衆議院

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第8号 平成24年5月25日(金曜日)

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平成二十四年五月二十五日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 中野 寛成君

   理事 武正 公一君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 古本伸一郎君 理事 松本 大輔君

   理事 和田 隆志君 理事 逢沢 一郎君

   理事 伊吹 文明君 理事 西  博義君

      井戸まさえ君    石井登志郎君

      磯谷香代子君    稲富 修二君

      江端 貴子君    岡田 康裕君

      岡本 英子君    柿沼 正明君

      勝又恒一郎君    神山 洋介君

      木村たけつか君    岸本 周平君

      桑原  功君    篠原  孝君

      白石 洋一君    田嶋  要君

      田中美絵子君    田村 謙治君

      竹田 光明君    永江 孝子君

      長尾  敬君    初鹿 明博君

      早川久美子君    藤田 憲彦君

      三村 和也君    宮島 大典君

      向山 好一君    室井 秀子君

      本村賢太郎君    森山 浩行君

      湯原 俊二君    柚木 道義君

      吉田 統彦君    石田 真敏君

      加藤 勝信君    金子 一義君

      鴨下 一郎君    田村 憲久君

      竹下  亘君    永岡 桂子君

      野田  毅君    馳   浩君

      町村 信孝君    松本  純君

      竹内  譲君    宮本 岳志君

      豊田潤多郎君    中島 隆利君

      山内 康一君    中島 正純君

    …………………………………

   国務大臣(社会保障・税一体改革担当)           岡田 克也君

   総務大臣         川端 達夫君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       平野 博文君

   厚生労働大臣

   国務大臣

   (少子化対策担当)    小宮山洋子君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   衆議院調査局社会保障と税の一体改革に関する特別調査室長          佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十五日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     木村たけつか君

  勝又恒一郎君     向山 好一君

  白石 洋一君     岡本 英子君

  田嶋  要君     神山 洋介君

  田村 謙治君     森山 浩行君

  永江 孝子君     磯谷香代子君

  湯原 俊二君     井戸まさえ君

  柚木 道義君     初鹿 明博君

  渡部 恒三君     本村賢太郎君

  馳   浩君     松本  純君

  町村 信孝君     永岡 桂子君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     吉田 統彦君

  磯谷香代子君     永江 孝子君

  岡本 英子君     竹田 光明君

  神山 洋介君     田嶋  要君

  木村たけつか君    石井登志郎君

  初鹿 明博君     柚木 道義君

  向山 好一君     勝又恒一郎君

  本村賢太郎君     渡部 恒三君

  森山 浩行君     柿沼 正明君

  永岡 桂子君     町村 信孝君

  松本  純君     馳   浩君

同日

 辞任         補欠選任

  柿沼 正明君     田村 謙治君

  竹田 光明君     白石 洋一君

  吉田 統彦君     桑原  功君

同日

 辞任         補欠選任

  桑原  功君     湯原 俊二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)

 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)

 子ども・子育て支援法案(内閣提出第七五号)

 総合こども園法案(内閣提出第七六号)

 子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七七号)

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七二号)

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)


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     ――――◇―――――

中野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、子ども・子育て支援法案、総合こども園法案、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案及び社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 本日は、特に子ども・子育て支援と税制等について質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 きょうは本当に、貴重な質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 レジュメに沿って質問をさせていただいてまいりますが、まず冒頭、総合こども園及び保育所整備について、主に三点、その中でも少し関連した質疑もさせていただきます。

 この間の待機児童対策を含めたさまざまな質疑のやりとり、これは、与党の議員の方は当然ではあるんですが、野党の先生方からの質疑、やりとりをお聞きさせていただいておりまして、非常に勉強になる、あるいは本当にそういう視点が大切なんだなということも勉強させていただきながら、私もこの委員の一人として参加をさせていただいておりました。

 本日は、そういったこれまでのやりとりも踏まえながら、さらに、よりわかりやすく、国民の皆さん、あるいは私自身が、実は娘が一歳四カ月ということでございまして、現在妻が育児休業中でございます。先日は、余談ですが、宿舎の中で安住大臣とエレベーターが一緒になって、かわいい娘さんだねと声をかけていただいたということで、喜んでおりました。財源の関係で非常に重要でもございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 そういう、本当にこれから職場に復帰をするという状況でございまして、まさに今、保育園探し真っただ中。もちろん、我々の仕事上のいろいろなそういう用件はあるわけですが、現在も時々、職場の復帰のための会社への研修に行くときには、一時保育等、この近所になかなかすぐなくて、ちょっと離れたところに預けて会社に行ったりしていて、いろいろ私も今身近に接しているところでございます。

 そこでまず、これまでのやりとりもあるんですが、三歳児未満の部分について、待機児童の解消において、八割ぐらいを占めているということがございまして、そこの部分のやりとり、多少、私自身が、もう少し一般の国民の皆さんがより安心していただけるような形、つまり、三歳の壁をどう乗り越えていくか、そういった視点で、確認の意味も含めて、これは現状の二七%という利用率を二〇一七年に四四%を目指していくということでございまして、これを待機児童解消にどのようにしてつなげていくのか。これは確認の意味も含めまして御答弁をお願いできればと思います。

小宮山国務大臣 おはようございます。

 今委員が御自身の体験もおっしゃったので、一言だけ私のことも言わせていただければと思うんですが、私自身も、メディアで仕事をしながら、まだゼロ歳児保育も育児休業もない中で、三人男の子を育ててまいりました。そういう意味では、どうやって子供をいろいろな力をかりながら育んでいくかということは私も実感をしている中から、今回、子供たちのためにどうしたらいいかということで、多くのお知恵をいただいてつくった仕組みでございます。

 そして、御質問の待機児童の問題ですが、おっしゃるように八割が三歳未満です。そうした子供のために、子ども・子育て新システムでは、市町村がそれぞれの地域での三歳未満の子供を含む保育需要をまず正確に把握をする、その上で保育の計画的な整備をするというのが一つ。

 それから、三歳未満の子供の保育を重点的にする小規模の保育ですとか家庭的な保育など、多様な保育のメニューを創設いたしまして、そこにしっかりと財政支援をするということ。

 また、面積基準とか人員配置とか、必要な基準をしっかりした指定制度を導入しまして、今申し上げた小規模保育、家庭的保育も含めて、質が確保された保育を機動的に拡充をする。

 そのような形をとりたいと思っていますので、もちろん消費税による安定財源が大切ですけれども、財政支援をしながら、多様な仕組みの中でしっかりと受けとめていきたいと思っています。

柚木委員 ありがとうございます。

 昨日までの質疑の中で、そういった施策に財源の手当ても含めてしっかりと取り組んでいかれる、そういうことで、私としても、当事者としてしっかり取り組んでいかなければいけないと思っておるところではございますが、この間の質疑の中でも、保育士さんの確保、処遇の改善であったり、あるいは保育の質を保ちながら受け皿を拡大していく、いろいろな議論、市町村、運営主体のあり方のお話もございました。

 そういったところは、ある意味では、当然しっかりと準備もしながら、しかし、進みながらより改善をしていくという部分も現実的には必要なのかとも思われます。そこで、三歳児未満については、そういった形でのお取り組みをいただく中で、ぜひ、待機児童の八割を占めるという状況の改善に向かって、これは本当に党派を超えて、知恵を出し合って前に進めていかなければならないと私も思っているところでございます。

 関連して、では、三歳以上になれば、大臣、これは、逆に言うとあと二割の方々ですね、保育に欠ける要件ということはよく私も現場でもお聞きしますし、この保育に欠ける要件に当たらなくとも、総合こども園という受け皿の中で、いろいろな形態で総合こども園に至る部分もあるわけですが、これは三歳児未満の部分と私はちょっと違いがあるのかなと思っておりまして、この三歳以上の部分が今後どういう形で待機児童の解消につながっていくのか。この総合こども園の受け皿としての位置づけも含めて、これはちょっと、細かい通告はしていなかったんですが、可能な範囲でお答えいただければと思います。

小宮山国務大臣 おっしゃるように、待機児さんの二割は三歳以上ですけれども、今も、幼稚園は、全体とすると、容量からすると、全国平均三割あきがありますので、幼稚園の方でも七五%の幼稚園が預かり保育という形で預かっています。

 ただ、そこに財政支援が十分でないということがあるので、今回は財政支援もしっかりするということ。そういう意味で、幼稚園でも、総合こども園の学校教育も保育もという形をとっていただければ財政支援をしていく。そういうような形で、必ず今までよりは待機児童の需要に応えられる形になるというふうに思っています。

柚木委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、まずはその三歳の壁といいますか、そういったところを乗り越えていくべく受け皿の整備を、これは本当に早急に進めていかなければいけない。

 しかし、子供さんが大きくなってこられても、今この不景気の中で、私の地元、これは岡山県倉敷市、水島のコンビナートがあるエリアですが、お父さんだけじゃなくてお母さん、共働きの御家庭が本当にふえています。ですから、そういう意味では、まさに切れ間のない形で保育所受け皿の整備をお進めいただけること、そしてまた、その効果も、今の受け皿をしっかりと進めていただければ期待されるということを今確認させていただいたところでございます。

 三点目でございますが、確かに、受け皿の整備、三歳児未満、以上ももちろんあります。そういう中で、やはり一番、私なんかも、現場のお母さん方、うちの妻も含めていろいろ聞かれるのは保育料の問題なんですね。

 この間、話題にもあったかもしれませんが、仮に、ではこの国会内で、第二議員会館の地下に保育所がありまして、ここにもしお預けすると、私もちょっと調べてみましたらば、これは認可外、都の認証保育所ですね、そういうこともあって、私の一歳四カ月の娘をもし預けた場合に、月額十万円ぐらい保育料がかかる。普通考えたら、何のために働くのかということにもなりかねません。

 そこで、この保育料の部分については、今政府として進めていこうとしている総合こども園という受け皿、財源を担保してと今お話もございましたが、これは三歳児以上、未満等によって多少違いはあるにせよ、今ちょっと十万ということも申し上げたんですが、都内でも結構なんですけれども、大体、今の認可保育園、三万前後でしょうか、そういう部分とどういう形で近づいていけるのか、あるいは想定されるのかというあたり、可能な範囲でお答えをいただければと思います。

小宮山国務大臣 今度の新しいシステムの中の利用者負担につきましては、今の保育制度と同様に、応能負担、この考え方が基本です。

 現在の利用者負担の水準、これを基本にしまして、まずは所得階層ごと、それから今回、認定時間を、長い形、フルタイムの場合と、短いもの、パートなどの形で見ますので、その負担を設定しますので、パートなど短い時間を預ける方は今までよりも安い料金で預けられるようになるというふうに考えています。

 その定め方は、現在の保育制度では市町村が定めていますけれども、新システムでも同様に、国が定める額を基準にして、市町村、実施主体が定めることになります。

 国が定める利用者の負担に関する具体的な水準というのは、現在の利用者負担の水準を基本に、今後、具体的に検討を進めていきたいと考えています。

柚木委員 そうしますと、当然これは、これまで議論にもなっております財源の手当ても含めてしっかり本当にお取り組みをいただくことが必要でして、期待をして、あるいは、これから初めての制度でもあって、親御さんの期待と同時に、ひょっとしたら多少不安もあるかもしれません。しかし、実際に始まってみれば、今の受け皿の整備、あるいは保育の質も含めてのそういう充実と同時に、保育料についても、この間、本当に何のために働いているのかと言いながらも、しかし働かざるを得ないから、認可外にお預けをして一生懸命共働きをしてという御家庭にとっても、そういう受け皿ができてよかったという形になっていこうかとも思いますので、ぜひこれは、財源の手当ても含めてしっかりとしたお取り組みをお願いしたいと思います。

 この保育所整備について、もう一点、病児保育について少しお伺いをさせていただきたいと思います。

 実は、私ごとで恐縮なんですが、先週から今週にかけて、一歳四カ月の娘が四十度前後の高熱を発しまして、きょうの段階で、けさ電話したら多少下がってきたと。やや心配しながらこうして質疑をさせていただいている。初めての高熱です。

 それで、病院に週末、私も一緒に小児科のクリニックに連れていきましたが、そこがちょうど病児保育もやっているところで、ただ、私の倉敷市というところは人口五十万近くありまして、昔の旧三市が合併して、さらに二つの町が今一つになって、大体五十万人ぐらいの人口ですけれども、私の選挙区の場合、旧三市合併、あと一つの町があるんですが、その区分、大体、大まかに四つに分けて、病児保育がそこに一カ所ずつ、これは病院、診療所の形態です。何しろ感染症等がはやると、あっという間にパンクをして、とても回らない。ですから、こういうところもしっかりと充実をしていくことが、まさに保育所整備の全体的な絵姿として非常に重要になってくるのではないかとも私は思っております。

 この病児保育の充実、拡充について、これまでのお取り組みは、全体で千カ所以上の、これは千二十六カ所ですか、今のいわゆる病児・病後児の病院、診療所、あるいは保育所の中でも看護師さんを配置してという形態で。

 ただ、これは計画の状況を見ていると、二十一年度で三十一万日というカウント、利用になっていますが、これが、目標、二十六年に二百万日の体制、受け皿を整備する。二十四年、現状としては大体約四十万日ということでありますので、これはちょっとなかなか厳しい進捗状況なのかなと率直に言わざるを得ません。

 近所に、おじいちゃん、おばあちゃんが同居しているとか等、そういう環境にあればまた別ですし、看護休暇等の取得率、これもちょっと調べてみましたら、十七年度と二十年度の数字で、男性は二・五、二・五で横ばい、女性は十七年度九・二パー、二十年度が一五・二%。これは、恐らくとりたくてとっている人でこうではないと思うんですね。

 ですから、そういうことも含めて、ぜひこの病児保育の充実等への取り組みについて御答弁をお願いできればと思います。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、本来であれば子供が病気のときには親が見るのが一番だとは思いますから、看護休暇がとれるようにする、それが第一だとは思います。

 そちらも推進をしたいと思いますけれども、なかなか、厳しい勤務の状況などでそうとれない。私自身も、やはり一番苦労したのは子供が病気になったとき。今、孫が病気になってもやはり両親のどちらかが休まないとだめということで、病児の保育が非常に小さいので、そのなった日が一番困るんですが、その日には診断書もないし、さらに重篤な子供が来れば入れなくなるしということで、ここは本当に大きな課題だと思っています。

 今御紹介いただいたように、二十二年一月に閣議決定しました子ども・子育てビジョンで、二十六年度に二百万人に目標を設定しています。

 これにつきまして、病児保育、病後児保育は、その利用児童の数が大幅に変動することとか必要な看護師などの職員を確保すること、これが課題なので、今回の新しいシステムでは、市町村が病児・病後児の保育も含めてその地域での需要を把握して、計画的に提供体制を整備する、そして恒久財源を確保して、しっかりと質的な改善と量的な改善が図られるように市町村を支援していって、しっかりとその目標が達成されるような仕組みにしていきたいと考えています。

柚木委員 御答弁ありがとうございます。

 本当に、この進捗率を見ていると、やや目標達成がおぼつかないと言わざるを得ないところもありますので、今おっしゃっていただいた形でのお取り組みをしっかりとお願いしたいと思います。

 一つだけこれはお願いを申し上げて次に入りたいんですが、私も現場の保育園の方、保育士さんや園長さんとお話ししていると、ゼロ歳児で看護師さんを配置するということは、結構年度ごとにゼロ歳児の受け入れに変動もあって、そうはいってもその年だけ来てもらって次の年はもう結構ですというわけにもなかなかいきませんので、そういったところも含めて仕組みをより柔軟な形で工夫もいただくことをお願い申し上げまして、そうすることによって多分受け皿の拡大にもつながっていくと思いますので、ぜひお願いを申し上げて、次の質問に入りたいと思います。

 実は、今病児保育のことを申し上げたのは、保育園の整備、こういう形で総合こども園等、あるいは従来の認定こども園等のいろいろな形でとにかくベストミックスでふやしていく。ただ、それこそ感染症がはやって一人のお子さんが園の中で感染されて、しかも、もしそのまま親御さんが気づかれずにいらっしゃっていた場合等は、もう本当に、下手をすれば全員に感染をする。そういうことになれば、閉園というか、学校でいえば学級閉鎖。そういうことが続くようなことでは、幾らその受け皿を整備してもその時期になるともう機能しない、そういうことにも至りかねませんので、そういう視点において、ちょっと次、最近、政府の中で予防接種部会でいろいろな取り組みが進んでいくという形の議論がなされておりますので、関連して少しお尋ねを申し上げたいと思うんです。

 先ほどの、保育所がそういう形で閉園をしてしまうようなことというのは本当に私の地元でもやはりお聞きをすることでして、今回、これまで予算措置として、子宮頸がん、そして小児用肺炎球菌、Hib、この三種のワクチン、これの定期接種化に向けた取り組みを進めていく。あるいはそのほかにも、水ぼうそう、おたふく、成人用の肺炎球菌、さらにはB型肝炎、あるいはその先にロタウイルス等も含めて私はぜひお取り組みをいただきたいと思っているんです。

 順次そういう形で、いわばワクチン後進国とも言われる我が国。WHOが、日本の医療は、コスト、アクセス、クオリティー、これは世界ナンバーワンだと。平均寿命も、男性、女性トータルで一番、女性が一位、男性四位、健康寿命が。そういう中にあるにもかかわらず、子供たちの、特にワクチンの部分については後進国、ワクチンラグ、ギャップとまで言われている。これをやはり進めていく。まさに、大臣がこの間御答弁もいただいてきている、子育て支援は全体、パッケージなんだと。私は、実はこの予防接種の部分というのはまさにそのパッケージの重要な一部をなし得るものだと思っております。

 そこで、最初の課題は、これは本当にこの三種を定期接種化していく。これは現在、九割を公費、国費ですね、予算措置で。しかし、これが定期接種化されれば、自治体の負担分が三分の一。そういうことになれば、定期接種化は、これは親御さんにしてみればありがたいんだけれども、自治体にしてみれば、財源的な部分からいうと、ありがたいんだけれどもなかなか厳しい部分もあるということであります。

 きょう、総務大臣にも御同席をお願いしているのは、消費税の地方分の部分でございます。今回、高齢者三経費を社会保障四経費に拡大をする。まさに子育て支援が加えられたことが、ある意味では私は非常に大きなポイントだと思っています。地域主権、地方の裁量権を尊重しながらではありますが、こういった例えば予防接種等に、これは自治体ごとに公費を拡充して現状の親御さんの負担を軽減する取り組みはさまざまありますが、仮に、消費税八パー、一〇パーという形でなっていった場合に、この地方消費税分というのも、今後、予防接種等への、予防医療も含むと思いますが、充当が可能なのかどうかという御見解をちょっと総務大臣にお答えいただければと思います。

川端国務大臣 御質問ありがとうございます。

 今回の改革による地方消費税率の引き上げ後は、引き上げ分の地方消費税収については、「社会保障施策(社会福祉、社会保険及び保健衛生に関する施策をいう。)に要する経費に充てる」こととされておりまして、これを財源にして市町村に交付される交付金についても同様の使途に充てることとしておりますので、委員御指摘の市町村が行う予防接種に関する経費についても、これは社会保障施策に要する経費に当たるものとして、引き上げ分の市町村交付金の対象とすることができると解されるものと思っております。

柚木委員 ありがとうございます。

 実は、このために御答弁にお越しいただいて大変恐縮だったんですが、これは現場の自治体、そしてまたある意味では医療関係者、もちろん製薬関係の団体さんも含めて、やはりそういう地方の部分の財源がしっかり担保されなければ、本当に私も、自分の地元岡山県で予防接種、うちの娘はそういう年代で、ずっと受けていて、正直高い。特に定期接種化までいっていない部分も含めて言うと、スケジュールも過密だし高いしということで、それを本当に定期接種化していくことで親御さんたちの負担感の軽減、まさに子育てしやすい日本になっていくと思います。

 今の御答弁をいただいたわけですが、それを受けまして、小宮山大臣、やはり厚生労働省としても、この間特に話題になってきたのは、例えばポリオの生ワクチン、これは不活化、自治体によっては、助成もして受けられる。神奈川なんか、そういう事例がありましたが、そのほかにも、例えばロタウイルスについても、現状、全国で二十七の自治体が公費助成をもう既に行っている。残念ながら私の地元関係では、中四国ではまだ、私の岡山県の西粟倉村一カ所ですね。ですから、そういう意味では、全国の中で財政力のあるところは、名古屋もそうですね、どんどんやっていく。しかし、そうでないところではそういう形の助成が受けられず、親御さんたちもなかなか接種が、財政的な負担の壁がある。

 同じ日本に住んでいて、国民皆保険の国で、予防接種と医療、治療との違いはあるにしても、そういう必要なことが受けられるところと受けられない、まさに自治体間のワクチン格差、ギャップ。世界とも格差があって、国内でも格差がある。こういう状態では、本当に安心して子育てということになかなかならないわけでございます。

 これは、先ほどの総務大臣の御答弁もいただきましたが、厚生労働省といたしましても、こういった自治体間のワクチン格差等が現状多少ある、あるいは今後起こらないための財源確保の取り組みを、総務省との連携も含めてしっかりと取り組んでいくという部分での御答弁をぜひお願いできればと思います。

小宮山国務大臣 おっしゃるとおり、日本では予防接種の行政がおくれてきたという認識は私も強く持っていまして、予防接種部会の第二次提言で、子宮頸がんなどの今回そうすることにしました三つのワクチン以外にも、成人用肺炎球菌等のワクチン、これについても広く接種を促進することが望ましいということで、財源も確保しながら、今七つのワクチンが課題になっていますけれども、それは順次進めていくように、財源の見合いですけれども、やっていきたい。

 今御指摘のロタウイルスワクチンにつきましては、予防接種部会のもとで医療費削減効果を含む評価を年内をめどに行っていますので、その結果を待って検討していきたいと思います。

 ポリオの不活化ワクチンにつきましては、安全性を担保しながら今迅速に承認を進めていまして、九月からの秋の実施に際しては、皆さんが受けられるようにしているところです。

柚木委員 ありがとうございます。

 定期接種化に向けての迅速化と同時に、その他、この後ちょうどロタワクチンのことも伺おうと思って、今御答弁いただいたんですが、御答弁を受けて、大変恐縮ながら、そのロタのことに関して申し上げますと、まさにこの間、承認されてから予防接種部会の議論にのるまで既に六カ月たっていて、そして、それから実は今六カ月たっていて、一年たっているわけですね。

 これはもう本当に、この後の質問にもなるんですが、ワクチンラグ、ギャップの追いつくまでの取り組みは、今、るる予防接種部会でもなされている。ただ、逆に、それでは追いついた後に、今の三種の話、今後の残りの三つ、四つ、五つ、取り組んでいかれるわけですが、今非常に、そういう意味では、予防接種、ワクチンの部分が国民の皆さんからも、特にそういう年代の方から注目も受けていて、いろいろな取り組みが進んでいますが、一過性のものであってはいけないわけですね。

 ですから、今後、恒久的、恒常的にそういったラグやギャップが生じないための受け皿の整備、これは、専門家の議論の中では、ACIPというアメリカの組織に倣って日本版ACIPという言い方もされるわけですが、今後、予防接種部会をワクチンの承認とうまく連携させて、そして定期的な開催も含めた、これは必要があるときだけ開催されるわけですね、今回ロタもそういう形になっています。ですから、もう少し柔軟な形かつ定期化も含めた、そしてその上で迅速な評価ができるような体制整備が急務、まさにこれが日本版ACIPとも呼ばれる部分だと私は認識しております。

 実は、我々、党の中で、医療・介護ワーキングチーム、私が座長をさせていただいておりますが、その予防接種法小委員会の中でそういった提言を今般させていただいているところでもございまして、そういった、本当に迅速な評価、体制整備のための受け皿づくりについて、ぜひ御答弁をお願いできればと思います。

小宮山国務大臣 今、全体に、医療イノベーションの中でも、ドラッグラグ、デバイスラグをなくすための取り組み、さまざま進めていますが、新たなワクチンの評価を含めまして、予防接種施策、これを中長期的な観点から総合的、定期的に評価検討する仕組みが必要だと、今おっしゃった、柚木委員が中心になってやっていらっしゃる民主党の厚生労働部門ですとか、それから予防接種部会からもそうした提言を受けています。

 厚労省としましては、予防接種制度の見直しの一環として、予防接種部会を発展的に充実させた評価検討組織、これを定期的に開催して新たなワクチンの評価などを積極的に行っていくように、御提言も受けて検討していきたいと考えています。

柚木委員 ありがとうございます。

 科学的な裏づけ等がなければ、これは副作用等いろいろな部分も踏まえてですから、それはちゃんと段階を追っていただきたいんですが、ぜひこれを迅速化していただきたいもう一つの視点が、この間、社保と税の一体改革、社会保障の充実はもちろんなんですが、適正化、効率化の視点も当然必要でございます。

 実は、この予防接種等に予防医療も含めて取り組むことで、例えばロタでいえば、これは先ほど保育園の例を言いましたけれども、何しろ感染率、ゼロ歳から五歳児まで九五%、なおかつ大人にも感染して、これは重篤な事例になると後遺症も残りますし、本当に家庭みんなが、もうお父さん、お母さんも仕事を休む。保育園も、場合によってはそれで全部うつって、閉園の例もよく聞きます。

 そういうことも含めた経済的な、定期接種化した場合の国全体の費用試算が、もちろん接種率にもよりますが、大体二百億円ぐらい、しかし、全体としての適正化効果が三百億円という試算があるんですね。つまり、導入コストよりも適正化効果の方が高い。

 さらには、今まさに予防接種部会でも取り組みをいただいています、例えば、小児用の肺炎球菌は今回、三種ですが、成人用の肺炎球菌、これを高齢者の皆さんに定期接種化ということが成れば、実はこれは、もちろんスパンとして五年、十年のスパンで見なければいけませんが、誤嚥性肺炎等のいろいろな防止効果も含めて五千億円ぐらいの医療費適正化効果につながる。

 ですから、まさにこの医療費の適正化も含めた取り組み、そして、今回、ロタでいえば本当にそういった効果もある。私の地元倉敷市でも、これを導入するのに一億九千万超ぐらいですけれども、実際導入すれば、これはポイントは、翌年からもう効果が出るということなんですね、ロタの場合には。大体一億五千万から六千万ぐらいで三千五百万円ぐらいの適正化効果が見込める。ですから、子供の命を守り、健康を守り、なおかつ財政再建の部分に含めてもこういった効果が見込めるということでございまして、安全性をしっかりと担保していただいた上で、迅速なお取り組みをお願いしたいと思います。

 残り時間がもう少なくなってまいりましたので、最後の項目に入らせていただきます。

 実は、皆様方も御存じかもしれませんが、この間、いわゆる少子化対策の部分、もちろんこれは政権交代前後も含めてずっと取り組みをなされてきているわけですが、直近の幾つかの数字を見ますと、よく言われる部分でいえば、直近のデータで、待機児童が四年ぶりに減少に転じたとか、あるいは出生率、いろいろな要因がありますけれども、二年ぶりに上昇に転じた部分があるとか、いろいろなそういう報道があるんですが、私が実はちょっと注目した報道が少し前に二つほどありました。

 これは、実はこの後の、イクメンプロジェクトという、お母さんだけじゃなくてお父さんも一緒に子育てに参画をする取り組みが今、国としてもプロジェクトを推進されているわけです。それともかかわるということで御紹介をいたしますと、実は、直近の男性の育児休業の取得、これは、一九九九年、最初のスタートは〇・四二%で、最新の前年の二〇一〇年度調査は一・三八%。ところが、二〇一一年度、直近の調査では、ほぼ倍増、過去最高の二・六三%の男性が育休を取得している。もちろんこれは、目標に対してはまだまだです。本当にまだまだで、二桁台を目標にしているわけですから。しかし、これがもしこの倍々のペースで本当にふえていけば、到達も夢ではない。

 そういう部分も含めて、これは私、一つは、ひょっとしたらばこのイクメンプロジェクトという、イクメンという言葉も一昨年でしたか流行語にも選ばれたり、かなり国民の皆さんにも普及してということも含めてこういう効果があるのかなと思うんです。

 実は、先ほど三歳の壁ということを言ったのは、子供さんの数でいう二人目の壁、これが本当に大きな問題になっております。

 このイクメンということのかかわりでいうと、私も我が事だと思って、人ごとじゃないと思って驚いたのは、お父さんがお休みの日に子供さんと一緒に遊んだり、今言ったように育児にかかわったりお手伝いしたり、六時間以上そういう時間をとられている御家庭と、まさに私はそうじゃない、もう家にいる時間が寝る時間を除いたら六時間もない、ですからそうじゃない側だということで深刻になったんですが、これは、そうでない側との二人目のお子さんが生まれる格差が七倍、七倍の開きがある。これは直近の厚労省の調査でございまして、ちょっと私、これは深刻、自分自身も本当に頑張ってイクメンにならなきゃいけないなという思いになったんです。

 そうはいっても、男性の育休が倍増した部分の、なぜそういう形になっていったのかの要因、この分析の先に対策があると思いますので、この要因と同時に、今後どういう対策に取り組んでいかれようと思っているか、お答えいただければと思います。

小宮山国務大臣 今、いいデータを御紹介いただきましたけれども、本当に、父親が育児に参加すると子供の数が多いというのは、これはもう世界じゅうでそういう形の統計がとられています。

 今御紹介いただいたイクメンプロジェクト、そのほかにも、二十二年度から男性の育児休業を内容とする法改正ですとかを行っています。このイクメンプロジェクトは、ネット上で参加型のサイトを運営しまして、本人が育児に対する夢ですとか決意を登録するイクメン宣言、それから、家族、同僚、企業などが応援メッセージを登録するイクメンサポーター宣言、このようなものを実施しています。

 これからも、育児休業の男性の取得率、平成三十二年に一三%というのが政府目標ですので、企業への働きかけとか、これはワーク・ライフ・バランス、働き方の問題もあると思うんですけれども、それを働きかけていくことと、あと中川男女共同参画担当大臣が主唱をされまして、まず足元、各省庁の中でイクメンクラブをつくって推進していこう、そのような足元の取り組みも加えてやっていきたいと思っています。

柚木委員 ありがとうございます。

 最後にお尋ねする前に、今の省庁横断的な取り組みというのは、私も、きょう、子育て中の同僚議員もいらっしゃるでしょうし、先輩議員もいらっしゃると思うんですが、まさに党派を超えて、実は今、イクメン議連準備会というものを立ち上げて、やろうとしておりまして、ぜひ先生方にも御賛同いただいて、この取り組み、ちょうど育休倍増ということですから、これはもうお子さんのいらっしゃる、いらっしゃらない、あるいは結婚、未婚かかわらず、皆さんのお知恵をいただいて、取り組んでまいりたいと思っています。

 最後に、実は、この育休の取得率、詳細に分析をいただきたいと申し上げた理由があります。では、二・六%の内訳、企業規模、業種、業態はどうなのか。これは、まだ詳細な分析は、速報値ですからこれからということでございまして、恐らく想像するに大企業中心です。

 中小企業のある方から切実なお話をいただきました。

 実は、中小企業の子育て支援助成金という仕組みがありまして、昨年九月にこれがちょっとリバイスされていますね。

 私が以前御質問申し上げた際に、どういう問題意識だったかというと、その助成金は、その中小企業さんで初めて対象になるお子さんが助成金の対象で、なおかつ五人目までという枠ですね。

 私、びっくりしたのは、一人の方が生まれて、その会社が対象になって喜んでいた。同じ方、二人目が生まれた。またあの企業の助成金を使って育休したらいいよ。とれない。なぜだという問い合わせが来たんですね。一人目の方しか、同じ人だと対象にならない。

 これは本当に極論ですけれども、では、もう中小に勤めている方は二人目を産むなよ、育休もとれないよと。そんなことになってしまっては何のための子育て支援なんだということで、これはぜひ制度そのものを改善してほしい。大企業だけでなしに、中小に勤めていてもちゃんと育休がとれる、そういうこともあってのパッケージの子育て支援だと思いますので、ここへの改善点、私は改善されるというふうに聞いていましたので、ちょっと御答弁をいただきたいと思います。

中野委員長 小宮山厚生労働大臣、時間が来ております。端的にお答えください。

小宮山国務大臣 委員の御指摘も参考にしまして、二十三年、昨年の九月に助成金を再編しまして、中小企業子育て支援助成金にかえて継続就業支援コース、これを創設するに当たりまして、同じ労働者が複数の子について育児休業を取得した場合も助成金を支給するように変えております。

柚木委員 ありがとうございます。本当に、今後も党派を超えて取り組んでいきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

中野委員長 以上で柚木君の質疑は終了いたしました。

 なお、開会が二分おくれましたので、お手元の日程表は二分ずれがあります。御了承ください。

 次に、藤田憲彦君。

藤田(憲)委員 民主党の藤田憲彦でございます。

 本日、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 社会保障と税の一体改革についての議論も進んでまいりましたが、これは率直に言いまして、この社会保障と税の一体改革ということ、売りというものを、これはやはり国民の皆さんにしっかりと伝えていく必要があるのではないか。

 この質疑の中でも、再三にわたって、消費税のことがどうしてもスポットライトを浴びてしまう、そこばかりが注目されるというお話もありました。しかし、これまでの質疑で私が非常に重要だと思っているのは、これまでの社会保障というものが、いわゆる高齢者三経費の医療、年金、介護というものから、全世代対応型になって、人生前半の社会保障に厚みを持たせていく、そこで子育てというものが一つそこに加わっている。これは、私は大きな売りだと思います。

 年金の議論の中にもありましたが、若者がこれから年金を納めていくに当たって、今のような高い給付は受けられない、これがやはり年金を支払うということの意欲を損なうというような議論もありました。

 しかし、逆に言えば、この人生前半の社会保障を充実させていくということによって、トータルによってはきちんと支援されるんだ、そういう仕組みを私たちが訴えていくんだということは非常に大きい売りだと思っておりますし、それを実現するための手段として消費税というものがあるのであって、そこは目的ではないということは、これは本当に重要な論点であると思っております。

 そうしますと、この社会保障と税の一体改革の中におけるいわゆる全世代対応型としての人生前半の社会保障の重要性はもちろんのこと、そもそも、政権交代が図られてから、これまでも、私たちはこの改革で突然それを始めたわけではなくて、ずっと一貫して私たちは取り組んできたわけでありますけれども、ここで改めて、この改革も含めて、政権交代後、現実にどれぐらいの充実が図られたかということについて、一体改革担当大臣の方から御答弁をお願いしたいと思います。

岡田国務大臣 今、委員御指摘のように、政権交代後、国民の生活が第一という基本理念のもとで社会保障の充実に取り組んできたところでございます。特に、子ども・子育て支援強化など、人生前半の社会保障の充実に努めてきたところです。

 具体的に申し上げますと、まず、新たな児童手当制度の構築がございます。途中いろいろございましたが、野党の皆さんの御理解を得て、現在の児童手当制度ができております。これは、政権交代前と比べますと、金額では抜本的に拡充された。例えば、ゼロ―三歳児、一万円が一万五千円、それから小学校までは、第一子、第二子五千円、第三子以降一万円が、それぞれ一万円、一万五千円、それから中学生は従来支給がなかったものが支給されるということで、内容的に非常に充実されたものになっているということでございます。

 それから、保育所定員の増加につきまして、平成二十二年一月に子ども・子育てビジョンを策定いたしました。平成二十年比、平成二十六年で二十五万人増の二百四十一万人ということにいたしまして、毎年五万人程度ふやすということにしております。既に数字が出ております二十二年度は、四・六万人増ということになっているわけであります。

 こういうことの結果、子ども・子育て関係予算、平成二十一年度一・七兆円が二十四年度には三・六兆円ということで、倍以上にふえているということでございます。

 こういう実績があるということで、今回、それに加えて新たな子ども・子育て支援策、さまざま準備しているところでございまして、子育てと仕事が両立し得る日本、そして子供の立場に立った子育て支援というものが質的にも量的にも大きく拡大しているということは言えると思います。

藤田(憲)委員 ありがとうございます。

 特に予算に関して、一・七兆円から三・六兆円にふえたということ、これは大変大きな成果だと思っておりますし、このことを、声に上げて言わないまでも、実感をしている方というのはたくさんいらっしゃると思います。

 きょうお配りをしている資料のまず一ページ目は、この現物はこれでありまして、私たちがいわゆる車座集会、ミニ集会で活用しているパンフレットでありまして、これは非常にわかりやすい図だと思います、給付と負担のイメージとしてこういうふうになっているんだと。これによって、いろいろな気づきもあれば発見もあるし、そしてまた、いろいろ質問も出てくるわけであります。

 こういった表を有権者の皆さんに説明すると、一方で、でも年少扶養控除の廃止等々で負担の増加というところも見られているではないかというような意見もいただいていて、率直に、トータルとして、では、負担はふえたのか、減ったのか、どうなのかというようなところが、私たちはいろいろな場面で問われるわけであります。

 この点について、わかりやすく厚生労働大臣からお答えいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 もともと子ども手当を考えたときに、これは民主党が、従来、党の税調の考え方として、高所得の方に有利な控除から、低所得な、支援が必要な人に有利な手当にという形で、控除から手当へという考え方で創設をした制度です。ですから、もともとは、控除でなくした分を手当に変えるということだったんですが、それに上乗せしたい部分について、ちょっと財源の見通しが甘く、実現していなかったということは、おわびをしているところです。

 子ども手当創設前の平成二十一年度には、児童手当の給付総額がおよそ一兆円、年少扶養控除等による税負担の減少額がおよそ一・一兆円でありまして、総額で二・一兆円でした。これに対しまして、年少扶養控除を見直して手当額を増額した結果、来年度以降の児童手当の給付総額は二・二兆円強と見込まれるため、総額で見ますと、少しですが負担は減少しているということです。

藤田(憲)委員 今のお答えで、二・一兆円の負担の増加と二・二兆円の給付ということで、非常にとんとんというような感覚もありますが、ともかくも、その差はわずかではあっても給付の方が結果的にはふえているということは、これも一つ重要な情報だと思いますし、私たちは理解に努めていかなければいけないことであると思っております。

 それに関連しまして、今回、子ども・子育てということと同時に、少子化というものが大変大きなテーマとなっております。

 これは私ごとですが、私は昭和四十八年生まれでございまして、まさに第二次ベビーブームの一番の最盛期であります。ちなみに、私が生まれた昭和四十八年というのは、この年に生まれた出生数が、資料によりますと二百九万人ということでございまして、現在、平成二十三年で見ますとこれが百五・七万人ということですから、ざっくりと、もう半減してしまった。これは大変な減少幅だというふうに思います。いかに少子化が深刻であるか。

 そしてまた、昭和四十八年、もう一つ重要なことは、この年の合計特殊出生率が、これも今まで議論がありましたけれども、初めて少子化がスタートした年ということで、合計特殊出生率が二・一四ですね。ここから減って、昭和四十九年から二・〇五になった。このまた変わり目の年でもあったというふうに理解をしております。

 そして、この出生率、すなわち少子化というものがどれぐらい大きなインパクトがあるかということ、この特別委員会の中での議論でいいますと、例えば年金の財政にも大きくかかわってくるということもこの委員会の場で審議をされてまいりました。

 法定で定められている保険料ですとか、あるいは支給開始年齢等々というような事柄だけではなくて、財政検証においては、これは資料の二ページ目に、合計特殊出生率の推移と将来人口推計における仮定値というものを置いておりますが、こういったものをベースとして所得代替率が推計されている。これは、当然のことながら、出生率が減少してしまうと、それだけやはり年金財政においても大きなインパクトがある、担い手が減っていくということでありますから。やはり、少子化というものが、国家百年の計ということを考えたときには非常に大きな問題だということは、改めて認識をする次第でございます。

 そこで、まず率直にお伺いしたいのは、今回、社会保障と税の一体改革において、当然、この少子化ということも大きなテーマに入っているわけですが、どれくらい出生率は回復する見込みを立てていらっしゃるのか。この点について、社会保障一体改革担当大臣の方から御答弁いただきたいと思います。少子化担当大臣ですか。どちらか、お願いいたします。

小宮山国務大臣 今回、結果として少子化対策にもなるというふうに考えています。

 今、若い方たちは、結婚して子供も二人以上持ちたいという希望を持っていらっしゃる方がかなりを占めているんですけれども、現在の雇用情勢とか将来の不安などから、持ちたい数の子供が持てていない。そのことのために、子ども・子育てビジョンでも、出生率そのものをまず目標値とするのではなくて、個人のそういう希望がかなえられるような数値目標を定めています。

 今回の子ども・子育て新システムの中でも、さまざまな、保育と教育を一緒にやるような仕組みをつくるなどしまして、その希望がかなうようにした結果、持ちたい数の子供が生まれて、結果として、出生率が上がっていく、少子化対策にも貢献をするということだと考えています。

藤田(憲)委員 ありがとうございます。

 この合計特殊出生率、これを目標としていないということは、これは極めて重要なことであると思っております。

 といいますのも、例えば社会保障と税の一体改革の消費税のこの議論の中でも、名目経済成長率三%、実質経済成長率二%というような、経済政策においては明確な数値目標が定められている。それを実現するためにさまざまな取り組みがなされている。

 少子化というものも非常に大きな政策課題であるのであるとすれば、当然、いわゆる普通の、常識的な発想からすると、では、何でそれは数値目標がないのかという話になってくる。しかし、これが、私は、この少子化という政策の非常に重要でかつ難しい点だと思っております。

 では、少子化というものを、出生率に数値目標を定めてよいのかという議論が当然出てまいりまして、出生率に目標を定めるということは、これは望まぬ妊娠も含めて、とにかくふやせばいいのかということになってしまいますし、出産それから育児というものに関しては極めて家庭的な側面がありますから、この少子化政策、これは子ども・子育てについても同様でありますが、経済政策と大きく異なる点は、国がどれぐらいまで家庭にアプローチしていいのかという、この間合いのとり方、ここが非常にこの政策の難しいところだというふうに理解をしております。

 これは参考までなんですが、昔、昔というのはどれぐらい昔かというと、昭和十四年ですが、昭和十四年に厚生省が結婚十訓というものをスローガンとして発表したことがありまして、当時は、いわゆる将来の兵隊さんの数が減ると困るというような観点からこのスローガンが出されている。

 ここで詳しく説明することはいたしませんが、一生の伴侶に信頼できる人を選べですとか、盲目的な結婚を避けよですとか、迷信や因習にとらわれるなという、今の感覚からすると極めておせっかいなことをスローガンとして言っているなというふうに思います。

 ここで重要なことが、最後の十番目でございまして、最後の十番目は、産めよふやせよ国のため、これがスローガンとして掲げられていた。

 我々の少子化の対策というもの、政策というものは、こういうものではないのだ。あくまでも、家庭の中における自立、そして子育てという、一人のいわゆる個性に着目をした政策であって、そして家庭の、親御さんだけではなく、将来生まれ来る、あるいは生まれてまだ物も言えない子供たちのことも考えて、しんしゃくをしてこの政策を進めていかなければいけない。したがって、だからこそ数値目標というものは置かず、結果としてそれが改善されるような政策を定めていく。その結果として、今回、子ども・子育ての新システムに基づくこういった総合こども園の法案が提出されている。

 こういった文脈が私は非常に重要な点であると思っておりまして、経済政策と異なる点だということも、今回のこの特別委員会の中で理解をしている点でございます。

 少子化というものはそれぐらい重要でありつつ、かつ難しい問題だということであることを認識しながらも、一方で、家庭の立場からすると、子育ての問題に関しては、これはこども園等々、保育所、幼稚園等々の問題だけではなくて、前に柚木さんもお話しされましたが、では、子供が病気になったらどうするのか。そもそも、産む前の産科に関して、いわゆるお産がしにくいというような環境がある。これは、その前段階でありながらも、夫婦にとっては非常に重要な、かつ切迫した問題であろうかと思います。

 そうすると、どうしてもこの社会保障と税の一体改革の対象が、法案に即して言うと、年金と子育てとそして消費税ということに着目をされてしまうがゆえに、あれっ、医療についてはどうなったんだ、小児科ですとか産科についてはどうなったんだというような問いかけが出てきますし、ここは決して重視をしていないわけではないということを、これはやはり政府の立場としてきちんと言っていただく必要があると思います。

 そこで、まず、この社会保障と税の一体改革の中で、今回一・六兆円分がいわゆる充実分として医療、介護の方に振り分けられておりますけれども、これまでの私たちの産科、小児科に対する取り組みとあわせて、この社会保障と税の一体改革の中ではどのような取り組みがなされているかについて、厚生労働大臣から御答弁をお願いいたします。

小宮山国務大臣 これまでも、今回、法案は医療の関係、提出していませんけれども、診療報酬とか予算措置という形でやってきています。

 厚労省としましては、文部科学省と協力をして、まず、産婦人科、小児科などを含めました医師不足の診療科等で勤務を条件づけることができる地域枠、これを活用した医学部入学定員の増員を行っています。また、今年度予算でも、新生児医療ですとか産科を担当する勤務医の手当、また周産期母子医療センターに対する財政支援などを行っています。さらに、今年度の診療報酬改定でも、リスクの高いお産を行う妊婦の入院、小児の特定集中治療室の評価の充実などを行っています。

 この一体改革の大綱では、医療提供体制につきまして、病院、病床の機能を分化して強化するということ、在宅医療の推進、医師の確保対策、チーム医療の推進、こういう方向性を示していまして、こういう提供体制にするために、最初に申し上げたように、診療報酬改定ですとか補助金などの予算措置、制度改正、こうしたことで改革を実現したいと思っています。

 こうした取り組みに加えて、一体改革の取り組みを通じまして、さらに産科、小児科医療を含めました医療サービス全体の充実を図っていきたいと考えています。

藤田(憲)委員 これは私からの要望でございますが、今の取り組みに関しても、医師の定員の増加、診療報酬の充実、それから財政支援措置等々、これらが極めて重要な措置であるということは理解をいたします。ただ一方、今回の例えば総合こども園の法案と比較をすると、これらというのは、患者の立場になったときにはなかなかそこは目に見えてこないというところがありまして、患者といいますか利用者の立場に立ったときに、産科、小児科というものが目に見えてこういうふうに変わる、こういうふうな改善がなされるというようなところについても、率直に私が感じたのは、打ち出しが必要なのではないかと思います。

 そうしますと、この社会保障と税の一体改革というのは、改革というのは当然終わりがないわけですから、平成二十四年以降も、平成二十五年、六年とこの改革が継続をしていく中において、今後は、医療についての充実、しかも、それも、目に見えるような部分の充実も図っていくことがまさに全体において理解を得ていくために必要な要素ではないかと思いますので、この辺は御検討をお願いいたします。

 さて、それでは、この法案の質疑の方に入ってまいりたいと思います。

 レジュメの四番でございますけれども、今回の総合こども園法案に関しまして、まず(ア)のところでございます。

 そもそも、これまでも、総合こども園というものが設立される以前から、現行の保育所においても、株式会社、NPO法人が保育所を設立し運営することができるということになっておりますが、実は、いろいろな場でこの一体改革についてお話をするときに、先日、私のタウンミーティングに保母さんの方が来られまして、こういった株式会社、NPO法人が参入をしてくるということに関しては、やはり率直に心配を覚えているというような意見もありました。なるほど、やはりそういった懸念点もあるんだなというところを理解したわけでありますが、しかし、現在、保育所においては、こういった株式会社、NPO法人というものが現実に存在をするわけです。

 まず、事実として、株式会社及びNPO法人が設立している保育所というのはどれぐらいあるのか、この数について教えていただければと思います。

園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 平成二十三年四月一日現在の数字を申し上げます。ただ、数字が把握できていない岩手、宮城、福島の一部の市町村につきましては除かせていただいておるところでございます。

 全国で、まず、株式会社が設立している保育所は二百八十八カ所ございます。そして、NPOが設立をしている保育所は七十五カ所でございます。

藤田(憲)委員 ありがとうございます。

 株式会社で二百八十八、NPO法人で七十五ということでございますので、足して合わせると三百六十三ということで、今、保育所の数、ざっくり二万四千弱ということからすると、おおむね一・五から一・六%というような数であると思います。

 こういった株式会社、NPO法人による保育所も、当然、保育所として機能し運営されているわけでありますが、今度は、では、総合こども園というものができた場合に、株式会社、NPO法人の立場に立ったときに、自分たちは新しい総合こども園に移行できるのであろうか、審査基準等々において違いがあったらどうしようかというような懸念点、心配というのは当然湧き起こってくると思いますが、この点、総合こども園において審査基準等々で違いがあるのかどうかについて、お答えをお願いいたします。

園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 まず、総合こども園の認可基準でございますけれども、現在の幼保連携型の認定こども園、この基準を基礎として、これから制度の施行までに検討していきたいと思っております。その際に、この法律の中にも盛り込ませていただいておりますけれども、子ども・子育て会議を設置させていただきまして、当事者の皆さん方も含めて御意見をそこでしっかりといただきながら基準をつくっていきたいというふうに考えております。

 そこで、まず、保育所から見ますと、現在の基準で申し上げますと、学校としての基準がございませんので、例えば、運動場の面積基準であるとか、あるいは学級担任制の基準であるとか、そういったところは保育所には現在はございません、基準としては。したがって、そういったところの、いわば今の幼保連携型の認定こども園、ここの特例を基準とさせていただきながら、今後、そのもとに、つくる作業をしていかなければならないのかなというふうに考えておるところでございます。

 また、私立保育所から総合こども園、その基準が満たされた場合に、しっかりと移行していただきたいというふうに考えているわけでございますけれども、それは移行期間は約三年というふうに考えておりまして、その間、都道府県等による総合こども園の認可基準の条例制定であるとか、あるいは認可申請の手続などの施行準備がかかっていきますので、そういった点では、前倒しでできるような体制を私どもとしてもつくっていきたいというふうに考えておりますので、早目早目にそういった基準をお示しさせていただいて、速やかに移行ができるよう私どもとしても努めていきたいなと思っているところでございます。

藤田(憲)委員 基準の明確化というものは、運営する立場からすれば非常に重要だと思いますので、なるべく早くお示しすることが大切だと思いますが、今の御答弁からは、本質的に大きく変わるということではなくて、幼保連携型からくる運動場等々の当然の項目が入ってくるということであるならば、理解はしやすいのではないかと思います。

 さて、特に株式会社でありますけれども、株式会社が、総合こども園に参入をするといいますか、運営に携わるという事柄においては、今度は、利用者の立場にとっても、運営は大丈夫なのかというような懸念点というのは当然あると思います、出てくると思います。介護の場面で、以前、そういった、企業によって運営をされて、それが非常に非人道的な取り扱いがなされたというような事例からも、やはりこういったことが起きないような取り組みをきちんとしていかなければいけないと思っております。

 私たちがイメージするのは、もうかるためにあるいは利益をたくさん上げるためにこういった分野に参入をしてくるということであっては本来はいけなくて、一つの子育てに関して、株式会社という立場であっても、こういった部分に、ある意味、社会貢献の一環として参入をするというような気持ちでないと難しいんだろうと思います。

 といいますのは、当然、これも施設関連事業ですから、私もかつてサラリーマンをずっとやっておりまして、事業に携わった立場からすると、株式会社が参入したとしても、すぐに利益は出ないと思うんですね。当然のことながら、何年か赤字というものが続いてくると思います。

 そうしますと、今度は、この法案の中におきまして、今回、株式会社が参入する場合においては、いわゆる区分経理がきちんとなされなければならないとなっておりまして、いわゆる総合こども園事業においての区分会計でいいますと、総合こども園、社会福祉事業、指定こども園、指定地域型保育事業等々にしか使えないという形で、そこの総合こども園に入ったものについては出せないという形になっております。

 これは一応確認なんですけれども、区分会計から出せないということは法律で定められておりますけれども、では逆に、企業の別の事業の利益をここに繰り入れられるのかどうかということについて、これは事実確認をしたいと思います。

園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のように、総合こども園の設置主体におけるいわば組織の永続性であるとかあるいは公共性であるとか確実性、こういったところを担保するために区分経理を設けさせていただいておるところでございます。

 その際、総合こども園の経営等以外の事業への資金流出、これは禁止をさせていただいているところでございますが、逆に、総合こども園を運営する株式会社が他の事業の利益を総合こども園の区分会計に繰り入れること、これは、別に制限をしているわけではございませんので、可能でございます。

藤田(憲)委員 これは大変重要な点でありまして、こういった株式会社は、例えば別の事業で利益を上げているものを、これをいわゆる利益処分の一環として、処分といいますか、その利益をこういった子育ての分野にも使えるようにすれば、例えば、大手の企業が自分のオフィスの中に空きスペースがあるとすれば、こういったものを活用して、地域の方にも貢献できるように、あるいは自分の従業員の保育環境を整えるためにというような形での参入を図られるのが本来の望ましい姿だろうと思っております。

 一方で、今度は、そういった会社の参入を促進させるためには何らかのインセンティブが必要かと思うんですけれども、特に税制面等々でのインセンティブというのはあるのかどうかについて、これも御回答をお願いいたします。

園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 総合こども園ですとか地域型保育事業、ここに係る税制上の取り扱いにつきましては、平成二十四年度の税制改正プロセスにおいて、今後これを引き続き検討するという形になっております。

 したがいまして、二十五年度以降の税制改正要望において検討していくことになっていくわけでございますが、担当大臣からも、小宮山大臣からもお答えをさせていただいているように、こういったしっかりとした皆さん方が参入をしていただく、あるいは総合こども園がしっかりと立ち上がっていく、その際にはインセンティブを必ず設けていきたいというふうに私どもも考えておりますので、総合的な観点からこのことについては検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

藤田(憲)委員 ありがとうございます。

 時間が少なくなってまいりましたので、(オ)と(カ)の、公私連携総合こども園の意義と、それから保育教諭の資格については、これは端的な事実確認ですので、いわゆる公私連携総合こども園というものが新しく設けられた意義についてのみ御回答いただければと思います。

小宮山国務大臣 市町村が総合こども園の整備を進めていく中で、その中核的な役割を担う施設を設置するに当たりまして、市町村が運営に関与しながら民間法人の力を生かそうとする、そういうケースもありますので、公私連携型総合こども園、こうしたニーズに対応できる新たな選択肢として法律上設けているということです。

藤田(憲)委員 ありがとうございます。

 保育教諭に関しては、いわゆるスムーズな移行が図られるようにということをお願いしておきたいと思います。

 最後に、五月十日の泉健太議員の本会議における代表質問の中においても、逃げ水現象という言葉がありました。

 大臣も選挙区が東京の世田谷区で、私も東京の大田区でございまして、逃げ水現象というのは、自治体がせっかく保育施設をつくって育児における環境を拡充しようと思っても、そうすると、その情報を知った人がみんな引っ越してきたりして、結局また待機児童の数が解消しないという悪循環、これは本当に都市部の中においては切迫した問題であろうと思っております。

 これは本当に参考まででございますが、大臣の御地元の世田谷区、これは平成二十三年四月一日ですと、待機児童数は六百八十八人で全国第六位、私の地元が三百九十六人で全国十六位ということでございまして、やはり私たちからすると、ここは非常に現実の切迫した問題であると思います。

 今回のこの法案を通して、逃げ水現象に対して、当然、本会議の中でも市町村の子育て支援事業計画の策定等々ありましたが、この法案のいわゆるアピールポイントについて最後にお伺いをして、質問を終わりたいと思います。

中野委員長 小宮山厚生労働大臣、時間がなくなりましたので、端的にお願いします。

小宮山国務大臣 今の制度ですと、待機児童が五十人以上の市町村だけが整備計画をつくればいいようになっています。ですからそこへ殺到していくということになりますけれども、今回は、全ての市町村でニーズを把握して、市町村子ども・子育て支援事業計画、この策定を義務づけていますので、全てのところでニーズに合った仕組みがつくれる、そこへ財政支援もするようにしていますので、逃げ水現象は起こらないような仕組みにしたいと思っています。

藤田(憲)委員 ありがとうございます。以上で質問を終わります。

中野委員長 これにて藤田君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡田康裕君。

岡田(康)委員 民主党の岡田康裕でございます。

 総理が政治生命をかけるとまで言われているこの一体改革に関する特別委員会におきまして、こうして質問の機会をいただきましたことに、まずもって感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。

 藤井裕久税制調査会長が、消費税関係の論議の中で、そのとき何を発言したかということが、後に振り返って歴史の中に刻まれていくんだぞ、そういうふうによくおっしゃられておりました。そういう意味でも、本当にここでこうして発言させていただくということが、大きな責任を担わせていただいているんだということをかみしめながら臨ませていただければと思っております。

 また、よく野田総理が、胴上げ、騎馬戦、肩車という表現を使われますけれども、まさに私の世代が肩車の上に乗ってしまう世代なんです。うちは子供が三人おりますので、そうとはいえ、やはり座して待って、甘んじて肩車の上に乗って、子供たちがなかなか夢や希望が描けないというような社会にしてしまっては絶対にいけないと思っておりますので、そういう観点からも、本日の子ども・子育てに関するテーマの中で、ぜひ建設的な質疑をさせていただければと思っております。

 きょうは、通告させていただいている要旨の中にも五項目ほど記載をいたしておりますが、この間、このテーマについて、特に自民党の先生方や公明党の先生方が、本会議の代表質問ですとか、またこの特別委員会の質疑の中で繰り返し御指摘をされているような点を、真正面からちょっと、本当にそうなのかどうかというところをぜひ建設的に確認もし、議論をしていきたいと思うんです。そういう意味では、ちょっとお答えされにくいテーマかもしれませんけれども、ぜひ小宮山少子化担当大臣の方から御答弁がいただければと思っております。

 よく野党の先生方からおっしゃられる御批判というか御指摘の中に、今回の子ども・子育て新システムが仕組みを多元化する、複雑化するという御指摘が非常に多くございます。これは、うちの党の中の議員においても、いまだにちょっと気持ち悪く感じている人がたくさんいるんじゃないかと思うんですね。

 私もいろいろ資料をめくってみたんです。きょうお手元に質疑資料ということで何ページか準備しておりますが、例えば一ページめくっていただいた資料は、これは皆さんよくごらんになっていると思うんですけれども、例えばこういう資料を見ると、明らかに類型がふえているように誰もが感じるんですね。しかし本当にそうなんだろうかというところをちゃんと整理したいと思いまして、いろいろな資料を見るんですが、いい図がありませんので、いろいろな資料をもとに私の方で勝手に次のページをつくらせていただきました。

 これは、従来というか今は左側なんです。ですから、さっきのスライドですと、さも保育所と幼稚園、二つしかないところからふえていくかのように見えちゃうんですが、しかし、立ちどまってよく考えれば、保育所、二万三千ほどありますね。幼稚園、一万三千ぐらいですか。認定こども園というのが、五、六年前ですかね、自公政権下においてつくられて、数はまだ十分伸びていないけれども、九百十一カ所までふえてきている。その中もよく分解して見ていくと、この新システムの中でもたまたま出てくるような同じ書きぶりです、幼稚園型とか保育所型とか地方裁量型、幼保連携型とか。そもそも、もともとがこうなんです。

 ですから、この多元化した状態がそもそもスタートなんです。ここからこの新システム、総合こども園方式へ向かって、いかにこの類型を集約していくかという今回の新システムの位置づけではないかというふうに私は認識をしております。

 例えば、この図をもとに触れさせていただきますと、認定こども園というところ、例えば幼稚園がゼロ―二歳児領域にも進出をされる。

 実は私、自分自身、子供が三人おりまして、六歳、四歳、一歳なんです。ちょうど六歳の長男は、岡田克也大臣にも加古川で一度だっこしていただいたことがあるんですが、年少のころは認定こども園もされている幼稚園に行き、二年目以降は、選挙もありましたから認可外の保育所にも大変お世話になりましたし、最後は認可保育園に行かせていただきましたから、そういう立場からもこの点に非常に興味がありまして、では、ここからどう進んでいくかというところなんです。

 基本的に、認定こども園というのを、自民党や公明党の先生方はよくおっしゃいますけれども、これを進化、発展させたらいいじゃないかと。まさにそれをここでしようとされているわけですよね、実際問題。総合こども園というのにしていく、そこにこども園給付という給付のやり方を、ほかの仕組みも全部含めて一本化、一元化する中で名称がこう変わっていくというふうな話だと正直思うんです。

 認可の保育所は、民間のものは三年の期限を切って総合こども園に移行を義務づける、公立のものは十年という期限になっていますね。この官民格差というか、ここは後で御質問させていただきます。いずれにしても、認定こども園と保育所の領域、認可保育所の領域はドッキングしていくわけですね。

 幼稚園の方がこのこども園給付の枠の中に入れるわけですけれども、必ずしもゼロ―二歳をしなくても給付の対象にできるというふうにしたところが、待機児童の八割がゼロ―二歳なのに、そこがふえないじゃないかという、田村先生初め多くの方の御指摘を生んでいるんだろうと思うんです。そこは、なぜそういうふうにならざるを得なかったのかということは、通告しておりませんので流していただいても結構ですけれども、後のほかの質疑の中でもし触れていただければ幸いです。

 ですが、いずれにしましても、幼稚園、三歳から五歳までしかしないものも、この同じこども園給付の枠の中に入っていくわけです。そして、ゼロ―二歳を対象に運営をしていただけるところには、よりインセンティブが高いという言い方がよくされますが、より大きな財政的な措置がなされていくというインセンティブを働かせることで、幼稚園もできる限り総合こども園に入ってきてくださいねと。ですから、この図でも、総合こども園が幼稚園の領域に食い込んでいくようにあえて絵を拡大して描いております。

 もちろん、宗教的なところとか、塾のような形というとだめかもしれませんが、従来の私学助成に基づいて幼稚園をずっとやっていきたいというところは一部残るでしょう。そのことは、過去の経緯も尊重して認めているということで、小さく枠外に書かせていただいておりますが、これがまた多類型化するというような話ではないと思うんです。

 先ほど、ゼロから二歳のところの幼稚園の話がありますから、そこに、民間の株式会社でありNPOであり、より高いこども園給付が出るわけですから、そういうことで採算が成り立つと思えば民間からも入ってき得るわけですよね。そういうところで乳児保育所もできることを期待している。

 そして、認可外のところ、これは私も認可外の保育所の方から生のお声をいただくんですけれども、正直、私の選挙区なんかでしたら、待機児童という感覚は余りないんです、東京と違って。ですけれども、それは認可外保育所の存在、そこで受け入れていただけていることがある種前提になって待機児童がないかのように感じているだけである。親から見れば、認可の保育園も認可外の保育園も幼稚園にしても、そこにまさか税金が違う基準で不公平に入っているとは恐らく気づかれていないですよね。こういうことは早急に是正しなければいけないということで、このシステムの意義も非常に大きいと思います。

 ですから、認可外の保育所の方から、今回のシステムの検討が進んでいく中でおっしゃっていただいたのは、例えば、調理場とかをちゃんとつくって基準を満たせて認可保育園になれるかと思いきや、恐らく財政的に国も地方自治体も厳しいので、そして、認可外保育所の存在でちゃんと待機児童問題も表面的にクリアをされているから、あえて認可保育所にしてもらえないんだというようなお声をたくさん私も聞いたことがあるんです。

 そういうことからすると、これは自民党の先生方もやじの中でもよくおっしゃられていると思うんですが、財政的な措置が消費税であれ何であれできるのであれば、認可外の保育所の基準を満たしたものが認可保育園になって待機児童問題に臨めばいいじゃないか、そういう御指摘も当然出てくるわけですね。

 ここまでの点について、小宮山少子化担当大臣、特に違和感がないか、ちょっとコメントいただければと思うんです。

小宮山国務大臣 私も、ここをうまく説明する図をどのように描くかということはいろいろ考えているんですが、きれいに整理をしていただいて、ありがとうございます。

 ただ、先ほど一点だけ、株式会社が乳児保育所にと言われましたけれども、乳児保育所に入るところももちろんあるかもしれませんけれども、総合こども園の中に入ることの方が多いかと。その点だけで、あとは全く違和感はございません。

岡田(康)委員 それでは、これまでいろいろなお声を野党の先生方から頂戴していますから、具体的に踏み込みたいと思うんです。

 例えば、五月十日の本会議の質疑の中で、池坊先生が、わざわざ施設類型の多元化や所管官庁の三元化など複雑でわかりにくい制度をつくる必要は全くなかった、こう言われました。

 多元化、複雑化というのは、ひもとくと三つあると思っています、この一元化、多元化議論というのは。

 一つは、所管省庁が、厚労、文科のところに内閣府がもう一本入ってきて三本になるんじゃないかという疑念。もう一つの話は、今触れてまいりましたとおり、何かもともと少ない類型しかなかったものがいろいろな類型がふえてきて、それは多元化じゃないというのは今の図で御説明させていただいたつもりなんですけれども、そういう施設の種類が複雑化、ふえるんじゃないかという意味での御指摘。三つ目は、財政的な、施設への税金の投入の仕方において、これまでばらばらだったものが今回一元化できる。そういう意味での一元化、多元化論というのが三種類あると思っているんです。

 三つ目のお金の入れ方の話は、今回の新システムをぜひやり切ることで、ようやく、税の払い手である親の側からしても公平な仕組みに変えていくことができますから、これはぜひ与野党で建設的に議論をして、絶対乗り越えなきゃいけないところだと思います。

 二つ目の施設のパターン、類型がふえるじゃないかという御指摘は、私は誤りだと思っているんですよ。それがまさにこの図に整理させていただいた理由でして、左側の分類の数よりふえているわけじゃないですから。もともとが多元化しているんですよ。それをいかに集約させるかというところにおいて、幼稚園の方々にもゼロ―二歳をやっていただくみたいな強引なところまでは、あえて形にこだわらず、していませんけれども、インセンティブもちゃんと働かせて、中長期的に、できるだけ一本化に向けて動いてきていただこう、そういう取り組みになっているということは間違いないと思います。

 もう一つは、所管省庁が二元から三元になるんじゃないかという御指摘もやはり残るわけですけれども、きのう江端委員からもこの質問がありまして、できる限りこれは早期にやりたいという趣旨の御答弁があったかと思うんですが、もう一度、そこは大臣から御答弁いただけますか。

小宮山国務大臣 今、給付を含めてきれいにこれも整理をしていただきまして、ありがとうございます。

 それで、所管省庁の三元化ということは、今、例えばここに挙げていただいた認定こども園がやっている幼児教育も保育もというところを広げたいということが総合こども園だというふうに私も考えているんですけれども、例えば認定こども園で両方やったときに、幼稚園型の子供の分の費用は文部科学省に、そして保育所型の子供の費用は厚生労働省にという二重行政が、いい仕組みなのに、全体の割合からすると、幼稚園、保育所合わせて三万以上ある中の九百十一にしかならない、その原因だということは、やっていらっしゃる方々がおっしゃっています。

 そこのところを何とか解消するために、内閣府に当面本部を置いて、ここで一元的にやりますので、認定こども園の方はここで全部受けられるようになる、総合こども園の形をやっていただくところは全部ここで受けられるようになるということで、将来はそこの部分をかなり広げていきたい、そして、できれば子ども家庭省につなげたいと思っています。そういう意味では、地方の窓口も含めて一元化する方向でやっていく。

 ただ、移行の過程としては三つが並立するときもあるし、でも、将来的には、内閣府でやる本部のところへ、そして子ども家庭省へ一元化をするという方向にやっていきたいというふうに思っています。

岡田(康)委員 きょうは、伊吹文明先生の御愛読いただいておりますマニフェスト二〇〇九も持ってまいりまして、私たち、マニフェストの中で子ども家庭省はどこまで書いていたんだろうかというのをちょっと読んでみますと、政策各論のところに、二番の十四に「保育所の待機児童を解消する」という項目がありまして、「政策目的 縦割り行政になっている子どもに関する施策を一本化し、質の高い保育の環境を整備する。」ですから、まさにこれは財政的な措置を一本化するということで、このマニフェストの約束どおりのところに進んでいくものであると思います。

 また、その中の「具体策」の項目に「「子ども家庭省(仮称)」の設置を検討する。」という書きぶりですから、決して、この任期四年の中で一気に子ども家庭省をつくるというところまで書いていたわけではありませんので、今御答弁をまさにいただきましたけれども、検討はかなり前向きに進んでいるという認識でいいのかな、マニフェスト的にもちょうどいいのかな、そんなふうな認識を持っております。

 では、ちょっと改めてお聞きしたいんですが、よく自民党の先生方から、公明党の先生方から御指摘いただく点で、ストレートにお聞きします。

 要は、財政的に余裕ができることで認可外保育園が基準を満たして認可保育園になって待機児童解消に臨むことを目指すやり方よりも、今回の指定制も使って新規参入も促しながらこの総合こども園という枠組みを広げていこうとする仕組みの方が、待機児童解消の観点においてもよりすぐれているという理由は何ですか。

小宮山国務大臣 認可外でもなっていただいていいわけなんですけれども、今の認可制度のままで、これだけお金があれば認可保育所をふやせばいいじゃないかというふうにおっしゃるんですが、待機児さんの多い都市部ではその場所がなかったりとかいうこともございます。今一番は、認可は一言で言えば裁量制、もう受け入れる容量がないところは受け付けないというような形が実際的にとられています。ですから、待機児さんが多いところでは、本当は入れたくても、そのことがニーズとして反映されていない。

 今回は、その潜在的なニーズを含めてそこを把握して、そしてまた、公費による支援先が、先ほどから御指摘あるように限定的で非常に複雑になっているのを、それを一元化する形でしっかりと財政支援もしていく。それともう一つは、今、保育に欠ける子だけが行けるという形になっていますが、保育の必要な子供に、そしてまた学校教育の必要な子供に、親の働き方にかかわらず提供しようということもあるので、システムの改正が必要だというふうに思っています。

岡田(康)委員 それでは二点目は、九百十一カ所に、徐々にですけれども、おくればせながらふえてきている認定こども園。つまり、幼稚園が、例えばゼロ―二歳もやりますということで、安心こども基金から支援を受ける形で認定こども園をやるとか、こういった認定こども園を発展させる、延長させる。そして、先ほど大臣からまさにございました、認定こども園をされていると、例えば安心こども基金ラインと私学助成ラインと二つのラインが上にあるわけですけれども、ここを一本化できるじゃないかという話もありました。

 そういう意味では、そういうことを改善するという意味も含めて、例えば、公明党の先生方が、また自民党の先生方が、認定こども園の延長線じゃないか、発展版じゃないかと言われる御質問について、私はこれは対立点じゃないと思っているんですけれども、そこはちょっとストレートにお答えいただけませんか。

小宮山国務大臣 おっしゃるとおりです。自公政権の時代につくられた、学校教育も保育もやる認定こども園は、今回私どもが考えているものの先駆的な取り組みだと思っています。

 そういう意味で、これまで一年半にわたって関係者で熟議をしていただいたと申し上げていますけれども、その中でも、認定こども園の方にも入っていただき、またヒアリングもさせていただいて、その経験をしっかりと入れた上で、課題が、二重行政と、財政支援が不十分だということがございましたので、今回、先ほどから申し上げているように、指導監督と認可を一本化する、そしてこども園給付によって財政支援を一本化して、そこを厚くしていって、親の働き方にかかわらず全ての子供に、学校教育、保育を必要な子供にちゃんとできるようにするという意味で、それを発展させた形ですので、おっしゃるように、私も自公の皆様としっかりお話し合いをしていけるテーマだというふうに考えています。

岡田(康)委員 ここは本当にオープンな場で建設的にちゃんとしないと、私、また子ども手当、児童手当の名前合戦になるリスクがある領域じゃないかと思っていまして、結局、認定こども園でいいじゃないか、こども園給付なんだからみたいな話も出てきかねないと思っているんです。

 しかし、これはその名前のことでまたもめると、見ている方からすると、子ども手当のときもそうだったんですけれども、制度が不安定な感じがするんです。政権がまたかわったりするとまた制度が戻るんじゃないだろうかとか、そんな印象を持たれると、施設が認定こども園になっていこう、総合こども園になっていこうというふうな動きに少なからずブレーキがかかると思うんですよね。

 ですから、ここはやはり、余りぶつかることなく、その名前でどっちだみたいなメンツの戦いみたいなことには絶対にしてはいけないし、大事なことなので、建設的に何とか、これは与野党協議も通じてしっかり乗り越えていっていただきたいと思います。

 あと何点か事前にお伝えさせていただいておりますが、先にもう一点。

 さっき後で質問いたしますと申し上げましたのは、認可保育園が総合こども園に移行してください、民間は三年でやってください、国公立は十年、その差は何なんでしょうか。

小宮山国務大臣 私立保育所が移行する際には、保育所を運営する法人の定款の変更ですとか財務処理、そして総合こども園の認可手続、こうしたことが必要で、これを考慮して移行期間三年といたしました。

 一方、公立保育所の場合は、ほかの、私立保育所がどう移行していくか、また幼稚園の動向などを見て、地域の保育の確保状況を見きわめながら、必要なところをセーフティーネットとしてやる必要があるというのが一点。

 それから二点目は、これは公の施設ですので、地方議会での審議を経て、保育所設置条例を廃止して公立総合こども園設置条例を制定することが必要になったり、公立保育所の方がそういう手続、準備をするのに時間がかかるということと、ほかの動きを見て、そこをカバーする役割を担わせたいという、その二点からこういう形になっています。

岡田(康)委員 ただ、多分、地方議会はこのねじれ国会のように時間がかからないかもしれませんので、十年というのは大分長いなという印象は正直感じてはおりますが。

小宮山国務大臣 十年というのは、それがやり遂げられる、達成する時間なので、十年たたなきゃやらないということではなくて、できるだけその十年までの間になるべく前倒しでやっていただくということです。

岡田(康)委員 お手元の資料で一ページめくっていただきまして、幼稚園と保育園の施設の数、これは表になっていますが、一番下にちょっと枠をつけておりますが、施設数というところをごらんいただきますと、幼稚園は、一万三千カ所のうち国公立が五千カ所、つまり三七、八%です。保育所の方は、二万三千カ所で公立が一万一千カ所、つまり四七、八%。結構あるんですね。

 これから、民間、NPOにも参入いただけるようにしていく、基準を満たせば指定をされますという指定制も導入して入ってきていただいて、同じこども園給付に財政的にもなりますと。しかし、公立の保育所、幼稚園ですと、例えばそこでは職員の方もいらっしゃるわけでありまして、そういう意味で、財政的な税投入量という意味での官民のイコールフッティングというのは大丈夫なのかどうかというのをお答えください。

小宮山国務大臣 こども園給付などは、学校教育、保育を必要とする子供が、その指定を受けた施設、事業者から学校教育または保育を受けたときにその費用を給付するという、ベースは個人給付の仕組みになっています、それを代理受領するという形なんですが。この考え方は公立、私立で異なるということはありませんので、利用手続、給付制度、これは公立、私立共通なものとなります。

岡田(康)委員 時間もありませんので次に参りたいと思いますが、五点目は、これは公明党の高木先生がパネルも示されておっしゃられていたところですが、保育士、幼稚園教諭の皆さんの賃金、待遇の状況を改善しなきゃいけないという話ですね。

 これは内閣府の資料をつけさせていただいておりますが、確かに、本当に御指摘のとおりでありまして、介護の職場の方々の待遇は改善しなきゃいけない、しなきゃいけないと、私も当選してからよくそういう話を耳にいたしました。例えばここで出ている、ばっくりと平均値でありますが、これですと、現金給与というところで見ても、二十一万七千円とか六千円とか、そんな数字ですね。しかし、保育士、幼稚園教諭というところを見ましても二十二万とか二十二万五千円とかそういう数字ですから、ほとんど同じ水準なんですね。そういうことからしても、ちゃんと改善を図らなきゃいけないなと思いました。

 また、次のページを見ていただいても、これはよくありますOECD諸外国と比較をした、各国のGDPとの比率での家族関係社会支出のボリュームですけれども、ついこの間ふえました児童手当、その分を含めまして大体一・〇四%ぐらいではないか。そこに今回の七千億がどんと乗っかってきましてもせいぜい一・二%弱という状況ですから、他の国々よりもより高齢化が進んでいる、そこにお金がどうしても必要だということの裏返しでもあるとは思いますけれども、やはり引き続きここは待遇改善という観点からも取り組んでいかなければいけないテーマだなというふうに思っております。

 もうあと時間も限られてまいりましたので、少しこの問題を離れて、もう一点、野党の先生方から御指摘いただいたことにちょっと触れたいと思うんですが、先日、野田毅先生から、民主党が消費税増税のハードルを上げたんじゃないかという御指摘がありました。

 といいますのは、パネルを示されて、自民党として二〇〇一年から二〇〇七年まで苦労していろいろな大事な経費も削減を続けてきて、いよいよ同時並行で消費税論議もしなきゃいけないと麻生政権のころから踏み込んでいったところで、民主党がまだまだ無駄遣いが出てくるというふうに言って政権交代をして、そこまで出せなくて、ハードルを上げて苦しんでいるんじゃないかという御指摘があったんです。

 このことについて、私たちも、十六・八、言ったとおりにそこまで出なかったということで、正直、地域でも本当に怒られておりますから、そういう見方も確かにできるのかなとは正直思います。しかしながら、あえて自分たちの側から申し上げますのも大変恐縮なんですけれども、やはり別の見方もできるんじゃないかと思っています。

 結局、どうしても歳出を膨らます圧力が強くかかる政治の世界において、やはり財政のずっと悪化してくるこの歴史をちょっと一歩下がって見たときに、この時期にどうしても遅かれ早かれ消費税論議をしなければいけなかったタイミングであるとするならば、当時、政権交代前を振り返りましても、それは評論家の方も含めて、例えば、特別会計もまだまだお金が出るじゃないかとか、そういう認識というのは本当に広くあったと思いますし、同じ立場の方々がずっと政権を担われるということは、安定性という意味でいいところもあるんでしょうけれども、やはり考え方等において予算を硬直化させるところも絶対あったと思うんですよ。

 そういうところを、一度違う顔ぶれで事業仕分けみたいなことをやって、私も特別会計の事業仕分けの仕分け人をさせていただいた一人ですけれども、そういうことをさせていただいて、その結果、今立ちどまって周りを見渡せば、特会から何兆円まだまだ出るじゃないかという声、本当になくなったと思うんですよ。みんなの党の方々が国債整理基金とか年金特会のことで言われることはありますが、あれは無駄に積み上がったお金じゃありませんので。震災復興のために一時的にとれみたいな話はあったかもしれませんけれども。基本的には、特会からもっと何兆円と出てくるかもしれないぞみたいなことは本当になくなったと思うんです。

 そういう意味では、政権交代をやったことで、いよいよもってこの消費税論議も、まだまだ身を切る努力が私たちは足りないと怒られていますから、それは岡田担当大臣を先頭にまだまだ頑張るわけですけれども、しかしながら、いよいよこの議論をもうしなきゃいけないなという御認識は、国民の皆様の中でも半分以上の方々に御理解いただけるところまで広がってきていると思うんです。

 そういう意味では、この政権交代も、私たちの方から言うのは大変恐縮なんですが、決して意義のなかったことではないし、むしろ非常に大きなステップをこの消費税というテーマから見ても踏んだんじゃないかと思っているんですけれども、最後に岡田担当大臣から一言コメントをいただければと思います。

岡田国務大臣 政権交代後、我々はさまざまな取り組みをしてまいりました。

 行革も、まだまだやるべきことはあると思いますが、しかし、例えばこれから公開プロセスが始まります行政事業レビューなど、ある意味では革命的な、今まででは考えられなかったことを各省庁がみずからやるということ。そういったことの中で、我々、お約束しただけはできませんでしたが、ある程度の財源を見出して、それを新しいことに使った。

 しかし、これからの子ども・子育てを含めて社会保障費の増加ということに対しては、やはり消費税を初めとする新たな増税措置を講じないと賄えないということは、これは我々のマニフェストと矛盾するものではありません。

 我々のマニフェストは、新しい措置を講じて、それで新しいことをやる、そこである意味では完結しているわけですから、そういう作業を一旦終えて、そして、いよいよ社会保障費のこれからの増加を賄っていくために、あるいは制度を安定させるために消費税を初め税制措置を講じなければいけないということについて、もっと説得力を持って語っていく必要があるというふうに思っています。委員の御指摘のとおりです。

岡田(康)委員 それでは、もう時間もほぼなくなりましたので、以上で終わらせていただきます。

 どうも本当にありがとうございました。

中野委員長 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。

 中島正純君。

中島(正)委員 国民新党の中島正純でございます。

 連日質問のお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 本日のテーマは子ども・子育てということでございますので、きょうも小宮山大臣にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 今回の大綱に盛り込まれた子ども・子育て新システムは、幼稚園団体や保育園団体を初め多くの専門家や子育て関係者から丁寧にヒアリングを行われて、約一年半をかけて議論して取りまとめられたものであるというふうに聞いております。

 ただ、これまでの長い歴史と伝統のある幼稚園そして保育所のあり方を大きく変えるわけですから、幼稚園、保育所関係者、そして保護者の方々にこの新システムをしっかりと理解していただくことが重要だというふうに思います。

 私のところにも、内容が複雑でわからない、なぜ新システムが必要なのか、今後保育所や幼稚園はどうなっていくのかなどと、さまざまな声が届いております。この委員会の審議を通して、新システムを導入する意義やメリットを国民に十分にわかりやすくお示しするという趣旨で、きょうは御質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、子ども・子育て新システムを導入する必要性について、いま一度お伺いをいたします。

 本委員会でこれまで行われた新システムに関する議論では、待機児童対策に焦点が当たりがちでありました。しかし、ことし三月に決定された子ども・子育て新システムに関する基本制度におきましては、家庭での保育を望む保護者に対する支援もうたわれております。

 新システムはさまざまな家庭形態に対応した支援を行うものであると私は理解をしておりますけれども、その点を待機児童対策と同様に国民に対してアピールする必要があると考えますが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 今委員が言っていただいたように、本当に関係者の皆様に一年半にわたって審議をしていただいて、私も、当時、担当の厚労副大臣としてほとんどの会議に参加をしていますので、多くの皆さんの御意見はよくわかっています。ただ、わかりやすく説明をせよというのは、そのとおりだと思います。

 そして、御質問の、家庭での養育支援の件ですが、今回の新システムは、待機児の解消、それから学校教育、保育を一体的に提供することとあわせて、もう一つの柱が、家庭での養育支援の充実を目指すということです。

 具体的には、親の働き方に関係なく学校教育、保育を一体的に受けられる総合こども園をつくるということ、また、小規模保育、保育ママ、居宅訪問型保育などいろいろな保育を地域型保育事業として公的な財政支援の対象に追加したということ、また、親子の相談、交流の場、一時預かりなど子育てに専念をされている家庭も含む地域の子育て支援を充実したこと、さらに、利用者負担は応能負担とするなど低所得の家庭にも配慮した仕組みを導入すること、こうしたことで全ての子ども・子育て家庭を支援していくということも大事な今回の柱になっています。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、次に、保育と教育の質の確保についてお伺いをしたいと思います。

 新システムを導入することによって認定こども園は確かに増加をいたしますが、それによって保育と教育の質が落ちるのではないかという相談を受けたことがありまして、現実にそういう声も届いております。

 ですから、新システムでは、保育の量的拡大を図るために、指定制度を導入して、これまで認可を受けられずに国や地方の助成対象外となっていた施設にもこども園給付が行われることになりますけれども、新たに認可を受けるこども園の保育と教育の質を確保するために、政府はどのような対策を講じられているのでしょうか。

小宮山国務大臣 今回、認可に加えまして、さらに幅広く、客観的基準を満たしたところは、指定をして財政支援をするという形にしています。

 参入に当たりましては、質を確保するための客観的な基準、これは現在の幼保連携型の認定こども園の基準を基礎として検討しますが、それを満たすということを求めること。また、指定後、五年ごとの更新制にして定期的なチェックをする。法律上の欠格要件を定め、連座制も含めまして、違反した場合の厳格なペナルティーを科すということ。それから、指定権者による指導監督、指定取り消しなどの権限を法律上しっかり書くということ。また、学校教育、保育の質に直接かかわります職員が常勤か非常勤か、また経験年数などの事項について情報を開示いたしまして、それを受ける方が選べるようにするということ。また、撤退のことが非常に心配をされますけれども、予告期間を三カ月と設定しまして、継続利用のための調整義務を課す。

 このようなことをしまして、質をしっかり確保した上で量的にもふやしたいと考えています。

中島(正)委員 保育の量的拡大が実行されるとなれば、保育の質が落ちるのではないかという懸念の点があるのは当然だというふうに思いますので、その点におきまして、全力で、保護者が心配されないように取り組んでいただきたいというふうに思います。

 続きまして、待機児童の解消についてお聞きをしたいと思います。

 待機児童については、これまでなかなか解消できない状態が続いてきましたので、新システムを導入しても本当に解消できるのかという疑問視する声も多く聞かれております。

 待機児童解消のためには、保育需要がどのぐらいあるのか、また、その待機児童をいつごろまでに解消するのか、目標をしっかり定めるべきだというふうに思います。

 政府は、潜在需要も含めて、保育の需要をどのように把握していくのか、お考えをお聞かせください。

小宮山国務大臣 市町村が保育需要を見込む際の手法につきましては、これまでは、前にも申し上げましたように、どうしても、今あるものを前提にして、それ以上は拒否をするような形で、ニーズが把握できていなかった。

 それに対して、今回、きちっと正確にニーズを把握できるようにしたいと思っていまして、具体的なその手法につきましては、国が子ども・子育て会議での審議を経て基本方針を定めまして、それを地方への参酌基準として示したいと思っています。

 また、市町村が潜在需要も含めて事業計画を策定して、その際には、保育の当事者も含めます地方版の子ども・子育て会議、ここの意見を聞くことにしていまして、市町村の計画内容のチェックもしっかり行われるようにしたい。

 さらに、指定制のもとで、一人一人の子供につきまして保育の必要性の認定、これを客観的な基準で行うということから、今の制度では潜在化している、諦めることも含めて、潜在化しているニーズも含めて、正確に把握ができる、それをもとにして市町村が地域の実情に即した計画をしっかりと定めて、それに必要なものを用意する、その財政支援もしていくという形にしたいと思っています。

中島(正)委員 新システムでは、待機児童問題を解消するために、保育の量的拡大が一つの大きな目的となっております。このために、多くの保育士が必要となりますので、雇用の拡大につながることが期待されております。

 ただ、一方で、現時点においても、都市部においては保育士が不足しており、必要な保育士の数が確保できなかったために児童の受け入れ人数を減らさざるを得ない状況になったこともありました。

 これまでも何度も指摘をされていますが、保育士不足の理由としては、保育士の待遇や労働条件、これが非常に厳しい状況にあることが大きいと考えられます。

 今回の新システムでは、子ども・子育て支援として一兆円という多額な予算が追加的に配分されることになっております。よって、保育士の待遇や労働条件を改善して、保育士の資格は持っているけれども現在保育士として働いていない方々にも勤務をしていただける環境をつくることが重要だというふうに考えます。

 保育士の待遇改善のための具体策を御説明お願いいたします。

小宮山国務大臣 おっしゃるように、これから、多様に、さらに量的にも質的にも充実するには、そこで働いていただく方の確保が重要な課題です。

 これまでも、処遇が低いことなどから、資格を取っても、なる人が、資格を持っている人の三分の一強ぐらいにしかなっていない。そういう中で、しっかりと処遇の改善ということをしていかなければならないと思っています。

 消費税の増税分の七千億に加えまして、先日来お答えしているように、可能な限りしっかりと財源を集めて、一兆円を超えるものを今回の仕組みに充てますので、その中で、職場への定着を図るためのキャリアアップとか処遇の改善をするということ。

 それから、指定施設については、職員が正規か非正規か、どれぐらい勤続をしているかというようなことも情報公開をいたしますので、そういう意味で、選んでもらうためにもいい処遇をしていくということが必要ということにもなりますので、さまざまな形で処遇を改善して、人員の確保に努めていきたいと思っています。

中島(正)委員 それでは、現行の幼稚園と子ども・子育て新システムの関係についてお伺いをいたします。

 子ども・子育て新システムの検討当初においては、幼稚園、保育所などの垣根を取り払い、これらを、幼児教育と保育をともに提供する、そういう施設に一体化するという新システムとして考えられてまいりました。そのため、一体化の観点から、幼稚園についても、総合こども園への移行や、幼稚園として指定こども園の指定を受けることが想定されておりました。

 しかし、本年三月決定の政府の少子化社会対策会議の子ども・子育て新システムに関する基本制度や提出された法律案を拝見しますと、幼稚園はこれまでどおりの存続も可能であり、私立幼稚園への私学助成が存続することとなっております。これは、幼稚園団体側からの意見を受けてこのように修正されたものだというふうに認識しております。

 これまでどおり存続可能となった幼稚園については、総合こども園への移行や、幼稚園として指定こども園の指定を受けることへのインセンティブが弱いのではないかというふうに思うのですが、新システムを導入することで得られる幼稚園のメリットについてお願いいたします。

小宮山国務大臣 もともと、今回の仕組みをつくるに際しまして、保育園、幼稚園にどのようになっていただくかについて五つの案をお示ししまして、全部をするというのは当然無理だということはわかっておりました。ただ、少しでも多くのところに学校教育も保育もやる総合こども園になっていただくために、手挙げ方式で幼稚園の部分はいたしますので、インセンティブが必要だと思っています。

 そのインセンティブの中身ですけれども、これは、義務的経費のこども園給付の対象になりまして、財源措置が強化をされる、消費税を財源にして質の改善が図られるということで、総合こども園への移行をする際には、一つは、先日来申し上げているように、幼稚園が三割あきがあるので、そこへ子供が来てもらうためには、やはり、子供そして保護者のニーズに合わせていく必要があるということがまずございますし、それで、七五%の幼稚園が預かり保育をしているものに、今申し上げましたこども園給付でしっかりと厚い財政支援があるということ。また、なるべくゼロから二歳の子供も預かっていただくところを広げたいので、それに対しては、その保育に必要な、小さい子ほど経費がかかりますので、それを見込んだこども園給付の単価設定とか、調理室の設置支援、そうしたことも行っていきますので、財源が確保されてインセンティブが加われば、必ず手を挙げていただくところをふやしていくことはできると考えています。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、幼稚園団体からの要望についてお伺いをしたいと思います。

 新システムを導入するに当たりまして、幼稚園のこれまでどおりの存続と私立幼稚園への私学助成の存続のほかにも、幼稚園団体側からはさまざまな要望が寄せられたかと思います。

 例えば、総合こども園の認可基準について現行の幼稚園の施設基準を下回らないこと、それと、人的配置や施設設備の充実をさらに目指すこと、そして、こども指針や総合こども園保育要領について法的拘束力を持つなど実効性のあるものとすること、それと、総合こども園の教育が幼稚園における教育や小学校教育との整合性を持って進められるようにすること、それと、公費負担について幼稚園と保育そして公私の別にかかわらず公平性が確保されるようにすることなどであったと思います。

 これらの要望は、幼児期の学校教育の振興、充実が確実に図られる観点から非常に重要なものでありますけれども、このような点について政府はどのように対応されるお気持ちなのか。よろしくお願いします。

小宮山国務大臣 そうした御要望は、ワーキングチームにも、幼稚園の団体からも、幼稚園で教えていらっしゃる幼稚園教諭の代表の皆様にも入っていただいて、何とか、親の働き方にかかわらず、その皆さんが誇りとされている幼稚園教育を全ての必要な子供にしてほしいということで合意をいただいたところでございます。

 総合こども園での教育につきましての今の点ですが、小学校教育との連携、接続の必要性、これを明らかにするとともに、国としての基準、総合こども園保育要領、これは仮称ですが、これを設けることにしています。

 また、総合こども園に配置する職員ですとか施設などの設置基準は、幼稚園と保育所の基準をあわせ持つ基準にしたいと思っています。

 また、こども園給付を創設して財政支援の公平性を確保するなど、御要望にしっかりと応えながらやっていきたいと思っています。

中島(正)委員 子ども・子育て新システムの関連三法案の一番大きな柱は総合こども園による幼保一体化でありますけれども、次世代の我が国を担う子供たちのために、総合こども園のほかにもさまざまな取り組みを行うこととなっております。

 その一つが、地域型保育事業であります。

 地域型保育事業につきましては、先日、自民党の田村憲久先生からも、待機児童を多く抱える都市部の自治体では、現在の保育所の基準を満たす総合こども園の設置よりも、経費が安く済む地域型保育事業に流れるおそれがあるのではないかという指摘がございました。

 保育、幼児期の教育の場をどのように確保していくのかという課題は、都市部に限った話ではなく、人口流出が続いている自治体においても、これまで地域の拠点であった保育園、幼稚園などの統廃合が進んでおります。このような地域のお子さんたちは、住みなれた地域から遠く離れた保育園や幼稚園に通うことを余儀なくされ、その送迎にかかる保護者の方々の御負担も大変重くなっております。

 このため、子ども・子育て支援法案では、現在、国からの予算措置としての対象外となっている定員六名以上十九名以下の施設を新たに小規模保育事業として法的に位置づけ、国の財政支援の対象にすることとしております。

 このほかにも、地域型保育事業は、地域の実情に応じてさまざまな創意工夫が反映される制度になるとお聞きしておりますが、その具体的な内容について御説明をいただけますでしょうか。

小宮山国務大臣 今、委員が御紹介くださったように、小規模保育、これは二十人未満五人以上のところで、五人未満の家庭的保育、こうした地域型保育事業、例えば、今言われたように、大都市部で待機児さんが多く発生しているところでは、公有施設の空きスペースですとか限られた土地を活用して小規模保育とか家庭的保育をふやす、このことで機動的に質の確保された保育の量的拡充が図れると思っています。

 また、人口が減少したところでは、それぞれの今の規模の幼稚園、保育所では維持ができなくなっている中で、小規模保育とそれから地域子育て支援拠点など、ほかの施策を組み合わせて行うことで安定的に運営ができるようにしたい。

 また、隣り合わせた市町村でも共有してそうした仕組みが使えるようにするなど、有機的にやっていける仕組みだというふうに考えています。

中島(正)委員 遠くの保育所、幼稚園ではなくて、身近な場所で保育が行われるということは、やはり保護者の方にとっても非常に安心であります。

 私の子供は、もう小学校の高学年になりまして、幼稚園という年ごろではなくなりましたけれども、やはり、幼稚園に行っているときは、熱が出たとか、遊んでいるときにけがしたとか、連絡が入ればどきっとするんですよね。親は、迎えに行って子供の顔を見るまで安心できない。そういった意味でも、近い場所にあるというのは、親御さんとしては一番安心だと思います。また、自宅から近い、地域で子供を育てるということはとても重要なことだというふうに思います。

 今回の新システムは、昔は家族や地域が担っていた子育ての支え合いの機能や企業による日本型の生活保障機能が低下していることも導入のきっかけになったと聞いております。地域型保育を通じて、地域が担ってきた子育ての支え合い機能を再生し、地域社会そのものを再生していくものと思いますが、具体的に、地域社会の再生にどのように寄与していくのか、御説明をお願いいたします。

小宮山国務大臣 その前に、一つ、先ほどの質問の中で、家庭的保育、私、五人未満と申し上げたと思うんですが、五人以下でございますので、失礼いたしました。

 今の御質問ですけれども、やはりその交流が少なくなった中で、新システムでは、地域型保育ですとか地域子ども・子育て支援事業を安定的な財政支援の対象とすることで、小規模な保育施設に放課後児童クラブ、地域子育て支援拠点、また一時預かりなどを併設することによりまして、柔軟に地域の多様な保育ニーズに対応可能な仕組みを整備することが可能になります。

 これによりまして、人口減少している地域を含めまして、交流、相談の機能を持った地域コミュニティーの子育て支援の拠点が確保されまして、互いに助け合う仕組みもできるというふうに考えています。

中島(正)委員 ありがとうございました。

中野委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、松本純君。

松本(純)委員 自由民主党の松本純です。

 本日は、社会保障と税の一体改革に関する総論的なお話と同時に、子ども・子育て支援と税制等につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 まず、全体的なお話から申し上げれば、この社会保障というのは、給付と負担のバランスをいかにとることができるかということは言うまでもないことでありまして、しかし、小泉政権時代からも、悩ましい問題はずっと引き続いてありました。

 その大きな理由と言われていたのが、例えば二十から六十五歳、働き盛りの皆さんの一年間の医療費は約十五万円程度と言われておりましたが、六十五歳過ぎて、高齢化、みずからがお年を召して、あちらこちらがぐあいが悪くなる、そういった状況になると、医療費は一人当たり平均、約五倍、八十万円程度かかるというようなことが言われておりまして、言うまでもなく、そこによりまして、この医療保険財政というものについては大変厳しい状況を迎えてまいりました。

 その対応をいかにするかということから、毎年一兆円伸びると言われていた社会保障費そのものを圧縮せざるを得ないということで、小泉総理は、二千二百億円ずつの圧縮を毎年続けざるを得ないという状況で推移してまいりました。

 その理由はといえば、どの部分を是正すればいいかということについてはなかなか判断が一度には難しく、試行錯誤の連続であったと言って過言でないと思うのでありますが、そうすることを続けることによって、実は、医療そのものが、毎年のように制度が変わるということが繰り返され、医療サービスを提供する側の苦労というものが多大になってきたということ、また、それによって医療サービスが滞ってしまうようなところも出てきたということから、果たしてそれだけでいいのかということの大きな悩みを持って、自民党政権下でも苦労してきたところであります。

 その折、まずは福田総理の段階では、二十年十一月四日、社会保障国民会議の最終報告が、麻生政権になって手渡された報告書がございます。この中にも、少子化・次世代育成支援対策ということで、未来への投資としての少子化対策、仕事と生活の調和の推進、子育て支援サービスの充実、地域における子育て環境の整備、少子化対策に対する思い切った財源投入と新たな制度体系の構築などが述べられておりまして、それを受けとめました麻生政権といたしましても、直ちに安心社会実現会議を開催して、その中でさまざまな角度からの検討がなされ、もちろん、できること、できないことも含まれているわけでありますが、その検討をした結果、これからの日本のあるべき姿というものをどのように捉えていったらいいかということが議論されたわけであります。

 そこで、麻生総理が当時盛んにお訴えをされておりましたのが、実は中福祉・中負担という表現をされておりまして、この中福祉・中負担という表現について、当時からいろいろと御議論をいただいておりました。岡田副総理はそれをどのように受けとめていらしたか、その受けとめをお伺いできればと思います。

    〔委員長退席、武正委員長代理着席〕

岡田国務大臣 私は基本的には同じ感覚であります。もちろん、何が中というのか、それはなかなか定義は難しいわけですが、北欧諸国のような高福祉・高負担ではないし、アメリカのような、低福祉と言い切っていいかどうかは別にして、より民間に委ねる、例えば医療の皆保険すらない、そういう意味での低福祉・低負担でもない。そういう意味で、中福祉・中負担というのは、私は同じ思いでございます。

 それから、我々は、平成二十三年六月の社会保障・税一体改革の成案の中では、中規模・高機能な社会保障体制を目指すというふうに言っておりますが、あえて言葉遣いは変えておりますが、私は基本的には同じだというふうに考えています。

松本(純)委員 この中福祉・中負担という受けとめを考えるに当たって、財務大臣には事前通告していませんけれども、しばしば国民負担率という言葉をお使いになっていらっしゃるんですね。この国民負担率を見ると、何となくその国の姿が見えるような数字でもあるのですが、まずは、この国民負担率って何だよということを教えていただければと思います。

安住国務大臣 国民が、社会保障、それを税負担と給付で賄っている比率でございます。

 日本の場合は約四〇%弱でございます、三九%をちょっと下回るぐらいでございますが、これが、諸外国に行きますと、高いところでは、北欧地域なんかはやはり六〇%近くいきますし、ヨーロッパの先進諸国でも五〇%台。アメリカの場合は、今副総理からもお話がありましたけれども、先生御存じのように、民間の会社が入っていますから、そうした国民負担率は比較的低いわけでございます。

 私たちの場合は、そういう点では、税負担と社会保障のいわば保険料で賄っているサービスというのが、やはり比較的、そういう意味では、国民の皆さんへの負担は、国民の皆さんはそのことではもしかしたらそんなことはないと思うかもしれませんが、一応、OECDの統計上で見れば、負担率は大変低くなっています。そういうことを数字であらわしているのが国民負担率でございます。

松本(純)委員 日本の国民負担率は低いというお答えでありますが、全体の各国の数字も含めて御案内すると、日本が三九・九、アメリカが三〇・三、イギリスが四五・八、ドイツが五三・二、フランスが六〇・一、スウェーデンが六二・五というのがこの国民負担率、いわゆる国民総所得に対する税と保険料の全体の負担の割合ということでありますが、しかし、この数字を見て、日本が低いじゃないかということが果たして言えるのかどうかということであります。

 それは、実は潜在的な国民負担率と言われているように、財政赤字の対応をして穴埋めをしている数字が隠れておりまして、それが、日本はマイナス一一・四、アメリカがマイナス一二・二、イギリスがマイナス一四・二、ドイツがマイナス四・一、フランスがマイナス一〇・二、スウェーデンがマイナス一・三ということでありまして、日本は、そのマイナス分と国民負担をいただいている分を足し合わせると、実は五一・二%という数字になりまして、極端な言い方をすれば、税、保険料で受けているサービスというものが、総所得に対しての五一・二%分を受けていながら、実は、国民が直接負担をしているのは三九・九で、あとの残りについては借金で賄われている、そういったいわばいびつな形になっているのではないかと思うんですね。

 これを是正していこうということになれば、ではどうしたらいいかというと、国民所得が一気に上がってもらえたらこれはもう言うことはないわけでありますが、まずは、社会保障と言われている医療、年金、介護などの適正化、効率化というものを進めて、毎年一兆円膨らんでしまうという自然増をいかに現実的に抑えることができるかという努力は当然しなければなりませんが、一方、税財源については、消費税を充ててそれでカバーをしていきたいという考え方は基本的には我が党も持っている考え方であって、いずれその対応をしていかなければならないという考えは当然そこにはあります。しかし、それに至るに当たっては、それによって、景気、経済の問題もよく勘案した上で、時期を見てその対策を打っていかなければならないのではないかという危惧を持っているところであります。

 経済が将来に向かってどういう方向に歩んでいったらいいのか。景気がよくなって、そして企業も、また個人の所得もふえるという状況がつくられれば、この問題の解決の方向性が見えるということにつながってくると思うのでありますが、岡田副総理におかれましては、経済成長、あるいは経済がどのような方向に歩んでいくのか、それにどういう手を打ってカバーすることができるか、全体のパイを広げていくという意味での取り組みについて、お考えがあればお伺いをしたいと思います。

岡田国務大臣 この場で総理からも、あるいは私からも申し上げておりますように、経済成長とそれから今回の社会保障・税一体改革というものは車の両輪としてやっていかなければいけない。消費税の増税を中心とする歳入増だけではいけないので、やはり経済成長を果たす中で税収増も図っていかなきゃいけない。しかし、それを条件づけてしまうと、結局、過去を振り返っても、先送りするだけの結果を招くことになるのではないか、そういうふうに考えております。

 成長戦略については、我々、二〇一一年度から二〇年度までの間、平均で名目三%、実質二%程度の経済成長率を政策努力の目標として設定し、そのために総合的な施策を講じるということにしているところでございます。

 成長戦略そのものについても、現在、国家戦略担当大臣のところを中心に再度議論を行っているところでありますが、これからの新しい四本の柱として、一つはエネルギー・環境分野でのグリーンイノベーション、それから医療・介護分野でのライフイノベーション、それから円滑に成長マネーが供給されるための仕組みづくり、そして女性の活躍の推進、そういったことを柱に新たな成長を遂げていくということを考えているところでございます。

松本(純)委員 経済の成長、そして経済、景気がよくならなければならないという理由については、厚労大臣もおわかりのとおり、基本的には、健康保険組合あるいは厚生年金などについて、当然でありますが、企業が半分負担をしてくれているということを考えれば、景気がよくならなくて、経済がこけて、企業がもうギブアップをして健康保険組合を解散する、あるいは協会けんぽへ移るというようなことがあると、当然その負担はまた税に頼らざるを得ないということにつながってくるわけでありますから、経済に対しての対応というのは極めて重要である。

 しかも、国民の皆さんは余りよく御承知ないということで、地元で時々質問があるんですが、高齢者の医療制度、これについては、企業が何と、支援金といって、若い世代は病気に余りならないから、退職をして、そして国保に移って、そこで高齢者医療のサービスを受けるという段階になって、次から次へのさまざまな病気に対応する、それにかかる費用というものについては、持参金つきという言い方はおかしいですが、四六%も健保連が拠出をしている、そんな状況にあるわけですから、高齢者の医療を支えていくということを考えると、企業の働きというのは極めて大きいところで、健保連の皆さんは二通りの考えがあります。

 一つは、その支援金が余りにも大き過ぎるので、消費税を早く上げてくれ、上げたものでそれをサポートしてほしいという意見が一つあるのと同時に、それが上がることによって、景気、経済がとんでもない厳しい状況になって企業が潰れてしまうということにつながってはかなわないということであって、両面の心配を持っていらっしゃるということであります。

 それだけに、この社会保障については経済対策と切り離すことができないということは、今、岡田副総理からもお話があったとおりでありまして、それに向けて、きちんと見える形で、企業や国民がそれに呼応できるようなわかりやすい政策を示していくというのが大変大事なのではないでしょうか。

 実は、私たちも、政権が交代する前まで懸命に経済対策を打ちました。これはリーマン・ショックの問題もあって、早く何とかしなければならないということで、平成二十年度には十一・五兆円の第一次補正、二十七兆円の二次補正、そして平成二十一年度になりますと、当初予算三十七兆円、ここまで合計で七十五兆円であります。そして最後に、四本目として、補正予算で五十六・八兆円。この中には、エコポイントや地域活性化やら、さまざまな経済対策のものを盛り込んで、今のリーマン・ショックから早く立ち上がっていく元気を我々はつけようということでの手当てをして、その中でも、社会保障に対しても目配りをした予算というのが組まれたところであります。

 しかし、残念なことに、これは政権交代によっていろいろと見直しがなされて、せっかく続き始めたものが一部見直しがなされるなど、国民にとって、経済に対しての燃える思いが何か消えてしまったような、そんな気すらするところでありまして、そんな状況から一刻も早く立ち直っていくためには、この社会保障と税の一体改革という問題については、経済と大きく絡んでいるんだという前提の中で、ぜひ、わかりやすいアイデア、また、みんながなるほどといって元気になれるような成長戦略、経済対策をぜひ打っていただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 長話をしてしまいました。本題に入りたいと思いますが、少子化対策についてお尋ねをしたいと思います。

 少子化対策は、日本の国力の源である人を生み出す政策であり、経済発展のためにも、社会保障制度の持続性のためにも、喫緊の課題であることは言うまでもありません。子育て支援は未来への投資として位置づけて積極的に推進すべきであり、子育てはあくまで家族が主で、子育て支援は、いかに家族による子育てを負担ではなく幸せに変えていくかがポイントだと思います。決して、子供は産んだら社会に育ててもらうということではいけません。

 したがって、政策としては、子供が生まれたら、すぐ保育所に預けるということではなく、まず家庭で、家族で、子供と寄り添うための時間を確保するということではないでしょうか。この点、ゼロ歳児を自宅で育てられるよう、育児休業をとりやすくするなどということも大きなポイントだと思いますが、これはどのように少子化担当大臣はお考えであるか、お尋ねしたいと思います。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃいますように、もちろんまず家族で育てることが第一です。ただ、今、家族のあり方も、都市部など、東京などではもう家族の人数が一・九九人になるなど、以前のように大家族で育てることだけではなかなか十分でないので、それを全体で支援しようということです。

 もちろん、ゼロ歳児を全て保育所に預けろなどということは私どもも全く言っていません。そういう意味では、育児休業を取得しやすい環境づくり、これは子供のためにも、先ほどおっしゃった経済成長のためにも、副総理も言われたように、女性が元気に働き続けることは経済成長の大きな源となりますので、今、妊娠すると七割の女性がやめるというような現状は変えていく必要があると思います。

 女性の育児休業の取得期間は十カ月から十二カ月未満が三二%、十二カ月から十八カ月未満が二五%となっていますので、希望する期間、育児休業をとって自分が子育てをする、これをやりやすくするということは非常に大事だと思っています。

 家庭や仕事の事情でゼロ歳児保育を必要としている人も一方でいますので、そのニーズには対応していきますけれども、特に一、二歳児の待機が多い中で、一歳になる前なのに、保育所に入れないから四月から入れるというようなことはなくしていく必要があるというふうに私も考えております。

松本(純)委員 働くお母さんが短時間勤務ができないことも、延長保育へのニーズを高め、保育所の負担を増す要因となっているのではないでしょうか。お母さん方が容易に短時間勤務ができるよう、企業にインセンティブを与えたりすることが必要なのではないかと思うんです。

 待機児童の解消が重要でありますが、新システム法案における総合こども園の導入により、どのように待機児童が解消するのか、お尋ねしたいと思います。

小宮山国務大臣 御質問の中に二つあったと思うんですけれども、一つは、短時間勤務をとりやすくする、柔軟な働き方が選べるというのは大変大切なことだと思っています。

 平成二十一年の育児・介護休業法の改正によりまして、三歳未満の子供を持つ親を対象とする育児のための短時間勤務制度、この措置を義務化いたしましたが、ことしの七月一日から中小企業も含めて全ての企業が対象になりますので、しっかりとここのところは、子育て期短時間勤務支援助成金などによりまして、その取り組みを支援していきたいと思います。

 それから、総合こども園の導入によってどのように待機児が解消するかということですけれども、地域によってさまざまニーズが違いますので、全ての総合こども園にゼロから二歳の受け入れを全国一律に義務づけるということは、実態に合わせていたしませんでした。

 一方で、調理室の整備ですとか、ゼロ、一、二歳の人手がかかるところへの単価設定など、待機児が多い地域ではその解消に貢献いただけるようなインセンティブを設けています。

 ゼロ、一、二歳が待機児の八割を占めるわけですけれども、市町村でそのゼロ、一、二歳の子供を含む保育需要の正確な把握をして、それに対応した保育の計画的な整備をするということ。また、ゼロから二歳の子供への保育を重点的に担います小規模保育とか家庭的保育など、多様な保育のメニューを創設するということ。そして、指定制度の導入によって、小規模保育、家庭的保育などを含めまして、質の確保された保育、これを機動的に拡充させていくことで対応したいと思っています。

松本(純)委員 子育て支援は理念倒れになってはなりませんで、子育ての主役である親の皆さんにわかりやすい制度が必要であります。

 先ほども質問がありましたが、今回の法案は、こども園が三本立てになったりして極めてわかりにくい点があり、親が自分に最も適切な施設を選ぶということが難しいのではないかと心配をしているんですが、少子化担当大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

小宮山国務大臣 わかりやすく御説明をしていくことは本当に大事だというふうに思っています。

 今回、いろいろな施設類型を、多様なメニューを用意した上で、こども園給付を用意することで給付を一本化いたしました。このことで、先ほどから申し上げているように、いい、先駆的な取り組みの認定こども園、これの課題も解消することにつながると思っています。

 そして、権限、責任は、実施主体は、地方では市町村に、そして国では今回内閣府に寄せて一元化を図っています。ただ、当面、移行期も含め、また、残る幼稚園も含めて、そこが三元化するのではないかという御心配があることは承知していますけれども、幼稚園、保育所を見る文科省、厚労省の職員も併任をかけて、本部で一元的にこれはやっていきたいと思っています。

 また、利用者にわかりやすくという意味では、地域の子育て支援拠点に、いろいろな事情に精通をした地域子育てコーディネーター、これは仮称ですけれども、これを配置しまして、それぞれの家庭に必要なものはどうしたものかということも含めて相談に応じるなど、確かに、仕組みが変更するのに説明が十分できていないということは認識をしておりますので、精いっぱいわかりやすく御説明はしていきたいと考えています。

松本(純)委員 この御努力はしっかり続けていただかなければならないことになるんだろうと思います。

 保育所運営費の補助がこども園給付という個人給付になっているんですが、これはどうしてなのでありましょうか。理念に偏り過ぎた改正ではないでしょうか。

小宮山国務大臣 この新システムでは、全ての子供の育ちをひとしく保障する、そのために、こども園給付など個人給付によりまして、一人一人に受給の資格ですとか必要性の確認、認定を行って、その子供が本当に必要なニーズに応じて学校教育、保育を一体的に提供する、そういう仕組みにしています。

 今の制度のもとでは認可保育所に対して公費による支援を行う保育所運営費の仕組み、この仕組みから、利用者の選択に基づいて、指定された施設で子供が教育、保育を受けた際に必要な給付を受ける仕組み、そういうふうに変えたいと思っています。

 保育の必要性を認定する仕組みを通じまして、市町村が、必要な保育の需要、この量を正確に把握ができますので、そのことによって計画的な基盤整備を進めることができる。利用する側にとりましても、限られた認可保育所だけではなくて、質が確保された多様な保育の選択、利用が可能になる、そういったメリットがあるというふうに私どもは考えています。

松本(純)委員 これまでも安心こども基金の活用によりまして保育所の定員はふやしてきたと思いますが、あえて指定制を導入しなければならない理由は何なのでしょうか。

小宮山国務大臣 これまでも、自公政権のときも含めて、安心こども基金で認可保育所の整備を進めてきたわけです。そうしたさまざまな基金などを使って進めてまいりましたけれども、再三申し上げているように、今の認可というのは裁量制で、もうキャパシティーがいっぱいになったらそれを受けないというような市町村もあるわけです。

 地域のニーズに機動的に対応することには限界があるということ。また、潜在的なニーズを含む、地域の保育ニーズを正確に把握する仕組みになっていない。入れないと諦めて、申し出もしないということがあります。また、公費による支援先が限定的なので、ニーズへの対応が不十分。このようなことがありますので、予算をつけるだけではなくて、やはり現在の保育をめぐるさまざまな課題に対応することが今の仕組みでは困難だと考えています。

 そのため、指定制によって、質を担保する客観的な面積基準とか人員の基準など、そうした客観的な要件に合うものは指定をする、そのような考えをとっています。

 この指定制のもとで、株式会社、NPOなど、多様な事業の主体も含めまして、質の確保されたものは認可外保育施設も指定対象とする。また、先ほどから申し上げている小規模な保育、地域型の保育給付の対象事業と小規模な保育などをすることによりまして、需要があるところで機動的に質が確保された保育、これが量的にも拡充できる、そのような仕組みにしていきたいと考えています。

松本(純)委員 待機児童が発生していない地域でも、新規参入を誘発し、保育所の過当競争が起きるのではないでしょうか。全国一律に制度変更して混乱を招くよりも、地域限定で保育所または認定こども園の設置を促進するスキームを設けるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 待機児童が発生していない地域でも地域型保育給付、これを新たに創設しまして、小規模保育とか家庭的保育など、多様な保育メニューを用意することで地域での保育基盤が維持できるというふうに考えています。

 また、ニーズがないところでつくるようにということを言っているわけではありません。市町村は、その事業計画で需要の見込み量、これを超えた供給となる場合には、こども園の新規指定を行わないことができます。

 御指摘のような、待機児童が発生していない地域で新規参入が誘発されて過当競争が起きる、そういう事態は生じない、そういう仕組みにしてございます。

松本(純)委員 今回、子育て支援に消費税から〇・七兆円を充てるとされておりますが、その内容について御説明いただけますか。

小宮山国務大臣 新システムに必要な追加経費、これにつきましては、税制抜本改革によります財源〇・七兆円程度をまず確保することにしています。そのうち、おおむね〇・四兆円は、今最優先課題である待機児童解消のために、保育の量の拡充に充てます。また、おおむね〇・三兆円は、職員の配置基準の改善を初めとする保育などの質の改善に充てたいと思っています。

 それに加えて、先日来議論があるように、〇・三兆円を何とかさまざまなところから極力集めて、一兆円を超えるお金で質の改善をさらに進めたいと思っているところです。

松本(純)委員 保育の現場では、保育士の配置基準が薄いことにより、厳しい労働環境と不十分な処遇により保育士不足が生じています。まず保育士をふやすような施策が必要なのではないかと思いますが、お考えをお聞かせください。

小宮山国務大臣 これも、きょう朝からも御議論があるように、そこで働く人を確保するということは大変重要なことだと思っています。

 保育士の資格を持ちながら処遇がよくないなどの点で今働いていない潜在保育士と言われる方々がいらっしゃるので、その再就職支援をするということ、また、認可外の保育施設での勤務経験を受験資格として認めることなどで受験機会をふやす、こうした取り組みを進めたいと思っています。

 また、定着を図る必要がありますので、職員の配置基準を改善するほか、キャリアアップですとか処遇の改善を含めた質の改善、そうしたことにもしっかり努めていきたいと考えています。

松本(純)委員 いろいろお伺いをさせていただいてまいりました。

 実は、今月十七日、横浜市なのでありますが、市内の保育所待機児童数、四月一日現在が、前年同期に比べて七百九十二人、約八二%減少し、現在の算出方法を始めた二〇〇一年から最少の百七十九人になったことを明らかにした。二年連続の減少で、来春に待機児童ゼロを目指すということでございまして、市内の待機児童数は、二〇〇六年に三百五十三人まで下がったんですが、二〇〇七年に増加に転じ、一〇年は最多の千五百五十二人で全国ワーストだったところでありますけれども、最重要課題と位置づけた横浜市は、保育所新設や保護者の要望にきめ細かく応じる保育コンシェルジュの横浜市内全十八区配置など、さまざまな対策を講じてまいりました。

 これによってこの結果が得られたということが報道されたわけでありますが、林文子市長は、目標のゼロに向けた大きな前進であり、一人一人の事情を聞き、丁寧に取り組めば達成できるものだ、そんなコメントもつけて、それが紹介をされておりました。

 こういった状況の中で、我が自民党はどういう子育て支援について考えているかということについて、まとめて考えを述べさせていただきたいと思います。

 子ども・子育て新システムには反対です。少子化の進行や幼児教育、保育のニーズの多様化に伴い、待機児童など、課題が顕在化しています。現在、政府・民主党は、総合こども園を核とした子ども・子育て新システムを進めていますが、これには多くの問題があり、待機児童の解消にもつながりません。

 政権交代から二年八カ月。民主党政権になって、少子化担当大臣が九人も交代しています。ことしだけでも四人目の大臣です。こんな政権にまともな子育てを任せていいんだろうかということであります。

 民主党が進める新たな制度の問題点としては、一つ、総合こども園などの施設には、待機児童の八割以上を占めるゼロから二歳児の受け入れを義務づけていないため、目的の大きなテーマである待機児童の解消にはつながらない。二、自治体の関与、責任を弱める指定による保育施設では、児童の安全、安心の確保が心配される。また、利益を追求する株式会社など企業の参入は、保育の質の低下や保護者の負担の増加を招くおそれのある保育の産業化に向かうものだ。三、制度の移行期は大変複雑になり、行政の所管も、内閣府、文科省、厚労省の三重行政となるなど、自民党は、現行制度を基本として、地域の実情や幼稚園、保育所の独自性を生かしていくということを自民党の考えとして述べさせていただいております。

 無理して幼保の一元化を進めるのではなく、現在の幼稚園、保育所の制度を基本としつつ、それぞれの施設の特性を尊重すべきと考える。特に保育については、ゼロ歳児への親が寄り添う育児を推進する。保育所待機児童への対応は、認定こども園の普及を進めるとともに、処遇改善等による保育士の確保、必要な財政上の支援など、効果的かつ即効性のある総合的な支援策を実施するという自民党の考えを明らかにしているところでありまして、まだまだこれから議論が深まっていくことと思いますが、重要な課題であり、どのような方法をとるかということの選択については、大いに議論を深めていく必要があると思います。

 さて、子供たちが大きくなると大人になって、大人になるとおじいちゃん、おばあちゃんになってということであって、将来どういう形になるかということもあわせて受けとめておかなければならないんだろうと思います。とりわけ、病気にかかる率の高い高齢者の医療についてどう考えるかということも不可欠であります。

 そこで、高齢者医療制度の見直しについても、ここで質問させていただきたいと思います。

 新たな高齢者医療制度については、政権交代後に設置された高齢者医療制度改革会議の検討過程において、後期高齢者医療制度を廃止するなどの法案を平成二十二年に提出し、平成二十三年春には成立すると説明されていたと承知をしております。また、一体改革大綱では、平成二十四年通常国会に後期高齢者医療制度廃止に向けた見直しのための法案を提出するとされております。

 高齢者医療制度の見直し法案の提出はどのようになっているのか。新しい制度は全国知事会が反対していると聞いておりますけれども、了解を取りつけることができるのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

    〔武正委員長代理退席、委員長着席〕

小宮山国務大臣 高齢者医療制度につきましては、今御紹介いただいたこともございまして、一体改革の大綱の中では、関係者の理解を得た上で、二十四年の通常国会に法案を提出するとしているところです。

 御指摘のように、これまでのところ、全国知事会などの御理解は得られておりませんが、さらに御理解が得られるように、引き続き検討しているところでございます。

松本(純)委員 後期高齢者医療制度については、差別的であるとか、保険料の年金からの天引きなどの問題指摘があるものの、一定の対応を講じて今日に至っております。その結果、後期高齢者医療制度は我が国に定着しているのではないかと私は考えるのですが、高齢者にとって、制度がたびたび変わることの方が迷惑になるのではないでしょうか。

 定着してきた後期高齢者医療制度を廃止する必要はないと思いますが、政府は今後どのように考えていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 後期高齢者医療制度の問題点は、制度発足当初に、一つは、七十五歳に到達した時点で、これまでの保険制度から分離、区分した保険制度に一律に加入をするということ、また、医療サービスや健診の取り扱いなどが現役世代と異なるものになる、こうしたことなどから、年齢による差別だと受けとめられる点に国民が最大の反発をしたというふうに理解をしています。

 政権交代後、運用面で改善できる部分については可能な限り対応してきましたが、制度体系を見直すことについては、先ほどからお話ししているように、関係者にさまざまな御意見がございますので、引き続き調整をしている最中でございます。

松本(純)委員 こういったさまざまな課題を乗り越えて、理解を得た上で、消費税増税というものが認められ、これが成立をするとした前提で財務大臣にお尋ねをしたいと思うのでありますが、社会保障と税の一体改革大綱では、平成二十六年までに消費税を八%に、平成二十七年には一〇%まで引き上げることとしております。今国会の最重要課題でもあるわけであります。

 一方、消費税法第六条の規定により、現在、医療保険、介護保険、医療扶助等によるサービスについては非課税とされております。これは、国民の生命や健康に直結する医療や介護については税を課さないという基本的な理由によるものでありますが、保険医療機関や保険薬局がその業務のために必要な器材、資材、医薬品等については消費税が課されておりまして、保険医療機関、保険薬局は仕入れ価格に消費税分を上乗せして支払っております。

 一般の課税対象商品については、消費税を小売価格に上乗せして、消費者、購入者に転嫁できますが、保険医療機関、保険薬局は患者に消費税を転嫁することができないため、これまでは厚労省は、保険医療については、診療報酬、薬価に消費税分を上乗せして定め、いわば内税としてやってまいりました。しかし、医療が高度化して、高額な医療機器や医薬品も登場し、今後、八%、一〇%、あるいはさらに消費税を引き上げられた場合、医療機関、薬局の経済的負担というものは大変大きなものとなってしまいます。

 そこでお尋ねをいたしますが、この際、保険医療、介護保険サービスなどにつきましては課税対象とするよう見直しを行ってほしいという要望が業界からあるのでありますが、財務大臣はどのように受けとめられますか。

安住国務大臣 まず、現状について御説明申し上げます。

 先生は薬剤師会の会長でもございますから、そういう意味では、内税によって、大変、薬剤の、実は川端総務大臣も実家の方はそういうことで、私も今教えていただきました。

 現状では、保険医療サービスや介護サービスにつきましては、可能な限り国民の負担を抑えながらこれらのサービスを提供するという、いわば政策的配慮ということから、消費税が導入されたときから非課税とされているところでありまして、諸外国でも、イギリス、フランス、ドイツ等では、これらは、付加価値税は非課税ということになっております。

 非課税になっているところなので、いわゆる高額なものを買ったり、病院を建設したり、そうした購入をする際の消費税の支払い分について、前々から診療報酬による手当てはしましょうということで来ているんですが、実は、日本医師会を初めそれぞれの医療関係団体から、高額投資に係る消費税負担に対する手当てがなかなか十分でないので、この分が非常に大変であるという御要望はいただいております、仕入れ税額控除が可能な課税制度に改めてほしいと。これは多分、その上で、例えばゼロベースでとかそういう話かもしれませんけれども、そういう要望があることは承知はしております。

 それで、今後、一体改革においては、社会保険診療に係る消費税につきましては、私どもの今の方向としては、非課税を引き続き堅持させていただいた上で、例えば、病院を建設してMRIなどの高額な投資を行った場合に発生する消費税負担については他の医療行為とは区分して手当てを行うことを検討することとしておりますが、その手法を含め、医療機関等、消費税負担については、今、中医協のもとで、医療関係者の皆さん、有識者、保険者の皆さん等から成る検証の場を設けておりますので、その場での具体的な検討を行っていただくということを検討しております。

 なお、さきに述べました高額投資に係る消費税負担についても、医療保険制度における対応状況や、中医協のもとに置く検証の場における検討内容も踏まえて、医療に係る消費税のあり方については検討させていただきたいと思っております。

松本(純)委員 その場合、国民の生命や健康に直結する医療、介護は非課税とされてきた、この趣旨を踏襲して、課税率をゼロ%とする検討というものも必要だと思うのですが、もう一度お答えをいただければと思います。

安住国務大臣 まず、消費税における非課税、これは、事業者のいわゆる付加価値部分に係る消費者の税負担をなくすというものであって、これは、仕入れに係る消費税は売り値に転嫁することが予定されます。他方、今先生から御主張があったゼロ税率というのは、事業者に仕入れ税額控除を認めることによって、仕入れに係る消費税分を含め、消費者が税負担を全く負わないとするものだと思います。

 ただ、これはやはりなかなか、さまざまな問題があって、イギリス、フランス、ドイツを含め、先進諸国においては、私どもが今とっております非課税制度をとっておりまして、ゼロ税率は採用しておりません。欧州理事会指令を見ても、欧州諸国においてはゼロ税率を、率直に申し上げますと、否定しております。

 その理由としては、課税ベースが大幅に侵食される、率直に言って、多分、兆円単位のお金がこれで失われる可能性がある、それから、税務当局から申し上げますと、不正申告の増加も出てくるのではないかということでございます。

 なお、保険医療サービスを課税化する場合のことについては、現在、売り上げのほとんどが非課税であることによって、七割の医療機関が免税事業者となっておりますけれども、診療報酬が課税化されることによって、原則として全ての医療機関が消費税の課税事業者となり、申告のための記帳義務等、大変生じますので、大変煩雑になることは一つあります。

 それからもう一つは、仕入れ税額控除のための仕入れの記帳を行うことが必要となりますけれども、それが可能となるのであれば、大変申しわけありませんが、今行われております概算経費率、つまり事務負担に配慮したこの税制は、所得税や法人税、どうなるのか、これは要らなくなるのかということにもなると、大変深くなっていくかなと思いますので、現時点では、やはり現状の非課税制度を維持させていただいた方がよろしかろう。そして、そうした先生が御懸念を持っているようなところに対して、いわば診療報酬の部分で対応した方が現実的ではないかというふうに考えておる次第でございます。

松本(純)委員 また一方で、医療保険分野については、消費税の非課税制度から課税制度に改めて、その上で、国民、患者の負担を軽減するためにゼロ税率あるいは軽減税率による課税制度に改めるという、こういった要望もあると聞いておりますけれども、政府はこれに対してどのようにお答えをしていらっしゃるんでしょうか。

安住国務大臣 今お答えをさせていただいたような問題点が率直にございます。

 しかし、大きな病院それから薬局等々、現行の診療報酬の中では十分これは賄い切れない、とても経営が大変だという声が一方で寄せられておりますので、先ほど先生に申し上げましたけれども、中医協の中に検討部会を設けさせていただいておりますので、そこでの議論をよく聞かせていただきながら、引き続き検討をさせていただきたいと思っております。

松本(純)委員 消費税については、これは地方もかかわりを持っているところでありまして、総務大臣がお見えでございますので、いろいろ御質問させていただきたいと思います。

 まず、消費税の国と地方の配分について御質問いたしますけれども、引き上げ分の消費税収については、国が三・四六%、地方分一・五四%となっていると聞いておりますが、どのような考えで国と地方に配分したんでしょうか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 基本的な考え方といいますのは、社会保障・税一体改革の成案あるいは大綱でも示したとおりでありますが、国と地方が相まって、役割分担をして、社会保障制度をしっかり支えるというための安定財源を確保する、そういうことで、社会保障四分野のうちに制度として確立された経費にのっとった範囲の社会保障給付における国、地方の役割分担に応じた配分を実現することが必要というふうな記述をしているところであります。

 その具体的な中身ということで、国と地方の協議の場も含めて随分議論をさせていただきました。そういう中で、国の制度と地方の単独事業の二つのセーフティーネットを組み合わせて、それぞれがしっかりやることが一番大事であるという共通の認識を持つことができました。

 それに基づきまして精査いたしますと、社会保障の四経費が、国が二十三・一兆円、地方が七・七兆円負担をしておりますのに加えて、地方単独事業の総合的な整理を行った結果、地方単独事業費は二・六兆円あるということで、国が二十三・一兆円、地方は七・七兆円プラス二・六兆円で十・三兆円、配分しますと、六九・二%と三〇・八%。したがいまして、これを五%で配分をしますと、三・四六%と一・五四%。

 ただ、地方分の部分は、財政力の弱い地方団体は、単独に地方消費税という配分をしますとやはり偏在化しますので、そのうちの〇・三四%分は地方交付税分とするということで算定をさせていただきました。

松本(純)委員 この引き上げ分の消費税収の国と地方の配分については、特に社会保障に関する地方単独事業の評価に関して、地方側との激しいやりとりがあったと聞いております。

 この地方単独事業をどのように捉えるかは、政権の地方に対する姿勢をあらわすものと考えておりますが、国と地方の配分の基礎となった社会保障に関する地方単独事業二・六兆円はどのように算出されたのでしょうか。

川端国務大臣 これも、総務省としては、地方自治体に対して、決算ベース含めて、こういう分野にかかわるものはどのような部分に幾ら使っておられるかという調査をさせていただきました。そして、厚生労働省はその中で四分野にかかわる部分はどういうことがあるのかということ等々の整理をする中で、激しいというか、活発な議論はさせていただきました。

 そういう中で、地方単独事業が、一つ一つについてこれはどうだろうということも大事であるけれども、一定の基準を設けて、地域の判断を尊重して定量的な整理をしようということになりました。

 具体的には、年金、医療、介護、少子化といういわゆる社会保障四分野と、四分野にのっとった範囲として、実質的にこれに重複してやっていることと周辺でやっていることを一体とされるということで、四分野の事業で地方が分担している単独事業が三・八兆円、周辺ののっとった事業が〇・五兆円ということで、四・三兆円あるということをまず決めました。

 そして、その中で、事務費とか事務職員の人件費等は、これは官の肥大化ということで排除するということでありますので、一般的には、大体、事務費等々人件費が二割ありますので、そういう意味で、四・三に〇・八を掛ける。加えまして、制度として確立されたということでありますので、全体的に、全国で、全部でやっているかどうかという基準を見ますと、おおむね、標準的な行政水準の割合が四分の三であるということで〇・七五。

 したがいまして、算数になりますが、四・三、これは、三・八プラス〇・五。これに、〇・八掛け〇・七五ということで、二・六兆円とさせていただきました。

松本(純)委員 社会保障に関する地方単独事業は地域の実情に応じて多種多様であり、二・六兆円の積算基礎となる対象事業を国が一方的に狭く捉えることは、地域主権の推進を標榜する民主党政権としてはあってはならないことだと思いますが、この二・六兆円の積算基礎となる対象事業にはどのようなものがあるのか、また、地方の意見を十分反映したものと言えるのか、お答えください。

川端国務大臣 先生御指摘のとおりでありまして、地方の自主的な部分で懸命にやっていただいているという単独事業のきめ細かなセーフティーネットと国の制度と両方で支えるという共通認識をつくったと申し上げました。

 そういう中で、国民健康保険、就学前の乳幼児医療費助成、保育所、幼稚園の、厚生労働省の分析によるいわゆる四分野をベースとしながら、あと加えたものとして、のっとった範囲としましては、例えば予防接種、がん検診、乳幼児健診等がございます。

 加えまして、官の肥大化は行わないということで、人件費には充てないということでありましたが、保健師さんは、この人の存在自体がサービスの提供でありますので、健康診断あるいは予防接種等の業務に関連する保健師の人件費に限定してこれは算定しよう。あるいは、障害施設の運営に関して言いますと、実は、これの部分で、高齢者あるいは乳幼児から子供ということに対しても随分これは重複してやっている事業がありますので、障害者児を対象とする事業のうち、高齢者の介護に該当する事業に相当する部分及び子ども・子育ての事業に該当する部分を、のっとった範囲ということで、これも入れるということで整理をさせていただきました。

 このように考えて、最終的に国と地方の協議の場において地方にお示しをさせていただきました。

 地方の皆さんからは、知事会長からは、この整理案については、私どもの主張について配慮いただきまことにありがたい、柔軟に対応していただいたことに感謝申し上げる、市長会長からは、私どもの主張を大いに取り入れていただいたことについて、短い期間にもかかわらず精力的に御検討いただいたことに感謝申し上げる、地方単独事業をきちっと評価していただいたということは、歴史の流れで大変大きな一歩ではなかったかと思う、全国町村会長からも、評価をしている、全体として調整いただいて、敬意を表したいということで、一定の評価をいただいていると思っております。

松本(純)委員 多くの行政分野について言えることでありますが、国の全国一律の事業と地方の地域の実情を踏まえた事業が相互に連携して国民の生活を支えているのであって、地方単独事業を軽視することは許されないことと考えております。

 今回の消費税増税分の国と地方の配分において議論のあった、社会保障に関する地方単独事業分の重要性について、どのように認識しているか、お尋ねします。

川端国務大臣 御指摘のように、いろいろな議論の経過の中で共有した認識の中で答えを出させていただきましたが、その経過の中で、今御指摘の部分でいいますと、社会保障全体は、やはり国の骨太のセーフティーネットと、地方の実情に合わせたきめ細かな単独事業を中心とした部分と、両方で支えているということを基本認識として共有をいたしました。

 そういう中で、今回、四事業及び四事業にのっとった事業ということで、社会保障の安定財源を図るということの中で整理をさせていただきましたので、御指摘のように、国と地方の配分における議論としては、そういう考え方で整理をさせていただきました。

松本(純)委員 さらに、地方消費税収の社会保障財源化について質問いたしますが、地方消費税の引き上げ分一・二%及び地方交付税一・五二%については社会保障財源化することとしておりますが、どのように使途を明確化し、社会保障財源化を図るんでしょうか。

川端国務大臣 御指摘のように、これは社会保障の財源として手当てをするということであります。

 まず、引き上げ分の地方消費税収の一・二%分については、消費税法の第一条第二項に規定する経費その他社会保障施策に要する経費に充てるものとするということの旨を地方税法に明記することとしております。

 一方、これは地方交付税でも配分するということで、地方交付税は、地方交付税法の第三条第二項において、それぞれの地方団体への交付に当たっては、使途を制限してはならない、それぞれの地方公共団体の配分で使途を制限してはならないということでありますので、法定率分と引き上げ分との総額を、社会保障施策に要する経費及び社会保障四経費にのっとった範囲の社会保障給付の総額と、決算、地方財政計画の段階において比較して、これだけ全体で配分したときに、使った分はそういう部分でいったらこれぐらい使いましたということで、少なくともその財源には全て充てられている以上のことが行われているということをチェックする等々、官の肥大化には使われずに、国民に還元されていることが国民にわかりやすい形で示せるように努めてまいりたいと思っております。

松本(純)委員 時間となってしまいましたので、まだ幾つか質問がありましたが、まとめをさせていただきたいと思います。

 冒頭申し上げたように、給付と負担のかかわりということであります。このバランスをいかにとっていくかということが大変重要でありまして、特に、健保連の、先ほどの高齢者への支援金の話がありますが、同時に、昨年のことだそうですが、レセプト、医療請求でありますけれども、そこで、お一人の方が一カ月で一億円という医療費がかかっているというケースがあるんですね。

 サービスは際限なくどこまでも伸ばしていくのかということは、どこかで考えていかなければならない。また、それをカバーするのであれば、その財源をいかに厚くするかということを考えなければならない。まさに、この給付と負担のバランスをどうとるかということが大変大事なのが、この消費税と社会保障の一体改革の大変重要なポイントだと思います。

 今後、さまざまな角度から十分な審議をされて、慎重に対応をしていただくことを切に望んで、私の質問を終わります。ありがとうございました。

中野委員長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田村憲久君。

田村(憲)委員 午後一の質疑ということでございまして、一時間ほどきょうはお時間をいただきました。今週二回目の登場でございますけれども、実のある質疑にさせていただきたいというふうに思います。

 今国会といいますか、この委員会に幾つかの法律が出てきておるわけでありますけれども、その中の一つ、共済年金の一元化という法律が出てきております。

 これは、私にとっては非常に懐かしいといいますか、思い入れのある法案でございまして、私自身も、十九年に提出したときには大きく政策にかかわった者の一員でございますから、どういうふうに変わったのかななんていうので、実はいろいろと拝見させていただきましたら、ほとんど変わっていない。変わったのは、多分、共済の積立金の切り分けのところが、その後の厚生年金の積立金の変化、これによって若干変わったぐらいでありまして、あとはもうほぼ一緒でございます。

 残念なのは、あの十九年に与野党協力していただいてこれを通しておれば、多分、三階部分の職域の部分はもうけりがついていたんじゃないのかなというふうに思いますと、それが、これからこの法案を質疑されて、仮に可決をしたとしても、するかどうかわかりませんが、したとしても、三階部分はそれからの議論でありますから、まだまだこれが後になっていくという意味では、非常に残念だったなというふうに思っておりますし、そのときから民主党の皆さんにはもうちょっと大人の対応をしていただいていれば、もう少しここら辺のところは進んだのじゃないのかななんということを、半分嫌みを含めて申し上げたいというふうに思います。

 実は、岡田副総理のもとに、共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議というのをおつくりいただいて、共済部分もそうなんですけれども、退職金全体で官民の格差をお調べいただいて、国家公務員と民間との格差をお調べいただいて、出てきた資料を見させていただきますと、きのうも議論がありましたけれども、四百二万円ぐらい国家公務員の方が、退職金、共済年金も含めて、共済といいますか、三階、職域も含めて、実は多いという話が出てまいりました。

 この中で、これは早急に是正しなきゃならぬというような、そんな結論も出てきたわけでございますから、これにのっとって、多分、岡田副総理のもとで、これからこれに対してのいろいろな動きが政府の中において出てくるのであろうな、このように思っておるわけでありますが、公務員というのは国家公務員だけではございません。当然、地方公務員の皆さんもおられるわけでありまして、共済の職域部分も当然これは絡んでくる話ですよね、国家公務員の。そういう話になりますと、この部分、地方も絡んでくる話になるわけでありますから、実は、国家公務員と民間人といいながら、一体なんだろうと私は思うんですね。

 そこで、これは岡田副総理、それから川端総務大臣にお聞きをいたしますけれども、国家公務員で比べたように地方公務員も比べていただいて、結果、かなりの違いが出てくれば、今回国家公務員に対していろいろな対応をするのと同じような対応を地方公務員に対してもするように、これは国が直接的に命令というわけにはいかないのでありましょうけれども、地方に対して指導助言等々を行っていくつもりがあられるのかどうか、お聞きいたしたいと思います。

岡田国務大臣 私の方からは、まず、委員が御指摘の被用者年金の一元化、どうして前回できなかったかと。

 それは私も、委員のおっしゃることは大部分合意をいたします。やはりあのときに、できることだけでも先にやっておくべきであったというふうに今思っております。

 一元化の全体のスケジュールは、実はおくれてはいないんですね。当時のスケジュールと今のスケジュールで変わってはいないんですが、しかし、おっしゃるような三階建ての職域部分の扱いとかそういうものは、当然、法案がおくれたことで変わってまいりますので、そこは本当に申しわけなかったというふうに思っております。

 その上で、御指摘のように、有識者会議をつくって、まず、中間的な結論、取りまとめをいただきました。四百二万の官民格差、これは、委員御指摘のように、年金の職域部分と退職金、あわせて退職給付という言い方をしておりますが、その四百二万を速やかに法的措置を講じて是正すべきであるということでございます。具体的な細かいやり方についてはまだこれから詰めなければいけません。

 実は、その四百二万の中に職域部分の年金も入っているわけですね。四百二万というのは税金ですから、それは退職金で払っている税金とそれから職域部分の年金として払う税金、合わせて四百二万の差があると。

 したがって、四百二万を是正するときに、将来的に職域加算部分の税金と退職金の税金というものをどう割り振りしていくか。もちろん職域部分はなくなるわけで、新しい年金制度になるわけですが、税金をそこに入れていくのか、それともそこはもう全部なくしてしまうのか、そういう議論をこれからしなければいけないということで、結論はまだ出ておりません。これも有識者会議の意見を聞きながら進めていきたいと思っております。

 地方のことは総務大臣にぜひお聞きいただきたいと思いますが、そういうことで、今、共済全体についての議論を有識者会議の御議論を中心にさせていただいているというところでございます。

川端国務大臣 お答えいたします。

 地方共済制度が、今議論中という副総理のお話で、これを何らかのことでこういうふうに変えていこうというときは、これは法定事項でありますので、国も地方も一緒に、同じように変えるということになります。ただ、退職金の場合は条例事項でありますので、国が何らかの手当てをした場合に、それを見て地方が条例の判断をするということになります。

 現在、結果としては、基本的に地方と国とはほとんど同様の制度、内容になっております。したがいまして、国において制度改定が行われた場合は、こういうふうになりましたということを含めて適切な助言は行いたいというふうに思っております。

 今回の中身、退職金に関しての水準比較は人事院が行いましたので、それに基づいて今回議論をして、我々としては改定していこうということでありますので、それを踏まえて地方は地方で判断していただくということになっておりますので、我々の手で地方の状況を改めて調査するということは今のところ考えておりません。

田村(憲)委員 退職金の部分は、多分、地方交付税に算入されている部分だと思うんですよ。ですから、その意味では、国が全く関与しないという話じゃないと思います。国がこういうことをやったわけでありますから、それは手をこまねいて見ているのではなくて、やはり国が主体的にそういうところに関与して、何年までに調査を行う、もしくは行ってもらう、その上で、差があれば、それに対して地方交付税等々をどうするかということも含めてちゃんとした議論をしてもらわなきゃ困ると思うんですが、その点、総務大臣、いかがですか。

川端国務大臣 言葉足らずであったかもしれませんが、結果として、現在、地方の公務員の退職手当の支給方式に関しては、方式も水準の係数も含めて基本的には同じであります。そういう部分では、調査するというよりも、仕組みは一緒であります。

 そして、例えば、三月三十一日時点、直前に昇給をさせて給料を上げた形でとかいうのも昔はありました。こういうようなのがやられているところに関しては、指導を行って是正をさせるというふうなことも今までやってきておりますし、加えて、それでもなおかつ上回って退職手当を支給したという例が過去にありますが、そういう場合には、ペナルティーという意味ではなくて財政的に余裕があるという判断の中で、地方交付税の配分に関して、あるいは特別交付税の配分に関しては、その分に関して一定の判断をしたということも含めて、国と同じ仕組みになるようなことを今までもフォローしてきたことでありますので、そういう姿勢をこれからもとっていきたいと思っております。

田村(憲)委員 今のお話ですと、国の方がそれによって引き下げが行われれば、当然、地方に、退職給付の見合い分で、積算といいますか、中に入る交付税は減るという話であったというふうに思いますので、当然のごとく地方も、地方が自分のところで持ち出しで退職金をたくさん払えば別でありましょうけれども、少なくとも国が見ている換算部分は減るということでよろしいんですね。

川端国務大臣 今まで、基本的にはそういう方針でやってきました。

田村(憲)委員 ぜひとも地方に甘くならないように、その点はしっかりとチェックをしていっていただきたいというふうに思います。

 今、岡田副総理みずからおっしゃられたんですけれども、職域の部分、三階部分をどうするんだということで、小宮山大臣もそうですし、岡田副総理もそうなんですが、至るところの記者会見で、ここに税金は入れない方がいいというような、そんな発言をされて、新聞等々でそれがいろいろと載っております。小宮山大臣は三重県の伊勢に来られたときに、ちょうど私の選挙区の隣なんですけれども、そういう発言をされた、こういうふうに記事が載っておりました。

 お二方がそういうおつもりであるということであるならば、制度設計をこれからしていくわけですから、そういうふうな方向になっていくのであろうと私は期待をいたしておるんですけれども、そういうことでいいのかどうか、お聞きをいたしたいと思いますが、いかがですか。

岡田国務大臣 先ほど言いましたように、有識者会議を開いて、これも議論をこれからスタートいたします。そんなに時間がかかるものではないと思いますが、その結果も踏まえないと、議論をしていただく前に余り先取りして言うべきではないと思います。

 ただ、さっき言いましたように四百万の差が官民であるんですね。そのうちの二百万が職域部分、二百万が退職金、合計四百万と。それをどう調整するかというのは、例えば、もう年金は税金投入をなくしちゃうということであれば、それで二百万。ですから、あと退職金で二百万調整するということになります。年金に税金を入れる、今と同じだけ入れるということになれば、退職金で四百万調整する、こういうことになります。あるいは、選択制ということもあるかもしれません。選べる。民間のように、退職金と年金をどういうふうに案分するか、金額がまず決まって、それをある程度選べる。いろいろなアイデアがあり得ますので、それはこれからの議論です。

 ただ、一部に報道されていますように、職域というか、税金の部分が年金で残るとその分税金が余計必要になるというのは間違いで、全部トータルで四百万の差があるからそれを是正すると言っているわけですから、年金の部分で税金を入れたからその分プラスアルファになるわけではなくて、入れた場合には退職金をその分差っ引く、そういう構造になっているということは御理解いただきたいと思います。

田村(憲)委員 こういうものが出てくる前に、たしか、もう税を入れるべきじゃないとお二方がおっしゃっておられたというふうに私は思うんですね。退職給付の違いがこんなに出てくるというのがわかる前に。だから、基本的にはお二方の思いは、もともとは、税金はもう投入しないと。でも、税金を投入しない三階部分というのがあるのかなと、ちょっと余りイメージが浮かびませんでして、何か個人での確定拠出型みたいな話になっちゃうのかなというふうなイメージしか浮かんでこないんですけれども。

 いずれにいたしましても、政治主導を標榜された民主党でございます。担当の副総理がそうやっておっしゃったわけでありますから、ここはぜひとも思いというものをこれから実現していただいて、税金を入れない、そんな形で官民格差をやはりなくしていただきたい、こんなふうにお願いをいたしたいと思います。

 何よりも、中小企業も含めて、民間は三階部分がないところの方が多いというような結果でございます。これは御党でも意見が分かれるところだと思いまして、私も御党のいろいろな議員と話をするんですが、田村さん、協力してこれをなくそうよなんて、私に逆に協力を求めてこられるような御党の議員もおられるわけでございますから、ぜひとも党内の意見を集約していただいて、この部分というものを国民の皆さんが公平だというふうに理解できるような、そういうプランをつくっていただきたいな、こんなふうにお願いをいたしたいと思います。

 何かありますか。短目にお願いしますよ。

岡田国務大臣 委員の御指摘はよくわかります。ただ、公平かどうかというのは、四百万の差をきちんと是正することが公平だということなので、そこはちょっと誤解なきように、年金に税金を入れたらその分プラスアルファではなくて、その分退職金が減るわけですから、そこの構造だけは理解していただいた上で、どういう形がいいかということをしっかり議論させていただきたいと思います。

田村(憲)委員 それはよくわかっていますよ。だけれども、退職金というのは時代のいろいろな移り変わりによっても変わってくるわけでありますし、それに対して年金の三階部分というものはある程度確定された中で動いていくものでありますから、そこはまたちょっと違うんですよ。経済の状況においていろいろと動いていくものと差があるんですね。年金というのはそうは動きませんから、三階部分は。長期的な設計の中において三階部分というものは設計される話でございますので……(岡田国務大臣「調整しますから」と呼ぶ)ええ、ですから調整するというのはわかりますが、今の時点で調整して、その後どうなるかというのはまた動きはいろいろあるわけでありますから。

 だから、そういう意味で、ここに税金を入れない方が非常にわかりやすい制度になるのではないのかなというふうに思いますので、ぜひともそういうようなこと、官民格差がないという制度をこれからおつくりいただきたいというふうに思います。

 続きまして、実は安住財務大臣と以前いろいろな議論をさせていただいた。二月だったと思うんですけれども、たしか、消費税引き上げのときに、これの停止条項はあるのかないのかなんという議論をさせていただきまして、そのときに、いやいや、そういうような停止条項、具体的な数字ではないんだよ、経済全体の状況を勘案しながらということなんだよというような、そんな御回答をいただいた覚えがあります。

 そのときに私が、ここに議事録があるんですけれども、仮に現在の経済状況下と同じような状況でも消費税引き上げを実施するというふうに理解していいんですか、こういう御質問をさせていただきましたら、それに対して、今の経済状況であれば、極端に、例えばリーマン・ショックがありました直後とか東日本大震災の後とか、そういう著しい落ち込みでない状態の今の時点ということであれば、私は引き上げは可能であると思います、こういうお答えをされました。

 二月といいながら、当時はまだ二月の指標が出てきていませんでして、直近で十―十二月の指標が出てきておったわけなんですね。そのとき、十―十二月の数字は結構厳しい状況が出てまいっておりまして、そういう意味で、本当にこういう状況で引き上げられるのかな、私はこういうふうに思った覚えがあります。

 ちなみに、二月の十三日に内閣府から出てきました一次速報値、二〇一一年十月から十二月ということでありまして、何とマイナスで〇・六%、年率で二・三%の経済成長であったということであります。当然、物価もマイナスということでありまして、マイナス成長をやっていたんですよね。これでも本当に消費税を上げられる状況なのかなというふうに私はちょっとびっくりした覚えがあるんですが、すぐにいろいろな報道がやはり大臣の答弁を流されました。

 あのときの認識は間違っておられたということでよろしいのでありましょうか。さすがに、実質、名目ともマイナスの状況で私はそういうようなことになるとは思いませんし、あのときの状況は、確かに緩やかなデフレというようなことも書いてあったというふうに思います。そうじゃない、そういうことじゃないと一言言っていただければ、私もすんなりと大臣のあのときの私への答弁が心に落ちるわけでございまして、間違いであったという一言をおっしゃっていただければありがたいと思いますが、いかがですか。

安住国務大臣 こんにちは。

 二月の二十二日に田村さんと質疑をやらせていただきました。多少激しい議論になったわけですけれども、私の方からも少しお話しさせていただいていいですか。

 あのとき、実は田村さんから、経済状況、今のような状況でも可能なのかということに対して、私は、正確な答えは、仮定の話でございますけれども、今の経済状況であれば、極端に、例えばリーマン・ショックがありました直後とか東日本大震災の後とか、そうした著しい落ち込みの状況でない今の時点ということであれば、私は引き上げは可能であると思いますと言ったらば、これに対し、今度、田村さんは、いや、経済の好転のことを言っているんだと。つまり、これは大綱に二つ書いてあって、大綱の下段の部分の、好転のことをどう思っているんだ、好転ということからいったらば、今は上げられる状況ではないのではないかという話でおっしゃったということでございます。

 私の話は、その前段の、リーマン・ショックや東日本大震災があればこれは上げられないけれども、経済状況からいえば可能だと思うと申し上げましたが、これは、実は私自身は、確かに、何か統計的な指数、統計、そうしたものに基づいた発言でなかったということからいえば、多少感覚的な物の言い方をしたかもしれません。しかし、なぜかといえば、そのとき大綱には数字は全く記載もされておりませんで、では経済の好転をどういうふうに判断するのかということで、やはり意見が割れているところがあったと思います。

 先生は確かに統計を出されましたが、実は、その後、二月の十四日には日銀があの大規模な金融緩和を行いまして、株価も上がってきて、そのころ私どもが各財務局から聞いた速報でも、消費は比較的堅調で、上がりつつある。つまり、前年の大震災に比べ、サプライチェーンに比べ、上向きの傾向にありつつあるのではないかなという意識もありましたものですから、こういう答弁になりました。

 現に、例えば麻生総理も、例えば二十一年の五月に、経済の好転について聞かれて、一般的に、景気が悪化しているという状況から持ち直して、改善してきつつある状況のことを言うんだと。この後、ずっと私どももこういう答弁をしてきたんですが、そういう中で私はこう申し上げましたが、いろいろありましたけれども三月に法案を出させていただいて、附則十八条の一項、二項で正式に決まりましたので、それに基づいてこれからは判断をさせていただきたいと思っております。

田村(憲)委員 何か、日銀が金融緩和をしたのかしていないのか、私はしていないと思っていますけれども、めどなんということを言ってちょっと口先介入して、確かに株は上がった、それから円はちょっと下がった。それから十日やそこらでもう好転というのは、ちょっとやはりおかしな話でありまして、もうちょっと長い期間を見た上でこういうものは判断していくものだというふうに思います。

 何よりも、今回の法律、附則第十八条で「経済状況を好転させることを条件として」と書いてありますよね。この経済状況を好転させることを条件とというのは、いつと比べて経済状況を好転させるというふうに我々は認識したらいいんですか。

安住国務大臣 ある時点から経済状況というものを見て、そしてよくなっていくということではなくて、先ほども申し上げましたけれども、悪化をしている景気の状況から持ち直しして、改善に明らかに向かいつつあると。例えばことしの一―三は、御存じのように、年率換算すれば四・一ぐらいになる。これはやはり、持ち直しつつあるという認識は私は持てると思います。

 そこは、確かに、例えば物価の動向という一つの指標もありますが、この十八条の二項では、さまざまな統計、数字、それらのものを総合的に勘案してと書いてあるのは、ですから、総合的に勘案して判断をしないといけないということだと思います。

田村(憲)委員 何か、わかったようなわからないような話なので私も首をひねっちゃいますが、少なくとも、どこかの時点と比べてという話じゃないということであれば、やはり、トレンドとして経済状況が好転しているという状況が一定の期間続いているというお話なんだろうと思うんですよ。

 だから、先ほど大臣がおっしゃった、二月の十何日に日銀が云々だから、その時点でもう経済状況が好転しているんだからという話ではなくなると思いますので、これからは正確な答弁をしていただきませんと、財務大臣はその国のかなめですからね、マーケットも敏感に反応しますから、お気をつけいただきたいというふうに思います。

 きょうは子供の質問をしなきゃいけないんですが、最後にちょっと年金を、この間から議論が出ておりましたので、ちょっと民主党の新年金でわからないことが幾つかありますので、お聞きをいたしたいんです。

 きのう、共産党の高橋千鶴子委員の御質問に対しまして小宮山大臣が、最低保障年金はちょっと払ったらもらえるのかという質問に対して、一定期間払った方に対してこれがもらえるようになりますというふうに御答弁をされました。

 一定期間というのはどれぐらいですか。つまり、一定期間保険料を払うというその期間は、どれぐらい保険料を払えば七万円の最低保障年金がもらえるというような制度づくりになっておるのでありましょうか。

小宮山国務大臣 今、具体的な制度設計は党の方でされているところですけれども、例えば満額の最低保障年金を受給するとすれば、現役世代の全ての期間、例えば二十から六十までに払うとすれば、四十年間払った場合にそうなるということでございますので、それは、マニフェストの段階でそうした説明が不十分だったということはおわびをしなきゃいけない部分もあると思います。

田村(憲)委員 きのうの答弁もちょっとやはり怪しい答弁でしたね、一定期間入れば最低保障年金がもらえますというのは。最低保障年金七万円というふうに決めておるわけですから、一定期間というのは実は四十年という話ですね、今の話ですと。満期入らないと最低保障年金はもらえない、最低保障年金イコール七万円という話ですから。そういうふうな話でいいんですね。

岡田国務大臣 最低保障年金を満額もらうためには、それはずっと四十年間入らなければいけないということであって、あとは、入った期間に応じて減額されていくということで、七万円を一円でも欠けたら最低保障年金と呼ぶか呼ばないか、それは定義の問題ですけれども、それは、入って払った期間によって変わってくるというのは当然だと思います。

田村(憲)委員 いや、だから、国民の皆さんはそういう意識はなくて、最低保障年金七万円と書いてありますから、七万円もらえるという感覚であったんだと思うんですよ。だから、結果的には基礎年金と同じ話だ、そういうことでいいんですね。基礎年金と同じ感覚で、満額もらおうと思えば、四十年間の加入期間、限度いっぱいまで入らないと満額もらえない、そういうことで最低保障年金もいいんですね。

岡田国務大臣 基本的にはそういうことです。

 ただ、所得が少ないことによって保険料が減免される、加入はきちんとしているけれども減免されるとか、あるいは、場合によったら免除されるということも、それはあると思います。ちゃんと四十年間入っていただくことが前提ですね。

田村(憲)委員 今のお話をお聞きしていまして、収入のない方は減額になるんだろうと思うんですけれども、免除という話を初めて聞いたんですよ。免除じゃなくて減額。免除は、収入がなければ免除になりますよね。減額という話になりますと、これは、収入があるけれども、保険料を一五%全部払わなくていいという話ですよね、減額というのは。今のは保険料の減額の話でしょう。

 すると、私は、収入がちょっとでもあれば一五%取られるものだと今まで思っていたんです。減額という話になると、それはどういう話になるんですか。一五%じゃない方々がおられるという話ですか。

岡田国務大臣 その辺の制度設計をこれから議論しなきゃいけませんが、例えば国民年金でも、当然、所得が少ない方にはそういう措置はある。そういうところは、なければゼロか満額かということではないと思うんですね。しかし、具体的な制度設計は党でしておりますので、それ以上のことは余り私が申し上げない方がいいと思います。

田村(憲)委員 誤解のないように申し上げますが、国民年金は、保険料は定額なんです。ですから、減額という発想はあります。二分の一まで。四分の一まであるのかな、減額が。それと免除、四分の三からですかね。でも、皆さんのは一五%という割合ですから、減額という発想になると、一五%の保険料が、一定収入の方は七%だとか六%だとか、何かおかしな話になっちゃうと思うんですが、今の御答弁でいいんですか。

岡田国務大臣 そういう議論もあると思います。ですから、ちょっと私も言葉が過ぎたかもしれませんが、具体的には党の中で今、さまざまな可能性について議論しているというふうに御理解いただきたいと思います。

田村(憲)委員 そろそろ、何かちょっとは決まった方向性を出していただければありがたいと思うんです。

 ちなみに、二月の質問でもやりました。あれからもう三カ月、私の質問からたってきております。そろそろ法案も出すんですからね、来年度には。移行方法というものが大体おぼろげながら見えてきたのかな。何か四十年ぐらいかけて移行していくという話でございましたが、この四十年間の間に、二つが一緒に走るんだろうなというようなイメージはあるんですよ。現行制度の年金制度と、あなた方がつくろうとしている新年金制度と。

 この移行方法、例えば保険料一つとって、どういうような保険料の、両方との払い方になるんですか。一方では新年金の保険料を払いながら、今の年金の保険料も払うというようなやり方になるのか。いや、新年金だけになって、今までの年金の保険料を払わないというような方式にある日突然なるのか。どういうような移行方法なんですか。

小宮山国務大臣 今、そこのところは制度設計の上でやっていますけれども、やはりダブルにやるというのは非常に複雑になると思われますので、それは新しい仕組みの中で、それほど今と変わらない割合でございますから、そういう意味では、新しい制度で払っていただくということになるというふうに思います。

田村(憲)委員 これは大変ですよね。賦課方式で今走っている現行制度があるのに、新しい制度からいきなり変わっちゃうとどうなるか。私なんかのイメージは、四十年分の三十九年分は現行方式で、四十年分の一年分だけ新方式の保険料を取る。だから、二段階で保険料を取るというのが、我々、普通、イメージかなと。だから、来年裁定する人は、四十分の一年分だけは新制度で、旧制度が四十分の三十九年ある。次の年に裁定される人は、四十分の二年だけが新制度の保険料を払って、四十分の三十八年は旧制度だみたいな、そんなイメージなのかなと思ってきたんですが、今のお話だと、違うような話、何かよくわからないような話になるなと思うんです。

 いずれにいたしましても、岡田副総理、いつも、党が党がとおっしゃられるでしょう。だけれども、以前から言っているように、これは政府が介在しないとこんな制度設計できませんよ。厚生労働省が協力せずして、民主党だけでできるわけないのであって、だからあなた方は野党のときに、数字もわからないしデータもわからないから具体的な案はつくれないと言ったんじゃないですか。

 今になって、党でやっていますから、我々内閣、政府は絡んでいませんからみたいな、それは詭弁以外の何物でもないので、やはりお互いに協力して制度設計してもらって、随時我々に報告してもらわないと、ここで議論するにも、もう何度も出ているでしょう。一方でもう新しい年金制度を考えていると言われているのに、今こんなびほう策のことだけ言われているのでは、一体改革としてこの場で議論できないじゃないですかという話になるんですよ。

 ですから、次の場面までには、大体おぼろげながら、今政府と民主党の間で進めております年金制度の案というものをお出しください。

岡田国務大臣 どこかの段階で政府と党で調整しなければいけないというふうには思っています。

 ただ、今、党で非常に熱心に御議論いただいているというふうに聞いておりますので、やはり、ある程度そこであらあら案をまとめていただいた上で、政府と調整をして、そして各党と調整をさせていただく。確かに、その途中の段階でいろいろ言わない方がいい、そういうふうに思いますので、もう少しお時間をいただきたいというふうに思います。

 ぜひ、そういったものができましたら、各党間で協議させていただく、そういう場をおつくりいただければ大変ありがたいと思っております。

田村(憲)委員 一体改革の委員会なんですね、これは。

 委員長にお願いいたしますけれども、この民主党なる政党が、なる政党と言うと怒られますが、民主党という政党が今つくっている案をぜひとも政府とすり合わせをしていただいて、この委員会にお出しをいただきたい。この委員会、いつまでやっているかわかりませんが、その間中にはお出しをいただいて、ちゃんと議論の俎上にのせていただくように理事会でお諮りをいただきたいと思いますが、いかがですか。

中野委員長 理事会で諮りますが、岡田担当大臣、どうですか。

岡田国務大臣 今回の社会保障・税一体改革の中身からはこれは除いてあるわけです。ですから、この法案の審議とは別途議論するということだと私は思っております。

 いずれにしろ、党の状況をよく踏まえてやらないといけませんので、私、ここで余り勝手に申し上げるといけないというふうに思っています。

田村(憲)委員 ですから、委員長にお願いしたいのは、理事会でぜひともお諮りをいただきたいということをお願いいたしております。

中野委員長 わかりました、はい。理事会で諮ります。

田村(憲)委員 半分過ぎちゃいました。ちょっと子供の方に移らせていただきたいというふうに思います。

 今回のこの法案、法案は法案でいいんですが、前回お示ししました私の資料、きょうもお手元に行っておると思いますけれども、一番左に純粋幼稚園が残っているんですね、こども園に入らない幼稚園。そこは、こども園給付の対象になりません。しかし、一方で、建学の精神にのっとって独特な思いを持った教育をそこでやってきている、そういう幼稚園だというふうに思います。我々のこの日本において、非常にユニークな、いろいろな教育手法も取り入れてこられている、そういうすばらしいところが多いわけであります。

 今回、こども園給付は、これは今回の消費税の中において、皆様方は、一体改革にあわせて財源としてお示しになられておられますが、幼稚園、私学助成でありますとか就園奨励金、これに関しては書かれていないんですね。

 私は、本来はこれも、それはこども園じゃないから消費税を上げたときに入れないなんというのは、何か、子供を色をつけて差別しているみたいにしか思えないですよ。ぜひとも入れていただきたいと思いますし、ここを何としても確保しないと。いやいや、将来はみんな総合こども園にするから、ここはじり貧なんだよなんて言われたら、これは一生懸命やっている幼稚園はもたないわけでありますので、そこの予算もしっかり確保をしていただかなきゃいけない。

 これは平野大臣、ぜひとも力強い御答弁をいただきたいんですけれども、いかがですか。

平野(博)国務大臣 田村議員も、今回の新システムの仕組みはもう十分御理解、御認識をいただいていると思います。

 資料をいただきました中に、一番左側の、今回の指定、認定を受けないこの幼稚園についてどうするんだということについてでございますが、私は、幼児教育という観点で、今日まで私学の幼稚園の果たしてきていただいた、このことは非常に重要なことでもございますし、また、それぞれの園によって、いろいろな多様なニーズに応えてやってこられておる、こういうふうに認識をしております。

 私も、多分、田村先生から質問があるんじゃないかなと思って、いろいろな幼稚園を、現場を回ってきました。都市部と地方によっても随分違いがあります。しかし、建学の精神を十分尊重して私学の果たしてもらっている役割というのは重要でございますから、今後とも、私学助成を含めて、しっかりと私の立場で財源は確保してまいりたい、かように思っております。ただし、財務省と十分協議をしなきゃいかぬと思っておりますが、頑張りたいと思っております。

田村(憲)委員 これは、文科大臣、私は応援しますけれども、やはり今回の消費税の中に、内訳に入っていないというのが、何か、チルドレンファーストといいながら、鬼子みたいに外しちゃったという、私はちょっと気に入らないんです。これは、これから何かうまく引っ張り出せるような、そういうことも考えていただきたいというふうに思います。

 続いて、小宮山大臣に御質問します。

 先般、私、株式会社が怖いという話を、怖いというか、いい株式会社もいっぱいあるんですよ、だけれども、株式会社が入ってくると、中には株式会社でよこしまなところもないとは限らない、怖いですね、稼いでその利益をいろいろなものに使うんじゃないか、こういうような心配を申し上げましたが、これに対してどうお答えになられますか。

小宮山国務大臣 株式会社の中にも、一生懸命今も保育に参入してやっているところもあることはお認めになると思います。そうしたところの意見などもいろいろ聞いています。株式会社で質が落ちるんじゃないかとか、途中で介護のときのように投げ出すんじゃないかとか、いろいろな御心配のあることもわかっています。

 そうしたことから学んだところも含めまして、今回はまず、客観的な基準で指定をする。その際にいろいろと欠格条項とか要件は課しています。そこできちんと認めた上で、これは五年ごとの更新制ということで、チェックもかけてまいります。また、その実施主体である市町村が監督する権限、それで、場合によってはいろいろな勧告などもして、うまくいかないときにはもっと強硬な手段をとるようなこともできるようにしていますし、撤退する場合には三カ月の、事前にちゃんと申し出をして、その撤退することの認可を受けないといけないというような形にもしておりますし、その際にそこにいた子供たちが困らないように、ちゃんと次に行くところを用意しなければいけないということも、それもそういう責務を課しております。

 今までのさまざまな例を考えた上で、しっかりと、あと、区分経理をしてそこでの利益はほかへ回さないということは午前中も質疑があったところですが、いろいろな、株式会社がきちんと質も確保していただけるだけの手だては考えているつもりです。

田村(憲)委員 今、区分経理して利益はほかに回せない、一定程度の制約をかけると。配当には若干回せるのかどうかはわかりませんが、そういうふうなことをおっしゃられましたよね。それは総合こども園の話でしょう。私が申し上げているのは、この一番右にあります「基準を満たした認可外保育施設」というものですよ。前回、指定のみこども園と言いました。ここの利益も、利益処分に関して一定の制約をかけてありますか。かけるんですか。

小宮山国務大臣 そのこども園のところは区分経理だけです。

田村(憲)委員 かけていないという話でしょう。

 だから、私、総合こども園のところは余り心配していないんです。認可だから。株式会社が入ってきても、多分今までの保育園と一緒で、認可で、ただ単に指定基準だけで資格を与えないんですよ。ちゃんと経営者を見たりだとか、財務内容を見たりだとか、資産がどうだとか見て、その上でここは認可するんです。保育園と一緒。今の保育園だって株式会社は入っているんですから。

 問題は、そうじゃない、言うなれば、外形的な基準といいますか、客観的な基準だけで指定を与えちゃうようなところは、それが本当にそうなのかどうなのか、五年ごとに見ていくと言いましたけれども、では、その五年以内がどうなるかわからないわけですよ、事後チェックをしなければ。たくさんの地方公務員の方々を雇って全部チェックすればいいですけれども、そんなことは今できないじゃないですか。そして、利益は何に使われるかわからないなんということが起こってくるんですよ。

 総合こども園はそこまで厳しいことを課しているのに、こっちの指定のみのこども園だけは何で株式会社がだだぼだなんですか。これは何でこういうダブルスタンダードが生まれているんですか。

小宮山国務大臣 これは、総合こども園の場合は都道府県知事が認可をする、指定のみのこども園の場合はそれぞれの市町村が、先ほどから申し上げているように、必要なニーズを把握した上でそれだけのものを用意しなければいけないということになっています。その際に、いろいろなところが参入しやすいようにということで、市町村長が指定をする。

 ただ、申し上げたように、参入に当たっての要件は法律上きちんと書きまして、欠格要件を法定化するとか、違反があった場合の連座制のペナルティーを科すとか、そうしたことはきちんと書かせていただきます。

 それで、区分経理で、他の経理との区分、分離を指定基準とする、これは省令できちんとそのことも書かせていただきたいと思っていますし、指定のみのこども園でも、三カ月以上の予告期間を設けて、市町村長へ届けなければ撤退はできないというようにしていますので、それは、総合こども園よりは緩やかにしていますけれども、なるべくそこの実情に合って、多くのところに参入していただきたいということでこういうような指定にしているところです。

田村(憲)委員 だから、規制緩和の流れと同じなんですよ。この間も言ったとおり、例の高速ツアーバスだとか、それから投資顧問会社のAIJだとか、規制改革をやって結果的にとんでもないところが出てきた。子供はそれじゃ済まないんですよ。命にもかかわってくるんですよ。ふやしたいからちょっと基準を緩めて、結果的に何か起こったらどうするんですかという話になるから、だから我々は言っている。事後チェックをちゃんとやれるだけの仕組みをつくればいいですよ。でも、それもままならないですよね、はっきり言って。そんなに人はいません。各こども園をずっとチェックして回るなんということはできないと思いますよ。

 それで、今、やめるときには三カ月という話がありましたが、株式会社というのは潰れるんですよ。突然潰れることがいっぱいある。そういうときにどうするんだという話になるんですよね。これは、潰れたときも、三カ月前に、おたく潰れますか、こんなことを聞いて、あと手当てしてくださいなんて言うんですか。悪い株式会社がもし入ってくれば、計画倒産するかもわかりませんよ。どうするんですか、こういうものに対して。心配の声が実はあるんですよ、いろいろなところから。どう対応するんですか。

小宮山国務大臣 御承知のように、現在も保育所は市町村が実施主体として関与してやっているわけです。やはり、非常に住民との距離が近くてニーズも把握できる自治体が保育などの現場にしっかりと対応していくということは必要だと思っていますので、必要に応じて都道府県の支援も得て、いろいろなそういう調査なども実施をして、きちんとチェックしていくという形でやっていけるというふうに思っています。

田村(憲)委員 何かよくわからない。潰れる話をしているのに違う話をされちゃったんですが。

 現在は実施主体は市町村にあるとおっしゃいましたよね。今回は児童福祉法の二十四条を改正しますから、市町村は実施主体じゃなくなるから我々は怒っているんじゃないですか。今度は監督指導なんですよ、市町村の役割は。今までは実施主体だったから、これは市町村はすぐにでも何かやらなきゃいけなかったでしょう。変わっちゃうんですよ。

 だから、今おっしゃっていることは、今の制度なら何とかなるだろうけれどもという話ですよね。あなた方が制度を変えちゃうんですよ、法律改正して。実際はどうするんですか。急に退出してしまったような株式会社の保育園、こども園ですか、どうするんですか。

小宮山国務大臣 市町村の責任が後退をすると言われますけれども、それは、待機児童がいない市町村では、今でも、形式的には市町村を通しますけれども、事実上は直接申し込みをしているというようなことがありますし、新制度でも、待機児童がいる市町村では、今までどおり一旦市町村に申し込んでもらい、市町村が優先度に応じて利用する保育所を調整する。そういうようなことで、保護者と市町村と施設の関係は、直接契約になっても実質的に変わらないと思います。

 児童福祉法の二十四条の関係で責任が弱まるというようなお話がありますけれども、今回も、児童福祉法とそれから子ども・子育て支援法できちんと市町村の責務ということは盛り込んでございますので、今までの、保育に欠ける子に対して義務をかけるということではなくて、今回は、保育を必要とする全ての子供たちに対して責務をかけるという形に仕組みを変えておりますので、そこで決して市町村の責務が弱まっているというふうには考えていません。

田村(憲)委員 いや、実施主体であるかそうじゃないかによって、当然、実施主体の方が責任は重いに決まっているじゃないですか。この間の質問でも、国家賠償訴訟の場合、その対象としてどうだと考えた場合、実施主体の方が責任が重いという話をされたじゃないですか。だから、そういうような話はやはりおかしいと思いますよ。

 では、さらにお聞きしますが、僕は、潰れた場合どうするんだという話をしているんですよ。今は認可だから、潰れるようなところには基本的には認可しないんですよ。さっきも言いましたとおり、今度は指定ですから、指定というような外形的な評価で、一定基準を超えたものが入ってくるんですよ。それは、認可で見るよりかはよほど、言うなれば甘い基準で入ってくるんですね。そういうところは、当然、潰れる可能性も株式会社だから出てくるじゃないですか。

 潰れないところをちゃんと見ながら実は認可しているんですよ、今、都道府県は。ここはいろいろなことを言っているけれどもなかなか財政状況がよくないなと思ったら、そういうところには認可は出さないんですよ、今は。今度はそうじゃないから、私は、潰れる可能性があるようなところも参入してくるのではないかという心配をしているのであって、今大臣がおっしゃられた答えは全然、私がしている質問と的が外れている答弁をされておられますよ。

 次に移りますが……(発言する者あり)では、どうぞ、岡田副総理。

岡田国務大臣 前回の法制局長官の答弁、私もあの後確認をいたしました。正確には長官に改めて答弁させた方がいいと思いますけれども、長官が答えましたのは、市町村がみずからやっているそういった保育園について何かあれば、これは国賠法の対象になる、これは当たり前だと思うんですね。しかし、市町村がみずからやっているのでない現在の保育園については、これは基本的には民法の話で、そこは制度は変わっても基本的には変わらない、そういうふうに理解しております。

田村(憲)委員 それはまた今度、私、法制局の方と確認しますので。ちょっと論点がずれていますよね。そのことをお聞きしているわけじゃないので、今は。倒産した場合どうするんだという話なので。

 結果的には、株式会社が入ってくれば、指定制ならば、今よりかはやはり財政的に運営上危ないところが入ってくる可能性は十分に考えられますから、そのときの対応をしっかり考えていただかなければ後で子供たちが困ることになると思いますので、そこはよくお考えいただきたいというふうに思います。

 それで、株式会社が入ってくると当然普通に考えられるのが、ダンピングが行われるんじゃないか、うちの方が安いですからどうぞなんということが行われるんじゃないか、こういう心配事があるんですが、大臣、これに対してどうお答えになられますか。

小宮山国務大臣 今度のシステムでも、こども園の給付の額、これは公定価格で定めます。保護者負担の額も、国が定める全国的な基準を踏まえて市町村の方が一律に定める、そういう仕組みになっています。

 また、保護者の負担の額を割り引く、その分、施設の収入となる給付額が、割り引けば減らされるというような仕組みになっていますので、実質的にダンピングによる価格競争というのは生じない仕組みにしてあります。

田村(憲)委員 それがやはりお役所のかたい頭なんですよ。

 今、ドラッグストアで何が起こりましたか。調剤薬局、あれは診療報酬ですよ。これに対してポイント制を導入したんです、ドラッグストアが。ポイント還元何%、倍々デーとか今やっていますよね、いろいろな宣伝で。ああやって、事実上、お金にかえられる、お金にというか、お金のかわりになるポイントで割引するということを始めた。そして、厚生労働省は、これはやばいということで、十月からそれを停止しなさいという話になった。ところが、相手方は裁判を起こすと言っています。

 私はちょっと心配なんですね。なぜかというと、よく似たもので、インターネットの薬の販売、これは高裁で負けました。なぜか。法律にこんなことをしちゃいけないと書いていないと言うんですよ。あくまでも、それは役所の裁量権、行政の裁量権でやっちゃいけないと言っているからだめだと。実は、この調剤もポイントでやっちゃいけないなんて書いていないんですね。それで、これを訴えると言った。

 我々は、守ってほしいですよ、ちゃんと。こういうようなポイント制で安くするなんということは、公定価格を壊す話ですから。しかし、司法が何を判断するか、我々もわかりません。

 そうすると、これも、保育所も、このこども園も同じように、公定価格だといいながら、うちの株式会社グループならば何とかカードでポイント五%、五ポイント還元しますよなんということを言われたら、事実上の割引になる。ましてや、そこが大きな、それこそ流通を抱えていれば、そのカードの点数でいろいろなものが買えちゃうという話になっちゃうんですよ。

 これは割引になりませんか。

小宮山国務大臣 それは、調剤薬局のことも、今御指摘いただいたように、法的根拠がない中でできないというふうな指摘も受けています。

 そういう意味で、これは制度を施行するまで、私も、ポイントによって割り引くというのは公定価格の性格からあってはならないことだと思いますので、どのような形でそこが規制がかけられるのか、そのことを、法的根拠がないとできないということであれば、そういう法整備をどのようにするのかということも含めて検討させていただきたいと思います。

田村(憲)委員 法律に書かなきゃ、同じような話になって、裁判で仮に負けちゃったら目も当てられない話になりますからね。

 本当にこういうこともちゃんと考えた上で、この法律を我々はいいとは言いませんけれども、お出しをいただかないと、本当に餌食になりますよ。大切な大切な子供たちのための財源なんですからね。

 時間があと七分ぐらいになってまいりましたが、実は、大臣が待機児童のことを、今度は地方で、ちゃんと自治体で待機児童を把握するから大丈夫だ、ちゃんとニーズ調査をするんだというようなお話をされておられて、あれ、ちょっとおかしいなと私は首をひねっているんですよね。今も地方はニーズ調査をやっているんですよ、待機児童は。あれは各自治体でやって集計して、都道府県か何かに出しているんですよ。同じじゃないですか。どう変わるんですか。

小宮山国務大臣 それはきのうの審議の中でも申し上げたかと思うんですが、今の調査というのは結局、今は、預けたいと思っても、待機児がたくさんいて預けられないと思ったら申請をしないわけですよ。そういうものについてはカウントをされていない。

 今回は、その具体的なやり方につきましては、また施行までの間に子ども・子育て会議など関係者の御意見も伺って詰めてまいりますけれども、とにかく必要とする人はみんな申し出ていただいて、その人数をしっかりと、潜在的なニーズも含めて把握した上で計画をつくって実施をしていく、そこに財源措置もするということでございます。

 今まで市町村が裁量的に、もうここはいっぱいだから受け付けません、申し込んでも無理ですよという形で把握していないものについて、これまでは待機児童が五十人以上いる市町村しか、そういうニーズを把握して計画をつくるということをしていませんでしたけれども、今回は全ての市町村がそういうことをやるようにいたしますので、皆さんの申し出のものは全部そこのニーズとして把握できるような形をとりたいと思っています。

田村(憲)委員 よくわからないんですが、自治体が結局ニーズを把握するとすれば、同じことが起きますよ。だって、自分のところの負担が余りかかると困っちゃうと思うような自治体は、ニーズが来たって裁量的に低目に出しちゃいますよね。だって、各自治体が調査するわけでしょう。今までと一緒じゃないですか。

 今までも、自治体は、自分のところが負担するのが嫌だからというところもあったでしょう、不届きな自治体は。全部が全部というわけじゃありませんよ、ごく一部かもわかりませんが。これだけあるけれども、実際問題、今のお話ですと、預けたいと言ってきてもいっぱいだからと断っているということは、そのニーズを把握しているということじゃないですか。それをもみ消しているという話でしょう。それを表に出さないという話でしょう。今回も同じ話になるんじゃないですか。ニーズ把握は自治体がやるんでしょう。同じようになるんじゃないですか。

小宮山国務大臣 今回のポイントとしては、市町村がそのニーズに合わせて保育の必要な児童ということを認定するんです。市町村はその数を全部認定をしなければいけないということを法の中に規定をしておりますので、そういう形では、そこを握り潰すということができないような仕組みにしてあります。

田村(憲)委員 認定しますといったって、入れないもの、ないものは仕方がないという話になりますよね。保育園、ないんだから。こども園が。すぐに一遍にふえないでしょう。

 だって、よくよく考えてくださいよ、大臣。今まで毎年、何万かずつふやしてきているんですよね。それで、四月になると待機児童は二万五千ぐらいに減るんですよ。ところが、何万かずつこの十年ぐらいふやしてきているんですよ、にもかかわらず、十月になると五万近くまでふえるんですよ。毎年毎年それを繰り返しているんですよ、ふやしているのに。そういうことでしょう。

 ということは、そんなの一遍に出てきたって、どこにも預けるところがないんですよ。潜在的に四十数万人ぐらい、これからつくらなきゃいけないんでしょう。そんなの全部、待機児童のニーズ、出せますか。どうやって出すんですか。一軒一軒家を回って、おたくは必要ですか、必要じゃないですかなんて回るんですか。

小宮山国務大臣 具体的には、これから子ども・子育て会議で具体的な方法は詰めますけれども、今、基本的には、全部回るというよりも、必要な人はみんな申し出ていただく。そういう形にして、全部、今までもずっと待機児童対策をやってこられたことはわかります。だけれども、どんどんやはり掘り起こされ、潜在的な需要が出てくる中で、追いつかないわけです。

 ですから、今回こういう形で、きちんとそのニーズが把握できるようにした上で、計画をつくって、その分をつくるだけの財源を、こうやって消費税を上げていただいて、それを充てていきたい。

 これまでこれだけ大きな割合を子供に予算をとったことはないわけですから、そういう中でやっていくということを申し上げているので、今までの仕組みの中でできなかったものとして、きちんとした、基準を満たして、これは人数の基準とか面積の基準とかちゃんと満たしたことを条件にして、NPOとか株式会社とか、参加したいところ、質のいいところは入ってくるわけですから、そういう意味で、これまでよりも受け入れる施設というものがふえることは間違いないと思っています。

田村(憲)委員 いや、私、そんな話をしているんじゃないですよ。今でも、子供を預けられないからと申請さえしない人はいっぱいいるんですよ。今回、新しい制度になったって、わあっと一遍にこども園がふえるわけじゃないんですよ。一年で、待機児童全員、潜在的なものを解消できない、そうしたら、みんな諦めるんですよ。申請を出したって、もう私の子供は二、三年、あと二年預けられないねと思ったら、申請もしませんよ。数が足らないんですから。

 だから、結果的には、机の上では理想的に、こういう制度で、これぐらいの待機児童がいるなというのが全部出てくるなというふうに思われるかもわかりませんが、実態はそんなに甘くない。

 私、確認したんです、厚生労働省の役人に。これはどうするんだと。そうしたら、人口規模、その町の人口がどれぐらいか、それから多分、そこに若い人たちがどれぐらいいるか、そういうことも調査するんでしょう。それから、田舎と都会で大分違います。田舎ですと、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんがいるところも結構ありますから、保育ニーズが少ないという部分もあるでしょう。そういうものを計数化して、その上で、人口規模に合わせて大体目算でつくるというふうにお答えになられていましたよ、厚生労働省、内閣府のお役人が。

 そういうやり方しかできないんですよ。だから、今大臣が、もう全てのニーズをちゃんと把握しますというようなことは、それはちょっと言い過ぎで、幻想を振りまいて、最終的には失望に変わりますから、もうちょっと正確な御答弁をされた方がいいと思いますよ。

小宮山国務大臣 正確なニーズがなるべく把握ができるように、申し上げているように、子ども・子育て会議でその基本方針を決めまして、参酌基準を示すことにしています。

 その中で、多分役所の役人が申し上げたのは、さらにこれからいろいろ人口構成などでこれだけ必要ではないかというような係数を掛けたりとかいう作業はするとは思いますけれども、実質的には、今まで諦めていた人も含めて、必要な、ニーズのある人は申し出ていただくということが基本だというふうには思っています。

 ただ、今までの仕組みよりも、とにかく、預かり保育をしているあきのある幼稚園も、ここがちゃんと財源措置ができるということ、それから、小規模の保育もきちんとできるようにする、また、家庭的保育も認めるとか、いろいろな方法論を考えていますので、そういう意味で、質も量もしっかりと確保していきたいと思いますから、今までよりは待機児の対応にはしっかりなると考えております。

田村(憲)委員 まだ二十問ぐらい余しちゃいましたので、また機会を見つけて大臣には御質問をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

中野委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 次に、永岡桂子さん。

永岡委員 自民党の永岡桂子でございます。どうぞきょうはよろしくお願いいたします。

 実は、これは事前に通告はしていないのですが。

 きょう、お昼、私、会館で御飯を食べていました。テレビを見ながら食べていたんですけれども、芸能人の方がテレビでお母さんの生活保護の受給を認められまして、めちゃめちゃ甘い考えだったと、御本人がそうおっしゃって謝罪会見をなさっていらっしゃいました。

 子細のことは、私も、事実関係、そういうことはよくわからないんですが、報道されている限りでは、御当人がテレビにたくさん出られるようになったと認識している五、六年前からの受給分については岡山の方に返還すると言われたようでございます。

 私は、詳しくわかりませんし、個人攻撃をする気は毛頭ないのでございますが、このことに関しましては、大分以前からマスコミにおきまして、不正受給ではないのかというような話が出ておりました。

 生活保護費の不正受給ですとか受給要件のチェックのその体制というのが不備があったりするのではないか、そういうふうに考えられますので、今後、早急に見直しをしていく必要があると思いますが、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。

小宮山国務大臣 生活保護を受けているかどうかの情報、これは個人のプライバシーに関するものなので、今委員もおっしゃったように、個人のことでコメントをするということではなくて、扶養義務者から、これまで支払った保護費を返還する、そういう申し出があった場合には、福祉事務所との間で具体的な返還額などについての話し合いが行われることになると思います。

 一般的には、高額な収入を得ているなど、生活保護受給者を十分扶養できるにもかかわらず仕送りを行わないケースなどについては、これは生活保護制度に対する信頼を失うことにもなりますし、そういう意味では、扶養が可能と思われる扶養義務者にはその責任を果たしていただきたいと思っています。

 今後は、明らかに扶養可能と思われるケースについては、家庭裁判所に対する調停などの申し立て手続の積極的な活用を図ることに私どもとしてもしていきたいというふうに思っています。

 具体的には、扶養請求調停手続の流れを示したマニュアル、具体的な扶養請求調停手続のモデルケース、これを厚生労働省から自治体にお示しして、着実な扶養義務の履行につなげていきたいと思います。これは、きょう今ここで初めて、そういう対応をとるということを申し上げているものです。

 また、現在、生活保護制度の見直しについて議論をしていますので、その中で、扶養可能な扶養義務者には必要に応じて保護費の返還を求めることも含めて、扶養義務者がこれまで以上にその責任を果たしていただけるような仕組みも検討していきたいと考えています。

永岡委員 ありがとうございます。

 いろいろと不正受給に関しましては、本当に地元でも、どうもあのお母さん、母子家庭だというけれども、夜になるとお父さんがいつも帰ってくるんだよねなどという話も聞かれますので、そういうところのチェック体制、御指導のほどを自治体によろしくお願いいたします。

 次に行きます。

 厚生労働省の発表によりますと、生活保護の受給者の人数、これは本当にもう増加の一途だということでございます。ことし二月の生活保護受給者の数は二百十万人に近い数、戦後最高値を更新し続けているということでございます。また、今年度予算におきます生活保護費は、これは総額ですと三・七兆円となっておりまして、国の財政、まあ地方財政も、本当に圧迫している状態だと思います。

 生活保護というのは、資産ですとか収入、働く能力など、あらゆるものを活用してもなお生活に困る方々に対して生活の最低限を保障するという、本当に最後の最後のセーフティーネットであると思います。

 私たち自民党は、手当よりも仕事を基本として、生活保護制度を見直すべきと考えております。そういう意味では、働くことのできる受給者に関しましては、就労支援を強力に推し進めていくことが非常に重要なのではないかと思っております。

 受給者の方の増加を大臣はどのように分析していらっしゃるのか、お聞きいたします。

小宮山国務大臣 生活保護受給者をどう認定するかについては、前政権がやっていらしたのと同じ基準でやっているのですが、その中で、厳しい経済情勢で失業する人がふえているということ、また、高齢化が進展をしてきて病気などで働けない高齢者がふえている、そのようないろいろな事情が重なり合っているというふうに思います。

 ただ、特徴としましては、世帯ごとに見た場合に、高齢者世帯が半数近くを占める、また一方、失業による生活困窮世帯を含むと考えられますその他の世帯の占める割合が高くなってきている。そこは、今委員がおっしゃったように、働ける方には働いていただく就労支援に、もっとしっかりと、今までも力を入れていますが、さらに強力に進める必要があるという認識は同じく持っております。

永岡委員 いろいろこういう状況を踏まえて生活保護者に対する就労支援にこれからも取り組んでいくということでございますが、具体的にその対策についてお聞きしたいと思います。

 生活保護を受給している方を就労につなげていくためには、受給者本人が、仕事をする、自立をするというその気持ちを、何とかその意欲を持っていただくということが非常に重要だと思っております。

 そういう中で、今までにはないような、支援をするに当たっての生活保護脱却のインセンティブの強化というのも非常に重要ではないかと思いますので、その点も踏まえまして、具体的な対策、どういうことをやっていらっしゃるか。お願いいたします。

小宮山国務大臣 おっしゃるように、やはり御本人が働くという気持ちを持っていただかないといけないので、これは、長く生活保護を受けていれば受けているほどそういう気持ちがなえてしまいますので、なるべく寄り添う形でしっかりとその就労を支援していきたい。

 そのため、今年度は、ハローワークと福祉事務所に配置をします就労支援の担当者、就職支援ナビゲーターというふうに呼んでいますが、これを昨年度の七百人から千人にふやす。また、就労支援員、これは福祉事務所ですが、千七百五十四人から二千二百人にふやすというようなことで増員を図り、特に就労に結びつきにくい人に対しましていろいろな支援を寄り添ってするようにしていきたいと思っています。

 また、さらに、ことしの秋をめどに生活支援戦略を策定いたしまして、NPOなどの協力もいただきながら、ともに働く、協働をするという形で生活保護受給者の皆さんの就労支援にしっかり取り組みたい。この生活支援戦略のあらかたのものにつきましては、年央に作成をします日本再生戦略の中にも盛り込みまして、政府を挙げて取り組んでいきたいと考えています。

永岡委員 ありがとうございます。

 それでは次に、生活保護……(小宮山国務大臣「インセンティブを言うのを忘れました」と呼ぶ)インセンティブ、そうそうそう、忘れていましたね。よろしくお願いします。

小宮山国務大臣 もう一つ、働くインセンティブの御質問がありました。

 就労を通じた脱却のインセンティブ、これは非常に重要だと思っていますので、ことしの秋をめどに作成をする生活支援戦略を検討する中で、保護受給中であってもその就労収入の一部を積み立てて、保護を脱却するときに一括して還付をする就労収入積立制度、これを導入するなどの観点から見直しをしていきたいというふうに思っています。

永岡委員 今、大臣が最後に言っていただきました、就労収入の積立制度、これも本当に重要だと思いますので、どんどんと進めていただければと思っております。

 次に、生活保護の医療扶助について質問させていただきます。

 平成二十二年度の実績ですと、生活保護の医療費というのは一・六兆円になります。生活保護費全体の約半分を占めているということで、これを考えると、生活保護の適正化を考える上には、医療費について最優先で考えなければならない課題であると思っております。

 その中で、生活保護の受給に医療費が半分かかるということは、これはよくわかるんですよ。高齢の方が、生活保護を受けていらっしゃる方が多いということもあるし、また、医療を必要とするので、お医者さんにかからなければいけないから働けないんだという方もいらっしゃる。お年を召した方でもそうですし、若い方でもそうですね。また、もちろん、医療費を使うことが長期にかかるということもあると思うんです。

 生活保護の受給者に医療を必要とする場合というのは、これは、自己負担がないから。あともう一つ、医療機関も取りっぱぐれがないわけですね。そういうことを考えますと、両方ともコスト意識が低いというんですか、ただだから、もらえるし、もらいっぱぐれがない。そういう指摘もあります。

 そのことを考えますと、本当に医療を必要とする方が医療費を使うのは構わないんだけれども、それが本当にきっちりと適用されているかということを、支給が行われていることが適正かどうかをこれは行政サイドが見なければいけないと思うんですが、そのチェック、徹底的にしなければいけないし、その適正化を進めていく必要があると思います。

 おのおのの診断状況を適切に把握して、不適切なものがあれば厳正に対処していくなど、こういうことを考えて対策を抜本的に考えなければいけないかと思いますが、それについてのお考えをお聞きいたします。

小宮山国務大臣 おっしゃいますように、生活保護の半分を医療扶助が占めている。おっしゃったように、やはり生活保護受給者は、高齢者が多いこととか病気にかかった人がいること、また、精神疾患の患者さんなど長期療養をしている方もいらっしゃる、そういうような事情があると思います。

 ただ、今委員がおっしゃった自己負担ということについては、生活保護費というのは、生活するために最低限必要なものから、いろいろな、仕送りを含めた収入などを引いてぎりぎりのところを出しているので、では、その自己負担するお金はどこから出すのだろうか、そういうこともございますので、それが必要な受診を抑制することにならないようにという観点も必要かとは思います。

 それで、医療扶助の適正化、これは本当に重要でございますので、今年度はまた、新たに電子レセプトの機能強化をさらに図って、適正化の対象となり得る人が容易に抽出できるようにするということ。

 また、ずっとこれも懸案の後発医薬品、これの服用をどのように進めるかということで、とにかく一旦は服用してくださいということを促すということで、さらに使用促進を図ってきていきたい。

 また、保健師とか薬剤師など、専門知識を持つ医療扶助相談・指導員を各地方自治体に配置しまして、医療扶助の適正化を図っていきたいと思っています。

 秋をめどに作成します生活支援戦略の中にも、医療扶助の適正化はしっかりと盛り込みたいと考えています。

永岡委員 ちょっと、今大臣がおっしゃったことでよく理解ができなかったことがあるんですけれども。

 生活保護を受けている方は、医者にかかるのは非常に簡便にかかれますよね。それをかかりにくくするような要因というのは何一つないわけでして、大臣がおっしゃったように、医療にかかるのを、お医者さんにかかるのを抑制するという要因は今の制度では一つもないかと思うんですが、いかがでしょう。

小宮山国務大臣 自己負担というお話がございました。そのことに関連して、生活保護というのは、収入や資産だけでは生活ができない人を対象に、最低の生活費から収入を差し引いた差額分を払っているわけですね。医療にかなりかからなきゃいけなくなってくると、今度は最低の生活費の方が食われていくことになりますので、そういうことを申し上げたということです。

永岡委員 自己負担がないわけですから、別に、生活費が食われるということはないんじゃないでしょうか。

小宮山国務大臣 現状はそういう形です。ただ、委員が自己負担ということをおっしゃいましたので、その自己負担が過度になると最低の生活費をどんどん割り込んでいくので、そこのあんばいが難しいと。

 ただ、生活保護の基準についてはさまざまな御意見がありますので、今、生活保護基準部会で、五年に一度実施される全国調査のデータなどを用いまして、ことしの末をめどに結論をまとめているところなんですが、先日、総理も、自民党の方でおつくりになりました生活保護をこう見直した方がいいということを積極的に受けとめさせていただくと申し上げていますので、そうした御提起も踏まえて、そうしたことも材料にして、ここでどのように引き下げていくのかということについてもしっかりと議論をさせていただきたいと思っています。

永岡委員 はい、わかりました。現状のことをお伺いしておりましたので、現在は医療費に対しての自己負担がないということで、よく認識は共有されたと思っております。

 次に、生活保護費の水準についてお聞きしたいと思います。

 例えばの話になります。東京都にお住まいの、夫婦と子供一人の三人の家族、この御家族が生活保護の受給世帯であるということといたします。

 そうしますと、大体約十七万円、月々の生活分としていただけます。これに加えまして、賃貸住宅でお住まいであれば住宅費というものが、上限額まで払われますと約七万円近くまで支給されることとなっていると聞いております。合計で二十三・九万円、まあ二十四万円ですね、三人家族で、子供一人。非常にいい手取りじゃないかなと思うんですね。税金はかかりませんし、また、医療費は今のところただでございますしね。

 一般的に言えば、この水準は少々高過ぎるんじゃないか、そういう気がいたします。気じゃなくて、これは高過ぎますね、本当に。なかなかお父さん一人で働いても足りないからお母さんもバイトに行かなきゃいけない、そういう家族が多い中では、高いのではないかと思います。

 生活保護費というのは、全て公費で賄われていることを考えれば、これをもうちょっと国民が納得できるようにするために、生活保護費の水準については少なくとも一〇%ぐらいは引き下げるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、古本委員長代理着席〕

小宮山国務大臣 国民の皆様の中でも、最低保障年金の話も先日来ずっと議論になっていますけれども、年金との価格の差ですとか、いろいろな形でなかなか納得できないというお声が強いことは承知をしています。

 先ほど申し上げたように、五年に一度実施される全国調査のデータなどを使いまして、専門的、客観的に評価、検証を今行っております、基準部会で。ここでことしの末をめどに取りまとめるときには、御党から御提案のございました一〇%引き下げということも参考にさせていただいて、まだ私が今審議しているところで引き下げると言ってしまうわけにはいかないんですが、そういう引き下げるべきという御意見も踏まえて、検討をさせていただきたいというふうに思っています。

永岡委員 どうぞよろしく対応をお願いしたいと思います。

 それでは、次に移ります。

 生活保護を受けている方の就労支援というのも、先ほどお話しいただきましたように、非常に重要だということでございますが、障害者の方についての就労支援もこれまた重要であると考えております。

 障害者の方の雇用が進展しているというのをここのところで聞いております。これは厚生労働省の審議会で障害者の雇用率の引き上げが了承されたということになっております。

 そこで質問させていただきたいんですけれども、審議会におきまして了承されました雇用率の引き上げについて、その考え方、その対応をお願いしたいと思います。

小宮山国務大臣 今、障害者雇用は、平成二十三年六月現在で、八年連続で過去最高を更新するなど着実に進展をしていまして、平成二十三年現在で三十六・六万人というふうになっています。

 御指摘のように、障害者雇用率、これは五年ごとに、法律に基づいて、労働者と失業者の総数に対する身体または知的障害者である労働者と失業者の総数の割合を基準として見直すということになっています。

 御指摘のように、二十三日の審議会で、民間企業の障害者雇用率を現行の一・八%から二・〇%に引き上げるということを了承いただいたところです。その引き上げの要因といたしましては、五年前と比較して、今御紹介したように、障害者である労働者の数が増加したこと、これを受けましてこういう形をとりました。

 今後は、雇用率を引き上げたことを受けまして、政令改正など必要な手続を行っていきたいと考えています。

永岡委員 ありがとうございます。

 民間企業の障害者雇用率を現行の一・八%から二%に引き上げることは、本当に障害者の方々にとっては大変喜ばしいことだと思います。

 しかしながら、一方、企業にとっては大分大きな負担がかかるのではないかと思います。特に経営状態が厳しい中小企業にとっては何らかの支援策も必要ではないかと考えます。

 今回の雇用率の引き上げに伴って、特に負担感が多い中小企業、零細企業を初めとした企業に対して、また、それをまとめます経済団体に対してはどのような支援を講じていらっしゃるのか、どういう支援を講じていくおつもりであるのか、お伺いいたします。

小宮山国務大臣 中小企業に対しましては、現在も、大企業と比べて、障害者を雇用した際の助成金を手厚くする支援などの支援策を講じています。こうした支援策を活用して、中小企業を初めとした各企業の障害者雇用、これを支援していきたいと考えています。

 引き上げ後の雇用率につきましては、二十五年、来年の四月一日施行を予定していますので、円滑な施行に向けて、これは審議会の中でも使用者代表の委員の方から改正内容の周知、広報を徹底してほしいということがございましたので、中小企業の方に厚くしている助成金のことも含めまして、しっかりと周知、広報を徹底していきたいと考えます。

永岡委員 形式的にホームページでお知らせしますよだけではなくて、やはり個々の企業が、一つ一つの企業が、障害者の雇用に対していろいろ国からも補助が出ているのだと、そういう認識がいただけるように、経済団体、つまり商工会、商工会議所、そちらの方からのアタック、そういうのもすごく必要だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 では、次に移りたいと思います。

 次は、内閣府の方にお伺いしたいと思います。障害者に関することなんですけれども、障害者に関するマークの実施状況についてお尋ねしたいと思います。

 これは、今私が参考の資料として先生方のところに配付しております。こちらを見ていただければなと思うんです。

 障害を有している人に対しては、都道府県が障害者手帳を発行しておりますね。これを持っている方に対しまして、各種の福祉サービスが提供されましたり、また、公共交通機関の料金の割引が行われたりしております。

 一方で、現在見かける障害者に関するマークは、この資料にもありますように、大変いろいろ多岐にわたっております。相当数がありますね。私も、この資料を見まして、ああ、こんなにたくさんあったんだと思いました。私が知らないマークもありまして、これについて特に今回は聞かなければいけない、そういう認識を再びさせられたわけなんですけれども、これらの障害者のマークは、誰が制作して、どのように使われているのか、実態をお知らせください。

園田大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 先生今御提示いただきましたように、障害者に関するマーク、内閣府のホームページでも公表させていただいておりますが、それは主なものでございまして、それのみならず、全国的に各地域で取り組んでいただいているものもございますし、また、団体ごとで、さまざまな形で、自分たちの障害に対する理解を求めるような形でつくっていただいているようなものもさらにたくさんございます。

 内閣府のホームページのみならず、各地域でも取り組んでいただいているところもございますので、ぜひ一度ごらんをいただければ、そういったものが出てくるかなというふうに思っております。

 御指摘のように、多くは、民間の団体の皆さん方がこうしたマークを作成いたしまして、そして、いわば障害者に対する理解を深めていただく、あるいはそれによって支援をしていただくというような形に使われております。

 例えば、先生御提示いただいたマークの中の一番上でございますけれども、これは障害者のマークの代表的なものでございますが、そういったものがあると、障害者の方でも施設を利用できる形になっていますよというような形で、そういった建物である、あるいは施設であるということを明示するもの。

 あるいは、その三番目にございますけれども、緑色で黄色の一見チョウチョウのような形をしておりますけれども、それは耳をイメージしているマークでございます。

 これは、聴覚障害の方の車にステッカーで張っていただいて、そういったマークがある場合には、これは法令上の規定によって義務づけられているわけでございますが、周りの車が、いわば割り込みをしたりとか、あるいはそれに対する幅寄せをしたりとか、そういったことをしないでいただきたいということを、注意喚起、促すためにも使用されているということでございます。

 そういった形で、多くの方が、民間団体の方々がつくっていただいているものもございますし、また法令に基づいているものも先ほど申し上げたようにあるということでございます。

永岡委員 ありがとうございます。

 このように、たくさんの、障害者に関するマーク、こういうのは本当に政府としてもっと国民に周知徹底、啓発するべきだと思っております。

 私は、実は、障害者のマークは、この一番上にあります車椅子をかたどったマークというのが非常に一般的である、そういうふうに感じておりました。

 しかしながら、車に張ってあるマークというのがよくありますね、障害者だよというのでマークが張られているというものがあるわけですけれども、この一番上のマーク、そして二番目のマーク、四つ葉のクローバーをかたどってあります、そして聴覚障害者の方の車のチョウチョウのマーク、これは見たことがあるのですが、ほかのはさっぱりでございますので、本当に啓蒙活動をもっともっと進めなければいけないと思っております。ぜひぜひ対応をお願いしたいと思います。

 それともう一つ、先ほど政務官の方から、地方でも各自治体独特のマークがあるのだというお話がございました。ちょっと、私、それについてもう一回詳しくお聞きしたいのです。

 例えば、大型スーパー、大型商業施設に行きますと、また、公共の市役所などに行きましても、一番その出入り口の近いところに駐車場のスペースを広くとった身体障害者用の方のための駐車スペースというのが特に設けられております。これは、二〇〇六年でしたか、バリアフリー新法で、そういうスペースをとるようにと決まったようでございます。

 私の地元は茨城でして、車社会でございまして、ほとんど、スーパーマーケット、近くのスーパーマーケットでも車で参ります。そうしますと、その障害者用のスペースに、健常な人の車がとまっているのではないか、そういう疑いを持たれるような元気そうな方の車がとまっていたりするんですね。ところが、よくよく聞きますと、その方は内部疾患があって、やはり障害者だと。そういうことがあるわけですよ。

 そこで、本当に、そういう要らぬ疑問ですとか要らぬ疑念を抱かせないようにするために、各県それぞれが条例で決めるのではなくて、国が、一つとして、これを張っていれば、ちゃんと障害者手帳を持っている人、その手帳と交換して使えるのだよというようなステッカーなり証明書、そういうものを発行するようなお気持ちというものはあるのかどうか、これをちょっとお聞きしたいと思います。

園田大臣政務官 ありがとうございます。

 先生御指摘のように、こういったマークを、マークだけではありませんけれども、障害に対する理解を深めていただくということは大変重要なことであるというふうに私も考えておりますし、政府としても、ホームページも通じてしっかりと広報、周知を図っていきたいというふうに思っております。

 ちなみに、先生御案内のとおりだと思いますけれども、十二月の三日は国際障害者デーになっております。これを中心といたしまして、毎年、内閣府でもこの一週間を、三日から九日までの間の一週間を障害者週間という位置づけをさせていただきまして、さまざまなイベントあるいはフォーラム等を開かせていただいておりまして、そういった観点でも、しっかりと私どもとしても発信をしてまいりたいというふうに考えております。

 また、権利条約が二〇〇六年に国連で採択をされました。今、内閣府といたしましても、この権利条約批准に向けて国内法の整備をしていかなければいけないということで、さまざまな形で推進会議を開かせていただき、また、昨年は、先生方の御協力もいただきまして、基本法の改正ができました。それによって、政策委員会が今度設けられることになります。その政策委員会の中でも、そういった、目に見えない、人目にはつかないようなところでも、障害をお持ちの方、苦しんでいらっしゃる方々がいらっしゃいますので、そういった形の方でも、しっかりとその特性が皆さん方に周知徹底が図れるようにしてまいりたいと思います。

 また、都道府県会議の中においても、あるいは政令指定都市会議の中でも、私ども、しっかりとことしもその周知を図るようにということでお伝えさせていただいておりますが、さらに頑張ってまいりたいというふうに考えておりますので、よろしく御指導のほど、お願いいたします。

永岡委員 どうも御丁寧な答弁、ありがとうございました。周知徹底のほど、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、次に移ります。

 ただいまは、生活保護の受給者の方、そして障害者の方の就労支援についてお伺いしておりましたが、次に、母子家庭のお母さんの就業支援についてお伺いいたします。

 母子家庭のお母さんというのは、子育てと仕事、これを両立しなければならないということで、これは本当に大変な生活を強いられているというふうに私は考えております。

 母子家庭になるというのは、それぞれの御家庭で要因はさまざまでございます。どれ一つとして同じような要因があるとは思えません。しかしながら、母子家庭となった途端に、やはりこれは仕事が大変になります。

 私の経験から申しますと、私も夫が亡くなりましてからこの八月で丸々七年になります。七年です。ですから、私も七歳若かったものですから、相当若かったですね、今よりね。若かったです。ということは、子供も小さかったんですね。

 でも、母子家庭といいますとその子供の年というのは十八歳でございますから、それに比べれば、子供ももうちょっと大きかったので、生活の面では、あと一回、あと一年分、子供の大学の学費を払うだけというような状態でございまして、生活にはそれほど困りませんでした。

 しかしながら、やはり自分の配偶者を失ったというその悲しみと、これから、一緒に暮らしてきたその一人欠けた分、子供たちにどうやって説明しながら自分たちの生活を立て直していくかということは、非常に精神的にも苦労が多かったわけですね。

 私の場合は、子供にお金がそんなにかからなかったので大分苦労も少なかったとは思いますけれども、母子家庭のお母さんというと、これは違います。本当に大変だと思っております。

 女性が結婚をする前、もうこのごろは、雇用機会均等法もありますので、ほとんどの方、学校を卒業しますと職につきます。ところが、職について、結婚ということになりますと、まずは職を離れなければならないチャンスというのが訪れます。チャンスというのはおかしいですね、そういう機会が訪れます。

 女性については、結婚、そして妊娠、そして出産、そして子育て、あとは、人によりますけれども、御主人の転勤に伴って、本当に大切だ、やりたいと思っていた仕事もやめなければいけない。そういうたくさんの機会に女性というのは仕事を離れなければならない、そういう認識をまず大臣には持っていただきたいと思っております。

 それに比べますと、男性は、妊娠もございませんし、出産もございません。そういうチャンスがないわけですから、物理的に職を離れなくてもいいということになるんですよね。

 そういう状況の中にありまして、母子家庭のお母さんというのは本当に頑張っております。頑張っています。働いていますね。私が思った以上に働いております。大体、母子家庭の方々の二〇%ぐらいですか、二〇%を切っていますよね、生活保護をいただいている方。あとは働いていらっしゃるんですね。

 そういうような中で、母子家庭のお母さんの置かれている状況、こういうものを、大臣も実は母子家庭であったこともあったかなと思いますが、今は母子家庭ではないようでございますけれども、どういうふうに認識していらっしゃるか、どのぐらい大変かということをちょっとお伺いしたいと思います。

    〔古本委員長代理退席、委員長着席〕

小宮山国務大臣 委員が御指摘のとおり、やはり女性の場合は、いろいろなときに仕事をやめざるを得ないということが、先ほどの質疑でもやりましたけれども、妊娠をすると大体七割の女性がやめている、今度は、子育てが終わった後は、介護のことでまたやめるというような、本当にそういうことに遭遇することが多くございます。私も、御指摘のように、子供を育てていた、私だけで、女の太腕で育てていた時期もございました。

 母子家庭の母親の就業状況、これは、平成十八年度の全国母子世帯等調査によりますと、御指摘のように、母子家庭のおよそ八五%が就業しています。その内訳は、常用雇用がおよそ四三%、臨時・パートが四四%と、大体半々、ちょっと臨時・パートが多いぐらいになっています。

 また、所得が、母子家庭の場合は非常に低い。お子さんが小さいと働く場所も限られるということもあるかと思いますが、平成二十二年国民生活基礎調査によりますと、母子家庭の総所得の平均が、年間で二百六十二・六万円、これは児童のいる全世帯の平均六百九十七・三万円と比較しますと、およそ三八%という低い水準にあります。ですから、私がよくお話を伺う母子家庭の母親の方も、一つの仕事では済まなくて、ダブルワーク、トリプルワークと、夜中まで二つ、三つの仕事をかけ持ちされている。

 そういう意味で、子育てとそれから生計をそういう厳しい状況の中で維持をされているということなので、母子家庭のお母さんに対しましてはきめ細かに支援していく必要が本当にあるというふうに思っております。

永岡委員 ありがとうございます。よくよく理解していただいていると思って、うれしく思っております。

 そういうことになりますと、やはり母子家庭のお母さんに対する就業の支援の対策というのは非常に重要なわけですから、今現在の状況、どういうふうになっておりますでしょうか。お知らせください。

小宮山国務大臣 母子家庭のお母さんが経済的に自立するための就労支援ですけれども、現在は、母子家庭等就業・自立支援センター、ここによります就業相談などの実施、また、看護師などの養成学校在学中に生活費の負担軽減を図る高等技能訓練促進費の支給、また、母子家庭のお母さんを含む子育て中の人を対象にするマザーズハローワーク事業の実施、このようなことで就業の支援をしています。

永岡委員 ありがとうございます。

 母子家庭のお母さんについては、子育てや生活支援、就業支援策、また養育費の確保、経済的な支援ですね、そういった総合的な自立支援が重要だと思っております。

 この自立支援の策を実施するためには、これは平成十四年だったんですけれども、母子及び寡婦福祉法などの関連法律が改正されまして、平成十五年から、母子家庭のお母さんの福祉を図ることを目的として、超党派の議員によりまして、母子家庭の母の就業の支援に関する特別措置法が制定されました。

 残念ながら、これは平成二十年に失効してしまっているんですけれども、そのためかなと思うんですが、最近、この就業支援の特別措置法に含まれておりました自治体の物品、役務の調達についてですが、自治体の庁舎で母子福祉団体によります自販機の設置をやめてしまう、そういうような動きもあると聞いております。

 自治体の母子福祉団体への発注について、どのような現状があると認識していらっしゃいますか。お伺いいたします。

小宮山国務大臣 自治体による物品、役務の調達については、地方自治法上、各自治体の判断によりまして、母子福祉団体との随意契約が可能になっています。また、母子寡婦福祉法でも、国または自治体は、母子福祉団体に対して、庁舎での自動販売機を含む売店等の設置許可に努めるということになっています。

 ただ、今委員が御指摘ありましたように、一部の自治体では、これまで随意契約で母子福祉団体に発注していた庁舎での自動販売機の設置について競争入札に切りかえる、こういう動きもあるというふうに聞いています。

 今後とも、厚生労働省としましては、母子福祉団体に対する積極的な事業の発注、これを自治体に要請していきたいと考えています。

永岡委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 母子家庭が自立するためには、児童扶養手当に頼らなくても、安定した就業とその収入により生活できるという、経済的な自立というものが本当に重要になります。そのためには、事業主の理解というものが非常に重要になっていると思っております。

 しかしながら、母子家庭のお母さんについては、子育てそして仕事の両立が求められていることとともに、これまで生きている中で、就業の経験が少なかったり、先ほど大臣がお話ししてくださいましたように、結婚、出産などによって就業を中断せざるを得なかった、そういうことなども加えまして、事業主、雇う側の母子家庭に対する理解不足などもありまして、だから、就職というのはすごくすごく困難だということがあると思います。これが実態のようでございます。

 八割以上の方は働いていらっしゃるわけですね。その多くは臨時のパートや派遣さん。そういうことを考えますと、本来ですと、母子家庭のお母さんが採用の面で困難にぶつかるということを考えますと、もう本当に、母子家庭のお母さんの優先雇用、これに各企業も協力してくれないか、そういうような規定を盛り込んだ法律もつくりたくなる、そういうものだと思うんですね。これについては、大臣、どう思われますか。お聞かせください。

小宮山国務大臣 議員立法としてそのような新たな就業支援の特別措置法を検討されているというふうにも伺っています。

 それで、男女雇用機会均等法、これは性別による差別を禁止していまして、全ての母子家庭の母を一律に優先的に取り扱うという趣旨ではこの均等法はありませんけれども、ただ、それぞれの母子家庭のお母さんが置かれている特別の事情に基づいて個別に母子家庭の母を優先的に取り扱うという趣旨のそういうような就労を促進する立法でございましたら、これは男女雇用機会均等法上の問題も生じないというふうに考えています。

永岡委員 ありがとうございます。

 それでは、均等法上の問題が生じないのであれば、現実の格差を直視しまして、先ほどの障害者の雇用に関する義務的な数値設定、これが措置されておりますけれども、大臣としましては、母子家庭のお母さん、これにも義務的な数値の枠をはめてもいいのではないかと私は思いますが、いかがでしょう。

小宮山国務大臣 御趣旨はよくわかるんですが、政府でここをやるというと、ではこれもこれもというふうになってしまうとなかなかそれも大変かと思いますので、今私が伺っているのは、議員立法でそういうことをおつくりになろうという動きもあるというふうに聞いていますので、そちらでやっていただいた方が実現性は早いのかなというのが率直な感想でございます。

永岡委員 私も、反対に、頑張ってやりなさいと言われたようでございますので、頑張ってやらせていただきますので、その節には、大臣の御判断、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。

 それでは、児童扶養手当についてお聞きをいたします。

 以前は、母子家庭のみ児童扶養手当というものが支給されておりました。これは、平成二十二年でしたでしょうか、一人親家庭、つまり父子家庭への支給もいいということで、法律が変更になりました。

 これは父子家庭の方にも、一人親家庭ですね、大変よかったことだと思っておりますが、父子家庭の収入というものと、それから母子家庭の収入というものは、これはやはり、大臣御存じのとおり、大分格差がございます。ほとんど倍近い格差があるんですね。そこへ、この児童扶養手当がお父さんの方にもお母さんの方にも行くといいますと、母子家庭のお母さん方の収入というものが、差がちっとも縮まらないということなんですよね。そのことをまず御指摘させていただいておきたいと思います。

 一般家庭の半分以下の収入で生活している母子家庭の中で、児童扶養手当というのは本当に重要な重要な生活の礎となっているものだと思っております。母子家庭の所得がふえて自立した生活ができるようになるため、貴重な支えとなっているものだと思っております。

 この児童扶養手当は、お母さんに対しまして所得制限が設定されております。支給額については、子供一人の場合では、全額で四万一千四百三十円ですか。ところが、二人目になりますと、幾ら頑張っても、これは五千円加算ということでとまっております。一人ふえても五千円。五千円では、一人ふえたら、生活は、ちっともよくならないどころか、本当に厳しさが増すばかりだと思うんですよね。

 この児童扶養手当を受給するお母さんに対する所得制限の緩和ですとか、二人目以降のお子さんに対する支給額の増額が必要と考えますけれども、これはいかがお思いでしょうか。よろしくお願いいたします。

小宮山国務大臣 児童扶養手当については、これまでも、所得制限の見直しによる受給者の範囲の拡大ですとか、子供が二人以上である場合の加算額の引き上げなどを実施してきた経緯はございます。

 ただ、現在、母子寡婦団体から、児童扶養手当の、今お話のあった所得制限ですとか手当額等に対する御要望があることはよく承知をしています。必要な財源の確保などの課題がありますので、必要があれば財務大臣にも聞いていただければと思いますが、今後とも、さまざまな事情を考慮しながら、その財源との見合いもございますので、対応していきたいと考えます。

永岡委員 私も、母子家庭のお母さんからこう言われたことがあるんですよ。所得制限九百六十万円の児童手当を上げる家庭、この御家庭が貯金にその児童手当を回すならば、その分を何とか母子家庭、一人親家庭に補助として回してくれないかと。これは本当にそのとおりだと思いました。いかがでしょう。どうお思いになりますか。

小宮山国務大臣 この児童扶養手当も、今申し上げてきたようにいろいろな経緯がございまして、私も野党議員であったときに、児童扶養手当を、まず就職先を決めてからそれのカットを考えるべきだと申し上げていたのを、先にカットを決めて、それから就職、就労支援をするというような、逆転しているんじゃないかという指摘を申し上げた経緯もございますし、いろいろ、先ほどから、一般の、児童のある家庭の三分の一しか収入がどう頑張ってもないというような事情も含めまして、今、社会の状況が変わった中で、お母さん一人で育てていらっしゃる方が、また、お父さんもありますけれども、一人親家庭がふえている中で、特にそこの子供たちの育ちを支援するという意味では、いろいろな知恵も財源も必要だというふうに考えています。

永岡委員 今いろいろ考えなければいけないという深いお話をいただきましたので、これからの対策もよろしくお願いしたいと思います。

 次に移ります。

 次は、養育費について伺います。

 子供が本当に健全に健やかに成長するというためには、やはり、母子家庭といえども経済的な自立が大変重要なわけでございまして、養育費の取得というものは大きな要素だと言えると思っております。

 本来であれば、子供を養育する義務というものは、これは男親も女親も一緒、両親平等にあります。しかしながら、実態として、一回母子家庭になってしまいますと、お父さんが生きている場合、別居したお父さんからの養育費の支払いというのはなかなか得られていないというのが実態のようでございます。

 そういうことを考えますと、養育費の支払いというものは、これはもう絶対に必要、これはもう社会が、当たり前だというような意識の啓発ですとか広報、そういうものを充実させなければいけないのではないかと思います。

 養育費の継続的な支払いを確保するための支援施策について、どのようにお考えになっていらっしゃるか、お聞かせいただきます。

小宮山国務大臣 これは、収入がある父親が、別れた後でもいる以上、当然それは養育費を払うように、それがなかなか払うお父さんが少ないのが実態ですので、私は、海外でやっている国もあるような強制徴収ぐらいしてもいいんじゃないかという話を法務省としたことがございます。ただ、この件だけで強制徴収はできない、ほかとのバランスがというところで逃げられた経験がございます。

 答弁でございますが、養育費につきましては、平成十五年と十六年の二回、民事執行法の改正によりまして、強制執行手続が改善をされています。加えて、ことしの四月からの民法改正で、協議離婚の協議事項に明示されるとともに、離婚届に取り決めをチェックする欄が設けられたということで、そういう意味では改善をされてきていると思います。

 現在、離婚に際して養育費を取り決めるケースはおよそ四割にとどまっていますけれども、まずは、離婚の当事者間で養育費を取り決めていただく、そのことが重要だと思います。

 このため、厚生労働省では、養育費相談支援センターを設置し、また、母子家庭等就業・自立支援センターによって相談支援をしている。また、養育費の取り決めに関するリーフレットの配布など、周知にも取り組んでいるというのが現状でございます。

永岡委員 ありがとうございます。

 離婚をする場合、養育費の取り決めというのは、その割合が四割程度ということを伺っておりますが、大臣からの、ちっとも養育費を払わないお父さんからの強制徴収、これは大変いい考えだと思います。なぜ私に相談してくれなかったのかと思うように、これを進めていくべきだと思います。

 やはり、両親そろって子供を育てなければいけないというのが本来の姿であるわけですし、男親も、生活ができないほどお金に困窮しているわけでなければ、しっかりと自分の子供を見る義務があります。自分の権利ばかり主張するのではなくて、そういう義務があるわけですから、これは、しっかりと徴収、強制徴収、これからの課題として、大臣、ぜひぜひしっかり対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、次に移ります。

 母子家庭のお母さんの就労支援につきまして、私が非常にすばらしいなと思っている施策がございます。これは前に厚生労働委員会で大臣に同じようにお聞きしましたのですが、高等技能の訓練促進事業です。これは大変すばらしくて、また、受けている方も、周りの方からも評判がよろしいんですね。

 この事業は、母子家庭のお母さんが看護師さんなどになる養成学校に通う場合に、その間の学費ですとか生活費、これを支給するというものでして、資格を取得することで本当に多くの母子家庭のお母さんが正社員雇用に結びついているというのが実態でございます。

 昨年度の第四次補正予算で安心こども基金の積み増しができましたので、今現在、今年度、平成二十四年度入学した方まで、その方の卒業年度までは支給ができる、全修業期間支給をできるということになっております。

 しかしながら、ことしはいいにしても、来年、やはりこの制度を利用したいと思う方もいらっしゃるのではないかと思いますね。そういうことになりますと、財政的な支援を裏打ちするような法律があれば、安心こども基金、これは恒久的な事業にできるということで、私は、本当に、裏打ちできるような法律があればと思っております。

 就業支援特措法、これは切れてしまいましたが、このような法律の中に、母子家庭のお母さんの就労支援の施策の推進の根拠法ができればいいのかなと思いますが、これに対してはどのような御見解か、お伺いしたいと思います。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃったように、高等技術訓練促進費、これは、安心こども基金を活用して、二十四年度末までの入学者について、修学全期間にわたって支給を実施しています。

 ただ、これは基金で、おっしゃったように、二十四年度末までございますので、また年末の予算編成過程で検討することになりますが、今言っていただいたように、母子家庭の自立支援に大変大きな効果を上げているものでございますので、根拠法までつくれるかどうかは、なかなか、現実問題としてすぐつくれるか、そういうこともございますけれども、とにかく、二十五年度以降の入学者につきましても、その財源が確保できるように最大限努力をしていきたいというふうに思います。

永岡委員 ありがとうございます。

 次に、学童保育について伺いたいと思います。

 現行の児童福祉法の六条の三は、学童保育の対象を、小学校に就学しているおおむね十歳未満の児童を対象としております。つまり、小学校三年生までですね。

 ところが、残念ながら、四年生になりますと、学童保育が利用できなくなる。本当に何とかしてくれという声が私のところにも以前から多く多く寄せられております。働く親にとりまして、自分の家に帰るまでの時間、本当に子供がどうしているかというのは大変心配なところでございまして、小学校四年の壁、小四の壁というふうに言われております。

 これを今回の法案では改正いたしまして、小学校に就学している児童、つまり、小学校六年生までを学童保育の対象とすることとなっております。これは、言ってはなんですが、子ども・子育て新システム関連の法案には、なかなか待機児童の解消も期待できないのではないかと思いまして、自民党としては反対を示させていただいているんですが、これには賛成でございます。本当にいいと思います。

 これについてちょっとお聞きしたいんですが、これは、小学校の六年生、希望する子全員が利用できるものであるのか、また、利用要件というものがあるのかということをお聞きしたいと思います。

小宮山国務大臣 この部分はいいと御評価いただいて、大変うれしく思っています。

 現在の児童福祉法でも、おっしゃったように、おおむね十歳未満の児童としているので、それ以上受けてはいけないとは言っていないんですけれども、多くのところで四年生まで。ですから、小一の壁に続いて、小四の壁ということがよく言われています。

 子ども・子育て新システムでは、全ての小学生が放課後児童クラブの対象者となること、これを法律上明確化をしています。

 市町村が、放課後児童クラブも含め、子育て支援に対する地域のニーズを把握して計画的に事業を実施する仕組み、これによりまして、小学校四年以上も含めて、放課後児童クラブの利用、これを促進していくような形になっています。

永岡委員 それで、私がお伺いしたのは、希望する小学校六年生までの子供全員が利用できるのですかと伺っておりますが。(小宮山国務大臣「全て」と呼ぶ)全て。はい、ありがとうございます。

 要件はございますか。

小宮山国務大臣 希望する全ての子供ですので、特に要件を課しているとは思いません。

永岡委員 わかりました。ありがとうございます。

 小四の壁を取り去ること、これはすばらしいと私も申し上げましたが、もう一つ、反対に、学童保育の質ということに私はちょっと不安を覚えております。

 これは、学童保育の利用者数は年々増加しておりまして、平成二十三年の登録児童数は八十三万人を超えております。学童保育の量的な拡充というものは今大臣がお話ししたようでございますけれども、その質になりますと、やはり、何といっても、学童保育の指導員の質ということが挙げられると思うんですね。

 学童保育の指導員というものは、どれといった資格がなければいけないというものは何もないんですね。誰でもできます。パートのおばちゃんでも、学生アルバイトでもできます。誰でもできるのですが、しかしながら、そういうこともあってですか、非常に賃金も低いです。本当に低いですし、やはり指導員になってから半数の方が三年でやめられるというような話も伺っておりまして、指導員不足でそれぞれの学童保育が大変だというお話も伺っております。

 そういう中で、子供を預ける親にしてみれば、本当に子供のことを、しっかりと知識のある大人、そういう方が指導員としていてくれればいい、そういう要望が大変多くございます。夏休みなんかですと、一日じゅうその指導員の方と一緒にいるわけじゃないですか。だから、そういうことを考えますと、やはり、全国統一的な指導員の資格の要件というものが必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

中野委員長 小宮山厚生労働大臣、時間は過ぎておりますが、どうぞ。

小宮山国務大臣 放課後児童クラブの指導員につきましては、これもずっと、御党の関心のある議員の方とともに、青少年特の筆頭理事同士でそういう話をして、特別の審議を、集中審議をした結果、ガイドラインをつくったんですね。そのガイドラインの中で、児童厚生施設の職員と同等の要件を満たすことが望ましいと、現状でもしています。

 現在、この要件を満たす放課後児童クラブの指導員は、およそ七割なんですね。ですから、今度の新システムの中では、放課後児童クラブの指導員の要件について、国が従うべき基準を定めまして、これに基づいて市町村が条例で基準を定めることにしています。こういうことによって、放課後児童クラブの職員の質を上げていきたいと考えています。

永岡委員 ありがとうございました。

中野委員長 これにて永岡さんの質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十八日月曜日午後零時四十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二分散会


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