衆議院

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第4号 平成18年5月31日(水曜日)

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平成十八年五月三十一日(水曜日)

    午後四時開議

 出席委員

   委員長 三原 朝彦君

   理事 石破  茂君 理事 岩屋  毅君

   理事 西村 康稔君 理事 松浪健四郎君

   理事 渡辺 具能君 理事 末松 義規君

   理事 伴野  豊君 理事 田端 正広君

      石原 宏高君    今津  寛君

      宇野  治君    江渡 聡徳君

      小野 次郎君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    金子善次郎君

      川条 志嘉君    木挽  司君

      清水鴻一郎君    鈴木 馨祐君

      谷本 龍哉君    土井 真樹君

      冨岡  勉君    中根 一幸君

      中森ふくよ君    西本 勝子君

      橋本  岳君    藤野真紀子君

      松本 洋平君    宮澤 洋一君

      池田 元久君    後藤  斎君

      神風 英男君    田島 一成君

      武正 公一君    達増 拓也君

      長島 昭久君    古本伸一郎君

      山井 和則君    高木 陽介君

      谷口 和史君    赤嶺 政賢君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 善久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 谷口 智彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 伊藤 秀樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 高橋礼一郎君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難監) 冨賀見栄一君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        田島 秀男君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  細野 豪志君     池田 元久君

五月三十一日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     木挽  司君

  越智 隆雄君     小野 次郎君

  藤野真紀子君     川条 志嘉君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     越智 隆雄君

  川条 志嘉君     藤野真紀子君

  木挽  司君     安次富 修君

    ―――――――――――――

五月八日

 自衛隊のイラク派兵の中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九〇〇号)

同月二十九日

 イラクからの自衛隊撤退を求めることに関する請願(吉井英勝君紹介)(第二五三四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件


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     ――――◇―――――

三原委員長 これより会議を開きます。

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁長官官房長西川徹矢君、防衛庁運用局長山崎信之郎君、外務省大臣官房審議官遠藤善久君、外務省大臣官房参事官谷口智彦君、外務省大臣官房参事官梅田邦夫君、外務省大臣官房参事官伊藤秀樹君、外務省大臣官房参事官高橋礼一郎君、外務省国際法局長小松一郎君及び海上保安庁警備救難監冨賀見栄一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三原委員長 この際、政府から説明を聴取いたします。防衛庁運用局長山崎信之郎君。

山崎政府参考人 イラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊の部隊の最近の活動状況について御報告いたします。

 現在、陸上自衛隊のイラク派遣部隊は、安全確保に十分配意しつつ、ムサンナ県において学校補修、道路整備等を引き続き実施しております。また、医療支援活動についても継続して実施しております。

 なお、イラク復興支援群については、第十次群が五月二十六日以降活動をしております。

 ムサンナ県における全般的な治安状況は、イラクの他の地域に比べ、比較的安定しております。

 また、四月十七日以降のサマワ周辺の情勢について、主な事件は以下のとおりです。

 五月十一日、サマワの東約三十五キロメートルの道路上で、陸自との契約に基づき食料品を輸送していた民間車両一両が損傷する事案がありました。

 なお、本事案において現地部隊の人員に異状がないことを確認しております。

 航空自衛隊の部隊につきましては、陸自のサマワ宿営地に近いタリル飛行場等イラク国内の飛行場に対しC130機による輸送を継続しており、派遣当初から本年五月三十日までの間に、総計三百二十二回、約四百四十九トンの輸送を行ったところでございます。

 以上です。

三原委員長 次に、吉川局長出張につき、外務省大臣官房参事官伊藤秀樹君。

伊藤政府参考人 最近のイラク情勢に関し、御報告いたします。

 政治プロセスについては、五月二十日、イラク国民議会において閣僚名簿が提出され、承認されました。これによりイラク新政府が発足し、安保理決議一五四六等で定められた政治プロセスが完了したことになります。

 新政府発足を受けて我が国は、二十日、麻生外務大臣から、新政府発足を歓迎する、イラクが国民融和のもとで民主的で安定的な国家として発展するとともに、国際社会の責任ある一員として繁栄していくことを期待する、我が国は引き続きイラク復興支援に協力していく、の三点を要点とする談話を発出いたしました。また、二十三日には、麻生大臣はジバリ・イラク外務大臣と電話会談を行い、同趣旨を伝えました。

 イラクの治安情勢については、地域により脅威の度合いは異なるものの、依然予断を許さない状況が継続しております。

 他方、次のような前向きの動きも見られます。

 イラク治安部隊は、昨年一月に約十三万人でしたが、五月二十四日現在、約二十六万三千人となり、NATOや各国の支援もあり、強化されています。

 多国籍軍に対する武装勢力による攻撃事件は、バグダッドを初めとする中部地域及び北部地域の一部に限定されてきております。

 なお、サマワの情勢については、イラクの他の地域と比較して安定している状況に変化はございません。

 以上でございます。

三原委員長 これにて説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

三原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大塚拓君。

大塚(拓)委員 自由民主党の大塚拓でございます。

 五月二十日にイラクで本格政権がスタートしたということで、これをめぐる情勢について質問をさせていただきたいと思います。

 本格政権発足ということは、確かに一つステップが進んだ、フェーズが変わってきたということを意味するかと思いますけれども、マスコミなどではこれを受けて、撤収のタイミングはどうなのか、こういうことが盛り上がってきているというのかなというふうに考えております。

 そして、一方でいろいろな不確実要素もあると思います。例えば、六月中であるというふうにされている治安権限の移譲というのが果たしてスムーズにいくのであろうか。あるいは、米国、英国等諸外国がどのように対応していくのか。例えば、きょうニュースを見ておりましたら、米国は、二個大隊千五百人、きょうですかきのうですか、追加派遣をしたというようなニュースも流れておりました。こういう状況の中で、果たして撤収に向けた動きがスムーズにいくのかどうか。あるいは、新政府の内部の宗派対立、シーア派、スンニ派、クルド人、これの対立がいろいろ複雑であるということはつとに指摘されておりますけれども、新政権発足から十日たった今でも、内務大臣であるとか国防大臣、あるいは国家安全保障担当大臣、重要なポストがまだ決まっていない。

 こういう不確実要素がいろいろあるということを考えると、現状は、我が国としては、撤退するぞということを決定したときには直ちに、速やかにクウェートまで引けるという準備を着々と進めつつ、慎重に情勢を見きわめていく、こういうフェーズにあるのかな、こんなふうに考えております。

 そこでまず、政府として、この新政権が発足した後のイラクの政治情勢とこれに対する各国の対応ぶりというのをどのように評価されているのか。そして、それを踏まえて我が国としては、どういう方針で撤収に向けてというんでしょうか、撤収の方針はどのようなことになっているのかというのを確認させていただきたいと思います。

塩崎副大臣 五月二十日に、イラク国民議会において閣僚名簿が発表されて承認をされたわけで、これで一応新政府が発足をいたしまして、安保理決議の一五四六等で定められた政治プロセスが完了したことに一応なるわけでありますけれども、それについては、我が国としてもこれを極めて重要な成長として大いに歓迎したい、こういうふうに思っています。

 一方で、今御指摘のとおり、内務大臣、国防大臣等は依然首相、副首相が代行しているというようなことでありますので、今後引き続いて動向を注視していかなければならないと思っていますし、目の前には、連邦制の問題、それから憲法の改正という問題、それから、フセイン政権時代にアラブ化が行われたキルクーク、これをどうするのか、この帰属問題、こういった課題に対応しなければならないということで、こういう課題を克服してイラクが、本当に国民融和の中で民主的で安定的な国家として発展をすることが自分の足でできるのどうか、国際社会の責任ある一員に戻れるのかどうかということを非常に我々も注目し、また、そうなることを期待しているということでございます。

 諸外国がどうなんだということでありますけれども、この発足について、アメリカやイギリス、フランス、ドイツなど、それぞれ欧州諸国またアラブ諸国、世界各国から歓迎を一様にしてくれているわけでありますし、我が国を含め各国は、これから連携をしてイラクの復興に努めていかなければいけない、こういうふうに思っているところでございます。

大塚(拓)委員 ありがとうございます。

 いろいろな状況を見ながら考えていかなきゃいけないということだと思うんですけれども、撤収ということがテーマになってきたときに、撤収後にどうするかということもあわせて考えておかなければいけないということだと思います。ぶん投げでもう帰るからそれっきりでは今までの努力は水の泡に帰してしまうわけであって、六月以降、いつのタイミングかはっきりわからないかもしれませんけれども、治安権限が移譲されて、英豪軍もいずれ撤収していくだろうという中で、我が国としては、自衛隊の復興からODA等の経済協力などに移っていかなければいけないだろうと考えております。

 権限が移譲され英豪軍が撤退すると、やはり、現地の治安状況、治安を取り巻く環境というのは大きく変わってくるというふうに思うわけですが、その撤退後の状況をどのように見られているのか、その見通しと、その中でどのように経済協力、経済支援の枠組みというものを実施していこうとされているのかというところをお伺いしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 このイラクの治安情勢というものにつきましては、新政権が、選挙が終わって内閣ができるまでに何カ月かかりましたか、丸々五カ月ぐらいかかってやっと内閣ができて、できたはいいけれども、肝心の治安を担当する内務大臣が決まっていないとか、いろいろあった状態が続いておりますので、これは、新政府としては発足しておりますけれども、状態として、形としては治安担当のところは兼務とか、いろいろな形になっていますので、外務大臣に電話を三回、四回話してみましても、そこのところがいま一つというところなんだと思っております。

 いずれにいたしましても、地域によって治安の状況に差があることははっきりしておると思っておりますので、依然予断を許さぬ状態が続いているのが確かだと存じます。

 そういった中で、片方、イランの治安部隊自体を見ますと、昨年の一月ぐらいまでは十三万人の治安部隊ということになっておりましたけれども、この五月二十四日では二十六万三千と、一応その数約倍増という形になっておりますので、NATOとか各国の支援というものも随分進んできたというか、ふえてきたということも確かだと思っております。多国籍軍に対する武装勢力によります攻撃とかいうものは、中部とか北部の一地域にかなり限定されてきたというような形になっております。また、そういったような状況でもありますので、地域によっては非常に差があるので、イラクというとぐあいの悪いところばかり出ますけれども、ぐあいのいいところもあるんだというところをちょっと頭に入れておかないと、大きな国でもありますので、かなり違いがあるということを頭に入れておかねばならぬと思っております。

 それから、ODAのお話がありましたけれども、このイラクの支援に関しましては、これは、自衛隊を派遣する以前からODAというのをやっているんですけれども、当面の支援として、無償資金等々で十五億ドルとか、中期的な復興ニーズに対する基本的な円借款で最大約三十五億ドル、合計五十億ドルの支援を実施することにしております。

 今月発足をしたイラクの新政府の開発戦略というのが今つくられて、いろいろ、大臣の決まったところから少しずつ出てきているんですけれども、このイラク自身の国づくりというのをよく見ながらこれをスタートさせていければいいと思っておりますが、ただ、具体的な日程ということになりますと、ちょっとその他との関係がいま一つよく見えていないので、具体的な日程を申し上げるほどの段階には至っていないと御理解いただければと存じます。

大塚(拓)委員 そこまでは比較的一般的な質問であったわけですが、次も一般的かもしれません。一番気にしておりますのは、イランの動向でございます。

 大体ことしの三月ぐらいから、米国のブッシュ大統領が、イランがイラクの国内のシーア派のテロ勢力に武器を供与しているとして非難を強めていたり、イラクの新政権はシーア派主導の政権でございますけれども、これと米国が最近不協和音があるんではないかということは新聞などでも多々報じられている。これにイランが便乗するような形で、だんだんシーア派イラク政権と距離を深めよう、関係を深めようとしているように見えるわけでございます。

 具体的な事例を挙げますと、イランのモッタキ外相が、新政権発足後、早速、マリキ首相、ジバリ外相、あるいはシーア派の最高指導者アリ・シスターニ師などと面談をしている、会談を繰り返していると。それとあわせて直接投資の約束などもしているようである。

 さらに、こうした一連の会談の後で、これは五月二十七日の日本経済新聞の報道でございますが、イランは、「イラク安定化に向けた米国との直接協議の開催には当面応じない」と。これは恐らく、三月、四月ごろから、イランと米国がイラクの安定に関してのみパイプを開こうというふうにしていたんだと思いますけれども、これは当面応じませんということを表明したり、ちょっと一番深刻かなと思うのは、イラクのジバリ外相が、「イランが平和目的で核開発を進める権利を尊重する」、こういう発言をしているという報道がなされております。ちょっと困った問題かなというふうに考えておるわけでございますけれども、現在のイランとイラクの関係というものを政府としてはどのように見ておられるのか。

 こうした状況のもと多国籍軍が撤退をしていくということになると、シーア派国家同士、イランとイラクが深く結びついて、悪くすると反米同盟のような形になってしまうという危険性も完全に否定はし切れないというふうに思うわけですけれども、ここについていかがお考えでしょうか、お聞かせください。

塩崎副大臣 シーア派の国家同士が反米でくっつくんじゃないか、こういう御懸念かと思うわけでありますが、まず、イランとイラクの関係を見てみますと、イラクの先ほどの新政府発足、この際に、イランの外務報道官のアセフィという方が、早速、新政府の発足を歓迎して祝意をあらわしているということでありますし、先ほど、モッタキ外相がイラクを訪問したという話もありましたが、こういう形で確かに密接になっていることも事実であります。しかし、一方で、かつてイランとイラクは戦争もしているわけであって、今後は、どちらも中東の大国ということで、良好な関係を維持し、地域の平和と安定に貢献していこうということを我々としては期待したいところであります。

 しかし、一方で、シーア派だから反米になるかというと、シーア派がマジョリティーであるのは、ほかに例えばバーレーンなんという国もありますけれども、では反米かというと、必ずしもそうも言えないということであります。

 イランとアメリカの問題というのは、御案内のように、今、核開発の問題、濃縮の問題でいろいろ意見を異にしていろいろ問題が起きているわけでありますけれども、これは、イランがシーア派主体の国家であるからそうなっているわけでは決してないわけであって、ほかに、原子力の開発をやっている北朝鮮みたいな問題もあって、これも決してアメリカと仲がいいことは絶対あり得ないわけでありますから、そういうこともある。

 それから、一方でアメリカは、一九七九年のイランの大使館での人質事件という歴史的に問題があって、そういうこともあっていろいろ問題を抱えているということで、今、貿易面でもほとんどないということであります。

 したがって、多国籍軍が撤退をしてバキュームができて、イランとイラクが手を結んで反米同盟になるという図式が単純にそれだけで成立をするというわけでもなくて、いろいろな複雑な要因が絡まった上で、その一つの要素としてのシーア派というのを共通項としてどう考えるのかということだろうと思いますので、よく見ていかなきゃいけないけれども、そう単純なものでもないかもわからない、こういうことだと思います。

大塚(拓)委員 確かに、そう単純なものではないんだろうというふうに思っております。

 一方で、イラクのシーア派というのは、以前、フセイン政権のもとでは非常に反米の勢力として活動していたものが、フセイン政権崩壊後の新政権に向けた動きの中で、便宜的に米国と手を結んできたというところもあるのかなというような気もしております。同時に、そこに着目しているイランがしきりにアプローチをしている。余り気を許すといけない状況なのかなというふうに思うわけですけれども、ここにアラブ諸国の懸念もあるのではないか。エジプトですとかサウジアラビアですとかスンニ派系の国家の中では、やはり、このイラクのシーア派が増長していくということについて結構懸念があるというふうに聞いております。

 そういう中で、以前は、スンニ派国家としてイラクが、曲がりなりにもアラブのイランに対する拮抗力というか、緩衝材のような役割を果たしていたところがあると思うんですが、そこがこういう状況になってきたときに、アラブ諸国が懸念するように、少し中東のパワーバランスというものに影響を与えてくるであろう、こんなふうに思うわけですが、そのイラクが自立していったという後の中東情勢、地域のパワーバランスというものをどのように見られているのか、それに対して我が国としてはどういうふうに対応していったらいいのか。ちょっと難しい問題を含んでいることは重々承知ではあるんですけれども、外務大臣の御所見をお伺いできればと思います。

塩崎副大臣 中東全体のパワーバランスという中に、イランも含めての中東ということで、中東というのはどこまで入れるかというのはいろいろありますが、確かに、パワーバランスがそれは刻々変わっていくことは間違いないし、スンニ派国家だったイラクが、シーア派というか、シーア派だけではなくて、クルドの勢力も含めて、それこそ中のパワーバランスの中で成り立っているイラクという新しい国家がガバナンスを持って出てきているわけでありますけれども、もう一つ忘れてはならないのは、イラクはアラブ人が多い中でクルド人が若干いるということで、三割ぐらいでしょうか、二割、三割、一方で、イランはペルシャ人ということで、また人種も違うということでございます。

 ですから、そういうことで、中東の安定というのは、宗教間のバランスだけではなくて、周辺国家やそれから域外の主要国、大国の動向というのが非常に多岐にわたる要素として影響を与えていくわけでありますし、イラクをめぐっては、まずは今の国づくりのプロセスを順調に進めることが重要であって、そのため、日本を含む各国、大国を含めてどういうかかわりをしていくのかという中で支援をやっていくことでパワーバランスが変な形で偏らないようにしていくということがこの中東の安定のために必要なのではないか、こういうふうに思うところでございます。

大塚(拓)委員 ありがとうございます。イラン、イラク、あるいは米国との関係、大変複雑で難しいところもあると思うんですけれども、ぜひしっかり頑張っていっていただきたい、このように思っております。

 最後に、広報に関してちょっとお伺いしたいと思います。

 イラクの復興支援というのは税金を投入してやっておるわけでございますから、しっかり国内に向けてその活動を周知していくということは必要なんであろうというふうに考えております。また、こうしたたぐいの国際協力というのは、日本の外交にとっても非常に重要ですから、国民の理解というものをしっかり得ていく必要があろうと。

 そういう中で、このところ防衛庁の方では、愛知政務官の主導のもと、パッケージ広報ということで、いろいろなさまざまな新しい取り組みをされていると思います。防衛庁の新しい風かなと思って、非常に高く評価させていただいているところでございますが、一方で、日本の貢献というものを中東地域に知らしめていくための国際広報というのも重要なんであろう、このように考えております。

 特に、陸上自衛隊が撤収した後ということを考えますと、現在、陸上自衛隊は目の前にいてプレゼンスがあるわけですから、どういう貢献をしているというのは現地人にも見えやすい、メディアにも乗りやすいというところがあるかと思いますけれども、そういうことはなくなっていく。またあるいは、経済協力で現地に民間人とかJICAの職員が入っていきますと、彼らの安全のためにも今以上に現地の対日イメージというのは大事になってくるかもしれない。あるいは先ほどのパワーバランスの話を考えたときに、中東における日本のイメージというのは非常に重要であろうというふうに思うわけですが、国際広報について、これまでのお取り組みの評価と、今後どのようにされていくおつもりかというのをお伺いできればと、このように考えております。

額賀国務大臣 もう委員御承知のとおり、広報活動は非常に大事なことであると思います。愛知政務官が非常に一生懸命で、積極的に取り組んでおられることを評価していただいてありがたいと思っております。

 御存じのように、イラクに自衛隊が何のために派遣されているのか、国民の皆さん方にもまず理解してもらわなければならないし、おっしゃるように税金を使ってやっているわけでありますから、これはしっかりとPRしなければならない。また、イラク人あるいはアラブ諸国、中東の皆さん方にも日本のそういう国際平和協力活動について正当に理解してもらうことが日本の将来のためにプラスになるわけでありますから、そういう活動は当然必要であるというふうに思っておりまして、今のところどういうことをやってきたのかということでございますけれども、一つは、アラビア語版、英語版ホームページによる広報、それから、アラビア語版、英語版パンフレットの作成、配布、英語版政府広報誌への関連記事の掲載、海外テレビ局提供、海外メディアからの取材への対応、現地のテレビ、新聞による広報、現地部隊による広報活動であります。

 だけれども、いろいろ考えてみると、これは、防衛庁の予算というのは大体どれくらい使っているのかねとこの前調べてみましたら、内外の広報で三億円程度でございますから、やはりこれは、国家戦略としてしっかりと考えて、世界の中で日本が、平和とか自由とか民主主義とか、そういう価値観に基づいてきちっと平和協力活動をしているということ、そういうことについてもうちょっとメディアを活用して展開していくことが必要だというふうに私は思っております。

 今、NHKの改革等をやっておるわけでありますから、政治はそういうところにきちっと、日本の言ってみれば政治とかそれから経済活動だとか平和貢献の活動について、もうちょっと戦略的にどういうふうにアピールするかということを与党でもしっかりと議論していただいて、我々にひとつ提案をしていただければいいんじゃないかなという思いもあります。政府も一生懸命考えなければならないと思っています。

大塚(拓)委員 広報について、外務省も含めて予算をもっと拡充していくべきであろうというふうに考えておりますので、ぜひ、防衛庁、外務省も協力して積極的に取り組んでいっていただきたいというふうに思います。

 時間ですので終わります。

三原委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 今回、この五月二十日にイラクの新しい政府が発足した、非常に喜ばしい、こう思います。しかしまだ残念なことに、内務大臣、国家安全保障担当大臣、そして国防大臣というこの重要なポストが三つ決まっていないという意味では、まだ本格的ではないかな、こう思うわけでありますが、きのう、おとといぐらいに決まるんではないかと言われていたのが、まだそういう朗報が伝わってこないので、もう少し時間がかかるんだな、こう思っておりますけれども、しかし、挙国一致内閣が誕生ということになれば、これは大変喜ばしい、また、新しい民主国家として生まれるという意味で我々も歓迎したいと思いますし、同時に、そうしますと、このサマワにいる自衛隊の使命というものも、そういう意味ではいよいよ終わりの段階に入ってきて、撤収ということが現実味を持ってくるんだろう、こう思うわけであります。

 そこで、そういう今段階でありますが、防衛庁長官としてこの撤収の問題は今も相当頭の中にあるんではないかと思いますが、どういうお考えでございましょう。

額賀国務大臣 田端委員、もう率直にいろいろ話をしたいという気持ちはあるのでありますけれども、一般論的に言えば、派遣をもうしたわけだから、派遣を始めたときは、終わるときのことも考えて派遣をしているわけでありますから、撤収のことも当然最初から考えているわけでありまして、あとは、どういう成果を上げているのか、仕事がどういうふうに進捗しているのか、あるいは状況がどうなのか、そういうことをよくにらみながら考えていかなければならない。

 おっしゃるように、今度、イラク新政権ができてマリキ首相も、六月には治安権限の移譲が行われるところも出てくるかもしれないというような発言をなさったことも事実であるし、一方で各国の首脳部が、権限移譲ができる環境が整いつつある、そういう発言はされておるけれども、きっちりとタイムスケジュール的に話されているわけではないわけでございます。

 したがって、我々としては、従来どおり、そういう政治状況だとか、あるいはまたそういう英国だとか豪州軍だとか米国とよく相談をしながら、あるいは緊密な連絡を取り合いながら自衛隊の今後のことについて考えていくことが大事である、一つ一つ、事実に基づいた上で考えていかなければならないというふうに思っております。

田端委員 長官がおっしゃるとおりだと思います。そういう意味では、では今後どうするかということもまた次の視野に入れなきゃならない、そういうテーマでもあるかと思います。

 麻生外務大臣、先ほどの御報告にもあったように、ジバリ外相と電話でも会談されたということでございますし、新政府を歓迎するとともに、今後、日本はまた支援も引き続きやっていこう、こういうことをお話しになったということを聞いております。そういう意味で、外務大臣として、今後、次のステップとしてどういう支援のあり方ということも当然お考えになっているんだと思いますが、もしお話しできる範囲で御説明いただければと思います。

麻生国務大臣 このジバリという人は、前政権からこの政権に引き続いて残った三十七閣僚のうちの四人のうちの一人でありますので、クルド人なんですけれども、それなりの力を持っているから残ったんだろうと思っております。最初のころ、日本に来た六カ月前、五カ月前、電話した何回かのところ、だんだん声に張りも出てきましたので、少しずつ自信が出てきているのかなと思ってはいます。これは気分で、もうとにかく、こっちが問い詰められると嫌だなというときはやはりなかなか声の張りも出ませんので、だんだん声に張りが出てきたので、ああ、大分調子が出てきているのかなと思っておりました。おれは残ると言ってちゃんと残りましたし、そういったところも大分調子が出てきてはいるんだろうなとは思っています。

 基本的には、これまでかなり少数で抑えられていた分が今度は多数のがばあんといったことに、選挙ですからそういうことになるんですけれども、国の中は、宗教とかクルド人を含めて、北部、中部、南西部、南東部と分かれるんでしょうけれども、巨大なところですから、こういったところでどうやってバランスさせていくのかなと。我々、ちょっと狭い国土に人口密度のやたら高いところと全く多分感覚の違うところだと思いますので、何を我々に期待しているのかというものは、我々がこんなのが必要なんじゃないのかなと思うものと多分かなり違うと思いますね。そういった意味では、行政能力のあった者は全部出していますから、多分そこらの行政能力がないから、行政を何とかしろというようなことを言われる可能性なんて考えているのは今こちら側にいませんから、しかし現実問題として、そういう行政能力のあるイラク人は全部今あそこにいなくなっておりますので、そういう意味では、どういうところが向こうの期待しているところなのかは一回よく詰めてみないといかぬところだろうと思っております。

 それで、治安がきちんとしてくれば、ODAやらNGOやらいろいろ出せるものも出せてくると思います。インフラがかなりいかれていることは確かだと思います。電気とか水道とかそういったものがかなり破壊されているだろうなというのは想像はつくところですけれども、いずれにいたしましても、きちんとしたプランを立ててやっていくことが大切なので、どういう人材を向こうが望んでいるのか、どういう支援を望んでいるのかというのは、少し詰めさせていただいた上での話だと存じます。

田端委員 おっしゃるように、治安問題が最大のテーマであり、今、英豪軍によるイラクの治安、特にサマワ方面は、この英豪軍の治安部隊が治安の権限をイラクに移譲するということがその前提になるんだろうと思いますが、先日、イギリスのブレア首相が訪問された際に、マリキ首相が、サマワとアマラの二州については治安権限の移譲は六月に実現するとこうおっしゃった、こういうことであります。

 そうしますと、もうあすから六月でありますから、そういう意味では、まさに一つの新しいステップが行われる、こういうことが予想されますので、そうなりますと、英豪と日本との協議といいますか、今までもずっと何回か実務者の間でも議論されていると思いますけれども、今後のこのステップということについていろいろ本格的にもう話し合いをする段階に来るんだろう、こう思いますが、次の段階、いつごろどういう、どこで御計画になっているんでしょうか。

額賀国務大臣 田端委員がおっしゃるとおり、英豪軍、もちろん米国も含めて、きちっとした連携をとりながら対応していくことが大事であるというふうに思っております。日本が自分勝手に適当にやるというわけにはまいらない。

 それは、やはりお互いの信頼関係もあるし、それからまた、イラク人に対するせっかくの協力によって高い評価を受けているわけでありますから、そういう評価がやはりずっと残っていくような形を継続していかなければならない。そういうことは極めて大事なことだと思いますから、それは、イラク政府、それからムサンナ県の幹部の皆さん、サマワの地域住民の皆さん方ともよく理解し合う中で今後のことを展開していく必要もある。当然、英豪軍とも、きちっと理解を得る中でやっていかなければならないというふうに思っております。

 私も、ことしの一月に英国の国防大臣と直接話をしたし、四月においても豪州軍の国防大臣と電話で話をしたりして、節目節目、きちっとよく連絡をとって対応していきたいと思っております。

 新政府ができたので、しかもなおかつ、各国首脳それからイラクのそういう責任ある人たちも治安権限移譲のことについて発言をしておりますので、当然、表には言えないけれども、そういう実務的な協議をすることによって、実際にどういうふうに今後考えられていくのか、と同時に、イラク新政府がそういう治安の権限移譲についてどういう判断をなされていくのか、そういうことをよく我々は見守っていかなければならないというふうに思っております。

田端委員 なかなか表立ってそういうことは言えないことだと思いますが、しかし、着実にそういう協議は積み重ねられているんだろう、そういうふうに推測したいと思います。

 それで、この四月、五月、この大変なイラクの中に、四月二十六日にはラムズフェルド国防長官、それからライス国務長官、それから、五月の十八日にはブラウン・イギリスの国防相、そしてブレアさんが二十二日、新政府発足してすぐに行かれている。そしてその後も、デンマークのラスムセン首相もつい先日行かれたようですし、さっきお話があったイランのモタッキ外相も行かれている。こういう意味では、今までと違って、そういうイラク訪問の、いろいろな要人がそこにももう行くような事態が大分ふえてきたなということを感じるわけであります。

 それで、防衛庁長官、これは十次にわたって、累計何ぼかわかりませんが、六百人ずつとしても六千人になるわけでありますから、もし撤収ということになれば、六千人の方がいろいろな意味で大変な御努力をなさったので、それを評価するといいますか御苦労さんといいますか、そういう意味では何らかの形で、例えば、防衛庁長官が最後のときにサマワに行って御苦労さんと言うとか、あるいは、それが無理ならクウェートかどこかまで行って出迎えてあげるとか、何かそういうことも必要ではないかな、こんな感じもしますけれども、何かそういうお考えはお持ちになっているんでしょうか。

額賀国務大臣 延べの数字でいきますと、ダブっておりますので、七千六百人ぐらいになるそうでございます。

 今、田端委員の御指摘でありますけれども、情の上においてはまさにそのとおりであります。事実、ではどういうふうにするかということについては、これは、余りちゃんとオープンに計画をしてああする、こうするというわけにはいかないことでございますので、よく受けとめさせていただきたいというふうに思います。

田端委員 確かに、事前にこうだと言うことは、なかなか、だけれども、情においては変わりないということですから、それはもうぜひそういう思いでお願いしたいと思います。

 それで、私もう一つ言えば、六月の二十九日に日米首脳会談が行われるわけですから、理想的にはその前にこういう場面ができることが一番望ましい、できればそういうふうになればいいな、こういう願望を持っています。事態がどういうふうになるかは、これは難しい問題は多々あると思いますけれども、この辺のことについて、外務大臣どうでしょう、外務大臣としても何らかの意思表示といいますか、あるいは政府として、最終的には総理がきちっとしなきゃならない、こういうようなことになるんだと思いますが、日米首脳会談が六月二十九日に設定されているということもこれはまた大変意味のあることだなと私は思っているんですが、麻生大臣、どういうふうにお考えでございましょうか。

麻生国務大臣 これは田端先生、六月二十九日という日にちを言われましたけれども、この段階までにどのような形でイラクの治安部隊がきちんと作動して、いわゆる外国軍の駐留は必要ないという判断を向こうがおろすかどうかが一番肝心なところであります。そういった意味で、イラク新政府のもとに正式に、お世話になりました、ありがとうございました、これで我々後は自分で頑張りますという話になるのが一番理想なので、私どもとしては、自分たちでやりますというところを我が方はそこに居座るつもりはないわけですから、そこで、その日にちがどうなるかという話なので、ちょっと今具体的な日程を、何のスケジュールに上がっているわけではありませんので、何せ、もうすぐ内閣ができるような話で五カ月たったぐらいのところですから、この種の話がいつそのような形にできるかがちょっと見当がついていないというのが正直なところです。

 ただ、地域によって随分差があるなという感じは率直なところでもありますので、そういった意味では、ぜひ一日も早く、治安部隊というものの活躍によってイラクにおける全土の治安状況がよくなるというのが我々の最も期待しているところです。

田端委員 なかなかこういうことは事前に言いにくいことだ、これはよくわかります。しかし、日米首脳会談のその時期の前にスムーズにそういうことになれれば一番いいということを私たちも思っておるわけでございますから、ぜひ、そういうことを展望しながら、お願いしたいと思います。

 それで、実はこれからは大変暑い時期で、もう四十度の世界だというふうに聞いておりますが、四十度の世界で撤収作業とか実務的なことは本当に大変だろうな、こんな思いがします。しかしこれは、引き揚げるということになれば、温度がどうであろうと暑かろうと、それはやることが大事だと思いますが、準備にもいろいろな意味で時間は相当かかるんだろうと思います。この前、防衛庁に伺ったら、二、三カ月はかかるだろう、こういうことでございますし、そうするとちょうど真夏に引き揚げる、こういう作業になるという意味では大変だなという思いがします。

 その辺のこともあり、そして、それ以後、今度どうするかという、どういう支援で防衛庁としては、空自を使ってやるという物資の輸送とかそういうこともお考えになっているようでありますが、その辺のところを今長官としてどういうお考えでいるのかお聞かせいただいて、ぜひうまくいくようにということを願いたいと思います。

額賀国務大臣 確かに、五十度Cぐらいになるそうですね、一番暑いときは。それから砂あらし等々もありますし、我々がコントロールできない自然の中で作業していかなければならないということでございますから、計算どおり、スケジュールどおり、何時何分にとかいう形はなかなかできにくいと思います。だから、ある程度幅を持って考えていく必要があるんだ、こう思っております。

 ただ、自衛隊の仕事というのは、一般論的に言えば、ちゃんとやるということを目標を決めたら、どういう困難があってもやり抜く、あるいはまた、できるだけ苦労をしないでやれる方法を考えるということだと思います。

 したがって、これはまた非常に機微にわたることでございますから、思っていることを全部しゃべっても悪くはないと思うけれども、しかし、全体に最終的には無事に何事も仕事を完遂しなければならないということが一番大事でありますから、そこは勘弁していただきたいというふうに思います。

田端委員 すべてハッピーに終わるように願いつつ、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

三原委員長 次に、末松義規君。

末松委員 民主党の末松でございます。

 先ほどから聞いておりますと、何か撤退を前提とした質問を田端先生がやられておられて、それに対して、いつとは言わずに事務的なことをずっと言っておられるようなわけで、実際に報道等で見れば、もう自衛隊は撤退するということが既定事実かのような考えが出ておるわけですけれども、一応私からも、その報道にあるような形で、撤退を、どういったスケジュールでというのは言わないにしても、撤退が間近だというようなことを考えておられるのか。防衛庁の関係者からは、そういう撤退ということも頭に当然入れていますよ、先ほどのお答えだと、やり始めるときに撤退も当然考えているんだと。それは一般論としては非常に美しい議論ですけれども、実際の面として実はどうなんだということを、改めて私からもお聞きしたいと思います。

額賀国務大臣 私は防衛庁長官に去年の秋に就任したんですが、イラクに自衛隊を派遣した当時の防衛庁長官は石破先生でありますから、その当時送り出した人は引き下がることも考えていたんだねと言ったら、そのとおりだということでありますから、よくそれはお聞きしておりますので、一般論ではなくて、送り出した人がそう言っていますから、私はそれを引き継いでしっかりと対応して、安全に仕事をさせ、そしてイラクや国際社会の中でよく評価されるように、そういうことを念頭に置きながら今後のことも考えるということでございます。

末松委員 なかなか、キツネにつままれたような感じになっておりますが。

 では、撤退間近だという意識がおありになるだろうということを想定しながら聞くんですけれども、もし撤退をするということであれば、どういった要件、条件であれば自衛隊は撤退すると、これは現実に即してどういうふうに想定されておられるのか、そこについてお考えをお述べいただきたいと思います。

額賀国務大臣 これはよく言われておりますように、では逆に、なぜ自衛隊がイラクに派遣されたのかと……(末松委員「いや、それは次の質問です」と呼ぶ)では、ストレートにお答えさせていただきますと、やはり、イラクの政治状況とかがどういうふうに進展していくのか。それで、今度新しい内閣が発足して、当初のとおり政権が発足をしたということであります。

 その中で、イラクの治安状況がさまざまであるけれども、我々自衛隊を送り出しているムサンナ県というのは比較的良好な地域である。それでこれは、マリキ首相も、アメリカ、それから英国、豪州軍の首脳部、治安に携わっている人たちも、非常にムサンナ県は良好であるので治安の権限の移譲がいち早くできるところではないのかというようなニュアンスのことを言っているわけでございますね。

 そういうものがイラク人の手によってしっかりと行政が展開されていくようなことになれば、それは一つの自衛隊の目的が達成されていくことになるわけでございますので、そういう権限移譲とかいうこと、あるいはまた英豪軍の対応はどうなのか、そういうことをよく見きわめながら考えてきた、それから考えたいということでございます。

末松委員 新内閣が発足した、ちょっと不安要因がありますね。国防大臣、内務大臣、そして国家安全保障担当大臣、そこが決まっていない。肝心なところがない。そこが非常に不安でありますけれども、新内閣がとりあえず発足したと。そして今、もし撤退するのであればという条件をお聞きした中でそういう話、それから、ムサンナ県は比較的治安も良好だし、そういった意味で治安権限の移譲ができやすいんではないか、できるようになるだろうと。なったときには、特にイラク人の手によって行政ができるようになればと。あと、連合軍、これの動向を見ながらと。

 この中で私は考えるんですけれども、もしムサンナ県で、治安移譲、連合軍が例えば撤収をします、イギリスとそれから豪州軍が撤退をします、それで、イラク軍及びイラク治安警察、これが別に治安をやっていても、そこは別に自衛隊として必ずしもすぐに撤退をしなければいけない、自動的に撤退をしなければいけないという話にはならないと思うんですよ。それはイラクがきちんと治安状況をやればいい。自衛隊は治安に対しては何らやっていませんから、それはそういうふうに考えていいんじゃないかと思うんですけれども、その辺はお考えはいかがですか。

額賀国務大臣 もちろん、自衛隊が派遣されている目的は人道復興支援でありますから、その人道復興支援によってさまざまなインフラ整備等々に汗をかかせていただいたわけでありまして、それについては、サマワ地区の皆さん方の一定の評価は得ているわけであります。

 ただ、そういう仕事をやっただけではなくて、自衛隊の仕事のやり方というのは、これは、ちゃんと行政府だとかあるいは企業の皆さん方に仕事のやり方だとかノウハウを教えながら仕事をしてきたという経緯もあるわけでありますから、だから、そこでその地域の皆さん方が自立的にできるような形をつくり上げてきた。そして、そういう環境整備は相当整いつつある。しかしまだニーズはある。しかし、そのニーズは、これからのニーズについては、自衛隊がやらなければならない仕事なのであるかどうか、あるいは地元の人たちとかNGOだとか、ODAの援助だとか、そういうことでできるのかできないのか、そういうことにどういうふうに判断をしてバトンタッチをしていくかということとうまく連動させるような形が大事なんだろうと思っております。

 そのためには、治安の権限移譲がなされて、安心して仕事ができるというような環境も大事という意味で、治安の権限移譲が大事だということを言った……(末松委員「イラク人の権限、治安でも問題ないんですね」と呼ぶ)治安の権限移譲が大事であり、そして、イラク人によるそういう治安の維持、それから仕事も、自分たちが今度は民間の力をかりて仕事ができる環境が整っているかどうか、そういうふうな要件があると私は思っておりますが、自衛隊がこれまで二年半もやっている中で相当整いつつあるということも事実ではないのかというふうに思っているわけであります。

末松委員 今長官の方から、自衛隊の持っているノウハウ、これが現地の人たちに自律的にできるようになるかどうか、これはイラク人による治安であってもそれは構わない。その中で自衛隊のノウハウというものがきちんとやられて、イラク人が自律的に国土の建設あるいは地域の整備ができるようになれば、それは撤退の理由にはなるよねと。また、ニーズも、自衛隊を通じてなくなってきたというようなことがあればそれはいいだろうという話でありますけれども、大半がそのニーズがなくなってきて、イラク人の方も自律的に自分たちの地域発展ができるようになりつつあるという今認識をいただいたわけでございます。

 そうしますと、私の方で、先ほど大臣がおっしゃられようとしていた、なぜ自衛隊をイラクに派遣したのかということですね、これについてちょっとこの時点で改めて考えてみたいと思うわけですが、その辺について改めてもう一度、大変恐縮ですが、おっしゃっていただけますでしょうか。

額賀国務大臣 後で外務大臣からもコメントしていただきたいというふうに思っておりますけれども、これはやはり、中東地域と日本の関係ですね。一言で言えば、中東の安定が日本の国益ということでございますけれども、日本の経済活動だとか、さまざまな分野においてそのプラスになるということが原点にある。それは、油の依存度とかさまざまの要件は、もう委員御承知のとおりであると思います。

 それと同時に、やはり最近の新しい脅威というのは、テロだとか大量破壊兵器の拡散だとかそういうことでありますから、そういうものはできるだけ世界の中から根絶をしていくことについて、それは、我々が遠いところにいるから無関係ではない、そして、一国だけではこれは解決できないことであるから、国際的な責任ある我が国の立場として、協力して、そういうものの環境づくりをしていくことにお手伝いをするということは正しいことではないのか。

 それからもう一つは、やはり日米同盟関係から考えれば、自由とか民主主義とか、これから二十一世紀においても、そういう価値観に基づいて、お互いに相手の立場を認め合いながら共存共生していく、国際社会をつくっていく、そういうことに対して我が国も一定の役割を演じることは国民の理解も得られるのではないのか。それは、ついては、同盟関係の信頼にも結びつく。

 さまざまな要因の上からこのイラクの派遣がなされたと思うし、そして、イラクのそういう社会の独立国家として自分の力で自分の国づくりをするお手伝いをさせていただく。不安定な治安の中で、では民間の協力ができるの、企業の協力はできるのということの中で、そういうことではとても不安でできないということですから、やはり自己完結的な自衛隊が行って、そういう人道復興支援的なお手伝いをさせてもらおうと。それは、一つの国づくりをしていく上において、既にムサンナ県あるいはまたイラク国の指導者たちから高い評価を得ているだけに、私は成果があったものと思っているし、日本の国民の皆さん方も一定の評価をしてくれている。一定のというか、大いなる評価をしてくれているものというふうに思っております。

麻生国務大臣 同じようなことになるんだと思いますけれども、基本的には、九〇%の日本の石油の輸入はあの地域から輸入しておりますので、あの地域の安定というのは日本の国益に資する。二つ目は、イラク人の行政機構というものが、政権の崩壊後、行政機構が存在をしなくなった状態になっておりましたので、したがいまして、国際社会としては、各国、人をそれぞれ出してイラクの国づくりを支援する必要があった。三つ目が、人を出したいけれども、出すに当たっては、その地域においては治安状況は極めてはかばかしくない。したがって、自己完結型で、自分で自己防衛能力もある自衛隊を派遣するということだったと思っておりますので、自衛隊以外に現地でそういった活動能力を有しておりませんでしたのでというのが、派遣をするようになった背景だと思っております。

 したがって、これが、治安が安定してきた後は自衛隊のいる必要性がなくなろうと思いますので、その部分にかわっての復興支援は、ODA等々、民間人でできる部分かなと思っております。

末松委員 そうすると、二つ論点があって、一つ、今麻生大臣が言われたように、治安が問題なくなったということであれば、今度はODA、民間の人たちが入れるような状況に任せるんだ。つまり、自己完結型の、いわゆる武装JICAというんですかね、こういう形ではなくなった形の支援をしていくんだと。

 ということであれば、もし政府が撤退を決めるということであれば、その撤退を決めた後は、では、日本の民間人がこのムサンナの地域あるいはそこに入るような形の判断も下されるということなのか、そこの辺はいかがですか。あるいは、依然として危険だという判断ならば、自衛隊がやらなきゃいけませんねという話になるかと思うんですが、そこの辺はどういうふうに整理されておられますか。

麻生国務大臣 先ほど御指摘のありましたように、自衛隊の撤収の点について現時点で何ら決まっているわけではありませんから、そこのところはあすにも……(末松委員「そういう判断をしたら」と呼ぶ)したらという点でないと、そこのところをちょっと混線されるといけませんので、お願いをしておきます。

 これにつきましては、復興支援のあり方についてということであれば、私どもとしては、イラクが民主的で安定的な国家になることが望ましいということだと存じます。したがって、イラクの新政権、新政府による主体的な形でそれができるようになるというのが最も望ましいし、我々の方としても、別にそこにいなくても、またイラク人にしても、外国の軍隊がそこに駐留しているという必要を感じなければ、それはそれで十分に対応ができていくんだと思っております。

 したがって、日本としては、いつの時点で撤収してもう安全と言えるかどうかは、ちょっと別のまた考えなきゃいかぬところだと思いますが、当面の支援であります十五億ドルの分につきましては、あの無償資金協力は既に使途等々は決まっていますので……(末松委員「日本人が、民間が入るのか」と呼ぶ)民間が入れるような状況になれば民間が入れるようなことになろうと存じます。ただ、そこの判断がまだでき上がっていないということだと存じますが。

末松委員 今、ちょっと私がやや論理的にわかりにくかったのは、武装JICA的な自己完結型でないと援助がだめだ、だから自衛隊が入ったわけですよね、さっきお二人がおっしゃったように。それが、イラク人による治安部隊が入ってあるいは軍隊が入ってしっかりと治安が守られるのであれば、民間人が今度は、自衛隊が撤退するということになればですよ、それは逆に日本の民間人も入れるようになるのかなと、これは多分論理的にはそうだろうと思うんです。でも、そこで政府が、いやいや、民間人が入るのは危ないからやめておけともし言うのであれば、これはちょっと論理的におかしいなという気がするわけなんですね。

 もしそれが、まだ民間人が入れなくて、しかもイラクの方で、いや、自衛隊さん残ってくださいよ、あんたのところは非常に評判いいからと言われたら、それは残るということも十分あり得るんじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

額賀国務大臣 例えば、ムサンナ県に仮に治安の権限移譲がなされたとしたときに、英豪軍はムサンナ県からは撤収するだろうけれども、恐らくバスラあたりにちゃんといて、何が起こってももうすぐに対応できるとか、そういう非常に臨機応変な形でだんだんと国全体で治安の権限移譲がなされていくんだろうというのが現実的な対応だというふうに思うんですね。だから、そういう治安の中で、では、即座にイラク全体の治安がどうなのかということを見きわめないと、やはり民間人がどうのこうのという話は難しいところも出てくる可能性はありますね。

 ただ、そういう状況をよく見ながら自衛隊については、末松先生は撤収するということを前提に質問をしているわけだけれども、そういうことも含めて我々は、英豪軍それから米国も含めてよく相談をしながらちゃんと考えますと言っているのは、そういうことも含めての対応でございます。

末松委員 いろいろ総合的に考えてやりますよ、そういう答弁、よく言われるわけですけれども、さっきお二人の言われた、ではなぜイラクに自衛隊を派遣したのか、こういう理由をかんがみていけば、先ほど言われたように、中東の安定、安定というのは日本にとって重要だ、当然ですよね。まだ中東が安定しているとは言えないし、イラクが安定しているとも言えません。もしまた脅威とか大量破壊兵器、これについても、お隣のイランとか、こういったものを含めて全くこの懸念がないかというと、大いにテロなんかは脅威があるわけですよね。だから自衛隊がいるんだというのが政府の立場だったわけであります。

 治安もいいかというと、新聞報道を見れば一目ですよね。非常にテロなんかも多い。幸いにしてサマワ周辺は比較的治安は悪くないと言われるけれども、例えば自衛隊の関係車両に対して、小さいけれども、やはりそこで攻撃が行われたり最近でもしている、五月に入っても。そういうのも非常に危ないよなという話ですね。

 そこで、もしここで撤退と、私たち民主党は、別に、我々はイラクに最初から派遣すべきでないという立場ですから、その立場は当然堅持していますよ。ですが、その派遣理由を考えながら、そして、もし自衛隊が撤退すると判断して撤退をやる。でもそこで、派遣理由であった、イラクの政府が安定的にまだできない、あるいは、かなりイラク政府が壊滅的な何か非常に不安定さが増した、そういうふうになったときには、今政府がおっしゃるような形の、つまり、もう一度イラクに自衛隊を再派遣するということもあり得るんでしょうか。

 今までの御説明でいくと、当然、派遣理由というものがそうであるならば、一回撤退した後も、またイラクの治安が大変悪くて、非常に再建についても厳しい状況だ、また、アメリカから再派遣の要請があるかどうかそれは知りません。ただ、そういった場合には、日本の独自の判断としてそれはあり得るということでしょうか。

額賀国務大臣 今、ようやくイラクに新政権ができて、新しい政治をスタートさせよう、そして、治安の問題とかそういうことについても、各地域に権限移譲して一国の形を整えようとしているときであります。我々はそれが前進していくことを期待しているし、みんな世界の国々はそういうことを望んで対応しているわけであります。

 今、末松先生がおっしゃるような混乱が再び起こったときは、では、どういう要因でそういうことが起こるのかということについて、現実的にちゃんとその時点において正しく分析をして日本の対応が考えられるべきだと思います。

末松委員 正しく分析をして考えられるべきということは、再派遣についても、否定はできないということはあり得るということですよね。

額賀国務大臣 もうそれは、我々は、ようやく新政権が発足をして、これが正しく民主主義国家として形成されていくために今汗をかいているわけでありますから、それを期待しているし、また、世界の国々もそういうことを望んで対応しているわけであります。

 今、末松先生がおっしゃるような事態がどういうふうに起こるかということについては、それは起こった時点で考えなければならないし、仮定のことで、今時点で自衛隊をどうこうするかということは、自衛隊は法律に基づいてしか動かせないものですから、そういうことを状況に応じて考えなければならないということです。

末松委員 私の方が言っているのは、別に言葉じりをとって、こういった言葉を言ってほしいとか言っているわけじゃないんですよ。要するに、ロジックとしてきちんとそういう理由があるのであれば、日本がその理由に応じて動くというこの首尾一貫性を保ってほしいということだと思うんですよ。

 だから、なぜ私が、一つ一つ派遣理由を聞いて、今度は撤退の条件を聞いて、撤退理由を聞いたかというと、そこにある意味では日本政府としての整合性をやはりきちんと持つべきだろう、それが、自主的に判断をして自主的価値観でやっている国だろうということを考えるから質問しているわけであって、その時点でまた考えますという話だけであれば、この国会の議論の場も余り必要ないわけですよ。適切に判断しますと言ったら、それは、政府から見て適切と言えばすべてが適切という話なのかもしれませんけれども、これは、基本的にやはりお互いの哲学できちんとやっていくべきだと考えるからこそ質問させていただいているわけでございます。

 では、ちょっと私も時間がなくなってしまったので、せっかく防衛庁長官がおられますので、トランスフォーメーションについて一点だけお聞きをしたいわけでございます。

 この前、アメリカのノーフォークというところに行って、合同軍ですか、総司令部というところに行ってきました。そういうことの議論と、それから、日本に帰ってきていろいろと議論をしていく中で、抑止力の維持という観点から、アメリカの方は、座間に第一軍団司令部を持っていく、そこが彼らとしては、抑止力及び米軍のトランスフォーメーション、そういったものの一番関心な点だということが私には理解ができたわけなんです。

 それに対して、米軍から見たら、沖縄のあの八千人の海兵隊のグアム移転、むしろこういうのは、抑止力の観点から見たら、これは必ずしも自分たちが一生懸命に主張しているわけではないというような感じのことも情報としては得てきたわけでございますが、それは、日本政府がそこはかなり一生懸命に、この海兵隊、そこは必要ないだろう、地元の基地の負担ということも軽減を考えるべきだというようなことを主張されたという話もあります。

 その辺で、答えられる範囲で、抑止力それから基地の負担で、米軍との関係でどこまでどういうふうな議論がなされているのか。当然、答えられる範囲内で答えていただければと思います。

額賀国務大臣 もちろん、在日米軍の再編の問題と同盟関係のあり方と自衛隊をどういうふうにしていくかということの関連の中で今度の再編の問題が議論され、最終合意されたわけでありますから、米国からすれば、抑止力の維持を図ることによってその負担の軽減を考えるということであると思います。それは、同盟関係の、情報の共有だとか運用だとか、そういう協力関係を強化することによって抑止力が維持され、あるいは高くなり、その結果、負担が軽減されるということが非常に安定した形であるというふうに我々も認識しておるわけであります。そのために、在日米軍の再編と自衛隊の協力関係が今度合意されたものであるというふうに思っております。

 したがって、我々は、負担の軽減について、例えば厚木だとか普天間だとか、市街地のど真ん中にあるそういう不安を軽減していくために最大限の努力をしてきたわけでありますし、それに伴う土地の返還等々も要求をし、あるいは、横田の空域も緩和措置をとらせたりとか、そういうことで、同盟関係を維持する、強化をする、抑止力を維持する中で負担の軽減が図られたものというふうに私は認識しております。

末松委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、この米軍関係の日本における再編、それを含めてまた質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

三原委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 麻生大臣、大臣は新聞もなかなか読まない、テレビも見ないというお話をよく聞いていますが、五月二十七日に発生をしましたジャワ島中部の地震、日本国政府も、いろいろな御経験も踏まえて、非常に速やかに今回は対応しているような感じであります。数字がいろいろあります。昨日までに、インドネシアのジャワ島中部の地震で五千四百人とも五千七百人とも言われる方が亡くなっているということで、日本の緊急援助隊の隊員も、きのう、私はテレビをできるだけ見るようにしているんですが、活躍をなさっている姿、大変うれしく思いました。

 ただ一方で、水も足りない、食料も足りないということで、やはりインドネシアという国は、この委員会の本論でもありますテロの抑止、そして、先ほども話がありましたように、イランの核問題をどう解決していくかということで、イスラム諸国の当然一員でもあるこのインドネシアに対して、復興も含めて最大限の協力をもちろんしていくべきだと思うんですが、今の政府の対応、そして、今後どこまで対応が日本国政府としてできるのか、大臣の御見解、御認識をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 これは後藤先生、今、数字と言われましたけれども、私どもの持っている数字で、三十日の十八時四十分現在、五千六百九十八名の死者ということになっているんですが、ここにおりました九十一名の在留邦人、いずれも身元の確認が終わっておりますし、旅行者が十九名行っておりましたけれども、これも確認が終わっておりますので、その点につきましては、私どもとしては、不幸中の幸いだったかなと思っております。

 ただ、直ちに緊急援助チームを派遣したんですが、その後またいろいろ余震やらが非常にたくさん起こっておりますので、さらなる援助ということで、医療関係者からの緊急援助隊医療チームを派遣、一千万ドル無償供与、それから二千万円の緊急援助物資等々をさせていただいたりなんかしているんですが、いよいよさらに足らぬということになっておりますので、五千四百といったら、もう神戸の大震災を超えますので、そういった意味では、インドネシア政府の方から、医療関係者の人数が断然不足しておるということになりました。軍隊からでもいいという、これは、アチェの話やら何やら、いろいろ内乱というか紛争も抱えていますので軍隊というのはいろいろ難しいところなんですが、諸外国の軍隊からの医療支援を含むでもよいという医療支援に対する要請がありましたので、同日、防衛庁と話をさせていただいて、緊急支援隊というのを送らせていただいたというのが今までの状況なんです。

 これで、この後一体どういうものが向こうで必要となってくるのか。アチェのときは、丸々そっくりあの地域、いわゆる行政官から何からすべて人影がゼロになっておるというような、極端な言い方をすればそういうことになっています。今回のところは少し状況が違いますので、どういう状況になっているかが正確にまだ見えてきていないところではありますけれども、私どもとしては、インドネシアというのは、日本にとりまして、これは日本のODA先としては最大のODA先でもありますし、日本にとって昔からいろいろ関係のあるところでもあります。加えて、巨大な資源国ということでもありますし、今、EAS、東アジア共同体等々でも一緒にやっている仲間でもありますので、ここには、電話をしたりいろいろするようなことというような話だけじゃなくて、実質的に何が今必要なのというところは、私どもとして、向こうが欲しいものじゃないものを出しても意味がありませんので、そういったものをぜひ言ってもらいたい、できることはしますという話は直接向こうに伝えてあるところです。

後藤(斎)委員 額賀長官、防衛庁としても、先ほど麻生大臣がお話をされたように、協力して、とりあえず三十日に先遣隊が十数人、トータルで、麻生大臣がおっしゃられたように、相手国のニーズも踏まえということになるんでしょうけれども、先ほどのイラクの、自己完結主義であるという自衛隊がどういう形でということはなかなか難しいものがあると思うんですが、これは、あくまでも外務省が主体となって、防衛庁はその中で協力をするという趣旨で先遣隊を出されたと理解してよろしいんでしょうか。

額賀国務大臣 お答えします。

 おっしゃるとおりでありまして、二十七日に地震発生の情報を得て、これは規模によっては自衛隊も対応する必要が出てくるかもしれないということで、要請があれば、それはすぐ対応できるように準備を整えておったところであります。

 二十九日夕刻に外務大臣と相談をして、派遣することになり、昨日三十日に派遣命令を発し、きょう朝、十九人が現地に着かれたというふうに思っております。その着かれた先遣隊の情報を得ておりますので、あした、医療チームを含めて五十人ぐらいを派遣いたします。さらに、その状況を見て、どういうものが必要なのであるか、そういうことをよく把握した上で第二次派遣も考えるということにしたいと思います。

後藤(斎)委員 麻生大臣、大臣が前職でありました総務省も、国際消防緊急援助隊というのをあのスマトラ沖地震のときにも出しました。先ほど麻生大臣がおっしゃられたように、やはりインドネシアは、アジアの中で、我が国とも親日関係にあって特に重要な国だと思うので、防衛庁ともまた総務省とも協力をしていただいて、ぜひ、最大限の支援体制をつくっていただけるように要望したいと思います。

 もう一点、この一週間ほど、東ティモールが非常に不安定だということが連日報道をされております。我が国も、平成十四年から十六年の間、PKOに協力をしながらということで、その後の治安情勢はかなり安定をしておったという記憶があるんですが、ここに来て、やはり貧困ということから始まって、これからこのまま治安が悪化をすれば、さらなるテロの温床になるであろうといういろいろな御指摘がございます。

 この点につきまして、麻生大臣、当然、テロの温床というものを未然に防ぐということが大変大切であります。この東ティモールの情勢について外務省としてどんな形で今情報分析をし、これからどんな対応を政府としてなさるのか、お尋ねをしたいと思います。

麻生国務大臣 ここは四月の末ぐらいから、首都ディリというんですけれども、このディリ周辺で、国軍に属していた元兵士、退官した、退役したじゃなくて、離脱したという方が正しいと思いますが、離脱した元国軍の兵士を中心に、警察とか国軍との間に銃撃戦等々が散発しておったというのが状況で、今言われましたように、貧困も大きな理由の一つだとは思いますけれども、いわゆる武装市民というような形での暴力行為というのがさまざまな形で騒乱が発生をしていたんですけれども、二十五日に、東ティモール国政府がオーストラリア軍に対して正式に出動要請というのをいたしております。これにあわせて、日本に島サミットで来る予定だったオーストラリアのダウナーという外務大臣は、電話をかけてきて、東ティモールがかくかくしかじかで来られぬという話になったので、状況としては、私どもも、その段階で、これはえらいことになるなという感じはそのときにつかみました。

 現状としては、騒動の数、銃撃戦の数が減少している傾向にあるけれども、治安状況は依然不安定と判断をしておりますので、二十七日に、外務省としては、首都ディリに関しては退避勧告というのを出しております。責任をとって内務大臣と国防大臣というのが罷免というか、やめて、グスマン大統領が全権委任というか、三十日夜、昨日の夜、そういった形になっておりまして、それまで憲法上では総理大臣のアルカティリの持っていた権限を、防衛と国家安全保障分野の責任について大統領がその責任ということで宣言をしております。これがどのような効果を持つかは、ちょっと今からのところだと思っております。ただ、国際テロ組織の活動がこの東ティモールで確認されているというわけではないというのが、ほかのところと少し違うと思っております。

 いずれにしても、ここの国境周辺のところには、例のジェマー・イスラミアというものの拠点の接点みたいなところになっておりますので、あの東ティモールにおいてのテロの脅威というのが払拭されたわけではないと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、今申し上げたように、お店等々皆二十五日以後閉鎖しておりますので、水とか電気とか、インフラについては一応機能しておるというのが私どもの持っている情報であります。

後藤(斎)委員 大臣、今最後におっしゃられたように、いろいろな形でテロの予防というのは大変重要な要素でありますし、そのためには、やはり情報収集、そしてそこに対する適切な支援ないし判断ということは、ぜひこれからも十分にお願いをしたいと思います。

 次なんですが、アフガニスタン、九・一一のテロの問題がある意味ではスタートした原点の国でもございます。前回の委員会でも、このアフガン、なかなか最近メディアの部分も非常に露出度が小さくなって、しかし、このところ、タリバン政権が四年前に崩壊をして以降最大の反米デモと言われていますが、が起こって、大変治安も悪くなっているというお話もお聞きをしております。

 私が常に思っているのは、衣食住、要するに、食べるもの、その中には水ももちろん入りますが、それと十分な着るもの、そして住むところ、そして、社会的なインフラがその後いろいろな形で整備をされるということだと思うんです。そこの状況をどの程度今外務省が把握をされ、今もちろん支援は継続しておりますが、どの優先順位でこれからもアフガンに対して支援をしていくかということが必要だと思うんですが、この一万人規模のデモが起こった現状と、そして、今申し上げたような支援をこれからどんな形でしていくのかということについての外務省の御見解をお伺いしたいと思います。

塩崎副大臣 先生御指摘のように、治安もなかなかアフガニスタンは思うようにいかないところがあって、非常に厳しいところもあるわけでありますけれども、昨年の十二月の国会開会をもって、一応、ボン・プロセスというか統治機構整備のプロセスが完了するということになって、国づくり自体は進んでいるわけであります。

 しかしながら、今の御指摘のとおり、旧タリバンといいましょうか、治安はまだ改善が十分ではないことは、時々起きる事件が示しているとともに、衣食住を含めた経済開発も、まさにこれからが正念場ということだろうと思います。

 私も二〇〇一年にマザリシャリフというところへ行ってまいりましたが、農業も余りできないという状況の中で難民がまだたくさんいるということで、やはり大事なことは、治安をもう一回ちゃんと立て直すということが大事であり、また、統治能力をきちっと立て直すということも大事でありますけれども、一方で、オーナーシップといいましょうか、みずからの足で立てる、経済についても、特に麻薬への依存というのは、近隣諸国も相変わらず流れ出てくるということで困っているようでありますけれども、こういったところから脱却しながら、自分の足で立っていくということが大事なんだろうと思うのです。

 幸い、経済開発については、七・五%というのが二〇〇四年の経済成長率でありますけれども、国連開発計画、UNDPのつくっている人間開発指数というのを見ると、相変わらず百七十八カ国中百七十三位みたいなことで、衣食住の改善に向けてまだ課題は山積ということだろうと思います。

 したがって、我が国は、国際社会といろいろな形での協力をしながら、国際機関とも一緒になって、何しろ自分の足で、オーナーシップで立てるように、治安、経済ベース、それから社会のベース、そういったものをきちっと立て直していくために、引き続き復興に協力をしていくということが大事だというふうに思っております。

後藤(斎)委員 先ほどもお話があったんですが、イラクがようやく、麻生大臣がおっしゃったように、選挙から五カ月たって新政府が何とかスタートができたという中で、先ほども末松議員と額賀長官のお話を聞いて、なかなか撤退云々という部分は、もちろんお話がいただけない部分はよくわかっておりますが、しかし、今アフガンでお話をお伺いしたように、二年半、自衛隊そしてODAの協力ということで日本政府がやってきた。もちろん、各国いろいろな国が支援をしているわけなんですが、やはり、食料状況であるとか水の状況であるとか、そして住であるとか、また、エネルギーのもともとイラクは大輸出国でありますから、しかしながらインフラ整備もまだ十二分にないというのも当然現状だと思いますが、その点を現状ではどういうふうに外務省はイラクの部分はごらんになっているんでしょうか。そしてそれを、これから例えばODAをするにしても、どんな形で優先順位をつけていくというふうにお考えでしょうか。

塩崎副大臣 私、ちょっと別な委員会に出ていたので、先ほど来のやりとりは拝聴していなかったのであれですけれども、撤収後という話を大分議論されたようであります。

 御案内のように、五十億ドルの資金協力ということで、十五億ドルの無償資金、そしてまた三十五億ドルの円借款ということで、日本は、経済だけではなくて、その前にまず生活のインフラ、電力、教育、水、衛生、保健、雇用等の、フセイン時代に弱くなってしまったイラク国民の生活基盤の再建、そして治安の改善を優先して今日までやってきた。ムサンナ県での自衛隊の活動もそういうことであったかと思うわけであります。

 今後、こうしたこれまでのとりあえずの支援、日本は無償を中心にやってきたわけですけれども、本格的な経済活動基盤の整備のために、電力とか運輸とか、こういったインフラについてもこれからは優先的にやっていかなきゃいけないということで円借を三十五億ドルやっていこうということになっているわけで、もう既に三月末に、イラクに対して六・五億ドルの円借の供与を決めたということでございます。

 これも、さっきのアフガンと同じように、治安の言ってみれば権限移譲にしても、それから経済にしても、あるいは産業にしても、農業もそうでしょうが、やはりみずからの足で立つというオーナーシップを、どれだけ国際的な社会がみずからが立てるような形のサポートを後ろからバックアップしていくのかということだろうと思うので、これからどういう形で成るかは別として、本格的な経済基盤の整備をまたこれからやっていくということだろうと思います。

後藤(斎)委員 海外というか、外の方から中の方にちょっと目を向けてみたいと思います。

 先週一週間かけて読売新聞で、国家戦略というシリーズで、特に海上保安庁の部分でいろいろな提言がございました。

 それで、私もこの海上保安レポートというのを、初めて、ゆっくりというかきちっと読ませていただいたんですが、大変多岐にわたっておって、一万三千人余りの職員の方が一千三百億か四百億の予算の中で、水際の警察、海上警察、いろいろな御活動をしているということ、この中で非常に気になったのが、いろいろな機材というか、船も飛行機もあるようなんですが、非常に老朽化をしている。特に巡視艇でいえば、三百五十二隻あるうち百二十九隻がもう既に耐用年数を過ぎている、航空機は七十二機あるうちの三十一機が耐用年数を超過していると。一部では、腐食や油漏れ、防水低下などが起こっているということも記載がされております。

 水際で警察官として対応するためには、もちろん、すぐ自衛隊がどうこうというわけにはいかないわけですから、きちっとした予算的な手当ても含めて、御努力はいろいろな形で、海上保安庁から昨日もお伺いをしましたが、やはりここの機器の充実強化ということもやっていかなきゃいけないと思うんですが、その点についてどのように政府として今後対応なさっていくのか、お尋ねをしたいと思います。

冨賀見政府参考人 お答えします。

 先生御指摘のとおり、海上保安庁の巡視船艇、航空機につきましては、昭和五十年代に整備された巡視船艇、航空機は、先ほど御指摘にあったとおり、既に勢力の約四割が耐用年数を超えておりまして、老朽化なり旧式化によりまして、海上保安庁が行う海上犯罪の取り締まりや海難救助活動に支障が生じており、こうした状況を早く解消することが必要であるというふうに考えております。また、先ほど御指摘のとおり、新たな業務としまして、海洋権益の保全のための新たな業務の課題が山積しておりまして、これにも対応するためにも、高速、高性能の巡視船艇、航空機の整備を急ぐ必要があるというふうに考えております。

 こうした状況から、耐用年数を超えた巡視船艇、先ほど御指摘があったとおり、約百二十隻、航空機につきましては約三十機の航空機の代替整備を緊急かつ計画的に進めることとしておりまして、今年度でございます十八年度の当初予算並びに昨年度の十七年度の補正予算で、巡視船艇につきましては二十一隻、航空機につきましては七機の代替整備を図るための予算を計上しております。

 平成十九年度以降におきましても、先ほど申しましたとおり、計画的な代替整備に努めて、老朽化した巡視船艇、航空機の早期の解消を図ってまいりたい、このように考えております。

後藤(斎)委員 今御答弁いただいたように、予算の枠内でやられているということなんですが、今、領土のいろいろな問題の部分できちっと測量しなきゃいけないというものについても、なかなかそれが十二分に、測量船自体がお隣の国の例えば十分の一の規模であるとか、工作船が、相手の方が高速で巡視艇がそれに追いつかないとか、いろいろな部分がこの何年かで出ている。それはまさに機材の部分にも大きく影響をこれはすると思うので、やはりこれについては、麻生大臣や額賀長官も、国務大臣という閣僚の部分で、ぜひその部分も、それぞれの省庁の問題だけではなく、大変重要なことですし、この委員会の、テロの未然防止であるとかそれを拡散しないということにもつながっていくと思いますので、その点につきましては特段の御配慮をお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、時間も余りなくなってきましたが、麻生大臣、私は、今回のアフガンの部分、先ほど御指摘をしたイランの部分も含めて、いろいろ資料を当たっても、なかなか外務省も、頻繁に例えば旅行に行ったりする国ではありませんから、資料が少ないんですね。

 特に、外務省のホームページを見たら、イラクの概況につきましてはことしの二月、アフガンにつきましては二〇〇四年の十二月現在のホームページの、これはまんまかどうかは知りませんけれども、資料を見ても縦横がなかなか合わなくて、先ほど塩崎副大臣にお答えをいただいた例えば農業の部分であるとか、そういう国内の状況が不明、不明ということで何も書いていないというのも現状なので、ぜひここは、やはり情報をどう公開していくかということも私は大変必要だと思いますし、先ほど同僚委員からもお話があったように、自衛隊がイラクで活動をなさる、ODAでたくさんの国に、もちろん必要性に応じてではありますが、上限はありますが、協力をする。それも税金であります。その部分については、国民の皆さんに見えるような形で、こういうふうな形で対応しているということを、やはり外務省でしか数字がとれない部分というのはたくさんありますから、そういう新しく改定をする部分も含めて、常にフォローをしていただくように私は強くお願いしたいというふうに思います。

 アフガニスタンやイラクの部分で、先ほども塩崎副大臣からお答えをいただいたように、なかなか十二分に食料も水もすべてに行き渡っているとは正直言って言えないというふうに聞いております。特に、以前のこの委員会でも麻生大臣に御要請をしたように、地雷という問題が非常に影響があるというふうに言われています。当然、地雷を埋めるのは紛争地域で、こっちに入ってきちゃだめよというような地域であります。アフガンについては、この数週間、非常に治安は悪くなっていますが、縮小している、減少しているというようにお聞きをしていますし、ただ、イラクでは、やはりこの二年半の間、フセイン政権が倒れたときよりも、中のいろいろな民族の問題も含めて、むしろ地雷はふえているというふうな話も聞いております。

 そこで、アフガンにつきましても、二国間、例えば日本がアフガニスタンに地雷の除去の機材を贈ったりというのと、国連を通じて対応する場合、多分この二つがあると思うんですが、なかなかここの調整がうまくできないという話も事実聞いております。どこまでがどういうふうに連携ができないのかという詳しいところはわかりませんが、地雷の問題は、いずれにしても、食料生産のために農地をもう一回開墾し直すというところにも、日本でいうとあぜみたいなものがあるらしいんですが、そこに不発弾や地雷が埋まっている場合もある。道路もまたそうであります。やはりそういう部分で地雷というのは、これからインフラの整備というものに、十二分ではないにしても、いずれ衣食住がある程度そこそこの状況になったときには、並行してという場合もあるでしょうけれども、そこの問題に日本国政府としてももっと積極的に対応をしていただく、それが社会インフラのさらなる向上にプラスになるというふうに私は思うんですが、麻生大臣、最後に、その点についてどのようにこれから取り組みになるのか、お尋ねをしたいと思います。

塩崎副大臣 私の方からお答えさせていただきたいと思います。

 私はカンボジアの地雷原なども行きましたが、やはりこの地雷の問題というのは、本当に一般市民の生活に極めて甚大な影響を与えるということで、今もカンボジアなんかはすごく苦労しているわけです。

 それで、除去のことだけをよく言われますが、除去だけではなくて、むしろ、除去していると例えば三十年かかるとか、そのくらいあるところがあって、そうなると、教育をどうするんだと。ですから、除去をするとともに教育をして、ここは除去をしました、だけれども、ここはしていませんから入っちゃいけませんということをはっきりさせないと、次々と子供たちや女性などが事故に遭ってしまうということで、非常に困るわけです。

 したがって、今、国際機関とあるいはNGOとのお互いの連携がうまくいっていない場合があるかもわからないという話でありますけれども、それは、アフガンにしてもそれからイラクにしても、それぞれの中で関係機関が調整をしながらやってはいるわけでありますが、まだ十分じゃないということでありますけれども、それは何といっても、例えばアフガンでも、約七百二十平方キロメートルの土地に対人地雷がまだ残っているだろう、あるいは疑いがあるということでありますし、それからイラクについても、例えば北イラクのあのイラン側などはイラ・イラ戦争のときあたりからもうずっと埋めっ放しで、何がどこにあるのか全然わからないみたいな、そんなこともあって非常に難しいわけで、我が国としては、アフガンに対しても今まで六千百万ドル支援してきましたし、それから、UNDPを通じてイラクなどではイラク人の専門家育成などをやっているわけでありますが、ですから、除去することと教育することと両方相まって、初めて今生活している人たちがうまくいくということになるんではないかなというふうに思っております。

 PKOでカンボジアへ行っていた自衛隊のOBだけでつくった地雷除去、不発弾処理のNGOもできていますし、東ティモールのPKOで行っていた自衛隊のOBがNGOをつくっているというのもあって、それがまたアフガンにも、これはカンボジアの人たちですが、日本人が自衛隊のOBとしてアフガンに行ってこの地雷の調査等々に当たっているという姿もあるので、そういったものをどうコーディネートするのかというのは、外務省としてもしっかりやっていかなきゃいけないと思っております。

後藤(斎)委員 ありがとうございました。以上で終わります。

三原委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 私は、自衛隊の撤退について、これまでの質問いろいろありましたが、角度を変えて聞いていきたいというぐあいに思います。

 額賀長官は、今月一日の2プラス2で、「条件が整えば、英豪軍と同じ時期に陸自の活動も終了したい」、このように述べたと報道されております。ところが、今に至るも政府の撤退の決定はないわけですが、なぜ撤退を決定できないのですか。

額賀国務大臣 マスコミに対して私がそういうことを直接述べたことはありません。

 ただ、言っていることは、これは従来どおりからでございますけれども、政治状況、今度、イラク政権が新しく発足したということは新しい進展であります。そういうものをよく見ること、それからイラク国内の治安の問題は、これは、米国や英国や豪州軍が治安の育成指導に当たっているわけでありますから、そういうところとよく状況を見きわめながら考えていかなければならないということは従来から言っているとおりでございまして、今の時点で自衛隊について撤収を決めたとか、また考えているとかということを申し上げる状況ではありません。

赤嶺委員 新しい政府が発足をしスタートした。六月にはサマワで多国籍軍からイラクへの権限移譲を実現できるのではないかとマリキ首相がこのように述べている。首相自身がそのように発言しているわけですから、あとは調整をして、サマワから陸自は撤退をするという判断をしていいんじゃないですか。

額賀国務大臣 今委員がおっしゃるように、マリキ首相がそういう六月にも治安権限の移譲ができる可能性があるということをおっしゃったということは聞いておりますけれども、では、具体的にイラク政府でそういうことが決定されたということも聞いてないし、英豪軍との間でどういう調整が行われているかについてはこれからのことだというふうに思っておりますので、そういうことをよく見きわめる必要がある。英豪軍の首脳部は、あるいはまた各国の指導者たちは、まだタイムスケジュールをきっちりと決めているわけではないというふうに言っているわけでありますから、我々はそういうことをよく見きわめていかなければならないし、おっしゃるように、我々が撤収のことをきちっと決めているわけではないというのが現実でございます。

赤嶺委員 英豪軍がまだ撤収の日程を決めていないと。自衛隊は別の任務で今サマワにいるわけですよね。それで、長官は、五月二十三日の参議院の外交防衛委員会でこのように述べているんです。そろそろイラク人による活動や非政府組織など第二ランナーにバトンタッチするとか、政府開発援助の仕事に範囲を広げる形に移行していかなければならないと言っているわけですよね。

 新政府はつくられた。そして、治安の権限移譲しても大丈夫だよとマリキ首相が発言をしている。サマワにおける自衛隊の任務についても、もうそろそろ第二ランナーにバトンタッチしていかなければいけないとおっしゃっている。であれば、英豪軍がどういう日程を持とうとも、日本の自衛隊は独自に撤退を判断してもいい問題ではないかというぐあいに思いますが、いかがですか。

額賀国務大臣 私が言いましたのは、イラク政府と、治安部隊を指導、育成している英豪軍との間で、治安の権限移譲がきっちりと決められていくことがまずなければならないと思うということを言っているわけでございます。

 それで、私が先ほど言ったように、さまざまなインフラ整備だとか生活条件の整備について、イラク人の手でそういうことはなし遂げられるようになることが、それが自衛隊のこれまで汗をかいてきた理由なわけでありますが、そういう事態ができ上がることを望みながら行動しているわけでありまして、一日も早くそういう事態が来ることを望んでいるわけなのは当然であります。

 したがって、先ほど言うように、自衛隊をどうするかこうするかということについては、イラク政府の状況とか治安の状況とかをよく見きわめて考えたいということを言っているわけであります。もちろん、イラク人あるいはまたムサンナ県、地元の皆さん方によく納得してもらう形もつくっていかなければなりません。

赤嶺委員 私が指摘しているのは、つまり、新政府もできました、そして治安の権限移譲の条件もでき上がりました、自衛隊のサマワでの活動も復興基盤が整いつつあります、だのに、撤退のことについてこれ以上何も語れない、まだ何も決めていないということの繰り返し。行くときも、アメリカに言われてイラクに自衛隊を派遣し、結局、帰るときも、今アメリカが、多国籍軍についてもっとイラクにとどまってほしいという要望を強く繰り返している。そういうところで政府がイラクの撤退について語れないんじゃないかというような疑問を持つわけであります。

 空自の活動についてですが、報道によると、空自の活動はこれから新たな分野に拡大していきたいというのも出ていますし、国連のアナン事務総長からの要請もあったという報道も出ています。今後、空自の活動についてどんなことを考えていらっしゃるんですか。

額賀国務大臣 空自の活動については、その前に、アメリカから言われてそのとおりやっているという話がありましたけれども、そうではないんでありまして、これは、この国会で法律をつくって、日本の国、国民の意思として、法律に基づいて派遣されているということが前提であることを言わせていただきたいというふうに思っております。

 と同時に、空自のことについては、今おっしゃるように、アナン事務総長が小泉首相に対して、人道復興支援活動について、国連の活動についても御協力を得たいという話があったということを聞いておりまして、小泉首相も前向きに取り組もうということでございますので、空自としてそういうことの仕事ができるのかできないのか、どういうふうにすれば安全にできるのか、どういうニーズがあるのか、そういうことについて今勉強しているというところでございます。

赤嶺委員 今、国連はイラクの中でどんな活動をしているんですか。

額賀国務大臣 国連が我々自衛隊に要求していることは、人道復興支援活動であります。それ以外のことについてではないと思っております。

赤嶺委員 国連は、政治プロセスを主導したり人道復興支援の計画をつくったり、しかし、かなりまだ小規模なんですね。今の国連の規模の活動でイラクでやるというならば、国連は自分たちの国連機も持っていますし、民間機のチャーターをしての国連活動もしている。だから、やはり明確な説明が必要になってくると思います。

 それで私、最後に質問をしたいんですけれども、今、イラクの西部のハディサという町でアメリカの海兵隊員が民間人を無差別に射殺した疑いがあることが繰り返し報道されております。犠牲者の家族で十歳の少女が生き残り、彼女が証言をしているわけですが、自宅近くで爆弾が爆発した、海兵隊員一人が死亡した、その十五分後に突然海兵隊員が彼女のうちに押し入り、祖父母の部屋に手投げ弾を投げ込み、家族の大半がいた居間に向かって発砲し、祖父母と両親、おじ二人、四歳のいとこが死んだ、このように述べているわけです。

 長官に聞きますが、イラクで何でこういうことが繰り返されているんでしょうか。

額賀国務大臣 そういう報道がなされていることは承知をしておりますけれども、事実関係を正しく把握をしているわけではありません。したがって、事実関係がわからないのに、理由について今の時点でコメントできません。

赤嶺委員 報道で知っているだけというところにとどまらない日本政府の責任もあると思いますよ。アメリカと協力をしてイラクに自衛隊を送っているわけですから、そのアメリカ軍がイラクで何をしているか、ファルージャの戦争もありました。今度は、恐らくこの海兵隊員というのは沖縄から派兵された海兵隊員かもしれない。そういう海兵隊員が本当に家族を皆殺しにしている。こういうことについてあなた方が何の検討もしないで、イラクでアメリカがやっていることはなすがままということは、日本の立場からいっても許されることではないというのを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

三原委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 私は、いただきました八分の時間の中で、ただいまの赤嶺委員のお取り上げになりましたイラクにおける人権状況についての質問をさせていただきます。

 冒頭、今、赤嶺委員と防衛庁長官の質疑を承りながら、先ほど来、防衛庁長官は、今後我が国が世界において自由と民主主義という価値観を共有して、アメリカともテロ等々にも対処していくんだということをお述べになった御答弁がありましたが、私はこの場でもう一つ確認をしたいと思うのです。

 我が国が世界的に共有していかなければならない価値観の一つに、人権あるいは平和的生存権、例えば今赤嶺委員がお取り上げになりました、突然海兵隊が入ってきて乱射する、恐らく一歳から十四歳の女の子たち五人、あるいは普通のパジャマ姿で寝ていた民間人が射殺されたとすれば、それは、今のイラクの治安を担っている、幾らそういう米軍の名目があったとしても、許容されてはならない実態なんだと思います。

 長官に改めて、我が国がこれから世界の中で共有していくべき大きな価値観、例えば我が国は、憲法の前文に平和的生存権ということを、世界じゅうから飢餓や貧困をなくす、あるいは紛争の処理においても、もっともっと人間そのものの安全ということを打ち立てた憲法を持つ国であります。そこにおいて、先ほど来、私はいつも額賀長官の答弁というのは尊敬もしておりますし評価もしておりますが、今のような御答弁であれば、やはり我が国が世界に見せる国のいわば哲学というものに少し遠いと私は思いますので、いま一度、これから例えば事態をお調べになって、きちんとイラクにおける人権状況についても、我が国として、何せ我が国は、イラクの人権ということに基づく人道復興支援に行っておるのですから、自衛隊にかかわることでなくても、やはり全体的なものは当然視野に入れるべきと思いますが、重ねて御質疑をお願いします。

額賀国務大臣 自由と民主主義、民主主義の要件の一つは、個人主義とか人権の尊重とかであります。人権のうち最も大事なものの一つがやはり自由であるというふうに思っておりますから、私は、おっしゃるとおり、この自由と民主主義というのは人権を含むものであるというふうに思います。

 それから、いかなることがあっても、こういうテロだとか戦争だとかいうことにおいて、合理的な理由もなく民間人が犠牲になることは許されるものではないというふうに思います。

阿部(知)委員 麻生大臣に本来質問通告をしてございますけれども、麻生大臣は、この事案、赤嶺委員が詳しくお述べでありますが、事が起きたのは昨年の十一月だと言われています。当時米軍は、このイラク西部のハディサというところで掃討作戦を展開した。その中で、市民を含む民間人二十四人が殺害されたのではないかということであります。既に米国側の報道は、三月段階でタイム紙に報道され、その後軍内の調査も進んでおるということであります。

 日本は、この報道される事案についてどの程度情報をお持ちか、あるいはどういうものと認識しておられるのか、麻生大臣にお願いします。

麻生国務大臣 ニューヨーク・タイムズ、昨年の十一月に、イラクの中部のハディサで米海兵隊員が無抵抗のイラク人を殺害した疑いが浮上している旨報じたことは承知をいたしております。

 この件に関しましては、アメリカの統合参謀本部長のペース大将のあれが出ていましたけれども、四つ出ていたとたしか聞いております。調査中であり、調査の結果は公表する、現段階での推測はできない、報道のような事実があれば関係者の処分を発言したということを承知しておりますが、この調査の結果というものに関して、私どもは正確なところをつかんでおりませんのでそれ以上のことを申し上げるわけにはいかないんですが、さらに数週間を要するというような報道もなされておりますし、私どもとしては、ちょっと今の段階で推測の域を出ませんので、それ以上の話を知っているわけではございません。

阿部(知)委員 今、米国においては、上院において、軍事委員会のウォーナー委員長が、公聴会を開くことも検討しておると。すなわち、これがアブグレイブ以上の、無差別大量殺りくであるということがわかったならば、アブグレイブ以上の問題であろうと言われているわけです。

 我が国は、例えば国際的な刑事裁判所等々の仕組みについて積極的に動きをしておりませんが、イラクにおける人権状況の本当の確保ということにおいても、今後、我が国として積極的にこうした国際刑事裁判所等々において、アメリカは一方の当事者ですから、こうした大量殺りくとか人道への罪をきっちりと明確化して対処していくというお考えは、麻生大臣はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 今の件ですけれども、米側が事実関係を調査中で、人道に対する罪との関係を含めて、正確ではありませんので、ちょっと正直言って評価をできる立場にはないのが正直なところなんですが、少なくとも、昔のソンミ村事件やら何やら幾つか思い返せば、こういった戦争という極限状況においてはいろいろこの種の非人道的なところが起きるという話は、悲惨な話はついて回る話ではありますが、少なくとも、これが隠さず出てくるというところも、これは昔だったら隠ぺいしちゃうところなんでしょうけれども、これが隠さず出てくるところが救いはあるなと正直私どもとしては思ってはおります。

 ただ、いずれにしても、そういうような非人道的な話というものがついて回るところが戦争というものの狂気のさせるところなんでしょうけれども、私どもとしては、こういったようなことに対しては厳しく対応していくべきだと思っております。

阿部(知)委員 殺された側は救われませんし、それから、そういうことのために国際刑事裁判所が提案されているんだと思います。日本としてもっと積極的な動きを私はお願いして、質問を終わります。

三原委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 私も大変短い時間ではございますが、質問させていただきたいと思います。

 今月の二十日、イラクの新政府が発足いたしまして、二〇〇三年の四月のフセイン政権の崩壊から三年、ようやく議会制民主主義が整ったのではないかなというふうに思います。まずは、新しい政府の誕生を歓迎させていただきたいなというふうに思います。

 日本政府はこれまで、サマワで活動する陸上自衛隊の撤収の条件として、政治のプロセス進展ということを挙げてきたわけでございます。今回のこの政治プロセスの大きな進展によって、陸上自衛隊の撤収の環境が整いつつあるのではないかなというふうな意見があるわけでございます。また、報道によれば、政府は、陸上自衛隊の撤収後も航空自衛隊の活動、これを継続する方向で検討している、こういうふうにも言われているわけでございます。先般、国連のアナン事務総長から人員や物資の輸送依頼の要望があったと。それで小泉総理は、前向きに検討する、このように述べられたようでございまして、航空自衛隊の活動というものが今後も重要である、こういうふうに考えておるわけでございます。

 そこで、今回の質問に当たっては、イラクにおいて人道復興支援活動に当たる自衛隊の活動に関して基本的な防衛庁の認識というものをお尋ねしていきたいなというふうに思うんです。

 まず、イラクにおける自衛隊による復興支援活動は二年半に及ぶわけでございますが、これまでの活動の成果、これについてお聞かせいただければと思います。

額賀国務大臣 もうこれは糸川先生もいろいろと御承知のとおりでありますが、人道復興支援活動で二年半近くなるわけでございますので、イラクの指導者たちが自衛隊の活動に対して非常に感謝の念をいつも表明なさっております。日本においても、世論調査等においても高い評価をいただいているというふうに思っております。

 学校の建築だとかそういう教育環境の整備、あるいはまた、きれいな水の提供とか浄水場の建設だとか、あるいはまた、道路だとかそういうインフラ整備、それから医療器材等々の提供、さまざまな人材育成、そしてよく言われるのは、乳幼児の死亡率が、何年だったですか、データ的に言うと三分の一ぐらいに減少して大変喜ばれているというふうなことがあったりしているわけでありますから、これは一定の成果があったというふうに思っているわけでございます。したがって、イラクの政府、あるいはムサンナ県、地元の方々も、自衛隊の皆さん方には引き続いて仕事をしてほしいということのニーズもあるわけでございます。

 それで、先生がおっしゃるように、自衛隊としては一定の貢献をしてきたわけでありますけれども、今後も、その政治状況とか治安の問題だとかいろいろなことを考えながら、どういうふうにしたらいいかということについて我々は、英豪軍とかみんなと相談をしながら考えていきたい。今、おっしゃるように、撤収のことを具体的に決めていることはありません。

糸川委員 成果の中に、よく見ていますと、例えば医官を連れていって医療の教育をする、こういうことで非常にいい活動をしているなと。そういうことによって乳幼児の死亡率も著しく低下してきている。

 自衛隊が撤退した後も、撤退の話はないということかもしれませんが、撤退の時期はまだわからないのかもしれませんが、外務大臣、今後もODAとしてぜひそれは継続して、いいことは続けていただきたいなというふうに思います。

麻生国務大臣 そういったようないわゆる人道復興支援に直接供与するような話を、少なくとも、いわゆる軍隊の防御、護衛なくしてできるような治安状況というものがちょっと生まれないと、糸川先生、そういうことをやりたいというボランティアの人がNGO含めていろいろおありになるんでしょうけれども、そういった状況が一日も早くできるということが一番大事だと思いますので、今言われましたような復興支援に関しましては、積極的にやってまいりたいと思っております。

糸川委員 ありがとうございます。

 私も、何か民間人の死者が出たりけが人が出たりすることは全く望みませんので、そういう環境が整えばというふうに思います。

 もうほとんど時間がございませんので、イラク政府が発足した、こういうことに対しての防衛庁の見解をお聞かせいただければなというふうに思います。

額賀国務大臣 これは、先ほど外務大臣も言ったけれども、マリキ首相のもとに組閣がなされた、しかし、治安担当大臣とか内務相、国防がまだ専任大臣がいないということでありますから、一定の新政府ができたわけでありますけれども、それは大きな前進だと思っておりますし、さらにきちっとイラク人による政権運営ができて、イラク人の国家建設が順調に進んでいることを期待したいというふうに思っております。

 そういうふうな環境づくりを我々もお手伝いしてきたのでありますから、その意味では大変喜ばしいことであると思っています。

糸川委員 ありがとうございます。今、外務大臣、しきりに首を振っていらっしゃったので、もし何かあれば。よろしいですか。

 ではもう一問、最後に防衛庁長官に質問させていただきたいんですが、人員ですとか物資の輸送の国連からの要望に対して防衛庁は今後どのように対応されていくのか、航空自衛隊の件もございますので、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

額賀国務大臣 国連事務総長からそういう要請があったということを聞いておりますし、小泉首相も積極的に対応せよということでありますから、我々は今、どういう形でできるのか、いろいろ調査をしているところであります。今後、人道復興支援という形で自衛隊が対応できる体制はどうなのかということを今勉強中であります。

糸川委員 ありがとうございました。終わります。

三原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時二十分散会


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