衆議院

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第15号 平成16年5月13日(木曜日)

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平成十六年五月十三日(木曜日)

    午前十時三十三分開議

 出席委員

   委員長 自見庄三郎君

   理事 石崎  岳君 理事 北村 誠吾君

   理事 久間 章生君 理事 増原 義剛君

   理事 首藤 信彦君 理事 平岡 秀夫君

   理事 前原 誠司君 理事 遠藤 乙彦君

      赤城 徳彦君    岩屋  毅君

      植竹 繁雄君    江崎洋一郎君

      遠藤 利明君    大村 秀章君

      岡本 芳郎君    佐藤  錬君

      塩谷  立君    柴山 昌彦君

      菅原 一秀君    田中 英夫君

      谷  公一君    中西 一善君

      仲村 正治君    鳩山 邦夫君

      林田  彪君    宮澤 洋一君

      森岡 正宏君    山口 泰明君

      岩國 哲人君    大畠 章宏君

      奥村 展三君    鎌田さゆり君

      川端 達夫君    末松 義規君

      武正 公一君    中川 正春君

      中塚 一宏君    長島 昭久君

      楢崎 欣弥君    細野 豪志君

      松崎 公昭君    松本 剛明君

      渡辺  周君    上田  勇君

      大口 善徳君    桝屋 敬悟君

      赤嶺 政賢君    東門美津子君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   外務大臣         川口 順子君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 小野 清子君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   国務大臣

   (事態対処法制担当)   井上 喜一君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   国土交通大臣政務官    佐藤 茂樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  堀内 文隆君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  増田 好平君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大石 利雄君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    瀬川 勝久君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  小林 誠一君

   政府参考人

   (消防庁長官)      林  省吾君

   政府参考人

   (消防庁次長)      東尾  正君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 鶴岡 公二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房領事移住部長)   鹿取 克章君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)   堂道 秀明君

   政府参考人

   (外務省条約局長)    林  景一君

   政府参考人

   (外務省国際情報局長)  小島 高明君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)   小島比登志君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)   佐々木宜彦君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 榊  正剛君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  石川 裕己君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 矢部  哲君

   衆議院調査局武力攻撃事態等への対処に関する特別調査室長   前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  山口 泰明君     岡本 芳郎君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 芳郎君     山口 泰明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案(内閣提出第九八号)

 武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案(内閣提出第九九号)

 武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案(内閣提出第一〇〇号)

 国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案(内閣提出第一〇一号)

 武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案(内閣提出第一〇二号)

 武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案(内閣提出第一〇三号)

 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇四号)

 日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)

 千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書1)の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)

 千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書2)の締結について承認を求めるの件(条約第一二号)


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     ――――◇―――――

自見委員長 これより会議を開きます。

 本委員会に付託されております、内閣提出、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案等武力攻撃事態等への対処に関連する七法律案及び日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件等条約三件を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官堀内文隆君、内閣官房内閣審議官増田好平君、内閣官房内閣審議官大石利雄君、警察庁警備局長瀬川勝久君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛庁運用局長西川徹矢君、防衛庁人事教育局長小林誠一君、消防庁長官林省吾君、消防庁次長東尾正君、外務省大臣官房審議官鶴岡公二君、外務省大臣官房領事移住部長鹿取克章君、外務省北米局長海老原紳君、外務省中東アフリカ局長堂道秀明君、外務省条約局長林景一君、外務省国際情報局長小島高明君、厚生労働省社会・援護局長小島比登志君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君、国土交通省道路局次長榊正剛君、国土交通省航空局長石川裕己君及び国土交通省政策統括官矢部哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

自見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

自見委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桝屋敬悟君。

桝屋委員 おはようございます。公明党の桝屋敬悟でございます。

 皆さん、大変お疲れでございますが、この委員会の外ではいろいろな、各党も我が党もさまざまな事態を迎えておりますけれども、しかし、それはそれとして、この事態対処に基づきます国民保護法制、極めて大事な審議でありますから、これはこれとして一生懸命議論を続けていきたい、このように思っております。皆様方の御尽力に敬意を表しながら、私も一生懸命議論させていただきたいと思います。先日、四月二十日に、井上大臣とも議論させていただいて、若干気になることもありますから、もう一度、改めて確認をさせていただきたいという思いもございます。

 最初に、イラク情勢でございます。

 きのう、きょうのマスコミ報道等を見ておりましても、サマワの状況、かなり緊迫した状況が続いております。迫撃弾が着弾をしたり、手投げ弾事件が起きたり、なかなか困難な状況が今続いているわけでありますが、私、気になりますのが、オランダ軍や、我が国の自衛隊も含めてそうでありますけれども、そうした駐留軍、向こうの特にシーア派の人たちも占領軍という言い方をされるんでしょうけれども、そうした駐留軍に対する悪感情というものが捕虜の事件等もあったりいたしまして相当高まってきているのではないかということを大変に懸念しております。

 石破長官に伺いたいんですが、長官は、この事態、自衛隊の活動に大きな変更はないということを既に言明されておりますけれども、やはり警備態勢あるいは活動内容について十分な配慮が必要であろうと思います。とりわけ、地元住民あるいは部族との信頼関係を維持するための十分な配慮といいますか、対応が必要であろう。文化も宗教も違う国での活動ということであります。その中で我が方は人道復興支援ということでありますからやはり地元の皆さんの理解ということが何よりも大事だろう、こう思っておりますが、長官に、今の現地での自衛隊の活動について御報告をいただきたいと思います。

石破国務大臣 先生おっしゃいますとおり、迫撃砲が撃たれる、あるいはオランダ兵に対して手投げ弾が投げられ死傷者が生ずるという事態は、私ども、極めて憂慮し、かつ、関心を持っておるところでございます。しかしながら、これは、私、別に強弁をしておるわけでも何でもなくて、サマワの治安全体が悪くなったかといえば、そのように認識はいたしておりません。これが一つでございます。

 もう一つは、占領軍という御指摘を先生なさいました。自衛隊に対してはどうなんだということを、この間、一時帰ってまいりました佐藤一佐から、私、かなり詳細に聞きましたが、本当に、自衛隊に対する感情は、逆にと言ったら変な言い方なんですけれども、あのような事案が起こってから、もう自衛隊がいなくなっちゃうんじゃないか、自衛隊がいなくなっては困るということで、現地の人たちの自衛隊に対するいろいろな気配りというものがさらに目立つようになったということを、私はやや意外な感を持って受けとめたのです。

 それはどういうことかというと、これは出発前にも随分と私ども議論をしたことでございますが、違う文明あるいは違う宗教、違う人種というのですか、民族というのですか、そういうものに対してとにかく尊敬の念を持ち、敬意を払って接していこうということは相当に徹底をいたしました。

 もう一つは、私どもが例えば学校を直しますときに、ああ、これを直そうとかいうことではなくて、サマワ市の教育委員会に聞いて、どれが一番急ぐんだ、どれが子供たちが一番困っているのかということを聞いて、現地の人々のニーズに合うような活動をきちんとするというようなことをずっと積み重ねております。

 つまり、イラクの人々のニーズに本当に合った、イラクの人々の視線に合わせた活動をしようということがそういうことにつながってきているのではないかと私どもは考えておりまして、五月六日に、先生も御案内のとおり、サマワで自衛隊歓迎といいますか、自衛隊支援のデモというのがありました。

 デモが来るというので私はびくっとしたのですが、何のデモが来るかと思ったら、こういう垂れ幕を持っておりました。「オール オブ アス アー ウイズ ユー フォー リビルディング アワー セーフ シティー」「私たちは安全な町の再建のためにあなた方自衛隊とともに連帯します」というふうに訳すんだろうと思いますが、七十名の人たちが日の丸を振って、そういうようなプラカードを持って、自衛隊にそういうような行動をされたということであります。

 当然、私ども、治安に対して安心をしておるわけではございません。しかし、オランダは治安維持という活動をしております。我々は人道復興支援という活動をしておりますから、遭遇するケースも違います。しかしながら、引き続き安全に対しては、迫撃砲に対してもあるいは自爆テロに対しても、ありとあらゆるケースを考えて、万全に本当に近づくようにさらに今後ともやってまいりたいと思っております。オランダとさらなる連携を深めつつ、本当に現地の人々の期待にこたえるような活動をやってまいりたいと思っておる次第でございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 私も占領軍という言葉でくくるつもりはもちろんありませんけれども、しかし、少しでも油断をするとそのリスクはあるんだろう、こう思いながら伺ったわけであります。

 今の長官のお言葉にありましたように、我が国の自衛隊は人道復興支援のために行っているわけであります。そして、現地の方々のニーズにどれだけこたえられるか、これからはどれだけの仕事ができるかということがまさに問われるだろう。

 これから先の議論にも出てまいりますが、そうはいっても、自衛隊の部隊というのは、やれることとやれないこともある。向こうも過度に期待をされるところもある。そういう意味では、本当に、先ほど、地元の方と十分、ニーズを伺いながらということを言われましたけれども、これから先の活動、人道復興支援活動が地元の方に過度の期待を与える、その結果、不信につながるということにならないように、やはりこれからの活動については十分気をつけなきゃならぬだろうと思います。

 そういう意味では、どうでしょうか、長官、しっかり仕事はできている、そろそろ仕事ができる環境になったというふうに考えてよろしいんですか。具体的に今サマワの自衛隊の皆さんがどういう活動をしているのか、その辺、もう少し御報告をいただきたいと思います。

石破国務大臣 これはやはり治安情勢をよく見きわめながらということだと思いますけれども、私ども、こういうような事案があったので、もう引っ込んでしまって何もしないということではございません。浄水、給水は今までどおり行っておりますし、あるいは、交差点の補修のために視察にも行っております。

 私ども、先生御指摘のように、能力には限りがございますので、例えば交差点の補修というようなことも自分たちだけでできるわけではありませんが、現地の方々の雇用、これも不公平感が生じないということに最大の配意を置きつつ、我々ができることというのを安全が確保される限りにおいて可能な限り行うという環境は整いつつあると考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 国民保護のための自衛隊の部隊の派遣について議論をしたいと思います。

 今回の国民保護法制の中で、特に十五条、二十条、国民の保護のための自衛隊の部隊等の派遣が定められておりますけれども、防衛出動との兼ね合いから、石破長官も、何度かこの委員会でも、それはやはり自衛隊の本来の活動の目的というのはあるんですよということを言われておりますが、私も、地元の、私は山口県なものですから、山口県の状況を考えてみても、半島に近いという一つ大きな問題もあります。海岸線だけで三百キロぐらいあるんですね。

 この三百キロの山口県の中で、山口市に駐屯地がありまして、普通科連隊が駐屯しております。サマワに今行かれている部隊と大体同じぐらいの規模だろうというふうに私は感じているんですが、加えて、長い海岸線、半島に近いということもありますし、有人離島もある、さらには岩国に米軍基地を持っている、こうした状況があるわけであります。

 そんな中で、確かに、私も現地の駐屯地の状況を見ておりますと、その普通科連隊の皆さん方は、山口県の中に一つある駐屯地ですから、山口県のエリアというものは常に今回の事態対処という局面でもお考えになっているようでありまして、そういう意味では、まさに長官がおっしゃっているように、現場の自衛隊の皆さんと話をしても、やはり我々のやれることというのは限りがありますよ、こういう言い方をされるわけであります。

 そのとおりだろうなと私は思っておりますが、しかし、そこはやはり、今回の国民保護という観点から、場合によっては地方団体が自衛隊に派遣を要請する、こういう規定もあるわけでありまして、そのときに、地方の立場からしますと、長官からあのように言われると、では、何が期待できるんですかと。

 いざというときは、それは場合によっては県内の駐屯地だけではなくて中国全体が横の連携をとりながら、あるいは全国レベルで調整をしながら、本当に地方団体として派遣を求める、そうした必要性があるときに期待ができるのかどうかという逆の発想で、長官、では、自衛隊に何を期待したらよろしいですか、こう問われた場合、どのようにお答えになるのか、お伺いしてみたいと思います。

石破国務大臣 ここは、先生が先般御視察いただきました第十七普通科連隊だと思います。規模は五百六十名かと承知をいたしております。これは私ごとでございますが、私の県にございます第八普通科連隊と全く同じような規模であります。

 我々の中国地方の中で、私どもの山陰地方を考えましても、鳥取と島根と合わせれば三百キロ近い海岸線があるわけでございますが、ここにあるのは、米子にある第八普通科連隊と出雲にある部隊、これだけなのであります。

 同じような懸念は、恐らく全国あちらこちらの方がお持ちなのだろうと思います。他方、先生から御指摘をいただきましたように、私どもの本来任務というのは敵の侵害の排除ということにございまして、これはほかの者ではできないわけでございますから、そのことに全力を尽くさなきゃいかぬ。そこが自然災害と違うところでございます。

 そういたしますと、例えば、十三旅団と山口県知事、あるいは第十七連隊と山口県知事あるいは山口市長さん、国民保護協議会でそういうことを御議論いただくことになるんだと思います。これは観念論ばかり言っても仕方がございませんので、例えば、我々鳥取県では随分やってみましたが、では、バスが何台あって、トラックが何台あって、では、船がどのようなものが使えて、どういう場合に自衛隊が出ることができるのか、その場合にどのような応援態勢がとれるのかということを具体論で議論してみることが必要なんだろう。先生の御懸念を、多くの国民の方の御懸念を払拭するためにも、まず議論を始めてみなければ仕方がないということがベースにございます。

 もう一つは、私ども、きのうも前原議員から御質問をいただきましたが、防衛力のあり方をどうするかというときに、これは統合という観点からもあわせてですが、輸送能力というものは相当に上げていかなければならぬだろうと思っております。それは、自衛隊が国民の方々を輸送するということがメーンに出るわけではございません。あくまで、余裕といいますか、敵の侵害排除に支障のない限りにおいてということでございますが、そういう面におきましても、例えば陸上自衛隊も、日本海側に全部、面のようにべたに置いてあるわけではございません。そうしますと、これは、航空自衛隊とも海上自衛隊とも一緒になった、素早い部隊の移動能力というものも上げていかなければいかぬだろう。

 そういうことを並行して行いながら、万全に近づくように国民の皆様方と議論をさせていただきたい、先生方の御指導も賜りたいと思っておる次第でございます。

桝屋委員 今まさにおっしゃるように、そういう具体の想定をしてこの委員会でも随分議論されておりますが、やはり現場においてしっかり議論をするということが極めて大事だろうと司令がおっしゃっていました。率直なところ、異動で来られて、地元の首長さんや地元のさまざまな団体の皆さんとの交流というのはあるようでない。最近はやっとできるようになりました、こう言っておられまして、これは極めて重要なことだな、こう思っております。

 そこで、一点確認ですが、今おっしゃった国民保護協議会あるいは市町村の国民保護協議会、この構成員に当然ながら自衛隊員も入るわけでありますけれども、県の場合は「防衛庁長官が指定する者」あるいは市町村の場合は「防衛庁長官の同意を得た者に限る。」こうなっておりますが、これは具体的にどういう立場の方、役職の方を想定されているのか、お答えいただきたいと思います。

石破国務大臣 どのような者が出るかは、今先生がおっしゃったとおりでございます。指定する者あるいは同意を得た者ということになります。

 これはやはり幹部自衛官でなければだめだというふうに思っております。いわゆる曹士クラスであるとなかなか全体の判断ができないということがございますので、幹部自衛官であって、そのような判断をするのに適した者ということでございまして、自衛官を出せばいいということではなくて、それはそういうようなことに通暁した者を出すようにしたいというふうに思っております。

 もちろん、幹部自衛官の人数には限りがございますけれども、それは全く同じ日に開催されるわけでもございませんので、これはやりくりをしながら、本当に市町村のニーズにこたえられ、きちんと私どもの立場も申し上げることができる者、そういう者を配したいと考えておる次第でございます。

桝屋委員 そうすると、例えば、この法律が成立いたしまして、これからしばらくの間、現場で、都道府県、市町村でいろいろな作業が始まると思うんです。そうすると、この協議会に参加される自衛隊の皆さんというのは、場合によっては一人の方が幾つか兼務をされることはあるということですね。

石破国務大臣 これは、そういうことは起こり得ます。むしろ、そういうことがあった方がいいのかもしれないと思っておりまして、合併後、何市町村になるか、これは私も定かには存じませんけれども、それぞれがばらばらなことをやりますよりも、例えば、山口県のこの地域はこの者が、鳥取県のこの地域はこの者がというふうにやった方がより有機的なことができるかもしれないというふうに考えておる次第でございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、これから、今まで自衛隊の皆さんも入って、まあ鳥取はかなり精力的にやっていただいていますが、そうした議論が始まるということがこの法律の大きな意義だろう、こう私は思っております。

 そこで、もう一つ、都道府県、市町村の立場から伺ってみるんですが、実際にこの国民保護法制が成立する、そして組織の整備あるいは国民の保護に関する計画を策定する、さまざまな作業がこれから入ってくると思いますが、地方公共団体として具体的に条例で定めなければならないものというのがどれぐらいあるのか、麻生大臣、お示しをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 いろいろあろうかとは思いますが、国民保護法案の上からいきますと、条例に委任されております事項に、三十一条のところに、都道府県及び市町村の対策本部に関し必要な事項ということになっておりまして、当然のこととして、現地対策本部の設置等々について想定がされるところだと思います。

 それから、国民保護協議会の組織及び運営に関し必要な事項というので、これが第三十八条と第四十条ということになっておりますので、これに伴いまして、委員の定数、任期、それから議事等々につきましては必要だろうと思います。

 また、地方公共団体におきましては、武力攻撃または災害等々の派遣手当を支給することになろうと思いますので、この点につきましては百五十四条、それから、地方税の減免という措置を行う場合が出てまいりますので、その件につきまして、百六十二条に、所要の条例を整備していただくということになろうと思っています。その必要が出てまいります。

 なお、これは地方公共団体の条例の規定の仕方等々によって違いが出てこようと思いますが、国民保護協議会の委員の報酬とか実費の弁償とか、また、損害補償に関する事項等々が出てくると思いますので、条例の規定の整備が必要になる場合もありますが、そのほかにも、法令の範囲の中におきまして、いわゆる地方団体の判断というものに基づいて、国民保護に関しまして、その事務の内容や組織について条例を整備するということも十分にあるところであろうと思っております。

桝屋委員 相当の作業になるだろう。しかも、きのう前原さんのこの委員会での議論を聞いておりましても感じたわけでありますが、やるときはこれは集中的な作業になるだろうと思っております。ぜひとも、成立後、モデルでありますとか、あるいは準則であるとか、そうしたものを的確に示される必要があるだろう、こういうふうに私は感じております。

 そこで、残された十分、この前の続きを、ちょっと確認したいんですが、決して井上大臣の言葉じりをとるつもりではありませんが、大臣、後から議事録を読み返して、これはやはり知事さんあたりが聞くと誤解されるんじゃないかなという気もしたものですから、もう一回確認をしたいと思います。

 この前、議論したのは、今回の法律に基づくさまざまな措置に対する財政措置の話でありますが、国庫補助あるいは国庫負担という議論をいたしました。大臣も、四月二十日の委員会で、議事録を読んでみますと、語感として国庫補助と負担は違う印象がある、だけれども、ぐちゃぐちゃになっているところがある、国庫負担といいながら補助的なものもあるし、補助といいながら負担的なものもある、こう言われました。言葉だけで中身が特定されてしまうような現行の制度にはなっていないという現状をお話しになりました。

 これは、百歩譲って、そうだなという感じもするんですよ。現に、国庫支出金のうち補助金も負担金も一緒にして適化法ができているわけでありますから、そこは理解できなくもないんですが、ただ、ここは、ある意味では大事な話でありますから、やはり国庫補助金と国庫負担金の違いということは国と地方との財政関係の秩序を形成する上で極めて大事な点であろうと思っておりますから、私は、あの日に、天地雲泥の差があるんですよと言ったわけでありますけれども、せっかく総務大臣いらっしゃいますので、国庫支出金のうち補助金と負担金はどこが違うのか。違うと私は思っておりますが、明らかにしていただきたいと思います。

麻生国務大臣 国庫負担金は基本的には割り勘かしら、簡単に言えば。そういうことになるんだと思っておるんですが、財政法を見れば、国と地方団体相互に密接に関連を有する事務ということについては、共同責任という観点から、国が義務的に支出するということになっておりますので、その比率の割合は二分の一とか四分の三とかいろいろありますが、基本的には割り勘ということになろうかなという感じがいたしております。

 それから、片一方の補助金というようなものに関しましては、一種の、国が奨励するような意味になろうと思いますので、この政策をぜひという意味で奨励する目的で支出するということになりますので、こちらの方は補助金として区分をするということになるのではないかなと思っております。

 言われましたように、天と地ほど違わないまでも、少なくとも国が義務的にやるものと奨励的にやるものとにはかなりな差が出てくるであろうと思っております。

桝屋委員 総務大臣にはもっと迫力ある答弁を期待しておったわけでありますけれども。お気持ちはわからぬこともありませんが。

 地方から見ますと、地方自治体から見ますと、やはり補助金と負担金というのはえらい違いなんです。それは、地方財政法上の規定を見ても、補助金と負担金というのは、負担金は、補助金と違って、なお進んで国が経費を負担しなければならない、しかもそれは制限列挙をしておりますし、明らかに法的な根拠を持つ負担金という例が多いわけでありまして、ここは、井上大臣はそういう趣旨でおっしゃったのではないと思いますが、補助金も負担金もそれほど、言葉は違うけれども実態はそんなに違いませんよということでは、少なくとも全国知事会の皆さんは、おやおやと思われると思うんですね。そこを私は誤解を解いておきたい、こういう意味で申し上げているわけであります。

 やはり制限列挙して国の負担と国の義務というものを明らかにする、これが国庫負担金――大臣、何かありますか。総務大臣、応援演説をひとつ。

麻生国務大臣 今、桝屋先生の御疑問に対して、これは大畠先生だったか、ちょっと正確な記憶ではありませんけれども、いわゆる経費につきまして、国において負担されるべき行為とお答えを私の方で申し上げた後、総理に対しても同じような質問が出ておりまして、その場合におきましても、国として必要な費用というものはきちんとなされるように対応が必要というように総理も答えておられるというところでもありますので、御懸念の点はよくわかりますので、この点につきましては、総務省としても挙げて対応していきたいと思っております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 それで、先日、井上大臣が、最後の方で私の質疑のところでお答えになったのは、地方団体も、補助も負担金も余り、そこだけを言っていませんよ、要は国の手厚い助成を求めている、こういうふうに自分は理解している、その後にできるだけ支援が行くような体制づくりを考えていく、こういう発言をされまして、私も、まあそれならいいかな、こう思ったわけでありますが、改めて、国庫負担金と国庫補助金の性格というものを厳格に考えますときに、今回、新たに国民保護法制を考えるわけでありますから、新たに創設するわけでありますから、そうした中で、制限列挙されるような国庫負担金のあり方について、私は、本当は国庫補助負担金ということで一緒に規定をしていただきたかったなと。

 与党内で議論するときも、そのことを党内で申し上げたわけでありますが、これからの議論だろうということで私も一応は納得したわけでありますが、大臣がこの前おっしゃったそういう御答弁というのは、今後必要であれば、これからまさに、それぞれの基本計画をつくる中で、これはというものは必ず出てくるのではないか、こう私は思っておりまして、大臣の御答弁は、必要であれば国庫負担制度も検討する、こういう思いだ、趣旨だというふうに理解をさせていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

井上国務大臣 国民保護法案の中で費用負担につきまして規定が置いてありますけれども、この中では、明らかに国が原則的に負担すべきものは、有事の際のいろいろな経費、幾つかの経費があります。これはもう明らかでありますし、それから、地方公共団体が負担すべきものについては、人件費等につきまして負担すべきものと規定されているわけです。

 問題は、その中間にあるのをどうするかという意見でありますけれども、確かに、国民の保護計画をつくりましても、計画だけではこれは何にもなりませんので、実際に訓練なんかも必要だということになりまして、そういった経費が恐らく今御指摘の経費なんだろうと思うのであります。

 私どもとしましても、今の規定上は、そういった経費については補助することができるというような規定になっておりまして、御指摘のような、きちんと負担をするということになっていないわけであります。

 私が前回答弁申し上げましたのは、補助金あるいは負担金、原則は、これは今総務大臣の御答弁になったとおりでありまして、性格的にはそれぞれが御答弁のような性格を持っているというぐあいに認識しておりますけれども、現実の補助金なり負担金を見ますと、典型的な補助金もあれば、あるいは典型的な負担金もあれば、両極端がありまして、それでずっと、お互いがどっちともわからないようなところも、ある場合には補助金になったり、ある場合は負担金になったりしているということを私は申し上げたわけでございます。

 したがいまして、ここから、それなら補助金でいいじゃないかという議論もありますけれども、しかし、それならば負担金としてやっていいじゃないかという議論も当然出てくるわけでありますし、今、委員もそのような御意見でありますし、あるいは都道府県知事もそういった御意見の方が多いということでありますので、これは、今は、一応、法律の原案に規定しているとおりで、それ以外の何物でもありませんけれども、さらに検討を深めまして、御趣旨に沿うようなことができるのかどうか検討をしていきたい、こんなふうに考えます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 三位一体改革で補助金制度が見直しがされております。そうした中で、国庫負担金というのは、やはり国の責任、いたずらに国の負担を地方に転嫁しない、こういう意味もあるわけでありますから、改めて原点に返って議論をするということが必要だということを申し上げたかったわけであります。大臣の御答弁、ありがとうございました。

 以上で終わります。

自見委員長 次に、松崎公昭君。

松崎(公)委員 おはようございます。民主党の松崎公昭でございます。

 きょうは、冒頭に、今、桝屋議員もとらえられましたが、サマワの問題にちょっと触れさせていただきたいと思っております。

 一昨日も、我が党の首藤議員がこの問題に関して大分質疑をされました。私は、先ほどの長官の答弁でございますと、もちろん歓迎されるのは結構ですし、支援のデモもあったということも結構でありますが、なかなか、戦争という状態になりますと、さまざまな思惑を持った動きがありますから、そういう動きだけですべてが許されるということではないので、我が国は法律に基づいて自衛隊も出ているわけでありますから、やはり主体的に、我が国の法律に基づいて、サマワにいる自衛隊が果たしてどうなんだろう、そういう冷静な判断が必要だろう。

 そこで、十日に起こりましたオランダ軍の二名の死傷、それに伴って、けさほどのニュースやら新聞でも、オランダのバルケネンデ首相ですか、報道でも大分揺れ動いております。撤退とは言いませんが、撤退を含んで非常に今揺れ動いている。オランダそのものも、与党がぎりぎりでありますとか、世論は既に撤退に傾いている、そういう中で今回の死傷事件、急遽、首相も外遊をストップして、さまざま、アメリカやら国連にも働きかけている、そういう状況であります。

 そこで、このオランダ首相の発言について、外務省はどのように確認して受けとめているか、この影響は日本にあるのかどうか。よろしくどうぞ。

川口国務大臣 十日の夜にサマワで発生をいたしました手りゅう弾攻撃によるオランダ軍の兵士二名の死傷について、バルケネンデ首相は、十一日に、声明を発表いたしております。その中で、協力とイラク復興は継続されるということを述べているわけでして、イラク復興支援、これへの決意を改めて表明していると承知をいたしております。また、同じ日に、バルケネンデ首相は、部隊の駐留を継続するか否かについて、あらゆる面を考慮して検討すると述べたというふうに承知をいたしております。

 他方で、オランダ軍の派遣の延長につきましては、カンプ・オランダ国防相が、十一日に、イラク住民も県評議会を通じて駐留を要請してきている、派遣延長は閣議で良識ある決定を行うべきであり、今月中あるいは六月第一週までには決定を行う予定であるということを言っているわけでございまして、まさに現在、オランダの政府の中で検討が行われているというふうに承知をいたしております。

 政府といたしましては、オランダ軍のサマワでの活動、これについては高く評価をしているわけでございまして、今後とも、イラクの復興のためにともに努力をしていきたいというふうに考えております。

 したがいまして、オランダ軍の決定をどう評価するかということにつきまして、オランダ軍は今政府の中で検討中ということでございますので、引き続きイラクの復興支援を行っていくということ以外には、何かコメントすべき新しい決定があったということではないということでございます。

松崎(公)委員 これは、もしもということを言ってもいたし方ないかもしれませんが、今のオランダの状況を見ましても、かなり議会もぎりぎりである。もし、もしですよ、オランダが撤退をするというようなことになった場合には、自衛隊というのはそのときどう対応するのか。治安の部隊ですから、まだイギリスでありますとか、もちろんアメリカ軍がいるわけですけれども、一番直接のサマワの治安を維持しているところがもし撤退なんということになりますと、かなり日本は考え方を変えざるを得ないというふうに思いますが、どうでしょうか。

石破国務大臣 これは、足らざるところがあれば外務大臣から御答弁いただきますが、基本的に、私は、オランダが撤退するしないということを今我が国がいろいろと予見を持って議論しても仕方がないことだと思っております。

 その時点において、それはいつもそうです、今もそうです、今の時点もそうです、要は、法の要件を満たしているかどうかという問題でございまして、そのような任務が安全に達成できる状況なのかどうなのかということを常に見ていく、そのことに尽きると思っております。

松崎(公)委員 ですから、治安の部隊がもし、諸状況、国内事情も含めてですが、そういう認識をして撤退した場合は、私は、即座に戦闘地域だとは言いませんけれども、ほとんどそういう状況に近い。もう既に、私が述べるまでもなく、さまざまな、イラクそしてサマワを中心として最近の情勢があるわけですね。ですから、これをいつまでも非戦闘地域ということが言い切れるかどうか。オランダ軍の撤退というものがもしあれば、そこで引き金になるのは当然でありますし、認識のベースがかなり動いてくるのではないか。

 そういうことで、特にオランダ軍の撤退ということが一つのきっかけになるんじゃないか、非戦闘地域という認識の。どうでしょうか。

川口国務大臣 イラク特措法との考え方については、先ほど防衛庁長官がおっしゃられたとおりだと思いますけれども、イラク復興支援のあり方、これにつきましては、これはもう各国が主体的に判断をすべきものでありまして、我が国としては、統治権限のイラクへの移譲というのが六月三十日、すぐ間近に来ているわけでございまして、今こそ国際社会が協調してイラクをこれまで以上に支援をするということが重要だというふうに考えております。

 そのような観点から、我が国として、自衛隊の活動を含む形で人道復興支援をしていくという決意に何ら変わりはないということでございます。

松崎(公)委員 この問題はまた継続して、外務委員会等もあると思いますが、かなり緊迫している状況、それに対して、もちろん移管ということもありますが、日本の法律をベースに物事を考えるのがまず日本の立場だろう。もちろん、国際社会、イラクの現状も踏まえなきゃいけませんけれども、やはり主体性のある、日本の法律のもとで出て行った、その法律のもとがどうなるかということでありますので、しっかりと今後を見きわめていきたい、そのように思っております。

 それでは、本題に戻りまして、今日の審議で四十九時間だそうでありますね。決して私は長くないと。私はスロースターターなものですから、ようやく今ごろになって、この法律の大事さと幅の広さと重要性を本当に感じて、四十九時間で終わっちゃっていいのかなと。私は、武力事態法のときにはこの委員会には参加しておりませんでしたからわかりませんでしたけれども、多分、武力事態法の場合はもっと長かったのではないかというふうに先輩から聞いております。

 そういう意味で、どうも四十九時間ぐらいで、幾ら基本法ができても、本当にこれでいいのかな、そういう重さのある法案だなということで、しみじみ、もう少し時間をかけたいと思っております。

 私は、総務部門の担当ということで今回こちらに出てきておりますので、前回の質問でも、主に総務省関係、自治体関係の話をさせていただきました。

 自治体の今の状況は、麻生さんいらっしゃいますけれども、まさに合併で大変な、全国各地で住民同士が闘いを起こしたり、意見集約が難しい。そこへ持ってきて、三位一体の、約四兆円にも上る財源を削られて六千五百億円しか移譲されないという、まさに、我々の言葉で言えばインチキ三位一体ということになりますが、来年も、間もなく予算編成の段階で、麻生さんがぶち上げました、三兆円ということでまず財源移転しよう、これはいいことなんですけれども、そういうことで、自治体は、この国民保護の法に基づいて、もうそろそろ、鳥取県を中心として、先頭として、各県もやらなきゃいけない、各自治体もやらなきゃならない、計画とかそういったものにもう入っていかなきゃならないわけですね。

 ところが、今言ったような、まさに、これは国が全部悪いとは言いませんけれども、自治体そのものも今大変な時期の中で、この前の質問でも、まだ意識が全然起こっていないんじゃないか、そういうようなことで自治体に関係する指摘をたくさんさせていただきました。

 きょうは、特に地方自治の本旨というか、つまり、これだけ分権が進んでいるわけです。そして、この流れは、恐らく、与野党問わず、日本の統治機構、国のあり方を変えていく、もうとまらない段階だろう。そうなりますと、ますます地方分権、地方主権、地方の自立という問題が起こってまいります。今回の国民保護の法律は逆の方向でありますね。これは緊急事態あるいは武力事態ですから、国が一元化してかなり主権も制限して、罰則もつけていく。逆のベクトルに動いている。そういう中で、地方の分権意識とか、今、国もそういう方向性に行っている地方のあり方と今回の国民保護法制の方向性とがやはり常にぶつかると思うんですね。これをどこで生かせるのかな。

 なかなか難しいんです。すごく難しいんですけれども、これはこの前も麻生大臣から、余り明確にはなかなか答えが出てこないと思うんですけれども、この地方自治の原則的な流れというものを緊急事態のこの国民保護の法でどう生かしていくのか。しつこいようですけれども、これは大臣でしょうか、お尋ねをもう一度したいと思います。

麻生国務大臣 松崎先生おっしゃるとおり、これは一番肝心なところだと思いますが、今の日本という平時の状況におきましては、基本的には地方分権という流れは、明治四年、廃藩置県以来、中央集権でやってきたこの国の流れが非常に大きく今地方分権に変わりつつあるという流れにつきましては、私も松崎先生とほぼ意見は同じところだと思います。

 ただ、戦争とか武力攻撃とかいうようなことになりますと、それは明らかに今のような平時ではなくて非常時、有事ということになりますので、当然のこととして、国と地方との関係というものも平素の状況とはある程度変わってくるというところが出てくるだろう、それをどうやるのかというところが一番問題なんだと思います。

 基本的には、いろいろな今回の事態も最近の防衛大綱のあれを見ましても、少なくとも、艦砲射撃で上陸用舟艇が大量に海岸線に上がってくるというようなものを想定しておられるよりは、何となく、NBCの話が出る等々、テロというようなものを主に考えておられる。九・一一以後、特にそうなんだと思います。

 そういったような状況の中におきまして、地方において自主性というものは地域地域で大分違いますので、その地域の自主性というのを配慮しないといかぬのだと思いますので、そういった意味では、今回の法律をつくるときにおきましても、これは、地方が自主的に判断をして地方の方から要請できるとかいろいろな形で、地方というものにかなり重きを置いた形で法律ができ上がっておると思っております。

 地方団体から国民保護措置の実施要請、総合調整ということの要請ができるというようになっておりますので、そういったところも今回の法律に当たっては考えた上で今やっておりますので、いわゆる一方的にこれでというような形の部分を、法律をつくるときから、既にいろいろな形で地方の要請を受けて法律もつくるというような配慮もされたというような感じがいたしておりますので、何回かいたしましたけれども、そのときにも、最初の概要に始まりまして要旨に至るまでの間、いろいろ地方の話も聞かせていただいた上でこの法案をつくるようになったという経緯からも、御懸念の点についてはそれなりの配慮がなされたと理解をいたしております。

松崎(公)委員 なかなか明快な答えは出てこないんですけれども。

 非常時はしようがないと思うんですね。これは本当に国民の身体、財産を含めて大変なときですから、一元化して国を中心としてやらざるを得ない。しかし、私は、そのぎりぎりのところまで、つまり、計画を立てるとかその段階までは平時で、予測しながら計画を立てていく、そういう段階まではやはり分権の思想というのをしっかりと生かしてもらいたい。

 今回の計画も、鳥取の知事さんなんかは、相当意見を聞いてもらった、自分たちがシミュレーションをやって、そしてそれを、あの方も役人さん上がりですけれども、今までの霞が関の割にはよく地方の意見を聞いてくれたと言っております。

 では、それを体現しなきゃいけないんですけれども、私は、保護に関する計画の中にどの辺が入るか、ちょっとその計画の中身がどこまでかわかりませんけれども、その段階で、例えば福祉でも教育でもそうなんですけれども、地方によって、地域によってみんな違うんですよね、これから教育の分権等も起こっていくと思いますけれども。それと同じように、避難だとか誘導だとか、人間の肌の触れ合いが基本ですから、地域によって皆違うと思うんですね。

 だから、そういうときに、この計画の中に地方分権の思想を生かすとか、自立性を生かすとか、自主性を生かしていく、そういうものを、計画の中身はちょっと私わかりませんから言えませんけれども、そういう考え方を生かしたらどうかというのがぎりぎりのところの私の要望というか提案なんですけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 まことにごもっとも、かつ、当然の希望、要望なんだと思っております。

 基本指針に沿う必要というのは、地方固有によって事情が違うというのは、人口密集の地域とそうじゃない地域等々、当然のことで全部違いますし、新興住宅地と周り近所に全部顔が知れているところとも全然違いますし、いろいろな意味で地方によって事情が違うというのは当然のことであります。

 そういったところの部分につきまして霞が関から一方的に言ったって、全然話の通じるところではないということにもなろうかと思いますし、電波がなかなかうまく届かないところもありましょうし、そういったところを考えた上で、地域につきましては、緊急通報等々につきまして独自の行動があるとか、いろいろな例を挙げていくと枚挙にいとまがないほど出てくるんだとは存じます。

 いずれにいたしましても、御懸念になる点を十分に拝聴させていただいた上でやるというのは、これは当然のことだと思いますので、基本計画をつくっていきますときにも、霞が関、お褒めいただきましたけれども、もうちょっとちゃんと聞くべきところは聞かなければいかぬだろうと思いますので、お褒めいただいても調子に乗らず、きちんとさらに聞かせるようにしてつくり上げてまいりたいと存じます。

松崎(公)委員 鳥取の知事がお褒めになっていらっしゃいますので。

 それで、今回、我が党との修正なんかもやっているようでありますけれども、ぜひ基本指針でありますとか計画の中に、地方の独自性と地方のやり方というものをできるようにしていく、修正に間に合うかどうかわかりませんけれども、そんな考え方をしっかりと入れていただきたい、そういうふうに思います。

 次に、国に対して、今回のさまざまな決定等は国会報告が相当あるんですけれども、自治体に対して、今回の法案の中身を読んでいる範囲では、地方議会の関与は報告ぐらいだと思いますが、例えば協議会の構成でありますとか、そういうところに余り反映されていない。

 私も、地方議会をずっとやって市会も県会も経験がありますけれども、今でも地方議会は形骸化して、どうもここをよほど改革しないとだめだということなんですけれども、こういうことでありますと、こういう緊急事態に対しての各地域での計画等、あるいは協議会にとっても、議会が全く抜けていくということになるとますます形骸化に拍車がかかるということで、やはり私は、この辺に地方議会の関与というものもしっかりもう少し入れるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは自分の地域の話ですので、自分が一番、特に県民、市民を代表しておられる議会の議員さん方がその点について意識を持つというのはすごく大事なところで、そこが形骸化しておるというのは、これは柏、流山に限らずどこでも、指摘されるところは全国幾らでもあるんだという感じはいたしますけれども、少なくとも地方団体の、これは計画を実行いたしますのは行政執行をすることになろうかと思いますので、そういった意味では、国民保護協議会等々に図った上できちんと責任を持って作成すべきものだと思っています。

 議会への事後報告を想定しておるのは、これはやはり、有事になりましたときに、ある程度、私権が侵害されたりする部分も出てまいりますし、また、基本指針が国会への事後報告ということにされておりますのと均衡させてこのような形にしておるんだと思いますが、いずれにしても、この話をつくっていく段階において、地域の防災計画というものは、これはすごく大事なところでもありますので、その地域のことをよく知っておられる方々に関心を持っていただいた上で慎重に対処しなければいかぬというところだとも思います。

 いずれにいたしましても、こういったものは、計画を仮に行政の責任者がやったとしても、その予算等々の審議や調査や、また意見書というのが出される段階におきましては、議会というところが非常に関心を持ってこの種のことをやっていただかぬと生きた話になりませんので、計画だけできても何にも実効が上がらなければ意味がないということになろうかと思いますので、極めて大事な関心を寄せていただくべく、私ども、その点だけは言い続けなければいかぬところだと思っております。

松崎(公)委員 つまり、国民の意識もまだ、有事対応あるいは緊急事態対応、こういったものに対しては、再三御指摘いたしましたように、首長さん、職員を含めて国民全体、市民は認識が非常に低い、そういう意味では地方議会の認識も低いのではないか、そんなことから御指摘を申し上げた次第であります。

 さて、今回、先ほど四十九時間と言いました。我々もたくさん指摘をしなきゃならないことが多いということで、今これから、きょうは、特に手分けをして細かい部分も含めて指摘をさせていただくことになっておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 まず、私は、指定公共機関について少しお聞きをしたいと思っております。

 指定公共機関、これは具体的にどこまでされるのか。例えば電気事業者にいたしましても、電力会社だけを指すのか、発電会社も含むのか。あるいは、ガス事業者といっても、供給事業者のみなのか、あるいは配管でありますとか補修だとか、そこまで含まれているのか。その辺のことはどのように範囲を定めていくのか。

大石政府参考人 お答えいたします。

 指定公共機関の指定につきましては、災害対策基本法の指定公共機関を参考にしながら現在検討しているところでございますが、お尋ねの電気事業者それからガス事業者につきましては、公益的事業を営む供給事業者を指定することとしているわけでございまして、配管の維持とか補修、そういったもののみを行う事業者を指定の対象にするとは考えておりません。

松崎(公)委員 一緒に指定するということですか。

大石政府参考人 供給事業者のみを指定するということでございまして、配管の維持、補修等を行う事業者は指定をしないということでございます。

松崎(公)委員 わかりました。

 それで、武力攻撃事態と武力攻撃予測事態とではこの指定公共機関に対する措置は違ってくるんでしょうか。

大石政府参考人 指定公共機関におきましては、武力攻撃事態におきましても予測事態におきましても、いずれの事態におきましても、その定めます業務計画に基づきまして、自主的な判断のもとに国民保護措置を事態の状況に応じて講じていただくことになるわけであります。

 ただ、国に指定公共機関の実施についての安全配慮義務を課しておりまして、当然のことながら、武力攻撃事態と予測事態とでは安全性の程度が違うわけでございますから、その点も十分留意しながら措置が行われるということになります。

松崎(公)委員 それで、指定された公共機関は計画を策定しなければならない。これも、当然、計画をつくった以上は、訓練とか組織の整備、そういう必要があると思うんですけれども、これに対する費用の弁済、こういうものはどうなっていますか。

大石政府参考人 お答えいたします。

 指定公共機関には業務計画をつくっていただくわけでございます。そしてまた、その計画に基づいて訓練も実施していただく。これは努力義務でございますけれども、そういう仕組みにしているわけでございますが、これらは、みずからの業務の範囲において、業務計画に基づいてやっていただく事項でございますので、国が特別の財政支援をするということは考えておりません。

松崎(公)委員 業務の云々といっても、やはり訓練だとかあれは、当然、特別の時間は要するわけですね。ですから、これは、国民の当然の義務なんだという大枠でいけば、各企業も、公共性からいっても納得するのかもしれませんけれども、私は、これがかなり大がかりになるのかなと思うんですね。事態の予測の規模にもよるわけですけれども、これは行政機関の計画とはどういうリンクをするんですか。

大石政府参考人 指定公共機関にはそれぞれ所管をいたす行政機関があるわけでございます。その指定行政機関は国民保護計画を策定することになっているわけでございますけれども、その国民保護計画の中で指定公共機関が実施をする事項につきましても、計画に定めていただくことになります。その際に、安全配慮についての事項でありますとかその他必要な事項を所管行政機関の立場で記載していただくことになります。

松崎(公)委員 それは当然、いろいろ相談したり、リンクしたり、全体的な計画の会議をやったり、そういうことですね。――わかりました。

 そこで、例えば、指定されていない事業者が、先ほど言いましたガスの場合、配管の会社とか、これがともに従事して緊急事態等が起こった場合に、そこで一緒にやった場合、あるいは平常の訓練の場合も、事故でありますとか、いろいろ巻き込まれるわけですけれども、こういう場合も一切の補償は出さないということですか。

大石政府参考人 お答えいたします。

 指定公共機関とそれから指定公共機関に指定されていない事業者の方々とが、国民保護措置、例えば運送の業務に一緒に当たるというような場合に、その際に事故が起きた、その場合には、指定公共機関の職員の場合にも、それから指定公共機関に指定されていない職員の場合にも、労働災害補償の既存の法令によって対応されることになります。

松崎(公)委員 それでよろしいんでしょうかね。国民全体が、特に指定公共機関そのものがやっていくわけですから、そこは何かもう少し要求というか配慮するべきではないかと私は思いますが、今後の検討にしていただきたい、そう思っております。

 続きまして、九十四条から九十六条が消防関係で安否情報というのがあるんですけれども、この安否情報というのは、自然災害とか地震の場合、阪神の場合もそうでありましたが、かなり全国的には、結果として、一定の訓練をして体制ができているのかなと思いますが、やはり一番重要ですね、この安否情報の照会。

 これは、今、国全体でも、民間が多いと思いますが、どういう体制を準備したり、あるいはお願いをしたり、安否情報に対しての準備状況はどんなものでしょうか。

麻生国務大臣 神戸の阪神・淡路大震災のときにも、この安否情報は、夕方四時までに全社員の安否が本社で確認できたといったのはたしか三菱重工だったと記憶しますけれども、どこか一社だけというのがあのときに話が出ました。ふだんからそういう対応ができているところなんだと思って非常に関心を持っておったんですが、今おっしゃいますように、この種の話になりましたときの国民の最大の関心事は、身内というか周りにいる親族等々の問題だと思いますので、安否情報のシステムの確立というのは極めて重要と、私ども、基本的にそう思っております。

 したがいまして、今いろいろなことをいろいろなところで、どういった条件でやればいいのかという話をよくするんですけれども、あのときもインターネットがえらく活躍した等の御記憶もあるところと思いますので、少なくともアクセスがしやすく、やはり情報の基盤はその当該地域の行政区ということになろうと思いますので、そういったところの情報の基盤として、全国レベルで情報をある程度きちんとするということも必要なのではないかということで、体系を、情報化を一元化するということをもとにして、さまざまな情報機関を統合する仕組みとすることにしないと、ばらばらでやって、それをずっと握っておられても情報が生きません。

 そういった意味で、IT等々を利用するとか、けさの新聞にも出ておりましたけれども、しかるべきところから出すとその地域にいる方の携帯電話だけには自動的に、山津波が起きているというのが別に東京にいるその何々県の人のところにだけはつながってくるというようなシステムが今開発されつつありますので、そういったものを含めて、こういったものを、公正なルールの上にきちんとしたものをつくり上げていく必要があると私ども思っております。

 そういった意味ではかなりな技術の進歩が出てきてもおりますので、そういったものも含めまして、情報の一元化、迅速化は、徹底させねばならぬ一番大事なところだと思っております。

松崎(公)委員 これは、個人情報の保護も含めまして非常に微妙なところでありますが、これもやらなきゃならないけれども、そういう個人情報を含めて、情報操作ということにもなる非常に微妙な段階ですね。

 それで、今、総務省が中心に何かそういうことを、各企業を含めて、IT関係者を含めて、総合的に何か検討して動き始めたということですか、今の御答弁は。

麻生国務大臣 御指摘のありましたとおりに、個人のプライバシーに属するというところは、情報が含まれておりますので、個人情報保護への留意ということがこの法律の中にも規定されておりますけれども、武力攻撃事態というようなものにおきましては、これは国民の不安を軽減するというには、家族、親戚、身内、友人等々、一定の範囲内でその種の情報へアクセスするということと、その個人への情報ということ、両方があるんだと思いますので、これは、請求者の属性というところを確実にしてもらわぬと、うそかもしれませんから、確実だということを見てもらうためとか、開示する安否情報の区分やら何やら、信頼性の高いものをつくらないといけないところでもあります。

 こういったところは、個人情報の保護に配慮しつつ、かつ、いろいろな報道機関が一斉に流すことは流すんだと思いますので、それに関しては、私どもとしては、これは大変大事なところだと思って、主に総務省ということになろうかと思いますが、この種のことに関して積極的にシステムを、でき上がった後、この法律が通りました後でないとさわれない部分もありますけれども、きちんとしたものをつくり上げねばならぬと思っております。

松崎(公)委員 今後、この法案が通ってからやるというお答えでよろしいんですね。――大変微妙な問題ですね。確かに九十五条で「十分留意」ということも個人情報の取り扱いで書いてありますね。

 例えば混乱状態が起こると想定して、その照会の依頼者が適正な依頼者、照会者なのかどうか。多分、いろいろ、役所とかそういう機関にあると思いますが、その辺がなかなかこれは難しいと思うんですね、依頼者の、照会者の識別というのは。

 それから同時に、外国人の安否情報、住んでいる人もそうだし、旅行者もそうですけれども、こういう照会に対して、外国人の場合も含めて、これはどういうふうに個人情報を、ここでどこまで言えるかわかりませんけれども、安否情報に対して、特に外国人の場合は、大使館なんかの公的機関のみ対応するのか、あるいは普通の個人やNGOにも対応するのか。

 適正者か云々というのはなかなか難しいですね。今度、条約も通りますので、これは問題ないと思いますけれども、その安否情報の照会者の確認でありますとか、適正かどうかということ、それから、外国人の場合は大使館なんかの公的な機関のみの照会なのか、お答えいただきたい。

麻生国務大臣 これは物すごく大事なところであろうと思います。

 本人の確認というのは、基本的には、平素と同様、住基カードとかパスポートとか運転免許証とか、身分を証明するもので確認するということになろうかと思いますけれども、ただ、事態によりましては、そのような手段が期待できるかといえば、慌てて出てきて持っておらぬとか、いろいろなこともあろうかと思いますので、通常では本人しか知り得ない、生年月日とか暗証番号とか結婚する前の姓だとか、いろいろな言い方はあろうかと思いますが、そういったもので確認するというか本人を特定するシステムというものを導入することが可能かどうか、これは今後ちょっと検討してみなければいかぬところだとは思っておりますが、平素であれば、間違いなく今申し上げたところで確認できると思っております。

 外国人の分につきましては、厚生労働省の方から答弁されます。

小島(比)政府参考人 武力紛争あるいは自然災害により離散された家族の安否調査につきましては、現在でも、日本赤十字の重要な業務の一つとして行われております。武力攻撃事態におきましても、国民保護法第九十六条の規定に基づきまして、外国人の安否情報の収集、照会に対する回答を行うとされているところでございます。

 どういう照会の相手方かといいますと、日本赤十字社に対する安否の照会は、ほとんど、各国の赤十字社あるいは国際赤十字委員会を通じて行われてまいります。まれに親族等の個人からの照会も想定をされます。各国の赤十字社から行われてまいります安否の照会につきましては、家族ということを明示して調査依頼が来るわけですが、これは各国の信頼関係で、各国の赤十字を基本的には信頼していくんだろうというふうに考えております。

 それからまた、安否照会の対象となりますのは、我が国に居住しております外国人のほか、旅行等により一時的に滞在している間に武力攻撃事態の発生により行方不明となった方も当然含まれます。

 また、個人情報の保護につきましては、本法案におきましても、日赤もそれを尊重しなきゃいかぬということでございまして、安否調査の対象となった本人の意向というものを十分踏まえていくということと、照会者の関係で、十分調査して、疑義があった場合には相手方の赤十字とよく相談をしていかなきゃならないんじゃないかというふうに考えております。

松崎(公)委員 なかなか難しいですね、お答えが。今の御答弁でもなかなか難しいので、ここはこれからしっかり政府を中心としてやっていってもらわなければならないと思います。

 次に、財政上の問題です。

 百五十九条にも財政措置が書かれております。先ほども質問に出ておりましたが、財政措置に関してはたくさん書かれていますね。損失補償、損失の補てん、国税免除、財産の貸し付けの特例、たくさん出ておりますが、これらは通常はどのように会計上備えているのか。有事は後になるのかもしれませんけれども、平時のさまざまな費用、財政の措置、これは通常会計でどのように措置をしていくのか。

 それから、これは機関委任事務ということもあって大変手厚いとは思いますが、予防的措置にも支給されるか。これは修正協議でも進んでいると思いますが、予防的な措置にも支給されるのかどうか。

麻生国務大臣 平時と有事、御存じのように、ちょっと状態は違います。平時につきましては、通常の予算と同じような形になるんだと思いますが、有事におきます住民避難等々、いわゆる国民保護という観点に立ちますことにかかわります費用につきましては、これは国が負担をするということになろうと存じます。

 また、有事のみならず、ふだんからの訓練とかNBCに当たってのいろいろな資機材等々、平素の準備も重要なのは当然でありますので、そういった国の要請に基づきます訓練とか実施経費等々につきましては、これは、通常の防災とかそういったようなことでは予定されていない陽圧式の防護服とか防毒マスクとか、例はいろいろありますけれども、必要になることも想定をされておりますので、地方団体からも、こうした経費につきましては国が負担すべきということで、財政措置につきましては強い要望が出されておりますのはもう御存じのとおりですので、このためには国として責任を全うしていく必要があろうかと思います。

 先ほどのだれかの御質問にもお答え申し上げましたとおり、過日の大畠議員への総理の答弁にも同じような趣旨のお答えがされていると思っておりますが、非常に国としての責任を果たし得る財政措置は検討されてしかるべきと思っております。

松崎(公)委員 予防的措置にもお出しになるということでよろしいんですね。

 続きまして、民間防衛に関して、今回もたくさん質問が出ておりますけれども、スイスみたいに、シビルディフェンスですか、非常に進んでいる。そういう時代だというふうに我が党の首藤先生なんかはいつも主張されておりますけれども、未整備なのは先進国で日本だけなんだ、それから、これは国際法でも認められた権利なんだと、みずからが守るということですね。これは非常に戦前の例もあるので微妙だということで政府がなかなか腰を上げないのかもしれませんけれども、私は、今の時代ですから、これはもっと整備をするという、つまり、地方自治と同じですね、みずからがその地域をつくっていく、そして、みずからが守っていくという延長線上の中でも、このシビルディフェンスをもっと進めるべきだろう。

 この仕組みは、仕掛けはなかなか難しいと思います。この辺、間違えますと、地域自治区なんというのが分権論の中で合併とともに今出てきています。私もこの前、指摘しました。これも使い方が非常に難しい。うまく使えばシビルディフェンスにも使えますけれども、下手をすると、戦前の隣組ですか、そういう閉鎖的なコミュニティーになってもいけない。

 この使い方は、やはり市民の意識だと思うんですね。自治意識、みずからどう地域で生きていくか、そこに関係すると思いますけれども、それらの問題と絡めて、この民間防衛に対する、国なり、あるいは地方自治体に対して働きかけを、あるいはそういう議論を起こすというようなことが大事だと思うんですけれども、その辺の考え方はいかがでしょうか。国と地方自治体、それぞれあった方がいいんじゃないですかね。

麻生国務大臣 今おっしゃいますように、やはり自分が住んでいるみずからの地域は基本的には自分たちで守るというのが大前提なんだと思います。

 東京で、この辺で一番有名なのは、多分、大丸有だと思います。大手町、丸の内、有楽町、これを足して大丸有と言うんですが、大丸有という、これは自主防災組織です。これは多分、三菱地所が中心でやっていたと記憶をいたしますが、結構な組織づくりになっております。

 また、あの阪神・淡路もあったせいだと思いますが、神戸は、これは井上大臣の方がお詳しいと思いますが、旧居留地区、外人墓地というか、あの神戸の旧居留区を中心に、あそこの会社が自主的に、おれたちのところはということで自主的にやっていただいておるところもあります。

 そういった意味では、これは、日ごろから防災活動を含めていろいろ既にやっていただいているところもありますので、こういった自発的に協力をしていただけるというのが私どもとしては最も望ましいところだと思います。

 今、スイスの例を引かれましたけれども、各国、自主防衛組織というのはその他あるんですが、もう御存じのとおりですが、これは主に災害等々をやっておりますが、少なくとも、おかげさまで、今、全国で十万九千組織、そして、世帯数で約三百万世帯というところが自主防災組織というものの数でありまして、参加人員でいきますと二千六百七十四万人の方が参加しておられる。総務省で握っております範囲でありまして、組織率でいけば結構なものになりつつあるというので、このところ、少しずつではありますが、確実に伸びてきているところだと思っておりますので、さらにこういったものがきちんと定着するような方向で私どもも……。

 ただ、おっしゃいましたように、これは強制的にやりますとちょっと何となく暗いイメージになりますので、そういったことのないようにという配慮もしながら、これは御自分たちの住んでおられるところの話でもありますので、ぜひきちんとこういったものが進むようにいたしたいと思っております。

松崎(公)委員 ですから、まさに分権時代をうまく活用して、その方向づけに知事さんやら首長さんを含めて、地域で分権を進めるというものをさらに進めていく、その中に、ベクトルは逆かもしれませんけれども、意識の上では地域で自分たちが守っていくんだよということを、自主防災組織という形でも結構ですし、地域自治区がこれから出てきた場合にはそういったものに意識づけをしていく、これが通常の国民のこれらに対する意識涵養のもとになるのかな、私はそんなふうに思っております。

 それでは、テロのことにちょっと触れさせていただきたいと思います。

 もういろいろ新聞ざたになっておりますからその中身を言いませんが、イラクでの三人の人質事件において、あれも私どもはテロと言うことができると思いますので、これが先進諸国でありましたら、法整備ができているところでありましたら、多分、救出作戦、アメリカ軍にも頼もうということもあったようでありますけれども、日本の場合に、今の現行法の中で救出を作戦としてやるなんということは今回できなかったのか、考えられなかったのかです。よろしく。

川口国務大臣 まず、その考え方ということで申し上げさせていただきたいと思いますけれども、一般的に申しまして、ある国の領域内で起こった犯罪、これにつきましては、その国の当局が対処すべきものであるということでございます。

 そういう意味で、イラクの場合ですけれども、この人質事件の場合には、今、イラクにおいて実効的な施政を行っている、これは米英当局でございます。それが、国際法上、イラクの秩序を維持して回復する義務を持っているということでございます。したがいまして、その米英当局がイラクにいる外国人の安全も含めてイラクにおける治安を維持する一般的な責務を持っている、それがそもそも基本的な考え方であるということでございます。

松崎(公)委員 あのペルーのときとは違うわけですかね。ペルーのときは、ペルーの、そうですね、国にゆだねたということでした。

 私は、テロというのは、つまり、日本の国民を守るという、今回の法律もそうでありますけれども、国内、国外にいてもそれはやるべきことだろうと思うんですね。その場合に、今のように主権のあるところでお任せするという範囲だけなんでしょうか。私はちょっとそこの辺が、法的にはそうだと言われてしまえばそうかもしれませんけれども。

 そこで、テロそのものがなかなか難しい定義なんですけれども、これは一度しっかりと聞いておきたいなと思うんですね。テロは犯罪なのか戦争なのか、テロそのものはどういうものなのかということを一度教えていただきたい、そう思っております。

川口国務大臣 テロが犯罪なのか戦争なのか、そもそも何なのかということでございますけれども、これについて、これを申し上げるというのはなかなか難しいというのは、一般国際法上、確立した定義があるわけではないということでございます。

 一般的に言ってしまえば、これは、特定の主義主張に基づいて、国家等にその受け入れを強要し、または社会に対して恐怖を与える目的で行われる人の殺傷行為というふうにされていると承知をいたしております。

 テロリズムはそういうことで定義があるわけではありませんが、国際社会では、テロ防止関連条約の作成をずっとしてきておりますが、それに当たりまして、一定の行為類型、例えばハイジャックですとか人質行為、爆発物の設置、テロ資金供与といったようないわゆる典型的なテロ行為、これに該当する行為類型につきまして、これを犯罪として処罰のための法的な枠組みを整備するということで対応を着実に積み重ねてきているということでございます。

 それから、戦争かということで、おっしゃっていらっしゃる戦争をどのような意味で用いていらっしゃるかでございますけれども、テロ特措法で考えますと、テロ特措法等に言う国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為に該当するのかどうかという意味で御質問をしていらっしゃるということであれば、これは、これまで御説明をずっとしてまいってきておりますけれども、この行為の実態に応じて、国際性、計画性、組織性、継続性といった観点から個別具体的に判断をすべきものであるということだと思います。

松崎(公)委員 この議論はいつまでたってもあれなので……。

 今回、法案の審議をしているのも、そのテロというものを、ある程度、漠然としたイメージでありますが、大体共通の認識を持ちながらこれをやっていると思うんですけれども、最近、「新幹線が爆破される日」なんという本が売れたり、少しあおり過ぎているところもありますが、アルカイーダが日本を名指しをしている、そういうようなことで、国民は、一般論的にも、何か起こる可能性があるし、もうそういう時代になったなということがあるわけですね。

 そこで、小野大臣も来ていらっしゃいますから。せっかくお見えいただいて、済みません。

 この前、羽田空港で、テロとは違いますけれども、あのようなところで、わずか十何分か、三十分近くの間で、四月二十八日に、薬物使用者だったとしても、空港のフェンスを破って滑走路へ入って、たしか十何分間、十五分ぐらいの間に、飛行機がたしか十二分の間に十二機離着陸していた。どうなっているのかなというのが一般の、これだけテロだとか、警戒もたしか厳しかったと思いますね。今回のこの段階の警戒も、何か、フェーズE、エマージェンシー、非常事態、こういうふうになっていたと。これはどんな態勢だったんでしょうか。

小野国務大臣 松崎委員にお答え申し上げます。

 四月二十八日の午後七時ごろだったと思います。羽田空港の制限区域直近におきまして車両が強奪をされまして、その報を受けまして警察は直ちに緊急警戒を発令いたしまして、これが七時十六分あたりだと思います。当該車両の捜査に努めていたところ、これを発見いたしました警察官が職務質問を行おうとしておりましたところ、当該犯人の方は向きを急発進して変えていわゆる逃走してしまったということに、事件が発生したわけでございます。

 その後、目撃者からの交番への届け出によりまして、警察官が現場に急行いたしまして確認をいたしました。その結果、不審車両が仮設ゲートを突き破りまして制限区域内に侵入したことが確認されたのが七時二十五分でございます。当該車両を追跡しながらパトカーが進入し現場に急行したものでありますけれども、パトカーが進入した、制限区域内に立ち入るということが、いわゆる空港管理者にその旨を通報しなければならないという、それが七時三十五分でございます。空港管理者の方から許可を得て立ち入ったわけでございまして、結果的には、それが警察から空港管理者への最初の通告、連絡、こういう形になってしまったわけでございます。

 この種事件の対応というのは、先生御案内のとおり、一分一秒を争う事態でございますので、警察から空港管理者への連絡、通報のあり方について、遅かったという御指摘もあろうかと思いますけれども、とにかく改善すべきところは改善するようにということで、本日、こういったことに関しましては、国際空港保安委員会というものが開催されておりまして、本日の三時にその報告があるということを承知いたしておりますので、ぜひとも、今回のことを早急に改革の方に向けてまいりたいと思っております。

松崎(公)委員 時間が来てしまいましたが、余りお粗末なので、しかも、警戒最高のフェーズEをやっていて今の、本当にどうして、これがテロリストだったらもう大変なことですよね。車が回転されて行っちゃったなんて、そんな、あなた、武器を持っていたらどうするんですか。そこへ飛行機が十二機も出たり入ったりしていて、これ、ぶつかってもおかしくないはずですよね。走っているところを車がとろとろ走っているんですから。それに対して、通報が遅いとか、それで、きょうになって、何か、あれですか、今までも会議やったんでしょうけれども。

 こういうのうてんきな国だから法律が要るんでしょうけれども、こういう法律を今審議している最中に、だから、これ、地方自治体やら一般の国民がこんな認識を持つわけないんですよ。ここでこんな、国がそんな状態ですから、これを本当に真剣に教訓にしていただきたいと思います。――何かありますか。

自見委員長 手短にお願いいたします。

小野国務大臣 本事案の発生を受けまして、四月三十日に緊急に東京国際空港保安委員会が開催されたということでございまして、先ほどちょっと、私も焦りまして、間違えましたことをお許しいただきたいと思います。

松崎(公)委員 どうもありがとうございました。

自見委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

自見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。細野豪志君。

細野委員 早速、質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、井上大臣にお伺いをしたいんですが、国民保護法案の中に書いてあります避難施設、これは都道府県知事が指定をするということになっておるんですが、それとあと、避難にかかわるということになるわけですが、収容施設、これは住宅のようなものをイメージされているというふうに思うんですが、これらの指定のあり方ですね。特に避難施設の方については「政令で定める基準」ということが出ているんですが、その辺の考え方をまずお教えいただけますでしょうか。

井上国務大臣 これは、避難なんかをいたしますと、そこで生活するわけですね。少なくとも、食事をする、それから、住むということ、休むということ、これについてはやはり一定の要件が要ると思っておりまして、具体的にこれから検討してまいりますけれども、衣食住、特に食住がとれるようなところ、そういうような施設を指定して、必要な施設を確保していくということであります。

 これはまさに、まだ、具体的にこれから検討したいと思っていることでありまして、きちっとこういうような基準のところということは考えておりませんけれども、一般的に考えられますのは、避難とか収容施設というのは、公民館でありますとか学校とかあるいは公園とか、そういうようなものを想定しているわけでありますけれども、まだ具体的に、それでいくということでもございません。もっと幅広く考えていかないといけないと思うのでありますが、今私が申し上げたようなことは当然のこととして対象になってくる、そんなふうに考えます。

細野委員 もちろん、きっちり全部決めるのは難しいと思うんですが、今から白紙で考えますというのはちょっと余りに無責任ですね。

 これから市町村がそれぞれ避難施設、収容施設を選んでいくわけですね。それに向けて、どうなんでしょうか、考え方としては、まずは、ある程度、都道府県の知事に考えていただいて、それを国がバックアップするという考え方なのか、もう少しきちっとした基準を国がつくって、その中で都道府県が考えるということなのか、どちらの考え方に立っていらっしゃるんでしょうか。

井上国務大臣 この施設基準等につきましては、一応、国が考えて、都道府県知事の意見を伺うということになると思うのでありますが、そのほかにつきましては、基本指針というのがありますから、これをつくります。このときに、やはり都道府県知事でありますとか関係機関の方からも意見を聞いてつくっていくと思うのでありますけれども、何でもかんでもきっちりとその基本指針で決めるというわけにはまいりませんので、かなり幅を持ちまして規定をする、書くということになりますと、後は具体的に都道府県知事あるいは市町村長が判断をする、それによっていくんだろうと思うのであります。

 いずれにしましても、これは、具体的に責任を持って避難とか誘導をされます機関、そこの意見をやはり十分聞いていく必要があるんだろう、こんなふうに思います。

細野委員 指針をいつごろまでに示されるか、それだけちょっと簡潔に御答弁いただけますでしょうか。

井上国務大臣 これはどうも想像以上に大部なものになるというのが今のところの予想でありまして、これを一年以内に本当にできるんだろうかな、こんな感じなんです。しかし、できるだけ早くつくる、そういうことで今作業をしているというところでございます。

細野委員 もう繰り返しませんけれども、指針を示してからでないと都道府県はある程度の選定ができないわけですから、まず指針を示すという第一ステップになるわけですよね。今、一年というお話をされましたが、できるだけ早い段階でそれを示していただきたい、そのことを要望させていただきます。

 それに関連して、医療機関についても、避難施設にかかわって救援の部分で、医療についてもするんだということが書かれているわけですが、この医療機関、では、どういうところで医療行為を行うかということに関しての、これも例えば一定の指針みたいなものは示すんでしょうか。例えば地区の公立病院を考えるとか、大きな私立病院も含めるのか、その辺のガイドラインのようなものというのはどうお考えになっているんでしょうか。

井上国務大臣 これは、県とか市町村の段階になりますと大変具体的になろうと思うのでありますけれども、物の考え方としては、指針の方でこれを明らかにしないといけないと考えております。

 今現に開設しております病院とか診療所、これは当然のこととして対象になりますけれども、それで賄い切れない、カバーできないところをどうするかということでありまして、それについてもやはり考えないといけないということでありまして、これはどういうような規模で、どういうような施設をもって開設するのか、これもこれから十分に検討していきたい、こんなふうに思いますけれども、いずれにしましても、今の、法律に基づいて病院なんかを開設しておりますそういう基準ではとてもできない、臨時に開設する、そういった施設になる、こんなふうに考えます。

細野委員 この部分で私がちょっとこだわっていますのは、ある程度、こういう救援活動をする病院なんかはある特殊な対応というのが求められることが間々あるんだろうというふうに思うんですね。

 以前、首藤委員の方からも質問させていただきましたけれども、例えばトリアージのようなケース、それこそ、けがをした方、それぞれ程度が三段階に分かれるとすれば、軽傷の方はちょっと待っておいていただいて、もう残念ながら命の助かる見込みが極めて少ない方にかかるよりは助かる方に医療行為にかかっていく。

 私もこの分野の専門家ではないのでまだ十分調べられていないんですが、例えば医師法なんかで診療義務というのがあって、診療を拒否しちゃいかぬということになっているんですね。これが正当な理由に当たるのかどうかというようなものも含めて、多分、私は正当な理由に当たると思いますが、その現場で医師が、先に来た重傷の、もう亡くなるかもしれない患者さんに対応しないことが医師法違反に当たるんじゃないかというようなおそれを持つようでは、これは話にならない。

 担当大臣として、こういうトリアージのようなものも含めて、それこそ、ある程度そういうことが想定される病院には示すお考えはおありでしょうか。

井上国務大臣 トリアージまでいくかどうか、そこまではまだ検討しておりませんけれども、いずれ大規模な災害が発生をして、それで多くの傷病者が出た場合に、そういうような考え方というのは当然出てくると思います。

 今、この有事の法律の関係ではありませんけれども、東京都を中心にした関東の大地震が発生した場合の病人の対処につきまして検討しておりまして、そういう中には、今委員がおっしゃったような考え方が出てきております。これも、だからといって、何でもある種の区分をして、機械的にそれでやればいいということにならないと思うのであります。それはもちろん一定のいろいろな制約はあると思うのでありますけれども、私は、ある種の区分けをして治療していくということは、それは、実施の方法とも関係しますけれども、許されることではないのか、そんなふうに考えます。

細野委員 トリアージまでいくかどうかわからないという御判断ですが、大臣、その大丈夫だと思うという判断を、現場の医師に迷わすようなことがあってはいかぬのじゃないかと私は思うんですね。だから、事前にきちっとこういうガイドラインをつくっておいて、この部分のこういう対応をすれば医師法の違反になりませんよ、正当な医療行為であり、緊急事態にはそういうことをむしろやってください、そこまで踏み込まない限り、現場の医師は絶対そんなことはできないんですね。これは十分予想できます。

 もう一回ちょっと御答弁いただきたいんですが、現場に任すのではなくて、東京都が少し始めているという話がございましたが、きちっとこれを示す方向で前向きに御検討いただけないですか。

井上国務大臣 せっかくの提案でありますから、ひとつ十分に、かつまた慎重に検討させていただきたいと思います。

石破国務大臣 自衛隊の医官がそういう行為を行うような場合が多いであろうと思っております。

 多分、医師法に書いてあります診療義務というのは、拒否しちゃいかぬということであって、順番についての規定ではないというふうに承知をいたしております。そのときに重篤な人を後にして軽傷な人を先にするということは、診療義務に反するものではない、そのときにどのようにして診療するかという順番でございますから、これはまたよく井上大臣とも御相談をしながら考えてまいりたいと思っておりますが、私どもの医科教育におきまして、トリアージということ、かなりきちんと取り上げております。その場合に、医師法との衝突というものは現在のところ想定をいたしておりません。

細野委員 私も考え方は同じなんです。

 ただ、医師法のこの義務というのは判例が結構積み重なっていまして、例えば、酒を飲んでしまった人が、お医者さんがこれを拒否事由にできるとか、あと、手術中の方が急に入ってきた患者に対応しなかったのはこれは大丈夫とか、そういう積み重ねがあるんですね。そういう意味では、この分野に関しては積み重ねがないし、多分、想定し得る限り、余りこれからも出てこないだろうと思われるんですね。だからこそガイドラインが必要ではないかというふうに思いますし、それこそ、防衛庁の方でそういう専門家の中で議論をしていただいているということであれば、それを民間の中にも反映させる努力をぜひお願いしたいというふうに思います。

 続いて、先にジュネーブ条約関係について幾つか確認をしたいことがありますので、これは外務大臣中心ということになるんですが、お伺いをしていきたいというふうに思います。

 一つは、これは捕虜の取り扱いの法案にもかかわるんですが、ジュネーブ条約上の捕虜、これはジュネーブ条約に書いてあるわけですが、その取り扱いと、この捕虜等の取扱いに関する法律の中に書いてある抑留対象者、保護対象になる抑留対象者、これには差があるんですね。

 具体的に申し上げると、いわゆる捕虜規定に該当する方だけではなくて、例えば間諜、諜報活動を行っているスパイですね、こういう人も抑留対象者として保護される。さらには傭兵、お金で雇われている兵士についても、日本の場合は国内法で保護しようという規定になっている。これが保護対象となっている。ジュネーブ条約では、そういうスパイであるとか傭兵と捕虜というのは全く扱いを分けているんですね。当然のことですが、捕虜に関しては、お医者さんをつけなきゃならないとか、ある程度健康診断をしなきゃならないとか、手厚い待遇がなされていて、そういう間諜や傭兵なんかの場合は保護対象としてもう少し低くなっている。この差を設けているんですが、日本の場合はほとんど差がないんですね。

 このジュネーブ条約と国内法の違いというのはなぜ生じたんでしょうか。

石破国務大臣 事実、先生御指摘のとおりでございます。本法律案では、捕虜のほか、衛生要員、宗教要員、区別義務違反者、間諜及び傭兵を抑留対象者として規定をしておる、これは条文のとおりでございます。

 このうち、衛生要員でありますとか宗教要員につきましては、これそのものは捕虜ではございませんが、捕虜の健康状態あるいは宗教上の要求及び人数により必要とされる限度内、すなわち、そこの捕虜ではないけれども、その人たちの要求等々によりまして必要とされる限度内で、かつ、少なくとも捕虜と同様の利益を享受して抑留できるということになっておりますのがジュネーブ第一条約の第二十八条でございます。これを踏まえまして、必要な範囲内においてのみ抑留をするということにいたしました。

 他方、区別義務違反者でありますとか間諜は、これは明らかに敵国軍隊の構成員でございます。傭兵も、我が国に対する武力攻撃に直接関与をする者でございます。これは当然、拘束、抑留の対象といたしますが、ジュネーブ条約では、これらの者については、抑留の対象であることは前提としますけれども、これは、では捕虜と同等の保護を必要とするかといえば、それは必要としない、そのような利益を享受しないというふうなのがジュネーブ条約の趣旨でございます。

 したがいまして、紛争当事国が自衛権等に基づきこれらの者を抑留するということは否定はされないということでございますが、捕虜と同等の利益は享受をしないということでございます。

細野委員 ジュネーブ条約ではそういう差をつけているというのは私も承知しています。確かに、間諜なんかの場合は、基本的な人権は守らなきゃならないとは書いてあるけれども、お医者さんにかけなきゃならないとか、健康診断を受けさせなきゃならないとか、そういう措置については具体的に書かれていないんですね、ジュネーブ条約は。

 私が聞いたのは、なぜ、我が国の法案では、国内法においてはそういう高い保護をスパイであるとか傭兵なんかにするんですかということについて、国内法の規定について聞いています。

石破国務大臣 御趣旨を理解していませんで、失礼をいたしました。

 私どもとしては、このような者を捕虜に準じて有利に取り扱うというふうには考えておらないところでございます。当然、すべての場合、人道的に取り扱わねばならないことでございますが、捕虜とこれらの者との扱いというものは、それは区別というものがなされるのだろうと思っています。

 つまり、捕虜となる権利を失っている、例えば義務違反者のようなものですね、これはもう捕虜となる権利を失っておるわけでございます。したがいまして、その者が行いました戦闘行為はもはや正当な行為としては評価をされないということになりまして、それはもう我々の国の国内法によりまして処罰をされるということになるわけで、本法律案において、これらの者について特別に優遇をする、捕虜としての権利を与える、正当な行為としてそれを評価するということにはなっておりません。

 したがいまして、私どもの国がそのような者に対してほかの国と比べて有利な取り扱いをしているというような考え方はとっておらないところでございます。

細野委員 済みません。ちょっと私の法律の読み込みが足りないのであればそれは御指摘いただきたいんですが、間諜、傭兵に関して、自由を確保し、さまざまな保健衛生、医療を受けさせるという捕虜と同等の規定になっていませんか。

石破国務大臣 それは、その点においては御指摘のとおりでございます。

 しかしながら、その捕虜の待遇を受ける者との例えて言いますと違いといいますのは、抑留給付金というものがございますが、抑留給付金のようなものは今先生がお挙げになったような者に対しては給付をなされないところでございます。全く同じ取り扱いをしておるわけではございません。少なくとも人道的な取り扱いというものはいたしますが、これらの者が捕虜としての正当な待遇を受ける者と全く同等の待遇を受けるという考え方はとっておらないところでございます。

細野委員 抑留給付金のところで差をつけるというお話でございますが、それ以外の取り扱いについては全く同じという理解でよろしいんですか。再度確認をしたいと思います。

林(景)政府参考人 恐らく、国際法と国内法の落差ということでおっしゃっているんだと思いますけれども、二つちょっと区別しないといけないことがございまして、一つは、抑留のあり方、仕方としてどういうレベルの保護をするのかということと、それから、その抑留されるに至った経緯、経過において、戦闘員として、つまり、国際法上、捕虜になる資格を持った人間として正当に行い得る行為、例えば殺傷行為とかございますけれども、そういうことについて処罰されない、たとえ相手方に抑留されても処罰されない権利というのが、捕虜となる権利というのがございます。そのことと、ちょっと二つ次元がございます。

 捕虜になった後にどういう待遇を受けるかというところが、この抑留法案の考え方において、そこについては基本的には同様の抑留のされ方をするということでございますけれども、しかし、戦闘員としての資格を持った形でさまざまな行為を行ったこと、そのことについてどう評価されるか、場合によっては処罰される、戦闘員であれば正当で処罰されないわけですけれども。それから、戦闘員として捕虜になった者についてのさまざまな、先ほど防衛庁長官からお話がございました抑留給付金だとか、そういったものについては別途の取り扱いの話になるということでございまして、その二つは区別いただく必要があると思います。

細野委員 今答弁されたのは、要するに、ジュネーブ条約上の違反を犯した場合は別途取り扱いと。これは当たり前なんですね。

 私が問題にしているのは、スパイであるとか傭兵というのは一般の捕虜とは違うんだ、日本の場合はスパイも一緒ですという取り扱いをすることが本当にいいのか。そもそもジュネーブ条約では、これは明確に分かれているんですね。そこは、この法律にも出ていますので、これ以上ここの部分については、これからの議論の対象ということで結構ですが、ぜひちょっと御検討いただいて、スパイをするなら日本の国だということにならないようにぜひしていただきたい。――それじゃ、長官、お願いします。

石破国務大臣 済みません。先生の御提案ですので真摯に聞かせていただきたいと思っておりますが、今、条約局長から答弁がございましたように、それらが行う行為は正当な行為ではないわけでございます。間諜ですとか区別義務違反者でありますとか、そういう者は犯罪者でございますから、そのように取り扱うということに相なります。それが、全く正当な戦闘員、捕まったときに捕虜となる者との大きな違いでございます。

 それで、先生がおっしゃいますように、それじゃ、とっ捕まった後どうするのということになりますと、これは、捕虜はなるたけ早く帰さなければいかぬということで、送還といいますか、本国へ帰国させるという時期がございますが、間諜等々の場合には、早く帰すということには相なりません。そういうような、実際に取り扱いに違いがございます。

 先生が今御指摘になりましたように、スパイをするならば日本だ、間諜するならば日本だということにならないようにというのは、これは取り扱いとはまた別の議論ではなかろうかというふうに考えております。不当に、不当にという言葉が適当かどうかは知りませんが、そういうもので拘留、抑留をした者を厚遇して、彼らにとって、やるならば日本だというようなインセンティブを与えておるというふうには考えておりませんが、ほかに何か改善する点があれば、御指摘を賜ればと思います。

細野委員 この分野については、御専門の首藤先生もいらっしゃるので、また改めて、この法案に限らず議論をする対象だと思いますので、これぐらいにしておきますが、正直、この法案を見ていて、そういう部分は違和感を持ちましたし、改善の余地があるんじゃないかと私は個人的には思っています。

 次の質問は、ごく簡単で結構なんですが、ジュネーブ条約上の保護対象に、これはジュネーブ条約第一議定書の五十六条一項に、ダムであるとか原発なんかが書かれているんですが、これはただし書きがありまして、ダムとか原発がそれこそ軍用に使われているようなケースはこれに該当しない、消滅をする、保護対象にならないという規定があるんですね。

 これは確認なんですが、日本に存在するダムであるとか原子力発電所は、これは保護対象になるという理解でよろしいですね。

林(景)政府参考人 軍事目標になるかならないかということにつきましては、あらかじめ、今、平時の時点におきまして定まるというものではございません。

 軍事目標の考え方というのは、基本的には、実際に武力紛争が発生しました後、その時点におきます総合的な状況から判断されるということでございまして、通常は民用物として使われているものが、ある状況、戦況と言えばいいかもしれませんが、によっては軍事目標になるということはあるわけでございますし、その平時において軍事目標であったものが、例えば、兵力、兵隊さんが全部いなくなって、そこを病院に使ってしまう、それなりの手続といいますか、標章をする必要はありますけれども、そういう手続を踏んで、それはまた民用物等、保護されるものになるといったことはあるわけでございまして、その時点その時点における総合的な判断ということでございますので、あらかじめ、今、どこどこのダム、このダム、これは全部、軍事目標ではございませんということを言うのは必ずしもできないわけでございます。

細野委員 いや、今の局長の答弁はちょっと問題だと私は思うんですね。だって、日本がどこかへ攻めていって、ダムとか原発を攻めるようなことをするなら話は別ですよ。でも、我が国は自衛権のみを行使するんだから、そういうことをしないわけでしょう。

 今私が聞いたのは、我が国のダムとか原発はそういう軍事的な利用に特化しているようなものはありませんねと。そういうことを攻められるときにあらかじめ言っておかないと、いざ戦争が始まって、いや、ここはだめですと言ったところで遅い可能性があるわけじゃないですか。今の答弁だと、いや、攻めてもいいかもしれませんよというふうに我が国がみずから白状したようなものじゃないですか。我が国はそういうことじゃないんですねと、我が国の状況を確認しているんです。

林(景)政府参考人 私自身、日本のダムの状況を全部承知しているわけではございませんけれども、もちろん、今の時点におきまして、いわゆる民生用に電力を供給していることで、通常の、例えば東京電力の方が詰めておられるというだけのものであれば、もし、たった今の状況で武力紛争というものが発生しました場合にそれはどう評価されるかということですと、それは、まさに民生用にしか使われていないということであれば、当然のことながら軍事目標にはならないということでございますけれども、これは、武力紛争が発生した後、それぞれの、例えば施設といったものをどういう形で使うのかということによっては、それは軍事目標になることがないということをあらかじめ申し上げることはできないということを申し上げているんです。

細野委員 では、これは大臣にぜひ御答弁いただきたいんですが、我が国が今一番恐れている某国もこの第一議定書を批准しているわけですね。そこが日本に届くミサイルを持っているわけですね。本当に今の局長の答弁でいいんですか。

 我が国の原発であるとかダムはそういうことには利用していませんよ、当然そういうことを認識した上で、まあ有事にならないのが一番いいわけですが、対応してくださいよということを言っておかないと。これは当たり前の前提としてですよ。もしかしたら、戦争になったら日本はそういうものを特化して使うかもしれませんよという答弁ですよ、今の局長のは。そこは、日本としては少なくともそういう認識を持っているということはおっしゃった方がいいと思いますが、いかがですか。

川口国務大臣 当然に、今、日本に存在をしているダムあるいは原子力発電所、そういったものは、今まさに平時で日本は民生用に使っているわけでして、軍事用に使っているわけでは全くないわけです。これはもう本当に明確なことであるわけです。

 それで、ジュネーブ諸条約との関係でいいますと、一項に書いてあることは、軍事目標である場合であっても、その結果、ちょっと飛ばしますけれども、いろいろあって、攻撃の対象としてはならないというのが一項に書いてある。それで、二項で、そういった特別の保護が消滅をする場合ということを定めてあるわけでございます。

 それで、そういったことにそれが具体的に当てはまるような状況があるのかないのかということについては、それはわからない部分というのがあるということですけれども、現在、我が国の原発あるいはダム等々は全部、平和的な利用のために、民生用に使われている、そういうことでございます。

細野委員 我が国は先制攻撃をすることはないわけですから、平時においてそういうことがなされているということは、そこは国際法上は先制攻撃をされないということは私は少なくとも確認をしたかったものですから、今、相当突っ込んで答弁をいただきましたが、今の御認識であれば、そういうことはないということで、とりあえずこの件は結構かというふうに思います。

 それで、ジュネーブ条約に関して、引き続きやっていきたいんですが、私が今ちょっと関心を持っておりますことは、このジュネーブ条約の第一議定書、第二議定書に書いてあることと米国の軍事教範に書かれていることがどういう違いがあるのかということをぜひ考えてみたいなというふうに思っています。

 私、軍事教範を取り寄せまして、全部は読みませんでした、相当難しかったので。全部は読みませんでしたが、該当しそうな部分をいろいろと見てみました。それなりにきちっと書いてあるところもあれば、ジュネーブ条約とは、特に第一議定書とは差があるなというところもあるんですね。

 外務大臣が、本会議場で、軍事教範に書かれているので、日米が共同で戦うときもそういうことは問題になりませんという御答弁をされたんですが、一方で、軍事教範の解釈はアメリカがするので外務大臣はその資格がありませんという趣旨の答弁もされているんですね。私、これは明らかに矛盾していると思っていまして、ともに戦うのであれば、では、そういうジュネーブ条約の第一議定書に書かれていることとどの程度の整合性のあることを米軍は行動としてとるんだろうかというところは、少なくともこれはきちっと確認をしておく必要があるだろうというふうに思っています。

 ジュネーブ条約本体に、そもそもアメリカが批准している部分に関して守っているか守っていないかというのは、これはいろいろ問題があります。今の捕虜の取り扱いなんかでもいろいろ問題になっていますが、そことはまた別の次元として、別のルールとして議定書は存在するわけですが、そこの整合性についてきちっと確認をする必要があると思うんですが、外務大臣、ここの部分について基本的な考え方をまずお聞かせください。

川口国務大臣 前回、私がその軍事教範との関連で申し上げたことが、少しその前半のきちんとした考え方のところをはしょって申し上げることになって、その分、若干ミスリーディングであったかもしれないと思いますので、その基本的な考え方のところから申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 まず、委員が、今、問題ではない、そこを問題にしているわけではないというふうにおっしゃられましたけれども、そもそもということで、それにちょっと触れさせていただきたいと思います。

 まず、米国は、ジュネーブ諸条約の締約国であるということでございますから、当然に、国際社会の責任ある一員として、ジュネーブ諸条約上の義務、これは誠実に遵守をするということであると考えます。それから、追加議定書、第一追加議定書の締約国では米国はないということですけれども、米国は、米軍は、第一追加議定書の規定に反映をされた国際人道法の基本的な考え方、これを踏まえて行動すると承知をいたしております。

 例えば捕虜について例にとって申し上げますと、これは第三条約ですから、第三条約上の義務に従って行動する米軍が捕虜に対する虐待を行うということは本来想定をされない。国際法を守るというのは国際社会の責任ある一員の義務ですから、本来それを破るということは想定されないということであるわけでして、ですから、条約を締結している部分については当然に守る、追加議定書等で締結をしていない部分についても、慣習国際法として確立をしている部分、例えば軍事目標主義というのもそういうことですけれども、そういう部分については米国は当然に守るということであると思います。

 ですから、軍事教範ということについて、そういうことをいろいろ書いてあるわけですけれども、軍事教範の話に行く以前の問題として、締約している諸条約については守るし、それから、国際的に慣習法として成立をしている部分、これについては守るということであります。

 それで、軍事教範について、これは米国の文書であるので、日本政府として確定的な解釈を行う立場にはないということを申しましたけれども、それは全くそういうことでございまして、これは米国政府の文書なのでそういうことであるということでございます。

 その上で、もし何か食い違いがあるようなことがあれば、これは日本として、こういった武力行使が行われるような事態、あるいはそれがその近くに迫った事態、これは調整メカニズムを立ち上げるということでもありますし、それから、それ以前から頻繁にお互いに話し合っている、協議をし合っているという関係でございますから、そういうことを通じて、違いがある場合には全部調整をしていく、そういうことであろう。

 これが基本的な考え方でございます。

細野委員 今、基本的な考え方を示されましたので、一点だけ具体例を示して外務大臣に伺いたいんです。

 文民の保護に対する規定が両者にあります、第一議定書にもありますし、軍事教範にもあるんですね。そこの部分を読んでみますと、私からすると、相当な差があるなと。

 両方、文民を攻撃の対象としてはならないということが書いてあるんですけれども、この第一議定書にはこう書いてあるんですね。無差別攻撃はしちゃいかぬ、無差別攻撃の具体的な例としては、特定の軍事目標のみを対象としない攻撃、特定の軍事目標だけを対象としない攻撃、これは無差別攻撃でだめですよと書いてあるんですね。それを裏づけるような規定が二重三重になされていて、要するに、文民をいかに保護するかという観点から書かれたのがこの第一議定書なんですね。

 一方で、この軍事教範を見ていると、確かに、これは具体的にはディフェンデッドプレイシーズとなっているんですが、攻めてはいけないところ、これの定義が書かれていて、駐屯地は攻めていいけれどもその周りはだめですよとか、そういうことが書いてあるんですが、その最後にこういう規定があるんですね。

 そのディフェンデッドプレイスの中に独立した市や町が入ってしまった場合は、分離したそのディフェンデッドプレイスの中にある市や町は不可分の全体として防衛域とみなされる可能性がある、つまり、攻めてもいいですよというふうに書いてあるんですね。要するに、全体が攻めるに該当する場所で、その中に孤立した町なんかが入ってしまった場合は、これは例外で攻めてもいいですよと書いてあるんですよ。これは明らかに日本の今批准をしている第一議定書と米国の持っている軍事教範の違いなんですね。

 恐らくは、イラクで起こっていることというのは、軍事目標を確かに主に攻めているんでしょう。そう信じたいと思います。ただ、そこに例えば孤立した町があったり施設があったりした場合は、それは不可分一体のものとして米国は今攻撃しているんですね。ジュネーブ条約はそれを禁じているんですよ。

 ここについての条文の差がある、規約に差があるということについて、外務大臣、どう認識されていますか。

林(景)政府参考人 今、軍事教範とジュネーブ条約第一追加議定書との差ということでおっしゃっておられるわけでございますけれども、実際の問題といたしまして、日米、仮に日本がこのまま第一追加議定書について御承認をいただいて加入するということになりますれば、アメリカは第一追加議定書の締約国ではない、したがって、法的にぎりぎり言えば、その間に、第一追加議定書の規定そのものは、いわゆる慣習国際法化している部分を除いてはアメリカはこれを遵守する法的義務は負わないという意味で、確かに、法的なスコープといいますか範囲といいますか、そういうものについて落差が生じるということは事実だろうと思います。

 しかしながら、この種の武力紛争におきまして具体的にどういうふうに対応するかということにつきましては、これはまさに、そういう法的な落差というものを踏まえて、具体的な事実、状況に応じまして、今、イラクのファルージャの例をお出しになりましたけれども、日米で共同対処する場合に、具体的な事案に即して、それがそれぞれの義務というものに照らしてどれだけの差があるのかということを緊密に調整して、相互に法的規範に違反することのないように行動するという形になっていかざるを得ないというふうに考えております。

細野委員 いや、局長、規範が違うということを前提に調整するって、本当にできるんですか。のっとる規範が違うんですよ。局長、もう結構ですが、のっとる規範が違うものがあるにもかかわらず、それを調整メカニズムでやるんですというのは余りに非現実的な話だと私は思いますよ。

 長官にお伺いしたいんですけれども、一緒に我が国を守る、軍事行動をしなきゃならないことが起こる可能性があるわけですね。日本の場合は国内を守る。盾と矛の関係でいえば、盾の形になるわけですね。矛は米軍に任せるということになった場合に、例えば米軍が、攻撃を受けた国に対して、要するに、アメリカの教範に基づいて、今、例に挙げたような、そういう文民の攻撃も一部なされるような可能性があるというケースは想定し得るわけですね。そうすると、敵国が我が国に対して、当然、ジュネーブ条約を守らない部分での攻撃について報復をしてくるという余地は十分あり得るし、オペレーションの部分でもいろいろそごが出てくる可能性は私はあると思います。

 長官にまずお伺いをしたいのは、そういう部分で、本当にこれは別のルールにのっとっても大丈夫なんですかということ。済みません、簡潔に御答弁いただきたいと思います。

石破国務大臣 それはできるものです。

 それで、私どもは、自衛権が及びますのは、基本的に、我が国の領土、領空、領海そして公海まででございますから、我が国が合衆国とともに海外の領土におきまして、ほかの国の領土におきまして共同作戦というのは基本的に想定されないわけでございまして、基本的に国内において共同行動をとっております場合に、委員御指摘のようなケースというのがどういう場合に起こり得るのか、ちょっと即座には理解をしかねておるところでございます。

 いずれにいたしましても、調整メカニズムを通じまして、たとえのっとっておるものが全く一緒でないとしても、それは調整をとるということは、可能というよりも、そのためにこそ調整メカニズムはあるというふうに私は理解をいたしております。

細野委員 今ちょっと横から専門家の末松先生もおっしゃっていますが、私も調整メカニズムの話じゃないと思います。防衛庁長官としては、担当大臣ではないので、必死に調整メカニズムでやるという御答弁はやむを得ないと思いますが。

 外務大臣にお伺いしたいんですが、これは国会図書館から取り寄せたんですが、米軍の法務官の学校で出ているハンドブックなんですね。これによりますと、ジュネーブ条約のこの部分は大丈夫ですねということが随分きちっと書いてある。ジュネーブ条約については、特に第一議定書について、これは批准の余地があるという議論がアメリカ国内でも随分あるんですね。

 日本はともに軍事行動をとるアメリカに対してこの第一議定書の批准を求めていくべきだと私は思いますが、外務大臣、お考えをお聞かせください。

川口国務大臣 ジュネーブ条約第一追加議定書を批准するかどうかということについては、これは、アメリカ国内でもいろいろな意見があるということであると承知をいたしております。これは、アメリカの国内の問題として、アメリカが議論をして結論を出していくことになると思いますけれども。

 我が国が、共同対処をするために不都合であるということで、米国に対して追加議定書を求めるべきかどうかということについていいますと、これは、アメリカはいろいろな国のいろいろな軍と共同対処あるいは行動をともにしてやっているわけでございまして、アメリカは第一追加議定書を結んでいない、ほかの国は結んでいるというケースは今までたくさんあるわけでございます。そういった状況において、事実上、実際にそれが大きな障害であった、不都合な要因であった、したがって、ほかの国はアメリカに対して第一追加議定書を結ぶべきであるというふうに考えている、そういったケースには我々は今のところ遭遇をしていないということであります。

 現実問題として、追加議定書を結んでいないアメリカと、結んでいる国との間の今までのいろいろなケースで、これは問題が生じなかったケースということでして、我々は、その理由をもって、第一追加議定書を米国に締結してほしいということを言うことは今のところ考えておりませんけれども、米国においてきちんと議論をしていただいて追加議定書を締結するということであれば、これは歓迎をしたいというふうに思います。

細野委員 今、最後に、歓迎したいという一言がありましたので、これ以上答弁は求めませんけれども、オペレーションの部分でいろいろ、どういうそごが生じるのかというのは、正直、私は専門家ではないのでわからない部分があります。

 ただ、米国がジュネーブ条約のこの部分を批准していないことというのは、多分、今まさにイラクで問題になっていることとこれはつながっていると私は思います。少なくとも、この教範を読んだ立場からいうと、つながっていると私は思いました。その部分も含めて、もう少し日本として、全部表で言えとは申しませんが、きちっとした交渉をしていただいて、私は、ぜひ求めていただきたいな、そのことだけ最後に申し上げておきたいというふうに思います。

 時間が少なくなってきましたので、最後に、私が個人的にこだわっております指定公共機関の話、井上大臣そして麻生大臣、済みません、随分お待たせしましたので、お伺いをしていきたいというふうに思っています。

 この指定公共機関の話、去年の国会でも随分と議論されています。当時の担当大臣は、おやめになった福田官房長官がやられていまして、何度か答弁があるんですが、その中で一番確実に福田前官房長官の見解を反映しているのが、委員会に配付をされた資料だと思うんですね。その中ではこういう記述があるんですね。指定公共機関についてですが、「民間放送事業者が指定される可能性はあるが、現時点では、日本放送協会を主として考えている。」そういう答弁もあるし、委員会配付資料もあるんですね。

 それと比較すると、井上大臣は、はっきりこう言われているんですね。民放についてもNHKと同じように指定をしたいということをおっしゃっている。これは明らかに、指定をしないとは福田官房長官もおっしゃっていないんですが、そのときはNHKに特定をすることをにおわせているような答弁をされているので、見解が変わったんだろう、もしくは、よく言えば確立をしたんだろうというふうに思っています。答弁がニュアンスが変わっているのは、これは何でですか。

井上国務大臣 委員がおっしゃいますように、最初、政府見解として出しました中には、おっしゃるとおりの記述がございます。NHKを主として考えていくということでありまして、この中におきましても、民間放送機関を排除しているということにはなっていないわけでありますが、その後の委員会で、福田官房長官は、やはり民放も含めて考えるという答弁をしておりまして、もう既に福田官房長官時代から民間放送機関に言及した考え方をとっているわけでありまして、今回の法律におきましては、私ども、その考えを受けまして申し上げているわけでございます。

 要は、緊急事態でありますから、こういう緊急事態をできるだけ迅速に国民の皆さん方に伝えていくということが必要だと思うのでありまして、そういう場合に、やはり放送機関が一番手っ取り早いわけですね。それで、NHKが最大の放送機関だとは思いますけれども、しかし、他の放送機関も、全国を対象に放送しているところもありますので、ぜひそういう民間放送機関にも御協力をいただきまして緊急事態を適切にかつ迅速に放送していただきたい、こういう考え方でいるわけでございます。

細野委員 災害対策基本法の指定公共機関にはNHKしか入っていないんですね。民放が入っていないんですね。こちらは民放を入れないんだけれども、国民保護法制の方では入れる理由は何ですか。

井上国務大臣 これはまさに日本の有事でありまして、主として局地的に起こるような事態とは違うわけでありまして、できるだけ広く多くの国民に知っていただきたい、こういう考え方から、NHKだけではなしに、大きな民間の放送機関につきましても指定公共機関として指定をいたしたいと考えておりますし、その点については、ぜひ、私も放送機関の団体の方とお話をいたしましたけれども、御協力をお願いいたしたいというふうに考えております。

細野委員 もうある程度意思を決められているので、これはちょっとひっくり返らないのかなという感覚を、私も何度も事務方の方ともやりとりをしておりまして、残念ながらそう思っておるんですが、民放を指定するということになると、これは結構大変なんですね。

 なぜかというと、民放というのは、キー局があって、そこが全部、全国津々浦々放送しているわけではなくて、準キー局が大阪、名古屋なんかにあって、さらにローカル局が地方に存在をしておって、その系列で放送を流しているんですね。

 井上大臣、全国に流したいとおっしゃるけれども、キー局を指定したところで、その時間に流してくれと言ったところで、そこの時間帯に例えばローカル局と接続をしてダイレクトに番組を流していなければ情報は流れないんですね。ですから、大臣がおっしゃるようなことを本気で実現しようと思えば、要するに、そういう系列局もすべてこれは指定公共機関、地方がですよ、国が指定すると同時に地方も指定をするということになるんですが、そこまで考えていらっしゃるんですか。

井上国務大臣 すべての民間放送機関を対象にするという考えはございません。あくまでNHKと大きな放送局を対象にするということでありまして、各地方ごとにあります放送局につきましては、これは都道府県知事の判断によるわけでありますけれども、指定地方公共機関として指定される、その可能性はあると思います。

細野委員 いや、そこがばらばらじゃ余り意味ないですよ。だって、東京のキー局を指定したって、流れるのは本当に東京の周りだけで、せいぜい関東ですよね。全国に全然流れないじゃないですか。さっきの災害は全国じゃないけれども、それこそ有事は全国なので、全国に流したいという話と矛盾しませんか。

井上国務大臣 それぞれのキー局がどの程度の地域にまでこの中身を流すかにつきましては、それは差があろうと思うのでありますけれども、しかし、東京周辺だけに緊急情報を流しまして、地方は全く流さないということもないと思うのでありまして、私どもとして、できる限り広範囲に流される、そういう情報が伝わるということを期待いたしまして主要な民間放送機関も指定公共機関にするわけでありますけれども、それは強制するわけにまいりませんので、どこそこまで流してほしいということを強制するわけにまいりませんので、全国的にかなりの広範囲に報道がなされるであろうということを期待いたしまして指定公共機関として指定をさせていただきたいというふうに考えているわけであります。

細野委員 指定公共機関に指定をして警報を流すという意味では、その指定をした時点でそこまで踏み込まないと逆に意味がないんですよ。全国、同じ放送を流している時間なんというのは、実は限られているんですね。これは、井上大臣、理解されていますか。六時のニュースとか十二時のニュースとか、そういうのは全国ニュースで流しますが、それ以外のときは録画を撮ったりいろいろしたりして番組を相互に提供し合っているのが民放なんですよ。

 期待をするも何も、井上大臣がおっしゃっていることを貫徹するのであれば、指定公共機関にキー局を指定して、そして、そのキー局とローカル局の関係においてもきちっとそういうことをしてくださいねというところまでガイドラインをつくらない限り、全国に放送なんか流れないんですよ。そこまで立ち入る権限を指定公共機関を指定した瞬間に政府は持つんですか。そうじゃないと流れないんですよ。期待をするなんてものじゃないんですから。そこを、しっかり考え方を現時点で示しておいてください。

井上国務大臣 国としては、どこまで、どこの地域に画像が届くようにというようなことを強制するわけにはまいりませんので、あくまでそれは国として期待をするということでありまして、そういうことが期待できるような大きな民間放送機関を指定公共機関として指定するわけでございますけれども、さらに進んで言いますと、指定公共機関に指定をいたしますと業務計画というのをつくることになっておりまして、そういう中で、恐らくはそういった大きな局はそういったことに関する記述があるんじゃないか、こんなふうに考えます。

細野委員 決して揚げ足をとるわけじゃないんですけれども、今の大臣の答弁というのは、キー局のローカル局に対する影響力を物すごく強化することにつながりますよ。キー局とローカル局の関係というのはケース・バイ・ケースなんですね。資本関係があるところもあれば、役員を送っているところもあります。番組の提供をかなり受けているところもありますが、独立をして契約に基づいて一部放送しているところも今いっぱいあるんですね。業務計画をつくる中で指定公共機関たるキー局がそこまで権限を持つということになると、その時点で、これは民間に対して物すごく強い介入ですよ。

 そこはきちっと考え方を整理していただいて、ローカル局とキー局に対してどういう指定をしていくのか、その関係に本当に立ち入るのかどうか。私は立ち入るべきじゃないと思います。そこをもう一回答弁いただけないですか。

井上国務大臣 国がキー局とローカル局の関係を強制していくということは、これはできないことでありまして、委員も御承知のように、この指定公共機関というのは、みずから、自主的に業務計画をつくってくるわけでありまして、そういうものを前提として私どもは緊急情報を流していきたい、ぜひともそういったことに協力をしていただきたい、そういう立場でありますので、今御指摘のようなことは国としては強制をしてやっていこうとする考えはありません。

細野委員 麻生大臣にも来ていただいているので。具体的な運用については、多分、総務大臣がされるようなことになると思います。今の部分についての考え方を一言御答弁いただけますでしょうか。

麻生国務大臣 基本的な考え方として、いわゆる武力攻撃事態等々の非常事態等々におきましても、表現の自由等々、国民の自由と権利、そういったものに関しましては、そういったものは尊重されるのが当然でありますので、政府として報道の自由に関しましてはできる限り尊重する、当然のことだと存じます。

細野委員 この部分について指定をされるのであれば、今のような懸念を、ぜひ担当大臣としても、総務大臣としてもお考えをいただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。

 最後に、もう一つお伺いをしたいのが、指定公共機関になった場合に出てくる大きな問題というのは、私は、業務計画の部分じゃないと正直思っているんです。といいますのは、平時において業務計画をつくって、いろいろな助言をされるとか報告をするとかいう部分は、落ちついた議論ができるんですね。メディアの側にも反論の余地はありますし、そこは私は正直余り心配をしていません。

 むしろ心配をしているのが、この武力攻撃事態法の中に書いてある、この十四条の総合調整機能を持つ、すなわち、有事になったときに、指定公共機関に指定をされておれば総合調整の対象になって総理から総合調整されるんですね。この総合調整というのは一体何だ、どういうことがされるんだということに関しては、これは有事ですから相当強い権限にもなり得るし、抑制的にもなり得る、非常に幅があるというふうに思っています。

 ここで言う総合調整というのは、大臣、どういうことを考えられて、何が行われるのですか。

井上国務大臣 確かに、対策本部長の総合調整権限というのは、いろいろな権限の行使の仕方がございます。

 例えば、指示をする、あるいは代執行するまでに至る、そういう総合調整もあれば、指示にとどまる総合調整もございますが、放送機関につきましては、そういうこともないわけですね。そういうこともないわけでありまして、つまり、総合調整といいましても、例えば、これは具体的にいろいろなケースがあろうと思うのでありますけれども、できるだけ早く放送してもらいたいとか、そういった言ってみれば助言といいますか、その類のものと考えていただいていいと思います。

 放送機関に対しまして、総合調整があるからといって、指示をしたり強制したりするということは考えておりません。また、そういうことは法律でなければできないわけですよね。そういう法律の規定を置いておりません。

細野委員 総合調整というのは、実は、対策本部長たる総理と各省庁との関係にも同じように使われているんですね。例えば、私がさっきちょっと質問したような、医療機関を所掌する厚生労働省の省に対する指揮権なんかも総合調整という言葉になっているんです。

 指揮権とあえて申し上げたのは、調整といったって、有事の際は各省庁に本部長が指示を出せないとどうしようもないんですよ。そこの部分は、別に各省庁に対して代執行権があるわけでもなければ指示権はないんですね。総合調整とだけ書いてあるんですね。そのことによって、恐らくは強い、指示権に近いようなものがなされるだろうということは容易に想像がつくんですよ。

 そういうことは法律に書いてないとおっしゃるけれども、各省庁に対する権限と同じものを指定公共機関に課しているんですよ。これは強い権限になり得ると思いますが、大臣、どうお考えになりますか。

 それと、時間もないので、最後にもう一つ。代執行と指示権に関しては法律の規定がないので、この十五条については指定公共機関は指定されません。それは私も承知をしています。これは将来においてもこの部分での改正をするつもりはありませんね。これは非常に重要な部分だと思っていますので、あわせて答弁をいただきたいと思います。

井上国務大臣 この対策本部長の、対策本部長というより内閣総理大臣とわかりやすく申し上げますと、各省大臣に対する指揮権というのは、これはそれとして、そういう手続をとればできるわけでありまして……(細野委員「いや、同じ権限ですよ、総合調整なんだから」と呼ぶ)同じ権限ですよ、総合調整だけれども、その総合調整の中身が、中身につきまして、各省大臣を監督する場合のその権限と、こういう指定公共機関に対する総合調整というのは違うわけでありまして、今のお話のように、将来ともにやるかどうかというのは、それは将来の問題ではありますけれども、今のところ、そういうことを、総合調整のもとにおいて、強い総合調整の権限のもとにおいて業務内容を規制していくようなことは考えておりません。

細野委員 ちょっと時間がまだあるので、最後に。

 では、代執行と指示権について、十五条の部分の改正は、指定公共機関の放送事業者に関してはしないという答弁でよろしいですね。

井上国務大臣 将来どういう議論が起こるかわかりませんけれども、私としては、そういうことはないと思います。

細野委員 時間もなくなりましたので、最後に、私の考え方だけ申し上げたいんです。

 私は、有事において国民の協力は必要だと思います。ある部分ではそこに責務を課すようなことも必要だと思いますので、災害のときよりもむしろ国民の協力を緩やかにしているようなこの法律は、正直、いろいろな意味で問題があると思っています。

 ただ、ここだけこだわるのは、結局、取り返しのつかない価値観として、日本の多様性をどう守るかとか、多元性をどう担保するかとか、こういう部分に対しての保障というのは、石破長官は首をかしげられているけれども、いろいろな意味で、これは、この部分では侵される可能性が十分にあり得るんですよ。平時においては想定できないことがあり得るんですから。この部分についての価値をとにかく大切にしていただいて、国民の協力はもちろん求めなければなりませんけれども、こういう何かの事態が生じたときにそういう価値観が侵されるようなことがないようにという配慮だけは、法律をつくられた責任として、今、四人お並びになっていますが、ぜひお願いをしたい。

 そのことを最後に申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

自見委員長 次に、大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 細野議員から、非常に詳細にわたる専門的な分野の御質問がございましたが、私の方からは、少し視点を変えて国民保護の法律案に関する質問をさせていただきます。

 私も、この委員会に出席をさせていただき、さまざまな委員の御議論を聞いておりましたが、正直なところ、総論的には、どうもやってみなければわからないという分野が非常に多い。ここのところはどうだろうかという質問をすると、まあ、その件についてはいいとも言えるし悪いとも言える、そういう答弁が非常に多いような感じを持ちます。

 言ってみますと、非常に複雑な、町の中に交差点がたくさんあって、信号機がほとんど設置されていない、その状況において、右折することもできるし右折することもできないとか、直進できないから左折しなきゃならないとか、もちろん進入禁止もあるでしょう。状況状況で、至ってみなければわからない、そんな非常に複雑な、町の中の道路が錯綜している、そういう状況の法律案のような感じを受けるんです。

 私は、実際問題、直進車が優先なのか、それとも右折車が優先なのか、そこら辺がわからなければ、非常に交通事故も起こるし、非常に混乱状態に入るんじゃないかと思うんですね。したがって、そういうものをどういう形でこれから整理していったらいいのか、そういう観点から、具体的な事例を念頭に置きながら質問させていただきます。

 二〇〇二年の十二月五日、深夜といいますか午前二時、日立港に北朝鮮籍船が座礁しました。このとき、ちょうど木曜日の早朝、午前二時のころ、座礁して、それからオイルが流れた。そしてこれをどうするんだというので、大変な混乱状態に入りました。

 市民のボランティアが駆けつけて、オイルの除去作業に入る。私も、次の次の土曜日の朝、行きましたけれども、千五百人ぐらいの市民が駆けつけていて、オイルの除去作業をやっていました。そこには市の職員も来ていたし、漁業関係者も来ていたし、県の関係者も来ていましたし、海上保安庁のメンバーも来ていたんです。

 私は、そのときに、だれがこのチームの指揮権といいますか中心ですかと市に聞いたら、いや、私たちじゃないんです、県に聞いたら、いや、私たちでもないんです、海上保安庁に聞いたら、私たちでもないんです、では、だれなんですかと言ったら、いわゆる予算権がないから命令ができないんですと。要するに、命令したり、こうしなさいと言うと、必ず、後から予算づけをしなければなりませんね。したがって、市の人、市長さんも、私たちも指示することはできない、県の人も、できない、海上保安庁でさえ、こういう場合の予算というのは私たちはありませんから指令できないんですと言うんです。

 そういうことから、これは一つの、外国船籍の船が座礁したときでさえそんな状態なんです。ですから、例えば外国の軍による攻撃があった場合、その地域のところはどうなるかというと、先ほどの、この法律案はやってみなければわからないというところがたくさんありますから、非常に混乱状態に入ると思うんですね。

 そこで、そんなことを念頭に置きながら、非常に複雑になってくるのは、そこに、例えばアメリカ軍も加わってくる、自衛隊も加わる。先ほど申し上げた場合には、海上保安庁と県と市とそれから漁業関係者、漁業組合ですね、それだけでも混乱状態なんですね。そこに、米軍と自衛隊とそして外国からの軍隊が加わった場合には、何が何だかわからないという状態がまず想定されると思うんですね。

 そこで、担当大臣にお伺いしますが、そういうことを想定したとき、だれがこの指揮権といいますか、指揮をとるんですか。

井上国務大臣 非常事態というんですか、有事の事態におきましては、国全体として同じような方向を向いて対処をしないといけないわけであります。したがいまして、国とか県とか、あるいは市町村とか指定公共機関とか、あるいは一般の皆さん方の協力というのがあるわけでありますけれども、私どもが法案を作成する段階におきまして、今のお話のように、だれが責任を持って、だれが中心になってやるかわからないような事態が発生するのは一番困るわけでありますから、国と県と市町村との間の権限関係はこれは明確にするということで、法律の中ではそういうことはきちっと明確にしていると私は思いますし……(大畠委員「だれが指揮をとるんですか」と呼ぶ)いや、これは法律で決まっているわけです。だから、しかじかの事態については国、これこれの事態については、例えば警報を出すのは国ですね、あるいは避難の指示は県がやる、避難の誘導は市町村がやるとかというぐあいに、それぞれの事項につきまして責任を持つ主体を明確にしたわけですね。しているんです。

 だから、そういうことをやっておりまして、今おっしゃるような事態が出ないように対処していきたいと思いますが、ただ、私は、最初に委員が言われましたように、やはりこれは、単に権限がそうなっているからとか、あるいは計画をそういうぐあいにつくっているからということでそのとおりいくとはいかないわけでありまして、広く国民の支援といいますか、同意がなければうまく動かないわけでありまして、だから、国民の皆さん方にも十分よく理解をしていただくような制度の仕組み、あるいは訓練をしていく、そして、今申し上げましたような権限の配分に従って、同じような方向を向いて関係機関が協力をしていろいろなことをやっていく、こういうことだと思います。

大畠委員 マニュアルはできているかもしれないけれども、例えば、午前二時に某国がそういう形で攻撃をしながら夜陰に乗じて入ってきたということになった場合に、午前二時ですから、みんな寝ているわけですよ。大体、そういうときに入ってくるわけですね。そのときに、整然としているんですよといったって、それは被害を受けるのは、まず港の人が受けますね、港に入ってくるとすれば。そして、市長もたたき起こされるでしょう。自衛隊の人も来る。アメリカの軍も援軍に入ってくる。だから非常に混乱するんですよ。だから、そのときも、理路整然としているんですよ、避難誘導は警察とかなんとかになっているんですよといったって、だれかが一人、トータル的に、その人に聞けば大体話がわかるという仕組みをつくっておかないと、マニュアルを見てやってくださいと言ったって、夜中の二時ごろ起きて、マニュアルではうちはどうなっているんだというのでは話にはならないんですよ。

 だから、私は前回も申し上げましたけれども、とにかく地域の、首長だったら首長さんが中心となってまず対策チームをつくって、何でも首長の権限でやってくれと。そして、夜中の二時、三時、四時になってくればだんだんみんな起きてくるでしょう。そうしたら徐々に拡大していってやるとか、その仕組みだけは、大臣、何かつくっておかないと、この間も申し上げましたけれども、どんなにすばらしいマニュアルをつくっておいても、みんなが起きてから眼鏡をかけて見るような話ではだめだ。

 だから、そういうときにはだれか指揮権を、地域で起こったら首長とか、だんだん拡大したら県とか国とかという、その流れだけはしっかりとしておかないといけないのではないかと私は思いますが、その件について、もう一度ちょっと答弁をお願いします。

井上国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、責任の所在、権限の所在を明確にすると同時に、だれが責任を持つのかということをきちんとする必要があると思います。県におきましては県知事でありますし、市町村は市町村長でありますけれども、具体的な事態に対処してすべて県知事が、あるいは市長がやるわけにいかぬでしょうから、それは責任の所在としては知事とか市町村長でありますけれども、具体的にだれがどうするかというようなことにつきまして、そこはきっちりと対応できるようにしていきたい、こんなふうに思います。

大畠委員 そのとき、例えば自衛隊と米軍が一緒に入ってきた場合、どっちが全体的な指揮をとるんですか。

井上国務大臣 これももうたびたび御質問がありましてお答えしているとおりでありますけれども、自衛隊と米軍はそれぞれが指揮権を持つということでありまして、一元化をしていないということであります。それぞれが指揮権を持つ。

 その中の調整につきましては、調整のメカニズムというのを通しまして、各レベルにおきまして意思疎通をよくしながら、二元化の弊害と言われておりますそういうところが出ないようにやっていきたい、こういうことであります。

大畠委員 そこら辺もやってみなければわからないという一つなんですね。四つ角で自衛隊の車が来た、あるいは米軍の車が来た、どっちが先に直進するんだ、おれなんだ、おれなんだと。では話し合ってどっちが通行するか決めましょうなんという話で、そこら辺が、どうもこの法律案、非常に踏み込んだ国民保護法制というのはすばらしいんだけれども、どうも最後になってくると、やってみなければわからないというところが余りにも多過ぎるような感じを私は受けるんです。

 私は、正直言って、いろいろな状況のときには、情報をたくさん持っているところが全体を指揮するというのが当然だと思いますよ。というのは、要するに、こういう混乱時にはやはりたくさん情報を持っているところが全体的なことを見渡せますから。

 そこで、具体的な話をしてきましたけれども、例えば、自衛隊と米軍、あるいは消防、警察、自治体も出てきますね。そのときの情報連絡というのはどういう形で行われるのか。そして、こういう緊急事態のときの米軍が加わった場合の共通の言葉というのはどういう言葉になってくるんですか。

井上国務大臣 これもたびたびお答えしていると思いますけれども、まさに日米間の調整のメカニズムを通しまして情報を共有して、共同対処ができるようにしていくということでございます。これは、各部隊間でもありましょうし、あるいはもう少しレベルの高い、自衛隊を代表する、あるいは米軍を代表するレベルもありましょうし、あるいは防衛庁としかるべきそのカウンターパートとお話をする場合もあると思うんです。要は、各レベルにおきまして情報を共有して、共通の目的のために対処をするような態勢をつくっていくということだと思うんです。そういう意味では、これは日常の運用になりますが、非常に大切なことだと思います。

 それから、言葉でありますけれども、これはやはり日本は日本語、アメリカは英語でありまして、そこはお互いにそれぞれの言葉でもって、通訳が普通入るんですか、それを通しましてお互いの理解を深める、意思疎通をするということだと思うんです。

大畠委員 ここら辺も、私も情報通信の問題を随分やってきた者の一人でありますが、やはり緊急事態には何か一つのチャンネルを持っておいて、総務大臣もおられますが、そこで共通言語は、米軍が入ってくるなら英語でもいいでしょう、英語でもってやりとりをしながら、日本の自衛隊と米軍と、それから、そういうものを警察、消防なんかもやはり共通して連絡網をきちっとしておくことが私は大事だと思う。

 というのは、情報量がなければ突っ込んでいっちゃうんですね。九・一一のときもニューヨークの消防隊が上方に入っていましたね。だから、あれが事前に何か情報が入っていれば突っ込まなくて助かったというような感じもするんですけれども、やはり情報というのは非常に大事なんですよ。

 ですから、正直言って、米軍が入ってくるとすれば、この国民保護法制に、緊急時にはこういう情報連絡網を持って、共通語は英語だというような、何か決めておくことをしないといけないんじゃないかと私は思うんですが、防衛庁長官、何かこの件について御見解はありますか。

石破国務大臣 これはきのうもお答えをいたしたと思いますが、米軍と私どもの間は、共通語は英語を使うことにいたしております。

 そうしますと、結局、どちらの方が解しやすいかということでございますが、米軍が日本語を解するよりは、日本の自衛隊が英語を解した方が早いだろうということもございますし、その教育に相当な時間を割いておるところでございます。幹部自衛官は相当のレベルの英語能力を保有するようにということで今教育を行っております。

 それから、余計なことを申し上げますと、先ほど先生、右から自衛隊の車がやってきて、左からアメリカの車がやってきて、これはどっちが先に通るんだというお話をなさいましたが、これは指揮権の問題とは関係がございません。日本は日本の指揮権を持ち、アメリカはアメリカの指揮権を持っておるということと、どちらが先に通るんだということとは、これは先生、例えで挙げられたのかと思いますが、直接関係をしないことでございます。

大畠委員 そうかもしれませんが、現実問題、交差点で米軍の車両と自衛隊の車両が来て、信号がなければどっちかが先に通らなきゃならないですよ。そういうことが私は、これは例え話でありますが、いろいろなところでこの法律案は含まれているということを象徴的に申し上げたわけで、ここのところをだれが整理するのか。

 私は、正直言って、防衛庁長官おられますが、日本の自衛隊よりも米軍の方が情報量はたくさん持っていることは事実ですね。例の北朝鮮のミサイル問題でも、後から日本は米軍から情報をもらったという話も聞いておりますし、そういう意味では、こういう混乱状態に陥ったときに、どういう情報連絡をして、共有した情報のもとに行動するかというのは非常に大事なので、ここら辺はぜひ担当大臣と防衛庁長官でよく話し合ってまたさらに詰めていただきたいと考えます。

 次に、混乱状態になったときの、自衛隊あるいは米軍の行動というものが必要なわけでありますけれども、そのときの高速道路の利用について、これは国土交通省と防衛庁長官にお伺いします。

 まず、防衛庁としては、防衛のための高速道路の利用というのは念頭に置いて計画を立てておられるのかどうか、そこら辺について防衛庁のお考えを伺います。

西川政府参考人 高速道路の部隊の利用についての問いに対してお答えいたします。

 自衛隊の部隊がこういう武力攻撃事態が発生しましたときにいかような形で運用するかについては、いろいろな態様がございますので一概に申し述べるわけにはまいりませんが、とりあえず自衛隊の車両の運用に関しまして申し上げますと、これは一般論という格好で申し上げますと、車両が目的地まで一番早い形で到達するための手段の一つとしてもちろん選択できる。他の利用可能な一般道路と比較してその方が早いという場合にありましては当然利用することになろうかと思います。

 そのほか、戦闘機だとか輸送機だとか、飛行機でございますね、こういうものを運用する場合には、これまた一般論でございますが、現在のところ、基本的には自衛隊の航空基地及び必要に応じて民間空港を利用するということになっておりまして、今のところ高速道路をこれから先利用するというようなことは想定していないというのが状況でございます。

大畠委員 国土交通省の方にもお伺いしますが、例えばヨーロッパにおいても、あるいは韓国やその他の国においても、高速道路というのは、兵員輸送といいますか軍の輸送に非常に有効にといいますか、移動できますので、当然道路の利用というのは考えているわけですね。日本における高速道路、あるいは道路の計画の中で、このような防衛のための利用というものを想定して考えておられるのか、基本的な御認識をお伺いします。

榊政府参考人 高速道路の武力攻撃事態の場合の利用ということでございますけれども、実は、道路法の中に、国防のためにこの道路をここからここまで結ぶという概念はなくて、国土を縦断、横断して循環する道路というような概念でつくられております。ただ、重要な都市と都市を結んでいくという高速道路でございますので、当然、こういう事態のときには有効に機能が発揮されるものだというふうに私どもとしては認識いたしております。

 ただ、高速道路は、通常、一般道路もそうですけれども、アスファルトを敷いておりますので、例えば、そのまま戦車が入っていくということになりますと相当舗装が傷む、こういうような事態にもなるということでございます。

大畠委員 アスファルトの舗装が傷むかもしれませんが、それは有事の際ですからね。そんな、アスファルトが傷むからキャタピラで通ってはいけませんというような話ではなくて、何かここら辺も、大臣、非常にばらばらなんですよ。

 私は、国土交通省の方にもお伺いしますが、例えば、軍の車両が高速道路を通ることも可能ですと言うんですが、ほとんど車両の幅が、自衛隊の車は幅が広いんです。確かに方向指示器なんかがついているんですけれども、戦車にもついているという話を聞いていますが、料金所は戦車なんかは通れるんですか。

西川政府参考人 今、戦車の通行の関係について、料金所が通行できるかというお尋ねでございますが、今、法規上三・五メートルというふうに幅が決まっておりまして、例えば、うちの方の九〇型という戦車、大きい戦車でございます、三・四ございます。ですから、ぎりぎりのところでございまして、ぎりぎりのところで変に当てて壊すというようなことがあっては困りますけれども、今のところは、戦車でいいますと三・四。そのほかの車両でいいますと、ほとんどの車両、実は三・五以下でございまして、ごく一部の特殊な車は通れませんが、戦車を除いてほかの一般の車両のうちではほとんどのものは通れる、こういう形でございます。

大畠委員 私は、有事の際は、高速道路だろうが何だろうが、やはり日本の国を防衛するために最善の仕組みにしておくことが必要だと思うんです。

 したがって、今のお話で、戦車の幅が三・何メーターあるから料金所は通れませんという話ですよね。(発言する者あり)通れる。戦車通れますか、ぎりぎり通れますか。ぎりぎり通れるかもしれませんが、私はそういうことも想定して、岩國さんが後ろにおられますが、やはり高速道路を無料化すればああいう料金所は要らなくなるので、そういう意味では、有事の際のためにもこういう高速道路というのは料金所なんか取っ払って、有事の際には軍の、自衛隊の車両も十分に利用しながらやはり国民保護のためにいち早く自衛隊の隊員を当該地のところに運んだり、あるいはそういうことが私は必要だと思う。

 もう一つは、航空機の着陸とか離陸というのは考えていないという話ですが、これだけの、まあ飛行場がありますけれども、やはりどこかに、ある程度のところは、直線距離一キロか二キロかわかりませんが、やはり高速道路あるいはある程度特定の道路のところはそういうふうにして、非常時のときには使えるという概念を持って本当は私はやるべきではないかと思うんです。国土交通省の方の、もう一度そういうことについての御見解をお伺いします。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 実は、我が国の近国でございますが、韓国でございますけれども、高速道路が航空機の離着が可能だというような構造にいたしてございまして、大体五カ所あるというふうに聞いております。私どもの方で調査をいたしましたところ、緊急時に中央分離帯のような施設を取り除くことによりまして離着が可能だということで、大体直線距離が二・五キロメートル、幅員が三十五メートルということでございます。

 一応、我が国で見てみますと、三十五メートルと延長二・五キロメートルの直線区間という部分があるのが実は全国で二カ所だけでございまして、花園インター付近と、名神高速道路の大山崎ジャンクションと茨木インター、こういった二カ所だけになっております。その二カ所なんですけれども、一つは、中央分離帯が撤去できる構造になっていないということと、いろんな標識とか照明柱がございまして、現状のままでは非常に困難な課題が多いということで、もしやるとすればそういったような改修をせざるを得ない、こういう状況にございます。

 ただ、いずれにしても、国家的な見地から何かしなければいかぬ、ここはこういうふうにするんだというふうに決まりますれば、それに対応した方針を検討していかなければならないものというふうに認識をいたしております。

大畠委員 ぜひ、そういう有事の際の概念というのを、道路の計画とかあらゆるものにやはりやっていくことが私は必要だと思うんです。今までそういうことはまあ起こらないんだという想定だったかもしれませんが、そういう意味では、そういうことを想定して、この国民保護法制を検討する中で、役場だとか、警察とか、消防とか、あるいは自衛隊も、そしてまた道路の建設等々もそういうことを考えて、標識の問題だとか話がありましたが、そういうスペースがとれる、そういう機能を兼用できるということを念頭に置きながら全体的な計画をすることが私は必要だと思うんですね。

 担当大臣、ここら辺、国民保護法制の担当大臣として、今、道路関係のお話を申し上げましたが、そういう意味では、あらゆるものをもう一回私は見直す必要もあるんだと思うんですが、その件についての御見解をお伺いします。

井上国務大臣 確かに、個別的には今まで有事の際も考えまして計画しているところもあるんですね。例えば、明石大橋なんかにつきましては、公団の方から海上自衛隊に対して照会があったようでありまして、何メーターぐらい架橋を上にすればいいのか、こういうことをやったというぐあいに聞いておりまして、私は、海上自衛隊の方から大変お礼を言われたという話を聞いています。

 したがいまして、個別的には私、あると思うのでありますけれども、やはり全体的に見ますと、なかなかいろんな状況を配慮して構造物をつくるというところにはなっていないと思うのであります。

 構造物によりましては、なかなか配慮もできないものもあると思うのでありますけれども、そういういろんな配慮ができるような構造物につきましては、できるだけ広範囲に、広範囲といいますかいろんなケースにつきまして検討して、そういった用途に向くような構造物をつくっていくということをこれから検討していかないといけない、そんなふうに思います。

大畠委員 そういう意味では、総務大臣、きょう来ておられますが、この間も消防体制の話を伺いましたが、消防も警察もそうですけれども、有事の際というのは余り念頭に今まで置いていなかったんですね。したがって、大都市部の高層ビルの火災とかなんかというので装備はかなり近代化されましたけれども、地方の消防署の装備というのは非常に、予算がないためだとは思いますが、質的には、装備あるいは人員体制、あるいは消防署の建屋そのものも、そういう有事の際の出動とかそういうものは従来全く念頭に置かれてこなかったというのが実態なんですね。

 したがって、私は、この際、こういう状況があり、こういう法律案の審議をしているわけでありますから、全国の消防署の総点検をして、有事の際にはどういう態勢強化、人員だとかあるいは装備だとか、そういうものを洗いざらいして、体制強化を図る計画を改めてつくって展開することが必要だと思いますが、総務大臣としての御見解をお伺いします。

麻生国務大臣 御承知のように、今、大畠先生御指摘がありましたように、阪神・淡路大震災に至るまで、広域消防というか県を越えての消防等々、それほどの大きな災害というものも余り想定できていないところでありましたので、あのとき、御記憶かと思いますが、県外からも消防車が駆けつけたんですが、ホースの蛇口が合わなかった。えらい騒ぎになりました。

 また、いわゆる通信の回線が一本しかないものですからえらい混線したということになりましたので、それに伴いまして今対応をいたしたところです。全国共通波は三波にし、地域は七波にしと、いろいろな形で広域波を上げたものですから、それによって混線を避けられることになりましたし、ヘリコプターに対する指令は全国一斉に、同じところで別の画像を使って見られるようにもなりましたし、いろいろな形で使えるようになりつつあります。

 しかし、現実問題としてまだまだ足りないと思うんですが、ただ、一つだけ、これは先ほど一番最初のところで、いざやってみぬとわからぬじゃないかという御指摘があったんですが、これは、人様のことを見て我がふり直せではありませんけれども、過日、リッジという、ホームランド・セキュリティー、国土安全保障省、例のFEMAやら何やら吸収した、DHSという、デパートメント・オブ・ホームランド・セキュリティーというのができて、そこの頭にリッジという人がなったんです。

 この人が、ワールド・トレード・センターでの緊急対応における最大の悲劇の一つは、同じニューヨーク市内でさえ警察の無線が消防に通じなかったことである、さらに、続く消防分署から消防車が現場に駆けつけたが、一部のホースの継ぎ手が消火栓と合わなかった、このようなことが今後起こらないよう、つまり、無線の周波数や器具のサイズの相違が、市民の命を守るためにみずからの命をかけている勇敢な人々の活動を妨げないようにしなくてはならぬということを、この九・一一、私どもは、神戸の火災の方が先だったものですから、この点に関しては我々の方が先にうまくいっておるという例であります。

 今後とも、常備消防に限らず消防団含めまして、この種の話は、苫小牧の大火災、この間、栃木の火災等々、いずれも県外やら消防本庁から緊急援助隊等々が駆けつけることになりましたので、去る四月、緊急援助隊を正式に発足いたしておりますが、さらに装備の充実というものと、その種のことを想定した訓練というのは平時からやっておかねばならぬものだと思って、この点については今後とも頑張ってまいりたいと思っております。

大畠委員 大臣、私は、今御質問申し上げて、そして今お答えいただきましたが、この有事法制、我々、国民保護法制というこの論議をしているときに、やはりもう一度全国の消防署の状況を把握して、有事の際に備えるための消防署のあり方、あるいは人員、装備はどうあるべきなのか、大変なお金がかかるかもしれませんが、そういうものを、全国の消防署の総点検といいますか総見直しを私は消防庁としてもしておくべきだと思うんですが、その件について総務大臣の御見解をお伺いします。

麻生国務大臣 今まで余り想定していなかった状態が、今、そういうことが起こり得るということを前提にして考えなきゃいかぬ事態になっておるわけでもありますので、改めて総点検させていただきます。

大畠委員 それから、今の大臣からのお話で、情報といいますか規格といいますか、それがなかなか統一されていなかったので、アメリカでも大変混乱をしたし、阪神・淡路でもそうでした。

 実は、防衛庁長官、御存じかどうかわかりませんが、私の地元、日立市で山火事がありました。一九九一年だったですかね。そのときも、自衛隊のヘリコプターが来て消火活動をすごくやっていただきました。地上部隊も入っていただきました、陸上自衛隊がですね。

 それで、残念ながら、航空自衛隊と陸上自衛隊の連携というのは全くとれていなかったんですね、あの当時。上はどうなっているんですかと言うと、私たちはわかりませんということで、地元の自治体でも、日本の自衛隊も航空自衛隊と陸上自衛隊というのは別な国のものなのかななんという、そんな話まで、町の中の人の話ですからそういうことになったんですが、今はどうなんですか。

石破国務大臣 すべてを申し上げるのもなかなかはばかられることでございますが、完璧にすべてが連接しておるという状況ではございません。

 それは、先ほど先生御指摘のように、山火事なんかのときもそうでございましょう。ましてや有事のときに、本当にそれでいいんかいということはございます。それは私ども非常に大きな課題だと思っておりまして、あるいは、先般の能登半島沖不審船事案については、海上保安庁の船と海上自衛隊の船が通じなかったということがございました。これは話にも何にもなりませんので、統合という観点からいたしましても、そういうようなネットワークというものが陸海空統合という観点からもつながるということでなければ有事に役に立たないということは、もう重々認識をいたしております。

 この点につきましては、予算におきましても重点的に投資をいたしまして、そういうことがもう一分でも一秒でも早くなくなるように、全力を挙げております。

大畠委員 総務大臣、そういう意味では、今、航空自衛隊と陸上自衛隊の連絡する周波数かもしれませんが、非常時のときの情報のやりとりというのは非常に大事なんです。最新の情報をみんなで共有するということは非常に大事なんですね。

 そういう意味では、総務大臣の範疇かもしれませんが、有事の際あるいは国民保護という観点からも、情報の共有化を図るために、どういう形で電波の割り当てとか、無線の割り当てかもしれません、何か共通する、自衛隊も警察も消防もお互いに使い合えるような、そういう周波数帯というのを私はつくっておくことが必要だと思うんですが、こういうことについての御見解をお伺いします。

麻生国務大臣 先ほどちょっと一部触れましたけれども、あの阪神・淡路大震災の教訓、やはりあれが直接大きな経験だったと存じますが、消防、警察、海上保安庁、自衛隊の間で互換性というのが確保されましたいわゆる防災相互通信用無線というものを、防災相互波と呼んでおりますけれども、これを既につくり上げております。

 これに基づきまして、共通波を拡大せにゃいかぬということで、今、昔は一つだったものが三波までふやしておりますので、これをさらに充実させていかねばならぬと思っております。まだ完璧とまではいっておりませんけれども、その方向で事は進んでおりますので、応援をいただければと存じます。

大畠委員 この件についても、地上でも、要するに交差点でどっちが優先するかというのがよくわからないと同じように、この電波の部分というか通信の分野も、この法律案の中には入っていないかもしれませんが、そういうところをきちっときちょうめんにやっておくことが混乱を未然に防ぐことなんですね。ですから、予算や装備がかかるとかなんかというよりも、これはきちっとルールを決めておけばいいんですから。

 そういう意味では、さらに、統括大臣だと思うんですが、そこら辺も含めて、情報の錯綜がないように、自衛隊の中あるいは米軍と自衛隊の共通通信領域とか、あるいは自治体と警察や消防とみんなが共通して使える通信領域とか、そこも本当にきちっとしておくことが必要だということを申し上げさせていただいて、ぜひ検討していただきたいということを要請しておきたいと思います。

 さて、そういう状況の中で、ちょっとここでイラク問題について、少し視点を変えて質問をさせていただきたいと考えております。

 先ほどから論議がされましたが、私自身、素朴な質問でございますけれども、非戦闘地域と戦闘地域という話は前原委員からも何回も何回もありましたが、実は後藤田先生のお話を伺ったことがあるんですが、軍を出すと、引き揚げるということは非常に難しくなるんだ、だから、軍を出すときには、よほどそういう全体を考えてやらなきゃならないんだというお話を過日伺ったことがあります。

 そこで、今、サマワで、オランダ軍に対する、手りゅう弾が投げ込まれて死傷者が出たという話が、論議がありましたが、さて、防衛庁長官として、自衛隊の隊員が引き揚げなければならない状況というものはどういうふうに考えているのか。

 体温でいえば、三十六度台だったら正常、三十七度から少し体温が上がって、無理するかもしれぬけれども、三十八度以上になったら、これはもう寝込まなきゃならない、休まなきゃならない。ともかく、そういう基準があるのかないのか。いや、ここら辺では非戦闘地域ですからとか戦闘地域という話ですが、防衛庁長官としても、いずれそういう決断を迫られることをやっぱり念頭には置いておかなきゃならないと私は思うんです。ですから、その基準とは何度なんだと。

 要するに、自衛隊を一時撤収させなければならないという判断基準というのは、これも、やってみなければわからない、遭遇してみなければわからないということかもしれませんが、あえて質問しますが、どういうことを今念頭に置いておられるのか、お伺いしたいと思うんです。

石破国務大臣 先生、発熱の例を挙げられましたが、これは指数化するのは極めて困難なことだというのは、もう先生もよく御案内のとおりでございます。ですから、ポイントがここになったら撤収であるとか、ここまでだったら大丈夫だというようなことにはなりませんが、やはり二つあるんだろうと思っております。

 午前中の御論議にもございましたが、一つは、非戦闘地域の要件を満たさなくなるということになりますと、それは実施区域を変更しなければなりません。これがそういうような状況になるかどうかというのは、一つの判断基準でございましょう。

 もう一つは、非戦闘地域ではあるけれども、非常に危険性が高くなりましたね、イラク特措法九条に定めてありますところの防衛庁長官の安全配慮義務というものが、とてもじゃないけれども満たせませんねというようなことになりました場合は、これは非戦闘地域であっても危険であるというようなことが概念的にはあり得ることでございます。

 そのほかには、非常に幸せな話でございますけれども、もう自衛隊がやらなくても、いろんな民生も安定してきたねという場合もございますが、これは、先生の今の指摘からは除外しておるのだろうと思います。

 そうしますと、やはり今の時点で言えますことは、サマワ全体の治安は安定をしておりますし、そしてまた、自衛隊に対してそのような危険があるとも考えておりません。したがいまして、非戦闘地域でもありますし、防衛庁長官の安全配慮義務というのは満たされておると思います。

 しかし、それが、自衛隊の権限、装備、能力をもってして、とてもではないが安全が維持できないというようなことになりますれば、これは、戦闘地域とか非戦闘地域という議論とはまた別にある判断というものはあり得ることでございます。現状において、私としてそのような判断をいたしておるわけでは全くございません。

大畠委員 それから、これも防衛庁長官にお伺いすることになると思いますが、マスコミでも非常に大きく取り上げられました、米軍による捕虜虐待事件、これの、サマワにいる自衛隊の隊員に対する影響です。

 正直言って、サマワの自衛隊の方々もそういう情報を入手されているでしょうから、企業でも何でもそうだけれども、やっぱり士気というのは重要なんですね。よし、やるぞ、自分たちはこういう意識でやっているんだ、そういう意識がだんだんなえてきたりなんかすると、非常に事故が起こるし、トラブルも起こりやすいと私は思うんですね。

 そこで、少し確認させていただきたいのは、今のサマワの、あるいはイラク国内の状況、情勢、オランダ軍に対する攻撃、そういうものがどういう形で自衛隊隊員の方の士気に影響しているのか、防衛庁長官としての御見識といいますか、御認識をお伺いします。

石破国務大臣 先生の御指摘いただきました考え方といいますか、これは私も強く持っておるところでございます。

 私は、これは本当にどうなっているんだということはほとんど毎日のように聞いておりますが、サマワにおいて、自衛官に対する期待、市民の期待というものは非常に高いんだと。本当かと私は何度も聞いたんですが、それはそうなんですと。なぜならば、自衛隊というのは、ほかの国、何も米軍だけとは限りませんが、それと違って、本当にサマワ市民の目線と同じ目線で、そしてサマワ市民のニーズとは何なのかということを専一に考えて、第一に考えてやっている。したがって、自衛隊がほかの国の軍隊と一緒に見られたということはないというのは、これはだれに聞いてもそうだという話なのですね。

 午前中の答弁でも申し上げましたが、先般、この平和な町を取り戻すために我々は自衛隊とともに活動するんだといって、自衛隊激励のデモがサマワの駐屯地にやってきた。いろんな国が駐留をいたしております。それは、治安維持をやっているのもあれば人道復興支援をやっているのもありますが、頑張ってくれといって、その国の、私どもの場合には日章旗でございますが、その旗を持って、一緒に頑張ろうといってそこの市民が宿営地にやってきたというのは、私の知る限り、日本だけなんだろうと思っています。

 それは、もう隊員たちが、本当に外務省と一緒になっていろんな議論をしながら細心の配慮を払ってきた結果であって、私は、これは決して予断するわけでも何でもございませんが、占領軍であるとか、あるいはアメリカ軍の虐待事件があったので、仮にそれが事実といたしましても、我々の士気が下がったとか、そのようなことはございません。しかしながら、そういう点には常に配慮を払っていかねばならぬということは言うまでもございません。

大畠委員 外務大臣にお伺いしますが、イラク北部のクルド民族の動きが非常に複雑な動きをしているということを聞いておりますが、外務省として、このクルドの民族の動きについてはどのように認識され、それがイラク国内の現在の状況にどんな影響を与えると考えておられるか、お伺いします。

堂道政府参考人 お答え申し上げます。

 北部クルド地域では、九一年の湾岸危機終了後でございますけれども、事実上、クルド人による自治が行われております。イラクでは三月に基本法が署名されておりますけれども、この基本法におきましても、いわゆる移行期間を通じて現在の機能を果たす旨の規定、五十四条でございますけれども、ありまして、移行期間の間、自治が継続されるということを規定している次第であります。

 他方、イラクにおきまして、統治制度は連邦制に移行するということを想定しているわけでございますが、クルドの政治指導者も、このイラクの領土の一体性の保持については同意をしているということであります。

 他方、クルド地域につきましては、今次イラク武力行使におきまして直接の戦闘地域ではなくて、比較的安定はしておりますけれども、他の地域と同様に、幾つかの事件が生じている。

 今焦点になっていますのは暫定政府の設立でありますけれども、この六月末の統治権限移譲に向けて、クルド、シーア、スンニなどのイラク各派の利害と思惑がいかに調整されていくかというのが焦点でありまして、現在、ブラヒミ特別顧問を初めとしました国連のチームが入っておりますけれども、幅広いイラク各派と協議をしているという中で、クルドの人たちも、こういう努力の中に、協議の中に参加をしている、こういうふうに認識をしております。

大畠委員 クルド民族の動き、あるいはサマワでのオランダ軍に対するテロ行為等々、それからイラク全土の状況を考えますと、私は、防衛庁長官が先ほど御認識を、見解を発表されましたけれども、日本は法治国家ですから、法律に基づいて防衛庁長官として判断をして、一時イラクのサマワから自衛隊が撤退するということがやはり法治国家としては必要な判断ではないかということを申し上げさせていただきます。

 さて、この法律案の質疑に戻りますが、幾つかちょっと細かな問題についても担当の方の御見解をお伺いします。

 この国民保護法制等々の中で、攻撃対象が、やはり相手は一番痛いところをつくわけですから、新幹線とかあるいは原子炉ですとか、そういうところを攻撃する可能性が非常に高いわけですが、この原子炉等による危険防止のための措置命令に従わなかった者、物資の保管命令に従わなかった者、交通規制、立ち入り規制等に従わなかった者への刑罰の内容はどういうものになるのかというのが一つ。

 それから、原子炉等の危険防止について、原子炉施設等の使用禁止は含まれるのか。原子炉を停止する基準を明らかにすべきではないか。

 それから、民間の原子炉、商業用の原子炉があるわけでありますが、そういう民間の――失礼しました。

 いずれにしても、今の原子力発電所に対する課題についてはどういうふうな御見解か、担当にお伺いします。

大石政府参考人 お答えいたします。

 私の方から罰則、刑罰の内容について御説明をさせていただきます。

 原子炉等の危険防止のための措置命令というのが、これは指定行政機関の長が行うことができるわけでございますけれども、その措置命令に従わない、つまり、それによって武力攻撃災害が発生する、あるいは拡大することを防止するための措置命令であるわけでございますから、それに従わない場合には罰則を科しておりまして、一年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金、またはこれを併科する、このような規定にいたしております。

 こういう罰則を置くことによりまして、国民保護措置の円滑な履行を担保しようとしているものでございます。

佐々木政府参考人 原子力施設等の使用の停止につきましては、国民保護法案の第百六条において、指定行政機関の長は、一定の要件のもとに、事業者に対し使用の停止を命ずることができる旨規定しております。この原子炉の停止基準につきましては、原子力発電所の地元の地方公共団体からも具体的な基準を明らかにしてもらいたいという旨の要望もなされているところでございます。

 こうした御要望も踏まえまして、有事における原子力施設防護に係る対策について意見交換を行うため、内閣官房と原子力安全・保安院の共催で、関係省庁、関係の地方公共団体及び電気事業者で構成する懇談会を設置し、去る二月に第一回会合を開催して、検討を開始しているところでございます。

 この懇談会では、まず有事の態様を想定し、有識者あるいは専門家からの御説明も聴取しつつ、原子力発電所の運転停止命令のあり方、原子力発電所の運転停止時の電力の安定供給のあり方などにつきましても、有事における必要な対応策を今検討しているところでございます。今年の夏をめどに検討結果を取りまとめることとしております。

 いずれにしましても、原子炉の運転の停止につきまして申し上げれば、武力攻撃事態などの状況、事業者の対応状況なども勘案しつつ行われることになりますが、その具体的な基準については、今後、この懇談会におきます検討結果も踏まえまして、政府の基本指針の策定及び指定行政機関の国民の保護に関する計画におきまして基本的な考え方を明らかにする必要がございますので、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

大畠委員 次に、外務大臣にお伺いしますが、日米地位協定問題についてであります。

 私も、アメリカの国務省とこの問題について論議をしたことがございます。残念ながら、日本からは正式に地位協定の改定問題は一度も言われたことがないと。ドイツのボン協定の例を出したんですが、日本からも同じような話があれば当然乗るよというような話があったんですが、ないんだったらこっちから提言するというのはおかしいじゃないかというような話を受けました。

 ボン協定の内容は外務大臣よく御存じだと思いますが、あの程度までなぜ日本でも言えないのかなというような感じをすごく強くしたところでありまして、我々民主党が政権をとった場合には、いち早くドイツ並みの地位協定に改定すべきだということを私たちは言おうと思っております。

 有事の際、自衛隊と米軍と行動をともにするわけですが、イラクにおけるあの米軍の異常とも言える行動がございます。ですから、戦闘行為とかそういう状況になると、ほとんどそういうルールなんか無視されちゃうんですね。

 ですから、前の論議で、日米地位協定は平時の協定であると同時に戦闘時の協定であるなどということを担当大臣の方から御見解をいただいていますが、いずれにしても、有事の際、あるいはこういう国民保護という観点からも、外務省として、日米地位協定のさらなる改定を検討して、当然アメリカ政府に申し入れるべきだと思いますが、この件についての御見解をお伺いします。

川口国務大臣 日米地位協定の改定の問題につきましては、これは何回か同じようなことを申し上げているかと思いますけれども、政府としては、これは、その時々の問題に対応していくという意味で、運用の改善によって行っていくということがまず合理的であるというふうな考え方に基づいてやっております。

 それから、有事の際に、日米の地位協定をそのために改定すべきではないかということについてでございますけれども、これについても、前に申し上げたことがあるかと思いますけれども、日米地位協定は武力攻撃事態等においても適用されるということになっているわけでございます。米軍の行動が円滑かつ効果的に行われるという観点からいいましたときに、現在の地位協定、これで何ら問題があるとは思っておりません。

大畠委員 そんなことを言っているからだめなんですよ。アーミテージさんと私、この件で話をしましたよ。彼から言われたんですよ、日本からは一度も地位協定の改定は申し込まれたことがないと。今の話だと、地位協定の改定は必要ないという話でしょう。そんな認識だから、全くこの問題についてもかみ合わないんですよ。

 ドイツとアメリカの間で、例えば、米軍基地のあり方についても三年に一遍ずつ見直しをして、必要があれば拡大するし、必要がなくば縮小する。米軍の兵士についても、必要があればふやすし、必要がなければ減らす。そして、米軍の兵士は、一般の外国から来た人たちと同じようにドイツ国内の法律を守ってもらう。そういうことをドイツはきちっとアメリカと話をして、地位協定の改定をやっているわけですよ。

 それが、何か今の外務大臣の御認識は、私は、全く情けない。そういう御認識は日本の外務大臣としては失格ですよ。今の御見識で小泉総理のもとで外務大臣をやっているとしたら、全くその資格はないと私は思いますよ。答弁はいいですよ、そんなのは。だって、同じような答弁するだけですからね。――では、答弁聞きましょう。

川口国務大臣 ドイツにおける地位協定でございますけれども、例えば一例をとってみますと、起訴前の身柄の移転、こういったことについては、我が国は運用の改善によって獲得をしたことでございます。この点について言えば、我が国の地位協定の運用のあり方というのは世界の中で一番進んでいるということでございます。

 よその国の地位協定、あるいはよその国のそれの解釈について有権的に今申し上げる立場にはありませんけれども、運用の改善によって我が国は必要なことを獲得してきているということでございます。

 それから、アーミテージ副長官とお話しになられた、アーミテージ副長官がそうおっしゃったということでございますけれども、これについて、私どもとしては、その現場にいたわけでもございませんし、どういうコンテクストでおっしゃったか、コメントする立場にはないと思っております。

大畠委員 そういう見識だから、日本の国はまさに独立国日本とは言えないと思うんですよ。全くやる気がないんだから、最初から。これは私は、全くその御認識は間違えていると思いますよ。外務大臣、早くおやめになった方がいいですよ、日本の国のために。私はそう思いますよ。だって、日本の国益を今損ねているんですから。

 例えば米軍の訓練においても、地上すれすれのものはできるようになっているとか、さまざまなものがありますよ。だから、そういうものも含めて、ドイツなんかは規制させているわけですよ、ボン協定の改定によって。

 さて、あと一問、その次に質問させていただきます。

 これは先ほど冒頭に申し上げましたが、交通ルールがなかなか確立していないという話なんですが、港湾、空港、道路、電波の利用に関し、対処措置と国民保護とが競合する場合、どちらが優先されるかについての基本的考え方が示されていない現状をどう考えるか。あるいは有事のときの民間航空機と軍の管制のあり方についてはどういう形になっているのか。時間が来ましたので、その一点だけに絞って質問して、終わります。

井上国務大臣 いずれも、利用指針を定めまして、その利用指針に基づいて利用するということでございまして、利用指針はその状況に応じて変わるものでありまして、一方的に、いつもだれそれが優先するということではないんですね。

 例えば飛行場なんかにつきましては、避難民が優先をするとか、ある時期は自衛隊が優先するとか、それはそのときそのときに応じて利用指針を決めまして、それに基づいて具体的な行政処分がある、こういうことでございます。

自見委員長 外務大臣が強く御答弁をしたいということでございますので、認めます。

 川口外務大臣、質疑時間が終わっておりますので、簡潔にお述べください。

川口国務大臣 先ほどの地位協定について、あと一言だけ追加をさせていただきたいというふうに思っております。

 地位協定を運用の改善によって問題を解決していくということについては、これは両国の政府の閣僚レベルの合意でございます。「閣僚は、地位協定の効果的な運用が両国にとり重要であることを強調した。」これは2プラス2での合意でございます。アーミテージ副長官がどういうコンテクストで何をおっしゃったか存じませんけれども、閣僚レベルでは、運用の改善によって地位協定を運用していくということが重要である、これが両国の公的な認識でございます。

大畠委員 質問は終わりますが、日本州の外務大臣としてはそれでいいかもしれませんが、独立国日本の外務大臣の御見識としてはいかがかと思うことを申し上げて、質問を終わります。

自見委員長 次に、長島昭久君。

長島委員 民主党の長島昭久です。どうぞよろしくお願いいたします。

 今国会で、この国民保護法制を中心とするいわゆる有事法制、五十時間近く審議を続けてまいりました。今、委員部の方に伺いますと、三国会にわたって約百時間近く議論を重ねてきた、こういうことであります。

 戦後六十年近くたつわけですけれども、まさに九〇年代に、PKO、海外での自衛隊の活動、国際協力、こういうものに足を踏み出して、そして九六年、七年、八年、周辺事態法というものをつくり、いわば外堀を埋めていって、最後本丸、まさに自衛権を行使する上で欠くことのできない法制度がここで完成をする。しかも、感慨深いのは、ジュネーブ四条約も含めて、文民の保護という大変重要な、まさに今まで空白だった部分を埋めつつ、今回、有事法制を完結させるということ。私も、新人議員ですけれども、その最後の総仕上げの段階に参画をすることができたことを大変光栄に思っております。

 そういう意味では、私は、こういう国民の生命と財産に直結するような法制度をつくる際には、行政府と立法府、そして与党と野党、やはり英知を結集してよりよい制度をつくり上げていきたい、そんな思いで、今回、この審議に参加をさせていただいているところでございます。

 そういう問題関心と同時に、私ども民主党が党内でいろいろ議論を積み重ねてきて、この法案のこういう部分が心配だ、こういうところを何とかもう一度行政府に対して問いただしてほしい、そういう御意見も各方面からいただいてまいりました。そんなことも入れ込みながら、きょうは質問させていただきたいというふうに思います。

 一番最初に、私は、安全保障をめぐる国会の議論のあり方の本質的な問題について提案をさせていただきたいと思っているんですが、そのイントロダクションとして、今、大畠先生の方からも少しお話がありましたけれども、イラクにおける情勢についての政府の御見解というものを少しただしてみたいというふうに思っています。

 今、大畠先生の方からもお話がありましたように、まず最初に、四月の二十九日、サマワの自衛隊宿営地の付近で、恐らく迫撃砲と思われる爆発音が二回した。そして三十日には、ルメイサのオランダ軍のキャンプに迫撃砲が三発撃ち込まれた。そして、そのうち二発はキャンプ内に着弾をした。自衛隊の宿営地には入りませんでしたけれども、今回の場合は、オランダ軍のキャンプ内に着弾をした。車両一台が軽い損傷を受けた。それだけにとどまらず、五月の四日には、サマワの中心部の商店街で爆発があった。さらに五月の十日には、サマワ市内の橋の上で何者かが手りゅう弾を投じて、オランダ兵の二人が負傷、うち一人がやがて死亡された、こういう事故が起こりました。

 これはまさに、オランダ軍によって治安を維持してもらっているその範囲の中で、何とかイラクの皆さんのためにと思って活動している自衛隊の安全には直結する問題だと思いますけれども、まず防衛庁長官、このオランダ軍への攻撃が自衛隊の活動に対してどんな影響を与えるか、お答えをいただきたいと思います。

石破国務大臣 本日、今までした答弁と重なりましたらお許しをいただきたいと思います。

 一つは、オランダは治安維持をやっている、我々は人道復興支援をやっている、やっている内容が違います。したがいまして、遭遇する事案が相当に異なってくるということが一つあります。

 二つ目は、オランダの総理大臣も言っておりますが、このような攻撃というのは一体何なのだろう、オランダに対する攻撃であると同時に、これはムサンナ県全体に対する攻撃ではないのか。

 つまり、これは、本当に平和で、みんなが仕事を持っていて、豊かな地域になりたいねと思っているムサンナ県民あるいはサマワ市民がほとんどであるにもかかわらず、そういうことになってはたまらぬというような人たちがやっておるのではないか。それはオランダ軍に向けられたやいばであると同時に、イラク人、ムサンナ県民あるいはサマワ市民に向けられたやいばでもないのかというような意味ではないかと思っております。

 私は、そういうようなことだとした場合に、さればこそ、治安を安定させ、民生を回復させていかなければいけないのではないかというふうに思っておるところでございます。その認識は現地も共有をいたしておるところでございます。

 もう一つ申し上げれば、迫撃砲に対する防御あるいは自爆テロに対する防御というようなことは、この法律をつくりますときから、あるいは基本計画を決めますときから、かなり詳細に部内で議論をいたしてまいりました。そういうような危険を加えるやからがいないとは私は申しません。そういう危険がゼロになったとも申しておりません。そういうような蓋然性は依然としてあるし、実際に顕在化しておるとも思っております。

 それからどうやって抑止をし、被害を極小化するかということは日々本当に議論をいたしておりまして、絶対にないということは申し上げませんが、極小化の努力は最大限しておるつもりでございます。予断をするつもりはございませんが、私どもとして、活動をやめるような状況にあるとは認識をいたしておりません。

    〔委員長退席、増原委員長代理着席〕

長島委員 防衛庁長官、活動を停止しろと、私はそれを前提にして申し上げているわけではないので、もう少し議論をかみ合わせていただきたいと思うんです。

 オランダ軍に対する攻撃は、まさにオランダ軍だけに向けられたものではない、イラク人でありサマワの人たちだ、こうおっしゃっていますが、それは同時に自衛隊の宿営地にも向けられているわけなんですから、これはイラク特でも何度も議論させていただきましたけれども、長官が、まさに一番隊員の安全確保というものに責任を持たなければならないお立場からいって、自衛隊に対する危害、自衛隊の安全確保への脅威という観点からもう少し丁寧にお答えをいただきたい、こういうふうに思うんですね。

 どういうことかというと、丁寧にお答えいただきたい点は、本当に部内で議論されているんだと思います、自衛隊の皆さんの安全について。しかし、この審議の模様というのは、国会テレビを通じて全国民の方がごらんになっている。被害の極小化のための努力はもう最大限やっておりますという説明だけで、見ている方あるいは私たち委員が、ああなるほど、こういうことだから自衛隊の安全は確保されているんだなと納得できると思われますか。その点、もう少し誠意を持ってお答えいただきたいと思っていますが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 これは、長島委員も軍事に対しては非常に御造詣が深いですから、あるいは御承知の上でお尋ねになっておるのかもしれませんけれども、かくかくしかじかこのようなことをしましたので被害が極小化できますなんぞということを言った途端に、それは極小ではなくなるのです。

 それは本当に、委員も、私どもの組織もよく御存じでいらっしゃいますし、いろいろな議論もしていただいておるところでございますが、それはいろいろな話はしています、プロですから、みんな自分たちの命のかかった話ですから。これは、政治家だけが勝手に机上の空論をしているわけでもなく、本当に、実際に行った人間あるいは指揮をする人間、こういう場合はどうだ、この迫撃砲はこれから飛んできたらどれぐらい威力があるのかということを全部精緻に計算した上で、そしてそれに安全係数を掛けて、大丈夫かということをやっております。

 それを申し上げた途端に、それは意味を失うのです。こういうことをやっている、こういうことをやっているというのは、先生まさしく御指摘のとおり、これは国会テレビで全部出るわけでして、それを見ている人間は、ああそうなのか、こういうことをやっているのか、ではそれを上回ることをやればいいんだなと。言った途端にこれは意味を失いますので、これは、先生から不誠実というそしりを今いただきましたが、そういうことを申し上げること自体が余り誠実なことだとは私自身が思っていないところでございます。

長島委員 不誠実という言葉は撤回をさせていただきたいと思いますけれども、今のやりとりが、安全保障をめぐるこの委員会あるいは国会の議論の、まさに靴の外側から足をかくような、欠陥と言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、何か改善をしないと。同じ政治部門として、行政府が持っている情報、そしてそれを我々が共有させていただくことによって、させていただくというのは余りにもへりくだり過ぎですけれども、行政府と立法府が情報を共有することによって、今イラクで起こっている自衛隊の活動について同じ政治部門として責任を共有する、こういうことがやはり必要だというふうに私は思うんですね、憲法原理的に考えても。

 今のお話は、まさに、なるほどごもっともなんです。敵は裏をかいてくるわけですから、手のうちを明かすことはできない。これはよくわかっていることなんですけれども、それでもやはり、こういう委員会は議論を尽くしていかなければならない、そういう宿命を持っているというふうに思います。

 では、少し視点を変えたいと思いますけれども、今回、五月十二日付で防衛庁の方から報告をいただきました。今回の事案については、「詳細については現地部隊で調査中です。」こういうふうに書いてあります。これは、どういう経緯で行われたかということを徹底的に調査していただきたいということを要請しておきたいと思います。

 実は、同じようなことが四月の上旬にもありましたですね。四月の七日、これは、サマワの宿営地近くにおいて、迫撃砲あるいはロケット弾で爆発音が三回あったということがありました。かれこれ一カ月たつんですが、その経緯について、今、この五月十二日の防衛庁の報告書にあるような事案の詳細について、一カ月たったんですが、どんな調査結果が長官のもとに届いているか、私どもと共有させていただければと思いますが、いかがでしょうか。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 四月七日の二十三時過ぎに発生した事案で、三回爆発音が発生したということでございまして、先生御指摘のとおり、もう約一月近くたっております。この間、何回か向こうにも照会をしておるところでございますが、その後、関係者らしき者が逮捕されたとかいう話もございましたので、あわせて確認しておるところでございますが、大変申しわけございませんが、現在のところ、それ以上の新しいといいますか、詳細についての情報がまだ来ておりません。

    〔増原委員長代理退席、委員長着席〕

長島委員 先ほど、長官に対して私が不誠実という言葉を使ったのは撤回をさせていただきましたが、今の報告はまさに不誠実ですね。一カ月もたって、詳細が実はわからない。私はもう既に、民主党で同じようなブリーフを一カ月前に受けました。それから一歩も出ていないというのは、これは行政府として不誠実ではありませんか。

石破国務大臣 先生、四月七日の件を今お尋ねでいらっしゃいますね。(長島委員「そうです」と呼ぶ)

 今、運用局長から概要を御報告申し上げました。これは、報道等々に出ておるものと重複しましたらごめんなさい。爆発音が三回確認された、二十三時過ぎのことでございます。爆発音は迫撃砲またはロケット砲と思われるが、これは今の時点におきましても情報収集中で、つまり、迫撃砲なのかロケット砲なのかということでございます。

 翌日八日になりまして、宿営地の北約数百メートルの場所及び一キロメートルの場所において弾着地点一カ所ずつを発見いたしました。前者は、そこから見ますのに、六十ミリから八十ミリの弾丸一発の発見ということでございます。及び黄燐が燃えたような跡があったということでございます。また、市内の南西部でありますアル・ヤシリ周辺で迫撃砲の底板及び弾薬箱二つを発見し、その中に砲弾、これはりゅう弾でございますが、一つが残っているということが確認をされました。

 宿営地から北東約四キロの地点で不審な車が走り去るのが目撃をされたというふうに報道がございますが、この車につきましては、現在におきましてもなお確認がされておりません。私どもとしては、オランダ軍、サマワ警察と連絡をとりつつ、情報収集を行っておるわけでございます。

 この武器が何であったかということは、先ほど申し上げたことでございますが、いまだに断定ができておらないというのが四月七日の私に上がっております報告であります。

長島委員 最初から何でこういう説明がないんですか。今の長官の説明は、多分、こういう場でやられる最大限なんだろうというふうに思います。

 私たちは、そういう詳細ももちろんなんですけれども、こういう攻撃が散発的なのか、それとも継続的なものの一部なのか、それともエスカレートしていくのかということ。イラク特での国会承認をめぐる議論でも私は何度も感じたんですけれども、私どもが政治部門として、このイラク、もちろん民主党はイラクへの自衛隊派遣に反対する立場ですけれども、しかし、政府が決定をした、そして、本当に安全確保は大丈夫なんだろうか、こういう視点に立って一緒に情報共有をしようとしたときに、今のような非常にいいかげんな、長官ではありませんよ、政府参考人のいいかげんな情報提供では、私たちは到底、同じ土俵で真剣に議論をすることはできない、こういうふうに思うんです。

 私はまだ新人で、半年もたっていないので偉そうなことを申し上げる立場ではありませんが、これはやはり私たちの国会の持っている基本的な欠陥なんじゃないだろうかというふうに最近は思っているんです。

 というのは、私たちは、国会承認を前提として、できれば行政府が持っている情報をなるべく正確に、なるべく漏らさず私たちも共有できる場がもしあれば、本当の意味で実質的な国会承認の素材になり得るし、今回の有事法制をめぐる議論、特に事態認定という部分、これはもちろん内閣総理大臣が最終的に責任を持ってやられるわけですけれども、その事態認定を私たち国会議員は承認するかしないか、これは議論しなきゃならないんですよ。

 その際に、さっきのようないいかげんな情報提供をしてもらっても、私たちは議論のしようがないし、そういう意味では、事態認定をいいかげんにまた、例えば多数決で押し切られて、それで、承認しました、国会も共同責任です、こう言われても、その後起こる事態に対する責任は実質的な意味で私たちは負えない。

 ですから、私は少し調べてみました。秘密会というのがあるんですね。秘密会という制度を、やはりこういう安全保障の本当に根幹にかかわるような問題については、私たちは、少し、用いていく、そういう準備をする、そろそろし始める必要があるんじゃないだろうか、こういうふうに思っているんです。

 私、秘密会を調べてみました。国会法の五十二条に、政策、外交または議員の身上、その他の重要事項等に関し、秘密を要する場合に開くんだ、こういうことですね。何回もないんだろうと思ったら、実に、秘密会は第一回国会から数えて九十八回開かれているんですね。それで、最近の秘密会は何かというと、議員逮捕について許諾を求めるの件という大変不名誉なのがずっと並んでいるんですが、安全保障関係でも四回あるんですね。一番最近のものでは、一九七二年、外務委員会、国際情勢に関する件ということで、統合戦略見積もりの資料を提出してもらって、そこで議論をした経緯があるわけです。

 これは基本法の議論とかかわってくると思うんですけれども、カナダの制度がすごく参考になるなと調べてみて私は思ったんです。カナダは、緊急事態を四類型に分けていますけれども、それぞれの緊急事態を政府が宣言した後、議会に七日以内に送付するんです。そして、議会が、代表者が集まって秘密会の中でその宣言の瑕疵がないかどうか、あるいはそれが適当かどうかということを議論して、そして最終的に国会承認を、議会の承認をするようになっているんですね。

 こういう制度を、私は、武力攻撃事態法の中に事態認定をうたうわけですから、やはりこういう国会としての責任を果たせる秘密会の仕組み、しかも、これは、今、石破長官は顔をしかめておられるので先取りして申し上げたいと思うんですが、先ほど石破長官、国会テレビを全国民が見ているから、こんなところじゃずけずけ全部言えません、こういうお話をされました。私もそう思います。ですから、秘密会。しかも、皆さんは守秘義務を負っておられます。下手すれば懲役になります。そういう中で、おっしゃれること、おっしゃれないことが当然あるんだろうと思うんです。

 そうであるならば、私たちが秘密会にもし参加させてもらえるんだったら、秘密会の構成員たる議員の側にも秘密保持のためのルールを、そういう縛りをかけて、それで、私は、行政府と立法府の共同責任を果たせる、こういうふうに思うんですが、これは、大臣というよりは一国会議員として、ぜひ、井上大臣あるいは石破大臣、御所見を伺いたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

井上国務大臣 まず、立法府と行政府の情報の共有につきましてのお話がございましたが、これは、行政府といたしましては、国民の権利や義務に関することとか、あるいは歳出を伴うようなことにつきまして、これは議会の方に報告をしないといけないし、議会の方の議論をお聞きしないといけないことでありますし、これは当然のことだと思います。

 今、秘密会のお話がありまして、これは憲法にも規定がありますし、御指摘の国会法の五十二条にあるわけでありまして、私、これは、国会自身がお決めになることでありまして、行政府としてどうこうという立場ではありませんけれども、行政府としてもこれをお願いするようなことがあると思うんですね。ですから、こういう秘密会の開き方につきまして、どういう事項について秘密会を開くのかということにつきまして、ぜひ国会の方で、議会の方で議論を深めていただきたい、そんなふうに考えます。

石破国務大臣 先生の御指摘は、本当に私どももよく考えなきゃいかぬことだろうと思います。

 今、井上大臣からありましたように、基本的に政府としてお答えをするものでもございません。ただ、今まで秘密会というのは委員御指摘のようにいっぱいありました。ところが、秘密会だけれども議事録があるという不思議なものがございまして、それは、議事録を残すか残さないかというのはまた秘密会で決めるわけでございますね。秘密会において、では、今から恐縮ですが、傍聴人の皆様方は退場してくださいというだけの秘密会もあって、そういう議事録が残っていたりするわけです。あるいは、懲罰という言葉を仮に使うとすれば、これは、私は前に外務委員会の筆頭理事をやっていたときに随分議論をしたのですが、参議院はそういうものがありますが、衆議院においては現在そういうものがないわけであります。あるいは、事態認定とかそういう場合に、衆参というのをどのように取り扱うのかという問題もございましょう。

 そういうようないろいろな問題があろうとは思いますが、一議員としてお答えをするならば、そういうものを本当にどうやって運用していくのか、そして、秘密会を何のために秘密会にし、その意味が本当に担保されるような制度というのは何なのかという議論を、私は一議員としてはしてみなければいけないことだなと思っておるところでございます。

長島委員 委員長、ぜひこれは理事会で検討していただきたいと思うんですけれども。

自見委員長 長島委員に申し上げますが、これは立法府の問題でもございますから、各党各会派から成る議院運営委員会の問題でもあるかと思いますけれども、大変強い長島委員の申し出でございますから、後ほど理事会で討議をさせていただきたいと思っております。

長島委員 私たちも、安全保障に関心を持って携わっていく議員の一人として、こういう秘密会の制度、もし新しい制度が必要であれば議員立法で提案をしたい、そういう機会をとらえてこれからも追求していきたい、こういうふうに思います。

 次に、法案の内容について議論を進めていきたい、こういうふうに思います。総務大臣及び有事法制担当大臣にお伺いをしたいと思います。

 まず最初に、平時の体制づくりということについて二点お尋ねをしたい、こういうふうに思います。

 一つは、民間防衛組織はつくらない、再三再四こういう御答弁をいただいているところです。かわって、ボランティア組織や自主防災組織の自発的な行動に期待する、そういう趣旨の御発言もございました。これは、敷衍して申し上げると、新たな組織はつくらないんだ、そして、既存の団体に民間防衛の任務というものを付与することもしないんだ、こういう趣旨だろうというふうに私ども理解をさせていただいているんです。

 それにしても、これは何度も委員の方からお話がありました。一番中核となり得るだろう消防団ですら、高齢化、それから人員の定員割れ、これで大変苦しんでいる。こういう状況ですから、何らかの形で自主防災組織を強化、育成していく、そういう努力は政府として必要になってくるだろう、こういうふうに思います。

 本論に入る前に、この自主防災組織というものはどういう組織を想定されているか、まず言葉の定義をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 自主防災組織、これはいろいろ細かくありますけれども、基本的には、自分たちで、自分の住んでいる、もしくは自分の郷土というものを守ろうと自主的に結成した組織、一言で言えばそういうことになろうかと存じます。

 それに対しまして、先ほど、大丸有の話をちょっと、いらしたかどうかは知りませんが、いわゆる大手町と丸の内と有楽町、大丸有という組織が、行かれるといいと思いますが、これは多分、三菱地所が主役でつくり上げております大丸有という自主防災組織というのがあって、これは訓練もしておられますし、機材もきちんとそこそこやっておられますけれども、そういったものを含めまして、自分たちの地域はというのでやっておられます。

 こういった組織は全国に結構ありまして、所属しております世帯も、先ほど大畠先生の御質問にもありましたが、三千万人ぐらいの方々がそれに所属をしておられるというのが実態であります。そういった自治意識等の高いところ、低いところ、これは確かに、その地域におられる方々もしくは首長さんの意識によっても差はあろうかと思いますけれども、この数年間、特にやはり神戸の、神戸とは限りませんが、あの阪神・淡路大震災以降だと思いますが、その種の意識が結構高まってきて、あちらこちらで急激に膨らんできた、大きくなってきたと思っておりますので、これにつきましては、私ども、積極的に応援をしていかにゃいかぬと思っております。

 それから、消防団につきましては、これは若年層の人口の絶対量が減っておりますので、ある程度避けて通れないところではありますけれども、何となく、昔に比べて、五十を過ぎても結構元気な方はいらっしゃいますので、そこらもありますのと、女性の方が急激にふえておられるのが一点。

 それからもう一点は、長島先生、サラリーマンが三〇%の時代と、今サラリーマンが七五%ぐらいになっておりますので、やはりサラリーマンでも参加できるような訓練にしてやらぬと無理。したがって、そのサラリーマンの所属している会社の上が、消防団、自主防災組織の訓練に日曜日に出るとか有給を認めてやるとか、支店だった場合、工場だった場合は本社の了解というのをある程度つけておいてやるという手間がかかると思っておりますので、そういったところをしないと、声だけかけてもなかなか実効が上がらぬと思っておりますので、その方向で努力をいたしております。

長島委員 前向きな御答弁をいただいたと思います。

 やはり、今、サラリーマンというお話がありましたけれども、あの阪神・淡路大震災以降、そういうものに自分もかかわってみたい、避難・誘導される側ではなくて、それをみんなでリードしていくような側に回ってみたい、そういう関心が非常に高くなっておりますので、ぜひ政府としては、そういうものにインセンティブを与えていって、束ねていくと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、組織化していく、強化していく、そういう努力をしていただきたい、こういうふうに思うんです。

 ドイツの例を見ると、ほかの委員の方もおっしゃっていましたが、六万人、そういうボランティアの人たちが登録をしているという。今、麻生大臣、三千万人、一応数えてみると、頭数と言うとあれですが、三千万人いると言いますが、しかし、本当にいざとなったときに動ける方がその中に何人いらっしゃるかというと、大変不安なところがあると思います。

 この委員会でも、今までの議論の中で、自衛隊や警察官のOBの方を登用したらどうだろうか、あるいは郵便局員や農協の職員の皆さん、それから、私も入っておりましたけれども、青年会議所の皆さん、こういう人たちで、やる気のある人たちをぜひ束ねていく努力をしていただきたい、制度的にしていただきたい、これが一点。

 そして、意欲はあるけれども、どうしたらいいかわからないという人が多分相当多いんだと思うんです。それと、やはり重要なのはトレーニングだと思います。日本の場合はそういう訓練センターというものがございませんので、そういう方々にトレーニングするシステムがございません。

 一つは、やはり自治体の職員の方でこういう防災担当あるいは国民保護にかかわる部署におられる方用の研修制度というのをぜひつくっていただきたい、もうあるんだったら御説明をいただきたい、こういうふうに思います。

 もう一つは、今申し上げた民間ボランティアの、意欲はあるんだけれどもすべのない、わからない方たち、サラリーマンの皆さんも含めて、無理のない範囲で平素からいろいろな訓練や知識を蓄えることのできるような、できたらトレーニングセンターというようなものをつくっていただきたい。

 私、たまたま選挙区が立川なんですけれども、FEMAの専門官の方が日本に来られて、立川の災害医療センターとかを中心とする、すごい広域防災区域に指定されていまして、あそこなどはそういう訓練センターを置くにはもってこいのロケーションだな、そんな話もされていましたけれども、大臣、この辺のところはどういう御所見を持っておられますでしょうか。

麻生国務大臣 長島先生御指摘のとおりに、意欲はあっても何していいかわからぬというような方、意欲だけ持った方々をうまく集めて、組織したのが、神戸のケースでありますし、ナホトカ号による石油の事件のときは、福井県の福井ボランティアセンターであり、あれも同じく一民間人がつくり上げた組織であれだけのものがうまくいったんですが、あそこは単なるバケツに油をすくい上げるだけの単純作業だけれども過酷な条件だったものですから、ああいったのは、やる気のある人だけを集めて組織するというところが一番難しいんですけれども、それがうまくいった例で、あれは村岡というのがやったんですが、結構うまくいった例だと思っております。

 いずれにいたしましても、こういったような訓練が必要だということはあらかじめやっておかにゃいかぬところなんですが、今、具体的な例を挙げれば、自治大学校というのがありまして、各県の自治体から出てきている者がこの自治大学校で、それから、消防団も含め消防関係のあれで消防大学校におきまして講習をずっとやっておりまして、市町村アカデミーにおきます講習等々、後で資料を差し上げますけれども、それを一応やっておるという実態で、最近になりましてから、国民保護という新しい任務というものが加わっておりますので、今までとは違って、その種の関係の先生の講義等々含めて、避難・誘導の話も含めて結構やっております。

 ちょっと長くなりましたが、やっております実態の書類は後ほど差し上げます。

長島委員 私どもは、日本版FEMA、危機管理庁をつくってほしい、こういうことで与野党協議の方にも御提案を申し上げているところですけれども、有事の際に当然FEMAは活躍するんですけれども、アメリカのFEMAの経験を見ると、平時においてトレーニングするというのが一つのFEMAの大変重要な役割、こういうことであります。

 危機管理研修所という、エマージェンシー・マネジメント・インスティチュートというのをつくって、非常におもしろいので少し披瀝をさせていただきますが、これは、カウンティー、郡、州、連邦レベルで危機管理をする教材をつくったり、トレーニングコースをやる。あるいは、遠隔地で参加できない人に対してはオンラインサービスでそういうコースをつくる。あるいは、首長さんに一週間、体験学習じゃないですけれども、一週間の研修カリキュラムを用意していたり。こういうことを、やはり、この国民保護法制をつくる際には、政府もかなり具体的にイメージをしながら整備をしていかれる必要があるんじゃないか、こういう御提案を申し上げておきます。

 そこで問題なのが財政支援であります。これは、私、本会議でも質問させていただきましたけれども、その際に両大臣、麻生大臣、井上大臣からもかなり前向きな御答弁をいただいたところでありますけれども、もう一度おさらいをしておきますと、百六十八条で、事態対処に係る費用については国庫負担とはっきり書かれている。それから、恐らく百六十九条がそういうことなんだろうなと私は理解をしているんですが、平時において計画を策定したり、訓練を行ったり、あるいは機材などをそろえたり、こういう費用についてはそれ相当の財政負担を一応準備を考えていていただける、こういう理解をさせていただいています。

 特に、この委員会の中でも、例えば井上大臣は、平時の場合におきましてどのようにするかということでございますが、経費の費目によりましていろいろ、国がより負担した方がいい場合もあるし、あるいは自治体の方が負担した方がいい場合もある、どういうものに対して補助をするかということについては、関係各省の間におきましてこれから詰めていきたい、こういうお話でございます。抽象的にはよくわかるんですけれども、その辺、どういう整理をされるのか、もう少し踏み込んで、決意のほども含めてお聞かせいただければありがたいというふうに思っております。

井上国務大臣 この緊急事態対処といいますのは、まさに国を挙げて対処していかないといけない事態でありますので、国とか地方公共団体が中心になって行動しますけれども、これは広く国民の皆さん方の協力を仰がないといけない。とりわけ、自主防災組織でありますとかボランティア、こういう皆さん方の協力を得ないといけないと思うのでございます。

 一般論は、今委員が言われましたように、できるだけのやはり財政支援はしていかないといけないだろうと、こんなふうに思います。

 もとより、国がやるべき部分もあります。それから、地方自治体が負担すべき部分もありますけれども、いわゆる中間的な経費ですね。この百六十九条では、国は、地方公共団体が国民の保護のための措置その他この法律の規定に基づいて実施する措置に要する費用で、予算の範囲内でその一部を助成することができる、こういうことです。

 これに該当する経費につきましては、極力やはり財政支援ということを考えていかないといけないと思うのでありますが、きょうの朝からの議論がございまして、委員、出席されていたと思うのでありますけれども、補助の場合ももちろんあるけれども、その前に、負担というそういう概念も入れられる部分があるんじゃないかと、こういうことでありまして、私も、負担という形で国が負担をしていくのが適切な費用については、それはもう検討させていただきたいということを申し上げたわけでありますが、そういうことを含めまして、この助成につきましては、私は、やはり前向きに考えていかないといけないことだと考えております。

麻生国務大臣 まことにごもっともな御指摘でして、いわゆる地方関係団体からも最も要望の強いところでもありますが、去る四月の二十六日、これは、御党の大畠先生の御質問に対して私の答弁は、井上先生とほぼ同じようなことを申し上げたんですが、総理の答弁というのがそのときにあわせて出されておりますが、ここで議事録を読めば、住民からの協力を得ないとできないことをよく承知をしておるんで、関係機関が連携をして、訓練なり、ふだん、平時からの必要なことを考えなければならない、有事というのは国家全体の問題であり、国として必要な費用というものはきちんとなされるような対応が必要と述べておられますので、次にこの種の御質問をされるときは、ぜひ財務大臣を呼んでいただいた方がよろしいかと存じます。

長島委員 まことにもっともな御指摘だと思いますが、総理大臣がそのときお答えする前に麻生大臣はこうおっしゃっているんですね。

 「したがいまして、」この「したがいまして、」というのは、つまりそういう負担が必要だという、「これに当たりましては、人件費はともかくとして、それにかかりますいろいろな経費につきましては、これは国において債務が負担されるべき行為だと思っておりますので、この点につきましては、総務省を預かる私どもの立場としては、財務省等々と積極的に、この点だけは譲れないところだと思っておりますので、」こういう力強い御答弁をいただいているので、ぜひここは踏み込んで……(麻生国務大臣「総理の御理解をいただいた上でと書いてある」と呼ぶ)そこはちょっとアンダーラインから外していましたけれども。

 私は、消防庁からちょっとちょうだいをした、私どもの党でブリーフをしていただいた資料の中に三つぐらい挙がっているんですね、具体的に。負担金制度を検討している。国が負担すべきものと仕分けをして、負担金制度を検討している。それから、平成十六年度においては、都道府県については四人、市町村については一人分の人件費を地方交付税で措置を予定している、事務費も含んでいるんだと。それから、地方公共団体の事務量に応じて地財措置の充実を検討している。かなり具体的におっしゃっていますので、できればこの答弁を大臣から直接いただきたいと思っていたんですが、大臣にかわってお話をさせていただきました。

 次は、有事になってしまった、緊急事態になってしまった後の態勢について、三点お伺いしたいと思います。

 一つは、これも民主党に寄せられたいろいろな御懸念の中の一つなんですが、何らかのアクシデントによって警報や情報伝達の機能が途絶しちゃった場合、小松左京さんの本で「首都消失」というのがあって、何か霧に一瞬包まれたようになって、首都機能が完全に喪失してしまったという、これはミサイル攻撃でも何でもないんですけれども、原因は何だったかは、結局本を読んでもわからなかったんですが、そういう場合について、今回、この有事法制を担当される政府としてどういうバックアップを考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。

井上国務大臣 非常に緊急事態で重要な情報は迅速に一般国民に伝達されないといけないのでありまして、これはいろいろなチャネルを考えておりまして、放送ですね、テレビだとかラジオというのもありますし、あるいはサイレンもありますし、あるいは行政無線によって伝達するというやり方もございますし、あるいは消防とか警察が巡回をして知らせていくという方法もありますので、一つの伝達のそのチャネルがうまくいかなくても、何らかの方法で国民に伝達できるように、それはよく考えて対処していきたいと考えております。

長島委員 井上大臣にもう一つ。

 たしか、さっき私、紹介申し上げましたけれども、立川、あの地域が、首都がダウンしたときのバックアップのための地域だというふうに私、理解しているんですけれども、その点の詳細ももし説明していただければと思います。これは通告してあります。

麻生国務大臣 立川のもとの米軍キャンプの跡を御存じのようにそのような形でつくり直してありまして、総理官邸がだめになったときに、防衛庁本庁でほぼ同じシステムを持っておりますが、それもだめになったときのことを考えて、立川のとある場所に、きちんとバックアップができるようなシステムをつくり上げております。ちょっとそれ以上は勘弁してください。

長島委員 このまま秘密会ができればいろいろな議論が伺えるんじゃないかなと思っていますが、今のは、川上というか、情報を伝達していく川上の話なんですけれども、川下、要するに市町村や都道府県の中でもそういう情報の途絶が起こる可能性があるので、川下についてもどんな対応策を考えておられるか、御説明ください。

麻生国務大臣 小松左京さんのあの話をもとにされて、古いので言えば「日本沈没」とか「首都消失」、あの種の話を前提にされて話を進められるとちょっといろいろまたあれなんですけれども。

 基本的には、いわゆる放送を伝達するもとのもとであります、情報を収集した機能、すなわち政府とかいうのであれば、総理がどうしたとか防衛庁長官がどうしたとかというようなものも含めて全部がなくなっちゃったという話じゃなくて、ある程度伝達する機械がどうのこうのということが一番かと思います。

 基本的には、普通ですと、これは電波というものが一番確実に行くことになろうと思っておりますので、先ほどいろいろありましたけれども、私の経験からいきますと、いわゆるクーデターみたいな形になりますと、これは放送局が一番最初に抹殺されることになるのは、これはいつのどの本を読んでも同じ手口でありますし、イラクも、同じように通信網からたたいてくるわけですから同じようなことだと思いますが、そういう状況の中ではありますけれども、そのときになれば次のローカル局で電波を発することになるんです。

 それをどうやって末端に伝えるかというのは、けさの新聞で出ておりましたので、KDDIとNHKの端末を結ぶという話が出ていると思いますが、地上デジタル放送を携帯電話で受信できるというようなものをつくり上げようといたしております。二〇〇五年までにこれをつくろうとしておるんですが、こういうのが仮に実用化されますと、確実にその種のものが、例えば山津波が起きたということになりますと、その地域の人たちだけに、登録してありさえすれば、そこの電波だけには電話が一斉に非常のが鳴るというようなこともできます。

 また、インターネットというのは、この間のあの阪神・淡路のときでも一番有名になったのは、多分ITはあれから有名になったと思いますけれども、そういった形で電話とかいろいろなのでつながるんですが、通常ですと、一番最初は、多分、町のサイレンが鳴って、そのサイレンが、夜中であろうと何だろうとわんわんわんわん村役場のサイレンが鳴ってというところから常識的な話ですとスタートするとは思います。

 いずれにいたしましても、この種の話は、技術の進歩に伴いまして、波の割り当て等々を含めてこれは大事なところだと思いますので、この種のものがきちんと技術の進歩に合わせてできるだけ速やかに伝わるような努力をしていかねばならぬと思っております。

長島委員 確かに、あの九・一一のときも、ニューヨークに旅客機が突っ込んだ、そしてその後ペンタゴンに突っ込んだ、もう一機、実はホワイトハウスをねらっている、こういうときに、ワシントンDCの周りのバージニア州とワシントンDCとの間で通信が途絶えてしまって、役に立ったのはワイヤレスの携帯電話だった、こういう話もありますので、ぜひその進歩を取り込んでやっていただきたい、こういうふうに思っております。

 それからもう一点。これもテクニカルな話なんですけれども、対処措置に含まれる国民保護措置なんですけれども、自衛隊法に根拠規定を持った活動と同じようなことが国民保護法案にも盛り込まれているんですね。

 例えば医療の実施。自衛隊法の百三条に基づく業務従事命令、これが一つあります。それから、国民保護法案の八十五条に基づく医療の実施の要請または指示、こういうものがあるんですね。それから、物資の輸送についても、自衛隊法の百三条、業務従事命令、同時に、国民保護法案の七十九条に基づく緊急物資の輸送の求めまたは指示。

 こういう、同じような活動について重なるような根拠条文がある場合、だれがどういう判断で、どちらの条文に根拠を置いて活動を指示するのか。この整理をしていただきたいんです。井上大臣に。

井上国務大臣 これはいずれも都道府県知事の権限になっておりますから、そこは県の中で、具体的には知事がこれは調整をすると思うんですね、自分の権限として二つあるわけですから。

 ですから、確かに規定としては自衛隊法の規定と国民保護法の規定がありますけれども、現実の運用としては、何か矛盾するとかその規定によって困るような事態になるということは考えられないと思うんですね。

 しかし、万が一、例えばどちらの方を優先するのかというようなことがある場合は、これは対策本部長の方にまで上げまして、そこで調整をする、こういうことになると思います。

長島委員 ありがとうございました。

 緊急事態対処の問題で最後のポイントですけれども、消防庁の方のお話を伺っても、やはり危機管理の基本というのは、さっきも大畠先生の方から通信システムの互換性という話がございましたけれども、これはもうちょっとアナログ的な部分でも随分混乱が見られるんじゃないか、私はこういうふうに思ったんです。

 情報システムの互換性はもちろんですけれども、用語の統一とかそういう組織形態の標準化というのは、これはやはり、瞬時に判断をして、本当に一刻一秒を争う、国民の生命財産が失われていく、そういう事態ですから、何か県によって同じものの呼び方が違ったり、あるいは、警察と消防と自衛隊がやはり活動を一緒にする機会があるわけですけれども、そういうことについてもそれぞれイメージが違ったりということは大変混乱のもとになる、こういうふうに思うんですが、ちょっと例を申し上げます。

 自衛隊と警察と消防で、同じ活動なんだけれども、それをあらわす言葉の違い。

 例えば、見回り、パトロール。自衛隊の場合は巡察、こういうふうに言いますね。警察の場合は警ら。消防の場合は巡回。

 それから、広報というものがありますが、自衛隊の場合は、広報というのは報道発表とかそういうイメージを持っているというんですね。ところが、警察や消防については、一般市民に対するPRというのを広報の仕事だと思っている。

 あるいは、場所、地点をあらわす場合。自衛隊は御承知のとおり緯度、経度であらわすわけですね。ところが、警察や消防は住所の表示であらわしている。

 これは、整理しないで緊急事態に直面して大丈夫なんでしょうか。

麻生国務大臣 その他他省庁に属せざるもの総務省という立場で御答弁申し上げますけれども、長島先生の、これは確かに検討をせないかぬところでありまして、例えば、私どもが直接担当をいたしております各四十七都道府県のこの種の話を担当する課、室の名前ですら、ほとんど、同じのを捜す方が難しいぐらい違っております。

 例えばおたくの千葉県では、消防地震防災課危機管理室と呼んでおられます。こんな長い名前、とても電話で……(長島委員「東京です」と呼ぶ)千葉県じゃなかった。失礼。東京都は総務局総合防災部防災管理課というんです。とにかく、関東圏でも、環境防災部危機管理課、これは埼玉県。危機管理防災課何とかかんとか、これが全部違う。

 こういったのは、あなた、もうみんな、防災と消防がどこかで入ったら、大体同じじゃないかと言えばそうかもしれぬけれども、これだけばらばらというのはちょっと、同じ県、地域ぐらい一緒にしたらと言いたくなるぐらい、これは争って変えておられるんじゃないかと思うぐらいで、同じなのは栃木県と群馬県だけというのが実態なんです。

 そういった意味では、これはなかなか難しいところでして、これは地域の自主性を象徴しておると言われると、それはまたそれなのかもしれませんし、ちょっとなかなか難しいところだとは思いますので、この用語の統一化につきましては、これは今後検討に値することだと思っております。

 ほかにも、医者の用語などというのは卒業する大学によって使っている単語が全然別の言葉になったりいたしますことを含めて、この種のは、危機とか緊急時とか有事とかいうときに際して、やはりふだんからある程度その種の対応をしておく必要はあろう、私ども、検討に付すべきことだと存じます。

長島委員 確かに地域の自主性かもしれませんが、これは国民の生命財産がかかっていることですから。アメリカなんかも、やはり危機管理部局の名称というのは全部統一されています。これをそろえることを拒む理由というのは一体何なんだろうかというんですね。余り趣味で名称を変えていっても仕方がないと思いますので、ここはやはりぜひ政府の主導性を発揮していただきたいポイントだというふうに思いますので、強く要望をしておきたいと思います。

 あと十分ということで、防衛庁長官に武器使用権限について改めてお伺いをしたい、こういうふうに思います。

 前回はあっさり長官に一発で御返答いただいたわけなんですけれども、前回は、いわゆる武力攻撃事態の、武力攻撃がまだ発生していないんだけれどもいわゆる切迫事態のもとでの武器使用と、それから、予測事態、緊迫事態とでもいうんでしょうか、予測事態における自衛隊の武器使用の権限の問題について伺いましたけれども、今回は、私ももう少し調べてみました。また武器使用権限についての矛盾点が見つかりましたので、私の理解が間違っていればぜひ正していただきたい、こういうふうに思います。

 これは、ただ趣味で私も調べているわけじゃなくて、やはり、それぞれ武器使用権限が、この状況ではどうなんだろうか、いや、この状況ではどうなんだろうかというのは、一隊員というよりは、その現場の司令官、指揮官がやはり混乱してしまうので、ここは整理をしていただきたい。

 私が発見をした矛盾点は、同じ武力攻撃予測事態のもとであります。

 ここに物資の集積所があります。一つはアメリカ軍の集積所、一つは日本の自衛隊の集積所。そこから、この武力攻撃予測事態のもとにおいて、日本の自衛隊が日本の物資を展開予定地域に輸送、後方支援をします。そのときの武器使用権限というのは、武器等防護の九十五条に縛られますね。

 ところが、同じ武力攻撃予測事態です。今回、円滑化法案に載っている、アメリカ軍に対する、これはもしかするとこの倉庫というのは隣接しているかもしれない、隣接してほとんど同じような地域かもしれない、しかし、アメリカ軍に対する後方支援をやっている自衛官の場合は、自己または自己の管理下にある者、しかも、ともに同じ活動に従事している隊員、少し広目の武器使用権限が与えられているんです。

 この二つの武器使用権限が、ほとんど同じような活動、しかも同じような状況下における自衛隊の活動について異なるのは、どういう理屈なんでしょうか。

石破国務大臣 それは、先生いみじくも御指摘になりましたように、九十五条の適用があるかないかということだと思います。

 武器等防護の規定というのは、それは自衛隊のものであれば当然あるわけでございますが、これが米軍のものということになりますと九十五条は使えませんので、武器使用規定をつくるということになっておるわけでございまして、その態様において基本的な差はないというふうに私は理解をしておりますが、何か根本的にここが違うのだという御指摘があれば承ります。

長島委員 もちろん、石破長官は専門家ですからあれですけれども、武器等防護の武器使用と、自己または自己の管理下、あるいは一緒に従事している隊員が危害にさらされたときに、それをある意味で応援して、それに対して加えられた危害を排除するという武器使用はやはり違うんじゃないですか。(発言する者あり)いやいや、武器等防護は広くないですよ。武器等防護は武器を守るというだけの話ですから。不正確な情報交換はよくないと思いますので、ここはしっかり答えていただきたいと思うんです。

石破国務大臣 これは久間元大臣の方がはるかにお詳しいことでありますが、私がお答えをさせていただくとしますと、これは、自己の生命を守るという自然権的なものと九十五条というものは重なりまして、トータル的な権限ということになっておるわけでございます。

 したがいまして、最終的には、使われる権限というものにおいて米軍のものであろうが自衛隊のものであろうが差が生じるということはございません。トータルで見れば全く同じ権限を持っておるというふうな御理解でよろしいかと思います。

長島委員 わかったようなわからないようななんですが、私、スタッフが全部調べて、全部条文をあげつらって、これだけの、海外活動も含めて、周辺事態もそう、治安出動下の活動、あるいは海上警備活動、警護出動、全部合わせるとこれだけの種類があるんです。ですから、武力攻撃を予測する、あるいは武力攻撃が起こった事態、ここでもう一回ぜひ整理をし直されることを検討していただきたい、こういうふうに私は思いますので、それは要望しておきたいというふうに思います。

 もう時間がないのですが、もう一つ、ちょっと懸念が来ておりますので。

 治安出動前の情報収集活動における武器使用権限、これが、治安出動のときの武器使用権限とは一段格下というか、まさにこれは九十五条の、平時の武器使用になっています。今回、治安出動前の情報収集活動もあわせて考えたときに、現状でこれは果たしていいのかということをぜひわかりやすく説明していただきたい、こういうふうに思っているんですが、いかがでしょうか。

 これは、私が推測するに、治安出動の前の事態というのは、基本的には警察力でやる事態だから、そういう意味で、自衛官の武器使用については、治安出動並みではない、少し落とした武器使用権限にしている、こういう理解をしているんですが、それで正しい理解でしょうか。

石破国務大臣 それで正しいです。

 要するに、情報収集活動というのは何のためにやるかというと、治安出動を下令する必要があるのかな、ないのかなということを、そのことについての情報を収集するために出るわけでございますから、出ておる事態が異なるわけでございます。

 今先生が御指摘のようなことだとするならば、いかにして治安出動を早く下令するかということに議論はなってこようかというふうに思っておりまして、この活動の性格からいたしまして、同じ武器使用の権限を与えるということは、それ自体が概念矛盾を来すものだと考えております。

長島委員 最後の質問に移りたいと思います。

 海上輸送規制法案、これがまた、前回も少しさせていただきましたけれども、どうも私は納得がいかないんですね、この憲法解釈も含めて。

 石破長官はこういうふうに答えられていますね。これは四月二十日の答弁なんですけれども、御承知のとおり、今回は停船検査ということで、概念的に言うと、臨検、拿捕に限りなく近いのかな、こういうふうに思うわけです。危害射撃も認められていますし、別に旗国の船長の許可も必要なく中へ入っていって押収するわけですね、一瞬は。大量破壊兵器の場合はそのまま廃棄。ところが、通常兵器その他の物資については、一たん没収をして、廃棄をしないで、戦闘が終わった後、その持ち主に、所有者に返却をする、返還をする。これは私にとっては非常に納得のいかない行動でありまして、恐らくこの委員の中にもそれでいいと思っている方は余りいらっしゃらないと思うんですが、これを石破長官は一言で御説明されているんですね。「それは、交戦権であれば、返すなどという親切なことは起こらないわけですね。」こういうふうにおっしゃっているんです。

 交戦権であったら返さない、自衛権だったら返す。もう一度説明していただけませんか。

石破国務大臣 これは、前回委員から、おまえの概念の遊びはもうたくさんだというおしかりをいただきまして、よく覚えておるところでございますが、別にそういうことを申し上げているわけではないので、必要最小限というものをどのように考えるのかなということなんだろうと思っています。

 これは、もともと私どもは没収をするわけではございませんで、それを一時とめ置く、そういうような危険がなくなったらお返しをするということであって、それは交戦権であれば没収していいんです。だけれども、それが我が国に対して危害を加えるということのみを防ぐということであるとするならば、やはり必要最小限という概念はそういうものではないのだろうか。これが、自衛権だから当然に出てくるという議論ではなくて、必要最小限というものをどのように考えるかということなのだろうと思っております。それはまた違うという御議論もあるでしょう。前原委員が首をかしげておられるわけでありますが、私は、理屈としてはそうなるんだろうと思います。

 だから、これは、交戦権ではありませんということを言うがために声高にその違いを指摘しておるわけではございません。必要最小限の目的を達すればそれでいい。それによって我が国が危害を加えられるということが防止できれば、それによってこのことの目的は達した。そしてまた、そういう事態が去ってからそれを返すということは、何ら反復のおそれが生じるものでもないというふうに考えておるわけでございます。

自見委員長 長島君、質疑時間が終了しました。簡潔にお願いします。

長島委員 はい。

 反復のおそれが生じないかというと、そこは私は疑問だと思いますし、逆に言うと、長官、没収しても、それだからといって必ずしも自衛権を逸脱しているというふうにも言えないんですよね。

 ですから、そこはぜひ、法制局も含めて、憲法解釈をもう一回考えていただきたい。なぜかというと、日本の常識は世界の非常識、こう言われて久しいんですけれども、やはり武器の不拡散ということも当然国際社会はありますから、一たん没収したものを、また日本に対して、あるいは地域に対して危害を加える可能性のある国に戻すという行為は、やはりそのときになると同盟国やあるいは国際社会から非難を浴びる可能性があると思いますので、もう一段この憲法解釈については見直していただきたいということを――そうですか、一言。

自見委員長 質疑時間が終了いたしましたので、石破長官、簡潔にお願いします。

石破国務大臣 ですから、先生がおっしゃるとおり、私どもが申し上げておりますのは、実効性の観点からどうなのだということにポイントは置いておるわけでございます。ですから、それを没収すること、すなわち交戦権に当たるとか、そういうことを申し上げておるわけではございません。先生がおっしゃいますように、仮に、じゃ、没収したとしたら、それはどうなるの、すぐ憲法違反になって最小限を超えるのかいということを論理的に申し上げているわけではなくて、これをもって実効性を担保するということを申し上げておるわけでございます。その点はまた議論をさせていただきたいと考えております。

長島委員 時間が参りましたので、終了いたします。ありがとうございました。

自見委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 昨日、ACSAに関連して、邦人救出の日米共同訓練、これまで行ったことがあるかどうかという問いに対して、手元に資料がないけれどもありません、こういう答弁がありました。そのことについて改めて私の方に説明したいという申し出がありますので、この点についての答弁を改めてお願いします。

飯原政府参考人 昨日、委員の御質問の中で、手元に資料がなかったもので再度持ち帰りまして調べましたところ、平成十二年十一月に岩国で行った日米共同統合演習及び十四年十一月に厚木で行った同じく日米共同統合演習におきまして、在外邦人等の輸送を行う際の共同訓練的な実動訓練が含まれておりましたことが判明いたしました。おわびとともに訂正をさせていただきます。

赤嶺委員 それでは質問に移っていきます。

 今回、武力攻撃事態法の具体化を図るために一連の法案が提出されているわけですが、この法案に基づく措置の多くは、日本が武力攻撃を受けていない武力攻撃予測事態からとることができるようになっております。

 米軍行動関連措置法案やあるいは特定公共施設等利用法案、基本的には、武力攻撃事態でとり得る措置、それから、武力攻撃予測事態でとり得る措置、その間に法文上の区別は設けられていません。予測事態から米軍や自衛隊が港湾や空港の優先利用を確保できる、広範な物品、役務の提供が可能な仕組みになっているわけですが、改めてこの点で聞いていきたいんですが、こうした米軍、自衛隊等への支援措置について、武力攻撃事態と予測事態との間の区別を設けなかったのはどうしてですか。

増田政府参考人 お答えいたします。

 今回の、例えば米軍行動関連措置法案の中で、ただいま先生から御指摘のように、武力攻撃予測事態における措置と武力攻撃事態における措置に差を設けていない部分がございます。

 これは、武力攻撃事態また武力攻撃予測事態と二つの事態区分はあるわけではございますけれども、いずれにしても、我が国に対する武力攻撃というものが起こり得るということを念頭に置いて、その上で、我が国をいかにして防衛するか、必要に応じていかに防衛するかという観点からの措置として考えているという観点から、とり得る措置として、可能な限りの措置をとることが必要であろうという考え方から区別を設けていないところがございます。

赤嶺委員 ところが、米軍支援の中身、土地の利用あるいは緊急通行の権利、これは武力攻撃事態に及んでできるわけですね。つまり、米軍の土地の利用等はそうなっているんですけれども、何で空港や港湾の優先利用、これは予測事態からということになるんですか。

増田政府参考人 今先生から、空港、港湾の利用についての段階の差はなぜ設けていないのかという御下問だったと思いますけれども、これは、武力攻撃予測事態という段階にいたしましても、武力攻撃事態には至っていないわけでございますけれども、その武力攻撃のおそれといいますか、予測といいますか、そういうものがあり得るという事態でございます。

 そういった意味でいいますと、少なくともきょうの時点よりは世の中の緊迫度というのは高まり、いろいろな空港、港湾の利用というものが、例えばきょうの時点とは違った形で考えられるというところから、そのときにおける利用の調整というものはそういう時点から必要であろうというふうに考えて、そういう仕組みをとっておるわけでございます。

赤嶺委員 土地の利用や緊急通行権と比較して、予測事態から空港、港湾の優先確保が可能になる、その場合に、緊迫の度合いがという説明があったんですが、そこをもうちょっと詳しく言ってくれませんか。

増田政府参考人 逆に、例えば土地の使用につきましては、武力攻撃事態という段階でそういう仕組みを設けております。これは、そうは申しましても、それなりのある種の特別の仕組みを設けるわけでございますので、逆に、予測事態の段階において土地の、施設・区域の提供というものが必要な場合には、通常の段階を踏んでいくことで足りるのではないかと考えたわけでございます。

 ただ、武力攻撃事態という事態、まさに我が国が基本的にはもう武力攻撃を受けておるという段階におきまして、さらに、通常の施設・区域の提供のための手続をとっていては間に合わないことも想定されますので、土地の使用という手続を設けたわけでございます。

赤嶺委員 今度の米軍行動関連措置、この中で、今度は弾薬の提供が予測事態からできるようになっています。弾薬の提供というのは周辺事態法では認められていなかったわけですが、周辺事態にしても、予測事態にしても、日本が攻撃を受けていない事態、この点では変わりがありません。

 それで、周辺事態法ではできなかった弾薬の提供が、同じ事態である予測事態からは、なぜ今回できるようになったんですか、この点いかがですか。

増田政府参考人 今先生から、周辺事態と予測事態は武力攻撃が起こっていないという意味で同じ事態であるという御指摘があったように思いますけれども、しかし、私どもとしては、周辺事態と武力攻撃予測事態とは基本的に事態の認識というものはかなり違うと思っております。

 周辺事態と申しますのは、まさに我が国の周辺の地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態が起こっておるということでございますけれども、武力攻撃予測事態は、武力攻撃は起こっていなくても、我が国に対する武力攻撃というものがかなり予測されるという事態でございます。

 そういった意味では、我が国の防衛ということに全きを期すという意味で、あらゆる可能な限りできることをしておこうという観点から、予測事態の段階から弾薬の提供ができるように措置をしたということでございます。

赤嶺委員 次の問いは防衛庁長官になると思うんですけれども、日本の側としては周辺事態と予測事態、この事態には違いがあるんだと一生懸命強調されております。

 一方、アメリカの側からいえば、日本が周辺事態と認定した場合であっても、それから、武力攻撃予測事態という認定があった場合であっても、海外でアメリカが武力行使をしている、そういう事態は当然あるわけですよね。

飯原政府参考人 同時に二つの事態が法律上存在し得ることはあるということでございますが、ただ、具体的な、自衛隊が何を米軍に対する支援活動でやるかということはそれぞれ法律の要件にのっとりますし、また、ACSAの適用上も別々になっております。また、日米の調整メカニズムで調整手続もありますので、その辺は法律要件をきっちり守りながら実際の実行を行っていくということでございます。

赤嶺委員 事態の度合いを区別して法律をつくってさまざまな要件を定めているというのは、日本の側の問題ですが、米軍は、どんな認定をされた場合でも、海外で武力行使を行っている場合がある。そのときに、日本では武力攻撃はまだ受けていない、予測事態も周辺事態も同じ事態、そういうときに弾薬を提供するということになれば、米軍の武力行使の活動に直結していくということになりませんか。

海老原政府参考人 御答弁申し上げます。

 弾薬の提供につきましては、提供自体は予測事態におきましても提供ができるわけでございますけれども、米軍がそれを使用するという場合は、あくまでもこれは改正ACSAの新第五条に基づく場合でございまして、すなわち、我が国に対する武力攻撃を排除するために必要な活動を行っている場合ということで、具体的に申し上げれば、我が国に対する武力攻撃が発生した後ということになるわけでございますので、その以前の段階において米軍が提供を受けた弾薬を使用することはないということは、これは条約できちんと担保をされております。

赤嶺委員 条約で担保されているということなんですが、実際に、いわば周辺事態への対応、それから今は予測事態への対応ということで、米軍は区分して行動するんでしょうか。

飯原政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、我が国の方の法律要件は先ほど申し上げたとおりでありますし、また、条約上もそういうことになっております。また、具体的な運用上の問題につきましては、先ほど申し上げましたとおり、日米の調整システムがございますので、その中で切り分けをしていくということでございます。

赤嶺委員 法律の要件がそうなっている、条約上もそうなっている、切り分けは調整メカニズムでやっていく、こういう話なんですが、米軍の行動の実態、これを見ていったときに、本当にそういうことが通用するんだろうかと思うんですよね。

 あと一例挙げますと、米軍が、我が国の周辺で武力行使を行って、相手国による反撃が我が国に及ばないように、我が国の周辺海域で例えばイージス艦などを展開させる、こういうことは、法案で言う準備のための行動に当たりますか。

増田政府参考人 ただいまの先生のお尋ねの、米軍への反撃が我が国に対して及ばないように米軍が措置をするということがいかがかという御下問かと存じますが、私の理解では、今の御下問の、その措置するというのがどういうものであるのかということが必ずしもうまく理解できたかどうかわかりませんけれども、私どもが考えておる予測事態における支援の対象たる米軍というのは、日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な準備のための米軍の行動に対してというふうに法文上明記されておりますので、そういった意味では、そこにおいて、米軍の、日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な準備のためでない行動、例えば武力行使というようなものは入っていないということでございます。

赤嶺委員 いや、武力行使ということじゃないんです。

 今、私が質問をしたのは、米軍が我が国周辺で武力行使を行っている、これは行っているわけですよ。しかし、それが、相手国による反撃は当然予想される。その場合に、米軍基地を抱えている沖縄や在日米軍基地所在地域というのはやはり相手国からの標的にされる。そういう攻撃を未然に防ぐために米軍のイージス艦が展開をする、これは準備のための行動に入りますか、こういうことです。

増田政府参考人 重ねてのお答えになって恐縮でございますけれども、ここで申し上げておりますのは、予測事態の段階において支援の対象とする米軍、合衆国軍隊は、法律上、日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な準備のための米軍の行動ということになっております。したがって、この考え方は、まさに予測事態の段階において、それが武力攻撃事態、我が国に対する武力攻撃が起こった場合に有効な効果的な防衛行動がとり得るように準備をしておくという段階であろうと思っております。

 今、先生の御下問の措置というものがその準備に当たるものであるかどうかということは、ちょっと私、必ずしもよくわからないところがございますので、法律上の概念としては、我が国に対する武力攻撃が起こった段階においてその武力攻撃に対する防衛行動というものが効果的にとり得るようにする準備のための行動に対して支援がし得るということでございます。

赤嶺委員 説明できないなら、この問いはいいです。

 ただ、米軍の準備のための行動あるいは周辺での、海外での武力行使、こういうのは、日本の側から見れば準備のための行動という区切りを持ったにしても、実態的には、米軍は統一した司令のもとに展開しているわけですから、ここからここまでがイージス艦が準備の行動で出ている、ここからは自分たちがそういう海外での武力行使に使っていくという、ここは区別してやりますかね、一隻の。区別が法律上可能であるかのような答弁でしたけれども、そういう区別できますかね、実態として。

増田政府参考人 少なくとも、法律をつくっておって、法的な概念として、日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な準備のための米軍の行動という概念を設けております。

 再々申し上げて恐縮でございますけれども、我が国に対する武力攻撃があった場合に効果的な防衛行動がとり得るように準備をするという米軍の行動というものを法的に評価することは、当然可能であろうと思っております。

赤嶺委員 法律上の要件を定めているから可能だという範囲の説明を出ないわけですね。法律上の要件があるし、条約上の要件があると。

 それでまた、先ほど調整メカニズムというお話もあったんですが、それで今度は、本当に実態として調整メカニズムでどんな切り分けを日本政府はやっていくのだろうか、作業はどうなっていくのだろうかということでお聞きしますが、調整メカニズムで調整するという場合に、これは周辺事態だ、これは武力攻撃予測事態だというのを、どういう時点で、そしてどんな内容を確認して認定をしていくんですか。

増田政府参考人 具体的な段階におきまして、日米間で当然調整を経てさまざまな行為が行われるわけでございます。その一つが、まさに調整メカニズムということであろうと思います。

 当然、その調整の中で例えば支援の要請というものがある。こういうものを融通していただきたいということが米軍からあれば、それは米側が当然何のためにという目的を言う、その目的に対して我々がこたえ得るという場合にはこたえる、そういうことだろうと思います。

赤嶺委員 それで、調整メカニズムが開かれて、立ち上がって、弾薬の提供が求められた、何のためにということが確認された、それで法律の要件を満たしたということで提供が始まった。その弾薬を提供した後、それは法律の要件どおりちゃんと使われているかどうかということは、どんなふうに確認するんですか。

増田政府参考人 そういう日本と米国というまさに国家同士が調整をして、その必要なものをその者に対して与える。そのことは、まさに信頼関係として、当然、その言ってきたとおりに使われるということだろうと思っております。

赤嶺委員 その調整メカニズムで、いろんなレベルがあるわけですね。実際の弾薬の提供という話は、どのレベルで、だれとだれが話し合って決めるんですか。

飯原政府参考人 全体の基本方針は、法にのっとりまして、基本方針のもとで決まるわけでございますが、現場の物品の管理責任者は内閣総理大臣ということですが、それから委任を受けた者がございます。現場の部隊長等です。現場の融通関係ですので、その方針にのっとって、実際の物のやりとりはそのベースで決まると思います。

赤嶺委員 やはり現場のやりとりで融通していくと思うんですね。

 それで、そういうことについては事後、確かに法律、条約の要件に従ってこの弾薬は使用したものでありますという、これらの情報については公開しますか。

飯原政府参考人 そこは、実際、オペレーションといいますか、作戦情報にかかわる部分もございます。他方で、まさにこの法律の執行の結果、もしくは予算執行の結果ということもございますので、それが具体的な事態に応じましてどの程度公表できるかということについては、今の段階で明確なお答えがしがたいということについては御理解いただきたいと思います。

赤嶺委員 そうなると、武力攻撃予測事態だからといって提供した弾薬が条約どおりに使用されたかどうかというのは、まず条約があり、調整メカニズムがあり、そして現場でやりとりがあり、やる。それで、両国の信頼関係があるというような話になって、情報を公開しない。こうなってくると、私は、実際はどうなっているかわからないと思うんですよ。

 改めて思い浮かべる疑問としては、イラク戦争が始まる前に、イラク戦争に参加する目的で航行していたキティーホークに自衛艦が給油支援を行ったとキティーホークの艦長が発表して、そのときに、いや、あの艦船はイラクに向かう途中であったけれども、そのときはアフガニスタンへの命令を米軍から受けていたんだという当時の防衛庁長官の答弁を思い出すわけです。結局、だれが見ても、客観的には、あのキティーホークはイラク戦争に参加するために向かっていた。あの日だけ、給油を受けたその日だけアフガニスタンの任務についていたと言われても、米軍との信頼関係というのはそういうことかと思うわけですね。

 それから、結局、オペレーションだからということで公表もされなかったら、どんなふうに使われたかわからない、現場の軍任せでのやりとりになるのではないか、こういうぐあいに思います。

 そこで、場面を変えて、この問題についてもう一度伺いますけれども、艦船の場合、予測事態への対応として、米軍に優先利用を確保した港湾に入港したアメリカ艦船、これが出港後どういう行動をとるかについて、政府が、あなた方は武力攻撃予測事態ということでいろいろ港湾の優先利用も確保したのだからこういう制約がありますよというような、制約を加えるということができますか。

増田政府参考人 先生のお尋ねは、特定公共施設等利用法案に言う港湾の利用について、利用の調整の対象に米軍の艦艇がなった場合のことかと存じます。

 特定公共施設等利用法案が念頭に置いておりますのは、例えば港湾という特定公共施設等の利用の総合調整を図るという観点から、優先度の高いものにその利用をさせるということを調整しようという法案でございます。また、それに尽きるものでございます。

赤嶺委員 ですから、そういう法案に基づいて米軍の優先利用が確保できるわけですよ。それで、米軍が優先利用ということで港湾を使っている、その港湾を使っている艦船が日本の法律上の制約を受けるのか、自由に行動するのではないかということです。

増田政府参考人 御質問の趣旨が正しく酌み取れたかどうか自信がないところもございますけれども、港湾の利用という面について、特定公共施設等利用法案の仕組みと申しますのは、例えば、特定の港湾の利用に関しまして、自衛隊、それから米軍の艦艇もあるかもしれません、それから民間の方というようにニーズが競合した場合に、仮にどこかを、特定の艦艇なり艦船を優先しなきゃいけない場合に、それをまさに優先するように調整を図るということでございます。

 ですから、その利用に当たって、仮に米軍の艦艇が優先されたとしても、その米軍の艦艇の港湾の利用につきましては、別に優先されたから何か特別のステータスが生まれるということではなくて、通常の港湾の利用ということと同様かと存じます。

赤嶺委員 ですから、優先利用を確保された米軍の艦船のその後の行動の展開まで拘束するような法律上の仕組みにはなっていないということですね。

増田政府参考人 再々のお答えで恐縮でございますけれども、港湾の利用についての調整の仕組みでございます。港湾の利用以外の部分についてのことを律しているものではございません。

赤嶺委員 結局、日本は、特定公共施設等利用法というのをつくった、そして、いろんな船舶や艦船が競合する港湾においても、総合調整の上、最終的には米軍に優先利用を確保させる、しかし、その後、米軍がどんな展開をとろうとも、そこを日本の側で拘束できない。ですから、皆さんが今回、武力攻撃予測事態だからやったんだと言っても、その保証は艦船についても弾薬の提供についても全くないということを指摘しまして、私の質問を終わります。

自見委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 社会民主党の東門美津子です。

 本当にお疲れさまでございます。最後ですから、よろしくお願いいたします。

 在日米軍は、日米安保条約に基づき、我が国全土の防衛も任務としていますが、我が国の国土面積の約〇・六%にすぎない島嶼県沖縄に在日米軍専用施設の約七五%が集中しており、それゆえに、日常的に発生する航空機騒音による基地周辺住民の健康への影響や、戦闘機、ヘリコプター等米軍機の墜落事故、さらに米軍人等による刑法犯罪も数多く発生しており、沖縄県民は在日米軍基地をめぐる問題に苦しんでいるのが現実です。そういう現実は、在日米軍の抑止力の維持という観点から、どうにもならないというように感じられます。

 そこで、去る十一日の本委員会において、川口外務大臣に対し、政府の言う抑止力は沖縄県民が負担しなければならないのかと質問しましたところ、在日米軍が我が国を守っていくということの負担が特定の地方公共団体にかかっており、できるだけ軽減していきたい旨の答弁がございましたが、抽象的かつ一般論としての回答であり、とても納得できるものではありません。

 政府は従来から、在日米軍基地の整理縮小と抑止力との関係について、在日米軍の抑止力が効率的に維持されるとともに、沖縄を含む米軍基地の所在する地方公共団体の負担を念頭に置き、こうした観点から米国政府との協議を進めていくという考えを示しています。

 そこで、本日は防衛庁長官にお伺いいたしますが、政府が考える在日米軍が果たす抑止力とは、具体的に、何に対するどのようなものを意味しているのでしょうか、お伺いいたします。

石破国務大臣 何に対するどのような抑止力かということでございますが、我が国は特定の脅威を念頭に置いて安全保障政策を組み立てておるわけではございません。日米安全保障条約によって抑止力を確保する、自衛隊の存在とあわせて抑止力を確保すると申し上げておりますが、何に対してということを、具体的にこれを念頭に置いてやっておるわけではございません。基盤的防衛力というのはそういう概念でございます。一点はそれでございます。

 どのようなものというふうにお尋ねをいただくとしますならば、当然、核抑止力というものを在日米軍は負っておるわけではございません。そうしますと、抑止力とは何なのだということになりますと、これは通常兵器による抑止力ということになりますし、核を持っておりませんので、懲罰的もしくは拒否的抑止力ということにも相なりません。これは、強いて言えば、通常兵器によりますがところの拒否的抑止力という概念が当たるとすれば当たろうかと思いますけれども、ここのところ、ちょっと先生の事前にいただきました質問が、そういうような、何に対してどのようなということまで精緻に申し上げろというような趣旨だというふうに理解をしておりませんでしたので、その旨、もう一度よく考えてみたいと思っております。

 しかし、特定の脅威を念頭に置いてということではなく、そして当然核は持たないわけでございますから、通常兵力によりましての基盤的な防衛力的なもの、そしてそれをアメリカと日本が盾と矛という関係で持っておるということだと理解をいたしております。

東門委員 では、その件については、またもう一度別の機会でさせていただきたいと思います。

 冷戦後の国際情勢の変化を踏まえまして、米国は、これまでの戦略を転換して、軍のトランスフォーメーションの一環として全世界的な軍事体制の見直しを進めているとされていますが、この米軍の戦略の転換は、ならず者国家やテロなど非対称の新たな脅威に対応するためだと認識しておりますけれども、その認識はよろしいでしょうか。

石破国務大臣 単にそれだけにとどまるものではないと思っております。

 確かに、九・一一後の新たな脅威ということもございましょう。そしてまた、それがアクターといいますか主体として非対称的になったということもございますが、国家としてその対象が変わってきたということもあるのだろうと思います。

 もう一つは、戦術面におきまして、精密誘導兵器の驚異的な進歩によりまして戦術そのものが変わってきた、そのことによりますトランスフォーメーションというものもございます。

 これは、ただ一点においてのみトランスフォーメーションが行われていると理解はしておりませんで、いろいろな要素が複合的に重なり合ってトランスフォーメーションが行われておると理解をいたしておるところでございます。

東門委員 では、先ほども、特にどういう脅威ということははっきりしていない、特にそういうものはないとおっしゃっていましたので、その件についてはこのぐらいにしておきたいと思います。

 次に、米軍行動関連措置法案に対しての質問を行いたいと思います。

 米軍行動関連措置法案における土地の収用等についてですが、政府は、使用の期限を定めて公用令書を交付して土地等を使用するが、期限が到来した時点で返却するとしています。

 しかしながら、さきの大戦では、主に一九四三年から一九四四年にかけて、伊江島、嘉手納、読谷及び那覇等十六もの地域に飛行場を建設するため、軍隊が県民の土地を接収しましたが、戦後五十九年たった今も、多くの土地は国有地のままであり、その地主たちの多くは土地代を受け取っていません。この委員会でもこれに関する質疑が前にあったと思います。

 このような例があるだけに、果たして、政府が本当に期限が到来したら土地等を返却するのか、私たち沖縄県民の立場からすると、全く信用できないと言わざるを得ません。

 本法案における土地の収用等については、期限を定めて使用することとしていますが、この期限は絶対に守られるべきであり、延長すべきではないと思いますが、この期限は延長することができないという理解でよろしいでしょうか。もしそうであれば、沖縄での経緯を踏まえ、その旨、法律に明記すべきであると思いますが、いかがでしょうか。井上大臣にお伺いいたします。

井上国務大臣 今お尋ねの点につきましては、米軍行動関連措置法案の第十五条に規定されておりまして、国が土地等を緊急に必要とする場合におきまして、「土地等を合衆国軍隊の用に供することが適正かつ合理的であり、かつ、武力攻撃を排除する上で不可欠であると認めるときは、その告示して定めた地域内に限り、」「期間を定めて、当該土地等を使用することができる。」と規定しておりまして、これはまさに「武力攻撃事態において、」こう書いておりまして、いつでもということではないんですね。武力攻撃事態というその事態の中で、地域を定めて、期間を定めてその土地等を使用することができる、こういう規定でございます。

 したがいまして、こういうような、ある意味では非常に厳格な条件を規定していると思うのでありまして、武力攻撃事態が終わりますと、本条に基づきまして認められている使用の権原といいますか、それは終了するわけでございまして、引き続きずっとその土地を使用するということは考えられません。

東門委員 今、御答弁はそのとおりだと思うんですが、しかし沖縄の例を考えますと、そのまま五十九年も引きずっているんですよ。地主の皆さんはそれに対してすごい大きな不満を持っているんですよ。

 終わりました、武力攻撃事態は終わりました、しかしこの土地はこうこうこういう理由でまだ必要ですとか、そういう形でやっていくのではないかということも私の中にあるわけです。ですから、それはしっかりと明記すべきではないかと申し上げているんですが、もう一度お願いします。

井上国務大臣 これはもう法律できちっと書いておりますので、武力攻撃事態が終わりましたらその使用の権原もなくなるわけでありますので、それはもとの権利者の方に返されるということでございます。

東門委員 では、次の質問に移っていきたいと思います。

 ジュネーブ諸条約で規定されている国際的な特殊標章について、国民保護法案では、指定行政機関の長または都道府県知事は、医療関係者を識別するための赤十字標章等及び国民の保護のための措置を行う者を識別するための国際的な特殊標章をそれぞれ交付または使用を許可する旨、規定されています。これは国民保護法案の百五十七条、百五十八条です。なお、赤十字標章等及び文民保護標章は武力攻撃事態等においてみだりに用いることが禁止され、この違反については罰則を科しています。

 しかしながら、このような罰則を設けてしまうと、実質的に、平時から自主防災組織やボランティアの選別が行われてしまうのではないかと危惧されますが、これら赤十字標章等の交付の基準をどのように考えておられるのか、お願いします。

井上国務大臣 これらはまさにこれからよく検討しまして、基本指針の中で具体的に書いていくべきことだと思います。ですから、医療関係の従事者と、いわゆる一般に保護のための支援をする人と、これは二つ標章が違いますが、それぞれの時点で認定をいたしまして、交付をして、きちんとその標章をつけていただくようにしたいと考えておりまして、さらにこれはよく検討しまして、お尋ねのようなところがあると思います、前から交付しておくのかとか、いやいや、もっと事態が切迫してからやるのかとか、その辺のところを十分検討して、どういう方法が一番適切なのかよく検討しまして、一番適切なる方法で交付をしていきたいと今考えています。

東門委員 多分基準はもう既にできているのかもしれませんから、ぜひ答弁をお願いしましょう。

大石政府参考人 お答えさせていただきます。

 罰則を規定しておりますことに対する御懸念かと思われますが、この罰則を規定しておりますのは、乱用を防止する、こういう観点で罰則を置いているわけでございますが、そもそもこの標章というのは、国民保護に従事する方々を武力攻撃から守るための標章でございまして、国民保護に協力していただくボランティアや防災組織の方々には基本的に交付をする、こういうものでございます。

 ということで、交付をするに当たっての手続等につきましては、ただいま大臣から御答弁ありましたように、これから詰めてまいりたいと思っております。

東門委員 いや、私は、あのように積極的に答弁をされているから、ちゃんとした基準があるのかと思いましたら、何にもなかったようですね。本当に大臣の御答弁はこれからだということでしたけれども、やはりそういうものはもう既にできているべきだと本当は思うんですよ、こういう基準をもって交付していきますと。私は当然だと思うんですけれどもね。大臣は首を振っておられますけれども。

 では、次の質問に移ります。

 国民保護法案第四十三条では、政府は、国民保護措置の重要性につき国民の理解を深めるため、国民に対する啓発に努めなければならない旨規定しています。しかし、戦前は、教育の場で挙国一致や一億一心といったスローガンが呼号されて、報道機関は政府や軍部の統制のもといわば国策宣伝機関となっていました。

 したがって、本法律案に規定される啓発の名のもと、学校では愛国心、奉仕の心を植えつけて、思想、信条を押しつけるような教育が行われ、また、マスメディアにおいては国家の危機感をあおり、特定の国を敵国として意識させるような報道がなされるのではないかと危惧いたします。

 この啓発は、努力規定であるものの、本法律案が一定の期待を有しているあらわれであり、学校教育の教育内容や報道機関の報道内容にもかなりの影響を与えるものと思われます。学校現場や報道機関の活動をそのことによって大きく制約することになると危惧されますが、いかがでしょうか、大臣。

井上国務大臣 これは、先生は前の戦争のことを思い出されまして、それと同じことをまたやるんじゃないか、そういうような御懸念で質問しておられると思うんですが、もう時代は違うんですよ。本当に違って今来ていると思うんです。

 例えば、今、愛国心というようなことを言われましたが、これだって、私はやはり愛国心は皆持つべきだと思います。持つためにはどういうふうにすればいいかというのは、いろいろな方法があると思うんだけれども、愛国心はないといけないと思うし、それは私はあってもおかしくないし、当然のことでしょう。

 また、こういうような緊急事態に対処するのには、国とかあるいは都道府県とか市町村とか、あるいは関係の機関だけでこれは対処できませんよね。これはやはり国民の皆さんの協力がなければ、支援がなければ、国民の保護措置だって十分なことはできないと思うのでありまして、そういう意味で、国民の協力もお願いをしたい、そう考えておりますし、また、そのためには皆さんによく理解をしていただく、そのための啓発も必要だ、そういうぐあいに考えておりますけれども、決して、かつての戦争中のように、何でもかんでも国家のために個人が犠牲になるんだというような式の教育をしたり啓発をするなんということは、もう全く考えておりません。

東門委員 大臣の御答弁をお伺いしていますと、やはりそうなのかな、戦前回帰かなと思わざるを得ないような御答弁でしたけれども、やはりそれは不安があるわけですよ。(発言する者あり)いえ、先入観ではない、実際にその道を歩いてきた者として。私は直接戦争体験は覚えていません、実際にやっていません。しかし、その後、地上戦の後、その場で育ってきていますから、どういうものかというのはよく知っているわけです。

 それで、追体験の中で、教育のあり方、報道機関のあり方、そういうものをやはり学ばせていただいて、そうすると、今の愛国心、私は、ここで時間がないのでそれをやっている時間はありませんけれども、国を愛するということと、それを教育の中で愛国心を植えつけていくというのは全然違うことだと思います。そういうことを別の機会にしたいんですけれども。ただ、本当に懸念されるのは、また昔のような、今そういう状況になってきているので、私はお伺いしているわけです。ですから、今御答弁いただきましたけれども、また別の機会に愛国心についてもお話をさせていただきたい、議論をさせていただきたいと思います。

 自治体への責任転嫁ということからも伺いたいと思いますが、国民保護法案においては、内閣総理大臣は武力攻撃事態対策本部長として頂点に立ち、その指示は、国から都道府県、そして市町村へとトップダウンで流れ、最も危険な現場での対処等はすべて市町村がやらざるを得なくなるものと考えられます。

 現場で最も大変な避難や誘導に当たるのは、市の職員や消防職員、消防団ということになります。このような過大な責任にこたえるためには、市町村は平素から避難・誘導など訓練や啓発に多くの労力を割くことを余儀なくされ、地方自治法で規定されている自治体の本来の役割である住民の福祉の増進を図る、そういう業務に支障を来すこととなるのではないでしょうか。

 国民保護法案による市町村等の自治体への過重な責任転嫁とも言える負担への懸念について、大臣、御見解を伺います。

井上国務大臣 過重な負担でありますとか責任転嫁というようなことで、この法律は市町村長の義務といいますか仕事を規定しているんじゃないんですね。国民の保護のためにどうすることが一番いいのかということを考えまして、国はどうするのか、都道府県はどうするのか、市町村はどうするのか、こういうことを規定しているわけです。

 おっしゃいますように、この自治体の仕事、いろいろな仕事があります。それは国の仕事とほぼ匹敵するぐらいの仕事を持っているわけでありまして、そういう通常の業務はもちろんやる必要がありますけれども、一たん有事になりますと、これに対してきちんとした対応をとりませんと、やはり住民の生命とか財産に影響があるわけであります。あくまでこの法律は国民保護のための法律であるということを十分御理解をいただきまして、御協力をお願いいたしたいのでございます。

東門委員 国民保護、一番いいことは、有事有事と言うのではなくて、やはりしっかりした外交、平和外交をもってそういうことにならないようにすることだと思うんです。きのう、我が党の阿部知子もここの場で質問をしたと思いますが、日ごろから国民保護という観点で行政を行っていく。いわゆる沖縄だってそうです、神奈川県厚木の話もしていましたけれども。そういうところにもっと細かな配慮をしていくべきだと私は思います。それで、ただ有事有事であおっていくということでは私はないと思います。

 国民保護法案は、国民を保護するとうたいながら、今、有事有事と言うんですが、有事であること、それを理由に、国民に対して一定の条件のもとで権利の制限を設けていることも見えます。

 例えば、都道府県知事が救援措置を行う際に、正当な理由がない場合は、医薬品、食料など緊急物資の収用や、住民の土地、家屋、物資の使用ができることとなっています。この正当な理由について、政府は第一義的には、強制措置をとる国や地方自治体側によって客観的かつ総合的に判断されるべきものとしており、具体例として、物資については、被災により使用にたえなくなっているような場合や、家屋については、老朽化が進んでいること等により使用に適さない場合、あるいは対象となる施設が既に他の避難住民などでいっぱいになっている場合等を例示しています。これらの具体例は、物理的に物資の収用等が不可能な場合といった非常に限定的なものです。

 また、この例示された正当な理由から判断すると、いわば主観的な、思想、信条の理由で物資の収用等を拒否することは認められないと思われます。しかし、思想及び信条の自由も憲法の保障する基本的人権の一つであり、主観的、個人的な理由も正当な理由として認められるべきだと思いますが、客観的かつ総合的に判断されるべきものの中に思想、信条の理由も含まれるのでしょうか。

井上国務大臣 思想、信条の自由は、これはもう自由として尊重されるのでありますけれども、その理由をもって、片や救援を待っている人がいるんですよ、医薬品が必要なんだと。そういう医薬品を持っていながら、おれは思想的に反対だから売らないというわけにはいかぬと思います。

 それは、ですから、正当な理由の中に思想とか信条というのは入らないということでございます。

東門委員 思想、信条は入らないということを伺いました。

 ちょっと前後してしまいまして、捕虜取り扱い法案で、これはひょっとしたら通告が行っていないかもしれませんが、捕虜取り扱い法案第百六十四条では、拘束した捕虜が逃走した場合、捕虜等警備自衛官に対し、逃走した捕虜を再拘束するための権限が与えられています。

 この場合、合理的に必要と判断される限度において武器を使用する権限が与えられているほか、土地や建物の中に逃走した捕虜がいると疑うに足る相当の理由があるとき、または実際に捕虜が土地や建物の中に逃走した場合には、当該土地建物の中にも立ち入ることができることとされています。

 この立ち入りについては、正当な理由がない場合には拒むことができないとされていますが、どのような場合に正当な理由があるとして立ち入りが拒否できるのか、主観的理由や個人的な理由による拒否は認められるのかどうかも、これは防衛庁長官にお伺いいたします。

石破国務大臣 立ち入りを拒むことができる正当な理由がある場合とは何かと申しますと、捕虜等警備自衛官による立ち入り要件を欠くことが明らかな客観的事実がある場合などと考えておるということでありまして、先ほどのお話ではございませんが、主観的理由や個人的な理由でこれを拒むことはできない、それのみでこれを拒むことはできないと考えておるわけでございます。

 では、具体的には何なのだ、こう申しますと、例えて言えば、その土地などには捕虜、逃げてしまった捕虜が存在しないことが客観的にも明らかな場合、これは正当な理由ということになる。そこにはいませんということが明らかである場合には、こんなところに入っちゃだめだよと言うこと、拒む正当な理由には相なります。しかし、これが主観的に、自分御自身の個人的な理由もしくは主観的な理由によって、ここに入ってくれるなというふうに言われましても、これは正当な理由にはならないということでございます。

東門委員 質疑時間が終わっていますので、終わります。ありがとうございました。

自見委員長 次回は、明十四日金曜日正午理事会、午後一時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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