衆議院

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第9号 平成19年5月14日(月曜日)

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平成十九年五月十四日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 石破  茂君 理事 渡海紀三朗君

   理事 中谷  元君 理事 西村 康稔君

   理事 松浪健四郎君 理事 神風 英男君

   理事 原口 一博君 理事 田端 正広君

      安次富 修君    伊藤信太郎君

      伊藤 忠彦君    石原 宏高君

      今村 雅弘君    宇野  治君

      小野寺五典君    越智 隆雄君

      大塚  拓君    金子善次郎君

      北村 茂男君    坂井  学君

      清水鴻一郎君    杉田 元司君

      鈴木 馨祐君    土井 真樹君

      冨岡  勉君    中根 一幸君

      中森ふくよ君    長島 忠美君

      西本 勝子君    橋本  岳君

      福岡 資麿君    藤野真紀子君

      町村 信孝君    松本 洋平君

      三原 朝彦君    山内 康一君

      吉川 貴盛君    池田 元久君

      楠田 大蔵君    古賀 一成君

      後藤  斎君    笹木 竜三君

      田村 謙治君    武正 公一君

      中川 正春君    長妻  昭君

      伴野  豊君    山口  壯君

      山井 和則君    笠  浩史君

      江田 康幸君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君    阿部 知子君

      辻元 清美君

    …………………………………

   議員           笹木 竜三君

   議員           末松 義規君

   議員           原口 一博君

   議員           山口  壯君

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   外務大臣         麻生 太郎君

   防衛大臣         久間 章生君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   防衛副大臣        木村 隆秀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       鶴岡 公二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     福岡 資麿君

  清水鴻一郎君     坂井  学君

  中森ふくよ君     土井 真樹君

  松本 洋平君     藤野真紀子君

  宮澤 洋一君     小野寺五典君

  武正 公一君     笠  浩史君

  伴野  豊君     田村 謙治君

  山井 和則君     山口  壯君

  阿部 知子君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  小野寺五典君     宮澤 洋一君

  坂井  学君     清水鴻一郎君

  土井 真樹君     山内 康一君

  福岡 資麿君     大塚  拓君

  藤野真紀子君     長島 忠美君

  田村 謙治君     伴野  豊君

  山口  壯君     笹木 竜三君

  笠  浩史君     武正 公一君

  辻元 清美君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  長島 忠美君     松本 洋平君

  山内 康一君     中森ふくよ君

  笹木 竜三君     山井 和則君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第八九号)

 イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案(原口一博君外四名提出、衆法第一九号)


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び原口一博君外四名提出、イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君、外務省大臣官房地球規模課題審議官鶴岡公二君、外務省大臣官房審議官長嶺安政君、外務省大臣官房審議官佐渡島志郎君、外務省北米局長西宮伸一君、外務省中東アフリカ局長奥田紀宏君、外務省国際法局長小松一郎君、防衛省防衛政策局長大古和雄君、防衛省運用企画局長山崎信之郎君及び防衛施設庁長官北原巖男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浪健四郎君。

松浪(健四郎)委員 おはようございます。自由民主党の松浪健四郎でございます。

 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきますけれども、その前に、何もかも焦げつくような厳しい暑さ、水銀柱が四十度から四十五度、それ以上を示す高温乾燥の地であるクウェートで、二百名の航空自衛隊員が平和のために、またイラク国民の安定と豊かな暮らしのために貢献してくれていることに感謝を申し上げたいと思います。

 そして同時に、インド洋南部で、灼熱の太陽のもと、世界の国々の艦船に給油活動を続けてくれておる、国際テロ防止のために活躍してくれております海上自衛隊の皆さんにも感謝を申し上げたいと思います。

 そして、これら自衛隊員を支えてくださっております御家族の皆さん、防衛省の皆さん、そして国民の皆さんにも敬意を表して、質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初にお尋ねしたいのは、この法律は七月の三十一日で切れるわけであります。そして、よく読んでみますと、四年間あるけれども、また四年間を延長することができる、こういうふうに書かれてありますけれども、政府はこのほど、二年間の延長だというふうにされました。

 総理は、先ごろのゴールデンウイークには訪米をされ、そして、このイラクとのかかわりの深いイスラム教国の五カ国を歴訪されました。そしていろいろと思われることもあったでしょうし、各国の首脳と会談をされて、そして、我が国のこの法律をどうするかというようなことについても思いをはせられた、このように私は思います。

 そこでお尋ねしたいのは、なぜ二年間にする必要があったのかということについてお尋ねしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 お答えをする前に、先ほど松浪委員がお話しになられた、現在クウェートの地にあって、イラクの空輸活動を行っております空自部隊、私も視察をしてまいりました。極めて士気が高く、そしてクウェートの方々からも、礼儀正しく謙虚な自衛隊、空自の方々に対して感謝の念、そして敬意の表明がありました。私は、日本国総理として大変誇らしく思ったような次第でございます。

 また、アブダビにおきまして海上阻止活動に対して協力をしております海自の部隊を視察してまいりました。やはり、極めて高い士気の中で、大変厳しい条件の中で活動をしっかりときっちりと行っている自衛隊に対する評価は極めて高い。また、私が訪問をいたしました湾岸諸国、そしてまたエジプトの首脳からも自衛隊の活動に対する称賛の声があったということもお伝えをさせていただきたい、このように思う次第でございます。

 まず、イラク特措法の二年間の延長の理由についてでございます。

 まず、私どもは、イラクを初め中東地域から石油資源の九割近くを輸入しているわけでございまして、この地域の平和と安定ということは我が国にとりましては死活的に重要であり、まさに国益が直接かかっていると言ってもいいのではないか、このように思うわけでございます。

 そしてまた、イラクは今後数年間が国づくりのかぎを握る極めて重要な時期である、こう思うわけでありまして、国連関係者は今後少なくとも数年間活動していくという意向を示しているわけでありますし、また多国籍軍も早期撤収をするという可能性は低い、このように承知をいたしております。

 また、潘基文国連事務総長、あるいは来日をされましたマリキ首相、そしてマリキ首相の前に来日をされたハシミ副大統領からも、自衛隊の活動の継続を強く要請されているところでございます。

 イラクの安定と復興はまだまだ道半ばでございまして、この法律の目的であるイラクの復興努力に対する支援に腰を据えて取り組んでいく姿勢を示していく必要があります。そして、空自による輸送支援を継続的、安定的に続けるためにはある程度長期的な期限を設定していく必要がある、こう認識をしているところでございまして、こうしたことを踏まえまして、政府としては法律を二年間延長するということとした次第でございます。

松浪(健四郎)委員 とにかく、イラクの治安はよくならない。それでもって、宗派対立、スンニ派とシーア派の対立が激化をしておるわけでございまして、毎月五百件の事件が起こっておりますし、そして、死者が毎月平均千五百人を超えておるというような状況下にあります。

 我が国政府は、今総理からお話がありましたけれども、外務省が中心になって、スンニ派、そしてクルド族の皆さん、シーア派の皆さんとの融和を図らなければならないということで、いろいろなセミナーを開かれたり、工夫をされて努力をされておるわけでございますけれども、まだまだ治安の状況は好転していない、これが現実であろう、こういうふうに思います。

 それで、航空自衛隊の今後の活動につきましては、イラクの政治状況やあるいは治安状況、これらを踏まえて行うべきだ、こういうふうに考えるんですけれども、総理にお尋ねしたいのは、今後の政府の方針についてどうするのかということをお聞きしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 政府といたしましても、現在のイラクにおける宗教的な対立、紛争の激化に対しまして大変懸念を持っているところでございます。国民の融和を図っていくためにも、政府として努力をいたしております。

 日本国内におきまして国民融和会議を開きまして、シーア派、スンニ派それぞれから代表を送っていただきまして、国民の融和の促進のために日本もリーダーシップを発揮していきたい、こう考えている次第でございますし、また、マリキ首相はシーア派、またハシミ副大統領はスンニ派でおられますが、それぞれにこの宗派間の対立を乗り越えて国民融和を進めていく、そのことがイラクの復興のためには不可欠である、こういうことも申し上げ、また要請もした次第でございます。

 今後のイラクにおける自衛隊の、空自部隊の輸送活動につきましては、ただいままさに委員が御指摘になられましたように、政治状況そしてまた治安状況を十分見きわめていく必要がある、このように思っております。こうした状況を踏まえて、現在の活動を実施していくということになるんだろう、このように思います。

 そしてまた、我が国としては、これらに加えまして、私どもと一緒に今イラクの復興に汗を流している国連及び多国籍軍の活動や構成の変化等の諸事情にも十分に注意を払い、見きわめながら、イラクの復興の進展状況等を勘案して判断をしていかなければならないと考えております。

松浪(健四郎)委員 とにかく、治安状況が悪い。これだけにとどまらず、イラクには旧ソ連製のミサイルがある、そして航空機をねらわれるというようなこともあるし、携帯ミサイルもある、こういうふうにお聞きをしております。

 それで、小牧の第一航空輸送隊がずっとイラクに行っておるわけでございますけれども、これは二年間延長されるということになりますと、既に小牧から三回、四回派遣された隊員がおるということになっております。大体、一回派遣されますと四カ月で交代するわけですけれども、しかし、考えてみますと、これは大変なストレスであろう。危険を顧みず、任務を遂行されておるわけでありますから、私は、精神的にも大変な疲労があるだろうし、困るだろう。そこで、御家族の皆さんも心配をされておる。

 そこで、防衛大臣にお尋ねしたいんですけれども、これら隊員についてのケア、そして処遇、待遇等、どういうふうにお考えでいらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。

久間国務大臣 今もお話がございましたように、もう回を重ねること四回になる人もおられるわけですね。一つには、C130での輸送でございますから、どうしても限られておるわけですし、パイロットも限られている、部隊の数も限られておりますから、そういう人たちが繰り返し行くことになります。非戦闘地域である、比較的そういうような攻撃を受けないようにしてやっているといいますものの、やはり毎日厳しい状況でございまして、大変なストレスを感じておられると思いますし、危険がないわけじゃありませんから。そして、その中で、急上昇あるいは急降下、そういうことによって難なく今日まで来ておりますけれども、なかなか大変でございます。

 それだけに、ストレス等についても大変なものがございますし、また、本人さんもさることながら、それを派遣しておられる家族の方たちの思いも大変だと思っておりますので、本人については、メンタルケアを初めとして、あらゆる角度からいろいろな健康管理と同時に、精神面でのまた健康管理もできるような、そういうことを今やっておりますし、家族の方々には、最近ではメールだけではなくて衛星電話その他もございますので、連絡をとれるような、そしてまた御家族のところには、残された部隊等が絶えず連絡をとりながら、向こうの状況等も伝えるようにしてやっております。

 幸いに、今、衛星電話で本部同士は向こうと連絡をとれます。ほかは、いろいろ秘密の問題がございまして、できない点もございますけれども、そういう点では、できるだけのそういう情報を家族の皆さん方にも伝えることによって、安堵していただけるように努力をしているところでございます。

松浪(健四郎)委員 大臣、処遇とかケアについては、もう少し具体的にお聞きできないですか。

久間国務大臣 処遇につきましては、手当その他ございますけれども、今、一万六千円から千四百円ですか、非常に幅があるわけでございますが、イラクの場合は、バグダッドその他、非常に危険な地域でございますから。

 ただ、それにつきましても、これまでのいろいろな例を倣ってやっておるわけでございますけれども、当委員会でも野党の皆さん方から、高過ぎるんじゃないかというような批判等もございますので、私どもは、必ずしもそうではないということを説明しておりますけれども、そういう声も一方にはございますので、どういうふうなところがいいのか。特に、これから二年延長になりますと、同じ人が繰り返し行くことになりますから、そういう人たちに対する配慮は、今までとはまた違った角度でしなければならないんじゃないかなという思いもございますけれども、今直ちにここで処遇の問題について返答するというわけにはいきませんので、御了解いただきたいと思います。

 なお、ケアにつきましては、また細かくいろいろとやっていこうと思っております。

松浪(健四郎)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、クウェートで活躍されている航空自衛隊の皆さん、そしてインド洋南部で活躍されております海上自衛隊の皆さんの安全を祈念して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

浜田委員長 これにて松浪君の質疑は終了いたしました。

 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 おはようございます。公明党の丸谷佳織でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私は、当委員会に長い間所属をさせていただいているわけでございますけれども、二〇〇三年の七月の三十一日から八月の六日にかけまして、この委員会の調査団の一員としまして、きょうもこちらにいらっしゃいます中谷議員、また中川議員、赤嶺議員そして阿部議員とともにイラクのバグダッドの方に行かせていただくことができました。

 本日その延長が議題となっておりますイラク人道復興支援特別措置法が成立した直後でございましたけれども、当時私が自分の目で見ましたイラクの状況というのは、五十度近い本当に物すごい暑さの中で、飲む水がない、あるいは電力が途絶えてしまっているということで、病院に行っても十分な医療品もなく、ただおなかを壊したり高熱を出してベッドの上で横たわっている赤ちゃんをお母さんが扇子であおいであげるしかすべがない、何とか本当に助けてほしいという声を実際に聞いたときに、米英によるイラク攻撃、武力行使に対する議論はあるものの、我が国としてイラクの人道復興支援に対してできることはやるということを決めたことに関しては、本当に間違いではなかったというふうに実感をいたしました。

 陸自の皆様は、イラクの南部におきましてその人道復興支援に当たっていただき、現場でも高い評価をいただき、そして安全が確保された中でその任務を終えられて帰国をされましたことに敬意を表しますし、また一方では、現在も空自の皆様が輸送活動の継続をされております。この継続につきましては、我が党の太田代表は、さきに来日されましたイラクのマリキ首相にお会いしたときに、日本に対する支援の感謝とそして継続に対する要望をいただいたわけでございます。

 安倍首相は、五月の連休に中東訪問されまして、一日にはクウェートの方で空自の皆様を激励されました。また、本法律の延長に当たって、首相自身が中東地域のトップの方たちとお会いして、中東の情勢を御自分の肌で実感され、率直な意見交換をされたということを高く評価させていただく次第でございますけれども、今、イラクの安定、ひいては中東の安定のために我が国としてできることは何なのか。その一つが、空自による輸送活動も一つであるというふうに考えますけれども、首相の御所見をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 イラクの復興の支援、これはただいま委員がおっしゃったように決して他人事ではないわけでございまして、日本にとりましても、先ほども答弁をさせていただいたんですが、日本の石油の輸入、九割はこの地域、中東地域に依存をしているわけでありまして、日本の国益がかかっていると言ってもいいのではないか。我が国がそうした観点からも主体的にイラクの復興支援に協力をしているわけであります。

 そしてまた、もちろん、イラクにおいて何とか国を立て直そうと頑張っておられる方々に対して、国際的な協力を求めている中にあって、日本もその声にこたえて協力をしていく、これは国際社会における日本の責任ではないか、このように考える次第でございます。

 そして、まさに今、大変厳しい状況にあるのは事実でございます。宗派間の対立等厳しい状況にあるわけでありますが、まさにこの数年間が将来のイラクの復興において大きな、大切なかぎを握っている、こう認識をいたしている次第でございます。

 そして、先ほど答弁をいたしたわけでありますが、マリキ首相が訪日をしたときにも、自衛隊の活動に対する評価、そしてまた、さらなる継続の要請がございました。その際、政府がイラク特措法を二年間延長する改正案を決定したということを説明いたしましたら、この分野での協力は我々に勇気を与える貢献である、このようにおっしゃったわけでございます。そしてまた、空自の活動はイラクの復興に死活的である、極めて重要であるという評価もされたわけでございます。これは、首相の書簡にあるとおりでございまして、空自の活動継続を求めるイラク政府の希望は極めて強い、こう申し上げてもよろしいのではないか、このように思うわけでございます。私は、マリキ首相と直接会談を行っておりますから、直接これはマリキ首相から聞いたことでございます。

 さらには、今回、湾岸諸国そしてまたエジプトを訪問してまいりました。各国の首脳からも、日本のイラクの復興支援に対する貢献を高く評価されたわけでございますし、また、この空自の活動の二年間延長について私が説明をしたところ、ぜひ継続して日本にも貢献してもらいたい、このような要請、そして感謝の言葉があったことも御紹介をさせていただきたい、このように思う次第でございます。

 そして、もちろん国連事務総長の潘基文事務総長からも、自衛隊の空輸支援への謝意表明の書簡があったわけでございます。

 まさに、イラク復興は道半ばでありまして、我々が腰を据えて取り組む姿勢を示していくことが必要であり、空自による輸送支援を継続的、安定的に続けるためにも期間的な枠をある程度長期に設定する必要があるわけでありまして、法律を二年間延長させていただきたい、このように思う次第でございます。

丸谷委員 現在のイラク政府は、昨年の五月に、国民による投票という形で極めて民主主義な手続を経て成立をした政権でございます。しかしながら、連日の報道にもありますように、テロがおさまらないという状況でもございます。今首相がおっしゃいましたけれども、まさに今がイラクの国の安定を図るために政権は正念場を迎えていると言っても過言ではありませんし、それに対して我が国あるいは国際社会がどのような形でかかわっていくのか、非常に重要な視点だと考えております。

 空自の皆様が輸送活動していただくためには十分な安全確保をしていただくことは当然でございますけれども、現在のイラクの治安状況を見たときに、ただ単純に宗派の対立だという見方をしてしまうと、若干間違ってしまうのではないかという気が私はしております。

 逆に言えば、宗教を自分たちの都合のいいように利用している国際テロ組織が、イラクの安定化を阻むための活動という点もあるというふうに考えておりますけれども、あえて言えば、いまだテロとの闘いは解決を見ていない状況だと言うこともできると思います。

 外務大臣に、現在のイラクの治安状況についての認識をお伺いいたします。

麻生国務大臣 現在のイラク全土におきます治安情勢というものにつきましては、バグダッドを中心に厳しい情勢が続いておると思って理解をしております。

 宗派間対立もございます。また同時に、いわゆるスンニ派、シーア派というもののプラス多国籍軍と武装勢力という衝突、二つの要素があろうと存じますので、治安情勢としては、この二つがいろいろ重なっておりますので話をさらに複雑にしておると思っております。御指摘のありましたように、融和につきましてはとても大事なところだと思っておりますけれども、今行われております状況としては、そのような情勢。

 四月末までのところでは、北部等々クルド人地域というのは、情勢としては安定をしておったと理解しておりますし、比較的他の地域、特に中部地域に比べて安定をしておったと理解しております。ただ、五月の九日、それから先日、五月の十三日、いずれも北部のクルド人地域において爆発事件が起きておりますので、そういった意味では、不安定状況がクルド地域に広まったというべきか、バグダッドの周辺のいわゆる治安が厳しくなったから北部にその分が行ったというべきか、いろいろな見方はできようと思いますけれども、そういった状況が続いておりますので、こういった情勢というものが今のイラク情勢を極めて厳しいものにしておるというように理解をいたしております。

丸谷委員 イラクの安定、中東の安定というのは、その地域の方々のみならず、日本にも直結している課題でございます。

 言うまでもなく、エネルギーの九割というのを中東地域から依存していることを考えますと、きょうはテレビで放映をされておりますが、御家庭でテレビを見ていらっしゃる家庭の皆様の電気ですとかガソリンですとか全部、この中東地域からのエネルギーが不安定になることによってすべて家庭に直結をしてくるということを考えましたときに、その意味からも、イラク、中東の安定のために日本が尽力をするというのは当然のことでありまして、テロとの闘いという側面では、日本も当然対象になることを考えて、当事者意識を持って取り組んでいかなければいけないと考えております。

 さて、今まで中東との外交といいますと、エネルギー外交をメーンとしてきた日本でございますけれども、今回の首相の中東訪問によりまして、新時代を切り開いていこうという方針のもと、教育、科学技術あるいは環境、文化交流など重層的な関係構築を提案されてまいりました。とても重要な外交方針でございまして、高く評価をさせていただきます。

 一方で、中東地域ならではと言ってもいいと思いますけれども、宗教的な理由から、男性では決して入っていけない分野というものがございます。私も、外務政務官をさせていただいたときに、担当地域の中東を訪問させていただいたわけでございますが、特にサウジアラビアでは、仕事であっても男性と女性は会うことができない等、聖域がございます。

 今回の訪問でも、安倍首相は会うことができなかったけれども、昭恵夫人は会うことができたという方が恐らくいらっしゃるのではないかと考えております。ファーストレディー外交の重要性というのはもちろんでございますけれども、特に中東地域におきましては、首相が提案をされました文化、教育、環境に加えまして、女性リーダーの交流というのも非常に重要であり、それを根づかせていくことが、中東地域を支えているのは男性だけでは当然ございません、女性もしっかりと安定に向かって支えているわけでございますので、特に中東地域における日本と女性リーダーの交流というものも今後の日本外交の柱にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 私の今回の中東地域の訪問の目的は、今までの中東外交といえば、まさにこの日本にとって大切な資源を確保するための資源外交が中心であったわけでありますが、しかしそれは、資源だけなのか、そういう気持ちを中東の諸国にもたらした、そういう気持ちにもさせたのも事実でございます。やはり今後は重層的な、今まさに丸谷委員が御指摘になったように、教育や、あるいは環境や文化、さらにはエネルギー分野以外の産業の技術での協力ということも含めた重層的な関係を構築していかなければならない、このように思うわけでございます。

 その中でも、例えば、一つは、女性が社会に参画をしていくという大きな流れの中で、中東の女性との交流という意味におきましては、日本・アラブ女性交流というのも行っております。日本の女性の指導的な立場にある方々に、女性リーダーの方々に五十名中東諸国に行っていただいて、また、中東諸国からも女性のリーダーの方々に日本に来ていただいて、そうした分野での交流を行っているところでございます。

 今回、私の妻も同行したわけでありますが、中東諸国といえば大体首脳一人で行くということでありますけれども、しかし、今回は各国の首脳夫人と私の家内が懇談や夕食をともにする機会も随分ございました。また、カタールにおいては首脳夫妻同士の夕食晩さんというのがあったわけでありまして、随分それは時代の変化を感じさせるものではなかったか。また今後とも、こうした女性の交流を進めて、中東地域での女性の交流を積極的に進めて、重層的な中東との関係の厚みを増していきたい、こう思っているところでございます。

丸谷委員 ありがとうございました。

 大変に女性の交流というのを重要視していただくとともに、実際には行われている外交が、女性交流はあるんですけれども、先細ってきているのも現実でございます。ぜひ今回の総理の中東訪問を機にして、またこれを大きな柱として、しっかりと女性の声を吸い上げていく安倍政権という中でまた頑張っていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 これにて丸谷佳織君の質疑は終了いたしました。

 次に、神風英男君。

神風委員 おはようございます。民主党の神風英男でございます。

 本日は、先般の本会議に引き続きまして、イラク特措法改正案また廃止法案について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、これまでの審議を通じて非常に痛感をいたしますのは、現地イラクの状況あるいはその活動をされている航空自衛隊の活動内容、これが余りにも情報公開がされていない、実態がわからないということでございます。

 そこで、さきの連休中に民主党として現地視察を実施することになりました。当初、私もその現地視察に入りたかったんですが、私の場合、名前が名前なだけに、自爆テロ要員と間違えられても困るということから今回は辞退をしたわけでありますが、実際に現地に行かれた民主党の法案提出者に、まず、これまでのイラクの現状認識、また、実際に行かれて、現地の状況はどうであったのか、そのことからお伺いをしたいと思います。

笹木議員 お答えをします。

 連休中に行きまして、これは民主党としての調査団ということで、当然、イラクのこの特別委員会の審議、そのためにしっかりと実態を見ないといけないということで、遊びに行ったんじゃないわけで、国会の審議のために行ったわけですが、非常にびっくりしたのは、先ほど神風委員もお話ありましたけれども、全く情報が開示されない。後で他の委員もお話しになると思いますが、大体、輸送実績について、こういう黒塗りの部分ばかり見せているわけですね、国内においても。そして、現地に行って実際自衛隊の方にもお話を聞いても、内容は言えないと。しかし、いや、実際にアメリカの兵隊の方は運んでいるでしょう、あるいは武器も運んでいるでしょう、否定はしないわけですが、そういう押し問答が続く。

 そして、イラクは、先ほど、与党の何人かの方が何年か前に調査に行った、今は治安が非常に悪い状態ですからイラクには入れない、それはしようがないでしょう。特に政治関係の者は入れないという、これもしようがないでしょう。しかし、クウェートにおいて、例えば外務大臣あるいは国防大臣がうまく日程が合わなかった、普通ならそれで、かわりの方のアポぐらいは当然外務省が設定できると思うんですが、それもしない。こうしたことが非常に腹立たしい。全く、余り思い出したくない不愉快な思い出ですが、こういう点があります。

 これはこの国会での審議においても同様だと思います。言ってみれば、国民に実態を知らせる、あるいはこの国会報告、これもこの法律の前提のはずです。シビリアンコントロールの前提。しかし、それを全く伏せている。これは、国防にとっても、国民の参加意識、これは基盤なはずで、それにふたをしているというのは国防の基盤を崩している、そう思います。

 実態について、しかし、そういった実態ではありましたが、もちろん個人的なつながりでいろいろな方にお話を聞くことはできました。先ほど、いろいろ今非常に深刻な状態だと与党の方も言われていますが、イラク戦争以前はどうだったか。テロでのイラクでの死亡者は、二〇〇一年と二〇〇二年には年間平均五人です。今何人なのか。六千人以上、この三年間で。負傷者は一万人を超えている。しかも、これは死体が、実行犯がだれかがわからないようなのが、二〇〇三年が八八%、二〇〇四年が八九%、二〇〇五年は九一%、捜査とか警察機能が一切機能してないわけですね。

 では、この状態は一体どうして来たのか。簡単ですよ、理由は。アメリカが、大量破壊兵器がある、アルカイダとのつながりがある、だから戦争をやると言って、戦争をやってみたら、終わって、二つとも全く根拠がなかったわけでしょう。これに対してイラク国民の反発が非常に強くなっているわけです。しかも、アルカイダだけじゃなくて、ほかのテロに若干のつながりがある方、テロリストに若干協力する方も全部敵だと言っている、ブッシュさんが。それで、人民の海をつくってテロリストが国民の中に隠れやすくなってしまったわけでしょう。

 そして、占領統治、これは日本の外務大臣が、アメリカの占領は、統治は非常に幼稚だったと言っています。あるいは、日本の防衛大臣は、あの戦争は間違っていた、あるいは、日本は、政府は支持していなかったと、この特別委員会の最初の委員会の審議でもまだ言われているわけです。支持していなかったと二回言われています。これは、本音では間違ったと思っているんだと思います。外務大臣も、占領政策、統治が、アメリカが失敗だったと思っているんだと思います。

 では、今の現状がどうか。一方では、民間航空機、日本以外の五カ国は民間の飛行機を飛ばしているわけですね。アメリカ以外に対しては、民間に対してはそういう状態があります。

 結論として、これだけ悪化した、しかし、それに対して警察機能、捜査機能が全く機能していない、それに対して協力することは日本としていろいろあるはずだ、それが全くやれていないのが今の現状、これが現状だと思います。

神風委員 このイラク戦争、二〇〇三年の三月の二十日、日本時間でいいますと午前十一時半過ぎ、お昼ごろに、米英軍の有志連合の爆撃によって開戦となったわけでありますが、あれから四年が経過をいたしました。

 そこで、総理にお伺いしたいんですが、開戦の当初、まさに四年前、イラク戦争というのはどういうふうに展開していくと総理御自身は予想されていたのか。総理の御見解をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 このイラク戦争、いわば米国の武力行使を中心とするイラクに対する武力行使でございますが、これは私ももう既に累次説明をしてきているわけでありますけれども、イラクに対する十二年間にわたる国連決議をイラクは無視してきた中において、国連決議にのっとって武力行使を行ったわけでございます。

 もちろん、恐らく、イラクに対する武力行使については、戦力の彼我の差は大きなものがあるわけでありますから、これはうまくいけばある程度早期に終結をすることができる、しかし、その後、復興の支援というのは、これは大作業でありますから、国際社会が協力をして復興に取り組んでいかなければならない、私はこのように認識をいたしておった次第であります。

 平成十五年三月の二十日における、対イラク武力行使が開始された日における内閣総理大臣の談話においても、我が国は、戦闘が一刻も早く、しかも国際社会に対するイラクの脅威を取り除く形で終結することを心から望んでいる旨が述べられています。そしてまた、さらに、イラクが一日も早く再建され、人々が自由で豊かな社会の中で暮らしていけるよう、国際社会がイラクの復旧復興のための支援を行っていくことが重要である、このように述べている次第でございます。

神風委員 日本では、二〇〇三年の五月の一日にブッシュ大統領がイラク戦争に終結を宣言し、それ以降、戦後ということになっているわけでありますが、これは最近出たばかりの、パトリック・コバーンという方の、超一流のイラク・ウオッチャーという方でありますが、この方が書かれた「イラク占領」という本がございます。この最初の冒頭部分がかなり強烈な書き出しでありまして、「これほど変な「戦争」はなかった。二〇〇三年五月一日、ジョージ・ブッシュ大統領が、戦闘は終わったと言ったとき、戦争はほとんど何も始まっていなかった。」といった書き出しからこの本はスタートしているわけであります。つまり、当時、恐らく、一部の中東の専門家というのは、本当に大変なのは、本当の戦争というのはこれから始まるんだということを正確に予想していたのであろうと思うわけであります。

 それに加えて、〇三年五月の一日のまさにブッシュ大統領の演説を読みますと、イラクにおける大規模な戦闘作戦は終了したという形で書かれているわけでありまして、つまり、これはイラクにおける主要な戦闘終結宣言にすぎないのであって、戦争が終結したという終戦宣言を意味するものではないというのが正確な理解なのではないかなと思うわけであります。

 つまり、日本政府が、イラクの主要な戦闘作戦の終了をもって戦争の終結と認識をして、現在のイラクを戦後と解釈するのは、ある意味では無理があるのではないかなと。つまり、いまだイラクというのは戦争下にあるということではないかと思いますが、政府の御見解をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 いわゆる戦争、ウオーという言葉になろうかと思いますが、一般的には、国際紛争を解決するための最後の手段ということであって、二国が対等の立場、いわゆる対称性とか非対称性ということが最近よく使われますが、二国という国同士の間の立場で国権の発動として武力を行使し合うということを戦争ということになっておりますが、御存じのように、国連の憲章下におきましては、安保理の決定、自衛権の行使に基づく軍事行動を別とすれば、武力行使が一般的に禁止、この結果、伝統的な意味での戦争というものを認められる余地はないというのが国際社会で確立しております共通の認識でありまして、御質問のありました戦後とか戦争下といった概念につきましても、そのままの形で一般に論じることはなかなかできにくいというのが昨今の状況。もう御存じのとおりです。

 したがいまして、そもそも、伝統的な国際法上の意味における戦争かと言われれば、今回の国連憲章第七章のもとで採択された安保理決議、六七八とか六八七とか等々を含む、いわゆる安保理決議に合致するというものであろうと存じます。したがいまして、今引用されました、二〇〇三年五月一日のブッシュ大統領によります主要な戦闘の終結を宣言する演説というのであって、ここにもウオーという言葉は使われていないというように記憶をいたしております。

 したがいまして、フセイン政権が事実上崩壊をいたしました後、戦闘が基本的に、戦闘ですよ、戦闘が基本的に終了したこと、後、紛争当事者間の終戦合意、停戦合意があるとは私も承知をいたしておりません。イラクの基本法、また一五四六に基づく憲法制定や憲法に基づく国民議会の選挙実施などの政治プロセスを経て、昨年五月にイラク新政府が発足をしたということでありまして、前政権が倒れたときの戦争終結等々の発言、いわゆる終戦宣言等というものがあっていないというのが事実であろうと存じます。

神風委員 実態としては戦争下にあるということであろうかなと思います。その点だけ指摘をさせていただきます。

 次に、対イラク武力行使への支持の正当性について改めてお伺いをしたいと思います。

 日本政府は、これまで何度も、イラクが十二年間にわたり累次の国連安保理決議に違反し続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かさなかったことをこの武力行使支持の根拠としているわけでございますが、この意味は、結局、米国がイラクへの武力行使を容認する新たな国連安保理決議を取りつけることに失敗した、しかしながら、湾岸戦争時の武力行使容認決議六七八、同停戦決議六八七、一四四一、この三つの決議が武力行使の十分な法的根拠になる、つまり、査察へのイラクの非協力がさらなる重大な違反を構成すると国連安保理決議一四四一が認めている以上、停戦決議六八七が崩れて、再び武力行使を容認した六七八に基づいた戦闘が再開された、こういう理解でこれはよろしいですか。

麻生国務大臣 先ほど安倍総理からの御答弁がありましたとおり、イラクというのは、十二年間にわたりまして累次のいわゆる決議案もしくは国連安保理の決議案に違反し続けた、それに対応した一連の対応と存じますが、今御指摘のありました安保理決議一四四一におきまして、イラクはいわゆる湾岸戦争におけます停戦条件を定めた決議第六八七を含みます国連諸決議の義務の重大な違反を継続的に犯していた、それから以後も継続して犯していることを全会一致でまず決定をしております。

 また、イラクに対しては、武装解除の義務を履行するための最後の機会というのも与えております。十二年間の最後になります。しかし、イラクは決議一四四一で求められておりました武装解除等の義務を履行しなかったというのは御存じのとおりです。この点において、調査団による安保理への累次の報告が、それは明確にされておるところです。

 したがって、決議第六八七の重大な違反が継続的に生じていたことから、同決議に基づくいわゆる湾岸戦争の停戦の基礎が損なわれた。同戦争開始前に加盟国にあらゆる必要な手段をとる権限を与えた決議第六七八に基づき、武力行使が正当化されるというように考えておるところであります。

 このように、イラクに対する武力行使というものは、いわゆる国際紛争というか平和と安全を回復するという明確な目的のために武力行使を認める、国連憲章第七章のもとで採択をされましたいわゆる六七八、六八七及び一四四一を含みます国連安保理決議により正当化をされたというように考えております。

 これまで申し上げております一連の今回の米英の公式な見解と一致しているものと理解をいたしております。

神風委員 ちょっと、そこで伺うわけですが、イラクに対する武力行使を容認しているとされる安保理決議の六七八ですね、この六七八は、クウェート政府に協力している加盟国に対し、安保理決議六百六十及びすべての累次の関連諸決議を堅持かつ実施し、同地域における国際の平和と安全を回復するためにあらゆる手段を、必要な手段をとる権限を与えると規定をしている。つまり、これは簡単に言えば、一九九〇年のイラク軍によるクウェート侵攻を非難して、クウェートからのイラクの撤退を求め、クウェートの平和と安全を回復するためにあらゆる必要な手段をとる権限を与えることを規定しているにすぎないと思うわけであります。

 つまり、この六七八によって、米英軍がイラク領内に進攻して、フセイン政権を武力行使をもって倒す、打倒するということは、どこにもこれは書かれていないと思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 六八七というものの決議の内容がいわゆる破棄された、基本的に守られていなかったということで、基本的に六七八に戻っていったというように理解されたらよろしいんじゃないでしょうか。

神風委員 いやいや、だから、その六七八に、イラクに米英軍が進攻してフセイン政権を武力行使で倒すことはどこにも書かれていないと思いますが、六七八にはどこにもそれは許容されていないと思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 今申し上げましたとおりに、六七八におきましては、地域の平和及び安全の回復のため、あらゆる手段をとる権限を与えると書いてある、あらゆるの中に含まれると存じます。

神風委員 いや、安保理決議六百六十を見れば、これはクウェートからの撤退を求めているだけですよ。

麻生国務大臣 あらゆる手段というところを御理解を、どのように考えるかということだと存じますが、基本的には、イラクというものに対しての一連の行動というものの中に、あらゆる手段が含まれるということなんだと理解をしているということなんだと存じます。

神風委員 いや、そうではなくて、つまり、一九九〇年のときにイラク軍がクウェートに侵攻をし、そのクウェートを解放するために、クウェートの平和と安全を守るために、イラクを武装的にたたくことが許されているだけであって、イラクに進攻してフセイン政権を倒すことは、これは六七八にはどこにも書かれていないと思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 何回も同じことを申し上げるようで恐縮ですけれども、私どもとしては、あらゆる手段というものの中に、クウェートからイラクの撤退、その後の一連の破壊の話やら何やら一連に関連しておりますので、私どもとしては、あらゆる手段というものが容認されている以上、イラクにおけます一連の国連の累次の決議案に対して、それに履行がされないということに対する対応は、必然的に六八七から六七八まで戻ったということだと存じます。

神風委員 とても納得はできませんが、時間もありませんので、ちょっと総理にお伺いをしたいと思います。

 これは結果的に、イラク戦争を行ったことによって、イラクの民間人というのは既にもう六万七千人近くが亡くなっているということであります。このイラクの惨状を招いてしまった結果よりも、その責任よりも、結局、フセイン自身が十二年間にわたって累次の安保理決議に違反し続けたという責任の方が重いという御認識なんですか。

安倍内閣総理大臣 このイラク戦争によって多くの人命が失われたことは、極めて遺憾なことであり、残念であり、また悲しいことであります。

 しかし、イラクが十二年間、累次の安保理決議に対して違反をし続けた。そして、大量破壊兵器をかつてイラクは確実に保持し、そしてそれを行使したわけですね。自国民であるクルド人に対しても行使をした。イラン・イラク戦争においても、大量破壊兵器を行使したのは間違いのない事実であります。そして、多くの人間を残虐な手段によって殺害したのも、大量破壊兵器によって殺害したのも事実であります。

 確実に保持をしていて、そしてそれを行使した、そういう中にあって、その大量破壊兵器を廃棄せよとの国連決議に対して、廃棄したことを彼らはとうとう証明しなかった、証明できたにもかかわらず証明しなかったわけであります。そうであるならば、持っているだろう、こう考えるのは、私は合理的ではないか、このように思うわけであります。

 何回も与えられたチャンスを彼らは生かさなかった中において、かつて行使をしたイラクの独裁者に大量破壊兵器を持たせるということは、国際社会において、この地域の平和と安定、またこの地域の人たちに大きな脅威になる、このように断じざるを得なかった、私はこのように考えているわけでございます。

神風委員 ちょっと民主党法案提出者の方に、今回、イラク戦争の大義がないことを理由の一つとして、自衛隊の派遣に民主党は反対をされ、またイラク特措法の廃止法案を今回提出されているわけでありますが、このイラク戦争支持の正当性についての民主党の基本的な認識と、また今回廃止法案を提出された理由について、簡単にお願いします。

末松議員 お答えいたします。

 先ほど政府が、武力行使の正当性について、一四四一から援用して、昔の湾岸戦争の時代のことで、クウェートを解放するために行われた六七八、六八七、これについて言及されましたけれども、これは全く私どもの解釈では政府のこじつけであって、これはクウェート解放のための決議だと思います。

 総理が言われたように、イラクが累次にわたる国連決議を無視してやってきた、ここのために国連制裁というものがずっと十年間以上にわたってイラクに対して科されてきたわけでございますし、また、その中に、国連査察団が大量破壊兵器の問題についてずっと査察を行ってきた、こういう事実がございます。そして、あえて言えば、国連査察団は、イラク開戦の直前に、今ほとんど大量破壊兵器というものは存在しないと言えると。ただ、さらに確実度を増すためには、もうあと一、二年しっかりと査察をすればそれで足りるんだということを無視したのがアメリカだと思います。

 したがって、今、総理の解釈の観点からいえば、もしそこまでイラクのフセイン政権を倒さなきゃいけないのであれば、国連決議一四四一に対して武力をすべきだというふうに書くのが筋でございます。それが国際社会の理解を得られなかった、それがアメリカの実態、米英の実態でございます。

 したがって、私ども民主党としても、そういった大量破壊兵器がなかった点、そして武力行使容認決議がなされなかった点、そういったことを踏まえて、この戦争に対して私ども民主党としては反対した。

 そして、廃止法案の趣旨でございますけれども、そういう誤った戦争に対して、私どもはしっかりと、自衛隊を送るということはよくないということから反対をし、そして私どものこの基本的な立場を明らかにしてきたところでございます。

神風委員 次に、いわゆる戦闘地域、非戦闘地域の概念について、これは防衛大臣にお伺いをしたいと思いますが、これは、バグダッド空港というのは非戦闘地域であることは明らかであろうと思いますけれども、バグダッド自体というのは、これはいかがなんでしょうか。

久間国務大臣 バグダッドが今どういう状況かということになると、治安が非常に悪いということは言えますけれども、そこが戦闘地域か、あるいはまた戦闘地域でない地域かということについては、現状に即して判断しなければなりませんから、その辺についての判断は、今ここにおる私がするわけにまいりませんが、少なくとも自衛隊が活動しておるバグダッド空港は戦闘地域でないという、これだけは言えると思います。

神風委員 戦闘地域ではないというのは、非戦闘地域であるという意味でよろしいですか。

久間国務大臣 この戦闘地域という概念は、委員は御存じないかもしれませんが、テロ特措法をつくりますときに初めて使った言葉でございまして、要するに、あのときいろいろ議論しましたのは、アメリカが自衛権の行使としてテロとの闘いをやる、そしてそれを受けて国連がそれを支援するということで国連加盟国の各国も支援する、我が国としてもそれはすべきである、そういうような意見が高まりました。

 しかしながら、我が国は、集団的自衛権の行使はできない、それと同時に、武力の行使もできないという二つの、従来からの解釈でいきますと、縛りがございますために、特に、集団的自衛権の行使でないという、それはまたはっきり言えるわけですけれども、国連の決議等に基づいて支援するわけですから。

 ところが、武力の行使の概念でいきますと、ひょっとするとこれを支援しているときに戦闘に巻き込まれることがあった場合に、そこで自分の自己防衛のためにやったとしても、それが武力行使と一体化することだってあり得るから、やはりそういう戦闘が行われる地域ではしないようにしようというような、そういうような知恵といいますか、働きまして、そして、戦闘地域から外れた地域で自衛隊は行動する、支援をするというふうに、非常に二重の縛りをかけたわけであります。

 そういうようなことから、戦闘地域では行わない、その戦闘地域というのは、しかも、初めてというだけじゃなくて、その後も引き続きずっと戦闘が行われない、いわゆる戦闘というのは国際紛争ですね、国際紛争が行われない地域であるというのを確認した上でやりましょうということで、やはり、そういう武力行使との関係で非常に慎重にあの法律をつくったという経緯がございまして、それをイラク特措法のときもそのまま用いて今日に至っている。だから、憲法上許されないことをやっちゃいけないので、戦闘地域ではとにかくやらない、そういうことをやっておりますから、自衛隊が行くところは戦闘地域であってはならないわけであります。

神風委員 これは先週の金曜日の本委員会の阿部議員の質問ですね。久間大臣は今バグダッドは戦闘地域だとお考えですかという問いに対して、大臣は、私自身は戦闘地域とは思っていませんと。やはり戦闘地域というのは国または国に準ずる組織と、そういう対立する組織とが闘っているという明白な形の地域が戦闘地域であって、治安が悪いから、そこにはどこからか迫撃砲が飛んでくるからそこは戦闘地域だという言い方にはならないんじゃないか、そういう認識を持っておりますので、私はバグダッドは非常に治安が悪いということは認識しておりますけれども、それでもってあそこは戦闘地域であるという認識は私は持っておりませんという回答をされていて、これは、この法律というか、この定義に照らせば大変正確な回答だ、御認識だと私も思うわけであります。

 ただ、逆に、であるとするならば、これはイラク全土が非戦闘地域になるということは、少し考えてみればもう明白だと思いますが、その点はいかがですか。

久間国務大臣 イラク全土が非戦闘地域になるとかならないとか、そこまでは、私は、私自身が断定できませんので、バグダッド地域自体も、私自身としては、個人としては、あそこは今治安状況は悪いけれども、戦闘地域かと言われると、そうじゃないんじゃないかという思いは持っていますけれども、それをなかなか断定するような、それだけのまた情報もございませんから、国または国に準ずる組織、そういうのがあそこで戦闘行動を行っているのかどうか、その辺だろうと思います。

 先般、民主党の提案者の皆さん方が述べておられるいろいろな意見を聞きながら、確かに、スタートのときは別だったけれども、それが国に準ずる組織としてどんどんどんどん拡大していくことだって状況によってはあるのかもしれないな。そうすると、私自身がこれから将来にわたってあの集団を国または国に準ずる組織としては認定はしませんよと言い切るだけの材料自身は持っていないわけでありますから、やはりそれについては、ここで私の立場で断定するわけにはいかぬだろう。

 しかし、個人的には、現在の状況で国に準ずる組織が国とあるいはまた米軍と闘っているというような形での戦闘地域としてバグダッド全体を認定できるかなというと、そうはならないんじゃないか、今のバグダッドの場合は治安が悪いということの方がむしろ常識的じゃないかな、そういう思いがしております。

神風委員 この議論を通じて一つ感じますのは、結局、この非戦闘地域の定義というのは、恐らく周辺事態法の後方地域の定義が下敷きになっているわけですね。

 つまり、この後方地域の概念が非戦闘地域となって、さらには今後検討され得るかもしれない恒久法の、これは非国際的武力紛争地域というんでしょうか、こういう形へ名称を変えていただいたのは本当に非常にありがたいなと私は思っておりますが、非国際的武力紛争地域に発展するかもしれない。

 ただ、この中で非常に感じますのは、かつてこの後方地域であるとかあるいは非戦闘地域を議論していた当時、その当時私はまだ議員ではなかったものですから、議論の内容はつまびらかには把握をしておりませんが、当時は恐らくその非戦闘地域イコール危険性はあるけれども比較的安全な地域であった、そういうことが実態として実現されていたんであろうと思うわけであります。それが、次第に、このイラクの情勢がどんどんどんどん悪化していくに伴って、現在ではこの非戦闘地域イコール安全な地域は意味しない。

 つまり、今大臣がおっしゃられたように、バグダッドのような非常に治安が悪い危険な地域でも非戦闘地域であるという形へその概念の中身が相当変化をしたのではないかなと思うわけでありますが、そうすると、これは実態としては自衛官の危険度、危険性というのは相当程度増加をしていると思いますけれども、防衛大臣としていかがですか。

久間国務大臣 後方地域支援という概念をつくりましたときは、あれも私、関係しておりますから言うんですが、後方支援というような言葉ではなくて、後方地域支援というのは、そこには戦闘行為が及んでこないであろうというような、そういうことで言ったわけであります。

 ところが、いわゆる憲法の武力行使と一体化するかどうかということで、イラクなりテロ特措法の場合は、そこは戦闘地域であるかどうかという、まさに現在が戦闘地域であるかどうかというところの考え方を優先させたものですから、そういうような概念規定をしたわけでありまして、後方地域支援ということは、そこではとにかく飛んでこないということですけれども、戦闘地域の場合だったら、治安が悪いところはあり得るわけでありますから、そこは若干基準のイメージが違っておる、そういうようなことも背景にはございましたので、そこの違いについても御理解賜りたいと思います。

神風委員 これまでいろいろとこの委員会で議論をしてきましたけれども、米英と日本とで決定的な違いというのは、やはり何といっても日本の場合には自衛隊への被害が出ていないということであろうかと思います。一方、アメリカではもう三千四百人の米兵の戦死者が出ているわけでありますから、仮にこれが、仮に自衛隊への被害が出ていたとすれば、今のこのきょうの委員会の審議というものも空気は相当変わっていたであろうし、あるいはその結論も相当違うものになったかもしれないと思うわけでございます。

 そういう点で、我々民主党も含めて、その点重々考慮していただいて、最近強行採決という形が非常に頻発をしておりますが、重々慎重な審議をお願いしたいと思いますが、最後に総理、その点についてお願いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 委員会の運営につきましては、それぞれ院でお決めになることだ、このように思っております。

神風委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 この際、中川正春君から関連質疑の申し出があります。神風君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中川正春君。

中川(正)委員 民主党の中川正春です。先ほどの質疑に引き続いて、基本的なところを聞いていきたいというふうに思っております。

 ここ去年からことしにかけて、アメリカでは中間選挙があり、それこそブッシュ政権が大敗をした、共和党が大敗をした。その原因は、イラク戦争の大義が崩れた、これは間違っていたというアメリカの国民の判断、これが反映されたという形。それからもう一つは、イギリスでもブレア首相が退陣をした。ここもやはり、アメリカとペアになってイラクに取り組んできたその方針が間違っていたということ、これが大きなイギリスの中での政策転換として今あらわれてきているということ。こういう情勢の中で、私は、もう一回日本も原点に返ってこの問題を議論してみる必要があるだろうということ、これを痛切に感じるわけであります。

 そこで、先ほどちょっとお話が出ましたが、アメリカの大義という前に、日本がそのアメリカの大義をいかに正当化しているかというその理屈の中で、さっき、国連のそれぞれの決議があったからアメリカは正当なんだ、こんな話が出てきました。しかし、アメリカの大統領がアメリカの国民に説明していることは違うんですね。

 アメリカの大統領はこれまでこれをどのように説明してきたかというと、一つは、イラクのフセイン政権は、テロリスト、それから特にオサマ・ビンラディンと通じているんだ、これは協調関係にあって、それを支援している、このテロに対する闘いなんだということ、これが一つ。それからもう一つは、先ほどお話のあった、イラクはWMD、大量破壊兵器を持っている、所有しているということ、これがその当時のあらゆるアメリカの情報機関のデータの中からわかっている、だからこれは今たたかなければならないんだということで先制攻撃という、いわゆる直接の脅威があったときには、それが武力ということを伴わなくてもその脅威だけで先制的に攻撃ができるんだ、こんな理屈を立ててそしてイラクの攻撃に入った、これがアメリカの大統領が国民に対して説明をしていたポイントなんですよ。

 それに対して日本の安倍総理は、その当時のアメリカの大義、これをどう評価されるのか、これを、原点に戻って、改めて総理の見解を聞きたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 先ほどの質問にお答えをして私も総理としての見解を述べたわけでございますが、ただいま、ブッシュ大統領がどのように説明をしたか、それは国連決議を引いていないのではないか、このような御指摘がございましたが、それは違います。

 ブッシュ大統領の演説、二〇〇三年三月十七日の演説でございますが、この演説におきまして、決議一四四一に言及した上で、いずれもいまだ有効な決議六七八及び六八七により、米国及び同盟国はイラクから大量破壊兵器を排除するために武力を行使することを認められている、このように演説をしています。また、ネグロポンテ大使の書簡におきましても、現在行われている武力行使は、決議六七八及び決議六八七を含む既存の安保理決議によって授権されているものである、このように述べているわけでございまして、私の認識といたしましても、イラクは、長年にわたる、十二年間にわたる累次の国連決議を無視し続けてきたわけでございます。

 そして、大量破壊兵器を持っていたのは間違いない。なぜであるならば、自国民のクルド人に対しても大量破壊兵器を使いました。化学兵器を使った。そしてまた、イラン・イラク戦争においても大量破壊兵器を使ったのは事実であります。そして、多くの人たちを残虐な方法で大量破壊兵器によって死に至らしめたのも事実でございます。であるならば、過去にそういうものを持っていたのはもう既に証明されているわけであります。事実、使ったんですから。

 持っていて使った、その独裁者が、まだ持っているかもしれない、だから、それを、ないということを証明しろと何回も国連において決議がなされたわけであります。そして、何回もチャンスがあったにもかかわらず、彼はそのチャンスを生かすことができなかったということでございます。そして、それはやはり、いつまでも待つわけにはいかないということであったのではないか、このように思うわけでありまして、その中において日本は武力行使を支持した。あのときの状況、あのときの情報の中では私は判断は間違っていなかった、このように思うわけでございます。

 そして、今まさに、イラクを復興していくために、国際的な社会の中において日本もその責任を果たしているわけでございます。ODAによる五十億ドルの支援、そしてまた六十億ドルの債務免除を行っております。さまざまな支援を行う中において自衛隊の空自活動も必要とされているわけでございます。この空自活動を、今後安定的、継続的に行っていく、その意思を示していくためにも、ある程度長期間の期限の設定が必要である、このように考えているところでございます。

中川(正)委員 これは、アメリカの国民がそれを納得していないんですよ。アメリカが攻撃をしたのは、これは国連がそういう決議をしたから攻撃したとだれも思っていない。これはやはり、さっきの、テロに対する闘いという、そのブッシュ大統領の大義をもって、そのころアメリカの国民というのは賛成をし、そしてこれにやれという方向性を与えたということなんです。

 それが、今どうなんですか。ふたをあけてみたら、全部うそだったということなんですよ。フセイン政権は、テロリスト、オサマ・ビンラディンと通じているか。いや、実は全然関係がなかったんだという、その調査結果が、改めてアメリカの国内から政府の機関を通じて出てきました。さらに、WMDの所有ということについても、もう既に、さまざまな途中の経過の中で国連が発していたその忠告に対して、フセインは実は全部廃棄をしていたんだ、WMDはなかったんだということ、このことについてもアメリカの国内からしっかりとしたデータが出てきて、その上で、どうも、アメリカ自身も、それからイギリスでもそうですが、これは戦争に導くために情報が操作されて、捏造されて、国民に対してそんな説明があったんだということ、これがはっきりしてきたということじゃないですか。

 そのことに対して、総理はまだ、ブッシュ大統領が何とかこの窮境を乗り切っていこうとあがいているその理屈をそのまま自分のものにして、弁護をしているだけなんですよ。

 これに対しては、はっきりとアメリカの議会も、これは違っているよ、ブッシュ大統領、間違っているという形で、この間から新しい法案を、予算の措置と同時に、イラク撤退、これをすべきだということを下院でも上院でも可決して、そして、アメリカの国民の意思としては、イラクからこれからは撤退をするという前提の中でプログラムを書いていきなさいよ、ベンチマークもつくっていきなさいよ、そういう意思表示をしているんですよ。

 それに対して、総理、あなただけですよ、ブッシュが正しい、正しいと言っているのは。なぜそこまでこの問題にこだわって、正しい、正しいと言い続けるのか。そこのところをしっかりと説明しないといけないということだと思うんです。

安倍内閣総理大臣 先ほど、私が開戦の直前の、この十七日のブッシュ大統領の演説を引用いたしましたのは、委員が、ブッシュ大統領はこの国連の決議を引いてはいないと、国民に対する説明はですね。国民に対する説明は、アルカイダ等々との関連においてのみ行っているのではないか、こうおっしゃったから、そうではありませんよということを私は申し上げたわけでございます。

 そして、当時の状況について私は御説明をいたしました。当時の状況にあって、サダム・フセインは、とうとうそのチャンスを生かさなかった、むしろ意図的に生かさなかった中において、国際社会としてそのような決意をしたということでございます。

 そして、日本は、もちろん、この武力行使にこれは参加をしたわけでありません。あのときの武力行使と、そして、今行っている国際社会の努力は、これは分けて考えなければならないわけでありまして、今、では、みんなほっぽっておいてそのままでいいのかという、大きなこれは課題があるんですよ。先ほど申し上げましたように、日本は石油の九割をこの地域に依存をしているわけでありまして、この地域の混乱は我が国の国益に直結をする中において、日本はその努力を行っていかなければいけない。

 まだ多くの国々がこのイラクの地にあって、イラク人による復興の努力を我々は支援をしている、そのことは忘れてはならない、このように思うわけであります。

中川(正)委員 話を飛躍させてごまかしちゃいけません。私が言っているのは、まず……(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

中川(正)委員 まず、このブッシュ大統領の過去の判断に対して、総理大臣はなぜそこまで、これが間違っていた、アメリカの国民は結論を出しているんですよ、イギリスでもそういう結論を出している、世界じゅうでこれは間違っていたと言っているのに、あなただけがなぜ正しいんだ、正しいんだと言い続けているんだ、そこのところをまずはっきりしてくださいよ、こう言ったにもかかわらず、自衛隊の派遣へ向いて話をそらしている、すりかえていくということ、そこに、日本の国家としての意思をあなたは代表しなきゃいけない立場から逃げているんです。なぜ逃げなきゃいけないか、ここのところが問題だと思うんです。

 そこで、これはもう一つ、さっきの話、では日本はなぜ自衛隊を派遣したのか、なぜ自衛隊にこだわったのかというところに関係がしてくるというふうに思うんです。それは、さっき、総理がもう既に説明がありました。これは、イラクの復興支援のために各国がそれへ向いて協力をしていく、その中の一つの貢献として、支援施策として自衛隊ということ、これを提起したんだというふうなことですね。

 ところが、ここに矛盾があるんですよ。イラクに民主的な政権ができて、そして、戦後復興のプロセスを支援するためのさまざまな分野への支援要請があった。私も、その当時、イラクに入って、それで向こうの関係者と話を聞いたときには、自衛隊という話よりも、もっと大事な、例えば、電力がこれだけ不足しているんだ、医療がこれだけ足りないんだ、あるいは、さまざまなところで破壊されたその後の施策をしていかなきゃいけない、特に石油、これの施設が破壊された、老朽化している、その中で、これも立ち直らせていかなきゃいけない、こういう説明がありました。

 そんな中で、軍事的な要素というのは、イラクの国内で軍事的な要素がなぜ要るかといえば、これは、フセイン体制のもとで軍や警察が解体されてしまって、権力の空白ができて、そこへ向いて治安維持をするという目的で入っていく軍事力というのが必要であった。あるいは、本来は警察力なんでしょう、そういう目的で実は各国は入っていったんです。各国は入っていった。

 ところが、日本はどんな入り方をしたかというと、日本は、いわゆる海外での直接の武力行使というのは憲法が禁ずるところだ、しかし、自衛隊を入れるということになると、だから、そういう意味では治安維持を直接日本の自衛隊がするということができない、その中で何をしたかといったら、人道支援という形で水の供給をした。そして、もうずっと離れたところで、航空自衛隊、あるいはガソリンスタンドみたいな、これはテロに対する闘いでありますが、そういう形でインド洋で石油の供給をしたということですね。

 これは本来、人道支援なんというのは、自衛隊にこだわらなくても、水の供給というのはNGOが既にしていた、それを支援する形であるとか、あるいは資材や食料を運ぶという行為、これも、民間の航空機も含めて、それぞれの、各国が提供をしているサービスの中で実現ができた。それにもかかわらず、これは自衛隊にこだわったわけなんです。

 時間の関係で省略していきますけれども、なぜこだわったか。これまでこれは何回も議論が出ました。その議論が出た中で皆さんが答えたのは、自衛隊というのは自己完結型だから、水の供給というのは自己完結型でしかできないからというのは、これはうそなんですよ。自衛隊でなくてもできる。既にNGOがやっているんですよ、こんなものは、という形なんです。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。静粛に。

中川(正)委員 なぜ自衛隊にこだわったかということ、ここなんですが、これは、さっきの、一番もとの話に戻る。

 それは、その当時の議論、我々もやってきた。それは、その当時の議論では小泉さんは何と答えていたかというと、これはアメリカがそういう要望を日本に出してきたと。日本はそのとき、北朝鮮、この問題を抱えていた、だから、日米の同盟関係をしっかりしていくためにも、ここが一番大事なところだから、イラクでも自衛隊という、いわゆるショー・ザ・フラッグです。アメリカは、フランスやそしてドイツ、これに対しては協力を拒否された、このイラクに対して。だから、そんな中で、日本にやはり協力をしてもらうということが、ショー・ザ・フラッグ、日本のこの協力の同盟関係というのが光るんだ、だからやってくれという話の中で私たちはやりましたよと。これは、実は小泉さんの答弁の中でも出てきていた話であります。

 そんな中で考えていったから、特別に法律をつくって、これまで海外に対して、こんな危ないところへ、さっきの非武装あるいは武装、どっちなんだという話も出ていました、こんな危ないところへ向いて自衛隊を派遣するということはしていないから、特別に法律をつくって、特措法という形で枠組みをつくって、無理な、非戦闘地帯というような名目を立ててこれを出した、こういうことなんですよ。

 そういうプロセスでこれが出てきたということなんですが、実は、そんな中で、私、総理に一つ聞きたいんですが、今回総理はアメリカに行かれた。その中の一番の目的は、この日米関係の中で、北朝鮮の問題ですよね。北朝鮮の核やミサイル問題、これだけじゃなくて、拉致の問題について、これは、日本の今の拉致を解決しないことにはこれ以上この六カ国協議の枠組みの中ではやれないと今言っているわけですよ、日本は。

 そんな中で、人権あるいはテロ、このテロに対する脅威国として、テロ国家だという指定がアメリカでされている。その中に北朝鮮が今入っているわけでありますが、この北朝鮮のテロの解除というのが今、日程に上ってきている。それを、この拉致問題が解決するまではテロ指定の解除をするなということ、これをアメリカの大統領に対して確約をもらうために行ったということなんですが、その確約ができたのかどうか、そこのところを確認します。

安倍内閣総理大臣 まず正確に申し上げておきたい、このように思うわけでありますが、今、六者会合において合意がなされました。この合意の中でなされたエネルギー支援においては、我々は、拉致の問題が進展しない限り協力することはできない、このように申し上げているわけであります。しかし、それ以外の分野においては、六者会合において合意がなされたことについて、日本も国際社会とともに北朝鮮に核を廃棄させるために協力をしていく、また一員として一緒に取り組んでいくのは当然のことであります。この六者会合の中において日朝の作業部会も開始をされた、こういうことでございます。残念ながら、進展がないのは事実でございます。

 そこで、今般の首脳会議におきまして、まずは、日本のこの拉致問題に対する立場、これは、ブッシュ大統領から完全に日本の立場を理解し支持をする、このように明言をされたことは申し上げておきたい、このように思うわけであります。また、この六者会合との関連において拉致問題に関する自分の強い思いを弱めるようなことがあってはならない、このようにもブッシュ大統領は明確に発言をしているわけであります。

 そしてそこで、今委員が御指摘になったテロ支援国家指定の解除であります。このテロ支援国家指定の解除については、その解除をするための作業を開始する、いわばこのプロセスを開始するということについてのみ合意をしたわけでございまして、この解除がなされた、またなされるということではない。テロ支援国家指定の解除がなされる、あるいはなされたということではないということは、まず申し上げておきたい。

 そしてそこで、日本としての立場は、その指定を解除するためには拉致問題が解決されていなければならない、このように申し上げたわけでございます。それに対しましては、大統領から、拉致問題も考慮に入れる、このように明言があった。これは私と大統領との会談で、私はその当事者であります、私がそのように申し上げているわけでありますから、これは間違いがない、このようにはっきりと申し上げておきたいと思います。

中川(正)委員 実は、二日前の朝日新聞の報道の中で、そこに同席をしていたライス国務長官が、全くこのことについては違うんだ、拉致の問題はアメリカに直接関係のあることではない、これは日本の問題であって、それをアメリカの国内法で条件づけるということはできない、こういうことをはっきり明言している、こういうことなんです。

 私も、実は、その時点でアメリカのワシントンでさまざまな人たちに会いました。政府の高官も含めて、皆、やはり核ということが最優先ですね、日本もその辺は大きな見方で弾力的にこれをとらえていくということが必要だということ、このことが私たちにも説明があった。

 だから、アメリカの意思は、まず、今、北朝鮮との関係、もう二国間協議が、六カ国というより二国間協議の中でこれを安定化させていこうという流れができている、この見きわめをしなきゃいけない、そういうことなんですよ。

 それに対して、私は、まだアメリカにこだわる、特にこのイラクの問題で、アメリカのそうした流れとリンクをしながら、アメリカに気を使いながら、どうしても自衛隊にこだわり続けるというこの姿勢は、やはり日本としてはしっかりここで正していくべきだ、日本は日本の意思でこのイラクという問題についてしっかりとした理論を、論点をつくり上げていくべきだ、こんなふうに思うんですよ。

 そういう観点から、自衛隊を二年間何も条件をつけずにただそのまま認める、そのまま日本は、ブッシュが正しいんだ、アメリカが正しいんだ、アメリカがそこにいる限りはやはり日本もい続けるんだというふうなことだけで日本の国民を説得することはできない。ましてや、我々の、当初のアメリカの大義が崩れているということから見れば、これは日本もしっかり今考え直していかなければならないときだ、こんなふうに思うんです。

 そういう意味で、改めて民主党の見解を聞かせていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

原口議員 中川委員にお答え申し上げます。

 まず、戦争の大義、このことについても、私たちは、二〇〇三年にこの委員会あるいは予算委員会で随分議論をしました。そのときに、政府は、一四四一、六七八、六八七についての解釈をそこで留保していたんです。つまり、今おっしゃっていることとそのときの政府の支持の姿勢とが大きく違う、このことをまず申し上げたいと思います。

 そして、私たちは廃止法案を出していますが、だれもイラクに入ったことがない。先ほど松浪議員が、イラクの政治状況あるいは治安状況に合わせて慎重に見なきゃいけない、私はそのとおりだと思います。だれも自衛隊員の安全確保がどのようになっているのか、それをイラクで確かめることはできないわけです。そのことが私たちは大きな問題であると思います。

 また、私も、実際にアリ・アルサレムに行きました。そして、大変な活動をなさっています。その活動が何に行われているのか、どこに行われているのか。復興支援というお話ですが、現実には安全確保支援活動に行われていて、そのことがほとんど開示されていない、このことが大きな問題である、このように考えています。

中川(正)委員 そこの問題なんですが、実は、四年前に、先ほど丸谷議員からもお話が出たように、特別委員会で現地に入りました。これは中谷議員も一緒であったわけですが、そのときに、C130輸送機は、テロに対する闘いという名目の中で、ヨルダンを中心に物資の輸送というのを、ある意味での後方支援ということを既にやっていたんですね。

 私たち、一体この時点で何を運んでいるのか、特に、そのときには、直接の武器の輸送だとかあるいは武装した兵士の輸送というのが、後方支援、武力との一体化という流れの中ではよくないんじゃないか、そんな議論をしていたということもあったものですから、それを具体的に調べるためにも中に入ったということであります。

 ところが、そのときは、今のような状況じゃなくて、政府もそして現場の責任者も、何を運んでいるかというのはしっかり説明をしてくれました。そのことで、ここに四年前の質疑の中身、メモにしたもの、これは政府から出ているものなんですが、それが手元にあるんです。

 それは、中身は、本来は、例えば食料とかあるいは医療物資とか、そうした緊急性のある人道支援、そうしたものをしっかり運んでいるんだろうな、こういう思いで尋ねたら、違うんですね。パレット、パレットというのは食料を積む下の土台にするパレット、そのパレットと、それから食料を入れるずだ袋、こういうものを運んでいるんだと。

 実は、このとき共産党の赤嶺議員も一緒だったのですが、赤嶺さんから、パレットだけで食料そのものは輸送しないのかという質問が出ているんですね。そうしたら、そのときの現場の責任者が、いや、パレットのみなんだ、食料自体は重量がかさむために船で輸送した方が効率的だということで、飛行機では運ばないんだと。だから、そのときはずだ袋とパレットだけしか運んでいなかったんですよ。

 こういうことで、これまで三百億円使ってきたということであるとすれば、では、なぜ自衛隊なんだ。さっきの話で、これは民間で輸送することもできるんだということ、こういうこともあるんだと思うんです。

 そのことについて、さっきお話の出たように、民主党からも、現地に行こうとしてなかなか皆さんの抵抗に遭ってうまく入らなかったということなんですが、その中で精いっぱい情報を集めていただいたことがあると思うんです。これはどういう状況ですか。

笹木議員 お答えします。

 先ほどもお話ししましたが、実際に、この半年でも、平均、全体で大体一トンほど、その前の半年も大体一トン前後、割る月がありますが、平均するとです。そして、おおむね十回ほどで分けてその一トンほどを運んでいる。一回につき百キロぐらいのものを運んでいる。

 これは、私は、自衛隊関係の方にもお聞きをしました、確認もしました。そして、ここにおられる方でそれに反論ができるなら、後でぜひしていただきたいですが、民間航空機で代替ができないと言い切れるか、それは言い切れませんとはっきりおっしゃいました。民間航空機は、今、他の国で、エジプトからも、ヨルダンからも、イギリスからも、オーストリアからも出ている。貨物便も出ています。どうしてこれじゃだめなの。アメリカの注文を聞くという、アメリカ向けのサービスになっているだけなんですよ。ここが問題ですよ。

 さっきの話に戻します。では、ブッシュさん、ブレアさんが謝った、そして、去年、アメリカの上院の特別委員会も、間違いだった、大量破壊兵器はなかったと言ったときに、日本の総理大臣は、それを受けて記者会見をやって、ではここでどうけじめをつけるの。アメリカの大統領もイギリスの首相もやっている。当然やるべきでしょう。それさえもやらない。今はもう形だけになっている。

 では、形だけのサービスになっている、それを撤退して、何をやるのか。民主党はそれも提案していますよ。関連で、今、他の議員がお答えしますが、そうしたことをやるのが、本当の警察、捜査活動の復活になって、治安にも貢献する、その道だと確信をしているわけです。

 ぜひ関連で、山口議員に。

中川(正)委員 時間の関係もあって、ちょっと、もう一つ先に進みます。

 これを、いや、ちゃんとした活動をしているんだということであれば、どうして国民に対してしっかり説明しないんですか、どうして隠そうとするんですかということなんですよ。これは、恐らく、我々の過去からの想像でいくと、大したものは運んでいないんだということ、このように勘ぐられてもしようがない。それに三百億から使っているんですよ、航空自衛隊は。三百億以上ですね、三百五十。

 こうした形で無理をして自衛隊という枠組みを使って、そしてアメリカにつき合っていく、アメリカというよりもブッシュ大統領の意向に従っていこうとするこの日本の姿勢というのは、このまま続けていくわけにはいかない。我々はしっかりとこの現実というのを見詰めなきゃいけないということだと思っております。

 そんな中で、あれから四年間たって、大義も崩れた。さっき申し上げたとおり、イラクの戦争の大義、一つは、フセインとビンラディンはつながっていなかったということ、そして大量破壊兵器が存在しなかった、また、その情報を捏造して国民をだましたということ。

 そして、もう一つあるんですよ。今の現状を見ていると、さっきから話が出ていましたが、戦争かどうかということ。これは、アメリカの大統領そのものは、テロに対する闘いだ、こう言い続けているけれども、現実にこれを見ている人たち、専門家は、そうじゃないと言い始めている。これは、国内の権力争い、これに対して、スンニ派、シーア派、あるいはクルド族の間、この内部抗争になってきて、彼らの言葉でいうと、これはシビルウオーなんだと。シビルウオー、内戦なんだと。内戦状態が出てきたということと、それとテロとの闘いということは違うんですよ。

 今、アメリカで、政策を転換していこうというのは、この内戦状態になってきた中で、これまでどおりの軍の枠組みではだめなんだと。アメリカが存在する、そのアメリカの存在に対してテロ行為が行われる、それが刺激をしてさらに戦闘状態に入っていく、そういう流れができているから、これはアメリカの撤退シナリオというのを、しっかりとしたベンチマークをつくって考えていかなきゃいけない、そういう流れで今変わってきているということだと思うんですね。

 そこを踏まえて、総理、あなたはまだ、ブッシュさんは正しい、二年でこれを続けていくんだ、無条件で日本はそれについていくんだと、まだそれでも言い続けるのか。そこが最大のポイントなんです。これはやはり日本も、この辺でしっかり、自分の目で見て、自分の頭で考えて、ここはしっかりとした撤退シナリオ、どのように、どの条件が整ってきたら、これはベンチマークというんですが、どういう条件が整ってきたら日本は引き揚げるのかという、そこまではやはり国民に説明しなきゃ、二年間黙ってついてきてくれという話にはならない、そういうことだと思うんです。どうですか、総理。

安倍内閣総理大臣 まず、お答えをする前に、委員から、自衛隊がやる必要はないのではないか、民間に任せろ、このようなお話がありました。これは間違っています。

 確かに、多くの方々に、NGOの人たちにも御協力をいただきたい、そういう人たちの活動は極めて有意義である、このように私は思います。しかし、我が国の自衛隊が行っている活動は、まさに我が国の自衛隊しかできない活動をサマワで陸自は行ってまいりました。そして、まさに今現在空自が空輸活動を行っています。

 そしてそれは、例えば、前の国連事務総長のアナン事務総長からも、ぜひ自衛隊機でやってもらいたい、このような要請があったのも事実であります。危険回避の行動についても十分に周知している自衛隊に空輸してもらうということは大変安心感がある、このような発言があったことも御紹介をしておきたい。

 そして、マリキ首相またハシミ副大統領からも、ぜひ自衛隊にやっていただきたい、このような要請があるわけでありまして、意義がないのであればこんな要請があるわけがないではないですか。そのことはまずはっきりさせておきたい。

 このことを申し上げておいた上において、私はブッシュ大統領を支持したというふうにおっしゃっておりますが、今私は、ブッシュ大統領が新たなイラクにおける治安の回復のために強い意思を示した、この強い意思に対して理解し支持をしているわけでございます。

 そしてそこで、また開戦のときに委員は戻られたわけでありますが、開戦のときの判断、日本が支持をしたという判断については、先ほど申し上げたとおりでございます。そして、ブッシュ大統領あるいはブレア首相が誤っていたと言ったのは、情報について、これは誤っていたということでありまして、イラクに対する武力行使そのものについて自分は誤っていたということを言ったわけではないわけであります。

 いずれにいたしましても、今の自衛隊が行っているのは、イラクの復興に対する支援活動を、イラクの方々からも強く望まれ、そしてまた国連からも要請され、国際社会の中においてその責任を果たしているということでございます。

中川(正)委員 最後に、もう時間が来ましたので一言だけ申し上げますが、さっきマリキ首相の話が出ましたが、彼でさえも、日本では、安倍総理の前では自衛隊、自衛隊と言ったかもしれないけれども、国に帰ったら、いや、もう自衛隊は必要ないんだ、そのうちに引き返してもらっていいよと。それよりも、日本が本当にイラクの中で貢献をしてもらうとすれば、それは民生的な、社会インフラあるいは人道支援、こんな中で日本がもっともっとすべきことがあるという、その気持ちを表明されたんだろうと思うんです。その中で、この間新聞でそれが取り上げられ、またこの委員会でも質疑があったように、私はそれが本音だろうというふうに思うんです。

 日本は国柄として本当に何ができるんだ、何が一番ふさわしいんだということ、これをしっかり考えていかないと、ただ自衛隊にこだわる、自衛隊が海外で武力行使をしていく道すがらを、どうも総理自身が一つ一つの実態をつくりながらつくっているような、そんな印象を得る。それほど総理はブッシュ政権の今の大義を正当化する話に乗ってしまっているんです。日本だけが乗ってしまっているんです。そのことを改めて指摘をしながら質疑を終わりたいというふうに思います。

麻生国務大臣 誤認もしくは誤解もしくは無理解があろうかと存じますが、今の報道等々がありましたけれども、これはほかの委員会で御質問が御党からありましたので、既にお答えをしておると存じますが、そちらの横の連絡がなかったのかと存じますので、私の方から重ねて申し上げます。

 この報道、今バグダッドにおきます首相の発言につきまして、バグダッドにあります日本大使館から先方の首相府の官房長代理に対して、マリキ首相本人の発言の意図を直接確認させてもらいたいということを申し上げております。

 その結果、一、マリキ首相はあくまで、物事が順調に進めば、近い将来にはイラクに多国籍軍がいる必要はなくなろうという希望を述べたにすぎない。まことに理解のできるところです。二、航空自衛隊の活動継続を求めるとの従来のイラク政府の立場は何ら変わっておらず、不変である。三、イラク政府としては、これを可能とする法案が日本の国会で承認されることを願っていると言われております。

浜田委員長 この際、原口一博君から関連質疑の申し出があります。神風君の持ち時間の範囲内でこれを許します。原口一博君。

原口委員 民主党の原口一博でございます。きょう、総理に、三つの方向から少し質疑を深めたいと思います。

 一つは、私も総理と同じようにアリ・アルサレムへ伺って、現地の自衛隊の皆さんを激励し、そして米軍並びに韓国軍の皆さんとも議論というかお話をしてきました。大変士気が高く、五十度を超えるC130の中にも一緒に入りましたけれども、本当に大変な御苦労である。安全で日本に帰ってきてほしい、その思いをさらに強くしました。

 また、アリ・アルサレムだけではなくて、洋上の補給活動、これは洋上における活動もそうですけれども、事前に、港を出るときにも機雷その他をダイブして除去しなきゃいけない。それも大変な高温の中で、専門の技術を持った人たちが何回も派遣をされてやっておられます。C130の輸送の、いかに高い日本の自衛隊の技術といっても、何回も派遣が続くと、やはりその負担はもう想像を絶するものだということをまずもって申し上げておかなきゃいけない。

 だから、本当にC130でずっとやるのか、あるいはほかの選択肢はないか、そして安全確保がしっかりと確保されているのか、そういったことについてはきっちり議論をしておかなきゃいけない、この観点から一つ聞いておきたいと思います。

 それからもう一つは、先ほど少しお話がありましたが、ちょっとパネルを。テロ、戦闘による死者数です。これは総理、米兵とイラクの方々ですね。単位が、米兵の場合は十人、二十人の単位でございますが、イラクの方々は百名単位。本当に戦争が終わっているのか、何との戦争なのか。安全保障を考える上で、脅威の同定というのは、総理、とても大事だと思います。私たちは何と闘っているのか。

 もう一つのパネルを下さい。

 アフガニスタン戦争と、それからイラク戦争で、久間大臣が答弁をされましたけれども、ちょうど二〇〇三年の五月一日、同じ日なんですが、ブッシュ大統領は、イラク特措法、いわゆる、私たちはイラク特措法を今審議していますが、主要な戦闘終結宣言を五月一日になさいました。同じ日にラムズフェルド国防長官は、主要な戦闘終結宣言をアフガニスタンにおいてなさっています。両方とも、不朽の自由作戦、イラクの自由作戦、当時はフセイン政権あるいはタリバン政権というものがありましたけれども、その政権が終わった後も、戦闘が続いているといいながら、現実に私たちが対象としている、国または国に準ずる組織なのか、そのテロリストは。そうなのか、戦争は続いているのか。我が国は、さっき人道復興支援活動の方を強調なさいましたけれども、イラクにおいて、八割は安全確保支援活動、この安全確保支援活動は我が国の憲法に照らしてどのように位置づければいいのか、こういう議論をしてまいりたいというふうに思います。

 まず、イラクにおいて、これは事務方で結構ですから、C130が攻撃を受けた事案というのがあるはずです。どういう事案があって、そして何が起きたか、教えてください。これは、日本の自衛隊ではありません、展開している多国籍軍の中でという質問でございます。

大古政府参考人 お答えいたします。

 防衛省で把握事例でございますけれども、まず一点目が、二〇〇四年の六月二十七日でございますけれども、オーストラリア軍のC130の関係ですが、バグダッド飛行場を離陸直後、地上からの銃撃を受けまして、搭乗中の一人、これは搭乗していたアメリカの国防省が雇っていた民間契約業者ということでございますけれども、この一人が死亡したという事例がございます。

 それから、二〇〇五年一月三十日でございますけれども、イギリス軍のC130ですが、バグダッド周辺におきまして、地上からの攻撃を受けまして墜落し、英軍兵士十人が死亡したという事例がございます。

原口委員 先ほどのこの数字を見てみましても、二〇〇三年の五月から、逆に、米兵の死者、あるいは、今となっては、この緑色のところ、イラクの方々の亡くなる数、本当にもう莫大な数ですね。これで復興支援というけれども、本当にこの状況をどのようにしてとめればいいのか。日本では戦争は終わったと報じられていますけれども、世界のメディアを見てみると、戦争は継続している。その継続している中で、一刻も早くこの戦争を終わらせたいという思いで多くの人たちが活動をしていますが、一体、私たちが闘っている脅威、これは何なのか、このことについても少し議論をしておかなきゃいけないと思います。

 幾ら日本の自衛隊員の操縦技術が高く、あのバグダッド空港、あるいはエルビル、アリという空港に特殊な着陸の仕方、あるいは発着の仕方をしています、しかし、それにも限界があるのではないだろうか。バグダッドにおける掃討作戦が終わった後、逆に言うとそれ以外の地域あるいは市民をねらうテロが頻発している、そして、今日では、安全だったと言われている北部クルド地区においてもテロが起きている、この現状をどのように見ればいいのか。

 そして、それを私たち国会が確かめるすべがないんですよ。私も、イラクに入りたいということで挑戦をしてみました。久間大臣もこの間イラクにお入りになりたいという御意思をお示しになって、麻生外務大臣は昨年の八月にイラク・バグダッド空港までC130で飛んで、その後、米軍機ですか、米軍のヘリコプターでしょうか、それで移動されたと聞いていますが、私たち、自衛隊員の安全をしっかり審議する国会が、その情報を政府から開示してもらって確かめることができているだろうか、このことは大きな問題だと思います。

 防衛大臣、イラクにお入りになりたいという御意思でしたけれども、結局入れなかったのはどういう理由ですか。

久間国務大臣 先ほどから何度も言っておりますように、イラクの治安状況が悪いということは、もうこれはみんながよく知っていることでございます。バグダッド空港は比較的そういう点ではいいと思いますものの、それでもやはり危険は伴うわけであります。ましてや……(発言する者あり)ちょっと黙っていてください、余計なことは。戦闘地域か戦闘地域でない話じゃないわけですから、今のものは。ましてや、ターゲットになる可能性だってあるわけで、国連事務総長の場合は、いつ何どき入るということがわかりましたために、他の地域から攻撃をされたということもございました。そういうことで、報道がされてしまいますと、なかなか、行きたいと思っておっても行きにくいということもございます。

 したがいまして、また、先般、委員たちが行かれるということも聞いておりましたけれども、向こうの方も、そうすぐに、あした来ますからというような形での、そういうことではなかなか対応できない点もございまして、その辺の戸惑いがあったのだろうと思っておりますが、いずれにしましても、大変入りにくいのは事実でございます。

原口委員 マリキ首相が共同通信のインタビューにおいて、順調にいけば年内にも自衛隊の活動は終了するだろう、そういう報道はありました。しかし、私たちは特別委員会で直接マリキ首相と議論をして、そこでは、やはり自衛隊の活動を支援する、そういうお話がございました。

 ただ、一方で、マリキ首相がコメントされていることで大変やはり重要だなと思うのは、友人に傷ついてほしくない、このコメントは非常に大きなコメントだと思います。

 また、政治状況でいうと、マリキ首相はサドル派に属しておられますが、サドル派の閣僚六名が、米軍の撤退期限を首相が示さないことをもとに、内閣を引き揚げる、こういう表明をしたことも、民主的に選ばれた政府といいながら、そこにおいて、多国籍軍、他国の軍隊の駐留についてはやはり温度差があるということはきっちり踏まえておかなければいかぬ、このように思います。

 次のパネルを。

 そこで、では、我が航空自衛隊はイラクの空輸支援をどうやっているのか。これは、石破理事初め皆さん頑張っていただいて、今までほとんど開示されていなかったのが開示をされてきました。

 陸自が撤退した後をここに書いていますが、〇六年九月六日から〇七年三月末、回数が二十五回、輸送人員延べ七百六名、輸送物資二・三トン。これはどこ向けの支援ですか。これが全部ではないと思いますが、これも事務方で結構です。私が理解するに、これは国連向けの支援ではないかと思いますが、中身を述べていただきたい。

山崎政府参考人 先生御指摘のとおり、対国連向けの支援の実績でございます。

原口委員 対国連向けで輸送物資二・三トン。二・三トンというと、引っ越しに使うトラックが二トントラックだとかそういうものですから、ほとんど物資としてはそれぐらいしか運んでいない。あとは国連職員を中心として延べ七百六名を運んでいるということだと思います。

 しかし、これがすべてではないですね。これ以外、約八割は、いわゆる安全確保支援活動と申しますか、多国籍軍の要員を運んでいると思いますが、その実績について教えてください。

山崎政府参考人 開始をいたしまして、本年の四月の二十六日までの間に、総計四百九十八回、約五百二十三・三トンの物資の輸送を行っております。当然この中には、先ほど先生から御指摘がありました国連の一部人員及び物資を含んでおります。

原口委員 そのとおりなんですね。

 そこで、総理、先ほどの、冒頭お見せしました、イラクの方々が毎月千人を超える亡くなる方が出ている。私も、防衛大臣と同じ、あれは予算委員会でしたね、二〇〇一年の八月、イラクを訪れましたが、劣化ウラン弾による小児白血病やクラスター爆弾による被害、そういうものによって子供たちも随分苦しんで、医療物資が足りませんでした。これほどの犠牲者が出ているのであれば、私たち国際社会に求められているのは医療品の運搬、そういったものが一番ではないかと思いますが、現実にいうと、国連向けのものは輸送物資としてはほとんどないんだろうな、そこはなぜなのかなということを強く思うわけです。

 きょう、そこを詰める時間がございませんけれども、総理、今週、集団的自衛権の行使について研究会を立ち上げるというお話でした。イラク特措法、そしてテロ特措法について、やはり一定の整理をしておかなきゃいかぬなと思います。

 と申しますのも、防衛大臣は既成事実を積み上げるために私たちの理解と違う発言をこの委員会でなさったとは私は思っていません。逆に、世論が一遍に流れて危険な状況になるのを防ぐために、善意に解釈すれば、そのためにおっしゃったというふうに思うんですが、かなりの発言をされているんです。

 久間防衛大臣の発言、この委員会だけでも、テロ特措法は、戦争をすることについて、これを支援する法律に実はなっております、アメリカの自衛権に基づく戦争、そして国連も認めた戦争、それに対して、我が国はあのとき、法律をつくって支援をしよう、これは我が党の後藤委員、内山委員に対する答弁で、理事会でも随分、いつから日本は戦争を軍事的に支援できるようになったんだ、テロ特措法は戦争支援法なのかという議論をしました。

 それで、山井議員にも連休が明けて聞いていただきましたが、戦争を支援するという法律、それは日本の国でつくっていいんですかと山井議員が問うたところ、それはつくっていいわけでありましてというお話になって、政府から統一見解を出してくださいという話になっているわけです。

 そこで、少し議論を整理するために、では、戦争というのは違法化されているはずだ、違法化されている戦争が違法性が阻却されるのはどういうものなのかということを、少し、これは頭の整理で、見ていらっしゃる方にも共通の御認識をいただきたいために、パネルをつくってきました。

 戦争は違法なんです。ただ、違法な戦争が阻却されている事案としたら、この国連憲章の中では二つある。それは第五十一条、いわゆる集団的であれ個別的であれ、自衛権の行使の場合。それからもう一つは、国連憲章第四十一条、四十二条、国際の平和と安全に対して危機を及ぼす人たちを、最後の手段として、集団安全保障の枠組みでそれを排除せざるを得ない。この二つの場合だけ、違法だけれども違法性が阻却されている、こういう理解ですが、総理、この理解でよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 それはそのとおりでございます。

原口委員 さらに、我が国が、集団的自衛権は、これはすべての国の自衛権、これは認められているにもかかわらず、持っているにもかかわらず行使できないというのはなぜですか。

安倍内閣総理大臣 これは、集団的自衛権については国連憲章の中にあるとおりでございますし、また、日米安保条約の前文にも書かれておりますし、また、実は当時のソビエト連邦との、日ソの五六年宣言の中にも書かれているわけであります。

 今までの法制局の見解としては、集団的自衛権の権利は、国際法上日本は有しているけれども、日本国の憲法において、いわば自衛権を発動する上において、必要最小限のいわば武力の行使を超えるものであるという認識を示してきた、このように思うわけであります。

原口委員 今、法制局の見解ということをおっしゃいましたけれども、法制局というのは政府の中ですから、今までの政府がそういう見解を持ってきた、そういう理解でよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 今までの政府の中の見解としては、集団的自衛権は権利としては有しているけれども、この集団的自衛権の行使について、いわば必要最小限の限度、これは私は量的な概念だ、このように認識をしておりますが、それを超えるという認識を政府として示してきた、このように認識をしております。

原口委員 要するに、必要最小限の自衛権とは何かということがやはりきっちり議論されるべきだ、そこは、今、共有認識ができたと思います。

 さて、そこで、私は、久間大臣の答弁というのは、かなりいろいろごっちゃになった答弁だなと思います。つまり、テロ特措法、アフガニスタンにおける米軍の活動、いわゆる不朽の自由作戦というのは、個別的自衛権の行使で行われています。それから、NATO軍については、集団的自衛権の行使をやっています。我が国は、これを武力的に、軍事的に支援できる、その根拠は何ですか。

久間国務大臣 先般、おたくの長島議員が質問されましたときに、私は、あの方は、この特措法をつくるときの議論には加わっていないにもかかわらず、その前後の関係についてはよく分析しておられるなと思いました。

 しかしながら、最後の部分、それだから集団的自衛権で我が国は支援しているんだ、そういうふうに言えばいいじゃないかと言われましたので、そこが違うと思いまして、私どもは、アメリカが個別的自衛権、あるいはNATOは集団的自衛権、そして国連が、そういう自衛権を含むアメリカの行動に対して世界各国が支援をしようじゃないかという呼びかけがありまして、その決議を受けて我が国は支援をしようとしたわけでありますから、自衛権の行使として我が国が支援したわけじゃないわけでございまして、そこのところが違うなというふうに思いましたが、今、あえてそのことについて、さらに同じような答えをさせていただきたいと思います。

原口委員 いや、私は長島議員でないので。日本がよその国の自衛権行使について軍事的支援ができるという根拠はどこにありますかと聞いているんです。

久間国務大臣 我が国は、憲法で禁じられている以外のことについては、法律で規定すればそれができるわけでありますから、その法律をつくるときに、その点、ただし慎重にしなければいけませんよという、そういう思いはありますけれども、憲法で許される範囲のことを法律で規定すれば、それは我が国の権能として付与されるわけであります。

原口委員 それは一般論をおっしゃったわけで、つまり、ということは、テロ特措法によって、普通は自衛権行使については支援できないけれども、個別的自衛権行使について、憲法の範囲内であれば、いわゆる軍事的に支援できるという法律をつくったという意味ですか。

久間国務大臣 一般論として、できないわけじゃなくて、そういう法律が別にあるならばできるわけであります。

 我が国の行政は、やはり法律に基づいてやるわけですから、その法律がないときには、こういうテロ特措法みたいな特別な特別措置法という、期限つきのこういう特措法をつくってやる以外なかったわけでありまして、このテロ特措法という法律をあのとき初めてつくって、そういうような支援を、テロとの闘いを支援する法律をつくったわけであります。

原口委員 軍事的支援をテロ特措法によってできるようにした、このような解釈ですね。

久間国務大臣 それを軍事的支援と言うか言わないかは、私もあのとき答弁にちょっと窮しましたが、アメリカ、イギリスの軍隊等の活動に対して、法律にも書いていますから。我が国の実力組織である自衛隊が支援をするという法律ができたわけですね、国会で。だから、それは軍事的な支援かと言われますと、私は、軍事的支援である、そういうふうに言えるんじゃないかなと思うわけです。

原口委員 そうなんですね。大臣の解釈は、自衛権行使についても、法律をつくれば軍事的支援ができるということですね。

 私、総理に伺いたいのは、ここでちょっと法的には詰めておかなきゃいけないことが生まれていると思うんです。相手は何か。アフガニスタンにおいてはタリバン政権は崩壊しました。崩壊した後もなお、不朽の自由作戦というのは、個別的自衛権の行使は続いています。続いているという理解でいいですね、防衛大臣。

久間国務大臣 その辺がなかなか難しいので、今、いわゆるアルカイダがおった、タリバン政権があった、そこは崩壊して、アフガニスタンは一応終わってしまって、治安部隊を国連が要請しているわけですね。だから、向こうでの戦争はあるいは終わったのかもしれませんけれども、あるいはその治安状況を維持するために今活動しているのかもしれませんが、国連が、一方要請して、その法律をつくって、我が国が支援活動をしておる海上阻止行動、これは、終わったという認識が、果たしてアメリカ自身が持っているのか、世界各国が持っているのか、非常に不明なところがあるわけですよ、それは。テロとの闘いが続いているんじゃないかと。

 少なくとも、私はこの間、中央軍がありますタンパに行きました。そこの司令官に、戦争は、アフガニスタンの場合は全部終わったのかどうかというような、そういうことをざっくばらんに質問しましたら、やはりそこのところは非常に微妙だという感じを正直言って受けました。

 アフガニスタン本土については、政権が崩壊してかわりの統治機構がちゃんとできておるわけですけれども、海上におけるそういうようなテロとの闘いが終わったと言い切れるかどうか、そこについては、事実上、海上の阻止行動も、旗国主義に基づいて旗国の同意を得ながらいろいろなチェックをしておりますけれども、それに同意しなかったときに麻薬あるいは武器、そういうのをばあんと阻止することができるかというと、現在の制度ではその可能性は残っているわけですね。

 そういう状態を指して、終わってしまったと私どもが言い切れるかどうかわかりませんし、国連自身もそれについてはいまだに昔のままの決議がそのまま有効に働いておりますから、私は、それについては、その国連決議に基づいて支援をやっている、その状態が現在まで続いておるという、このイラク特措法とはちょっと関係ございませんけれども、そういうような認識を持っております。

原口委員 総理、なぜこんな質問をするかというと、さっき総理が御答弁になったことに関係するからなんです。何が我が国の必要最小限の自衛権に当たるのか。それから、憲法が禁じているのはどこまでなのか。アフガニスタンにおいて戦争が続いているか、個別的自衛権の行使がまだ続いているか続いていないかということは、これを支援するこちら側としても決定的に大きな問題なんです。

 もう一つ言えば、イラク特措法、これも石破議員と随分議論をしましたが、国または国に準ずる者でなければ、これは戦争と言わない。しかし、テロリストというのは本当に国または国に準ずる者でないのか。世界的な広がりを持ち、そしてイラクには組織的に入ってき、そして先ほど防衛大臣がお話しになったように、私たちがC130で入ろうとすると、そこに入ることに物すごい抑制をきかすような、そういう力まで持っている、いや、持っていると懸念されている。そういうものが、では本当に、旧来の国際法の枠組みが今の非対称性の脅威に対して成り立たなくなっている。その成り立たなくなっているところの間隙をついて私たちは憲法の枠をどんどん広げていく、このことは慎重であるべきだ、このように考えているんです。だから、この議論をしている。

 率直に伺って、総理、ウオー・オン・テラーと言われるテロとの闘い、イラクは、まだブッシュ大統領はテロとの闘いという戦争を続けている、このように考えますが、総理の基本認識を伺いたいと思います。総理に。

浜田委員長 その前に、では久間防衛大臣。

 その後に安倍内閣総理大臣。

久間国務大臣 我が国が法律をつくったり何かするときに一番注意しなければなりませんのは、憲法で禁じられていることを法律で書こうとしたらそれは大変なことでありますから、そこのところはしないよということをどうやって担保するか、ここが大事であります。

 だから、そのためには、まずは相手の集団が国または国に準ずる組織であるか不明なときであっても、そういうような相手がはっきりしないようなときであっても、いわゆる戦闘地域では避けて、それ以外のところでやるということによって、二重の担保をとることによって、武力行使をしない、そういうことをあの法律では二つともつくったわけでありますから、そういうような認識に立った上で、現在行われていることは、我が国の憲法に触れることではない、現在あります法律に基づいて行動している、そういう前提でございます。

安倍内閣総理大臣 ただいまテロとの闘いが続いているかどうかという御質問だったと思いますが、このテロとの闘いということについては、それは続いているという私も認識でございます。

原口委員 だから、そこをずっと、テロとの闘いという形に変えないと、旧来型の戦争という概念、先ほど、相手が国または国に準ずる者かわからないときと言われた。つまり、この者が、いわゆる旧来型に言う戦争の法律の枠組みなのか、それとも、今総理が御答弁になった新しい脅威、非対称性の脅威なのか。それによって、憲法からはみ出しているかはみ出していないか、脅威の同定が違うか、脅威の同定をどのようにするかによって、憲法からはみ出すかはみ出さないか、ここの認識の仕方も違ってくる、私はこのように考えるんですが、いかがですか。

久間国務大臣 確かに、今までの認証できるような、そういう形態と違うようなことが、これから先、我が国で、あるいは我が国周辺で、あるいは世界で起こらないとは限らないわけであります。

 そういう意味で、非戦闘地域というような、あるいは戦闘地域という概念をわざわざつくったのは、それをつくっておかなければ、戦闘地域であったとしても、相手が今までのそういう国または国に準ずる組織でないからこれはやれるんだとやることによって武力の行使に巻き込まれてしまう、そういうおそれが十分にあり得るんじゃないか。そういう可能性を秘めながら、二つの担保をあのとき関係者は、これは意見は一致しませんでしたけれども、関係者はいろいろ苦労しながら、戦闘地域という概念をわざわざ設定したというわけでありますから。

 そういう、片一方は、まだこれから先、戦争の、戦争と言いますと今すべての戦争は大体使っちゃいかぬらしいですから、テロとの闘いにおいてはどういうことが出てくるかわかりませんので、それについてはよく私たちもわきまえた上でやっているつもりであります。

原口委員 それをわきまえて答弁なさってきたとは思えないから、ここで質問しているわけです。

 私たちは、イラク特措法、テロ特措法についても、テロ特措法も、確かにアメリカは個別的自衛権の行使をやっていますよ。それから、NATOも集団的自衛権の行使をしている。しかし、それと、一方で国連決議があって、国際社会の治安の安定とそれからテロの掃討というものは、何も単なる個別的自衛権の行使だけで説明できるものではないというのが私たちの基本認識なんです。しかし、大臣は、私たちがインド洋でやっている活動は個別的自衛権の行使に対する支援だと言い切られるから、だったら、このイラク特措法だってそうじゃないですか、そんな法律は認められませんということを言っているわけです。

 私は、総理、ここのところはやはり抑制的に議論をし、解釈改憲やさまざまな一部のそのときの政権の恣意的な、私は、非戦闘地域は武力行使と一体でないというこの論理だってトートロジーだと思います。小泉総理がまさに自衛隊の行っているところは非戦闘地域だとおっしゃったこととほぼ同じことで、現実の脅威がどうであり、それに対して国際法はどのように対処するかという議論が一方でなければ、単なる言葉の遊びになってしまうということを指摘しておきます。

 そこで、情報開示、もう一つの意味での情報開示について伺います。

 実際に、イラクのさまざまな人道復興支援については開示がされて、私も、陸自の皆さん、撤退のときに直接お話をしました。五十度の中で、本当に灼熱の中で大変な御活動だと思います。ただ一方で、空自が何をやっているか開示をしてくださいということを、活動の実績、週間空輸実績、だれを、どのように、いつ、どこへ運んでいるのか、そしてそれがイラクの復興支援にどのようなプラスになっているのか、このことを私たちはしっかりと国民に説明する責務があると思います。

 四月二十日、我が党の岡田克也衆議院議員の質問主意書に対して、政府は、昨年末の約三年間の復興支援活動にかかった航空自衛隊と陸上自衛隊の所要経費は、陸自が約七百二十一億円、そして空自が約百三十三億円、合わせて八百五十四億円になる、そういうお答えを四月二十日に閣議で決定して答弁書を作成しています。

 では、この中身は何なのか。これをずっと見ました。黒塗りでないところが少ないんです、総理。一つが、空自が開始をしたアリ・アルサレム―バグダッド、七月三十一日。それと、アリ・アルサレム―バグダッド、外務省。これは麻生外務大臣が搭乗なさったときですね。それ以外については全部黒塗りです。ここまで黒塗りにする理由、それは何ですか。そして、国連について、一つだけ指摘をし忘れました、九月六日、アリ・アルサレム―バグダッド、国連。バグダッド―エルビル、国連。エルビル―バグダッド、国連。バグダッド―アリ・アルサレム、国連。国連についてはこれだけが開示をされています。

 この三つだけが、開示といっても、だれをというところが、どこからというのと開示されているだけで、ほかは全部黒塗り。この黒塗りの理由は何ですか。

久間国務大臣 陸上自衛隊の件につきましては、撤退してしまいましてからは、私たちは今までの活動実績を全部公表しました。やはり、活動している途中については、何がどこでどういうふうに行われているかということをやることによって、治安状況がいい普通の国であれば問題ないわけですけれども、ああいう国でございますから、不測の事態もございます。そういう我が国の判断だけではなくて、国連当局からも、また多国籍軍の各部隊からも、とにかく中身については公表してくれるな、公表を差し控えてくれ、そういうふうな要請がございます。

 そういうときに、私たちはどっちをとったらいいかということでございますけれども、今のイラクの治安状況から見ると、国連を初めとする、多国籍軍がみんな手のうちを明かさないでほしいというような、しかも、航空自衛隊が運んでおります場所と回数というのは非常に限定されておりますから、どういう日にどういうものを運んだか、どういう人間を運んだかというのがやはりオープンにされるのを皆さん方が嫌がっているんだな、そういう感じがします。嫌がるというのはなぜかというと、やはり安全がそれによって支障を来す、そういう危惧があるんじゃないかと思いますから、そういう場合はやはりそちらの意見をとらざるを得ないというふうに思って、私どももそれに従っているところであります。

原口委員 安全が脅かされるおそれがあるという、そのことで黒塗りになっているということでございました。

 一方、イラクにおける自衛隊の輸送機、これはフレアというものを発して、そして地上からのロケット弾、先ほどイギリス軍のC130の撃墜事案について御答弁いただきましたけれども、そういうものを回避する装置がついている。ところが、このフレアについても何回も発出しているという情報もあります。これはどういう理由で発出しているんですか。これは単なる誤作動ですか。誤作動だとすると、誤作動の率というのはそんなに高いんですか。

久間国務大臣 こういうようなことについて、何回もそういう、いわゆる危険がありそうだというようなことで、そういうことをまた言いますと、またそう言われますし、ないということになりますと、それも問題がございます。

 要するに、自衛隊にしてみますと、身の危険を感じたときにはそれは作動させるようにしておるわけでございまして、そういう点で、誤作動であったかないかも含めまして、それは、ここで何回そういうことがあったということについては発言を控えさせていただきたいと思います。

原口委員 安全保障上のいろいろなものに秘密がなければいけない、これは私も理解をしています。

 しかし一方で、読売新聞で検証戦争責任というシンポジウムをやったときに、総理、私は当時の帝国議会の議事録を読みました。そうすると、やはり議会に何も知らされていないんですよ。日本軍が中国やいろいろなところへ展開していく、そこで何が起きているかということを、では議会がチェックできていたか、あるいは、もっと言うと、国民が知らされていたかというと、知らされていないんです。知らされていないままに状況が変わっていって、そして、私たちはまさに亡国の危機までそこで迎えたわけであります。

 国会と政府の間も、今のようなやりとりだけやっていて本当にいいんだろうか。私たち自身が、私は、きょう、筆頭理事として、できるだけこの委員会を荒らしたくないなと思っています。というのは、命の問題であり、平和の問題です。できるだけ冷静に議論をして、一致できるところは一致したいと思っている。そして、本当に安全が確保されるんだったら、あるいは本当にこのことが必要であるんだったら、国民を挙げてそれを支援していくべきだというふうに思っています。しかし、その材料を私たちは持っていないんです。

 私たちは、先ほど陸自について開示とおっしゃいましたけれども、私たちの仲間が、開示決定等の期限の特例規定、これも皆さんのお手元に差し上げていますが、陸自はもう撤退しています。しかし、この書類、請求受付番号二〇〇六・一一・二一ですから、二〇〇六年、去年の十一月二十一日に受け付けたものの答えはこうですよ。平成十九年の十一月三十日に開示をしますと。先ほど、陸自についてはすべてつまびらかにしているということでございましたけれども、自衛隊活動の業務につき日時、場所、内容、形態及びかかる人員、活動、業務がわかるものという開示に対して、こたえてはいないんですよ。これは大量だからという理由なんですが、私は、やはり政府の情報公開と説明責任が、ただ安全にかかわることだからそれは控えさせていただきたい、これだけでいいんだろうか。総理の御見解を伺いたいと思います。

久間国務大臣 後から総理に答えてもらいますけれども、そういう安全上の問題とはいえ、先ほど原口委員がおっしゃいましたように、国会との関係で、こういうのはやはり情報を共有しておった方がいい、そういう思いは私自身もございます。

 しかしながら、現在の制度で国会に情報を出すと、その日のうちに外に広がるというのも事実でございまして、こういうのをどうやって国会として担保するか、こういう制度をつくらないと、私は、やはり非常にそういう開示がしにくい状況もあるということをひとつ御理解賜りたいと思います。

 私はかつて、過去の例でございますけれども、渡辺美智雄さんが大蔵大臣をやっておりますときに、二年間かかって新しい紙幣をつくるためのそういうような内容についてずっと詰めてきた。午前中にしゃべってしまったところが、もうとにかく夕刊に出そうになったので、国会議員に、ある数人にしゃべったところが出そうになったので、慌ててマスコミを呼んで、どうせ出るならということで公開したというようなことで、そのときに私に対して渡辺さんが、国会では秘密を守るという方法について何か研究してもらわぬと困るよなというようなことをおっしゃったのがきのうのように思い出されます。

 そういう点では、今委員が言われたような気持ちは、私自身も何かの形であった方がいいんじゃないか、そのかわりに、そこで守られなかったならば、やはりそれは、あるいはそこで知り得たものは、やめた後でもやはりちゃんと確保してもらうというような、そういう制度的な担保が必要じゃないかなと思っております。

 それと、その量的なものは、現在の制度が、期間が非常に一定の中にこたえなければならない、そういう制度になっていますから、そのときに情報の開示部分と非開示部分と整理するのは膨大でございまして、なかなかその当時の防衛庁ではできなかったというのも事実でございますので、それもやはり制度的な問題として、そんなに短期間でこたえなきゃならないような現行の制度でいいのかどうかも検討してもらえればいいと思います。

安倍内閣総理大臣 この質問の冒頭におきまして、原口委員から、今イラクの復興支援のために困難な状況の中で活動している自衛隊員に対して敬意を表していただいた、これは私も最高指揮官として感謝申し上げたい。

 このような日本の安全保障を考えるときに、日本の実力部隊である自衛隊に対して認識を共有するということは、日本の安全保障の基盤を強化する意味でも極めて私は大切なことである。

 そのためにも、原口委員がおっしゃったように、なるべく情報を開示していきながら、国民の皆様の理解と支持を得ていくことが自衛隊の活動には私は不可欠である、このように認識をしております。

 と同時に、しかし、自衛隊の活動の安全を確保する、あるいはまた、自衛隊とともに活動している諸外国の軍隊の、また人々の安全を確保するという観点から、公表できないという問題もあるわけであります。

 その中で、先ほど久間大臣が答弁をいたしましたように、今後いろいろな工夫も必要ではないだろうか、このように思うところでございます。

原口委員 私は、現時点において政府がどのように自衛隊の安全確保支援責務を果たしているのか。また、航空自衛隊の皆さんお一人お一人にお会いをし、あのとき、日本の政府は、外務省は、定期的にクウェートの大使館で韓国軍あるいは米軍も入れて慰労をする、そういう試みをしている、これは結構なことだと思います。しかし、そこで会った米軍の兵士たちは、一口もお酒には口をつけませんでした。毎日自分たちの仲間が亡くなっているからです。

 私は、民主党がイラクにおけるPKOを中心とした活動について提案をしている、このことを、昨日でしたか、麻生外務大臣は一定の評価を持って御答弁なさっていましたけれども、やはり力でやれることの限界が出ているんだろう。どうやって武装勢力とテロリストを分けているんだろうか。ハシミ副大統領は、私たちにこうおっしゃいました。米勢力が入ってくる、そのことはいい、ところが、武装勢力もテロリストも一遍に、一緒くたにして掃討しているために、そのことによって、イラクの地域社会まで崩壊をしているんだと。

 私は、力による無謀な戦争が生んだこの悲劇を一刻も早くとめなきゃいけない、そして、自衛隊をこのまま派遣し続けているその根拠について納得のいく説明は今の時点ではなかった。したがって、私たちの撤退法、これを速やかに可決していただくようにお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

浜田委員長 これにて神風君、中川君、原口君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 私は、イラク特措法の延長について総理に聞きます。

 私たちは一貫して、イラク特措法に反対し、自衛隊の即時撤退を求めてきました。まず、今イラクで自衛隊がどういう活動を行っているのかという問題について聞きますが、イラクでは今、航空自衛隊が、クウェートとイラク国内のバグダッド、北部エルビル、そして南部タリルとの間で多国籍軍や国連の人員、物資の輸送を行っています。

 総理は、先月の二十四日の本会議で、航空自衛隊の輸送実績の一端をようやく明らかにいたしました。総理のこのときの答弁によりますと、昨年夏に陸上自衛隊が撤収して以降、航空自衛隊は、合計百五十回飛行し、そのうち国連支援は二十五回、残りの百二十五回は多国籍軍支援というものでありました。要するに、八割以上が多国籍軍支援ということになりますが、この点に間違いないですね。

山崎政府参考人 委員の御指摘のとおりでございます。

赤嶺委員 総理が二十四日の本会議で、総理みずからが答弁されているわけです。しかも、当時の輸送活動の重量でいえば、九割以上が多国籍軍への支援になっています。

 政府は、これまで自衛隊の活動は人道復興支援活動だ、このように繰り返し説明してきましたが、実際には多国籍軍、すなわち米軍支援そのものではありませんか。

安倍内閣総理大臣 この法律の目的において、人道復興支援活動そして安全確保支援活動がございます。その中におきまして、人道復興支援活動を行っていく上においても、その時々の状況において、やはり安全をしっかりと確保することによって人道復興支援活動が円滑に行われていくという側面もまた真理もあるわけでありまして、状況、状況において、これは多少支援の中身が変わっていくということは当然あり得ることであります。

 基本的には、人道復興支援活動ということを主に我々は行っていくということになるのであろう、このように思うわけでありますが、その時々の状況においては、人道復興支援活動を確保する、円滑に行うためにも、安全確保も当然これは心がけていかなければならないということになるのではないでしょうか。

赤嶺委員 つまり、今の答弁からいいますと、実際に今の活動は、多国籍軍、すなわち米軍支援そのものになっているということですね。

安倍内閣総理大臣 これは、多国籍軍、米軍支援ということではなくて、今、イラク人による復興の努力を、日本を含め国際社会は一生懸命助けて、またそれぞれ貢献しよう、その努力に対して支援をしようということでございます。その支援の一環としての自衛隊の活動であるということは申し上げておきたいと思います。

赤嶺委員 この間の答弁を見てきまして、結局、輸送回数で八割が多国籍軍支援、重量のトン数で九割が多国籍軍支援という数字は、もうこれは動かせないものであります。久間大臣も当委員会で、ウエートがそこに向いてきているという答弁もありました。

 そこで、私、安倍総理にもう一つ聞きたいんですけれども、いわば、今イラクでアメリカはどんなことをしているのか。特に、ブッシュ大統領はことしの一月にイラク新政策を発表いたしました。米軍部隊二万人以上を増派して、バグダッドを中心に大規模な軍事作戦を展開しているわけですが、今米軍がどういう軍事行動を行っているのか、総理はどのように認識していますか。

久間国務大臣 総理が答弁される前に、今の質疑の中で多国籍軍が多いじゃないかと言われましたけれども、多国籍軍の輸送の中の、多国籍軍も人道復興支援もやっているわけでありますから、そういう点についても誤解のないように、きょうはテレビも入っておりますので、何か多国籍軍がさも安全確保活動だけやっているかのような、そういう印象を与えますと、彼らも、医療チームとかあるいはいろいろなことをやっているわけですから、インフラの整備とか、そういうことについても、別にPRするつもりはございませんけれども、誤解を与えないようにしたいと思って、あえて答弁させてもらいました。

安倍内閣総理大臣 米軍の活動でございますが、今久間大臣が答弁いたしましたように、多国籍軍、米軍も人道復興支援活動はもちろんやっております。そのことも申し上げておきたいと思うわけでございます。

 その上において、米軍が何をやっているかといえば、まさに先ほど申し上げましたように、イラク人によるイラクの復興に対する支援を行っている。そのためには治安を回復しなければいけない。そしてまた、イラク人による治安部隊を、より治安を維持するためにふさわしいものにしていくための支援もしていかなければいけないでしょう。そうしたことを総合的に行いながら、イラクの復興のために努力をしているということでございます。

赤嶺委員 今、久間大臣、総理とも、米軍も人道復興支援活動を行っているということでありました。

 ブッシュ大統領は部隊の増派について新政策を発表しているわけです。この発表されている増派部隊の内訳を調べてみました。全体で約二万九千人です。そのうち、戦闘部隊が二万一千五百人、その支援部隊が二千四百人、航空戦闘部隊が二千六百人、そして軍事警察二千二百人です。あなた方政府が人道復興支援だと言っているPRT、地方復興チーム、これはわずか百二十九人ですよ。わずかな比率しか示していないんですね。ほとんどが戦闘部隊ということです。

 総理は、そうした事実を御存じですか。

久間国務大臣 今度の増派されます部隊だけをとってそういうふうに言われますのは、今度の増派の目的はとにかくイラクの安定を一刻も早くせぬといかぬということで治安の維持に本当に力点を置いて決意したわけでありますから、ここは治安維持活動といいますか、そういうのが主たる内容になっているのは間違いないんじゃないんでしょうか。

赤嶺委員 総理はどうなんですか。

安倍内閣総理大臣 確かに、増派部隊を新たに派遣する、二万人の増派部隊を送るという決定をいたしました。しかし、それと同時に、先ほど委員が御指摘をされたPRTについても倍増する、倍加する、このようにもブッシュ大統領は述べているわけでございます。五月一日に行ったブッシュ大統領の演説におきましても、依然として宗派間の対立、紛争はあるわけでありますが、だんだん減少する傾向にあるということも演説で述べている、このように承知をいたしております。

赤嶺委員 結局、皆さんの言う人道復興支援もやっているというのは、全体の増派計画二万九千人の中でわずか百二十九人、これをもって米軍も人道復興支援をやっているんだ、こういう繰り返し方というのは、国民に対してきちんと説明していないということを私は指摘せざるを得ないと思うんです。

 それで、米軍が今どんな軍事行動を行っているか、米軍は地上で民家の捜索、久間大臣はよくそのことをおっしゃいますけれども、捜索を行っているわけではありません。陸上部隊と航空部隊が一体となって、大規模な戦闘作戦を進めています。

 米軍は大体、自分たちの作戦の結果については自分たちのホームページで公表しているんです。米軍のホームページを見ましたら、連日、その日一日行った行動について、航空作戦の概要、これを公表しております。五月六日の欄を見ますと、B1爆撃機がモスル近郊の建物に精密誘導弾を投下した、こうあります。五月十日、F16戦闘機がバクバ近郊で精密誘導弾を投下しビルが破壊された、こうあるわけですね。こういう航空作戦を一日に四十回、五十回行っているんです。

 まさにこれは大規模な戦闘そのものですよ。しかも、民間人の犠牲がふえているというのはもう隠しようがないじゃないですか。こうした米軍を輸送しているのが日本の自衛隊ですよ。人道復興支援どころか、まさに米軍の戦争支援そのものではありませんか。いかがですか。

久間国務大臣 今おっしゃられるような爆撃をやるその兵士を自衛隊がC130で輸送しているわけじゃございませんで、彼らは自分の戦闘機であるいは自分の爆撃機で攻撃するときは攻撃するわけでありますから、自衛隊の活動がさもそういう戦闘とイコールかのような印象を与える言い方は、ちょっとどうかなと思います。

赤嶺委員 それじゃ聞きますが、自衛隊が輸送している米軍の中身について説明してくれますか。

久間国務大臣 それは、先ほどから言っておりますように、いろいろな、人道復興支援のためあるいは安全確保活動のために活動する多国籍軍の一員として自衛隊は空輸を行っているわけであります。

赤嶺委員 空輸の際に、あなたは人道復興支援ですか、あなたは安全確保支援ですか、あなたは戦闘に参加するんですかしないんですかと確かめますか。

久間国務大臣 そういうことは聞いておりません。

赤嶺委員 聞かないで、国民にはあたかも何か人道復興支援の輸送をしているというような、これは黒く塗りつぶした書類の情報公開以上に私は間違った態度だと思いますよ。

 私は、本当に、今のイラクの現状というのは内戦とも言われる状況だと思います。開戦以降のイラク人の死者数というのは、昨年のイラク保健省の発表によると十五万人、イギリスの医学専門誌ランセットによると六十五万人と推定され、米兵も死者数は三千人を超えています。軍事的な手段でイラク問題の解決は図れないということは非常にはっきりしていると思います。だから、軍隊を引き揚げる国が相次いでいるわけです。アメリカの国内でも、米軍の撤退を求める声が高まっています。

 にもかかわらず、自衛隊の活動を二年も延長する、これは全くこうした世界の動きを見ないものであります。私は、改めて、イラク復興に逆行する自衛隊の派兵は直ちに中止すべきだと申し上げたいと思います。

 それで、大体、先ほどの議論にもありましたが、総理がいまだにイラク開戦の判断は間違っていなかったと言っていることに根本的な誤りがあります。戦争の最大の根拠とされた大量破壊兵器がイラクに存在しなかったことがはっきりし、ブッシュ大統領自身がみずからの誤りを認めている。イギリスのブレア首相も、イラク開戦の責任を問われる中、辞任しようとしている。その最有力の後継者の候補者であるブラウン財務相も、イラク戦争で誤りが犯されてきた、このような発言をしている。あの戦争は誤りであったというのは、世界ではもう決着済みです。ところが、総理はいまだに、当時の米英の開戦の根拠を繰り返している。はっきり誤りを認めるべきではありませんか。

安倍内閣総理大臣 赤嶺委員は、ブッシュ大統領とブレア首相が、情報について誤りがあったということと武力行使自体が誤りであったということを意図的に混同している、このように思うわけでありまして、この情報については誤りであったということを述べているわけでありまして……(発言する者あり)

浜田委員長 静粛に願います。

安倍内閣総理大臣 武力行使自体が誤りであったということを述べているわけではありません。そして、私が述べているのは、その武力行使を日本が支持したという当時の姿勢について述べているわけでございます。

 十二年間にわたってイラクは国連の決議を無視し続けてきたわけでありますし、大量破壊兵器については、彼らは保持をし、そしてそれをかつて自国民であるクルド人に対しても使用した、そしてまた、イラン・イラク戦争のときにも使用したという事実がある中において、この独裁者にそのまま大量破壊兵器を持たせていいのかということが、国際的に大きな、これは課題、問題となったわけであります。その中におきまして、国連の決議に基づいて行った武力行使を日本は支持した。そして、現在においては、イラク人はまさに復興に向けて大変な努力をしている中において、国際社会もそれを助けていく、支援していく、日本もその責任を果たしていかなければならない、このように思っております。

赤嶺委員 全く説得力のない答弁でありますが、開戦を判断した当事者が間違いだったと述べているのに、いまだに総理は誤りを認められない。結局、アメリカには物が言えないということだというのを強く指摘しまして、私の質問を終わります。

浜田委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私にいただきました時間が十二分のため、恐れ入りますが、簡潔な御答弁に御協力をいただきたいと思います。

 二〇〇三年三月の二十日、イラク戦争がアメリカの攻撃という形で開始されました。そして、四年をたった今日、果たしてこの戦争がもたらしたものは何であったかというところで、委員の皆さん並びに総理にはお手元の資料がございますし、またテレビ等々の国民でごらんになっている皆さんには、ここに、イラク・ボディーカウントといって、戦闘によって犠牲になった民間人の死者数をずっとカウントしたものがございます。

 例えば、二〇〇三年から二〇〇四年、二〇〇四年に特に多いのは、二〇〇四年の四月と十一月でございますが、これはファルージャというところで無差別的な米軍の掃討作戦が行われました。このファルージャの掃討作戦と申しますのは、当時は、病院にも医師が行けない、赤十字の派遣された医師も行けない、袋小路のようにして市民を一斉に銃撃で襲った大惨事でありました。それが二〇〇四年の四月と十一月、このように多数の民間人の犠牲を出しました。多く見積もれば一千五百人というのが十一月です。

 しかし、その後、さらにこの民間人の犠牲が拡大いたしました。一番顕著になりましたのは、二〇〇六年の二月以降、さらに六月、七月、もうここからはウナギ登りで、二千五百人から三千人の市民が毎月亡くなっております。

 安倍総理に伺います。果たしてこのイラク戦争がもたらしたものは何であったのでしょう。

安倍内閣総理大臣 イラク戦争において、またその後の国内の状況において、多くの民間人の命が奪われた、大変これは痛ましいことでありますし、私も胸が痛むわけでございます。

 しかし、イラク戦争が始まる前にも、サダム・フセインは、自国民を、やはり相当、数千人の規模で殺りくしていたのも事実である、そのことは申し上げておかなければならない、こう思うわけであります。

 こういう、今でもやはり多くの民間の方々が命を失っているという状況があるからこそ、何とかこの治安を回復しなければいけない。米国を初めとして多国籍軍も、またそして日本も今努力をしているわけでございます。

 今回の米軍の増派の結果が出るというのはまだ数カ月先になるかもしれませんが、先ほど御紹介をいたしました五月一日のブッシュ大統領の演説によると、宗派間の対立の状況も、衝突の状況もだんだん減少し、また、地区によっては、イラク人の方々が、バグダッドにおいて、その地区に安全が少し以前よりも向上したという認識のもとに地区に戻る人も出てきたという認識を示した、このように承知をしているわけでありますが、今後、治安が何とか回復をされて、イラクの方々が安心して生活のできる、そういうイラクを取り戻していくために我々も努力をしていきたいと考えております。

阿部(知)委員 治安も何とも回復されず、電気も水もない、非常に困難な中に、今イラク国内で難民が二百万人、ヨルダンやシリア、近隣に、また海外に逃れた難民が二百万人、さらにそれ以外の国の、逃れた難民が二百万人、六百万人と計算いたしますと、イラクの人口二千五百万から六百万のうち、四人に一人とか五人に一人が難民状態になっているわけであります。

 この四年間がもたらしたものは、いわばイラクという国家の人々にとってはホロコーストに等しい状態があるんだと思います。そして、そのきっかけになったのが、アメリカが言うところの、大量破壊兵器があるんだ、アルカイダとの関係があるんだということでの戦争の開始でありました。

 先ほど来の安倍総理の御答弁を聞きますと、私は、二〇〇三年三月二十日の小泉総理の記者会見での発言をここにもう一度お知らせしなきゃいけないと思います。

 このとき、小泉総理、安倍現総理は官房副長官でいらしたかと思います。そのときの小泉総理の言葉は、「危険な破壊兵器を危険な独裁者が持った場合に対する脅威に対して、我々がどう対処するのかということを考えますと、今回のアメリカの立場も理解できますし、支持するのが日本の国益にかなう」という言葉でした。「危険な破壊兵器を危険な独裁者が持った場合」、こういうふうになっております。

 そして、総理は何回もここでの質疑で、危険な破壊兵器はアメリカみずからがなかったんだということを言っている。では、日本はその情報をどう共有し、今どう反省し、せめてそこくらいは国民に対してもはっきりさせるべきだと思うのです。それを言うと、累次の国連決議とだらだらだらだらと言って、ごまかしておられます。

 やはりこの大量破壊兵器の問題は、本当になかったということがこの段階で明らかな以上、我が国も、この総理の発言も含めてです、大量破壊兵器があるんだということにのっとって支持しているわけです。安倍総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 これは私も何回も答弁をしておりますが、事実、サダム・フセイン当時の大統領は、かつて独裁者として大量破壊兵器を使って自国民を殺したという、これは実績があります。そして、事実、実績がある以上、大量破壊兵器を持っていたんですね。持っていたんだったら、ないということを証明するためには、それを廃棄したということを証明しなければならない。そして、その証明するチャンスは何回もあったのにそれを果たしてこなかったということは、これは国際社会において、それは持っているであろう、保持しているであろうと類推する、これは私は合理的なことではないか、このように思うわけであります。

 そして、情報について、ブッシュ大統領もブレア首相も、そのときそれを証明したという情報については誤りがあった、このように述べているわけでございます。

 日本の立場としては、これは主体的に情報をとれるという立場ではなかったわけでありますが、しかし、情報については、それについていろいろ提供等、共有等がもちろんあったわけでございますが、しかし、その中において日本は、先ほど申し上げましたような累次の国連決議について違反をしてきたという状況の中で主体的に判断をして支持をした、こういうことでございます。

阿部(知)委員 もうそれは先ほど来のこの委員会で、イラクのクウェート侵攻の時点でのお話です。その後国連の査察が入り、国連の査察団みずからが、あともう少し時間があればないことを証明できると言っていたじゃないですか。なぜそこまでごまかされるんですか。そして、アメリカとイギリスが情報の判断が誤っていたと言われたときに、我が国政府は一貫してそのことに触れていないんですよ。そこが一番政治家としていさぎが悪い、ごまかしが見え見えで、国民から見ても、誤りは誤りとして認めた上で、今イラクの人々がこれだけ困窮しているところに何をすべきかという論議に立ち返るべきではありませんか。

 そして、もう一点伺います。

 今回の自衛隊派遣延長二年間でありました。しかし、これから、例えばこの八月には、恐らく国連のイラク・ミッションがさらに一年継続するかどうか、あるいは十一月には、ブッシュ大統領が言うところのイラクへの治安権限の移譲、そして年末には、多国籍軍がさらにまた一年延長するかどうか、おのおの国連決議ないしイラク政府との協約が必要になるものです。この六カ月の間でもそれだけの動きがあるわけです。

 なぜ、我が国だけそれらを無視して二年間で決めるのか。そして、国会の審議がもしここで二年先送りされれば、その間にも国民は、さっきの真っ黒けの情報公開の中で、そしてだれをどのように運んでいるのかもわからない中でついていかざるを得なくなります。これだけ他の国連機関やあるいは多国籍軍、治安権限の移譲がこの半年以内にもある中で、なぜ二年延長されますか。明確に答えてください、総理。

安倍内閣総理大臣 イラクは今まさに大変大事なときを迎えているんだろう、私はこのように思います。治安権限が確かに移譲していく、そうでしょう。しかし、その中で宗派間の対立もあります。この宗派間の対立を何とか緩和するために日本も独自の努力をしております。国民融和セミナーをことし三月に開きました。また、私も、マリキ首相やハシミ副大統領に対して、この国民融和、宗派間の対立を克服して何とか治安を回復するように、そんなお話もいたしたわけでございます。

 そういう中におきまして、しかし、まだしばらくの間、治安が回復され、安定的にイラクが復興に向けて円滑に順調に進んでいくというまでには時間がかかる可能性も排除できないわけでありまして、日本としては、国際社会とともに安定的、継続的にそうしたイラクのイラク人による努力を支援していくということを示していくことが大切であろう、このように考えたわけでありまして、そういう観点から今回二年間の延長をお願いしているところでございます。

阿部(知)委員 その二年に全く根拠がないじゃないですか。二年ということの以前に、例えばさっき言った国連のミッションの話、多国籍軍の話、その都度やはり国民に問わなきゃいけないんだと思います、イラクがどうなっていくのか、日本が何をなすべきなのか。

 そもそも、例えば自衛隊がサマワのあの地から撤退するときに立てた雇用計画、九十一万人までサマワの地で雇用しようということだって、現状三十一万人、これまでの延べですよ、大幅におくれているわけです。

 今、二年間を根拠とする何ら客観的な理由もなく、国民に見えないところでの二年間が過ごされることに、私は心から、この情報公開のなさ、国民主権をないがしろにされた状況に怒りを持って、私の質問を終わります。

浜田委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 以上で内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び原口一博君外四名提出、イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案の両案を一括して議題といたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口壯君。

山口(壯)委員 民主党の山口壯です。

 最終的には出口戦略をどうするかというとこら辺を念頭に置いて議論させていただきたいと思います。

 まず、麻生大臣あるいは久間大臣、最終的には出口戦略はどうされるおつもりですか。

久間国務大臣 私の方からお答えしていいのかどうかわかりませんけれども、自衛隊は、イラクの復興と安全確保支援活動に法律に基づいて行っているわけでございますが、この両方につきまして、自衛隊が行かなくてもいいような状況が一日も早く来ることを望んでおるわけであります。

 というのは、人道復興支援も、本来自衛隊ではなくて、ODAあるいはまたNPO、NGO、それからまた政府関係、いろいろな形でやれれば一番いいんですが、残念ながら今のイラクではなかなかそれが望めないので、ああいう法律ができたところでございました。

 特に、安全確保支援活動につきましては、安全確保が大事でございますが、これについて国連からの要請もあって行っておりますけれども、これにつきましても、イラクの政府がきちんと機能するようになりましたら自衛隊が行かなくて済むわけでございますので、一日も早くそういうような日が来ることを望んでおります。

 それが見えない段階では、出口戦略といってもなかなか申し上げにくいわけでございますし、私としては、やはり法律に基づいて行くべしとなっておる現在では、自衛隊を派遣して、せめて各国と同じように我が国としても貢献をしたいというような気持ちで、今それに従事しているところでございます。

麻生国務大臣 今、イラクの出口状況についての、終了時期等々のことだと思いますが、一概に申し上げるのは困難だと思いますけれども、よく申し上げてきましたように、イラクの政治情勢また治安情勢、また多国籍軍の動向等々を踏まえながら、またイラクの復興状況というのも十分勘案しなくちゃいかぬところだと思いますが、そういったところを勘案して判断をすべきものと存じます。

山口(壯)委員 今、久間大臣からは出口戦略はまだ見えないという答えでした。それから、麻生大臣からは一概に申し上げられない、こういう答えでした。したがって、二年間延長される際に、出口戦略はまず見えない、それから一概には申し上げられない、こういう前提で出しておられるわけですね。これは現実には、今アメリカのことをよく念頭に置かれてされているわけですから、アメリカとよく連絡をとっておられる。これは当然のことです、同盟関係なんですから。そして、アメリカでどういう議論が進んでいるかということも、現実にはよく踏まえておかなければいけない。

 私は、いつも大臣だけでしたけれども、きょうは政府委員は好きなだけ来てくださいということですから、いろいろ聞かせていただきますけれども、アメリカでの出口戦略はどういうふうに語られているか、これはどういうふうに認識しておられますか。

奥田政府参考人 一般には、アメリカにおきましては、治安の維持を行う責任というものがイラク政府側に移ったときに、そうなれば、基本的に今イラクで治安維持のためにおる多国籍軍は、その限りにおいては要らなくなる、すなわち治安維持のためには要らなくなるというふうに言われているというふうに思います。

山口(壯)委員 奥田さん、私もちょっと方向を変えての質問だったから、急にということだったので、非常に苦しい中答弁されたんだと思うんです。非常に申しわけないんですけれども。

 現実にはいろいろなことが進んでいる。九日付だったと思いますけれども、フィナンシャル・タイムズというものに、事もあろうにイランから出口戦略について議論をしないかという話が出てきてしまっている。私は、それをアメリカはけるかと思ったんです。それは困っているのは困っているだろう。しかし、けるかと思ったら、きょうのいろいろな新聞、これは産経新聞ですね、この産経では、「イラン、対米協議合意 数週間内「イラク問題限定」」と。あら、本当にやっちゃったんだと。

 九日のフィナンシャル・タイムズでは、アラグチという外務次官、私の発音が正しければだけれども、何かうちの原口さんみたいな名前だなと思いながら読んだんだが、アラグチという外務次官が提案をしたというのが載っていた。アメリカの中でのいろいろな意見の中に、まあ、しかし、まさかイランのそれに乗るのはまだ早いだろうというのが飛び交っていましたけれども、しかし、どうもきょうの新聞を見る限り、そこまでやらないと大変な事態になっているという認識はあるんだろうと。

 実は私が奥田さんに特に聞きたかったのは、議会の中でのいろいろな議論なんですね。議会の中で、共和党の方は、今のところはそんなに乱暴なことはまだ言っていない、とりあえず大統領側についたような発言をしている。しかし、これも、来年の大統領選挙があり、また自分の中間選挙がある人たちについては、国民の七一%がある調査では撤退に賛成している、そして中間選挙でも上院、下院両方とも過半数を民主党がひっくり返してとった、こういうことを踏まえて、もうそろそろちょっとつき合い切れぬなという空気がまずあるわけですよ。

 他方の、過半数をとった民主党の側からいろいろな議論が出ていますね。民主党の言い方、アズ・スーン・アズ・イズ・プラクティカルというのがどうも共通項のようだから、直訳すれば、実現できることになったらすぐにでもということなんでしょう。この間会ったハワード・ディーンという全国委員長はむしろ直ちにという言い方をしていましたけれども、それは、彼は気持ちが先走っているかもしれない。

 その中の一つの議論は、ジョー・バイデンとかビル・リチャードソンというのは、大統領の戦争を行う権限を、大統領は最高指揮官ですね。議会が戦争を布告する、宣戦するけれども、最高指揮官は大統領です。大統領、最高指揮官に権限を与えた議会ですけれども、リボークしよう、外しちゃおうかという議論がまずジョー・バイデン、ビル・リチャードソン、どちらも大統領候補に手を挙げようかというおじさんたちです、出ている。

 それから、あとジョン・マーサという人は、ア・フュー・マンス、二、三カ月ごとに大統領に権限を与えて、そのたびごとに見ていこうじゃないか、こういう議論をしている。

 しかし、ヒラリー・クリントンとかオバマはもう少し穏健です。先ほど防衛大臣も言われたようなベンチマーク、ポリティカルプロセスに向かっての、政治的な過程をイラクの中でみんなができるように、そういうベンチマーク、条件つきで認めていこうか、逆に言えば、条件を満たさなければ撤退しようと。

 こういうことで今議論が現実に、例えば二、三カ月とか、あるいはアズ・スーン・アズ・プラクティカルとか、あるいはそもそも大統領の権限をリボークしよう、とってしまおうとか、そういう議論が現実に行われているわけですね。

 これは、シビリアンコントロールを非常に重視しているアメリカの議会としては極めて普通のことでしょう。議会が軍事をコントロールする、いかに大統領であっても勝手に軍事力を動かせないということでは当然のことでしょう。

 これについて、麻生大臣あるいは久間大臣、どういうふうにお感じですか、そして官房長官、どういうふうにお感じでしょうか。

麻生国務大臣 シビリアンコントロール、当然のことだと存じますが、今一連のそういう議論があるということは知っております。また、過日、いわゆる撤退に関しての決議案が可決をされた。ただ、拘束力のないものですけれども、決議案が通った。そして、その後、ブッシュ大統領に拒否権というような一連の話が起きておりますので、そういった一連の動向があることは知っておりますけれども、それが直ちにアメリカのイラク政策に多大な影響を加えて変えるかといえば、少なくとも前回、イラク・スタディー・グループのときにおいては大統領はこれを無視という形になっております。

 やはり大統領権限というものは、内閣総理大臣と違って、大統領制というものが持っております強みがありますので、そういった意味においては、大統領の持っております権限というのはかなり強いものだなというのは、これまでのアメリカ大統領の歴史の中でそのような感じがいたしております。

久間国務大臣 アメリカはアメリカの三権分立の関係で、議会が法律を決めるけれども、行政府はそれに大統領が拒否権を発動する、それが嫌なときは三分の二で可決するとかそういうのがございますけれども、日本の場合は法律がなかったら全くできないわけであります。

 そういう意味で、私は、やはり法律で二年なら二年延長してもらっておいて、その後どこで切り上げるかというのは、先ほど委員はアメリカをにらんでとおっしゃいましたが、確かにアメリカもですけれども、やはり国連、あるいはほかの各国がどう対応するか、これを見なきゃなりませんので。アメリカは一応もう治安部隊は引いた、しかしながら、あとのいろいろなことは、復興とかいろいろなまたほかのことをやっているというようなことだってあるかもしれません。そのときに、日本では人道復興支援すら法律がなければやれないわけでありますから、せめて二年ぐらいの法律の延長は必要なんじゃないかなと思って、私たちは二年間の延長をお願いしているわけであります。

塩崎国務大臣 今久間大臣もおっしゃいましたけれども、アメリカ型の民主主義といいますか、その中でいろいろな可能性を考えて、新たな政策としてどういうものがいいのかということを多分いろいろ考えた末に、いろいろな意見が今出ているのではないのかな、今まで余り聞いたことのないような意見も含めて出ているのかなということを今感じました。

山口(壯)委員 これは議会で議論が出ているのみならず、当然ホワイトハウスの中でもいろいろな議論が考えられています。当然のことです。いろいろなやりとりをしながらこういうことが議会の中で出てきているだけです。したがって、大統領制だから拒否権をやっているんだろう、議会が勝手にやっているんだろうということではもちろんありません。

 この国会の中においても、我々は出口戦略ということをもう少しきちっと議論をすべきじゃないか。私は、積極的にむしろそれを前に進めるつもりで、先日からもいろいろ国連イラクPKO構想というようなものも少しずつ言わせていただいています。もちろん、それはすぐにはできないことはよくわかっている。停戦合意というものが一応どのPKOでも前提になっていますから、それはすぐにはできないことはよくわかっていますけれども、しかし、そういうことを日本が、アメリカを含め、イランに言われる前に、やはり日本がアメリカともう少し話をしてもいいんじゃなかったのか。

 外務大臣、重ねてお聞きしますけれども、先日の日米外相会談で本当に出口戦略についてはお尋ねにならなかったんでしょうか。

麻生国務大臣 両国の外務大臣会合において、出口戦略という的を絞っての話をしたという記憶はありません。

山口(壯)委員 大臣のおじいさんに当たられる吉田茂さん、アメリカとは対等のパートナーシップでもって頑張りたいというので、私も外務委員会で一度話させていただきましたけれども、安保条約の後にユニファイドコマンドというのをアメリカが提案してきた。NATOのようにアメリカ人の司令官が全軍を指揮する。フランスやイギリスから、ぜひアイゼンハワー来てくれということで、初代の司令官はアイゼンハワーでした。全軍を指揮する。

 これをアメリカが提案してきたときに、吉田茂当時の首相、外務大臣、最後までけったんです。日本とアメリカは対等のパートナーだ、アメリカの司令官が全軍を指揮するんじゃない、それだと日本は受け入れられない、そういうふうに日本国民がとったらこの日米同盟というのはもたないだろう、こういう判断をおじいさんはされたんです。それが、今の自衛隊とそしてアメリカ軍との間のガイドラインとかいう歴史に始まって、とにかく調整をしていこうという話にせざるを得なかった。司令官がいたら、みんなその言うことを聞いていればいいんでしょうけれども、パラレルになっているものですから。

 今の大臣の御答弁、出口戦略については全く聞いていませんと。しかし、同盟関係というのはもう少し緊密なものでなければいけないと思うんです。そして、私は、外交が防衛をコントロールするというのもシビリアンコントロールの非常に大事な部分の一つだと思っています。

 その意味で、外交をつかさどっておられる外務大臣が出口戦略についても聞かなかったということでは、私は非常に日米同盟の観点からは物足りないな、言いたいことも言っていないのかなというふうに思わざるを得ない。外務大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 この種の話は、少なくともアメリカの国防省で、いっぱいいる人の前で話をすることは常識的には考えられませんものね。普通、この種の話は余り人のいないところで二人でやるものだ、これまでもしてきたとおりだ、私はそう思っております。

山口(壯)委員 アメリカの国力が低下することは日本にとって極めてマイナスです。アメリカの国力が低下して、北朝鮮に対する対応についても危ういところが出てきかねない。現実に、アメリカはこれまで、六カ国協議という格好で中国に丸投げして、何にもしてこなかった。動いたと思ったら、バンコ・デルタ・アジアとか全面譲歩、全部制裁を解除する。それは、イラクとイランで頭がいっぱいだからですよ。

 そういう意味では、日本の外交のためにも、アメリカがその泥沼にはまってしまって出られなくなることがないように、外務大臣として日本の知恵をアメリカに、一緒に話そう、別に公衆の目の前で話をしろというのではありません、外交、防衛のつかさを所掌しておられる両巨頭が四人で話をされたのかと私はお聞きしたわけです。されていないという。この辺に私は改善すべきところが非常に多いと思います。

 先ほど、二年という話もありました。ここで二年、二年とよくありますけれども、どうして三年にしなかったんですか。

久間国務大臣 二年がよくて三年がだめだというわけではございませんけれども、テロ特措法のときも、最初の期限を二年としていたのを、半分は延長させてもらいたいということであのときもやりましたし、今度の場合は、イラクの復興でございますから少し長いだろうということで、このイラク復興特措法の場合は四年という法律にしましたので、やはりせめて二年間は延長してもらいたい。その間にいろいろな動きがあって、やめようと思えば途中で撤退することはできるわけでありますから、やはり二年間は最低限延ばしてもらいたいという思いでおるわけでありまして、これを三年にしなかったのはおかしいと言われれば、それはまた一つの理屈かもしれませんが、二年というのは一つの区切りじゃないかなと思っておるわけであります。

山口(壯)委員 先ほどのシビリアンコントロールの観点からすれば、例えば、アメリカの中でもいろいろな議論が出ていますけれども、二、三カ月ごとに見直していく、これはシビリアンコントロールの仕組みを徹底させようとしている一つの工夫ですね。それを二年ということになると、やはり、これは一年というのも本当は長過ぎるんだと思いますよ、今のこのクリティカルな状況の中では。本当は、我々国会としては、それは秘密会にしようが何にしようが、もう少し情報を共有しながらシビリアンコントロールをきかせて、二年ではなしに、一年ではなしに、本当は半年ごとに、特措法なんですから、特措法らしくここからは半年ごとに見直していくとかいうことが私は必要だったと思うんです。

 二年というのは、それは来年の、二〇〇八年の十一月に大統領が決まれば、そこまで二年かけておけば後は国会の議論はええわなということかもしれませんが、しかし、シビリアンコントロールという観点が抜けています。大臣、もう気持ちはわかっていますからいいです。そういうことを我々国会が大事にしていかないと、この一番の大事な部分が抜けてしまうということを私は申し上げたいわけです。

 では、何をやっているかということに関して、そこに順番に入る前に、きょう何度も議論がありました、まだ戦争なのかどうか。聞いていて、やはりどうもすっきりしないな。普通に言ったら、戦争がまだ普通に行われているんでしょう。少なくとも戦闘は行われているんでしょう、ドンパチが行われているんですから。相手が別にだれであろうと、ドンパチが行われて米軍が一生懸命やって、しかも犠牲者まで出ている。

 ちなみに、これは久間さんのところの山崎さんになるかもしれないけれども、それで結構ですから、アメリカはコンバットゾーンというものを設定しているんじゃないのでしょうか。

山崎政府参考人 アメリカ軍が指定をしておりますコンバットゾーンというのは、戦争に従事している米軍の厚生面等も留意をして指定をしている範囲でございまして、必ずしも戦闘地域とは重なっているわけではございません。

山口(壯)委員 ちなみに、山崎さん、コンバットゾーンというのは日本語でどう訳されていますか。

山崎政府参考人 私のつたない英語力でございますけれども、戦闘地域ということでございます。

山口(壯)委員 山崎さんとはたまたま二十年ほど前にアメリカで一緒に勉強をした仲なので、当時のこともちょっと思い浮かべながら今質問させてもらっていますけれども、このコンバットゾーンというのは、たまたま別の観点で言っているものだというのは、山崎さん、説明としてはちょっと成り立たないんじゃないでしょうか。現実に戦闘をしているわけですね。彼らのルール・オブ・エンゲージメントというのはどこからきていますか。

山崎政府参考人 これは、例えば米軍の兵士に対して戦地手当とかそういうことを支給するときの基準として、かなり広範な範囲を含めて戦闘地域を指定しているというふうに承知をしております。

山口(壯)委員 コンバットゾーンはそういうものの目的のためだけですか。

山崎政府参考人 当然、そういう広範な地域の一部には、実際に戦闘が行われている最前線の戦闘地域も含まれているというふうに考えております。

山口(壯)委員 交戦規則がいろいろ定まっている中で、このコンバットゾーンも関係しているわけですね。私は、国民にはもっと正直に本当のことを伝えて、そしてこの法案に対する理解を求める姿勢がシビリアンコントロールの一番大事な部分だと思うんです。

 山崎さんは、役人としてとにかく守っていくという観点から一生懸命そういう苦しい答弁をされているんだと思いますけれども、やはりアメリカも普通に、普通にというか、ああいう中で、主要な戦闘は終わったと大統領は言っているけれども、現実にはドンパチをやっている。しかも、相手は二、三人の相手じゃないわけですよ、次から次へと雨後のタケノコのごとく出てきて、みんな鉄砲を持ってやっている。

 DDRという概念がありますね、刀狩りみたいな話だというふうに比喩をした人もいましたけれども。でも現実に、DDRで頑張っても、次から次へと鉄砲を持って出てくる人たちがいるものだから、それはアメリカがうちのお父さんを殺したとかうちのお兄さんを殺したとかいう憎しみがどんどんどんどんたまっていけば、そういうことにもなるんでしょう。そういう意味では、相手は一人や二人あるいは十人、百人じゃないわけですから、当然、ドンパチといっても、日本で時々ニュースになるようなパンパンというドンパチじゃないです。

 それを考えると、我々が戦争のもとにあるかないかというのをまるで軍事オタクのような議論で、国連憲章に戦争という概念が認められていないから、そういう話じゃないです。現実を見てみたら、これは明らかに弾が飛び交っている。弾が飛び交っているときに、日本の貢献はいかにあるべきかということを議論しなきゃいけないわけです。その辺の認識が完全に欠けているんじゃないのかな。

 官房長官どうですか、今自衛隊のC130がどういう物資を運んでいるかというのは御存じですか。

塩崎国務大臣 これは軍事的な面もございますし、公開はしていないということでございますので、この場で答弁するべきことでもないんだろうなと思います。大体、もちろん、いろいろなものがあるということはわかっておりますけれども。

山口(壯)委員 今、官房長官は詳しくは知らないというふうに私には聞こえました。だけれども、これは官邸におられる官房長官が、やはり、ここでは言えなくても、当然、詳細にわたって知っておられるべきことです。どうですか。

塩崎国務大臣 軍事的な秘密もありますから申し上げられませんということを遠回しに申し上げたところでございます。

山口(壯)委員 例えば、人道復興支援についてもまだこのC130が従事している、こういう答弁でした。どういうものを運んでいるかということは、安全確保上、どういうふうに関係ありますか。

久間国務大臣 安全確保上、どういうあれがあるかと言われますけれども、いずれにしましても、自衛隊のC130で運んでおります物資等については、抽象的な言い方でいくと、人道復興支援のために必要な物資、あるいはまた安全確保のために必要な物資、そういうのを運んでおって、その内容等についてはつまびらかにできないという、それ以上のことはお答えするわけにはいかないわけであります。

山口(壯)委員 私の質問の仕方が、ちょっと今混乱されたかもしれませんけれども、安全確保上と言ったのは、例の法律の目的の安全確保ではなくて、C130の運航の、運用の安全を確保するために、人道復興支援物資として何を運んでいるかということも公表できないんですか、こう申し上げたわけです。今大臣の答弁はできませんということでしたけれども。

 でも、考えてみてください。例えば、毛布を運んでいますとか、あるいは食料を運んでいますとか、あるいはテントを運んでいますとか、これを公表しないことは、運用の安全上、事柄の性格上、答弁を差し控えさせていただきたいという範疇には入らないです。これは入らないです。

 これは委員長、ぜひ理事の皆さんで一度議論してください。やはりどういう物資を過去この六カ月間運んだかということについては、シビリアンコントロール、一番中核にある国会の理事が知らないということでは、私は、この法案の根本が揺らぐんじゃないかと。理事の皆さんで、どういう物資を運んでいるかについては、どういう形であれ、理事あてであれあるいはこの委員会であれ、私は委員会に報告すべきだと思いますけれども、お諮りいただけますでしょうか。

浜田委員長 今後、我々とすると、継続していくことになれば、当然、そういったことも含めて議論してまいりたいというふうに思っております。

 久間防衛大臣。

久間国務大臣 国連の関係でいえば、例えば、例示を挙げれば、ストーブを運ぶとか毛布を運ぶ、それはあると思います。それで、多国籍軍の関係でいいますと、具体的なことはできるだけお答えしたくないんですが、例えば、車両とか航空機の部品とか、建築用の機材とか、郵便とか書籍とか、そういったものも運んでおります。

 余り細かいことについては、何を運んでおるかは勘弁してください。

山口(壯)委員 久間大臣はできるだけ私への答弁に答えていきたい、そういう気持ちを私は受けとめさせていただきます。

 他方、やはり大臣、ここの部分は、ここの部分ごときも言えないということじゃないはずなんです。私も防衛庁に二年、運用課に勤務していましたから、事柄の性格上公表を差し控えさせていただきたいというのをもう決まり文句みたいに答弁に書いたのを今きのうのごとく思い出しますけれども、やはりそれは、一つ一つ見ていくと、本当に事柄の性格上だったかどうかというのは、私は今から思っても極めて疑問に思うところがあります。

 今大臣は、ストーブ、毛布あるいは建築用機材、これは安全の観点から何も差し支えのないことです。こういうことはきちっと言わなければ、我々、シビリアンコントロールのこれは一つの部分ですね。これなしに二年間延長してくれという話が今までずっと来たわけです。物資についてどういうものがあるんだというのを今初めて私聞かせていただきました。何も差し支えないですね。これを聞いたからあしたテロリストがC130をねらおうという気にはまずならないです、運用の詳細についても言っていないわけですから。

 その辺は、やはり日本の国会が民主主義の拠点としてシビリアンコントロールをきっちりきかしていくという気持ち、防衛省に格上げするとき、私も一生懸命根回しして、民主党の中の意見もきちっとまとまって、久間さんが初代の防衛大臣になっておられるんです。そのときに、このシビリアンコントロールということを大事に思っていただきたいと思います。

 大臣、いかがですか。

久間国務大臣 これまでも大変お世話になってまいりましたし、協力いただいておるわけでございますけれども、先生自身も自分が携わられたからわかりますが、今みたいに言うことすら非常に気が引けるのは、ストーブ、毛布と言ったら、それ以外に何かというのが次には質問としては出てくるわけであります。航空機の部材と言うと、航空機のどの部材なのかというような、いろいろな形で話が出てまいりますので、そうすると、これは言えて何でこれは言えないのかという話になりますから、全体として、やはり安全確保の観点から勘弁していただきたいということでお願いする以外ないわけでありまして、やはりこういうのを、もっとつぶさに委員会として、あるいはまた国会としてするためには、ここで言ったことが公表されない、都合のいい人にその資料が渡らないようにせぬといかぬのではないか。

 アメリカはホームページに載せているじゃないかと言いますけれども、それは全体としてまとめたものを言っておりますし、また、アメリカはアメリカでPR用に言っているのかもしれませんけれども、うちの場合は対外的にPRする必要はないわけでありまして、自分なりにやっているということをきちっと確信を持ちながらやっていく。

 そして、そのために本来、シビリアンコントロールの観点から議会ぐらいは、少なくともこういう委員会とか安保委員会とかそういう委員会とかは知りたいという、全体は知らなくてもいいから、いろいろな党派がありますから、せめて理事だけは秘密を守った上で知りたいとか、そんないろいろな選択肢はこれからやはりみんなで研究すべきだと思いますけれども、午前中の委員会でも私は言いましたが、日本の場合には残念ながら、ちょっと話が出ましたら、もうその日の夕刊にはばあっと出てしまうぐらいの非常に広がりを持った現在の制度ということについては、先生自身も知り過ぎておられるはずでございますので、そういうことで自分のときも非常に注意されたと同じように、私たちも余りに過剰反応し過ぎている点もあるかもしれませんけれども、やはり現段階ではやむを得ないんじゃないかなと私自身も思っているところであります。

山口(壯)委員 委員長、この話について、先ほど継続するのであればということを言われましたけれども、ぜひこれは、きょうまさか採決されるんじゃないんでしょう。

浜田委員長 書いてあるよ。

山口(壯)委員 もう決まったんですか。

 では、ぜひその採決の前に、これは、理事で御相談いただいて、こういう話を提出していただくように、最後にそれはきちっと相談していただけますか。

浜田委員長 この件に関しては、いずれにしても、我々が今ここで話し合って結論の出ることではありませんので、当然のごとく、出し方については、議運の関係もありますので、それも含めて今後議論させていただきます。

山口(壯)委員 あるいは、先ほどの、久間大臣は非常に積極的に物を言っておられる部分の一つが、多分秘密会のことを指しておられるんだと思いますけれども、我々の風土の中にまだ、秘密会というものをきちっと守って、そこで知ったことは一生ふたをして一切言わないという風土が必ずしもまだ我々についてはなじんでいないですから、そういういろいろな心配もあるんでしょう。ただ、我々としても、それはなじんでいくべく、みんなで努力していかなければいけないことですから、久間大臣のそういうコーシャスな気持ちと同時に、やはりそういうポジティブな気持ちで取り組んでいっていただきたいと思います。

 委員長も注意深く今言っておられるから、非常に答えにくいんだと思いますけれども、どういう物資を運んだかということについては、そんなに難しい話ではありません。ぜひ理事の皆さんで一度相談をして、採決の前に相談をしていただけますか。重ねてお願いします。

浜田委員長 議場内で筆頭間でまた調整をさせていただきます。

山口(壯)委員 委員長は議場内で筆頭と言うんですけれども、ぜひ理事の間でお話をいただいて、もう時間もないわけですよ、きょうもしもされるのであれば。だから、その前にぜひ、こういうことを知った上できちっと議論をするというふうにしていただけませんか。

浜田委員長 とりあえず、今すぐここで理事を集めてというわけにはまいりませんので、とりあえず一たん筆頭間で話をしていただいた後に、またお答えをさせていただきたいと思います。

山口(壯)委員 委員長、その間ちょっと時計をとめていただけませんか。(発言する者あり)いないというのはどういうことですか、中谷さん、いないというのは。今、原口さん、捜しに行ったんでしょう。今、だから、捜しに行ったんでしょう、筆頭を。

浜田委員長 いや、質疑を続けていただいて、その件に関しては調整をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 山口君。(発言する者あり)

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 今、筆頭とこれから協議をさせますので、質問の方を続行していただいた中で、後ほどまた、その話し合いの後に御報告をするようにいたしますので、山口質問者、よろしくお願いします。

山口(壯)委員 これは最初から出せないという話じゃないはずです。やはり今、防衛省のマインドとして、出せないものは出せないではないです。これは、出せるものは出せます。

 現実に、正直言って、安全の観点から問題の話では全くありません。こういうことが当たり前になっているということ自体がおかしい。かといって、何か変なところで情報はいっぱい漏れてしまっている、どうなっているかという話ですよ。その辺をきちっとしないと、私は本当にだめだと思うんですけれども。

 ちなみに、私もクウェートに行って、現実にはバグダッドに行けずに帰ってきましたけれども、フライトプランですね、C130の。クウェートの基地から飛び立つC130のフライトプランというのはどこに提出されているんでしょうか。

山崎政府参考人 これは、多国籍軍の空輸関係の調整をしている司令部でございます。

山口(壯)委員 ということは、米軍ですか。

山崎政府参考人 多分、中央軍の隷下の中にある多国籍軍の調整をしている部署だと思います。

山口(壯)委員 そして、これも詳細ですから山崎さんからかもしれないけれども、例えばC130が飛ぶときに空域管制を受けるはずですよね。勝手に捜して適当に飛べということではないはずでしょう。その空域管制は、クウェート―イラクの間、どういうふうになっていますでしょうか。

山崎政府参考人 全体の空域調整あるいは管制については私ども承知をしておりませんけれども、アリ・アルサレムからタリル、タリルは米軍の飛行場がございますので、米軍が管制をしております。それから、エルビルにつきましては、たしか現地の政府が管制をしているというふうに聞いております。

山口(壯)委員 山崎さん、これはきのうというか事前に通告してあるんですから、承知しておりますという場合に、それはしていますということですか、現実に。どうなっているかわからないという今のニュアンスが私には感じられましたが。

山崎政府参考人 全体の空域調整については私ども承知をしておりませんが、自衛隊が使用している飛行場につきましては、ただいま申し上げたとおりでございます。

山口(壯)委員 ということは、山崎さん、基地と基地のところはほとんど米軍がやっているけれども、その間はC130が勝手に飛んでいっている、こういう格好になっているわけでしょうか。

山崎政府参考人 先ほど申し上げましたように、例えばタリル空港をとりますと、タリルの空港は米軍が管制をしておりますので、恐らくアリ・アルサレムから飛行場を立ちましてタリルとの間では米軍の管制に従っているというふうに考えております。

山口(壯)委員 その途中はどうですか。

山崎政府参考人 途中も米軍というふうに承知をしております。

山口(壯)委員 山崎さん、承知しておりますというより、むしろそうなわけです。

 別に私、問題だと言っていないんです。だけれども、こういうことがどうも、これは別に、例えば安全上の話では必ずしもないです、こういうところは。だから、国会の中で全くこの辺も議論なしに、行ったときに基地へ入るのに、クウェートの敷地内にある空自の場所、これについてアメリカに聞いて六週間も期間が要りますと。私、テロリストだと思われているんだったら話は別ですけれども、六週間も要りますというのは、ちょっとどう考えても同盟国からの話としては、どうも納得がいかないです。

 全部大体、アメリカがああやってずっと管制も大体主要なところを受け持っている。関係はわかりますけれども、その辺はやはり当時の吉田茂首相が思われていた、やはりアメリカとの関係というのは国民に対等の関係なんだなと見えるように、政府の閣僚の面々の方々にもそこは努力をしていただきたいと思うんです。麻生大臣、いかがでしょう。

麻生国務大臣 今のその飛行機の技術的な話をちょっと私に聞かれてもよくわからぬのですけれども、飛行場から飛行場まで飛んでいくのに空域管制はどこのだれが指示するかという話を聞いておられるのでしょう。(山口(壯)委員「いや、全体の同盟のあり方です」と呼ぶ)全体の同盟のあり方ですか。全体の同盟のあり方に関しましては、少なくとも、安保を結ばれました、正式に発効した昭和二十七年四月の二十八日以降で見れば、少なくともこの五十年、約五十年の間に随分と変わってきたと思っております。我々を取り巻きます情勢も大きく変わった、二極構造も変わった、一極構造になった。

 そういった中にあって、日本というものの置かれております地理的情勢だけを言わせていただければ、少なくとも朝鮮半島、台湾海峡、いずれも昔と比べて情勢が著しくよくなったという状況にはないというのはもう御存じのとおりなので、そういった状況下の中にあって、日本とアメリカとの関係というのは、昔に比べて話はしやすくなったんじゃないでしょうかね。昔、池田・ロバートソン会談というのが、最初に、多分昭和二十何年だったですかね、あれは。吉田内閣のときにあったときの感じを最初に思い出しますけれども、これの時代に比べれば著しく状況は変わったと思っております。

 問題は、そういったような意欲とか意思とかいうものをきちんと持っているのかどうかというのが大事なのであって、少なくとも、持っております双方の国力というものはこの五十年間著しく変化をしておりますので、それを運用する立場にある人間のいわゆる意思、意欲というものが大事なところなんだという御意見なんだと思いますが、私もその意見に関しては賛成です。

山口(壯)委員 きょうは出口戦略ということで議論をさせてもらいましたけれども、この戦争に関しては、一番心根のところでどうも主従関係みたいなものに見えてしまっているというところに、いろいろな人がいろいろなわだかまりというか歯切れの悪さを感じると思います。

 この戦争が情報が間違っていたからどうのというのをブッシュさんが言った、あれは違いますよ。ブッシュさんは情報が間違っていたと言っているけれども、そうじゃなかった、最初から戦争をするつもりだったんだというのが、この間のCIA長官のテネットさんの書いた本の趣旨です。

 したがって、別にブッシュさんの言い分をここで披露する必要はないんです。やはりそういう意図がアメリカにあるのであれば、日本は見抜いて、対等の外交を、同盟関係をしっかり築いていってください。

 終わります。

浜田委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 前回、四月二十七日は、アフガンを中心としてテロ特措法について質問させていただきました。きょうは、イラク特措法を中心に質疑をしたいと思います。

 外務大臣、冒頭ですが、今回、四年経過をして、二年延長するという特措法の改正であります。外務大臣、この四年間にイラクの治安状況、各委員からもお話があったように、連日、亡くなられた方が減少するどころかむしろ増加をしている日や月もあるという中で、そういう死傷者を中心とした治安の問題や、また、最後の部分でまた質問させていただきますが、いろいろな意味で、経済がこの四年間で、特に日本が具体的に協力をし始めてどのように変化をしたのか、例えば経済状況もよくなっているのかとか、そういうものが、先ほど来のお話にありますように、なかなか数字も含めて私どもの目に見えないのが実情であります。

 外務大臣、この四年間という、自衛隊を派遣する前、そして今という時点で結構でございますので、イラクの国内の治安、そして社会経済状況がどのように変化をしてきたのか、冒頭、お尋ねをしたいと思います。

麻生国務大臣 まず治安の方からですけれども、先ほどから御答弁を申し上げていると存じますが、少なくともイラクにおきます問題は、いわゆる闘争というか紛争というか、これに関しましては種類は二つ、一つは宗派間の対立、一つは多国籍軍といわゆる武装勢力との闘争、この二つが大きな流れだと存じます。

 今まではバグダッド周辺に主に集中していたと思いますが、北方のクルド人、また南の方のシーア派の多いところ等々においてはそれなりに治安は回復され、御存じのようにサマワ等々では自衛隊からの権限移譲がイラク政府に行われるというような形で、少しよくなってきたと私どもは認識をしておりました。

 ただ、五月に入りまして、ブッシュ大統領の声明があった以降の五月の九日でしたか、それから昨日の五月の十三日、いずれも北方のクルド人地域において爆破が行われておりますので、これは北方の地域が同じようにきつくなったと思うべきか、バグダッド周辺のいわゆる治安取り締まりが厳しくなったから北の方に移動したと考えるべきか、これはプロに聞いていただかないと、私どもにちょっと判断できるところではありません。

 それから、経済状態を御指摘ありました。これはかつて一人頭のGDPで三千六百ドル、このイラクというところはあったんですが、二十六年間か五年間のフセイン政権の時代にこれはもうがたっと落ちたことになっておりまして、イラク経済は疲弊をいたしております。

 二〇〇七年五月付で、これはブルッキングス研究所ですから、これはかなりアメリカ寄りの研究であると思って、前提で差し引いて聞かないとこの種の話はようわかりませんから、ブルッキングス研究所の報告によれば、GDPは、二〇〇二年、四年前の二百五億ドルから、二〇〇六年は四百七十億ドルと約倍増いたしております。それから、国民一人当たりの所得につきましては、同じ年ですが、八百二ドルから千六百三十五ドルに上昇したと推計をされております。これがブルッキングスの資料です。

 それから、世銀の資料を、別のを見ますと、これは失業率というものは私どもよく問題だと言うんですが、これが二二%から二八%と、今現状、四人に一人ぐらい失業者という推測が出ております。平均寿命で見ますと、二〇〇〇年から二〇〇五年までの期間の平均寿命は五十八・八、二〇〇四年の五歳未満の乳幼児死亡率、千人に対し百二十五人という状況になっておりまして、いずれも、周辺の湾岸諸国に比べて状況としては極めて劣悪という状況になっております。

 したがって、改善されつつあるとは存じますけれども、いろいろな、今申し上げたような乳幼児死亡率等々を見ましたり平均寿命等々を見ますと、もう少しこういったものがきちんとしていればよくなってくる、もう少し乳幼児死亡率が下がり平均寿命が延びるということになっていなければならぬはずだと思っておりますので、社会情勢一般としてという御質問でございましたら、数字で申し上げると、今申し上げたような数字から推測、憶測する以外ほかにすべがありませんけれども、いずれにいたしましても、二〇〇二年の始まる前に比べれば少なくとも所得は上がってきているのかもしれませんけれども、傍らその他の問題が起きているのはもう御存じのとおりだと思いますので、こういう状況になっているというのはなかなか一概に言いがたいところであります。

後藤(斎)委員 官房長官、質問通告していないんですけれども、非常に基本的なことなのでちょっと長官にお尋ねしたいんですが、四年前にイラク特措法ができた際に、基本的には、法律の有効期間を四年とまず決めて、それから別の法律で四年間また延長できるという二頭立てでやって、今回は二年延長して、さらに四年間延長するという。

 四年前の立法当初は、四年、四年の最大八年という立法の規定になっていたというふうに私は読んでいます。今回、新しく今委員会で議論をしているのは、施行の日から六年を経過すると、一つ、法律を二年間延長して、さらに附則の中で、四年間を経過するという、トータルで十年間法律の有効期間があるというふうにこれはつくられておる法律なんでしょうか。

塩崎国務大臣 ちょっと今手元にないんですが、当初は、四年まで延長できるというふうに書いてあったかと思います。その中で今回二年延長をお願いしている、こういう格好になっているわけでございます。

後藤(斎)委員 いや、官房長官、そうではなくて、今回の法律の部分では「六年を経過した」というふうに変えて、さらに四年間以内の期間を定めて効力を延長することができるというふうなこと、私のこの認識が間違っているんでしょうか、官房長官。

塩崎国務大臣 引き続いて四年まで延長できますけれども、今回は二年延長をお願いしているという格好です。

後藤(斎)委員 官房長官、お聞きをしているのは、四年前の立法当初には、まず有効期間が四年で、さらに別の法律で四年まで延長できるという形ができていて、今回は、施行から六年まで経過ができて、附則で四年間さらに延長できる。要するに、当初は八年だったものが、今度は二年延長して十年が全体の有効期間にはなっていませんかとお聞きをしているんです。

久間国務大臣 特措法でございますから、期限をある程度切らなきゃいけない。それで、四年を一つの区切りにして法律をつくっております。だから、延長する場合も、四年の見通しでなら延長できますよということにしたわけですね。今回、二年という延長をしておりますから、その二年の期限が来たときに延長しようと思えば、二年もできるし、あるいはまた四年もできるわけです。

 要するに、四年以上の長い将来の見通しを立ててやるのは難しかろうということで、たしか四年の範囲内で延長できますということをあのときつくったと思っておりますから、今は二年ですから、もちろんその範囲内ですからできますけれども、二年たった時点で、そこでもう一回延長しようじゃないかというときには、最初の精神が生かされますならば、そこでやはり四年はできるけれども五年とか六年とかの延長はできない、そういう立法趣旨だと読んでいただければいいと思います。

後藤(斎)委員 では、防衛大臣、四年前の立法趣旨のように、今回二年延長で、少なくとも、仮に今回二年延長になっても残りの有効期間は二年で、トータルで八年という理解でまずよろしいんですね、そこは。

久間国務大臣 必ずしもそういうことじゃなくて、二年間たった時点で、そのとき、要するに何年改正しようかということになると、それは国会でまた議論されるわけでありますけれども、最初立法した趣旨からいきますと、特措法の期間というのは、やはり四年が一つのその時点で判断できる範囲じゃないかということをあのとき決めたわけであります。

 だから、四年たった時点で、今の時点で四年延長することもできましたけれども、二年ということにしたわけでございますね。だからそれは、今の時点で二年ということをそこで延長するから、六年は延びるわけです。しかし、その時点で、そのときの国会の先生方がどう判断するかだけれども、最初の考えをやめてしまおうと思えば、そのとき、もう一年でもいいし二年でもいいし、あるいは、一番最初みたいに、まあ四年間はもう一回延長してもいいじゃないかという判断をされればそれは可能でございますけれども、そういうことは普通はなさらないと思います。

 しかしながら、いずれにしましても、そのときの立法の趣旨というのは、この特措法については、ある程度の期間を念頭に置く、そうすると、それでもやはり四年の幅の中で考えるというのが筋じゃないかということで、たしか立法をやったときには考えたような記憶がございます。

後藤(斎)委員 ちょっと私の頭が整理できないのかもわかりませんが、官房長官、これは主管が官房長官のところですから。

 少なくとも、今回の法律の一部改正の法律は、附則二条及び三条中、四年を六年に改めるというのが、これは基本的に一本の法律ですよね、改正の。そうですよね。この説明の資料の中に、現行の二条では、「この法律は、施行の日から起算して四年を経過した日に、その効力を失う。ただし、その日より前に、」、三条に、施行の日から起算して四年を経過する場合でも、「四年以内の期間を定めて、その効力を延長することができる。」と。今回の改正案は、この附則の両案を、官房長官、六年というふうにしていますから、今久間大臣にお答えをいただいたように、今回、四プラス二で六年と。それで、現行の法律の、別に定めなければ、基本的には、二年たった時点でまた改めて検討をする、新しい法律をまた必要であればつくり直すという理解でよろしいんですか。

塩崎国務大臣 おっしゃるとおり、今回、二年間延長させていただいたときに、二年を終わったところで、もう一回、四年の範囲内での延長が可能だということで、そのときに判断をする、こういうことでございます。

後藤(斎)委員 わかりました。では、トータル八年ということで理解をさせていただく……(久間国務大臣「いえいえ」と呼ぶ)えっ、違うんですか。ちょっともう一回。

久間国務大臣 四年で法律は期限が切れるわけですね。しかしながら、そのときには、今回みたいに六年間ということで法律を変えるわけですから、そうすると、法律そのものは六年間の法律ということになるわけですよ。そうすると、四年延長することができる、そういう規定は残っておりますから、有効ですから、それで、六年で期限が切れるときにはその規定が生きているわけですから、その規定の範囲内においてまたどこで切るか、二年にするか何かというのはまた可能でありますから、最大限、だから十年は可能だ、そういう説明になるわけですね。だから、八年ということじゃございませんので、そこは誤解のないように。

後藤(斎)委員 防衛大臣、ただ、立法の意思としたら、四年前の立法当時の四年、四年、トータル八年というのがまずベースにあって、ただ今回は、四プラスの部分で、これから、あと二年延長した後の二年は大丈夫だけれども、そのときにはまた、だから、トータル十年間は大臣、その中で少なくとも、ただ、八年という立法の趣旨はきちっとまずベースに置いて対応はされるべきだというお考えということで、もちろんよろしいんですよね。(久間国務大臣「おっしゃるとおりです」と呼ぶ)はい、わかりました。

 官房長官、もっとこれは、いろいろこの法律を見ていくと、今、自衛隊の、特に空自の派遣がどうなるかというその出口、後でちょっと触れさせていただきますが。

 官房長官、このイラク特措法の法律の書き方は、要するに、一に目的があって、二に基本原則があり、そして三条に、定義という中に、三条の一に人道復興支援活動、二に安全確保支援活動という二頭立てに少なくともこの定義も含めてあり、その二項以下に、人道復興支援活動の医療ほか五項目、それで安全確保活動という形があって、四条の基本計画の中で、一年ごとに今見直しをしているものが出てきます。

 官房長官、今、人道復興支援活動を中心に空自も活動している。ただ、最近では、安全確保支援活動というふうなことにも空自は実際かかわりをしているというようなことになっています。そもそも、この一と二の人道復興支援活動と安全確保支援活動、簡単で結構ですから、それぞれの活動の目的についてどのように定義をなさっておるのか、お答えいただけますか。

鈴木政府参考人 今御質問の件でございますが、法律の第三条に、先生御指摘のように、人道復興支援活動、安全確保支援活動、それぞれの趣旨が書いてございます。

 人道復興支援活動につきましては、「イラクの国民に対して医療その他の人道上の支援を行い若しくはイラクの復興を支援することを国際連合加盟国に対して要請する国際連合安全保障理事会決議」云々、「又はこれに関連する政令で定める国際連合の総会若しくは安全保障理事会の決議」に基づいて、「人道的精神に基づいてイラク特別事態によって被害を受け若しくは受けるおそれがあるイラクの住民その他の者を救援し若しくはイラク特別事態によって生じた被害を復旧するため、又はイラクの復興を支援するために我が国が実施する措置」というのが人道復興支援活動の趣旨でございます。

 他方、安全確保支援活動につきましては、イラクの国内における安全及び安定を確保するために貢献することを国際連合加盟国に対して要請する国際連合安保理決議云々があって、これに基づいて国際連合加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を確保する活動を支援するための我が国の活動であるということでございます。

後藤(斎)委員 官房長官、そしてその次に、この法律、基本計画が、今お話しになった部分で定義を四条でされ、その中にこの人道復興支援という活動で、自衛隊の部隊等による人道復興支援活動とあわせて、イラク復興支援職員による人道復興支援活動というものがございます。

 自衛隊による人道復興支援については先ほど来お話がありますので、官房長官、基本計画の二の(二)のイに基づくイラク復興支援職員による人道復興支援活動というものが自衛隊の役割と一緒に併記をされて書かれています。これについては、医療と利水条件の改善という具体的な活動というか目標がございますが、今までこのイラク復興支援職員による医療、利水条件の改善というものは、どのくらいの規模で、いつ、どのような地域で対応なさったのか、簡潔で結構です、お答えください。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 現在、基本計画で書かれております復興支援職員によります活動としての医療及び利水条件の改善の活動につきましては、これまで必ずしも実施した経緯はございません。

後藤(斎)委員 官房長官、では、基本計画を昨年改定したときに、今活動事例がないものをなぜ入れ込んでそのままこの基本計画で対応なさったのか。あわせて、今回法律改正に当たって、法律自体から人道復興支援活動の職員によるものを法律事項から抜かなかったんでしょうか。

鈴木政府参考人 今、基本計画に規定してございます医療及び利水条件の二つの分野については、私ども、まだ復興支援職員の活動として実施した実績はないのでございますけれども、当初より、やはり、イラクの現状を見ましたときに、この二つの分野というものが、相当長い時期にわたってイラクの復興の一つの重要な分野になるという認識のもとに、基本計画に規定させていただいているという趣旨でございます。

後藤(斎)委員 官房長官、今の答弁の一部はわかります。理解できますが、うがった見方をすれば、自衛隊だけが突出しないように、イラク復興支援職員の活動も残したというふうにとらまえる、要するに、今局長から御答弁をいただいたように、今まで実績がない。

 私がお聞きをしている範囲では、イラクではないけれども、ヨルダンでは遠隔でやられたというお話は聞いていますが、官房長官、私、この基本計画そのもの、もしこれを二年仮に延長するにしても、やはりこの内容自体の詰めというものをきちっとしたのかどうか。そこが、今のような答弁だと、自衛隊については、防衛大臣が繰り返しお話しのように、いや、必要だ、イラクからも多国籍軍からも高く評価されているということでありますが、それでは、イラク復興支援職員の方々の活動というものが明確に書いてあるにもかかわらず、しなかったという報告は今まであったんですか、官房長官。

塩崎国務大臣 今までの実績は、これまでのものでは、発電機の設置に関する助言指導及び発電機の供与を実施ということで、政府職員と民間の人と一緒になってやったというケースが二〇〇四年にあったというのは、今お話があったと思います。それは聞いております。

後藤(斎)委員 ただ、官房長官、それはヨルダン、要するに隣国における、イラク側の技術者に来ていただいて、以前、末松委員が質疑をしたように、遠隔でできるような状況だというふうに理解をしてもよろしいわけですよね、イラク国内ではありませんから。

 ですから、もし仮に、利水条件、発電がどこに入るのかというのはよくわかりませんが、少なくとも基本計画では、医療と利水条件の改善ということで、今官房長官がお答えした、浄水場の部分だから、発電機も広い意味でいえば利水条件の改善というところに入るのかもしれませんが、むしろ、この二〇〇四年のヨルダンにおける支援職員の方の活動が唯一一つの事例であるとしたら、それを踏まえて、それからもう三年たっているわけですよね。少なくとも、今回法律を改正して二年延長する。いずれこの法律が経過したら基本計画も直すんでしょうけれども、その際に、では官房長官、今の実績、これからのいろいろな目標も後で外務大臣にもお聞きしますが、このイラク復興支援職員の方々の基本計画における位置づけというのは、例えばなくすとか、そういうことも含めて大きく見直すというおつもりはございますか。

鈴木政府参考人 イラク復興支援職員につきましては、御案内のように、今、一般職の国家公務員を想定しておりますので、こういった職員が実際に活動する場合には、やはり現地の治安状況を相当十分に見きわめた上で、安全策を講じて活動してもらうということが重要でございまして、また、その趣旨も法律に書いてございます。

 私どもとしましては、いずれにせよ、このイラク特措法という法律の柱、中身として、一つはやはり自衛隊の活動という重要な分野があり、もう一つはやはり、総理大臣の指揮のもとで一般職の公務員が人的貢献をする部分というのも重要だと思っておりますので、一言で申し上げれば、イラクの現場の状況というものがある程度改善し、そういった活動ができるときには、できるだけ速やかにそういった活動に移っていきたいというふうに思っておりますので、そういった心構えでもって、今基本計画にもこういった分野について規定させていただいている、そういう趣旨でございます。

後藤(斎)委員 その部分もわからないわけではありません。外務大臣、お聞きするところによると、イラクには今現在、日本大使館が存在をして活動されている、ただ、その人的なものとかお名前とか、お名前は別に聞くつもりはなかったですが、何をやられているかということはトップシークレットであり、開示はできないというお話を聞いています。

 通常であれば、官房長官、内閣府職員に任命をし、その職員の身分のまま例えばイラクに出すという行為と、外務省職員に併任ないしして外務省職員として大使館や領事館を中心にする活動で、今局長がお答えになったような、自衛隊以外の方々が、要するに一般の国家公務員の方々が活動できないという状況ではないはずなんです。

 ですから、外務大臣、あわせて、イラク復興支援職員は外務大臣のコントロール外かもしれませんが、今、イラクの日本大使館ではどのようなお仕事を、もし人数もよければ、どの程度いて、どのようなお仕事をされているのか、端的で結構です、教えていただけますか。

麻生国務大臣 これは安全上、ちょっと細目申し上げられないんですが、これは、セーフティーゾーンの中と外と二つ分けて言わなくちゃいけないとか結構いろいろありまして、ちょっとなかなかいわく言いづらいところなんですけれども、バグダッドの中に常時数名以上おりますとしか申し上げられようがありません。

 主に、日本人の旅行者等々はほぼおりませんので、いろいろ紛れ込んでこられる方もいらっしゃる、時々あらわれてということもあることはございますけれども、基本的には、邦人が今常時そこにいるというわけではございません。邦人というのは、大使館以外の邦人というのがそこに常時いるわけではございませんので、そういった意味で、通常の大使館業務とはその内容の質をかなり異にしていると存じます。

後藤(斎)委員 官房長官、今、イラクの中でも、治安上、安全確保上申し上げないが、複数以上いらっしゃってお仕事をされている、通常の大使館の業務と違うお仕事もされているということであります。

 それで、官房長官、これから基本計画を見直す際に、改めてお聞きをしますが、内閣府職員というお立場で出すイラク復興支援職員の方、実際、現在まで、ヨルダンで遠隔をした事例以外ないということであります。そうであれば、これからの基本計画の立て方の中で、そのイラク復興支援職員という方は今まで実績もないから変えて、大使館の方の業務に一元化をして対応するというおつもりはございますか。

塩崎国務大臣 基本は、やはり向こうの政府のサイドからどういうニーズがあるのかということがあると思うんです。

 たまたま今、今までのニーズとそれからこちら側が安全確保等々いろいろ配慮しなきゃいけないことで実績がなかったわけでありますけれども、まだこれからどういうニーズが出てくるかよくわからないという中にあって、こういう復興支援職員という形での、内閣府に身分を移しての活動というのは十分あり得るだろうというからこそこれを残しているわけであって、ただ、この安全確保をどうするかということに関しては、極めて重要な問題でもございますので、もちろん、遠隔操作も可能でありますから、そういったことで、なおいろいろな形の支援活動というものを展開する一つのメニューとしてこれをさらに活用するということは十分あり得ると思いますが、まだこれは、基本計画を立てるときにまた考えなきゃいけない、こういうことだと思います。

後藤(斎)委員 官房長官、むしろ、例えば今基本計画に明定をされている医療とか利水状況の改善というのは、もし治安条件とかそういうものが穏やかな状況になれば、今、JICAの職員とか専門家の方で十二分に多分対応ができるもの、要するに、改めて内閣府の職員が現地に行かなくても、短期間か中期間かは別としても、ある程度長い時間をかけて対応できるものだと思うんです。これはもうこれ以上結構ですが。

 では、官房長官、別の次元からちょっとお尋ねします。

 それでは、例えば国連とか多国籍軍といろいろな連絡調整を、この基本計画に基づいて派遣をされている、これは防衛大臣かな、イラク政府であるとか多国籍軍の方々とお話をして、いろいろな、例えば飛行計画であるとか、何をどう運ぶとかいうことを決めていくと思うんですね。それで、官房長官がお話しになった、イラク政府からいろいろなニーズがあれば復興支援職員の方も安全確保という前提条件つきで出していく可能性もあるというお答えでした。現在で結構ですが、国連や多国籍軍との連絡調整というのはどなたがやられておるんですか。

岩屋副大臣 国連それから多国籍軍等の間でどういう連絡をやっているかということでございますけれども、これはさまざまなレベルで日ごろから緊密に連携をとらせていただいております。

 どういう具体的な内容かということにつきましては、国連及び関係国との信頼関係、あるいは航空自衛隊、派遣されている自衛隊の安全の観点等から、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

後藤(斎)委員 なかなかかみ合わないので困るんですが。

 これは官房長官だと思うんですが、ちょっと話を変えます。

 去年六月の二十日に、それ以降も、当委員会も含めて、いわゆる陸自の方々がどんな状況になったら帰ってこられるんでしょうかというお話をさせていただいたことがございます。先ほど山口委員からも、今回空自はどういう形でお帰りになるんですか、撤退をされるんですかというお話がありました。

 平成十六年の十一月のときに、いわゆる自衛隊撤退の四条件というものを当時の小泉総理がお答えになっております。一、自衛隊が人道復興支援の目的を達成したとき、二、イラクの暫定政府から同意を得られないとき、三、サマワの地域が非戦闘地域でなくなったとき、四、自衛隊の安全確保ができなくなったときという四条件を公明党の委員が示されて、「私も賛成であります。」ということで、この四条件というものがそれ以降、一つのルールというか基準になったような記憶があります。

 昨年の六月の二十日に、小泉総理が記者会見の中で、イラクの地域の治安の権限がイラクの新政府に移譲された、米国初め多国籍軍の方々と緊密に協議をした結果、日本のあの地域における陸上自衛隊部隊の人道支援、復興支援活動は一定の役割を果たした、そのような判断をした結果、撤収すると決定しましたというお話がございました。

 これは昨年の基本計画の中にも、人道復興支援活動の基本事項の真ん中辺でこの二年半の総括を、二年半に及ぶ医療、給水、学校等公共施設の改修など多岐にわたる陸自の部隊の活動とODAにより、現地の生活基盤の整備、雇用の創出など目に見える成果が生まれたため、応急復旧的な支援が必要とされる段階を基本的に終了し、イラク人自身による自立的な復興の段階に移行したものと考えられる、このため、平成十八年六月二十日に陸自のイラク国内における対応措置の終結を決定した云々という記述がございます。

 逆に言えば、先ほどの山口委員の質問にも関係をするんですが、このような条件というのは、防衛大臣、どのような条件であれば航空自衛隊はお戻りになってこられるんでしょうか。簡単で結構です。

久間国務大臣 先ほど言いましたように、我が国がイラクに対してそのような活動を行う必要がない、また、各国から見られたときに、各国は続けていて我が国だけが帰ってくるというような、そういうことでなくて、国際的な評価においても国益上引き揚げることが可能となるような、そういう状況になった場合には帰ってくる。逆に言えば、そうでない間はやはり続けることが国益上必要なのではないかと思っております。

後藤(斎)委員 防衛大臣、四月二十七日のときに、アフガン、インド洋の給油の話で、今予備費で基本的に執行をしている、これは半年という、テロ特措法の一つの基本計画の中での対応で、なおかつ油の状況とかニーズも含めて変わっていくから半年でいいんだと。

 よくよくイラク復興支援の予算を見させていただくと、平成十三年からもずっと基本的には予備費計上が並んでいまして、平成十四年と十六年の当初は使っていますが、例えばことしも予備費を空自で十五億使っているというふうな立て方です。

 通常であれば一年というのが基本計画の部分でもありますから、防衛大臣、テロ特措法の部分の半年ごととは違って、少なくとも、今のような、防衛大臣や官房長官がお答えをいただいたように、基本的に日本国としてきちっと空自というものを人道復興支援を中心に位置づけていくということであれば、予算の計上も当初予算からきちっとすべきではないんでしょうか。

久間国務大臣 これは、予算措置の一つの必要性といいますか、スタートしたときに、防衛予算でそれを出すのは非常に困難な状態の中で選択をしましたために、やはり予備費を使わせていただきましたが、だから、そういうような状況が現在も続いているということで、それをそういう予備費で支出させてもらっているわけでありまして、言うなれば、予備費の性格からいっても、それは許されるんじゃないかということでお願いをしているところであります。

後藤(斎)委員 外務大臣、私、冒頭お尋ねをした、治安もなかなか改善をしない、経済的、社会的な情勢も十分だとは言えない、いろいろな数字では上がっているもののという話を外務大臣もされました。いろいろ外務省にお尋ねをしたんですが、なかなか資料はいただけませんでしたけれども、大臣がこの連休中にイラク・コンパクトの発足に係る閣僚級会議ということでお出になって、やはり外務大臣、私、いろいろな日本の支援というのは必要な部分は当然あって、以前陸自がいたころは、ODAと自衛隊が車の両輪だと。まあ、車の両輪が、陸自が撤退して、今限りなくちょっとバランスがとれていないような感じがするんですが。

 やはり、イラク国政府自体の総合計画があって、その中に我が国の支援がどこまで何ができるかということがあって、そこで自衛隊が行かれるのか行かれないのか、ODAをどうするのか、先ほどのイラク復興支援職員の方がどうかかわるのかというものがないといけないのかなと。そして、それがあるらしいので、何か英文で百五十ページぐらいあって、中身をよく読んでいなくて大変恐縮なんですが、そういう連携というものがきちっとやはり、外務大臣、できていることが必要なのではないかなと。

 外務大臣、あわせて、私は去年、松浪議員とイラクに出張させていただきました。その際につくづく感じたのは、やはり、例えばイラクのこれからの経済、治安、原子力発電の問題、イラクのこれからの治安や宗教間の対立とかそういうものも、いろいろなものを解決する一つ大きなものは、総合計画の中で我が国がどういう役割を果たすかということと、あわせて、外務大臣、やはり周辺国も含めた協力関係、特に宗派対立というのは、スンニ、シーアとかいろいろな方がいろいろな地域によって、マジョリティーかマイノリティーかというのは別としても、いろいろ関係をされている、そういうものが上手に絡み合って初めて治安がよくなり、そして計画が達成されるという一番ベースの土台ができると思うんです。

 そうでない限り、幾らやっても、ニーズ、ニーズと言ったにしても、なかなか、そのニーズがどこに本当にあって、やっていることが、特に安全確保では数字的にもなかなか言えないとかいうことの繰り返しの議論というのは、やはり生産的ではないと私は思いますし、ぜひ外務大臣、その辺の総合計画と我が国の役割、そして周辺国の問題も含めて、時間もないので簡潔にお答えいただけますか。

麻生国務大臣 イラク・コンパクトについて並びに周辺諸国の関連としてのお話があっておりましたが、これは御存じのように、昨年の五月にイラクの新政府が発足をいたしております。そのときに、イラク・コンパクトというものにつきまして、国連だったかで、七月にイラク・コンパクトを立ち上げるプロセスをつくり上げたところなんですが、イラクだけでやれる話でもないだろうということで、みんなで助けてやらぬとどうにもならぬということで、この話をさせていただいております。

 それ以後、いわゆるそこに対する主要ドナーの一つが日本だったんですが、ドナーをやっております日本以外のいわゆる周辺諸国、今言われるサウジアラビア初め湾岸諸国、またエジプト、いろいろございますが、今言われましたように、ここらは総じてスンニ派のところが多いのは御存じのとおりです。そういう国々の方々が集まって、周辺諸国の外相会議というのをそれまでもやっておりました。

 そこで、昨年でしたか、そちらはそちら、こちらはこちらでやっていたって意味がないから、両方一緒にやるということにして、周辺諸国拡大外相会議みたいにするべきだという話を昨年して、実はことしの五月の三日、四日、エジプトのシャルムエルシェイクという、サイナイ半島の一番突先の方であれがやられることになって、第一回目の拡大周辺国外相会議というのが行われております。今御指摘にありましたように、総合計画プラス周辺諸国との協力と両方でこれを考えていこうじゃないかということで、そこにイランも出てきましたし、中国も来ましたし、ロシアも来たし、アメリカも、もちろん日本も含めて、みんなで行って、初めてそれだけの顔を見合わせたというところが、スタートすることになったと思っております。

 もちろん、マリキ首相以下ジバリ外務大臣、みんなあそこに出てきて、今御指摘のあったような線を具体化すべく、どうするんだという話をして、これは少なくとも、今のマリキという首相に対していろいろみんな言うけれども、おたくらが自分たちで選挙して、自分たちで法律つくって、その憲法に基づいてつくった政府なんだから、それを支えていくのを、中でもめても始まらぬ、我々はそういったのを、このマリキという首相を頭にしてみんなでやろうという話を支援すると言っているんだからという話を我々はさせていただいたというのが経緯でありまして、一応、そのスタート台にはつけたと思っております。

 次回、開けるか開けないかが最大の問題だ、私はそう思っておりましたけれども、次回はトルコで開くということで一応の決着をつけたというのがこれまでの経緯であります。

後藤(斎)委員 時間も来たようですが、少し、数分、あと一問だけ話をさせてください。

 先ほどもお話が、午前中もありましたけれども、防衛大臣、基本的には、自衛隊が活動する一つの大きな目的というのは、私もその必要性というものをここで否定するものではありません。ただ、少なくとも、今まで自衛隊が海外で活動したときには、このイラク特措法に基づいた場合でも、やはり国連の決議があって、そのタイムスケジュールを、国連決議を踏まえた中での、もちろん自主的というものがあるというお話をするかもしれません、あって、対応してきたというふうに私は思っています。

 昨年の八月十日の国連イラク支援ミッションの任期も、八月十日から一年間延長するという国連決議一千七百号と、昨年十一月二十八日に出た一千七百二十三号の、多国籍軍の駐留期限をことしの十二月三十一日まで延長、それを超えた、二年間延長というものがありきという議論はやはりよくなくて、少なくとも、テロ特措法を半年やられ、そして、私は一年という選択肢があってもいいと思ったんですが、もし一年でということができない、そして空自を、改めてですが、これからも派遣を二年間し続けなければいけないという二つについて、最後に、まとめてで結構です、防衛大臣の御答弁をお願いいたします。

久間国務大臣 今委員がおっしゃったような選択もできないことはないと思います。しかしながら、まず、国会の関係でいきますと、七月の前に、参議院選挙もございますから、それまでにとにかく延長しないと、法律が消えて、今出て行っている部隊は帰ってこなきゃなりませんから、延長しなければならない。そのときに、一年という選択をとるか、二年という選択をとるか、あるいは四年という選択をとるか。

 そういう中で、私の希望としては、やはり二年間は欲しい。というのは、イラクの復興というようなことを考えますと、やはりそこは二年間は欲しい、そういう思いがございましたので二年という、これはあくまで政策判断でございますので、私は、一年だあるいは四年だ、そういう決め方ができないわけではない、今でもそれは思っております。

後藤(斎)委員 済みません、以上で終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、笹木竜三君。

笹木委員 民主党の笹木竜三です。質問を始めます。

 冒頭に、先ほど、民主党の、同じ同僚の議員の山口議員から、シビリアンコントロールの前提である情報開示について、安全にかかわらないことまでもが開示されていないだろうという質問をしていました。

 それで、筆頭間とちゃんと質問が終わるまでに協議をしてくれということでしたが、その結果、どうなったんでしょうか。委員長、御報告をお願いします。

浜田委員長 防衛省の方から答弁をさせます。さっきまとめたもの。

 ちょっと速記をとめておいてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 では、速記を起こしてください。

 笹木竜三君。

笹木委員 今、紙にしているということですので、それほど時間はかからないですよね。

 私の質問が終わるまでには必ず御報告いただけるということで、ほかの質問をさせていただきます。

 まず、官房長官にお伺いをしたいわけですが、この委員会、以前の委員会でも、今回のこの延長のことが議題の委員会でも官房長官はお答えになっていますが、あるいは先ほど、午前中の質問でもお答えになっていますが、あの開戦の判断について、ブッシュさんの判断、情報に間違いはあったというような簡単な言い方をしています。

 情報が間違っていた、これはもう一回、繰り返しになりますが、逆に官房長官の方から、どういう情報が結果として間違っていたのか、確認をしていただけますか。

塩崎国務大臣 私の理解では、大量破壊兵器があるということを断定的に言っていた情報が必ずしも正しくなかったということであったと思います。

 一方で、はっきりしていることは、ブッシュ大統領は、例えば一月十日に、誤りがあるとすればその責任はみずからにあるというのは、新イラク政策発表のときですね、イラク戦争開戦の判断までが間違っていたと述べたわけではないということも同時に言っているわけであって、繰り返し申し上げますけれども、情報については大量破壊兵器の存在の有無の問題だと思います。

笹木委員 それで、今の大量破壊兵器、あの安保理の席上で、当時国務長官だったパウエルさんが、いろいろ図も見せたりしながら、これだけ大量破壊兵器がある可能性が高いからと言って、それで決議を求めていったわけですね。

 言ってみれば、先ほど情報が間違っていたにすぎなかったといいますが、いろいろ決議を上げていくその理由になっている。もっと言うと、アメリカは、言ってみればあの決議に満足じゃなかったでしょうが、その決議、あるいはその後のアメリカの攻撃の最も大きい理由づけとして、あのころ二つを挙げていましたよね。大量破壊兵器の存在、パウエルさんのあのときの説明で言うと、移動式の生物兵器製造施設とウラン濃縮のためのアルミ管。そして、もう一つありましたね。これも間違っていたというのは、去年のアメリカの上院の情報特別委員会で、アルカイダとのつながり、これも結果的に、あるあると言っていたけれども、なかったと。この事実もあったわけですね、事実誤認として。官房長官、お答えください。

塩崎国務大臣 確かに、そのようにブッシュ大統領がおっしゃったと思います。

笹木委員 そこで、もう一回確認をしたいわけですが、情報が間違っていたと言いますけれども、そもそも日本として、あのアメリカが言っていた、パウエルさんがあのとき言っていた情報の裏をとる力はなかったわけですよね、もともと。検証する力はなかった、あの大量破壊兵器があるということを。そのことを今何だかんだ言いません。事実ですから仕方がないと思います。日本にとって、検証する力がない、そういったたぐいの情報、裏づけをとることができない情報。

 しかし、それに日本政府は乗っかって、こういう発言もありましたね、アメリカがあると言っているんだからあるんでしょうと。こういう発言もありました、いや、今見つからないからといってないとは限らないでしょうと。フセインさんは逃亡して今見つからないけれども、フセインさんはいないということにならないでしょう、こういう発言もありましたね。

 私は非常に問題だと思うのは、その間違っていた、結果的に情報を間違っていたと今非常に簡単に言われますが、日本にとっては、あれは、そもそも裏づけをとる、検証する力はなかったわけですよ、あの情報については。今後そういったことを裏づけする能力はどんどん高めていかないといけないでしょう。そういう努力はもちろん必要でしょう。しかし、そういった裏づけもできない、検証することもできない、そうしたアメリカの論理にそのまま乗っかったということが最大の間違いじゃないですか。

 言ってみれば、めったにないような、ここ数十年めったにないような大きな戦争をアメリカがやった、それに支持するかどうか。言ってみれば、日本の国の命運をかけるような大きな決断だと思います、戦争を支持する、大きな戦争を支持するというのは。その支持するに当たって、支持はいいでしょう、ここは別に置きますが、支持するに当たって、みずからその情報を、裏をとれない情報の論理に乗っかったということが、これについて、官房長官は当時の官房長官じゃありません、率直な御意見を聞かせてほしいんですよ。

 今後もこういうことをまた続けますか、これが間違っていないとしたら。今後もアメリカが言ったら、日本は検証することはできない、しかし、大きな戦争をまたアメリカが何かやる、裏づけをとれない、しかし、アメリカが言うんだから正しいんでしょうと今後もやるつもりですか。そのことを確認させてください。

塩崎国務大臣 けさのテレビ入りのときにも総理から申し上げたのは、日本が大量破壊兵器の存在を裏をとって立証するというようなことでやってきているわけでもないし、そういう論理で支持をするということを決めたわけではないわけですね。つまり、イラク政府が、まず第一に累次の安保理決議を守らなかったということと、それから、大量破壊兵器の存在について、過去あったにもかかわらず今ないということを十分に立証しなかったということがあったというのは、厳然とした事実であるわけであります。

 その他のファクターもありますけれども、そういう中での米国の決断について支持をするということを言ったわけであって、日本が裏取りを必ずして、これだからいいですよみたいな話になるわけはないわけで、むしろ、日本としては、国連を中心に、国際的な社会がイラクに対して、きちっと大量破壊兵器がないということを証明してください、そしてまた、安保理決議に従ってくださいという中で、それを従わない、立証しないということでアクションが起きたことでありますから、我が国としてはそういう中で判断をしたということでございます。

笹木委員 いや、おかしいでしょう。その決議の前提が大量破壊兵器にかかわる決議だし、その前提が大量破壊兵器があるかないか、そうしたことをずっと議論してきた。そして、政府の代表もそのときに、アメリカがあると言うからあるんでしょう、そのことが問題だといって、そういった決議に乗っていく、そういう説明の仕方を、議事録を見てもわかりますが、していたわけですよ。こうした姿勢が問題がないかと言っているわけです。裏をとれる、検証できる力を高めることも今後必要でしょうが、こうしたことを今後も続けるとしたら、これは間違いなく国の方向を誤る、そう確信します。

 ここでぜひお伺いをしたいわけですが、久間防衛大臣は、あのイラク戦争は間違いであったという発言をされています。その後訂正は若干されているようですが。しかし、今言ったそういう論理で戦争を支持したことは、やはり私は最大の間違いだと思います。裏をとれない、検証できない、その論理に乗っかったということが最大の間違いだと思います。ぜひここで、今後のために、そうした裏のとれないような情報、そのアメリカの論理に乗っかるようなことは絶対にすべきじゃないと思います。

 それと、久間大臣は、このイラク特別委員会の、先々週の、連休前の委員会でも二度おっしゃいましたね。いや、日本はあのイラク戦争、アメリカの戦争を政府としては支持していないと二度おっしゃいました。いやいや、ちゃんと議事録に残っています。そして、その後何人かがこちらの席上からいろいろ言われて、いや、していますがと。閣議決定をちゃんとしているわけですね。

 ぜひ、今後のために、戦争を支持する、しない、大きい問題です。久間大臣の今後のあり方として、こうした論理に乗っかったこと、そして支持をしたこと、このことについてどのようにお考えになるか、今後どういうふうにさらに考えていったらいいか、そのことの御意見をお聞かせいただきたいと思います。

久間国務大臣 私は、アメリカが武力行使に踏み切ったことについて間違っていたとか正しかったとか、そういうことを言ったわけじゃございませんで、核兵器があると言っているけれども、その情報については違っているんじゃないかと私はあのときに思いましたよということは言いました。そして、政府が支持したという閣議決定を行っているということを、私自身は当時閣内にいませんでしたので、実を言うと知りませんでした。

 それで、あの閣議決定は、党の方へはあのときはたしか連絡がないままに、政府内で、内閣で行っておられたのを、その後ペーパーを見せてもらいまして、ああ、こういうふうに小泉内閣ではアメリカの武力行使を支持しますとはっきり言い切ったんだなと思いましたので、私は、私の認識の違いといいますか、そういうことについて知らなかったことについて不明を訂正したわけでございます、わびたわけでありますね。

 しかし、私は、もし今、私の立場で考えたときに、支持するかしないか、結局、そのときの政府の態度が正しかったか正しくなかったかは、それを支持しなかったら、支持しなかっただけの何らかのリアクションもあるわけですね。そういうところを総合的に判断しながら、国益として支持しますと言い切ったあの時点での判断は、その後の我が国のいろいろな状況その他を考えると、私は一つ正しかったんじゃないかなと思っておりましたから、防衛大臣として就任して、防衛庁長官として就任して、政府は、今の内閣としては、あの判断は正しかったというようなことを踏襲しているというふうに言われますと、それは一つの決定としては重みがあると私は思っておりますので、私も、それはそれとして受け入れておる、そういう状況でございます。

 だから、これは最終的には後世の歴史家が判断することでございますけれども、時の政府として、もしあなたがあのときおられたときに、支持するかしないかと突きつけられたときにどちらをとるかは、そのときの政府の責任者じゃないとわからない点があるんじゃないかな、そういうふうな気もいたしております。

 だから、そういう意味では、政府が支持すると言ったのは正しかったというのは、私たちが得られないようなほかのいろいろな総合的な条件というか情報もあったんじゃないかと思いますから、要するに、アメリカの判断自体は、武力行使に踏み切るべきであったかどうであったか、べき論じゃなくて、踏み切ったことについて日本国政府は支持をしたわけでありますから、それを現実として受けとめて、これから先のいろいろなことに対処せざるを得ないのは、現在の政府の立場じゃないでしょうか。

笹木委員 今、支持するのがよかったか、不支持がよかったかと聞いているわけじゃありません。その支持に当たっての理屈づけとか、決断の理由の国民に対する説明の仕方がまず今問題だったんじゃないかということを言っているわけです。

 もう一点、きょう午前中でも、国連決議のこと、三つの組み合わせを盛んに言われますが、あの一四四一は武力行使を容認していますか。これをもう一回、外務大臣に確認させてください。

麻生国務大臣 御質問の話は、イラクの武力行使の法的根拠についてということで理解してよろしゅうございますか。(笹木委員「国連決議一四四一が武力行使を容認しているか」と呼ぶ)

 御指摘の話は、これまでも繰り返し申し上げてきたんだと思いますが、二〇〇三年の対イラクの武力行使に当たりましては、いわゆる安保理決議一四四一のもとに、イラクという国は、湾岸戦争の停戦条件というのを定めました一連の安保理決議の六八七号の重大な違反というものを継続、連続して違反し続けて、安保理によって与えられました最後の機会と言われておりましたものを利用しなかったことから、安保理決議六八七号に基づく湾岸戦争の停戦の基礎が損なわれ、同地域における国際の平和と安全を回復するためにあらゆる必要な手段をとることができるとされております安保理六七八号に基づき武力行使が正当化されたというように理屈づけられて、私どもは理解をしております。

 したがいまして、このような考え方というのは、二〇〇三年でしたかのイラクの武力行使の際に、英国の法務総裁によっても同様の見解が表明されておりますので、国際的にも受け入れられている考え方であると理解をいたしております。

浜田委員長 笹木委員、先ほどのペーパーができ上がりましたので、防衛省の方から説明をさせます。

 久間防衛大臣。

久間国務大臣 航空自衛隊が輸送する物資につきまして、国連支援の輸送物資については、国連から詳細について公表することを避けてほしい旨述べられているため、詳細についてはお答えを差し控えたいが、例えば事務用品やストーブ等が挙げられます。

 一方、多国籍軍等の物資の詳細については、具体的にはお答えを差し控えたいが、例えば車両、航空機の部品や建築用機材、郵便や書籍などがあります。

 これらについては、イラク特措法に基づく実施要項において、自衛隊による対応措置の種類及び内容について、「物品の輸送に際しては、武器(弾薬を含む。)の輸送を行わないこと」としていることを踏まえ、弾薬を含む武器は含まれておりません。

浜田委員長 そしてもう一点、先ほど私の方に御下問がございました。

 秘密会については、今後、また議運等と協議をしながら議論していきたいというふうに思っているところであります。

笹木委員 いや、先ほど私、山口委員の質問も聞かせていただいていましたが、今の具体的な、どういうものを運んでいるかという、それはどうなんだ、安全にかかわらないものも公開していないだろう、そういう話もありました。今、秘密会という話がありましたが。そういう基準をちゃんと決めろ、そして、そういう安全にかかわるものについてという理由が常にされるから、それが本当の場合であれば、その情報を知った国会議員はどうするのか、そういったことについてもちゃんと取り決めをしてくれ、そういう意見でしたね。それについて、これは終わるまでに結論をつけてくれという話だったと思います。

 今、今後議運等でというお話がありましたが、この特別委員会あるいは安保委員会でもいいです、それをしっかり協議してほしいんですよ。ぜひ、委員長からそれにお答えいただきたいと思います。

浜田委員長 その問題に関しては、まだいろいろな議論のあるところでもございますので、我々とすれば、継続して議論していきたいというふうに思っております。

笹木委員 今、防衛大臣も、それはできないんだというふうにそちらから発言されましたが、どうしてできないんですか。私が言っているのは、そうした原則をしっかり決めていこう、それについて理事会なりでしっかりと話をしてくれということですよ。

久間国務大臣 それは私としては、先ほどもそういうことをしてもらいたいという思いをしましたが、それは当委員会だけではなくて国会として全体的にお決めになることでございますから、それについて私がとやかく言うことではございません。

 ただ、当委員会だけで決められるかどうか、その辺は皆様方が決められることでございますから、先ほど委員長がああいうふうに言われたのは、当委員会だけではなくてほかの委員会等も絡むから、全体として今後検討したいということを言われたんだなと思って私は聞いておりました。

笹木委員 この委員会だけじゃなくていいですよ。この委員会でも議論されればいいでしょう、理事会で。それを確認させてください。

浜田委員長 私とすると、先ほど申し上げたとおりであって、今ここで理事会を開いて結論の出ることじゃないと思いますので、我々とすると、私とすると、このことに関しては継続して議論させていただきたいと思っております。

笹木委員 では、この委員会でもぜひやっていただきたいと思います。

 先ほどの話の続きになりますが、結局は、いろいろ三つ組み合わせた後づけの理屈を言われていますが、あのパウエルさんが説明していた国連決議、説明して、その後一四四一が決議をされたわけですけれども、もともと、これは、あそこで国連決議を出そうということについて日本の政府があの当時どの程度努力をされたか知りませんが、とにかくそうした決議を出そうと。そして、アメリカも含めて、武力行使を容認する決議を何とか出そうとしていたわけでしょう、一四四一そのものを。しかし、それが結果的にできなかったわけでしょう。

 先ほど、いろいろ文章を挙げられていますが、例えば六八七とかにはないような、一四四一には、この問題について引き続き関与することを決定する、あれで終わりじゃないとはっきり言っているじゃないですか、一四四一では。あるいは、あのアフガニスタンでの決議、あのときも、ありとあらゆる手段とは言っています。はっきり言っていますよ、ありとあらゆる手段を用いて闘うという言葉を。全然違うでしょう、言葉が。それをごまかしているでしょうと言っているわけですよ。

 一四四一は、アメリカは、日本もそうかもしれません、武力行使の容認決議を目指した、しかしそれができなかった、それは事実でしょう。外務大臣、確認させてください。

麻生国務大臣 その内容、裏の取引等々を細目承知しているわけではありません。しかし、私どもとして、一四四一の中にあらゆる手段をとるというような形での六七八的なものを入れる必要がないという結論になっているということも考えられますので、それは笹木先生、これはその現場にいるわけではありませんので何とも言えませんが、一四四一でこれまでの六七八、六八七に関連づけてできるという理解というのであれば、それはそれなりにできることになります、事実しておりますから。そういったように理解できますので、とれなかった、とれた方がよかった、それは後から考えればいろいろ理屈づけはできると存じますけれども、少なくとも、結果としては今申し上げた三つでやることになったというように理解をしております。

笹木委員 十年前の決議、そしてそのときは、クウェートに侵攻した、そのクウェートから引き揚げるという決議だと。十年前の決議を使って武力進攻できるのか。あるいは、先ほど総理大臣の言葉もありましたよね、昔あったから今もあると推定するのは合理的だ、ないのを証明しないからいいんだと。これは別にイラクだけじゃありませんよね、大量破壊兵器を持っているのは。持っていると明言している国もありますよ。言ってみれば、むちゃくちゃな論理だと思います。

 ぜひここでもう一回麻生外務大臣に確認をしたいんですが、今は、その後のことです。先ほどから、今の活動はあの戦争とは関係ない、一四八三は、今の活動は別だとお話がありますが、つけ加えて言えば、これは何も自衛隊に出ろとは言っていませんよ、呼びかけはしていますが。

 そうした中で今お聞きをするわけですが、アメリカの占領政策が幼稚だったと言われています。私も同感です。どういう点が幼稚だったんでしょうか。

麻生国務大臣 まず最初に、二つあったんだと思いますが、六七八につきましては、その前文のところもありますので、いわゆるイラク地域における、同地域における国際の平和と安全を回復するためにもあらゆる、ということになりますので、その前提がきちんとしておるという点も、今、十年前といえども関係するところだろうと思いますし、大量破壊兵器という、マスタードガスだ、VXガスだ、いろいろ話がIAEAから出されたのは御存じのとおりだと思います。

 それから次に、今の幼稚な話、これは二月の三日、京都の講演という話でしたけれども、あのときも、イラクへの武力行使が誤りであったというようなことを全く申し上げておりません。このことに関しましては、まずそこをお断りしておきます。

 その上で、短期間で非常に成果を上げたけれども、復興のための努力が必ずしも順調に進んでおらぬのではないか、困難を伴っているということを指摘した上で、イラクの安定化、復興というものは国際社会にとって極めて重要なので、その成功に向けて各国一致して取り組むべきであること。

 それから二つ目は、平和構築の分野で広く実績があるという日本も国際社会の期待にこたえて全力を尽くすべきなんだということで協調しており、カンボジアとかアフガニスタンとかいろいろな例を、日本というのはほかの国と違った独自なやり方をしましたし、刀狩りという先ほどお話がありましたが、たまたま豊臣秀吉が千五百九十何年にやった手法ですけれども、その方法もあるのではないか。あれは間違いなく日本が提案をした方法でもありますので、そういった意味では、我々としてはいろいろな方法があるのではないかということを申し上げたというように御理解いただければと存じます。

笹木委員 お答えにならないからかわりにお答えしますが、以前、別の委員会でも少し言及されたと思いますけれども、やはりアメリカ、特にブッシュさんのやり方は、友敵理論といいますが、敵とそうじゃない者、あるいは敵と友を分け過ぎた。もっと言えば、友をふやすのならいいんですが、その分け過ぎ方というのは敵ばかりふやす分け過ぎ方だったわけでしょう。それが占領とか統治の中で非常にマイナスになったんじゃないですか。

 例えば、アメリカに対して反米感情を持つ、嫌米感情を持つ、その方々が最初からアルカイダの協力者でもないし、確信的なテロリストの協力者でもなかった。結果的にそういう方をどんどんどんどん協力者にしているわけですよ。あるいはもう一点、バース党の言ってみればそんな中心人物じゃない、本当に末端の方まで追放した、あるいは行政の末端の者まで追放した。それで今、例えば警察とか捜査とか、そうした機能が全く機能していない、そして治安がますます悪化している、こういうことですね。

 ですから、先ほど力に力と言いましたが、敵をふやし過ぎた、友を減らして敵をふやし過ぎた、その結果がこうなっているし、アメリカの力には力というその政策がアメリカに対する憎悪、あるいはアメリカと一体の活動に対する憎悪を高めている、そうじゃないんですか。外務大臣、もう一回お答えください。

麻生国務大臣 今、敵味方をはっきりつけ過ぎた、どこかの総裁でも似たようなやり方をした人がいましたけれども。

 ここらのところの感じでいきますと、どうでしょう。今、アメリカの場合は、基本的には九・一一のあの事件をもってアメリカの国民感情というのは大きく変わったんだと思いますね、あれから。僕は、あれはやはり決定的にアメリカ人の意識を変えたものだと思います。そういう意味において、アメリカという国におきましては、ああいったような対応が激しいものになったというのは、多分背景としてはあるんだと存じます。ただ、常にアメリカはそうかと言われると、そうも一概に言えぬのではないかというような感じもいたします。

 私どもとしては、今イラクの復興に当たってアメリカがいろいろ努力をしておる、その努力の仕方が、とにかくアメリカ人だからだめなんだという反応というのは確かにないわけではないと思いますし、御党からもたしか国連のPKOの話も出ていましたけれども、イラク側からその種の要請は出てくることはありませんし、向こうも受け入れる気は今のところありませんので、そういったお話というのはわからぬわけではありません。

 ただ、いろいろな意味で、アメリカというものに関して、今イラクの中において不必要な反米感情を巻き起こすネタをまいているではないかという御指摘に関しましては、これはアメリカ自身もいろいろ反省するところは多々あるんだと存じます。

    〔委員長退席、石破委員長代理着席〕

笹木委員 ですから、そこでさらにお答えしたいわけですが、これで引くのは、撤退するのは無責任だ、すぐその話になる。自衛隊を撤退すると無責任だ、そういう話になる。それは金だけにするのか、無責任だろうという話になる。

 いや、金だけにするんじゃなくて、汗をかく方法は幾らでもほかにあると思うんですよ。しかも、先ほど午前中に他の委員が質問していたように、空自の活動、自衛隊の方々は非常に大変ですよ、敬意を表しますが、しかし、さっき言ったように、一回百キログラムぐらいのものを半年間で十回ほど、これが汗のかき方として、あるいはイラクの治安を回復するやり方として、そんなに、これしかない、これをやめたら絶対だめだと言えるほどのものですか。

 もっと言いますと、さっき私、答弁の中でもちょっとお話ししましたが、アメリカとあるいは多国籍軍に対する憎悪は非常に高まっている。だからC130、イギリスのC130に対して、オーストラリアのC130に対して、地上からの攻撃とか受けてはいる。しかし一方で、民間の航空機、ヨルダン、エジプト、イギリス、オーストリア、これは飛んでいるわけですよ。しかも貨物便も飛んでいる。もっと言うと、これはいいか悪いかわかりませんが、この五月からイギリスはイラク北部へのツアーを四年ぶりで再開する。

 要は、アメリカと一体の多国籍軍の活動、これはもちろん大変ですが、いろいろな活動面。しかし、それに対してのイラク国内での対応あるいは国民の感情と、それ以外に対する感情は全然違うわけですよ。

 アメリカと完全に物別れしろと言っているんじゃないんですよ。つき合うべきところも全くなしでは済まないと思います。

 しかし、当のアメリカ自身が、先ほどの、占領は幼稚だったという外務大臣の言葉を受ければ、アメリカでも国務省では、千二百ページに及ぶ、戦争の後の統治の仕方への検討報告書をつくっていた、しかし、あのとき、主にネオコンの方々はそれを全く検討もしなかったという。そういう方々の一部には、つい最近まで、いや、撤退したらイラクの中のシーア派と連携してイランの勢力がますます大きくなる、そういうことを言われていた方もいます。それを非常に心配して、絶対撤退はできないと言われていた方もいます。しかし、アメリカの国内の中に、いや、むしろイランだとかシリアだとかそうした国々としっかりと交渉するしかないんだと、あの超党派グループ、イラク研究グループも出している。

 日本としてやれることはいっぱいあるんじゃないかと言っているわけですよ、先日からの我々の質問は。アメリカとつき合うべきところ、ゼロにはできない、しかし日本としてやれることはあるでしょうと言っているわけです。そういうことを、例えば、官房長官、外務大臣、どういうことを提案されたり、あるいは今後されようとされていますか。

麻生国務大臣 やはり異国の人によって統治がされているということに関しては、不満が多いというのは当然のことだと存じます。したがって、そういう形での統治の仕方よりは、同胞人によって治安というものをやらせた方がいい、軍じゃない、警察なんだというのは、少なくとも外務大臣として正式に向こうに言い、それ以後、十三万人が三十三万人まで膨れ上がるという対応を向こうがしているというのは事実です。

 しかも、そのトレーニングはきちんとやる。トレーニングする、プラス、いわゆる武器が要りますから、その種のものもきちんと対応する、訓練もやるということを今やっておるというのは事実でありますので、あれは間違いなく日本の提案で方向を変えていったというようなことは、結構、笹木さん、いろいろしているんです。

 ところが、それは、表に行って、おまえ、こうやった方がいいぞ、ああ言った方がいいぞという話は、それはみんな面と向かって言うような話じゃなくて、こそこそと言う話なのであって、それを向こうが実行するしないは向こうの話ですから。しかし、この方が効果が上がるじゃないかという話をいろいろさせていただいているというのも事実ですし、刀狩りの話も別の名前になっていますけれども、まさか刀狩りなんという話は、あれをツナミと同じように日本語を英語にかえるつもりもありませんから、少なくともああいったローマ字の訳文にさせていただきましたけれども、あれも最初の案だったときは、最初はもうとんでもないという話だったんですけれども、結果としてあれはかなりの、それなりの効果を上げたものだと思っております。

 結構幾つか提案をさせていただいて、事実それを、言い方がなかなか、そこそこ相手の顔も立てつつ言わなきゃいかぬというのは、それは国会と同じですから、そこそこ相手の立場を考えながらお答えしていくというようなことは、結構いろいろ、このところ、私が来てから一年半ぐらいになりますが、幾つかさせていただいておると思っております。

塩崎国務大臣 先ほど来、主な戦争、メジャー・ウオー・イズ・オーバーというふうにブッシュ大統領が言った二〇〇三年五月一日というのは、私はたまたまバグダッドの市内におりました。ごみは道に山積みだし、行政がとまるとこんなふうになるんだなというのがよくわかりましたが、もちろん暴動などもあった後であります。

 よく出口戦略というふうにおっしゃいますが、我々、イラクという国とのつき合い、あるいはこの地域とのつき合いというのは、何も自衛隊を通じてだけのつき合いでは決してないのはもう先生も御案内のとおりであって、もともと、あのとき私が行ったのはNGOと一緒にクルド地区から入ってバグダッドに行ったわけでありますが、今度、国連とも連携をしながら、ハラブジャという、ずっと問題になっている、大量破壊兵器の一つである化学兵器を使われたハラブジャというところに、日本のお金でUNDPが母子病院をつくります。こういうようなことも含めて、やはり日本というのは、イラクを、ちゃんとみずからの足で立てる国づくりのお手伝いをしていかなければいけないし、そのメニューはいろいろなものがあるんだろうと思います。その一つが自衛隊による支援であって、あくまでも、今麻生大臣がおっしゃったように、みずからが、イラク人が治める。

 治安も、そして若者の比率が大変高いという中で、社会不安が、つまり、就職の機会がない、勉強する場がない、そういうようなものがまた社会不安の底流に流れているわけであって、こういうものに対するしっかりとした政策がまだ十分できていないという認識を私は個人的に持っています。

 やはり、若者が不安定であれば、社会全体、国も不安定になるに決まっているわけでありますから、そういうところへのアプローチも日本はODAを通じてやっているわけでありますが、治安についてはみずからがやれないということで今のような形になっているので、出口戦略ということ、出ていくというわけでは私たちはないんだろうと思うんですね。やはり友としてイラクとはずっとおつき合いをこれからしていくわけですが、どういうかかわりをしていくかというのは絶えず考えながら、一番いい組み合わせでイラクのみずからの手による国づくりをお手伝いするということではないかなというふうに思っています。

笹木委員 先ほど外務大臣が、九・一一以降アメリカ、世界にとってもそうですが、アメリカの態度ががらっと変わったとお話しになりました。

 それはそのとおりだと思いますが、しかし、イラクに戦争を始めてみて、そして、その後占領と統治に失敗してみて、アメリカも若干、いろいろ教訓として、そして反省もしているんじゃないですか。結果的に、例えばあのときにやったような、大量破壊兵器不拡散のその方法として、強制的な手法というか武力行使というか、先制攻撃があったわけですが、そうしたことが必ずしも思ったほど楽じゃない、終わってから非常に大変だという、このことを教訓にしているんじゃないですか。

 ですから、あのイラク研究グループのことなんかもかなり今参考にしつつあるんじゃないですか、周辺国との多国間の協議をこれから重視しよう、そうした学習もしているんじゃないですか。あるいは、いいか悪いかは別として、北朝鮮における六カ国協議の枠組み、あるいはそこでのアメリカの対応、これもイラクの教訓から、ちょっとそちら、学び過ぎているのかもしれませんが。

 アメリカもいろいろ揺れがあると思うわけですが、もう一度確認させていただきたいんですけれども、では、治安とか捜査とか、その回復のために今の空自の活動かと。それ以外のNGOの活動もある、そういう話もありました。医療とかそういうこともあるという話もありました。しかし、ドイツとかフランスはやっているじゃないですか。隣国において、周辺国において、警官の養成とかかなりやっていますよね。日本はそれに対して、いろいろ指紋鑑識のノウハウとかそういうことを若干、ほんの少しだけ協力しているようですが、そうしたことを隣国とか周辺国でやる。これは幾らでもまだまだ広げていけることだと思います。

 あるいは、今紛争の最中の国に対してPKOをどうするか。これは、私は提案者なので、末松議員にお答えしてくださいと言えないのは残念なんですが、彼に聞けば幾らでもお答えしていただけるんですけれども、そうしたノウハウをこれから日本は獲得していくべきなんでしょう。あるいは、周辺国で、多国間でのいろいろな枠組みをつくるとかプロジェクトをつくるとか、治安回復のためにですよ。それを、アメリカが音頭をとれない部分を日本が音頭をとる、当然日本がやれることでしょう。

 そういうことを堂々と言って何の問題もないじゃないですか。アメリカにとっても非常に都合のいいことじゃないですか。そういうことをやろうというのが我々の法案なんですよ。格好だけつけて、アメリカの注文だけ受けているのが汗じゃないでしょうと言っているんですよ。ぜひ官房長官にこのことについての御意見をいただきたい。

    〔石破委員長代理退席、委員長着席〕

塩崎国務大臣 先生今おっしゃったことについて、やるべきこと、私も賛成です、おおむね。

 これは、麻生大臣のもとで、平和構築の人材育成というものを、今年度予算もつけて、二億円弱でありますけれども、国際的にも日本のノウハウで、そういった紛争直後の地域などで活用できるものというのは幾らでもあると思うんですね。

 ですから、今先生おっしゃったように、そういうところでの活動というのは、それはそれで大変大事ですし、今申し上げたように、NGOを通じているのは、今、遠隔操作で基本的にやっているわけですけれども、ジャパン・プラットフォームを中心にかなりやっています。そうじゃないところもNGOがかなりやっていますが、基本的には遠隔操作になっているのを、早く自分たちが入っても安全なようにしていかなきゃいけない。

 ですから、先生がおっしゃるような、外でやることももちろん可能ですし、日本もどんどんやったらいいと思いますが、では、どうやって治安を確保していくのか。我々はとりあえず手を引くよ、あとはあなたたち勝手にやってねと言って、それでうまくいくというならばだれも苦労しないわけであって、恐らくブッシュ政権だって同じように考えているのではないかと思うんですね。

 だからこそ、アメリカの議会でも、すぐ引け、きょうでも引けというわけではなくて、やはりスケジュールを持って引けという人が一番せっかちな感じの御意見をおっしゃっているわけでありますから、その辺はやはりいろいろ総合的に考えた上で、基本はやはりイラク人による国づくりをどうやってお手伝いするかということであろうかというふうに思います。

笹木委員 もう余り時間がないので、終わったんですか、締めくくりで終わりますが、いや、だから、もう一回繰り返しますけれども、では、そう言われますが、アメリカが撤退すると言っても日本は残りますか。アメリカが撤退するときには一緒に撤退するんじゃないでしょうね、そう言って、無条件に。だから、今からしっかりと、アメリカができないことをちゃんと明確に意思表示をしてくださいと言っているんです。ぜひアメリカの注文の金縛りに遭わないでいただきたいんですよ。

 あと一点だけ。先ほど、情報の開示について、久間大臣、我々は広報の必要がないと言われましたが、そんなことはないと思います、イラクにやっている活動について、全世界に対して。広報の必要はある。国民に対する広報の必要も十分ある。そういう視点で、ぜひ情報開示の問題、これから安保委員会でも、理事者間でも議論したいと思っていますし、しっかりとやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

 何か御意見あれば。

久間国務大臣 私たちも、イラクの陸上自衛隊が行っていたとき、広報活動して、それが国民に知れることによって大変みんなが好感を持ってくれたわけですから、空自も同じような気持ちがあるわけであります。

 しかしながら、空自の場合はいろいろな微妙な問題がありまして、なかなかイラクの陸上自衛隊のときと違って公開をしにくい点がございましてやっていませんが、広報したいというのは本当に気持ちとしては非常に強うございます。

笹木委員 終わります。

浜田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 午後は、ブッシュ大統領のイラク新政策に関する政府の認識について聞いていきます。

 昨年の十一月の中間選挙で共和党が敗北し、ラムズフェルド国防長官、ボルトン国連大使らが辞任に追い込まれたわけですが、こうした中で、ベーカー元米国務長官ら超党派によるイラク研究グループがイラク政策見直しを提言し、国民的な和解に向けた外交努力を強化するとともに、駐留米軍の約半数を占める戦闘部隊を二〇〇八年三月までに段階的に撤退させることを打ち出しました。

 ところが、ブッシュ大統領は、ことしの一月にイラク新政策を発表し、米軍部隊二万人以上の増派によって軍事的に事態を打開する方向を打ち出しております。

 バグダッドを中心に大規模な軍事掃討作戦が行われているわけですが、去年末の本委員会で、日本政府として何らかのイラク政策見直しの必要があると考えるのかと私はただしました。そのときに、塩崎官房長官はこういう答弁をなさっております。「今後、アメリカがどういう政策をとるのか、私たちもよく注視をしていく」「日本政府としても、いろいろな変化が起きてくるわけでありますから、今のままでいいのかどうかということを含めて、今後考えていかなければいけない」、このように答弁しておられます。

 そこで、官房長官に伺いますけれども、その後、総理はブッシュ新政策を支持するという考えを明らかにしているわけですが、具体的にどういう検討を行ってこのような立場を表明するに至ったんですか。

 委員長。

浜田委員長 はい、赤嶺政賢君、続けて。

赤嶺委員 官房長官は……(塩崎国務大臣「どっち、僕の話、総理の話ですか」と呼ぶ)いやいや、総理は支持を表明するに至ったと、政府として検討されたと思うんですが、また官房長官は検討するとおっしゃっていたんですが、どういう検討をしてこういう支持表明に至ったかということです。

塩崎国務大臣 それは、いつも申し上げているように、当然いろいろな条件を総合的に判断して日本政府としての考え方を決めているわけでございまして、そのイラク新政策について、努力を理解し支持をしているという日本政府、総理が申し上げたとおりであって、先ほど先生がお取り上げになった私の発言は、これはもう、一度決めたらぶりぶりで全然変えませんなんということは、百年も変えないなんということはあり得ないわけですから、絶えず、いろいろな諸情勢、特にイラクにはアメリカだけではなくていろいろな国がかかわっているわけですから、当然それは、いろいろと総合的に判断をしながら、イラクのためになることは一体何なのかということを一番考えて物事を決めていこうじゃないですかということを申し上げているわけでございます。

赤嶺委員 イラク研究グループが段階的撤退を表明し、その後ブッシュ大統領が全く違う方向の増派政策を打ち出した、その間に、日本政府としてまた今回ブッシュ大統領の立場を支持した、どんな慎重な検討が行われているのかということを詳細に知りたかったわけですが、総合的にというまさに一言でお片づけになりましたので、ちょっと私の疑問を出してみたいと思うんです。

 ブッシュ大統領の演説は、これまでの失敗の原因として、イラク軍と米軍の数が不足していたということを挙げているわけです。イラク情勢が一向に改善してこなかった原因が部隊の数にある、こういうブッシュ大統領の認識、これは日本政府も同調するんですか。

塩崎国務大臣 それは米国の判断でございますので、米国の判断です。

赤嶺委員 日本政府は何か御意見をお持ちじゃないですか。

麻生国務大臣 それはエリック・シンセキの話ですか。(赤嶺委員「そうです、はい」と呼ぶ)それは御存じなくて聞いておられるんですか。聞いておられる前提でお答えのしようもありますので、なかなか難しいので。

 この話に関しての御意見というと、かなり詳しい内容のものなんだとしておりますが、この話に関しましてそういう意見もあったんだということは後でわかった話でありまして、我々がその話を先に知っていたわけではございません。

赤嶺委員 ちょっとかみ合わないので、午前と午後の質問なので、ちょっとそれは移りますけれども、いわば部隊の数が少なかったというのは、例えばブッシュ大統領は演説の中で、これまでの作戦と何が違うのかという点について、ある地域でテロリストを排除しても、別の地域に移動した後、排除したはずの地域にテロリストが戻ってきてしまうということを挙げて、今後はその地域を掌握し続けるために増派によって必要な規模の部隊を維持する、このように言っているわけです。

 ところが、現状はどうかといいますと、サドル師はイランに逃れ、マハディ軍に対しても米軍との衝突を避けるため国外退去を命じている、このように伝えられている一方で、四月中旬には、サドル派は全閣僚を引き揚げて米軍の撤退日程の明示に向けマリキ首相に政治的圧力を加えている、このようになっているわけですね。

 ですから、こうしたもとで増派によって排除した後の地域に部隊を維持したとしても問題の解決につながるのかどうか疑問なんですが、そういうことも含めて皆さんはブッシュの新政策を支持されているわけですから、いかがですか、このように聞いているわけです。

麻生国務大臣 二万人が果たして正しいのかどうか、これは赤嶺先生、結果論なんだと思いますが、少なくともアメリカ政府としては、二万人の増派までしてさらなる治安の維持に努力をするということに対して、我々はその努力に関して敬意を表しているのであって、我々はこれが直ちに結果を得られるであろうか、不必要なのであろうか、全然足りないのかというようなことに関しては、残念ながら、今の状況で判断できるもとを持っておりません。

赤嶺委員 そうすると、外務大臣、ブッシュの新政策を支持してイラクが安定するという見通しはお持ちなんですか。

麻生国務大臣 ブッシュ大統領の新たなる増派に関して、少なくともその治安の回復を期待しての一連の政策、すなわちその姿勢を評価すると申し上げているのであって、この政策がイコール正しく、これが二万人が適量で、もっと増派の数が必要あるのかないのか、残念ながら、そこのことに関しては、我々、結果論でしかそれを受けとめることはできないというのが正直なところだと存じます。

赤嶺委員 見通しはないということですね。

麻生国務大臣 戦争に最初から見通しを持って、選挙とはちょっと違いますので、戦争というのは、ある程度見通しがと言われても、それはなかなかそんな簡単にはいかないんじゃないでしょうか。

赤嶺委員 何か、始めるときは、これでイラクに平和と安定をもたらすとか、イラク国民はアメリカ軍を歓迎するであろうとか、自由と民主主義の国をつくるんだという見通しらしきものをアメリカ的に語っていたわけですけれども、同盟国ということを自負している日本が、今のブッシュ新政策、どのぐらい増派すればという話ではなくて、増派を繰り返していく、そういう政策で本当にイラクは泥沼化から抜け出すことができるのかというのが私の問題提起であるわけです。

 しかも、官房長官も、去年の暮れ、アメリカの中で段階的撤退論が議論として出てきたときに、これはやはり新しい見直しの必要、政策の見直しというのが言われている中で、自分たちとしても、そういう見直しの必要があるのかどうか、アメリカがどういう政策をとるのか、いろいろ変化が起きてくるから、今のままでいいのかどうかということを含めて今後考えていかなければいけないというところまでおっしゃっていたわけですから、やはり増派政策について、今、支持すると言っている以上、私はどんな考えで支持するというぐあいに言うべきじゃないかな、説明すべきじゃないかなというように思いますけれども。

塩崎国務大臣 ブッシュ大統領も、五月の一日だったでしょうか、演説をされておりまして、今回の増派の過程で宗派間の暴力の減少が見られたり、あるいは市民が、地域によってはですよ、地域によっては安全性が高まってくるというようなこともありますけれども、同時に言っていることは、この新政策は依然として初期段階にある、こういうふうにブッシュ大統領は言っています。まだこの計画の成否を見きわめるには数カ月を要するというふうにも言っているわけでございますので、その努力を評価し、そして支持をする日本政府としても、これからの推移をどういうふうになるのかというのは見ていくのは当然でありまして、今まだ数カ月を要するというふうに言っているわけでありますから、我々はそういうようなことでうまくこの治安がおさまるようになってくれることを期待しているということでございます。

赤嶺委員 ブッシュ大統領があと数カ月と言っているから事態の推移を見ようということかもしれませんけれども、私はやはり、そういうイラクの問題について日本政府として主体的に検討した跡が見られないし、説明が聞かれないことは本当に残念であります。そうは言いながら、結局、イラクでは武装勢力が国外に下がっていって、午前中も言いましたが、空爆を伴う民間人が殺されるというような事態、そういう事態が起こっている。

 私は沖縄の出身ですから一言言いますけれども、やはり米軍に家族を殺されたりあるいは身内を暴行されたりした場合の憎しみ、反米感情というのは当然起こり得るし、そういう人たちが占領に反対して抵抗に立ち上がるというあの感情というのは私非常によくわかるんですが、結局、そういう問題の根本に手をつけないで武力の増強だけしていっても問題は解決しない、そういう立場、検討というのを日本政府はやらないのかということが申し上げたいことであります。

 次に、イラク駐留米軍がバグダッドで建設を進めている分離壁があります。私、外務省にお聞きしますが、米軍はいつからどこでどういう目的でこのような壁の建設を始めたのか、説明していただけますか。

麻生国務大臣 四月の十日、イラク駐留米軍は、激化する宗派対立鎮静化に向けて、バグダッドの最大のスンニ派の地域でありますアダミヤ地域を周囲のシーア地域から隔絶するために防護壁の建設を始めたというように理解をいたしております。

 始めた経緯をお聞きになりましたので、経緯だけでよろしゅうございますね。

赤嶺委員 今、経緯の説明があったわけですが、イラクの国内では、検問所を通らないと外に出ることもできないのでは、これは収容所と同じだと。マリキ首相も、我々が拒否するほかの壁によく似ており、悪影響を懸念していると述べて、建設中止を求めております。外務大臣はこうした壁の建設についてどのように考えますか。

麻生国務大臣 これはたしか、相手は名前は言えませんけれども、あるアメリカの人に、これは一回パレスチナでやって成功しなかったものではないのかということは言って、余り効果がないというのはもう既に実験済みではないかという話はしたことがあります。

 いずれにいたしましても、この点につきましては、今御指摘のありましたように、四月の二十二日、マリキ首相の方からこの建設中止について、いわゆる首都の分断につながるということで中止ということの要請があり、その後、イラクの報道官は、連休前でしたから四月の二十五日だったと記憶しますが、四月の二十五日にいわゆる開始したこの防護壁の建設につきましては計画を修正するという発表をしておりますので、今後の動向につきましては注目をしていきたいと存じます。

赤嶺委員 軍事力が足りなければ防護壁と、軍事的手段では事態は本当に解決をしないんだというのも指摘しておきたいと思います。

 最後に、官房長官にお聞きします。

 総理は、内閣の使命として、憲法を頂点とした戦後レジームからの脱却を挙げています。しかし、戦後の日本にはもう一つの体系があります。日米安保条約を頂点とした日米安保体制の体系であります。

 あした五月十五日は、私の沖縄県の本土復帰三十五周年、祖国復帰と呼んでおりますが、これを迎えますけれども、その沖縄の歴史には、戦後、米軍の直接占領下に置かれ、今も米軍基地の重圧にあえぐ沖縄の歴史というのが刻まれております。

 私は、戦後の日本というのは、憲法と安保体制の二つの体系のせめぎ合い、私たちは、本土復帰をすれば基地がなくなり、憲法のもとに帰れると思っていたわけですけれども、総理は、憲法を頂点とした戦後レジームからの脱却は言いますが、これは、戦後日本の国のあり方を日米安保体制の強化の方向でつくりかえていこうということなんですか。

塩崎国務大臣 今先生、憲法と日米安保体制との間のせめぎ合いというふうにおっしゃいましたが、日米安保体制は憲法のもとで成り立ってきたものでございます。

 したがって、今回、戦後レジームからの脱却ということで、新たなる、二十一世紀の日本にふさわしい憲法を国民的に考えていこうということに関しては、今おっしゃったようなせめぎ合いがなされるような話ではなくて、むしろ、戦後六十年にわたって一発の銃弾も撃たずに平和貢献をしてきた日本の延長の中で、どういう憲法を考え、そしてまた、日米安保体制というものは、その憲法の枠の中で当然考えられる安全保障政策の一つでございます。

 沖縄の問題については別途、これまで非常に御苦労をかけてきた、このことは深く胸に刻みながら、これから日本をどう守っていくのかということを考えていかなければならないというふうに考えておるところでございます。

赤嶺委員 もう最後ですが、安保体制のもとで日本は米国に基地を提供し、そして、ベトナム戦争やイラク戦争の出撃基地になってきました。これ自身が、憲法とのせめぎ合いであります。同時に、今、基地の提供にとどまらず、自衛隊が海外に出かけて直接の支援活動を行おう、集団的自衛権の見直しとか九条を変えるとか、これもせめぎ合いであります。さらには、沖縄の負担の軽減を口実に、負担を強化しながら米軍の基地の体制を全国に強化しようとする。

 まさに、戦後レジームというのは、憲法を変えてアメリカの戦争に協力する体制づくりと言わざるを得ないことを指摘して、私の質問を終わります。

浜田委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 私は、イラク戦争は間違った戦争だと考えます。そして、イラクの自衛隊は即時撤退すべきだという立場で質問をいたします。

 まず、官房長官にお伺いします。

 基本的な認識ですけれども、官房長官は、本法案について、四月二十六日に、本法案の枠組みについて、非戦闘地域に限って実施する、他国の武力行使と一体化することはないということを制度的に担保した法律だと答弁しています。ということは、裏返して言えば、武力行使と一体化するような活動をすることは、もちろん後方支援であっても本法案ではできない、法案違反であるという認識でいいんでしょうか。

塩崎国務大臣 武力行使と一体化してはならないというのは、もうそれは当然のことであります。それと後方支援というのがどういうふうに結びつくかというのはまた別問題であって、一概に同じだということではないんじゃないかと思います。

辻元委員 といいますのは、日米新ガイドライン関連法、周辺事態法のときも、後方支援というのはロジスティクスという軍事用語です、これは武力行使と一体化した概念です、それで後方地域支援というのをわざわざつくって、ロジスティクス、要するに、武力行使と一体化した後方支援とは切り分けたはずなんですね。久間防衛大臣はうんうんとおっしゃっていますけれども。

 ということは、本法案では、いわゆる武力行使と一体化した後方支援、これは、具体的に言えば、武器弾薬を運んだり戦闘要員を輸送したりということはできないという認識でいいですね。

塩崎国務大臣 それは前提としておりません。

辻元委員 ということは、武器弾薬の輸送や戦闘要員の輸送というのは、本法案と照らし合わせて違法であるということでよろしいですね。

 では、ちょっと角度を変えて。

 今、本法案では想定していないというお話でした。さて、次に久間防衛大臣にお伺いします。

 人道復興支援活動と安全確保支援活動をともに行っていくと答弁されていますね。ことしに入ってほとんどが、九割近くが多国籍軍を運んでいたということが本委員会で明らかになってきました。ということは、この中で自衛隊が支援して運んでいる多国籍軍は、人道復興支援活動や安全確保活動に従事する要員であって、掃討作戦とか今アメリカはばんばんやっていますけれども、戦闘要員ではないという理解でいいですか。

久間国務大臣 そのとおりでございまして、今自衛隊が活動しているところは、一応戦争が終わって、戦闘地域でないところで支援活動をやっているわけでございまして、そういうようなことは考えておりません。

辻元委員 今、最初にそのとおりでございますとおっしゃったのは、私の質問で、要するに、戦闘に参加する要員を運んでいるのではないということですね。

久間国務大臣 戦闘ではなくて、安全確保活動を行っている、いわゆる多国籍軍を運んでいるわけであります。

辻元委員 きょうの午前中の久間大臣の答弁で、航空自衛隊の輸送で運ばれている多国籍軍について、あなたは人道復興支援活動に行くのか安全確保活動に行くのか、その中身についてはわからないという答弁をされているわけですよ、聞いていないと。

 それでは、人道復興支援活動と安全確保活動であって、掃討作戦などの戦闘要員でないと、どういう根拠で答弁なさっているわけですか。

久間国務大臣 国連決議に基づいて、私たちは人道復興支援と安全確保支援活動をやっているわけでございますから、私たちはそういう趣旨でやっているということを多国籍軍にもいつも言っているわけですね。だから、そういうことで相手が、そのとおりです、そのために私たちは行きます、輸送してくださいという形で運んでいるわけでありますから、相手の国の相手の部隊のそういうような言動を信頼して運んでいるということであります。

辻元委員 これは四月二十六日に、山崎政府参考人もこう答えています。多国籍軍の兵士が、どういう方がどういう任務につくかということまで私ども承知しておりません、乗員される方々に、一々復興支援をされるのかどうかという確認をしておりませんと答弁しているわけですよ。

 そうすると、一々確認しないけれども信用していると。ですから、航空自衛隊が運んでいる多国籍軍、大半がそうですが、については、何をしておるかは確認していないしわからない、しかし、わからないけれども信用しているということですか。

久間国務大臣 何をしているかというふうに言いますと、何でもやれるような言い方ですけれども、そもそも、イラクで活動する多国籍軍というのは、国連から要請があって、人道復興支援と安全確保活動、これをやるということでやっているわけでありますから、それ以外に何か戦闘をやるためにやるというような、そういう前提に立っておっしゃいますと、きょうの朝の質問の中で、空爆をやっているとか、爆撃機であるいは戦闘機でやっているという話が出ましたが、そういう人たちを乗せることはまずないわけでありまして、そういう人たちだって、果たしてそれを戦闘行動と言えるかどうかはちょっと必ずしも私の立場で断定はできませんけれども、そういうような人たちが乗ってくるはずはないわけであります。

辻元委員 乗ってくるはずがないという根拠は何ですか。

久間国務大臣 いろいろなミッション、どういうことに、運んでくださいというときに、こういう人たちはこういうような復興支援とか、あるいは今言ったような安全確保活動をやるためにここに行かなきゃならないのでよろしくお願いしますという形で調整をして運ぶわけでありますから、相手の言っていることをうちは信用しているということです。

辻元委員 それは口頭で現場で確認しているんですか、それとも文書などで確認しているのですか、はっきりそこをお答えください。

山崎政府参考人 ちょっと質問の趣旨がよくとらえられておりませんものですから、恐縮でございますが、どういう御質問か、もう一度ちょっと確認をできますでしょうか。ちょっと質問が確認ができなかったものですから。(辻元委員「文書でやっているのか、口頭でやっているのか」と呼ぶ)

 乗ってくる搭乗員については、確認はしておりません。これは、人道復興支援活動あるいは安全確保支援活動に従事するということにつきましては、国連の支援を受けて、治安維持作戦及び人道復興支援としては、例えば、多国籍軍の米英軍等、各国軍ともインフラの整備とか医療支援等を行っておりますので、そこから当然類推をしているわけでございます。

辻元委員 今、類推とおっしゃいましたね。防衛大臣は確認しているとおっしゃったんじゃないですか。どういうことですか。これはこの法案の根幹ですよ。

久間国務大臣 私たちは、国連及び多国籍軍双方から要請があってその輸送をやるわけですけれども、要請をされるに当たって、我が国の自衛隊の輸送はこういう趣旨でありますよということを絶えず多国籍軍の司令官を初めみんなに言っておるわけでございますから、それをわきまえて向こうは乗ってきておる、そういうふうに理解しております。

辻元委員 きょう、午前中も赤嶺委員が指摘されました。米軍の増派、全体で二万九千人近く、その中でいわゆる人道復興支援、PRTは百二十九人だったと。さらに調べてみますと、これは昨年の九月に米軍がPRT活動の報告書をつくっています。それによれば、昨年もPRTは二百三十八名なんですが、そのうち七十七名が民間人で、百六十一名なんですよ。米軍はどれだけ行っているんですか、そのうちの百六十一名とか百二十九名とかですよ。それで戦闘要員を運んでいないと類推できると。

 官房長官にお伺いします。

 官房長官は四月二十六日に、多国籍軍の活動に対する支援は内容の中身次第でございますと答えていらっしゃるわけですよ。ですから、中身で日本ができることとできないことがあると答えています。そして、同じ日に、先ほどの、他国の武力行使と一体化することはないということを制度的に担保した法律。その中身については、先ほど伺いましたが、武器弾薬や戦闘要員は運べないというのが、この法案では運ぶことができないということですねと聞いたら、そのとおりでございますとお答えになった。

 そうすると、中身の問題とお答えになっていますが、官房長官は、中身をどのように判断する材料を持ち、何を根拠にこれが武力行使と一体化していない、要するに武力行使と一体化する後方支援ではないということを判断されているんですか。

塩崎国務大臣 安保理決議に基づいて、イラクで多国籍軍というのは安全及び安定の維持や復興の支援をするということになっているわけでございます。政府としては、そういった活動を行う多国籍軍を支援するための空輸というのが、このイラク特措法上の安全確保支援活動または人道復興支援活動のいずれかに当たるものという認識をしているわけですから、そこを確認すればいいわけであります。(辻元委員「どうやって確認しているか」と呼ぶ)いやいや、それは、だから、そういう多国籍軍であることが条件であるわけです。

 一方で、自衛隊は非戦闘地域に限って活動を実施しているわけでありますし、それから、他の指揮下に入って、多国籍軍の指揮下に入って日本が動くということではないわけであって、日本の独自の判断でもってこれは活動を展開しているわけでありますので、問題はないということだと思います。

辻元委員 最後に申し上げたいですけれども、先ほど防衛大臣が類推しているとおっしゃったわけですよ。この法案の基本計画、趣旨にのっとって合法な活動をされているのか、それとも合法ではない活動まで踏み込んでいるのかということを類推とおっしゃった。

 では、最後に官房長官と防衛大臣にお伺いしたいですけれども、戦闘要員を運んでいるということがわかれば責任をとっていただけますね。

久間国務大臣 戦闘要員を乗せること自体が法律上あり得ないわけでありますから。国連の決議に基づいて多国籍軍は治安を維持といいますか、そういうような安全確保活動のために派遣されているわけでありまして、それを支援するためにうちはやっているわけでありますから。

 そしてまた、私自身は類推なんて言葉は言いませんよ。私は、そんな不正確な言葉、類推といったら非常にあれですから、議事録調べてもらっても結構ですけれども、それは局長の答弁の中では出たかもしれませんが、私自身はそういうことは言っていないです。というのは、私は論理的にそういうことはないと思っていますから。

 国連決議に基づいて多国籍軍が出る場合は、安全確保活動のためか復興支援活動のために出るわけでありますから、こういう二つのために出ておる。そして、それを自衛隊としては空輸をしているということでございますから。そして、そういうような約束事で出るにもかかわらず、それをもし裏切るということがあれば、それは相手がおかしいのであって、そういうことはないという形で、こちらとしては論理的にあり得ないということを言っているわけです。

塩崎国務大臣 今久間大臣がおっしゃったとおりで、先ほどの、イラクの安全及び安定の維持や復興の支援をするのが多国籍軍の役割でありますから、今お話があった、特措法上の安全確保支援活動または人道復興支援活動のいずれかに当たるものでございます。

山崎政府参考人 類推という言葉はちょっと適切ではなかったので訂正させていただきますが、いわゆる多国籍軍は、国連決議に基づきまして人道復興支援活動及び治安維持活動、安全確保活動をしているわけでございますので、当然その範囲内において我々の方に搭乗依頼が来て、空輸をしているということでございます。

辻元委員 終わりますが、中身をきっちりと点検することができない、国会でもできない、シビリアンコントロールなのに。そして、今の御答弁を聞いてもさっぱりわかりません。これで採決なんか、皆さん、できるわけがないと思いませんか。そう思いますよ。

 ですから、引き続き、この点質問もしたいと思うし、各委員もはっきりしてほしいと思っていると思いますので、引き続き本委員会でしっかりと議論していきたいと思います。

 以上です。

浜田委員長 次に、安次富修君。

安次富委員 自由民主党の安次富修でございます。週明け早々、大変御苦労さまでございます。

 中東地域の平和とイラクの復興支援に全力で取り組んでおられます政府、外務省、防衛省、特に自衛隊の皆様には心から敬意を表します。

 私は昨年、アメリカ国防省のロドマン国防次官補やアーミテージ氏等にお会いしたときに、こういうことを言っておられました。日本の、世界の平和のための安全保障の分野における大きな貢献に対して高く評価をしておりますということを言っておられました。特にそのとき言及していたのは、陸上自衛隊から航空自衛隊への支援は、治安状況が改善される中で国連のミッションをカバーしてもらいたいというお話をされておりました。

 つまり、戦争に加担しているとか、アメリカに巻き込まれているとか、無理やり押しつけられているとかということじゃないわけであります。アメリカ側も、十分治安を見きわめながら、国連のミッションに従ってC130の輸送をお願いしますということでございまして、日本の独自の判断、決断による平和貢献の積極的なあらわれであると私は認識をしております。自衛隊が中東地域の平和のためにイラクで活動することを私はむしろ高く評価されるべきだと思っております。

 あのとき、あのときという声がありますが、そこで質問をいたします。

 イラクの復興支援に携わってきた政府、外務省、防衛省はそれぞれ何を学んだのか。また、自衛隊は今後も国際貢献を積極的に行動する上でどのような反省があり、何を教訓とするのか。今後のこともありますので、それぞれ御答弁をお願いいたします。

麻生国務大臣 日本のイラクの復興支援に関していろいろ御意見というのは、我々の意見ではなくて他国からの意見のことだと存じますので、私どもの感じでは高い評価をちょうだいしてまことにありがたいと思っております。

 一番この種のことに批判的だったフランス人のジャーナリストの話、これが一番わかりやすいと思うので、この方が、フランス国防省、仏軍の機関誌、「今日の軍隊」という機関誌がありますけれども、この機関誌になぜ日本人だけがイラクで成功しているのかという論文があります。

 かなり前に出た論文ですが、イラクにおける日本の存在は異彩を放っている。自衛隊は確かに戦闘服を着ているが、自衛隊が人道支援を行っているのだということが地元住民からは広く理解をされている。イラクでは、確かに、日本はアメリカに協力して行動した。他方、日本人は、地元住民との良好な関係を構築し、イラク側の責任者や主要な省庁との間でも良好な関係を構築、独自の行動半径をつくり上げたという点等々、これはほかにも結構長い文章なので、はしょってしゃべっておりますけれども、そういうことをダウォードという人が書いております。

 この状況分析をいたしますと、こういうのを書いてあっても全然読まない人が日本には大勢いらっしゃいますので、これは間違いなく防衛省から出ております文章、外務省から出ておりますので、一回お読みいただくと、この種の話を聞いて変なやじなんか飛ばないものなので、普通は。

 そういった意味で、人道復興支援活動において、一発の銃弾も撃つことなく、ODAによる支援とともに住民の視点に立った活動をしてきた、私どもはそのような感じがいたしておりますので、広く国際社会の安定と繁栄のためという大義名分等々、私どもとしてはこういったようなことから、自衛隊の活動というものが、少なくとも日本の陸自については引き続きぜひそのまま引きとどまっていてもらいたいという話を、昨年バグダッドに行ったときに閣僚四、五人から席を囲まれて、いわゆる陳情みたいな形で受けましたので、その理由が私どもの方として知りたいと。どうして日本だけいてもらいたいと思っておるのかということにつきましては、次回どこか別のときに、安次富先生と二人でお話し合いをさせていただければと存じます。

久間国務大臣 陸上自衛隊の場合は面的な活動をやりましたので、それでそのときに地元の皆さん方と割と打ち解けて入り込んでいきましたので、そういう点では非常にPRもできましたし、また理解もされやすかったわけであります。

 空自の場合は残念ながらピンポイントで、クウェートから今度はバグダッド空港、そしてエルビルという形で点だけでございますので、そういう点では、陸自と比べたときにやや地元の皆さん方と打ち解けるというチャンスがないわけでございますけれども、今度のまた空自の活躍中に得たいろいろな経験等そういうものについては、私たちも、また帰ってきましたらそれを生かせるように今後していきたいなと思っております。

 ある意味ではまた得られない経験もあった、非常に危険も伴っているわけです、実を言いますと。陸自だけじゃなくて空自についても、空を飛んでいるから大丈夫じゃないかというふうに思っておられる方もいらっしゃいますけれども、大変緊張状態もありますし、むしろ空の方がストレス等はかえって高いんじゃないか、そういう意見もございますから、そういう経験については生かしていきたい、そう思っております。

安次富委員 厳しい任務ですけれども、しっかり頑張っていただきたいと思っております。

 次に、せっかくの機会ですので、沖縄について関連して質問をさせていただきます。

 在沖海兵隊のイラクでの展開、駐留についてですけれども、これはなかなか公表できないとも思いますが、政府としてどのぐらい把握しているのか、わかる範囲で聞かせていただければと思っております。

 例えば、普天間基地からイラクへ出動していくと、普天間基地のヘリコプターはほとんどいなくなりまして、皮肉なことに、開店休業、いわゆる仲井真知事が言う閉鎖状態になっているわけであります。

 そこで防衛大臣にお聞きいたしますけれども、普天間の閉鎖状態にどう取り組んでいくのか、知事の公約をどう支援していくのか、具体的にお話をしていただければと思っております。

久間国務大臣 沖縄におります海兵隊がどれだけイラクに展開しているか、展開そのものはしたんだと思いますけれども、それについては防衛省としては把握しておりません。

 なお、普天間における海兵隊を今後どういう形で、いわゆる仲井真知事に言わせる危険性の除去をするかでございますけれども、一番肝心なのは一日も早くキャンプ・シュワブに代替施設をつくり上げることでございまして、つくり上げる段階が始まりましたときに、どういう形で危険性の除去をすることができるか、その経過中においても何ができるのか、これから先、鋭意努力をしていきたいと思っております。

安次富委員 次に、2プラス2でございますけれども、2プラス2は単なるセレモニーではないはずですし、単なるショータイムでもなかったはずです。節目節目が私は非常に大事だと思っております。

 2プラス2の共同声明の中でも、二〇一四年までの普天間飛行場代替施設の完成は沖縄における再編全体のかぎであることを再確認するというふうに書かれております。2プラス2の着実な実施のためには、沖縄県と名護市の理解と協力がなくしては今言ったすべてのかぎである普天間を動かすことはできないと思いますが、具体的にどういう考えを持ってどう行動を起こしていくのかをお聞かせいただきたいと思っておりますし、久間大臣、必ず動かしていくという迫力がないといけないと思います。要はシェークハンドですから、シェークハンドしながら必ず動かしていく、そういう決意と迫力を示していただきたいと思います。

久間国務大臣 これは、昨年つくりましたロードマップ、これを着実に実行するということを再確認したくて、相手の国防長官もかわりましたし、私も防衛庁長官として新たに就任したわけでございますから、2プラス2の二人がかわったのでもう一回確認したいということで、今度の2プラス2でもその話は出ました。そして、あのロードマップを着実に実行するということについて合意したところでございます。

 それと、二〇一四年までにそういうのを全部やりませんと、全部といいますか、要するにやっていくということは、その前提として、キャンプ・シュワブにいわゆる普天間の代替施設ができるというのを条件にして海兵隊は八千人グアムに移ることにもなっておりますから、これの実現なくしては移動はないわけであります。それとみんながそれぞれ絡んできておりますので、国内におけるいろいろな再編の問題もそれが全部いろいろリンクしておりますから、そういう意味では全部をセットしてやらなければならない、そういうふうに思っております。

 ぜひ、沖縄県あるいは名護市だけではなくて、ほかの地元の合意も得ながら、合意といいますか意見集約を図りながら、どうしたらいいのか、私たちも精いっぱいの英知を出して取りまとめをしていこうと思っておりますので、どうか御協力方をお願いしたいと思います。

安次富委員 ぜひ不退転の決意で頑張っていただきたいと思います。

 続きまして、私の大好きな麻生外務大臣にお聞きをいたしますけれども、私は、アメリカのマケイン上院議員にお会いしたときに、マケイン上院議員が私に対して、在日米軍がアジア太平洋の安定に貢献している傍らには沖縄県民の御負担があるということを忘れないでおきたいという言葉をいただきました。

 先ほど赤嶺議員も言っておりましたけれども、五月十五日、つまり、あしたは沖縄の本土復帰三十五周年でございますが、外務大臣として、政府を代表して、三十五周年を迎えた沖縄に対するコメントをいただければと思います。

麻生国務大臣 昭和四十七年の記憶はありましたけれども、五月十五日まで正確に覚えておりませんでした。先ほど赤嶺委員の方から五月十五日と言われましたので、ああ、あしたなんだなというのを改めて認識した次第です。

 復帰三十五年ということになりますが、少なくともこの間、随分この沖縄というところは、時代の中にあって、冷戦、冷戦崩壊、その後、北東アジアにおきます国際的な安全保障の状況等々いろいろなものの中にあって、沖縄県民の方々のいろいろな御負担、御努力の結果、少なくとも日本の安全保障という面におきましては沖縄の基地が果たした役割は極めて大きかったと思って、改めて感謝をしている、多分これが普通の方々の常識的な反応だろう、私自身はそう思っております。私の場合は、沖縄が復帰される前からよく沖縄に行く機会がありましたので、随分とこの間、この三十五年もうちょっとになりますが、四十年ぐらいの間、随分その変化を身に感じるところではありますけれども。

 いずれにいたしましても、地理的な状況というものを考えますと、これから、今沖縄が置かれております状況の中で、よく数字で言えるのであれば、これはやはり有効求人倍率等々、明らかに沖縄、青森等々は〇・四幾つという状況だと思います。そういう意味では、沖縄におきますいろいろな状況の悪さというものを配慮していくためには、地域に対してしかるべき特定のいろいろな恩典というものをやっていくに当たって、やはり観光というのは大きいんだと思いますので、そういった意味では、その観光に資するに何が最もいいのか等々、考えるべきことは単なる運賃の補助とかいうようなものではなくて、もっと総合的なものを考えて、沖縄のあの何とも言えぬ、常夏というかああいった雰囲気というものは、観光資源としては日本の中で物すごく群を抜いていると思います。

 そういう意味では、きちんとした対応をされるなり、いろいろやり方はあろうと存じますけれども、ぜひ、これは沖縄の人の話だけ聞くと、私どもが見ていても、よく知事さん方とお話もしますけれども、いろいろお見えになるときに、何となく、沖縄だけの話をされますが、いや、もっと別の話をされたらいかがですかという話を申し上げております。

浜田委員長 安次富君、時間が来ていますので、よろしくお願いします。

安次富委員 最後に、日本のイラクの復興支援がアメリカ以外の国々からどう評価されているのか、そして、日米の対等なパートナーシップの位置づけや今後の日米同盟の望ましいあり方等々、最後に世界の麻生にふさわしい格調高いお話をしていただきたいと思っておりますが、時間のようですので、ぜひ頑張っていただきたいということと、それから、私は最後に、イラクが落ちつきを取り戻して、イラクの国民の一人一人が笑顔に輝くときには、必ずこの日本の自衛隊の活動に対する感謝の心で満ちあふれるだろうということを確信申し上げまして、今度のイラクの復興支援法案に大賛成をするものであります。

 以上、終わります。

浜田委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 イラク特措法の延長に関する審議も、これまでの委員各位の真剣な議論によりまして大いに深まった感がいたします。私としては、あえて基本的な項目に絞りまして質問をさせていただきたいと思います。

 塩崎官房長官にまずはお伺いいたします。

 先ほど来、イラクでの自衛隊の支援活動に対しまして、正当性のない戦争に加担しているなどとする意見がございましたけれども、これは筋違いの話であると思います。自衛隊のこの支援活動は、国際社会の総意としてイラク戦争終結後の復興支援を決めた国連安保理決議一四八三に基づくものでございます。

 改めて、イラク特措法に基づく自衛隊の活動はイラク戦争への加担ではなく、あくまでもイラク戦争終結後のイラクの復興支援であるということを官房長官に確認したいと思います。国民の皆さんにわかるようにしっかりと御答弁をお願いいたします。

塩崎国務大臣 イラク特措法の目的は、先生今お話しいただきましたけれども、イラク国民自身による国家再建への努力を支援、促進する国際社会の取り組みに対して、日本が主体的に、積極的に貢献をするために、人道復興支援活動そして安全確保支援活動を実施して、そして我が国を含む国際社会の平和及び安全に貢献をしようというものでございます。

 この目的を達成するために、現在、航空自衛隊が国連及び多国籍軍に対する空輸支援を継続しているわけでございますけれども、これは御指摘のように、イラク戦争への加担などというようなものではなくて、イラクにおける主要な戦闘が終了した後に出された、復興支援への協力を国連加盟国に要請する国連安保理決議一四八三号などに基づいてイラクの復興の支援を行うものでございます。

江田(康)委員 続いて塩崎官房長官にお伺いをいたします。

 イラクは現在、国家の民主的な再建に向けて産みの苦しみを経験している状況でございます。このような時期に、国連やアメリカを初めとした多国籍軍はできる限りの協力を行っているわけでございます。イラクの安定と復興は国際社会の重要課題でございます。また、我が国自身の国益にも直結することから、イラク特措法を延長し、引き続きイラク支援を続けるべきであると私は考えます。

 その上で、政府として同法案を延長する必要があると判断した根拠と、延長幅を二年とする理由について、改めて官房長官にお伺いをいたします。また、継続するに当たりまして、この自衛隊の支援活動は他国の武力行使とは一体化はしないということを改めて確認いたします。さらに、イラクの治安が戻れば早い段階で自衛隊の活動終了を検討するのか、あわせて官房長官にお伺いいたします。

塩崎国務大臣 今先生から御指摘のありましたとおり、イラクの安定と復興は国際社会共通の重要課題であって、また、特に日本は石油の九割以上を中東に依存しているわけでありますから、我が国にとってこのイラク支援というのは極めて重要であり、主体的かつ積極的にこれまでも支援を行っているわけであります。

 イラクは、今後数年間が国づくりにとって大変大事であるということ、それから国連関係者も少なくとも数年はやはり活動を続けないといけないというふうに思っており、また多国籍軍もやはりこの何年かはいるだろうというふうに考えております。

 これは何度ももうお話が出ておりますけれども、国連事務総長の潘基文さんからも、それからマリキ・イラク首相からもこの空輸支援への感謝とそして継続要請が繰り返しなされているわけでございます。

 イラクの安定、復興はまだ道半ばというべきところでございますので、本法律の目的であるイラクの復興努力に対する支援を腰を据えてやはり取り組んでいかなきゃいかぬだろうということで、ある程度少し時間をとって二年間ということでお願いを申し上げているということでございます。

 それから、武力行使との一体化はどうかという問題でございますけれども、これはもう言うまでもなく、イラク特措法の自衛隊の活動は、憲法が禁ずる武力行使または武力の威嚇に当たらない、そしてまた、いわゆる非戦闘地域に限って実施をするということで、他国の武力行使と一体化することはないということでございます。また、統合された司令部と連絡調整は行いますけれども、この指揮下に入るわけではないということでございますので、その辺をよく御理解いただきたい、こう思います。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 さらに、イラクの治安情勢はまだまだ厳しい状況にございます。

 そこで、久間防衛大臣にお伺いいたしますが、現地で活動する自衛隊の皆さんは、これまで、自身の安全を確保するために継続的な情報収集活動を続けてきたわけでございます。これによって危険を事前に察知して、回避が行われてまいりました。そのような努力があって、我が国自衛隊は、これまで一発の銃弾も撃つことなく、また、一人の犠牲者も出さずにイラクで活動を行ってこられたわけでございます。

 八月以降も引き続き空自の活動を継続するに当たりまして、部隊の安全面について万全を期していくように強く求めますが、防衛大臣の決意をお伺いしたいと思います。

久間国務大臣 一発の銃弾も撃たれていないというようなことがありますために、イラクでは非常に安全なんだと言わんばかりの空気がよくありまして、私は、そういう意味では、航空自衛隊の皆さんに大変気の毒だなと思っているぐらいでありまして、実は結構危険なわけであります。

 したがいまして、飛行機なんかにも防護装置等もつけておりますし、あるいは防護装置としてはフレアなんかもやっておりますが、それと同時に、安全運航といいますか安全的な運転方法等もそれぞれ研究しながら苦労してやっておるわけでございます。

 それと同時に、やはり情報活動も大事でございます。これは我が自衛隊だけでは無理でございますから、多国籍軍のいろいろな情報を収集しながら、危ないというような話があるときには飛行を取りやめるというようなこともやっております。

 そういうおかげで今無事にやっておりますけれども、これから先も、そういうような緊張状態を保ったまま、犠牲者といいますか被害を出すようなことのないように注意しながら安全確保を図っていきたいと考えておるところであります。

江田(康)委員 塩崎官房長官にもう一問お伺いをいたします。

 出口戦略についてでございますが、四月の十八日に、イラク南部のマイサン県で、全土で四番目となる多国籍軍からの治安権限移譲が行われました。その際、マリキ首相は、イラク治安部隊が今年末までに米英軍から全土での治安権限移譲を完了できるとの見通しを示しております。

 イラクでは、バグダッドを中心に、自爆テロの発生等、治安情勢は先ほどからも申されるように依然厳しい情勢にありますが、昨年の新政府発足に伴う政治プロセスの進展に加えまして治安プロセスでも進展が見られるなど、一定の前進もあるわけでございます。

 この治安権限の移譲は、多国籍軍の駐留期間や規模に大きな影響を与える要因となるわけでございますけれども、今後予定どおりに進んでいくかどうか、そこのところの見解をお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 イラクでの治安権限の移譲の状況でございますけれども、本年四月十八日、マイサン県でイギリスからイラク側に権限移譲が行われました。昨年の七月のムサンナ県、それから昨年の九月のディカール県、さらに昨年十二月のナジャフ県と合わせて、イラクには十八県ございますけれども、そのうち四県で権限移譲が行われたということになります。

 マリキ首相が来日をされたときに、安倍総理との会談に私も同席をいたしましたけれども、マリキ首相は、治安回復については早期に成果を出したいと考えている、そのためイラク軍、警察を強化しており、地方では多国籍軍からの治安権限移譲も進んできているというふうにおっしゃっておられて、治安権限の早期移譲に意欲を見せていたところでございます。

 我が国としても、治安権限の移譲が早期に行われることを期待してまいりたいというふうに考えております。

江田(康)委員 最後ではございますが、外務大臣にお伺いをいたします。

 イラクにおける治安の回復は、復興を下支えする意味で重要な課題でございます。治安悪化の要因である宗派間の対立を解くためにも、国民融和や周辺諸国を含めたイラクの安定化のための取り組みが必要でございます。

 これまでの審議、答弁にもございますけれども、先般、政府はイラクから各派の有力者を招聘し、イラク国民融和セミナーを開催されました。イラクの真の安定のためには国民の融和も重要な要素の一つでございまして、ねらいは評価できると思います。その上で、この概要と成果をお伺いしたいと思います。

 さらに、我が国は引き続きこの分野で積極的に政治支援や外交努力を行っていくべきと強く思いますが、政府の、大臣の御見解をお伺いします。また、今後どのようなフォローアップを考えているか、よろしくお願いいたします。

麻生国務大臣 御指摘のありました国民融和の件につきまして、答弁をさせていただきます。

 治安の話ばかりがよく出ますけれども、治安が悪くなったもとのもとは、通常三派と言われますものの融和もしくはお互いの信頼が完全に欠けてしまったというところだと存じます。

 私の聞いた本人たちの話によると、あの九月の十一日前まで、おれは何派であいつが何派だったかというのはほとんど知らずに過ごしたと言われて、言われてみると、うちも仏教と言われて、何宗と言われて、うっと答えられない方も、まあおたくはそんなことないでしょうけれども、普通はみんな、答えられぬのが多分いっぱいいるんだと思います。そういうことになるのが普通だったんだと思うんですよ。それがあれのおかげで、みんなおまえという話に何となく心理がどんどんなっていったというのが、これは向こうの偉い人の話でそういうのが出ました。

 私どもとしては、そういったような状況では、融和するためにお互い疑心暗鬼じゃ話にならぬからというので、過日、いわゆるシーア派から六人、スンニ派から三人、それからクルドから三人、その中にキリスト教一名、プラス、イラク国民融和担当大臣というのを日本に呼んで、いろいろ、我々のこれまでの戦後の話を見せ、また広島の原爆記念館に行き、いろいろな意味で、それまでの話やら何やらをきちんと説明して、お互いがいがみ合っているより平和の方がよほどいい、これだけ国が繁栄したもとのもとはという話やら何やらをさせていただいて、最後にまた外務省に戻してそこで話をしたんですが、出発する前と帰ってきてからの雰囲気ががらっと変わっていました。まさかあの人たちは酒を飲んだというわけにはいかぬかったとは思いますが、少なくとも、毎晩ホテルのロビーで話をしたり、いろいろずっとしていたそうです。

 そういった意味では、こういった形で、融和、融和と言っても、現実に融和させる機会を与えてやらなければいけませんし、また、日本に来るというのは極めて安全で、何のために行くんだと妙なことを言われずに済みますし、いろいろな意味で、日本の持っているアドバンテージ、有利なところは幾つもあろうと存じます。

 そういったものを考えた上で、我々としては、各派の指導者に次は働きかけていきたいと思っておりますので、日本の持っております優位さというのは大いに利用して、こういった国民融和というのは今後とも継続をしていきたいものだと考えております。

江田(康)委員 今大臣がおっしゃいましたように、イラクにおける治安の回復というのは、やはり、とりわけ国民融和、周辺諸国を含めたイラクの安定化のための取り組みが大変重要だと思います。外務省を中心に、我が国として、やはり積極的な政治支援、外交努力を今後の取り組みにおいても続けていくようにしていただきたいということを申し上げたいと思います。

 このイラクの安定と復興というのは、国際社会の重要課題でございます。また、我が国自身の国益にも直結するものでございます。我が国として、このイラク特措法を延長して引き続きイラク支援を続けることが重要であるということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 以上でございます。

浜田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。楠田大蔵君。

楠田委員 民主党の楠田大蔵でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、政府提出のイラク特措法改正案に対し反対の立場から、また、民主党提出のイラク特措法廃止法案に賛成する立場から討論をいたします。

 国際的にも既に多くの国がイラクから撤退をし、英国も大幅な兵力削減に踏み切り、米国ですら、上下両院が補正予算にイラクからの撤退期限を明記し、ブッシュ大統領が拒否権を発動する事態に追い込まれるなど、イラクからの撤退を求める議論が高まっております。この流れに思いをいたすこともなく、政府は、この七月に期限が来るイラク特措法を二年延長する特措法改正案を提出しました。

 民主党はかねてより、戦争の大義が崩れたこと、国連中心の支援体制が不十分であること、非戦闘地域をめぐる無理な解釈があることなどから、自衛隊のイラク派遣について反対をしてまいりましたが、今回改めて、自衛隊の対応措置を直ちに終了させるべく、イラク特措法廃止法案を提出したところであります。

 特に、戦争の大義とされたイラクの大量破壊兵器はついに発見されず、テロ組織とのつながりも不明確なままでありますが、その不正確な情報に基づき追従的に戦争の支持をしておきながら、政府は全くその責任を総括しておりません。戦後築いた日本の平和国家の礎を根本から脅かし、未来に禍根を残す重大な過ちであります。

 その活動内容も、人道支援物資などの輸送を行う人道復興支援活動中心から、米軍を中心とする多国籍軍支援などの安全確保支援活動へと軸足を移すなど、大幅に変化をいたしております。また、イラク国内は、以前にも増して、宗派対立やテロ、特にバグダッドでは大規模なテロ事件続発により多くの犠牲者が出ており、厳しい治安情勢となっております。このような状況で、自衛隊の部隊の安全確保義務を確実に果たせるかも極めて不透明であります。

 そして何より、その活動の変化や治安状況について十分な情報開示が国会の場ですら行われず、シビリアンコントロールを全く果たし得ておりません。

 人類の長い歴史の中で、異国による占領、戦後統治が成功したためしはありません。必ずやお互いに深い傷を残します。四年という長きにわたる法律の期限が切れるこの絶好の機会にこそ、その普遍性に思いをいたし、勇気を持って自衛隊を直ちに撤退させるべきであります。

 改めて、政府の延長法案に反対し、民主党提出の廃止法案に賛成することを訴え、皆様の御賛同をお願いし、私の討論を終わります。(拍手)

浜田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、イラク特措法延長案に反対の討論を行います。

 まず、自衛隊のイラク派兵という憲法にかかわる重大法案を、わずか五日間の委員会審議で、延長の根拠があらゆる面で崩れているにもかかわらず、本日、質疑を打ち切り、採決を強行しようとする政府・与党に対し、強く抗議するものです。

 反対理由の第一は、イラク戦争がうそで始められた国連憲章違反の侵略戦争であることが今や明白だからであります。

 戦争の最大の根拠とされた大量破壊兵器がイラクに存在しなかったことは、既に確定したのであります。だから、ブッシュ大統領自身がみずからの誤りを認め、ブレア首相も辞任に追い込まれたのであります。

 政府がいまだに開戦当時の米英の口実を擁護しているのは、まさにアメリカ追随のきわみと言わなければなりません。政府は、イラク戦争の誤りと違法性をはっきりと認めるべきであります。

 第二は、政府がこれまで繰り返してきた、自衛隊の活動は人道復興支援という説明が、全くの虚偽であることがはっきりしたからであります。

 政府は、私たちの追及に、航空自衛隊の輸送活動の、飛行回数では八割以上、物資重量では九割以上が多国籍軍支援であることを認めました。米軍が今バグダッドを中心に行っているのは、B1爆撃機やF16戦闘機を投入した空陸一体の大規模な戦闘作戦であります。自衛隊の活動は、人道復興支援どころか、まさに米軍の戦争支援そのものであります。憲法違反の自衛隊派兵は、直ちに中止すべきであります。

 第三は、多国籍軍による占領支配がイラクの復興への逆行そのものだからであります。

 米軍による軍事掃討作戦がイラク国民の反発と抵抗を生み、事態の一層深刻化を招いてきたのであります。だから、米国内でも米軍の撤退を求める声が高まり、世界でも軍隊を引き揚げる国が相次いでいるのであります。しかも、イラクのマリキ首相自身が、年内には自衛隊は必要なくなると述べたのであります。にもかかわらず、米軍増派を支持し、二年先まで自衛隊の支援継続を決めたのは、国内外で孤立するブッシュ政権への支援以外の何物でもありません。

 イラク情勢の打開のためには、期限を切った多国籍軍の撤退と、イラクの国民的な和解に向けた国際社会の協力、外交努力こそ必要だということを強調して、討論を終わります。(拍手)

浜田委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 社会民主党・市民連合を代表して、政府提出のイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論を行います。

 まず、最初に申し上げなければならないのは、本法案の前提であるイラク戦争が正当性のない侵略戦争であったということです。結局、イラクでは大量破壊兵器は発見されず、フセイン政権とアルカイダとの関係もなかったことが明らかになりました。アメリカでも、情報の誤りについて大問題となり、ブッシュ大統領もその責任を認め、アメリカ国内でさえ米軍撤退の声が日に日に高くなっています。私たちは、不当なイラク戦争に対して日本が加担し続けることを認めるわけにはいきません。

 そもそも、自衛隊の派遣は、ブーツ・オン・ザ・グラウンドとして伝えられた米国からの要求にただただ従ったものにほかなりません。

 本委員会で、航空自衛隊の輸送内容は九割近くが国連ではなく多国籍軍の人員や物資の運搬であることが明らかになりました。そして、その多国籍軍が本法案の趣旨の人道復興支援活動や安全確保活動をしているのか、それとも、本法案では認められない武力行使と一体化する戦闘要員なのかも日本政府ははっきり確認していないということも明らかになっています。イラクの民衆のことを真剣に考えるのであれば、自衛隊による多国籍軍の支援よりほかに、医療や食糧援助、生活インフラの再建など、幾らでもすることはあると多くの委員が指摘しました。

 既に九百億円近い財政支出をしています。自衛隊の特別手当は、一人一日当たり二万円前後です。昨年まで陸自も五百人程度派遣されていましたが、一日一千万円ほど特別手当だけでも使っているわけです。学校修復などをしてきたとされていますけれども、国連のハビタット、人間居住計画などは、一校七百万円ほどで修復どころか学校の再建ができるという活動をしているわけです。自衛隊への特別手当一日分で、イラクでは一校以上の学校の再建ができます。

 本当に、日本政府は、イラク戦争の経緯やイラクの人々のニーズなどを真剣に考えていないんじゃないでしょうか。ただアメリカに追従して自衛隊の活動を続けようとしている。イラクにおけるアメリカ軍の掃討作戦は、多くの無辜の市民を巻き添えにしています。既に七万人近くの市民が犠牲になっています。米軍の武力行使に対する怒りが新たな反米テロリストを生み出し、イラク戦争が招いた混乱が市民をさらに苦しめている、これも多くの委員が指摘したところです。アメリカのイラク戦争、対テロ戦争は世界に暴力と報復の連鎖を生み出しています。テロを増加させ、混乱を高めているのです。

 日本は、平和憲法の原点に立ち返った支援を強化することが大事であって、イラクの自衛隊は直ちに撤退させるよう強く訴え、私の反対討論を終わります。(拍手)

浜田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 これより採決に入ります。

 まず、原口一博君外四名提出、イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 この際、ただいま議決いたしました内閣提出、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対し、中谷元君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。中谷元君。

中谷委員 提出者を代表いたしまして、本動議について、案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  国際的にも、イラクからの撤退を求める議論が高まっている状況を踏まえ、政府は、イラク特措法の期限を二年延長するにあたり、以下の点に留意すること。

 一 政府は、イラクの治安状況の変化に鑑み、イラクで活動を行う自衛隊員の安全確保義務を確実に果たすこと。

 一 政府は、自衛隊の対応措置を継続するにあたり、その活動内容について、シビリアン・コントロールに資するよう、必要な情報開示を行うこと。

 一 政府は、イラクの復興支援に関し、国際協調の枠組みを実現するよう、積極的な検討を行うこと。

 一 政府は、イラク戦争開戦時にあるとされた大量破壊兵器が発見されなかったことを踏まえ、その上でイラク戦争を支持した当時の政府判断について検証を行うと共に、今後十分な情報収集・分析体制の強化に努めること。

 一 政府は、航空自衛隊による対応措置について、イラクにおける事態の推移を注視しつつ、出口戦略につき、必要な検討を行うこと。

 一 政府は、自衛隊の海外での活動にあたり、憲法の範囲内において、国連決議その他の適切な国際的な枠組みの下、わが国の主体的な判断と統制により行うこと。

以上であります。

 どうぞ、御賛同くださいますよう、お願いいたします。

浜田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。塩崎内閣官房長官。

塩崎国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

浜田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

浜田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十五分散会


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