衆議院

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第6号 平成23年5月25日(水曜日)

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平成二十三年五月二十五日(水曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 川内 博史君

   理事 阿知波吉信君 理事 稲見 哲男君

   理事 熊谷 貞俊君 理事 空本 誠喜君

   理事 津村 啓介君 理事 馳   浩君

   理事 松野 博一君 理事 遠藤 乙彦君

      相原 史乃君    石田 三示君

      石津 政雄君    石森 久嗣君

      小川 淳也君    小原  舞君

      大泉ひろこ君    川島智太郎君

      熊田 篤嗣君    桑原  功君

      阪口 直人君    菅川  洋君

      平  智之君    竹田 光明君

      玉置 公良君    豊田潤多郎君

      中川  治君    中屋 大介君

      長尾  敬君    野木  実君

      松岡 広隆君    向山 好一君

      山崎  誠君    柚木 道義君

      河井 克行君    河村 建夫君

      佐田玄一郎君    塩谷  立君

      吉野 正芳君    吉井 英勝君

      阿部 知子君

    …………………………………

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (宇宙開発担当)     玄葉光一郎君

   内閣官房副長官      仙谷 由人君

   内閣府副大臣       平野 達男君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   内閣府大臣政務官     阿久津幸彦君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高橋 清孝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房政策評価審議官)       田中  敏君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      渡辺  格君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           長尾 正彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            安井 正也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   黒木 慎一君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  関  克己君

   政府参考人

   (気象庁地震火山部長)  宇平 幸一君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  鈴木 正規君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  櫻井 修一君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   衆議院調査局科学技術・イノベーション推進特別調査室長           上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十五日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     相原 史乃君

  太田 和美君     松岡 広隆君

  勝又恒一郎君     向山 好一君

  金森  正君     桑原  功君

  阪口 直人君     小原  舞君

  本多 平直君     大泉ひろこ君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     石津 政雄君

  小原  舞君     阪口 直人君

  大泉ひろこ君     中屋 大介君

  桑原  功君     金森  正君

  松岡 広隆君     太田 和美君

  向山 好一君     長尾  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  中屋 大介君     本多 平直君

  長尾  敬君     勝又恒一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

川内委員長 これより会議を開きます。

 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、内閣官房内閣審議官高橋清孝君、文部科学省大臣官房政策評価審議官田中敏君、文部科学省科学技術・学術政策局次長渡辺格君、経済産業省大臣官房審議官長尾正彦君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長安井正也君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官黒木慎一君、国土交通省河川局長関克己君、気象庁地震火山部長宇平幸一君、環境省地球環境局長鈴木正規君及び防衛省運用企画局長櫻井修一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

川内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河井克行君。

河井委員 自由民主党の河井克行です。川内博史委員長から発言のお許しをいただきました。

 きょうは、大臣所信に対する質疑ということであります。

 玄葉大臣は、先日の当委員会の所信におきまして、このようにおっしゃっている。科学技術政策担当大臣といたしましては、この事態を乗り越え、我が国が復興し、以前にも増して飛躍するために、科学技術が担うべき役割を果たしていくことが重要と考えています。この事態というのは、今回の東日本大震災を指すわけでありまして、日本が復興、飛躍をするためにも、大臣がおっしゃっているとおり、まずはこの事態を乗り越えなきゃいけない。

 きょうは、福島第一原子力発電所の事故、まさに玄葉大臣がおっしゃっている、この事態をどう乗り越えるかということに集中して質疑をさせていただきたいと存じます。

 文科副大臣、厚生労働副大臣、お越しをいただきました。私は、繰り返しあなたたちにさまざまな委員会の席で質問を申し上げて、もうそらんじるぐらいじゃないでしょうか。

 四月二十日厚生労働委員会、四月二十七日文部科学委員会、そして五月十八日同じく文部科学委員会、内部被曝、一日も早い住民の測定、そして特に、未来を担っていく子供たちの測定を全員に施していただきたいということを繰り返し申し上げてきた。

 二十日の厚労委員会におきましては、細川厚生労働大臣からこのように御答弁いただいた。私といたしましては、この調査、この調査というのは住民の被曝調査ということであります、この調査はしっかりやるべきで、しかも早急にやらなければというふうに思っております。

 二十七日の文部科学委員会では、このように御答弁いただきました。このときは大塚副大臣が答弁していただいた。先日二十日の衆議院厚生労働委員会で、細川大臣に調査をすべしという御指摘がありました、大臣からも、できるだけ早く対応するということで、その後も今政府内で調整いたしております。

 四月二十日から既に三十五日が経過をいたしております。繰り返し言いましたね、生物学的半減期、さまざまな放射線核種が見えなくなってしまうので急いでくださいと。

 まず、厚生労働副大臣にお尋ねをいたします。

 今どのような動きになっているか。これだけ、早くやるやると繰り返し答弁していただいているわけですから、もう実施をしているんですね。

大塚副大臣 お答えを申し上げます。

 まだ実施には至っておりません。どのような工夫が可能か、原子力対策本部のもとで、関係省庁とも連携し、特に福島県等関係自治体と相談をして、対応を検討している最中でございます。

河井委員 副大臣、それは四月二十七日と全く同じ答弁じゃないですか、今政府部内で調整をいたしております。

 この前、副大臣はジュネーブとフランスに出張に行かれた、WHO。国際社会に対して、日本がしっかり頑張るんだということをいわば広報宣伝してこられたわけですね。にもかかわらず、本家本元の日本の国内で、いまだに政府部内で調整が続いているというのは一体どういうことですか。福島の状態、そして茨城の状態、近県から大変大きな不安が上がってきている。

 もう一度、今後の見通しについて、あなた、だって二十七日と同じことを今言っているんですよ。時差ぼけなんて言わせませんよ。明確な答弁をしてください。

大塚副大臣 被曝線量の推定や健康調査の実施は、関係自治体の協力と理解が前提となるものでありますので、福島県知事も、子供たちを含めた県民の健康管理調査を、県民の協力を得ながら県が責任を持って実施すると表明をされております。そうした福島県知事の意向も踏まえ、先ほど申し上げましたように、現在、福島県と関係自治体及び関係省庁と連携し、原子力対策本部のもとで検討中でございます。

 検討の結果、まとまり次第、しかるべく対応させていただきたいと思っております。

河井委員 答弁になっていません。

 副大臣、国策で行ってきた原子力政策、そのさまざまな責任についても国の責任でやると菅直人総理大臣が明言しているじゃないですか。

 そして、さまざまな専門家が、こうしてほしい、ああしてほしいということを言ってきている。私の地元の広島大学でも、具体的に十五万人の調査をしようなんという話も出てきている。あるいは、福島県では、二百万人、県民すべてやるべきだなんという議論すら出てきている。一体何をやっているんですか。地方自治体にこんなことは押しつける話じゃないですよ。

 確かに、今後ずっと将来にわたって、一番責任を身近に負っていかなくちゃいけないのは、住民の方々と密接なかかわりを持っていくのは地方自治体です。でも、それとこれとは話が違う。国の責任においてやるべきじゃないですか。

 もう一度、いつごろから始めるのか。秋ですか、夏ですか。その辺も含めて見通しをお聞かせください。

大塚副大臣 御指摘の点について強い思いを持っていることについては私も同じであるということは、ぜひ申し述べさせていただきたいと思います。

 その上で、今先生御自身が、いろいろ話が出ているというふうに御披露いただきました。報道ベースかと思いますが、二百万人とか十五万人とか、そういうことも含めて、今、県を交えてさまざまな議論が大分煮詰まってきているところだとは思いますが、福島県知事が、やはりこれは地元の理解と協力のもとで地元主導でぜひ決めるべきことであると再三おっしゃっている中で、先ほど申し上げましたように、すべての協議事項が調い次第、しかるべくしっかり対応させていただきたいと思っております。

河井委員 つまり、副大臣、もちろん県とのさまざまな調整があるのはわかりますけれども、具体的な時期のめどは今この場で言えないということですね。

大塚副大臣 時期も含めて、福島県、今回の原子力発電所の事故の直接の被災地である福島県の判断に重きを置いてほしいということでありますので、きょう私がここで申し述べさせていただくことは、ぜひ差し控えさせていただきたいと思います。

河井委員 あなたは、ヨーロッパに行く前の方がまだ前向きな答弁をしていた。帰ってきて、おかしくなったんじゃないんですか。子供たちのことにつきましては、文科省笹木副大臣にお越しをいただいておりますが、細川大臣の答弁と比べても大変後ろ向きな答弁ばかりしていただいている。

 最新の五月十八日には、子供たち全員の内部被曝の調査をしてくださいと私が申し上げたわけですね。二十ミリ、覚えていらっしゃいますでしょう。二十ミリシーベルトに引き上げた、その二十ミリシーベルトのまず学問的な妥当性については、菅直人総理大臣みずからが任命した内閣官房参与第一号の小佐古さんが、涙ながらの会見で、その数字に疑義を呈した段階で学術的には破綻をしているわけですよ。

 先日もたくさんの、一昨日ですか、福島から、お父さん、お母さん方、保護者の方々が百人以上文部科学省に陳情に来られたという話を聞きました。皆さん大変心配でたまらない状態。

 私は、せんだっての文部科学委員会で、このことについて早く調べてほしいと。なぜならば、これも、副大臣、別の委員会でも御出席いただいてお答えいただきましたけれども、子供たちの甲状腺に取りついたかもしれない沃素、足が速い、生物学的な半減期が短いということ、これはもうみんなが共有している常識であります。だからこそ、早くしてもらいたい。私はあのとき、五月の中旬あるいは遅くとも五月いっぱいにやってもらいたいという具体的なことを申し上げた。もうきょうは五月二十五日であります。

 当時、高木文科大臣が何と言ったか。このことについては、政府全体、原子力安全委員会の助言をいただきますけれども、原子力災害対策本部として検討していくものと思っておりますので、今ここで、いつまでということについては答弁をしかねます。これは五月十八日。

 四月二十七日の文科委員会では、後で私も議事録を精査して、この発言はびっくりしました。私がそういうことで、地元の広島大学の専門家の皆さん方の専門的な知見なども交えながら、早く測定してもらいたいと言ったところ、それぞれの皆さん方の知見を聞くことについてはやぶさかでありませんので、そういうものについてもどしどしお寄せいただきたいと思っております。全くやる気がない。

 二十ミリシーベルトの数字に自信があるんだったら、その上で暮らしている子供たち全員の内部被曝を当然測定すべきでしょう。それは、地域住民の方々が安心をするために通らなくてはいけない関門なんです。副大臣、現在の状況について、もう一度答弁をしていただきたいと思います。

笹木副大臣 先ほど厚労の大塚副大臣からの答弁にありましたが、福島県が基本的にその計画をつくっていただくという方向で、今、文部科学省と放射線医学総合研究所も参加をし、五月の下旬にその検討委員会で、健康管理の調査、このことを、取りまとめに向けていろいろ議論をしていく、そういう計画でおります。

河井委員 当該地域の子供たち全員なんですね、対象は。

笹木副大臣 今、その対象を全員ということを決めたわけじゃなくて、この検討委員会でそうしたことについても議論をいただくということです。

河井委員 五月の下旬から検討委員会を立ち上げて、一体いつごろまでに結論を出すつもりなのか。県は県の立場があるけれども、国は国の立場があるわけです。国としてどういうふうな考え方を示しているか、お示しをください。

笹木副大臣 今の時点では、いつまでにということを国から決めているわけじゃありません。この一回目の検討委員会で、スケジュールも含めて県を中心に議論をいただく、我々も参加をするということです。

河井委員 あなたたちは何を恐れているんですか、一体。あるいは、何を守ろうとしているんですか。子供の健康を守るのがあなたたちに与えられた政治家としての、政務三役としての大切な責任じゃないですか。一体何を恐れているのか。何でこんなに繰り返し繰り返し委員会で、何度も何度も違う委員会に繰り返し来て、早くやってくださいと言い続けているのに、それができないのか。

 だから言われるんですよ。子供の全数測定をして、もし一人の甲状腺からでも沃素が発見された暁には、今の政権は吹っ飛ぶんだ。だから、それを恐れているから、生物学的な半減期が過ぎ去るのを今の政権はずっとただただ過ごそうとしているということを言われてしまう。いやいや、にやにやしちゃだめですよ。

 そういう疑念を晴らしたいんだったら、全数の測定をしなさいと言っているんですよ。それが大切な子供たちの保護者たちの切なる意見じゃないですか。叫びじゃないですか。こんなことは党派を超えた話だ。自民党だろうと民主党だろうと、公明党も、全部言わなくちゃいけない、社民党も国民新党もいろいろな政党も無所属も、こんなことは全部一緒の話ですよ。何でこのことができないんだ。

 私、繰り返し言っているのは、もう既にお二人の副大臣と中山政務官にはいらっしゃるところで御紹介はしましたが、もう一度紹介します。

 六十六年前の八月六日、黒い雨が降ったのがまさに私の地元であり、私が今住んでいる町内会で、昨年の春にようやくセシウム137が学問的に、学術的に検出をされた。その地域の黒い雨の会の党派を超えた二百五十人の会員さんから、今回の原子力発電所の事故の後、お手紙をいただきました。幾つか紹介をさせていただく。心優しい広島の被爆者の皆さんは、遠く離れた福島の地で今起こりつつある悲劇について心を痛めている。そして同時に、あの六十六年前の事柄と今とが完全に重なって見えてしまう。

 その当時は、放射能による危険性などもわからないまま、黒い雨で死に浮いた川魚や黒い雨のかかった野菜などを食べ下痢をすることがあったが、それもわからないままに日が過ぎたように思います。福島の報道を見るたびに、改めて私たちが経験したことは大変なことだったと思います。

 別のお手紙。

 投下時の時代、私たちも親も、放射線についての知識は全くありません。当日の昼食、夕食から、自宅近くの小川か井戸で野菜を洗い、食べていた。トマトは汚れ、黒いところは洗い、夏は毎日食す。八月七日ごろより、地元の川ですけれども、安川にて泳ぐ。

 たった一つの原爆が六十六年たった今も多くの人をどれだけ苦しめているか、はかり知ることはできません。

 あるいは、私たち広島で被爆した者としては、内部、外部被曝、すなわち、人体、作物、土壌など、放射線による悪影響があると思います。放射線被曝は同心円ではない、天候が大であると思います。後々に引きずられないように徹底した調査をしていただくようにすることですと御紹介をさせていただきました。

 与党の政調会長と、そして官邸の官房副長官もお見えですから、あえてこの場で重ねて紹介をさせていただいた。

 日本には六十六年前のこういう嫌な悲しい経験、そして教訓があるんです。学問的な知見があるんです。だからこそ、子供たちに早くやってもらいたいと何度も言ってきている。

 科学技術担当大臣としてだけでなく、与党の政策調査会長として、玄葉さん、今の議論を聞いて、あなた自身、御自分の地元の人々の話です。与党として、政府として、今後どうしていきたいか、お考えをお示しください。

玄葉国務大臣 河井委員には、まさに原爆の経験を踏まえたさまざまな提言をいただいて、大変ありがたく思いますし、私自身も、やや私ごとですが、愛する県民の皆さんのことでございますから、今の話を突き刺さる言葉のように聞いたのは、私の今の率直な思いでございます。

 この健康被害からどうやって住民の皆さんを守るのかということに関して、何で進まないんだろうということを、私自身も実は関係者の皆さんに尋ねたりしているというのが率直なところでございます。

 県の方で、今、中心になってやりたいので、経産と文科と厚労とチームでやらせていただきたい、原発の被災者支援チームの医療班も加味してやらせていただきたいということなんですが、ただ、おっしゃったとおり、沃素の半減期とかあるいはセシウムの半減期、いわゆる生物学的半減期とか、そういったことを考えると、確かに一刻も早くそれらを行っていかなければならないということだろうというふうに私も思います。

 ですから、私としても、私ででき得る限りの、それは国務大臣としても、あるいは科学技術担当大臣としても、あるいは政調会長としても、そういうことは申し上げていきたい、そういうふうに考えております。

河井委員 玄葉大臣、あなたは野党の一議員にすぎない私とは立場が今違うんですよ。政権のど真ん中にいて、しかも与党の政調会長も兼務している。そして、御自分の地元でもある福島県、言葉はもういいから、もう本当にちゃんと早くやってくれということなんですよ。

 原子力安全委員長、推定でいいですが、広島原爆の際放出されたと推定されるセシウムの量と福島第一原子力発電所の事故で出ているセシウムの量は、比較して何十倍ぐらいですか。お答えください。

班目参考人 申しわけございません。記憶してございません。

河井委員 こんなこと、あなた、今居酒屋でも言っていますよ、みんな心配で。記憶する、しないの話じゃないでしょう。

 では、広島原爆で投下された放射線の放出量と福島第一原子力発電所の事故の後放出された放出量、セシウムで換算すればどちらが大きいですか。お答えください。

班目参考人 量的には今回の方が大きいんじゃないかと思います。

河井委員 だから、どれぐらい大きいかと聞いているんです。一・一倍でも大きいでしょう、十倍でも大きいでしょう、百倍でも大きいでしょう。どれぐらい大きいんですか。お答えください。

班目参考人 大変不勉強で申しわけございません。

 安全委員会としては、チェルノブイリの事故であるとか、そちらの方の調査に専念してございましたので、広島原爆についてはそれほど記憶をしていないというところでございます。

 どうも大変申しわけございません。

河井委員 記憶ですか、記録ですか、どっちですか。

班目参考人 記憶でございます。

河井委員 安全委員長、この国で起きたことですよ。それを記憶していないと今あなたは言った。原子力安全の、一義的には保安院、次に担う、最後のとりでである原子力安全委員長が、広島原爆との比較は記憶をしていないと言った。信じられない答弁としか思えない。

 広島大学の原爆医科学研究所の先生方によると、およそ四十倍出ていると言われているんです。ですから、これは決して軽い問題ではない。そういう意味で、先ほどあえて、広島の黒い雨の会の皆さんのお手紙を紹介させていただきました。

 続きまして、SPEEDIの試算結果が事故発生直後に官邸に送られていた件について、関係の皆様にお尋ねをいたします。

 時事通信五月十九日二十二時十二分の配信の記事であります。

 東京電力福島第一原発事故の発生直後の三月十二日未明、放射性物質が原発の海側に向かうことを示すSPEEDIの予測図が首相官邸に届けられていたことが十九日わかった。御本人がいらっしゃいますが、通信社の配信ですので紹介いたします。民主党の川内博史衆院科学技術特別委員長や政府関係者が明らかにした。

 川内氏らによると、予測図は三月十二日午前一時十二分、経済産業省原子力安全・保安院からファクスで送信された。第一原発一号機で格納容器の蒸気を外部に放出するベントを行った場合、同三時から同六時までの間、放射性物質がすべて海に向かうことを示す内容であった。

 SPEEDIの予測図は住民には長く公表されなかったものの、首相の視察前に放射性物質の流れを知るため利用されたのではないかとの疑念の声もある。川内氏は、首相はSPEEDIを自分のために使い、住民のためには使わなかったのではないかと話しているということであります。

 委員長さんは委員長席にお座りでございますので、この発言について確認を求めることはこの場ではできません。本当はしたいんですけれども、できません。その上で、幾つか確認をさせてください。

 私は最初、この疑惑、つまり、菅総理の視察のときただ一回しかSPEEDIの試算結果を官邸は求めないで、地域住民の方々の無用な被曝をそのまま見過ごした疑惑、これ一回だけかというふうに思っておったんですが、実はそうではない。原子力安全・保安院、文科省、そして原子力安全委員会それぞれが、三月十一日から十六日の間に独自で試算を行いましたね、SPEEDIを使って。その試算の件数について、今申し上げた順番でお答えをください。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 三月十一日から、手元は三月十五日でございますけれども、試算の件数は四十二件でございます。

班目参考人 私は、その当時はずっと官邸に詰めていたので、はっきりとした情報は得ていないんですが、非常に少ないはずです。恐らく、十二日に一回ぐらいとあと数回ではないかと思いますが、それ以上は、私は、申しわけございません、存じ上げておりません。

笹木副大臣 三月十二日から三月十六日の午後まで、要は、原子力安全委員会が直接運用の指示を出す十六日以前までですが、三十八回、放射性沃素が一ベクレル放出された仮定での試算とか、任意の値を仮定した試算で行っています。

河井委員 安全委員会、詳しい答弁はできませんか。一件とか数件とおっしゃいましたが、できるかできないか。もしできないときは、私が知っていますから、かわりに答弁してもいいですけれども、言ってください。

班目参考人 申しわけございません。定量的な数値は、今お答えできません。

河井委員 委員長、いいんですか、それで。よくないですよ、そんなの。

 私、事前に事務局の方に来てもらって教えてもらったわけですよ。そして、安全委員会に質問通告しておりますよ、私はSPEEDIのことについて聞きますと。何でお答えできないんですか、委員長。

班目参考人 申しわけございません。すぐ調べさせますので、後ほど……(発言する者あり)

川内委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

川内委員長 速記を起こしてください。

 原子力安全委員会班目委員長。

班目参考人 十五日までだったら、一回だそうです。

河井委員 事前には七件という説明があったんですが、もう一度確認してください。

班目参考人 一件のはずはないと思います。数件なんですが、今確認させていますので、しばらくお待ちください。(発言する者あり)

川内委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

川内委員長 速記を起こしてください。

 原子力安全委員会班目委員長。

班目参考人 計算は一件で、それに七枚の絵がついているというのが正しいところだそうでございます。

河井委員 きのうのうちに私は全部要求しました。それぞれ、今お答えいただいた方々の役所に要求をして、きょう全部ここに持ってきております。保安院が四十二件、文科省が三十八件、安全委員会は七件と言ったから私は七件のまま言いますよ、安全委員会が七件、計八十七件が、それぞれSPEEDIを動かして、さまざまな重要な試算をしていたわけですよ。

 ところが、その八十七件のうち、なぜか三月十二日の午前一時十二分のものだけ、保安院から官邸にファクスが行ったということであります。

 保安院に確認をいたします。その事実で間違いありませんか。

寺坂政府参考人 三月十二日午前一時十二分に原子力安全技術センターから原子力安全・保安院の端末に試算結果が配信されまして、一時三十五分ごろというふうに承知しておりますけれども、官邸のオペレーションルームに送付されたというふうに考えてございます。

河井委員 大事なところですから、官邸のオペレーションルームに、何とおっしゃいましたか。

寺坂政府参考人 官邸のオペレーションルームに送付をしたということでございます。

河井委員 送付というのは、ファクスですか、それとも電子媒体ですか。

 ファクスであるならば、そのレターヘッド、いわゆる送信票というものがついていると思います。それの提示をしていただきたい。

寺坂政府参考人 ファクスで送信したと承知してございます。

河井委員 ファクスで送信したと承知しているということですから、しからば、院長、送信票をお示しいただきたいと思います。

寺坂政府参考人 大変申しわけございません。電子媒体ということでございます。大変失礼いたしました。

河井委員 今たった三秒前に、ファクスで送ったとこの場で答弁したんですよ。どちらが正しいんですか。

 これは決して、一枚の紙の問題じゃないんですよ。繰り返すけれども、菅総理大臣の視察の直前に、八十七件、政府のいろいろな機関がSPEEDIを使ってさまざまな試算をしたにもかかわらず、八十七件のうち一件だけ、保安院から官邸のオペレーションルームに行ったということの話なんです。だから、これは重要な話なんですよ。

 ファクスで行ったのか電子媒体で行ったのか、それもわからないんですか。これもちゃんと私、何度も質問通告しているし、議論しましたよ、事前に。お答えください。

寺坂政府参考人 大変申しわけございません。電子媒体で送付されたものでございます。

河井委員 ということは、先ほど申し上げた、ファクスで受け取ったというふうに枝野官房長官が記者会見でおっしゃっていませんか、保安院長。

寺坂政府参考人 官房長官の御発言につきましては正確に承知してございませんけれども、いずれにしても、ファクスで送られたというような記録はないというふうに承知してございます。

河井委員 内閣官房の高橋さん、きょうお見えいただいておりますが、今の事実について御存じですか。官房長官は記者会見で、ファクスで保安院から送られてきたというふうに述べたと報じられておりますけれども、それは事実かどうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 官房長官の記者会見の内容につきましては、承知しておりません。

河井委員 ファクスではなくて電子媒体とおっしゃいましたが、どういう形の電子媒体で、では、なぜ一時三十五分ごろ、また、このごろというのも怪しい言い方だよね。一時三十五分ごろ送ったということが今になって証明できるわけですか。証明できるということは、こちら側にもあるし、官邸のオペレーションルーム側にもあるということですね、保安院長さん。

寺坂政府参考人 私どもの方のメモにおきまして、保安院の中にあります緊急時対応センターの総括班からリエゾンに一時三十五分という、そういうメモが残っているということでございます。

河井委員 受け取った方の官邸、高橋さんでしょうか、一時三十五分ごろ受け取ったということで間違いないですね。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 一時三十五分ころに、内閣官房の職員がプリントアウトされたペーパーとして受け取っております。

河井委員 高橋さん、そのプリントアウトされた紙というのは、ファクスからプリントアウトされてきたんですか、それとも何かの端末からプリントアウトされてきたものなんでしょうか、お答えください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 そこに関しては承知しておりませんけれども、保安院の担当の方が紙を持ってきたということでございます。

河井委員 これは大変重要なところですから、委員長、この紙を当委員会に提出をしていただきたい。

川内委員長 紙というと。

河井委員 保安院から送ってきたと言われている、そして今、内閣官房の審議官が答弁した紙、ちょうど委員長が十九日の日に御指摘をされた、一時十二分に配信されたと言われているその紙が、紙を見たと今ちゃんと答弁したわけですから、この紙について、きちっとした形で当委員会に出していただきたい。

 なぜならば、そこには、だれからだれに対して送ったかというものが書かれている可能性があります。だれからだれに送ってだれのところでとまったかということも、そこから読み取ることができるかもしれない重要な資料でありますので、当委員会への提出をぜひお取り計らいをいただきたいと思います。

川内委員長 ただいまの河井克行君のお申し出については、理事会で協議をし、対応してまいりたいというふうに思います。

河井委員 委員長、ゆめゆめ、通り一遍の後刻理事会で協議じゃだめですよ。ちゃんとまじめな形で、あなたの名前もさっきからずっと紹介させていただいているんですから。

川内委員長 いやいや、私もファクスと聞いていますから。

河井委員 だから、きのう説明に来たときは、保安院さん、ファクスとおっしゃったんですよ、私のところに来たときは。何で一晩たったら、何もかも隠ぺいしたり捏造したり改ざんするんですか。あったはずのメルトダウンが、ないないと言ったのがつい最近になって出てきた。レベル7だって、全然ないと言ったのがレベル7になってしまった。海水注入の中断だって同じじゃないですか。だから、そういうことをするから全然国民が信頼しないわけですよ、今の政権に対して、今の官邸に対して。

 もう一度お答えください。きのう私のところに説明に来た、ファクスで送ったというのは、あれはどういうことで今答弁が変わったんですか。

川内委員長 原子力安全・保安院寺坂院長、きちっと答弁してください。

寺坂政府参考人 昨日の説明につきましては、送信手段としてファクスとそれから電子媒体と両面がある、そういうことを申し上げて、本件については、電子媒体において共有をされたというふうに御説明を申し上げたのではないかというふうに思います。

河井委員 またうそをつく。そうじゃないですよ。ファクスが主だったんですよ、きのうの御説明では。ファクスで送ったと。

 だから、レターヘッド、御存じでしょう、レターヘッド。こういうものですよ。うちの事務所に来る、送信先だれだれ、そして送信元がだれと書いてある。これはレターヘッド、送信票といいますよ。これを出してくださいと言いました。そのときに、念のために電子媒体もやったかもしれませんということで、あくまで主の説明はファクスだったんですよ。

 レターヘッドを出したら何か困ること、不都合なことがあるから、今そうやって答弁を変えているんじゃないですか、院長。委員長じゃないですよ、院長ですよ。委員長も一緒なんだよ、僕と。ファクスだと委員長も言っているんですよ。一夜にして何で変わったんですか。院長、しっかりと答弁してください。隠しているよ。

寺坂政府参考人 いいえ、隠している、そういうことはございませんけれども、今申し上げましたように、電子媒体で共有をされたものというふうに理解をしてございます。

河井委員 ですから、この電子媒体をしっかりと出していただくようにぜひお願いいたします。

 その上で、この深夜一時十二分配信、一時三十五分ごろに送りましたのは、一号機のベントを仮定した影響確認の試算だったんです。原子力安全委員長、あのころのことを思い出してもらいたいんですが、当初、何号機が一番やばい危険な状態だったでしょうか。二号機ですか、一号機ですか、あるいは、二号機、一号機が一緒ぐらい危なかったですか。お答えください。

班目参考人 それぐらいの時点ですと、一号機と二号機と両方危ないと思っていましたが、特に、私の頭の中では、二号機の方がより危険だというふうに認識してございました。

河井委員 珍しく明快な答弁をしてくださった。

 保安院がSPEEDIを動かして試算したしょっぱなは、三月十一日の二十一時十二分だったんです。それは、今原子力安全委員長がお答えになったとおり、二号機のベントを仮定した影響確認のためだったんですよ。何で、今安全委員長もおっしゃった、個人的には二号機の方が危ないと思った、ところが、安全・保安院長さん、これは官邸に送っていないんですね。確認します。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 最初の二号機ベントを仮定した影響については送付をしてございません。

河井委員 安全委員長が個人的にはより危険性を感じていた二号機の情報については官邸に送らないで、菅総理大臣の視察の直前になって、一号機のベントを仮定した影響確認のための試算だけが送られた。

 保安院にもう一度確認をいたします。保安院が東京電力に、総理大臣が視察に行くという連絡をしたのはいつですか。何時何分ごろか、お答えください。

寺坂政府参考人 担当の者、考えられる者から聴取をしてございますけれども、いつの時点かという具体的な時刻については確認ができておりません。

 私ども保安院の方から東京電力の方にお話を申し上げたのは、総理が視察にお出かけになるということではなくて、仮にそういうことになった場合にどのような対応ができるのか、そういうことについてのいわば問い合わせ、そういったものについて東京電力の方にお話をしたということでございます。(河井委員「だから、それはいつですかと聞いているんです」と呼ぶ)時間はちょっとよくわかりません。

河井委員 それはおかしいですよ。五月十三日金曜日の朝日新聞に、東京電力の内部資料で時間までこれは出ていますよ、院長。総理大臣が1F、1Fというのは福島第一原発のことらしいですが、1Fへ向かう予定ということで、時刻まで載っている。

 もう一度聞きますよ。

 では、東京電力は保安院じゃないところから聞いたということですか。あなたに聞くのも変なんだけれども、もう一度確認をいたします。保安院は、では、朝日新聞が報道した時刻には、この近辺には知らせていないということですか、総理大臣が行くということを。

寺坂政府参考人 先ほど申し上げましたように、確定的な時間というものを伝えた者が十分記憶が定かでないということでございまして、そのような意味で時刻が定まらないということを申し上げていることでございますので、そのように御理解いただければ幸いでございます。

河井委員 これはおかしい。一国の総理大臣が、被災地の現場の中でも最も危険性が高いと言われていた福島第一原子力発電所に視察に行こうというのに、東京電力に対して保安院が、総理大臣が行きますよということを知らせた時刻がわからないというんです、今の答弁は。こんなばかなことがありますか、そんな無責任な。

 もう一度。答えられなかったら質問できない。

川内委員長 原子力安全・保安院寺坂院長、おおよその時間はわかっているんでしょう。確たる時間は申し上げられないと。おおよその時間は申し上げられるんでしょう。

寺坂政府参考人 先ほど申し上げましたように、総理がお出かけになるということが決まった、そういうことではなくて、仮にそういう場合にどのようなことができるのか、そういうことの問い合わせに対して、私どもの担当の者が東京電力の方にお話をしたということでございまして、非常に雑駁な時間帯で恐縮でございますけれども、日付は恐らく変わっていたのではないだろうか、そのような話は聞いておりますけれども、それ以上のことは、大変申しわけございませんけれども、時刻はわかっておりません。

河井委員 報道によると、深夜の一時半にその連絡があったということがされております。時間の無駄ですから、もういいですよ。

 一時半に、保安院が東京電力に対して、総理大臣が視察をするということを言った。その前後、一時三十五分に保安院が、八十七件、文科省や原子力安全委員会も含めて詳細なシミュレーションをしたものを、ほかは一切送らないで、総理大臣の視察が決まった、あるいは決まろうとしているその前後に試算をしたものだけを官邸に送った。これはどう考えても、私は、心証は真っ黒だというふうに言わざるを得ない。

 結局、総理大臣の視察のためにこの試算結果を使っただけじゃないか。ほかの八十六件は一体どうなったのか。

 政務三役にお尋ねをいたします。

 中山大臣政務官、随分お待たせをいたしました。政務官は、このSPEEDIの内部でやったというものをいつ初めてごらんになりましたか。

中山大臣政務官 私どもは、今言ったような話は共有いたしておりません。

 しかし、事故調査委員会というのがありまして、これからそういうことについてもだんだん皆さんの目に触れるように、または皆さんが知り得るように徹底的に調査をしてもらわなければならない、このように思っております。

河井委員 だから、共有していないというのは、ごらんになっていなかったということですね。はっきりと。

中山大臣政務官 そのとおりです。

河井委員 笹木文科副大臣にお尋ねをいたします。

 文科省が独自に試算を運用していたそのものをいつ初めてごらんになりましたでしょうか。

笹木副大臣 事故が発生して以降、この発電所の事故にかかわるいろいろな報告を毎日政務三役会議で事務方から聞いておりましたが、SPEEDIについては、放出源の情報が得られない、そういう報告を聞いていました。

 それで、最初に計算結果、これも放出源が得られていないものですが、モニタリングカーで現地のモニタリングをする、具体的に始めるというときに何か参考になるものはないかなということで、それも一つ、今出している風向きとかそういうようなものは出るということだからということで、十五日及び十六日に予測計算結果について図とともに説明を受けた、これを覚えています。

河井委員 このこともおかしいんですよ。政務三役が、文科省は十五日まで知らなかった、そして経産省に至っては、政務三役は聞いていなかったということ。

 それから、文科省と安全委員会と保安院と、保安院というのは普通の保安院じゃないんですよ、政府の対策本部の事務局を持っている保安院、この三者が勝手に試算を、ずっと計測をやっていた、お互いに連絡をしていなかったということ、そういうことですね。お互いにやっていたということは知っていましたか。全部聞いたらもったいないから、では保安院だけで結構です。お互いにやっていたということを知っていましたか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 承知してございません。

河井委員 官房副長官、ずっとこの議論をお聞きいただいております。

 たしか、副長官が就任されたのは三月の十七日で、今いろいろと議論しているときはもう済んだときかもしれないけれども、一体何ですか、政府の対策本部というのは。お互いの役所がみんな入り合って、融合的にやっているわけでしょう。お互いに緊急事態でやっているそのときに、関係の、主管の官庁同士が何をやっているかみんなわからない状態になってきている。私は、これは政府の対策本部が機能しているとは到底言えない、そう言わざるを得ないと思います。

 私が一番残念なのは、飯舘村の人々を無駄に被曝させたということなんですよ。十五日にはドライベントが行われました。爆発もありました。この二つが最もセシウムの放出量がぼんと上がったときの、最も影響したのはその二つだというふうに言われている。

 十五日〇〇〇二分にドライベント開始、〇六一〇分に爆発があった。官房副長官、その前後に、あろうことか、この保安院というか政府の対策本部がオーダーを出して、ベント開始が深夜の〇〇〇二分ですよ、零時二十五分と深夜の一時と一時五十分、そして四時五分に計算しているんですよ。それが官邸に行っていなかったと保安院は言う。爆発は六時十分にあったけれども、その前後に、保安院はやはり同じような計算をしている。

 保安院長さん、保安院が注文を出して計算をさせたこの四十二件、本当に一件も官邸に情報として行っていなかったんですか。川内委員長が指摘をした三月十二日の一時十二分以外のデータについて、一件も行っていなかったのか。画像と紙と電話と、すべての可能性を含めて答弁してください。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの一件を除きまして、共有をされている、そういう記録は残ってございません。

河井委員 院長、だから自分の都合のいい答弁ばかりしてはだめですよ。記録じゃない。電話で言ったこともないですかと聞いているんだから、時間がないんだから、ちゃんと答えてください。電話ででも官邸のオペレーションセンターには言わなかったんですね、保安院は。

寺坂政府参考人 そのような内容については確認ができておりません。

河井委員 きょう説明に来た保安院の方は、電話で言ったかもしれないと私に説明をいたしました。整合性がとれません。

 院長、少しとめますから、大事なことだから、電話で官邸に言ったかどうかについて、ちゃんと話を聞いてしっかりと答弁していただきたい。私に対する説明と違います。

川内委員長 原子力安全・保安院寺坂院長、混乱しているときだから、なかなか答えづらいかもしれませんけれども、誠実に答えていただけますか、事実確認ですから。避難情報として官邸に連絡したかということです。

寺坂政府参考人 これまで確認した範囲におきまして、情報を伝えたということについて確認ができていないということでございますので、そのように御理解をいただきたいと思います。

河井委員 確認ができていないんだったら、確認をしてください。

 委員長、ですから、これは確認をするようにしっかりとお取り計らいをお願いいたします。

川内委員長 河井さん、連絡していないことを確認するというのは非常に難しいと思うんですね。(河井委員「いや、でも、事前には僕に言ったと」と呼ぶ)今のところは、要するに連絡した人はいないということでしょう。(河井委員「それじゃ、違うじゃない、さっきの説明と」と呼ぶ)

 原子力安全・保安院寺坂院長。

寺坂政府参考人 連絡をとったという確認ができていないということでございます。

河井委員 仙谷官房副長官、随分お待たせをいたしました。

 以上の議論を聞いて、私は、揚げ足をとりたくてこんなことを言っているんじゃないんですよ。飯舘村の方々、全く無用な被曝をしたじゃないですか。十五日の段階で五回計算しているんですよ、保安院は。それをもっと早く言っていたら、このときには、二十キロ圏外だから避難指示も出ていないし、屋内退避指示もその日になって出されたんですよ。無用な被曝をさせてしまった。

 今となってみれば、しっかり官邸の上層部に情報を上げるべきであった、そして、SPEEDIを公表するべきであったと副長官はお考えにはならないでしょうか。お答えください。

仙谷内閣官房副長官 きょうの御議論を聞いて、それを評価して感想を述べよということのようでございますけれども、先ほど中山政務官がおっしゃったように、まあ保安院にとっても初めての経験だったのかもわかりませんけれども、地下のオペレーションルームで一つのボールを、大勢がボールの来るところへ寄っていくような、こういう危機管理のあり方を含めて、これから事故調査・検証委員会の中でつまびらかに調査され、評価されるものと私は考えておりますし、きょうもお伺いしての感想でございます。

河井委員 私は、今のお答えは正面から答えていただいていない、いわば逃げの答弁だというふうに考えました。

 官邸にもし保安院が行っていないのだとすれば、これは国家公務員の義務に反することであり、私は、国家公務員法によって懲戒処分をするべきだというふうに考えている。逆に、もし本当にこの一件しか官邸に行っていないのであれば、繰り返しますが、菅さんが視察をするそのただ一回のためだけに、官邸が保安院から、本来国民共有の財産をこの一回のためだけに求めた。いずれにしても、今の政権の罪は大変重い、私はそのように感じております。

 質問を以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

川内委員長 次に、馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。

 まず、お配りをした資料をごらんいただきたいと存じます。「海溝型地震と原子力発電所の位置図」とありまして、提供は文部科学省であります。

 そこでまず、地震や津波の予測、観測、今現在、日本でどの程度のレベルまで予測や観測ができるのか、そのデータをもとに私たちはどういう備えをすべきなのか、こういう観点で質問をさせていただきます。ちなみに、私が提供した文部科学省のこの資料というのは、出典は、地震調査研究推進本部地震調査委員会というところから提供いただいたものであります。

 ちなみに、ちょっとこれをごらんください。右の下の方の三陸沖北部、宮城県沖地震、三陸沖から房総沖の海溝寄り、福島県沖、茨城県沖、ここだけが三十年以内に地震が起こる確率が抜けております。起こりますよね、パーセンテージが入っておりません。その理由は、要は東北地方太平洋沖地震、東日本大震災の発生を踏まえて、今後、発生確率を見直す予定なんだそうであります。

 となりますと、このデータをもとに浜岡原発の停止要請を菅総理が中部電力に対してなされたというふうに考えてよいと思うんですが、これは間違いありませんね、私の指摘は。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の浜岡原子力発電所でございますが、緊急安全対策の中長期対策、これが実施されるまでの間、この東海地震の、先ほど御説明がございました八七%、とりわけ高い確率で起きるということをもって、中長期対策が完成するまでの間、運転の停止を要請するということを決められたと承知しております。

馳委員 いわば、私は今確認の意味で聞いたので。

 そうすると、民主党の政調会長である玄葉大臣は、この資料の存在については当然御存じで、事前に菅総理から相談を受け、そして、中部電力に対していわゆる停止の要請をしたいと思うので、政調会長、精査しておいてくれよという要請を受けたと考えるのは、私は政党人として当然だと思うのですが、その私の指摘で間違いはありませんね。

玄葉国務大臣 馳委員は、私の会見の内容も御存じでお聞きになったんだというふうに思いますけれども、私は会見で率直に、政策調査会を預かる者として、事前に相談がなかったということは遺憾であるというふうに申し上げました。

 ただ同時に、時として、そういう総理大臣のリーダーシップのあり方もあってよいのではないかというふうに申し上げ、この件に関して申し上げれば、いわば最新の知見、データのもとで最善の措置をとった、こういうふうに考えるべきなんだろうというふうに私自身は考えているところでございます。

馳委員 では、菅総理の浜岡原発停止要請という政治的判断は、英断ですか、独断ですか。

玄葉国務大臣 英断か独断かという問いでありますけれども、適切であったというふうに考えております。

馳委員 政策判断のプロセスは適切であったと思いますか。

玄葉国務大臣 ここは、先ほども申し上げましたけれども、でき得れば、関係者の皆さんと少なくとも一定の議論をしてから決断をしてほしかったというのが私の率直な思いでございます。

 ただ、先ほど申し上げたように切迫性ということもございますので、しかも、日本列島がいわば一種、鳴動期のような形になっているということも考え合わせたときに、時としてこういうことがあってもよいのではないかということを会見で申し上げた、こういうことでございます。

馳委員 政策決定に至るプロセスとして極めて不透明であったということだけは、私からまず指摘しておきます。

 本題に入ります。

 私もこれをずっと見ておりまして、東海地震においてマグニチュード八クラスが三十年以内に八七%の確率で起きるとなっておりますが、その科学的根拠、これを一国民である私にもわかりやすく説明をしていただけますか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 地震調査研究推進本部では、同じような規模の地震がほぼ同じ場所、しかも間隔で繰り返し発生するという考え方に基づきまして、将来発生すると想定される地震の規模、発生確率ということを評価してございます。

 東海地震につきましては、過去にこれだけで発生をした記録がございません。しかしながら、いろいろな地震と、東南海あるいは南海地震と連動して起こったというような記録が残ってございます。一四九八年明応の東海地震、一六〇五年慶長の地震、一七〇七年宝永の地震、一八五四年安政の地震、これらは東海地震と近くでございますけれども、東海地震を巻き込みながら起こったということでございます。

 これらの四つの地震の発生間隔、これは平均値が百十八・八年ということでございます。

 最新の活動時期というのは安政の東海地震、一八五四年でございまして、これらを勘案いたしまして、現在から三十年以内に起こる確率を八七%ということで評価をしてございます。

 また、マグニチュード八という大きさにつきましては、中央防災会議のもとに設置をされました東海地震に関する専門調査会というところがいろいろ、震源断層の面積はどのくらいであるのかとか、あるいは断層にかかっている力はどのくらいであるかということを計測いたしまして、マグニチュード八と算定している状況でございます。

馳委員 一回聞いただけではよくわかりませんでしたので、今後とも折に触れてお伺いしたいと思います。

 要は、そういう最新の科学的知見に基づいて、地震が来る可能性があるぞ、プラス今回は、当然津波が来るぞ、それに備えなければいけないよね、備えるためには何がわかっていなければいけないんだろうかということ。そして、そのわかっていなければいけないことがいち早く住民に対して、あるいはインフラを管轄する責任者に対して知らされて、対策がとられなければいけない。私は、ここが政治的に最も重要なことではないかなというふうに思っているんです。

 そこで、今回の東日本大震災を踏まえて、海域における高い精度の地震発生予測と、地震発生直後の地震の連動、津波の発生の状況の早期の予知、これを実現していかなければいけないと思いますが、その私の認識でよろしいでしょうか。

田中政府参考人 先ほど申し上げたとおり、地震発生予測等々につきましては、過去の記録をいかに精度よくとるかということが肝というか中心でございます。

 東北地方太平洋沖地震につきましては、三陸沖から茨城県沖にかけて多くの地震領域が連動して発生をしたわけでございますが、そのような記録がございませんでした。したがいまして、先生御指摘のとおりでございますけれども、これからいかに過去の記録をきちんととっていくのかということが大事であろうというふうに思ってございます。

 そういう意味では、活断層調査あるいは津波堆積物調査というようなことを綿密にやりまして、過去の地震、津波を再評価することが大事になろうかというふうに思ってございます。あるいは、海域で起きている地殻変動、あるいは地震活動を海域において観測することが大事であろうというふうに思いますし、深部掘削を進めまして、震源領域間がどう連動するのかについて検討を進めるということでございます。これらを通して、評価方法の見直しを行ってまいりたいというふうに思っているところでございます。

 また、地震発生直後の地震、津波発生状況の早期検知につきましては、現在、地震・津波観測監視システムを構築することが始まりましたばかりでございますけれども、それを充実し、多くのところに提供してまいりたいというふうに思っているところでございます。

馳委員 そこで、その地震・津波観測監視システム、文科省でしょうか、予算要求のときの資料を拝見してちょっと不安になったんですよ。

 読みますね。「海域には十分な観測機器が整備されておらず、地震発生予測に必要となる観測データが不足しているとともに、緊急地震速報や津波予報警報の精度低下の原因となっている。」

 私は、この委員会ができてよかったなと思っているんですよ。多分、技術的にはあると思うんですよ。とすると、陸地と海域で観測監視システムが機能していれば、早く察知をし、情報が多分、GPS、衛星情報などを通じて伝わってくる。それが自治体や、いわゆるインフラを管理監督している部署に伝わる。住民に伝わる。早く逃げよう。そして当然、そのシステムによってハザードマップの精度を高めることができる。こういうふうになるのではないかなと思うんですよね。

 となると、大臣、海域が広いので、観測監視システム、ブイとか海中深く埋めておくセンサーなどのケーブルとか、これが多分まだ足りないんだろうなと予測されるんですよ。そうすると、要は予算措置に今後入ってくるんじゃないかなと思うんですね。

 もし、技術的なことでおっしゃりたいことがあれば、事務方から。そしてあと、これは予算措置になってくるんだろうなと思われますが、答弁をお願いしたいと思います。

宇平政府参考人 お答えいたします。

 東南海地震と南海地震の震源域についてまずお答えしますと、気象庁では、ケーブル式の海底地震計を含む全国の地震計による観測データ、これをリアルタイムで収集しておりまして、二十四時間体制で地震活動を監視しております。大きな地震が発生した場合は、直ちにこれらのデータを解析し、緊急地震速報、津波警報等を迅速に発表しております。

 今後の計画といたしましては、先ほどお話のありました、文部科学省が熊野灘に海底地震計、津波計を整備していらっしゃいますので、それらのデータは今年度中に利用を開始する予定でございます。これによりまして、海域でいち早く地震波や津波をとらえて、緊急地震速報のより一層の迅速化、あるいは津波警報の精度向上を図ってまいりたいというふうに考えております。

田中政府参考人 陸域、海域の地震観測設備の状況を少し御説明申し上げたいと思います。

 二十二年度末で、陸域を対象とした地震計は、全国で約千四百カ所でございます。これに比べまして、海域というのは約四十カ所でございます。

 全体としては、海域については、まさに先生おっしゃったように、ケーブルの面、バッテリーの面、あるいは位置をきちんと知らせるポジショニングの面というような技術改良をさらに続ける必要はございますけれども、そういった海域における観測網の充実に文部科学省としても今後積極的に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

馳委員 とすると、やはり聞いておかなきゃいけないのは、菅総理も指摘をされました東海地震の観測監視システムは大丈夫ですか。

宇平政府参考人 お答えいたします。

 東海地震については、先ほど申し上げましたように、全国の地震計による観測データのほかに、東海地域の沖合に気象庁が整備したケーブル式海底地震計、津波計も活用して、大きな地震が発生した場合は、直ちにこれらのデータを分析し、緊急地震速報、津波警報を迅速に発表いたします。

 それから、東海地震は唯一直前予知の可能性がございますので、東海地域に地殻岩石ひずみ計等を整備し、二十四時間体制で地震活動や地殻活動を注意深く監視しているところでございます。

馳委員 では、伝言ゲームの話をします。

 つまり、観測監視システムが機能します。地震が来るぞ、来たぞ、どこでどの程度起きたか。それを、先ほど私から申し上げたように、自治体関係者とかインフラ管理者に伝えていくとするんですが、停電したら電話も携帯電話もテレビもつながらないですよね。どうやって住民に、これは高齢者も含め障害者も含め、どしゃ降りだったらなかなかサイレンの音も聞こえないような、まさしく伝言ゲームですよ、本当に末端まで伝えて、緊急の避難に備えたらいいんだろうか。

 防災計画を地域でつくるとしても、国としての指針があってしかるべきだと思うんですが、そこは大丈夫ですか。

平野副大臣 たまたま、私は今、中央防災会議等々の動きについてもフォローしていまして、被災者生活支援チームとして、これから災害対策をどういうふうに立てていけばいいかということについての内部のさまざまな議論もし始めているところでありました。

 いずれ、いろいろな予知等々の問題がございますけれども、地震が来たら、今の地震の予知の能力では、この範囲の中で地震は発生するかもしれないという予測はできたとしても、何時何分に地震が発生するという予想というのは多分不可能だろうと思います。

 平成十七年に中央防災会議が東日本の震災を予想しておりましたけれども、今回の東日本大震災は、平成十七年の中央防災会議が予想した震災をはるかに上回る規模でありまして、それ自体がまず問題なのでありますが、いずれ、何を言いたいかといいますと、これからもっと大事なのは、予想もさることながら、地震が来たときにはまず逃げるということであります。

 逃げるというときにどこまで逃げなくちゃならないかということで、防災計画、避難計画をつくらなくちゃなりませんが、これからの避難計画をつくるときには、どの津波を想定してやるかということが一つの問題になってきますし、その津波が来た場合に海岸堤の堤防等がどういう役割を果たすのか果たさないのか、そういったことも踏まえた上で、全体の浸水面積を予想した上で、どこまで逃げなければならないかという避難の経路が多分できてくるんだろうと思います。

 同時に、逃げ切れない場合にはどの建物に逃げるか、そういった避難計画もつくらなくちゃならないというふうに思います。

 今委員の言われた、電気がブラックアウトした場合に、これは実際に起こりました。起こりまして、あるところの首長さんは、全く情報が入らない、入らないんだけれども、たまたま防災電話がつながっているために、友達と連絡をとりながら、その友達というのは実は自民党の先生なんですが、あなたテレビ見られるだろう、どこまで津波が来ているか教えてくれということを電話で聞きながら、真っ暗な、真っ暗というか何にも電気がない中で避難指示を出したというようなエピソードもあります。

 そういったことについては、これからいろいろ中央防災会議やら専門委員会なんかでも、今回の津波被害等々の経過についての検証がされると思いますが、実際の問題の中で、津波が起こったときにはどういう状況が起こるのか、こういったことを踏まえた上でのこれからの防災計画をしっかりつくっていくということになると思います。

馳委員 平野副大臣が答えていただいてよかったと思います。

 つまり、イノベーションを進めて、より早くそれを予測、察知する。そして、その情報をよりわかりやすく伝えていく。しかし、最終的に伝えていくのは、やはり日ごろの住民同士の連携、あるいは防災計画にのっとった行動しかないんだろうな、そうなってくるわけでありまして、やはりそこをコントロールしていくのが、今、平野さんがいらっしゃる中央防災会議の役割なのではないかなと思います。

 そこで、ちょっとまた話は戻ります。

 陸地と海洋の地震モニタリング設備、その配備状況は今どうなっていますか。

田中政府参考人 先ほど御説明をしてしまったんですけれども、申しわけございません。

 陸域を対象とした地震計は約千四百カ所、海域の地震計は約四十カ所に設置されているところでございます。

馳委員 これは大臣にお聞きしたらわかると思うんですね。

 陸域が千四百カ所で海域が四十カ所。我が国の領土、領海を考えたら、領空は関係ないですが、もっともっともっと海域のモニタリングの設備を配備しておかなければいけないんじゃないんですか。ここは、今後のまさしく国家戦略だと私は思うんですよ。

 陸地が千四百、海域が四十。課題となっていましたのは、ケーブルの問題であったり、機能させるためのバッテリーの問題、これは、太陽光発電などは使わなきゃいけないでしょうし、あるいは地理測位、GPSを活用してやっていかなきゃいけないでしょうし、ここはやはり科学の粋を集めなければいけないと思うんですね。

 私は、ここは、政調会長であり国家戦略担当大臣として、ちょっとハッパをかけてほしいんですね。いかがですか。

玄葉国務大臣 今の馳委員の、これはまさにこの委員会らしい一つの御提言だというふうに受けとめて、私としても、しっかりと考えて、行動すべきは行動したいというふうに思います。

 同時に、これは、宇宙政策あるいは衛星そのものをどういうふうにしていくかということとも関連するというふうに思っているんですね。三・一一以降、どの衛星に重点を置くべきかということも、今、私自身も実は整理をしているところでございます。

 同時に、先ほど、通信手段がなかったと。非常に深刻な話なんですね。携帯電話もなかなかつながらなかった。携帯電話は地上システムによっている。そうすると、地上システムによらない携帯電話というものを普及させる必要があるのではないか、当然そういう議論も出てきます。

 今回の三・一一を受けて、科学技術政策あるいは宇宙政策でも新しい挑戦というのが必要になってくる、そのための精査を今させていただいている、そういうふうに御理解をいただければと思います。

馳委員 まさしくそうで、これはやはり、ITインフラの整備も並行して、復興構想会議などでも今議論されておりますし、その情報は自治体を通じても流れていかなければいけないので、私は、そこは本当に今後の大きな課題になってくると思いますので、頑張っていただきたいと思います。

 そこで、国交省関河川局長にお伺いいたしますが、防災予測のためのXバンドレーダーの配備状況は現状どうなっていますか。

関政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のXバンドMPレーダーは、既存のレーダーよりも非常に詳細に雨域をとらえることができ、また、情報を把握し整理するまでの時間も非常に短縮されているということでございまして、近年増加する局所的な大雨、集中豪雨、いわゆるゲリラ豪雨による被害が全国で頻発しておりますが、こういったゲリラ豪雨によります被害をできるだけ減らしていくという観点から、現在設置を進めているところでございます。

 この整備につきましては、順次、生命財産が集中する政令指定都市、あるいは、近年局地的な大雨によりまして水害、土砂災害の被害を受けた地域から重点的に進めることとしており、平成二十二年三月までに、関東、中部、近畿、それから富山と金沢、これは一連の区域でございますが、合わせて四地域にレーダーを設置し、二十二年の七月五日からウエブ上におきまして降雨情報の試験配信を行っているところでございます。

 また、二十二年度におきましては、新たに、岩手県、宮城県県境の栗駒山周辺、それから新潟、静岡、岡山、広島、九州北部、桜島周辺、合わせまして七地域にレーダーを設置し、現在、実際の降雨を観測し、このレーダーにおけるパラメーターの決定等の調整を行っているところでございまして、調整が整い次第、同じく試験配信を行っていきたいというふうに考えているところでございます。

馳委員 関局長、XバンドMPレーダーというのは、実は私はよく知っているんですが、実際にこれは機能していかなきゃいけないですね。

 今、試験的な稼働の段階だと聞いておりましたが、実際に、北海道から沖縄まで、太平洋側も日本海側も含めて、まさしく、きょう提示いたしましたこういった海溝型地震と原発の位置図などを見ながら、よりきめ細かく配備をして、ゲリラ豪雨だけじゃありませんよね、これは多分、浸水地域がどこまでいくか、あるいは、がけ崩れがどこでどう地形が変更になったか、全部出てくるはずなんです。そして、それは五分置きぐらいにデータが出てくるはずの、そこまで観測できるレーダーだったと思うんです。この配備は、私はもっと早めてほしいと思っているんですね。

 関局長、現状をもうちょっとアピールしてほしいんですよ。せっかくこれだけのものがあるにもかかわらず、残念ながらまだまだ配備が十分ではないんですよね。もうちょっと話してください。

関政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、Xバンドレーダーについて御説明を加えさせていただいた上で、今後の配備についてお答えを申し上げます。

 Xバンドレーダーと呼んでおりますが、従来はCバンドというもので運用していたところでございます。周波数がCバンドよりも少し違いまして、四から八ギガ、それを八から十ギガという周波数の違う部分のレーダーを使うことによりまして、雨雲を上から下まで速やかにキャッチしまして、そして、全体をより正確に速やかにキャッチすることができるというものでございます。そうしますと、例えば、今、国会議事堂があります周辺のどの辺でどのぐらいの強い雨が降っているかということが、従来のものよりも高性能で調べることができます。

 従来ですと、一キロメーターのメッシュ、一キロの正方形を一つの単位として雨雲を押さえて、雨の降り方を押さえていたわけですが、これによりまして二百五十メーター単位で雨域を押さえることができる。そういう意味では、特に都市部の小河川、ゲリラ豪雨が一気に降りまして、集中的に短時間で洪水が発生するというような場合に対しての予測と、それから避難を呼びかけることに有効であるというふうに考えています。

 そういう意味では、今先生御指摘のように、従来では、レーダーで把握し、情報をお出しするのに五分から十分かかっておりました。それが一分から二分という極めて短時間で配信することができますので、市民の方、国民の方にもそれをすぐに使っていただけるということが可能になってきているというふうに考えてございます。

 それから御指摘の、さらに今後どういった地域により配備を進めていくかということでございます。

 私どもも、いわゆるゲリラ豪雨による被害がふえてございますので、そういったことも踏まえると同時に、近年局地的な大雨により被害を受けた地域、あるいは今回の震災による被害を受けた地域、これも、地盤沈下あるいは堤防等の施設が崩壊してございますので、非常に危険な状況になっております。そういったところの施設の復旧、緊急復旧あるいは本格復旧とともに、こういった防災情報を適切に出させていただくようなこともあわせまして、重点的にそういった地域の配備を検討してまいりたいというふうに考えております。

馳委員 次の質問は、これまた平野さんに答えていただいた方がいいと思うんです。

 今おっしゃっていただいたように、ゲリラ豪雨を初め地形の変更とか浸水状況というのは、一分から二分ぐらいですから、本当にほぼリアルタイムですね。そこまで伝わるようになった。これは、七月から地デジが始まりますから、防災チャンネルというところで、操作をすれば、うちのところは大丈夫かなというのはチャンネルですぐぱっぱっぱっと導き出して、その情報をまさしく御家庭においても使えるようにするというのはいかがでしょうか。

 せっかくここまで予算をかけて、これは一基当たり二十億から三十億ぐらいかかっているはず、そんなにかからないか。まあ十億前後ですよ。そこまで使ったので、国民にその情報が伝わり、本当に防災に資するようにした方がいいと思うんですけれども、一基当たり二十億ですか、二億ですか。

関政府参考人 昨年度設置した十一基につきまして申し上げれば、一基二億円程度ということでございます。

平野副大臣 私は今そちらの方の専任でございませんので、私が答弁するのが必ずしも適切かどうかわかりませんが、いずれ、ゲリラ豪雨と言われるものについてもかなり発生予測の精度が上がってきておりますし、流域のさまざまなデータを集積しますと、何時間後にはこれぐらいの洪水予測も可能だという、その精度も上がってきているというふうに理解しております。

 そういった情報については、おっしゃるように、どういう形かはわかりませんが、そういう状況が近づいたときには、地域にはしっかりと情報が行く、そしてさまざまな警報も的確に伝達されるということについてはしっかり取り組む必要があるというふうに思います。

馳委員 御家庭のテレビ、ないしは警察、消防、あるいは自衛隊、少なくともこういったところにはこういった情報がリアルタイムに伝わっていく、それをもとに、プラス防災計画に基づいた避難計画とか、こういった体制整備というのは必要じゃないかなと私は思います。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 エネルギー政策の見直しとイノベーションについてお伺いしますが、まず、あの大震災により、また福島原発の事故によりまして、日本のエネルギー政策の見直しは必須となりました。今、この見直しについて、どこまで議論が進んでいるかを大臣にお伺いしたいと思います。

玄葉国務大臣 先日も、遠藤委員初め阿部委員、また平さんもそうだったかもしれません、それぞれ質疑がございました。

 その後、これは、国家戦略担当大臣が所管する新成長戦略を中心に基本的な方針を進めていこうというふうに私自身考えているものですから、そういったことを含めて、これから、総理としっかり打ち合わせというか相談をして、どこで何をやるかということを決めたい。

 基本的な考え方としては、まず国家戦略担当のところで基本的な方針を定める。同時に、例えばエネルギー基本計画そのものは、法律で経産省の中で所管されているわけですね。あるいは、原子力安全委員会だって関係するでしょう。当然、環境省だって関係するでしょう。ですから、そういった中で、どういう形で政府内の連携をとるようにするかということを、まさに今平野副大臣と整理している、そういう状況でございます。

馳委員 では、具体的にお聞きしていきたいと思いますが、地球温暖化防止等の地球環境にも配慮しながら脱原発を果たす有望な再生可能エネルギーとは、具体的に何ですか。

安井政府参考人 お答え申し上げます。

 再生可能エネルギーの中で、今現在、実際に実用化段階に達しておりまして、なおかつ普及しておるものという観点で申し上げれば、やはり太陽光発電、風力発電、それから、従来型の水力に加えまして、最近は中小水力、それからバイオマス発電、地熱発電、こうしたものが現在実際に使われておりまして、また日本の電力供給に寄与しておる、こういうことでございます。

馳委員 環境省は四月二十一日に、国内で再生可能エネルギーを導入した場合にどの程度の発電量が見込めるか、試算結果を公表しました。それが再生可能エネルギーポテンシャル調査結果ですが、この調査は、理論上可能な最大導入量から、土地利用や技術上の制約を差し引いて、さらには事業として採算性を確保できることを条件に加えた試算を出しております。

 まず、その結果概要をお示しいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘のとおりでございますが、ポテンシャル調査では、住宅以外に設置いたします太陽光発電、風力発電、中小水力発電及び地熱発電につきまして、設置可能面積あるいは平均風速等々から理論的に算出できますエネルギーの賦存量、そして、それをベースにいたしまして、それぞれの土地の傾斜や法規制、土地利用、あるいは居住地からの距離等の制約要因による設置の可否を考慮した導入ポテンシャル、そしてさらには、設備単価とか売電価格など一定の仮定のもとにおきまして幾つかの条件を設定しまして、事業採算性があるかどうかという観点から、シナリオ別の導入可能量という三種類を発表しております。

 このうち、最後に申し上げましたところにつきましては、全量固定価格買い取り制度が導入され、一定の買い取り価格や買い取り期間で電力の買い取りが行われるというシナリオに基づきまして、幾つかのケースにわたって推計しております。複数やっておりますので幅がございますが、例えば風力発電につきましては最大一億四千万キロワットの導入が可能であるというふうに出ております。他方で、非住宅系の太陽光発電につきましては、事業採算性の観点だけで申し上げますと、導入がなかなか見込みにくいということになってございます。

馳委員 さっき、経産省は太陽光をトップにおっしゃって、今、環境省は風力発電の方を先に何か期待を持っておっしゃったので、両省の姿勢が何となくかいま見えたような気がいたします。

 太陽光発電と風力発電の普及に当たってのまず見通しを立てていくこと、そこに対する投資をいかにしていくか、そのための国民合意を得るための政治的コンセンサスが必要だ、私はそういうふうに思っているんですが、では、それぞれの課題と将来展望について、現状でお示しをいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 それでは、まず太陽光でございますが、ただいま事業採算性を考慮するとなかなか導入が難しいと申し上げましたけれども、事業採算性を考慮しない場合は、住宅以外に限っても一億五千万キロワットという大きな導入ポテンシャルがあるという結果になっております。したがいまして、課題としては、低コスト化ということが最大の課題ということでございまして、このためには、全量固定買い取り制に加えまして、大量導入を通じて低コスト化、あるいは技術開発による低コスト化を図ることが重要だというふうに思っております。

 他方で、風力発電につきましては、ただいま申し上げましたように、事業採算性を考慮に入れても非常に大きな導入可能性があるという結果になっておりますが、ただ、事業の収支が良好な地点は北海道と東北に集中しているということがございます。こうした地域偏在性が極めて高いということでございますので、地域のポテンシャルを最大限に生かすためには、地域間の連系設備の能力などの強化ということが必要になるのではないかというふうに思っております。

馳委員 太陽光発電は、相当なイノベーションによってコストダウンが図られなければ事業化は難しいということなので、経産省、もし言いたいことがあったらしゃべってください。

 そこで、風力発電にちょっと絞ってお聞きしたいと思います。

 まず、北海道や東北の風力発電は、事業ベースにおいてもポテンシャルは高いわけですが、東京まで電気を運ぶ送電線の問題は今回の試算では度外視しているわけですから、震災を受けた東北なら、東北管内で供給と消費することを前提にするならば事業としての実現可能性は高い、こういうふうに考えてよろしいのでしょうか。

鈴木政府参考人 確かに、御指摘のとおり、送電コストを考えますと、東北で生み出したエネルギーを東北で消費するというのが最も効率的というのは御指摘のとおりでございます。

 また、風力発電につきましては、ただいま申し上げましたように、比較的コストが安くて、自律分散エネルギーとして災害にも強いという特性もございますので、復興の大きな柱として位置づけすることも可能ではないかと思っております。

 ただ、実は、東北のポテンシャルというのは非常に大きくて、東北地方の需要を賄う以上の供給能力があるということはございますので、こうした膨大なポテンシャルを生かすためには、先ほど申し上げましたように、電力の大消費地であります東京、首都圏のところに融通するという方策を考える必要があるのではないかということでございます。

馳委員 今回の調査結果で余り明確になってはおりませんが、風力は風が吹かないと電気が起きません。供給側の立場に立てば、安定供給のためには、電気を蓄える蓄電池の開発がなければ、結局は、事業化、実用化は無理なんじゃないんですか。

鈴木政府参考人 御指摘のとおり、風力発電、太陽光発電というのは、天候により発電量が変動するというところがございます。したがいまして、基本的には火力発電で大きな波を吸収するといたしましても、そうした能力を超えた部分につきまして、さらにこうした電力を入れていこうという場合には、蓄電池などを整備し、その変動を吸収する必要があるというふうに思っております。

 残念ながら、現在のところ、まだこの蓄電池のコストはなかなか高いというところがございまして、こうした蓄電池の低コスト化に向けましても、大量生産への誘導ということや、あるいは技術開発ということも大変重要な課題ではないかというふうに思っております。

馳委員 蓄電池の技術開発状況はどうなっているんでしょうか。近い将来の技術開発の可能性は高いんでしょうか。そして、日本のこの分野における技術的優位性はどうなっているんでしょうか。経産省にお伺いします。

安井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の蓄電池技術でございますけれども、実は、国際的にはかなり競争力がある分野になってございます。かなり早い段階から、蓄電池の技術開発に日本の企業は積極的に取り組んでおりまして、さまざまな種類の蓄電池それからその部材、こうした分野において日本のシェアは高うございまして、特に蓄電池の分野では世界一を維持している分野もかなりございます。

 この蓄電池というものは、これからスマートグリッド、あるいは、今出てまいりました分散型再生可能エネルギーの導入の上でも非常に重要な技術なわけでございますが、競争力を維持していく上で大きなポイントは、蓄電能力を中心とした高性能化と低価格化、この二点だと考えております。特に、リチウムイオン電池につきましては、電気・電子機器あるいは自動車の関係もございまして、非常に今国際的な技術開発が激化をしている状態にございます。

 私ども経済産業省といたしましては、まさにそういった観点に注目をいたしまして、今、二〇二〇年を目標といたしまして、二〇〇六年比でコスト十分の一、蓄電容量三倍というのを目標にいたしまして、自動車関連も含めましたリチウムイオン電池の技術開発に取り組んでおるところでございます。

 また、そういう利用技術の段階だけではなくて、やはりさらなる高性能化を目指すためには、基礎研究の分野を丁寧に涵養することが必要でございますので、そうした分野にも取り組ませていただいているところでございます。

馳委員 蓄電池の問題は、風力発電だけではなくて太陽光発電にも当てはまります。つまり、イノベーションなくして脱原発はないと私も申し上げましたが、蓄電池なくして脱原発はないと言っても過言ではないと思います。

 そうであるならば、特に蓄電池の開発に我が国の予算を傾斜配分して、それこそ、最重要なる国家プロジェクトとして推進していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

玄葉国務大臣 今、馳委員、蓄電池という話をされました。

 電気をためる技術というのが一つのポイントになることは、私も間違いないというふうに思います。リチウム空気電池ができれば、たしかイオン電池の十倍の蓄電能力があるということでございますから、最終的に、これは長い目で見たときには、やはり電池の革命、エネルギーロス、発電効率の革命、そしていわゆる材料の革命、私はそれらが必要じゃないかというふうに思っております。

 そのための、先ほど基礎研究という話がありましたが、これもまさに科学技術政策の世界でありますが、RアンドDをどういう形で重点配分するのか。今、馳委員は傾斜配分という話をされました。同時に、それをどのくらい前倒しして考えていくのか。

 まさに、私の科学技術政策担当大臣としての役割は、衛星も何でもそうなんですけれども、各省でそれぞれ政策を行っているんですけれども、優先順位をきちっとつけるということだというふうに考えていますので、ぜひ本委員会も、川内委員長を中心にまさに提言機関としての委員会ということで、この間遠藤委員もおっしゃっていましたので、そういう委員会として考える優先順位ということも、今のような形でいろいろと御提言いただければ、私としては大変参考になるというふうに申し上げたいと思います。

馳委員 ちょっと一つ心配なのは、そのリチウムイオン電池、いわゆる蓄電池のための原材料の確保の問題ですね。

 これは、エネルギー戦略ともまさしく密接不可分の問題だと思うんですが、その原材料の確保は安定的に今後ともなされるというふうに考えてよろしいんでしょうか。それとも、まさしくそれこそ国家戦略として、複数のルートを今後確保していかなければいけないんでしょうか。その考え方をちょっとお示しいただきたいと思います。

平野副大臣 そういったいわゆるエネルギー戦略を含めて、私どもは、EPA、FTA、こういった二国間あるいは三国間、マルチ等々もあると思いますけれども、こういった協議の推進も非常に大事な政策、戦略だというふうに思っています。

馳委員 私もかつて、もう十年以上前ですけれども、ケント・カルダー教授の「パシフィックディフェンス」という、安全保障と、要は、北東アジア地域に天然ガスパイプラインを敷いていくべきだという著書を読んで、まさしく国家を超えたエネルギー安全保障戦略といったものに日本が積極的に関与し、日本の優位性はやはり経済力と技術力であるということが、ある意味では北東アジア地域の安全保障環境を整えていく一つの要素であるという論文に接して、そういう外交の展開といったものは真正面から取り組むべきだなと思いました。

 私は、今、平野さんがおっしゃったようなこと、まさしくそれは重要なポイントではないかなと思うんですね。大臣のコメントがあれば、お願いしたいと思います。

玄葉国務大臣 先ほど申し上げたのは、中長期でリチウムイオン電池を空気電池にかえたい、そういう一つの中長期的な話をさせていただきました。

 今、馳委員がおっしゃった資源外交については、極めて大切でございます。実際のところは外務省とか経産省を中心に行われていますけれども、例えば、最近になって、パッケージ型のインフラ輸出をするのに、インフラ専門官というのを外務省はそれぞれ大使館に置くようになってきました。

 私が今提言しているのは、これは資源専門官というのもそれぞれ大使館などに、当然戦略的に重要な資源がある、そういう国々に対して、そういった対応をとっていく必要があるのではないかということで、まさにそこも戦略的に進めていきたいというふうに考えております。

馳委員 今回の環境省の調査で、各再生可能エネルギーを比較した場合に、相対的には風力発電がすぐれているとの内容を示されたということは理解をいたしました。

 しかし、今議論となりました蓄電池の問題のほかに、落雷などで故障した場合の修理費用や、外国製品に依存している現況での修理期間の長さなど、そういうコストが今回の調査では抜けております。これは看過できない問題です。例えば、発電実績を公開しているのは自治体の発電所だけで、民間は公開していないようです。修理費用を計上したら黒字となる自治体発電所は、七十一事業のうちわずか二事業だと言われております。この点をやはり詰めていかなければいけないと思います。

 そこで、提案をしたいんですけれども、風力発電に絞って、蓄電池の問題、修理費用等のランニングコストの問題、さらには特別高圧送電線の問題なども踏まえて、より精度の高い、事業化をベースにした導入量調査をぜひ行ってほしいんですけれども、いかがでしょうか。これは環境省と経済産業省にもお答えをいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 まず、今回の調査におきましては、メンテナンスや修理に伴います稼働停止期間というのは一定期間見込ませていただいております。また、落雷等の不慮の事故によります故障に対応する保険費用も一定枠考慮させていただいております。

 ただ、御指摘のとおり、外国からの部品が届くのがおくれて非常に長い期間停止したりという例もございますので、そうした点については、大量導入等を図っていく上では大きな課題だと思っております。

 また、今いろいろ御指摘をいただいた点につきまして、可能なものからよく勉強させていただきたいというふうに思います。

安井政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のありました問題を含めまして、やはり再生可能エネルギーそれぞれがどのような経済性を実際に持ち得るのかという問題を、実際にまた使っていくという状態の中で現実的な数値が必要という御指摘と受けとめました。

 環境省さんともよく御相談をしながら、今の問題意識にお答えできるように努力していきたいと思います。

馳委員 さて、最後の質問になるんですが、遠隔操作ロボットの問題です。

 最近は、ダビンチといいまして、医療用でも遠隔操作ロボットが、これは本当に内視鏡を使っての手術、3D型の映像を見ながらの手術で、日本でも導入されてきております、まだまだ韓国には及んでおりませんが。

 このロボットが、今回の福島原発の事故において、本来ならば日本が開発したロボットがあるはずなのに、それは六台とも使えなくて、アメリカから持ってきたロボットでやっているという報道に接して、ロボットといえば日本じゃなかったのかと思っていた日本人は多いと思うんですよね。

 私は、今回の反省は極めて重いと思っているんですよ。まさしく、高レベルの放射能で汚染された地域で事故が起こったんですね。やはり、無人、遠隔操作のロボットで放射能のモニタリングができたり瓦れきをどけたり、人間の手と同じような手で作業を行っていくことができる、そして放水車も、キリンというのがありましたけれども、あれはドイツ社製でしたよね。これはやはり、我が国の今後の一つの国家戦略として、ロボット開発に取り組んでいかなければいけないと私は思いました。

 きょうは細々とした質問は省きますので、大臣、その重要性、そして現状を踏まえて、つまり現状というのは、ジェー・シー・オー事故ですか、あのときの反省を踏まえながらもロボットは開発できませんでした。恥ずかしい話です。そういうことを踏まえて、今後の見通しについて、戦略についてのお考えをお述べいただき、私の質問を終わりたいと思います。

玄葉国務大臣 四月中旬だったと思います、ルンバを製造しているアイロボット社が開発した、あれはパックボットというんですか、原子炉建屋内に入ったと。おっしゃるとおり、日本製のロボットじゃなかったということがショックだったというお話でございます。

 ロボットといえば日本、あるいは、最先端技術のロボットを持つのは日本であり、日本は世界一である、こういうことをおっしゃる方々が多かった中で、なぜなんだ、こういうことだと思います。私もそう思いました。おっしゃるとおり、ジェー・シー・オー事故以来、技術は確立をしてきたけれども、一言で言えば、実用化ができなかったということなのではないかというふうに思うんです。

 私は、いわゆる原子力災害用ロボット以外のところでは、日本製ロボットは頑張っているとは思うんですよ。ただ、さはさりながら、例えばASIMOとか、まだキャラクター製品に終わっているみたいなところはあります。全体としては頑張ってきているけれども、少なくとも、原子力災害用ロボット、特にその実用化という面では、おっしゃるとおり反省すべき点が幾つかあるなというふうに思います。

 例えば、欧州はバックに電力会社があり、アメリカはバックに軍がありということもあって実用化が進んだ。もっと言えば、やはりチェルノブイリが今そこにある危機としてとらまえた欧州と、まさかそんなことは起こらないだろうと考えた日本という違いかもしれません。

 ですから、そういったことも踏まえながら、これから原子力災害用ロボットについての認識を改めて、再認識してというよりは、やはり日本政府としてこれまでと変えていく必要があるのではないか、そういうふうに考えております。

馳委員 どうしても、実用化というと採算ベースの話をせざるを得ないんですが、しかし、国家の戦略として取り組むべきは、国民の生命財産を守っていく、そして、国家としての最後のとりで、インフラであるという観点から、この開発に取り組んでいくのは、やはり政府の力強いリーダーシップ、内閣府の政策調整能力が必要だと思うんですよね。

 今後とも、その方針を応援していくことをお約束して質問を終わります。

玄葉国務大臣 馳委員御存じだと思いますけれども、せっかくなので一言つけ加えたいのは、クインスという瓦れき除去のためのロボットを、日本製でありますけれども、これから投入するということで、日本製のロボットも、この事態が起きて実はチームがつくられて、急遽、放射線に耐えられるように、事実上実験をし、検証し、これから投入するということでございますので、全くだめかといえば、そうではないということは申し上げておきたい。

 ただ、今回の反省を踏まえて、ロボットに関する政策あるいは優先順位のつけ方、こういったことも考えていきたいというふうに思います。

 御提言ありがとうございました。

馳委員 終わります。

川内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時八分散会


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