衆議院

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第9号 平成19年11月6日(火曜日)

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平成十九年十一月六日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 深谷 隆司君

   理事 田中 和徳君 理事 中谷  元君

   理事 西村 康稔君 理事 西銘恒三郎君

   理事 浜田 靖一君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      新井 悦二君    伊藤 忠彦君

      石原 宏高君    猪口 邦子君

      越智 隆雄君    大塚  拓君

      北村 茂男君    北村 誠吾君

      河野 太郎君    杉田 元司君

      鈴木 馨祐君    冨岡  勉君

      中根 一幸君    中森ふくよ君

      丹羽 秀樹君    西本 勝子君

      野田 聖子君    橋本  岳君

      原田 憲治君    平口  洋君

      増原 義剛君    松本 洋平君

      三原 朝彦君    宮澤 洋一君

      矢野 隆司君    吉川 貴盛君

      大島  敦君    川内 博史君

      北神 圭朗君    田嶋  要君

      武正 公一君    長島 昭久君

      西村智奈美君    伴野  豊君

      平岡 秀夫君    松野 頼久君

      三谷 光男君    田端 正広君

      富田 茂之君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君    阿部 知子君

      辻元 清美君    下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         高村 正彦君

   防衛大臣         石破  茂君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   国土交通副大臣      松島みどり君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   外務大臣政務官      中山 泰秀君

   財務大臣政務官      宮下 一郎君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   衆議院調査局長      清土 恒雄君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  福島 克臣君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小澤 俊朗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 本田 悦朗君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 伊原 純一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 廣木 重之君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   香川 俊介君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  春成  誠君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  金澤 博範君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  地引 良幸君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     丹羽 秀樹君

  石原 宏高君     猪口 邦子君

  西本 勝子君     平口  洋君

  松本 洋平君     原田 憲治君

  大島  敦君     武正 公一君

  近藤 昭一君     平岡 秀夫君

  三谷 光男君     北神 圭朗君

  田端 正広君     丸谷 佳織君

  阿部 知子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     石原 宏高君

  丹羽 秀樹君     伊藤信太郎君

  原田 憲治君     松本 洋平君

  平口  洋君     西本 勝子君

  北神 圭朗君     三谷 光男君

  武正 公一君     大島  敦君

  平岡 秀夫君     西村智奈美君

  丸谷 佳織君     田端 正広君

  保坂 展人君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  西村智奈美君     近藤 昭一君

  辻元 清美君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

深谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、明七日水曜日午前十時、参考人として元防衛庁海上幕僚監部防衛部防衛課長寺岡正善君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、秘密会の開会についてお諮りいたします。

 ただいま議決いたしました参考人に対する質疑は秘密会といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

深谷委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 なお、明七日の秘密会の開会につきましては、委員会の事務を担当する職員以外の方は御退席願うこととなります。なおまた、理事会の合意に基づきまして、本特別委員会委員以外の議員の方も御退席いただくこととなりますので、御了承願います。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官福島克臣君、内閣官房内閣審議官小澤俊朗君、内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君、外務省大臣官房審議官梅本和義君、外務省大臣官房審議官本田悦朗君、外務省大臣官房参事官伊原純一君、外務省北米局長西宮伸一君、外務省中東アフリカ局長奥田紀宏君、外務省国際法局長小松一郎君、財務省主計局次長香川俊介君、国土交通省海事局長春成誠君、防衛省防衛参事官小川秀樹君、防衛省大臣官房長中江公人君、防衛省防衛政策局長金澤博範君、防衛省運用企画局長高見澤將林君、防衛省人事教育局長渡部厚君及び防衛省地方協力局長地引良幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

深谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村誠吾君。

北村(誠)委員 おはようございます。自由民主党の北村誠吾でございます。

 通告に従い、私見を交えて質問させていただきます。

 六年前の平成十三年十一月九日、海上自衛隊の補給艦「はまな」そして護衛艦「くらま」「きりさめ」、これらが佐世保港を出港してインド洋に向かったわけであります。今般、インド洋での給油の活動の根拠法であるテロ対策特別措置法が十一月二日の午前零時に期限切れを迎え、この法律に基づいて、今申し上げたようにインド洋に展開していた海上自衛隊の、現在は補給艦「ときわ」と「きりさめ」が我が国に向けて帰国の途にあります。報道によれば、補給艦「ときわ」は横須賀に、護衛艦「きりさめ」は佐世保に、今月の下旬に帰港するということでございます。

 テロ特措法の期限が切れたことによりまして、我が国は、国際的なテロの脅威がまだ除去されていない現状にもかかわらず、国際社会が連帯して行っているテロとの闘いから人的な貢献の面で離脱することを余儀なくされておるわけでございます。

 これに関して、福田内閣総理大臣は十一月一日付の談話で、「国民の皆様のご理解とご協力の下に補給活動を可能な限り早期に再開できるよう、補給支援特措法案の速やかな成立に向けて全力を尽くしてまいります。」このことを表明しておられます。我が国としては、一刻も早くテロとの闘いに復帰できるよう、テロ対策特措法にかわる法案として本委員会に提出されております補給支援特措法案の成立に全力を尽くさなければならぬということは申すまでもありません。

 そこで、官房長官、防衛大臣、外務大臣にお尋ねをする次第であります。

 まず官房長官にお尋ねをいたしますが、国内世論の動向についてであります。

 十月二十九日付の日本経済新聞の世論調査によると、海上自衛隊の給油活動に関して、十一月一日の期限切れの後も続けるべきというのが四七%、続けるべきでないというのが三五%となっております。十月二十二日の毎日新聞の世論調査も大体同じように賛成が四八で反対が四三ということで、賛成が上回っております。このことは、八月の日本経済新聞の世論調査において、テロ対策特別措置法の延長について、延長すべきでないというのが五三%を占め、賛成の三〇%を上回っていたというところから考えますと、大きな変化ではないかというふうに思うわけであります。

 そこで、政府としては、これら世論調査の動向等をどのように見ておられるか、このような変化を踏まえて、積極的にこの新法の成立に取り組む官房長官の御所見というものを伺いたいというところであります。

町村国務大臣 今北村委員御指摘のとおりに、八月末ごろの時点では、やはり圧倒的に反対が多かったようでございます。今御指摘の日経新聞八月三十日、賛成三〇、反対五三、産経新聞八月三十日、賛成三四、反対五五、共同通信八月二十九日、賛成三九、反対四八というふうに、大体そのくらいの比率で反対が多うございました。それが、最新時点、十月になってまいりますと、大体賛成が、読売、日経、産経、共同、朝日だけはいつも多少違いますが、毎日、これらが大体五割前後になって、反対が三〇%台ということで、明らかに世論は変わってきた。

 やはり、さまざまな議論、私は、この国会の議論の報道というものもまた大変重要な国民の理解を得る手だてだ、こう思っております。こうした議論を通じて国民の理解が次第に高まっている。また、ホームページとかメルマガとかパンフレット、セミナー、さまざまな活動、あるいは先生方御自身が地元にお帰りになっての講演会でのいろいろな御発言、御説明等々で、幅広い国民が次第に理解を深めていただいているのは大変ありがたいことだ、こう思っております。

 願わくば、それは六割、七割、八割といけばよろしいのかもしれませんが、なかなか、自衛隊を海外に派遣をするというこの種の事案で七割、八割という方が賛成するということは、ある意味では望むべくもないのかもしれない。しかし、できれば一人でも多くの方が御理解をいただけますように引き続き努力をし、法案の成立に向けて最善を尽くしてまいりますので、ぜひ引き続きの叱咤激励、またお力添えを賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。

北村(誠)委員 今お話しのとおり自衛隊の海外派遣ということについては、国連の安保理決議をその必須要件とするというような考え方もあります。

 先に、国連は、現実には安保理常任理事国が拒否権を使うなどして、自国利益を追求する、時には機能不全に陥るというふうな現状であるという認識を私は持っております。こういうふうな状況の中で、国連をいたずらに理想化し、国連決議を必須の条件にするというのは、私は問題が多いのではないかというふうに思います。

 この点についても引き続き官房長官から御所見があればお聞かせをいただきたいし、さらに防衛大臣に、ことし、テロ対策特措法に基づく活動やイラク復興支援特措法に基づく活動が自衛隊の本来任務と位置づけられました。このことを考えてみますと、今後は個別の特別措置法ではなく、自衛隊の海外派遣を根拠づける一般法と申しますか恒久法と申しますか、これについても大いに議論が高まることが期待されております。それに私たちは勇気を持って臨んでいかなければいけない、私はそう思っております。

 そこで、自衛隊の海外派遣のための一般法の必要性等について、防衛大臣にもお伺いしたいし、所見があれば官房長官にもこの点についても言及いただければ幸いであるというふうに思います。

町村国務大臣 国連の決議をこうした自衛隊の海外活動で必須の条件にするのかどうかということでございます。

 国連、なかんずく、最も国際の平和と安全の活動を決める安保理で一致した行動がとれる、意見が一致するというのが望ましいことは言うまでもございませんが、御指摘のとおり、拒否権があったりということで、なかなか安保理が一致するということが、いつも可能かというとそうでもないわけであります。

 また、現実に、国連憲章が当初想定をしておりましたいわゆる正規の国連軍というものはいまだかつてできたことがないわけでございます。また、国連決議に基づくものを含めた各種の平和活動につきましては、それぞれの国がそれぞれの国の主権、主体的判断に基づいて関与のあり方を決めているというのが実態でございます。

 したがいまして、自衛隊がこれから国際平和協力活動をやる際に、その協力が日本の地位と役割にふさわしいかどうかとか、日本の国益に合致しているかとか、あるいは自衛隊の能力を活用するのが一番ふさわしいかどうか、そうしたさまざまな条件を具体の事例に当てはめて、行く行かないという判断をやはりする必要がある。もちろん、実際の派遣に当たっては、まさに国会での御議論等を踏まえて個別に決めていく必要があるんだろう、このように思っているわけでございます。

 なお、一般法につきましては、石破大臣が最も御専門の分野でございますから、石破大臣からもあろうかと思いますが、この問題につきましては、先般来、特に民主党の皆さん方からもそうしたものの必要性、もっとも、長島委員と小沢代表の言われていることが全く同じ内容なのかどうなのか、その辺はつまびらかにいたしませんが、いずれにいたしましても……(発言する者あり)いえ、別に皮肉を言っているわけじゃないんですよ、感想を述べているだけでございますが、この問題につきましては、なかなかそれは憲法との関係その他難しいこともあろうと思いますので、しっかりとまず与党内で議論をする、そして与野党間で議論をする、国会で議論をする、慎重な手続を経て、しっかりとした合意を踏まえてこの問題は進められるべきではなかろうか、かように考えているところでございます。

石破国務大臣 恒久法についてのお尋ねであります。

 私は、幾つか論点があるんだろうと思いますが、国内においても国外においても、自衛隊、普通の国でいえば軍隊、これを軽々しく動かしちゃいけないということはきちんと認識をしなければいけません。その実力が比類ないものであるだけに、その動かし方には慎重であるべきだ。したがって、緊急性と公共性と非代替性というものは要求されるだろう。

 しかしながら、迅速に出さなければ事態がさらに拡大するということも懸念されるわけで、何か事象が起こるたびに、ああでもない、こうでもないと議論しているうちに何週間も何カ月もたってしまう、出したときにはもう既に事は変化をしているということであってはならない、迅速性も確保されねばならないということだと思います。さらに、原理原則、どういうときに出して、どういうときに出さないのかということもきちんとしておかなければいけません。

 国際社会、国連というのも入ってくるんだと思いますが、国連イコール国際社会ではございませんので、国際社会とのかかわり合いをどうするかという問題。そして、国会の関与、文民統制のあり方をどうするかというお話。そして、何をやるかということについて申し上げれば、例えば、どこかの国に自衛隊を派遣したとします、日本のNGOがそこへ出ていたとします、それが攻撃を受けた、拉致、誘拐を受けたというときに、何もしなくていいのという議論はあるんだろうと思う。これが、今官房長官がおっしゃいました、憲法との整合をどう考えるかというお話でございます。

 最後に、武器使用の基準をどうするの。日本一カ国だけでやるわけではありません。当然、国際協調のもとでやるわけでございます。そのときに、日本の武器使用基準が他国のそれと乖離があった場合に、他国と協調してやるということが本当に実効性を持つものになるのかどうか、そのこともちゃんと議論をしませんと、その都度その都度やっていて、武器使用基準も前回のものを踏襲してということで本当に政治の責任を果たせるのかといえば、それはどうなのでしょう。

 今、官房長官からお話がありましたように、まず自民党、そして与党、その中で、自民党としては法律の原案はあるわけで、それが本当によいのかどうなのかという御議論をいただきながら、政府内においても作業を進めておりますが、やはり立法府においてそういう御議論を、それもまた文民統制のあり方だと私は思うのです。そこにおいてきちんとした御議論をいただくことが、まさしく実力組織の動かし方の根幹である文民統制の問題だと私は承知をいたしております。

北村(誠)委員 次に、我が国の外交のかなめでございます日米関係におきまして、福田総理大臣とブッシュ米国大統領との初の首脳会談が十一月十六日にワシントンにおいて開催される予定、そういう外交日程のあることを報道で聞いております。

 そういう中、我が国の給油活動の中断について、米国のケーシー報道官、そして、八日、あすですか、八日に来日をされるというゲーツ国防大臣の方から、活動再開を強く期待する旨の、それぞれの立場での発言があったように報道で聞いております。特にケーシー報道官は、失望した、給油継続法案の成立で活動ができるだけ早く再開することを希望するというふうに申したということであります。このようなアメリカ側からの発言はとても厳しく聞こえるわけでありますけれども、これは、同盟国として我が国の協力支援活動に対する高い期待の裏返しでもあろうと私は考えるわけであります。

 政府は、給油活動の再開を強く期待するアメリカや仲間の国々に対して、我が国の現状をどのように説明し、理解を得ようと考えているのか、そのことについて、特に官房長官、また外務大臣、防衛大臣にも、御所見があればお聞かせをいただきたいというふうに思います。

町村国務大臣 この活動は、累次申し上げておりますとおり、アメリカのためだけということではございません。関係する四十数カ国の国々との共同戦線において私どもはこうした活動をやっているわけでありますが、特に、日米同盟という関係から、アメリカからも大変深い関心を寄せられているのは委員御指摘のとおりでございます。

 私も、外務大臣であったとき、シドニーでライス長官等にもお目にかかりまして、この問題については大変高い期待をしているし、引き続きやってもらいたいという発言を私自身も耳にしたところでございますし、ごく直近の例では、二日、三日にイスタンブールで開催をされましたイラクの安定化に関する周辺国拡大外相会合の機会にも、参加しておられました小野寺副大臣よりライス国務長官に対して説明が行われ、ライス長官からも引き続きお願いをしますよというような発言があったやに聞いております。

 そういう意味で、今委員御指摘のとおり、残念である、しかしそれは、まさに、アメリカ側から見ても、日本に対する高い期待のあらわれだ、アメリカのみならず、関係諸国からの日本に対する期待のあらわれなんだろう、こう思います。

 そういう意味で、申し上げておりますとおり、できるだけ早く給油活動を再開したい。福田総理が十一月一日に談話で出したとおりでございまして、それによって、諸外国への期待にもこたえることになるし、まさに国際社会の一員としての責務を日本が果たすことにもなるんだろう、こう思いまして、一刻も早くこの衆議院の委員会において可決をしていただき、参議院においてもまた御賛同をいただければありがたいと心から念願をしているところでございます。

高村国務大臣 今官房長官が答弁したとおりでありますが、テロとの闘いというのは国際社会の最重要課題であるわけであります。同時に、一日に発出された福田総理の談話にもあるとおり、テロとの闘いは、我が国自身の国益にかかわるものであり、だからこそ、我が国は補給活動を通じてその一翼を担ってきたのであり、この活動を速やかに再開する必要があると考えているわけであります。

 今官房長官から説明ありましたように、イスタンブールで行われたイラクの安定化に関する外相会合の機会にも、小野寺副大臣からライス国務長官に対して説明をしているところでございます。こうした説明に対して、米国を含む各国からは、日本の貢献を高く評価しておりましたし、活動中断を残念に思う、早期の活動再開を希望するといった反応が示されているわけであります。各国の理解を得るためにも活動の早期再開が必要である、こういうふうに思います。

 我が国が早期に補給支援活動を再開できない場合には、我が国がもはやテロとの闘いについて消極姿勢に転じたと受けとめられて、各国の対日姿勢に影響なしでは済まないと考えられるわけであります。

 そういうことでありますから、我が国政府としては、補給支援が早く再開できるように全力を尽くすということを各国に対して説明していきたい、これからも説明していきたい、こういうふうに考えているところでございます。

石破国務大臣 官房長官、外務大臣からお答えがあったとおりでありますが、日本の国益であり、日本が果たすべき国際的責務である、それはもう本当にそのとおりです。

 もう一つは、これだけ高い補給能力を持っている国がほかにどれだけありますかということであります。実際に、並走して補給ができる、右舷からも左舷からも補給ができるなぞという能力を持った国はそんなにありません。日本、イギリス、アメリカぐらいのものです、それだけパーフェクトに近い能力を持っているのは。その日本が抜けるということは、それだけどこかの国にしわ寄せが行くということであり、ほかのどこでも代替ができるというものじゃありませんよということをよく認識しなければいけないと思います。

 したがって、補給の継続の必要性等々につきましては、ゲーツ国防長官ともよくお話をしたいというふうに思っております。

北村(誠)委員 ありがとうございます。

 官房長官、予定がおありだそうですから、お立ちいただいて結構なんですが、一言だけ私の感想を聞いていただければということがあります。

 それは、二日の両党首の会談の行われたとき、休憩の時間に、これは新聞の報道によるものです。民主党におかれて、菅代表代行と鳩山幹事長が、もし大連立の話が来たら、民主党の首相でなければ受けられないと小沢氏にくぎを刺したという新聞報道があるんです。これは新聞報道ですから、あえてどこの新聞どうこうということを申さなくて、新聞報道の限りでというふうに私は認識すべきかなと思ったりもしております。

 ただ、私が感じますことは、このくぎを刺したという話の内容、大連立の話が来たら民主党の首相でなければいけないということでくぎを刺したと、私は、おしかりを受けるかもしれませんけれども、どこから出てきた、だれから出てきたという話は別にして、今この日本の国が置かれている、あるいは国民が非常に政治に対して不安と心配を抱いておるという状況の中においては、私どもは大連立ということを見据え、そして、くぎを刺されたというような事柄についても、それぞれいろいろな協議をする中で、それぞれが立場を超えて、仮に、そういうこともとるべき道かというふうに合意に達したときには、私は、そういうこともあってしかるべきではないか。

 それほど、政治の状況、国民の政治を見る目、また日本が抱えておるいろいろな面での国難といいますか、そういうものは大きいというふうなことを感じますときに、もし大連立という話が来たときには民主党の首相でなければ受けられないとくぎを刺した、ここら辺はしっかりやはり受けとめ、そのくぎを刺されて両党首の会談に臨まれて、臨まれてそして帰ってこられた、そしていろいろ話があったというふうなことで現在の状況になっておるということを思うときに、非常に私は、いろいろなことを政治家としてお互いに考えなければいけないことではなかろうかという感想を持っております。

 このことを、官房長官が、これも新聞報道の限りですけれども、民主党さんの一定の結論、現在出されております結論というものを聞いたときに、随分早く結論を出したものだなというふうなことをおっしゃられた。まさにそういった意味において私は同感でありましたので、その感想を述べさせていただいて、どこか耳の端にでもおさめていただいて、お引き取りいただければ幸いであるというふうに思うわけでございます。どうぞお引き取りください。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。官房長官、どうぞ。

 テロ対策特措法に基づく自衛隊の活動につきましては、活動の透明性を確保し、過酷な環境で任務を遂行している隊員の姿について国民にしっかりとおつなぎし、紹介することが、この自衛隊員の活動に対する国民の理解と協力を得るためにぜひとも必要でありましたし、これからも必要であります。

 私の出身地であります佐世保では、九月十九日に、防衛省の主催で、本件に関するセミナーが開催をされました。おおよそ六百人余りの聴衆が集まり、会場はほぼ満員でありました。このような地方におけるセミナー等を通じて国民に直接自衛隊の活動を説明する機会を設けることは、極めて大切であると考えるわけであります。

 防衛大臣のこれらに関する見解、また、これまでの地方のセミナーの開催の実績の概要と、今後の予定等があればお聞かせをいただきたい。

 時間の関係もありますから、続けて防衛大臣に質問させていただきますが……

深谷委員長 ちょっと、時間、過ぎていますが、あなたの持ち時間。――まだあるの。――ああそうなの。失礼、まだいいのね。どうぞ。済みません。

北村(誠)委員 三十四分まで。恐れ入ります。注意してやります。

 防衛省の一連の不祥事ということに関して、省として、できる限り多くの情報を国民に開示し、信頼回復のために努めるということが極めて重要であり、この認識に立ってかねて仕事をしていただいておりますけれども、現時点におきまして、防衛省の一連の不祥事に対する、それぞれとってこられた対応の概要につきましてお答えをいただければというふうに思います。

石破国務大臣 防衛セミナーについての御指摘がありました。

 全部で二十一カ所でやりたいというふうに考えております。昨日までに十八カ所開催を終わりました。先生の御地元佐世保では、六百名の方にお集まりをいただきまして、十八回やった中では最高の人にお集まりをいただいております。

 後でアンケートをとってみますと、ああ、そういうことだったんですかというアンケートのお答えが多いですね。やはり、防衛セミナーを聞いてみようということで来てくださる方は、それなりに関心の高い方だと思うのですが、そういう方々が聞かれて、ああそうだったんですかということから考えれば、やはり一般の国民の方々にもっともっとわかっていただく努力は必要だと思っております。

 本日、福島、高松、九日には浜松ということになっておりますので、ぜひ多くの方にお集まりいただき、自分だけわかってもいかぬのでありまして、それをどれだけ広げていただくかということも、私ども配意をしてまいりたい、このように思っておるところでございます。

 不祥事に対する対応でございますが、中間報告ということで、所要の措置を講ずることを申し上げました。いろいろな仕組みをつくっていかねばならぬと思っておりまして、文書管理の徹底でありますとか、省内、内局あるいは各幕、この連携体制でありますとか、そういうものにつきましては本年度末までにまとめたいと思いますが、それまでにできることは、できたことからできたことからきちんと速やかに実行するということだと思っております。かなり技術的な部分もございますので、そういうことはなるべく早くやりたい。

 また、不祥事につきましては特別監察を行っておるわけでございまして、これも、監察制度というのがこういうところで生きるというのも何となく悲しいところもありますが、しかし、監察制度をつくったからには、これの意義を十分に発現させなければならないと思っております。

 監察というのは、とにかく、私はいつも申し上げるのですが、抜き打ちでやらねばならない、そして、どんな人のところでも行かねばならない、そして、厳正に監察を行い、余り監察をぎりぎりやると嫌なやつだとかと言われますが、嫌なやつだと言われる方がよっぽどよく仕事している、そのことはよく認識をしなければいけないと思っておるわけでございます。

 なお、文民統制のあり方につきましては、これは省の体制というものの変更を伴うことになると私は思っております。これはかなり大作業ということになります。どういうような体制が望ましいのか、不祥事の防止もそうですし、文民統制の徹底もそうですし、これはもう本質的な議論になります。どうか議会におかれましても、こうあるべき、あああるべきという御議論を賜りまして、よりよい体制を今回こそつくる、そのためにお力添えを賜りたいと存じます。

北村(誠)委員 それぞれお答えをいただきました。政府一体となって成果を上げ、改めてこの補給活動が早急に再開されることが実現することを心から念じまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

深谷委員長 次に、丸谷佳織君。

丸谷委員 おはようございます。公明党の丸谷佳織でございます。

 本委員会におきまして、テロとの闘いに対して我が国が何をしていくべきなのか、給油活動の延長も含めて随分長い間議論をされていらっしゃいます。私も、委員ではございませんけれども、本日お時間をちょうだいいたしまして、自分の疑問に思っている点等を政府に対して質問をさせていただけることを幸いに思いますけれども、随分と議論の論点というのが絞られてまいりまして、かなりのところ議論し尽くされているような気もしております。本日お伺いしますことが重ねてのお伺いになるのであれば大変恐縮でございますけれども、御答弁のほどよろしくお願いいたします。

 しかしながら、長時間をかけてこのような形で議論をしている。それだけに非常に大事な日本としての判断であり法律の議論であると考えているわけでございますが、生意気なようでございますけれども、民主党の席を見ますと、座っていらっしゃる方が少ないというのはいかがなものなのかなというふうに思っている次第でございます。ますます熱心にこの委員会におきまして議論をし、また、早急に結論を出していくべきだというふうに冒頭申し上げさせていただきたいと思います。

 さて、二〇〇一年九月十一日に起きましたニューヨークでの同時多発テロ、これを受けまして、我が国の被害者も、二十四名の邦人の方がこのテロで亡くなっております。ほかにも多くの国の方が、本当に不特定多数の被害者を出した。この事態を受けまして、我が国として、ただ驚愕をしてたたずむのではなく、主権国家としてまずこのテロというものに対してどう取り組むのかという判断をする、この必要性に直面をいたしました。

 また、このテロが起きましてすぐ、国連の安保理の方では、安保理決議一三六八で、国際平和と安全に対する脅威としまして、加盟国に対しテロ防止と抑制の努力を促すといった内容で、我が国が国際協調の中で何をするべきなのかということを判断する必要性にも直面したわけでございます。そして、十月二十九日には、テロ特措法という形で法律を仕上げてきたわけでございます。その一つが、給油活動という形で今まで六年間継続をされてきた。これが十一月一日をもって期限切れとなったわけでございますけれども。

 一つの国家によらない、対象者を不特定多数とする国際犯罪集団のテロリストに対して、主権国家である我が国として何をどう対処していくべきなのか、また国際社会と協調しながらどうこれを撲滅していくべきなのかを現在スピード感を持って決めることができないという状況を、国会の中で議論はされておりますけれども、とりあえず給油の活動期間が終了したので撤収をした、その後に国際社会の中でどうこれから協調していくべきなのかという決定はいまだ見ていないわけでございます。

 こういったスピード感を持って国際協調を今判断できていないという状況に対して、どのようなお考えをお持ちになっているのか、まずお伺いいたします。

高村国務大臣 判断が全然できていないわけではなくて、車の両輪として民生支援というか、復興人道支援その他やっているわけで、これもかなり大規模にやっているわけであります。それと同時に、やはりテロに直接対応する海上阻止活動に対する補給、基盤をつくるための補給ですね、そういうこともやらなければいけない、こういうことを考えているわけでありますが、これについて国家としての判断ができない、それは委員がおっしゃるとおりであります。

 我々は、国際社会が日本に何を期待しているのか、そして日本の国益は何なのか、日本の貢献する得意分野、できることは何なのか、一番ふさわしいものは何か、そういうことを主権国家として主体的に判断してそれをやっていくべきだと考えておりますが、今、政府が考えているその車の両輪の片方が国家としてできない状況になっているのを非常に残念に思っております。

丸谷委員 今外務大臣が言いました、車の両輪として民生支援もし、また国際協調の中でMIOの活動をしてきた。ここのところが、今一つ車の回転がとまっている状況でございますので、やはり両方を回していくためにどうしていくべきなのかということをスピード感を持って決めていかなければいけないのだというふうに私は考えております。

 その中で、随分議論の中では、このMIOの活動等に対しては、アメリカ追随論であるとか、あるいは湾岸戦争のときに感謝をされなかったというショック論であるとか、いろいろな議論も出てまいりました。それを反対の理由にする議論もございましたけれども、これに対しては私は余りにも自虐的ではないのかなというふうに考えております。

 主権国家として、いろいろな経験を通して、そのときそのときに最良の判断をしていくというのは当然のことでございまして、今までの経験を生かしていくというのは当然のことなんだろうと思いますし、また、ショック論ですとか追随論という、いわゆる一つの事柄に対する反作用的な外交、安保政策であるのであれば、反作用ということであるがゆえにその継続性が非常に弱いものになってしまうので、結果、余りよくないものだというふうに考えております。

 その意味で、テロリスト撲滅、国際テロと闘うために、自主的に我が国が今までどのような判断をし、どういった政策をとってきたのか。MIO以外にも国内政策として数多くとられてきたわけでございます。これについて、いま一度御説明していただきます。

高村国務大臣 車の両輪の片方として、日本政府とすれば、お金の分でいえば一千四百億円、これはアメリカに次ぐ世界第二番目であります。そういう中で、日本は、日本国内においてアフガニスタンの平和に向けた国際会議も四回やっておりますし、そして、DDR、いわゆる国軍兵士の武装解除、そういったことで六万人の方に社会復帰をしていただいている。これは、治安分野でG8各国が分担してやっている中で、見方によっては最も成功した例の一つに数えられる、そのぐらいやっているわけであります。そのほかに、農業、農村支援とか、あるいは道路とか、インフラ支援とか、あるいは教育支援とか、そういうこともやっているわけで、非常に高く評価されていると思います。

 そして、その成果として、日本だけのことでそうなったわけではありませんけれども、難民が五百万人帰還している、こういうようなこともあるわけで、暗い面を見ればまたいろいろあるわけでありますけれども、明るい面も出てきている、こういうふうに考えております。

丸谷委員 国内政策としてのテロ対策についてはいかがでしょうか。

福島政府参考人 米国における同時多発テロ以降、政府は一体となりまして、テロ関連情報の収集、分析を強化し、出入国管理の強化、ハイジャック等の防止対策の強化、NBCテロ等への対処能力の強化に努めますとともに、重要施設の警戒警備の強化を図るなど、国内におけるテロ発生を防止するための措置を実施してきたところでございます。

 また、平成十六年十二月にはテロの未然防止に関する行動計画を策定いたしまして、同計画に基づき、出入国管理及び難民認定法の改正等によるテロリストを入国させないための対策の強化や、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の改正によります生物テロ対策の強化、スカイマーシャルの導入によるハイジャック対策の強化等の制度、体制面での改善措置を講じてきたところでございます。

 引き続き、政府一体となりまして、各種テロ対策を徹底し、国内におけるテロの未然防止に努めてまいる所存でございます。

丸谷委員 国内政策としても、行動計画等を立てましてハイジャックあるいは出入国管理等をしっかりとやっていらっしゃるということでございますけれども、このテロとの闘いの成果はどのぐらいなんだという議論も随分とされてきております。こういった国内政策の中でテロ対策をされているけれども、MIOの活動において成果はどうなんだ、数が出てこないじゃないかという議論はかなりされるんですけれども、国内政策も全部あわせてテロの対策はどのぐらいの成果なんだというのは、実は余りされていないようにも思うわけですね。

 ですから、申し上げたいことは、MIOで何人テロリストを捕まえたんだというところを詰めて、効果が明かされないので効果がないのではないかという議論は、ためにする議論ではないのかなというふうに感じているということを申し上げさせていただきたいと思います。

 車の両輪としまして国際協調あるいは国内対策のテロとの闘いの中で、やはり象徴的なものであり一番大きな活動というのがMIOでの活動であったわけでございますけれども、実際には、「ときわ」が十一月一日に活動を終了し、撤収をしている。我が国が自主的に国際協調の一つの大きな柱として決めたMIOへの派遣を、国内のいかなる事情があっても、それをやめて撤収をするということが国際社会に与える意味合いというものをどのように政府は受けとめていらっしゃるのか、この点についてお伺いをさせていただきます。

高村国務大臣 インド洋における我が国の補給支援活動は、我が国の高い技術を用いて、長年、トラブル、死傷者等もなく、実績を積み、国際的にも評価を受けてきたところでございます。各国は、我が国の活動の早期再開に強い期待を寄せているわけであります。

 例えば、十月三十一日に在京カナダ大使館で海上阻止活動に参加する各国等が開催した説明会におきましては、海自による補給活動は海上阻止活動の重要な基盤となっていた旨の説明があったと承知をしております。また、アフガニスタン、パキスタン、米国、英国、ドイツ、豪州、オランダ、ニュージーランド等の各国政府から、日本の貢献を高く評価していた、活動中断を残念に思う、日本が早期に活動を再開することを希望するといった内容の反応が示されているわけであります。

 こうした中で、我が国が補給支援活動を早期に再開できない場合には、その間、肩がわりのため、海上阻止活動参加国の負担増が続くことは避けられないわけであります。さらに、我が国がもはやテロとの闘いについて消極的姿勢に転じたと国際社会に受けとめられれば、当然、各国の対日姿勢に影響しないでは済まないわけであります。

 国際社会において国益を実現するためには、まず国際的な責任を果たすことが不可欠である、こういうふうに考えているところでございます。

丸谷委員 外務大臣がおっしゃいましたけれども、テロとの闘いに対して消極的であるというような印象を与えるということは、我が国の今向かおうと思っている方向性とは全く違うわけでございまして、撤収後に何をどうするべきなのか、どう結論を出せる国なのかということをしっかりと国際社会にも示していかなければいけないと思いますので、本委員会でのこの新法に係る審議というものが早期に結論を得られるべきだというふうに私は考えております。

 その中において、国際社会も、MIOの活動、日本がMIOに占める割合あるいは重要性というのは高いという判断をされているというお話でございましたけれども、それでは、我が国の自衛隊が抜けた後の給油活動の現状というのはどのようになっているのか。給油活動をできるという国は限られているわけでございますけれども、日本が撤収をしたことによって、必然的にそれを補完しなければいけないという状況にあると思います。現在の状況について、わかっていることがあれば教えていただきたいと思います。

高村国務大臣 二〇〇七年の十月現在では、海上阻止活動、OEF・MIOでありますが、のために我が国補給艦一隻を含む四隻の燃料補給艦が活動していたわけでありますが、我が国補給艦の撤退後、燃料補給艦は米国二隻と英国一隻の計三隻のみとなったと承知をしております。この結果、今後、海上阻止活動全体の効率が低下していくことが懸念されます。また、我が国の活動再開までの間、いわば肩がわりのため海上阻止活動参加国の負担増が続くことも避けられないわけであります。

 パキスタン政府からは、既に、日本の活動の一時停止はパキスタンが継続中の活動に否定的な影響を与えるであろうとした上で、日本が早期にOEF・MIOにおける重要な役割を再開することができることを希望する旨のプレスリリースが発出されております。また、英国からも、日本の給油艦が不在となることは有志連合の海上給油能力に大きな影響を及ぼす、日本を失うことは連合国の洋上給油能力に打撃を与えるといった旨の声明がなされているわけであります。

 委員がおっしゃるように、一刻も早く再開できるようによろしくお願いを申し上げます。

丸谷委員 例えばパキスタンの船に対しては、やはり日本の給油というのは非常に重要であるというような意見も実際にパキスタンの大使からも私もお伺いをしておりましたし、その日本の給油活動の重要性というのは私も十分に認識をしているつもりでありますし、実際にMIOの活動の中でも非常に高く評価されている。

 それで、実際に日本が抜けたことによって、簡単に言えば、この穴埋めをだれがどのように行っているのかという疑問がまだ残るわけですね。早く日本帰ってきてくださいというメッセージは各国からいただいているわけでございますけれども、それでも今MIOの活動は継続をされている中で、現実の中でどのような形で穴埋めをされているのか。こういった情報というのは、今入ってきているんでしょうか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 今回、給油活動の終了に伴いまして、私ども、特措法という根拠がなくなってしまいましたので、いつ戻るというようなことを申し上げられませんが、今回は二週間程度撤収の準備がございますけれども、バーレーンに派遣されておりました二名の海上自衛官は既に司令部の方からは去っているということでございまして、情報は今得られていない。少なくともバーレーンの方では、今まで連絡官がやっていた活動というようなものはできなくなっているという状況でございます。

 一方、中央軍の司令部のありますタンパの方では、私どもの連絡官がおりまして、これは海上阻止活動だけではございませんのでまだ活動は継続しておりますけれども、そういった形で、なかなか最新の情報は得られにくくなっているというような状況はございます。

丸谷委員 そうしますと、もう一度確認をさせていただきますが、MIOにおける給油活動、日本が抜けた穴埋めをしているのは、どこの船に対してどの国がどうしているかということは情報として伝わってこないということでよろしいですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 米側のいろいろな記者会見等の中で既に発言があったかと思いますけれども、何らかの形でいろいろな影響が出るので、それに対する対応はしなければいけないということで、例えば、アメリカの補給艦をどうするかというような問題を検討しなければいけないというような発言等があったかと思いますけれども、現在、具体的に第五艦隊の方で、どういった形で、どこの国がどういうやりくりをしようとしているのかというような詳細については、承知をいたしておりません。

丸谷委員 実際に、今御答弁いただいたところから私が感じるところは、やはりMIOに参加しているか参加していないかで得られる情報というのは雲泥の差があるということでございます。

 自衛艦が、船が撤収した、イコール既に日本はそこの情報の外に置かれてしまっている、この海上阻止活動がどういった形でどういった成果を上げて今どう動いているのかということが、今までの日本政府にはわかったけれども今の日本政府にはわからないという、非常に困った状態に今いるのだということが今の御答弁から感じるところでございまして、やはりそこに参加する、参加しないということが、結果として非常に大きな違いを生んでくるということが言えるのではないかというふうに思います。

 残り時間も少なくなってまいりましたので、最後に、いわゆる恒久法について若干大臣のお考えを聞かせていただきたいと思うわけでございます。

 国連決議の有無というのが議論の柱の大きなところになっています。これは、私自身も何回も考え、また各政党におきましても勉強会というのを何年にもわたって続けられてきているわけでございますが、この恒久法、PKO以外で行うことができる日本の国際協力に自衛隊を派遣する際のいわゆる恒久法において、国連の決議があったら行ける、なかったら行けないという入り口が、私にはどうも議論として理解できません。その理由というのが、国連決議があるないというのは、一体どういうことなのかということなんです。

 国連安保理決議なのか、総会決議なのか、その決議の中で設立が承認された活動なのか、それから活動が容認されたものなのか等、いろいろな違いがあって、決議のあるなしだけを条件に参加を決定するというのはちょっと拙速過ぎるのではないか、あるいはまた機動性に欠ける、実態性に欠けるのではないかと思うわけですが、この点について石破防衛大臣に、かなりの部分で御発言が報道にのっておりますので、ぜひお考えをお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 必ずしも私のど真ん中の所管というわけではないのですが。

 国連決議に基づく国連の活動というのが一番スタンダードというか一番典型で、これはあるべきだというのはそのとおりだと思います。国連決議に基づく国連の活動。じゃ、ISAFの武力行使をやっていいかどうかというと、今度はまた憲法論が出てきます。では、今の補給活動は何だというと、国連の呼びかけ、安保理一三六八でしたか、加盟国が参加してくださいねというその呼びかけに応じて行っている活動ということになるわけですね。

 では、国連の決議そのものでなきゃいかぬのかい、何で国連の呼びかけじゃだめなのという議論は、やはりなされなきゃいけないんだと思います。

 拒否権を使われないためにいろいろな工夫をするわけであって、決議がないからだめなんだという御議論は、それはどういうことなんだか直接聞いてみなきゃよくわかりませんが、やはりつまびらかにしていかないと、もやもやっとしたまま議論が推移していくのはいいことだと私は思いません。

 当たり前のことですが、我々日本国民がみずからの運命をゆだねることができるのは、日本国民が選んだ政府だと思うのです。我々は、主権在民、議会制民主主義の原則にのっとって政府を選ぶ、気に入る気に入らないは別として選ぶ。その決めたことに日本国民はみずからの運命をゆだねるわけです。じゃ、委員がおっしゃるように、拒否権を持っている国というのは五カ国あるわけですが、私たちはその国の政府を選んでいません。そのことによって我々の命運というのが左右されるということがあっていいんですかという議論もまたあるんでしょう。

 それから、歴史的な事実で申し上げれば、マケドニアという国に国連が部隊を出しておったことがありました。中国が拒否権を行使しました。何で拒否権を行使したのというと、マケドニアが台湾を承認したからです。そこで、国連は引き揚げてしまいました。マケドニアは大変に悲惨なことになりました。そういう現実問題をどう考えるか。

 裏表みたいなお話ですが、国連にゆだねる、あるいは決議に係らしむるということは、どういうことなのか。理想論は理想論として、実際の現実世界というものを見ていく必要があるだろう。国際連合というのは、国際社会そのものは意味しないのだと思うのですね。そこはいろいろな各国の主権がぶつかり合う調整の場であって、それは世界政府なのかといえば、EUなんかとは制度的に違う部分が多々あるということだと思います。

 そのあたり、恒久法を議論するに当たって、いろいろなお考えをきちんと述べて、何が一番望ましいのかということ、そこを決めていただくのも文民統制の大きな役割かなと私は思っております。

丸谷委員 今、大臣が御説明していただきました、国連決議に基づく活動というのが最初の議論として一番わかりやすい、そういうふうにおっしゃいましたけれども、それはいわゆる安保理による決議の中で設立をうたわれた活動ということになるんだというふうに理解をします。

 しかしながら、例えば、今いろいろなところで行われている多国籍軍の活動、最初の多国籍軍の設立に関しては国連決議がないけれども、現実対応の中で、例えばイラクやアフガニスタンもそうですけれども、このアフガニスタンの問題、イラクの問題に対応するには今行われている多国籍軍に頼るしかないよねという状況の中で、活動の権限が与えられ、容認をされてきている活動というのも実際あるわけですね。

 ここのところの整理というのを、国連の決議に基づく活動なのかそうでないのかというのを、恒久法において、そのたびそのたびに国会審議の中で議論をするのであれば、余り国連決議の有無というもの自体が入り口として必要ではないのではないか、あるいは決断をするのにまた時間がかかるのではないかというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

石破国務大臣 おっしゃるとおりだと私は思います。

 国連の決議に基づく国連の活動というのと、国連の呼びかけに応じた多国籍軍の活動とか、いろいろなバリエーションがあるわけですね。では、これでなきゃだめなんだと限る理由は一体何でしょうかということもつまびらかにされるべきだと思います、そういう論を述べられる方は。

 他方、国連の決議もありません、国連の呼びかけもありません、そうするとどういたしましょうかということも理論的には起こり得るわけであって、その場合に、では、やりませんかというのは、憲法との関係をどう考えますか、国際社会において名誉ある地位を占めたいというのをダイレクトに引っ張ってくるのは、そこはまた議論のあるところだろうと思います。そうすると、逆にお話として出てくるのは、そういう場合に、主権国家として、主権者たる国民の意思を体現した議会の関与というハードルを上げていくというやり方、これもあるんだろうと思うんですね。そこの仕組みをどう考えるか。

 国連の決議も何にもないよという場合に、何もしないのか、それとも主権者の意思を体現した国会の承認のハードル、関与のハードルを上げていくやり方はどうなんだろうかという議論は、議論として行われるべき価値のあるものだと私は一議員として考えております。

丸谷委員 ありがとうございました。

 本日、日本時間で未明になりますけれども、第六十二回の国連総会の中で、アフガニスタン情勢に関する総会決議というのが採択されたとお伺いをいたしました。

 その中でOEFへの言及も含まれておりまして、国連総会として、ISAF及びOEFを含む国際社会の支援を得て、タリバン、アルカイダその他の過激派集団により引き起こされるアフガニスタンの安全及び安定への脅威に引き続き対処することを要請するとの言及がされているわけでございまして、こういった決議をもってOEFというのも、広く言えば国連決議の中で言及されている。また、そのことをもってMIOというのは日本の活動としてすぐ再開されるべきだというふうに思いますという意見を申し上げさせていただきまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

深谷委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 質問項目に沿って質問をさせていただきます。

 きょうは、ちょうど今、民主党の外務防衛部門会議を行いまして、これまで民主党は、この六年間の海上での給油活動等、その実態を明らかにしてほしいということで、もう十二回、関係三省庁に資料要求をしてまいりました。この中には、十月十日、防衛大臣が述べられた七百七十七回の悉皆調査、こういったものもあるわけですが、そろそろ一カ月を経てもまだ残念ながら出されない。これはやはり徹底した実態解明が、新法、当時は旧法延長、必要であろうということで臨んでまいりました。

 と同時に、民主党としての考え方の取りまとめ、これも同時並行で進んでまいりました。先週、先々週と民主党の外務防衛部門の役員会でも、その民主党の考え方のたたき台を示し、二十五名います役員会での議論、そしてまた、平場でも部門会議で議員から意見を聞く、こういうことをやってまいりまして、きょう、朝の部門会議で民主党としての考え方を提示いたしまして、ほぼ了承を得て、要綱案の作成に入ろうということでちょうど今部門会議を終えてきたところでございます。

 このことを御報告させていただいて、対案、対案と政府・与党がよく言われますが、同時並行で進んできている。ただしかし、新法の採決などと言う前に、七百七十七回の悉皆調査を初め、徹底した情報開示がされないまま新法の議決をするというのはまだ時期尚早、これを申し述べたいというふうに思っております。

 そこで、予算委員会で防衛大臣とやりとりをさせていただきましたが、この給油をしている商社二社の名前、公表できないのかということをあえてまた聞かせていただきます。それと、国会法、国政調査権でも公表できないのか、いかがでしょうか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 この件につきましては、当委員会におきましても、また予算委員会等におきましても、何度か議論がされたわけでございますけれども、契約相手方の商社の個別の名称を公にするということ、これは企業の正当な利益等を害するおそれがあるということで、開示ということは差し控えさせていただければありがたいなと思っております。また、具体的に企業名を公表することによって、ある意味、給油活動に反対する方々のこの企業を標的といたしました妨害活動ということもあり得るおそれがあるということ、そういうことが考えられるわけでございます。

 また、情報公開法第五条におきましては、法人等に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等または個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものについては不開示とすることができるとされているところでございます。

 また、委員も多分御承知だと思いますけれども、平成十五年の九月十六日におきまして、東京地裁において、本契約相手先企業名の情報公開請求の訴訟におきまして、不開示とする防衛省の判断について、これを支持するという司法判断もなされているわけでございます。そしてまた、この東京地裁においての本判決については、上訴はなされず確定されている、そういうようなところが理由でございます。

武正委員 答えてくれていないので、防衛大臣も同じ答えを予算委員会でされたので、防衛大臣にお聞きをしたいんですが、だから、国会法の国政調査権でも公表できないんですかということで、防衛大臣、お答えいただけますか。

石破国務大臣 国政調査権の行使は国会がなさることでございますので、仮定の質問にお答えするとすれば失礼なことになるかもしれませんが。

 私は、省内で議論をしているときに、国政調査権を行使されたから初めて出すというようなことはなるべくしない方がいい、そこまで国会として権能をお使いにならなくても、出せるものはみんな出すようにということで言ってまいりました。

 国政調査権が発動されたときに、それを政府として開示できないというときの手続も、委員御案内のとおりでございます。そういたしますと、そういう手続を政府としてとるかどうか、今この時点で確定したことは申し上げられません。

 ただ、今副大臣からお答えを申し上げましたように、司法の判断というものもございます。上訴もされていないということでございます。そういたしますと、もちろんこれは判例というふうに呼称されるべきものではありませんが、上訴がされていないという事実を副大臣から申し上げました。そのときに、政府として、国政調査権を行使されたとして、すなわち、できるかということはなかなか申し上げにくいことだと思います。むしろ否定的に解すべきものなのかもしれません。

 いずれにしても、国会が御判断になることでございますが、冒頭申し上げましたように、政府としてできるだけの開示はやっていく、そして、国政調査権を使いました場合も、できるだけの、協力という言い方は変ですね、それにおこたえする形での努力はさせていただきたい、そこまでしか申し上げられません。

 大変答弁としては御納得いただきにくいかもしれませんが、そういうことでございます。

武正委員 私が言っているのは、情報公開法で判例が出ているから開示できないんだ、司法の判断だというのは違うということで、私は、国会法、国政調査権での議論というのはまた別の次元であるということで申し述べたわけでございます。

 そこで、財務政務官がお見えでございますので、マラケシュ条約、これは途上国を初め国際的な入札ができるだけ阻害要因がなくオープンで開示をされるようにという政府調達に関する協定でございますが、今の軽油について、このマラケシュ条約付表1に関する注釈4にある連邦供給分類、FSCの九九、その他のものとすることは可能かどうか。

 これは、協定そのものは外務省マターでございますが、当然、国内の関連法令との調整、特に財務省がそうした政府調達に関するあるいは契約に関するところをつかさどっておりますので、お聞きをしたいというふうに思います。

宮下大臣政務官 お答え申し上げます。

 条約の解釈につきましては、外務省設置法によりまして、外務省の所掌事務となっておりますので、御質問のマラケシュ協定につきましても、所管省庁であります外務省よりお答えすることが適切であると考えられます。

 つきましては、財務省より答弁を申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じております。

武正委員 お答えいただきたかったんですけれども、この後、ちょっと関連があることがありますので、お残りをいただければと思います。

 外務大臣、いかがでしょうか、今財務省は外務省なんですということなんですが。このFSCの九九、その他のものということで、やはりこの軽油の調達に関しても、特に随意契約でA社、B社という日本の商社、この商社名を開示してほしいというのが私を初め民主党の政府に対する要請なんですが、これは判例もあり、いかぬと。これは見解が違う、我々は国会法というステージで公開可能であるというふうに考えておりますが。

 この九九のその他のものということで軽油を読み込むことはできないでしょうか、外務大臣。

高村国務大臣 外務省から答えるのか財務省から答えるのか、どちらが適切かわかりませんけれども、お尋ねの軽油につきましては、連邦供給分類、FSCによれば、九一、燃料、潤滑油、油脂及びワックスに該当するため、九九、その他のものに分類すると解することはできない、こういうふうに思います。

武正委員 私は、やはりそこを読み込んでほしいなというふうに思っておりまして、これはちょっと見解が違うということであります。

 そこで、せっかく油の話になりましたので、ちょっと順番を変えまして、お手元の資料、委員会に提出をしました資料の最後から二枚目をごらんいただきたいと思います。

 これは、補給艦「ときわ」の航泊日誌でございます。補給艦「ときわ」の航泊日誌も、政府から提出をいただいたのは、まだ半年分なんですね。五年分なり提出をいただいておりません。

 その中の平成十五年二月八日の分でございますが、ここに、時分一二〇三、主燃料搭載終了、三千四百六十五キロリットルとございます。そして、その次のページを見ていただきますと、これは「ときわ」の方の納品書検査調書でございまして、ここの数量は三千五百四キロリットル。その三千四百六十五との間に四十キロリットルあるわけですね。いや、たかが四十キロリットルじゃないかというお話かもしれませんが、四万円ですから、ざっと百六十万の差が出てくる。七百七十七回を簡単に掛けますと大体十億ということになりますので、果たしてこういう誤差というものがいかがなものかなというふうに思うんですが、なぜこの約四十キロリットル誤差が生じたのか、防衛大臣、お答えいただけますでしょうか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 委員御指摘のこの平成十五年の二月八日に受領した燃料、防衛省から提出させていただいた御指摘の納品書調書から明らかなように、物品を納入する契約相手方、物品の出納に責任を有する補給長、そして受領検査を担当する機関長、三者によって確認しておりまして、二月八日に受領した燃料は、右納品書が示すとおり、十五度Cでの容積に換算して三千五百五キロリットルであります。

 当時、十五度Cに換算する前の容量は三千五百二十三キロリットルであります。ちょうど油の温度が二十四度Cだったということで、容積が大きくなっていた。そして、航海日誌の方には三千四百六十五キロリットルというふうに記載されておりますけれども……。済みません。

 容積換算前が三千五百二十三キロリットルで、そのうち、航海日誌の方に三千四百六十五キロリットルというふうに書かれておりますけれども、これは補給用のタンクの方に入れた量でありまして、あとの残余部分の量は、この補給艦の、実際、自艦用のタンクに入れた方の部分でありまして、そごはございません。

武正委員 この「ときわ」の検査票では三千五百四ということは、これは三千四百六十五とそごはないということでございますが、ちょっとそれはやはり理解できないわけです。契約では三千五百四で、それで金額が出ているわけですから……(江渡副大臣「いえいえ」と呼ぶ)別なタンクに入れたということで。

江渡副大臣 済みません、お答えいたします。

 先ほども言ったように、十五度Cに容積換算しますと三千五百五ということで、そして、換算する前に入れたときにはオイルの温度が二十四度Cで、済みません、さっき三千五百二十三と言いましたけれども、三千五百三十二キロリットルでありまして、そのうち航海日誌に書かれている三千四百六十五というのは、補給艦から他の艦船に補給する補給用のタンクに三千四百六十五キロリットル入れて、そして、自分の船が動くための自艦用のタンクの方に六十七キロリットル入れた、それでトータルで三千五百三十二キロリットルということであるわけであります。

 以上です。

武正委員 にわかに納得しがたいんですが、そのほかの航泊日誌に、今御提出いただいているところには、この主燃料搭載終了の量が一つも出ていないということなんですが、これもやはりきちっと幾ら積んだのかというのを書くべきだというふうに思います。これは指摘にとどめさせていただきます。

 政務官、どうぞ御退席いただきたいと思います。

 そこで、本来の順番に戻らせていただきますが、外務大臣、この間、先週水曜日、カナダ大使館でのOEF・MIO十一カ国による説明会、私は民主党の議員の一人として参加をいたしましたが、説明をされた四名の所属組織を見ると、あるいはお話を聞くと、いずれも米国ということだったんですが、説明員四名の中に米国以外の武官がいたかどうか御確認をいただきたいということを先般外務委員会でお願いをいたしましたが、御確認いただけましたでしょうか。

高村国務大臣 確認をいたしました。

 委員がおっしゃるとおり、米国以外の人はいませんでした。

武正委員 一部報道で各国武官が説明ということが流れておりましたので、それが違っていたということが確認できたと思います。

 そして、直接的な給油継続依頼がなかったわけでございますが、これは当然内政干渉を恐れてのことと私は推察をしておりますが、政府は説明会の開催を、十一カ国政府もしくは十一カ国在京大使館、それぞれあるいは一カ国でも二カ国でも要請したことがあったかどうか、これも御確認をいただきたいと先般外務委員会で申し述べましたが、御確認いただけましたでしょうか、外務大臣。

高村国務大臣 そういうことを要請したことは一切ありません。

武正委員 続いて、移らせていただきます。

 お手元の資料、一ページをごらんいただきたいと思います。これは国際海事機関及び国土交通省調べということで、最近の海賊及び船舶に対する武装強盗事件等の発生状況、六年間のものでございます。

 世界的に見てもこの事案が減っているということが御確認いただけると思いますし、それは決してインド洋だけではなく、全世界的に事案が減っている。特に日本関係船舶、一番下の欄、これは国土交通省の調査によるということでありますが、航行中の日本関係船舶被害、六年間十四件、これがどういう地域で被害を受けたのか。これは、国土交通副大臣お見えでございますので、御説明いただけますか。

松島副大臣 委員御指摘の二〇〇一年から二〇〇六年までの六年間ということに限って申しますと、日本関係船舶の海賊等の被害の発生は主に東南アジアでございます。主にというか東南アジアの地域で、インドネシアとかマラッカ海峡、シンガポール海峡、そのあたりが中心になっております。

 先ほど、これ以外に、最近の出来事という観点で申し上げますと、ことしの十月二十八日に、日本の会社が持っていて、船籍はパナマ船籍ですが、ケミカルタンカーがソマリア沖のアデン湾で十月二十八日に行方不明の遭難信号を発しております。

武正委員 事前に出していただいた資料では、十四件中七件がインドネシア沖、そして四件がマラッカ沖。いずれも東南アジア。インド洋で日本船舶が航行中の被害を受けたものは、この六年間に限ってみても、ないということでございます。

 官房長官、お戻りいただきましたので、シーレーン防衛も今回のテロ新法の直接的な法律の目的にはなっていないけれどもということで説明をされておりますが、日本関係船舶が危ないのは、実はマラッカ海峡とかインドネシア沖なんではないでしょうか。インド洋、インド洋と言われますが、この表からそのように受けとめるわけです、今の国土交通副大臣からも。官房長官、いかがでしょうか。

町村国務大臣 現実の発生状況は、今委員御指摘、あるいは松島副大臣がお話をしたとおりであろうかと思います。しかし、逆に言うと、このインド洋の方に我が国の関係する船の航行中の事案が少ないというのは、逆の見方をすればですよ、すべてこの海上活動、阻止活動のせいだと豪語するつもりもございませんが、そういうこともやはりあったのではなかろうかと推測されます。

 また、ここには二〇〇六年まででありますが、二〇〇七年に入りますと、これは停泊中のものを含めでありますけれども、東アジア六件、インド洋一件、ソマリア沖一件、アフリカ一件というような形で、二〇〇七年に入りますとややそうした事案が出ておりまして、現実にも、今一隻、係争中といいましょうか、行方不明になっているような日本船籍があるということも事実としてつけ加えさせていただきます。

武正委員 事前に海保なりに御説明をいただきますと、この間、日本がアジア海賊対策地域協力協定の主導国としての努力とか、SUA条約二〇〇五年議定書、これは百四十四カ国が参加をして、テロ対策でそうした移動を抑えようと。そしてまた、今、実はインド洋でのOEF・MIOが効果を上げているんだというお話だったかもしれませんが、そうすると、例えば百歩譲って、湾岸戦争以来行われている対イラクの海上阻止活動、この後話が出ますが、そうしたものも効果を上げたということにもつながっていくということを指摘させていただきます。

 日本は海洋国家でございますので、やはり日本が守るべき大事な一つの信条は、航海自由の原則ということだと私は考えております。この点はやはり日本が堅持をしていくべきでありまして、そうしたものを守っていくことが、結果として私はシーレーン防衛につながっていくというふうに考えるわけでございます。

 そこで、次は、ページをめくっていただきまして、交換公文に移らせていただきます。

 これは旧法の交換公文でございます、日米のです。この二項、いわゆる同意を求めないで転用はしないよ、そして三項、書面によりしっかりと条件を通知するんだと。こういう交換公文の構造になっておりますが、お答えいただきますと、二項については、一回も同意は求められたことがない、ゆえに転用はない。そして三項については、一回だけ通知をした、書面でですね、あとは口頭であると。

 こういったことを考えますと、この交換公文が実際のところ役に立っていないというふうに私は認識をしておりまして、もしこの新法で交換公文を当然結ぶとすれば、この文面、書き方、書きぶり、これだけ国会で議論を呼んでおりますので、やはり工夫が必要ではないかというふうに考えるんですが、官房長官、御所見を伺います。

町村国務大臣 今のお問い合わせの前に、私、先ほど日本船籍とソマリア沖の件を申し上げましたが、日本の会社なんですが船籍はパナマでございまして、失礼いたしました。

 今のお尋ねでございますが、交換公文の三に基づく書面による通知を口上書をもって行ったことを含めて、補給実施の要件等についてはアメリカ側に繰り返し周知を図っているところでございます。アメリカはテロ対策特措法の趣旨、補給実施の要件等について十分理解をしていると私どもは考えておりますので、この交換公文の内容の書き方に問題があるというふうには私どもは必ずしも考えておらないところでございます。

武正委員 ただ、実際、核持ち込み事前協議と同じように、二項目で、同意がないから転用はないんだ、日米の信頼関係に基づいてというのは、やはり主権国家同士のこうした条約に準ずる交換公文のあり方として、これだけ国会で議論になっているわけですから、やはりここは見直していく必要があるんじゃないかというふうに思いますが、その点はどうですか、官房長官。

町村国務大臣 御指摘ですからよく考えてみますが、私どもは、今、この文章そのもので日米間の意思疎通が十分でないとか、あるいは日本側の趣旨が伝わっていないということではないと。

 今回これだけ日本で議論になっていることもまたアメリカもよく承知をしておりますし、詳細なデータ等は防衛省の方から求めて、アメリカ側も膨大な作業を行うということで、相当、疲労こんぱいと言うとオーバーかもしれませんが、結構大変な作業をおれたちもやっているんだよなんという話も私は仄聞しているところでございます。

 そういうプロセスを経て、日本側がそうした厳密さを求めているんだということは、大分アメリカ側にも結果的にまた改めて周知徹底されているのではないかと思いますので、そういう意味で今直ちに交換公文の文面を、こういうふうに改めるという何か御提案があればまた受けとめたいと思いますが、今直ちにこれを変えなきゃならない、そういうことではないと考えているわけでございます。

武正委員 これは同意を得ないで転用はないということですが、例えば日本側から、それは信頼関係だけれども、日本の貴重な税金を使っての給油なんだから、その使い方がテロ特措法、新法のですね、その法の趣旨に沿っているかどうか、やはり確認をさせてほしいと、当然こういうのは条約に準ずる交換公文に入れたって、お互い主権国家なんですから、そして同盟国家なんですから、やはり言うべきことは言っていく。これだけ国会で議論になっているわけですから、国民の代表が集う国会で議論になっているわけですから、私はこれは見直しがあっていいというふうに思います。

 防衛大臣、先ほどもちょっと触れたんですが、今も、いや、アメリカは大変苦労してこの調査をやっているんだと、疲労こんぱいだと官房長官はおっしゃいましたが、七百七十七回の悉皆調査、もうアメリカの合意は得て、あとは、今、政府部内、省内なりの調整になっているというふうに漏れ伝わっているんですが、それでよろしいですか。

石破国務大臣 そういう御認識で結構でございます。

 アメリカから必要な資料、これも膨大なものになります。トラック何台分とは言いませんが、本当に膨大な資料に基づきまして、そして国内のいろいろな資料等々と突合もしながら、整合もとりながら、作業はおおむね了したところでございまして、今、これを御報告するについて不備な点はないか等々、最終的な精査を行っておる段階でございます。

武正委員 当然この衆議院での審査の間に御提出をいただけるということだと思いますが、それでよろしいでしょうか。

石破国務大臣 それは、作業の進捗状況によろうかと思いますが、できるだけ早く出すように、さらに追加作業を加速したいと存じます。

武正委員 当然、これが一番焦点の一つでありますので、やはり審議に付するように、もう一カ月も前から、やるんだ、やるんだということですので、速やかに御提出をお願いしたいと思います。

 この交換公文、十二年半ぶりに日米相互防衛援助協定が衆議院の外務委員会に提出をされました。条約に準ずる交換公文、日本の場合はどうしても外国との条約、交換公文が国内法を規定する法律体系になっておりますので、私は、今政府が、憲法七十三条で外交、条約締結は内閣の専権事項という、こうした解釈をかさに国会への説明責任を回避しているという点は甚だ問題であると思っておりますので、引き続き、大平三原則に基づいて交換公文の外務委員会、国会への提出をお願いしたいと思います。

 そこで、新法の国会承認に移らせていただきたいと思います。

 官房長官、ドイツが、過日、一年間の派遣延長を決めた折に、アフガニスタン南部と東部には派遣しないこと、あるいは、五つのプロビンスに、具体的な人数、そして何をPRTでやるのか、こうしたことを事細かに国会で承認を受けて一年の派遣延長を決めているわけでありまして、何度もこの委員会で、いや、しっかりと議論をしていくんだと。だったら、人数とかどこにとか、そうしたことをもっとはっきり言うべきだろうし、法律的にも、書き込むことは法体系上否定はしないと官房長官も言っておられるわけですから、私どもは、国会での議論でより具体的な明言、あわせて国会承認という形でのシビリアンコントロールを果たしていくべきだと思っておりますが、このドイツの例をどのように見ておられるのか。

 あわせて、OEFに二〇〇一年十月七日活動開始したドイツは、当初どういう名目で参加をしたのか。集団的自衛権なのか国連決議なのか。

 以上二点、お伺いしたいと思います。

町村国務大臣 ドイツ連邦議会の議論の詳細を私も承知しているわけではございませんので、余り事細かに申し上げることはできないわけでございますけれども、ここに若干の資料がございまして、ドイツ連邦軍部隊は、カブール地域及び北部地域に派遣される、右に加え、ドイツの支援活動が不可避の場合には、西部地域及びISAFの活動の他の地域への拡大の過程で一時的にかつ限られた分野での支援活動に派遣され得る、こういうような連邦議会の承認の内容があったようでございます。

 これはどの地域が安全なのかどうなのか、確かに、ISAF全体の中で役割分担がドイツにも割り振られているんだろうけれども、その中でやはりドイツの議会としては部隊の安全等々いろいろなことを考えて言っているんだろう。それは、自国の兵隊さんができるだけ犠牲が少ない方がいいと考えるのは、ある意味では当然のことなのではないだろうかというふうに私は推察をいたします。

 そういう意味で、我が国の場合はどうかといえば、そもそも非戦闘地域であるということを法律に書いてあるわけでございますし、また、法律の中に今回は活動地域というものも明示をしてある、活動内容もまた明記をしてあるというようなことから、私は十分シビリアンコントロールがこの国会の法案審議の過程を通じて担保されているというふうに考えます。

 それから、OEFに二〇〇一年十月七日に活動を開始したドイツは、当初どういう名目で参加をしたのかということでございますけれども、これは国連憲章五十一条に従って自衛権の行使を報告したというふうに承知をしております。

 具体的には、十一月二十九日付安保理議長あて書簡において、ドイツが九・一一テロ後にとった措置に関し、それらがビンラディン、アルカイダのテロリストネットワーク、及びそれをかくまい、支援する者に対してのみとられているものであり、アフガニスタン国民やイスラム宗教に向けられたものではないこと、また、国連憲章第五十一条に従って個別的及び集団的自衛権の行使としてとられている措置である等を国連へ報告しているというふうに承知をしております。

 個別的自衛権なのか集団的自衛権なのか、どちらなのかは、これはドイツ側の判断で、私どもにはよくわかりません。

武正委員 後段については、当初のドイツの参加は集団的自衛権ではないのではないかというような指摘も実はありますので、これはさらにドイツに照会するなり、やはりこの後まだまだこの議論というのは大事なポイントだと思いますので、照会をしていただきたいと思います。

 ドイツについては、三千四百二十四名の兵士を派遣する、それがクンドゥズ、タカール、バグラーンなどの五つのプロビンスである、あるいはまた、百八十八人の連絡要員をマザリシャリフの方にISAFのコンバットオペレーションのために派遣するとか、事細かに人数とか地域とかその仕事の内容とか、これをしっかりと国会に提供して一年延長しておりますので、私は、この後閣議決定で国会承認を経ないというのは、やはりシビリアンコントロールから問題ありというふうに考えるわけでございます。

 そこで続いて、防衛大臣、先ほど七百七十七回の話をさせていただきましたが、お手元の資料で、ペルシャ湾で二回給油をしている。資料の三ページをお開きいただきたいと思います。防衛省提出資料でございますが、「各国艦艇に対する給油地域、給油回数」。

 これは、二回はペルシャ湾の公海上とされていますが、この給油はいつ行われたのか。場所はお答えできないということだったんですが、公海上ですしね。公海上ですから、私は場所を言ったっていいと思うんですよね。でも譲って、いつなのか、お答えいただけますか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 ペルシャ湾で海自の補給艦により行われました二回の給油についてですけれども、この給油活動というものを明らかにすることは、やはり他国との信頼関係を損ねるおそれがあるものですから、御公表は差し控えさせていただきたいと思います。

武正委員 ペルシャ湾で二回というのは、これは非常に、国会で、部門会議でもそうですけれども、これが何か突出した印象を与えるんですね。だから、この二回は何なのかというのはやはりきちっと説明をいただいていいんじゃないかと思うんですが、防衛大臣、どうですか。防衛大臣、お願いします。

石破国務大臣 今副大臣からお答えをいたしました、詳細は明らかにできません、それは信頼関係というお話でございますが、その上であえて申し上げますと、この二回の補給につきましては、イラクに対してアメリカが武力行使を行っておりました平成十五年三月二十日から同年五月一日までの期間に行われたものではございません。また、この補給はアメリカの艦船に対しまして行われたものではございません。この二回、どちらにつきましても、その艦艇が所属をしております国、これはイラク関係のオペレーションを実施するために艦艇を派遣していない。ここまでは申し上げることができます。

武正委員 もう一歩踏み込んで、三月二十日以前、テロ特措法施行後三月二十日以前の二回ということで、さっきの戦争終結までではないということですが、イラク開戦の前か戦争終結後か、この点はもう一歩踏み込んでお答えをいただけますでしょうか。防衛大臣、いかがですか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 後でございます。

武正委員 そこで、次のページをおめくりいただきたいんですが、これは衆議院調査局作成資料でございます。「アフガニスタン、イラク及びインド洋における軍事作戦の概要」ということで、「紅海、ペルシャ湾、オマーン湾、アラビア海」の欄を見ていただきますと、「指揮権」のところでこのように書いてあります。「その他、湾岸戦争以来、ペルシャ湾ではイラク海上阻止活動(MIO―Iraq)が米英艦隊等(CTF158)によって行われている。」ということでありまして、このことから今の二回がMIO・イラク艦船への給油ではないのかというふうに考えるんです。先ほど来、違う違うというお話でありますが、湾岸戦争以来行っている海上阻止活動、MIO・イラクに当たるものではないでしょうか。これは、防衛大臣、いかがですか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 それは御指摘のこととは違います。

武正委員 防衛大臣に伺いますが、このMIO・イラク、海上阻止活動というものが湾岸戦争以来行われている、CTF158、これは事実として御認識されていますでしょうか、防衛大臣。

    〔委員長退席、田中(和)委員長代理着席〕

石破国務大臣 それは、湾岸戦争以来、このような活動が行われていることは承知をいたしております。

武正委員 現在も行われているということでよろしいですか。

石破国務大臣 結構でございます。

武正委員 つまり、海上阻止活動というのは、ここでも議論がありますが、OEF・MIOだけではないわけですね、全世界でこの海上阻止活動が行われておりますので。

 きょうも新法について民主党は部門会議で初めて質疑を行いました。一度説明を伺いましたが、新法についての質疑を行う前に、先ほど言ったように資料請求とそれへの回答が要を得ないものですから、それに膨大な時間を割いてきたということで、きょうようやく部門会議で新法についての質疑を行ったのが実情でございます。このぐらい、この新法に対しての審議を行う前の準備というか情報開示、これが行われていないということで、私どもは、そうした新法への対応をしてきているのもお伝えをしておきます。

 その新法の法律に海上阻止活動という言葉が出てくるんですが、英訳は何ですかと聞いても、それはOEF・MIOという指摘はなかったのが三省庁からの御説明でございましたが、このテロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法という法律、これは、テロ対策海上阻止活動はOEF・MIOだけではなくて、例えばイラク、MIO・イラク、こういったものも含まれているというふうに多分諸外国は見ている。だから、こうした給油の転用というのが、日本ではこれはあり得ない、しかしながら諸外国は、テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法じゃないか、しかも、インド洋、加えてペルシャ湾など非常に幅広い海域を指していると。ここがやはりそもそもの問題の所在ではないかと思うんですが、防衛大臣の御認識を伺いたいと思います。

 つまり、新法のテロ対策海上阻止活動は、OEF・MIO以外に、この今の資料であるMIO・イラクなども含まれているというふうに諸外国は解しているのではないだろうかということでございます。

石破国務大臣 諸外国がどのように考えているか、私は諸外国でないのでよくわかりません。ただ、そういうふうに考えるということは、それはあるのかもしれない。

 ただ、我々として何が大事なのかといえば、それはOEFというものに使われる、法の趣旨にのっとって使われるということはきちんとしなければいけないし、相手のあることでございますから、この法案の質疑中、ずっと累次申し上げてきたことで、この法律はこのようになっております、私どもの油はこの法律の趣旨に則したものにしか使うことはできませんということはるる申し述べておることであり、そのことは、先般、寺田政務官が現地に赴きまして、これも確認をしてきたことでございますが、非常に周知徹底がなされておるというふうに承知をいたしております。

武正委員 国土交通副大臣、どうぞお引き取りいただいて結構でございます。ありがとうございました。

 諸外国が解する可能性もあるということを申されました。私は、やはりそれはこの法律の書き方が誤解を与えている、あるいは非常にあいまいさがあるからだというふうに思っております。諸外国の関係を必要とする法律、しかも交換公文を必要とするその法体系の中で、この法律のテロ対策海上阻止活動というものが極めて非限定的であるといったところが、そもそもこの国会審議での問題点になっているというふうに考えるわけでございます。

 そこで、官房長官、資料五ページをお開きいただきたいんですが、「MIOの現状」ということで、「連合国司令部の機構」ということで、フロリダ・タンパの調整センター、そしてバーレーン・マナマの連合国調整センター、そして連合国艦隊はペルシャ湾の奥から、CTF158、北部ペルシャ湾、そしてCTF152、ペルシャ湾、ホルムズ海峡、そしてCTF150、インド洋ということで、海域を分けてこの作戦が三つの艦隊で構成をされているということでございます。

 先ほどの地図にもあったように、過去ペルシャ湾は給油が二回なんだということもありますので、やはりはっきりと作戦が分かれて、しかも、CTF158に至ってはMIO・イラクであるし、湾岸戦争から今もずっと続けているということから考えますと、新法の対象にこのペルシャ湾を除くというふうにするのが素直な法律ではないのかなというふうに思うんですが、この点、官房長官、いかがでしょうか。

町村国務大臣 先日の質疑でもどなたかが、なぜペルシャ湾が入っているのだという御質問をいただいたわけでございますけれども、これは、ペルシャ湾は一般的にはインド洋に含まれるというふうに考えられてきたということもございますが、現実のニーズとして、ペルシャ湾沿岸には、海上自衛隊の艦船が燃料とかあるいは食料等を補給することができる港があるということもまた一つの理由になっておりますし、また、給油する対象の船が、現実に二件かもしれませんが、ペルシャ湾において行われてきたということが今後もあり得るということでございまして、あえてペルシャ湾を含めたインド洋という表現に今回の法律もなっているところでございます。

武正委員 給油場所は、ファルージャでしたか、何かそんなような名前なんですよね。アラブ首長国連邦の港で。(発言する者あり)済みません、フジャイラでございます。フジャイラについては、「ときわ」の検査調書に、どこで給油をしているかということで、そこは墨消しでそれがのけてあります。それはもう既に開示された、あれはNPOなどの指摘で開示されて、フジャイラでやっているというのが開示されているものですから、御提出には墨消しはとれてフジャイラと書いてあります。

 今のフジャイラの場所は、官房長官、ペルシャ湾じゃないんですよ。インド洋の方なんですよ。ですから、今給油場所がペルシャ湾だからというのは違うわけです。インド洋側でございますが、いかがでしょうか、官房長官。

 今官房長官がペルシャ湾の中で給油をしているから、いや、ペルシャ湾じゃないですよ、外ですよ、フジャイラはインド洋側ですよというふうに言ったわけです。いかがですか。

石破国務大臣 今、地名の御指摘がありました。私ども政府といたしまして、その地名を開示した、墨消しを解除したという事実はございません。したがいまして、その地域がどこなのかという御質問につきましては、それは地図を見ればロケーション的には委員御指摘のとおりということになるのかもしれませんが、その地域につきまして政府として開示をしたとか、墨消しといいますか、それを解除したという事実は全くございません。

武正委員 御提出いただいた検査調書には、フジャイラというところが厳然と墨消しでなくてあるんですよ。ですから、開示していただいたんですよ。ちょっとそれ、ちゃんと政府、調整してください。これじゃ質問できません。

江渡副大臣 済みません、お答えさせていただきたいと思います。

 ペルシャ湾をなぜ含むかということにつきましては、海上自衛隊の活動の方の中において、海自の方の隊員の休養とか、あるいは食料等、また、あとはそういう関係のことで、海上自衛隊の活動としての枠の中でペルシャ湾というものも含まれるということで御理解いただきたいと思います。

武正委員 質問できません、これじゃ。

 私が言っているのは、フジャイラという名前はちゃんと検査調書で開示されているんです。今、防衛大臣は開示していないと言っていますから、これでは質問できません。

田中(和)委員長代理 答弁できませんか。答えられなければ調整時間が必要でございますけれども、答えられれば答えてください。

 江渡聡徳防衛副大臣。

江渡副大臣 済みません、お答えさせていただきたいと思います。

 開示はしておりませんので。

武正委員 いや、これじゃ質問できないです。開示されているんです。我々部門会議でいただいたところにフジャイラと書いてあるんです。

田中(和)委員長代理 時間がかかりますか。

 それでは、ここで一たん質疑をとめます。確認をしてください、大至急。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中(和)委員長代理 速記を起こしてください。

 後刻、理事会で協議をさせていただきます。

 武正公一君。

武正委員 今、資料を持ってきますが、フジャイラという名前がちゃんと出ておりますので。(発言する者あり)新聞じゃありません。提出していただいた資料でございます。

 それで、私は、やはりペルシャ湾を除くべきだというふうに思います。

 そこで、次に質問を移らせていただきますが、次の資料をごらんください。六ページ、防衛庁長官答弁、平成十五年五月十六日衆議院安全保障委員会メモ。このメモを、十一月二日、外務委員会で防衛副大臣は、在日米海軍、在京米大使館から受けたと言うが、これはどちらから受けたのか。

 このメモも非常に不可解でございます。右上に、これは答弁要領の中に挟まっているということなんですけれども、米国からもらったものにちゃんと御丁寧に日本語訳がついている。こういうものがメモとして今の二組織から来たということであります。防衛副大臣は、多分、いや、二つからもらったんだというお答えなものですから、ちょっとこれ、時間ははしょらせていただきますが。

 官房長官、このメモを見ていただきますと、日本語訳を読みますと、「キティー・ホークは、不朽の自由作戦支援中の二月二十五日、オマーン湾において米軍補給艦ペコスから約八十万ガロンの燃料を受給した。イラクの自由作戦に関連する戦闘行動は三月二十日以前には始まっていない。空母は一日約二十万ガロンの燃料油を使用する。したがって、キティー・ホークに提供された八十万ガロンの燃料は、完全に不朽の自由作戦のためのものである。」ということなんですけれども。

 先週金曜日、外務委員会で梅本外務審議官は、この五月六日問い合わせ、外務省が問い合わせを米国にした時点で「ときわ」からペコスへの給油量が幾らかは知らなかったと、それを知ったのは、五月八日に防衛庁の答弁要領で初めて「ときわ」からペコスへは二十万ガロンと知ったということなんです。

 アメリカからは、キティーホークに提供された八十万ガロンはというふうに言っているわけなんですが、これはやはり日本からの給油量が八十万ガロンだというふうにこれを見て考えるのは自然であって、今の防衛庁の答弁要領で、いや、「ときわ」からペコスは二十万ガロンですよ、でも、米国からのメモは八十万ガロンですよ、これはおかしいなというふうに思うのが当然だと思うんですが、官房長官、いかがでしょうか。

町村国務大臣 なぜ私にお問い合わせなのかよくわかりませんが、せっかく御指名をいただきましたのでお答えを申し上げます。

 キティーホークへの給油量の取り違えの件につきましては、平成十五年五月六日、キティーホーク機動部隊の司令官が海上自衛隊から間接的に八十万ガロン燃料補給を受けた旨の発言を行ったことを受けて、防衛庁等から同司令官の発言の趣旨についてアメリカ側に確認を行いました。

 七日に、米海軍は海上自衛隊から提供を受けた燃料についてテロ対策特措法の趣旨、目的を外れて使用したことはなく、今後も使用することはあり得ない旨の回答があり、さらにアメリカ側への追加確認を行ったところ、八日に防衛庁が御指摘のメモをアメリカから受領したものと承知をしております。

 いずれにしても、この件に関する当時の議論は、キティーホークがイラクのオペレーションに従事していたこととの関係で、海自から提供された燃料がテロ対策特措法の趣旨に沿って使用されたか否かが問題になっていたわけでありまして、補給量についての数字の議論はなされなかったものと承知をしております。

 また、五月八日のアメリカ側メモによりますと、キティーホークは米補給艦から約八十万ガロンの燃料を提供されたとなっておりますが、海自補給艦から米補給艦に対する給油量についての言及がなされていなかったこともあり、この八十万ガロンという数値と、当時、海上自衛隊が米補給艦に補給したと考えていた量二十万ガロンと違いがあったのは事実でありますが、その違いに特段の疑問を持たなかったことが特に不自然であるとは考えておりません。

武正委員 二ページめくっていただきますと、資料配布表があるわけですね。これは防衛庁がつくられて、内閣官房、外務省にも回覧をして、皆さん見る人が丸をつけるというんですか、この中にこのメモがあるわけですよ。このとおり、「したがって、キティー・ホークに提供された八十万ガロンの燃料は、」と、米国側のメモで言っているわけだから、やはり「ときわ」からペコスに二十万ガロンというのはおかしいんじゃないのと。これは防衛庁も内閣官房も外務省もそういうふうに思わないというのが不思議でなりません。

 そして、当時の防衛庁は内閣府の外局でありまして、最高責任者は内閣総理大臣ということでございますので、この二十万ガロン、八十万ガロンについては、当然、「ときわ」からペコスは八十万ガロンと承知をしていたというふうに私は指摘をさせていただきます。

 そこで防衛大臣に伺いますが、この資料九ページをごらんいただきたいと思うんですが、この上に、平成十五年五月八日木曜日、想定と書いてあるんですが、この五月八日というのは一体何のことを想定しているんでしょうか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 御指摘のこの五月八日の想定あるいは対外応答要領の件につきましてですけれども、これは十月二十九日に防衛省が提出した中間報告に記述されておるとおりでありまして、当時の防衛局の防衛政策課が、平成十五年五月八日の統合幕僚会議議長の記者会見で同議長が述べた給油量の数値をもとにして、以後、防衛省としての対外応答要領として作成したものでございます。

武正委員 統幕議長の記者会見用の想定問答集ということでよろしいですか、五月八日。

江渡副大臣 お答えさせていただきます。

 そうではございません。

武正委員 よくわからなかったのでもう一回言ってください、五月八日というのは。では、五月八日は何の日ですか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 五月八日の統幕議長の答弁を受けてこの対外応答要領というのを作成させていただいたわけでございまして、なお、当時、この統幕議長が述べたときの資料というものは特定されておりません。しかし、何度かこの委員会でも議論があったと思うんですけれども、そのもとになったもの、既に中間報告でお示ししているとおりの、十二ページの資料の中にある、あれが多分そうであろうというふうに思われていますけれども、確認はできておりません。

武正委員 大変大事なポイントなので、ぜひ確認をしていただきたいというふうに思います。

 そこで、官房長官に伺いたいんですが、「とわだ」の航海日誌破棄事件、また、破棄されたというのが見つかったという話も出てきまして、これは、資料配布表、先ほどの八ページを見ていただくと、これも左上に実は廃棄期日が二〇〇四年十二月三十一日と書いてあるんですね。本当だったらこれだってないはずなのに、あるということは、実は、「とわだ」もそうですけれども、コピーがあったということなんですよ。

 だから、この廃棄というのは、本当に廃棄されているのかどうかというのは、この資料配布表を見てもわかるわけです。左上に廃棄期日、二〇〇四年十二月三十一日と書いてありますよね、でも、これはちゃんとあるわけですから。

 ここが本当に文書管理上の問題点と考えますが、官房長官、行政機関の保有する情報公開法施行令の十六条の八に、これは資料七ページにございます、「保存期間が満了した行政文書については、」云々かんぬん、「規定する機関」、これはたしか国立公文書館ですかね、国立公文書館に移管することを除き「廃棄することとするものであること。」と。ここに「廃棄することとするものであること。」と書いてあるものですから、廃棄しなきゃいけないと。でも、もう四年たっても、やはり当然議論もするわけですから。廃棄しています、廃棄しています、でも、いや、実はありました、コピーがありました。これはお粗末限りないわけで、政府は、それこそ電子政府化、IT化、世界で最高の電子政府という旗を振っていながら、ここは非常におかしい。四年たったら廃棄しなきゃいけないと。IT化しているんだったら、幾らでも保存できるじゃないかということなんですが。

 やはりこの施行令の見直しが必要と考えますが、官房長官の御所見を伺います。

田中(和)委員長代理 町村内閣官房長官。質疑時間が終わっておりますので、簡潔にお願いいたします。

町村国務大臣 第十六条一項は、各行政機関の長がそれぞれ保存期間を延長する場合も含めて決めることになっておりますので、別にこれは法律の問題ではないんじゃないかと私どもは考えております。

武正委員 「廃棄することとするものであること。」と書いてあるので、廃棄しなきゃいけないということで各省各庁が廃棄しているので、これは見直しが必要であるというふうに指摘をさせていただきます。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

田中(和)委員長代理 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官廣木重之君及び外務省領事局長谷崎泰明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中(和)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中(和)委員長代理 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 きょうはいろいろな基本的なところをぜひ聞かせていただきたいというつもりで質問させていただきたいというふうに思います。

 幾つか質問ありますけれども、まず、総論的に最初に質問いたします。

 ことしの九月十日の安倍総理の所信表明演説では、今回の問題となっているテロ特措法に基づく給油活動については、そこで働いている自衛隊の方々の美談のような形で話が展開されているんですね。ちょっとその箇所だけ読み上げますと、「灼熱のインド洋で黙々と勤務に従事する自衛隊員こそ、世界から期待される日本の国際貢献の姿です。」こういうふうに書きまして、よくこういうふうに言われるんですよね。例えば第二次世界大戦で、いろいろなところで戦って亡くなられたとか、あるいは傷ついた方々について、その人たちを称賛することによって、何かその戦いを正当化するようなことがよく行われている。まさにそのロジックが私は使われているような気がするんですね。

 それで、福田総理の方はこの問題についてどういうふうに表現されているのかなと思ったら、比較的淡々と書いておられるということで、そういう変なロジックといいますか美辞麗句で正当化しようとしてはいないというところについては私も安心はしたわけでありますけれども。

 こういうところで働いてもらうという、このことを指図しているのはまさに政府であり、国会であるわけですね。そういう意味においては、我々は、そういうところに自衛隊員を送っていることについては、しっかりと自覚を持って送らなきゃいけない、そのことを私はあえて指摘しておきたいというふうに思うんですけれども、官房長官と防衛大臣、この点についてどういう覚悟で今臨んでおられるのか、このことを答弁願いたいと思います。

町村国務大臣 私は、この安倍総理の所信表明を読んで、別に美談風に仕上げた文章だとは思いません。ただ事実として、まさにこういう自衛隊の皆さん方が努力している、こういうことが世界から期待されているんですということで、別に美談をもって正当化しようとしているというふうには私は全く読めませんでした。

 いずれにいたしましても、美談であるかどうかは別にいたしまして、今回の海上自衛隊による阻止活動というものの必要性は、この委員会においても何度も何度も何度も申し上げておりますように、まさに国際的な役割、国際社会の一員としての当然のテロ対策の阻止活動でありますし、また同時に、日本の国益にも資するという意味で、自衛隊の皆さん方に現地で活動していただいているということでございまして、美談であるとかエモーショナルなことで、我々の、自衛隊の活動をどうこうしようという意図などは毛頭ございません。まさにこれは論理的に必要があってやっているんだということだと私どもは理解をしているところでございます。

石破国務大臣 私も安倍総理の答弁が美談仕立てだとは思いません。

 ただ、委員の御指摘を聞いていて、なるほどな、こう思いますのは、かつての大戦、それは別にさきの大戦に限らず、その前の戦争もそうかもしれません、その現場で大変に立派な行為が行われたということと、つまり、戦争の勝敗とかそういうことにかかわらず、国のために一身をささげるということがとうといことは、戦争の勝敗とはまた別の問題なのだと思います。ただ、そこのところと為政者の責任というのはきちんと分けて考えなきゃいけない、それはおっしゃるとおりだろうと思っております。

 ですから、そこでそういう大変な目にというか、大変な環境のもとでやっている人たちのことを思いつつ、この命令を下している政治の側、それが本当に日本の国益にかなうものであり、そして国際責任を果たすものであるということについては、常に検証が必要だ、自覚が必要だというのはおっしゃるとおりだと思います。

平岡委員 特に今防衛大臣が言われた話は、本当に私は、よく自覚をしながら、今回の問題についても取り組んでもらいたいというふうには思います。

 そこで、若干また、今度は福田総理の方の所信表明演説を見てみますと、テロ特措法に基づく支援活動ということについては一応触れてはおられるんですよね。ただ、私がちょっと感じるのは、政府は余りにも、自衛隊による給油活動というのを国際貢献ということで殊さら強調しているんじゃないかという気がするんですね。

 石破大臣は、著書によれば、国際貢献という言葉は好きじゃなくて、国際的責務を果たしていくとか、何かそんなことで言われているようでありますけれども、どうも殊さら強調しておって、例えば、この場でも参考人質疑でお呼びした方々がいろいろとアフガニスタンで活動されてこられたようなこと、このことについては福田総理の所信表明でも全く触れられていませんし、政府から余り積極的に、こういうことをやっているんだということを国際社会あるいは国内の皆さんに訴えているというふうな気がしないんですよ。

 むしろ、私は、そういう部門、例えば、日本政府によるDDRとか我が国のNGOの活動というものを国際的にも国内的にももっともっとアピールして、我が国はこれだけの国際貢献なり、あるいは国際的責務を果たしているんだということを言うべきじゃないかというふうに思うんですけれども、この点については、官房長官と外務大臣、答弁お願いします。

町村国務大臣 これもかねてよりこの委員会でお話ししているとおり、自衛隊の活動のみが日本ができる役割ではないということも再三再四申し上げているとおりでございます。繰り返しになりますけれども、これは車の両輪であるという位置づけにしておりまして、一方だけで十分だということにはならないわけでございます。

 現に、御承知のとおり、これも千四百億円以上の治安対策、復興対策等々で私ども既に実施をしてきておりますし、DDRにつきましては、百十億円の支援を実施して、六万人の旧軍兵士の武装解除、動員解除、社会復帰を実現しております。また、NGOの皆さん方についても、初等教育とか地雷除去の分野で大変な活躍をしておられて、これらのNGOに対して十四億円の支援を政府としても行っております。

 国際的にこういうことをもっとしっかり言えという今委員の御指摘でございました。(平岡委員「国内的にも」と呼ぶ)国内的にも、もとよりであります。

 国内に対しても、さまざまな政府広報等で、そのことは車の両輪ということでやっておりますし、国際舞台におきましても、まだ私が外務大臣でありましたとき、九月、アフガン・ハイレベル会合というのが国連でございました。その場で、カルザイ大統領との会談で、自衛隊の活動だけではなくて、あなたの国内においても我々はこういう活動をやっておるんですよということをるる申し上げ、それに対しては、カルザイ大統領も大変高い評価をしているという発言もしておられますので、それはまた、そのハイレベル会合の中でも私は、両方日本はやっているということをきちんと申し上げております。

 そういう意味で、国際的な理解もまた十分、車の両輪については理解をされているものと私は考えております。

高村国務大臣 官房長官が言ったとおりでございますけれども、我が国のアフガニスタンに対する支援については、私も、本年九月の第六十二回国連総会において取り上げるなどいたしました。政府としても、国際会議や要人との会談で積極的に取り上げております。また、我が国のNGOの活動も含む我が国のアフガニスタンに対する支援については、パンフレットを図書館や報道機関各社等に配付し、ホームページに掲載するなどを通じて、内外に積極的に広報しているところでございます。

 我が国のアフガニスタンに対する支援や我が国のNGOの活動については、今後とも引き続き積極的に広報を行っていく考えであります。

 海上自衛隊の補給活動が脚光を浴びるのは、どうしても、これは法律の裏づけが必要なので、そこで国会でこれに対して論議がなされざるを得ないから、ここに国民の関心が集まるわけで、ほかについての広報もそれなりにやっているということを申し上げておきたいと思います。

平岡委員 国内的にももっともっと多くの方々に、日本がアフガンの和平のために、あるいは人道的、復興的な支援のために、いかに国際的に貢献をしているのか、国際的責務を果たしているのか、このことをやはりしっかりと認識してもらうための努力を政府としても行っていただくことを要請しておきたいというふうに思います。

 次に、この委員会でも問題になりました、守屋前防衛事務次官をめぐる問題について質問させていただきたいと思います。

 私の地元に岩国市というのがあります。普天間基地のKC130、空中給油機ですけれども、十二機の受け入れを岩国市が約九年前にやったわけであります。それに伴って、岩国市役所の新庁舎建てかえ補助金というのがこれまで交付されてきておったのが、平成十九年度、三十五億円予定されていたものが、これは突然カットされちゃったという経緯があるんです。

 防衛大臣、この経緯については御存じだと思いますけれども、これはどういうふうに防衛大臣として認識しておられますか。

石破国務大臣 経緯はよく存じております。事実の認識については、委員とそごはないものと考えております。

 この岩国の庁舎補助金というものは、各年度ごとに定める額を補助するということになっております。米軍再編ということによりまして、補助の前提となっておりますSACOの内容が変更にこれもなっております。そのため、単にこの事業が継続事案であるということをもって補助することは適当ではない、米軍再編に伴う騒音の影響を緩和することと円滑な実施に資することを目的として補助を継続することが適当である、こういう判断を政府としてはいたしておるところでございます。

 米軍の再編につきまして、委員御地元であります岩国市の御理解が得られていない、よって補助目的には合致しない、結果として十九年度の予算要求を見送っているということでございます。

平岡委員 防衛大臣も、もっとさかのぼった経緯は余り御存じないのかもしれないので、私、二〇〇五年の二月の予算委員会の分科会で質問しておるんですね。ちょっと長くなりますけれども、ざっと早口で読み上げますので、ちょっと聞いておいてください。

  現在、実施設計が進んでいるということで、実施設計は三月末ぐらいまでにはでき上がるだろうというふうに見込まれているわけでありますけれども、

これは私がしゃべっているところですね、

 この段階になっても、まだ具体的な補助額というのが決まらない、大体の建設規模というのがわかっているにもかかわらず決まっていないということで、どうも地域の人たちの中には防衛施設庁に対する不信感みたいなものもちょっと出てきているわけでありますね。例えば、厚木のNLPを受け入れなければ補助額が少なくされてしまうのではないだろうか、もっと何か防衛施設庁の、あるいは防衛庁の方からいろいろな条件が出されて、それを受け入れなければ補助が少なくなってしまうのではないかというような危惧があるんですけれども、そんなことはないですよね。

  基本的な、なぜ今になっても決まらないのか、いつになったら決まるのか、どういう考え方でやっているので、今私が申し上げたような地元の人たちが持っているような危惧というのはないんだというふうなことを明確にここで説明していただきたいというふうに思います。

という質問をして、山中政府参考人は、

  これは、実際の庁舎の建設に際しましては、環境整備法の八条の枠組みを使って助成をする、考え方を使って助成をするということでございまして、補助対象面積、それから補助単価、補助率、これが決まりますと補助額が幾らかということになるわけでございますが、これは、単年度単年度の市の工事の進捗に合わせて補助額を決定していくという考え方でございまして、今の時点で、国から、私どもの方からトータル幾ら助成をするというようなことがいわば申し上げられない、そういう状況にあるということでございます。

  ただ、それでは幾ら何でも不親切ではないかということでございまして、さっき申し上げた補助対象面積については、例えば総務省の起債の許可に当たって採用される基準を使うとか、単価については、最新の新営予算単価を使う、補助率については、またこれは防衛施設庁長官が定める補助率、これの最高のものを使うというような基本的な考え方、積算のベースになる考え方等を市の方にお示しして、市の方は、全体の見通しが立てられるような情報提供は私どもの方からさせていただいている。

こういうふうに、基本的には、さっき言ったような、米軍再編があったからこんなものがなくなりますよというようなことはするつもりはないということが言われているんですよ。それにもかかわらずこういうやり方をするというのは、本当に防衛省が基地を抱えている地元のことをしっかりと考えているのか、このことについて私は非常に疑問に思いますね。

 今回の福田総理の所信表明演説の中でも、明確に米軍再編問題についても「沖縄など地元の切実な声によく耳を傾けて」いくんだということが言われているにもかかわらず、せんだって、先月、岩国市長、岩国市議会議長そして岩国市の市会議員の有志の人が防衛省を訪れて皆さん方に陳情をされるということをしましたけれども、これに対しても皆さん方から何ら誠意ある回答がなかったというような状況でありますよね。

 どうしてこんなことになっているのかといろいろ考えてみますと、昨年の十二月、あるいはことしの二月にも言われたようですけれども、守屋事務次官が岩国市と名護市には来年度、平成十九年度の再編交付金は出さないんだということを記者の人たちに記者会見で言ったというような事実があったり、あるいは、これは報道ではありますけれども、あめとむちの米軍再編円滑化法というのは守屋氏の考え方が存分に反映されているというようなことで、この米軍再編を受け入れるために何が何でもあめとむちを使い切って、特に岩国市にとってみれば既に約束されていた補助金に対してそれをカットするような、現在もう工事進行中ですよ、そういうような状況で迫るというこのやり方、まさに守屋事務次官が指示したというふうに私は思っています。

 防衛大臣、どうですか。防衛大臣としてどういうふうに、守屋事務次官との関連、そしてそういうことをやったことについての防衛省としての見解はどういうものか、この場でお答えください。

寺田大臣政務官 まず、今の問いにお答えをいたします。

 まず冒頭、委員が言われました補助額の約束についてでございますが、補助額は委員も御承知のとおり単年度予算主義でございます。各年度ごとに定める額とすることを示しているところであり、総額は約束をいたしておりません。この点については、岩国市長みずからも平成十七年二月二十四日の記者会見においてお認めになっておられるところでございます。

 次に、先月、岩国市長及び岩国市議会のメンバーが来られ、私もお会いをさせていただいたところでございます。岩国市長の方から、反対という前提を取り下げるから協議に応じてほしいというお話が市長の方からございました。したがって、我々の方からも、それを真摯に誠実に対応いたしまして、反対という主張を取り下げるのであれば我々は市庁舎の補助金の交付の問題、これを交付に向けて手続を進めることができるという同時解決案を提示したところでございますが、残念ながら御理解が得られなかったところでございます。

 次に、守屋次官の点についてでございます。十九年度の予算要求の見送りにつきまして、防衛省といたしまして省内におきます検討の結果、補助目的であるSACOの内容が先ほどの大臣の答弁のとおり変更され、今後は米軍再編による騒音の影響緩和とその円滑な実施に資するものとして補助を行うことが適切であると、組織として、省として判断したものと承知をいたしております。

石破国務大臣 今政務官からお答えいたしました。これは委員が一番御案内のことかと思いますが、補助額は各年度ごとに定める額とすることを示しております。総額を約束したものではございません。これは予算の仕組みからいって、委員よく御案内のとおりでございます。

 守屋次官の関与はどうかということですが、新聞報道であれこれございます。東京新聞であったかと思いますけれども、あめとむちの考え方については守屋氏の意向が存分に反映され、また、沖縄については、沖縄が嫌いな守屋さんは一回も沖縄を公式訪問しなかったと新聞には書いてあるわけですね。(発言する者あり)いや、宮古島はともかくとして、公式訪問ということでございます。

 私は、このあめとむちという考え方、これはどうなんだろうという気はします。御理解をいただく、そしていろいろな負担を甘受していただく、そういうことについて、当然、日本国全体として、あめという言葉は私は嫌いなのですけれども、そういうような誠意ある対応をさせていただくということであります。基本的には、日本全体の負担を岩国なりあるいは名護なりそういうところへ甘受をしていただく、そのことに対して、あめというよりも、本当に政府として誠意を持って示させていただく。私は、この事業というのは本来そういうものであって、やらなきゃむちとか、そういうような考え方は余りとるべきだと思っておりません。

平岡委員 私は、石破大臣はそういう論理性というのを非常に重んじる人だというふうに思っているので、期待をしておったんですよ。まあ、まだ終わったわけじゃないから、期待をしておるんですよ。

 先ほど私が、二年前の予算委員会で、なぜ額がトータルで言えないかと言われれば、それは毎年毎年の予算額で決めていくんだ、それはそのとおりですよ。だけれども、予算をどういうふうにつけていくかということの考え方はこういうことですよということは提示されておって、それ以外の要素で、例えば、そうやって厚木のNLPを持ってくるとか防衛施設庁から何か要求したものを受け入れないとか、そういうことで補助額が変わってくるものじゃないんだということは明確に当時の山中防衛施設庁長官が言っているわけですよ。それにもかかわらずこんなことが行われるというのは、地元の人たちにとってみれば、これまで一生懸命、ある意味では我慢しながら国の安全保障政策について協力してきた地域ですよ、それが今本当に防衛省に対する不信感の塊になってきて、これを本当にこのまま置いておくと、もうとんでもないことになってしまいますよ。

 私はそのことを防衛大臣に改めて申し上げて、もう一度、防衛大臣の覚悟を聞かせてください。

石破国務大臣 不信感がある、委員御指摘のようなお声というものを私も現地から承っております。逆に、国のいろいろな政策に対して岩国はもっと協力すべきではないかというお声も岩国の中にあることも委員御承知のとおりであります。

 いずれにいたしましても、やらなきゃこういうペナルティーというものがこの制度の根幹にあると私どもは決して思っていないのです。ペナルティーというよりも、いかにして御理解をいただくか。今までも岩国には大変な御理解をいただいた、そう思っております。ありがたいことだと思っております。

 この米軍再編という事業、飛行機の移転というものに伴います御負担を岩国にまたいただくということについて、本当に政府として、それをお受けいただくことに対して誠意ある対応を示させていただきたい。どこかが受けねばならないものでございます、そのことについて十分な理解が得られていない。そのことについては私もよく認識をしておるところでございまして、さらなる御理解がいただけるよう、誠意ある対応をいたしたいと思っております。

 事務次官が何か関与したとかそういうようなことでは全くないし、仮にそういうことがありとせば、沖縄についても同様ですけれども、どうやったらば信頼感が回復できるかということについては、さらなる努力が必要だと認識をいたしております。

平岡委員 この問題ばかりやっているわけにいきませんけれども、政府は約束したことはちゃんと守れ、そのことが私は信頼感の前提だと思いますよ。

 ぜひ、防衛大臣、いろいろ石破さんに対しては言っておる方がおられますけれども、その論理性を重んじているところについては私は評価していますから、これまでの経緯から見て防衛省がやっていることが本当に論理的なものなのかどうか、この辺をしっかりと検証していただきたいというふうに思います。

 次に、今回の問題に関して基本的なところとして、私は、日米安保条約と今回の中東地域で活動しているアメリカ軍との関係について確認をしていきたいというふうに思います。

 時間がないので質問をちょっとはしょりますけれども、今、アフガン作戦とかイラク作戦に派遣されている空母、艦船、キティーホークなんかも含めていろいろな空母、艦船、そしてその艦載機といったようなものが日本の国内にある提供施設、横須賀基地であるとか岩国基地であるとか厚木基地であるとか、そういうところを使用しているわけですね。

 この前、キティーホークがずっと、油の流用みたいな問題が生じたときに、キティー空母の航跡といいますか、どういうふうに移動したかということを見たら、日本の横須賀基地から出発して、政府が言うところのOEF・MIOの活動に参加し、そしてサザンウオッチ作戦に参加し、そしてまた横須賀に帰ってくる、そういう行動をしているわけですよ。これは、幾ら見ても、日米安保条約から考えてみたら、そういうもののために日本の基地を使うのはおかしいじゃないか、まさに中東へ出撃するアメリカ軍の前線基地になっているというふうにしか言えないような状況になっている。

 この点について、これまでもいろいろなところで議論はされている話でありますけれども、改めて、こんなことは、私は、日米安保条約では想定していないことであるので、これは、このままの状態に置いておいてはいけないという意味において、政府の見解を問いただしたいと思います。

高村国務大臣 日米安保条約の枠組みのもとで、在日米軍の施設・区域は、我が国及び極東の平和と安全の維持を目的として提供されているわけであります。そのような施設・区域を使用する在日米軍には、その抑止力をもって我が国及び極東の平和と安全の維持に寄与するとの役割を現実に果たしているとの実態があるわけであります。

 当該在日米軍を構成する部隊、艦船等が、日米安保条約の目的の達成のための役割に加えて、それ以外の任務を有し移動することは、日米安保条約上問題ないと考えております。

平岡委員 この問題については、かつても衆議院の安保委員会でいろいろと議論されておって、どうもそこを見ていると、今の外務大臣の答弁も含めてでありますけれども、要するに、日本から出ていっても、結局どこかへ移動なんかしてしまえば安保条約の適用なんか全く関係ないから、何をやってもいいんだ、こういうような構図になってきているという気がしますね。果たして本当にそれでいいんだろうか、日米安保条約の目的というのは一体何なのか。

 それから、在日米軍の範囲はどこまで考えるかというのは、いろいろ定義が分かれているというか、非常に不安定な定義になっているようでありますけれども、在日米軍の役割として、一体どういうことが役割として安保条約の中で規定されているのか、このことをしっかり押さえないで、こんなことを、なし崩し的に日本の提供施設が前線基地に使われるようなことというのは私はあってはならないというふうに思います。

 それに関連して、先月の十七日に米軍が発表した新海洋戦略というのがありまして、そこでは、米国や同盟国の利益を守るために、信頼できる戦闘力を引き続き西太平洋とペルシャ湾、インド洋に構えるというふうに明記しているわけですね。こういうことを書いてあると、今インド洋なんかに行っている自衛隊の補給艦というのは、まさにその戦略の中で同盟国が果たすべき役割を果たしているものとして位置づけられているんじゃないか、あるいは先ほど来から指摘しているように、こういう新海洋戦略の中で、我が国国内の基地を利用している米軍というものが日米安保条約の枠を離れて提供施設を使いながらこういうことをやっているんじゃないか、こういう問題が私はあると思うんですね。

 この点について、これは自衛隊の艦船も行っておりますから、防衛大臣とそして外務大臣、それぞれに答弁をお願いします。

石破国務大臣 これは、この法律をつくりますときに、これも前答弁したと思いますが、周辺事態法でどうだという議論がありました。私は、これは周辺事態法はだめだということを自民党の政調副会長として申し上げた覚えがあります。それは、周辺事態法は目的に日米安全保障条約の効果的な実行に資するためという文言がダイレクトに入っておりますので、これは周辺事態法というのは使えないという判断がございました。したがってこのテロ特措法ということになっているのであり、さればこそ、多くの国の艦船に補給ができているという現実があろうかと思います。

 くだくだと委員に申し上げるつもりはございませんが、結局、日米安全保障条約の枠組みとは何なのか、そして、我が国及び極東の平和と安全の維持に寄与する役割を現実に果たしているというような実態がございます、在日米軍が抑止力としてですね。そうすると、当該在日米軍を構成するある部隊、艦船などが、日米安保条約の目的達成のための役割に加え、それ以外の任務を有して移動することがあったとしても、安保条約上問題はないということになるものでございます。

 ただ、これは委員御案内のとおり、日米安保条約というのは、合衆国が結んでおります二国間条約の中で非常に類例を見ないユニークなものであることは、これは事実でございます。例えば適用範囲についてもそうですね。その点について、本当に日米安全保障体制とは何なのだということについて、これは御議論は必要だと思います。ただ、今、補給をやっておることが日米安保の目的に逸脱したものかといえば、政府としてはそのように考えておらないところでございます。

高村国務大臣 私にもお尋ねですから、答弁が繰り返しになると思いますが、日米安保条約の枠組みのもと、我が国及び極東の平和と安全の維持を目的として提供されている施設・区域を使用する在日米軍は、その抑止力をもって我が国及び極東の平和と安全の維持に寄与するとの役割を現実に果たしているとの実態があるわけであります。そして、当該在日米軍を構成するある部隊、艦船等が、日米安保条約の目的達成のための役割に加えて、それ以外の任務を有して移動することは日米安保条約上問題ないと考えているわけであります。

 議員が御指摘の新海洋戦略についても、こういう考え方のもとに、問題がないと考えます。

平岡委員 一九六〇年の岸・ハーター間の書簡で、安保条約の第五条の規定に基づいて行われる戦闘行為を除く日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用というのは、日本国政府との事前の協議の主題とするということが合意されているわけですね。

 まさに今、移動という概念を使うことによって、私が指摘したキティーホークなんかは、まさにそこへ戦闘行為するために行こうとしている。それを移動という概念でごまかしているというのは、私は、これは本当におかしい。論理性を重んじる石破さんから見たら、おかしいなと感じていると思いますね。こういうおかしいことをこのままほっておくというようなことは、私は適当じゃない。しっかりと、これは事前協議の主題とするとなっているからには、事前協議をちゃんとやるということをやはりしなければおかしいということを改めて指摘して、次の問題に移ります。

 今回の法案について言いますと、旧テロ対策特措法においては国会の承認というのが規定であったわけですね、官房長官。国会の承認について、衆議院の優越性、憲法で定められている予算とか法律についての衆議院の優越性が定められていない理由については、どういうふうに思われますか。

町村国務大臣 衆議院の優越性は、幾つかの事項は、もう釈迦に説法でございますからあれこれ申し上げませんが、あるわけでありまして、それはその法案、法案の必要性に応じて決められております。

 私も若干勉強しましたら、国会同意人事も、かつて衆議院の優越性が決められていた人事が、警察の関係とか、あるいは人事院だったかな、何かであったりしたこともあるようでございます。

 したがって、それは一つ一つその必要性に応じて衆議院の優越性というのが決められるということでありまして、この国会承認規定は、旧テロ特措法では、これは議院修正という形でつけ加えられたわけでございますが、なぜ衆議院の優越性の規定が設けられなかったかどうか、つまびらかにはいたしませんけれども、そういう特段の必要性が認められなかったからそこまでは書かなかったんだろうというふうに思います。

平岡委員 非常に苦しい答弁だとは思いますけれども。

 なぜ今回の新法には国会の承認規定がないのかということについては、この場でも同僚議員からもいろいろ質問がありまして、お答えになっているので、私はその視点から聞くつもりはありません。しかし、考えてみると、もう効果ははっきりわかっているわけですね。両院の承認が必要だということになったら、新法でもし国会承認規定があったら、これは承認されないだろうということはもう大体目に見えている。ということはどういうことかというと、衆議院と参議院で両方で承認をするということが、まさにシビリアンコントロールという面から見たら非常に厳格なシビリアンコントロールをしているということなんだと私は思うんですよ。

 だから、私は、そういう意味でいったら、今回の法律のつくり方というのは、そういう実力部隊である自衛隊を海外に派遣するということで、最もシビリアンコントロールが求められている分野において、衆議院、参議院の両院の承認を求めることとしないというやり方は、これはシビリアンコントロールの考え方に反するものだというふうに思います。

 官房長官、いかがですか、この点について。

町村国務大臣 この点も、もう何度も何度も何度も同じことを申し上げましたから、また同じことを申し上げるつもりはございませんが、まさにシビリアンコントロールというのは、この国会で法案を審議することそのものなんですね。それ以上のシビリアンコントロールはないと思うんですよ。そして、この前法で、旧法で決められた承認事項というのはこの法律に全部書いてあるんですから、この法案で賛成か反対かということがまさにシビリアンコントロールで、国会の意思、衆議院の意思、参議院の意思がはっきりするわけですから、そこのところをどうぞ御理解いただきたいと思います。

平岡委員 全く納得できませんね。それは、参議院における民意といいますか、シビリアンコントロールを無視しているに等しいわけですよ。私は、実力部隊である自衛隊を海外に出すということについては最大限のシビリアンコントロールが必要である、そう考えたときに、参議院が反対するかもしれないから今回は外しますというような位置づけの中でこういう法案が提案されているのは、これはおかしい。そうでなかったら、堂々と参議院における国会承認も含めた法案を出してきたらどうですか。それでシビリアンコントロールがちゃんと果たせられると私は言っているんだから。そういう法案を出してくださいよ。

    〔田中(和)委員長代理退席、委員長着席〕

町村国務大臣 参議院が反対であると私は思っておりません。これから議論が深まり参議院の皆さん方が賛成をする可能性もあるからと思って、私どもは、真摯な御議論を衆議院においてもまた参議院においてもお願いをしているわけでございますから、そういう意味で、参議院の反対を前提にした、そして、今の委員の御発言を聞いていると、三分の二の再議決を前提としたこの法案であるかのごとき御発言に、私は納得できません。

 衆議院そして参議院、それぞれこの法案を御審議いただき、何度も申し上げます、何度も申し上げますけれども、旧法における国会の承認事項はすべてこの法案に書いてあるんですから、法案で賛否を明らかにしていただくこと、まさにシビリアンコントロールそのものであるということを、何度も何度も何度も恐縮ですが、申し上げさせていただきます。

平岡委員 今の官房長官の答弁でわかりました。よくわかりました。それでは、参議院で否決された場合は、衆議院の優越性の規定は使わないということですね。今のは、参議院でお諮りして参議院で同意を得る、それが要するにシビリアンコントロールの最たるものだと言われたわけです。そういうことを言われたわけですから、確認の意味で答弁してください。

町村国務大臣 今から参議院の皆さん方の真摯な御議論を、私ごとき者があらかじめどうなるであろうこうなるであろうということを予測して申し上げるのはまことに参議院の皆さん方に対して失礼に当たりますから、そういうことを私は申し上げません。

平岡委員 参議院の国会承認というものを無視するような気持ちで出されたこの法案こそ私は参議院に対して失礼だということを申し上げて、次の質問に移ります。

 今回の法案のもととなっている米軍のアフガニスタン攻撃の正当性の問題についてなんですけれども、余り時間がないので詳しいことはちょっと控えますが、今回、米国がタリバン政権下のアフガンに対し武力攻撃をしたわけでありますけれども、このことを自衛権の発動という形で位置づけられているということで、国連にもそういう報告が出されているということでありますから、それはそういうことで位置づけられていると。しかし、よくよく考えてみると、米国が武力攻撃の対象としたタリバン政権下のアフガンからは米国に対する武力攻撃はなかったということだと思います。

 そして、国際司法裁判所の判例、特に一九八六年のニカラグア事件判決なんかでは、テロリストとどういうかかわりがある場合には武力攻撃と見ることができるのかできないのかということがしっかりと判決でも示されているということでありますよね。そういう判例から見たときには、今回の米国のアフガンへの武力攻撃というのは、自衛権の発動としては正当性を欠くものであるというふうに私は思うんですけれども、この点について、外務大臣、答弁願います。

高村国務大臣 米国は、九・一一テロ攻撃を受けて、二〇〇一年十月七日に、アルカイダとそれを支援しているタリバンに対して、米国に対するさらなる攻撃を防止、阻止するために、アフガニスタンのタリバンの軍事施設への攻撃等を開始したと承知しております。九・一一テロ攻撃は、同時に複数の航空機を不法に奪取した上で複数の標的を攻撃する等、高度の組織性及び計画性が認められること等から、国連憲章第五十一条に言う武力攻撃に当たるものと考えているわけであります。

 この点は、米国は、二〇〇一年十月七日付書簡により、国連憲章五十一条に従って個別的または集団的自衛の固有の権利を行使した旨を安保理に報告しましたが、米国等がその内容を安保理事国に対して説明した後も、その自衛権の行使に対して異議は全く唱えられなかったわけであります。また、二〇〇一年十月二日、NATO事務総長が、九・一一テロ攻撃が、北大西洋条約の一または二以上の締約国に対する攻撃を全締約国に対する武力攻撃とみなすことに同意する旨を規定した同条約第五条の適用対象と認められることが決定された旨の声明を発出したことから明らかであると思います。

 法的解釈というのは個人個人によっていろいろな解釈がありますけれども、国際社会では全く異議がなく認められているところだと思います。

平岡委員 それは、ただ単に異議がなかったから認められたというのでは、論理的な正当性は何も証明されていないというふうに私は思いますね。

 ニカラグア判決で示された基準というのは、武力攻撃と、より重大でない形態の武力行使というのを区別し、そして重大性を有する武力行為を実行する武装集団等の派遣またはかかる行為への実質的な関与というのは武力攻撃に該当するけれども、内戦行為、テロ行為への活動の黙認、支援というのは武力攻撃に該当しないんだというふうに整理されているわけですね。

 そういうふうに見たときに、タリバン政権がやっていたことというのは、私は、武力攻撃そのものに当たらないというふうに思うんです。そういうところをしっかりと日本政府としても認識した行動をとっていかなければいけないというふうに私は思います。あえて答弁は求めませんけれども、その点についても非常に私は疑問に思っております。

 それから次に、正当性の問題から考えたときに、自衛権の発動について言えば、必要性の要件、急迫不正の侵害があることといったようなこと、それから均衡性の要件、自衛の方法や目的において必要性を超えてはならないといった意味のことが、これは判例でも示されているわけですね。

 しかし、今回の米国等のアフガンの武力攻撃というのは、民間人においても非常に多くの死傷者を出しているというようなこと、それから、どれだけ本当に必要性があるのかというところについての認定が、非常に恣意的といいますか主観的、客観的でない、主観的になり過ぎているというふうに思うんです。

 そういう意味においては、必要性の要件、均衡性の要件から見ても、米国等のアフガンへの武力攻撃というのは自衛権の発動としての正当性に欠けるものではないかというふうに思うんですけれども、外務大臣、いかがでしょう。

高村国務大臣 米国は、タリバンに支援されたアルカイダが九・一一テロ攻撃の中心的役割を果たしたという情報に基づき、アルカイダとそれを支援しているタリバンに対して、米国に対するさらなる攻撃を防止、阻止するために軍事行動を開始したものと承知をしております。

 さらに、その後、タリバン政権が崩壊するまでの間にも、米国は累次にわたり、アルカイダによる米国に対するさらなる攻撃があり得る旨の警告を発しており、また、政府としても、これらのアルカイダ及びタリバンの構成員が米国等に対してさらなるテロリズムの行為を引き起こす可能性が存在する等の種々の情報に接していたところであります。

 政府としては、これらを含む諸般の事情に照らし、御指摘の米国の行動は適法な自衛権の行使であると考えております。一般市民の被害を最小限に回避すべきことは当然であって、米国もその点の配慮をしているものと認識をしているところでございます。

平岡委員 私は、こういう問題提起をして、今私が指摘しているとおりに皆さんが認めてくれるとは思っていませんけれども、こういう問題も、いずれ私は国際法学者等から評価されると思うんですね。今回のこの部分が一体国際法的に見てどういうものであったのか、このことを私は、将来的に評価されるということを前提にして皆さんにもこの問題について考えてほしいと思いますし、我々もそれを意識しておかなければいけないということを指摘しておきたいというふうに思います。

 それに関連して、OEFとISAFの問題についてちょっと触れたいと思うんですけれども、これは、私、政府に対して質問主意書で出して、回答もいただいている話ではあるんですけれども、どうも、OEFの国際法的な正当性というものが一体何であるのかという点については、よくわからないところがあるんですよ。

 もともと最初は自衛権の発動で始まりました。しかし、その後、何かそれは違ってきて、カルザイ政権の同意というものに基づいて行われているんだ、こういうふうなことなんですけれども、例えば、カルザイ政権の同意に基づいて行っているということであるならば、これは国連憲章との関係は一体どういうことになるんでしょうか。特定の国の同意があれば、その同意を得た国がその国とかにいろいろ出かけていって武力行使をするということが認められるんですか、どうでしょう。

高村国務大臣 国連憲章で禁止されている武力行使というのは、まさに国際的な武力行使が禁止されている。それに対して、集団的自衛権とか個別的自衛権とか、あるいは集団的安全保障の場合に違法性が阻却される、こういうことでありますが、この場合は、領域国の中で領域国の同意を得て警察行為の補完をしている、治安維持の補完をしている。こういうことでありますから、国際的武力行使にそもそも当たらないわけですから、国連憲章に言う違法性阻却の事由を論ずる必要がない、こういうことでございます。

平岡委員 その話を前提として、では、ISAFはどうですか。ISAFというのは、国連決議に基づいている行動だから武力行使も認められるというように考え得るんですか、それとも何か別の考え方なんでしょうか。

 つまり、例えば、これが国連決議に基づく武力行使として認められるのであれば、OEFの活動、例えば自衛権として始められたような活動については停止をしなければいけないということに国連憲章上なっているわけですよね。そういう意味でいったら、ISAFの活動というのは一体どういうふうに国際法的に評価しているんですか。

高村国務大臣 ISAFも同様でありまして、領域国のカルザイ政権の同意のもとに活動しているわけでありまして、その中で仮に実力行使が行われたとしても国際的武力行使に当たらない、こういうことでございます。

平岡委員 そうすると、国際法的に見た場合は、今、OEFとISAFというものは同じ位置づけになっている。

 つまり、もともとOEFは自衛権の行使で武力の行使ということで、掃討作戦でわあっとやっていて、別の部隊がやる。ISAFはISAFで、また国連決議があって、国内の治安維持みたいなこと、あるいは復興支援なんかも含めてやっているということだったんですけれども、今の説明でいくと、両方とも治安回復とか治安維持のための活動で、カルザイ政権の同意に基づいて行っている行動だから、国際法的に見れば、あるいは国連憲章上見れば、武力の行使に当たる活動ではない。では同じなんですか、どうですか。

高村国務大臣 国際法的に見て、武力の行使に当たらないという点では同じでありますが、目的や任務についてはおのずから違いがございます。

平岡委員 私は、OEFとISAFというのが国際法的に見て同じ位置づけになっているというのは、やはり非常に不自然な感じがしますね。

 ちょっと質問の視点を変えてみます。

 我が国は国際的紛争を解決する手段として武力の行使はしない、こうなっていますよね。では、国内の治安回復、維持のために、今、OEFあるいはISAFのために諸外国が軍隊を派遣している、この活動は武力の行使ではない、治安維持、治安回復のための活動であると。そうしたら、我が国の自衛隊がアフガンに行って同じような活動をすることは、これは憲法上問題がないという整理になるんですか。

高村国務大臣 国際法上、武力行使に当たらないということと、我が国の憲法上の実力行使に当たって、それが憲法違反かどうかというのは全く別の判断でございます。

平岡委員 いや、それじゃ説明したことになりませんね。

 この前、我が小沢代表が、ISAFの活動に対しては、武力の行使なのかどうかはわかりませんけれども、とにかく武器を持っていって活動することでも、これは憲法上、自分の見解としては、私の見解としてはという限定ではありましたけれども、これは認められてしかるべきだというような趣旨のことを言ったときに、だれかが、それは憲法違反だということを、あれは石破さんだったですかね、言われていましたよね。

 しかし、今のるるの討議の中で、これは武力の行使じゃないんだ、国内的な治安維持、治安回復のための活動なんだということで位置づけられるなら、憲法上これを制約しているものは何かあるんですか、どうですか。これは石破さんに聞いた方がいいですかね。

 いや、石破さんが言ったから石破さんに聞いているんです。

小松政府参考人 外務大臣がおっしゃったことに国際法上の考え方については尽きるわけでございますが、補足をさせていただきますと、国連憲章第二条四項は、各国に対して、その国際関係において武力の行使を禁止しているということでございます。

 先ほど来外務大臣が申し上げておりますことは、カルザイ政権が成立以来のいわゆるテロ掃討作戦として行われている実力の行使は、アフガニスタンの治安の回復、維持のための国内関係における実力の行使であるので、このような意味で、国際関係において武力を行使することに当たらない、したがって、国連憲章第二条四項に禁止されている武力行使ではないということを申し上げている次第でございます。

 憲法との関係につきましては、先ほど外務大臣が御答弁になっているとおりでございます。

平岡委員 いやいや、憲法の関係で全然答弁になっていないから聞いているんじゃないですか。だから、石破さんが何か答えたそうにしているから……(石破国務大臣「いやいや、全然」と呼ぶ)いやいや、だって、小沢代表のISAFへの参加については、これは憲法違反だというようなことをどこかで言われたことがあるじゃないですか。私の質問に対して石破大臣としてどういうふうにお答えになるかというのを、論理的な緻密な石破大臣、ちょっと答えてください。

石破国務大臣 これは、小沢代表から私も直接お話を聞いたわけではありません。「世界」を読んだり、あるいは民主党の研修会における御発言を漏れ承る範囲において申し上げるものです。

 一つは、国権の発動というものが国連の決議があれば消えるのだろうかということでございます。そこの点についてどうなんだということが一つあります。

 もう一つは……(平岡委員「ISAFが武力の行使であることを前提とした答弁をしてくださいよ。そんなこと聞いていない」と呼ぶ)ですから、一つそこがあります。だから、それが九条一項からどう読むのだということで考えたときに、その点をどう考えるかというのが一つ、前段、あります。議論が混乱するといけませんので、整理する必要があるだろうと思って申し上げました。

 もう一つは、「国際紛争を解決する手段としては、」というところをどう読むかです。国際紛争とは何かといえば、領土等をめぐる国もしくは国に準ずる組織の間において起こる武力を用いた争い、こういうような定義に相なります。

 そうしますと、では、アフガニスタンのISAFというのを考えたときに、国もしくは国に準ずる組織の間に起こる武力を用いた争いというものが本当に排除をされるのか、それは憲法論との関係を外務大臣が整理なさったとおりでございます。そこにおいて、国連の決議があって、そこに武力を行使してよいということはストレートにはならない。それは、国際紛争とは何であるかということについての定義を厳密に行った場合に、それは、だからよいのだ、国連決議があればISAFで武力行使をしてもよいのだということにはそれはならないであろうということを申し上げておるのでございます。

平岡委員 全く答弁になっていないのと……(発言する者あり)いや、政府の質問主意書に書いてあることと今石破大臣が答弁されたこととは整合性がないんですよ。だって政府の答弁書は、これは治安回復、維持のための活動であるというふうに位置づけてすべてを説明しておられるということでありますからね。そういう石破大臣のような考え方があるなら、そのこともちゃんと説明しなければ、そんな例外なんかあり得ないという形で書いてあるわけですからね。だから、そういう場合には武力の行使もあり得ると。では、その場合はどうして武力の行使があり得るんですか、国際法的に認められるんですか。

石破国務大臣 これは法制局あるいは国際法局からお答えをした方がいいのかもしれません。私は政治家で、余りそんないいかげんな答弁をしてもいけませんし、法制局参事官もお務めになった委員に対して私ごときがお答えをするのは失礼なことなのかもしれません。ただ、そこで何が起こるのかということだと思います。

 それで、これはまた、その非戦闘地域とは何事であるかというおしかりをいただくのかもしれませんが、繰り返しになりますけれども、例えば歌舞伎町でやくざが機関銃を撃ち合っておって、それが戦闘地域と評価されるかといえば、それはされないわけでございます。何で非戦闘地域という概念を持ってくるか。それは、そういうことが行われないということを想定しているのであり、そして、それが起こったらどうするかということも、この関係の法律には書いてあるとおりでございます。

 ですから、そこでそういうことが生起するということが排除されない。ISAFで武力行使をすることが即ストレート憲法違反だということを申し上げているわけではありませんが、憲法との関係でいろいろな問題が起こり得るということは、政府の答弁書には書いていないのかもしれませんが、含意としてそういうものはあるのではないかと私は思っております。

平岡委員 ちょっと政府の答弁書が余りにも不十分というか、合目的的に書かれているような気がして、ちゃんとした、国際法的に評価されていないという意味において、きょう皆さん方からいただいた答弁をしっかりと精査してこの位置づけを明確にしていかなければ、我が国がどういう協力ができるのかということについても私は特定できないだろうというふうに思いますので、もう一度、議事録を精査した上で議論させていただきたいというふうに思います。

 以上で終わります。

深谷委員長 午後三時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時開議

深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。川内博史君。

川内委員 川内でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、先日の質疑でやり残した分をちょっと伺わせていただきます。

 元の防衛庁長官、大野功統先生が、ブログで、御存じでしょうか、「私が防衛庁長官の頃にも、海上自衛隊のインド洋における活動は停止すべきとの意見があった。小泉総理からも活動を中止できないかとのご下問があった。私は、早速、シーファー大使と交渉した。」というふうに正直に書いていらっしゃるんですけれども、小泉総理がインド洋での給油を中止した方がいいのではないかということを指示されたということですけれども、この一連の経緯についてわかっている人がいれば御説明をいただきたいというふうに思います。

石破国務大臣 私は大野長官の前任の長官でありますが、そのようなこと……もちろんブログは拝見をいたしました、書いてあることも読ませていただきました。ただ、一々これについてお答えをするということは差し控えねばなりませんし、御本人でなければわからないことがたくさんあるのだろうというふうに思っております。

 ただ、政府部内でいろいろな議論は当時あったということは、私、政府外におりましたが、漏れ聞いておりました。政府としてかんかんがくがくいろいろな議論がありました後、いずれにしても延長ということに決したものであり、当時の小泉総理あるいは防衛庁長官、いろいろなお考えがあったことかと思いますが、政府としては最終的に延長ということでまとまったということだと考えております。

川内委員 閣議で決定されたのは延長するということでしょうけれども、私が知りたいのは、最高の行政権の長である内閣総理大臣と防衛部門の担当をしていらっしゃった防衛庁長官が、インド洋での給油をやめることができないか、あるいはやめた方がいいのではないかということで、どういう御趣旨でシーファー大使にお会いになられたのかとか、どういう経緯であったのかとか、防衛庁の事務方がこれにかかわったのかとか、さまざまなことをお聞きすれば、当時の政府の部内でのそれこそかんかんがくがくの議論の一端がかいま見えるかなというふうに思ったわけでございますが、型どおりの答弁でちょっとおもしろくなかったんですけれども。

 では、次の質問に移らせていただきたいと思います。(発言する者あり)いやいや、おもしろいというのは知的興味という意味でですね、知的興味という意味において。(発言する者あり)いろいろな人の意見に答えるんです。

 それでは、続けて聞かせていただきます。

 平成十九年三月付の衆議院調査局の資料で、中央省庁の補助金等交付状況、事業発注状況及び国家公務員の再就職状況に関する予備的調査についての報告書、これは民主党が調査局に御依頼を申し上げて国会の議決を経てお願いをしたものでございますけれども、この国家公務員の再就職状況という部分に関して、防衛省からあるいは防衛庁出身者で、各種団体あるいは民間の法人に再就職をしていらっしゃる方々の人数が出ておりますが、調査局に、その人数、そしてまたその人数の内容について御説明をいただきたいと思います。

清土調査局長 本予備的調査は、昨年の十一月に、松本剛明議員ほか四十五名からの要請に基づき、決算行政監視委員会からの調査局長に対する調査命令を受けて、国家公務員の再就職状況等を調査したものであります。

 調査要請の概要は、所管の公益法人や独立行政法人、国家公務員法第百三条第三項に基づく人事院の承認を受けて国家公務員が再就職した営利企業等を調査対象法人とし、当該法人の国家公務員再就職者数等を調査するというもので、当該調査要請書の趣旨に従い、各府省に対し調査の協力の要請を行いました。

 報告書は、基本的には各府省から提出された結果を取りまとめたものでありますが、防衛省からは三千九百十七人の国家公務員再就職者がいることが報告されております。

 なお、各公益法人等の国家公務員再就職者には、所管府省からだけでなく、全府省、他省庁からの再就職者が含まれております。

 以上でございます。

川内委員 防衛省関係の所管法人、あるいは防衛省が調達をしている民間企業に対して、三千九百十七名の国家公務員、これは防衛省出身者がその主な部分を占めるというふうに御説明をいただいておりますが、三千九百十七名の方々が再就職をしていらっしゃるということであります。これは他省の出身者もいらっしゃるということでございます。

 それでは、防衛省にお伺いしますが、防衛省として、防衛省出身者あるいは防衛庁出身者、防衛施設庁出身者の所管法人あるいは調達先の企業への再就職者の人数を把握していらっしゃいますか。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 御指摘の、衆議院の調査局が行いました予備的調査でございます。これは、協力要請を受けました各官公署が、それぞれみずからの所管の公益法人あるいは五百万円以上の契約関係のある企業から個別にヒアリングをして集計をしたものでございます。

 したがいまして、その調査結果によって示されました再就職者数は、出身省庁にかかわらず国家公務員の経験者すべてというふうなことであり、必ずしもそれは防衛省・自衛隊出身者ではないわけでございます。

 また、本調査については、防衛省出身者数について個別に回答を得たものではございませんため、一体このうち何名が防衛省の退職者であるかということはお答えができないのが現状でございますが、今現在、防衛省として把握をしているものといたしまして、平成十二年の七月一日から平成十八年の十二月の三十一日までの間、自衛隊法第六十二条等の規定に基づきまして防衛大臣の承認を得て営利企業に再就職した者、これは我々の承認行為として把握をいたしておりまして、この者は六百九名でございます。

 ただし、今回のこの調査局の調査が、平成十八年の特定の時点、あるスポットにおける調査であるために、その特定の時点でそのうちの何人が現に在職していたかは把握ができないところでございます。

川内委員 防衛大臣の承認を得て営利企業に就職をされている方は六百九名ということでありますが、一般的には、わたりとか、あるいは次々に顧問を転々としていくというような形はその数からは除外されるわけでございまして、防衛庁あるいは防衛省が、調達先の企業に対して出身者がどのくらい在籍をしているのかということは、大臣承認の人数だけではなく、調達をきれいにされるというふうに大臣がおっしゃるのであれば、まず、調達と引きかえに再就職者を受け入れてもらっているのではないかというような問題意識でしっかりと調査をされたらいかがかというふうに思いますが、防衛大臣の御所見をいただきたいと思います。

石破国務大臣 御指摘を踏まえて検討したいと思います。

 ただ、委員御案内のとおり、相手の会社に、一体何人雇っていますかということをこちらからお聞きすることになるわけです。そのときに、そのようなことは答えられないと言われたときに、ではどこまで強制力を持って調べられるか、これはおのずから限界がございます。

 したがって、どのようにして正確性を期すべきかということも含めまして、大事な御指摘と心得ております。検討させていただきたいと存じます。

川内委員 それでは次に、さらに調達について透明化を図っていかなければならないわけでございますけれども、軽油二号の国内艦船用の調達について、全体の落札量の比率と幾ら発注しているかの落札総額、そのトップのシェアの、企業名はいいですから、比率と金額とを教えていただけますか。

寺田大臣政務官 お答え申し上げます。

 平成十六年度の中央調達によるいわゆる軽油二号、艦船用の油でございます。これは、競争入札により調達をしているところでございます。

 十六年度の軽油二号の契約総額でございますが、これは約百六十六億円でございます。いわゆるトップシェアの社でございますが、トップシェアの契約金額は約百二十四億円。したがいまして、シェアで申し上げますと、約七四・六%という数字と相なります。

川内委員 予定価格に対する平均落札率はどのくらいですか。

寺田大臣政務官 十六年度におきますトップシェアの社の平均落札率は、約九五・四五%でございます。

川内委員 大臣、競争入札で軽油二号を調達しているという御説明でしたよね。ところが、その実績は、トップシェアの社が百六十六億円の調達額のうち百二十四億円を落札している、シェアは七四・六%だ、平均落札率は九五・四五%だと。これは競争が働いていると言うにはほど遠い数字ではないかというふうに思います。

 しかも、このトップシェアの会社は、いわゆる元売の会社ではなく、仲買というか業転業者と呼ばれている方のようにお見受けいたしますが、これは、もうちょっと入札の仕組みとかを考えなければ、ほとんどもう随意契約と同じような結果になってしまうのじゃないでしょうかね。

 大臣の御所見をいただけますか。

石破国務大臣 先生も既に御案内かと思いますが、ここ四年間で見ましたときに、今政務官からお答えしましたように、七四・六という年もありました。五〇%ぎりぎりという年もありました。寡占状態と言うには、ちょっと違うかなという気がいたしております。

 また、艦船用燃料というある意味特別なものでございますし、必要なものがきちんと必要なときに手に入るのだろうかという軍用船舶の特有の事情もございます。

 そういうことでこういうような結果が生じており、公正な競争が損なわれたというふうに私は考えておりませんが、あるいは委員の方から、こういうやり方があるのではなかろうかというような御示唆があれば、私ども、真摯に拝聴させていただきたいと存じます。

川内委員 では、私がアドバイスをすれば真摯に拝聴していただけるということなので、研究をして御提言を申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、次の論点に移らせていただきます。

 「海上自衛隊補給艦から米補給艦への給油量取り違え事案について(中間報告)」、平成十九年十月二十九日付の防衛省発表文書でございますが、まず、この六ページにこのように書いてあります。海幕装備部内では海幕需品課系統で給油量に関する報告をすることになっていた、海幕装備部内では海幕需品課系統で給油量について報告することになっていたと書いてあります。

 この報告の仕組みについては、この中間報告には書いてございません。どのような報告書がどのような系統で上がっていったのかということについて教えていただきたいと思います。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 報告書の記述につきましては先ほど先生からお話がございましたけれども、海上幕僚監部の装備部の中でどのような形で報告が上がるかということにつきましては、当該報告がどういった内容のものであるか、あるいはどういう状況で行われているかということで異なりますので、一概にお答えすることはできませんけれども、燃料に関する報告ということであれば、通常、燃料班長、需品課長を経まして装備部長に報告される、こういうことになるというふうに考えております。

川内委員 このちょっと前に、海幕防衛部内では海幕運用課系統で報告が上がるというふうに書いてあるんですが、海幕運用課系統で報告が上がるものについては、二ページに「テロ対策特別措置法に基づく対応措置としての協力支援活動等実施記録」という報告書の名前があるんですけれども、海幕装備部内においてはこの報告書の名前というのはないんでしょうか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 この中間報告の二ページにございますように、「行動報告」につきましては海幕防衛部長に対する報告資料という位置づけがはっきりしておりまして、資料三にも、それが具体的に防衛部長まで上がっているという状況が書いてございます。

 一方、海幕の需品課内では、報告書の二ページにございますように、課内の業務用参考資料として燃料の譲与実績を累計した資料を「艦艇用燃料譲与実績」ということで作成をしておりますけれども、具体的にこの関係で報告がどう上がっていったかというようなことについては、報告書では述べてございません。

 先ほど私が申し上げましたのは、一般的に燃料の報告というのは通常の系統で上がるという趣旨で申し上げたものでございます。

川内委員 その燃料の報告というのが通常の系統で上がるというのは、何という報告書の名前で上がるんですかと聞いたんですけれども。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の報告というのが、具体的に名前がどうかということでございますけれども、この報告で言っておりますのは、「提供実施(報告)」というものが上がってまいりまして、それに基づいて海幕の需品の中でつくっているものとしては「艦艇用燃料譲与実績」というものがあるということでございます。

川内委員 その「艦艇用燃料譲与実績」という報告書が、燃料班長から装備課長、装備部長に上がるということですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 ですから、先ほど申し上げましたように、一般的にどういった形で報告が上がるかということは、状況により、あるいは内容によって異なりますので、この報告書で、海幕の防衛部長に対する報告資料としてきちっとわかっているというものと同じようなレベルのものをここにお載せすることはしていない、そういうことでございます。

川内委員 いや、載っていないから、どういう形で上げているんですかということを聞いているんです。報告書に海幕装備部内ではもう給油実績について報告を上げていると書いてあるから、どういう形で上げているんですかと聞いているので、いや、載せていないから載っていないんですという説明をされても、僕はよくわかりませんよ。私が聞いたのは、艦船用燃料譲与実績表という表が装備部内で回覧をされるんですかということを聞いているんです。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の資料、ここに書いてあります資料というのは、一般的には燃料に関する報告だというふうに考えられますので、通常であれば、燃料班長、需品課長を経て装備部長に報告されるというものであろうと思っております。

川内委員 一般的には燃料に関する報告書と、書類の上に書いてあるんですか、タイトルが。もうちょっと正確に、これは中間報告に書いてあることを私は聞いているんですよ。もうちょっと正確にきちんと教えていただけないと、この中間報告の分析ができないじゃないですか。

 「海幕装備部内では海幕需品課系統で報告されることとなっていたため、」こう書いてあるから、その報告というのはどういうものなんですか、どういうふうに上がるんですかということを聞いているんですよ。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 もともと、この海幕の防衛課長の認識ということでここに出てまいりますのは、そちらの方で通常であれば上がるであろうということで、そういう認識をここに述べておりまして、ですから、通常の系統であれば上がるんではないかという防衛課長の認識と、実際に、今回の報告の中で、この資料が、例えば艦艇用の燃料譲与実績というものがそのまま上まで報告されていたということは確認をされていない。その資料の性格は、課内の業務用資料ということであったと。

 ただ、防衛課長のそういった認識の背景になったものを推測いたしますれば、燃料に関する報告というものは通常の系統で上がるであろう、そういう認識があったということで、実際にどういう報告が行われたかということを今回の調査の過程の中で確認をされているというわけではございません。

川内委員 そうすると、この「海幕装備部内では海幕需品課系統で報告されることとなっていたため、」というのは、海幕防衛課長の推測を述べたものであり、一般的にはそうされるであろう、しかし、今回の中間報告の取りまとめに当たっては、それがどういう形で報告が上がったのかということについては調査をしていないということですね。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 燃料の具体的な報告系統といったものについてどうであったかということが、ここの報告書の中で大きなテーマとなっているということではなくて、海幕の防衛課長が、調査の考え方といたしまして、それでは海幕の防衛課長はなぜこういったことを考えたのかといえば、そういう燃料の数字というのは通常の系統で上がっているはずだというふうに考えていたということを申し上げているわけでございます。

川内委員 それでは、海幕装備部内で海幕需品課系統で報告をされる、一般的には報告をされるであろう給油の実績について、当時どういう報告がなされたのかということについて、改めて調査をし、報告をしていただけますか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 この報告は、海上自衛隊補給艦から米補給艦への給油量取り違え事案についての中間報告ということでございまして、そもそも、ここで調査をしたものは、平成十九年の九月二十日に民間団体から平成十五年二月二十五日における海上自衛隊のいわゆる給油量に関して間違っているのではないかという指摘がなされたことを踏まえまして、その事実関係についての調査を行ったものでございまして、その給油量に関するデータの取り違えがどういった形で生じたのかということに焦点を当てて事実関係の調査を実施したというものでございます。

川内委員 いや、僕の言うことが全然わかっていないでしょう。海幕需品課系統では正しい報告が上がっているんですよ、正しい報告が。それがどういう経路で上がったのかということを知っておくことも必要でしょう、だから教えてくださいねと言っているんですよ。あなたが我々に対して、いや、それはおまえらの知ることじゃないよというのであれば、そうおっしゃっていただければいいけれども、あなたたちに教えることじゃないですよというのであれば、それでもいいですけれども、私は、知りたいんです、教えてくださいと言っているのに、全然とんちんかんな答弁されても困っちゃうんですよ。調査して教えていただけるのか、いただけないのかということを教えてください。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 いずれにいたしましても、具体的に、当時の個々の数字の報告がどのようであったかということについて、私、現在、手元の資料なりで、当時の調査として確認をされているわけではございませんので、その点については、また今後の、これは中間報告でありますけれども、いろいろ確認作業等も必要になることもあろうかと思いますので、きょう具体的に先生から御指摘をいただいた件については、また何らかの形で御報告ができることになるのかわかりませんけれども、そういったことはやらせていただきたいと思いますが、いずれにしても、御趣旨に沿ってやらせていただきたいと思います。

川内委員 防衛大臣、給油量の取り違えがいかなる理由で起こったのかということについて、大変な国民的な関心があるわけですよね。中間報告では、政府側は事務的なミスで取り違えたのだということを結論づけている。しかし、我々は、給油量を取り違えたのは、もっと別な理由があったのではないかということを推測しているわけです。推測しているわけです。

 そういう中で、我々の手がかりは、この中間報告しかないんですよね、あるいはこの参考資料しかないんです。その中からさまざまに、もし真実が別なところにあるのであれば、真実を知りたい、国民の皆さんにもそれを明らかにしたいと思っている。そういう中で、ここに書いてあることを教えてくださいと言って、いや、調査して明らかにするかもしれませんみたいなことを言われたんじゃ私も立つ瀬がないので、防衛大臣として、今私が言っていることは調査させるとおっしゃっていただけますか。

石破国務大臣 なぜ取り違えが起こったかというのは、これは本当に真実はここにあるのですが、現場からは正しい数字が電報で送られてきておりました。それは確かです。それを入力するときに、大きな船に少ない燃料、ちっちゃな船に多い燃料という、普通で考えればあり得そうにないことですが、それを間違って入力しちゃった、これもまた事実でございます。

 委員の御指摘は、それは単純な事務ミスではあるまい、どこかに意図的な何かがあったという懸念を払拭しなければならないという御指摘だと思います。それが、防衛部あるいは装備部の系統で情報が上がっていく上において、だれがどこで気がつくべきだったのか、だれがどこを指摘するべきだったのかという問題意識を持ち得るか持ち得ないか。その数字を見て、これは問題だなというふうに気がつく立場にいたか、数字が単なる数字として、こういう数字であるなという認識で終わっていたか。それは、その人がいかなる所掌についていたかということによるのだろうと思っております。

 そのときに、装備部全体として、そういうことに気がつく立場にいたか。確かに、班長さんが報道を見て、これはおかしいですよという指摘をした。では、それが需品課の系統の上の方に上がっていき、例えば装備部長から防衛部長みたいなラインが働いていればそういうことも防げたのだと思います。ただ、装備部系統で本当にその数字をそういう問題意識を持って見ていたかといえば、装備部の所掌としてそういうことに問題意識を持つ者がいなかった。だから、数字は数字として上がっていってしまったのだと思います。

 そこにおいてどのようにして問題意識を働かせるかという工夫は実は物すごく難しいことであって、防衛部と装備部の、もともとやっていることが違うわけですから問題意識も違うわけで、どういうふうにチェック体制を働かせたらいいのかということを今後の改善策として議論しなきゃいかぬ。

 そこでまた、統合幕僚会議議長が記者会見で述べ、官房長官がお述べになり、私がしゃべる。そこへ、相当の日時が経過しているにもかかわらず、何らそこの数字の訂正がなかったというのは、一体いかなる組織的な欠陥があるのか。つまり、間違いというのはあるのですし、隠しておこうと思う人もいるのかもしれない。それは報告書に書いたとおりです。それがシステムとして見抜けないというのは、それは問題でありとせば、どういうふうにして働かせていくべきなのかということが組織をどのように変えるのかということに結びつくのだと思っております。

 委員の御疑問に直接お答えできるようになっていませんが、委員の御懸念をきちんと把握して、必要であれば調査はいたさせます。ただ、何でそういうふうに上がらなかったのかということについては、これは当時の人のやや風化しつつある記憶に基づく聞き取りになりますので、きちんとした、御得心いただけるような成果が出るかどうか、それをここで大丈夫ですということが申し上げられないのは大変申しわけのないことだと存じます。

川内委員 いや、大臣、私は、なぜ燃料班長が装備部内で取り違えについて報告をしなかったのかということについて聞いているわけではなくて、そもそも装備部内での給油実績についての報告がどのような形でルーチンとして上がっているのかということについてなかなか教えてくれないので、そのくらいは教えていただいていいんじゃないですかということを防衛大臣に申し上げているんですけれども。

石破国務大臣 趣旨を取り違えて、失礼をいたしました。

 今局長が答弁申し上げましたように、では、この数字はその系統、需品課ではどういうものとして使われるかというと、燃料の譲与実績を累計した資料をつくるために、課内の業務用資料として燃料の譲与実績を累計した資料をパソコンソフトを用いて作成している。つまり、このために必要な数字なのであって、資料としてパソコンに打ち込み、ファイルをした後は、必要に応じて上がることはあるけれども、まさしくそれが、そこの課で必要があればどうぞこれを見てくださいという状況をつくるということが目的でございますので、それが上にずっと上がっていくということ、それは系統としてあり得ることでございますが、それは何のためにということを考えたときに、上に上がるということにどれほどの意味があるのか、また、上がっていく過程はどうであったかということにつきましては調査はいたしますが、累計したものをつくるためにこの数字を用いたという点は御理解をいただきたいと存じます。

川内委員 なかなか思ったように答えていただけないのがもどかしいんですが。

 私は、この中間報告を読ませていただいて、大臣も当然何回も読んでいらっしゃるし、大臣はこの中間報告に出ていらっしゃること以外にたくさんのことを知っていらっしゃると思うんですが、では、この中間報告にどんなことが書いてあるんだろうということを、この委員会の先生方もよく読んでいらっしゃると思うので改めて申し上げるまでもないかもしれませんが、肝心な部分について、一つ一つ聞いていきますね。

 給油量を取り違えて入力した海幕運用課の勤務員はだれか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 中間報告の三ページに書いてございますけれども、集計表に給油量を取り違えて入力したのは、平成十五年二月二十六日ごろ、正確な入力日時は記録されておりませんけれども、その当時、海幕の運用課オペレーションルームの勤務員であった幹部自衛官七名、二等海佐一名、三等海佐一名、それから一等海尉四名、そして二等海尉一名、合計七人のうち、いずれも幹部自衛官でございますけれども、そのうちのいずれかであるというふうに推定をしているところでございます。

川内委員 入力者は特定できているんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 当該勤務員からいろいろ聴取をしております、七人の勤務員から聴取をしておりますけれども、入力者の特定には至らなかったということでございます。

川内委員 入力者は特定できていない。

 ちょっと、高見澤さん、私が聞いたことだけに答えればいいですから。余計なことは、みんなもう知っているんですから。

 米海軍第五空母群マシュー・モフィット司令官の発言に係る報道に対応するため対外応答要領を作成されたと聞くが、今現在、その対外応答要領を確認できますか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 報告書のとおり、特定はされておりません。

川内委員 その対外応答要領を作成した海幕防衛部員はどなたですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 それは報告書にも書いてございますけれども、特定できておりません。

川内委員 対外応答要領を作成する際、だれがどの資料を用いてペコスへの給油量を約二十万ガロンと認識したのですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 これも報告書の三ページに書いてございますけれども、対外応答要領を作成する際、だれがどの資料を用いて米補給艦ペコスへの給油量を約二十万ガロンと認識したのかは明らかではない。

 ただ、明らかではないわけでございますけれども、当時の海幕防衛課の……

川内委員 もうわかりました。明らかではないんです。事実だけをお答えいただければいいです。

 それでは、海幕需品課燃料班長は、ペコスへの給油量に誤りがあることに気づき、同日、海幕防衛課員に指摘したとあるが、その指摘を受けた海幕防衛課員とはどなたですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 報告書にあるとおり、特定はされておりません。

川内委員 防衛大臣、今聞いていていただいておわかりだと思うんですが、肝心なところは全部特定されていない、明らかになっていない。肝心なところは全部そうなんですね、この報告書は。さすがに、だから中間報告にしていらっしゃるんでしょうが、これでは、単なる事務的なミスだったのだと言われても、肝心な部分がすべて特定できない、わからないということでは、その説明を国民の皆さんに信じなさいと言っても私は無理があるのではないかなというふうに思うんですが、大臣、どう思われますか。

石破国務大臣 御指摘はごもっともです。

 ただ、同じ思いは私も持っておりました。省内で、この話は、これをつくらなければいかぬということで数週間やりました。本当に、土日徹して連日連夜やりました。書きぶりはどうするんだということもぎりぎり詰めました。川内委員初め野党の方々からそういう御指摘を必ず受けるということで、そういうことも予想して、当然のことでありますが、どう書くのだという議論もいたしました。

 ただ、私、そのときに思いましたのは、例えば、今から四年前の何月何日、あの場にだれがいたか思い出せと言われたときに、本当に思い出せるか。海上自衛隊もあれだけ大きな組織でございます。転勤も頻繁でございます。そのときに、本当に顔と名前がきちんと一致をするか。そのときに、A、B、C、D、だれがいたということはわかりますが、この人がオペレーションしていた、コンピューターをたたいていたということがわかりません、正直申し上げて。

 また、では、応答要領はどれであるかといったときに、あれかもしれない、これかもしれない、甲はあんなものだったと思うと言い、乙はこんなものだったと思ったということになりますと、これは、正確を期すためには、特定できないと書くしかないのです。そこでこれが特定できたと書くことは、かえって偽りを中間報告に記すことになってしまう。

 したがって、委員からそのような御指摘を受けることは当然予想した上でのことでございますが、特定できないものは特定できないと書くしか仕方がなかろうということなのでございます。

 私は金融機関に勤めておったのですが、そのときは、だれがコンピューター、オペレーションをするかというのは物すごく厳密に決められておりました。コンピューターをたたきますときは、例えば私なら私のカードというのがあって、そのカードを入れて、出金でも入金でもいいのですが、この伝票をたたいたのはだれだというのは必ずわかるようにしておりました。

 では、今、海幕でそのようなことをしているかというと、しておりません。それは仕事の性質が違うのだ、金融機関のお金の出し入れとは違うのだ、そこでだれが記帳したかということまで記録する必要はないと言ってしまえばそれまでなのですが、そういうやり方をとってまでやることなのかどうなのか。

 やはり人間の記憶というのは、委員ほど聡明な方をもってしても、四年前に、あの時間だれとだれがいたか思い出せと言われて、正確に言えるとは限らない。それがまた複数人に及ぶ場合に、それぞれの人の記憶が全く一致しない限り、ここに実名も挙げることはできませんので、そういうような事情は何とか御賢察を賜りたいと思います。ごまかしているわけでも、だましているわけでもございません。

川内委員 まさしく防衛大臣のおっしゃるとおりで、四年前の出来事を正確に思い出せる人は恐らくいないと思います。私もそう思います。したがって、書類の流れがどうであったのか、その書類にだれの判こがあるのか、サインがあるのかということがやはり非常に重要になってくるというふうに思うんですね。

 中で、燃料班長は海幕防衛課員に指摘をしたと、この燃料班長だけの行動としては、指摘をしたというふうに明確に書いてあるわけですね。では、この、指摘をしたという事実として書いてあることが果たして本当に事実なのかどうかというのは、指摘をされた側が、そうだ、指摘を受けたんだということを確認しない限り、指摘をしたという事実には恐らくならないと思うんです、記述として。

 しかし、なぜか、指摘をしたということが事実として書いてある。しかし、指摘された側はだれかはわからないということでは、指摘を受けた側は、だれかが指摘を受けて海幕防衛課の中でいろいろな議論をしたから、指摘を受けたんでしょう、指摘を受けたんだという事実認定に至っているのかもしれませんが、私は、先ほども申し上げましたけれども、あらゆる書類の流れをもう一度正確に御調査いただきたいなというふうに思います。

 それはなぜかというと、六ページのウのところに「統合幕僚会議議長、海上幕僚長、海上幕僚副長、海幕防衛部長及び海幕装備部長は、本件給油量の誤りを認識していなかった。」と書いてあるんですが、この中で、給油量の誤りを認識できた、書類の流れによって、給油量の誤りを明確に認識できたはずの人が何人かいるんですよ。認識していなかったんじゃなくて、認識できたはずなのに認識しなかった、認識することを怠ったという人が何人かいます。それはだれですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 何をもって認識をできていたはずであるかということではあろうかと思いますけれども、この報告書によりますと、少なくとも海幕防衛部長に対する報告資料の中にそういった数字が含まれていたということは事実であろうと思います。

川内委員 海幕防衛部長と海幕装備部長は、恐らく、誤りに気づくことのできる立場にいたわけです。それはなぜかというと、書類に判こがあるからです。

 それは、日々たくさんの書類が回ってくるから、判こを押すのも、よくよく見ずに判こを押す場合もあるのかもしれない。しかし、判こを押すという行為は、それは、書類の中身を、自分としては、報告ならその報告を聞いたよ、了承したよということであり、上に上げるものであれば、これでいいよということで判こを押すはずでありますから。

 それを、この中間報告では、ただ単に、認識していなかったという非常に軽い書き方をするのは、私は、一番最後の部分に、文民統制に係る、本件は極めて重大な問題であると、重大な問題であるという割には何かちょっと軽い書き方をしていらっしゃるんじゃないかなということを指摘しておきたいというふうに思います。認識できたはずの人は、やはり、この人は認識できたはずだったけれども見落としてしまっていたとか、そういう報告をされるのが本当に正しい報告なのではないかというふうに思います。

 それでは、防衛大臣、最後に、そういうふうに書き直されたらいかがですか。どうですか。どう思いますか。

石破国務大臣 恐らく委員ならそういう御指摘をなさるだろうなと思って、ここの部分も相当省内ではかんかんがくがくの議論になったのです。

 これは、していなかったというのは、事実を述べております。していなかった。では、できる立場であるにもかかわらずやらなかったかといえば、それはもう本当に、何というか、スーパーマンのような、一日にそれは多分百何十枚という書類が回ってきて、判こを押すんだろうと思います。それで、判こ押しだけが仕事じゃありませんので、ほかのいろいろなこともしなきゃいけません。そこまで全部見て、最大の注意をもってすれば、それは見抜ける立場の人はいたのかもしれません。

 ただ、そこまでの能力、義務が要求されたかといえば、それはやはり、下を信頼してということもあるんだろうと思います。そこのところの兼ね合いの問題でございまして、できもしないことを要求して、おまえは責任をとれということもまたいかがなものかと思っております。そのあたり、どういうような責任のとり方にするか。

 もう一つは、書類を回しますときに、今は全部メールで回るということになっていますので、その場合に、判ことか受領印とか、そういうものをとらないことが今後多くなるだろうと思います。何をもって注意義務を果たしたとするか、何をもってその者が見る立場に置かれたとするか、これは相当に議論をしなければいけないことだと思っております。

 ここで認識しなかったと書きましたのは、事実のみを述べたものでありまして、では、その者がいかなる注意義務を有すべきであったかということまで、そこまでちょっと議論が詰まり切らなかったというところが現実であります。

    〔委員長退席、田中(和)委員長代理着席〕

川内委員 いや、大臣、誤解していただきたくないんです。私は、その人たちに責任をとらせろとか、だめだとか、そういうことを申し上げているわけではなくて、今回の事案がいかなる事案であったのかということを正確に防衛省の中で、あるいは海幕の中で分析し、今後に生かしていくとすれば、この人とこの人は知り得る立場にいたよねと。しかし、だからといって、それで責任をとれとか、そんなことを私は言っているんじゃないですよ。知り得る立場にはいたよねと、そのことは報告書の中にはっきりと書かなければ今後のことに生きないんじゃないでしょうかということを申し上げさせていただいております。

 それでは、次の論点に移らせていただきたいと思います。

 この前、外務大臣とちょっとやりとりをさせていただいたOEFに関して、我が国政府と米国政府との間でのOEFに対する国際法上の認識は一致しているということでありました。しかし、私は、それでは、米国がOEFにおいて拘束したテロリストを不法戦闘員としてグアンタナモ湾にあるキャンプ・デルタに収容し、軍事裁判にかけていることをどのように日本政府として御説明になられるのかということをお聞きいたしました。

 そのことについて御答弁をいただきたいと思います。

高村国務大臣 OEFの活動に伴いアフガニスタンで米軍が拘束した者の取り扱いについては、政府としてその詳細を知り得る立場にはありませんけれども、十一月一日の本委員会における委員の御質問を受けて、米政府に照会をいたしました。

 概要は、次のとおりであります。

 アフガニスタンで拘束された者の一部は、非合法的な敵の戦闘員としてグアンタナモに移送されている。なお、拘束された者のすべてがグアンタナモに移送されているわけではなく、圧倒的多数はアフガニスタン国内にとどめ置かれている。

 この非合法的な敵の戦闘員は、九・一一テロ攻撃を受けて制定された法律において、米国等に対して非合法的に敵対行為に従事している者、タリバン、アルカイダを含む、である旨定義されている。このように、非合法的な敵の戦闘員は、米国内法上の概念であって国際法上の概念ではない。敵対行為は、国際法上の自衛権の行使に当たる行動には限られない。

 非合法的な敵の戦闘員についての審理は、秘密の保護等の観点から、第一義的には、先述の九・一一テロ攻撃を受けて制定された法律により設置された米国国内の特別裁判所である軍事法廷で行われている。この軍事法廷は、軍規違反を裁く軍法会議とは別個のものであり、軍事法廷の判断については、米国の一般の裁判所で引き続き争う余地が残されている。

 このように米国から説明を受けております。

川内委員 済みません、後半以降がちょっと書き取れなかったので、もう一度、後半のあたりから読んでいただけますか。紙を下さいと言ったんですけれども、その紙をいただけなかったものですから、もう一度。

 いただいていいですか。いただけるんなら、いただいた上で、後でまたちょっと議論をさせていただきたいと思いますが。委員長、よろしいですか。

田中(和)委員長代理 はい、大臣がいいとおっしゃっていますから。

川内委員 この非合法的な敵の戦闘員というのは米国内法上の概念であって国際法上の概念ではない、敵対行為は国際法上の自衛権の行使に当たる行動には限られないと書いてあるんですね、限られないと。したがって、これはちょっと私もよくわからないんですけれども、もしあれだったら国際法局長から御説明をいただきたいんですけれども、このアルカイダを……(発言する者あり)そうです、そうです。非合法的な敵の戦闘員として捕らえたり、あるいは爆弾を落としたりすることは、自衛権の行使なんじゃないんですか。

小松政府参考人 アフガニスタン国内で不朽の自由作戦、OEFの名前のもとに米国、米軍等が活動してございますが、その国際法上の根拠は何かという御質問に対して政府がお答え申しておりますことは、先日の委員会でも御答弁いたしましたように、当初は自衛権の行使として始まったと。

 ただ、アフガニスタンにカルザイ政権が成立した後に行われている活動は、活動の形態としては、基本的には同じような活動をしているわけでございますけれども、その国際法上の性格は何かということを見ますと、基本的には、この領域国であるアフガニスタンが行うべき治安維持、回復の活動、これを補完的に行っているものと観念されると。

 このように観念される活動は、国連憲章第二条四項で禁止されている武力の行使には当たらず、したがって、自衛権の行使に当たること、または安保理の決定に基づくことを理由とする違法性の阻却を論ずる必要はない、つまり、基本的に国際法上は合法な活動であるということは、繰り返し御説明をしているわけでございます。

川内委員 自衛権の行使ではないということですか、この活動は。自衛権の行使ではないと明確に言い切るということですね。

小松政府参考人 当初、カルザイ政権が成立するまでは、自衛権の行使として、アメリカにつきましては個別的自衛権の行使、NATO諸国につきましては集団的自衛権の行使として開始されたと。カルザイ政権が成立いたしました以降は、国内で内乱に近い、騒擾に近い、非常に乱れた状況であるわけでございますけれども、この治安を回復し、維持するという責任は、基本的に正統政府であるカルザイ政権にあるわけでございますけれども、そのカルザイ政権の力が十分でございませんので、その同意、依頼、要請というものを受けて、そのための活動をしていると。

 したがって、そのような活動は、そもそも、国連憲章で禁止されている国際的な武力の行使ではございません、国際法上違法な活動ではございませんと。自衛権と申しますのは、基本的に、国際法違法である武力の行使を、特別な条件が満たされるためにその違法性が阻却をされるという違法性阻却事由でございますので、自衛権の行使ということで説明をする必要がない活動であるということを申している次第でございます。

川内委員 いや、私はよくわからないんですが、違法な武力行使だとは私も言っていませんよ。違法な武力行使だなんて言っていないんです。国際法上、違法性を阻却される事由として、自衛権の行使としてとらえるのではないですかと。これは自衛権の行使ではないとおっしゃるのですかということを聞いているんですけれども。

小松政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、違法性阻却事由でございますから、そもそも、違法でないものを違法性を阻却する必要はないわけでございます。国際法上禁止をされておりますのは、国連憲章二条四項に、これは明文で書いてございますけれども、各国はその国際関係において武力を行使してはならないということが書いてあるわけでございます。

 カルザイ政権が成立以降、アフガニスタンの非常に乱れている治安を回復し、維持するために行われている実力の行使というものは、これは、国際的な実力の行使ではなくて、国内の内乱、騒擾、これに対処をしている活動であるので、国際法上違法な武力の行使ではないということを申し上げているわけでございます。

川内委員 だんだんわかってきましたけれども、旧安保条約の中に内乱介入条項というのがあるらしいですけれども、これは、旧安保条約の中では、米国の集団的自衛権の行使ということで書かれていますね。

小松政府参考人 現在の新安保条約におきましては、在日米軍でございますけれども、これは御案内のとおり、その五条におきまして、日本国の施政のもとにある領域に対する武力攻撃に対処をして行動することができるということが書いてあるわけでございますが、旧安保条約には、それに加えて、日本国の大規模な内乱、騒擾に駐留在日米軍が対処をすることが、日本国の明示の要請に基づいて行動することができると書いてあったわけです。

 まさにそれと、国際法上は、今OEFで、カルザイ政権が成立以降やっていることは基本的に同じことであるというふうに考えております。(川内委員「集団的自衛権と書いてあるんですけれども」と呼ぶ)それは集団的自衛権ではございませんで、まさに、本来であれば日本国政府がやるべき治安維持の活動を、当時は日本の力が非常に不足していたわけでございます。警察予備隊、自衛隊ができても、治安出動というのがあっても、それでも対処できない場合に米軍にお願いすることは可能だと書いてあった。非常に幸いなことに、それが発動されたことはございませんけれども、法的に、国際法上は同じに観念できるというふうに考えております。

川内委員 続きはまたあしたさせていただきます。ありがとうございました。

田中(和)委員長代理 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私も、前回の質問に続いて、海上自衛隊の活動がどのような調整を経て行われてきたか、これについて聞きます。

 三十一日の本委員会で、高見澤運用企画局長は、個別具体的な洋上補給の調整、これについて、「バーレーンに派遣をされております海上自衛隊の連絡官が、米第五艦隊司令部から補給対象艦艇の運用計画を聞きまして、その後に、海上自衛隊の艦艇、それから補給対象艦艇の運用計画をもとに、相互の都合に合わせて調整を実施している」、このように答弁をいたしました。この運用計画というのはどういうものですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 一般的に申し上げまして、艦艇の運用計画には、個々の艦艇の行動予定や大まかな活動海域といった情報が含まれているわけでございますけれども、そういったものが含まれている運用計画というものが存在をしておる、それに基づいていろいろ調整をしているということでございます。

赤嶺委員 運用計画、これを作成するのはだれですか。第五艦隊司令部、そういう理解でいいんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 補給対象艦艇の運用計画につきましては、コアリションの司令部、アメリカの第五艦隊司令部が作成しておるということでございます。

赤嶺委員 OEF・MIO、これにアメリカ以外の各国の艦船も参加しています。こうした各国艦船との調整、これはだれがどのように行うんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 コアリションの司令部でありますから、その司令部の中において、関係の国の調整も含めながら全体の運用計画というものが示されるというふうに承知をしております。

赤嶺委員 これも第五艦隊司令部が行うということになるわけですね。

 それで、日本に提示されるのは、インド洋で活動する艦艇のすべての運用計画、これですか、あるいは補給対象艦艇の計画、これだけですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 私どもが入手しております情報というのは、海上自衛隊の艦艇の洋上補給の調整等に必要な範囲でございます。

 具体的にどういった内容かということになりますと、コアリションによりましてこの部分は秘密に指定されておりますので、具体的にこうだということはちょっと申し上げられないところでございます。

赤嶺委員 インド洋にはたくさんの艦艇が展開しているわけですけれども、補給対象艦艇の計画だけということになりますと、日本は具体的に何を見ることができるのか。さっき、海域は知ることができるんですね。その艦艇の具体的な作戦行動、これまで知ることはできますか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 あえて申し上げますれば、一般的に艦艇の運用計画には、個々の艦艇の行動の予定、それから、先ほど先生が御指摘になりましたように、大まかな活動海域といった情報は含まれております。

赤嶺委員 海域は含まれているけれども、補給対象艦艇の行動予定、これしか日本は見ることができない。

 その艦艇の作戦行動、これまで知ることができますか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 私どもがバーレーンでいろいろな調整をやって実際に給油を実施しているような場合には、そういった艦艇がどういった任務に従事するのかというようなことは確認をして、その上で実施をしているというのは、累次この国会で答弁させていただいているところです。

赤嶺委員 作戦行動を知ることができる、これはこれで、この答弁、置いておきましょう。

 それで、他国の補給艦に給油する場合、その補給艦がその後どの艦船に給油するか、これを知ることはできますか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 補給艦に対する補給の場合に、具体的にその補給艦がどういった艦艇に給油をするかというようなところは、私どもの給油活動との関係だけではなくて、全体の、その補給艦の持っております燃料の量でありますとかいろいろな関係になってまいりますので、私どもとして、個々の補給艦がどういった艦艇に具体的に補給をするかというようなことの一々について承知をしているわけではございません。

赤嶺委員 さっき作戦行動について知ることができると言ったものですから、それまで、補給艦が補給した補給艦が次にどの艦船に補給することまで知ることができるのかなと思ったら、知らないということでありますが、空母に間接的に給油した場合に、その空母の艦載機がアフガン南部に飛んでいくのかあるいはバグダッドに飛んでいくのか、それはわからないということなんですね。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 私ども、ペコスの件で、キティーホークに対する間接給油の議論がございましたけれども、補給艦に対する補給をやった時点で、個別の補給艦がどういった艦艇にいつどのような形で補給をし、その中に空母が含まれてくるのかというような細部の一々についてまで承知をしているわけではないというところは、先ほど申し上げたとおりでございます。

赤嶺委員 だんだんあいまいな世界に入っていきますけれども、補給対象艦艇がOEF・MIOに従事しているかどうか、これは日本にとって大事な問題ということになるわけですが、どうやって確認するのかとこの間聞きましたら、高見澤局長は、「それぞれエリア的に当該艦艇がどういった任務を負っているのかというふうなことを確認して実施をしておる」、このように答弁いたしました。

 要するに、政府の言う確認するということの意味は、補給対象艦艇の海域を見て連絡官が自分で任務を判断する、そういうことですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 前回の委員会で私が申し上げさせていただきましたのは、当該艦船がテロ特措法に規定する諸外国の軍隊等の活動を支援する、それに従事しているという確認のために必要な情報というのは、私自身もある程度持っております。それは、実際に補給をする場所というのは私どもも把握しておるわけでございますし、実際にその補給をする量というのも確認をできている。その当該海域から見て、あるいはその後の行動の予定がどうかというようなことを総合的に判断してやっているというふうな趣旨のことは申し上げているかと思います。

 それから、それがまた補給艦ではなくて一般的な艦艇であれば、そういった船の状況というのはそこで特定されるわけでございますから、それはそれ相応にわかっておるということで申し上げたかと思います。

赤嶺委員 海域を見てということになるわけですね。

 前回の質問の中で、補給対象艦が対アフガン以外の任務についているかどうかについて基本的には確認していない、こういう答弁がありました。口頭で確認する場合もある、そういう場合も説明がありましたが、あくまでも口頭で確認するというのは、対アフガン任務についているかどうか、これを確認するということでいいわけですね。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 前回、たしか運用計画に基づいて調整をするというような話をさせていただいたと思いますけれども、この運用計画というのは書面等により得ることもできますし、また、必要に応じて海上自衛隊の連絡官から他国の連絡官に対して個別に口頭で話をする、あるいはメールをするとか電話をするとか、いろいろなやりとり、聞き取りをすることによりまして調整をしておるということでございます。

赤嶺委員 これまでのバーレーンの調整において、テロ特措法の趣旨に合致しないということを理由にして給油の要請を断った事例、これはありますか。

高見澤政府参考人 お答えをいたします。

 いろいろな調整があるわけでございますけれども、実際に、当初の運用計画の中にあったものについて、具体的な給油量というようなものが私どもの活動との関係でこれはいかがかというようなことがありまして、そういった変更を伴った調整を行ったということはございます。

赤嶺委員 高見澤局長、私が聞いたのは、テロ特措法の趣旨に合致しないということを理由に給油の要請を断った事例はあるのかと聞いているんですが。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 いろいろな過程でいろいろな調整が行われておりますし、私どもとしてテロ特措法の趣旨についてはいろいろな司令部の関係者にも十分説明をしておりますので、そういったことが、あらかじめOEFの関係でないような調整というものが来て、それを明示的に断った例があるというふうには承知はしておりません。

赤嶺委員 断った事例はないということであります。

 では、ちょっと別の角度から、資料をきょうは配付いたしました。これはイギリス軍のホームページ、公開されているものであります。OEF・MIOの指揮系統についてまとめた図であります。

 この図に沿ってちょっと聞きたいんですが、これを見ますと、CFMCC、いわば第五艦隊司令官ということになりますが、アメリカの中央海軍司令官兼第五艦隊司令官のもとに、CTF158、CTF152、CTF150、このようにあります。CTFというのは合同任務部隊ということになるそうですが、この三つのCTFの任務、そして編成、これについて説明していただけますか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの私の答弁で、誤解を招くといけませんのでちょっと訂正をさせていただきます。

 いろいろな形で調整が行われておりますけれども、結果的に給油を行わなくなったケース、給油量の変更にとどまらず、結果的に給油を行わなくなったケースというのは調整の過程で生じているということでございます。

 ただ、何分、給油を行わなかったというケースでございますので、こういう形でこういうぐあいに断ったというふうなものがきちっと確認するような形で残っているわけではございませんけれども、要は、いろいろな形で給油量にしましても真剣な調整をしているということでございますので、その点は改めて申し上げます。

 それで、今御質問のCTF150、それから152、158でございますけれども、いわゆる連合の海上構成部隊というものは、この三つを多国籍部隊として配しております。

 そして、CTF150につきましては、OEFを支援するものとして、テロリストによる攻撃や人員、武器等の輸送を阻止することを任務としているというふうな記述がございます。それから、CTF152につきましては、これに加えまして、OEF及びOIFの支援も任務としているということで、CTF152につきましては両方あるということでございます。それから、CTF158につきましては、OIFに寄与する活動を行っているというふうに承知をしております。

赤嶺委員 先ほどの、そういういろいろな調整の努力はしているんだが、テロ特措法の趣旨に合致しないことを理由に給油要請を断った事例、これは知らないということですよね。ないということから知らないということに変わっているだけの話で、それはそのように確認しておきたいんですが。

 今、CTF158、これはテロの任務は持っていないんですか。

高見澤政府参考人 お答えをいたします。

 CTF158につきましては、ペルシャ湾の北部におきましてイラクの石油ターミナル周辺の治安維持等を行うということでございますので、その治安維持の中に、当然、いろいろな海上警戒もありますでしょうし、仮にそういったテロのような事態が生じていれば、それに対しての対応措置はとるというふうに思いますけれども、このCTF158の任務として明示されておりますのは、イラクの石油ターミナル周辺の治安維持等であるというふうに理解をしております。

    〔田中(和)委員長代理退席、委員長着席〕

赤嶺委員 第五艦隊のホームページを見ますと、OEFにかわってMSOという言葉が、文字が入っているんですが、MSO、すなわち海上治安作戦、これはどういうものでしょうか。そして、OEF・MIOとどういう関係にあるんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 確かに、ホームページには、マリタイム・セキュリティー・オペレーションという言葉がございますけれども、これは海上阻止活動をも含む概念であって、海上における安全のためのさまざまな活動を含み得るものだというふうに理解をしております。

赤嶺委員 まさにさまざまな安全の活動。第五艦隊のホームページを見ると、MSOというのは、テロ対策を言いつつ、安全で安定した海洋環境のための条件づくり、それから、二、地域の各国によるテロの対策と安定化努力への支援という、非常に幅広い活動を挙げているわけです。

 この点からいっても、米軍は活動目的、MSOとやっているわけですが、テロ対策だけに限定していないということでいいですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 マリタイム・セキュリティー・オペレーションズというのは、確かにいろいろなホームページでも書いてありますように、先ほど申し上げましたような海上阻止に係るいろいろさまざまな活動をきちっとホームページにも書いてございまして、そういう意味で、MIOを中心とする概念であるというふうに思っておりますけれども、それだけに限定されるものではないというのが、概念上の整理としてはそういうものだろうと思っております。

赤嶺委員 第五艦隊司令官と三つのCTFの関係、こんなふうに図になっているわけですが、この関係、どう理解すればいいんでしょうか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 このCTF150でありますとかCTF152とかCTF158というのが現在あるわけでございますけれども、それぞれ設立の時期も違いますし、それぞれの活動海域といったものもそれぞれに決まっておる、常に固定的なものが定まっているわけではないというふうに理解をしておりますけれども、関係ということでいえば、第五艦隊のもとにそれぞれミッションを持って、それぞれの活動海域、それぞれの任務を持って、それぞれ異なった時期に設立をされたものであるというふうに理解をしております。

赤嶺委員 もとにあるというのは、つまり、指揮下にあるということでいいんですね。

高見澤政府参考人 そのように理解をしております。

赤嶺委員 そうすると、この三つのCTFというのは、第五艦隊司令官と関係なく自由勝手に行動しているわけではない、そういうことですね。

高見澤政府参考人 お答えをいたします。

 これは海上作戦の特に特性かというふうに思いますけれども、厳密に言えば、いろいろな部隊編成の仕方をしておりますので、どの立場でそういった全体の指揮に当たっているかということがあろうかと思いますので、先生が御指摘になっていますように、アメリカの第五艦隊ということで、何でもかんでもアメリカの立場で指揮をしているということではなくて、まさに先ほどからコアリションというふうに申し上げておりますけれども、そういった立場でなっているというふうに理解をしております。

赤嶺委員 ですから、司令官の指揮下と別に自由勝手に動くということは、これはできないわけですよね。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから申し上げていますように、コアリションの司令部の中には、いろいろな国からそれぞれの連絡官が派遣されておりますし、またそれぞれのCTFの指揮官というのも、アメリカ人だけではなくて、いろいろな国の人たちがついているわけでございまして、そういったコアリションのいろいろなルールにのっとって、調整をしながら運営が行われている、作戦運用が行われているというふうに理解をしております。

赤嶺委員 政府の立場からしますと、日本が支援できるCTF、この三つのうち、どれですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 まず、法律上の問題としてどうかということになりますと、まさにテロ対策特措法の趣旨にのっとってやっているというところでございますので、個別の、ある特定の時期にできた特定の部隊であれば必ずいいとか、法律の趣旨として、これだけに限定されるとか、そういった関係にはならないというふうに思います。もともと、CTF150の設立時期とか、そういったことを考えますと、そういう整理になろうかと思います。

 それで現実に、しからば運用上どういうことであるかといえば、私どもが理解をしておりますOEFであるとかOEF・MIOという関係で申し上げれば、少なくともCTF150あるいはCTF152というのはそういったミッションを持っているということは申し上げられるかと思います。

赤嶺委員 CTF158もテロの任務を持っているんじゃないですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 CTF158に参加している船の運用態様が、実態的にはテロの関係に対しての阻止活動というようなことも入り得ると思いますし、またイラクの海上作戦ということですから、まさにインフラの防衛等に必要な作戦ということでは海上阻止的な活動というのも、その運用の実態としては存在をしているということだろうというふうに思っておりますけれども、私どもとしては、実際の活動海域がどこであるかということは別として、実態としてOEFなりOEF・MIOの活動をしているかどうかというのが、現在の運用では一つのメルクマールになっているということで御理解をいただきたいと思います。

赤嶺委員 そうすると、CTF150、152、158、法の趣旨を実態として満たしておれば、それは給油できるということですね。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 CTFの158につきましては、現在の編成されております任務というようなことからいたしまして、その運用上の問題として、あらかじめCTF158に属しているような艦艇に対する私どもの燃料の補給というのは、運用上の問題としては少なくともやっていないということでございます。

赤嶺委員 運用上の問題はともかく、158もイラクの石油ターミナルの安全維持にプラスしてMSOの任務を持っております。ですから、法的にそういう実態を備えておればできるということなんでしょう、あなたたちの立場として。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 法律上の問題として、テロ対策特措法の趣旨に沿った運用というものが、作戦というものがどういうものであるかというのを網羅的に、限界を示すというのは難しかろうと思いますけれども、これまでも、テロ特措法に従ってやってきた私どもの補給活動というのは、例えばペルシャ湾においては基本的に例外的なものを、先ほど委員会で大臣から答弁がございましたけれども、そういったものをやらないというような形で、運用上は非常に、テロ特措法の趣旨というものをより的確に運営できるような形でやらせていただいているということでございます。

赤嶺委員 運用上はという答弁を繰り返していますけれども、いわばテロの任務を持っているわけですよ、ペルシャ湾北部で活動しているCTF158も、それからペルシャ湾の中部、南部で活動しているCTF152も、そしてインド洋で活動しているCTF150も。すべてMSO、これは三つのCTFに共通する任務として持っているわけですね。だから、今まであなた方が言ってきた説明によると、できるということになるんじゃないですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 CTFの158につきましては、その設立時期あるいはその任務というものからいたしまして、私どもとしては、テロ対策特措法以来、いろいろな形で運用しているわけでございますけれども、少なくとも、CTF158に所属する艦艇で、そういった行動があらかじめわかっている艦艇に対しては給油を実施していないということを、たびたびでございますけれども申し上げているところでございます。

赤嶺委員 CTF158だからやっていないんですか。それとも、それがMSOの任務を持つと、あなた方の説明で、複数の任務を持つことはあり得ると言ってきたじゃないですか。いかがですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、CTF158の任務というものを見ますと、MSOもあるわけでございますけれども、イラク海軍の育成でありますとか、イラクの重要インフラ、オイルターミナル等の防護というのが中心になっておりますし、活動海域もペルシャ湾北部ということになってございますので、そういった全体の状況を見て、私どもの運用として、そういった艦艇に対する補給活動というのは実施していないということでございます。

赤嶺委員 法律上可能な話が運用上やっていない、こう説明されても、委員長、よくわかりません。やはり、CTF158、CTF152、CTF150、これらについて、きちんとした政府の見解、できる、できない、CTF158は法的にも運用的にもできないのか、できるのかということも含めて、文書で示していただきたいと思います。理事会で協議していただけますか。

深谷委員長 この件で答弁ありますか。

 それでは、理事会で協議します。

赤嶺委員 先ほどの私の質問に対して、明確なお答えがいただけません。

 しかし、政府は新法で補給対象をテロ対策海上阻止活動に限定すると言いますけれども、今回、この間繰り返されてきた複数の任務を持つ艦船への給油を認めるということは、およそ米軍がインド洋で行うあらゆる活動、これを支援するということになるのではないかと思いますが、防衛大臣、いかがですか。

石破国務大臣 そのようなお考えにはなり得ないものと思います。

赤嶺委員 インド洋で活動する米軍の艦船で、テロの任務を持っていない、そういう船がありますか。

石破国務大臣 個々の船全部について承知をいたしているわけではありません。

赤嶺委員 結局、複数の任務を持てば給油ができる。その作戦行動について、運用計画の中でも作戦任務について日本は知る立場にはない。しかし、こういう法律が続いていけば、これはテロ対策支援法ではなく白紙委任の米中央軍海軍支援法、第五艦隊支援法と言わざるを得ない。そういうことを申し上げて、引き続きこの問題については、きょうは明らかにならなかった部分も含めて質問をしていきたいと思います。

 以上で終わります。

深谷委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 前回の質問に引き続きまして、お伺いをしたいと思います。

 本委員会では、野党の皆さん、もうたくさん質問されておりますけれども、さまざまな立場があります。さまざまな立場があって、私たちは、この法案、それから六年前にはアフガンへのアメリカを中心とした攻撃自体にも反対をする立場でした。それから、そういう行動には理解を示すが、しかし本法案には賛成できないという立場、野党の側にもさまざまな意見があることがわかってきました。

 ただ、一点、情報公開、それから日本が給油した油が一体どこに使われるかという点ははっきりと明らかになるようにすべきだという点は、最大公約数の本法案に対する反対の立場だと思います。そうですよね、皆さん。

 そこで、石破大臣にお伺いします。

 前回、いつ、どのような目的で、どれだけ使うかということについて、どれだけ記録に残せるかということは検討し、できれば早い時点で、こういう形でいきたいということを明らかにしたいと、先週私への答弁でありました。ここが明らかにできるのかどうかなんですよ。いかがですか。どういう段取りで明らかにするようにしようとされていますか。

 何か、あした採決をしたいというような話も出てきているようなんですけれども、この点が明らかにできずに、採決なんかとんでもないと思いますよ。いかがですか、大臣。

石破国務大臣 採決については、政府側から申し上げるべきものではなく、なるべく早くお願いできればうれしいなと思っておるだけのことでございます。余計なことを申しました。

 それで、何に使われたかということが明らかになるための手段でございますが、今は私ども、テロ特措法も切れました、そういうような関係で、そういう調整が具体的に現地で各国と行える状況にございません。

 その上で、文書にして残すかということは一つあるんだろうと思います。文書にして残す。単なる口頭の確認ではなくて、先ほど来答弁を申し上げておりますが、どのような運航を行うのか、活動海域はどこか、それは何に従事をするのか等々、それを文書において確認し、お互いがそれを交わすみたいなことを一々することが技術的に可能なのかということでございます。

 相手のあることでございますので、日本としてこういう形にしたいということが向こうにまだ申し上げられる段階ではございません。また、交換公文をどのようにするかということも、法律の行方ともかかわってまいることでございますが、いずれにいたしましても、口頭の確認ではなくて、何らかの文書的な確認をなしたいというふうに思っておりまして、どのような内容を盛り込むかについて検討をこれから行いたいと思っております。

辻元委員 これは、野党の各党が問題にしている点であると思います。ですから、そこをやはり本委員会に示していただかないと、何にも前には進まないと思います。

 さて、そこで、高村大臣にお伺いします。

 きょうの御発言の中で、高村大臣は、OEFの法的根拠を午前中に民主党の委員が質問されました、この中でこうお答えになっています。OEFについては、領域国の中で警察行為、治安維持に協力というような御認識をこの前から示していらっしゃいます。そして、ISAFについての質問に対しましても、ISAFの活動もアフガニスタンの領域内でアフガニスタンの同意をとってやっているという御認識をきょう示されました。

 そこで、お伺いします。

 現状、六年間さまざまな変遷がありましたけれども、高村大臣の御認識では、今ではOEFもISAFも、アフガニスタンの国内では、アフガニスタン政府との関係でいえば、同じような法的根拠を持って存在しているというお考えでこのような御発言をされたんでしょうか、大臣。

高村国務大臣 アフガニスタンにおいて対テロ作戦を含む治安の回復等のための活動を行うOEFと、アフガニスタンの治安維持について同国政府を支援することを任務とするISAFとでは、目的や任務には相違があるわけであります。指揮命令系統も相互に独立しているわけであります。

 ただし、双方はいずれも、アルカイダ、タリバン勢力等によってもたらされている脅威に対するアフガニスタン政府の取り組みに寄与しており、両者は緊密に協議しつつ活動を調整しているものと承知しております。

 安保理決議第一七七六号もそのことに言及し、両者の間の協議の重要性を指摘しているところでございます。

辻元委員 今の御答弁の中に、目的、任務については違うという御答弁がございました。どのように違いますか、それぞれ。

高村国務大臣 ISAFについては、治安維持もありますけれども、その他、民生支援等もその中でやっていると承知をしています。

辻元委員 そうしますと、私は、どう考えても、今回のこのアフガニスタンで起こっていること、今までになかったことじゃないかと思うんですね。特に、OEFの存在している法的根拠を何人もの議員が質問しています。

 私は、今後こういう、はっきり言ったら、アメリカが個別的自衛権の行使で始め、そしてNATOが集団的自衛権の行使で参加し、ずるずるいっているように思うんですね。ずるずるいっている結果、アフガニスタンと話し合いをしているとか、ボン合意に基づいてカルザイ政権ができて、カルザイ政権との関係でと言っているけれども、こういうような形で外国軍が、はっきり言って現場でやっていることは武力行使ですよ、やるような前例をつくることはよくないと思っているんです。

 これは六年前の本委員会でも指摘してきたところなんです。六年前の十月十三日、まだこの法律が、旧法が成立していないとき、私は質問しました。当時、ブッシュ大統領の発言の中に、一年かかろうが、五年かかろうが、十年かかろうがやるんだという発言が出ていると。まだアフガニスタンの攻撃が始まっていませんでした。

 そこで、私は、このとき指摘したのは、個別的自衛権の発動というものは、国連憲章五十一条に基づいて、当分の間、国連での対応をするまでの当分の間しか個別的自衛権の行使も認められていないじゃないか、五年かかろうが、十年かかろうがというような発言がブッシュ大統領の言葉から出てきているのはおかしいと。そういう形で、その後の事態を見ていると、自分の国が、これはアメリカです、がんがん攻撃されているのではないのに、個別的自衛権ということで戦争を始めてしまって、そして、その後、収拾がつかなく、ずるずるいったらどうするのかという点を指摘してきたんですよ。ですから、ここの点を物すごく、私はこの間の事態を見て憂慮しているわけですね。今は私はずるずるいっていると思います。

 さてそこで、引き続き、ちょっと素朴な疑問ですけれども、高村大臣にお伺いしたいんですが、警察行動と、それからアフガニスタンの中で起こっていること、例えば空爆をしたりしていますね、実際に。私は、これは武力行使だと思うんですよ。警察行動と武力行使というのは一緒ですか、違うんですか、どうですか。

高村国務大臣 今行われているのは、国際的武力行使ではないということであります。

 警察行為、治安維持の活動においても、相手の力が強いときは、それは態様としては武力行使と変わらないような態様になることもありますけれども、これは理念的に国際的な武力行使とは違う。理念的には、治安活動の一環として、カルザイ政権が治安活動、警察活動をするそのお手伝いをしている、こういうふうにとらえられる、こういうことであります。

辻元委員 先ほどからの御答弁も、アフガニスタンの治安維持活動の補完活動と、補完という言葉をお使いになっております、政府の答弁は。

 そうしますと、さまざまな事例、誤爆が起こります、人が死にますとか、それから先ほど敵の戦闘員という言葉も出ました。ということは、アフガニスタン、主体的にはカルザイ政権が主体であって、それの補完ですから、さまざまなことをアフガニスタンの国内法で裁くことになると思います、いろいろな問題は。

 では、今、さまざま、この戦闘行動などにまつわる、例えば一般の市民がいきなり撃ち殺される、こういうことは、すべてアフガニスタンの中の国内法で処理していると考えていいんですか、いかがですか。補完ですから、そういうことですか、大臣。

高村国務大臣 国内法で処罰されることもありますし、アメリカがみずからつくった国内法でアルカイダの人たちを捕まえてやっているということは、先ほどお答えをしたとおりでございます。

辻元委員 先ほど、多分アメリカから取り寄せた答えの訳だと思うんですね、ですから、敵の戦闘員という、川内委員の質問に対して敵の戦闘員という言葉が出てきました。このアメリカからの答えの敵というのは、だれとだれが敵対した敵ですか。

小松政府参考人 アメリカの国内法でございますので、委員の御指摘のとおり、非合法的な敵の戦闘員というのは英語の訳で、私どもで日本語の仮訳を作成したものでございます。これが意を得ているかどうかということは私も一〇〇%自信があるわけではございませんが、もともとの英語は、アンローフル・エネミー・コンバッタントというのがアメリカの法文でございます。

 そのアンローフル・エネミー・コンバッタントというのがどのように定義されているかということにつきましては、先ほど大臣がお答えを申し上げましたように、米国など、米国及び米国とともにテロと闘っている国、これに対して非合法的に敵対行為、これは英語ではホスティリティーズという言葉を使ってございますが、アメリカであるとかアメリカとともに闘っている国に対して非合法的に敵対行為を行っている、そういう敵対行為に従事している者、それはタリバンとかアルカイダの構成員を含むんだというふうに書いてございますが、大体そういうような感じで定義をされております。

辻元委員 そうすると、先ほど、アフガニスタンのカルザイ政権との関係でいえば、補完的な活動と言っているわけです。そうしたら、敵についても、どうしてアメリカ国内法で裁くんですか。

小松政府参考人 刑罰法規につきまして管轄権が競合するということは、国際的に、この事例に限らずいろいろあるわけでございまして、まさに、在日駐留米軍が、日本で米軍の構成員が起こした犯罪、これも、アメリカもアメリカ軍法に基づく管轄権を持っておりますし、それから、日本はもちろん、日本の領土の中で犯罪が起こるわけでございますから、日本の刑法に基づいて管轄権を持っておる。そこで刑法上の管轄権が競合するという事態になるわけでございまして、地位協定でその競合する管轄権の調整、これは公務執行中の行為であれば米軍の裁判権の方が第一次裁判権を持っている。しかし、公務執行中の行為であっても、日本はホスト国として日本の刑法、これは第二次裁判権ということであるわけでございまして、こういう競合があるということは、特に目新しいことではないというふうに理解しております。

辻元委員 今、事例にお挙げになったことと性質が異なると思います、私は。(発言する者あり)そうです、今質問しようとしたら他人が先に言ったんですけれども。

 それでは、カルザイ政権と米軍、アメリカとの間にそのような協定があるんですか。どういうことかといいますと、米国の軍事法廷で裁いているわけですよ。これは結局、カルザイ政権の治安や警察活動の補完行動としてやっているというのであれば、アフガニスタンの国内法で第一義的には裁く敵であるわけです。それを全部でしょう。アメリカの国内法、それも軍事法廷で、秘密でやっているわけですよ。

 それで、軍事法廷でやるということは、これはアメリカは戦争であるというように見ているということじゃないですか。大臣、いかがですか。大臣、どうですか。

小松政府参考人 幾つかの点を御質問になりましたので、網羅的にお答えになるかはわかりませんけれども、まず、今の御質問の中で、アフガニスタンでOEFの活動に伴って拘束した者、みんなアメリカに連れていって拘束しているんじゃないか、こういう御指摘がございましたが、これは先ほど、川内委員の質問に対する答弁の中で高村大臣の方から、アフガニスタンで拘束された者の一部は、非合法的な敵の戦闘員としてグアンタナモに移送されている、なお、拘束された者のすべてがグアンタナモに移送されているわけではなく、圧倒的な多数はアフガニスタン国内にとどめ置かれている、こういうふうに御答弁になっているところでございます。

 それから、刑事裁判管轄権の競合がある、これを調整するために、地位協定のようなものがあれば、もちろんこれは望ましいわけでございますが、地位協定がなければ全くいかぬのかということは、そういうわけではないわけでございまして、それぞれ裁判権が競合して存在しているわけでございますから、そこを米国とアフガニスタンが事実上のお話し合いをしてどのように処理するか、これは全く排除されていないわけでございます。

辻元委員 そうしましたら、ちょっと観点を変えまして、ジュネーブ条約との関係はどうなっているか、大臣にお伺いしたいと思います。

 今のOEFの活動、これはジュネーブ条約の適用をされるという御認識ですか、いかがですか。

高村国務大臣 国際法上の戦争ではありませんから、直接適用されるということにはならないかと思いますが、要するに、人権を守る規定でありますから、このような種類のものについてはできるだけその趣旨は尊重されるべきことだと思っています。

辻元委員 今おっしゃったこのような状況のことというのは、どのような状況のことですか。

高村国務大臣 先ほどから言っていますように、まさに治安警察活動と理念的には解されても、外形的には武力行使と変わらないような大規模なものが行われている。そういうような状況の中で、タリバン、アルカイダとアメリカあるいはOEFの各部隊との闘いの中で、ジュネーブ条約に言われる捕虜ではなくても同じような状況になった人たちには、できるだけそういうジュネーブ条約に定められているような人権保護上の趣旨は準用されるべきだ、そういうふうに考えております。

辻元委員 そうしますと、最初、個別的自衛権の行使でアメリカが、これは戦争です、始めた。そして、カルザイ政権ができた。この間は明確にジュネーブ条約が適用されていると考えていいんですか。それ以後切りかわったという理解ですか。

小松政府参考人 大変に技術的な御質問でございますので、私の方から御答弁をさせていただきますが、ジュネーブ条約、今外務大臣から御答弁いたしましたように、米国が捕捉をいたしましたアルカイダ及びタリバンの抑留者に、これは自衛権を行使していた当時、この取り扱いについて、これらの抑留者はジュネーブ条約上の捕虜とはならないという見解を表明しているところでございまして、これは委員も御承知かとも存じます。

 例えば、二〇〇二年の二月七日、当時のフライシャー・ホワイトハウス報道官は、次のような法的理由でアルカイダ、タリバンについてはジュネーブ条約上の捕虜とならない、こう言っております。

 タリバンとアルカイダについては理由が違うと言っておりまして、タリバンにつきましては、米国はタリバンを政府承認していないが、アフガニスタンはジュネーブ条約の締約国であるので、タリバンのメンバーは条約の適用対象となる、こう言っているわけでございます。しかしながら、タリバンのメンバーは、次の理由により同条約の捕虜資格を満たさないので、ジュネーブ条約第三条約上の捕虜とならない。まず、タリバンは、自己と文民たるアフガン市民とを実効的に区別していない。それから、タリバン兵は、アルカイダという不法なテロリストを意識的に受け入れ、支持してきており、国際的な法規と慣例に従って行動していない。つまり、これがジュネーブ条約第三条約第四条に申します捕虜の定義に当たらないということを言っているわけでございます。

 次に、アルカイダでございますが、アルカイダは国際的なテロリストグループであり、ジュネーブ条約の締約国と考えることができない。したがって、アルカイダのメンバーは、同条約の適用対象とならず、同条約上の捕虜資格を満たさないので、同条約上の捕虜とはならない。しかし、こういった抑留者であっても、最低限人道的な扱いをしなければならないんだということを言っているところでございます。

辻元委員 今私が御質問しましたのは、捕虜の扱いに関することではないわけです。文民の保護。例えば一般の市民は、大臣、かなり亡くなったりしているわけですね。御承知のとおりですよ。

 アメリカの……(発言する者あり)何ですか。静かにさせてください。ぶつぶつぶつぶつと、失礼ですよ。

 例えば、日本から行っている、援助活動をしているスタッフの御家族がいきなり誤射されたという話を実際私も聞きましたし、それから、例えばこういう事例もありました。

 パキスタンとの国境地帯で、特攻兵というか米軍の車両に突っ込んでいく人がいた、残念ながら。しかし、ほとんど、爆薬は殺傷力が小さいものだった。ところが、仰天した米兵が突然群衆に向かって撃ち出して、十七人がその場で即死した。それに対してみんなが怒り、外国人は出ていけ出ていけと悪循環になっている。米軍は、イスラム過激派のテロで十八人死亡と発表した。これは、本委員会でもよく名前が出てきている中村哲さんが、自分の体験に基づいて発言されているんですね。これは非常に憂慮されているわけです。

 そうすると、こういう文民の保護というのもジュネーブ条約の対象外になるのか。そうしたら、一体どう保護されるのか。

 例えば最初の事例で、スタッフのお母さんが撃たれたときに、米軍に抗議に行った。そうすると、米軍は、こういうことは日常茶飯事だから一々調査をしていられないと言われた。こういう状況がアフガニスタンの中で、これは一、二件の事例ではないと思うんですね。そうすると、先ほどから捕虜の扱いについても、ほかの方がどういう扱いになっているのかというふうに、ジュネーブ条約の関係で今御答弁もあったり、質問もされていますけれども、文民の扱いがどうなるのかということなんです。一体、アフガニスタンで何が起こっているのか。

 そして、大臣は、先ほどの御答弁ですと、外形的にはやはり戦争というか武力行使と。でも根拠は、先ほどるる御答弁されているようなことで、私は納得はなかなかできませんけれども、起こっている実態は戦争ですよ。こういう形でOEFが行われている。これを、ここでちょっと立ちどまって考える。

 きのうの参考人の御発言の中でも、NATOの中で、これはクローズドの会議にして、本音で議論しようじゃないかということで、かなり辛らつな議論がされているようです。どのように軌道修正していくのかと。これは、どのようにOEFを店じまいしていく方向で進めることができるのかという、軌道転換の時期だと思いますよ、大臣。

 ですから、私は、あと数分しか時間がありませんけれども、これをカルザイ政権の補完活動だ、だから中身についてよく検証しなくても、外形的な条件はそうなんだから認めるんだというようにするのか。その中身について、一つ一つ今アフガニスタンで行っていることを点検していかないと、私は歴史に恥じると思います。こんな形で他国に武力行使を容認していく社会にしたいんでしょうか。

 今までは、少なくとも国連で決めた。それについて、PKFもありました。PKFでも、スーダンの事例なんかは大失敗だったわけですよ、武力行使し過ぎて紛争が拡大してしまった。さまざまな経験をしていますけれども、今回のOEFのような形というのは、これは初めての事例だと思います。ですから皆、法的根拠はどうなんだ、ここで日本でも本音で議論した方がいいと。NATOでもやっていますよ、大臣。

 これは私は戦争だと思います。ですから、そういう中身について大臣はいかがお考えですか。このまま突き進んでいいのか。暴力の連鎖ですよ。

 ですから、その点をお聞きしたいことと、もう一点、懸念しているのがパキスタンへの飛び火です。私は、六年前の質問でも、問題はパキスタンだという質問をしました。特に、トライバルエリア。そこまで行きました、私は六年前に。だれも入れない。

 そして、パキスタンも結局、パキスタンはイスラム国ですから、日本と一緒ですよ。イスラム国もこのOEFに参加しているということをやはり実態的につくらなきゃいけないということで、アメリカが誘ったんですよ。でも、アフガニスタンの陸上には行けないから、何とか海でと。日本とよく似ています。しかし、今ムシャラフ政権がどうなっていますか、戒厳令ですよ。

 これは実際に、アメリカがパキスタンに対しても、おまえら逃げるなよとずっと圧力をかけ続けてきて、国内で爆発寸前になっているわけです。私は、パキスタンも一たんOEFの、これはMIOの活動ですけれども、手を引いた方がいいと思っています。自由にした方がいいと思っています。

 というように、そういう外交的なイニシアチブを、私は、一たんここで日本は、このテロ新法じゃなくて、方向転換をして、政治的な、パキスタンとどうしていくのか。タリバンとの和解という話が出ていますけれども、タリバンとの和解をするためには、パキスタンはキーですよ。しかし、軍隊を出している国はできません。だから日本は、ここで立ちどまって、給油、給油と出すんじゃなくて、方向転換をして、パキスタンやそれからアフガニスタンの和平の交渉に力を尽くすというふうに転換した方がいいと思います。

 ですから、実態的にアフガニスタンで行われていることについてどうお考えか、そして外交的なイニシアチブをどうおとりになるおつもりか、お聞きしたいと思います。

高村国務大臣 誤爆がいいはずはないわけでありますし、無辜の民が殺されることもいいはずがないわけでありますから、そういう点については、できるだけそういうことを減らすようにOEF参加国とカルザイ政権の間でも話し合われていると承知をしております。

 日本政府は日本政府として、海上補給活動もいわゆるOEFではなくてOEF・MIOの部分だけに限ってやる、インド洋を平和の海にする、その活動の基盤のお手伝いをする、こういうふうに書いているわけであります。

 そして、日本政府は、EUもそうでありますけれども、国民和解をカルザイ政権がするということは支援をしていきたい、こういうふうに考えておりますし、そういう点でこれからも努力をしていきたい、こう考えております。

辻元委員 日本が一番和解に向けてのリーダーシップをとれる位置にいるということを再認識していただきたいということを申し上げて、終わります。

深谷委員長 次回は、明七日水曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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