衆議院

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第3号 平成18年10月16日(月曜日)

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平成十八年十月十六日(月曜日)

    午前九時四十五分開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 石破  茂君 理事 渡海紀三朗君

   理事 中谷  元君 理事 西村 康稔君

   理事 松浪健四郎君 理事 神風 英男君

   理事 原口 一博君 理事 田端 正広君

      伊藤信太郎君    伊藤 忠彦君

      石原 宏高君    宇野  治君

      上野賢一郎君    小野寺五典君

      越智 隆雄君    大塚  拓君

      加藤 勝信君    金子善次郎君

      北村 茂男君    北村 誠吾君

      清水鴻一郎君    杉田 元司君

      鈴木 馨祐君    高鳥 修一君

      中根 一幸君    中森ふくよ君

      西本 勝子君    橋本  岳君

      町村 信孝君    松本 文明君

      松本 洋平君    三原 朝彦君

      吉川 貴盛君    池田 元久君

      大島  敦君    小宮山泰子君

      田島 一成君    武正 公一君

      中川 正春君    長妻  昭君

      伴野  豊君    江田 康幸君

      丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      久間 章生君

   防衛庁副長官       木村 隆秀君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   国土交通大臣政務官    梶山 弘志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小澤 俊朗君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房衛生監) 安達 一彦君

   政府参考人

   (防衛庁防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (外務省国際情報統括官) 竹内 春久君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        佐藤 宏尚君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十六日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     上野賢一郎君

  冨岡  勉君     松本 文明君

  町村 信孝君     高鳥 修一君

  松本 洋平君     小野寺五典君

  三原 朝彦君     加藤 勝信君

  宮澤 洋一君     北村 誠吾君

  後藤  斎君     小宮山泰子君

  山井 和則君     大島  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     越智 隆雄君

  小野寺五典君     松本 洋平君

  加藤 勝信君     三原 朝彦君

  北村 誠吾君     宮澤 洋一君

  高鳥 修一君     北村 茂男君

  松本 文明君     冨岡  勉君

  大島  敦君     山井 和則君

  小宮山泰子君     後藤  斎君

同日

 辞任         補欠選任

  北村 茂男君     町村 信孝君

    ―――――――――――――

十月十六日

 イラクからの自衛隊撤退を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六四号)

 自衛隊のイラクからの速やかな撤退を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一〇三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君、内閣官房内閣審議官小澤俊朗君、防衛庁防衛参事官小川秀樹君、防衛庁長官官房衛生監安達一彦君、防衛庁防衛政策局長大古和雄君、防衛庁運用企画局長山崎信之郎君、外務省大臣官房審議官長嶺安政君、外務省大臣官房審議官佐渡島志郎君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、外務省中東アフリカ局長奥田紀宏君及び外務省国際情報統括官竹内春久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伴野豊君。

伴野委員 おはようございます。

 本日は、国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会におきまして質問をさせていただきます。

 まず冒頭、塩崎官房長官、久間防衛長官、御就任おめでとうございます。また、麻生大臣におかれましては、御自身では留年とおっしゃっていますが、留任おめでとうございます。

 いずれにしましても、非常に緊迫した朝鮮半島の今の事態の中での御就任という、本当に、国益と申しますか、国民の財産生命を守っていただく非常に強力なトリオということで、一人の政治家として敬意を表しつつ、お疲れにならないように。もしお疲れになった場合には、民主党にも有能な人材がおりますので、いつでも言っていただければ。

 そうした中で、まず、本題に入らせていただく前に、これだけの方がそろっていらっしゃると、どうしても、きょうの新聞でもあった話題から入らせていただきたいところでございますけれども、テーマがテーマだけに、時間が許せばお聞きさせていただければと思っておりますが、その前に一点だけ。

 これは順番が違って申しわけないんですが、危機管理という面で、塩崎官房長官にここだけは、時間があろうとなかろうとお聞かせいただきたいと思っております。

 というのは何かといいますと、正直言って、私も右往左往いたしました。十一日の朝の、いわゆる北朝鮮の二回目の核実験があったのではないか。今から考えれば誤報だったわけでございますけれども、私自身も、報道というよりも、同僚議員からこの話を聞きました、どうもやったみたいだぞということで。私自身も、それはいろいろな政府筋に確かめればよかったわけでございますが、ああ、ついにといいますか、二回目もやったんだなと。

 有識者に言わせれば、核実験が成功していれば、それは続けてどんどんやるのがこの世界のやり方だというお話もありますし、逆に、やらないということは、失敗していたのか、あるいは何かの意図があるのかというようなことも伺っておりましたので、推論はいけないかと思いましたが、やはり、そういった報道があったということを耳にしたときには、やってしまったのかなという感覚を持っておりました。

 いろいろ調べていくと誤報であるということもわかったんですけれども、こういった緊迫したときこそ危機管理能力が問われるわけでございますし、官邸の、事実を正確に把握して、それに即した対応策を冷静に練るということが危機管理の鉄則ではないかと思われるわけでございます。過度の恐れや右往左往、集団ヒステリックや集団パニックになることなく御対応いただきたいと思うわけでございます。

 これは、私の記憶だとアメリカのラジオ番組だったですか、同じような例にはならないんですけれども、火星人襲来ということでアメリカじゅうがというようなこともありました。要するに、集団ヒステリック、パニックというのも非常に恐いわけでございまして、暴発ということにもなるわけでございます。

 一つは、政府が適切な情報をきちっと適宜出していただく。それから、政府要人の慎重な言動。三つ目としては、やはりこの手になるとスクープ合戦になっていく話もございますよね。ですから、マスコミにもきちっと要請をしていくというようなことが必要になってくるわけでございますけれども、原因究明とその後の対策というのは今どんなふうになっているか、お聞かせいただけますか。

塩崎国務大臣 もとより、北朝鮮が核実験をやったということを発表したわけでありますけれども、核実験については私たちは断固として反対し、非難をしているところでございます、発表自体についても。

 今マスコミのお話がありましたけれども、私ども政府は入念な情報交換というのを各国とやっているわけでありますが、その中身についてはもちろん申し上げることではないと思っております。したがって、今、伴野先生御指摘のように、冷静に私どもとしても分析し、対応していくというのが当然のことであり、国民の皆様方が不安を感じないようにしていくということは極めて大事だと思います。

 今回のマスコミの報道につきましては、これはマスコミのことでありますので、私どもとしてはこれについてコメントする用意はございませんけれども、マスコミに対しても、不要な不安をもたらすことがないように冷静な対応をきちっとしてもらいたいというふうに思っているところでございます。

伴野委員 本当に非常事態に近い状態だと思いますので、いろいろな情報がふくそうし、いろいろ口に出せないようなこともあろうかと思いますが、ぜひ、適宜適切な情報発表、それから、情報管理というんですか、危機管理には万全に臨んでいただければ、そんなふうに思います。

 また、私は、やはりマスコミの方々にもきちっと言うべきことは言うことが必要じゃないのか。国なくしてスクープ合戦であってはいけないと思いますので、そういった部分で争うのではなく、例えば必ず官邸に確認をしてから報道するとか、こういったときでございますので、何か一定の歯どめがあってもしかるべきではないか、そんなふうにも思っております。

 では、本題に入らせていただきたいと思います。北朝鮮の関係は、また時間があったらお聞かせいただければと思います。

 百聞は一見にしかずといいますか、先般、当委員会の御配慮もありまして、今夏、八月十七日より二十一日まで、当時の三原委員長、そして石破筆頭、我が党の原口議員、私で、当委員会の管轄しております現地へ現地調査に行ってまいりました。

 一言で申し上げまして、国会での議論や表決の違いはありますけれども、現地において、命がけで、汗だくになって、もう現地はこのあたりに電気ストーブが二つ三つあるような状態でございました。そして砂ぼこり。まさにそういった中で、命がけで、郷里を思い、家族を思い、そして、多分早く帰りたいんだと思いますが、そういった思いの中で遂行している自衛官の皆さん方、そしてそれを支えていらっしゃる各位には、本当に、現場で感謝と敬意を表してきたわけでございます。

 それゆえに、現場の実態を理解して、理想、理念、それと現実、現場をできるだけ整合させていくこと、そのために国会議員、これは党派を超えて汗を流していかなければいけないんではないか、そんなことも思ったわけでございます。そしてまた、その覚悟も我々はしていかなければいけないのではないかと思っております。

 あってはならないのは、そういった理想、理念と、現場、現実とのずれが現場を追い込むような方向にあっては絶対にならない、そんな思いも持っているところでございます。

 そういった観点の中で、麻生大臣は、先般八月三日に、イラクの外相とお会いになる関係であちらへ行かれたと思いますが、安倍総理も官房長官であったということもありますし、久間防衛庁長官も塩崎官房長官もまだ多分こちらの方の具体的な視察というのはされていないかと思いますが、ぜひ、百聞は一見にしかず、かつ、現地の士気を上げていただくためにも、一度しかるべきときに御視察いただく、そんなことはお考えいただいておりませんでしょうか。

塩崎国務大臣 委員派遣で先生方が現場を見てこられたこと、大変大切なことだと思っております。

 私も、東ティモールとかアフガンとかイラクにも行ってまいりました。自衛隊がいたわけではございませんけれども、それぞれの持ち場持ち場でNGOを含めてやっている姿を見て、やはり、現場を知らなければ何もわからないな。特に海洋での活動については、非常に厳しい環境の中でやっておられるということなので、私も、機会があればもちろん見るべきだと思っておりますが、直ちにそれができるかどうかはまだ決められる状態ではないわけでありますけれども、先生の今の御指摘、そのとおりだと思いますので、チャンスがあれば行きたいというふうには思っております。

伴野委員 志を持って、あるいは士気を高めるために行っていただくがゆえに標的になっていただいてもこれも困るわけでございまして、ぜひ、適宜適切に御視察いただければと思っております。

 今回視察をさせていただいたのは、実際、我が海自が、フランスの海軍だったと思いますけれども、「さざなみ」の護衛をいただきながら「ましゅう」からいわゆる支援していたところに、海上に同行させていただいたわけでございます。また陸自の方は、クウェートにいらっしゃった後方支援の部隊といいますか、撤退を最終的に整理されるところの方々、そして空自の方は、C130Hでしたか、これを実際運航している皆さん方のところへ行ってまいりました。

 それで、全体を見たところ、これは私だけの感覚かもしれませんが、確かに「ましゅう」は、護衛艦「さざなみ」と哨戒ヘリコプターで守られながら、連携をとりながらやっていらっしゃるんでしょうけれども、たしか、このあたりは石破先生の方がお詳しいので、余りお詳しい方の前で話をするのもなんですけれども、「ましゅう」はレーダー能力にちょっと、もう少し高いものがいいのではないかとか、実際に乗って見てまいりますと、あれは機関銃が一つだけだったような気がするんですね。ですから、これは油の塊でございますから、我々も乗っていて、あれでもし何かあったら多分ここにはもう今はいないんだと思うんです。

 それから、C130H輸送機にしましても、追加装備の甲板というのは、これは石破長官も御指摘になっていたところだと思いますけれども、ミサイルの攻撃回避用の防衛装置があるという御説明も伺いましたけれども、全体的にちょっと軽武装の感があるような気がしてなりませんでした。

 これは、私も子供を持つ親として考えるときに、子供がどこか遠足へ行く、あるいはどこか外へ旅に行くといったら、親心としては、要らなくても、カーディガンを持っていきなさい、セーターを持っていきなさいと言うのが親心じゃないかなと思うんですね。

 そういったところで、常に万全は期していらっしゃるとは思いますが、久間防衛庁長官、そのあたり、いかが思われますか。

久間国務大臣 まず、自衛隊が補給活動を行っている地域というのは、戦闘地域を避けて、戦闘が起こらないであろう、そういう蓋然性が高いところでやっております関係上、それほどの重装備でないかもしれませんが、しかしながら、絶えず情報を把握しながら、いざというときには対抗できるような最低限の装備はしているわけでございまして、軽武装だというようなことを余り言われてもちょっと困るわけでございまして、十分配慮しておると私は認識しております。

伴野委員 やはり我が国の大切な命がかかっているわけでございますので、ぜひ親心を忘れないでいただければ、そんなふうに思っております。

 続きまして、よく言われるのが、私は決してそういう言い方をしたいとは思いませんが、無料のガソリンスタンドとやゆされる発言があってみたり、あるいは、実際、OEFのいわゆる後方活動、支援活動としての今回の、成果というんですか、これが見えにくいという御指摘もあるところでございます。いわゆるOEF・MIOの海上阻止活動の成果ということでございます。

 防衛庁さんの方から、その具体的成果として、平成十五年の十二月十五日から始まります七件、主に大麻やヘロインの摘発や武器弾薬の摘発もあったやに思われますけれども、このあたり、例えば交番に例えますと、交番がたくさん整備されていれば犯罪は減っていくから、実際、摘発する件数は少なくなっているんだという表現の仕方もできます。しかしながら、税金をそれなりに投入し、しかも現地では頑張って汗を流している。やはりそれなりの後方活動、アピール、そして成果が伝えられるべきだと考えますけれども、このあたり、成果についてはいかようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。

久間国務大臣 まず御理解賜りたいのは、あそこで海上阻止活動を各国がやっておる、そういうことで、武器弾薬の輸送なりあるいはアルカイダの兵士等の移動が阻止されておる、そこが最大の成果だと思うわけであります。

 具体的に、今言われました武器弾薬あるいは麻薬とか、そういうような量的なものよりも、あそこが簡単に行動できない地域になっておるというのが、何にも負けないすばらしい成果だと思いまして、そういう点で、まだテロとの闘いが続いている今日では、やはり続ける必要があるんじゃないかというふうに世界各国が思って続けております。そのときに、日本としても同じような行動をとるべきだということで今回この延長をお願いしたわけでありますので、どうかひとつ、そのようなことについての御理解を賜りたいと思います。

 なお、細かい数字がもし必要でしたら政府委員の方から答弁させますが、数字よりも、そういうような状況を続けておることが、国際的なテロとの闘いに日本としても貢献しておる、そういう誇りを私自身は持っておるわけであります。

麻生国務大臣 今防衛庁の方から、資料を持っておられるという話だったので、多分麻薬の挙げられたトン数、二〇〇五年何トンという、トンですよ、あれはキロじゃありませんから。かなりな数でありますから、あれだけの麻薬が外にばらまかれたらということになると恐ろしいんですが、これが資金源になっているというのは確かだと思っております。基本的に、アフガニスタンという国家の多分GDPの約五〇%前後がこの麻薬製造から得られている利益であろうといううわさが出ているぐらいの量なんです。

 もう一つ、余り言われていないところですけれども、今防衛庁長官からもお話がありましたように、この地域に約五年展開をした結果、いわゆる不審船と思われるものに対して無線を発して警告する、おたくどこへ行くんですかという警告をする回数というものは、かつて年間に四万一千回ありましたものが、今ではこの一年間に約一万四千回まで激減をしております。ということは、そういったいろいろな動きが出てくる船の活動が大きく抑えられたという点も大きいと存じます。

伴野委員 現地を見てきたから言うわけじゃないんですが、イラクの陸自に比べて、多分報道ソースに乗る機会も少のうございますし、いろいろな意味で、できるだけ数量的、定量的に成果が伝えられるような工夫や、現地の状況のあり方なんかも伝えていただくような工夫もしていただければ、そんなふうに思います。

 では、ちょっと次へ行かせていただきたいと思います。

 これは、今ちょうど一番ホットな話題にもなってくることでございますけれども、正直言いまして、甲板にいたときには、先ほどの軽装というお話とともに、ここで、ちょっと表現が不謹慎かもしれませんが、ドンパチが始まったらどうなるんであろう。これは、多分、現地におり立たれた方はそういうふうに思われることもあるのではないかな。非常にその地域は、確かにその日は、まさに海もきれいですし、穏やかで、給油以外の活動は何事もない様子には見えましたが、しかしながら、テロはいつ何どきということもあるわけでございます。

 そうしたときに、武器使用の話をちょっとお聞きしたいと思いますし、今、非常に話題といいますか、国民の関心の高いところでもございます、ぜひお教えいただきたいと思うわけでございます。

 給油中の補給艦自身が攻撃を受けた場合は、自衛隊法の九十五条に基づいて武器使用が可能である、これは御案内のとおりだと思うんですね。しかしながら、給油を受けている側の米軍もしくは艦船が攻撃を受けた場合には、その艦船だけが攻撃を受けている状態ではなかなか武力行使には踏み出せないのではないか、過去の政府解釈等々を勘案しますと。しかし、いつ弾がこっちへ飛んでくるかなんというのは推測もできないわけでございますし、ドンパチが始まったときに、何か審判が、サッカーのラインズマンじゃないですけれども、オフサイドなんということを判定する人がいるわけでもありませんから、当然、米軍等の艦船のみが攻撃されている状態かどうかというのは本当に判断できるのかどうか。多分、そういう状況であれば、給油している側の方にも攻撃が来るであろうと推測のもとに防護をしかけるのかどうか、これは現場だけにゆだねるにはちょっと酷なのではないかな、そんなふうにも思うわけでございます。

 こういった観点から、今の日本海でも起こり得る状況も想定されるわけでございますので、ぜひお答えいただければと思います。

久間国務大臣 先日の参議院の予算委員会でもこれに似た話があったわけでございますが、我が国は、昔からといいますか、要するに、戦後、集団的自衛権、個別的自衛権というふうに二つに非常に峻別してしまって、全くそのどちらかに属するんだ、そして、こちらに属する場合は武力行使はできないというような解釈をずっととっているわけですね。

 しかし、今おっしゃいましたように、両方が一緒になって活動しているときに、果たしてそういう峻別だけでいいんだろうか、そういうような問題が絶えずありますから、この問題については、政府は今までの解釈に、一応踏襲しておりますので、それに従っておりますけれども、それはそれとしながらも、やはり研究していく余地はあるんじゃないかと思っているわけでございます。

 そういう意味で、今のような個別の例についてどうするかでございますけれども、私はそのとき、参議院の予算委員会でも言ったんですが、二人連れ立って仲間と歩いているときに、そっちの方がちょっと前を動いておった、それに襲ってきたときに、こっちも一緒になってそれを防御したというのなら、これは正当防衛が成り立つんじゃないか。こっちはまだ攻撃されていないけれども、そちらと一緒に並んでおって、そちらがやられたら次はおれだというような蓋然性が非常に強いときには正当防衛が成り立つんじゃないか。

 それと同じで、今みたいに補給活動をやっているときには、どちらに対する攻撃かというのはなかなか峻別できないことがあるんじゃないか。そうしたら、現実にはどうするかといいますと、その場合には、武器等防護の規定に基づいて、やはり反撃せざるを得ないんじゃないか、そういうふうに私は思います。

 だから、そういうような状況では、特に武器等防護の規定の場合は、長官承認とかあるいは内閣が決定するわけでございませんから、武力攻撃事態の場合は防衛出動として正式な手続が要りますけれども、武器等防護の場合は瞬時にして判断せざるを得ないわけですから、現場が、そういうときに自分がやられるという判断をして行動をとったとしても、それは非難されるべきじゃないんじゃないかと思います。

 その辺については、そういうようなケースはまずないところで給油活動はやっておりますけれども、仮定の話としてぎりぎり議論されれば、私は、そういう選択をしたとしてもやむを得ないんじゃないかなと思います。

伴野委員 確かに非常に難しい問題でございますので、ちょっと酷かと思ったんですが、現場の方にもやはり質問もいたしました。あえてお名前を出すつもりもございませんが、やはりそういうときは当然逡巡するであろうとおっしゃっていました。

 私は、逡巡する日本自衛隊、愛すべき自衛隊だと思います。しかしながら、解釈を逡巡するがゆえに命を落とすことがあってはならないのだろうとも思います。そのあたり、研究にとどまらず、具体的、個別に整理をぜひしていっていただきたい、そんなふうに思う次第でございます。

 続きまして、指揮権のお話にもちょっと触れさせていただきたいと思います。

 これは一九九〇年の十月二十六日に政府統一見解が出されたと解釈しておりますけれども、例えば、今回のOEF・MIOに参加して後方支援をしているわけでございますが、これはいわゆるOEFのオペレートには直接関与していない、また、その指揮下にないから現行の憲法下でもよしという判断をしているということでよろしゅうございますね。

塩崎国務大臣 海上自衛隊の艦船がやっている今の活動につきましては、結論的に言いますと、他国の指揮下に入っているわけではないということでございます。テロ特措法に基づいての活動ということで、我が国が主体的にみずからの指揮権のもとで活動している、こういうことでございます。

伴野委員 このあたりも憲法の解釈のいわゆる集団的自衛権との兼ね合いになってくるんだと思いますが、普通に考えた場合、どういう形であれ、オペレートの中に入っていないといいましても、そのオペレートを何らかの形で補完している。言ってみれば、一つの表現としてお聞きいただきたいんですが、追加的な、加わるようなオプショナル的なものであるという解釈をした場合にでも、トータルでやはりシステム設計というのはなされるべきだと思いますので、常識的に、これは例えば技術的なシステムを考えた場合にも、オペレートしていく中では統一感というのが本来は望まれるべきだと思いますし、効率的に運用しようと思えばそういうことになってくるわけでございますので、これも、なかなか現場に即していないうちの一つなのかなという気もしてなりません。

 当然、情報交換などはしているわけですから、指揮下ではないから、右向け右と言われて右を向くわけではない、だけれども勝手気ままにできるわけでもなくて、やめたと言って途中で帰るわけにもいかないわけでございます。ですから、このあたりももう一度、解釈も含めて整理をしていただく時期に来ているのではないかなとも思います。

 さらに続けて、関連の質問をさせていただきます。

 武力行使の一体化ということで、これも一時話題になったかと思いますが、たしか、今回の拝見させていただいた護衛艦も、米軍との周波数や暗号を合わせれば、いわゆる情報を共有できるデータリンクシステムというのが搭載されているというふうにも学ばせていただいております。

 このデータリンクシステムを稼働させた場合は憲法違反になるんですか。

久間国務大臣 情報の提供が武力行使と一体化するかどうかというのは、かねがね、この委員会でも院でも議論されたことでございますけれども、従来から、情報の提供はそれそのものが武力行使の一体化にはならない。

 ただ、情報の提供といっても、その情報の提供で、角度、北緯何度何分を撃てというような情報の伝達というのは、これはやはり戦闘行為になるんだというような議論がされたことがあるようでございますが、いずれにしましても、我が国の自衛隊はそういうようなことはしていないわけでございます。ただ、アメリカとの関係では情報の共有は常にしておかなければならないということで、日米安保条約に基づく連絡調整のやり方として、情報については非常に緊密化を図っているところであります。

伴野委員 このデータリンクシステムというのは、今後、見込みとして、やはり使用していく方向へ行くんでしょうか。

久間国務大臣 これは、AWACSにしてもそうですけれども、データリンクシステムというのは、絶えず連絡をより密にするためにはどうしたらいいかというようなことで研究こそすれ、これをだんだん切るようなことにはならないと思います。

伴野委員 私は、どちらかというと技術屋出身でございます。データの中身が電子的に色がついているようなことがあるわけではないわけでございまして、これがいわゆるデータの段階で武力行使と一体化になるとかならないとかという議論が出てくることの方が私は不自然にも思いますので、このあたりはきっちりと、情報開示とともに、こういうシステムであるから大丈夫だと言いつつも、説明責任を今後も十分果たしていただければな、そんなふうに思います。

 続きまして、これもよく、よくといいますか、ここは多分、私ども一番懸念しているところでございますけれども、いわゆる出口論の話でございます。

 後ほどもしっかりお聞きしたいと思いますが、アフガニスタンの情勢等々を勘案して、今回、一年の延長ということでございますが、そもそも特措法ができたときは二年ということで、本来、特措法の宿命といいますか目的というのは、それなりの期限を切って、任務が終われば終わりよというものだと思うんですね。それが、二年、二年、一年、今度また一年ということでございます。

 それで、たしか、イラクの多国籍軍に治安維持活動が継続されていて、そしてそのときに、撤収条件を定めて撤収を図った。陸上自衛隊がそうであったと思いますけれども、そうしたときに、総合的な判断の基準として、一に政治プロセス、二に治安状況、三に多国籍軍の状況、四つ目に人道復興支援の達成度というのがあったかと思います。

 それに基づいてイラクは撤収されたというふうなことでございますが、やはり、今回お出しになったことでございますので、もうそろそろといいますか、我々はもう少し早くと言いたいところでございますけれども、撤収条件を明示して、こうあればもう撤収するんだというふうにならないものなのかどうか、お聞かせいただきたい。

久間国務大臣 この法律をつくった当時の経緯を御想起願いたいんですけれども、アメリカが攻撃をされた、そしてアメリカは、自衛のために、これはアルカイダと戦ってでもテロを撲滅せぬといかぬということでやり始めた。

 日本の場合も、もし日本がああいう攻撃を受けたとしたならば日本独自でやれるかということになると、これは、アメリカがやっていることについて、やはり支援してでもアルカイダとのテロとの闘いは終えんさせなきゃならないんだというようなことから、最終的にはどうなったかちょっとわかりませんが、かなりその当時の野党の皆さん方とも協議しながら、洋上の補給についてはいいんじゃないか、陸上部隊の派遣はやめようというような中で、ああいう形で決着したわけであります。

 そのときは、正直言いまして、それに携わった私としては、こんなに長くテロとの闘いが続くとは実は思っていなかったわけであります。しかしながら、なかなかアルカイダとの戦いが終えんしない、アフガニスタン自身についてもなかなか出口が見えてこないというようなことの中から、昨年、一年間の延長を決めたわけでございますが、現時点においてもさらにその状況が続いているということで、あと一年の延長をお願いしている、そういう状況にございます。

 したがいまして、今ここで、あと一年後にはということで、本当にいいのかというふうに言われますと、絶対ですとは言えませんけれども、まあ、とにかくここまで来て、もうそろそろ出口が欲しいというのも正直言って同じ気持ちでございますので、早くテロとの闘いが終わってもらいたいという思いがございます。

 しかし、それを今ここで明示するというほど具体性がなかなか見えていない。しかしながら、世界各国ともそういう闘いをやっていて、日本の努力にも非常に感謝しておるという状況の中で、引き続きやらせてもらいたい、そういう思いでございますから、どうかひとつ御理解を賜りたいと思うわけであります。

伴野委員 報道筋で恐縮なんですけれども、政府幹部の中の方の報道として、ひょっとしたら五十年続くかもしれないわねと言っていらっしゃる方もいるやに聞いております。そんなこともないにしても、目安とか、いつこの任務が終わるのかと待ちわびている御家族のことも考えれば、やはり、こういう条件が整えば撤退をするんだ、引かせていただくんだというのがあってしかるべきではないか、もうそういう時期に来ているんではないかな。例えば恒久法の議論をするにしても、そういう議論をきちっとした上でやるべきではないかと思う次第でございます。

 そして、これは通告していないんですが、今の北朝鮮の動向等々で、仮定の話で恐縮なんですけれども、これが周辺事態になった場合、今、五隻あるんですか、給油艦というのは。そのうちの一船と護衛艦を一つ行ってもらっているわけですけれども、自分のところの玄関先で火事が起ころうとしているのに、これは表現が大変不謹慎だったらお許しいただきたいんですが、離れた御町内の仲間のところに出かけているのもいかがなものかという声もないわけではないわけでございます。

 そうした場合に、北朝鮮の関係において非常事態が発生した場合は、それに乗じてという言い方は変なんですけれども、それをきっかけにして撤退ということはあり得るのか、法的にはそんなことはあり得ないのか。いかがでしょうか。

久間国務大臣 この法律もそうですけれども、すべてのほかの法律もそうですが、海外に出かける場合は我が国の防衛上支障のない限度においてということになっておりますから、我が国の防衛が最優先されるわけでございます。

 そちらの方が抜き差しならない状況になったときには、これはおのずから基本計画の変更というのは出てくるわけでございまして、やはり、あくまで我が国の防衛が最優先であることには変わりは全くございません。

伴野委員 周辺事態が宣言されたときには帰る可能性もあると解釈しちゃいますが。

久間国務大臣 誤解されないように。

 周辺事態の認定があったからといって直ちにじゃなくて、我が国の防衛上、そちらが最優先、そういう前提に立ったときに判断した場合に、そこはまた次の判断が入るということでございまして、周辺事態の認定があったら直ちに撤収だ、そういうことにはならないわけでございますので、ひとつ誤解のないようにお願いいたします。

伴野委員 仮定のお話でございますので、適宜適切な判断をお願いしたいと思います。

 続いて、先ほどもちょっと出口論のお話の中で、これは以前からも出てきている話ですけれども、恒久法のお話でございます。

 恒久法を制定するに当たって、従来どおり国連決議や国際機関の要請をもって自衛隊派遣の要件とするのかどうか、あるいは、国連憲章に定めたいわゆる集団安全保障の枠内で活動するのかどうか。ここは集団的自衛権等の解釈のお話にもなってくるんですけれども、こういったことをもうそろそろつまびらかにしてもいいんではないか、そういう時期に来ているんではないかな、そんなふうに思いますけれども、このあたり、恒久法の検討あるいはお考えの状況をお聞かせいただけますか。

塩崎国務大臣 先生もよく御認識されているとおり、特に九・一一以降、世界の中で、日本が今インド洋でやっているような活動も含めて、さまざまな平和協力活動というのが重要になってきたことはもう御案内のとおりでありまして、こういった変わり行く国際情勢の変化を受けて、国際社会の多様な取り組みに機動的に日本では対応しているということで今回の延長もお願いをしているということであるわけであります。

 今、恒久法、一般法のお話が出ました。内閣官房を中心に、いわゆる一般法の整備に関するものを含めて、我が国の国際平和協力のあり方全般について幅広い検討を行っているところでございます。

 大事なことは、国際平和協力のためのいわゆる一般法の整備につきましても、世界において責任ある役割をどういうふうに日本が果たしていけるのか、国民の皆様方の考え方、もちろん国会の皆様方の考え方などをよく踏まえた上で国民的な議論をこれからもっと深めていかなきゃいかぬだろうというふうに思っておりますが、目下、官房ではそういったことを幅広く検討しているというところでございます。

伴野委員 くれぐれも国民がその議論に置いてきぼりにならないようにしていただければ。

 実際、北朝鮮の核実験の後、私の地元でもいろいろ、安全、防衛問題に余り御関心のなかった方ですら日常的にお話をされる状況でございます。ですから、いろいろなことをこの際つまびらかに御検討いただき、しかるべき時期にきちっと御説明いただければ、そんなふうに思います。

 そして、これをもって内閣不一致なんということをあげつらうつもりは全くありませんが、これも報道ベースで恐縮なんですが、あえてちょっとお伺いしたいと思います。

 今の恒久法の制定に関しては、安倍総理も御就任以来意欲的に、官房長官の時代からも意欲的におっしゃっていたように記憶しております。一方で、久間長官におかれましては、技術的に非常に厳しい、慎重論も唱えていらっしゃるわけでございますが、このあたり、久間長官のお考えもお聞かせいただけませんか。

久間国務大臣 恒久法があって、それに基づいて出られるということになりますと、緊急の場合は非常にいいわけであります。ただ、恒久法をつくりますときに、特にこのテロ特措法、これだけが、ほかの派遣と比べてやや趣を異にしているわけですね。

 アメリカの言うなれば自衛のための戦争だけれども、これが世界的な規模で、ほかの国だって、我が国だって、こういうことがやられた場合は果たして手が出せるのか、そういう状況下の中で、これについては応援をしようという形になって出ていったわけですね。言うなれば、戦争行為をやるアメリカに対して応援するというのは、初めて踏み出した法律なんです、実を言いますと。だから、こういうようなものまで組み込んで恒久法ができるのかな。

 ゴラン高原に行っている、東ティモールに行っている、あるいはそのほかの災害派遣とかいろいろな形で自衛隊が海外に行っている。これはもう国民もみんな認めてきているわけですけれども、戦争を行う米軍を支援するための法律というのをその中に含めた形で恒久法にするというのが果たしてできるのかなという思いがありますので、恒久法があった方が自衛隊の責任者としては非常に行動がしやすくていい、そういう一面がございますけれども、技術的に果たしてそういう意見の集約ができるのかな。私自身は、そこまで含めた形での恒久法はなかなか難しいんじゃないかという思いがあってやや慎重論を唱えているところであります。

伴野委員 今、長官のおっしゃられた御意見もいろいろ与党内で御議論もされているんだと思います。国防、安全保障、外交に関しましては、党内はもとより、やはり党派を超えて御議論いただくことなのではないかなというふうに思っております。我が党も深めていかなければいけないと思いますので、余り時間がないような気もいたします、どうぞよろしくお願いいたします。

 続いて、アフガンの現状と分析、これなくして今回の法案の吟味というのはできないんであろうと思います。現地から入ってくる情報や報道を通して入ってくる情報には、民主化モデルが崩れてしまった失敗国家であるその状況とかタリバンとの戦闘が激化しているとか、あるいは、これは我が国も積極的にやっていることでございますけれども、アフガンの銃器回収が思うように進んでいないとか警察官がモラル低下の先頭に立っているような事件や、さらには、これは先ほども話題に出ましたけれども、ケシ栽培がまさにタリバンの大きな大きな資金源になっている。

 記憶では、DDRの一つの旧国軍に対する任務というのは昨年の六月に終わっていると思いますけれども、いわゆる民兵レベル、これが一番厄介で、言ってみれば一番強力であろうかと思いますが、そういったアフガンの状況の中で、今、現状をどう認識されていて、それをどう分析され、今後どういう日本らしい対応をされていくとお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 今、アフガニスタンの状況につきまして、いろいろ、マスコミに限らず、行かれた方、話が錯綜をしておりますけれども、基本的には依然として不安定であるということははっきりしていると思っております。

 問題は、北部と南部、南東部と言った方がいいのかもしれませんが、パキスタンの国境沿い、いわゆるパシュトゥン族の多いところ、あの地域はパキスタンとの国境はきわめて不明確。部族も同じ、言語も似ております。それから、南部のいわゆるカンダハルの方、あの辺のところが特に状況としては不安定。しかし、北部の方はかなり安定してきておるという状況にありまして、一概に全部が全部不安定というわけではございません。それがまず第一点です。

 それからもう一つは、国連の事務総長報告というのが出ましたが、それもお持ちのことだと思います。その中を見ましても、タリバンのいわゆる反乱分子等々が結構活発化しているという点が一点。それから、いわゆる外国部隊というもの、アフガニスタン国軍と外国部隊との軍事作戦というのが両方展開が始まっているという点が報告で挙げられていますが、約三万五千人のいわゆる新しい正規軍というのと六万五千の警察官が訓練を受けておりますので、ここらのところによって、今、NATO軍とともにタリバンの掃討作戦が始まっております。

 日本がこの中で主に活躍をしておるところというのは、多分DDR、ディスアーマメント、武装解除、それからディモーバライゼーション、動員解除、それとリインテグレーション、社会復帰等々、昔でいえば豊臣秀吉のときの刀狩りを国際的にやっていると思っていただいたらよろしいんだと思いますが、こういったことに関しては日本が猛烈な勢いで活躍して、多分国連から最も感謝されているのはここかなと今思っております。

 いずれにいたしましても、こういったようなことが治安回復に間接的にも非常に大きな影響を与えている、私どもはそう認識いたしております。

伴野委員 DDR初め、御検討いただいていることも耳にしております。

 一方で、これはODAの中でも、若干、貧困対策、麻薬対策もやっていらっしゃるかと思いますが、私はぜひやっていただきたいことに教育。特に次の世代の子供たち、彼らが大人になったときに、別に感謝を求めてやるわけじゃありませんが、日本は大変苦しいときに自分たちのことを考えてくれたということになれば、それは必ず外交上生きてくると思います。次の世代につながる非軍事的な支援、これは日本しかできないと思います。ぜひ日本が中心になって、次の世代の子供たち、さらには教育の支援にもう少し手厚く力を入れていただければ、そんなふうに思います。これはお願いにとどめておきたいと思います。

 それから、パキスタンの対策もぜひぜひ進めていただきたいと思うわけでございます。今パキスタンとアフガンが、国境あたりで、どちらにテロの巣窟があるんだというようなことでいろいろ両国間でも問題になっており、アメリカが仲裁に入るというようなことも起こっておるわけでございますが、パキスタン対策には今どんなことをお考えなのか、お考えがあればお聞かせいただけますか。

岩屋副大臣 お尋ねのパキスタンへの対策でございますが、アフガニスタンとパキスタンは、テロとの闘い及びアフガニスタンの平和と安定に関し協力関係にございまして、緊密に協議、調整を行っていると承知しております。

 我が国は、パキスタンに対しましても、九月に行われました日本・パキスタン安全保障対話等の機会に、パキスタンがタリバンを含む過激派取り締まり等テロとの闘いで貢献していることを高く評価いたしまして、この取り組みを継続するように働きかけております。

 また、パキスタンを含む不朽の自由作戦、先ほどのOEF・MIOでございますが、これに対する給油支援を行ってまいりました。

 また、本年一月に麻生大臣がパキスタンを訪問いたしましたが、その際にテロ協議の開催に合意するなど、テロとの闘いに関する日本とパキスタンの情報交換等の協力をさらに強化していく所存でございます。

伴野委員 ぜひ、そういった側面的な対応もお願いしたいと思います。

 あと一分ありますので、一つだけお聞かせください。

 今回の当委員会とは直接あれですけれども、国民的な話題にもなっておりますし、関心事にもなっております。きょうの一面にも大きく載っておりました。国連の決議が出たところでございます。それについては私自身も高く評価をさせていただきたいところでございますが、そうした中で、これは今御検討されているさなかかもしれませんが、一言で結構です、お聞かせいただきたい。

 麻生外務大臣は周辺事態でいかれるというような御判断もされたやに伺っておりますが、これは周辺事態法でいくんですね。いかがでしょうか、それだけお聞かせください。

麻生国務大臣 これはまだいろいろなことが考えられなくてはいけませんので、何となく、国連決議が決まったら、はい、すぐスタートというわけでもありませんし、現実問題として、オペレーションをするにしても、作戦計画を立てて行動に移すまでに最低半月や二週間かかるのは当然ですので、私どもとしてはいろいろな点をまだ検討中としか今の段階ではお答えいたしかねます。

伴野委員 いずれにしても、非常に重要なことでございます。あらゆる情報をとっていただき、慎重かつ冷静に、そして、くれぐれも窮鼠猫をかむようなことにならないようにぜひ、一方で措置の対策も実効性を持っていただかなければいけない。非常に難しい判断になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上です。

浜田委員長 次に、松浪健四郎君。

松浪(健四郎)委員 おはようございます。

 自民党を代表して、わずかな時間ではございますけれども、質問をさせていただきます。

 冒頭、あの九・一一テロで、世界貿易センタービルで働いておられた日本人が二十四名も犠牲になられました。したがいまして、アメリカ人だけが国際テロの犠牲になったのではなくて、日本人も大変な犠牲になった、このことを忘れるわけにはまいりません。そして、この法律が成立して、海上自衛隊の皆さん方が大変な思いで国際貢献をされておるわけでありますが、その間、二人の自衛隊員が亡くなられております。一人は病気であられました。そして、もう一人は交通事故であられました。

 これらの人々に対して哀悼の誠をささげ、そして質問に入らせていただきたい、このように思います。

 先ほども議論がございましたけれども、二年、二年、一年、そしてあと一年というふうに延長を続けてまいりました。これであるならば、政府は恒久法を考えるべきではないかというような議論もございましたけれども、まず、我が国がやってきたことに対して、ことしの七月初旬、カルザイ大統領が訪日をされた折、当委員会にお出ましをいただいて御意見を賜りました。その中ではっきりと大統領は、インド洋での我が国の給油、この事業について明確に謝辞を述べられました。同時に、それを認める政府あるいは国民に対しての謝辞もあったことを、我々は当委員会で本当にうれしく耳を傾けさせていただいたところであります。

 私は、この九月にアフガニスタンを訪問させていただきまして、そして、カルザイ大統領と直接お話をさせていただく機会を得ました。その中でも大統領は、再三再四、繰り返し、我が国政府に対し、国民に対し、すべての援助に大きな感謝の念を述べられたことをまず御報告しておかなければならない、このようにも思います。

 そして、我が国はこのアフガニスタンの復興支援あるいは国際テロの撲滅のために大変な協力をしておるという認識については、いろいろな要人、また人々ともお話をさせていただく機会がありましたけれども、押しなべて、日本に対して大変な好感を持ち、謝辞を述べられたということも御報告しておかなければならない、このように思います。

 そして、アフガニスタンにはありがたいことに、民主化が進んで、そして言論の自由、表現の自由というようなものもだんだんと国民の間に定着しつつあることは大変喜ばしいことでありますし、また、ボン合意に基づきこのプロセスが、順調にと言えなかったかもしれませんけれども、おおむねうまくいった。

 そこで、たくさんの新聞、ラジオ、そしてテレビ局もできておりますけれども、その中で、知識層に一番読まれておるというアウトルックという英字紙がございます。この英字紙は十月三日に社説を書きました。それは、「アン アディショナル イヤー オブ ジャパニーズ ヘルプ ツー アフガニスタン」、あと一年、日本のアフガニスタンへの援助と題する社説でありますけれども、これも日本に対する感謝の言葉で埋め尽くされ、そして、これだけアフガニスタン政府に対し、国民に対し貢献してくれた国はないと断言されております。

 そして、この法律の一年延長を望むということも書かれてありますが、それは大統領の言葉の中にもありました。一年と区切るのは果たしていいのか。そして、カルザイ大統領の口からも、また新聞の社説からも、日本はこの法律を一年延長するんだということを決めてかかっておられる。

 しかし、現状から見て私は、一年では短過ぎるのではないのか、このような認識を持つものでありますけれども、延長を一年にするということにしたその理由についてまずお尋ねしたいと思います。

塩崎国務大臣 今御指摘のように、アフガニスタンの中でも、成果は出ながら、まだまだ難問山積、そしてまた国際的な動きとしても、テロとの闘いというのは続いているわけでございます。

 そこで、このアフガンにおいて、今申し上げたように、引き続き国内でも不安定さが残り、国際的にも変わり行くさまざまな情勢に、流動的なことに対してどう対処していくのかということを我々としては考えていかなければならないわけであって、一方で、インド洋では海上阻止行動が引き続き続いている。

 そういうことをあわせ勘案してみると、やはり状況変化に的確に対応していくためには、ここで一年延ばして、そしてまた一年たったところで国会の議論にかけて、また皆様方の御判断を仰ぐということが適切ではないのかという結論に達したところでございます。

松浪(健四郎)委員 いずれにいたしましても、ウサマ・ビンラディンやタリバンの首領でありますオマール、この二人の指導者の行方がまだまだとらえることができないという状況であります。そして、タリバンの活動が活発化しておる、これは報道されておるとおりでありますけれども、外務大臣からお話がありましたように、北は大変民主化が進んですばらしい状況になりつつありますが、どうも南の方は危ない。いわゆる主流民族でありますパシュトゥン族の住むところに自爆テロも集中しておる。これは、タリバンはパシュトゥン族が主流である、また彼らが支配しておるというようなことがあり、そして、パキスタンとのあのトライバルエリアが同じパシュトゥン族の地でもあるというような難しいことがたくさんあります。

 しかし、この自爆テロというのは、元来アフガニスタンではなかったことでありました。プクトゥンワリという、パシュトゥン族のおきてという長い習慣、伝統、この歴史的な考え方あるいは国民の中に定着した一つの慣習でアフガニスタンというのが動いておりまして、これには、復讐をしてもいいというようなものもございますけれども、自爆テロはありません。もちろんジハードはあるわけですけれども、この自爆テロというものがアフガニスタンに輸入され、定着してきた。

 それは、アルカイダあるいはタリバンがケシ栽培等によって不法なお金で、そして支援をしておる、こういうふうに言われておりますけれども、外務省として、政府として、自爆テロがなぜ増加してきたんだろうか、どういうふうに見ていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 これはもう松浪先生、自爆テロであろうと何であろうと、基本的にはテロというものは容認できるような範疇の話では全くありませんから、どんな手口であれ、テロはだめです。これは基本だと思っております。

 また、テロが起きる温床として、人種間闘争とか地域間闘争とか宗教間闘争とかいろいろよく言われておりますけれども、このアフガンに限らず、パレスチナにしても、いろいろな地域で起きておりますのを見ますときに、我々が一番目をつけておかねばならぬのは、貧困というのが大きな理由。それを裏づけるものとして、例えば失業率が四〇%、我が国四%というのを考えていただいても、やはりこういう状況が続きますと、希望とか夢とかいうものが完全に持てないという状況に若い人がいるということは、基本的に、そこにいわゆるゆがんだ思想が入り込みやすい状況にあるというのが大きな背景だと存じます。

 したがって、日本のやります経済協力の中で、いろいろ私どもが気をつけておかねばならぬのは、いろいろな意味で、そこの地域が麻薬以外で例えば生計が成り立つように、今はソバとかいろいろ穀物等々の栽培を、NGO、NPO、いろいろ関係者の方々もやっておられるとおりなので、こういった地道な活動というものを定着させていく努力をしていかないと、急激にこの種のテロというようなものがなくなるというような形にはなりにくい。

 やはり、貧困というものを少なくとも削減する努力というものは日本の得意とする分野でもあろうと存じますし、資源がない、こちらも資源がない国ですから、資源のないという点においては似たようなものですから、私どもとしては、そこらのところを基本としてODA等々を考えますときに、いわゆる、自分たちで飯を食う方法をいろいろ考えさせるといういろいろなことを基本に置いて対処をしていかないと、長期的にすぐなくなるという話ではない、私どもは基本的にそう思っております。

松浪(健四郎)委員 最後の質問になりますけれども、我が国は、支援の四本柱を立てました。教育、医療、地雷除去、女性の地位向上、これはまあまあうまくいっているかもわからないし、どのような形になっているのかわからない。ただ、町を歩きますと、やたらと日の丸が目立つんですね、これは日本がやりました。走っているバスを見ますと、これも日本が寄贈しました。ということで、表面上、日本が感謝もされているし、やっておるように見える。

 実際に果たして生きたお金になっているんだろうか。例えば道路修復工事をする、危ないからやめる。それはやはり、都市と地域の格差、これをなくすためには道路建設はきちっとやっていかなきゃいけないけれども、どうも腰が引けたような形になっておって、計画どおり進んでいないのではないのか、こういう思いもあります。

 それで、地方の貧困というのは、やはり都市とにはかなり開きがありますけれども、そういうふうな交通網の整備を我が国がきちんと、これはサウジアラビア、イラン、アメリカと資金を出し合ってやっておるプロジェクトでもありますけれども、主導権を握りながら的確に計画どおりやっていただきたい。そうすることによって日本の支援は効果がある、こういうふうに思いますけれども、今までの日本の支援、そしてそれはどういうような効果をもたらしてきたのか、これをお聞きして、質問を終わりたいと思います。

岩屋副大臣 時間がありませんので、簡潔にお答えをさせていただきたいと思います。

 先生御指摘の四本柱は、教育、医療、女性の地位向上、地雷対策等、私どもできる限りの支援を行ってきておりますが、インフラの整備、先生がおっしゃった都市と地方の格差、我が国にもそういう議論がございますが、これをしっかりやるために、カブール―カンダハール幹線道路などの道路修理あるいは市内の路線用バスの供与といったインフラ分野についても貢献をさせていただいておりますが、先生がおっしゃったように、腰が引けることのないように、今後もしっかり取り組ませていただきたい、こう考えております。

松浪(健四郎)委員 どうもありがとうございました。終わります。

浜田委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。三十分時間をいただきましたので、よろしくお願いします。

 大変今話題になっている映画ですけれども、オリバー・ストーン、アカデミー賞を三回とっている監督ですが、による「ワールド・トレード・センター」という映画が今公開されておりまして、非常に大きな反響を呼んでいます。三、四日前に私も見てまいりましたけれども、本当に、あのときの、九・一一のあの日の瞬間のことをまた再度思い出して、その中で救命活動に当たった警察官、命がけで中に入っていくわけでありますが、仲間が倒れていく中で、最後、リーダーとその部下の二人が、もう瓦れきの下の中で生き延びて生き延びて激励し合って、そして最後救出されるという感動的な映画でありました。つまり、人間の悪の行為に対して人間の善というのが、家族のきずなとか愛とかそういうものが、その二人の警官が救われるまで本当にもう命のぎりぎりのところで激励し合ってそして無事救出されるという、すばらしい映画に仕上がっていたわけであります。

 これは実話に基づいてつくられたということでありまして、二千七百四十九名が亡くなったこの大きなテロ事件に対しての哀悼の意を表するメッセージであり、また、世界に対して、テロとは断じて闘わなきゃならない、そういう思いを込めた映画だなと思いました。場内は、まさに感動的なことで、もう本当に涙なくしては見られないというふうな感じで、すすり泣きの声も聞こえていたわけでありますが、そういう五年前のことを私も思い出したわけであります。

 この今回の一年延長するということでありますが、私はこの九・一一に対してのそこからもう一回しっかりと議論していくことが必要ではないかなという思いがいたしますが、まずこれは、官房長官がいらっしゃらないので、どちらか大臣、よろしくお願いします。

麻生国務大臣 今お話がありました中で、正確には二千九百七十三の数字になっていると思っております、二千七百四十三名という九・一一の話は。あの二千九百七十三人、これは米の委員会の報告書で、これは最終的な報告が多分これになったと思っていますので、またさらにふえてきておりますということだけあらかじめ申し上げておきたいと存じます。

 基本的には、これは、アメリカという巨大な国家もしくは大陸の中が正式に外部から攻撃を受けた最初の、アメリカ建国以来の初めての例、しかも、それが戦争宣言によらずテロによって行われたというところが、アメリカ国民の意識を大きく変えたものだと思います。あのハワイの真珠湾の攻撃、これは、大陸、本島と少し意味が違いますので、アメリカ人の意識の中におけるものはやはり大分違う。しかも、ニューヨークという一番の核みたいなところが無防備にやられ、かつペンタゴン、国防総省にも同じような形でのテロによります飛行機の突入という形が行われておりますので、これは、アメリカ人の意識を非常に大きく変えたのは確かだと思います。

 同時にこれは、他国にも非常に大きな影響を与えました。特に、タリバンの宣言などによりましていろいろな形で他国のいわゆるテロ組織と言われるものが非常に影響を受けたのも、また事実だと存じます。

 したがって、今、日本としては、これは基本的には、今後の対策として、国内のテロというものに対する対策の強化はもちろんです。日本の場合も、オウム真理教によるサリンというのは、霞が関で約五千人からの人間がこのサリンによります被害を受けて、これは、大量なテロを最初に受けたのは、多分五千人規模なんというのは日本が最初だと思いますので、何となく忘れられて風化されつつありますけれども、このサリンの事件というのは、最も大きなテロだったと僕は思っております。したがいまして国内対策。

 二つ目は、やはり国際的なものを考えていかないかぬと思っております。

 三つ目は、途上国におきますテロに対応する対処能力というものを向上させる必要がありますので、いろいろな意味でそこには、対処能力向上のためのODAというようなものも考えていかねばならぬと思っております。

 いずれにいたしましても、先ほど松浪先生からの御質問にもありましたように、貧困というのが大きな理由の一つになっているのであれば、その貧困を削減していくためにどのような形でやっていくかというのが大事なところで、日本一国だけでできるわけではありませんので、国際社会との連携を保ちつつやっていくのが最も大事なところだと思っております。

田端委員 それで、このテロ特措法ですけれども、制定当初も私この委員会で議論をさせていただきましたが、この間、二年、二年、そして今回一年という延長になったわけでありますが、そういう意味でいきますと、一年という前回の去年の決定がそれでよかったのかという感じもしないではないわけであります。

 これは、この五年間を見ても、いろいろな形でテロ活動というのは国際的にも広がっている、拡散しているという状況にあるわけですから、そういう意味では、逆に言いますと、一年、一年という、より慎重な姿勢でそのときそのときしっかりと現実に対応しながらやっていくんだ、こういう前向きな姿勢に切りかえないと、何か、一年やってだめならまた次一年、そういういつまで続くのかわからないようなニュアンスではなく、逆に、慎重に、しかし大事だからこういうふうにやっていくんだ、そういうふうに発想を変えた方がいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 基本的に、全く今言われたように、何となくちょこちょこちょこちょこという感じのイメージにならないように気をつけなならぬという御指摘は、まことに正しいと思っております。

 基本的に、現状として、昨年十二月に仮にも議会というものが開会をしておりますので、政治のプロセスとしては一応完了した形になるというのが基本的な考え方だと存じます。

 ただ、御指摘のありましたように、先ほど同僚の民主党の議員の方から御質問があっておりましたように、今の状況を見ますと、南部に限らず、治安としてはまだまだいかがなものかという状態もあります。また、地雷の除去等々、幾つも中に問題があるというのも事実です。したがいまして、治安維持とかいろいろなものに関して、いわゆる復興支援活動というものが今後さらに必要であるということは間違いないという状況にあろうと思います。

 したがいまして、こういう流動的な状況が継続しておりますので、そこに対しまして、今、日本は主に海上からの阻止行動というのに重きを置いております。ことしでしたか、NATOの加盟国の理事会に出席をいたしましたが、往々に、海軍を送っております国はいずれも感謝をしておりますので、非常に効果があるんだということは私どももわかります。

 一年というのは、きめ細かにやるという意味での一年だという御指摘は大変大事なところだと思っておりますので、その必要性等々を十分勘案した上で、きちんと毎年調べ直して、再調査した上で、より効果のあるものにしていくという配慮、そういった意味での一年なんだというように理解をすべきではないかという御指摘は、まことにそのとおりだと存じます。

田端委員 先ほども質問がありましたが、この七月にカルザイ大統領がお見えになり、この委員会で出席いただき、また議論もさせていただいたわけでありますが、大統領御自身から日本の海上阻止活動に対しての大変な強い感謝の念を表明されましたし、そういった意味では、今大臣御答弁のとおり、国際社会においても日本の給油活動は大変大きな評価を得ている、そういうことでは全く私も、これは大事なことだからやっていかなきゃならないとは思います。

 そこで、私はカルザイ大統領にそのときにもちょっと御質問したんですが、給油活動以外でもし日本ができることとすれば、例えば文化、教育の面での支援とかそういったことも日本としては可能だけれども、その点はどうですかという質問をしたときに、大統領の方は直ちに、麻薬対策が最大の課題なんだ、こういう答弁でありました。

 つまり、麻薬が資金源になってテロ活動を支えているというそういう含みがあるんだなということをそのとき感じたわけでありますが、そういった意味では、この海上阻止活動という我々の今までやってきた政策とまた別の、もっと違う、本当の意味のアフガンの支援活動になるようなそういう活動をもう一度やはり考える必要があるのではないか、そういう時期に来ているのではないかということをしみじみと今感じているんですが、大臣、いかがでしょうか。

岩屋副大臣 先生は先ほどカルザイ大統領の御発言を引用されたわけですが、おっしゃるとおり、麻薬対策が極めて重要だと考えております。それ自体が重要な課題でもございますし、テロ対策という面からも麻薬対策が重要だということで、御案内のとおり我が国は、麻薬の需要削減などのための資金として約六百五十万ドル、それから、アフガン政府の麻薬管理戦略の実施を支援するために、新たに五百万ドルを拠出しております。

 麻薬はほかの作物に転換をということでございますが、これはなかなか難しい課題でございますけれども、日本は、ミャンマーなどの東南アジア諸国で、ケシからソバといったような作物の転換の支援も行っているところでございます。

 いずれにしても、アフガンにおいて、この麻薬対策が極めて重要だという観点から、今後とも最大限の取り組みを行ってまいりたいと考えております。

田端委員 この麻薬の生産地といいますか、栽培しているその場所というのは、つまり、アルカイダ組織が活動をしている地域と非常にダブっている、そういうことだろうと思います。特に山岳地帯、アフガニスタンとパキスタンとの国境周辺においてそういったことが行われているのではないかと予測されるわけでありまして、そして、両国の大統領、カルザイさんとムシャラフさんが何か意見の対立をして、お互いにそっちが悪いんだみたいな感じのそういう状況にもなっているわけでありまして、先般、ブッシュ大統領が二人に対して、一緒に食事をしながらそういう仲介といいますか、和解を促したというふうなニュースもございました。

 そういう意味では、国境周辺におけるこの地域というものが非常に大事なんだろうと思いますが、だからこそ、例えば日本の農業技術、こういったものを例えばODAを通して何か支援する手はないのかとか、あるいは、国際的な麻薬組織というものを、もう少しいろいろな意味で連携をとり合って、本気になってこの麻薬対策というものに対して日本がリーダーシップを発揮していく、こういう別の新たな政策というものを打ち立てることはできないだろうかということを感じるわけでありますが、再度、その点についてお伺いしたいと思います。

岩屋副大臣 先生御指摘のとおり、アフガンでは就労人口の七〇%が農業に従事をしておりますので、農業をどうやって振興するか、極めて重要な課題だと思っております。

 我が国としては、帰還難民の再定住、それから、その人たちの雇用創出のために約一億三千八百万ドルに上る地方総合開発を実施しておりますほか、また、先生御指摘の農業分野の技術協力として、これまで延べ八十三名の日本人専門家を現地に派遣し、三十八名のアフガンの研修員を日本に受け入れて研修を行っているところでございます。

 今後ともしっかり取り組んでまいりたい、こう思っております。

田端委員 話題はかわりますが、北朝鮮の問題でお尋ねしたいと思います。

 今回のこの核実験のニュースは大変衝撃的でございました。そして、さきのミサイル実験とあわせて考えますと、つまり、北側の言い分としては、核兵器を保有したんだということを国際社会に宣言したんだなというふうにも受け取ることができるわけでありまして、そういう意味では、生物化学兵器も開発したというニュースもこれあり、大変なことになってきたなということをしみじみと感じているし、また、日本の国民すべてがいろいろな意味でそういう思いを持っているんだろう、こう思います。

 そういう中で、日本政府として、きのうの十五日未明の国連安保理決議に基づく、つまり、人、物、金の出入りを大幅に禁止するというこの制裁決議に対して、政府として、これはもう非常に大事なことであると思いますが、今後、これを日本はどういうふうに受けとめて実行、実施に移していくか、こういうことになっていくんだと思いますが、まず外務大臣にお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたように、この北朝鮮による核実験というものは、これは、従来のいわゆる北の脅威とかいうのとはちょっとレベルが全然違った意味での現実論となったということだと思います。核実験をやり、それを搬送するミサイルというものを持っているという国が、すぐ近く、この極東に登場してきたという状況は、従来のものとは様相を一変させていると理解しておかないといかぬ問題だと思っております。

 したがって、重大な脅威であることに関して、断じてそれを容認していくというような立場には日本はありません。一番影響を受ける可能性が最も高いというのも日本ということになりますので、日本としては、従来のような、国連が言うのに合わせてというのではなくて、国連の決議は現地時間の十四日の十三時四十六分にたしか出たんだと記憶しますが、日本時間のその次の日の午前とずれておりますけれども、十三時四十六分に出ております。

 国際的にもこれは意識が違っておりまして、御記憶かと思いますが、九三年のノドンのときには国連は無反応です。九八年のテポドン1のときには議長声明まで二週間かかりました。この間のテポドン2の騒ぎのときには、これは日本が発議をした形にして、いわゆる制裁決議というものを十一日で出しております。

 しかし、今回は、これは日本が発議しなくても、世界じゅう、安保理事国は率先してこれを断固制裁決議案出すべしという意見を、日本が発議しなくても他の国が一斉に発議をして、これは六日間で結論が出たという形になり、かつ全会一致という形になっております。

 したがって、他国のこの問題に対する意識もノドン、テポドンとは全く違うものだというように理解をしておりますので、私どもは一貫してこの北の脅威というのを言い続けておりましたが、ヨーロッパの国々におきましては、これはイランの話の方が、やはり地理的に近いこともありましたので、そういった意識の方が近かったと思います。

 八月のモスクワのG8サミットのときにもこの話を持ち出したときに、日本に対して賛成の意を表したのはアメリカのみでしたけれども、今回は、もう核になった途端に他のあのときの国も全員この話に乗ってきておりますので、結果として、ニューヨーク時間十四日午後一時四十六分でしたかに、すんなりこの話がまとまっていったんだと思っております。

 したがってこれは、最も脅威を受ける日本が一番積極的になるのは当然のことだ、私どもはそういうぐあいに理解をしております。

田端委員 それで、防衛庁長官、これは日本が一番近い国であり、そして、船舶検査ということになれば、公海上の船舶検査に対して日本がどう対応するかというのは非常に難しいところでありますが、つまり、周辺事態というこの認定が今の状況で果たしてできるのかどうかという意味ではいろいろ議論のあるところでもあり、私は、なかなか今の時点でそこまでできるのかなということには少し疑いを持っているわけであります。

 防衛庁長官も、ここは慎重にという趣旨のことも発言されているようでありますけれども、どういう対応を具体的にこれからしていくべきなのか、防衛庁長官としてのお考えをお伺いしたいと思います。

久間国務大臣 あのような国連決議が出たことは大変ありがたいことでございまして、それを受けて我が国がどういう形で協力していくか、これを政府として詰めていかなければならないのだと思っております。

 まず、そういう意味では我が国がどういうことをやるのか、船舶検査は我が国自身がやるのかやらぬのか、その辺の態度決定も含めていかなることをこれから先やっていくのか、政府でよく検討すべきと思います。船舶検査をやろうとすると、今おっしゃられますように、周辺事態に該当するかどうかの判断をまずしなければなりません。

 ただ、周辺事態法、あの周安法をつくって、その後船舶検査法を国会で議論されましたときに、私は、最初の方はガイドラインその他でかかわっておりましたけれども、最後、修正案が出されて、それに対してまた政府の方から等という言葉を入れたというような、そういういきさつの中でああいう現在の法律になっております。

 その辺の経緯についてはややつまびらかでない点もございますけれども、いずれにせよ、我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態になっているかどうかというのが大事でございまして、そういう点では、先般核実験が行われて、今日までの現在の状況は、それが直ちに周辺事態としてはすぐ発生しなかったわけでございまして、決議が行われたのは事実でございますが、その状況と今とでどう違うのか。

 ただ、よく総理大臣が答えておりますように、瞬時瞬時に変わっていくわけでございますから、これから先の事態の推移の中で、やはり周辺事態に該当するというふうになった場合は、それに基づいて船舶検査をすることになります。しかしながら、船舶検査をするということになった場合でも、船舶検査を強制力を持ってやることはできないという我が国の現在の状況でそれをやるのかやらぬのか。

 ただ、船舶検査はやらなくても、例えば、周辺事態法の船舶検査法の適用になりますといわゆる後方支援はできるわけでございますから、そういう点ではいいけれども、その場合はしかし米軍に限られるというそういう問題等もございますから、この辺はやはり、国会の議論も踏まえながら、政府としては最終的な詰めをこれから先やっていく必要があろうかと思います。

田端委員 日本政府の独自の決定として、十三日に、一つは北朝鮮籍の全船舶の入港禁止ということと、それから北朝鮮からの輸入の全面禁止ということを決めて、十四日からそれが発動されている。これはこれとして日本政府のすっきりした対応だと思いますが、国連決議を受けてのこれについてどうするかということが、そこのところはこれから今議論するということでございます。

 この北朝鮮の関係で、平成十四年、〇二年ですが、十二月に、スペイン海軍のフリゲート艦がアラビア海で、北朝鮮を出港した船を臨検して、イエメン向けのスカッドミサイル十五基がそこから見つかったという事件が過去にありました。

 そういう意味では、この船舶の検査というものは非常に大事な視点でもあろうとは思うんです。思うんですが、しかし、そこをでは日本の国内法との問題でどういうふうにするかということについて、ここはぜひ閣内、政府においてもう少し意見をしっかり統一していただくことが大事ではないのかなという思いがしております。

 そういう視点で麻生大臣にちょっと同じ問題をお伺いしたいと思いますが、大臣のお考えをお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 今、久間防衛庁長官のお答えがありましたように、流れとしてはああいう流れなんだと思いますが、御存じのように北朝鮮は、国連の決議、今回の一七一八のいわゆる決議案を拒否いたしております。ここが一番肝心なところで、言われた国はその場で拒否ということをしておりますので、これを誠実に実行する、させるということが一番肝心なところだと思っておりますので、これは今後いかなる措置が必要なのか。例えば六者協議に復帰させるとか、いろいろな条件を出しておりますが、六者協議に復帰をすればこの制裁措置についてはいろいろ勘案する用意があると、これはソ連のラブロフ外務大臣が言い、また、北朝鮮自身も検討するみたいな話をしておりますので、ここらのところは駆け引きの部分も多々あろうかと思いますが、日本としてはいかなる措置が必要なのか。

 結果論として、北朝鮮が核武装をあきらめてもらうのが目的ですから、そういうところに資するための、どうやってそこに持っていくかという手段だろうと思いますので、ラブロフじゃない、済みません、イワノフ、言っておりますので、ぜひそういった意味で、先ほどのイワノフ国防大臣の話でもありますけれども、北朝鮮がこの決議案に応じるようにして、結果として、応じて核を放棄させるというところまでいかないと本来の目的を達成することにはなりません。そこのところにどうやって持っていくかというのは、これは日本一国でできるわけではありませんので、いろいろな国々との協調、幸いにして、国連の決議も七章を頭に置いてでき上がっておりますというのは非常に大きな力になろうと存じます。

田端委員 つまり、日本海域周辺における平和と安全という重要な影響を与える事態をこの周辺事態という考え方でいくということでいきますと、そこをどういうふうに解釈するかということが非常に大事なことと、それから、今回の決議の中で、北朝鮮向け及び同国からの貨物の検査を含む協調行動を必要に応じてとることを要請するという表現にとどまっているということとあわせてやはり考えていかなきゃならないなと思います。

 私の心配は、ともすれば、こういう事態になってだんだん熱が入って、感情的になってということにならないことが非常に大事だと思っているわけでありまして、それなら日本も核武装というふうな感じになってきたら一番怖いわけでありますが、昨日も、安倍総理が大阪で、日本は断じて非核三原則は守っていくんだということをしっかりとお訴えいただいておりました。

 だから、そういう意味で、これは非常に難しい議論ではございますが、しかし、政府の中、そこで意見が食い違っても困りますし、そういう意味では、今の決議の趣旨、そして日本における今の法律上の問題、そこをどういうふうにしてその中で対応していくかということについて、久間長官、もう一度お願いしたいと思います。

久間国務大臣 こういう時期であればあるほど、何ができるのか、何が効果的なのか、最終的にはどういう形でおさめるように持っていったらいいのか、そういうことについてやはり冷静に判断しながら、一番適切な方法を講じるように努力していきたいと思っております。

田端委員 以上で終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、神風英男君。

神風委員 民主党の神風英男でございます。

 前半、官房長官が記者会見のため不在ということでもありますので、まず、確認しておきたい事実関係からちょっと伺いたいと思います。

 十三日のアメリカのメディアで、北朝鮮の核実験発表後に実験があったと見られる地域周辺の上空を飛んだ米軍機が採取した大気標本から、微量の放射性物質が初めて見つかったという報道がなされておりましたが、この放射能検出という事実は日本にとって何らかの危険性があるのかどうか、まずその点、教えていただきたいと思います。

中根政府参考人 お答え申し上げます。

 そのような報道が週末にあったことは承知しておりますけれども、本件については、アメリカ政府は現時点では何らの対外発表を行っていないというふうに承知しております。

 それから、日本で観測を強化しておりますけれども、現時点では、そのような核実験とかの特別な核種等が検知されたという事実はございません。かつ加えて、日本の方々の健康に影響を及ぼすようなことがあり得るということは、現時点までのところ検知されておりません。

神風委員 これは確認ですが、日米間でこの調査のやり方について相当大きな違いがあるんでしょうか。

中根政府参考人 日本及び米国ともに、それぞれ国内的手段が、観測所等ございますので、そういうところでそれぞれ観測を続けているということでございます。

神風委員 いや、調査のやり方というのは、例えばタイミングとか調査の回数とか、そういうものに相当開きがあるのかどうか、ちょっと教えていただけますか。

中根政府参考人 アメリカについては、どのような形で詳しく観測をしているかということを必ずしもつまびらかにしませんけれども、日本につきましては、放射能対策連絡会議等において協議をしつつ、いろいろな手段をもって観測を継続しているところでございます。

神風委員 ぜひ、アメリカの方にもそういった確認をしっかりととっていただきたいなと思うところでございます。

 そこで、現在、インド洋において、海上阻止活動として、テロリスト及びその関連物資の海上移動の阻止また抑止のための海上阻止の活動が行われているわけでございます。

 こうした、不審船に対して乗船検査を行い、麻薬、武器等の発見、押収をする、あるいはアルカイダへの関与の疑いのある乗組員を勾留するという海上阻止活動を実施しているわけですが、改めて伺いますが、これに関して日本の自衛隊は実際にどのようにかかわっているのか、お答えをいただきたいと思います。

久間国務大臣 各国がそのようにして参加しておる阻止活動に自衛隊が油を補給するために補給艦を派遣して、またそれに対する必要な艦を派遣して、そういうようなことの援助を行っているところであります。

神風委員 これは、乗船検査というのは一切自衛隊は行っていないということでよろしいですね。

久間国務大臣 自衛隊は直接、阻止活動には参加しておりませんから、そういうような検査はやっておりません。

神風委員 その際、この参加国、武器の使用というのはこれまであったんでしょうか。

久間国務大臣 参加各国が、どういうような内容だったかはわかりませんけれども、少なくとも、自衛隊が武器を使用しなければならないようなそういう状況は、今までのところ発生しておりません。

神風委員 これは、参加各国の武器の使用は全くわからないんでしょうか。事務方でも結構ですが、わかりませんか。

山崎政府参考人 お答えをいたします。

 参加各国がどのような武器使用をしたかどうかにつきましては、各国ともオペレーションに係るということでお答えをいただいていないというのが現状でございます。

神風委員 それでは、この参加国艦艇が行っている海上阻止活動というのは、いわば臨検という行為に当たるんでしょうか。

山崎政府参考人 臨検の定義によるんだと思いますけれども、各国の国内法規に基づきまして各国が船舶検査活動を行っているというふうに承知をしております。

神風委員 臨検に当たるのかどうか、それについて明確にお答えをいただきたいと思います。

山崎政府参考人 通常、戦時臨検と称しまして、敵性物資を積んでいる船舶の拿捕等を行うわけでございますけれども、ここのインド洋において行っております船舶検査につきましては、各国とも、無線による照会、疑わしい船を停船させて、ある程度、荷物の検査をするという程度の強制力を持った検査活動をしているというふうに承知をしております。

神風委員 今のは臨検に当たるんだと思いますが、長官、いかがですか。

久間国務大臣 一般的に臨検という場合は、国連海洋法条約に基づく場合は海賊かあるいは奴隷船を対象にしているわけですね。それ以外の場合の臨検というのは、戦時状況にあって、敵対する艦同士が相手の船舶を拿捕したりあるいはまた破壊したりする、そういうような状況の中で行われます。

 ところが、インド洋で行われているのはそういうことじゃなくて、不審船その他一般商船を対象にして、密輸とかあるいはそういう武器等を運んでいるかどうかの阻止活動としてやっておりますから、そういう意味では、いわゆる臨検には当たらないんじゃないかと思います。

 ただ、船舶検査活動といいながらも、日本の場合は法律で船舶検査活動には強制力が持たされておりませんけれども、各国は、それぞれの法律が違うわけでございますから、それを船舶検査としてやりながら、強制力を持った形でいろいろなことをやっているんじゃないかと。そこは各国がやっているわけでございまして、我が国としてはそれに対する油の補給をやっているというだけでございますので、それぞれの参加国、なかなか名前を挙げるわけにいきませんけれども、それぞれの国の法律がどういうような強制力を持たせておるのか、そこは私の場合はつまびらかに知っているわけではございません。

神風委員 最近、この臨検と船舶検査という言葉が非常に頻繁に登場するわけでありまして、我々も非常に混乱をするわけであります。

 一般には、臨検というのは強制力を伴っている、あるいは船舶検査というのはそういった強制力はないんだというような簡単な、単純な区別をされている向きもあるようなんですが、この臨検と船舶検査、あるいは、ここ数日来、今度は貨物検査という言葉が新聞でも出ておるんですが、この貨物検査、どこがどう違うのか。ちょっとその定義について、正確に整理をしてお答えをいただきたいと思います。

久間国務大臣 我が国の場合の船舶検査につきましては、先般通りました船舶検査法に基づいて行われる場合が船舶検査でございます。

 それと、臨検という場合には、我が国の場合は、臨検という概念に相当するのは、防衛出動するような状況になって戦闘状態に入った場合にはそれはあるかもしれませんけれども、今の段階はそういう状況でないものですから、我が国の場合、今の段階でまず臨検というのはないんじゃないかと、こういう船舶検査活動に入ったとしても。

 それと、船舶検査というのは、行く方向を確認して、それに停船させて、そして船長の同意を得て検査をする、あるいは方向を変えてもらうというような、そういうことをやるわけでございますから、貨物検査もその中の一つというふうに考えていいと思います。

 そういう点では、我が国の場合は、法律で規定されている内容でございますから、かなり制限された内容というふうに理解していいんじゃないかと思っております。

神風委員 まさに昨日、国連の安全保障理事会で北朝鮮制裁決議案を採択されたわけでありますが、その決議案で、必要があれば船舶検査、この用語も正確にどういう形がいいのかわかりませんが、船舶検査を含む協調行動を求めるとなっているわけでありまして、ここではインスペクションですか、船舶検査という用語が使われているようであります。

 この決議案の中の船舶検査というのは、何ができて何ができないのか、つまりどこまで強制力を持った対応ができるのか、それについて教えていただきたいと思います。

久間国務大臣 我が国の場合は、船舶検査法をつくるときに、とにかく強制力を持たせない、現在の九条との絡みもあってそれはしない、そういうような縛りを強くかけておりますから、いずれにせよ、強制力を伴わない、そういうようなのが今の現況でございます。

神風委員 あと、諸外国の場合を教えていただけますか。

久間国務大臣 諸外国はよくわかりませんけれども、先ほど言いましたように、かなり強権的に、もし停船しなかったならば、例えばスクリューを壊してでもとめさせるとか、そういうことができる国もございます。

 そういう点では、我が国の場合は、そういうこともできない。そういう武力の行使、威嚇等ができない、そういう状況になっておりますから、あくまで相手が任意にといいますか、とまってくれないと、破壊するとかそういうことができない。強制力を持っていない、そういう制約がございますから、だから、先ほど冒頭に言いましたように、現在のような状況の中で、周辺事態を認定したときも、果たしてどれだけのことができるかというのをちゃんと知った上でその対応を決めていかなければならないというもどかしさが我が国の場合はありますので、その辺で非常に慎重を期しているところであります。

神風委員 これは確認ですが、まさに北朝鮮制裁決議案で採択をされた船舶検査、この強制力というのは国によって違うということでよろしいんですか。

久間国務大臣 私どもが理解しておりますのは、今度の決議は各国の国内法に従ってという縛りがあるやに聞いておりますので、そういう点では、我が国はあくまで我が国の国内法に従って行動する、そういうことをすべきであると思っております。

神風委員 わかりました。

 次の質問に入りますが、十月十三日の新聞報道で、ペルシャ湾でPSI訓練が実施をされるという旨の報道がございました。

 これによりますと、北朝鮮やイランによる大量破壊兵器拡散を阻止するための米国主導による有志国連合の枠組み、大量破壊兵器拡散阻止構想、PSIのペルシャ湾における初の海軍演習が今月末実施をされる、PSIには日米両国を初めオーストラリア、ロシアなど六十六カ国が参加をする、演習はバーレーンの沖合で今月の三十一日に行われる予定であるということでありますが、これについての概要を教えていただきたい。

 つまり、この訓練が北朝鮮船舶に対する臨検あるいは船舶検査等の予行演習的な意味合いを持っているのかなと予想されるわけでありますが、自衛隊としてどのような訓練内容をここで行うのか、当然臨検の訓練というものもこの訓練の中で行っていくのか、その概要について教えていただければと思います。

岩屋副大臣 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のように、PSI、安全保障構想の参加国はこれまで二十回を超える阻止訓練を世界各地で行ってきておりまして、今月末にバーレーン沖で実施されると承知をしておりますし、我が国はオブザーバー参加をする予定でございます。

 この訓練につきましては、大量破壊兵器の拡散阻止というのが目的でございまして、それぞれの国内法制に基づいてとり得る措置の能力の向上を図るということが訓練の目的だと承知をしておりますが、さらに詳しいことにつきましては、主催国の米国が発表していないという状況でございますので、我が国として申し上げる立場にないと御理解をいただきたいと思います。

 なお、先生御指摘の、これが北朝鮮を想定したものではないかという御指摘でございますけれども、これは今申し上げましたように、あくまでも大量破壊兵器の阻止訓練ということでございまして、特定の対象国を想定しているわけではないというふうに承知しているところでございます。

神風委員 日本のオブザーバー参加というのは、この北朝鮮による核実験実施発表の前からもう既に決まっていたという理解でよろしいんですか。

岩屋副大臣 そのとおりでございます。

神風委員 今回の北朝鮮の核実験実施の発表を受けて、防衛戦略上、何か対応措置というのがとられたのかなと思うわけでありますが、このPSI訓練もその一環であるのかなと思っていたんですが、必ずしもそうではないようでございますけれども、何か防衛戦略上、今回の発表を受けてとられた措置というのはあるんでしょうか。防衛庁長官にお願いします。

久間国務大臣 私をヘッドとする対策本部をつくっておりますけれども、今の段階では、いわゆる情報収集、分析、そういった方面に力を割いているわけでございまして、具体的にそれ以外の分野で今みたいな話を含めて特別な措置はとっておりません。

神風委員 先ほど民主党の伴野議員の方からも最後の質問で、外務大臣は、今回の対応に関して周辺事態法でいくような発言があったということでございますけれども、一方、防衛庁長官の方は、周辺事態の認定というのは非常に難しいんだというようなお話でございましたが、長官の認識としては、今回、周辺事態法の適用というのはどうお考えになっていらっしゃるんでしょうか。

久間国務大臣 事態というのは瞬時瞬時に変わっていくわけでございまして、ああいう決議が出た後、またどういうふうに事態が推移するか、それもきちんと把握しなければなりませんが、今のこの時点で直ちに周辺事態であるという認定を行うまでには至ってないということでございまして、これから先、いろいろな方法について政府内で検討がなされるべきものだというふうに理解しております。

神風委員 改めて外務大臣にお伺いをいたしますが、たしかきのうあたりの報道でも、周辺事態法でいくんだというようなお話があったと思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 先ほどどなたでしたっけ、伴野先生に御答弁を申し上げたと思いますが、今後いかなる措置が必要になるかという具体的な対応についてはあらゆる角度から検討してまいりたい、そう御答弁申し上げたと思っておりますので、今防衛庁長官からもお話がありましたように、北朝鮮がどういう対応で出てくるかが私どもには今のところ全く不明であります。少なくとも、国連決議が第七章を含んだところで決まったということになって、これがこれまでの態度を軟化させる、もしくは変更してこれに応じてくるという状態がゼロではありませんから、そういった状況になった場合、また、全く逆な話に、方向に振っていった場合、今いろいろなことが考えられると思っております。

 トウカセンという中国の人がワシントンに行き、モスクワに行き、いろいろ動いておられる。いろいろなところの話を見ても、いろいろな工作が今行われている。工作と言うと聞こえが悪いですな、交渉が行われていると言うべきか。そういったような話をしているという事実に基づいて、それがどのような結果を生むかというのが一番肝心なところだと思っておりますので、それを見た上でないと、なかなかこれは細目について申し上げられるようなことにはなりません。

神風委員 この周辺事態法、もともと北朝鮮あるいは朝鮮半島有事の場合を想定してつくられたものであろうかと思いますが、現在、北朝鮮の実態というのをどう分析されているのか。いろいろ情報があって、我々もなかなかその真相というのがつかみ切れないわけでありますが、今後どのような事態が起こり得ると想定をされているのか。かなり幅の広い可能性があるのかなとは思いますが、政府として、どういう認識というか、どういうことを想定されているのか、それについてお答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 仮定の質問なものですからなかなかお答えしにくいんだと思いますが、いろいろなことが考えられますので、妙なことを申し上げて不安をあおるのもいかがなものかと思いますし、全く何も起きませんよと言ってのんびり構えるわけにもいきませんし、なかなかお答えのしにくいところでありまして、ましてやこういったところでお答えするに当たっては、今の段階で想像を超える話にいくのはいかがなものかと思っております。いかがでしょうか。

神風委員 官房長官はいかがですか。

塩崎国務大臣 国を守るというのは、やはり備えあれば憂いなしということで、常日ごろからきちっと備えをしておくということが大事であって、とりわけこういうような事態が急進展している中にあっては、私どもとしては、国民の生命と財産を守るという観点から、備えをきちっとしておくということが大事だという観点で、諸情勢をよく見ているというところでございます。

神風委員 まさに備えあれば憂いなしということであろうかとは思います。

 そこで、今後、ある意味で、近い将来において、現在インド洋で実施をされている海上阻止活動といったようなことが日本海上においても実施をされる可能性というのは、当然想定をされるものだと思いますが、それについてはどういう御見解をお持ちなのか、お答えをいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 今回の北朝鮮の動きに対する国連決議が全員一致で採決をされましたが、これについては、先ほど外務大臣から答弁申し上げましたように、あらゆる可能性をよく考えながら検討を深めていくというのが私たちの今のところのスタンスであります。

神風委員 もう少し具体的にお答えをいただきたいんですが、現状で、インド洋で海上阻止活動を行っているわけですね。それと同じような事態というのが当然日本海の上でも起こり得る、そのための国連を通じての今の議論であろうかと思いますが、いかがですか。

塩崎国務大臣 国連の決議の中ではいわゆるカーゴ・インスペクションということが書いてあるわけであって、その決議にのっとって加盟国はそういった行動をとることが期待をされているわけでありますから、それに対して我々がどういうふうにするのかという、その可能性についてあらゆる角度から考えていこう、こういうことでございます。

神風委員 そのあらゆる角度の中には、当然、日本海での海上阻止活動も含まれるということでよろしいですか。

塩崎国務大臣 それはあらゆる可能性を考えるということであって、各国との連携もありますし、各国が何をするのかということもありますから、総合的にこれは判断をしていくということになると思います。

神風委員 これは言うまでもなく、日本の防衛上、戦略上の大変大きな環境の変化であろうかと思っております。

 連日のニュース報道を見ていても、多くの国民がそういう認識でいるのであろうと思うわけでありますが、政府として、防衛上、戦略上、どれぐらいの重さというか、この環境の変化をどう重く受けとめているのか、その認識をちょっと教えていただけますか。

久間国務大臣 ともかく先般ミサイルを、ああいう実験というか発射を行った、運搬手段としてミサイルを持っていますよということを実証してみせたわけですね。そして、今度は新たな挑戦として核実験をやったと発表した。この二つを考え合わせますと、これは我が国にとってはゆゆしきことでありまして、一番近くに存在する我が国としては、これはもう容認できませんし、これに対して、これから先世界各国と協調しながら、とにかく核を放棄してもらう、そういうのをどうすればできるか、それに全力を傾けなければならない。そのための第一弾としての決議をあのように得たわけでございますから、それをまたさらに利用しながら、どうやって、追い込むという言葉はいけませんけれども、北朝鮮に早く核を放棄して国際社会に戻ってきてもらうか、そういうことについて全力を挙げるべきだと思っております。

神風委員 この認識に関して、先般、民主党の原口議員が政府の見解を求められました。テロ特措法の一部を改正する法律案の閣議決定時と、現在、特に、北朝鮮が核実験を行ったと発表している状況、十月の六日と十月の九日になるわけでありますが、防衛上、戦略上の環境の大きな変化があったと考えるが政府の認識いかにということでありますけれども、結論部分では、防衛上、戦略上の環境に大きな変化があったものとは考えていないというような答弁で、回答であったわけでありますが、本当にこんな認識でいいのかなというのを非常に痛感するわけであります。

 場合によっては、本当に年内にも今申し上げたような海上阻止活動というのが日本海上でも起こり得る、可能性としては十分にあるわけですし、今そのための議論をしているわけですから、そういう中で本当にこんな認識でいいのかということに対して、改めて回答をいただきたいと思います。

久間国務大臣 今言われた、戦略上大きな変化はないというふうな、そういうのを防衛庁として言ったわけでしょうか。

 やはりこれはゆゆしきことだと思って、先ほど言いましたように、もちろん情報収集、分析をやっておりますし、それと同時に警備の強化もやっておりますし、どういう事態が発生するかに備えて対応できるように、心構えとしてはいろいろな準備をしております。

 しかしながら、今具体的に部隊の配置を変えるとか、そういう意味での戦略上の何か変化があったかと言われると、それはないわけでございますが、どういう脈略の中でそういうような文章になったのか、私自身ちょっとよくわからないので、後で調べた上で、またお答えさせていただきたいと思います。

神風委員 こういうある意味で緊迫した状況の中で我々も今回の法案審議をしているわけでございまして、そこでお伺いをいたします。

 この海上阻止活動によって実際に武器、麻薬等の押収が行われていると、具体的な成果について先ほどお話がありましたけれども、さらに、テロとの闘いについて、アルカイダ及びその関連組織等によるテロ事件が世界各地で引き続き発生をしている状況である。国際テロの根絶は依然として見通しが立たない状況であるわけでありますが、そういう中で、この海上阻止活動がこうしたテロ勢力に本当にどれだけのダメージ、打撃というものを直接的に与えているのか、それについてどう評価をされているのか、政府の見解を伺いたいと思います。

山崎政府参考人 先ほど大臣の方の答弁がございましたように、例えば海上阻止活動におきます無線照会の回数等につきましては、一昨年の四万一千回に比べまして昨年が一万四千回と、非常に減っているということは、これは海上における阻止活動の各艦船の抑止効果というのがやはりあらわれてきている証拠だろうというふうに私どもは思っておりますし、具体的にすべて、先ほど申し上げましたように、海上における阻止活動自体が各国ともオペレーショナルなことでございますので明かしていただけない部分がございますけれども、私どもがそういう制約の中でお聞きして承知している限りでは、例えば洋上で押収しました麻薬等が約二万六千ポンド以上、末端価格が五百億円以上の見積もりでございます。

 それから、武器が小銃五百丁以上、これは弾薬一万二千発以上ということで、ある程度具体的な成果も出ているのではないかというふうに考えておりますが、先ほど申し上げましたように、これは公表分のみでございますので、これ以上に大きな成果が上がっているものではないのかというふうに推定をしております。

 以上です。

神風委員 なかなか直接的な評価というのは難しいのかなとは思います。ただ、この海上阻止活動、本当にどういうスケジュールでいつ終結するのか、その見通し、どう見ておられるのか、官房長官、いかがですか。

塩崎国務大臣 先ほども伴野議員の質問にもあったかと思いますが、その出口の見通しということでございます。

 引き続きアフガニスタンの情勢は、先ほど来、前進しているところもあるけれどもまだまだ難問山積でもある。また、世界的に見てもテロの活動というのが続いている中にあって、テロとの闘いは国際的に続いているということでありますから、このテロとの闘い自体は、九・一一以前には余り現実的なものと考えておられなかったわけでありますけれども、やはりこれはかなり長い困難な闘いになるのかなというふうに国際的にも認知され、私たちもそう思っているところでありまして、今すぐ出口がいつかというようなことを申し上げるような段階ではないのかなと思っておりまして、そういった世界の中で、安心して暮らせる地球を実現するためには、しばしはまだ努力が要るのかな、そんなふうに考えております。

神風委員 このテロ特措法では、対応措置を実施する必要がないと認められるに至ったときには、速やかに廃止をすることということになっているわけでありますが、この対応措置を実施する必要がないと認められるに至った状態というのはどういう状態であるのか。つまり、ある意味ではウサマ・ビンラディンあるいはアルカイダなどの主要幹部が捕捉されたという状態をもってそういう状態であるという認識になるのか、防衛庁長官、いかがですか。

久間国務大臣 必ずしもそういうように限定する必要はなくて、各国がテロとの闘いからもう手を引いて、海上阻止行動をしないという国がどんどん出てくるような、そういう状況になってきた場合には、それほどの必要性がないんじゃないかなと我が国も判断していいんじゃないかと思うわけであります。

 今のところ、そういうようなやめようという国が出ていないわけでございますから、逆に言えば、そういう状況の中で我が国がやめるというわけにはいかないんじゃないかな、そう思っているところであります。

神風委員 先ほど防衛庁長官が、当初テロとの闘いがこれほど長く続くとは思わなかったという話を聞きまして、私もびっくりしたんですが、そういう認識であったからこういう状態になっているんだなという、ある意味では納得したようなところもございます。(発言する者あり)いや、こういう延び方が、三回にわたって延長がこういう形で続けられるという形になっていること自体にある部分で納得をしたようなところがございますが。

 ある意味ではテロとの闘いというのは半永久的に続くものであろうと思っておりますけれども、逆に言うと、今の長官のお答えにもありましたけれども、この海上阻止活動が継続される限りは給油支援も継続するということであるのか。

 日本の海上自衛隊の活動がどうしても参加国にとって欠くことのできない代替不可能な役割であるから、海上阻止活動が継続される限りは給油支援も継続するんだということであれば、まだ逆に理解もできるわけであります。ただ、そういうことでもなくて、状況変化に的確に対応できるよう一年間の延長となっていると、非常に、余りにも無原則で、余りにものんきな説明としか我々には受け取れないわけでありますが、その点、いかがですか。

久間国務大臣 その当時の認識が甘かったんじゃないかとおっしゃられますけれども、あのときは与党、野党一緒になっていろいろな議論をして、法律を二年という限時法で出したわけでありまして、そのときはみんな、二年の法律で一応いいんじゃないかというような判断があったわけであります。中身につきましては、いろいろないきさつから賛成、反対出ましたけれども、そういう二年の時限法にすることについてはほとんど一致しておったわけでございます。

 私だけが、この五年間、六年間と続くのを、見通しを誤ったじゃないかというおしかりを受ければ、それは不明のいたすところでございますけれども、正直言いまして、アメリカがアフガンに対して攻撃をやりまして、そしてアフガンで封じ込んで、それから外にアルカイダをあんなふうに逃して世界各国に広がっていくという状況にしない、そういうことからスタートしておりましたので、そういう点では、本当に今ゆゆしき事態になっております。

 しかしながら、そうはいいましても、そのときの思いからいたしますと、やはりあと一年以内には終わってもらいたいという思いを込めながら、この法案を再延長を願っているところでございます。

神風委員 実際、イラクの方では多国籍軍が治安維持活動を今でも継続されている。にもかかわらず、陸自の方は撤収の条件をきちんと示して撤収をしたわけでありますが、なぜそれがこの場合にはできないのか、いかがですか。

久間国務大臣 イラク特措法は、先ほども言いましたように、いわゆる軍事のためにアメリカが行動するのを応援するのではなくて、戦時の復興という、そういう観点からの要請にこたえてイラク特措法はつくったわけでございます。そうすると、自衛隊が行かなくても、自衛隊以外の形でイラクの復興については協力できるんじゃないかというような、そういう観点から、陸上自衛隊はサマワから撤退したわけでございます。

 ところが、アフガンの場合は、そういうような戦闘状態、その延長線が続いておる、そして、その戦争状態に対して海上で補給活動をするという、そういう形で法律をあのときつくったわけでございますから、そこは、根っこの法律の考え方が若干違うわけでございまして、片一方が後、続いている以上は、やはりそれに対して、世界各国がもうやめようというような、そういう雰囲気にならないとなかなかやめにくい、日本だけが撤退してくるというわけにはなかなかいかないわけでございますので、その辺についてひとつ御理解賜りたいと思います。

神風委員 ちょうど昨年の十月の十七日ですか、同じように私もここで、一年間の延長に関して質問をしていたわけでありますが、これまでの議論を聞いている限り、また来年の十月の十六日か十七日ぐらいに、同じようなむなしい議論が、この委員のメンバーをかえながらも再開されているのかなと、非常に暗い思いがいたしております。

 このオペレーションに参加をしている自衛隊のウエートというんでしょうか、比率というんでしょうか、どれぐらいの勢力がここに行っているということになるんですか。

山崎政府参考人 現在、海上自衛隊が保有しております補給艦は五隻でございます。それから、護衛艦が五十三隻。そのうち、補給艦それから護衛艦が一隻ずつ常に派遣をされております。

神風委員 自衛隊全体の戦力から見ても、必ずしも小さいウエートであるということではないと思います。逆に、今の北朝鮮による環境の変化を考えれば、自衛隊にそれほどの余裕はないというのが実感ではないかなと思うわけであります。現在の国連での議論にかんがみれば、インド洋から海上自衛隊の撤収理由として、今の状況というのは、世界各国がある意味では納得するのに十分過ぎるほどの状況、あるいは理由ではないかなと思うわけでございます。

 それに比べて、実際のインド洋でどれだけの実効性が上がり、またどういったスケジュールで行われるのか、全く無原則な、明確な回答が得られない。そういうことを考えれば、自衛隊の撤収というのは、今のタイミングを逃すとなかなか今後難しいのではないかなという気がしておりますし、ある意味では、インド洋から海上自衛隊の撤収というのが北朝鮮に対する日本からの強いメッセージにもなると思うわけですが、防衛庁長官の御認識はいかがですか。

久間国務大臣 先ほどの他の委員の質問にも答えたわけでございますけれども、インド洋に派遣している自衛隊は、我が国の防衛上支障のない限度においてやることになっておりますから、防衛上支障が出てくるということになれば、それは撤収ということもあり得るわけでございますけれども、今その決断をする時期ではないのではないか、そう思っているわけであります。

神風委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中川正春君。

中川(正)委員 それでは、午前中に続いて、私も質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 ちょっと最初に、通告にはなかったんですが、午前中にも少し話題が出ましたけれども、自民党の中川政調会長、同じ中川でややこしいんですが、中川政調会長の発言をめぐってということであります。

 本来は、議院内閣制のもとでは、責任政党というもの、与党というものと、それから内閣というのは一致をしていなければならない、そんな形で運営されていかないと議院内閣制そのものが崩壊をしてしまうということだと思うんですよ。そんな中で、核を保有する可能性について議論をしていくという前向きの発言が出たんですが、私はけしからぬ話だと思うんです。それだけに、官房長官の方から、この発言について政府として正式にどのようにコメントするのか、改めて発言をしていただきたいというふうに思います。

塩崎国務大臣 中川政調会長の発言の件だと思いますが、政府としては、非核三原則、これはもう変わらぬ政府の方針であります。既に昨日も、総理もそのように発言をしておるわけでございまして、政府としての方針は何ら変わっておりません。

中川(正)委員 私は、非核三原則を守り続けていくという政府の方針、これは正しいと思いますし、それでなければならないというふうに思うんです。

 ただ、あの発言が出たというのは、一方で、例えばアメリカの下院あたりで今議論が出ているのは、北朝鮮の核実験によってその周辺国で右翼ばねが働くんじゃないか。例えば台湾、韓国あるいは日本、こういう国の国内で、核武装していくべきだという世論の高まり、これが怖い、その可能性については徹底的にそれぞれの関係国との関係の中で抑え込んでいかなきゃいけないという意識がある。その延長線上には、実はイランがあるんだと思うんですよ。現に、イランに対応するその議論の中で、同じように体制崩壊をさせるための武力先制攻撃、これが正しいんじゃないかというのがアメリカの世論の中にもある。

 そういう背景の中で、我々が日本としてどういう位置づけをしていくかということを考えていかなきゃいけないときだと思うんです。それだけに、非核三原則、声高に世界に対してメッセージを出すというこの政府の方針は正しいと思うんですよ。

 それに対して、与党の肝心の政調会長が何を言い出すんですか。そのことについて、ただ政府はこうですよということ、そのコメントだけじゃなくて、政府として与党に対してしっかり物を言うべきだと思うんです、この際は。

 そういう意味で、もう一回聞きます。これは本来は総理大臣に聞くべき、あるいは自民党総裁に聞くべきことなんですが、官房長官、改めてしっかりとした答弁をしてください。

塩崎国務大臣 今申し上げたように、安倍総理が昨日、今の非核三原則については変わらぬ我が国の方針だということを言ったわけでありますが、同時に、総理は自由民主党の総裁であります。その総裁としての立場も踏まえた上で、総理の発言が明確に出てきたことを考えていただければ、方針については何ら変わりがないということが近隣諸国にもわかっていただけることだというふうに思っております。

中川(正)委員 意味がわかってもらっていないんだと思うんですね。この背景であればこそ、いわゆる自分の足元から崩れてきているこの右翼ばねに対してもっと強いメッセージが必要なんですよ。そのことをしっかり指摘しておきたいと思います。

 恐らくこのまま続けていっても平行線だろうと思いますので、今の自民党の中がいかに国際政治の中で今発言しなければならないことに関してずれているか、あるいは自分の身近な周りのことしか考えていないという、それが政調会長というポストで議論しているわけですから、何と情けない話かということを指摘させていただいて、次に移りたいというふうに思います。

 それから、アフガニスタンあるいはテロというものに対する質問になっていくわけでありますが、全体の話に入っていく前に、ちょっと気になっていることを一つだけまず取り上げさせていただきたいというふうに思うんです。

 船舶用の燃料あるいはヘリコプターの燃料、よく、インド洋でのガソリンスタンドをやっているんだ、ガソリンスタンド、ただですけれどもやっているんだ、こういうことが言われます。これの調達価格が、前に参議院でもうちの榛葉議員が取り上げたことがあるんですが、いわゆるマーケットである価格と比べると、一つは非常に高いということ、それからもう一つは、時系列的に見ていくと、最近になって、それは原油価格の高騰ということもあるんですが、しかしそれを考慮しても非常に高い調達価格になりつつあるということ、これがそちらから提出していただいた資料ではっきりしています。

 具体的には、リッター当たり三十七円で、市場価格というのは二十円台ですよね。それが最近では百円に至ってくるんですね。市場価格、どう考てもこんな額にはなっていない。それこそ二倍ぐらいですかね。五十円までの話だと思うんですよ。この開きというのは何を意味するか。談合をやっているんじゃないですか、あるいはその中に不正な力が入っているんじゃないですかということ、これについてまずお尋ねをしたいと思います。

久間国務大臣 これは、最初現地で調達するときに入札でやっていたわけでございますけれども、それは決して談合とかなんとかじゃなくて、艦船用の軽油というのはあの地域で需要が非常に限られている、そういうようなことから、やはりこちらの日本国内と比べて割高だったわけですけれども、それはやむを得ないということでその値段に決まったと聞いております。そしてその後は、軽油燃料の価格の高騰に比例して、その値段を上げ下げしながら使っている。

 したがいまして、日本での価格と比べたときには確かに高いということは言えるかもしれませんが、それは、現場におけるそういうような需要が非常に小さい、軽油を艦船用に使うというのが非常に少ないというふうなことからそういうことになっているそうでございます。

中川(正)委員 いや、私の言っているのは、日本の価格に対してというんじゃないんですよ。現地の調達価格で、いわゆる船舶のディーゼル用のエンジンに使う燃料ですね、これが高いんです。そのことは参議院の議論の中で皆さんが、防衛庁の方が認めていることでありまして、もう一つは、入札というけれども、二社、日本の会社の二社がそれができるということでしかなかった。これはもう入札になっていないんですね。そんな中でそれを選ばざるを得なかったというような、そんな答弁を参議院の議論の中でやっています。

 もっと言えば、日本の会社を入れることはないんですよ。現地で調達しようと思ったらできる。それをなぜ日本の商社なり、あるいはそうした会社なりを入れているのかということと、一体どこが供給しているのかという具体的な会社の名前、それからもう一つは、これからもこの方式をやっていくおつもりなのか。

 これは本当に不自然な価格でありますし、この変動を見ていると、これだけ市場価格との差があれば、税金を払っておる方としては、国民のサイドから見たら、何をやっているんだという話になりますよ。このまま放置していくつもりですか、どうですか。

久間国務大臣 即応性あるいは確実性、いろいろな観点からやらなきゃなりません。しかしながら、今委員がまたこの場でも指摘されましたので、私も、まだ就任して具体的に、現地のその価格のものが現地自体でどうなのか、その辺についてまだつまびらかに承知しておりませんので、またその辺については調べてみようと思います。

 ただ、先ほど言いましたように、従来のいろいろな議論を聞いてみますと、そういう中で決まったわけであり、また、それについては特別そういうような変な動きがあったというようなことでもないようでございまして、ただ、とにかく安くするように努力するのは我々の義務でございますから、それは先生の御指摘も踏まえながら対応してみようと思っております。

中川(正)委員 自衛隊の調達というのは、大体がすべてそれで説明しているんですよ。安定供給とか、あるいは安全保障上の秘密があって企業も表に出せないとかというようなことを説明しながら、これまで幾つ不祥事が出てきたかということですよね。いわゆる最近の自衛隊の状況を見ていると、次から次へと不祥事が出てきているということ、この現実があるんだと思うんです。これも改めて調査した上で報告をする、そして、この値段を下げる努力をするということ、先ほどの答弁の中で、前向きにそうした姿勢で改めての返事を私たちにもらえるということで、この場はおさめておきたいというふうに思います。

 次に、出口論の話、これも午前中に何回か出ました。最初は二年、それで四年、一年、それでまた一年ということでありますが、これは端的に言って、アメリカがもういいよと言うまではつき合うよということですか。それとも、日本独自で基準をつくるつもりですか。あるいは、もう大体あと一年が期限だと思うので、あと一年で確実に撤退をしますということが約束できるんですか。その三つのうち、どれなんですか。

久間国務大臣 この種のものはなかなか基準をつくるというのができないわけでございまして、その辺は総合的に判断せざるを得ないわけであります。前回延長するときに、二年を二年じゃなくて一年にしたのも、まあその範囲内で終わる可能性もあるんじゃないかということで、多分国会との関係でも一年にしたんだろうと思います。

 したがいまして、我々としては、あと一年延長させてもらいたいという思いで今提案しているわけでございますけれども、その辺は、では一年たったら大丈夫かと言われますと、やはりそのときは、場合によっては国会の御審議を経て延長する場合もあるし、もういいじゃないかと皆さん方国会の方でそういうふうに言われる場合だったら、法律も出せないかもしれませんし、その辺はそのときの立法府としてのいろいろな雰囲気、そういうのも勘案しながら、アメリカだけではなくて、総合的にやはり判断する必要があるんじゃないかと思いますので、今直ちにここで基準を示せと言われても、今言われましたどれに該当するかと言われましても、なかなか的確に答えられないという状況でございます。

中川(正)委員 長官のこれまでの発言なり、あるいはお人柄なり等見ていると、そんな答えが返ってくるんだろうなというふうに予想はしていたんですけれども、それだと国民も私たちも納得できないんですよ。というのは、余りにもアバウトで、まあ大体のところ一年ぐらいだろうから頼むわと、これですよ、さっきの話は。そんな議論はできるはずないじゃないですか。

 だから、今回も一年延長するということであるとすれば、私たちがそれで仮に、そんなことは今の議論では到底できないと思うんですが、仮に賛成するにしても、なぜ一年延長なのかというのは、やはり国民に説明する必要があると思うんです。

 さっきの話は説明になりませんよ。基準も何もわからない。自分の意思もないということです、基準がないということは。意思がない。情勢を見てと言うけれども、何の情勢を見るのかというのもコメントがない。だから、最終的には、こっちの勘ぐりは、イラクと同じように、もうアメリカがそろそろいいよと言ってくれたらこれで引き揚げようかというふうな形にしか見えないということを指摘しておきたいと思うんです。

 何かコメントがあれば。

久間国務大臣 二年延長じゃなくて一年延長をするということは、一年以内でほぼ終えるだろうという見通しでやはり出すわけでございます。ところが、そのときの状況でそうならない場合だって絶対ないとは言えないものですから、一年以内に撤収するのかという御返答をするわけにいかぬということを言っているわけでございます。

 しかしながら、時限立法で、効力を失うという法律を出す以上は、出す方は、一年以内では終わるだろう、そういうような見通しで出すわけで、二年、三年と続く見通しを持っておりながら一年の法律を出すという、そんな失礼なことはありませんので、やはり一年ぐらいたてば終わるであろうという蓋然性を持ちながらお願いをしているということでございますので、その辺はぜひ御理解賜りたいと思うんです。

中川(正)委員 これまでずっとそうやって言い続けてきたんですよ。二年ぐらいで終わるだろう、それで二年たったら、あと二年ぐらいで終わるだろう、またこれが四年たったら、あと一年ぐらいで終わるだろうと。これはだめですよ。

 それと同時に、インド洋でのオペレーションというのが恐らく終結したときにはガソリンスタンドも店が閉じられるだろう、そういう意味合いだろうというふうに思うんですね。しかし、このオペレーションはこれに対してどれだけの貢献をしているのかということですよ、油を補給しているということ自体が。

 実は、三年あるいは四年前にも議論したことがあったんですが、アメリカ自体が本当に洋上での補給を必ず必要なものとして求めているかどうか。調べてみたら、その当時のアメリカの補給船というのは、例えて言えば、十トンのタンクローリー一つを持ってきてそれで補給している。では、日本の補給船というのはそれから考えるとどれぐらいのサイズかといったら、軽自動車の上にぽこっと小さなタンクを載せて、それで補給していますよ、それぐらいの差があった中での支援を我々してきたということなんですよ。これは、どう考えてみても本気になってやっていない。格好つけているだけだというようなこと。格好つけているというのはどういうことかといえば、アメリカに対して日本も参加をしていますよという形を見せるためだけのものだというふうな議論をしたことがあります。

 今もその状況は変わっていないんだろうというふうに思いますし、あの当時、一年、二年目に、あのインド洋で展開したそれぞれの船隻の数からいうと、さっき、無線でチェックしていった通報の数がこれだけなくなってきたんだから、そうした不審船そのものも数が減ってきたんだ、それが成果だというようなことを言われましたけれども、違うんです。そこに展開している船艦の数がぐっと減っているんですよ。その中からさっきのような結果が出てきているということですから、これは私たちも、今の我々の支援そのもの、これを根本から見直していく、本当に必要なのかどうかということについても見直していくという必要があるということ。その基準がないままに、あと一年、あと一年というふうな形での延長は認められないということ、そんな結論にいかざるを得ないということですね。これを指摘しておきたいというふうに思います。

 その上で、実はもっともっと基本的な問題があるんだろうと思うんです。それは、午前中の議論でも出ていましたけれども、我々は何に対して本当に闘っているのか。基本的には、テロという、今、世界に広がりつつある流れ、これを何とか食いとめていく、あるいはアメリカがそれに対して闘うということに対して周辺が支援をしていくという体制をつくっていくということ、これは指摘されましたね。

 このテロとの闘い自体、これは防衛庁長官に聞くのがいいのか、それとも官房長官に聞くのがいいのか、恐らく、政府としてということになると官房長官だと思うんですが、日本としては、このテロとの闘いというのは今成功しつつあるという認識でいるのか、それとも、大きな岐路に今直面をしていると。どちらかというと、例えばアフガニスタンとかイラクとかというような情勢を見ていると、ネーションビルディングの過程の中で、テロとの闘いというのが逆に押されてきて、以前よりも非常に厳しい状況になってきているという世界の世論の方が強いんですが、それに対して、基本的に日本はどういう認識を持っているんですか、日本政府は。

久間国務大臣 後から官房長官がお答えになるかもしれませんけれども、テロとの闘いで、海上阻止活動によって資金力を抑え込むというのは、これはやはり大きいと思うんですね。麻薬とか武器の輸出等々あわせまして、麻薬なんかはやはり資金力になる可能性がありますから、そういう点では、海上阻止行動というのは私は非常に効果はあったんだと思います。

 ただ、今委員が御指摘されましたように、なくなっていないじゃないか、テロ等はずっと続いているじゃないかという御指摘も事実でございますので、これは、どこに原因があるのか、闘いは闘いとしてやりながらも、もっといい方法があるんじゃないか、その辺は私の立場でお答え申し上げるようななにはないわけですけれども、私は、やはり海上阻止活動が行われているということは非常に効果はあっていると思います。

 それと、最初は米艦が中心でございましたけれども、各国が参加して、海上阻止活動に参加してきている、そういうようなことから、我が自衛艦が補給するのも各国にまたがってきておる。それがいいのか悪いのかは別としまして、かなりのところが参加してこれをやっているというのは、やはり海上阻止というのはテロとの闘いでは大事な一面を持っているということを各国とも理解しているんじゃないかというふうに思いますので、そういう点では各国からは感謝の言葉も聞いておりますので、私はそれなりに効果は上がっているというふうに思っているわけであります。

塩崎国務大臣 九・一一の事件が起きる前と起きた後、さまざまなことをやってきた今日に至るまで、やはりこのテロとの闘いというのは、もともと、九・一一の後に、テロとの闘いといっても余りぴんとこなかった人たちが多かったと思うわけでありますが、その後、さまざまな試みを国際的にもやり、日本も新たな試みをやって今日を迎えているわけで、今回またこの一年間の延長をお願いしているわけでありますが、前進をしているのかしていないのかということを考えてみると、今まで、なぜテロが起きるのかということもよくわからないままにとりあえず闘いを始めたのかもわからない中にあって、やはり確実な成果を上げているところは、今防衛庁長官もおっしゃったようにあると思いますし、それは間違いない進歩だと思います。

 ただ、この問題は根が根深いだけに、そんな簡単に全部が解決するわけではない。アメリカのテロの報告書を見てみても、長い闘いになるだろうということは、社会、それぞれ各国の根深い問題から発生してきてこういう問題が起きるということをすべて根絶するには時間がかかるだろうということでありまして、トータルで見れば、かなり問題点が浮き彫りになり、成果も上げているけれども、まだまだやらなきゃいけないことがたくさんあって、我々はその努力を国際的にも続けなきゃいけないし、日本も責任を果たしていくべきだろうというふうに考えていくのがやはり筋ではないかというふうに思っております。

中川(正)委員 これはたまたまニューズウィークで特集をしていたものなんですけれども、その中に、以前のNATOの司令官、アフガニスタンでの、ちょうどアメリカの二〇〇四年の大統領選挙でチャレンジをしているクラークさんがコメントしているんですけれども、大体、テロとの闘い、いわゆるカウンターテロリズム、あるいはカウンタードラッグ、さっきお話の出た、これだけを考えて評価したときには、ウイ・ウイル・ルーズ、負けるだろうというふうにコメントしているんですよ。

 それと同時に、アメリカの今の世論は、特にイラクを中心に、昔と違って非常に厳しい世論背景が出てきました、だから中間選挙でブッシュさんは困っているんだろうというふうに思うんですが。それと同時に、イラク国民の間でも反米機運が非常に大きくなってきたということが指摘されています。

 これはメリーランド大学がこの九月の初めにイラクの中で世論調査をしたものなんですけれども、イラク国民の七一%が一年以内の米軍撤退を望んでいるということ、それから、イラク国民の七八%が、米軍がいるためテロ、宗派抗争が頻発しているんだ、米軍の存在がそうした状況を起こしてきているんだ、そういう世論調査が今出てきています。

 さらに言えば、アメリカの中でも、これも今アメリカの中間選挙の中の一つのテーマになってきていますけれども、情報機関が集まって、このテロの問題に対して中間報告というのを出している。それが四月だったわけですが、それが公表されずにいたのがリークで公表されて、その結果出てきたのは、ジハード、テロリズムを誘発しているのはアメリカの闘い方が悪いからだという中身なんですね。私も直接中身を読んでみたんですが、いわばそういうことです。

 そうした背景からいくと、さっきのお話は、それこそ直接的に軍事行動と、それから、それこそ資金源のドラッグなんかを含めた闘いの、その範疇しかない、議論が。しかし、そろそろ日本も、このアメリカの闘い方に対してしっかり、基本的な、原点に戻った評価をして、何をすべきか、いわゆるテロとの闘いというのは本来はどうした闘いをしていくべきかということを、もし日本なりの独自の外交というのを展開したいという安倍総理の思いがあるとすれば、当然出てきていいと思うんですよ、議論の中に。アメリカのやっていることがすべて正しいというこれまでの小泉さんの話とは違うと思うんですよ。

 そこのところを基本的にどのように認識しておられるのか、これは改めて外務大臣にもお聞きをしたいというふうに思うんです。

麻生国務大臣 基本的にはテロとの闘いに関してどう考えているかという話なんだと思うんですけれども、質問が長かったのでどこが質問をされたいポイントかよくわからなかったんですが、少なくとも自衛隊が協力をしている海上阻止活動とか、いわゆるアフガニスタンの掃討作戦等々いろいろありますけれども、そういった軍事面のみにかかわっていると危ないんじゃないかというだれかの書いた論文をもとにして御質問なんだというように理解したんですが。

 おっしゃるとおりに、テロというものは、これは基本的に、軍事面のみならず、それを支えております麻薬というのは、午前中も申し上げましたけれども、あれは、国連の薬物犯罪事務所か、あそこで出しました、たしか五二%という数字を国連は出しましたね。それを見てもわかるように、麻薬対策とか、それからアフガンの復興、もうとにかくさまざまな面があるということは確かだと思います。したがって、これがそんな簡単に終わるというものではないだろうというのは、今だんだん理解できてきて、息の長い対応が必要なのではないかということになってきたんだと思います。したがって、現時点でしかるべき評価を下すというのはなかなか難しいということははっきりしておると思います。

 ただ、この間、アフガニスタンで見ますと、少なくとも警察官の増員ができ、政府ができ、どこでもそうですが、軍の組織もできたり、いろいろな形としてでき上がりつつあるところもまた確かなんだと思いますし、例の日本がかかわったところであると、DDRという武装解除とか社会復帰とかいうようなものも前よりはるかに動きつつあるというようなことだと思っておりますので、少なくとも、今まだ三十六だか七カ国、これにかかわっていると思いますけれども、そういった国々がこの作戦に、テロとの闘いというものに参加しているという現状を考え、日本の補給というか給油というものがガソリンスタンドというような言い方で、えらくばかにしておられるのか卑下しておられるのかよくわかりませんけれども、立派な仕事をしているな、私どもはそう思っております。

 そういったようなことをバックにしながら、私どもは、今後ともこの種の、日本が必要とされているというのがはっきりしているんだったら、十分に貢献していくべきだと思っております。

中川(正)委員 そうした認識は正しいと思うんですよ。軍事部門だけじゃなくて、本来は、ネーションビルディングをどうしていくかというところへ向いて世界が貢献していかなきゃいけないんだ。それをいつも説明されて、その中で、DDRのさっきの話も含めて日本のODAの支援がこれだけあります、こういう説明をする。

 私、この質問の前に、外務省に対して、それじゃどれぐらい、ほかの地域と比べてアフガニスタンというのは今効果的にその金が生きているのか、あるいはどれぐらいの規模でやられているのかというのを、ほかの紛争地域、例えばボスニア・ヘルツェゴビナであるとかカンボジアであるとか、そうした、政府が一たんつぶされて、新しい形で、そこでネーションビルディングをしなきゃいけない、いわゆる統治機構というのをつくらなきゃいけないというその過程の中で世界がどんなふうに関与してきて、成功した例と失敗した例があるのかということ、そんなことを一度、紛争地域の人口割りにして出してみてください、こういう話をしたんですよ。そうしたら、外務省の方は、出してきたデータがそうじゃない。その地域にどれだけのニーズをつかんで支援をするかという観点じゃなくて、外務省から出てきたのは、日本の支援が日本の中の人口一人当たり幾らぐらい頑張って支援しているかということをデータとして出してきたんです。

 だから、私はこれだなと思ったね。いつも日本の説明というのはそれなんですよ。我々、これだけのことをしていますよ、これだけ金を出していますよ。しかし、それが効果的にその国のテロを静めていける、いわゆる社会開発あるいは経済開発に対してどれだけ貢献していって、具体的にどう動いているのかというのは全く議論がないんです、今、日本の特に外務省の中には。そこのところを指摘しておきたいというふうに思うんです。

 改めて、同じようなデータを図書館の方に依頼して、見てみました。その図書館の調べから出てきたのは、その地域の人口一人当たりの世界各国からの支援は、例えばアフガニスタンだと四十五・九ドルですね。これは、プレッジしたものと実際に出したもの、両方合わせてです。ボスニア・ヘルツェゴビナの場合は百九十八・六ドルです。それから、カンボジアの場合は二百四十・八ドルです。これはみんなUSドルなんですね、その地域の人口に対して。

 本当に悲劇的なのはイラクでありまして、イラクの場合はもう既に千二百四十ドルからいっているんですよ。これはいろいろなものも含めての話だろうと思うんですね、イラクの場合は。

 そこから考えると、アフガニスタンというのは完全に無視されているというか、トータルでいって、日本が東京会議をやって各国に募って、日本が主軸になって支援体系を組みましたよと、声高に何回も何回も私たち説明を聞きました。しかし、結果どうなっているかといったら、四十五・九ドル。ボスニア・ヘルツェゴビナの例なんかの半分以下ですね。そんな状況を指摘しておきたいというふうに思うんです。

 それからいえば、今、日本が本当にやらなきゃいけないことというのは、自衛隊にこだわっていくという、あるいはアメリカのメンツに、アメリカの軍事展開にこだわっていくということじゃなくて、本気になって、テロというものに対してどのような戦略を持って日本が一番やれるべきところというのを主張していくということだと思うんです。それが実は私の思いなんですよ。

 そのことから考えると、こうして油をただで供給していますよと胸を張っているんじゃなくて、この金も含めて、本当の意味でネーションビルディングへ向いて突っ込むというぐらいの日本独自の政策があっていいと思うんですよ。それをどうして言い出さないのか。いつまでもいつまでもこれにこだわって、艦船がこれだけ少なくなってきたのにまだ油を供給し続けるというその意味合い、そして一年延長するというその意味合いが私にはわからないということをさっきから言っているんです。そこを説明してください。

麻生国務大臣 いろいろなお話がありましたけれども、これは何か外国のあれを使っておられましたので、私もアフガニスタンのアウトルックという、社説を使わせていただければと思います、読まれていると思いますが。

 原理主義反政府分子との闘いにおいて、アフガニスタンを支援するためにISAFの枠組みの中に三十七カ国からの部隊が存在し、そして、ドナー社会から六十カ国が戦火により破壊されたアフガニスタンの復興をいろいろな規模で支援してもらっている。しかし、アフガニスタンの国家建設の最も頼りになるパートナーは一つの国家である。アフガニスタンにおけるその存在は、さまざまな時代を通じてアフガニスタンへの無私の支援の象徴で常にあり続けている。この国こそが日本であると書いてあるのを読まれたでしょう。

 日本はカブールをだれが統治しているかということを気にせずに、アフガニスタンの国民のことのみを気にかけてもらってきたんだということが、このカルザイという大統領が書いているところなんです。そのカルザイが信用できないと言うのであれば、これはまた話は別です。

中川(正)委員 実はカルザイ、信用できないんですよ。今カルザイの影響力があるのはカブールだけなんです。防衛庁長官うなずいておられますけれども、それ以外は、従来からのそれぞれの、麻薬組織の親分であるとか、あるいはパシュトゥンの民族戦線であるとか、あるいはジハード、この戦線であるとか、もう完全に支配が限定されてきている、カルザイは。そこが問題なんだというのは、これは国際世論の基本なんですよ、今。そのことを指摘しておきたいというふうに思います。

 そして、残りがわずかになってきたんですが、もう一つ今の北朝鮮の関連の中で、このアフガニスタンも関連するんですが、一つだけ最後に確認をしておきたいということがあるんです。

 さっきから、臨検の話とかあるいは船舶検査、あるいはまた日本が後方支援だけにとどめるのか、また、その中でやるとすればどういう法的な整理があるのか、そんな議論が出てきましたが、観点は、どうしても今の法的な整理の部分でどうするのかという議論になっていました。しかし、基本は違うと思うんです。

 基本は、政府として今やらなきゃいけないことは、政府として何をするのか、いわゆる国連決議と日本の独自の決議を踏まえて、具体的に政府として何をする意思があるのかというのをはっきりさせることだと思う。これをはっきりさせることによって、我々も議論ができるんですよ。今までの話だったら、そこのところは考えています、考えていますだけで済ませていくから、我々は議論しようと思ってもできない。

 このままでいったら、この委員会そのものも、あるいはこのアフガニスタンの議論そのものも、全部関連していますから、これは、そっちがちゃんとした話をしてもらってその上で、それをもとにしてここで議論をするまでは、この委員会というのはずっと継続をしていかなきゃならないと私は思うんです。委員長、そのことを指摘しておきたいというふうに思います。

 その上で、今答えられるんだったら、日本としては何をするつもりなのか、日本政府としては具体的に何をするつもりなのか、答えてください。

塩崎国務大臣 今回、国連で安保理決議が行われました。日本は、その前に独自の制裁案を発表して、十三日に閣議決定をいたしました。

 したがって、これからやるべきことは、先ほど来話題になっているのは、カーゴ・インスペクションという部分について問題になっておりますが、あの決議の中には、さまざまな制裁等々項目が入っておりまして、これらについて、我々が、もう既にやることが決まっていること、そして新たにやらなきゃいけないこと、それをすべてこれから検証して、できる限り早くできるものはやっていくということであって、あらゆる可能性を考えているというのは先ほど来申し上げているとおりでありまして、一点に絞ってだけのお答えというわけにはいかないというふうに思います。

中川(正)委員 言いかえれば、意思が決められないということなんです。

 だから、私も時間が来たので一方的に言わせてもらいますが、それは話が逆で、まず政府の方がこれをしたいんだということを私たち国会に意思表示して、その上で、それをもとにして我々は議論をしていくというプロセスにしないと、わからないんだ、まだこれからだ、それは議論になりません。

 そのことを申し上げて、私の質問を終わります。

浜田委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一です。

 テロ対策特別措置法改正案についての質疑を行わせていただきます。お手元の方に、理事会のお許しも得て、ACSAの部分と、それから週刊新潮の記事を配らせていただきました。

 まず、このテロ特措法そしてまたイラク特措法における武器弾薬の提供について、これが行えるのか行えないのかについて、改めて官房長官から御答弁をいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 武器弾薬の提供を行うかどうかという御質問でございます。

 テロ特措法におきましては、提供可能な物品の対象から武器弾薬は除かれているわけでありまして、米軍など諸外国の軍隊等または国際連合等に対して武器弾薬の提供を行うことはございません。

武正委員 イラク特措法もあわせてお答えいただけますでしょうか。

塩崎国務大臣 イラク特措法の場合でありますが、米軍の武器を運ぶ役務の話ですか……(武正委員「その前に、まず武器弾薬の提供の話」と呼ぶ)失礼しました、ちょっと先に言っちゃいまして。

 イラク特措法に基づく武器弾薬の提供の問題でありますけれども、イラク特措法においては、提供可能な物品の対象から武器弾薬は除かれている。そして、米軍など諸外国の軍隊等または国際連合等に対して武器弾薬の提供を行うこともないということでございます。

武正委員 もし、武器弾薬の輸送についてお答えをいただけるとありがたいんですが。

 提供はそれぞれ除かれている、行わないということですが、テロ特、イラク特、それぞれ輸送についてはどうなのか、お答えいただけますでしょうか。

塩崎国務大臣 テロ特措法における輸送でありますけれども、協力支援活動として行われる物品の輸送については、外国の領域における武器弾薬の陸上輸送を含まないとされております。

 それから、イラク特措法の方での輸送でございますが、武器弾薬については、イラク特措法の文言上、輸送の対象から除外されているわけではないということで、他方、我が国の活動は人道復興支援活動を中心とするとの考え方から武器弾薬の輸送は行わない方針でありまして、同法八条第二項に従って防衛庁長官が定める実施要項において、物品の輸送に際しては、武器弾薬を含むわけですが、その輸送を行わないとしたところであります。

武正委員 質問通告にはないんですが、周辺事態安全確保法、この場合ですと、今のそれぞれの質問、武器弾薬の輸送あるいは武器弾薬の提供はできるんでしょうか。お答えをいただけるとありがたいんですが。

久間国務大臣 武器弾薬の提供は、原則としてすべて外しているはずであります。というのは、先ほどのテロ特措法もそうですし、イラクの場合もそうですけれども、いろいろな議論の中で、武器についてはアメリカがそういう要求をまずしないわけです。アメリカというところは、自分が使う武器を人からもらったのでは、信用度が低いのかどうか知りませんけれども、まずそれには触れさせない、輸送はさせるということであります。

 ただ、テロ特措法のときは、この国会の中でいろいろ議論しまして、我が国が陸上輸送をしようとしたときにデモ隊に包囲されたときに、では、それをけ散らすことができるのか、そういう議論の中から陸上輸送はやめようということで、そこは外したわけであります。

 イラク特措法のときも、輸送は法律上は外れておりますけれども、さっき言ったように、人道支援を中心としてやるんだからそれはやめようということで実施要項から外した、そういうようなことでございます。

 周安法においても、そういう点で、武器については原則として提供はしないということになっております。

武正委員 輸送については、周辺事態安全確保法ではできるということでよろしいですか。

久間国務大臣 そういうようなことから、輸送については可能であります。

武正委員 そこで、お手元のACSA、日米物品役務相互協定でございます。周辺事態安全確保法のときにもACSAが改正をされ、そしてまた、テロ特、イラク特ということで改正をされたわけでございます。

 その改正のところが第六条の四ということで、米国への後方支援については「付表2に定める日本国の法律の規定であって現に有効なものに従って行われるものと了解される。」ということで、ここにイラク特措法そしてテロ特措法が書き込まれた、こういう経緯でございます。

 さらに第十二条では、「付表2は、両当事国政府の合意により、この協定を改正することなく修正することができる。付表2の修正は、両当事国政府間の外交上の公文の交換によって確認された日に効力を生ずる。」こういったことがありますので、国会のこの協定の改定あるいは国会の承認というものを経ずに、日本国の法律を政令によってこの付表2に加えれば、こうした米国への後方支援、物品役務の提供ができる、こういう協定になったわけでございます。

 そうしますと、次にお伺いいたしますが、付表2からは、自衛隊が米軍の武器を運ぶ役務の提供を要請される場合は応じても構わないのかどうか。もう一度言います。自衛隊が米軍の武器を運ぶ役務の提供を要請される場合は応じても構わないのか。これについて、官房長官、お答えいただけますでしょうか。

塩崎国務大臣 今取り上げておられますACSAに基づく手続の枠組みに従って行われる自衛隊による米軍に対する物品、役務の提供につきましては、あくまで、そのような物品、役務の提供について我が国国内法上の根拠がある場合に限り行われることとなるわけであります。

 御指摘の米軍の武器の輸送についてもそのような役務を提供し得るのかについては、そのような役務提供の根拠となるおのおのの国内法の定めるところに従って判断されるということになるわけでございます。

武正委員 国内法の判断によると、例えばテロ特、イラク特、これがACSAの付表2に書き込まれているわけですが、これに基づいて、今言いましたように、米軍の武器を運ぶ役務の提供を要請された場合は応じることができるというふうに読んでよろしいんでしょうか。

塩崎国務大臣 それぞれの二つの御指摘の法律のもとでどうなるかということでありますけれども、まずテロ特措法のもとででありますけれども、テロ特措法の別表第一及び第二は、自衛隊が対応措置として実施する業務には、「外国の領域における武器」弾薬を含むわけですが、「の陸上輸送を含まない」としているわけであります。したがって、外国の領域における陸上輸送を除き、米軍に対し武器の輸送を行うことは可能だということでございます。

 それから、イラク人道復興支援特措法、このもとでの自衛隊の活動は、先ほど来お話が出ておりますように、人道復興支援活動を中心とするということからその輸送を行わない方針でございまして、実施要項において、武器弾薬の輸送は行わないこととしているところでございます。

武正委員 一つ目について、陸上を除いては、米軍の武器を運ぶ役務は提供できるというふうにお答えになられたんでしょうか。

塩崎国務大臣 外国の領域における陸上輸送を除き、米軍に対し武器の輸送を行うことは可能であるというふうに申し上げました。

武正委員 では、公海上ということは含まれるということですか。

久間国務大臣 ACSAによる役務の提供は、あのときの議論では、法律で、ここでこういうことができますとやったものについてはその都度一々協定を変えなくてやれるようにしようということで、包括的な協定になったわけであります。したがいまして、法律上は、イラクの場合、テロ特措法の場合、できる。ところが、イラクについては、事実上実施要項でとめておる、そういう問題がございますけれども、ACSAの一般的な性格からいいますとそういうふうになっておりますから、法律上、院で認められた内容に従って、それは要求があればやれないことはないということになっておるわけです。

 ただ、実施要項でやらないとなっているものをやるかどうかは、それはやはり日米間で協議しなければなりませんから、事実上は、何も、法改正はしないでやれるわけであります。(発言する者あり)公海上もそれは同じであります。委員外発言に答えて失礼ですけれども、公海上も、それは公海内も一緒でございます。

武正委員 もう一度官房長官に聞きますが、まず、テロ特措法では、米軍の武器を運ぶ役務の提供を要請された場合は、公海上であればそれを提供できるということでよろしいですか、官房長官。

塩崎国務大臣 公海上についてですね。そうです。

武正委員 それから、イラク特措法について触れられましたが、人道復興支援を主なものとして、また実施要項で定めるというお話でしたが、安全確保支援活動について、米軍の武器を運ぶ役務の提供をACSAに基づいて要請された場合はそれに応じて構わないんでしょうか。

 先ほど人道復興支援を主に言われましたが、安全確保支援活動に基づいて米軍の武器を運ぶ役務の提供を要請された場合は応じて構わないんでしょうか。

浜田委員長 山崎局長。

武正委員 いや、私は政治家だけに求めておりますので、政治家でお答えをいただきたいと思います。

浜田委員長 では、もう一度質問していただけますか。

武正委員 いや、もう何度も言っていますから。

浜田委員長 では、久間防衛庁長官。

久間国務大臣 ACSAは、日本政府がやれるかやれないかをACSAで決めているわけですから、要請が仮にあったとしても、それをお断りしますよということは言えるわけですね。だから、そういう点で実施要項で運ばないというふうになっていれば、それについてはだめですよという話をするし、もし日米間で協議して、イラクで実施要項に入っていないものを、役務の提供をやはりしなきゃならないという話になってきた場合には、そのときは実施要項の改正をしなければなりません。しかしながら、法律上はどちらもあるから、協定の改正はする必要はないということを言ったわけであります。

 だから、それについて私の説明の仕方が悪かったのなら訂正しますけれども、私はそういうことで言っているわけでございますから、法律上の話とそれから実態上の話と、また、政令でするかしないかの話と、三つがそれぞれ、使い分けているというわけじゃないんですけれども、表現がどうも違っているのでそういう混乱が生じたんじゃないかなと思います。

武正委員 ちょっと官房長官にもう一度お伺いをいたします。

 先ほど、テロ特については、米軍の武器を運ぶ役務の提供を要請される場合は公海上応じても構わない、こういう御答弁でしたが、イラク特措法において、安全確保支援活動において米軍の武器を運ぶ役務の提供を要請される場合は応じても構わないのかどうか、お答えをいただけますでしょうか。

久間国務大臣 イラクの場合は人道支援と安全確保支援と二つありますけれども、どっちも同じように、実施要項で同じような扱いにしておりますから、片一方がよくて片一方が悪いとは今やっていないわけです。だから、もし、先生の言われるように安全確保支援法でやろうとした場合でも、実施要項を変えない限りできませんし、だから、我が国はアメリカに対して、我が国はこういう実施要項で従来やってきているから、これでそれはできませんというふうにお断りすれば、それは、アメリカが、いや、どうしてもやってくれということで協議して実施要項を変えれば別ですけれども、そうでない限りは、私のさっき言ったような答えになると思うんです。

 だから、両方別々だというふうなことじゃなくて、今やっているのは、内容的に、運べるような役務の提供等については同じ扱いにしているというふうに理解していただければいいんじゃないかと思います。

武正委員 要請があっても断れるということは、要請があってそれを受けなければならないということが十分考えられる。その理由は、やはり協定を日米両国で結んでいるからでございます。

 ですから、今、断ればいいんだというお話ですけれども、これも、イラク特措法、その安全確保支援活動に基づいて米軍の武器を運ぶ役務の提供を要請された場合はそれに応じなければならない、あるいは応じることができる、こういうことであるのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

久間国務大臣 日米関係というのは、そんなふうに、一方がこれをやれと言ったら、はい、やりますというふうなことじゃなくて、もっと親密な間柄になっているわけでございますから、要請する前に、実際どうかというようなことでいろいろ下打ち合わせをするわけでありまして、我が国は我が国のいろいろな状況を言いながら、そこまでする必要はない、こういうような状況になっているというような話の中で話が進められていきますので、協定を改正する必要は私はないというふうに思っております。

武正委員 きょうも官房長官から、本法案もそうでありますが、過去、政府からの説明は、やはり日米同盟の相手国の事情もこれあり、あるいは、それぞれの国の実施状況についてはこれありということでなかなか説明できないんだ、こういうことをこれまで政府からさまざまな説明の際に言われております。

 私は、この特措法というものは、本法を五年前に審議したときに、シビリアンコントロール、国会の関与ということで、国会は多くの時間を割きました。それは、自衛隊を海外に派遣するについてはやはり慎重であるべきということで、しかも、国会の関与をしっかり求めていく、こういったことを我々国会が大事にしたからだというふうに思っております。

 ですから、私は、いわゆる恒久法というような形ではなくて特措法という形でこうして延長をなぜしなければならないのか、こういったたびにしっかりと議論していくということは国会として大事だというふうに思っております。それについても、どうしても、外交、安全保障について政府からの説明がなかなかされない、こういったことがあるからでございます。

 そこで、質問を次に移らせていただきますが、この付表2に、例えば、これから、先ほど官房長官も検討はするんだというお話でしたが、自衛隊海外派遣恒久法が書き込まれた場合、いわゆる世界じゅうどこでも米軍の後方支援ができるのではないかという指摘がありますが、これについて官房長官としての御答弁をお願いいたします。

塩崎国務大臣 自衛隊が要請を受けた場合、恒久法の話を前提に今お話をされたわけでありますけれども、議員御指摘のいわゆる一般法、先ほど来議論が出ておりますが、今後いかなる国内法が成立するかも、なかなかこれは私どもとしても予断できないので、仮定の質問になるわけであります。

 いずれにしても、ACSAの枠組みに従って行われる自衛隊による物品そして役務の提供というのは、あくまでも国会の議決を経た法律の規定に基づくものに限って行われるという厳格な扱いを今日までやってきているわけであって、国内法の裏づけなく、ACSAのみによって自衛隊による米軍への支援が無限定になるということはないというふうに考えております。

 したがって、今、恒久法ができた場合の話をされましたが、今ないものを前提とするお答えというのはなかなか難しいというところだと思います。

武正委員 恒久法がここに書き込まれた場合、恒久法の中身はこれからなんでしょうけれども、恒久法が成立した上で、何かいろいろな場合を想定してそれぞれ一つ一つ法律をつくっていくわけではないというふうに私は理解しております。それが、恒久法を進めたいという方々の立論の根拠になっているからでございますので、ここに恒久法が書かれた場合は、テロ特やイラク特のように一々議論しなくても、自衛隊が海外に、国際平和協力活動のもと、派遣ができるんだ。ただ、それはいろいろと条件をつけておられます、国会の事前承認とかいろいろな形で。ただ、法律ではないわけですね。法律にはならないわけですよね。どうですか、官房長官。

塩崎国務大臣 先ほど来、この別表二のことを例示として出されているわけでありますけれども、恒久法がそもそもどういうものになるのかよくわからないわけで、そこに別表がつくのかつかないのか、あるいは法律の中に書き込まれるのか、いろいろな可能性があり得るわけであります。

 今の武正議員の御質問は、恒久法ができた場合には自動的にできるようになるのではないのかということですけれども、それはやはり、法律立てがどうなるのか、この国会における議論を通じての国民の合意形成が行われて、法律でどこまで定め、そして別表なりにどこまで落とすのかというのは、そのときに決まってくるんだろうと思います。それに基づいて初めて、役務提供を行うのかどうかということについては決まる話であって、まだ見ぬ法律を前提に答えるのはなかなか難しいかな、こんなふうに思ったところでございます。

武正委員 それでは、前国会に提出をされております、いわゆる防衛省への昇格法案に伴う自衛隊の本来任務に国際平和協力活動が書かれた場合、それをこの付表2に書き込んだ場合はいかがでございましょうか。

久間国務大臣 個別の法律で、具体的な役務の提供とかそういうことができるような根拠規定が書いてなければ自動的には読み込めないわけですから、どういう法律が書かれているかですけれども、防衛庁の省昇格のときの国際協力業務ではそういうことは書いておりませんので、それに基づいて直ちに物品、役務の提供が今のACSAで読めるということにはならないわけであります。

武正委員 私が危惧するのは、国際協力活動を本来任務に書いた防衛省昇格法案の後に今度来るであろう自衛隊の海外派遣恒久法、これがこの付表2に書かれた場合の対応というか、予想されるところ、これを危惧しての質問でございます。

 続いて質問を移らせていただきますが、お手元にお配りいたしました記事をごらんいただきたいと思います。

 ロシア銃撃・拿捕事件、坂下船長も帰国をしたわけでありますが、ここに特別手記ということで、坂下船長の発言が記載をされております。

 三十二ページの上から四段目を見ますと、照明弾だとか威嚇射撃なんてなかった。いきなり撃ってきたのさ。こちらは中間ラインよりもさらに手前の規制ラインの線上で漁をやってたんだから、危ないなんて全然思ってなかった。

 ページをめくりまして、三十四ページ一段目、前から十行目です。拿捕された地点も、規制ラインからぎりぎりだったけど、中間ラインよりは百七十メートルから百八十メートルぐらいは余裕があった。GPS、衛星利用測位システムでも確認してあるから。

 二段目。エンジンをとめたのは、日本の海域だから逃げる必要はないと思ったのさ。

 三十五ページ、後ろから二段目です。これはもう国後に護送されてその後の発言でありますが、最初のうちは頑張っていたけれども、若い人が死んでるんだから、二人の乗組員の精神状態も心配で、早く帰してやりたいと思った。罰金五十万ルーブルで船も返ってくるという話だったから、まず若い衆を帰してやらねばと考え、仕方なく罪を認めることにしたんだ。

 一番下の段、最初のところでありますが、ところが、おれの裁判が終わる前に、弁護士から、船は返されないということを聞かされたのさ。

 こういった手記が出ているわけでございますが、外務大臣、坂下船長のこの手記、これについて、真偽というかあるいは感想、これをお答えいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 これは三日でしたか、解放された坂下という吉進丸の船長が書かれた話というものについては、外務省の職員も話を聞いております。

 この事実関係の詳細については、これは権限のある関係当局者が船長を含む乗組員と直接話をするということになるんですね、基本的には。そういうことになりますので、私どもとしては、現時点で、予断するようなコメントというのは外務省としてはなかなか言えないところです。

 ただ、邦人保護の観点というのが私どもの立場でもありますので、捜査の目的で事情聴取を行ったものではありませんけれども、いずれにしても、こういった話というのは双方から聞かぬとどうにもなりませんし、坂下という船長の言い分と向こう側の言い分というのは、これはかなりこの種の話が違うのは、通常でもありますけれども、今回も大幅に違っておりますので、これは海保やら警察やらの関係の後、調べた上で、そちらの話が今進んでいますので、私どもとしては、邦人保護という点におきましては、一応、一人の死者を除きまして残り三人がこっちに帰国した形になっておりますので、あとは船体を返してもらいたいということで、既にラブロフ外務大臣とこの問題について二度ほど電話して、話をやり合ったところではあります。

武正委員 それで、船体は返ってくるんでしょうか。

麻生国務大臣 今のところ、返ってくる見込みは立っておりません。

武正委員 国土交通大臣政務官がおいででございますが、私は、海上保安庁に、国際法にのっとって、旗国主義にのっとって、とりわけ、サハリンに行って直接船体の確認やあるいは日本人乗組員から事情を聞くべきだ、これを衆議院の委員会で求めたところがございますが、帰国をされて、乗組員に対して事情も聞いておられると思います、船長に対する聴取もされたと思いますが、このような記事の真偽についてお答えをいただけますでしょうか。

梶山大臣政務官 御存じのように、十月三日に、国後島古釜布から坂下船長が帰還いたしました。そして、記者会見をした後、病院に直ちに入院いたしまして、その当時の詳細な状況につきましては聴取は現時点ではできておりませんが、調査は、海上保安庁としては終えていないと承知をしております。

 そして、帰還の船中にて簡単な事情聴取を行っておりますけれども、今船長は入院中、そして手術が終わったばかりということで、体力、体調の回復を待って、またさらに事情聴取するものと心得ております。

武正委員 船長はこうやって手記を書いているんですけれども、今のお話では、まだ聴取をされていないということでよろしいでしょうか。

梶山大臣政務官 記事の内容については承知をしておりますけれども、繰り返しになりますが、船長から当時の詳細な状況についての聴取をしておりませんので、捜査の進行を待って、またこちらの考えをお答えしたいと思います。

武正委員 記事にこういうふうに本人が手記を書いているのに、海上保安庁として、調査すべき当局でありながら、船長に対して、この件についてどうなんだという申し入れを、あるいは聞きたいということでの問いかけもしていないということでしょうか。

梶山大臣政務官 先ほど申しましたように、帰還の船中にて簡単な事情聴取をしておりますが、その後、繰り返しになりますが、入院しております。退院をして、体調が戻り次第、また詳細な聴取を行う予定だということしか今の時点では言えません。

武正委員 時間が来ましたので終わりますが、本人がこうやって特別手記を寄せているんですから、退院するのを待ってというか、まずは、入院していても、本人がそういった聴取に耐えられる、そういう本人の御意思があれば、ぜひ早く、こういう事実が本当なのかどうかを当局として聞くべきだというふうに思います。このことを申し述べまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。的確に御答弁をいただければ幸いでございます。

 まずは、インド洋で海上阻止活動に日本も参加しておりますけれども、これは、海上阻止活動が始まってからずっと船を出している国というのは、何カ国、どういう国がございますか。

久間国務大臣 詳しくは事務方に聞いてもらってもいいんですけれども、しかしまた原則として、どこの国がどういう形で出るかということは、それぞれのやはり安全上の問題があって我が国としてそれを公表するのはなかなかできないので、例えば、常時といいますか、あるいはまた何年以上にわたってこうだというのがどれぐらいおるかとか、もし抽象的なお尋ねでしたら、事務方の方でも答えられるんじゃないかと思います。

長妻委員 ちょっと事前に防衛庁に確認しましたら、常時船を出している国はアメリカとイギリスと日本、三カ国で、あとの国は、休んだり順番順番ローテーションを組んで出しているというふうに聞いているんですが、これは間違いございませんか。

久間国務大臣 今おっしゃいました常時というのが、ずっと切れ目なくという意味だったら、そうかもしれません。

長妻委員 私が思いますのは、日本というのは本当にテロとの闘いの中核の国になったと。アメリカ、イギリス、日本、これは、イラク戦争に関しましても、これのある意味では支持というのも日本はいち早く表明したわけで、イギリス、アメリカに次いで日本、この三つの国が非常に主要な形でテロの対応というのをやっているというような感を私は強く持ちます。

 そういう意味では、日本はテロ対策は大変重要だと思います。先ほども質問が出ておりましたが、いろいろな角度で、軍事面あるいは後方支援以外でもやるべきことはあるわけで、本当に身の丈に合った支援なのかなと。この三つの国の中に日本も入りながら世界で活動をするということに関して、今回、もう一年延長というのが出ておりますけれども、どういう本当に具体的な活動成果が上がり、そして、本当に身の丈に合った日本の支援なのかもぜひ御検討をいただきたいと思います。

 そしてもう一点お尋ねいたしますと、北朝鮮の核実験がございましたが、この北朝鮮の核実験というのは、アルカイダのテロ活動あるいはインド洋の活動などに何らかの影響というのは与えるのか与えないのか、どんな分析をされておられますか。

久間国務大臣 我が国、イギリスそれからアメリカ、三カ国といいますと非常に主要三カ国みたいに聞こえるわけですけれども、このアフガニスタンにはほかのヨーロッパ各国も、NATO諸国が出ているわけですね。我が国の場合は、やはりいろいろな制約がありまして、そういうアフガニスタンへの自衛隊の派遣というのができなくて、そして海上での補給活動という、戦闘地域から離れた場所での支援ということになったわけでございまして、そういう意味では、身の丈しかできないというふうなとらえ方もされるんじゃないかと思うわけであります。

 だから、主要三カ国だというような、胸を張って世界各国に向かってどこまで言えるかは、それはどの角度から見るかということでございまして、しかしながら、さはさりながら我が国も、世界各国がテロと闘っているのに、インド洋で洋上補給しながら海上阻止活動に対しては貢献している、そういうことが言えるんだというふうに思うわけであります。

 それと、アルカイダと北朝鮮との関係については、もちろん、我々としては把握するすべもございませんけれども、いろいろな情報収集もやっておりますけれども、特別の関係というのは今のところつかんでおりません。

長妻委員 そしてもう一つでございますけれども、核の問題でありますが、日本は憲法上核武装というのは、これは許されているんでしょうか。

久間国務大臣 憲法上は核とかそういうことについて何ら触れていないわけでございますけれども、我が国は、従来からの政府の解釈として、急迫不正の侵害があったときには必要最小限度の範囲において対応できると言っているわけでございますから、この枠内に入るか入らないかの話でございまして、核武装そのものを憲法上どうだというような、そういう議論にはならないと思います。

長妻委員 同じことを、塩崎官房長官、いかがですか。

塩崎国務大臣 憲法上の問題ですね。

 今答弁がございましたとおり、憲法第九条第二項によって、いわゆる自衛のための必要最小限度の実力を保持することは許されているわけでありまして、今お話があったとおり、特に核というものを憲法上書いてあるわけではないので、その範囲内にとどまるものであれば、必ずしも憲法が禁止するということにはなっていない憲法にあるわけですね。

 しかしながら、別途、政策上の方針として非核三原則というのを持っていて、さらに原子力基本法というのがあり、それからNPTがあって、これらによって持てないということになっているのが我が国の今の法律的なフレームワークであるわけでありますから、この点を踏まえて、総理も十月十日に、九日の翌日でありますが、非核三原則を変えるつもりは全くないということを明示したわけでございます。

長妻委員 今おっしゃられるように、憲法九条から読み取って、自衛権発動の三要件、必要最小限、急迫不正の侵害、そして他にとるべき手段がない、この中の、特に必要最小限というところの範囲内であれば核も持てるという憲法解釈だというふうに私も事務方からも説明を受けましたけれども、では、果たしてそういう核というのはどういう核なのかということで、現実的には、基本的に憲法の精神からいって核は持つことができないというような考え方を政府はきちっと非核三原則とは別に憲法上でも明言するべきだ、私はこういう立場をとっております。

 では、例えば必要最小限の核といいますと、具体的にはどんな核なんですか。

久間国務大臣 いずれにせよ、今の憲法の精神からいって、我が国は核を持たないという方針を堅持して、国民の皆さん方もそれを支持してもらっているわけでございますから、それについて、憲法を改正して持つようにしろとか、ここまでなら持ってよろしいとか、そういう議論をすること自体が他国に対して間違ったメッセージを出すんじゃないでしょうか。

 先ほどの委員会でもちょっと議論が出まして、私も聞きながら、本当に政府・与党というのは一体でないといかぬなと思いながら、とにかく、議論をするということ自体は、それは確かに国会でもあり国会議員でもありますから構いませんけれども、それが間違ったメッセージを与える可能性もありますからやはり注意すべきであって、ましてやここで、こういう核ならいいんですというようなそんな議論をしたとか、すべきであるとかいうことになったら、私は何か非常に誤解を招くんじゃないかと思いますので、あえてそれは、もし必要なら、これならどうかというようなことをおっしゃられれば、それはやはりやめた方がいいでしょうという話をする方向に私としては行きたいですね。

長妻委員 いや、間違えたメッセージを出すのがよくないというのは、私は国会議員ですけれども、そんな偉い国会議員じゃありませんが、きのう、与党の大幹部である中川政調会長がテレビで、全国放送で、憲法でも核保有は禁止していない、核というものがあることによって攻められる可能性は低い、あるいはない、こういう御発言をしているわけですよね。

 それで、この発言なんですが、今、防衛庁長官、塩崎官房長官、憲法では核武装は禁止ということはされていないんだ、一定の要件があれば憲法上はそれはできるという趣旨の御答弁がございましたが、ただ、この中川政調会長の昨日のお話というのは、核というのは、戦術核のような、例えばありていに言えば、大砲に核を載せて発射するような非常に限定的な小さな核が必要最小限に入るのか入らないのかという議論は、それは理屈上はあるのかもしれませんが、ただ、中川政調会長のきのうの話は、核というものがあることによって攻められる可能性は低い、つまり、抑止力を持つぐらいの核ということを念頭に置かれてきのうは議論されていたと私は受けとめました。

 抑止力を持つような核というのは、小さな、先ほど言った戦術核のようなものではなくて、本当の核弾頭とか、あるいは先進国が持っているような核であるというふうに考えるとすれば、それは憲法でも禁止していないというふうに明言して本当にいいんでしょうか。

久間国務大臣 私が従来から言っているのは、日本はそういう核を持つことはできないし持つべきでもないから、アメリカとの日米安保条約に基づいてアメリカの核の傘の下におる、これが日本の選択で一番いい選択だということを言ってきたわけであります。

 法理論上はどうかということでよく議論されますけれども、敵地攻撃論とか、あるいは核は持てるのかとそういうふうに言われますと、法理論上の話としてはそれはいろいろな議論ができると思いますけれども、それができるんだというふうに言ってしまうことによって非常に違った方向にそこだけが喧伝される、そういうようなことは非常に怖いわけでありまして、そこのところについては、やはり議論する場合も非常に抑止的に話をすべきじゃないかなと思って、気になるからあえて申し上げているわけであります。

長妻委員 いや、だから、抑止的に言ってほしいから私は質問しているんですよ、はっきりしてほしいから。

 つまり、自衛権の発動の三要件がございますけれども、私は、自衛権発動の三要件の中には核武装というのは入っていないというふうに思いますよ。現実的に、核の武器というその性格を見ると、今机上の空論のようなことを言われていますけれども、果たしてその核が、必要最小限というそういう核が具体的に地球上に存在するのかどうか。そういうことも含めて、自衛権発動の三要件、憲法では核は禁止されているんだということを政府が明言することが、きのうからの騒動をおさめる一つの解釈の道だと私は思うわけでありますが、いかがですか。

久間国務大臣 法理論上どうかと言われますと、ぎりぎりの議論になってきて、そういうことだって可能じゃないかという議論だって出てくるわけですよ。(長妻委員「どういう、その内容」と呼ぶ)いや、だからどういうじゃなくて、それはあなたはそう思うかもしれないけれども、両方の議論ができるわけですよ。だから私は非常に気になるわけです。(長妻委員「誤解を与える」と呼ぶ)だから、あなただけが正論で、持てないというのが正論で、持てるというのは悪論かというと、そうとも言えないものだから、そういう議論をすべきでないということを言いたかったわけであります。

 だから、その辺、ひとつよろしく御理解賜りたいと思います。

長妻委員 いや、そういう議論をすべきでないというのは中川政調会長に言ってください。私は、それがあるから、真意を国会の場で確認しようとして今質問しているわけです。

 そうしたら、憲法上、今禁止されている武器というのはあるんですか。

久間国務大臣 憲法上となりますと、生物化学兵器についてすら果たしてはっきり明示的に禁止されているのかどうかは、私も一概に答えられません。

 これも抑止的に、抑制的に発言せざるを得ませんけれども、そういうのを使うべきでないと思いますけれども、憲法上禁止されているかというと、そういう明文規定もございませんので、それが果たしてどうかということは、これはおたくの党の中で議論されてもそうだと思いますよ。そういうのが憲法上あるかないかという議論をしたら、非常に両論出てくるわけです。だから難しいのです。

 だからそれは、憲法上は果たして禁止されているかどうか明らかでないというのがここでの答弁です。

長妻委員 大陸間弾道弾、ICBM、こういうものは憲法上自衛権発動の三要件の範疇の武器である、その可能性もある、こういうことなんですか。どういうことなんですか。

久間国務大臣 これも現実には、そういう武器を持って戦うことが急迫不正の侵害に対してあるかどうかとなると、極めてないんじゃないかなと思いますから、そういう点では希有な例かもしれませんが、しかし、それが絶対ないかと、憲法の法理論上ないかというと、地球のどこか、こちらから行くことのできないようなところからやられる場合に、それしか避けて通れないというときにそういうのを使えないかというと、法理論上はある場合だってあるわけですよ。

 けれども、現実にはそういうことはないわけでありますから、だから、そういうような極論を余りこういう場で議事録に残るような形でしてもらいたくない、そういうふうに思っているわけであります。

長妻委員 いや、きのうの発言に非常に私はびっくりして、よくない発言だと思うから、正確に国会の場できちっと明らかにしていただきたいということで質問をしているんです。国民の皆さんだって心配に思っておられる方はいっぱいおられますよ、きのうの与党の発言で。

 塩崎官房長官にお伺いしますが、そういう意味では、中川政調会長というのは……(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

長妻委員 安倍自民党総裁が任命した方でございますけれども、そういう意味では任命者は総理大臣でございますが、例えば、きのうの発言について中川政調会長に御注意をするというようなことは全然考えておられないんですか。

塩崎国務大臣 官房長官の立場でそれをまだ言うつもりはございませんが、先ほど来申し上げているように、総理が非核三原則を堅持することを明確にし、なおかつ、総裁でもある総理がそのことを言っている中でありますから、任命権者である総裁がその堅持を唱えているということは、もうそれ以上のことはないということだというふうに思っております。

長妻委員 いや、そうであれば、何で幹部である中川政調会長が総理の趣旨と違うニュアンスを与えるような発言をされておられるのかということに関して、いかがですか。

塩崎国務大臣 それは中川政調会長が説明責任を果たすのではないかというふうに思います。

長妻委員 ぜひ、政府・与党、これは一体でありますから、総理のメッセージ、それは国会ではっきり言われました、私も聞きましたが、その舌も乾かぬうちといいますか、全国放送で政策の責任者がそれと異なるようなニュアンスの発言をされる。それも、ちょっとした問題ではないですね。今、北の地下核実験が起こっている。そして日本は被爆国である。それで、こういう核を廃絶するために日本は世界に核禁止を呼びかけている、まさに当事者の国なんですね。ですから、そういう意味で非常に不謹慎だということを私はまず申し上げておきたいと思います。

 そしてもう一つお尋ねしますが、北朝鮮に地下核実験をさせてしまった責任というのがこれはあると思うんですが、これは、当然途中で……(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います、発言中です。

長妻委員 これは、途中で当然日本の国会にも、私も国会の一員ですから、我々にも責任の一端がないとは言いません。当然、世界の国々が、北朝鮮の核実験、これを阻止するようにずっと動いていたわけですね。日本の政府もそれは阻止するように御努力されていたということは私も認識しておりますけれども、しかし核実験が行われるということになったわけでありまして、これはどういうところに問題があり、その核実験が強行されてしまったのか。過去のいろいろな国際社会の圧力が甘かったのか、その方向性がどうだったのか、あるいは、北朝鮮が本当に突っ走ってとめようがなかったのか、そこら辺はどういう御認識でございますか、日本国政府として。

塩崎国務大臣 言うまでもなく、我々は、このところずっと六者協議への無条件の復帰ということを一貫して言ってきたわけであります。我が国としても、対話と圧力ということで、対話を基本としながら、それに従わない場合にはしかるべく圧力もかけるということで今日までやってきて、国際的な連携もとりながら、そして七月のミサイルの発射のときにも、中国を含めた全会一致の国連決議までしてやってきたわけでありまして、我々としてはやるべきことはやってきているというふうに信じておりますけれども、こういう結果が今起きつつあって、それに対してもまた国際的な努力を、今、横の連携をしっかり大事にしながらやっているというところであります。

 なぜかというのは、それは先方に聞いてみないとわからないような話であって、我々としてはやるべきことをやり、それから、これからもやらなければいけないこと、今まで不足していたことがあるならばやっていかなきゃならないということでこの間の国連決議も行われて、さらに、国際的連携を密にしながら、北朝鮮が本来の場である六者協議に戻ってくるということに我々としてもあらゆる知恵を出していきたい、このように考えております。

長妻委員 北朝鮮の地下核実験が行われたわけでありますけれども、ミサイルの先に核弾頭をつける、こういう技術でございますが、これというのは、今核弾頭を持っているほかの国もございますけれども、核実験をしてから大体どのぐらいの期間でそういうものが開発される、こういう事例なりなんなり認識されておられれば、御答弁いただきたいと思います。

久間国務大臣 北朝鮮の核開発計画がわかっていませんし、またそしてこの技術については、今まで既にやったところも公表しておりませんので、わかりません。それと同時に、我が国は核実験もやったこともございませんので、我が国自身としてもそういう知見を持っておりませんからなかなかはっきりしたことは申し上げられませんが、ただ、一般論として言えば、小型化するには相当時間がかかると。

 やはり核といっても、五トン、六トンぐらいのあれを核弾頭に積むためには一トンぐらいに小さくしなきゃなりませんから、それだけの技術を開発するというのは結構時間がかかるというふうに聞いておりますので、その辺どこまで進んでいるか、はっきりした情報は得ておりません。

長妻委員 お配りした資料の七ページ目に、昭和三十三年度からの日本の航空自衛隊のスクランブル発進の年間の数が、表を防衛庁からいただきましたが、平成十七年度、ちょっとふえております。十八年度もこの十七年度よりもふえる見込みだとも聞いておりますけれども、それらの背景というのはどんなものでございますか。

久間国務大臣 背景といっても一概に言えないわけでございますが、去年の場合は中国機がふえた、ことしになったらロシア機がふえた、その前はロシア機が非常に減っておった。ロシア機の方は、まあ、石油事情なのか知りませんけれども、経済状況がよくなって、少しそういう訓練といいますか飛ばす度数がふえたのか、なかなかわかりませんので、その辺は、背景についてここでこうだということはなかなか申し上げにくい。我々としてもいろいろな分析をしてみようとは思います。

長妻委員 これ、北朝鮮の地下核実験が行われ、この平成十八年度上半期もかなりふえているということを防衛庁当局から聞いておりまして、さらに今後ふえていく可能性も私はあるのではないかと。

 そこで、領空侵犯について、日本の安全保障上の措置ということですが、実は、私が初当選させていただいて一番初めに質問したのがこの質問でございまして、非常に日本の空の守りが万全なのかどうかということに関して若干お伺いいたします。

 領空侵犯で仮に国籍不明の飛行機が日本の領空内に入ってきて都市部の上空を飛ぶ、いろいろな停止命令、着陸命令等も全く無視をして、ROEに基づいて手順を踏んでも着陸もしない、領空の外にも出ないというようなことが続いた場合、最後のケースの対応というのは、どんな対応が今なされるんですか。

久間国務大臣 最後の判断というのはなかなか難しいわけですけれども、武器使用は、その当該パイロットあるいはそれの上司、それによって命じられることがないわけではございません。

長妻委員 正当防衛という概念があると思うんですが、そうすると、その航空自衛隊のパイロット自身の身に危険が及ぶ、パイロット自身の身に危険が及ばない以外の場合での武器使用というのは、今どんな状況になっておりますか。

久間国務大臣 防衛出動としてこれに対処するというようなそういう手だてがないわけではございませんが、非常に時間が限られている状況の中でどういうことができるか、なかなか厳しい点がございます。

長妻委員 これ以上は細かい議論はいたしませんけれども、これ、私がちょうど六年前に初質問させていただいたときと状況は余り変わっていないように思います。

 つまり、今後、いろいろな、国際的にも核を持つ国が、ちょうど北朝鮮も出てきた可能性があるわけでございますので、そういう意味では、きちっとした、抑止的ではありますものの、この領空侵犯というのは、一々防衛出動で閣議決定なんという時間は全くない特殊なというか、特別なケースでもございます。そういう意味では、これらの対応措置というのをもう万全を期していくことが非常に重要であるというふうに考えておりますので、ぜひ御検討をいただきたいと思います。

久間国務大臣 今の議論だけでいきますと、今にもそういうような領空侵犯で、そしてその戦闘機に核を積んで攻撃するかのようなことが考えられますけれども、それは今の小型化の技術からいきますとなかなか難しいので、そこまでないわけであります。まあ、せいぜいいって爆撃機でございますけれども、爆撃機の場合も、比較的北朝鮮の場合、今のところはまだ足がそれほど長くないから、往復ということになるとなかなか難しいかと思います。

 しかしながら、それでもないかと言われますと非常に難しいので、我々としては、そういうあらゆる角度からどうすればいいかについては検討させていただきますが、これをマニュアル化して、具体的にこういう場合はこうだということを、なかなか、そういうような危機の場合の状況については千差万別でございますので難しい点もございまして、我々としても、今後課題として、先生が議員に当選されたときから大変心配していただいておりますので、私も、その辺については十分認識しながら対処していこうと思っております。

長妻委員 広島型の原爆は四トンと聞いておりますけれども、その四トンの爆弾を運べる爆撃機が北朝鮮にあるのではないのか、イリューシン28ビーグルというような機種も話に上がっておりますので、ぜひ、この領空侵犯の措置というのも厳重に御検討いただければと思います。

 そしてもう一つは、経済制裁の話でございますけれども、これは日本が単独でも経済制裁をしたというようなことでございますが、ただ、今いろいろな統計がございますけれども、北朝鮮の貿易の統計を見ますと、貿易の相手国の四割ぐらいが中国である、そして、二五%、三割弱が韓国であるということで、マツタケなども、どんどん中国経由で中国産ということに形を変えて世界に輸出されているような話もございます。

 これは、今度ライス長官が日本に来られて翌日ですか、外相会談があるということも聞いておりますけれども、この中国、韓国に対しても、貿易に関して締めつけというか、日本として自国がやっているわけでございますので、こういうような要請というか何らかのメッセージを、大臣、お伝えする御予定というのはあるんですか。

麻生国務大臣 これは長妻先生御存じのように、日本は、国連の安保理決議ができ上がります前に、これは先立って日本としての措置を決定いたしております。それは、もう日本という国が最も影響力を受ける確率が高いという地理的条件にもありますし、そういったことを考えてこの決定をさせていただいたという背景があります。

 したがいまして、日本としては、このライス国務長官に対して私どものやった背景というのは、既にやる背景はその前にもう電話で話はしてありますけれども、改めてその質問があった場合には、その背景について説明をする用意はあります。

長妻委員 そしてもう一つはやはり石油だと思うんですが、この石油というのは、北朝鮮、ベストスリーといったら、どこの国から買っているんですか。

麻生国務大臣 私どもも正確な数字を持っているわけではありません。しかし、過去の経緯からいきましたら、その比率としては、中国、ロシア、中でも中国の比率は極めて高いと思っております。

長妻委員 この石油というのは、ある意味では軍事的にも重要な燃料でございますので、これが今後とも、日本は単独の経済制裁に踏み切ったけれども、ほかの国からはどんどん北朝鮮に供給が続いてとまらないということでは非常に実効性が低いので、ぜひ、石油ということも念頭に置かれて交渉なり要請なりをしていただきたいとも思うんですが、いかがでございますか。

麻生国務大臣 今回のあの決議文の内容に、石油は、生活物資、いわゆる生活必需品の中に入れるか、もしくは戦闘機を飛ばすための軍需品の一部として計算するかによって、制裁決議文の内容の対象になるかならないかというところが分かれるところだとは存じます。しかし、パイプラインで中国から入ってくるのが多いというのは現実だと存じます。したがいまして、中国からの輸出がどのような形になるかということで、過日のテポドンのときも今回の核の話の決議文につきましても、中国を含めた全会一致というのに我々がこだわった大きな背景がこれです。

 したがいまして、中国の協力というものは、北朝鮮を説得する上で非常に大きな影響力を有しているという、物理的な影響力を配しているということは確かですが、感情的には、なかなかその分だけおもしろくないという感情論はあろうと。それは想像はかたくないところですが、現実論として、今申し上げたのが、場面だけを見るとそのようなことになろうと存じます。

長妻委員 今、国連安保理の決議のお話もありましたけれども、その中には、大型兵器、核、ミサイル関連物資、ぜいたく品等々ございますけれども、若干大臣からも言及がありましたが、石油というのは、この安保理決議の範疇に、確かに石油ストーブで個人が使うというのもございますけれども、これは入っていると認識されておられるんですか。

麻生国務大臣 なかなか解釈の分かれるところだと思いますが、今から冬に向かってまいりますので、石油の消費量は夏に比べればかなり上がるのが北朝鮮のこれまでの例、寒い国は皆同じです。

 したがって、その点からいきますと、これは生活品の中で、種類も軽油かC重油かA重油か、これは物によって内容が違いますのは御存じのとおりですが、今回のその中にこの石油が入っているかと言われれば、これは生活品との間のちょうど中間で、なかなか区分けの難しいところかなというのは、現実論としてはそんな感じがいたします。

長妻委員 石油、北朝鮮のある意味では非常に生命線とでもいうべき物資だと思いますので、中国などいろいろな思惑はありましょうが、やはり、日本の経済制裁を実効性あらしめるためにも、この点をぜひ御議論いただきたいというふうにも思います。

 そして、安保理決議の中で、九十日後に検証をする、そういうような話があると思いますが、これに関しては日本はどんな協力をする予定でございますか。

麻生国務大臣 これは、九十日後は日本は安保理の議長ではありませんけれども、安保理のメンバーとしておりますので、そういうメンバーでもありますので、現実問題として、この種の問題を提起して、日本としてはきちんとこれだけやっていますということで、ほかの国に対してはどうですということで、安保理でその議論の対象にするというのが一番現実的な話だと存じます。

長妻委員 そうしますと、九十日後といいますと、今から三カ月ぐらいでございますね。来年の初めぐらいだと思います。そこにはもう安保理に日本の対応策の実績なりなんなりを報告しなければいけない、こういう時期になってくると思うんですが、周辺事態法は除いて、今時点で、現行法の中で可能な安保理決議の関係の協力というのはどんなものがメニューとしては考えられるんですか。

麻生国務大臣 外為法なんかが一つなんだと存じますけれども、少なくとも、長妻先生、船の寄港禁止を決定した十一日以後、今国内に北朝鮮籍の船はゼロです。それで輸入関係は完全に、万景峰号に限らずその他すべて、年間約七百七、八十隻来ていたと思いますが、今は、国内に泊まっている北朝鮮船籍の船はゼロになっております。

長妻委員 いや、お伺いしたのは、日本独自の制裁というのはお伺いしましたので、安保理決議の中で、日本が現行法の範疇の中で今可能な協力メニューというのはどういうものがあるのかというのはどんな御認識でございますか。

麻生国務大臣 この中で、一項目からいきますと、軍関連の核ミサイル、WMDというのは、これはもともと日本は輸出していませんから、これは全く一〇〇%前から実施していたということになろうと思います。それからその次が、弾道ミサイル及び何とかというので、これも同じようにしておりますので、人の往来ができなくなりますので、ここのところももう今既にやっているということになろうと存じます。

 そういった意味でいきますと、入国の禁止もすべて禁止しましたので、その上で関係してくるとすると、貨物検査を含む協力行動によることを要請という、いわゆるインスペクション・オブ・カーゴという例のあの話に関係してくるところは今から出てくるところでしょうか。

 今、ほとんどのところがもう既に日本が実行が終わっている部分、日本の国内の決めでもともとやっておりますものがこれでいきますと最初のところだと思っておりますけれども、最後に残りますのは、一番難しいと言われております第三国経由の金融です。これが、どうやってやるかというところが最も難しいところで、これは、金融庁でこれをどうするかというところを技術的な話として今話が進んでいると承知しております。

長妻委員 もう質問を終わりますけれども、現行法でできるものは極力全力で協力するというのは当然でございますので、まだまだ御研究が足りないと思います。もっとメニューがあると思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。

 以上です。

浜田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 テロ特措法ということではありますけれども、ちょっと事前の通告は間に合いませんでしたが、昨日の国連安保理について最初に伺っていきたいと思います。

 決議一七一八を全会一致で採択したわけですが、北朝鮮に対して、さらなる核実験と弾道ミサイル発射を行わず、すべての核兵器と核開発計画の放棄を要求し、北朝鮮が即時無条件で六者協議に復帰するよう求めているわけです。そのため、国連憲章第七章第四十一条に基づく非軍事的措置をとることを決定し、すべての関係国が外交努力を強化し、緊張を激化させる行動を避けるように求めている、こういうぐあいになっております。

 今回のこの安保理決議というのは、安保理がとる行動を非軍事的措置に限定し、そして北朝鮮の核問題を平和的、外交的に解決する、そういうことだと思いますが、この点、いかがですか。

麻生国務大臣 本来のその種の決議案ができた目的は、ノンプロリファレーションと称する例の核不拡散というのが目的ですから、その目的を達成するための手段としての一七一八ということになったという背景だと思いますので、核の不拡散、核がそこにある、かつ、それの不拡散が本来の目的でありますから、その意味では、今おっしゃったのは基本的に正しいと存じます。

赤嶺委員 平和的、外交的に解決していくということなんですけれども、それで、具体的に聞いていきますが、最後まで協議の焦点になっていたのが貨物検査の問題であるわけです。この貨物検査というのはどういう性格の活動なのか、臨検やあるいは海上阻止活動、これらとどういう違いがあるのか、これについて説明していただけますか。

麻生国務大臣 赤嶺先生、臨検というのは我々の世代だと何となく通じる言葉かもしれませんけれども、一般的に臨検なんてなかなか通じる言葉ではないんだと存じます。

 事実、この書いてあるのも、インスペクション・オブ・カーゴと書いてあるのであって、いわゆる臨検とは書いていないわけです。これは簡単に言えば貨物検査であって、貨物は船舶検査とも違います。カーゴですから、これは陸上もカーゴになり得る可能性がありますので、したがって、貨物検査は、陸上から入ってくるのも検査ということになりますと、これは中国にとりましては陸上輸送の方が多分多いと思いますので、その意味ではいろいろなものを考えられただろうなと。これは中国側の立場に立っての想像です、これは私の個人的な分析と申し上げてもいいかもしれませんが。

 したがいまして、この中で、それを船でやった場合は、航行しております船を怪しいとして、それに停船を要請して、その停船に応じて検査というのはインスペクション・オブ・カーゴかと思いますが、それが停船を無視して逃走したときには、それに対して停船を命じて、かつ船長の許可なく乗船するということになってくると、いわゆる臨検という話の範疇に入ってくるんだと思っております。

 今回の話でいきますと、いわゆるインスペクション・オブ・カーゴを要請するのであって、前の、ほかの五つと違って、決定するとかいう言葉と違うのは、多分そこが大きな背景だったろうと思っておりますので、これが現実問題としてこういうことになって、北朝鮮が折れてきて、何らかの形にいけばそれでよし、六者協議に戻ればそれもよし。そうすれば、この条件は緩和しようではないかとロシアも言い、いろいろなほかの国もそういう意見を述べているというのであって、これはもう最後に、落としどころはこんなところじゃないのと向こうに、向こうも、いわゆる帰ってくる用意が、選択肢が全くないわけではないというのもたしか二行目に、北朝鮮の方の言い分もそう書いておりますので、そこのところが最後の落としどころになり得ると、多分、向こうのあの表現はそうなっております。

 ただ、それが現実問題として今からどれくらいかかるかわかりませんけれども、その中で、結果としてそういった方向に行けばよしとしますけれども、行かなかった場合は、これはいよいよ話が、四十一条で事が進んで、激しいことになってくるという可能性を私どもはなしとは思いませんので、十分にそこらのところも考えた上でやっておかないといかぬ、私どももそう思って準備をしておかねばならぬところだと思っております。

赤嶺委員 貨物検査と臨検との違い、今外務大臣の御説明があったわけですが、貨物検査と船舶検査とも違うわけですか。

麻生国務大臣 本当はプロの方がよろしいんだと思います、これはもう本当の法律の難しいところで、書いてあるのも細かいことが書いてありますので。自国の国内法上の権限及び国内法令に従い、かつ国際法に適合する範囲内で貨物検査を含む協力行動をとることを要請する、これしか書いていない。したがって、これをどうやって詰めていくかというのは今からの話でして、これは参加国がいろいろ今後事務的な話を詰めていく、いわゆる事務技術の話になっていくだろうと思います。したがって、今この段階でどうですかと聞かれても、ちょっと今の段階はここまでしか決まっておりません。

赤嶺委員 説明を聞いていて、よくわからなくなってきているんですけれども、貨物検査と船舶検査との違いを今聞いているわけですが、きのう、外務大臣、たしかテレビで船舶検査について言及されておりますよね。つまり、ここに出ている貨物検査、きのうおっしゃった船舶検査、同じことなんですか、違うことなんですか。

麻生国務大臣 陸上は貨物検査と普通に入ってくると思いますが、船舶検査は船だけということになろうと思います。

 きのうのテレビは、あれはほとんど船舶検査と書いてありましたので、これは大体、臨検なんて書いてあるから、臨検という言葉は今の若い人に通じませんよという話から、貨物検査、船舶検査という言葉が出てきているんだと思いますが、いわゆる貨物検査というのは陸上も入りますけれども、船舶検査というのは船のみに限定される。基本的に違うと思いますが。

赤嶺委員 つまり、貨物検査といえば、海上にとどまらず陸上も入ると。それで、海上で行われるのは船舶検査ということになるわけですか。

麻生国務大臣 わかりやすくいいますと、そういうことになります。

赤嶺委員 四十一条は、兵力を伴わない非軍事的強制措置を定めたものだと、私、理解しているわけですが、一方、貨物検査、今の船舶検査ということになってくると、通常は軍艦によって行われてきている、報道とかでもそのように聞いているわけですが、非軍事的な強制措置、兵力を伴わないというのと実際の船舶検査、これは軍艦が行っている、これの関係、どういうぐあいに理解すればよろしいんでしょうか。それと、陸上でやる貨物検査、これはどこが、やはり軍隊がやるのか、その辺もいかがですか。

麻生国務大臣 細目は政府参考人から補足の説明をしてもらった方が赤嶺先生に正しく理解されると思いますが、陸上は当然のこととして、私は、陸上の場合は軍ではなくてむしろ警察の確率の方が高いのではないか。もしくは、いわゆるカスタム、税関が主にやるとか、そういった確率も十分に考えておかねばならぬと思っております。

長嶺政府参考人 累次大臣から御答弁がありましたとおりでございますが、国連決議にございますように、まず、貨物の検査といいますのは、そこまでに書かれております経済制裁措置の遵守を確保するために行うものということで、先ほど委員が御指摘になりました四十一条以外、四十二条といった措置とは異にするものであるということが第一点。

 それから、国連決議にありますように、この措置につきましては、必要に応じ、自国の国内法上の権限及び国内法令に従い、かつ、国際法に適合する範囲内で行う協力行動をとることを要請ということになっておりまして、それぞれの実施につきましては、国内法上権限を持っている機関ですとか、そういったところにより、かつ、国内法令に従ってということで、かなりそこは幅のある書き方になっているということでございます。

赤嶺委員 ですから、四十一条は兵力を伴わない非軍事的な制裁措置である、しかし、貨物検査等においては各国の法令に基づいてやる、軍隊が出てきてやる。となりますと、四十一条との関係をどのように理解したらいいのかなというぐあいに思うんですが、その点、いかがなんですか。

麻生国務大臣 四十二条と四十一条は、たしかあれは経済制裁と武力制裁の違いだ、ちょっと正確じゃありませんけれども、武力制裁だったと思うんですが、今のは経済制裁を行うに当たって軍を使うということなんであって、軍によって敵の正規軍を攻撃するとか敵の軍艦を攻撃するとか、または武力行使によって進駐、侵略を開始するとかいうような話ではない。四十一条というのは、経済制裁を行うに当たって、それを実効あらしめるためには、いわゆる海上保安庁が出てくるにはちょっと距離が遠過ぎますので、その意味では海軍を使うということのように理解するのかなと思っております。

赤嶺委員 貨物検査というのを今度の安保理決議で採択する場合に、各国はどういうスタンスで貨物検査というものについて臨んでいたんですか。

麻生国務大臣 臨んでいたという過去形……(赤嶺委員「どういうスタンスであったか」と呼ぶ)他国が、この十五カ国、国連安全保障理事国のうちの他の十四カ国がどのようにしてこれに対応したか。基本的には、そういうような、軍を使うとか海軍を使うとかいうような細かい話までとても至っておりません。インスペクション・オブ・カーゴというところまでしかであって、その後の細目につきましては各国国内法に基づくとか、いろいろそれは、皆事情がありますので、持ち帰って皆検討するというのが多分現実だと存じます。

赤嶺委員 時間もありませんのであれですが、中国はこの貨物検査について、貨物検査の実行を認めない、そして決議の関連規定については留保する、そういう発言があった、こういう報道もあるわけですが、この点どうですか。

麻生国務大臣 そこにお持ちなんだと思いますが、以下の事項を決定というところで、ミサイル等々の分については供給等を防止とか、それから北朝鮮の核等々、団体の資産を凍結とか、それから家族何とか通過を禁止とかいって、そういった言葉になっておりますが、最後に出てまいりますこの貨物検査の協力行動をすることを要請、ここで初めて要請という言葉が使ってあります。他の言葉とは大分これは意味が違うということになっておりますので、ここのところは、今申し上げましたように、インスペクション・オブ・カーゴということになって、いわば陸上輸送のものやら何やらが入りますので、中国としてはこの点についていろいろな意見を述べられたことは確かです。内容として、新聞にも一部出ておりましたけれども、述べられたことは事実。

 ただ、これで要請ということで決まりましたので、いわゆる禁止とか防止とか凍結とかいうのとは少し響きが違うのはもう言葉でもはっきりいたしておりますので、これに基づいてどのように行動されるか、それは各国で今から、要請に基づいてどうされるかというのは各国持ち帰って検討されることになろうと存じます。

赤嶺委員 要請に基づいて各国で検討する、特にその場合に、船舶検査がやはり軍事的な衝突に発展しないかどうか、不測の事態が起きないかどうか、大変懸念を持つところだろうと思うんですよね。中国の留保意見というのもそのことが背景にあって出てきたんじゃないかと思うわけですが、そういう軍事的な衝突に発展していく危険、これについては政府はどう考えていますか。

麻生国務大臣 そういう危険性があるからこれは大いにもめているところなんだと存じます。

 ただ、我々政府として、生命を預かる立場の政府としては、少なくとも現場に出される海上保安庁、自衛官、税関、いろいろな立場の人がおられると思いますが、法律が不備であるがゆえに傷を負う、殺される、撃たれるというような事態は、これは国民の生命を預かる立場の政府としてはそんな簡単にのめる話ではありません。したがって、そこが一番だと存じますので、実効あらしめるために基本的な法律の不備をやって、単なる、殺されてはい終わりというわけにはとてもさせられないという立場にありますので、きちんとした体制というものを整えて、この種のことにはかかるべきものだと思っております。

赤嶺委員 船舶検査は危険だから、体制を整えて、体制を強化して臨む、しかし、それによっても軍事衝突の危険が避けられないということも十分想定されるわけですよ。

 だから、今度の安保理決議というのは、いわば北朝鮮の六カ国協議への復帰ですよね。海の上で緊張関係をつくることを目的にしたものではないわけですよ。六カ国協議に復帰させる、そして核開発の問題を話し合いで外交的に平和的に解決していく、そういうことを目指したものであるわけですからね。安保理決議が上がった、さあ船舶検査だ、さあ体制強化しようということで、懸念される軍事的な衝突について検討がなされないままそういう方向に議論が行くことについて、私は非常に納得いかないものを持っております。

 そういうことで次の質問へ移りたいんですが……

麻生国務大臣 先生、一つだけ。

 核を持ったというのが前提とすると、その核の製造技術、搬送技術、またはいわゆるプルトニウムの製造技術等々が今問題になっている他国に輸出される可能性は、不拡散という立場からいくと最も恐れるところです。したがって、ここが一番各国が気にしているというように御理解いただいておいた方がよろしいかと存じます。

赤嶺委員 もちろん、私たちも核の拡散には反対です。だからこそ、今回の安保理決議が上がり、そして各国は平和的、外交的解決に、貨物検査にも慎重で留保した国もある。それは、貨物検査がやはり軍事的な緊張に発展するという懸念を持ってのことであるわけですから、あくまで平和的、外交的な解決というものを目指していただきたいというぐあいに思います。

 それで、テロの問題に移っていきます。

 テロの九・一一から五年経過したわけですが、アメリカは、当時、テロとの闘いと称してアフガニスタンを攻撃したわけです。日本はインド洋上での後方支援活動を行ってきたわけですが、この五年間、これらの活動を通してテロの脅威の除去はできたということになりますか。いかがですか。

岩屋副大臣 九・一一以降の国際社会によるテロとの闘いの結果、アルカイダという組織は確かにかなり壊滅的な打撃を受けているんだろうと思いますが、そのアルカイダの活動に影響を受けたと見られる組織の活動が活発化していることは事実でございまして、先生御案内のように、さきのロンドンでのテロ未遂事件も、アルカイダの思想や手法の影響を受けたと見られる組織によるものではないかと見られているわけでございます。

 したがいまして、国際テロ組織との闘いは今なお予断を許さない状況にあると私ども認識をしております。

赤嶺委員 テロの脅威の除去として進められた五年間のこのアフガニスタンでの軍事活動、しかし、世界各地にアルカイダの影響を受けた部分が広がっているというお話がありました。アフガニスタンでどうなのかということについてお聞きしたいんですが、新しい憲法も採択され、選挙も行われ、政治プロセスも進んでいたはずであるわけですが、現状は非常に深刻なんですね。アフガニスタンの現状、今、治安状況がどうなっているのか。特に、先月はアナン国連事務総長の報告書も出ているようですけれども、具体的に説明していただけますか。

麻生国務大臣 アフガニスタン全体の治安状況は不安定と認識をいたしております。特に、パキスタンと国境を接しております部分、南部、いわゆるカンダハルとかああいったところ、それから南東部、東部あたりのいわゆるパシュトゥン族、パキスタンのパシュトゥン族と部族が一致する部分等々、これはなかなか国境線も難しく入り組んでおります上に、こういったところは部族的にも似ておりますというか、もともと同じ部族ということもありまして、このところの部分というのが治安的に見ますと一番不安定と理解をいたしております。

 九月のアナン事務総長の報告の内容もこれとほぼ一致しておりまして、南部というところにおいて暴力が急増というようなことが書いてありますので、場所的には最も状況は厳しいところとしております。特に、南部において暴力の増が激しく目につくところの例として、アナン事務総長の挙げておりますのは二つでして、タリバン等の反政府分子による攻撃が増加している。二つ、アフガン国軍及び外国部隊による軍事作戦というものも逆に増強しておりますので激しくなってきておるということを挙げております。

 ただ、他方、アフガニスタン全体を見ますと、この数年の間に、少なくとも今、新正規軍といういわゆる軍隊が約三万五千人、それから警察官が同じく六万五千人という数の者が訓練を受けている最中でもありますし、また、タリバンの掃討作戦等々も進みました。また、日本が絡みました、私らもよく刀狩りというんですが、いわゆるディミリタライゼーションとかDDRと称するんですけれども、早い話が、武器を返してくれれば幾らかどうしてやるとか、いろいろな形で武器をずっと手放させる、それから社会に復帰させる等々のことをずっとやってきております。それが約六万人ぐらい成果が上がっておりますので、少なくともある程度前向きのところは出てきていることも確かだと思います。安定しているような状況とはとても申し上げるつもりはありませんけれども、少なくともそういった、いわゆる好転している部分がないわけではないということで、引き続きこの作戦というかテロとの闘いというものは続けていくことにならざるを得ないだろうと思っております。

赤嶺委員 アナン事務総長は、今の外務大臣の挙げた地域をとらえて、情勢は悪化し極めて厳しい、これからさらに悪化する、こういうことをおっしゃっているわけですけれども、官房長官、五年間やってきて、言ってみればテロの脅威の除去だと言ってきたわけですよ。海外でも、イギリスでもアルカイダの影響を受けた人たちのテロが起きている。アフガンの情勢というのは悪化している、さらに悪化するだろう。

 何で、活動してきてこんな状況、あるいは一層悪くなる、こういうことになるんですか。今、日本が協力している活動というのは、アフガン情勢を悪化させ、テロを国際社会に広げ、そして一層悪くしている。何でこんなふうになっているんですか、これを説明してくれませんか。

塩崎国務大臣 もともとアフガニスタン並びにインド洋での活動がなぜ始まったかというのは、九・一一であのような大きな、経験したことのないようなテロが起きたからだということはもう明らかであります。それまでのアフガニスタンのガバナンスといいましょうか、アルカイダあるいはタリバンのもとで、女性は立場もなく、そして専ら麻薬で稼ぐ、そういう中で教育も施すこともできずにやってきたアフガンに新たなる国づくりのきっかけとなったのが、この九・一一以降の国際的な協力の枠組みではなかったかというふうに思うわけであります。

 私も二〇〇一年の十二月にマザリシャリフに参りまして、ドスタムという将軍にも会いましたが、今、混乱があるといえども、いつの時点から悪化をしたと考えるかによって随分解釈も変わってくるんだろうと思います。

 私は、さまざまな国の努力もあって、方向としては、女性にも権利が出てきて、そして子供たちも学校に戻りながら、国づくりを進めていく、そういうことを見れば、かつての体制から見たらかなり前進はしながらも、一方で混乱がまだまだ残っている、難問も山積。そして、麻薬の問題も解決が十分できていない、テロもまだないわけではないということでありますから、たくさんのことを解決しなきゃいけないことは事実ですけれども、幾つか課題を抱えながらも、私は、方向としてはいい方向に行っていますし、国際的なテロとの闘いの枠組みの大きな焦点がアフガニスタンであり、そしてまたこの地域の状況でありますから、それを引き続き改善するために努力をするということは我々としても日本の役割として考えていかなければいけないんじゃないか、こんなふうに考えております。

赤嶺委員 アフガニスタンで今何が起きているか、さっき外務大臣はアナン事務総長の報告と大体同じ基調で述べられましたが、いいところも出てきているんだよというような情勢でないことははっきりしているわけですよ。タリバンも復活し、支配勢力を増してきている。そんなことになれば、今官房長官が成果だとおっしゃった、そういうことも全部そうでなくなるかもしれない、一層情勢が悪化するという中で、私は、やはり考えるべきことがあると思うんですよ。

 例えば海上阻止活動。始めたときには、テロリストのアフガニスタンからの逃亡を阻止する、世界じゅうへの拡散を阻止する、こんなふうに政府はこの委員会で説明していたんですよ。海上阻止活動を五年間続けても、逃亡を阻止するどころか、拡散を防ぐどころか、世界じゅうにテロリストがふえている。それは、海を伝って拡散してふえたわけじゃない。結局、テロリストというのがどんなふうにふえていっているのかということをしっかりつかまないとだめだと思うんですよね。

 この点で、先ほどイギリスの話が出たわけですが、イギリス政府はロンドンの地下鉄爆破テロ事件の報告書を出しているわけですが、この中で、いわばテロの犯行に至った背景、動機について、イギリスの報告書はどんなふうに指摘しているんですか。

 時間がないようですので、委員会をさらに引き続き開催するということを前提に、今のイギリスについては私の方から、資料を持っていますので述べたいと思いますが、イギリス政府は、ムスリムに対する西側諸国の不正義、殉教者へのあこがれと言っている。結局、物理的に阻止をしても、インターネットの時代で、インターネットを使ってそういうテロの思想が拡大している。実際に、根本からテロの脅威の除去の活動のあり方、アメリカの軍事行動のあり方を見直さない限り、テロの脅威は除去できないということを申し上げまして、質問を終わります。

浜田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、まず第一に、昨日、国連の安全保障理事会において全会一致で決議されました北朝鮮への制裁決議案、今になっては決議でございますね、これを、世界の核廃絶に向けた歩みと、そして核拡散防止の取り組み、さらには北東アジアにおける非核地帯の確立という観点から評価し、支持する立場から質問を冒頭させていただきます。

 まず、私の質問は、この決議を受けて日本は何をすべきであり、何をすべきでないかという点にわたりまして、全般、きょうは本来の法案の審議以外のことですから、ただいまこの時点で押さえておかねばならないことのみ聞かせていただきます。

 実は、先ほど来何人かの方がお取り上げでございます、中川政調会長の、核論議はあってよしとする御発言であります。

 昨日、「サンデープロジェクト」という民間の放送番組、実は麻生外務大臣も御一緒でありましたが、その場で、各党の政策責任者、自民党、公明党、民主党、共産党、私、五党の政策責任者が出ておりました。もちろん国会の論議の場ではありませんし、しかしながら大変に視聴率も高い番組であり、その番組の中で中川政調会長がコメントされました、核保有論議あってよいという形にメディア等では報道されておりますが、簡単にあのときの現場でのやりとりをまとめますと、核があることによって他国に攻められる可能性が低くなる、あるいは、やればやり返すという論理は当然あり得るし、議論は当然あっていい。核抑止論ということの議論は当然あってよいという前段と、そしてまた、どう見ても頭の回路が我々には理解できないような国が核兵器を持ったと発表した、これは何としてでも撲滅しないといけないと。

 中川政調会長というのは、大変に正直というか素直な方ですので、その場で、やりとりの中で司会者から聞かれるままに表現されたのだと思いますが、例えば、昨日、けさの新聞を見ましても、一面には、北朝鮮の制裁決議案が出た、国際社会に圧力だと出ていて、そのすぐ、めくると一面の裏に、核保有論議あってよいという日本の立場を自民党の政調会長が言及されたとなると、はてまた二枚舌か、あるいは衣の下に何とかかというふうに諸外国がとられてもいたし方ない状況になると思うのです。

 先ほど来の御答弁の中で、久間防衛庁長官は、そうしたことに言及するのも時期的にふさわしくないと明確におっしゃいました。

 では、官房長官はどうお考えでしょうか。やはりTPO。せっかく強い国連決議が出ました。その発表の日に公共のメディアで核保有論議はあってよいとされますと、我が国の見識も問われますし、覚悟のほども問われてまいると思いますが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、中谷委員長代理着席〕

塩崎国務大臣 繰り返し申し上げておりますけれども、十月九日に実験をやったという発表があった直後の翌日、十月十日に、自由民主党の総裁でもある内閣総理大臣の安倍総理が、非核三原則は変わらぬ政府の政策だということを明言したわけであります。

 したがって、二枚舌はあり得ないわけで、日本には政府は一つしかありませんから、その責任者たる内閣総理大臣、安倍総理が明言をしたこと以外に我が国の政策はあり得ないということであります。

 先ほど来、タイミングの問題等々ありましたが、さっき申し上げたように、私はテレビを見ていなかったものですから、政調会長がどういうやりとりの中で言ったか知りませんが、これは御本人が説明責任を果たして説明すればいいことだというふうに思っております。

阿部(知)委員 私はそうではないと思うので、ここで取り上げさせていただいています。

 お役が政調会長という公のものであるというのが一点と、それ以外にも、塩崎官房長官は御存じと思いますが、決議案の全文の中、十三章には、すべての関係国が、六カ国協議の再開に向けた努力の中で、外交努力の強化、緊張を高めかねない行動の自制、六カ国協議の早期再開促進に努めることを歓迎しとなっております。いわば、この中川政調会長の御発言は、緊張を高めかねない行動、言動の自制ということから見て、これは緊張は高まります。北朝鮮も核を持っているから、そして、それはとんでもないやからだから日本でも論議しようと。これが緊張を高めないと思う方が、よほどのうてんきだと思います。

 そこで官房長官にお伺いいたしました。果たして中川政調会長の御発言は、言ったことは取り消せません、日本は六カ国協議を何としてでも再開させねばならない立場にあります、その中にあって妥当な発言であったのか、むしろ緊張を高めているのではないか。この御認識はいかがでしょう。

塩崎国務大臣 国連安保理の決議というのは、加盟国に対してさまざまな要求ないしは義務を課すものとしての決議でなされるわけであります。したがって、その国の政府としてどうするのかというのをそれぞれが考える。先ほど来ずっと出ている貨物検査の問題なども、自国の権限と法律に基づいて国際法理にのっとった形でやれというふうになっているわけですから、そのメンバーステーツが、つまり加盟国がどうするかということが問題で、今の阿部先生御指摘のパラグラフも、それぞれの加盟国がそういうことをちゃんとやらなきゃいけないということを言っているわけでありますから、我が国政府としては当然それを守っていくということだと思います。

阿部(知)委員 重要な事態ですから、そういうふうに答弁をはぐらかさないでいただきたいんですね。

 私は、政府の責任政党が自民党で、自民党の政策の責任者が中川さんだから申し上げているわけです。ただ単に一人の議員ではないわけです。そして、公党としての政策を問われた場でありました。

 やはり官房長官は、今の内閣をしっかりと運営していく立場から、与党とも、また政府の見解もそごなきよう、そして、とんでもない発言がぽこぽこ出ないように調整なさるのがお役目ではないでしょうか。日本が、そのようにあいまいで、二心あるような態度で臨んだら、北朝鮮とてうまくいくはずがありません。どうですか、官房長官。

塩崎国務大臣 内閣官房長官は内閣の官房長官でございます。したがって、政府のことについて責任を一義的に負っていることは間違いのないことでありますけれども、与党の御発言について、私ももちろん聞いていないわけでありますが、そのことについて法的にそれをどうするこうするという立場にもございませんし、それは、与党の御発言の責任は、与党の責任をみずからとらなければいけないということであって、その説明責任を果たしていただくということを申し上げるのが内閣の官房長官としての仕事ではないかというふうに思います。

阿部(知)委員 この問題は、そうしたことが許されないほど緊迫しているんだと思います。その認識が官房長官におありでなければ、我が国の今後というのは極めて不安定になり、緊張を高め、場合によってはさまざまな予期せぬ事態に私は進展しかねないと思います。

 そして……(発言する者あり)この質問が、時間がないからもったいないとおっしゃいますが、私とて、この質問をこんなときにやりたくはないです。決議案がきっちりと出たということを前向きに進めていきたいときに、そのみんなの決議の足を引っ張るような言動であるからこそ、私はこの場で問題にさせていただいています。

 もう一つ、それでは、政府の公式見解は首長の発言であるという塩崎官房長官の御発言に基づいて伺わせていただきます。

 先般も取り上げさせていただきました、九六年に安倍総理みずからが書かれた「「保守革命」宣言」の中にある一文でございます。「当時、五五年体制の中で、社会党に異常に気兼しながら政局運営をする、といったことが行われていました。ある種の花を持たせるわけです。例えば、その代表的な例が一頃大いに騒がれていた「非核三原則」です。要するに「わが国には核は持ち込ませません」という欺瞞的な国会答弁で彼らをなだめながら、一方でこっそり実を取っていく。しかし、そんな馬鹿なことはないわけで、米国の艦船は現に核を積載したまま、」と続いていきます。

 非核三原則が場面場面で欺瞞的だというふうに総理はかつておっしゃっておられました。きょう、この場に総理がおられれば、じかにお尋ねしたいところですが、官房長官にお願いがございます。今の非核三原則を堅持なさるという発言に欺瞞はないのかどうか、しっかりと安倍総理に確認していただきたいですが、いかがですか。

塩崎国務大臣 一国の総理が国会で答弁をする言葉の重みというのは極めて重いというふうに私は考えております。

阿部(知)委員 と同じように、政調会長の発言も重いということです。私の今お願いした点、御確認を願います。

 もちろん、人は、場面場面で国民のために最もよかれという政策をしかれるのが一番でございます。しかしながら、以前に書かれたものもまた私どもはその政治家のメッセージとして受け取るわけですから、欺瞞的な非核三原則と言われ、今は急に非核三原則は堅持と言われても、またこれは疑念が起こりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 引き続いて、この決議案に関係いたしまして麻生外務大臣にも一言お伺いをしたいと思います。

 麻生外務大臣は、あの番組でもそうですし、メディア等々への御発言でも、周辺事態法の適用ということを考え、船舶検査等もその中でとりあえず行うというふうなお考えにあるということを昨日は明言しておられました。きょう、この委員会では、余り踏み込んでは御発言ではございませんでしたので、私は、この点はまた時間をかけて、果たして周辺事態法の認定がいかなるものであるのかということをきちんと論議したいと思いますが、その周辺事態法の認定に入る前に、私はぜひ外務大臣としてやっていただきたいことがございます。

 外務大臣もよく御存じのように、そもそもこの周辺事態法の背景になりましたのは、一九九四年、北朝鮮がNPTから脱退ということを申し出まして、やはり朝鮮半島は核問題で緊迫をしておりました。そしてその後、我が国とアメリカで日米防衛協力のための指針ができ、それにのっとっていわば周辺事態法という法案に向かっていきました。

 その当時と現在と、私は、ある意味で政治の上で大きな変化があると思います。今回の国連の決議案は、中国をも巻き込み、中国も経済制裁ということに賛同されました。当時は、中国が国連安保理で拒否権を発動するであろうことも踏まえてあのような法の枠立てになっていったという向きもあると思います。

 そこで、先ほど外務大臣もトウカセンさんの動きについて触れられましたが、メディア報道を見ますと、外務大臣は、ライス長官が訪日され、その後、韓国には御一緒に行かれるとなっております。私は、この前の安倍総理の訪中、訪韓を受けて、最も緊密に、体制が違うからこそ本当に誤解のなきように論議を進める相手は中国、そして、制裁の実効性もまたそこにあると思います。

 麻生大臣の中に、中国との、この間の決議を受けたいわゆる今後の行動、どのようにお考えでしょうか。

    〔中谷委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 長々と言われた最後の、中国と今後どうしていくかというのが一番質問のポイントですね。(阿部(知)委員「短期的で結構です」と呼ぶ)

 中国とは、基本的には、もうこのところ何回か電話会談して、現実のものにしていくためには、全会一致の案に乗るか乗らないかというところ、いろいろな問題を抱えておりましたので、電話会談させていただいております。

 その後も、いろいろ中国との交渉の中で、中国に招請やら何やら受けましたけれども、今この話が先行しておりますので、とにかく電話で片づけていこうじゃないかという話をして、中国との間で、今核不拡散というのが最大の問題なんですから、六者協議というものは、そもそもは北朝鮮に核を持たせないというのが本来のつくった目的ですから、その目的が達せられなかったわけです。六者協議の本来の目的は、北朝鮮に核をつくらせないための話だったんですから、それが核はできたと。本当かどうかはわかりませんよ。できたと本人は言うております。

 したがって、できたということになりますと、六者協議の本来の意味、目的というものは全然違ったものになる。状況が違ったというのは、先生がおっしゃいましたように、一番違ったのはここだと思います。状況は全く違った。核を持ったという前提で今後対応していかなきゃいかぬというところが今までとは全く違ってきているところだと思っておりますので、中国も、自分たちの隣にいる国は核保有国であるということを前提にして今後どうやってつき合っていくかというのが、中期的には一番の問題だと存じます。

阿部(知)委員 私が単純に、訪韓されますが、訪中されますかと聞けばよかったのかもしれません。

 極めて六カ国協議の枠組みが、北朝鮮が現実に核を持った宣言をしておるわけです、事実は確かめようもまだまだありませんが。その中で、やはりせんだっての安倍総理の訪中を受ける形で、外務大臣にも迅速に、そして密に私は中国との往来をしていただきたい。それが事を平和的に解決する一つの大きな回路になると思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 引き続いて、本来の本日のテーマでありますテロ対策特措法の一年延長問題について、まず、大きく中東情勢について伺いたいと思います。

 中東問題は、昨今のレバノンへのイスラエルの侵攻、イラクの内戦状態、あるいは、先ほど来問題になっていますアフガニスタンといえども、昨今非常に治安も悪い、いわゆる崩壊状態に近くなっているという情勢の中ですが、まず、イラク情勢についてお伺いいたします。

 九月十日の朝日新聞によりますと、米上院の情報特別委員会で、いわゆるイラクの旧フセイン政権はアルカイダ体制ということと双方の関係が一切なかった、あるいはザルカウィ容疑者についても、ブッシュ大統領は関係があったというふうに主張していたが、この報告書によれば、それもなかったという報告が上がっています。

 塩崎官房長官は、そもそも私は、歴代の各官房長官に、イラク開戦の正義はどこにあるかと伺ってきましたが、このアメリカの上院の情報特別委員会の報道はどのように聞かれているかということをお伺いいたします。

塩崎国務大臣 日本政府としては、繰り返し、国連安保理決議や国連調査団の累次の報告書に基づいて、主体的に対イラク武力行使を支持しており、これは日本政府として正しい決定であったと現在でも認識しているところでございます。

 イラクが過去実際に大量破壊兵器を使用した事実、私はクルド地区に参りまして、ハラブジャというところにも参りましたけれども、イラ・イラ戦争のときに化学兵器を実際に使った現地であります。それから、国連査察団の指摘している数々の未解決の問題等にかんがみれば、対イラク武力行使が開始された当時は、大量破壊兵器があると想定するには十分な理由があったというふうに考えているところでございます。

 今の問題でありますけれども、イラクとアルカイダの関係、これにつきましては、我が国が主体的に収集した情報を総合しても、サダム・フセイン政権が組織的にアルカイダを支援してきたとの確たる証拠に接していなかったことは、これまでも述べてきたところでございます。

阿部(知)委員 先ほど、安倍総理の昔の発言を引きましたら、それは昔のことだと言われましたが、イラクにおいても、クルド地区でのさまざまな大量破壊兵器の使用というのは九〇年代の初めでございます。その後、国連の査察、いろいろ、UNMOVICも含めてあり、国連の査察団も、エルバラダイIAEA機関の長は、もう少したてばイラクに核兵器がないことを証明できるんだと言っているところに、私はアメリカが攻め込んだんだと思います。

 そのときその国がどのような状態にあるのかということを余りに前を引いて正当化していったら、これは何でもできてしまいます。政府の公式見解がいまだにそのようなものであるというのは、極めて私は実態を見ていないというふうに思いますし、また、アフガニスタン情勢についても同じような問題があると思います。

 先ほど、塩崎官房長官はだんだんよくなっているんだとおっしゃいましたが、事態は、特にことしの五月くらい、米軍への暴動をきっかけにして、また、パキスタンとアフガニスタンの国境が、絶えざるいわゆる兵士の送り込み先になっているのではないかと言われるほど、今、アフガニスタンの治安状況はひどうございます。

 この件も時間の関係で、申しわけありませんが、防衛庁長官に質問予告をしたことがございますので、きょうはちょっとさておき、防衛庁長官の方に最後の質問を振らせていただきます。

 官房長官は、もしかして記者会見と伺っておりますので、ありがとうございます。

 さて、防衛庁長官にお伺いいたしますが、この間、延べにいたしまして約一万人の海上自衛隊の方が給油活動に参加をされました。私は前々から、大変に暑い地域でありますし、この給油活動、どのくらい実効性が上がったのかというのはまたあしたやらせていただきますが、それ以上に、現実に……(発言する者あり)あしたかあさってか。現実に働いておられる自衛隊員の健康状態について、極めて深刻な懸念を抱いております。果たしてどのような健康状況であるのか、このことについて御報告をお願いいたします。

久間国務大臣 概括的に私から言って、また詳しいことは事務方の方にお答えを聞いていただきたいと思います。

 インド洋での活動は大変厳しい環境にあります。とにかく四十度以上の、先ほども話が出ましたけれども、甲板の上では八十度Cに達するというようなことでございますから、健康管理には私どもも非常に気を使っているところでございます。特に、長期間の勤務になりますから、そういう点でも大変でございます。また、たしか、五回も行ったというような話も、ある隊員については聞いておりまして、そういうような状況でございます。

 派遣のたびに健康診断、あるいはまた、その健康診断の中でも、特に、尿検査から血液検査、胸部エックス線、いろいろな検査を行うとともに、各派遣部隊に医官を同行させまして、メンタルな点でも問題がないか、手当てを含めて隊員の健康管理を実施しております。

 帰国後は、ストレスの軽減とか疲労の回復に資するように、任務に支障のない範囲で十分な休日をとるように配慮しているところでございます。

 これまでそういうようなことをやりながらも、何人かの隊員については健康を害したということも聞いておりますので、やはりこれから先も、今度法律が延長されましたならば、そういう厳しい状況でございますから、健康管理には十分意を用いていきたいと思っております。

阿部(知)委員 私が昨日防衛庁の方にお尋ねいたしまして、詳しいデータがなかなかいただけませんでしたが、いわゆる精神疾患や尿路結石等々、あるいはけがで本国に戻られた隊員は十八名というふうに伺っております。その詳しい内訳、あるいは、いわゆるPTSD等、帰ってこられてからその後どのくらいフォローされるのかということについても御報告をいただいていません。申しわけございませんが、久間長官の方から、私の次回の質問に備えて、防衛庁の方に詳しいデータをお出しいただけますようにお願い申し上げて、恐縮ですが、よろしいでしょうか。

久間国務大臣 十八名という数字は、確かにそのとおりでございます。

 しかしながら、個々の隊員が、どういう病名でどういうような疾患かというのは、プライバシーの問題にもかかわることでございますので、その辺については御勘弁願いたいと思います。

阿部(知)委員 そこまでをプライバシーと言ったら、高温の作業下でどのようなリスクがあるのか、転落のリスクはどうなのかとか、当たり前に検証すべき自衛隊員の人権が保障されません。それをプライバシーという名でお話しにならないのであれば、逆に、本来、国民が、どんな活動をして、自衛隊員がどのようにお働きであるかということに心配もし、無事な帰国を願っているという立場からも、防衛庁の姿勢に疑義が生じますので、私として、引き続き質問を続けさせていただきます。

 ありがとうございます。

浜田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十七分散会


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