衆議院

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第4号 平成26年4月24日(木曜日)

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平成二十六年四月二十四日(木曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   会長 保利 耕輔君

   幹事 伊藤 達也君 幹事 齋藤  健君

   幹事 中谷  元君 幹事 平井たくや君

   幹事 平沢 勝栄君 幹事 船田  元君

   幹事 武正 公一君 幹事 馬場 伸幸君

   幹事 北側 一雄君

      泉原 保二君   うえの賢一郎君

      上杉 光弘君    衛藤征士郎君

      大塚 高司君    大塚  拓君

      鬼木  誠君    川田  隆君

      城内  実君    小林 鷹之君

      河野 太郎君    佐々木 紀君

      佐藤  勉君    桜井  宏君

      島田 佳和君    新谷 正義君

      鈴木 馨祐君    田中 和徳君

      田畑 裕明君    高木 宏壽君

      棚橋 泰文君    土屋 正忠君

      中山 展宏君    西村 明宏君

      野田  毅君    馳   浩君

      鳩山 邦夫君    原田 憲治君

      福井  照君    松本 洋平君

      武藤 容治君    山下 貴司君

      山田 美樹君   山本ともひろ君

      枝野 幸男君    大西 健介君

      岸本 周平君    階   猛君

      玉木雄一郎君    長島 昭久君

      長妻  昭君    古本伸一郎君

      細野 豪志君    伊東 信久君

      小沢 鋭仁君    坂本祐之輔君

      西野 弘一君    三木 圭恵君

      大口 善徳君    斉藤 鉄夫君

      中島 克仁君    三谷 英弘君

      椎名  毅君    畠中 光成君

      笠井  亮君    小宮山泰子君

      鈴木 克昌君

    …………………………………

   議員           中谷  元君

   議員           船田  元君

   議員           枝野 幸男君

   議員           馬場 伸幸君

   議員           北側 一雄君

   議員           三谷 英弘君

   議員           畠中 光成君

   議員           鈴木 克昌君

   衆議院法制次長      橘  幸信君

   (政府参考人)

   内閣官房内閣総務官室内閣総務官          河内  隆君

   (政府参考人)

   内閣官房内閣参事官    大村 慎一君

   (政府参考人)

   内閣官房内閣参事官    中村 芳生君

   (政府参考人)

   内閣法制局第一部長    近藤 正春君

   (政府参考人)

   消費者庁次長       山崎 史郎君

   (政府参考人)

   総務省自治行政局選挙部長 安田  充君

   (政府参考人)

   法務省大臣官房審議官   萩本  修君

   (政府参考人)

   法務省大臣官房審議官   上冨 敏伸君

   (政府参考人)

   文部科学省初等中等教育局長            前川 喜平君

   衆議院憲法審査会事務局長 阿部 優子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十四日

 辞任         補欠選任

  城内  実君     川田  隆君

  棚橋 泰文君     島田 佳和君

  土屋 正忠君     山田 美樹君

  馳   浩君     佐々木 紀君

  原田 憲治君     新谷 正義君

  保岡 興治君     鬼木  誠君

  山本ともひろ君    中山 展宏君

  古本伸一郎君     岸本 周平君

  新原 秀人君     小沢 鋭仁君

  三谷 英弘君     中島 克仁君

  畠中 光成君     椎名  毅君

  鈴木 克昌君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     うえの賢一郎君

  川田  隆君     城内  実君

  佐々木 紀君     馳   浩君

  島田 佳和君     棚橋 泰文君

  新谷 正義君     原田 憲治君

  中山 展宏君     山本ともひろ君

  山田 美樹君     桜井  宏君

  岸本 周平君     大西 健介君

  小沢 鋭仁君     新原 秀人君

  中島 克仁君     三谷 英弘君

  椎名  毅君     畠中 光成君

  小宮山泰子君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  うえの賢一郎君    小林 鷹之君

  桜井  宏君     土屋 正忠君

  大西 健介君     階   猛君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     田畑 裕明君

  階   猛君     玉木雄一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     保岡 興治君

  玉木雄一郎君     古本伸一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(船田元君外七名提出、衆法第一四号)


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     ――――◇―――――

保利会長 これより会議を開きます。

 船田元君外七名提出、日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣総務官室内閣総務官河内隆君、内閣官房内閣参事官大村慎一君、内閣官房内閣参事官中村芳生君、内閣法制局第一部長近藤正春君、消費者庁次長山崎史郎君、総務省自治行政局選挙部長安田充君、法務省大臣官房審議官萩本修君、法務省大臣官房審議官上冨敏伸君及び文部科学省初等中等教育局長前川喜平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

保利会長 この際、選挙権年齢・成年年齢の十八歳への引下げに係る諸課題等について、政府から説明を聴取いたします。まず、総務省自治行政局選挙部長安田充君。

安田政府参考人 選挙権年齢の引き下げに関する検討状況について御説明申し上げます。

 平成十九年五月の日本国憲法の改正手続に関する法律の成立後、同法附則第三条第一項を踏まえまして、公職選挙法、成年年齢を定める民法その他の法令の年齢条項について検討が行われてきたところでありますが、平成二十二年五月の同法の施行を経て、今日まで、公職選挙法、成年年齢を定める民法その他の法令の規定について、必要な法制上の措置を講ずるに至っていない状況にあります。

 選挙権年齢の引き下げについては、総務省としては、仮に、民法の成年年齢や少年法の適用対象年齢とずれが生ずると、社会的、経済的に自立し得る主体と認められない者である民法上の未成年者に対し、政治への参加資格である選挙権を認めることとなること、原則として刑事責任を問われず保護処分とされる少年法上の少年に対し選挙権を認めることとなることから、選挙権年齢はこれらと一致することが適当であると考え、その旨説明してまいりました。

 この点、諸外国においても、選挙権年齢、民法の成年年齢及び刑事手続において少年として取り扱われなくなる年齢は、例えばG8では、原則として一致しているところであります。

 なお、仮に、選挙権年齢と少年法の適用対象年齢にずれが生じた場合には、実務的には、十八歳、十九歳の者が選挙犯罪等の犯罪を犯しても、原則として保護処分となり、公民権停止の対象とならないといった点について、二十歳以上の者との均衡を失することとなり、この点をどのように整理するかが論点となるものと考えております。

 選挙権年齢の引き下げにつきましては、今後、各党各会派において議論が行われるものと承知しておりますが、総務省といたしましては、立法府において結論が出された場合には、それに基づき適切に対応してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

保利会長 次に、法務省大臣官房審議官萩本修君。

萩本政府参考人 法務省民事局でございます。

 まず、民法の成年年齢の引き下げについての法務省における検討状況を御説明いたします。

 民法の成年年齢の引き下げにつきましては、国民投票法の附則第三条を踏まえて、法務大臣から法制審議会に諮問がされ、既に、平成二十一年十月、法務大臣に対する答申がされております。

 法制審議会の答申は、特段の弊害がない限り、選挙権年齢と民法の成年年齢とは一致していることが望ましいとした上で、国民投票法の投票権年齢が十八歳と定められたことに伴い、公職選挙法の選挙権年齢が十八歳に引き下げられることになるのであれば、民法の定める成年年齢を十八歳に引き下げるのが適当であるとしております。

 もっとも、この答申は、引き下げの法整備を行うには、若年者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大のおそれ等の問題点の解決に資する施策が実現されることが必要であるとしております。

 政府におきましては、消費者保護施策の充実や消費者関係教育等、成年年齢の引き下げに向けた環境整備に取り組んでいるところでありまして、法務省としましても、関係省庁と連携を図りつつ、法教育の充実等、民法の成年年齢の引き下げに向けた環境整備に努めてきたところです。

 次に、公職選挙法の選挙権年齢と民法の成年年齢との関係について御説明いたします。

 民法の成年年齢は、親の同意なく一人で契約をすることができる年齢及び親権に服する年齢、これらを何歳までとすべきかという観点から定められているのに対し、選挙権年齢は、何歳から国政選挙に参加させるかという観点から定められており、その立法趣旨が異なっております。

 また、民法の成年年齢と選挙権年齢とは理論的に一致する必要はなく、民法の成年年齢を引き下げなくとも選挙権年齢を引き下げることが可能であることは、学説上も異論はないところです。

 実際、諸外国の立法例におきましても、私法上の成年年齢より低く選挙権年齢を定めている例、例えば、アメリカやカナダの一部の州、ブラジルなどがありますし、現在は両者が同一の年齢となっているが、もともとは選挙権年齢の引き下げが先行している例、例えば、ドイツやニュージーランドなどがあります。

 したがいまして、法務省としましては、選挙権年齢と民法の成年年齢とは必ずしも一致する必要はなく、選挙権年齢の引き下げによって両者に差が生じたとしても、特段の問題は生じないものと考えております。

 民法の成年年齢の引き下げにつきましては、関係施策の充実に加え、成年年齢の引き下げに向けた国民意識が醸成されることが必要になりますが、今後、公職選挙法の選挙権年齢が民法の成年年齢に先行して引き下げられることとなれば、それによって民法の成年年齢の引き下げに向けた国民の意識の醸成が進み、成年年齢の引き下げに向けた環境整備がより一層促進される、加速されるのではないかと考えているところでございます。

 いずれにしましても、法務省としましては、憲法審査会における御議論の状況や、今後、各党間で組織されることとなるプロジェクトチームにおける選挙権年齢の引き下げに向けた検討状況等を注視しながら、引き続き、成年年齢の引き下げに向けた環境整備に努めてまいりたいと考えております。

保利会長 次に、法務省大臣官房審議官上冨敏伸君。

上冨政府参考人 公職選挙法における選挙権年齢が満十八歳以上に引き下げられた場合の少年法の適用対象年齢のあり方についての法務省における検討状況について御説明申し上げます。

 法務省におきましては、現在満二十歳未満となっております少年法の適用対象年齢を十八歳未満に改める必要があるかについて検討を行ってまいりました。

 その結果、現時点におきましては、公職選挙法における選挙権年齢が満十八歳以上に引き下げられたとしても、そのことから直ちに少年法の適用対象年齢を満十八歳未満に引き下げなければならないわけではないと考えております。

 このような結論に達しました理由について御説明申し上げます。

 少年法上の少年につきましては、家庭裁判所が必要と認めた場合には、保護観察や少年院送致といった保護処分ではなく刑罰を科すこともできますので、少年法の適用対象年齢を二十歳未満から十八歳未満に引き下げるか否かの問題は、現在は保護処分と刑事処分の双方が可能である十八歳、十九歳の若年者を一律に刑事処分の対象とし、保護処分を科し得なくするということが刑事司法の観点から見て適切か否かという観点から検討すべき問題であると考えております。

 このような観点から検討いたしましたところ、現時点において、これらの者に対する保護処分の必要性が失われたと評価すべき事情は認められず、少年法の適用対象年齢を引き下げなければならないわけではないと考えているということでございます。

 そうしますと、公職選挙法上の選挙権年齢は満十八歳以上、少年法の適用対象年齢は満二十歳未満となるということになりますが、当省といたしましては、このような状況になったといたしましても、公職選挙法と少年法との間に不整合が生じるものとは言えないと考えております。

 公職選挙法上の選挙権年齢が満十八歳以上、少年法の適用対象年齢が満二十歳未満となりますと、公職選挙法におきまして、公民権停止、連座の要件を一定の有罪判決の確定としておりますことから、十八歳、十九歳の者が選挙違反を犯した場合に、保護処分の対象となり公民権停止、連座の対象とならない場合が生じることが問題であるとの御指摘がございます。

 法務省といたしましては、仮に、選挙違反を犯した十八歳、十九歳の者について保護処分となった場合に公民権停止、連座の対象とする必要があると公職選挙法上の政策判断として認められるのであれば、例えば一定の保護処分を受けた者についても公民権停止、連座の対象とするなどの公職選挙法上の措置を講ずることも可能ではないかと考えております。

 したがいまして、選挙違反を犯した十八歳、十九歳の者が刑事処分とならず保護処分となる可能性があることを理由に、少年法の適用対象年齢を必然的に引き下げる必要があるとは考えておりません。

 もっとも、今後も、本審査会における御議論の状況などを踏まえまして、必要に応じて検討を行っていきたいと考えております。

保利会長 次に、文部科学省初等中等教育局長前川喜平君。

前川政府参考人 文部科学省でございます。

 お手元に横長の資料がございますが、これに沿って御説明申し上げます。

 学校における憲法教育や政治教育についてでございます。

 現行学習指導要領に基づく憲法教育や政治教育の実施についてでございますが、小学校の学習指導要領におきましては、政治は国民生活の安定と向上を図るために大切な働きをしていること、我が国の民主政治は日本国憲法の基本的な考え方に基づいていることなどにつきまして、学習指導要領上、基準として定めているところでございます。

 また、中学校におきましては、我が国の政治が日本国憲法に基づいて行われていることの意義、日本国憲法が基本的人権の尊重、国民主権及び平和主義を基本的原則としていること、国会を中心とする我が国の民主政治の仕組みや議会制民主主義の意義、民主政治の推進と国民の政治参加との関連、選挙の意義といった事項について記載しているところでございます。

 また、高等学校の学習指導要領におきましては、日本国憲法に定める政治のあり方と国民生活とのかかわりや政治参加の重要性、国会、内閣、裁判所などの政治機構の概観、望ましい政治のあり方と主権者としての政治参加のあり方などにつきまして記述しているところでございます。

 これらは、全国一律の学校教育の教育課程の基準として学習指導要領におきまして定めているものでございますが、今後、この学習指導要領に基づいた憲法教育、政治教育についての取り組みといたしまして、まず、国民投票法の趣旨につきまして、教育関係者に周知してまいりたいということ、また、関係省庁、特に総務省などとも連携いたしまして、社会参画に関する実践的、体験的な学習の支援と成果の情報発信をしてまいりたいと考えております。

 例えば、模擬投票でありますとか模擬選挙、ディベートなどを取り込んだ学習を進めてまいりたいと考えております。なお、模擬選挙に関する実践例につきましては、二枚目に添付している資料をごらんいただきたいと存じます。

 また、学習指導要領は、おおむね十年に一度、大きな見直しをいたしまして改訂をするわけでございますけれども、次期の学習指導要領の改訂に向けての議論が、今年度から中央教育審議会において始まる見込みでございます。この次期学習指導要領改訂におきましては、憲法教育や政治教育の充実についても検討してまいりたいと考えております。例えばでございますけれども、高等学校に新しい科目として公共、これは仮称でございますが、こういった科目を設置するということも検討してまいりたいと考えております。

 これらを通じまして、憲法教育や政治教育の一層の推進を図ってまいりたいと考えているところでございます。

保利会長 次に、消費者庁次長山崎史郎君。

山崎政府参考人 御説明申し上げます。

 成年年齢の引き下げに関連しまして、消費者庁におきます若年者に対する消費者教育の取り組み状況について御説明申し上げます。

 まず、平成二十四年十二月でございますが、消費者教育の推進に関する法律が施行されまして、これを受けまして、平成二十五年六月に、消費者教育の推進に関する基本的な方針が閣議決定されました。この基本方針におきましては、成年年齢の引き下げに関連しまして、次のような内容が明示されてございます。

 「消費者被害等の状況や、成年年齢の引下げに向けた環境整備の観点等から、高等学校段階までに、契約に関する基本的な考え方や契約に伴う責任、消費者市民社会の形成に参画することの重要性などについて理解させ、社会において消費者として主体的に判断し責任を持って行動できるような能力を育む。」ということが示されてございます。

 こうした基本方針に加えまして、消費者庁におきましては、幼児期から高齢期までの発達段階ごとに消費者教育の目標を示しているところでございます。

 このようなものを踏まえまして、現在、消費者庁におきましては、消費者教育ポータルサイトも活用しまして、各地域での消費者教育の実践例を収集し提供するとともに、地方公共団体におきます消費者教育の推進等の取り組みに対して、これを支援しているところでございます。

 引き続き、文部科学省を初め関係省庁と連携しまして、若年者に対する適切な消費者教育を推進してまいる考えでございます。

保利会長 以上で政府の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

保利会長 これより政府に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。船田元君。

船田委員 おはようございます。自民党の船田でございます。

 きょうは、政府の方から、さまざまな角度から御説明をいただきまして、まことにありがとうございました。

 私ども、この憲法審査会におきましては、手続法において三つの宿題が残っていたわけであります。

 そのうちの十八歳年齢につきましては、八党合意をいたしました中で、四年間は、国民投票における投票権年齢は二十、しかし、五年目以降は自動的に十八歳に引き下げるということでこの法律の改正を行う予定であります。

 また、附則におきまして、選挙権年齢等も速やかに十八歳に引き下げるということ、さらには、八党合意の中で、二年以内に選挙権年齢を十八歳に引き下げるため、合意をした党の間でプロジェクトチームをつくる、そして、それが二年以内に仮に下がった場合には、投票権年齢も四年を待たずして十八歳に引き下げるということを決定いたしたわけであります。

 この合意に参加した政党に所属する議員の割合は、衆議院でも参議院でもいずれも九割を優に超えているわけであります。したがいまして、これは国会の意思というふうに考えられるわけでありますので、ぜひ、政府におきましても、この国会の意思をしっかりと受けとめて、今後、全力でこの問題に対応していただきたいということを最初に申し上げる次第でございます。

 では、具体的に若干の質問を行いたいと思います。

 まず、総務省に対して数点お願いをしたいと思います。

 一つは、国民投票の投票人名簿、それから公職選挙法における選挙の選挙人名簿、これは別々に調製をする、つくる、こういうことを聞いているわけでございます。

 本来は、もともとの法律におきましても、この投票人名簿と選挙人名簿には差があって、投票人名簿の場合には、例えば、選挙人においては投票ができないと言われている公民権の停止をされた者、あるいは収監されている者、こういう者も投票ができる、こういう制度設計をしているわけであります。

 本来、対象者が違うということで名簿を別々につくり上げる、こういうことが予定をされているわけでございますが、現状においてそれができているのかどうか。それから、我々、当然、投票権年齢と選挙権年齢は一致させる、こういう大前提で議論を行っているわけであります。しかし、万々が一、この投票権年齢が十八に下がっても選挙権年齢が二十のままである、こういう事態が仮に生じた場合でも、名簿が違っている、別々につくられているということで、それを執行するということは可能であるかどうか。このことをお聞きしたいと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございましたように、国民投票の投票人名簿につきましては、国民投票法上、選挙人名簿とは別個に調製するということにされているわけでございます。

 これは、公職選挙法上の公民権停止者も投票が可能であるなど、国民投票の投票人の範囲が公職の選挙の選挙人の範囲とは異なっているということ、それから、調製の時期につきましても、国民投票の投票人名簿は国民投票が実施されるごとに調製するということとされていることなどから、このようにされているものと承知しているところでございます。

 こうしたことから、各市町村におきましても、選挙人名簿を調製する情報システムとは別個に、国民投票の投票人名簿を調製する情報システムを整備しているところでございます。

 したがいまして、仮に国民投票の投票権年齢と選挙権年齢が異なる場合でも、それぞれの登録要件に応じて調製が行えるものというふうに理解しております。

船田委員 ありがとうございます。

 そこで、選挙権年齢を二十から十八にする、そのための公職選挙法の改正というのが予定をされるわけでありますけれども、そのときに、いわゆる周知期間、これは関連をする人々が非常に多いこと、こういうことも考えますと、一定程度の周知期間が必要であると思っておりますが、総務省としては、どの程度の周知期間が必要であるか、現段階でお話しできればお願いしたいと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 選挙権年齢の引き下げに当たりましては、選挙実務の面では、市町村選挙管理委員会における選挙人名簿調製システムの改修と、それに基づく名簿への登録、それから周知啓発といったことが必要になる、そういう準備が必要になるというふうに理解しているところでございます。

 このうち、選挙人名簿調製システムの改修等につきまして、複数の市町村選挙管理委員会に、どの程度の期間が必要なのかということを聴取したところでは、現行システムの改修でございますとか改修後のシステムの稼働確認に、三カ月程度必要だというところでございますとか、六カ月程度必要であるというようなところが見受けられたところでございます。

 これは、現時点で各市町村の選挙管理委員会に聞き取りを行ったという状況でございまして、今後、必要な準備期間につきましては、私どもといたしましても、さらに精査をしてまいりたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

船田委員 ありがとうございます。

 それでは、次に、法務省に対して幾つか御質問をしたいと思います。

 平成二十一年十月二十八日、法制審議会の答申が出されまして、成年年齢を十八歳に引き下げることは適当である、しかしながら、若年者の自立や消費者被害の拡大防止という観点で、その施策が十分に行われていることが望まれる、こういう趣旨の答申がございました。

 そこで、御質問は、十八歳に引き下げるのが適当であるということと、それから、今申し上げたような若年者の自立等が施策としてなされている、あるいは施策が充実をしているということがリンクをされているのか、つまり条件としてきちんとなっているのか、それとも、重きはやはり十八歳に引き下げることが適当であるということで、ただし、若年者の自立等があることが望ましいということで必ずしもリンクをしていない、そういうふうに解釈をするのか。つまり、答申の読み方ということがあると思いますが、現時点で法務省としてはどのように考えておられるでしょうか。

萩本政府参考人 今御指摘いただきましたとおり、平成二十一年十月の法制審議会の答申は、選挙権年齢が十八歳に引き下げられることになるのであれば、民法の定める成年年齢を十八歳に引き下げるのが適当であるが、引き下げの法整備を行うには、若年者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大のおそれ等の問題点の解決に資する施策が実現されることが必要であるとしております。その上で、この答申は、消費者被害の拡大のおそれ等の問題点の解決に資する施策として、消費者教育、法教育、金融経済教育の充実などを挙げているところでございます。

 したがいまして、法務省としましては、以上のような各種の施策が充実することが民法の成年年齢の引き下げのための条件とされているというふうに理解しております。今の御質問のお言葉をかりますと、リンクしているというように理解しております。

船田委員 わかりました。

 次に、成年年齢の引き下げを仮に行う場合には、当然、それに関連する法律、これは、法律としては二百十二本と聞いております。また、政令としては三十七本、それから府省令としては九十九本、合計三百四十八本という非常に多くの数の関連法がある、あるいは政省令がある、こういうふうに聞いております。

 既に、法務省におきましても、この関連法令につきまして、成年年齢引き下げに伴って同様に引き下げるべきか、あるいは据え置くべきか、あるいは他の方法をとるべきかということで検討が進んでいるというふうに聞いているのでございますが、その実態について、現状の時点でお願いをしたいと思います。

萩本政府参考人 年齢条項に関連する法令の整備につきましては、各府省庁において検討の上、内閣官房内閣総務官室が政府全体の取りまとめを行っているところでございます。整備の検討対象となる法令数につきましては、今御紹介いただいたとおりと認識しております。

 そのうち、法務省の所管法令につきましては、民法の成年年齢に関係する法令の数が、民法を含めて法律が二十八本、政令が三本、省令が四本、こういうことになるわけですけれども、民法を除きましては、民法が引き下げられた場合に他の法令をどうするかについての改正の要否の検討は現時点で終了しております。

 少年法の関係につきましては、先ほど刑事局の担当審議官から説明があったとおりでございます。

船田委員 相当進んでいるということでありますので、かなり条件の整備はできてきたのかなというふうに理解をさせていただきます。

 そこで、少年法でございます。

 先ほどもお話をいただきましたけれども、少年法は、民法とはまた別に、少年のいわゆる保護処分、更生保護というのでしょうか、そういう観点もございますので、民法の年齢規定と区別して考えてもいいのではないか、そういう御意見が出されました。

 ただ、十八歳から二十前の少年が仮に選挙違反を犯した場合に、これを少年として罰するのか、あるいは成年、大人として罰するのかという点においては、やはり公選法へのはね返りということが当然ございますので、その辺、きちんと整理をしておかなければいけないと思っているわけでございます。

 その点につきまして、説明はございましたけれども、もう一度、その少年法の扱いについて、法務省としての見解、現状においてのものをお知らせいただければありがたいと思います。

上冨政府参考人 お尋ねのうち、まず、民法の成年年齢との関係についてでございますが、民法の成年年齢をどのように定めるかは、ただいま民事局の担当審議官から説明がありましたとおり、親の同意なく一人で契約をすることができる年齢などを何歳までとするかなどの観点から定められていると承知しております。

 一方、少年法におきましては、家庭裁判所が必要と認めた場合には、保護処分ではなく刑罰を科することもできるとされておりますことから、その適用対象年齢を十八歳未満とするかという問題は、十八歳、十九歳の者につきまして、一律に保護処分を付し得なくして刑罰のみの対象とすることが相当か否かという問題でありまして、刑事司法全般において、成長過程にある若年層をいかに取り扱うべきかにかかわる問題として、少年法固有の観点から検討を行う必要があると考えております。

 そのような意味で、このような観点から、法務省といたしましては、現時点において、民法の成年年齢と少年法の適用対象年齢とが論理必然的に一致していなければいけないものとは考えていないところでございます。

 また、公職選挙法との関係につきましては、先ほど若干御説明いたしましたが、仮に公職選挙法上の選挙権年齢が満十八歳以上、少年法の適用対象年齢が二十歳未満ということになった場合にも、二つの法律の間に不整合が生じるものとは言えないと考えているところでございます。

 もっとも、今後も、本審査会における御議論の状況などを踏まえまして、法務省といたしましては、必要に応じてさらに検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。

船田委員 ありがとうございました。

 それでは、文科省に御質問をいたしたいと思います。

 いわゆる公民の学習指導要領、これを拝見いたしますと、「現代社会」というところで、「内容」の「(2)現代社会と人間としての在り方生き方」、イでございますが、「現代の民主政治と政治参加の意義」ということが書いてあります。ちょっと長くなりますが読み上げますと、

  基本的人権の保障、国民主権、平和主義と我が国の安全について理解を深めさせ、天皇の地位と役割、議会制民主主義と権力分立など日本国憲法に定める政治の在り方について国民生活とのかかわりから認識を深めさせるとともに、民主政治における個人と国家について考察させ、政治参加の重要性と民主社会において自ら生きる倫理について自覚を深めさせる。

 ちょっと言葉尻をとるようでございますが、理解を深めさせる、認識を深めさせる、考察させる、自覚を深めさせるということで、非常に抽象的な表現にとどまっているのではないかという印象を受けます。

 もう一つ例を挙げますと、「政治・経済」の部門での「現代の政治」、そのうちのアでございますが、「民主政治の基本原理と日本国憲法」、ここに書いてある文章をちょっと読み上げます。

  日本国憲法における基本的人権の尊重、国民主権、天皇の地位と役割、国会、内閣、裁判所などの政治機構を概観させるとともに、政治と法の意義と機能、基本的人権の保障と法の支配、権利と義務の関係、議会制民主主義、地方自治などについて理解させ、民主政治の本質や現代政治の特質について把握させ、政党政治や選挙などに着目して、望ましい政治の在り方及び主権者としての政治参加の在り方について考察させる。

ということで、ここでも概観させるとか理解させるというやや抽象的なものが並んでおりますが、最後のところで少し具体的になりまして、「主権者としての政治参加の在り方について考察させる。」こういうことになっております。

 全体として見ると、学習指導要領の性格もございますので、これ以上書くというのは難しいのかもしれませんけれども、やはり、今後のことを考えますと、この指導要領の改訂というものが、私は、当然必要ではないか。今お話ありましたように、次の改訂のときにやるということでありますが、それまで待つというのはちょっと長過ぎるのではないか、中間的にもやはり改訂をすべきではないか、より具体的な表現にしてほしい、こう思っておりますが、いかがでございましょうか。

前川政府参考人 高等学校学習指導要領におきます憲法あるいは政治に関する指導内容については、ただいま先生から御紹介のあったとおりでございます。学習指導要領にどこまで書くかということでございますが、学習指導要領は、全国一律の指導内容の基準であるということから、現行のようなやや抽象的な表現にとどまっているということでございます。

 ただし、学習指導要領の中身につきましては、文部科学省の著作物といたしまして、学習指導要領解説というものをつくっております。学校の現場ではこの解説も参照しながら授業をしているということでございまして、例えば高等学校現代社会の学習指導要領につきまして、その解説におきましては、例えば「民主政治は国民の多様な意見を基礎に運用されていることを踏まえ、大衆民主政治の下における政治的無関心の増大がもつ危険性などについて理解させる」、あるいは「政党政治と選挙、行政の民主化、世論とマスコミュニケーション、圧力団体や住民運動などについても、間接民主政治の在り方と関連させつつ理解を深めさせる。」これは指導要領自体には書いてございませんが、指導要領の解説の中でこういったことについて指導するように、こういう内容の説明をしているところでございます。

 そのほか、先ほど多少御紹介申し上げましたが、各学校あるいは教育委員会の取り組みといたしまして、具体的な政治課題と関連させつつ、実践的、体験的な学習をしているというものがございまして、こういったものをさらに広げてまいりたいと考えているところでございます。

 新しい教科としての公共、仮称でございますが、こういった教科を設置することも含めまして、憲法や民主政治に関する教育の内容をいかに充実させるかということにつきましては、今後、中央教育審議会を中心にいたしまして検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

船田委員 時間が来てしまいましたけれども、最後に、消費者庁に一言だけお願いしたいと思います。

 消費者被害、毎年毎年、特に高齢者を中心に非常に消費者被害が広がっております。ある統計によりますと、年間で五兆円を超える消費者被害が出ている、こういうことでございます。

 特に、我々、民法がもし十八歳に下がるということになれば、一人で契約できる年齢も下がるわけでございますので、その場合の消費者教育が極めて重要になってくる、こう思っておりますが、そのあたりの決意だけ御披瀝いただければありがたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、私どもとしましても、まさに若年者を含め、全ての年齢にわたってこの消費者教育は大変大事だと考えてございます。特に成年年齢に関連しますと、若年者に対する消費者教育、今、地域、学校でいろいろ取り組まれてございますが、さらに強化してまいりたい、このように考えている次第でございます。

船田委員 終わります。

保利会長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正でございます。

 それでは、各政府参考人にそれぞれ伺いたいと思います。

 まず総務省に伺いますが、先ほど法務省の方から見解が出されまして、公選法の改正でしょうか、二点行えば、この十八歳、十九歳、少年法適用対象年齢は引き下げる必要はないということでございます。

 お手元の方には、あわせて法務省作成の資料、三ページの方にも書かれておりますが、少年院送致等一定の保護処分がなされた場合には一律に公民権停止、連座の対象とする、二点目、家庭裁判所が一定の場合に公民権停止に関する決定をするなどの規定を置けばということでありますが、これについて総務省の御見解を伺いたいと思います。

安田政府参考人 仮に、公職選挙法上の成年年齢、それから少年法上の取り扱い、これがずれた場合にどのような手続といいますか取り扱いが可能かということについては、さまざま議論をしてきたところでございます。

 その中で、例えば、先ほど法務省から御指摘のございました、一定の保護処分を受けた者について公民権を停止するといったようなことも想定されるわけでございますけれども、この方法につきましては、保護処分の判断基準というものは刑の量刑の判断基準とは必ずしも同じではないのではないかというような点。それから、二十歳以上の者との取り扱いの平等をなかなか厳密に確保することが難しいのではないか。例えば、二十歳以上の者が罰金刑に処せられた場合には、公民権停止について言えば、五年間、公民権は原則として停止される、公職選挙法上の違反の場合でございますけれども。こういう同じような取り扱いというのが十八歳、十九歳の者についてできるのかどうか。

 こういう課題はあるというふうに思っておりまして、なお検討を要するものではないかというふうに考えている次第でございます。

武正委員 今回、十八歳国民投票年齢は四年以内に法律の措置をする、施行はまた期日は別であるということでありますが、あわせて選挙権年齢等との整合性をとるということで、二年以内に、各党プロジェクトチームを設けてこの法的な措置をとることを目指すということも合意をしているわけでありまして、今の法務省からの見解も含めて、総務省としてさらに取り組みが必要というふうに考えますが、この点について御見解を伺いたいと思います。

安田政府参考人 いずれにいたしましても、選挙権年齢の引き下げにつきましては、今後、各党各会派において議論が行われるものと承知しているところでございまして、総務省といたしましては、選挙犯罪等の犯罪を犯した十八歳、十九歳の者の取り扱いを含めて、立法府において結論が出された場合には、それに基づいて適切に対応してまいりたいと考えております。

武正委員 続いて、法務省に伺います。

 法務省は、先ほどお示ししました三ページ、別添資料にあるような形で、現時点において少年法の適用対象年齢を引き下げる必要はないという見解をまとめられております。

 この見解はいつまとめられ、それを、今内閣官房が年齢の引き下げについて取りまとめておりますが、例えば内閣官房なり、あるいはそうした各省の会議、あるいは特に影響のある総務省などに通知をしたのはいつでしょうか。

上冨政府参考人 法務省におきましては、日本国憲法の改正手続に関する法律附則三条に基づきまして、少年法の適用対象年齢を十八歳未満に引き下げるべきか否かについて検討をしておりましたが、昨年九月の段階で、法務省として、現時点において、十八歳または十九歳の者に対する保護処分の必要性が失われたとまで評価すべき事情はなく、少年法の改正は不要であるとの判断に至ったところでございます。

 この状況につきましては、内閣官房及び関係省庁にもその当時にお伝えしてございます。

武正委員 続いて、法務省に伺います。

 同じく一ページ、二ページで、先ほどもお話があった法制審議会、平成二十一年十月の答申の概要が出ておりますが、十八歳に成年年齢を引き下げることは適当としたものの、若年者の自立を促すような施策、とりわけ消費者被害の拡大のおそれなどの問題点を指摘されております。

 先ほど消費者庁から御説明があったように、消費者教育推進法などを含め、消費者あるいは若年者に対する周知徹底など、都道府県、市町村も含めて対策が講じられていると承知をしておりますが、こうしたことを受けて、この二十一年十月の答申の、特に消費者被害を拡大しないための施策の充実ということの進展についての御認識を伺いたいと思います。

萩本政府参考人 今御指摘をいただきましたとおり、消費者教育の推進に関する法律あるいはこれに基づく閣議決定などを通じまして、法制審議会の答申が指摘しております消費者被害の拡大のおそれ等の問題点の解決に資する施策、そのうちの重要な施策が推進されているというような認識でおります。

 ただ、以前にもこの審査会で御答弁申し上げましたけれども、そうしたことのみで直ちに消費者被害の拡大を防止する効果が実現された、あるいはもう問題がなくなったということまではなお言いがたい状況にあるのではないかという認識をあわせて持っております。また、法制審議会の答申におきましては、若年者の自立を援助するような施策の必要性もあわせて指摘されているところでございます。

 したがいまして、引き続き、関係省庁と連携しながら、こうした関係施策を進めると同時に、それらの施策がどの程度の効果を上げているのか、あるいは、そのことについて国民の理解がどの程度進んでいるのかということについて見きわめていく必要があるものと認識しております。

武正委員 続いて、文科省に伺います。

 先ほど、学校における憲法教育や政治教育ということで御説明をいただいたわけでありまして、とりわけ憲法についての教育について触れられております。

 ただ、おととい、当憲法審査会において、参考人質疑で民主党委員から提起があったように、例えば政治教育については、幅広い論点、憲法改正の論点なども存在をするわけでありますので、憲法の学習のみならず、幅広く政治教育についての取り組みなどが必要ではないかということが一つ。

 もう一つ、歴史についての教育でありますが、昨年、当審査会がヨーロッパ各国を回りました折、それぞれ各国の憲法改正の取り組みなどを伺う機会に、ベルリン州の財務大臣からは、ベルリン市内の公共交通の監査役を兼ねておりまして、戦前のナチスによる蛮行についての検証を今もって行っているという指摘がありました。

 翻って、当時、日本に帰ってまいりますと、政府が戦時中の学徒動員の実態は把握をしていないこと、あるいは輸送船等の情報について把握をしていないというような意味で、歴史の検証が甚だ弱いのではないのかという印象を持ちました。

 そういった意味では、やはり、歴史教育についてもあわせて充実をしていく必要があるのではないかと思いますが、これについての学習指導要領の見直しも含めて、文科省の御見解を伺いたいと思います。

前川政府参考人 憲法や政治に関する教育につきましては、学習指導要領に基づきまして、小学校、中学校、高等学校の各段階におきまして、民主政治と日本国憲法、あるいは主権者としての政治参加のあり方などについての学習が行われているところでございます。ただ、若年層の投票率の低さでありますとか、政治的無関心などが指摘されているところでございます。また、日本の中学生、高校生は、諸外国に比べまして、社会や政治問題に参加すべきだという意識が低いというような調査結果もございます。

 こういったことを踏まえまして、政治や憲法についての指導に当たりましては、例えば、模擬投票を実施したり、あるいは複数の新聞記事をもとに生徒同士が話し合う、そういった実践的、体験的な学習などの工夫が一層必要であるというふうに考えておりまして、文部科学省といたしましても、こうした取り組みに関しましてモデル事業を実施するなどの支援を行っているところでございます。また、総務省とも連携いたしまして、主権者としての意識の醸成に向けた方策等につきまして、協議会を設けて検討しております。

 一方、歴史教育につきましては、平成二十四年度から実施されております中学校の学習指導要領、また平成二十五年度から実施されております高等学校の学習指導要領におきましては、まず、中学校の社会科の歴史的分野の授業時数を増加させております。また、中学校の社会科や高等学校の地理、歴史科におきましては、近現代に関する内容を充実するといった改善を図っているところでございます。

 文部科学省におきましては、今年度から、また次期学習指導要領の改訂の議論をすることになっておりますので、各地域で行われておりますすぐれた取り組み例なども参考といたしまして、さらなる充実に向けて検討してまいりたいと考えているところでございます。

武正委員 続いて、文科省にお伺いをしたいと思います。

 今の政治教育につきましては、おととい、参考人からも、ドイツでは各州に政治教育センターが置かれているという指摘がありまして、文科省としての取り組みも、都道府県、市町村としての取り組みを補完する意味で、そういった施設など、あるいは仕組み、こういったところも参考にしていく必要があるのではないかというふうに考えるところであります。

 政治的中立について伺いますが、教育基本法十四条一項では、政治的教養を、また二項では、しかしながら、「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」というふうにされているわけなんですけれども、おととい、この当委員会で、学校で行事があった場合にどういった政治家が呼ばれるかについては、学校の運営者に委ねられているという指摘がありました。これについて文部科学省の御所見を伺いたいと思います。これは、公立、私立にかかわらず、学校当事者、運営者がその判断基準を持っているということでよろしいでしょうか。

前川政府参考人 御指摘のとおり、教育基本法第十四条では、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」とされているところでございます。

 こういった意味で、学校教育におきましては政治的中立性が求められているわけでございますが、学校行事の来賓としてどのような方を招待するか、あるいは、修学旅行等に際し、どのような方に協力を要請するかといったようなことにつきましては、各学校あるいは学校の設置者において判断されているところでございます。

 この際に、学校教育の政治的中立性を疑われることがないように判断していただきたいと考えておりますけれども、これらにつきましては、各地域において、それぞれの学校あるいは設置者において判断すべきことであると考えております。

武正委員 今伺ったのは、公立、私立関係なく、政治的な中立性についての配慮ということは学校設置者に求められているということでよろしいでしょうか。

前川政府参考人 そのとおりでございます。

武正委員 続いて、内閣官房に伺います。

 先ほど触れました歴史の検証ということなんですが、先ほど触れたような形で、政府は戦時中の学徒動員あるいは輸送船等の情報について把握していないということをそれぞれ関係省庁から伺うところであります。国民投票法も今国会で成立を予定するような中で、いよいよ憲法改正の議論を国民的に惹起をしていく、こういった中で、歴史の検証ということが、あわせて前提として必要ではないかというふうにも私は考えるんですが、先ほどの件など、まだまだ政府としての取り組み、いかがかというふうに思うんですが、御所見を伺いたいと思います。

中村政府参考人 憲法の改正につきましては、国会がこれを発議する旨規定されておるところでもございますし、憲法改正の判断のために何が必要かということにつきましては、その改正対象ごとにさまざまであると思われますので、お尋ねの検証の要否につきましても、まずは国会の御議論の中で検討されるべきものと考えておるところでございます。

武正委員 続いて、総務省に伺いますが、過日、NHKの報道で、自治体における各種催事後援断りということが報道されておりました。全国百二十一自治体を調査した結果、政治的中立を保つということで、施設の貸し出しを断った自治体が一つで合わせて二件、内容の変更を求めた自治体が五つで合わせて六件、後援の申請を断った自治体が十四で合わせて二十二件。そのほか、県の政策と一致しないとして催し物の後援を断った自治体も一つ。

 百二十一団体というのは、都道府県、県庁所在地の市、東京二十三区、政令指定都市ということでありますが、テーマ別に見ると、憲法に関するものが十一件、原発に関するものが七件と全体の六割を占め、そのほかTPP、介護、税、社会保障ということでありますが、このような中で、自治体が政治的中立性ということで。

 先ほどの文科省の政治的中立ということの判断というものもあるわけなんですけれども、一方、これから憲法改正の議論を国民的に惹起しよう、あるいは、そういった機会を、今回、法律が通ることについても、まだまだ国民の皆さん、知らない方がたくさんいらっしゃると思います。通る予定をしているわけでありますが、そうした周知徹底を私はもっと図っていくべきだというふうに思っております。

 その中で、こうした自治体における各種催事後援断りという、特に憲法についてはそれが一番多いといったことは、逆行することになるのではないかというふうに思うんですが、総務省の御見解を伺いたいと思います。

安田政府参考人 地方自治体が各種イベント等に対して行う後援につきましては、法令上の特段の規定はございませんで、それぞれの自治体の判断により行っているものと承知しております。

 一般的には、地方自治体の行う後援は、各種イベント等の主催者の意図する趣旨、目的が、後援する側の各地方自治体の政策上の方向性と合致するのか、各種イベント等を支援することが政策的にも妥当するものであるのか等を勘案しながら行われるものと考えておりますが、いずれにいたしましても、これらは各地方自治体において適切に判断して行うべきものというふうに考えているところでございます。

武正委員 神戸市の例は、これは護憲の立場の市民による実行委員会ということでありましたが、平成十年、十五年は後援が得られた。ただ、来月三日、ことしについては得られないということであります。

 各自治体の判断ということでありますが、政治的中立性というのは、先ほどの学校も含めて、多分これからいろいろ問われてくると思うんです。政治的中立性があるから例えば政治家は呼ばない、あるいは後援はしないというような形になってしまうと、果たしてどうなのか。政治的中立性をどうやって保つか。先ほどのドイツの政治教育センターも一つの例かと思いますが、これは一つ当憲法審査会にも課せられた課題であろうと思いますし、政府にもぜひその点の御検討をお願いしたいというふうに思います。

 次に、消費者庁に伺いますが、消費者庁が消費者教育の充実について取り組んでいることは承知をいたします。

 相談件数についても、九十一万五千件のうち、十八歳から二十二歳の相談が三万五千件というふうに承知をしております。とりわけ二十がその中では多いということでありますが、十八歳、十九歳もそれぞれ、五千件、五千件とあるということであります。さらに若年層に対する消費者教育の充実を求めるとともに、今般、景表法の改正で、都道府県に対する権限の付与がなされております。

 消費者教育推進法、資料を提出いただいておりますが、消費者教育推進協議会、都道府県、あるいは消費者教育推進計画、都道府県、市町村、いずれも努力義務とされておりますが、実際、今どのぐらい協議会、計画がつくられているのか。ここで即答がない場合には、また後でお答えをいただければと思いますが、こうした点は、やはり都道府県、市町村に対するさらなる取り組みを求めていく必要があるのではないかと思っております。

 景表法では、高齢者、障害者に対する見守りということのみでありまして、やはり若年者に対しても景表法改正などでも対応が必要であったのではないかというふうにも思うわけでありますが、この点、御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、若年者の消費者トラブルの状況でございますが、先生御指摘のとおり、特に若年者の場合は、携帯電話でありますとかスマートフォン等の情報通信機器、さらにはインターネットの利用による契約トラブルの相談が多く寄せられてございます。

 そういったものに対応しまして、今、消費者庁の方では、消費者教育ポータルサイトなどを活用しまして、さまざまな情報を提供しているところでございます。

 特に、その中では、御指摘のように、地域におけます取り組みが非常に大事だというふうに考えてございます。地域におけます消費者教育に取り組む地方公共団体に対しましては、地方消費者行政活性化基金、これを活用しまして、現在、財政的な支援を行っているところでございます。

 なお、御指摘の消費者教育、これはまさに全国レベルで進める必要がございますが、まだまだ地域によっては確かに格差がございます。都道府県及び市町村の消費者教育推進計画、現在策定されておりますのは、これは努力義務でございますが、まだ九自治体にとどまってございます。また、消費者教育推進地域協議会、これも十七自治体に今とどまっているところでございます。

 いずれにいたしましても、私どもとしましては、まさしく若年者を含めた、もちろん高齢者も重要でございますが、年齢に応じた消費者教育を地域、職場、学校のレベルで精力的に推進してまいりたい、このように考えている次第でございます。

武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。

保利会長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 維新の会の小沢鋭仁でございます。

 政府に対する、選挙権年齢、成年年齢十八歳引き下げ問題の質問をさせていただきたいと思います。

 質問に入る前に、この三つの宿題に関してちょっと振り返っておきたい、こう思います。

 きょうは、長年この会の会長を務められた中山太郎先生もお越しをいただいておるわけでありますが、実は私、前の任期のときに、この会の与党の筆頭幹事を務めておりました。

 この三つの宿題に関していいますと、もう委員の先生方御案内のとおり、これは、ある意味でいうと、平成二十二年五月までに国は法制上の措置を講じなければいけない、こういう書き方になっていて、平成二十二年五月でありますから、今、平成二十六年なので、もう圧倒的に、この国会あるいは国は不作為をしてきたわけであります。

 法律違反、こういう話まではいかないかもしれませんけれども、我々、まさに国会に身を置く立場の人間として、私自身も含めて大いに反省をしなければいけないし、また、政府の方にも、このことは重要に受けとめていただきたいとまず申し上げたいと思います。

 そのときに、私の方は、この三つの宿題を、この憲法審査会が再開になった中で、とにかくきちんと処理しましょう、こういう言い方を申し上げてきたんですが、残念ながら私の提案は却下をされまして、また前文から含めた憲法の各章の見直しをやりましょう、こういうことで前の任期のときは終わりました。

 今回、選挙が終わって、私は維新の会に移り国対委員長を務めさせていただいた中で、この国民投票法はぜひともやりたい、こういう思いで私自身も条文を起草して、そして、昨年のたしか五月くらいだったと思いますが、維新の会は単独でこの国民投票法の改正案を提出させていただきました。

 以来、一貫して各党の皆さんにお願いをして、この問題はもう不作為状態になっているんだから、まず、とにかくこれをやりましょう、こういうお願いを申し上げてきて、そういう中で、本年に入りまして、与党、自公の皆さん方の案もまとまったということで今日に至っていることは、本当に感無量な思いであります。

 先ほど御紹介をした中山先生と先ほど一言お話をしましたら、ここから新しい時代が始まるんですよ、こう先生が一言おっしゃられました。まさに新しい時代を、国民投票法を仕上げ、憲法改正の議論をし、新しい日本をつくっていく、そういう思いでやらせていただきたいということをまず申し上げたいと思います。

 さて、この年齢問題に関しての維新の立場をまず一言申し上げておきたいと思います。

 維新の立場は、年齢問題は、直ちに無条件に十八歳に引き下げるべきというのが我々の基本的な立場であります。いろいろな意見、根拠はあるわけでありますが、最も大きなものは世界標準だ、こういうことだろうと思います。

 今、私の手元にあるものでは、データがある百八十七カ国のうち、百四十一カ国が成人年齢十八歳、こういう話になっているわけでございまして、そういう意味では、世界標準という話が一番わかりやすいかな、こうも思うところでありますし、そういった意味では、そういう立場に立って幾つかお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。

 まず、内閣官房にお尋ねを申し上げます。

 十八歳年齢に関しての対応も、二百本を超える法律に及んでいる、こう承知しておりますが、その具体的な数字と、それから、先ほど来お話を聞いておりますと、決定的に問題なのは法務省と総務省の意見の相違ですよ。内閣官房がリーダーシップをとってこの問題をやらなければ、この意見の相違がパラレルでずっと進んでいったら解決できないですよ。国会が一つの意思を示すというのはあり得ますが、政府としては一体どうなんでしょうか。

 具体的な数字と、いわゆる両者の違いに対する内閣官房の取り組みをお尋ねしたいと思います。

河内政府参考人 内閣官房として、政府全体の取りまとめをする立場から、政府のこれまでの検討状況についてお答え申し上げます。

 政府におきましては、平成十九年五月の日本国憲法の改正手続に関する法律の成立を踏まえ、法令上の年齢条項につきまして、各府省庁の事務次官らで構成されます年齢条項の見直しに関する検討委員会を開催し、総合的な検討を進め、各府省庁の所管する法令の検討状況につきましてフォローアップを行ってまいりました。

 昨年六月の衆院憲法審査会以降におきましても、平成二十五年十月十八日に第七回検討委員会を開催するなど、調整を進めてきたところでございます。昨年六月以降、本年四月までに新たに、警察庁所管の法令六件、厚生労働省所管の法令十六件、環境省所管の法令一件について検討が終了し、その結果、公職選挙法、民法、少年法関連以外では、いわゆるサッカーくじ関連、議員立法でありますスポーツ振興投票実施法、その施行規則を除き、検討が終了したことになるところでございます。

 御指摘の公職選挙法、民法及び少年法の取り扱いについてでございますが、この年齢条項の見直しに関する検討委員会のもとで、内閣官房、総務省、法務省を中心に検討を進めてまいったところでございます。難しい問題だけに、調整に時間を要していることは御指摘のとおりでございます。

 これまで内閣官房では、公選法と民法、少年法との関係で生ずる課題、論点を整理し、総務省と法務省に提示して調整を重ねてきたところでございます。

 例えば、公選法と民法について申し上げますと、選挙権年齢及び成年年齢を十八歳に引き下げるとの方向性では一致しているところでございますが、引き下げの時期等の具体の方策について意見が異なっている状況であり、残念ながら、今なお政府部内では成案に至っていないところでございます。

 以上でございます。

小沢(鋭)委員 事務次官の皆さんたちのそういった会議をやっていらっしゃる、こういうことでありますけれども、とにかく、リーダーシップをしっかり発揮してもらいたいというふうに申し上げておきたいと思います。

 それで、今のお話を聞いていても、あるいは、先ほどの、冒頭のそれぞれの御説明を聞かせていただきましても、別に僕は恨みも何もありませんが、総務省が、要は何となく、何か立ちどまっている、こういう印象を受けるんですね。

 例えば、法務省の方は、原則的には十八歳に引き下げることが望ましい、こういう一応結論を得ているわけですが、総務省の方は、民法を初めとするそういったものは全て一致しなければいけない、こう言っていて、鶏が先か卵が先かみたいな議論なんですけれども、要はなかなか進まない。

 法務省の方は法制審で一応の結論を得ていますが、総務省は何かそういった機関をつくっての検討というのはしてきたんでしょうか。

安田政府参考人 総務省における選挙権年齢引き下げの検討体制でございますけれども、私どもとして、省内にそういう審議会等をつくって検討しているという状況ではございません。公職選挙法を所管する私ども自治行政局選挙部におきまして、省内の考え方を取りまとめて、内閣官房副長官を委員長として設置された政府の検討委員会等に参画している、そこで検討しているという状況でございます。

 選挙権年齢の引き下げについてそもそも総務省としてどう思っているかということでございますけれども、これは、憲法改正国民投票法の附則三条一項で、年齢十八年以上満二十年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう、選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるというふうにされているところでございますので、私どもとしましては、十八歳、十九歳の者の選挙権行使を可能とさせる、そういう方向性については、既に立法府においてこれは示されているというふうに理解はしております。

 ただ、その際において、やはり民法の成年年齢と一緒にした方が適当である、あるいは少年法についてもこれは同一が適当であるということを申し上げて、政府部内で調整を行っている、こういう状況でございます。

小沢(鋭)委員 基本的にその方向でいいんだ、こういうお話のように聞こえますが。

 今度は法務省の方にお尋ねいたしますけれども、法務省の方は、基本的に十八歳に引き下げることが望ましい、こういう結論を出していますけれども、ただ、国会の動向を見きわめるとか、留保条件をつけているわけですね。

 ということは、政府の中で、本当に、さっきも申し上げたように、卵が先か鶏が先かみたいな話になっていて、前に進めない、こういう状況になっているわけですが、法務省の方はそこはもっとすっきりとした結論を出せないんでしょうか。法務省にお尋ねいたします。

萩本政府参考人 先ほど来御説明申し上げていますとおり、最終的な姿といいますか、結論において、民法の成年年齢を十八歳に引き下げるのが適当であるという結論は得ているところでございます。

 ただ、繰り返しになって恐縮ですけれども、やはり法制審議会の答申においても、特段の弊害がない限りということが留保としてされておりまして、現時点で引き下げを行うと、消費者被害の拡大などさまざまな問題が生じるおそれがあるため、引き下げの法整備を行うには、さまざまな施策が実現されることが必要であるという留保がついておりますので、成年年齢を引き下げることに伴う社会的な影響の大きさに鑑みますと、すっきりといきたいところですけれども、それはなかなか難しいというふうに考えているところでございます。

小沢(鋭)委員 すっきりといってくださいよ。

 それで、例えば歴史的に見ると、先ほど、地理的に見て百四十カ国が十八歳だ、こういう話を申し上げましたが、歴史的に見ても、我が国は、元服は大体十五くらいだったですよね、江戸時代。女性の方の髪上げというのもあるんですか、僕はよくわかりませんけれども、それは大体十二歳から十五歳。こういうふうなのが我が国の歴史のようなんですね。諸外国が百四十カ国、歴史的に見てもそうだ、こういう話で、まだ弊害があり得るという話はいかがなものかな、こう私は思うんですね。

 内閣府の世論調査、私の手元にあるものですが、これは、残念ながら六九%が引き下げ反対なんですね。ただ、中身を見てみますと、十八歳から十九歳、まさに今問題になっているところ、ここの皆さんは四〇・八%が賛成なんですね、対象年齢の人たちは。五十代の人たちが一番数字が低くて、賛成は二〇%しかない。だから、五十代の大人の人たちは、十八歳から十九歳の人たちを成人としては足らないな、どうもこう思っている。こういう姿ですね。

 だけれども、一体そこはどうなんでしょうかということで、法制審の中をいろいろ読ませていただくと、法制審の中にも、近年の若者の特徴として、精神的、社会的自立がおくれているとの指摘がある、こういう箇所があるんですね。だけれども、全体としては、そういう指摘をしつつも、十八歳が望ましい、こう言っている。その辺の論理は一体どんなぐあいなんでしょうか。御説明をいただければと思います。

萩本政府参考人 今御指摘がありましたとおり、法制審議会の答申におきましては、近年の若年者の特徴として、精神的、社会的自立がおくれている旨の指摘がされているところでございます。

 それにもかかわらず、結論において、留保つきながら、成年年齢を十八歳に引き下げるのが適当であるという結論に至った理由についてですけれども、たまたまかもしれませんが、きょう武正幹事から御提出いただいた資料の一枚目の項目番号二のところに、若干それに関連する答申の部分が実は引用されているんですけれども、この法制審議会の答申は、そのような指摘を踏まえながらも、十八歳以上の者を経済活動の場面においても一人前の大人として処遇することは、若年者が将来の国づくりの中心であるという国としての強い決意を示すことにつながり、若年者及び社会にとって大きな活力をもたらすことが期待される、そういったことなどから、結論において、将来的な姿ということになってしまうかもしれませんが、民法の成年年齢を十八歳に引き下げるのが適当であるとしたものと理解をしております。

小沢(鋭)委員 時間もあと少ししかありませんので、私から結論めいたことを申し上げるわけでありますが、とにかくこの問題は、維新の会は、先ほども申し上げましたように、すっきりと十八歳、こういう話をしております。あと、他の党の皆さんたちも、どこがどうという話は申し上げませんが、多くの皆さんたちが条件なしの十八歳という党が多い、こういうふうに私は承知をしているわけであります。

 でありますので、先ほどの船田委員の御質問にもありましたけれども、要は、国民投票と選挙権の年齢が違っていると、さまざま面倒な事柄もいっぱい起こるわけですね。ですから、ここは本当に、新しい時代を迎えるに当たって、世界標準、若い人たちもしっかりやれ、こういうことも申し上げながら、できるだけ早くこの憲法審査会の舞台で十八歳という話を決めて、そして、この審査会が決めれば政府も動く、こう言っているわけであります。どうも様子を見ていると、何となく、まだ政治の方が決まり切れないな、こういうことを本当は言いたくてしようがないというようなお顔にも見えたわけであります。

 ぜひこの憲法審査会の委員の皆さんに、できる限り早く決めましょう、冒頭にも申し上げましたように、この三つの宿題そのものが平成二十二年から四年おくれでやってきているんですから、そういった不作為を本当に吹き飛ばして、一日も早く十八歳をすっきりと決めて、そして舞台を整えていく、新しい時代を迎えたい、そういうことを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

保利会長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 まず最初に、内閣官房にお伺いいたします。

 内閣官房が各省庁を取りまとめまして、選挙権年齢、成人年齢等十八歳引き下げについて、年齢条項の見直しに関する検討委員会を設けて、これまで努力してこられました。

 これまでの政府の検討の経緯を説明していただきたいと思います。特に、昨年六月にこの憲法審査会が開かれて、政府の検討状況が遅いのではないか、これは、幹事会でも、この委員会でも、そのように政府の検討委員会に対して委員会として申し入れたところでございますけれども、昨年六月からの検討状況もどうなっているのか、そのことをまずお伺いいたします。

河内政府参考人 内閣官房として、政府全体の取りまとめをする立場から、これまでの政府の検討状況につきお答え申し上げます。

 政府といたしましては、年齢条項の見直しの検討を行うため、先ほど申し上げましたように、各府省庁の事務次官らで構成をいたします年齢条項の見直しに関する検討委員会を開催し、各府省庁の所管する法令の検討状況につきまして、フォローアップを行ってきたところでございます。昨年六月の衆議院憲法審査会以降におきましても、平成二十五年十月十八日に第七回年齢条項の見直しに関する検討委員会を開催するなどの調整を進めてまいりました。

 対象法令が、昨年六月に比べ、本年四月で三百四十三から三百四十八へ若干ふえているところでございますが、検討中の法令数は、昨年六月時点三十四だったのが十三に減少しているところでございます。昨年六月以降、本年四月までに新たに、警察庁所管の法令六件、厚生労働省所管の法令十六件、環境省所管の法令一件について検討が終了したところでございます。

 したがいまして、議論の焦点は、公職選挙法、民法及び少年法の取り扱いに絞られてきたと認識をしております。しかしながら、これまで内閣官房、総務省及び法務省を中心に検討、調整を進めてまいりましたが、残念ながら、この点につきましては、今なお政府部内では成案を得るに至っていないところでございます。

 以上でございます。

斉藤(鉄)委員 方針が決まらない、政府でまとまらないというのは、総務省と法務省との間で対立があるということですけれども、具体的にどこに対立点があるのか、総務省、法務省、それぞれ教えていただきたいと思います。

安田政府参考人 具体的な対立点についてのお尋ねでございますけれども、総務省といたしましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、選挙権年齢の引き下げにつきましては、仮に民法の成年年齢や少年法の適用対象年齢とずれが生じますと、社会的、経済的に自立し得る主体と認められない者である民法上の未成年者に対して政治への参加資格である選挙権を認める、これが適当なのかどうか。それから、原則として刑事責任を問われず、保護処分とされる少年法上の少年に対して選挙権を認めることになる、これが適当なのかどうかという観点から、選挙権年齢はこれらと一致することが適当であるというふうに考えてまいりまして、その旨、申し上げてきたところでございます。

 一方で、民法の成年年齢につきまして、法務省のお考えでございますけれども、法制審議会答申において十八歳以上に引き下げるのが適当という方向性は合致しているわけでございますが、消費者被害の軽減などの環境整備が必要であるとされ、そうした関連施策の効果が実際にあらわれ、国民の間に浸透するには、なおある程度の時間を要するというお考えが示されているというふうに承知しておりまして、いわばタイミングの問題ということではないかというふうに考えてございます。

 少年法の適用年齢についてでございますけれども、こちらの方は、法務省のお考えといたしましては、現段階で引き下げる積極的な必要性は認められないということであるというふうに承知してございまして、選挙権年齢、民法の成年年齢の引き下げ等の動向を踏まえて慎重に検討するというお考えが示されているというふうに承知しているところでございます。

 引き続きまして、総務省といたしましては、これまでも内閣官房や法務省と検討、協議を進めてきたところでございますけれども、国会における議論を踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

萩本政府参考人 内閣官房、それから、ただいま総務省から対立点についての説明がありましたけれども、法務省としての対立点についての認識、民法を所管する立場からの認識を改めて申し上げたいと思います。

 私どもが理解するところの総務省のお考えは、民法の判断能力と参政権を行使するための判断能力とは一致すべきであることなどから、公職選挙法の選挙権年齢と民法の成年年齢は常に一致させることが適当であり、これらを引き下げるのであれば、両者を同時に引き下げるべきであるとの御主張であると理解をしております。

 これに対して私ども法務省の考え方は、冒頭の説明でも御説明申し上げましたけれども、両者はそれぞれの立法趣旨が異なることや諸外国の立法例などから見ましても、両者は必ずしも一致する必要はなく、成年年齢を引き下げずに選挙権年齢を先行して引き下げることは可能であると考えているところであります。

 例えば、選挙権年齢が先行して引き下げられれば、成年年齢の引き下げに向けた国民意識が醸成され、環境整備が一層促進されるものと考えられることからすれば、選挙権年齢を先行して引き下げることも有力かつ現実的な選択肢であって、国民投票法の年齢条項の問題を前進させるためには、この選択肢を排除すべきではない、むしろ積極的に模索すべきではないか、こういうことを主張してきたところでございます。

上冨政府参考人 少年法を所管する立場からも考えを御説明申し上げます。

 先ほども申し上げたところではございますが、法務省といたしましては、少年法の適用対象年齢を引き下げるべきか否かという問題は、刑事司法全般において、成長過程にある若年層をいかに取り扱うべきかという観点から、少年法固有の観点で検討されるべき問題であると考えており、このような観点から検討いたしましたところ、現時点において、十八歳、十九歳の者に対する保護処分の必要性が一律に失われたとまで評価すべき事情はないと考えておりますので、仮に公職選挙法上の選挙権年齢が満十八歳以上に引き下げられたといたしましても、そのことから直ちに少年法の適用対象年齢を十八歳未満に引き下げなければならないということではないと考えているところでございます。

 他方、総務省におかれましては、公職選挙法上の選挙年齢と少年法の適用対象年齢はこれを一致させることが相当であるというお考えに立っていると承知しておりまして、まさにこの点が当省と、法務省との見解が異なっており、現時点において、政府全体としてこの問題について統一した結論に至っていないものと認識しております。

斉藤(鉄)委員 政府部内における意見の相違が明確になったわけですが、総務省にお伺いします。

 今回の改正案、それから八党会派による確認書を見ますと、選挙権年齢の引き下げが先行することになる、このように思いますけれども、総務省はこれまで、この衆議院憲法審査会におきましても、一致することが望ましいと明確にこの場でおっしゃってきたわけですが、これらの見解を軌道修正する、このように考えてよろしいでしょうか。

安田政府参考人 選挙権年齢の引き下げにつきましては、私どもといたしましては、民法の成年年齢や少年法の適用対象年齢との整合性の観点から、これらと一致することが適当であると考えておりまして、その旨、御説明申し上げてきたところでございます。

 一方、選挙権年齢、民法の成年年齢及び少年法の適用対象年齢は、理論上、必ず一致しなければならないとまでは言えないというふうに考えている次第でございます。

 このような中で、選挙権年齢の引き下げにつきましては、今後、各党各会派において議論が行われるものと承知しておりますが、総務省といたしましては、立法府において結論が出された場合には、それに基づいて適切に対処してまいりたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 引き続き、総務省にお伺いいたします。

 公職選挙法は、過去にも議員立法により改正を多く行ってきた事実がございます。今回の選挙権年齢引き下げに当たっても、北側法案提出者から答弁がありましたように、議員立法による法整備が行われるものと考えますけれども、そのような法整備が行われた場合には、総務省としてはそれを前提に事務を執行するということでよいか、確認をいたしたいと思います。

安田政府参考人 総務省といたしましては、立法府において結論が出された場合には、それに基づき、選挙の管理執行等、制度の運用が適切に行われるよう万全を期してまいりたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 次に、法務省の成年年齢引き下げのことについてお伺いいたします。

 成年年齢引き下げは、谷垣法務大臣が四月八日の記者会見で、民法の成年年齢の十八歳以上への引き下げに向けて検討を進めるという考え方を示されておりますが、法務省としての考え方をお伺いいたします。

萩本政府参考人 今御指摘ありましたとおり、谷垣大臣は、今月八日の記者会見におきまして、この問題についてのコメントを述べられております。

 報道ベースでは、十八歳以上への引き下げに向けて検討を進める考え方を示している旨、今御指摘のような報道がされていますが、念のため谷垣大臣の発言を御紹介しておきますと、民法の成年年齢の引き下げにつきましては、今の国民投票の投票権年齢、それから公職選挙法の選挙権年齢の引き下げと関連して議論が進んでいくものと思います。中間は省略いたしますが、したがいまして、こういう国民投票法の投票権の年齢、それから公職選挙法にやがて連動してくるということになりますと、それに合わせてこの民法の成年年齢も、制度を詰めていかなければいけないのだろうと思いますという御発言をされているところでございます。

 法務省といたしましては、法制審議会の答申を受けまして、これまでも関係省庁と連携を図りつつ、民法の成年年齢を十八歳に引き下げることに向けた環境整備に取り組んできたところでありますけれども、この憲法審査会における御議論や、今後設置が予定されております選挙権年齢の引き下げに向けた各党合同のプロジェクトチームの検討状況を踏まえながら、引き続き、成年年齢の引き下げに向けた環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、先ほど申し上げませんでしたが、民法の成年年齢を十八歳に引き下げるに当たりましては、経過措置の要否あるいはその経過措置の内容、必要な周知期間といった検討課題もございますので、引き続き、これらの課題についても検討を進めてまいりたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 次に、少年法の問題について法務省に質問いたします。

 選挙権年齢の引き下げが先行される場合であっても、総務省の懸念するとおり、少年法の適用年齢とのそごはできるだけ短期間であることが望ましい、このように思います。

 少年法の適用年齢の引き下げについて、法務省の考え方を伺います。

上冨政府参考人 先ほども若干御説明したところではございますが、少年法の適用対象年齢の引き下げの問題は、刑事司法全般におきまして、成長過程にある若年層をいかに取り扱うべきかにかかわる少年法固有の観点から検討を行う必要がある問題でございます。

 法務省といたしましては、このような観点から検討いたしました結果、十八歳、十九歳の者による刑法犯が減少していること、また、少年に対する刑事処分のあり方につきましては、これまでも少年法固有の観点から検討がなされ、平成十二年の法改正により、刑事処分可能年齢がそれまでの十六歳以上から十四歳以上に引き下げられるなど、必要な法改正がなされてきていることなどに照らしまして、現時点において、十八歳または十九歳の者に対する保護処分の必要性が一律に失われたとまで評価すべき事情はないと考えているところでございます。

 もっとも、この問題につきましては、当審査会等における御議論の状況などを踏まえまして、必要に応じ、さらに検討を行ってまいりたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 質問通告しておりませんが、内閣官房に、ここで、今までの議論を通しまして、今後、年齢条項の見直しに関する検討委員会において早急な取りまとめが期待されるところでございますけれども、その決意をお伺いします。

河内政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、今国会に提出された国民投票法改正法案附則第三項の趣旨、与野党八党の合意事項、その他、立法府におきます御議論等を踏まえた対応が必要であるというふうに考えております。

 こうした見地から、引き続き、それぞれの法律及び制度を所管する総務省及び法務省において、所管行政に支障が生じないよう必要な対応について検討を深めること、これがもとより重要ではございますが、内閣官房といたしましても、両省とともに必要な対応を図ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

斉藤(鉄)委員 それでは最後に、文部科学省にお伺いいたします。

 改正案が成立いたしますと、どんなに遅くても四年後には投票権年齢が十八歳に引き下がることになります。また、各党合意にありますように、改正法施行後二年以内に十八歳に引き下げることを目指しているわけでございます。

 そうしますと、今後、憲法教育、政治教育をより充実させることが必要になると考えておりますけれども、どのように充実を図っていくのか、その見通しについて所見を伺います。

前川政府参考人 憲法や政治に関する教育につきましては、学習指導要領に基づきまして、小学校、中学校、高等学校の各段階におきまして、日本国憲法の基本的な考え方、国会を中心とする我が国の民主政治の仕組みや議会制民主主義の意義、さらに、日本国憲法に定める政治のあり方と国民生活とのかかわり、政治参加の重要性などについて学習が行われているところでございます。

 しかしながら、若年層の投票率の低さでありますとか政治的無関心などが指摘されているほか、日本の中高生が、諸外国に比べまして社会や政治問題に参加すべきだという意識が低いなどの調査結果がございます。

 もちろん、学校教育におきましては、教育基本法第十四条の第二項にございますとおり、教育の政治的中立性の確保ということは不可欠でございますが、そのために、政治教育への取り組みが消極的なものになってはいけないと考えております。

 教育基本法の第十四条第一項におきましては、「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。」と規定されているところでございますので、この趣旨に沿って、学校教育においてもしっかりとした取り組みが必要であると考えております。

 したがいまして、例えば、私ども、モデル事業などとして進めたいと考えております中身といたしましては、実践的、体験的な学習を踏まえた教育活動、例えば模擬投票を実施するというようなことでありますとか、あるいは、賛成、反対の意見を両方掲載した複数の新聞記事をもとにいたしまして、賛成、反対双方の考え方を紹介した上で、生徒に賛成、反対両方の立場に立ってのディベートを行わせる、このようなことも考えたいというふうに考えております。

 文部科学省といたしましても、このような取り組みを積極的に進めてまいりまして、いい取り組みをしている教育委員会あるいは学校の事例を全国に情報発信するなどしてまいりたいと考えております。

 また、今後、次期学習指導要領の改訂の議論におきましても、憲法教育や政治教育の一層の充実について検討してまいりたいと考えておりまして、次期学習指導要領の改訂につきましては、本年のしかるべき時期に中央教育審議会に諮問をしたいと考えているところでございます。

斉藤(鉄)委員 終わります。ありがとうございました。

保利会長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日は二十分間、先ほどから伺っておりますと、もう本当に同じ話の繰り返しというような状況ではございますけれども、その中で少しでも前向きなお答えをいただけるように、しっかりと質問させていただきたいというふうに考えております。

 このやりとりというのは、もちろん、きょうも多くの傍聴者の方もいらっしゃっていますし、インターネット中継でも配信されております。

 法務省の民事局、刑事局、それから総務省の皆様の答えというのを聞いていると、どうぞどうぞ、お先にやってください、自分からは先に動きませんよというようなことを言っているというようなことなんですが、それを入れかわり立ちかわり言うのを聞いていると、やはり官僚制自体を打破しなきゃいけないなというようなことを改めて強く感じるところではございます。

 ですので、その中身について聞く前に、文部科学省さんからちょっと伺っていきたいというふうに思うんです。

 実際、十八歳から選挙権等々を認めていくという形になりますと、高校三年生で投票に行かれる方も出てくるということですので、今まで以上にしっかりと政治教育というものをしていかなければいけないんだろうというふうに思っております。

 歴史的に見ても、やはり日本が不幸だったのは何かといえば、もちろん、中学生なり高校生というものに対して、もっともっと、政治とは何かというものを、政策とは何かというのを考えさせなければいけないというのはあったんだとは思いますけれども、ただ、今までの中学、高校でのいわゆる政治教育というものが、特定の思想というものにかなり偏っていることが多かったのではないか。

 だからこそ、最近は、できるだけそういう政治とかには触れないような教育というのをした方がいいんじゃないかというような形で、恐る恐る政治を学校の中で語るというような不幸な状況になってきてしまっているように感じております。

 先日、参考人の招致をして、来ていただいた参考人の方々は、高校でも、そういう生の政治というものを考える機会というのは非常に有益だというようなことをおっしゃっておりましたけれども、実際、教育の現場において、生の政治というものに触れさせる、政治的な中立性というのをある程度保った上で、そういう政治的な議論をさせるということがどれぐらいできるのかということについてのお考えをお伺いしたいと思います。

前川政府参考人 学校教育におけます政治についての教育でございますが、教育基本法第十四条に定めるとおり、学校教育における政治的中立性の確保、これは不可欠な前提でございます。その上で、「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。」これも教育基本法の条文でございます。

 この精神にのっとりまして、学習指導要領におきましては、憲法あるいは政治についての指導上の取り組みを行うための基準が定められているわけでございますけれども、具体的な教育活動をどのように行うか、これは、それぞれの学校あるいは学校の設置者の判断に委ねられているところでございます。

 私どもは、モデル事業などを通しまして、すぐれた取り組みを推進してまいりたいと考えているところでございますけれども、例えば、その中には、きょう資料でお配りしました二枚目についております模擬選挙というような取り組みもございます。

 本日、資料でお配りした中で御紹介いたしましたのは、神奈川県教育委員会におきまして、参議院議員通常選挙、実際の選挙を活用いたしまして、全ての県立高等学校におきまして模擬選挙を実施するというようなことをしている。

 あるいは、鳥取県の米子西高等学校の例もお示ししてございますけれども、これも、平成二十五年の参議院通常選挙に合わせまして、全校生徒で模擬選挙を行う。その際には、選挙管理委員会の協力も得て行っているということでございます。実際の選挙結果と模擬選挙との結果を比べながら、みずからの投票行動を振り返って話し合うというようなことをしているということでございまして、政治的中立性にきちんとした配慮をした上であれば、積極的な政治教育をこのような形でしていただきたいというふうに考えているところでございます。

三谷委員 まさに模擬選挙というのは、これが許されるのであれば非常にすごい、全ての高校において政治というものに生で触れ合うというようなことにつながっていくのではないかというふうに考えております。

 ただ、やはり、普通の開かれた社会ですと、あなたは誰に投票したんですかということを言わされる機会というのはほとんどないんだろうというふうに思うんですが、高校とか、そういったクローズドな環境ですと、どうしても人間関係の中で、例えば、自民党さんとか民主党さんみたいな大きな政党に投票したよということであれば、別に後ろから何か言われることはないんでしょうけれども、みんなの党に投票したとか言われると、おおい、みんなの党とかいって、いじめにつながったりとか、そういうこともあり得るんじゃないかというふうに思うので、そういう投票の秘密というものの価値とか重要性というのも同時に教育の中に盛り込んでいただければ、そうしたら、本当にすばらしい制度になっていくんじゃないかというふうに思っております。

 前提みたいな感じで伺ってしまって、済みませんでした。

 さて、本題の、十八歳に引き下げるという話について伺っていきたいというふうに思っております。

 まず、何度もお答えいただいているので申しわけないんですけれども、総務省さんの方で、十八歳に引き下げることの最大の問題点、先ほど二点おっしゃっておりました。もう一度、一言で、本当に手短に、何が問題だから引き下げられないというふうに考えているのか、お答えいただきたいと思います。

安田政府参考人 選挙権年齢の引き下げにつきましては、成年や成人の権利と義務について定めた民法の成年年齢や少年法の適用対象年齢との整合性の観点、これが必要なのではないかということから、これらが一致することが適当であるというふうに申し上げてきたところでございます。

 また、実務的に言えば、仮に選挙権年齢と少年法の適用対象年齢にずれが生じた場合には、十八歳、十九歳の者が選挙犯罪等の犯罪を犯しても、原則として保護処分となりまして公民権停止の対象とならないといったことにつきましては、二十以上の者との間で均衡を失することになるのではないかということを考えておりまして、この点についてもどのように整理するか、論点になるものと考えているところでございます。

三谷委員 今のその二点についてなんですけれども、できるだけ一致をさせていくということについては、法務省の民事局さんの方も、刑事局さんの方も、どうぞどうぞ、先にやってください、別に一致していなきゃいけないとは考えていませんよというふうに言っていることとの整合性、そことの違いをどう理解されていくのかということをまずお答えいただきたい。

 それから、少年事件だから、当然ながら成年の場合と処分が違う、これは当たり前のことなんですね。当たり前のことを問題視するということ自体が、少年事件、少年法というものを理解していないように思うんですけれども、その点についてお答えいただければと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 まず、法務省のお考えとの違いということでございますけれども、民法の成人年齢につきましては、法務省の方も、民事局の方も、引き下げる基本的な方向性は一致しているというふうに考えてございます。

 ただ、一定の準備が必要であるということから、若干の準備期間が必要であるというお考えであるというふうに聞いておりまして、私どもといたしましては、特段の事情がない限りといいますか、民法の成年年齢と公職選挙法の選挙権年齢というのは、年齢を異にする特段の理由はないのではないか、こういうことで申し上げてきているということでございます。

 少年法との関係につきましては、先ほど来法務省の方から御説明がございますように、少年法につきましては、直ちに引き下げるような事情がないのではないかということでございまして、考え方が若干異なってきているということでございます。

 それから、少年について、十八歳、十九歳の者につきましては少年法が適用になるんだから、結果として公民権停止の対象とならない、当たり前ではないかというお話でございますが、それは一つの整理かと思いますけれども、例えば、同じ事案が起こりまして、同じ事案といいますか、例えば買収事案等、二十の者と十九歳の者が一緒になって行うというケースを想定してみますと、二十の者は、罰金刑であっても、これは五年間の公民権が停止されるということになります。十九歳の方は、原則、保護処分ということになりますので、そういう公民権停止の対象にならない。

 刑事罰についての差もございますけれども、公民権停止ということで選挙権行使ができなくなる、選挙の世界での取り扱いというものが、十九歳の者と二十の者で全く異なってしまう。これをどう考えるのかということは、議論としてあるのではないかということを申し上げている次第でございます。

三谷委員 今のお答えを、今こういうふうに、傍聴席からも、そしてインターネットを通じても本当に多く見ていますから、全くもって少年法を理解していないということが改めて明らかになったんじゃないかと思います。

 同じ犯罪行為を犯しても、それに対する処罰が違うというのは当たり前のことなんですね。今のところは二十が成年ということになっておりますから、成人ということで、十八歳、十九歳の方が人の物を盗んだって、それは二十の人と取り扱いが違う。もちろん刑事処罰ということもそうでしょうし、実際問題として、物を盗んだ人の氏名がマスコミに報道されるかという事実上の制裁という観点からも違うんです。

 これは当たり前のことなんですね。当たり前のことを、それは違うからそうはできませんということが通るのかどうかということを、ぜひともしっかりと考えていただきたいというふうに、これは強く求めていきたいというふうに思っております。

 何でそういうふうに総務省さんが言うかというと、法務省さんが動かない限り自分が動かなくて済むからなんです。だから、先にそっちが動いてくれれば私は動きますよということ以上のものでもないんですね。だから、そこはしっかりと強く求めていきたいというふうに思っております。

 ただ一方、涼しい顔をして法務省の方も見ているというのも解せない話でございまして、民事局さん、刑事局さん、一点ずつあるかと思います。

 まずは民事局さんの方から伺いたいというふうに思うんですが、二十というものが十八に引き下げられる、消費者教育、これがまだまだ足りていないというふうにおっしゃっているのかもしれないですけれども、どうして直ちにこれを十八に引き下げられないのか、そこの最大の懸念点というものを簡単にお答えいただきたいと思います。

萩本政府参考人 一言でなぜ引き下げられないのかと問われれば、それは成年年齢の引き下げが極めて社会的に大きな影響をもたらすもので、それゆえ、やはり環境整備が必要であり、その環境整備がまだ整ったとはなかなか言えないのではないかというお答えになろうかと思います。

 多少ちょっと弁解がましいことになってしまいますが、一言申し上げますと、私どもは一度も、自分からはやらない、どうぞ先にやってくださいということを申し上げたつもりはありません。今申し上げましたとおり、法制審議会に諮問し、答申を得て、我々は、成年年齢の引き下げは、選挙権年齢が下がる以上はやりますということを申し上げております。

 別に、選挙権年齢の引き下げと民法の成年年齢の引き下げを一緒にやる、同時にやるという選択肢も決して否定しているものでもありません。ただ、今申し上げましたとおり、民法の成年年齢の引き下げは、その社会的な影響の大きさに鑑みますと、そうすぐできるものではない、やはり一定の環境整備を要するもので、それには時間がかかる。ですから、一緒にやるという選択肢は否定していませんが、もし一緒にやろうとすると、それは時間がかかるので、そこは待っていただかなければいけなくなってしまう。

 ですから……(三谷委員「一言でお願いします」と呼ぶ)ごめんなさい。ですから、もし急ぐのであれば、先ほど申し上げましたとおり、両者は別に、民法の成年年齢を引き下げなければ選挙権年齢が引き下げられないという関係にはないのだから、選挙権年齢の引き下げを先行させるという選択肢もあるのではないかと申し上げてきたところでございます。

三谷委員 今お答えいただきましたけれども、平たく言うと、社会的影響力、二十が十八歳に引き下げられることによって、ちょうど十八歳、十九歳というものが、民法の契約法上も非常に、今まで保護されていたのが保護されなくなるというようなことなんだろうというふうに思うんですね。

 そのときに、二つ議論がございます。

 一つは、婚姻による成年擬制というものがあるはずなんです。要は、結婚している人については、当然ながら、二十より低い年齢でも、それは成年と同じように取り扱われる。できるじゃないですか。大人と同じような判断能力があるというふうな民法上の規定があるじゃないですか。その点についてどう考えるのかということ。

 あともう一つは消費者庁さんに伺いたいんですけれども、要は、消費者教育がまだまだ足りていないというふうに言われているんだろうというふうに思うんですが、消費者庁が発足して何年たつのか、ちょっとこれもお答えいただきたいんですが、その中で、今までとは違うんだ、十八、十九という方についても、しっかりとこれは若年者に対する教育が進んでいるんだということのお答えをいただければというふうに思います。お願いします。

萩本政府参考人 今委員から御指摘がありましたとおり、民法には、七百五十三条のことかと思いますけれども、「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。」という規定がございます。

 ただ、この規定は、言うまでもありませんが、民法の行為能力の問題としてそうみなすとしているものでして、いわば財産の管理能力において婚姻した者は成年者と同様に扱うということでございますが、これによって公職選挙法上の選挙権年齢が与えられるわけではなく、それは、二十という線引きは変わらない。その意味でも、両者は、やはり立法趣旨が異なり、別々の問題として観念されているということが言えるのではないかと考えております。

三谷委員 今お答えいただいたのは完全に詭弁です。

 私が言っているのは、婚姻擬制されたことによって、その婚姻した人が民法上も成年と同じように扱われるじゃないかということで、二十を十八に引き下げられない理由なんかにならないんじゃないですか。公職選挙法に絡めて質問はしていません。

 この点についてもう一度お答えください。

萩本政府参考人 民法の考え方は、婚姻をした以上、未成年であるにもかかわらず、二十に達していないにもかかわらず、婚姻ということをみずからの意思で選択した者については、そういう判断能力があることを前提に、財産管理能力についても成年者と同じとみなしましょうということを言っているにとどまるのであって、それゆえに、婚姻という選択をみずからの意思でしていない二十歳未満の者全てについて、財産管理能力を成年と同じとみなすということが言えるということまで言っているものでは決してないというように考えております。

三谷委員 突っ込みたいんですけれども、時間がなくなりそうなので、消費者庁にまずお答えいただいてからにします。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁は、設置以来、ちょうど五年目になります。

 この問題に関してでございますが、成年年齢の引き下げ自体というのは、総務省さらには法務省、いろいろ議論がありますが、いずれにしましても、私どもとしましては、閣議決定で決めてございますが、成年年齢の引き下げに向けた環境整備の観点から、学校段階から含め、まさに若年者の教育をしっかり推進していくという形で今取り組んでいるところでございます。

 ただ、地域のレベルが大変大事でございますが、全ての地域においてできている状況でございませんので、何としても今からも強力に進めていきたい、このように考えている次第でございます。

三谷委員 ぜひとも消費者庁さんには頑張っていただきたいというふうに思うんですが、一方で、法務省の民事局さんに改めて伺いたいと思います。

 みずから選んで婚姻をした人については十分な判断能力があるというような法律のたてつけだとすれば、みずからが判断をすれば、当然ながら、そういう判断能力があるというような法律もつくることは可能だというふうにお考えだということでよろしいでしょうか。

萩本政府参考人 今委員から御指摘のありましたその判断をするというのは、何を判断した場合のことかがちょっとわからなかったんですけれども、民法は、婚姻という身分関係についての重大な行為について、男性は十八歳、女性は十六歳から婚姻を認めておりますけれども、その重大な身分行為について、十八歳あるいは十六歳から、みずからの判断でそういう選択をとれるという制度があることを前提に、財産管理能力についても、先ほど御紹介したような、みなし規定を置いております。

 ですから、何かなぞらえるものがあれば、確かに法制度上そういう枠組みを設けることはあり得るかとは思いますが、それが具体的に何をイメージされているかによってお答えは変わってくるのではないかと思います。

三谷委員 ぜひとも、その点をこれからもしっかりと詰めていきたいというふうに思っております。

 以上です。ありがとうございました。

保利会長 次に、畠中光成君。

畠中委員 結いの党の畠中光成です。

 内閣に年齢条項の見直しに関する検討委員会が設置されまして、その後、関係省庁の協力を得ながら、省庁別の対象法令の検討状況を整理していただいたかと思います。その中で、公選法、民法、それから少年法、スポーツ振興投票法、いわゆるtoto法ですね、これに関連して、検討中のものが十と少しあるわけです。かなり少なくなったというふうに思います。

 要は、今回の立法において、年齢を引き下げるんだ、選挙権も含めて引き下げるんだという強い意思さえあれば、それはすぐにでもできる。先ほど、いろいろな各省の違い等で政府内がまとまっていないという答弁もありましたけれども、こういった検討状況からいけば、強い意思さえあればすぐにできる、そのように考えるわけですが、こういうことでよろしいでしょうか。内閣官房、お答えください。

河内政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、年齢条項の見直しの検討を行うため、この検討委員会を開催し、各府省庁の所管法令の検討状況についてフォローアップを行ってきたところでございます。その結果、現在の議論の焦点は、御指摘の公選法、民法及び少年法の取り扱いに絞られてきたと認識しております。

 しかしながら、検討委員会のもと、内閣官房、総務省、法務省を中心に検討、調整を進めてまいったわけでございますが、残念ながら政府部内では成案を得るに至っていないところにつきましては、先ほど来御答弁申し上げているとおりでございます。

 政府といたしましては、今国会に提出された国民投票法改正案附則第三項の趣旨や与野党八党の合意事項、その他、立法府における御議論等を踏まえた対応が必要であると考えております。

 こうした見地から、引き続き、それぞれの法律、制度を所管する総務省、法務省において、所管行政に支障が生じないよう必要な対応について検討を深めることがもとより重要であります。内閣官房としても、これを促すとともに、両省とともに必要な対応を行ってまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

畠中委員 今、くしくもおっしゃっていただいたように、まさに立法府の意思というのが一番大事なんですよ。すなわち、我々がしっかりその意思を示すということが一番大事だというふうに思います。

 私も共同提出者の一人として申し上げるのは申しわけないんですけれども、特に与党筆頭である自民党さんには、この旨、特に党内をしっかりまとめておいていただきたいと思うんですが、それ以前に、ここで確認したいのが、今回、七党で共同提出をしたわけですから、もう既に自民党内云々の話ではないわけですよ。この七党がいわゆる立法府の意思なわけでありますから。

 改めて申し上げておきたいんですが、私、共同提出者の一人として七党の確認書も交わしましたし、今回、共同提出に至るわけでありますから、下げるんだという意思はこの立法府において明確だということを改めて強く申し上げておきたいと思いますので、政府部内で今まとまっていない、そういう発言をおっしゃっていますけれども、立法府の意思は明確なんですから、その旨、くれぐれもよろしくお願いしたいと思っております。

 さて、そのことを申し上げた上で、各省にお伺いします。

 民法上の未成年者に対して国民投票権や選挙権を認めることの見解を、総務省、法務省、それぞれお聞かせください。

安田政府参考人 選挙権年齢と民法の成年年齢の関係についてでございますが、総務省といたしましては、この両者が一致することが適当であるというふうに考え、その旨を説明してきたところでございます。

 憲法改正国民投票の投票権年齢につきましても、選挙権年齢や民法の成年年齢と一致することがわかりやすい、望ましいとも考えられますが、一方で、憲法改正国民投票の投票権につきましては、できるだけ多くの国民が参加することが望ましいという観点から投票権が認められていることなど、選挙権と異なる点もあるというふうにも考えている次第でございます。

 いずれにいたしましても、こうした投票権年齢、選挙権年齢のあり方につきましては、各党各会派において御論議いただくべきものでございまして、総務省といたしましては、立法府において結論が出された場合においては、それに基づいて適切に対処してまいりたいというふうに考えてございます。

萩本政府参考人 冒頭での御説明で、民法の成年年齢と公職選挙法の選挙権年齢との関係については既に御説明を申し上げました。

 そこで御説明申し上げましたことは、今委員から御指摘のありました、国民投票法の投票権年齢と民法の成年年齢との関係についてもひとしく当てはまるというように考えております。

 すなわち、民法の成年年齢と、今般の提案で参政権グループと称されている国民投票法の投票権年齢、公職選挙法の選挙権年齢とは、それぞれ立法趣旨が異なっておりますから、これらが必ずしも一致する必要はなく、民法の成年年齢を引き下げることなく国民投票権年齢及び選挙権年齢を引き下げることに理論上の問題はないと考えております。

 また、十分な環境整備をすることなく民法の成年年齢を引き下げた場合には、十八歳、十九歳の若年者に消費者被害が拡大するなどの問題が生ずるおそれがあるのに対し、国民投票権年齢及び選挙権年齢を引き下げましても、こうした直接的な被害という問題は起こらないのではないかと考えております。

 したがいまして、法務省としましては、民法の成年年齢を引き下げることなく、すなわち十八歳、十九歳の民法上の未成年者に対して国民投票の投票権及び選挙権を認めることに特段の問題はないと考えております。

畠中委員 続いてお伺いします。

 選挙権年齢十八歳引き下げについて、公選法と少年法の関係において、選挙運動等に影響が出ないように法制上どのような措置が考えられるかということを、これも総務省さん、法務省さん、お願いいたします。

安田政府参考人 選挙権年齢と、仮に少年法の適用対象年齢とにずれが生じた場合につきましては、実務的には、十八歳、十九歳の者が選挙犯罪等の犯罪を犯しても、原則として保護処分となりまして公民権停止の対象とならないといった点について、二十以上の者との均衡を失することになるのではないか、この点をどのように整理するかということが論点になるものと考えておるところでございます。

 こうした者に対しまして、十八歳、十九歳の者に対しまして、刑罰を科することなく、別途、公職選挙法で本人の選挙権、被選挙権の停止等を規定することができるかどうかといったことにつきましても、私ども、内部でも議論をいたしましたけれども、なかなか二十以上の者との取り扱いの平等を担保できる方策を見出すことが、現時点ではまだできていないという状況でございます。

 例えば、先ほど法務省から御指摘のございました、一定の保護処分を受けた者の公民権を停止するといったことも想定されるわけでございますけれども、保護処分の判断基準が刑の量刑の判断基準とは異なるのではないか、やはり二十以上の者との取り扱いの平等を厳密に確保することは難しいのではないかといった課題があるというふうに認識しているところでございます。

上冨政府参考人 法務省の立場から御説明申し上げます。

 まず、現行の少年法におきまして、少年に対し、保護処分、刑罰の双方を科すことができることとされておりますことから、十八歳または十九歳の者を少年法の適用対象とした場合におきましても、これらの者が罪を犯した場合に何らの処分も受けないことを意味するものではございません。家庭裁判所に送致された少年についても、死刑、懲役または禁錮に当たる罪の事件について、その罪質及び情状に照らし刑事処分が相当と認められるときには検察官に送致されまして、刑事手続により刑罰を科されることとなります。

 また、刑事処分とならず保護処分となる場合でありましても、保護処分といいますのは、犯罪行為を内容とする非行事実が裁判所により認定されたことを前提といたしました不利益処分としての性質がございます。特に、少年院送致などの施設収容処分については、その不利益性は大きいと考えられるところです。したがいまして、少年法の適用対象年齢が満二十歳未満のままであったとしても、公職選挙法違反の罪を犯した少年に対しては、その事案に応じた適切な処分がなされ得るものと承知しております。

 他方、公民権の停止や連座の制度は刑罰そのものではなく、選挙が公明かつ適正に行われることを確保することを目的とした選挙制度上の措置であると承知しております。そうしますと、十八歳または十九歳の者が選挙違反をした場合における、公民権の停止や連座の制度という公職選挙法上の措置の対象とすることの必要性、あるいはそのための要件につきましては、選挙制度のあり方の問題としてまずは検討されるべきものと考えております。

 その上で、仮に、公職選挙法上の政策判断として、保護処分を受けた者などについても公民権停止や連座の対象とする必要があるということであれば、公職選挙法において、一定の保護処分を受けた者について公民権停止や連座の対象とするなどの法整備を講ずることも可能ではないかと思われるところです。

 なお、保護処分につきましては、先ほど申し上げましたとおり、刑事裁判における有罪判決と同様に、非行事実の認定がなされる不利益処分でございます。その上で、保護処分に対して何らかの公職選挙法上の措置をとることについて、具体的あるいは現実的な問題があるということであれば、法務省といたしましても、その問題点について、具体的な御提案を踏まえて協議に応じてまいりたいと考えております。

畠中委員 今、総務省さん、法務省さんから、十八歳への年齢引き下げに関する幾つかの論点について御答弁いただきました。ほかにもたくさんあるわけですけれども、総務省も法務省もそれぞれの立場があるわけですから、多少の意見の違いがあって、これは当然だと思います。しかしながら、先ほど冒頭に申し上げましたように、このたび、立法府の意思というのが明確なんですから、今御答弁いただいた範囲であれば、この意思に基づいてまとまっていただくことを強く期待したいと思います。

 次に、国政選挙、明らかに行われる国政選挙、二〇一六年、二年後の参院選、あるいはそれまでの衆院選ということになりますけれども、選挙権年齢の引き下げにかかわる周知期間というのはどの程度必要だと考えるか、総務省さん、お聞かせください。

安田政府参考人 周知期間についてのお尋ねでございますけれども、選挙権年齢の引き下げに当たりましては、選挙実務の面では、市町村選挙管理委員会における選挙人名簿調製システムの改修と、それに基づいての選挙人名簿の登録というものが必要でございます。また、周知啓発、これはどの程度時間をかけるかという問題がございますけれども、これも必要だということで、こうしたものの準備が必要だというふうに考えてございます。

 このうち、選挙人名簿調製システムの改修等についてどのぐらいの期間を要するか、複数の市町村の選挙管理委員会に聴取したわけでございますが、現行のシステム改修あるいは改修後のシステムの稼働確認といったもので、一番長く必要だと答えたところは六カ月程度というお答えでございました。三カ月程度というお答えの団体もございました。こういう回答を寄せられているわけでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、今回、そういうことで、まだ市町村選管に問い合わせたという段階でございますので、今後、こうした必要な準備期間についてはさらに精査をする必要があるというふうに考えているところでございます。

畠中委員 そういった期間について、簡単にお答えいただいたわけですけれども、しっかりとお尻を明確にして、どの程度の期間が必要かということで、今後、各党プロジェクトチームでも、この選挙権年齢の引き下げについて動かしていかないといけない、そのように認識しています。

 同時に、この十八歳への年齢引き下げについては、国会で議論されているほどまだ国民に十分に周知されてきていないように思います。先ほどほかの方の質問への答弁の中でも、環境整備が整っていないという御答弁をされた方がおられますけれども、まさに、国民に対してしっかりと周知することが一番の環境整備だというふうに考えますので、それは私どもも、そういった取り組みに対してしっかりと提案をしていきたいと思いますが、政府の方においてもこの取り組みをしっかりと行っていただけるようお願い申し上げます。

 次に、公務員の政治的行為に絡む質問に移らせていただきます。

 公務員や教職者の地位利用について、その構成要件の範囲を絞るのが難しいという旨の意見もあります。とはいうものの、地位利用については禁止は禁止ですので、罰則が仮に設けられなかったとしても、要件の範囲というのはある程度定めることができるんじゃないか、そういうふうに思うわけですけれども、総務省さんの御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

安田政府参考人 地位利用に関しまして既にある規定といたしましては、国民投票法も、罰則はございませんけれどもございますが、罰則をもって既に担保されている地位利用に関する規定といたしましては、公職選挙法上の公務員の地位利用の禁止規定あるいは教育者の地位利用の禁止規定というのがございます。

 ここにおける公務員の地位利用についての「その地位を利用して」の意味でございますが、公務員等としての地位にあるがために、特に選挙運動等を効果的に行い得るような影響力または便益を利用する意味であり、職務上の地位と選挙運動等の行為が結びついている場合をいうと解されているところでございます。

 教育者の地位利用についての、その「地位を利用して」の意味でございますが、教育者たる地位に伴う影響力を利用して選挙運動を行うことを意味するというふうにされているわけでございます。

 これらに係る刑事裁判の判例も幾つかございます。また、私どもといたしましても、ある程度の類型化、整理を行ってきているところでございまして、こういう形で罰則は適用されているということでございます。

 一方で、今回の法案の審議において、地位利用について罰則を設けるかどうかということについては、各党間で御議論がなされて提案がされているというふうに承知してございますので、国民投票における地位利用についての構成要件ということについては、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

畠中委員 公務員の政治的行為にかかわる論点については、政治的行為そのものにも、先日の百地参考人もおっしゃっておられましたけれども、そもそもグレーゾーンが見受けられると。そっちの方にグレーゾーンがあるのであれば、よりこの地位利用の部分について、我が党も提案をさせていただいたような罰則を設ける、こういった方がよほど範囲を明確にしやすい、そういうふうに私は考えておりますので、今後の検討課題として取り組んでいきたいと思っております。

 さて、最後に、三つの宿題のうちの三つ目であります一般的な国民投票についてお伺いしたいと思います。

 結いの党は、国政重要問題国民投票制度として、憲法改正以外の一般的国民投票制度について提案をさせていただきました。今回の改正案においても、意義や必要性についてさらに検討を加えと、多少なりとも議論を前に進めることになりました。

 昭和五十三年二月三日の真田内閣法制局長官の答弁でも、「法的な効力は与えない、どこまでも国会が唯一の立法機関であるという憲法四十一条の原則に触れないという形に制度を仕組むということであれば、まずその点は憲法に違反しない。」とあります。しかしながら、いまだに間接民主制との整合性云々、こういった話を引き合いに出して議論がなかなか進まないというのは残念なことだと考えております。

 そこで、諮問的な国民投票制度については、現行憲法がとっている間接民主制に反するものではない、むしろ欧州などでは重要な場面で積極的に活用されているということを改めて確認しておきたいと思いますが、御見解をお聞かせください。

橘法制局参事 衆議院法制局の橘でございます。

 私ども衆議院法制局は、憲法及び法律問題に関して局としての見解を述べるような機関ではございませんが、全般にわたる御質問でございますので、便宜私の方から御答弁させていただくことをお許しください。

 まず、憲法九十六条が定める憲法改正に係る国民投票以外の場面について、例えば、先生御指摘のような、国政における重要な問題に関する国民投票制度を、その結果に法的拘束力を持たせない諮問的なものとした上で法制度設計することにつきましては、現行憲法のもとにおいても十分に認められるとする御見解は解釈論の一つとして成り立ち得るものと拝察いたします。現に、そのような見解は、学説においてもむしろ多数の見解として述べられているように御紹介されている文献もあるところでございます。

 次に、欧州各国における国政重要問題に関する国民投票制度の利用の状況についてでございますけれども、各国それぞれの憲法のもとでの制度設計でございますから、その法的拘束力の有無や、国民投票実施が義務的なものか任意的なものであるかといったような制度設計はさまざまであり、それらを捨象した上で、若干の事例を御紹介申し上げさせていただきます。

 まず、昨年、先生と御一緒させていただきましたイタリアにおきましては、法律廃止の場面における国民投票制度がかなり積極的に活用されているといったことは、先生には釈迦に説法でございますが、海外調査で見聞してきたところでございます。我が国でも報道された著名なものとして、原発再開計画の許容に関する法律の廃止につきましては、この国民投票は近年行われ、これが可決されたというところは御承知のとおりであるかと存じます。

 また、直接民主制の要素を大幅に取り入れているスイスでの頻繁な国民投票の実施はよく引用されるところでもございます。

 そのほか、衆議院憲法調査会あるいは憲法調査特別委員会の時代におけます海外調査報告書を見てみますと、オーストリア、スウェーデン、スペイン、そしてフランスなど、欧州各国においても、法律案やあるいは政治的に重要な問題に関する国民投票制度が設けられております。その利用の回数、頻度については各国においてまちまちでございますが、それなりの実施例はあるようでございます。

 以上です。

畠中委員 終わります。ありがとうございました。

保利会長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 我が党は、選挙権年齢については、改憲手続法とはかかわりなく、速やかに十八歳以上に引き下げるべきだという立場を一貫して主張してまいりました。その上で幾つか伺いたいと思いますが、まず総務省に質問いたします。

 改憲手続法の附則第三条に基づく選挙権年齢の十八歳への引き下げの問題について、先ほど来累次にわたって質問があり、御答弁もあったと思うんですけれども、要するに、端的に言って、経過の細かい話はいいんですけれども、なぜできなかったのか。どうお答えになりますか。

安田政府参考人 選挙権年齢の引き下げについては、方向性は国会において示されているものと理解しております。

 それを制度化するに当たりまして、私どもは、民法の成年年齢、少年法の適用年齢、これと整合性を図ることが適当であるというふうに申し上げてきたわけでございまして、逆に言いますと、民法の成年年齢との関係あるいは少年法の適用対象年齢との関係でございますが、これと差ができたときにそれを合理的に説明できるのかどうか、こういうことで私どもの考え方を申し上げさせていただいた。

 一方で、法務省の方は必ずしも私どもと考え方が一緒でなかったということはこれまで御答弁があったとおりでございまして、こうしたことから現在まで合意ができず、政府として提案するに至っていない、こういうことでございます。

笠井委員 改定案の提出者の答弁の中では、手続法の成立の後、さまざまな政治状況の変化があったからという説明があったんですけれども、関係省庁の側では、総務省に伺いますけれども、要するに、言ってしまえば、そういう政治状況、様子を見ていた、そういうことになるわけですか。

安田政府参考人 政治状況といいますか、政府部内で、内閣官房を中心に関係省庁間での検討を進めてきたわけでございますが、現在に至るまで関係省庁間での意見が一致していないという事情でございます。

笠井委員 冒頭、総務省の御説明の中で、今後、各党各会派において議論が行われるものと承知しているけれども、立法府において結論が出された場合には、これに基づき適切に対応してまいりたいという話がありました。

 ある意味、今部長もおっしゃったんですけれども、二〇〇七年の手続法の成立によって方向性というか結論は出ていたわけですけれども、これからあればというんじゃなくて、これまでも附則三条という形で結論があった。では、そのことについてどのように検討したかということが問われると思うんですけれども、その姿勢の問題はどうでしょうか。

安田政府参考人 先ほど御説明申し上げました、今御指摘もございましたけれども、選挙権年齢を引き下げるという方向性は出されていたわけでございますが、関連する法令として民法の成年年齢等についても検討するということが書かれておったわけでございまして、私ども、やはり全体の整合性の観点、法体系全体の整合性の観点から、これらは一緒に引き下げることが適当だということで議論を進めてきた、その結果として意見が一致しなかったということでございます。

笠井委員 そうしますと、改定案では、選挙権年齢の引き下げについて、法施行後速やかにという附則が設けられております。そして、八党の間の確認書というものを見ますと、二年以内を目指すということにもなっております。立法府の結論が出された場合、それに基づいて適切に対処というふうに言われましたけれども、そこで適切な対処という意味なんですけれども、整合性とか合理的説明がそこにはなければいけないということが今の答弁の中でもあったと思うんですね。つまり、そういう結論が出たとしても、整合性、合理的説明については調整がなければいけないという問題になってくると思うんだけれども。

 そこは適切に対処というふうに言うけれども、しかし、そういう結論がたとえ出たとしても、整合性、合理的説明については政府部内でやはり調整しないといけないと。それについてはどういう見通しを持っているんですか。今までなかなか大変だったけれども、今度は、そういうふうなことで、結論が改めて出たときはすぐできます、こうなるんですか。

安田政府参考人 私ども、民法の成年年齢、少年法の適用年齢、選挙権年齢、これは一緒に引き下げることが適当であるというふうには考えております。ただ、一方で、選挙権年齢、民法の成年年齢、少年法の適用対象年齢が理論上必ず一致しなければいけないとまでは言えないというふうに思っているところでございます。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、今後、各党会派間で議論が行われ、立法府において結論が出され、例えば議員立法において公職選挙法の引き下げを先行するということが決められた、そういう場合においては、私ども、公職選挙法を所管する立場から、その管理執行等について万全を期してまいる、そういう考え方でございます。

笠井委員 では、次に法務省に伺います。

 法制審議会の「民法の成年年齢の引下げについての意見」という答申のもとになった諮問の第八十四号についてでありますけれども、私は、その趣旨がちょっとよくわからないというか、なぜ成年年齢を引き下げるべきか否か等について御意見を賜りたいという諮問を出したんでしょうか。

萩本政府参考人 附則三条ですけれども、これは、法務省の理解で、以前にも御答弁申し上げたことですけれども、十八歳への選挙権の引き下げのみが法文上は明示されている状況にあるという理解でありましたし、また、これまでのこの審査会での御審議の中でも、関連法令につきましては、それぞれの立法の趣旨に立ち返って一つ一つ精査をし、十八歳に引き下げるもの、あるいは現状のまま二十にとどめるものを一つ一つ検討していく必要があるということも述べられていたところであったかと思います。また、世論調査の結果もまたしかりであったと思います。

 そのような事情を踏まえまして、法制審議会においては、民法の成年年齢がもともと二十に定められた趣旨に立ち返って、それを十八歳に引き下げるべきか、二十のままとすべきかということを民法の観点から改めてしっかり検討していく必要があると考え、先ほど御紹介いただいたような諮問に至ったものと認識しております。

笠井委員 改憲手続法の附則三条というのは、改憲手続法施行までの三年間で、すなわち二〇一〇年の五月十八日までの間に、選挙権年齢、成年年齢等を十八歳に引き下げること、それができること等になるようということで、その引き下げをある意味義務づけたわけですね。ところが、諮問するときには、成年年齢を十八歳に引き下げるべきか否かを問うというふうになっている。

 法律でいえば、つまり、べきか否かを問うんじゃなくて、引き下げるということについては既に法律上決まっていたというふうな理解にはなかったんですか。何でそこを、もともとどっちがいいですかみたいな話に諮問したのか。

萩本政府参考人 国民投票法のもともとの附則三条の読み方ということになるかと思いますけれども、満十八年以上満二十年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう検討するという附則であったと理解しております。ですから、選挙権年齢の引き下げについては方向性が明示されているのに対して、民法の成年年齢の引き下げまでは、そこまで明示されていないというのがまず出発点でございます。

 その上で、民法の成年年齢を引き下げなければ選挙権年齢を引き下げられない、そういう関係に立っているのであれば、選挙権年齢の引き下げは明示されているわけですから、もう議論するまでもなく、成年年齢も引き下げなければいけないということになり、それはそうしなければ国会の御意思に反することになるということになろうかと思います。

 そういうことから、法制審議会では、それでは、そもそも成年年齢を引き下げなければ選挙権年齢を引き下げられないという関係にあるのかどうかからまず確認しよう、議論しようということから議論を出発しまして、その検討の結果、先ほど来御答弁申し上げていますように、そういう関係にはないということがありましたので、民法の成年年齢を三年以内に引き下げなくても選挙権年齢の引き下げが可能であり、そちらを先行させてもらうことができる以上、民法の成年年齢を引き下げなければ附則三条に直ちに違反するという関係には立たないという結論をまず出しまして、それを受けた上で、それでは、民法独自の観点から、附則三条で求められているところの十八歳にするかどうかの検討をしようということで、その検討に次に入った、こういう経緯でございます。

笠井委員 いろいろ言われたけれども、明らかに話をすりかえているんですよ。そういう議論の経過でもなかったし、附則三条の読み方というのはそういうふうになっていないわけで、最初から、出発点からかけ違いがあるというふうに言わなきゃいけないと思います。

 法務省に伺いますけれども、改憲手続法の附則三条に基づく成年年齢の十八歳への引き下げというのが、先ほど来経過があったんですけれども、総務省に先ほど伺いましたが、要するに、なぜできなかったのかということについては、端的に言ってどういうことですか。

萩本政府参考人 繰り返しになって恐縮ですけれども、成年年齢の引き下げは社会的に極めて重大な影響を及ぼすものでして、環境整備が必要である、環境整備をしないまま引き下げた場合には社会的に大きな問題が生ずるということが理由でございます。

笠井委員 そういうふうに多くの問題があると言われるが、改定案では成年年齢の引き下げについて、法施行後速やかにという附則が今度設けられて、前回の質疑では、四年以内の引き下げを目指したいと発議者が答弁されているわけです。今の法務省の答弁を聞いていると、これまで七年間できなかった、重要な問題なのでなかなか大変なんだ、そもそもから議論しなきゃだめなんだというふうに言われているわけですけれども、改定案で言っている附則の規定ぶり、それから、発議者自身が四年以内に引き下げを目指したいというふうに言っているんだけれども、そういう見通し。では法務省としても持てるんですか、それに見合うようにちゃんとやれると。

萩本政府参考人 先ほど来、総務省からも答弁がありますとおり、立法府の意思が示されれば、それにもちろん従い、適切に対処するというのは、同じ行政府に身を置く立場として当然のことと、同じ認識を持っております。

 そうしますと、あとは、今回のこの改正案が可決されました暁には速やかに対処することが求められるということになると思います。その上で、その速やかにをどの期間内に、何年以内に実現できるか、こういう問題提起と理解いたしましたけれども、今申し上げましたとおり、やはり、一定の環境整備をしないまま引き下げた場合には重大な問題が生じるというように考えております。

 速やかに、早く、ただ引き下げれば、社会的な混乱が生じようが構わないという対応を行政府としてとるわけには、当然のことながら、まいりませんので、可能な限り速やかにその環境整備を整え、速やかにという国会の御意思が示された場合には、それに対応してまいりたいというように考えておりますが、今、年数を明示できるかというと、それはちょっとなかなか困難ではないかというように考えております。

笠井委員 もともと国会の意識という点では現行法でもあったのに対しても、そういう形できちっとやってもらった上に、今、今度、改定案のその附則、それから発議者自身が言っている年限も含めて、環境整備には一定の時間がかかるから、それでできるとは言えないということを言われたわけですよね。ここは非常に大きな距離がある、重大な問題だと私は思います。

 内閣官房に伺いますけれども、年齢条項の見直しに関する検討委員会というのは、改憲手続法の附則三条に基づいて内閣に設置されたものだと理解しております。ところが、実際には、法施行後三年間はおろか、七年間たっても附則三条が実現していないわけであります。

 いろいろ言われたんですが、幾つかやってきました、大分やりました、絞られているというふうに言われたんですが、もともとネックになって、ポイントになっているのは、公選法と民法と少年法、ここははっきりしていたわけですよ。いろいろあってもいろいろやってきましたと言うんだけれども、そういう中心の問題について、では何をやってきたのかということが問われると思うんですけれども、どうですか、そこは。

河内政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房として政府全体の取りまとめをする立場から、これまでの政府の検討状況でございますが、先ほど来御答弁申し上げておりますように、年齢条項の見直しを行うため、政府といたしましては、各府省庁の事務次官らで構成をされます年齢条項の見直しに関する検討委員会を開催し、各府省庁の所管する法令の検討状況についてフォローアップをしてきたところでございます。昨年六月の衆院憲法審査会以降におきましても、平成二十五年十月十八日に第七回の委員会を開催するなど調整を進めてまいりました。

 先ほど幾つかの法案につきまして申し上げましたように、昨年六月以降、本年四月までに新たに、警察庁所管の法令六件、厚生労働省所管の法令十六件、環境省所管の法令一件について検討が終了したところでございます。

 したがいまして、議論の焦点は、公職選挙法、民法、少年法の取り扱いに絞られてきたということは認識しております。しかしながら、これにつきましては、内閣官房、総務省、法務省を中心に検討、調整を進めてまいったわけでございますが、課題を提示し、調整を進めてきたわけでございますが、残念ながら、今なお政府部内で成案を得るに至っていないという状況につきまして、先ほど来申し上げたとおりでございます。

笠井委員 二〇一二年の二月二十三日の当審査会で私が質問した際に、内閣官房は、きちんとこれから検討していきたいというふうに言われていたわけですけれども、しかし、検討委員会というのは、その後、その質疑の翌日の開催を除くと、昨年は二回ということが先ほどありましたが、二回開かれただけでありまして、こういう姿勢がこれからもきちんと検討していきたいということなのか。

 では、検討委員会は今後どうするのか。開催の見通しとか段取りについてどう考えているのか、いかがですか。

河内政府参考人 お答え申し上げます。

 政府としての今後の取り組みについてでございますが、今国会に提出されました国民投票法改正法案附則第三項の趣旨、与野党八党の合意事項、そして立法府におけます御議論等を踏まえた対応が必要であろうと考えております。国権の最高機関たる立法府の意思が示されれば、それに従うことは当然でございます。

 こうした見地から、引き続き、それぞれの法律、制度を所管する総務省、法務省におきまして、所管行政に支障が生じないよう、必要な対応について検討を深めることがもとより重要であると申し上げているところでございます。

 内閣官房といたしましても、これを促すとともに、両省とともに必要な対応を図ってまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

笠井委員 改定案では附則の中で、さらにまた、八党の確認書などの中に年齢問題が記されているわけですけれども、内閣官房として、調整しながらも、これまで附則に明記されていても実現しなかったわけですけれども、省の間でも、先ほど来、依然見解が異なっているわけですね。総務省は、立法府において結論が出された場合にはそれに基づいて適切に対応するけれども、整合性、合理的な説明がその際にもきちんと詰められなきゃいけないと言われたし、法務省も、環境整備ということでいうと一定時間がかかるということで、かなり難しい問題があるということを言われている。

 そういう中で、この確認書の中では二年間とか、さらには四年間ということでやりたいという答弁があったりするけれども、そういうことについて、では、調整する内閣官房として、はっきりとした見通しを持ってやれる、立法者の趣旨、あるいはこの附則に基づいてやれるとはっきりここで言えるんですか。

河内政府参考人 お答え申し上げます。

 答弁が繰り返しになって恐縮でございますが、国権の最高機関たる立法府の意思が示されれば、それに従うことは行政府として当然のことでございます。

 したがいまして、今国会に提出されたこの国民投票法改正法案附則第三項の趣旨、与野党八党の合意事項、そして、この立法府、憲法審査会等におけます御議論等を踏まえた対応を政府として行っていきたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

笠井委員 いろいろ聞いていますと、国会のせいにしながら、また、関係省庁としてこれまでの附則三条に基づくことについての作業でできなかったことへの反省もなければ、省庁間で見解が異なったままに、今後の見通しについても心もとない。つまり、二年、四年といっても、やれる保証は全く見えてこないという話が出ている話だと思うんですね。

 現行法審議の過程では、自公案で二十歳だった投票権年齢を、成立した法律では十八歳に引き下げて、法施行までの三年間に選挙権年齢も十八に合わせるというふうにしていたわけですが、それなのに今回の改定案というのは、投票権年齢まで二十歳に戻してしまって、選挙権年齢の十八歳への引き下げというのは検討するというふうになって、確認書では二年以内に目指すというふうに言ってる。その確実な保証もないのに、とにかく手続法は動かせるようにしようということがいよいよはっきりしたという審議だと思うんです。

 こんな改定案は、私は廃案しかないと申し上げて、質問を終わります。

保利会長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 生活の党の鈴木であります。

 限られた時間でありますから、順次御質問をしたいと思うんですけれども、いずれにしましても、質問の最後にもなっておりますので、若干重なった部分が出ることはお許しをいただきたいというふうに思います。

 まず、前段として、私どもが、我が党が考えている共同提案の理由をもう一度、政府参考人の皆さんにも、それから会場の皆さんにも聞いていただきたいと思います。

 我が党は、憲法とは、国家以前の普遍的理念である基本的人権の尊重を貫徹するために統治権を制約する、いわゆる国家権力を縛る、そういう意味での立憲主義の考え方を基本としております。

 同時に、憲法は、国家のあり方や国法秩序の基本を定める最高規範として安定性が求められる性格のものである。したがって、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、国際協調という憲法の四大原則は引き続き堅持すべきである。

 これを前提として、少し具体的なお話を聞かせていただきたいと思うんですが、質問の順序をちょっと変えまして、まず文科省さんにお伺いをしたいと思うんですね。

 やはり今回のこの改正というのは、ある意味では国の形を変えるという可能性のある非常に大きな問題だと、当然御理解いただいておると思うんですが、そういう中で、憲法教育というものが私は非常に大きな問題になってくるのではないのかなというふうに思っています。

 我々は、二年以内に十八歳にということを今からプロジェクトチームで進めていきたいというふうに思っていますが、当然のことながら、これまで以上に、中学生や高校生に対する憲法教育や政治教育が重要となってくる、このように思います。

 一昨日の憲法審査会の参考人質疑においても、私から、若者の政治参加を推進する活動をされておるお二方の参考人に、具体的にどのような教育を充実させる必要があるかということをお伺いしたわけです。

 両参考人からは、ディスカッション授業を積極的に行う必要性や、全てを学校の教育現場に任せるのではなく、地域全体、市民全体で政治教育に取り組むための財政支援を行う必要等々について指摘があったわけであります。また、生徒会活動などを見直して、政治のきっかけになるような、自分たちでルールを決める体験を教育の中でもっとさせていくべきだというような意見もありました。

 こうした参考人の意見も踏まえて、文部科学省としては具体的にどのような取り組みをお考えなのか、まずお伺いをしたいと思います。

前川政府参考人 憲法や政治に関する教育につきましては、学習指導要領に基づきまして、小学校、中学校、高等学校の各段階におきまして、日本国憲法の基本的な考え方、国会を中心とする我が国の民主政治の仕組みや議会制民主主義の意義、日本国憲法に定める政治のあり方と国民生活とのかかわり、政治参加の重要性などについて学習が行われているところでございます。

 学習指導要領は、全国的に一定の教育水準を確保するとともに、実質的な教育の機会均等を保障する、このために国が学校教育法に基づき、また教育基本法に基づきまして定めているものでございます。教科書検定を通じまして、その内容は、学校で主たる教材として使用される教科書にも確実に反映されているところでございます。

 学習指導要領に規定する憲法や政治に関する学習につきましては、このような仕組みを通じまして全国のどの学校でも行われるべきものでございまして、今後その充実を図るに当たりましても、国全体として進めていく必要があると考えております。

 ただ、その具体的な中身、実際の授業の内容につきましては、やはり学校の創意工夫に委ねられる部分が多いわけでございますけれども、例えば、模擬投票を実施したり、複数の新聞記事をもとにして生徒同士で話し合い、実践的、体験的に学習したりといった取り組みが非常に有効であるというふうに考えておりまして、私ども文部科学省といたしましても、モデル事業などを通じましてそういった取り組みを推進し、またその成果を全国的に普及し、情報発信してまいりたいと考えているところでございます。

 また、全国的な取り組みの方向といたしましては、次期学習指導要領の改訂の議論が今年度から始まることになっておりますので、その中で憲法教育や政治教育の一層の充実のあり方につきまして検討してまいりたいと考えているところでございます。

鈴木(克)委員 それは前の方の御質問でも私も聞きました。また、出していただいた資料にもそのように記載をされております。

 問題は、次期学習指導要領の改訂の中でと、こういうことであるわけですが、そしてまたもう一つは、「憲法教育や政治教育の一層の推進」、こういうふうに書かれておるわけですね、ここを、どういうような改訂というものをお考えになっておるのか。また、この国民投票法が成立をしたということになると、具体的にどんなことが必要になってくるのか。それから、一層の推進ということですけれども、言葉の上ではそうかもしれませんけれども、これは本当に、どうして、どのような形で中立性を担保していくのかとか、例えばいろいろな問題が出てくると思うんです。その辺のところはある程度お考えになってきたのか、それともきていないのか、もう少し丁寧に説明をしていただきたいと思います。

前川政府参考人 具体的な学習指導要領の改訂の中身につきましては、今後、中央教育審議会においてしっかりと御議論いただかなければならないことでございますけれども、例えば、一つのアイデアとして出てきておりますことといたしましては、高等学校に新たな科目として公共という科目を設置するというようなことがどうか、そういった課題がございます。

 また、政治的中立性との関係でございますけれども、文部科学省といたしましては、政治的中立性の確保のためには、しっかりとした指導をこれまでも行ってきたところでございますけれども、一方で、政治的中立性を確保するということのために政治教育を敬遠するという傾向がないとも言えないと考えております。

 この点につきましては、政治的中立性をきちんと確保し、配慮した上で、やはり、教育基本法十四条の一項にございますように、公民としての政治的教養をきちんと深めるための政治教育をする必要があると考えております。

 この辺は、国民投票に関しましても、教育者の地位利用との関係が問題になると考えております。私どもは、教育者が地位利用して国民投票運動をする、これは決して許されるわけではないと考えておりますけれども、公平性、客観性に配慮した上で、賛成、反対の両方の立場を紹介しつつ、きちんとした理解を深め、また生徒自身がさまざまな意見を出し合って議論するというようなことは大変効果のあることではないかと考えておりますので、このような方法につきましても推奨してまいりたいと考えているところでございます。

鈴木(克)委員 この問題は、やはり憲法を学ぶということになれば、冒頭私申し上げました、なぜ我々の党が共同提案に参加をしたのかというのは、言うまでもありませんけれども、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、国際協調、こういうものが引き続き堅持をされていかなきゃならないということを前提に、我々はこの法律に、共同提案に乗っているわけですよね。

 そういう意味で、もう一度確認をさせていただきますが、この四大原則、三大原則でもいいんですが、四大原則というものを教育の中できちっと担保していくというか、当然のことですけれども、これは憲法の精神ですから、その確認をもう一度私は文科省からいただきたいなというふうに思っております。

前川政府参考人 日本国憲法の三大原則が、基本的人権の尊重、国民主権、そして平和主義である、これはもう論をまたないところでございまして、憲法について、学校教育において指導する際にも、この三つの原理原則にのっとって指導するということは当然のことであると考えております。

鈴木(克)委員 教育の充実については、私たち国会議員としても、関係法律の整備や財政的措置も含めて積極的に取り組んでいかなければならない非常に大きなテーマだというふうに思っています。

 それで、一昨日の参考人質疑でも実は私指摘したんですが、我が国には都会と田舎がある、都会で仮に今言われるような教育ができても、本当に地方で平等に同じような形で教育ができるのかということを指摘させていただいたんです。

 いずれにしましても、教育でありますから、国民平等でありますから、全国一律でこのことが実施をされていく、そういうおつもりであるということを、もう一度、文科省の見解としてお聞きをしたいと思います。

前川政府参考人 御趣旨を踏まえまして、私どもとしても、今後の憲法教育あるいは政治教育のあり方につきまして十分検討してまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 繰り返しになりますが、非常に大きな問題だというふうに思っていますので、文科省として、それなりのお考えで進めていただくように、重ねてお願いをしておきたいと思います。

 それでは、続いて総務省にお伺いをしたいんですが、繰り返しの質問になりますのであれですが、私の立場でもう一度お聞きしたいんです。

 総務省として、選挙権年齢の引き下げについて今までどのような議論を行ってみえたのか。そして、成年年齢との関係で法務省とはどのような議論をしてみえたのか。そして、どのような努力をなされてきたのか。また、選挙権年齢引き下げの方向性がこうして打ち出された以上、今後さらなる取り組みが必要になってくるわけでありますが、総務省は今後具体的にどのような取り組みを行っていくお考えなのか。ここでお示しをいただきたいと思います。

安田政府参考人 選挙権年齢の引き下げについての総務省の取り組みについてでございますが、平成十九年五月の国民投票法の成立を受けまして、総務省といたしましては、公職選挙法を所掌いたします私ども自治行政局選挙部において、省内の考え方を取りまとめまして、その上で、内閣官房副長官を委員長として設置された検討委員会に参画して、民法の成年年齢や少年法の適用対象年齢等の他の年齢条項の取り扱いとともに、内閣官房や法務省等と検討、協議を行ってきたところでございます。

 この間、検討委員会だけではございませんで、その下に、審議官クラスでの、四者での議論、あるいは法務省とのバイの議論、こうしたものも積み重ねてきたところでございます。

 総務省の立場でございますが、先ほど御説明申し上げましたとおり、選挙権年齢の引き下げ、これは方向性は出されているわけでございますが、やはり民法の成年年齢、それから少年法の適用年齢と一致させることが適当であるというふうに考え、その旨を法務省等に対しても説明申し上げてきたところでございます。

 今後の対応でございますけれども、選挙権年齢の引き下げについては、今後、各党各会派において議論が行われるというふうに承知しているわけでございまして、総務省といたしましては、立法府において結論が出された場合には、それに基づいて、選挙の管理執行等、制度の運用が適切に行われるように対応してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

鈴木(克)委員 それでは、次の質問に入らせていただきます。

 これも先ほど来からほかの委員からも質問があったわけでありますけれども、今後さらなる取り組みが必要になってくるというふうに思うんですね、この成年年齢引き下げの方向性が出された以上。具体的に法務省はどのような取り組みを行っていくお考えなのか、いま一度確認をさせていただきたいと思います。

萩本政府参考人 法務省といたしましては、これまで関係省庁と連携を図りつつ、成年年齢を十八歳に引き下げることに向けた法教育等の環境整備に取り組んできたところでございます。

 また、内閣官房から御紹介がありましたとおり、各府省の事務次官等で構成された検討委員会において、成年年齢の引き下げに向けた環境整備のための各府省における施策の進捗状況等についてフォローアップを行ってきたところでございます。

 今後ですけれども、この審査会における御議論あるいは各党間で設置予定のプロジェクトチームの検討状況等を踏まえながら、引き続き、成年年齢の引き下げに向けた環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、先ほどの繰り返しになりますが、成年年齢を十八歳に引き下げるに当たりましては、経過措置の要否やその経過措置の内容、必要な周知期間といった多くの課題がありますので、それらにつきましても引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 もう一点、法務省にお伺いします。

 昨年六月の憲法審査会で、法務省は、消費者教育等の充実、それから若年者の総合的な支援に向けた取り組みの効果が実際にあらわれて国民の間に浸透するのは、なおある程度の時間を要する、こういうふうにおっしゃったわけですね。そのある程度の時間を要するということをどのように理解したらいいのかということ。現段階においてあとどの程度の時間を要するというふうにお考えなのか、お示しをいただきたいと思います。

萩本政府参考人 昨年、ただいま御指摘いただきましたような答弁を申し上げたところでございます。

 ただ、残念ながら、昨年十月に内閣府に依頼をしまして世論調査を実施いたしましたけれども、その世論調査におきましても、いまだ七割から八割の国民が成年年齢の引き下げには反対の意見を表明しているところでございます。そのような状況の中で、成年年齢の引き下げを行う時期につきましては、今後の環境整備のための関係施策の効果の浸透度や国民意識の醸成の程度を踏まえて判断されるべき事柄になりますので、現時点でその期間を具体的に明示的に予測するのは難しいところでございます。

 ただ、今後、公職選挙法の選挙権年齢が民法の成年年齢に先行して引き下げられることになりますれば、それによって成年年齢の引き下げに向けた国民の意識が醸成されることになり、成年年齢の引き下げに向けた環境整備が一層加速されるということを考えております。

鈴木(克)委員 最後の質問になると思いますが、おさらいという意味でもう一度お伺いをしたいと思うんです。

 八党の合意によって、早期に十八歳に引き下げるということが確認をされておるわけです。また、成年年齢の引き下げも本改正案の附則に定めているところであります。これは御案内のとおりであります。

 選挙権年齢の引き下げが成年年齢の引き下げよりも先行するという事態が考えられるわけでありますけれども、そのときに、選挙権年齢と成年年齢が異なる事態になった場合に、実務上、どういうような問題があるというふうにお考えになっているのか、総務省、法務省、それぞれから御答弁をいただきたいと思います。

安田政府参考人 実務上の問題についてのお尋ねでございますけれども、選挙権年齢と、成年や成人の権利と義務について定めた民法の成年年齢については、その整合性の観点から一致することが適当であるというふうに申し上げてきたところでございますけれども、これは実務上の観点で申し上げてきているということではございません。

 一方、選挙権年齢と少年法の適用対象年齢については、同じく、これらの整合性の観点から一致することが適当と申し上げてきておりますが、これにつきましては、同時に、実務的にも、やはり十八歳、十九歳の者が選挙犯罪等の犯罪を犯した場合に、原則として保護処分になりまして公民権停止の対象とならないといった点について、二十歳以上の者との均衡を失するということになり、この点をどのように整理するかという論点があるということを考えているところでございます。

萩本政府参考人 法務省といたしましては、民法の成年年齢を引き下げることなく選挙権年齢の引き下げが先行し、両者が異なる事態が生じても問題がないと考えているということを繰り返し御答弁申し上げているとおりでございます。

 その問題がないと考えておりますのは、理論上問題がないにとどまらず、実務上も特段の問題は生じないと考えているところでございます。

鈴木(克)委員 時間が来ましたので、終わります。

保利会長 政府参考人の皆様方には、本当に御苦労さまでございました。

 午後一時から審査会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

保利会長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、船田元君外七名提出、日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山下貴司君。

山下委員 自由民主党の山下貴司です。

 以前、憲法の司法試験考査委員を務めさせていただいた私にとりまして、この審査会で発言をさせていただくことは感慨無量でございます。

 本日の質問の機会を与えていただきましたこと、保利会長、提案者の皆様、そして各党の同僚議員の皆様に心から感謝いたします。

 本改正案は、憲法改正国民投票法について積み残しとなっていた三つの宿題について、与野党の皆様が国民のため大局的見地から歴史的合意を行い、八党の合意確認書を公党間の約束として交わした上で提出したものであります。

 今回の改正案を取りまとめられた提案者を初め各党の関係者の皆様に、心から敬意を表する次第でございます。

 その上で、何点か質問をさせていただきます。

 憲法改正国民投票法において投票年齢が十八歳に引き下げられましたのは、将来の日本を担う若者も含め、幅広い国民の意思を反映させようとするものであろうと思料いたします。その際、選挙権年齢、民法の成人年齢、さらには刑事成年年齢など、その他の法令の規定についても検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとされました。

 そして、この点について、選挙権年齢等の十八歳への引き下げについて伺います。

 この点、提出者である与野党八党合意の確認書によれば、選挙権年齢については改正法施行後二年以内に十八歳に引き下げることを目指し、実現した場合には、憲法改正国民投票の投票権年齢についても十八歳に引き下げる措置を講ずるとあります。

 そこで、まず、公職選挙法における選挙権年齢の引き下げを民法上の成人年齢や刑事成年年齢の引き下げよりも先行させる趣旨か、提案者であります船田議員にお尋ねいたします。

船田議員 山下議員にお答えをいたします。

 御指摘のように、私どもとしては、できるだけ多くの人々にこの国民投票に参加をしていただく、とりわけ憲法というのは多くの人々に関係をするわけでございますので、また将来の国民にもそれは及ぶことでございますので、やはり十八歳以上の人々に投票していただく、こういう大前提で議論を続けてまいりました。

 そして、前回の法制定のときにはストッパーをかけさせていただいて、国民投票が、原則、本則として十八歳、しかしながら、公選法による選挙権年齢が十八歳に下がるまでは二十、それを三年の間にやれ、こういうことでストッパーをかけさせていただきましたが、その期間を超えてしまいまして、現在、想定外の状況というのができてしまっているということでございます。

 そこで、私どもは、このたび改めて各党との協議を行いまして、選挙権年齢につきましては、できるだけ早く、とりわけ二年以内に十八歳に引き下げる、そのためのプロジェクトチームをつくるということで、そして、一応、四年以内に二十、四年間は二十であるが、それが過ぎれば十八に下がるという国民投票権の年齢でございますけれども、それよりも早目に選挙権年齢が下がった場合には、四年を待たずに十八歳に投票権年齢も引き下げる、こういうことといたしました。

 ただ、ここにおきましては、当面、いわゆる公民権のグループといいましょうか、参政権のグループ、そういうものはできるだけ一致をするのが望ましい、こういうことでこのような措置をとりましたけれども、いわゆる民法成年年齢あるいは少年法における刑事年齢、そういったものと関連をいたしますので、これはやはりできるだけそろえることが望ましいという前提に立ちます。

 しかしながら、やはり成年年齢あるいは少年法の扱いというのは、午前中の対政府参考人質疑でもさまざま出たわけでございますが、それぞれの持っている法律の目的あるいは影響の範囲、そういったものが非常に広範にわたります。したがって、民法あるいは少年法の改正には一定程度の時間がかかるであろうということで、一応、我々としては、民法については何とかこの四年の間に結論を出す、こういう前提でございますが、まずは選挙権年齢を先行させる、こういう制度設計をさせていただいた、こういう状況でございます。

山下委員 ありがとうございます。

 公職選挙法上の選挙権年齢の引き下げについていろいろ言われていたのが、ほかの法令との横並びということでありますけれども、選挙権年齢の引き下げ単体で見た場合に検討すべき論点については、提案者としてどのようなものをお考えでしょうか。船田委員にお尋ねいたします。

船田議員 一言で申し上げますと、検討すべき論点はあるわけでございますが、選挙権年齢の引き下げについては、我々立法府の決断が全てであると言っても過言ではないというふうに思っております。

 選挙権年齢が十八歳以上でありながら少年法の適用年齢が二十以上の場合、選挙運動が認められることとなる十八歳、十九歳の者が選挙犯罪を犯しても刑事罰に科されない、科されるものもあるという午前中の答弁がございましたけれども、そういうことで、選挙運動等に与える影響について検討しなければいけないというようなことがございます。

 このような問題につきましては、未成年者の保護、更生という少年法の趣旨、あるいは選挙権年齢の設定に関する立法趣旨に照らし、発生する差異についての政策的合理性は十分説明できると考えておりますし、そうであるならば、最終的に我々立法府の立法政策上の判断である、このように考えておるところでございます。

山下委員 ありがとうございます。

 この確認書の内容である選挙権年齢の引き下げというのが本法施行後二年以内を目指すということで、これは各党にできると考えるのかお伺いしたかったところでございますが、この確認書にある以上、できるという前提で質問を控えさせていただきます。

 ただ、本改正法案が今国会で成立し、速やかに施行された場合は、仮に二年以内の選挙権年齢の引き下げが実現すれば、次の参議院選挙あるいは衆議院議員選挙から適用されるということにもなる余地があるわけですが、その点については船田議員のお考えはいかがでしょうか。

船田議員 できるだけ速やかにこの選挙権年齢の引き下げを行おうということで、プロジェクトチームを組むわけでございます。ただ、これはいつの国会でそれができるかという点については、これからの与野党間の話し合いがございますので、一概に申し上げることは控えたいと思っております。

 ただ、一つ申し上げられるのは、周知期間というものもやはりきちんと置かなければいけないということがあります。午前中の総務省からの答弁の中でも、三カ月から半年、この期間は少なくともさまざまな体制の整備ということにかかるということ、あるいは国民の皆さんに周知をさせなければいけないという期間も相当とらなければいけない、こういうことも当然入るわけであります。

 したがって、二年以内に法整備を行ったとしても、それにプラスして周知期間というのがあることを考えますと、次の衆議院、参議院選挙でこれが可能になるかどうかというと、かなり厳しい状況にあるのではないか、このように理解します。

山下委員 いずれにせよ、早ければ、最も迅速にいけば、今の十六歳が国政に参加することもあり得るということでございます。きょう午前中の議論にもありました学校教育における公正中立な憲法教育や政治教育のあり方、これは本当に喫緊の課題である、これは意見として申し上げておきます。

 次に、公務員の政治的行為の制限に関する検討についてお伺いいたします。

 公務員が行う国民投票運動については、賛成、反対の投票等の勧誘行為及び憲法改正に関する意見表明としてされるものに限り行うことができる、ただ、公務員に係るほかの法令により禁止されている他の政治的行為を伴う場合はその限りでないとされております。そして、その趣旨について、提出者である船田議員より、純粋な国民投票運動に限って公務員もこれを行うことができるとしたものである旨、御説明がありました。

 公務員の政治的表現の自由については、憲法十五条が求める公務員の政治的中立の要請と、憲法二十一条の公務員の個人の表現の自由の要請とのバランスが議論されてきたところであります。

 そして、この点について最高裁判所は、昭和四十九年、いわゆる猿払事件において大法廷判決で、行政の中立性が確保され、これに対する国民の信頼が維持されることは、国民全体の重要な利益であり、公務員の政治的中立を損なうおそれのある公務員の政治的行為を禁止することについては、それが合理的で必要やむを得ない限度にとどまる限り憲法二十一条に反しない旨を示し、国家公務員法百二条が禁ずる政治的行為を定めた人事院規則を合憲と判断し、これが公務員の政治的表現の自由に関する指導的判例となってきたところであります。

 これに従って、いずれも懲戒処分ではございますが、いわゆる全逓プラカード事件では、機械的労務に携わる非管理職の現業公務員が特定の内閣の不支持を示す横断幕を持ってメーデーのデモに参加した行為について、懲戒処分を行うことは適法であるとし、また、自衛官が集会において自衛官の制服及び官職を利用して不特定多数の者に対して公然と政府の政策を批判し、自衛隊を誹謗する演説などをする行為について、懲戒処分を科しても憲法違反ではないと最高裁は判示してきたところであります。

 そこで、提出者である船田議員に改めて、公務員が行う国民投票運動に関する改正案百条の二の趣旨についてお尋ねいたします。

 この規定と、国家公務員法、人事院規則で禁止される公務員の政治的行為との関係を、できるだけわかりやすく御説明いただければ幸いでございます。人事院規則で規定されているどのような政治的行為が、憲法改正国民投票では許されるのでありましょうか。

船田議員 現行の国家公務員法、人事院規則も、地方公務員法も、公務員が政治的な目的をもって政治的行為を行うことを禁止しております。

 これは、今御指摘のように、国家公務員法百二条一項、人事院規則一四―七及び地方公務員法三十六条の二項に指摘をしているものであります。

 ここに言う政治的目的とは、例えば選挙において特定の候補者を支持しまたはこれに反対すること等でありまして、政治的行為というのは、例えば選挙において投票するようにまたはしないように勧誘運動をするような行為等であるということであります。したがって、典型的には、選挙において、特定の候補者の支持、不支持のために勧誘運動をするような行為等が禁止されているということであります。

 御指摘のように、本法案においては、公務員は、賛成、反対の投票等の勧誘行為及び憲法改正に関する意見表明としてされるものに限り行うことができるというふうにしたわけですが、公務員に係る他の法令により禁止されている他の政治的行為を伴う場合は、この限りではないといたしました。すなわち、純粋な賛否の勧誘及び意見表明に限って公務員もこれを行うことができることとしたものでありまして、これがいささかでも現行の人事院規則に定める政治的目的をもって行う政治的行為に当たる場合には、それは許容の範囲外となる、こういうことだと理解をしております。

 なお、先ほど先生から幾つかの事例の紹介をいただきました。これは、今回の国民投票法に限って、あるいは国民投票運動に限っての問題とはまた別の次元で切り分けている問題でございますが、そういうことで、公務員法制全体の問題については、私どもが今回議論をし、また検討した範囲からは外れているということだけ申し上げておきたいと思います。

山下委員 ありがとうございます。

 ただ、公務員の政治的行為につきましてどういうふうに考えるのかということが、やはりこの国民投票法案でも問われてくるのではないかと思います。

 最高裁判所は、政党機関紙の配布についてでありますけれども、平成二十四年の十二月七日、政治的行為というのは、「公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが、観念的なものにとどまらず、現実的に起こり得るものとして実質的に認められるもの」と示した上で、公務員が特定の政党の機関紙を配布した二つの事案で結論が異なる判断を示しております。

 その関連で、改正法案附則の四項について伺いたいわけでございます。

 この事案では、いずれも政党の機関紙を配布した事案でありますが、片方が有罪、片方が無罪になっております。

 そして、これはいわゆる堀越事件と言われておりますが、ある庁に勤務する一般職公務員が配布した事案でございますけれども、それについては無罪としており、政治的行為に当たらないと判断した理由について、被告人が管理職的地位になく、その職務の内容も権限も裁量の余地のないものであり、配布は、勤務時間外である休日に、国ないし職場の施設を利用せずに、公務員としての地位を利用することなく行われたものである上、公務員により組織される団体の活動としての性格もなく、公務員であることを明らかにすることなく、無言で郵便受けに文書を配布したにとどまるもので、公務員による行為と認識し得る態様でもなかったことを挙げております。

 これは公務員の政治的行為全般にかかわるものではありますけれども、こうした最高裁の判断からすれば、公務員の政治的活動については、公務員の立場もさることながら、国ないし職場の施設の利用の有無、公務員の地位利用の有無、公務員により組織される団体の活動としての性格の有無、公務員による行為と直接認識される態様であるかどうか、これが公務員の政治的中立を脅かす重要な要素と判断していると考えられます。

 そういった中で、改正法案の附則四項では、組織により行われる勧誘運動、署名運動及び示威運動の公務員による企画、主宰及び指導並びにこれらに類する行為についての規制のあり方について検討を加えるというふうに記載してありますが、この点について、その趣旨について御説明願います。

船田議員 まず、現行の国家公務員法、人事院規則に照らしてみると、そもそも国民投票を現行の国家公務員法は想定していないために、国民投票運動は禁止の対象となっておりません。したがって、それが組織により行われるものであるか否かを問わずに、禁止をされていないという状況があります。

 しかし一方で、現行の地方公務員法においては、専ら住民投票を念頭に置きました公の投票という文言があるために、形式的には、国民投票運動は地方公務員には禁止されているということになります。したがって、地方公務員については、組織により行われる勧誘運動等であろうがあるまいが、また、これらの行為の企画、主宰、指導並びにこれらに類する行為であろうがあるまいが、そもそも国民投票運動が禁止されている、こういう状況にあります。

 したがって、本改正案、今御指摘いただいた部分につきましては、国家公務員と地方公務員の現行法を当てはめたときのアンバランスを解消する、こういう意味で、純粋な賛否の勧誘行為に限って解消することにしたということでございます。

山下委員 ありがとうございます。

 それでは、引き続いて、憲法改正国民投票に際して、純粋な国民投票運動にとどまらない、例えば、特定の政党や内閣に対する支持、反対をあわせた内容のビラを配ったり、デモを先導したり、署名運動を行った場合、これは今回の改正案の関係上どうなるのでしょうか。船田議員にお尋ねします。

船田議員 三つの宿題のうちの三番目ということになりますが、国民投票の対象拡大ということについて、私どもは、この件においても今回さまざまな議論をいたしました。しかし、やはり間接民主制との整合性……。

 失礼しました、ちょっとお待ちください。申しわけございません。もう一回、質問をお願いできますか。

山下委員 憲法改正国民投票に際して、純粋な国民投票運動にとどまらない、特定の政党や内閣に対する支持、反対をあわせた内容のビラを配り、デモを先導し、署名運動を行った場合はどのようになるのでしょうか。

船田議員 私どもとしては、この件についてもさまざま議論いたしましたけれども、特定の政党や内閣に対する支持、反対をあわせた内容のビラを配るということそのものについてはやはり禁止の項目になる、このように思っております。

 例えば、憲法についての賛否、憲法投票においての賛否が書いてある、そういう部分が九割あって、そして一割のところで特定の政党や内閣に対する支持がある、こういったビラがもしつくられたとした場合、もちろんそのビラを配ること自体は禁止でございますけれども、ただし、量刑の判断において、その九割の純粋な勧誘行為に当たるような部分については白である、そして特定の政党を支持するような内容については黒である、こういう仕分けはきちんと行っておく必要はあると思っております。

山下委員 この憲法改正国民投票法改正案は、憲法九十六条に定める憲法改正手続を整備するものですが、単なる手続法ではありません。これは、憲法についてこれまで直接その意思を示す機会を奪われていた国民に、憲法制定後六十余年を経て、ようやくその意思を示す機会を提供する手続を整備するものであります。

 本改正案の早期の成立を心から願いまして、私の質問を終わります。

保利会長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 各党の提出者の皆様の御労苦に、深く敬意を表するものでございます。

 まず、与党の法案提出者三名の方と民主党の法案提出者、計四名の方に質問をさせていただきたいと思います。

 今ここで審議しております国民投票法の改正案の成立によって、初めて現実に憲法改正の国民投票が実施できることになります。すなわち、憲法改正が現実的な政治テーマとなることを意味するものであり、その意味において、日本人の憲法観を変える画期的な法案と評価し得るものだと思っております。

 これまでは、憲法、いろいろ議論をしても、変わらない、あるいは変えられない、こういうような発想があった部分もあります。そういう意味では、パラダイムが大きく変わって、憲法は国会が意思を持てば変えることができる、手続も整った、こういうことであります。

 多少スケジュール的なシミュレーションをいたしますと、例えばの話、この法案というのは恐らく衆参で、六月、再来月には成立をする見込みだと思っております。その場合、発議を両院のどちらか三分の二以上ですれば、発議後六十日から百八十日の間で国民投票がなされる、こういう段取りになるわけであります。

 仮にの話ですけれども、ことしの六月末に発議すれば最短でことしの九月初めに国民投票ができる、こういうことでありますが、常識的にはそういうスケジュールはないと思いますので、例えば来年の六月末に両院のどちらかが発議をすれば、そして、最大百八十日、国民投票がその後あるとすれば、来年の末には憲法が改正できる、こういうスケジュール感ということもなくはない、こういう現実的な課題となっていくわけであります。

 その中で質問をさせていただきたいのは、今現在の喫緊の議論としては、安倍政権が、従来憲法九条によって否定されていた集団的自衛権の行使を、憲法改正ではなくて、憲法の解釈の変更によって容認しようとされておられます。せっかく憲法改正の手続が全て整っているにもかかわらず、憲法解釈ということをされようとしておられます。

 そこで、申し上げた与党三人、民主党お一人の法案提出者にそれぞれお伺いしたいんですが、本法案が六月中には成立する見込みであるという前提に立った上で、集団的自衛権行使容認について提出者は、一、憲法改正と解釈変更のどちらが適切と考えておられるのか、二、あわせて、その理由をお話しいただければありがたいと思っております。よろしくお願いします。

船田議員 今、長妻委員から御指摘いただきました点で一つ、衆議院か参議院、いずれかが発議というお話がちょっとございましたが、これは、両院一緒にならなければいけない、一本化した上で発議をするということでございますので、その点だけ、逆に御指摘で申しわけないんですが、よろしくお願いいたしたいと思います。

 その上でお答えいたしますと、私自身の考えでございますが、立憲主義という立場からしますと、憲法改正によって集団的自衛権行使を認めるというのが本来の姿である、望ましい姿であるというふうに思っております。

 しかしながら、第九条にかかわることでもございまして、九条の改正ということを考えた場合には、先ほど長妻委員から非常に早い段階での憲法改正のお話をスケジュールとしていただきましたけれども、九条に関しては相当な時間がかかるのではないか、このように理解をするわけでございます。

 一方で、我が国を取り巻く安全保障の環境は厳しさを増している、こういう状況にございます。集団的自衛権の行使の容認という点は、決して戦争しやすい国にするということでは全くなく、むしろその逆で、この行使を容認すること自体が抑止力として強く働くということにつながっていくものだ、この意味での国益を増すということになるんだろうと私は思っております。

 そういう重要課題においては、当面、解釈の変更ということでやらざるを得ないのではないかということも、一方では考えております。しかし、この解釈の変更というのが、自由に行われる、制限なく行われるということになれば、それは本来の憲法改正の必要性をなくすということにもなり、本末転倒の話になりますので、解釈の変更を行う場合においても極めて限定的にこれを行うというのが適当である、このように思っております。これは、あくまで個人の意見として申し上げます。

中谷(元)議員 日本を取り巻く環境は、冷戦が崩壊して四半世紀、二十五年を経過しました、半島の情勢や米中の力関係も大きく変化をしておりまして、日本の安全保障体制を考える上におきまして、この集団的自衛権行使、私はこれは必要だと思っておりますが、憲法改正をして行うべきでありますが、現実にまだ憲法改正がされていないということで、もう一度憲法を点検していますと、我が国を防衛するための必要最小限度の範囲に全く集団的自衛権が入っていないのか、国を守るために集団的自衛権の一部が含まれないと断言できるかと聞かれれば、我が国の防衛や安全に関係がある場合は、集団的自衛権の一部として限定して容認しなければならないケースもあるのではないかと思っております。

 そして、これは戦後、この憲法九条をめぐって、何度か国の生存のために、その解釈を変更して自衛隊を創設したり、PKOに参加したり、その運用というものを変更してきたことがあるんですけれども、集団的自衛権の最も典型的なものは、他国へ行って武力行使で友好国を守るということもあるわけですが、国を守る上で一切の集団的自衛権を持たないということは言い過ぎで、国家の生存や防衛を考慮した答えではないのではないかと思っております。

 例えば平時における、また周辺事態における日本周辺で活動している米艦艇の警護、監視、目の前で攻撃されているときに、本当に対処しないと言えるでしょうか。例えばミサイル防衛で、日本海で日米共同の迎撃態勢をとっているときに、米国に向けて飛んでいくミサイルに対して、ほんの数分の判断で米国のたくさんの人の命が失われるかもしれないと考えたときに、どうしたらいいのか。また、シーレーンの掃海、船舶検査、国連で決議が出たときもできないというのではどうなのか。

 PKO活動、多国間の共同訓練、国際的な共同活動、今においても集団的自衛権が行使できないということで非常にさまざまな問題が発生しておりますので、私は、他国へ行って行使をするような集団的自衛権と我が国の安全にかかわるような集団的自衛権は区別をして、現行憲法でも容認できる範囲においては認めるべきではないかなと思っております。

北側議員 結論から申し上げますと、私は憲法改正で行うというのが適切だというふうに考えております。

 一般論として、法の解釈というのには一定の幅が確かにあると思います。ただ一方では、解釈には幅はあるといっても、当然のこととして限界もあるわけでございまして、そうした限界を超えるような場合には、仮に、例えば我が国の安全保障上必要というふうな政策的必要があったとしても、これは法改正をしていくというのが、法の支配、法治主義をとっている国からして当然であるというふうに思っております。

 九条のもとで集団的自衛権の行使は禁止されるという政府解釈、政府見解は、国会での長年の論議の中で、歴代政権が繰り返し答弁をしてきた見解であると認識をしております。長年維持されてきましたこの政府見解、政府解釈は、当然のこととして、私どもは尊重をしていかねばならないというふうに考えております。仮にこの政府見解をとらないというのであれば、これは、憲法改正手続にのっとって、国民の理解を得て変更していくというのが適切だというふうに私は考えます。

 憲法改正ではなくて解釈変更で対処するというのであるならば、これまでの長年の政府解釈との論理的な整合性が図られるのか、また、法的安定性が確保されていくのかということが問われないといけないと思いますし、また、今、船田先生、中谷先生の方からお話があった、いわゆる限定容認論と言われているものなんだと思うんですけれども、集団的自衛権というのは自衛権行使を認めていくわけですね。自衛権行使、もっとわかりやすく言えば、我が国が武力攻撃を受けていないにもかかわらず武力の行使が可能になる、適法になる、そういうことを定めることになるわけでございます。極めて重大なことを決めるわけでございまして、集団的自衛権行使が容認されるその基準、限定される基準というのがやはり明確でないといけない、当然のこととして。

 また、その基準が、憲法改正なしにやるわけですから、九条の規範性がきちんと維持をされている、憲法解釈の見直しをして九条の規範性が失われてしまったらいけないわけで、仮に解釈見直しをして、そこで言う、残された改正されていない九条というのはどういう意味を持つのかということもきちんと明確にされていく必要があるんだろうというふうに思っております。

 これはまだこれからの議論であるというふうに思っておりますが、筋としては憲法を改正するのが適切だと考えています。

枝野議員 まず、私も、ちょっと訂正の指摘をさせていただきたいと思います。

 申しわけないんですが、中谷先生から、九条について、過去に解釈の変更がなされてきたという趣旨の御発言がありましたが、これは、自民党政権を含めて歴代政府の公式見解として、憲法九条について、過去に解釈の変更がなされたことはありません。これは政府として、中谷先生も大臣をやられているので、中谷大臣も含めた公式見解でございますので、指摘をしておきたいというふうに思います。

 その上で、認識は、今の北側先生のお話とおおむね一致をいたします。

 私の言葉で申し上げますと、内閣による憲法解釈について、内閣みずからが諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮し、変更する余地があることは、法令解釈の基本に照らし、否定をするものではありません。しかし、その余地は、いかに諸情勢の変化とそれから生じる新たな要請があったとしても、従来の解釈との整合性が図られた論理的に導き得る範囲に限られ、内閣が、便宜的、意図的に変更することは、立憲主義及び法治主義に反し、許されるものではないと考えます。

 立憲主義及び法治主義の基本に照らし、集団的自衛権の行使について、憲法第九条に違反し許されないという長年定着した内閣の解釈を、正面から否定し、集団的自衛権の行使一般を容認する解釈に変更することは許されるものではありません。

 また、内閣が、便宜的、意図的な解釈変更を行うことは、憲法第九条において、とりわけ重大な問題を引き起こします。内閣の判断次第で、我が国の武力行使が許される範囲が恣意的に伸縮、変化し、過去に合憲、適法であったものが、将来、違憲、違法と評価されるといった状況が起き得ることは、国際問題を引き起こす危険があるとともに、武力の行使に当たる自衛隊の現場においても混乱が必至であります。したがって、こうしたおそれを生じ得るような法的安定性を損なう解釈変更は、許されるものではないと考えます。したがいまして、集団的自衛権の行使をできるようにするのであれば、それは憲法の改正を経て行うべきであると考えます。

 なお、中谷先生から御指摘をされた幾つかの具体的必要性があると思われる事例について、もし必要性があるとしても、従来の集団的自衛権の行使は認められないという解釈を前提としながらも、論理的整合性を持った説明は十分なし得るものである。したがって、集団的自衛権の行使の限定容認などをしなくても十分対応できると、これは私の個人的な見解ですが、考えます。

長妻委員 ありがとうございます。

 そして、もう一問、自民党の法案提出者お二人にお伺いしたいんですけれども、実際にこの法案が成立をいたしますと、憲法の発議というのが現実性を帯びてまいります。そうすると、その発議をする前、どのぐらい国会で議論をするのか。つまり、この憲法審査会が議論の場になると思いますけれども、時間的にどのくらいの時間、あるいは、時間数もそうでしょうけれども、何カ月、何年。

 例えば、では、それはテーマによって異なっていくというような御返答があるとすれば、この集団的自衛権を俎上に上げるとすれば、どのくらいの年限あるいは期間をかけて議論をする、どのくらいの期間の感覚をお持ちになるのかというのをお二人にお伺いしたいと思います。

船田議員 なかなか難しい御質問でございます。

 発議の実態というのを考えてみますと、これは実は、現在の国民投票法でも、国民投票にかけるときには、まとまりのある内容ごとに区分して国民に問う、こういうことになっておりますので、それを考えますと、発議の形態も何回かに分けて行う、こういうことになると思っております。

 そうしますと、一回の発議までの時間というのは、そうべらぼうに長くなるとは思いませんけれども、やはり改正の内容ごとに異なってくるんだろうというふうに思っています。

 例えば形式的なこと、八十九条の、いわゆる公の支配に属さない慈善の団体や教育の団体に国の公金を与えてはいけないというようなこととか、それから裁判官の報酬が引き下げられないということ、これは実際には引き下げもやっているわけでございますので、そういったある意味で形式的な部分については、比較的短時間で済むのではないかという感じがいたします。

 しかし、今お話のあったような九条の問題、あるいは政治的に高度な判断を伴うものについては、やはり長期間が必要であるというふうに思っております。長期間というと、会期の長さにもよりますけれども、やはり少なくとも複数国会は当然経なければ、この成案を得るというのはなかなか難しいし、また、そのぐらい時間をかけなければ、慎重ないい審議をしたということにはなりませんので、そのぐらいのことを私たちは考えたいと思います。ただ、これは全て、これからの与野党間の話し合いに尽きると思っております。

中谷(元)議員 改正点について何をどのようにという点においては、これはしっかり議論をしなければならないと思いますが、自由民主党は、もう既に百十条全ての条文において改正試案を発表いたしております。これはドラフト、試案であって、たたき台でありますので、これをもとに、それぞれの条文で各党や国民の皆さんと話し合いをしたいと思いますが、とにかく、提案する以上は三分の二の合意を得なければなりませんので、このために、どの部分を改正するかについては、各党と検討、協議をしなければなりません。

 しかし、急ぐべきことといたしましては、まず国の安全保障、これはポツダム宣言を受諾して、占領時代にGHQが原案を出したところからできたものでありますので、国の安全保障というところにおいてはしっかり議論をしたいと思います。

 自民党の改正案は、一項はそのままで平和主義を書いておりますが、二項との間に、欠落している部分である自衛権の存在、保持、これを妨げるものではないという一文を書いて、そして、今の二項において、陸海空軍を保持しないとか交戦権を認めないというのは、国際社会の中で非常に現実と乖離し、また欺瞞の部分がありますので、これをやはり現実的な案文にするということと、もう一つ、緊急事態における国と国民の関係とか権利と義務の関係、こういうものもしっかり整備をして提案した方がいいと思いますので、まず各党としっかり議論をした上でこの審査会に提案をして、またしっかりと議論をした上で提起するということが筋だと思います。

長妻委員 時間の関係で通告していた質問が全てできずに、申しわけございませんでした。どうもありがとうございました。

 以上です。

保利会長 次に、西野弘一君。

西野委員 日本維新の会の西野弘一でございます。

 まず冒頭に、今回、八党合意、七党共同提案ということで本法案が提出されましたが、船田代表幹事初め各党各会派の幹事の皆さん、この取りまとめに大変御苦労いただきましたこと、心から敬意を表したいというふうに思っております。

 午前中から、投票年齢の引き下げに伴って、学校教育においても、政治や憲法についての理解を深める教育をしなければいけないというような議論もありました。

 私、覚えているんですが、多分中学校ぐらいだったと思うんですけれども、学校で憲法の授業がありまして、先生に、じゃ、国民投票というのはどうやってやるんですかと聞きましたら、実は、西野、法律でまだ何も決まっていないんやというようなことを言われて、不思議な気持ちであったことをよく覚えています。

 また、現憲法は、国民が定めたものというふうに言われておりますけれども、実際は明治憲法の改正手続によって制定されたものでありまして、当時、GHQの大変強い影響力を排除できずに制定されたということは紛れもない事実でありまして、僕の感覚でいえば、これは民定憲法ではなくて、形式上は実は欽定憲法なんじゃないかなというぐらいに思っているところであります。

 まして、国民の手に直接この憲法が触れたということは一度もないわけでありまして、国民の手に触れる、国民が定めるその手続すら今まで七十年間定められなかったということは、一部では国会の不作為だというふうに言われておりますが、私は、先輩の国会の先生方が、不作為というよりも、むしろ、いろいろ厳しい政治状況の中で必死に努力をされてきたわけでございますので、あえてそれを責めるということではなしに、今日、こうして法案が提出されたということは大変喜ばしいことだというふうに思っております。

 また、この提出に至るまでには、我が党が昨年五月に日本維新の会独自として国民投票法改正案を提出したことがきっかけになって、この議論が大きく沸き上がって、今回の共同提案につながったものと、大変手前みそでありますが、自負しているところでございます。

 さて、確認をしておきたいのですが、選挙権年齢の引き下げであったりとか、公務員の投票運動に対する規制の問題であったりとか、いろいろと議論があるんですけれども、この改正案が成立すれば、他の法整備がおくれていたとしても、憲法改正のための国民投票が実施できる環境が整うと考えていいんでしょうか。

 馬場委員にお尋ねいたしたいと思います。

馬場議員 一言で申し上げますと、国民投票を実施できる環境はこれで整うこととなります。

 現行法附則における選挙権年齢等の十八歳への引き下げに係る法整備は平成二十二年五月までに当然に行うこととされていたことは、先ほど西野委員からの御指摘のとおりであります。現在までそのような法整備が行われていないという、現行法の本来想定していなかった事態が発生しているところであります。このため、投票権年齢を二十歳以上とする経過措置条項が字義どおり適用できないという不完全な状況が続いております。

 この改正法においては、改正法施行後四年間は二十歳以上、五年目、正確には四年と一日目からは十八歳以上とされており、投票権年齢は法律上明らかにされているのであって、疑義が生じる余地はないと考えております。選挙権年齢等の引き下げに関する検討条項が改正法附則に設けられてはいるが、投票権年齢とのリンクは設けられておらず、いずれの時点においても投票権年齢は明らかな状態であります。

 なお、この改正案では、新たに公務員の組織的な勧誘運動等の企画等に対する規制のあり方についての検討条項を規定していますが、これについても、法的には憲法改正国民投票の実施の前提条件とはされていません。

 ただし、日本維新の会といたしましては、公正な国民投票の実施には公務員による組織的勧誘運動等の規制はぜひとも必要であると考えており、初回の国民投票までには何らかの結論を得て法整備を行いたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

西野委員 ありがとうございます。

 国と地方のあり方の統治機構の改革であったりとか、国際情勢がこれだけ変わってくる中で我が国の置かれている状況に対応するためにも、私は憲法改正は絶対に必要だというふうに考えておりますが、いわゆる護憲勢力と言われる方の中には、憲法改正はけしからぬので、その手続を定める国民投票法改正をすること自体もいかぬのやというような方々がいらっしゃることに、私は大変辟易としております。

 さて、公務員の政治活動にはさまざまな議論もこの間ございましたが、一定の制限が必要だというふうに馬場委員はおっしゃっていますが、その理由はどのあたりにあるんでしょうか。

馬場議員 公務員の国民投票運動について一定の制限が必要と考える理由は何かということですが、憲法改正の国民投票運動については、公務員であっても、特定の政治的目的を持たない賛否の勧誘は自由に行えるようにすべきとの観点から、今回、純粋な賛否の勧誘、意見表明については、現行の公務員法制にかかわらず、解禁したところであります。

 しかし一方で、公務員の政治的中立性や公務の公正性、これに対する国民の信頼は確保されなければならず、こうした観点から、公務員の国民投票運動については一定の制限が必要と考えているところであります。

 なお、日本維新の会としては、地方公務員の政治的行為の実態は目に余るものと考えており、規制を強化していくことが必要だと考えているところであります。このような認識から、国民投票の場面に限ったものではなく、あくまでも公務員法制全般にわたる問題と捉え、我が党は、地方公務員の政治的行為の規制を国家公務員並みとする法案を別途提出しているところであります。これについても、各党の御賛同をいただき、成立を目指していきたいと考えております。

 以上です。

西野委員 まさに馬場委員のおっしゃるとおり、地方公務員の政治行為の実態、運動の実態というのは本当に目に余るものがあるというふうに思っておりますので、ぜひ、この地方公務員法の改正についても、各党の御理解をいただけたらなというふうに思っております。

 維新の会は、このように、公務員の国民投票運動には一定の制限が必要というふうに考えているんですが、一方で、民主党さんは原則自由とすべきというふうに考えておられるようでありますが、なぜできるだけ自由にすべきというふうに考えておられるのでしょうか。

枝野議員 まず、できるだけ自由にというのは、民主党が申し上げているだけではなくて、先ほどもどなたか御紹介がありましたが、最高裁判所の判決で、公務員の政治活動等についての規制は、合理的かつやむを得ない場合に限って制約が認められるという判決が確定しております。つまり、これは要するに必要最小限であるべきと。

 したがって、仮に必要最小限を超える公務員に対する規制を設けても、それは憲法違反になります。憲法の改正の国民投票で運動規制が憲法違反だなんて訴訟が起こって、結論が出ても、確定しないというか、あるいはそれが後でひっくり返ったりするだなんという憲法に対しての安定性を損なうことになっては、それこそ憲法秩序が破壊をされることになってしまうおそれがあるというふうに考えます。

 その上で、公務員について、必要最小限、やむを得ない規制については当然行われるべきだというふうには考えておりますが、公務員がそもそも政治活動を含めて規制を受けるとすると、その根拠は何なのかといえば、一つは公権力や政策決定に影響力を持っているというその力を利用して、例えばこういう投票をしなければおまえの入札のとき蹴飛ばすぞとか、ここに道路をつくらないぞとか、こういったことが行われたりする、あるいはそういった圧力がかけられたりするということがあっては、これは当然のことながら許されない。

 こうしたことについては、基本的には今回の投票法でも地位利用については規制の対象としておりますし、そもそもこうした規制は、公権力行使を担う公務員と政策形成に影響を及ぼし得る公務員のみを対象にすれば足りるものであって、若干広範に過ぎるかなという側面もあるかとは思います。

 ただ、もう一つ、今の理由だけではなくて、公務の中立公正に対する信頼というのも、これは保護法益として重要であるというふうには考えますが、逆に言えば、公務の中立公正に対する信頼を守るためですから、公務に関連しないところで規制をする必要はない。

 憲法改正の国民投票ではありませんが、例えば住民投票について、A市とかB市とかと言ったらイメージが湧きませんので、具体的に例を挙げると、例えばさいたま市の職員が横浜市に住んでいて、自分の住んでいる家のそばに新しい道路をつくる。早くつくれとか、この道路はつくるなとかということを横浜市で例えば自治会の役員として組織的に運動しても、それはさいたま市の公務の中立公正に疑義を生じさせるようなおそれはありませんから、現状の地方公務員法の規制も若干広範に過ぎるという側面もあるぐらいだというふうに思っております。

 それから、その上で、憲法については、具体的な公務の執行そのものと直接関連をするものではなく、公務員制度を含めた憲法秩序の土台となる制度についてでございますので、これに関する活動で、具体的公務員の公務の執行の中立公正を疑わせるおそれというのは、個別具体的な政策テーマに比べて圧倒的に低いという性格があります。

 ただ、今回も規制の対象に他党の提案を受けて我々も同意いたしましたが、国民投票運動の公正を確保することにかかわる公務、これは国民投票運動に当たっても中立公正ということの担保が必要でありますので、警察官等、投票運動の公正にかかわる、公権力行使にかかわる公務員については規制の対象にするということについて同意をしたものであります。したがって、必要最小限の範囲での規制は十分に行われているというふうに考えております。

 なお、組織によりということで行われた場合についての規制が他党から提起をされましたが、いろいろな団体、これもイメージを浮かべやすいとすれば、自治会で国民投票運動をやったらやはり変だと思いますので、例えば、宗教団体の十人の役員の中に一人公務員がいて、その十人で意思決定をして、国民投票運動、賛成とか反対とかの運動をやった場合も、組織によりということの規定だと規制の対象になってしまいますが、こんなものは公務の中立公正を疑わせるようなことにはとてもつながらない。こうしたものまで対象に入ってしまうような規制というものは、賛成できないということでございます。

西野委員 いろいろと具体の例示をいただいたんですが、枝野委員もおっしゃっているように、まず、公務員の公正中立という立場、公務を執行するに当たってのそもそもの土台になっているのがまさに憲法秩序でありまして、その憲法秩序自体を定めるのがそもそも国民であります。そういうことを考えると、憲法改正は、例えば通常の選挙においてのいろいろな公務員に対しての規制よりも、むしろ強く厳しくするべきというふうに私は考えております。また機会を見て、議論をさせていただきたいと思います。

 続けて、投票年齢の引き下げの議論もありましたけれども、日本では、古来、特に武家ではそうですけれども、それぞれの家で、さまざまな年齢で元服を行ってきました。ちなみに、信長は十二歳、家康は十三歳、信玄は十五歳でありまして、二十という年齢にこだわる必要がないのかなというふうに思います。

 また、政治に参画する権利と政治的に成熟して正しく判断する能力というものは、別に考えた方がいいと私は思っています。参政権と政治を正しく判断する能力というのは、別に考えた方がいいと私は思っています。

 公選法は、成人であっても、例えば選挙違反なんかをした場合に参政権を制限する場合もありますし、また、昨年は、判断能力が不十分で保護される必要があるという定めになっている成年被後見人の選挙権が回復されました。そういうもろもろのことを考えれば、本法案が他に先行して投票年齢を十八歳に引き下げても特段問題はないというふうに私は考えていますが、この件については、法案成立後、各党間のプロジェクトチームを立ち上げて、二年以内に結論を得るように努力するということでございます。

 馬場委員にお尋ねしますが、その準備状況についてどのようになっているでしょうか。

馬場議員 この議論につきましては、午前中、多くの委員の皆様方が質疑をされたところでございますが、西野委員おっしゃるように、投票権年齢と選挙権年齢は同じ参政権グループに属しており、多くの国で両者がそろっている以上、立法政策として両者を同一の年齢とすることが強く求められるものであると考えています。

 また、成人年齢と投票権年齢とは法的に異なる性質のものでありますが、社会生活における大人としての年齢という意味では共通の基盤を持つものであり、これらの年齢をそろえることは立法政策上望ましいことであると考えておりますし、また、そうあるべきであるということが申し上げられるのではないだろうかと思います。現に、世界各国を見れば、投票権年齢と成人年齢は十八歳でそろっている国が圧倒的多数であると理解をしています。

 次に、年齢引き下げの進め方については、具体的には各党の担当者と今後相談していきたいと考えておりますが、最初の一歩として、まずは各党プロジェクトチームにおいて、選挙権年齢の引き下げについて二年以内を目途に結論を出すべく、精力的に議論を進めていきます。次に、その後、成人年齢その他の年齢の引き下げについても、四年以内を目途に、できれば同じ各党間の枠組みの中で継続して議論していくことが望ましいと考えています。

 いずれにいたしましても、各党間プロジェクトチームは、改正法施行後速やかに立ち上げることができるように連携していきたいと考えております。

 以上でございます。

西野委員 時間がありませんので最後になりますが、自民党はもう早くから憲法改正の草案を発表されていますし、我が日本維新の会も、まだ結党から一年半ですけれども、党内で憲法調査会も既に二十五回開催させていただきまして、我々の独自の改正草案を発表できるように、もう準備を着々と今進めているところでありまして、この国民投票法改正案が成立したからといって、もうこれでしばらく休憩ということではなくて、ぜひ会長にもお願いしたいんですが、憲法審査会、毎週木曜日定例、週一回ぐらいはせめて会期中は開催していただいて、憲法改正に向けた憲法議論を深めていただきますようにお願い申し上げまして、質問にかえさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

保利会長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 法案提出者の皆様に、心から敬意を表させていただきたいと思います。

 きょう、二回目の提出者への質疑ということで、ちょっと細かい点になるかもしれませんが、これまで確認されていなかったことをいろいろと確認させていただきたいと思います。主に我が党の北側法案提出者に質問をさせていただきます。

 まず最初に、今回この改正案を七党共同で提出できたこと、また、八党で確認書を交わすことができたことの意義は非常に大きい、このように思います。北側法案提出者の見解を伺いたいと思います。

北側議員 憲法というのは、我が国の最高法規でございます。この最高法規であるところの憲法の改正についての土俵づくりともいうべき国民投票法の改正についても、できるだけ幅広い会派の賛成を得て成立することが望ましいというふうに考えております。

 平成十九年に成立しました憲法改正国民投票法には三つの宿題があったわけです。本来、施行までの三年の間に、法制上の措置をとってこの宿題の解決をしなければいけなかったわけでございますが、それを徒過して、今既に七年目に入っているわけでございます。

 昨年、自民党と公明党におきまして、実務者で、この三つの宿題の克服に向けまして協議を重ねました。昨年十二月に、自民党、公明党の間で合意をいたしました。ただ、今申し上げたとおり、できるだけ多くの会派の賛成を得たいということで、衆議院憲法審査会の幹事会、幹事懇、また政党間等で、ことしに入りまして協議を行ってまいりました。

 最終的には、自民党、そして民主党、日本維新の会、みんなの党、結いの党、生活の党、新党改革、公明党、八党で確認書を交わしまして、衆議院では議席を有しているのは七党でございますので、七党共同提出で改正案を今回提出するに至ったということでございます。

 各党、当然、政党が違うわけでございますので、さまざまな主張がある中で、譲歩するところは譲歩するということを行いまして、真摯な議論をやった結果、今回合意形成に至ったということは、これは極めて私は画期的なことであるというふうに思いますし、各党の提出者の皆様に敬意を申し上げたいというふうに思います。

 本改正案が成立をしましたならば、違法状態が解消されまして、国民投票法を実施するための道筋ができることになってまいります。そうした意味からも、今回の改正案というのは非常に画期的なものであるというふうに認識をしております。

斉藤(鉄)委員 次に、選挙権年齢と成人年齢のずれについてお尋ねします。

 今回、この改正案を提出するに当たって、選挙権年齢については、改正法施行後二年以内に十八歳に引き下げることを目指し、各党間でプロジェクトチームを設置することが合意されております。この各党合意に従い選挙権年齢が引き下げられた場合、公職選挙法の選挙権年齢と民法の成年年齢との間にずれが生ずることも想定されます。

 このずれについて、憲法上は問題ない、このように考えますが、北側法案提出者の見解を確認したいと思います。

北側議員 憲法十五条の三項で、成年者に選挙権を与えるというふうに書いてございます。しかし、これは成年者に選挙権を与えることを保障しているものでございまして、それ未満の者に選挙権を与えることを禁止しているわけではございません。そういう意味で、今、斉藤委員がおっしゃったように、成人年齢よりも選挙権年齢を低く設定したとしても、特に憲法問題になるものではないというふうに認識をしております。

 ただ、憲法問題にならないまでも、成人年齢と選挙権年齢とがずれがあるということについて、確かにそれぞれ法律の目的は違いますので異なっていてもよいということなのかもしれませんが、社会生活における大人としての年齢という意味では共通の基盤を持っているものでございまして、これらの年齢をそろえることは立法政策上は望ましいというふうに考えております。現に、世界各国を見れば、選挙権年齢と成人年齢は十八歳でそろっている国が圧倒的多数でございます。

 今後、まずは公職選挙法の選挙権年齢についてできるだけ早く、二年以内というふうに決めておりますが、できるだけ早く十八歳に引き下げられるよう各党間での協議を加速したいと思いますし、また、その上で民法の成人年齢についても、民法の方は非常にまた、ほかの法令にもたくさんかかわってくる、民事法の基本の基本のところを変えるわけでございますので、大変な影響があるわけでございますが、そういう影響等もしっかり検証しながら、民法の成人年齢についてもそろえていく方向でしっかり議論を進めさせていただきたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 各党合意にあります選挙権年齢の引き下げに係る各党間プロジェクトチームの構成でございますけれども、例えば、実効性を期すために、憲法の担当者だけではなくて、選挙部会担当者、総務部会担当者というふうに言ってもいいのかと思いますけれども、そういう方も加えるといったことも考えられますが、提出者において、現段階で何かこのプロジェクトメンバーの構成についてお考えはございますでしょうか。

北側議員 このプロジェクトを設置することは確認書で合意をいたしております。プロジェクトのメンバーの人選、今後の進め方につきましては、これから八党においてよく協議をしていきたいというふうに思います。

 今も、衆議院の選挙制度、それから参議院の選挙制度につきましても、改革の論議が各院でまさしく進んでいるわけでございます。選挙制度そのものをどうするかという大変大きなテーマの議論をして、早い時期に結論を出していかないといけないということで議論が進んでいるわけでございますが、この公職選挙法を改正して選挙権年齢を十八歳に引き下げるというのも歴史的な改正になるテーマだと私は思っております。

 そういう意味では、各党それぞれ御議論があるかと思いますが、選挙制度にかかわる担当者もいらっしゃれば、また、このような重要なテーマですから各党内でも大きな議論になると思いますので、そういうものを踏まえながら八党間で論議を進めさせていただきたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 次に、高校教育の現場での混乱の心配ということが言われておりますが、投票権者また選挙権者の年齢要件を十八歳以上とした場合、同じ高校三年生で、投票権、選挙権の有無が生じますけれども、同じ教室の中ということになります、教育現場が混乱するのではないかという意見がございますが、北側法案提出者はこの点についてはどのようにお考えでしょうか。

北側議員 おっしゃっているとおり、十八歳という年齢は、高校三年生の中に十八歳の子たちがたくさんいるわけでございまして、そういう意味では、高校三年生の中に選挙権もしくは投票権がある人とない人とができる、こういうことになるわけでございます。

 そして、今、斉藤委員のおっしゃったように、教育現場が混乱しないか、こういう御指摘もあるわけでございますが、例えば、ほかの法令でございますけれども、自動車の普通運転免許、この取得可能年齢というのは十八歳なんですね。それ以外の法令においても、十八歳という年齢を設けている法令というのは多数存在をいたします。そういう意味では、政策的な合理性がある限り、法律上の問題は生じないというふうに考えております。

 また、できるだけこの国民投票については多くの国民に参加してもらいたい、そういう観点からは、若年層を含めて参加すべきという立場からは、やはり十八歳という判断になりましたし、公職選挙法の選挙権年齢の方も、各国の例を見ますと十八歳のところが圧倒的に多いということでございまして、ぜひ早く十八歳になるようにしていきたいというふうに思います。

 教室の中で混乱が起きないかということでございますが、これは一昨日も参考人質疑で議論になりました。たしか斉藤委員が御指摘をされていて、参考人の方からお答えがあったかと思うんですけれども、そこでは、斎木参考人であったでしょうか、教室の中でそういう混乱が起こるということは考えにくいという御発言もあったように記憶をしております。

 私なんかは、高校三年生の一部がこういう選挙権とか投票権を持つことになるという意味は、逆の意味で非常に重要な意味があるんじゃないかと思うんですね。それは恐らく、高校教育のあり方にもかかわってくる。高校教育の中でもっと、憲法に対する教育だとか、それから政治に対する教育だとか、そういうことをしっかりやらないといけなくなる、そういう大きなきっかけになるのではないかというふうに思っています。

 そういう意味では、私は、確かに高校三年生の中で、ある人、ない人ができるわけでございますが、それ以上の大きな意義があるのではないかというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 次に、公務員の国民投票運動に関する検討条項について。

 改正法附則四項に、組織的な勧誘運動の公務員による企画等に関して検討条項がつきました。改正法施行後速やかに、必要な法制上の措置を講ずるものとするという旨の検討条項です。

 この検討条項について、万が一、必要な法制上の措置がなされない場合、この憲法改正国民投票は実施できるのか、この点について確認をしておきたいと思います。

北側議員 今御指摘の、組織により行われる勧誘運動、署名運動、示威運動の企画、主宰、指導並びにこれに類する行為に対する規制のあり方というのが提出者間でも論議になりました。

 この問題は、三つの宿題そのものではございません。ただ、宿題そのものではなかったんですが、その一つの宿題に密接する論点であるということで議論をされたわけでございます。この問題につきましては、公務員の政治的行為のあり方全般にもかかわってくるものでありますので、今後の検討課題としたものでございます。

 この規制のあり方については、公務員の政治的な中立性を確保するということ、公務の公正性を確保するということがなければいけない一方で、公務員の方々も、主権者の一人として、一定の政治活動の自由があるわけでございまして、このバランスをどうとっていくのかという論点でございます。今後、しっかりと検討をしてまいりたいというふうに思っております。

 ただ、御質問の、仮に、法制上の措置が万一できなかったとしても、この憲法改正国民投票法の改正そのものには、例えば実施の問題、年齢の問題、今回さまざま定めたわけでございますが、そういうところに何か支障が生じるということではございません。年齢の問題でいいますと、自動的に四年後から十八歳になりますし、それまでは二十でございます。

 ただ、この課題について、しっかりと結論が出るよう努力をして、法制上の措置をとるようにしていきたいというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 その点、よくわかりました。

 この改正案が成立した後の憲法論議ですが、いよいよ、発議できて国民投票ができるという土俵が整うわけです。どのように憲法論議を進めていきたいと考えておられるか、今後の憲法論議の進め方について、北側提出者のお考えを伺います。

北側議員 今回の改正は、あくまで憲法改正の土俵づくりでございます。具体的な憲法改正の中身あるいは議論の進め方等については、まさしくこれから、この国民投票改正法案が成立をしましたならば、具体的に憲法改正が発議できるようになるわけでございますので、これから具体的に、この議論の進め方、憲法改正の中身については、しっかり各党間で論議を進めさせていただきたいというふうに思っております。

 ちなみに、公明党の基本的な考え方を申し上げますと、憲法改正については、現憲法はすぐれた憲法であるというふうに我々は考えています。平和主義、基本的人権の尊重、国民主権、こうした憲法の基本原理、三原則はやはり堅持をしつつ、そうはいうものの、憲法が制定されてから六十年以上経過をしております。時代が大きく変化をしております。憲法制定時には想定していないような課題もたくさん出ておるわけでございまして、そういう中で、憲法の中につけ加えていった方がいいという理念を加えて憲法改正をしていく。これを私どもは加憲というふうに言っているわけでございますが、これが最も現実的なやり方ではないのかなというふうに考えております。

 また、今まで我が国は憲法改正を一度もしたことがありません。また、ようやく国民投票法ができ上がりました。そういう意味では、日本の有権者の皆様、国民の皆様は憲法改正や国民投票の経験がないわけで、この法律が通りましたならば、現実的に国民投票ができる、憲法改正ができる、そういうことになるわけですね。

 そういう意味では、私は、まずは憲法改正国民投票をともかく一度実施してみるということがとても大事じゃないかと。一旦やりましたら、いろいろな課題がまた見えてまいりますので。そういう意味では、多くの政党の方々から見て、確かにそうした憲法改正は必要だねと多くの会派が思われるような、また、多くの国民の方からごらんになられてもそうだねというテーマからやっていくのが現実的ではないかとも考えております。

斉藤(鉄)委員 最後に、自民党の船田提出者、また民主党の枝野提出者、そして北側提出者に簡単にお聞きしたいと思いますが、国民投票の仕方についての確認です。

 現行法の国会質疑の際、ですから七年前ですが、国民投票の仕方については憲法案文全体について賛否を問うのではなくて、一つ一つの項目、もしくはまとまりのある条文について賛否の投票を行う。一回の投票において、多くて三、四項目ということが確認されたと思いますが、改めてそういう投票方法だということを確認したいと思います。

船田議員 今、斉藤委員御指摘のように、個別発議の原則ということを七年前の法律制定時にはみんなで考えたところでございます。

 具体的には、国会法六十八条の三で、「憲法改正原案の発議に当たつては、内容において関連する事項ごとに区分して行うものとする。」こういうことでございます。

 ただ、この文章だけではわかりにくいわけでありまして、立法者の意思としましては、これはやはり一問ごとにブースを設けて、投票箱もブースごとに置くということを考える。そうすると、一回の投票におきましては、三問から四問、ぎりぎり五問が限界ではなかろうかというふうに思っております。

 そして、国民投票そのもの、あるいは発議そのものについては、やはりこれも何回かに分けて行う、こういうことでございますので、例えば、四回から五回に分けた国民投票、そして一回の国民投票で三カ所ないし五カ所のブースということであれば、掛け算をすれば、大体、問いかける全体の項目もおのずから決まってくるだろう、そういうふうに考えております。

北側議員 国民の皆様から見て、憲法改正にかかわるテーマが余り多くなり過ぎますと、判断をしにくいんじゃないのかというふうに思うんですね。国会法の改正で、憲法改正国民投票法の際に、六十八条の三、今、船田先生がおっしゃった条項を設けたわけでございます。そこでは「内容において関連する事項ごとに区分して行う」と書いておりますのは、そういう趣旨だと私は理解しております。

 いずれにしましても、大事なことは、有権者、国民の皆さんから見てわかりやすい形で行っていくということが重要だと考えております。

枝野議員 今、北側先生からの御答弁と全く同じ認識でございます。

 なお、憲法の全文を一気に書きかえるというのは、広い意味での革命でありまして、民主党は革命政党ではありませんので、そうしたことは考えておりません。

斉藤(鉄)委員 終わります。ありがとうございました。

保利会長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 本日は、日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案の質疑ということで、私にもお時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます。

 憲法改正国民投票については、何度も言われておりますように、いわゆる三つの宿題、それについて今までさまざまな議論が行われてまいりました。そして、今回、改正案が提出されたこと、御尽力された各党の提出者の方々に改めて敬意を表するところでございます。

 本日は、午前に参考人質疑も行われ、午後も継続して質疑が行われているところでございまして、さまざまな議論がされておりますが、重複するところがあるかとも思いますが、御容赦いただきたいと思います。

 私からは、選挙権年齢等の十八歳への引き下げ、公務員の政治的行為に関する法整備等について、それぞれについて、みんなの党の提案者、三谷議員を中心に御質問をさせていただきたいと思います。

 国民投票権の十八歳への引き下げ、今回、改正案ということでございますが、まず、公職選挙法における投票権年齢を十八歳へと引き下げることについて提案者としてどのように考えておられるのか、三谷議員にお尋ねしたいと思います。

三谷議員 お答えいたします。

 選挙権年齢が十八歳というのが世界の趨勢でございます。そのことを考えましても、選挙権年齢というのは一刻も早く十八歳に引き下げるべきだろうというふうに考えております。

 特に、投票権年齢と選挙権年齢、これは同じ参政権グループに属しておりますので、二つの権利がほとんどの国で同じ年齢にそろっているというところもありますので、投票権年齢、そして選挙権年齢、両方とも一刻も早く十八歳にするべきだろうというふうに考えております。

中島委員 民法における成人年齢を十八歳に引き下げることについてはどのようにお考えになりますでしょうか。

三谷議員 きょうは、午前中に政府参考人に対するさまざまな質疑がありましたので、この内容も踏まえてお答えしていきたいというふうに考えております。

 成年年齢というものは、投票権年齢とは法的に異なる性質のものではありますが、社会生活における大人としての年齢という意味では共通の基盤を持つものであるので、この年齢をそろえることが立法政策上望ましいというふうに考えております。

 きょう、午前中は、法務省の民事局の担当者の方が、十八歳にこれを引き下げるということによって社会的な大きな影響があるんだというようなことで、多少、まだまだ下げるのには時間がかかるというようなことをお答えされておりましたけれども、この点については、例えば、その場でも議論にありました、未成年者の婚姻擬制、婚姻による成年擬制の問題ですとか、消費者庁が発足して五年間、消費者教育が進んでいるというようなことを踏まえても、今の、社会的影響力が大きいからなかなかこの年齢を引き下げられないんだという議論は、正直言って思考停止の状態にあるのではないか、このように考えております。一刻も早く十八歳に引き下げるべきだろうというふうに考えております。

中島委員 きょうの午前中の参考人質疑で、さまざまそういった成人年齢も含めての議論もされておって、各省意見があったと思います。

 今の三谷議員の意見の中でもありましたが、成人年齢を引き下げていきますと、それまで未成年として取り扱われてきた方、その保護に欠けるという指摘もされるというふうに聞いておりますが、その点についてはどのようにお考えになるでしょうか。

三谷議員 まずは、民法上の保護という点ですけれども、それは先ほど申し上げたとおり、消費者教育というものをしっかりと行っていく、その中で、今までは二十だったものを十八歳に下げていくということであっても保護に欠けることはない、十分な教育がなされているんだというような話というのは十分にあるだろうというふうに考えております。

 とにかく、世界ではほとんどの国が二十ではなく十八歳というような状態であるという中で、日本だけ、二十というのを維持しなければ十八歳、十九歳の権利利益が保護できないというのは、余りにも根拠が薄弱ではないか、このように考えております。

中島委員 海外の事例を見ても、やはり、そのように有効性があるというふうにも言われております。

 先ほども言ったように、きょうの午前中の参考人質疑、各省、押し問答みたいなような印象を受けておるわけですが、今の成人年齢に関して、法務省は特に消極的な見解だったように私は思うわけです。それに対して、弁護士でもあります三谷さんの御所見をいただきたいと思います。

三谷議員 午前中の様子はどういう状況だったかと申しますと、公職選挙法の年齢をつかさどる総務省の側が、ほかの、民法や刑法、少年法における成年の年齢と一致させるべきだ、そこが動かない限りこっちも動きませんよ、こちらの責任ではないですというようなことを言っていました。

 他方で、法務省の民事局そして刑事局においては、下げることについては、別に下げても構わないと思っている、でも、もう少し時間がかかる、だから、公職選挙法の選挙権年齢というのはどうぞ先に進めてください、こっちは後から追いかけていきます。

 結局、イニシアチブをとって進めていこうというような姿勢というのは全くもって示されていないわけです。

 この点について、これはまさに午前中の質疑の中でも、提出者の畠中光成委員がその質疑の中で言っておりましたけれども、国会の意思はどこにあるのかということはもう既に明らかなんだろうというふうに思っております。

 本改正案は七会派の共同提出でございまして、また、提出会派ではない日本共産党さんにおいても、成年年齢に関して言えば、これは十八歳に引き下げるべきだということをおっしゃっております。ここの場にいる全ての会派が、十八歳に引き下げるべきだということを強く求めているわけです。

 そういう状況の中で、まだ、国会での議論に委ねて、それを待ちたいというようなことは、到底、真摯な議論をされているとは認められないというようなところでございますので、これから、この法案が仮に通った後は、各会派とともに力を合わせて、そういう省庁の後押しをしっかりとしてまいりたい、このように考えております。

中島委員 やはり、政治主導でしっかりとイニシアチブをとって進めていくということが、今後、議論を深めていく上でも非常に重要なのかなというふうに私も思います。

 前回の参考人の意見の中では、兵役の義務と参政権とがセットとして扱われてきたような意見もあった。参政権という権利とセットとして認識すべきはどのような義務と考えておられるか、三谷議員の御所見をいただきたいと思います。

三谷議員 兵役の義務と参政権というものが、歴史的に見れば関連づけて議論されてきた、兵役の義務をしっかりと負うんだから参政権を有するんだというような議論が歴史的にもあったということは承知をしております。また、歴史的に見れば、これは兵役ではなくても、仮に納税というような義務、これを果たしているんだから参政権を持っているんだというような議論というのも、これは日本の歴史の中を見てもございました。しかしながら、そういうような議論ではないだろうというふうに考えております。

 一般に、選挙権の性格につきましては、それを、選挙人としての地位に基づいて、公務員の選挙に関する公務と見るか、国政への参加を国民に保障する権利と見るかということについては、そもそも争いがあります。

 公務であるというような側面を重視すれば、選挙権というものを持っているということに関しては、権利と同時に義務の側面が内包をされているというふうに言えるのではないか、このように考えております。

 また、いわゆる憲法の人権論一般の視点から見たとき、何も権利と義務をセットのものというふうに考える必要はない、とにかく、より多くの方々にしっかりと国政に参加する権限を与えていくというのが今までの歴史の流れでございました。最終的に残っているのが、この年齢による選挙権があるないというような区別ですから、そこを広げていく、選挙権年齢を下げていくのは当然の趨勢だろう、このように考えております。

中島委員 ありがとうございます。

 今までもさまざま議論がされてきたと思います。民法上、選挙権の問題も含めて、今後議論がさらに深まっていくことが望まれるということでございます。

 次は、与党自民党、公明党の提案者の方、そして三谷議員にそれぞれお聞きしたいと思うわけですが、民法や少年法での成人年齢が二十のまま下がらない場合でも国民投票可能年齢の十八歳への引き下げを行うべきなのかどうか、それぞれお聞きしたいと思います。

船田議員 今、中島委員から御指摘をいただいた点でございますが、私どもとしては、やはり、投票権年齢を十八に引き下げる、そのときには同じ参政権グループとして選挙権年齢も引き下げることは、これはほぼ同時に、できればやりたい、こういうことでございますが、成人年齢あるいは少年法の適用年齢、これを同時に下げられるかどうかというのは、先ほどの午前中の対政府参考人質疑でも議論が出ておりますけれども、そう簡単なものではないというふうには思っております。

 ただ、同じ大人としての行為としての投票、それから、契約をする、あるいは少年法で裁かれるのか一般の刑法で裁かれるのか、そういうところは、やはり年齢としては合わせておくというのが私は理想であると思っております。それは、諸外国を見てもほとんど、投票権年齢と成年年齢は大体そろっている、こういうことからも言えることでございますので、少し時間はかかるかもしれませんけれども、最初の二年間の間にまずは選挙権年齢、そしてその後に、成年年齢、場合によっては少年法も含めて、それを引き下げるのを四年以内に行う、このようなスケジュールで二段階でやっていくというのが妥当ではないのか、また現実的な方法ではないかというふうに思っております。

北側議員 今の船田先生の答弁と全く同様でございます。

 まずは、公職選挙法の選挙権年齢を十八歳にするということを、これはもう提出会派みんな、早くやるべしということで共通の認識を持っておりますので、この法律、今回の改正案が成立をしましたならば、できるだけ早くプロジェクトチームを発足いたしまして、できるだけ早く合意を得て、十八歳選挙権の法案提出をしてまいりたいと思いますし、それがなされることによって他の問題についても論議が加速をされていくのではないかというふうに考えております。

三谷議員 これはもちろん、民法や少年法での成人年齢が二十のまま下がらない場合であっても、一刻でも速やかに十八歳に引き下げをするということを進めていく。

 これは何を言いたいかといいますと、ほかの、成人年齢と一致をさせるということばかり考えていきますと、どうしても、調整、調整で遅くなる。できることから始めていくという覚悟をどれぐらい持っていくかということなんだろうというふうに考えております。

 これは、結局は、自民党さん、公明党さん、与党がどれだけの意欲を持ってこの点を進めていただけるかということにかかっているだろうと思っております。我々みんなの党は、そういった動きに対しては全力でサポートさせていただきたい、このように考えております。

中島委員 二段階方式で、今後できるだけ速やかに十八歳に、公職選挙法の方、投票権の方も進めていくということであります。

 そうなってきますと、先ほど斉藤委員の方からもお話がございましたが、十八歳、高校生でも投票権が出てくるということで、教育現場の混乱等も危惧されるということなんですが、昨今、地方選挙、国政選挙も含めて投票率が非常に低くなっている。これはやはり、政治参加教育というか、そういったものが大変重要になってくるのかなと。

 今回の改正案も含めて、今後、選挙権十八歳も含めて、下げていくということである中で、やはり政治参加に関する政治教育、その辺について今後どうあるべきか、三谷議員の御見解がありましたらお教えいただきたいと思います。

三谷議員 まさに政治教育に関しては、これをしっかりと進めていく。

 きょうの午前中の政府参考人の方の答弁の中にもありましたけれども、神奈川では参議院選挙に合わせて模擬投票というようなものを実施されたというような例がございました。

 みんなの党においては、こういう政治教育というのをしっかりと、より推進をしていくという立場から、今法案を準備しているという話も仄聞をしているところではございますので、そういった、まさに高校のころから、余り偏るということではなく、生の政治にしっかりと触れていくような教育を進めていくというのが非常に重要ではないか、このように考えております。

中島委員 まさに、神奈川県で模擬投票をして、その結果、さまざま、選挙管理委員会、教育委員会、それぞれの立場でなかなか議論があってということだったんですが、実際に、具体的には三年に一回参議院選挙はございますから、高校生活でいけば必ず一回は模擬投票をする機会がある。

 政治誘導という意味ではなく、昨今の投票率の低さ、これをやはりしっかりと高めていかなきゃいけない。そういうことで、三谷議員からもございましたが、政治参加教育、その推進のための議員立法、みんなの党、今国会中に何とか提出をしたい、そのように思っておりますので、他党の先生方にもどうか御理解をいただきたいなというふうにも思います。

 次に、公務員の政治的行為の禁止について質問させていただきたいと思います。

 中学校や高等学校の場において学生に生の政治に触れさせること、政治的に偏った、隔たった教育を行うことを分けることは可能と考えるのかどうか、みんなの党の提案者、三谷さんにお聞きしたいと思います。

三谷議員 これは非常に興味深いテーマではあるかと思いますが、政治的に偏ることなく、政治の現実についてそういった教育を行うというのは非常に重要だろうというふうに考えております。

 既におとといの参考人質疑においても議論になったとおり、政治的な偏りということへの過度の配慮を行うことによって抽象的な議論ばかりになってしまうということではなくて、例えば現実の政治における多様な意見をできる限り紹介するなどの行為を通じて、政治的に偏った教育とならない、そういった工夫もできるのではないか、このように考えております。

中島委員 時間もございませんが、次に、与党自民党の提案者の方とみんなの党の提案者にお聞きをいたします。

 公務員や教職者による国民投票運動での地位利用について罰則を設けるべきではないかと考える見解もございますが、この点について、それぞれ御見解をいただきたいと思います。

船田議員 公務員等あるいは教育者の地位利用による国民投票運動の禁止、これはこれまでの法律でも設定をしてまいりました。そのときにも、違反に対しての罰則というのを設けるべきか、こういった議論もありましたが、これは、そのときも設けておりませんし、今回も設けないということで、検討課題にする、このように合意をいたしたところでございます。

 禁止の実効性を期すために罰則を科すべきである、こういう考え方はよくわかるところでございますが、公職につく者の選択としての選挙における地位利用に比べまして、国家の根幹をなす憲法改正に対する国民主権の行使としての憲法改正国民投票法における地位利用、これは、その範囲等が必ずしも明確ではないということ、また、公選法に規定されている地位利用につきましても判例の積み重ねが十分でない、このような理由で七年前も断念をしたこともあります。

 現時点におきましても、やはり地位利用の形態、あるいは罰則を科す場合にはその構成要件というのが必要でございますが、それがまだまだ十分ではない、このようなことで、検討課題として置いておく、こういうことにいたしましたが、問題としては十二分に議論する価値、そして議論する必要があるというふうに思っております。

三谷議員 先日の参考人の質疑の中でも、百地参考人が、こういったところについてしっかりと罰則を設けるべきだというような意見を述べられておりました。

 立法を行う際には、その必要性と許容性、両方の観点から考えていかなければいけませんけれども、こういった教職者ですとか公務員がそういった地位利用をされるということによって政治が大きくゆがんでしまうということでは、罰則を設ける必要性というのはある程度もう実証されているんだろうというふうに思っております。

 その意味では、あとは許容性。どういうような規定にすればその範囲が明確になるか。まさにそれはこれからの議論をすることによって詰めていける話だと思っておりますので、この法案ができて以降、しっかりとこの点は各党各会派の皆様と協力をして詰めてまいりたい、このように考えております。

中島委員 時間になりましたが、今後、速やかに民法、公職選挙法についても引き下げていける、議論が深まっていきますように、各党の議員の皆さんには御尽力を御期待申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

保利会長 次に、椎名毅君。

椎名委員 こんにちは。結いの党の椎名毅でございます。

 本日、二十分間質疑時間をいただきましたこと、感謝を申し上げたいというふうに思います。

 日本国憲法の改正手続に関する法律の改正についてということで、平成十九年に制定されたこの法律の附則に三つの課題というのがあったわけでございますけれども、この三つの課題を解決するために、七会派共同提案で、今回、改正法案というものが提出されたというふうに理解をしております。

 我が党、結いの党も、独自案をそれぞれこの三つの課題に対して準備をして協議に参加をしてまいりましたけれども、折り合いがついたということで共同提案に参加させていただいたというふうに理解をしております。

 この改正案策定に従事された皆様方に対しては、多大なる御尽力をいただきましたこと、改めて敬意を申し上げたいというふうに思います。

 私からは、この協議の中で私自身が感じた点を含めて、疑問点があるところを確認するという意味で幾つか伺ってまいりたいというふうに思います。

 まず、公務員の政治的行為にかかわる法整備についてということで、改正前の法律の附則の十一条に規定されていたものに関連して幾つか伺ってまいりたいというふうに思います。

 この附則の十一条は、公務員の政治的行為の制限に関する検討ということで、それぞれ国家公務員法、地方公務員法その他の法令の規定に検討を加えて、必要な法制上の措置を講ずるというふうに書かれております。

 他方で、今回の改正案を拝見してみますと、百条の二という案文ができ上がっております。これは、国民投票運動に関して、公務員の政治的行為の制限という、国家公務員法上の制限に対する重大な例外なんだというふうに思いますけれども、私たちは、そもそも結いの党案においては、まずは若年層の権利を確保していくために、十八歳にかかわる経過措置規定を早急に削除すべきである、まずはここからであるということ、こういったことを訴えてきたわけですね。

 これに対しては、今回の法案では、四年先送りというふうにも受け取られかねない形で、経過措置は相変わらず引き続いているわけです。

 それに対して、本来は、公務員の政治的行為の制限について定める国家公務員法、地方公務員法について検討するとあったはずの附則の十一条を受けて、今回、百条の二という全く別途の規定が制定されているというところに非常に違和感を感じます。

 なぜ、このように若年層への投票権の緩和というところに対しては対応せずに、公務員の国民投票運動についてのみ緩和をしたのかというところについて伺いたいと思います。

 特に、政治活動の自由と国民投票運動の自由というところ、これを明確に分けて、今回、百条の二というところに記載したわけですけれども、こういったところを分けている理由というところと、あとは、ほかの国の法制でどうなっているのかというところまで含めて教えていただければというふうに思います。

 結いの党の提出者に伺いたいと思います。

畠中議員 お答えいたします。

 我々結いの党も共同提案させていただきました今回の改正案において、まず投票権年齢と選挙権年齢のリンクを外しました。投票権年齢は四年後に自動的に十八歳とすることになりました。

 特に、我が党が主張している選挙権年齢の引き下げについては、これは改正法施行後二年以内に十八歳に引き下げることを目指して各党間プロジェクトチームを設置することを合意して、確認書で示しております。

 あわせて、これらがインセンティブとなって、民法上の成人年齢についても年齢引き下げの弾みがつくというふうに認識しています。

 また、委員がおっしゃられた公務員の政治的行為についてですけれども、純粋な賛否の勧誘及び意見表明に限って公務員も行うことができるとして、必要最小限の形で宿題を解いたところであります。

 また、公務員の政治的中立性や公務の公正性の確保の観点に鑑みて、特定公務員の範囲を拡大するとともに、組織的な勧誘行為の企画等については引き続き検討するとしているところです。

 これらに対しては、我が党も共同提案者として一定の評価はしているところなんです。

 しかしながら、先ほど委員がおっしゃられたように、全体の宿題のこなし方、私もこの議論に参加してまいりましたけれども、投票権年齢の引き下げについては、おっしゃるように道半ばだ。一方の公務員の国民投票運動については、特例を設けて緩和されてしまったのではないかという御指摘の問題意識は共有しているところでございます。

 ただ、委員も御承知のように、憲法改正の土俵づくりともいうべき国民投票法改正に当たっては、できるだけ多くの政党が賛同して、譲れるところは譲るという態度で各党協議を行ってきたところでありまして、この点については御理解いただきたいと思います。

 あわせて、諸外国はどうなのかということも御質問いただきましたので、簡単にお答えいたしますと、公務員の政治的行為と憲法改正に関する意見表明、勧誘行為を分けるということは、これまでの憲法調査会、憲法調査特別委員会時代の海外報告書の中を見る限り、そのような国は見当たりませんでした。

 そもそも、諸外国では、公務員の選挙運動等については規制はなされていない国も多いようであります。私自身も、昨年、海外派遣されまして、国民投票制度が存在するイタリアに参りましたが、公務員の国民投票運動と選挙運動等は区別しておりませんでした。こういった公務員の選挙運動の規制はなかったということでした。

 しかしながら、あくまで海外は海外、我が国の公務員に対する認識というのは我が国のものでありまして、御指摘の公務員に対する問題意識というのは私も重々共有しているところでございまして、特に、附則四項の組織的勧誘運動の公務員による企画等については、しっかりと引き続き検討していかなければならないと考えております。

 以上です。

    〔会長退席、武正会長代理着席〕

椎名委員 非常に御丁寧な御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 諸外国では公務員の政治的運動が制約されていない国もあるということですが、それは非常に私自身も、ああ、なるほどなと思いましたけれども、他方で、我が国においては、特に教育公務員なんかで、学校の施設を利用して、事実上選挙運動にも等しいような運動をしている例なども散見されたわけでございます。こういったところから、やはり本法百三条二項というものがもともと存在しているんだというふうに思っています。

 教育的立場にある公務員が、国民投票運動を効果的に行い得る影響力または便益を利用して国民投票運動をすることというのはできないというふうにして、きちんと、影響力を行使することというふうに、そこは制約をしているんだというふうに思います。

 こういった点について一応確認的に伺いたいんですけれども、この規定と百条の二というところの関係を考えると、基本的には影響力または便益を利用しないような国民投票運動であれば教育公務員は行うことができるという理解に恐らくなるんだろうというふうに思います。そうだとすると、影響力または便益を利用しない形の国民投票運動をするということが具体的にどういう意味なのかというところについて、私自身は少し懸念を示したいというふうに思っておるので、確認したいと思います。

 今まで、教育者が学校のファクスを使って何か運動をしたり、それから、さらには教員間の打ち合わせと称して教員室の中で勧誘行為等を行ってきた例なんかは報告されているところだというふうに思いますけれども、こういったことはできないという理解でいいのか。

 さらには、本法で、四年経過した後は投票年齢は十八歳に自動的に引き下げられることになると思いますが、そうすると高校生が投票権を持つことになりますけれども、教育公務員が授業または授業外の活動等を通じて、十八歳の高校生に対して国民投票活動に対して勧誘行為等を行うことというのは否定される、基本的にはそういう理解でいいか、確認させていただければというふうに思います。

畠中議員 お答えします。

 まず、改正案の百条の二は、公務員について純粋な勧誘行為を認めるものであります。現行法の百三条二項は、そのような純粋な勧誘行為であったとしても、地位を利用して行うものは許されないという趣旨によるものです。

 すなわち、地位を利用しない国民投票運動であれば許されるというものでは決してなく、地位を利用しないものであったとしても、純粋な勧誘行為のみ公務員は行うことができることとなるということでございます。その場合においても、現行法制で禁止される政治的行為を伴う場合は、それはもはや純粋な勧誘行為と言えないから禁止されるということになります。

 今委員がおっしゃられた、十八歳に引き下げて、高校生ですよね、高校の現場でどうかという懸念を示されましたけれども、いろいろなケースというのが想定されると思います。

 例えば、私の個人的な見解でありますが、教育者が学校のファクスを使って勧誘行為を行うとか、こんなことはもう全く地位利用に該当するというふうに思います。

 あるいは、教職員の中で、打ち合わせと称して国民投票に関する勧誘行為について打ち合わせをしたら、それも、当然ながら、地位利用に該当すると評価し得る事例も十分考えられるというふうに思います。特にそれが勤務時間中に行われたとしたら、まさにこれは職務専念義務違反として公務員法違反となるものであって、懲戒処分の対象にもなるかもしれないということだと思います。

 教育者が授業または授業外の活動を通じて十八歳の高校生に対して勧誘行為を行った場合というのは、まさに地位利用に該当すると評価し得る事例があるんじゃないか、そのように考えております。

    〔武正会長代理退席、会長着席〕

椎名委員 ありがとうございます。

 まさに地位利用かどうかというところは非常に重要な基準の線引きだというふうに思います。ここで、地位利用に当たらないもの、純粋な勧誘行為というのをこれから議論を詰めていって、できること、できないことというのをいろいろなケースで考えていくことが必要ではなかろうかなというふうに私自身は思います。

 引き続いて、改正案ではないですけれども、本法の百三条二項に違反した教育者を含めて、地位利用をして勧誘行為を行う方々に対して罰則を設けるべきではないかというふうに私自身は思います。

 今回の改正の附則の部分について、組織により行われる勧誘活動、署名運動及び示威運動の公務員による企画、主宰及び指導並びにこれらに類する行為に関する規制というものについては必要な法制上の措置を講ずるというふうに規定されているようでございますけれども、こういった、まず罰則を設けるべきかどうかというところについての御所見と、それから、この地位利用に関する必要な法制上の措置というものの今後の検討の方向性というところについて、畠中委員から御意見をいただければというふうに思います。

畠中議員 今委員がおっしゃられました地位利用に対する罰則については、個人的にもそうですし、我が結いの党でも、もともとの結いの党案の中で織り込ませていただいた内容で、まさに御指摘のとおりだと思っております。

 しかし、共同提出者の一人として申し添えるならば、この改正案で、地位利用について明確な構成要件を設定することが難しいといった議論が共同提出者の間でありまして、地位利用の行為態様や可罰的な行為類型の限定などについて、さらに検討を続ける必要があるという結論に達したところでございます。

 我が党としては、この論点について、さらに前向きに検討を行っていきたいと思っておりますが、共同提出者の一人として、組織的な勧誘運動規制に関する検討条項について御説明しますと、組織的な勧誘運動の公務員による企画等については、各党における協議の中でこういう議論が出ました。

 一つは、組織によりの組織はどこまで含めるのか。それから、勧誘運動、署名運動及び示威運動の三つの行為類型に過不足はないんだろうかというのが二つ目。そして三つ目は、企画、主宰及び指導という役割で必要にして十分かなど、より緻密な検討が必要との意見もあったところでありまして、本改正案では検討条項と位置づけられたところであります。

 我々としては、これについても可及的速やかに検討を行い、要件を明確化して規制するという方向で各党と協議したいと考えております。

椎名委員 ありがとうございます。ぜひ、そこを明確化した上で、きちんと罰則の適用と、それから、特に教育者だと思いますけれども、地位利用をして影響を与える方々というところをきちんと防いでいくことが非常に重要かなというふうに思います。

 時間もないので一つ飛ばして、年齢引き下げの話について伺いたいというふうに思います。

 今回、年齢引き下げについては、法三条の十八歳という規定については、四年後にそれが自動的に解除されるということになったかというふうに思います。それ以外の選挙権年齢の引き下げを含めた部分については、国民投票の投票権を有する者の年齢と選挙権を有する者の年齢との均衡を勘案して、公職選挙法、民法その他の法令の規定に検討を加えて、必要な法制上の措置を講ずるものとするというふうに規定をされています。

 この均衡を勘案しというところの意味を改めてきちんと確認しておきたいのですけれども、これは、選挙権年齢を引き下げるために考えるという理解でいいのか。これを質問する意味としては、均衡ということで、結局、本法の三条の十八歳と規定されている部分について、これをやはり二十に戻そうという形で均衡が考えられるということでは本末転倒だというふうに思いますので、改めてそこを確認したいというふうに思います。

畠中議員 まさに委員がおっしゃられました均衡を勘案という部分、これは、投票権年齢が改正法施行後五年目から十八歳以上となることを踏まえて、選挙権年齢も十八歳に引き下げよ、引き下げなさいという趣旨にほかなりません。また、本改正案の附則三項が、「年齢満十八年以上満二十年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう、」として、十八歳選挙実現の方向から法制上の措置を義務づけていることからしても、この趣旨は明確だというふうに言えます。

 以上からして、重ねて申しますが、決して年齢が高い方、すなわち二十歳で均衡されてしまうということは、まさに立法者の意思に反して、起こり得ないということを申したいと思います。

椎名委員 ありがとうございます。

 まさにそこはきちんと確認しておくべきだというふうに思いますが、もう時間もないので終了いたしますけれども、先ほど来、提案者の方々、いろいろ御答弁いただいておりますけれども、やはり国際的に見ても、選挙権の年齢と国民投票の年齢と、十八歳に設定するというのがスタンダードであるということとともに、若年層の権利を保障するためにも、十八歳にしていくということが非常に重要だというふうに思います。

 ぜひ、これからこの検討をきちんと行っていただいた上で、可及的速やかに、選挙権年齢を十八歳に引き下げるという対応をしていただきたいというふうに思います。

 これで終わりたいというふうに思います。本日はありがとうございました。

保利会長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず船田議員に伺いたいと思うんですが、前回の私の質問の最後のところで、枝野議員の方からこういう答弁がありました。現行法の附則というのは、何か法改正をしなければ十八歳成人にはならないというものであったのに対して、今度は、ほっておけば間違いなく四年後には十八歳成人になるという答弁だったわけですね。

 私も、えっと思って、最後のところだったので、もう一度会議録から確認させてもらったんですが、そういうふうな答弁をされて、さらにまた、四年後ならば自動的に十八歳選挙権になっていいということで合意が得られるということも答弁されています。

 船田議員に伺いたいんですけれども、改定案というのは、成年年齢と選挙権年齢は四年後に自動的に十八歳に引き下げられる内容というふうになっているんでしょうか。いかがですか。

船田議員 我々が考えた法の改正案におきましては、四年後に自動的に十八歳になるということであります。それまでは二十ということで制度設計をさせていただきました。

 この四年後というのにはいろいろな理由がありますけれども、やはり、公職選挙法における選挙権年齢の引き下げ、また、それに伴う民法、場合によっては少年法の適用年齢の引き下げというものも実現するための期間として、四年というのは必要ではないのかな、こういったことも考えて、四年ということを設定した次第でございます。

笠井委員 私が聞いたのは、これは枝野さんに確認してもいいんですけれども、枝野議員の答弁というのは、四年後に自動的に十八歳成人になると言われたんですね。発議者の答弁だったので、そのことについて船田さんに聞いたんだけれども、さっき船田さんが言われたのは、そのことに対する答えじゃないですよね。

枝野議員 済みません。訂正させていただきます。

 十八歳で憲法改正国民投票の投票権を得ることに四年後に自動的になると申し上げたので、十八歳成人というのは、若干言葉の使い方が適切ではなかったとおわびをして訂正いたします。

笠井委員 ちょっと、これはなかなか基本的なことなので、ぜひ正確にやっていただかないと、審議を詰めていって、さっきの午前中の参考人質疑も含めて、非常に微妙な話になっているわけなので、今、訂正されるというので、おわびをというふうな話があったのでいいんですけれども、こういう形でささっといくような形は非常にまずいと思うんですね。だから、そこはきちっと答弁もお願いしたいというふうに思います。

 では、改定案について具体的に伺いますけれども、その前に、船田、枝野両議員に確認をしておきたいんです。

 というのは、改憲手続法の審議の際にもいろいろかかわってこられたという点でありますけれども、現行法審議の際に、人を選ぶ選挙とは違って、改憲の国民投票だから、できるだけ多くの国民が投票できて、そして投票運動にも参加できるようにする、こういうふうに繰り返し述べられていたと思うんですが、この考えは今も変わらないかどうか、お二人に、端的にお答えをお願いしたいと思います。

船田議員 いわゆる公職選挙法による選挙、これは人を選ぶというのが中心でございます。一方で、憲法改正の国民投票というのは、これは、政策を選ぶ、なかんずく、政策の中でも最も根本である憲法を議論する、こういうことでございますので、その点では、より多くの人々がこの投票にかかわるということが望ましいのではないかということで、七年前もそういう制度設計をいたしました。今もそれは変わりません。

枝野議員 今、笠井委員が御指摘をされたあの当時の考え方と、基本的な考え方は変わっておりません。

笠井委員 船田議員に伺いますけれども、改定案は、成年年齢について、附則で「国は、この法律の施行後速やかに、」ということを言いながら、公選法そして民法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとするというふうにあります。

 それで、前回の答弁では、八党での確認書ということに基づいて、選挙権年齢の十八歳への引き下げは二年以内を目指して、その後、成年年齢の引き下げも目指したいということで言われました。

 それでは、この改憲手続法審議の際に、年齢問題全体における成年年齢の位置づけ、そして、成年年齢と選挙権年齢、投票権年齢の関係について、当時の法案提出者はどのように説明をしていたか、改めてその点、答弁をお願いしたいんですが。

船田議員 今御指摘の選挙権年齢、それから成年年齢、そして投票権年齢でございますが、私どもとしては、世界の趨勢として、この参政権というものがほぼ十八歳にかなりそろってきている、こういうこともありまして、国民投票というのは、先ほどもちょっと説明いたしましたけれども、やはり、多くの人々が憲法改正のための国民投票にかかわる必要があるということで、まず投票権年齢を十八歳に引き下げよう、こういうことでその方向性を定めました。

 そして同時に、いわゆる参政権グループ、つまり、投票行動という点においては選挙権も同じ行為でございますので、これがずれているということはやはりさまざまな問題を生じかねないということで、選挙権も可及的速やかに十八歳にそろえる。そして同時に、選挙を行う、あるいは憲法の改正にかかわるということは、やはり大人としての行為を行うということでありますので、当然のこととして、成年年齢を引き下げることとも関係をしていくだろうということで、順次十八歳に引き下げるということを、一応、制度設計として、多少の順番をつけながら対応しようということで、七年前もそのように答弁をしたと思います。

 七年前は、もう少し成年年齢については踏み込んだ発言をしていると思いまして、選挙権年齢、国民投票年齢、成年年齢がそろっていることが望ましいということで、そのことにかなり、主張を強めていたという記憶がございます。

 ただ、その後、成年年齢を引き下げるためには、これまで、間に七年間ありますけれども、その間の役所におけるさまざまな検討を見ておりますと、成年年齢を十八に下げるということについてはさまざまな解決すべきハードルがある、こういうことがわかってまいりましたので、若干の時間的な差というのは設けても仕方ないのかな、また、そのことが合理的なのかなということで、現在のところでは、若干の時間差を設けた考え方に少しずつ変わってきている、こういう状況でございます。

笠井委員 さすがですが、ほぼその当時のことを言われたのかなと思うんです。順次と言われて、その上で、踏み込んで七年前はと言われたんですが、七年前はかなり踏み込んで言われていた。

 例えば、二〇〇七年四月十二日の衆議院の憲法調査特別委員会では、こう言われていました。

 現行の公選法の二十歳の投票権というのは、戦後間もないころ二十五歳から二十歳に引き下げられて以来、二十歳が投票年齢になっているわけです、選挙権の。そのときの立法の趣旨を見ると、民法の成人年齢が二十歳であることを前提に、それに合わせる。要するに、民法上の判断能力と参政権の判断能力とは一つであるべきだという前提で、そういう提案理由の中に書かれて引き下げられている経緯があるので、我々としては、成人年齢に合わせて選挙権年齢。選挙権年齢と国民投票年齢は同じ参政権だから、やはりこれを合わせることが国民に理解がしっかりと受けとめられる。

 これは保岡さんですけれども、そういう答弁を提出者としてされている。

 そういう形で言われたということなんですが、今、船田議員が解説されたように、その後の役所の検討ということが言われている。つまり、そういうふうに言っていたんだけれども、明らかに考えが変わってきている。ストレスの置き方が変わってきているという形で考えは違ってきていると思うんです。それは、役所がなかなか大変だよねということで、そういう検討があるので、ハードルがあるので、順次という感じに今考えを変えてきているんだという話なんですけれども、そういうことでいいわけですか。

船田議員 私が申し上げたのは、それに近いものと思います。

 基本的な考えとしては、私はやはり、国民投票年齢、選挙権年齢そして成年年齢がそろっているというのがあくまで理想である、このように思っております。ただ、その後の法務省等における検討において、非常に多くの法令、成年年齢を引き下げることに伴う、その他の関連する法律が二百本、三百本あるんだ、こういうことも理解をいたしましたし、また、それの検討において、かなり検討が進んでいるとはいいますけれども、十八にするのか二十でとどめるのかということが決まらない、そういう整理ができない法律もまだ十本程度ある、こういったことも聞きました。

 そういう点においては、現実問題としてはやはり、理想は理想だけれども、成年年齢を引き下げるということについては若干おくれざるを得ないし、また、そういう対応をするのが妥当ではないか、そういうふうに考えた次第です。

笠井委員 そうすると、午前中の質疑もあったわけですが、法務省そして総務省、それぞれあって、国会がお決めになればと言ったけれども、その後の調整、整合性とかいろいろなことを言われた。結局、現実問題とすると、望ましいという理想だけれども、そういうことでいうとなかなか大変でというふうになると、今言われている二年後とか四年を目指してとかいうこともそう簡単にいかない、目指すけれどもそのとおりいくかどうかという話になってくるということでしょうか。

船田議員 法的な問題あるいは理屈の上での問題、さまざまあると思います。

 しかしながら、午前中にもさまざまな議論がございましたように、今回、まずは選挙権年齢を投票権年齢にそろえる、そして成年年齢についてもできるだけそろえるのが望ましい、この考え方は、八党の合意事項の中にも含まれております。

 そういうことを考えますと、非常にこれは国会の意思として明確に今回はあらわれた、こう思っておりますので、その国会の意思を、やはり総務省、法務省を初めとして国の機関としては最大限に尊重していただくというのが、これは議院内閣制としては当然のことであると思いますので、その点については、いつまでもそれができないということはもうないだろう、このように理解をしております。

笠井委員 私の理解では、午前中の答弁では、国会の意思、法律ができたならばということで、それを受けて対応というふうには言うんだけれども、しかしながら、いろいろな問題があって、実際には二年とか四年とかははっきり言えないという話があったなということは、非常に明確に受けとめて聞いたところであります。

 さらに、では北側議員に伺いますけれども、前回の答弁で、投票権年齢と選挙権年齢等のリンクを外したということの理由として、選挙権年齢等の十八歳への引き下げは、法成立後三年間、施行までの間に法制上の措置をとるというのが前提になっていたけれども、それができなかった、だからリンクを外したというふうに前回答弁をいただきました。

 しかし、前提というのは、それが満たされなければ次に進めないという意味だと思うんですけれども、それを、前提ということなのに、なぜ切り離しということができるのか、御説明いただきたいと思います。

北側議員 国民投票の投票権年齢をどうするか、そしてまた公職選挙法の選挙権年齢をどうするか、これは、法律は違いますので、立法目的も厳密に言うと違うわけでございまして、年齢が必ず一致しないといけないというものではないと理解しております。

 ただ、先ほど来議論がありますとおり、国民投票の投票年齢、そして公職選挙法の選挙権年齢、これは同じ参政権のグループ、同じ参政権でやはり同一にする方が立法政策上はいい、また混乱もないというふうに認識をしております。

 今回、国民投票法の方を四年後に自動的に十八歳にするということにし、そして、公職選挙法の選挙権年齢の十八歳、また民法等の成人年齢等と切り離しをしましたのは、むしろ、十八歳の投票権を必ず実現するという意味からは、その方がいいというふうに判断いたしました。

 また、十八歳投票権を実現することによって、公職選挙法の十八歳選挙権の実現も大きく前に進むことは間違いないというふうに考え、リンクを切り離したわけでございます。その方が結果として前に進むというふうに考えております。

笠井委員 結果としてと言われたんだけれども、前提になっていたのができなかったのでリンクを外すという説明にはなっていないんじゃないか。どうも私は理解できないんですけれども。

 船田議員に伺いますが、改定案では、成年年齢の扱いというのは明らかに後退しているんじゃないかと私は思うんですけれども、年齢問題に関する考え方というのは、ある意味、根本的に変わったというふうに考えていいんでしょうか。そこはどう受けとめるべきなんでしょうか。

船田議員 基本的には変わっていないはずでございます。

 私どもの改正案、これを読んでいただけるとわかると思いますが、均衡等であるとか、国民投票あるいは公職選挙法等、「等」というのが何カ所かに出てまいりますが、当然、その中には成年年齢の引き下げということも含まれております。明文化ということではございませんけれども、概念として「等」という言葉に入っておりますので、決してこれは後退ではないと思っております。

笠井委員 私は、変わったのは明らかだと思うんですね。

 成年年齢だけじゃなくて、選挙権年齢の引き下げについても、改正法施行後速やかにとするだけで、期限を定めていないわけですね。現行法の附則では、法施行までの三年間にと期限を決めていたのに、なぜ今度は改定案において期限を定めていないのか。その点はどうしてなんでしょうか。

船田議員 前回の七年前の法のとき、三年という一つのストッパーをかけさせていただきました。ただ、この段階において、各政党の考え方、特に自公民の枠の中でやってきたことが、大変残念でありましたけれども、民主党さんが離脱をされたということで、その枠組みの中でこのことを進めるということが極めて困難であった。そのことは大いに私たち自身も反省をしているところでございます。

 今回の制度設計におきましては、特にストッパーをかけずに問題を解決していこうと。むしろ、ストッパーをかけるということによって、さまざまな行動の制限あるいは考え方の制限ができてしまう。そうではなくて、やはり白地から問題を解決していこう、こういうことをやっていき、先ほど少し北側委員からも発言がありましたように、むしろ我々の努力によって、ストッパーにかえて、一日も早く、まずは選挙権年齢、そして成年年齢に至るまで、しっかりとその仕上がりをやっていこうという決意をそのことで示したということで、ぜひ御理解いただきたいと思います。

笠井委員 速やかにという一方で、確認書で、法施行後二年以内に十八歳に引き下げることを目指して各党間でプロジェクトチームを設置するというふうにしているわけですけれども、結局、そういうふうに言うんだったら、提出者の間で、改定案にきちっとそのことを書くというふうにはできないのか。法律で縛ると、かえって何か問題になるわけですか。それとも、自民党の中に事情があるのか。その辺、どうなんですか。

船田議員 確かに、法律案、改正案の中に二年後という言葉を入れることも検討いたしましたけれども、やはりここは、法律は法律として、万が一のことを考えると、法律に書いたことが逆に将来において何かの支障になる可能性もある。そのことを考えれば、法律は必要最低限のことを書いて、そして具体的に我々立法者の意思を示す。こういう観点では、合意文書の中に入れて、そして両方あわせ読むということの方が合理的である、このように最終的に結論づけた次第でございます。

笠井委員 万が一というのはどういうことですか。私、よくわからないんだけれども。

船田議員 万一というのは、やはり二年後に選挙権年齢が十八に下がらないという状況で、それで過ごし行く場合。これはもう想定しにくいことになっておりますけれども、万が一を考えての対応でございますので、そこを御理解いただきたいと思います。

 それから、私たちが七年前にこのようなストッパーをかけて、それを優に徒過してしまったという理由として、やはり自公民の三党における合意が崩れてしまったということがその後ずっと足かせとなってきた。また、その間に、我々も含めて、立法者としての不作為、立法の不作為があったという大きな反省に基づいて、今回はできるだけ多くの政党と合意をして、そしてそれを実際に合意文書に入れていこう、こういうことをやった次第でございます。

 その点におきましては、そのような事態が生じることはまず考えられないと思いますけれども、やはり世の中には絶対ということはございませんので、法律上はそのような置き方にして、具体的には合意文書の中に入れる、これが妥当なやり方である、このように感じた次第です。

笠井委員 七年前につくったときに三年以内と書いてできなかった、それでこの手続法が動かせなかったという話があって、万が一ということは、そういうことがあった場合には、それがあっても手続法は動かせるようにしておこう、こういう話になるわけですか。

船田議員 万が一ということでございますので、なるべくそれは考えないようにやりたいと思います。

笠井委員 二〇〇七年三月に併合修正案を説明したときには、成年年齢に選挙権年齢それから投票権年齢を合わせる、選挙権年齢の引き下げは大前提というふうに言っていた。それを切り離して、しかも投票権年齢のみを十八歳にするということで、それで万が一とかという話でいろいろやってくるようになると、年齢問題に関する考え方の根本的な転換をして、結局、どうやってもこれが動かせるようにという、改憲先にありきの御都合主義に合わせているというふうに受けとめられても仕方がないと私は思います。

 国民投票運動について幾つか伺いたいんですが、北側議員、よろしいでしょうか。

 前回、裁判官、検察官、公安委員会の委員、警察官を国民投票運動の禁止の対象とした理由について、こう答弁をされておりました。

 この四職種については、国民投票法の中にもさまざまな犯罪規定、刑罰規定が設けられているわけでございまして、それを取り締まる、もしくはジャッジをしていく、こういう立場にある方々でございますので、この方々については国民投票運動について禁止をしていくというふうに決めさせていただきましたというふうに言われました。

 しかし、そういうことは七年前の改憲手続法審議の際に既にわかっていたことだと思うんですね。にもかかわらず、二〇〇六年五月に提出された改憲手続法のもとの自公案ではこの四職種は禁止していたものを、二〇〇七年の三月のあの民主党案との併合修正案ということでは禁止の対象から外したわけですが、なぜ当時禁止の対象から外したのかということについてはどのように説明されるでしょうか。

北側議員 その当時のいきさつは、当時私は提出者ではございませんので、詳細なところはわかりませんが、何度も申し上げていますとおり、国民投票法の改正、国民投票法の制定というのは憲法改正の土俵をつくるものですから、できるだけ多くの会派の意見の一致を見て法律をつくる、改正をしていくということが肝要だというふうに認識をしております。

 当然、政党間には意見の違いというのはありますが、その意見の違いにずっと固執していましたならばこれはできないわけでございまして、そういう意味では、それぞれがもともと持っている意見というのを一部譲歩しながらも意見の一致を見て、今回も改正案の合意ができたということでございまして、そのようなことになったというのは全然おかしくないというふうに理解をしております。

笠井委員 では、当時の提案者だった船田議員、どうですか。できるだけ多くの公務員に投票運動を保障するということじゃないのか、もともとこの趣旨はという話だったと思うんですけれども。

 それと、当時自公案に禁止というふうにあったのを、併合では外しましたよね。なぜ当時外したのか。

船田議員 七年前というか、正確には八年前になりますけれども、当初、私ども自民党、公明党の間で議論した中では、この公務員の運動規制につきましては、国家公務員法、人事院規則でありますが、それと地方公務員法の適用をそのままにしようではないかということを話し合った次第でございます。

 しかし、その後、詳細に検討しましたところ、地方公務員法においては公の投票という文言が入っているために、国民投票もこの公の投票に含まれてしまう、こういうことになりまして、国家公務員は勧誘行為は許される、しかし、地方公務員は国民投票運動では勧誘行為は許されない、こういうアンバランスが出てくるということで、一度、我々としては、全面適用除外ということの表明をいたしました。その時点において、特定公務員の禁止ということについても、これは一旦外すということにしたのでございます。

 しかし、その後、他の政治目的を伴うような政治行動について、これを全くその適用除外としていいのかどうかということについて、問題がまたさらに発生をし、許される行為、許されない行為というものの切り分けをしようということがそのまま宿題となって、今日まで残ってきた、こういうことでございましたので、私どもの特定公務員を一時外すというのは、そういう経緯であったと理解をしております。

笠井委員 私、ちょっと、そこまで広げて当時、議論されていなかったと思うので。

 二〇〇六年の十二月十四日に、憲法調査特別委員会で船田議員が、改憲手続法案の修正ということを、当時、併合の前の年の十二月ですけれども、言及された際に、特定公務員の四職種を禁止の対象から削除した理由についてこう言われていました。「国民運動が萎縮することを避ける意味でも、あるいは、そういう特定公務員の方々も、意見を表明する権利と投票運動とが非常にあいまいである、区別がつきにくいということも考えまして、裁判官、検察官、公安委員会の委員並びに警察官の部分を削除するということといたしました。」というふうに言われたんじゃないんですか。そういうふうに言われたと、説明を僕は理解していたんですが。

船田議員 八年前のことになりますので、少し、忘却のかなたというものもありますけれども、やはり国家公務員と地方公務員のアンバランスがあるので、それを直さなければいけない、そういうことで、全面適用除外というのを一時期考えました。その関連として、やはり特定公務員についても、これは、今先生のおっしゃった、あるいは紹介していただいたその理屈も加えまして、四職種についての除外、特定公務員については禁止を解く、こういうことにしたわけでございます。

 しかし、その後において、さらに、他の政治的目的を伴うような、そういう行為について、これは全面的に許されるのかどうか、こういった議論が持ち上がって今日にまで至った、こういうことでありますので、その点は、私自身、整合性としてはずっととってきたというふうに感じております。

笠井委員 他の政治的目的に絡めた話じゃないんですよ。

 二〇〇六年の十二月にそういうふうに修正の趣旨を述べられた上で、併合修正で自公案と民主党案を併合するときに、二〇〇七年三月二十九日に特別委員会で、裁判官等々の国民投票運動をオーケーにしたのは、「憲法改正国民投票における意見表明は、主権者国民が直接に国政に対して発言できる重要かつ貴重な機会であり、それは裁判官や検察官等の職種についている者でも同じように保障されるべきであると考えたから」というふうに答弁されているんです。

 いろいろ言いわけされるんですけれども、それで、公務員全体の他の政治目的と絡めて言われるんだけれども、そういうことじゃなかったはずなんですね。手続法案審議の際に、少なくとも、国民投票運動はより自由にという趣旨から、四職種についても外したんだと。

 今度は根本的にそれを変えるということになるんじゃないですか、入れるということは。より自由にするということについて。

北側議員 特定公務員について、四職種の方々について国民投票運動について禁止をするという規定でございます。

 国民投票運動とは何かというと、これは勧誘行為のことをむしろ指しているわけでございます。純粋に、裁判官の方であろうと、検察官、警察官の方々であろうと、意思の表明をすること自体は、これは今回も禁止はされておりません。禁止をしているのは、国民投票運動が禁止をされているということで御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 違うんですよ。船田さん、ちょっと答えてください。

 当時、国民投票運動について、わざわざその点で四職種を外したんですよ。それは、より自由にするという立場から外すことにしましたと説明したんですよ。違いますか。

船田議員 その時点では、やはり全面適用除外ということが望ましいのではないかということで、特定公務員についてもその禁止から外したという経緯については、私もそれは覚えております。理解をしております。

 ただ、その後、他の政治的目的を伴う政治的行為について、これが全面的に認められるのかどうかということについて切り分けをし、そして、今回、純粋な勧誘行為はオーケーである、他の政治的目的を持った行為については禁止であるというふうに切り分けができたわけです。

 切り分けをした後に、純粋な勧誘行為は全部オーケーという中で、では特定公務員についてはどうなのかということでまた新たに問題として発生をしてきたということで、今回その禁止のことがある意味で復活をした、こういうふうに理解をしていただきたいと思います。

笠井委員 だから、変えたということなんですよ。

 では、枝野議員に伺いますけれども、前回、この四職種の国民投票運動を禁止したことは一定の評価ができるというふうに答弁をされたと思います。

 私、えっと思ったんですけれども、民主党が二〇〇六年の五月に提出した改憲手続法案、それから二〇〇七年四月に提出したこの修正案というのがありましたけれども、そこには、国民投票運動の禁止の対象にこの四職種というのが入っていなかったわけですけれども、今度の改定案で禁止したということをなぜ評価できるというふうに変わったんでしょうか。

枝野議員 民主党は一貫して、四職種含めて規制をかける必要はないというのが我々としての主張であります。

 ただ、まさに他の党の皆さんが全て民主党の意見で一致をしていただければいいわけでありますが、できるだけ広範な合意に基づいてということの中では、民主党の強い主張に基づいて譲っていただいたところもあります。

 私どもとしては、公務員の運動規制は、一歩間違えると違憲の疑いがある、違憲の疑いのあるようなところについては合意することはできませんが、この四職種について限るということは、違憲の疑いまであるような問題ではない。できればそういったところも自由にしてしまっていいと思いますが、違憲の疑いのあるところまでの問題ではないだろうということ。

 これはたしか六でしたか、もうちょっと特定公務員の範囲が広い主張がなされていることの中で、それについてはなかなか、なぜそこだけ規制をするのかということの説明がつかないけれども、四つに限れば、先ほども少しお話し申し上げましたが、国民投票運動の公正を確保する執行にかかわるということですので、それに対する公正らしさという保護法益は、一定の理解はできるということで、入れたことを評価すると受け入れられたら、若干言葉足らずだったかと思いますが、六つを四つに絞ったということについては、一定の評価ができるというふうに思っております。

笠井委員 一定の評価ができるという言葉を私は聞いたものですから、ほかとすり合わせて、いろいろなところがあるので、引くとか引いたとかという話と違って、評価するとなるとまた違う話だというふうに思ったものですから、聞いたところです。

 いろいろ言われるんですけれども、国民投票運動について禁止の方向に持っていこうという話になってきていて、しかし、投票運動ができるかどうかというのは、当事者から見れば非常に重要な問題であって、結局、国民の憲法にかかわる重要な権利についても、いろいろと事情がある、あるいは変えたという形でやるというふうになると、国民の権利をどう扱っているのかということになってくるんだと思うんです。

 次に、改定法案の百条の二、先ほども若干議論があったところですけれども、船田議員に伺いたいんですが、この規定によって、純粋な勧誘行為や意見表明に限って公務員もこれを行うことができるということでありますけれども、これは今でも、現行法でもできるということで、純粋なという点では同じというふうな理解でいいんでしょうか。

船田議員 純粋なという点につきましては、現行においても、例えば政策のよしあしということ、そういったことについては、これは勧誘行為も含めて、現在の国家公務員法、地方公務員法でも許されるものは当然許されているということであります。その点は変わりがないと思います。

笠井委員 現行の投票法でも同じことだということですか。そういうことですね。

船田議員 そのとおりです。

笠井委員 それでは、この附則の十一条というところになりますけれども、公務員が国民投票に際して行う憲法に関する賛否の勧誘その他の意見表明が制限されることにならないよう、公務員の政治的行為の制限について定める国家公務員法、地方公務員法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるとしておりますけれども、そういう点でいいますと、国家公務員については何ら新たな措置をとっていないということになるということですか。今の純粋なという話ですけれども。

船田議員 ちょっと複雑な問題になってまいりますが、純粋なものについては国家公務員は今でもオーケーということでありますが、済みません、地方公務員については、これは認められない、こういう状況になると思います。

笠井委員 つまり、国家公務員については、附則十一条の宿題は解いていないということなんです。

 結局、今、船田議員が言われたように、改定案の百条の二というのは、地方公務員については今ある、地方公務員法の第三十六条の投票というのがある、だからこれだけ改憲の国民投票運動では今度適用から外すということになるというだけで、国家公務員については新たにはないということになるわけですね。それを何か自由が広がったかのように言うのは、私はちょっと誇大な話になるんじゃないかなというふうなことを言わなきゃいけないと思っています。

 そこで、枝野議員に伺いたいんですけれども、七年前に出された民主党案では、国家公務員法等による政治的行為の制限規定というのは全面適用除外というふうにされていたと思うんです。今回は、改定案でいうと、地方公務員法のところだけ適用から外したということになっていると思うんですけれども、何でそれでよしというふうになるのか。

枝野議員 先ほど来の船田先生からの御説明でもお話をいただいているんだと思いますけれども、基本的に、国民投票の勧誘行為等については原則規制なしでいいだろうという観点に立ち、そうすると、国家公務員については、いずれにしろ、現行の国家公務員法上も、もし国民投票が行われた場合の運動自体、放っておいても規制なしだし、逆に公務員法を適用してもしようがないということだから、適用除外になるんだろうということでありました。

 地方公務員については、いわゆる住民投票についての規制が入っていて、これは解釈の仕方ですが、住民投票についてはだめだけれどもという趣旨であって、国民投票法についてはオーケーという解釈をとる余地もありますが、まさに疑義を持って萎縮効果が働いてはいけませんから、地方公務員の、放っておいたら規制がかかってしまうと読まれるかもしれない規定を外すということで、いずれにしても、公務員の国民投票運動に規制をかけないという我々の主張の目的は先ほどの四特定種以外のところについては貫徹をされたというふうに理解をしています。

笠井委員 二〇〇七年の四月十三日の本会議で、枝野議員が附則第十一条を批判されてこう言われています。「与党が危惧されている公務の中立性等から見た弊害については、公務員法上の職務専念義務、信用失墜行為等の規定により適切に対応可能」というふうに言われていたと思うんですけれども、あれから七年たって、それが対応不可能になったというふうに思っていらっしゃるのか。その点はどうなんでしょうか。

枝野議員 いや、まさにそうだからこそ、今回も、国民投票運動について原則規制をかけないという提案の中身になっている。

 あのときには、部分的には何かかけた方がいいんじゃないだろうかなどという他党の御意見などもあり、我々は、四特定公務員は別として、今回のような規定で十分だ、あとは、もしまずいことがあったとしても他の規定で、規制で十分だ、運動そのものは自由でいいんだという立場であったのですが、あの時点では、他党の皆さんとこれでいいということの折り合いがつかなくてあの附則がついたので、あんな附則をつけなくたって、最初から今回提案しているような規定を置けばいいじゃないかという趣旨で、本会議で述べたということです。

笠井委員 そうすると、国家公務員についてもこういう形でいい、こういうふうになるんですか。

枝野議員 国家公務員についても、当然、ほかの公務員規定で、例えば職務専念義務違反で勧誘行動をしちゃいけないわけで、そんなことは当然のことであって、運動、活動、行為として他の政治的な行為を伴うものでなければ自由にできるという、まさに原則自由が今回の提案で貫かれているというふうに認識しています。

笠井委員 いずれにしても、今回のところでいうと、地方公務員については先ほどの三十六条の投票というところだけ外すということであって、国家公務員については新たに何もしないという状況になっているということは間違いないんだと思うんですね。

 次に、公務員が組織を使って国民投票運動を企画したりすることを禁止するという改定案の附則四項について、これは船田議員に伺いたいと思うんですけれども、この附則のように、公務員が組織を使って何かを行うことを規制するという条項を持つような法律というのは、現にほかにあるんでしょうか。

船田議員 私が調べた中では特にないと思っております。

笠井委員 つまり、本邦初公開というか初物という代物であると思うんですね。

 憲法改定の国民投票というのは、国民が主権を行使する最も重要な行為だというふうに提出者の皆さんは繰り返し強調されてきたわけですけれども、その改憲手続法に、ほかの法律には見られない、国民の権利に対する規制を加えようというふうなことになってくる。公務員の運動をこれほど広範囲に規制するというのは私はとんでもないと思うんですけれども、こういう検討はやめるべきじゃないかと思うんだけれども、どうでしょうか。

船田議員 組織によりということにつきましては、我が党の中でもさまざまな議論がございました。また、野党の皆様とも協議をしている中で、組織によりということについては、ぜひやるべきだという政党もおられます。

 やはり、公務員の方々、お一人で行うことというのは、先ほどずっと議論しているようなことで、許されるもの、許されないものがはっきりして、むしろ許されるものが多くなっているという状況にあります。

 ただ、公務員として組織を使う、組織を使いながらさまざまな活動をする、勧誘も、示威運動も、あるいは署名なども、そういったことをやることが、憲法改正という非常に重要な政策の選択の問題においてそのことをお使いになるということは、やはり相当大きな影響力を持つもの、このように理解をしておりますので、この点は早急な結論は出せませんでしたけれども、各党とよく議論をしてこれを検討していきたいと考えています。

笠井委員 今、憲法という非常に重いものだからというふうなことを言われたんだけれども、この附則のように、さっきも質問で言いましたけれども、公務員が組織を使って何かを行うことを規制する条項を持つ法律というのは、船田議員も答えられたように、今までないわけですからね。そういう問題を、憲法だということをあれしながら実際検討していくという方向というのは、これは本当に大変なことになってくると思うので、私はそういう検討はやめるべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 枝野議員にもう一問伺いたいんですが、二〇〇七年四月十三日の本会議、先ほど来、私は何度も言っているんですけれども、改憲手続法の自公案が、公務員の政治的行為の制限に関する検討条項を附則十一条に設けて先送りをしたことについて、こう言われました。「可能な限り最大限の国民投票の自由を保障することは憲法の要請であり、この法律の根幹部分です。その根幹部分について先送りをするという中身で、議論が尽くされたというのは、これは論理的に成り立ちません。」というふうに言われたんだけれども、ところが、今度の改定案も、公務員の組織を使った運動については、検討条項として附則に盛り込むことになっているわけですね。

 それで、改憲手続法の根幹にかかわる問題を今回も先送りして、議論が尽くされたとはならないと思うんですけれども、どうでしょうか。

枝野議員 前回のときには、まさに宿題として残されて、つまり、この十八歳投票権の問題と公務員の規制の問題は少なくとも解決をしないと、法律を成立させて施行されても、現実には国民投票ができないという状況でした。にもかかわらず採決を急ぐ必要は全くない、ちゃんと議論をさらに時間をかけて深めて、特に公務員の運動規制の部分のところについては、法を施行すれば国民投票が実施できる状況にまでちゃんと折り合いをつけた上で採決すればいいんじゃないですかということで、議論が煮詰まっていないということを申し上げました。

 今回は、この法律が成立をすれば、私どもが危惧するような、憲法に抵触をするような公務員に対する運動規制がない形で国民投票が実施できるという意味で、少なくとも結論が出ているということでありますので、七年前の状況とは状況が違うということです。

笠井委員 いずれにしても、附則として先送りするのは許されないという話を言っていたわけだと思うんですよね。徹底して議論して結論を出せということだったんじゃないんですか。そういうことについてはきちっとやるべきだというふうに私は思うんですけれども。

枝野議員 前回は、結論が出ないにもかかわらず、法律を成立させるということをなぜ急ぐんですか、おかしいじゃないですかと。今回は、一旦、規制をしないという結論を出しています。規制をしないという結論を出した上で、でも、検討を今後もしたいという党派の方がいらっしゃるので、それは検討なさるならいいんじゃないですか、憲法違反だからどうせだめでしょうけれどもねと我々は思っていますがということです。

笠井委員 全面規制がないという状況じゃないんですよ、今でも。それをさらに、附則で検討条項までつけているという形で、さらにそのことをまたやっていこうという話になっている。私は、こういうやり方というのはやはりやるべきではない、この間の経過からしても、やるべきではないと思っています。

 続きはまたやらせていただきます。終わります。

保利会長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 提出者の皆様には、この法案をまとめられるまでにさまざまな議論があったこと、本日の今までの審議を聞かせていただいても推察されます。この努力にまずは敬意を表させていただき、そして、本日は、選挙権年齢等の引き下げについて、まずは質問をさせていただきたいと思います。

 投票権年齢等の引き下げにつきましては、生活の党は、改正法施行後四年以内という年限を限って必要な法制上の措置をすべきであると主張してまいりました。その結果、改正法の附則で年限を明らかにすることはできませんでしたが、八党で交わした確認書の中で、「選挙権年齢については、改正法施行後二年以内に十八歳に引き下げることを目指し、各党間でプロジェクトチームを設置することとする。 また、改正法施行後四年を待たずに選挙権年齢が十八歳に引き下げられた場合には、これと同時に、憲法改正国民投票の投票権年齢についても十八歳に引き下げる措置を講ずることとする。」とされたところであります。

 これに関して、去る四月二十二日の憲法審査会におきまして、参考人に対する質疑が行われました。その際には、特に選挙権年齢の引き下げに関して、若い世代のお二人から、十八歳に引き下げるべきであるという強い意見がありました。国際社会の中では既に十八歳選挙権が標準であり、さらに、欧州各国で十六歳選挙権に向けた動きもあることが紹介されているとともに、十八歳選挙権は、世代間格差を是正し、少子高齢化社会に伴い、その担い手として若者が参加する仕組みを整える一環として重要な役割を果たすとの御意見がありました。若者の政治的判断能力を育てていくためにこそ十八歳選挙権を実現してほしいという御意見が述べられたところであります。

 そこで、鈴木克昌提案者に、先日の参考人質疑でのこの参考人の意見を受けて、選挙権年齢等の引き下げについてどのように認識をされたのか、お伺いしたいと思います。

 あわせて、今回この改正案が成立した後に、選挙権年齢等の引き下げについてどのように進めていくのか、選挙権年齢等の引き下げにおけるその効果についてのお考えをお聞かせください。

鈴木(克)議員 御答弁申し上げます。

 今、小宮山委員御指摘のとおり、特に若い世代のお二人から、大変前向きなといいますか、ぜひ十八歳へという意見を聞かせていただきました。

 我が党は、改正法施行後四年以内という年限を限って必要な法制上の措置をすべきであるという主張をしてきたところでありますが、そういう意味で、私も参考人の意見に大変共感を覚えたわけであります。

 改正案においては、憲法改正国民投票の投票権年齢は、改正法施行後四年間は二十以上、五年目、すなわち四年と一日目からは十八歳以上とされているわけであります。

 一方、選挙権年齢等の引き下げについては、改めて検討条項を設け、速やかに法制上の措置を講ずる旨規定しておりますが、投票権年齢の引き下げとリンクは設けられていないということであります。

 しかしながら、選挙権年齢については、改正法施行後二年以内に十八歳に引き下げることを目指して各党間でプロジェクトチームを設置するとともに、改正法施行後四年を待たずに選挙権年齢が十八歳に引き下げられた場合には、これと同時に投票権年齢についても十八歳に引き下げられる措置を講ずることが提出会派の間で合意をされております。

 これは、少なくとも、参政権グループである投票権年齢と選挙権年齢はそろっているべきであるという問題意識を反映したものでありまして、その趣旨は、改正法施行後速やかに、投票権年齢と選挙権年齢の均衡等を勘案し、必要な法制上の措置を講ずるものとする旨の検討条項、これは附則三項でありますが、にもあらわれているところであります。

 これらを踏まえれば、まず、各党プロジェクトチームにおいて、選挙権年齢の引き下げについて二年以内を目途に結論を出すべく精力的に議論を進め、その後、成人年齢その他の年齢の引き下げについても、四年以内を目途に最大限の努力をするということを合意したものと理解いたしております。

 生活の党としては、このプロジェクトチームが設置されるのを受けて、選挙権年齢の引き下げに関する議論をリードしてまいりたい、このように思っております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 参考人の意見に共感されたということ、また、選挙権年齢の引き下げについてリードする立場としてこれからも努力されるという決意をお伺いさせていただきました。

 次の質問に移らせていただきます。

 公務員の政治的行為に関する法整備に関しての質問でございます。

 確認書の項目四では、国民投票運動を行う公務員に萎縮的効果を与えることとならないよう、政府に対し配慮を求めるとされています。これは、生活の党の主張を取り入れて記載されたものと、前回、質問の際に御答弁もいただきました。

 この点については、四月二十二日の憲法審査会に出席された百地章参考人から、不安視する声もございました。

 この確認書の項目四はどのような趣旨のものなのでしょうか。実際にこの点について主張された鈴木克昌提案者にお伺いいたします。

鈴木(克)議員 国民投票運動は、主権者である国民の政治的意思の表明そのものであると思います。国民一人一人が萎縮することなく、自由活発に国民投票運動を行い、自由闊達に意見を闘わせることが必要である、このように考えております。国民による国民投票運動の自由が確保されなければ、国民投票は絵に描いた餅になってしまう、このように思っております。

 公務員についても同じでありまして、国民投票運動は原則として自由に行われるべきものでありますけれども、一方で、全体の奉仕者として、国民投票の公正、当該公務員の公務の中立性や公正性、これに対する国民の信頼を確保するための必要な規制を設ける必要もあると考えます。

 今回の改正案により新たに規制される部分や現行法の特例が設けられる部分がありますけれども、国民投票法のもとで許される行為を公務員が過度に自粛せざるを得ない状況を生じさせたり、法律上規制されている行為であっても過度に厳しく運用されることによって萎縮効果が生じることのないよう、政府においては適切な配慮をしていただきたいと考えております。

 要するに、政府においては、私ども立法者が意図したとおり、国民投票法で定められているとおりの適正な運用をしていただきたい、このように考えております。

小宮山委員 私自身も、国民投票運動を行う公務員に萎縮的効果を与えることにならないようにというのは大変さまざまな意味が込められているんだと思いますし、国民主権という中において、やはり一人一人がきちんと自分の意思で考え、行動ができる、そういった国民の自立性というものは確保されなければならない。それがさまざまな案件によって、また条件によって変わることではなく、きちんと判断ができるようにするために、萎縮的効果が与えられるような行為というものはやはり避けられるべきだと思っております。この点が入ったということは、大変意義深いことだとも考えております。

 さて、一般的国民投票についてでございますけれども、この点に関しましては、生活の党では、憲法改正国民投票以外についても国民投票を行うことができるよう、一般的国民投票制度の導入に向けて検討を進めていくべきと考えております。

 この改正案の協議に当たっては、生活の党は、憲法改正以外の国民投票制度について、より前向きな検討条項を規定することを主張したところであります。その結果、現行法附則十二条の検討条項を削除し、改めて改正法附則で検討条項を規定し直すこととされましたが、鈴木克昌提案者に、改めてこのようにした理由をお伺いするとともに、一般的国民投票制度の導入に向けて今後どのように議論を進めていこうと考えているのか、お伺いいたします。

鈴木(克)議員 国民投票の対象拡大については、既に現行法の附則十二条で検討事項が置かれているところであります。ただし、今回の改正案を取りまとめるに当たり、各党との協議の中で、いわゆる一般的国民投票制度の導入について、さらに前向きに検討していくべきという意見が我が党を初めとして多くの党から出されました。

 したがって、国民投票制度の対象拡大については、日本国憲法の予定する間接民主制との整合性などに留意しつつ、対象が拡大された国民投票制度自体の意義や必要性についての本質的な検討が必要であり、なお引き続き検討していくことが必要である、このように考えます。

 そこで、これまでの検討をさらに一歩進め、より前向きに検討していく趣旨を明確にするため、現行法附則十二条の文言を一部改めた上で、意義や必要性の有無について、これを、意義や必要性についてさらに検討を加えと、改めて改正法附則に置き直すこととしたところであります。

 なお、この憲法審査会の場で議論することができるようにするため、一般的国民投票制度のあり方については、衆参の憲法審査会の場において定期的に議論されることとなるよう、それぞれの幹事会等において協議、決定する旨を提出会派の間で合意したところであります。例えば、憲法審査会が四回から五回開かれたら、一回は一般的国民投票制度を検討するための憲法審査会を開くなどを当審査会の幹事会等で合意していきたい、このように考えているところであります。

 いずれにしても、一般的国民投票制度の導入については、我が党としても積極的にリードをしていきたい、このように考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ぜひ積極的にさらに検討を重ねていただくことをお願いしたいと思います。

 さて、先日、本会議におきまして、私自身にとりましては、大変、驚くというよりか残念な不規則発言が響きました。正直申し上げまして、自民党側の若い方からの声だったんですが、忙しい官房長官を呼びつけて何事だというような趣旨のやじでありました。

 日本国憲法第六十三条には、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、」「答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。」とあります。今こうやって憲法審査会におきましてさまざまな審査がされている、そして真摯に議論をされている、各党ごとの協議を重ねられている中でのこのような本会議場での不規則発言という、またその内容の低さには、大変、驚愕とともに残念でなりません。

 今回、この国民投票の問題におきまして、多くの党のさまざまな議論そして協力を得ているということを考えますと、改めて国会議員も、主権者たる国民として恒久の平和を念願し、そして主権者たる国民としての自覚を持ってこの問題に携われること、そういった思いを共有できることを心から願いまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

保利会長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る五月八日木曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る五月八日木曜日午前八時五十分幹事会、午前九時審査会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時七分散会


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