衆議院

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第13号 平成18年12月13日(水曜日)

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平成十八年十二月十三日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 森山 眞弓君

   理事 稲葉 大和君 理事 河村 建夫君

   理事 斉藤斗志二君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 町村 信孝君 理事 中井  洽君

   理事 牧  義夫君 理事 西  博義君

      安次富 修君    井脇ノブ子君

      稲田 朋美君    猪口 邦子君

      岩永 峯一君    上野賢一郎君

      臼井日出男君    江渡 聡徳君

      小野 次郎君    大島 理森君

      海部 俊樹君    北村 茂男君

      北村 誠吾君    小坂 憲次君

      佐藤 剛男君    島村 宜伸君

      平  将明君    谷  公一君

      戸井田とおる君    中山 成彬君

      西川 京子君    馳   浩君

      鳩山 邦夫君    保利 耕輔君

      松浪健四郎君    松浪 健太君

      三ツ矢憲生君  やまぎわ大志郎君

      渡部  篤君    逢坂 誠二君

      川内 博史君    北神 圭朗君

      小宮山泰子君    佐々木隆博君

      田中眞紀子君    高井 美穂君

      土肥 隆一君    西村智奈美君

      野田 佳彦君    羽田  孜君

      松本 大輔君    三日月大造君

      横山 北斗君    斉藤 鉄夫君

      坂口  力君    石井 郁子君

      保坂 展人君    糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           藤村  修君

   議員           高井 美穂君

   議員           笠  浩史君

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   法務大臣         長勢 甚遠君

   文部科学大臣       伊吹 文明君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   国務大臣

   (少子化・男女共同参画担当)           高市 早苗君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山中 伸一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   山本信一郎君

   政府参考人

   (内閣府規制改革・民間開放推進室長)       田中 孝文君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         金森 越哉君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          田中壮一郎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            清水  潔君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           村木 厚子君

   衆議院調査局教育基本法に関する特別調査室長    清野 裕三君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十三日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     平  将明君

  上野賢一郎君     安次富 修君

  臼井日出男君     小野 次郎君

  大島 理森君     江渡 聡徳君

  中山 成彬君     三ッ矢憲生君

  西川 京子君     谷  公一君

  森  喜朗君     北村 茂男君

  やまぎわ大志郎君   松浪 健太君

  北神 圭朗君     佐々木隆博君

  西村智奈美君     高井 美穂君

  古本伸一郎君     三日月大造君

  横山 北斗君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     上野賢一郎君

  江渡 聡徳君     大島 理森君

  小野 次郎君     臼井日出男君

  北村 茂男君     森  喜朗君

  平  将明君     稲田 朋美君

  谷  公一君     西川 京子君

  松浪 健太君     やまぎわ大志郎君

  三ッ矢憲生君     中山 成彬君

  川内 博史君     横山 北斗君

  佐々木隆博君     逢坂 誠二君

  高井 美穂君     西村智奈美君

  三日月大造君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     北神 圭朗君

  小宮山泰子君     古本伸一郎君

    ―――――――――――――

十一月十七日

 教育基本法改正反対に関する請願(石井郁子君紹介)(第四七六号)

 教育基本法改定反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第四七七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四七八号)

 教育基本法改正法案を廃案にし憲法九条を守り、教育基本法を生かすことに関する請願(石井郁子君紹介)(第四七九号)

 同(志位和夫君紹介)(第四八〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四八一号)

 教育基本法改正法案の廃案を求めることに関する請願(荒井聰君紹介)(第五四八号)

 同(小平忠正君紹介)(第五四九号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第五六五号)

 同(仲野博子君紹介)(第五六六号)

 同(金田誠一君紹介)(第五九四号)

 同(松木謙公君紹介)(第五九五号)

 教育基本法改正論議の慎重審議に関する請願(小平忠正君紹介)(第五五〇号)

 同(小平忠正君紹介)(第五六七号)

 教育基本法の改悪に反対することに関する請願(照屋寛徳君紹介)(第五六四号)

 同(土肥隆一君紹介)(第五九六号)

 教育基本法の改悪に反対し、教育基本法を生かすことに関する請願(穀田恵二君紹介)(第五九三号)

同月二十四日

 教育基本法改悪に反対することに関する請願(石井郁子君紹介)(第六一五号)

 教育基本法改正案廃案に関する請願(保坂展人君紹介)(第六一六号)

 同(石井郁子君紹介)(第七四〇号)

 教育基本法改正法案を廃案にすることに関する請願(保坂展人君紹介)(第六一七号)

 教育基本法改定反対に関する請願(石井郁子君紹介)(第六一八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六一九号)

 同(石井郁子君紹介)(第七三六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第七五二号)

 教育基本法改正法案を廃案にし憲法九条を守り、教育基本法を生かすことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六二〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第六二一号)

 同(笠井亮君紹介)(第六二二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六二三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六二四号)

 同(志位和夫君紹介)(第六二五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六二六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六二七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第六二八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第六八八号)

 同(石井郁子君紹介)(第六八九号)

 同(笠井亮君紹介)(第六九〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六九一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六九二号)

 同(志位和夫君紹介)(第六九三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六九四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六九五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第六九六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第七三七号)

 教育基本法改正法案の廃案を求めることに関する請願(佐々木隆博君紹介)(第六四二号)

 同(鳩山由紀夫君紹介)(第六四三号)

 同(三井辨雄君紹介)(第六四四号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第六九七号)

 同(仲野博子君紹介)(第六九八号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第七五三号)

 教育基本法改正論議の慎重審議に関する請願(鳩山由紀夫君紹介)(第六四五号)

 同(仲野博子君紹介)(第六九九号)

 教育基本法の改悪に反対することに関する請願(阿部知子君紹介)(第六四六号)

 同(辻元清美君紹介)(第七〇〇号)

 同(保坂展人君紹介)(第七三八号)

 同(村井宗明君紹介)(第七三九号)

 教育基本法の改悪に反対し、教育基本法を生かすことに関する請願(石井郁子君紹介)(第六八七号)

 教育基本法改正案を廃案にすることに関する請願(保坂展人君紹介)(第七三五号)

 教育基本法改正案の廃案に関する請願(石井郁子君紹介)(第七五〇号)

 戦争のできる国づくり、戦争のできる人づくりを目指す教育基本法の改正反対に関する請願(穀田恵二君紹介)(第七五一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本国教育基本法案(鳩山由紀夫君外六名提出、第百六十四回国会衆法第二八号)

 教育基本法案について

 日本国教育基本法案について


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     ――――◇―――――

森山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出の教育基本法案及び鳩山由紀夫君外六名提出の日本国教育基本法案について発言を求められております。

 お諮りいたします。

 両案について、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山中伸一君、内閣府大臣官房長山本信一郎君、規制改革・民間開放推進室長田中孝文君、総務省自治財政局長岡本保君、文部科学省大臣官房総括審議官金森越哉君、生涯学習政策局長田中壮一郎君、初等中等教育局長銭谷眞美君、高等教育局長清水潔君、厚生労働省大臣官房審議官村木厚子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

森山委員長 これより順次発言を許します。西川京子君。

西川(京)委員 おはようございます。自民党の西川京子でございます。よろしくお願いいたします。

 たしか、この衆議院で教育基本法、無事採決が終わりました。そのときに議場で、私は国会議員になって六年半になりますが、あの議長の成立したという一言を聞いたとき、正直申し上げて、本当に胸の熱くなる思いを感じました。私は、国会議員になって最初からこの教育基本法改正を言い続けてきた者でございますので、いろいろな評価があったと思いますが、この改正が成立した、法案が成立したということは大変重いものがあったと思います。

 今、参議院で最後の議論が行われているところでございますが、そういう衆議院で一応可決した後にまたこの委員会が開かれるというのは、ちょっと私もよくわかりませんが、おかげさまで質問の機会をいただけたので、ありがとうございます。総理に質問する機会をいただけたことに感謝申し上げております。ありがとうございます。

 幕末から明治初期にかけて、日本があれだけの大きな改革を成功させました。その中で大変興味深い話があるんですが、大正末期あるいは昭和初期に日本に駐在していたフランスの駐日大使のポール・クローデルという方の言葉に、どうしても滅んでほしくない民族がいる、それが日本人である、この地球上から日本という国がなくならないでほしいという言葉があるんですけれども、それは、クローデルが関東大震災に遭遇したときに、あれだけの破壊があった中で、本当に国民の民衆が暴動一つ起こさずに黙々と復興に向けて頑張っていた姿を見て大変感動したという話が、記録が残っております。恐らくヨーロッパでそういうことがあったなら、当然暴動なりなんなり、そういうことが起こっていただろう。

 そのことを私はあるものから読みまして、そのとき、私は一つのことを思い出しました。それは、この前の神戸沖地震のときに、私はたまたまCNN、衛星放送を見ておりました。そのときに、CNNのキャスターが神戸の惨状を世界に伝えていたわけですけれども、その末尾に、私はもう一つのことを皆さんの全世界の人にお知らせしたい、それは、日本のこれだけの大破壊があり、この無秩序状態の中で、一件の暴動、一件の略奪行為も起きない国、奇跡の国日本と彼は報道していたんですね。私はそのとき、本当にあの阪神大震災の厳しい人たちに対する思いとともに、その言葉を聞いたとき、本当にちょっと胸の熱くなる思いをいたしました。

 少なくとも日本人という民族は、私たち日本人というのは、世界の中である意味では特殊な、本当に道徳性の高い、勤勉で誠実な国民性を持っていたと思っております。そして、それに培われたのは、やはり長い歴史の中での、島国ということもあったと思いますが、独特の価値観や道徳観や宗教観を持っていた、その中で培われた道徳性なんだろうと思います。

 ところが、この十年くらいの間に、私の感じる中では十年くらいの間と思いますが、利益追求というような価値観が世間を覆って、子供たちの中でも本当に信じられないような事件が次々と起こる中で、日本人はどうなっちゃっているんだろう、恐らく国民の方皆さんがそういう思いを持っていると思うんですね。

 その中で、今回日本再生、教育改革というのを前面に出された安倍内閣の一つの、その思いがおありだったんだろうと思うんです。

 その中で、教育基本法の上で行われた戦後の教育の総決算、その結果が今であるとするならば、私はやはりこの教育基本法を変えなければいけない。かつての日本人、世界に誇るべき、世界の常識、日本の非常識とよく言われますが、それは否定的な意味で過去使われてきたと思います。実はむしろ否定的ではなく、積極的に日本の常識、世界の非常識という発信をしていかなければいけないと私は思っておりますが、この戦後の教育基本法に対する評価と、今回、改正に向けての総理のその思いをお聞かせいただけたらと思います。

安倍内閣総理大臣 教育基本法の改正につきましては、西川さんのように、この課題に取り組んでこられた多くの方々の熱意があって初めて、この国会においてここまで審議を進めることができたと思います。

 現行の教育基本法につきましては、すべての国民に教育の機会を保障するということにより、学力の向上、そして戦後の復興にそれはつながっていったのだろう、このように思います。そして、学問の自由等普遍的な価値がうたわれているわけでありますが、しかし、それは、普遍的な価値を示すこと、また、先ほど申し上げましたように、すべての国民に教育の機会を機会均等という形で保障する、そういう意義はあったわけでありますが、しかし、確かに、私も、西川さんが指摘をされたように、いわば、日本の文化や伝統、また、私どもがこの長い年月の中において、歴史の中におきまして、紡いできた大切な歴史や価値について、それをしっかりと書き込んでこなかったのも事実だろう、このように思うわけであります。

 この戦後の風潮の中においては、とかく損得を価値の基準にする、そういう風潮がはびこっている中において、やはり、すべての基本である教育の基本法、原則、理念を書き込む、示すこの基本法を二十一世紀の日本にふさわしいものに変えていく必要がある、私はこのように考えたわけでございます。

 この教育基本法の中には、日本の文化や伝統を尊重するということをしっかりと書き込んでいるわけでありまして、それらをはぐくんできた我が国や郷土を愛する、そういう気持ちを持つことの重要性についても書いてあるわけであります。また、規範意識、そして道徳等も、その重要性について書いてあるわけでありまして、いずれも、今後二十一世紀、日本人が美しい、人間として生きていくために必要な項目が書いてあるのではないか、このように思うわけでございます。

 私が目指す美しい国づくりにおいては、何といっても教育がすべての基本であろう、このように思います。その中においても、まずはこの教育基本法を改正し、成立させる、それが第一歩ではないか、このように思います。

西川(京)委員 ありがとうございました。

 教育というものが前面に内閣の最大のテーマとして出されたことは今まで少なかったと思います。ぜひ、全力を傾けて総理も頑張っていただきたいと思います。

 その中で、実は宗教に対する記述の中で、第十五条、「宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならない。」この文言が入っておりますが、道徳教育というものの根幹は、宗教的情操が育っていなかったら、なかなか育つものではないと思うんですね。

 そういう中で、今の日本人の心の荒れようというか、そういうものを少しでもいい方向に持っていくためには、宗教的情操の涵養というのは大変大事なことだろうと。道徳教育を本当にもっと国民が自然に受け入れられて、なおかつ一つの大きな規律の線がきちっと入った、そういうものがやはり必要だと思いますが、そのことに関して、大臣として、この記述の中にそういうことはやはり読み込めるんでしょうか。

伊吹国務大臣 一般的な宗教の基本というものは、やはり謙虚さというか、自分の及ばないものに対する謙虚さだと思いますね。ですから、国際社会ではいろいろな宗教がありますから、なぜイラクであのような紛争が今もなおとどまらないのかということを考えれば、これはもうイスラムの中の二つの宗派の対立が根底にあるということをやはり理解していなければ国際社会の状況はわかりませんから、そういう一般的な知識その他をマスターすることは非常に有意義だと思います。

 しかし、情操ということになりますと、私は、教義を教えることは一般的常識で構わないと思うんですが、教える側が特定宗教の信奉者であって、相手に対して布教の心を持って教えた場合には、これは特に国公立においては非常に難しい問題を生ずると思いますので、一般的な事実や知識と書いているわけです。

 ですから、宗教だけではなくて、先生がおっしゃったように、新渡戸稲造さんのアメリカの奥様は、これほど宗教心の希薄な日本において、なぜ日本人がこれほど仲よく一緒に共生できているんだろうかということを疑問に思ったわけですよ。その奥様に日本人が生きている規範を教えようとして英語で書かれたものが「武士道」なんですね。

 ですから、私のうちは商人ですから、武士道ばかり言われるのは嫌だから、私は商人道、こう言っているわけですけれども、やはり日本人の生きてきた規範は必ずしも宗教だけでは私はないと思いますから、ここの記述は、そのようなことで、今先生がおっしゃった情操という言葉は入れていないということです。

西川(京)委員 ありがとうございます。

 時間がちょっと過ぎて恐縮ですが、最後に総理に一言。

 教育改革を前面に出された一つの決意として、教育予算でしっかりと具体的なものにあらわしていただきたい、その思いでの教育予算に対する確保をぜひよろしくお願いしたいと思いますが、一言だけ。

安倍内閣総理大臣 教育はまさに未来に対する投資であります。日本の未来を担うのは子供たちであり、教育の予算、厳しい財政状況ではありますが、効率化を図りながら、めり張りをつけて、真に必要な教育の予算は確保していかなければならないと思います。

 また、この補正の予算におきましては、現在深刻な問題となっております、いじめ問題に対する対応の予算も盛り込んだところであります。

西川(京)委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わらせていただきます。

森山委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 与えられた時間は十分ということで、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 先日、私ども公明党の教育改革推進本部という組織がございまして、文部科学部会と合同で、いじめの問題や先生方の支援体制について、今鋭意取り組んでいるんですが、教育現場の第一線で奮闘している先生方と意見交換をさせていただきました。また、視察といたしましては、いじめ対策で先駆的な取り組みをされている神奈川県の川崎市人権オンブズパーソンを視察させていただきました。きょうは、その先生方の御意見や、また人権オンブズパーソン等の現場の声をもとにしながら、何点か質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、人権オンブズパーソンといいますのは、子供や男女平等にかかわる人権侵害に対して、簡易にして安心な相談、それから救済の申し立てができる、こういう機関でございます。二〇〇二年からスタートしまして、いじめや、教師の体罰など学校の不適切な対応、それから虐待、それから、子供だけではなくて、配偶者や恋人などからの暴力などに対しても、強制力を持たない第三者の機関ということで、助言、調査を行って、解決に向けて支援をしている、そういう組織でございます。

 川崎市では、オンブズパーソンの連絡先や受付時間を書いたカードを幼稚園から高校生にまで全児童生徒に配付をしておりまして、何か起こったら、直接子供たち本人から電話もできるようにしているわけでございます。そういうわけで、子供本人からの相談が大変多いというのが特徴でございまして、親や教師に相談できない子供も悩みを打ち明けられる、そういう体制が確保されているということが特徴でした。

 これを視察させていただいて、私は、この制度に三つのすぐれた点があるんだろう、こういうふうに思っております。一つは、第三者機関ということです。それから二つ目が、強制力を持たないということ、それから三つ目が、救済活動にまで踏み込んでおられるという、この三つの点でございます。

 一方、先日、現場の先生方との議論の中で、いじめについて五点にまとめておられた先生がおられました。これは大変よくわかるなと思ったんです。まず、見えないところで起こる、これがいじめだ、それから、現場を押さえてみないとなかなか認めたがらない、それから、いじめの定義、基準に当てはまらないケースが多い、それから、親が子供の非をなかなか認めない、それから、だんだんと陰湿化している、これが最近のいじめの特徴だ、こういうふうにおっしゃっておられました。そういうことで、現場で対処する際に大変困難な状況になっている、こういうお話でございました。

 一方で、人権オンブズパーソンも、教師にとってはいじめる子もいじめられる子も自分が担任をしている子供である、どちらかを一方的に指導するということが現実の問題として非常に難しい、こういう指摘もございました。

 いじめられた子供の話では、先生に相談しても、先生に迷惑がられたり、何もしてくれない。また、クラスでは、チクった、これは告げ口ということですが、としてますますいづらくなるというふうにして、いわば二次災害のような形になってしまうので、学校ではなかなか言い出しにくい、こんな実態もあるというふうに言われておりました。

 問題に取り組む子供、教員、親だけではどうしてもその後の関係にしこりが残るおそれがあるという意味で、第三者という冷静な立場の人が取り組むことのメリットは大変大きいというふうに考えております。そういう意味で、第三者機関の取り組みを推進してはどうか、こう思いますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

伊吹国務大臣 今先生がおっしゃったのは、一つの大変有力な取り組みだと私も思います。

 例えば、学校の外で、いじめに対応していろいろなやはり手だてがあるんですね。これは、よく言われるチャイルドラインとかいのちの電話とか、こういうものもございます。そして、何よりも、早く兆候を見つけてやって、いじめている子、いじめられている子のケアをしてあげるということが一番大切なことですから、今の取り組みは、私は、極めて大切な、そして有力な一つの手がかりだと思いますし、学校協議会その他の役割も今おっしゃったようなことに発展的に大きくなっていけば、非常にいい取り組みになっていくのではないかと期待しております。

西委員 第二点目、三点目、まとめて申し上げたいと思うんです。

 第二点目、強制力を持たないということでございます。出席停止というような強制的なことではなくて、粘り強くそのお一人お一人の言葉を聞いてあげて、相談に乗ってあげてということを通して物事の解決に当たっていこう、こういうことです。それぞれ専門の方が担当しているんですが、その一つ一つの経験を重ねて、さまざまな機関とも連携をしながら、そして物事をいわばソフトパワー、ハード、ソフトでいうソフトパワーの力でもって解決をしていこうという流れではないかというふうに私は見ておりまして、このことについてどうお考えなのかということ。

 同時に、第三点目には、具体的な救済活動に踏み込んでおられるということ。これは、相談というのがまず手始めなんですが、救済の重要な手段として相談活動を行っておられます。そして、現実的、具体的なアドバイスをしていただいて、場合によっては継続的な相談をしたり、面談をしたりということがありまして、大半の方は、相談者がその過程においてみずから課題を乗り越えて、その相談自体は終わることが多いというふうなお話でございました。しかし、救済の申し立てに至ることもありまして、それがどのような問題かということを整理しながら、加害者と思われる人にも面接をして聞き取り調査を行っていくというようなことも必要に応じてやっておられるようです。双方の意見を十分聞きながら調査をしているというお話をお聞きしました。さらに、親、学校、教育委員会等とも連携をしながら、解決まで粘り強くその事案に対して支援を継続している、こういうお話でございました。

 このことによって、子供たちが安心して学校生活、また社会生活を送れるセーフティーネットの役割を果たしているのではないか、こんな気がいたしました。

 強制力を持たないというその仕組みと、それから、具体的な救済活動にまで踏み込んでやってくださっているという、この二点について、大臣のお考えをお願いしたいと思います。

伊吹国務大臣 まず第一点につきましては、これは先生、いじめというのはいろいろな形のものがございますのでね。率直に言えば、少年法の適用を受けなければ、当然刑法によって罰せらるべき行為をやっているいじめもありますし、けんか程度のものもございますから、強制力を持たないというのは、これは一つの考え方だと思いますが。オンブズマンですから強制力を持たないのは当然のことなんですが、すべてを強制力を持たない措置で解決できるかどうかということになりますと、これはやはりケース・バイ・ケースだと思いますね。

 しかし同時に、あらゆるものを強制力を持ってやっちゃおうというのも随分乱暴な話ですから、やはりきめ細かく、そして救済に至るまでとおっしゃった二番目のことについても、粘り強くやっておられる姿勢をまず大事にして、学校現場の教職員も同じような気持ちでやるということじゃないかと思っております。

西委員 時間が終わってしまいました。総理にお聞きしたかったんですが、時間がございませんので失礼させていただきます。

 人権オンブズパーソンの一人が、未然防止が一番大切だ、魅力ある学校づくりがこれから必要だろうということを述べておられました。私も全く同感でございます。そのために私どもも……(発言する者あり)いいですか、申しわけありません、ということですので、では総理、一言だけ最後にお聞かせいただきたいと思います。

 今、何点かの人権オンブズパーソンを通じての御質問をさせていただきましたが、そのことについて総理の御感想を最後にお聞かせ願いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 いじめの問題については、隠さずにすぐに対応していくことが大切だろう、このように思います。しかし、隠さずにといっても、なかなかこれは早期発見が難しいという中において、子供たちが相談しやすい、そういう形で第三者機関が対応していくことも重要ではないか、このように思います。そういう中で、適切な対応をしていく、根気強く、優しく導いていくという姿勢を示す第三者機関の果たすべき役割も重要ではないか。

 国としても、現在の子供たちからのそうした声を聞くための仕組みを、二十四時間、土曜、日曜も対応できる仕組みに今早急に再構築をしているわけでございますが、その際にも、そうした第三者機関の方々、民間の機関の方々とも連携をしていくことも考えているわけであります。

 今後とも、そういう方々の支援も我々はぜひお願いをしたい、このように思います。

西委員 どうもありがとうございました。

森山委員長 次に、中井洽君。

中井委員 民主党の中井洽です。

 役所の方、どうぞ御退席いただいて、役所でお仕事をしていただいて結構でございますから。大臣とだけしゃべらせてもらうだけですから、どうぞ。

 極めて異例な形で当委員会が開かれることになりました。

 私ども不本意な中で、法案が当委員会、本会議で議決をされるという事態になりました。私ども野党は欠席をいたしました。これは、当委員会議論の最中にも続発しましたいじめによる自殺事件、あるいは当委員会で野党側が持ち出しましたやらせのタウンミーティングの問題、また当委員会が始まりましたときに大きく報道されました高等学校の未履修の問題等々について、一向に当委員会での議論の方向性というのが見えてこない、また資料も十分出されていない、こういう中での採決。

 あるいは、与党的に言えば、百時間を超える、かつてない審議だという時間的な要因がおありであったかもしれませんが、私どもから見れば、当委員会には二つの法案が出ておって、従来の他の委員会と比べて、私ども民主党が提出しました日本国教育基本法についてもかなりの質疑があった。そういう意味では、二本の法案を質疑しているし、また、憲法に次ぐ大事な、国民の将来を決めていく教育基本法、こういう問題であるから、時間的にはもっともっとかけてもいいんじゃないか、私どもの思いがなかなか通用しなかったというところ。

 また、御努力いただいて、中央公聴会を開催させていただきました。珍しくたくさんの公述人の希望の方も出てこられるという中で公聴会が開催されて、これはこれで成果があったと思っておりますが、残念なことに、中央公聴会がやられた午後から採決をするという日程提示、こういったことが続いたわけでございます。

 特に、中央公聴会の後、委員会でその御意見をもとに議論をするということもなしに、その日に採決に入るということは私はすべきじゃない、こう考えております。

 昨日、参議院では中央公聴会が行われ、本日一般質疑になっていると聞かせていただきまして、参議院においては私どものそういった主張が生かされた質疑もやられているかと、こう考えております。

 そういうことが重なりまして、私どもは採決ということについて反対をいたしました。もちろん、反対の仕方にはいろいろあります。野党そろって欠席をしましたことについても、国民の各界各層から御意見をいただいております。また同時に、野党内、私どもの党内からも含めまして、どうして物理的抵抗をしなかったんだという批判もあったことも事実でございます。

 しかし、私は、野党側の筆頭理事といたしまして、いじめの問題を含めて、教育の荒廃している現状を改革するためにどうあるべきかという根幹の問題を一月余り議論をしてきて、また、前の国会から議論をしてきて、我が党は対案を出しておって、その場をやじと怒号の中で終えるということは絶対だめだ、こう考えておりました。

 実は、昨年の郵政民営化の法案のときにおきましても、私は野党側の筆頭理事をいたしておりまして、このときにおきましてもいろいろ議論はありましたが、実は粛々と採決をいたしました。国会史上の中で、与野党の対決あるいは意見の相違が残った大法案が二回続けて静かに採決をされたということは、私自身、少し誇りに思っているところであります。

 同時に、与党側も、かなり時間的にも御努力をいただきました。いただきましたが、最終的には、総理大臣の外交日程をもって、なかなか質疑時間の差が埋まらない、こういう結果になったことは大変残念であります。

 これからも、たびたび各委員会において、こういうこともあろうかと思っております。私は、外交は大事でありますから、各大臣が外交日程優先で行かれるということを、何も反対ではありません。しかし、こういう日程は、保安上のいろいろな問題もありましょうが、できる限り早く国会へお伝えをいただいて、お互い円満な話し合いの中で国会審議が行われる、こういったことにしてほしい、このこともこの機会に強く望んでおきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、きょうの時間は短時間でありますが、質疑時間が足りなかった、まだ十分尽くしていない、こういう思いの中で、御配慮をいただいて委員会を開かせていただくことになりました。一時間やろうと思ったら、どうしても時間よこせと言うので、自民党さんと公明党さんに十分ずつお分けしたら、自民党の議員からおしかりをいただいたりいたしまして、何のことかよくわからぬのでありますが、短い時間の中で少し私なりの思いを議論していきたいと考えております。

 最初に、総理にお尋ねいたします。

 大分、三月たって、大役でお疲れもあろうかと思いますが、おなれにもなってきたんだと、先ほどからお姿を見て感じております。御健康に気をつけて頑張っていただきますことを、まず冒頭申し上げます。

 前回は、官房長官としての御議論を少しさせていただいた記憶がございます。六月の初めでございます。そのときに、政府案と民主党案との違いをどう思うか、こういうことをお尋ねいたしました。総理は、私どものいわゆる愛国心というところの条項等をお読みいただいて、「これはなかなか琴線に触れるところもあるかもしれない、このように思っておるわけであります」、このようにお答えをいただきました。「ほかにもそれぞれ細部にわたっては違いもあるわけでありますが、」こういうふうにも、私どもの党の案と政府案との違いについてお尋ねしましたら、お答えになっております。

 今日、質疑をかなりお聞きになられて、私どもの案、民主党の案と政府案と根幹的に一番違うのはどこだとお感じになっていらっしゃるか、お尋ねをいたします。

安倍内閣総理大臣 今回、我々はこの政府案を自信を持って提出したわけでありますが、民主党におかれても対案を出された。これは、教育基本法の改正を行うこの議論の場において、建設的な議論を進めていく上においては有意義であった、このように評価をしたい、私はこう思うところでございます。

 我々の案と民主党の案を比べますと、大体同じ考えであるという点も多々あるわけでございます。そしてまた、何よりも、戦後六十年を経て、二十一世紀に向かって新しい日本にふさわしい教育基本法をつくっていく、つまり、現行の基本法を改正することが必要である、このように認識をしているということは大きな認識の一致点ではないか、私はこう考えるわけでございます。だからこそ、私は、この委員会において広く深い議論ができたのではないだろうか、このように思うところでございます。

 その中で、相違点ということでございますが、それは、先ほど中井委員が御指摘になられましたような、いわゆる国を愛する心、また祖先を敬う思い等々が民主党の改正案の中にも書いてあり、それは人々の心の琴線に触れるところではないか、このように官房長官当時、答弁をしたわけでありますが、そのときにやはり申し上げているところは、そこは、民主党案ではいわば前文に書いてあり、私どもの案においては、教育の目的として、日本の文化や伝統を尊重し、それらをはぐくんできた我が国や祖国を愛し、他国を尊重し、そして国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うということが書いてあるわけであります。また、公共の精神等々についてもこの教育の目的の中にも書いてあるわけでありまして、そういう意味におきまして、教育の目的としてしっかりと定めているのが我々の案ではないか。

 そしてまた、教育委員会に対する考え方、これは、私どもとしては、教育の政治的中立性という観点から、そういう考え方はとっていないということでございます。

 そういう点が、ある意味では大きな違いではないか、このように思うところでございます。

中井委員 私どもは、自民党の、あるいは政府の案と私ども民主党の案の一番の違いは、政府の案は、改正案で美辞麗句を含めていろいろな言葉が使われ、また、与党は与党なりの日本人の教育に対する思い等もはめ込まれている、けれども、現行の教育の大改革につながるような根幹、こういったことについては何もうたわれていない、こういうふうに感じております。

 私どもの案は、今御指摘ありましたが、教育委員会の改廃、そして義務教育における国の責任、そして教育予算の確保を数字的に盛り込む、こういう形で、大きく現行の教育制度の欠陥について改定を提言いたしているわけでございます。

 問題は、今総理もおっしゃいましたが、この議論をこの二国会を通じてやってまいりましたし、地方公聴会、参考人、いろいろな形で論議をしてまいりました。しかし、どこへ行きましても、変えるべきだ、変えないで今のままでいくべきだ、この論議が多く聞かれます。マスコミの議論もあるいは報道も、いつ採決するんだ、こればかりでありまして、中身になかなか理解が行き届かなかったことは大変残念であり、そういった意味で、私は、時間が足りなかったんだな、こんな思いも強く抱いているところでございます。

 私どもの教育委員会の改廃というのは、正直言いまして、民主党の推薦の公述人でもなかなか理解しにくいところはございます。しかし、現行のいじめや未履修、こういった問題で浮かび上がりました教育現場の現状を考えたときに、やはりこの教育委員会というものが、政治的な中立性、こういう名のもとに置かれておりますが、全然機能していない。逆に、教育現場とお互いがかばい合いをしている。こういう形になって、教育の諸問題が世間へ、あるいは政治の場へきちっと伝わってこない、対応がおくれる、ここに問題がある。このことを私は痛切に感じております。改めて、教育委員会をどうするんだ、このことが一番大事な改革の一つになってきたと実感をいたしております。

 私どもは、改廃ということでございます。政府は、教育委員会はそのまま。しばしば御議論の中で、強化する、こういうお言葉を使われて対応を急がれることを約束されております。

 教育委員会は、そもそも公選制度で始まったわけでございます。最終的には、中野区が昭和五十何年、投票で公選をやられて、またおやめになってと。後はもう今全部推薦、議会の承認という形になっております。日本じゅう千数百の教育委員会がある。そして教育長は、教育委員会の委員は首長が任命する、議会が承認する、こうなっております。職員が配備されている。この教育長を初めとする職員の主なところが学校の先生のOBであったり学校の先生だ。こういう中で、本当に政治的な中立、教育行政の中立、こういったものが行われているか。今の政治の現状は全く答えが違う答えだと私は言わざるを得ない。

 そういう中で、文科省は、監督権限はないんだ、調査、勧告権限だとおっしゃる。これをどうやって強化されるんだ。強化されようとしているのは文科省の権限なのか、県の教育委員会の権限なのか、首長の権限なのか、あるいは教育委員会の自主的な権限なのか、この点について文科大臣のお考えを聞きます。

伊吹国務大臣 まず、中井先生がおっしゃった教育委員会の現状について、責任の所在が非常に不明確であって、今回のいじめあるいは未履修その他の問題の対応を見ていて、国民が先生が今おっしゃったのと同じ気持ちを持っているということは、私も全く同感でございます。これをこれからどう変えていくのかということについて、ここでもかなり御党の藤村先生を初めとして建設的な議論が交わされたことを私記憶いたしております。

 まず、率直に申しまして、教育委員会だけを論ずるわけにはいかないですね。学校というものをだれが実質的に管理し監督をするのかということについてのまず民主党案があるわけですね。そして、その理事会あるいは学校協議会的な監査的色彩を持っているものを一つ置いた上で、都道府県知事あるいは自治体、市町村長が学校を管理するという形と、我々が考えている教育委員会を中心にした考え方と、二つの考え方があります。

 教育委員会は、何らかの意味で、今のままでは私はよくないと思っております。ですから、今後、教育長はどういう形で任命されるのがいいのか、あるいは、教育委員会の事務局が執行機関であって、教育委員会そのものは監査機関の方がいいんじゃないかとか、あるいは、人事権を実際に持っている都道府県に集中をした方がいいのか、市町村にむしろ人事権をおろしてしまった方がいいのか、いろいろなことが絡み合って、これから地教行法をやはり私は見直していかねばならないと思うのです。

 ここでの議論も大変私は参考になりましたし、現在参議院で行われている御党のいろいろな御主張、特に西岡先生などがおっしゃっているお話を聞きまして、国会が国民の意見を代表している国権の最高機関ですから、ここのいろいろな御意見を伺って、中教審や教育再生会議にもここの御意見をやはり申し上げて、そして結論を出していきたいと私は考えております。

 今の教育委員会のままでいいということは、私は思っておりません。その意味では、中井先生と私は同じ現状認識でおります。

中井委員 民主主義ですから、私が言うまでもなく、民主主義のもとでだれが一番責任を強く持つべきかというのは、選挙で選ばれた人であります。そういう意味で、教育委員会、公安委員会委員、これはそれぞれ戦後は選挙だったんですね。選挙がなくなって、そして今、公安委員会の委員というのは、もう全く警察の隠れみのみたいになっちゃって機能していない。事務局は全部警察、県警本部の人たちだという中で、公安委員に任命された人たちそれぞれは御立派で、一生懸命おやりになろうとしている。教育委員会委員に選ばれた方も、地方地方で立派な方で、一生懸命おやりになっているけれども、事務局も含めて一切権限がない中で、本当に機能するのか、中立性を保てるのか。中立性を保つのなら、もう選挙をやる以外にないんですね。それをやらずに、教育委員会を今のままに置いて、そして、中立性を残して強化をするというのは至難のわざじゃないかと僕は思っております。

 まして、私どもの党の法案には、義務教育は国の責任だと書いてあります。政府の案は、国と地方公共団体、等分の責任みたいな書き方をしてございます。書き方は等分であっても、そんなことはあり得ないんでしょうけれども、国の責任とは書いておりません。そうすると、どこが中心になって教育委員会の改革というものをやるんだということを一つとりましても、なかなか見えてこないんじゃないかと私は考えております。

 そういった意味で、私どもの出しました案が意外とすっきりとおもしろい。教育委員会におる人たちや地方自治体の長は、教育委員会を隠れみのに使っていますから、議会で教育問題を質問されたら、はい教育委員長、こう言うだけのことでございまして、実際は、任命と予算は首長が持っておるんでしょう。

 そういうことを含めて、日本人は本音と建前を使い分けるのは上手ですから、私どももよく承知をいたしておりますが、教育の現状を見たら、もうそんなきれいごとだけでは済まされないと私は思います。そういった意味で、思い切った判断をなさるように強く勧めて、次の質問に行きます。

 いじめの問題でございます。

 先ほど文科大臣は、いじめにもいろいろないじめがある、こう言われました。私はそのとおりだと思います。私は余りいろいろな例を知りませんが、一つ身近にあったことを申し上げます。

 私の地元の中学校で、ある子供がある子供を鎖で殴ったんですね。その子は、殴った方は非常な乱暴者で、大変な問題児だった。父兄が学校へどなり込んで、何ということだと言っても、学校も校長も教育委員会もどこも対応しない。なぜか。その殴った方の子供は、暴力を振るった方の子供は、離婚された御家庭のお子、生活保護だ、それから、出身地域にもいろいろとあったりと。学校全体が、殴られた子はまともで強いんだ、だからあなたが我慢しなさい、殴った子がかわいそうな子だ、こうやってかばうというんですね。

 僕もびっくりしまして、どういうことだと聞きましたら、義務教育九年だから、九年で卒業させなきゃならない、だから、この問題の子を卒業さすのが教育だ、殴られた方は普通の子だからほっておいても大丈夫だ、こう言うんですね。私、教育委員会にも尋ねましたら、そうですと言うんですね。ちょっとびっくりいたしました。最近ではありません。十年以上前であります。

 結局、強い者が弱い者をいじめるというのが、ここでいきますと、弱い者が強い者をいじめたからいじめではない、こういうことになるんでしょうか。

 こういうことを含めて、現場は非常におかしなやり方をしている。その中の一つに、九年間で義務教育を終える、義務教育は九年だという教育基本法の現行の規定がある。そうすると、落第させられない、小中で落第させられない。今回の局長の通達等を見ますと、出席停止だということも含めて考えろと書いてあります。教育再生会議でもそういう御意見があったと聞いております。しかし、現実に、小中学校生は落第させられない。学校の先生にもっと本音を聞きますと、あんな問題児は早く卒業してくれないと、来年まで残したら大変だと。こうやって、その問題児の方をケアする。ケアするというのは、はれものにさわるようにして扱う。もうわがまま放題、したい放題のいじめをやる、こういうものも一つあるわけであります。

 そういったときに、政府案も民主党案も、実は義務教育の年数を書かずに法律を提出してございます。ここら辺で、いろいろとあろうかと思いますが、小中学校において落第ということも考えるのか、このことについて、文科大臣のお考えをお尋ねし、法案提出者の民主党の方にもお尋ねをしたいと思います。

伊吹国務大臣 義務教育で、まあ落第という言葉が適当かどうかわかりませんが、進級を認定しないということは可能なんです。これはいろいろな事例がございまして、基本的には、一番大きな要素は出席日数ですね。出席日数が半分以上に達していないようなケースはなかなか進級の認定がしにくいというのが従来からの考え方です。

 今先生がおっしゃったようなケースについては、やはり学校が毅然とした態度をとるべきいじめの一つの例をおっしゃったと思いますね。ですから、出席停止という、処分というんでしょうか、措置は現在でもとれることになっておりますから、そういう場合はしっかりと学校長の判断で出席停止処分をする。そうすると、人権問題だとかいろいろな非難がわき起こるという現状も私知っております。そのときは、やはり教育委員会が積極的にその学校をかばってやらないといけませんですよね。今みんなが事なかれ主義になっておりますから、先生が先ほどおっしゃったような教育委員会のあり方論が出てくるんだと思います。

 ですから、義務教育においても進級を認定しないということは可能であるということは申し上げておきたいと思います。

中井委員 学校教育法施行規則第二十七条、できることになっております。しかし、大臣、実際は全然ありません。それは、根幹、義務教育を九年で終えさせなきゃならない、ここがあるんですね。だから、今回法律に書いてないから、これから決めるのかもしれませんが、そういったことを含めてお考えをくださいと僕は申し上げておるんです。

 民主党さん、いかがですか。

藤村議員 中井委員に発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 私ども今政権政策という形で連日の討議をしている中で、私どもは、普通教育は国が責任を持つという基本の考え方に基づいて、普通教育というのは現在の小中に加え高等学校までを一般的に普通教育と申しますので、我々は、その普通教育までの範囲、つまり、今の高校の範囲は義務教育化ということで議論がほぼ収束しつつございます。そういう意味では、六・三・三の計十二年、この範囲で普通教育の目的を達成するべく学校は努力をするべきだ、そのように考えております。

 かつ、今の教育委員会制度、先ほど御質問ございましたが、我々は、これは伊吹大臣もおっしゃるとおり、いじめの形というのはいろいろ、それぞれ、また地域性もあったり、一つに統一できない。ですから、この前の再生会議が提言をされたように、全国一律にこうだというふうにして、いじめをある意味では上から抑えるようなことではなしに、学校教育の一番の現場に近いところ、すなわちそれは学校でありますから、学校がその経営において、学校の先生、それから地域の住民の方々、そして保護者の代表、あるいは教育の専門家、この一体化した学校理事会、地域立学校とも言えると思います、その地域立学校のもとで、それぞれのケース・バイ・ケースのいじめの問題にやはり対処、これが迅速かつ一番具体的な対処ができると思っておりますので、今でも、本当に学校の現場に最も教育の主体を持っていただきたい、そのことは変わっておりません。

中井委員 どうも御両者とも端的にはお答えいただけませんので、これはこのぐらいにしまして、次に、未履修の問題に移らせていただきます。

 けさほど、理事会におきまして、私どもがかねて要求いたしておりました六百六十三校の高校未履修、いつぐらいからか、この全調査結果が報告をされました。

 調査をいただいて文句を言うのはまことに恐縮でありますが、文科省の調査というのは本当に遅いですね、大臣。時間がかかるのは僕は余りよくわからないのであります。中学の未履修についてはこれからだと、こういうことでございます。理事会や委員会では十一月からもう始めてくれているんだと思っておりましただけに、これはお急ぎをいただくようにお願いいたします。

 我が党の議員が後からまたこの資料をもとに質問するかと思いますが、お見せいただいた限りでざっと判断しますと、平成六年度、ここでまずどんと一〇%前後が未履修をスタートさせている。それから、平成十五年度、ここでさらに多く、公立は百七十校、私立は百二十三校、合計二百九十三校が未履修というところへ入り込んでいる。

 これは、どうしてこういう年度だ、こう見ますと、平成六年は、要するに前回の指導要領の改訂があった年だと。ここでいわゆる世界史必修、地理歴史というものになって、三科目のうち二科目みたいな形の中で一科目しかやらないという未履修が起こったわけでございます。そして、平成十五年、これが現行の指導要領改訂の年でございます。

 未履修はすべて、文科省のお出しになった指導要領の改訂に伴ってふえている、だから文科省の責任もあるんだ、このことを改めて私は申し上げておきたい。このようにあえて大臣に注意を促しておきます。これは、知っておったわけでありますし、指導要領を出した年に、どん、どんとふえるんですからね。これは、やり方を少しお考えにならないと大変だ。

 もう一つは、私ども三重県、公立はないのかと何度も確かめましたが、ないということでございます。先ほども文科省に確かめましたら、ないと。なかったら、ない県は、三重県なんかは大学入試の結果が余りよくないなとみんな言うておるんですね。これは、ちゃんと履修したからかと。いやいや、履修しているところでも大学進学のいい県もあるというが、それは塾の多い県ですね。塾の多い県だ。三重県みたいに、塾が少なくてまじめにやっているところは、進学の問題で不利になっているじゃないかとか、いろいろな問題は提起されると思うのであります。

 特に、指導要領を改訂した年にふえておる、このことをぜひ御記憶いただいて対応賜りたい。そして、中学の未履修について、できる限り早く調査結果をお出しいただくように。調査をまだ開始していないなんという話であります。大至急開始していただいて、結果を御発表いただくようにお願いいたします。

伊吹国務大臣 まず、調査が遅いというおしかりでございますが、この委員会で答弁をしたとおりのスケジュールで進んでいるということはひとつ御理解いただきたいと思います。

 そして、先ほど教育委員会のことについても先生はお触れになりましたが、高等学校だけで、国立、公立、私立合わせて、全国で五千四百校あるんですね。そして、各政令市及び都道府県の教育委員会を通じて、一校一校お願いしながら、それを集計しておるわけですから、こちらも学校当局に直接話ができる立場じゃございませんので、これは最大限スピードアップをさせますが、文科省だけの思いではできないということは、ひとつ実情は御理解いただきたい。

 それから、やはり指導要領を変えたときにということですが、例えば、十五年度に変えたときは、むしろ必修科目の単位数を少なくしているわけなんですよね。多くしていれば先生の御指摘が当たると思うんですが、むしろ、三十八単位から三十一単位にして学校の裁量の範囲を広くとっているわけですから、ここで未履修が起こるというのは、私はやはり学校の規範の問題だという気がしてならないんです。

 しかし、とりあえず大学の入試と指導要領との間に差があるということは先生が御指摘のとおりです。しかし、大学の入試に合わせて指導要領を変える、つまり、高校卒業生として最低必要な必修科目を変えるというのは、これは全く本末転倒でして、やはり高校卒業生として身につけていただくものはきちっとつけていただいて、そして大学においては、既に四割は試験をせずに採っておられる大学もあるわけですから、大学の方にも私は少し考えていただきたいなという気がいたしております。

中井委員 文科大臣に重ねて申し上げます。

 私もいろいろな委員会、いろいろな役所と対応したことがございますが、文科省がふまじめだとか、そんなことを言っているわけではありません。しかし、この問題を調べること一つとりましても、こんなに時間がかかるとは到底思えません。その点におかれて、伊吹大臣のことですから十分おわかりになっておられると思いますが、この対応の遅さが教育現場に迅速に対応できないことにもつながっている、私はこう考えておりますので、ぜひ御判断と、そして中学の未履修についての督促をお願い申し上げます。

 あと五分しかありませんので、総理に三つお尋ねをいたします。

 一つは、タウンミーティングの報告は本日昼から出ると聞かせていただいております。テレビのインタビューや新聞記事等を見ておりますと、総理みずから責任をきちっと明らかにしていきたい、処分を考えていきたい、こう言われているようでございます。また、私どもの同僚議員が後から質疑をいたしますが、これは、当時官房長官でおられた安倍総理にも責任があると私は思っています。

 また同時に、このタウンミーティングで二十億円、あるいは郵政民営化のときには、私どもが追及いたしましたおかしな広告宣伝で二十三億円、実に小泉内閣というのは税金を投入して自己宣伝をするのが上手な内閣でありました。タウンミーティング、私どもの党でこんなのをやりましたら、十万円ぐらいでできますよ。九百万円ですよ。

 皆さん、詳細を見てください。本当にばかばかしいことにお金を使っていますよ。警察官との打ち合わせ二万五千円とか、大臣控室鏡閉鎖白幕四万五千円。どうして大臣室に鏡があったらいかぬのですか。めちゃくちゃ書いてありますよ。これを一つ一つチェックしたら、すさまじい乱暴な経費の使い方だ、こう思っております。

 これらを含めてきちっとしていただきたいし、文科大臣は、文科省の内部の調査をして処分もきちっとすると言われました。これについてもお答えをいただきたいと思います。

 それから、総理の方にあと二つございますのは、ただいま北朝鮮の人権侵害啓発週間というのが始まりまして、私も昨日スピーチをしてまいりました。またきょうの昼からも出かけていく予定でございます。

 いろいろな対応の仕方がありますが、日本には朝鮮人学校というのがございます。これが、学校じゃなしに各種学校になっている。この中で、地方自治体を通じて補助金が出ている、各種学校には補助金が出せない形の中を特例的に出している、こういうことであります。

 日本には特別永住者という方々がおられますから、この方々の教育、あるいはまた、今、ブラジルから働きに来られている方、大体二十八万人ぐらいを初めとして、百万人ぐらい外国人労働者が入っておられる。

 私が民主党の日本国教育基本法がいいと言っておる一つは、「何人も、」という書き方をしてございます、法案の中身。これは日本にいる人すべてという意味であります、外国人も含めて。だけれども、与党案は「すべて国民は、」という形になっておりまして、外国人教育のことについては省いてある。この点が非常に残念でありまして、これから地方自治体も含めて大いに外国人の教育ということを考えてもらわなきゃなりません。しかし、それは、日本人と同じ教育、同じ施設での教育である。

 この朝鮮人学校というのをどうするんだ、いつまで、あんな独特の教育で、日本の悪口ばかり言う学校に地方自治体が補助金を出すというシステムを看過していくんだと、私は残念に思っています。普通の教育、そして日本に住んでいるということで、日本人と同じ認識を持った教育、その上で祖国の教育も必要ならおやりになればいい、こう思っておりますが、この朝鮮人学校のことについてどうお考えになるかということをお聞かせいただきたい。

 それからもう一つは、当委員会で少し議論をしたのでお尋ねをいたしますが、「しおかぜ」であります。

 あれについて、拉致の立場から総務大臣が援助をするということは大いに結構なことであります。しかし、あの命令放送というのは、実は何にもならないことでありまして、NHKが海外放送の中で拉致のニュースの時間をふやしなさい、これだけでございます。「しおかぜ」というのは、中身がすさまじくはっきりと北朝鮮に対してメッセージを出しています。私どもは、その「しおかぜ」をそのまま日本から北朝鮮へ放送できる、こういう援助を国がすべきである、こう申し上げているわけであります。その点について、安倍総理は拉致の問題に熱心でありますし本部長でもいらっしゃいます、どのようにお考えであの命令放送という形で決着をさせられたのか、この点についてお尋ねをして、質問を終わります。

安倍内閣総理大臣 まず、タウンミーティングについて御質問がございました。

 本来、このタウンミーティングは、国民との対話の場であり、私どもが遂行しようとする政策について、国民に率直に私どもが説明をし、また国民の皆様の御意見を承る、双方向での意見交換の重要な場、このように考えてまいりました。しかしながら、このタウンミーティングにおきまして、あらかじめ質問の内容を指定していたこと、あるいはまた、公募という形ではなくて参加を依頼したケースがあったこと、そしてまた、謝礼金を払ったというケースがあったこと、そしてまた、ただいま中井さんが御指摘になられましたように、運営費について無駄遣いがあったこと等々の問題があったことは、大変遺憾に思うところでございます。

 調査結果について、本日のお昼に報告を受け、また発表する予定にしております。この報告にのっとりまして、しっかりと私はけじめをつけていかなければならないと考えております。また、私が官房長官当時にもそうした行為が行われていたとすれば、政治は結果責任でございますから、当然、所掌する私にも政治的にも責任がある、このように考えておりますので、私を含めてけじめはつけていかなければならない、このように考えている次第でございます。

 そして、もう一つは、朝鮮人学校の問題でございます。

 この朝鮮人学校の問題にかかわりまして、日本で生活をしている外国人の方々の子弟に対する教育はどうするか。憲法におきましては国民の「教育を受ける権利」、こう書いてありますので、我々は日本国民としての国民を教育していくという義務を負って、まさにそういう国民を育成していくということになるわけでございますが、いわば国家及び社会の形成者としての国民の育成を目的として教育の機会均等など教育の基本理念を想定しているところでございますので、私どもの教育基本法においても「国民」、このように書いているわけでありますが、いずれにせよ、義務教育については、外国人の子弟の方々が義務教育を希望されれば、当然、日本国民と同じようにその機会を現在保障している、このように承知をしている次第であります。

 他方、朝鮮人学校に対する地方自治体の補助金等でございますが、これは、やはり基本的には地方自治体がそれぞれの判断において適切に対応していくもの、このように思うわけでございます。

 そしてもう一つ、「しおかぜ」の問題でございますが、NHKの命令放送につきましては、拉致問題、まさに現在北朝鮮において日本の救出を待ち望んでいる人たちにどのように私どもの声を届けることができるか、これはそれぞれの立場でみんなが考えている大きな重要な課題であるわけであります。その中においてこの命令放送という形をとったことは、私は、これは一つの手段であった、このように思うわけでございます。

 また、「しおかぜ」そのものに対する支援の仕方をということでございます。それについても、我々はどういう方法があるか考えていきたい、こう考えております。

伊吹国務大臣 文部科学省の処分のことについてのお尋ねでございましたが、ここで再三お答えいたしておりますように、調査結果がほぼ出そろっておりますので、文部科学省の人事権者は私でありますから、私の判断においてけじめはつけたいと思います。

 それと同時に、私の在任中に起こったことではありませんけれども、組織を代表する者として結果責任はとらねばならないと考えておりますので、私自身を含めて、このことは考えたいと思っております。

中井委員 君子豹変すという言葉がありますが、安倍さんは、ふだん、総理になるまでは、私どもは拉致問題でも御一緒でしたし、いろいろな面で御一緒で、なかなか気骨があるなと思って見ておったんですが、総理になられたら全然おもしろくも何ともなくなったなというのが、今の答弁を聞いた率直な思いであります。

 もっと言うべきところは毅然とおっしゃって信念を貫く、そういう中で国のリーダーとして頑張る、私どもは私どもで、対案をもってまた対峙をしていきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。

森山委員長 次に、川内博史君。

川内委員 民主党の川内博史でございます。おはようございます。

 きょうは、貴重なお時間をいただき、発言をさせていただく機会をいただきましたことに、まず感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 まず冒頭申し上げなければならないのは、内閣提出の教育基本法案につきましては、本委員会でせんだって採決が行われ、議事録上は森山委員長の「起立総員」という形での議事録が残っております。私どもは欠席をいたしましたから、したがって、ここで改めて、冒頭、賛否を、明らかに、議事録に残したいというふうに思います。

 私ども野党四党は、教育改革については、それは教育の現場のさまざまな問題を解決するための改革はしなければならない、しかし、いじめや未履修の問題、あるいは偽装タウンミーティングをさまざまにやってきた、伊吹文部科学大臣のお言葉をかりれば、上が知らないのに青年将校が突っ走ったという表現を参議院でしていらっしゃいましたが、そういう文部科学省の体質、教育基本法が新たに発効いたしましたならば、その解釈運用をするのは文部科学省でありますから、その方たちがまたこの新しい教育基本法を勝手に解釈運用をし暴走をしないという保証は全くない、そういう意味において内閣提出の教育基本法案については私どもは反対である、したがって国会の三分の一の勢力は内閣提出の教育基本法案に反対ということでありますから、今後またさまざまな政治勢力の変動の中で教育基本法案は見直されていくであろうということも、あわせて申し上げておきたいというふうに思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 タウンミーティングの内閣府副大臣を委員長とする調査委員会の報告書、これはいつ発表をされるのですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 本日の午前中に最終的な取りまとめを行って、お昼に委員長の方から発表する、委員長の方からお昼に発表するというぐあいに……(川内委員「十二時ですか」と呼ぶ)十二時を……(川内委員「十二時ですか」と呼ぶ)はい、努力しているということに聞いております。

川内委員 十二時に発表をされると。

 それでは、報道各社にはその資料を何時にお渡しすると約束をしていらっしゃいますか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 報道各社にも十二時に発表し、十二時半にブリーフをするというぐあいに承知をしております。

川内委員 それは本当ですか。本当ですか。間違いないですか。

山本政府参考人 そのように承知をしております。(発言する者あり)はい、そのように予定をいたしております。

川内委員 そのように予定をいたしておりますじゃなくて、報道各社に、何時に渡す、事前にお渡しすると言っているはずですよ。何時に渡すと言ったんですか。

山本政府参考人 十二時というぐあいに申し上げております。

川内委員 十二時というのは記者会見の時間なんじゃないんですか。

山本政府参考人 報告書の記者会見は、林委員長から十二時三十分に行うというぐあいにお知らせをいたしております。

川内委員 それでは、十二時にその調査チームの報告書を報道各社にお渡しになられるということでございますから、十二時と同時に本委員会にもその資料をお持ちいただいて、メンバーに配付をしていただきたい。いいですか。

山本政府参考人 今委員おっしゃいましたように、配付をするようにいたしたいと思います。

川内委員 それでは、よろしくお願いを申し上げます。

 私は、先ほども申し上げたとおり、いじめの問題や未履修の問題、やらせのタウンミーティングなどで、文部科学省の皆さんがいかに教育現場を御存じでないのか。いや、御本人たちは、知っている、よく知っているとおっしゃると思いますよ。しかし、未履修のことは何にも知らなかった、気づかなかったと言い張っていらっしゃるし、そういう文部科学省に教育行政をゆだねていくということがいかに問題をさらに拡大させるのかと思うと、私は総理のお考えは正しいと思いますよ、新しい日本をつくっていくためにたくましい日本人、心豊かな日本人をつくるために教育がある、そのお考えには私も賛同いたします。しかし、その考えがしっかりと文部科学省の皆さん方の具体的な行動の中であらわれてくるのかというと、甚だ疑問であるというふうに思います。

 そこで、文科省から御答弁をいただきたいと思いますが、平成十七年度の文部科学白書の、全国の公立小学校の数、何校あるかということを御答弁いただきたいと思います。

銭谷政府参考人 平成十七年度の全国の公立小学校の数でございますが、二万二千八百五十六校でございます。

川内委員 その中で、いじめが発生をしているというふうに文部科学白書の中で、あるいは文部科学省の統計で数えられている学校数、二万二千八百五十六のうちいじめが発生しているとされる学校の数は何校ですか。

銭谷政府参考人 文部科学省の調査によりますと、二千五百七十九校でございます。

川内委員 総理、約二万三千の公立小学校のうちで、いじめが発生しているという学校は約二千六百校であると。要するに、約九割の学校ではいじめが一件も発生していませんということを文部科学白書は報告しているんですね。それで、文部科学白書の中で、対策を一生懸命とっていると威張って言っているわけですよ、大臣。威張って言っているというのは、これは私が感情をあらわしたものであって、ちょっと忘れていただきたいですが、そういうふうに表現しているんです。約九割の学校ではいじめは一件も発生していないという認識を文部科学省はしているということです。

 大臣、これはそもそもおかしいと思いませんか。約九割では一件も発生していないなどということが信じられますか。総理の御答弁をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 そもそも、いじめを見つける、いじめが起こっているということを見つけること自体がなかなか困難であるのも事実でありますが、要はこれは、いじめはどこにでも起こり得るという認識のもとに、そのいじめを早期に発見して対処していくことが大切ではないかと思います。ですから、うちの学校にはいじめがないということでもって問題がないということを誇示することにはならない。常にいじめは現段階では起こり得るという認識において、いかに早期に発見をしていくかということが大切ではないかと思います。

 先ほどお答えをした数字については、これは各学校からの報告を教育委員会を通じて文部省が把握しているわけでございますが、確かに私の感覚においても、実態を反映していないのではないか、このように思います。ですから、調査方法等についてももう一度検討して、実態を把握することが大切である。その際学校側にいじめがあるかないか、あったらだめだということを我々は言いたいのではなくて、まず実態を把握することが大切であると、実態を正直に、あるかないか、これはなかなか、その把握をするのも学校においても大変なんでしょうけれども、これはよく父兄の方々とも連携をとったり、いろいろ連携をとりながら実態を把握するということに全力を挙げてもらって、そしてその正確な数字を文部省としても把握する必要があるのではないだろうかと考えております。

川内委員 私も今総理がおっしゃられた、実態を把握することが大事であると、さらに大事なのは、実態を把握し、そしてそれを解決する教員なりあるいは校長先生というのが高い評価を得られる仕組みをつくっていくことが大事だというふうに思います。

 今現在、学校現場の先生方に聞くと、評価シート、自己評価をまずやって、それをさらに、教員の場合は校長先生が評価をし、校長先生の場合は教育委員会が評価をしというふうな形で評価シートがあるわけですね。さらに、指導主事がずっと周辺の学校を聞き回って、あの校長はどういう校長ですかとか聞き回るわけですね。結局、あそこはいじめがいっぱいあるんだとか言われると評価が落ちるものだから、みんな隠したくなるということを聞いております。

 だから、私は、いじめというのはもともと、国会においても与党が野党をいじめたりとか、いろいろあるわけですから、いじめというのはあるわけですよ。いじめというのはあるものだ、発生する、しかし、それをどう解決するのか、解決する方がいいんだということをしっかりと仕組みの中で、制度の中で担保していくということが大事であろうというふうに思いますが、私は、どうも文部科学省の体質はそうはなっていないのではないかというふうに思っております。教育基本法の改正をして、文部科学省の事務方は一体何をやりたいんだろうと。文部科学大臣がそれを意図していらっしゃるかどうかは別にして。文部科学大臣の意図と文部科学省にプロパーでずっと勤めている事務方とは、やはり意図がちょっと違うわけですよ。だから青年将校が暴走するわけですよね、大臣。

 それで、教育基本法を改正した暁に何を一体やりたいんだろうというふうに考えたときに、先ほどもちょっと議論に出ていましたが、地方教育行政法四十八条においては、文部科学大臣は教育委員会に対して指導、助言、援助を行うことができると書いてございます。指導、助言、援助を与えることができる。私は、文科省の事務方はこれを指示、命令に変えたいんじゃないかと思うんですよ。教育の現場がよくないのは、我々が指導しかできないからだと、助言しかできないからだと、援助しかできないからだと思い込んでいて、指示、命令、言うことを聞けと命令することができるようになれば教育の現場はよくなると思い込んでいらっしゃるんじゃないかなと思うんですが、文部科学大臣はどう思われますか。

伊吹国務大臣 まず、タウンミーティングについて、局長まで知らなかったというような事実があって、私は、知らないということの方にむしろ衝撃を受けたということをここで答弁したわけです。ですから、私が大臣でいる限りは、そういうことは絶対にさせません。それは御安心ください。

 それから、失礼ですが、大臣の意図と違うことをやる役人は、私の役所にいてもらう必要はありません。これは私が決めることです。だから、御安心をいただいたら結構です。

 そして、今先生がおっしゃった、指導、助言、援助、変えたいとは思っていないと私は思いますが、例えば、十一年の地方分権一括法までは、教育長の任命承認権は文部科学大臣にあったんです。それから、同時に、間違ったことがあった場合には、措置命令権が地方教育行政法の中にあったんです。これが一般の自治事務に移ってしまいましたね。そして、承認権もなくなりました。

 先生も御経験がある、あるいは政権につかれたらそういう御経験をされると思いますが、行政を行う場合に、結果責任をとり、そして、ある程度の行政を行うということの担保、裏づけには何があるかといえば、人事権か予算権か法律の執行権がなければ、未履修の問題の解決なんかできないわけですよ、率直に言えば。ですから、指示に変えたって、変えただけじゃ何もできませんよ。

 ですから、どういう形がいいのか。それは、先ほど来中井先生のお話のときにも御答弁申し上げたように、国会、再生会議、中教審、いろいろなお考えを伺って、やはり国会で決めたことが地方にきちっと行き渡るような仕組みはどういう仕組みがいいのか、これを文部科学省は考えていると思います。

川内委員 いや、端的にお聞きしたんですが。地方教育行政法四十八条に指導、助言、援助という言葉がある、私はそれを指示、命令という言葉に、あるいは指示することができる、指示するというふうに書きかえたいのではないかと。

 文部科学大臣は、さまざまな意見を聞いて考えるという御答弁だというふうに理解してよろしいですか。

伊吹国務大臣 本来、私は、制度や法律を変えるのは余り好きじゃないんですよ。それは、その制度や法律を動かす人の規範意識によって制度が担保されるというのが一番いいんです。しかし、それがどうもそうじゃないときは、やはり制度や法律を変えるという動きが出てきます。あることを変えると、そのことは直るんですよ。しかし、必ず副作用、別の問題点が出てくるんですよ。

 だから、余りこれを強くやり過ぎると、教育の国家統制のような面が出てきます。しかし、逆に、国がお願いしていることが全く担保されないという状態では、国民にひとしく最低限の規範意識と学力を保障するという義務教育は達成できないんですよ。だから、その辺のあんばいですよね、問題は。だから、いろいろな方の意見を伺いながら決めていきたい。文部科学省の役人は何を考えているか私は知りませんが、文部科学省の役人の考えているとおりにはなりません、それは。

川内委員 ちょっと時間もないので次に行きますが、まさしく私も大臣と同じで、私の郷土の大先輩である西郷南洲の南洲遺訓の中には、制度方法を行うときその人にあらざれば行われがたしという遺訓がございます。要するに、法律や制度はだれが運用するかが大事なんだということを言っているわけですよね。そういう意味で、私も大臣と全くそういう点では同感であります。

 だからこそ、文部科学省の今の体質で新しい教育基本法などを制定することが果たして適当であるのかどうか。未履修のことだって、何にも知らなかったと言い張っているわけですよ、いまだに。だれ一人知りませんでした、だれ一人知らなかったと言い張っている。それで、やらせのタウンミーティングで、とにかく教育基本法を変えればいいんだということを一生懸命、広報宣伝活動にこれ努めていたわけですね。

 では、ちょっとお尋ねいたしますが、文部科学省から各県の教育委員会に出向された方々で、当時、その教育改革タウンミーティングのときに地方教育委員会にいて、今現在文部科学省に戻ってきていらっしゃる方々も、文部科学省内にも調査チームがあるというふうに聞いておりますが、この調査の対象になっていますか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 教育改革タウンミーティングが実施されました県に私どもから教育委員会の課長などとして出向していた者がおります。こういった者に関しましては、それぞれの県におきましても調査が行われているところでございますが、私どもでも、一連の教育改革タウンミーティングにおいて、だれが、どういう形で、どのようにかかわっていたのかということについて調査を行っているところでございまして、出向者につきましてもお話をお伺いいたしているところでございます。

川内委員 この出向されていた方々のうち、何名かの方はタウンミーティングで発言もしているという情報もあるんですけれども、さっき大臣は、もうそろそろ調査は終わるとおっしゃいました。もうわかっていらっしゃると思いますが、発言をしているという情報があると私は言っているんですが、ちょっと確認してください。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 実は、昨日、川内先生からそのようなお話をお伺いいたしましたので、当時、タウンミーティングに出席をいたしておりました私ども文部科学省の職員に確認をいたしましたところ、そのような事実はないということでございました。

川内委員 では、この調査報告については、いつおまとめいただいて、その詳細なものを私どもに御発表いただけるのか、大臣から明確にお答えいただきたいと思います。

伊吹国務大臣 一連のタウンミーティング関連のことは、文部科学省のことについては、従来から答弁しているように、当時、その任になかった者をトップにして調査をさせております。そして、その調査結果は官房長官のもとにすべて報告をされますので、官房長官の方から、きょうの、先ほど理事会でも御協議があったようなスケジュールに従って発表されると思います。

川内委員 時間が来ておりますので、最後に申し上げさせていただいておきたいと思います。

 この未履修の問題にしても、あるいはタウンミーティングの問題にいたしましても、公文書の虚偽記載罪などが疑われるものが散見をされるわけであります。

 先ほど総理も伊吹大臣も、何らかの責任はこのタウンミーティングに関してはおとりになられるというようなことをお考えであるというふうにおっしゃられましたが、これは何に基づく責任なんですかね。

 要するに、別に法令に違反しているわけではない。政治的な責任であるということであるのか。例えば、タウンミーティングについては、所信表明演説などで小泉前総理も触れられておりますし、タウンミーティングというのは、先ほど安倍総理から御説明があった、双方向の国民との対話である、国民の声を聞くんだということでありましょうから、そういう意味では閣議決定に違反した行動があったということでの責任なのか。何に基づく責任なのかということを最後にちょっと御説明をいただきたいというふうに思います。

伊吹国務大臣 総理には総理のお考えがあると思いますが、私は、組織を預かる者として、私が在任したときのことではありませんけれども、私の部下を何らかの処分をするときには、組織のトップとして当然みずからも同じ立場にいてやる、そうでなければ部下はついてこない、これは私の生きざまでございます。

安倍内閣総理大臣 タウンミーティングについては、タウンミーティングの本来の趣旨、先ほど、質問に答えて御説明をいたしました。この趣旨にのっとってタウンミーティングが行われなかったということについて、それぞれ責任をとるということでございます。

 私は、当時、官房長官としてこの衝に当たる者としての、これは政治的には責任があるわけでございますので、今回けじめをつけさせていただくということでございます。

川内委員 大変残念でございますが、質疑の時間が参りました。

 改めて申し上げておきますが、私は、現在の文部科学省の体質の中で新たな教育基本法を制定することには、私を含めて野党としては反対であるということを改めて議事録に残させていただいて、質疑を終わらせていただきます。

森山委員長 次に、高井美穂君。

高井委員 民主党の高井美穂と申します。本日は三十分でございますが、よろしくお願いいたします。

 少し時間が押してしまって、まずタウンミーティングの件について官房長官にお聞きしたかったんですが、記者会見ということで退席されたので、下村官房副長官、よろしくお願いいたします。

 先ほど来から話が出ております、タウンミーティングの調査委員会の方の報告がきょうの十二時にできるということでございました。私どもにも配られるということだと思いますけれども、実は、先月十一月十五日の文部科学委員会の方でも、私は、教育改革タウンミーティングの、六回分だけでいいので、予算はもう出ていますから広告宣伝費、それにかかった広告宣伝費を出していただけないかということを要求いたしました。理事会の方でも了解をいただいているはずでございます。

 それについて、その後、内閣府の担当室の方からも、一週間後にも急いでやっておりますということを言ってきてくださいまして、私の方も、結構です、でき次第下さいということを申し上げておりましたのですが、また今回質問をさせていただくに当たりまして、さらにこの資料はまだですかということを申し上げたら、いや、タウンミーティング調査委員会の方でやっているので、それと並行してやっていてまだできていないというような御返答があったんですね。

 私はまだ政治家歴が浅いので教えていただきたいんですけれども、衆議院の文部科学委員会でお願いをした、院の方で、国会の方でお願いした資料にもかかわらず、いや、タウンミーティング調査委員会の方ができるまでちょっと待ってくれというような、結果報告をまとめるまで待ってくれというのはちょっと逆なんじゃないかと。

 さっき、伊吹大臣も国会は国権の最高機関というふうにおっしゃいました。なので、まさに、私はタウンミーティング調査委員会というのはどういう位置づけかよくわかりません。ただ、行政府の中に調査委員会を設けたわけですよね。多分総理のお声がけによってできたんだというふうに理解しておりますが、この調査委員会の結果について、またこの報告について、私たちが聞く場というのは、国会の中で聞く場というのはないんですよね。なぜ国会で要求していたものを先にマスコミの方だけ公開してやりとりをやるのか。私は、なぜこういうふうに、まさに国会で議論をしたいんですが、国会の中でできるところがない、しかも、こういう会期末ぎりぎりに出してくるというのはどういうことなんだろうと思って、大変残念でなりません。

 そこで、下村官房副長官にもお伺いしたいんですが、この六回分だけの広告宣伝費でなぜ一カ月近くもかかっているのか、そしてまた国会の中での報告をすることは考えておられないのか、教えてください。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 塩崎官房長官がちょっと委員会がずれ込んで、恐縮ですが、私の方でかわりに答えさせていただきます。

 今御指摘がございました教育改革タウンミーティングの八回分だけの広告宣伝費予算資料でございますが、今回の調査におきまして、多岐にわたる計数整理や五回に及ぶ資料の分析、検証など、タウンミーティング百七十四回全体にわたる作業を進めてきたために、個別の御要望について応じかねるものであったというふうに聞いております。

 しかし、本日の昼に調査委員会の調査結果が公表されるという段階でございまして、個別の御要望についても作業の過程で得られた資料を整理しておりますので、この後、事務方から今御報告をさせていただきたいと思います。

森山委員長 ちょっと待ってください。とめてください。

    〔速記中止〕

森山委員長 それでは、速記を起こしてください。

 山本官房長。

山本政府参考人 八回行われまして、最後の、最近の一回はまだ精算が終わっておりませんので、七回分の教育改革タウンミーティングにつきましては、その契約書、それから請求書、その明細、これは全部お出しをしております。

 今、高井委員御指摘の広告宣伝費につきましては、当初の十三年度につきましては契約の中でやっていたのでございますけれども、その後につきましては、政府一般広報予算の中で、新聞広告ですとかいろいろなものをやっておりまして、したがいまして、それにつきましてはまだ、タウンミーティングの運営経費の外でございますので、お出しができておりませんが、今、高井先生からかねてそういう御要請があることは十分承知しておりまして、計数整理を一生懸命やっておりますので、早急に、内容も整理をして、精査をして、先生に御報告をいたしたいと思います。

高井委員 広告宣伝費もそんなに多岐にわたっているというお話らしいんですが、先ほど中井先生の質問の中にもありましたけれども、タウンミーティング一回で一千万近くかかっているというのは、常識的に考えて、これはかかり過ぎだと思いますよね。それとは別に、さらに広告宣伝費がまだ整理されていないぐらいたくさんかかっているということなんです、今の御答弁は恐らく。だって、恐らく、タウンミーティングの実際の経費の分は全部出していると。それ以外に広告宣伝費はどうなんですかと前の質問の中でお聞きしたところ、それはまた精査して出しますというお話だったので。

 いや、幾ら何でも、さすがに一千万を超えてかかる一回のミーティングというのは、ちょっとかかり過ぎじゃないか。これは税金でございますし、今、さまざまな制度改革の中で、私は、とりわけ障害者自立支援法の件で、障害者の団体の皆さんが本当に苦しみの中で頑張っておられる、本当に一円、十円、百円から削っておられる中で、やはり税金がこういうふうに使われているということは大変遺憾でなりません。私はむしろ腹立たしい思いであります。

 広告宣伝費をぜひ国会に間に合うように出していただきたいと思って、一カ月前にもお願いしたんですが、それがまだできていない。お話によると、百六十七回、六十六回分ですか、全部精査を一緒にしているから、なかなか大変なんだと。

 これは、院の方で私たちが要求した方が先だと思います。その後、タウンミーティング調査委員会というのを多分政府の中につくられたわけですから。これは、院の要請にこたえて、早く、この分だけでもいいからというふうに私は申し上げたはずなので、ぜひよろしくお願いをします。本当に、さまざまな、契約の点でもちょっと疑問点もありますし。

 お答えになられますか。

山本政府参考人 先ほど申し上げました政府広報予算の中でいろいろな手段を使ってやっておりますので、個々の八回、年度から抜いてくるのに作業はかかっておりまして、そういう意味で時間がかかったと申し上げております。

 ようやく、全体の額としては、先ほど申し上げました八戸の分を除きます七回の分で約一千九百万円程度。この中には、広告宣伝ですとか、結果を動画配信したり、衛星通信で流したり、そういったような経費も入っておりまして、約一千九百万円程度に上っております。七回分ででございます。七回分でございます。

 以上でございます。

高井委員 大変に驚きました。やらせがあったミーティングの件も含めて、一千万を超えて税金が使われているということは大変問題だと思いますし、ぜひこれは国会会期内のうちに院内でも詳しいことを、税金の使い方ですので、院で国民の皆さんに聞いてもらえるように議論するということが大事だと思いますので、ぜひ御検討していただきたいというふうに思っています。

 しかも、このタウンミーティング調査委員会というものも、たしか民間有識者の方が入っておられるので、一回一回調査、開くたびにたしか謝金を払っているんですよね、政府としても。それは、ほかの委員会、ほかの審議会とかに準じる形で払っておられるんだろうと思いますけれども、税金が無駄に使われたんではないかという懸念を調査するのにさらに税金を使ってやるというのも、本当に何か屋上屋というか、国会でやった方がいいんではないかと私は思うんですけれども、副長官にぜひお聞きしたいと思います。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 高井委員の御指摘については、もっともと思われるところが多々ございます。きょう昼に、詳細を含めて御報告をさせていただくことになっておりますので、それを踏まえて、政府としてもきちっと対応させていただきたいと思います。

高井委員 ありがとうございます。

 官房副長官、もう一点だけお聞きさせてください。

 この十二時に発表される資料の中には、今申し上げたような広告宣伝費の分も全部入っているというふうに考えてよろしいですね。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 広告宣伝費含めて全部入っております。

高井委員 副長官、ありがとうございました。次の御予定があるということですので、本題の方というか、大臣並びに総理に対しての御質問に移らせていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)ごめんなさい。できている分だけで結構ですので、ちゃんと出していただけるということで……(発言する者あり)でき次第いろいろと……(発言する者あり)

森山委員長 御静粛に願います。

高井委員 ちゃんと出していただけるように再度お願いを申し上げます。それで、院内で議論をしていただけるようにもお願いを申し上げたい、ぜひ理事会でも協議をしていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)議運の方ですか。ごめんなさい、院のことが私もよくわかっていなくて。

 それでは、ちょっと別の質問に移りたいと思います。

 教育再生会議というものの位置づけを私は教えていただきたいんです。

 教育に関する議論を行っているところでは、もちろん中央教育審議会、それから三年間の時限立法で臨時教育審議会等ございましたし、規制改革・民間開放推進会議というのも、たしか規制改革の話の中で教育委員会制度なんかもこのとき議論されていたように思います。

 そして、お聞きしたところ、中教審や規制改革・民間開放推進会議というのは法律上の根拠があって設置されているものだ、ただ、教育再生会議は総理のお声がけのもとに閣議決定でつくられたということだとお聞きしておりますけれども、これは、さっき伊吹大臣が御答弁の中でおっしゃったように、むしろ院の議論をこっちに、こういう議論があったということを中央教育審議会等さまざまな審議会の議論に託すとか、どっちが優先するという話では、もちろん院の方が優先という理解でよろしいんですよね。

伊吹国務大臣 まず、教育再生会議というのは、閣議決定によってつくられた、言うならば、安倍総理が教育再生ということを安倍内閣の最優先課題に掲げておられますので、そのことについて各層の方々から意見を聞く場なんですね。ですから、いろいろな意見が出てきても構わないんだと私は思います。現行の法律を超えた意見が出てくることもありますし、いろいろな意見は、それは自由に出てくるんです。それを総理がお聞きになって、行政権は内閣にありますから、安倍内閣としてどういう形でこれを進めていこうかということを判断されるわけですね。

 その中で、中教審がお引き受けしなければいけないことは当然中教審に来るでしょう。そして、その他の審議会にお諮りすることがあればお諮りするでしょう。お諮りせずに内閣だけの判断でやろうと決められることがあれば、それはそれで決めるでしょう。そして、その中で法律が伴うものについてはこの場でお諮りをするということになるわけですね、国会に。予算に反映することであれば予算書の中に計上されて、予算委員会で審議をされて、国政の一部となって動き出す、こういうことでございます。

高井委員 つまり、安倍内閣として出される法案の一つの背景になる部分も、そこの提言が組まれた場合、あるわけですよね。

 そうなってくると、例えば私が教育の議論をする中で、教育再生会議の中でこんな議論があって、それでこういう政策が出されてきたという場合に、それはどこにお聞きすればいいんですか。全部大臣が責任を持って教育再生会議の話というか、こういうふうに政策が出されそうだという途中の過程の議論とかというのは、どこにお聞きすればよろしいんでしょうか。

伊吹国務大臣 政策が出されるという表現はちょっと適切じゃないと思いますね。政策になるということは、最終的には法律あるいは予算になるわけですから、国会の議決を経なければなりません。

 例えば、高井先生が、こういうことをしたいと考えておられる。高井先生お一人じゃなくて、何人もの仲間で議論した方がいろいろな意見が出てくる。だから、安倍総理が一人で考えておられるよりも、大勢の各層の人の意見も聞きたいという意味でできたわけですから、ここでどういう意見が闘わされているかということは、むしろその前段、政策になる前段階の議論なんですね。

 ですから、ここでどういうことが行われているかということを基本的にお答えする立場は、官房長官だろうと私は思います。

高井委員 私が一つ懸念していたのは、どんどんどんどんいろいろな形で外に会議が持たれる、つくられることによって、ここで議論したことをそっちで引き続き議論してもらうというか、移して議論をするという形になるのかどうかはわかりませんけれども、院の中でもっともっと議論をしてつくり上げた方がいいんじゃないか。

 要するに、外にたくさん会議を設けると、その会議の成り行きがどういうふうに進んでいるのか、どういうふうに優先が出ていて、教育委員会の件でも、例えば、規制改革・民間開放推進会議の方では必置規定を撤廃してもいいんじゃないかという話が出ている。片や、もう一つ、今の教育再生会議の中ではそういう話にはなっていない。こういうふうに、行政府の中にさまざまな会議がある。しかも、これは、同じように、一回一回の会議に応じて謝金を払って来ていただいているわけですよね。

 だから、まさに、ばらばらのたくさんの意見を、では、その方々の意見をちゃんと聞くにはどこで聞けばいいのか、それがどういう関係になっているのか、私はよくわからないんです。

伊吹国務大臣 やはり、まず日本国憲法というのが国の統治の最上級の法律ですよね。このもとで日本の統治のシステムは行われているわけですから、国会に法律を提出できる権限があるのは、議員と内閣なんですよ。

 ですから、内閣がどういう政策を構成していくかというための一つのプロセスとして、特に安倍内閣では教育再生というのを最重要課題に掲げていますから、大勢の人の意見を内閣として法律を出したり予算を出したりする前に伺いたいということを言っているわけで、先生がもっと自信をお持ちになるべきなのは、それが出てきたら議論をする場が、まさに国会なんですよ。だから、国会でその議論について、自分はこうだああだというやりとりをずっとするわけですね。予算委員会なら一カ月、二カ月とやるわけですから。そして、その中でいいものがお互いに出てくれば、与野党の現場でもって話し合われて、内閣が出してきた原案が修正されるということは当然あるわけです。

 ですから、内閣が予算あるいは法律をつくるプロセスとしていろいろな人の意見を聞くことと、国会の場で審議をして、与野党の話し合いで新しい修正が行われるということは、当然、憲法上許されていることであり、また、それがなければ、自民党の国会議員と公明党の国会議員だけで構成している内閣は、独断で法律を出しては、つくっては、かえって困るんじゃないですか。

高井委員 わかりました。ありがとうございます、私によく説明していただいて。

 というか、ほぼ感覚として、やはり自民党、公明党が中心につくっている法律が、そういうさまざまな諮問機関の提言を背景にできてきているのではないかという感覚がしておりましたもので……(伊吹国務大臣「そのとおりです」と呼ぶ)そのとおりですよね。だから、その背景の過程が、どういう話でこういうことが出てきたのかよく聞きたいときに、ではその現場にいなかった方に聞くわけにいきませんから。

 ごめんなさい、もう一つ。

 例えば、中央教育審議会の中で、これは平成十八年にもたしか教員免許更新制度についての提言が出されていました。そして、これがまさに大変進んでいくということに対してちょっと心配事が何点かあるわけでございます。

 それも、例えば、今九十一万人を超える先生が現職でいらっしゃる中で十年ごとの更新をするというような提言が書かれておりまして、そして、多分この免許制度、免許を更新するというところの背景には、指導力不足の教員に対する指導ということが今までの議論の中で背景に出てきたのではないかと思います。

 そして、私が心配しているのは、懲戒免職になった教員は千二百二十六人いる、全教員の中でたった〇・一%でございます。たったとは言ってはいけないかもしれませんが、だからといって、教員すべてが何か問題があるとかいうふうに思われるような報道が広がっていくと大変心配をしておりまして、教員であれだれであれ、政治家の私自身でもそうですが、常に発展途上で、さまざまなことを時代に合わせてやりたいと思いながら、多分指導力不足の問題にも悩みながら、全教員が子供と向き合って頑張っているのではないか、私はそう思っています。

 それで、懸念するのは、この教員免許更新制度ということで、またどこかに集まって、十年に十万人ずつが集まって、どこかで更新をしたりするというその手間暇の間に、本当に教師の本分であるべき子供と向き合う時間が削られてしまう。だから、子供と向き合う時間を大事にするということが教師にとって何よりも大事であろうと思いますし、子供の気持ちを強く真剣に受けとめる教師がいればいるほど、いじめ問題等さまざまな問題等の解決の一つになっていくのではないかというふうに思っています。

 それで、この教員免許更新制について総理がどうお考えなのか、ではお聞かせをいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 お答えをする前に、教育再生会議で話していることがわからないのではないかという御指摘がございましたが、これは教育再生会議で議事をしている要旨また議事録については公表しておりますので、そちらの方で検索をしていただければ恐らくわかっていただけるのではないか、このように思います。

 免許制度についての御質問でございますが、私もいつも申し上げておりますが、ほとんどの先生方は子供たちに向き合い、子供たちのために本当に献身的に、結果を出すために職務に頑張っておられる、このように思うわけでございます。職務を全うするために大変な御努力をいただいている、このように私も考えています。

 しかし、その中で、やはりどうも先生には不適格であるという方々がいるのも事実でございまして、教員を採用する際にはそのような資質について十分にわからなかった、そういう例もあるわけであります。先生が子供の将来に対する影響の大きさを考えますと、それはやはり常に教育者として的確な知識を持ち、そしてまた最新の知識や教育の技術を身につけていることも必要ではないか、このように思うわけでありまして、そのようなチェックが行われることは私は大切ではないか、このように思います。教育の免許の更新制度について、私はぜひ導入をしていきたい、このように考えております。

高井委員 その導入に当たっても、場所、時間等、いろいろなことを丁寧に検証していただきたい、また次の国会でぜひお聞きしていきたいと思います。

 それで、申しわけない、私は一つだけお願いしたいことがあります。

 私は児童虐待防止法の改正の法案に取り組んでいるんですけれども、安倍総理は、子育て支援政策に大変力を入れておられるということでございますし、児童相談所での養育相談等が大変ふえておりまして、児童心理司とか臨床心理士とかの方々の増員が必要ではないかというふうにいろいろな現場から話が上がっております。交付税の算定基準をきちんと前向きに変えていただけるように進んでいけばうれしいと思うんですが、これも前向きに検討いただけるように、ぜひお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 子供の相談に対して的確に対応していくためにも、児童福祉司の果たすべき役割は極めて大きい、私はこのように考えております。我々、地方公務員の総数の削減を行っていかなければいけないということもあるわけでありますが、この重要性にもかんがみながら、地方交付税については十分に配慮をしていきたいと考えております。

高井委員 ありがとうございました。

森山委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 この教育基本法の特別委員会というものも、何度も私も質問させていただきまして、最後、採決のときには欠席をいたしたわけでございます。それは本当に残念なことであったというふうに言わざるを得ないということを冒頭申し上げたいというふうに思います。

 まずは、総理に、今高井先生からも臨床心理士、児童福祉司のことにつきまして質問がありましたので、私からも一問質問をさせていただきたいというふうに思うんです。

 この委員会の中で議論している間に、たくさんの児童が自殺をされたということがございました。福岡の子供にしましては、臨床心理士、スクールカウンセラーが設置されていたにもかかわらず、利用されずに自殺に至ってしまった、こういう痛ましいこともございました。

 そこで、いじめ問題に関連いたしまして、スクールカウンセラー、特に臨床心理士の重要性と国家資格化につきまして、先日、私は質問主意書を出させていただきました。この件につきましては、十一日に内閣に転送されたようでございますので、まだ結論は出ていないと思いますが、このまま会期が終了してしまいますと、当該問題への対応というものがさらに遅延してしまうのではないかなと思いますので、今回質問をさせていただきたいと思うわけでございます。

 この臨床心理士の国家資格化につきましては、過去に何度も附帯決議がされておるわけでございまして、今まで結論が得られていない、こういうことにつきまして、対応の遅さ、こういうものを指摘せざるを得ないのかなというふうに考えております。この点、期限を切って対応するべきだというふうに思うわけでございますが、総理はいかがお考えでしょうか。先日、伊吹大臣にはお聞きしましたので、総理にお聞きしたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 臨床心理技術者の国家資格の問題につきましては、確かに、いわゆる臨床心理士等の臨床心理技術者の方々が学校において子供たちのいろいろな問題に対応する、そういう役割は大きな意味があるし、意義深いものである、私もこのように認識をしております。

 しかし、国家資格については、やはりかかわっている方々の中でそれぞれ了解をされることが必要であろう、このように思うわけでありますが、残念ながらまだその段階には至っていないというところでございまして、関係者の意見が一致をしていないということでございまして、議連の皆様にも今御努力をいただいていろいろと調整をしていただいている、このように思うわけでありますが、まずは意見の調整が図られていくことを望みたい、このように思います。

糸川委員 関係者のことも必要なんですが、子供たちのことを考えて、スクールカウンセラーの独立化というんでしょうか、学校に付随してスクールカウンセラーがいると学校にそれが伝わってしまうんではないかとか、いろいろなそういう懸念もあるわけですので、伊吹大臣もこの辺の問題をぜひクリアにしていただいて、早期の決着をしていただきたいなというふうに思います。

 大臣、もう一つ大きな問題がまだ残っておりまして、義務教育段階における履修漏れの問題につきまして、十一月の十日の日に私の質問主意書が安倍総理のもとから返ってきたわけでございます。そこで、十一月十日の日に伊吹大臣に質問させていただいたというふうに認識をしております。

 義務教育は、子供たちの一人一人の個人が自立をして、そして、それぞれの個性を伸ばして、変化の激しい今の世の中というものを生きていく上で最低限の基礎を培う重要な場であるというふうに思っておるわけでございます。この重要な義務教育段階の教育の内容については、各学校の段階で学習指導要領、これが規定されているということについてはもう言うまでもないんだろうというふうに思います。

 そこで私は、高等学校における未履修問題が広がっている状況をかんがみて、では、義務教育段階においても科目の未履修ですとか標準時数を大幅に下回る授業が行われているおそれがあるのではないか、こういう懸念がありましたので、主意書を出させていただいたわけでございます。大臣からは、御答弁の中で、十一月下旬までに中学校の調査に着手する旨の回答を得ておるわけでございます。

 そこで、今現在どのような状況にあるのか、御説明をいただけますでしょうか。

伊吹国務大臣 この教育基本法の特別委員会の場で再三やりとりがございましたように、民主党の野田先生から、今の未履修の現状だけではなく、過去の高等学校の未履修の状況についてもやはり十分調べて対応すべきだと、これはもうまことにごもっともな御指摘なんです。それをやっと完了いたしまして、全国の、これは私立もございますから教育委員会だけではできないんですね、知事部局を通じてやらないといけませんので。それで、きょう、理事会の方にさかのぼった数字を御説明しました。

 それと同時に、この前、先生の質問主意書を受けたここでの御質問にお答えしたように、義務教育について十一月下旬には調査に着手するということを私はお約束しておるわけですから、今度は、中学校というと高等学校より数がまた多うございますので、教育委員会と私学を所管しておる知事部局に、このような調査票でお願いをしたいと思うがどうだろう、それでできるだけ早く返事を欲しいと。義務教育の場合は、先生御承知のように、高等学校と違いまして選択科目の余地がほとんどございませんので、私はそんなに未履修はないんだろうとひそかに期待はしておるんですが、やっと現場の方もこの調査票で、それじゃお待ちをしましょうという体制になりましたので、先生の御指摘を受けて、教育委員会と知事部局に中学校についての調査をしてもらって、そしてできるだけ早く御報告をさせていただきたいと思っております。

糸川委員 ということは、大臣、まだ今現在は調査には着手していないということでよろしいんでしょうか。また、教育委員会もしくは知事部局に、どこかの県にこういうものでいいかということを出されたということですから、それはどの県か教えていただくことはできますでしょうか。

伊吹国務大臣 これは東京都を初め、すべての県に伺っております。そうしませんと、調査票の書き入れぐあいがおかしいとかどうだとかということになると困りますからね。

 それで、後で細かなことは政府参考人から、幾つかの県というか定型的な県に聞いているんだと思いますから、そのことはお答えさせます。

 それで、ともかく作業に着手するというお約束をしたわけですから、着手するというのは調査票を送るということなのか、それとも、やはり準備が要りますから、その準備に入っているということなのか、もう調査票を送れる状況になっておりますから、できるだけ早く結論は出させます。

銭谷政府参考人 中学校の履修状況の調査につきまして、私どもは、十一月の末に調査票の案をつくりまして、都市部と地方、東日本と西日本など地域バランスも考慮いたしまして、北海道、埼玉県、東京都、三重県、香川県、福岡県、鹿児島県の七つの都道県に対しまして、こういう調査票で調査を考えているがいろいろ意見を寄せてくれということで照会をずっとしているところでございます。

 そういう意見をもとに最終的な調査票を確定いたしまして、先ほど大臣から御答弁ございましたように、調査票の送付をし、速やかに集計に努めてまいりたいと思っているところでございます。

糸川委員 今おっしゃられた北海道、私どもも独自に当然聞くわけでございまして、聞きましたら、北海道教育委員会におきましては文部科学省からの指示はないと。これは公式、非公式を含めて聞いたことがありますかと聞きましたら、ない、こういう御回答でございまして、三重も同様でございます。

 すべての県におきましてそういう認識は全くないということでございまして、頭に、例えば、今後中学校の未履修の調査をするんだけれども、こういう調査票でよろしいかな、これだったらあなたたち回答しやすいですかという聞き方をしていれば、いや、非公式にはありましたよとか、こういうやり方はありましたよということは回答の中に入るんじゃないかなというふうにも思うんですが、今聞いた中では、全部認識ないと各県の教育委員会からファクスで返答が来ております。

 独自に調査を行いましたかどうですか、行っていないところに関しましては、今これだけ未履修の問題が大きくなっているのに、なぜ独自に調査もしないんですかということまで聞いておるわけでございます。その中で、回答としては、文部科学省からの指示もございませんし、現在は未履修にかかわる調査等の対応はしておりません、特に中学校には対応しておりません、こういうような回答になっておるわけでございます。

 この辺は、今大臣のおっしゃるように、先ほども、私の省庁ですから、私の文部科学省ですから、これに従えない人は問題だというふうにおっしゃられておりますので、これはちょっと、どの辺にずれがあるのかなと。

銭谷政府参考人 私どもは、十一月三十日から十二月一日にかけまして、先ほど申し上げました七つの都道県の義務教育担当課長に対しまして、メールあるいはファクスで、調査票を示した上で、こういう調査票で答えられるかどうか、何か調査票について問題はないかということで意見照会をしているわけでございます。

 その後、それぞれの県からいろいろな意見が出てまいりましたので、調査票の書き方とかそういうところについていろいろ今修正を加えながら、最終的な調査票の確定作業を急いでいるところでございます。先ほど申し上げましたように、確定をして速やかに調査票を送付して集計をしていきたいと思っておるところでございます。

 この点につきましては、きちんとそれぞれの義務教育の担当課もはっきりわかっておりますので、先生の方に具体的な課名等を御報告することももちろんできるわけでございます。

伊吹国務大臣 今のことは担当者の名誉にもかかわることですから、先生が各教育委員会のだれにお聞きになったのかということを事務局に正確に話していただいて、そして、こちらのやっておる作業については、私は確認いたしておりますから、うそはついておりません。ですから、そのときのファクスのようなものも当然残っておりましょうから、何もやっていないような誤解を持たれると困りますので、どこの教育委員会の、各教育委員会の何という方に聞かれたらそういうことになったのか。それで、聞き方として、調査票の打ち合わせがあったかとかそういうことなのか、それとも独自に調査したのかと聞かれれば、当然向こうはまだそれはしていないでしょう。こちらは、調査票をこの形でこういうふうにつくって送るということについて打ち合わせをしているわけですからね。

糸川委員 私も、先ほどからファクス、こんな依頼で、どうでしたかというものを見せてほしいということもお願いをしていたわけでございまして、どんな紙を出されたのか、それは痕跡を見せてほしいということももちろん依頼をしていたわけでございます。もちろん、それは私も、これはこうやって県からファクスが来ておりますので、例えば県の義務教育指導課とかそういうところから返ってきていますので、その辺の認識が文科省と県のサイドではどうずれているのか。これも、やはりこういうずれがあるから、未履修の問題ですとかそういうのが起きるんだろうと思うわけです。大臣は何度もここで、いや、それがシステムの問題だということをおっしゃられているようにも思うわけですから、ぜひその辺は修正していただかないといけないんだろうと。

 また、実はきょうの集中審議の三時間というのは、我々野党が最後の採決には欠席をして、そしてそれから国会が不正常化になりまして、正常化になるときの条件として与野党国対の中で決まった三時間です。その中で、できる限りの資料は提出する、こういう約束があった。私はその場におりましたから、二階国対委員長の方からもそういうお約束があった。ですから、そういう中で今回のこの委員会が開かれるに当たって、なかなか情報が集まらなかったというのは非常に残念だなと言わざるを得ないというふうに言っておきたいと思います。

 大臣、昨年の義務教育費国庫負担制度、こういうものを守るために、文部科学省は必死になって中教審などで制度存続のための努力をしていらっしゃったというふうに思うんですけれども、そうすると、その中でまた義務教育の質の保証の重要性というものも何度も何度も強調されていたのではないかなというふうに思います。

 私が質問主意書を出したのが十一月一日で、もう今は一カ月以上たっている中で、まだその調査票がどんなものを出したらいいかというような段階というのでは、これはなかなか国民に説明ができないんじゃないのかな。また、今こそ義務教育の質の保証のために調査に全力を尽くすという、もうこれは後ろ向きな、だから今やっているとかそういう答弁ではなくて、ぜひその辺は意気込みもお聞かせいただきたいと思います。大臣、今後どの程度の期間でこれを完了させていただけるか。

伊吹国務大臣 まず、相手があることですからね、これは。そして、まず高等学校のことし以外の未履修について調査をしろというのは、この委員会の御指示だったわけでしょう。

 相手は各教育委員会、一つしかないんですよ、各県、各市の教育委員会、市町村の教育委員会。そこにまずそのことをやって、そして数字をまとめて当該委員会に御報告をする、そして、当該委員会に御報告をするのとあわせながら、十一月の終わりには調査に着手いたします、これが私の答弁でもあり、理事会での御了解事項でもあったと思いますよ。ですから、それに従って、今誠実にやっているわけです。

 あと、私がいついつまでにやらせますと言っても、これは教育委員会が各学校に聞くことなんですよね。ですから、私の方はトップギアに入れて車を走らせましょう。相手もそうなるように、できるだけ督励はいたします。

糸川委員 大臣、これは相手のあることなんですけれども、子供もいることなんですよ。これは何度もここで参考人を呼んでいるときに、未履修だというふうに判明した学校の生徒が傷を負っているわけですね、自分の心の中に、自分は未履修だったのではないのかと。教育委員会の問題ではないんです。それよりも、子供のケアをちゃんとしてあげなきゃいけない。これが今後、今から調査をし始めて、一月下旬もしくは二月、三月ぐらいにこの結果が出るということになると、もし卒業間近の生徒がいるならば、その対応ということもきちっと大臣が考えておかないと、またこれは大変なことになる、それは御指摘申し上げます。

 ですから、相手のいることだということは重々承知のことです。ただ、学生がいるということも、それは所管の大臣としてしっかりと取り組んでいただかないと、文部科学省がやっていると言っても、片方の県の側はやっていない、これは後でちょっとすり合わせたいと思いますけれども、その辺はぜひ大臣、リーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

森山委員長 次に、石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。

 総理は、「美しい国へ」の中で教育バウチャーについても述べています。きょうは、私はこの問題に関連して質問をさせていただきます。

 まず、文部科学省にお聞きをしますが、二〇〇二年の十二月、構造改革特別区域法が施行されまして、それに基づいて教育特区を活用した学校ができましたが、開校した大学、高校、小中学校、それぞれの株式会社立の学校を数字でお示しください。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる構造改革特区制度を利用して株式会社により設置された学校数でございますが、平成十八年十一月末現在で、大学六校、高等学校十三校、中学校一校、合わせて二十校でございます。

石井(郁)委員 LEC東京リーガルマインド大学は、教育特区の認定で、二〇〇四年の四月、開校しています。この間、文科省は年次計画履行状況の調査結果という改善通知をこの大学に出していると思いますけれども、どのような状況になっていますか。

清水政府参考人 LEC東京リーガルマインド大学については、平成十六年度に開設された後、十六年度、十七年度、そして本年度と、設置計画履行状況調査を実施しているところであります。その結果判明した問題点については、改善指導を行うとともにそれを公表しているところでございます。

 具体的な内容について申し上げますと、これまでの調査の結果判明し、今なお残る問題として、例えば、第一に、大学の授業が予備校の授業と同じものであり、テキストも予備校のものを使用するといった状況について、段階的に解消されつつあるとはいえ、実態として完全に分離された状況にはなっていないこと、第二に、他の業にも携わり、大学にほとんどいない専任教員が少なからずいるものと推測され、教育研究を担当する専任教員の役割を十分果たしていないのではないかという点、第三に、運動場の要件を弾力化する特区の適用がない大阪キャンパスの運動場について学生が利用できるような措置が講じられていないことなどでございます。

 また、このほか、これまでの指導により一定の改善が見られた問題としては、第一に、予備校の科目と事実上同一化し、大学固有のシラバスが存在していなかったこと、第二に、カリキュラムの内容を審議する組織がなく、教育研究上の責任体制が不明確であったこと、第三に、教授会の審議機関としての位置づけが不明確であったこと、そして第四に、科目履修生の単位認定方法が不適正であったこと、第五に、通学生に関して入学定員を超えて募集及び受け入れを行っていたこと。これらは、さきに申し上げましたように、一定の改善が見られたところでございます。

石井(郁)委員 たくさんの問題があるなということで、本当に驚くような実態だというふうに思います。予備校と大学が教室を共用している、それで予備校生にまじって正規の学生が予備校と同じ授業を受けて単位が認定されているだとか、シラバスも存在していないだとか、教育研究上の責任体制、管理体制も非常に問題がある等々、本当にたくさん、私も今お聞きして、そんなにあるのかという思いなんですね。

 今国会でもこの大学については取り上げられておりまして、法令違反あるいは法令違反が疑われるような事態が幾つか把握されて、今実施調査中だという答弁も参議院の方でされていたかというふうに思います。

 そこで、安倍総理に伺います。こういう実態をお聞きしてどう思われますか。

安倍内閣総理大臣 ただいま文部省から説明をいたしましたように、当然、改善すべき点があれば改善すべく指導をしていかなければいけない、その指導を今文科省として行っているということでございます。

 そもそも、この大学を設立する際に、やはり大学の目的ということを当然当事者も考えていたということだろうと思いますから、その初志に戻って指導を受け入れて、立派な大学にしていってもらいたい、このように思います。

石井(郁)委員 問題は、これは株式会社立という新しい制度のもとで起きているということなんですね。

 そこで、こうした株式会社の学校参入というのはもともと文科省はかなり抵抗してきたと思います。つまり、営利追求の株式会社は公の性質を持つ学校の運営にはなじまない、こういうことを文科省から私も聞いたことがございますけれども、そういう反対論をある面で抑えて特区法案というのが成立して、こういう大学が今できている。現在の総理はそのときの官房長官じゃなかったでしょうか。

 そこで、きょうは下村副長官においでいただいていますけれども、こういう利潤追求、営利目的の株式会社参入を今進めようとしているのが下村官房副長官のお立場かなと思いまして、お聞きをするわけでございます。

 それは、二〇〇五年の十月に、構造特区に進出した株式会社でつくる学校設置会社連盟というのが設立されています。その理事長は先ほどのLEC東京リーガルマインド大学の反町勝夫氏ですが、十一社で設立なんですね。その顧問に下村副長官がお座りじゃないでしょうか。

 二〇〇五年にこの関連企業から下村氏は六十九万円の献金がされていると思いますが、これは事実ですね。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 私の政治献金についての御質問がございましたが、自民党東京第十一選挙区支部の平成十七年度分の収支報告書を確認しましたところ、ウィザスから十二万円、代々木学園六万円、武蔵国際総合学園十万円、ウィン三十二万円の寄附をいただいております。

 政治家になる前に私は学習塾をしておりましたので、全国から広く浅く、民間教育関係団体から政治献金をいただいておりまして、いずれにしても、この政治資金については、政治資金規正法にのっとり、適正に処理しているところでございます。

 ちなみに、今御指摘のLEC等からは政治献金をいただいておりません。

石井(郁)委員 さらに、二〇〇五年の五月には、下村氏を資金的に支援する全国ネットワーク、博友会、これは塾や株式会社学校などでつくられているようですが、完成しているんですね。二〇〇六年の三月にその博友会の全国合同記念パーティーが開かれているということがわかっていますが、これは本当に近畿、中部、四国、九州沖縄、北海道東北、神奈川、埼京など八つの博友会が結成されているわけです。その資金管理団体である地元の博文会の会長が、直接票につながらない博友会は資金の援助をする、そして我々博文会は票の取りまとめという役割になろうというあいさつをされています。

 実際、博文会の政治資金収支報告書を見ると、博友会から二〇〇一年には一千万円、二〇〇二年には千二百万円、二〇〇四年には千六百万円、合計三千八百万円を寄附という形で受け取っていますが、これも事実ですね。

下村内閣官房副長官 報告をしてあるとおりでございます。

石井(郁)委員 確認させていただきました。

 そこで、総理に伺いたいと思います。

 この全国合同記念祝賀パーティーには総理も出席されていると思います、官房長官のときだったかと思いますが。参加をして、あいさつをして、エールを送っておられます。その中でこのように述べていらっしゃいます。全国規模で下村さんの支援団体が誕生したことを心よりお喜び申し上げます、教育基本法の改正などしっかり取り組んでくれると思いますということですが、このような株式会社、塾など民間教育産業と結びついて資金援助団体としている、こういうことを知っていて、今日、安倍内閣のもとでこの下村氏を官房副長官に任命されたんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほど下村副長官が答弁をいたしました。下村副長官もかつては、塾の経営も含めて、子供の教育に現場で取り組んでいた一人です。そして、その仲間もたくさんいるわけでありますし、そういう現場に対して理解ある議員を国会に送り出したいという方々の善意による御厚志をいただきながら政治活動を続けているわけでありまして、我々政治家は皆この政治資金による支援をいただきながら政治活動を行っているわけでありまして、要は、しっかりと適法にそれを処理しているかどうかということにおいては、適法にちゃんと処理をしているということであり、私は全く問題がない、このように思っております。

石井(郁)委員 そうでしょうか。民間教育団体からこのような資金を受けていますが、ただ単に資金を受けているということじゃ済まないんですね。

 下村氏は、民間教育は今がビッグチャンスだ、教育改革はビジネスチャンスにしなきゃいけない、こういうことをあおっていらっしゃる。これは塾関係の雑誌でたびたびお書きになっていらっしゃるわけですね。だから、株式会社や民間塾団体を特区に参加させる。そのことを、これは二〇〇四年の予算の分科会では、構造特区の全国展開を早くしなければという質問も行っているわけです。

 だから、教育改革をビジネスチャンスだと宣伝をする、業界に宣伝をして、そのビジネスチャンスに参加した企業から献金をもらう、こういうことが許されるでしょうか。これは収賄あっせんではありませんか。総理、お答えください。

安倍内閣総理大臣 かなり論理に飛躍があるのではないか、このように私は思います。

 下村副長官は従来から教育問題に熱心に取り組んでまいりました。教育改革が必要であるという認識においては私と全く同じでございます。そして、いわば塾経営を通じて子供たちを教えていく現場に身を置いた者の一人として、いろいろな改革が必要だろうと考えたのではないだろうか、このように思うわけであります。この改革の中でいろいろな方々が教育に参加をしてくれるということは、教育を改革していく、再生の上においては有意義ではないかという考えを恐らく披瀝したのではないか、このように思います。

 いずれにせよ、そうした方々からの献金については、すべて下村副長官はオープンにしながら、法令にのっとって処理をしているわけでありまして、問題がないということではないかと思います。

石井(郁)委員 下村副長官は、教育バウチャーによって株式会社に補助金を、こういうことを実現しようとされている。このことは経過から見ても明らかなんですね。

 申し上げましたように、二〇〇六年十月二日には、下村氏が顧問の学校設置会社連盟、ここのイコールフッティング委員会というところが教育バウチャー制度の提言というものも行っています。私は、今、特定の利益団体のために教育改革をビッグチャンスだということを宣伝して、さらに教育バウチャー制度をそのために実現するということがされようとしている。まさに安倍内閣のもとでの教育再生会議、その大変重要な位置にある下村副長官ですから、言ってみれば、教育再生会議などを利用してこれを実現しようとしているのではないかというふうにも言わざるを得ないわけですが、関係団体や利益団体から献金を受けているということは明らかなんですから、こういうことが許されるか、あっていいのかということをお尋ねしているわけであります。

 いかがですか。これは総理に。

安倍内閣総理大臣 私の考えは先ほど申し上げたとおりでありまして、下村副長官はかつていわゆる塾の経営を通じて子供たちの教育に携わる立場にいたわけでありまして、このように教育の現場にいた、あるいは教育について熱心に取り組んでいる人を応援しようという方々が、それは余り大きな金額ではないだろうと思いますが、それぞれの認識において、下村さんも広く薄くということを言っています、そういう中において、いわば貧者の一灯的な思いで多くの方々が献金をしておられるのだろう、このように思うわけであります。

 要は、そうしたものを適切に処理していくことが大切であり、それをオープンにしているわけでありまして、それは問題がないと私は認識をしております。

石井(郁)委員 現場で教育問題にいろいろな形で取り組んでいる、それはもうたくさんの方がいらっしゃるわけですよ。いろいろな団体もある、いろいろな運動もある、いろいろな形で取り組んでいる、そうだと思うんですね。

 私が問題にしているのは、その中で特定の団体と結びつきながら、いわば国の政策誘導をしている、献金を受けながら政策的な誘導を行っている、ここが問題ではないのかということなんですね。申し上げていますように、それは株式会社の学校をつくれということなんですよ。

 それで、既存の私学と同じように私学助成を受けられる状況には今ありませんと。これは下村氏が発言していらっしゃるんですが、株式会社の学校は既存の私学と同じように私学助成を受けられない、バウチャー制度のような形でこの国の教育力が引き上げられることが求められています、こう言っているんです。バウチャー制度を一番進めようとしているのが経済財政諮問会議であり、その中の規制改革・民間開放会議ですと。先ほど申し上げたイコールフッティングによるバウチャー制度を図りながら、公立高校と私立高校と同じ土俵の上で、経済的なハンディキャップなく学校間競争をしながら教育を活性させていくことが大きな流れの方向性になっていくと思います、これが方向性ですと。こういう方向性を実現したいんですとはっきりと述べていらっしゃる。

 考えは非常に鮮明じゃないんでしょうか。その考えのためにやはり今内閣の一員にもなっておられ、そして教育再生会議も内閣の一員として立ち上げていらっしゃるということだと思うんですね。だから、株式会社は私学助成を受けられないからバウチャーによる補助を実現しようということではないんですか。株式会社の民間産業を公教育に参入させるためにバウチャー制度を導入しよう、こういうことですか。

 これは総理も申し上げた「美しい国へ」の中で触れていますので、総理のお考えをぜひ伺いたい。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 先生のお話はちょっと適切ではないと思いますので、きちっとお答えさせていただきたいと思います。

 学校設置会社連盟で、私とそれから野党を代表してもう一人の国会議員の方、二人が顧問をさせていただいております。その講演の中での御指摘だというふうに思いますが、教育バウチャーは、公立とそれから私立のイコールフッティングということで確かに申し上げました。ただ、株式会社については今後大きな課題があって、これは、にわかに株式会社が教育バウチャーを導入というのは難しいということをその講演の中でも指摘させていただいておりますし、将来的には、公私関係なくイコールフッティングとしての教育バウチャー制度の導入が望ましいのではないか、このように申し上げました。

石井(郁)委員 私は、これは、きょうは下村副長官の問題としてもひとつ明らかにしたかったわけですけれども、単なるその問題じゃないんですね。

 これは、ことし三月の閣議決定でも、バウチャー構想の実現ということは、今後さらに積極的な研究、検討を行う、十八年度の検討そして結論という課題になっている。だから、内閣を挙げてやろうとしているということはここにも入っているわけですよ。総理の本の中でも述べられているという問題なんですね。私は、こういう方向というのは、日本の教育を根底からゆがめるものだというふうに思います。

 もう時間ですけれども、総理大臣にぜひ伺いたい。

 こういう利潤追求、営利目的を第一とする株式会社が参画するというのが、教育基本法を変えてやろうという安倍教育改革だと言わざるを得ません。しかも、ビッグチャンスなどとして政治資金集めの手段にしているわけで、まさに教育にあるまじきことです。だから、教育改革のための、教育基本法を変える、教育再生会議をつくる、トップダウンで教育改革を行うということはぜひやめるべきだということを申し上げたいと思います。

 ただ、もう時間が参りましたので、残念ながら総理の答弁はいただけませんけれども、私は、すべての子供たちの成長、発達を保障するのが公教育の仕事だし、国の責務だというふうに思います。そのための予算の確保や環境を整えることが大事だというふうに思います。

 そこで、ぜひ一点。現行法で、教育は国民全体に直接責任を持って行うべきものだと。この条文が削られているんですね。これは本当に重大だというふうに思います。私たちは、やはり現行教育基本法を生かした教育改革こそ本当に今必要だということを申し上げて、きょうは質問を終わります。

森山委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 官房長官に伺いたいんですが、この委員会は、いじめ、未履修、そしてタウンミーティングの集中審議であります。この委員会で、大量動員の問題、それから謝金の問題、これが、きょう官邸で間もなく発表されようとしている最終調査報告書にどういうふうに投影されているのか、中身は十分なのか、これを今いただけていない。これはちょっとフェアじゃないんじゃないでしょうか。委員会をどういうふうに見ているのか。国会軽視じゃないかと思います。いかがですか。

塩崎国務大臣 この教育特委で始まったタウンミーティングのさまざまな問題でございました。一たんは八つの教育タウンミーティングについての報告書を出しましたけれども、その他についても問題があるという判断で、百七十四すべてについてやろうということになりました。

 そもそも、教育タウンミーティングの八つのときでも相当なエネルギーを投入してやってまいりましたが、今回は、三人の外部の弁護士等識者を入れて、厳しい目を持ってこの調査をしようということで、そして何よりも、いろいろ県や教育委員会的なカウンターパートがたくさんいる中にあって、最大限の調査を今までやってまいりました。きょう、こうして十二時過ぎにお渡しできるということになりますが、これらの作業をやるには本当に相当な作業をやってきたので、内閣府、そしてまた外から来た調査に携わった人たちも、本当にへとへとになるぐらいやっておるわけであります。

 したがって、国会審議に資するようにということで私は言ってまいりましたが、きょう何とかここで、けさまとめていただいて出せるということになったということでございますので、中身についてはまだ私もしっかり見ていませんので、これから見させていただきたい。そして、これからの道を考えていきたいというふうに考えております。

保坂(展)委員 私もいろいろな書類を日常的に見ていますが、きょう、あと数分後にいただいて、それをさわって、これはいいとか悪いとかできません。大変大部のものと聞いています。これはやはり国会を、まず国会に報告する、審議に資するという意味では、大変この内閣の対応に対して不満を持っているということを強く申し上げて、具体的なことを少し聞きたい。

 資料をお配りしております。長らくの間、平成十四年度以降の資料が出まして、それによって私も質問をしたんですが、平成十三年度の随意契約分、これは株式会社電通の約九億と四千万円余りの契約なんです。

 ちょっと官房長官に伺いますが、この御請求書という、いただいて、このようにそれぞれ前期と後期と、それぞれ附帯した中身がついていて、その表紙に三億八千万円台と五億五千万円台の金額が書いてあるんですね。これは日付がないんです、日付が。ごらんのとおり。

 これは、日付がない文書、請求書というのを内閣が受理して支払い手続に入るというのは通常なんでしょうか。まず官房長官、具体的にもっと細かいことは事務方に聞きますから。

山本政府参考人 保坂委員にお答えします。

 請求書に日付が入っていないということでございます。

 国の代金の支払いは、当然のことながら、相手方の支払い請求を受けて、その際、原則として請求書に日付が明記されているということが必要だと考えておりますが、日付が記入されていなかった場合には、本来的には、したがいまして、相手方に日付の補足を求めて記入していただくというのが本来でございますが、このケースの場合は、そこの補足を求めて日付を記入してもらうというところがなかったというぐあいに認識しております。

保坂(展)委員 官房長、いつ、この請求書は内閣府の会計責任者のもとに届いたんですか。いつ届いたの、日付がないのでわからないんです。

山本政府参考人 お答えいたします。

 現時点で、いろいろ調べておりますが、いつこれが届けられたかははっきりしておりません。

 それから、一点申し上げますが、過去にこういったこともございまして、平成十七年の八月二十九日の決定で、日付なし請求書の禁止も含めて、事務の改善を図っておるところでございます。

保坂(展)委員 今度は、表裏の資料になっておりますので、裏面のこういった資料。

 これは私、全体で九億円台の資料を見て、一ページ目に書いてある資料なんですね。事務局人件費で、十万円で二十日で二百万、総計すると二千八百万ですね。たった一枚。

 下の方は、これは後期分です。これまた十万円から始まって、それぞれの役職で金額が違いますが、四千五百五十万。前回、五千円という話が出ました。今度は四千五百五十万円というものが、この請求書を一枚めくると、これは官房長官見えますか、今の資料と同じ形でこの請求書の中に入っているんですね。

 これは、だれがつくったのか、どういうものなのか全くわからない。これは、官房長官が見てどう思われますか。つまり、この一枚で四千五百万円出していたんですかね。どういう感想を持たれますか、日銀以来いろいろな会計書類を見られているでしょうから。

塩崎国務大臣 今初めて見て、ちょっとよく理解ができません。

保坂(展)委員 では次の、その隣の資料にまた、これは私のいただいた、こちらの十三年度分の資料の中に入っていた一枚を抜き出しました。タウンミーティングのメール及び手書き集計費用九百九十六万円。メール、手書きというのは何なんだろうなというのはおいておきまして、請求書、またこれも日付が一切ないんですよ、すべてが。日付がない。あて先は電通御中、これは内閣府じゃないんですね。そして、このテックという子会社、これは社印もなければ社長さんの印鑑もない。

 官房長、こういうものが請求書として内閣府の中で通用しているんですか。これは通用する請求書なんですか。これをもらって何か聞いたりしなかったんですか。

山本政府参考人 請求がございましたときに九百九十六万円のこれが添付をされていて、その内容は、ここに書いてございます、いろいろなアンケートだとかそういったものを集計すると。

 それから、一点、先ほどの委員のもう一枚の方の人件費でございますが、御指摘のように、一回当たり、前期は二千四百万円程度と非常に高うございました。結局、非常に短い間で、初めての試みということで、四週間の間に十六回、六月初めからやるという中で、いろいろなノウハウとか、そういう企画がこういったものに入っているというぐあいに理解をいたしております。

保坂(展)委員 官から民へで始まった小泉内閣ですけれども、民間で、これ一枚で四千五百万円出す、こういう取引がありますか、こんなもので。根拠は何もない。そして、では内閣府の会計担当は、こういうものが来たら、一体何だったんですかと言わなきゃいけないでしょう。

 この契約書というのが一応あるんですね。契約書によると、第四条には、「本契約により生ずる権利又は義務を第三者」これは子会社の場合も入るでしょうね、「に譲渡し、又は承継させてはならない。ただし、書面により甲の承諾を得た場合は、この限りではない。」というふうに書いてあるんですが、書面は存在するんでしょうね。

山本政府参考人 調べましたところ、電通の総括管理のもと、そのイベント部門の中核会社電通テック、こういったところと提携をしてやったということでございます。

 今おっしゃいました書面というものは、ちょっと今手元にはございません。確認しております。(保坂(展)委員「あるのかと聞いている」と呼ぶ)いや、ちょっと確認されておりません。

保坂(展)委員 先ほど言ったように、本当に速読術というのはありませんよ、こんなの。これは三十秒で見られません。こういうものを見てちゃんとやりとりをするのが、やはり改革を掲げる内閣の姿なんですよ。

 官房長官に伺いますけれども、今、私は電通との契約書を示しました。契約書の中にあるわけですよ、本契約によって生ずる権利または義務を第三者に譲渡し、または承継させてはならない、つまり丸投げはだめだよと。しかし、書面により内閣府が承諾した場合はこの限りではないというようなことも当然今いただいた中に入っているんでしょうね、こんな時間をかけてすべからくお調べになったんだから。そのことを答弁してください。入っていなければ、これは最終じゃないということですよ。

塩崎国務大臣 まだ見ておりませんので、わかりません。

保坂(展)委員 では、わかる方はいないんですか。どこかいないんですか、ここに。

塩崎国務大臣 委員長であります林副大臣が十二時半から記者会見をいたします。

保坂(展)委員 それもまたむちゃくちゃな話じゃないですか。

 もう一点、では、伊吹文科大臣に聞きますけれども、この委員会で大量動員のことも聞きました、大量に動員する。大分は、関係者については八人だという資料が来ていたんですが、大分県議会で、県の関係者は五十二人も入っていたということが既に明らかになっています。

 ところが、大分は、希望者が多くて、百人ほど抽せんで外れているんですよ。ここの大分には、前の資料で明らかになった業者の方、それこそエレベーターのボタン押しから始まって閣僚送迎からいろいろ問題になりました。これらの方たちが百七人もいるんです、百七人。全体四百人の参加なんですが、百人落としておいて五十二人も関係者が参加をする、そのうち四人はやらせである。

 こういう事態は、やはり国民との対話、教育改革、教育基本法、これを語る場としてふさわしくなかったんじゃないですか。簡潔にお願いします。

伊吹国務大臣 大分について先生がそういう疑問を持っておられるということで、問い合わせをさせました。いいですか、質問……(発言する者あり)いやいや、ちゃんと聞いてもらわなくちゃ困るよ。答弁している。(発言する者あり)いやいや、そんなことはできないよ、それは。

 これは、教育のタウンミーティングでしょう。教育委員会の関係者がそれを聞きたいというのは当然じゃないですか。職務上だって、そこへ行って聞くということは職務に関連することだから、それは聞きたいという人がいれば参加をするというのは当然であって、それは何も動員をしたり強制をしたりしているわけじゃありません。

保坂(展)委員 動員をしたということで出張旅費も出ているんですよ、一般参加者の中に。

 問題点は多々ありますので、ちょっと、法務大臣にも来ていただいていますので、お聞きします。

 司法制度改革の中で、裁判員制度という大事なのが始まるんですね、二年半後。国民がすべからくこれを知っていなければいけないテーマじゃないですか。学校でもこれはやらなければいけないし、タウンミーティングのように湯水のような予算を使ったものはやるべきではないが、しっかり質素にやるべきでしょう、これは。国民との周知活動に当たって、法務省は、やはりこの司法制度改革に対してなかなか一般の国民の意見が出にくいでしょうと私は指摘したんですよ。ですから、ちゃんと調べるべきでしょうというふうに二回ほど委員会で求めたつもりです。

 これについて、やらせなし、やらせなんかないよということをつい最近まで言われていたようですが、この調査報告書で、法務省所管の司法制度改革にもあったということがわかったようです。どこでどのようにあったのか、簡潔に述べていただき、これは反省や信頼回復に対して一言国民に対してもあってしかるべきだと思いますが、いかがですか。

長勢国務大臣 御指摘のように、裁判員制度の周知徹底をしていただく、司法制度改革の大きな柱であります司法支援センターについても御理解いただくということが、当時から法務省の大きな役割でございます。タウンミーティングにおいても、それを国民の皆さんに御理解いただくという目的でタウンミーティングを開かせていただきました。

 今先生が言われたように、その際、当時、最初の開催のころは余り司法支援センターあるいは裁判員制度について国民の皆さんの理解が、あるいは周知が少ない状況でございましたので、せっかくやるこの周知のための機会において質問が何もないとかいうようなことがあっては困るという観点から、質問をひとつお願いするということはあったというふうに報告を聞いております。

保坂(展)委員 法務大臣、ちょっとこれ、一枚ぐらいは見られましたか、今。百七十四回中十五回の発言依頼。教育で五カ所でしたね。司法制度改革、随分あるじゃないですか。七回中六回ですか。これははっきり答弁してください。

長勢国務大臣 今の趣旨から、タウンミーティングが円滑に、また国民の理解ができるようにやるという観点から、七回中六回依頼をしたということは報告を聞いております。

保坂(展)委員 総理に伺います。

 教育だけではなくて司法制度という大変重要なテーマにおいても七回中六回の依頼発言があったと、きょうの報告でわかったわけです。まして、先ほど来出しているように、日付も入っていない請求書たった一枚で四千五百万円。ほとんど国民の実感からかけ離れたミーティングの持ち方。この際、タウンミーティングというようなものは、このようなやり方はもう一切廃して、ゼロに返って、国民との対話はやるべきだと思いますが、こんなにたくさんのお金を使ってやるべきではないし、質素に堅実にやるべきだという意味では、もうこの際タウンミーティングはやめるべきだ、これだけのうみが出てきた、不信が広がったということについて、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 あらかじめ質問を依頼する等の問題が出てまいりました。また、運営費のあり方についてもいろいろと御指摘の点もございましたので、そうした御指摘を踏まえて調査し、先ほど発表した、資料についてお配りした、そして十二時半から林副大臣が正式に発表をするわけでありますが、こうした問題、すべて出すべきうみは出しながら、しかし、本来、このタウンミーティングは国民と双方向の大切な対話の場であったわけでございますので、そうした趣旨にのっとった対話の場をゼロからスタートさせていきたいと考えております。

保坂(展)委員 ゼロからスタートをすると言われました。

 官房長官に最後に聞きますが、私がずっと気にしているのは、いわゆる入札の際の落札率の話なんですよ。総理も今の答弁でおっしゃったように、これは一回二千万や一千万かけてやるようなことはもう考えないでしょう、ここまで出てきたら。もっと質素にやるということですね、やるにしても。とすれば、同じ事業を継続して入札をかける場合は、落札率を出すと予定価格がわかっちゃうんですね、おっしゃっているように。だから、同じ財政規模でやらないのであれば、ゼロからスタートしますとおっしゃったので、落札率も出せますね。今でなくていいから、きちっと公開すると言ってください。

塩崎国務大臣 どういうやり方をやるにせよ、やはり大事な税金を使って国民との対話を行うわけでありますから、最大限節約をし、そして有効に税金を使わせていただいて国民との対話をやる、そういう新しい仕組みを考えていきたい、このように思っております。

保坂(展)委員 落札率を出せるんですね。これを答えてください。出せないのであれば、また一千万、二千万湯水のように使う、こういうことでやるんですか。

塩崎国務大臣 どういうやり方をやるにせよ、節約をして、貴重な税金は大事に使って国民との対話を進めていきたいというふうに思っています。

保坂(展)委員 これでは、落札率を出せるんですかという答弁がないんですよ。出せないのか出せるのか言ってくださいよ。それで終わりますよ。

塩崎国務大臣 いろいろなやり方を考えていきたいと思っておりますから、どういうやり方をやるにせよ、国民の税金は大事に使っていこう、こう言っているんです。

保坂(展)委員 落札率は出せないということで、根本的な見直しはしないということがわかったと思います。これでは、とても集中審議にはならない。今ここにもらいましたけれども、しっかり、こういう審議については誠意を持って内閣はやってもらいたいと思います。

 終わります。

森山委員長 これにて発言は終わりました。

    ―――――――――――――

森山委員長 この際、鳩山由紀夫君外六名提出、日本国教育基本法案の取り扱いについてお諮りいたします。

 去る十一月十五日、内閣提出、教育基本法案を可決すべきものと決した結果、本案は議決を要しないものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

森山委員長 起立多数。よって、本案は議決を要しないものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

森山委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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