衆議院

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第11号 平成19年11月8日(木曜日)

会議録本文へ
平成十九年十一月八日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 深谷 隆司君

   理事 田中 和徳君 理事 中谷  元君

   理事 西村 康稔君 理事 西銘恒三郎君

   理事 浜田 靖一君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      新井 悦二君    伊藤信太郎君

      伊藤 忠彦君    石原 宏高君

      越智 隆雄君    大塚  拓君

      北村 茂男君    北村 誠吾君

      河野 太郎君    杉田 元司君

      鈴木 馨祐君    関  芳弘君

      高鳥 修一君    中根 一幸君

      中森ふくよ君    西本 勝子君

      野田 聖子君    橋本  岳君

      増原 義剛君    松本 洋平君

      宮澤 洋一君    盛山 正仁君

      矢野 隆司君    吉川 貴盛君

      大島  敦君    川内 博史君

      近藤 昭一君    田嶋  要君

      長島 昭久君    伴野  豊君

      松野 頼久君    三谷 光男君

      田端 正広君    谷口 和史君

      富田 茂之君    赤嶺 政賢君

      阿部 知子君    下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         高村 正彦君

   防衛大臣         石破  茂君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   内閣官房副長官      大野 松茂君

   外務副大臣        小野寺五典君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 羽田 浩二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 廣木 重之君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  高見澤將林君

   衆議院調査局国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任         補欠選任

  冨岡  勉君     盛山 正仁君

  三原 朝彦君     高鳥 修一君

  富田 茂之君     谷口 和史君

同日

 辞任         補欠選任

  高鳥 修一君     関  芳弘君

  盛山 正仁君     冨岡  勉君

  谷口 和史君     富田 茂之君

同日

 辞任         補欠選任

  関  芳弘君     三原 朝彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

深谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君、外務省大臣官房審議官梅本和義君、外務省大臣官房参事官羽田浩二君、外務省大臣官房参事官廣木重之君、外務省中東アフリカ局長奥田紀宏君、外務省国際法局長小松一郎君、防衛省防衛参事官小川秀樹君及び防衛省運用企画局長高見澤將林君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

深谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷口和史君。

谷口(和)委員 おはようございます。公明党の谷口和史でございます。

 これまで、審議時間も三十五時間近くということで、かなり議論は尽くされてきたのかなというふうに思っております。そういう意味で、きょうは改めてもう一度国民の目線で伺っていきたい、こういうふうに思っております。

 共同通信が十一月の五日、六日と行った調査によると、インド洋での海上阻止活動、自衛隊の給油活動については、「再開すべきだ」というのが四六・一%、それから「再開すべきでない」、これが四三・九%ということで、若干「再開すべきだ」が上回っておりますけれども、大体、今、半々ぐらい。以前に比べれば、再開すべきだという見方も強まってきておりますけれども、まだまだ国民の皆様の理解は進んでいないのかなというふうに思っております。

 また、毎日新聞の世論調査によると、これは十月の二十日、二十一日の調査でありますけれども、給油活動がテロの防止につながっていない、こういうふうに見ている人が六割もいるということなんですね。役立っているというふうに見ているのがわずか三割ということで、再開をすべきだ、再開すべきでないという見方が半々、ただ、自衛隊のこの活動がテロの防止に役立っているかどうかというと、ここはかなり差があいてきてしまう。

 ここは、やはりどうしても、テレビ等で報道される海上自衛隊の給油活動というのが、ホースをぐっと伸ばしていって相手側につけて給油をする、こういうイメージしか流れない。こういうところで、どうも国民の皆様から見ていると、本当にテロの防止につながっているんだろうかということになっていると思うんですね。

 そういう意味で、この給油活動がテロの防止に役立っているということを、もう一度きょうの質問でお伺いをしていきたいというふうに思っております。

 まず最初に、外務大臣に、これまでの六年間の給油活動は一体どういう役割を果たしてきたのか、大枠をまずはお伺いしたいと思います。

高村国務大臣 テロリスト及び関連物資の海上移動の阻止、抑止でありますが、これはインド洋をテロリストの自由にさせないという観点から極めて重要でありまして、アフガニスタン国内のテロリストの移動や、物資、資金調達を含む行動の自由を奪う大きな制約要因となっているわけであります。

 このような海上阻止活動の抑止効果、抑止効果でありますから単純に数値化できるものではありませんけれども、アフガニスタン国内のテロ治安対策や復興支援の円滑な実施を下支えしている、これは間違いないところだと認識をしております。

谷口(和)委員 今、抑止効果というお話がありました。ただ、具体的な成果もたくさん上がっているのではないかなというふうに思っております。

 例えば麻薬でありますけれども、麻薬はタリバンとかアルカイダの資金源になっているというふうに言われておりますけれども、アフガニスタン、ここで一体どれくらいの麻薬が生産をされておって、そして、アフガニスタン経済の中でどれくらいの割合を占めているのか、この辺のことをちょっと外務省に確認させていただきたいと思います。

奥田政府参考人 アフガニスタンにおける麻薬に関する御質問ですけれども、本年八月の国連薬物犯罪事務所、UNODCと呼んでおりますけれども、国連薬物犯罪事務所の報告によれば、アフガニスタンでのことしのアヘン生産量は、前年比約三四%増の約八千二百トンであると言われておりまして、世界のアヘン生産量に占める割合が九三%になっております。

 その経済規模でございますけれども、昨年十月の同様のUNODCの報告によりますと、近隣国へ輸出されるアヘンの額は約三十一億ドルに上る、アフガニスタンの正規の国内総生産の四六%に当たるというふうに述べられております。

谷口(和)委員 今、アヘンの生産量、世界の違法な麻薬の約九割以上というようなお話もありました。一方、国内経済に占める割合が四六%ということで、大変大きな割合を占めているという御指摘もありました。ここのところは後でまたお伺いをしたいと思いますけれども、やはり、アフガニスタン国内でのアヘンへの依存度をどうやって減らしていくかが大事なことだと思いますが、それはまた後でお伺いをしたいと思います。

 それで、このアフガニスタンでつくられる麻薬、これが一体どういうルートで国外に出ていっているのか、この辺のことをちょっとお伺いしたいと思います。

奥田政府参考人 アフガニスタンの麻薬がどういうルートで出るかという話でございますけれども、先ほどの国連のUNODCの報告によりますと、アフガニスタンで生産されたアヘンは、同国と国境を接するイラン、パキスタン、それからタジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンを経由して輸出されておって、特にイラン及びパキスタンを経由するものが多いというふうに述べられております。

谷口(和)委員 いろいろなルートで国外に出ていっているわけでありますけれども、そういう中で、インド洋での海上阻止活動というのは重要な役割を果たしているというふうに思います。

 それで、まず、インド洋上で海上阻止活動によって押収した麻薬の総額というか量なんですけれども、公表できない分もあるかと思いますし、外国との関連もあってすべて把握できないということもあるでしょうけれども、一覧表は事前にいただきましたが、これだけ見るとちょっとイメージがわかないということもありますので、まずちょっと麻薬だけに限って、どのくらいの量を押収したのか、それが末端価格にして幾らぐらいになるのか、公表できる範囲で結構ですので、お伺いしたいと思います。

梅本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、今まで公表していたものに加えまして、新たに入った情報をもとにいたしまして、公表可能な十六件を整理して公表させていただいて、先生今お持ちでございますが。特に麻薬ということについて申し上げますと、これは乗船検査の結果、大麻、ヘロイン、覚せい剤などが押収されておりまして、例えば、推定価格が判明しております二件の事例で、大麻計九千キロ以上、金額にして約二十三億円相当以上が押収されているということでございます。

 公表可能なものということで発表したものがこれでございまして、それを推計いたしますと今申し上げたようなことだ、こういうことでございます。

谷口(和)委員 麻薬の額、量というのは、公表できる範囲でというのはそういうことだということですが、ほかにも、最初の大臣のお話にもありましたけれども、武器の移動、それからテロリストの移動、それから不審船を少なくするというか、ここをなくしていくという活動もしておりますけれども、この辺についても、押収した武器の種類それから数はどれぐらいになるのか、テロリストの拘束についてはどうなのか、不審船の数はきちっと減っていっているのか、ここを確認させていただきたいと思います。

梅本政府参考人 私ども、公表させていただいていますのは、関係各国から、調整の上、公表可能なものとして提供があった情報をもとに公表しているわけでございます。

 ですから、これがあくまで具体例の例示ということで、全体像を把握することに必ずしもつながるかどうかということでは明らかでございませんけれども、例えば武器についても、種類としては、小銃、AK47であるとか、軽機関銃、十四・五ミリ機銃、携帯対戦車ロケット及びそれらの弾薬等が多数挙げられているところでございます。また、拘束された乗組員がアルカイダとの関連性が指摘されているような事案も七件挙げられております。それからまた、数字的に見ましても、無線照会、乗船検査の件数というものも減ってきておる、こういうことでございます。

谷口(和)委員 ありがとうございます。

 ちょっと話はかわりますけれども、日本の海上自衛隊が給油活動を行うということで、主にパキスタンの船に対して給油活動を行っている。当初、日本の供給する燃料でなければパキスタンの船は動かないというふうに我々も説明を、動かないというか、パキスタンの船にとって日本のオイルは一番いい、ほかのとは違うんだという説明を受けておったわけでありますけれども、一部の報道等で、海上自衛隊が補給しているこのF76と呼ばれる艦船用の軽油はもともとNATO規格のオイルで、ほかの、イギリスとかドイツなどが供給しているものと同じだというふうな報道もされておって、私も、何だ、別に日本の燃料じゃなくてもよかったのかというふうに感じたわけでありますけれども、実際はどうなのかということをちょっと確認させていただきたいと思います。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 昨日の当委員会でも審議がありましたとおり、今、委員御指摘のF76、これはNATO規格の軍用艦船用の軽油でございます。これは、NATO加盟国において、NATO規格を満たすこの軽油が使用をされているわけでございます。

 今お尋ねのパキスタンの艦船についてでございますが、パキスタンの艦船についても同様に、このF76を我が海上自衛隊は補給しているわけですけれども、海上自衛隊の補給艦は、自艦に装置をしておりますところの燃料清浄装置、いわゆるろ過装置を使用して清浄した燃料を補給しております。

 御指摘の報道等もございます。パキスタン海軍のバシール司令官は、海自が撤収をすれば他の補給ルートを確保する必要があることから、作戦の効率は確実に影響を受けるというふうに述べております。

 いずれにいたしましても、パキスタンのムシャラフ大統領は、我が国の補給活動はテロとの闘いを継続する上で不可欠であるというふうに発言をしておりまして、我が国からの給油がパキスタンの艦船が海上阻止活動を行う上で非常に重要な要素になっているということは確かであると認識をいたしております。

谷口(和)委員 パキスタン側から見れば、日本の給油は不可欠である、なくてはならないというお考えだと思いますけれども、今後、日本が今撤収をしているわけでありますけれども、そのことによって具体的にパキスタンが受ける、パキスタンのこの活動への影響というのはどういったことになるんでしょうか。

高村国務大臣 これまで海上自衛隊の給油活動については、パキスタンの政府要人からも、あるいは同国の報道でも、我が国の給油活動が高く評価されているわけであります。

 パキスタン政府からは、今般の我が国による補給支援活動の中断を受けて、日本のOEF・MIOへの有用な貢献、特に当該海域で活動していたパキスタン海軍に対してなされた支援を評価している旨述べた上で、日本の活動の一時停止はパキスタンが継続中の活動に否定的な影響を与えるであろう、日本が早期にOEF・MIOにおける重要な役割を再開することができることを希望するという旨のプレスリリースが発出されているわけであります。

 さらに、有志連合、CTF150司令官ハシャム准将、これはパキスタン人でありますけれども、ハシャム准将は、貴国による補給活動が中断し、代替の補給艦を確保することも難しく、有志連合軍内で各種調整に苦慮していると述べております。

 また、十一月三日付パキスタン現地主要英字紙ネーション及びフロンティア・ポストは、パキスタン、日本のOEF・MIOでの活動を評価と題して、パキスタンが日本のOEF・MIOへの貢献を評価しており、早期に給油活動を再開することを望んでいるとした上で、先ほど申し上げたパキスタン外務省の報道官によるプレスリリースの内容を紹介する記事を掲載しているわけであります。

 間違いなくパキスタンの活動には否定的な影響を与えている、そして早く再開してくれと望んでいる、こういうことでございます。

谷口(和)委員 今ずっとお伺いをしてきたように、とにかくこの六年間の日本の給油活動というのは大きな成果を上げているわけでありますし、またパキスタンも再開を望んでいるということで、冒頭に挙げた、日本の給油活動がテロの防止に役立っていないというのが国民の皆さんの六割もいるということで、ここのところをもう一度政府側も、わかりやすく、またあらゆる機会をとらえてしっかりとこれまでの成果を宣伝していただきたい、よく伝えていただきたいというふうに思います。

 続いて、今まで海上阻止活動についてお伺いしてきたわけでありますけれども、これに加えて民生支援というのも大事である。海上阻止活動と民生支援というのは車の両輪であって、先ほど御答弁の中にもありましたけれども、海上阻止活動は民生支援の下支えになっているという御指摘もありました。

 一方で、先ほどからお話が出ています、麻薬に依存した経済からの脱却ということも大事であります。

 日本は、アフガニスタンをテロと麻薬の温床にしない、こういう深い決意のもとで、二〇〇二年の一月に、アフガニスタン復興支援国際会議、東京会議を開催して、アフガニスタンの復興へのリーダー役を務めてきたわけでありますけれども、これまでの日本の民生支援、復興支援、どういったことを具体的にやってきたのか、そしてその成果はどうだったのかということを、これもわかりやすく御説明をいただきたいと思います。

高村国務大臣 今委員がおっしゃったように、我が国は、アフガニスタンを再びテロと麻薬の温床にしないという決意のもとで、厳しい治安状況の中でも知恵を絞りながら、これまでに総額千四百億円以上の支援を実施してきております。これは、実施額では米国に次いで第二位となっているわけであります。

 具体的には、二〇〇一年九月以降、難民、避難民支援等の人道支援のほか、政治プロセス支援、治安の改善支援、復興支援等の分野で、DDR、これは元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰でありますが、あるいはDIAG、非合法武装集団の解体、それから地方総合開発、インフラ整備、人材育成等への幅広い支援を実施してきました。

 このような我が国を含む国際社会による復興支援によって、アフガニスタンにはそれなりに成果が見られているわけであります。

 例えば、パキスタン、イランなどから五百万人以上の難民が帰還しているわけであります。二〇〇三年から二〇〇六年のGDP成長率は年平均約一〇%で、着実な経済成長を達成しております。初等教育就学率は、二〇〇〇年の一九・二%から二〇〇五年は八六・五%に向上しております。子供の就学数は、五年前の百万人超から現在は五百四十万人以上に増加し、女性の就学率は〇%から三五%に増加をしております。はしか予防接種を受けた子供は、二〇〇〇年の三五%から二〇〇五年の六四%に向上しております。

 我が国のこのような支援は、アフガニスタン政府を初め国際社会から高い評価を得ているところでございます。

谷口(和)委員 今、大臣から、日本の支援、またその成果も着実に上がってきているというお話がございましたが、まだまだ厳しい状況に変わりはないと思いますので、さらにしっかりとアフガニスタンの国内への支援というのもお願いをしたいというふうに思います。

 ちょっと話はかわりますけれども、民主党さんは六日に、対テロ方針の独自案を案ということで公表されております。報道によると、国連決議を前提に、民生部門に限ってアフガニスタンの復興支援を行うことなどが柱である、自衛官を含む専門家を文民として派遣し、非合法武装集団の武装解除、社会復帰の支援や警察、国軍の改革など治安分野の改善に取り組むというふうにされているようであります。

 この案はあくまでも案というお話もあるようでありますけれども、この骨子について、官房長官の御見解をちょっとお伺いしておきたいと思います。

町村国務大臣 昨日もどなたかの議員からお問い合わせがございました。そのとき申し上げたんですが、まだ現時点で民主党の正式な提案ではないんだということでございます。

 私ども、もうこの委員会が始まって大分時間がたつわけでありますが、一刻も早く民主党から建設的な提案あるいは対案、あるいは法案という形でも結構でございますが、ぜひお出しをいただきたいと心待ちにしておりまして、今でも心待ちにしております。一刻も早く民主党さんが御提案をいただけるようにお願いをしたい、こう思っているところでございます。

 したがいまして、まだ今この時点で、あの中身でどうこうというコメントを申し上げることもかえって控えた方がいいのではないかと思うのでありますが、いずれにしても、今私どもがお願いをしております補給支援活動の再開を容認いただけるということであるならば、私どもの法案に所要の修正を加えるということで何ら異を唱えるつもりもございません。十分柔軟にそうした御提案におこたえをしていきたい、こういう基本姿勢であることは申し上げておきたいと思います。

谷口(和)委員 私もぜひ、これはしっかりと協議をしながら、どこかで妥協点、一致点を見出していくべきではないかなというように思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続いて、こちらもちょっと話題がかわるんですけれども、朝日新聞の報道なんですが、朝日新聞のインタビューに答えて、アフガニスタンのアミン駐日大使が、治安の比較的安定している北部州で、ここの復興支援活動に当たる非戦闘目的の自衛隊派遣を外務省に先月打診した、こういうふうな報道が出ているんですけれども、この事実関係はどうなっているんでしょうか。

奥田政府参考人 議員御質問の、アミン大使からそのような要請を外務省が受けたということは、そのような事実はございません。

谷口(和)委員 わかりました。

 インタビューに答えられているということで、これは事実なのかなと思ったわけでありますが、事実ではないということですね。わかりました。

 ちょっとまた戻りまして、先ほどから、国際社会も日本の補給活動再開を願っているというお話でありますけれども、もう少し各国の声、また、中立な立場のメディアがどういうふうに伝えているのか、この辺をお伺いしておきたいと思います。

梅本政府参考人 各国が今回の補給支援活動の中断についてどういうことを述べているのか、こういうことでございます。

 各国は、やはり、基本的には我が国の活動の早期再開に強い期待を寄せているということでございまして、幾つかの例を挙げさせていただければ、例えばアフガニスタンからは、日本によるインド洋での補給活動は、アフガニスタンに対してのみばかりでなく、国際社会のテロとの闘いにおける日本の貴重な貢献としてアフガニスタン政府は高く評価しており、今後、補給活動ができる限り早く再開されることを願っているというようなことを言っております。

 また、ドイツ政府からも、テロとの闘いは継続しており、その脅威の除去のためには軍事面の行動が引き続き必要だ、日本の貢献は重要であると考えており、艦船の撤退が一時的なものであり、補給活動が早期に再開されることを望んでいるという反応が来ております。

 また、豪州は、日本の給油活動が急遽停止したことを懸念している、本件についての日本での議論が、世界及び地域の安全保障上の日本の役割の増大の一環として日本の貢献の再開につながることに希望を有しているということを言っております。

 また、イギリスからは、日本が果たした役割は有意義であり、国際社会への日本のコミットメントの重要なシンボルである、日本の給油艦が不在となることは有志連合の海上給油能力に大きな影響を及ぼす、日本がこの重要な貢献をできるだけ早く再開することを期待しているという反応がございます。

 また、アメリカからは、数カ月ではなく数週間程度で支援が再開されることを望むという、これはゲーツ国防長官が言っておられるところでございます。

 また、パキスタン政府の反応については先ほど御答弁がございました。

 また、メディアでございますが、特に欧米メディアを中心にかなり大きく取り上げているようでございます。

 例えばアメリカのウォールストリート・ジャーナルは、日本に対する信頼を減ずることになる、これは補給活動が終了されたことについて書いておりますし、また、イギリスのエコノミストでございますが、厳しい軍事的任務を恥ずかしげもなく他国に任せる昔の日本に戻ってしまうのかというような批判論調も出ているところでございます。

 また、欧米のみならず、パキスタン、あるいはアフガニスタン、バーレーンにおいても、事実関係を中心に、日本がまた再び重要な役割を果たしてほしいという趣旨の記事が出ているようでございます。

谷口(和)委員 もう時間もなくなってまいりましたので、最後に二問、あわせてお伺いしたいと思います。

 先ほどのメディアの論評にもありましたけれども、このまま再開ができなければ日本の信頼を失することになるというような報道もございました。

 また、朝日新聞の八月二十七日付の「私の視点」という中で、アメリカの元国防次官補代理キャンベルさん、それから、前の国家安全保障会議の上級アジア部長のマイケル・グリーンさん、このお二人が「オピニオン」ということで出されておりますけれども、その中で「たとえ連合諸国が海自の撤退で空く穴を埋めることができて野党が政権与党と取って代わることができたとしても、国家の傷ついた評価を回復するためには何年もの時間がかかる」、こういうふうな指摘も出ております。

 私は、やはり海上自衛隊の給油活動が再開できなければ、テロとの闘いのみならず、ほかの外交上の影響も大きいのではないかというふうに考えております。

 また、もう一つ、今、日本は中東からの原油に頼っているわけでありますけれども、タンカーの安全を守るという意味でも大きな意味がありますし、きのう、おととい、原油価格も九十八ドル六十二セントですか、最高値を更新。この原因の一つが、アフガニスタンでの自爆テロということが大きな材料になったというふうにもマーケットでは伝えられております。だから、そういう意味で、この海域の安全を守るということも大事であります。

 そういう意味で、ちょっと、この外交上の影響、また海上の安全を守る、この辺について外務大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。

高村国務大臣 インド洋がテロリストの自由の海でない、平和の海であるということで、最も利益を受けている国と言ってもいいぐらいだと思うんですね、我が国は。そして、我が国がその補給活動から撤退してしまう、ほかの国が海上阻止活動を、補給を含めてすべてやっている、その前を通るタンカーで一番多いのは日本だ。こういうことの影響というのは国際社会から見れば相当厳しい評価がある、これは避けられないんだと思うんですよ。人間社会どこでも同じですけれども、言いたいことを言うんならやることをやってからにしろというのが、国際社会だろうが、どこでもそうだろうと思うんですね。

 そういう意味で、速やかに海上自衛隊が戻ってこの活動を再開することが日本国のために必要である、こういうふうに考えております。

谷口(和)委員 時間になりましたので、これで質問を終わりますけれども、ぜひ、冒頭申し上げた、日本のこの補給活動がテロ防止に役立っている、この割合が三割から六割、七割とふえていくように、政府としても、きちっと国民への説明をお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

深谷委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 ここ数日間、国民の皆様に御心配をおかけしておりました我が党の混乱でありますが、見事に収拾をさせていただきまして、今、本当に一致結束をしてまさに反転攻勢をかけていく、こういうことでございますので、きょうの質疑もきちっとやっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ただ、きょうの新聞に、また対決路線に転換か、こういうような見出しが躍っておりまして、何かマスコミは、連立がだめになったから、また今度は、まさに対決、対決、対決でいくのかというようにあおっているのかもしれませんが、私はやはり、国益が非常に絡んでいる大切な論点については、あるいは国民の生活にかかわるような論点については、引き続き、このねじれ国会でありますので、民主党と、そして与党との間にきちんとした政策協議というものがあってしかるべきだ、こういうふうには思っておりますので、そういう意味で、この給油新法に対する野党の姿勢というのは私は非常に重要だと思っています。

 先ほど来、多少、政府大本営発表のようなニュアンスもありますけれども、各国が心配をしている、あるいは各国メディアが非常に厳しい批判をしている。もちろん私どももそれは認識をしております。であるからこそ、この給油新法については、与野党が、接点が探れないものか、こういう部分もあわせて考えていかなければいけないと思っています。

 そして同時に、なぜ反対をしているのか、何に反対をしているのかということも、あわせて、きちっとこの委員会で、まだまだ終局ではなく、きちっと議論をこの衆議院段階でも引き続きやっていきたい、このように思っております。

 まさにこの特別委員会の初日に自民党の岩屋議員が最初のトップバッターで質問された中で、何とか自衛隊を有効に使えるような国際貢献の基本的なルールを、与野党の間で何とかここで合意できないか、こういう提案をされましたが、私も同じ思いでございます。

 そこで、少し本題に入りたいと思うんですが、我が党の小沢代表は、もう常々言っております。自衛隊の海外派遣に関する原理原則をきちんとすることが重要だ、こういうことでございます。

 例えば、ドイツは、九四年ですか、憲法裁判所の判決が出されましたけれども、NATO域外の派遣について三つぐらいの原則をつくっていますね。一つは国際的合意、もう一つは周辺国の理解、そして国民の支持、これはいずれも重要だと思います。

 そういう意味でいうと、私は、国連安保理の決議というのをどう我々は理解をしていくか、ここが一つ重要なポイントだと思います。それから、官房長官がもう十五分で退室をされるということなんですが、国会承認の問題も、これは国民の支持という意味では大変重要な論点だというふうに思います。

 そこで、国連安保理の決議について少し伺っていきたいというふうに思うんです。

 私どもは、国連決議が必要だ。例えば、先ほど話が出ていた民主党の代案の骨子にも、こういうふうに書いてありますね。インド洋での海上阻止活動が国連の決議に基づく国連の活動として行われることとなった場合には、参加することを検討する。ここのみそは、国連の決議に基づく国連の活動として行われることとなった場合、これと、もう一つは、先ほど補給、補給とおっしゃっておりましたけれども、そういう場合には、海上阻止活動そのものにも我が党としては参加する意思を持っている、こういうことでございます。

 ただ、これまで、この委員会でもそうですけれども、国連安保理決議というものは一体何なのかということについて突っ込んだ議論は実は残念ながらされてきておりません。これは、これから議論になります恒久法、一般法を議論する際にも非常に重要なプリンシプルになると思いますので、きょうは、そこの点から入りたいと思います。

 私は、安保理決議には、大きく分けて二つぐらいの種類があるんだろうと思っているんです。

 一つは、このアフガニスタンをめぐってもいろいろな決議が出されておりますけれども、まず一つ、非常にクリアカットなものは、ISAFの創設を決めた国連決議一三八六。これはまさに、ISAFという国際治安支援部隊を創設する、そして、国連加盟国はそこに協力をしてほしいということをクリアに国連決議の中で表明をしている、まさに決定をしている、こういうことでございます。

 それからもう一つは、これは、まだ国民の皆さんに、あるいは野党の皆さん、私も含めて野党の議員に納得がいま一ついっていない部分でありますけれども、政府がOEF・MIOの根拠としております決議一三六八。

 この一三八六と一三六八、下二けたがひっくり返っているだけなのでちょっと混同しがちでありますけれども、これは明らかに国連決議の性格としては異なったものであるというふうに私は思っております。

 そこで、ひとつ高村大臣にお尋ねをしたいんですけれども、国連決議には幾つかのパターンがある。今、私は二つ申し上げました。もう一つつけ加えるとすれば、国連PKOを創設する。まさに国連軍といいますか、まだ国連軍は創設されていないわけですけれども、それに準ずる形として国連のPKO、国連ブルーヘルメットですね、国連がきちんと指揮権を持ったPKO活動を創設する。これを加えると三つぐらいのパターンに分かれるんだろうと思いますが、この理解で正しいかどうかが一点。

 それから、いま一つまだ国民の皆さんに理解いただいていないOEF・MIOの活動と決議一三六八の関係について、簡潔に御説明いただければと思います。

高村国務大臣 委員がおっしゃったのは一つの分類だと思います。

 それで、私が私なりに考えて分類したのは、まず、国連の統括のもとで行われるPKOみたいなものがあります。それから、武力行使を容認する安保理決議に基づくいわゆる多国籍軍というのがあります。それから、安保理の決議により設立されて、領域国の同意に基づき治安維持を行うISAFのような活動があります。それから、安保理決議による呼びかけという、国連の意思を反映したOEF・MIOのような活動がある。私なりに分類すると、この四つぐらいの違ったものがある。

 国連はそうですけれども、いわゆる国連の枠外で、国連決議と全く関係なくされている活動も活発化してきているわけで、例えば、シナイ半島駐留多国籍軍監視団、スリランカ監視ミッション、ミンダナオ国際監視団等があると承知をしております。

 国連が何らかの関係があるものの中で、それぞれタイプは違うわけであります。また、国連が全く関係しないけれども、一応地域の集団的安全保障みたいなものもある。こういう中で、どこにどういう線を引くかというのはなかなか難しい問題かな、こういうふうに思っています。

長島(昭)委員 私は三つと申し上げて、大臣は四つと。これまた、別に数が問題ではなくて、内容を吟味していかなきゃいけないと思うんです。

 最後に挙げられたスリランカとかミンダナオの例は地域的な集団安全保障という枠組みでございますので、そこまで我が国の自衛隊が、あるいは我が国がかかわっていく必要が本当に国益上あるかどうか、この議論はきちっとさせていただかなければならないと思いますが、最初に挙げられた三つについては、今回の給油新法にもかかわる論点でございますので、あえて踏み込んで質疑を行いたいというふうに思います。

 私も、この間、いろいろ古い文書、古い質疑、国会の議事録などを引っ張り出して、研究をしてみました。そこでいろいろなことがわかってきたんですが、まず、我が党の小沢代表がどういうことに関心を持っているかということは、国民の皆さんにも改めて御説明をしておかなきゃならないと思いますので、その点について触れておきたいんです。

 幻に終わってしまいました党首合意の中に、その第一項目に、「国際平和協力に関する自衛隊の海外派遣は、国連安保理もしくは国連総会の決議によって設立、」これは先ほど言ったISAFとかあるいは国連のPKOとか、こういうことですね、設立されたもの、「あるいは認められた国連の活動に参加することに限る。」こういうふうに書いてあるんですね。つまり、国連総会や国連安保理の決議によって認められた、この「認められた」のニュアンスが私はいろいろあるんだろうと思うんです。それと同時に、「したがって、特定の国の軍事作戦については我が国は支援しない。」こういう原則を、これは小沢代表がきちっと文書で合意をしたんだと言って発表された、そういう内容でございますので、我が党の最初の記者会見でございますが、我が党のホームページにもこれは載っておりますので、ぜひ参考にしていただければ、こういうふうに思うんです。

 これは確かに文書としては、幻の合意に終わりましたので、その有効性というのはないのかもしれませんが、考え方が非常に色濃くにじみ出ているということで御紹介をさせていただきました。

 それともう一つ、小沢代表が自民党の幹事長時代に汗を流してつくられた、廃案になりましたけれども、国連平和協力法案というのがあるんです。一九九〇年に、湾岸戦争が始まる直前でありますけれども、湾岸危機の最中につくった法案。ここに何と書いてあるかというと、第三条の一項、「国際の平和及び安全の維持のための活動」という項目なんですが、「国際の平和及び安全の維持のために国際連合が行う決議に基づき、又は国連決議の実効性を確保するため、国際連合その他の国際機関又は国際連合加盟国その他の国が行う活動」、これに自衛隊が参加する、こう言っているんですね。

 つまり、国連決議によって、最初に私が分類をさせていただきました国連PKO、これはもうどんぴしゃです。それから、もしかしたら、多国籍軍でありますけれども、国連決議できちんと創設をされたISAFのような場合においても、これもある程度ストライクゾーンに入ってくると思います。それと同時に、国連決議の実効性を確保するための国連加盟国の活動にも我が国は参加する可能性がある、これは内閣法制局を通った法案でございますが、こういうふうに書いてあります。

 官房長官、どうぞ。

 それから、もう一つ紹介しましょう。小沢代表が自由党時代に出された、国の防衛及び自衛隊による国際協力に関する基本法案というのがあるんですね。この第六条に何と書いてあるかというと、

  我が国は、国際の共同の利益のため必要があると認めるときは、国際連合の総会、安全保障理事会若しくは経済社会理事会が行う決議又は国際連合、国際連合の総会によって設立された機関若しくは国際連合の専門機関若しくは国際移住機関が行う要請に基づいて行われる国際の平和及び安全の維持若しくは回復を図るための活動又は国際的な救援活動に、我が国の防衛に支障のない限り、自衛隊の部隊の派遣等により、積極的に協力するものとする。

こういうことでございます。

 今るる御紹介をいたしましたことをまとめて申し上げますと、国連決議がある、このことは非常に重要だ、しかし、「又は」とか「若しくは」という接続詞をつけて、国連の実効性を確保するため国連加盟国が行う活動とか、あるいは国連等の要請に基づいて行われる国際平和及び安全の維持もしくは回復を図るための活動に自衛隊の参加の道もあるのではないか、こういう問題意識なんです。

 ここまで来ると、私は、今、六年間継続をしてきたこの給油活動、あるいは私どもが求めている海上阻止活動そのものでありますが、そういうものに対する我が国の活動も、政府の説明の仕方あるいは我々自体の考え方、とらえ方によってはもしかしたら接点を見つけることができるのではないだろうか、こういう御提案でありますけれども、外務大臣として、先ほど、OEF・MIOへの協力が、国連とは無関係の、特定の国の軍事作戦を支援することになりはしないか、そういう危惧が仮に国民の皆さんの中にあるとすれば、それに対しては、国連の決議との関係で、もう一度、改めて外務大臣の御説明を求めたいと思います。

高村国務大臣 今お聞きして、小沢理論と整合するようにOEF・MIOを説明しろといってもそう簡単なことではありませんけれども、一三六八あるいは一三八六ですか、ISAFの活動、あるいは、要するに、安保理決議による呼びかけという国連の意思を、OEF・MIO、今の海上阻止活動、そして我が自衛隊の海上給油活動、それはまさにそういう活動でありますから、今おっしゃった国連の意思に基づいた国連加盟国の活動を支援する活動、正確にそうおっしゃったかどうかわかりませんが、そういうことにOEF・MIOなんてまさに当たるのではないかという感想を持ちながら聞いておりました。

長島(昭)委員 実は、私は、この原則を確立するということは非常に重要だと思っているんです。これは、与党も野党もなく、重要だと思っているんです。

 もちろん、対米関係というのは非常に重要だし、日米同盟というのが、後でまた給油の問題で触れたいと思いますけれども、我が国の安全保障にとってはまさに生命線でございますので、そういう部分からの説明がどうも小泉政権以来非常に強まってしまって、何か国連という機関、もちろん、国連というのは国家主権の寄せ集めでございますので、そう生易しい世界ではないと私は思いますし、全部我が国の国益に資するような決議が出るとも思いませんし、あるいは、五大国のうちのどれかがブロックすれば、我が国の国益に非常にかかわるような事態でも、国連が身動きがとれないという場合もあるわけです。

 ですから、国連を妄信することはできませんけれども、しかし、今、世界政府がない現状で、やはり権威性の高い、国際的な合意をある程度集約できる機関というのは国連しかないわけですから、やはりこの国連の決議、あるいは今外務大臣おっしゃった国連の意思というものを体して我が国の海外での活動を考えていくというのは、非常に重要な、私は憲法原則にもかかわる大問題だというふうに思っております。

 そういう点で、もちろん政府の説明ぶりもきちんとしていただかなければならないと同時に、私たち野党も、余り硬直した、国連決議がなかったら何もできないというようなニュアンスを、私は決してそういう意見を小沢代表がおっしゃっているとは思いませんが、そういうふうにとらえられてしまうような説明をしないように我々もしていかなきゃいかぬ、こういうふうに思っておりますので、ぜひ、そういう原則をこれから当委員会で確立ができるように、私どもも真剣な質疑をしていきたい、こう思っております。党内ではきちんと議論してまいります。

 そして、もう一つのひっかかっている問題は、国会承認の問題でございます。

 先日の質疑の中で、石破大臣が私どもの質問に対して、廃止をされてしまいました、失効してしまいました旧法、旧テロ特措法、このテロ特措法の中にあった基本計画の中身ぐらいは、国会の審議が国会承認と同じ効果をもたらすものであるというのであれば、きちんと国会審議の中でやってくれというふうに私どもが申し上げたところ、先日、石破大臣が一歩踏み込んで、現状の補給活動をしている装備、そして部隊の規模あるいは構成、そして派遣期間、こういうものを、現状を変える、超えるものではない、そういうやり方で検討してみたい、こういうふうにおっしゃいましたけれども、同時に、官房長官、きょうはもうおられませんけれども、官房長官は、法案審議の最中にそういう話はなかなか詳細には入れません、こういう答弁もされております。

 これはどっちが本当なんですか。防衛大臣として、かなり詳細に、国会承認にかかわるような事項まで含んでこの国会審議の中で明らかにできるのか、そこを御答弁いただきたいと思います。

    〔委員長退席、田中(和)委員長代理着席〕

石破国務大臣 これはどちらも本当なんでありまして、と言うと、何だということになるのかもしれませんが。委員御指摘のように、仮に新しい法律をお認めいただいたとして、規模あるいは期間、活動の内容、これは変わることはないと私は思っております。そのことは、明らかにできる、官房長官がおっしゃいましたのは、質疑の過程を通してそういうことを申し上げていくということでありまして、完全に固まったものを何らかの定型的な形で出すという意味ではございません。

 ただ、規模あるいは艦種、そういうようなものについて基本的に、今、補給艦一隻、護衛艦一隻という編成になっておるわけでございますが、それは変わらない、そのことは政府として責任を持って答弁を申し上げるという形になるだろうと思います。

長島(昭)委員 変わらないということ、責任持ってとおっしゃるんですが、これはしかし、事態がいろいろ急変する可能性ももちろんテロ事案ですからあり得るわけでありまして、ここは、やはり今の答弁を聞いても、旧法のように基本計画をつくり、その前にメニューがもう少しないといけないんですよ。

 我々は、海上阻止活動、例えば警戒監視とか船舶検査、こういうものも憲法上問題がないということでありますから、こういうことも踏み込んで、シーレーン防衛というのであれば、シーレーンの安全確保というのであれば、そういうところも踏み込んでやるべきです。それと同時に、PRTへの例えば人道復興支援、こういうメニューもそろえて、そして、その中から政府が政府の裁量で基本計画を定め、そしてその基本計画を参照しながら私たち国会議員がその活動の適否について承認をする。こういう手順が、やはり日本の安全保障、今までの法体系を考えると、ぜひここはお考えをいただきたい。

 私どもの党の中には補給活動を継続すべきだと考えている議員も当然おりますけれども、しかし、私は申し上げますけれども、この新法が、もしこういう形で、国会承認の事項を含まない形でもし採決を求められるとしたら、これは私も堂々と反対します。反対せざるを得ません。国益とあるいは民主的統制の間を本当に私たちも揺れ動いている、そういう立場でありますけれども、やはり将来に禍根を残すわけにいきませんので、私は、ここはきちっと政府の皆さんに申し上げておきたいというふうに思います。ぜひ、そこは今後の審議の中で修正をしていただきたい、このように思います。

 なぜならば、私も何度もこの質疑で申し上げておりますけれども、もう防衛省できちんとシビリアンコントロールをきかせてやるから任せてくれ、国会の承認は大丈夫だから、こういうふうにお任せできるような状況であれば私もやぶさかではないんです、そういうことを考えることも。しかし、今や防衛省の中でいろいろな問題が起こり、今回の給油活動についてはさまざまな疑惑がまだまだ払拭され切れていない、そういう状況の中ですから、やはりここは国会がきちんとコントロールをしていく、そういう原則をぜひ打ち立てていただきたい、そのことを強く要望して、最後の論点に行きたいというふうに思います。

 それでは、最後は給油転用疑惑でございます。

 私は、実は、石破大臣、石破大臣がこの間、七百七十七回のすべての、全件について追跡調査をされる、こういうふうに何度も何度も国会の審議の中でおっしゃっておられるのを聞いて、一つは、さすが石破大臣だな、説明責任を何とか果たそうとされているんだな、その姿勢には敬意を表する、そういう者の一人であります。

 しかし、実はもう一方ではらはらしておりました。本当に全件調査、大丈夫なんだろうか。大丈夫かというのは何がというと、二つあります。一つは、全件調査した結果、完全に疑惑が払拭できるのかどうか、これが一点。私、調査報告書を読ませていただきましたけれども、残念ながら、調査報告書を読んでも、疑惑は解明し切れていない、払拭し切れていない、そういうふうに思います。

 それからもう一つは、同盟国との関係であります。私は、この全件調査、悪い言葉で言うと、何となくBSEの牛の全頭調査みたいな、そんな雰囲気があると思うんですよ。相手が牛だったらいいですけれども、相手が同盟国でありますから、私は、同盟国に対する信頼をこの全件調査を通じて損ねていやしないかということを非常に心配しております。特に、日本とアメリカの同盟関係というのは、まさに海軍と海軍の関係なんですね。ずっと海軍同士でつき合ってきたこの半世紀の関係があるわけです。

 アメリカの二つの声明が出ておりました。アメリカの二つの声明。その二つの声明に込められたアメリカの意思といいますか、いら立ちといいますか、そういうものがあったように私は思うんです。一つは、給油された時点から消費されるまで、任務ごとに追跡することは、以下の理由により複雑な作業である、つまり、完全に追跡することはできないと言っているんですね。しかも、もう一つ、ほかから補給された燃料とまざると言っているんですね。これはもう小学生でもわかる論理ですよ。そういう小学生でもわかる論理をわざわざ米政府声明の中に書き入れなきゃならなかったことというのは、私は、日米同盟関係にとって非常に重大な意味を持っているんじゃないだろうか、こういうふうに思うんですよ。

 そういう意味で、これは野党が追及をしているから防衛省はそういう行動に出ざるを得なかったということは当たらないと思いますよ。私は、問題は、政府の最初の説明ぶりが悪かったと思うんです。そう思いませんか。

 これは、石破大臣、申しわけないんですが、このテロ特措法、あるいはイラク特措法での質疑の答弁の中で、例えば平成十五年五月八日参議院外交防衛委員会、こうおっしゃっていますよ。「イラクとの戦争に私どもの補給艦から補給を受けた船が参加をする、あるいは私どもの補給艦から米側の補給艦に補給したものをイラクとの戦争に従事しておる艦船に使われたということになりますと、これはテロ特措法には反するものだというふうに考えております。」この答弁が、石破大臣、やはり踏み込み過ぎというか、ちょっと不適切だったんではないだろうか。だから、キティーホークの問題もそう、アンティータムの問題はこれから松野議員がやると思いますけれども、入れた燃料の一部を使って次の作戦をやっているじゃないかという話になっていってしまったんだろう、こういうふうに思うんです。

 それは、各アメリカの船が、その船ごとにミッションの色分けがしてあれば政府の最初の説明は恐らく成り立つんだろうと思うんです。この船がOEF、この船がOIFというのであれば、この船に補給したんだから特措法の趣旨は全うされていますというふうに説明ができたんですが、違いますよね、石破大臣。

 アメリカの軍隊の運用というのは、エリアごとの運用になっていますね。つまり、CTF150のエリア、これは専らOEF。CTF152のエリア、これはOEFとイラク作戦と一緒。CTF158のエリア、ここはイラク作戦に専ら従事する。そのエリアを、一つの船があるいは複数の船が行ったり来たりするようになっているのがアメリカの軍隊の運用なんですよ。ですから、CTF150のエリアで我が国の補給艦が確かに補給しても、その補給を受けた船が、その後CTF152、158に入っていくことは十分考えられた、最初から。

 ですから、政府は、こういう神学論争に入る前に、最近になって、複数の任務に従事するようになっていますとか、あるいは給油、補給をしたときの海域が問題ですとかというような、ちょっと答弁を修正してきているように思いますけれども、私は、今回のこの政府答弁というものは国民の多くの皆さんに誤解を与えた。与えたがゆえに、一部で不毛と言われているような論争に入ってしまった。そして、七百九十四回の全件調査をせざるを得なくなってしまった。

 そのことによって日米同盟関係に傷がつくようであったら困るなというふうに私は思っているんですけれども、その点のところを最後にお二人に伺いたいですね。石破大臣そして高村大臣、日米同盟関係の信頼という観点、それから国民に誠実に説明責任を果たすというこの二つの観点から、ぜひ改めて御答弁をいただきたいと思います。

石破国務大臣 十月十九日のアメリカ大使館のプレスリリースは、これは委員も原文でお読みのことと思います。その一番最後のところに、こういうくだりがございます。米国政府は、日本がOEFに参加する艦艇のみに燃料を補給するという日本政府との合意に誠実に従ってきたと考えており、提供している情報がこれを裏づけるものだ、このようなくだりがございます。

 委員もあるいは御承知のとおり、この作業は本当に膨大なものでございました。見ました書類は三十万枚に及んでおるわけでございまして、これは本当に日夜を分かたず、昼夜を分かたずというのか、大変な作業をしておるわけでございます。一万二千人時、こういうようなことにもなっておるわけであります。これは余計なことをやったのではないかというような御指摘もございますが、この趣旨に従ってOEFに実際に従事している船に使われたのだということを立証するためには、やはりこういう作業は必要だったのだと思っております。

 もちろん、油は、これはまぜてしまえばわからない、そのとおりです。では、その船が用途を終えて、廃止になってばらしてしまうまで、少しでも残っていたらどうするんだという議論までいけば、それは意味がないと言われればそのとおりなのかもしれません。しかしながら、我々が補給した油がOEFに実際に従事している船に使われたかどうか、そのことを検証する意味でこれは意義があったものだというふうに私は思っております。解体するまでという議論は、そのことは最初から承知はいたしておりました。そのことを承知の上でやったものでございます。

 また、ダブルミッション論につきましては、私が前、長官を務めておりましたときから、複数の任務に従事することはあるというふうに答弁をいたしておるものでございます。それは、米海軍の運用というのはまさしく委員御指摘のとおりでございますが、そのことを踏まえた上でも、なお実際にOEFに従事をしているということを確認する必要があった。

 すなわち、交換公文も結ばれている、現地でも確認している。いや、それじゃ信用できないという方はおられるわけです。このように確認作業を行っても、なお信用できないという方はおられるのかもしれません。何をやっても、信用しない人は信用しないのです。だめだという人はだめなのです。

 ただ、私ども、こういう作業を通じまして、本当に合衆国というのは我々の趣旨を理解し体現してやっていたのだということは、全件調査をやってみて初めてわかるというところが実はございました。実際見ておって、本当にきちんとやっているなという、逆に言えば、改めて合衆国に対する信頼を持ったというところは正直言って、私としてはございました。

 以上でございます。

高村国務大臣 米国防総省の発表でありますけれども、日本の燃料供給量を上回る量の燃料がOEFの任務のために使用された、こう言っているわけであります。

 具体的には、二〇〇一年十二月から二〇〇三年二月末まで、これはイラク戦争が始まる前まででありますが、その期間に海上自衛隊が供給した燃料は、この十五カ月間の有志連合艦船による消費燃料の総量の一九・六%を占めた。また、これに続く五十五カ月、五十五カ月というのはイラク戦争が始まってからのあれでありますが、のデータによれば、海上自衛隊が供給した燃料は、同期間中の有志連合艦船による消費燃料の総量の七・三%。イラク戦争が始まってからの方が、相対に、OEFに使ったものに占める日本が供給した割合はぐっと減っているわけですね。

 こういう全体を見れば、何かイラクに大部分が使われたとか、こういうおどろおどろしい、一部流れていたそういうのが間違いであることはもう一目瞭然であるわけでありますが、日本からの燃料は特別なタンクに入れられるわけではないので、当然のことながら他の燃料とまじってしまう。一滴一滴の行方を追跡するようなミクロのアプローチだけではなく、日本から給油された分に相当する燃料が適切に使われたことを確認するというマクロの考え方も重要である、こういうことをアメリカは言っているわけですね。

 確かに、日本からいろいろ、これも調べてくれ、これも調べてくれ、これも調べてくれ、かなりいらいらしていました。いらいらしていましたけれども、それに対して、相当一生懸命こたえてくれたわけであります。そういう中で、まさに石破大臣がおっしゃったように、アメリカが誠実にやっていたということも確認できた。そういう意味で、途中で、いらいらしたりでいろいろありましたけれども、かえって同盟は強まったということも言えるかもしれません。

長島(昭)委員 そうであってほしいと思います。また、全件調査は無駄だったと私申し上げているわけではありません。

 この間、確かに最初のころは、交換公文でやっているから大丈夫だ、これでもうほとんどあしらわれていました。しかし、この間、ねじれ国会の中で、政府の説明ぶりが大分改善されてきたことも間違いないのでありまして、こういう新しい局面の中で、よりよい安全保障議論が当委員会でもできるように我々も努力をしていくことをお約束して、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田中(和)委員長代理 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野でございます。

 今の議論を聞いておりまして、ちょっと幾つか伺いたいのが、アメリカに何回も問い合わせて、三十万ページ以上の紙を見たということなんですけれども、実際にアメリカに今回の七百九十四件の全体の調査をするに当たりまして何回問い合わせをしたのか、その回数を教えてくれときのう通告をしてありますので、ぜひ回数を教えてください。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 委員も既にこの調査した報告書あるいは資料等も見てからの御質問だと思うんですけれども、少し今までの経緯のことも含めて御説明させていただきたいと思います。

 今般の作業に当たりましては、防衛省としては、既に保有している個別の補給の調整に係る資料のほか、各国から各種の資料あるいはデータの提供を受けまして、本当に詳細な細部確認を行って、その際、公開された資料のみならず、秘の取り扱いをなされている資料も含めてこの確認を行ったわけでございます。

 そして、具体的には、戦闘艦につきましては、航海日誌や関連する情報をもとに行動を分析し、その活動状況について確認をしました。また、補給を受けた艦船の活動海域、補給量と艦種ごとの燃料について、搭載エンジンの型等から推測して得られる航続距離などから、当時の当該艦艇の活動状況に基づき厳格に推定しました。そして、補給艦につきましては、航海日誌や個々の艦船に残された記録により再補給した相手艦を特定し、当該艦艇について直接補給した戦闘艦に準じた形で確認をさせていただきました。そしてまた、先ほど大臣の方からお答えがあったとおり、参照した資料の総数は約三十万件に上ったという膨大な形になったわけです。

 これらのことを踏まえていろいろ調査した結果、我々は、相当数、先ほど両大臣から述べられたような形で明確であったなと思っているわけでございまして、委員の御質問の何件かということなんですけれども、今お答えさせていただいたとおり、米側とは信頼関係においてこの秘のある部分も含めかなりの資料を取り寄せて行ったということでございますので、そこの部分で具体的な数字というものは控えさせていただければありがたいと思っております。

松野(頼)委員 つけた資料の三をごらんください。

 要は、ここで、ことしの十月十九日の安保委員会の議事録ですが、どんな作戦に従事するのですか、そのためにはどれだけ必要ですかということを確認して補給を決めているんです、こうお答えになっているんですね。ですから、日本側として確認をしてから補給をしているはずなんですよ、この答弁によると。

 そして、そんな中で、今回の七百九十四件の調査をするに当たって、一体何件が不明で、何件をアメリカに問い合わせたか、その件数を教えてくださいということを言っているんです。お答えください。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 先ほどもお答えしたとおりに、マル秘の部分の資料も含めていろいろやりとりがあったものですから、具体的な数字ということは控えさせていただきたいと思います。

松野(頼)委員 私は中身を聞いているわけではないんです。何回問い合わせたかという回数だけ聞いているわけです。もう一回お答えください。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 大変申しわけございませんけれども、同じお答えで、お答えすることを控えさせていただきたいと思います。

松野(頼)委員 委員長、これは日米関係、同盟国との関係において非常に重要な問題であります。せめてこの件数をお答えいただけなければ質問できません。

田中(和)委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中(和)委員長代理 速記を起こしてください。

 石破防衛大臣。

石破国務大臣 恐縮ですが、委員の問題意識をちょっと教えていただきたいのですが。

 つまり、何回電話をしたのだ、何回やって確認したのだというようなことだとすれば、つまり、どういうルートでどのように確認したの、みんながばらばらに聞くわけないでしょうというようなことなのだろうと思います。

 だとするならば、これは例えば私が大使に、あるいは私がアメリカの副次官あるいは顧問クラスに、とにかくきちんと出してくださいなと言う。私が一隻一隻確認するわけじゃもちろんありません。現場レベルでそれぞれの担当者が聞くこと、あるいは米大におりますいわゆる防衛駐在官のレベルで聞くこともあります。電話で聞くこともあります。そうすると、具体的に何回で確認しましたか、面談でどれぐらいですか、電話でどれぐらいですかという回数について、正確に把握をしているわけではございません。

松野(頼)委員 私は不思議でならないんですけれども、電話でだれかがばらばらばらばらと、これわからないからおれが電話する、これわからないからおれが電話する、そういうことはあり得ないわけでありまして、要は、今回の七百九十四件の検査をするに当たって、何回分が不明で、それに対して何回の問い合わせをしたんですかということを聞いているんです。当然、問い合わせるルートは決めているわけでしょう。でなければ、勝手にどんどんどんどんいろいろな人が電話をして問い合わせる、それこそおかしな話だと思うんですよ。それをもう一回答えてください。

石破国務大臣 そういう御趣旨だといたしますと、これはお配りいたしました資料の中にもチャート図のようなものを出しておろうかと思います。つまり、総計が七百九十四件でございますが、これを大きく、戦闘艦に係るケース六百四十七件、他国の補給艦に対する補給が行われたケース百四十七件、このように分けてまいります。

 この戦闘艦に係るケース六百四十七件のうち、艦船の所属国から見てOEFあるいはOEF・MIOに係る任務に従事していたことが明白、つまり、フランス、ドイツ、カナダ、ニュージーランド、オランダ、ギリシャ及びパキスタンがそうなるわけで、これが三百四十八件ございますが、これは当然確認の要がございません。七百九十四件からこの三百四十八件は除かれるべきものでございます。

 そうしますと、どういうふうに分かれていくかというと、配属先部隊から見てOEF・MIOに係る活動に従事していたと判断できるというケースでございますね、つまり、今申し述べました七カ国以外の国に所属する艦船であって、CTF150に配属された艦船が該当するものでございます。あるいは、もう一つのカテゴリーとして、実態としてOEFやOEF・MIOに従事していたと判断されるケース、こういうふうに分かれてくるわけでございまして、委員の御質問にお答えをするとするならば、この百三十九件と百六十件を足したもの、それが対象の件数になるということでございます。

 それぞれについてどうなのだという確認をそれぞれが行っているということであって、ばらばらにやっているわけではございません。それを、人海戦術と言ってはなんですが、一つ一つ見ながら、これはどうだ、これはどうだということについて確認を行ったものでございます。

松野(頼)委員 要は、この二百九十九件すべてを問い合わせたということですか。

石破国務大臣 もう一度お答えをいたしますと、総計七百九十四件が先ほども申し上げたようなことに分かれるわけでございます。ごめんなさい、ちょっと資料を、私、別のものを見ておるのかもしれません。実態としてOEFやOEF・MIOに従事していたと判断されるケース、これが百六十でございます。それはお手元に資料があるのだと思います。そして、他国の補給艦に対する補給が行われたケースが百四十七。このように分かれてまいりますですね。

 それぞれについて確認を行っているわけでございますが、先ほど申し述べましたように、除外するのが明確なもの、これについては問い合わせをいたしておりません。除外ができません、実態としてOEFやOEF・MIOに従事していたと判断されるケース百六十、それから、他国の補給艦に対する補給が行われたケース百四十七、こういうものについて調査を行うものでございます。

松野(頼)委員 そうすると、これは足すと三百十七件が不明だということで、これがすべて確認をされたのかということなんですよ。といいますのは、どんな作戦に従事をするのですか、そのためにはどれだけ必要ですかということを日本側で確認をしてから給油をしたんですというふうにおっしゃっているんです。日本側にもその資料はあるはずなんですよ。それをなぜアメリカに確認するのかということなんです。

石破国務大臣 多分、足し算すると三百七なのだろうと思います。

 それは、もちろん、私どもの方にも資料はございます。資料はございますが、それをあわせて確認しなければならないという、要するに、こういう表現が適当かどうかわかりませんが、それは念のため確認をしなければ、正確性というものにおいて、さらなる完璧性というものを追求しようとしたということでございます。

松野(頼)委員 その三百七件についてすべて確認をとったわけですか。

石破国務大臣 これは、三百七件、そうでございます。

松野(頼)委員 では、その中の一点をお伺いいたします。アンティータムの船であります。

 前回も質問させていただきましたが、資料の一、このアンティータムの航海記録があります。これもぜひ確認をとっていただきたいということと、確認をとったという報告が今回出ておりますが、二〇〇一年の十二月十八日、ムンバイ港を出港して、「はまな」から給油を受け、その後クリスマスをシンガポールで迎え、その後ハワイへと向かったという記事がございます。

 これのどこがテロ特措法に基づく給油なのかということを御説明いただきたいのと、この後のアンティータムの確認をされた航海のオペレーションは一体どういうものだったのか、お答えをいただきたいと思います。

石破国務大臣 平成十三年十二月当時、出港いたしましたが、旧テロ対策特措法に基づきましてインド洋に派遣されておりました「はまな」は、十三年十二月十八日、アンティータムへ補給を行っております。

 アンティータムにつきましては、この船のホームページの記述によりますれば、この十五日、インドのムンバイに入港しておるわけでございます。十八日には補給を行っておるわけですが、三日前の十五日にインドのムンバイ、旧ボンベイ、ここに入港しておるわけでございまして、十八日出港後、シンガポールに向かった、このように書いてございます。

 今般、全件の調査におきまして確認をいたしました結果、アンティータムにつきましては、補給を行った海域、これは例外的な場所ということに相なります。補給量、補給後のこの船の行動内容から、テロ対策特措法の趣旨に外れて燃料が使用されたとは言えないと考えております。海軍ホームページには、アンティータムが「はまな」から補給を受けるという、御提示をいただきました写真がございましたけれども、この説明書きには、「はまな」及びアンティータムはともにOEFを支援する部隊の一部というふうに記述がございます。

 したがいまして、アンティータムは、私どもの補給艦から補給を受けた時点におきましては、OEFにかかわる任務に従事をしながらインド洋をシンガポールに向けて航行しているというふうな状態であったと考えております。

松野(頼)委員 ですから、先ほど、三百七件をアメリカに確認をしました、その中の一件がこのアンティータムです。それはアメリカに確認をして、アンティータムのその後のオペレーションは何だったんですかということを聞いているんですよ。

石破国務大臣 海自補給艦から補給を受けた時点につきましては、OEFにかかわる任務に従事しながらインド洋をシンガポールへということですね。つまり、補給を受けた時点がそうであったということでございます。

 では、そこからシンガポールへ行ってクリスマスを祝った云々かんぬんということになるわけですが、その後の航行もOEFに従事をしていたというふうな判断をいたしております。

松野(頼)委員 シンガポールでクリスマスを迎えて、ハワイに向かうことがOEFなんですか。お答えください。

石破国務大臣 そのように考えます。

松野(頼)委員 このテロ特措法は活動区域が決まっているはずであります。ハワイは違うはずでありますが、もう一回お答えください。

石破国務大臣 それは、給油した時点はOEF。これはアメリカの説明からも明らかなことでございます。そして、OEFの任務そのものを考えましたときに、そのムンバイから、補給を受けました地点からシンガポールに行くことがOEFではないというふうに判断をするような材料を私どもは承知をいたしておりません。

松野(頼)委員 ですから、アメリカに問い合わせた結果、一体、どういうオペレーションであったからOEFだというふうに判断をされたのかということを聞いているんですよ。

石破国務大臣 ですから、私どもが補給しました量でハワイまで行けるかということになるわけですね。ハワイというのはやたらめったら遠いわけで、シンガポールまで行きますでしょう、そこからハワイまで行きますでしょう、それは私どもの補給した燃料でハワイまで行くわけはないのでありまして、シンガポールはクリスマスをお祝いするためにも行くのでしょうけれども、当然補給ということもあると考えるのが自然じゃないでしょうか。

松野(頼)委員 アメリカにこの三百七件を問い合わされたわけですよね、どういうオペレーションだったのか。だから、その問い合わせたオペレーション、このアンティータムの十二月十八日以降のオペレーションは一体何だったんですかということを伺っているんですよ。

石破国務大臣 それは必要な範囲において問い合わせを行うのです。その後ハワイに行って、そこから先どこに行って、それは私どもが補給した燃料というものが法律の趣旨に沿って使われたかということについて確認をしているのであって、ハワイまで行ったということはホームページに出てはございます、しかしながら、私どもの補給した燃料が本当に法の趣旨にのっとって使われたかどうかということが目的でございますから、ハワイ、そこから先どこへ行ったか、そこまでは私どもが調べるべきものではございません。

松野(頼)委員 要は、給油をした後に、シンガポールでクリスマスを迎えて、ハワイに向かっているんですよ。これが法の趣旨にのっとっているんですか。

石破国務大臣 それは、のっとっていると私ども判断をしているというのは最初から申し上げておることでございます。

 ですから、私は、逆にお尋ねしてはいけないのかもしれませんが、ムンバイで、ムンバイ沖ですかね、ムンバイに入っていて、その後、補給をしますね。その後、シンガポールへ行く、それがOEFではないというふうに委員が断定される。だとするならば、その根拠は何だろうか、ちょっと御教示をいただければと思います。

松野(頼)委員 いや、これはすごい答弁ですよ。

 では、その前の活動記録を見てくださいよ。その前の活動記録にもOEFと考えられる活動はないんですよ、このテロ特措法に基づく。例えばホームページ上、二〇〇一年九月の十五日、海上阻止活動、MIOをやっているんですが、これは一九九〇年のイラクへの経済制裁、要は国連決議六六一に基づくMIOなんですよ。このテロ特措法に基づく活動は、少なくともこの行動のホームページの中には一つもないんです。ないんです。そして、最終的に、補給をした船がシンガポールに寄ってクリスマスを迎えて、ハワイに帰っているんです。これをテロ特措法に基づく給油だと言うのは余りにも無理があるんじゃないですか。もう一回お答えください。

石破国務大臣 繰り返しになって恐縮なんですけれども、どうもすれ違いになっているような気がしますが。(発言する者あり)

 いやいや、だから、私が申し上げているのは、補給した後の行動というものは、我々が補給した量がテロ特措法の趣旨にのっとって使われたかどうかということを調べるのが今回の全件調査の目的なのです。

 そうすると、その前に何をしていましたか、あるいはその燃料を使い切った後何をしましたかということは、それは我々が調べるべきことではないということなんです。そこまで調べるということになりますと、それは法の趣旨にのっとって使われたかどうかということを調べるためにやっているわけであって、その以前についてあるいは燃料を使い切った後において何をやったかということを調べるというのは、何の意味があるのかなという気が私はしております。

松野(頼)委員 違うんですよ。燃料を使い切った後かどうかという話ではなくて、要は、給油を受けてからシンガポールに向かっているわけですよ。そうでしょう。だから、この記事ではわからないから、アメリカに問い合わせたその三百七件の中で、一体どこがテロ特措法に基づく給油だったのかということを、確認した部分を教えてくださいということをずっと言っているわけですよ。アメリカに確認されたと言っているわけですから。もう一回お答えください。

石破国務大臣 ですから、OEFとは何なんだということを考えましたときに、ムンバイに入っていた、そして洋上で補給を受けた、その後シンガポールに向かっている、そのときに、それはテロというものに対して警戒を行い、監視を行いということは、その洋上でも起こり得ることなのですね。そこにおいて全くなくて、単にシンガポールに向かっている、豪華客船ではないわけでございますから、単に向かっているということのみが目的なのではありません。艦船は、その走行自体、航行自体が当然目的を持って走っているものでございまして、それはOEFの趣旨に合致をしているというふうに考えております。

松野(頼)委員 もっと言うと、では、帰りの船に給油をすることは、それはオーケーなんですか。

石破国務大臣 ですから、目的を果たして帰っている。単に帰るだけで、何というか、電車の回送みたいな話、そういうようなことではないわけであって、帰るといっても、それはそれなりの任務は当然負って帰っているわけです。それはそういうものなのですよ。ですから、それがOEFの趣旨にのっとって使われているというふうに考えることは、それはかなり自然な思考形態ではないかなと思っております。

松野(頼)委員 だから、アメリカに、どこがテロ特措法に基づく給油なのかということを確認されたわけですよね。その確認したところを教えてくださいと言っているんですよ。この活動は我が国のテロ特措法に基づく活動をしたという報告がアメリカからこうこうこう来ましたということを教えてくださいというふうに言っているんです。

石破国務大臣 委員の問題意識は、シンガポールに向かっている、それのために補給をした、それはOEFと関係ないだろうがというような問題意識なのだと思います。そのことを確認したのかねということだと思いますが、この海域において、確かに例外的なポイントで補給はいたしております、例外的なポイントで補給はいたしておりますが、それがシンガポールに向かっているということがOEFというものに合致をしているのだということは、当然、私どもとして考えているところでございます。

松野(頼)委員 時間が来ましたので終わりますが、またこの議論は続けさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

田中(和)委員長代理 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、アフガニスタン情勢について質問をいたします。

 今、アフガニスタンが直面する最大の問題の一つが治安の問題だと思います。この点で外務大臣が現状をどう把握し、どのような認識を持っているかについて聞きます。

 まず、米国がアフガニスタンに対する攻撃を開始した二〇〇一年以降、アフガニスタンの民間人の犠牲者数、多国籍軍の犠牲者数がどのように推移してきたか、説明していただけますか。

高村国務大臣 米国によるアフガニスタンへの攻撃における多国籍軍の死者数及び民間人死者数については、アフガニスタン政府、OEF、ISAF等から発表された公式な統計は承知しておりません。おりませんが、例えば、アフガニスタンにおいて活動する各国軍隊の死者数の推移について、民間団体アイカジューアルティーズオーガニゼーションの十一月七日付統計によれば、二〇〇一年十二人、二〇〇二年六十八人、二〇〇三年五十七人、二〇〇四年五十八人、二〇〇五年百三十人、二〇〇六年百九十一人、二〇〇七年二百五人となっております。

 アフガニスタンにおける自爆テロ件数については、本年九月の国連アフガニスタン支援ミッションの報告書によれば、二〇〇二年ゼロ件、二〇〇三年二件、二〇〇四年三件、二〇〇五年十七件、二〇〇六年百二十三件、二〇〇七年八月末で百三件となっております。

 アフガニスタンにおけるテロ事案による死者数については、アフガニスタン政府等から発表された公式な統計は承知しておりませんが、例えば米国の非営利団体MIPTの十一月七日付発表によれば、二〇〇二年七十九人、二〇〇三年百三十三人、二〇〇四年二百三十人、二〇〇五年二百八十八人、二〇〇六年七百五十五人、二〇〇七年百五十三人。

 私どもが承知している数字はこういうことでございます。

赤嶺委員 そもそも、アフガニスタンという国は、二〇〇一年以前、自爆攻撃はなかった。それが、近年、非常にふえているわけです。タリバン政権崩壊後もアフガンの情勢は非常に深刻な状況が続いており、今外務大臣が説明されたように、二〇〇五年以降、自爆攻撃も急増しております。

 高村外務大臣は、こうした深刻なアフガニスタン情勢、どのように認識しておられますか。

高村国務大臣 治安情勢は非常に深刻なものであると憂慮をしております。

 ただ、タリバン政権崩壊前の状況を考えていただければ、例えば九・一一、まさにアルカイダがやったテロでありますが、日本人も二十四人、三千人程度の方が亡くなった。これをまさにアフガニスタンを出撃基地として、アルカイダが行った。アフガニスタンの中でそういうテロをやる訓練場があって、そういうところでやっていた。国連決議によって当時のタリバン政権に対してビンラディン等を引き渡せ、こういう決議があるわけでありますが、一切それを拒否し、テロ出撃基地、テロリストの聖域としてタリバン政権が保護していた。さらに、これからもそういうテロが、国際社会、いろいろなところで起こるかもしれない、こういう状況であったということ。だからこそ、国連を初め国際社会全体がOEFとかあるいはISAFのそういう活動を認めているんだ、こういうことを認識しないと、ちょっと偏った見方になるのではないかと思います。

 そして、治安の点ではいろいろ問題がありますけれども、難民だとか、難民は、五百万人の難民が帰ってきているんですよ。外に出ていた五百万人の難民が帰ってきている。それから、経済成長だとか教育だとか保健等、多岐にわたる分野で前向きな動きもあると認識をしております。

赤嶺委員 最初の、テロリストの逃げ場だった、そういう雰囲気で国際社会も認めているいろいろな行動があるんだと言いますが、今私が問題にしたいのは、今の事態をアフガニスタンの国民がどのように受けとめて、どのように見ているのだろうか、アフガニスタンの治安、平和というのはどのようにつくらなければいけないのか、そういう問題意識なんです。国際社会があの国はと言うだけで本当に解決するのか。前よりはよくなったと。よくなったかどうだったかという評価は、今これは別問題です。

 例えば、外務省が最近のアフガニスタン情勢というペーパーを出しておりますが、治安情勢についてこう述べています。「治安は不安定の度合いを強めており、今後の見通しは予断を許さない状態にある。特に、パキスタンと国境を接する南部・南東部・東部の治安は懸念すべき状況にある。」こういう非常に厳しい見方をしているわけですが、外務大臣もそういう認識でいいですね。

高村国務大臣 今の見方は、私も部分的には全く一致をしているわけであります。

 ただ、先ほど前向きな動きと言いましたが、パキスタン、イランなどから五百万人以上の難民が帰還したとか、二〇〇三年から二〇〇六年のGDP成長率は年平均一〇%で着実な経済成長を達成しているとか、あるいは初等教育就学率は二〇〇〇年の一九・二%から二〇〇五年は八六・五%に向上したとか、あるいは子供の就学数は五年前の百万人程度から現在は五百四十万人以上に増加し、女性の就学率に至っては〇%だったのが三五%に増加しているとか、はしか予防接種を受けた子供は二〇〇〇年の三五%から二〇〇五年の六四%に向上したとか、いろいろ前向きの面もあらわれているわけであります。

 国際社会がまさに民生支援とテロに直接対峙する、そういった面を車の両輪として、これからテロとの闘いは末長い、非常に長く続く闘いにはなりますけれども、これをやっていかなければいけない。そういうことで、日本とすれば、民生支援といいますか復興人道支援も、もちろん今までもやってきましたし、これからもやっていくつもりでございます。

赤嶺委員 外務省は、治安は懸念すべき状況にある、こういう評価を下しているわけですよ。治安が何でそんなに悪化しているのか、そこを議論していかなきゃいけないと思うんですよ。だから、問題は、なぜこういう事態に至ったのか。

 外務大臣は、今まで民生、復興人道支援とテロに対する直接の対策を車の両輪でやっていくことが必要だ、こう繰り返し述べられました。要するに、この二つが補い合う関係にあるというのが外務大臣の認識だと理解していいですか。

高村国務大臣 車の両輪と言っているわけでありますから、基本的には相補い合うという関係でございます。

赤嶺委員 本当に、相補い合う関係というこの認識が現在のアフガンの情勢に関する認識の到達点と合致しているかどうか、ここをもうちょっと議論してみたいんです。

 例えば、自爆攻撃に関して、これは外務大臣も既に御承知だと思いますが、ことし九月、国連アフガニスタン支援ミッションが報告書を出しております。この報告書は、自爆攻撃に失敗したか関与した疑いのある二十数人から聞き取り調査を行い、作成されたものであります。

 報告書によると、外国軍隊に占領されているという意識、民間人の犠牲に対する怒り、国家や家族、自己の名誉や尊厳に対する侮辱などを自爆攻撃の具体的な動機として挙げています。要するに、米軍を初めとする外国軍隊による空爆や行動が自爆攻撃を生む要因になっていると国連の報告書では確認しているわけですね。

 外務大臣は、この治安が悪化しているというその要因について出された国連の報告書、この指摘、どのように考えますか。

高村国務大臣 それは一面の真理がある、こういうふうに思っております。

 ただ、それが、だから全体的に今のカルザイ政権の治安維持活動に対するお手伝いをやめろとかあるいは人道復興支援をやめろとか、そういうことには全然つながらないので、やはり今のカルザイ政権の治安維持機能を高めていくということが一番大切なんだろうと思います。

 ですから、それが、今OEFだとかISAFで軍隊を送っている国が直ちに撤退するということにでも、もしそういうことを御主張になりたいのであれば、私はそれは違うと思います。やはり少し根気よく、カルザイ政権の治安維持機能を高める、それまでは国際社会がお手伝いする、そういう活動が必要だ、こういうふうに思います。

赤嶺委員 自爆攻撃の要因、これは空爆などの外国軍隊の軍事行動を挙げられている。これはそのとおりじゃないですか。

高村国務大臣 私は、一面の真理だ、こういうことを言いましたが、一方で考えなきゃいけないのは、それは捕まったテロリストの供述ではそういうことになっている、こういうことですから、それをすべてがそうだ、こういうことにはならないわけでありまして、一面の真理は一面の真理として、バランスよく大きな観点から考えていかないと、カルザイ政権の治安機能を維持して、カルザイ政権という国際社会が認めた政府、アフガニスタンの復興はできない、こういうふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 私は、本当に民生支援と軍事行動が相補う関係になっているのか、このことを繰り返し聞いているのであります。

 実は、この問題意識を非常に強く持ちましたのは、この間、月曜日に参考人質疑が行われました。アフガニスタンに詳しい人たちがその参考人として出席されました。

 その中のお一人、伊勢崎さんは、テロリストせん滅のためにピンポイント攻撃を行う、その周りの、戦闘員には絶対になり得ない女子、子供が巻き添えになるという、これは今大変な数に上っております、これがいわゆる国際部隊作戦に対するアフガン世論の反感を買っているわけです、このように言っているわけですよ。こういう軍事行動を続けていったら反感が広がるだけだと。

 レシャードさん、アフガン出身のお医者さんで、今、日本で活動していて、アフガンのNGOの方ですが、米国や日本、NATOがイラクでの失敗を補うかのようにアフガンに関心を傾けようとしていることに対し、「現地の需要も考えずに、国際情勢の渦の中で先の見えない軍事援助は、再びアフガニスタンが政治のおもちゃになることを意味し、アフガン国民の立場としては、このような先の見えない行動は迷惑な話であります。」こう指摘しているわけです。

 ペシャワール会の中村哲さんは、殺しながら助ける支援というものがあり得るのか、このように繰り返し述べています。

 こうした指摘を踏まえたら、どんなに民生支援を積み上げたところであっても、こういう軍事行動が続き、罪のない民間人が犠牲になっていく、こういうことが繰り返されたら、相補うどころか、治安はますます悪化していくと思います。それでも車の両輪だと言えるんでしょうか。

高村国務大臣 全体的に見ればまさに車の両輪だと思います。今の御意見は、耳を傾ける点もあると思うんですよ。耳を傾ける点もあると思う、だからこそ、カルザイ大統領も空爆について苦言を呈している点もある。だけれども、一方で、OEFあるいはISAFの軍隊はアフガニスタンを助けるために来ているんだというようなことも述べている。そして、そういう中で、OEF参加国とカルザイ政権の間で、無辜の民の犠牲者をどうやって少なくするか、そういう話し合いも行われている。

 ただし、全体的に、今外国軍隊が一斉に引いて、またもとのもくあみの混乱状態に戻るというようなことは私は絶対に賛成できませんし、一時的に治安が厳しい状況にあるということは、それはそのとおりでしょう、そういうことですが、これは根本的には、カルザイ政権の治安維持能力を高める、そのことによって直していくということが必要なので、そうなるまでの間は、外国が、国際社会がお手伝いする、治安の面でもお手伝いする、そのことは必要なことだと思います。

赤嶺委員 もう時間になりましたけれども、私、きょう、テロリストとはアフガニスタンにおいてだれなのかということもお聞きしたかったんですが、今の外務大臣の答弁を聞きながら浮かんでくるものがありました。

 カルザイ政権の治安能力を高めようと国際社会が努力をしても、一方では空爆でテロリストと間違えられて民間人や子供たちが犠牲になっていく、そのことが憎しみを生んでいく、こういう連鎖では絶対に治安の能力を高めても解決しない。私は、外国軍隊が駐留していた沖縄で生まれ育ちました、二十七年間。やはり、沖縄の安定のためとかなんとかといっても、外国軍隊がそばにいること、絶対的な権限を持って行動することは、その地域の日本人としての誇りを奪うものでした。そういう状態にアフガンの国も今あると思います。

 私は、やはり、治安をよくしていくためにも、そういう軍事掃討作戦はやめて、話し合いで政治的なプロセスに早く移るべきだ、そのために日本政府が努力すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

田中(和)委員長代理 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 きょういただきました十二分のお時間の中で、私は、既に二〇〇三年の三月からずっとこの国会論戦の中で話題になっており、いまだにやみの晴れないキティーホーク問題を中心にお伺いをしたいと思います。

 このキティーホークが横須賀を出たときから、イラク作戦あるいは南方監視作戦にもともと目的があった、しかし、ある一時期OEFに従事しておった、そのときに日本は補給をしておる、こういう論立てであるわけです。このことに対して、市民団体ピースデポと言われる皆さんが、キティーホークの航海日誌、あるいは「ときわ」、あるいはアメリカのペコスなどの航海日誌をもとに分析をした結果、やはり、このキティーホークの行動というのはその次に続くイラク作戦と密接に連動していることが分析されたのではないかという指摘も挙げられております。

 それを受ける形で、防衛省としても、三十万枚以上のいろいろな資料を分析されて、特にこの間の給油活動が、補給艦にも給油する、あるいは多目的艦、いろいろな任務をあわせ持ったものにも給油しているという中で、そうした機能をあわせ持つ船が本当にそのときのOEFなりなんなりに従事しておったかどうかをどうやって詰めていくのかということが問題になっております。

 私は、きょう、先ほどの松野議員と石破長官のやりとりを聞いても、きょうはちょっと石破長官は……(発言する者あり)ごめんなさい、大臣は、不自然かなと思うのでありますが、まず、その石破大臣に伺います。

 キティーホークについては、当時福田官房長官が、最初二十万ガロンもらったから、それはとてもホルムズ海峡を越えてペルシャ湾に行けるものではない、しかし、今は、六十七・五万ガロンだから三日間くらいはもつだろう、そうすると、二月二十五、二十六、二十七くらいはOEFだった、その後は、アメリカからいただいたお答えによっても、サザンウオッチになっているかもしれないということでした。

 大臣はどこまで何を確認されたかということを聞きたいのですけれども、例えば、大臣のこれまでの御答弁では、キティーホークは三十三ノットでびょんとホルムズ海峡を行く、そういう速い速度だから、使った燃料は六十七・五以上であろうということでした。それは、アメリカに聞かれたのか、航海日誌を分析されたのか、あるいはメーターか何かがついていて確認されたのか、これを一点。

 そして、きょうお手元に示してあります資料はアメリカからいただきましたプレスリリースのものですが、ここには、二月二十五から二十八日にはこれこれのOEFを支援する以下の任務を行ったと下段にございますが、その中の海上阻止行動、MIOという表現がございますが、これが果たしてイラクに対してのMIOなのか、アフガニスタンに対してのMIOなのか、これは先方に聞かれたのかどうか、この文章によってのみ判断したのかどうか。

 二点、お願いいたします。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 キティーホークの平均的な一日の燃料消費量の問題、それから、どのような形で確認をしたかということでございますけれども、まず、一般的に艦船の燃料消費量と……(阿部(知)委員「端的にお願いします」と呼ぶ)はい。

 それで、空母につきましては、私どもの方で同種の艦船を保有しておりませんので、それは推定は困難であるということで、我が方で、キティーホークの平均的な一日の燃料消費量はどうかということにつきまして、平成十五年当時、米軍からいろいろ聞いたところでございまして、キティーホークについては、それ自身の運用に基づいて標準的に一日約二十万ガロンを消費するという説明を受けているところでございます。

 今回いろいろな指摘がございまして、改めて確認作業を行いましたときにも、米側にいろいろな説明を求めておりまして、第七艦隊の実際の運用も含めて聴取をして、その結果、二十万ガロンという数値でやっているということでございます。

阿部(知)委員 端的に言っていただけばいいんです。聞いただけだ、みずから検証する手段を持たないんだと。そうなんだと私も思います。

 市民団体の方は、航海日誌を分析して、一体どれくらいのノットで、どこからどこに移動したかまで調べてございます。これは、せんだっての参考人の小川和久さんが、せめて防衛省も市民団体くらいの追跡能力を持つべきだとおっしゃっていました。私もそうだと思います。今の答弁は、聞いただけ。聞いたということを信じなさいと言う政府と、市民団体は、おかしいよと。これは、市民団体というのは、自前のお金で一生懸命調査をしているわけです。それは国民の側からの目なんです。

 信頼感というお言葉が出ましたが、ただ丸投げに信ずるわけにはいかない。というのは、なぜならば、この間の、アメリカ自身が言っておりますように、二枚目をあけていただきますと、十月十八日の、これはアメリカの公式発表、プレスリリースですが、もう先ほどこれは民主党の議員が取り上げられましたが、船に油を入れたら中でまざる、多目的艦は本当はどこまで、どこが何かわからない、難しい、これは当然だと思います。アメリカは幾つかの任務をあわせ持つ行動に出ている、我が国はテロ特措法という、OEF並びにOEF・MIOだけという、そもそもがそごがある法体系の中でこれだけの調査を、逆に言うと強いてきたことになると思います。

 町村大臣に伺います。今度、この新立法と申しましょうか、この中で、今イラン情勢も大変に騒がしい情勢であります、OEF・MIOさえやっていれば、その後、その船は、同時刻でなければ、イランのウオッチや、場合によってはイラン攻撃なども排除されない法の体系なのでしょうか。

町村国務大臣 イランに攻撃をするかどうか、これはわかりませんし、十月二十五日にアメリカは、ライス長官がイラン制裁を発表したわけでありますが、その記者会見の中でも、イランとの外交的な解決を図りたいんだ、こういう発言もしておられるわけでございまして、攻撃をするかどうかといったようなことを今仮定で議論するのは差し控えるべきだと思います。

阿部(知)委員 不誠実な御答弁です。そうしたこともあり得るのかと。もちろん、あした何が起こるかわかりません。だからこそ、この立法は非常に重要なのです。そういう可能性を否定するものではないでしょう、大臣。

 だって、あなたの繰り返しの答弁は、OEF・MIOさえやっていれば他の任務の併用は排除しないと、何回もお答えですよ。アメリカはこの間、一貫して、アフガニスタン、イラク、次はイランかもしれないんです。否定はできないんです、世界情勢だから。その中で、なぜ明確に答弁なさいませんか。国民に説明がつかないでしょう。私どもは、だからこそ、こういう補給艦同士の補給や多目的艦の補給や、そうしたものは一切行うべきではない。

 町村さんが今のようなごまかしの答弁をする限り、この法案の審議は成り立たないのです。もう一度お願いします。

町村国務大臣 阿部さんは、何かもう、イランに攻撃することを前提にしておられるようなことをおっしゃるから、私は、そんなことは勝手に決めるべき話じゃありませんし、平和的な行動でやろうとアメリカが言っているということを言っているんですから、そんな、前提を置いての議論というのは私は不適切だと思いますよ。私は誠実に答えているので、勝手に決めつけないでください。

阿部(知)委員 決めつけてはいませんが、答弁にはなっていません。

 委員長、仕切ってください。おかしいじゃないですか。可能性を否定しないのかと私は聞いているんですよ。委員長、とめて、仕切ってください。こんなあいまいな答弁で、私は次には進めません。

田中(和)委員長代理 これはもう一度、町村内閣官房長官、御答弁を願います。

町村国務大臣 丁寧に申し上げているつもりなんですけれどもね。私は、いつも誠実一路で今日までやってきた人間でございます。

 イランに攻めるかどうか、攻撃するかどうか……(阿部(知)委員「そんなこと聞いていません」と呼ぶ)いやいや、その可能性があると、前提に議論をしろとおっしゃったから、そういう可能性を前提にして議論するのは不適切だと今申し上げているんです。

阿部(知)委員 答えになっていないじゃないですか。

 世界情勢なんですよ。あり得る可能性があった場合、こういう法律をつくった場合に、今までの答弁では、補給艦に補給した後はどうなってもわからないんですよ。

 では、石破長官。私は、終始不誠実な答弁で、これは後で理事会で問題にしていただきますが、そういうことで時間が終わることを望みません。

 石破大臣、先ほど松野さんがお尋ねになりました、シンガポールからハワイに行った船、あの船の十二月十八日の任務はアメリカに確認されましたか、されませんか。

石破国務大臣 それは確認するまでもなく、OEFに従っていると考えるものです。

 先ほど回送電車の例を申し上げて失礼をいたしましたが、それは、シンガポールに向かっている間、当然任務を帯びているものです。それはOEFの任務以外に考えられない。それはもう、ほかにも任務を持っていたかもしれませんよ、しかしながら、その船が、アンティータムという戦闘艦がシンガポールに行くまでの間、当然、テロに対する警戒監視、そういう任務を負っているというのは、それはそう考えるのが当然の思考だというふうに私は思っております。

阿部(知)委員 今の御答弁を要約すれば、確認はしていないということなんですよね。そして、町村大臣の御答弁も、あり得る可能性はないんだから、しかし、だれが保証しましょうや。それではこの大事な法案の次が見えません。

 高村大臣に最後にお願いがございます。こうやって、OEFあるいは他の軍事作戦と一緒になった海上保安活動をやるからこそ疑念が生じるわけです。今大臣がなさるべきは、世界的に、もしここが危険な地域であれば、他の、攻撃国アメリカと違う形でのここの海上保安のあり方を国際社会が求めるべきです。その先端に大臣に立っていただくことをお願い申し上げて、本日の、不誠実な答弁も含めた私の質問を終わります。

田中(和)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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