衆議院

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第3号 平成26年11月19日(水曜日)

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平成二十六年十一月十九日(水曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   会長 保利 耕輔君

   幹事 中谷  元君 幹事 根本  匠君

   幹事 平井たくや君 幹事 船田  元君

   幹事 古屋 圭司君 幹事 保岡 興治君

   幹事 武正 公一君 幹事 馬場 伸幸君

   幹事 北側 一雄君

      石原 伸晃君    泉原 保二君

      上杉 光弘君    江崎 鐵磨君

      衛藤征士郎君    熊田 裕通君

      河野 太郎君    櫻田 義孝君

      新藤 義孝君    鈴木 馨祐君

      田中 和徳君    田村 憲久君

      高木 宏壽君    橘 慶一郎君

      棚橋 泰文君    土屋 正忠君

      鳩山 邦夫君    平口  洋君

      福井  照君    牧原 秀樹君

      山下 貴司君    若宮 健嗣君

      長島 昭久君    長妻  昭君

      松本 剛明君    山井 和則君

      柿沢 未途君    畠中 光成君

      三木 圭恵君    浜地 雅一君

      桜内 文城君    西野 弘一君

      三谷 英弘君    笠井  亮君

      鈴木 克昌君

    …………………………………

   衆議院憲法審査会事務局長 阿部 優子君

    ―――――――――――――

十一月七日

 憲法改悪反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第八号)

 憲法の改悪反対、九条を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一三号)

 海外で戦争する国にする集団的自衛権行使容認反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四号)

 同(笠井亮君紹介)(第一五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二一号)

 同(笠井亮君紹介)(第四二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五七号)

 集団的自衛権行使は平和憲法の破壊であり、憲法を守り、生かすことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三号)

 同(笠井亮君紹介)(第二四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二六号)

 同(志位和夫君紹介)(第二七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三〇号)

 憲法を改悪せず、第九条を守り抜くことに関する請願(宮本岳志君紹介)(第五六号)

 憲法を守り、生かすことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七六号)

 同(笠井亮君紹介)(第七七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第七九号)

 同(志位和夫君紹介)(第八〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第八三号)

 海外で戦争する国にする集団的自衛権の閣議決定撤回に関する請願(照屋寛徳君紹介)(第一二五号)

 集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回に関する請願(照屋寛徳君紹介)(第一二六号)

は本憲法審査会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

保利会長 これより会議を開きます。

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。

 この際、本件調査のため、去る十一月十七日、岩手県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員から報告を聴取いたします。武正公一君。

武正委員 おはようございます。

 団長にかわり、派遣委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、保利耕輔会長を団長として、幹事船田元君、幹事中谷元君、幹事馬場伸幸君、委員浜地雅一君、委員西野弘一君、委員三谷英弘君、委員笠井亮君、委員鈴木克昌君、それに私、武正公一を加えた十名であります。

 なお、現地において、階猛議員が参加されました。

 地方公聴会は、十一月十七日、盛岡市のホテルメトロポリタン盛岡ニューウイングにおいて、「改正国民投票法の施行を受けて、これからの憲法審査会に望むこと」をテーマとして開催し、まず、保利団長から、これまでの本審査会の活動経過及び今回の地方公聴会開会の趣旨の説明、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事運営の順序を含めて挨拶を行い、私からは、憲法改正手続の概要及び本年六月に成立、施行された憲法改正国民投票法の改正法の概要についての報告を行った後、東北大学大学院法学研究科教授糠塚康江君、弁護士小笠原基也君、宮城県議会議員相沢光哉君、岩手県生活協同組合連合会会長理事加藤善正君及び日本大学名誉教授小林宏晨君の五名から意見を聴取いたしました。

 各意見陳述者の意見内容につきまして簡単に申し上げますと、

 糠塚君からは、

 憲法改正の内容面においては、改正に限界があることは九十六条二項が示しており、合憲性が確保できないような改革を国民が望む場合には、憲法改正の機運がおのずから盛り上がると考える、

 憲法改正の手続面においては、憲法改正を発議する国会議員を選出する有権者団と憲法改正の国民投票権者団は一致すべきであり、発議と国民投票の手続的一体性に鑑み、投票権年齢と選挙権年齢は優先的に合致させるべきである、そして、投票権年齢等の十八歳引き下げに伴い、政治参加教育の充実が必要である、

 最低投票率制度の導入を検討すべきである、

 国民投票に先行して、国会が憲法改正案について議員同士の討論と説得を通じて熟議し、その過程を国民に発信することが重要である

との意見、

 小笠原君からは、

 改正国民投票法は、選挙権年齢引き下げを制定法附則で定めた期限内に行わず、最低投票率等の課題も議論していないため、一度廃止して、審査会で再議論すべきである、

 憲法審査会は、憲法の基本理念が改正で破壊されないよう擁護すべきである、

 憲法審査会の今後の活動としては、本当に憲法改正の必要があるのか、単に立法政策上の問題にすぎないのかを調査すべきであるとともに、集団的自衛権行使容認のための法制度など、憲法に密接に関連する法制についても、憲法違反の疑義がないか十分調査を行うべきである

との意見、

 相沢君からは、

 改正国民投票法の施行を受け、憲法審査会は速やかに憲法改正に向けた行動をとるべきである、

 前文は我が国の歴史、伝統、文化を踏まえたものとし、天皇は元首と規定すべきである、

 九条一項は改正せず、二項に軍隊の保有と自衛権行使を明記すべきである、

 憲法改正における国会の発議要件を五分の三に緩和するほか、緊急事態条項、家族、環境権、地方自治の本旨等について規定すべきである、

 個別発議、個別投票の原則があるとしても、憲法の全文改正ができないことは問題であり、全文改正を行ってこそ、申し述べた問題を解決することができる

との意見、

 加藤君からは、

 九十六条先行改正論や、集団的自衛権の行使容認が閣議決定で強行されるような状況に国民は不信感を抱いており、現状では憲法改正を求める国民の声は少数である、

 改正国民投票法は、投票権年齢と選挙権年齢や成人年齢との整合性がとれておらず、最低投票率の定めもないなど、重要な点が曖昧になっている、

 憲法改正よりも、憲法が保障している人権が侵されている状況の改善、被災者に対する住宅再建等の支援などの立法政策を優先すべきである

との意見、

及び

 小林君からは、

 集団的自衛権の行使を可能にするため、憲法の文言の変更なしに憲法規範の意味を本質的に変更する憲法の変遷理論を裏づけとすべきである、

 憲法の不可欠な構成要件である事情変更の原則は、憲法の変遷によっても実現されることは、自衛隊創設による再軍備の方向づけを見ても明らかである、

 本年七月一日の閣議決定で集団的自衛権の適用可能性を容認したことにより、政府の九条解釈は慣習一般国際法と国連憲章に近づいた

との意見がそれぞれ開陳されました。

 意見の陳述が行われた後、各委員から、憲法改正の発議要件のあり方、東日本大震災への対応を踏まえた緊急事態条項創設の必要性の有無、学校における憲法教育、政治教育充実の方策、環境権を規定する場合の規定の仕方、最低投票率制度導入の是非、今後の憲法審査会で取り上げるべきテーマ、本年七月一日の集団的自衛権行使容認に係る閣議決定に対する評価などについて質疑がありました。

 なお、会議の内容を速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと思います。また、速記録ができ上がりましたならば、本審査会議録に参考として掲載されますよう、お取り計らいをお願いいたします。

 以上で報告を終わりますが、今回の会議の開催につきましては、関係者多数の御協力により、円滑に行うことができました。

 ここに深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

保利会長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。

 お諮りいたします。

 ただいま報告のありました現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

保利会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕

    ―――――――――――――

保利会長 本日は、これにて散会いたします。

    午前九時三十八分散会

     ――――◇―――――

  〔本号(その一)参照〕

   派遣委員の岩手県における意見聴取に関する記録

一、期日

   平成二十六年十一月十七日(月)

二、場所

   ホテルメトロポリタン盛岡NEWWING

三、意見を聴取した問題

   改正国民投票法の施行を受けて、これからの憲法審査会に望むこと

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 保利 耕輔君

       中谷  元君   船田  元君

       武正 公一君   馬場 伸幸君

       浜地 雅一君   西野 弘一君

       三谷 英弘君   笠井  亮君

       鈴木 克昌君

 (2) 現地参加議員

       階   猛君

 (3) 意見陳述者

    東北大学大学院法学研究科教授         糠塚 康江君

    弁護士         小笠原基也君

    宮城県議会議員     相沢 光哉君

    岩手県生活協同組合連合会会長理事       加藤 善正君

    日本大学名誉教授    小林 宏晨君

     ――――◇―――――

    午前十時三十分開議

保利座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院憲法審査会会長の保利耕輔でございます。

 私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 この際、盛岡地方公聴会派遣委員団を代表して一言御挨拶を申し上げます。

 本日、憲法審査会として初めての地方公聴会をここ盛岡市で開催し、皆様方の御意見を伺う機会を得ましたことは、大変意義深いことであります。

 本日お越しいただきました意見陳述者の皆様、開催に協力していただきました岩手県庁及びその他関係者の皆様に、心よりお礼を申し上げます。ありがとうございます。

 平成二十三年三月十一日に発生いたしました東日本大震災は、東北地方の各地に甚大な被害を及ぼしました。とうとい命を落とされた方々の御冥福を改めてお祈りするとともに、被害に遭われ、今なお避難生活を送っておられる方々に対し、我々は思いを寄せるものであります。そして、この不幸な出来事から三年半以上が経過いたしましたが、現在も被災地の完全な復興に向けて尽力している皆様方に対し、心より敬意を表する次第であります。

 それでは、まず、この会議の運営について御説明申し上げます。

 会議の議事は、全て衆議院における議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたしております。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願い申し上げます。

 なお、この会議においては、御意見をお述べいただく方々から委員に対しての質疑はできないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 また、傍聴の方は、お手元に配付しております傍聴注意事項に記載のとおり、議場における言論に対しては賛否を表明し、または拍手をしないこととなっております。傍聴注意事項を遵守されない方は退場していただくことがありますので、御理解いただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、座長である私と副団長である武正公一会長代理から、衆議院憲法審査会の活動経過等について御報告いたします。次に、意見陳述者の皆様方から御意見をお一人十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 それでは、御出席の方々を御紹介いたします。

 まず、派遣委員でございます。

 民主党・無所属クラブ武正公一会長代理、自由民主党船田元幹事、自由民主党中谷元幹事、維新の党馬場伸幸幹事、公明党浜地雅一委員、次世代の党西野弘一委員、みんなの党三谷英弘委員、日本共産党笠井亮委員、生活の党鈴木克昌委員、以上でございます。

 なお、現地参加議員といたしまして、民主党・無所属クラブ階猛君が参加されております。

 次に、御意見をお述べいただく方々を御紹介させていただきます。

 東北大学大学院法学研究科教授糠塚康江君、弁護士小笠原基也君、宮城県議会議員相沢光哉君、岩手県生活協同組合連合会会長理事加藤善正君、日本大学名誉教授小林宏晨君、以上五名の方々であります。

    ―――――――――――――

保利座長 それでは、これより議事に入ります。

 まず、私から、簡単にこれまでの本審査会の活動経過の概要を申し上げます。

 本審査会は、衆議院における憲法論議を担う機関として設置されたものであり、会長である私以下五十名の委員から構成されております。

 平成二十三年十月から本格的に活動を開始し、平成十二年から約五年間にわたり設置されていた憲法調査会における議論などのおさらいをした後、具体的な調査に入りました。

 本審査会は、平成二十四年五月から約一年かけて、日本国憲法の第一章から第十一章について各章ごとに議論を行い、前文、さらには緊急事態と憲法をめぐる諸問題など、憲法の条文にはないものの、特に重要と考えられるテーマについて精力的に意見交換を行ってまいりました。

 続いて、憲法改正国民投票法制定時に残された課題の解決にも取り組み、その改正法は本年六月十三日に成立し、同月二十日に施行されたところであります。

 本日は、これらの経緯を踏まえて、「改正国民投票法の施行を受けて、これからの憲法審査会に望むこと」というテーマのもと、幅広い観点から、意見陳述者の皆様方の忌憚のない御意見を伺い、今後の活動の参考とさせていただきたいと考えております。

 私からの概要説明は以上でありますが、憲法改正国民投票法の詳細などについて、副団長の武正公一君から御報告をお願いいたします。

武正委員 保利団長から、これまでの憲法審査会の活動経過について御説明がありました。

 団長からのお話のとおり、憲法審査会は、これまで、憲法の中身についての調査と、憲法改正手続に関する制度の整備という二つの課題に取り組んでまいりました。

 私からは、特に、後者の憲法改正手続の面に関して、国民の皆様に憲法改正手続のことを少しでも知っていただくという趣旨から、その概要、基本的な流れについて御説明したいと思います。

 その際、憲法審査会の活動の報告という意味で、先般、憲法審査会で審査の上、本年六月に成立、施行された憲法改正国民投票法の改正法の概要についても御説明させていただきたいと存じます。

 それでは、お手元にあるパンフレットの六、七ページにある憲法改正国民投票法における手続の概要をごらんください。

 憲法改正の手続全体を概観すると、左側の「ア 憲法改正の発議までの流れ」、すなわち、国会議員または憲法審査会が憲法改正原案を提出し、国会での議論を経て国民に提案するまでの段階と、右側の「イ 憲法改正国民投票の流れ」、すなわち、国会の発議を受けて国民投票に至る段階という二つの段階に分かれます。

 まず、前者の概要について御説明いたします。左側の六ページをごらんください。

 国会議員が憲法改正原案を提出するには、提出者のほか、衆議院では百人以上、参議院では五十人以上の賛成者が必要とされます。

 他方、憲法改正原案については、国民に開かれた形で、特に慎重かつ十分な審議の必要が要請されます。この趣旨に鑑みれば、日本国憲法の調査を所管事項の筆頭に掲げている憲法審査会において、事前に、改正の必要性があるかないか、あるとした場合には、その具体的な内容及び論点に関する調査がなされ、衆参両院間の意思の疎通を図りつつ、これらを踏まえて憲法改正原案が立案され、憲法審査会から提出されるというのが典型的な手続との認識が示されてきました。

 憲法改正原案は、内容において関連する事項ごとに区分して発議するものとされています。これが個別発議の原則です。

 憲法改正は、基本的に国家の基本ルールの変更ですから、これに当たっては民意を正確に反映させることが必要で、平成十八年十一月三十日の日本国憲法に関する調査特別委員会では、例えば、「第九条の改正と環境権の創設という全く別個の事項について、それを一括して国民投票に付するということは明らかに好ましくない」と答弁されています。このようにして、内容が異なる憲法改正案は、それぞれ別個に国民投票にかけられることになります。

 次に、このように提出された憲法改正原案は、提出された議院の憲法審査会で審査されます。憲法審査会では、一般の法律案よりも慎重な手続で議論することが想定されており、その一つのあらわれが、国民の意見を聞くための公聴会の開催の義務づけです。また、一般の法律案と違い、会期をまたいで議論する場合でも、特別の手続は必要ありません。これは、提出された憲法改正原案が、その同じ国会の会期中に議決されるとは想定されておらず、複数の会期にわたって継続して議論することが想定されているためです。

 憲法審査会で可決されれば、憲法改正原案は本会議へ移され、そこで総議員の三分の二以上の賛成があれば、もう一方の議院、すなわち、仮に衆議院が先に審査した場合は参議院に送られます。

 もう一方の議院でも同様の審査が行われ、憲法審査会の議論を経て、本会議での総議員の三分の二以上の賛成を得て可決されれば、その可決をもって憲法改正の国民への発議となります。

 国会が憲法改正案を発議し、国民に提案されると、その後は、憲法改正国民投票の段階に移ります。資料の右側の七ページに、その概要が掲載されています。

 まず、憲法改正国民投票の期日を定めなければなりません。その期日は、憲法改正の発議後速やかに国会の議決で定めるのですが、発議をした日から起算して六十日以後百八十日以内とされています。

 投票権者については、より多くの国民が国民投票に参加できるようにとの観点から、日本国民で満十八歳以上の者とされています。ただし、経過措置として、平成三十年六月二十日までは二十歳以上の者となります。

 憲法改正案が発議され、投票日が決まれば、その投票日までに、憲法改正案の内容について国民に十分に知ってもらうことが必要です。そのための国民に対する広報、周知は、客観的かつ中立に行わなければなりません。

 そのため、国会に、衆参両院の議員各十名、合計二十名で構成する国民投票広報協議会が設置されます。この広報協議会は、憲法改正案の内容について国民に周知を行う国民投票公報の作成などを行う機関です。

 国民投票公報は、憲法改正案やその要旨などについて客観的、中立的に記載した部分と、賛成意見、反対意見の両方を公正かつ平等に記載した部分から成るものです。

 また、同じ情報は、インターネット上にホームページを開設して周知、広報に努めるほか、テレビや新聞などでも憲法改正案に関する広告を行うこととされています。

 憲法改正案に対し、他人に賛成、反対の投票を勧誘する行為を、国民投票運動といいます。憲法改正という最重要事項について判断することから、全ての国民の意見表明や国民投票運動は、原則として自由となっています。

 ただし、公務員や教育者の地位利用及び大規模な買収行為を禁止するといった制限が設けられています。さらに、新聞などの活字メディアと異なり、テレビなどについては一定の規制があり、国民投票が行われる日の二週間前に限って、スポットCMの放送を禁止しています。

 国民投票の具体的な進め方や投票方法などは、基本的には一般の国政選挙と似たようなものになりますが、幾つかの重要な相違点があります。

 お配りしたパンフレットは、裏表紙から、日本国憲法を初めとした関係法律が掲載されております。こちらから漢数字十八ページをごらんください。上段に投票用紙のイメージが掲載してあります。

 国民投票の投票方式は、投票人の意思を酌み取ることを重視し、また無効票をできるだけ少なくするよう、極めて平易な方式がとられています。投票は、あらかじめ投票用紙に印刷された賛成、反対のいずれかを丸で囲んで行うものとされています。白票や他事記載、例えば自分の名前を記載したりした票は無効なものとせざるを得ませんが、賛成または反対の文字をバツの記号、二重線などで消した投票も有効とすることとしています。

 先ほど述べた個別発議の原則ですが、これに対応して、賛否の投票も、提案されている憲法改正案ごとに投票を行うこととなっています。これは個別投票の原則といいます。

 先ほどの例を用いれば、憲法九条を改正する憲法改正案と、環境権の創設を目的とする憲法改正案との二つの憲法改正案が発議された場合には、それぞれの憲法改正案ごとに投票用紙を受け取って記入、投票をすることになります。すなわち、まず、九条改正案について投票用紙をもらい、賛否いずれかについて丸をつけて、これを投票箱に投じ、その後、環境権創設の改正案の投票用紙をもらい、賛否いずれかに丸をつけて、これを別の投票箱に投ずるといったぐあいです。

 また、憲法改正案に対する賛成の投票数が投票総数の二分の一を超えた場合は、国民の承認があったものとなります。なお、この場合における投票総数とは、賛成投票数と反対投票数の合計数、すなわち有効投票総数のことをいい、無効票や棄権は入りません。

 以上が、憲法改正の手続の概要です。

 これらの手続を定めるため、平成十九年に憲法改正国民投票法が制定されました。しかし、制定当時には解決に至らなかった課題が残されており、これらに対処するために、憲法審査会での審査を経て、本年六月に改正法が制定されました。

 ここからは、この本年六月の改正内容について御説明いたします。

 お手元に配付いたしました参考資料、日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律概要をごらんください。

 まず、選挙権年齢の十八歳への引き下げについてですが、この改正法施行後四年を経過するまでの間、つまり平成三十年六月二十日までの間は、憲法改正国民投票の投票権年齢は二十歳以上とし、それ以降は自動的に十八歳に引き下げることとしました。国民投票の投票権年齢が十八歳となるため、同じ参政権グループに属する選挙権年齢も十八歳に合わせていく必要があります。

 このため、選挙権年齢などの引き下げについては、改正法の施行後速やかに、投票権年齢と選挙権年齢の均衡等を勘案し、必要な法制上の措置を講ずる旨の検討条項を改正法附則に規定しました。

 第二に、公務員の政治的行為に係る法整備です。

 公務員であっても、国民としての立場で憲法改正に対する賛否の勧誘、意見表明を行うことは広く認められるべきであるという政策のもと、純粋な国民投票運動については、公務員もこれを行うことができることとしました。

 他方で、公務の中立や公正の確保の観点から、当該勧誘行為が公務員に係る他の法令に禁止されている他の政治的行為を伴う場合は、この限りでないとしました。

 また、組織により行われる勧誘運動、署名運動及び示威運動の企画、主宰、指導並びにこれらに類する行為に対する規制のあり方について、改正法施行後速やかに、検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする旨の検討条項を改正法附則に規定しました。

 さらに、在職中、国民投票運動を行うことができない公務員として、新たに、裁判官、検察官、警察官などを加えました。

 最後に、国民投票の対象拡大についてですが、今回の改正では、憲法改正問題についての国民投票制度に関し、間接民主制との整合性の確保などに留意することから、改めて、その意義及び必要性について、さらに検討を加え、必要な措置を講ずる旨の検討条項を改正法附則に規定しました。

 この改正法案は、平成二十六年四月八日に自由民主党、民主党、公明党、日本維新の会、みんなの党、結いの党、生活の党の七会派で共同提出され、同年五月九日に衆議院で可決、六月十三日に参議院で可決、成立しました。なお、両院において、日本共産党、社会民主党は反対の態度でした。

 また、衆議院憲法審査会における法案の採決に際しては附帯決議が付されており、そこでは、改正法の施行後二年以内を目途に、選挙権年齢を十八歳に引き下げるため、必要な法制上の措置を講ずることとされており、憲法審査会としても、その取り組みの状況をしっかりフォローすることが必要です。

 そして、国民投票の投票権年齢が十八歳になることとも関連してきますが、特に、高校などの教育機関における憲法教育、政治教育や、それらの前提となる歴史教育を今後しっかりと行う必要があります。

 以上、憲法改正の手続に関する基本的な流れと、憲法改正国民投票法の改正法の概要について御説明させていただきました。

保利座長 これにて衆議院憲法審査会の活動経過等についての報告は終了いたしました。

    ―――――――――――――

保利座長 これより意見陳述者からの御意見の開陳を行います。

 発言時間の経過につきましては、終了時間一分前にブザーを、また終了時にもブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、まず、糠塚康江君から御意見をお述べいただきたいと存じます。

糠塚康江君 このたびは発言の機会をお与えいただきまして、まことにありがとうございます。東北大学の糠塚でございます。専攻は憲法学でございます。

 衆議院憲法審査会会長を初め委員の皆様方には、充実した審議を積み重ねておられますこと、心より敬意を表します。

 また、事務局の皆様方には、詳細な資料を含め、本日の公聴会開催に御尽力いただきましたこと、感謝申し上げます。

 発言の骨子を記したレジュメを用意させていただきました。それに沿いまして意見を陳述させていただきます。

 憲法改正にありまして肝心なことは、内容でございます。

 この点につきまして、学界では憲法改正限界論が圧倒的多数説であることを御指摘しておきます。

 憲法九十六条二項は、憲法改正について、国民投票で承認を経た後、天皇が、国民の名で、この憲法と一体をなすものとして公布する旨定めております。これは、現行憲法改正には限界があることを示すものだと考えます。

 個人的な意見をつけ加えますならば、現行憲法のもとでは合憲性の確保が困難な制度改革を国民が真に望んでいるような場合、おのずと憲法改正を論じる機運が生ずるものと考えております。

 かかる次第でございまして、本日は、手続面に限っての意見を申し述べる次第でございます。

 そこで、第一点に移ります。

 先ほど御説明がありましたように、改正法附則で、投票権年齢と選挙権年齢の均衡等を勘案し、必要な法制上の措置を講ずるとの検討条項が定められております。

 この点につきまして、三つの考え方があります。

 第一は、投票権年齢を単独で切り離して考える考え方、第二は、投票権年齢と選挙権年齢を一致させ、成人年齢はそれとは別に考えるという考え方、第三は、全て同一年齢とする考え方でございます。

 私は、第二の、投票権年齢と選挙権年齢を一致させることをまず優先させるというふうに考えております。

 憲法改正の手続にかかわる国民投票者団と議員を選出する有権者団を、それぞれ別の職務を行う国民の機関と考えますと、投票権年齢を単独で切り離して考えることができるという見解もございます。しかしながら、憲法九十六条一項の定める手続によれば、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で国会が憲法改正の発議を行います。この手続を一体的なものと考えれば、発議する国会議員の有権者団との一致が憲法上の要請というふうに考えます。

 参政権の範疇で同じにするという理由づけですと、それならば被選挙権はどうなるのだという問題が浮上してまいります。したがいまして、手続面からの要請という理由づけの方がよいと考える次第でございます。

 これに対し、例えば民法上の成人年齢などにつきましては、立法政策上の問題と考えます。立法者が適当と判断する時期で変更すればよく、同一年齢でなければならないという必然性はないと考えます。

 国民投票年齢とともに選挙権年齢が十八歳になりますので、憲法教育のみならず、有権者としての教育も当然必要となります。大学生が選挙運動を行ってアルバイト報酬をもらうという公職選挙法違反事件が記憶にございます。この種の教育が不足していた結果と思われます。

 続きまして、最低投票率制度でございます。

 衆議院の憲法審査会の附帯決議にはございませんが、レジュメに挙げましたように、参議院では二度にわたりまして、委員会ないし憲法審査会で、附帯決議において、最低投票率制度の検討を求めております。

 この参議院の憲法審査会の附帯決議の名宛て人が誰なのか明らかではございませんが、この附帯決議つきで参議院が議決したわけでございます。仮に投票率が極めて低い場合に、ごく少数の賛成で憲法改正が実現することになります。それでは憲法の正当性に疑義が生じるというのが、一方の院である参議院が指摘している疑念でございます。

 既に衆議院憲法審査会におかれましては、なぜ最低投票率制度を設けないか、理由をお示しになっていることは承知しております。したがいまして、衆議院といたしましては、参議院の附帯決議をみずからに宛てられたものではないという態度も考えられます。しかしながら、二院制を採用している以上、参議院が納得する論拠を示す必要があると考えます。

 加えて、私見を申し述べますならば、憲法改正案の問いが不適切で、賛成とも反対とも言えない、それゆえ白票を投ずる、棄権するという場合があると考えます。この点を織り込むところに、最低投票率制度の意味があるように思います。

 最低投票率制度があれば、国民の意思が十分に問える発議状況になかった場合、投票率が下がり、国民投票自体が成立しないということになります。これは、国民の意思表明のための安全装置と考えられます。これは、憲法改正が承認されなかったということではありません。発議する側に緊張感を持たせるための制度として考えられます。

 以上のように私が考えます背景には、第三点に申し述べます、すなわち、審議する国会、国民に情報を発信する国会に期待するからでございます。

 現代において、国家の役割に期待が高まっております。おのずと執行権が国政の中心となりがちでございます。それゆえ、逆説的ですが、国会の役割は極めて重要になっていると考えております。

 憲法九十六条一項は、国民投票に先行する国会審議を予定しております。私は、憲法が、国民投票に先んじて国会が審議を経て改正案を発議する手続を定めている意味で、積極的に評価したいと考えております。

 憲法改正国民投票運動は、もとより国民一般の権利で、公務員につきましても、特定公務員を除いて、政治行為の制限に関する特例とされることになっております。しかし、この種の運動というのは、受け手の側からしますと、情報が偏ることがあり得ます。インターネットの検索エンジンも操作が可能であると伺っております。情報社会では、時にそうした偏差が増幅されるという落とし穴がございます。

 これに対して、国民投票に先行する国会審議におきましては、賛否両論が国会の議場で、公開の議場で熟議されることにより、憲法改正の是非を判断するために必要な情報が評価つきで集中的に国民に向けて発信される場となり得ると考えます。

 今日有力な熟議民主主義論におきましては、よりましな改良をもたらすために、討議、説得を通じて選好の変化を促し、公益が導かれると考えられます。そのため、そこで重要な役割を果たすのが議員でございます。

 議員は、一方で選挙区の意思を反映しながら、他方で、何が一般意思であるかを、同僚議員との討論、説得の中で自己の良心に基づいて判断し、両者の乖離を選挙区民への働きかけ、討論と説得を通じて埋めていくという役割を果たします。このような議員像が期待されていると考えます。

 このような国会の審議のあり方、あるいは議員の活動というものは、憲法の改正の審議に際して突如出現するものではありません。日常的な法案審議や質疑応答の充実を通じて、国会の情報発信力や立法、政策評価能力への国民の信頼を涵養することが必要と考えます。この点からも、先ほど触れました参議院の附帯決議に対する衆議院の誠実な対応を求めたく存じます。

 以上で私の陳述を終わります。ありがとうございました。

保利座長 ありがとうございました。

 次に、小笠原基也君にお願いいたします。

小笠原基也君 弁護士の立場から、改正国民投票法の施行を受けて、これからの憲法審査会に望むことについて意見を述べたいと思います。

 まず、今回改正された国民投票法ですけれども、これは、制定時に約束されていたはずの選挙権年齢の引き下げというものが期間内に行われなかったというだけではなく、最低投票率であるとか、発議方法であるとか、あるいは国民議論のための期間が六十日から百八十日は短過ぎるのではないかとか、いろいろな問題があるということで、附帯決議がたくさんつけられて、さらに、世論からも批判がなされていた、そういった問題について何らの議論もされていないことは非常に残念である。もともと、この国民投票法が、審議の段階できちんとした議論をせず、強行採決ということでなされたという制定経緯なども考え合わせると、この憲法審査会においてもう一度徹底した議論を行う、そのためには一度この改正投票法は廃止すべきではないかというのが私の意見であります。

 手続についてはこういったところでございますけれども、今後の憲法審査会の活動についてであります。

 この憲法審査会というのは、国会法という法律に定められていると聞いております。日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について調査等の権限を与えられていると定められておりますけれども、この国会法が憲法の下位法、当然です、法律ですので憲法より下にあるということからすれば、憲法審査会であるとか憲法審査会を構成する委員というものには、当然、国会議員としての憲法尊重擁護義務、憲法九十九条でありますけれども、これが依然として課されているものであります。

 そうであるとすると、この憲法審査会が今後活動していく、その権限を行使し職責を全うするに当たっては、常に日本国憲法を尊重し擁護していかなければならない。そして、もし日本国憲法の基本理念を壊すような憲法改正案や発議がなされようとするのであれば、例えば、選挙でもって争点となって、ある党が勝ったということで、それによって民主主義が、勝ったんだからいいということではなく、それがいかに民主主義の過程を経たとしても、憲法を尊重擁護する立場から、憲法理念を害する、壊すということであれば、そのような憲法改正は阻止しなければならないということが期待されると考えております。

 このことは、国民主権や基本的人権の尊重を人類普遍の原理とし、これに反するものは、一切、法律や詔勅のみならず、憲法を排除するという、この日本国憲法に書いていることからも明らかであると思います。これが、立憲民主制、民主主義であっても憲法の縛りの下に権力を行使しなければならないという立憲主義のあらわれであると考えております。

 そして、日本国憲法の基本理念とは何かといいますと、今述べた国民主権、基本的人権の尊重、それと戦力不保持による徹底した恒久平和主義、この三本柱に支えられている個人の尊重、個人は尊重されなければならない、これが憲法の肝であり基本理念であると考えますので、この憲法理念が壊されないようにしなければならないというふうに考えます。

 もともと、憲法九十六条が、国会議員の三分の二以上の多数をもってしなければ発議できないとした背景には、先ほど言ったように、民主主義、国民投票の過半数のみで変えられないものはきちんとあるんだ、憲法尊重擁護義務のある国会議員は、きちんとそれを審査して、出てきた憲法改正案というのは、国民の方から出てきたものであったとしても、それが国民主権を害するものではないか、基本的人権の尊重を害するものではないか、あるいは戦力不保持による恒久平和主義というものを害するものではないか、そういったことをきちんと見て、最終的には、これが個人として尊重される世の中というものをつくれるかどうか、改正によってそういうことができなくなるのではないかということを常に緊張感を持って審査するために、このような三分の二以上という規定が置かれたのではないかと私は思っております。

 そうだとすると、今後の活動として、私は二点期待したいというふうに思います。

 まず一点は、本当に憲法改正の必要があるのかどうかということを、今までも一年以上にわたって審査してきたということですけれども、さらに今後も調査していく必要性があると思います。

 これは、単に、今の世の中と憲法にどういった点でそごがあるかとか、あるいは、新しい人権としてこういったものが必要ではないかというような表面的な議論ではなく、実際問題そういうものがないと、あるいは改正がないと、先ほど述べた三本柱、国民主権であるとか基本的人権の尊重、あるいは戦力不保持による平和主義、こういったものからの個人の尊重が全うできないんだという、そういった必要性があるのかどうかをきちんと点検しなければならないと思いますし、その前提として、そもそも、今の日本という国のあり方がきちんと憲法どおりになっているのかどうかということを見ていただきたいなというふうに思います。

 先ほど冒頭の御挨拶で、東日本大震災のお話がありました。被災地を見ていただければ明らかであると思いますけれども、震災からの復興という言葉は先行しておりますけれども、確かに少しずつは進んでいるかもしれませんが、実際問題として、そこに暮らす人たちが暮らしていけているかというと、いまだ仕事もない、家を建てる場所もない、あるいは家を建てるお金もないということで、人口の流出が著しいものであります。これが日本国憲法が実際適用されている地域なのかというふうに本当に思ってしまいます。

 憲法は、生存権を初めとして、人間が人間らしく生きていくということを、きちんとそういうふうに定められている。しかしながら、仕事もない、家も、仮設住宅は確かにあって、雨露はしのげるというものではありますけれども、日本には建築基準法というきちんとした法律があって、そういうものに住めないでいる、劣悪な環境にある、そして、生活できないので、この地域には住めないで離れていくという現状があるということは、先ほど言った憲法の調査において、きちんと達成できているかどうかといったときに、そうではないというふうに私は考えております。

 そういった、地に足のついた国民の生活、そして個人が尊重される世の中というものがどうしてできないのか、それは憲法が悪いのか、それとも憲法の下位にある法律が悪いのかということをきちんと見ていただきたいなというふうに、私は、被災地において弁護士をして相談活動をしながら常に思っていることであります。

 二点目であります。

 憲法審査会というものについては、日本国憲法に密接に関連する基本法制について調査等の権限を与えられているわけでありますから、これに関連する法律については、当然きちんと意見を述べていただきたいというふうに思います。

 この点から見ますと、二点あるかと思います。

 一つは、集団的自衛権の問題です。

 これは、憲法が禁止している、戦力の不保持というものがありますけれども、これをないがしろにし、恒久平和主義というものを破壊するのではないかというふうに考えている。この集団的自衛権行使を、解釈変更という名のもとに、憲法の変更ですらない、解釈の変更ということでやる、内閣がそういった解釈の変更を行うという、まさに、先ほど述べた、権力は憲法の下にあるべきという立憲主義、これすらも破壊する暴挙が行われたと考えております。

 今後、集団的自衛権行使を容認するための法制度を国会で審議されることになりますが、今述べたように、憲法に違反するのではないかという疑義が非常に強いものでありますので、これを十分調査した上で、阻止していただくことを望みます。

 二点目は、特定秘密保護法であります。

 これは既に成立した法律でありますが、憲法改正も含め、国民の議論の前提として、憲法を改正するかどうかの必要性を判断する世界情勢であるとか社会情勢であるとか、そういった改憲を基礎づける事実を知らなければならない。

 ところが、秘密の名のもとに、防衛関係であるとか、あるいは、我が国の安全という名のもとに、そういったものが国民に明らかにされないとすると、憲法改正がいかに国民の議論だといっても、絵そらごとになってしまうというふうに思います。また、発議をする議会についても、秘密ということもありますので、この点についても、十分調査の上、検討していただければと思います。

 以上です。

保利座長 ありがとうございました。

 次に、相沢光哉君にお願いいたします。

相沢光哉君 宮城県議会議員の相沢光哉と申します。

 貴重な時間ですので、早速意見陳述に入ります。

 本年七月、宮城県議会では、国会に憲法改正の早期実現を求めるための意見書を賛成多数で採択し、衆参両院議長及び政府に意見書を送付させていただきました。ちなみに、十月末現在、四十七都道府県中、過半数の二十四府県議会が同様の意見書を提出しております。

 私が申し述べたい意見は、六項目あります。

 第一に、本年六月に憲法改正国民投票法の改正法が成立、施行されたことを受け、衆参両院の憲法審査会は、速やかに憲法改正に向け具体的な行動をとっていただきたいということであります。

 憲法改正原案は、国会議員、すなわち政党または憲法審査会が提出することになっておりますが、戦後約七十年、日本国憲法公布から六十八年、憲法審査会の前身ともいうべき内閣憲法調査会報告書発表が昭和三十九年、そして、現在の衆参両院の憲法審査会が設置されたのが平成十九年八月、既に七年以上経過しております。機はまさに熟しております。というより、熟し切っております。もうとうに調査の段階は終え、審査に移行すべきであります。

 現憲法は、GHQ占領下に制定されたものであり、独立国にふさわしい自主憲法制定に向け、国の唯一の立法機関である国会を先頭に、万機公論に決していただきたいと強く要望いたします。

 第二に、前文であります。

 無国籍風というか翻訳調というか、現憲法の前文は、日本語としてきわめつけの悪文と言っても過言ではありません。

 特に、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」という部分は、戦後、日本外交の動かしがたいテーゼとなり、我が国の精神的隷属性をつくり上げてしまった弊害ははかり知れません。

 前文は、我が国の歴史、伝統、文化を踏まえ、主権在民、基本的人権の尊重、平和主義という憲法の三大原則を明記し、国民統合の象徴である天皇をいただく国家、世界の平和と繁栄に貢献する国家であることを格調高くうたってほしいと思います。

 第三に、天皇は、今日、外交儀礼上明らかに元首として扱われておられますが、憲法においても、日本国の元首であることを明記すべきと思います。そして、天皇の国事行為のほか、国などが主催する式典への出席その他の公的な行為についても、必要な規定を設ける方がよいと考えます。

 第四に、憲法第九条についてであります。

 その前に一言付言いたしますが、いわゆる改憲派、護憲派がしのぎを削る第九条でありますが、現行憲法は第九章第九十六条及び第七条で憲法改正手続を明記しておりますので、本来、改憲派、護憲派とは、憲法改正賛成派と憲法改正反対派というべきであることをあえて申し上げておきます。

 さて、第九条は、第一項と第二項を分けて論ずるべきだと思います。

 第一項の戦争の放棄は、現憲法の平和主義を遵守するために、基本的に残すべきであると考えます。

 しかし、第二項は、明らかに占領下の極めて特殊な状況、すなわち我が国が主権を回復していない状況でつくられたものであります。第二項は、国際法で認められている、主権国家が自然権として有する自衛権を行使することすら制約していると解されます。我が国の安全保障上、軍隊を保有することと必要最小限度の武力による自衛権を行使できることは、はっきり認めるよう改正すべきであります。

 第五に、第九十六条についてであります。

 憲法改正発議要件が衆参両院総議員の三分の二以上、プラス国民投票の過半数となっているのは、世界各国と比較して、極めて厳しい条件と言わざるを得ません。

 第二次大戦で我が国同様敗戦国であったドイツは、一九四九年に憲法制定以来五十九回の改正、イタリアは、一九四七年制定以来十六回の改正を行っています。日本国憲法は、世界の成典化憲法保有国百八十八カ国のうち、古い方から数えて十四番目ですが、改正なしの憲法としては唯一、最古の国であります。

 その意味で、国会の発議要件は、三分の二を緩和し、ロシア、トルコ、フランス、スペイン、チリ等で採用している両院五分の三以上に改め、国民投票は従来どおりの過半数承認とすべきと考えます。

 ちなみに、選挙権年齢の十八歳引き下げについては、改正法施行の規定のままで結構だと思います。

 第六に、現憲法制定時に想定していなかった事項や欠落している重要条文についてであります。

 例えば、国家緊急事態宣言に関する規定を初め、領土、領海、領空の保全と資源確保、家族規定の新設、環境権の享受、政党活動、私学助成に関する整合性、地方自治の本旨の明文化など、憲法改正を機に議論すべき課題は多いと思います。

 その点、改正国民投票法が改正案ごとに個別に賛否を問う形式になっているため、全面改正が極めて不可能であることは、大いに問題であると考えます。憲法全体を改正してこそ、真の日本国憲法の誕生となり、我が国の国柄を誇りを持って語り合えるのだと思います。

 以上述べまして、皆様方の御清聴に感謝いたします。

保利座長 ありがとうございました。

 次に、加藤善正君にお願いいたします。

加藤善正君 私は、法律家でも政治家でも政党人でもございませんので、半世紀以上、生活協同組合という市民運動に携わってきた一国民の立場から発言をしたいと思いますし、冒頭、保利団長さんから、被災者の皆さんに寄り添って考えるという大変温かい御発言もいただきましたので、被災者の皆さん方の立場も踏まえて、意見を若干述べさせていただきます。

 御存じのとおり、憲法九十六条は、その改正手続として、国民の過半数の賛成を必要としています。日本国憲法が間接民主主義を原則にしている中で、憲法改正手続における国民投票だけは、もちろん最高裁の判事の国民審査はありますけれども、憲法の定める数少ない直接民主主義の例と言えると思います。なぜでしょうか。それは、まさに国民に主権があるからであり、国民が国家統治の最高の地位にあり、したがって、憲法を制定する権限は国民のみが持っていることは皆様共有の認識だと考えます。

 このことからも、憲法改正権は主権者である国民にあるということも異論がないと思います。したがって、念を押すように、憲法九十九条には、「国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と明記されています。この観点からは、憲法改正は、国民の側から国会で案をつくってほしいという声が上がり、初めて国会で議論が始まるのが立憲主義の建前であるのではないでしょうか。

 しかるに、憲法改正に関する各種世論調査がありますが、特に新聞各社のそれは、日常の各社の主張の影響か、ばらつきが目立ちます。より客観的な調査として、ことし五月の憲法記念日にNHKが行った調査では、改正の必要があるという答えは二八%で、前年より一四%少なくなっています。改正の必要はないは二六%と、前年より一〇%ふえています。いわば、改正を必要とする、必要でないというのは拮抗状態になっています。どちらとも言えないが四〇%であります。改正の必要性は国民の少数だという認識が必要だと思います。

 七年前に国民投票法が強行採決されましたが、この七年間、その詳細が決まらず、今回の改正が行われましたが、今回の改正でも、その投票権年齢と選挙権年齢、成人年齢との整合性や、さきに申し上げた主権者国民の直接民主主義による憲法制定権を保障する最低投票率の問題や、公務員の活動規制などが明らかになっておりません。七年前の生煮えの国民投票法の採決と同じように、国民の多くが求めていないのに、今回の改正法も肝心な点は曖昧のままでないでしょうか。附則がそれを物語っていると考えます。

 永田町のやりとりは、御説明ありましたようなことだと思いますけれども、国民の憲法改正を必要とする声は少数であり、余り拙速に、国の最高法規である憲法の改正問題を一般的な法律と同じような多数決で決める必要はないのではないでしょうか。

 それでなくても、国民は、九十六条の先行改正問題や、秘密保護法制定による、国民の目や耳や口を塞ぐような危惧を感じております。戦後、歴代の内閣が堅持してきた集団的自衛権の行使はできないという原則を、閣議決定だけで行使するようにしたことなど、国民は憲法に対する疑義を増大させています。

 こうした国民の意思が、さきに触れたNHKの世論調査で、改憲の必要が一四%も減り、必要ないが一〇%もふえた原因ではないでしょうか。TPPや消費税増税と社会保障の負担増などの説明も理解に苦しみますし、特に、今回の突如明らかになった解散・総選挙など、私たちの周りの岩手県民は腑に落ちないままでおります。こうして政治や国会の議論や動向に対する信頼が揺らぎ、いわゆる政治不信が広がっている現実を直視していただきたいものであります。

 私たち県内の生活協同組合は、十七生協、組合員も五十二万人を超えております。三・一一の巨大津波の被害者を支援する活動に全力を投入してまいりました。岩手県の要請に基づく緊急物資は総額一億四千五百万円を供給し、弁当や炊き出しなどの食料補給、移動販売車や買い物バスの運行、内陸からのバスボランティアも百二十八回、四千九百十一人に上ります。現在は、応急仮設住宅に出かけて、心のケアともいうべきふれあいサロンを数え切れない規模で続けております。また、ユニセフと協力しての子供たちへの支援活動なども含めて、組合員と役職員が力を合わせて、全国の生協からの多大な支援も受けながら展開してまいりました。

 しかし、あれから三年八カ月、今なお岩手県では三万人以上の方々が応急仮設住宅で不便な毎日を余儀なくされております。お年寄りも子供たちも、仕事が不安定な両親も、離れ離れになり、健康や将来性への不安がますます募っております。傷みが激しくなった応急仮設住宅でこれからも続く苦しい生活を、被災者の方々に心を合わせて考えていただきたいと存じます。憲法に保障されている基本的な人権も、健康で文化的な生活も、幸福追求権も、大きく揺らいでいることをぜひお認め願いたいのであります。

 特に、私たちが今力を入れております運動は、別紙資料にも詳しく載せておりますけれども、自然災害生活再建支援法の拡充を求める国会請願署名であります。

 御存じのとおり、この法律は、九五年の阪神・淡路大震災を機に、二千五百万人の国民署名により、九八年に議員立法で成立して以来、二〇〇四年には、新潟中越地震被害に対応すべく第一次改正が行われ、二〇〇七年には、能登半島地震や台風被害に備えるために第二次改正が行われました。そして、四年後の二〇一一年の見直しが予定されていましたが、この震災の発災により中間報告というレベルにとどまり、今回の未曽有の大災害に遭った被害者の生活再建支援には十分機能が果たされる改正は行われておりません。私たちは、住宅再建支援金も、ぜひ三百万円から五百万円への引き上げをとりあえずお願いしているわけです。

 被災地は、住宅の再建をする土地が、市町村の埋立工事、高台移転工事、区画整理事業などが遅々として進まず、その間に、建設資材の値上がりや建設労働者の不足と労賃の上昇など、三割から五割もの単価アップが行われ、自宅再建の希望を押し潰している状況です。グループ補助金に対しては、こうした異常な物価上昇に対する対応も行われておりますが、個人の住宅には、何らの対応も行われておりません。住宅は、個人の財産だというだけではなくて、町づくり、商店街や地域の商業などの再建にも欠かすことができません。いわば地域コミュニティーに不可欠の公共財とも言えると思います。

 地方の少子化や人口減少が大きな社会問題になっておりますが、被災地の人口流出は目を覆うばかりです。住宅再建、被災者生活再建支援法の見直し、東日本大震災にふさわしい制度に改正するために、憲法審査会の生きた課題として取り組んでいただきたいと思います。被災地での公聴会のお土産としてこの点をお持ち帰りいただきたいということをお願いして、発言を終わります。

 ありがとうございました。

保利座長 ありがとうございました。

 次に、小林宏晨君にお願いいたします。

小林宏晨君 日大名誉教授の小林でございます。

 早速意見の開陳を行いたいと思います。

 結論を申し上げますならば、集団的自衛権を適用可能とする理論は憲法変遷論を裏づけとしているという認識でございます。

 二十一世紀、とりわけ第二次世界大戦以降の世界情勢への日本の対応について概観する場合には、とりわけ不可欠な事項が、集団的自衛権の適用を可能ならしめ、そのために憲法変遷理論を裏づけとするという必要性であります。

 人間の性格と同様に、憲法も二つの傾向を持っております。それは、持続的傾向と変化の傾向であります。

 憲法の持続的傾向は、その改正を通常法律の改正よりも困難にしている方式の中に見られます。他方、全ての憲法に内在する変化の傾向は、不断にこれまで表明されているところであります。憲法の変化的性格と状況依存性は、憲法の本質に帰属し、歴史的で、したがって、恒常的変遷下に置かれているものであります。憲法の変遷は、憲法の本質に帰属しております。

 この関連で重要な点は、憲法が立法原理としての事情変更の原則の留保を前提としている事実であります。事情変更の原則は、憲法の不可欠な構成要件であり、いかなる憲法規定によっても排除され得ないものであります。

 さて、事情変更の原則実現の三つの方法についてでありますが、憲法における事情変更の原則は、三つの方法で、つまり、第一に正式の憲法改正によって、第二は革命もしくはクーデターによって、第三には憲法の変遷によって、実現され得るものであります。憲法の変遷とは、憲法の文言、文面の変更なしに、憲法規範の意味を根本的に変更することであります。

 さて、その関連で、憲法九条の変遷について申し上げたいと存じます。

 我が国憲法の制定時点では、日本国民の政府と議会が占領当局による厳しい制約下に憲法制定行為を遂行したことからして、日本国民の憲法制定権力が、自由な自決による正式な憲法制定行為を遂行したのではなく、いわば新憲法草案の形式的提案を行ったにすぎないということであります。しかも、提案された憲法は、日本の独立、つまり一九五二年までは、国家の最高規範でさえなく、占領規範に従属すべきものであったことを忘れてはなりません。

 つまり、占領当局にとっては、日本国憲法も、またその下位にある諸法律も同様に、占領当局の命令に従属する規範にすぎなかったわけであります。その限りにおいて、アメリカ占領当局による日本国憲法の変遷も法的に可能であったという事実を認識しなければなりません。

 さて、憲法解釈に際してとりわけ注目すべき点は、占領期間中に、憲法九条並びに前文を裏づけとする平和主義の内容を決定的に方向づける重要な立法が行われた事実であります。つまり、占領期間中に朝鮮戦争が勃発し、これは一九五〇年の六月でありますが、これを契機として、占領当局の勧告、実はこれは実質は命令でありますが、それに従って制定された警察予備隊令であります。これに基づいて、独立直後の一九五二年には保安庁法、そして一九五四年には自衛隊法が制定されました。

 つまり、占領中に開始された再軍備の方向づけが、独立後も踏襲されたのであります。まさに、前記の一連の規範制定行為の中に憲法変遷の事実が認められるわけであります。これらの一連の行為は、あくまでも、行政、政府、議会が警察予備隊令、保安庁法、自衛隊法の憲法適合性を前提とした規範制定行為であったわけであります。しかも、最高裁は、一九五九年の判決、そして現在に至るまで、このような方向、つまり、自衛隊の存在を違憲とみなさないどころか、日本国家の無防備、無抵抗を明確に否定しております。

 つまり、執行機関たる政府と立法機関たる議会の多数による有権解釈が自衛隊を合憲と解釈して現在に至るわけであります。つまり、最高裁が自衛隊を違憲であると解釈するまでの間は、自衛隊の合憲性の推定が成り立ちます。つまり、有権解釈が憲法の変遷をもたらし、現在に至っているのであります。

 しかも、日本が独立した一九五二年四月から、提案された新憲法の真の最高法規たる憲法としての機能が開始するのであります。国民の憲法制定権力の意思の表明としての日本国憲法は、国民の憲法制定権力の継続的意思として、憲法解釈の対象となって現在に至ります。しかし、有権解釈に資料を提供する立場にある学理解釈の多数派は、主権国家となった日本の現実を受け入れず、占領時代の解釈を執拗に維持し続けて現在に至ります。

 なお、多数派とはいっても、いわば東大法学部が当時もそして現在も最大多数の憲法学者を育成した事実があるのであって、これが必ずしも多数派の論理の正しさを証明するものでないことは自明のことでございます。

 さて、集団的自衛権の問題でありますが、御存じのように、国連加盟国は、国連憲章第五十一条により、個別的、集団的自衛権を、英文では固有の権利、あるいは仏文では自然権として持っております。

 この意味するところは、全ての国連加盟国及び全ての主権国家は、適用可能な個別的、集団的正当防衛の自然権を有している事実であります。しかも、個別的、集団的自衛権は、国連憲章第五十一条規定によって初めて創設されたものではなく、既にそれ以前に、一般国際法によって確立している事実があるわけであります。つまり、国連憲章第五十一条は、一般国際法によって既に確立している権利を確認しているにすぎない。

 さらに、全ての主権国家は、その国民の生命、財産及び自由を保護することが義務づけられております。したがって、国家は、その自然権あるいは固有の権利の適用を最初から放棄することは許されないわけであります。主権国家の存続と、個別であれ集団であれ、自衛権の一般的適用放棄は相入れないという事実がございます。

 最後に、今般の閣議決定による新たな政府解釈は、集団的自衛権の適用可能性を容認することによって、慣習一般国際法と国連憲章に近づいております。そのようなことからして、私は、方向づけとしては非常にいい方向に行っているということで、ぜひこの方向づけを継続して、積極的に平和に関与することが不可欠であることを望んでおります。

 ありがとうございました。

保利座長 ありがとうございました。

 これにて意見陳述者からの御意見の開陳は終了いたしました。

    ―――――――――――――

保利座長 これより意見陳述者に対する質疑を行います。

 質疑時間は十分以内として、経過につきましては、終了時間一分前にブザーを鳴らし、終了時にもブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 なお、質疑時間は意見陳述者のお答えの時間を含んでおります。質疑者それから意見陳述者は、そのことを踏まえて、御協力をお願いいたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。船田元君。

船田委員 自由民主党の船田元でございます。

 五名の陳述者の皆様には、お忙しい中御出席をいただきまして、また、先ほど来貴重な御意見を頂戴しておりまして、感謝を申し上げたいと思います。

 団長、副団長から先ほど説明がありましたように、前の国会で改正国民投票法が成立をいたしまして、六月二十日から施行されました。投票権年齢、四年間は二十、五年目からは十八ということを確定したわけであります。一方で、憲法改正の原案を審議そして発議できる憲法審査会も数年前からスタートしておりますので、これによりまして憲法改正の環境が整ったというふうに私たちは理解をいたしております。

 現在は、公職選挙法改正、先ほどもお話がありましたけれども、同じ参政権グループでございますので、国民投票の投票権と同様に公選法における選挙権年齢も十八に引き下げる、そのための各党間の協議を現在続けておりまして、ほぼ合意に達している、このような状況にあるわけであります。

 我々は、いよいよこれから憲法審査会におきまして改正の中身の議論を始めようとしております。何回かに分けられる改正かもしれませんので、その第一回目の憲法改正の原案、これを絞り込んでいくというのが我々の当面の課題であると理解をしております。

 そこで、陳述をいただきました内容につきまして、幾つか質問いたしたいと思っています。

 まず、相沢陳述者に御質問いたします。

 相沢陳述者からは、我々自民党の憲法改正草案に非常に近い考え方を御披露いただきまして、大変心強く感じた次第でございます。

 ただ、一つ違っておりましたのは発議要件でございまして、我々自民党の草案としては、衆議院、参議院、それぞれの議員の二分の一以上ということを課するのでどうか、そういうことによる九十六条の改正を目指そうとしておりますが、相沢先生には、五分の三ということでございました。

 このあたり、我々の考えとどういうふうに違っているのか、ちょっとお聞きをしたいと思っております。

相沢光哉君 御質問をいただきました点でございますが、現行の規定が、衆参総議員の三分の二以上ということでございますので、出席議員数でもないということから、大変ハードルが高い。要するに、三分の一の国会議員が憲法改正に反対であれば改正ができないということになっちゃうわけなので。

 私は、自民党案も拝見をしておりまして、まさに船田先生がおっしゃるように、この一点を除いてはもう自民党案はすばらしい内容だと思っておりますが、三分の二を一気に二分の一まで下げてしまうというのは、やはり国民の多くの方々が、きょう陳述された方々の中でも、少なくとも憲法改正に疑問を持っているお立場の方がお三方いたように私は拝察しましたので、要するに、そういう方々から見れば、二分の一ということにしてしまうと、国民投票の二分の一があったとしても、もう憲法改正が日常茶飯事になってしまうというふうに多分危惧されるんだと思います。

 そういう意味で、三分の二と二分の一のちょうど間にある、整数的にいい形が五分の三、六割ということで、海外の諸国でもそういう事例がいっぱいありますので、この際はそういうことでお考えいただければというふうに思っている次第です。

船田委員 ありがとうございました。

 あわせて相沢さんに質問です。

 緊急事態ということについても言及をいただきました。我々も、これは、三・一一の経験からしても、大変重要なことではないかと思っております。

 これにつきまして、国会議員の任期、例えば衆議院、間もなくあるかもしれませんが、衆議院の解散を緊急事態のときは延ばすであるとか、あるいは議員の任期を延ばす、そういうものに加えまして、例えば、国、政府の役割を強化するという意味で、予算を、国会の議を経ずに予算執行が行えるとか、あるいは法律も、政省令を政府が出してそれが法律と同じ効力を発する、その期間だけですが、そういうような考え方も一部ではあるのでございますが、そのことについてはどういうお考えでしょうか。

相沢光哉君 このことは、世界各国を見ましても、やはり、大きな戦争あるいはテロまたは大災害というふうな通常では想定していない事態に陥ったときに、その国の総理大臣なり首相に、大統領を含めてですが、権限を移譲する、緊急事態という形での法整備がとられている。これが常識だと思います。

 我が国の場合には、先ほど来申し上げているように、現行憲法をつくったときはGHQが完全に支配していた時代ですから、日本政府がそういう緊急事態の親分になるなどということは考えなかったわけですね。

 ですから、独立をしてもうこれだけの年数がたって、しかも、緊急事態が必要な、例えば東日本大震災でも、振り返れば、当時の内閣が大変な混乱を起こしていたことを考えましても、やはり、一元的な法整備の中で、時限を限って権限を集め、適切な処理が可能な形にしていくということは、ぜひ盛り込むべきだと思います。

 当然ながら、その対象がどういうことになるかは、これは十分吟味した上で限定的な使用ということになってくるとは思いますけれども、ぜひそのことは、船田先生初め、ここの先生方の中でも、実現に向けてお働きをしていただければ大変ありがたいと思います。

船田委員 ありがとうございました。

 最後に、小林陳述者にお伺いいたします。

 先生のお話の中で、去る七月の閣議決定につきまして、これが慣習一般国際法や国連憲章に一歩近づいたというふうに評価をいただいております。

 そういう中で、先生がお話しになったのは、憲法の変遷、あるいはこれは憲法解釈の変更というふうに言いかえてもいいかと思いますが、そういうことで、切れ目のない防衛体制、とりわけ集団的自衛権については、一部行使容認とも思われるそういう概念もそこに含まれている、こういうことでございます。

 そういうことがもし実現していけば、憲法九条の改正そのものについては、もう変える必要がないんじゃないかという声も一部ではあるのでございますが、この点についての先生のお考えを最後に聞きたいと思います。

小林宏晨君 今船田先生がおっしゃったことは、まことにそのとおりでございまして、ここにいる今の雰囲気を見ただけでも、憲法改正がいかに難しいかということがよくおわかりのことと思います。

 いずれにせよ、憲法変遷論というのを適用していけば、この部分に関しては十分に、安全保障、日本の安全を守る意味での対処はしていくことができる。だから、そういう意味で、憲法改正が不可能である場合には、総じて、安全保障基本法、そういうものを制定して、その中に挿入して対処していくことが不可欠ではなかろうかと私は感じております。

 以上でございます。

保利座長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 きょうは、意見陳述者の皆様にそれぞれ御陳述をいただいたことに、感謝を申し上げたいと思います。

 まず、糠塚陳述人にお伺いをいたします。

 事前にいただいていた資料でも、憲法教育ですね、今、大学で教鞭もとっておられますが。

 今度、国民投票法は、投票年齢を十八歳に下げます。ということは、高校生が高校現場で憲法改正国民投票法の投票権を持つことになります。よって、私どもも、改正法の附帯決議で、憲法教育等の充実を盛り込んでおります。

 高校での憲法教育、そして政治教育、歴史教育、こういったものを充実させようということも質疑の中でも申し述べているんですが、実際、高校現場などでは、やはり、今まで余り扱ったことのないテーマであったり賛否の分かれるテーマをどう扱っていいのか、非常に御心配あるいは御苦労もあろうかというふうに思います。

 この点について、学校教育での充実をどういう形で図ったらいいのか、御示唆があればお聞かせをいただきたいと思います。

糠塚康江君 御質問ありがとうございます。

 私は余り高校の現場を存じ上げませんものですから、具体的に憲法教育云々ということを考えたことがないんですけれども、ただ、たまに出前授業というような形で高校へ参りました際に、現場の先生から憲法の話をしてくださいという話をいただきまして、入学直後の大学一年生向けの、例えば、憲法とは何か、今はやりになっております立憲主義とは何か、どういう歴史的な背景を持っているのかという話をいたしましても、高校生は十分その話についてまいります。

 十八歳以上、大学生になりますけれども、大学教育に関しましては、それぞれ、十八歳になっていると教員の話していることに対して批判的な能力を持っているということで、教育法による教育の中身についての実質的な縛りが大学にはございません。

 したがいまして、十八歳に限りなく近い年代になりますとそれなりの批判能力もございますので、一方的な教員の話をうのみにするというほどの、余り心配するような能力の程度ではない、むしろ、批判的な能力も十分育っているというふうに私は考えますので、懸念するほど高校生の能力は低くはないと私は考えます。

武正委員 ありがとうございます。

 我々もそういう思いで、十八歳に国民投票の投票権年齢、加えて、一般の選挙権年齢も十八歳に下げようということで、かねてより民主党は法案を提出したりしてまいりました。

 今質問したのは、教える側、先生の側に結構いろいろ戸惑いがあるので、この点についてということを伺ったわけですが、再度、その点はいかがでしょうか。

糠塚康江君 先生方につきましても、今大学等でスクーリングみたいなものができますものですから、もし必要とあらば、そういうところに来ていただくというようなことも考えられ得る、制度的に可能だと思いますので、それは、それぞれの先生方の御判断でそういう提供を大学側に求めるということも、あってしかるべきかと思います。

武正委員 ありがとうございます。

 続いて、小笠原陳述人に伺います。

 先ほどもお触れになりましたが、七月一日、政府は、憲法解釈を変更して集団的自衛権を認める閣議決定をいたしました。私どもも、やはり、手続論として、一内閣が恣意的に憲法解釈を変えるというのは、立憲主義から、あってはならないというふうに思っております。

 もちろん、日本を取り巻く外交、安全保障、特に北東アジアの環境などが変化をしていることは私どもも政権運営の立場にあったのでよくわかるところでありますので、そうした安全保障のあり方についてはしっかりと議論を深掘りしようということで、今、領域警備法の制定なども含めて、党内で議論を深めております。ただ、手続論からすると、立憲主義から、やはり、いかがなものかと言わざるを得ません。

 この点について、小笠原陳述人から御所見を伺えればと思います。

小笠原基也君 まず、立憲主義からいうと、当然、政府というのは憲法の下にあるということですので、憲法を無にするような解釈はできない。

 集団的自衛権というものを認めてしまうとどうなるかというと、結局、密接に関連する他国が攻撃されたときに、それに対抗するための実力の行使をするということが必要になる。そうすると、それに伴って、それに必要なだけの武力を持つということが必要になってくる。もし、その密接に関連する国というのが全世界を敵に回すという話になってしまうと、全世界を凌駕する武力まで必要になってくる。そういうことで、どんどん拡大していくというのがまず第一点です。これは理論的にです。

 そうすると、憲法が戦力不保持といって、それは自衛のためのというふうな縛りを今の憲法解釈はかけているわけですけれども、ぎりぎりその憲法解釈があり得るとしても、もしそういうことで、集団的自衛権、他国を守るために、その他国を敵とする国と対峙するための戦力ということになってくると、さあそれがどこまでかというふうに考えていったときに、憲法九条二項の縛りが意味がなくなってしまうんじゃないかということがあります。

 それが結局、立憲主義からいうと、解釈変更でそういうふうな非常に大きな武力を持ってしまう、戦力を持ってしまうというところにつながるという点で、立憲主義の問題が出てくるのではないかというふうに考えております。

武正委員 ありがとうございます。

 続きまして、加藤陳述人にお伺いをしたいと思います。

 先ほど他の陳述人からも、ドイツでは憲法改正が五十九回など、あるいはイタリアの例も出ておるんですが、ことし七月に私ども憲法審査会が欧州視察に行った場所は、ギリシャ、ポルトガル、スペイン、これはいずれも七〇年代まで独裁国家であった国で、七〇年代に独裁国家から民主制あるいは共和制になった後憲法がつくられたものですから、いずれも、それぞれの憲法を、ヨーロッパの、人権などの、かなり進んだものが取り入れられた憲法なものですから、大事にしたいと。

 例えばスペインは、どうしても憲法改正を二回しなければならなかったんですが、これは、EUからの要請に基づいて、やむを得ずというか、やらなければならなかったということでありまして、こうした南ヨーロッパの状況というのはなかなか日本では伝わっていないので、ヨーロッパといえば憲法改正は当たり前というような概念が多いようです。

 先ほど、若干国民の皆さんの憲法改正の熱意というか要望が下がっているという御指摘がありましたが、そういったところも、私どもは、変えるべきものは変える、守るべきものは守るといった対応をしていくべきと考えております。

 こういったヨーロッパの状況なども含めて、まだまだ憲法の議論というのは、もっと広く深くするべきだと考えておりますが、この点について御所見を伺いたいと思います。

加藤善正君 先ほど来、憲法が変えられないんだ、だから解釈でやるんだという御意見もございましたけれども、なぜ日本で憲法が変えられないのか、あるいは変える必要があるという人が少数派で、しかも減っているというのはなぜかという、ここのところがやはり根本問題だと私は思うんですね。

 ヨーロッパを初めとする外国との比較におきましても、それぞれの国で憲法が、国民の中でどういうふうな理解をされ、定着しているかということの違いが非常に大きいんだろうというふうに思いますし、改正の回数がいろいろ言われていますけれども、これは、州にかなり自治権を持っているところとそうでないところの違いもいろいろありますので、一概には言えないと思うんです。

 日本の国民がなぜ憲法を変えない方がいいと思っているかというと、やはりそれは、あの戦争の体験があり、そして戦争がなぜ起きたかという戦前の体験があり、そして今の憲法ができて、それが国民の暮らしや考え方にかなり定着をしている、したがって憲法を変える必要性がない、こういう現実の実態がある。その実態を見て、憲法を尊重し擁護する義務を負う議員さんや内閣がそれを変えようというところに別の意図を国民は感じているというふうに言わざるを得ないと思います。

武正委員 ありがとうございました。

保利座長 次に、馬場伸幸君。

馬場委員 維新の党の馬場伸幸です。

 意見陳述人の皆様方、本日は、本地方公聴会に御出席していただき、貴重な御意見をお聞かせいただきましたことに、心より御礼申し上げます。

 また、会場には多くの傍聴人の方がお越しをいただいております。皆様方にも感謝を申し上げたいと思います。

 ここ岩手県は、東日本大震災の被災地であります。本日は、地元岩手県選出の階猛衆議院議員もお見えになっておられますが、階議員は、震災復興に、粉骨砕身、日夜奮闘されておられます。

 我々維新の党も、被災地主導の震災復興と国主導の原発事故対応を加速させるための政策の実現を図っていくためにさらに努力してまいることを、冒頭、お誓い申し上げたいと思います。

 それでは、私の方からは、投票権年齢の引き下げに伴う憲法、政治教育の充実についてという観点でお伺いをしたいと思います。

 日本国憲法は、その施行後七十年近くの時が経過をしておりますが、この間一度も改正されることなく、社会情勢のドラスチックな変化に対応していないと考えています。

 我が党は、統治機構改革などにより、この国の形をグレートリセットするべきであると考えており、そのためにも憲法改正が必要だと確信をいたしております。

 このような憲法改正を行うには、まず、その手続を定める国民投票法の改正が長年求められていましたが、我が党の前身である日本維新の会が、昨年五月、他党に先駆けて真っ先に国会に法案を提出し、議論をリードしてきたと自負しております。

 そして、本年六月に、維新の会も共同提出会派となった改正法が成立をいたしましたが、本改正により、いよいよ、平成三十年六月二十一日から投票権年齢が十八歳に引き下げられることとなりました。

 そこで思い出されるのが、本年九月に行われました、スコットランドにおける住民投票であります。この住民投票は、世界じゅうから注目される中、多くの市民が積極的に政治に対して意見を表明し、冷静な議論が重ねられた後、粛々と投票が行われたことが、私自身、非常に印象に残っております。

 我々がこの住民投票から学ぶことも多く、例えば、投票権が十六歳以上の若者にも付与されたとのことで、投票権を持つ十六歳から十七歳の約九割が投票行動を行ったと報道されており、若者の政治参加の重要性を再認識させられたところであります。

 先ほど武正委員の方から糠塚さんに同様の質問がございましたので、私の方からは、県議会議員として地方の教育、そういったものを熱心に審議いただいておられます相沢議員さんに質問をさせていただきたいと思います。

 先ほども述べましたとおり、四年後に、我が国において憲法改正のための国民投票の投票権年齢が十八歳に引き下げられます。

 この実施のためには、先ほど来質問にもありました、若年層を含めた国民各層が憲法、政治に関する基本的な知識を十分に有していることが不可欠であると考えています。このことがおろそかになると、仏つくって魂入れずという懸念が生まれてくるのではないかと考えております。

 したがって、初等教育、特に初等教育だと考えておりますが、小学校、中学校、そしてその延長線上にあります高校、大学、それぞれにおける憲法、政治教育を充実させることが求められており、我が党としても、まず、子供たち、また生徒が、憲法などに関する偏りのない基本的な正確な知識を得、その前提として、憲法に対する興味をかき立てるよう教育における環境整備に努力していこう、そういうふうな所存でございます。

 この過程において、現場サイドで留意しておくべき点、また課題等、お気づきの点がございましたら、教えていただければと思います。よろしくお願いします。

相沢光哉君 ただいまの御質問でございますが、投票年齢を下げるということは、今の時代の趨勢で、やはり必要なことだと思っております。

 現実の投票率を年齢別で見ますと、国政選挙でも地方選挙でも、若年層の投票率は極めて低いんです。しかし、改めて、年齢を引き下げて、特に国民投票という直接民主主義の手法がここに出てくるとなれば、やはりおのずから、該当する青少年の意識というものは違ってくると思います。

 特に、私は、乱暴に言えば、ほっておいてもそういう方々の投票意識は極めて高くなるというふうに思います。それは、今の香港であるいは台湾でいろいろ学生たちが政治に対して行動しているというふうな傾向からいきましても、大変大事なことだと思っております。

 それを教育の現場でどう教えていくかという点でございますが、私は、そういう点においては、日本の社会というのは民主主義がかなり浸透しておりますので、おかしなことが起こらない限りは、あえて言えば、そんなに心配しなくとも、しっかりとした投票行動が行われると思います。

 むしろ、心配されるのは、一部のイデオロギーに染まった教師あるいは教師集団が一定の意図のもとに誘導していく、これは今でもいろいろございまして、私たちも、そういうことの弊害の方が大きいと思っております。

 そういうふうな意味で、いわば子供対教師という面でいえば、両面で十分そのことを、そういう困ったことが起こらないように、とんでもないことが起こらないように気をつけていくということは、国の責任としてもあるいは行政の責任としても当然あるだろうと思っておりますので、ぜひその点は留意すべきことだと思っております。

 以上です。

馬場委員 ありがとうございます。

 本日出席の各政党の中でも我が党が一番公務員の政治的行為に係る法整備を強く求めておりますので、今後とも御協力のほどよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。

保利座長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 まず、きょうは、五名の意見陳述人の皆様、まことに貴重な意見、ありがとうございます。

 そして、きょうは、東北、こちら岩手の盛岡で公聴会を開かせていただきました。震災から三年半たち、しっかりと復興に向けて、我々国会議員、もう一度心を合わせて頑張らなきゃいけない、それを決意させていただきまして、皆様、本当にありがとうございます。

 先ほどから集団的自衛権の話題になっておりますので、少し、私の意見とともに、御質問をさせていただきます。

 先ほど、集団的自衛権というのは我が国と密接に関係する他国が攻撃されたときにそれを守るものだというような議論がございましたけれども、自民党そして我々公明党、与党として、今回の閣議決定については、さまざまな御意見も申し上げさせていただきました。

 結論としましては、やはり憲法九条のもとでは、他国防衛のための自衛権は行使ができないこと、いわゆる自国防衛に限り自衛権は行使できることをこのたび確認をさせていただいています。したがって、国際法上言われておりますような、我が国と密接に関係する他国が攻められただけでは自衛権は発動できませんで、新たに閣議決定されました三要件というものは、我が国と密接に関係する他国が攻撃され、かつ我が国の存立がそれにより脅かされ、さらに、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される事態にならなければ自衛権は行使できないというたてつけに今回はなっております。

 このあたり、やはりまだまだ正確な報道もなされておりませんので、改めまして私の方から一言言わせていただきました。

 その上で、小林先生にお聞きをいたします。

 先ほどから、憲法の変遷論というところで、私も、やはり憲法というのは変遷していくものであろうということは認識しております。しかし、先ほど私が集団的自衛権を例にとりましたとおり、例えば、憲法九条では他国防衛というのはなかなかできにくい、この憲法下では自国防衛に限るというような限定がついているとしたときに、これはいろいろなお考えがあると思うんですが、憲法の変遷によって憲法が自然と変わっていくという中に、やはり限界というものはあろうかと思っております。

 その点、特に安全保障の範囲の中で、先生の中で、どのあたりが限界と思われるのか、そのあたりの意見の陳述をお願いいたします。

小林宏晨君 集団的自衛権の問題に関しまして公明党の方々が非常に危惧をお持ちだということは、よくわかります。

 そうではありましても、別に日本国憲法の中に詳しい規定を設けないにしても、既に国際法の中で相当な縛りがかかっております。

 例えば、グレーゾーンの領域でどう対応すべきかという問題が持ち上がったときに、自衛権の発動そのものにも国際法的な縛りが、十分とは言えませんけれども、相当にかかっている。そして、その中では、一番重要な部分は、急迫不正な攻撃ということ自体が、もう既に非常に縛りがかかっている。そして、それが適用されたときに、比例適合性の原則にがっちりと縛りがかけられている。

 例えば、一発ぶん殴られたのに百発もぶん殴ってピストルで殺す、これはいけません。そういうことは、国際法的には過剰防衛になるわけでありますから。

 そういう点で私がいつも主張していることは、必要以上に制約する必要はない、国際法の中に、十分とは言えないまでも相当な縛りがかかっているので、一応、国際法に信頼を持ち、そして自己の対応能力にも信頼を持つということ。

 日本は、戦争で負けて、現在に至るまで、余りにも自信を喪失しております。ここの部分をもう少し考えて、いつもいつも、こういうふうに決めればもう歯どめがかからなくなる、そしてすぐに世界に自衛隊が出ていかざるを得ない、こういう理論は理論の飛躍でありまして、やはり自己の能力と他国の行動に一定の認識能力を備えていれば、十分にこれは対応できる問題であると私は思います。

 一例を申し上げますと、ドイツでもイギリスでもフランスでも、いろいろな地域において兵を動かすときには、全く木で鼻をくくったように、アメリカの行動に、一緒にやらないと議会で宣言しているじゃないですか。日本だけがなぜできないか。これは、自信がないからであります。

 そこら辺をしっかりとわきまえて、やはり、余り詳しい規定をもって政府の行動を制限してはなりません。自衛隊の行動に関しても、その場で対応するいわばその責任者、それに信頼を持って、国際法をよく勉強させて、それに対応できるような制度をつくるべきだと思っております。

 以上でございます。

浜地委員 ありがとうございました。

 それでは、もう一つお聞きしたいと思います。糠塚先生にお聞きしてよろしいでしょうか。

 公明党は、憲法を仮に改正するとしまして、加憲という立場を我々は持っております。その中で、生命倫理のことであるとか、または、今問題になっております環境、環境権というものを基本的人権として位置づけてはどうかという考えを持っております。

 ただ、環境権といいましても、漠然としておりまして、例えば、自由権的な性格なのか、もしくは社会権的な性格なのか、はたまた、これは国民の義務として制定すべきものなのか、このあたりをいろいろと研究しておるわけでございますけれども、急な質問でお答えにくいかと思うんですが、環境権というもの、これから環境をしっかりと保全していくためには、どういった権利づけといいますか性格づけが先生の中ではよろしいと考えられるか、御意見をお伺いしたいと思います。

糠塚康江君 御指名ありがとうございます。

 環境権と申しましても、今おっしゃったように、さまざまな性格づけがされておりまして、一番問題は、これを個人的な権利と見るか集団的な権利と見るかというところで非常に議論の多いところでございまして、御承知のとおり、日本国憲法のもとでは、個人的な権利を中心に制定しておりますので、割と据わりが悪い性格だと思います。

 その意味で、例えばフランスでは、環境権というものをやるときに、環境憲章というものを憲法に付加するというやり方をとりました。ですから、私、環境権というものを今わざわざやらなくても、憲法の解釈上十分対応しておりますので、そこまでとは思っておりませんが、万一やるとするならば、そういった憲章的なものを憲法に付加するというようなやり方も一つ考え得る方法かなと思います。

浜地委員 ありがとうございます。

 私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

保利座長 次に、西野弘一君。

西野委員 次世代の党の西野弘一です。

 まず冒頭、五人の意見陳述をいただきました皆様方に感謝、御礼を申し上げたいと思っております。大変貴重な御意見を頂戴いたしまして、ありがとうございます。

 まず糠塚先生に伺いたいんですが、糠塚先生は、先ほどの御意見の中で、憲法改正に当たって、投票率が極めて低いとごく少数の賛成で憲法改正がされる可能性があり、最低投票率制度の導入を検討すべきだという御意見を頂戴いたしましたが、この上で先生に伺いたいのは、まず、極めて低いという投票率は、大体どれぐらいのパーセントを想定されているのでしょう。

糠塚康江君 私が申し上げましたのは、まず前段の部分は、参議院の懸念ということで申し上げたわけでございます。後段の部分で私が最低投票率制度と申し上げましたのは、国民が判断に迷うような発議を起こさないための制度として申し上げました。

 その際、最低投票率制度を考えてみた場合、少なくとも過半数の方は投票していただくようなぐらいにまで持っていっていただきたいなというのが私の意見でございます。

西野委員 ありがとうございます。

 一方で、糠塚先生は、憲法改正を発議する国会議員を選出する有権者団もまた改正手続にかかわる者と言え、投票年齢と選挙年齢は合致させるべきという御意見を表明されておりましたけれども、今、実際に、衆議院の選挙なんかでもそうですし、地方の議員の選挙でもそうですが、いわゆる過半数を優に下回る投票率のケースが多々あります。

 この場合に、先生のおっしゃっている意見から考えると、通常の選挙においてもやはり最低投票率を設けるべきというふうなお考えになるんでしょうか。

糠塚康江君 選挙権につきましては、憲法上これは権利として認められておりますので、義務を課すようなわけにはまいりません。そういたしますと、投票率に関しまして、最低投票率を設けるということはちょっと難しいかなというふうに思います。

西野委員 わかりました。

 ちょっと時間がないので、次の質問にさせていただきます。

 そもそも、我々日本国民は、恒久の平和を念願しております。そしてまた、人間相互の関係を支配する崇高な理想も深く自覚をしてきたと思っております。

 一方で、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼もしてまいりましたが、現に、同胞が拉致をされて、四十年以上帰ってくることはありませんでした。まだ、我が国固有の領土である竹島は韓国に占拠された状態が続いておりますし、尖閣という我が国の領土に対して領有権を主張する中国などの国もあります。

 この状態をもって、この九条があったから平和を維持できているというふうに捉えておられるのかどうか、五人の意見陳述をいただいた皆様方に一言ずつ伺いたいと思います。

糠塚康江君 今の御質問に対して端的に答えれば、九条があるからというよりも、むしろ、憲法があるから何かありがたい結果が、御利益があるというふうに私は考えておりません。

小笠原基也君 竹島、尖閣に関して言うと、いまだ戦争状態になっていないということからすると、九条があるから平和が害されていないというふうに考えております。ただ、それがきちんと解決できていないのは、きちんと諸国民を信頼しての対話が不十分ではないかなというふうに思っております。

相沢光哉君 我が国の憲法の平和条項は、確かに、いち早くできたという意味でのオリジナリティーはありますけれども、今、この平和条項というのは、ほとんどの国が憲法の中に示しております。ということは、逆に言うと、憲法九条があるから平和が保たれているというのは、これは全く私は錯覚だと思います。

 現実の世界では近隣諸国とのいろいろな緊張関係がありますので、やはり、自衛隊の存在あるいは海上保安庁あるいは在日米軍、これらのパワーというものが抑止力になっているという現実は否定できないと思っています。

加藤善正君 私は、やはり、現状においては平和が保たれているという認識でございますが、幾つかの問題が起きているのは、それは原因があるからそういう現象が起きているわけで、その原因を究明し、その原因を取り除くというような御努力をより一層、国会を中心にしていただく必要があるのではないかというふうに常日ごろ考えております。

小林宏晨君 憲法九条がある、憲法前文があるからこそ日本の平和が保たれているというふうに主張することは、これは大いなる誤謬であります。そんなことはあり得ません。

 やはり、普通の国家並みの日本というのが必要であります。そして、自衛隊の存在を必要でないとおっしゃる方がいらっしゃるならば、これは私と意見を異にする方々であります。

 そういう点から考えますならば、絶対に憲法改正ができないとするならば、これから新しく作成して対応する必要があるのではなかろうか。あえて芦田氏の考え方を、芦田理論を適用すれば、十分に今の社会においても対応できると私は思っております。

 以上でございます。

西野委員 ありがとうございます。

 憲法九条のもとになったいわゆるパリ不戦条約、これがあっても実際に第二次大戦は起こったわけでありまして、先ほど、憲法がいかに日本の今の現状と違っているのか、全く違っていないじゃないか、だから改正しなくてもいいじゃないかという意見もございましたが、現に今、平和は既に侵され続けているんだという認識に私は立って、我が次世代の党もその認識に立って、しっかりと、占領の、占領軍による占領軍のための憲法ではなくて、日本の、日本人による日本人のための憲法に、自主憲法に改むべきだということをあえて最後に申し上げて、質疑を終わらせていただきたいと思っております。

保利座長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日、大変お忙しいところ、お越しいただきまして、非常に貴重な意見をいただきました。ありがとうございます。

 それでは、時間も限られておりますので、幾つか質問をさせていただきます。

 ただいまさまざまな議論もありましたけれども、こちら岩手県盛岡市というところは、東日本大震災の、その当時の本当に深い深い悲しみというものも受け入れられているというようなところかと思います。

 そういったところで、思い出されるのは、二〇一一年の三月十一日、それがどういう状況下であったかといいますと、統一地方選というものに向けて、それぞれの陣営が一生懸命準備をしていたというような状況だったというふうに認識をしております。

 まず、弁護士でいらっしゃいます小笠原さんに伺いたいというふうに思うんですけれども、二〇一一年の三月十一日以降、予定されていたいわゆる統一地方選までの一カ月間の状況、特に、本当に被災者の方々と寄り添われてきたというようなことだと思いますので、そういったとき、選挙ができる状況だったかどうかということも含めて、その当時の状況を簡潔に教えていただければと思います。

小笠原基也君 当時は、もちろんそういう状況ではなかったというふうに認識しております。だからこそ選挙の実施が延びたのだというふうに考えております。端的に言うと、そういうことです。

三谷委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、当時の暮らし、例えばガソリンがなかったとか、むしろ、本当に食料すら際どかった、そういう状況だったかと思いますけれども、どれぐらい困窮していたかということも含めて、もう少し詳しく教えてください。

小笠原基也君 まず、ライフラインというものについては完全に寸断されていたわけですので、電気が復旧するまで一カ月、二カ月かかるというところも当然ありました。

 食料につきましても、備蓄を持ち寄ってそれぞれがやっていたということですが、自衛隊はかなり早くに動いてはくれたんですけれども、やはり小さな避難所まではなかなか回らなかったというふうに聞いておりますので、そういったことで、冷たい御飯を食べたぐらいであればまだいいんですけれども、ひもじい思いをしたという話も聞いております。

 また、ガソリンについてもありましたけれども、ガソリンはもう補給手段がない。ガソリンスタンドが壊滅しているというものもありましたし、あるいは内陸の方もなかなか届かないということがありまして、内陸からもなかなか支援が出せない。どういう状況か、我々弁護士会の方でも見に行けたのが、一週間ぐらいたってからだったと思うんですけれども、なかなか行けなかったというような状況でした。

 当然、被災地の方ではそういった物がない中で、自衛隊が来ていただいた後については、ガソリンを分けてもらったりなどして、食料とか生活物資の分配等にそういった形で協力をいただいたと聞いております。

三谷委員 ありがとうございます。

 それでは、引き続きまして、相沢さんにお伺いをいたします。

 その当時の状況、そういう意味では、選挙が宮城県では延びたというふうに理解をしておりますけれども、延びたということで、実際、選挙がしっかりと戦えるようになったか、逆に言うと、四月の時点で選挙があったら、ちゃんと選挙ができたのかどうかということについて、お考えを改めて伺いたいと思います。

相沢光哉君 御承知のとおり、宮城県は十一月に選挙が延びました。そして、仙台市だけは、市議会議員、当時は仙台地区は一緒にやっていたんですが、八月に延ばしたというのが現実であります。当然、沿岸部の各市、町の状況は、とても選挙がやれるような状態ではない。選挙人名簿そのものも、役所でも流失して、なくなっていたというふうな状態であります。

 一言だけ申し上げておきますと、東日本大震災をどう捉えるかという、いろいろな切り口がございますけれども、やはり、世界各国に発信された、被災者の方々が本当に秩序正しく、暴動やら盗みやらを起こさないで粛々と冷静に対処したという日本人の行動。

 それからもう一つは、自衛隊、警察、消防を初めとする、本当に、命をなげうってでも被災者、被災地のために働いていただいた方々、そして海外からの支援。

 もう一つ申し上げれば、天皇皇后両陛下が、それぞれの被災地を訪れて、本当に膝を接して被災者の方々を励まされたわけであります。あのお姿が、天皇皇后に対して思いがある方々がいっぱいいたとしても、当時、残念ながら、民主党の総理大臣に対しては、罵倒されたようなことがあったようでありますので、そういうことから比べると、我が国は、大変すばらしい天皇をいただいている国柄というものは本当にありがたいものだなというふうに感じた次第であります。

三谷委員 ありがとうございます。まさに私も同じような思いでございます。

 その意味では、これから、南海トラフですとか東京の直下型地震という、さまざまなそういった震災等々が起きるというような状況のもとで、やはり緊急事態法制、衆議院が解散されて、それから次の総選挙の間にそういった震災が起きたときにどうするか。

 私も、当時、地方選を応援する立場でございましたけれども、自粛自粛で、ガソリンカーを走らせてはいけないとか、夜、電気をつけて車が走ったらそれだけで批判される。正直、そんなのじゃ選挙にならないというような状況でございました。

 そういったことも踏まえて、しっかりと、この憲法ではそういう緊急事態法制がありませんので、何らかの形で手当てをしていくべきなのではないかというふうに考えておりますけれども、この点について短く、相沢先生、改めてお願いします。

相沢光哉君 先ほどから申し上げていますように、緊急事態対策あるいは基本法というものの対象として、大災害というものは当然含めるべきだと思いますので、先生のおっしゃるとおりだと思います。

三谷委員 ありがとうございます。

 それでは、小林先生に、若干、もう時間も限られておりますので、お伺いをさせていただきます。

 先ほど、憲法九条があるから日本は平和を守っているんじゃない、そういう力強いお言葉がありました。軍隊を持つ国、世界で幾つもあります。ドイツにもイタリアにも、そういう、第二次世界大戦で日独伊三国軍事同盟という形で組んだところだって、ある意味、軍隊を持ち、そして集団的自衛権を、NATOという形でそれを行使し得る環境にある。そういった国がどうして今戦争を起こさないというふうにお思いか。その点についてお考えを披瀝していただければと思います。

小林宏晨君 三国同盟、日独伊、これ自体が、三国ともに軍隊を持っていたということ、それにプラスして、結局のところは、少なくともドイツとイタリアに関しては全体主義国家であった、そして日本は方向づけにおいて相当なミスを犯したという点において、第二次世界大戦の大きな原因をつくっていったことも確かであります。

 しかし、第二次世界大戦の発生のために、それでは三国同盟だけが責めを負うべきかというと、必ずしもそうではございません。歴史は多少バランスをとって考えなければいけないことでありまして、そういう点からいきますならば、軍隊を持っても、民主的な統制が機能していれば十分にそれが容認できるということであります。

 軍隊を持つから危険だ、それは、危険を意識してしっかりとした民主的統制を行えばいい方向に考えられる。我々は、共通の価値を共有する国々と友好関係を結び、価値を共有できない国とは戦略的な相互統制を行い、こういうことによって平和に積極的に貢献することが必要であろうと考えております。

 以上でございます。

三谷委員 ありがとうございました。

 私の方からの質問は以上にさせていただきます。ありがとうございました。

保利座長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 きょうは、五人の陳述者の皆さん、お忙しいところ、貴重な御意見をありがとうございました。

 まず、我が党の立場を一言申し上げたいんですが、国民の多数は改憲を求めておらず、そして、改憲のための手続法には反対であり、改憲のための憲法審査会は動かす必要がない、むしろ、国民は、日本国憲法の諸原則に反する現実の政治、これに対する批判を強めていて、国会は、そうした政治を正し、憲法を守り、生かすということにこそ役割を発揮すべきだというのが私たちの一貫した立場であることを申し上げておきたいと思います。

 その上で伺いたいんですが、加藤陳述者それから小笠原陳述者に同じ質問を申し上げます。

 東日本大震災それから東京電力の福島第一原発事故の被災者の支援あるいは被災地の復興と憲法との関係なんですけれども、先ほどもありましたけれども、この大震災それから原発事故を受けて、憲法に緊急事態に関する規定が必要だという主張があります。私は、これに違和感を持っていまして、必要ないと思っているものでありますが、被災者の方々が求めている支援や復興のための取り組みというのは、憲法の十三条の幸福追求権あるいは二十五条の生存権に基づく生活となりわいの再建であって、私たちが国会で行ってきた立法や制度の拡充なども、その立場からのものであったと思うんです。

 緊急事態の規定をつくって総理大臣の権限を拡大するあるいは集中すれば大規模災害に対処できるというのは、私は問題のすりかえではないかというように思うんですけれども、現場で被災者支援あるいは被災地復興に取り組んでこられて、そういう緊急事態に対する憲法の規定が必要という主張についてどう思われるか。そして、今何が最も被災地にとって必要で、国会に対して求めて、やらなきゃいけないのか。先ほどもお話ありましたけれども、改めて端的に伺いたいと思います。お二人、よろしくお願いします。

加藤善正君 私は、被災直後、一週間以内に現地に行き、それ以来何十回も行っておりますし、福島の被災地にも五回ほど行って、現場の皆さんといろいろお話もし、見聞きもしております。

 被災の実態として、例えば陸前高田市だとか宮古の田老町だとか山田、大槌町など町が全滅した地域と部分的に被災があった地域とは、かなり実態が違います。

 しかし、いずれにしましても、先ほど相沢先生もお話がございましたように、住民は復興復旧に対して非常に整然と行っておりますし、内陸からの支援も相当のスピードで行われておりますし、全国各地からの支援も本当にすばらしい実績がございますので、緊急事態法がなかったから災害でいろいろな問題が起きたかというと、私は全く実感として感じておりません。

 あるとすれば、きょうは県庁の方もいらっしゃると思うんですけれども、かつての災害救助法は、自治体からの要請があって県が必要な物資を供給する、こういう建前になっておりましたので、物はいっぱい県が管轄するところにあるんですけれども、自治体からの要請がないといって、なかなか届かないという事態がございました。それを踏まえて、今回は県も直しております。

 もう一つは、ガソリンや軽油の不足でありますけれども、これは、緊急事態法なんかに頼らなくても、いわゆる石油業法を次々と規制緩和し、骨抜きにして、石油の元売各社がどんどんそのシェアを拡大し、わずか四グループで石油を支配しているわけですね。一方において、国は年間四千億ぐらいの支援を石油業界にしているわけでありますが、その石油業界がそういう規制緩和のもとで非常に営利追求をしたような事態がありましたので、部分的にショートしたという現象があって、私もそこは苦労もいたしました。

 むしろ、日常的にそういうところを点検して、行き過ぎた規制緩和や市場に全てを任せるというようなことじゃなくて、かつては、石油は経済の血液だといって、非常にきちっとしたコントロールをしていたわけですから、そういうことを日常的にやれば、何ら必要ないというふうに思います。

 原発の問題は、先ほどもありましたけれども、これは誰が総理大臣であろうと法律が何であろうと大変な事態でございましたので、これはむしろ、原発をなくする以外に、法律で規制するというようなことでは問題解決はできないというふうに思っております。

小笠原基也君 まず、憲法上の国家緊急権というのがお話の趣旨だと思うんですけれども、国家緊急権というのは、一般的には、憲法秩序を一時停止して緊急事態に備えるというものでして、日本国憲法の場合であれば、基本的人権を一時停止するとかあるいは三権分立を一時停止してどこか一カ所に集めるという話でしたけれども、この東日本大震災を見ても、そういう必要性は結論的にはなかった。むしろ、憲法における人権であるとかそういう統治機構があったからこそ、今、助け合いということができるのではないかなというふうに思っています。

 実際、人命救助の段階というのが一番初めにありました。この段階で自衛隊がなぜ人命救助をするのか。先ほど言ったように、ガソリンや食料を、なぜ隊の物資を分け与えるのか、それによって防衛力が減るかもしれないのに。そういう事態であるにもかかわらず、そういったことをしてくれたというのは、まさに個人の尊重であるとか生存権であるとか、そういったことが出てきたからであって、制限ではなくて、まさに憲法を尊重したから、その結果、助かってきたのではないか。

 復旧段階におきましても、ライフラインになぜ国のお金をつぎ込んでやるのかという話をしますと、それもやはり、生存権であったり職業選択の自由の前提となる土地とか建物とかあるいは仕事とかといったものを創設していく、そういったことが必要になるからこそそういう税金の使い方ができる。これは、憲法を停止しているからできるものではないというふうに考えます。

 最後ですけれども、復興の段階。今この復興の段階でありますので、その点から見ますと、正直、では、さっきの憲法の理念が守られているのかというと、守られていないからこそ、復興がおくれている。

 ほかの政治的課題はいろいろあるかもしれませんけれども、喫緊ではないオリンピックなんかを呼び込んで、それで公共事業ができない状況であるとか、さまざまな問題があるわけで、まず、きちんと復興させる、その地域の人たちが暮らせるようになるということをする。そのための基本理念というものがあるんだとすると、十三条である。

 あるいは、平和の問題であっても、他国と争いをやっている場合じゃないでしょうと。そんなことをやる前に、国力を上げて、そういう復興をし、それで国力を回復することによって実力をつけて、対話によってやっていくんだ、そういうふうなことが必要ではないかなというふうに思います。

 その点からいうと、やはり憲法の理念を生かすことが復旧復興というものになっていくのではないかなというふうに思っております。

笠井委員 もう一問、端的に、糠塚陳述人に伺います。

 先ほど来、七月一日の集団的自衛権行使を容認する閣議決定のことが議論になっておりますが、私は、これは、二度と戦争しないと誓った憲法九条を事実上覆して、海外で戦争する国に道を開く、国のあり方の根本的な変更を意味すると考えております。しかも、憲法改定に等しい大転換を一片の閣議決定で強行するというのは、立憲主義を根底から否定すると思うんですが、陳述人は、昨今の憲法の扱われ方についてどのように受けとめていらっしゃって、憲法はどう扱われるべきと思われているか、端的に伺いたいと思います。

糠塚康江君 憲法は国の基本法でございますけれども、やはり、ちょっとお飾り的になっている。憲法があればいいという話ではなくて、先ほどから、憲法があればという話になっていますけれども、憲法はそんな力はないわけで、それを支えて生かすような担い手がいないとどうしようもない、ただの憲法典という文字の羅列にすぎませんので、魂を入れるような、そういう担い手が必要だということを申し上げたいと思います。

笠井委員 ありがとうございました。

保利座長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 生活の党の鈴木克昌でございます。

 意見陳述人の皆様方、本当にありがとうございます。

 また、東日本大震災の大変な被害を受けたこの地域の中で最初の地方公聴会が開催できるというのは非常に意義のあることだ、このように私は思っておるところであります。

 時間の関係もありますので、端的にお伺いをしていきたいと思うんですが、まず最初に、我が党の憲法に対する考え方だけ申し上げておきたいと思います。

 言うまでもありませんけれども、憲法は、私たち国民が、より幸せに、より安全に生活するために、みんなで定めた共同体のルールである、このように認識をしておりまして、その中で、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、国際協調という憲法の四大原則は堅持をしなくてはならない、そして二つ目に、この改正手続というのも、やはり、安易な改正を認めないという意味で、現在の手続を堅持しなくてはいけない、このように思っています。

 ただ、この憲法の基本理念や原理を堅持した上で、時代の要請ということで、例えば、国連の平和活動だとか、国会だとか、内閣だとか、司法、国と地方、そして緊急事態について一部見直し、加憲をする必要がある、このように考えるのが我が党の基本的な考え方でございます。

 そこで、質問に入らせていただきますが、まず、相沢さん、小林さんにお伺いをしたいんです。

 お二人の御意見は、憲法改正も含めて、足らざるところを補っていかなきゃいけないということだというふうに理解をさせていただいておるんですが、まず真っ先に国会が取り組むべき憲法の改正内容について、もちろん、全部といえばそうかもしれませんけれども、まずやらなきゃならないものは、お二方はどのようにお考えになっているのか、それぞれお聞かせいただきたいと思います。

相沢光哉君 御指名いただきまして、ありがとうございます。

 鈴木先生から、今、生活の党の基本的な考え方を御披瀝いただきましたけれども、私ないし自民党の県会議員としましては、やはり、現状の日本の憲法のありようというものが、このままで全ていいとはとても思えない。

 やはり、憲法の出自ということがあります。先ほど来、いろいろと、国民の権利、あるいは合意というものを尊重していかなければならないということをおっしゃっているわけなんですけれども、これはこちら側でですよ。ところが、現行憲法が生まれたときの状態をちょっとでも調べれば、当時の日本の国民が、この憲法をつくることについて、自発的に自分たちの意見を述べるなんということは全くできなかったわけでありまして、こういう点でも、大変すぐれた部分が多くあることは私も認めておりますけれども、基本的に、我が国の憲法を占領側がつくったという、これは国際法上からいっても問題があるわけなんですけれども、そういう事態を放置してきていること自体がおかしいというふうに思います。

 どこからどこまで直すか、あるいは全面的に修正するのか、当面いろいろ課題になっている部分から手をつけるのか、これはいろいろな考え方があろうと思いますけれども、鈴木先生がおっしゃったように、もし、安易な改定はすべきでないけれども一部加憲という考え方でございましたら、やはり、その加憲の部分をぜひ幅広くとっていただきまして、それこそ国民の国民のための憲法というものができてくる、そのために国会議員の先生方は国民から負託を受けているわけでありますので、ぜひそれぞれの政党がそれぞれのお立場での憲法改正案というものを出していただきたいということを心から念願いたしております。

小林宏晨君 憲法改正につきましては、非常に難しいということは認識しております。国論の中でも一致を見ないという点でも、これは認識しております。

 しかし、私は、憲法改正という形ではなくて、新憲法の制定という形で憲法の改正を行うべきではなかろうかと思っております。あの占領憲法が強制されたことは皆様御存じでありまして、それでもやはり、米帝国主義に対して非常に皮肉を言う政党であっても、アメリカがつくってくれたこの憲法に対しては、これは大賛成であるという政党もありますし、そういう意味で国論の一致はございません。

 しかし、三分の二にまでできる可能性があるとするならば、やはり新しい憲法の制定ということ、そのこと自体が、日本国民の憲法制定権力の実現というふうな形でできるのではないかと考えております。

 以上です。

鈴木(克)委員 時間もありませんので、小笠原さんと加藤さんに一言ずつ。

 まあ一言ではとても答えられないかもしれませんけれども、被災地で大変な御苦労をいただいてきたということでございます。その被災地の皆さんの日々の生活といわゆる憲法とのかかわり合いの中で、率直に、今、こういうことがあればもっと皆さんが楽だったんではないのかなというようなところがもしあれば、お聞かせをいただきたいと思います。

小笠原基也君 いろいろあり過ぎて、一言でというのはなかなかあれなんですけれども、復興という目標点があって、そこまでの過程が全く考えられていないなというのが今の復興に思うところで、やはり暮らしというのは続いていくものですから、百万円出したとか、義援金が百五十万来たとか、では、それを使っちゃったらどうなるのという部分が全く見えてこないので、そういった部分というんですかね、それは単なる給付金ではなくて、仕事ができる、生活ができる、そういった環境が段階的にできるような形での支援というかお金の使い方というのをやっていただければなと思います。

 例を挙げて言うと、巨大な防潮堤をつくるという案が出ております。巨大な防潮堤をつくるためには、巨大な敷地が必要ですし、当然、建設費が必要、コンクリートなど資材も必要、これができるまでは何にもできない、それまでは町がつくれないでは、全く、何年先になるんだという話になってくる。

 そうだとすると、まずは、そういう巨大な防潮堤をつくる前に、必要な生活ができる程度のものは、そして、それまでは避難によってやるとか、そういった形で法律あるいはお金をつけていただければなというふうに私は常々思っております。

加藤善正君 私は、やはり今、先ほども申しましたが、住宅の問題が非常に大きいと思います。

 住宅建設がおくれる中で、コストが三割、五割も上がっているわけですね。これは誰のせいか。行政が、住宅を建てられる土地を確保できないから待ってくれと言って、ずっと待ってもらっているわけですね。その間に建設コストがウナギ登りに上がっているわけです。

 ですから、私は、支援法それ自身の改定を望みますけれども、それがなかなか難しいとするならば、グループ補助金のように、建設コストのアップについては行政の責任ですから、それは交付金その他で自治体から支援をするような、生きた、温かい支援策が本当に求められている。そうしないと町は復元しませんし、人間らしい暮らしは取り戻せないというふうに思います。

 もう一つ最後につけ加えたいのは、山田線、JRの線路が地震でずたずたになっておりますが、当初、JRも、責任を持って復興すると言っておりましたけれども、今は、ぶん投げたままで、住民や自治体が諦めるのを待っているような形です。

 巨大な利益を上げているJRが、被災地の鉄路を復旧させることに、極めて冷たい、見放した態度をとっておりますので、ぜひ国会では、そうしたJRの態度についても究明をして、まず足を、公共交通機関を確保するというところも住宅とあわせてお願いをしたいというふうに思います。

鈴木(克)委員 どうもありがとうございました。

保利座長 これにて意見陳述者に対する質疑は終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 意見陳述者各位におかれましては、御多忙の中、貴重な御意見をお述べいただき、ありがとうございました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、心から感謝を申し上げます。まことにありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後零時五十六分散会


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