衆議院

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第5号 平成26年11月6日(木曜日)

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平成二十六年十一月六日(木曜日)

    午前九時六分開議

 出席委員

   委員長 鴨下 一郎君

   理事 亀岡 偉民君 理事 木原 誠二君

   理事 後藤田正純君 理事 とかしきなおみ君

   理事 冨岡  勉君 理事 中根 康浩君

   理事 重徳 和彦君 理事 古屋 範子君

      青山 周平君    秋本 真利君

      穴見 陽一君    安藤  裕君

      池田 道孝君    岩田 和親君

      小倉 將信君    大岡 敏孝君

      大見  正君    鬼木  誠君

      黄川田仁志君    小島 敏文君

      小林 茂樹君    田畑 裕明君

      豊田真由子君    中谷 真一君

      野中  厚君    藤丸  敏君

      堀井  学君    堀内 詔子君

      三ッ林裕巳君    宮川 典子君

      山田 賢司君    山田 美樹君

      生方 幸夫君    大西 健介君

      近藤 昭一君    柚木 道義君

      井坂 信彦君    上西小百合君

      浜地 雅一君    田沼 隆志君

      松田  学君    佐藤 正夫君

      穀田 恵二君    村上 史好君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            有村 治子君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   内閣府大臣政務官     越智 隆雄君

   経済産業大臣政務官    岩井 茂樹君

   政府参考人

   (内閣府消費者委員会事務局長)          黒木 理恵君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     川口 康裕君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    菅久 修一君

   衆議院調査局第三特別調査室長           石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     池田 道孝君

  金子 恵美君     大岡 敏孝君

  田畑  毅君     黄川田仁志君

  武井 俊輔君     岩田 和親君

  比嘉奈津美君     山田 賢司君

  藤原  崇君     三ッ林裕巳君

  宮崎 謙介君     中谷 真一君

  宮崎 政久君     大見  正君

  山田 美樹君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     山田 美樹君

  池田 道孝君     穴見 陽一君

  岩田 和親君     武井 俊輔君

  大岡 敏孝君     小林 茂樹君

  大見  正君     安藤  裕君

  黄川田仁志君     田畑  毅君

  中谷 真一君     宮崎 謙介君

  三ッ林裕巳君     宮川 典子君

  山田 賢司君     野中  厚君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     宮崎 政久君

  小林 茂樹君     金子 恵美君

  野中  厚君     比嘉奈津美君

  宮川 典子君     藤原  崇君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)


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     ――――◇―――――

鴨下委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府消費者委員会事務局長黒木理恵君、消費者庁次長川口康裕君、消費者庁審議官菅久修一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。生方幸夫君。

生方委員 おはようございます。民主党の生方でございます。

 今委員長から報告のありました不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 去年、おととしあたりですか、食品偽装が非常に問題になって、あるところは、会社自体がおわびをして、経営者がやめるというようなこともありましたけれども、余りにも頻繁に起こるので、その次は謝っただけとか、その次はもう報道で一回出ただけでその後どういう措置をとったのかもわからないまま終わったというような事案もあったやに覚えております。

 それで、今回、課徴金を課すということが新たに盛り込まれたわけで、課徴金を課すこと自体、私はいいことだというふうに思っております。

 ただ、課徴金算定率を三%というふうに決めている。これは、事例をあのときもいろいろ見て、経営者も関与していたとかいう非常に悪質なものから、経営者が全く知らないところで行われていたという、経営者としては残念ながら責任は余りないのではないかというような事例とか、いろいろな事例があるわけですよね。いろいろな事例があるにもかかわらず課徴金は一律三%というのは、ちょっと柔軟性に欠けるのではないか。ある場面では一%で、ある場面では一〇%とかというような形で、課徴金の率を少し変えることによって、非常に悪質な場合はもっと重い課徴金が課せられるんですよとしてもよかったというふうに思うんですが、大臣いかがですか。

有村国務大臣 おはようございます。お答えいたします。

 法案においては、課徴金算定率を一律に設定しております。その理由は、制度の透明性、公平性の確保の観点から、課徴金の賦課要件を明確に規定するとともに、迅速に処理できるようにしたためでございます。

 仮に、委員御指摘のように、算定率に幅を設け、事案に応じて算定率を変えて課すことができるようにすれば、当該違反事業者にどの程度の経済的不利益が課されるかがあらかじめ明確にならず、また、算定率を定める根拠が明確でないため、場当たり的な運用、時には恣意的な運用にもなりかねないという懸念が残ります。これは、法的安定性の観点からも慎重な考慮が必要であると考えた次第でございます。

 さらに、個別の事案ごとに算定をする場合は、その調査と判断に時間を要することが懸念され、迅速に課徴金納付命令を課すことが困難になれば、課徴金制度そのものの実効性を阻害することにもなりかねない、これは妥当ではないと判断をいたしました。

 以上によって、今回、法案のとおり課徴金制度を設計いたしましたが、しかし、委員の御指摘のように、仮に悪質な事業者により違反行為が繰り返し行われるなど、違反行為防止の実効性が不十分と認められるような事態が生じた場合には、制度設計の見直しを含めて必要な措置を講じる必要があるかと考えております。

生方委員 同じように課徴金を課すことができる独禁法とか金融商品取引法というのがございます。これは課徴金に幅が持たれていますよね。ある場面では何%で、ある場面では何%というふうに変わっている。このように前例があるわけですから、今大臣もお答えになりましたけれども、とりあえず三%で始めても、これが余り適当でない、幅を持たせた方がいいということであれば、まあ、始める前に変えろと言うのもなんですけれども、柔軟に対応していただきますように、まずお願いを申し上げておきます。

 それから、課徴金は消費者庁に納められることになっているんですよね。本来であれば、これは被害を受けた消費者に対して還元されなければいけないものですけれども、とりあえず消費者庁に納められることになっている。その先ですけれども、大臣、大丈夫ですか、聞いていますか。(有村国務大臣「伺っています」と呼ぶ)後ろがごちゃごちゃ言うと、こっちは質問しているんだから。被害者救済にこの課徴金というのが充てられることはないんですか。

 それからもう一つ、課徴金を課す前に自主返金を促すような取り組みは行っていくのか。本来の目的は、これは消費者に被害があるわけですから、その被害をきちんと救済しなければいけないというのが目的であって、課徴金を課して消費者庁が潤っているだけじゃ何にもならないわけで、一番の目的は、こういう被害をもう二度と出さないようにするということが一番目。二番目は、被害に遭った消費者がきちんと返金を受けるとかいうことをしなければいけないというふうに思うんですが、自主返金を促すような取り組みというのは課徴金を課す前に行うんですか。

有村国務大臣 生方委員が御指摘いただいた点でございますが、消費者庁に納められるわけではなくて、これは一般財源として国庫に納付されるというたてつけになっておりますので、この点に関しては御報告をさせていただきます。

 一般財源になったら、その使途は別途予算措置をもって使い道が決められるものであります。この法案では、可能な限り、委員がおっしゃったように、被害を回復するために、課徴金が国庫に納付される前に、違反行為者が得た不当な利益を消費者御自身に返還していただいて、被害を救済することを促す手法を盛り込んでおります。

 具体的には、事業者が所定の手続に沿って被害を受けた消費者に対して自主返金を行った場合には、課徴金を減額する、または課徴金の納付を命じないということにしております。

 これによって、委員御指摘の消費者の被害回復がまず促進されることを期待しておりますし、また、自主返金制度の活用が促進されるよう、事業者に対しても周知を徹底して、まずは本来の消費者の被害回復ということが図られるように努めてまいりたいと考えております。

生方委員 当然、被害者というか消費者に還元をするというのが一番だというふうに思うんですけれども、仮に、返金をする額よりも課徴金の方が安いというようなことが生じた場合、企業の方が、これは消費者に返すよりも課徴金だけ払っちゃった方がいいやというふうに思ってしまう場合もあるかと思うんですけれども、そういう場合はどうするんですか。そういうことは起こり得ないんですか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 事業者が自主返金を行う場合、当然、返金手続に関連する作業や消費者の方々と向き合って返金を行う手間などの負担が発生します。このため、課徴金制度を導入するに当たっては、制度的な配慮を行わなければ、御指摘のように事業者が自主返金をためらうというおそれも考えられます。

 そこで、この法案では、課徴金を国庫に納付させる制度を整備すると同時に、所定の手続に沿って返金を行う事業者には、課徴金の減額または課徴金の納付を命じないとする制度を設けてございます。

 この制度によって、自主返金を全く行わないという態度をとる事業者は、企業イメージが低下するといった社会的評価あるいは制裁に影響することが考えられ、単純に課徴金を支払えば済むという認識にはなりにくいというふうに考えられます。

 法案成立の折には、自主返金制度の活用が促進されるよう、事業者に対して、まずは自主返金による課徴金の減額またはその納付を命じないとする本制度の趣旨の周知をしたいと考えております。

生方委員 課徴金を課すというのは大変なペナルティーだとは思うんですけれども、非常に悪質な場合は、例えば課徴金に加えて何カ月間営業停止とかというような行政措置をとるということはあり得るんですか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 この景品表示法の目的は、不当表示を防止すること、また、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害しないことにあります。不当な表示が改善されれば、事業者に事業の継続を停止させることまでは必要がないのではないかというふうに考えております。業務そのものの停止命令は、不当表示規制の抑止力を高めるために行われる行政処分としては過剰なものとなるおそれがあるというふうに認識をしております。

 一方で、委員の御指摘のように、今後、仮に悪質な事業者により違反行為が繰り返し行われるなど、違反行為の防止の実効性が不十分と認められるような事態が生じた場合には、当然見直しを含めて必要な措置を講じてまいる、そういう所存でございます。

生方委員 細かいことをちょっと伺いたいんですけれども、景品表示法で、実際よりも著しく優良と表示してはならないというふうに規定をしていて、これは消費者の方ですけれども、この基準が曖昧で実際には適用しづらいという声が出ていた。今回の法改正でも、表示について、相当の注意を払っていた場合は課徴金の対象外というふうにしている。もう既に、相当の注意とはどんなものなのかという戸惑いの声が上がっているわけです。

 相当な注意というような言い方ではなくて、きちんとガイドライン等をつくって、こういうことをやった場合はこうですよというふうにしないと、景品表示法でも、実際より著しく優良と表示してはならないというその解釈をめぐって、結局この適用がなかなかできないというようなことが起こっているわけで、それと同じようなことをまた、相当の注意というのも、私もこれは、相当の注意というのは一体どういう注意なのかなんてわからないので、きちんとガイドラインなりなんなりをつくっていただいた方がいいと思うんですけれども、いかがでございますか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 相当な注意でございますけれども、これにつきましては、個別具体的にそれぞれ判断せざるを得ないという場合もあると思いますが、一般的には、取引先から提供されます書類などで表示の根拠を確認するなど、表示をする際に必要とされます通常の商慣行にのっとった注意を行っていれば足りるものというふうに考えておりまして、現在の商慣習に変更を加えるものではないというふうに考えております。

 本法案成立後、御指摘のとおり、ガイドラインなどを作成することといたしておりまして、このガイドラインを作成の上、知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠った者でないと認められる場合、この考え方についてさらに明確化いたしまして、事業者の方々に周知する、そのことによりまして事業者の方々の予測可能性を高めていきたいというふうに考えております。

生方委員 お役所の言葉じゃなくて、できるだけわかりやすくしないと、どうにでも解釈できるようなことじゃ困るので、きちんとしたガイドラインをつくっていただきますようにお願いを申し上げます。

 課徴金を課す企業は、売上高が三年間で五千万円以上の企業というふうにしたというふうになっておりますが、これは何で三年間で五千万円以上の売り上げがあるところというふうにしたんですか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 この課徴金制度の目的でございますが、違反事業者に経済的不利益を賦課する、そのことによりまして不当表示規制の抑止力を高めて不当表示を防止するということでございます。そこで、この法律案では、まず、課徴金対象期間といたしまして、こうした課徴金制度の実効性を確保しつつ、過去に遡及し得る期間を合理的に限定する、そういう考え方のもとに、課徴金対象期間の上限を三年間ということにしたところでございます。

 また、規模の基準でございますが、これは、消費生活の影響が相対的に小さいものまでことごとく課徴金を課すということにいたしますと、行政効率が低下いたしまして、抑止の必要性のより高い事案に対する法執行に支障を来すおそれがあるというふうに考えられます。このため、この法案では、規模基準を設けることが適切というふうに考えまして、不当表示の対象商品、役務の売上額が五千万円未満の場合には課徴金を課さないこととしたということでございます。

 なお、この不当表示の対象商品等の売上額五千万円未満という基準でございますが、消費者庁設置後に措置命令を行いました事業者の売上高のデータに基づきまして、その中位層に位置する値、これを参考に定めたものということでございます。

生方委員 不当表示があって利益が出た売上高に課徴金を課すわけですよね。不当表示でもうけた額というのは、例えばほかのものも売っていた場合、全部が不当表示だった場合じゃなくて、ほかのものも売っていた場合とかの境目というのが非常に難しいんじゃないかというふうに思うんですけれども、不当表示でもうけた利益というのはどういうふうに算出をするんですか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 不当表示によって得た利益を具体的に算出するということにつきましては、事案によりましては、または時間と労力をかけることによって可能な場合というのもあり得るとは思われますけれども、一般的には、その不当表示によって得た個別の商品、役務に係る事業者の利益を算出するというのは非常に難しいのではないかというふうに考えております。

 すなわち、一般消費者がその商品または役務を購入する際に、その不当表示が寄与した範囲が具体的にどういうものか、それを明確に区分すること、こういうのも難しゅうございますし、また、その不当表示によって事業者が追加的に得ることができたと考えられる利益、これを具体的に算出するということになりますと、なかなか困難じゃないかというふうに考えております。

生方委員 できるだけきちんと算出をしていただいて、課徴金を課すようにしていただきたいというふうに思います。

 消費者庁が出している措置命令の件数は、二〇一〇年で二十件、一一年で二十八件、一二年で三十七件、一三年で四十五件と年々ふえてはきているようでございますが、実際に消費者が感じる不当表示、これは不当表示なんじゃないかというものはもっと多いんじゃないかというふうに思うんです。実際にもっといっぱいあるのが、たまたまマスコミやなんかで取り上げられて出てきたものとか、消費者庁自体がつかんでいないというような事案もあるんじゃないかというふうに思うんですよね。

 今度は課徴金を課すわけですから、その課徴金を課すような企業をきちんと摘発するような部署というのを消費者庁の中に設けるんですか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 現在も、表示対策課という課が景品表示法を執行しておりまして、事件審査の調査官が事件の調査を行っております。

 今後、この課徴金というものが入りますと、それに伴いましてまた、事務量の増加も予想されますので、体制の整備、強化ということも検討していきたいというふうに考えております。

生方委員 大臣、せっかくこういう新たな課徴金を課すという制度をつくるわけですから、それがきちんと実行されるべく、人数が足らないなら足らないと、この間、聞いたら人数が非常に少ないみたいですから、それだけの人数で本当に対応できるのかどうか私は疑問に思ったので聞いているわけで、新たな部署をつくらなくてもいいですけれども、少なくとも人数をきちんとふやすとかという措置をとらないと、せっかく法律をつくってもそれがきちんと適用されないということになりますので、その辺、もう一度お答えいただきたいと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 御懸念ありがとうございます。やはり、現下の課題に対応できるような布陣をしくことは、一般論から申し上げても極めて大事なことだと認識をしております。

 課徴金制度の導入の趣旨は、不当表示規制の抑止力を高めること、また、制度の導入によって不当表示事案の発生が減少することを期待しております。

 その上で、御指摘のように、執行力が落ちることはあってはならないことだと私も認識をしております。今後、措置命令等の法執行についても、委員御指摘のように、実際、措置命令の件数は増加しております。さらにしっかりと取り組むと同時に、課徴金制度について万全の体制で執行業務を行うべく、消費者庁の体制の整備ということに引き続き取り組んでいきたいというふうに考えております。

 なお、前国会で成立をしていただいた景品表示法の改正法によって、都道府県知事に新たに措置命令権限を付与すること、あるいは事業所管大臣に調査権限を委任することなどが可能となりました。施行日であります来る十二月一日から、執行体制は全体として強化されるというふうに考えてもおります。

生方委員 人数をふやすというのはなかなか大変なことですから困難を伴うんでしょうけれども、せっかく法律をつくったわけですから、ぜひ大臣としても努力をしていただきたいというふうに思います。

 これは、課徴金納付命令、基本的な手続の流れというのがございますが、ここで、措置命令が出た後で、もう一度事業者の弁明というのがあるんですよね。弁明の機会が与えられることになっていますけれども、この弁明を聞いて、誰がどう判断するんですか。これはもともと、不当表示というのは調査があって、措置命令が出て、それで弁明の機会付与というふうになるんですけれども、措置命令が出た後に弁明をさせて、それを誰が聞いて、どう判断するのかというのを教えていただきたいんですけれども。

鴨下委員長 簡潔に答弁をしてください。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、措置命令を行う前に、まず弁明の機会というのが一度ございます。また、今後、課徴金納付命令の制度が入りますと、課徴金納付命令を行う前に弁明の機会の付与というのを行います。いずれも、措置命令または課徴金納付命令の案というものを事業者の方に送付した上で、それについて事業者から意見、主張、または証拠を提出する機会を与えるということでございます。これを消費者庁の方で聞きまして、その点も踏まえて、最終的に消費者庁として命令を行うか否かの判断をするというものでございます。

生方委員 一応、最初にもう業者から話を聞いていて、措置命令が出た後でもう一回弁明をして、同じ消費者庁が聞くというのは、私は二度手間だと思うんですよね。消費者庁以外の客観的な方がここで聞いて、ああ、その弁明には理があるなというんならいいんですよ。同じ消費者庁がもう一度聞いたって二度手間になるだけで、私は、これは余り意味があることではないということを指摘して、質問を終わらせていただきます。

鴨下委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 法案の質問に入る前に、前回の所信質疑のときに、私は、製造所固有記号だとか栄養表示についての、食品表示の話についてお聞きをしたんですけれども、その問題についてちょっと確認をさせていただきたいと思います。

 去る三十一日の日に、第三十四回の消費者委員会食品表示部会が開催をされて、答申書というのが決定をされました。その内容というのは、ナトリウム、食塩相当量の表記に関する微修正を除いては、諮問された原案をそのまま認めるという内容になっています。

 ただ、きょう皆さんのお手元に資料としてお配りをしましたけれども、これは十月二十四日時点での各委員意見ということで、議論になっている論点について各委員の賛否が書いてある。これは部会で配られた資料ですけれども、これを見ますと、例えば私が前回取り上げた製造所固有記号については、何と六人の委員の方が反対をされているんです。それから、食品基準における加工食品、添加物の五年の経過措置、これも五人の委員の方が反対をされているんです。

 製造所固有記号については、前回の委員会でも指摘をしましたけれども、一億円もかけてデータベースの更新をする、それ自体にそんな合理的な理由があるのか、そもそも消費者の利益を考えるなら、製造所固有記号は廃止すべきだと私は思います。

 また、五年の経過措置についても、平成七年に製造年月日から現在の期限表示に一斉変更したとき、このときでも二年でできているんです。ですから、五年もかけるというのは余りにも長過ぎて、新しい制度による食品表示のメリットを一日も早く国民の皆さんに享受していただくという観点からすると、これはおかしいんじゃないか。

 こういったことについて、これだけ多くの委員が反対をしている、あるいはたくさんの異論や懸念というのが示されたにもかかわらず、たった二枚の答申書になってしまっている。これで本当に消費者の意見というのが反映をされているのか。

 これは、項目ごとに多数決をとるというやり方をやっていけば、委員構成が決まったところでもう結論ありきになってしまうんですね。専門家の意見を聞くのがこの食品表示部会の役割だというふうに思うんですけれども、たくさんの意見が出たにもかかわらず、この答申の中にその意見が全く反映をされていない。既に、出席をしていた委員の中からも、それから消費者関係者の中からも、この部会の運営というのは極めておかしいんじゃないか、こんな結論になるわけがないじゃないかという異論が上がっています。

 きょうは、消費者委員会の事務局長にお越しをいただいていますので、事務局長から、この部会の運営は本当に公正なものと言えるのか、ぜひお答えをいただきたいと思います。

黒木政府参考人 お答え申し上げます。

 第三十四回の消費者委員会食品表示部会で了承されました食品表示基準に関する答申案といいますものは、それまでの、時に四時間半にも及ぶ長時間の会議を何度も重ねていただきまして、委員の方々に熱心な御議論をいただいた、その委員の方々の意見分布を反映させて、部会長が作成されたものでございます。これを三十四回の部会で原案として位置づけて作成されたというものでございます。

 部会においては、議決の際に御出席いただいておりましたのは、十二名の委員の方でございます。この十二名の方のうち、部会長の原案に対して、部会長も含め九名の方が賛成、それから三名の方が反対ということで議決がされたものでございます。

 どのような方の意見が反映されていたのかということにつきましては、一概に申し上げられません。いろいろな御経歴の方がおられますけれども、特に、御経歴によって意見が分かれたとか、偏ったというようなことではなく、それぞれの委員の方々が各人の御知見に基づいて熱心に御議論いただいた結果を踏まえた答申案になったということで承知をしてございます。

大西(健)委員 今、全然説明になっていないと私は思うんですけれども、三十四回のこの部会でも四時間以上議論をしているんですよ。それから、一年以上にわたっていろいろな方々がいろいろな意見を言っているのに、ナトリウムの話だけの答申書というのは、極めて私は不自然だというふうに思いますし、例えば前回言いました製造所固有記号、これは衆参の委員会の附帯決議でも触れられているんです。我々国会の意思さえも無視されているんですよ。

 こんな答申書の内容で、本当に、消費者委員会に諮問した結果、原案どおりでいいと言っているからこれでいいんですということで私は進めてはいけないんじゃないかというふうに思っております。

 実際にずっと長い間議論に参加した人たちも、一年以上の議論、自分たちの議論は一体何だったのか、たったこの二枚になってしまうのか、これは極めておかしいんじゃないかということを本当に言っておられます。

 大臣、今の私が申し上げたこと、今の事務局長からの説明というのは全く私の質問に対する答えになっていないと私は思いますが、お聞きになって、本当にこれはもう消費者委員会が、ナトリウムだけの話でいいです、あとは原案どおりでいいですと言ったので、そのとおり進めますということで大臣はやられるんですか。それでいいと思っておられるか、大臣のお答えをお願いいたします。

有村国務大臣 お答えいたします。

 国会の意思として、また、現在の消費者庁の立場としては、消費者委員会の独立性を尊重する立場にございます。

大西(健)委員 私は、独立委員会としての消費者委員会の運営、食品表示部会の運営が極めておかしなものである、これは、出席した委員の皆さん、それから傍聴等をされている消費者関係の皆さんがそのようにおっしゃっている、このことをぜひ大臣に改めて申し上げておきたいというふうに思います。

 今後、消費者委員会食品表示部会においても、この運営のあり方、私は、この運営のあり方に対して過去のこの委員会でも指摘をさせていただいて、かつて、トランス脂肪酸のことについて、前の森大臣からはそういう運営の仕方はやはり問題があるというような御答弁もいただいたことがあります。私は、この運営のあり方に問題があるというふうに思っておりますので、ぜひ大臣にも、独立した委員会だからそれでいいんだなんということではなくて、しっかり政治的なリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 それでは、景品表示法の課徴金の問題に移っていきたいと思うんです。

 資料をお配りさせていただいたんですが、日本消費経済新聞の記事をごらんいただきたいと思います。

 この記事によりますと、経済産業省が消費者庁の法案の問題点というのを列挙した資料を作成して、与党議員に根回しをしたんじゃないかという疑いが持たれています。

 記事によりますと、線を引いておきましたけれども、経産省消費経済企画室が、事実は確認できない、資料が存在することは認識していないと取材を拒否したというふうに書いてありますけれども、事前に、おとといですか、この資料を経産省に確認してもらいました。次のページとその次のページにその一部をつけておきましたけれども、経産省に確認したところ、これは経産省でつくったものであるということはお認めになりました。ただ、経産省の説明では、いろいろな関係議員から説明を求められたときのために作成した資料である、数名の議員には説明したけれども、根回しというようなものではなかったという説明がありました。

 私は、例えば、課徴金制度について事業者側からはどんな意見があるのか、どんな懸念が示されているのかというような問い合わせがこの委員会の議員の皆さんからあって、経産省がそれに対して資料をもって説明するということは、これはある話だと思いますし、通常の業務として正当なものだというふうに思います。

 ただ、これは日付もクレジットもないのでわかりませんけれども、この資料には、「(消費者庁)「景品表示法に課徴金制度を導入する法案」の問題点」というふうなタイトルが付されていて、消費者庁の原案に対してもし足を引っ張るような根回しが行われていたとしたら、私はこれはいささかやり過ぎなんじゃないかというふうに思っております。

 また、資料の内容も、ごらんいただきたいんですが、例えば、「消費者委員会では消費者側の委員のみで検討。」とか「措置命令を受ければ、小額な案件を除き、多くの場合に課徴金も課せられる。」事実に反した説明が書かれているというふうに私は思います。

 本日は、経産省から岩井政務官にお越しいただいておりますので、改めて、この資料がどういう意図で作成をされたものなのか、また資料に基づいて議員に説明に回ったという事実があるのか、そしてそのことに問題はなかったと考えているのかについて、経産省からお答えをいただきたいと思います。

岩井大臣政務官 大西委員の御質問にお答えをいたします。

 資料の意図等についての御質問でありますけれども、まず、大前提の話でございますが、経済産業省といたしましては、故意に消費者を混乱させたり、あとは、不正であることを知りながら不当表示を行うような悪質事業者については、これは市場から排除すべきだと考えております。その一方で、やはり良好な事業者が過度に事業活動を萎縮してしまうようなことはあってはならないと考えております。

 そして、このたびのことでございますけれども、今回の景品表示法への課徴金制度の導入につきましては、産業界から、産業界の意見が十分に反映をされていないことや、悪質業者に限らず幅広く課徴金が課される可能性があることなどに対しての懸念が実は示されているところでございます。

 当省といたしましては、産業界のこのような懸念を勘案した制度設計がなされるべきだと思っております。そのような観点から、関係者に対して説明を行いました。

 そして、内容、あと時期についてでございますけれども、あくまでも産業界が示した懸念を説明したものでございまして、法案の提出に反対したり先延ばしをしたりといった意図は全くございません。なお、八月末に骨子案のパブコメが募集されるタイミングにおいて、極力早く産業界の懸念を関係者に説明したものでありまして、説明時期についての御指摘の問題はないと考えております。

大西(健)委員 これは二枚目の裏の方ですけれども、見ていただくと、消費者庁の課徴金制度原案には次の問題があるとか、特に平成二十年に閣議決定された案に比べて云々ということで、私は、かなり前段階で、いろいろな意見がありますよと経済界の意見を入れていいものをつくっていくということで、どんどん意見を言っていっていいと思いますけれども、ある程度案がまとまった段階で、しかも、先ほど言ったように、事実に反するようなことまで書かれているわけですよ。

 こういうことをやるというのはちょっとおかしいんじゃないかと思うんですけれども、今のを見ていただいて、大臣、どうお感じになりますか。

有村国務大臣 お答え申し上げます。

 一般論として、行政機関、府庁の間で法案に対してスタンスが異なるということは間々あることでございます。この法案の提出に至るまでの間においては、事業者団体や消費者団体等の関係団体とも意見交換を行い、また政府内での協議を重ねて、閣議決定を行って、この法案を国会に提出したという経緯がございます。

 そういう意味では、今後とも、経済産業省も含め、関係省庁とも十分に協議を行い、消費者行政のさらなる発展のために充実した政策を結果を出すということに忠実に動いていきたいというふうに考えております。

大西(健)委員 意見があるんだったら消費者庁に直接経産省が言えばいいし、それから消費者庁だって経済界から意見もいっぱい聞いているんでしょう。こんなことをやられていることに対して、私は多少の不快感というのを示してもいいんじゃないかというふうに思います。

 それから、次に移っていきたいと思います。

 先ほどの課徴金の話について、生方委員の方からも、なぜ五千万円にしたのかという話がありました。それに対して、お答えの中で、過去の措置命令の売上高の中央値五千万円の三%として課徴金百五十万円という話がありました。過去の措置命令の中央値五千万円ということであります。

 それでは確認をしたいんですけれども、消費者庁が創設をされて以来、二〇〇九年の九月以降、これまでに出された措置命令の数と、そのうち今回の売上高五千万という基準に当てはまる事案の数がどれぐらいあるのかということについて、お答えいただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、措置命令の数でございますが、これは消費者庁創設以来、本日までで合計百四十五件でございます。このうち売上額につきましておよその数値が把握できているものが百七件でございますが、このうち五千万円以上の基準に該当する事案の数が四十九件ということでございます。

大西(健)委員 今お答えいただいたみたいに、全部が百四十五件で、売上高が把握できるものというのも限られているみたいですけれども、そのうち今回の基準に当てはまるのが四十九件なわけですから、結局、百四十五件中四十九件しか課徴金対象にならないということなんですね。ですから、この裾切り基準額ではやはり十分に網がかからないんじゃないかというふうに私は思っています。

 そういう意味では、これは不当表示を抑止するという点では不十分なところがあるんじゃないかと思いますけれども、有村大臣、いかがですか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 不当表示事案については、違反行為者の不当表示に係る商品等の売上額が大きければ大きいほど、当然、消費生活への影響が大きいというふうに思われますし、より強い抑止効果を発揮させる行政処分が必要であるというふうに言えます。

 同時に、消費生活への影響が小さいものまでことごとく課徴金を課すことになると、行政効率が低下して、抑止の必要性の高い事案に対する法執行のマンパワーなどに支障を来すおそれもございます。

 そこで、本法案では、規模基準を設けることが適切であると考えました。不当表示の対象商品、サービスの売り上げが五千万円未満の場合には課徴金を課さないというふうにいたした次第でございます。

大西(健)委員 その説明、理屈はわかるんですけれども、さっき私が言ったように、これまで百四十五件あって、四十九件しかこの基準では当てはまらないという事実をどう大臣として捉えられるか、これで十分なのかと言えるのかということを私はお聞きしているんです。

 関連して、五千万円の三%を今回課徴金にするということですけれども、この三%の算定率についても、先ほど生方委員からは、柔軟に事案によって変えてもいいんじゃないか、特に悪質な場合については、三%と言わずに一〇%にしてもいいんじゃないかという話がありましたけれども、やはりこの三%というのは事業者の不当表示を抑止するのには過小ではないかという指摘があります。

 さらに、これは自己申告した場合には二分の一に減額されるわけですから、事業者にとっては余り痛くないことだというふうに思うんですね。

 課徴金制度の一つの趣旨としては、不当利得、不当表示や違反したものを売って得た不当利得を吐き出させることで違反を抑止するということが一つの目的だというふうに思いますが、三%では不当利得の剥奪に不十分じゃないかということなんです。

 資料として、皆さんのお手元に実際の具体的な措置命令が行われた事案を二つほどつけましたけれども、例えば一つ目、これは木曽路というしゃぶしゃぶチェーンの例ですけれども、右側に、松阪牛入荷しましたというものをつけていますけれども、ここに書いてある七千円の松阪牛しゃぶしゃぶコース、これは実際には五千五百円の和牛特選霜降り肉を使っていた。つまり、不当利得は千五百円なんです。この千五百円というのは、割合でいうと売り上げの二〇%を超えているんです。三%じゃなくて二〇%を超えているんですね。

 もう一つの例として、次のページですけれども、これは、コマースゲートというところが、ダイエットサプリメント「夜スリムトマ美ちゃん パワーアップ版」というのを売っていた。実際にチラシ、それから雑誌、フリーペーパーにつけていた広告をつけておきましたけれども、「寝ている間に勝手にダイエット!?」「夜トマトダイエットでマイナス?キロ!!」といった派手な宣伝広告を打って、この商品、何と約五十億も売り上げているんですよ。

 ですから、これに三%の課徴金では、抑止力に残念ながらなり得ない。これでは、課徴金を払ってでも売りまくった方がいいというふうに考えて、やり得を許してしまうんじゃないか。

 この点、少なくとも、先ほども生方委員からもありましたけれども、私は、まずは課徴金制度を入れることが重要だと思いますけれども、運用状況を見ながら、実効性が不十分と考えられる場合には、やはり課徴金の引き上げというのも考えていくということを検討すべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 大西委員がおっしゃるように、今回の目的は、事業者が不当表示を行う動機を失わせて、不当表示規制の抑止力を高めることにある、その問題意識は共有いたします。

 このために、ポイントはどこかということですが、不当表示を抑止するに足る課徴金の算定率、その目的を達成するに必要な水準であるかどうかというところが設定で妥当かどうかというところになってまいります。

 現在、三%というふうな法案を出させていただいておりますが、本制度の運用後、仮に違反行為の実効性が不十分と認められるような事態が生じた場合には、必要に応じて見直しを含めて措置を講じてまいりたいという意図も明確にさせていただきます。

大西(健)委員 時間がありませんので最後にしたいと思いますが、本法案の課徴金の対象となる優良誤認ということについてお聞きをしたいんです。

 資料の最後のページですけれども、今から四年ぐらい前に、消費者庁が突如として、ロース部位でないランプや外もも等の部位の肉を焼き肉屋が○○ロースと表示しているのは、優良誤認に当たって、景表法違反だということを言い出しました。

 ここにも、お肉屋さんに行くと掲げてある牛の絵が描いてあります。消費者庁は、肩ロース、リーブロース以外はロースと表示してはいけないと言うんですけれども、この文書の中にも書かれていますけれども、長年、焼き肉業界では、○○ロースというのは料理名として用いられてきたんだと。

 ですから、焼き肉料理では、脂身はカルビ、赤身はロースというふうに大ざっぱに使ってきた、それが慣行として定着してきた。日本に焼き肉という食文化が定着して以来、消費者庁がこんなことを言い出すまでは、誰もこんなことを問題にしていなかったんです。今もって、では、俺は肩ロースやリブロースだと思って食っていたけれども、ランプだとは知らなかった、金返せなんと言う人は、私はいないというふうに思うんですね。

 そういう意味では、先ほどの木曽路の、松阪牛と思ったけれどもそうじゃなかったんだ、金返せという人はいると思います。でも、このロース表示が優良誤認だという消費者庁の判断というのは、私は、一般常識からすると腑に落ちないんですけれども、大臣、今の私の話を聞いていただいて、どう思いますか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のように、料理名としてというふうにおっしゃいましたけれども、消費者庁としては、焼き肉メニューにおいても、ロース以外の部位についてロースと表示することは、実際のものよりも著しく優良であると示す表示であり、景品表示法に違反すると判断をしております。

 消費者庁としては、引き続き、一般消費者による自主的かつ合理的な選択が阻害されることがないよう、一般消費者に誤認を与える表示には厳正に対処したいというふうに考えております。

大西(健)委員 参議院本会議があるということですので終わりますけれども、きょうの答弁を聞いていても、やはり大臣、消費者大臣なんですから、消費者の目線に立って答弁をいただきたい。もう官僚の書かれた答弁書を読むんじゃなくて、消費者の目線に立って答弁をお願いしたいということを再度お願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

鴨下委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時十八分開議

鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鬼木誠君。

鬼木委員 おはようございます。自由民主党の鬼木誠でございます。

 有村大臣には初めての質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、大学を出て、地方銀行に七年間勤務をいたしておりました。その間、地場の中小企業の社長さんたちと決算書の数字を見ながら融資のための稟議書を書くという日々を送っておりましたので、事業者の気持ちもよくわかっております。そしてまた、私自身も消費者であります。そうした中で、この消費者委員会の中で、事業者と消費者双方にとってよい制度となるように、この課徴金制度についても、ブラッシュアップ、議論をしていきたいと思っております。

 それではまず、景表法の一部改正について、被害回復について伺います。

 さきの景表法の一部改正におきまして、本特別委員会でも附帯決議がついております。その附帯決議の中に「消費者の被害回復という観点も含め検討し、」という文言がありますが、今回の法案では、消費者の被害回復についてはどういう検討がなされていますでしょうか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 不当表示に関する消費者被害については幾つかの特性がございます。例えば、個々の消費者の損害額の算出が困難であり、その正確な捕捉がしづらいこと、あるいは、仮に損害額を算出できたとしてもその金額が少額であることなどという特性がございます。そういう意味で、消費者被害の回復について、不当表示事案は、今申し上げたような特性上、民事訴訟になじまない場合も少なくありません。昨年十二月に成立して、再来年、平成二十八年十二月までに施行する予定の消費者裁判手続特例法も含めて、民事訴訟手続による対応だけでは十分だとは言い切れないというふうに考えております。

 そこで、本年六月に出されました消費者委員会の答申も踏まえて、課徴金制度に、違反行為者が得た不当な利益を剥奪しつつ、国庫に納付される前に消費者に還元をするという手法を検討いたしました。

 具体的には、違反行為者が消費者に対して自主的な返金を促す仕組みを課徴金制度に組み込むことにいたしました。すなわち、事業者が所定の手続に沿って、被害を受けた消費者に対して自主的な返金を行った場合には、課徴金を減額あるいは課徴金の納付を命じないということにいたしました。

鬼木委員 今回の改正において、被害回復のために返金措置の実施が盛り込まれているということで、これは消費者の被害回復に大きな役割を果たし得るかと思います。

 しかしながら、返金を実際に行うに当たっては、被害を受けた消費者をどうやって特定するのかという問題が具体的に生じると思います。当該商品の購入や役務、どうやって購入したということを証明するのか。その当該の商品が手元にあればいいのか、レシートがあればそれでいいのか。今回の改正案では、第十条では、被害消費者の特定について、「政令で定めるところにより特定されているもの」と書かれていますが、具体的にはどうやって特定するのでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 課徴金でございますが、これは、不当表示の対象商品、役務の売上額を基礎に算定されて、本来国庫に納付されるべきものということでございますので、この課徴金の減額対象となる返金でございますが、これは不当表示の対象商品、役務について取引をした一般消費者に対して行われたもの、これに限る必要がございます。

 そこで、こういう適切な返金が行われた場合に限り課徴金を減額するということを担保するために、今御指摘のありました、景品表示法十条一項で、課徴金の減額対象となる返金対象者につきまして、不当表示の対象商品、役務について取引をした一般消費者として、政令で定めるところにより特定されているものに限るというふうにしているところでございます。

 この法案の改正後の十条一項、この委任を受けた政令では、そうした一般消費者の具体的な特定の方法について定めることを予定しておりますけれども、この特定の方法といたしましては、例えば、違反事業者が通信販売を行った事案でありますとか、また一般消費者がいわゆるポイントカードを使用して購入した事案などにおきまして、取引履歴などの違反事業者が保有しております資料のみによって特定する方法というのがまず考えられます。また、一般消費者が不当表示の対象商品、役務の取引に関するレシートを持参した際に、レシートの確認及び本人確認を行って特定する方法というものも考えられるかと思っております。

 こういう具体的な内容につきましては、本法案が成立した後に、不当表示による一般消費者の被害回復を促進するという観点を踏まえまして、関係各位の御意見も伺いながら、適切な制度設計となるよう検討を行っていきたいというふうに考えております。

鬼木委員 法案ができ上がった後に政令ができるということでよろしいですか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案のこれまでの御審議などの内容も踏まえまして、法案成立後に政令を作成する際に具体的な制度設計を進めていきたいと考えております。

鬼木委員 被害者が立証するというのが難しいケースなども多々出てくると思います。先ほどは、事業者側の保有資料に基づいてというのを、事業者がちゃんと出すのか、保管しているのかということなどもあるかもしれませんし、役務の提供なんかでも、必ずしも被害者がレシートを保管しているとは限らないということで、被害に遭った人がみずからそれを証明するのが難しいケースが多々あるかと思います。

 しかしながら、やはり、本当に被害に遭ったかということが立証されなければ、無制限に返還することもできないという問題、大変これはこの制度を完成させる上で大事な論点だと思いますので、ぜひしっかり、この特定については、幅広く被害に遭った方を救済できるような形のもの、そしてなおかつ実際の被害の方が特定できる仕組みというのをつくり上げてほしいと思います。

 それでは、政令、被害者の特定については、今後のでき上がったものをまつといたしまして、次の質問に移ります。

 続いて、執行体制について質問いたします。

 午前中には生方議員も執行体制について質問をされていましたが、私はまた違う側面から執行体制について伺いたいと思います。

 これまで措置命令だけだった景表法が、これから課徴金まで導入されるということになれば、事業者側も、今までの態度として謝っておけばいいやという態度だった事業者も、対応が変わってくると思います。

 例えば、課徴金を支払った企業は株主から訴えられるというような事態も予想されるため、この課徴金に対しては、事業者側が訴訟で争ってくるということも考えられます。

 そうした場合、消費者庁は、訴訟などに対する手間やコスト、こういったものに対応できる状況にあるのでしょうか。消費者庁の執行体制が十分であるかどうか、そして今後どうしていくかということについて、お答えください。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 現在でも、景品表示法の措置命令に対して不服がある場合には裁判という方法もあるわけでございますが、これまでのところ、消費者庁が発足して以来、そういうふうになっているものはない状況でございます。

 ただ、御指摘のとおり、今後制度が変わりましたら、そういう事態はもちろん想像できますので、これにつきましても、そういう点についても抜かりがないよう、今後しっかりと体制の整備をしていく必要があるというふうに考えております。

鬼木委員 現在のところそういう体制がとれているのかという質問は、ちょっと酷だったかもしれません。今後、抜かりがないように備えていかなければならないというのはおっしゃるとおりで、これからそういう事態に備えて消費者庁の体制をどう充実させていくかというのは政治的な判断の問題でもありますので、こうしたことにも備えなければいけないということで、問題提起をさせていただきたいと思います。

 続いて、自主的な事業者の改善に向けてということで質問をさせていただきます。

 やはり、課徴金制度というのは、お金を支払いなさいということですから、大変重いものでありますので、課徴金制度は不当表示から消費者を守るためには有効な手段になり得ると思いますが、ここは事業者みずからがきちんと襟を正して、正しい経済活動をやってもらわなければならないと思います。また、先ほど示したごとく、事業者側から見れば、経済活動が萎縮してしまったり、また株主代表訴訟になったりといったマイナス面も考えるわけでございます。

 冒頭申し上げましたけれども、世の中は消費者だけで成り立っているわけでもなくて、事業者だけで成り立っているわけでもないわけですね。やはり、消費者にとってよりよい消費者行政であると同時に、事業者にとっても持続可能な消費者行政でなければならないというふうなことを常々私は考えております。

 そうした中で、事業者がみずから適正な表示をしていくということ、課徴金を課せられるまでもなく、事業者みずからがきちんと自律的なルールをつくっていくこと、適正な表示がされるようになっていく、これが目標であり、理想になるわけです。

 事業者が自主的に表示を適正化していくためのルールづくりの促進について、お考えをお聞かせください。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 事業者の自主的な取り組みといたしまして、景品表示法では、公正競争規約という規定がございます。こうした公正競争規約を設定いたしまして、これを守っていくということ、これは、消費者の自主的かつ合理的な選択、また業界の公正な競争を両立させるものでありまして、消費者利益の擁護と増進に非常に重要な役割を果たしているものと考えております。

 消費者庁といたしましては、御指摘のような自主ルールの策定を目指す業界に対しましては、その取り組みを積極的に支援していくほか、公正競争規約が幅広く活用されますよう、この制度の普及啓発にも引き続き積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

鬼木委員 公正競争規約というものをつくるということで、それも事業者に自主的につくってもらうということの促進ということでございました。

 課徴金というのは、やはり事業者にとって厳しい措置でございます。事業者が一方的に不利益を受ける制度に見えるかもしれませんけれども、不正な競争で不当な利益を得ている悪質業者をなくすということは、実は、適正な競争をしている正しい業者にとっては望むところなんですね。先ほど、消費者委員会にもおられる穴見議員と課徴金制度についてどうなんだという話をしましたけれども、やはり、真面目に頑張って、適正な利潤で社会のためになっている企業にとっては、悪質業者こそ退出していただきたい、そして、正しい競争、フェアな競争の中で、適正な利潤で社会のために働きたいという思いがあるわけですね。

 ですから、まさにフェアな競争を促進する、そしてフェアなルールをつくっていく、それも、課徴金によるまでもなく、事業者自身がみずからの基準の中で公正な競争をしていく、公正な表示をしていく、これがまさにこれからの消費者行政の目指すところだと思います。

 先ほど、被害者の特定や執行体制等、これからの消費者庁の課題についてもお示ししましたが、ぜひ、この課徴金、景表法の一部改正によって、ますます消費者にとっても事業者にとっても公正で豊かな消費者行政になりますことを願いまして、今後の有村大臣の御活躍を祈念して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 有村大臣に初めて質問をさせていただきます。

 私も、初当選以来、特別委員会はこの消費者問題特別委員会に属しておりまして、約二年、この委員会に属させていただきました。

 本当に活発によく動いている委員会だなというのが印象でございまして、昨年では、被害回復のための集団的訴訟、これも非常に画期的であったと思っております。そして、前国会では、この景表法の改正を行い、そのときに、前大臣でございますが、森前大臣も、課徴金制度については個人的な熱い思いもありながら、条文に盛り込まれて、早速、この臨時国会でこの法案がまとまって出てきたということで、消費者庁全体の動きについては、委員の一人として、非常にスムーズにいっているなというふうに感じております。

 私も、いつも感じておることは、我が党としても消費者を守るというのが第一でございますけれども、過度に守り過ぎることによって、先ほど鬼木委員からもございましたけれども、経済活動への影響、これもやはりしっかり考えていかなきゃいけないということで、消費者保護と取引、業者さんの取引の安全なり、また業者の利益ということの利益衡量が非常に難しいなというふうに日々悩んでおります。

 今回出てきました課徴金の制度、効果としては、まず、これまで措置命令にとどまっていたものが、言うまでもございませんが、課徴金を取られるということで、やはり、叱られるだけなのとお金を取られるのは随分と違います。

 ですので、先ほど野党の委員の先生からもございましたけれども、実際三%で足りるか足りないかという話もあるんですが、まずはここを導入していく。課徴金を取られてしまうんだということは非常に抑止力として働きますし、先ほど鬼木委員からもございました、悪質な業者を、インセンティブをなくすということについては、非常にいい効果があるのではないかなと思っています。かつ、売り上げの三%ということで、一般小売の適正な利益は大体三%から五%というふうに言われておりますので、これも適正ではないかというふうに私自身は感じております。

 ただ、少し確認をしたいのが、効果のところはよろしいかと思うんですが、課徴金を課す要件のところで確認をしたい点がございます。

 まず、今回この課徴金の対象になる行為は、優良誤認と有利誤認。優良誤認は商品の品質そのものを偽る場合。有利誤認というのは、以前少しありましたけれども、例えば、安売りをしていないのに安売りを大きくしているように見せて、取引条件についての不当な表示をするということなのでございますが、この二つに限られております。

 ただし、先ほど冒頭申し上げました優良誤認については、第三節に課徴金の章が設けられておりますが、その第三項で、第五条第一号に該当するか否かを判断するために、第五条第一号というのは、先ほど、優良誤認に当たるかどうかを判断するためには、消費者庁の方はその根拠となる合理的な資料の提出を求める、業者が合理的な根拠を示す資料を提出できないときは、優良誤認をしたというふうに推定するという規定がございます。

 基本的にはやはり請求する側、今回でいいますと消費者庁が全て立証責任、いわゆる全部の証明をするというのが、一般的にはこういった訴訟やまた請求の原則でございますので、今回は、逆に業者側の方に、合理的な資料を示さなければ、それを覆すための証明をしなきゃいけないと。難しい言葉で言いますと、立証責任の転換が行われております。

 これについては、先ほど冒頭申し上げました、消費者の利益と、取引業者に対する過度な負担にならないようにというバランスの点からいうと、原則の例外が設けられております。かつ、平成二十年三月に、当時まだ公取の所管だった時代に一度課徴金の制度が考えられたときには、この推定規定、いわゆる業者の方に立証責任を課すような規定はなかったわけでございますが、今回、この推定規定、まさに立証責任が業者側に転換されるというふうになった経緯について、もう一度、詳しくお答えいただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 この不実証広告規制でございますけれども、これは、いわゆるダイエット食品でありますとか健康機器などに関します広告、表示など、商品、役務の効果、性能に関する表示というのを対象にしております。

 こうした効果、性能に関する表示につきましては、事業者が現に有している書類などを調査するということだけではその表示どおりの効果、性能があるか否か確認することができませんので、法執行当局がその立証をするのには多大な時間がかかり、その間に消費者被害が拡大してしまうという問題がございます。

 このため、平成十五年に、一定期間内に当該表示の裏づけとなる合理的根拠を示す資料を提出できなければ不当表示とみなし、迅速に不当表示をやめさせるという、この不実証広告規制が導入されたということでございます。

 平成二十年の提出法案では、立案当時までの不実証広告規制の適用実績が乏しかったということから、慎重を期して、課徴金制度に不実証広告規制を導入することは見送られたものというふうに思われます。

 しかしながら、消費者庁におけます措置命令事案での不実証広告規制の適用状況、これはかなりあるということもございますし、また、不実証広告規制を課徴金の対象としない場合には、課徴金納付命令までに多大な時間を要することになりまして、抑止力を低下させてしまうということ、また、効果、性能に関する表示を行うに当たりまして、こうした表示を裏づける根拠をあらかじめ有するべきという判決もその後出されております。この点は、措置命令と課徴金納付命令とで変わるものではないというふうに考えられますので、こうした点に鑑みまして、この法律案では、課徴金制度との関係でも不実証広告規制を導入することとしたものでございます。

 ただし、経済的不利益を賦課するという行政処分でございますので、事業者が事後的に合理的な根拠を調えた場合には訴訟などで争うことができるように、みなし規定ではなく推定規定というふうにしているということでございます。

浜地委員 結構難しい説明だったわけでございますが、先ほど、効果、性能についてはなかなかわからないという説明がございました。

 個人的なことですが、私の娘が、背が伸びる薬があるので買ってくれと私に言うんですね。それを買って、もし背が伸びなかったらどうするかということで、確かに、それを消費者庁の人が、うちの娘を実験台にして、背が本当に伸びるかどうか、なかなか難しゅうございます。業者さんの方は、背が伸びるというふうにうたっているわけでございまして、実際本当に背が伸びるかどうかの資料やそういった検証の結果だったり、いろいろなデータはやはりお持ちであるわけでございましょうから、効果、性能については、推定規定、まさに立証責任が転換されてもいいのかなというふうに思っております。

 ただし、この条文を見ると、いわゆる優良誤認の場合は全部立証責任が転換されているように私には見えるんですが、例えば、去年問題になりましたバナメイエビをシバエビと偽った場合、これも優良誤認に当たると思うんですね、いわゆる製品自体を偽る場合。これについては、立証責任といいますか、それを証明するためには、消費者庁の方としては余り難しくないと思うんですが、この条文を見ますと、効果、性能に限らず、製品自体を、バナメイエビをシバエビと偽った場合にも立証責任が転換されて、業者の方が立証しなきゃいけないというふうに読めるんですが、実際、この点はどうなっているんでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 この不実証広告規制の規定でございますが、平成十五年に立法された際に、まさにその効果、性能に関する表示を対象にするということで立法されております。それを受けまして、そのこともガイドラインで明示し、その後も、そうした効果、性能に関する表示のみを対象としてこの規定は運用されております。

 したがいまして、御指摘いただきましたバナメイエビ、シバエビ、そうした表示でございますが、これについては、効果、性能に関する表示ではございませんので、この規定は適用せずに、消費者庁が、不当表示か否か、まさに通常の調査をして立証していくことになるということでございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 効果、性能のみ、この不実証広告規制、いわゆる立証責任の転換を図るということが確認をされましたので、まさに消費者保護と取引の安全という面ではバランスがとれているのではないかと私自身思っております。

 次に、今のは客観的な要件でございましたが、主観的な要件で、業者さんがこういった不当表示をもともと知っていたか、相当な注意を払っていない、相当な注意を怠った場合には課徴金が課されるというふうになっております。朝も、民主党の先生からこちらの御指摘がございましたけれども、相当な注意とは、私が理解する限りでは、故意もしくは過失、軽過失も含むというふうに私は理解をしております。

 ただし、先ほども申し上げました平成二十年の公取時代の改正案では、主観的要件は、著しく怠った場合に課徴金を課そうという試みだったと思います。著しく怠ったというのは故意もしくは重過失の場合を普通法律用語では指すんですけれども、そうなると、ここも課徴されているんですね。当初の考えでは、故意または重過失の業者のみに課徴金を課そうというような改正案であったわけでございますけれども、今回は、相当な注意を怠った場合。まさに、軽過失があっても課徴金を課されてしまうんじゃないか。

 そうなると、業者さんからは、これまでの取引とは何か違うような注意義務を課されて、今までの取引のシステムを少し見直さなきゃいけないんじゃないかという不安な声が実は私のもとにございます。

 ですから、普通にやっている業者さんが過度な負担になるのかどうか。「著しく」を取って「相当の注意を怠つた」になった経緯について、またお考えについてお聞きをしたいと思っております。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、平成二十年法案では「著しく」という文言が入っているわけでございますが、昨年秋に発生しました、ホテル、レストランなどにおきますメニュー表示偽装問題を初めとしまして、不当表示が後を絶たない状況になるということを考えまして、不当表示の防止を図る観点からは、事業者に対しまして、表示の際に注意を怠らないように促す必要があるというふうに考えております。

 また、加えて、事業者には一定の調査確認義務があるという旨の判決も、この平成二十年の法案の提出後、出されております。

 したがいまして、今回は、そういった点を踏まえまして、相当の注意を怠った者でないと認められるときには命ずることができないということで、過失による不当表示も課徴金の対象にすることにしたところでございます。

 ただ、この相当の注意の内容につきましては、一般的には、取引先から提供される書類などでそうした表示の根拠を確認するなど、表示をする際に必要とされます通常の商慣行にのっとった注意を行えば足りるというふうに考えておりまして、こうした点につきましては、今後、ガイドラインなどで明確にしていきたいというふうに考えております。

浜地委員 通常の取引の注意義務があればよろしいということでしたので、そこを確認できたのは非常によろしいかと思っています。

 最後の質問になりますけれども、効果の点で一点だけ、加算措置というのが答申では検討されていたはずなんですね。いわゆる、繰り返し違反をした業者に対しては少し重くするということでございます。

 なぜこういうことを言うかというと、独占禁止法、独禁法では、繰り返しの場合は五〇%加算される、また、主導的な役割を果たした業者については算定基準を二倍にするなどの制度がございます。

 同じ商品での反復というのはなかなか考えにくいんですが、同じ会社が商品をかえて同じように違反を行うということもあるのではないかと私は考えています。

 実効性確保のためには加算措置も今後検討すべきと思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 時間の関係で、簡潔に御報告をいたします。

 消費者庁において検討を行いました結果、本委員会の附帯決議あるいは消費者委員会の答申ということを踏まえ検討はいたしましたが、消費者庁における過去の措置命令事案を見ても、同じ事業者が同じ不当表示を繰り返す例は見られませんでした。また、同じ事業者が異なる不当表示を行った例も一件しかございませんでした。

 そういう意味では、加算措置という重い行政処分を法定する必要性が高くないというふうに認識をして、設けないことといたした次第でございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 これまで、同じ業者が商品をかえて行うことは一件しかないということですから、これからよくウオッチをしていただいて、もしそういったことがあれば、また検討を始めていただければと思っております。

 質問を終わります。ありがとうございます。

鴨下委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 維新の党の重徳和彦です。

 きょう、先ほどまでの民主党の大西委員からの質疑の中にありましたように、この課徴金制度につきましては、これは当然のことながらですけれども、事業者側、経済界側からはかなり警戒する懸念の声というものは当然出てこようとは思います。

 ですけれども、私が思うに、やはりこれから消費者がふえてくる社会なんです。高齢社会というのは、つまり、生産年齢を終えて、高齢者として年金を中心とした所得を持って暮らす、すなわち、高齢者は消費者であって生産者ではない、そういう立場に立っているわけですから、高齢社会におきましては、消費社会の充実というものが非常に重要なテーマになってこようかと思います。

 まして、今回の課徴金制度、それから前国会におきます景表法の改正などについては、一連の大手のホテル、レストランの非常に重大な偽装メニューの問題から端を発していることでありますので、ここは、有村大臣は所管を七つもお持ちだということで、それぞれの立場立場でなかなか難しい面もおありになるのかもしれませんが、この消費者の問題については、特にその立ち位置がほかの省庁と全く違うということを強く御認識いただいた上で当たっていただきたいというのが、冒頭に私からの要望でございます。

 その上で、質疑に入らせていただきます。

 まず、先ほどから少し話題になっております主観的要素、いわゆる相当の注意についてでございます。

 今回の改正後の法案の第八条一項におきましては、違反事業者が相当の注意を怠った者でないと認められるときは課徴金を賦課しない、つまり相当の注意を払っていれば賦課しないということですね。

 この場合の相当の注意を払うべき者というのは事業者というふうに言われておりますが、これは、前回の景表法改正で、表示等の適正な管理のため必要な体制をしっかりと整備するという内容の改正が行われたところでもあります。ですので、そこの管理体制において誰が相当の注意を払うべきかということが求められるのだと思います。

 そのときに、少し考えてみますと、先ほどから例に出ていますバナメイエビをもってシバエビだと称していた事例を例にとりますと、大手の大きなホテルで、その中にあるレストランでそのようなことが起こったというときに、事業者として相当の注意を払うべき人物がそのホテル全体のオーナーさんである場合、経営者である場合と料理長である場合とで、その注意の内容とかその度合いというのは随分違うんじゃないかなと思うんですね。

 今やバナメイエビもすっかり有名になりましたのでどの経営者もわかるかもしれませんが、また新たな、こんなもの同じようなものですよと言われてしまったらごまかされてしまうような経営者と、そういうことももう百も承知で違うものをシバエビと称する料理長とでは、おのずとその責任の内容とか度合いが違うんじゃないかなと思うんですが、これも、法律成立後ガイドラインなどで詳細は決定していくんだと思うのですが、現時点でのお考えをお聞かせください。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 この相当の注意でございますが、これは、いわゆる事業者として行うべき注意義務に基づく確認行為ということでございますので、その事業者の構成員であります料理長やオーナーなどがそれぞれ不当表示を防止するために行う行為とかその内容、これはそれぞれ異なることがあるかと思われますけれども、事業者全体として相当の注意を果たす必要があるということでございます。

 さきの国会におきまして、不当表示を防止するために必要な措置を講ずること、これを事業者に義務づけます景品表示法の改正がなされたところでございますが、これに基づいて、表示を管理するための責任者を置くということになろうかと思います。この責任者が注意すべき内容でございますが、これは、事業者として表示を管理するために必要な措置が適切に適用されているかどうかということでございます。

 それぞれの事業者によってそれぞれの構成員の方々がやるべきことというのは異なることになるかと思いますが、管理する責任者の方は、その事業者全体として注意すべき内容というのをきちんと決めていただいて適用していただくということになろうかと考えております。

重徳委員 ということは、事業者全体ということですから、経営者は経営者なりの相当の注意、そして現場の担当者は現場の担当者なりの相当の注意、その役割分担、責任分担というものをしっかりと決めた上で、総体としての相当の注意を払うことという理解でよろしいですか。

 うなずいていただければそれでいいです。はい、わかりました。

 次に、返金措置ですね。つまり、消費者に対する返金措置をとれば、その分、課徴金が減額されるという制度があるわけなんですけれども、この返金措置をとろうと考えたときに、どうしても何か一部の人に偏ってしまうということは大いにあると思うんです。

 つまり、これも先ほどからの質疑の中に出てきていますけれども、例えば、会員制のサービスとかあるいは通信販売とかで、完全にどこのどなたということがはっきりしているという場合もあれば、一般的な飲食店だとか小売店なんかでは、完全に不特定多数の人が物を買っていくということになります。その場合、レシートに基づいて本人確認だという話も先ほどありましたけれども、それも限度があろう。

 それから、例えばですけれども、レストランに予約を入れます。そうすると、電話番号ぐらいは確認されますので、名前と電話番号ぐらいはわかるけれども、あとはよくわからない。名字しかわからないとか代表者しかわからないとか、そういうこともあったり。支払いがカードだった場合は、カードの番号を初めとした個人情報は持っているけれども、それ以上のことは、逆に言うと、それに基づいてどこまで踏み込んでいいのかということも、ちょっと個人情報との関係でいろいろ問題が出るかもしれないというようなことで、一生懸命返金しようとしても、なかなかみんなに行き渡らないということも大いにあるとは思います。

 一方で、返金措置の対象者が特定の者について不当に差別的でないものであれば、こういう返金措置は認定しますよということでありますから、余り簡単に、不当とまでは言えないよねといってほいほいと認めてしまったら、本当に、好きな人にだけ返して、これでいいだろう、返せばいいんだろうということで終わってしまう懸念もあるわけです。

 その意味で、私は、基本的には、今回この法案が生まれる発端となったのが、非常に重大な、大企業による不祥事でありましたので、ここは事業者に対して厳しく当たるべきだというスタンスに今立っているわけなんですけれども、そういう意味では、不当に差別的でないものであることというのをどのように解釈するべきだとお考えでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 事業者の返金措置につきまして、今御指摘いただきましたように、「不当に差別的でないものであること。」というのが十条五項二号に規定されております。

 この認定要件を設けた趣旨でございますが、違反事業者が恣意的な返金措置を実施した場合には課徴金額の減額を認めず、返金措置の適正性を担保するという点にございます。

 この不当に差別的な返金措置でございますけれども、例えば、違反事業者の従業員などに対してのみ高額な返金措置を実施するでありますとか、それから、返金合計額が課徴金額に達した時点で、消費者からさらに申し出があるにもかかわらず、返金措置の実施をやめてしまう、そういう場合が該当するものというふうに考えております。

 したがいまして、返金措置の中で、返金対象者が、把握できる人とできない人が、そういう人もいるわけでございますが、そのことについては不当というふうには考えていないということでございます。

重徳委員 今、菅久審議官のおっしゃった、把握できるできないということについても、簡単には把握できないとか、でも努力すれば把握できるとか、その辺の程度もあると思いますので、そう簡単に諦めずに、ここはできるだけ、そもそもそういう不当表示をした事業者に対する措置なんですから、そう簡単に認めることなく、できるだけの努力をしていただくということを促していただきたいと思います。

 さて、ここで大臣に確認したいことがあるんですが、今の返金措置について、これは、言ってみれば、例えば、二百万円の課徴金が課されるケースにおいて、二百万円以上の返金措置をすれば、課徴金がいわば免除されるわけですよね。ところが、百万円にとどまれば、課徴金は百万円ちゃんと課されるということになるので、この分かれ目というのは非常に重要だと思うんです。課徴金額を超えるだけの返金ができるかできないか、ここの分かれ目は非常に大きいと思うんですね、社会的制裁だとか、そういう意味でも。課徴金を少しであれ課される場合と、全くゼロで済まされる場合、これは企業にとっても非常に大きな問題だと思います。

 その意味で、恐らくこれまで、例えば特定個人に対する返金がなかなか難しい場合には、供託なのか、あるいは国民生活センターに対してお金を払うとか、いろいろな検討がなされた結果、今回はそのようなものは認めずに、特定個人に対して支払って、それでできなかった分については課徴金で、いわば制裁的なものが課されるという仕組みになったと思うんです。

 今申し上げましたように、非常にこれは重要なところだと思いますので、この返金対象者が必ずしも明確でない、不明である場合、あるいは返還しようと思ってもできない、そういう場合にどうしたらいいかというようなことについてどんな検討がこれまで行われたのか、その経緯についてお伺いいたします。

有村国務大臣 確かに、委員御指摘のようなことは想定し得るというふうに認識をしております。課徴金制度に被害回復の観点を盛り込むということは極めて大事だと認識をしておりました。

 当初は、消費者委員会の答申等も踏まえて、自主返金によって被害回復を行うことをしつつ、自主返金し切れなかった部分は国民生活センター、国センに寄附を行うということで、不当な利益を一般消費者に還元したものとみなし、課徴金の納付を命じないということも、一定の時期までは真剣に検討されておりました。

 しかしながら、パブリックコメントなどで出されたさまざまな意見、また与党における御意見なども踏まえまして、所定の要件が満たされている場合は、やはり課徴金を賦課することで不当表示規制の抑止力を高めるという本制度の趣旨に鑑みて、また、寄附によって被害者の回復ということは直接図られるわけではないということから、今回の制度設計については導入しないということを判断した次第でございます。

 この法案においては、給付制度にかえて、自主返金によって、そもそもの被害者の皆さんの救済、回復を図るという趣旨を徹底することで、この課徴金減額制度を導入いたしました。

重徳委員 ありがとうございます。

 広く返金の方法を認めればいいという、必ずしもそういうことを申し上げているわけではございませんけれども、何しろ、返金額が課徴金の金額を超えるのか超えないのか、これが極めて事業者にとっても重要なラインだということを御認識いただいて臨んでいただきたい、こういうふうに思います。

 さて、次に、越智政務官にお尋ねいたしたいんです。

 今回、自主申告という制度もございます。つまり、非常に美しい話をすれば、ホテルのオーナーさんが、その中で経営しているレストランの料理長が不当な表示をしていたということにある日気がついた。長年そういうことをやっていたということに気がついた経営者、オーナーさんが、これはいかぬと、恥を顧みずに自主申告をして、納めるべきものは納めて、もちろん半額になりますね、半額の課徴金を納めて、いわば制裁を潔く受けようという方がお見えになるかもしれませんけれども、基本的には、そんなことをしたい事業者なんかいないでしょうから、場合によっては、もう追い詰められるだけ追い詰められて、間もなく課徴金が命ぜられるということも、法律上は予知された場合はだめだというんですけれども、予知の直前ぐらいで、いろいろな報道とか同業他社とか、そういうところがやられまくっている、そういうのを見て、うちはやむなく申し出るしかないというようなケースが多いと思うんです。

 こういうものを認めるというのは、そういう自主申告をしたら半額にしますよというのは、本来、全額納付して当たり前のところを、何かいたずらに甘い処分で済ませる、こんなようなケースがふえてしまうような気がするんです。

 自主申告を誘導するという趣旨はわからぬでもないのですが、実際にはそんな、そもそも全額課せばいいところを、何か下手に自主申告制度があるがゆえに半額になってしまうとか、そんなようなことが想定されるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

越智大臣政務官 重徳議員から自主申告制度について御質問いただきまして、この自主申告制度のたてつけについての御質問だというふうに理解をいたしました。

 本法案におきまして自主申告制度を設けている趣旨は、事業者がみずから違反行為を発見した場合に、可能な限り早期に、みずから不当表示をやめて、表示を改善するインセンティブを与えるということが趣旨でございます。というような趣旨に鑑みまして、本法案の中では、自主申告が認められる要件として、事業者の故意あるいは過失などの主観的要素は問わないということとしております。

 ですので、御指摘のように、仮に事業者が不当表示であるということを認識している場合であっても、時期がいかんであっても、自主申告をすることは可能であるというたてつけにしております。

 先ほど、本来は全額払うべき状況が半額になるのではないかという御指摘もございましたが、このたてつけとしましては、課徴金は全額免除されるわけじゃない、半額であっても課されるということになるために、不当表示を故意に行って不当利得を得ようとする事業者にとっては制度は悪用しづらいものになっているというふうに考えております。

重徳委員 ちょっと最後の部分がよくわからなかったんですが、悪用とまで決めつける必要はないんですが、不必要に救済する、救済する必要のないところまで救済するようなことにならないかというのが私の指摘でありまして、質問はしませんけれども、この自主申告という制度も、本当にうまく機能するかどうかというのはしっかりとこれからウオッチを続けていただきたいというふうに思います。

 最後に、この課徴金制度に関する消費者庁全体のスタンスとして、もちろん、三%で本当にいいのかとか、売り上げが五千万以上というような大きなところだけでいいのかとか、そういうこともありますが、私、今回、いろいろと政府、消費者庁からの説明資料をめくって読むに当たって、やはりちょっと気になるんですよね。表現ぶりが気になるんです。全体的に、業界側に非常に配慮が過ぎるんじゃないか。

 課徴金の対象となる事案が百五十万円未満の場合は、かつ相当の注意を怠っていない場合は、あるいは自主返金額が課徴金額を上回った場合は課徴金は課されませんとか、だから措置命令事案の半分以下となる見込みだとか、あるいは、課徴金算定の基礎となる売上高は不当表示に係る部分のみだから事業者にとって過大な負担とはなりませんとか、相当の注意とは通常の商慣行にのっとった注意をしていれば足りるとか、何か、だから心配しないでね、皆さんという、本来心配する必要のない事業者は別に心配もしないと思うんですね、ちゃんとやっているんだから。

 だけれども、何かちょっと自信がないというか、もちろん間はいろいろあるでしょうけれども、本来もっと心配して気をつけてやっていただきたいところにまで、無用に、心配ないからねなんというメッセージを出す必要は私はないと思いますし、そういう心配はむしろ経済産業大臣が代弁していただければいいわけです。

 そういう意味では、消費者担当大臣としては、もっとリーダーシップを持って、消費者中心の豊かな、心まで豊かな社会をつくっていくために邁進していただきたいというのが、私、最初、冒頭申し上げました思いなんですが、今回の課徴金制度導入に当たっての消費者庁あるいは有村大臣としてのスタンスを改めてお伺いしたいと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 消費者庁のリーダーシップということについてお問い合わせをいただきましたけれども、そもそも、前回、同趣旨の法改正が本年六月に行われました。それから半年もたたないうちにこの法改正を試みるということ自体が異例のことだというふうに思います。

 これは、不当表示が後を絶たないという現状、現下の課題に対して消費者庁のリーダーシップ、イニシアチブを発揮した一つの、それでも現状が直らないなら法改正も辞さないという姿勢を実行したということで、それ自体が私たちのファイティングポーズだというふうに認識をしております。

 そして、やはり不当表示というのは、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻むものであり、これを許してはならないという私たちの思いをしっかりと法改正の哲学に入れていきたいというふうに思って、このような改正案を提出させていただいております。

 課徴金制度の制度設計に当たりましては、不実証広告規制を、効果、性能に関する表示について導入いたしました。また、相当の注意を怠った過失の場合であっても課徴金を賦課の対象とすること、また、自主返金を行った場合には課徴金額を減額するということで、自主返金による消費者の被害回復を促進することなど、消費者行政が前進するものだというふうに認識をしております。

 そういう意味では、経済産業省あるいはその関連の方々がどう動かれようと、私たちはぶれずに消費者を守っていくという視点を実践していくことが大事だという思いで提出をさせていただいております。

重徳委員 大臣がそういう力強いスタンスであれば私も応援してまいりたいと思っておりますので、ぶれずに、ここは戦う気持ちでやっていかないと、本当に、消費者がないがしろにされがちな、特に高齢者がですね、そういう社会に今なりつつあると思いますので、しっかりとこれからも頑張っていただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

鴨下委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 維新の党の井坂信彦です。

 先ほど大臣のお答えを伺いますと、消費者の立場でしっかりやるんだということで、大変頼もしく聞かせていただいたところでございます。

 私も、通常国会の消費者特別委員会で前大臣と、まさに課徴金制度を設けないのか、設けるとしたらどういう制度が望ましいのかということで、随分細かく議論をさせていただいた経緯がございます。

 今回課徴金制度ができたことについては私は大変よいことだというふうに思っておりますし、一方で、本日議論させていただきたいのは、やはり、先ほどの議論の続きになりますが、いろいろ紆余曲折があったんでしょうが、結果として、大臣の先ほどの力強い御答弁とは裏腹に、制度としてはやや物足りない、あるいは、もう少しはっきり申し上げれば、業者側にやや甘い制度になっているのではないか、こういう観点から質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 一点目は、やはり課徴金が安過ぎるのではないかということであります。

 三%としたのは、これまで消費者庁が行政指導を執行した企業百四十五、そして不当表示を行ってきた期間の会社全体の営業利益率を大きな順から並べてちょうど真ん中に位置する企業の営業利益率が約三%だった、こういう中央値をとって決めたということでありますけれども、本日お伺いをしたいのは、やはりこれは、違反企業全体の利益率ではなく、違反して売った商品の利益率、要は、不当にそれは高く売れてしまっている、企業全体の利益率から比べても非常にぼろもうけができている可能性が高いというふうに思うわけであります。こうした違反して売った商品の利益率も勘案して、課徴金をもっと上げるべきではないかということをお伺いいたします。

有村国務大臣 井坂委員の真摯な問題提起、共有するところもございます。

 課徴金の算定率を設定するに当たりましては、確かに、過去に不当表示の対象となった商品、役務で売上高営業利益率のデータを参考にすべしというのは一理あるというふうに思っております。

 ただ、現実論として、課徴金制度が今まで存在していなかったということと、現在においては消費者庁に当該商品または役務の売上額や利益率だけを確認するすべや権限がなかったということで、事実上、こうしたデータが捕捉できないという現状もございます。

 そういう意味では、本法案において、過去に不当表示を行った事業者の売上高営業利益率のデータを検討して、おおむねその中央値である三%ということを算定率の基準といたしておりますが、今後、三%というのが実効性のあるものであるのか、高過ぎるのか低過ぎるのかということは、推移を引き続きモニターしていかなければならないというふうに私自身も思っております。

井坂委員 商品ごとの利益率、確かに出すのが難しいと思います。

 そこで、重ねてお伺いいたしますが、では、全体の中央値の三%というざっくりした決め方ではなくて、せめて個別の企業ごとのぼろもうけをしていた期間の利益率、これはすぐ調べられると思うわけでありますけれども、私は、企業によっては、こういうおかしな売り方をしている期間は三%どころか五%、七%、営業利益が出ている企業はたくさんあると思います。

 実際、中央値が三%ということですから、半分の企業、違反企業の半分は少なくとも三%より多くの営業利益をその期間中得ている、逆に言えばそういうことでありますので、個別の企業の営業利益率、ここを課徴金に反映させられないか、このことをお伺いしたいと思います。

 もし大臣が難しければ、参考人の方でお願いいたします。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 残念ながら、個別の企業の、例えば違反期間の売り上げ、その商品の利益率、また、その事業者の利益率でありましても、その表示している期間の利益率というのはなかなかちょっとデータとして存在しないものですから、先ほど大臣から御答弁ありましたとおり、その措置命令を受けた事業者の売上高営業利益率というものに基づいて、今回の三%というのを計算したということでございます。

井坂委員 ちょっと今の答弁、よくわからないんですが、だって、もともと、百四十五の企業、そのうち、実際わかった百七の企業の不当表示を行ってきた期間の各企業の営業利益率を調べて今回三%と決めているはずなので、違反企業の企業全体の営業利益率は調べているはずなんですよ。それを一社一社調べるのはそんなに時間はかからないと思うんですけれども、それはどうなんですか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 実際に過去の措置命令を行った事案で見ますと、それぞれの不当表示の期間というのはいろいろ違いがございます。短い期間から長い期間、いろいろございます。ですので、その不当表示を行った期間の利益率ということでは、なかなかちょっとデータがそろっていないということでございます。

井坂委員 では、この三%を決めたときは各企業の利益率の中央値をとった、その各企業の利益率でいいと思うんですけれども、それを課徴金に反映させられないんですか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 データの制約がございますので、その措置命令を受けた事業者の措置命令を受けたその年の利益率というものをそれぞれデータを出して、出せるものを出してきまして、それで計算したということでございます。

井坂委員 それをもとに今回三%と決めているわけで、それを、中央値で全企業に当てるのではなくて、これからも各企業のそういう利益率を課徴金に反映させてはどうですかとお伺いしているんですが、そのデータはすぐとれているわけですから、どうでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる事案に応じて算定率を変えた方がいいかということかと思いますが、そうしますと、違反事業者にとりましてどの程度不利益が科されるかということがあらかじめ明確にならないというような問題もございますし、また、運用上も非常にぶれが生じるというような問題がございます。

 したがいまして、今回、制度の透明性、公平性、また明確な規定ということで一律の算定率にいたしましたので、そういうことで、今回、三%一律ということで提案させていただいているところでございます。

井坂委員 違反企業がどれだけ罰金を科されるか、課徴金が課されるか、そういう罰則の予見性がない、これは問題だと思いますが、しかし、自分の会社の利益率は違反企業の社長が一番よく知っているわけですから、予見性の問題は当たらないと思いますけれども、いかがですか。

菅久政府参考人 不当表示を行った事業者にとりまして、事前にどの程度の課徴金がかかるかということが不明になるという点がもちろんございます。また、三%、多いところも少ないところもあるわけでございますが、個々にそれを調べ、計算し、掛けるということになりますと、また行政の執行上の困難ということもあろうかと思いますので、今回は、明確、透明性のある仕組みということで、一律三%ということで提案させていただいているところでございます。

井坂委員 予見性の問題は、だって、自分の売っている商品がどれだけの期間でどれだけ売り上げて、自分の会社の利益率にそれを掛けたら幾ら課徴金を払わなきゃいけないかは、多分、社長が世の中で一番最初に計算できる数字だというふうに思いますから、予見性の問題は全く当たらないというふうに思います。

 それから、あと、行政執行のスピード、これは大事だと思いますけれども、では、今回、この百四十五件ないし百七件の不当表示をやっていた期間中の営業利益率を調べたのは、これはそんなに時間がかかったんですか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、この法案の制度設計をするに当たりまして、振り返って、過去存在しているデータというものを調べたということでございますので、実際に執行する段階で、そのときに利益率を調べるということになりますと、これはかなり困難なこともあろうかというふうに考えております。

井坂委員 困難なこともあろうかということで、推測でおっしゃいましたけれども、困難なことはないだろうというふうに私は思いますので、大臣、今の議論を聞いていただいて、ちょっと一言。

 要は、中央値三%、ある種、合理的な数字だと思いますけれども、三%ということは、一方で、半分の企業はそれ以上にもうけているわけですね。それをどこまできめ細かくやるかは別にして、各企業の営業利益率ぐらいはすぐわかるわけでありますから、それを一定、課徴金の多い少ないに反映させる、これはそんなに難しいことではありませんし、検討していただくに値することではないかなと思いますが、大臣、一言いかがですか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 委員の問題意識に対しては真摯に耳を傾けます。

 今回、過去に不当表示を行った事業者の売上高営業利益率のデータということで、三%が妥当かどうかということの御議論をいただいているわけですけれども、この売上高というのは、委員御承知のとおり、不当表示によって得た利益のみならず、正規の売り上げの額も入っております。その利益率というのは、当然ながら業界や業種によっても利益率は異なってまいりますので、どこの業界分野に所属しているかでその利益率が異なってくるという現実を鑑みますと、それによってディファレンシエートするというのが本当に妥当なのかどうかという議論はあろうかと思われます。

井坂委員 ちょっと今の大臣の御答弁は逆なのではないかと思いますけれども。今の御答弁であれば、むしろ、業界ごとにきめ細かく課徴金の割合を変えないとおかしいという話になるのではないでしょうか。

有村国務大臣 御指摘は理解いたしますが、同時に、迅速に現下の問題に対してスピーディーに応えるということでは、行政執行能力を下げない、また、限られたマンパワーで現下の課題を解決していくということで、妥当なラインというふうに判断をいたした次第でございます。

井坂委員 年に数十件の課徴金対象企業の、その会社の営業利益率、対象商品だけじゃなくて会社全体の営業利益率を調べることが迅速性にどれほど影響を与えるのか。私は、そんなに与えないというふうに思います。

 ぜひ、本当に迅速性が損なわれるのかどうか、一遍、内部で御検討いただけませんか。

有村国務大臣 今回、課徴金を課すということ自体が新しい試みでございますので、委員の問題意識ということをしっかりと拝聴しつつ、引き続き、今後どのような動きになるか、その推移は見させていただきたいと存じます。

井坂委員 ありがとうございます。ちょっとほかにもお聞きしたいことがあるので、移りたいと思います。

 時間もあれですので大分飛ばしまして、本法案は、違反の事業者が、意図的にやったのではなく、相当な注意を怠ってはいないんだ、相当な注意を怠らなかったんだけれどもミスでやってしまった、こう認められるときは課徴金を賦課しないこととされております。この課徴金の賦課に当たっては、消費者庁の側が、事業者が注意義務を怠ったんだということを立証しなければいけない、こういう仕組みになっております。

 これは普通に考えると逆ではないかなと思っておりまして、事業者側が、いや、相当な注意をしていたんだけれどもここで気づかなかったんだ、気づかなかった相当の理由があるんだということを立証するのが普通だと思うんですが、今回、なぜ消費者庁側が、業者が相当な注意を怠ったのかどうかの立証責任を負う形になってしまっているんでしょうか、その理由をお伺いいたします。通告どおりです。

有村国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘の、何をもって普通かというのは判断が分かれるところでございます。一般論として申し上げて、行政が、主権者たる国民であります事業者を含めて、不利益処分を行う場合は、処分すべき要件に該当するかどうかを行政が立証責任を負うというのが原則でございます。したがって、これに沿った制度設計をいたした次第でございます。

井坂委員 わかりました。

 そうなると、事実上、今回の制度は、故意、重過失、わざとか、それか当然注意すべきことを注意を怠った重過失、こういった場合しか課徴金が課せられない制度だというふうに思います。

 私は、それはそれで構わないと思うわけでありますが、要は、故意、重過失、よっぽどとんでもない見落としか、あるいはわざとかしか課徴金が取られない制度であるにもかかわらず、先ほど来ずっと野党側から議論がありますが、随分、業者側の意見を聞いた、業者側に配慮をした制度設計になっているように考えられるわけです。私は、ここは非常に不思議に思うわけであります。

 それは、ちょっとしたミスで課徴金を取られるような制度であれば、私も、例えば一事業者とすれば、悪気がなくても、ちょっとしたミスで課徴金を取られるんだったら、余り重い課徴金は困る、余り激しい制度は困る、業者側の意見として当然考えられますが、今回の制度は、わざとか、もう当たり前の注意すら怠ったことを、しかも消費者庁側が立証できた場合のみしか課徴金が課せられないわけですから、世の中のほぼ全ての企業は、こんな課徴金を取られるはずがないわけであります。なのに、何でその業者側が、課徴金を下げてくれとか裾切りを広げてくれとか、そういうことを言ってくるのか、非常に不思議に思うわけでありますけれども、何で業者に配慮する必要があるんですか。

有村国務大臣 業者に配慮するしないということよりも、消費者行政を前に向けていくということに強い関心を持っております。

 委員の問題意識は確かに共有をいたします。

 消費者庁においてパブリックコメントを実施した案においては、故意、過失などの主観的要素が事業者の内部の事情に関するものであることから、違反行為を行った事業者がみずから注意義務を尽くしていたことの証明があったときには例外的に課徴金を賦課しないというふうになってございました。

 しかしながら、パブリックコメントなどで得られた意見も踏まえて、主観的要素の部分についてもやはり処分を行う行政側が立証責任を負うというのが妥当であるということを考え、改めるというふうな判断をいたした次第でございます。

井坂委員 ちょっとまだ時間がありますので、少し戻って、裾切りの問題ですけれども、今回は、不当表示を行った商品だけの売り上げが五千万円以上のものが課徴金の対象となります。

 一定の、余り細かい金額の課徴金を細々取っていては、これは行政執行のスピードにかかわるわけで、裾切りの必要性は理解できるわけでありますが、しかし、一方で、この間、消費者庁が昨年度、例えば措置命令を出したのは四十五件。この五千万円以上という裾切りをさらにしますと、この四十五件のさらに半分ぐらいしか課徴金の対象にはならないというふうに言われているわけであります。私は、これぐらい少ない件数であれば、むしろ、もう四十五件、ほぼ全件に近いものに課徴金を課しても何ら問題ないのではないかというふうに思うわけであります。

 要は、もともとイメージしておりましたのは、裾切りがなかったら、もう何百も何千も課徴金をやらなきゃいけない、これは大変だというふうに思っていたわけでありますが、四十五ということであれば、例えば一千万円以上とか、もっと裾切りのラインを下げても何ら問題ないのではないかというふうに思うわけでありますが、最後に、いかがでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 課徴金納付命令を出す場合には、その前にまさに措置命令を出す必要がございます。このためには、違反を立証しなければいけないということでございます。違反を立証した上で、さらに課徴金納付命令を課すための追加の要件がございまして、この立証もするということでございますので、これは数が非常に多くなりますと、また、非常に少ない額の金額まで計算するということになりますと、全体的な執行に影響があるのではないかという懸念を持っているということでございます。

井坂委員 いろいろ議論させていただきましたが、この制度、もし執行が始まりましたら、実際どういう効き目が出ているのかとか、逆に、思ったほど抑止力が出ていないのではないか、そういう目でぜひ状況を見守っていただきまして、また適切な修正をよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

鴨下委員長 次回は、来る十日月曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十分散会


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