衆議院

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第10号 平成23年8月9日(火曜日)

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平成二十三年八月九日(火曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員  

   委員長 川内 博史君

   理事 阿知波吉信君 理事 稲見 哲男君

   理事 熊谷 貞俊君 理事 空本 誠喜君

   理事 津村 啓介君 理事 馳   浩君

   理事 松野 博一君 理事 遠藤 乙彦君

      石津 政雄君    石森 久嗣君

      磯谷香代子君    稲富 修二君

      小川 淳也君    太田 和美君

      金森  正君    川島智太郎君

      熊田 篤嗣君    阪口 直人君

      菅川  洋君    平  智之君

      竹田 光明君    玉木 朝子君

      玉置 公良君    豊田潤多郎君

      中川  治君    野木  実君

      初鹿 明博君    本多 平直君

      本村賢太郎君    山崎  誠君

      柚木 道義君    江渡 聡徳君

      河井 克行君    河村 建夫君

      佐田玄一郎君    塩谷  立君

      谷  公一君    吉野 正芳君

      斉藤 鉄夫君    吉井 英勝君

      阿部 知子君

    …………………………………

   国務大臣         細野 豪志君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   国土交通大臣政務官    小泉 俊明君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   泉 紳一郎君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   宮川眞喜雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房政策評価審議官)       田中  敏君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      渡辺  格君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           長尾 正彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      横尾 英博君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  松本隆太郎君

   参考人

   (原子力委員会委員長)  近藤 駿介君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   衆議院調査局科学技術・イノベーション推進特別調査室長           上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月九日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     玉木 朝子君

  勝又恒一郎君     稲富 修二君

  金森  正君     磯谷香代子君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     金森  正君

  稲富 修二君     初鹿 明博君

  玉木 朝子君     石田 三示君

同日

 辞任         補欠選任

  初鹿 明博君     本村賢太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  本村賢太郎君     勝又恒一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

川内委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 本日は、ながさき平和の日に当たります。

 ここに、広島、長崎において原爆の犠牲となられた多くの方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員の御起立をお願い申し上げます。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

川内委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

川内委員長 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として原子力委員会委員長近藤駿介君及び原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府政策統括官泉紳一郎君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長宮川眞喜雄君、文部科学省大臣官房政策評価審議官田中敏君、文部科学省科学技術・学術政策局次長渡辺格君、経済産業省大臣官房審議官長尾正彦君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長横尾英博君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君及び防衛省運用企画局長松本隆太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

川内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置公良君。

玉置委員 おはようございます。玉置公良でございます。

 実は、私、三日前の六日の土曜日でございますけれども、被災地の東北で高校の総合体育大会、インターハイがございまして、陸上競技の応援に岩手に行ってまいりました。

 そのときにタクシーの運転手さんにお聞きをしたんですけれども、まさかこの大会がこの地で開けるとは思っていなかった、しかし中止をしなくてよかった、若い人たちが来ていただいて、大変エネルギーをもらった、そして被災地の人々も、私も含めて勇気をもらっておる、大変感謝しておる、こんなことを言われておりました。大変うれしく思いました。

 実は、手前みそでありますけれども、私の高校の後輩が八百メーターで日本一になりました。私も、こんなにちょっと肥えていますけれども、昔はやせておりまして、八百メーターを走っておったんですけれども、そんなことはさておきまして、一つだけ、そのタクシーの運転手さんに気がかりなことを言われました。岩手の米が放射能汚染でどうなるかわからないという心配の言葉も聞きました。

 実は私も、国会議員たるもの、できるだけ時間があれば被災地へ足を運ぼうと思いまして、もう十数回、福島、岩手、宮城に入っておるわけですけれども、その中でも、特に福島の原発事故にかかわる中で、ペット、動物の救済の活動についても何回か足を運ばせていただきました。その中でも大変いろいろと、福島の皆さん方も、放射能の被害のことも含めて心配をされております。

 そこでまず、きょうは、第一番目に聞きたいわけでありますけれども、細野大臣が先月の三十日、福島市内の小学校と幼稚園の園児、児童の母親二十人と懇談をして、その際、御心配をかけており、おわびをする、子供が元気に育つ環境をしっかりと確保することが政府の責任だ、そういうことでお話をされておりますけれども、懇談において大臣が率直に感じたことなどをひとつ聞かせていただきたいと思います。

細野国務大臣 大臣になりましてから毎週福島に行っておりまして、避難所なども回らせていただいたんですけれども、その中で、いろいろな方から声をかけられたり、こちらから声をかけたりする中で、一番せっぱ詰まっているというふうに申し上げますか、鬼気迫る、そういう表情で話をしてこられるのは、やはり小さいお子さんを持っているお母さんなんですね。

 気になりまして、何らかそういう皆さんから直接お話を聞く機会がつくれないかなと思っておりましたら、今、福島に行っております田嶋要現地対策本部長から、そういう話をしている皆さんがいるのでどうかというお話をいただきまして、それでそういう会合を設定していただいた、そういう経緯なんです。

 お話をさせていただいて感じたことは、特にお母さん方が自分たちを責めるような気持ちになっておられる、これに一番危機感を持ちました。つまり、お子さんによっては転校していなくなる、そういう判断をされる方も出てきている。そういう中で、いろいろな御事情があって、例えば、御商売をやられているとか、地元で親と一緒に住んでいるとか、そういう事情があって出ることができないんだ、子供を犠牲にしているのではないかとみずからを責めておられるような方が結構おられて、本当に申しわけないという気持ちでいっぱいでございました。

 最後に私が申し上げたのは、悪いのは、福島で生活をされている、さらには子供の健康を気遣っておられるお母さんでは絶対ない、悪いのはこの事故を起こした政府と東京電力であって、我々は責任を持って除染の活動をして安心して住める福島を取り戻します、そういうことを申し上げてまいりました。

 ですから、きょうはいろいろと御質問いただけるようでありますけれども、やはり除染の問題に正面から取り組むことで本当にそうした皆さんの御心配を取り除くということが政府にとって非常に重要なことであると考えております。

玉置委員 ひとつ頑張っていただきたいと思います。

 そこで、今大臣が言われました本題に入っていきたいと思います。

 今回の原発事故の対応については、どの地域が安全で、どの地域が危険か、この議論も重要であることは明らかでありますけれども、しかし、それよりももっと、将来へ向かって考えると、放射性物質を減らす作業に全力を挙げる、このことが今最も重要なことだと私は思っておるわけです。

 そうした中で、先ほども黙祷をささげました。きょうは長崎の原爆の日であります。

 原発事故は、広島、長崎の原爆汚染よりもずっと大量の放射性物質を放出した、そのように言われております。稲わらの牛肉のセシウムの問題、さらにはお茶、さらには腐葉土の汚染、予測ができないほど、そういうことが次々と出てきておる。さらには米の問題、これがどうなっていくのか、さらには海産物がどうなっていくのか、こういうことも含めて、大変重大な課題だと思っております。

 そこで、放射性物質を減らす作業としてのいわゆる測定、モニタリング、それと除染についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 八月の二日に開催されましたモニタリング調整会議において、モニタリングに関する総合実施計画がまとまったと聞いておりますけれども、その内容についてまず聞かせていただきたいと思います。

細野国務大臣 モニタリングにつきましては、事故発災直後は、やはり、機器が調わなかったということも含めて、省庁の足並みがなかなかそろわないところがございまして、これはちょっとまずいなという思いがありまして、私が補佐官として原発事故を担当していたときに、文部科学省を中心に会議をやろうということで、実は、正式の会議はまだ二度しか開いていないんですけれども、内々の会議を含めると相当の回数会合を重ねて詰めをしてまいりました。

 そこで、二日に策定をいたしました総合モニタリング計画なんですけれども、その中では、モニタリングに関する情報集約、測定及び分析などの実施に関する関係機関の役割分担を定めるというものになっておりまして、その中で、平成二十三年内に実施するモニタリングの内容について取りまとめたものでございます。

 具体的に申し上げますと、各都道府県のモニタリングポストの増設二百五十基をやること、さらには、放射線量率や土壌などの放射能調査の強化というのを打ち出しております。また、広域のモニタリングも非常に重要になりますので、東日本全域の航空機による広域モニタリング、これは今、主には福島県、宮城県などに限定されておるんですけれども、それをさらに東日本全体に広げていくというようなこと。そのほかには、可搬型のモニタリングポストの増設、移動しながらいろいろできるものですね。そういったことによる空間線量や積算線量の把握など、幾つも項目があるのでこれぐらいにとどめますけれども、具体的な項目を提示して、役所ごとの役割分担も明確にしておりますので、こうした考え方に基づいて、モニタリングについては政府を挙げて取り組める体制ができたというふうに考えております。

玉置委員 ありがとうございます。

 そこで、ちょっと突っ込んでお聞きをしたいんですけれども、土壌について、私はちょっとアクセントが悪いので、食べるドジョウではありませんで、土の土壌でありますけれども、これにつきまして、私ももう十数年、専門家ではありませんけれども、ずっと勉強してきまして、このモニタリングについてちょっとお伺いをしたいと思うんです。

 例えば、土壌でも、生産するところ、いわゆる畑とか田んぼ、こういうところと、宅地造成のところがありますね、こういうところについては、土の種類が違ってくるわけです、田んぼでも畑でも土の種類が違ってくるわけですけれども。

 そういった田んぼとか畑については、私の聞くところによりますと、農林水産省は十五センチから二十センチのところで掘り返してやっておる。しかし、宅地造成のところで、例えばそこに砂地を入れてすれば、早くしみ込むわけであります。そういったところはもっと深くはかるとか、そういうことが臨機応変にやられていないということをちょっと聞くわけですけれども、モニタリングのそういった手法における基準づくりというのは私は急務だと思いますけれども、その点はどうでしょうか。

細野国務大臣 非常に重要な御指摘だというふうに思います。

 まず、空間の放射線量の測定につきましては、基本的には一メートルの高さではかるということでかなり徹底をできておりまして、事業者に、例えば一部、政府がはかっている中で東京電力に手伝ってもらっているようなところもあるんですけれども、そこも含めてやり方は徹底できていると思っております。

 一方で、土壌につきましては、やはりその土壌の性質によってはかり方が変わってくるというふうに考えておりまして、上から土を載せるとか、そういったことについては、いろいろ、土壌というのは除染にかかわるところですのでとりあえずおくといたしますと、こういう考え方をとっております。

 まず、文部科学省が行っておる通常の土壌濃度の測定につきましては、地表面からの外部被曝の影響を把握するために、五センチメートルの深さまでの土壌を統一された採取機器でやっております。

 一方、農林水産省がやっております農地の土壌の測定濃度につきましては、やはりこれは農水省がしっかりやらなければならないところでございますので、まず水田につきましては、この性質を考えまして十五センチ、畑地におきましては最大三十センチの深さまでの農地土壌をはかるという形になっておりまして、農地については農地の統一された採取基準をつくっているということでございます。

 また、採取機器そのものについては統一性を確保しておりますので、それによって測定の結果が変わるということにはならないような基準を制度としては設けております。

玉置委員 ありがとうございます。機器のことについてもお答えいただきまして、ありがとうございます。

 そこで、除染の関係について、次に伺いたいと思います。

 放射性の物質を取り除くための工程表ともいうべき政府の除染基本方針、原子力の災害対策本部が近く正式決定をする、公表すると聞いておりますけれども、いつごろの決定、公表となるのか、お伺いをしたいと思います。

細野国務大臣 除染の計画につきましては若干報道が先走ってしまったところがありまして、この基本方針そのものの取りまとめにつきましては八月中にやりたいと思っております。

 もちろん、八月中に方針を決めて、それから除染をするということでは、これは話になりませんので、既に自治体などが行っている除染のバックアップであるとか、さらには放射線の比較的高いところについてはモデル事業の計画をしておりまして、これなどは、できれば方針を出す前にでも、やれる範囲でやっていきたいと思っております。

 ただ、正式のモニタリングの方針、包括的にやっていくということになりますと、これは自治体の皆さんともいろいろな協議をしていかなければなりませんので、しっかりそういったプロセスを経て、八月中には除染に関する基本方針を取りまとめたいと考えております。

玉置委員 八月中ということで聞きましたので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 そこで、除染方法として、私自身もいろいろと御意見を聞くんですけれども、三つの方法があるとよく言われております。一つは、物理的な方法、いわゆる土の表土をはぐ方法。もう一つは、科学的な方法、ゼオライトやシアン化合物など薬剤を投入する方法。そして三つ目は、生物学的な方法ということで、菜種とかヒマワリなどの生物に吸着させる方法。こういうことがよく言われていますけれども、科学的方法については研究途上の部分もある、そのように聞いております。

 結局、コストはかかるけれども、一番よいのは土の表土をはぐ方法であると聞いておりますけれども、国としてはどのような方法をもって除染に取り組む方針なのか、お聞かせをいただきたい。

 さらに、やはり根本的に解決するためには、恒久的な除染は大きな、巨大な事業になるので、除染するセンターをつくって、そして、日本の総力を挙げて、最高の除染技術を例えば福島に集結をすることが必要だと私は考えますけれども、その点についてもお伺いいたします。

細野国務大臣 確かに、政府内で検討している除染の方法につきましても、今、玉置委員が御指摘をされたような主に三つの方法ということになってまいります。

 私も福島に行って除染の現場も見てきたんですが、ヒマワリを植えておられたり、はいでおられたり、いろいろそれぞれやっておられるんですけれども、一番効果的なものが何かというふうに現段階で言うとすれば、やはりはぐ方法が一番確実なんですね。これは、それこそ人手もかかりますし、時間もかかりますし、場合によってはお金もかかるわけでありますけれども、やはりこれが今のところ一番確実な方法というふうに考えております。

 ただ、そうした場合には、出てきた放射性の廃棄物をどうするのかというもう一つの問題がありますので、そこも含めて、効果的、効率的な除染方法については、政府としてガイドラインをできるだけ早い段階でつくってお示しすることをしていきたいと思っております。

 また、政府として除染を行う場合にはしっかりセンターをつくってという御指摘についても、ごもっともだというふうに思っております。

 現在は、JAEA、原研機構でございますけれども、そこが福島支援本部というのをつくっておりまして、ここに一番除染の専門家がおりますので、数十名の人を現地に出してやっております。さらにそれを拡充するなどして、除染にまさに福島の未来がかかっていますから、政府としての拠点をしっかりつくっていくということは極めて大事であると考えております。

玉置委員 もう質問時間が終了いたしたということであります。幾つかしたかったんですけれども、これはまた後日に譲りたいと思います。

 先日は、小柴先生のお話、物事に謙虚になれ、こういう言葉に大変感銘いたしました。細野大臣、大変御苦労でありますけれども、ぜひとも御努力いただいて、物事には謙虚であって、そういった、我々、原発事故の収束のためによろしくお願いをして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

川内委員長 次に、熊田篤嗣君。

熊田委員 民主党の熊田篤嗣でございます。

 きょうは質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。時間的に大変限られているものですから、早速、質問の本題に入らせていただきたいと思います。

 今、それぞれお手元に資料を配らせていただいておると思います。まず、一枚目の資料に関するものでございますが、今言われております原子力安全庁、これに関するものをお聞きをさせていただきたいと思います。

 現在、原子力安全庁の試案が出されていますが、原子力行政の問題点をどのように考えておられるか。まずは、配付の資料のとおり、組織の問題、法律の問題、規制の質の問題が考えられます。これらについて、現在どのように整理され、どのように改善されようとしているのか、その道筋をぜひお聞かせください。

細野国務大臣 新たな原子力規制を行う組織の創設に当たりましては、主に三つの考え方をしっかり踏まえておく必要があろうと思っています。

 一つは、原子力の利用と規制をしっかり分けるということ。二つ目に、原子力の規制に関する業務も省庁にかなりばらけておりますから、それを一元化して力を結集するということですね。三つ目に、今回の事故の教訓でもあるんですけれども、やはり危機に強いしっかりとした体制を整えなければ、東京電力の福島原発の収束もままなりませんし、さらには、これから本当の意味で安心、安全を確保した原子力行政というのは行い得ないだろうというふうに思っておりまして、この三つの考え方をもとに、私自身が担当大臣としての試案を提示させていただきました。

 そのほか、熊田委員の方から出していただいたのは、非常に重要な御指摘がたくさん含まれているというふうに思っております。

 もちろん、新しい規制機関ができた場合には、そこで厳しい基準をつくらなければなりませんので、ここの「法の問題」で書かれているシビアアクシデントをどう考えていくのか。法律的に言うと、炉規制法とか電事法とか、この辺を中身をしっかり考えていかなければならないとか、そういう膨大な作業が必要になります。まさにここが中身、本質というふうに考えております。

 また、安全審査のあり方についても、耐震の指針や設計の指針など、これも全電源喪失そのものを規定していなかったというような問題もありますから、あり方が問われているというふうに思っておりまして、こうした三つの問題をしっかりと整理して、来年の四月には、すべて全部やり切るのはなかなか難しい面があるんですが、相当これは変わったという姿を見せない限り、国民の皆さんにも理解をされないし、国際的にもとても通用しないと考えております。

熊田委員 今大臣おっしゃっていただいたとおり、来年に向けて本当に根本的なところで作業を進めていただきたいと思うんですが、その中で、もう一点、少しここに関してお聞きをしたいんです。

 ここで「規制の質の問題」のところにも「資質が低い職員」という形の表現をさせていただきましたが、今、原子力にかかわる人材、特に、これからこの事故を受けて、原子力自体がこれまでのように商業的に伸びてくるということはあり得ないと思います。そうなったときに、人材確保というのはただでさえ厳しい環境になる。しかし一方で、今ある原子炉を、そしてこれをこれからどう安全を確保していくかという意味でいうと、人材というのは必要不可欠でございます。

 こういった意味で、人材育成あるいは確保、このあたりのところをもう少し、どのようにお考えなさっておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

細野国務大臣 この点は、私が一番心配しているところでございます。

 率直に申し上げまして、現状においても日本の原子力の人材の層というのは決して厚くはありません。米国やフランスなどに行って原子力の規制機関の皆さんと話していますと、やはりこの道一筋で、本当に専門家としてさまざまな経験を有している、そういうスタッフがたくさんいるわけですね。

 日本にももちろん優秀な人はいるんですけれども、その層の厚さであるとか、あとは多様性などにおいては、現状においてもむしろ課題を抱えていると言わなければなりません。それに輪をかけて、これからの原子力に対する国民の厳しい目を考えれば、もう大学にそういう学科が存在しなくなるのではないかということまで言われておりまして、相当厳しく見ていかなければならないと考えております。

 したがいまして、人材を確保するためのしっかりとしたそういう計画もつくっていかなければなりませんし、また、原子力安全庁、これは私がつけた仮称でありますけれども、そこに入ることによって、さらにレベルアップをして、国際的にも通用するような人材に育てていかなければならないというふうに考えております。

 その意味で、今回、私の試案の中で提示をさせていただいた国際原子力安全研修院、ちょっと長ったらしい名前になってしまったんですけれども、世界に通用するようなアカデミックな人材、そして当然実務もたけている、そういう人材をこの新しい組織の中で育てていく、こういう視点が欠かせないのではないかと考えております。

熊田委員 ぜひとも、この人材育成は特に大事なところだと思いますので、これからもその視点を持ってよろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思うんですが、お配りをした資料、次に、福島第一原子力発電所における遠隔操作機器の導入、こういったものをつけさせていただいております。

 私自身も、今回の原発事故、細野大臣と当時いろいろお話をさせていただきながら東電のリモートPTに携わらせていただきました。そういった問題意識の中からぜひ御質問をさせていただきたいと思いますが、ここに、東電のホームページから作成をした、要はロボットがどういったところで投入をされたかという一覧が書いてございます。

 これを見ていただくとわかるんですが、アメリカ製やスウェーデン製、要は外国のロボットが中心になっております。

 一ページめくっていただいて、そのとき同じPTで活動をさせていただいた浅間教授からの文献を引用させていただいたんですが、結局、日本製というものは、すぐれてはいるけれども、研究者が開発したものであって、現場での実績がほとんどない。これに対して、海外の製品は、実用的なシステムとして完成したものであり、この技術はこれまでに使用されたことも多く、実績もあるということで、実際の事故現場への対応という意味でいうと、日本製はこういった点において信頼性がない、あるいは即応できないということで、当初は海外の製品が中心になりました。

 それに対して、日本の研究者の皆様も本当に御努力いただいて、すばらしいロボットが今かなり開発が進んできたと聞いておりますが、しかし、これがこのままであればこれで終わってしまう。結局、これをどう守っていくかということは非常に大切な視点なのではないかと思っています。

 今回のような事故は二度とあってはなりません。なりませんが、しかし、危機管理という意味において、これはしっかりと守らなければなりませんし、あるいは日本以外の国にも原発はございます。そういったところで万が一のことがあれば、この日本にだって放射能が降らないとも限りません。

 そういった意味で、この培ったものをどう守っていくかというところ、この視点を少し掘り下げてお聞きしたいんですが、今、私たち、一緒にやっていた皆様との中での問題意識では、今後、ユーザーと一体となったプロジェクトによる技術開発が必要ではないかと。開発者、ユーザー、これはどちらもが汎用性あるものをふだんからきちんとベースとして築いていく、その上でロボット技術を運用する体制、組織を常に持っていくことが必要だという意識を持っております。その組織をどういったものをつくっていくのか、あるいは国による災害対応ロボットの需要の創出と制度の整備、これも必要不可欠だろう。

 結局、海外製が強かったのは、軍事という意味においてふだんからの需要があって、それによって開発がされてきたからです。日本はそういった需要がない。したがって、例えば、自治体やあるいは電力会社などに義務的にそういったものを備えさせるとか、政府によって需要を喚起する、そんな手段もあるのではないかというようなことも考えております。

 こういったもろもろの問題、課題を踏まえた上で、今後日本として、今回開発したロボットなどを踏まえて、危機対応、安全管理という意味でどういった考えを持っていかれるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。

細野国務大臣 熊田委員には、三月の時点から本当に、特にこの分野で全面的に御支援をいただいて、というよりは、中心的な役割を果たしていただいたと言っても言い過ぎではないと思います。心より感謝を申し上げます。

 熊田さんのおかげで導入されたロボットもたくさんありましたし、その中で課題も見えてきた部分もあるというふうに考えております。

 確かに、御指摘のとおり、当初は、このリストで挙げていただいているところでいうと、アイロボット社であるとかキネティック社であるとか、米国のロボットが中心でさまざまな取り組みをしておりました。

 ただ、地味ではあるんですけれども、このリストでいうと、無人化施工機器による屋外のガラの撤去なんかは和製のロボットが相当活躍をしました。いま一つ注目されなかったのは残念ですけれども、技術は、日本は非常にたけているものがもともとあったというふうに思っております。

 また、現状どのロボットが活躍しているかというと、やはり一番下にある、千葉工大、東北大、IRSなどによって開発されたクインスですね。このロボットは、実は、事故発災直後、原発でなかなか動かないのではないかという疑問が呈されたわけですけれども、非常に早い段階で改良を進めまして、今は、それこそ原子炉の建屋の二階とか三階に行って水のサンプリングをして、それをはかることができていたり、今やこれが主力のロボットになっておりまして、改めて感じたことは、日本の技術の高さ、そしてこういう状況になったときの順応性の高さ、そこは見事に実証されたのではないかと考えております。

 そして、今後なんですけれども、熊田委員御指摘のとおりだと思っておりまして、ロボットに限らず、無人化の技術というのは極めて重要な技術になってくると考えております。

 米国を中心に、どちらかというと、無人化の技術というのは確かに軍事面で育ってきた面があるわけですが、日本には、不幸にしてこういう事故が起こってしまって、この事故を収束するために必要不可欠な無人化の技術というのが本当に出てくるわけですね。ですから、ここはまさに日本の技術力の発揮のしどころだというふうに思っておりまして、官民を挙げて無人化の技術をしっかり育てて、事故の収束に向けても具体的な成果が出るような形にしていかなければならないと考えております。

 熊田委員にいろいろ御協力いただいた無人化のロボットのプロジェクトは、長期のプロジェクトチーム中の一つのチームとして今やっておりまして、長期的な課題を解決するために官民でどういうロボットを開発すべきなのか、その議論がスタートをしておりまして、このプロジェクトの中で前向きな技術がしっかりと育っていくことを私としては期待していきたいし、必要なことがあれば政府としても後押しをしていきたいと考えております。

熊田委員 本当に重要な技術だと思いますので、ぜひともこれもよろしくお願いをいたします。

 そして、もう一点、大変時間が限られてきましたので、次にまたすぐ移らせていただきたいと思うんです。

 この委員会の名前、科学技術・イノベーション推進、この名のとおり、私自身、これはこの国にとって大切だと思っておりますが、そこで、核融合というものを資料でつけさせていただきました。

 今、原発が脱原発、縮原発などと言われる中で、なかなかできないその一方で、再生可能エネルギーとして太陽光や風力が注目を集めておりますが、私は、以前から研究が進んでいる、ベース電力として十二分に使い得る核融合というものは、この国にとって、我が国にとって必要不可欠なエネルギーではないかと考えています。

 今、ITERというもので、七カ国・地域による国際共同開発が進んでおると思いますが、その現状をまず簡単に教えていただきたいと思うんですが、よろしくお願いいたします。

田中政府参考人 先生御指摘のITER計画、国際熱核融合実験炉につきましては、核融合エネルギーの科学的及び技術的な実現可能性を証明するということで、世界で初めて本格的な核融合反応を起こす実験炉でございます。

 参加七極とも現在、熱心にその推進に取り組んでいるところでございまして、建設サイトのフランス・カダラッシュにおきましては、本体建屋の掘削ということを既に完了してございます。

 また、機器調達ということに関しましても、各極間が結びますけれども、その七割が既に契約済みだというふうに聞いてございます。

 また、我が国におきましても、重要な部分でございます超電導コイルの試作がほぼ終了いたしまして、実機の調達に向けて準備を進めているところでございます。

 ITER計画は極めて重要なステップでございますし、国際約束に基づくプロジェクトでございますものですから、引き続き着実に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

熊田委員 ありがとうございます。

 今お話をいただいたように、着実に七極が進めているというところで、ITERという国際熱核融合の研究が進んでおります。

 そこで、核融合エネルギー開発ロードマップというものをつけさせていただいておるんですが、それを見ていただきたいんですが、真ん中に原型炉というものがございます。これは、ITERはかなり保守的な設計をしているので、多分実現は可能だと言われておりますが、その実現した後に原型炉というものがつくられるということで設定されております。

 この資料をつくられた高瀬教授等々とのお話、あるいはアメリカの研究者なども出しておりますが、十年間で二十兆円というお金を投入していけば大体十年の短縮ができるのではないか、そういった中で、二〇三〇年代後半には原型炉ができ、二〇四〇年代には核融合を実現することができるという案も出ております。

 そういった意味でいうと、ソーラーや風力に限らず、これも我が国のエネルギー政策の根幹として今後力強く進めていただきたいというお願いを最後にさせていただきながら、質問時間が終了したという紙が参りましたので、私からのお願いと質問とさせていただきたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

川内委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 おはようございます。自民党の吉野正芳です。

 細野大臣からも先ほど答弁がありましたように、福島県の子供たち、若いお母さん方、本当に心配しています。それで、今夏休み中なので、全国から、北海道に行ったり長野に行ったり愛知県に行ったり、多くの子供たちが全国の皆様方の御招待で今伸び伸びと外で遊べるような、そんな状態です。

 私の仲間も今愛知県豊橋市に行っております。子供三十人連れて、豊橋の市長さんに本当にお世話になって、子供たちが今伸び伸びと夏休み、それも放射能汚染の心配のないところでやっておりますので、この場をおかりして、改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。

 さて、細野大臣、もう毎週、福島県に行ってくれて、ありがとうございます。もう福島県の人になった、こう思います。そういう意味で、私たちの福島県の思い、心、これは十分に大臣は理解していると思って質問します。

 八月三日に、民主党のPT、原発事故影響対策プロジェクトチーム、荒井先生が座長で提言を出しました。

 これは、八月四日、次の日の地元紙、福島民報、民友、大臣も見たと思いますけれども、この新聞記事を見て、大臣、最初に感じたことは、どう思いましたか。福島民報でトップ記事で、周辺地域の国有化提言、こういう形で提言しているんですけれども、どう思いましたか。

細野国務大臣 吉野委員、御地元中の御地元でございまして、本当に大変な御迷惑、御心配、さらには、あらゆる面において皆さんにこうした形で御迷惑をおかけしていることに関して、改めておわびを申し上げたいと思います。

 私も、福島民友と福島民報という新聞は毎日読むようにしておりまして、その一面の記事の様子によって、福島の皆さんがどういうことをお感じになっているのかというのを毎日必ず確認するようにしております。

 その意味で、今御指摘の国有化に関するインパクトの大きさたるや、これはもう大変なものがあったということは新聞を読んでも感じましたし、また、現地からも聞こえてまいりました。また、週末に行って、さらにその動きを把握することができました。

 一言で申し上げるならば、国有化というのは、これはもう本当に、政府として、そういったことを地元とのさまざまな話をすることなしに検討するということはあり得ない。まずは地元の皆さんといろいろな話をさせていただいて、何よりも大事なのは、徹底した除染なんです。どこまでできるか、これがまだわかっておりません。

 ですから、地元の皆さんに非常に、それこそ、党の方のプロジェクトチームですのでなかなかちょっと私がコメントしにくいところがあるわけですけれども、かなり頭越しにこういった形で出たことに関しては、大変な御心配、御迷惑をおかけしたというふうに認識しております。

吉野委員 福島県、本当に毎週行って、福島県の心を理解する今の大臣の答弁だったと思います。

 ここで私が一番怒り狂ったのは、この文章なんです。一万本以上の使用済み燃料を放置した上で、近隣に人の居住を認めることなどあり得ない。

 使用済み燃料を放置した、この言葉が私は本当に怒り心頭なんです。今、放置しているんですか。

細野国務大臣 放置はしておりません。

 まず、使用済み燃料の中でも、本数が非常に多く、しかも管理をしっかりしていかなければならないのは使用済み燃料プールの部分でございまして、このステップワンの中でも四号機のプールの補強はいたしましたし、また、燃料プールの冷却については、当初の状況と比較をすると格段に安定化をいたしました。一号機も間もなくこの冷却の仕組みが内部でできるようになりますので、それをやれば、大体プールについては三十度台というふろぐらいの温度になるんですね。そこまでいけば、まさに安定的に冷却できているということになるわけです。

 ですから、間もなく一号機もその仕組みが完成をいたしますので、プールに関しては、一号機から四号機まで、当然、五号機、六号機も健全でございますので、そういった意味においては、プールをしっかりと安定した冷却状態に置くことによりまして、少なくとも安全な状態でこれを保存できる状態は間もなく確保できると考えております。

吉野委員 今の状況は大臣の答弁のとおり、そのとおりなんです。

 そのことを荒井プロジェクトチーム座長に、政府として、大臣として、抗議したんですか。あなた、間違っているんじゃないの、放置なんかしていないよ、こういう形できちんと抗議していますか。

細野国務大臣 プロジェクトチームの方の皆さんの御認識というのは、もう少し長い目で見て、この状態を置いておくべきではないという御趣旨というふうに受け取っておるんです。私どもとしては、現状においてやれることはすべてやっております、安定化させるという意味で。

 一方で、あの高い場所に使用済みの燃料がそれこそ数千本置いてあるというのは決して長期的にいい状態ではありませんので、それを少しずつでも変えていくべきだという提案と受けとめております。

 ですから、党の側として、政府とは違う視点でいろいろな提案をしていただいたこと自体は私どもはしっかり受けとめなければならない立場でございまして、若干その立場とニュアンスが違うのは否めないわけでございますけれども、抗議というような形ではなくて、こちらの政府の側の取り組みをしっかり継続して説明をしていくという中で、お互いの立場のすり合わせをしていきたいと考えております。

吉野委員 しっかりと現状を御説明してください。これは約束してください。

 福島、地元の方が一番怒っているのは、一縷の望みなんです、絶対戻るんだ、もう五カ月もたって、なかなか、半分戻れないかもしれない、そう思っているんですけれども、でも戻るんだ、ここのところの夢が今度の提言によって本当に断ち切られたんです。そこを怒っているんです。ですから、ぜひ説明をしていただきたいと思います。

 次に、原子力安全庁の話です。

 これは大臣の私案だという形で今あるんですけれども、もう少し、大臣個人の私案でなくて、政府としての議論をして、それから世の中に出すのが、私たちが政権を担っていたときは決して一個人の意見を出しているわけではありません、政府内できちんと議論してまとめてから公表するという形をとっているんですけれども、少し拙速ではないのかなという印象を受けるんですけれども、その辺について、大臣、どうお考えなんでしょうか。

細野国務大臣 今回シアンと言っておりますのは、私の案ではなくて試しの方の試案でございます。

 今回、これを出すに当たりましては、関係閣僚が複数回集まりまして、協議を積み上げてまいりました。また、関係省庁からもさまざまなヒアリングをして、およそ調整ができたことだけを出させていただいております。

 ならば、なぜ政府としての案にしないのか、さらには閣議決定をしてしっかり出さないのか、そういう御意見があろうかと思うんですが、そこは、できればこの案を出すことによって各党からもいろいろ御意見をいただきたいというふうに考えました。したがいまして、できれば自民党の皆さんにもいろいろ御意見をいただいて、実現性を高めたいということなんです。

 といいますのも、この問題は自民党も民主党もないわけですね、国民にとって、さらには国際社会にとっての大きな懸念事項ですから。ですから、特定の大臣であるとか特定の政権というところにとどまるのではなくて、多くの皆さんからしっかり意見をいただいて、できるだけ早く結論を出すという意味で、まずは試案という形で出させていただいて、皆さんにそこをいろいろ御議論いただきたいというふうに思ったという経緯でございます。

 したがって、きょうも複数の委員の皆さんから御質問いただくというふうに承知をしておりますので、できるだけ私の現段階での考え方を話をさせていただいて、逆に皆さんからもいろいろ御意見をいただく中で方向性を明確にしていきたいと考えております。

 もう一点だけ付言をいたしますと、スピード感は必要だと考えております。

 もう五カ月たっていますし、世界が日本を見る目は、温かくもやはり厳しくなってきています。ですから、九月にはIAEAの総会もありますし、その後も収束に向けて日本の取り組みが注視をされます。そういう中で、原子力の安全規制のあり方については、日本は、少なくとも仕組みを変えるべく、できるだけ早く結論を出す努力をしている、そのプロセスに入った上で、来年の四月、新年度には新しい組織が立ち上がるというぐらいのスピード感でやらないと、そこは国際的にはなかなか通用しないのではないか、そのように考えております。

吉野委員 私も原子力を推進してきた中の一人なので、そこで一番言ってきたのは、保安院の分離独立なんです。やはり保安院に独立性がない、ただ一点、この点なんです。

 ですから、今度の組織も、独立性がきちんと担保できるのかという、きちんと独立性のある組織をつくっていただきたいんですけれども、ここの点はどう考えているんでしょうか。

細野国務大臣 吉野先生御指摘のとおり、保安院の最大の問題は、利用とエネルギーの安定供給というこの大きな目標を持つ経済産業省・エネルギー庁、エネ庁と言うなれば一心同体でやっているというところにあったわけですね。ですから、まずそこは完全に分けるというのは、原子力の規制の新しい省庁をつくる、新しい組織をつくる必須の条件ということになってくると思います。

吉野委員 それでは、きちんと独立性のある組織にしていただきたいと思います。

 次は、今、緊急時避難準備区域とか二十キロ圏内の警戒区域とか、いろいろ規制がされています。その解除について原子力安全委員会から一つの見解が出されています。

 まず、三十キロの中、いわゆる計画的避難区域も含めて、汚染マップというのはどのくらいのきめ細かさで今現在あるんでしょうか。

細野国務大臣 汚染マップでございますけれども、特に吉野委員の御関心は三十キロ以内のあたりだと思うんですけれども、七月の二十日に公表された最新のマップでは、三十キロ圏内につきまして、六百六十六地点の測定結果を用いて、それをプロットした形になっております。

 また、これまでメッシュという意味では二キロ以内ということでやってきたわけですが、二キロ以内では例えば市街地なんかの具体的なデータがわかりません。ですから、できるだけ、局所的には百メートルメッシュのそういうモニタリングを行うことをしておりまして、その範囲をできるだけ拡大することによって、どこでどういう状態が生じているのか、さらには、そういう状況になっているとすれば、次にやらなければならないのは除染ですので、どこをどういうふうに優先的に除染をしていくのかという、そのアクションにつなげていくようなモニタリングをさらに精緻に行っていく必要があると考えております。

吉野委員 除染の基本は、やはりどこが汚れているか、汚染マップですので、本当にきめの細かい汚染マップをぜひつくっていただきたいと思います。

 安全委員長に伺います。

 安全委員会の指針では、まず、緊急時避難準備区域と二十キロの中の一部解除と計画的避難区域の解除、この三つに分けて指針が出ているんですけれども、緊急時のところのほかは、解除に先立って除染しなさい、モニタリングをしなさいと、解除に先立ってという言葉があるんです。ただ、緊急時の方はこれがないんです。

 ですから、緊急時の場合は、まず解除をして、それから除染計画を立てて除染をし、またモニタリングをしていくという解釈でいいのか、その辺、ちょっと伺いたいと思います。

班目参考人 緊急時避難準備区域に関しては、一定の条件はつけてございますけれども、既に住民の方が生活していらっしゃる場でございます。そういう意味からいきますと、モニタリングというのは、これはもうなるべく早くというか、すぐにでも実施して十分なデータをとること、その上で必要に応じて除染作業もしていただく、これが原子力安全委員会の考え方でございます。

吉野委員 わかりました。

 もう住んでいるから、まず除染をしてから外すということは、もう住んでいますからね、わかりました。

 次に、まず、緊急時の中で、広野町なんですね。

 広野町は、下水道がかなり壊れてしまいました。応急措置を下水道設備でやったんですけれども、応急復旧工事というのは、私も現場に行ったんですけれども、ただ大きな穴を掘って、そこに汚水を入れて上水だけ流す、こんな程度なんですね。

 これでは、伝染病も、夏はこれからなので、本格的復旧を早急にやらねば、ある意味で、解除しても町民の方々は戻れないのかなというふうに思うんですけれども、その辺、早急に、本格復旧がいつごろできるのか、お尋ねしたいと思います。

小泉大臣政務官 お答えいたします。

 今先生御指摘いただきましたように、福島県広野町の広野浄化センターは、津波の被害によりまして、現在、稼働停止中であります。今のところ、七月上旬より、仮設の沈殿池と消毒設備による応急対応を実施しているところであります。

 しかし、広野町では既に本格復旧に向けた設計を実施しており、今後早急に工事に着手をし、水処理施設三系列のうち、一系列では来年の六月から、残り二系列では来年十月から通常処理を開始する予定と聞いているところであります。

 国土交通省といたしましては、広野浄化センターの早期の復旧に向けて、積極的に全力で支援をしていく所存であります。

吉野委員 ぜひお願いいたします。

 それでは、原子力委員会にお尋ねします。

 最初の科学特でも、原子力委員の先生方、参考人質疑という形でやらせていただきました。

 今度の事故について、正直、顔が見えなかったんですね。今まで、政府から頼まれなければ意見を言わなかったのか、頼まれないから黙っていたのか、なぜここまで顔が見えないことだったのか、その辺、まず委員長、お願いします。

近藤参考人 お答えいたします。

 御承知のように、原子力委員会は原子力災害対策本部に法律上位置づけがございませんので、我々の立場は、五月のここで御意見いただきましたことも踏まえましたが、五月に既に見解を出しまして、また、私どもとして重視するのは、第一にはふるさとへの復帰のプログラムに対する提言を行うこと、第二が原子炉の安全な停止に向けた取り組みについて提言を行うこと、三つがさらに長期的な観点からその廃止措置、廃止に向けた取り組みについてというもの、この三つを我々の主要な課題として定義をいたしまして、これは、その位置づけはない、依頼はないわけですけれども、私どもとして、それぞれについて検討し、適宜関係者に我々の考えているところをお伝えする、そういうポジションで作業をしてまいりました。

 時間がありませんから、一つだけ例を申し上げますと、例えばふるさとの復帰について言えば、私どもの考えるに非常に重要なのは、今立ち入りができない領域について、いかにして除染活動をやるかということについてのシステムの設計が非常に重要だろうというふうに考えまして、現在まで、さまざまなその除染活動に従事しておられた方々、あるいは会津大学の学長さんのような地元の有識者の方々の御意見を伺いまして、政府として長期的に何を準備していけばいいかということについて考え、適宜大臣あるいは関係者に御説明してきたところでございます。

吉野委員 前回の私たちの質問から今のような形をしてきたということ、ただ、本当に報道もされていませんので、私たちには見えなかったということなんですけれども、現実には政府にきちんと物を申してきたということです。

 今度、初めて専門部会、中長期措置検討専門部会、八月三日に開かれました。これは、私たち待ち望んでいたんですね。私、これは廃炉の工程表というふうに名づけますけれども、この廃炉の工程表、何でもっと早くできなかったのかというところでじくじたる思いがあるんです。

 ただ、この中身をちょっと質問いたします。

 使用済み燃料、今燃料プールにございます。これを取り出したら共用プールに入れるというふうにあるんですけれども、現在の共用プールの能力、キャパ、余剰能力といいますか、これはどのくらいあるんですか。

細野国務大臣 まず、若干近藤委員長の御答弁につけ加える形で申し上げますと、確かに、原災本部上、原子力委員会というのは位置づけがございませんので、なかなか表でいろいろな議論に直接的に加わりにくい、そういう組織的な問題がございました。

 ただ、原子力安全委員会はもちろん班目委員長を筆頭に専門家集団ですが、原子力委員会というのも日本にとっては非常に貴重な専門家集団でございますので、私、事故発災直後はほぼ連日、大臣になるまでは少なくとも週一度はしっかりと会合を持って、近藤委員長とは協議を続けてまいりました。また、大臣になってからは、私、原子力委員会も担当しておりますので、日常的に常に連携をする中で業務を行っているということを私からも責任を持ってこれは答弁申し上げたいと思います。

 今御質問がございました共用プールでございますけれども、東京電力の福島第一原発の共用プールについては、貯蔵可能体数が六千八百四十体、そのうち現在六千三百七十五体の使用済み燃料が貯蔵されておりますので、ほぼ満杯の状況でございます。

吉野委員 福島第一にある共用プール、これも津波の被害を受けたと思います。そして、ディーゼル発電機もとまったと思います。ただ、共用プールについての被害、ある意味の事故ですね、これが全く報道されていません。

 共用プールも熱交換器をつけて冷却しているはずなんですけれども、その辺の、共用プールについての津波の事故、これはどういう被害があったんでしょうか。

細野国務大臣 確かに、共用プールについては報道は少なかったんですけれども、何しろ六千本を超える燃料がありますので、現場そして政府としては、非常にその動きは気になっておりまして、注視をしてまいりました。

 幸運だったのは、この共用プールなんですけれども、小名浜港という、海のポイントからはかった高さで大体あのあたりは標高を見ておるんですけれども、それが約二十メートルという高さに位置しておりまして、今回の津波が最大でその小名浜ポイントを基準として約十四メートルから十五メートルの高さでございましたので、共用プールに海水が入ったという可能性は極めて低いと考えられております。

 ただ一方で、冷却システムにつきましては直接的な被害を受けなかったんですが、外部電源が喪失をいたしましたので、一時的に冷却システムが機能を喪失いたしました。そこで、とにかくそれを早く復旧させようということで、早い段階で仮設の電源を設定して回復をし、その後それを本格的な冷却機能として回復をいたしましたので、機能自体には、もともと津波が来ていませんので、ダメージがなかった。冷却機能そのものは、比較的早期に回復することができました。

 したがいまして、現状においては共用プールは健全に維持をされていると考えております。

吉野委員 本当に、温度が低くて大丈夫だからという形で余り政府の方の報告もないし、私、この質問をするときに、ある意味で初めて気づいたくらいなんですね。でも、これはやっぱり、ある意味の事故隠しというか、報道をしないというか、情報を隠すというか、そういう体質があるのではないのか。

 では、細かく言うと、共用プールもきちんとディーゼルエンジンはついていたのかいなかったのか。今の話だと、外部電源が切れたからとまっちゃった、だから、ディーゼルエンジンは多分ついていなかったんじゃないんですか、今の答弁からいうと。それらの情報隠しがすべての今度の事故の原点になると思うんです。

 なぜ共用プールだけはずっと情報を隠していた、隠していたというか、発表しなかったんですか。

細野国務大臣 共用プールなんですけれども、建屋内に非常用のディーゼル発電機用の発電機というのが存在をしておるんですが、その電源盤が水をかぶって結局機能しなかったということがございました。

 私は、実は、早い段階でプールのことをすごく気になっておりまして、プールをちゃんと見に行ってくれと。それは、見に行くということ自体が大変なことなんですけれども、見に行っていただいて直接確認をするという作業を、ちょっと記憶が確かではないんですけれども、水を下から放水していましたね、十七日から二十日ごろまで。あのあたりでかなり確認作業を急いでおりまして、その時点で、最低限の健全性は確保できているということについては確認をしておりました。

 ただ、報道ということに関して言うと、私もちょっと、そう言われれば吉野先生がおっしゃるとおりだなと思うわけですけれども、ほとんど実は質問もなくて、早い段階で、もう四月の初めごろには安定化していましたので、それについて説明の機会もなくて、皆さんの関心が、一号機はどうなのか、二号機はどうなのか、四号機のプールはどうなのかということに集中をしておったものですから、そういったことも含めて、若干情報のしっかりとした伝達というところが滞った部分があったのかもしれないというふうに考えております。

 必要な情報はしっかり、改めてこれを機会に出してまいりたいと考えます。

吉野委員 ぜひ情報を隠さずにお願いします。

 時間もありませんので、ちょっと保安院長にお尋ねします。

 きのうの朝日新聞の記事で、再溶融があったか、あったらしいという旧原研の田辺先生の記事を読んだんですけれども、この記事は院長も読んだと思います。やはり専門家として、保安院としてこの記事に対してどういう評価をするか、お答え願いたいと思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力の専門家の御意見といたしまして、報道にございますように、三月二十一日から二十四日の間に、三号機に関してでございますけれども、注水量が大きく減少して、原子力の圧力が一時的に約百十気圧、そういうものが計測されている、それから三号機の原子炉建屋から黒煙の発生が確認されている、そういったことがあるわけでございます。そういったことは事実として認識をしてございます。

 それで、一方で、原子炉圧力容器底部の温度上昇、温度をどこではかるのかということはございますけれども、その圧力容器底部の温度の上昇については大幅なものではない、あるいは、注水によりまして原子炉の冷却は継続されているというようなことなどを踏まえますと、この記事にあるような炉心の再溶融が発生して燃料の大半が格納容器まで落ちたということを直ちに結論づけることは難しいというふうに考えています。

 ただ、政府といたしまして、六月にIAEAへの報告書として取りまとめましたところにおきましても、燃料の一部が格納容器に落下している可能性は否定できないということで、可能性があることは推定しているわけでございまして、事故の実態把握には、いろいろな制約があるのは現実としてあるんですけれども、詳細な調査それから分析、こういったものをしっかりとやって、何が起きていたのか、起こったのか、こういうことについてはきちんと確定する必要があると考えているところでございます。

吉野委員 時間も参りました。

 原子力委員会から廃炉の工程表が出ました。本当に参考になります。でも、長期間かかるんです。この廃炉の工程表の長期間は帰れないんだというふうに地元の方々は思うかもしれませんので、そこは絶対違うんだということをきちんと大臣の方から福島県の皆様方にお話し願うことを期待して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

川内委員長 次に、河井克行君。

河井委員 自由民主党の河井克行です。

 きょうは、八月九日、長崎の平和祈念の日であります。三日前、八月六日、私のふるさとでもあります広島は、六十六回目の原子爆弾投下の日を迎えました。

 細野大臣、昭和二十年の八月六日に広島で起こった惨劇は、決して遠い過去の出来事ではありません。今、福島を初めとする東日本の各地で起こりつつある事柄はすべて六十六年前の広島のあの日に重なる、そのように感じられて仕方がありません。広島の長年にわたる経験や知見をもっと生かしてほしい、心優しい被爆者の方々が、みずからの生涯を振り返りながら、今、東日本の地で起きていることを真剣に憂えております。

 以前、この委員会でも御紹介をしました私の地元の上安・相田地区黒い雨の会の会員の方々のお手紙、細野さんが大臣になって初めてでありますので、改めて幾つか紹介をいたします。

 私たち広島で被爆した者としては、内部被曝、すなわち、人体や作物、土壌など、放射線による悪影響が、今の福島原発事故の報道を見て、あると思います。広島や長崎のように被爆範囲が明確に解明されていない、そのまま現在に至っております。そういったことで、福島では、今やることは現場の実態調査、風や水や土壌のサンプリングが必要です。時がたつとわからなくなります。計算では解析に無理が出ます。放射線被曝は同心円ではない、天候が大であるように思います。後々に引きずられないように徹底した調査をしていただくようにすること。これは四月十九日に私に寄せられた手紙です。

 別の手紙には、最近の傾向として、原爆投下時にゼロ歳から七歳ぐらい低年齢の人、現在七十歳前、この会員の中で、がんでの死亡者がふえてきている。投下されたとき、私たちも親も、放射線についての知識は全くありませんでした。当日の昼食、夕食から、自宅近くの小川か井戸で野菜を洗い、食べました。トマトは黒く汚れたところを洗い、夏は毎日食しました。翌日から、地元の安川で水泳をしました。

 別の手紙には、あの当時は、放射能による危険性もわからないまま、黒い雨で死んで浮いた川魚や黒い雨のかかった野菜などを食べ下痢をすることがあったが、それもわからないままに日が過ぎたように思います。福島の報道を見るたびに、改めて私たちが経験したことは大変なことだったと思います。

 ほかにも、多くの方から御意見をいただきました。

 また、八月六日の次の日、七日の地元紙、中国新聞の朝刊には、三十歳代の女性が、動員学徒慰霊塔の前で、深夜の二時過ぎに手を合わせながらこうつぶやいたと報じられております。原爆で亡くなった方々は今の福島を見て何を思うだろうかと。

 なぜ日本人だけが三度も原子力の惨禍を経験しなくてはならないのか、私は全く不条理だと思います。でも、その不条理から何かを学んでいく、つかみ取っていかなければ、私たちは人間として生きている意味がないと思います。四回目の核の悲劇がゆめゆめこの国土の上で繰り返されることがないようにしなきゃいけない。

 細野さん、あなたには重い役割が背負わされている。なぜかといいますと、一連の原発事故後の失態はすべて菅内閣で起きたことなんです。住民の健康測定開始が遅過ぎた、これも、きょうお見えいただいた厚労や文科の副大臣、経産の政務官にもさまざまな委員会で私は申し上げた。避難区域が小さ過ぎた。SPEEDIは、事故直後稼働していたのに、住民の安全確保には使わないで、菅総理の原発視察の安全確保にだけ使った。これは、川内博史委員長が最初指摘をされた事実でありました。あるいは農産物や土壌汚染を楽観視し過ぎたなどなど、言えば切りがない対応のお粗末さ。国民の生命と財産を危険にさらし、国際社会での日本の評価をおとしめたすべての事故後の責任は現政権にある。だからこそ、細野さん、今の内閣でけりをつけていただきたい。

 余り長くこの内閣が続いてほしくないと私たちは思っておりますけれども、それでもこの内閣で決着をつけるところはつけていってほしい。あなたたちの内閣が招いた災厄なんですから、国民、国家のために、きょうこの場で答弁、できないとかできるとかなんてことは言ってほしくない、きっちりとけりをつけるために十分な御答弁を、特に細野大臣を中心に期待いたしております。

 まず最初に、これはぜひ申し上げたい。早急に三点セットを実行してもらいたいんです。私からの提案です。何かといいますと、AMS、空中モニタリングシステムを使った詳細な航空機からの放射線測定、これが第一。第二が土壌の調査。第三が住民の健康被害の測定。大臣、この三点セットを一日も早く実施をしてもらいたい。

 汚染された稲わらの発覚は氷山の一角にすぎないんです。国民は、食への不安を抱えながら毎日を送っている。例えば、被災地からはるかに離れた広島の大きな複数のショッピングセンターで週末に話を聞いた。国産牛の売り上げが三割も減ってきている。福島産だけじゃないんです。東北地方の産地だけじゃないんです。あらゆる国産牛の消費が減ってきている。幾ら現政権が安心だと言ったところで、残念ながら国民は信じていないし、国際社会も信じていない。

 だって、そうじゃないですか。レベル7だったのをレベル5だとずっと言ってみたりとか、炉心溶融どころか炉心の貫通が起こっていたのに、溶融が起こっていないと言い張ったりとか、すべてがうその発表だった。だから、正しいことを早く明らかにしてもらいたい。

 大臣、国民は危ない箇所の上に自分たちが住んでいるかもしれないという不安を一日も早く払拭してもらいたいんですよ。危ないところを発見することだけじゃなくて、安心を確保してもらいたい。そのためには、官房長官らが幾ら安心だと言ったところで、だれも聞く耳を持たない。

 だから言うんです。徹底した放射線量の測定、まずは航空機を使って、上空から一メートルの高さの線量を測定する。続いて、見つかった特異な点、いわゆるホットスポット、高い放射線の汚染が証明された地域は土壌の調査を早くやってもらいたい。そして、それだけで終わったら、単なる科学研究に終わってしまう。一番大事なのは、そこに住んでいる住民の健康調査を重点的、優先的に行ってほしい。だらりと画一的に一般的な住民の健康調査をするのではなくて、特異な点からまず始めていっていただきたいと提案をいたします。

 政府では、青森から愛知、石川に至る一都二十一県の詳細な航空機からの測定を実施する構えだと聞いておりますけれども、一体いつまでに一都二十一県の測定を終わらせるつもりなのか。国民は既にしびれを切らして待っている。明確なお答えをください。

細野国務大臣 航空モニタリングは今鋭意行っておりまして、できるだけ早く実施をしてまいりたいと思います。東日本全体にそれを広げる必要があると考えております。

 河井委員に率直に申し上げたいんですけれども、我が国には、航空モニタリングをしっかりやるだけの機器の備えがございませんでした。これは私は痛恨です、率直に申し上げて。個別のモニタリングはできるんですけれども、上から俯瞰できないんですよね。私が大変残念だという思いを持ちましたのは、やはり海外から技術を持ってこないとこれはできなかったんですよ。ですから、アメリカのエネルギー省と協力をして、機器をアメリカから借りて、それを使いこなして何とかやっておるんです。これは我々の事前の備えが十分でなかった典型的なあらわれだと私は思っています。

 お借りをして、二基それぞれ動かしておりまして、もうかなり使いこなせるようになりましたので、日程をしっかり調整して、できるだけ早く東日本全体の航空モニタリングをやってまいりたいと考えております。

 続いて、土壌のモニタリングなんですけれども、これも並行してやっていく必要がございます。ホットスポットのしっかりとした発見も含めて、大体の状況はわかっておりますが、その中で、ここはちょっと危ないのではないかというところをとにかくしっかりやっていくという、並行した作業だと考えております。

 三点目、御提案をいただいた健康被害の問題につきましては非常に大事な問題だというふうに思っておりまして、既に福島県と連携をして、予算面でも人の面でも万全を期している、そういう状況だというふうには考えますが、より優先順位をつけて、必要な皆さんからしっかりと、健康被害について、何かないのかどうか徹底した確認をして、必要なことがあれば、さらにそれを国として強化をしていく、さらにはさまざまな手当てをしていく、そのことは必要であると考えております。

河井委員 大事なことは、とにかく一日も早く全体の調査を航空機を使って特別な測定器で終えていただきたい。今、早くやるつもりだとおっしゃったけれども、これまでも、私は震災後さまざまな委員会で、住民の健康調査にしても土壌調査にしても、早くやってください、そのたびに閣僚や副大臣の皆さんからは、やりますやりますと言って余り進んでいない実態があるんです。

 さっき、米国は既に調査を始めたということをおっしゃった。ここに私は持ってきたんですけれども……

川内委員長 河井先生、理事会で御提出いただいていないです。きょうは、特別に私が許可します。

河井委員 委員長、ありがとうございます。

 実は、米軍は、事故直後、既に三月十七日から十九日にAMSを使って測定をして、飯舘村方面への高い放射線量の流出を知っていた。大臣、今委員長の御配慮でお渡しをさせていただいたのがそれです。それが、三月の三十一日のネイチャーにもう掲載されている。二十九日のオンライン版には早くもネットで流れている。日本国政府の持っているものじゃなくて、米軍の器材によって世界じゅうの人たちが、研究者、学者がもう既に知っていた。

 ところが、情けないことに、さっき大臣は、日本政府は一基しか持っていないというふうにおっしゃった。日本政府が初めて詳細な航空機の測定を行ったのは四月の六日になってからなんですよ。文科省が所管する文京区白山にある財団法人原子力安全技術センター、俗に原安センターと呼ばれている、ここが保有する国内唯一の特殊な測定器は、四月六日に稼働するまで、三月十五日の放射線の大量放出から三週間もたたないと動かされなかった。文科省は何をやっていたのかということなんですよ。この詳細な航空機による調査は、文科省が最初始めたいわゆる簡易サーベイとは比較にならない正確さを証明している。なぜ三週間も文京区の白山で、まさにとらの子の日本政府が持っていたAMSが遊んでいたんですか。その理由を教えてください。

笹木副大臣 今委員がお話しになったように、三月十七日に、米国のエネルギー省は航空モニタリングを実施しているわけですが、文科省では三月十五日にトライをするということで、防衛省に依頼もし、共同で実際に飛ばして測定をしようと試みたわけです。しかし、非常にこの空域での放射線量が高いということで断念をした。これが三月十五日です。

 その後は、防衛省と協力を得てこの測定をやるということで、ずっとその準備をしていたわけですが、防衛省が、発電所に水かけをすることを最優先という状態になりました。あわせて、地震、津波、こうしたことを受けて、原子力施設への放水の待機、これはすべての危機を最優先にする、そうした時期であったのは確かだったと思います。そうした中で、結局そのまま、一度断念した後、待機した状態のままになっていた、これが事実です。

 その後、四月に入って、放射性物質の放出量が少ないということが確認できて、四月六日になって、今委員が指摘をしている様式の航空モニタリングを、しかもモニタリング器材を搭載できる特別な仕様の民間のヘリコプター、これももちろん総括の中で考えないといけない点だと思います。

 特別な仕様、要は文科省が開発したモニタリングの専門の器材を載せるに当たって、飛行機を改造しないと載せられない。アメリカのものはそのまま積める、積んでそのまま使える。この違いがあったことは当然反省点であります。さっき話がありましたが、そうした準備が我が国にできていなかった。特別の仕様で、その都度改造しないといけないような検出器であった。これも結果的に実際の航空モニタリングをおくらせた原因であると思います。

河井委員 細野大臣、日本国が残念だったのは、数が少ないだけじゃないんですよ。今明らかになったとおり、あっても使えなかった。使おうとしなかったということが明らかになった。

 防衛省、さっき名前が出ましたので、運用企画局長さん、きょうは確認をさせていただきます。

 そもそも、今の文科副大臣の答弁では、防衛省に航空機の提供を申し入れたんだけれども、例のバケツ作戦などで手いっぱいだから断られたと。事前に私に対する文科の事務方の説明でもそのようにおっしゃった。防衛省、これは本当なんですか。あなたたちは、ほかで手いっぱいだからといって、国家にとってこんな最緊急の調査への協力を断ったんですか。お答えください。

松本政府参考人 御答弁申し上げます。

 防衛省・自衛隊は、今般の原発事故に関しまして、文科省のモニタリングには可能な限り協力させていただいております。

 先ほども御答弁にありましたけれども、三月十五日については、陸上自衛隊のヘリコプターに原子力安全技術センターの職員二名の方を乗せて、モニタリング支援の飛行を実施したところでございます。

 ただ、翌日の三月十六日以降については、先生からも御指摘ありましたけれども、福島第一原発に対する水投下、これも私どもでモニタリングを行う必要が生じたため、文科省の支援というのは、行うことはできなかったことは事実でございます。

 その後も、水投下に伴いますモニタリングに係る待機を続ける必要があったものですから、対応はしていないというような状況でございます。

河井委員 局長さん、私が以前、自民党の国防部会長を行ったときに、全国いろいろな駐屯地、陸海空、ちょっと巡回させていただきました。日本国の自衛隊という組織は、どんなに負荷をかけられても、どんなに手いっぱいであっても、上官から命じられたら、しっかりとお国のために仕事をしてくれる組織だというふうに私は信じています。

 本当に文科省から真剣な要請があったのか。どのレベルでどこからどこに話があったんですか、このサーベイについての支援要請は。政務三役からあったんですか、なかったんですか。お答えください。

松本政府参考人 御答弁申し上げます。

 今先生の御質問にありました、政務レベルで調整があったかどうかという点については、私ども特に記録をとっているわけではないので正確ではないかもしれませんが、私どもの知る限り、政務レベルでの調整というのはなかったというふうに承知しております。

河井委員 細野さん、これが実態なんですよ。事務方同士では、確かに手いっぱいというふうな答えが返ってくるかもしれない。そのときに、特にあなたたちは政治主導ということをうたっているわけですから、真剣に、やはり政治家、政務三役が本気で防衛省の政務三役にかけ合っていたら、とっくに早く測定は進んでいたというふうに私は思います。

 局長、文科省がAMSを保有していたということは当時知っていましたか。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 当時は、私ども承知しておりませんでした。

河井委員 こういうことなんですよ。日本の中でたった一基しかない特殊な測定器を、それを載っけてくれる最大の可能性がある防衛省自身が、文科が持っているということを認識していなかった。本当に貴重な日々を浪費してしまった。一体、政府の震災対策のさまざまな総合調整はどのような機能を発揮していたのか。本当に疑問の念を強く抱いております。

 笹木文科副大臣、その後、七月三日以降、さまざまな仕事をした後、この原安センターが持っている特別な測定器は今どこにあるんでしょうか、どこかで仕事をしてくれているんでしょうか、お答えください。

笹木副大臣 七月二日に測定した以降、これは白山に検出器が戻っている状態で、活用されている状態ではありません。

河井委員 もう五週間にわたって、細野大臣、目と鼻の先ですよ、国会から白山といったら。あそこにとらの子の、日本国が持っている、一基しかないAMSがずっと遊んでいる状態だ。宮城県、栃木県、茨城県、既に飛行して測定が終了しました。これは米国のエネルギー省から借りてきた一基でやっている。でも、東京のど真ん中には、文科の原安センターが持っているのがずっと遊んでいる状態だ。これはおかしいとだれだって考えるでしょう。

 防衛省にお尋ねをいたします。

 文科省の事前の説明では、AMSが中日本航空のヘリコプターでしか使えない特別な仕様になっているという説明でありました。防衛省の専門的な知見からいって、特別な仕様はあるかもしれないけれども、こんな緊急時でありますから、何とか、何か特別ないろいろな道具とか器具じゃなくて、極端な話、強固にロープか何かで結わえて臨時に陸自のヘリに載っけて使うことはできなかったのか、その辺の知見についてお示しをください。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 当時の具体的な詳細なやりとりは、今手元に資料がございませんので、お答えはちょっと差し控えさせていただきます。

 ただ、いずれにせよ、AMSについて私どもは特別な知識があるわけではないので、そういう意味では、多分承知していなかったんだというふうに思います。

河井委員 細野大臣、こんな大事なことが、実際に陸自や空自や海自のヘリを使って運用してくれるのは、あの局長さんのところの仕事なんですよ。それが、いまだに情報が行っていないということ、これは私は大変情けないというふうに思う。

 実は事前に防衛省の人にいろいろと意見を聞いたところ、文科省は中日本航空のヘリコプターでしか使えないと言っているけれども、一般論で言えば、ぜひそれを見せてもらいたい。見せてもらって、自衛隊が保有しているヘリコプターで使えるかどうか確認をさせてもらいたい、私たちはそんなことはないと思いますがという事前の説明がありました。副大臣、よくその点を踏まえて仕事をしていただきたい。

 大臣、今もずっと東北地方の上空を飛行して測定してくれているのは、米国の測定器によって測定がされている。一日も早く日本が今持っている一基を何とか陸自や空自や海自が持っているヘリでも使えるようにしてもらいたいのが一つと、外国から早く調達してきてくださいよ。この調達の状況についてお答えできる方はいらっしゃいますか。

細野国務大臣 文科省の方のシステムがどうなっているかは私も再度確認をしてみたいとは思います。

 ただ、率直に申し上げたいのは、モニタリングの経緯の中で、やはりエネルギー省の仕組みの方が使い勝手がよかったわけです。実際に分析もAMSの仕組みを確かに使っているんですが、それをマッピングしてしっかり見せる仕組みは米国の方がすぐれていたわけです。ですから、事前の備えが十分ではなく、しかも、今においても、AMSよりも、エネルギー省の方が使われているというのは、やはり率直に言って、技術の格差があるということだというふうに私は考えています。

 そこで、米国には、DOEの仕組みをさらに導入する可能性はないかという交渉は私自身が直接しております。ただ、米国にも、当然国内にそんなに数があるわけではないようでございまして、システムを幾つかやはり残しておかなければならない事情がありました。

 そこで、既存の仕組みを、二基を一台に積んではかるというようなことをやっておったようですけれども、これを分割してやれないかというようなことについて日米で協議をして、台数はそんなにないんだけれども、うまく有効活用する方法について検討を進めて、それで何とかやれそうだという調整をいたしたところでございます。

 したがって、比較的、モニタリングのペースが上がってくるということが想定をできるのは、そういう既存の設備の有効活用が進んでいるということで、できるだけ前向きに取り組んでまいりたいと考えております。

河井委員 遅いんですね、本当に。これは聞いたら、一基四千万円ぐらいだそうですよ。たかだか四千万ですよ。十基買っても四億円ですよ。今回の震災、原発事故の後、我が国の国の富がどれだけ毀損されたんですか。国民がどれだけ不安に感じているんですか、自分たちの日常生活に。そのことと比べたら、四千万円なんて、はした金もいいところですよ。

 文科副大臣、この前、世界じゅうに何基あるかということを事前説明の方に聞いたら、それも知っていなかったです、文科省は。これは早急に、一緒になって、とにかく世界じゅうからかき集めてきてもらいたい。

 一都二十一県をいつまでに終わるんですか。早くやる早くやると言うばかりで、早くやるうちにすぐ来年になっちゃいますよ、これは。

笹木副大臣 おっしゃるとおり、国内そして国外も含めて、一生懸命探している状態ですが、現状では、もともとこうした機器というのが、ウランなんかの採掘、そうしたときに使われるものであったということもあって、最近は非常に量が減っている、数が減っている。そんな中で、原子力機構を通じて、一生懸命探して、今心当たりが少し出つつあるかな、まだそんな状態ではあります。

 あともう一つ。先ほどの七月二日以降、機器を使った計測ができていないということが一つ。もう一つ、人員の問題があります。宮城ですとか栃木、茨城の防災ヘリコプターを活用した航空機モニタリング、これに対する協力もしていまして、この測定と解析にかかわる人員自体が非常に少ない。その研修にもかなり日にちがたっている。この現実もあります。

 そうしたことも含めて、総括をしないといけないと思っています。

河井委員 事は一刻を急ぐ話でありまして、オール・ジャパンの力を結集して、一日も早く、この一都二十一県の測定を完了していただきたい。その上で、土壌の調査とか住民の健康調査。

 民間の調査によると、例えば千葉県では柏、松戸、流山、東京では足立区などでホットスポットが発見されたのではないかという報道がなされております。だから、そういった地域の住民を優先してもらいたいということなんです。

 この前、私のところに説明に来た担当者が、厚労省出身だと思うんですけれども、現時点で放射線による健康被害は出ていないというふうに私に言ったんですよ。私は驚きました。大塚副大臣にいろいろな委員会で質問しましたけれども、カイナール症候群とかぶらぶら病とかいわゆる倦怠感、では、これを調査項目に入れて調査しているんですかと聞いたら、していないと言うんですよ。していないのに何で健康被害が出ていないと言い切れるんですか。私は、本当に実態を真っ正面から逃げないで見ているのか、一つ一つの事柄で、疑いを持つようになっております。

 大塚副大臣、健康調査を早くやらなきゃいけないということと、私はこの前もあなたに言いました、倦怠感を調査項目に入れてほしいと。あなたはちゃんと入れるようにというふうに約束していただきましたけれども、そうなっているんですか、お答えください。

大塚副大臣 前回のやりとりの中では、福島県の県民健康調査について御下問があったと思います。

 福島県は、緊急時避難準備区域や計画的避難区域以外の、特に西半分の皆さんを中心に二百万人全員問診を行ってというふうに聞いておりますが、その中にはそういう項目も入っているというふうに認識はしておりますが、いま一度確認をさせていただきます。

河井委員 いま一度、いま一度、何度聞いてもいま一度なんですよ。本当にしっかりとやってください。指示してください。

 私がもう一つ福島県による県民健康管理調査事業について疑いを持っておりますのは、実施方法の検討などを行う検討委員会に、あの問題発言で有名になった山下俊一前長崎大学教授が入っているからなんです。三月二十一日に福島テルサで講演をした際に、とんでも発言のオンパレードをして一躍有名になった山下さんですけれども、絶対に安全だと言い切った人が調査をする項目を検討する組織体が調査して、安全だという結論以外出てきようがないじゃないかと私は思います。

 細野大臣は御存じないですか、この先生の発言は。御存じでなかったら、ちょっと紹介させていただきます。

 これから福島という名前は世界じゅうに知れ渡ります。福島、福島、福島、何でも福島。これはすごいですよ。もう広島と長崎は負けた。福島の名前の方が世界に冠たる響きを持ちます。ピンチはチャンス、最大のチャンスです。何もしないのに福島、有名になっちゃったぞ。これを使わない手はないと、被災時、不安に駆られている人たちの前で言ってのけた人であります。

 こうも言っています。

 放射線の影響は、実はにこにこ笑っている人には来ません。くよくよしている人に来ます。これは明確な動物実験でわかっています。酒飲みの方が、幸か不幸か、放射線の影響、少ないんですね。

 これは、委員長、一回、委員会で参考人でお招きして、よくよく事情を聞きたいと思います。

川内委員長 理事会で検討して、招致するようにいたしましょう。

河井委員 早急にやってください。

 こういう人が入っているのが福島県の県民健康管理調査なんです。所感がありましたら、細野大臣、お聞かせをください。

細野国務大臣 長崎大学の山下先生につきましては、福島県が早い段階から招致をいたしまして、いろいろなアドバイスを受けられているという話は聞いております。私自身は、その山下先生と直接話した経験はありませんので、いろいろな報道がなされていることはもちろん承知をしておりますけれども、それ以上の情報はありません。

 そこで、福島県の健康調査なんですけれども、県民の皆さんが直接かかわることですので、福島県の関与はやはり不可欠だと思うんですね。福島県の考え方で山下先生が入っていることだというふうに承知しています。

 ただ一方で、国としてもそこは全面的にバックアップをしなければなりませんし、調査のあり方そのものについてもかなりの責任があるというふうに考えておりまして、しっかりと専門家を派遣して、健康調査のあり方について国として関与していくこと、そして、財政的にもそれをしっかりサポートしておるわけですから、しっかりとそれが効果のある形で活用されているということについて確認をすること、いずれも大切なことだと考えております。

河井委員 にこにこ笑っている人には放射線の影響がありませんなんてことを言ってのける教授がつくる検査のスキーム、福島県民が不安に駆られるのはごく当たり前のことだと思いますので、福島県は福島県の判断があったんでしょうけれども、今大臣がおっしゃったとおり、国として、間違いのない、県民の不安感を払拭するようなさまざまな手だてをびしっと講じていただきたい。

 そして加えて、さっきから申し上げておりますけれども、倦怠感、最初に申し上げた広島の黒い雨も、さまざまな原爆症の症状が一番最初に出るのは倦怠感なんですよ。何か疲れている。周りの人はわからないんです。単にあの人はサボっているだけじゃないか。決してそうじゃなくて、疲れる、どんよりする倦怠感、これはセミパラチンスクでもチェルノブイリでも同じような症状が報告を多数されているものですから、ぜひこのことを福島県の調査項目にも入れていただきたいのと、ホットスポットについては、福島県内についても優先的に調査を始めるように国から指導していただきたいと存じますが、いかがでしょうか。

細野国務大臣 私も福島に行って、避難をされている方であるとか放射能の恐怖におびえておられる方々と毎週のように話をしておりまして、倦怠感というような部分も含めて、やはり精神的なものというのもかなり大事だろうというふうに考えております。

 厚労省の方でいろいろと調整をしてくださっているようでありますけれども、そうした過去のチェルノブイリの事故なんかも踏まえた上で、どういった症状があらわれるのか、倦怠感、さらには精神的な部分も含めて、しっかりと健康について確認をしていくことが重要であると考えております。

 一方で、ホットスポットなんですが、健康調査につきましては、ホットスポットの個別にというよりは、どちらかというと、面的に優先順位の高い地域を優先してまいりました。それを優先する中で、ホットスポット周辺の住民の方をどうするのかというのはやはり検討していく必要があるかなというふうに思います。

 ですから、県民の皆さんは二百万人以上おられるわけですから、その中で、全員の皆さんの健康調査をするにしても、どういう優先順位をつけてやるべきなのか、そこは福島県ともしっかり調整をする中で確実にやってまいりたいと考えております。

河井委員 大臣、念のため、誤解のないように言っておきますけれども、精神的なものじゃないんですよ、倦怠感というのは。放射線障害の最初に出てくる症状ですから、肉体的なものですから、精神面とはまた別個のものですから、それはそれでしっかりと対応してください。

 大塚副大臣、黒い雨の話をさっきからずっとやっているものですから、お尋ねをいたします。

 昨年十二月に立ち上げられた例の黒い雨についての検討会、正式には原爆体験者等健康意識調査報告書、早急に早急に結論を出すとおっしゃっていましたので、私はてっきりことしの八・六までにいろいろな議論を終えて結論を出すものと信じておりましたけれども、原爆の日が済んでしまいました。話を聞くと、だんだん議論が拡散をしてきているのじゃないか。学者先生方のさまざまな関心、そういったことによって時間ばかりがたってきているのじゃないか。今度は、委員会の中に小委員会を設けて、いろいろな学術的な検討をしていくという話を聞いた。

 副大臣、六十五年前に起こったことをすべて忠実に証明するなんてことはできないんですよ。去年起こったことでも難しい。六十五年前ですよ。もう既におととしの四月にセシウムが検出された、これが最大の学術的な根拠じゃないかと私たちは考えております。

 いつまでにこの検討会の結論をお出しになるつもりなのか。被爆者の平均年齢は七十七歳になりました。時間との闘いなんです。いつまでたってもだらだらだらだら、研究者の研究のための研究会であっては決してならない。事務局は厚労省に置いてあるわけですから、厚労省がきちっと指導して、いつまでにやってほしいと言えば、私はおのずから時期は明確になってくると信じております。考え方をお示しください。

大塚副大臣 広島の黒い雨の影響がどの地域に及んでいたかということを調査するための黒い雨検討会、通称でございますが、これについては、先生御指摘のとおり、活動が行われている。これまで四回開催されております。

 そういう中で、検討会の中で、専門家の皆様方から推計方法のあり方、それから拡大を要望された地域における放射線の影響の分析の仕方等について、問題点あるいはさらなる検討点が指摘されたことを受けて、ワーキンググループを設置して検証することで合意をなされたという状況でございます。

 したがいまして、今後、そのワーキンググループにおいてさらなる検討を進めて、できるだけ早く、親会合であるこの黒い雨検討会の結論が得られるように努力をしてまいりたいと思います。(河井委員「いつまでというのは」と呼ぶ)できるだけ早く、努力をさせていただきたいと思います。

河井委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、何回聞いても、できるだけ早く、できるだけ早くということになっていまして、どんどん逆に議論は拡散して、委員会の下に小委員会が設けられていく。私は時間稼ぎだというふうに断じざるを得ないと思います。

 中山政務官にはお出ましいただきましたのに、機会を逸しました。大変申しわけなく思っております。

 以上で終わります。ありがとうございます。

川内委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 細野大臣が就任されて初めての質問になります。大臣は、事故収束、そしてこれからの原子力のあり方、日本の未来に大きく関与する原子力の未来ということについての担当大臣です。ある意味では、日本のこれからの行く末を決める重要な立場かと思います。どうか、国民の健康、安心、そして国益という観点に立って、世論に付和雷同というような政治家ではなく、将来を嘱望されている、大政治家を嘱望されている方ですから、しっかり頑張っていただきたいとまず最初にエールを送らせていただきます。

 それでは、きょうは、先日、大臣が出されたこれからの原子力安全規制行政、原子力行政を中心に質問をさせていただきます。

 この原子力の行政をこれからどうするかということにつきましては、実は五月十八日に菅総理が記者会見をして、このように述べておられます。原子力行政全般に関して、長年の原子力行政のあり方を根本的に見直さなければならなくなると思っております、そういった意味で、近くスタートする今回の事故の調査委員会においては、この長年の原子力行政のあり方そのものも十分に検討していただき、その根本的な改革の方向性を見出していきたいと考えております。これは菅総理の五月十八日の発言でございます。

 この事故調査・検証委員会が年内に中間取りまとめを行うということは、そのとき総理も御存じだったはずでございます。ということは、総理は、じっくり検討をし、そしてこの検証委員会が出してきた、どこに問題点があったかということも含めて次の原子力行政のあり方を考える、このようにおっしゃったわけですが、現在、これは六月二日以降、心変わりされたのかな、とにかく急いでいらっしゃる。脱原発路線にしてもそうでございます。そして、この原子力行政見直しにしても、とにかく、ある意味では、退陣を表明された総理大臣が遠い将来の手足を縛るようなことまでおっしゃっている。

 何かおかしい、私はこのように感じます。もっと端的に言うと、延命の道具としてこの原子力行政の見直しも使われているのではないか、このようにも思うところですが、細野大臣の見解を伺います。

細野国務大臣 確かに御指摘のとおり、事故調査委員会の方でも、組織のあり方についてはさまざまな議論が恐らくこれから行われるだろうというふうに考えております。ただ一方で、事故調査委員会はまず事実の確定からいろいろしていかなければなりませんので、その調査が終わった段階で、そうした専門のグループを立ち上げて方向性を出すというふうに聞いておりまして、そうしますと、早くてことしの年末に中間報告的なものが出るということになるわけですね。

 総理から私が大臣を拝命いたしたときは、やはりこれを急ぎたいという話がございました。十二月から議論を始めるということになりますと、実際に新しい規制機関がスタートするのは、再来年とかそういう時間軸になりますので、むしろ早くやるべきだというお考えに、少なくとも私が総理から大臣を任命されるときにはなっておられました。

 恐らく、これは私の思いでございますけれども、IAEAの閣僚会議などを通じて、やはりこのことの切迫性についての理解を総理自身が持たれるようになったということがあるのではないかと思います。規制機関のあり方について問題があったということを、日本もIAEAの方に報告しておりますが、IAEAからもそのことが示されております。九月には、今度はIAEAの総会がありますので、その場所で一定の方向性をやはり出すべきだ、これも一つの国際責任だと考えます。

 そういった総合的な状況を勘案して、私が大臣に任命された時点で、できるだけこれについては早期に青写真を示すように、そういう御指示があったということでございます。

斉藤(鉄)委員 この問題、もっと言いたいこともありますが、このことだけ議論しておりますと肝心な議論ができなくなりますのでこの辺にしておきますけれども、総理のいろいろな原子力についての態度の変遷を考えると、今回の原子力安全行政の見直し、そういう疑念も持たざるを得ない。

 しかし、そういうことと関係なく、これは本当に日本のこれからの重要な課題ですので、先ほど大臣がおっしゃったスピード感も大事というのも理解できるんです。そういう意味で、しっかり議論をして、ただ、先週金曜日に試案を出して今週中には閣議決定をしてというのは、いかにも早過ぎるのではないか、もう少し議論があってもいいのではないか、こういう感じを持っていることだけ一言つけ加えさせていただきます。

 それでは、具体的な質問に入ります。

 まず、試案に、基本的な考え方ということで五つ丸がついておりました。そのうち三つについて、まず最初に確認しておきたいと思います。

 一つは、各省庁に分離されている規制機関を一つところに集める、統合するという考え方でございます。これは必ず、省庁間の権益のぶつかり合いが最大の障壁となると思いますが、各省庁の植民地人事にならないように独立性を高める云々も含めまして、この障壁をどう乗り越えていこうとされているのか、まずお伺いします。

細野国務大臣 試案の中で二つ目に掲げさせていただいたのが、原子力規制についての専門家をできるだけ一元化していく、こういう考え方でございました。

 私も一番懸念をしておりますのは、結局、新しい組織をつくっても、そこが各省の寄せ集めで、常に本国を見ながら原子力について考えるということであれば意味はない。このことについては非常に危機感がございます。

 そこで、当初はある程度既存の組織から集めざるを得ないわけでございますが、一定職以上の役職についてはノーリターンルール、すなわち、もとの役所に戻らないというルールを確立すること、これは重要だと思っております。

 もう一つは、やはり組織の求心力を高めて安全文化をしっかりと根づかせるためには、独自の新規採用というのは極めて重要です。スタートした段階で、できるだけ早い段階で独自に採用して、その組織自体で人を育てていく、このもう一つの条件をしっかりと確保していかない限り、今、斉藤委員が御指摘をされたような懸念が残ると考えております。

斉藤(鉄)委員 我々公明党も、マニフェストの中では、そういう独立性を高めるためにも三条委員会がいいということを提案しておりますが、これは、また後ほどもう一度詳しく説明させていただきます。

 それから、基本原則の四番目に人ということが載っておりました。

 これまでの人事は、役所の中のたらい回しというふうに言われていたわけでございます。しかし、これからは、原子炉主任技術者、また核燃料取扱主任者とか放射線取扱主任者、そういう資格を持った、高度な専門性を持った人が高い自覚のもとに行うということが必要になってくると思いますが、このような人材養成、確保をどう考えているか、お伺いします。

細野国務大臣 斉藤委員は、まさに原子力の専門家でもおられますし、そういった分野が今どうなっているのかよく御存じの上で質問されていると承知をしておりますので、若干釈迦に説法みたいなところがあるかもしれませんが、かつては、原子力というのは人材が集まった時期があって、例えば大学の中でも人気学科だったわけですね。ところが、ここしばらくはなかなかそうならなくて、人がなかなか育ちにくいということが言われてまいりました。ここ数年、原子力ルネサンスみたいな話が出てきて少し戻りかけていたところに今回の事故ですので、恐らくこれからは、根本的に原子力の専門家は枯渇をしてくるだろうというふうに考えます。

 したがいまして、そこをどう人材を確保していくのかということは、学生の学科の部分からある程度考えなければならない可能性がありますし、また、例えば学卒や大学院卒の学生を採った後、新しい組織で人をどう育てていくか、このことにも真剣に着手をしなければならないと考えております。

 これは、それこそ原発に関して比較的厳しい立場をとられている方にとっても、それこそ徐々に減らすにしても、例えば東京電力の福島第一原子力発電所を廃炉に持っていくまでの人材が必要です。さらには、今動いている原発の安全を厳しく確保していく必要がありますので、その両面から非常に重要であると思っております。

 そこで、今回、試案の中で、国際原子力安全研修院というのをこの組織のもとにつくろうというのは、まさに組織としての人材育成に努めなければならない、そういう問題意識を持って出させていただきました。

斉藤(鉄)委員 この問題も後でもう少し詳しく質問をさせていただきます。

 それから、今回の案で、ある意味では私も一番あらっと思いましたのは、危機管理を重要な基本理念としていることでございます。

 これはわかります。今回、原子力安全委員会や規制機関が事故の対応に失敗したということは厳然たる事実でございます。したがって、この危機管理をこれから規制機関の大きな仕事にするということはわかるんですが、しかし、原子力安全規制は平常業務も非常に大切です。

 そういう意味では、これは全体を読んだ私の感じですけれども、危機管理に重点が行き過ぎている。そのことはいいんですが、平常時が果たして大丈夫なのかなということで、この平常時と緊急時のバランスというのは、大臣の頭の中で整理がついているんでしょうか。

細野国務大臣 そこは、この組織をつくる際に一番大事なところであろうと思っております。

 三月十一日以降、私が一番問題意識として持ちましたのは、残念ながら、原子力の安全部門がさまざまな非常事態に対して備えができていなかったということです。その問題意識が非常に強くございまして、少なくとも、そういう機能は新しい規制機関の中には設ける必要があると考えてまいりました。

 それを実現するために、恐らくこの後御議論があると思いますけれども、民主党が従来、三条委員会という委員会形式を主張しておったわけでございますが、現実にこの危機に直面をして、やはりさまざまなことについて責任を持って判断をし、迅速に意思決定をしていくという意味で、行政庁の方が望ましいだろうと判断をしたわけでございます。

 またあわせて、例えばIAEAであるとか諸外国の方から今非常に大きな関心を持って見られているのが核セキュリティーであります。今回は自然災害であったわけですけれども、原発というのが、電源や水源にある程度ダメージを与えた場合にどれぐらい社会に混乱をもたらすかというのを、図らずも証明してしまったわけですね。

 ですから、万が一にもテロリストにねらわれて同じような混乱があってはなりませんので、そういった備えも含めてやるべしという声が、実は、この原発の事故を受けて、かなり原子力の世界や国際社会に広がっております。ですから、そこは必須の条件としてしっかり備えておかなければならないと考えております。

 しかし片や、平時が非常に重要であるのはもちろんおっしゃるとおりでございまして、常に、原子力について危機管理の動きをすべて組織でするということはあり得なくて、そこは、せいぜい数十人のレベルで常に防災訓練なりセキュリティーの問題をやる。どれぐらいの組織にできるのかというのがあるわけですけれども、残りの数百人は平時の検査業務を常に安定的にやる、そういう組織体系にはしていく必要があると考えております。

 そして、そういう平時において重要なのは、全員が一ところ、一方向に向かってがっと進むだけではなくて、例えば、あらぬ方向に行かないようにセカンドオピニオンが出てくる、そのための自由な発言ができる審議会を確保すること。さらには、民主的な統制という意味で、国会がそれに関与すること。例えば、その八条委員会は、人選については国会同意にするとか、さらには原子力安全委員長がしっかりと国会に報告義務を持つとか、そういう民主的な統制も確保する中で平時の運営を安定的にやっていく。これは極めて重要な問題であると思っておりまして、そのバランスについては私なりにかなり考えた上で今回の案を提示させていただいています。

斉藤(鉄)委員 それから、私、先ほど熊田委員の質問を聞いていて、確かにそうだなと思ったんですけれども、熊田委員の配られた資料の一ページ目の「法の問題」というのがございまして、その最初に「放射線被ばくの防止を直接の法目的としない規制法」という項目があって、確かにそうだなと思ったわけです。

 今回の中で、そういう意味では、法体系そのものをもう一度、例えば炉規法は、確かに放射線被曝の防止を目的としていません。放射線障害防止法という法律が別にありますけれども、これは、どちらかというと原子力の事故対応になっていない法律になっています。そういう意味では、法律体系をきちんと仕上げる。放射性瓦れきについてこれから与野党協議が始まりますけれども、そういうことも含めて、これはちょっと質問通告を、今そこで思いついたものですから、法体系についても大きな見直しをしていく、当然だという答弁になるんでしょうけれども、それについての大臣のお考えをお伺いします。

細野国務大臣 従来の法の枠組みでいうと、電気事業法と炉規制法というのは、これから、さまざまなシビアアクシデントなんかをどう位置づけていくか、さらにはストレステストをどう位置づけていくかということで、改正は不可避だと考えております。

 今、斉藤委員が御指摘をされたのは、その外の部分ですね。放射線全般についてさまざまな法律が、これは一部文部科学省所管の部分も含めてございます。私は、一気にどこまでできるのかというのは議論があるところだと思いますけれども、本来はそういったところまで、事故が起こった場合の影響であるとか、さらには、そうした放射線の状況を踏まえた上で、しっかりとそれをフィードバックして、さまざまな事業者や規制に戻していく部分であるとか、そういう枠組みも含めてトータルに議論をしなければ、本当の意味での根本的な対応にはならないのではないかと考えております。

 第一段階でどこまでできるか、これは確たることは申し上げられませんけれども、来年末ぐらいまでには第二段階としてさまざまな要素を検討したいと思っておりまして、その中でしっかりと方向性を出していくべき課題であろうかと考えております。

斉藤(鉄)委員 人、組織、そして法体系そのものも新しい体制に合致するような、大規模な法律の枠組みの改正も必要になってくると私も思います。

 それでは、ちょっと具体論に入っていきます。

 いわゆる案では、環境省ないしは内閣府の中に原子力安全庁をつくる、当然大臣がつくわけですけれども、民主党マニフェストでは独立性の高い三条委員会ということをうたっておられました。我々も公明党のマニフェストでうたったところでございます。今回は、民主党のマニフェストを無視して行政庁の中につくるこの理由。

 それから、やはりIAEAの中に基本原則がありまして、安全規制については、これはGSRのパート一、二・八というところにあるそうですけれども、他のいかなる政府部門からの独立という原則が書かれているそうでございます。その原則とも反するのではないか。

 やはりある意味では、我々、今党内でも議論しておりますが、例えば環境エネルギー省として、例えば環境省の中に、運転、運用する部門は行政庁の中に置くんだけれども、規制は、やはり三条委員会等、政府から独立性の高いところに置くべきではないかという意見が主流なんですけれども、それら一切合財含めてどういうふうにお考えでしょうか。

細野国務大臣 民主党のマニフェストにというお話が斉藤委員からありましたけれども、正確には民主党の政策集インデックスの中に書かれておりまして、マニフェストは、これは国民との約束でございますが、それを補足するというか二次的な政策集という位置づけになっておるんです。ただ、いずれにしても、民主党の方向性として三条委員会を出していたことは間違いありませんので、今回の案というのは方向性を、そのことについては手段としては異にするという形になってまいります。

 なぜそういうことになったのかというところなんですけれども、これはひとえに、危機管理というものをやり得る組織にしようということで、こういう判断をいたしました。

 私は、今回の事故を通じまして、原子力安全委員会の専門家の皆さんとも随分議論をして、いろいろな示唆をいただいて、日本にいろいろな専門家がいるんだということがわかったという意味ではプラスでしたが、残念ながら、危機管理において合議制の委員会形式がなかなか機能しない、そういう経験もいたしました。

 そこで、例えば危機管理に資するような委員会の形式がないのかどうか、そこも検討いたしました。ただ、我が国の国家行政組織法上の三条委員会、さらには八条組織というのもありますけれども、そういったものをかなり詳細に検討しました結果、さまざまな判断、大きな判断を行うこともできて、また人事についてもある程度しっかりとグリップができる、そういう組織というのは、少なくともこの国家行政組織法上の機関の中ではやはり難しい、そういう判断に至ったわけであります。

 IAEAの方の考え方なんですが、私もそうしたIAEAの考え方があることは承知をしております。

 ただ一方で、この間、私も何度もIAEAの関係者と議論をいたしましたが、それぞれの原子力の安全規制のあり方、組織については、日本以外の国々も独自の体制をとっております。IAEAとして、日本の規制のあり方についても、そこは日本として考えるべきだ、そういう方針を持っているというふうに承知をしておりまして、ですから、日本は日本型の安全規制のあり方を、この事故を踏まえてやるということに関しては理解が十分得られるものと考えております。

    〔委員長退席、津村委員長代理着席〕

斉藤(鉄)委員 ちょっと別な観点からですが、例えば環境省の中に置く。私も環境大臣をさせていただいたときに、原子力を二酸化炭素排出抑制の柱と位置づけまして、原子力を推進しました。環境省の役人の中には、原子力に対して非常に否定的な考え方を持っている人もたくさんいて、随分論争をしましたけれども、しかし、ある意味ではその推進庁ともとられなくもない、そういう立場でございました。この点をどうするのかという問題もございます。

 それから、大臣はころころかわりますので、結局事務方が力を持って、官僚組織として硬直化していってしまう、柔軟性を失ってしまうというような問題もございます。しかし、内閣府においても、同じ問題ではありませんけれども、やはり政治的な独立性というような問題もあろうかと思います。

 そういう意味で、これまで我々も、独立性ということに最も重要性を置いて三条委員会と言ってきたんですが、今回、それよりも危機管理の方が大事なんだ、大臣の先ほどの答弁はそういうことだと思いますけれども、そういう意味で、先ほど申し上げたような反論もあるし、これはかなり議論が必要なんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

細野国務大臣 ある意味、政府からの独立性という面と危機管理というのは、本当に突き詰めていけば、二律背反という部分があるかもしれません。

 ですから、政治的な独立性が言わんとしているところというのは、万々が一にも政治的に、例えば大臣が、それこそ権力を濫用してあらぬ方向に持っていくようなことがあってはならない、さらには政治的にころころ変わるようなことがあってはならないという趣旨だと思うんですが、そこはしっかり守らなければならないと思うんですね。そのための手段として、例えば民主的な統制をうまく使っていくであるとか、そういったことというのはあり得るというふうに思うわけです。

 一方で、危機管理は欠かせないと考えます。もちろん、これから事故を起こさないという危機管理も大事なんですが、残念ながら、東京電力の原発の問題というのは、何年か我が国は原子力について危機的な状況が継続をする、常に緊急事態に備える態勢を維持しなければならないという宿命的な課題を背負うということも意味いたしまして、その間は、常に政治的にだれかが責任を持って判断できるようにしておくというのが極めて重要だと思っておるんです。

 今回、私が経験をしましたのは、平時におけるいろいろな判断は専門家がやるべきだと思います。ですから、大臣がついたとしても、当然その判断を尊重すべきです。ただ、本当に有事のときに責任を持って判断できるのはだれなのか、出てきた結果に対しても責任がとれるのはだれなのかというと、それはやはり政治家なんです。それを私、身をもって体験をしました。ですから、現状においてはやはり、危機管理ということに重きを置いて対応することが、我が国がとるべき今の時期の課題ではないかというふうに考えたわけです。

 環境省についても一言、私の方から率直な、若干感想めいた話になるかもしれませんが申し上げますと、恐らく斉藤大臣の時代あたりから、環境省で原子力に対する理解が随分広がったんだろうと思うわけです。温暖化という問題がありますから、そのためには原子力発電等が必要だというふうにいろいろなところで表明をされているのは承知をしています。

 ただ、私が知る限り、環境省のもともと入っている人たちのオリジナルなDNAは、原子力には極めてネガティブですね。ですから、そこはまだ環境省の中に残っているのではないかと私は思っておりまして、逆に、原子力を推進してきた方々の立場からすると、それを心配する声もあるんですね。環境省なんかに持っていったら原子力がつぶされてしまうんじゃないかと懸念をされる方もいらっしゃるわけですが、私は、逆に、それぐらい厳しく見た方が安全サイドに立っていいのではないかという発想に立ちました。

 ですから、そこはいろいろな考え方があると思いますし、私も環境省の案だけにこだわっているわけではなくて、危機管理という意味では内閣府、そういう考え方もあると思うんですが、私は、環境省というものが原子力の推進サイドに立っているので、経済産業省で持たれているのと同じような懸念が生じるという状況ではないと考えております。

斉藤(鉄)委員 環境省の中は、確かにそういうDNAを持った人たちがたくさんいるというのは私も感じておりまして、だからこそ議論しようということでかなり深い議論をして、お互い机をたたいて別れることもありましたけれども、そういう雰囲気であることは確かです。

 私は、温暖化対策ということが最大の、中期目標を定めるということもございましたし、我々が目指す中期目標は、原子力なしでとても達成できないという強い議論がございましたから、環境省もそういうことになりましたけれども、しかし、もう時間がないからきょうは質問できませんが、二酸化炭素排出抑制との両立、これも非常に重要な問題でして、原子力なしに本当に中期目標を達成できるのかというのは真剣に議論をしなくてはいけません。そのときに、環境省はまさにその責任省庁ですので、果たして、規制ということについて完全に独立した判断ができるかどうかということをもう少し議論しなくてはいけないと思っております。

 新聞報道によると、二論併記になった、何か、官房長官が細野大臣の案に反対して内閣府設置ということを主張されたということですが、それは本当かどうか、また、それぞれにどういう利点、欠点があるとお考えか、時間がないので端的にお願いします。

細野国務大臣 私の中で、内閣府案がいいのか、環境省案がいいのかということについて明確に方針を持っているわけではありませんし、また、枝野官房長官を含めて内閣として一本に絞れているという状況ではありません。むしろ、この両案のいいところ、悪いところをしっかり勘案した上で、最終的な判断を行っていきたいと考えております。

 恐らく、内閣府案の一番いいところは、危機管理、防災対策への親和性だというふうに思います。実際に、さまざまなそういった部門を内閣府の中に持っておりますし、やはり物理的にも、さまざまな総合調整機能を持っているという意味でも、官邸にも近いですから、そこはプラスだというふうに考えています。

 ただ一方で、内閣府に設置をした場合に、独自の人事のマネジメントを本当にやり切れるだろうか、ここを私は一番心配しています。万が一にも、先ほど申し上げたような植民地人事のようなことが行われると、結局は経済産業省のところでいろいろなことが左右されるということになりかねませんから、そういうことがないようなマネジメントを、本当に全く新しい組織を内閣府につくってやり切れるだろうか、この課題が恐らく一番大きいのではないかというふうに思っております。

 あとは、この問題そのものとは離れますけれども、我々も野党時代要求してきたことですので責任の一端があるんですが、橋本行革以降、内閣府というのはだんだん大きくなって、肥大化して、物すごくたくさんの役割を担っているんですね。私も内閣府を所掌しておりますが、随分いろいろなことをやっていて、内閣府というのはいかにあるべきなのかという議論もそろそろ出てきかねないような状況になっていますね。ですから、そこは、一つの行政のあり方としてどういうふうに考えるのかという整理は必要ではないかと思います。

 一方で、環境省ですが、環境省の方のメリットは、やはり原子力に対する厳しい視線がもともとあるというところ。それともう一つは、環境省自体が、温暖化の問題もやっていますが、安全規制をいろいろやっていますので、そういった意味での業務の親和性というものが、すぐには出てこないかもしれないけれども、将来的にはあるのではないかという部分と、あとは、内閣府の方の裏腹となりますが、人事を環境省のもとでマネジメントできるというところはメリットの一つではないかと考えております。

 一方で、弱点は、環境省のもとで危機管理ができるのかどうか。ここは斉藤委員もよく御存じのとおり、環境省というのは比較的そういうことからは距離のある方々が割と多いという感覚は私も持っておりまして、そこは新しい人なりDNAを、そこに危機管理というものをしっかりと植えつけない限り、環境省についてはその懸念は残るだろうと思いますので、課題としては非常に大きなものがあると考えております。

    〔津村委員長代理退席、委員長着席〕

斉藤(鉄)委員 それでは、その人の問題です。

 ノーリターンルールを提唱されておりますけれども、審議官とか局長クラスでノーリターンといいますと、では新しい安全庁のこのポストはおれたちの席というふうに指定席になって、天下りではありませんけれども、そういう権益の一つになってしまうのではないか、こういうふうに思われます。

 このような人事を防ぐためにも、先ほども申し上げましたが、例えば炉主任、原子炉主任技術者、それから核燃料取扱主任者、放射線取扱主任者、これはいずれも難しい国家資格がありますけれども、これらの資格を持った人間でなければ、私は、ある意味で、それだけの専門知識がある人間でなければ責任ある規制、審査等できない、このように思います。

 このような資格を要求する制度を導入する、そうすることによって天下りポストの一つ化することを防ぐというようなことも考えるべきではないかと思いますが、大臣のお考えを伺います。

細野国務大臣 そうした資格があることは私も存じ上げておりますけれども、具体的に、その資格の中身について、どういったもので、どれぐらいの方がそういった資格を持っているのかということについて私自身が十分知識がないものですから、改めてそこは確認をしてみたいと思います。

 斉藤委員おっしゃるとおり、どうしても指定ポストで、ノーリターンルールとはいっても、次の人も同じようなキャリアの人が来るというのは内閣府の中ではよくやられてきた人事でございまして、そういうことがあってはいかぬと思います。ですから、適材適所の人材をしっかりと確保して、そこでやってもらうためには、今御提案があったような、資格を前提とするのは一つの考え方だというふうに思います。

 それだけでは十分できないでしょうから、先ほど申し上げたような、中で人を育てるような仕組み、新規採用の仕組みなども総合的に取り入れることによって、個人のそれぞれの能力に応じて人材をしっかり育てることができる、そういう組織をつくっていかなければならないと考えます。

斉藤(鉄)委員 次に、これまでの安全規制等を支えてきた下部組織といいましょうか支援組織の統合についてお伺いしたいと思います。

 規制側としては、経済産業省の原子力安全・保安院、それから文部科学省の科学技術政策局の中の原子力安全課、文科省の研究開発局の中の核不拡散・保障措置室、それから原子力安全委員会、放射線審議会等がございます。そして、それぞれに外郭として支援機関があります。原子力安全基盤機構、日本原子力研究開発機構、それから原子力安全技術センター、放射線医学総合研究所などなど、もっとたくさんございます。

 先ほど、最初に申し上げましたけれども、基本理念として、規制庁を一元化する、先ほど申し上げたような役所を一つにするということだと思います。それについてはかたい決意を先ほど聞いたわけですけれども、これら独法や財団等の外郭団体についても一元化して、その支援のあり方等、機能強化をするということが必要かと思いますが、これについてはいかがでしょうか。

細野国務大臣 基本的な方向性としては、斉藤委員がおっしゃるとおりだというふうに思っております。とにかく、これだけの事故が起きたわけですから、オール・ジャパンで安全を確保することは極めて重要だというふうに考えます。

 今回の試案で提示をさせていただいたのは、原子力の専門部門でいうならば、原子力安全委員会、そして原子力委員会の核セキュリティーの部門を内閣府から統合いたします。また、保安院は当然として、文部科学省の中でも、試験研究炉のところであるとか、あとは核燃料物質の使用のところ、さらには、先ほどここでも議論がありました環境モニタリングやSPEEDIの部門、そこは統合したいと考えております。さらには、国交省にも船舶用の原子炉を扱っている規制、これも持っておりますから、これも統合いたします。

 その先をどこまでどうするのかというのは、これは来年いっぱいぐらいをかけて議論をしていきたいと考えておりまして、先ほど御指摘があったような日本原子力研究開発機構、ここも原子力の専門家、人材が非常に豊富でありまして、福島でも今非常に大きな役割を担っています。放医研も、放射線についての幅広い検討をしております。

 そういった中で、例えば、新しい規制機関の中で人を育てるためには、どういった機能に協力をいただくべきなのか。さらには、いろいろな役割も担って統合ということになるのか。そこはまさに議論が必要なところだというふうに思っておりまして、今回の試案の中ではすべて結論を出すには至っておりませんので、来年いっぱいぐらいをかけて議論をして方向性を出していきたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 非常に優秀な方々が支援機関の中にたくさんいらっしゃいます。そういうところにまた若い優秀な人々が集まってくるような体制も考えなくてはいけない。それは、また次回質問をいたします。

 最後に、新しい規制機関と地方自治体との関係でございます。

 環境放射線モニタリングの計画立案、調整を新規制機関は実施することになっておりますけれども、それを、地方との連絡調整の上で、地方に行ってもらうということなんだと思います。したがいまして、環境放射線モニタリングを原子炉等規制法に取り込みまして、新規制機関の責務として、法定受託事務として都道府県が実施する。

 これは、現在の公害防止と同じ考え方でございますけれども、このように、都道府県が県民を守る立場を炉規制法、炉規法の中にきちんと法定化して、そして新規制機関として連携して、安全の確保の万全を期すことが可能とすべきではないか。今までの規制というと、地方自治体との関係はある意味で全くありませんでしたけれども、この連携を法定化してしっかりさせるということも重要な視点ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

細野国務大臣 地方との連携を強化するという視点、さらには、環境モニタリングをもう少し法律にしっかり位置づけるべきであるという御指摘、いずれも大変ごもっともだと考えております。

 その中で、いわゆる炉規制法というのは、これまでは事業者を規制してきた、そういう法律でございまして、その中に環境モニタリングを位置づけるべきかどうかというのは、少し法律的な整理が必要ではないかと考えております。場合によっては、例えば原災法の方、災害対策の方にモニタリングを位置づけて、そして国が責任を持ってやるという体制を整え、その中で、地方自治体との関係を整理していくというのも一つの考え方としてはあり得るのではないかというふうに思っております。

 非常に有益な、私にとっても、それこそ目を開かれるような御提案をいただきましたので、そういったことを含めて、できるだけ早く、私としては準備室を立ち上げたいと思っておりまして、その中で個別の法律についてもさまざまな調整ができれば、非常にこれは前向きな形になるのではないかというふうに考えております。

 貴重な御指摘、ありがとうございました。

斉藤(鉄)委員 質問を終わりますけれども、国民から信頼される原子力行政にするということが、我々日本人、いましばらく原子力とつき合っていかなくては日本がもたないと思います。そういう意味では、今後の国のあり方を決める大変重要な議論になりますので、我々もしっかり提言をしていきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

川内委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 最初に、政府参考人に伺っておきますが、原子力の安全に関する条約において、推進機関と規制機関のあり方についてどのように規定されているかを伺っておきます。

宮川政府参考人 原子力安全条約八条の二の御説明をさせていただきます。

 原子力安全条約八条の二は、規制機関の任務と利用、促進機関の任務との間の効果的な分離を確保するために、適当な措置をとることを締約国に義務づけております。

 本条項は、両組織の間の任務、ファンクションズの効果的な分離を確保するために、適当な措置をとることを義務づけてはおりますけれども、組織を分離することを義務づけているわけではございません。

吉井委員 要するに、この条約で、今答弁にありましたように、八条二項で規制機関と推進機関の分離というのをもともと定めていたんですよ。ところが、そうはなっていなかった。

 推進機関である資源エネルギー庁の中に、規制機関である原子力安全・保安院を置いていたというこの問題が、あちこちの説明会でやらせ問題とかいろいろ出てきましたけれども、資源エネルギー庁が契約して説明会をやっているのに、そこへ規制機関の人がのこのこ出ていってやったり、あるいは発言を組織するというふうなことをやるから、おかしくなったんですよね。

 ですから、私、大臣にここで伺っておきたいのは、これまでの推進機関と規制機関の分離というものは、国際条約の立場からしても、本来、政府としてそこをしっかりしておかなきゃいけなかったのをやっていなかった、このことについては誤りであったということを認めて、今回、体制がえを考えていらっしゃるようですが、そこをきちんとする、これが大事だと思うんですが、伺います。

細野国務大臣 国際的なさまざまな要請ももちろんあったというふうに承知をしておりますし、何よりも国民に対して、こういう利用推進と規制を混然一体としてやっていたことを反省して、そこは出直しが必要であると考えております。

 したがいまして、新しい安全機関のあり方については、これは第一の原則として、明確にその二つを分けるということを提示させていただいております。

吉井委員 次に、私ちょっと見ておきたいのは、これまでの原発政策の推進のための安全性の強調に、推進機関である資源エネルギー庁は、推進ですからそれはわかるんですが、原発推進の団体であった日本生産性本部などと事実上の随意契約を結んでシンポジウムとか説明会を行ってきました。さっきも言ったように、そこに規制機関であるはずのところが出ていって原発推進のキャンペーンに参加する、そこが非常におかしいところであったというふうに思うわけです。

 これは国際条約上もおかしいんですが、実は、二〇〇二年八月二十二日に発表された民主党のエネルギー基本政策というのを読ませていただいております。この四の「原子力の平和利用」という中の第一項目に「原子力安全規制委員会の設置」と。

 ですから、多分、今度お考えのものは、原子力安全規制委員会の設置を念頭に置いたものではないかというふうに思うんですが、ここでは、三条機関の原子力安全規制委員会への改組として、機能と権限の強化を図り、独立性を確保する。そこでイメージされたのは三条機関で、公正取引委員会のような形のものを多分考えられたと思うんですが、一元化による安全チェック機能の強化充実を図ります、幅広い人材を集めますということで言ってこられたわけです。

 今検討中というものについて、この二〇〇二年の基本政策との関係でどういうふうに整理しておられるのかを伺っておきたいと思います。

細野国務大臣 その二〇〇二年のころから何度か、民主党では、原子力安全規制委員会、アメリカのNRCをよくモデルに使っておりまして、日本版NRCというふうに略称で言っていたこともありました。そのことについては、提案をさせていただいておりまして、私もその経緯はよくよく存じておりますから、一つの議論のスタートという形ではしております。

 ただ一方で、今回の東京電力の福島原発の事故を経験して、やはり危機管理ということを考えたときに、既存の委員会すべて検討いたしましたけれども、例えば、さまざまな政治的な難しい判断をしていかなければならない、そういった場面において機能するような委員会というのは、なかなかつくりにくいという面がございました。

 そこで、当面の間は、特に福島の問題もありますし、また、再発防止に向けてしっかりとした組織をつくっていかなければなりませんので、それをやる上で、行政庁とすることが我が国においては必要ではないかということで、従来のことはしっかりと考えた上で、つけ加えますと、規制と利用の分離というのは、その考え方をそのまま踏襲しております。その原則を確立した上で、組織のあり方としては、委員会よりはむしろ行政庁の方が危機管理に資するのではないかということで、この案を提示させていただいております。

吉井委員 いろいろ検討中の段階ですから、まだこれからもお考えになるんでしょうけれども、諸外国の例でも、いわば危機管理庁に相当するもの、名前は国によってさまざまであるにしても、それはそれでまた別にあるわけで、要するに、原発そのものを政策的に推進する官庁と、これに対してきちんと規制する委員会、これは二〇〇二年には原子力安全規制委員会という三条委員会で考えていらっしゃったわけで、その考え方というのは、別に今おかしくなったというものじゃないと思うんですよね。規制委員会というのは、あって、それでいいわけです。

 問題は、保安院を資源エネルギー庁から分離する、それから、原子力安全委員会及びその事務局をどういうふうにしていくのかという問題があります。それから、人の面で、もとの経産省に一定期間が来たらまた戻るようなことは絶対ないように遮断をしてしまう。あるいは、技術屋さんなどでよくある任期つき採用で来ている人たち、それは外郭団体含めてありますけれども、一定の期間が来たらもとの企業にまた戻ったりすると、JNESにしろ何にしろ、原子力の規制をやっているところで仕事をした人が今度また規制を受ける側の企業に戻ったのでは、これは余りにもひどいなれ合いになりますから、やはりそこを人的にどうきちんとするか。

 それからさらには、こういう規制機関といえどもやはり人材が大事ですから、「もんじゅ」のような新しいタイプの原発を推進しようという開発機関とは分離した形で、もともとあった原子力研究所のようなところで、将来的には消滅技術とか廃炉技術とか、ずっと研究者としてのモチベーションを持って頑張ってもらわないとうまくいかないわけですから、そういう研究所を、附置研究機関ですね、附属設置のそういう機関として人的にもきちんとした体制をとるということをやらないと、これはなかなか、原子力安全規制委員会、最初考えておられたようなものにはなっていきにくいし、まして、それがあいまいなまま何か危機管理庁的なものにひっくるめてやってしまうとぐちゃぐちゃになりますから、そこをどういうふうに整理して考えておられるか、伺っておきたいと思います。

細野国務大臣 吉井委員が御指摘をされました、しっかりと人を育てるという面と、間違っても、利用側もしくは事業者となれ合いになっているのではないかという懸念が持たれないような人事のあり方というのは、非常に重要であると考えております。

 なかなか悩ましいのは、そうはいっても、原子力の人材というのは極めて限られておりまして、全くゼロから素人を雇ってそこで育てるというわけにいきませんので、当初は、人材を、例えば既存の原子力の安全機関であるとか、もしくは、場合によっては民間の技術者であるとか、そういったところから持ってこなければならないという可能性はあると思っています。ただ、そこが、それこそすぐ戻ってしまって、なあなあになるということはあってはならないので、入ってきた人については、できるだけそこの職場を魅力的にしてレベルアップを図っていく、これが重要です。

 ですから、人材をどう安定的に確保するのかということと、どう育てていくのか、このあたりは、私は、国の組織の中としては、ノーリターンルールをある程度しっかりしていくということで解決できるのではないかというふうに思っているんですが、民間と規制機関との間のあり方というのはなかなか悩ましいところがあるな、そんなふうに感じております。

 いずれにしても、とにかくレベルの高い人を中に育てなければなりませんので、私の試案の中では国際原子力安全研修院、こういう形で提示をさせていただきましたが、御指摘のとおり、旧原研にも非常に充実をした研究機関としての能力や人がおりますし、そのほかにもさまざまな蓄積が既に我が国にありますから、そういったものをできるだけ有効に活用して、人を育てられるような組織をつくることは非常に重要であると考えております。

吉井委員 いずれにしろ、規制機関というのは技術者集団も抱えていないと、昔は勉強したんだけれどもその後お役人でずっと来たという人じゃやはりうまくないわけで、現役の研究者であることもまた非常に大事な役割を果たしますから、そこはしっかり考えた上で、しっかりした規制機関を持つということが必要だというふうに言っておきたいと思うんです。

 ところで、規制機関とともに、これまでの原発安全神話を一掃するということが非常に大事だと思うんです。

 この点では、原子力基本法が制定されてから、国が国民向けに行ってきた原子力に関する広報の事業費は総額幾らになるのか、これを最初に伺っておきます。

泉政府参考人 原子力基本法制定以来という数字は持ち合わせてございませんけれども、過去六カ年間における原子力に関する国の広聴、広報に関する予算として、私どもが、原子力委員会の原子力関係経費の把握、集計等を通じて押さえております数字は、二〇〇六年度から二〇一一年度までで約三百九十四億円、年間平均だと六十六億円ということになるところでございます。

吉井委員 お手元に配らせていただきました資料をごらんいただきたいんです。

 まず、資料の一番上の方を見ていただきたいんですが、一九七九年から八〇年にかけて、国の原子力に関する広報予算が大体二倍になっているわけですね。経産省を見ても、非常にわかりやすい、二倍以上なんですが、まず、なぜ二倍にふえているのか、経産省に最初にその理由をお聞かせいただきたいと思います。

横尾政府参考人 経済産業省の原子力関連の広報予算でございますが、かつては原子力というくくりをしておりませんでしたので、この資料にありますとおり、全体のエネルギー広報予算の内数で見ておりまして、原子力について特定しておりますのはここ数年、先ほど御答弁ありました二〇〇〇年以降でございます。

 したがって、このとおりすべて原子力に使われているかどうかというのはございませんが、原子力の重要性について、及びこれらの安全を含め重要性、それから安全についての広報の必要性が増したということで、予算はあるところまでふやして、その後減額をしてきたという歴史でございます。

吉井委員 実は、一九七九年の三月二十八日にスリーマイル島原発事故があったんですね。事故があると予算がふえる。事故があっても、安全だ、安全だという宣伝でやったわけです。経産省所管分で十二億から二十八億円、約二・三倍にふえているんですが、文科省分でも約四倍とか、内閣府所管分でもそれぞれふえているわけです。

 さらに、一九八九年から広報予算が、八六年に比べて二倍以上になっているんですが、中でも、文部科学省関係では七倍近くになっているんですね。なぜこれだけふえたのかを今度は文部科学省の方に伺っておきます。

田中政府参考人 先生御指摘のとおり、一九八八年、八九年ということで、文部科学省の広報、広聴予算というのは大幅に伸びてございます。

 この理由は、やはりその当時、原子力発電所の事故、伊方というものがあって、原子力の安全性あるいは原子力そのものということについて広く御理解をいただく重要性が高まったものというふうに考えてございます。

吉井委員 伊方のお話があったんですが、本当は、一九八六年四月二十六日のチェルノブイリ原発事故があって、それで、経産省所管分でいえば、八九年以降は、二十二億だったものが八九年で四十一億で、九六年には百三十八億、二倍から六倍ぐらいにふえている。これは、文科省も内閣府も同様です。

 そこで、細野大臣に伺っておきたいんですが、大きな事故が起こるたびに原発広報費が急増して、原発の持つ危険から国民の安全を守るということを頭に置いたことに使わないで、チェルノブイリがあっても安全です、この原発安全神話を一生懸命やっている間に、いつの間にか規制機関の方たちの頭の中まで安全神話に侵されてしまう、こういうふうになってしまったのは、事実の問題としてあると思いますし、これはやはり改めなきゃならぬじゃないですか。

細野国務大臣 この数字を拝見して、改めて、こうした数字の動きというのは決して健全な動きではないというふうに思います。

 私も、かつて電源特会の広報予算を国会でかなり取り上げたことがございまして、もともと、問題を内包していることはよくわかっておりました。

 その一つの大きな原因は、ここでは経済産業省というくくりになっていますが、これはエネ庁と保安院が混然一体と広報予算をやっているわけですね。ですから、まさにここに象徴的にあらわれていて、安全サイドは安全サイドに立ったしっかりとした業務をやられていなかった、そういう象徴ではないかと考えます。

 ですから、原子力政策大綱の中でも、原子力についての広報のあり方は議論の中身になるわけですが、そこは、根本的な考え方の転換と広報体制のあり方、中身も含めて、白地から絵をかき直さないといかぬというふうに思います。

 問題点として非常に明確に御指摘をいただきましたので、吉井委員の御指摘を踏まえて、政府としてしっかりと取り組んでまいります。

吉井委員 この資料を見ていても非常にはっきりしているんですが、二〇〇六年から二〇一一年の六年間の原子力関係で使われた政府全体の広聴、広報予算、これは経産省関係で二百二十八億円を超え、文部科学省が「もんじゅ」関連で百五十九億円超、内閣府で五億円超、合計三百九十三億六千四百万円ということになるわけです。

 いただいている資料でよく整理して出すと、経産省が提出した資料には原子力安全・保安院の予算が入っていなかったのでこれを加えたんですが、文科省が提出した資料には原子力研究開発機構の予算が入っていなかったので、それもそれぞれ加えました。内閣府の資料には、原子力委員会のうち広報予算とは考えにくい予算があったので、これを削って整理をしたものなんです。

 この六年間の平均では、原子力に関する広報、すなわち原発安全神話の宣伝に使われたのが年間約六十五億六千万円になるということで間違いないと思うんですが、この数字を政府参考人にしておいて、こうした原発安全神話に年間六十五億を超えるものが使われてきたという異常なあり方は、細野大臣、くどいようですが、これはやはり根本的に改めていく必要があるということを政府参考人の後御答弁いただいて、時間が迫ってまいりましたので、終わりたいと思います。

川内委員長 さっき、六年間のトータルの数字を答えているので、平均で間違いないかということを、間違いないと言っていただければ。

泉政府参考人 原子力の広聴関係予算の数字につきましては、御指摘のとおりでございます。違いございません。

細野国務大臣 予算の金額、さらには中身、すべての面で全く白紙から、原子力については広報のあり方、国民への伝え方、それを考え直していかなければならないと考えます。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

川内委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 大臣、そして委員長初め各委員の皆様も、長時間の御審議、大変お疲れさまです。あと私のみですので、よろしくお願いしたいと思います。

 きょう各委員の御質疑を承りますと、次なる保安院あるいは安全規制のあり方などについての御質疑が多かったと思いますが、私は、やはり今回起きていることについて、もう少し国民に明らかにする必要がある、とりわけその全体像を明らかにすべきであるという観点で、冒頭、細野大臣にお伺いいたします。

 実は私は同じ質問を三度しているのですが、今回の福島第一原発事故の大きさ、一体どれほどの放射性物質をどの範囲でまき散らしているのか、このことについてまだ明確な御答弁を一度もいただいたことがございません。

 かく申しますのは、厚生労働委員会の参考人で児玉龍彦先生に来ていただきまして、それが今大変インターネットでも国民の間に広く話題を呼んでおります。

 その大きな理由は、例えば、ちょうどことしは広島、長崎から六十六年たっておりますが、セシウムというのはウラン235が分裂しないと出てまいりませんけれども、ウランの量に換算すると広島の原爆二十個分、そして熱量換算で申しますと二十九・五個分、さらに今回の原発事故でまき散らかされたセシウムの減衰、要するに減少していくスピードは、これは原爆とは破格に違って、一年で十分の一くらいにしかならない、粒子の性状が違うために起こす被害が違うと。

 これらを一体何が起きたのかということで国民に語ったということにおいて、児玉龍彦さんの御発言は大変国民に受けとめられているんだと思うんですね。

 私は、こうしたメッセージを、まず政府みずからが一体何が起こったのだということを明確にしないと、次々起きてくる事象にモグラたたきのような対策をするのが政治ではないと思います。

 大臣はこういう観点で、一体どのくらいの放射性物質がまき散らかされて、範囲はどこに及ぶのか、このことについてまず国民に伝えるとすれば、どんな言葉で伝えられますか。

細野国務大臣 児玉先生の御発言は、いろいろなところで最近お話をされていますので、私も承知をしておりまして、そうした御意見を踏まえて、しっかり対応しなければならないと思っております。

 政府が現段階で把握をしております東京電力の福島第一原子力発電所から放出をされた放射性物質の総量でございますが、七十七万テラベクレル、これは保安院の数字として出しております。これは放出源のさまざまな分析をして、推定をしたものであります。

 一方で、国民の側から見ると、国民の皆さんから見ると、それが出てきたことによってどういう飛散があったのかという、ここがやはり最大の関心事ではないかというふうに考えておりまして、資料を阿部委員の方からもお配りいただいておりますけれども、これは栃木県のものですね。広域のこうしたモニタリングをできるだけ幅広くやろうということで、こうした努力をし、どこにどういった形での飛散が広がっていくのかということについて、できるだけ的確な情報を国民の皆さんにお知らせする中で、できる限り正確な状況をお伝えしてまいりたいということでございます。

阿部委員 細野大臣に伺いますが、では、細野さん、七十七万テラベクレルと言われて、わかるかしら、実感できるかしら、これが問題なんだと思います。それに比べて、例えば、同じウラン235、原爆二十個分だと言われたら、それはそれほどのことかと覚悟が定まるわけです。

 あと、これはもう一九八二年にジョセフ・ロートブラットという方が、原爆と原発で、粒子の違いによって飛散の違いと減衰、さっき申しました減少していくスピードが違うと。私はさっき一年でと申しましたが、一カ月で十分の一なのと、原爆だと一カ月で千分の一とか、そういうことも物理学者で言われているんですね。

 そうすると、私は、どのくらいのものを放散したか、そしてそれはどうすれば、例えば減るスピードが遅いものなら逆に早く除染して早く健全な姿に戻さないと、自然に放置したらだめなんだということがわかると思うんです。

 ぜひもう一度、せっかく大臣になられたんですから、そして未曾有のことなんだと思います。確かに我が国は、広島、長崎という悲しい出来事を抱えてしまいました。でも、それにまさるとも劣らない過酷なことをこれから覚悟して臨んでいくのであれば、そのとき、大臣からのメッセージは非常に大きなものとなると思いますので、ぜひ、また私が何度も聞きますので、お願いしたいと思います。

 引き続いて、先ほど河井委員と文部科学省のやりとりを聞いておりましたので、本来は、今大臣もおっしゃいました栃木県の汚染マップを示して、どのくらいのスピードで栃木以外の、例えば東日本等々は、これから先、年内にはかるんですか、いつまでにはかるんですかということをお伺いしようと思いましたが、重なりになりますので、あえて違う角度からお伺いいたします。

 私は、先ほどの河井委員と皆さんのやりとりを聞いていて、果たして日本は、もし核テロなんかが起こったら、どこにどれだけばらまかれたかもすぐ調査できない国じゃないかと、かえって不安を持ちました。もちろん、当初から米軍の器材を借りて測定していることは知っていました。でも、そういう航空からとるモニタリングは、先ほどのお話では原子力安全技術センターにもあるし、本来は防衛省にあってしかるべきだと思います。

 だって、核テロというのは、放射性物質が散らばされることによる攻撃なんですよ。これをもし防衛省が持たないとしたら、私はそこを先ほど確認できませんでしたので、細野さんにお伺いしますが、そうすれば、少なくとも国内にも原子力安全技術センターと防衛省と二基。そして、栃木県のヘリと連動して、栃木のヘリに米軍のを積んだんですね。各地は、ヘリは持っていますよ、でも器材がないわけでしょう。

 一体、政府として、防衛省は持っているのか、いないのか、そのことをどう受けとめているのか。今現在、もちろん稼働は十六基ですけれども、使用済み核燃料棒も含めて、たくさん日本全国にあるわけですよ。そのことがねらわれない保証など、本当に残念だけれども、ないんですね。そうしたときに、住民に早く知らせなきゃいけない、放散、拡散したものを。その体制がないと言われたに等しいと思いますが、どうですか。

細野国務大臣 いろいろな意味で問題を抱えていたというふうに思います。

 航空モニタリングなんですけれども、これをやり切るためには、ハード面でのさまざまな準備も必要ですが、一方でソフト面での仕組みというのも極めて重要でして、トータルな意味での力が必要となってまいります。その意味で、日本が十分な準備ができていなくて、こうした形で全体の姿をお示しするのがおくれたことは非常に大きな反省が必要だと考えております。

 これからそういった役割をどこが担うかなんですが、私は、原子力という特殊性を考えれば、原子力の安全機関が一元的に担うべきではないかと考えております。核セキュリティーという意味では、当然、万が一のことがあった場合には自衛隊が大きな役割を担うわけですが、そこは専門家集団としてのしっかりとした準備が必要でありますので、コントロールタワーは原子力の安全機関が担う、いざというときにさまざまな取り組みについてはそれこそ自衛隊に動いてもらう、そういう役割分担が恐らく望ましいのではないかというふうに考えます。

阿部委員 ハードとソフトとおっしゃいましたけれども、でも器材がないんですよね。そのことに唖然とされませんか。

 私はアメリカのNRCに行きましたという話を何度もしますが、彼らの戦略目標は、一つは公衆、一般の人たちの健康を守る、環境を守る、これが一、二が核物質の拡散に備える、この二つですよ。私たちは現在でも原発を持っているんですから、そのことの体制に、組織いじりより以前に、まずはかれる体制をつくれば、それを人は活用できます。でも、今のようにそっちをどうするかという話ばかりしていて、即座に間に合わないことにしたら、これは我が国を危険に陥れることだと思います。

 我が国の自衛隊を十分シビリアンコントロールして、そして今回の被災でもそうでした、活躍していただけるだけの人材を持っているということを政府としては強く受けとめて、まず国民を守ってこそ政府であります。早急な御検討をよろしくお願いしたいと思います。

細野国務大臣 しっかりやります。新しい組織は組織で誕生させて、そこでもやりますけれども、それまでにさまざまな、それこそ備えやモニタリングの体制が整わないでは話になりませんから、並行してやってまいりたいと思います。

阿部委員 引き続いて、子供たちの問題に行かせていただきます。

 きょう皆さんのお手元に栃木県のモニタリングをお出ししたのは、実はここで見ていただきますと、那須塩原とか日光は、六万ベクレルから十万ベクレルのセシウムの134と137がたまってしまった。六万から十万の134と137、半々に割って、137でも三万から五万近くあるわけですね。

 果たしてこの値は、実は大臣も御存じでしょう。私たちもそうでしたが、みんな子供たちは日光に修学旅行に行くんですね。それで、今親御さんたちの間で、これが発表されてから何が起こっているかというと、では、子供を日光に修学旅行にやるということは、そこはもしかして、五万ベクレル、今みんなは、牛の汚染でベクレルも有名になりましたから、土壌はそのくらい汚れているかもしれないところに子供を送ることになるのかと不安なわけです。森もありますでしょう。もっとスポットもあるかもしれません。

 だから、私は日光に行くなと言っているのじゃなくて、だったら、子供の安全のために総力を挙げてその地域の土壌やホットスポットを調べなければ、本当に安心して子供を送ることができない。そして、ここで分裂が起こります、大丈夫よというお母さんたちと、不安だというお母さんたち。そして、ここは教育委員会が間に挟まって、どうしたらいいかわからない騒動が起きます。こういうのを発表されるときは、必ず余波があり、その対策も伴ってやっていただかないと、本当に親として不安がぬぐい切れない。

 対策をしていただけますか。どうですか。

細野国務大臣 情報公開をする場合に、常にそこは我々のジレンマとしてあったんですが、対策を打つ前に、やはり明らかになった情報は公開すべきだろうということでこの間やってまいりました。ですから、確かに、栃木県のデータが出ているのに、日光や那須について対応できていないじゃないかという御批判があるわけですが、そこはできるだけ早く対応するという、そういう情報公開の面と対策をできるだけ早くするというのは分けて考えていく必要があるのではないかと思います。

 除染なんですが、この間、私も何度も福島に行って除染の話をしてきたんですけれども、かなり大規模な作業になります。したがって、地元の自治体との連携というのが不可欠なんです。ですから、今は福島県の方が全面的に体制をつくってくださっていますので、そことの連携のもとで、福島県を優先して予算をつけております。

 ただ、除染が必要なのは福島県内ということに限りませんので、自治体としっかり調整をして、やるべきところについては着手をする、そういう姿勢で臨みたいと思います。

阿部委員 私は今、漠然と除染と言ったのではなくて、日光に修学旅行に行く、もうこれは広く行われております。そして、ほっておけば、風評被害で今度は日光が立ち行かなくなります。今やその予兆があります。ですから、調べるものは調べる、安心だったら安心というメッセージを出す。もしも安心じゃないなら、やはり行かない。

 私が何度も三万七千ベクレル・パー・平方以上のところはどこですかと聞くのは、実は子供たちが集団疎開したキエフという、これはチェルノブイリから百二十キロの距離ですが、ちょうどキエフの子供たちの土壌が五万ベクレルだったんですね。しかし、当時の政治家は疎開すべきだと、三カ月子供たちを遠ざけたんですね。そして、その間にやれることをやった。

 私は、日本の政治が子供たちをもっと真剣に大事にしてほしいです。このまま子供たちの問題が親御さんたちの混乱の中に放置されたら、子供にも思い出の修学旅行がなくなってしまいます。文部科学省や現地、そして何よりも、こういうときは国が乗り出すしかないんです。よろしくお願いしたいと思います。

細野国務大臣 除染をするときに最優先は子供だというふうに考えておりまして、福島県内では、学校や通学路、さらには公園などにしっかりと絞り込んでスタートをしております。

 同様に、福島県外を考える場合も、子供というのは重要な最優先課題であるというふうに考えておりますので、そういった意味では、修学旅行の場所というのは除染を優先すべきところである、そう考えます。

阿部委員 ありがとうございます。

 次に、このたび明らかになりました、原子炉のベントの先を主排気筒というところに放射性物質も含めて出すわけですが、その配管で非常に高い濃度、十シーベルト、今までで一番高い放射線が測定された件でお伺いをいたします。

 こうした高濃度の値が出てきたのは、配管に沿って二カ所あったと思います。すなわち、ベントの配管をした場合に、ベントして、その後の配管は、今回のようなシビアアクシデントが起これば、放射性の物質の粒子になったもの、あるいは塊もあるかもしれません、中を通って、それが後々外にいろいろな影響を与えるということだと思います。

 寺坂さんにお伺いいたしますが、こうした実態は、そもそもベントもきちんとした義務でもありませんし、努力義務でしかありません。また、こんなふうに、後々配管のところに高い濃度が出るということは想定内なのか外なのか。そして、こんなことは各地で起こったら困るわけです。今の瞬間もどこかでベントをやらなきゃいけないとしたことだってあるわけです、動いているから。どう対策しているんですか、教えてください。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、非常に高い線量が計測されたということでございまして、耐圧強化ベントとの関係が、二つについて全く同じかどうか、そのあたりの原因などについて調査を続けていかなければならない、確定的なことはまだ申し上げられない段階と思っておりますけれども、いずれにいたしましても、ベントの関係でございます。特に十シーベルトの方に関しては、ベントとの関係が強いというふうに見ているわけでございます。

 まさに制度につきましては、これも今委員御指摘のとおりでございまして、耐圧強化ベント設備につきましては、いわゆるアクシデントマネジメント対応といたしまして、平成四年から電気事業者が自主的に整備したものでございます。そういった点で、制度的な規制、そういったものについては十分でないところが今回の事例などを含めましてあるというふうに考えてございます。

 今回、IAEAの報告書において取りまとめました今回の一連の事故におけます教訓あるいは今後の対応、そういったことにつきましても、この耐圧強化ベント設備についてどのようにその安全性を確保していくのかということは、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えてございますし、また、事故調査の検証委員会によります事故原因の徹底的な検証結果、そういったものも反映させながら進めてまいりたいと考えているところでございます。

阿部委員 悠長過ぎるし、ベントしたら高濃度の放射性物質が管にたまって、そこからまた放射線を出すなんていうのはベントとは言わないんだと思いますね、これは。ベントは、せいぜい圧を抜いて爆発を予防するということであって、これだけの放射性物質を放散するということは深刻に考えていただかないと、構造ミスでもあるし、概念のミスでもある。もともとベントというのはやむを得ず逃すんですけれども、やむを得ず逃してこれだけ高い濃度というのはいかんともしがたいと思います。

 そして、大臣、時間がないのに済みません、一個だけ。

 今、私は寺坂さんに聞きましたけれども、先ほどのやらせメールの問題で、実は内閣府の参与に広瀬研吉さんという方がおられて、二〇〇六年当時、原子力保安院の院長でした。資料につけてありますが、伊方のプルサーマルでヒアリングをしたときに保安院からのやらせがあったのではないかと。

 今回、寺坂さんは処分されますが、もともと原子力保安院の院長で、そして二〇〇六年当時のことには責任があったでしょう。一人一人をしっぽ切りというよりも、では、なぜ今この方は、広瀬さんは参与なのですか。構造的におかしいと思われませんか。いかがでしょう。

細野国務大臣 先ほどの院長の答弁について、一言だけつけ加えますと、私も、アクシデントマネジメント対応は日本の場合はどうなっているのかとすべて調べて、文書も読んだんですけれども、自主保安という考え方が非常に定着しているんですね。つまり、基本的な考え方は政府が示すんだけれども、実際にやるのは事業者がやって、それについてはチェックをしないという、自主的にやっている保安体制なんだという考え方がしみついておりまして、それがベントのところでも反映をされております。したがいまして、そういったことについてはしっかりと政府が関与するという体制も含めて考え直さなければならないというふうに思っております。

 広瀬氏の件なんですけれども、私もこの間、広瀬氏とはいろいろなやりとりをしてまいりまして、原子力の専門家としては高い知見を有している有能な方だというふうに承知をしております。

 もう一度、今御指摘のさまざまなやらせ問題などとの関与も含めて確認をしたいというふうに思います。それを、確認をまずしっかりさせていただきたいというふうに思います。

阿部委員 公平で公正に、かつ構造的にお願いしたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

川内委員長 ちょっといいですか。

 最初の質問で、広島型原爆の何発分かと。前、参考人で児玉先生が御発言されたわけですけれども、政府として正確にその辺は出していただいた方がいいと思うので、細野国務大臣、福島から放出された各核種の放出量が、広島型原爆の放出したそれぞれの核種の放出量、これは国連のUNSCEARに数字が出ていますから、それぞれ何発分に当たるのかということを本委員会に御報告いただきたいというふうに思います。いいですか。はい。

阿部委員 ありがとうございます、追加の御指示。

 終わらせていただきます。

    ―――――――――――――

川内委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件の調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十七分散会


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