衆議院

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第3号 平成24年4月12日(木曜日)

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平成二十四年四月十二日(木曜日)

    午後二時十分開議

 出席委員

   委員長 青木  愛君

   理事 井戸まさえ君 理事 辻   惠君

   理事 永江 孝子君 理事 樋口 俊一君

   理事 和田 隆志君 理事 竹本 直一君

   理事 永岡 桂子君 理事 大口 善徳君

      相原 史乃君    磯谷香代子君

      緒方林太郎君    笠原多見子君

      勝又恒一郎君    川口  博君

      工藤 仁美君    櫛渕 万里君

      熊田 篤嗣君    小室 寿明君

      斉藤  進君    坂口 岳洋君

      瑞慶覧長敏君    玉木 朝子君

      中川  治君    中屋 大介君

      仁木 博文君    野田 国義君

      花咲 宏基君    浜本  宏君

      福田衣里子君    藤田 憲彦君

      宮崎 岳志君    室井 秀子君

      森山 浩行君    柳田 和己君

      山口 和之君    吉川 政重君

      和嶋 未希君    今津  寛君

      北村 茂男君    後藤田正純君

      近藤三津枝君    柴山 昌彦君

      野田 聖子君    平井たくや君

      福井  照君    吉野 正芳君

      吉井 英勝君    小林 正枝君

      吉泉 秀男君    中島 正純君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            松原  仁君

   内閣府副大臣       後藤  斎君

   厚生労働副大臣      辻  泰弘君

   内閣府大臣政務官     郡  和子君

   文部科学大臣政務官    城井  崇君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 太田 裕之君

   政府参考人

   (内閣府消費者委員会事務局長)          原  早苗君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    石井 隆之君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    細溝 清史君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     松田 敏明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 米田耕一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 香川 剛広君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           藤本  潔君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            佐々木伸彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 高原 一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 荒川 光弘君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 田村明比古君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局次長)            木場 宣行君

   衆議院調査局第三特別調査室長           仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  川口  博君     花咲 宏基君

  櫛渕 万里君     小室 寿明君

  玉木 朝子君     浜本  宏君

  中川  治君     熊田 篤嗣君

  山口 和之君     笠原多見子君

  和嶋 未希君     坂口 岳洋君

同日

 辞任         補欠選任

  笠原多見子君     瑞慶覧長敏君

  熊田 篤嗣君     室井 秀子君

  小室 寿明君     勝又恒一郎君

  坂口 岳洋君     和嶋 未希君

  花咲 宏基君     柳田 和己君

  浜本  宏君     吉川 政重君

同日

 辞任         補欠選任

  勝又恒一郎君     櫛渕 万里君

  瑞慶覧長敏君     山口 和之君

  室井 秀子君     中川  治君

  柳田 和己君     川口  博君

  吉川 政重君     玉木 朝子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

青木委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官太田裕之君、内閣府消費者委員会事務局長原早苗君、警察庁交通局長石井隆之君、金融庁監督局長細溝清史君、消費者庁次長松田敏明君、総務省大臣官房審議官米田耕一郎君、外務省大臣官房審議官香川剛広君、農林水産技術会議事務局長藤本潔君、経済産業省通商政策局長佐々木伸彦君、資源エネルギー庁長官高原一郎君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君、国土交通省道路局次長荒川光弘君、国土交通省鉄道局次長田村明比古君、国土交通省自動車局次長木場宣行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

青木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

青木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。緒方林太郎君。

緒方委員 民主党、緒方林太郎でございます。

 この消費者特別委員会、貴重な質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。ただ、二十分でありますので、少しスピードを上げながらやっていきたいというふうに思います。

 きょうのお題は、私、最近TPPとか経済連携でもよく取り上げられる遺伝子組み換え作物の話について、消費者庁にお伺いをいたしたいと思います。

 遺伝子組み換え作物の表示の問題というのは、これから恐らく、経済連携を進めていったり、そもそも日本の国民の安全という観点から、大きな課題になってくると思います。

 そこで、まず一番最初に農林水産省にお伺いをいたしたいのが、最近、農林水産省の方で遺伝子組み換え作物に関する意識調査というのをやられていると思います。国民の皆様方がこの遺伝子組み換え作物についてどういうふうに認識をしておられるか、御答弁をお願いします。

藤本政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御質問の遺伝子組み換え農作物に対する国民の意識につきましては、平成十九年度に農林水産省が全国の不特定の男女約一万人を対象に実施した、遺伝子組換え農作物等に関する意識調査というものであるというふうに承知をしております。

 この調査の中で、遺伝子組み換え農作物に対する不安感についてお尋ねを申し上げておりますけれども、七〇・九%の方が不安があるという回答をされた一方で、遺伝子組み換え技術につきましては、四一%の方々が農業分野への期待感を持つというような回答をされたというふうに承知をしているところでございます。

緒方委員 ありがとうございました。

 七〇%を超える方が何らかの形で、やはり遺伝子組み換え作物、ちょっとどうなのかなというふうな懸念を持っておられるということは、これは今の農林水産省からの御答弁のとおりであります。

 その一方で、この遺伝子組み換え作物というものの例えば表示を強化しようとかいう話が出てくると、WTOでどうだとか国際ルールでどうだとかいう話が必ず出てまいります。これはWTO協定の中のTBT協定にひっかかるテーマでございまして、その派生したところで、各経済連携協定でも、TBTの項目が立つときには議論の対象になる、ならないという議論がございます。

 しかし、私思うんですけれども、そもそも、遺伝子組み換え作物の表示を強化する、例えば今よりもより多くの情報を提供するとか、そういうことを国内で法制化したと仮定するときに、それは国際条約上、特にWTO・TBT協定との関係で何か不都合が生じるのかどうかということを外務省にお伺いしたいと思います。

香川政府参考人 お答え申し上げます。

 TBT協定に食品表示に関するルールが規定をされておりまして、そこでは、正当な目的の達成に必要なもの以上に貿易制限的なものを課してはいけない。正当な目的というのは、人の安全でありますとか健康でありますとか、環境保全でありますとか、そういう目的が例示されていますけれども、それ以上に貿易制限的ではいけないと。それから、内外無差別、国内それから海外との関係で無差別に扱わなくてはいけない。

 これが一般的に規定されているものでございます。

緒方委員 ありがとうございました。

 つまり、正当な理由があって、かつ内外無差別であれば、措置をとることが禁じられるものではない、現行の国際条約のもとでそういったことがないということであります。

 振り返ってみまして、国内の現在の遺伝子組み換え作物の表示というのは、二種類に分かれるんですね。たんぱく質の組成が加工の過程において残るものと残らないもので分かれる、現在の法制度上そうなっているわけでありますけれども、実際に、その表示の中で、遺伝子組み換え作物を含むケースであっても表示の義務がないものというのがあると思います。幾つか例があると思いますので、消費者庁、御答弁いただければと思います。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、遺伝子組み換え作物につきましては、その品種ごとに科学的な評価を行いまして、安全性が確認されたものだけが輸入や流通等ができる仕組みとなっております。現在、大豆、トウモロコシなど八種類の遺伝子組み換え作物の国内販売が認められておりまして、食品衛生法及びJAS法に基づきまして、これらの八作目、それからその加工食品でございます三十三の食品群につきまして、遺伝子組み換えのものと、これと不分別のものに対して表示を義務づけているところでございます。

 今御指摘ございました、大豆油やしょうゆ等のように、組み換えられたDNA及びこれによって生じたたんぱく質が製造工程で除去、分解されまして、これらを検知できない加工食品につきましては、当該加工食品の原材料として遺伝子組み換え作物を使用しているか否か技術的な検証が困難であるため、義務表示の対象としていないということでございます。

緒方委員 スーパーに行って、大豆であったりトウモロコシであったりという、いろいろな遺伝子組み換えを使っているものを見るときに、遺伝子組み換えを含むと書いてある商品というのを、私はこれまで、スーパーでいろいろなものをひっくり返して見てみても、見つけたことがございません。

 しかしながら、統計をいろいろ見ていると、遺伝子組み換え作物、結構輸入されているんですね。相当程度輸入をされている。なのに表示がないというのは、先ほど次長の方からもありましたとおりで、組成が残らないものについては表示の義務がないということがある、まずここは押さえる必要があると思います。

 それ以外にも、組成が変わっていないものであっても表示の義務がないものがありますね。何でしょう、消費者庁。

松田政府参考人 今申し上げましたとおり、大豆、トウモロコシなど八種類の遺伝子組み換え作物とその加工食品三十三食品群につきまして、遺伝子組み換えのもの及び不分別のものに対して表示を義務づけておりまして、このうち加工食品につきまして、多種多様な原材料を使用し、さまざまな加工段階を経るため、全ての原材料について遺伝子組み換え食品であるか否かを確認されることは困難ということから、原材料の重量に占める遺伝子組み換え食品の割合が上位三位以内、かつ五%以上となっているものに限りまして、表示義務の対象といたしておるところでございます。

緒方委員 ということは、もう少し整理をいたしますと、組成が残らないものについてはそもそも表示の義務がない、組成が残るものについては表示の義務があるということですけれども、これをもう少し深めて考えていくと、何の表示もないもので、表示の義務がない、組成が変わっているものについては、表示がないときは、恐らく相当な可能性で遺伝子組み換えが含まれているということが推定されると思います、かなり輸入しているので。輸入しているけれども表示がないということは、恐らく表示がないところに使われているというケースが大半であろうと思います。逆に、組成が残っていて表示の義務があるもので何も書いていないケースというのは、これは含まれていないということであります。

 つまり、ここまでわからないと、実際には遺伝子組み換えがどうなっている、表示がどうなっているということではわからないんですね。けれども、これを知っている国民の方というのは恐らく相当に少ない。消費者問題に相当関心がある人でないと、ああ、これは表示のない、表示の義務がない品目ですねと。ここで表示がないということは、けれども、遺伝子組み換え作物を相当輸入している現実を見てみれば、これは恐らく遺伝子組み換え作物でつくった商品であろうというふうに思わなきゃいけないし、逆に、表示の義務があるものであれば、何も書いていなければ、ああ、含まれていないんだな、そこまで判断することを今消費者に強いているわけですね。今、消費者にそこまでの知識を持ってくれと。

 もっと言うと、先ほど、五%、上位三位という話がありました。加工食品で上位三位までに含まれていなければということですが、これは物すごく限界事例を申し上げると、計算を立ててみると、二五%未満までは含まれている可能性があるということですね、上位四番目に入ればいいわけですから。遺伝子組み換え作物(表示の義務があるもの)であっても、上位四位であれば、上から数えて四位であれば表示の義務がないということは、物すごく限界事例を見てみれば、二五%近くまでは、二五%未満までは含まれているということがあり得る、理論的に。そういう理解でよろしいですか、消費者庁。

松田政府参考人 今委員の御指摘は、多分、二五%というのは、上位三位が二五、二五、二五で、八作物のうち、例えばパパイヤ、あとリンゴとミカンと全部一緒にして、一対一対一対〇・九九、そのパパイヤが二四%だったときにそれは含まれないではないかという御指摘かと思いますが、理論的にはそういうことが全くないとは言えません。

 これはカットラインとして、現実に本当にそういった等分的なことがあるかどうか別にいたしまして、どこかでカットラインを設けなきゃいけないということで、先ほど申し上げましたように、上位三位かつ五%以上になっているものということで今基準を定めておるということでございます。

緒方委員 今の答弁も含めてもう一度整理をすると、組成が残らないもの、表示義務がないものについては、そもそも表示義務がないから知り得ない。表示義務があるものについてでも、五%未満、場合によっては、もう本当に究極のケースを見てみれば二五%未満までは、仮に組成が全く変わっていないものであっても、本来、表示の義務があるケースであっても、これを知り得ることができないというふうになるわけであります。

 こうやって考えていくと、この理屈を全部知った上でないと、消費者の方々が遺伝子組み換え作物に対して、先ほど七〇%を超える方が不安があると言われたけれども、ここまで知らないと、実際には、自分は食べたくないという人、何があろうが、遺伝子組み換え作物を食べることは組成が残っていようが残っていなかろうが嫌だという人の期待に応えていないと思うんですよね。全く応えていないと思います。

 組成が残っていないから、検出できないから、だから不表示だと言っているけれども、恐らく、先ほど農林水産省の方でお答えいただいた七〇%を超える方は、そんなことはどうでもいいんだ、ともかく使っているのが嫌だという方が七〇%の中に相当程度おられると思います。

 ちなみに、私個人でいいますと、私個人は、遺伝子組み換え作物のものを食べること、何らいとわない人間なんです。全然いといません、ばくばく食べると思います。ですけれども、これは自由な選択を消費者にやはり提供すべきだと私は思います。

 いかがでございますでしょうか、大臣。

松原国務大臣 今、緒方委員のおっしゃっている意味は、非常によく理解できるところであります。

 お話がありましたように、上位三位以内かつ五%以上というものが表示義務となっているわけで、これを書いた段階では、大体この両者でという話であって、今、緒方委員がおっしゃったような、二三%で四位というのは恐らく想定していないと思うんですよね。だから、そういった意味では、こういったことも含めて、若干の研究の余地はあるのかなというのが、議論を聞いていて率直に感じたところであります。

緒方委員 ともかくわかりにくいのが今の制度でありまして、今、消費者庁の方で、表示のあり方について、一元化について検討をされていると思います。その中で、ともかくわかりやすいものを、先ほどみたいに、裏にある理屈を全部知らないと今から我々が食べようとしているものが遺伝子組み換えを使っているか使っていないかというのがわからないような制度では、私はよくないと思います。

 実際に、こういうふうなことにして表示を強化することについても、正当な理由があり、内外無差別であれば国際条約違反になることはない、そういうお話でありました。これから一元化の中で、わかりやすくて、そして消費者の自由な選択に資するような、そういう制度設計をやっていただきたいと思うんですが、大臣、もう一度、いかがでございますか。

松原国務大臣 現行の遺伝子組み換え食品の表示は、平成九年の五月に設置された、学識経験者、消費者、生産者、流通業者及び製造業者等の代表者から成る食品表示問題懇談会遺伝子組換え食品部会において、表示の信頼性や実行可能性の観点を含め、約二年四カ月にわたり検討され、取りまとめられた「遺伝子組換え食品の表示のあり方」に基づき定められたものであります。

 このように、有識者等の意見に基づき総合的に検討された上で定められた制度であることに加え、遺伝子組み換え食品は安全性が確認されたものだけが輸入や流通等ができる仕組みとなっておるということと、遺伝子組み換えでない旨の任意表示が付された食品も相当程度流通していることも事実であります。

 しかしながら、いわゆる表示の一元化の議論の中で、私は、この表示の一元化というのは、やはり消費者の知る権利を含めて確立をすることにつながると思っておりまして、また、委員の御指摘も非常に重要な指摘だろうというふうに思っております。今後の検証技術の向上や関係者等の意見も踏まえ、遺伝子組み換え食品に係る義務表示のあり方についてはさらに検討してまいりたいと思います。

緒方委員 ありがとうございます。

 消費者の皆さん方の中には、嫌なものは嫌だということがあると思いますし、それは、仮に科学的な検証をした上で、これは大丈夫ですと言っても、嫌なものは嫌だと。その期待に私はある程度応えるべきではないかなという思いを持っております。なので、今、表示の一元化の話というのはとてもいい取り組みをされているというふうに思いますので、本当にいい意味で一元化、一つにまとめる努力をしていただきたいし、その中で強化をしていただきたいというふうに思います。

 そして、私は、TPPについては賛成派の方に属しているんですけれども、ただ、その中で私が絶対これはだめだと思うのが、アメリカ側からは遺伝子組み換え作物の表示についてさらに緩和しろというような話が出てくるんじゃないか、そんな懸念も国内には相当程度ございます。私は、これはやるべきではないと思います。

 やはり国民の問題意識に正しく応えるということが行政、そして政府、国の役割でありまして、その自由な選択を国民が望んでいると思います。自由な選択をしたい、不安があるから、七〇%を超える方が不安を持っているんだから、その結果として、やはり自分が食べるものは何を食べているか知りたいということはあると思います。

 なので、これは所掌ではないと思いますけれども、松原大臣に、これからの臨むべき経済連携協定、さらにはTPP、表示について、ゆめゆめそれを弱くするような、緩めるようなことは、炎の大臣、松原仁、絶対やらないというふうに御答弁いただければと思います。

 以上でございます。

松原国務大臣 消費者の利益を守るのは我が消費者庁の使命であるし、任務でありますから、当然、こういったTPP交渉においても消費者の立場から国益を最大限追求するということでありますから、今委員おっしゃった観点から、消費者のメリット、利益がきちっと担保されるよう、全力で取り組んでまいります。

緒方委員 二十分というのは早いですね。

 これは恐らく全国津々浦々、消費者の方々の問題意識は高いと思います。きょうは質問いたしませんでしたが、実際に日本の制度とEUの制度を比べてみると、EUの方が物すごい厳しいんですね。EUは、例えば餌に使う飼料でも表示の義務があるとか、そして、先ほど五%と言っていた数字は、EUでは〇・九%です。非常に低い数字、非常に厳しい基準が適用されている。EUにできて日本にできないということはないだろうと思います。

 消費者の自由な選択と、不安を払拭するため、その観点から頑張っていただくことを御祈念申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

青木委員長 次に、永岡桂子君。

永岡委員 自民党の永岡桂子でございます。きょうは、松原大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 大臣、本当にお忙しいと思うんですよね。きょうは北朝鮮の衛星が発射されなくてよかったかなと思っております。万が一のことがあればこの委員会もやれないというようなことを伺っておりましたので、きょうは安心して質問させていただきます。

 大臣は国家公安委員長ですとか拉致問題も担当されていらっしゃいますし、本当に消費者問題になかなか時間が実は割けないのではないか、そういう懸念を持っております。民主党政権が発足いたしましてから二年半たちます。大臣、消費者問題担当の大臣の何人目だか御存じですか。

松原国務大臣 この御質問は二回目か三回目なんですが、八人目の大臣でございます。

永岡委員 要らぬことを聞きました。当たりでございます。八人目でございます。一大臣、大体四カ月でかわっているということでございまして、そういう計算になりますね、単純計算ですと。消費者庁の立ち上げのときには大変熱心に取り組んでいただいた民主党なんですけれども、政権をとった途端に消費者行政にはちょっと不熱心じゃないか、そういうふうに感じているのは私だけではないのではないかと思っております。

 もう三カ月たちますし、大臣としても、いろいろと消費者行政に、本当に、炎の男でございますので、陣頭指揮をとってこられたと思います。この三カ月間、どのようなことをこの消費者行政に対してやっていらっしゃったのか、お聞きいたします。

松原国務大臣 三カ月経過をいたしまして、消費者問題、消費者の立場から、きちっと安全と安心が担保できるように頑張ってきたつもりであります。

 一月の就任以来、一つは、消費者安全法の一部を改正する法律案、また、特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出し、国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の体制の在り方に関する検討会及び公共料金に関する研究会を立ち上げるなどの取り組みを進めてまいりました。

 また、私は、消費者や地域の現場の実態把握、消費者団体など民間、地方で熱意を持って活動されている方々との連携といった視点が、充実した消費者行政を行う上で極めて重要と考えております。このため、国民生活センターの視察や地方消費者グループ・フォーラム、全国消費者フォーラムにも出席をし、消費者団体との意見交換を行ってまいりました。

 また、さらに、月に一回程度、定期的に消費者団体との意見交換を行う機会を設けようということで、先般行ったところでありますが、これは毎月一回やる。私の思いとしては、テーマを決めないで、そのときの議論をお互いにして、その中で、消費者団体の方々と消費者庁というか我々がきちっと一つの共通の感情や問題意識、それを持つことが大事だろうというふうに思っております。

 もっと言えば、消費者団体はそれぞれ、長いものはもう八十年とか大変な歴史を持っている、短いといっても二十年、三十年のものがたくさんある中で、ある意味でこちらの方が先行して消費者問題を扱ってきていて、今、消費者庁はできたてでありますから、そういった意味では、こういった消費者団体の今までの伝統とか問題意識を同じように共有することが大事だという認識にあるわけであります。そして、公共料金や国民センターに関する検討会により多くの消費者団体の方々に参画していただくように指示をしております。

 消費者行政は多くの課題に直面しておりまして、今後については、消費者庁で現在、既に国会へ提出した二本の法案のほか、集団的消費者被害回復に係る訴訟手続に関する法律案も今国会への提出を目指しております。このほか、消費者被害の防止のための情報の収集、分析、対応の強化や、消費生活の現場である地方消費者行政強化に重点的に取り組んでまいります。

 一方、消費者委員会には、消費者行政にかかわる重要事項について精力的に審議し、建議や提言等を積極的に行っていただいたところであり、自分に宛てられた建議等についてはしっかり対応してまいりたいと思います。

 今後とも、国民の期待に応える消費者行政を実現していきたいと思います。

永岡委員 本当にたくさんの項目を検討していただいているということで、力強く感じることができました。ぜひぜひ、この調子でずっと、四カ月とは言わず、もっと大臣をやっていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。

 さて、先ほど大臣は、現場を担います地方消費者行政の充実に取り組むというお話がありました。大臣は、国センにも伺っている、それから地方の団体の方、そういう方たちともお話をしているということでございますが、地方の消費者センターというのは伺ったことがありますでしょうか。

松原国務大臣 これから参りたいと思っております。

永岡委員 そうなんです、ぜひいらしていただきたいと思います。やはり現場を担いますのは地方の消費者センターでございますし、また相談所でございます。消費者庁というのは出先の機関がありませんよね、国交省とか農水省とかに比べますと。そういう点では、やはり地方の消費者の声をしっかりと吸い上げるのが各地域の自治体の消費者センターであり、相談所でございますので、その方たちの声をしっかり聞くことが重要かと思っております。ぜひいらしていただきたいと思います。

 私、何回も、地元が中心なんですけれども、茨城県の県の消費者センター、それからまた各市の相談所に伺って相談員の方からお話を伺うことがあるんですが、その中で、いろいろと相談員の方から、これが大変なのよとか問題なのよという話を伺うんです。その中でやはり一番の大きな問題というのが、非正規雇用の方が多いんですね。あと、雇いどめの問題などもございますし、消費生活センターに寄せられている苦情や相談を集積しますPIO―NETの使い勝手、これが非常に悪いというような、そんな話も伺うんですね。

 大臣は、地方には行っていなくてもこの話を伺ってはいると思うので、ぜひこの対応を、真摯に向き合っていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

松原国務大臣 いわゆる雇いどめといいますか、こういった問題があることは非常に重く受けとめておりまして、これに関しては、消費者庁長官からもそういったことに関するお願いの文書が出されてもいるわけであります。

 我々は、この部分で、現在、相談員について全国的に一定の水準を確保し、地方自治体等が提供する消費生活相談業務の一層の質の向上と体制の整備を図るべく、消費生活相談員の資格の法的位置づけの明確化についての検討を行っているところでありまして、ことしの夏を目途に中間取りまとめを行っていきたいと思っております。

 どちらにしても、そうしたきちっとした資格を持たせることによって、消費生活相談員の方々のやる気も上がるだろうし、また安定も出てくるだろう。しかも、雇いどめをすることによって、従来、経験と蓄積を持った人が外れてしまうというような、大変にこれはある種の人的財産が失われることになるわけですから、それは避けなければいけないと思っておりまして、今言った法的な資格についての検討をしているところであります。

 同時に、PIO―NETについても、相談員の入力負担の軽減や情報分析機能の向上などを考えて、一段と使い勝手のいいものにするべく、これは、平成二十三年十二月にPIO―NET刷新に関する検討会を立ち上げて、この六月を目途にまとめていきたい、このように考えております。

永岡委員 ありがとうございます。

 幾つもお答えいただいたので、ちょっとその中から質問させていただきたいんです。

 確かに、大臣がおっしゃいますとおり、相談員はただ電話の前にいればいいというだけではありませんよね。消費者からの相談を的確に判断して解決しなければならないわけでして、本当に、その解決に至るまでには、やはりその人の知識と経験というのを積み重ねていかなければならないわけです。私、ベテランの相談員の方にお聞きしましたところ、最低五年はかかるわ、そういうふうにおっしゃるんですよ。ぜひ、そういう点も考えまして、相談員の質の向上と確保については、適宜、法の整備をしまして、これは資格ですね、法整備もよろしくお願いしたいと思っております。

 この法の整備なんですが、これは相談員の方の資格の法制化というのが検討されているわけなんですけれども、消費者庁の調査によりますと、資格制度があることが雇用の期間ですとか雇用の更新について今現在影響するかという問いに対しまして、資格を持っていない人と持っている人の差はないというのがセンター長の回答なんですね。ちょっと驚いたんですよ。六割以上の方が、資格を持っていても持っていなくても、次の、来年度の雇用に対するインセンティブはないというわけですね。

 そんなことがありますので、法制化されただけでは待遇の改善には余りならない、影響は限定的なものである、そういう調査結果が出ております。仮に法制化するということでありますと、自治体において正当に評価されるような制度にもしなければいけないと思っておりますが、いかがでしょうか。

松原国務大臣 消費生活相談員の資質の向上、今委員御指摘のように、五年で、ある意味で、相談員として十分な資質を持つようになるだろうという御指摘もありました。

 アンケート調査では、相談員の資格を法令に位置づけることが必要であるという答えが、どちらかといえば必要であるという回答と合わせて、センター長についても相談員についても八〇%というふうに私の方には資料があるので、恐らく、こういった資格は一定の効果というか評価を受けるのだろうというふうに私は思っております。

 もちろん、これまでも四回開催した、消費生活相談員や地方自治体からのヒアリングを行い、全国の消費生活センターのセンター長や相談員を対象にアンケートを行った結果でありまして、こういったものを含めて、私の方では、相談員の法的な資格というものを検討するべきだという方向で今考えているところであります。

永岡委員 大臣、ありがとうございます。

 同じアンケートを見ていると思うんですけれども。これは消費者庁の地方協力課がやりましたものですね、平成二十二年の四月にまとめております。その中で、雇用に関して資格を持っていようがいまいが余り関係ないということがはっきり出ておりますので、ぜひぜひそのことを認識していただきたいと思っております。

 全国の消費生活相談員は、この時点で三千百四十六名いらっしゃいます。そのうちの二六%の八百十八名、この方たちが資格を持っていない状況なんですね。持っていなくても、八百十八名の方がお仕事をなさっていらっしゃいます。

 そう考えますと、やはり、地方での相談員の確保についても対応が必要ではないかと思っておりますので、そういう点でも前広にしっかりと対応していただければと思っておりますが、いかがでしょう。

松原国務大臣 私の説明が不十分だったかもしれませんが、いわゆる資格といっても、例えば国民生活センターや日本産業協会や日本消費者協会が出す資格というのがありまして、それは消費生活専門相談員とか、日本産業協会の場合は消費生活アドバイザー、消費者協会は消費生活コンサルタントですが、これは資格ではありますが、ここで議論している法的な資格ではなくて、これらの団体が出している資格なんですね。

 法的位置づけを持つ資格というのはこれから検討していこうということでやっておりまして、この資格においては、確かに委員おっしゃるとおり、八百十八名の資格がない人とそうでない人の差が、ないわけではないですが決定的ではないですが、法的なものを持つ資格になれば、これはかなり効果が上がるのではないかというふうに考えているところであります。

永岡委員 そうです。一つに統一するとか、三つのテストを受けて通った人、資格を持った方、国の方でもぜひ統一していただきまして、しっかりとした、消費者に対する相談がかなうように御努力いただきたいと思います。ありがとうございます。

 では、次の質問に行きます。

 次には、食品の放射性セシウムの規制問題についてお伺いしたいと思います。

 この四月から、これまでの暫定基準値の基本が一キログラム当たり五百ベクレルでございました、これから大幅に引き下げられまして、一般ですと一キログラム当たり百ベクレル、乳児用ですと五十ベクレルという新しい基準になりました。これは大臣ももう御承知のことと思いますけれども、より安心な食品が消費者の手元に渡りますように、リスクができるだけ少ないように、厳し目の基準を定めて、安心して食品が購入できるようにという考えで定められた規制でございますが、現在、生産者、また流通、小売、それぞれの段階で、現場で悲喜こもごもの事態が発生しております。

 大手スーパーが限りなくゼロに近い値を求めております。また、一般基準の百の半分の五十以下のものしか出荷しないという、生産者が自主規制をしているところもありますし、また、一般の百という基準以下であってもスーパーが受け取ってくれない、そういうために、つくりました野菜を破棄しなければならないなどの問題が出てきております。こうした自主規制ですとか基準値以下の食品を求める動きというのは、全て消費者の要望を踏まえてのことと言われているようでございます。

 そうしますと、小売業者などがこういう対応をするというのは、食の安心、安全という大義名分のもとに、むしろ消費者の食への不安をあおるのではないかと私は感じてしまうんですね。多くの情報がある中で、放射能の問題に過剰に反応することがないように、消費者一人一人が正しい知識を持って、また、正しい選択を行って、いわば賢い消費者となるために、消費者庁が主導権を持ちまして消費者教育を絶え間なく推進していく必要があると思いますが、大臣、いかがでしょう。

松原国務大臣 委員の御指摘は二つのポイントがあると思っているんですね。今のこの状況の中でどのようなことをするのか、そして一方、賢い消費者をどのようにして育むのかという、二つの論点があったと思っております。

 それぞれについてお答え申し上げたいわけでありますが、消費者庁としては、関係省庁、地方自治体等と連携しながら、これまでに食品と放射能に関するリスクコミュニケーションとしてのシンポジウムを全国で、平成二十三年度には四十五カ所、今年度に入り三カ所で実施し、消費者が正確な理解に基づき行動できるように努めております。

 また、消費者の目線で消費者へわかりやすい情報提供に努めてきておりまして、具体的には、食品中の放射性物質の新しい基準値について、今委員おっしゃいましたように、五百ベクレルだったのが百ベクレルになった、こういったことも含めて、チラシで解説をし、放射性物質や食品等の安全や問題をわかりやすく説明する冊子「食品と放射能Q&A」を提供しております。また、食品、水道水の検査結果や出荷、摂取制限の範囲など、正確な情報を消費者庁のホームページで発信をしております。

 今後とも、こうしたリスクコミュニケーション等も深めて、委員御指摘の状況に対しては対応していきたいと思っております。

 同時に、賢い消費者ということで御指摘がありました。

 委員御指摘のとおり、多くの情報がある中で、正確な情報に基づき自主的かつ合理的に判断できる消費者を育てることは、極めて重大であると考えております。

 このような賢い消費者を育成するため、消費者庁のリーダーシップのもと、文部科学省を初め関係省庁や関係団体と連携をしながら、教育機関や各地域のあらゆる場面で消費者教育を進めてまいりたいと考えております。

永岡委員 ありがとうございます。

 ぜひ、消費者庁として独自の対応、本当に各消費者の方がしっかりと放射能に対して認識ができるように御指導いただきたいと思っております。

 それに関連してなんですけれども、消費者庁と国民生活センターによりまして、放射性検査機器の地方自治体への貸与という事業が進められております。これは、地方自治体はどの程度この事業を活用しているのでしょうか。現在の申請状況ですとか検査機器の配備などの状況、そこのところを具体的にお伺いしたいと思います。

松田政府参考人 データの話でございますので、事務方からお答えさせていただきます。

 地方自治体への放射性物質検査機器の貸与につきましては、四次にわたり申請を受け付け、合計で三百十五の自治体から四百十八台の申請がございました。

 この申請を踏まえまして、放射性物質の影響、地域的なバランス等を考慮しながら、第一次で二十四台、第二次で五十台、第三次で百五十台の配分先を決定いたしました。合計して百五十九の自治体に計二百二十四台を配備することになって、五月末までに全て配備する予定でございます。引き続き、第四次配分といたしまして、百五十台以上の配分ということで今後予定しております。

 また、地方自治体における検査体制の整備をサポートするために、検査に従事する職員等への研修を行っているところでございます。

永岡委員 ありがとうございます。

 随分たくさんの台数を地方自治体に貸与していただいているということは感謝いたしますが、次長、これで漏れがないでしょうか。ほかに手を挙げている自治体に必ず行っているのかどうか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。

松田政府参考人 今お答え申し上げましたとおり、これまでの配分では、放射性物質の影響でありますとか地域的なバランスを考慮いたしたわけでございますが、委員御指摘のように、まだ漏れがないのかということでございます。

 やはり、第四次配分におきましては、これまで配分できなかった自治体の御要望に可能な限り対応いたしたい、積極的に対応してまいりたいと考えております。

永岡委員 この事業につきましては、消費者庁が実施されている政策の中でも本当に立派な事業だと考えております。必要としております地方自治体に対して、ぜひ十分な機器の提供をこれからも行っていっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、先ほど実は質問を飛ばしてしまいまして、またちょっとPIO―NETについて、戻って質問させていただきたいと思います。

 PIO―NET、これはやはり地方消費者行政にはなくてはならないものでございます。そのPIO―NET、私は先ほど申しました、使い勝手が悪いと。本当に、見てまいりまして、実は、紙を一枚出すということになりますと、クリック、クリック、クリックと、十回以上クリックしないと紙一枚出てこないんですよ。印刷ができないんですね。ちょっと驚きましたね。

 あともう一つは、次の画面に進もうと思いますと、パソコンの画面の真ん中がくるくる回っていて、随分回っているんですけれども、画面が変わらないんですよ。これでは、一生懸命やっている相談員の方がお気の毒だなと。本当に動きが鈍くて、とろいと言ってしまった方がいいんじゃないかと思います。

 このPIO―NETについても検討会で審議しているというふうに伺っておりますので、この点、新しくもっと素早く動くようなPIO―NETに変えるというようなことは検討されているかどうか、お聞きしたいと思います。

松原国務大臣 PIO―NETが、さまざまな消費者からの問題意識を収れんしたり、また機敏な対応をするための大きな情報の宝庫であることは委員御指摘のとおりだろうと思っておりまして、その機能をさらに有効に使いこなせるようにするということは、これは消費者のためになる大きな便益だと思っております。

 私も、実はこの間、国民生活センターに行ってPIO―NETをやってまいりました。紙を出さなかったものですから、非常にこれはいいなと思って戻ってきたんですが、次は紙を出す方もやらなければいけないということであろうと思います。

 御指摘の点も含めて、私の方からもこの研究会の方に示唆をしていきたいと思いますし、当然、そういったことも含め検討されているというふうに承知をいたしております。

永岡委員 ありがとうございます。

 そうなんです、紙を出してみてください。全然出てこなかったので、ちょっといらつきました。それはやはり経験してみないとわからないことなので、毎日PIO―NETを相手にして仕事をしている方たちは相当ストレスがたまっているんじゃないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では次に、国民生活センターのあり方の見直しについて伺います。

 前大臣の山岡大臣のもとで、昨年、国民生活センターの国への移行についての判断がなされたわけです。松原大臣は、就任後、国民生活センターの国への移行の問題についてどのような説明を受けられたのか、お聞きしたいと思います。

松原国務大臣 国民生活センターの国への移行ということに関しては、さまざまな要素があるというふうに承りました。財政的な部分もあったり、また、そちらの方が総合力が出るというような指摘もあったようであります。

 私は、そういった議論を受けて、これは閣議でもそういった方向で決まっているわけでありますが、国民生活センターの国への移行に関しては、やはり、従来の議論は議論で尊重しながらも、どのようにして国民生活センターが今まで担ってきた機能が維持され、拡充されるかという観点も含めて検討していかなければいけないというふうに認識をしております。

 ただし、おととい、実はその検討会があってさまざまな議論が行われましたが、こういった状況の中だと、やはり国というものが後ろにいるのも、極めてそれは国民生活センターの機能の維持拡充にはプラスではないかというような発言もございましたので、そこは、どうやってそのいい部分を残していくのかというのを考えながら検討していきたいと思っております。

永岡委員 済みません、今ちょっと聞こえなかったんです。国が後ろにいると国民生活センターの機能が強化されるということでよろしかったんでしょうか。

松原国務大臣 財政的な後ろ盾として、それは大きいというような指摘もあったところであります。

永岡委員 わかりました。そういう認識なのだということで了解いたしました。

 それでは、既に大臣は、昨年までの議論の経緯も御存じだと思っております。国への移行の前は、消費者庁への一元化ということで随分と話し合われてきたわけでございますが、今回、二月から始まりました検討会での国への移行というものは、国センの消費者庁への一元化ということとは違うという認識でよろしいのでしょうか。

松原国務大臣 違うという認識で結構です。違うというか、それも含めて、つまり、国へ行くということの選択肢はさまざまあるということであります。

永岡委員 ありがとうございます。

 では、消費者庁への一元化は排除しない、それも国への一元化の一つであるということでございますね。そうなんですか、ちょっとびっくりいたしました。

 自民党といたしましては、昨年十二月、国民生活センターのあり方の見直しに関する決議というものを消費者庁に提出しております。そのとき大臣は山岡大臣だったんですが、三年前の消費者庁と消費者委員会の設置につきましては、与野党を超えまして議論を重ねて、本当に全党、全会一致での成立が実ったわけなんですね。それを消費者庁と国民生活センターの組織の変更を強行するということであれば、残念ながら、自民党としては一元化には、まあ去年のことは一元化ですけれどもね、一元化には断固反対せざるを得ない、そういう旨の決議書を消費者庁には提出しているわけでございます。

 この点に関して、大臣はどういう御見解をお持ちでしょうか。

松原国務大臣 国民生活センターのあり方の見直しに関する決議というのを私も拝読いたしておりまして、非常に重要な御指摘が書かれているというふうに認識をいたしております。

 私、一体何が消費者の利益になるのか、それを最大限にするためにどうしたらいいのかというのが我々の判断でなければいけないと思っております。

 今、一応、この段階では国への一元化という議論はありますが、それは消費者庁との一元化ではないということはもう申し上げているところでありまして、さまざまな選択肢があるということの中での議論が行われております。ちょうどそのための検討会がもう既に先般で五回行われまして、私もほとんどの回に長い時間ずっといて、皆さんの意見に耳を傾けるようにしております。

 私なりに一定の、それぞれの皆さんの声を聞いて一つの考え方は大分生まれてまいりましたが、まだこの段階では、その場における議論、国への一元化ということを前提にしての議論でありますが、それを聞いている段階であります。その中では、さまざまな選択肢があるということの中で今議論が行われておりますが、多くの委員の方々から恐らく一つの方向がその中でも出てくるだろう、恐らく私の認識もそこの認識と一致するだろうということは申し上げておきたいわけであります。

永岡委員 四回、五回と検討会に御参加なさっていらっしゃるということで、だんだんと認識が深くなり、いい結果が出るのではないかなということを期待したいと思っております。

 私自身、国民生活センターが国の組織になってしまいますと、一番心配することは、国センが今まで実施してきておりますあっせんですとか、あとそれからADR、これがやはり、今までは国から独立して公平な立場でやっていたものが、国の中の組織に入ってしまうことによって変質してしまうのではないかということを私は恐れております。

 やはり、あっせんは、今までより一段とレベル高く、高い規律を持って、業界への指導と受け取られてしまうようなことも考えられるし、ADRは、ADRを踏まえての、実施している消費者への訴訟の支援、この支援というのがなかなか国の組織になるとできにくいのではないかというような考えもありますので、ぜひぜひそういうことも含めましてしっかりした対応、消費者庁そして消費者委員会を含めた国センのあり方というものが、消費者行政全体にわたって一番望ましいあり方になりますように、そういうあり方を構築できるように行ってほしいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

松原国務大臣 今、委員の御懸念も含めて、かなり深掘りした議論がこの五回の検討会で出ていると思っております。

 私自身も、それと別の、先ほど申し上げました消費者団体との意見交換会も、もちろん国センに関しての議論がそれはそれとして多く出ました。私は、近い将来において、早い段階で、五つぐらいの消費者団体に少し小分けした形で一時間半ぐらいのミーティングも行っていきたいと思っております。

 冒頭、私の問題意識は御披瀝を申し上げたわけでありますが、やはり、この問題に関して日本の中で最もずっと今まで熱心に取り組んでこられた方々との関係を重視しないで、本当の意味での消費者目線というのはなかなか生まれないだろうというふうに思っております。したがって、さまざまな懸念も示されておりますし、さまざまな問題意識がかなり出てきております。さらに私は深掘りをしたいと思います。

 そうした中で、結果として一番いい形で、そういった消費者のためになる組織のあり方というのを議論していきたいと思いますし、今、委員御指摘のように、消費者委員会や消費者庁を含め、国民生活センターを含め、また地方も含め、どういう形でこれが消費者のためになる陣取りといいますか構えになるのかというのをきちっとまた考えていきたい、このように思っております。

永岡委員 本当に松原大臣のおっしゃるとおりでございますので、消費者庁よりもずっとずっと古くからある消費者団体の方々、また弁護士会の方々などの意見、本当にしっかりと議論をして結論を出していただきたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。

 次に行きます。

 今国会に法案を提出していらっしゃいます消費者安全法の一部を改正する法律案、それから特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案、これはまだ委員会での提案理由の説明も受けておりませんけれども、この二法案については、消費者庁の担当の方々から数回にわたりまして我が自民党の調査会などで説明も受けております。きょうの十一時からも説明を受けておりまして、そのことについて、大臣がおわかりになる程度でよろしいのでお聞かせいただきたいと思っております。もちろん、細かい審議はその法案の審議のときにさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 消費者安全法の改正案についてお聞きしたいと思います。

 この法律案は、消費者庁に消費者安全委員会を設置して生命身体の被害についての原因調査の仕組みを導入するとともに、重大な財産被害についてすき間事案の行政的対応を可能とするものとのことですが、この改正によりまして、これまで対応できずにいたどのような課題に対して対応することができるとお考えになっていらっしゃるんでしょう。お聞かせください。

松原国務大臣 ぜひ、この消費者安全法の一部を改正する法律案、またこの場で御議論をいただくときには皆様から御賛同もいただきたいと思っておりますが、この法律案は、一つは消費者事故等の調査機関の設置と、消費者の財産被害に係るすき間事案への行政措置の導入の二つが柱となっております。

 まず、消費者事故等の調査機関の設置については、消費者庁に消費者安全調査委員会、委員御指摘の委員会を設置し、生命または身体の被害に係る消費者事故等の原因についての調査等を行い、被害の発生または拡大防止のために講ずべき施策や措置について、内閣総理大臣や関係行政機関の長に対し勧告や意見具申を行うものとしております。

 現行制度のもとで消費者庁に集約されている消費者事故情報を活用し、新たに科学的に事故原因を究明し、それに基づいて再発、拡大防止のための知見を得ることで、より効果的な事故の再発、拡大防止対策につなげるようにしていくことができるようになります。

 また、消費者の財産被害に係るすき間事案への行政措置の導入については、財産分野の消費者被害の中で、既存の法律で対応できないいわゆるすき間事案について、消費者の財産に対する重大な被害が発生している場合、こうした被害を生じさせる事業者に対して勧告、命令の措置を講じられるようにするものであります。

 これにより、財産分野の消費者被害の発生、拡大の防止のため、行政全体としてすき間のない対策を迅速に講じることができるようになります。

 いずれの改正項目も、消費者被害の発生、拡大防止という消費者安全法の目的達成のために必要なものであり、本法律案について速やかな御審議をお願いしたい、このように思っております。

永岡委員 ありがとうございます。

 これは本当にいろいろと問題があるなと実は感じておりますが、あともう一つ、特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案についてもお伺いしたいと思っております。

 これは、貴金属などの訪問購入、これは押し売りではなく押し買いとかそういうふうにも言われておりますけれども、その消費者とのトラブルを未然に防止すること。この法律案の成立によってどの程度の被害を防止することができるとお考えでしょうか、お聞かせいただきたいのですが、実際に、この商売、押し買いというものは本当は禁止した方がいいんじゃないか、押し買い、訪問買い取りすべてですね、そういう意見も実はあるんですが、それについてはどのようにお感じになっていらっしゃいますか。

松原国務大臣 委員御指摘のように、押し買いは、押し売りの逆ですから、言ってみれば、百万円のものを例えば一万円で買うようなのは若干お金を払った強盗みたいなものですから、これはだめなんですが、考え方の中で、リサイクルをするとか、そういったことにもなるケースもあるだろう、物によっては。いろいろな議論があるところなんです。したがって、明らかな押し買いに関しては、これは許さないということで、こういった特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案というものを提起しているわけであります。

 貴金属等の訪問購入に関する消費者トラブルは、平成二十二年度以降、その相談件数が二千件を超えるなど、非常に顕著になっております。今回、この法律をつくって、勧誘方法の適正化のための行為規制、例えば文書を取り交わすとか、それからそこに八日間のクーリングオフの期間を設定する、同期間中における物品の引き渡しを拒むことができるなど、さまざまな権利の付与等を規定したものとして考えておりますので、またさまざまな御議論を深めていただきたいと思っております。

永岡委員 ありがとうございます。

 この商売、押し買いというものは、普通、商売といいますと、物を売って代金を消費者からもらうというものが普通の商売ですけれども、これは反対なんですよね。押し買いというのは、物を取り上げて、お金を投げつけて帰っちゃう、そういうような形になると思っております。大変特殊な商売だなと思うのです。

 ただいまお話しいただきました二つの法案につきまして、自民党の方では、いろいろ法律をもう一回見直していただくように提言させていただきたいと思いますので、そういう準備をしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうはどうもありがとうございます。

青木委員長 次に、後藤田正純君。

後藤田委員 松原大臣、御無沙汰しております。

 内閣委員会等で野党理事としての御活躍当時は、委員会運営に大変苦労いたしました。大臣の先ほど来の丁寧な御答弁に敬意を表します。

 私は、余り変化球や低目の球を投げるつもりはありません。直球高目もしくは内角に投げますので、大臣らしい御答弁をいただきたいというふうに思います。

 まず、消費者庁が発足して数年たちますが、我が党では、福田総理の時代に消費者調査会というものを立ち上げまして、私、事務局長でやってまいりました。当時の設立の経緯は、簡単に言えば、私ども政治や行政は国民の皆さんの生命と財産をお守りするという中で、しかしながら、その当時、今もそうでありますが、現状は政治も行政もそれが余りなされていないのではないかという問題意識から始まったわけでございます。

 特に消費者を守る、生命と財産ということでありますが、もちろん安全性ということもそうですし、価格、そして安定供給、またはいろいろな消費者の利益を守るということでございますが、今までの役所も、各役所はいわゆる業界の監督をしながらも、一方で仲よくしてしまう、また、いろいろな天下りも含めた関係があったわけでございまして、一体業界育成なのか業界の監督なのか、こういう矛盾を感じながら、各役所がいろいろな消費者問題を軽視したときもあったかと思います。

 そういう意味で、消費者庁の役割というのは本当に歴史的な大きな大転換でありまして、これは消費者庁のみならず、今、現状も各役所との共管というふうになっております部分もありますし、または公正取引委員会、また警察、法務、こういったところが本当に性根を入れてやらなきゃいけない問題だというふうに思います。

 先ほど来の意見、これからも各委員がお話あると思います。現状お抱えになっている法律だとか、または消費者委員会のあり方とか、国センのあり方、また予算の問題はどうか、こういうことも尋ねたいんですが、そうはいっても、現場ではまさにいろいろな問題が起きている。事件は現場で起きています。こういう意味で、各論についてきょうはお尋ねをいたしたいと思います。

 まず最初に申し上げたいのは、世の中で一番死亡事故に起因する消費者被害というのはどういうものだと、大臣、御認識ですか。これは一般論として申し上げます。大臣の感覚で結構です。

松原国務大臣 消費者被害という問題が、例えば自動車なんかの場合、確かに自動車事故で亡くなる方が多いですが、それは、例えば自動車が途中で火を噴くとか、ブレーキが突然、整備しているのにきかなくなるとかというと消費者被害でありますが、通常の交通事故はそれに入りません。

 そうやって考えていくと、消費者被害で最も大きなものというのは、やはりストーブの問題とかエレベーターの問題とか、数が多くあるものとしては、例えば、ほかの、食べ物に関するものでそういったものもあるのかもしれません。例えば、茶のしずく石鹸みたいなものとか、さまざまなことが将来的にはそういったものになるかもしれませんが、今、死亡事故に結びつくものとして言われているのは、介護ベッド用の手すりに挟まれた事故が八件、石油ストーブの火災事故が七件、ガスこんろの火災事故六件、こういうものが数字として、消費者事故ということで我々が認識しているところであります。

後藤田委員 今の御答弁をお伺いしましてちょっと残念だったんですけれども、私は自動車事故の問題を取り上げたいと思うんです。それは消費者被害ではないという御認識でありますが、しかし、私は、いわゆる世の中の走る凶器として、もちろん、モータリゼーションの中で利便性を高めている、そしてまた産業を支えているという点での自動車業界は私は尊重したいと思いますけれども、自動車が起こす事故というのは、これは被害者にもなるし加害者にもなるし、また自分で命をなくす場合もございます。

 今、私も朝は電車で通っているんですけれども、つり革に交通安全週間ということでやられておったり、テレビでは、風見しんごさんですか、お子さんを交通事故で亡くされた方が小学校に行って講演をされる。私どもの自民党の議連でもこの前勉強会をやりましたけれども、小学校では大体七歳ぐらいに飛躍的に交通事故に巻き込まれる死亡者が多いということでございます。

 私も、自分のことで恐縮でございますが、今、子供が小学校一年、通い始めて、本当に、事故に巻き込まれた、手を挙げてちゃんと青で渡っていても車が突っ込んでくる、そこで本当に大切な家族を亡くす、こういうことが起こっています。

 これはやはり、事故であったり事件であったりという解釈もあるんですが、できる限り、商品をつくっている自動車メーカーさんに、私は、しっかりと消費者庁が中心に、また国交省だとか警察も含めて、さらに何かやれないかということを検討すべきだと思うんですね。

 何年か前に福岡の方で、酒気帯び運転で子供が何人も亡くなられた事件がありますが、喉元過ぎればということで、なかなかその後、当時は、車に乗るときに飲酒かどうかというのを、吹きかけて、そしてエンジンがかかる、かからない、こういった技術も必要ではないかというようなことも議論されましたけれども、あの議論もどこへ行ったかわかりません。

 テレビコマーシャルを見ていても、危険な物体があるととまる、そういう車の宣伝等々もございますけれども、それだけの技術ができるのであれば、ピーク時より三分の一ぐらいに交通事故は確かに相当減りました。これは警察を中心に頑張った成果だと思いますが、さらに、内閣府がこれからの宣言をされたということでございます。年間の死亡者数を二千五百人以下にするということを宣言されましたね。二千五百人ということを宣言すること自体も、ちょっと違和感があるんですね。ゼロですよ、はっきり言って。二千五百人以下とかという発信自体が僕はちょっと腑に落ちないんです。ゼロを目指したときに何をするかという中で、製造者責任として、車に、事故を未然に防げる、人為的なミスを防げる装置をつくるべきだと私は思うんですね。

 その一つが、今申し上げたような、飲酒を探知すればエンジンがかからないというような自動車だとか、もっと言えば、私も子供のころ、家族で車に乗ると、百キロか八十キロを超えたら、大臣の時代もそうだと思いますけれども、リンリン鳴りましたよね。あれがいつなくなっちゃったのかなと不思議に思うんですね。そして、リミッターというものがございますが、これは速度を出し過ぎると自然に速度が落ちる。これは今トラックしか導入されていないわけでありますけれども、当然これも乗用車に義務を課してもいいんじゃないかなというふうに私は思うわけですよ。

 もっと言うと、今、大臣は公安委員長もやられていましたか、高速道路は今八十キロ以上出しちゃいけないということになっていますよね。だけれども、自動車は、百八十キロまでメーターがあるんですよ。これは、僕は国会議員になってから本当に不思議だなと思っているんですよ。当然出しちゃうんですね。だから、もともと、そういう百八十キロもの速度メーターのある車をつくること自体、僕は矛盾しているんじゃないかなというふうに思っているんですよ。

 そういうことも含めて、改めて、本当に、交通事故で被害に遭われた方というのは、命というのは戻ってきません。こういった問題について、大臣、消費者大臣として、さっき言ったように直球で申し上げますので、ぜひここらをひとつ大きな大転換として何かやってみませんか。これは世界に先駆けて、人口の割合の中で日本はそれでも事故が少ない方ではありますが、ゼロを目指すんだという気持ちで、今申し上げたような点を自動車メーカー初め消費者に訴えていくということは、どうお考えになりますか。

松原国務大臣 委員の御指摘の中で、例えば飲酒を感ずる、息を吹きかけて、飲酒をしていたらスターターがかからないというものも、後で所管の局長からもお話があろうかと思いますが、そういったものもいよいよ実用化ができるような状況に来ているのではないかというふうにも思っております。

 今、人数のことをおっしゃいましたが、要するに、世界一交通が安全な国を目指すということでその数字が設定をされているというのが実態でございます。したがって、もちろん委員の御指摘のようにゼロを目指すのは当然でありますが、少なくとも、その数字の実現が世界で最も交通安全の国である、そこにひとつ頑張っていこうという一つの明示的な意思として、具体的にやるんだという意思のあらわれとして、そこはぜひまた御評価もいただきたいと思っているところであります。

 リコールというような問題に関しても、これまでも国土交通省はリコール情報の公表等を行ってきておりますが、消費者庁においてもこの四月より、乗用車を含む多岐にわたるリコール情報を一元化して消費者に提供する専用サイトを開設したりいたしております。

 今委員御指摘の大きな部分の議論というのは、これからさまざまなところでそういう議論をしながら一つの方向性がまた出ることもあろうかと思っておりますが、現状において、消費者の立場を守るということで、所掌範囲の中で頑張っていきたい、こう思っております。

後藤田委員 二千五百人という数字をゼロに変更する気はありませんか。

松原国務大臣 それは、この委員会でおっしゃったことでありますので、担当の局長もお答えすると思いますが、趣旨として、とにかく、世界一交通安全のいい国をつくる、こういうことであります。

後藤田委員 野党時代の切れのある大臣の御発言とはちょっと思えません。

 これはやはり、政治主導をおうたいになっている皆さんですから、見直した方がいいと思いますよ。二千五百人以下というのは、極めてハードルが低い。

 そして、それに向けての中身も、先ほど来申し上げたことについて、大臣もいろいろな担当をされていて忙しいんでしょうけれども、こんなことは、しっかりいろいろな意見を受けて指示すればいいんです。そういった委員会を、自動車事故問題について立ち上げる、そういうおつもりはありますか。

松原国務大臣 とにかく、世界一安全な国をつくる、交通事故をなくしてそういう国をつくるということで、委員も私も同じ考え方だと思いますので、頑張っていきたいと思っております。

後藤田委員 次に行きます。

 各論のお話ですけれども、その前に、その各論の背景にある私の問題意識は、いわゆる公共サービスと言われる、もちろん公がやるサービスもそうでありますが、それを民間がやるサービスも含めての公共サービスと、そしてそれに対する対価といいますか料金、いわゆる公益企業というんでしょうか、インフラ産業というんでしょうか、この業界、改めてしっかりとメスを入れる必要があるのではないかというのが、実は私の今の問題意識でございます。

 公共サービスといえば、当時、一九八五年、中曽根内閣のときに、例えば電電公社の民営化だとか国鉄の民営化をして、いわばタックスイーターからタックスペイヤーにしよう、そして、効率を上げよう、サービスを上げようということで民営化されました。それは一定の効果があったと思うんですが、それから三十年弱たった今、実は、その産業自体が消費者利益にかなっているのか。

 または、これは我々も含めて、税と社会保障の問題と同時に大事な問題として皆さんも認識しておられる成長産業として、民間企業の活性化という点、民活という点でも、実は、公共サービスをされている民間企業の民業圧迫というのが最近ちょっと目に余るんではないかという認識を持っているんですよ。

 例えばJR。JRは、大変多大な借金を棒引きにして、国民の税金で、いわば民間でいうと民事再生した会社。すごくきれいになった後に、しかし、彼らは地域独占、業務独占の形で大変な利益を上げられています。その中で、例えばキオスクなんか見ていても、本当は民間に開放すべきだと思いますね。つまり、入札をして、そこでいろいろな会社にやってもらおうじゃないか。そしてまた一方で、例えばJRの駅に行きますと駅の中にホテルがある。これもJRの系列会社がやっている。普通の民間企業だったらあんな場所に建てられませんよ。この前、京急に乗ったら、京急にはセブンイレブンのコンビニがありました。ああ、これはすばらしいなと思ったんですね。多分、入札か何かして、サービス競争したのかもしれません。

 空港へ行きますと、空港会社の系列企業なんというのはありませんね。大体、民間に、みんなどうぞといってやっている。一方で、JALなんかを見ていても、機内誌なんかは、ANAもJALもその系列の会社が機内誌をつくっているんだけれども、国土交通の副大臣もやられていたと思いますけれども、観光とか内需拡大という観点からすれば、あの雑誌だって、入札して、例えば私の徳島から東京へ行くとき、東京から徳島に行くとき、東京のいろいろなガイドの本をフリーペーパーで置くとか、こういうことをやるのが普通じゃないかなと思ったりするんですよ。

 だから、僕は、さまざまに、運輸とか通信とか、そういった公共インフラ企業の民業圧迫、さらなる民活というのが日本のさらなる経済成長を生むんじゃないかなという思いがして、それが結果、消費者に、安い、そしてすばらしい、いいものを提供される、これも一つの大きな消費者問題じゃないかなというふうに認識をしています。

 私の地元と羽田間は、JALで往復六万円ですよ。伊丹と東京は二万円ちょっとですね。何で田舎の地方が都会より、所得も低いのに、高額な運賃を払わなきゃいけないんだろうなと。六万円あれば、みんなエイチ・アイ・エスで海外へ行ってしまいますよ。何でJALをもうけさせるためだけに地方が負担しなきゃいけないんでしょうか、消費者が負担しなきゃいけないんですかということをいつも疑問に思いながら飛行機に乗っているんですよ。あれが安くなれば、東京からも地方に来る、地方からも東京に行く。

 これがなされないということ自体が、これは与野党を超えてやらなきゃいけない大きな課題だと思います。だから、公共インフラ企業というものを維持させるために国民が負担をするというのは、ちょっと僕はおかしいような気がしているんですよ。

 昨年の大地震に関係して、電力問題が今言われておりますね。今、価格が上がるとか、電力供給が一割、二割減るとか、こういうことを言われておりまして、最近、ニュースでは、利用者が公正取引委員会に、優越的地位の濫用だ、公正取引に反するということで今訴えを起こしているようでございますが、電力にしてみてもそうなんですよ。

 今、東京電力のいろいろな効率化を政府でやられているようでございますが、例えば、今、情報化社会の中で、情報をプールしてそれを管理するサーバーという業界が非常に躍進しております。しかしながら、サーバー業界のぶっちぎりのトップは、何と、東京電力の子会社であるアット東京なんですね。意図したかしないかはわかりませんが、変電所の中につくって、切り離せません、売りたくありませんと言っているらしいんですね。今、売るような方向になっているようでございますが。

 しかし、本当に純粋民間でサーバーの会社を立ち上げて頑張っている会社もいっぱいあるんですよ。本当は、電力会社さんとかそういったところは、そういうものは民間に委託するとか開放するとかしなきゃいけないと思うんですね。

 こういった問題がさまざまにあると私は思います。先ほど申し上げましたJRの問題もそうですし、JALの問題もそう。もっと言うと、三つ目のJはJT。

 これは財務金融でも私は何度も言っているんだけれども、JTも、たばこで、国が決めた価格、そして買い取り義務の中でやっているというところはありますが、彼らは海外で大変成功して、大変な利益を上げています。その会社が、その利益をもとに例えば加ト吉さんを買ったり、食品をやったり、飲料をやったり、そしてまた薬品をやったり、これはおかしいんじゃないですか。私は今、そういう思いをいろいろな業界、いろいろな分野において感じております。これは各委員会でやればいいんでしょうけれども、しかし、これは最終的には消費者問題だということで、きょう、改めて問題提起をさせていただきました。

 私は、我々が与党になってからと思っていたんだけれども、早くやった方がいいので、いわゆる公共サービスのあり方に関する消費者委員会における特別委員会をぜひ設置して、今申し上げたさまざまな問題、多分、党派を超えて、いろいろ問題を取り上げて、しっかり、これは成長分野にも資する、民活にも資する、消費者利益にも関係するということで、これを私は、この委員会でぜひ政府が率先して提案をしていただきたいと思いますが、大臣の御所見と委員長の御所見をお聞きしたいと思います。

松原国務大臣 今、後藤田委員からの御指摘の点は、非常に傾聴に値する部分が多かったと思って聞かせてもらいました。

 まさに、そこはさまざまな議論があるところであります。私としては、消費者のサイドから見てどうかということを考えたら、委員御指摘の点というのは一定の理解をするところであります。

 そういったことも含めて、何らかの大きな枠組みを考えるような、国における主導的な委員会が必要ではないかという御指摘に関しては、私の立場は行政側でありますから、それはぜひ、また議員間でお詰めをいただければいいのではないかなというふうに思っております。

 少なくとも消費者庁としては、昨今、公共料金に関する研究会というのを立ち上げたところでありまして、これは電力の問題ということに絞るのではなくて、一般的にどういうふうに扱うか、そこには透明性があるのか、それから原価というものに関しての、まさに我々から見て妥当性があるのかというふうなことも含めて、一定の検証をするべきではないかというようなことが恐らく盛り込まれるんだろうと思っております。まだ取りまとめまで入っておりません。もう近々出ると思っております。

 そういうふうな形で、私たちの、消費者を守るサイドからはさまざまな行動は起こしていきたいと思いますが、最後は、それは今委員が御指摘になったように、それぞれの委員会のテーマでもあって、そういった意味では、まさに議員主導の中で、議会の主導の中でそういった議論がなされることになろうかというふうに思っております。

青木委員長 後藤田委員からの御指摘、消費者問題の課題といたしましても、大変重要な視点をいただいたかというふうに思っております。

 公共サービスに特化した議論の場を設けるという御指摘だったかと思いますので、また理事の先生方とも御協議をさせていただきたいと存じます。

後藤田委員 ありがとうございます。

 それで、もう一つ、ちょっと深掘りしますと、電力の話を今されましたが、これから本当に価格が上がる、価格が上がるということは、コストが上がるのでいたし方ないというところもあろうかと思いますが、その前に、電力会社側、また一方で地方自治体また国、やるべきことはこの一年間やってきたのかということをまず申し上げたい。

 価格についてはなかなか難しいかもしれませんが、去年も東京で大変な節電がありました。私も身内が病院を経営していますが、透析の医療もやっておるものですから、本当に、LEDの懐中電灯を使いながら手術だとかそういったことをやって、大変苦労しましたよ。水につきましても、透析ですから水が要る、井戸を掘らなきゃいけない。東京都は井戸水を掘っちゃいけないという規制があるといって、またこれも本当に、あっちゃこっちゃにたらい回しにされました。こういう話が、もう一年過ぎると結構みんな忘れちゃっているんですね。

 電力供給の問題に絞って申し上げますと、では、この一年間で、例えば信号機だとか、また地下鉄や鉄道の電気、そしてまた街路灯、こういったものをLEDにかえたときにどれだけの電力省力化になるかというのを、当然消費者庁としても考えていると思うんですよ。これは消費者が今困っているわけでしょう、民間も一般家庭も。これは消費者問題ですよ、極めて。これは大臣、認識がないとしたら、何をされているのかなというふうに思ってしまうんですよ。

 電車に乗っても、地下鉄に乗っても、僕はいろいろ注意して見ているんだけれども、LEDにかわっているところなんかないですよ、ほとんど。私が資源エネルギー庁に確認したところ、全国の信号機もLEDにかわったのがまだ二四%ですよ。何をしているんですか。大阪も東京も首長さんがお元気ですけれども、一体そういった問題に取り組んでいるのか。

 この点について、総務省さんにもきょう来ていただいていると思うんだけれども、地方自治体も含めた検討はどのようになっていますか。

米田政府参考人 地方自治体の省エネの努力の部分でございますけれども、私ども詳細は存じておりませんけれども、昨年来の電力の問題がございます。関西の方では、夏で一五%の節電ということもございまして、それぞれで省エネ計画というのをつくって進めているというふうに存じております。

 私どもの方からも、できるだけの省エネの努力をするということをいろいろな場で呼びかけております。

 以上でございます。

後藤田委員 改めて、総務省さん、全国の現状をもう一回調べて委員会に御提出をいただきたいと思います。

 もう一つ、総務省さんには、今地方公共団体さんがいろいろな発言をするときには、自分たちは株主だとおっしゃっていますよね。東京電力さんも東京都が多分、たしか株を持っているんですかね。関電も大阪市が持っていますよね。この人たちの株価、これは消費者問題とはちょっとずれますが、どれだけの含み損を抱えているかというのは把握されていますか。

 その含み損がどうかというのは、地方交付税をお渡しする、予算を策定するときには極めて重要なことだと思います。ただ、現状は、御承知のとおり、公会計というのはパンドラの箱みたいなものでなかなか難しい問題というのは十分私も認識しておりますが、そういった点をしっかりやらないと大変なことになりますよ。

 金融庁さんも来ていますが、そういう地方公共団体の地方債を今度は銀行が持っているわけですよね。そして、銀行もまた今度、電力会社に融資をするしないで今もめていますね。そのときに、銀行も、預金者保護、投資家保護の観点からいけば、いわゆる消費者保護の観点からいえば、善管注意義務というものが民法でありますね。各経営者は善管注意義務というものを守らなきゃいけない。この善管注意義務違反ということになりかねないんですよ、そういった電力会社だとかにお金を貸す銀行、また地方債を買っている地方銀行。

 この点について、総務省さんと金融庁さんに現状の危機意識をお聞きしたいと思います。

米田政府参考人 後藤田先生も今御指摘いただいたように、公会計では今ストック面の重視ということもやっておりますけれども、現状は、私どもが把握しておりますのは、フロー面で各年度の決算の状況、支出の状況というのを把握している限りでございます。

 そういう意味では、健全化法というのが数年前にできまして、これから、債務のストックは今非常に情報を集めて公開するようにしております。御指摘いただきましたように、まだ、債権それから財産のストックというものの評価というのはこれからの課題だということで、今、公会計の研究会等々を通じまして研究をさせていただいているところでございます。

 以上です。

細溝政府参考人 お答えを申し上げます。

 一般論で申し上げますと、株式会社の役員等は会社法、民法の規定に従い、委員御指摘のとおり、会社に対して善管注意義務を負っております。ただ、預金ということになりますと、預金は消費寄託契約でございまして、この場合は、商法に基づきまして、受託者である銀行は寄託者である預金者に善管注意義務を負っております。

 ただ、この善管注意義務を離れましても、銀行は銀行法上、銀行業務の健全かつ適切な運営を期すことになっておりますので、銀行が業務の健全性の確保に努めるべきことは当然でございます。

 御指摘の電力会社への融資でありますとか地方銀行の地方債につきましては、個別の融資あるいは投資についてコメントすることは差し控えたいと思っておりますが、各金融機関が適切なリスク管理のもとで、地方債を初めとする有価証券運用あるいは個別の融資、適切に判断を行うということが重要と考えておりまして、金融庁といたしましては、引き続き適切なリスク管理を金融機関に促してまいりたいと思っております。

後藤田委員 リーマン・ショックやサブプライムが起こったときも、そのような考え方でああいうことが起きて、いわゆる会社も含めて個人も多大な資産を失ったんですね。今のお話を聞くと、このことの反省がほとんどないのかなと思います。

 電力会社、また地方債、もっと言うと国債、これは本当にどうなるかわかりませんよ。いつギリシャみたいになるかわからないわけですから、金融機関が国債を持っていたら、もう完全に、まさにシステミック破綻になりますよ。このことについて、金融庁は懸念は持っておりませんですか。では、大丈夫だということをここで、将来、長官になられるであろう局長さんに、議事録にしっかりと残したいと思うので、御意見をお聞かせください。

細溝政府参考人 委員御指摘のとおり、銀行の資産におきまして、国債などの債券の比重が高まっております。一方で、それらの金利は相当低い状態が続いております。そうした状況を踏まえ、例えば長期金利の上昇の場合のリスク管理上への影響が検討されているかといった点を、金融機関における市場リスクにかかわる管理体制を注視、検証する重点項目といたしております。

後藤田委員 そういう中での準備として、公的資金はもう全部返しましたと言いますが、預金保険料を当時取って、これがたしか毎年六千億ぐらいですか、それで全部返しましたと言うんだけれども、今度また預金保険料を下げるなんという議論があるようですが、私は断固反対ですよ。あの財源をしっかりプールしておくということは、将来的なそういったシステミック破綻も含めた準備として必要だと私は思いますが、局長、どうお考えですか。

細溝政府参考人 預金保険料率につきましては、預金保険機構の財政の長期的な均衡、金融機関の負担能力、欧州の厳しい財政金融事情その他、その我が国への及ぼす影響などを勘案する必要があります。

 それで、この三月に預金保険機構が二十四年度の預金保険料率を認可申請してまいりまして、私ども認可しておりますが、その実効預金保険料率は〇・〇八四%を維持するということといたしております。ただ、年度内に金融機関の破綻がなかった場合には、年度末に〇・〇一四%を返すということになっております。

後藤田委員 これは年度内じゃないんです。これは将来的なリスクに備えてという、あのようなリスクで公的資金を出して、それで慌てて預金保険を取ったんだから、考え方は違うんですよ。将来に向けてしっかりプールしておかなきゃいけないんですよ。しかも、銀行は法人税を払っていないでしょう、ここ何年も。こういった点は、私も財金でやりますが、しっかり注意してやってください。もうそのような引き下げがないように信じております。

 最後に、福祉について。

 これも、公共サービスと公共料金という点で私も問題意識を持っています。私も財務金融委員会で、いわゆる特別養護老人ホームの団体が以前出された資料に、何と、内部留保がたくさんたまっているんだ、だから、それを、税金を払うから自由に使わせてくれのようなお話もあって、財務金融委員会、厚生省に何度も言ったけれども、彼らは数字を出してこなかった。蓮舫さんや、埋蔵金だ仕分けだと言っているんだから、ちゃんと調べなさいよと言ったら、ようやく出てきた。社福は、税金を払わないかわりに内部留保がたくさんたまる、でも、その使途については一定の制限がある。では、その内部留保は幾らだったんだと言ったら、約二兆円あったんですよ。

 今、何か、それを指摘した私は全国の理事長さんに敵視されているようでございます。財務省さんは喜んでいたみたいですけれども。

 私が言いたかったのは、そこでやはりもっと、同じようなサービスをしている例えば地方自治体の特養とかは給料が高いんですよね。やはり介護士さんとかの給料を、私どもの田舎でも月十二万とか十五万ですよ、こういうのを上げるようなことをしっかり厚生省なりが促す必要があるし、きょうもある市長さんが部屋に来ていて、うちなんかは内部留保なんか残らないよと言うんですよ、金なんか余らないと。その点で、私は、介護士さんの給料をしっかり内部留保の中で手当てするべく、厚生省としてちゃんと指導しなければいけないんじゃないでしょうか。

 それによって、まさに消費者たる、福祉サービスを受ける方々のサービスにも全部関係してくるんですよ。気持ちよくサービスができる。そして、それを受ける方々も気持ちよくなるわけですからね。

 そして一方で、保険料の値上げなんかも、これからどんどんつくっていくとこれは保険料が上がるので、いわゆる既得権なんですよ。つくった者が勝つんですよ、あれは。新しくつくろうというふうに競争原理が働かないんですよ。さっき言ったようなJRもそう、JALもそう、通信もそう。競争原理が働かないような公共サービスの企業に対して、我々はしっかりもう一度メスを入れないといけないと思います。

 厚生省、どうですか。内部留保についての金額、全国の、この前調べたときの金額と、その利用のあり方についてどういう御認識か、教えてください。

辻副大臣 この点につきましては、昨年の三月、後藤田先生から財務金融委員会でも御指摘いただいた点でございますけれども、特別養護老人ホームの内部留保につきましては、平成二十二年度決算の貸借対照表をもとに集計いたしましたところ、一施設当たり平均約三・一億円でございました。

 この点、介護事業の経営実態について検討いたしました社会保障審議会介護給付費分科会の調査実施委員会、平成二十三年九月でございますけれども、その場におきましては、この内部留保の水準が大きいのではないかという御意見がある一方で、将来の建てかえのために必要なものという意見もあったところでございます。

 この内部留保は、例えば今後の施設の建てかえや当面の運営資金等のために確保されているものと思われるものでありまして、御指摘いただきましたような保険料の増加の回避、介護職員の給与引き上げ等に使うということは必ずしも適当ではないのではないかと考えるところでありますけれども、いずれにいたしましても、この内部留保の現状分析とそのあり方につきましては、今後鋭意検討していきたい、このように考えております。

後藤田委員 ありがとうございました。これで終わります。

青木委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 民主党政権になって八番目の消費者担当大臣に御就任された松原大臣に、きょうはお伺いをしたいと思っております。

 国民生活センターのあり方の見直しについては、いろいろな動きがありました。その中で、国民生活センターの在り方の見直しに関する検証会議、これが昨年十月に発足して、十二月六日に中間取りまとめが決定された。その二日後、十二月八日には政務三役の会議で方針を決められた。そして、それが、昨年十二月二十七日に山岡大臣から、「国民生活センターの在り方の見直しについて」という形で発表された、こういうことなんですね。

 そういう点では、この動きが非常に拙速、検証会議の二日後には政務三役会議でもう方針を決めてしまったということで、本当に、この国民生活センター、大事な問題について、その姿勢が問われると私は思っているわけでございます。

 それで、この検証会議は、国への移行というものが選択肢の一つとしてあると。この国への移行の移行先については、消費者庁、消費者委員会、あるいは内閣府本府ということになっている。これが特徴ですね。

 それから、もう一つの選択肢として、いわゆる政府から独立した法人への移行、これがあるわけです。これは、政府から一定の独立性を保ちつつ、国が責任を持って運営費を措置する法人形態であり、かつ独立行政法人の整理合理化の路線から外す扱いとされるもの、いわゆる政府から独立した法人への移行について、これはさらに検討を深める余地があるということで、一つの選択肢としているわけです。

 国への移行の方は、要するに独立行政法人の整理合理化路線なんですよね。それに対して、整理合理化路線から外すという、いわゆる政府から独立した法人への移行。

 これだけ大きな二つの選択肢があって、そして、特に、独立行政法人の整理合理化への路線から外す扱いということで、いわゆる政府から独立した法人への移行というものについてさらに検討を深める余地があるということが、十二月六日に出された。その二日後に、もう政務三役会議でこの結論を出されている。

 これは、十二月八日の政務会議の概要を見ますと、十二月八日十七時から十七時四十分、わずか四十分ですよ。四十分で国への移行というのが決まった。適当までは言い切れないが、現実的ということで優劣をつけているということで、国への移行というのを決めてしまったと。そして、山岡大臣が、特に参議院はねじれ現象ですから、果たしてこれで通るのかと心配したということも書いてあって、国への移行とすることとし、その中で政府から独立した法人の趣旨を限りなく生かすようにする、こういうふうに表現をしているわけです。

 ところが、やはり、独法の整理合理化路線と、そうじゃなくて、大臣がおっしゃっています、国民生活センターの機能を強化するというこの路線とは、大きく実は違っているわけですよね。ですから、私は、非常に大きな選択肢、大きな二つの分かれ道があるのを、わずか検証会議の二日後に決めてしまったということに対して大変驚いております。

 それと、山岡大臣は、まず国へ移行することとし、その中で政府から独立した法人の趣旨を限りなく生かすように考えると。これもよくわからないんです。

 私が今指摘したことについて、大臣、どうお考えでしょうか。

松原国務大臣 私の基本的な立ち位置としては、国民生活センターの持っているさまざまな長所というものがあるわけでありまして、これはどうしても維持していくべきだろうと思っております。

 ある意味で、国センだからこそ非常に柔軟に取り組むことができるし、また、スピード感を持って処理できることもあるし、さまざまな特典があるわけであって、国へということが今閣議でも決まっている中で、それをどうやって生かすかということに、さまざまな消費者団体の声とか、そういった御関係の方の声を聞いて取り組んでいるところであります。

 従来のこの流れに関しては、委員御指摘のさまざまな点も、それはそういう御指摘もあるのかもしれませんが、議論をずっと積み重ねてきて、そして、政務三役できちっとルールを踏襲して決まったことであるというふうに認識をいたしております。

大口委員 ただ、どうなんですか。この検証会議で中間取りまとめ、最終取りまとめでなく中間取りまとめができて、二日後に、政務三役で、この大きな二つの選択肢のうち、国への移行ということを決めてしまった。これは拙速だと思いませんか。普通はやはり、ここで、しっかりと深める、さらに検討を深める余地があると言っているわけですよね。それで、わずか四十分で決めてしまったということに対して、おかしいと思いませんか。

 これは、大臣、普通の常識、国民の皆さんの目から見てどうなのか、正直に答えてくださいよ、率直に。

松原国務大臣 中間取りまとめの結論ですか、それを受けて、この政務三役会議できちっとルールに従って議論をして決まったものというふうに認識をしておりますが、私は、今後の国への移行ということの中では、じっくりと時間をかけて、消費者団体の方の声なんかも非常に深く深掘りをする意見を聞かせていただきながら、さらに、どういうふうにしてこの国民生活センターの機能を維持し、また、多くのそれにかかわってきた方々の理解を受ける形になるかというのを私はじっくりとまた考えていきたい、このように思っております。

大口委員 消費者委員会設置法で、これは民主党さんも強くおっしゃっていて、全会一致の修正によって、この附則の三項で、「国民生活センターの業務及び組織その他の消費者行政に係る体制の更なる整備を図る観点から検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。」ということ、国民生活センターについてさらなる整備ということを言っているわけです。

 だから、そうなってきますと、独法の整理合理化の路線とは違うんじゃないか。やはり国民生活センターの機能の強化ということを大臣はおっしゃったわけですから、かなり乖離があると思うんです。ですから、民主党さんが政権をとられる前ととられた後で、かなりここは食い違ったんじゃないですか。

松原国務大臣 設置法附則第三項では、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターを例示した上で、消費者行政全体としての体制のさらなる整備を図ることとされており、国民生活センターについて、独立行政法人のような国と分かれた組織形態を前提としてさらなる整備を図るとされているわけではないと考えております。

 国民生活センターを国への移行としたことについて、あくまでも消費者行政全体として機能強化を図る観点から検討を行った結果であり、このことと、御指摘の設置法附則第三項に規定された、消費者行政に係る体制のさらなる整備を図る観点から検討を加えるとの方針は矛盾するものではないというふうに認識をしております。

 ただ、こうやって特出しをして書いてあるということは、やはりその中において、国民生活センターの意義というものを深く肝に銘じて作業を進めていくということになろうかと思います。

大口委員 ですから、その当時、修正したとき、私もいたんですよ。今大臣のおっしゃっていることは全く違っていますね。国民生活センターの役割は強化していこうということで特出ししてやっているわけですから、独法の整理合理化路線ということとは全くかけ離れているんですよ。だから、そこは仙谷先生にも聞いてください、全く違っていますから。

 それで、この検証会議の委員というのは、今回、ことし二月の、国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の体制の在り方に関する検討会の委員が十一名いますが、検証会議の委員が三名しか入っていないんですね。これはどうなんですか。山岡前大臣が、政府から独立した法人の趣旨を限りなく生かすようにするということの人選からいって、おかしいんじゃないですか。

 そしてまた、こういう政府から独立した法人ということを強く主張した人たちが全部外されているということも指摘されているんです。ですから、非常に、極めて恣意的なことになったように思いますが、いかがですか。

松原国務大臣 現在、国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の体制の在り方に関する検討会を開催し、消費者行政に係る体制のあり方を検討する中で、国民生活センターの機能をどのように維持、充実できるかについて御議論いただいているところであります。

 こうした検討事項に照らし合わせて、検討会の構成員は、消費者分野、行政分野でのすぐれた識見を有する学識経験者、弁護士、消費者団体、地方自治体、事業者の方々に広く参画をいただいております。特に消費者団体の委員の方々については、従来の四名から五名にふやして、とにかく消費者団体の声がより深掘りとして議論の中に入るようにというふうに私は考えてまいりました。

 結果として検証会議から引き続きの委員の方が三名となったところでありますが、さまざまな機会に、ヒアリングの機会等においてさまざまな方々からも意見を聞く機会をさらに設けていきたいと思っております。

大口委員 大臣も先ほど、永岡委員の質問にありましたように、国への移行は消費者庁への一元化ではない、こういうふうにおっしゃっているわけです。選択肢として消費者庁、消費者委員会あるいは内閣府本府、こういう選択肢があるわけですよね。そうなんですけれども、どうも、独法の整理合理化路線からいくと、消費者庁への一元化ということを考えているんじゃないですか。大臣、どうですか。

松原国務大臣 大口委員にお答えいたしますが、先ほども御答弁申し上げたように、今、多くの方々との議論を深めておりますし、私もできる限り、議論には参加はしませんが聞いておりますし、さらに、消費者団体の方々が従来この分野で尽くしてきたことを考えれば、この方々の理解を得るような形で、できるだけ国民生活センターが消費者のためになるようにするべきだと私は思っております。

 したがって、消費者団体がこの間、十七団体参りましたが、今度は五団体ぐらいの会合も小まめに開いて、聞いていきたいと思います。そういった議論を全部見た上で判断をするわけでありまして、その判断を今ここで言えと言われても、検討会もまだ進んでいるところであります。したがって、結果として目指すところは消費者行政の充実のためにということで、御理解いただきたいと思っております。

大口委員 消費者団体もいろいろな意見をおっしゃっているわけですが、その中で有力な意見として、仮称、国民生活センター設置法に基づく法人として、いわゆる独法改革路線とは切り離していく、所管については、将来的には消費者委員会を三条委員会とした上で、その所管とすること、ただし、消費者委員会が三条委員会となるまでの間は暫定的に内閣府本府の所管とすること、こういう意見もあります。これは選択肢の中に入るということでいいですか。

松原国務大臣 私もヒアリングに参加をいたしておりますし、また、そのことをまとめたペーパーも読ませていただいているところでありまして、国への移管ということは一つの方針として閣議決定されておりますが、その中においてさまざまなバリエーションがあって、どこが一番現実的で一番意味があるかというのは、今の議論の推移も見ながら考えていきたいと思っております。

大口委員 次に、公共料金について、特に電気料金、お伺いをしたいと思います。

 本当に、私ども消費者特別委員会においても、公共料金の問題というのは大変大事な問題です。そして、今、東電が電気料金の値上げということで、五十キロワット以上の、要するに自由化分野においても非常にやり方が、例えば、更新期限が来ていないのに、契約期間が終了していないのに値上げを要求するとか、さまざまな問題がある。そして、規制分野、一般家庭ですとかあるいは五十キロワット未満のところについてはいよいよこれから、こういう状況にあるわけです。

 そういう点で、私ども消費者特では非常に大事な問題であるし、大臣の使命は大きい。経産大臣が今目立っていますけれども、むしろ松原消費者担当大臣が、内閣府特命大臣がもっと発言をしていただいて、もっと存在感を示していただかなきゃいけない分野だ、こういうふうに思っているわけでございます。

 そういう中で、平成二十四年の二月二十一日に、消費者庁で、公共料金を初めとする物価に関する政策について消費者の観点から適切に対応していくため、有識者、消費者団体から構成される公共料金に関する研究会を立ち上げられたということで、そして、同研究会から、公共料金をめぐる現状と課題を整理して、「公共料金の決定の在り方について」と題する中間取りまとめ案、これも検討会で三月三十日に出まして、決定は次回の四月十六日ぐらいになるのかなとは思っております。

 こういう公共料金に関する提言でございますが、中身は、料金の改定手続や継続的検証、消費者団体の役割、消費者の参画、公共料金の水準、内容、経営の効率化、コスト削減、消費者にわかりやすい情報の公開、低廉化を促す環境整備、そして消費者庁、消費者委員会の役割というようなことが取りまとめになっています。

 これまでも公共料金については提言がありました。しかし、やはり十分実行されたとは言いがたい面もあるということを検討会の先生もおっしゃっているわけですね。この中間まとめについて、必ずこれは実行するということを大臣に御答弁願いたいと思います。

松原国務大臣 今回特に、公共料金の中でも電気料金というのが具体的なものとして出てきているわけでありますが、消費者庁は、従来も発言をしてきましたが、今回は言うべきことをきちっと言わなければいけないだろうというふうに思っております。

 詳しい中身は私はこの場では申し上げませんが、委員御指摘のような研究会におけるさまざまな議論もありますし、また、消費者委員会におけるさまざまな議論もこれからあろうかと思っております。そういったことを通じて、私が持てるさまざまな権限も含めて、重く行動をとっていきたいと思っております。

 ただ、現状においては、経済産業省と東京電力との、例えば電気料金に関して言えば、そこに関して注視をしながら、ただ、我々としても、透明性を含め、消費者の納得ができるものでなければさまざまな行動があり得るということも、さまざまな機会に申し上げているところであります。

大口委員 本年二月二十八日には、消費者委員会も、これは松原内閣府特命担当大臣、経産大臣、国交大臣に対して、公共料金の問題について、公共料金決定過程の透明性、そして消費者参画の機会の確保、この状況について八月までに報告をせよ、こういう形でタイムリーなこともやっています。これはしっかりと対応していただきたいと思う次第でございます。

 そこで、東京電力が大幅な値上げを今している。自由部門においては一七%と言われています。そして、規制部門も一〇%とも言われているわけでございますけれども、これは、埼玉の上田知事初め十の都県の知事の皆さんからも、十分に合理化がなされていない、それからコストの削減もしていない、人件費の削減もしていない、さまざまなことがあって、質問状も出されたわけであります。

 東電の合理化努力、情報開示も不足している、人件費、それから随意契約の問題、さまざまな問題があるわけですが、もっとこれは、値上げを本当にする必要があるのかどうか、あるいは、このような大幅値上げをする必要があるのかどうかということでは、やはりこれは徹底的にチェックしていかなければいけませんし、この点につきましては、もちろん枝野大臣も、厳しくやっていく、自由化部門についての行政指導、あるいは規制部門については厳しく認可については対応していく、こういう答弁もしているわけであります。そういう中で、松原大臣も、記者会見あるいは予算委員会の答弁でも、これについては厳しく対処していくという答弁もされているわけであります。

 一つ、物価問題に関する関係閣僚会議に、要するに松原消費者担当大臣と枝野経産大臣が共同でこの関係閣僚会議に付議をするということでございますけれども、徹底した合理化を含むコスト削減が実現されていない場合は、この共同付議ということに対して、付議しないということも大臣はできるわけですね。

 その点について、やはり、松原大臣としても、こういう徹底した合理化を含むコスト削減というものを徹底的に洗い直して、そして、この付議については、それが不十分であればノーと言う、そういう覚悟でいらっしゃるのかどうか、お伺いしたいと思います。

松原国務大臣 私のところにも埼玉県の上田知事から論文といいますか、送ってこられまして、私もそれを拝読しておりまして、やはり、こういう問題意識を多くの地方自治体の長が持っておられるということも含め、きちっとしたコスト削減、透明化、こういったものが担保されなければいけないというふうに思っているところであります。

 自由化部門についても、直接的にはその料金決定に消費者庁が関与するシステムとはなっていませんけれども、大口の需要家が対象である自由化部門であっても一般消費者にも影響が及ぶことから、私も重大な関心を持っているということはこの場でも申し上げたいというふうに思っております。

 そうした中で、当然、付議をするかということでありますが、それは、この段階で付議をするというのは、我々は了解する、つまり、例えば消費者委員会の方々の議論、そして意見交換を含め、また多くのそういった関係の方の意見交換も含め、まあまあ、これだったら理解できるという水準でなければ、それはなかなか共同で付議をするということにはならないだろうというふうに思っております。

 ただ、そこは、経済産業省でとりあえず今、徹底したコスト削減の議論をしているというふうに思っておりますので、その推移を見ながら、ところどころで意見は発していきたいと思っております。

大口委員 消費者の視点からということですね。これは、経産大臣は経産大臣の立場、しかし、大臣は消費者の視点からしっかりやっていただきたいと言っておきたいと思います。

 あと、内閣府設置法の十二条によって、内閣府特命担当大臣として勧告権を行使する、この場合、法律上、必ずしも消費者委員会に付議するということは要請されていないわけです。しかし、大臣は答弁で、これは必ずやる、こういうような趣旨のことを聞いておるんですが、もう一度確認をしたいと思います。

松原国務大臣 消費者担当大臣には、内閣府設置法第十二条により、関係行政機関の長等への勧告権が与えられており、その重みの自覚に立って、物価問題に関する関係閣僚会議に責任を有する所管大臣として、消費者の理解が得られるような料金改定案になるよう、まずは経済産業省との調整に全力を尽くすことを行います。

 最初から勧告権ありきということで言うのではなくて、ただ、そのことは一つの消費者担当大臣に与えられた権限でありますから、その重みを持ってきちっと協議をしていきたい、このように思っております。

大口委員 では、必ず、消費者委員会にも付議をちゃんとするということでよろしいですか。

松原国務大臣 消費者委員会ともきちっと意見交換をしてまいりたいと思います。

大口委員 では、付議はしないんですか。

松原国務大臣 重い意見交換をしていきたいと思っております。

大口委員 付議をしていただきたいと思います。

 もう時間も少なくなってまいりましたので、地方消費者行政についてお伺いをしたいと思います。

 地方消費者行政活性化基金が二十四年度で終了する。これは被災地の場合は一年さらに延びるわけでありますが、この地方消費者行政の基金というものは非常に効果があるということは、いろいろなアンケート調査等でも認められているわけです。

 基金の設置後、この三年間で、消費者センターが約二百カ所の増加、消費生活相談員の五百五十名の増員、また、地方の自主財源について、平成二十年度の約百億から二十億円の増加など、基金は一定の効果を上げていると言えます。また、そういう点では、これがなくなってしまうとかなりいろいろな問題が出てくると思います。その認識についてどうなのかということ。

 それから、日弁連が全国の自治体を対象に行ったアンケート調査では、消費者行政に使途を限定しつつ、人件費を含めて自由に選択できる財源を今後数年間繰り返し交付することを求める回答が九割弱あったということであります。

 それから、東京の消費者団体が五十三市町村に対して行ったアンケート調査では、基金活用事業について、基金終了後は基金以前の状態に戻すと回答したものが約三割。これは、東京の五十三市町村、財政的にはある程度豊かなところでも三割は、もう基金活用事業は、基金前に戻して、できなくなると。これは深刻なことです。

 消費者庁及び消費者委員会設置法附則第四項に、同法施行後三年以内に、消費生活センターの位置づけ、適正な配置、人員の確保、相談員の待遇改善その他について、国の支援のあり方について必要な措置を講ずる、こういう全面的にバックアップしていこうという趣旨からいっても、これはゆゆしき問題だと思います。そういう点では、基金後の方針についてもお伺いしたいと思います。

松原国務大臣 この活性化基金が極めて有効であったというのは、委員と私は認識を共有していると思っております。

 委員の御発言のほかにも、例えば、従来そういった相談窓口がなかったところは二十数%あったのが、今は十数%まで減ってきている。逆説的に言うと、今でも十数%、そういったところがあるということでありまして、そういった意味では、もう少しこういったものがなければ、基本的にはそれはゼロにしていかなければいけないわけであります。

 同時に、一方において、我々は、財政的には、いわゆる基準財政需要額という表現がありますが、大体年間において百八十億ぐらいの消費者行政のための基金というか資金を出しているんですが、実際は地方自治体において平均すると百二十億ぐらいしか使われていない。こういったところも、またさまざまな啓蒙をしていかなければいけないと思っております。

 いずれにしても、今消費者行政がこれから活性化し、充実していく途中でありますから、この基金に関しては新しく五億円というのも積み上げたわけでありますが、今後もそういったものを、もちろん一定の消費者行政の充実まで引き続き支援していく必要があろうというふうに認識をしております。

大口委員 松原大臣には、長く消費者担当大臣をやっていただいて、しっかり仕事をしていただきたい。姿勢はきょうの答弁でわかりましたので、実行をしていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

青木委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、公共料金の問題、とりわけ電気料金の値上げというのが今大きな問題になってきておりますので、本当は東電の社長に参考人として来ていただいて質問をしたいと思っていたんですが、どうも社長が逃げちゃったみたいなので、それで、きょうは保安院の方に最初に伺っておきたいというふうに思います。

 一月十七日に東京電力は、福島原発事故や柏崎刈羽原発の停止の長期化によって火力発電をたき増ししたことにより燃料費の負担が大幅に増加していることを理由として、自由化部門の電気料金を値上げするということを発表しました。

 自由化部門では通常一年ごとに契約更新しているわけですが、もっと長い契約のものもあるようですが、契約期間にかかわらず一律四月一日から値上げを実施する、しかも、平均一七%という大幅値上げという一方的なやり方を発表したわけですから、多くの需要家の皆さんから怒りの声が上がっているのは当然だと思うんです。

 それで、自由化部門といっても、実際には、その中には、コンビニ規模より少し大き目の商店とか、それから旋盤数台を置いている小さな町工場も全部該当するわけですね。影響は大規模事業者だけにとどまらないんですよ。

 共用部分の電力を大口契約しているマンションなどでは、この値上げが共益費にはね返って、入居している一般世帯に大きな影響を及ぼしています。ですから、規制部門である家庭用の電気料金値上げと実質的に変わらないという問題が出てきているわけです。

 そこで、高原長官に伺っておきたいんですが、東京電力は、三月二十七日の記者会見では、新しい契約料金に賛同いただけないと契約は成り立たないので、電気をお届けすることが難しいと説明をしました。値上げに同意しなければ電力供給停止もあり得る、こういう考え方を述べたものですが、電気事業法上、一方的に電気をとめることはできないんじゃないですか。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 これは自由化部門の需要家の方々に対する電力の供給でございますので、基本的には、これはいわゆる電気事業法の、例えば料金規制なんかもそうでございますけれども、対象外でございまして、いわゆる顧客の皆様方と東京電力とが個別に話し合いをして、そして契約によって供給が行われるということでございまして、そういう意味では、いわゆる規制料金の対象になっているということは、そういう供給義務というのはかかっておらないということでございます。

 以上でございます。

吉井委員 第十九条の二の最終保障約款、最終保障義務を負っているから一方的な供給停止はできませんね。これを確認しておきます。

高原政府参考人 御指摘のとおりでございます。

吉井委員 自由化部門の需要家に対してであっても東京電力には最終保障義務があります。たとえ値上げ交渉がまとまらなかった場合でも、東電は、あらかじめ経産大臣に届け出た最終保障約款に基づき、電力供給を行わなければならないんじゃないですか。

高原政府参考人 御指摘のとおりでございます。

 ただ、それ以前の問題として、現在、このような状況で料金値上げを自由化部門でお願い申し上げているということで、例えば、東京電力が顧客との間の交渉というのをしっかり誠意を持ってやらないことがあってはいけないということで、経産大臣として東京電力の方に指導をさせていただいております。そういうところでございます。

吉井委員 なぜ東京電力など一般電気事業者に最終保障義務を負わせているのかといったら、それはちゃんと根拠があるんじゃないですか。

高原政府参考人 これはやはり電気事業法の精神につながると思いますけれども、電気というものが非常に国民の生活あるいは産業面にとって必須のものであるという考え方に基づくというふうに理解いたしております。

 以上でございます。

吉井委員 これは、要するに選択の余地がないんですね。その地域においては東京電力しかない。だから、幾ら自由化部門といっても、それは需要者側は自由に電力会社を選べないんですよ。東京電力が一方的に行うということですから、つまり、地域独占が認められているから、だから最終保障義務を負わせる、こういうことにしているんじゃないですか。

高原政府参考人 そのような、今、自由化料金という制度を導入いたしておりますけれども、今委員御指摘のとおり、実態的に、地域の社会の中で、自由に、本当に実質的に電力を供給する事業会社を選べるのかという問題があるということは御指摘のとおりでございまして、その点につきましては、いわゆる電力システムの改革ということを今検討しているところでございます。

 以上でございます。

吉井委員 ですから、私は、供給停止ということをおどし文句に使って押しつけるというやり方はやめさせるべきだと思うんですが、これは、高原長官、どうですか。

高原政府参考人 委員の御指摘はそのとおりだろうと思います。

 したがいまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、経産大臣の方から、現在の状況に鑑みまして、特に、個別の顧客の皆様方の置かれた状況というのを十分踏まえて、そして、柔軟かつ丁寧に対応するようにということを東京電力の方に指導しているところでございます。

 以上でございます。

吉井委員 三月二十八日の要するに行政指導のお話をされたわけですね。なぜ行政指導でとどまっているのか。

 最終保障義務を果たさないと言っているんですから、本来の電気事業法の考え方からすれば、電力供給義務があるから、そのかわり、一方では地域独占を認めましょう、この根本を外してしまったらだめなんだ、やはりそのことをきちんと言わなければいけないし、行政指導でとまってしまって、相手の方は、これは行政指導ですからということで最終保障義務を果たさない、こういうふうな言い方というのは、これは電気事業法上問題あり、許されない、そういうことははっきり言うべきだと思うんですが、どうですか。

高原政府参考人 そのような考え方に基づきまして、まさに顧客の皆様方との間の、丁寧で、かつ御理解をいただくように十分お話し合いをし、御理解をいただけるようにということでお話を申し上げているところでございます。

 以上でございます。

吉井委員 東京電力というのは、地域独占で営業を認められているかわりに最終保障義務というのを負っているわけですね。これは繰り返し言っているとおりです。その義務を果たさないということを東電が公言したりしているときには、それに対して法に基づいた指導もできないということでは、これは弱腰といいますか、余りにもちょっとひどい。

 例えば、ことし三月三十一日に一年の契約期間が過ぎて、翌年、四月一日からの契約の時期に、四月一日からは新料金でいただきますと一方的な通告で進めてきたりしていますよ。

 電力自由化というのは、本来、需要家側と供給側が対等の関係で話し合って決める。需要家の側も、本来ですと契約相手が複数あって、その中から契約する電力会社が決められてこそ本来の自由化部門と言えると思うんです。ところが、地域独占なんですよ。東京電力しかないんです。その東京電力からしか電気を得られないのに、独占的、優越的地位を使って四月以降の電気料金を一方的に押しつけるということ、その場合も、嫌なら電気をとめますよ、こんなことを言うのは許されないと思うんですね。

 私は、東電が好き勝手な行動をとる自由を保障する、それが電力自由化という言葉の意味ではないと思うんですが、どうですか。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 言葉の正確な意味としては、委員御案内のとおり、いわゆる地域独占ということにはなっておりません。

 ただし、しかしながら、実際の実態を見ますと、例えばPPS、これは今、新電力という言葉で呼ばせていただくことにさせていただいておりますけれども、その供給の割合というのは三%ということで、極めて、実質的には非常に低いシェアでございますし、需要家の方々が地域で本当に、そうやって自由にお選びいただけるという状況には、委員の御指摘のとおり、ほど遠いというふうに思っております。

 そういった中で、先ほど申し上げましたけれども、電力システムの改革ということについての議論を今進めているところでございますし、年末には論点整理という形でタスクフォースの議論を出させていただきましたけれども、需要家の方々の自由度をどういうふうに上げていくか、あるいは供給面の多様化といったことについて、これを一つの大きな柱にしながら今検討を進めているというところでございます。

 以上でございます。

吉井委員 東京電力については、勝手なことはできないんですよ。電気事業法の第十八条一項で、こちらは規制部門に対しても電力供給義務を課している。一方、第十八条二項では、自由化部門の需要家に対しても、電力会社に対して電力供給義務を課しているわけですね。ですから、一方的に電力供給をとめるということはできない、このことははっきりしていると思うんです。

 仮に引き上げ交渉がまとまらなかった場合でも、東電は、あらかじめ経産大臣に届けた最終保障約款に基づいて電力供給を行わなければならないというふうに思うんですが、これはそのとおりですね。確認しておきます。

高原政府参考人 御指摘のとおりでございます。

吉井委員 その当然のとおりのことが、なぜきょう東電の社長に来てほしかったかといいますと、彼は値上げは権利だという発言をしているんですよね。自分勝手に権利を主張して、福島原発事故の原因究明とか被害者への全面賠償とか電力供給義務など、本来果たすべきみずからの義務にはだんまりという状態で、そして値上げだけは一方的にやろうとする。ここに今、国民的な批判が湧き起こっているのは当然のことだというふうに思うわけです。

 東電の自由化部門の電気代値上げの理由というのは燃料費の増加ということですが、これは規制部門でも同じように、燃料費の増加ということで言えることになります。そうすると、東電は、規制部門である家庭用の電気代について、今後どう対応するとしているのか。自由化部門のように一〇%とか一七%とか、大幅値上げを企図しているのではないかというふうにも見られるんですが、この点はどうですか。

高原政府参考人 吉井委員御案内のとおり、現在、東京電力におきましては、総合特別事業計画ということで、今後の姿について今議論をしているところでございます。

 その結果、また料金値上げ、いわゆる規制料金についての申請が行われるかどうかということについては、これは私どもの方から申し上げることではないと思いますけれども、いずれにしても検討はされているというふうに承知しております。

 以上でございます。

吉井委員 特別事業計画を出したら規制部門も値上げをお願いしたいというようなことまで言っているわけですから、これは何を考えているんだということを言わなきゃならぬと思うんです。

 次に、電気代の内訳の方なんですが、これまでブラックボックスなんですよね。

 確かに、家庭にやってくる料金票を見ますと、自然エネルギー、再生可能エネルギーである太陽光発電だけは太陽光付加金とちゃんと載っているんですよね。ところが、原発建設にかかわってきた税金、原発のためにもう使い放題に使いまくってきた電源開発促進税などは、総括原価ということで、一言も出てこないんですね。

 一体幾ら原発のために使われてきたのか、それが全くわからない、これがブラックボックスと言われている状態ですが、これを機会に、東京電力を初め、国内全電力の自由化部門と規制部門のそれぞれの総括原価、いわゆる総括原価方式じゃなくて、規制部門にも総括原価があるし、自由化部門にも総括原価として計算されるものがあるわけですから、これを明らかにして、情報公開をしないままに、電力料金値上げが嫌だったら、値上げしないためには原発再稼働ですよ、認めろというふうな言い分、こういうものをやはり許しちゃいけないと思うんですよ。

 私は、この点では、そういう世論づくりのために、まず電気料金の値上げだと、規制部門だって今後値上げありと、再稼働を認めてもらわなかったらもう値上げだと言わんばかりのやり方というものは許されないと思うんですが、高原長官に伺っておきます。

高原政府参考人 実は、吉井委員から、自由化部門についても、もっと透明性を高めて、収支状況を報告すべきではないかという御指摘をいただいております。

 今般、電気料金制度及び運用の見直しに係る有識者会議、この議論を踏まえまして、電気料金の評価の透明性を上げていくという観点から、三月末に電気料金情報公開ガイドラインを改正いたしました。その中で、これまで自由化部門につきましては、赤字の場合のみ自由化部門の収支を公表いたしておりましたけれども、評価の透明性の観点から、これにつきまして、収支を常に公表するということにいたしました。

 以上でございます。

吉井委員 これは東京電力に関する経営・財務調査委員会の報告書にもありますが、これまで実は、販売電力量で見れば、自由化部門が六割だったんですね。ところが、利益はどうかといったら、利益を上げていたのは規制部門の方なんですね。一般家庭がうんと負担して、それで自由化部門を安くする、赤字が出ても赤字を事実上補填するということがやられてきましたけれども、やはりこういうやり方というものにきちんとメスを入れないと、とてもじゃないが、東京電力が、油代が上がったから値上げしますとか、値上げが嫌だったら再稼働を認めろとか、そんなことを言うような話じゃないと思うんです。

 そこで、消費者委員会の方に伺っておきますが、家庭部門など規制部門の料金値上げが今いろいろ考えられているときですが、消費者委員会が二月に公共料金問題についての建議というのをまとめられましたが、この中では、電気料金についてはどのような取り組みをするというふうにしておられるのか、また取り組んでおられるのかを簡潔に伺っておきたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 公共料金については、生活との密着性、独占性、公共性があるということに鑑みまして、その決定内容と根拠については説明責任が果たされることが求められていると考えております。このため、消費者委員会は、本年二月二十八日に、経済産業省等関係省庁に対し、料金決定過程の透明性及び消費者参画の機会を確保するための取り組みを求める建議を行ったところです。

 そのうち、電気料金についての部分なんですけれども、これについては、既に東京電力に関する経営・財務調査委員会の審議も進められておりましたので、その報告書の中で、その決定過程において説明責任が十分に果たされていないことが確認され、問題視されているということを承知しておりまして、それを踏まえ、経済産業大臣に対し、必要な情報の提供等に努めるよう建議いたしました。

 さらに、電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議も審議を進めておりまして、その報告書の中で事後評価の実施が掲げられており、それらの取り組みが適切に行われることで、説明責任の徹底と、それから値下げを命じる措置が適切に発動されることを期待するといたしております。

 以上です。

吉井委員 松原大臣、ずっと座って聞いてもらってお疲れかと思いますが、これはやはり、物事は起承転結といいますか、流れ全体をつかんで、大臣としてどう取り組むべきかということを考えてもらいたいので、しばらく聞いてもらっておったわけです。

 それで、東電の電気料金は物価問題に関する関係閣僚会議に付議される重要な公共料金に当たるわけですから、ライフラインである電気料金の一方的な値上げなどということは許されないし、それから電気料金の中身がそもそもブラックボックスなんですよ。

 総括原価というけれども、実際のところ、燃料費が上がった上がったというけれども、安いときに先物予約でやってあれば、そんなに上がっているわけでもないですし、今スポット価格で上がったということで、何かみんなが値上げは当たり前かと思わされている間に値上げとなったら、これまた大変なわけですよね。ですから、そういう点では、電気料金の総括原価のブラックボックスそのものにもメスを入れていく。

 こういったことを含めて、今の消費者委員会の建議に応えて、大臣として、この問題にどのように取り組んでいかれるかを伺っておきたいと思います。

松原国務大臣 電力会社が経済産業省に対して電気料金値上げの許可申請を行う場合には、電気料金の変更が国民生活に与える重大な影響を考慮し、徹底した合理化を含むコスト削減が実現したものになって初めて消費者の理解が得られると考えております。

 電力会社から経済産業省に対し電気料金引き上げの認可申請が行われた場合、経済産業省と消費者庁が共同で物価問題に関する関係閣僚会議に付議することとされております。こうしたプロセスにおいて、消費者庁の公共料金に関する研究会での議論を踏まえるとともに、消費者委員会にも意見を聞きながら、原価の範囲や水準が適正であるか、消費者に十分な情報提供がなされているかといったこと等を精査して、厳正に対応してまいりたいと思っております。

吉井委員 その厳正に対処の中で、特にブラックボックスは全面的に明らかにさせる、情報公開をする、そういうことなしにはなかなか国民の理解が得られるような話じゃありませんから、特に、松原さんとは内閣委員会で情報公開やらで一緒に頑張ってきたわけですから、そこは徹底して取り組んでいただきたいと思います。

 時間がぼちぼち来るようですが、あれだけ原発事故で問題を起こして、今もなお避難を無理強いされている人が約六万人を超えますし、自主避難者を含めると十万人をはるかに超える被害者を出しているわけですね。放射能汚染の危険を招きながらいまだに事故の究明も収束もできず、全面賠償もしているわけでもないのに一方的に値上げ強要とは何事かと、怒りが今渦巻いているのは当たり前だと思うんです。その上、電気料金一方的値上げなど許せない、この声に応えて、消費者担当大臣として取り組んでいただくということを求めて、ちょうど時間が来たという札が参りましたので、私の質問を終わります。

青木委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 質問時間は十五分でございますので、早速質問に入らせていただきます。

 国民生活センターの国への移管、二十五年度ともう来年なわけでございますけれども、そのことに向けて今、検討会、二月の二十二日からもう五回ですか、開催をされているようでございますけれども、非常に早いなというふうに思っております。

 その会議録なりを見ますと、国民生活センターの国への移管に対して多くの方々から、反対というよりも、消費者行政にとっていいのか悪いのか、逆にマイナスの方が多いんじゃないか、こういう声、意見も出ているようでございます。

 ここまで来るまでに、それぞれ検証会議、さらにはタスクフォースの中において国民生活センターのあり方の議論もされてきたわけでございますけれども、その中で、タスクフォースのまとめ方としては、一つは、センターの消費者庁への一元化、このところが提起をされてきたわけですし、二つ目として、民間への移行が可能なのか、このことも出された。そして三つ目が、それ以外の機能のあり方、担い手等々についても議論されてきた、まとめとしての柱としてあったわけでございます。

 国民生活センターの国への移管ということで、これも余り時間を置かないで、今委員の方からも質問があったようでございますけれども、ありき、国へ移管することがもう前提みたいな形での早急な結論がなされてきたのではないかなというふうに思っております。そう自分自身思っておるということについて、ぜひ見解をお伺いしたいわけでございます。

 一元化ありき、そういうものではなかったんだというふうには思うんですけれども、このタスクフォースの三つの柱、これをどういうふうな議論がこの間なされながら、二十五年度に移管するというふうに決まったのか、このことについてお伺いさせていただきます。

松原国務大臣 タスクフォースにおいては、独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針、これは平成二十二年十二月七日の閣議決定でありますが、その考え方を踏まえ、各事務事業のあり方、その担い手、法人としてのあり方について検討を行ってきたものと承知をいたしております。

 その際、当該閣議決定では、「まず、事務・事業自体の徹底的な見直しを行い、」との方針が示されていたため、まずは、国民生活センターが担う個々の機能についてゼロベースで検討を始めるとの段取りを踏んだものと認識をいたしております。

 なお、タスクフォースは、あくまでも消費者行政全体としての機能強化を図るため国民生活センターのあり方について検討を行ったものであり、必ずしも消費者庁との一元化を前提として開始したものではなかったと認識をいたしております。

 そして、このタスクフォースにおいて、第三回から五回にかけて、現在、国民生活センターが担っている各機能について、消費者団体、弁護士、地方自治体、事業者などの有識者の意見を聞きながら、機能別の議論を行ったものと承知をいたしております。

 その結果、消費者庁と国民生活センターとの間で、民間機関や地方自治体において、国民生活センターが提供している各機能を全国的かつ継続的に実施することは、現状では困難であるということ、各機能は相互補完的、一体性があることから、消費者行政の強化のためには、基本的には各機能を一体として国サイドで実施すべきであるとの共通認識に至ったものと承知をいたしております。

 この共通認識をもとに、タスクフォースにおいては、国民生活センターの各機能は支援相談を中心に一定の相互補完関係を有し、これらが一体となって地方消費者行政に対する支援機能を果たしており、このような相互補完性、一体性は不可欠とされ、各機能を消費者庁に移管し、一元化するとの結論が出されたものと承知をいたしております。

吉泉委員 答弁の方、それぞれ今大臣から経過を含めてあったわけですけれども、二年半前に消費者庁ができて、そして四十数年歴史のある国民生活センター、そして同時に消費者委員会、この三つがそれぞれお互いにリンクしながらの消費者行政の進め方というものが、一番私としては期待をしてきた一人でもございます。

 しかし、事業仕分けで国民生活センターのあり方が問われていく中で急速にこういうふうになってきた、そういうことについても自分自身理解はするわけでございますけれども、しかし、果たしてこれでいいのかなというふうに率直に思います。

 そういう中で、国民生活センターが、もう議論する部分は一年ちょっとしかないというふうに思うんですけれども、この四十数年、消費者行政または消費者問題に対して果敢に取り組んできて、そして国民から信頼をされてきたこの国民生活センターをどのように今捉えているのか、大臣としての見解をお伺いさせていただきます。

松原国務大臣 国民生活センターは、長い歴史を持ち、その中で、日本における消費者の利益を守り、その擁護をしてきたという点において大きな実績があるというふうに承知をいたしております。

 したがって、私は、今この国民生活センターのあり方に関して議論がずっと行われているわけでありますが、その議論の中で出されている国民生活センターの持っている持ち味、先ほどから申し上げているように、従来は国の機関ではないがゆえにできた柔軟性のある対応やスピード感というものがあるというのを十分に承知いたしておりますから、それがどのように担保されるのかということも含め、今、さまざまな方々の意見を鋭意聞かせていただいているところであります。

 ADRの機能にしても、やはり、今の国民生活センターにあってこそそういったものが極めて消費者にとっていい形で提供されるんだという議論もありますし、たくさんの議論がなされているところであります。

吉泉委員 それぞれ消費者団体の方からも、私の方、さらには私どもの政党の方に対しても、いろいろな意見、さらには要望が出されているのも事実でございます。

 今後の進め方なんですけれども、今、二月の二十二日から、三月には三回やられ、そして五回目が四月十日に開催をされているわけでございますから、非常に早いなというふうにも思っております。これからの流れなんですけれども、新たに国民生活センターが消費者庁と一体となるということについては、二十五年になる、こう言われているわけですけれども、その辺の今後の進め方みたいなものはどういうふうに考えているのか、スケジュールをお願いしたい。

松原国務大臣 国へということは決まっておりますが、例えば国民生活センターが消費者庁と一体になるという議論ではなくて、どういう形でこれを、先ほども、さまざまなバリエーションがあるということもこの委員会で議論になっているところであります。

 確かに、ペースが速いのは事実であります。ただ、これを早く結論を出すということと深掘りをしないというのは別でありまして、その間、徹底的な議論をして、そして数多くの機会をつくって、何がこの国民生活センターにおいて価値があって、それがどういうことで危惧されるのか、そして、どういうところをさらに強化するべきかという議論を深掘りしていきたいと思っております。

 きょうまで、今回五回目の検討会も終わりましたが、かなりの論点が出てきていると私は承知をしておりますし、さらに数回こなす機会、もしくは別の機会でも私は消費者団体との定例的な懇談会も持とうと思っておりますし、数を絞った形で数回また別途そういった機会も持とうと思っております。そういう中で、何が問題かという、それぞれの団体の方もさまざま議論があります、そういうものを聞かせていただいて、そして判断をしていきたいというふうに思っているところであります。

吉泉委員 それでは、確認させていただきたいと思うんです。

 今、五回検討されているのは、消費者行政の体制のあり方についての課題に対して検討会がなされているんだと。その中において、国民生活センターの国への移行、このことを踏まえる、こういうふうになっているわけでございますけれども、そして、そのことが二十五年度に移行するんだ、こういう認識を自分はしているんですけれども、そういう認識でいいのかどうか、この点についてお伺いします。

松原国務大臣 国民生活センターのあり方ということで議論したときに、当然、消費者行政全般も含む議論になるわけです。

 先ほど委員御指摘があったように、国民生活センターと消費者庁と消費者委員会というのは、まさに三本の矢のように相互に補完し合いながら、日本における消費者行政を充実させる柱だと思っております。その中で、閣議決定も含め、国民生活センターの国への移管ということが一つの方向で示されている中で、どのような方向にその機能を充実させながら着地するかということを今議論しているところでありまして、目途としては二十五年ということで今目指しているところであります。

吉泉委員 今の、まだ二年半というところの中で、本来の消費者庁としての機能というものについてはまだまだ道半ばなんだろうというふうに思っておりますし、さらには職員自体も、それぞれ人事交流の中で、プロパーの職員というのは非常に少ないというふうに承知をしております。

 そういう中において、消費者行政という部分の体制、それが国民センターの移行、そうなりますと、国民センターの職員も消費者庁の職員と全部一緒になった人事交流みたいな形で捉えるわけでございますけれども、そういう捉え方はしなくてもいいということですか。

松原国務大臣 ですから、そこは今、そういったことも含めて、どういう形がふさわしいかという議論をしているというふうに思っていただければいいと思うんです。

 つまり、どういう形で国民生活センターの機能を維持してやっていくのか、どういう形で消費者庁と国民生活センターと消費者委員会がそれぞれ役割を十分果たせるのか。例えば、審議会機能に関しては、消費者委員会にも一定の審議会機能を置くけれども、消費者庁にもそれを置いてくれとか、いろいろな議論がそこでなされているわけであります。そういった議論を今積み重ねているところであるというふうに御理解いただきたいと思います。

吉泉委員 国民生活センターの移行ということが決定をされている、そういう中で、もう国民生活センターはなくなるんだという理解に自分自身なってしまうわけでございますけれども、そういう認識ではないということですか。国民生活センターは消費者庁と一緒になって、名称も何も、国民生活センターの機能も全て消費者庁の行政の中に組み入れられるという捉え方でしょうか。

松原国務大臣 先ほどから議論して申し上げていることは、さまざまな選択肢の中にそういう議論もあろうかと思いますが、国への移管ということでありますから、国への移管のさまざまなバリエーションについて先ほどからさまざまな委員の方々と議論してきたわけであって、ここで消費者庁と国民生活センターが一緒になるということを別に決め打ちしているわけではなくて、国への移管ということで議論をしているということです。

吉泉委員 今、三本の矢ということで大臣が答弁の中で使われたわけでございますけれども、やはり、まだ二年半、三年たっていないわけでございますから、これからいろいろな課題がございます。そんな面の中では、もっともっといい消費者行政ができ得る、そういう立場の中で、それぞれの歴史もあるわけでございますから、そのことも踏まえて、ぜひ、余り急速に答えを出さないようによろしくお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

青木委員長 次に、小林正枝君。

小林(正)委員 新党きづなの小林正枝でございます。

 私の質問時間に御配慮いただきました委員長並びに与野党の理事の先生方に深く御礼申し上げます。ありがとうございます。

 限られた時間ですので、質問に早速入らせていただきます。

 大臣は、所信表明の中で、「事故情報の収集、分析を強化するとともに、迅速かつ的確に、消費者への注意喚起、各省庁への措置要求、事業者への勧告等を行います。」と述べられています。

 最初に、大臣にお伺いいたします。

 消費者庁が収集、分析する事故情報は大変多岐にわたっていると思います。消費者庁に寄せられる財産分野の事案は年間五万件、生命身体被害に関する事案は一万六千件にもなると伺っております。そうした中、収集した情報を消費者庁の内部で全て分析することは大変な作業だと思いますが、消費者庁の責任において収集、分析して原因究明を行うことができておりますでしょうか。消費者行政にとりまして非常に大切な仕事ですので、大臣から御答弁をお願いいたします。

松原国務大臣 極めて重要な委員の御指摘だというふうに思っております。

 生命身体被害の情報については、消費者庁内に入手情報点検チームを設置し、消費者庁に寄せられる年間一万六千件の情報について対応漏れがないよう点検をいたしております。また、国民生活センター、NITE等と連携し、原因究明を行っております。

 今国会に提出をしている消費者安全法の一部を改正する法律案により新設される消費者安全調査委員会は、事故調査のため情報分析を行う予定であり、本法律案について速やかな御審議をお願いしたいと考えております。

 財産被害の情報としては、国民生活センターとも連携し、関係部局で互いに情報をチェック、共有しながら、消費者目線で優先度をつけて分析を行い、消費者への注意喚起や法に基づく処分等の対応を行っております。

 また、端緒情報の入手や消費者庁の対応の検証を行うため、外部専門家と意見交換を実施することも行っております。

小林(正)委員 次に、事故情報を収集、分析した後に各省庁への措置要求をすると言われておりますが、措置要求というのは非常に強い言葉であります。場合によっては、各省庁の所管する仕事や権限と重なる難しい問題もあるのではないかと思います。そのような中で、消費者庁の力を発揮して各省庁に対しての指導的な役割を果たすことは大変な苦労を要することと思いますが、ぜひとも国民生活の安全、安心のために取り組んでもらいたいと強く望みます。大臣、力強い御意思をお聞かせください。

松原国務大臣 消費者庁は、生命身体被害分野について、集約、分析した情報をもとに、消費者安全法の重大事故等や消費生活用製品安全法の重大製品事故について定期的な公表を行っております。また、被害の拡大が懸念される事案については、消費者へ迅速に注意喚起を行っております。この注意喚起というのは極めて重要な機能だと思っております。

 また、財産被害の分野については、国民生活センターが迅速に手口公表を行うとともに、消費者庁において、消費者安全法第十五条に基づき、事業者名公表を伴う消費者への注意喚起を行っております。

 このように、消費者庁みずから対応するほか、関係省庁が所管する分野については、必要に応じて、事故の防止に必要な措置を実施するよう働きかけや要請を行っております。

 いずれにしても、収集した情報をもとに、関係省庁と連携して迅速に対応し、消費者被害の再発、拡大防止に向け、しっかりと取り組んでまいります。

小林(正)委員 次に、大臣は、所信の中で、「消費者の安全、安心を実現するためには、だまされない賢い消費者、社会の発展と改善に積極的に参加する自立した消費者を育てることが大切です。このため、消費者庁は文部科学省等と連携して、消費者教育を体系的、総合的に推進してまいります。」と述べられております。

 私も、自立した消費者を育てようという理念には賛成です。その上で質問をさせていただきたいのですが、消費者教育について、消費者庁としてはどのような考えを持っていらっしゃるのでしょうか。

後藤副大臣 先生御指摘のとおり、消費者教育の重要性というのは、大臣の所信表明でも述べたとおりでございます。

 特に、消費者基本法の第七条一項におきまして、消費者教育の推進に当たっては、自主的かつ合理的に行動する消費者を育成することが重要であるというふうに定められているところでもございます。そういう意味で、被害を受けない、だまされない賢い消費者、そして社会の発展と改善に積極的に参加する自立した消費者が育つように支援する、そのために、学校、地域、家庭における消費者教育を推進することが重要であるというふうに考えております。

 そういう意味で、後ほども御指摘があると思いますが、私ども消費者庁としても、今、中学校、高校向けの消費者教育副教材というものを作成しています。この中で、文科省とも連携をして対応しているところでもございます。あわせて、各方面の消費者教育の現場の方々に御利用いただけるように、先ほどの教育素材や取り組みの具体的な情報を消費者教育ポータルサイトとして提供しているところでもございます。

 あわせて、私が会長をしております協議会の中でも、「消費者教育推進のための課題と方向」という形で、今月の六日だったと思いますが、これからの消費者教育はいかにあるべきかということを、文科省の皆さん方また有識者の皆さん方とも連携しながら、その方向感をまとめさせていただいておるところでございます。

小林(正)委員 それでは、文部科学省にお伺いいたします。

 教職員が学校で児童や生徒に賢い消費者になるための教育を行うといった場合、教員がしっかりした研修を受けていなければ、子供たちを指導することはできないと思います。消費者庁からは、教員の研修などについてもさまざまな意見や要望も受けていることと思いますが、文部科学省としてはどのようにお考えでしょうか。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 学校教育において、まず、児童生徒向けというところで申しますと、小学校、中学校、高等学校の社会科、家庭科などにおいて、児童生徒の発達の段階に応じて指導するということにいたしております。例えばということで紹介いたしますと、小学校の家庭科では、身近な物の選び方、買い方などを考えて適切に購入するようにできることなどがありますけれども、そうしたことを学習指導要領に示しております。

 そうしたことを指導いただくに当たって、教職員の方々の消費者教育の指導の向上を図るためということで、以前からも取り組みをしておりますけれども、さらに工夫をするという観点で、平成二十四年度におきましては、消費者教育を担う教員のための研修などを実施する、消費者教育の調査研究を都道府県の教育委員会などへ委託するということ。また、文部科学省におきましては、学校におけるすぐれた実践指導事例集を作成して配付をするということ、また、教育関係者などを対象とする消費者教育フェスタを開催して、教育委員会の先進的な取り組みの周知を行うなどを取り組むことといたしております。

 先ほどお話がありましたけれども、消費者庁ともしっかりと連携をさせていただいて、消費者教育の充実に今後も努めてまいりたいというふうに思っています。

小林(正)委員 今の御答弁の中で、小学生から高校生までについての御説明がございましたので、もし本格的に消費者教育を教える教員を養成するとなりますと、大学や大学院における教職課程で、自立した消費者教育に関する科目を設置することも視野に入れなければならないと思います。文科省はそういうことも想定していらっしゃるのでしょうか。

城井大臣政務官 お答え申し上げます。

 実際に教育職員免許法上で教職に関する科目として位置づけられている中で、各教科の指導法というのがございますけれども、その中で、学習指導要領の上で、これらの教科、例えば社会科、家庭科などというところで包括的に学んでいただくということを想定して、社会科や家庭科などの教科の免許状を取得する場合に、その中で消費者教育というものを含んでいるというのが仕組みであります。

 ただ、一部の大学におきましては、消費者教育自体を取り出して、独立の科目として設置をしているところもあります。限られた科目と単位数の中で学んでいただくには、消費者教育に関する科目を独立して学ばせるということについては、大学としての科目の編成や学生の科目履修のあり方、そして養成される教員の専門性のバランスなどを考えながら、一義的には大学がその部分は編成をするということになっております。

 ですので、そうした消費者教育が扱われていくように、大学の自主性にも配慮しながらですけれども、私どもとしても促してまいりたいというふうに思っております。

小林(正)委員 質疑時間が終了してしまいました。通告をしておりましたけれども、これで私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

青木委員長 以上で質疑は終了しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十六分散会


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