衆議院

メインへスキップ



第2号 平成19年2月21日(水曜日)

会議録本文へ
平成十九年二月二十一日(水曜日)

    午後三時三十分開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 石破  茂君 理事 渡海紀三朗君

   理事 中谷  元君 理事 西村 康稔君

   理事 松浪健四郎君 理事 神風 英男君

   理事 原口 一博君 理事 田端 正広君

      安次富 修君    伊藤信太郎君

      伊藤 忠彦君    石原 宏高君

      今村 雅弘君    宇野  治君

      越智 隆雄君    大塚  拓君

      金子善次郎君    北村 茂男君

      清水鴻一郎君    杉田 元司君

      鈴木 馨祐君    冨岡  勉君

      中根 一幸君    中森ふくよ君

      長崎幸太郎君    西本 勝子君

      橋本  岳君    町村 信孝君

      松本 洋平君    三原 朝彦君

      宮澤 洋一君    吉川 貴盛君

      楠田 大蔵君    古賀 一成君

      後藤  斎君    末松 義規君

      武正 公一君    中川 正春君

      長妻  昭君    伴野  豊君

      山井 和則君    江田 康幸君

      丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君

      日森 文尋君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   防衛大臣         久間 章生君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   防衛副大臣        木村 隆秀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊佐敷眞一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  増田 好平君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        佐藤 宏尚君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     長崎幸太郎君

  池田 元久君     末松 義規君

  阿部 知子君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  長崎幸太郎君     伊藤 忠彦君

  末松 義規君     池田 元久君

  日森 文尋君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君、内閣官房内閣審議官伊佐敷眞一君、外務省大臣官房審議官長嶺安政君、外務省北米局長西宮伸一君、外務省中東アフリカ局長奥田紀宏君、外務省国際法局長小松一郎君、防衛省防衛政策局長大古和雄君、防衛省運用企画局長山崎信之郎君及び防衛省人事教育局長増田好平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 この際、政府から説明を聴取いたします。防衛省運用企画局長山崎信之郎君。

山崎政府参考人 イラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊の部隊の最近の活動状況について御報告をいたします。

 航空自衛隊の部隊については、クウェートのアリ・アルサレム飛行場を拠点とし、イラク国内のアリ(タリル)飛行場、バグダッド飛行場、エルビル飛行場に対し、C130H機による物資、人員の輸送を継続しております。

 運航頻度はおおむね週四ないし五便程度であり、基本的には、バグダッドへの運航、昨年七月三十一日開始としておおむね週一便程度、バグダッド経由のエルビルへの運航、昨年九月六日開始としておおむね週一便程度となっております。そのほかについてはアリ飛行場への運航です。

 昨年九月の国連支援開始以降の航空自衛隊の輸送実績は月当たり十七ないし二十回程度であり、このうち四ないし五便が国連支援となっております。

 また、派遣当初からの空輸実績については、本年二月八日までの間に総計四百六十回、約五百八・八トンの物資の輸送を行いました。

 なお、昨年七月十七日に陸上自衛隊派遣部隊が撤収して以降の輸送については、総計百十五回、約三十二・九トンの輸送となっております。

 航空自衛隊の活動に対する脅威については、現地部隊において、バグダッド飛行場への襲撃に関する情報を含め、活動に必要な各種情報を多国籍軍等から適宜収集していますが、これまでの活動を通じて、航空自衛隊の運航に直接の支障を生ずるような事態に遭遇したことはありません。その他の飛行場においても同様でございます。

 なお、イラクにおいては、現在二十六カ国から派遣された部隊が活動を行っており、昨年七月の陸自撤収以降、派遣国数に大きな変化はありません。

 今後とも、安全確保に万全を期しながら、国連が活動するバグダッドやエルビルに対する空輸も含めて、国連や多国籍軍への支援を継続し、イラクの復興支援及び安定に貢献していく方針でございます。

 以上でございます。

浜田委員長 次に、外務省中東アフリカ局長奥田紀宏君。

奥田政府参考人 最近のイラク情勢に関し報告いたします。

 イラクの情勢については、昨年十二月三十日にサダム・フセイン元大統領の死刑が執行されましたが、基本的に厳しい治安情勢が継続しています。米軍増派を初めとする米政府の新政策発表、一月十日ですが、その後も、二月三日にバグダッドの市場で連続爆弾テロが発生し百三十人超が死亡する事件、十二日にバグダッドの市場で連続爆弾テロが発生し少なくとも八十八人が死亡する事件等、テロや各種の衝突が頻発し、宗派間対立が激化しています。また、二月十日には、通過した乗用車一台から在イラク日本大使館のチェックポイント方向にけん銃二発が発砲される事件がありました。

 このような中、二月十四日、マリキ・イラク首相は、バグダッドでの新たな治安対策開始を発表しました。これは上記米政府の新政策に基づくもので、米軍とイラク治安部隊の計約九万人が投入される予定です。

 十七日、マリキ首相は、バグダッドで実施されている治安作戦が初期段階で目覚ましい成果を上げた旨述べました。また、十七日、バグダッドを訪問したライス米国務長官は、マリキ首相との会談で政治的和解の必要性を指摘しました。しかし、十八日には、再びバグダッドの市場で爆弾テロが発生し、少なくとも五十六人が死亡する事件が起きています。

 イラク情勢打開のためには、治安対策のみならず、イラク政府による自発的な国民融和促進のための政治的努力も重要です。この点については、二月七日に、山口駐イラク大使からマリキ首相に対し申し入れを行ったところ、マリキ首相は以下のとおり述べました。

 第一に、治安対策は政治課題の解決への道を開くとの認識のもと対応している。究極の目的は国民融和である。従来民主主義に同意してこなかった勢力も取り込んでいく作業を続けている。政治対話の相手が政治への参加に信頼を置くことが何より大切である。

 第二、バグダッド治安計画は、スンニ派、シーア派にかかわらず、すべての不法集団を対象に実施する。本計画は国家の枠組みで行われるものであり、法執行と認識して実行する。

 このようなマリキ首相の決意が実を結ぶことを期待しています。

 また、我が国は、近く、イラク各派から国会議員等有力者を招聘し、国民融和セミナーを開催する予定です。

 このように、イラク政府は依然治安改善や国民融和等困難な課題を抱えており、我が国は、今後も、航空自衛隊による輸送協力の継続や円借款の供与等でイラクの復興努力を引き続き支援していく所存です。

 以上で報告を終わります。

浜田委員長 これにて説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神風英男君。

神風委員 民主党の神風英男でございます。

 まず、最近の報道で気になる点からお伺いをしたいと思うわけでございますが、報道によりますと、自民党の中川幹事長が、閣僚は総理に対し絶対的な忠誠、自己犠牲の精神が求められている、自分のことを最優先する政治家は内閣から去るべきだと話をされたそうでございます。この発言に対してどのようにお感じになられているのか。

 久間大臣は、ブッシュ大統領のイラク開戦の判断は間違っていたと発言をされておったわけでありますし、麻生大臣は、米国のイラク政策は非常に幼稚であったといった発言があったわけでありまして、この中川幹事長の指摘について御自身のことと受けとめられているのかどうか、お二人の大臣にまずお伺いをしたいと思います。

久間国務大臣 私自身のこととは私は思いませんでしたが、やはり緊張感を持ってやっていかなきゃいかぬということをそれとなく示唆されたものと思って、心していかなきゃいけないとは思っております。

 ただ、先ほどから、今までの委員会でも、予算委員会等でも言われたんですけれども、アメリカの開戦が間違っていたと私は言っているわけじゃありませんで、その前提となった核兵器が私はないんじゃないかなと思っていたというふうに言って、そして、それはやはり今思ってみても私の判断は間違っていなかったということを言ったわけでありますから、戦争そのものに踏み切ったことについての批評をしたわけではございません。そこのところは非常に強調して、戦争そのものに突入したのが間違っていたというふうなことを私が言ったかのような、そういうふうにとられておりますので、あのときの議事録といいますかそれももう一回読んでみましたけれども、そういうふうに言っていなかったのでございます。

麻生国務大臣 中川幹事長の発言については、ちょっと私、正直それを実際聞いていませんし、私、御存じのように新聞は見ますけれども読まないように努めてきていますので、その内容について詳細知っているわけではありませんので、その意図されるところは、正直なところ全然わかりません。

 求心力が落ちているからというお話だったそうですけれども、これまで、安倍内閣、その前が小泉内閣、その前の森内閣、橋本内閣と、閣僚として四代の総理にお仕えしていると思いますけれども、この内閣は、この数カ月間見て、特に求心力が落ちているかねという感じは正直私にはありませんので、ちょっと意図されるところがよくわからぬというのが正直なところです。

 その前の御質問で、幼稚なところですという話を言われましたけれども、これも、私の方は、戦争を短期間で終わらせたところまでは成功したけれども、その後の治安等々については、日本の場合を見てもらうと、少なくともアフガニスタンの武装解除の話とか、例えばカンボジアの今の司法制度に、今、クメールルージュの裁判官は日本人ですから。また、今、あそこに民法とか民事訴訟法とかいうのを新しくつくっておりますが、これも全部日本から出しておるその種のプロがやっております。そういうような行政というか役人をつくっていかないと国というのはなかなかできませんので、そういったような知見というのは、これはおれたちの方がよっぽど経験があるんじゃないかという話が私の意図するところであります。

神風委員 重ねて久間大臣にお伺いをいたしますが、久間大臣は、私は当時、日本は米国が戦争をすることを理解するというぐらいが一番いいと発言をしていた、今でもそういう心境に変わりはないと話されていらっしゃいましたが、それは今現在も変わりはないという理解でよろしいですか。

久間国務大臣 あのとき、政府としては閣議決定して、支持するという決定をしておりますから、今私が、政府の一員として、内閣の一員としては、安倍内閣でも、あのときの決定は正しかった、そういうような姿勢をとっておりますので、私がこの場で、委員会で答えるとすれば、私の発言といいますか、現時点では、そのときの日本国政府の支持するというその決定に従って行動をしているということであります。

神風委員 今の御答弁は、心境に変わりがないという、変化があったということですか。

久間国務大臣 支持する、そういう前提に立って政府としては一連のいろいろなことをやってきたわけであります。

 ただ、私は委員会で、戦争を支援しているんじゃないですよということだけは何回も言いましたけれども、後の復興その他に当たっても、米国が武力行使をした、それを日本政府としては支持したというその前提に立ってやっておりますから、そういうようなことについては、個人としてじゃなくて政府の一員としては制約を受けておるというのは事実であります。

神風委員 制約はあるけれども個人の感情は別だ、そういうことかなと思いますが。

 安倍首相が、米国のイラクの新政策について、こうした努力が効果的に行われることを期待している、米国の新政策を理解し支持をしていると述べられ、改めて新政策について支持を表明されたわけであります。

 一方、久間大臣は、米国が増派を決定したから自衛隊派遣を引き続きやるという短絡ではない、日本がおつき合いをするという単純なことではないという形で発言をされているわけでありまして、久間大臣からすると、この安倍首相の支持の表明というのは早計に失したという感じがあるのかなと思いますが、いかがですか。

久間国務大臣 いや、そこは若干委員のおっしゃるのと私は違います。

 今、戦争に突入して、そして現在も混乱が続いている、これをとにかく早くおさめなきゃいけないというブッシュ政権でのかなりの決断のもとに、国内でのああいう増派の反対決議まであってでもそれをやると決断したのは、やはりそれなりの責任を感じてしようとしているわけですから、私は、その決定というのは結構重く受けとめていいんじゃないか、それがどういうふうに出るかは別としまして。そうしますと、やはりイラクの安定というのを私たちは望んでいるわけでありますから、そういう、自分の犠牲を出してでも、増派をしてでもやろうというその決定は選択肢としては十分あり得る、そう思っておるわけです。

 ただ、自衛隊が引き続きやるかやらないかにつきましては、これは国際情勢、あるいは国連の動き、ほかの各国の動き、そういうのを見ながらやはり決定していかなければならないので、今増派についてそれは支持すると言っても、今この時点で自衛隊を引き続きやるかどうかについてはいまいちまだ検討を要するというふうに思っているわけであります。

神風委員 次の質問に入りたいと思いますが、最近情報で流れております、防衛省情報本部の一等空佐が読売新聞記者に秘密情報を漏らしたとされる事件についてお伺いをしたいと思うわけであります。これは中国海軍の潜水艦が事故のため南シナ海で航行不能と報じられた二〇〇五年五月三十一日の読売新聞記事についてであったわけでありますけれども、この記事が出た直後は特にこれについて問題になったという形跡はないと思いますが、その点いかがなんでしょうか。

久間国務大臣 これは、何を防衛秘密として捜査しているか、そういうことについてもこの場でコメントするわけにはまいりませんので、捜査の推移を見守りたい、それしか今の段階では言えないわけであります。

神風委員 この新聞記事は二〇〇五年五月三十一日に報道になった、それが今になって非常に唐突に話題になっているという印象をぬぐえないわけですね。どういういきさつでこういう形で今これが問題視をされているのかなと。

 一部の報道によりますと、二〇〇五年の末ごろに被疑者不詳のまま当時の防衛庁が警務隊に告発をしたということでありますが、新聞の報道があって、何で半年もたってから告発がなされたのか。あるいは、同一佐から事情聴取をしたというのはことしの一月になってという報道でありました。なぜこれほど時間がかかったのかなというのがよくわからないんですが、この経緯について少し説明をしていただければと思いますけれども。

久間国務大臣 今捜査中の事案でございますから、中身について明らかにするというわけにはまいりませんので、その辺については御理解賜りたいと思います。

神風委員 そうしますと、二〇〇一年の自衛隊法改正によって防衛大臣が防衛秘密を指定するという制度が盛り込まれたということでありますが、今回、自衛隊法のどの条項を根拠としてこの秘密漏えい事案というのが捜査をされているのか、それも明らかにはできないということですか。

久間国務大臣 警務隊の場合は司法警察職員として行動しているわけですから、どの部分でどういうふうにしているかというのをここでつまびらかにするというわけにはまいりませんので、警察あるいはまた海上保安庁と全く同じような、いわゆる司法警察職員として考えていただければ幸いです。捜査中でございますから、中身については触れるわけにはまいりません。

神風委員 これはまた捜査中という回答になるのかとも思いますが、この〇五年五月三十一日の例の読売新聞の記事、これを拝見した限りで何が問題なのかなというのが我々の目には明らかにならないというか、よくわからない。これが出たからといって米軍であるとか自衛隊の探知能力が暴露されたであるとか、あるいは日米共同作戦について何か情報が漏れたというようなことではないと思いますし、あるいはこの中国の潜水艦が火災になって、いずれ浮上して、いずれ付近の船舶に発見をされるということは時間の問題であったという指摘が多いわけでありますが、この事件の何が問題なのか、それは明らかにしていただけますか。

久間国務大臣 だから、そこのところがなかなか明らかにできないということでございまして、新聞に出ている、それだけをとらえて、そういうことで判断していいのかどうかも含めて、この問題についてはコメントできないということであります。

神風委員 これは結局は、アメリカ政府というか米軍の指摘に対しての措置であるのか、あるいはアメリカ側が不快感を示した、そうしたことへの対米配慮なのかという思いもあるわけですが、その点はいかがですか。

久間国務大臣 そのように断ずることもできませんし、まだこの問題については捜査が今進行中でありますから、とにかくこれについてはコメントを控えさせていただきたいと思います。

神風委員 実は、先般も十六日に本委員会の理事懇を開催しまして、最近のイラクの活動状況というか自衛隊の空自の活動状況について報告を受けたわけでありますけれども、余りにもこの報告について中身がない。つまり、理事懇の中でも野党ばかりではなく与党の理事さんからも大変な批判が出まして、昨日もう一回理事懇を開いて説明をし直すということになりました。

 最初に渡されたペーパーというのは、わずかこの十行足らずの報告書でありまして、中身は、結局、総計四百六十回、約五百八・八トンの輸送を行った、この部分しか実質的な情報がないというような状況であったわけでありますが、こうした、ある意味では防衛省の秘密主義的な報告というのは防衛秘密と関係があるんですか。

久間国務大臣 先ほどの司法関係の捜査の問題とはまた別でございまして、ただ、イラクの場合は、御承知のとおり非常に治安状況といいますか状況が問題がありますので、何をどこにどういう形で送っているかということをつまびらかにすることによって、こちらの方あるいはまたそれに関係する国連、あるいはまた多国籍軍のそちらの各国に迷惑をかけることになるので、それは公表をまとめてさせていただいておるわけでございまして、先ほどの捜査とはまた若干内容的には違います。

神風委員 先ほどの防衛秘密についてですが、これは何が防衛秘密に値するのかが非常にあいまいなまま秘密の範囲が広がっているのではないかということを非常に危惧するわけであります。

 つまり、政府あるいは防衛大臣が秘密にすべきだと判断をすれば、これは何でも防衛秘密という形で、都合のいい運用というのか、恣意的な情報操作がなされる危険もあるわけでありまして、それに対してどういう歯どめというか、対応策というのが講じられているのかどうか、それについて教えていただけますか。

久間国務大臣 平成十三年に法律を変えましたけれども、それ以前の秘密と、秘密の内容といいますか幅については一緒なわけでありまして、広げたわけではありません。むしろ、その中で防衛大臣が特定するという形でぐっと絞りまして、それについての罰則を重くした、そういうことでございますから、何でもかんでも秘密にする、そういうことじゃございませんので、今までの中から絞り込んだ、そういうふうに理解していただいた方がいいのじゃないかと思います。

神風委員 いや、防衛大臣が結局そういう思いで意図して防衛秘密であると指定をすれば、これはできるという制度ですよね。ということは、恣意的な運用というのは幾らでもできるのかなと思いますけれども、それに対しての歯どめというのは何もないんですか。単に防衛大臣を信じろということだけなんでしょうか。

久間国務大臣 防衛大臣が一人で指定するわけじゃございませんから。やはりそこは内部で、各自衛隊とも内局でもいろいろと相談しながら、これはやはり防衛秘密として判こを押すべきだという形で指定するわけでありますので、そこのところはひとつ信用してもらわないと。全部オープンにしろと言われますと、どういうようなことが助かって、これは助からないかという、そこの線引きを結局は最終的には防衛大臣が指定するという形で決断せざるを得ないと思います。

神風委員 こうした秘密制度強化の動きの背景には、もちろん米国の要請があるというのは理解はしておりますけれども、特にアメリカが日本に対して防衛秘密の保全に関する規則を包括的に定める軍事情報一般保全協定ですか、GSOMIAの締結を求めていると聞くわけであります。

 これはどういうものなんでしょうか。あるいは、この漏えいの処罰対象に国会議員も含めるという検討をしているという報道が一年ぐらい前にあったと思いますが、その後この進捗状況というのはどういうふうになっているのか、その点教えていただけますか。

麻生国務大臣 これは、特に今、きのうきょう始まった話ではございませんで、ずっと前から、事国の防衛に関する件の話ですから、いろいろ双方で情報を交換することについては、漏えいをしますと、両国にとりまして甚だ不利益になって、こっちはちょっとしたことで向こうが不利益になったりすることもあり得ますので、これは安全保障上極めて重大な問題になり得る可能性があるということに関して、極めて保秘というのは非常に大事なところ。これはもう説明を要することもないと思いますが、これを適切に保全を図るということはすごく大事なところなので、私どもとしても、これは国の安全を保持する上でも極めて重要なものだと思っております。

 そうしたところに関して、何となくだだ漏れみたいな話やら何やらよく出てくるものですから、きちんとしたことにならねばならぬのではないかというようなところで、GSOMIAというのは、ゼネラル・セキュリティー・オブ・ミリタリー・インフォメーション・アグリーメント、略して、頭だけとってGSOMIAと呼んでいるのですけれども、少なくとも、どの部分まではどうだというあたりは目下交渉中というのが正直であって、今まさに交渉している真っ最中でありますので、今この段階でどれぐらい行っているというようなところを答える段階にはございません。

久間国務大臣 これは、アメリカから強く言われているということよりも、私が防衛庁長官になります前に、アメリカとの関係でこちらからも非常に主張した点もございました。

 というのは、アメリカはもう六十数カ国とこれを結んでいるわけです。日本の場合には日米安保条約に基づくいわゆる秘密を確保するための刑事特別法がございますし、また、向こうからいろいろな武器等を譲り受けたり、あるいはライセンス生産したりしたときに、防衛秘密として防衛庁を通じていろいろ企業に流す場合にはちゃんと契約を結んでいて、それに、秘密を漏らした場合にはそちらの特別の法律できちっと担保されておりましたので、余り関係がなかったわけであります。

 しかしながら、これから先日米が緊密に何か連携をしていくときに、民間同士で、例えばこちらで修理をする、そういうことが発生してきます場合には、それについてどういう形でそれができるのか。

 防衛庁を通じて、あるいはまた今の防衛省を通じて、あるいは経産省を通じて流していく場合にはそれは従来の法律でカバーできるけれども、向こうが下請に日本企業を使った場合にはそれが果たしてできるのかとか、いろいろな問題が出てまいりましたので、やはり六十数カ国と結んでいるなら、それほどの、各国の内容を見ましても、先ほど先生がおっしゃったように国会議員までどうだこうだというような、そういう法律を担保していない国も結構あるわけでありますから、我が国も現在の国内法ででも行政協定が結べるのじゃないか、そういう観点からも、やはりこれは交渉して決めていった方がいいじゃないかということで、むしろこちらの方から話を持ち出した経緯もございます。

 だから、それほどおどろおどろした話じゃございませんで、GSOMIAというのは、今言うように、ほとんどの国がアメリカとは一般協定を結んでおるということであります。

神風委員 現在の安倍政権のもとで、国家公務員の情報管理の強化を重視して、昨年の十二月にカウンターインテリジェンス推進会議というものを設置した、それで情報管理の統一基準づくりを始めたらしいわけでありますが、このカウンターインテリジェンス推進会議というのはどういうものであるのか。また、これと先ほどの防衛秘密、あるいは特別防衛秘密とかいろいろ防衛省内にもあると思いますけれども、この関係はこれからどういうふうになるのか、その点を教えていただけますか。

伊佐敷政府参考人 お尋ねのカウンターインテリジェンス推進会議でございますが、これは、外国等の諜報活動が絶え間なく行われておるという現実を踏まえまして、政府一体となった取り組みを推進することが急務であることから、昨年十二月二十五日にカウンターインテリジェンス推進会議といたしまして設置したものでございます。

 この会議におきましては、現行法制のもと、外国による情報活動から我が国の重要な情報を守るべく、カウンターインテリジェンス機能の強化のために全省庁が統一的にとるべき対策などを盛り込んだカウンターインテリジェンスポリシーを策定し、その確実な施行を推進してまいりたいと考えておるものでございます。

 防衛秘密との関係につきましては、防衛秘密もこのカウンターインテリジェンス推進会議の検討対象でございます。

神風委員 というと、将来的に防衛秘密のそういった省内の規定というのはこの関係で変わってくるという理解でいいんですか。

伊佐敷政府参考人 お答え申し上げます。

 この推進会議が昨年十二月に発足して、現在実務的な作業を全省庁と連絡をとりながら実施しているところでございまして、その内容について申し上げる段階には現時点ではございません。

神風委員 次に、先ほどの航空自衛隊の活動状況の報告について、空輸実績について伺いたいわけであります。

 これは、派遣当初から本年二月八日までの間に総計四百六十回、約五百八・八トンの物資輸送を行ったというのが最初の報告でありまして、昨日の報告で新たに、昨年七月十七日に陸自撤収以降の輸送については、総計百十五回、約三十二・九トンの輸送となっているわけであります。

 この二番目の方では、物資の輸送の「物資」という部分が抜けて単なる輸送となっているわけでありますが、これは単純に平均しますと、一・一トンと〇・二八トンということになっているわけでありまして、明らかに輸送の中身が違うのかなと思うわけでありますが、その点いかがなんでしょうか。

山崎政府参考人 物資の空輸の詳細の内容については、恐縮でございますが従来から答弁を控えさせていただいておりますが、私どもが承知している限り、物資の一回当たり空輸数、空輸需要が減っておりますのは、主として陸上自衛隊に対する支援がなくなったということだろうと思っております。

神風委員 後段の部分ですね、陸自撤収以降の場合に物資が抜けているというのは、これは人の輸送が中心になっているという理解でいいんですか。

山崎政府参考人 先ほど御報告の資料の中に抜けているというのは、物資三十二・九トンということでございます。申しわけございませんでした。

神風委員 一部の報道によりますと、航空自衛隊のC130輸送機をバグダッド勤務の日本大使らの外交官等が昨年十一月以降定期的に交通手段として利用しているという報道がありました。本来任務の需要が少ないために、輸送機が外交官等の空のタクシーがわりになっているという状況であるという報道であったのですが、これは事実ですか。

山崎政府参考人 バグダッド及び先ほどの資料にも書いてございますようにエルビルについては、国連からの要請によりまして輸送を開始したわけでございます。それで、人員等につきましては当然国連の職員に対する支援を質的には主にしておりますが、余席がある場合には多国籍軍の兵士等も乗せております。

 それから、先ほど先生から御指摘のありました大使館の人員についての輸送は、やはり我が方のC130Hというのがイラク国内において非常に安全な航空手段として提供し得るということで、外務省さんの方にも利用していただいているということでございまして、別に外務省さんのために定期便のように飛んでいるということではございません。

神風委員 いや、私は、外交官を輸送して別に何ら問題はないと思っています。この空のタクシーという表現自体がおかしいなと思うわけであります。

 ただ、それをなぜここまで隠すのかなというか、明らかにしていただけないのかなということに対して非常に憤りというかそれを感じるわけでありまして、そういう状況であれば、必要性があって危険であるからということであれば、それは外交官を運んでも何ら問題ないと思うわけでありますが、それをなぜここまで明確にしていただけないというか、先ほど来の秘密主義的な体質の中で、結局何トン、何回といった表現しかできないのかなということに対して非常に疑問を感じるわけでありますが、何かありますか。

山崎政府参考人 先ほど大臣の方からも説明がありましたように、空輸物資の内容等について、あるいは人員の詳細について明らかにするということは、基本的に各国、航空輸送手段を提供している国も公表していない。それから、各国ともその背景にあるのは、これは当然我が国も含めて要員の安全確保ということがあろうかと思っております。

 したがいまして、その範囲内でできるだけの説明責任ということで開示をさせていただいておりまして、一週間ごとに大体何トンを運んでいるかとか、あるいは、今申し上げましたように陸自撤収以降総計百十五回、物資約三十二・九トンという形でまとめて公表させていただいております。

 輸送物資の詳細については、先ほど来申し上げておりますがなかなか申し上げられないのでございますが、主として我が国からの、陸上自衛隊がおりましたときには当然人道復興支援関連の物資、それから陸上自衛隊の人員、生活物資その他の補給物資、それと関係各国それから関係機関等の人員、物資でございます。

神風委員 ちょっともう時間がなくなってしまいましたので、一点だけ最後に外務大臣にお伺いをしたいと思います。

 先般新聞を読んでおりましたら、キッシンジャー元国務長官の文章が書かれておりまして、その中でもイラク内戦といった表現が使われておりました。いつごろからキッシンジャー氏がこのイラク内戦という言葉を使い始めたのか調べてみたら、昨年の十一月十九日、BBCテレビのインタビューでイラクの現状を内戦といった言葉を用いて表現をされていたようでありますけれども、これは、日本政府としては、相変わらず内戦ではないと、結局最終的にブッシュ政権が内戦と認めない限りは日本も内戦とは認めないというスタンスなんでしょうか。

麻生国務大臣 イラクというところが内戦であるかどうかという御質問だと思いますが、御存じのように、内戦の国際法上の定義というのはございません。したがって、内戦といえば内戦になってしまうし、内戦でないといえば内戦にならない、簡単に言えばそういうことになるのだと思いますけれども。

 少なくとも今ここでは、憲法で一回、合計三回の総選挙をマリキのもとでやり、議会をつくり、内閣をつくって一応今まさにイラクの政府として立ち上げて、民主的な方法で選ばれた政府ができて、そのもとで今いろいろ復興に努力をしておる最中というように私ども理解をしております。最初のころかなりの激しいことになってくるのはあり得るところだと思いますので、我々としては治安を含めますイラクの政治的な安定というものに対して支持をし、復興に支援をしていくということが一番大事なのではないか、そのように思っております。

神風委員 時間が参りましたのでこれで終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 先ほどの運用企画局長の説明では、昨年九月以降の航空自衛隊の輸送実績は、月当たり十七回から二十回程度で、そのうち四回から五回が国連支援ということでありました。

 局長に確認をいたしますけれども、国連支援以外の輸送は多国籍軍に対する支援、このように理解してよろしいですか。

山崎政府参考人 主として多国籍軍への支援でございますが、アリ・アルサレム飛行場の方について、詳細について、ちょっと今、数を把握は当然しておりませんけれども、国連の方やなんかも運んでいると思います。

赤嶺委員 ですから、国連支援以外は多国籍軍で、国連支援と多国籍軍以外の支援はありますか。

山崎政府参考人 先ほども説明をさせていただきましたように、エルビル及びバグダッドにつきましては国連の支援が主でございますが、ただ、余席があるときに限って、当然多国籍軍の兵員等を輸送しております。

 それから、それ以外の便については、クウェートからタリル飛行場への支援でございますが、これについては主として多国籍軍の兵士というふうに承知をしております。

赤嶺委員 そういたしますと、航空自衛隊の活動の実に七五%が多国籍軍への支援ということになるわけです、この説明書でいけば。

 この点、久間大臣もお認めですか。

久間国務大臣 人道復興支援並びに安全確保支援活動、これに対する支援を自衛隊はやっておるわけでございますけれども、それは、多国籍軍がイラクの中でそういうような活動をしている、それに対する支援ですから、私も、それは、国連以外の分野については多国籍軍を運んでいると思います。

赤嶺委員 国連以外の分野では多国籍軍で、回数、実績からいっても七五%が多国籍軍というのが、きょうの防衛省からの報告の特徴だと思うんです。

 久間大臣は、自衛隊は国連からの要請に基づいて人道支援を行っていると強調してこられました。実態は全く違うわけですね、きょうのあれでいきますと。実態は、多国籍軍への後方支援が中心ということではありませんか。

久間国務大臣 多国籍軍が人道復興支援をやらないかのように決めつけられるのも困りますし、また、いわゆる安全確保支援活動、それも多国籍軍がやっているケースもたくさんあるわけですから、そういった支援活動を自衛隊がしている、両方の支援活動をしているということですから。多国籍軍は戦争のためだけやっているみたいな、そういう決めつけ方をされると困るので、やはり人道復興支援と安全確保、この二つの任務をやっていて、日本の場合は安全確保のための支援活動をやっている、そういうふうに理解していただければいいと思います。

赤嶺委員 私、大臣に今そんなことを何も聞いていないんですよ。私が聞いたのは、いわば国連の人道支援、それをやるために航空自衛隊の活動があるんだ、このように説明してこられたけれども、今の防衛省の数字を見ますと、七五%が多国籍軍支援になっているじゃないですか、国連よりも多国籍軍支援の方が中心になっているんじゃないですか、そういうことであるわけです。

久間国務大臣 法律をよく読んでいただければわかりますとおり、この二つの活動目的のために法律はつくられているわけですね。そして、その中身というのは、多国籍軍がやる場合もあるし、国連の職員がやる場合もある。

 しかしながら、人道復興支援といっても、国連の職員が直接やるのは数が少ないわけでありまして、多国籍軍が結構やっているわけですね。だから、ちょうど陸上自衛隊が行ってやったのと同じようなことを、また多国籍軍だってやっているわけですから、そういうようなのを外してしまって、国連だけだというような、そういう数字だけを言われるのはどうかなと思うんですけれども。

赤嶺委員 航空自衛隊を残すときに、エルビルに国連が事務所を置いて、それを支援するんだ、それが中心だということを繰り返し言われていたわけですよ。ところが、数字は違うじゃないですか。やはりサマワでの自衛隊の支援も、これは占領統治の一翼を担うものであったわけですが、私は、航空自衛隊の活動というのは、まさにバグダッドやこれらを中心に掃討作戦を行う米軍への後方支援そのものだと言わざるを得ないと思います。

 次に、外務大臣にお伺いいたしますけれども、ブッシュ大統領は、一月十一日に新たなイラク政策を発表し、その中で、イラク情勢は米国の国民にとっても私にとっても容認できない、これまでの過ちの責任は私にある、このように述べました。外務大臣は、これまでのイラク政策に過ちがあったというブッシュ大統領の認識、これを共有いたしますか。

麻生国務大臣 私は、ちょっと正確な記憶ではありませんけれども、ブッシュ大統領が自分に責任があるというところを言ったのは、戦争開始に対することではなくて、大量破壊兵器、いわゆる核兵器がそこにあるという前提の情報に対する判断が誤っていたというように言った、私の記憶ではそうなっております。したがいまして、今、今回のイラク戦争を開始したことに関してブッシュ大統領みずからが誤っていた、間違っていたといったような発言をしたという記憶はございません。

赤嶺委員 外務大臣は、ブッシュ大統領の認識の中身まで、外務大臣の認識も今説明がありましたが、つまり、そういう意味で過ちだったというブッシュ大統領の認識、これは共有していらっしゃいますか。

麻生国務大臣 核弾頭がある、核の施設があるという前提に立っての突入の部分に関しましては、私は、御自身が誤っておったと認めておられるとおりなんだと思います。

 ただ、この戦争を開始したということ自体について誤っていたというような発言があったと記憶をしておりませんし、私自身も、この戦争に関しましては、少なくとも国連の累次の非難決議等々、これまで何回も説明申し上げましたとおりですので、それに基づいて戦争に踏み切っていったということに関しましては、我々も、国連の決議に従ったというように理解をいたしております。

赤嶺委員 情報の判断を誤っていたとブッシュ大統領が認識し、外務大臣もそのように認識するということですが、それらについて、日本側の立場としてアメリカに対して何かおっしゃいましたか。

麻生国務大臣 アメリカに対しては、これまで、私の前の外務大臣が何を言われたかはつまびらかにしておりませんけれども、少なくとも、私になりまして一年ぐらいの間に、しかるべき人に一回ずつは間違いなく、副大統領等々、一回ずつは、そもそもの判断、判断というのは少し違っていたのかもしらぬ、探して、なかったんだから。少なくとも、当時は、いわゆるNBC、NBCというのはニュークリア、バイオ、ケミカル、核・生物・化学兵器のうち、BとCならともかくも、Nというので行った、見つからないという状況というのは、明らかに情報が間違っていたんじゃないかという話はしたことがあります。

赤嶺委員 そこで、新政策について引き続き外務大臣に伺いますが、この新政策については、外務大臣は、イラクの安定化に向けた米政府のさらなる努力として評価する、このようにコメントしておられます。

 しかし、これまでの掃討作戦を含む米軍の占領政策の結果、これが今日のイラクの現状になっていると思うんです。イラクの治安組織を育成し、これを前面に立てた、そういう方針も、別にこれは目新しいものでもありません。いわばこれまで失敗した方針を増派によって強化して、イラクの混乱、この問題の解決が図れるのでしょうか。

麻生国務大臣 見解もいろいろあろうかと思いますけれども、前面に、アメリカの、もしくは米軍の兵士にかわってイラク人の警察、イラク人の治安組織というものが、少なくとも大幅に増員をされつつあるというところで、昔はバグダッド以外の地域でも極めていろいろなテロが行われておりましたけれども、今その部分はかなりバグダッドに収れんされてきているということは、他の地域においては、しかるべく治安組織というものが、少しずつではありますけれども着実に広まりつつある、もしくは定着しつつあるというように私どもは理解をいたしております。

 したがいまして、今回の増派が、直ちにそれが効果が上がるとは思いませんけれども、少なからぬ効果というものを上げていくだろうと存じますし、その間、時間の経過とともに、イラク人による治安組織、イラク人による警察、そういったものがきちんと定着していくであろうと思っております。

赤嶺委員 結局、開戦当時からの同じ発言の繰り返しだと思うんですよ。

 フランスのドビルパン首相が、イギリスのフィナンシャルタイムズで、米国はイラクで失敗した、二〇〇三年に私はシラク大統領とともに、軍事的な手段でイラク問題は解決しないと言ったではないか、二〇〇三年に言ったことは二〇〇七年にも通用すると厳しく批判をしております。

 私は、まさに戦争の開戦時からその批判が的を得ているものというぐあいに思います。米軍が駐留する限り、やはり問題の解決は図れない、増派によって問題の解決は図れないと考えるわけです。

 今度は防衛大臣に伺いますけれども、イラクに大量破壊兵器がないこともはっきりしたわけです。まさにイラク戦争がうそで始められた国連憲章違反の侵略戦争であるということは、今ではだれの目にも明らかであります。

 私は、その戦争と占領を支援しているのが自衛隊だと考えております。バグダッドを中心に掃討作戦を行う米軍の人員、物資を直接輸送し、事態の一層の泥沼化に手をかすことになっている、このように思います。

 久間大臣に聞きますけれども、いつ、どういう状況になれば、自衛隊を撤退させるのでしょうか。

久間国務大臣 現在、イラクでアメリカ軍が戦争を行っているわけじゃありませんで、戦争は終わったんですよ。終わった後、イラクを復興する、あるいは安定させる、そのために増派までしてやろうとしているわけでありまして、そこの認識は先生とは若干違うと思いますね。

 それと、自衛隊をどうするかですけれども、今航空自衛隊が残ってやっておりますが、これは、先ほどから言いましたように、国連が今後どういうふうに動くのか、そして各国がどうなるのか、そしてまたイラクの治安状況がどうなのか、そういうことを総合的に判断しながら適正に対処していきたいと思っておりまして、これはやはり、防衛省だけで判断することじゃなくて、内閣全体としてどうするかという方針をまず決めなければなりませんから、そういうのが決まり次第、それに基づいて行動しますし、その時点で撤収だということになれば、その後撤収します。

浜田委員長 赤嶺先生、時間が来ていますので、よろしくお願いします。

赤嶺委員 軍事的な手段ではイラク問題は解決しないということを申し上げまして、質問を終わります。

浜田委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 社民党の日森文尋でございます。

 私どもも、このイラク特措法については、大義なき戦争に加担をするなという立場で反対をしてまいりましたし、今でも活動している航空自衛隊についても直ちに撤収をすべきであるという立場からお聞きをしたいと思います。

 最初に、外務大臣なんですが、イラクが内戦状態にあるかどうかは国際法上の定義がないから明確に言えないという話だったんですが、アメリカのマスコミ等もどうも内戦ということで統一をしているし、これはもう、ある意味では国際社会共通な見方になっているんじゃないかと思うんですよ。

 そこで改めて、外務省の文書だと基本的に厳しい治安情勢が継続しているということで情勢を言っているようですが、これは内戦以外の何物でもないかと思うんですけれども、そこはどうなんでしょうか。

麻生国務大臣 内戦については、先ほど申し上げましたとおりで、先ほどどなたかの御質問に対してお答え申し上げたとおりなんですが、これは国際法上決められておりませんし、少なくとも、内戦といえば全土にわたってというような感じがございますけれども、今はその分はかなりバグダッドに収れんされてきているというような、少なくとも私どもの知っている情報ではそうですし、北の方のクルド地域をCNN、BBC等々で見る範囲においては極めて普通の状態にあるように見えますし、南部の方についても前とは全く違ったような感じに見えます。

 また、少なくとも、二〇〇三年からでしたか、自衛隊が行きましてから今日までの間、いわゆる全国区の選挙を三回既にやっておるという事実は、イラクのフセイン政権のときには全くあり得ない状況がそこに現出しておるという事実を考えましても、一概に内戦だと言えるような状況かなということに関しましては、私自身の個人的見解を聞かれれば、私自身は、内戦という状況にあるかと言われればそのような感じには、私はバグダッドに行ったことは一回しかありませんのでその段階でしか申し上げられませんけれども、私の実感であります。

日森委員 これは参考までに外務大臣にお聞きをしたいと思うんですが、外務省の文書は、内戦であるかどうかはおいておいて、ともかく非常に治安が混乱していることは事実であると。これを解決していくために、国民融和、東京で会議も開きましょうという提起もありました。

 問題は、スンニ派、シーア派の問題があると思うんですね。外務省の文書でいうと、マリキ首相の国民融和を求める決意に期待したいということになっているんですが、サドルとマリキの関係とかいうことを考えると、必ずしも期待をできるような結果が出るのかということが一点あると思うんですよ、同じシーアということでね。

 それから、今核問題を中心に制裁が行われつつあるイランと、イラクのシーアの問題ですよ。これは総合的に考えると、少し中東全体の問題で考えないと、実はイラク全体の治安の問題も出口が見えてこないんじゃないかという思いがちょっとするんですよ。

 外交通というか国際情勢に明るい外務大臣は大変難しいかじ取りを求められるんではないかと思いますが、その辺の感想があったらちょっとお聞かせいただきたいと思っております。

麻生国務大臣 最近の言い方というのは、昔、十年ぐらい前とは随分変わったような感じはいたします。

 少なくとも、スンニ、シーア派という感じで、御存じのようにチグリス、ユーフラテスが一緒になってシャトルアラブという川になった。東岸がいわゆるイラン、こっちが部族的にはペルシャ人ということになって、こっち側はアラブ人ということになるんですが、そのアラブ人とペルシャ人というのは長い歴史がありまして、なかなか難しい。言葉も違いますし、難しいんです。

 シーア派というのは、主にこちらの殉教者っぽいのがシーア派ということになります。何となく殉教者という感じなんですけれども。スンニの方は、エジプトからずっと行ったらスンニ派の方が多いんですが、こちらの方は何となく、もっと、英語でモデレーツと言うんですけれども、温厚が適当な言葉ですかね、モデレーツと英語では言うんですけれども、普通のと言うとちょっとまた語弊がありますね。何となく激しくないのというのがこちら側、スンニ派というのは西側にいるんですが。

 これは少なくとも、今シーア派の人で、シャトルアラブの川の西側にいるところに、かなりシーア派の影響の強いアラブ人がいるところまでが一緒に入って、話がさらに、ペルシャ人対アラブ人じゃなくて、そこのアラブ系のスンニ派、アラブ系のシーア派、ペルシャ系の何とかというようにかなり複雑に絡まってきておりますので、今では何となく、原理主義対世俗主義みたいな感じのものに少し従来と分かれてきたような感じがして、この何年間かの間に、人々の話を聞いておりましても、また在日の大使あたりの話を聞いていても、そこらのところは随分と今までと言い方が変わってきているような感じがいたしております。

 いずれにいたしましても、正直、我々日本人にとってもそんなに詳しい地域ではありませんので、一概にこういったことを軽々しく申し上げるわけにはいきませんけれども、その状況はかなり複雑に絡み合ってきておるので、しかし、どの道どこかで落ちつけないと、この地域が安定するかしないかというのは、我々日本に限らず世界にとりましても、中東地域の政治的な安定というのは、石油の面から見ましても、いろいろな意味から非常に大きな意義があろうと存じますので、私どもとしては、この地域が安定するということに関しては最大限の努力を惜しむべきではないと考えております。

日森委員 防衛大臣にお伺いをしたいと思うんですが、防衛大臣は先ほどの答弁で米軍の増派があっても空自についてはこれから総合的に判断して進退を決めるんだという話でしたが、報道によると、この特措法を二年延長するとか一年にするとかいう話が出ているんですよ、実際に。どこからこういう話になったかわかりませんが。

 いずれにしても、アメリカの増派があって、この一、二年で、外務省の言葉をかりれば基本的に厳しい治安情勢が一気に解決するという状況にはない。とすると、総合的に判断するにしても、やはり一年とか二年とかという話が出てくるんじゃないかと思うんですよ。もう少し、総合的判断をする場合の個々の条件について、具体的にどういうことを今お考えになっているのか、改めて教えていただけますか。

久間国務大臣 これは、この法律を所管しております内閣官房長官に聞いてもらうのが適切かもしれませんが、我々としても、自衛隊の運用にかかわることですから関心は持っております。

 しかしながら、これから先、増派を決定して、安定化のために全力を挙げてアメリカは今取り組もうとしているわけでありますから、それの行方、それと治安状況、また各国の動き、そういうのをやはり冷静に見ながら適正に判断するとしか今の時点では言えないと思いますので、一年、二年のその期間も含めて、これから先また検討させていただきたいと思っております。

日森委員 最後に要請なんですが、先ほど来、それぞれ意見が出ていました航空自衛隊の活動状況、これはもう少しつまびらかにする必要があるんじゃないかと思うんですよ。税金を投入して仕事をされているわけで、国民の側にも知る権利があるということだと思うんですね。だから与党の方々からもいろいろ御意見が出るということなので、いわば秘密とは言いませんけれども、ここまで公表しないということになると、何から何まで全部これに関係することは、こうした支援行動などに関係することについては国民の前に明らかにしないということが定着するんじゃないか、そういう心配があるんですよ。そのことだけお願いを申し上げて、終わりたいと思います。

浜田委員長 次に、楠田大蔵君。

楠田委員 民主党の楠田大蔵でございます。

 昨年末でございますが、繰り上げ当選という形で復活をさせていただきまして、一年半ばかり休んでおったものですから、少しなまっているかもしれませんが、よろしくお願い申し上げます。

 先ほどからお話、質問も出ておりますけれども、くどいようですが、時間的に麻生大臣があと二十分ほどして出られるということであります。チェイニー副大統領にお会いされるということでありますので、先に麻生大臣に伺うという形でやってまいりたいと思います。

 まず、麻生発言といいますか、もう何度もお聞きしておりますが、二月三日の講演で、独特のやはり言い回しで、平和構築を考えるとき、ドンパチが終わった後が大変だと。中略で、占領した後のオペレーションとしては全く非常に幼稚であって、中略として、どうやってやるかが非常に大きなところで、日本の持っている力はかなり大きなものがある、そうした私見を述べられておりますが、この点に関して改めて、どこが幼稚であって、日本のできることはどういうことと言われているか、お聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 先ほども御説明を申し上げましたけれども、私は、この問題に、この問題というのはイラクの話につきまして、少なくとも、イラクへの武力行使が誤りであったと言ったことは一回もありません。少なくとも、このサダム・フセインという人の政権下で行われなかった民主的な選挙というものが間違いなく憲法下で行われておるわけですから、また、それを憲法をつくるための国民投票もやっておりますし、議員もそれで選んでおりますし、いろいろな形できちんとした対応がなされた。これが間違いなく、イラクのフセイン政権下では行い得なかったことができておるというのは事実だ、私自身はそう思っております。

 短期間で戦果を上げたということに関しては、極めて短期間においてフセイン政権を倒すということに関しては、間違いなく成果が上がったということだと思っております。攻撃する側にしてみれば最小の被害でということになったと思います。

 ただ、終わった後の、いわゆる統治とか占領統治とかいろいろな表現があろうかと思いますが、その統治を見ますと、少なくとも、バース党を含めて官僚が一掃された形になっておったり、今までの統治側にいた人を全部一掃しておりますので、はい、いきなり行政といったってなかなかできるわけではありませんので、何となくあちらこちらに軍閥割拠やら部族の台頭とか、いろいろな表現が当時ありましたけれども、そういうような形になったということだと存じます。

 私ども外務省として、例えば今アフガンで、いろいろな形で武装解除、我々がこれは発案した話ですけれども、あの豊臣秀吉の刀狩りというのはこうやったんだという話から始めて、おれたちはこれで成功したんだという話をして、長い間の平和のもとをつくったのはこの刀狩りだったんだという話から始めてこれをスタートさせたんですけれども、結果として、武装解除というのは結構それなりに地域においては成功をいたしております。

 また、カンボジアを先ほど例にとりましたけれども、カンボジアはこれは日本が最初に出したPKOという、殉職者も出しました、最初の日本の経緯がありました。あれ以来、カンボジアというのはいろいろな形で今でも深くかかわっているところで、その中にあって、カンボジアというところは何となくASEANに入ったのが遅かったこともありましたし、いろいろな意味で発展が少し、ASEANの中でちょっと遅れているという地域でもありますので、我々としては、ここをやるに当たって、まず金を出すなんてことは我々はしない、まず人づくりをしなきゃだめよということで、私どもは、少なくとも司法とか民法とかいろいろな形で、フランス法でやってきております……(発言する者あり)いろいろやってきた、そういう経験がおれたちにはあるんだから、その経験というものをぜひ活用される方がいいのではないか。これはアメリカにも言ったことはありますし、そういった話をするのが意図で申し上げたというように御理解いただければと存じます。

楠田委員 大分丁寧にありがとうございます。

 ただ、お聞きをしておりまして、私の思いとしましては、やはりそうした理想の実現のためでも、武力行使をするというのは今回の状況においてはいかがであったかということを常々考えているところであります。

 その中で、ちょっと今回初めての質問でもありますので、これからのことも考えまして、大臣に率直に、戦後統治といいますか、そうしたものについていろいろ所見をお伺いできればと思います。

 今までの発言で、例えば、イラクの治安維持はイラク人が主体的にやるべきであるとか、日本の天皇陛下と官僚機構を残して日本を統治したマッカーサーに比べると幼稚であるとか、そうした発言もされているやに聞いております。そう考えますと、やはり他国が何らかのこうした手を出して、その後、統治をしていくということは非常に難しいことであるんだろうなという印象を私は持っているわけであります。

 その中で、漠然としておりますが、先ほどの話もあったかもしれませんが、今までの過去においても、いい統治方法といいますか、比較的その中でも占領政策として成功したんじゃないかなということが今までの過去の経験においてあられたら、それを教えていただきたいんです。

麻生国務大臣 ヨーロッパのように、長い歴史の間に戦争の歴史が長かったところにおいて、統治されたりしたり、いろいろ長い歴史のあるところ、ちょっとそれ全部は詳しいわけではございませんけれども、今日本における統治というのは、かなり我々身近に見て、ほかの国に比べて、少なくともイラクなんかに比べてみれば圧倒的にうまくいった最大の理由は、多分官僚機構がきちんと残ったことと、国家の中心として、いわゆる天皇陛下というのを残すというのをマッカーサーが決断したことだというのは、これはマッカーサーの自伝にも残っております。天皇陛下のあの八月十五日の発言は五十個師団にも匹敵した、何かそんな文章だったと思いますが、そういうような表現をしておりますから、そういったものがうまくいったというように、これはマッカーサーの話であります。

 しかし、私は、ほかの国で統治がうまくいったというのは、どこをもってうまくいったかというのは、やったすぐ直後はそこそこうまくいった例は幾つかあるんだと思いますが、最終的にはみんなその国は独立していったという例なんで、うまくそこから撤退していくに当たっては、軍と警察は基本的に考えを変えておかないといけないのではないか。軍というのはそれだけで完結しておりますけれども、警察は市民の中に入っていく組織でありますので、少なくとも治安ということを考えたときには、やはり警察組織というものを充実させるように。

 したがって、イギリス軍のように、軍人はすべからく警察学校に三カ月行かせてから行く。そうすると、身分証明書を見せてくださいというのといきなりホールドアップでは大分意味が違いますので、そこらのところは受け取る感情も違うというのが一点。

 二つ目は、同じ顔をした人と、金髪に青い目でやられるのでは、大分受け取る側の雰囲気も違うと思いますので、アラブならアラブ人の顔をした人。私らにはペルシャ人とアラブ人の区別はつきませんけれども、アラブ人の顔をした人、しかもイラク人の顔をした人というのは、多分シリア人とまた違う顔なんだと思います。イラク人の顔をした人が治安をやるのと、そうではない、別のエジプト人がやるのとか、何人がやるのとか、同じアラブ人でも多分受け取る感情が違うんじゃないかなと思います。

 今猛烈な勢いでイラクの警察部隊というのは、かつての九万から今二十万ぐらいまでかなりふえてきていると思いますので、ちょっと数字は正確ではありませんけれども、かなりふやしてきているというのは事実だと思いますので、そういった方向でいかないと、こういったものはうまくいかないのではないか。私は一般的な知識しかありませんけれども、自分なりの知っている知識から申し上げたら、そういうことだと存じます。

楠田委員 過去において、例えば僕が覚えていますのは、日本の台湾統治の件であるとか、朝鮮統治に関して創氏改名云々の発言もあったと思います。そうしたいろいろな統治方法、占領政策、あると思いますが、私の問題意識としまして、過去においては、植民地支配においては、保護領や間接統治や直接統治、自治植民地といったそうした形もありましたし、国際連盟のもとの委任統治や国際連合の信託統治、そうした例もかつてあったと思います。

 例えば、イラク自体も過去において、委任統治の中で一九三二年に独立を果たして、ああした形式をとってきた。また、パレスチナのようなところは、イギリスの委任統治というのが続いた末に、よく二枚舌外交と言われますけれども、どちらにも国家建設の約束をするということで、それが引き金となっていまだに混乱が続いているという例であるとか、少なくとも私が知る限り、こうした戦争が終わった後の統治というものもことごとく失敗をした歴史であったのではないか、私はこのように思っております。

 そうした中で、先ほどありましたように警察組織を整備していくとか、そうした話、一つ一つはあるのかもしれませんけれども、やはり他国の干渉のもとにつくり上げていくのは難しいと思っているわけです。

 今のイラクとアフガニスタンの統治の違いというのもそれぞれありますけれども、まず、ここでイラクが議院内閣制のような形、アフガニスタンの方が大統領制のような形をとっているという形でありますが、この違いがなぜあるのかという点と、そして、そのイラクとアフガニスタン、混乱度というのがやはり大分異なると思っておりますが、この点に関して、こうした制度の違いをとった理由と、混乱が異なっている理由というのは、何かお感じになる部分はありますか。

麻生国務大臣 ちょっと正確ではありません、イラクの方も大統領はいることはいるんだと存じます。首相の権限が非常に強い形になっていると記憶します。

 これは基本的に植民地とは全然違いますので、植民地と委任統治とか、植民地と今回のイラクとは全然違っております。前提が違います。多分、イラクの場合は、アラブ人の中で教育水準はかなり高い方だと思いますので、そこで自治に持っていくということにしたというのが、たしかイラク人に決めさせたというように記憶をしておりますので、そこのところがイラクの方が早く自治に持っていけると判断したんだと存じます。

 それから、警察の話が出ておりましたけれども、この警察も、なるべく早く、イラク人のイラク人の手によるイラク人の統治という方向に行こうとして、これはアメリカもかなりこのところを努力しているということは、いろいろな人の話を聞いても同じことを言いますので、努力しているのだと思います。日本としても、これらのことに関しては、いろいろな簡単なことに、行政組織も、もと組みをくちゃくちゃにしちゃっていますので、そこのところから、ゼロからつくり上げるなんというのはとても大変なところだと思っております。

 いずれにいたしましても、こういった国家を動かしていく行政組織というのをある程度きちんとつくり上げていかないと、何となくあちらこちらに群雄割拠みたいな形になって、それが宗派がくっついてみたり、部族がくっついてみたり、いろいろします。

 そういった意味では、ぜひ一日も早い、少なくとも選挙で選んだのだから、その中の比率やら何やらいろいろ、クルド人の比率とか、シーア派の比率とか、スンニ派の比率とか、みんなで決めて、選挙が終わって内閣がスタートするのに何カ月かかりましたか。五カ月ぐらいかかったと思いますが、何カ月かかかってやっと結論が出たんだから、決まったらやる、それが民主主義の基本じゃないか。これはイラクのジバリという外務大臣に会ったときにも、来たときにも、電話でも何回も同じようなことを言っておりますけれども、そこが基本なんだと思います。

 少なくとも、自分たちの手で今やりつつあることは確かなので、そういった意味では、紆余曲折していますけれども、そこらのところは少し時間がかかっていることは、我々もそう思いますし、ぜひ、イラク人の普通のテレビなんかに出てきて、アナウンサーが選んで聞いているところもあるだろうとは思って、話半分に聞かなくちゃいかぬとは思います。

 双方とも、とにかくピース、平和を望んでいる、安定を望んでいるということはみんな言いますので、どこかそこらのところで最終的に、もう何年続いておりますか、もう五年ぐらい、かなりの長い間続いておりますので、そういった状況からそろそろ落ちついてきてもよろしいのではないのかということだと存じます。

楠田委員 いろいろ聞いてまいりましたけれども、ただ、その結果として、時間がたちましたが、五年以上もたっているという中で、今、直近の治安状況を事務方の方にお聞きしますと、イラクでは一月五千件ほどのテロを含めた事件が起こっている。まさに、恐らくフセイン時代のときよりも比べようもないほどの治安の悪さが今の現状ではないかと思っております。さんざん時間をかけて、そうした理想は理想として聞きますけれども、その結果として、これだけの混乱が逆に生じてテロリストの巣になっているともまさに言えると思いますし、そうした状況ではないかと思っております。

 そうした今の状況をつくり出す際の、今回のつくり出すきっかけとなった最初の武力行使というものに対しては、やはり私は、これから時間をかけてという、そうした段ではなくて、やはりそろそろ、間違いであって、これを手を引くということを判断していく、そうした時期に来ているのではないかと思っております。

 そうした中で、しかし今の話として、恒久法というものが、つくっていこうという話も少しずつ聞こえてきていると思いますが、テロに対する特措法、イラクに対する特措法、それぞれ国連決議を受けてという話はありますけれども、もう時間はありませんが、大臣自身は、こういう恒久法をもしこれから議論する中で、実際の国連からの授権がない中でのこうした戦いを進める、武力行使をしていくということに対する、日本がそれに対して自衛隊を出し、支援をしていくということに対しては、どのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 これは今、内閣というかあちらでいろいろ検討をされておられる、いわゆる内閣官房を中心にして、今一般法の検討をしておられる最中だと思いますので、私の方から、今これがとかいうような確たるものを持っているわけではありませんけれども。

 一般法の整備につきましては、私は、日本という国が今後いろいろな形で国際的な仕事をやっていかねばならぬということを考えますと、こういう一般法というものをきちんと整備しておいた方が、私どもとしては役に立つのではないか、いろいろな意味で、こういったことに関してはそう思います。

 これは、いろいろこれまでの経緯もありますので、よく論議を踏まえた上でやらぬといけないんだと思っておりますので、国民的論議を十分に踏まえた上でやっていくべきものだと思っております。

楠田委員 大臣、どうもありがとうございました。

 それでは、残りの時間を久間大臣の方にお聞きをさせていただきたいと思います。またこれもくどいようですが、久間発言の真意に関してお聞きをさせていただきたいと思います。

 先ほど、我が党の神風委員よりもお話がありましたが、心境の変化があったのではない、政府の制約のある中で支持をしていると。また、イラクの安定のための増派はあり得るということでありましたけれども、ただ、これが自衛隊延長につながるわけではないという発言も先ほどされたと思います。

 この点に関して改めて、久間大臣は、今回の戦争に関して、始まりの時点でやはり間違いがあったと思われるのか、それとも、ここに来て自衛隊延長につながるわけではないと言われるその条件が何であるか、この点に関してお願いします。

久間国務大臣 くどいようですけれども、私は、いろいろな発言の中で、間違っているということを言ったことは一度もありませんで、支持はするとまで言わないで理解はするというぐらいかなというふうなことを感想として述べたことは、これまでもたびたびございます。

 ということは、やはりアメリカはアメリカの立場で、ここはもう戦争に踏み切るべきだというふうに判断したんでしょうから、それを他国が反対だというふうなことを言うべきでない、そういう気持ちはその当時からありました。

 ただ、くどいようですけれども、核兵器がないのではないかと、私は本当にそう思っておりましたから。それで、核兵器はないんじゃないかなとその当時から思っておって、結果としてもやはりなかったな、そういうふうな話をしたわけであります。

 それと、やはり日本の政府が支持を決定したというのは、単純にそれだけじゃなくて、フセインがなかなか挙証責任を果たさない、そういう中からアメリカが武力行使に踏み切った。そのときの日米の関係、あるいはまた日本の置かれておる状況、いろいろなことを総合的に判断して、政府としては閣議決定したわけでございます。だから、それはそれとして、政府の一員である以上はやはり従って、踏襲していくべきだというふうに今でも思っているわけであります。

 それと、今後については、やはりイラクの安定を一番望んでいるわけですけれども、残念ながら、日本の力ではなかなか十分なことはできません。アメリカも、言うなれば、最後のかけとは言いませんけれども、かなりの決意を持って今度は臨んでいるんだと思います。そうしますと、イラクの安定を図ってもらいたいという我が国としては、やはりそれを支持するということの方がいい選択になるんじゃないかなと思っております、その結果がどうなるかはまた別として。

 そういうふうなことから、これから先の推移を見守りたい。その中で、やはり国際的な、国連その他のいろいろな動きの中で、自衛隊の派遣についても、引き続きやるかどうかも含めて検討していきたいと思っているところです。

楠田委員 先ほどのお答えの中で、核兵器がないのではないかと思ったということがまずありました。

 この点に関しては、アメリカも、ブッシュ大統領自身も認めたところでありますが、我が国においては、この点に関して、それも前提の一つであったわけですから、その前提の一つが誤りであったということに対する、久間大臣は今の時点でおっしゃっておられますが、その前提が間違っていたということに対する反省というものは全く今までないのではないかと思っておりますが、今の発言からしますと、今の防衛大臣として、その反省の気持ちを、前提が間違っていたという気持ちを持っておられるということでしょうか。

久間国務大臣 あの当時の閣議決定も、私は、あのときは党には相談がありませんでしたので、党の方におりましたけれども、知りませんでしたから、率直に知らなかったということを言って、その後読んでみました。

 そうしたら、核兵器があるというような、そういうようなことで支持すると言ったわけではなくて、全部読みましたら、とにかくイラクが挙証責任があるのにそれを果たさずに、国連が何回も何回も決議を行ってきた、そういう形で戦争に入っていったんだ、そういうようなことで日本政府としては支持を決定しているわけであります。

 だから私は、やはりそれは、閣外におったということから、あのときの内容をつまびらかにしていない、それ以外の情報についても判断していない、そういうようなことから、私は、その当時の感想を私なりに言ったわけですけれども、今、政府の一員としては、支持をするという決定をしたことがやはり日本の決定であったんだ、そしてそれを踏襲しているという、その流れの中で今おるということも私自身自覚しております。

楠田委員 踏襲されていると先ほどから盛んに言われていますが、ただ、現大臣として、もちろん踏襲をするだけではなくて、それを変更するのも当然役割であると思います。

 その中で、重要な国連決議を幾度も出してきた、その開戦理由は正しかったという御説明だったと思いますが、やはりその前提に核兵器があったかどうかということは大きな、少なくとも国民の中では、それが前提として武力行使が行われたんだなというのはみんなが共通した思いでありましょうし、その前提として出された国連決議にも、やはりきずがあったのではないかということも事実であると思います。

 そうした決定に従って出されたものに対して、少なくとも久間大臣は今の時点で踏襲はすると言われていますけれども、積極的な賛成のもとにこれからも積極的に関与していくという姿勢ではないように私には感じますが、その点は、これからも積極的に関与していこうというようにお思いでしょうか。

久間国務大臣 今委員がおっしゃられるような言い方をしますと、国連も決議をしたのが間違いだったということを言うことになりますけれども、それらは果たしてそういうふうに言い切れるのかどうか。国連だって、あれは間違っていましたということは一言も言っていませんよね。

 だから、それよりも、むしろこれから先どういうふうにしていくか、そういうことについて一生懸命知恵を出そうとしている。私たちもやはりイラクの安定のためにこれから何をすべきかであって、あのときの、核兵器があるという前提でどうだこうだということではなくて、核兵器はなかったということははっきりしたわけであります。

 だから、私は、過去の判断が正しかったか誤っておったかという、少なくともこちら側としてのそういうことについての議論は余りする必要はないんじゃないかなと私は思っております。

楠田委員 私は、国連決議が間違っていたかどうかを問うているのではなくて、この国連決議に基づいて日本が支持を表明して今なお自衛隊を送り続けていることに対して、それが問われるのではないか、これからの流れとして。そのように申しております。

久間国務大臣 我が国が自衛隊を送り続けているのは、その国連決議ではなくて、終わった後、戦争が終わってしまった後、人道復興支援と平和確保支援活動、このために要請があったので、それを受けて法律をつくって出しているわけでありますから、だから、そこのところの違いはやはり御理解賜りたいと思います。

楠田委員 先ほど改めて、今の航空自衛隊の行っている活動が国連等への人道復興支援活動と多国籍軍への安全確保支援活動であるという話がありましたが、この安全確保支援活動というのをもう一度具体的に教えていただけますでしょうか。

山崎政府参考人 恐縮でございます。条文、今持っておりませんので、ちょっと大まかな言い方になろうかと思いますが、イラクの安定のために努力をしている多国籍軍の活動を支援するということが安全確保支援活動だろうと思っております。

 人道復興支援活動というのは、先生御承知のように、イラクの避難民あるいはその復興等のために活動することを言っていると思います。

楠田委員 今、安全確保の活動についてだけ聞きましたので。

 残り時間少ないですが、その中で航空自衛隊が輸送している多国籍軍の兵士が、最後大臣へお聞きしますが、そのほとんどが治安維持活動に携わり、武力行使を行っていると私は認識をしておりますけれども、この点はどうでしょうか。

久間国務大臣 治安活動もやっているでしょうし、人道復興支援活動もやっているわけでありますから、そういったものに対する支援活動を我が国としてはやる、我が国は治安維持はできないわけでございますから、そういう意味で今、支援活動は行うというような法律の位置づけになっているわけであります。

楠田委員 どちらも行っているということでありますが、どちらもあるということは、私自身は、この点は武力行使と一体に疑われる事態ではないか、そのように認識をいたしております。

 という認識を申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。

浜田委員長 次に、松浪健四郎君。

    〔委員長退席、中谷委員長代理着席〕

松浪(健四郎)委員 松浪健四郎でございます。

 まず、昨年の七月まで、陸上自衛隊の諸君が長い間イラクのサマワで人道復興支援活動に従事され、無事に撤収されましたけれども、この功績に対して、まず敬意を表しておきたいと思います。

 永田町の日の丸とその横にある星条旗を見て、アメリカの偉い人が来たんだろう。大体、その国を代表される人が来た折に、あそこに国旗が掲げられる、このように承知しておりますけれども、それなりの人がお見えになったんだ。それはチェイニー・アメリカ副大統領であるということは申すまでもございません。総理を初め外務大臣、官房長官、いろいろとイラク問題等についてお話をされるんだろう。申すまでもなく、内容は、我が国がどういうような形でイラクやアフガニスタンに対して国際貢献していくのかということに尽きるんでしょうけれども。

 私のつたないイスラムの国での生活経験から申しますと、実感として、これは長くなるだろう、こういう思いを持っております。と申しますのは、イスラムの国の人々、この人たちの日常生活が宗教実践であります。それゆえに、毎日毎日宗教活動をするということが生活をすることであります。そして、押しなべて民族意識、部族意識、これらが、我々が想像できないぐらい強い。

 そして、民主主義というものがなじむのかなじまないのか。私は、一九七〇年代、イランに再三参りました。パーレビ政権の全盛期でありましたけれども、至るところにSAVAKと言われる秘密警察官がたくさんいました。これはもう目つきを見ただけでもわかる。これで、イランの人々は自由を謳歌しているけれども、この人たちの存在に不快感を持っているんだな、こう思っておりました。

 そして、八〇年にイスラム革命があったのは御案内のとおりでありますが、それから何度かイランを訪問いたしまして、昨年末にも、衆議院から派遣をしていただいて、イランに滞在をさせていただきました。驚いたのは、同じように秘密警察官がうろうろいるということでありました。イスラムの国になったからみんなが解放されたのかというと、そうではなくて、逆に厳しくなったんだという実感を持ちました。

 それで、アメリカやまた二十数カ国が国連軍をつくってイラクの支援をしたり、また、NATO軍がアフガニスタンにおいていろいろな協力をしておるわけでありますけれども、私たちの願うのは世界の平和でありますし、世界が平和であって初めて我々の国が栄えるということ、これを忘れてはなりません。とりわけ、我が国のエネルギーの九〇%はイスラムの国から輸入されておるという現実から逃避することはできませんから、やはり、イラクがうまく平和な国になるように、アフガニスタンが落ちつくように、こういうふうに毎日毎日願っております。

 宗教指導者が大きな力を持っている国にあって、この人たちが一たびジハードだ、聖戦だということになりますと、民主主義になれていない、マリキ首相のイラク政権は民主的にできた政権だ、こういう認識を持っておりますけれども、この民主的な政権と宗教指導者の言うことと、国民はどちらの話を信用し、聞くだろうかということになると、宗教指導者の言うことを聞くんだ、こういうふうに私は思っております。

 となりますと、我々の価値観と全く異なった価値観を持つ国の人々とが、どういうふうに平和を構築することができるんだろうか。

 外務省は大変苦慮されておりまして、先ほど奥田局長からもお話がありましたように、いろいろなイラクの指導者を我が国に招聘して、そしていろいろな平和的な対話をしようじゃないか、こういう試みをされておりますし、そして円借款で、とにかく人道支援をしなければならない。もちろん航空自衛隊によるC130Hの輸送、これらも貢献していかなきゃならない。

 いつどうするのかというような、私たちはすぐに、何かをやり始めたとき、いつ終わるのかと、簡単に期限を切ってしまいますけれども、この期限を切るというのは、イスラムの国ではなじみません。一、二、三、たくさん、これがイスラムの考え方でありますから、この滞在はたくさん、長いというふうに、恐らくイラクの人々も、アフガニスタンの人々も、私はそう思っておると思います。

 そこで、まず最初に、アメリカがイラクを、今のような状況になったことに手をやいておる、私はそう思っております。そして、大統領の教書演説で、二万一千五百人の増派、これを決定いたしました。私は、これはアメリカからすれば、治安を改善していくためにはこれしかないというふうに考えた策だと。もっと言うならば、二万人ぐらいでは少ないのではないのかという思いを私は持っておるんですけれども、このようなアメリカ側のとっておる政策、もちろんその政策の中には、大統領はシリアともイランとも対話をしないという強い決断で演説をされておりました。

 これらを含めて、アメリカのイラク政策に対しての評価を外務省はどのようにされておるのか。同時に、外務省はこれからイラクへの支援をどのようにやろう、こう考えているのか。それらをまずお尋ねしたいと思います。

    〔中谷委員長代理退席、委員長着席〕

岩屋副大臣 松浪先生から御紹介ありましたように、今チェイニー副大統領が来日をされておられます。私、空港にお迎えに上がりましたが、麻生大臣も向こうの公邸にお邪魔するという形でお目にかかるということで、退出をさせていただいておるところでございます。

 チェイニー副大統領からも、イラクのお話も、あるいは終わったばかりの六者協議の話も、いろいろ日米でしっかり意見交換が行われるものと承知をしておりますが、今先生がお尋ねになられましたアメリカの新イラク政策、これについても説明が行われるものと思います。

 今先生が御指摘をされましたように、非常に厳しいイラクの情勢の中にあって、ブッシュ大統領は兵を増派いたしまして、懸命の努力をこれから行いたいという決断をされたところでございまして、私どもといたしましては、日本といたしましては、中東地域の平和と復興を図るというのは我が国の国益にも資することでもございますし、このたびのイラクの安定と復興に向けた米国の努力を日本として理解し、これを支持するということで臨みたいと考えているところでございます。

 それから、先生御指摘になりました自衛隊による人的貢献も現在行っておりますし、総額で最大五十億ドルまでのODAによる支援を、自衛隊の支援とODAの支援、これを車の両輪として行ってきているところでございまして、イラク国内においても高い評価を受けているところでございます。

 特に円借款につきましては、イラクの本格的な復興のかぎを握っているのはやはりインフラの復興だと思いますが、電力、運輸、石油、かんがい等の分野の八案件、これは約十六億ドルに当たりますけれども、この円借款による支援の意図をイラク側に伝達したところでございます。

 今後とも、イラク人の復興努力を我が国としてしっかり支援をしていきたい、こう考えております。

松浪(健四郎)委員 ちょっと冒頭、演説が長くなりまして、予定しておったとおり質問できなくなりましたので、すっ飛ばさせていただきますけれども、一月の十二日に総理がNATOの理事会で演説をされました。

 この演説の内容は、一言で言うならば、PRTの参加、いわゆる地域復興支援チームの参加を前向きに考えていきたいというような内容だと私は承知しておりますけれども、外務省としてはこのPRT参加、一般法の制定、この可能性を探り始めたということなんでしょうけれども、これについて、自衛隊の派遣にかかわることでございますが、外務省の見解についてお尋ねしたいと思います。

岩屋副大臣 今先生御指摘ありましたように、一月十二日、安倍内閣総理大臣は、日本の総理として初めてNATO本部を訪れて演説をしております。その中で、日本としてNATOの地方復興チーム、プロビンシャル・リコンストラクション・チーム、PRTとアフガンの人道・開発支援で連携を強化していく用意があるというふうに総理は演説の中で述べておられます。

 言うまでもないことですが、PRTというのは軍民一体型のチームでございまして、そこに参加する軍は、チーム全体の警護、治安活動に当たるというのが主な役割だと承知しておりますので、先ほど久間大臣からもお話ありましたように、自衛隊が行って治安活動に当たるというのは現行法上なかなか難しいところでございますので、今私どもとしてできることは、PRTのチームと連携をする、参加をするというのではなくて連携をする。例えば、草の根無償などを駆使いたしまして、他国が行っているPRTチームを、言ってみれば応援をする、支援をする、そういうことができないかということを今研究、検討しているところでございます。

松浪(健四郎)委員 防衛大臣がいらっしゃいますので、防衛省としては、このPRT、つまり一般法を制定してやるというような考え方はいかがですか。

久間国務大臣 このたび防衛省になるに当たりまして、国際平和協力業務という形を本来任務にいたしました。これから先、どういう形でそういうのをやっていくか、今恒久法の話もございますけれども、内閣官房において自衛隊の活動の内容等も含めていろいろと検討されております。

 それでまた、今の法律の中でも、例えばNPOといいますかNGOといいますか、そういったところとうまくタイアップした方がかえって効果が上がるというふうな、そういう指摘もやはり一部ありますので、そういう点も踏まえながら、これから先、国際平和協力業務のあり方については内部でしっかり検討しようと思っておりますので、そのときにまた今みたいな話も取り入れていきたいと思っております。

松浪(健四郎)委員 最後の質問でございますけれども、かつて私が外務大臣政務官をさせていただいておった折に、インド洋に派遣されておりました海上自衛隊員が交通事故で亡くなられました。休暇中であったとはいえ、海外での死亡でございますから、これは私は大変なことだと。そして、これは休暇というのは帰国して初めて休暇だから、向こうでの休暇は本当の意味での休暇ではないんじゃないのか、こういうふうに思ったんですが、随分安いんですね。自衛隊員が外国に赴いて、そして国益のためにいわゆる殉職をされてこれだけの対価かということで、私は驚きました。

 この前、勇敢な警察官が殉職されました。日本人の美しい、また勇敢なすばらしい一面を見せていただきましたけれども、自衛隊員もその心を持って海外での任務についておる、私はこう思います。ところが、サマワに派遣された自衛隊員たちの一日の日給は二万四千円前後だったというふうにお聞きしておりますが、これはちょっと安いんじゃないのか、私はこういうふうに思っております。

 そして、もし殉職された場合に、自衛隊はどの程度の、防衛省はどの程度の補償を考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。

久間国務大臣 きのうは、予算委員会において民主党の議員さんから、二万四千円の手当は高過ぎると盛んに攻撃をされまして、私は、やはり危険な手当としては高過ぎないんじゃないでしょうか、カンボジアに行ったときも手当が二万円でした、イラクの場合二万四千円になっているのは、比べたときに決して高くないというふうな答弁をさせてもらったんですけれども、これは日給じゃございませんで、手当でございますから、それを高いと見るか低いと見るかは別として、これは法律を通しますときに決めさせてもらいまして、政令で今その金額を、高いのは二万四千円、航海中の、運航中は一番安くて四百円という、いろいろな業務の内容に応じて差をつけておるわけでございますから、私は非常に合理的な判断が下されているんじゃないかなと思っておりまして、これを今上げたり下げたり、そういうふうに変えるつもりは、今のところはございません。

 それからまた、賞じゅつ金といいますか、亡くなったときの手当についても、これはやはり諸外国と比べましても決して安くはないと私は思っております。確かに、テロ特措法の場合とイラク特措法では若干差がついていまして、イラク特措法では九千万、テロ特措法ではたしか六千万だと思います。その辺の差はございますけれども、やはりそれはその法律がつくられたときの背景がちょっと違うのでそうなったんだと思います。

 そういうような形のほかに、まだほかのいろいろな、いわゆる共済の制度等にも入っておりますから、私は、そういう点では一応補償の基準はできているんじゃないかなと思っておりますので、ちょっとその辺について、いい悪いというのを判断、言いかねますけれども、私は、現行の制度で一応足りておる、そういうふうに思っております。

松浪(健四郎)委員 とにかく、国益のために国を代表して厳しいところに赴く、大変な任務でございますので、それなりのことを考えてしかるべきではないか、こう思いますし、大臣にも強くこのことをお願いしておきたいと思います。

 ついでに、行かれた方に対しての人事、この前亡くなられた巡査部長は警部二階級特進でありましたけれども、サマワに行かれた、そして帰ってこられたというようなときに、やはり人事面において優遇するというような考え方、システム等、これは防衛省で準備されているのかどうか。されていないとしたならば、これはちゃんと勘案すべきじゃないかということを大臣に訴えたいんですが、いかがですか。

増田政府参考人 私の方からお答えさせていただきますけれども、まず、例えばイラクに行っておる部隊、陸上自衛隊の部隊に対しましても航空自衛隊の部隊に対しましても、大臣の方から、特別賞状なり一級賞状という形で表彰をしております。

 そして、今先生から優遇をしているのかというお話がございましたけれども、優遇というとちょっと言葉があれだと思いまして、適切な評価をするということで、昇任なりなんなりに当たりましては、当然それぞれの人物の働きというものを適切に評価するということによって、人事面でも功績については反映させていきたいと思っているところでございます。

松浪(健四郎)委員 絶大な評価をお願いして、質問を終わります。

浜田委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 遅くまで、大臣初め皆さん、御苦労さまでございます。私で最後でございますので、もう少しよろしくお願いしたいと思います。

 冒頭、先ほど外務省の方からも、バグダッドの情勢等について御報告ございました。それで、二月の三日に、爆弾テロでバグダッド市の市場で百三十人を超える死亡者が出るようなことが起こり、二月の十二日には八十八名が亡くなった。そして、二月の十四日には、マリキ首相が新しい治安対策ということでスタートして、一時はよかったのが、すぐまた二月の十八日に爆弾テロで五十六人が亡くなり、百三十人がけがをする、こういうことを繰り返されているような状況でございます。

 これは本当にそういう意味では、バグダッドの状況というのは大変、治安対策においては厳しいものがあるなというふうに思っておりますが、外務省として、どういうふうにここを認識し、そして分析され、今後どういうふうにお考えになっているのか、岩屋外務副大臣の方からよろしくお願いしたいと思います。

岩屋副大臣 冒頭局長から報告をさせていただきましたし、また、麻生大臣からも御答弁をさせていただきました。また、今田端先生からも御指摘がありましたように、残念ながらアメリカの新政策発表後も、テロや各種の衝突あるいは宗派間対立が激化しておりまして、非常に治安状況が厳しいという私どもも認識をいたしております。また、二月十日には、当方の在イラク日本大使館のチェックポイントで、乗用車一台からけん銃二発が発射されるという事件もあったことは御承知のとおりでございます。

 そこで、これも既にお話をさせていただいておりますが、マリキ首相から新たな治安対策を発表されるなど、また私どもがそれを促すなど、いろいろな取り組みをやらせていただいているところでございます。二月七日に山口駐イラク大使からマリキ首相に対してその申し入れを行い、マリキ首相から治安改善、国民融和促進に向けた決意が表明をされたところでございますが、私どもとしては、このマリキ首相の決意が実を結ぶことを期待いたしておるところでございます。

 また、我が方でも、国民融和セミナーを開催するなどして、イラクにおける国民融和の促進のために最大限の努力をしていきたい、こう考えております。

田端委員 今お話のあったように、国民融和ということはもう本当に大事なことだというふうに思います。それで、つまりシーア派、スンニ派、そしてクルド人等、この国会議員を日本に招いて日本で国民融和セミナーですか、開催し、そして日本における外交的努力によって少しでも国民融和を促進できるような、そういう形をつくっていこう、こういうお考えのようでありますが、これはもう大変私、評価したいと思うし、大事なことだと思いますが、果たしてそれが本当にできるのかなという不安を感じます。

 つまり、国内がそういう状況であって、そして国を代表する人たちが日本の主催による会議というものに来られるんだろうか。そして、どういう形で日本が開催に関して具体的なスケジュール、いつごろ、どういう形でどうするということを徹底して、そしてお呼びするのか。これは、成功すればすごいですよ。だから成功してもらいたいんですが、果たして本当に、ちょっと感じとしてはなかなか大丈夫だろうかという思いがしますので、どういう具体的な計画で外務省としてはお考えになっているのか、開催に関しての我々に教えていただけるところをよろしくお願いしたいと思います。

奥田政府参考人 セミナーについての具体的なお尋ねですので、事務方からお答えさせていただきます。

 確かに、最近の治安情勢にかんがみまして、なかなかイラクを出ることすら難しいのではないかという御指摘でありますが、確かに難しい面はあるのですが、この国民融和セミナーだけではなくて、やはりいろいろな研修なんかも最近も行っておりますが、日本におけるそういう研修についての評価、期待がイラクの方から高いものですから、結構来ております。

 それで、この国民融和セミナーにつきましては、三月の末に、イラクの各派、シーア派、スンニ派、クルド人というようなところを集めましてセミナーを開催したいと思っております。これについても、実はこれを開催するというときに、イラクの高いレベルからも、この日本の試みを評価するという旨の連絡もありましたので、我々としては、彼たちも懸命に努力をして日本に来ていただけるものだという前提でいろいろ準備を進めておるところであります。

田端委員 全然具体的じゃなかったような感じがするんですが。例えばいつごろを目指して、どういうふうにという、そこのところがはっきりしていなかったような感じがいたします。

 それで、この問題について現地で大使館、山口大使以下皆さんが頑張っておられて、働きかけをされているんだと思いますが、それ以外に、もっとそういう成功裏に導くような、例えば国際機関を使うとか、何かそういうこともされているんでしょうかね。ちょっとその辺のところをもう少し教えていただければと思います。

奥田政府参考人 それでは、中身の方をまず説明させていただきますけれども、具体的には、このセミナーにおきまして、バルカン半島やコンゴとかルワンダ等のアフリカ諸国でありますとかカンボジア等の世界における平和構築の例、それから連邦制国家における民主化の定着の経験といったものを、それぞれの分野の専門家から、来られた方に紹介していただく。そして、紛争解決とか治安安定化のために、日本を含む国際社会をいかに活用するのかといったようなことに関するノウハウをイラク側の参加者と共有したいということで考えております。

 それから、このようないわゆる一種の研修とか技術協力的なものにつきましての国際機関との協力ということでございますけれども、これは私の知る限り、実は余り行われていないのです。他方、資金協力の面でいきますと、これは無償資金協力の中におきましても国連の機関といったものを通じて協力をしているということはございますが、この研修とかセミナーの関連につきましては、今私が承知している限りでは適当な例を覚えておりません。

田端委員 どちらにしても、ぜひ成功させていただきたい、そう思います。

 久間大臣、済みません、ちょっと、きょうはもういろいろな形で御質問がありましたが、最後にもう一回、まとめてよろしくお願いしたいと思います。

 率直に言って、防衛省の最高幹部である久間先生がそういうことを言われますと、マスコミはいろいろな形でおもしろおかしくやります。そしてまた国民は、防衛大臣までそういうことを言っているのなら、それはちょっとと、こういうふうな感じにどうしても引っ張られます。そこのところがいろいろ問題になってくるわけであります。

 もう一度確認させていただきますが、〇六年十二月、長官時代に、米国のイラク攻撃は早まったのではないかという思いがそのときもしていたということを記者会見でおっしゃったと。それから、ことしの一月、防衛大臣に就任されてからですが、米国はイラクに大量破壊兵器がさもあるかのように戦争に踏み切ったが、判断が間違っていたのではないか、これは講演されたようであります。それから、〇三年二月、政調会長代理のときに、米英の対イラク戦争について、支持という言葉を使うのは適切ではない、理解で十分だ、こういうことを新聞でおっしゃっている等々、今三つ事例を挙げさせていただきましたが、こういうことは結局、どうしても誤解を招いてしまいます。

 それで、私は、きょうはもう明確に、大臣としてこれはもうはっきり、きちっとしていていただかないと、後々またいろいろな形で尾を引いてくると思いますので、やはり国民に対してのしっかりしたメッセージをお願いしたい、こう思います。

久間国務大臣 この間の日本記者クラブの場合もそうでしたけれども、講演で言っているわけじゃないんです。終わってから記者からの質問がありまして、それに対して、あなたはあの当時こう言っておったじゃないかというような話をされましたので、言っていることを否定はできないわけでございますので、私は正直に、その当時こういうふうに言いましたということを感想として述べたわけでありました。それが現在の立場でありますと、もう少しそこのところをわきまえながらやる必要があったのかもしれませんけれども、かつて述べたことを取り消すわけにはいきませんので、それはやむを得なかった点もございます。今後は誤解のないように努めようと思いますが。

 ただ、私は、その当時も、アメリカが踏み切ったことについて反対はしていないわけです。それは、アメリカはアメリカとして、それでまた日本国政府も、その後の、私が確認しました議事録を見てみましても、議事録といいますか閣議決定を見てみましても、やはりたび重なる、十二回にわたる国連決議があっているにもかかわらず、イラクが全然その挙証責任を果たしていないということからアメリカは踏み切っている。そして、それを総合的に判断して、日本政府としてもそれを支持する、そういうようなことを政府としてはとっておるわけでありますから、だから、それはそれで、政府のとった態度というのはやはり総合的な判断としては正しかったんだと思うんです。

 ただ、今度は、私としては、そういうことをちゃんとわきまえながら、閣議決定も踏まえながら、もう少しそこの説明をしながら話をしていかなきゃならなかったんじゃないかなと思って、その点については注意しようと思っております。

 今、十二回と言いましたけれども、十二年間にわたって十七本国連が決議をしている、そういう背景があったわけであります。

 だから、これから先、そういうことを踏まえながら、防衛大臣としての立場でこれから先は発言を、特にこの委員会等での発言については、個人の場じゃございませんので、防衛大臣としての発言として対処していこうと思っております。

田端委員 先ほど申し上げたように、治安状況も非常に大変である。そして、はっきり言って見通しもなかなか厳しいものがある。そういう中で、航空自衛隊をどうするかということが今後大きなテーマになってくるわけでありまして、イラクの人道復興支援ということ、あるいは安全確保支援活動、そういう大義はあるにしても、しかし客観情勢がそういうことでありますから、そうしますと、防衛省最高幹部、大臣が発言されるということについては、やはり非常にこれは重みを持ってくるわけであります。

 しかも、この航空自衛隊を今後どうするかという議論との絡みでいきますと、ぜひそこのところはしっかりと国民世論にこたえられるような姿勢でやっていただかないと、どうも今後の問題との絡みで大変なことになるなというふうに私は思っておりますので、ぜひ、今後この問題、まだ尾を引くかもわかりませんが、もう打ち切っていただいて、次へのステップに対しての、大臣のお立場でしっかりとしたメッセージを国民に送っていただくことが大事だ、こう思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

久間国務大臣 イラクに行っております自衛隊はその戦争とは違うということを強調したかったために、委員会等でも盛んにそこの辺が非常に突っ込んだ話になったのかもしれませんが、イラクに行っている日本の自衛隊は、戦争が終わった後の復興支援とそれから平和安全確保支援活動のために行っている。そして、治安状況がそんなに悪いにもかかわらず、各国がそういう人道復興支援と治安維持活動をやっているわけですから、日本の方としてもできる限りのことをしなきゃならない。

 そういう中で、支援活動を今法律に基づいてやっているわけでございますので、そこの話と戦争の入り口の話とは切り離したい、そういう思いは今でもございます。

田端委員 ぜひ誤解だけはないようによろしくお願いしたいと思います。

 話はちょっと変わりますが、我が方で、かつて五百五十万の署名を集めまして、メソポタミア湿原の再生ということで国民運動としてやらせていただきました。そして、国連環境計画、UNEPですけれども、ここを通じてイラク南部湿原環境管理支援プロジェクトが二〇〇四年八月に立ち上がりまして、そして今日に至るまでこれが大変大きな成果を呼んでいるというふうに伺っております。

 先日、我が方の太田代表がこちらのイラクの大使と会ったときに、大使からいろいろなことを伺ったようでありますが、このプロジェクトの成果がすばらしいんだそうでありまして、例えば、これによって飲料水が提供できるようにまでなった、それが二万二千人分になっている、そして水道管の敷設とかあるいは湿原の土木工事とか等々で雇用も二万五千五百七十二名、人日ですね、という雇用にもなっている、そして湿原の再生状況も、二〇〇四年当時よりも六〇%ふえた、そしてかつての破壊前の約半分の四八%まで拡大されているというふうな数字も聞いているわけであります。

 イラクに対する復興支援活動という意味では、これは物すごい大きな成果になっているんではないかと私は思いますが、こういうことが全然報道に上がってこない、また、外務省からもそういう報告がないというのはどういうことなんだろうと。

 イラクのことがこれだけ大きな問題になっているんですから、日本がいろいろな形でかかわった中でこういうことも成果として出ていますよという、これは国際評価も大変高いということを聞いておりますけれども、その辺についてもう少し、今申し上げたようなことを、補足があればきちっと御報告いただきたいと思います。

岩屋副大臣 この事業に対しましては、公明党さんや先生、多大な御支援、御尽力を賜っておりますことを心から敬意を表し、感謝、御礼を申し上げたいと思います。

 今、その中身についても先生から御紹介をいただきましたが、メソポタミア湿原環境保全事業第一フェーズ、平成十六年八月から平成十七年度末まで実施されましたが、我が国は本件事業に対し一千百万ドルをUNEPに対して拠出しております。

 第一フェーズでは、湿原の水質管理や衛生分野等の技術研修を延べ二百七十二名のイラク人に対して行った。それから、専門家会合や湿原情報ネットワークの構築等を行いました。また、イラク南部六カ所に浄水設備を設置し飲料水を提供するなどしてきておりまして、先生から御紹介ありましたように、この努力の結果、約二万二千人に安全な飲料水が提供できるようになった、収入や雇用もふえた、湿原地帯を離れていた住民の帰還が促進された等、大変大きな成果を上げているところでございます。

 また、このようなプロジェクトの成果を評価する国際ワークショップが昨年十二月、京都において開催されまして、ここには御党の所属の当時遠山清彦外務大臣政務官が出席をされておられます。

 このワークショップのときには東京で記者会見が行われまして、外電のキャリーを含め約八十件の内外報道がお集まりいただいておりますが、先生の方からまだまだ宣伝といいますか紹介が足らぬぞというおしかりをいただきましたので、こういうすばらしいプロジェクトに関しましては、外務省として引き続き努力してしっかり広報していきたい、こう考えております。

田端委員 ODAも五十億ドルという大変な金額でいろいろな形で支援しているわけですから、これらについてもその都度その都度、やはり国民にきちっとしたメッセージを送っていただければと思います。

 以上です。ありがとうございました。

浜田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.