治プロセスの進展の状況、イラク治安部隊への治安権限の移譲など現地の治安に係る状況、ムサンナ県で任務についている英国軍及びオーストラリア軍を初めとする多国籍軍の活動状況及び構成の変化など諸事情を政府としてよく見きわめつつ、現地の復興の進展状況等を勘案して、適切に対応してまいります。

 サマワの治安情勢は、引き続き予断を許さないものがありますが、イラクのほかの地域と比べれば比較的安定していると認識しております。自衛隊の活動に当たっては、引き続き、現地の治安情勢等の情報収集、周辺の警戒や警備、宿営地内の施設の防護等の措置を通じて、安全確保に万全を期していきます。

 イラクをテロの温床とせず、平和で民主的な国として復興させることは、国際社会の安定に極めて大きな意味があり、我が国の国益にもかなうものであります。引き続き、政府としては、基本計画に定められた対応措置を、安全の確保に十分配慮しつつ、円滑かつ適切に実施していくため、全力で取り組む所存であります。

 このような今回の閣議決定につきまして、委員各位の御理解、御協力をお願い申し上げます。

三原委員長 これにて報告は終了いたしました。

    ―――――――――――――

三原委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官井上源三君、内閣官房内閣審議官樽井澄夫君、防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛庁運用局長山崎信之郎君、外務省大臣官房審議官遠藤善久君、外務省中東アフリカ局長吉川元偉君、外務省経済協力局長佐藤重和君及び資源エネルギー庁長官小平信因君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三原委員長 この際、政府から説明を聴取いたします。防衛庁運用局長山崎信之郎君。

山崎政府参考人 イラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊の部隊の最近の活動状況について御報告いたします。

 まず初めに、十二月三日に防衛庁長官はイラク及びクウェートを訪問し、陸自及び空自の部隊視察を実施しましたことをこの場をかりて報告させていただきます。視察時には、ムサンナ県知事及び現地英豪軍関係者との懇談等を行いました。

 現在、陸上自衛隊のイラク派遣部隊は、安全確保に十分配意しつつ、ムサンナ県内のサマワ、ワルカ、ヒラル及びヒドルにおける学校補修、ルメイサ、スウェイル及びワルカにおける道路整備、ワルカ及びルメイサにおける浄水場補修等を引き続き実施しています。これらの活動により、これまで最大で一日当たり一千百人程度の雇用、一日当たり平均、十月約六百二十人及び十一月約七百六十人を創出しているところです。また、医療支援活動についても、継続して実施しております。

 なお、現地では第八次イラク復興支援群が十一月十二日以降活動をしております。

 十月二十七日以降のサマワ周辺情勢について、主な事件等は以下のとおりです。

 十一月七日、現地部隊において、発射音及び飛しょう音を確認しました。詳細については確認中ですが、宿営地北東方向の相当程度離れた地点からロケット弾と見られる砲弾が発射され、宿営地南西方向の宿営地外に一発着弾した可能性が高いと考えられます。

 十一月十七日、豪軍のパトロール中に、サマワ市南側の線路道沿いにおいて埋設地雷が発見されましたが、当該地雷は、その後豪軍により撤去・安全化されたものと承知しております。

 十一月二十三日、現地部隊において、キャンプ・スミッティの方向において爆発音を確認しております。

 十二月四日、ルメイサ市内の養護施設の補修事業の竣工式の準備のために駐車中の自衛隊の車列に対し、現場近くのサドル派事務所のメンバーと思われる者らが抗議行動等を実施し、一部の者が車両のミラーを割ったり、車両をけったりするなどの行動をしたことを確認しました。竣工式は滞りなく終了しましたが、自衛隊車両のミラーが破損されたことを確認しております。

 十二月十日、現地部隊において、サマワ市内のサドル派事務所前の路上に日の丸と米、イスラエルの国旗が描かれていることを確認しました。同日、サドル派が式典を開催し、路上で行進していたとの情報を得ていますが、路上に描かれた日の丸等を踏んで行進したかどうかも含め、詳細は不明です。

 十二月十二日、現地部隊において、発射音及び飛しょう音を確認しました。詳細については確認中ですが、宿営地北東方向の相当程度離れた地点から砲弾が発射され、宿営地西方向の宿営地外に一発着弾した可能性が高いと考えられます。

 なお、これらの事案において、現地部隊の人員に異状がないことを確認しております。

 十二月十五日にムサンナ県においてもイラク国民議会選挙の投票が行われましたが、県内においては目立った投票妨害等の事案はなく、平穏に投票が終わったとの報告を受けております。

 航空自衛隊の部隊については、十月二十七日から十二月十五日までの間、我が国からの人道復興支援関連、陸自関連及び関係各国、関係機関等関連の人員、物資の輸送を計二十九回実施し、派遣当初からこれまでに総計二百三十九回、約三百四十トンの輸送を行ったところです。

 引き続き、イラク国内の各飛行場の安全性や輸送ニーズ等を慎重に勘案しつつ、C130機による輸送を行ってまいります。

 以上でございます。

三原委員長 次に、外務省中東アフリカ局長吉川元偉君。

吉川政府参考人 最近のイラク情勢に関し、御報告申し上げます。

 まず、政治プロセスにつきましては、十一月八日、国連安全保障理事会は、イラクに駐留する多国籍軍の権限を来年末まで一年間延長する決議一六三七を全会一致で採択いたしました。

 また、十二月十五日には、国民議会選挙が全国約六千カ所の投票センターで、大きな混乱なく実施されました。今回の選挙により二百七十五人の議員が新たに選出される予定ですが、我が国としては、今回の選挙の実施をイラクの政治プロセスにおける極めて大きな進展として歓迎するとともに、今後、宗派や民族を超えた協調のもとに、新政府が早期に発足することを期待しております。

 次に、治安情勢につきましては、地域により脅威の度合いは異なるものの、依然予断を許さない状況が継続しております。

 他方、イラク治安部隊は、十二月七日現在、約二十一万四千人となり、NATOや各国の支援もあり、強化されております。同治安部隊は、駐留米軍と協力しつつ、大規模な武装勢力掃討作戦を実施するなど、治安回復に向け全力で取り組んでおります。今般の国民議会選挙が大きな混乱なく実施されたことも、イラク治安部隊が強化されていることのあらわれと考えております。

 サマワにおきましては、十一月七日及び十二月十二日に宿営地付近で発射音及び飛しょう音が確認される事件等が発生しており、予断は許さないものの、イラクの他の地域と比較して安定している状況に変化はありません。

 最後に、我が国とイラクとの関係につきましては、十一月二十三日から二十六日までジバリ外務大臣が、十二月五日及び六日にはジャファリ首相がそれぞれ来日し、小泉総理大臣を初めとする我が国要人と意見交換を行いました。

 イラク側からは、我が国のイラク支援に対する深い謝意が表明されるとともに、自衛隊の活動継続への要請が行われました。我が国としては、イラク人の復興努力を引き続き積極的に支援していく所存です。

 以上で報告を終わります。

三原委員長 これにて説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

三原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細野豪志君。

細野委員 おはようございます。民主党の細野豪志でございます。きょうは、久しぶりにこの特別委員会で質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 民主党は、十二月初旬に、米国に前原代表を中心といたしまして訪米団を結成いたしまして、現地のさまざまな政府関係者さらには議会の関係者と懇談を行ってまいりました。

 米国の中でのイラク問題に対する認識というのが、とみにこのところ厳しくなっているというのは、訪米をしたときも非常に強く感じてきたところでございました。特に、共和党の中でも安全保障について非常に見識を持っておられるヘーゲル上院議員なども、イラクの情勢については非常に予断を許さないということで、撤退も含めて、このことについての言及があったということでございます。

 そういう動きを恐らく反映してということだと思うんですが、このところ、ブッシュ大統領が、イラク戦争に関する、さらにはイラクの駐留に関する演説を立て続けに四回、十一月から十二月の頭にかけて行っております。

 まず冒頭、官房長官にお伺いをしたいのは、四回目の演説です。この部分でこういう発言がブッシュ大統領からありました。諜報機関が行ってきた調査については間違いがあることが明らかになったということでございます。その上で、大統領としては、開戦を決断した、このことについては責任があるということに言及をされております。その上で、諜報機関がなぜ間違ったのかということについてはしっかりと調査をする必要がある、直していく必要があるという趣旨の発言をされております。

 これは、原文を私は見ましたけれども、相当踏み込んだ発言で、大量破壊兵器がなかったということについての、過去も調査結果としては出ておりましたけれども、この誤りを国の指導者が直接認め、それについて率直に国民に対して、責任は自分にあると、半ばこれは謝罪をしたということになるわけでございます。責任を認めたということになるわけでございますので、これは相当重い発言ではないかというふうに私は思うのですが、まず、日本政府として、このブッシュ大統領の演説に対する評価をお伺いしたいと思います。

安倍国務大臣 ただいま委員が述べられたとおり、ブッシュ米大統領は十四日の演説におきまして、サダム・フセイン元大統領が大量破壊兵器を保有していたとの情報の多くは誤りであることが判明したが、大統領としてイラクへの進攻を決定した責任は私にある、このように述べました。一方、大統領は、サダム・フセインの経歴や九・一一テロの教訓を踏まえれば、私のサダム・フセインを放逐するとの決断は正しかった、サダム・フセイン元大統領は脅威であり、米国と世界は、彼が権力を握っていないことによって、よりよい世界に住んでいるのであるとも述べた、このように承知をしております。

 大統領は、当時の情報機関がつかんできた情報に対する評価と本人の判断について述べたわけでありますが、一方、結果として、現在、イラクにおいて復興が進み、そして民主的なイラクの建設が進んでいるということに対する認識も述べている、このように思います。

 また、つけ加えますと、我が国がアメリカ等による対イラク武力行使を支持したのは、イラクが十二年間、一九九〇年から二〇〇二年にかけてでありますが、十二年間にわたって累次の安保理決議に違反し続けてきたという認識でございます。そして、イラクが、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかった認識に基づく武力行使であった、このように思うわけであります。

細野委員 国連決議に違反したので、それで武力攻撃についても支持をしたんだという趣旨の答弁だったわけでありますが、一応過去を振り返ってみたいというふうに思いまして、資料をつくってまいりましたので、それを大臣も官房長官もごらんいただけますでしょうか。

 まず、この大量破壊兵器の問題については、二〇〇三年の二月五日、パウエル当時の国務長官が、安保理で、その存在について証明する演説を行っております。具体的には、化学兵器を貯蔵している兵器施設の衛星写真を示したり、また、目撃者の証言をもとに、生物化学兵器の施設があって、そこで数千人は殺害できる、そんな情報があるんだということを開示した。それに対して次の日に、数時間後ということになるんでしょうか、時差がありますから、川口外務大臣が、大量破壊兵器の隠ぺい工作が提示をされた、さらにはイラクの大量破壊兵器に関する疑惑がさらに深まったんだということを具体的に表明されているわけですね。

 その後の戦争の支持のときも、小泉総理大臣は大量破壊兵器について何度も何度も言及し、こういう言い方をしています。私は、大量破壊兵器に対する脅威、これが大きく、日本国民のみならず、米国民のみならず、世界の多くの人々が大量破壊兵器に対する脅威を強く認識し出したと思います、こういう大量破壊兵器に対する脅威がどのように取り除かれるのかということが今までも国際社会の大きな課題であった、こう答弁しているわけですね。

 これは流れからすると、ずっと見ていくと明らかなんですが、大量破壊兵器が存在をするということが前提で、日本はこの間ずっと、まあ一応説明をしてきたわけですね。これを前提としてきた責任は、やはりこれだけ米国の大統領が、当事者ですから、戦争の決断をした当事者が責任を認めるというのは、これは相当覚悟が要ったと思います。

 日本政府としてはこの部分の責任をどう考えるのか、大量破壊兵器を前提としてきた責任をどう考えるのかということは、これはアメリカの大統領が認めた後でございますからしっかり答弁していただきたいと思うんですが、官房長官、いかがでしょうか。

安倍国務大臣 まず、当時の国際社会の認識としては、イラクが累次にわたる安保理決議を無視し続けてきた、そしてまた、イラク自体は、かつてイラン・イラク戦争の際に生物化学兵器を使用して多くの人たちを殺した、そして、自国民であるクルド人に対しても生物化学兵器を使って多くのクルド人、自国民を殺したという実績がある、国際社会の中でも極めて希有な国であると言ってもいい、こう思います。

 そのイラクが、サダム・フセインの独裁体制のもとに、残念ながら、長い間国際社会が証明しろと言ってきた大量破壊兵器をもう既に持っていないという証明を行わなかった、証明をしようと思えばできたにもかかわらず彼らはその証明を行わなかったという事実があるわけであります。

 その中で、しかし、情報機関が収集した情報においては、ブッシュ大統領がそういう認識を示された、こういうことでございますが、日本政府がイラクに対する武力行使を支持いたしましたのは、累次にわたる国連安保理諸決議及び国連査察団の報告に基づきまして日本として主体的に判断をしたものであって、その判断は誤ってはいない、こう考えております。

細野委員 官房長官、もう一度整理してお伺いしたいんですが、パウエル国務長官を初めとした米国政府が大量破壊兵器の存在について証明しようとしたわけですね。しようとして、それを国連の場でも説明して、それをもとに日本は支持を表明した。日本としては、大量破壊兵器の存在が、今はこれはないということが明らかになって、この米国の決断を支持したということを、大量破壊兵器の存在を前提として国際社会にも説明し、国民に対しても説明してきたわけですね。

 小泉総理は、答弁の中ではこういうふうにも一度答えられている。もう過去の答弁ですが、フセイン大統領が存在しないことをもってフセイン大統領がいないとは言わないだろう、大量破壊兵器はあると思うと国会でも答弁されているんですよ。この問題、こういうふうに今まで答弁してきたことについての国民に対する責任は、官房長官はこれはないというふうにお考えになるんでしょうか。

安倍国務大臣 国際社会が、そして我が国が、フセイン大統領そしてイラクが大量破壊兵器を当時所有しているというふうに考えるに至る合理的な理由は存在をした、このように思います。

細野委員 司法上の裁判をやっていて、どっちが賠償責任をとるかという話をしているんじゃないんですよ。それを証明する責任はもちろんイラクにもあったと思いますよ。それは私も認めます。ただ、調査をした側のアメリカが、これは誤ったことを認めたわけですね。その責任を認めたわけでしょう。それを、全部イラクに責任があるから、その問題を軸に支持した日本政府に責任がないんですというのは、政治というのはやはり最後は結果責任ですよ、明らかにこれは責任を放棄していると思います。

 アメリカの大統領がお認めになった、大量破壊兵器の存在がなかった、責任があるということについて、それを即支持を表明した日本政府に、官房長官、本当にこれは責任ないというふうに強弁されるんですか。

安倍国務大臣 ブッシュ大統領が認めたことは、イラクに対する武力行使が誤りであったということを認めたわけではないんです。イラクに対する武力行使自体は間違ってはいなかった、しかし情報収集には誤りがあったということを認めたのであって、我が国としては、先ほど申し上げましたように、累次にわたる国連決議を無視している、そして、調査団の報告書等々をかんがみ多国籍軍の武力行使を支持した、こういうことであります。

細野委員 一回、いろいろ見解の違いはありますが、イラク戦争の是非はおきましょう。

 では、前提として、アメリカのブッシュ政権が大量破壊兵器の存在を証明しようとした。それが誤っていたわけですね。それを安易に信じた日本政府の責任はないんですか。これを信じて国民に対して情報を出した責任はないんですか。小泉総理は、大量破壊兵器はあると思っていると答弁しているんですよ。これをきちっと答えていただきたいと思います。

安倍国務大臣 当時の状況においては、先ほど申し上げましたように、イラクという国は、サダム・フセインの独裁下にあって、かつて大量破壊兵器を持っていて、そしてそれを行使した。そういう実績がある中において、疑惑を彼らは晴らそうとしなかった、国際社会が与えたチャンスを彼らは生かそうとしなかったわけであって、当然、我々が、彼らが大量破壊兵器を持っているということを、そう判断するのは極めて合理的であった、このように考えています。

 他方、武力行使を日本として支持したのは、累次の国連決議、そして調査団の報告等、それによって我々は武力行使を支持した、こういうことでございます。

細野委員 アメリカの大統領の演説の中では、大量破壊兵器を持っているとアメリカ政府が考える合理的な理由があったとは、そういうふうには言いわけしていないですよ。それは誤りだった、自分たちの責任だったというふうに認めた上で、いや、イラクが安全になったからいいじゃないかと、イラク戦争についてはきちっとまた違う評価をしているわけですよ。(発言する者あり)

 日本政府が、大量破壊兵器を持っていると考える合理的な理由があったと言うのは、これはいかにも役所の人が後からつじつま合わせで考えたんでしょうけれども、この部分についてはきちっと責任を認めるべきですよ。やじで、ブッシュに言えという話がありましたけれども、日本はブッシュ大統領を支持したわけだから。国民に対しても説明し、国際社会に対してもそういうメッセージを出したわけですから。誤った情報を信じたことに対する日本政府の責任はあるかないか。これは、この時点ではあるんですよ、どう考えても、ブッシュ大統領が表明をしたんだから。

 もう一度答弁を求めたいと思います。

安倍国務大臣 当時の状況の中において、多国籍軍が、イラクの危険性において、そしてまた累次の国連決議に反したということにおいて、国連決議のもとに武力行使を行ったわけでありまして、日本を初め多くの国々がそれを支持した、こういうことでございます。

 当時、我々がそう判断するに足る十分の理由があった、このように考えております。

細野委員 でも、例えばパウエル国務長官が当時国連で説明をされた後、大量破壊兵器の隠ぺい工作があったというふうにコメントしているわけでしょう。大量破壊兵器がその時点で存在していないのに、隠ぺい工作はなかったわけじゃないですか。これは誤っているんでしょう、日本政府自体の判断も。こういう誤った認識をしたということに関しての責任はないんですか。

安倍国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、日本が支持をしたのは安保理決議に反しているということをもって、安保理決議に反しているのは事実でありますから、その事実にのっとって日本が米国を初めとした多国籍軍の武力行使を支持した。

 私たちが支持をした根拠は、あくまでも、安保理決議にイラクが十二年間にわたって反してきた、この事実であります。この事実は現在も変わっておりません。

細野委員 では、一つスペシフィックな事項について聞きますが、大量破壊兵器の隠ぺい工作があったというふうにコメントしていることに関して、これは誤っているわけですから、これはどうなんですか。

 国連決議があったから戦争を支持したというのは説明としてわかりました。大量破壊兵器の隠ぺい工作があったということにしていることについての政府としての責任はいかがですか。

安倍国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、ブッシュ大統領初め米国側は情報収集を行ってきた。そしてその中で、ブッシュ大統領がその中の一部の情報には誤りがあったということは認めているわけでありますが、日本が支持をした判断の根拠は安保理決議に反しているということでございまして、その安保理決議に反しているという事実についてはこれは厳然たる事実であって、その事実があるということについては今も変わりがない、こういうことではないかと思います。

細野委員 では、違う観点からちょっと聞きたいと思います、この部分は答弁を変えられないようですから。

 もう一つ、この間、いろいろ注目すべき発言というのが元政府高官からアメリカで出ております。

 具体的に二点だけ指摘したいと思うんですが、二〇〇四年の二月三日にパウエル国務長官が、もしイラクが大量破壊兵器を持っていないという報告を受けていればイラク進攻を進めたかどうかわからないというふうに発言をされています。最近は、当時国防副長官であったウォルフォウィッツ氏が、これは二〇〇五年の十二月七日、イラクが大量破壊兵器を絶対に使わないという確証があれば、攻撃せずに反体制勢力を支援することも考えたかもしれないというふうに発言をしています。国務長官と国防副長官ですから、これは非常に重い発言だというふうに思うんですね。

 本当に率直にここはお伺いしたいんですが、多国籍軍の死者だけで二千名を超えているわけですね。先日、三回目のブッシュ大統領の演説ではイラク人の死者は三万人を超えているという発言も、公的にこれを認める発言がありました。これだけの犠牲者を出したことについての責任は、今復興支援していることとはまた別に、これは戦争そのものにあるわけですね。本当に大量破壊兵器があったならば、そこに差し迫った危機があって、では戦争を始めなければならなかった、先制攻撃をしなければならなかったという理屈は通るにしても、大量破壊兵器がなかったということになると、本当に差し迫った危機があったのかどうかというのは判断を迫られるわけですね。

 大量破壊兵器は存在をしなかった、その中で戦争が始まり、これだけの死者が出た。そのときに本当に差し迫った危機があったと判断したことについては、これは正しかったというふうに認識をされるんでしょうか。ウォルフォウィッツ氏が言っているように、他の手段はあり得なかったと。官房長官、戦争というのは最後の手段ですからね、他の手段はあり得なかったというふうに日本政府は言い切れるのかどうか、答弁を願いたいと思います。

安倍国務大臣 サダム・フセイン政権自体は、先ほど来申し上げておりますように、かつて大量破壊兵器を持っていて、そしてそれを実際にイラン・イラク戦争において使って大量の人たちを殺したわけであります。自国民に対しても使った。そして、国内で圧制をしいて多くの人たちを殺してきたのも厳然たる事実であります。そういう事実はまずしっかりと踏まえておかなければいけないんだろう、このように思うわけであります。

 そしてその中で、先ほど来申し上げておりますように、日本が多国籍軍の武力行使を支持したのは、累次にわたる国連決議に違反した、この点において我々は多国籍軍の武力行使を支持した、こういうことでございます。この点は現在も変わっていない、先ほど来申し上げているとおりでございます。

細野委員 当時この決定の責任者の一人であったパウエル氏とウォルフォウィッツ氏は、他の選択肢があったかもしれないというふうに今お答えになっているわけですね。日本政府としては、もう戦争しか手段がなかったんだということなんですか。他の手段はあり得たんではないか、大量破壊兵器がないということを今からトレースすれば。それについての判断を……(発言する者あり)それは当然、戦争というのは最終手段としてはあり得る、可能性を否定しませんよ。ただ、それはきちっと検証しないと、国際社会の中で。今、アメリカ政府の中でもそういう作業が進んでいるわけです。他の手段は日本はなかったというふうに言い切れるのかどうか、再度答弁を願いたいと思います。

安倍国務大臣 当時、サダム・フセインは、避けようと思えば避けられたんですね。それは、国連決議にしっかりと従って、なかったことを証明すればよかったんです。しかし、彼はそれを証明しなかったわけであって、そして国連決議に反したということであります。国連決議に十二年間にわたって、しかし十二年間、国際社会はサダム・フセインがしっかりと対応するということを忍耐強く、ある意味では待ってきたというふうに言ってもいいんだろう、このように思うわけであります。

 その十二年間待った結果、しかし最終的に彼らは、一四四一だったと思いますが、これはサダム・フセインに対して最終的なチャンスを与える、このチャンスをつかまなければ重大な審判になるという決議をした後も、サダム・フセインは残念ながら、イラクは、この国際社会の、国連の要求にこたえようとしなかったという事実があるわけであります。

 その中で多国籍軍が武力行使を行ったということについて、これは安保理において決議された安保理決議にのっとった行動であるということからもかんがみまして、また、累次の安保理決議に反しているという事実からして日本が判断をしたということは当時の判断であった。このことが間違いであったというふうには考えておりません。

細野委員 国連決議の一四四一にもいろいろな解釈があったわけです。これについて、最後の機会という言葉の解釈については、アメリカ政府、日本政府の考え方と他の安保理の理事国の中にも違う考え方の国があったわけですね。その中で、あえて日本がこの先制攻撃についても支持を表明したという責任は重いと思います。

 その上で、もう一つお伺いしておきたいのは、今の官房長官の答弁を聞いていると、アメリカが説明したことについて、日本はそれを信じる合理的な理由があって、そしてアメリカ政府もそれを信じる合理的な理由があって、信じて、それを前提に議論してきたんだ、そして、国連決議に違反しているので支持をするんだということなんですけれども、これは少なくともアメリカ政府に対して、この情報が誤っていた、日本はその情報の提供を受けているわけですから、その部分についての遺憾の意の表明というのは政府はすべきじゃないですか。

 残念ながら間違った情報をアメリカ政府が出してきたわけだから、同盟国だというのは認めますよ、ただ、アメリカ政府内でもこれだけ反省の言葉が出てきている中で、日本政府としては、それについて何らかの意思というのをアメリカに表明する考えはおありになりませんか。

安倍国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、米国がこの武力行使を行ったという判断が誤っていたということはブッシュ大統領は言っていないわけでありまして、情報の一部に誤りがあったということをブッシュ大統領は述べているわけであります。

 我々は、米国が間違っていなかったというその判断、武力行使をするという多国籍軍の判断、その判断に対しては、これは累次の安保理決議に反しているという状況、そして国連査察団に対する対応等々から我々は多国籍軍の武力行使を支持した、こういうことでございます。

細野委員 政府として、この事実が間違っていたかどうかということについて協議をしたことはあるんですか。大量破壊兵器の問題について、事後的に検証するような協議をしたことはあるんですか。

安倍国務大臣 この情報については、随時これは日本側にも伝えられているわけでございます。

細野委員 今の答弁を聞くと、非常に無力感があるわけですよ。日本は自分で情報がとれなくて、アメリカが出した情報をそのままうのみにして、それをもとにイラク戦争を支持した。復興支援をした云々ということではなくて、その部分の決断について我が国はやはりある程度反省して、何らか次に生かすことをしないと、政治にかかわっている人間としては非常に無力感が私にはあります。

 最後にもう一つ、官房長官にお伺いしたいんですが、先日、党首討論の中で民主党の前原代表の方から、この一連の国連決議に関する、大量破壊兵器の存在に対する情報のやりとりを引用して、日本はもっと情報を少なくとも独自にとれる努力をすべきではないかということについての質問をしました。それに対して小泉総理は、アメリカ並みに情報がとれるわけがないじゃないかというふうに開き直って、結局、それについては前向きな答弁はありませんでした。

 強調しておきますが、日本が今から諜報機関をつくってアメリカ並みに情報をとれるとは全く私も思っていません。そんなことをすべきでもないと思っています。ただ、少なくともこういう情報がきちっと検証できるぐらいの、アメリカが出してきた情報を検証できるぐらいの、情報を管理する能力、きちっとこれを見ていく能力というのを日本政府としては目指すべきではないか。

 外交の主体性と戦略性という言葉を我々は最近よく使っていますが、その面から、この反省に立ってそういう能力を持つべきではないか。(発言する者あり)正直言いまして、この面について自民党の議員の皆さんからなぜやじが出てくるのかわからないんですね。我々は、きちっと情報を得て、そして判断するという主権国家として当たり前のことを今の政府はやる気がないのかということを問うているんですが、この面について、我が国は反省して、新しい取り組みをしていくというお考えはありませんか。

安倍国務大臣 情報収集につきましては、与えられた条件の中で今までも努力をしてきたわけでありますし、また委員御指摘のとおり、情報というのは、国際社会の中において、安全保障上また外交上も極めて重要なツールであるというのは認識をしていたわけでありまして、情報収集の充実についてはこれからも努力をしていかなければいけない、こう考えています。

 しかし、情報収集またその分析の難しさにおいては、今回、ブッシュ大統領が情報に一部誤りがあったということをお認めになったわけでありますが、それについては、国際社会の中でも最もすぐれた情報収集能力を持っている米国においてすらそうであった、また英国についてもそうであったわけでありまして、他の多くの情報機関もそうであったという事実もあるということは踏まえておかなければならないんだろう、こう思っております。

細野委員 アメリカが最も情報収集能力があることは認めますよ。それはこれからも恐らく変わらないでしょう。ただ、それはそれとして、きちっとアメリカ政府からの情報提供を受ける努力をするとして、情報というのは、これは当たり前の話ですが、お互いに情報を持っていて初めてやりとりできるわけですから、日本としてきちっと情報を収集していく、それを政府一体としてやっていくということに関しては、何か野党はだめなんじゃないかというようなことをおっしゃっていた方もいらっしゃいましたが、我々はそんなことはありませんから、きちっとやっていただきたいというふうに思います。これは強く要望しておきます。

 最後、もう五分を切っていますので、もう一つ、これは防衛庁長官にお伺いしたいと思います。

 撤退の問題なんですが、防衛庁長官、この間、参議院の委員会の中で、十二月十二日、英豪軍がいない中で、現地の治安部隊と陸上自衛隊だけでしっかりと従来のような復興支援活動ができていくことに自信があるかというと、そこまでは言えない、我々の立場から言えないというふうに思っておりますと答弁をされているんですね。英豪軍がいなくなっちゃうと、安全が確保できるかどうか、長官として責任を持てませんということをもう答弁されてしまっているわけですね。

 当然これは、実はうちの地元の部隊が出る可能性が今回ありまして、本当に頑張っていただきたいと思いますよ。ただ、安全に帰ってきていただかないとだめなので、絶対にこれは確保していただきたいのです。

 この答弁をされている以上、少なくともイギリス、オーストラリア軍が撤退を完了する前に自衛隊としては完了する、これはきちっと答弁をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

額賀国務大臣 お答えをいたします。

 この前私がお話をいたしましたのは、英豪軍が撤退したときに陸上自衛隊の活動はどうしますかということでございました。陸上自衛隊は、みずからの安全を確保するために、まず主体的に自分の宿営地内の安全を確保しています、あるいはまた、部族社会でありますから、部族社会の幹部の皆さん方と緊密な連絡をとり合いながら情報収集しております。と同時に、英豪軍の幹部の皆さん方と、連絡員等々を置きながら緊密なる情報収集を行っておる。そういう全体の中で安全確保を図りながら人道復興支援を行っているということでございます。

 その中で、我々は、英豪軍と緊密な連絡をとり合いながらみずからの安全を確保しつつあって、この二年間、だれも重大な支障がないまま人道復興支援活動をしてこられたわけであります。

 だから、現段階のような状況を、きちっと続いていくことであれば問題はないけれども、これが突然状況の変化が起こったときにどうするかということについては、その状況をよく見きわめていかなければならないという意味で私はお答えをしたわけでございます。

 例えば現状のような段階であれば、ほかの地域と比べればムサンナ県サマワ地域は比較的治安が安定をしているということでございます。仮に英豪軍が撤退をしたときに、その治安の状況は、例えば自衛隊でなくても、NGOでも民間の人たちでも人道復興支援の活動ができるのかできないのか、そういう状況を見きわめていかなければならないということが当然あります。

 それからまた、もっと治安状況が悪くなっていくような状況であれば、これもきっちりと見きわめた上で自衛隊の活動を考えていかなければならないということを申し上げたわけでありまして、英豪軍が撤退すれば、その状況について、そのときの現場の状況がどうなのであるのか、イラク自身の治安部隊の当事者能力がどういうことになっているのか、あるいはイラク全体の治安状況がどうなっているのか、今度選挙が行われた後の本格政府の統治状況がどうなっていくのか、そういうことをよく見きわめていかなければいけないという意味でお話を申し上げたわけであります。

細野委員 時間が来ましたので、終わります。

三原委員長 次に、村井宗明君。

村井委員 民主党の村井宗明です。このイラク特別委員会では初めての質問になります。よろしくお願いします。

 さて、私は、日本のとるべき非軍事的国際貢献についての質問に三十分間を充てたいと思っています。

 私たち民主党も、国際社会の一員として十分な責任を担わなければならない、そのように考えています。また、アメリカが日米同盟の重要なパートナーである、そして、十分アメリカとも連携しながら国際社会に貢献をしていかなければならない、その思いは皆さん方と同じ思いです。ただ一つ、自衛隊だけではない、非軍事的な国際貢献によってしっかりと世界の責任を担っていかなければならない、私たち民主党はそう考えています。

 今、日本の外交政策の中では、軍事的な国際貢献など、そういった手段が非常に制約されています。そこで、非軍事的な国際貢献、中心になるのはODAですが、そういったODAの分野などをしっかりと充実させていく必要があると思っています。ただ、日本のODAは金額が非常に多い。世界の中でも断トツでずっと一位を続けているようなものなんですが、その反面、援助戦略がなかったり運営が非効率だったり硬直的だったり、いろいろな問題を持っています。

 そこで、非政府分野である国際協力NGOとの連携をしながら、ODAの変革の担い手としての可能性をお伺いしたいと思っています。

 まず、外務大臣に総論をお聞きします。

 日本政府がイラク復興支援活動に取り組んできたこれまでの実績についてどのように評価しておられますでしょうか、率直な感想をお伺いいたします。

麻生国務大臣 これまでの支援ということで御質問でしたので、私どもとしては、当面十五億ドルの無償資金の供与というものをやらせていただいておると存じます。

 現在、いろいろやらせていただいておりますが、電力、教育、水・衛生、保健等々のいわゆる国民生活の基盤になりますようなものを主にやらせていただいておるというのが実態なんだと思います。

 これは、やりますときに、自衛隊員、限られておりますので、現地におります人たちの失業率、雇用の状況等々を考えて、そこらのところを十分に、現地の人たちでやれる部分に関しましては雇用効果というものを考える必要があるということで、私ども、そういった資金を協力すると同時に、仕事をやっていくときに当たっては現地の人をなるべく使う、うまくそういった人たちを利用する、そういったところの配慮が必要だと思ってこれまでやらせていただいてきた結果、おかげさまでムサンナ地域の中においては、他の地域に比べてかなりの部分、貧困とか貧しさというものがいろいろテロ等々に結びつく可能性というのは極めて大きいものがありますので、そういった意味では、私どもの使用方法というのはそれなりの効果を上げているがゆえに、この二年間、大きな騒ぎ等々、死傷者が出るというようなこともなくここまで来られた背景の一つがそれだったろうと考えております。

村井委員 もちろん自衛隊の活動の評価、それは賛否両論いろいろあると思うんですが、それだけではなくて、イラク復興支援活動にはNGOや民間団体もかかわっていると思います。

 そこで、まず外務省にお聞きいたします。

 イラク復興支援活動において、非政府部門の活動、特に日本のNGO団体やその他民間団体の活動はどんな実績を上げていると評価しておられますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 イラクの復興支援につきましては、当初からNGO等の民間団体が積極的に支援にかかわっておられまして、現地、治安状況非常に困難なわけでございますが、そうした中で、遠隔操作方式といったいろいろな工夫をしながら非常に熱心にその支援に取り組んできておられるわけでございます。

 政府といたしましても、こうしたNGO団体、いろいろなそれまでの知識とか経験というものを現地についてたくさん有しておられますので、そうした経験を生かした活動というものは私どもとしても非常に重要な活動であるというふうに認識いたしておりまして、政府としても資金面等でずっと支援を行ってきている、これからも支援を行っていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

村井委員 さてそこで、そのNGO、今おっしゃられたように、知識面、経験面非常にある、そして資金面もバックアップしていきたいとのことだったんですが、特に国際貢献活動のあり方として、政府部門とNGOやその他民間団体との協力、連携体制についてお伺いをしていきたいと思います。

 そういった日本のNGOなど、具体的にはどれだけ細かく連絡をとっているのか、そして連携をしているのか。そして、どこにどのように支援や育成をしていくのかということについてどういった判断基準で考えておられるんでしょうか。また、その点の予算などについてもお伺いいたしたいと思います。

佐藤政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、NGOの国際協力、国際貢献という点につきましては、各団体、いろいろな知識、経験というのも有しているということで、これを積極的に生かしていきたい、私ども政府としても側面的にこれを支援していきたいということでございます。

 そのために、日ごろからも、できるだけ緊密な接触、連絡というものをとるようにいたしておりまして、私ども政府との間で定期的な連絡協議会といったものを開催して連携に取り組んでいるということでございます。

 その上で、具体的な政府の支援でございますが、先ほども申し上げましたが、具体的な事業の資金に対する支援、資金面での支援、私ども、NGO支援無償資金協力といったようなスキームがございますが、このほかにも、JICAを通じての草の根技術協力、こういったような具体的な事業の資金面での支援がございます。

 それからもう一つ、NGOにつきまして、いろいろ知識、経験というものを有しておられるということを先ほど申し上げましたが、他方で、いろいろな意味で、キャパシティービルディングといいますか、組織とか人材とかいう面でまだまだ不足している部分もあるということでございますので、私ども、そうした組織とか人材育成の面でこれを側面的に支援を申し上げるということで、人材育成のプログラムであるとか、あるいは研修のプログラムであるとか、そういった意味で組織とか人材育成の面での支援も行ってきている、こういうことでございます。

 お話ございましたように、全体として予算状況厳しい中でございますが、そうした中で、私どもとしてこうした支援というものをできるだけ引き続き積極的に行っていきたいというふうに考えております。

村井委員 資金面、具体的なお話をいただきたかったんですが、それがなかったことは一たんおいておきまして、さてそこで、今のところ、新聞の発表によれば、来年の途中にも自衛隊が撤退するかもしれない。かもしれない話をするわけにはいかないのですが、もしかしたら来年末にも撤退するかもしれないと思うんですが、撤退した後にそのNGOの安全の確保、それから活動の支援、その辺はどのように考えておられるんでしょうか。外務省もしくは外務大臣にお伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 ただいま、撤退をした後にというお話ございましたが、私ども、今、撤退した後云々という状況ではないというふうに考えております。

 私ども、現在も、先ほど申し上げたような形でNGOに対する支援というものを行ってきておりますが、引き続きNGOとは緊密に連絡をとりながら協力、支援というものを進めていきたいというふうに考えております。

村井委員 今現在、NGOがイラクで活動することについては安全な状況であるというふうに考えておられますでしょうか。NGOの安全などについての考え、それから対応策などについてお答えください。外務大臣もしくは外務省でお願いします。

佐藤政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど、私、イラクでのNGOの活動について、NGOの方々、遠隔操作等の工夫をしながら行っているということを申し上げましたが、現在のイラクの状況については、なかなかその中に入って直接活動をするというのにふさわしい、そういうことができる治安状況ではないというふうに認識をしておりますので、NGOの方々も、基本的に今申し上げたような、外からいろいろな連絡をとりながら活動を行っている、そういう状況でございます。

村井委員 さらにお伺いしたいと思います。

 そのイラクの現場に入っているNGO、もちろんいろいろなところがあるし、日本国内にもいろいろなNGOを名乗る団体があるわけです。私は、そういった民間の人たちにもイラクもしくはいろいろな形で国際貢献をしてほしいという立場に立っているんですが、もちろん、そんな中で、いろいろな形でそれぞれの団体が寄附金を募集したりしている、自分たちはこうやって活動していると言っている。

 そこでお伺いしたいと思うんですが、外務大臣もしくは外務省の方、NGOがどれだけちゃんとイラクで活動しているかとか、これほどNGOはちゃんと現場でやっていますよとか、そういった評価、それぞれの第三者評価みたいなものが必要だと思うんですが、その辺はどのように考えておられますでしょうか。

三原委員長 大臣ですか。(村井委員「立たれたので、大臣どうぞ」と呼ぶ)

 麻生大臣。

麻生国務大臣 委員長に指名されませんと発言する権限がないということだけは頭に入れておいてください。

 今のお話でしたけれども、NGOが積極的な支援というものができるようにいろいろなことを考えるというのは、これは私どもとしては当然のことだと思っております。

 問題は、NGOというのは基本的に武装しておるわけではありませんので、治安状態が悪くなった場合ということを考えないとやれぬというのは当然のことですので、遠隔方式等々、あの辺にいらしたのでおわかりだと思いますが、隣国の方からというふうなやり方をしているというのは御存じのとおりなので、遠隔方式と呼んでいますけれども、そういったやり方をしておるというのが一つです。

 そういった意味で、これまで約二十四億円やってきているんだという報告になってきておりますが、こういったものは今後とも何らかの形で治安が治まっていけばもっとやりやすくなってくるはずですから、そういった意味では、私どもとしては、治安状態がよくなるに従ってこういったようなものがもっとよりやりやすくなるであろうと思っております。

 それに関しましては私どもとしても積極的に応援をしていかねばならぬと思っておりますし、役人の数にも限りがありますので、そういった意味では多くのNGOの方々に期待するところ極めて大きく、また、それらの方々が活動しやすいように私らと連絡を密にしてやっていく必要、これ大いにあると私どもは考えております。

村井委員 今大臣の方から積極的支援という話をいただきました。また、先ほど配られた資料の中にもNGOなどとの積極的支援という言葉が出ていますが、私は、その具体的な内容、そして今後どう考えて本気で取り組んでいくのか、そういったところについてのお話をしたいと思うんです。

 私たちは、NGOとしっかり連携しながら非軍事的な国際貢献をしていく、それが民主党のスタンスです。そして、皆さんもそれについて反対の声はないと思うんです。

 そんな中で、今大臣の言われた積極的支援の具体的な内容について、大臣もしくは外務省の方、お答えください。

麻生国務大臣 ジャパン・プラットフォームが一番わかりやすい例かと思いますので、それを聞かれたいという前提で。

 個別にありますが、幾つかあると思いますので、今イラクに入っております団体、九団体あると思います。そのうちのジャパン・プラットフォーム、総額約二十四億円というのが九団体のすべてなんですが、そのほかいろいろ、六団体がそのプラットフォームの中におりますので、その中で、ピースウィンズ・ジャパンとか災害人道医療支援とか、いろいろなことをやっておられるところが今六団体あります、名前を言うなら、JENとか全部名前がありますけれども。そのほかに三団体がありまして、日本・イラク医学協会とか東京財団とか国際看護交流協会、これがいわゆるジャパン・プラットフォームとは別のNGOということになっているのだと思っております。

 基本的には、日本のNGOと経済界及び政府というものが一緒になって、平成十二年の十二月の八日にこれがスタートしていると思いますけれども、そういったシステムをつくってジャパン・プラットフォームの活動及び資金というものを、民間資金よりもかなりの部分賄われているというような状況にあると存じております。

村井委員 さて、さらにそれが、いろいろな民間の寄附などを集めやすくするための方策、それから、ちゃんと現場で使われているかどうかのチェック、そういったものについて大臣はどのように考えておられますでしょうか。

 特に、現場でどれだけ有効に地域の人の手元に届いているかのチェックなどについては、大臣、どのようにしておられますでしょうか。

麻生国務大臣 なかなか調べにくいところであることは確かですよ、基本的に申し上げて。

 ただ、いろいろな形で支援を行っていくということに関しましては先ほども申し上げたとおりなんで、草の根技術協力というものが一つの例だとは思いますけれども、いろいろな形で、NGOの組織の強化とかNGOの人材育成とかいうものも含めまして、私どもとしてはNGOを今後とも支援していく方向になっておるんですが、そういったものをどのような形でチェックできるかというと、会計監査員が入るわけでもありませんので、なかなかそこのところは現場においてはチェックがしにくいというのはある程度確かなんだと思います。そこにおります現場の職員等々がきちんとして、そういったものをちゃんと使っているかどうかというのをふだんの接触の中から探っていく以外に方法は別にないと思っております。

 今後とも、こういった関係、やはりある程度は信頼関係がないとできる話ではありませんので、そういった形でやっていくというのが基本だと考えております。

村井委員 さらにお伺いしたいと思います。

 今は、イラクに限定してNGOをどう支援して非軍事的な国際貢献を進めていくのかの話でした。イラクに限定せずに、今後、NGO、いろいろなケースがあると思うんですが、総論として、NGOの支援などについてどのように考えていますでしょうか。大臣、よろしくお願いします。もしくは塩崎さん、どうぞ。

塩崎副大臣 御指名をいただけるということだったので待っていたんですが、なかなか言われないものですから、ついつい遅くなってしまいました。

 イラクに限らず、NGO全般についての支援をどうするのかということでありますが、私、今回副大臣になるまで自民党でNGO小委員長というのをやってまいりまして、どのようなバックアップ策ができるのかということで、いろいろNGOの皆さんと頭をめぐらせてきたわけであります。今大臣から答弁申し上げたようなさまざまなプログラム、既にできて、それから、外務省との接点もかなり前よりは進んできて、例えば教育とか、そういうようなジャンルごとにNGOを集めて意見交換するという場を設けて、かなり理解が深まってきていると思います。

 それから、もちろん、大使館ごとに関係を深めるODA大使館というのが随分できておりますが、そういうこともやっております。

 それからもう一つ、恐らく委員も御関心の一つだと思いますが、NPOの税制というのはとても大事であります。ここ二、三年、外務省も、外務省には珍しく、多分初めてだと思いますけれども、税制改正要望の要求官庁としてNPO税制の改正に努力をしてまいりました。

 ことしも与党で一応大綱が決まっております。その中でパブリック・サポート・テストの改善というのが行われるようになっておりますが、まだまだ道半ばといえども、かなりサポートする方向に今進んでいるというふうに考えております。

 その他もろもろございますけれども、大体大まかなところはそんなところかなと思っております。

村井委員 今、パブリック・サポート・テストの話をおっしゃられたので、通告していなかったんですが、それについての関連質問をしたいと思うんです。

 今、普通の法人格だけあるNPO法人と、日本の場合、認定NPO法人、つまりパブリック・サポート・テストが通った法人があるんですが、まず、副大臣は、どれだけの認定NPO法人、つまりパブリック・サポート・テストが通った法人があるか、御存じでしょうか。

塩崎副大臣 全体でたしか二万四千ぐらい今NPOがあって、そのうちの三十七と聞いております。

村井委員 さすがです。数字をぱっとおっしゃっていただいたので。

 二万四千ぐらいあって、三十数個しか今税制優遇を受けていない。そんな日本のNPOの状態を改善せずしてどうするんでしょうか。ぜひ今後、具体的なパブリック・サポート・テスト、数字を三分の一から五分の一へ改善したというところ、それから、それだけじゃないと思うんです。本当にこの認定NPO法人を取るための要件が難し過ぎて、そして書類が多過ぎるんです。

 もちろん日本は、非軍事的な国際貢献だけじゃなくて、教育の分野、介護の分野、NPOの問題、いろいろなことによって私たちは公共分野を促進していかなければならない、そう考えるんです。政治の役割は国民の公共福祉をふやすことです。それは必ずしも政治がやるだけじゃなくて、民間の力を使って国民の公共福祉をふやす、それも一つの政策なんです。

 副大臣の方で具体的に今おっしゃられた、パブリック・サポート・テストをどのように変えようとしているのか。方程式ではなくて、大体二万四千のうち何団体ぐらいを認定NPO法人の対象、つまり税制優遇の対象にするべきだと考えておられますか。御意見をお伺いしたいと思います。

塩崎副大臣 どのくらいの数が認定NPO法人になるべきかというのは結果論であって、そういう数値目標は、私は持っても余り意味がないと思っております。

 しかし、むしろ中身で、これは明らかに公益じゃないかというのにもかかわらず税制優遇が受けられないで、寄附が進まないということではいけないと思って、今回というか今まで私もずっと一貫して言ってきたのは、例えば国際的な活動をされているNGOの場合には、国連機関からの委託金であるとか、あるいは国からも補助が来たりとか、こういったいわばタックスペイヤーズマネーをどういう扱いをするのかということがこのパブリック・サポート・テストの最大の私は今までの焦点だったと思うんです。

 もともと分母と分子から外すということになった、途中で我々はいろいろなことがあって、両方から外すということにしました。アメリカの場合には両方とも入れています、全額。今回与党で固めたのは、分母には全部入れるけれども、分子には自分が受けている寄附金と同額だけ入れることにするということになったんです。

 したがって、一歩前進だと私は思っておりますが、果たしてこれでどれだけの数が認定になるのかどうか。まだまだわからないので、様子をまず見てみないといけないというのが基本的なところだと思います。

 その他、今、書類が多過ぎるじゃないかというお話がありました。

 特に今回の税制改正で、与党では、まだ体力の余りない小さなところでもちゃんとしたことをやっていれば認定になるべきじゃないかということで、特に小さなNPOについては書類をなるべく軽減していこうという話も決めたはずでございます。それと、パブリック・サポート・テストにも、小さなところについては優遇をしていこうじゃないか、こんなことも決めたはずであります。

 いずれにしても、三十七というのはいかにも少ないというのは、もう全く委員と私は同じ考えであろうと思いますし、これからの世の中、やはりシビルソサエティーが考える公益というものを税制でもってサポートしながら、政府ができない部分をパートナーシップを組みながら一緒にやっていこう、そのことによって公益が広がっていくということであろうかと思いますので、その点については意見が全く同じではないかと思っております。

村井委員 NGOの税制についてはこのイラク特の本質から少しずれたと思うんですが、ただ、これは、まさにそういったNGOなどが積極的に活躍することによって、自衛隊撤退後のイラク、そういったものについての非軍事的な国際貢献が進められる、私はそのように考えています。

 そしてさらに、最後の方、ちょっと時間が少なくなってきましたのでお伺いしたいと思います。

 今、いろいろな形で無償による緊急援助をしております。それ以外に、無償援助に続く円借款の準備状況についての御説明をお願いします。イラクの電気、かんがい、運輸部門など、日本からの円借款に頼るものは多いと聞いておりますが、いかがでしょうか。

塩崎副大臣 無償に続いて、円借款はどうかということでございました。

 おっしゃるように、今、電気、かんがい、運輸等々のジャンルについて言及がございましたけれども、具体的な案件形成に向けた調査をただいま実施中でございます。

 今の御指摘の点はいずれも重点分野というふうになっておりますし、イラク側と引き続き協議を重ねながら、本年度末にもプレッジが行われるように今検討をしているということでございまして、特に、最大三十五億ドルまでの支援ということをお約束しているわけでありまして、これを二〇〇七年までに実施していこうということで、無償の、とりあえずやる支援とのすき間ができないような形での支援というものを考えております。

 五回ぐらいこれまで政府間協議をやっておりまして、JICAやJBICについても一緒に考えてもらっている、こんな状況でございます。

村井委員 最後に、まとめる意味で官房長官にお聞きしたいと思います。

 日本の国際貢献は、その都度、特別法をつくって、アメリカを初め各国の状況の顔色を見ながら、その動きを見ながら、その場その場で対応してきたようにしか見受けられません。国民の多くもそんなような感想を持っておられるんじゃないでしょうか。

 特別法じゃなくて、今後永続的に、きちんとした国際貢献のための枠組みや法律をつくる必要がある、そしてその中に非軍事的な国際貢献をしっかりと盛り込む必要があると考えるんですが、官房長官はどのように考えておられますでしょうか。

安倍国務大臣 ただいまの御質問の中には二点あったというふうに思っております。いわゆる一般法として国際協力に係る法律をつくるべきだというのが一点と、もう一点は、その中でNGOの意味をしっかりと明記すべきだという御指摘だった、このように思います。

 現在、政府といたしましても、複雑で多様化する地域紛争の頻発や国際テロ等の新たな脅威の出現等、冷戦後の国際情勢の変化に伴い、国際社会における国際平和協力の形態も多様化をしております。こうした状況を踏まえまして、今後、我が国として、どのような考え方、理念に基づいてどのような形で取り組んでいくかなど、我が国の国際平和協力のあり方の検討範囲は広範にわたるものでありますが、現在、内閣官房を中心に、我が国の国際平和協力のあり方全般について幅広く検討を行っているところでございます。

 しかしながら、現時点では、政府としての考え方をいつどのような形でお示しできるか、具体的にお答えをできる段階ではないというわけでありまして、法案提出の可否及び時期やその内容等についても現段階では決定はしていないわけでありますが、しかし、我が国の国際平和協力のあり方については、今後、国民的な議論を踏まえ検討すべき課題であり、国会におけるきょうのこうした議論も十分に踏まえながら十分に考えていきたい、こう思っています。

 そして、我が国として行うことが適当な業務の範囲やこれに必要な各種権限のあり方等を含めて、幅広く検討を進めてまいります。当然、NGOの果たしてきた役割等も踏まえながら我々考えていきたい、こう思っております。

村井委員 今後も、NGOなどと連携しながら非軍事的な国際貢献をしっかり進めていただくことをお願い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

三原委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 この件につきましては、十月の十一日の本会議でも、当時の問題は、メーンはアフガニスタンの問題でありましたが、きょうは、その本会議でも述べさせていただいたように、国会の開会中にきちっと議論をして延長の是非を問うてもらいたいということにもかかわらず、またまた閉会中の審査ということになったことについて、冒頭、遺憾の意を申し上げたいというふうに思います。

 いずれにせよ、十二月の八日に閣議決定をされたことは事実であります。そして、この法律は四年間の時限立法の中で対応をされております。一年目には、初動の部分も含めて、なかなか進まない面も確かにあったというふうにお伺いしていますし、現実にそうだと思います。

 しかし、この今回の一年間延長ということで三年目に入っております。この二年間の評価をきちっと中間の時点でしなければいけない。四年間という枠組みでありますが、毎年、一年間ずつ基本計画を延長しながらやっているこの事実と、今までの二年間の評価を、特に防衛庁長官の対応の部分、自衛隊の、陸自、空自の評価、そしてさらには、外務大臣に、外務省として、特に無償資金援助の、先ほどもお話がありましたが、十五億ドル、これはきちっと本当に国内の中に行き渡っているのかどうか、その評価も含めて、冒頭、二大臣にお尋ねをしたいと思います。

額賀国務大臣 お答えをいたします。

 これは、石破長官が二年前にイラクの人道復興支援でサマワに陸上自衛隊六百人、航空自衛隊二百人弱派遣をいたしましてから、順調に人道復興支援活動が展開されたと思っております。

 先般、私、十二月の三日、サマワに行ってまいりました。数時間でございましたけれども、まずハッサーニ知事から、この二年間、サマワのインフラ整備について多大なる貢献をいただいて感謝を申し上げる、小泉総理、それから国会の先生方にくれぐれもよろしくということでありました。与党だけということではありませんでしたから、これは野党の皆さんにもそういうことをおっしゃってくださいということだったというふうに思っております。そういうふうに、みんなが感謝の意を我々に与えてくれることは、それだけ自衛隊の活動が地域住民の皆さん方に感謝をされているということにつながっているというふうに思っております。

 私は、特に印象的だったのは、学校の修復、改築事業に、三十数カ所やっているうちの一校に行ってまいりましたけれども、その集落の大人たちが百人余りぐるっと私が行ったときには取り巻いておりました。また、二、三十人の児童たちが来ておりまして、九〇%近くでき上がりつつある校舎を見ておりました。六つの教室が完成されつつあったわけでございます。子供たちは、この校舎で、この教室で授業ができるということで、大変目を輝かせておったことは忘れることができません。恐らく、この子たちは、ここで学んで、日本とイラクの友好関係に将来大いに汗を流すことになるだろうというふうに思いをいたしました。

 また、病院等々についても、医療器具とか技術指導がだんだんと浸透してきておりまして、今まではバグダッドへ行かなければなかなか地域住民の皆様方も診療ができなかったものも、地域で、ムサンナ県内でそれぞれ治療ができるということで、安心感を持っておるということでございました。

 そういう意味で、大いなる成果を得られつつある、得ているというふうに私は思っております。

麻生国務大臣 日本としては、基本的に、いわゆる自衛隊の人的貢献とODAの二本柱、車の両輪ということでこれまでやってきたんだと思っておりますが、人的貢献につきましては、今防衛庁長官の方からお話があったとおりだと存じます。

 私どもとして、当面十五億ドルの支援ということで決定をさせていただいております。この間、先月でしたか、外務大臣が日本に来られて、長い時間話し合いましたけれども、この方からのかなり高い評価を受けておりますし、選挙のまだ前でしたので、選挙が終わった後改めてというお話もあっておりましたが、サマワと言われるいわゆるムサンナ県に対しまして総額約二億ドルのものを実施して、既にこれは決定済みであります。

 生活が極めて問題になっておりますところでいくと、何といったって水、教育、衛生、医療、そして交通のための道路等々がいわゆる一番の、直接生活に関係してくるところだと思っておりますけれども、そういったところで、自衛隊による連携やら何やら、また、現地の雇用というものを考えた上での支援等々をやらせていただいておりますので、今後、治安が安定してきますと、先ほどから申し上げております、他国から遠隔操作をするのではなくて、直接中でやれるような形で、もっと効率よく、身近で手近に、直接話ができるようなやり方になっていけるものだと期待をしております。

後藤(斎)委員 両大臣がおっしゃられたように、イラクの政府、また知事や市長さんを含めての評価というのは、確かに、いろいろな報道も含めて、承知をしております。しかし、まだまだ、この活動がサマワ全体、そしてムサンナ州全体の地域住民の方にその裨益があるかどうかということを考えれば、なかなか難しい、そういう評価もあるというふうにお聞きをしています。

 あわせて、今回の基本計画の中でも、「人道復興支援活動の種類及び内容」ということで、これは三年間、基本的な内容は全く一緒であります。基本的な支援内容は、医療、給水、学校を含む公共施設の復旧整備ということがメーンになって活動されて、先ほど両大臣からもその評価をたくさんいただいているというお話がありました。

 しかし、ここの部分をよくよく考えれば、三百五十施設、ムサンナ州に学校があるというお話をお聞きしていますが、そのうちの三十二校、十分の一くらい完全に復旧が終わり、まだ復旧中だという話を聞いております。そうなると、あと十倍の年月をかけて、では、それを人道復興支援ということでやるのか。

 そして道路も、ムサンナ州全体で、ムサンナ県からは千キロメートルの道路の補修をしてもらいたいという要請が来ているということもお聞きをしております。実質、現在では、百十数キロの補修が、自衛隊の皆さん、そしてODAの一部を活用した部分で対応しているということをお聞きしています。

 この部分、公共施設、学校と道路ということで考えても、あと十倍の要請ベース、どこでその目標を達成するのか。少なくとも、この支援内容であります医療、給水、公共施設の復旧整備ということだけ考えると、何も目標がないわけですね。

 一方で、支援をする地域という部分でムサンナ州ということが書いてある、列記をしてあるだけで、その目標というものがないままで、今両大臣から評価ということを聞いても、では、その裨益を受けていない方は評価をしていないのではないかという逆説的なことも、またこれも真なりということだと思うんです。

 その点、官房長官、この基本計画の目標設定というものが、この三つのものは、水も医療も学校も確かに重要だと思いますし、これからの人道支援の主眼になっていくというふうなことも含めてお聞きをしたいというふうに思います。

安倍国務大臣 ただいま委員の御質問は、自衛隊はどういう目標を達成したらいいのか、どういう目標を持っているのか、こういう御指摘であった、このように思っております。

 イラクでは、十二月十五日に国民議会選挙が行われまして、新政府樹立に向けての取り組みが行われるなど、今極めて重要な時期にあり、自衛隊の活動状況の終了時期について、また、何を達成したらと、具体的な、例えば道路がどこまでできたということを、そういう目標を掲げて、それができたら撤退するというような、そういう目標を掲げるということは適切ではない、こう考えているわけであります。

 政府としては、今後、自衛隊の活動については、国民議会選挙の実施及び新政権の樹立などイラクにおける政治プロセスの進展の状況、また、イラク治安部隊への治安権限の移譲など現地の治安に係る状況、そしてムサンナ県で任務についている英国軍及びオーストラリア軍を初めとする多国籍軍の活動状況の構成の変化など諸事情をよく見きわめつつ、現地の復興の進展状況等を勘案して、適切に判断をしていきたい、こう考えているわけであります。

 基本的には、どういう状況になればいいのかといえば、イラクの国民が自律的に自分たちでしっかりと治安を回復、維持をしながら、そして復興に向けて、その復興作業を自分たちの手でしっかりと前に進めていくことができる、そういう自律的な動きがはっきりとしたものになっていくということが一番私たちが目指すべき姿であって、自衛隊からイラクの国民にしっかりとバトンタッチができる状況が生まれることが一番ベストではないだろうか。

 そういう今申し上げましたような状況の中で、自衛隊の現地の作業を続けるかどうかということについての判断はしていかなければいけない、こう考えております。

後藤(斎)委員 確かに、官房長官のおっしゃっている部分もわからないわけではありません。

 しかし、先ほど冒頭申し上げたように、四年間の時限立法という中で、とりあえずと言うと大変失礼な言い方かもしれませんが、折り返しを迎えた。そこでの評価というのは、具体的なものも含めて、内々もちろん検証はしているとは思うんですが、それも国民の皆さんに、では、来年の三月とも五月とも言われている英豪軍の撤退ということも含めて、その後のプロセスをどうするかということにも多分つながってくるのではないかなと思うんです。

 そして、ちょっと話が前後しますが、きょうお配りいただいた基本計画の変更、そして外務省からのイラク情勢の中でも触れられております、十二月の十五日に国民議会選挙が行われました。若干、官房長官が御説明いただいた部分とトーンが、官房長官の御説明いただいた部分では、「国民議会選挙が滞りなく実施されました。」と。外務省の報告では、「大きな混乱なく実施されました。」と。

 しかし、その前提では、かなりの長い期間、イラクの治安部隊、そして米軍も含めて三十万人態勢とも言われる厳戒態勢の中で実施された選挙であるということも厳然たる事実であります。

 そして、とりあえず滞りなく終わったということでありますが、これから、今回の議会の選挙、まだ結果は当然出ていませんが、どんな政治プロセスを迎えるのが一番、期待値ということをまた外務大臣はおっしゃるかもしれませんが、外務大臣の御評価と、これからの、予測ではありません、どんな形で進んでいくかという見込み、見通しをお話しいただければというふうに思います。

麻生国務大臣 後藤先生御存じのように、開票率一%、当選確実なんという国じゃありませんからね。そこのところだけは頭に入れておいていただかないと。たしかこの前のときも、約三カ月ぐらいかかりましたでしょう。したがって、この間、選挙が終わった日に、ジバリというイラクの外務大臣と電話で長々と話をしたんですけれども、うまくいったから本人は興奮状態はわかるんですけれども、比較する対象が今までとは全然違いますので、それは彼らの言う喜ばしいというのも非常に、先ほど官房長官が言われたような形でうまくいったということになっているんでしょうが、世界的な標準から見てそうかと言われると、それはなかなかいろいろ御意見も出されるところだとは思います。

 しかし、少なくともまず、最初はスンニ派はボイコットという前提だったのが、スンニ派が行くようになって、結果として、余り人が来ちゃったものだから、五時に締め切る予定の投票所を六時までその日になって急に延長、日本でこれをやったらえらい騒ぎになると思いますけれども、いきなりその日に一時間延長しておるわけです。投票率が、余り戸籍もしっかりしたところとは思えませんから、七〇%といって本当に七〇%かねとは思わないわけではありませんけれども、とにかく一応公表七〇%と言っております。

 電話で、この間みたいに三カ月もかけたらますます信用がおかしくなるから、なるべく早いところイラクの新政府を、どういう比率でやるかは知らないけれども、やってもらわないとこれは信用がなくなるということも考えておかなければという話をしたら、それはもう直ちにやりたいという話もしておりました。

 私どもとしては、今官房長官に御質問のあったのと同じように、どれくらいの政府ができるかは別にして、少なくとも今までの移行政権とか暫定政権と違ってこれは本格政権ということになりますので、その本格政権のもとで、憲法も通って、それに基づいて選ばれた議員であり、それがつくる政府ですから、その政府ときちんとした話をして、いわゆる復興計画というのをきちんとしていかないかぬところなんだ、私どもはそう思っております。これまでの間のものはきちんとするにいたしましても、それ以後をどうするかにつきましては、本格政権との間の正式な交渉というものをもう一回、前と同じであるにしても、きちんと新しい本格政権とつくり上げるというのが大切なプロセスかなというように考えております。

後藤(斎)委員 官房長官、先ほど治安の回復とイラク国民の自立、この二つがこれから来年以降の自衛隊の、あえて撤退とは言いませんが、時期をいろいろ考えるときに必要な事項だというお話をされましたが、この基本計画で、官房長官、自衛隊の人道復興支援活動以外にイラク復興支援職員による人道復興支援活動というのがございます。これについては、現在では復興支援職員の方は活動なさっていないということをお伺いしています。

 あわせて、今陸自態勢が六百人、空自が二百人という中で、外務省職員の方もサマワの宿営地の中に五人程度おられて、ODAの調整や、またイラク国内の政治、治安情勢を含めて情報収集をしているというお話を聞いていますが、今、この復興支援職員の方が出ていないのは治安が悪いからなんでしょうか。それとも、今その必要性がないからなんでしょうか。その点について、まず官房長官にお尋ねをしたいと思います。

安倍国務大臣 基本計画においては、イラク復興支援職員の派遣について、治安状況を十分に見きわめ、実施の態様等も含め安全の確保に十分配慮し、安全の確保を前提として、平成十五年十二月十五日から平成十八年十二月十四日までの間の必要な期間において、慎重かつ柔軟に実施することとしております。

 イラクの復興は途上でありまして、復興支援の需要は依然として存在するわけでありますが、現在のイラクの治安情勢にかんがみ、イラク復興支援職員がイラクに入国して支援なく活動ができる状況にはないのが実情であると認識をしております。

 この点を踏まえ、今後の同職員による活動の実施時期、具体的内容については、現地情勢、状況を十分に見きわめつつ、慎重に検討をしております。

後藤(斎)委員 今官房長官がお話をされた点につきましては、仮に治安状況が改善をしてということが先ほどちょっと別の話でありましたけれども、支援職員の実施する区域につきましても、これは基本的には、医療チームにつきましては、確かにイラク国内ということで大変幅広になっています。一方で、利水条件の改善ということであれば、自衛隊が派遣をされているムサンナ県を中心としたイラク南東部ということであります。

 ということは、今サマワも含めたムサンナ県については大変治安状況は危険だという御見解なんでしょうか。

安倍国務大臣 その危険の度合いでございますが、もちろん戦闘地域ではないわけであります。ですから自衛隊が活動をしているわけでございますが、しかし、いわゆる自衛隊員ではない一般の職員が活動できる状況にあるかといえば、それは、今はまだそういう状況ではないのではないかというふうに考えております。

後藤(斎)委員 防衛庁長官、今のような形で、まだまだ治安状況は、自衛隊が行かなければ行けないということで、一般の支援職員の方は難しいという地域の中での活動、本当に若い隊員の皆さんには心から感謝、敬意を表したいと思います。

 ただ、防衛庁長官、この支援計画の中にも、この三年間、今回もそうなんですが、医療、給水、公共施設の復旧整備という、これが三本柱になっております。給水については、既にODAにバトンタッチをして、ことし二〇〇五年の二月四日には、サマワの陸自の皆さんが直接手を下さなくても地域の方で対応ができているという中で、改めて今回の基本計画の中に六百人という陸自の方の人数をお書きになられて対応しています。

 これは、来年以降どうなるかわからないというふうにお答えになるかもしれませんが、アメリカ軍も、現地の司令官の方も含めて、いろいろな情報では、来年には削減計画をするかもしれないと。あわせて英豪軍も、ムサンナ州では治安の状況が回復するであろうから治安部隊の部分は撤退をするとかいろいろな話がございますが、六百人に固定をして今回の計画をつくられた理由は、給水活動という一つの大きな柱がなくなったにもかかわらず対応されたのはどんな理由でしょうか。

額賀国務大臣 今度の新しい基本計画でも、引き続いて六百人の陸自の隊員が人道復興支援活動に入らせていただくということになっております。

 後藤委員おっしゃるように、先ほど、道路一つとっても、千キロメートル改良復旧してほしいということについて、実際は十分の一ぐらいじゃないか、それから、学校についても要望と比べればまだまだ少ないではないか。そういう中で、今の時点で、我々は特措法に基づいて、できるだけムサンナ県内のそういうインフラ整備にしっかりと対応していく、あるいは現地の人たちを技術指導していく、そういうことが一番大事なことであるというふうに思っておりますから、給水活動をしておられた方々についてはそういう部門に回すとか、あるいは警備をきちっとするとか、あるいは現地の方々との連絡調整というか、現地のニーズをどういうふうに把握するかとか、そういう部門に振り分けて効率的に、しかも相手のニーズの変化に応じてきちっと対応していきたいということで、その六百人の現員を確保しているわけであります。

後藤(斎)委員 その点につきましては、中でのその人員の転換が対応できていれば、それはそれで有意義というふうに思うんですが、実際、今まで学校の改修にしても道路の整備にしても、防衛庁が、二〇〇三年の予備費から含めて二百六十九億、二〇〇四年度が百三十五億、二〇〇五年が百四十六億という予算ベースの中で、そのうちの装備費等の部分で現地の復興の部分については対応されているというお話をお聞きしていますが、それは事実でしょうか。

額賀国務大臣 今度、来年度の予算については百四十六億円を計上すべく、今、財政当局と調整をしているところであります。その内訳は、陸自に百二十億円、空自二十六億円となっておりまして、その中身は、例えば隊員の手当、それから生活、移動、糧食費等、それから装備についての購入費、装備の管理運営費等になっているわけでございます。

 例えば、その内訳をさらに申し上げますと、隊員の手当は約四十億円、装備品の購入費は〇・二億円、装備品の維持管理等には三十八億円等々になっております。

後藤(斎)委員 今の防衛庁長官のお話は、今まで道路とか学校の補修の部分はどの予算を使って執行されてきたんですか。

額賀国務大臣 諸器材等維持費という形で計上されております。

後藤(斎)委員 もう時間もそろそろなくなってきたんですが、外務大臣、今防衛庁長官がお話しになっていた、今までは器材費を上手に工面しながら学校、そして道路も含めて対応されてきた。ただ、目標というか、ムサンナ県全体を考えれば十分の一しか対応されていない。これからODAの活用が本格的に、多分、無償の資金の供与をした機材も含めて活用されていかなければいけないし、なおかつ、復興支援職員という、これは内閣府の職員になるらしいんですが、そのオーバーラップをこれからどうするか、それがいわゆる出口戦略ということでよく言われている部分だとも思っています。

 その時期については、今お聞きをしても将来のことはわからないというお話なのであえてお聞きをしませんが、実質、今、イラク全体では一千二百万発とも一千五百万発とも言われている膨大な地雷が埋まっています。面積的にいえば七千平方キロがいわゆる汚染地域ということで、地雷が埋まっている。それから、これからは食糧の問題や生活道路の問題も含めて考えると、いろいろな写真を現地のものを見せていただくと、道路の周囲に地雷がごろごろしているわけですね。これからかんがいも含めて農業の部分をきちっと対応していかなければいけないということで考えると、その地雷の除去というのが非常に大きな、これから生活インフラを円借も含めて対応なさっていくときに必要だと思います。

 もう既に、イラク暫定政府ということになるんでしょうが、昨年の三月には、その地雷が、生活インフラをイラク人みずからの手でやっていく中で非常に必要だということで、早急な支援を要請しているというお話をお聞きしております。事実、その原文は今私持っております。

 その点について、外務大臣、外務省がこれから、二番手というと大変失礼な言い方ですが、次のステージに向けて大きな、今まで以上に自衛隊の皆さんと連携をしながらイラク復興支援、人道復興支援に寄与していく必要があると思うんですが、外務大臣、そして官房長官、もしその地雷の問題も含めて御見解がございましたら、あわせてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 自衛隊の撤退を前提とした話というのはなかなか難しいところですけれども、いわゆる治安というものがある程度よくなった、改良されたという前提になりましたときに、この地雷の場合は、主にイラン国境に非常に多く敷設されておるであろうと言われております。これは正確な数字が全部あるわけじゃありませんので、なかなか申し上げにくいところなんですが。

 日本としては、対人地雷のことに関しましては、いわゆるカナダのオタワ条約に基づいて、あれは私どもとしてはきちんと対応しようじゃないか、応援していこうじゃないかということで、たしかアフガニスタンやら何やらずっと、これまでカンボジア含めてやらせてきていただいておりますので、今後ともこれに精力的に取り組んでいかなければいかぬと思っております。

 これは、新しい政府ができ上がってからの方がきちんとしたものになっていくんだと思っておりますけれども、現地政府の要請を踏まえて、それに基づいてどうやっていくかというのは、治安の状況がよくなってきますとやりやすくなってくるということだと思いますが、いずれにいたしましても、この部分に関しましては非常に、復興に当たって、そこから先はちょっとだめよなんという話ではなかなか、復興支援というのもいまいち、ちょっと腰が引けるところでもありますので、そういったところはきちんとやっていかなければいかぬものだとは思いますので、御指摘は全く正しいと存じております。

安倍国務大臣 ただいま外務大臣から答弁させていただいたとおりでありますが、日本も現在、例えばアフガニスタンにおいて地雷の除去についての支援を行っております。

 政府として、あるいはNGOを通じて、また国連を通じてそうした支援をしていくということは当然あり得るわけでありますが、現在のところ、今自衛隊が日本を代表してイラクの復興に汗を流しているということでございまして、その後どういう状況が出てくるか、そういうニーズがあるかどうかはその時点でまた判断をしていきたい、こう考えております。

後藤(斎)委員 これで終わります。ありがとうございました。

三原委員長 次に、石破茂君。

石破委員 自由民主党の石破であります。

 世界で一番暑い国はどこでしょうというと、それは赤道直下のマーシャル諸島でもなくてアフリカでもなくて、実はイラクが世界で一番暑い国であります。一九二一年だったと思いますが、五十八・九度という記録を持っておって、それはイラクで自衛隊が活動しているサマワの近くのバスラという町であります。多分日陰の百葉箱ではかってその温度ですから、外へ出れば、体感温度というのは六十五度とかもっとすごい温度になるのかもしれない。自衛官たちはTシャツ、ジーパンでやっているわけじゃなくて、何十キロもあるような防弾チョッキ、あるいはいろいろな装備を持って、その中で活動している。それがどんなに大変なことであるかということに我々は思いをいたさなければいけないと思っています。

 先般、委員長のもとに視察に行ってまいりました。九州で、空自そして陸自、あるいはインド洋に出ておる海自、帰ってきた人たちからいろいろなお話を聞きました。もし機会があればもう一度行くことについてどう思うかというふうに尋ねた委員がありました。やらせでも何でもなくて、もし機会があればもう一度行きたい、本当に自分たちが人々の役に立っている、国益を実現している、とてもやりがいのあることだということを例外なくすべての隊員が言っておったことが非常に印象的であります。

 そういう中で活動している自衛官諸官あるいは内局の諸君、外務省の皆さん方、支えている防衛庁、外務省を中心とする政府の皆さん方に心から敬意を表したいと存じます。

 もうすぐ十二月二十四日が来ます。私は、十二月二十四日というのはもちろんクリスマスイブなんですが、二年前のちょうど十二月二十四日、イラク特措法に基づく一番最初の派遣命令は航空自衛隊の輸送機部隊に対して出しました。十二月二十四日に小牧基地において編成完結式を行いました。小泉総理も川口外務大臣も安倍幹事長も冬柴幹事長も臨席をされ、私ももちろん参りました。そこでこういうお話をしたことを覚えています。

 何のためにイラクに行くのか、何のためにクウェートに行くのか、それは一に国益の確保であるというお話をいたしました。何だかんだきれいごとを言いましても、我々日本の国がこれだけの水準の経済を維持している、これだけの国民の福祉を実現しているのは、中東地域から安定的に石油が入ってくる、これが最も肝要なことであって、我が国は、中東地域に依存度が九割、このような選択をしております。あのイラクを含む中東地域の安定は我が国にとって死活的な問題である。

 第二に、国連決議がある。国連の主要な加盟国として、イラクの戦後の復興に加盟国はいかなる手段であれ力を尽くしましょう、そういう決議があって、日本の国は、つらいこと、苦しいこと、危険なことはやらない、そういうことはほかの国にやってもらいましょう、そんなことで、これから先、日本が国際的にきちんとした地位が確保できるか、それはそうではないであろう。

 三点目は、イラクの人々が一番待ち望んでいるのは間違いなく日本の支援なんです。ほかの国のどこでもない。欧州でもなければ、あるいはアメリカでもない、国連でもない。どこに一番来てほしいか。それは、日本の世論調査じゃない、イギリスの世論調査で何回かやってみたけれども、一番来てほしいのは日本人である。五十八・何度という物すごい暑い中にあって、水が出ないというのがどういうことなのか。病院に行ってもお医者さんに診てもらえないというのがどういうことなのか。額賀長官がおっしゃったように、子供たちが学校に行きたくても学校が壊れているというのは一体どういうことなのか。それができる、それは日本に求めたいというイラクの人々の気持ちにこたえなきゃいかぬ。

 四番目は、何も日米安全保障条約に基づいて出しているわけではないけれども、唯一の同盟国である、我が国にとってたった一つの同盟国であるアメリカ合衆国が一番困難な時期にあるときに、日本が、何もしません、金だけ出します、危険なところには行きません、そんなことで日米同盟の信頼性が確保できるとは私は全く思わない。日米同盟は紙によって成り立っているのではなくて、本当に危険なことでも日本はやりますよ、もちろんそれは法律の制約があることではありますが、それによって日米同盟の信頼性が増す。

 この四つが目的であって、それができる組織は日本にほかに何があるか。先ほど来NGOのお話がいろいろ出ているけれども、あの時点においてもそして今においても、それがなし得るのは、陸上自衛隊、航空自衛隊、自衛隊をおいてほかにないのだということを申し上げてまいりました。

 私は、いろいろな判断は国益ということによって考えられなければいけないと思っています。国益をどのようにとらえるか。もう一つは、軍、我が国でいうならば実力組織、これを動かすことは軽々にあってはならないことである。国内においてもそうだし、国外においてもそうだし、軍事組織、実力組織、いわゆる軍というものを出すときは慎重の上にも慎重でなければならない。それは、国益が何を目指しているか、そして、災害復旧でもそうですけれども、緊急性があって公共性があって、自衛隊でなければなし得ないという非代替性があって、それが確保されたときに初めて出すのだ、その検証はきちんとしていかねばならないと申し上げました。

 後で壮行会になって、御家族や派遣される隊員たちと話をする機会があった。十二月二十四日、二年前のお話であります。そのときに、ある若い航空自衛隊の隊員、自衛官が、長官、おれ、二十何年生きてきたけれども、きょうが一番うれしいクリスマスイブだった、なぜ自分たちでなければならないのか、自分たちが何のためにクウェートに、イラクに赴くのか、それを総理から、外務大臣から、あるいは防衛庁長官から聞いて、本当に二十何年の人生で一番うれしいクリスマスイブだったと言ってくれたことを私は今も思い返しておるのであります。

 外務大臣にお尋ねをしたいのですが、このイラク派遣によって我が国が目指すべき国益とはどのようなものだとお考えでありましょうか。

 そしてまた、私は、今回の政府の一年延長ということを高く評価するものであります。そして、今の時期において、いつ撤退するんだという、どういう条件が整えば撤退するかといえば、それは話は簡単で、法律の目的が成就されれば撤退する、あるいは戦闘地域になれば撤退する、そしてまた、自衛官に、自衛隊に与えられた権限あるいは装備、能力、それを超えるような、防衛庁長官の安全配慮義務が満たされないようになれば撤退する。法律に基づいて、当たり前のことであります。今の時期にいつ撤退するか云々というのを議論するのは相当に時期尚早であろうと思っておりますが、外務大臣のお考えを承りたいと存じます。

麻生国務大臣 後半の点に関しては、全く異論はありません。

 最初の方に関します、目的というものは、いかなる国益に資するかという点は、これは最も大事なところだと思いますが、少なくとも、あの時点であのままイラクという国家をサダム・フセインのもと放置しておくということは、テロの温床になりかねないというのがあの当時の状況だったと記憶をいたします。したがいまして、これは安全保障に関しましても最も大きな、テロがあちらこちらにというのは最も避けねばならぬ事態でありますので、そういった意味では、安定というものは非常に大きかったろうと思っております。

 また、二つ目は、やはり、世界第三位の石油埋蔵量を誇っておる国であり、日本の場合は、日本に輸入いたします原油のほぼ九〇%をあの地域、いわゆる中近東地域に依存をいたしておりますので、そういった意味からいってもあそこの安定は非常に大きい。あの地域において、イラクというのは巨大な国家でもあります。少なくとも、チグリス・ユーフラテスと一緒になりましたシャトルアラブ川からの東半分はイラン、ペルシャ人でもありますので、西側からがアラブ人でありますので、そのアラブの中において、イラクの存在は極めて大きいと思います。そういった意味で、そのイラクが安定するというのは、あの地域の安定にとりましては避けて通れない大問題。

 三つ目は、あの中近東の中にあって、イラクという大国が少なくとも、親日的になるとは言いませんが、まあ反日ではない、親日になっていくということは、これは日本にとっては極めて大きいのであって、この間来た外務大臣の話を聞いても、これまでいわゆる占領されたとか植民地にされたとか属国にされたとか、いろいろな表現がありますけれども、そういったことからいきますと、日本の場合は全くそういったことに無縁の先進国であります。そういった意味からいきますと、私どもは最も受け入れやすいという背景、顔、そういったものもあったんだと思いますが、そういったものを含めまして、親日的になるというのは極めて大きな国益に資すると思っております。

 そして、多分、イラクという国の復興に先立って、治安がきちんとしないと、先ほど民主党の後藤先生でしたかの御質問にもありましたけれども、やはり治安がよくならぬと決定的に復興に行かないし、政治的に安定しないと経済政策が継続性を持ちませんし、そういった意味においては、安定をするというのは極めて大きなものだと思います。私どもは、こういったところに積極的にかかわったという状況は、これは国際社会における日本という国の信用、信頼を博するにも非常に大きな貢献をすると、後世、人に言われるんだと思います。

 ぜひ、そういった意味で、私どもは、今後、これが安定しました後、ODA等々いろいろなものが使えるような状況になって、基本的にあの国はお金のないいわゆる最貧国とは全然違いますし、石油のある国でもありますので、石油がきちんと発掘、生産されて輸出されていくという状況になれば、資金的な問題よりはそういったシステムができ上がる背景、すなわち治安、そういったものが大事なものだと思っておりますので、そういったところに貢献する余地は極めて大きいと私自身は考えております。

石破委員 資源エネルギー庁、おいでだと思います。

 石油の確保というのは我が国にとって死活的に重要なことである。先般、石油大臣も来られて経産大臣ともお話をなさいました。今後の見通しあるいはイラクの国内法の整備等々について、端的にお話を承りたいと存じます。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどからお話ございますように、イラクは世界で第三位の原油の確認可採埋蔵量を有しておりまして、国際エネルギー機関の予測によりますと、二〇一〇年までに、生産量がおよそ日量百五十万バレルふえまして三百二十万バレルにまで拡大するということが期待をされておりまして、日本にとりましてのみならず、世界の石油の安定供給にとりまして大変重要な国でございます。

 我が国は、自衛隊によります人的貢献、ODAによる支援、債務救済措置等を通じまして、イラクの復興に積極的な貢献を行っておりますけれども、このような取り組みはイラクにおいても高く評価されておりまして、日本とイラクとの二国間関係の強化発展を図る上でも極めて重要な役割を果たすものと考えております。経済産業省といたしましては、このような復興支援を通じて強化されました二国間関係を基盤といたしまして、石油、天然ガス分野における協力関係の発展を図ってまいりたいというふうに考えております。

 このような観点から、今月、イラクのジャファリ首相に同行して来日されましたウルーム石油大臣と二階経済産業大臣との間で、日本・イラク間の石油、天然ガス分野における協力に関する共同声明の署名が行われました。

 今後、この共同声明に基づきまして、イラク石油省と我が国の経済産業省との間に両省の大臣を長とする共同運営委員会を設置いたしまして、両省の協力によりまして、原油積み出し施設復旧事業などの石油、天然ガス施設の復旧支援、イラク人石油技術者の研修などを進めますとともに、イラクの治安が安定をしていく中で、石油開発分野を含めまして、日本企業のイラクにおける活動を支援してまいりたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、自衛隊による人的貢献を初めといたしますイラクに対する復興支援は、将来においてますます重要となります石油供給国でございますイラクとの関係強化に大きく資するのみならず、中東地域全体の安定にも貢献すると考えておりまして、エネルギー政策上も大変重要な意義を有しているというふうに考えております。

石破委員 文民統制は何かなどというお話をここでするつもりはないんですが、やはり私は、事に臨んでは危険を顧みずという宣誓をしている自衛官たちに、政治の意思がきちんと伝わるというのは大事なことだと思っているんですね。それなくして文民統制というのは成り立たないと思っておるのです。何のためにやるのか、いかなる国益のためにやっているのかということをきちんとメッセージとして伝えるのは政治の責任だと思っておるところでございます。

 防衛庁長官に、これはお尋ねというよりはお願いになるのかもしれません。

 この法案は、人道復興支援と安全確保支援という二つの柱によって成り立っています。チャリティーでやっているわけではない、慈善事業をやっているわけではない。人道復興支援と安全確保支援。先ほど来お話に出ているように、治安の維持ができて民生が安定する、民生が安定して治安が回復する。それはコインの裏表のようなものでして、どっちがどっちというお話ではない。人道復興支援も大事、安全確保支援も大事だと私は思っています。

 自衛隊が出て二年になります。ビフォー・アフターじゃないですが、何を実現したのかということを知りたくて、私、お手元に資料を配付いたしました。政府にお尋ねをして教えていただいたものであります。

 例えて言いますと、医療なんですが、新生児死亡率というのが左の一番上にあります。自衛隊派遣前はどうであったか。イラク全土では、正式な統計は余りありませんが、WHOの二〇〇〇年の統計では、新生児の死亡率というのは四・六%、物すごく高い数字です。日本の直近の数字が幾らかというと〇・一八ですから、大体三十倍弱ということになります。それだけの赤ちゃんが死んでいった。

 しかしながら、自衛隊が行って医療の指導をした。それはサマワだけじゃないかと言われるかもしれませんが、イラク全体においてやるなんて相当難しい。ムサンナ県だけで六十万人いるわけで、自衛隊が出ているのは六百人ですから。六百人で六十万人を支えているということでありますが、それによって新生児の死亡率というのは三分の一になった。自衛隊が来るまでは失われた命が、三分の二救われるようになったということであります。

 額賀長官がさっきおっしゃったように、子供たちが目を輝かせてこの学校で学べるんだという学校がこれだけできたということであります。私たちも子供のころ、学校が新しくなったときにどんなにうれしかったか、記憶にあるところでございます。

 そして、世界で一番暑い国で水が飲めないというのがどれだけつらいことであったのか、どれだけ苦しいことであったのか。それも解消された。まだまだ十分ではないけれども、とにかく生活に必要な水は確保されるようになったということであります。

 こういうことを自衛隊が、もちろん外務省とも協力し、ODAも相まってなし遂げてきたのだということを、ぜひもう少し国民にわかるような形でPRをお願いしたいと思っているのですね。ゴラン高原においてもそうです。インド洋においてもそうです。自衛官たちが本当に歯を食いしばって国益実現のために頑張っている。でも、何をやっているのということが国民にはまだ十分に伝わっていないと思っているのです。わかってくれなくてもいいやじゃなくて、何のために彼らは危険を顧みずやっているのかということを、ぜひとも国民にわかるような形でさらなる防衛庁の御努力をお願いしたい。

 評価とあわせて、額賀長官の御見解を承りたいと存じます。

額賀国務大臣 今、石破長官からお話がありましたのはまことにそのとおりでございます。私もクウェートに行ったときに、空自の隊員で、今度三回目の赴任をして仕事をしているという方がおりました。この二年間で三回。恐らく家族の方々とか子供たちは、お父さん、どこで仕事をしているのということから、これは我々がいろいろ考えてあげなければいけないということをつくづくと感じました。

 それはなぜかというと、空自のC130の機能、それからいろいろな働きというものが従来とは全く違う。国内においても、災害が起これば何らかの輸送手段になる。あるいはこの前のスマトラでもそうでしたけれども、何かあると輸送手段としてあらゆるところで活用されていく。しかし、それを補っていくだけの人員が足りない。したがって、この二年間で三回も赴任しなければならないというパイロットがいる。そういうことはやはり冷厳なる事実でありますから、我々はよく、仕事が安全で、しかも自信を持ってやりやすい環境をつくっていかなければならないということをつくづくと感じさせられました。

 それで、今石破長官が、我々がこれはもっともっと宣伝をしなければならない、広報活動をしなければならないことについてきちっと整理をして資料として配付していただきましたけれども、まことにそのとおりでございまして、医療関係とか学校関係とか道路関係、それから給水関係、世界一乳幼児の死亡率が高かったのが、これだけ、従来のデータと比べると三分の一に減っているということでございますから、それは自衛隊が給水活動をしたことの結果によるものであります。

 これは国民の皆さん方もぜひ、自衛隊はそういうことをしながら日本人あるいは日本の国家の信頼を世界の国々の皆さん方につくりつつあるということを御理解いただければありがたいというふうに思っております。

 先ほど来、外務大臣、石破前長官からお話がありますように、我々は、陸上自衛隊も航空自衛隊の隊員も、さまざまな災害派遣だとか人道復興支援に行く場合は、日本人及び日本の国家の代表として、使命感を持って恥ずかしくないような行動をとる、そういう思いで汗をかいているということをぜひ国民の皆さん方にもわかっていただければありがたいというふうに思っております。

石破委員 先般の政府の決定の中で、こういう文言がありますね。「ムサンナー県で任務に就いている英国軍及びオーストラリア軍を始めとする多国籍軍の活動状況及び構成の変化など諸事情を、政府としてよく見極めつつ、現地の復興の進展状況等を勘案して、適切に対応する。」これで次の日の新聞は、英豪軍が引いたら撤退だというようなニュアンスの報道が非常に多かったように思います。それは、論理的にはそうではない、結果としてそうなることはないではないが。

 つまり、世の中でよくある議論は、自衛隊はイギリス、オーストラリアに守ってもらっているというお話があります。私はそれはそうだと思っていません。自分を守るための権限も能力も装備も、それはこの法律に基づいてきちんと与えてあるし、額賀長官が常に安全配慮義務ということを果たしておられるのであって、英豪軍が守っているというのは、それは私は誤りだと思っています。英豪軍が引くということは、それだけ地元にもう任せても治安は大丈夫であるという判断なのであって、だから自衛隊が引くということには論理的には全くならないはずでございます。

 先ほど来申し上げているように、治安の維持と民生の向上というのはコインの表裏のようなものであって、治安が安定してきました、もう地元の人に任せても大丈夫です、自衛隊でなければできないという状況は解消されました、非代替性がなくなりました、それが結果として一致することはあり得ることでございますけれども、守ってもらっているのがいなくなった、危ないから引く、そういうような論理にはならないと思っておりますが、いかがでしょうか。

 そしてまた、出すときよりも引くときの方がよっぽど難しいということを我々認識すべきなのだと思っています。引くときにはよほど周到な準備が要るのであって、そこをちゃんとしなければいけない、当然のことであります。

 先ほど来申し上げていますが、陸は、メーンは人道復興支援です。空のメーンは、人道復興支援という部分、自衛隊、陸自の支援という部分もありますが、安全確保支援ということも空はやっているのであります。

 では、そういうことなら日本はやらないよということでいいんでしょうか。私は、治安がきちんと守られているということがあって初めて民主主義のプロセスは進展をしてきた、治安が守られているということがあって初めて経済も復興してきたのだと思っています。それのロジの部分としてそのような多国籍軍をサポートする、そういうような空の活動というのは、それは陸とはまた違った判断があり得るのだろうと思っています。

 そして、バグダッド空港を初めとして、国際便が随分多く飛ぶ現状になりました。国内線も随分飛ぶようになりました。自衛隊を出したときとは全く事情が違うわけであります。

 それは、そのときの政府としての御判断でありますけれども、人道復興と安全確保、どちらも大事なことである、日本の国益を確保するために、そして世界に日本が責任を果たすために、そういうような考え方が私はあり得るのだろうと思っておりますが、額賀長官の御見解を承れれば幸いです。

額賀国務大臣 石破長官が自衛隊を送り出すときに、夜も眠れないこともあったということをかつて申しておりましたけれども、私も長官に就任してすぐ、陸自の六百人、空自の二百人の皆さん方がどういう安全を確保しているのか、どういう場所で仕事をしているのか、どういう実績を上げているのか、あるいはまたどういう評価を得ているのか、そういうことがまず心配でありました。だから十二月の三日に行ったわけでございますけれども、この目で見て、そしてこの耳で聞いて、この足で確かめていくことが、長官としてのまず最初の仕事であるという思いでありました。それは長官と同じ思いでございます。

 その結果、さまざまなことが言われておりますが、十二月十四日以降も向こう一年間派遣をすることにして、引き続き人道復興支援と安全確保について汗をかかせていただこうということでございます。

 私はまず、自衛隊が行って仕事をしているのは、先ほど来、大局観からいえば、日本の国益に基づいて、国連の決議だとか、中東の安全は我が国の経済とか日常生活に直結していることである、そういう崇高な、大きな目的を持って汗を流しているというふうに思っております。

 現状において、まず自衛隊自身がみずからの安全を確保していく。石破長官がきちっと送り出したときに、この程度の治安状況であればこの程度の装備を持っていく必要があるということの中で、みずからの努力で安全を確保している。その上で、地域の皆さん方と友好関係を保ち、英国、豪州軍と緊密な連絡をとりながら安全を確保しているというのが事実である。

 おっしゃるように、治安の目的と、そして民生の安定というものは車の両輪であると思っております。したがって、我々の目的は民生の安定であります。民生が安定していくことによって治安の安定が形成されていくものと思っております。

 英国軍もあるいはまた豪州軍もイラクの治安部隊を育成するために努力をなさっている。そういう中で自衛隊の活動が展開されているということでございますから、私は、そういう英豪軍と緊密な連絡をとりながら、英豪軍が撤退したときは、そのときの治安状況はどうであるのか、そういうことを見きわめながら自分たちの活動を見ていく必要があるということでございます。

 治安の問題と民生の安定というのは、これは切っても切れない間柄でございます。そして、一番いいのは、一日も早く本格政権ができて、治安がよくなって、我々の活動が、民間とか企業の皆さん方が堂々とやってのけるような環境をつくることであるというふうに思っております。

石破委員 最初からの民主党の皆様方の御発言を聞いておっても、随分とこの二年で変わったなというふうに思います。今すぐ引けという御主張はなかったような気がしておるのですね。

 私は、国益確保のために行っている、この二十四日にも小牧で帰国行事があります。政治の決断として自衛隊を出している、自衛官たちが努力している、それはやはり国民全体で本当にありがとうということを言わなければいけないと思っています。賛成であれ反対であれ、行ってきた自衛官たちに、ありがとう、御苦労さんと私は言いたいと思っておりますし、皆様方にお願いをしたいと思っております。

 最後に二つだけ申し上げておきます。答弁は要りません。

 先ほど一般法の議論がありました。今回、私が何でこれにこんなにこだわっているかというと、やがて一般法というのをつくっていかねばならないと思います。何でも特措法でいけばいいと私は思っておりません。どういうときに実力部隊を出すのか、どういうような条件が整えば出すのか、そして、どうなったら引くのか、そのときにかわりの措置は必要なのかそうではないのか、そういうことは私は今度の一般法に盛り込まなければいけないことだと思っています。したがって、今回はきちんと論理構成をすること、主権者に対する説明をきちんとすること、自衛官たちに対する説明責任を果たすこと、これが大事だと思っています。

 もう一点、先ほど来言っていますが、世界で一番暑い国です。これから夏に向かう時期がやってまいります。治安も大事です、水も大事です。しかし、電力の確保、イラクの人たちは実は電気が欲しいんだ。クーラー、ちゃんと動くのかという時期がやってまいります。自衛隊の活動というものとODA、車の両輪であります。電力の確保の議論もございますが、その点にきちんと御配意いただくことをお願いし、そしてまた関係各位の御労苦に心から敬意を表して、私の質問を終わります。

三原委員長 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。

 本日の質疑におきましては、政治、治安の情勢、そして日本のイラクにおける支援のあり方についてお伺いをさせていただきます。先ほど来出ている質問と若干内容が重なる部分があるかもしれませんけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、十二月十五日に国民議会選挙が行われました。報道によりますと、結果の方はまだ時間がかかるようでございますけれども、かなりの高投票率で、スンニ派武装地域の聖域でございましたファルージャでも八五%から九五%、またラマディでは七五%から八〇%であったというふうに報道をされております。

 低投票率のところもあったわけでございますけれども、全体的には約七〇%を超えるような投票率の高さであったという報道を見ますときに、今回は、ボイコットという形ではなく、一票を行使するという形で、イラク人の手で国家再建をしていくというイラク人の皆様の意気込みというかその思いがこのような投票率につながったのかなという考え方をしている次第でございますけれども、今回のこの選挙の評価と、そして、今後出てきます今回の選挙の結果が今後のイラクの再建に与える影響について、どのようなお考えをお持ちになっているか、外務大臣にお伺いをさせていただきます。

麻生国務大臣 この十二月十五日のいわゆる国民議会選挙というものは、これはイラクに限らず、この地域におきましては極めて大きな例だったと思っております。

 台湾で初めて選挙が行われてみたり、いろいろな形で民主主義という名のもとに選挙という手段がとられることになってきておりますけれども、いろいろ御意見のあるところだと思いますが、これが今最も進んだ公平なルールだというのを前提にして言わせていただければ、大変よかったと思っております。

 よかった理由は、少なくとも、初めて選挙をやりますと、何々地域とか何々族とか何々教とか何々派はボイコットというのは、ほかの国でもよくある例なんですね。ここのところもその可能性は十分にありました。しかし、結果としては、今、丸谷先生が言われましたとおりに、約七〇%を超すであろうと言われるほどの投票率が出た。これは日本に比べてもはるかに高いですから、なかなかのものです。間違いありませんから。そういった意味では、統計がどれぐらい正しいかは別にして、私は極めてよかったと思っております。

 二つ目には、やはりいろいろな投票所でまた爆弾騒ぎをかなり警戒する中にあって、スンニ派の人も多く行かれたためもあるんだと思いますが、いわゆるイラクの西部地域、北西部地域でもその種の話もなく、粛々と行われた。小さな混乱はあったのかもしれませんけれども、少なくとも大きな、死傷者が出るようなことにならなかった、これはいずれもよかった結果だと思っております。

 私は、その結果の内容が、どういう派閥、少なくとも一つの政党が過半数をとる状況にないということだけははっきりしておりますから、いずれの形で連立政権を組んでいかれる形になるんだと想像はしますけれども、少なくともこれまでの、いろいろ宗教対立、北部のクルドを含めて民族対立、いろいろ難しい問題がいっぱいある国ではありますけれども、そういったものを、選挙の結果に基づいて連立を組まれていくのであればうまく包含して、そこらのところを連立政権を組んで運営されていくという民主主義の成熟度合いがきちんとしたものになっていくことを期待しております。

 同じようなことをジバリという外務大臣と電話で話したところも、そこのところは勝った勝ったで勝手なことをしちゃだめよ、ここのところが大事なところだという話をいろいろしても、向こうの反応も極めて、この何カ月間か暫定政権というか、次の政権、移行政権の間に似たようなことを経験したせいもあるんだと思いますが、その経験を生かして安定したものにしていきたいという意味で抱負も述べておられましたので、それが直ちにうまくいくかどうかはわかりませんけれども、少なくとも、前回のように何カ月もかかるということではなくて、来年早々ぐらいには答えが出てくればなと期待をいたしております。

丸谷委員 確かに、今回の十五日の国民議会選挙が終わり、この国民議会選挙自体は、十月の十五日に国民投票が行われました憲法草案について、そして二十五日に認められました憲法のもとにおいて実施をされました。本当に、ことし一年間を見ていても、イラクの政治プロセスの進展というのは明らかでございまして、来年のいずれかの時期には、できれば早いうちにという思いが強くあるわけでございますけれども、本格的な新政権の樹立と、また新たに憲法の議論というものがあるだろうというふうに考えているわけでございますが、明らかに進展をしてきております。

 では、一方、治安の状況はどのようなものかということを次にお伺いさせていただきます。

 今回の十五日に行われました国民議会選挙では、ちょうど、投票所をねらったということではないにせよ、十五日に武装勢力によって行われた攻撃が五十二件というふうに報道されていました。一月三十日の暫定国民議会選挙のときは三百件というふうな報道もございましたので、この面でも治安の向上というものが図られているのではないかと思います。

 まず、イラク全土における治安の状況、ジャファリ首相がいらっしゃったときには、報道よりも安定をしている状況だといった御発言もあったわけですけれども、イラク全土における治安の状況と、また、特に自衛隊が今活動をしています南部においては、比較的安定をしているという言葉でいつも御説明をしていただくわけでございますけれども、例えば、現在英豪軍等を中心に行われている治安維持活動と同レベルの治安維持をできるぐらいまでにイラク人の治安部隊が訓練をされている状況なのかどうか、この点についてお伺いをさせていただきます。

麻生国務大臣 治安状況につきましては、少なくとも今回の選挙が一応混乱なく実施できたというのは、治安が向上していることは間違いない。前回の選挙に比べましても、それは明らかだと思っております。

 いろいろ予断は許さないところだとは思いますが、明るい情報も幾つかあると存じます。

 二十一万七千人、これが今、十二月七日現在のイラクの治安部隊の人数でありまして、NATOを初め各国の支援、教育訓練を始めてかなり強化されております。テレビなんかを見られましても、分列行進を見られても、少なくとも、半年前のばらばらな分列行進に比べ、一応今回はざあっと並んで歩いている姿がテレビで何回も映されておりましたので、ごらんになったかと思いますが、間違いなくよくなってきているんだと思っております。

 それから、爆弾の話というのを見ますと、丸谷先生の方から見られていわゆる左側、バグダッドのあります中部から西部、北西部にかけましてのところでやはり治安が悪い。逆に言えば、これはスンニ派の多いところでもあるんですけれども、そこらのところで多い、死傷者がよく出ますけれども、南部、サマワ等々の一番南の自衛隊のおりますところでは、これまでの間に二人だと思います。死傷者がたしか二人だと思います。あとはすべて他の地域、特に中西部でかなり、バグダッド並びに西部、北西部に集中しているような感じはいたしますけれども、地域がかなり限られてきたということだと思っております。

 それから、これはイギリスのリサーチ会社が最近イラクで行った世論調査によりますと、治安状況がよいと答えた人は六一%。昨年の二月に行った際では四九%でありますので、かなりよくなってきていると住民の意識は変わりつつあるかなという感じがいたしております。

 サマワというのは他の地域に比べて間違いなくこれまでのところも治安状況がいいということは確かでありますけれども、少なくとも、そのいいのはどの程度いいかと言われると、これは非常に、定量的なことがなかなか申し上げにくいところではありますけれども、イラクにおけます中部やらバグダッド周辺なんかに比べればもう圧倒的にいいことは申し上げられると思います。

 いずれにいたしましても、治安部隊が訓練され、人数も増強され、その分だけ欧米人の顔が町中から見えなくなるというのはすごく大事なところであろうと思いますので、なかなか、軍と警察というのは似て非なるものでして、そういった意味では、警察というものが治安に当たるような状況になるというのが最も期待されるところだと思っております。

丸谷委員 今次、イラク特措法に基づきます基本計画が一年間の延長をされました。

 十一月に来日をされましたジバリ外務大臣、公明党を表敬していただきまして、ちょうど私もその場で懇談をさせていただく機会をいただきました。その中で、今までの自衛隊の貢献に対する、あるいは日本の支援に対する感謝をするとともに、この支援の継続というのを強くお願いされたわけでございます。また、十一月の八日には安保理決議一六三七が決議をされまして、多国籍軍の権限を二〇〇六年の末まで延長することとなっております。

 私は、イラクが必要とする限り、あるいは国際社会が必要とする限り、イラクに対しては支援を行っていくべきだと考えております。しかしながら、その支援のあり方、だれがどのような形で何を行うかということに関しては、イラクの治安そして政治の状況に応じて臨機応変に対応する、あるいは変更していくということが政府に求められていることなのではないかというふうに考えるわけでございます。

 そこで、先ほどの質問にもどなたかされていらっしゃいましたけれども、現在自衛隊が行っています、特に陸自がサマワで行っている人道復興支援、給水あるいは公共施設の修復等の活動目標というのがどの程度達成されたのであろうかということを一点お伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

額賀国務大臣 丸谷委員にお答えをいたします。

 おっしゃるように、この二年間、自衛隊、陸自それから空自の皆さん方が人道復興支援それから治安の安全確保のために活動なさってきたわけでございます。

 先ほども話題になったのでありますけれども、例えば給水につきましては、これまでに五万三千トンの給水をし、これは自衛隊の仕事で給水をしてきたわけでありますけれども、ことしの二月以降は、浄水設備をODAできちっと対応して、イラク人によって給水活動がなされているということでございます。

 それは、地元の皆さん方にとって、例えば、先ほども話題になりましたけれども、従前は乳幼児の死亡率が一番高かった、ところが、きれいな水が供給されることによってその死亡率は従来のデータと比較すると三分の一ぐらいに減ったというようなこともあります。あるいは、学校とか道路とか、そういう公共施設、医療設備等々が十分に自衛隊の働きによって完成というか対応されてきているということでございます。

 地域の皆さん方の要望に比較すればまだまだほど遠いわけではございますけれども、我々は、地元のニーズに従ってさまざまな変化に応じてきちっと対応していきたいというふうに思っております。

丸谷委員 特にイラクの方々に感謝をしていただくのは、雇用の面で非常に日本が貢献をしている、自衛隊の皆さんが中心となりまして、イラク人の雇用ということに関して非常に積極的にやっていただいている。あるいは、当然、地元における自衛隊の皆様の誠実な対応ぶりというものも日本の信頼につながっていることと思いますけれども、引き続き雇用を促進する、また継続するお願いというものも強くあるわけでございますが、今までの自衛隊が行ってきた雇用に関する成果、また費用とともに、お答え願えますか。

額賀国務大臣 今、丸谷委員のおっしゃるとおり、自衛隊員は、みずからの手ですべて一から十までやるのではなくて、現地の皆さん方に対して技術的な指導を行ったり、あるいはノウハウを提供したり、管理監督をする形で仕事を完成させているというのが実態でございます。

 したがって、現地の人たちの雇用を拡大しながらやっている、最大、一日当たり一千百人ぐらいであるというふうに聞いております。ここ数カ月間も六百人から七百人ぐらいの雇用を確保しているということでございます。通算しますと三十数万人の雇用を確保してきて、現地の人たちに大変喜ばれているということでございます。

丸谷委員 今の、自衛隊の皆様が活動をされている活動内容、そして成果等をお伺いしていると、やはりかなりの貢献度の高さだなということを実感いたします。

 一方、日本の自衛隊というのは南東部多国籍師団の一員でございまして、イギリス、イタリア、チェコ、デンマーク、ノルウェー、オーストラリア、日本、こういった各国で構成をされている師団の一員であります。私たち日本の貢献というのは人道復興支援でございますので、日本の目標の達成度合いと、また治安の維持という他国の目標の達成というのには、おのずと違いがあると思います。

 現在、サマワにおいて日本が活動をしている人道復興支援の一つの終了時期、そして次の支援へ移っていく新たな開始時期というのをどのような形で判断していくかというのは、日本の主体的な判断もあるでしょうし、また南東部多国籍師団の一員であるという、この両方の判断が求められると思いますけれども、報道によると、イギリス、オーストラリアはもうそろそろ撤退を考えているようだ、また、イタリアは来月にも三千人のうちの三百人を撤退させるといった報道もなされています。

 私は、日本の自衛隊の、この多国籍軍の一員として、やはりここの部分に重きを置いて自衛隊の一つの終了時期というのがはかられるべきであろうし、また、それに合わせて次に何をするかという、セカンドランナーの提示というのを早期にするべきだと考えておりますけれども、この自衛隊の終了時期、そして次の新しいセカンドランナーの出発時期ということに関して、日本は多国籍軍の一員であるということも踏まえながらどのように判断をされるのか、この点を官房長官にお伺いさせていただいてもよろしいでしょうか。

安倍国務大臣 自衛隊の活動の終了また撤退の時期でございますが、撤退の時期につきましては、今進んでいる政治プロセス、先般国民議会の選挙が行われました。これは、もうまさに国民みずからがつくった憲法、そして国民投票を行いました、そしてその上の、まさに正統性のある議員がこの選挙によって誕生した、こう言ってもいいと思うわけでありますが、これからさらにこのプロセスが進んでいきます。

 その進んでいくプロセスの状況、そしてイラクの人たちがしっかりと自立的に復興に向かって進んでいく、そういう状況。そしてまた、治安を維持していく、この治安を維持する機能をイラクの人たちに対して今移譲しているわけでありますが、その移譲が進んでいるかどうかという状況。そしてまた、サマワにおいてイギリスまた豪州軍が治安の確保に当たっておりますが、このイギリス、オーストラリア、そしてさらには多国籍軍の活動状況等を勘案して我々は判断をしたい、こう思っております。

 一番いい姿は、しっかりとイラクの方々が政治プロセスを進めて民主的な自由なイラクをつくる、そして治安がイラク人の手によって安定され、みずからの強い意思と能力によって復興に向かって大きく前進し始める中にあって、日本の自衛隊からイラクに対してバトンがタッチできればいい、このように思っております。

 また、当然、今自衛隊の活動と同時にODAも行っております。二本柱で行っているわけでありますが、このODAについては、今後とも我々続行していきたい、こう考えております。

丸谷委員 ありがとうございました。

 では、どのような形で日本の支援を継続させていくのかというのは、これからずっと議論のテーマになってくると思いますけれども、その点についてお伺いをさせていただきます。

 現在、空自による多国籍軍への物資の輸送ニーズというのはどのぐらいあるのか、そして、この活動というのをしばらく継続していこうと考えているのか。例えば、サマワの陸自が活動を終了した後も、ニーズがあればこれは支援をしていくということをお考えなのかどうか、お伺いいたします。

額賀国務大臣 これまでの空自の実績でございますけれども、航空自衛隊の部隊、大体二百人でありますが、これまで第八次派遣しておりますから、延べ千六百人を派遣したことになっているわけでありますけれども、C130輸送機によりイラクとクウェートを往復して、陸自部隊の人員、補給物資の輸送、それから人道復興支援物資の運搬、関係各国の人員等の輸送など、人道復興支援活動と安全確保支援活動を展開してきたわけでございまして、これまでに二百三十九回、三百三十七・一トンの物資を運んできたということがこれまでの実績でございます。

 今後のことにつきましては、先ほどもお話をしましたように、民生の安定、それからイラク全体の治安の問題等々をよくよくにらみながら我々は考えていく必要があると思いますが、向こう一年間延期をした直後でございますので、英国や豪州軍とよく連絡をとりながら、復興支援活動あるいはまた安全確保の活動ができるように緊密な連絡をとっていきたいというふうに思っております。

丸谷委員 次に、PRTについてお伺いをさせていただきたいんですけれども、報道によると、現在もアフガニスタンで行われています軍民共同の活動でありますPRT、このPRTを米国の方でイラクでも展開しようと構想中だという報道も出ておりました。

 まず、日本にもこのPRTの参加の呼びかけがあるように聞いておりますけれども、この点についてお伺いをさせていただきます。現時点でこのイラクでのPRTに参加する可能性があるのかどうか、この点についてお伺いをいたします。

吉川政府参考人 丸谷先生からのお尋ねは、イラクにおけるPRT参加についてのアメリカからの打診という御質問だと理解いたしました。

 アメリカ政府は、イラクにおいて、アフガンで言ってみれば成功をおさめつつありますこのPRTをイラクでも展開を始めようということで、既に一カ所開始をして、これから拡大しようという計画だと聞いております。これは、基本的には文民を軍事要員が守る格好で復興業務をしようという考え方です。

 アメリカ政府からは、日本を含みますいろいろな国々に、PRTに関心があるかどうかということの打診が来ていることは事実でございます。しかしながら、日本政府としましては、現在実施中の自衛隊によります人道復興支援とODA、このサマワにおける支援を引き続き実施していくことが先決であって、現時点でイラクにおけるPRTに参加するということは考えておりません。

丸谷委員 では、時間の方があと五分になりましたので、最後に外務大臣にお伺いをさせていただきます。

 二点お答え願いたいと思うんですけれども、まず一点目は、今までの我が国のイラクに対する支援のあり方というのは、暫定政府が国連の方に要請をし、あるいは国連の方から、では日本は何をする、国際社会の中でどんな役割分担をするという議論の中で支援がされています。来年、近いうちに新政権ができるわけでございますので、新政権ができた暁には、日本に、何をしてほしいのかと言うとちょっとおこがましい言い方でございますけれども、何を望んでいらっしゃるのか、この点について新たにイラクの新政権との議論をしていただいて、そして、我が国としてイラクのためにこれをさせていただくといった内容を、新政権発足の時期と余りたがわない早い時期にイラクの国民の皆様にお知らせする必要があるのではないかと思いますが、この点に対してどのように思うかということが一点。

 また、新政権ができたということで、以前、日本も数年前にリーダーシップをとってイラクの復興国際会議を開きました。イラクの新政権ができたことを機に、国際社会が何をするべきなのか、日本のリーダーシップのもとに再びこういった会議を開くことも非常に重要ではないかと考えますけれども、この点についての御見解をお伺いさせていただきます。

麻生国務大臣 最初の方の御質問ですけれども、二〇〇三年十月のマドリッドの会議が最初にやりましたときは、これはIMFによりますいわゆる復興需要調査が支援国のよりどころみたいな案だったんだと思います。しかし、二〇〇五年の七月、ことしの七月になりますけれども、これは、いわゆる暫定政権というか移行政府によりまして国家開発戦略というのが発表をされて、もう御案内のとおりなので、いわゆる受け入れをする土台ができたということだと思っております。おかげさまで、今回、来年早々にも新政権ができますと、その政権できちんとした対応がされていかれることになると思いますので、日本としては、そこと新たに、これまでと同じようなものになるかどうかは別にいたしまして、きちんとしたものをやっていかなければいかぬと思っております。

 基本的には、いわゆる資源のない最貧国とかいうような種類の国家ではありません。石油資源等々のものがありますので、そういったものはこの国独自のものがあろうと思いますので、私どもとしては向こうの政府ときちんとした話を詰めてやっていかなきゃいかぬと思いますが、基本的にはセルフヘルプ、自助というところが一番大事と考えておりますので、私どもとしては、なるべくきちんとした、役に立つような形でと思っております。

 もう一点の方の、支援国会議を開催する必要があるのではないかと思っておりますが、私どももその可能性はあるだろうと思っております。来年の二月にイラクのエルビルまたは隣国のトルコで、日本も設立に関与いたしました、トップドナー、応援者、支援者でありますイラク復興信託基金のドナー国の会合が開催される予定でもありますので、私どもとしては、そういうような場を利用いたしまして、積極的に、どうやるべきかというものを考えないといかぬと思っております。

 ただ、それにつきましても、それまでの間に、二月までの間に、どの程度の政府ができ上がり、どの程度治安がきちんとしていくかというところと非常に相関関係があろうという点は御理解いただきたいと存じます。

丸谷委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

三原委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 最初に、官房長官に伺います。

 ブッシュ大統領は十四日の演説で、イラクが大量破壊兵器を保有しているという情報の多くが結果的に間違っていたことは事実、開戦の責任は私にある、このように述べております。戦争を始めた張本人であるブッシュ大統領が誤りを認めたことについて、官房長官、どのように考えますか。

安倍国務大臣 ただいま委員御指摘のとおり、ブッシュ大統領は十四日の演説で、サダム・フセイン元大統領が大量破壊兵器を保有していたとの情報の多くは誤りであることが判明したが、大統領としてイラクへの進攻を決定した責任は私にあると述べる一方、サダム・フセインの経歴や九・一一テロ攻撃の教訓を踏まえれば、私のサダム・フセインを放逐するとの決断は正しかった、サダム・フセイン元大統領は脅威であり、米国と世界は彼が権力を握っていないことによってよりよい世界に住んでいるのであるとも述べていたというふうに承知をしております。

 我が国がアメリカ等による対イラク武力行使を支持したのは、イラクが十二年間にわたって累次の安保理決議に違反をし続けてきたという事実があります。その事実に対する認識、そして、イラクが国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかったとの認識に基づくものであり、この点は、平成十五年三月二十日の内閣総理大臣談話にあるとおりでございます。

赤嶺委員 私が聞いているのは、当時、戦争の最大の根拠にしていたこと、ブッシュ大統領が攻撃開始直前の最終通告で述べていたのは、間違いなくイラクは大量破壊兵器を隠している、世界の安全のためにはフセインを今すぐ武装解除しなければならないということでした。大量破壊兵器をイラクが保有しているということが戦争の最大の根拠であったわけです。ところが、大量破壊兵器が既になかったということが確定し、大統領も、誤った情報に基づいて判断したことを公式に認めたわけです。

 官房長官は、このような戦争を正当だと考えるわけですか。

安倍国務大臣 当時の国連の判断、そして国際社会の判断は、先ほど私が申し上げましたように、イラクの十二年間にわたる国連決議に対する違反の行為がありました。そしてまた、イラクはかつて大量破壊兵器を所有していた。生物化学兵器をイラン・イラク戦争の際に使用し、多くの人間の命を奪った、また自国民であるクルド人に対しても非情にもこの生物化学兵器を使用したという実績があるわけでございます。

 そして、事実、実績があることが示すように、彼らは大量破壊兵器を所有していたわけであって、大量破壊兵器を所有していた以上、その大量破壊兵器を廃棄したということを彼らは国際社会に向けて証明しなければならなかった。しかし、彼らはそれを証明しなかったわけであります。国際社会が、国連がイラクに対してチャンスを与えて、それを証明するチャンスを与えたにもかかわらず、イラクはそれを無視してきたという事実があります。

 我々がイラクが大量破壊兵器を持っているということを信じるに足る状況は、十分にあったというふうに考えています。また、先ほど申し上げましたブッシュ大統領の演説にありますように、ブッシュ大統領は、イラクに対する武力行使という判断そのものは間違っていなかった、こう言っているわけであります。

 日本としては、国連の決議また査察団の調査の結果等にかんがみ、多国籍軍の武力行使を支持したということでございます。

赤嶺委員 官房長官に伺いますけれども、そうすると、危険な独裁者、かつて自国民を虐殺した、そういう経歴もある独裁者であれば、武力を行使して打倒してもいいという立場なんですか。

安倍国務大臣 大量破壊兵器を製造していて、そしてそれを保持していて、戦争においてそれを行使し、多くの人間を殺す、また自国民にまでそうしたことを行う。そしてまた、十二年間にわたって国連決議を無視するということはそう起こることではないわけでありまして、イラクのような国は希有な国であった、こう思うわけであります。

 そして、十二年間、国連は粘り強く、イラクに対して国連決議をし、勧告を行ってきたわけであります。そして、国連決議一四四一において、これはまさに最後の通告であるという意味を込めてこの決議を行ったわけでありますが、それに対してもイラクはこたえなかったということではないか、こう思うわけであります。

赤嶺委員 イラクは希有な国だった、そしてフセインは答えを出さなかった。アメリカは、大量破壊兵器を持っていると断定して戦争を始めた。戦争を始めたその判断が、根拠が誤っていたにもかかわらず、戦争は正しかったと。こんな戦争を正当化できる議論がありますかね。

 それによって、この戦争がこんなふうに始まったことによって、イラクでは罪のない人たちがたくさん犠牲になっている。そういう戦争の始め方を日本が支持して、ブッシュ大統領の示している数字でも三万人以上の人が犠牲になった、こんな戦争支持政策を日本はとり続けるわけですか。何で間違っていたと言えないんですか。

安倍国務大臣 フセイン大統領は、イラクにおいて独裁政権を維持し、先ほど申し上げましたように、大量破壊兵器をつくり、そしてそれを保持し、自国民のクルド人に対してもそれを行使した、女性や子供に対してもそれを行使したわけであります。そして、みずからの体制を維持するために、自国民を拷問し、多数を殺害してきたということも事実でございます。フセイン大統領は全く無実の人間ではないわけでありまして、いわゆるイノセントでは全くないわけであります。

 このフセイン大統領が、当時国際社会が投げかけた疑問にはこたえずに、国連決議を無視し、そして、先ほど申し上げましたように、一四四一に対しても彼はこたえようとしなかったわけであって、まさにやむを得ないという中での決断だったというふうに考えております。

赤嶺委員 あなたが繰り返し強弁しておりますが、これは戦争を始めた弁解ですよ。二年半たって、戦争の最大の根拠であった大量破壊兵器はないということがはっきりしたじゃないですか。はっきりして、そして、その二年半の中で多くの人が犠牲になった。そういう戦争を起こしていいのか、そういうやり方が本当に正しいのかということが問われているときに、あれこれの戦争を合理化するような口実を持ち出しても、絶対に私は納得できないということを申し上げておきたいと思います。

 それで、次に基本計画の延長について聞きます。

 自衛隊のイラク派兵の根拠は既に完全に崩れているわけですから、私たちは、今すぐ撤退すべきだという立場であります。

 今回の基本計画では、派遣期間の項目に、いわゆる撤収の四条件と言われてきたものが規定されています。そこに、前回の立場では延長のときには具体的に触れていなかった、英国軍及びオーストラリア軍の活動状況をよく見きわめつつ、適切に対応するということが盛り込まれておりますが、このように基本計画を変更したのはなぜですか。

額賀国務大臣 陸上自衛隊及び航空自衛隊が派遣されておるのは、特措法に基づいて派遣をされているわけでございまして、我々は、イラクの地域の皆さん方の強い要望によって、また国連が向こう一年間権限を延期するということ、国連の要請、イラク政府の要請等々について、引き続いて復興支援活動を展開していくということを先般決断させていただいたわけでございます。

 我々は、みずからの安全はみずからの手で守るということを原則にし、しかもなおかつその上に、安全には安全を重ねるために、地域の皆さん方と親しい関係をつくる、緊密な連携をとる、そういう形と同時に、英国軍、豪州軍とも連絡員を設けて、しっかりと治安関係の情報を入手しながら復興支援活動を展開しているということであります。

 今後のことについて、英軍も豪州軍も、いつ撤退するとか明確に言っていることはありません。我々は、そういう中で引き続いて、英国軍、豪州軍と緊密な連携をとりながら、地域住民の要望の強い人道復興支援活動を展開していきたいということに尽きるわけでございます。

赤嶺委員 前回の基本計画の延長にはなかった英豪軍が、今回のところで表現されているのはなぜかということを私は聞いたんです。英豪軍がサマワから撤退する場合は陸上自衛隊の部隊も撤退する、そういうことなんですか。

額賀国務大臣 そういうことを申しているわけではありません。今申し上げましたように、我々は、みずからの安全確保のための行動をみずからの力で行うと同時に、英軍、豪州軍とも連携をとりながら地域の安全を図っている中で復興活動を展開しているということでございます。

 特に、英軍、豪軍は、地元のイラク人による治安部隊の育成等々をしているわけでございますから、一番理想的な姿は、我々でなくては人道的な復興活動ができないという環境を一日でも早く脱出して、民間の人とかNGOの皆さん方ができるようにすることが望ましいわけでございます。今度の選挙によって本格政府ができ上がって、そういう形が一日でも早く望まれることが、我々は期待をしているわけでございます。

 そういう中で、全体を見きわめながら、引き続いて向こう一年間人道的な復興活動を展開していくという考え方でございます。

赤嶺委員 私、前回触れなかった英豪軍のことに今回触れていることについての説明を求めたわけですが、場合によっては、それが撤退条件の中に何で入っているかということも聞いているわけですが、お答えになりません。

 それで、英豪軍自身は、撤退の見通しについて政府はどのように説明を受けているんですか。

額賀国務大臣 私が先般、十二月三日にサマワに行ったときに、英軍、豪軍の幹部の皆さん方と意見を交換いたしまして、地域の安全確保のために現地のイラク人による治安部隊の育成に力を注いでいる、日に日に治安能力は高まっているという説明を受けました。しかし、英軍、豪軍がいつ撤退するというようなことは、現地は一言もございませんでした。

 実際問題として、サマワにおいて、イラク軍の治安部隊と連携をとりながら、また現地の治安部隊を指導しながら、英軍、豪軍が治安の維持に努力をしているわけでありますから、英軍それから豪軍と連絡をとり合うのは当然のことであります。

赤嶺委員 現地のイギリス軍の司令官、ブラックマン大佐が十一月十五日に記者会見をしているんですが、こう言っています。多国籍軍はムサンナ州でイラク兵と警官を養成している、この任務は既に目標の八割を達成し、来年四月には終わる、そうなれば撤退を始めることになるだろう、このように活動が終了できるという見通しを述べている。撤退というようなことも視野に入れている時期になってきている、そうじゃないですか。

額賀国務大臣 私がサマワに行ったときも、現地のハッサーニ知事は、治安状況はイラクの治安部隊も非常に能力を高めておりよくなりつつある、したがって、十二月十五日の選挙においても、この地域においては混乱もなく行われるであろうという見通しを示しておりました。

 したがって、英国軍、豪州軍の幹部の皆さん方が治安の育成が行き届いて治安がよくなりつつあるという認識を持っているのは理解できるところであります。

赤嶺委員 英豪軍が、自分たちがやってきたその仕事が四月には大方めどがついて撤収の話が出てくるであろう、そういう話が現実にイギリス軍の現地司令官からも伝わってくる。しかし、今回の日本政府が出した基本計画の期間延長については、撤収の問題について、どこを聞いてもはっきりしない。いわゆる出口戦略がはっきりしないということは、国民に対して何の説明も行っていないということと同様だろうと思うんです。

 本当に、私は、はっきり説明責任を果たすと同時に、誤った戦争に加担した自衛隊の派遣、直ちに撤退すべきだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

三原委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日の審議は、二〇〇三年の三月二十日、米英軍がイラクに空撃、侵襲、侵略を開始して以降、この三年余りの間、我が国のその開戦の支持、あるいは、その後のずたずたになったインフラや治安の復興をめぐって何をなすべきで、またなすべきではなかったかということの審議に当たると思います。

 私は、きょう、冒頭の細野さんとの安倍官房長官のやりとり、あるいは今の赤嶺さんとのやりとりを聞きながら、明確にしていただきたいことが一点ございます。

 実は、今回、ブッシュ大統領が大量破壊兵器の存在について、情報収集活動も含めて、その点においては、あると判断したことは誤っておった、ここについては判断が誤っておったということを認められました。実は、二〇〇四年の九月の段階で、イギリスのブレア首相も、大量破壊兵器があったかなかったかということにおいての判断は誤っておったと認められました。それが開戦の理由として正当かどうかではなく、大量破壊兵器があったかなかったかという判断が誤っておったと認められ、ブレア首相も、国民に対してその点は謝罪されています。今回のブッシュ大統領もそうであります。

 果たして小泉首相は、二〇〇四年のたしか三月、記者団に聞かれたときは、私は今もってあると思っているとおっしゃいました。二〇〇四年の九月ないし十月段階では、先ほども細野さんが言われましたように、サダム・フセインが見つからないといって、いないとは言えない、すなわち、大量破壊兵器が見つからないといって、ないとは言えないとおっしゃいました。

 現時点で、内閣の正式見解は、大量破壊兵器がなかったという事実が判明した今、そのかつての首相のさまざまな発言、そして我が国のその一点における判断、どうであるのか、お聞かせください、官房長官。

安倍国務大臣 ブッシュ大統領の演説における情報機関の情報の誤りについては、いわゆる自国の情報機関に対する評価を述べたわけでございます。恐らくブレア首相もそうだったのであろう、このように思います。我が国としては、各国の情報機関が有していた情報を評価できる立場にはありません。他方、ブッシュ大統領は、多国籍軍がイラクに武力行使をしたという自分の判断は誤っていなかったということを明確に述べています。

 我が国が多国籍軍のイラクに対する武力攻撃を支持したその理由は、累次にわたる国連決議に反していた、そしてまた、いわゆる大量破壊兵器について派遣された調査団の報告等々を総合的に判断した上、国連決議にのっとって我々は判断をした、この判断は間違っていなかったというふうに考えています。

阿部(知)委員 私がわざわざブレア首相の例を出したのは、やはりブレア首相とて、自国の調査団がやったことではないわけです。しかし、ともに開戦に踏み切ったわけです。そして、アメリカの情報機関のこのたびの、実は一年前の発表です、そして今回のブッシュ大統領の発言、それを受けてみずからのあったかなかったかにおける判断は誤っていたと謝罪されたわけです。

 確かに、米英軍を支持した日本、ブッシュ大統領とブレアの関係からいえば、少し小泉さんは遠いかもしれません。しかし、今のお答えでは明確に答えていただいていません。あったかなかったかの判断について日本もまた過ちを犯したと、その点については明確に国民に謝罪されるべきです。そこからこの戦争は始まりました。

 あとの開戦理由の幾つかも私はちゃんと反論したいと思いますが、とても潔くない、小泉首相のこの間のこの事件をめぐる、この大きな戦争をめぐるさまざまな言論は。なかった、そのことは認めて、そして、あると思っていた、そのことについては謝罪をしていただきたいが、いかがですか。この一点で結構です。

安倍国務大臣 今阿部委員がおっしゃっていたことで少し違うなと思うのは、私が先ほど申し上げましたのは、いわゆる調査団が行った、その調査に対する評価としてではなくて、ブッシュ大統領は、自国の情報機関の情報が、その多くが誤っていたということについて述べたわけでありまして、ブレア首相も、ブレア首相の自国の情報機関の情報とその分析について一部誤りがあったという評価を述べたわけであります。

 他方、我が国としては、他国の情報機関の情報について評価する立場にはありません。一方、多国籍軍が、米英軍ではなくて多国籍軍がイラクを攻撃した、武力行使をしたということについての我が国の支持は、安保理決議による支持であったということでございます。

阿部(知)委員 それがうそでございます。なぜならば、二〇〇四年の十月にアメリカの米政府最終調査報告が出たときに、ブレア首相はそれに基づいて、大量破壊兵器があるとした自分の判断は誤っていたと認められたのであります。ちょうど今から一年近く前のことであります。イギリスは、イギリスの諜報機関が間違いを犯したから認めたのではなく、アメリカの委員会報告が出て、それは、戦後イラクに調査団が入り、大量破壊兵器があるかないかを検証し、一年半後に出した結果に基づいて、ブレアは、その当時あると判断した自分の開戦時の判断を謝罪したのであります。

 もし安倍官房長官にその点の認識がなければ、きちんと調べていただいて、私は、次の回でも結構ですから、ここをやはり、日本がこの開戦を支持し、しかし現実になかった大量破壊兵器のために三万人以上の死者が出たというこの現実を、どのように私どもの国が、逆に、過ちは認めた上で、しかし復興という、人が生きていくという一番大事な点に本当に何ができるのかをきっちりと今後に生かしたいと思います。

 きょうの審議の中で、例えば新生児死亡率が出てまいりました。しかし、イラクは、一九九〇年初めの湾岸戦争以前は、中東で随一の医療水準を誇り、また非常に教育熱心で、あの湾岸戦争以降、経済制裁で急激に乳幼児死亡率は伸びてまいりました。開戦前、高校生の若者たちは、ちょうど日本の若者のようにインターネットカフェで世界各国の情報を収集しておりました。そして、その国を暴力的に攻撃したことが、今回、治安問題、あるいはずたずたになったインフラ、雇用、すべからく悲劇のもとになっております。

 そして、安倍官房長官がおっしゃいましたが、果たしてあのとき国際社会は開戦に賛成したのか。その一つの例に挙げられた一四四一という国連の決議の後に、十一月下旬から、大量破壊兵器をめぐる査察団、特に核の査察団がイラクに入りました。その委員長であったブリクスさんは、二〇〇三年の六月に退任されるときに、自分たちにあと数カ月の時間が与えられれば、大量破壊兵器はなかったということが証明できたのにと非常に残念がっておられました。

 逆に、査察団を中断させて強硬に戦争に踏み切りました。国連決議を支持した国は、あの決議とは、官房長官、これもよく読んでください。さまざまな、いろいろな査察の結果、問題があればそれを報告するということがこの決議の四番目の事項であります。イラクの義務のさらなる重大な違反を構成するものについて、「同理事会に報告されることを決定する。」です。査察して問題があれば報告するというのが一四四一決議です。それは、何も開戦のための決議ではありません。

 このたび、IAEAのエルバラダイ氏、ノーベル平和賞を受賞されました。このIAEAと国連の核査察団の二つの活動は、当時、この開戦に反対とまでは言える立場になくても、自分たちの仕事を継続したいということをおっしゃっていました。他の解決方法があったはずではないですか。今ここに至って、大量破壊兵器もなかった。サダム・フセインが暴君であった、あるいは虐殺した、だから進攻していいというなら、明らかに内政干渉になってまいります。

 安倍さんは御存じでしょうか。イラクは当初からの国連加盟国です、戦後、冒頭にできた国連の。そして、このイラクへの武力の進攻が国連憲章に違反するとアナン総長がおっしゃったのが、二〇〇四年の九月のことです。こうしたいろいろな流れの中で、今、開戦の正義というものも含めて、先ほど安倍官房長官が挙げられた国際社会の決議あるいは核査察の状況、この二つとも、大臣が、官房長官が答えられたようではないと思いますが、いかがですか。

安倍国務大臣 先ほど委員は、国連決議の一四四一について引用されましたが、この一四四一の要旨の中には、こうあります。関連安保理決議上の義務に、これまでもまた現在もなお重大な違反をしている。イラクに対し、武装解除の義務を遵守する最後の機会を与える。強化された査察体制を構築し実施する。イラクにさらなる重大な違反があった場合には安保理会合を即時に開催する。その際、安保理は、イラクに対して継続した義務違反の結果として深刻な結果に直面することを繰り返し警告してきたことを想起する、こうあるわけであります。

 また、委員は、湾岸戦争の前はということで言及されました。まるでサダム・フセイン政権が極めて立派な政権であった国のように言っておられるわけでありますが、そもそも湾岸戦争は、イラクがクウェートに侵攻したことによって起こったことであります。

 そしてまた、一九八八年三月十六日、イラン・イラク戦争の末期、イラン北部にあるクルド人の町ハラブジャで、化学兵器を使って住民約三千二百人から五千人を虐殺いたしました。そしてまた、イラン・イラク戦争の最中、一九八三年から一九八八年の間にイラクは、一万九千五百発の化学爆弾、五万四千発以上の化学砲弾、二万七千発の短距離化学ロケット弾を使用しました。また同時に、イラクは、千八百トンのマスタードガス、百四十トンのタブンガス、六百トン以上のサリンを使用したわけであります。

 こういう国であることにかんがみ、また、十二年間ずっと国連決議を無視してきたという中にあって最終的な判断がなされたものである、こう認識をしております。

阿部(知)委員 私に残された時間がございませんので。

 今の官房長官の前段の発言があったからこそUNMOVICが十一月下旬から査察に入り、さらに期限を延長してほしいと言っていた矢先に攻撃したということです。そして、何もサダム・フセインに私はくみするものでなく、しかし、サダム・フセイン体制下以上の人権侵害が今も、治安の悪化、女性たちは外にも出られない、子供たちもまだまだ多数死んでおるという中で起こっているからこそ、違う解決があったのではないかということをこの場で論じ合いたいと思っております。

 ありがとうございます。

三原委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


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