衆議院

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第4号 平成17年5月11日(水曜日)

会議録本文へ
平成十七年五月十一日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 玉沢徳一郎君

   理事 石破  茂君 理事 自見庄三郎君

   理事 宮腰 光寛君 理事 加藤 公一君

   理事 前原 誠司君 理事 松本 剛明君

   理事 河合 正智君

      岩屋  毅君    江崎洋一郎君

      大村 秀章君    佐藤  錬君

      坂本 哲志君    柴山 昌彦君

      菅  義偉君    菅原 一秀君

      谷  公一君    仲村 正治君

      根本  匠君    萩山 教嚴君

      鳩山 邦夫君    浜田 靖一君

      松宮  勲君    茂木 敏充君

      渡辺 博道君    泉  健太君

      市村浩一郎君    城井  崇君

      楠田 大蔵君    近藤 洋介君

      田嶋  要君    中塚 一宏君

      中野  譲君    平岡 秀夫君

      細野 豪志君    三日月大造君

      室井 邦彦君    横路 孝弘君

      吉田  泉君    江田 康幸君

      遠藤 乙彦君    赤嶺 政賢君

      山本喜代宏君

    …………………………………

   参考人

   (鳥取県知事)      片山 善博君

   参考人

   (敦賀市長)       河瀬 一治君

   衆議院調査局武力攻撃事態等への対処に関する特別調査室長          前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  津島 恭一君     坂本 哲志君

  大畠 章宏君     市村浩一郎君

  長島 昭久君     三日月大造君

  若井 康彦君     吉田  泉君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本 哲志君     津島 恭一君

  市村浩一郎君     大畠 章宏君

  三日月大造君     長島 昭久君

  吉田  泉君     若井 康彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 武力攻撃事態等への対処に関する件


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     ――――◇―――――

玉沢委員長 これより会議を開きます。

 武力攻撃事態等への対処に関する件について調査を進めます。

 本件調査のため、本日、参考人として鳥取県知事片山善博君、敦賀市長河瀬一治君に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。

 この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、両参考人からそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 御発言は着席のままで結構でございます。

 念のため申し上げますが、御発言の際は委員長の許可を得ることとなっております。また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないこととなっておりますので、あらかじめ御承知いただきたいと存じます。

 それでは、片山参考人、お願いいたします。

片山参考人 おはようございます。御紹介をいただきました鳥取県知事の片山でございます。

 本日は、こういう意見を述べさせていただきます貴重な機会を与えていただきましたことをまずお礼申し上げたいと思います。

 せっかくの機会でありますので、私どもが今回の国民保護法制についてどういう取り組みをしてきたかということ、それから国に対してどんなことを願っているかというようなことを中心にお話をさせていただきたいと思います。

 お手元にお配りいただいていると思いますが、私の方で簡単なメモを用意しております。ちょっと字が小さくて恐縮でありますけれども、「国民の保護に関する基本指針と国民保護計画」という題名の一枚の紙を用意しておりますので、それをごらんいただきながら御説明したいと思います。

 最初に、先般政府がつくられました基本方針についてでありますが、私はこれは高く評価をしております。それよりも前に、そもそも国民保護法制をつくる過程からずっと見ておりまして、評価をしております。

 それは、そこにも書いてありますけれども、法案の作成過程につきましても、それから法律に基づいて今般出されました基本方針につきましても、その策定過程において、かなり地方の意見といいますか、現場に近いところにいる者の意見を組み入れていただいております。現地にもよく政府の方からお出かけになられて、私どもの声に耳を傾けていただきました。これは、ほかのいろいろな分野で政府は活動されていますけれども、実は希有な例でありまして、ほかでは余りないものですから、特に目立つわけです。

 そういう意味で高く評価しておりまして、こういう政策形成過程というのが他の分野でもあれば、随分これから日本はよくなるのではないかとつくづく思ったりもしております。

 それから、その内容につきましても、以上申し上げたようなプロセスにおいてかなり相互交流がありましたので、現場といいますか、現場に近いところで国民保護計画、県の保護計画をつくる私のような立場の者から見て、かなり満足度の高いものになっております。ほとんど、違和感といいますか、そういうものはないと言っても過言ではないと思います。

 ただ、基本指針は基本指針として、それをこれからどういうふうに運用されていくかということが一番ポイントでありまして、まさに絵にかいたもちにならないようにするためには、それでもやはり気になる点が幾つかあります。

 それは、少し政府に対しては失礼に当たることになるかもしれませんが、いい機会でありますので率直に申し上げたいと思うんです。

 一つは、基本指針の中の基本方針のところに重要なことが書いてありまして、それらについてまず申し上げますと、例えば、関係機関相互の連携協力が大切だということが書いてあります。そのとおりなんです。

 ただ、今までのといいますか、今日の霞が関の各省の縦割りでありますとか、縄張り根性と言うとちょっと失礼に当たるかもしれませんが、そういう実態を見ておりますと、本当に関係機関相互の連携協力というものが円滑にいくのかどうかというのは、これはかなり難しい面があるんだろうと私は思います。国民保護法制なんかの法案の作成過程とか、それから基本指針の作成過程については、かなりまとまって、政府の一体感をかなり発揮された面があると思うんですけれども、日常の業務になりますと、決してそんなことはないわけです。ここのところを、ぜひ政治のリーダーシップで、各省の縦割りの弊害が出ないように、ぜひお気をつけいただきたいと思います。

 それから、同じく基本方針の中に、基本的人権を尊重しなければいけないと書いています。これもそのとおりでありまして、非常に重要であります。

 この点でも、各省庁の行動形式といいますのは、自分の役所の権利といいますか、そういうものに対しては非常に鋭敏でありまして、他省がつくった政策なんかにも、本当に目を皿のようにして瞬時に反発をする、そういうところがありますけれども、意外に、国民の権利、人権については鈍感なところがあります。各省協議の結果、各省の権利は守られた、しかし国民の権利は見過ごされた、そういうことはしょっちゅうあります。

 私も、過去役人の経験があるものですから、だれが国民の権利を守るんだろうなということを、よく各省協議の過程で自嘲ぎみに懸念したこともあるんです。そういうところがあるということは先生方は先刻御承知と思いますけれども、基本的人権が各省の権益の中で埋没しないように目配りをお願いしたいと思います。

 それから、国民の権利利益の迅速な救済、これも大切なことだと思います。やはり、有事のときには国民の権利を一時的に制限するということはありますし、そういうときに一番大切なのはスピーディーにリカバリーをするということだと思いますけれども、その救済というものが、例えば財政の論理によってゆがめられてしまうとか消されてしまうということも、我が国では往々にしてあることであります。

 財政の論理というのは、財務省の財務省流の視野ということももちろんありますし、それから我が国の財政が、これは国も地方もそうですけれども、どうしてもハード中心になっています。例えば、建設国債の対象になるものは優遇されるけれども、そうでないものは捨象されるとか、これは地方債も同じようなことがあるんですけれども、そういう財政の理屈でもって、本当に必要な国民の権利の救済というものがちゃんとなされないということが日本の場合には往々にしてあるんだと私は懸念しておりますので、そういうことも御認識いただければと思います。

 それから、国民に対する情報提供というのも重要です。国民にもそうですし、我々地方団体にも、やはり必要なところには必要な情報が迅速に届かなければいけないと思います。

 これも、見ておりまして、例えば災害のときなんかも、最近はかなり変わってきたと思いますが、一時期までは、だれが、どこの役所が一番最初に官邸に報告をするか、そういう功名争い、先陣争いみたいなことは一生懸命やられるんですけれども、肝心の現場がお留守になるということがよくあります。そういうことがないようにその辺のバランスを、もちろん官邸にもスピーディーに情報を届けなきゃいけないと思いますけれども、バランスが必要だと思います。

 それから、この種のことはスピード感が必要だと思います。いざというときにぱっと対応できる、この点でも危惧をしております。

 今の各省の合意形成過程を見ていますと、実にスピード感がないわけです。いやいや、いざとなったらちゃんとやりますよと言われるかもしれませんけれども、普通のときにできないことは、いざとなってもできないと思います。普通のときにどんなにやってもスピード感がないのに、いざというときにはぱっとスピード感が出るなんということは余り期待しない方がいいんではないか、やはりふだんが大事だと私は思っています。

 それからもう一つは、弱者のことは書かれています、この中に。高齢者とか障害を持っておられる皆さん方の避難の問題についても配慮しなきゃいけないと書かれておりますが、もう一つ、男女共同参画の視点というのをぜひ持っていただきたいと思うんです。

 これは災害のときもそうですし、こういう有事の場合の避難なんかのときもそうなんですけれども、例えば物資というものを考えた場合に、よく、乾パンでありますとか水でありますとか毛布だとか、そういうものはすぐだれでも思いつくんですけれども、例えばそこに、粉ミルクでありますとかおむつでありますとか、それからもっと言えば生理用品でありますとか、そういうものについては、やはり男だけで考えたらだめなんです。

 ですから、平時というか、ふだんから、いろいろ準備をする段階から男女共同参画の視点というものが必要だと私はつくづく思います。

 次に、鳥取県でこれまでどんなことをしてきたかということでありますが、鳥取県では、実はもうかなり先行して、法律で義務づけられました県の国民保護計画をつくる作業をやってまいりました。これは県だけではなくて、肝心なのは市町村でありますから、市町村も巻き込む形で今日までやってきました。スケジュール的に言いますと、国が想定していますスケジュールに対して、県では一年先行して、市町村では二年先行してやってきております。

 それはなぜかというと、別に奇をてらったとか、これも先陣争いしたとかそういう意味ではありませんで、従来から、政府が法律をつくって、それで地方団体に計画策定を義務づける、こういう手法はいっぱいあるんですけれども、往々にして、大体政府が方針を決めてひな形をつくって、それを地方団体がもらい受けて、ひな形どおりにつくって政府に提出して承認をもらう、こういうやり方になるんです。

 そうしますと、本当は現場でワークしなきゃいけない計画をつくるのに、政府に承認してもらうための計画づくりになってしまう。せっかくの現場の草の根の英知というものが計画に生かされないという弊害があるものですから、政府からひな形が出る前につくろうというのを実は鳥取県では方針にしているんです。

 ですから、この有事法制の場合だけじゃなくて、例えばDVの発生防止と被害者支援計画なんかも義務づけられましたけれども、もう鳥取県ではとっくにつくりました。これは法律が義務づける前につくってしまったんです。そんなことをしています。

 何がいいかというと、そうやりますと自分たちで考えます。自分たちで課題を考えて、その中から課題を発見したものを政府にむしろ提供する、こういうことをやっております。今回の場合も、実は、鳥取県でこの問題で早く取り組んでいろいろ現場でやってみますと、法制上の問題でありますとか現行制度との兼ね合いとか、いろいろ問題が出たものですから、政府の方に提出をいたしました。そういうものに対して政府は、このたびは本当に珍しくちゃんと見てくれて、政府の方針の中にも取り入れていただいたということで、そんな意味でも私は評価しているということを申し上げたわけであります。

 あわせて住民避難マニュアルなんかも独自につくりまして、自分たちでつくって、余りできのいいものではありませんでしたけれども、それでシミュレーションもやったりしました。そういう苦労をしたおかげで、実は市町村の方も随分取り組みが進んでまいりまして、最初、市町村はかなり嫌がっておりました。そんなものは国がすることだろうとか、せめて県でしょうということでしたけれども、鳥取県では、いろいろ説得したり協働作業をしてきまして、市町村は今では非常に熟度が増しております。ですから、多分全国でも一番早い時期に鳥取県内の市町村は、全部とは言わないかもしれませんけれども、大筋、市町村分の計画をつくることになるんだろうと思います。

 今後のことでありますが、これはやはり全国の自治体で計画策定がスムーズに進まなければいけませんので、そのためにどんなことが重要かというのを鳥取県の経験から、ちょっと差し出がましいですけれども申し上げますと、一つは、さっき言いましたように市町村です。市町村がどれだけその気になるかということ、これが私は一番重要だと思います。県も重要ですけれども、自分でやってみまして、やはり市町村が本当にいざというときにワークするかどうか、作動するかどうかということが非常に重要です。

 ただ、今日までの全国の市町村は、今まで、例の合併騒動で力をそっちの方にとられていまして、本当にお取り込み中だったものですから、肝心なことが余り進んでいないです、この分野だけではなくて。鳥取県では、そうはいってもというので、この分野はかなり強引に県と市町村でやってきたんですけれども、全国ではいかがでありましょうか。大事なことが全部、合併までは合併まではということで停滞をしているというのが現状であります。合併もめどがつきましたので、いよいよ重要なことに本格的に取り組まなければいけないと思います。

 それから、関係機関との連携、これは言うまでもありません。それから、隣接県との連携、これが重要であります。どういう有事を想定するかによりますけれども、鳥取県なんかは小さい県でありますので、どうしても隣県との連携というのが必要になってきます。これを必ず視野に置いておかなきゃいけない。

 そのときに、やはりここでも、県同士の間のこの問題に取り組む、熱意と言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、熟度といいますか、要するに温度差が歴然とあります。これをこれから調整しながら克服しなきゃいけないという問題がありまして、地方でも一生懸命やりますけれども、ぜひ国の方でこの問題については目配りをしていただきたいと思います。

 あとは、地方独自の問題として、試行錯誤的な訓練を積み重ねるということが重要だと思います。自分でやってみて考えて、ああ、なるほど、こんな問題があるのかということを会得するということであります。

 それから、政府については、ぜひ協力体制をしっかり設けてもらいたい。特に総合窓口、政府にはいろいろ関係機関がありますから、たらい回しになるということのないように、ワンストップの窓口をしっかりとそろえていただきたい。そして、親身に相談に乗っていただきたい。

 それから、政府は、この問題を私は評価していますので、今までのようないい姿勢をこれからも続けていただきたい。現場に学ぶ、そういう姿勢を続けていただきたい。

 それから、ぜひ政府には専門的領域での力を発揮していただきたい。専門的領域というのは、私の次にお話があると思いますけれども、例えば敦賀のような原発のあるところの問題とか生物化学兵器とか、そういう問題はやはり地方では不得手であります。ですから、政府が専門家集団を設けて、地方への指導とか協力に当たるという体制をとっていただきたいと思います。

 あとは、何といっても、国民、住民のこの問題に対する理解と協力、それから、いざというときの統一行動ができなきゃいけませんので、これは役所だけではなくて、その次の段階として、自治会とか町内会、そういうレベルで住民の皆さんとのこの問題についての認識の共有が必要になるだろうと思います。

 その他、あと二つですけれども、一つは、地域の防災力の強化ということに今鳥取県では力を入れております。地域の防災力は、地域の力の減退とともに今著しく落ちております。消防団に若い人がいないということなんかは象徴的でありますけれども、今これを克服するために、地域をもっとみんなで力をつけよう、支えようという取り組みを広くやっております。

 まず隗より始めよということではありませんけれども、県庁の職員、そうはいっても県庁も相当職員を抱えていますから、職場で仕事をする、これはもちろんですけれども、もう日がな一日、休みも県庁に出てきて、机に歯形がつくほどかじりついて仕事をするんじゃなしに、早く家に帰って、休みは休んで、家庭で役割を果たして地域に貢献しなさいということを言っています。地域で一人一役運動というのをやっていまして、消防団に入れる人は入りなさい、自主防災組織、町内会、自治会、NPO、ボランティア、何でもいいから一人一役以上はやりましょうねということで、少しずつ成果が出ております。

 実は、町内会なんかに参加しないのは、県庁の職員もそうなんですけれども、教員が参加しません。あと、国家公務員が参加しません。ぜひ国家公務員の皆さんも、例えば消防庁なんかも、霞が関から号令かけるだけじゃなくて、みずからが町内会に出て、町内会でどういう役割が個人として果たせるのか、そういう体験はやはり学ぶべきだと私は思います。

 これは、防災関係機関に限らず、どの役所の人もそうですけれども、それぞれ生活の場があるわけですから、その生活の場を一人一人の国家公務員も支えるということを、これは国の方針としてやっていただきたい。そうなりますと、全国には、地方にはいっぱい国家公務員いますから、大きな力になるのではないかと思います。

 それからもう一つは、これも政府のあり方ですけれども、有事法制をつくるということは、今までの平和、ちょっとぬるま湯の時代から変わってくるということであります。それなりにみんなが変わらなきゃいけないと思うんです。

 例えば政府の人事なんか見ていますと、相変わらず年功序列です。政府にもいろいろな機関があって、防災とか有事とか安全とか治安とか、そういうものに直接かかわる機関がありますけれども、そういうところの人事が一体どうなっているのか。

 例えば、それが年功序列で、次官が一番偉くて、その次が外局の長官で、局長で、そこに微妙な序列があって、年次との関係で、必ずしもその専門家でない人が座っているケースがあるのではないでしょうか。実際あると思います。ずぶの素人がぱっとトップになったりするというようなことがあるんです。そんなものを見ていると、危機感があるのかなと私なんかは思うのであります。やはり政府関係機関も、ぬるま湯ではもういられないわけでありますから、専門的所見、知識、経験、それから現場感覚のわかる人がその機関を率いる、そういう人事、それは、すなわち年功序列をやめなければいけないと思うんです。

 私は、危機管理ということを重視する以上は、今の霞が関のあり方なんかも、政治のリーダーシップ、政治の指導力で変えなきゃいけない、こういう時期になっているんだと思いますけれども、ちょっと外から見た感じでは、ほとんど変わっていないな、危機意識は霞が関の人事までは全く及んでいないな、そういうことを思わざるを得ない。これは政府の方には大変失礼でありますけれども、あえて申し上げさせていただきました。

 ちょっと時間をオーバーしましたけれども、ありがとうございました。(拍手)

玉沢委員長 ありがとうございました。

 次に、河瀬参考人、お願いいたします。

河瀬参考人 皆さん、おはようございます。私は、敦賀市長の河瀬でございます。

 本日、武力攻撃事態の対処に関する件につきまして立地自治体の意見を聞いていただける機会を設けていただきまして、心から感謝申し上げるところでございます。

 特に、先ほど知事さんの方からお話がございました、私ども、特殊な事情があるという一つの地域でございます。福井県は今十五基の原子力発電所を持っております。すべてそれが、福井県は嶺南と嶺北というふうに分かれておりまして、嶺南と呼ばれます敦賀以西に位置をいたしております。昨年八月に関西電力の美浜三号機の配管の事故がございましたけれども、ちょうどあの隣に当たるところでございます。

 敦賀市と原子力のかかわりにつきましては、一九六二年に日本で初めての軽水炉であります日本原電敦賀一号機の建設の決定に始まりまして、二号機、そして新型転換炉の「ふげん」、高速増殖炉「もんじゅ」、さらには、今、世界最大の発電量を誇ります日本原電の三、四号機、この建設着手もございまして、計六基、これまで四十年余りにわたりまして日本の原子力行政の先駆的な役割を担ってきたんじゃないかなというふうに自負もいたしておるところでございます。

 また、私は、一九六八年に創設をされました、全国の立地また隣接市町村で構成をいたしております全国原子力発電所所在市町村協議会という会がございますけれども、歴代敦賀市長が会長をさせていただいておりまして、これは、立地が二十四の市町村がございます。また、隣接市町村として八つの町村が参加をしておる協議会でございます。

 私ども、何といいましても、住民の皆さん方の安心、安全の確保、これを大前提といたしまして、地域と原子力発電所が共存共栄していける施策が実現をされまして、原子力があってよかったなと言われるような町づくりを今目指しまして、会員が一体となって、国のエネルギー安全保障という重要な国策に誇りを持って取り組んでいるところでもございます。

 また、私ども敦賀市でございますけれども、人口七万少し切れます地方都市でございます。今回、全国約二千四百の市町村の中で、国会の委員会での発言の場を与えていただいたわけでございますけれども、原子力発電所が今回の指針の中でも重要な位置づけを占めるとの御認識であるというふうに理解いたしているところでございまして、安心と安全を根幹といたしております全原協という立場としても、大変ありがたく、感謝をいたしておるところであります。全原協の会長という立場で、また立地市長という思いを申し上げたいというふうに思っておるところであります。

 これまで私ども、武力攻撃といいますとなかなかぴんとこなかったのが現実じゃないかなというふうに思いますし、非常に日本というのは平和で安全な国であるというふうに思っておりましたが、近年では、先ほど朝のテレビの方でも、北朝鮮が核実験を行う云々、ミサイルを発射した云々というようなことが報道されておりましたし、よく最近そういうことを聞きます。平和というものに対しましても、恐怖といいますか、そういうものも少し芽生えてきているような感じもいたします。

 また、安全という面でも大変な事故もたくさん起こっております。特に、地震でありますとか、先ほど触れました関西電力の、原子力発電所の中では初めての死者を出した事故であります。私どもは原子力災害というふうにはとらえてはおりませんけれども、やはり、ああいうプラントで起きました事故、また、尼崎での事故等々大変大きな事故が続いておりまして、なかなか安心、安全というものが薄くなってきたかなという思い、それと、先ほど触れましたような他国からのいろいろな攻撃があるんではなかろうかと思われるようなこともございまして、テロもいろいろな話題にもなっておるところであります。

 そこで、有事等々の武力攻撃事態への対処につきましては、国民の努力だけではなかなかいけないんではないか、さらに、一市町村の能力を超えるんじゃなかろうかというふうに思っておりまして、国にすべてをお任せして、私ども、日々公務に励んでいるのが現状でございます。

 今回、この基本方針で、それぞれの役割分担に応じて、武力攻撃災害の発生、また拡大の防止に必要な措置を実施することとされたことは、まことに適切であるというふうに思っております。住民の生命財産を守るというのが私ども首長に課せられました第一の責務といたします自治体として、持てる能力と機能を十分に発揮いたしまして、住民の安全、安心の確保のために努めていきたい、このように考えている次第でもございます。

 しかしながら、まだできたばかりの法律でございまして、実際にしっかりと動くかどうかという点では不安なところもあるわけであります。

 自治体は、住民の避難誘導から救援に至るまで大きな責務が課せられながら、国の判断に従属させられることになるわけでございまして、基本方針に、「住民の避難に関する措置を円滑に講ずることができるよう、国は必要な調整を行うもの」というふうにあります。この調整とはどういうようなものかなというふうに考えましたり、また、あらゆる武力攻撃等の事態に対しましてどのように住民の避難誘導をすればいいのか、自治体側に計画の策定をゆだねている点もあります。

 そこで、原子力発電所と身近に生活をともにいたしております市町村として幾つかのことをお願いしたい、このように思います。

 まず一番大事でありますのは、外交ということは国を守る上では非常に重要なことだというふうに思っております。日ごろ国会議員の先生方には、私ども、国の発展のため、また平和の維持のために大変御尽力いただいておりまして、深く感謝を申し上げるところであります。

 先ほども触れましたけれども、北朝鮮からミサイルが発射されたとの情報、また、核実験があるんじゃなかろうか。特に日本海側の都市といいますのは、御承知のとおり、黄砂というものがシーズンになるとどんどん飛んでまいります。要するに、自然の流れの中で、大陸の方から物が飛来してくるわけでございます。そういう意味で、核実験が行われたその後のいろいろなものが飛んでくるんじゃなかろうか、そういうような不安なども実はございまして、やはり外交面で、そういうことがないように、また、有事が起こらないようにまずあるべきが一番安心につながるわけでございます。

 平和で安全な国日本、こういうものを国会の先生方のお力でぜひこれからも確立していただきたい、このように思うところでもございます。いろいろな諸問題がございますので、世界の動きは難しいものがございますけれども、ぜひしっかりとした外交努力をお願い申し上げたい、このように思います。

 それと、被害想定ということでございますけれども、原子力災害、自然災害を問いませず、災害に対する有効な対応を行おうといたしますと、その災害がどの程度のものか、それを想定していくということが極めて重要であるというふうに思っておりまして、非常事態から住民を守るという観点では、これは他の災害とも私は同じだというふうに考えております。一元的な体制の中でこれは行われるべきでございまして、市町村の原子力防災計画に準じて行われることは理解するものであります。

 しかし、現行の防災計画につきましては、設備のふぐあいが進展をしました過去の事故をベースとしておりまして、これらがミサイルなどで破壊されることを想定する場合にもこれを適用できるのか。また、その内容を十分に検証し、相違があるのであれば、武力攻撃等に係る防災計画として適切に反映させることが不可欠ではないかというふうにも考えるところでございます。

 例えば、現行の私どもの防災計画の中では、防災対策を重点的に充実すべき地域を発電所からおおむね半径十キロ内というふうにしておるわけでありますけれども、これがミサイル攻撃を想定した場合でも適用できるのかなというふうに考えましたり、また、事故によりまして放射性物質が放出されるまでの時間を数十時間と想定しておるんですけれども、有事の場合においては、やはり時間的に極めて短いのではないかなということも考えます。

 そこで、避難指示にどの程度の時間的余裕があるのかな。これらの基本的な事項、実効的な対応に直接これはかかわるものでございますので、的確な被害想定が必要と考えておるところでございます。

 次に、住民への避難指示及び基盤整備でございます。

 原子力につきましては、特に有事があれば当然目に見えるものでございますが、原子力発電所の事故といいますのは、放射性物質というのは、これは全く人間の五感に感じないものでございます。色もついておりません。住民対応につきましては的確な情報伝達が大変重要であるというふうに思いますし、さらに、いかにそこから早く逃げていくか、離れていくかということも非常に大切なものだというふうに考えております。

 基本方針には、市町村の重要な役割として、県に伝えられました国からの避難指示を迅速的確に住民に伝えまして、さらに避難誘導を行うことと明記がされておるところであります。

 現実の体制はどうかということで、敦賀市の例をとりますと、今、私ども、全市にCATVが普及をしております。基本方針にも挙げられております防災行政無線、これも整備をしていただいておりますけれども、既に設置から二十三年経過いたしておりまして、大変老朽化をいたしております。かつ、全市民を対象としたものではございませんで、先ほど言いました、発電所から半径十キロ内に限定をされているところでございます。

 また、市民の情報収集に有効な手段でございます携帯電話は今ほとんど普及をしておりますけれども、やはり地方都市がゆえ、不感地帯があるのも現実でございます。

 また、避難する際に必要な道路、すなわち避難道路につきましても、避難には必要と言われております二経路はもちろんでありますけれども、実は一経路ですら十分に整備がされていない状況でございます。

 さらに、原子力発電所の特殊性から、非常に海辺に近い、また岩盤等の関係もございますけれども、いわゆる風光明媚な地域に立地しておるところが、私ども敦賀、美浜等も含めまして大変多うございます。そうなりますと、海水浴に非常にたくさんの皆さんが訪れるシーズンがあるわけでございます。そういう季節要因もこれは考慮しなければならないというふうに思います。

 どのような経路を通り、どのような手段を用いていかに避難させるのか。これらの課題、市町村にとりまして、計画ではなくて現実の問題であるというふうに考えておるところであります。

 特に住民への情報伝達につきましては、避難誘導を迅速的確に行わなければならない責務は理解するわけでありますけれども、国におきましては、まずこのような実態を把握していただきまして、国として、防災行政無線の全市内への整備、携帯電話の不感地帯の解消、避難道路の整備など、基盤整備を行うことが非常に必要であるというふうに考えておる次第でございまして、国会の先生方のお力を賜りたい、このようにも思うところでございます。

 また、専門家の配置ということでございまして、原子力というのは非常に特殊性がございます。安全確保につきましては国の一元的責任のもとで進められておりますし、必要な専門知識と能力につきましては、なかなか市町村の能力を超えるものでございます。

 現在、私ども立地地域にはオフサイトセンターというものの設置をいただきました。それぞれ原子力防災専門官が、さらに福井県など一部の地域には原子力安全地域広報官が今配置をされております。現在兼任であります広報官を専任にし、平常時にも有事の際にも、広報官、専門官が市町村に対し適切な指導助言を伝えるように、また住民に対しまして説明責任を果たせるよう体制を整備すべきであるというふうに考えておるところであります。このようなことにつきましては、地域住民の安心、安全確保の観点から極めて有効な方策と考える次第でもございます。

 最後になりましたけれども、魂の入った計画にすべきという声も聞かれているところでございますけれども、対応すべき相手につきましては、行政組織ではなく住民であるということを深く認識した実効的な計画を策定することが重要であります。常に住民に接しまして、住民の生命財産を守るべき責務を有します私ども市町村長として、住民に対しましてどのような対応をとるのか、現実を直視した対策を思案しなければならないというふうに考えているところであります。

 最後に、冒頭触れました二十四の市町村は、全国のわずか一%の市町村でありますけれども、全国の発電量の三分の一を供給しているということに誇りを持ちまして、今、国策の最前線で取り組んでいるところであります。私ども、この誇りが色あせないように、立地市町村の住民の安全が確保されまして、安心できる、実効のある体制の確立をお願い申し上げまして、発言を終わらせていただきます。

 本当にきょうはどうもありがとうございました。(拍手)

玉沢委員長 ありがとうございました。

 以上で両参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

玉沢委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 参考人に対する質疑は、理事会の協議に基づき、まず、各会派を代表する委員が順次質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石破茂君。

石破委員 おはようございます。自由民主党の石破であります。

 両参考人におかれましては、大変公務多用のところを本委員会にお出ましいただき、貴重な御意見を承りました。厚く御礼申し上げたいと存じます。

 時間も限られておりますので、何点か質問させていただいて、まとめてお答えをいただければと存じます。

 片山知事から、本当に有意義な取り組みについてのお話がございました。あるいは読まれた方もいらっしゃるかもしれませんが、片山知事のもとで防災監を長くお務めになった岩下さんという方が「鳥取から始まる住民避難への取組み 国民保護計画をつくる」という本を書いておられまして、これは本当に読んでみて、私もなるほどねと思うところがたくさんありましたし、今後国として取り組まねばならない課題もたくさんあるなというふうに思いました。

 知事おっしゃいますように、きれいな計画というのは幾らでも書ける。実際にそれが動くのかどうなのかということだと思います。

 訓練とかいうものは、何月何日何時にやりますなんということをやっても、大体これは訓練にもならないのであって、みんなシナリオどおりにうまくいってよかったよかったというようなことになるのが通例であって、実際にそんなもの役に立つのかねという気がしないではありません。訓練というものは、なるべく突然に、なるべく大がかりにやってみないといかぬのだろう。

 では、それは戦争の準備か。いや、そうではなくて、それをきちんとやっておくことが戦争にならない抑止力になるのだということを住民に御理解いただかねばならないと思っておりますが、この訓練というものをどのように行うか、その費用はだれがどのように負担するべきかということが一点であります。

 第二点は、困ったときの自衛隊というお話があって、それはそれでとてもありがたいことですし、信頼もしていただいております、隊員も一生懸命やっておりますが、武力攻撃事態においては、では自衛隊は何をしてくれるのかねといえば、自衛隊は、武力攻撃事態においては、すべての力をもってして侵害者を排除するということが自衛隊の仕事であるはずであります。もちろん、能力に余裕があれば、国民の保護、そういうことにも力を尽くしますけれども、まず侵害を排除する。それは自衛隊以外にはできないことであって、警察や消防や民間人がやってはならないことであります。

 そうしますと、災害でも何でもそうですが、自衛隊が出てくる、いろいろな救助を行い、復旧を行い、いろいろな対処をしますが、武力攻撃事態の場合には、自衛隊は侵害排除に全力を尽くしている。そうすると、玉突きみたいな話なんですが、だれが何をやるのという仕事が変わってくる、災害とは変わってくるはずであります。自衛隊がやっておったことを警察、消防がやる。では、警察、消防がやっておったことをだれがやるのというようなことになってきます。そうすると、ひっきょう、マンパワーの不足とか組織の不足というのが出てくる。

 これは、先般法律をつくりましたときも、民間防衛組織というものをどうするんだという議論がございました。民間防衛組織なんというと、ネーミングがよくなかったのかもしれません、シビルディフェンスを訳すとそうなっちゃうだけのことなんですが、市民が竹やりを持って戦うのかみたいなイメージを持つ人が多くて、全然そうではありませんというお話をしたのですが、どうも抑制的に物事を考えてしまって、そういう組織をつくるんだということを法律には明定しなかった経緯がございます。

 では、これをどうするのだ、そういう民間の防衛組織のような、国民保護組織のようなものをどうするのかということであります。それに鳥取県がどのように取り組んでおられるか。

 特に自衛隊のOB、自衛隊は若年定年でございますし、あるいは任期制隊員の中には若くして退職して民間企業におる者もございます。

 こういうような、自衛隊を退職した者、あるいは警察のOB、消防のOB、これはちょっとお年を召しておられるかもしれませんが、それが地域において何をすべきか、それと行政がどのような関係を持っていかれるかということについて、知事のお考えがあれば承りたいと存じます。

 第三点は、知事もお触れになりましたように、合併というものと国民保護というのがどうなっていくのかということであります。

 私も、鳥取県を見ておりまして、合併に否定的なものではありませんが、合併すること自体に忙殺されて、行政能力というのが一時的にかなり落ちている地域があるのではないかという感じを持っております。市町村によっては従来の面積が何倍にもなっちゃったところがございまして、そしてまた、そこの新たな首長さんが全部の地域に通暁しているかといえば、必ずしもそうではないところがあろうかと思います。

 これと消防との関係もございます。では、広域消防というものがどのようになっていくのか、この広域合併というものと広域消防というものがどのようになっていくのかということがございます。消防の役割について今後どうあるべきかということについてお教えをいただければと思います。

 知事に対する最後の質問でございますが、知事は、中央政府にもおられ、自治大臣秘書官もお務めになりました。国の体制というものはどうあるべきなのだろうかということでございます。

 今、緊急事態基本法というものをつくらねばならない。そうすると、今の組織で本当に動くのか、それとも新たな組織をつくるべきか、内閣官房の中にそういう組織をきちんともう一度整理し直すべきなのか、あるいは危機管理庁のようなものを設けるべきなのか、そういうことが今後の議論になろうかと思います。知事のお考えがあればお教えをいただきたいと思います。

 それから、市長さんに一つお尋ねをしたいのです。

 以前、麻生幾さんの「宣戦布告」という小説がありました。敦賀近辺を舞台にした小説で、私はあれを読んで慄然としたことをよく覚えておるのでありますけれども、原発に対して今どのような認識をお持ちか。

 つまり、今のところ原発は安全だというふうに思っておりますが、いろいろな議論がありまして、ジャンボジェットが落ちたらどうなるんだとか、あるいはそこがテロによって襲われて、バリケードが破られて、中にテロ、ゲリラが侵入したらどうなるんだ、いろいろな議論がございます。この原発の警備というものをだれがどのように行うべきなのかということについて市長さんの御見解を承りたいと存じます。

 以上です。

片山参考人 幾つか御質問をいただきまして、一つは、訓練をどのように行うのかということなんですが、石破代議士おっしゃいましたように、往々にして役所の訓練というのは、決められたスケジュールにのっとって整然と行ってうまくいったというのは、これは当たり前なんです。

 鳥取県でも、かつてそういう形骸化した、これは主として防災訓練でありましたけれども、そういう面が見られましたので、変えました。それは、例えば抜き打ち的に招集するということももちろんやりますし、仮にそうでない場合でも、招集は一応しますけれども、その後の状況設定というものを随時やっていく。その場で考えさせる、みんなで考える。私自身も、どういう被害が進んでいくのかという状況設定なんかをその場で知って、そこで判断して、バーチャルでありますけれども、指示を出す。そういうふうに変えましたら、随分やはり変わってきました。

 ですから、国民保護の場合も、訓練のあり方というのはそういうふうに形骸化していないものに変えていかなきゃいけないと思っています。

 それからもう一つは、今回ので住民の皆さんを巻き込むことになりますので、そこが非常に悩ましいところなんです。日常生活を遮断することになりますので、頻繁に各地でということにはならないものですから、その辺をどうするかということです。

 とりあえず、私は、まず、そういう訓練を受け入れていただくような素地がやはり住民の皆さんの間にできなきゃいけないので、それをどうやってやるかというのが、先ほどちょっとペーパーで御説明しましたけれども、町内会単位とか自治会なんかでこの問題をもっと取り上げることによって、これは市町村と協働しなきゃいけませんけれども、取り上げることによって住民の皆さんにそういう素地をつくっていく、これから始めるべきだと私は思っております。

 費用をどうするのかというのは、これはルールがあるわけではありませんけれども、私の相場観では、国と地方とで割り勘ぐらいかなという感じがしております。全部国だという意見もありますけれども、でも、要は国民、住民を守るわけですから、折半でいいんだろうと思います。

 それから、自衛隊の問題です。

 自衛隊は、災害のときには本当に大きな力になっていただいています。私のところで三年半前に鳥取県西部地震がありましたけれども、本当にこのときには自衛隊の皆さんに大きな力をいただきました。それは、住民の安全の問題もありますし、それから物資の供給もありますし、いろいろな面で助かりました。

 ただ、有事の場合にはそうはいかないと思います。やはり当面の敵を相手にするのは自衛隊の専権事項でありまして、自衛隊の皆さんを住民避難の局面で期待するということは、私は避けた方がいいだろうと思っております。ただ、状況によっては、例えば自衛隊も手がすいているというケースもあると思いますので、そういう場合にはできるだけのお手伝いをしていただくというぐらいの関係を日ごろから築いていけばと思うんです。

 世の中では、自衛隊がどこまでやるのだということで、きちっと明確に線を引けというような意見もありますけれども、それは私は邪道だと思います。むしろ野球なんかのことを考えるとよくわかりますけれども、内野と外野が別にラインを引いているわけではありませんので、お互いが力量とかその場の状況を見ながらどうやってカバーし合うかということだと思いますので、もちろん、我々は自衛隊のカバーは正面ではできませんけれども、自衛隊の皆さんが余力を持ってどこまでカバーしていただけるかというのは、その場その場で最善のことができるよう、そういう間柄をつくっておくことだと思います。

 それから、民間の防衛組織の問題です。

 先ほどちょっと申しましたけれども、一つは、地域に今まであります防災力、これは常備消防以外ですと消防団が中心になりますけれども、やはり当面はこれの強化が必要なんだろうと私は思います。それから、消防団以外には、例えば自主防災組織というのがありまして、ただ、ここは現実にはかなり高齢化していますから、これを若い人に入っていただいてモチベーションの向上を図るということも必要だろうと思います。

 それから、さっき石破代議士がおっしゃった退職自衛官との連携というのもあると思います。鳥取県でもOBの皆さんと連絡をとって、私もびっくりしたんですけれども、千五百人おられるんです、小さな県ですけれども。それで、比較的高齢の方もおられますけれども、それでもまだまだ元気のある方もおられるものですから、今、その退職自衛官の会の皆さんと相談をしながら、どういう御協力がいただけるのか、こちらとどういう連携がとれるのかということを相談しているところであります。これは全国でもぜひそういうことをされたらいいんだろうと私は思います。

 それから、市町村合併と国民保護の問題ですが、これは市町村が本当に私は大変だったと思うんです。合併というのは大変な作業だったと思うんですけれども、やはり政府が余りにも大号令をかけてしりをたたき過ぎたのではないかと思うんです。合併がむしろ目的みたいになってしまって、合併が終わるまではとにかく合併のさわりにならないようにというようなことが基本的な行動様式になってしまって、大事なことは後送りとか後回しというふうになっている面がないわけではありません。この国民保護の問題でもやはり全国的にはそういう問題があるんだろうと思います。ただ、一応合併騒動も一段落しましたから、いよいよ本腰を入れて本務に専念するということだと思います。

 ただ、地域によっては、例えば地域でしこりが残るとか、合併したところ、しないところとあって、同じ広域の範囲に入っていても、合併しないところがちょっと白眼視されるとか、そういうようなことがあってはなりませんので、それはよく県の方で目配りをしなければいけないのではないか、これは一般論でありますけれども、そんなことを考えたりしています。

 特に、合併で消防団が弱化する。特に中心市というのは比較的消防団が弱いところが多いんです、中心部になるほど。そこに縁辺部が入ってきましたときに、縁辺部も消防団が弱くなってしまうということにならないようにしなきゃいけない、そういう問題意識を持っています。

 それから、国の体制ですけれども、これもちょっとさっき人事の話で年功序列の話を申し上げましたけれども、年功序列なんというのをやっているのは霞が関だけだと思うんです。珍しい組織なんですね。だから、それをぜひ私はメスを入れられたらいいと思うんです。

 それからもう一つは、組織として、従来日本は、戦後は特にそうですけれども、危機管理の面では、存在感が非常に機関として小さくなっていると思います。

 例えば防災ですと、かつては自治省の外局で消防庁、今は総務省の外局で消防庁。外局なんですね。それから、海上保安庁も運輸省の外局で今は国交省の外局だと思いますけれども、いずれにしても外局ですから、どうしても、本丸に対しては支店みたいなことになります。人事でもやはり、わきと言うと失礼かもしれませんけれども、ちょっと二番手みたいになってしまう可能性があるので、危機管理ということを正面からとらえた場合には、やはり国の省庁の再編というものを私は考えた方がいいと思っております。

河瀬参考人 まず、九・一一のあの映像がありまして、そういうものが原子力発電所にあったらどうなるんだということは、その当時よくありました。私どもが聞いた話では、真上からジェットが落ちない限りは側面で当たっても大丈夫だ、それだけの施設をつくってあるということを聞きまして、ほっとしたことを覚えております。

 それと、「宣戦布告」という小説、私も読んだんですけれども、それで映画を撮らせてくれと来たので、イメージが悪くなるのでやめてくれと私は断りました。そういうこともあるかもしれませんけれども、ないことを信じながら私どもはおるものですから。

 現在は、警察そして海上保安庁が警備に当たっていただいております。ただ、では、それで本当に安心かと言われますと、大変不安な面も実はございます。私ども、実は、何とか自衛隊を誘致して、やはり近辺に自衛隊がいてくれてふだん警備をしていただけるようなことがあればもっと安心につながるなということも、よく議会などでは話が出ております。まだ正式にそういう動きはいたしておりませんけれども、そういうことも実は考えています。

 それと、私どもの地域も、先ほど言いましたように風光明媚なところでありますから、観光に今正味力を入れています。冬場は越前ガニはうまいですし、フグの養殖でも物すごくうまいんです。先生方、ぜひ来てほしいと思うんですけれども。

 そうしますと、原発というのは私は使わないんです。これはもう広辞苑に載っていますから、原発は仕方ないです。では、火発、水発と言わぬですね。原子力発電所、水力発電所、火力発電所を火発と言う人はいないと思うんです。何で原発と言うのか。私、ちょっと原爆に似ているイメージがあるものですから、非常にイメージダウンをしておるなということも実は考えておりまして、原子力発電所については、私は、極めてクリーンであるし、これから地球温暖化という大変重要な問題にも対応できるすばらしいエネルギーであるというふうに思いながら、一緒に共存共栄していける町を進めております。

 そういうことで、警備につきましては、まだまだやってほしい面はたくさんあると思います。

石破委員 終わります。

玉沢委員長 次に、河合正智君。

河合委員 公明党の河合正智でございます。

 片山知事、河瀬市長におかれましては、御多用のところ参考人としてお越しいただきましたことに対しまして、心より厚く御礼を申し上げます。

 私からは、まず両参考人に、武力事態対処法及び国民保護法等の体系におきまして、国は国家の防衛を役割分担し、地方は国民の生命財産を守るという大きな仕分けになっているわけでございますけれども、この点につきましての御要望等がございましたら、お伺いさせていただきたいと思います。

 それを前提としまして、武力攻撃事態にしましても緊急対処事態にいたしましても、いわゆる単独の自治体では手に余る、したがって、近隣の自治体と連携して対処していくということが必要になっております。基本指針におきましても、「国は、地方公共団体相互の広域的な連携体制の整備の推進に努めるものとする。」とされておりまして、いわゆる災害対策基本法のスキームが活用されておりますけれども、しかし、自然災害の場合には、例えば同時多発的にテロが発生したり弾道ミサイルが着弾するといった、そういうことは余り想定されていないのではないかと思います。

 しかし、これも、安政の大地震、これは、東海、東南海・南海地震が同時に起きて首都直下型地震も誘発したという事例がございますので、自然災害の場合におきましても今後十分対処しなければいけない課題であるとは思っておりますけれども、通常の自然災害の場合にはそのようなことは考えられておりません。

 こういった武力攻撃事態におきましては、他県からの応援を期待できない。したがって、自分の県民、市民を守るということをまず優先順位を高くしておかなければいけないという実態の中で、広域連携を図るという非常に難しい問題があると思いますけれども、この点につきましてどのようにお考えなのか、両参考人にあわせてお伺いさせていただきたいと存じます。

片山参考人 有事の場合の国と地方との主たる役割の分担というのは、私は、法制的にはある程度できたと思っております。その場合に、国は専ら敵といいますか、有事の原因となった者との関係を主とし、地方は国民、住民の皆さんの生命、身体さらには財産までの保護をやるという、これで基本的にはいいと私は思います。もう少し言いますと、さっき申しましたように、余力がある場合には、ぜひ住民避難、保護の場にも自衛隊などの協力が得られればということであります。

 それで、国に対して要望はということでありましたが、先生おっしゃいましたような、一つは、やはり広域連携が必要になります。避難にしましても、自分の県内だけで完結する場合に限りませんので、広域的にどこにということがありますので、それは地方同士で連携をとりますけれども、それがなかなかうまくいかないケースも場合によってはあると思いますし、それから、さっきも言いましたけれども、やはり温度差が事前の段階でもあるものですから、そういう場合にうまく国があんばいをしていただく、目配りをしていただくということを私たちは期待しております。

 それから、情報ということになりますと、やはりこの分野では圧倒的に国に集中するわけでありまして、地方は、独自の情報というのは、現場の情報はありますけれども、有事のさわりのところの情報というのはないわけであります。それについては、本当に的確で迅速な情報を提供していただくということは、これは国に求めるところであります。

 特に、その場合に、スピード感ということが要求されるわけです。その点で、私、先ほど冒頭申しましたように、ちょっと危惧をしている。なかなか返事がないというのは、これは日常よくあるんです。

 BSEのときに、三十カ月以上の牛を検査しなさいという方針を政府が出されたときに、鳥取県から質問をしたんです。三十カ月未満の牛は検査しなくて安全だというのはどう説明するんですかと言ったら、とうとう最後まで説明はありませんでした。何回も聞いたら、しつこいと言われたんです。そういうことでは困るんです。あれも一種の有事なんです。みんながパニックになったときにどうするのか。そういうときに、全く気のきいた返事がなかったというようなことがあったものですから、これは分野が違いますけれども、ぜひ迅速な的確な情報ということを期待します。

 それから、さっき言いました生物化学兵器とか原子力なんかの専門的分野でちゃんと国がリードをしていただきたいということ。

 それから、事後のリカバリーについて、国がちゃんと的確な措置をしていただきたい。有事のときはいろいろなことが起こりますけれども、後でちゃんとそれが的確に始末ができるかどうか、正常への復帰が財源措置も含めてできるかどうかということ、これが問題だと思います。

 それから、現場でいろいろなことを想定してシミュレーションなんかをやってみますと、有事のときに避難をする道路と自衛隊が駆けつけてくれる道路が一緒だと、やはり無理だということがよくわかりました。我々最初は、一緒に片側通行でいいだろうと思っていましたけれども、これは道路を変えなきゃだめだ。

 ところが、今までの高速道路なんかも含めての道路計画というのは、そういう有事への対応ということはほとんど念頭に入っていません。採算性とか効率性とか、道路公団の問題とか、そういうことだけでやっているんですね。国の道路とか、そういう大量輸送のネットワークを考える場合に、ぜひ有事というものを新たなポイントとして追加していただきたい、こんなことを国に対する要望としては持っております。

河瀬参考人 今、片山知事さんがおっしゃっていただいたのと大体同じでございます。特に国と地方の役割分担が明記されておりましたし、それはそのような形でいきたい。

 ただ、一点、広域連携の場合、私ども原子力立地地域と、持っていない地域があります。そういうものの連携、これは地方同士の話になるというふうに思いますけれども、といいますのは、私どもの町に国道が走っていますけれども、国道に遮断機があるんですね。あれは実は雨が降った場合の規制なんですけれども、人によっては、原子力発電所で事故があったときに、放射能を帯びた人間がいる場合、動かすわけにいかぬからもうそこで遮断してしまえというような、そういう話もあったりします。

 仮に発電所のところでそういうような大きな有事があった、放射能が出た、浴びた人がいる可能性が出ます。そういう人がどういうふうに逃げるかといったときに、どういうふうに対処できるのか、本当に受け入れてくれるのかなというような、実はそのような危惧もあるわけでありまして、私ども発電所を持っている地域にしますと、そのあたりをどのように国がやっていただけるのかなという疑問を少し感じたりすることもございます。

 それと、連携の場合ですと、電気、ガス、輸送、通信、いろいろな機関がありますけれども、それをどのように活用できるか、また協力いただけるか。特に通信、輸送機関というのは絶対に必要なものでありますので、そういう連携体制もしっかりとれるように国にお願いをしたいなというふうに思っております。

河合委員 それでは、先ほど片山知事さんがおっしゃいました危機管理の点につきまして、幹部には現場感覚と専門性を重視する人間を登用すべきだ、こういう御提言がございましたけれども、こうした適切な危機管理能力を備えた人材をどのように見出して活用したらいいのか、知事の御意見を賜りたいと思います。

 私は実は公明党の災害対策本部の事務局長をいたしておりまして、中越地震の場合、神崎代表とともに翌々日に現場に入りまして、新潟県の会議に参加した経験がございますけれども、そのときにも、知事が御指摘されましたことを痛切に感じております。ぜひその点についての御意見を賜りたいと思います。

 それから、河瀬参考人に対しましては、先ほどの御意見の中でオフサイトセンターについて触れられました。福井県には四カ所あると思いますけれども、原子力災害に用意されておりますこのオフサイトセンターは、恐らく武力攻撃事態におきましても、国民保護活動に対して非常に有効であると考えます。したがいまして、オフサイトセンターの機能を武力攻撃事態の際の国民保護へどのように活用するかということにつきまして、御意見がございましたら賜りたいと存じます。よろしくお願いいたします。

片山参考人 鳥取県でも、防災といいますか危機管理の専門部局をつくったんです。

 私、知事になりまして点検しましたら、防災のことを専門に、四六時中とは言いませんけれども、いつも考えている人というのはだれがいるのかと思ったら、鳥取県生活環境部消防防災課防災係長、こういう係長さんだったんです。それ以外の人は、防災のこともちょっとやるかもしれませんけれども、専門ではないんですね。これではだめだというので、防災監という高位の職をつくったわけです。もちろん、専門家がそのときいたわけではありませんので、必ずしも専門性ということはその段階では身についていなかったかもしれませんけれども、しかし、ちゃんとした人をつけて、モチベーションの高い人をつけて、その人に専念させました。そういうことから始めました。

 ただ、スタッフにはいろいろな人を集めまして、例えば常備消防からスタッフで来てもらうとか、市町村から来てもらうとか警察から来てもらうとか、それから自衛隊からも来てもらいました。現職の自衛官に来てもらいました。それから、たまたま県庁の中の大勢の職員の中から探しましたら、自衛隊に入っていたけれどもやめて県庁に入ったという職員もいるものですから、ああ、これはいいというのでそれを持ってきましたら、随分大きな働きをしてくれました。

 そんなことで、防災局といいますか防災部局という、今でいいますと部に相当するんですけれども、そういうちゃんとした専門集団をつくりました。

 国の場合を見ていますと、ちょっとこれは大変申し上げにくいんですけれども、やはり人事の問題が私は大きいと思います。ローテーションで、局長をやったら外局の長官をやって次官待ちだとか、次官から外れたとか、そういう形で決まっているケースが結構あるんではないでしょうか。全く専門性がないとか、一、二年ですいすいかわって腰かけ的だとか、そういうことがあっては、私は士気にかかわる問題だと思うんです。いざというときにちゃんとした発動ができないんだろうと思いますので、そこは、私は政治による点検と是正が必要だと思っています。

河瀬参考人 オフサイトセンターでありますが、これもいろいろ国にお願いをし、いざというときの備えということでつくっていただきました。福井県内には嶺南地方に今四つ、敦賀市、美浜町、大飯町、高浜町に設置をいただいておりまして、原子力防災訓練のときの一つの拠点として今利用させていただいて、いざというときに備えるためにある施設でございます。

 私ども、先ほど想定ということでお話ししましたけれども、今までの私どもの原子力災害の想定というのは、中で事故が起きて、実は敦賀の日本原電一号機で昭和五十六年に微量の放射能が漏れる事故があったのを先生も御記憶にあるというふうに存じます。今まで、過去の例ですと余り日本ではそう大きな事故はなかったものですから、想定につきましても、風向きを想定して、私どもは日本海ですので、北風が吹けば町中に入っていきますし、逆に南風が吹いておりますと放射能は全く来ないわけであります。

 そういういろいろな想定をしながら、ただ、大きなミサイルが飛んできて、それをすべて一瞬に破壊するような事故になりますと、私どもの今の訓練ではとても対応し切れないのかなというふうに思っております。しかし、世の中、何でも悪いように悪いように考えますと、地球に大きな隕石が当たって全部一瞬でパアになればというようなことが最悪でありましょうし、そこまですべて悪い方に悪い方に考えますと大変でありますので、ある程度のラインを引きながら、オフサイトセンターを原子力の事故があった場合の一つの基地だと位置づけて私どもは利用させていただいております。

 もちろん、今回のこの法律の中でも、原子力地域にそういうことが起こった場合、特に有事の場合、そういうところをねらった方が攻撃側にすれば有効な攻撃手段になるということになりますと、私どもの地域が標的になるのかなということも考えたくはないんですけれども考えますと、こういうものを十分に活用するように、また国の方にも、ある程度被害想定を大きく考えて避難訓練を行いますとか、そういうこともやらざるを得ぬのかなと。

 それと、これは板挟みなんですけれども、結局、先ほど言いましたように、今観光に力を入れよう、たくさんのお客さんに来ていただこうと、私どもは特に港町でありますし、また魚も非常においしいというのが自慢で、宣伝しているんですね。ところが、反面、何かあったらと言いますと、来てほしいと宣伝せなあかんのに、発電所があるとそんなことがいつあるかわかりませんよなんて言いますともうマイナスの方が多いものですから、本音を言いますと、原子力発電所があるので何かあったら大変ですよというイメージが余りつかないようにしてほしいのが実は本音であります。

 その辺が本当にジレンマといいますか、国に対してちゃんと守ってくださいという反面、当初の原子力発電所というのは、事故はほとんどない、絶対安全ですというので昭和何十年につくったんです。ところが、いろいろなトラブルが重なりまして、そういう風評被害というのは何かあるたびに非常にあるんですね。美浜さんのああいう事故があっても、一般の人は原子力で事故があったと思うんですね。放射能は大丈夫ですかという問い合わせが来ます。バス旅行をやっていましたけれどもキャンセルですとか、そういう風評被害というのが非常に多いものですから。しかし、守ってもらわなくちゃならぬし、余り目立たないようにうまく守ってほしいなというのが現状です。

玉沢委員長 次に、松本剛明君。

松本(剛)委員 民主党の松本剛明でございます。

 本日は大変お忙しいところ、片山知事、河瀬市長、おいでをいただきましたことに心からお礼を申し上げると同時に、今既にお話がありましたように、片山知事のところにおける先駆的、意欲的なお取り組みに敬意を表したい。また、河瀬市長のところは、原発と言ってはいけないんですね、原子力発電所と私も言うように心がけたいと思いますが、原子力発電所に関して、先日も物理学の先生から、皆さんの生活を四百年、二千年戻す気がないんであれば、原子力発電所をしっかり国民全体で支えていかないといけないというお話を聞いてまいりまして、そのお支えをいただいている御尽力に心から敬意を表したい、このように思います。

 何点かお伺いをしてまいりたいと思うんですが、まず一つは、国の組織、あり方ということで、両参考人にお伺いをしたいと思います。

 特に、片山知事のレジュメにはございますが、実は、武力攻撃事態への対処法の議論というのは、一昨年、法の提出からすればもう三年越しでやってきておりまして、昨年、国民保護法制をつくったんですが、国民保護法制の衆議院の通過に当たりまして、昨年の五月二十日ですけれども、自民、公明、民主の三党で、基本法をことし策定をしようということで合意をしました。

 その中に、「政府が緊急事態に迅速かつ的確に対処するために、内閣総理大臣(内閣)の判断を適切かつ機動的に補佐する仕組みを設けるとともに、対処・予防措置の効果的な実施体制を担保する組織を整える。」ということで、組織についても、これから検討をして組み立てていきたいというふうに私ども考えておるところでございます。

 その意味で、先ほど、総合相談窓口というのが必要ではないかということが知事のレジュメの中でも御指摘がありました。この法制整備をしている間は、御案内のとおり、内閣官房の方で、法律を担当する部署ということでそれなりの人員も配置をされ、同時に危機管理の人員も一定程度配置をされているわけですが、私どもは、ぜひこれをしっかりした形にして、危機管理、国民の保護、救援等の、米国の国土安全保障省のように実動まではなかなか難しいかというふうに思いますが、当面は、少なくとも今ある国の動かせるところが指揮できるような部署を策定することも考えてもいいのではないかなということで検討に入っておるわけでありますが。これについて、片山知事、また河瀬市長からも御意見がありましたら、お伺いをしたいと思います。

 お伺いをしたいことはいっぱいあるんですけれども、とりあえずは一つずつお伺いをしてまいりたいと思います。

片山参考人 私も、この問題について、やはりきちっとした組織を国として設けられた方がいいと思います。そのことによって、地方団体の方も、どこが一番頼りになるといいますか、どこを相手にすればいいのかということが明確になると思います。

 ただ、そのときに、往々にして、例えばそれを内閣及びその周辺に置けばうまくいくんではないかということを想定される向きもあるんですけれども、私は、やはり人事が一番肝心だと思うんです。日本の場合は、内閣とかその周辺というのも、結局どこかの役所の人事の延長なんですね。持ち寄りみたいになるわけです。人事が固定化するわけです。内閣にあっても、このポストは警察庁の仕事、このポストは総務省のポストとか、このポストは財務省とか、そんなことをやっている限りは、私はだめだと思うんです。

 やはり適材適所で、本当に政治がふさわしい人を持ってきて責任をとらせる。それは出身官庁のリモコンではないという形で、影響力を遮断するという形で。それをしないと、いつまでたってもばらばらの縄張り行政が続くんだろうと思います。要は、政治が適材適所の人事をされるかどうかということだと思うんです。

河瀬参考人 私も、やはり国としてしっかりとした組織をつくっていただくのが非常に安心だというふうに思っております。

 ただ、また、私ども原子力立地市でありますから、原子力災害もそう、また原子力に対する攻撃があった場合でも、恐らく内閣総理大臣が対策本部長となって早急に立ち上げ、先ほど言いましたオフサイトセンターとの中継をとっていろいろなことをやる訓練は何度かやっておるんですけれども、そういうものをどういうふうに生かすかということかなというふうにも考えております。

 発電所が攻撃された、いろいろな災害があった、先ほども触れましたけれども、武力によってどうなるのかと、発電所自体が何かトラブルを起こしてやるのかで、どうしても今は発電所がトラブルを起こしてやるという訓練をやっておりますから、ぜひそういう中にも、今回の法律ができましたので、万々々々々々が一そういうことがあった場合にはこうやる、そういう形づくりも必要かなと考えます。

松本(剛)委員 ありがとうございます。

 そのような御意見を踏まえていきながら、おっしゃったような人事の問題というのは我々も非常に注意深く取り組んでいく必要があるんだろうというふうに思いますが、まずはそういった独立した組織にすることによって、おっしゃった、少なくとも外局的な、ナンバーツー的なものは排除できるのかな。今でも防災担当の大臣というのはいらっしゃる形になっておりますけれども、しっかり政治が責任をとるという意味では、所管の大臣も明らかにしていく必要があるのかな、そんなふうに考えておりますので、またこれについても御意見を賜ってまいりたいと思います。

 我々の今後のまた参考にお聞かせをいただきたいと思うんですが、国民の保護に当たって、それぞれの地方自治体としてどのように体制を整備されているのかということを両参考人にお伺いしてまいりたいと思います。

 先ほど河合委員の質問について、鳥取県での防災局の設置等について、人事を含めて知事の方からは少しお話をちょうだいしてまいりました。企画、指導等の部署については我々もイメージがわいてくるんですが、実動の部分の再編成的なことについても、県が警察をお持ちになり、消防は各市町村、場合によっては広域の組合で引き受けておられると思います。そういった形になっておると思いますけれども、ここら辺について、先ほど原子力発電所について河瀬参考人もおっしゃったように、いわゆる事故等からさらにいろいろなケースを想定しなければいけないということを改めて我々今突きつけられていると思いますので、そういったことを含めて御意見がありましたら、両参考人から賜りたいと思います。

片山参考人 県の場合には防災監というのを設けまして、これは災害対応と危機管理対応をそこに一括するということにしました。県の場合、災害についても、従来は、例えば風水害は土木系統とか、ばらばらなんです。今でも、全部防災監のところに集中するというわけにいきませんけれども、少なくとも統一した司令塔は防災監にしようということでやりました。

 それから、県の実動部隊というのは、実は常備消防を持っておりませんし、それから、警察もありますけれども、これは警察本部でありますからちょっとわきなんですね、直接知事のもとで指揮するわけにいきませんので。したがって、これは連携ということになります。市町村の常備消防と警察との連携、これはふだんが大切です。あとは、さっきもちょっと触れましたけれども、人事でこちらに来てもらって一緒になってやるということをやっています。

 それから自衛隊との連携が、実は、自衛隊は国の機関ですけれども、災害の面でも有事の面でも自衛隊との連携というのは非常に重要になりますから、これに努めております。これもさっき言いましたように、かつては現職の自衛官に来てもらっていました。彼はもう本隊に復帰しました。今度は自衛官のOBをまた新たな形で県として受け入れようと実は今相談をしているんですけれども、そういう形で、人的なつながりも含めた連携というものが重要ではないかと思って実践しているところです。

河瀬参考人 今、私ども敦賀市に原子力防災計画というのがあるんですけれども、それに今回国民保護法制の関連を組み入れまして、十八年度に新しくまた改定をしていく段取りをしております。

 そこで、いろいろな防災関係で、これは原子力のみならず、私どもの地域にもいろいろな災害もありますし、そういう中で、気持ちとすれば基本的に、行政は消防を持ったりいろいろな訓練をしたりやりますけれども、市民一人一人がいかに、自分の身は自分で守るというとあれなんですけれども、自分たちの地域は自分たちで守ろうということで自主防災組織を育成したり、またそういう意識づけということで、私どもも、CATVといいまして、全世帯におかげさんで普及しておりますので、そういうものを利用して、ともかく周知をしていく。

 一人一人がいざというときにどのように行動し、どのように備えたらいいかということ、これをやるのが、有事があろうが自然災害があろうが、近所で火事があろうが地震があろうが、そういうものが一番役に立つのかなというふうに思っていますので、そういうものを私どもの行政としてできる範囲の中で市民の皆さん方に十分ふだんから周知をしながら、いざというときに体が、私は柔道をやっていましたので、転んだときにすぐ受け身がぱっと出るんです。それと一緒で、そういうときに自然に受け身が出るような、そういう住民になっていただくように努力をすることも大事かなと思っています。努力もまたしてまいります。

松本(剛)委員 ありがとうございます。私の時間もあれだと思います。

 最後に、先日、委員長、また先ほど御質問された石破委員も御一緒に、実は米国の事情をお聞きする機会がありました。生物化学、核も含めてかもしれませんけれども、そういった兵器に対する住民の保護のための対応というものの組織のお話を聞く機会がありましたが、これは主として各州の州軍が受け持つという形になっているようでありました。シビルサポートチームという名前になっておりましたが、指示は、州軍でありますから、言うなれば州知事が出すという形であります。ただ、これは、先ほど河瀬市長の方からもお話がありましたが、専門性がかなり高いということで、装備と指導、支援等は国防総省の機関が提供するという形のものがあるというそのお話をいろいろ聞いてまいったところでございます。

 今、実動部隊とか各地方自治体の組織等についてもお聞きをしましたし、先ほど河瀬市長のお話では、やはり原子力のその部分については、しっかり国の方でやっていただきたいというお話でありました。その辺のところ、国への要望、それから財政的な問題あると思います、州軍のその部分についてはかなり国が支援をして行っておるようでありますけれども。

 今後、国にここの部分は、と申しますのは、今自衛隊との連携というふうにおっしゃいましたが、本当に自衛隊の、化学防護隊を含めてさまざまな組織がありますが、武力攻撃事態になったときに、こういったものが地方の住民の皆さんのところへ助けに行けるかどうかということになると、我々も非常に心配をしております。

 ほかにもいろいろなことが発生をしたときに、だれがどこまで行けるかということを考えたときに、将来は、先ほど道路でも有事を考えて多少は投資をする必要があるという話があったように、こういったものについても、有事を考えると、どちらが負担をするかは別にして、住民の安全の直接責任を担う地方自治体で、知事さん、市長さんがある一定の指揮できるものが必要なのかなというふうにも考えてみたりするんですが、それについて御意見をいただけたらというふうに思います。

片山参考人 有事法制を考える場合に、知事に一定の自衛隊に対する指揮権を与えたらどうかというのは、全国知事会なんかでも意見が出たんですけれども、私は反対しました。やはりそれは無理だろうと思うんですね。アメリカのように広い国で、連邦制をとっている国なら別ですけれども、日本のような国ですと、今の都道府県、それから、仮にこれが万が一道州制になったにしても、その道または州でアメリカの州軍みたいなものを持つというのは、ちょっと非現実的かなという印象を持ちます。

 あとの御懸念の、いろいろな装備だとか、そういうものがちゃんと十分に備えられるかどうかというのは大きな問題だと思うんです。

 私は、今一番問題は、日本の国の財政が非常に硬直的になっていて、有事であっても何であっても、とにかく従来の、基本的には各省単位のシーリングの枠の中でちょっと伸ばすか伸ばさないかというその程度の議論しかなされていないのではないか。やはり、有事もそうですし、教育なんかもそうだと思いますけれども、重要なところについては、シーリングとは関係なくめり張りのきいた予算ができるような、へこますところはへこませて、そういうダイナミックな予算編成を心がけないと、なかなかこういう問題について十分な措置が行き渡らないのかなという気がしています。

河瀬参考人 冒頭言いました美浜三号機の事故、記憶に新しいと思うんですけれども、あのときちょうど夏だったんです。そこで、病院へ運ぶときに道路が非常に込みまして、それでやはり死者もふえたんじゃないか、けががひどかったんじゃないかという事例がありまして、それで、何かあったときに動く場合の、これも冒頭言いましたけれども、しっかりした道路等の確保が必要でありますし、季節によっては状況もかなり変わってまいりますので、そういう点を今国としてしっかりととらえてほしいなという思いでいっぱいでございます。

 そういう点で、そういうものを国がいかにしっかり見てもらえるか。大変な予算の時期でありますが、市としてできる分はやります、また県としてやってもらえる分はやりますけれども、大きなトンネルを何キロも掘らなくちゃならぬ、こういう道路をやらなくちゃならぬというと、とても予算が追いつかぬ面がございますので、そういう面で国として大きな支援をいただけたらありがたいということ、まずそういうことを要望していきたいと思います。

松本(剛)委員 ありがとうございました。

 州軍という言葉をそのまま使うと、ちょっといろいろイメージが変わってくるのかもしれません。むしろ私がイメージしていたのは、国民保護隊みたいな形のことをそれぞれの地方自治体でも場合によってはこれからお考えいただく必要があるのかなということで少し申し上げてみました。

 大変参考になる御意見をたくさん賜りましたことにお礼を申し上げて、私の時間を終わりたいと思います。ありがとうございました。

玉沢委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 きょうは、片山知事、そして河瀬市長におかれましては、当委員会参考人として御出席いただき、大変御苦労さまでございます。お礼を申し上げます。

 私は、最初に住民避難の実効性についてお二人の参考人に伺います。

 二〇〇三年の七月に鳥取県が作成した武力攻撃事態を想定した住民避難のシミュレーション、これは当武力攻撃事態特別委員会でも議論になりました。県東部約二万六千人の住民をバスで移動させた場合、避難指示から終了まで少なくとも十一日間を要するとして、住民避難の実効性について国に問題を提起したわけですが、今回新たに国民の保護に関する基本指針が作成されました。

 その中には、大都市における住民の避難に当たっては、その人口規模に見合った避難のための交通手段、受け入れ施設の観点から、多数の住民を遠方に短期間で避難させることは極めて困難である、このようにしているわけです。それから、同じように指針では、核兵器を用いた攻撃も想定をしているわけですが、対応としては、避難に当たっては、風下を避け、手袋、帽子、雨がっぱなどによって放射性降下物による外部被曝を抑制する、こう書いてあるわけです。

 住民避難について、その実効性について両参考人はどのように認識されておられるか、まず片山知事の方からお伺いをしたいと思います。

片山参考人 今先生がお触れになられました、鳥取県で二〇〇三年にやりましたシミュレーションというのがあるんですが、これは一定の想定を置いて避難のシミュレーションをつくったんですが、かなり厳しい批判をいろいろなところから受けました。

 それはなぜかといいますと、ちょっと世離れしているということだったのです。実効性が疑わしいということももちろんあるんですけれども、それは実はもとより承知のことでありまして、といいますのは、この問題を最初にみんなで考えましょうといったときに、いろいろな問題が考えられるシミュレーションをしたわけです。短期的な問題、それからある程度時間的な余裕のあるケースもありますけれども、一つ一つつくる余裕がなかったものですから、一つのシミュレーションでいろいろな課題が出そろうような、それをやったんです。

 結果的には、いろいろな課題が出て、それを国の方にお届けしたからよかったんですけれども、避難シミュレーションとしてはちょっと現実離れしているということでありました。そんなことだったんです。

 今度指針が出まして、指針が出る前に実は私たちは計画をつくったんですけれども、そのときはちょっと考え方を変えまして、避難を要する規模、それは大規模、中規模、小規模。例えば鳥取県でいいますと県下全域にわたるもの、それから東部、中部、西部のそれぞれ、東部なら東部にとどまるもの、それから市町村単位にとどまるものという、大規模、中規模、小規模という分け方。それからもう一つは、時間的に緊急を要するもの、比較的余裕があるもの、ある程度じっくり避難をすることができるもの。これのマトリックスでもって、どういう避難をするのが一番いいかというようなことをやっているんです。

 実効性ということになったときに、その実効性というのは、例えばとにかく一人残らず安全かというと、なかなかこれは難しい問題があるんだろうと思うんです。では、どこかで割り切っていいのかというのも、これもなかなか難しい問題があると思うんですね。我々が今考えられることは、とにかくできる限りのことを精いっぱいやる、そういう基本的な考え方のもとで計画もつくり、そしてさらにその計画を実践に移していくということだろうと思っているのです。

河瀬参考人 実効性ということにつきましては、先ほども言いましたが、想定というのは、かなりの細かい数の想定がされます。最悪といいますのは、海水浴のシーズンに台風が急に襲ってきて、そこに大地震が来て攻撃があったなんという想定なんかしますと、もうどうにもならぬわけでありまして、そういう点で、大体現実的に想定される部分ということでこれは書かれておりますので、やむを得ないかなというところは感じております。

赤嶺委員 今の想定自体が非常に非現実味を帯びているという面は、私はやむを得ないだろうというぐあいに思います。

 そういう中で、ある種の現実性というのを想定していろいろな国民保護の計画をつくるという場合に、例えば、片山知事はその報告の中で、住民の基本的人権に対する配慮を国においてきちんとしてほしい、決して省庁間の争いに没することなくというお話がありました。現場で、そういう現実味がなかなか想定しにくいもので住民を避難に動員するという場合の基本的人権について、知事の立場で、あるいは市長の立場で、それぞれどういうことが課題として考えられるのか、御意見があれば伺いたいというぐあいに思います。

片山参考人 いろいろな問題があると思いますが、私は、重要なことはやはり弱い立場にある人たちをどういうふうに守っていくか。それは、生命、身体、財産の安全を守るということと同時に、避難とかそういう有事の際の過程においていかに人権を傷つけないようにできるかということが一つあると思います。

 もう一つは、そうはいいましても、やはり有事になりますと、権利を制限し、また義務を課す、それから財産についても毀損が生じるということは当然あるわけですから、それは一定程度はやむを得ないと思います。あとは、有事が解消されたときにいかにスピーディーに事態を正常に復帰させて、そしてその間に生じた損害や被害を回復するかという、この柔軟性とスピード感、これが基本的人権を守る上において二つ重要な点だと私は思っております。

河瀬参考人 私も一緒であります。

 やはり弱い立場の皆さん方をどう支えていくかということは、私ども、今福祉にいろいろ取り組んでおりますけれども、非常に重要な部分だというふうに認識はいたしております。生命にかかわることと人権かとなりますと、やはり生命を優先しなくちゃならぬというふうに思いますので、そのあたりも十分配慮をしながら、といっても、なかなか、いざとなると、そのときでどうなるかなという不安は本当につきまといますけれども、ともかくできる限り最善を尽くすしかないのかなというふうに思っています。

赤嶺委員 私は、住民避難の実効性、そして、実効性についてなかなか実感として現実味を持てない、こういう計画を実行していく場合の人権の問題というのはもっと大きく検討されるべきだと思います。

 それで、河瀬市長のレジュメの中で「外交努力の継続を」というのがありまして、「平和で安全な国であって欲しい願い。」というのは、これは片山知事におかれましてもそのとおり、国民みんなが共有できる考え方だと思いますが、やはり平和な安全な日本をつくる外交努力というのが非常に大事になってくると思うのです。

 一方で、では、現実に日本を見てみるとどうなのか。周辺諸国は危険ばかりだという議論もありますけれども、日本は、戦後ずっと米軍基地が沖縄を初め全国各地に置かれている、そしてベトナム戦争やイラク戦争のアメリカの出撃基地になっているわけです。それが今回の米軍再編では、米軍の世界戦略のハブ基地として在日米軍基地の役割の一層の強化が進められようとしているという現実があるわけですね、平和ということ、外交ということを考えてみた場合に。

 また、もう一方で、昨年は、自衛隊の海外での活動を本来任務にしていく、その役割が位置づけられて、米軍との一体化が進められようとしているわけです。さきの2プラス2では、台湾問題が日米の安全保障の共通の戦略目標に位置づけられる。一方で、アジアからは、日本はまだ侵略戦争の反省をきちんと行っていないじゃないか、こういうことでアジア諸国との友好関係の障害もつくり出しているわけですね。

 私は、これらについて本当に日本の側からの真剣な外交努力というものがないと、平和で安全な日本というのはつくっていけないんじゃないかということをかねがね考えているところですが、両参考人におかれては、具体的に外交努力という場に、ふだんいろいろ、これは国のやることではありますけれども、政治家として考えて、そして、平和で安全な日本をつくるということについて努力しておられることなど、御意見を伺いたいと思います。

片山参考人 有事が発生しないように最大限の努力を外交面でやるというのは、私は当然だろうと思うのです。政府にはぜひその努力をお願いしたいと思います。

 ただ、その際に、外交ということは軍事的な面抜きかというと、それはそうではないのだろうと思います。自国で軍事力を持つということもあるし、それから、多国間といいますか、国際的連携で軍事的な面での安全保障を一方で持ちながら外交努力をするということも、これは当然あるのだろうと思います。それは選択の問題でありますから、ぜひそれは国の方で御議論いただければと思います。

 私たちは、外交は関係ないというか、外交は国の専権事項でありますから、私たちは地域間交流というのに努力をしております。鳥取県でも周辺の諸国の地域との間にかなり密接な交流をやっているんです。そういうことを通じて、相互理解とか相互信頼を深めようということをやっているところであります。

 それは、私は、ある意味では、有事を防ぐという意味での、健康に例えれば予防になると思います。風邪を引かないように予防するという効果があると思います。ただ、幾ら予防しても風邪を引くということが当然ありますので、その際に、ではどうやって治療するのかということも必要だと思います。それは、この分野では有事法制であり国民保護法制であり、今問題になっている基本指針とか県の保護計画なんかではないだろうかと思っております。予防と治療というものを持っておくということがやはりこの面でも必要ではないかと思います。

河瀬参考人 外交は国の大変重要な施策でありますので、ぜひ、国会議員の先生方初め、国の皆さん方に十分に努力していただきたいと思っております。

 ともかく、悲しいもので、人間、生まれてこの方、争いをやっていない地域はないということで、残念なことでございますけれども、二度とあのような大戦などは起こさないでほしいという気持ちでいっぱいであります。

 ところで、私どもも、地方自治体として今交流は続けております。

 実は私ども、韓国の東海市と姉妹都市でございまして、昨年に向こうの市長と会って、ことしは日韓友情年であるから今まで以上の交流をしようということで、私どももパシフィックビーナスという船を用意しまして、大体六百八十人乗りの船なんですが、市民の船ということで計画をしまして、予約しておりました。ところが、例の竹島問題というのが出まして、それで公式な行事はもうできないと言ってまいりました。しかし、こういうときこそ交流をしなくちゃならぬということで、船はもちろん、中止しますとキャンセル料をごっぽり取られますのでとてもキャンセルもできませんし、予定どおり今募集を開始いたしております。

 こういう影響も受けまして、少し募集状況は悪うございますけれども、やはりこういう時期にこそ地方は地方自治体として、また、青島の方にも、助役に行かせますが、友好都市とのマラソン大会をする。私の体型ではマラソンは走らぬものですから、助役も少し太っておりますけれども、彼を行かせまして、交流は続けます。

 そういう意味で、地方自治体としてできる交流というのはこれからもしっかり取り組んでいきたいと思っています。

赤嶺委員 都市間の、国境を越えた地方自治体の交流、これがひいては国の平和、安全にもつながっていくというお二人の努力に敬意を表しまして、そして、本当に有事を徹底して避けるための努力を強調いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

玉沢委員長 次に、山本喜代宏君。

山本(喜)委員 社民党の山本でございます。

 きょうは、両参考人、お忙しいところ、貴重な御意見を賜りまして、大変ありがとうございます。

 最初に、お二方にお伺いしますけれども、住民の安全、避難誘導、このときに当たって、自衛隊との調整といいますか、そうしたものをどのように図っていくのかということです。

 武力攻撃事態ということで四つの事態が想定をされております。イラク戦争などを見ると、夜間に、アメリカの攻撃が軍事施設をねらって、あるいは電力とかインフラを含めて、制空権をとるような最初の攻撃があるわけでございます。

 その一方で、知事さんがシミュレーションした避難で、自衛隊の進行と住民避難の道路とのぶつかり合いというふうなことも想定される。あるいは、沖縄の米軍ヘリの墜落事故がありましたが、平時においても沖縄の警察はこれに手をつけることができなかった、立ち入りもできなかったわけですね。まさに平時においても、米軍との関連で言えば軍事優先というふうな状況がございました。あるいは、唯一の地上戦であった沖縄戦の経験を見ても、軍隊の意向というのがほとんど優先されるという状況の中で、どのようなことが想定されるかわからない中にあっての住民の避難誘導と自衛隊との調整ということをどのように考え得るのか、この点についてお二方からお伺いします。

片山参考人 先ほどもちょっと私申し上げたかと思いますけれども、国民保護法制の中で、有事の際の避難に当たっては自衛隊を当てにしないという前提に私たちは立っております、当てにしていて来てもらえなかったときに穴があくということになりますから。なぜ当てにしないのかというのは、それは、防災、災害対策と違って、自衛隊は本来の役割があるわけでありまして、そちらの方に専念をするというのは当然だろうと思います。したがって、住民避難は我々地方の側が、県、市町村、消防、そういうところが中心になって行う、そういう想定で心づもりをしております。

 ただ、自衛隊も状況によっては手がすいているということは考えられますので、その際には当然協力をしていただくということになります。

 では、どの場合に、どういう状況のときに協力してもらえるのか、そうでないのかというのをあらかじめ決めておきますかというと、これはなかなか難しい問題であります。やはりそこは相互の信頼関係で、ふだんからの日常的な相互の信頼関係、情報の共有、そういうことを通じて、いざとなったときには臨機応変に、お互いが最善のことができる、そういう間柄に立つことだろうと私は思いますし、そういう間柄に立とうということで、今私たちは自衛隊との関係を築いているところであります。

 ちなみに御紹介しますと、二〇〇〇年の十月に鳥取県で非常に大きな地震があったときに、本当に私たちも戸惑いましたけれども、自衛隊の地連の部長がすぐ駆けつけてくれました、頼みもしないのに。これはふだんからの関係です。しかも、彼は入院していたんです。変な話ですけれども、痔の手術をして入院していたんですけれども、その病院からジャージー姿で駆けつけてくれまして、それで私のそばで、痔の手術ですからいすに座れませんから、寝そべったまま携帯電話で自衛隊と連絡をとってくれて、そこで私は自衛隊の出動要請をしたんです。

 そういうことも、ふだんの関係を築いていればこそ、頼みもしないのにとっさに来てくれたということです。実は、鳥取県ではそういう間柄をつくってこれを維持しておりまして、そういう意味では、万が一そんなことになっても、ある程度のとっさのときの臨機応変の動作というのはできるのではないかなと思っております。

河瀬参考人 自衛隊につきましては、私ども、半島にあるものですから、先ほども何度も触れておりますけれども、道路が使えないわけです、寸断された場合。やはり相当の輸送力を持った隊でありますので、これは恐らく知事を通じて要請をして動く形になろうとは存じますけれども、ぜひそういう際にはいろいろな面で力を賜りたい、このように思っています。

 やはり災害のときに大変活躍をいただいておりまして、私ども、港でタンカーがひっくり返ったときも、滋賀県今津に第十戦車隊がございますし、また、以来、いろいろな近隣にある自衛隊とも今密接な連携をとりまして、いざというときに災害復旧に当たっては本当に大変な力をいただいておりますし、やはりいざというときには何といいましても自衛隊が、先ほど苦しいときの自衛隊頼みというのがございましたけれども、本当にそのような気持ちで、自衛隊の皆さん方と、私ども地方自治体としても応援をしながらしっかりと連携をとっていきたいと思っています。

山本(喜)委員 もう一点お二方にお伺いしたいんですけれども、国民保護に当たっての平素からの備えということで、特に都道府県は「担当職員による当直等二十四時間即応可能な体制を確保する」、それから市町村は「常備消防体制との連携を図りつつ当直等の強化を図る」ようにするということで、二十四時間体制を図るようにということであるわけですが、この点についての自治体の取り組み、果たしてこういう体制はとり得るのかどうか、この点についてお伺いします。

片山参考人 これは、鳥取県などではもう既に防災という面で二十四時間の体制をとっておりますので、今回、国民保護法制の中でこういう問題が出てまいりましても、そんなに戸惑いとかはありません。

河瀬参考人 私どもは、先ほど言いましたCATV、緊急防災チャンネルというのがございまして、例えば消防車が出た時点でテレビで、緊急の場合は、例えば原子力発電所で大変なことがあれば、ビービービーというブザーで一斉に各世帯に出るようになっていますし、また、防災メールがございまして、携帯電話でも入ります、消防車が出れば何時にそこに出動しましたという。

 そういう体制はとっておりますので、情報的には、先ほども言いました、電波の通じないところ、またいろいろな問題はございますけれども、十キロ範囲という限定はございますが、それを除けば、いろいろな面である程度の体制はとれつつあるのかなと思っています。

山本(喜)委員 経験で言いますと、携帯電話は、有事のときには、一斉に集中するということで余り役に立たないのではないかというふうなことも言われているので、防災無線なんかも非常に大事になっていくんじゃないかということも言われております。

 もう一つ片山知事さんにお伺いしますけれども、先ほどお話がありました関係機関相互の連携協力というふうなことで、霞が関の縦割りや縄張り根性を越えられるかというふうなこと、省庁の権利を守ることのみに行きがちだと。これは片山さんが中央省庁で働いてきた経験からのようですが、具体的にはどのようなことを危惧されるのか、お願いします。

片山参考人 それはもう先生方が日常お感じになっていることではないかと思うんですが、もちろん、おっしゃったように、私はもと霞が関にいましたので自分でも体験しましたけれども、最近の卑近な例で言いますと、例えば三位一体改革などで、地方は曲がりなりにも、かんかんがくがくやりましたけれども、一つのリストをつくったんですけれども、そのリストの処理をめぐって今度は政府の各省が本当にばらばらで、ひどい対応をされたと私は思っているんです。自分のところだけはとにかく守ろう、ほかの役所なら何でもいいというような対応でした。働きかけも随分、中央省庁からばらばらばらばら来ました。国全体のことをだれも考えていない、自分のところの補助金さえ守られればそれでいい、そういう人がいっぱいおられました。

 こういうのを目の当たりにしますと、平時でもこういうありさまでありますから、もし有事の際に、自分の役所の権益とかに関係するようなことがあったときにちょっと想像ができますし、それから、それより前に、今の段階でも、例えば組織を再編しようとかというときに必ずこの問題が出てくるんだろうと思うんです。そういう問題はやはり政治の力で整序していただきたい、地方にいてそう思います。

山本(喜)委員 次に、河瀬市長にお伺いしますけれども、先ほど原発が十五基あるということで、いかに早く逃げるかというふうな話がありました。この指針によりますと、核兵器等の場合、風下を避け、手袋、帽子、雨がっぱ、被曝抑制のこととか、あるいは地下施設等に避難するというようなことでありますが、自治体としてこういうことまでやれるのかどうか、この点についての自治体の見解もあると思います。そうした点についての要望等ございましたら、お願いします。

河瀬参考人 想定によっては非常に変わってまいりますけれども、ある程度、私ども原子力発電所を持っているということで、例えば沃素剤を、各家庭まではしていませんけれども、いろいろな施設に配付してございます。これは四十歳を過ぎますと余り関係ないんですけれども、それまでの方は沃素を服用することによって放射性を、とめられるといいますか、そういう防御ができるということも今取り組んでおりますし、それぞれの家庭の中で核シェルターを全部持っておればこれはもう問題ないんですけれども、そういうことはできませんから、公共の、例えば学校施設でありますが、そういうところを鉄筋にしてそういうもので進めるように改築したり、また各公民館、そういうものが避難場所に指定をされておりますけれども、それではそれで十分かといえば、それはとてもじゃないですが、大変難しい問題であります。

 やはり一番いいのは、いかに迅速にそこから離れるかというのが一番大事でありまして、これも、先ほど言いましたように、いろいろな、道路でありますとかそういうものをしっかり、まだまだ整備がなされておりませんので、そういうことを中に明記といいますか、こういうことを十分にやってほしいという私どもの声を反映していただけたらなと思っています。

山本(喜)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

玉沢委員長 これより自由質疑を行います。

 この際、委員各位に申し上げます。

 質疑につきましては、理事会の協議に基づき、一回の発言につき質問は一問とし、発言時間は一分以内となっておりますので、委員各位の御協力をお願いいたします。また、発言は、委員長の指名に基づいて、あらかじめ所属会派及び氏名をお述べいただいてからお願いいたします。

 発言を希望される場合は、お手元にあるネームプレートをお立ていただき、発言が終わりましたら、戻していただくようお願いいたします。

 なお、発言は着席のままで結構です。

 それでは、発言を希望される方は、ネームプレートをお立てください。

自見委員 きょうは、片山知事さん、また河瀬市長さん、おいでいただきまして本当に心から感謝を申します。

 私は、昨年この委員会の委員長をさせていただいた人間でございますが、いろいろな、本当に鳥取県、特に今先行的にやっているということを高く評価するものでございますし、また原子力発電所を抱えておる市長さん、大変御苦労を本当に多とするものでございます。

 質問は一つ、一分間という話でございますから、一点、指定公共機関の自主性の尊重ということが総則にあるわけでございますが、テレビ、放送でございますね。これは、たしか一たん国の方に上げて、それからまた地方にということになるのかもしれませんけれども、例えば鳥取県であれば、島根県と一緒、NHKもありましょうし、民放は三局あるということを石破筆頭理事からお聞きしたわけでございますが、島根県と鳥取県と一緒と。何かあれば、今の国民は、携帯電話とかそういったこと、あるいは防災無線も大事ですが、やはり情報としてテレビを見ることが多いんじゃないかというふうに思うのでございます。

 現実にやっておられていろいろ難しいところはあると思うんですが、そこら辺につきまして、意見、あるいはこうしたらいいんだ、ああしたらいいんだ、むしろこういうふうな制度を少しいじってくれ、国はこういうふうにしてほしいというのがございましたら、何か御意見を聞かせていただきたいというふうに思っております。

片山参考人 先生おっしゃいましたように、私は、緊急のときに、テレビのみならずラジオも含めて、放送の役割というのは非常に重要だと思うんです。私どもの方も大いに期待をしておりまして、この法律に基づいてつくった保護協議会、これにもちゃんと入ってもらっていまして、今相互の協力関係で、意思疎通を図って、それから相互理解を深めるようにしています。特段の問題は感じておりません。ふだん信頼関係をつくっておけば、そんなに問題はないのではないか。

 ただ、御指摘になられましたように、私のところはちょっと特殊な環境にありまして、島根県と鳥取県とが民放は区域を共有しておりまして、ですから、お互いの県でよく連携をしながら放送機関とも連携をとらなきゃいけないという問題はあるんですけれども、それはそれぞれの地方でできることだと私は思っております。

河瀬参考人 情報は本当に大事でございます。先ほどお話ししたCATVを利用したり、携帯でも、私ども、大体六万件同時にだっと出せるシステムでありますから、大丈夫かなと思っています。

 そういうものを十分に利用して情報をしっかりと伝える、また、ほかのいろいろなところと連携をとってやっていきたいですから、そういう面に対して、防災無線初め国の支援が欲しい、このように思います。

平岡委員 きょうはお二人、大変ありがとうございました。特に、お二人が防災に対して熱意ある取り組みをしておられることに対して、敬意を表したいというふうに思います。

 鳥取県知事さんの方に一つだけ質問させていただきたいと思うんです。先ほど赤嶺委員の方からも避難の問題がございましたけれども、避難そのものはいろいろ必要性があったときに起こるという話なので、それはそれとして、避難の訓練の問題であります。

 実は、法律を審議する際に、避難の訓練については、過度に敵国意識をあおるような形の状況設定のもとに行われるということについてはいろいろ問題があるのではないかというようにも私は思っていまして、防災訓練と有機的な連携というようなことを附帯決議の中にも入れさせていただいたというような経緯がございました。

 そういう意味において、片山知事が訓練を既に行われたということでもありますけれども、そういう住民の人たちが持っている恐怖心みたいなものとか、あるいは特定の国に対する敵国意識というものをあおることがないような配慮も多分されているのではないかなと思うんですけれども、その点についてどのように御配慮になっておられるかというところを教えていただきたいというふうに思います。

片山参考人 今の問題は私も非常にナイーブな問題だと思うんです。特に、訓練といってもいろいろなタイプがありまして、最終的には、例えば弱者も含めた住民まで動員をするという訓練もあるわけですけれども、これは軽々にはなかなかできないんだろうと思います。私は、それに近い形になるにしても、かなり熟度が増さないといけない、特に住民の皆さんと行政機関との間の相互理解、共通認識が深まらなきゃいけないと思いますから、これはかなりナイーブな問題だと思っています。

 私たちがやりますのは図上訓練でありまして、行政機関とか関係者、公共機関も含めてですけれども、そういうところが図上で一定のシミュレーションを状況設定に応じてやっていくという、これは比較的容易にできる。これも注意をしなきゃいけませんけれども、比較的容易にできるということで、それプラスアルファぐらいのところを今想定しています。

坂本(哲)委員 有事というものがどういうものか全くわからない人が四分の三以上いるわけですね。有事というのがどういうものかわからないままに訓練をして、図上でやるにしても何にしても、そして有事という体験がない人が指導をして、あるいは指令を出してというようなことで、果たしてどこまで対応できるのかなという気がいたします。いたずらに敵国意識をあおるということではなくて、有事というものの共通の認識を持っていただくための方法論、地域においてどういうものがおありだと思いますか。

 私は、例えばCGか何かで、自分のふるさとなんかも含めて、有事の場合にはこういうふうになるんですよ、こういうことが想定されるんですよというようなことをある程度視覚的にもわかるようにつくって、そうして各団体や各自治体あたりでいろいろな有事を想定してもらうという方法もあるのではないかと思いますけれども、その辺のところ、どういうふうにお考えでしょうか。

片山参考人 おっしゃるとおり、共通認識はまだなかなかできていないんです。その中で計画づくりを進めてきているわけですけれども、特に、これから市町村が具体的に計画づくりを進めますと、やはり今までのようにはいかないと思うんです。市町村がつくる計画というのは、きめ細かくなりますから、おのずから住民の皆さんの共通認識を得た上でないとつくれないということになります。

 私は、さっきもちょっと触れましたけれども、そういう意味で、町内会とか自治会でこの種の問題について認識を深めていくということをもっとやらなければいけないと思うんです。それを中心になってやってもらうのは市町村なものですから、市町村と連携をとりながら、町内会、自治会までおろしていくということが一つの課題になると思います。

 そのときに、先生がおっしゃったようなCGを使うとか、いろいろな媒体があると思います。いろいろな人材も養成しなきゃいけませんけれども、これからの課題だと思います。

河瀬参考人 私も、県と十分に連携をとって、CATVでありますとかいろいろなもの、また町内会を通じて、確かにおっしゃるとおり、有事といいましても、人の名前と勘違いするぐらいで、なかなかわかっていない人がほとんどだと思いますので、やはりそういう認識を持ってもらうことを、これから作成しますので、いろいろな対応も通じて取り組んでいきたいと思います。

田嶋(要)委員 先ほど片山知事の方から地域で一人一役という話がございまして、大変すぐれたいい運動だと思うんですが、私の千葉市の方でも、本当に地域の町内会、自治会、なり手がいないという大変大きな問題を抱えております。特に千葉県の場合は、千葉都民と呼ばれるぐらい、みんな東京へ行っちゃうものですから、地域のことに余り関心がないようなやゆもされておるんですが、国の方で、あるいは立法とか制度設計の中でもう少し、特に働き盛りの男性を中心にもっと地域に根づくような御提言が何かあれば。

 一つ私が思うのは、情報化が進んでブロードバンドが進めば、リモートオフィス、ホームオフィスか何かで、平日にもっとサラリーマンも地域におられるような仕組みができれば理想かなとも思うんですが、何か御提言があればお願いいたしたいと思います。

片山参考人 もともと、消防団にしても自主防災組織にしましても、自主性ということで、ボランティアですから、法律で強制するということとはちょっとなじまないんだろうと思うんです。本当に、自分たちの住んでいる、自分たちの家族が支えられているこの地域をもっと大切にしたい、そういう意思がもっと強くならなきゃいけないと思うんですね。それが正しい姿だと思うんです。

 国の方に私がお願いしたいのは、これはさっき言いましたけれども、ぜひ国家公務員の皆さんがもうちょっと地域を大切にしていただきたい、地域に目配りをしていただきたい。

 私も実は反省するんですけれども、国家公務員時代に地域の自治体の行政なんていうのは余り考えたことがなかったわけですね。議会の、地方議員の選挙も必ずしも行かなかった記憶もあるんです。国家公務員というと大体そんなところが多いんですね。だから、まず国家公務員の皆さんが、特に霞が関の皆さんが、自分たちの住んでいる地域をもっと大切にしよう、そういう意識と行動でやっていただきたい。

 早い話が、消防団の強化と総務省、消防庁は言うんですよ。それで、通達を出してくるんです。何が書いてあるかというと、地方公務員と農協の職員は入りなさいと書いてあるわけです。あんたらどうなんだと私聞いたら、全然、えっとか言っていましたけれども、やはり国家公務員の皆さんが率先して、こういう自主防災というか、地域の防災力を高めるために行動するということをまずやっていただくように指導していただければいいと思うんです。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 片山知事にお尋ねしたいと思います。

 ふだん想定もしていないことについて、いざというときにスピーディーに対応できないということは、十年前の阪神・淡路大震災で私自身、身をもって経験したところでございますが、では、そういういざというときに対応できるようにどういう工夫を県の方ではされているのか。

 この前、尼崎で事故がありました。プロであるJRの社員でさえ、ゴルフに行ったり送別会をしている、現場に集まらない。そういうことから見ると、これは、社員も十年前阪神・淡路を経験している人も相当いるかと思うんです。それでもそういう過去の経験というのはすぐ忘れてしまう。そういうことはなかなか継続的に生かされていないというふうに思うんですが、御所見をお尋ねしたいと思います。

片山参考人 これは、常にふだんから、いざというときに自分は何をすべきかということを自分で考えるということだと思います。

 とかく役所は、下の人に考えてもらって、上になるほど下から指示というか、下に書いてもらったものを読むとか下からマニュアルをもらうとかという行動をする幹部が多くなるんですけれども、そういう組織は私は絶対だめだと思います。まず幹部自身、鳥取県庁でいいますと私自身、それから次は部長になりますけれども部長が、いざというときに自分は何をしなきゃいけないのかというのを常に考えておくということだと思います。そういうくせをつけるようにふだんから組織を運営しております。

 それを前提にして、訓練なんかも適宜やる。例えば鳥取県で鳥取西部地震という大きな地震があったんですけれども、あれの三カ月前に実は訓練をやっていたんです。訓練をやっていたおかげで、しかも想定と似たような地震が起きたものですから、初動が全くスムーズにいったんです。やっていてよかったなと思いましたけれども、一回やったらいいというものでもありません。人事異動もありますから、絶えず忘れないようにやっていく。その中で自分が考える。したがって、訓練も考える訓練なんです、スケジュールをこなす訓練じゃなくて。自分で考える、そういう機会を与える訓練。そんなことを、私、いろいろな組織でやられたらいいと思うんです。

 霞が関なんかは典型的ですけれども、下の人が書いたものを読むという習慣がよくありますけれども、ああいうところからやめないと、やはり中央官庁もいざというときにスピーディーな判断ができないのではないかなと思っております、失礼ですけれども。

城井委員 本日はありがとうございます。

 先ほど各委員からも御指摘がありましたけれども、情報伝達手段について、特に政治と行政の内部における伝達手段の確保について、お二方にお伺いをさせていただきたいと思っております。

 先ほど来話がありましたように、既存の通信インフラ、例えば携帯電話、それから非常時の別ルート、防災無線などがそうかもしれませんけれども、そういった二つの種類があるということなんですけれども、先日、福岡県の西方沖地震がございました折に、佐賀県で、行政職員が初動の段階で職員に招集をかける際に携帯電話が働かなかった、つまり通常回線に制限がかかったために職員間の連絡すら滞ってしまった現状があったというふうな報道を耳にしております。

 そういった意味合いでは、先ほど御指摘のありましたように、対国民というところでのインフラもあるんでしょうけれども、政治あるいは行政の内部における伝達手段の確保という意味合いで、現在できているところ、あるいは今後必要とされるのではないかと思う部分がございましたら、教えていただければと思います。

片山参考人 行政間でありますと、例えば国と県と市町村という間柄でありますと防災無線というのを今かなり整備しております。地上系とそうでないのとありますけれども、これで私はかなりうまくいくと思います。実際に、地震がありましたときにも、携帯は一時的には使えませんでした。ですけれども、県の災害対策本部と市町村との間は何ら不都合はありませんでした。それは、防災無線であったり災害時の専用回線というものを確保しておりますので、そういうものを通じてちゃんと通信ができました。

 あと、住民の皆さんとの間というのが問題になりますけれども、鳥取県の場合には、今各市町村までは全部、高速度大容量の光ファイバーを敷いています、情報ハイウエーを。そこから先のラストワンマイルはそれぞれなんですけれども、鳥取県の場合はおおむねCATVをやっているんです。しかも、それを双方向になるように順次かえていったりしていまして、世帯でいいますと八割以上がCATVでカバーされているような状況なんです。ですから、そういうものが多分緊急時の場合には大きな力になるのではないかと思っております。

河瀬参考人 私どもも同じでありまして、県、国については防災無線等でしっかり連絡がとれるように対策をとっておりますし、CATVを利用して緊急告知放送、またメール配信ということ、それとまた私ども役所内での連絡は常々、毎年行っております防災訓練の中で、電話がだめなら携帯、携帯がだめならということでありますけれども、ある程度の地震等ですと自分自身も感じて、防災放送でキャッチして、こういう場合には徒歩なり自転車なり、車が使えれば車で直ちに役所に集まるというふだんの訓練が生かせたらなと思っています。

菅原委員 自民党の菅原一秀と申します。

 きょうは、大変貴重な御意見、ありがとうございます。

 それぞれお話がございました。有事という概念自体が国民の四分の三が認識し得ていない、あるいは、武力攻撃事態等対処法そしてまた国民保護法、この二つの法律が国会を通っていても、その法律が通ったということ自体、国民の皆様、なかなか認識し得ていないという現状があろうかと思います。

 そういった中で、行政があって、自衛隊、警察、消防等の関係機関がある、そしてその下には町会、自治会がある。それぞれ主体的に国民にかかわりを持ってもらうことがこの実効に極めて大きな影響を及ぼすということなんですが、ところが町会といえば、盆踊りだ、お祭りだ、あるいは環境だ、交通安全だ、敬老だ、いろいろ催しがあって、さらには、最近は学校の安全、安心ということで、学校の警備にもマンパワーを投じてほしい、こういうような要請があってやっている。そうすると、町会の役員たちは、さらにこの上有事法制かとなっているのが現状なんです。

 しかし、これはしっかり推し進めていかなければいけない、理解をしていただきながらやらなければいけない。ところが、町会の組織率そのもの、東京なんか四〇%、鳥取、福井はどうかわかりませんが、こうした中でさらに、組織率が低い上に町会に所属をしている方々の三十分の一ぐらいの役員しか町会行事には身を施していないという状況がある。

 こうしたことの中で、一点、県の立場、より町会、自治会に近い市の立場の中で、町会、自治会にどこまで期待をし、そしてまたどういう対応を図っていくか、その点をお知らせいただければと思います。

片山参考人 今先生がおっしゃったことと同じ問題意識を私も持ちました。ただ、東京と鳥取とは事情が違いますので、東京ほどではないんですけれども、やはり町内会の高齢化、それから加入率の低下、これは大変大きな問題であります。

 今、有事の問題に限らず、例えば広く防災力という面でもそうですし、それ以外に、例えばDVの問題にしても児童虐待の問題にしても、根はいろいろなところにあるんですけれども、でも、地域の力がもうちょっと強くなれば、いろいろな解決とか、手が差し伸べられるとか、端緒が見つかるとかあるんですけれども、やはり地域の力が弱まっているということがいろいろな社会現象として出ているんだろうという認識を持っています。

 そこで、私のところの鳥取県政では、重要課題、重要政策の一つとして、家族と地域をもっと大切にしよう、もっと力をつけようということをスローガンとして掲げまして、それにまつわるいろいろな施策を具体化しているんです。自治会、町内会は実は市町村の問題なんですけれども、やはり市町村任せだけにしておられませんので、市町村とも連携をとりながら、自治会、町内会のモチベーションを高めたり、加入率が高まったり、活動が活発になるように、そういう取り組みを今鳥取県ではやっています。

 そういう意味の一環として、県庁の職員にも、これは何千人もいますから、それぞれの地域で町内会の役員なんかをやりなさいということをやっていましたら、結構引き受けてやってくれる人もいるんです。ちなみに、私も町内会に入っていまして、鳥取市東町一丁目というところなんですけれども、私も役員をやっているんです。我が町内会も、従来はもう七十過ぎた高齢の人が会長をやっていたんですけれども、とうとうことしは四十代の若い人が会長をやってくれることになりまして、やはりやればだんだんと変わるなと思っているんです。

 ですから、これは、一つ一つ大変なことなんですけれども、ぜひ政府としてもそういう認識を持っていただきたいと思いますし、国会議員の先生方も含めて、政府に関係する皆さん方がやはり生活の場で地域を支えるという、認識を持っていただければ随分変わるのではないかなと思います。

河瀬参考人 全く同感でございます。

 私ども、地方でありますけれども、考え方だけは都市化しておりますから、なかなか昔みたいに人が集まらない、町内会に人がいない。また、少子高齢化で当然子供たちがどんどん減っております。私たちの時分ですと、一町内で野球がすぐできましたけれども、今は小学校一年生が一人もおらぬというような状況でございます。

 そういう点で、非常に希薄になっていますが、やはり地方の中でも、何かあったら大変だぞという認識で仲間意識をつくることが大事でありますので、先ほどもお話が出ましたけれども、私どもも、いろいろな広報なども通じて、万が一に備える体制、いざというときに一緒になろう、そういうような気持ちを持っていただくようにまた努力していきたいと思います。

泉(健)委員 京都の泉健太と申します。

 私は、実は当選以前から災害ボランティアの関係のことをしておりまして、また、地元では一消防団員でもあるわけです。

 そういった中で、今回も京都府の方では、私の地元なんですけれども、五月の二十九日に京都府のボランティアセンターというものが発足をする予定になっております。これは、いろいろな宗教団体とかのボランティア組織であったり、あるいは赤十字関係のレスキュー隊のボランティアメンバーが入っていたり、いわゆる組織横断型のというような形がイメージでして、逆に言うと、こういったところにボランティアの個人の参加もあるんですが、一定、脱組織型の大きな組織という位置づけだと思うんですね。

 そういう中で、翻って市町村を見てみますと、消防団、少年補導、自主防災組織というのは、基本的には、上に行政組織があり、そこが統括をしているという中で、そのボランティアセンターがどういう役割をこういった有事の際に果たすのかということが、この国民保護計画の中で、皆さんの都道府県の計画の中でどういう位置づけになるのかというのが非常に興味を持っております。

 例えば、鳥取県でいいますと、医療救護、生活支援あるいは児童生徒への教育などを期待しているという文言がありますけれども、例えば児童生徒への教育ということでいえば、先生あるいは保育士というような資格をある程度要求されているのか、いわゆる個人ボランティアの受け付けということを前提にされているのか、その辺のことを少し細かく聞かせていただきたいと思います。

片山参考人 ちょっと私も今の質問に的確にお答えするだけの知識が今ないんですけれども、鳥取県では、かねて、例えば国民文化祭だとかいろいろな催しをするときにも、必ずボランティアと一緒にやる、下請ではなくて一緒にやるということをやってきていまして、実はかなり実が上がっているんです。そのときの経験によりますと、余り細かく資格だとか制約を加えない方がうまくいく。その場その場の場当たり的というわけではありませんけれども、意外に、存外、自主的にやった方がうまくいくという経験を持っているものですから、余り細かくやらない方が私はいいと思っています。

柴山委員 自由民主党の柴山昌彦でございます。

 お二方にお伺いしたいんですけれども、いわゆる災害弱者と言われる高齢者の方々が、最近、大規模災害で被害になる事例が大変多発しております。また、周辺自治体、こちら、片山知事の事前の資料等で周辺自治体の長には組合消防に大変遠慮されている方もいらっしゃるということですので、こうした災害弱者あるいは周辺市町村の防災体制の充実ということをどのようにお考えかということをまず伺いたいと思います。

 その上で、先ほど来、地域防災ということについて、私は、小中学校、要するに義務教育を受けている人たちの親御さんを交えた形で活性化していくということが非常に有効な手だてになっていると思っておりますが、こうした小中学校との連携あるいはそうしたものの避難訓練、そういった形を通じての訓練というものをどのように実践されているかということをお伺いしたいと思います。

片山参考人 災害弱者の皆さんの問題というのは、国の指針にも出ていますし、それから県でも県の保護計画の中で考えるんですけれども、具体的には、やはり一番は市町村が肝心だと思うんです。市町村の皆さんが、それぞれの該当の方がどういう状況にあるのかということもよく把握しておかなければいけないので、市町村の計画をつくるときにうまくそれが取り込めるかどうかということだろうと私は思います。

 それから、弱者というわけではありませんけれども、子供たちの問題があるわけで、これも非常に重要です。これは学校との連携ということもありますし、もう一つは、保護者の意識、保護者との共通の理解と認識ということも必要なものですから、例の法律に基づいてつくります保護協議会にも保護者の代表に入っていただいて、そこで理解を深めていくということをとりあえずやっているような次第であります。

河瀬参考人 私ども、市内をブロックに分けまして、そこでいろいろな訓練をやっています。

 そういう中で、そこには当然、そのブロックに入っていますPTAの皆さん方にも連携ということで協力をお願いして、それぞれ、老人会からPTAからすべてを包括してのいろいろな訓練に取り組んでおるんですけれども、やはり学校としても学校独自の、教育委員会としてのいろいろな、子供たちに対する防災なり避難ということは非常に大切でありますので、私どもも今まで以上にやるように要請はしてまいりますが、私どもとして、いろいろな部署と連携をとることがより一層必要でございますので、その辺、今まで以上に努力をしていきたいと思います。

佐藤(錬)委員 自民党の佐藤錬です。

 最後の方になりますと、質問をしようと思ったことがもう出てしまいましたけれども、ちょっと私なりの視点から。

 実は、参考人、お二人とも昭和二十六年生まれで、私も同年なんです。戦後生まれですから、平和で豊かで、ある面では本当の危機感というか有事の対応というのは知らない世代。ですから、平和ぼけとまでは言いませんが、国民的なそういうのがありますね、実際。

 その中で、この有事対応というのはまさに生命にかかわる案件ですから、先ほどから片山知事は官僚批判をされていますが、これは官僚も公務員も同じ、真剣に、命がけでこの案件に取り組むという姿勢を持ってもらわなければならないんだと思います。

 同時に、国や自治体はもちろんですが、国民が、住民がそういう意識、危機感というかそういった心構えというか、こういうものを常に持っている国民になってもらわぬと、実際、法案をつくっても対応できないと思うんですね。

 ですから、そのためにどうすればいいのか、国も自治体も。そんなことを、今教育だとか町内会だとかいろいろ意見が出ましたが、ちょっとダブって恐縮ですけれども、どうすればいいのか、お考えをお聞かせいただければと思います。

片山参考人 私は、これはもう地道にやるしかないと思います。余り不必要にというか過度に危機感をあおるようなことは避けなきゃいけませんし、淡々と、地道に作業を進めていく。それと並行しながら、町内会、自治会、もっと言えば事業所なんかでの啓発も必要だと思いますけれども、そういう地道な活動がいずれは共通の認識を拡大することになるのではないかなと思っています。

河瀬参考人 全く同感だと思います。

 こういう会議ですからいろいろなお話が出ていますけれども、日常の生活の中で、毎日毎日、何かが攻めてくるんじゃないだろうか、何か起きるんじゃないだろうか、もうストレスがたまってとても日常生活ができぬようになってしまいますので、これはこれとして、私ども行政の立場でしっかりと頭の中心には置いてございますけれども、ほかにいろいろな課題もございますし、やはり人生楽しく、みんな元気で暮らしていくのが一番でありますので、そういう明るい部分を前面に出しながら、影の部分ではいざというときにしっかり備えるという体制をとって、頑張っていきたいと思っています。

玉沢委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 両参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十四分散会


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