衆議院

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第5号 平成17年5月31日(火曜日)

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平成十七年五月三十一日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 二階 俊博君

   理事 石破  茂君 理事 松岡 利勝君

   理事 柳澤 伯夫君 理事 山崎  拓君

   理事 桝屋 敬悟君

      井上 信治君    今村 雅弘君

      江藤  拓君    大野 松茂君

      大前 繁雄君    城内  実君

      北川 知克君    小泉 龍司君

      小杉  隆君    小西  理君

      左藤  章君    桜井 郁三君

      柴山 昌彦君    園田 博之君

      高木  毅君    中山 泰秀君

      馳   浩君    松本  純君

      宮下 一郎君    山口 泰明君

      石井 啓一君    谷口 隆義君

      佐々木憲昭君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   内閣府副大臣       七条  明君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中城 吉郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  橋口 典央君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  竹内  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  細見  真君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊東 敏朗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  篠田 政利君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      伊東 章二君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    牧野 治郎君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   斎尾 親徳君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   山下  泉君

   衆議院調査局郵政民営化に関する特別調査室長    石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十一日

 辞任         補欠選任

  小西  理君     高木  毅君

  柴山 昌彦君     中山 泰秀君

  塩川 鉄也君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  毅君     小西  理君

  中山 泰秀君     柴山 昌彦君

  佐々木憲昭君     塩川 鉄也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵政民営化法案(内閣提出第八四号)

 日本郵政株式会社法案(内閣提出第八五号)

 郵便事業株式会社法案(内閣提出第八六号)

 郵便局株式会社法案(内閣提出第八七号)

 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(内閣提出第八八号)

 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第八九号)


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     ――――◇―――――

二階委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、郵政民営化法案、日本郵政株式会社法案、郵便事業株式会社法案、郵便局株式会社法案、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本郵政公社理事山下泉君及び日本郵政公社理事斎尾親徳君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房内閣審議官中城吉郎君、内閣官房内閣審議官橋口典央君、内閣官房内閣審議官竹内洋君、内閣官房内閣審議官細見真君、内閣官房内閣審議官伊東敏朗君、内閣官房内閣審議官篠田政利君、公正取引委員会事務総局経済取引局長伊東章二君及び財務省理財局長牧野治郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井啓一君。

石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。昨日に引き続きまして、質問させていただきます。

 まず、昨日の質問の続きでありますけれども、骨格経営試算、採算性に関する試算について質問を申し上げます。

 まず、採算性に関する試算で、郵便貯金銀行の新規業務を挙げていらっしゃいます。まず、郵便貯金銀行については、移行期間の十年間で貯金量が約三分の二になるだろう、二百十兆円の貯金残高が約百四十兆円に落ちる、こういう想定で、その百四十兆円のうちの約四分の一、三十五兆円を貸し付け等の信用リスクをとる新規業務ということで考えていらっしゃいます。

 具体的には、いろいろな業務ですね、貸し付け、シンジケートローン、私募債、株式、クレジットスワップ、証券化関連商品、ローンパーティシペーション、保証業務、ちょっと私も内容のわからないものも結構入っておりますけれども、いろいろな業務に新しく進出をする、こういうことであります。

 二〇〇七年度の民営化が始まる時点においては、公社と同様の安全資産の運用から始める。国債、地方債が大半。それで、十年間で三十五兆円の信用リスクをとる。これはなかなか大変な、一からというかゼロから始めなければいけないということでありますから、容易なことではないというふうに考えますけれども、その点はいかがお考えなのか。

 また、これを可能にしようというふうにいたしますと、具体的に言うと、人材をどのように確保し、あるいは養成していくのか。ノウハウは今ないわけですけれども、これをどういうふうに身につけ蓄積をしていくのか。このことについてどういうふうにお考えになっているのか、この点まず確認をさせていただきたいと思います。

西川副大臣 今お尋ねの三十五兆円の貸し出しの問題でありますけれども、私どもとしましては、採算性に関する試算の中で、四分の一に相当する三十五兆円を一応前提として上げまして試算を行いました。これはあくまでも貸し付けの規模の試算を目的としたものではありません。三十五兆円やるときにどうだろうか、こういうことで一応整理をして試算した、こういう状況にあります。

 そこで、金融を取り巻く環境でありますけれども、非常に近年は急速に変化が起きている、こういうことも事実であろうと思います。十年後の貸し出し市場の姿を正確に予測する、こういうことは困難である、こういう受けとめ方もしています。

 そういう中でありますけれども、経済成長によります資金需要の増加、あるいは、今委員が触れられましたように、シンジケートローンの増加とか貸出債権を証券化した商品とか、そういう分野で金融ビジネスのモデルが変化してきて増になるだろう、こういう見込みを立てております。さらには、住宅金融公庫は廃止になったわけでありますけれども、この資金の量は約六十兆円あったわけでありますけれども、これが廃止になるということで、背景に公的金融の縮小等もあります。

 このような状況の中で順調に業務が展開できれば、この問題は、新規参入会社が貸し出し市場で試算で想定したような状況ができる、こういうふうに私どもは考えております。なかなか難しい問題でありますけれども、三十五兆円を前提に計算したわけでありますけれども、新規事業が見込まれて、その中で対応できる、こういうふうに私どもは試算を行っております。

 さらには、人材の問題はどうなんだ、こういう話を今いただきました。人材の育成もなかなか大変だとは思いますけれども、これから公社から引き継ぐ人材資源あるいは物的資源などを活用しまして、民営化後の自由な経営のもとで新規事業として可能性のある業務から取り組んでいく、こういうことになるわけであります。最初は、委員が御指摘のように、大宗を占める百五十兆円の中の四分の三については安全運用ということで来ますので、徐々にノウハウを取得して、そこで運用を図っていく、こういうことでありますので、なかなか難しい問題でありますけれども、やっていこう、こういうことであります。

 これらは当然、新しい経営陣がどう取り組んでいくか、こういうことになるわけでありまして、その経営陣の判断によるわけでありますけれども、これらに取り組んで、十年後の姿を想定してやっていく、こういうことにしておりますので、そのような形で取り組んでまいりたい、こう考えております。

石井(啓)委員 これはなかなか、言うはやすく行うはかたしだと思うんですね、三十五兆円も。

 ちょっと麻生大臣、済みません、通告していないんですけれども、なかなか御質問する機会がないものですから。

 大臣、企業経営の御経験がおありかと思いますので、新しい事業に着手するというのがいかに大変かということはよくおわかりかと思うんですけれども、今現在の郵政公社の人たち、そういう貸し付けだとか融資だとか、あと何かいろいろな金融の新しい言葉がたくさん出てきていますけれども、そういった業務に全く携わっていない人が、では民営化したからすぐにやれと言われても、なかなかこれは難しい。やはり新しい人材をどこかから引っ張ってこなきゃいけないと思うんですよね。そういう意味からすると、そうなかなか簡単ではなかろうかなと思いますけれども、大臣、ちょっと御見解はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 どなたが経営なさるかというところは、石井先生、これは物すごく大きな差だと思いますが、基本的に、三十五兆という背景は、多分、今から十年後の、名目二%ずつの経済成長を仮に達成すると七百兆から八百兆ぐらいのGDPになるであろうという大前提が、その三十五兆をつくり出した背景の一番大きな数字になっていると思われます。思われますとしか、ちょっと総務省としてはそれしか言いようがないんですが、思われます。

 そのうちで三十五兆円の金を貸すということは、現実問題、十年前、バブルのはじけます九二年のときに、企業は年間約五十兆円の金をいわゆる銀行から借り、金融から借り、そして、それに対して、一般の預貯金というものが二十兆円ふえておる。差額の三十兆円をいろいろな形で日銀等々で賄っていたのが、一九九六、七年ぐらいからいわゆるデフレ傾向がはっきりしたのに伴って、企業は借入金の返済を進める形になりましたものですから、この五年間、六年間ぐらいの平均を見ますと、企業の銀行に対する返済というのは、借りている額より返している額の方が二十五兆六千億ぐらい多いというのがこの六年間ぐらいの実績だと思います。

 したがいまして、五十兆借りておったものが、二十五兆返済ということは、黙って七十兆円という差が、そこに七十五兆円ぐらい差が出てくるということだろうと思います。そして、二十兆預金は今までどおりふえ、企業から二十五兆も返ってくれば、ほっておけば黙って四十五兆円のデフレ圧力ということになるのが、この数年間の企業とか日本全体におけるいわゆるデフレ圧力というものだったんだと思います。

 今言われましたように、経済が少し、昨年ぐらいから企業は、比較貸借を見ましたときのバランスシートがいい企業から無借金のところほどデフレに強いわけですから、インフレ経営からデフレ経営に切りかえているのが早かった。もしくは、そういう体質がもともとあった無借金会社の会社の内容は急激によくなっていったのはもう御存じのとおりです。

 結果として、今の状況でいきますと、新しく設備投資がこの数年、特に昨年ぐらいから顕著にふえてきておりますが、設備投資、機械受注伸び率、いずれも伸びておりますが、その伸びている割には銀行貸し出しは相変わらず減っているという状況の中で、三十五兆をどうやって借りられるかというところが多分御心配のところなんだと、私どももそう思います。

 ただ、状況は、企業が、貸しはがし、貸し渋りのあの痛い目にもう二度と遭いたくないというのが大体経営者の気持ちだと思いますので、そういう状況が払拭できるまでには、気分的な問題を含めて少々時間はかかるだろうなという予測はいたしますが、状況として、今いろいろな意味で、IT、ICT、いろいろなものが出てき始めておりますので、日本のソフトと言われるものも、ハードに限らず、Jポップだ、ジャパニメーションだ、Jファッションだという、スリーJと言われるものが東南アジアでこれだけ出てくる。そういったようなものまで含めまして、中小で非常に金が必要になってきている、大企業よりむしろ中小で金が要るようになってきているというのも間違いないこの数年間の傾向でもありますので、そこらに対する需要は決してないわけじゃないと思います。

 ただ、そこらに対する貸し出しの能力が今度あるかという点に関しましては、今の人にあるかといえば、それは役人はないです。大体、金稼ぐ才能のある者は役人をやっちゃいかぬわけですから、金稼ぐ才能のないのが役人をやっておるわけですから、ある者がやるとろくなことになりませんので。

 そういった意味では、役人としてはあきらめて、少なくとも銀行で融資やら何やらを長くやって退職をしたという人はそこらにいっぱいおられますし、元気な方もいっぱいおられますので、そういった方々に郵便貯金銀行に、契約社員をやられるもよし、月々二十万円で採用されるもよし、いろいろな形でそういった方々の能力、ノウハウというのは、例えば先生の住んでおられる地域の信用金庫の融資課長を長くやっていたとか、退職したばかりの理事長とか、最もお詳しい人がいらっしゃいますので、そういった方々を一人採用されて、顧問として使われて、受けられたのをその人たちがきちんと整理する。信用調査は郵便局の方がよほど信用金庫より詳しいかもしれませんから。

 そういった意味では、やり方はいろいろあるんだと思いますので、少なくとも公務員ではなくなりますので、そういった形で、いろいろな融資の方法は広く考えられる。そういったところが次に経営をやられる方々の見識であり経営能力ということになろうと思いますので。

 私も、GDPの伸び率が今予想どおりということに、そんなに簡単になるとも思いませんけれども、予想どおりになっていくという前提に立つならば、三十五兆という数字は決して不可能な数字ではないと思っております。

石井(啓)委員 では、竹中大臣にちょっと引き続きお尋ねします。

 人材を確保する、あるいはノウハウを身につけるということですぐに頭に浮かぶのは、他の金融機関と提携をする、あるいは合併をするということでそういう人材、ノウハウを身につけるということは通常考えられますね。完全民営化以降はそういういろいろなことをおやりになって業務の展開を図っていくということでありますけれども、移行期間においてもそういう提携とか合併というのは可能なんでしょうか。あるいはまた、可能だとしたら、そういうことも想定をされていらっしゃるんでしょうか。ちょっと伺いたいと思うんです。

竹中国務大臣 本当に、民営化のプロセスで、そして民営化された後、今麻生大臣は大変重要な御指摘をしてくださっているんですが、今想定しているのとは違う、GDPサイズも非常に大きくなりますし、その間に政策金融機関の改革もするということで、民間の活動分野が広がる中での事業展開という点、この点を念頭に置いて骨格経営試算を我々もつくっているつもりでございます。

 そういう中で、まさに民間の活力を生かして、非常にダイナミックな事業展開を期待するわけでございますが、石井委員お尋ねのような一種の提携を組む、これは当然のことながら視野に入ってこようかと思います。

 郵貯銀行というのは、当面は引き続き大変預金の収集力はある、しかし、資産の運用についてはこれからノウハウを蓄積しなければいけない。そういう観点から、これを補完的に補い合えるような金融機関ないしは機関とのアライアンスというのは当然、経営者としては模索されるでありましょう。もちろんこれは経営判断ではございますが、そういうことはやはり我々も念頭に置いて、いろいろな骨格経営試算をさせていただいているということでございます。

 合併についてのお尋ねがございましたが、実は、合併については、移行期間について一定の制約を設けております。郵便貯金銀行を当事者とする合併につきましては、この移行期間に関して、業務範囲の制限等の特例規定の規制の実効性を確保するという観点から、主務大臣、これは総理大臣と総務大臣の認可を要するというふうにしております。

 さらに、合併によって郵便貯金銀行が消滅するような場合、ちょっとこれは非常に極端な例でありますが、郵便貯金銀行があって、そこに一種の特例を移行期間はかぶせているわけですけれども、これがもしもほかの銀行と簡単に合併してしまって、それで存続銀行が別の銀行だとこの法律でカバーされなくなってしまいますから、そうすると完全なしり抜けになってしまうということで、そういう合併は当然のことながら認められないわけでございます。

 合併の相手方が金融機関の場合も、これは市場に対する影響等々も考えなければいけませんので、こうした合併は認めない等の措置を郵政民営化法の第百十二条で制限を設けております。

 しかし、いわゆる提携といいますか、いろいろなところとアライアンスを組んで事業の可能性を探っていただく、これは当然のことながら民営化の中でしっかりとやっていただくことになると思っております。

石井(啓)委員 郵便貯金銀行の新規業務の想定条件といたしまして、先ほどの御答弁にもちょっと触れられておりましたけれども、今後の景気回復による資金需要増大、公的金融改革などを考慮し、こういうふうにされていますけれども、これは民業圧迫を避けるという趣旨かと思います。

 これは、新規業務、移行期ということでありますけれども、移行期においては民間金融機関の貸出量を奪わない、そういう範囲内でやりますよ、こういう前提であるのか。あるいは、公的金融改革などを考慮しということは、公的金融改革で廃止あるいは民間に移行される業務を郵便貯金銀行が引き継いでいく、こういう前提であるのかどうか。この点について伺いたいと思います。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 骨格経営試算や採算性に関する試算につきましては、公社より経営の現状に関するデータそれから知見の提供も受けまして、それからまた、必要に応じて専門家の御意見も参考にしながら作成したものでございます。新規事業につきましては、新規事業のうち可能性のある業務のうち幾つかを選定して、民間準拠という前提でその効果を試算したものでございます。

 郵貯銀行の新規業務に関しましては、二〇一六年度時点で総資産の約四分の一に相当する、先ほど答弁しました三十五兆円の貸し出し等の信用リスクというものをとる商品などに進出する前提で試算をしておるわけでございます。

 もちろん民営化十年後の貸し出し市場とかそういったものを正確に予測することは困難であるということでございますけれども、経済成長による資金需要の増加、それから住宅金融公庫の廃止など、公的金融機関、そういったものが縮小していく、それによって民間に開放される新規需要というものの一部を獲得するということによりまして、御指摘のような、郵便貯金銀行が民間金融機関の残高を奪うことなく貸し出し市場の中で相応のシェアを確保する、そういうことも可能であるということを考えております。

石井(啓)委員 公的金融改革については、今、住宅金融公庫のことが言及されましたけれども、住宅金融公庫については、もう既に貸出量が相当減っておりまして、むしろ保証の方にだんだんウエートが移っているんですよね。郵政民営化を待たずして、住宅金融公庫についてはそういう方向がはっきりして、もう既に他の民間金融機関でカバーされているという状況ですから、ここにまたさらに郵貯銀行が進出しても、これはなかなかそう大きなシェアがとれるとは思わないんですね。

 他の公的金融改革との関連ではどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

中城政府参考人 御指摘のように、住宅公庫分というものは既に廃止が決まっているということでございますが、それ以外の政府系金融機関の公的金融につきまして、大体その残高の半分ぐらいにするというような目標がございます。

 現在、住宅公庫を除きます公的金融、七十兆円ぐらいございますので、それを半分にするということで、三十五兆ぐらいの金額は貸し出し市場の拡大につながるというふうに考えております。

石井(啓)委員 正確に言うと、政策金融改革では、将来的にGDP比で半減を目指すというふうになっていて、貸出量半減というわけじゃないんですよね。それから、将来的というのはいつの時点かというのはまだ決まっていません。

 そういう意味で、試算ですからここで余り詰めるつもりはありませんけれども、この部分は、今の政策金融機関も、過去からずっといろいろなノウハウあるいは人材を育成して今いろいろな業務をやっているわけですから、それをそう簡単に郵便貯金銀行が引き継げるものでもないと思いますので、とらぬタヌキの何とかにならないように、ここら辺はしっかりとお願いをしたいと思います。

 それから、この試算では二〇一七年以降の試算も行っていらっしゃるんですけれども、これについて、郵便の引受量については、二〇〇七年から二〇一六年の試算に引き続いて二〇一七年度以降も郵便の引受量は減っていくだろう、こういう前提にしていらっしゃるんですが、貯金と保険については、先ほど申し上げましたように、移行期間については現在の貯金、保険残高が三分の二というふうになるという前提で置いているんですけれども、二〇一七年度以降が、貯金、保険残高は横ばいというふうに設定されているんですね。完全民営化になれば残高が直ちに減るということはどういうことなのかなと。

 この点、どういう考え方で試算をされたんでしょうか。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一七年以降の試算でございます。もちろんかなり先のことでございますが、そういうことで正確に予測することは困難でございますが、試算の前提としておりますのは、郵便の引受量の減少につきましては、IT化の進展等、構造的なものというふうに考えております。

 ただ、郵便貯金、郵便保険の残高につきましては、バブル期以前の水準への縮小傾向というものが大体民営化後十年程度でほぼ終息して、残高が下げどまるというような前提を置いて、この試算はつくっております。

石井(啓)委員 具体的に申し上げますと、貯金が大体百四十兆ぐらい、保険が七十兆ちょっとということになるんですが、この程度が郵便貯金銀行あるいは郵便保険会社の大体適正な規模だ、こういうお考えでいらっしゃるんでしょうか。

竹中国務大臣 我々は、市場の中で適正な規模が維持されていくということで、我々がこれが適正でございますということを前提としていろいろな試算をしているわけではございません。

 ただ、今担当審議官の話にもありましたように、要は、八〇年代からバブルのピークにかけて膨れ上がった融資の残高、GDPに対して数割という比率で上がった、それが今調整のプロセスに来て、それが今最終局面に近づいているというふうに思っておりますが、それが一巡するまではやはり残高は減っていく、全体としても減っていくし、そのプロセスの中に郵政もあると。しかし、それ以降については、一種の定常状態的な形で試算を行おうという、試算の姿勢としてそのような姿を示しているところでございます。

 ただ、その場合も、経済の規模そのものが大きくなるということを考えますと、比率そのものは、GDPに対する比率が低下するということを想定しているとも言えるわけでございますので、その辺、とにかく長い先の話でございますので厳格なことは申し上げられませんが、一つの考え方として御理解をいただきたいと思います。

石井(啓)委員 試算の考え方ですから細かくは追及申し上げませんけれども、別の質問で用意していたんですけれども、完全民営化後の貯金銀行あるいは保険の経営というのもそう簡単ではないというふうに思いますので、その点については申し上げておきたいと思います。

 それから、この試算につきます最後の質問になりますけれども、この試算上の、郵便事業会社、貯金銀行、保険会社、それぞれ窓口会社に対して窓口委託料を支払うわけですけれども、この窓口委託料についてどういうふうな算定をされていらっしゃるのか。

 といいますのは、この窓口委託料の設定の仕方によって、四会社のそれぞれの経常利益が全く変わってくるわけですね。簡単に言うと、貯金会社、事業会社、保険会社、この三社については窓口委託料がなるべく少ない方がいい。窓口会社についてはなるべく多い方がいい。四社のバランスをとってということになると思いますけれども、実際に民営化する場合はどういう考え方でこの窓口委託料というのは設定をされることになるのか、この点について伺いたいと思います。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、骨格経営試算での窓口委託料の算出方法でございますけれども、まず、郵便事業会社から支払われる窓口手数料につきましては、郵便営業収益に郵便事業における窓口の貢献比率というものを掛けて、その算式で計算してございます。

 それから、郵便貯金銀行から支払われます窓口手数料につきましては、貯金残高に〇・三五%というものを掛けまして、そのほかの手数料を考慮するということでございます。貯金残高に〇・三五%を掛けるというものにつきましては、店舗の効能分の相当として、民間金融機関の実態というようなものを反映して設定したというものでございます。

 それから、郵便保険会社から支払われます窓口手数料につきましては、民間の保険募集人の手数料水準に準拠しまして、新規保険料の一年分相当というふうに設定してございます。

 このように、三事業会社から郵便局会社へ支払われます手数料につきましては、いずれも各事業における窓口ネットワーク機能の貢献の程度や民間におきます同種の事業における手数料といったようなものを考慮して設定したものでございまして、手数料の全体的な規模としては相応の妥当性を有するものというふうに考えております。

 それで、具体的にそれではどういうふうにその手数料が決まるのかということでございますが、手数料交渉というのは、本来すぐれて各会社間の問題ということでございまして、郵便局会社の有するネットワークという機能は各会社にとっては必要不可欠なものということでございますので、当事者間での適切な交渉妥結がなされることが期待されるというふうに考えております。

石井(啓)委員 当事者間での交渉妥結という、それは当事者で決めるということでありますけれども、先ほども申し上げましたように利害相反するわけで、どこかでそれは妥結しなきゃいけませんけれども。

 もう少し言いますと、民営化しますけれども、完全民営化のことを考えると、その時点で持ち株会社の傘下にあるのは郵便事業会社と窓口会社ですね。貯金会社と保険会社は全く持ち株会社の支配下にないということになりますと、当初設定するときに四社間のバランスをどう考えるのか。実は完全民営化のときの持ち株会社の利益にも関係してくる話になってくるんですね。だから、そこはどうされるのかなというのが非常に関心のあるところなんですけれども、大臣どうでしょうか。

竹中国務大臣 いわゆる移行期間に関しましては、この持ち株会社、日本郵政株式会社が四つの会社の株式を所有しております。実は、組織全体としての利益を最大化する、その一種の本部といいますかヘッドクオーターの役割をこの持ち株会社に担ってもらいたい、その思いで実は持ち株会社をつくっております。

 これは、委員おっしゃったように、窓口の手数料をどうするかということだけに関しては銀行と窓口というのは利益相反になるかもしれません。しかし、だからこそ、そこの本部としての持ち株会社のもとで全体の調整を行いながら適切な料金を設定していただけるというふうに考えているわけでございます。

 それが当然のことながら市場に準拠していなければいけない、マーケットに準拠していなければいけない。やがて持ち株会社のもとを銀行が離れていくわけでございますけれども、その後においても安定的に、郵貯銀行とは限りませんけれども、そういう委託契約が続くということを想定しております。だからこそ、この当初の我々の試算でも、マーケット、市場に準拠するという形でこの手数料を想定しております。

 今、審議官の方からお話がありましたけれども、例えば銀行からの手数料をどうするかというのは、これは一見なかなか難しいわけですけれども、実は、店舗を持っている銀行と店舗を持っていない銀行というのがあります。店舗を持っていない銀行、インターネットのバンキングというのは、当然その分金利が高くなっている。その分やはり、その差額こそが店舗の貢献である、そのように市場が決定している、みなしているというふうに考えまして、ほぼその差額が実は店舗に対して窓口に手数料として支払われる、それが実は店舗の役割に対する市場の裁定であるというふうに考えてこの試算等々を行っておりますので、今申し上げたような、市場に準拠して、それでしっかりと持ち株会社が調整を行いながら適切な、まさに適切な、利害を調整するような委託手数料が設定していかれるものというふうに思っております。

石井(啓)委員 それでは、次のテーマに移らせていただきますけれども、次に、郵便貯金と郵便保険のユニバーサルサービスについて質問をさせていただきます。

 政府・与党合意では、郵便貯金銀行、郵便保険会社に対しましてみなし銀行、みなし生命保険業免許が付与される場合に必要とされます安定的な代理店契約、銀行の場合代理店契約、保険の場合保険募集委託契約につきまして、その期間は、移行期間を超えて長期とすることも妨げないというふうにされております。先週の金曜日のこの委員会での質疑での答弁によりますと、その実際の期間は経営者のビジネスモデルの考え方と金融監督上の観点から判断をされる、こういう御答弁がございました。

 そこで、伊藤大臣にお伺いいたしますけれども、金融監督上からは、移行期間十年を超えてどの程度の期間の契約が望ましいというふうにお考えでいらっしゃるのか。あわせて、恐らく移行期間を終了しても安定的な契約は続くということになるかと思いますけれども、契約は続けるものの、移行期間が終了したら、その契約の中身は見直すことを容認するのか、あるいは当初契約の内容のまま継続されることが望ましいというふうにお考えになっていらっしゃるのか、大臣の御見解を伺いたいと思います。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 石井委員から二点御質問がございました。

 まず、石井委員御指摘のとおり、四月下旬における政府・与党間の合意においては、「郵便貯金銀行に対してみなし銀行免許が付与される場合に必要とされる「安定的な代理店契約」について、その期間は、移行期間を超えて長期とすることも妨げないものとする。」とされているところでございます。

 一般に、民間会社が銀行の免許を申請した場合には、銀行法にのっとりまして、健全性等の観点から、業務を的確かつ効率的に遂行することができるかどうか審査をすることになりますが、今般の法案におきましても、銀行免許をみなし免許として付与される郵便貯金銀行についても、同様の趣旨から、円滑な業務運営と健全性を確保するため、安定的な代理店契約の締結を免許の条件としていると承知をいたしているところでございます。

 これは、郵便貯金がこれまで長年にわたり、郵便局の窓口ネットワークを活用して地域密着型の業務を展開してきたという業務の特性にかんがみまして、営業の基盤となる代理店網が安定的に維持されていくことが必要であるとの考え方に基づいて制度設計されたものと認識をいたしているところでございます。

 郵政民営化法上、安定的な代理店契約の期間としては、最低限移行期間をカバーするものであることが免許の条件とされておりますが、移行期間を上回る長期の契約を締結することも妨げられてはおらず、会社の経営判断により可能となっております。しかしながら、具体的に移行期間を超えてどの程度の期間の契約が望ましいかを一概に言うことはできず、新しい経営陣の策定するビジネスモデルに応じて健全な経営がなされるよう、適切な契約が締結されるものと考えているところでございます。

 そして、移行期間終了後についてのお尋ねもございました。

 移行期間終了後については、郵便貯金銀行は特例規定のない銀行法上の一般の金融機関となります。そのような一般の金融機関がその時点の状況に応じてどのような代理店契約を締結するか、あるいはどのように既存の代理店契約を変更するかは、基本的には、契約の両当事者たる郵便貯金銀行と代理店の経営判断の問題であると考えております。

 ただし、そういった経営判断をするに当たっては、当然のことながら、郵便貯金銀行にとっての郵便局の窓口ネットワークの重要性、新たに自前の代理店網を整備するためにかかるコスト、そして移行期間終了時までに構築されたビジネスモデルなどを勘案することになるのではないかと考えております。

石井(啓)委員 ちょっと今の伊藤大臣の御答弁ですと、結論的に言うと、経営判断で申請されたものを審査するということになるんでしょうか。そうすると、経営者が何年でやってくるかわかりませんけれども、金融監督上は特に望ましいというレベルというのはないということなんでしょうか。一般的には、恒久的というのはないだろうし、五十年というのも長いんじゃないの、二十年前後じゃないのという声も上がっていますけれども、その辺どうなんでしょうか。

伊藤国務大臣 このみなし免許を付与するに当たって、やはり金融サービスというものが健全かつ適切に提供されることが重要であります。したがって、代理店契約というものがなされる、こうしたことを前提にしてこのみなし免許が付与されるわけでございますけれども、今委員が御指摘になられたように、五十年とかあるいは無期限の契約でよいかということになりますと、これは長期の契約により経営の基礎となる条件の一つを固定することになってしまいますので、経営の健全性確保という観点から、必要な範囲を超えているのではないかどうか、こうした点を全体のビジネスモデルに照らして検証していくことになると考えております。

 いずれにいたしましても、新しい経営陣が策定したビジネスモデルに応じて健全な経営がなされるよう、適切な契約が締結されるものと考えております。

石井(啓)委員 もう一つ確認ですが、一括契約が移行期間を過ぎても続いたとしても、契約の中身は変わる可能性があるということでよろしいですね。

伊藤国務大臣 これは、先ほども答弁をさせていただいたように、やはり経営者の判断ということになろうかというふうに思いますし、経営の健全性という観点から、全体のビジネスモデルに照らして検証をしていくということになろうかというふうに思いますし、また、ビジネスモデルに応じて健全な経営がなされるよう適切な契約がなされるものと私どもとしては考えているところでございます。

石井(啓)委員 次の質問に絡む御答弁なわけですけれども、といいますのは、銀行とか保険会社の経営者の立場から考えると、採算性の悪い郵便局との契約はなるべく早く見直そうというふうに考えるはずだと思うんですね。ですから、民営化当初の一括契約は移行期間だけにとどめたい、あるいは、移行期間を過ぎても続いたとしても、その中身をなるべく早期に見直したいと判断するんじゃないかというふうに考えるわけです。

 したがって、完全民営化になる郵貯銀行や郵便保険会社の経営者の判断をあらかじめ持ち株会社の判断で拘束するのはいかがなものかというふうに思いますし、金融監督上も適切なのかどうかというちょっと疑問がございますので、竹中大臣、伊藤大臣、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 委員の御懸念は、当初、一括契約をして、一括というのは恐らくすべての店舗でという御趣旨でおっしゃっているんだと思いますが、しかしそれが、不採算のものを、銀行としてはどこかでやはり不採算のものからは撤退したいというような意思を持って、それが変更、内容を次第に変えていくのではないかということ、それが一方であって、もう一つは、そうじゃない場合は逆に、持ち株会社がそのことについて先験的に何か縛ってしまうのはいかがか、そういうちょっと両面からのお尋ねなんだと思います。

 基本的な考えは、私どもは、これはネットワークに価値があるわけですから、つながっているということに価値があるわけですから、それは全国まさにつながっている、ネットワーク、郵便局会社の強みであって、銀行といえども、もうかるところだけ、直接手数料が稼げるところだけで店舗を持つということは、これは通常あり得ないというふうに思っております。

 それは、送金は、ここは東京から大阪まではできるけれども、東京から私の和歌山まではできない、そういう銀行であれば、ちょっと今極端な例ですが、これはやはり価値がないわけでありますから、そういう意味で、やはりネットワークということに意味がある。したがって、当事者の意思として、そういう一括的な契約を続けるというインセンティブは強いだろうというふうに思っております。

 契約そのものは、したがって、どういう契約にするかというのは経営の判断になりますが、今のような点も踏まえて、金融上、安定性、健全性という観点から免許の付与がなされる、それが条件として満たされているかどうかが判断されるということになろうかと思います。

 もう一つ、これは持ち株会社の判断でございますけれども、まさに先ほど御答弁申し上げましたとおり、持ち株会社を今回設立した一つの大きな目的は、全体として四つの会社がそれぞれにバランスよく市場の中で自立できるように、そのまさに作戦本部としての役割を担っていただくということでこの会社を設けているわけでございます。そうすることによって結局、四社が利益を得る、四社ともうまく自立できるという仕組みでございますので、判断が決してそれを拘束する、持ち株会社の判断が別のものを拘束するということではないと思います。

 現実には、これは当然、経営委員会の中で、持ち株会社は、郵便貯金銀行、保険会社のその担当となる方の意見も聞きながら、しっかりと全体としての判断をしていかれることになると思います。

伊藤国務大臣 お答えをいたします。

 先ほども答弁をさせていただいたように、免許条件として、安定的な代理店契約を締結することを今回の法案においては求めているわけでありまして、営業の基盤となる代理店網が安定的に維持されている必要があるとの考え方に基づいて制度設計をしたものと認識いたしております。

 郵政民営化法上は、安定的な代理店契約の期間としては、最低限移行期間をカバーするものであることが免許条件とされておりますが、移行期間終了後については特に条件を付していないところであります。この結果、移行期間を上回る長期の契約を締結することも制度上は妨げられていないですが、かかる契約を締結するかどうかは、民営化後の会社の企業価値の最大化を追求する経営陣の経営判断によるところとなります。

 今、竹中大臣が御答弁をされたように、そうした判断の中で、やはり窓口ネットワークの重要性というものは、この企業価値の最大化を追求する中で極めて重要な要素になってくるというふうに思いますし、また持ち株会社も全体の利益というものを考えながら経営がなされていくわけでありますので、そうしたことを踏まえて、企業価値の最大化を追求する経営陣の経営判断が行われるものと考えているところでございます。

石井(啓)委員 ところで、郵貯銀行、郵便保険会社が窓口会社と一括契約を結ぶわけでありますけれども、現在、十五年度末で、郵便貯金を取り扱っている郵便局は二万四千百二十二局あります。簡易生命保険を取り扱っている郵便局は二万二百三十局あると。これらの郵便局がそのまま取り扱うことになるという担保というのはどこでなされているのか、確認をしたいと思います。

 それから、移行期間中は、民営化当初に預金、保険を扱っている局がそのまま扱うことが想定されているというふうに伺っておりますけれども、移行期間を超えても当初の一括契約が続いている間はその取り扱う局に変わりはないのかどうか、この点について確認をいたしたいと思います。

西川副大臣 移行期以後の担保の問題でありますけれども、公社の業務等の承継に関する実施計画を立てるわけですけれども、この中で、代理店契約等が郵便貯金銀行、郵便保険会社の円滑な業務運営と健全性を確保するものであること、こういうことを両社と郵便局会社がうまく連携できるかどうか、そこは主務大臣が審査、認可することによって代理店契約等が郵便局ネットワークを一括してのものとなることを担保されると考えております。

 移行期後において、郵便貯金銀行、郵便保険会社にとって、郵便局ネットワーク、これは重要なことには変わりないわけでありまして、先ほども伊藤大臣が言われましたように、新たに店舗網をつくったり募集体制をつくる、こういうことには膨大なコストがかかるし、そういうことから総合的に考えましても、全国一括の代理店契約は維持される、こういうふうに考えております。

石井(啓)委員 全国一括の契約は維持される、それは承知しているんです。でも、この一括というのは窓口会社と一括して契約するという意味で、個々の郵便局と個別交渉という意味ではないですね、そういう意味での一括ということですけれども。

 一括契約はわかるんですけれども、一括契約をして取り扱う局数に変わりはないのかということなんですが、その点はどうですか。

篠田政府参考人 御説明させていただきます。

 移行期間中につきまして、全国一括の代理店契約が結ばれておりますので、取扱局数についても原則として変わらないというふうに考えております。

 移行期間経過後のあり方につきましても、先ほど来大臣から御答弁申し上げておりますように、ネットワークの価値そのものを考えて全国一括の契約が結ばれることを考えますと、基本的には変わらないものというふうに考えております。

石井(啓)委員 基本的には変わらないということで確認をいたしました。

 それでは、続いて、民営化当初の一括契約を続けている間は、郵便貯金銀行、郵便保険会社というのは、採算性の悪い局であっても郵貯・保険サービスを提供する義務が生じると思いますね。そういたしますと、完全民営化以降も民営化当初の一括契約が続いている間は金融サービスというのはやらなければいけないということになると、地域貢献基金からの支援が行われないということにならないのかどうか、ちょっとこれは念のためですが、確認いたしたいと思います。

細見政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから御説明いたしておりますとおり、移行期間終了後につきましても全国一括の代理店契約が維持されることになろうと思っておりますが、一括代理店契約が引き続き継続しているという状況のもとにおきましては、基本的には郵便局における金融サービスの提供が確保されるというふうに考えておるわけでございますが、経営環境の変化等、過疎地などの一部の郵便局での貯金・保険サービスの提供が困難になるというような事態が発生するような場合には、社会・地域貢献基金を活用することが可能ということにはなっております。

石井(啓)委員 それでは、このテーマの最後の質問になりますけれども、先ほどの試算のところでもお尋ねしましたが、窓口委託料の設定の仕方によって、金融のユニバーサルサービスの維持のあり方というのも大分状況が変わってくると思うんですね。

 といいますのは、先ほどの、例えば骨格経営試算での窓口設定料のやり方というのは、郵貯のトータルの残高に応じて、あるいは新規保険契約高の一年分を民間に準拠してとる。こういうやり方で窓口委託料を設定いたしますと、郵貯を取り扱う局数とは関係なくなるんですね、この窓口委託料というのは。そういたしますと、郵貯銀行、保険会社側としては、過疎地域で郵貯サービスを提供してもらって全く差し支えない、それは窓口会社の方の判断であると。だけれども、窓口会社としては、過疎地域での金融サービスの提供は採算性を悪化させて経営上苦しくなる、こういうことになろうと思うんです。だからこそ、将来的に地域貢献基金からの支援を要請するということになろうかと思います。

 一方で、窓口手数料の設定の仕方を、局数とも連動して設定するというやり方をすれば、今度は逆に、窓口会社の方は、それは局数と連動していますから、採算性は悪くてもやってもらっても委託料はきちんと入る。だけれども、郵貯銀行や保険会社の方は、局数と連動するんだったら採算性の悪いところでは余りやりたくないねということになるわけですね。

 だから、立場が逆転してくるということで、この窓口手数料の設定の仕方と、郵貯、簡保のユニバーサルサービスの維持というのは、非常に実は密接な関係があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

細見政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、民営化後の代理店契約の手数料のあり方についてはいろいろな考え方がございまして、貯金残高や業務量などをベースにするパターン、郵便局の経費をベースにするパターン、これらの組み合わせなど、いろいろ考えられるところでございます。

 いずれにいたしましても、まず手数料体系については、民営化時点におきまして、郵便貯金銀行、郵便保険会社及び郵便局会社の業務の適切かつ円滑な承継を可能にするというものであることを、主務大臣は承継計画の審査、認可の際にチェックするということになります。各社の経営の健全性と各市場における自立的な経営を確保できるような適切なものに定められる、こういうことになろうかと思います。

 それ以降につきましては、基本的に各社の交渉により経営判断で決定されるということになってくるわけでございますが、郵便貯金銀行、郵便保険会社のビジネスモデルというものが、郵便局会社の郵便局ネットワークを活用して地域密着型の業務や生命保険募集などを展開するものであるということであり、また、郵便局会社にとっても郵便局ネットワークが重要な営業資産であるということを踏まえますと、各社は、郵便局のネットワークバリューというものを維持しつつ、各社の健全かつ安定的な経営を可能にするような手数料体系を設定していくものと考えておるところでございます。

 なお、移行期間終了後におきましても、各社の通常の経営判断として代理店契約が継続され、また、手数料体系については、移行期間中を通じて適切な相場観が醸成されるということによりまして、郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式売却後という状況でありましても、今までのいろいろな経過を踏まえて、引き続き適切な手数料体系が設定されていくものにはなるのではないかというふうに考えているところでございます。

石井(啓)委員 要は、今の時点ではよくわからないという御答弁だったと思いますけれども、この点は非常に重要なポイントだと私は思っておるんですね。場合によっては、実はもう時間がなくなったから余り質問はできないんですけれども、基金の支出のあり方についてもこれは関係してくる話なんです。

 先ほども申し上げましたように、地域貢献基金は、特に過疎地域の郵便局の金融サービスを維持するために窓口会社が必要に応じて持ち株会社に申請をするという形ですけれども、この委託料の設定の仕方によっては、窓口会社が地域貢献基金からの支援を要請しなくてもいいような窓口委託料の設定の仕方というのも当然出てくるんですね。ですから、全体の制度設計にかかわる問題でもあると私は思っておるんです。

 だから、そこは非常に、きょうは余りきちんとした御答弁をいただけなかったようですけれども、これは引き続き、私どもも関心を持っておりますので、また御検討いただきたいと思うんですけれども、竹中大臣、何かございますか。

竹中国務大臣 四分社化の議論を始めました当初から、窓口会社、郵便局会社の採算性はどうなるのか、その際に、やはり手数料の考え方が極めて重要だという御指摘をいただいてまいりました。今の石井委員の御指摘は、極めて詳細な観点から、まさに残高ベースなのか云々という観点から、そのことの御確認の質問をいただいていると思っております。

 これは、現実のビジネスの契約ということになりますと、ちょっとなかなか我々が想像できないような非常に細かな規定が入ってくるんだと思います。残高でやるのか、それとも拠点で何かを決めるのか、それとも取り扱いの件数で決めるのか。件数、残高にしても、一定割合、一定のところまでは固定にして、それ以上何か変動にするのか。変動の場合も、逓増的なコスト、料金にするのか、逓減的なコストにするのか。ここはやはり極めて厳密な原価計算に基づくような経営判断をされていくということなんだと思います。

 今の時点で我々はそういう原価計算に入るわけにはいきませんから、やはり我々が政策の枠組みづくりとして重要なのは、窓口会社と銀行双方がどのような意識、インセンティブを持っているか、そういう見定めをすることだと思います。それに関しては、繰り返し申し上げていますように、これは窓口会社としては、設置基準があって、それで拠点を維持しなければいけない。その拠点の、例えば地域の普通の特定局では六割、七割という大宗が実は金融業務を行っているわけですから、それに対してやはり有利な委託契約を当然一括して結ぼうという強いインセンティブを持っていると思います。

 一方で、貯金銀行の方から見ますと、原則は、やはりそこのネットワークの価値というものをどのように見出していくか。私たちはこのネットワーク価値を大変高く見出して銀行は行動するというふうに考えておりますので、そうした中できっちりとした業務の提携、業務の委託がなされていくというふうに考えているわけでございますけれども、問題意識としましては、石井委員御指摘のような点を、今後、公社ともさまざまな形で議論を深めたいというふうに思っております。

石井(啓)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

二階委員長 次に、小杉隆君。

小杉委員 今回、この郵政改革の論議、本当に、私、数日間ずっと真摯に聞いておりましたが、そもそも論から中身の議論まで、非常に有益な議論ができたと思っております。

 その前に自民党の中でも、もう数十回にわたってこれについては熱心な議論が展開されてまいりました。この委員会で、また、ああそうだったのかと思うような議論もさらに聞くことができて、私は大変有益だったと思います。

 残念ながら民主党、社民党が参加できませんが、その陰でこの委員会の運営に努力されている委員長初め山崎筆頭以下理事、また各党、公明党、共産党の皆さんにも本当に御苦労をかけていることを感謝いたします。また、委員の人たちも、本当に連日熱心に参加をされております。

 私はこういう議論をもっともっと国民に知ってもらいたいなと思うわけでございますが、実は、きのう、東京都の郵便局長さんに、あした質問に立つんだけれども、今の段階でどういうことを要望したいのかということを聞きました。そうすると、まだまだ認識が非常に十分でないというのを痛切に感じたんですね。

 まあ、今までの長い長い経過の中で、郵政民営化準備室、竹中大臣を筆頭に大変御苦労をされ、また、与党との協議を通じて、かなり煮詰めて合意ができてきているわけですけれども、それが十分まだ浸透していないなということを率直に感じました。

 基本的な問題として、今なぜ民営化なのかとか、あるいは、その前に公社が一番ベターであるという結論を出したにもかかわらず、まだ十分その成果を見ないでやるのは性急ではないかといったような趣旨の意見が出ているわけですね。私はぜひ今度、郵政改革にしても、これからも郵便局長さんたちがやはり最前線で汗をかくわけですし、一番の当事者でありますから、郵便局長さんとの対話というものをもっともっと強めていただきたいなと思うわけです。

 一方で、民営化に向かっての一つの過程として公社化ということが行われたわけですけれども、先日来の論議の中で、ここ二、三年の郵政公社の努力によって黒字というものを上げてきた。

 まず私は、麻生大臣に、やはり生田総裁、民間の知恵と工夫を生かして、陣頭指揮に立って郵政公社の経営改善に物すごい努力をしてきた。私も地元の郵便局へ行きますと、目標何々と書いて、もう本当に民間会社顔負けの檄を飛ばして、汗をかいてやっているわけですね。そういう努力というのは、やはり正当に評価してあげなきゃいかぬと思うんですね。

 担当主管大臣として、麻生大臣は今までの公社の努力についてどう評価されているか、お聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 生田総裁がなられたところで、少なくとも、民間手法を取り入れられた結果、生産性の向上というのが一番上がっているということは顕著なんだと思っております。

 そして、今郵便窓口の話が出ましたけれども、小杉先生、昼休みに郵便局に行かれた方がわかりやすいと思いますが、お金を引き出されるというときに、簡易郵便局を含めまして、大体三人並んでいることはまずないと思いますね。四人並んだらぱっと隣の窓口があくぐらい、何カ所か行ってみた経験ですけれども、今それぐらいあく。傍ら、金融機関の方は十人並んでいても別に珍しくないというぐらい、どっちが官でどっちが民か、さっぱりわからぬぐらいになっておる。普通、第三者が見たらそう思うと思います。それが一点。すなわち、サービスが向上したことは間違いないと思っております。

 それから、今まで、郵便でいえば、いわゆる郵便配達事業そのものは赤ということになっておりましたけれども、少なくとも昨年、ことしと、トヨタ方式とかいろいろありましたけれども、二百億だか二百五十億だかの黒字にその部門だけでしておられる点も認めないかぬと思っております。

 それから、貯金の方も、純益、去年は株のあれがありましたので、ちょっと特別利益みたいなのがあったんですが、ことしはそれなしで一兆二千億円ぐらいの黒字ということになっておりますので、これは郵便のいわゆる金利運用というのが極めて限られている中で、これだけで大したものだと思います。その他、新規契約が減少し、それから事業費も減少している中ではありますけれども、少なくとも当期純利益で一兆二千三百五十億ぐらい、そういったものは率直に、この二年数カ月間この方の努力なんだと思うんです。

 もう一つ、ここらで評価をされないかぬところは、やはり組合対策の話というのは忘れちゃいかぬですよね、共産党の方も、組合の方もいらっしゃいますから。だから、そういった意味では、全逓、全郵政を含めて、特定郵便局長会の前で、かつての全逓、今のJPUの方がこれまでの非礼をわびたりするシーンなどというのは少なくとも十年前じゃ考えられなかったと思いますが、そういったところがあると思います。

 したがいまして、生田さんがなられた後のところは間違いなく私どもとして評価の高いところでありまして、いろいろな意味で、長期的なことを考えて、このままいったらやはり毎年郵便物の絶対量は、いわゆるITとかいろいろなものでシェアを食われておりますので、そういった部分をこのままほっておいたらよくないことははっきりしておりますので、今のうちにきちんとした対応をしようということで海外事業とかその他いろいろなものに出ていこうという経営姿勢も、私は基本として間違っていないと思いますので、大変恵まれた方を公社の総裁に得られたというのがこの郵便事業に関しては一番よかったことの一つと私自身は理解をいたしております。

小杉委員 生田総裁もお立場上苦しいと思うんですけれども、一応、三つの点で今度の郵政改革については賛意を表しているように答弁では聞きました。一つは自由度がふえるとか、それから今言われた、職員の働きがいのあるということ、それからユニバーサルサービスが確保されること、そういう三つの点を満たしている、こういうことで言われているわけです。

 そういう中で、やはり、一般の国民の人に聞きますと、今の郵政公社でいいじゃないかという人も少なからずいるわけですよ。もうちょっと見たらどうかという意見が多いわけですね。そういう中であえてこれに踏み切らなきゃいけないというのを、もう少し国民に説得力のある説明で、先日来いろいろ並べられておりますけれども、今の段階でさらにこうなんだというところがあればおっしゃっていただきたいと思います。

竹中国務大臣 今、総務大臣もお話しになられましたように、公社が生田総裁のもとで本当に努力しておられる、その中で国民もそのサービスの改善を評価している、もう全くそのとおりであるというふうに思っております。

 生田総裁、私は個人的にも総裁になられる前からよく存じ上げていますが、大変な決意、覚悟でこの仕事を引き受けられて、公社一丸となって取り組んでいるというのが今の現状である、それが国民にも伝わっているというふうに思います。にもかかわらず、これは生田総裁御自身がこの場でも意見を述べておられますが、やはり公社を取り巻く環境は厳しい。その中で、さらにこの生田改革をより強いものにしていくためにも、我々はぜひ民営化が必要であるというふうに考えているわけでございます。

 その理由、これまでも述べさせていただきましたけれども、やはり環境が著しく変化している。IT革命で、いわゆるEメールがふえるということもありまして、毎年、郵便の取扱量が二%、二・五%、そのぐらい減っていっている。今後これがさらに減っていくということは多くの専門家が予想している。そうしますと、十年後は、これは今から民営化に取り組んでも十年はかかるわけでございますから、十年後は郵便の取扱量が三割減っている。これはやはり本当に厳しい環境であると言わねばならない。

 一方で、今収支を支えている大きな柱になっております金融でありますが、これは情報通信革命を上回るような金融の技術革新が行われている。現に郵貯の残高も減ってきております。

 我々、骨格経営試算の中で示しているところでございますが、ちょっと長短のスプレッドで説明させていただきますけれども、長短のスプレッドが今一・三%ぐらいで今の収益を生んでいるというふうに承知をしております。過去の平均が一%ぐらいでございました。この一・三%の長短スプレッドが仮に一%になったと仮定しますと、実はそれだけでほとんど公社の収支がとんとん、今は利益を出しておりますけれども、とんとんになってしまう。そういうやはり厳しい金融環境の中にあるというふうに認識しなければいけないと思います。

 さらには、国際物流の世界では、寡占化が進み、アジアで今大変な国際物流の成長市場があるにもかかわらず、やはり公社というのは公的な目的を担保するために国が全額出資して設立された特別の法人でございますから、いろいろなことをやるにもおのずと一定の制限があって、そういう状況で、生田さんのようなすばらしい経営者を迎えても、やはりその一定の制約の中で、どうしても柔軟かつ機動的な事業運営等を困難とするようなさまざまな制約事情がある。そういうのが、私は今の公社の置かれた立場なのではないかと思います。

 これに対応するために、生田総裁の改革をさらに強化するためにも、私は今この時期に民営化がどうしても必要であるというふうに思っております。

小杉委員 そういう現時点での環境の変化とか、あるいは国際物流の必要性とか、そういう点を、竹中大臣も麻生大臣も、やはり一番のこれから当事者である郵便局長を初め郵便局職員にもっともっと私は丁寧に説明していかれるようにぜひお願いしたいと思います。

 総論のところはまた時間があれば後でやりますけれども、少し各論に入っていきたいと思うんです。

 私たちの何十回の議論の中で、やはり一番問題になったのは過疎地域の問題ですね。過疎地域をどういうふうに規定するかというのがここ数日来議論になったわけですけれども、もう少し具体的に、どういう地域を考えて、そして、その地域の中で、いろいろ配慮しなきゃいけない局というのは大体どのぐらいの数があるんだろうかということをまずお聞きしたいと思うんですけれども。

細見政府参考人 お答えいたします。

 過疎地域にある郵便局の数ということでございますが、過疎地域特措法の中における過疎地域の対象となる郵便局の数は、おおむね四千八百程度というふうに理解をしております。

小杉委員 私が聞いているのは、そういう四千八百の中で、やはり特に注意を払わなきゃいけない、配慮しなけりゃいけない、そういう局はどのぐらいあるんですかというのが趣旨なんですが。

細見政府参考人 委員御指摘の、特に配慮をというのは、恐らく、貯金・保険サービスその他についてなかなか提供ができなくなるとか、相当経営状況が苦しくなるといったようなことを想定して、例えば社会・地域貢献計画の対象となり得るような郵便局ということであるといたしますと、私どもがいろいろ算定させていただいたのは、過疎地域その他含めまして約二千局程度が社会・地域貢献計画の中における金融サービスの対象になるのではないかという算定をしたところでございます。

 いずれにいたしましても、過疎地域、四千八百の局があって、この地域については、設置基準上は現行ネットワーク水準を維持するということで対応できないかということを考えているところでございます。

小杉委員 その設置基準なんですが、過疎地域については三点挙げられましたね。地域住民のニーズとか、市町村に最低一カ所以上とか、あるいは交通や地理の状況に応じてということ。その中で、この委員会に入ってから急浮上したのが都市部をどうするのかということなんですね。

 私の住んでいる東京でも、私のところから五十メーターぐらいのところにあるんですよ。だけれども、それは別に繁華街でもなきゃ駅でもないので、早晩これは姿を消すかもしれない。見ていますと、お年寄りが本当につえをついたり車いすで来て利用しているわけですよ。

 要するに、町中の郵便局というのは、そういうふうに預金者の大半はお年寄りだと思うんですよね。そういう人に対する配慮ということを考えると、この都市部というものをそう軽視はできない。都市部は、また逆に、経営の面からいってもそれだけメリットが多いわけですから、都市部についてどう考えるか、これは一つお答えいただきたいと思います。

細見政府参考人 お答えいたします。

 過疎地につきましては、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とすることを規定するという考えでございまして、都市部につきましても、法律上、あまねく全国で利用されるということでございますので、現在の設置基準において、都市部を含めて地域住民の需要に適切に対応することができるよう設置されていること、いずれの市町村においても一以上の郵便局が設置されていること、交通、地理その他の事情を勘案して、地域住民が容易に利用することができる位置に設置されていること、こういったことが決められているところでございますが、これを十分参考といたしながら、都市部を含む過疎地以外の地域の省令について十分検討していきたいというふうに考えているところでございます。

小杉委員 これから他の同僚議員からもこの点についての指摘があると思いますから、私は次の問題に移ります。

 私が質問しているのは、あくまでも利用者のサイドに立った視点で質問しているわけなんです。今郵便局というのは、郵便だけじゃなくていろいろな、貯金業務、保険業務が入っているわけですし、大変きめ細かなサービスをやっているわけですが、今回、貯金銀行、保険会社については、どうもユニバーサルサービスの対象になっていない。そうなると、この利便性というものが失われるのではないか、そういう心配をしているわけですが、これについて見解を伺います。

細見政府参考人 お答えいたします。

 郵便サービスにつきましては、法律上サービス提供義務を課すということにしておりまして、郵便サービスの基本的な構成要素であります郵便窓口業務についても、その適切かつ確実な実施を図るため、郵便局会社にサービス提供義務を課すということにいたしております。

 こうした観点から、郵便窓口業務を行う拠点となる郵便局について、あまねく全国において利用されることを旨として設置することを法律上義務づける、こういうことになっております。

 貯金、保険のサービスにつきましては、確かにユニバーサルサービスということになっているわけではございませんが、与党との合意を踏まえまして、郵便貯金銀行、郵便保険会社に対し銀行免許、生命保険業免許を、法律によりみなし免許を付与するに当たり、先ほどから何度も御説明しているとおり、最低限移行期間をカバーする安定的な代理店契約、保険募集委託契約があることを免許の条件に付すということにしておりまして、これにより移行期間中の業務委託が担保されるというふうに考えておるところでございます。

 移行期間終了後につきましてでございますが、郵便貯金銀行、郵便保険会社、いずれにとりましても、この郵便局ネットワークというものは大変重要なものでございまして、新たに自前の店舗や保険募集体制を構築するには非常に膨大なコストがかかるということを踏まえますと、先ほどからいろいろな質問に申し上げておりますとおり、全国一括の代理店契約が継続され、基本的には、これに基づきまして、郵便局において引き続き貯金、保険のサービスが継続されるというふうになるものと考えております。

 なお、特に過疎地などの一部の郵便局で貯金、保険のサービスの提供が困難になるというような状況が生じた場合には、これもたびたび御説明いたしましたとおり、社会・地域貢献基金を活用いたしまして、地域にとって必要性の高いサービスの確保、この場合、貯金、保険のサービスというものを確保することができる、こういうシステムになっているということでございます。

 このようなさまざまな方策によりまして、郵便局の利用者に対する利便性に十分配慮するということをこの法案では心がけているつもりでございます。

小杉委員 利用者にとっては、一体、民営化したらどういうメリットがあるのかというのが率直な疑問だと思うんですね。それで、民営化によって郵便料金が安くなるのかどうか、そういうことを端的に聞きたいと思うんです。

伊東(敏)政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣からも答弁させていただきましたように、郵便事業につきましては、IT革命により電子メールなどが普及する中で、手紙、はがきなどの郵便物の取扱量が減少傾向にありまして、極めて厳しい状況にあると認識をしております。

 このため、民営化によりまして、物流事業等の新規事業の展開を初め、民間とのイコールフッティングのもとで経営の自由度を拡大し、民営化後の郵便事業会社が一層のコスト削減やサービスの改善を図ることを可能とすることによりまして、料金の値上げを行うことなく、郵便のユニバーサルサービスを確保することができるようになるものと期待をしているところでございます。

 お尋ねの、安くなるかということでございますが、例えば、現在の封書料金八十円を六十円にするという形での料金値下げを直ちに行うことは難しいかと考えておりますが、第一種・第二種郵便物、手紙、はがきでございますが、それに関する料金規制を民営化に合わせまして認可制から届け出制に変えておりますので、民間会社としての創意工夫のもとで、みずからの経営判断によりまして、料金割引の多様化なども含め、利用者の利便向上につながる郵便料金体系の見直しを行うことが期待できるものと考えているところでございます。

小杉委員 JRなんかの例を見ますと、やはりサービスがよくなった、料金もずっと値上げしない、そういうメリットを肌で感じているわけですよ。ですから、郵政事業も民営化して、ああ、こんないいことがあったのかというようなものが私は必要だと思うんです。

 ところで、今回、郵便小包の扱いというのはユニバーサルサービスから外れているわけですよね。これについてはどう考えておられるのか。

伊東(敏)政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の民営化におきまして、委員御指摘のとおり、小包郵便物につきましては、国際条約で定められております国際郵便小包を除きましてユニバーサルサービスの対象から外すわけでございますが、現在、日本郵政公社におきましても、先ほど御答弁させていただきましたように、書状の減少傾向が続く中で、健全な経営を確保するために、郵便小包の分野での事業の維持拡大が必要であるというふうに考えておりまして、民間事業者との厳しい競争のもとで小包郵便物のシェア拡大、平成十四年度で、公社になる前でございますが、五・七%のシェアを、平成十五年度から平成十七年度までの三年間におきまして一〇%に拡大するということを経営方針に上げて取り組んでいるところでございます。

 郵便事業会社が小包郵便物の全国サービスを廃止いたしましたり、懸念されております、例えば一部地域から撤退するということも想定しがたいと思いますし、今申し上げましたように、収益の拡大ということで現在日本郵政公社が取り組んでおるように、民営化になりましても大いに期待できるんだろうと思っております。

 民営化になりまして、民間との同一の競争条件のもとで自由な事業展開を行うことによりまして、さらに公正な競争を促進することによって、一層のサービス改善が図られまして、国民の利便性が向上するという効果を期待できるものと考えているところでございます。

小杉委員 いろいろ説明を聞きましたけれども、実際問題として、やはり小包、せっかく努力して相当伸ばしてきたんですけれども、ユニバーサルサービスの対象から外れた場合には、郵便事業会社は実際に小包を僻地のところまで運ぶのはどうもということになって撤退をする、あるいは撤退をしなくても民間宅配便の料金が上がるといった問題が発生するんじゃないかということを危惧しているわけです。

 ほかの民間の宅配業者も、いろいろな工夫をして過疎地の方まで配っているようですけれども、この辺についてはどう考えておられるんでしょうか。

伊東(敏)政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの答弁の繰り返しにはなりますが、現在の日本郵政公社におきましても、民間事業者との厳しい競争の中で小包郵便物のシェア拡大に向けて取り組んでおりまして、先般、公社の総裁からもお話がありましたように、平成十五年度では九・九%増、平成十六年度では一七・八%増の成果を上げているところでございます。郵便事業会社になりましても、ユニバーサルサービスから外しましても、小包郵便物の全国サービスを廃止したり、一部地域から撤退することは想定しがたいと考えているところでございます。

 また、さらに御指摘ございました大手の宅配事業者の件でございますが、これも大臣から先般答弁がございましたように、宅配事業者というのは、やはり、全国レベルで物流ネットワークを形成するというビジネスモデルに基づきまして、過疎地においてもサービスの提供を行っているというふうに考えられるところでございます。このネットワークとサービスイメージが既に確立している今日におきましては、それを維持することが経営戦略上極めて重要であると言われているところでございます。

 このため、郵便事業会社に対して法律上どういう義務が課されているかということにかかわらず、大手の民間宅配事業者が一部地域から撤退したり、あるいは一部地域の料金のみを引き上げたりということは想定しがたいと考えているところでございます。

小杉委員 次に、貯金とか保険のサービスについて伺いたいんですが、移行期間中に満期となった定額貯金はどうなるのか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 民営化前に預けられた定額貯金でございますが、これにつきましては、まず、旧契約分といたしまして、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が承継して管理することになっております。

 定額貯金を含む定期性の郵便貯金については、政府保証が維持されまして、金利や払い戻し条件等はそのままということでございまして、払い戻しという点につきましても、今までと同様に郵便局から払い戻しが受けられるということでございますので、利用者の点から見れば、何ら変わらないということでございます。

小杉委員 今、機構と言われたのは、現在の公社ですね。

 それで、今までの議論の中に出てこなかったのが、現在の郵政公社が十年間存続するんだということですね。今まで余りこの席で出ていないんですけれども。だから、そこら辺がどういうふうに変わっていくか、そのプロセスをもうちょっとわかりやすく説明してください。

竹中国務大臣 公社がどうなるかということでございますが、民営化とともに公社そのものは廃止されます。今回の整備法の中に、日本郵政公社の廃止に関する規定が織り込まれております。

 しからば、政府保証がついた旧勘定をどうするかということに関しましては、これは公社ではございませんで、郵便貯金と簡易保険の管理機構を独立行政法人としてつくります。旧勘定がそのもとに置かれるということに相なります。

 したがって、四つの会社、それと持ち株会社ができて、さらに旧勘定を担当する独立行政法人としての管理機構ができる、郵政公社は二〇〇七年の三月三十一日の時点で廃止になる、そのような仕組みになっております。

小杉委員 今の話を聞いていますと、やはり今の郵政公社が、名前は変わるけれども実質的には事業を、これは十年間と見てよろしいんでしょうか、ちょっと確認したいんですけれども、それで十年間続いて、今までの郵政公社の仕事をそのまま管理機構が引き継いで、途中で満期になったときにはその払い戻しは独立した郵貯銀行なり保険会社が払って、そして、新規に加入する人たちは新しくできた事業会社に預け入れる、こういう判断でよろしいんでしょうか、確認したいんですけれども。

竹中国務大臣 実務の点で詳しい御質問がありましたら担当審議官から答えさせていただきますが、基本的な枠組みといたしましては、政府保証がついた旧勘定を管理いたします。

 実は、定額貯金は二〇〇七年三月三十一日に最後に預けられた定期のものは十年たつと満期になりますので、基本的な役割というのは主として十年間というふうにお考えいただいて結構でございますが、簡易保険はもっと長いのがございますから、その意味では、組織そのものはより長く継続するということになります。

 ただし、今申し上げましたように、貯金が、定額は十年で満期になりますので、主とした活動は十年であるというふうに御認識をいただいてよろしいのではないかと思います。

 その際に、業務としましては、その資産及びその受け払い等々を郵便貯金銀行に一括して委託するという形になります。したがって、新たに預金を預け入れたものは、いわゆる新勘定になりまして、政府保証はつきませんが、預金者としましては、郵便局の窓口で郵便貯金銀行を通して出し入れすることになりますので、その意味で、何か仕組みが大きく変わって不便が生じる、そのようなことはないというふうに考えていただいて結構だと存じます。

小杉委員 今まで三事業一体で郵便局のサービスが受けられてきたわけですが、今度は、先ほどからいろいろお話が出ているように、安定的な代理店契約とか、あるいは基金を設けてやっていくということですけれども、貯金と保険に関しては、先ほど指摘したように、ユニバーサルサービスは確保できないのではないかということです。

 これは、移行期間の間はいろいろ義務づけがあったり免許の条件にしたりするとか、移行後も、継続もできるし、また基金という制度もあって地域貢献ができるというようになっているんですけれども、一般的な貯金、保険のユニバーサルサービスは確保できないんじゃないかということですが、この点について、何かコメントがありましたら。

西川副大臣 御指摘のように、移行期はユニバーサルサービスができるということでありまして、私どもも与党との協議の中で、最低限移行期間はまずカバーしろ、こういう御指摘を受けてそのような仕組みをつくったということでございます。

 そして、今御指摘がありました移行期間終了後どうするか、こういう話になりますが、これにつきましては、郵便貯金銀行、郵便保険会社にとっての郵便局ネットワークの重要性、あるいは新たに自前の店舗網、保険募集体制、こういうものをつくるというのには膨大なコストがかかる、こういうことから考えまして、全国一括の代理店契約が継続されていくだろう、そして基本的には、これに基づき各郵便局において引き続き貯金、保険のサービスが提供されるもの、こう考えております。

小杉委員 先ほど過疎地域の中で、特に社会貢献活動が必要な地域として四千八百のうち約二千局という答弁がありましたね。こういう局に対して一体どのぐらいのお金がかかるのか、その辺の試算がありましたら教えてください。

細見政府参考人 お答えいたします。

 地域貢献業務計画の対象となる郵便局は、過疎地域だけに限定されたものではございませんので、四千八百のうち二千というのは必ずしも正確なあれではございませんが、私どもが今回想定をいたしましたのは、過疎地の最前線にある無集配特定局を中心に二千局程度がこうしたものが必要になるのではないかというふうに考えた次第でございます。

 その算定根拠のもう一つの方の、一局当たりの交付額ということでございますが、これは約六百万円程度ということを想定いたしまして……(小杉委員「年間ですね」と呼ぶ)年間でございます。一年間ということでございます。年間六百万円程度というものを想定いたしまして、六百万円掛ける二千局という程度の計算といたしまして、百二十億円程度を見積もったということでございます。

 以上でございます。

小杉委員 今度の四分社化というのが、必ずしも正確に国民に理解されていないんですよね。郵便事業会社といわゆる窓口ネットワーク会社とどういう仕事の分担なのかというのは、ここで議論している人はみんなわかっていると思うんですけれども、一般の国民の人は非常に混同しがちなんですよ。

 ですから、この場でもう一度国民にわかりやすく、窓口ネットワークとはどういうものなのか、郵便会社というのはどういうものなのか、ちょっと解説してみてください。

西川副大臣 現在の郵政公社でありますけれども、郵便、それから郵便の窓口のネットワーク、さらには貯金、保険、この四つの事業があるわけですけれども、それぞれ異なる機能だ、こういうふうに私ども解釈しています。

 それぞれが各業務にこれから特化してもらって専門性を高めてもらう、そしてその潜在力を十分発揮してもらう、それぞれの市場の中で自立をしてもらう。効率的な経営が行われることによって、良質で多様なサービスが安い料金で提供できるようになって、国民の利便性を最大限向上させるということが郵政民営化の本質的な意義である、こう解釈をしています。四つの機能は違った機能だ、その四つがそれぞれ独立してその特性を発揮してもらう、こういうことで四分社化を考えました。

 さらに、一つの事業の損益状況が他の事業に影響を及ぼさない、リスクを遮断しておく、こういうことも考えたわけでありまして、特に、金融システムの安定性の観点から、金融と商業を分離することが銀行法等金融法令上の一般的なルールである、民営化に当たってはこのルールに服する必要がある、こういうことから四分社化をする、こういう考え方でございます。

小杉委員 理屈の面ではよくわかりました。それぞれの機能を生かす、あるいはリスク遮断、効率性、専門性。しかし、実態は、やはり二人とか五人ぐらいしかいない郵便局で、一人の郵便局員が、郵便も扱う、保険も扱う、貯金も扱う、こういう形態が当分続くんですよね。それだったら、今、移行期間に何も無理に分けなくったって、当分やっておいたらいいんじゃないかという疑問も出てくるわけなんですよね。

 その辺をどう考えるか、これはよく整理して、何かコメントがあるんだったら聞きますけれども。

竹中国務大臣 郵政が行っているお仕事というのは、非常にある意味では広範囲でございまして、確かに、これはどういう仕事、これはどういう仕事というのは、なかなか一般にはわかりにくい面もあろうかと思います。今回の四分社化におきまして、その意味では、機能ごとにその仕事をしっかりと明確にしたという点、この点は重要でございますので、ぜひ国民の皆様に御理解をいただきたいと思います。

 普通、郵便というふうにいいますと、我々がポストに書簡等を入れて、それを集めてくださって、それを運んで相手方に届けていただく、これが郵便なわけですけれども、それに関連する窓口の業務というのがございます。

 局員さんが三名、四名でやっておられるような普通のいわゆる特定局というのは、実はそういった意味での郵便の集配は行っておりませんで、ある意味で窓口業務だけを行っております。郵便窓口業務というのは、切手の販売、書留の受け付け等々、そして、考えてみると、郵便以外の窓口業務も行っている。それは、預金の受け入れや保険の販売等々の窓口。その意味では、そういった窓口業務だけ行っている、まさに少人数でやっておられる無集配の特定局をイメージしていただければいいわけでございますが、そういった会社が窓口会社、郵便局会社として独立して、販売窓口に特化した、そういう地域に密着した仕事をしていただくということになります。

 郵便のお仕事というのは、集めて運ぶということでありますから、広い意味での物流的な仕事でありますから、この会社は、国際物流への進出も含めて物流に特化していただいてやっていただく。

 そして、銀行は、資金を集めてそれを運用して、利子を支払って、口座の中で決済をするという機能でございますから、それはそれで独立をしていただく。しかし、その預金の受け入れというような窓口業務は、これは窓口会社に対して委託をする。

 そういう仕組みになっているわけでございますから、まさに、非常に特色の異なる四つの機能を持った業務を市場の中で独立していただくために、そして損益状況が相互に影響し合わないように、そのような形で分社化を今回考えているわけでございます。

小杉委員 次に、郵便認証司の問題を取り上げたいと思うんです。

 ここ数日来の質疑の中で、内容証明とか特別送達というものがあるということで、やはり個人情報保護という観点も考えると、だれにでも扱えるというものであってはいけないということから郵便認証司を設けたんだと思うんです。

 だれを指名するかというと、管理監督の立場にある普通局の局長さんとか課長さんとか、あるいは特定郵便局の局長さんというふうに言っているわけですけれども、配達している方一人一人、これは二十何万もいるということですけれども、実際に配達しているのは十数万かもしれませんが、そういう人たちにこそ守秘義務というか個人情報保護の認識を持ってもらわなきゃいけないと思うんです。

 管理監督の立場にある者だけで事足れりとするのかどうか。

伊東(敏)政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに委員おっしゃるとおり、具体的に、例えば特別送達の配達に従事する者を郵便認証司の対象とするということも考えられないわけではないと思います。実際に配達する人たちの守秘義務とかそういうことも先ほどございました。もともと、郵便を扱うわけですので、通信の秘密は郵便法上守らなければならない、あるいは取り扱い上知り得た秘密も守らなければならない、これは郵便法で決まっているわけでございます。

 ただ、私どもの制度を検討する中では、従事者自身がみずから確認して証明するよりも、これらの者を管理監督する立場にありまして、認証事務に関し必要な知識及び能力を有する者が確認し証明する方が、客観的な公正中立性が確保でき、高い信用力が得られるものと考えたわけでございます。

 したがいまして、いろいろな御議論がある中で、委員御指摘の、これまでの公務員が行ってきたものと同様の信用性を維持する、そういうサービスというのがまさに内容証明であり特別送達であるというふうに考えておりますので、それを新しい民営化会社においてどう担保するかという中で、先ほど御説明させていただきました郵便認証司の制度を検討して、今回の法案として出させていただいているところでございます。

小杉委員 今の懸念は十分勘案しながら、もうちょっと細部の仕組みというものは考えていくべきだと思います。

 それから、先日来いろいろ議論が出ておりますのは、郵政民営化によって三百四十兆円もの官の資金がどっと市場に流れ出すということで、いろいろな影響が議論されました。私は、特に国債市場が混乱するおそれはないかという点について、ちょっと御説明いただきたいと思うんです。

竹内政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案におきましては、民営化前に契約されました、先ほどもお話にも出ました旧契約の郵貯、簡保につきましては独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構に承継することになっておりますが、その運用につきましては、郵便貯金銀行、郵便保険会社におきまして新契約分と一括して運用するということになっております。これによりまして、郵便貯金銀行、郵便保険会社は、民営化前と同様の資産負債管理手法を用いるということになりますので、急激な投資行動の変化というものが生じにくくなっておるところでございます。

 また、民営化の当初でございますが、定額貯金でございますが、旧契約分が新会社の運用資産の大部分を占めるということになりますが、この百五十兆円にもならんとする旧契約分につきましては、引き続き国債等の安全資産に運用するということになっておりまして、これにより急激な資産構成の変化が生じにくいものとなっているところでございます。

 さらに、新契約分に係る貸し付け等の新たな業務でございますが、移行期当初は公社と同じ業務範囲からスタートいたしますし、段階的に業務範囲を拡大していくことになりますので、旧契約分の逓減に伴いまして新契約分の規模が大きくなっていくといたしましても、その運用対象は徐々に広がっていくということになっているところでございます。

 さらに加えまして、移行期間につきましては、先ほども申し上げました独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が、その資産運用の見通しにつきまして、新会社から報告を受けましてその内容をあらかじめ公表するということにしておりまして、市場に対する情報提供につきましても現在同様ということで、不連続性が回避されるということでございます。

 私どもといたしましては、このように、移行期間中の市場へのショックを吸収しつつ段階的に業務を拡大していくという形にすることにより、また、市場に対する適切な情報提供を行うことによる国債市場に対する予測可能性に十分配慮した制度設計を行っているというふうに思っております。

小杉委員 大臣に伺うんですけれども、入り口論、出口論で、入り口論は大分されたわけですけれども、出口論というのが本当に大事だと思うんですね。従来は、郵便貯金なり簡保資金で、道路公団の事業を初めとしてほとんど公共工事に振り向けられていた。それが、三年前からかな、遮断というか余りそちらに使わないでということになったら、現実はほとんどが国債に回っているわけですよね、まあちょっと細かい数字を言うのはやめますけれども。

 それで、出口の方の法人改革というものの改革がどこまで進んでいるのかということと、それから、入り口を幾らいじくっても、出口の方で、例えばこれからの財政改革をどう進めていくか、あるいはこれからの国債政策をどうしていくか、そういったさまざまな分野の総合的な視点からとらえていかないと、これは入り口論ばかり言っていたってしようがないので、まず差し当たって、特殊法人改革の問題についてちょっとお答えいただければと思います。

橋口政府参考人 お答え申し上げます。

 特殊法人等につきましては、官から民への流れのもとで、公的部門をスリム化する観点から、平成十三年十二月に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画に沿って改革を着実に推進してきているところでございます。改革対象となります百六十三の法人のうち八割強の百三十五法人につきまして廃止、民営化、独立行政法人化等の措置が講じられ、また、財政支出を約一兆五千億円削減するなどの成果が上がっているところでございまして、今後とも改革に着実に取り組んでいくことが必要と考えております。

竹中国務大臣 今御説明申し上げたとおりなんでございますが、まさしく今、入り口の議論をしております。

 しかし、あえて申し上げたいのは、実は改革は入り口よりも先に出口の方で動き始めているんだという点でございます。そして、その中間の財投のシステムの改革も動き始めているという点。その意味では、むしろ入り口の改革が後から今ついてきているというのが私自身の認識でございます。

 今お話がありましたように、特殊法人の改革、それと財投の規模の縮小等々ありましたが、加えまして、政府系金融機関につきましては、平成十四年十二月の経済財政諮問会議におきまして、民間金融機関の機能が正常化することを前提に、まだ当時は貸し渋り、不良債権問題等があったわけでございますが、そういうことが正常化するのを待って、まさにペイオフが解禁された後、現行の政策金融機関は民業の補完に徹してもらう、かつ、残高について、将来的に対GDP比の比率で半減することを目指す、その議論を経済財政諮問会議でもまさに始めつつあるところでございますので、これで、入り口、出口まさに一体となった、しっかりとした改革ができていくものというふうに思っております。

小杉委員 官から民へというようなことが本当にはやり言葉になって、大勢がそういう意見なんですけれども、では、国の役割、責任というのは一体何なのだということを問い直したいんですよね。

 今、例えば知的財産権の問題、これはやはり国家戦略として、知的戦略とか知財戦略、それから、日本はちょっと欧米に比べておくれている宇宙開発の問題とか、あるいは科学技術、これも各国物すごいせめぎ合いをやっておりますから、それから義務教育の問題、あるいは、私も今副会長を党内でやっていますけれども、国際競争力の問題、それからエネルギーと環境の問題、まだまだ挙げれば切りがないんですけれども、やはり国として取り上げなきゃならない課題というのはいっぱいあるわけですよ。だから、何でもかんでも国から民へという中で押し流されちゃっていいのか。国家として、国としてやはり重点的に取り組まなきゃいけない課題、テーマというのはいっぱいあるはずなんですよね。そこら辺がどうもちょっと薄れてきているのかなという感じがしないでもありません。

 これは本来は小泉総理に聞くべき問題だと思うんですけれども、竹中大臣の所感をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 我々行政府、国会、つまり広い意味での国の中で働く人間にとりまして、国の役割をどのようにするかというのは、これはもう極めて重要な、常に我々自身に突き刺さっている問題であろうかと思います。

 今、方向としては、厳しい経済環境の中で、できるだけ民の活力を生かして、競争のメカニズムを生かして、市場のメカニズムの中で活性化を図る、これはやはり避けて通れない道でございますが、しかし、であるからこそ、果たさなければいけない官の役割というのが逆に浮かび上がってくるという面があろうかと思います。

 今、民間にしっかり競争してもらうというふうに申し上げましたが、その競争が本当に公正な競争で効率的な競争になるような枠組みはやはり政府でないとつくれません。したがって、一部の人だけが競争して一部の人が競争しないような仕組みはよくない、実は、民営化や規制緩和というのはだからこそ果たさなければいけない官の役割であるというふうに私は思います。

 同時に、市場だけで問題は解決しない、市場では解決できない問題があるというのは厳然たる事実でございます。したがって、市場では果たせない公的な役割、社会的な役割というのを果たせるような仕組みを私たちはまたつくっていかなければいけません。

 実は、今回の郵政の改革の中でも、そうした議論が与党との間で熱心に交わされたというふうに思っております。この法案の中にもあるような、地域貢献、社会貢献をきちっと行うような仕組みをつくる、そして過疎地に十分配慮した店舗の配置を行う、その点は、まさしくこうした観点での国の役割を明記しているものだというふうに私は思っております。

 たまたま、諮問会議で二十一世紀ビジョンが出されておりますけれども、その中の一つのキーワードとしまして「豊かな公・小さな官」、政府が直接、直轄としてやる官の部分というのはある程度小さくする必要があるだろう。しかし、それでも社会的な、公的な役割を果たさなければいけない。そうした「豊かな公・小さな官」という新たな仕組みづくりというのが、まさに二十一世紀の国のあり方、市場のあり方、我々は今まさにそれを実践してつくろうとしているわけでございますが、大変重要な御指摘であるというふうに思います。

小杉委員 時間が来ましたのでやめますが、冒頭申し上げたように、国民の間ではまだまだこの郵政改革についての認識というのは非常に薄いということを私は再度指摘したいと思います。

 そういうさなかでこうやって欠席した形での審議が行われているのは本当に残念でございますが、どうぞ、竹中大臣を初め関係閣僚、また準備室、そして我々国会議員自身も、もっともっとこの郵政改革の本当の姿というものを訴えていかなきゃいけないということを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

二階委員長 次に、小泉龍司君。

小泉(龍)委員 小泉龍司でございます。

 ちょうど十四年ぐらい前になるんですけれども、私も財務省から出向の形でニューヨークのコロンビア大学に留学をしておりました。ちょうど竹中大臣も、私も客員研究員だったんですけれども、同じ客員研究員で、机を並べたというほど近くはありませんでしたけれども、同じ時期にアメリカというものを見てきたわけでございます。竹中大臣は当時から流暢な英語をしゃべられた。私は英語が大変苦手でしたから、そこから道が分かれるんですね。

 きょうは、正反対の立場から、こうして十四年ぶりに、もちろん日ごろ対面はしておりますけれども、議論をさせていただくことになった。どうしてこういうふうに道が分かれたんだろうということを考えてみました。私はアメリカの悪い部分を見、大臣はアメリカのいい部分を見てこられたと思うんですね。

 アメリカの悪い部分。当時、既にアメリカのトップ一%の高額所得者というのが、全米の国富の、これは土地も金融資産も含めて、四〇%をひとり占めしておりました。ちょうど私が選挙に出たころです。そして今、その占有比率は五〇%に高まってしまっている。

 また、航空自由法という規制緩和がありました。鉄道の規制緩和もございました。バス事業の規制緩和もございました。航空自由法が施行されまして、全米で航空機の運送事業が自由化される。結局、何が起こったかというと、ワシントンとニューヨークの間だけ一生懸命飛行機を飛ばすんですね、そこがもうかるから。もちろん民がやることは、もうかるところに行かなければ株主に対して責任が果たせない。結果として、その法案に賛成した上院議員の地元も含めて、全米で百以上の地方空港が閉鎖になりました。今度の基金と同じでございます。ちょうど同じなんですが、一部、三十数カ所はコミューター航空の補助金が出ました。やがてこれが打ち切られました。そして、その法案に賛成した上院議員が慌てて異を唱えたけれども、もう遅い。鉄道事業についても同じことが起こりました。全米で千二百のステーションが閉鎖をされた。バス事業は、全米で五千のバスターミナルがなくなりました。

 私がコロンビア大学で学んだのは、この厳然たる事実でございます。もうかるところしか投資をしない、やがて地方は切り捨てられる。これはちょうど郵政民営化の議論とダブるんですね、同じになる。コミューター航空の補助は基金とそっくり、こういう思いが私にはありまして、自民党の部会で、最初はそれほどこだわりを持たずに議論に参加しておりましたけれども、政府とやりとりする間に、どうもこれはおかしいんじゃないかと、かたい反対論の方に私は流れていったわけでございます。

 今回の郵政民営化法案の本質は何か、レントゲン写真を当てますと、それはやはり、郵貯、簡保を完全民営化する、これがエッセンスだと思うんですね。その結果、裏側で、金融のユニバーサルサービスが廃止をされるということになります。郵貯法そして簡易生命保険法が廃止をされまして、郵便貯金制度がなくなります、簡保制度がなくなります。郵便局というのは郵便窓口業務をやる営業所という位置づけになるわけでございます。

 もう一つ、二番目の問題点は、四分社化でございます。これは、一つの企業を生体解剖するように、無理やり生木を裂くように四分社化するわけです。非常に机上の議論だというふうに直観的に大勢の方が感じている部分でございます。本業を持たないネットワーク会社、本業がないんですよ、受託業務だけじゃないですか。本業はコンビニをやるということですけれども、そこはまた後ほど議論しますけれども、千三百ぐらいのところでできるかな。

 世界にこういう例があるのだろうか。支店のない銀行、本業のないネットワーク会社、支店のない郵便事業会社、いかにも学者の机上の議論ではないか。大臣はもう学者じゃないですから、個人攻撃ではありませんよ、政治家ですから。学者さんの机上の議論だなとみんなが不安を感じている。マーケットで自由競争をしたときにこんな不自然な経営形態が生まれてくるんでしょうか、マーケットの競争の中で。そうじゃないと思うんですね。人工的につくり出された経営形態、絶対もたないですよ、いずれおかしくなる。そのときに国民負担が出てくる。

 最初、ちょっと演説になって申しわけないんですけれども、論点を少し浮き上がらせたいので、議論をもう少し、二、三分させていただきたいと思いますが、そういう経営形態の問題があると思います。

 それから、我々は少しタイムスリップをしていると思うわけでございます。今、民営化が必要だ、規制改革の流れの中で、小泉改革の流れの中で必要だと。だけれども、これが実現し、実際に稼働する、我が国の社会にビルトインされるのは十年後以降の話でございます。そのときの我が国の高齢者比率は何%になっているんでしょうか。二六%余りの高齢化比率を持つ、そして国債発行残高が今から三百兆、四百兆さらにふえる、そういう社会です。そこでこの民営化が実現するんですね。

 十年以降先の日本国民に対して、我々はこの民営化法案で責任をとれるのか。タイムスリップしているんですよ。今民営化するんじゃないんです。十年後から先の国民にこれを渡すときに日本がどういう社会になっているのか。右肩上がりではないと思うし、また官と民の議論からいえば、パブリックというものがより重視される、そういう社会になっているのではないかと私は思います。

 もう一つ、アメリカの圧力ということもしばしば取りざたをされます。

 日米の間に年次改革要望書というものがございまして、毎年秋にアメリカから日本国政府にこれが渡されます。九百人の中央省庁の課長さんにこれが切り分けられまして、一年後のフォローアップに向けてちょっとずつ譲っていく。だるまさんが転んだみたいな形でちょっとずつ譲っていく、数多く。気がつくと、この年次改革要望書の項目はほとんど実現されているわけでございます。

 日本の近未来を見るには、将来投資のために株を買うならこの年次改革要望書を見ろというふうに言われているぐらい、きちっとこれが反映されている。ここに、保険アジェンダから始まって、今は郵政民営化がきめ細かく、内政干渉と思われるぐらいきめ細かく、米国の要望として書かれているわけでございます。

 こういうアメリカの圧力、そして十年後に責任を持てるのか、アメリカで起こった事実、最後に、官から民へ。

 この後大臣の感想を聞いて各論に入りますけれども、官から民へという言葉を一国の指導者が四年間リピートすれば、これは一番きくんですね、みんなそうだと思ってしまう。一般人が言うのとは違います。一国の指導者、総理が、官から民へ、官から民へ、官から民へ、これはみんな官と民しかないと思ってしまうわけでございます。

 アメリカは官と民しかないけれども、ヨーロッパの政治理念の根幹は社会的連帯でございます、社会的連帯ということがございます。

 一八三〇年代に資本と労働の対立が激しくなった後、ヨーロッパの政治は二通りに分かれました。一つはマルクス・レーニン主義です。共産党の方がおられますけれども、その道と、そして、自由主義の中で社会的連帯を基本に据える政治理念が起こりました。パブリックです。権力は、腐敗をする、怠惰である、サボる。民も、努力をする、創意工夫がある、しかし利益第一主義である。真ん中にパブリック、みんなのために大勢が助け合う。

 国民年金の仕組み、介護保険の仕組み、郵政三事業の仕組み、環境税の仕組み、農業直接所得補償制度の仕組み、これはヨーロッパの政治理念から出てきている考え方。官から民への間にパブリックがあるんだ。こういう点も、郵政民営化反対論の我々の心の中に、政策論として、哲学論としてあるんですね。どうして交わらないのかなと。郵政民営化合同部会で三十三回議論をしたけれども、議論が交わらないんですよ。どこかですれ違うわけです。

 大臣は、マーケットは信じていいんです、マーケットは失敗するけれども、マーケットの失敗が続くことはないんです、こうおっしゃいますが、我々は、アメリカの所得分配の状況、アメリカの規制緩和の状況、ヨーロッパの政治理念、そういうものを見たときに、根本論において、やはり一度、抽象論になってしまって申しわけないんですが、大臣のお考え、できれば総理のお考えをと私は思っておりましたので、前置きの演説のようなものが大変長くなりましたが、今の論点すべてつぶさなくて結構ですから、御感想がありましたら、大臣の本音がありましたら、ぜひこの機会に国民に向かってお話しいただきたいと思います。

 大臣、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 小泉委員の御高見を賜りました。小泉委員のお話、いつも私思うんですが、非常にそうだ、全くそうだと思う面と、いや、それは全然違うんじゃないかと思う面がなかなか混在をしておりまして、恐らく、目指して、考えている問題意識のようなものは共有しているんでしょうけれども、その処方せんというような点で違いが確かにあるのかと思います。

 一点、私はアメリカのよいところを見てきて、委員がアメリカの悪いところを見てきたというのは、これは決してそうではないと思っております。私はよいところも悪いところも見てきているつもりです。日本にもよいところと悪いところがある、どこの国でもそれは同じなのだと思います。

 ですから、その意味では、アメリカ型とか日本型とか、そういうラベルを張ってしまいますと、そこでもう思考停止になってしまいますので、委員はそういうことをされませんけれども、一部に、例えばアメリカ原理主義とか、そういう言葉でラベルを張ってしまったら、もうそこで思考は停止してしまうと思うんですね。その意味では、今委員御指摘の点について、やはり一つずつしっかりと議論を重ねていくことは、これは必要であるというふうに思っております。

 幾つか論点をこの郵政民営化に対して提示されまして、恐らくそれについては各論として次に一つずつ御質問があると思いますので、市場の失敗という大きな問題について、これは、市場はよく失敗します。私は、市場は頻繁に失敗をしているというふうに思っております。市場の失敗がなければバブル経済などは起こりません。私は学者ではありませんが、むしろ経済学者が書く論文のほとんどの部分というのは、どのような場合に市場が失敗するかということを一生懸命研究しているのが実は専門の経済学者であると私は認識をしております。

 しかし同時に、市場の活力を得ることなくして経済を発展させることはできない、これもやはり動かしがたい事実であろうかと思います。その市場のメカニズムを基本に据えて、しかし、先ほども申し上げましたように、やはり政府が果たさなければならない役割、むしろ公の役割、市場だけでは資源配分できない公的な財・サービスというのがあるわけで、今回も、郵便局の設置、さまざまな地域のサービス等々はまさにそういうものに当たっているんだと私は思っております。それを、できるだけ政府の直接の負担を小さくして、そういう形の中で豊かな公を、小さな官をいかに実現していけるかというのが、これは制度設計であろうと思います。

 そのときに、アメリカ、ヨーロッパ、日本、いろいろな試行錯誤を今私はしているんだと思いますけれども、今回我々は、日本の実情に照らした市場の活力を活用したい、そして、日本の実情に照らした、そして今郵政が持っているすべてのアセット、資産を活用した形での公的な役割の継続をお願いしたい、そういう形でこの制度設計をしたつもりでございます。

 十分にお答えしておりませんが、各論につきましては、ぜひじっくりと御議論をさせていただきたいと存じます。

小泉(龍)委員 それでは、今のお答えを踏まえて各論に入りたいと思いますが、金融ユニバーサルサービスが廃止をされてしまう、国がそれを放棄するということをまずよく国民に説明していただきたいと思うわけでございます。

 郵貯法、簡易生命保険法を廃止いたします。郵便局の定義というのは、郵便窓口業務を行う営業所ということになります。この廃止される六本の法律があるわけですけれども、これらの法律は何のための法律か。それは、金融ユニバーサルサービスの提供を国に義務づけるための法律でありました。まだ法案が通っていないですからまだ生きてますけれども、法案が通れば廃止をされてしまう。

 郵便貯金法第一条、「この法律は、郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによつて、国民の経済生活の安定を図り、」云々と、これをやめてしまえば、今まさに大臣が直前の答弁でおっしゃったけれども、政府の負担は軽くなるんですよ、国の負担は軽くなるんです。もうぴたっとそのとおり今答弁されました。でも、困るのは国民なんですね。そして、困るのは十年後以降の国民なんですね。ここにいる方々はもう功成り名遂げて悠々自適かもしれませんが、さらに高齢化が進む、さらに過疎化が進む、さらに貧富の差が広がる十年後の日本の社会を想定していただいて、この金融ユニバーサルサービスをなぜ切り捨てるという判断を今しなければならないのか、その明確な理由をぜひお答えいただきたいと思います。

竹中国務大臣 委員は国民が困ることになるというふうにおっしゃいましたが、実は我々は国民が困らないように郵政の改革をしております。政府がやれば国民は困らないのか、そんなことはないわけです。政府が何でもかんでもやって、それで経済効率を下げて、かつ、それの非効率が赤字という形で国民負担になれば、それは政府が困る。だから、政府のあり方というのはできるだけ小さく効率的にしていくことが、私は、国民が長期的に困らない最大のポイントであると思います。

 同時に、今回の郵政に関しては、直接、この地域のサービス等々でも、国民が困らないように、この点に関しては本当に与党からさまざまな御指摘をいただいて、国民が困らないような制度設計をさせていただいているつもりでございます。

 お尋ねの金融の業務でございますが、金融の業務というのはやはり非常に特殊な業務であると思います。信用というのが競争上決定的に重要な役割を果たす。そして、我々としては、民営化の趣旨を徹底させるために、銀行、保険会社については国の信用と関与を確実に断ち切る必要があるというふうに判断するわけでございます。このため、両社は持ち株会社のような特殊会社とはしないで、商法の一般会社として設立をしまして、株式の処分によって民有民営を実現する、そして一般の銀行、保険会社と同様、自由な経営を行わせるというふうな制度設計にしております。

 一般の銀行、保険会社というのは、その業務の公共性に照らしまして、免許業種とされるわけでございますけれども、ユニバーサル、つまり全国一律の提供義務を負う主体と位置づけられるわけではございません。郵便貯金銀行、郵便保険会社についても同様の扱いとなります。

 このように、民営化に当たっては、一般の金融法令に基づいて純然たる民間企業として業務をしていただく、その中で活力を発揮していただくということを考えているわけでございます。これは、民間と同様の経営の自由度を持っていただいて、それで国民が必要とするサービスを提供していただくということをも意味しております。

 ただし、今申し上げましたように、これはもう、与党から本当に熱心な御議論を踏まえて多々御指摘をちょうだいいたしました。これまで全国津々浦々の郵便局において預金や保険のサービスが提供されて、それがそれぞれの地域の人々の生活を支えてきているということは、この重みは我々政府としても十分に認識をしているところでございます。

 このような観点から、与党との合意も踏まえまして、この法案では幾つかの制度設計、工夫をしております。

 繰り返しになるかもしれませんが、銀行と保険に対して免許を法律でみなし付与するに当たりまして、最低限移行期間をカバーする安定的な代理店契約、保険募集契約があることを免許の条件として付す。これによりまして、移行期間中の郵便貯金銀行と保険会社の郵便局会社への業務委託が担保される。これが第一のポイント。

 そして、第二のポイントとしましては、移行期間終了後におきましても、銀行、保険にとっての郵便局ネットワークの重要性や、新たに自前の店舗網を大々的に整備するというのは膨大なコストがかかることを踏まえますと、全国一律の代理店契約が継続されて、基本的にはこれに基づいて各郵便局において引き続き預金、保険のサービスが提供されると考えられる。これはまさに民間のインセンティブ、動機としてそのようになるということが市場経済のもとで想定されるということ。

 そしてその上で、仮に過疎地などの一部の郵便局で貯金、保険のサービスの提供が困難となる場合には、例の社会・地域貢献基金を活用して、地域にとって必要性の高いサービスの確保を図るということにしているわけでございます。

 まさに委員御指摘のように、それによって国民が困らないように入念な制度設計を行ったつもりでございます。

小泉(龍)委員 それでは具体的に、随分先の方まで今お答えをいただいたような気がしますけれども、少し話を戻していただいて、郵便局そのものが幾つ残るのか。金融サービスをする前提は郵便局ですから、郵便局が幾つ残るのか、省令の問題ですね。

 そもそも省令でこのあまねくというものの具体的定義をしていくということについては、やはり問題があると思うんですね。これはまさに官が決めるわけですね、国会が関与できない。総務大臣が決められる、総務省が決められる。いや、公社法もそうなっているじゃないかと。公社法もそうなっている。だけれども、公社と今度できます特殊会社とはやはり違うんですね、三分の二の株主というのがいるんですね。国の持ち分は三分の一でありますから、この省令を改廃したい、なるべく赤字局をやめたい、この圧力は三分の二の株主からずっと継続的に働くわけでございます。それに対して省令で守れるのか、その圧力にどう抗するのか。公社であれば、省令で決めておけば、これは国の意思ですから、国が一人株主ですから、問題はない、私はそう思います。ですから、この問題。

 そして、郵便局というのは小学校の数と同じだと言われております。平均一・一キロに一つ。何で小学校の数と同じなんでしょうか。それは、小学生が車を運転できないから。同じように、お年寄りも車を運転できないから、歩いて行けるウオーキングディスタンスに一つ置いてきたわけです、明確にそういう定義はないかもしれませんけれども。その郵便局をなぜ今のまま残せないのか。今、収支相償方式でカウントしますと、郵便事業で見て一万八千六百が赤字局ですね。ここをどんどん削っていこうとすることにならないのか。

 したがって、まず、ここでの議論の大前提として、省令の中身を出していただきたい。それがなければ議論できないでしょう。国民が一番知りたいのはそこですよ、まず第一に。長々しい説明ではなくて、郵便局がどういうふうに残るのか、ここの答えをいただかなければ法案の賛否が決められない、多くの議員がそのように思っていると思います。いかがでしょうか。

細見政府参考人 郵便局の設置省令の内容をできるだけ明らかにしろということでございました。

 委員御存じのとおり、郵便局の設置につきましては、法律上におきましては、郵便局株式会社法の第五条におきまして、あまねく全国において利用されることを旨として設置するということにしたところでございます。

 具体的な設置基準につきましては省令で定めるということでございますが、その際、現在の設置基準を十分参考としつつ、特に過疎地について、法施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とするということを規定することといたしております。都市部につきましても、国民の利便性に支障を生じることがないよう配慮するという考えでございます。

 具体的には、現在の設置基準において、地域住民の利便、利用の確保という法律の観点から、地域住民の需要に適切に対応することができるよう設置されていること、いずれの市町村についても一以上の郵便局が設置されていること、交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用することができる位置に設置されていることという基準が現在の郵政公社法の施行規則で定められておりますが、この施行規則の現行の基準も十分に参考にしながら、省令の具体的内容を検討していきたいというふうに考えているところでございます。

小泉(龍)委員 明確に、今ある、現存する郵便局の水準を維持する、そういうふうに省令に書きますという御答弁はいただけないんでしょうか。

細見政府参考人 特に過疎地につきましては、現在の、法施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とするということで考えているところでございます。

小泉(龍)委員 そうしますと、過疎法の四千八百、それから離島地域、半島地域、山村地域の振興法等の過疎四法で、重複を除きますと七千局。下限が四千八百、上限が七千、ここは守ると。残りはどうなるんですか。

 これは恐らく、省令で書こうとすると、先ほど申し上げた三分の二の株主との利益のコンフリクトが起こってくるわけであります。つまり、特殊会社にしてしまったため、半官半民、いや三分の一官三分の二民にしてしまったために、明確に省令できちっと書けるのか、私はそういうふうにも思っているわけでございます。

 ヨーロッパでは、民営化したドイツでも、あるいはオランダでも、この金融ユニバーサルの議論が非常に強まりまして、ここは郵便局の数を明示しております。ドイツで一万二千、オランダで二千、明確に数字を出します。今度の法案では、省令に逃げてしまって、省令の中身も明らかにしない。その中で確実に守れるのは過疎地だけだ。残りはどうなるんですか。三分の二の株主、利益を追求する人たちにやはり考えてもらうしかない、その圧力との闘いだ、恐らくそういうことになるんだと思います。

 次へ行かせていただきます。基金の問題、銀行代理店の問題。銀行代理店の問題も言いっ放しになります、時間がないので。

 金融秩序の健全性の観点から、安定的代理店契約を付することをみなし銀行免許の条件にする。当たり前ですね、支店がなければ銀行として成り立たないわけですから。しかし、その先、じゃ、その期間が終わった後は、こういう話になりますと、地域貢献基金が出てきます、一兆円であります。運用益の中の百二十億円を地域貢献基金として使う、残り六十は社会貢献基金。百二十億の根拠を問えば、二千局掛ける六百万円である、こういう答えが先ほどからございました。

 この二千局というのは、過疎地の無集配特定局を千六百、それをベースにして、それに集配特定局二百を加え、さらに少し膨らませて二千、こういうふうに事務方の御説明をいただいておりますが、そういうことでよろしいでしょうか。二千局の根拠です。

細見政府参考人 ただいま委員から御指摘のとおり、基本的には、過疎地にある無集配特定局をベースに、そのうちの相当部分が赤字になるという前提で、それに加えて、他の地域でも入ってくるだろうということで加えまして、それにさらに集配特定局の一部が加わるということを計算いたしまして、二千局というふうにいたしております。

 その前提となりますのは、公社の収支相償方式による損益データ、平成十五年版というものをベースにそういう計算をさせていただきました。

小泉(龍)委員 それでは、重ねてお伺いしますけれども、その二千局には簡易郵便局というのは含まれていないんですか。

細見政府参考人 公社の収支の計算におきましては、簡易郵便局は、基本的に統括局、まとめている局のところに入っていることになっているので、基本的にはこの数字の中には入ってきておりません、二千局の中に入っておりません。

 ただし、だからといって、対象にならないということを申し上げているわけではなくて、ある程度の数字を計算する際にこういうデータをベースに計算した結果こうなっているということでありまして、もちろん簡易局も対象になり得るということでございます。

小泉(龍)委員 つまり、この基金の対象となる二千局には計算上簡易局が入っていない。もちろんやりくりすればそれは入るんでしょうけれども、計算上最初からカウントされていないというのはおかしいじゃないですか。簡易局が貯金業務をやれなくなったときに、それを最初から想定していないんですか、最初から切り捨てちゃうんですか。もう一度お答えください。

細見政府参考人 正確に申し上げさせていただきたいと思います。

 簡易局については、このデータでは、おのおのを統括する集配特定局と一体管理で損益を把握しているということでございますので、局数を提示することがなかなか難しい。簡易局の払っている手数料その他が全部、統括局の数字に入っているということでございます。したがって、統括局の中で対応しているという格好になりますので、局別になかなか収益状況が出てこないということで言っているということでございます。

 ただし、統括局を通じて地域・社会貢献計画のものを使うということはもちろんできるという制度でございますので、地域・社会貢献計画ができないということを申し上げているわけではありませんし、また、二千局の中に入っていないからといって、統括局ベースではもちろんカウントすることはできるわけでございますので、そういうことではないということではございますが、いずれにせよ、今回の試算ベースが特定局をベースに計算をしているものでございますので、簡易局というのはこの中に入ってこないということでございます。

 ただし、簡易局がこの中からさらに入れば、二千数百局で入るということはもちろんあり得るということでございます。

小泉(龍)委員 いずれにしましても、二千局でありますから。貯金業務が赤字の郵便局というのは、収支相償方式で見ますと一万一千局あるんですね。一万一千局の中の二千だよと。過疎地四法の対象局が七千局あるんですね。七千局の中の二千だよと。簡易郵便局は四千五百あるんですね。四千五百の中のマックスで二千だよと。こういうごく一部の、二千の郵便局だけを対象にして、地域貢献事業基金というのが金融ユニバーサルを本当に担保できるんですか。

 こういうことを聞くと、大臣は、いや、ネットワークとしての価値があるから、赤字局だからといって切り捨てるわけではありません、赤字局には赤字局なりのネットワークとして維持する価値があるからだ、こういうふうに答えられます。

 では、そのネットワークとしての価値は何かというと、これは決済システムとして稼働させる意味ですね。山間僻地にも資金が渡せる、こういう意味だ。定額貯金だけであれば、コストが見合うところで集めた方がいいわけですよ。離島で集めなくたって、コストが見合うところで集めた方が採算はよくなるわけです。もしネットワークに意味があるとすれば、それは郵便振替、郵便為替、決済システムとしての意味だと思いますね。

 では、郵政事業の中で、郵貯事業の中で、この郵便振替、郵便為替の収益に占めるウエート、どれぐらいあるか御存じですか。これは通告していないから、事務局がわかれば。

 それは、せいぜい二%前後ですよ。郵貯事業の中の二%ですよ、ネットワークを擁してもうけているのは。ネットワークに価値なんかないですよ、商品価値は。民間でもどんどん支店を閉めるでしょう、ネットワークに価値がないから。郵便貯金を集めるのであれば、もうかるところで集めてコストを下げて、そこで運用する。そうしますと、赤字局一万一千を全部閉めたくなるわけですよ。

 ドイツでポストバンクが何を言い出したか。郵便局の八五%から撤退したいと言い出したじゃないですか。それで大もめにもめたんですよ。ネットワークに意味があるならば、ドイツ・ポストはそんなことは言わない。どうしてももうけたい、一五%でもうけたい、八五は要らないんだよということを完全民営化された郵貯銀行が言い出したらどうするんですか。基金は取り崩せると書いてあるけれども、取り崩してしまったらどうなるんですか。だれが責任を持つんですか。反論があれば聞かせていただきたいと思います。

竹中国務大臣 私の答えを小泉委員が既に言ってくださっているわけですけれども、まさにそれは、本当にネットワーク価値をどのように考えるかということに尽きるのだと思います。

 委員は、決済が重要でしょうと。まあ決済だけではないと思いますが、決済は極めて重要なネットワーク価値を保証するものだと思います。その場合に、なぜ預金が集まるかというと、決済ができるから集まる。決済そのもので得る収益、利益のウエートがたとえ低くとも、決済機能があるから、我々預金するのです。預金が持っている最大の機能は、日本の場合特に、通常は、要するに決済でございます。そういう観点からしますと、その価値というのをやはり過小評価すべきではないというふうに思います。

 今後、またドイツの例、いろいろ出てくるかもしれませんが、ドイツの場合、ポストバンクとの間でいろいろあったということは承知しております。これはある専門家の分析でございますが、ドイツの場合、しかしその要因が幾つか重なっておりまして、一つは、ポストバンクの経営者が民間から入らないで、経営そのものに問題があったのではないかという御指摘と、それと、九〇年の東西ドイツの併合後、ドイツというのは相当郵便局数は減っているわけでございますけれども、東西併合の結果、一気に三万ぐらいまで郵便局がふえた、その後の調整というかなりの特殊事情があるということ等々でございますので、ドイツから学ぶべきことはあると私は思いますけれども、少なくとも、ドイツが郵便局が減った、ないしはポストバンク等会社がもめた、それがそのまま日本に当てはまるようなことはないと思っております。実は、そのためにも、ヘッドクオーターとしての今回持ち株会社をつくって、全体の調整機能を持たせようというふうに考えているところでございます。

小泉(龍)委員 そのヘッドクオーターたる持ち株会社というのは最終的には郵貯銀行から離れてしまうわけですから、完全民営化された場合のコントロールをする人は株主ですね。利益を第一に考える株主が本当にユニバーサルバンキングにつき合ってくれるのか。

 アメリカでは、郵便事業について、民営企業では、プライベートな企業ではユニバーサルサービスというのはおよそ無理だ、こういう報告書が正式に議会ないし政府に提出をされました。アメリカは郵貯を切り離したじゃないかという議論があります。それは後ほど金融排除のところで申し上げます。

 ちょっとテクニカルになりますが、この地域貢献基金あるいは地域貢献事業計画というのは、郵便局会社には尊重義務がありますけれども、郵貯銀行には尊重義務がないわけです。守らなくて別にいいわけです。利益第一でいいわけですね。そうすると、このファンドというのは、郵貯銀行から見ると、いただきなんですね。ファンドを使える、交付を受けられる郵便局会社の方は、これは、ユニバーサルをやってください、計画に基づいてユニバーサルやってくださいとただただ頭を下げるだけで、わかったよ、やるよ、いただき、こういうことになります。

 これは、一民間企業に対してこういうことが継続しますと、一民間銀行に対してだけどうしてそういうファンドを使うんだということになりますね。第二社、第三社が出てきたときに断れるんでしょうか。

竹中国務大臣 まず、郵貯バンクというのは商法の一般法人でございます。これは特殊な会社ではございませんから、当然、そこでのビジネスの判断、経営の判断でいろいろやっていただく。そうすると、そこで基金を使った場合、委員のお言葉ですと、そのバンクは、その銀行は、これはいただきではないか、特定の会社に結局、郵政からお金が流れるのではないかという御趣旨の御指摘がありました。

 しかし、その場合に、ここは委員もう御承知のとおりだと思いますけれども、そういった貢献、これは社会貢献、地域貢献でございますから、金融サービスを提供するための基金でございますから、郵貯銀行だけに限ったことではございません。現実にはこれは将来どのような展開になるかは経営上の問題でありますが、私は、一部の地域については地元の信金、信組が金融サービスをする、そのかわり手数料をしっかりと払ってください、基金を活用できますから、そういう話には、当然のことながら、あり得る話としてなってくるのだというふうに考えております。

小泉(龍)委員 そこから先は、ファンドがそれで足りるのか、二社目、三社目をどう扱うのか、そのときファンドが足りるのかという問題になりますけれども、そこは切り上げまして、金融ユニバーサルサービスを維持するためには、郵貯銀行そのものが当面はしっかりと成り立っていってくれないと、一部、北海道は信金がやります、九州はやりますというものが出てくるまでは、郵貯銀行そのものがしっかり立っていてくれないと、成り立たなくなるわけです。

 そこで一番大きな問題だと思っているのは、郵貯銀行のビジネスモデルです。支店がない銀行というのは世界にあるんでしょうか。そんなものは見たことがないです。私も金融行政を長くやっていますけれども、そんないびつなものを人工的につくり出して、ビジネスモデルはと党の部会で問えば、それは経営者が考えることです、新しい経営者が考えることですと。こういうことで法案を通しちゃって本当に大丈夫ですか。話が逆じゃないですか。ビジネスモデルをまず組み立てて、我々によく説明し、国民に説明をする。なぜ説明しなきゃいかぬのか。それは金融ユニバーサルサービスを稼働させるためです。少なくとも、ファンドがあって、それを使える郵貯銀行が存在するのは、この理由で存在するんですよと。

 党の部会で、インパール作戦に似ているという話が出ました。要するに、食糧は行った先で調達するんだよ。じり貧です。あのときもビルマ戦線はじり貧だった。じり貧を突破するには打って出る、打って出た先で食糧を調達する。惨たんたる結果、八万人が戦死をいたしました。

 このインパール作戦に似ているんじゃないんですか、郵貯銀行というのは。出たとこ勝負でしょう、本当に成り立つんですか。納得いく説明を党の部会で聞いたことがない。第二地銀とほぼ匹敵する三十五兆の貸し出しができますか。大和証券と同じ株式仲介手数料が稼げますか。どうなんですか、支店がなくて。お答えいただきたいと思います。

竹内政府参考人 ただいまお話がございました件でございますが、おっしゃられました十年後の姿につきましては、必ずしも支店がないとは考えられていないわけでございます。今から、IT化とかそういう進展を見ますと、むしろ郵便貯金銀行におきましては、支店というのは、コストのようなものがかからないメリットというところもあろうかと思っております。

 もちろん、当初の段階におきまして、委員御指摘のように、この銀行は本店だけでございます。ちなみに、たしか私の知っている範囲では、テキサス州でも本店だけの銀行というような、これはアメリカの銀行法の、特殊でありますが、ないわけではない。ただし、この場合には、おっしゃっているようにファンド的な性格が強い銀行でございまして、本店だけということになろうかと思います。

 ただし、考えてみますと、この郵貯銀行は、当初は、いわゆる民間銀行と違い、不良債権のような問題もございませんし、過剰な融資関係の人員もないということでございますので、先ほどからもお話がございますように、全国津々浦々をカバーする郵便局ネットワークを活用した地域密着型の業務展開ということをビジネスモデルとしてやっていけば、将来性はあろうかと考えております。

 なお、私どもは法制度を提案しておるところでございますので、その点から申し上げますが、当初は現行公社の業務範囲と同じところからスタートいたしまして、イコールフッティングと経営の自由度のバランスをとりながら、郵政民営化委員会の意見を聴取の上、内閣総理大臣、総務大臣の認可により新規業務を認めることになっておりまして、認可に当たりましては郵便貯金銀行の経営状況も勘案するという大変コンサーバティブなスタンスでございます。またさらに、新規業務への進出に当たりましても、監督当局たる金融庁長官が業務遂行能力についてチェックすることになっているところでございます。

 このように、制度的には郵便貯金銀行の業務展開について適切な制度設計を行っているところでございまして、またこれを今申し上げました主務官庁がしっかり監督することにより、万が一にも破綻することのないように対応していくと存じておるところでございます。

小泉(龍)委員 今、最後に言われました、まさに破綻のリスクをしょったまま船出させていくということを本当に私は心配に思います。新生銀行と同じにならない保証はない。

 今るる御説明はございましたけれども、私に説明するというよりも、国民にそれが伝わるかどうかなんですね。今の説明が果たして国民に納得してもらえるかどうか。最終的に公的資金が入りますよ、税金が使われますよ、そのリスクをどうやって、本当に破綻がないんだという経営ビジネスモデルをもう少しこの審議の中で明確に答えていただけないでしょうか。

 その中に、例えば、東京三菱と合併したくなる、あるいは、弱って株価が下がってくれば外資がぱっと入りますね。既にゴールドマン・サックスは新しく八千億の投資ファンドを最近つくりました、郵政民営化をにらんでいると言われております。カーライル、ここも七千億のファンドをつくりました。一兆円規模の投資ファンドがアメリカに続々と生まれている。これをにらんでいるんですよ、郵貯、簡保をにらんでいるんです。

 そこで、政府が企業防衛のための買収防衛策として、いや、これは議決権制限株式に強制的に転換できる、そういう条項を定款に入れるから大丈夫です、守り切ります、こういう御説明がありましたが、東証で買収防衛策についての留意点というものが四月の二十一日に公表されております。「上場会社代表者各位」、この中に、こういう買収防衛策は認められないよというのが四項目ございまして、これは細かい答弁を求めませんから聞いておいていただければいいですけれども、株主の意思表示が機能しない防衛策であること。「重要な権利が十分に備わっていないこととなり、」株主の権利が制限される、議決権制限の場合ですよ、「証券市場において投資者に提供する上場物件としての適格性に欠けるものと考えられます。」

 そもそも上場できるのかどうか、この議決権制限株式への強制転換条項を伴った株式というものが東証に上場できるのかという問題があり、司法上それが有効であるのかという問題があります。

 そこで、政府に考えてもらいたいのは、国際石油会社、石油開発公団が民営化しました。そのときの防衛策は、経済産業大臣に一株黄金株を持たせているわけです。ヨーロッパの例を調べました、司法のあり方も調べました、何でそれをとらないのですか。そういう制度をこの法律に、私は、これは前向きな議論なんですけれども、守るためのものを入れないのか。これは通告してあったと思います。簡単にお答えください。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 郵政民営化後の新会社におきましては、商法、会社法の一般的な規定を活用して、敵対的な買収に対する防衛策というものを講ずるということにしております。

 防衛策としましては、議決権制限株式への強制転換条項を一案として検討しているということでございます。今国会に提出されました商法改正においても、企業防衛策の導入を容易にするために、普通株式から強制転換条項つきの株式への転換手続を用意して、その使い勝手を改善しているというところでございます。

 先ほど小泉先生から言われましたように、東証でも、上場基準、開示基準のルール化というものを予定しておりますし、五月二十七日に、経済産業省、法務省がガイドラインを公表したところでございます。

 このような、今後、上場基準、開示基準のルール化というものを予定しているなど、現在ルールづくりが進められている過程にあるというふうに認識しておりますので、このため、郵政民営化後の新会社における買収への防衛策についても、今後さまざまなルールの整備状況や投資家の反応等も勘案した上で、最終的に、新会社の設立の際の経営判断のもと、最も有効かつ適切と考えられる方策というものを講じることになるというふうに考えております。

小泉(龍)委員 私が今申し上げた国際石油会社を参考にしたスキームにしないと、実際に裁判になったときに負けて、ああ、外資にとられちゃいましたということになる可能性もあるので、私もそれほどの専門家ではありませんが、ある程度の知識でそう思うので、ぜひ、よく御検討ください、本当にまじめに。外資の問題がありますから、株価が下がってくれば。

 それから、金融排除の問題。これもよく指摘が出ていますけれども、郵貯では口座維持手数料が今までは禁止されていたんですね。これが取れるようになります。この金融排除の手段として手数料を高く取るというのが外資のやり方。シティバンクでは今、月二千円取っているようであります。UFJ銀行で、高額の預金になりますと六百三十円。東京三菱銀行のスーパー普通預金で三百十五円。こういうものがかぶさってきますと、金利より手数料が高いから、元本がどんどん減るわけですよ。元本が減っちゃたまらない。少額の預金者は排除される。二〇対八〇という法則がリテールバンキングでありまして、全体の顧客の二〇%が全体の収益の八〇%を稼ぐ、これに対応するのが金融排除のやり方でございます。これが、新しく民営化されますと、こういうものも実行可能になってくるという問題があることを指摘しておきたいと思います。

 時間がありませんので、あとは指摘にとどめますけれども、商品性もそうですね。無審査の簡易保険というものがなくなるんです。定額貯金も、城南信金が一部やっていますが、今の形で残せるかどうか。法律がなくなりますから、定額貯金というものが本当に残るかどうかはわからないと思います。

 結局、国民から見れば、定期預金も選べる、定額も選べるというメニューの多かった基本的金融商品、預金商品の中から定額がなくなれば、選択肢が狭まるわけですよね。官から民へと言うけれども、郵便局が命令して預金者に預けさせているわけではないわけですね。そのメニューが減ってくるんですね。そういう結果を、恐らくこの商品性の部分でも、ユニバーサルに関連してそういう問題が出てくるであろうと思います。

 四分社化の問題。時間がすごく迫ってきましたが、何が問題であるかというと、大変大きなコストが生まれるということでございます。民営化され、四分社化されることによって、公租公課は委託手数料に対する消費税も含んで五千四百億。これは、株主と従業員と、そして利用者に転嫁されていきますね。法人税と同じだと思います。株主の利益が減る、従業員に行く、あるいは利用者負担になる。必ず国民にこの五千四百億は戻っていきます。

 それから、公務員でなくなるよということでありますが、もともと税金は使っていないし、東京三菱銀行の職員と比べても郵貯関係の職員の給与は安いし、それがむしろ民営化されれば銀行並みの給与になっていく可能性もある。ここら辺も指摘にとどめておきたいと思います。

 そこで御質問は、郵便局、郵便事業の維持費用です。郵便局そのものの維持費用です。地域貢献計画というのは、郵便局の金融業務をサポートするための仕組み。郵便局の郵便事業、郵便局というのは郵便事業をやるものですから、郵便局たる郵便事業を収支相償させる仕組み、それはどういうふうに考えていくのか。事務局の御説明では、郵便局と郵便事業会社の郵便事業に関する経費、収入を収支相償させる、つまり均衡させる、こういう考えで郵便局は賄っていくんだという御説明でしたが、そのような理解でよろしいでしょうか。

細見政府参考人 郵便の窓口業務は、郵便局が必ず行わなければならない業務ということでございます。

 郵便事業会社は、郵便局会社に対して、営業所における郵便窓口業務を委託しなければならないということが法定をされております。これは郵便窓口業務の委託等に関する法律によって規定をされております。

 他方、郵便局会社は、本来業務として、郵便事業会社からの委託を受けて郵便窓口業務を行うということを法定しております。その意味で、両方に法定がかかっているということでございます。

 このような法律上の要請に基づきまして、両社には郵便窓口業務に関する受委託契約を締結することが求められているということでございますが、このような受委託契約のもとで、基本的には両社の交渉により適切な委託料が決まってくるということだというふうに思っております。この交渉によって郵便窓口業務を提供していくための費用が賄われる、こういうことになるものと考えております。

小泉(龍)委員 そうすると、私の先ほどの理解でいいという御答弁だったと思うんですけれども、そうですね。

 そうなると、郵便局というのは、先ほども申し上げましたけれども、収支相償で見ますと、郵便事業というのは一万八千六百四局が赤字なわけですね。この郵便事業の赤字局一万八千をどうやって賄うのか、どうやって維持するのか。これは地域貢献基金と関係ない、社会貢献基金と関係ないです。ベーシックな話です。それは今申し上げた収支相償です。

 結局、郵便料金を上げるしかなくなってくるんじゃないんですか。私は党の部会でそういうお答えも一度聞いた記憶があります。その裏づけとして、郵便料金の上限を廃止するでしょう、今度の法案で。上限を廃止し、認可制を事前届け出制にいたします。郵便料金が上げやすくなるわけですよ。上限を廃止するんです。認可制をやめて事前届け出にするわけです。

 その郵便料金が上がっていくという仕組みをとらない限りは赤字局を賄っていけないと思いますけれども、いかがですか。

伊東(敏)政府参考人 お答えいたします。

 郵便料金の、今回の認可制から届け出制にすることにつきまして、先生の方から御指摘がございました。それについてまずお答えさせていただきますが、認可制から届け出制にはいたしますけれども、現在、手紙の基本的な料金につきましては、省令で定められているわけですが、上限がございます。これは改正郵便法におきましても引き続き維持をいたします。したがいまして、上限は取っ払うということではございません。

 それから、結局、郵便料金を値上げしないと郵便局が維持できないという御指摘がございましたが、郵便全体につきましては、平成十五年度、平成十六年度の決算におきましても利益を出しているところでございますので、郵便事業会社の立場から窓口つまり郵便局会社との関係を見ますと、いずれにいたしましても、現在ほとんどの窓口を直営でやっているわけでございますが、今度はそれが委託になる。もちろんその手数料をどう決めるかというところが非常に、まさにこれも利益相反する部分がございますので、適正な手数料になるかという、問題は全くないわけではないと思いますが、いずれにいたしましても、それらの手数料も含めまして、郵便事業全体において十分収支を賄う経営が郵便事業会社においてできる、郵便料金を値上げしなくてもできると考えております。

小泉(龍)委員 議論をまとめますけれども、民営化というのは、国が支えていたものを民間の利用者が支える仕組みに変えるということですね。そうすると、例えば、見えない国民負担と言われていたものが、実は見える利用者負担になっていくわけですよ。国が肩がわりしていた、それは背後にいる納税者が肩がわりしていたものが、見える国民負担になって、利用者に転嫁されていくという仕組みです。民が支えるんです。そうでしょう。

 では、そのコストは小さいのかというと、大きいんですよ、五千二百億。公租公課、保険料で五千二百億。今申し上げた郵便局の維持費用。そして、ネットワークの維持費用が議論されておりません。これはNTTデータ等に今二千五百億払っていらっしゃると思いますね。専門家の意見では、四分社化によって、これから一千億ふえる。また情報産業をもうけさせて、それが利用者に負担としてかかっていくわけです。新規事業、コンビニをやるとか、そういう新規事業コストの話を一度も聞いたことがない。どれぐらいコストがかかるのか。このコスト論と、あるいは四分社化、シナジー効果が失われる、そのコストは幾らなのか。幾ら聞いても、部会では答えがないです。

 それはなぜ聞くかというと、国民の負担に、利用者の負担に全部なるからですよ。国が負担するなら、いや、全部責任を持って、私、国会に任せてくださいと言えばいいんだけれども、全部、料金になって民間に返っていくんですよ。民営化というきれいな言葉の裏側に厳然たるそういう仕組みがあるということですよ。それを国民にも知ってもらいたいし、その金額は半端な金額じゃないということ、それを資料で出してもらいたいんですよ。どういうコストがかかり、それが幾らぐらいなのかということ、そして先ほど申し上げた省令。それがなければ国民に説明もできないし、議論もできないと思います。最低限の資料です。

 いかがですか。政府として出す用意があるのか、出せないのか、はっきりお答えください。

竹中国務大臣 今、小泉委員いろいろおっしゃいましたけれども、今まで国が支えていた、それが今度はいろいろな費用が国民の負担になるんだという言い方をされましたが、国が支えていたとおっしゃいますが、これはまさしく国民が今も負担をしているということです。

 その負担が見えない形になっているというところ、それを民営化でほかの企業と同じように、見えるものは見えるものとしてちゃんと負担していきましょう。そうする中で経営の規律もしっかりと働いて、かつ、そこに重要なのは、民営化によって自由度を与えることによって利益を上げていただきましょうということですから、利益を上げるという中で、これは長期的には郵便の料金を上げないというか下げるかとか、そういうことも可能になりますから、これはまさしく国民全体の利益を上げるという点が郵政民営化の基本的な視点であるということになります。

 そうしたことのいろいろな負担があります。そして、もちろん新しい事業をやればコストもかかります。しかし、それによって上がる利益もあります。それが全体どのような形になるかということは、既に我々は骨格経営試算とその後の新たな事業のシミュレーションによってお示しをしているところでございます。

小泉(龍)委員 その利益の部分はビジネスモデルがないと言っているじゃないですか、さっきから。ビジネスモデルがないからはっきりしないでしょう、納得できないと。右肩上がりでもない世界で片手間で他業をやってもうかるのか、そういう問題があります。

 国が負担していたと。だけれども、四分社化によって新たに委託手数料にかかる消費税は今まで発生していないですよ。四分社化によって失われるシナジー効果のコストも今までないですよ。四分社化によって新たにかかる一千億と言われるネット維持費用、これも今までないですよ。四分社化することによって新たな費用が発生するわけですよ。それは新たな費用で、国民にいくんですよ、利用者に。そこを資料で出してください。それが国民に対する正々堂々の姿勢じゃないですか。正々堂々の民営化議論をされたいんでしょう。だったら、自信があるなら出していただきたい。国民の代表として申し上げたい。いかがですか、もう一度。

竹中国務大臣 今申し上げましたとおり、そうした意味でのどれだけの租税の負担が生じるかということも示しております。その上で、新たなビジネスモデルがないというふうにおっしゃいましたけれども、これは幾つかの可能性としてお示しをしているわけであります。我々は、可能性として、新規の事業が一〇〇%できたときはこうである、しかし、五〇%、六〇%のときはこうである、そういうことをお示ししているわけであります。

 加えて、いろいろな費用については、いろいろなビジネスをやるに当たっての費用というのは積算の中に織り込んだ上での収支の見込みでありますから、そのような御判断をいただける資料については、この骨格経営試算とそして収支のシミュレーションの中で既にお示しをしているというふうに思っております。

小泉(龍)委員 私に示しているとかいないという問題じゃなくて、これを皆さんが、注目している国民に、こういう負担もあるんだよということを正直に、メリットの方を説明してもいいですよ、メリット、デメリット、特に四分社化によるコスト、生木を裂くような、本当にそういうことをやって、コストがふえて国民負担にいく、ビジネスモデルがはっきりしない、倒れるリスクも国民は潜在的にしょっている、その部分をもっと率直にわかりやすく説明する義務があると私は申し上げているわけでございます。わかってもらえるんじゃないですか、この気持ちは。

 もうあと二分ですから、最後に出口論なんですが、大臣は、定額貯金の金利というのは、これはちょっと通告していなかったので意地悪になってはいけないんですが、細かいスキームは結構ですけれども、定額貯金の金利というのがどういう考え方で決まっているか御存じですか、定期預金との関係で。考え方です。

 ごめんなさい、これは通告していないからいいです。それは……(発言する者あり)では答えて。短くしてください。

竹内政府参考人 短くというお話でございますが、定額貯金の金利でございますが、短期金利より長期金利が高水準にある場合には、民間金融機関の三年物の定期預金金利をもとに決められ、また逆イールドの場合でございますが、十年国債のクーポンレートを参考に決めておるところでございます。

小泉(龍)委員 要するに、民間金利追随の仕組みが既にできているんです。金利完全自由化のときに、民間の金利形成機能をディスターブしない仕組みとして民間に追随しているんです。もうマーケット機能を生かしているんです、入り口。

 外側、預託義務がなくなりました。経過措置はありますが、平成二十年度から財投債マーケット、国債マーケットで資金が処理されます。国債マーケットに郵貯の資金が流れることによって、国債金利は下がっています。国債金利が下がることによって、それに連動する貸出金利は下がっています。つまり、もうマーケットに入れば、お金に色はありません、金利裁定が働きます。御専門のところでしょう。二十年度からその出口もマーケットになる仕組みがある。三省合意で経過はある。入り口もマーケットの仕組みで金利が決まっている。では、何が官から民なんですか。民営化したときに、何が官から民に変わるんですか。そこがわからないんです。

竹中国務大臣 基本的に、その入り口の議論としてまず申し上げなければいけないのは、やはりそこは政府が保証している、金融という非常に特殊なビジネス、その中で信用が極めて重要であるにもかかわらず、国家という絶対的信用を背景にした機関がそこで預金を集めている、それによって、資金の流れが本当に市場メカニズムに沿って集まっているのかという御指摘は、以前から御専門家の間であるところでございます。

 加えて、そこで集められたお金は、これは官が集めたお金でありますから、おのずと運用に制限がございます。この運用の制限というのがマーケットにどのように影響を与えているか、これは大変難しい議論ですが、しかし、やはり何がしかの影響を与えているということかと思います。

 加えまして、官から民へのお金の流れというのは郵政だけではない。財投の仕組みについては今先生おっしゃいましたけれども、今後さらに、政策金融等、出口についてもしっかりとこれを縮小させていく。官の役割は民の補完に撤する、しかも、それによって残高も減らすという役割を演ずる。当然のことながら、民に入って民で運用されるお金というのが結果的にふえてくる。やはり官から民への間違いない流れ、それによって市場メカニズムがより効率的に働く、その姿を実現したいと思っているわけでございます。

小泉(龍)委員 政府保証の話は、私も、これは公社の状態のまま外していくという道があるかもしれないということはかねがね考えております。そこは一つの論点として私も受けとめておきます。

 しかし、それで入れたものを多様に運用できないよと言うけれども、だけれども、SPCの社債も買えるし、投信も買えるし、三十数項目の資金運用ができるわけですね。それ以上のリスクマネーに行かないでほしいというのが貯金者の意思じゃないですか。リスクマネーにしてもらいたくないよ、ミドルリスクでとめてくれよというところで預金者の利益というものが、そこに意思が示されていると私は思うんですね。官から民へ、官から民へというふうに、これも出口論で繰り返し話が出ますけれども、入り口はマーケット金利になっている、出口もマーケット金利になっている、政府保証の問題はあります、安全資産しか運用できないというのが、これは預金者の意思じゃないですか。

 そして、私は、中小企業金融にお金を流すのであれば、住宅金融公庫がやったような、ああいう特定目的会社をつくって、中小企業の債権をそこにプールしてその社債を買う、投信と同じ仕組み、そういうスコアリングシステムによる仕組みを入れていくというのは公社で十分できると思うんですね。公社において金融ユニバーサルというものを維持しながら、この出口のところについては少し緩めていくという道が正しい道であって、しっぽが頭を振るんですね、この出口論からいきますと。しっぽを官から民にしたいと言っているうちに金融ユニバーサルがどんどん崩れていく。しっぽが頭を振っている議論だと私は思います。

 時間がもう本当にわずかになってきましたが、大急ぎでやりましたけれども、郵政民営化というきれいな言葉、官から民へというきれいな言葉の裏側には、私は、利益というものを第一主義に考えるマーケット、そういうものがある。官から民じゃなくて、官から利なんですね。民という言葉を使うから国民は錯覚をするけれども、それは民じゃなくて企業なんですね。企業というのは利なんですね。

 企業性善説からそろそろ我々は脱却した方がいいんじゃないですか。西武もあり、JR西日本もあり、三菱自動車もあり、さまざまな企業が社会的問題を起こしております。企業性善説、民という言葉を使うことによる錯覚、それを繰り返しインプットされることによる錯覚、そこから我々は卒業しなければならないし、改革という言葉に酔ってもしようがないですよ、この右肩下がりの時代に。もっとパブリックというものを、ヨーロッパの政治理念というものを地道に我々は考える必要があるんじゃないか。

 マーケットをどうしてそこまでナイーブに信じてしまうんだろうか、そういう思いを多くの国民が持っていて、そしてそれが、我々この議論に反対するメンバーの底流にあるんですね。ここが総理と一番相入れない部分だと私は思っております。

 そのことを、反論の時間がなくて申しわけないですけれども、もう一巡あるはずでございますから、申し上げまして、きょうは質問を終わります。

 ありがとうございました。

二階委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きのうに引き続いて、郵便局の設置の義務づけにかかわって、設置基準の問題についてまず最初に質問をいたします。

 昨日の委員会で、都市部への配慮の問題がございました。それについて、都市部とは何なんだ、これを私が聞いたのに対して、きょう、改めて政府の方として、一枚紙でいただきました。都市部の定義とは何なのかということについて、改めて御説明をいただけるでしょうか。

竹中国務大臣 郵便局が間違いなくきちっと設置されるかということに関して、塩川委員から大変重要な御質問をいただいてまいっております。

 法案では、あまねく全国において利用されることを旨として設置することを法律上義務づける、これはもう御承知のとおりでございます。具体的な設置の基準は省令で定めますが、特に過疎地については、この法施行の際に、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とすることを規定する考えでございます。

 過疎地以外の地域についての議論を昨日来いただいておりますが、都市部についても国民の利便性に支障の生じることのないよう配慮する、これは政府と与党との合意でございますが、それを踏まえまして、都市部を含めて現在の設置基準においては三つの点が規定されている。今の三つは繰り返しませんが、都市部を含めて現在の設置基準が規定されている。我々としてもこれらを、今の設置基準を十分参考にしながら省令の具体的内容を検討していく考えでございます。

 そこで、与党との合意におきまして、都市部についても国民の利便性に支障の生じることのないよう配慮するというふうにされているわけでございますが、なぜこういう合意に至ったかという背景でございます。

 行政区域としては相当の人口を有するけれども、例えば都市の中心部でも人口の空洞化、高齢化が進んでいる。与党との合意において、都市部についても国民の利便性に支障の生じることのないよう配慮するとされているのは、例えば都市においても人口の空洞化、高齢化が進んでいる地域があるということを念頭に置いて、このように合意、規定しているわけでございます。

 したがって、この対象というのは、定性的であり、また個別的に考えるべきものでありますから、具体的な定義を行うことにはなじまない、これはふさわしくないというふうに考えているところでございます。

塩川委員 もともと、過疎地については現に存する郵便局ネットワークの水準を維持するというのがあり、それに対して、都市部については配慮をするということがあったものだから、では、その都市部とは何ですか、配慮とは何ですかということでお聞きをしたわけであります。

 そういう点では、配慮するという中身については、今の御答弁にもありましたように、過疎地以外については、現行の設置基準を参考として、今言ったような三項目の内容を踏まえてつくられるということであったわけです。

 その際、では都市部はどうなんだということについては、定義がなじまないということでのお話がありましたけれども、今の答弁の中にもありましたように、都市においても人口の空洞化、高齢化が進んでいる地域があることを念頭に置いているというお話であるわけで、つまり、もともと都市部そのものも法令上の位置づけはない。配慮する、配慮すると言うけれども、その配慮すると言っている中身についていうと、都市においても人口の空洞化、高齢化が進んでいる地域が念頭にあるという点では、都市部でも配慮するのはさらにごく一部の範囲でしかないということをおっしゃっておられるということだと思いますが、そういうことでよろしいですね。

竹中国務大臣 繰り返し申し上げておりますように、都市部を含めて、これはあまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置することを法律上義務づける、これは都市部を含めてそのように総論として義務づけております。

 そして、現在の設置基準において、例えば地域住民の需要に適切に対応することができるように配置するわけでありますし、かつ、交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用することができる位置に配置するわけでありますので、そういう点、都市部も含めてあまねく全国において利用される、そして、都市部も含めて、今申し上げた需要への適切な対応、地域住民の利用ができる位置にする、そういうことをしっかりと実行していくということでございます。

塩川委員 もともと現行の設置基準は、現在のネットワークの水準を維持する、二万四千七百のネットワークを維持するということが前提で行われているわけで、しかし、今回の場合には、それは過疎地しか対象になりませんよ、それ以外については現行の設置基準の項目を参考にということでの配慮であるわけです。

 私が聞いているのは、もともと政府・与党の合意文書にもあり、総理や竹中大臣も答弁をされておられた都市部に配慮するというのはどういうことなんですかということをお聞きしましたら、しかし実態として、中身はここにあるように、人口の空洞化、高齢化が進んでいるような地域でしかないという点では、配慮も配慮になっていないということを私は改めて指摘をしておきたいと思います。

 その上で、過疎地の問題であります。

 昨日もお聞きしましたが、改めて、過疎地の定義については過疎特措法を基本にということでのお話がありましたけれども、もともと離島振興法や山村振興法、また半島振興法におきましても、これは条文の中に、通信体系の充実を求める、こういった規定も盛り込まれているわけであります。「通信体系の充実について適切な配慮をするものとする。」こういう規定も持つそれぞれの三つの振興法、これはやはり過疎地に入れるのが基本ではないかなと改めて思いますが、その点、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 それも設置基準の具体的な、実質的な中身ということになろうと思いますので、この実質的な設置基準は省令で定めることにしているわけでございますけれども、その際は、もちろん現在の設置基準を十分参考にするということ、そして、過疎地について、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持するというように配慮する考えでございまして、したがって、利用者の利便性を確保するための必要な郵便局は維持していくというのが基本的な考えでございます。

 そこで、塩川委員お尋ねの過疎地の範囲でございますが、これは、昨日も御答弁申し上げましたとおり、過疎地域自立促進特別措置法の過疎地域を基本として検討を進める考えでございます。また、この過疎地域自立促進特別措置法の過疎地域以外としては、これも委員御指摘になられましたように、例えば、離島振興法の離島の地域、半島振興法の半島の地域、山村振興法の山村地域等々考えられるわけでございますが、これは具体的には省令策定時に十分に検討していきたいというふうに思っております。

塩川委員 いや、省令任せで白紙委任するわけにいかないじゃないですかという議論をしているわけで、そういう点でも、これは具体的に明らかにしていただきたい。

 実際、過疎地の特措法の対象地域の郵便局数というのは幾つぐらいなんでしょうか。あわせて、山村、半島、離島の振興法も加えて、そういう意味でのダブりを整理しますと、これは仮の話ですけれども、くくり、そういった地域を過疎地域と考えた場合には幾つぐらいの郵便局が対象地域に入るんでしょうか。その二点をお答えください。

竹中国務大臣 お尋ねの第一は、それぞれの過疎地域、過疎特措法の過疎地域、そして離島振興法の離島地域等々、それぞれの地域にどれだけの郵便局があるのか、そしてそれが、総合でといいますか、ネットでどのぐらいあるのかという二点だと思います。

 まず、それぞれの法律でカバーしている地域を申し上げますと、これは平成十六年四月一日現在でございますが、過疎地域自立促進特措法の過疎地域、これは千百六十七市町村で約四千八百局であるというふうに承知をしております。離島振興法の離島地域に関しては、これは七十六地域で約五百六十局というふうに承知をしております。半島地域については、二十三地域で約二千局であると承知をしております。山村地域については、二千百四地域で、これは約二千五百局から三千三百局程度となっているというふうに承知をしております。

 なお、今申し上げましたとおり、過疎地域については市町村単位で指定をして特定しているわけですが、離島、半島、山村の各地域については、これは地域単位になっております。これらの数を単純に合計するような性格のものではございません。また、離島、半島、山村の各地域の郵便局数のうち、相当数は過疎地域の郵便局数と重複するものと見込まれておりますので、その重複を除いて正確にどれだけかということは、今の段階ではちょっと申し上げる数字を持っておりません。

塩川委員 これは改めて出していただけますか。当然のことながら、省令に白紙委任というわけにいかないと私は言っているわけで、その点について、きちんと出していただけますか。

竹中国務大臣 我々もできるだけ正確に把握したいと思って今調査をしておりますが、今申し上げましたように、市町村とか地域とかの特定で時間がかかる状況でございます。

 いずれにしましても、これは省令の具体的な議論の中で、そうした点も踏まえて議論を深め、検討していきたいと思っております。

塩川委員 いや、これは一番の基本の数字なんですよ。現行ネットワーク水準を維持するという二万四千七百の義務づけのところが、いわば結局、過疎地の範囲でしかネットワーク維持の義務づけがなくなるわけですから、それが幾つになるかというのは基本的な数字じゃないですか。そんなのを省令任せというわけにはいかないですよ。出してもらえますね。

竹中国務大臣 今申し上げましたように、我々もしっかりと把握したいと思っております。

 ただ、なぜ時間がかかっているかといいますと、山村振興法なんかは、これは昭和二十年代の市町村に基づく地域になっているんだと聞いております、旧市町村ですね。したがって、それを特定する、そして郵便局を個別にプロットするというのは、これは郵政公社にも当然協力をしていただくわけでございますが、なかなか時間がかかっておりまして、その意味で、我々としてもしっかりと把握したい。そうしたことと、省令の内容の議論をあわせてしっかりと把握をしていきたいと思っております。

塩川委員 基本となる数字ですから、きょうの今というふうにはもちろん申し上げませんけれども、しかるべきときにきちんと出していただくということは当然お願いしたいと思うんですけれども、その点はお約束いただけますか。

竹中国務大臣 我々としても、しっかり調査をして的確に把握をしてまいりたいと思っております。

塩川委員 いや、国会の場でその数字について教えていただけますか、この委員会審議の中で。よろしいですか。

竹中国務大臣 繰り返し申し上げますが、我々も把握をしたいと思っておりまして、把握できましたら、これは何か隠して申し上げないというような性格の数字では当然ないと思っております。

塩川委員 ぜひその数字を明らかにしていただきたいと思っております。

 先ほども申し上げましたように、ネットワーク水準の維持の義務づけというのが二万四千七百から、いわば今言った四千八百なのか七千なのかわかりませんけれども、そういったところになってしまう。あとは、一号、二号、三号の規定で、数量的な規定もない。質的な、そういった中身という点でいいますと、実際どれだけ減るのかわからないというのがこの設置基準から見ての国民の不安になっているんだ。この点を改めて、今の郵便局がなくなるんじゃないかという国民の不安にこたえるものになっていないということを一つ。

 その上で、例えば過疎地については維持をすると言われているんだけれども、郵便局があるだけで実際の金融サービスが本当にあるのかという声というのも当然生まれてくるわけであります、別会社としてなるわけですから。その場合に、郵貯会社、郵便保険会社がその金融サービスの業務を窓口会社に委託するということが実態としてどうなるのかということについてお聞きをしたいと思っております。

 金融のユニバーサルサービスの義務づけがなくなりましたから、その上、この代理店契約が本当に結ばれるのかどうかというところが大きな懸念として残っているわけであります。

 現行の銀行代理店規制についてお伺いいたします。伊藤金融担当大臣の方がよろしいでしょうか。現行法令では、銀行代理店、法人代理店の要件についてはどのような規制を行っているんでしょうか。

伊藤国務大臣 お答えをいたします。

 銀行代理店につきましては、現行の銀行法におきまして、銀行の届け出義務とともに、銀行が代理店の業務の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じる義務を規定いたしておりまして、具体的な措置の内容につきましては内閣府令に委任をされているところでございます。

 この内閣府令におきましては、個人、一般の法人、そして銀行、保険会社、証券会社といった代理店となるものの種類ごとに、健全かつ適切な運営を確保するために代理店に講じられるべき措置をきめ細かく定めておりますが、郵政民営化後の郵便局が代理店となることは現行の内閣府令では想定をいたしておりません。

 したがって、今回の法律におきましては、郵便貯金銀行が郵便局株式会社を銀行代理店とすることを前提として、民営化時点での銀行代理店の届け出があったものとみなすとともに、内閣総理大臣は、総務大臣と協議の上、内閣府令で定める代理店規制について必要な手当てを行うこととされており、この結果、郵便局株式会社は、これらの法令の規定にのっとって郵便貯金銀行の代理店となるものと考えております。

塩川委員 済みません、大分先の話まで進めていただいたんですが、もう一度改めて確認します。

 今のお話の中にもありましたように、現行の法令のもとにおいては、法人の代理店、この場合でいえば郵便貯金銀行が窓口会社に銀行の代理店を依頼する場合に、実際にはできないというお話でしたね。何でできないのか、どういう規定があってできないのか、その点をお願いします。

伊藤国務大臣 これは、今も御答弁をさせていただきましたけれども、銀行が代理店の業務の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じる義務を銀行法において規定しているわけでありますが、具体的な措置の内容につきましては内閣府令に委任をされております。

 この内閣府令におきましては、個人、一般の法人、銀行、保険会社、証券会社といった代理店となるものの種類ごとに、健全かつ適切な運営を確保するために代理店に講じられるべき措置というものをきめ細かく定めているところでございます。

塩川委員 逆に聞きますけれども、法人代理店を置ける規定というのは、その要件としては何なんでしょうか。

伊藤国務大臣 現行の内閣府令におきましては、代理店となるものの類型に応じて規制が定められており、代理店となる一般の法人については、銀行の一〇〇%子会社等であり、兼業を行えぬ旨が規定されているが、保険会社や証券会社については兼業が認められているということでございます。

塩川委員 銀行の代理店について、法人代理店の要件は、兼業の禁止と一〇〇%の子会社ということになるわけであります。なぜこういう兼業禁止、一〇〇%子会社という規制を行っているんでしょうか。

伊藤国務大臣 お答えいたします。

 その理由は、先ほどお話をさせていただいたように、銀行が代理店の業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要な措置を講じる義務づけというものをしている、そして、具体的な義務づけについて、その内容については内閣府令に委任をしているということでございます。

塩川委員 健全かつ適切な運営を確保するための義務づけとして、いわば現行の銀行の代理店というのは一〇〇%子会社ですから、実質支店のようなものであるわけですよね。ということで担保されているというのが現行法令上の規定なんだと思います。

 その上で、現行の内閣府令におきまして、郵貯銀行は、子会社でもない、兼業もしている郵便局会社と銀行代理店契約は結ぶことができない、現行法令では結ぶことができないということでよろしいですね。確認だけ。

伊藤国務大臣 現行の内閣府令におきましては、郵便局が代理店となることについては想定をいたしていないということでございます。

塩川委員 現行ではできないということで、本会議の総理答弁にもありますように、この内閣府令について手当てをする、必要な規定を内閣府令に盛り込むということですけれども、どういう規定を盛り込むことを想定されているんでしょうか。

伊藤国務大臣 お答えいたします。

 内閣府令において、代理店業務の健全かつ適切な運営を確保するための措置といたしまして、その具体的内容につきましては、郵便局株式会社が承継する業務等を踏まえて検討する必要がございますが、郵政民営化関連法の趣旨に沿いまして、郵便貯金銀行の代理店業務が適切に遂行されるよう、現行の代理店規制と同様に、顧客情報の適切な管理、財産の分別管理等の措置を講じることに加えまして、他業を兼営することに伴い、必要な弊害防止措置等を置くことを検討することといたしております。

塩川委員 必要な弊害防止措置というのは、私もよくわからないんですけれども、丁寧に説明していただけますでしょうか。

伊藤国務大臣 弊害防止措置の中で一番重要なことは、利益相反が起きないようにするということでございますので、そのための措置を講じるということを検討いたしているところでございます。

塩川委員 現行の施行規則、内閣府令におきましては、法人代理店の要件として三つ挙げているわけです、イロハで。一つは知識、経験のある人材を確保する、ロとして一〇〇%子会社であること、三つ目に兼業の禁止ということになるわけですけれども、このロとハがある以上は、郵貯銀行が窓口会社を銀行代理店とすることはできないわけですよね。だから、ロとハの規定を外すということなんですか。そういうことでよろしいんですね。

伊藤国務大臣 具体的にはこれからの検討作業によりますけれども、趣旨としましては、委員が御指摘になられたそうした趣旨を踏まえて検討作業は進めていくということでございます。

塩川委員 削るということになるわけでありますけれども、これは郵貯銀行だけに認めるんでしょうか。ほかの銀行については認めないという整理の仕方ということでよろしいんですか。

伊藤国務大臣 今お話をさせていただいたことにつきましては、これまで日本郵政公社の貯金、為替の窓口業務は郵便局で行われておりますので、少なくとも日本郵政公社の業務を承継する郵便局株式会社が郵便貯金銀行の代理店の業務を健全かつ適切に運営することについては支障のないものと考えております。

 他方、郵便局株式会社が、今お尋ねがありましたが、民間金融機関の代理店となるか否かにつきましては、これは民営化後の郵便局株式会社の営む業務の内容、そして態様を踏まえて、代理店の業務の健全かつ適切な運営の確保の観点から個別に検討する必要があると考えているところでございます。

塩川委員 私もこういう世界をよく知らないんですが。よくわからないんですけれども、窓口会社を銀行代理店にするかどうかというのは、移行期間中はできるけれども、その先ができないということなのか。もともと、個別にとおっしゃったその理由、中身をもうちょっと説明していただけますか。

伊藤国務大臣 先ほどもお話をさせていただきましたように、銀行代理店の健全かつ適切な運営が行われるように、そのことが義務づけられておりまして、具体的な措置については内閣府令に委任をされているところでございます。今回の郵政の民営化に当たっては、現行の銀行法におきましては郵便貯金会社が郵便局株式会社に代理店を行うということが想定されていませんので、今回の法律において必要な措置というものを手当てしたということでございます。

 そして、先ほどもお話をさせていただいたように、さらに民間の金融機関の代理店となるか否か、このことにつきましては、民営化後の郵便局株式会社の営む業務の内容、そして態様というものを踏まえて、そして個別に検討する必要があると私どもとして考えているところでございます。

塩川委員 ということは、郵貯銀行と窓口会社との関係が一つありますよね。それで、郵貯銀行が窓口会社を銀行代理店にするということについては、それは当然のことながら必要な措置をとるということですよね。

 その上で、郵貯銀行以外の銀行が窓口会社を銀行代理店とするという場合というのはどうなのか。ありますよね。郵貯銀行以外の銀行が窓口会社を銀行代理店にするということについては、今回の規定では入るんでしょうか、入らないんでしょうか。

伊藤国務大臣 今の点でありますけれども、どうとるかということについては個別の判断になるということであります。

 これはなぜかと申しますと、先ほど来申し上げているように、代理店というものが健全かつ適切に運営されているかどうか、そのことを確保していくことが極めて重要でありますので、そのことについて、個別の問題について検討をし、そして判断をしていくということになります。

塩川委員 郵貯銀行が窓口会社を銀行代理店にするということについては必要な措置をとるということ、これははっきりしていると。その上で、それ以外のバージョンについては今後の内閣府令の必要な措置の中で入ってくるものなんですか。窓口会社が銀行代理店となる場合に、ほかの銀行の代理店になれるかどうかとか、そういうことについては、今言った内閣府令に必要な規定を設ける際に、そのことを含むのか含まないのか。

伊藤国務大臣 これも先ほど来答弁をさせていただいているところでございますけれども、民間金融機関の代理業務を含め、現に行っていない銀行代理店の業務については、その業務の種類、内容、態勢というものを踏まえて、十分検討の上、個別に適切に判断をしていくということになります。

塩川委員 個別に判断していくというのは、内閣府令に必要な規定を設ける、何らかの規定を盛り込むということが入っているわけですか。内閣府令に必要な規定を盛り込むという趣旨で受けとめればいいんですか。

伊藤国務大臣 今委員から御指摘があったとおりでございます。

 それで、私どもといたしましては、利用者利便の向上という観点から、実は今、金融サービスの提供チャンネルというものを拡大していくために、現行の代理店制度については、銀行法において、必要な参入規制、行為規制、そして監督体制を整備した上で、出資規制、専業義務の撤廃等の見直しをすることが適当であると考えておりますので、このための法律案の提出の準備をさせていただいておりまして、与党の皆様方と調整をさせていただいている状況でございます。

塩川委員 必要な法案の準備を進めているというのであれば、これとリンクして出すというのが筋じゃないかなと思うんですよね。ちょっとそれはもう少し後でやりますけれども。

 その前に内閣府令の中身でもうちょっと確認したいんですが、郵貯銀行が窓口会社に銀行代理店を可能にするという場合には、これは、窓口会社にあるすべての郵便局を銀行代理店に、現行に郵便貯金を扱っている局でいいわけですけれども、現行郵便局において郵便貯金を扱っているような業務の郵便局についてはすべて銀行代理店とする、そういう規定になるということですか。

伊藤国務大臣 今の点につきましては、具体的には承継計画の中で検討されることになります。承継計画の認可に当たっては、総理大臣そして総務大臣がその中について検証させていただくわけでありますけれども、銀行法上の観点から検討させていただいて対応していくということになろうかというふうに思いますが、委員の今お尋ねになった点を含んで検討させていただくということになろうかと思います。

塩川委員 内閣府令どころか承継計画にまで落ちるわけですから、それでお任せくださいというわけにはいかないんだと思うんですよね。金融のユニバーサルサービスの義務づけが外れて、その上で金融の窓口サービスが受けられるかどうかというのが国民の不安になっているんですから、それを保証するんだと言っている銀行の代理店契約の義務づけがどうなっているのかを明らかにすることなしにこういう不安を解消するわけにいかないということを申し上げているわけですよ。

 改めて聞きますけれども、そんな承継計画任せなんていかないわけですよ、きちっと答えていただきたいんですけれども、現在、郵便貯金の業務を行っているすべての郵便局で銀行代理店とするということなんですか。

伊藤国務大臣 承継計画任せということではなくて、今御説明をさせていただいたのは、手順のことについてお話をさせていただいているわけであります。

 日本郵政公社から民営化後の各社への業務等の承継に関する事項につきましては、先ほどもお話をさせていただいたように、内閣総理大臣及び総務大臣が郵政民営化推進本部の決定を受けて定める基本計画に従って日本郵政株式会社が実施計画を作成し、その中で定められることになっているわけであります。

 当該実施計画は内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならないこととされており、この認可の手続の中で、銀行法の観点から、郵便貯金銀行の代理店業務の健全かつ適切な運営について審査するということになっておりますので、この審査の中で、委員が御懸念のことについて問題がないということでありましたら、それが審査として行われるということでございます。

塩川委員 そんなお役所任せというわけにいかないですよ。一番大事な問題について、この郵便局で今までやっている金融窓口サービスが維持されるのかどうなのかという問題なんですから。維持できるというんだったら、ここで約束すればいいだけのことですよ。それに基づいて具体化をすればいいじゃないですか。

 約束できますか。金融窓口サービス、今やっている郵便局ですべて保証する、維持すると約束しますか。

伊藤国務大臣 これは、竹中大臣も一連御説明をされているように、制度上は委員のお尋ねについてはできるわけであります。しかし、手続としてはしっかりとした審査を行っていかなければいけないわけでありますから、その審査を経て、そして郵政の民営化が実現をしていくということでございます。

塩川委員 審査によっては外されるところが出る。(発言する者あり)いや、そういうことをおっしゃっている。いかがですか。

伊藤国務大臣 私、丁寧に御答弁をさせていただいているつもりでありまして、この審査というのは、銀行法上の観点から健全かつ適切に運営されるかどうか、そのことを承継計画の中で審査するということをお話しさせていただいているところでございまして、委員が御懸念のことについてはこの制度の中でしっかり担保されているというふうに認識をしております。手続論として、審査をしっかりやっていくということをお話しさせていただいているところでございます。

塩川委員 手続上で入らないと。だって、入るというのであれば今約束してもらえばいいわけです。今ある郵便局での金融窓口サービスについて、今やっている郵便局では引き続き維持されますよということを言っているんであれば、そのことを約束していただけばいいですよ。そういうことでいいんですね。

西川副大臣 今ある郵便局が全部できるかということは私どもの方の所管かと思いますが、今ある郵便局には原則として金融サービス事業は移行期においては全部行える、こういう考え方であります。先生は、この先、簡易郵便局等の問題等を考えておられるかと思いますけれども、簡易郵便局については手続等が必要でありますが、一般の郵便局については現行と同様の扱いでできる、こういうことで移行期はやっていきたい、こう考えています。

 移行期以降はどうするんだといったら、先ほどの、認可するときにつけておりまして、そのときに生まれてきた信頼関係等によってそのまま続いていくだろう。新しくシステムをつくったり募集のいろいろな準備をするのにはとてもお金がかかってだめだ、こういうことを我々は考えておりまして、移行期以降は今までのつながりが続いていくだろう、こういう考え方を持っております。

塩川委員 いや、重大ですよ。簡易郵便局で金融窓口サービスができないかもしれないということをおっしゃったんでしょう。そういうことがはっきりしたわけです。現行の郵便局における金融窓口サービスが維持されないということをはっきりとお認めになった。とんでもない。

 その上で、あわせて簡易郵便局について聞きますけれども、そもそも郵政公社からの委託で簡易郵便局は業務を行っているわけであります。現行法令上は、金融の代理店規制については、代理店業務をさらに委託するという再委託はできないと思うんですけれども、その点だけ確認させてもらえますか。その先、また進みますので。

西川副大臣 お尋ねの件は、簡易郵便局の問題だと思うんです。

 簡易郵便局、銀行の代理店で復代理ができるか、こういうことになりますが、現行法上はできない、こういうことになりますね。そのときどういう対応をするんだ、こういうことになると思いますけれども、簡易郵便局も郵便局の一つで、どこかの大きな郵便局の中でその一翼を担ってきている、こういうことでありますから、簡易郵便局においても金融の取り扱いをさせていきたい、こういうことになりますね。そうすると、現行法上は制限が加えられておりますので、この問題は今後法令の改正をしていく、こういうことになると思います。

 金融庁の告示において復代理店の設置が制限されておりますので、この問題については金融庁の方で対応していただく、こういうことにしまして、私どもも、これまでの法案策定の中で十分協議をしながらここまで進んできたところでございます。

竹中国務大臣 塩川委員からは、非常に重要な代理店契約の御質問をいただいているわけですが、非常に広範に、今伺っておりまして、やはり三つのちょっと違う議論をしておられる、三つの違う観点からの御質問をいただいているというふうに承知をしておりますので、私なりにぜひ整理をさせていただきたいんです。

 一番最初に塩川委員が御心配になったのは、今のような法律のままで代理店契約がそもそも窓口会社でできるのか。一番の御質問は、窓口で国民が引き続き安心して金融のサービスを受けられるかどうかというのが委員の御関心でございますから、今の法律のままでは、兼業を禁止しているというような観点から、そういう金融の代理店ができないのではないかという御指摘。

 これに対しては、実は、内閣府令をきちっと改正をいたします、そして、その改正をすることによって郵便窓口会社でそういう代理店契約ができるようにいたします、それを措置するということをこの法律の中でも裏づけております。これがきちっと伊藤大臣がお答えになった一点だと思います。

 それに関連して、塩川委員がお尋ねになったのは、では、ほかの銀行が出てきた場合にどうなるのかということ。これは今、我々は郵政民営化として議論しておりますが、今の委員の御指摘、重要ではございますが、より広範の金融行政そのもの、代理店行政そのものをどうしていくのかというお尋ね、これはこれでもちろん大変重要なお尋ねでございます。

 これについては、伊藤大臣が、これは全体としての規制緩和を今議論している中で、規制改革の三カ年計画の中にも入っている問題でございますから、その動向も見ながら適宜適切に対応していくということでございます。これは私は郵政担当大臣として答える範囲ではございませんが、金融行政として、これは伊藤大臣がおっしゃったように適切に対応をしていかれるということだと思います。

 三番目は、では、すべての店舗できちっとした代理店が担保されているのかという点、これも第一の点に立ち返って、国民サービスの観点からは大変重要でございます。

 我々がかねてから申し上げているのは、これは郵便貯金銀行から見ても、また郵便の窓口会社から見ても、今、郵便貯金銀行というのはまさに全国津々浦々で地域に密着した形で預金を集める、それがこの会社の強みであり、まさにこの会社のビジネスモデルである。二〇〇七年の三月三十一日までそういうモデルでやってきて、四月一日以降も当然そういうふうにやっていかないと、民間会社としての郵便貯金銀行の強みが発揮されないではないか。したがって、当然そうした形での契約が結ばれるというふうに想定をされるわけでございます。かつ、それを国民の利便とそして金融機関の健全性という観点から、移行期間を上回る長期の安定的な契約ということでカバーしているわけでありますから、これは契約は当然その間は続くわけでございます。

 そして、それ以降どうなるかということについても御懸念をお示しなわけでございます。

 これは、繰り返しになりますが、郵便局というのは、設置基準があって、当然その局を維持しなければいけない。その局の中での大宗の、七割ぐらいの仕事は金融の仕事でございますから、これはやはり金融サービスを続けたいというインセンティブを窓口会社としては持つ。郵便貯金銀行の方も、これは当然のことながら、このネットワーク価値を考えて、引き続きそういう形での契約をより長期にも続けていくということは想定をされますし、さらに、そこに新たな金融機関等々、地域の金融機関等々が参入することも考えられますので、まず、我々は設置基準で拠点を確保している、そしてしっかりとした契約がある、その契約以降もそういう契約が続くであろうけれども、それでもだめなときは、さあ、今後御議論いただくであろう基金を活用してその金融サービスを続けるという、二重、三重、四重でそういうサービスを続けるというような仕組みをとっているということでございます。

塩川委員 二重、三重、四重に穴があいているという話をしているわけですが、今整理していただいて、そのとおりであります。

 その上で、先ほど西川副大臣がおっしゃった、簡易郵便局について法令改正をしていくというお話がありました。どういう改正をされるということなのか。私、率直にまだ不勉強で、復代理店というのはここで初めてお聞きしたものですから、大いにこの機会に説明をしていただきたいと思うんですけれども、あわせてお願いできますか。

西川副大臣 今の復代理の問題でありますけれども、銀行の代理店の復代理につきましては、代理店の業務の健全かつ適切な運営を確保するために銀行が講ずる措置の一つである。これは内閣府令で、金融庁告示で対応している、こういうことです。

 金融庁告示の中で復代理店の設置が制限されている、こういうことがありますので、このような問題につきましては、郵政民営化関連法案の趣旨に照らして、簡易郵便局が代理となる場合について手当てがなされるべきものである、こう考えておりまして、これらにつきましては、郵便局株式会社法第四条第五項の規定に基づき、協議を経て内閣府令が制定または改正されることとなる、こう受けとめておりまして、対応は金融庁でやっていただける、こう思っております。

塩川委員 その告示で復代理というのがあって、その場合、設置が制限をされているので必要な手当てをとるということだと思うんですけれども、どういう制限がされているのか、その制限がされている理由は何なのか。この点を説明していただけますか。

伊藤国務大臣 理由でございますけれども、復代理につきまして金融庁の告示で制限をさせていただいておりますが、これは、健全性を確保していく、そのコントロールがしっかりできる範囲内で対応できるようにしていく、そうした趣旨から、告示において復代理というものについて制限をいたしているということでございます。

塩川委員 ですから、なぜ制限をしなくちゃいけなかったのかというその理由をもう少し。健全性を確保していくという、それは、実態として制限をしてきたというその理由なんですけれども。

伊藤国務大臣 健全性を確保していくためには、顧客情報というものが適切に管理されていく必要もございますし、また、財産の分別管理というものもしっかりやっていかなければなりません。そして、必要な弊害防止措置というものがとられていかなければいけないわけでありますけれども、そうしたことがしっかりコントロールされる、そのことの観点から、復代理についてはやはり課題があるということで、告示において制限をしているということでございます。

塩川委員 改めてその内容について精査もして質問をしたいと思いますけれども。

 現行法令の中で、内閣府令を含めて、告示も含めて、必要な手当てを行っていく。今までに、必要な求められる制限措置があった。そこにやはり健全性の確保というのは当然あるわけです。それは、金融機関のサイドから当然のことであるでしょう。同時にそれは、新しく生まれる窓口会社にしてみれば新たなハードルが設けられるわけで、そういう点でも、本当に金融窓口サービスが提供されるのかどうかという懸念が残るというのははっきりしているんじゃないでしょうか。

 私は、そういう点でも、今のこのスキームそのものが金融の窓口サービスを保証するというあり方にはつながっていないということを改めて指摘しておきたいと思います。これはよくわからないところがありますから、大いに具体的な内容について委員会の場でも明らかにしていただきたい、白紙委任というわけにいかないということを改めて申し上げたいと思うんです。

 その上で、規制緩和だけではなくて、一方で金融機関としての代理店業務を開くということがあるわけですから、他方で、必要な預金者保護ですとか監督の強化の措置なども行うことが必要なんじゃないか、監督責任を果たすという立場での必要な措置が求められているんじゃないかと思うんですが、伊藤大臣、いかがですか。

伊藤国務大臣 お答えいたします。

 現行の銀行法におきましては、銀行代理店に対して、銀行を通じて監督することとされており、郵政民営化後におきましても、郵便貯金銀行に対する監督を通じて、郵便貯金銀行が適切な措置を講じることにより、代理店となる郵便局株式会社の健全かつ適切な業務運営を確保してまいりたいというふうに考えております。

 それで、私ども、代理店に対しましても、報告徴求そして立入検査、こうしたことができる権限というものを有しておりますので、こうした権限の中で、代理店が健全かつ適切な業務運営を確保されるように適切に対応していきたいと考えております。

塩川委員 この点は本当にそれで大丈夫なのかという議論は、この民営化法案をつくる際にも行われているんだと思うんですね。私が知る範囲でも、例えば昨年の十一月にあった郵政民営化情報システム検討会議の場におきまして、金融庁の信用制度の参事官がこの件についての指摘をされておりました。

 読み上げますと、銀行代理店に対して直接の監督制度が銀行法上は定められておりません、現状は、銀行本体について問題のある行為があった場合には業務改善命令を講じることができるが、代理店自体に対して業務の是正を金融庁として命ずることはできないし、代理店自身に対して極端に法令違反とか顧客対応上問題のある行為があったからといって業務を停止することはできない仕組みになっている、だから何らかの法制上の検討が必要ですねという話なんですよ。金融庁の方のお話ですから。

 ですから、内閣府令だけの改正でいいんですか。こういった銀行法の改正が必要なんじゃないですか。伊藤大臣、いかがですか。

伊藤国務大臣 郵便局株式会社は、日本郵政公社の人的・物的資産、そしてノウハウというものを承継して、そして国が間接的に出資する特殊会社であることを踏まえれば、郵便貯金銀行を通じて監督を行うことで、郵便貯金銀行が代理となる郵便局株式会社に適切な措置を講じさせ、その代理店業務を健全かつ適切に行わせることができると私どもとして考えているところでございます。

塩川委員 間接的にということはお話しのとおりですし、国の関与があるからという話なんですか。この国の関与がどんどん離れていく世界なんでしょう。それで本当に大丈夫だと言えるんですか。

伊藤国務大臣 窓口会社は特殊会社でございますし、先ほどもお話をさせていただいたように、日本郵政公社の人的・物的資産、そしてノウハウというものを郵便局会社というものは承継いたしているわけでありますから、こうした観点から代理店業務を健全かつ適切に行わせることができると考えておりますし、先ほども答弁をさせていただいたように、私どもは代理店に対して報告徴求権、そして立入検査権というものを持っております。こうした権限に基づいて、適切な業務運営が行われるように、健全な業務運営が行われるように対応していきたいと考えております。

塩川委員 業務改善命令はできませんと金融庁の方がおっしゃっているじゃないですか、こういう措置が必要なんじゃないですかと。

 では、窓口会社については、代理店として未来永劫こういった銀行法上の監督強化の措置を行わないということなんですね。

竹中国務大臣 まず、今回代理店になっていただく郵便局、窓口会社というのは、これは国の関与が残る持ち株会社のもとにある特殊会社でありまして、総務大臣の一般監督権限が及びます。総務大臣の一般監督権限が及ぶ会社なんです。もう一つは、銀行に対しては直接業務改善命令が出せますから、業務改善命令を通して、これは契約先である代理店に強力な影響力が及ぶ。加えてもう一つ、今の法律の枠組みの中でも、立入検査や報告徴求等は代理店に対してもできるというふうに承知をしております。

 そうした中で、きっちりとした枠組み、監督が実質的に及ぶということを我々は申し上げているわけでございます。

塩川委員 そうはいっても、三分の二までは民間に、株を保有するという話は当然出てくるわけです。代理店自体に対して業務の是正を、金融庁として命ずることはできないということがあるわけですよね。そういう措置は、この窓口会社に対しては必要がないという結論を出されていると受けとめていいんですか。

伊藤国務大臣 私たちは、代理店業務に対して、健全かつ適切な業務というものが行われるかどうか、そうした観点から考えているわけでありまして、郵便局株式会社は、先ほどもお話をさせていただいたように、日本郵政公社の人的・物的資産、ノウハウというものを承継している。そして、特殊会社でありますし、この特殊会社というものは総務大臣の監督権限下にあるものであります。

 また、私どもは、郵便貯金銀行に対する権限というものを有しているわけでありますし、代理店に対して報告徴求、そして立入検査、こうした権限を持っているわけでありますので、こうした権限の中で業務の健全性、そして適切性というものを確保できると考えているところでございます。

塩川委員 こういう機会ですから、総務大臣、麻生大臣はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 予定外の質問だということをあらかじめお断りしておきます。

 それから、今のお話ですけれども、銀行と言われる形になるであろう郵便貯金銀行は、いわゆる金融監督庁の許可、配下にあるということで業務改善命令がその銀行にはなされる。その銀行と代理店契約をしているのが幾つも出てくるわけでしょう。その代理店契約をされているところに対して立入検査等請求はできる、書類請求はできるという権限もあるということであれば、基本的には、金融監督庁がそこの貯金銀行に対してこの代理店はおかしいということできちんと改善命令を出せば、この代理店契約を破棄したくなければ、当然そのところはその要求に応じて銀行との契約を優先することにならざるを得ないというのが常識的に考えられるところだと思います。

 今のような、机上の空論としていろいろ考えられるのは、当然のこととして考えられないかぬところだと思いますが、現実問題として、銀行と契約をして代理店をしているところが銀行から言われたことに関してやらないということは、ちょっと常識的には考えられないんじゃないかなという実感がします。

塩川委員 先ほども伊藤大臣が答弁の中でおっしゃられておりましたけれども、現行の代理店規制の見直しを考えている、広く一般の金融機関にも認める、法案の準備をしているんだというお話があるわけですよね。その問題が出てくるわけですよ。我々は、代理店を広く認めるということについては、その是非について私自身この場で言える立場ではありませんけれども、その是非はおいておくとしても、一方での規制緩和、他方での必要な監督の措置の強化というのを行おうと考えているんじゃないんですか。その枠の外に郵貯銀行、窓口会社を置くという判断なんですか。そこだけお答えいただけますか。

伊藤国務大臣 先ほど答弁させていただいた点につきましては、これは規制改革三カ年計画の中で、利用者の利便性というものを向上させていくために金融サービスを提供できるチャンネルというものを拡大して、そうした規制緩和についての措置を講じること、これが閣議によって決定をされているわけであります。それに基づいて私どもとして、銀行法というものを改正し、適切な措置を講じることを検討させていただいて、今、与党の皆様方と調整をさせていただいているところでございます。

 この郵便局株式会社の問題につきましては、先ほど来お話をさせていただいているように、日本郵政公社から物的・人的資産というものあるいはノウハウというものが継承される、そして、特殊会社として総務大臣の監督権限下にもある。私どもは、郵貯銀行が、これは銀行法を初めとした金融関係法令に入るわけでありますので、その中で、私どもに与えられている権限の中で、業務の健全性、適切性というものに的確に対応していくことができる。さらに、代理店に対しても報告徴求権、立入検査権というものがあるわけでありますから、こうした観点から代理店たる郵便局株式会社に対しても適切な業務運営というものを確保できると考えているということでございます。

塩川委員 机上の空論ではなくて、現実に機能している金融窓口ネットワークがどうなるのかということについて、その中身を具体的に示さない形で白紙委任というわけにはいかない、そういう懸念はぬぐえないということを改めて指摘して、質問を終わります。

二階委員長 次に、江藤拓君。

江藤委員 宮崎県の江藤拓でございます。

 きょうは、私のような一年生にこういう質問の機会を与えていただきまして、大変感謝をいたしております。

 この委員をおまえやってみないかということをうちの派閥の谷津事務総長から言われましたときに、二つ返事でやらせていただきますとお返事をさせていただきました。このことは、国の将来を大きく、国の形まで変えてしまうかもしれない大変重要な法案だと私は認識をしております。そしてまた、我々振り返って党を考えれば、自民党の将来さえも左右しかねない、そういう重要法案にここで委員として参加させていただけるということは、大変ありがたいことであります。

 宮崎というところは、大臣、田舎なんですよ。私の田舎は、もっと田舎なんですよ、大臣よりも。平たく言いますと、JR九州は単線です。国道十号線は一車線対向です。そして、高速道路はございません。そして、企業に目を向ければ、宮交は破綻してしまいました。そして、リゾート第一号の指定を受けたシーガイアもリップルウッドに買われてしまいました。県民の期待を集めた翼、スカイネットアジア航空もやはり破綻をしてしまいました。非常に厳しい状況の中にあります。そして、宮崎県政はどういうことになっているかといいますと、今三年間にわたる財政再建計画のさなかにありまして、極めて厳しい財政運営を強いられております。

 そして、こういう中にありますと、非常に田舎の人間はこういうことには敏感です。私は田舎に帰りますと、必ず毎週、個人演説会か座談会、そういうものを開かせていただいています。そして、そのときに必ず話題に上るのがこの郵政民営化の問題です。最初のうちは、大体、よくわからないから、江藤君、我々にわかりやすく説明してくれという意見が大半でした。私も、決して県民の皆さん方を反対の方にリードしようなんて意図を持って話したことはありませんよ、大臣。中立の立場で、公平に、今の現状を報告してまいりました。

 そして、ついに法案が提出される結果となったわけでありますけれども、法案が提出された後は、がらっと座談会とか個人演説会の雰囲気が変わりました。というのは、私もびっくりしたんですが、田舎に住まわれれば住まわれるほど、やはり政治の方向転換によって受ける影響というものが大きい。だから、驚いたんですけれども、法案の隅々まで各地域の住民の方が読まれて、自分なりの検討を行った上で、これはまずい、このままでは我々は不安でしようがない、だから江藤君には賛成してもらっちゃ困る、そういうふうに地元で直接私は言われるわけであります。

 この間も、椎葉村というところで個人演説会をやりました。三千六百数十人という、鶴富屋敷のある、平家が逃げ込んだところですからいかに田舎かわかると思いますけれども、そこに三千六百人のところ二百数十人集まってくださいました。ほとんどの方が郵政の話を聞きたいから来られた方ばかりです、正直申しまして。

 それで、私は聞きました。先入観を持たずに皆さん目をつぶってください、郵政を民営化してもいいじゃないか、もしくは総理がそこまで熱意を持ってやられているんであればやらしてやるべきだと思われる方は手を挙げてくださいと。一人も手が挙がらないんですよ。現実の話なんです。そして、念のために、田舎の人は引っ込み思案ですから、それでは反対の方、民営化されちゃ困るという方は手を挙げてくださいと言ったら、ほぼ九割以上の方が手を挙げられました。しかし、これは漠然とした不安感ではなくて、かなり勉強された上での不安感に今変わっているということを大臣にまずお伝えしたい。地元の声ですから、私たちは地域の代表としてこの国会に上がってきています。ですから、私の、宮崎県の方々がこの法案をどう受けとめているのか、そういうものをやはりこういう機会を通じて大臣に知っていただく、これも私に与えられた責任だと思いますので、まずそのことをお伝えさせていただきたいと思います。

 そして、どうしても郵政を民営化するという前提に立ってお話をいたしますが、民営化するということであれば、大臣もこの点には御同意いただいていることですけれども、やはりどうしても拠点だけは、特に僻地においては必ず守らなければいけない、これは絶対に譲れない一線だということをまず申し上げたいと思います。

 私の田舎で西臼杵の高千穂というところがございます。そこで今いろいろなサービスを、高千穂町と委託契約を結んで行政サービスの一端を受け持ってやっております。

 簡単にお話しいたしますと、老人の、高齢者の生活状況の確認。元気でおられるかどうか、こんにちはと声をかける、そういう運動をしているわけですけれども、そういうのを請け負っております。そしてまた、特殊な要件を満たせばですけれども、年金をかわりに受け取って、それをお年寄りのところまで届けるという業務まで行っております。これにかかる費用が、高千穂町で、高千穂町の予算ですよ、年間の予算が十六万円しかかかっておりません。一回当たり百九十六円という破格の条件で実は受け入れをしているわけであります。

 しかしながら、西米良村という村があるんですが、そこには特定局が二つあります。その一つは、つい最近ですけれども、無集配になってくださいという一方的な通告を受けました。無集配になるということは人間が減るということですから、集配局からすごく遠くなる。しかも、集配の人間が減れば、行政をこうやって受け持って、これから三位一体の改革、それから市町村合併の流れの中で、やはり地方も工夫をしているんですよ、大臣、国に頼ってばかりじゃいけない、自分たちの足で立たなきゃいけないと。だから、既存のそういうあらゆる組織、最近は市民団体もいろいろと、例えば温泉なんかのお掃除をただでやりましょうとか、そういうのも今起こってきています。ですから、こういう拠点だけは何が何でも守っていただかなければならないということをまず申し上げておきたいと思います。

 法案の質問に入ります前に、全体的なことについて幾つか率直にお尋ねをいたします。

 郵政公社は四年間の中期経営計画の今その道の半ばにあって、この間も決算が出ましたけれども、私はいい決算だったと思っております。前年度は株式の評価の分があったわけですから、その分を差し引けば、やはり公社のままでも非常に努力の成果が認められるというふうに私は感じました。そして、総裁には、四年という期限を与えてその間に結果を出しなさいと。言いかえれば、四年後に大学受験があるからそれまでしっかり勉強しなさい、そのときに勉強していなかったらあなたは大学不合格ということもありますよというようなことで、生田総裁は四年間というタイムスケジュールをにらんでやはり合理化であるとか効率化を図ってこられたと思います。

 ところが、二年の半ばで郵政民営化ということに政府は踏み切ったわけでありますけれども、この二年間の間に、四年間の最終結果を見るまでもなく民営化しなければならないというような劇的な状況の変化というものがあったからそういうようなことに踏み切ったのであれば、そういう内容について大臣から御説明をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、石破委員長代理着席〕

竹中国務大臣 まず、冒頭江藤委員がおっしゃいました地方の声を聞け、私も地方の出身でございますから、重く受けとめさせていただきます。それと、拠点をしっかり確保しろ、これも、我々の思いもまさにそういうところにございます。ぜひしっかりと対応したいと思いますし、また御説明をさせていただきたいと思っております。

 第一のお尋ね、公社の決算も踏まえて、確かに委員おっしゃるように、本当に公社の皆さん頑張られてよい決算であるというふうに思います。環境が、その前年に比べますと、むしろ踊り場的な状況にある中での決算でございますから、よい決算であると私も認識をしております。

 その上で、中期経営計画の期間の半ばでなぜ民営化を行うのかというお尋ね、大変重要なお尋ねだと思います。

 これは生田総裁御自身が言っておられますが、公社は頑張っている、それで郵便事業も黒字を二期連続して出している、しかし、それでもやはり環境は厳しい。たしか、さらなるやはり進化が必要だというような趣旨の発言をこの予算委員会の場で、生田総裁も、この二月ごろになさっておられると思います。

 確かに、見てみますと、郵便の事業は、よい決算だとは言いましたけれども、懸念されていたとおり、二%でしたか二・五%でしたか、やはり取扱量は低下をしております。そして、さらには、金融の預金の残高の減少も、むしろ預金残高の減少は予想より少し速いぐらいで進んでいるという状況であろうかと思います。

 一方で、金融革新、情報革新、通信革新等々で環境がさらに厳しくなるということが懸念をされている。

 三つ目は、これも生田総裁御自身がこの二年間の経営を通じて大変強い意識をお持ちでございますが、すぐ隣の東アジアの各地域で大変な国際物流の成長市場がある、しかし、公社形態のままではそれに正面から入っていくことはできない、一方で、民営化されたヨーロッパの郵政がそういうところにどんどん入ってきている、そういうような状況にも積極的に対応したい。

 これ一つがすごく劇的に変わったという御説明にはならないかもしれませんが、やはり予想どおり、いや、予想を上回ってじわじわと環境が変化して厳しいものになってきている。生田総裁の、これまでの民間的活力を導入する改革をさらに進化させるためにも民営化が必要だ。民営化に相当の期間を要するということを考えれば、やはりこの時期に郵政民営化に踏み切ってさらに郵政を強化する、そして国民の利便をぜひ高めていきたいというふうに考えるところでございます。

江藤委員 大臣の御説明はよくわかるんです。もうこの委員会の中でも、ほかの先生方の御質問に答えて同様の御答弁をされていますのでよくわかっておるんですが、しかし、総裁の胸の中にはあと二年やらせてもらいたかったという気持ちが正直あると私は思うんですよ。そして、やはり総裁の方からもうギブアップしたわけではないじゃないですか、もう限界です、私のできる努力はもうこれでいっぱいいっぱいですと。党内でも随分議論したことですけれども、公社のままでも法改正をすれば業務の拡大は、全部ではありませんけれども、一部は可能だということもあります。

 この話をいつまでしていてもあれですので、次の、また全体的な質問を伺います。

 民営化五原則についてお伺いをいたします。これは利便性原則ということになっております。国民にとって利便性に配慮した形で民営化、改革を行うということであります。この配慮という言葉、これがどういう意味をなしているのかということについて私はいささか気になるわけであります。

 また田舎の話をして恐縮ですけれども、田舎に行きましたらこういうふうに言われました。江藤君、おまえは郵政民営化、賛成せないかぬ、どうしてですか、こんな山奥の郵便局の特定局がコンビニエンスストアになるんだったらこんなありがたいことはない、今までは一時間半かかって買い物に行っちょったけれどもこれからは十分で済むな、これは郵政民営化してもらわないかぬということで、改革という言葉から国民の皆さん方が受け取る、酌み取るイメージ、改革したんだからよくなるんだ、必ずよくなるんだろうと。

 そして、最初のころはかなりのレベルでコンビニエンスストア化が進むという話でしたけれども、それが千三百局の普通局になり、生田総裁に伺ったら、実は百局ぐらいしか郵便局をコンビニエンスストア化することは現実的ではありませんという御答弁も党内の議論の中ではいただきました。

 それで、この配慮の中身について、大臣のイメージだけ伺いたいんです。配慮というのは、最低限の生活を保障する、不便にはなるけれどもそんなにひどいことにはならないようにするというのもこれは配慮だと思うんですよ。現状を維持するというのもこれまた配慮ですね。さらに、国民の利便性を高めるというのもこれまた政治が国民に対してもたらすそれは一つの配慮だと思うんです。日本語というのは非常に難しいんですけれども、大臣がイメージされているこの言葉、利便性に配慮した形で、この配慮という言葉のイメージをぜひお聞かせいただきたいと思います。

竹中国務大臣 とりようによっては非常に哲学的な、なかなか難しいお尋ねを含んでおると思います。

 この郵政民営化の五原則自身、これは一年半ぐらい前に、私自身が提起をさせていただいて諮問会議で議論したものでございます。その中に、御指摘のように利便性の原則というのがある。利便性に十分配慮すべきと。

 これは、委員はイメージというふうにおっしゃいましたので、やはりイメージ的なお話にどうしてもなるわけでございますが、これは原則はたくさんあります。一つの原則だけではない。一方で経済全体を活性化させたい、そして改革全体と整合的にやりたい、そして利便性を確保する、そして資源を活用する、雇用に十分配慮する。やはりこれだけ大きな改革でありますから、それぞれについてこれをバランスよく満たしていかなければいけない。そのバランスよく満たしていくというところが極めて重要なところであろうかと思います。

 バランスに関して言うならば、利便の中にもいろいろな利便がある。国民の利便、いろいろな国民がいらっしゃって、いろいろな利便があるということに実は行き当たるのだと思います。

 我々としては、やはり今の社会的な機能を考えますと、特に宮崎や和歌山やそういうところの山間僻地で郵便局に非常に依存している皆様方の利便は絶対に損ないたくない、そういう皆さんの利便を損なわないようにしよう。一方で、都市にいらっしゃる皆さんもこれは大変重要でいらっしゃいますから、例えばですけれども、今の郵便局が一部だけれども二十四時間あいて、その利便性が高まるというようなことも利便性を高めることだろうと思います。これはやはりさまざまであるし、そこに経営の工夫も入ってくる。

 しかし、やはり最低限この利便性だけは保たなければいけないという点があるだろうということを考えて、実は、過疎地に特別な配慮をして拠点を確保するということを、民営化するけれどもそういった意味での拠点の確保、過疎地に配慮した確保というのは絶対に行うということは当初から掲げさせていただいているところでございます。

 これは法律にも反映され、今後、具体的に省令で設置基準を定める中で、過疎地については、法施行の際、現に存するネットワークを維持するということを明記して、そういった意味での、まさに宮崎や和歌山、そういうところの過疎地について十分な配慮をしなければいけないと思っておりますので、多様な利便性を確保する、しかし同時に、最低限の守るべきところは明確にした上でさらなる利便性を目指す、そのように考えております。

江藤委員 大臣が御指摘のとおり、日本といってもさまざまです。私は、東京に来て宮崎に帰ると、本当に同じ日本かと思いますよ。それぐらい違います。ですから、やはり国政にかかわる者は、きめ細やかに目配りをして、そして配慮していただくということを重ねてお願いしておきます。

 それでは、ようやく法案の内容について御質問させていただきます。これは、配慮の内容についてお伺いするということになっていくわけでありますけれども、まず、郵便局株式会社法案についてお尋ねをいたします。

 このことについてまず聞く前に、日本郵政公社法、私なりにこれをもう一回読み返してみました。そして、その中に定めてあります総務省令、日本郵政公社法施行規則、これも読ませていただきました。非常によくできているな、すばらしい法案並びに省令であるというふうに思っております。

 それは、第二十条で、「公社は、前条第一項第一号から第五号までに掲げる業務及びこれらに附帯する業務を行うため、総務省令で定めるところにより、郵便局をあまねく全国に設置しなければならない。」この一号から五号というのは、もう言うまでもありませんが、郵便、郵便貯金、郵便為替、郵便振替、簡易生命保険ということでありますから、いわゆる郵便もやるし金融業もきちっとやりますということを、まず法律にきちっと書いてある。全くけちのつけどころがない。

 そして、この総務省令の方を見てみますと、法施行の際には、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持する。これによって、二万四千七百はきちっと維持する。

 ですから、拠点を維持することを省令の方できちっと担保し、そして業務内容を法律できちっと担保しているということでありますから、この法律と省令を読んで将来に不安を感じる人はだれもいなかったろう、この法律を読んでけちをつける人もいなかったろうと思います。

 では、今回の郵便局株式会社法案、これを読ませていただきますと、第二条の二項で、「この法律において「郵便局」とは、会社の営業所であって、郵便窓口業務を行うものをいう。」そして第五条には、「会社は、総務省令で定めるところにより、あまねく全国において利用されることを旨とし」というふうにあります。

 よくわかっているんですよ。これは郵便局を設置するための法案ですから、この中に銀行とか保険とかそういうことをやりますということを書くのは、極めてこれは不自然だという御回答に多分なるんだろうと想像しています。それはもちろんそうでしょう。そしてまた、預金銀行と保険会社については、今回法律もつくらないわけですから。一般の承継会社になるわけですからね。

 ということになりますと、じゃ、この総務省令できちっとその部分まで担保できるのかということを考えてみますと、政令や省令というのは、しょせんは法律の任があって初めてその内容を定めることができるものというふうに私は理解しています。

 ですから、法律の中にきちっと書いていないことを、省令が、たとえ日本郵政公社法施行規則と同じ内容になったとしても、やはりこの法案から私が何を読み取るかというと、郵貯、簡保、こういうサービスははっきりなくなるんだ、消えてなくなるんだと。会社はありますよ。郵貯会社、保険会社、これはあるけれども、今まで提供されてきたような、いわゆる今までの法律で言うところの、郵便貯金法、ここで言っています、「国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進する」、そういう趣旨にのっとった商品は、今後は、やはりきれいにこの世の中からなくなるんだというふうにこの法案から私は読み取っておるわけでありますけれども、私の読み取り方、認識は誤りでしょうか。御見識をお願いします。

竹中国務大臣 今回の民営化の制度設計をするに当たりまして、我々はやはり、委員もお挙げくださいました原則から出発をしていろいろと考えていったわけでございます。

 そうした中で、郵便のサービスというのは、ユニバーサルサービス義務を当然のことながら引き続き果たしてもらわなければいけない、国際条約に日本も加盟をしております。これはもう疑いのないところなのだと思います。そのことを法律で義務づける。そして、それにあわせて、郵便のユニバーサルサービス義務にあわせて、郵便の窓口業務というのは当然行わなければいけないことである。それについても設置基準をしっかりと設ける。かつ、日本の場合に重要なのは、この郵便局の窓口を使って、郵便窓口業務以外の大変重要な仕事がこれまでも行われてきた。その中心として金融の仕事がある。それが議論の出発点だったわけでございます。

 それを、今後厳しい状況が、環境が予想される中で、それぞれが市場の中で自立していけるようにするためにどのようにしたらよいかということを考えていきますと、これは、郵便はもちろん特殊会社、そして郵便局会社も特殊会社として設置基準をしっかりとつくる。その際に、何度も申し上げますが、国民が全国であまねく利用できることを旨とする、このことは法律で明記をさせていただいているわけです。つまり、利用者の利便を考えて、それがあまねく全国で利用されるようなことを、法律でしっかりと枠組みをまずつくっているということでございます。

 その上で、しかし、もう一つここで考えなければならないのは、この金融というのが信用を背景とする非常に特殊な業種であって、それがこれまで、国家という絶対的な信用を背景に世界で類を見ないほど大きな存在になっているという事実でございます。この金融の機能を引き続き果たしていただきながら、市場の中で、国家という絶対的信用を背景としないでもやっていけるような形にやはり持っていく必要がある。

 そういう中で、金融については、今回は商法の一般会社として、政府の関与を最終的には約十年でなくす。しかし、結果的に国民の利便が損なわれないようにするために、拠点を確保して、そして移行期間をカバーする十分な期間の代理店契約、安定的な代理店契約をみなし免許の条件として義務づけている。詳しくは申し上げませんが、いざというときのためには基金も使えるようになっているということでございますので、結果的には、郵政が担ってきた公的な機能と、そして一方で、厳しい環境の中で、市場の中でそれぞれが自立していけるというような仕組みを両立させた制度設計、その中で国民の利便が損なわれないようにというように配慮したつもりでございます。

江藤委員 大臣の御説明はよくわかっているつもりであります。しかし、衆議院議員というのは立法府に身を置く人間で、やはり法律を通じて、そして、それで足りなければ省令なり政令なりそういうものを通じて、国民の不安を取り除く努力をしなきゃいけない。先ほど申し上げましたように、前回の公社法であれば百点の法案であるわけですけれども、今回、法律だけきちっと読めばやはり不安になる、代理店契約の話なんかよくわかっていますけれども。しかし、そういうことであれば、やるのであれば法律に明記することがやはり望ましい。

 結論はどういうことになるかというと、ではどうしてこういう法律しかつくれないのかということを考えると、やはり四分社化が大前提にあるから、預金と保険を完全に、一〇〇%株式放出した一般の会社にするということが大前提となっているから、こういう非常に不安の残る法律にしかならない。やはり、国民の利便性を損なわないということに政治がもし主眼を置くのであれば、どうしても民営化するという前提に立てば、三事業一体での民営化の方がいろいろと合理的なのではないか。

 どうして合理的かというその理由についてはまた後の方で、いろいろと議論の中でまた述べさせていただきますけれども、私は、やはりその方が何かと後々不都合を起こす可能性が低いのではないか、安全なのではないか、国民の不安も払拭できるのではないか、そう思いますが、大臣の御所見をもう一度改めてお伺いします。

竹中国務大臣 法律で義務づけるところはしっかりと義務づけなければならないと思います。

 しかし同時に、今回の民営化というのは、できるだけ経営の自由度を持っていただくということ、そうした市場での自由度というのをしっかり持っていただくことが重要である。これは生田総裁御自身、経営の自由度というのはよくおっしゃることでございますが、その意味からいうと、法律で義務づけるというのは必要最小限にして、その上でしっかりと各経済主体にインセンティブを持っていただくような枠組みをつくる、それが私はよい民営化ではないかというふうに思っているところでございます。

 お尋ねの、四分社化ではなくて三事業一体、そういう議論がずっとあったことは私もよく承知をしているところでございます。しかし、ここで考えなければいけないのは、自由に金融を行っていただくという際に、やはりそうすると金融の一般的なルールに従っていただかなければいけない。

 金融というのは信用が特殊だということを申し上げましたが、もう一つ重要な点は、この金融というのは社会全体の信用システムを形成するものでありますから、他の事業の損益状況が直接その金融、銀行や保険に反映しないような、その間の波及を遮断するようなシステムをやはりつくらなければいけない。だからこそ、実は銀行がほかの物流業を営んでいるという例は、少なくとも大きな銀行が大きな物流業を併営しているという例は世界でもないわけでございます。

 そういう金融の一般ルールに従って初めていろいろ自由な活動ができる。そういうことを考えると、三事業一体というのは、やはりそのまま民営化するというのはこれは大変無理がある話であって、これを市場の中で自立させるためには、お互いの損益状況が及ばないような形でリスクを遮断して、そして四分社化をする必要があるというふうな判断のもとに今日に至っているわけでございます。この基本原則につきまして、ぜひとも御理解を賜りたいところでございます。

江藤委員 もうこの話は党内議論からずっと平行線ですので、正直、ここで御質問申し上げてもせん方なきことだということかもしれませんが、しかし、去年の九月から始まった議論を通じましても、やはりどうしても、今の段階でも三事業一体の方がいいと私は思っております。

 それでは、今経営の自由度というお話が出ましたので、銀行の将来の経営のお話について幾つか御質問させていただきたいと思います。

 二百十兆円あるお金が十年間で大体百四十兆円に減るだろう、そのうちの四分の一のマネーをリスクマネーにする、きょう午前中もやりましたけれども、同じ質問になるかもしれませんが、もう一度お答えをいただきたいと思います。

 三十五兆円を運用するというのは、やはりこれはなかなか大変なことだろうと思います。現在の経済状況を考えれば、ちょっと数字が古いですけれども、二〇〇四年の企業部門が発生させた余剰金、これが年に十六兆二千億。もうリストラも終わった、ある程度設備投資も終わった、企業内の経営の効率化も終わった、かといって投資先もない、企業内の余剰金が年間十六兆二千億もたまっている、それが積もり積もって八十二兆円だという話もあります。

 そういう状況の中で、なかなかお金の運用が難しいので、銀行も国の国債を、百八兆円ですか、今買っていただいている。非常にこれは助かっているわけでありますが、現実としては。そういう今の経済状況が続かないことが望ましいわけでありますけれども、やはり少しずつGDPも伸びていくことを予想したとしても、なかなかこの三十五兆円を有効に運用して利益を出すというのは難しいだろう。私は金融は素人ですけれども、率直にそう考えます。

 まず、今の公社には経験のある人材がおられない、これはやはり大きい。そしてまた、ノウハウもない。そしてまた、与信を管理する、そういうシステムもない。先ほど午前中の御答弁の中では、この移行期間においてもほかのところと提携することもあるんだよというお話がありましたが、そこら辺からノウハウをいただくのかもしれませんけれども。

 そうなりますと、本当に十年間でほかの金融機関と伍して戦えるだけの力をこの貯金会社が持つことができるのかどうか。私は極めて難しいと思います。公社の人材も努力をするでしょうけれども、この生き馬の目を抜くような金融の世界ですから、ほかの金融界の人たちも追いつかれるのを黙って見ているわけじゃない、自分たちも追い抜かれまい、追いつかれまいとして努力をされる、そういう中で、やはりなかなか厳しい状況が生まれてくる。

 私が非常に心配しているのは、この貯金会社の経営が傾くと、結局二万四千七百のネットワークの維持が難しくなってしまう。安定的な代理店委託手数料をきちっと払っていただかないと、これを払えないような経営状況に陥ったら、結局、物すごく困ったことになるわけであります。もしかしたら、持ち株会社の中にある余剰金をどんとまた基金に積み上げて、すべて基金で見なければならないというような状況が起こってしまうこともあり得るかもしれません、余りにもネガティブな予想だと言われるかもしれませんけれども。

 そこら辺のことについて、午前中も一部御答弁がありましたけれども、もう一度、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

竹中国務大臣 銀行部門、今、実はこの銀行部門というのが公社の収益のほとんど大宗を稼ぎ出しているわけでございます。これがどうなるかというのは極めて重要なわけですが、民営化したからこれが厳しくなるのかというような問題の設定をすると、いや、これはむしろそうではないはずだということになるんだと思います。

 公社の金融をめぐる環境そのものがまず大変今厳しいことは事実であろうかと思います。むしろ、自由度を持っていただくことによって将来厳しい状況になることを防いでいく、そのための民営化なわけでございますから、そこはやはり、慎重に考えなければいけませんが、決して悲観的に考える必要はないというのがその前提でございます。

 その上で、江藤委員にぜひ御理解いただきたいのは、やはり、今我々は二〇一七年がどうなるかということを考えるわけですけれども、十二年後を考えております。十二年後、金融はどうなのか。では、果たして十三年前の日本の金融はどうだったのかということになりますと、これは麻生大臣がよく引用されますけれども、当時、まだ日本の地価が下がり始めたのがその前年ぐらいですよ。まだ日本の銀行は、世界のトップテンのかなりのものを占めている状況で、そういう状況から今の状況になっている。申し上げたいのは、十年たつと経済の状況は極めて大きく変わる、今のような企業の資金調達のことを前提にして議論するとむしろ方向を誤るのではないかということでございます。

 今までも、我々は「改革と展望」でありますとか先般の二十一世紀ビジョンを出しておりますけれども、その試算等々によりますと、実は二〇一七年ころの日本のGDPというのは今から五〇%から六〇%ふえている可能性がある。これは、名目成長率がどのぐらいになるか、デフレがどのぐらいになるかにもよるわけですが、GDPが二百兆、三百兆ふえる世界で、銀行の貸出残高、GDPに対する比率を減らすとしても、やはりこれは二百兆円とかそれぐらいのオーダーで実はふえる可能性がある、そういうマーケットがあるということでございます。

 その中で、実は三十五兆円の信用リスクビジネスというのは、私は決してそんなむちゃな想定ではなくて、かつ、政策金融の比率も減ってくる。そういう中で、貸し出しだけではない、しかも、三十五兆の信用リスクビジネスの中には、貸し出しも一部あるかもしれませんけれども、シンジケートローンへの参加でありますとか、ABS、アセット・バックト・セキュリティーの購入、その他証券化したものへの投資、全部合わせて三十五兆ということでありますから、これは決して無理な前提を置いているというふうな認識は持っておりません。

 また、今、こうした十年後、十数年後の資金循環についての研究を行っている事例もあるようでございますので、また必要に応じてぜひ御紹介をさせていただきたいと思いますが、そういう十年という非常に長いタームでの議論を今している。その中での、実は一つのあり得べき選択だというふうに我々は思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。

江藤委員 大臣の非常に深い知識のもとでの御説明はよくわかるんです。よくわかるんですが、しかし、年金改革法案のことをちょっと思い出してみますと、やはり年金も、過去五年ごとの見直しをずっとしてきたわけですけれども、そのたびに国の見通しを誤ったんですよ。それが今の年金の悲惨な状況を招いてしまっている。

 ですから、そういう見通し、そういう分析もあるのはよくわかります。私は、個人的には非常に楽観主義的な人間で、余り物事をうじうじ考えないタイプの人間なんですが、それでもやはり、十年前を考えればアジア通貨危機なんという恐ろしいことが起こったり、あるとき突然、為替が八十五円まで突入するようなことが起こったり、考えられないことが起こるのがこの金融、そして財政の世界ですから。

 そういうことを考えると、やはり、リスクマネー三十五兆円と言われると、今まではリスクをとってこなかったお金がリスクをとるわけですから、午前中の小泉先生との御議論の中であったみたいですけれども、市場は失敗することもあると。失敗することもあるでしょう、それは成功することもある。でも、すべて成功しなくても、トータルで成功すればいいわけです。

 そういうリスクをとることが本当に正しいことかどうか、これはもう将来にわたって、十年先、十五年先に振り返ってみないと多分わからないことだと思いますけれども、私がもしこれから先も、国民の皆さん方に御信任をいただいて、十五年先、もし衆議院議員を続けられているとしたら、そのときに、もし私が今回この法案に賛成するということであれば、ほらごらんなさい、うまくいったでしょうと自信を持って言わなければならない。その逆は、あのときにこういうむちゃなことをしたから今のこういう悲惨な事態になってしまったんだと。その責任も、私、政治の世界に籍を置いている限りはとらなければならない。そういう覚悟を持ってこの法案に臨んでいるわけであります。

 ですから、決して、悲観的、悲観的、悲観的という、そういう理屈で物事を言っているのではないということだけはぜひ御理解をいただきたいというふうに私は思うわけであります。

 さらに、午前中の議論を聞いておりましてちょっと気になることがあったんですけれども、住宅金融公庫がなくなって、そしてもうだんだん貸し出しも減ってきて、最近は保証の方に移行してきていると。金融公庫は、民営化を前にして、そうやってだんだんもう移行していっている、それで将来的には六十兆の市場がそこでぽこっとあくんだ、その部分については貯金会社ですか、ここら辺がちゃんと担当するようなことになるということが副大臣の方から御答弁あったんですが、これは、同じ派閥で大変言いづらいんですけれども、私は大問題だと実は思っております。

 私の田舎のことをまた話させていただきますと、宮崎銀行とか宮崎太陽銀行、それから農協とか、そういう田舎の金融機関、ここら辺はどこで利益を出しているかというと、一番はやはり住宅ローンとか、車恋人とかいって車のローンなんですよ。これはきちっと担保もとれますし、焦げつくリスクも低いので収益の柱になっています。そして農協も、この金融部門での利益が上がらないということであれば、農協の組織を維持すること自体が極めて困難な時代です。農協の役割について、今、いろいろ世の中で言う人もいますけれども、営農指導であるとか、いろいろな面でやはり農協というのは非常に大きな役割を果たしているんです。

 そして、副大臣、もしこの貯金会社がそういう部門に乗り出してきたといたしましょうか。特定郵便局長さん、まあ名前は変わっているんでしょうけれども、局長さんたちは地域では有名人です。物すごく人づき合いが濃いんですよ、正直申しまして。銀行にお金を借りに行くというのはなかなかやはり普通の人は抵抗があります、会ったことない人に頼むわけですから。会ったこともない人に、いろいろ自己紹介から始めなきゃいけない。ところが、郵便局に頼みに行けば、それこそ私の田舎に行けば、もう作業着のまま、肩にかまをしょっていって、今度おれの息子が家を建てるから住宅ローンを組んでくれや、よっしゃ、わかったと。家、素性から全部知っているわけですから、下手すればきのうの晩に何を食べたかまで知っているわけですから、懐ぐあいもよくわかっています。そういう状況の中にあれば、これはすさまじい競争力ですよ、郵貯銀行が持つ競争力というのは。

 そういうことになりますと、多分、もう宮崎銀行で住宅ローンを組む人もいないのではないか。農協でお金を借りる人もいないのではないか。麻生大臣、それぐらい深いつき合いをしているんですよ。会ったことない人から借りるより、十年、二十年、長いつき合いをしている人から借りる方が借りやすいし、借りてあげれば喜んでくれるわけですから。

 そういうことになると、地元の金融機関、信金、信組、それから銀行、農協、漁協に対しては大変な経営上の圧力になると思うんですが、私の認識は、考え方は間違っていますでしょうか。(発言する者あり)

西川副大臣 田舎代表と田舎代表で答えろと、こういうことです。

 それで、私は栃木県ですけれども、農業粗生産額は大体三千億なんです。しかし、農協を通して県信連に上がってくる金が大体一兆三千億ぐらいあったんです。そのうち県内でどのぐらい貸せるかというと、そう借りる人がいない。こういうことで、それらの金がどこに行くかというと、農林中金に行くわけですね。

 農林中金、私、大したものだなと思うのは、六十一兆円のお金を扱って、わずか二千七百人でやって、それで非常に経営内容がいい。経営内容がいいから県信連や農協に相当利差をくれるかというと、そうはなっていないんですね。そういうことで、私は、非常にうまい経営をやってきているな、こう思って農協の問題を見ていました。

 そうすると、農業に従事している人はみんな農協から借りる、先に農協で借りちゃう、こういう話もあるかもしれませんが、私が先ほど申し上げたのは、住宅金融公庫、六十兆円でも、どのぐらい必要性が残るかわかりませんが、農林中金が非常に上手な運用をしておって、六十一兆円をわずか二千七百人でやっておって物すごい利益を上げている。そうすると、私どもの方も、住宅そのもので上げられないかもしれませんが、運用方法によっては三十五兆円の市場というのは十分こなしていって、そこで利潤、利益を上げられるだろう、こういう考え方を持っている、こういうことです。

江藤委員 副大臣、ありがとうございました。

 私がお尋ねしたいのは、地方の銀行から見たときに、強力な競争相手がこの民営化によって誕生してしまうことに結果としてなるのではありませんかという極めて単純な質問でございます。

 人間同士というのは、やはり基本は人づき合いですね。特定局長さんたちというのは地域の名士ですから、先ほど言ったように、地域のことは何でも知っている。どこの娘がどこに嫁に行って、あの人がだれのおいっ子でと全部知っているわけですよ。大臣が言われたように、これは非常に魅力的なネットワークなんですね、二万四千七百。それはそこに人がいるからなんですね。

 貯金も保険も、これは会社はあるけれどもそこに支店も何にもない、だからきちっと安定的な代理店契約を結ばなければならない。大臣の理屈はそこで一応通っているんですよ。通ってはいるんですが、私が申し上げているのは、民営化の基本理念の中で、民業圧迫をしているから、今余りにも郵貯も簡保も巨大になり過ぎた、本来だったら民間金融機関とかに流れてしかるべきだったお金を国の信用をバックにして吸い上げてしまったじゃないか、そして民間は苦労している、そういうたがを外してあげるのが郵政民営化、そしてこの改革の趣旨だという話だったと思うんですが、しかし、結果として強力なコンペティターを国がつくってしまって、国が信金、信組に圧力をかけることは好ましくないのではないかという質問を私はしているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 二点、まず、直接のお答えではありませんが、江藤委員は大変重要な問題を非常に素直に御質問してくださっているわけですけれども、前半では、この銀行は一体成り立つのかという観点からの御質問をされて、そして今は、この銀行が強くなり過ぎて民間を圧迫するのではないかという観点からの。これは、確かに両方の懸念があるわけなんです。だから、そういう両方からの、両極端からの御懸念をいただいていますし、その辺、やはり両方からの検証をしっかりしなきゃいけない、私もそのように思います。

 今まで、郵政が国の信用を背景にいろいろビジネスを拡大してきた。しかし、その一方で、民間の銀行部門もある意味ですみ分けをする中で、結果的に十分な競争が行われてこなかった。民間の方にもやはり今後大いに競争を高めていただかなきゃいけない。そういう効果が、今回の郵政民営化の中にはあるんだろうと思います。

 最初十年間は国の関与がありますから、そこは民業圧迫にならないように、そのために民営化委員会を置いて、こういう業務に進出すべきかどうかということをきっちりと、まさに経営の自由度とイコールフッティング、これをコインの両面として審査しながら、段階的に民間の市場の中に入ってきていただくわけですので、その十年の助走期間の中で、これは郵政にも御努力をいただきたいし、そして民間にも御努力をいただきたい、制度設計の中にそういう思いが込められているということでございます。

 同時に、コンペティターになるという面も確かにあろうと思います。その意味では、大いに競争していただきたい。同時に、しかしまた、民間といろんな提携をする、アライアンスをして相互に高め合うという可能性も、これまた実は非常にあるわけでございます。

 ビジネスがどうなっていくかというのはわかりませんから、極めて一般的な考え方でありますが、郵政というのは預金を集める能力を持っているわけですから、預金を運用する能力のあるようなところと組んで、資産を運用するようなところと組んで、そのビジネスを強化するということはあり得るわけでありますし、そういうことは現実に私は起こってくるのではないかというふうに思っております。

 一点、委員は誤解しておられるわけではないと思いますが、話の中で時々ちょっと混同があるのは、郵便局長さんは銀行の支店長さんの役割を果たすわけではございません。銀行の支店長さんというのは、融資の審査をして、ないしは融資の決定を行う権限を持っているわけでございますが、今回、住宅ローン等々融資を行うのはあくまでも郵便貯金銀行であって、その窓口業務を代理するという仕事を郵便局が担う。郵便局長さんはそういう話をされるわけでございますので、そこは、郵便局長さんは確かに地方の名士でいらっしゃって、情報収集、そしていろんな取り次ぎ等大変重要な役割を果たされるとは思うんですが、いわゆる銀行の支店長さんが果たされるような役割とは違うということも申し上げておきたいと思います。

江藤委員 いや、大臣、それはよくわかっているんですよ。あくまでも委託を受けて窓口業務の一環としてやるだけでありますから。

 しかし、実際にお客様と話をするのは、その地方に点在する二万四千七百のそれぞれの拠点の、局長さんという名前じゃないかもしれませんけれども、そこにおられる方々ですから、私は別に混同しているとは思っていません。

 それから、君は楽観的な意見を言ったり悲観的な意見を言ったりするじゃないかという反論もいただきましたけれども、それが私は政治家の役目だと思っていますよ。うまくいくことも想定しなきゃいけない、うまくいくことについて、そんなうまくいくはずがないじゃないかと一笑に付すというのはこれも好ましくないし、かといって、うまくいくに決まっていると、こちらの意見しか考えないというのも非常に偏った物の考え方。だから、私は両方あり得ると。

 正直、私の知識ではどっちにいくかわからないんですよ。わからないから不安なんです。うまくいきそうな気もするし、それこそ、いろんな本が出ています。週刊誌なんかでも、郵貯は三年でつぶれるとか、そういう本が出たり、週刊現代か何かに出ていました、田原総一朗さんなんかに言わせると、今度は強烈なコンペティターになって民間に対して大変な圧力を加えることになるだろう。

 ですから、世の中におられる有識者と言われる方々が、この法案を読んでどっちにいくのかわからないんです。まさに、一生懸命努力をしても、そのときの世界の金融の状況であるとか経済の状況によって大きく経営の内容が左右されるわけですから、それはうまくいく方もうまくいかない方も両方とも考えるのは、私としては極めて自然な発想なんではないかなというふうに、一応反論だけさせていただきます。

 それでは、引き続きまして、基金についてお尋ねをさせていただきます。

 これは、やはり配慮の一環で基金ということが与党合意の中で設けられましたが、この合意文書によりますと、基金は、地域、社会のニーズへ対応し、万全を期すため、一兆円の積み立てを行う、その後ずっとありまして、総額二兆円に達するまで積み立てを継続するというのがこの与党合意の内容でございます。よく大臣も御存じのとおりであります。

 この一兆円という数字をはじき出した根拠、これもほかの委員の方々が何度も御質問されましたけれども、もう一度御説明を簡略にいただきたいと思います。

西川副大臣 一兆円の根拠でありますけれども、これはまず、必要な額は幾らだ、こういうことでやっていきまして、百二十億円と六十億円でありましたから、合計百八十億円だ。それで、前三年の平均値でいきますと金利はどのぐらいになっていた、ここから逆算していきまして、一兆円あれば百八十億円生まれてくる、だから、百八十億円必要なのは一兆円積めば大丈夫だ、これが根拠でございます。

    〔石破委員長代理退席、委員長着席〕

江藤委員 それでは、その百八十億円のお金でどれだけの局数に対してこの支援を行うことが可能なのか、局数の方をお示しいただきたいと思います。

細見政府参考人 何回か御答弁をさせていただいていると思いますけれども、積算上ということでございまして、実際にはそれぞれ額が出てくるのは違ってくると思いますが、積算上の根拠ということで申しますと、一局当たり六百万ということで、二千局ということで想定をさせていただいております。

江藤委員 これは午前中の小泉委員の質問と完全にかぶって大変失礼かとも思いますけれども、とても大切なことなので、重ねて質問させていただきます。

 この収支相償方式でいきますと、小泉委員から説明がありましたように、現在、黒字の局は大体二五%強ぐらいしかない。赤字局は一万四千局を超えている。全国平均は、大体二五%ぐらいが収支相償方式でも黒字だ。ところが、これを私の宮崎県に置きかえてみますと、百九十六局中、黒字が九局しかない。普通局が十一局ございますが、普通局でも黒字を出しているのが二局しかない。全体の五%しかない。だから、やはり私のような田舎のところに赤字の局が極めて集中して存在するということが、この数字を見ても極めて明らかになると思います。

 そういうことであると、二千局ということでは、私が地元に帰って、二千局を対象に六百万を上限に支援を国がやってくれますから大丈夫ですよと言っても、それは足りないんじゃないのとごく普通に皆さん方は多分御回答されると思うんですね。だって、この数字を見れば、もちろんネットワークで効果を発揮しているという御答弁をされるのかもしれませんけれども。

 そうはいっても、やはり将来的に完全に保険と貯金が民間会社になったときには、国のガバナンスが完全にとれたときには、完全にイコールフッティングになって、今度は株主に対して、きちっとした配当責任であるとか、そういうものを果たすことにそのときの経営者は軸足を置くのは当然のことだと思うわけですね。そう思ったときには、やはりこの二千という数字の根拠自体が、大体これは甘過ぎるというふうに思いますが、いかがですか。

細見政府参考人 お答えいたします。

 まず第一点、私どもも算定に当たっては収支相償方式を使わせていただきましたが、公社の算定にはもう一つ、全体損益方式というのがございまして、全体損益方式というのは、現在公社が上げている利益を各郵便局に配分するという計算方法でございます。収支相償方式というのは、利益が一切上がっていないという前提で、つまりどこかが黒字になれば必ずどこかが赤字になる、こういう計算の方法をとっているやり方でございます。

 全体損益方式ということで、現在の、これはちょっと十六年度がございませんで十五年度のベースの計算で見させていただきますと、全体として黒字局は一万七千局、これは簡易郵便局を外しておりますので、合計二万局のうち一万七千三百七十七局が黒字局ということになっているということでございまして、収支相償方式による赤字というのは、データとしては、一つ大変厳しい状況になった状況での数字だということでございます。

 私どもは、そういう状況の中において、過疎地の最前線にあります無集配特定局、こういうところを中心に、金融業務が継続できないというような状況が生じた場合を想定して、約三千四百程度ある過疎地域の集配と無集配の特定局、それから、無集配でいえば千六百程度の無集配特定局の中から数字を計算してやりましたということでございます。

江藤委員 時間が迫ってまいりましたので早口で申しますけれども、千歩譲って全体損益方式でやるとしても、二千八百七十局が赤字だというふうにきちっと出ているわけでしょう。八百七十局分足りないじゃないですか、これでも。

 そして、全体の経営はやはり今後ますます厳しくなっていく、少子高齢化も進むということで民営化に踏み切ったという大臣の御答弁もいただきました。ということであれば、常識的に考えて、一生懸命頑張りますけれども、やはり赤字局の数が劇的に改善するというのはなかなか難しいと思うんですよ。将来的には、残念ながら、残念ながらですよ、ふえてしまうことを想定するのが私は自然だと思うわけですね。それにもかかわらず、二千局という数字をもとに一兆円をはじき出したというのは、非常におかしいと私は思うわけであります。

 それで、今度は将来の暗いシナリオですけれども、そういうことを想像すると、私なりの意見を言わせていただきますけれども、私としては、この基金の金額、二兆円までは積み立てを継続するというふうになっていますけれども、例えば、状況を見て、必要に応じて、上限を設けずに積み増すことができる、こういう文言に変えれば、かなり、地元の方々、いわゆる田舎の方々の不安というものは取り除くことが可能なのではないか、私はそういうふうに思いますが、これはむちゃな話ですか。

西川副大臣 政府・与党の合意で、一兆円まず決めたわけですね。そして、二兆円まで積み増しできる、こういうことにしたのでありまして、与党の意見を十分反映した、こういうことに受けとめてください。

 それから、先ほど私、答弁したときに、国債の前三年の平均が一・八と申し上げましたが、十年でございまして、訂正をさせていただきます。

江藤委員 もうあと一、二分になりましたので、本当はまだ、国債管理政策であるとか株の完全売却の問題であるとか将来の合併の問題であるとか民営化のコストであるとか、その他もろもろ、認証司の問題も含めまして、お聞きしたかったことは多いわけでありますけれども、もう時間が参りましたので、一応まとめに入らせていただきたいと思います。

 とにかく、今回の法改正によりまして、民営化によりまして、郵便貯金法、それから簡易生命保険法はなくなるわけであります。これはやはり、この百三十年の過去の歴史を振り返って、郵便事業、このネットワークというものは、非常に国民生活に愛され、そしてすばらしい役割を果たしてきた。そして、それを行う上で国が定めた法律というものは、国民の経済生活の安定を図って、そしてその福祉を増進することということを目的にこの事業をやってきました。

 しかし、大臣も先ほどから何回も御答弁されていますように、商法上の一般法人になるということであれば、今度は銀行法、これは何て書いてあるのか、「銀行の業務の運営についての自主的な努力を尊重するよう配慮しなければならない。」結局は、損をしちゃいけない、きちんと利益を出しなさいと。もう完全に当たり前の話ですけれども。今度は、保険業法はどうなっているかというと、「保険業を行う者の業務の健全かつ適切な運営及び保険募集の公正を確保すること」というふうに書いてあります。

 この二つの法律をそれぞれ比較すると、国がこれまで果たしてきた国民に対する福祉の精神であるとか安定を望む心とか、そういうものはやはりここで一つの区切りを切って、いわゆる市場原理にこれは任せて、市場に任せて、市場の中で自己責任のもとに自分の将来のことは考えてください、国の関与はだんだんだんだんなくしていきますよということを言っているというふうに私は思うんです。

 ですから、これからまだまだ長い審議が続いていくわけでありますけれども、もしもう一度質問に立たせていただけるということであれば、この審議を通じて、やはり我々は与党ですから、最終的には、自由民主党の国会議員が一丸となって賛成できる法案になるということが一番いいと思っています。そのために、総理が言うように、修正は絶対しないということではなくて、柔軟な姿勢で今後の審議を進めていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

二階委員長 次に、桜井郁三君。

桜井委員 自民党の桜井郁三でございます。

 もう、きょうも六時間、きのうも六時間という、詰めっきりでこれほど議論をして、大変お疲れのところと思いますが、あと少しの御辛抱です。よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 多くの方がお話を申し上げているように、私自身も、本来なら、この特別委員会の中で、民主党、社民党の方もいらっしゃって質問ができれば非常にありがたいというふうに思っていたわけでありますが、残念ながら、まだこの中に来ておりません。

 その中で、何人かの方も指摘していたと思いますが、民主党の岡田代表が都内での街頭演説で、小泉さんの茶坊主みたいな委員を集めて形式的な議論をすればよしとするやり方には異を唱えるということで、街頭でこういうようなことを言うことに対して私は非常に憤りを感じますし、こういうような方が次の内閣ができるのかなというようなことを私自身非常に感じた一人であります。

 それでは、きょう、いろいろな方からいろいろな御質問があります。そして、私自身がよく皆さんに、おまえは反対なのか賛成なのか、どちらでやっているんだというようなお話をいただいておるわけですけれども、それでは私は真ん中でお話をしたらいいのかなというようなことも考えておったわけであります。今いろいろな議論の中で、非常に問題もいっぱいある。ですから、この郵政民営化そのものに対しては、私自身は非常に疑問も感じる一人でありますし、今までの中では反対をしてきた一人でもございます。しかし、いろいろな議論の中で、改革というのがいかに大事なのかということをつくづく私自身がこの部屋の中で感じた一人でございます。

 その中で、やはりいろいろな問題があったとしても、これから質問を幾つかしていきますが、先ほどの江藤さんのお話でも、私自身は神奈川県の藤沢でございますから、やはり都会的なところと地方というのは絶対的な違いがあるんだと思います。そういうようなものを、これからどう具体的にその疑問を埋めていくのかというようなことも非常に大事でございますし、それから、三百四十兆円という大変大きな金が市場に行くわけでありますから、こういう問題もしっかり考えていかなければならないだろうというふうに思っているわけであります。

 それから、この四分社化がいいのかどうか、もう少しまとめた方がいいのではないかというような疑問も感じておりますが、私は、小泉内閣の改革ということに関して、今一番やらなければならないんだろうというふうに考えて、賛成をする。これは地方新聞のインタビューの中で、私自身は今回の改革は賛成しますよ、しかし、いろいろな問題があるから、これから議論を通して、あるいは、これから成立に向かってしっかりした方向で出していかなければならないのではないだろうかな、そういうようなことを考えてやらせていただいております。

 いろいろな議論の中で、一般の世論調査、そういうようなことを考えても、郵政民営化の考え方だとか、あるいは興味を持っているとかいうものは非常に低いことがあるわけです。啓蒙していかなければならないというような世論もあるわけでございますが、そういう中で、この郵政民営化そのものをもう少し国民に理解していただくような解説なり、そういうようなことをやっていかなければならないのではないだろうか、こういうことを思っております。

 国民に対して今いろいろなことをやっております。専門的なこともやっております。私は、専門的なことじゃなくて、ごく一般の国民が、これだったら民営化でいいよと考えられるようなことをぜひまずここで御説明いただきまして、質問にさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

竹中国務大臣 桜井委員御指摘のように、我々の説明責任は大変重大だと思います。これだけ大きな、本当に明治以来の大改革をするわけですから、国民の理解と、そして御支持がないと、これはもう絶対にできないことであると思います。

 これまでも、そうした観点から、私自身も郵政民営化のテレビキャラバンというのをやらせていただきました。これは、全国二十一の地方放送局に直接赴きまして、そこで地元の、場合によっては県知事さん、地元の有識者の皆さん、主婦の代表、郵便局長さん、そういう方々と大体一時間ぐらいの討論番組を二十一カ所で我々させていただいて、地元の実情に合わせて、この郵政民営化の必要性等々の議論をさせていただいてきたところでございます。

 また、その他パンフレット、インターネット等々、そうしたことを通じた努力、今もしておりますが、これをさらにやはりしっかりとやっていかなきゃいけないと思っております。

 よく説明責任との関連で御指摘がありますのは、国民の関心が郵政民営化は決して高くないのではないかという御指摘でございます。

 ただ、実は、郵政民営化に関心がありますかどうですかという、非常にストレートに聞いたアンケート調査が幾つかございます。

 関心がありますかというアンケート調査、例えば、ことし三月の内閣府の特別世論調査でございますが、関心があるかないかと聞くと、実は六八%の方が関心があると答えております。同じころ、三月十五日に公表されました朝日新聞の調査においても、関心があるかないか、これは七一%が関心があるというような答えでありますので、私は、やはり関心は潜在的には非常にあるのだろうと思っております。あえて賛成ですか反対ですかというふうに聞きますと、水準は違うんですけれども、多くのアンケート調査において反対よりも賛成の方が実はかなり多くなっているというのが現状でございます。

 関心がそれでも低いとよく言われる理由は、幾つか政策項目を挙げまして、優先順位をつけてくださいというようなアンケート調査になりますと、どうしてもやはり景気とか、あと年金とかそういうところの、特に緊急性のあるところに多くの答えが集まる。そういう点をもって関心が低いというような評価を受けるわけですけれども、私は、国民の皆さんの関心そのものは既に非常に高い、そうした点にぜひ働きかけながら、しっかりと説明責任を果たしていきたいというふうに思っております。

 しかし、そのためには、やはりこの国会での議論、審議を通じて、この内容、問題点等々を御理解いただくというのが何より重要なことだというふうに思っておりますので、真摯に我々は対応していきたいと思っております。

桜井委員 私も、関心そのものは非常にあるというふうには思っております。ただ、優先順位とかいろいろなことをしますと、今お話があるように、例えば一般の国民というのは、自分が郵便局を普通に使えればいいんだ、あるいは、三百四十兆円というものがその先にあるというのは余り関心を示さない。一般の方は、自分が利便性があればということであろうかと思うんです。

 しかし、今言うように大変大きな金額でもありますし、例えば、地方は郵便局がなくなってしまったら非常に不便なところがあるわけでございます。特に地方の不便なところというのは、スーパーマーケットもあるわけじゃないし、コンビニがあるわけじゃないし、そういうようなところがすべていろいろなもので郵便局を使っているわけでありますから、そういうところの人たちに向かってもきちっとしたことをやる。

 それともう一つは、私は、ちょっと今まだ早いのかなと思っている一つは、何もないところで郵便局だけでやっている、そういうようなところにもっとやはり、例えばこれが民営化したときにその郵便局がしっかり自立できるようなシステムを、多分これから十年間ぐらいの期間の中でやっていくんだろうというふうに思うんですが、例えば介護保険ができたり、あるいは、この中にありますように役所の窓口になったりというようなことをまずきちっとやっていく、そういうところからスタートしていかないとなかなかできないのではないだろうかなと思っておりますが、その辺はどうでしょうか。

竹中国務大臣 私の理解が正しいかどうか、桜井委員の御指摘は、郵便局の窓口というのが国民にとって極めて身近で大変重要であるから、その中で一体どういう利便性が今後広がっていくのか、いろいろな可能性を少しずつ一歩ずつ着実に国民の皆さんに見てもらえるような、そういう努力、仕組みが必要なのではないか、そのような御指摘かと思います。

 郵政民営化に対しては、いろいろなレベルからの御関心がございます。一体国のお金がどう流れるんだ、公務員の数はどうなのか、小さな政府なのかという観点で関心のある方もおられますが、何といっても国民の最大の関心は、自分の身近なところにある郵便局がどのように維持されて、さらに便利になるのか、これはもう間違いないところだと思っております。

 我々は、そのために、今度の民営化法案の中では、郵便局株式会社という窓口ネットワーク会社を独立して、自由度をできるだけ持ってもらって、そこに地域に密着した新しいサービスをやっていただきたいというふうに願っているわけでございます。こういう試み、いろいろな地域の皆さんにさらに愛される郵便局になる可能性を秘めていると思いますので、この郵政民営化の制度化を通して、先生御指摘のようなことが実感として国民の方々に見ていただけるように努力をしていきたいと思っております。

桜井委員 今の郵便局の窓口のことでございますけれども、やはり私の地元の郵便局の人のお話を聞いてみますと、なぜ四分社化したのか、これは多分ずっと今までの議論の中でもあるんだろうというふうに思いますが、窓口業務だけですと自分たちの主体的事業が全くない、あるいは、十年ぐらいは保証されたとして、その先まで果たして契約ができるのか、こういうようなお話があるわけでございます。そういう中では、できれば窓口事業は、郵貯それから保険、こういうのと一緒にしていただいたらありがたい、あるいは、もう少し分けるんなら貯金と窓口を一緒にしていただきたい、こういうような話があったわけであります。

 これを逆に見てみると、私はこういうお話を大分前からいただいておるわけでありますけれども、一つの、「骨格経営試算の結果」という配付資料の中で、貯金、保険で、二〇一六年にしても約八〇%ぐらいがここで利益をとって、実際問題としては郵便の収入そのものというのはそれほど多くない、こういうような試算が出ているわけであります。

 ですから、やはりある程度利益が出るようなところと窓口というのは一緒にしていただければ将来の不安がないのかな、こんなことを言っていたのかなという、改めてこの資料を見るとそう感じておりますが、もうちょっときちっとした、窓口業務を自立できるような方法というようなことがあるのかどうか、その辺をお伺いしたいというふうに思います。

竹中国務大臣 この窓口ネットワーク会社という考え方を初めて出して、経済財政諮問会議等々で議論をしましたときに、何かこの会社というのはコアがなくて大変不安定ではないかというようなお話が確かにございました。

 今委員は、主体的事業が必要なのではないかということでございますが、我々の考え方をあえて申し上げれば、まさにこういう考え方というのは、製販分離といいますか、製造と販売をどう分離してしっかりやっていけるのかという問題なのだと思います。

 ちょっと、こういう例を出すとまた一部で逆の御批判があるかもしれませんが、例えばかつてトヨタ自工とトヨタ自販というのが別であって、トヨタ自販というのは別に何もつくっていなかった。しかし、しっかりとしたネットワークと販売のシステムを持って、それでまさに窓口会社として成り立っていたわけでございます。

 私は、窓口会社というのは一軒一軒が小売を行う仕事ではなくて、まさに今でいうと二万四千七百ですか、これがネットワークして窓口業務を行うというところにその強さがあるわけでございます。コアのビジネスというのは、実は郵便窓口業務という形で、実は一般のコンビニなんかに比べたらはるかにしっかりとしたコアビジネスを持っているわけでございます。

 それが今、特定局の窓口でいうと二割とか三割のウエートかもしれませんが、やはり特定の二割、三割というのは非常に重要なコアでございますから、それ以外に加えて、今は金融に非常に大きく依存をしている。今後も金融の商品の販売が非常に重要だとは思いますが、それ以外のことについても、ネットワーク、窓口を利用した対顧客業務としてはいろいろなものがあるのではないだろうかというふうに考えられます。

 主な機能は、今申し上げた郵便商品の販売、金融商品の販売等々でございますが、さらには非金融商品の販売、さらには地域住民の対顧客サービス等もいろいろ私は考えられるというふうに思いますし、そうした観点からいろいろな可能性をぜひ追求していただきたい。その意味では、大変発展の可能性を持っている一つの業種であると思っております。

桜井委員 今の大臣の答弁でいきますと、郵便局株式会社法案、この四条、「業務の範囲等」ということの中で、郵便窓口業務、印紙の売りさばきというようなことがずっと載っておりまして、それから、営むことができるもの、要するに、やらなきゃいけないものと、やってもやらなくてもいいですよというような中に、地方公共団体の特定の事務の問題だとか、あるいは郵便局を活用した地域住民の利便の増進に資するもの、今大臣はそういうようなお話だと思うんですけれども、この中に、例えば郵便局長さんなんかのお話があったように、郵貯とか簡保を、具体的にこういうこともできる、やらなきゃいけないというんじゃなくて、そういうものを具体的に入れていく、そういうようなことは考えていなかったんでしょうか。

竹中国務大臣 今の委員の御指摘は、法律の郵便局株式会社法案の第四条を御指摘だと思います。「次に掲げる業務を営むものとする。」というふうにしまして、郵便事業会社の委託を受けて行う窓口業務、印紙の売りさばき等々がございます。第二項にまた別の規定がございまして、その中に、「郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務」ということで、これはまさに地域住民の利便に資するということを幅広く行っていただきたいという趣旨なんでございます。

 これは、今申し上げましたように、今は金融商品の販売が中心でありまして、当面はその役割が重要であろうというふうに我々も考えるわけでございますが、これをできるだけ限定することなく、郵便局を活用して幅広く住民の利便の増進に資する業務を行っていただきたいという趣旨でこのような書きぶりにしております。

桜井委員 次に、先ほども議論になっておりました都市部、私たちの藤沢なんかにおきますと、ある程度民営化しても生きられる部分があるんだろうと思いますが、地方においては極めて重要な位置づけになっているということでございますが、この地方郵便局を引き続き維持していくためにはどのようにしていったらいいのか。

 これは一つの例として、今まで国鉄とかNTT、JT、こういうようなものを民営化してまいりました。私は、ある程度民営化したことはプラスであったというふうに思っておりますが、国鉄一つをとっても、東日本、西日本、東海、ここは大変な黒字でございますが、島の北海道、九州そして四国、貨物、これはいずれにしてもかなりの赤字であります。

 そういうようなことで、地域によってのばらつきが出てきたり、あるいはNTTとかJT、今大変いいと言われておりますが、大きなリストラをしてみたり、そういうような部分というのが今まで民営化の中にあったわけであります。これを考えて、だめですということではなく、こういうような部分を政府としては分析したのか、評価しているのか、この辺と今回の民営化を比べてみてどう御説明いたすのか、お伺いをしたいというふうに思っております。

竹中国務大臣 委員は藤沢という典型的な都市の郊外でございますが、御承知のように、私も藤沢市民であった時期がございまして、藤沢の郵便局等々は本当にいつも物すごく込んでいて、かなり並ばなければいけない。郷里の和歌山に帰りますとやはりそういう姿とはかなり違っている。そういう中で、特に地方の郵便局のネットワークをどのように維持するかというのは大変重要なポイントだと思いますし、また、この点については与党との間でも真摯に協議をさせていただいたところでございます。

 今、JRとかNTTの関係で、民営化された後の地域の状況というのもよく引き合いに出されるわけでございますが、我々としては、そうした御意見も踏まえて、ぜひしっかりとした設置基準をつくろうということを当初から考えたわけでございます。設置基準をつくることによって、それを地域の中心に、地域だけではありませんけれども、全国の拠点を確保しようと。

 その中で、与党との協議の中で、御承知のように、あまねく全国において利用されることを旨として設置するということを法律上義務づけるという一つの結論を得たわけでございます。

 さらに、設置基準は省令で定めるわけでありますけれども、その際は、現在の設置基準を十分に参考にする、そして、過疎地については、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持するよう配慮するというような合意に至っているところでございます。

 もう一つ、今回の法律の中で、こうした点を担保するためにも、設置基準に基づく郵便局の設置状況を、これもまた与党との合意を踏まえまして、郵政民営化委員会がございますけれども、郵政民営化委員会による三年ごとの総合的な検証の対象とするということとしておりまして、検証の結果、必要があれば、委員会は政府に意見を述べて、総務大臣において適切な措置を講じる。もって、郵便局の設置がしっかりと担保されるようにしているところでございます。

桜井委員 三百四十兆円の官から民に移行する大変大きな資金でございます。この資金を、民営化し経営の自由度を高めたとしても、それほど巨大な資金を官から民にとの理念どおり運営することが可能なのかどうか。移行期日に郵便貯金銀行が民に移ることによって、資金を融資するノウハウ、こういうものが、この前の麻生大臣にもありましたように、官にはなかなかそういうようなものがないというようなことでございますが、例えば移行期間の十年にしても、その先は全く自由でありますが、この十年にしてもそういうことが可能なのかどうか、お伺いをしたいと思います。

竹中国務大臣 官から民へといいますときに、特にお金の流れを官から民に変えるというのはこれはやはり日本の経済の活性化のためにも大変重要なことでありまして、そのために官のお金の出口の改革、入り口の改革、そしてその中間段階の改革というのをあわせて総合的に行わなければならないというのが我々の問題意識でございます。

 それがどのような形で推移していくかというのは、これは資金の流れを予測するのはなかなかどこの国でも難しくて、ほとんどそういったものの定量的な分析というのは存在しておりませんが、一部、今、日本でそういう定量的な分析をしている試みもあるように聞いておりますので、そうしたものについて、そういう成果が出た場合にはまたぜひ御報告もさせていただきたいと思います。

 いずれにしましても、出口の改革につきましては既に特殊法人等整理合理化計画が動いております。百六十三法人のうち百三十五法人について、約八割について廃止、民営化、独法化等の見直しを行う等、成果が上がっております。

 また、財投の再編を行いまして、健全性について民間準拠の財務諸表も参考にしながら総点検を行っておりまして、特殊法人向けの投融資額、ピークは平成七年だったんですけれども、ピーク時の三分の一程度に既に圧縮をしてきたところでございます。

 さらに、政府系金融機関につきましては、民間金融機能が正常化したことを受けまして、今後、将来的には対GDP比で半減させるということを目指した改革について諮問会議での議論も始めつつあるところでございます。

 これに今回の入り口の改革が加わるということになりますので、入り口から中間、そして出口を通じて、しっかりとした資金の流れの変化を実現していきたいと思っております。

桜井委員 今の資金運用そのものは、郵政民営化法案の百九条の「業務の制限」というようなところに、四番目に、内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の許可の申し込みがあった場合においては、次に掲げる事情を考慮し、郵便貯金銀行と他の金融機関との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めたときというようなことが書いてあるわけでありますけれども、こういうようなことになると、ほかの金融機関とのいろいろ摩擦とかそういうものがあると、新商品ができなくなるのではないだろうかと思うんですが、その辺をどうお考えでございましょうか。

竹中国務大臣 民営化法案の百九条についてのお尋ねでございます。

 郵便貯金銀行というのは、最終的には民有民営で経営の自由度を持っていただくわけでありますけれども、出発の時点では、これは二〇〇七年の四月一日では、国が一〇〇%出資しているという形になりますので、国家の関与がある。そういう中で、現実に新しい業務を行うときは、その内容を定めて内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けるというふうにしているところでございます。

 今の委員のお尋ねは、そういう形にすると、新商品の開発等新たな経営努力の芽がそがれる可能性はないのかという御指摘であったというふうに思いますが、これは、まさに経営の自由度を持って経営体をよくしていただきたいということと、一方で、国家の関与が残る中で、民間とのイコールフッティングをどのように確保していくのかという判断になろうかと思います。

 そうした観点から民営化委員会も意見を必要に応じて述べることになっておりますので、一方に偏らないように、つまり、経営の自由度が損なわれないように、民間とのイコールフッティングが損なわれないように、やはりそこは、ケース・バイ・ケースでありますけれども、実情に応じてしっかりと見て判断をしていくということになると思います。

桜井委員 官から民への資金の流れを変えるというようなことになりますと、郵便貯金銀行や保険会社、新たな貸し付けのリスクというのが出てくるのではないかと思いますが、そういう危険性についてはどうお考えでしょうか。

西川副大臣 今回の法案におきましては、民営化当初、郵便貯金銀行、郵便保険会社の資金規模の大部分を占める公社勘定につきましては、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構から、特別預金、再保険として受け入れます。そして、郵便貯金銀行、郵便保険会社みずからの資産と一括して運用することとしております。公社勘定に係る資金の運用に当たりましては、安全性を重視し、これまで公社が行ってきたのと同様に、引き続き国債等の安全資産で運用されることになる、こう考えております。

 一方、公社勘定以外の資金、つまり新勘定の運用につきましてでありますけれども、貸し付け等新たな資産運用が認められることになるわけでありますけれども、郵便貯金銀行、郵便保険会社の業務範囲については、移行期当初は公社と同じ業務範囲からスタートします。株式売却等、民有民営化の進展に対応して段階的に業務を拡大していくこととしております。

 郵便貯金銀行、郵便保険会社におきましては、移行期間中に順次、貸し付け等を含む新規業務の遂行について体制整備を図っていくことが可能である、こう考えております。業務遂行能力の点につきましては、金融監督当局がきちんとチェックできるよう制度設計をしております。

 さらに、民営化後の郵便貯金銀行、郵便保険会社につきましては、移行期当初から、銀行法上の銀行、保険業法の保険会社として、銀行法あるいは保険業法等の一般金融法令をひとしく適用することとしておりまして、健全、適正に業務運営を行っていくよう、金融監督当局がしっかり検査、監督していくことになります。

 このような状況の中で、今回の法案でありますけれども、民営化後の新会社の資産運用等の業務遂行能力についても勘案をしております。きちんとした制度設計を行っており、能力に応じた適切な業務運営が行われていくものと考えております。

桜井委員 今のお話でいきますと、移行期間と移行後というような形で御答弁があったと思いますが、この移行期間と移行後、この前から何回かの質疑があるわけでありますけれども、やはり民間になったときの人材育成というのが大変大きな問題になってくるんだろう。その中では、役人ではなかなか商売はできないというようなお話もあったわけでありますけれども、この辺の人材育成についてはどうお考えでしょうか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 今お話がございましたように、まず移行期でございますけれども、当初は、公社勘定に係る資金の運用に当たりましては安全を重視ということでございまして、既に公社で、長期資金の運用については皆様方相当な成果を上げていらっしゃるわけでございますから、民営化当初は、公社時代から養ってきた人材、ノウハウがまず有効に活用されるべきであろうと存じます。

 また、先ほどお話がございましたように、公社勘定以外の新勘定でございますが、ここの業務につきましては、貸し付け等新たな資産運用が認められるわけでございますが、移行期当初は公社時代と同じ業務範囲からスタートいたしまして、段階的に拡大していくこととなっております。したがいまして、移行期間中の段階的な業務拡大の中で、郵便貯金銀行、郵便保険会社が人材や体制の充実を図って、貸し付け等の新規業務の遂行能力につき順次対応していくことが可能であると考えておるところでございます。

 もちろん、移行期後というところでございますが、ここにつきましては、人材確保や育成やノウハウ等の蓄積については、一般的には職員に対する研修や専門性を有する人材の採用等が考えられるわけでございますが、ここを具体的にどう進めるかということにつきましては、すぐれて経営判断ということでございまして、私どもとしてお答えすることは困難であろうかと思います。ただ、政府といたしましては、今申し上げましたように、今回の法案におきまして、郵便貯金銀行、郵便保険会社が移行期間中に順次、人材の育成、確保、ノウハウ等の蓄積を行い、しっかりした体制を確保できるような制度設計を行っているところでございます。

桜井委員 私は前から、日本郵政公社、こういうようなところの資金運用そのものは、今、地方分権というふうに騒がれておりますが、地方債みたいな形で、それを買っていくとか、そういうような形で地方の自立のためにこの資金を使っていったらいいのかなということを非常に感じておったわけであります。また、公社だけではなく、これからその地方債を引き受けたりする義務というのがあるんだろうというふうに思います。

 地方自治体向けの貸し付けや地方債引き受けの現状というのは今どうなっているのか、ぜひお知らせいただきたいというふうに思います。

斎尾参考人 郵貯・簡保資金によります地方公共団体への運用につきましては、現在、法令に基づき実施いたします直接貸し付けと市場を通じた地方債の購入、この二つの方法によりまして実施をしておりますが、その運用額は、十六年度末残高で、郵貯・簡保資金三百三十四兆円のうち約三十八兆円となっております。内訳は、直接貸し付けが約二十二兆円、それから市場運用が約十六兆円となっております。

桜井委員 今後の民営化に当たっては、このような地方自治体への貸し付け、地方債の引き受け、こういうようなものをもっと積極的にする義務がなくなってしまうのかもしれませんが、こちらの方にもっともっと力を注いでいっていただきたいというふうに思っているわけであります。地方自治体向けの融資や地方債の購入など、これ以上に地方への資金の流れというようなものをやっていただきたいというふうに考えておりますが、その辺のお考え方をぜひお聞かせいただきたいというふうに思います。

篠田政府参考人 御説明させていただきます。

 ただいま先生からお尋ねがございました、郵貯資金、簡保資金による地方公共団体に対する貸し付けでございますが、現状は、ただいま公社の方から御説明がございましたように、財投の枠組みの中で、総務大臣が定めた金額、期間、金利等の条件のもとで地方公共団体に貸し付けを行っている、そういう政策融資制度の一環として行っているものでございます。

 それで、民営化後どうなるかという点でございますが、現状のものは政策融資制度の一環として行っているものでございますので、これを民営化後の会社にも義務づけるということは民営化の考え方にはそぐわないと考えられますので、今回の法案におきましては、現行の郵貯資金、簡保資金による地方公共団体に対する貸し付けは、平成十八年度分をもって終了することにしております。

 なお、ただいま先生からお話がございましたように、郵便局の資金が地方公共団体のお役に立っているという現実はもちろんあるわけでございます。今後でございますが、民営化後の郵便貯金銀行や郵便保険会社につきましては、移行期当初から、民間企業として商業ベースで地方公共団体に貸し付けを行うことが可能になるように措置してございます。

桜井委員 今、地方公共団体そのものが、財力のあるところというのは地方債を発行する。たしか横浜などは、地方債を発行して、一日ぐらいで売ってしまったというような形があるわけでございますが、そういう中でも、地方債というのは規制があるのかどうか。この辺が、片方には規制があって、片方は自由化になりながら市場のマーケットにすべて任せるというようなことになりますと地方の力というのが弱まってしまう、こういうこともあるんだろうと思いますが、その辺の、規制とこれからの市場、マーケットの関係というのをお答えいただければと思います。

麻生国務大臣 ちょっと失念しているところもあろうかと思いますが、基本的に、今度郵政が民営化されますと、平成十九年度からということになろうと存じますが、これは廃止をされるということになるんですが、地方債の計画全体の中で占めます郵便貯金の比率というのは、多分今一兆五千億ぐらいだと存じます。そして、地方債計画全体で十五兆五千億ぐらいが平成十七年度分だと存じますので、比率にしますと九・九%ぐらいしかないということになります。まず絶対量としては、今の段階でかつてほど、昔は倍の二兆六千億ぐらいあったと思いますが、今はそれほどのものではないという大前提をちょっと頭に入れておいていただいて、その上で、このたび郵政民営化法第百八十条におきまして、「国は、郵政民営化に伴い借入れ又は地方債の発行による地方公共団体の資金の調達に支障を生ずることのないよう適切な配慮をする」ということに決められております。

 御指摘のように、資金調達能力の低い、弱いところにおきましても、例えば義務教育施設とか廃棄物の処理施設等々のものに関しましては、これは住民生活とは切っても切り離せない部分がありますので、こういったものの整備を円滑に進めるということは、これは格差のあるところにおいても必要最低条件と思われますので、この種のことに関しましては、政府の資金及び公営企業金融公庫等々いろいろございますので、いわゆる必要額、所要額というものは、そういったところであろうともきちんと対応できるようにしていかねばならぬと思っておりますし、事実、百八十条でもそのようなことが補完してあると御理解をいただければと存じます。

桜井委員 今の話は、百八十条の「地方公共団体への配慮」ということで、「適切な配慮をする」というような形になっているわけですけれども、地方というのは、先ほどお話ししましたように、強いところと弱いところというのが大分あるわけでありますし、私は、国を考えたときに、国だけではなくて地方がある程度自主財源をしっかり持っているということが、この日本というのが大変きちっとしてくるのだろうというふうに思います。

 何か今は補助金とか交付金だけでやっている、そういう時代から、三位一体、本来であれば、それから自立していく、自主財源を持ってくるというような形が非常にいいわけでありますから、三百四十兆円というこれほど大きな金があるわけでありますから、どちらかというと地方にもっと配慮していって、できるだけ自立できる、そういうようなものを交付金とか補助金とは別にやっていく、それが将来の日本にとっては非常に重要ではないだろうか。せっかく民営化するわけでありますから、今までと違った観点からきちっと見ていく、それが将来の日本にとって非常に重要ではないだろうかと思うんですが、その辺のお考えをもう一度お聞かせいただければというふうに思います。

麻生国務大臣 今の御指摘でありますけれども、御存じのように、三千百八十一ありました市町村が、来年の三月三十一日をもって一千八百二十二市町村まで減ることになります。約千三百余が減ることになるんですが、結果として一団体当たりの財政力指数等々は、合併に成功したところ、まあ、どうしても合併が除外されたところもありますが、合併されたところにおきましては、減った分だけパイが大きくなりますので、その意味では自立しやすい状況になった。これは、町村合併が三位一体の中で占めております非常に大きな部分だと思っております。加えて、その三位一体によって地方への補助金等々の部分が減って、その分が地方税として置きかわっております。

 それで、さらにまたかなりな部分地方の自立を促していくことになるんですが、それでも差が起きますことは、どうしても合併ができない、先ほど、よく出ます離島とかまた山村等々において、合併したくてもなかなかもらい手がないとか、だれも合併してくれない、意欲はあってもだれもしてくれないとか、財政力指数が悪過ぎるとか、いろいろな条件でできないところがありますので、これはもう格差がある程度つくのはやむを得ませんので、そこのところは地方交付税等々で埋めていかねばならぬと思っております。

 同時に、地方に関しては、ある程度自分で自分の町を経営するんだという感性、感覚というものを持っていただくということが極めて大事であろうと存じます。

 今、私どもとしては、五万人なら五万人の市であれば、藤沢市なら藤沢市でクリックすると、ほぼ同じような市が全部ホームページで、財政力指数からラスパイレス指数から、全部きちんとしたもので、自分の市の状況を比較できるように、かつ、わかりやすいように、役人につくらせるとわかりにくくて、なかなか理解に苦しみますので、そういったのをわかりやすいように、今指導してそういったホームページをつくらせております。

 それによって、自分としてはこれだけというのがきちんとやれるようにして、かつ、自分の意思で、総務省に許認可というようなものを妙にたんびたんび求めるのではなく、自分の判断でできるような方法ということで、今いろいろ策を練っておりますので、桜井先生の御指摘の方向で、基本的には地方のいわゆる自立というものを促す方向で事を進めてまいりたいと考えております。

桜井委員 これは質問ではないと思いますが、今の麻生大臣の中で、合併が千八百二十二になりました、三千幾つかあったのが非常に少なくなる。この中に、人口だとか、そして面積だとかというのが入っておるんですけれども、私は、本来でいけば、自主財源みたいな形の、ある程度、自主財源が四〇%とか五〇%ぐらいあるという、財源を条件の中に入れてくるなり、そういうような形でやっていかないと、人口が多くても面積が大きくても、さっきお話がありましたように、民間と同じように自分が経営していくんだということであれば、ある程度自分が財源を持っていないとできないということでありますから、その辺のことを、直接この郵政民営化とは関係ございませんが、そんな形でこれからの地方自治体をしっかり支えていっていただいたらありがたいのかな、そういうふうに思うわけであります。

 三位一体の改革一つにしても、幾ら税源移譲しても、ほとんどふえない市町村の方が多いんだと思うんです。実際、自主財源の多い市町村というのは、ある程度もらえればふえます。しかし、自主財源の非常に低いところは、幾らもらったとしても、財源移譲しても、その財源そのものがないわけでありますから、その辺のところをもっときちっと考えながら、自立できるというようなことをぜひよろしくお願い申し上げたいというふうに思うわけであります。

 民営化後のことでございますが、郵貯や簡保が国債の売買についても自由になるということでございますが、国債市場に与える影響、これもかなりあろうと思うんですが、この辺はどうお考えでしょうか。

西川副大臣 これは、財務省の見方と私どもの見方が合っていなきゃいけませんが、まず、私どもの話を申し上げます。あとは、聞いてまた御判断をいただければと思います。

 今回の法案でありますけれども、民営化前に契約された旧契約の郵貯、簡保につきましては、新会社において新契約分と一括して運用する、先ほども申し上げたとおりです。これにより、新会社は、民営化前と同様の資産負債管理方法を用いることが可能となり、急激な投資行動の変化が生じにくくなっております。

 また、民営化当初は、旧契約分が新会社の運用資産の大部分を占めることになるわけでありますけれども、旧契約分は引き続き国債等の安全資産に運用することとしておりまして、これにより、急激な資産構成の変化は生じにくいものとなっています。

 さらに、新契約分に係る貸し付け等の新たな業務については、移行期当初は公社と同じ業務範囲からスタートします。段階的に業務範囲を拡大していくこととしており、旧契約分の逓減に伴い新契約分の規模が大きくなっていって、その運用対象は徐々に広がっていくこととなる、こう考えています。

 加えて、移行期間中においては、旧契約を管理する独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が、新会社からその資産運用の見通しについて報告を受け、その内容を公表することとしておりまして、これにより、市場に対する情報提供の不連続が回避される、つまり、公表しますので予測がつく、こういうことであります。

 今般の政府案におきましては、このように移行期間中に、市場へのショックを吸収しつつ段階的に自由度を拡大していくとともに、市場に対する適切な情報提供を行うことにより、国債市場における予測可能性に十分に配慮した制度設計を行っている、これが私どもの考え方でございます。

 よろしくお願いします。

桜井委員 郵政民営化になりますと、一番最初あったのが出口論で、なぜこれだけの日本の赤字があったのか、これをもう少し減らして、あるいはむだをなくしていこうというような形でスタートしたんだろうというふうに思います。

 そうしますと、これは民営化していきますと、国の国債そのものをこれからどんどんどんどんふやすということはなかなかいかないんだろう。今まで、ある程度政府の意向で買っていただくことができたのが、民間になりますと民間の自主的考え方に変わるわけでございますから、そういう中では、これから、国の国債、赤字というのが非常に減ってくる、また、そういう覚悟がなければこれはなかなかいかないんだろうと思いますが、最後にこの覚悟を聞きまして、私の質問を終わらせていただきたいというふうに思います。

田野瀬副大臣 ただいまの先生の御質問に、財務省として、これから国債市場に対してどういう姿勢で臨むのかというようなことについて御答弁申し上げたいと思うのです。

 先生おっしゃるように、現在、多額の国債残高を抱えておりまして、今後とも国債の大量発行が見込まれておる中におきまして郵政民営化が進んでいくわけでございます。そういう状況の中で、我々としては、適切に国債管理政策を運営していくことは、先生おっしゃるように重要な政策課題と認識をしておるところでございます。

 その際、まず重要なことは、財政構造改革の推進によりまして国債に対する信認を確保していくことであります、まず第一に。財政運営の指針として、いつも私ども、大臣、いろいろな委員会で申し上げておるのですが、まずは二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支の黒字化を目指して、歳出歳入両面からバランスのとれた財政構造改革を進めていきたい、これが一つでございます。

 その上で、国債の安定消化を図る観点から、今後とも、市場のニーズ、動向等を十分踏まえた国債の発行、あるいは新商品の導入といった商品性の多様化等を通じて、保有者層の拡大など、国債管理政策の適切な運営に努めてまいらなきゃならない、こんなふうに考えております。

 いずれにいたしましても、それなりの期間をかけてこれから完全民営化するわけでございます。今申し上げたような政策を、国債管理政策をしっかりとやることによって、我々は、十分その対応は可能である、このように考えておるところでございます。

桜井委員 どうもありがとうございました。

二階委員長 次回は、明六月一日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十九分散会


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