衆議院

メインへスキップ



第6号 平成25年11月5日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十五年十一月五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 額賀福志郎君

   理事 今津  寛君 理事 岩屋  毅君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 中谷  元君 理事 大島  敦君

   理事 藤井 孝男君 理事 上田  勇君

      青山 周平君    池田 道孝君

      小倉 將信君    大塚  拓君

      大野敬太郎君    鈴木 馨祐君

      薗浦健太郎君    津島  淳君

      辻  清人君    寺田  稔君

      中川 俊直君    中谷 真一君

      中山 泰秀君    西銘恒三郎君

      野中  厚君    橋本  岳君

      星野 剛士君    牧島かれん君

      松本 洋平君    宮川 典子君

      八木 哲也君    山際大志郎君

      後藤 祐一君    近藤 昭一君

      近藤 洋介君    篠原  孝君

      長島 昭久君    渡辺  周君

      今村 洋史君    桜内 文城君

      丸山 穂高君    山田  宏君

      大口 善徳君    輿水 恵一君

      遠山 清彦君    樋口 尚也君

      青柳陽一郎君    井出 庸生君

      畠中 光成君    赤嶺 政賢君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  北崎 秀一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  藤山 雄治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  林   肇君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武川 恵子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  能化 正樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 良之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 新美  潤君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長谷川浩一君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    上村  司君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 甲斐 正彰君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 真部  朗君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  中島 明彦君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君

   衆議院調査局国家安全保障に関する特別調査室長   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月五日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     八木 哲也君

  大塚  拓君     青山 周平君

  大野敬太郎君     小倉 將信君

  鈴木 馨祐君     宮川 典子君

  牧島かれん君     中川 俊直君

  近藤 昭一君     近藤 洋介君

  丸山 穂高君     桜内 文城君

  大口 善徳君     輿水 恵一君

  遠山 清彦君     樋口 尚也君

  畠中 光成君     青柳陽一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     大塚  拓君

  小倉 將信君     大野敬太郎君

  中川 俊直君     牧島かれん君

  宮川 典子君     鈴木 馨祐君

  八木 哲也君     池田 道孝君

  近藤 洋介君     篠原  孝君

  桜内 文城君     丸山 穂高君

  輿水 恵一君     大口 善徳君

  樋口 尚也君     遠山 清彦君

  青柳陽一郎君     井出 庸生君

同日

 辞任         補欠選任

  篠原  孝君     近藤 昭一君

  井出 庸生君     畠中 光成君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十三回国会閣法第七五号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

額賀委員長 これより会議を開きます。

 第百八十三回国会、内閣提出、安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対し、渡辺周君外二名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。渡辺周君。

    ―――――――――――――

 安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

渡辺(周)委員 ただいま議題となりました安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、国家安全保障会議の所掌事務についてであります。

 国家安全保障会議に諮ることとされている事項のうち、武力攻撃事態等及び周辺事態への対処、自衛隊の活動、国防並びに重大緊急事態への対処に関する重要事項は、従前どおり、内閣総理大臣が必要と認めるものについて会議に諮らなければならないこととしております。

 次に、各行政機関による協力義務の明確化についてであります。

 第一に、内閣官房長官及び関係行政機関の長は、議長の求めに応じて、会議に対し、国家安全保障に関する資料または情報の提供及び説明その他必要な協力を行わなければならないこととしております。

 第二に、内閣官房長官は、会議に対して行われる資料または情報の提供及び説明その他必要な協力の状況について整理し、議長に報告するものとすることとしております。

 次に、議事録の作成についてであります。

 会議の議事については、議事録を作成しなければならないこととしております。

 次に、内閣官房副長官の増員及び国家安全保障危機管理担当内閣官房副長官の指定についてであります。

 内閣官房に、内閣官房副長官一人を増員するとともに、内閣総理大臣は、内閣官房副長官の中から、国家安全保障及び危機管理に関する事務をつかさどる者を指定するものとすることとしております。

 次に、内閣安全保障危機管理監の設置についてであります。

 第一に、内閣官房に、内閣安全保障危機管理監一人を置くこととしております。

 第二に、内閣安全保障危機管理監は、内閣官房長官及び国家安全保障及び危機管理に関する事務をつかさどる内閣官房副長官を助け、命を受けて、内閣官房の事務のうち国家安全保障に関する外交政策及び防衛政策の基本方針並びにこれらの政策に関する重要事項に関するもの並びに危機管理に関するものを掌理することとしております。

 次に、国家安全保障局の設置規定の削除についてであります。

 国家安全保障局は、置かないものとすることとしております。

 次に、国家安全保障担当総理補佐官の設置規定の削除についてであります。

 国家安全保障に関する重要政策を担当する内閣総理大臣補佐官は、置かないものとすることとしております。

 その他所要の規定の整理を行うものとすることとしております。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

額賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

額賀委員長 この際、お諮りをいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君、内閣官房内閣審議官北崎秀一君、内閣官房内閣審議官藤山雄治君、内閣官房内閣審議官林肇君、内閣官房内閣審議官武川恵子君、内閣官房内閣審議官能化正樹君、内閣官房内閣審議官鈴木良之君、外務省大臣官房審議官新美潤君、外務省大臣官房審議官長谷川浩一君、外務省領事局長上村司君、国土交通省航空局次長甲斐正彰君、防衛省防衛政策局長徳地秀士君、防衛省防衛政策局次長真部朗君、防衛省運用企画局長中島明彦君、防衛省地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

額賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

額賀委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 おはようございます。民主党の近藤洋介です。

 質問の機会をいただき、委員長、理事の皆様に感謝を申し上げます。

 本案、いわゆるNSC法案の審議も佳境に入ってまいりました。国家の危機管理体制を強化するということは非常に重要であります。官邸に必要な情報を整理して酌み上げて、そして首相の判断を仰ぐ会議体、さらには事務局を整える、本案の骨格の方向性は正しいと私も考えておりますし、我が党としても、政権時代にそうした方向性を出したわけであります。

 今般、修正案を提案させていただきましたのも、その会議体、体制がよりよく機能するために、こういう見地に立って修正案を提出したものであります。ぜひ真摯なる修正協議が成り立つことを期待したい、こう思うわけであります。

 しかし、幾ら法律ができて器が立派になっても、動かす、運用する側のいわゆる政府の構えが整っていないと、危機管理なり戦略立案というのは機能はいたしません。ですから、きょうは、安倍政権のいわゆる姿勢、構えについて伺ってまいりたい、こう思います。

 まず、菅官房長官にお伺いをします。

 内閣官房長官という職務は、大変幅広く、かつ内閣のかなめであるわけでありますが、その職務の中でも、私は、大変大きな役割を占めるのが内外の危機に対する対処であろうかと思います。

 そこでお伺いしますが、菅官房長官は、危機管理に当たって心がけていること、言葉をかえて言えば、肝と申しますか、危機管理の要諦は何だとお考えでありますか。お答えいただけますでしょうか。

菅国務大臣 国民の皆さんの生命財産を守るということ、そして緊急事態に対応していくというのは、官房長官の極めて重要な仕事だというふうに考えております。そして、そうした問題を解決するに当たって、政府全体として総合力を発揮できる、そうした体制が極めて大事だというふうに思います。

 そのためには、やはり、いわゆる第一報の速やかな把握といいますか、まず、事案が発生したのであれば、そこを速やかに把握すること、さらに、迅速な初動態勢、対処というんですか、ここも物すごく大事だというふうに思います。さらに、政府全体として体制をつくり上げていくこと。さらに、的確な国民の皆さんへの周知。

 こうしたことを私たちは実現するために、例えば、二十四時間体制で、内閣情報集約センターにおいて常に情報収集を行っている。あるいは、危機管理センター、ここで二十四時間体制で行っている。そうした事務方の皆さんの協力をいただく中で、こうした政府としてまさに国民の生命財産を守る体制というのを、二十四時間三百六十五日、緊張感を持って対応していきたいと思っています。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 まさに今、菅官房長官がおっしゃったように、総合力を発揮するためには、速やかに正しい情報を収集して、そして初動をとる、これが重要だ、こういう話でございました。その上で、危機に対して国民の皆さんに的確な情報を提供する。全くそのとおりだろう、こう思います。

 恐らく菅長官はそのことを一番よくわかっていらっしゃって、これまで、官房長官に御就任以来対応されてきたのかなということは、私は野党の立場でありますけれども、菅長官の日々の行動を拝見して感じます。一国民の立場から見ると、菅官房長官がいて安心だな、こう思いますし、他方で、野党の立場からすると、これは手ごわいな、こうも思うわけであります。

 初動への対処というのは本当に大変すばらしいなと思いますし、多分そのことは、スピード感を重視しているんだろう、こう思います。このことが極めて重要だということをお答えをいただきました。

 その上に立ってですが、この法案では、新たな会議が二つ新設をされたわけであります。二週間に一回程度開催されると伺っておりますが、外交防衛政策の司令塔となる四大臣会合、そして、緊急事態に際して、高度に政治的判断を求められる事項を議論し総理に建議をする緊急事態大臣会合の二つの会議体が新設されています。

 まず、これは官房長官にお伺いしたいんですが、これだけ大事な会議体、かつ、まさに情報を集め、それも機密な情報も含まれる会議体でございますから、開催する場所なのですけれども、当然、首相官邸を想定しているということでよろしゅうございますでしょうか。

菅国務大臣 委員御指摘のとおり、現行の安全保障会議は、現在、官邸でやっております。

 緊急大臣会合を含めて国家安全保障会議は、基本的に現在と同じ官邸で行うことを想定いたしておりますけれども、状況によっては、各閣僚の参集をしやすい場所になることもあり得るだろうと思います。

近藤(洋)委員 基本的には首相官邸。もちろん、状況によってはということでありましょうが、基本は官邸を想定されている、こういうことだろうと思います。

 そこで、委員長のお許しを得て資料を配付させていただいております。ごらんをいただければと思うのですが、この一ページ目のところに、国家安全保障会議設置法の、改正案の第四条を示させていただいております。第四条の二項、この会議体は、「議長は、内閣総理大臣をもつて充てる。」そして、「議長は、会務を総理する。」このように規定をされております。そして三項には、「議長に事故があるとき、」議長、すなわち総理でありますが、事故があったときは、内閣法の規定に基づいて国務大臣が代理をする旨が規定されております。

 そこで伺いたいのですが、これは事務方で結構でありますけれども、三項で言うところの「事故」でありますけれども、具体的にどういう事態を想定されているのか。

 例えば、病気で入院して事務が遂行できないような事態を意味しているのか。それとも、本人は元気だけれども、例えば、交通事故に巻き込まれるなり交通が不便な状態にあって数時間は連絡がとりにくい、会場に行けない、こういった場合もこの事故に当てはまるのかどうか。当てはまらないというふうに聞いておりますが、それでよいのか。

 そしてもう一つ、要するに、総理大臣が代理が置かれていない状態。代理が置かれる場合、事故によって、または欠けた場合というのは、内閣法の規定で、序列ですか、現在は安倍内閣総理大臣の次の順位は麻生副総理等々と伺っておりますが、そうでなく、不在の場合は、いわゆる新しく設置された緊急事態大臣会合も含めて国家安全保障会議は開催されないということでよいのか、簡潔にお答えください。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 今回、国家安全保障会議設置法第四条第三項に申しております「事故」とは、議長たる内閣総理大臣としての職務が全般的に行うことができないような状態が一時的に生じたときを指すものと理解しております。具体的には、海外出張の場合でありますとか、あるいは病気入院の場合でありますとか、生死不明の場合などがこれに当たるものと解してございます。

 また、近藤委員が先ほど申されましたように、交通事故等で一時的な場合は、こういう場合の事故には該当しないものであると理解してございます。

 そして、現在、麻生財務大臣が順位に指定されておりますので、こういった事故があります場合には、麻生副総理を議長として会議を開催することが可能であると考えてございます。

 以上でございます。

近藤(洋)委員 もう一点の、要するに、それ以外の場合で不在の場合は、代理が置かれていないという場合は、この会議体は開かれない、開くことができないという認識でよろしいですか。すなわち、事故ないしは欠けるものが代理が置かれていない場合は、この会議は開くことができないということでよろしいですか。

菅国務大臣 多分、委員の御質問は、総理が例えば遠方にいて、事故に当たらない場合、連絡がつかない場合とか、そういうことを想定されているんだろうというふうに思います。

 そうしたときは、さまざまな、例えば、今日ですとテレビ電話とかいろいろ携帯とかというのは可能でありますけれども、いずれにしろ、この事故に当たらない場合については、総理の指示のもとで電話でも会合を開くことができることになりますから、そういう意味で、総理からとにかく連絡の指示をいただいて会合は開催し得るものというふうに思っています。

近藤(洋)委員 でも、官房長官、逆に言えば、これはいろいろな事態があると思うわけで、総理と連絡がつかない、しかし、どういう状況かわからないという時間帯もあろうかと思うんですね。これについては今後また詰めていきたい、こう思うんですが、連絡がつかない、そして安否もわからない、亡くなっているかどうかもわからないという時間帯というのは、場合によっては起こり得る。

 そのときは、総理が、議長が、会務を総理するわけでありますから、恐らくこの会議体は開かれないというふうに私は事前に事務方からは伺っております。まずはその点についてもう一度改めて伺いたいと思うんですけれども、その前に、まさに今官房長官がおっしゃったように、緊急事態大臣会合のことを今想定したい、こう思うんです。

 緊急事態への対処はスピードが非常に重要でありまして、速やかに開かなければいけない、こういう場合があり得るわけですね。ですから、官邸の危機管理にかかわるスタッフは首相官邸の近くに住むように法律で手配をされています。

 資料の三ページ目をごらんいただければと思いますが、国家公務員宿舎法そしてその施行令で、無料宿舎を貸与する範囲というのが法律において定められております。まさに国民の生命財産を確保するために、極めて非常勤務が必要な者に対しては無料の宿舎が貸与される。そして、これは事前に伺うと、官邸スタッフの場合は首相官邸から二キロ以内の運用でお住まいになっている。

 現在、この対象には、これは事務方で結構でありますけれども、内閣危機管理監、そして危機担当の官房副長官補は含まれているのかどうか。また、新設をされる国家安全保障局長も当然この対象になるかと思いますが、いかがでしょうか。お答えいただけますか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 現在、関係法令上、近藤委員おっしゃられましたように、国家公務員宿舎法施行令によりまして、お尋ねがございました危機管理監それから危機管理担当の副長官補は、この職に該当することとなって、今現在、入ってございます。

 また、今回創設をさせていただきます国家安全保障局長は、先ほど近藤先生もおっしゃられましたような規定、この要件に該当し得るものであるというふうに理解をしてございます。

 以上でございます。

近藤(洋)委員 官房長官、要するに事務方のトップは二キロ以内にお住まいです。いざというときは、歩いてでも、自転車ででも、どうでも来られる体制に、スタッフも当然ですけれども、事務方のトップもそういう状況にある。この緊急会合が開かれる首相官邸の近くにおられるわけであります。

 こういうことの中で、首相も含めて四大臣会合になり、基本的には、外務、防衛、総理、官房長官、さらには緊急事態会合ですから、これはどの範囲になるかは別にして、少なくともこの四大臣会合も、いわゆる特別職でありますけれども、国家公務員宿舎法の対象というものになってしかるべきだな、私はこう思うわけでありますけれども、なぜ対象にならないのか、お答えいただければお答えいただきたい。

 官房副長官補なり事務方のトップがいつでも集まれる、スピード感ある対応ができる状況にあるにもかかわらず、特別職の閣僚たちがそういう対象になっていない、義務づけられていないというのはなぜなのか、お答えをいただければ幸いでございます。

菅国務大臣 総理初め各閣僚は、緊急事態発生時には、利用可能なあらゆる手段を用いて速やかに官邸または省庁等に参集をすることといたしております。また、緊急事態についての連絡等は、閣僚本人もしくは秘書官に対し、またSPを通じて適時的確に行うことになっております。

 さらに申し上げるならば、緊急事態発生時における閣僚の参集等の対応について、これは閣議了解がありますので、それに基づいて、各閣僚はいかなるときでも連絡がとれるようにしているとか、あるいはまた、各閣僚が東京を離れる場合はあらかじめ副大臣あるいは大臣政務官が対応できるようにするとか、そして、今申し上げましたけれども、緊急事態発生の場合は、秘書官との連絡やSP、あるいは最寄りの警察署、参集経路、移動方法、そういうものを実は事前にしっかりと策定いたしておりまして、例えば総理大臣、十五分以内に官邸に来られることになっています。

近藤(洋)委員 総理大臣、十五分以内に官邸に来ることができる、こういうことでありましたが、官房長官、実際には、二キロ以内といっても、菅官房長官は赤坂宿舎にお住まいであります。時々、朝、お姿をお見受けいたします。小野寺防衛大臣も赤坂議員宿舎にお住まいでございます。岸田外務大臣もたしか赤坂議員宿舎にお住まいでございます。今や議員宿舎は、高輪、九段がなくなり赤坂に集約されましたから、青山は若干ございますが、主要な議員の方々は赤坂でございますが、赤坂で宿舎にお住まいになれば、官邸まで数百メートルの距離にお住まいでありますから、実際には、いざというときにはまさに歩いて来られる、こういう距離であります。

 そういう中ででありますが、ここで問題にしたいのは、先ほども官房長官もおっしゃっていただきましたが、安倍内閣総理大臣であります。安倍内閣総理大臣の御自宅は渋谷区、これは、総理の御自宅のことを言うのは機密上問題があるかもしれませんが、事実上公表されていますから、富ケ谷の立派なお宅にお住まいであります。

 ここは首都圏から約八キロであります。総理の車列というのは、私も経験したことがございますけれども、何台もの車列で、大変猛スピードで飛ばされてまいりますから、十五分程度で着くことができるでしょう。渋滞も関係なく、誘導で着くことができるでしょう、平時であれば。

 しかし、いざというとき、果たしてこの八キロがどう機能するか。三・一一のときに我々は経験したわけでありますが、首都圏は大パニックになりました。市谷にお住まいだった我が民主党の閣僚がおりましたけれども、帰るのに三時間以上かかったという話を伺いました、大変な大渋滞で。そういう事態もあったわけであります。

 何が起こるかわからない中で、安倍首相は八キロも遠いところにお住まいであります。やはり危機管理への対処を考えれば、官邸への徒歩ゼロ分の首相公邸にお住まいになることが、これは誰が考えてもベストと考えますが、いかがでしょうか。

 資料の四ページをごらんください。歴代内閣総理大臣の公邸使用実績の一覧表でございます。

 これをずっと見ますと、資料が佐藤栄作首相からしか残っておりませんが、少なくともここ最近は、ほとんど首相公邸にお住まいであります。特に新公邸になってからは、小泉首相以下、歴代首相は公邸にお住まいであります。何と安倍首相も、第一次安倍内閣時代はお住まいであられました。危機管理のことを考えれば当然であります。

 私は、学生時代でありましたけれども、三木武夫元首相のお話を伺う機会がございまして、三木武夫首相は南平台というところに大変すばらしい御自宅をお持ちでありましたが、公邸にお住まいでありました。三木元総理も睦子夫人も、大変不便だったけれども、国家のことを考えればやはり公邸に住むことが危機管理上も重要だと思って住んだ、こんな話を伺った記憶が、随分昔でございますが、ございます。

 さて、危機管理のことを考えれば、まず初めの一歩ではないかと思いますが、なぜお住まいにならないのか不思議でならないのですが、官房長官、危機管理上、公邸にお住まいになることが初めの一歩ではないかと考えますが、いかがお考えですか。

菅国務大臣 三・一一があったときに、私は、実は、東京から横浜まで歩いて十数時間かけて帰ったことを今思い浮かべているわけですけれども、当時、車で行ったんですが、途中から全く動かない状況でありました。

 しかし、今度は総理の問題でありますけれども、公邸に住むか住まないかにかかわらず、政府の危機管理については、今、遺漏のない、万全を期しておりまして、例えばオートバイで移動とかそういうことも含めて、総理が公邸に住んでいなくとも、どんな事態があっても十五分以内に官邸に参集できる体制を現在つくっております。

 そして、総理の公邸への入居については、さまざまな諸般の事情の中で総理御自身がこれは判断をされるんだろうというふうに思っていますが、総理公邸に住む住まないにかかわらず、安倍政権としては、危機管理は万全な体制をとっているということであります。

近藤(洋)委員 これは本当に大事なことなんだと思うんですよ。いざというときに、徒歩ゼロ分で中枢に来られるのと、大変混乱の中で、想像してみてください、一国の内閣総理大臣が仮にオートバイの後ろに乗って十五分間移動する、これは異常だと思いますよ。おかしいと思いますよ。そういうことがないように、私は、内閣総理大臣たるもの、やはり危機管理上、公邸に住むものだ、こう思うんです。

 官房長官、何か特段の住めない理由でもおありになるんでしょうか。幽霊が怖いというのは御勘弁いただきたい。いろいろな公邸伝説は私も政権時代に伺いましたが、それは伝説でしかございません。過去、歴代総理で、おはらいをした、しないという話も仄聞をしましたが、しかし、それは冗談のような話だろうと思うんですね。何か個人的な理由があるのかないのか。少なくとも過去はお住まいになったわけであります。

 長官、これは本当に大事な話なんですね。少なくとも内閣の危機管理を担当するお立場に立てば、やはり公邸にお住まいになっていただくことが極めて重要だということで、この問題について、少なくとも安倍総理大臣と議論をされたこと、御提起をされたことはございますか。議論されたことがあるのかないのか。その上で、こういう理由だったということがあったのか、きちんと御説明をいただけますでしょうか。

菅国務大臣 総理大臣は、一国の最高責任者として、危機管理については常に危機感を持って対応いたしております。私自身、宿舎でありますから、歩いて六分ぐらいです。走って三分だと思います。

 いずれにしろ、とにかく官邸にすぐ来られる体制は整えていますし、そしてまた、先ほど申し上げましたけれども、二十四時間三百六十五日、事務方の方は官邸に寝泊まりしておるわけです。そして、総理は十五分以内に、どんな事態があってもここに来られること、そこは体制として整えておりますから、安倍政権において危機管理は全く問題ないというふうに考えています。委員は非常に公邸についてお詳しいわけでありますけれども、総理自身もこのところは公邸に泊まっている機会もあります。

 いずれにしろ、総理御自身で判断することだろうというふうに思いますけれども、危機管理のことについては、さまざまな機会において、官房長官として総理との間ではさまざまなことについて話し合いはいたしております。そして、緊急の場合の対応も、総理と、ありとあらゆる手段で十五分以内に来られる、そういうこともしっかり事務方にも指示をいたしております。

近藤(洋)委員 官房長官、済みません、この件にこだわって申しわけないんですが、資料の五ページをごらんください。各国首脳の専用宿舎利用状況の一覧でございます。

 日本、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国、韓国、事務方の協力を得てつくらせていただきました。アメリカは御案内のとおりホワイトハウスレジデンス、イギリス・キャメロン首相はダウニング街、フランスのオランド大統領はエリゼ宮、ロシアのプーチン大統領はクレムリンの郊外に、これはややクレムリンから離れているようでありますが、公舎だそうであります。そして、中国、韓国は御案内のとおりであります。

 全て公的な施設にお住まいであり、ほとんどの場合、いわゆる官邸機能というんでしょうか、そこに隣接したところにお住まいであります。これが国際標準なんです。当然であります。

 いざというときに瞬時に対応できる体制、通信機能もあり、かつ、最近いろいろな外国の傍受等々ということがございますが、そういうことに対してもきちんとしたセキュリティーが保たれるのは、日本で最も安全、安心な場所は首相官邸であり、首相公邸であろうか、こう思われます。住み心地は確かに、安倍首相にとってみればスイートホームの富ケ谷が気持ちが豊かになるかもしれませんが、しかし、そういうものは犠牲にされるのが内閣総理大臣の職責ではないでしょうか。これが国際標準です。この国際標準をなぜ逸脱するのか。

 今回の法案で、国際標準に合わせた会議体をつくりたい、国際標準に合わせましょうということで会議体をつくってきている、そういう提案をされたわけですよね。それを運用するのであれば、運用する御本人が、会議体を主宰する御本人が普通のことをされたらどうですかということを申し上げているわけです。何でできないのでしょうか。なぜできないのでしょうか。全くもって理解できませんね。

 十五分間で到着できる万全の体制とおっしゃいますけれども、何が起こるかわからないのが危機なんじゃないでしょうか。あらゆる面で初動を重要視される菅官房長官がおりながら、この状況を放置するというのは、私は到底理解不能です。国民に対しても説明がつかないんじゃないでしょうか。

 内閣総理大臣というのは、長官、三百六十五日、国家国民のために自分を犠牲にして、まあ、命をささげてというのはちょっと言葉のあやを余り使いたくございませんが、三百六十五日、二十四時間、まさに国家国民のために気を使い、行動するのが内閣総理大臣じゃありませんか。その点をお答えいただけませんか。

菅国務大臣 総理のそばにいる人間として、常に、国家国民、この日本の将来を考え続けていることは事実であります。しかし、そうした、総理が物事を考え、政策を実行するについて、そこを考えることのできる環境をつくっていくというのも、またこれは私の役割だというふうに思っています。

 いずれにしろ、大事なのは、どこに住んでいるかというよりも、やはり危機管理に対して政権として瞬時に適切な対応をできるかどうかということが私は極めて大事なことだろうというふうに思います。

 総理自身は、先ほど来申し上げていますけれども、どんなことがあっても十五分以内に官邸に来ることができるように、常日ごろ私たちは事務方の中で体制を整える中で、私邸から現在通っているわけであります。

 いずれにしろ、私たちは、危機管理の体制については万全である、そうしたことを申し上げたいと思います。

近藤(洋)委員 官房長官のお立場からすれば、それは万全であるとしかお答えようがないのはよくわかりますし、この議論は水かけ論になるのも十分承知ですが、しかし、やはりおかしい。おかしいものはおかしい。

 危機管理の第一歩は、公邸に住むことであります。国際標準から大きく離れております。器だけ、法律だけ会議体をつくっても、肝心かなめの総理大臣が、世界標準からおかしな、自宅でゆったりとお過ごしになっている。おかしな話だと思います。そのことができないのに、会議体だけつくっても意味がない。

 きちんと総理大臣は職責を果たしていただきたい。職責を果たすためには、公邸にお住まいになる。総理の五分間というのは貴重だ。総理の十分間というのは貴重ですよ。本当に貴重です。その五分間、十分間をきちんと活用するという意味も含めて、私は、危機管理を語るのであれば、安倍内閣総理大臣は、まず公邸に住んで、みずからの生活を改めることであろう、このことを申し上げたい、こう思います。

 総理が一生懸命御精勤をされているのも十分理解されます。お休みになるのも結構でしょう。ゴルフで夏休みを十一日間とるのも結構でしょう。野田内閣総理大臣は何日休みをとったかは申し上げません。申し上げませんが、ゆっくり休みをとるのも結構でしょう、でも、公邸にお住まいになるべきです。そして、いざというときに、いつでも対応をとれるようにすべきである。

 そして、内閣官房長官としては、そのことを重要閣僚として総理に進言すべきだ。その責任がある。内閣総理大臣がいかに思おうとも、しかしそこは、重要閣僚として、まさに耳に痛いこともきちんとやっていただくよう進言するのが、本当の意味での重要閣僚ではないかと強く思うわけであります。

 ほかに特段の強い強い理由が、どんな理由があるのか私はよくわかりませんが、きちんとした住めない理由があるならばこの国会の場で明らかにすべきだな、こうも思いますけれども、納得のいく説明がないまま、ただただ住みたくないという理由では到底理解ができないということを申し上げてまいりたい、こう思います。

 最後に、我々の修正案でも提案をさせていただいておりますが、NSCの議論の内容をきちんと記録にとどめていくべきだという修正の趣旨を提案させていただきました。

 官房長官、最後に、記録にとどめ、それは何のために記録にとどめるかというと、きちんと国会にしかるべき報告をするという、国民の知る権利といいましょうか、国民に情報を開示する、期間は一定期間ということがあろうかと思いますけれども、しかるべき後に国民に公開するという前提で、きちんと記録に残すべきだという提案をさせていただいています。

 それの一つは国会への報告だ、このように思います。これまでのこの委員会の参考人質疑でも、国会への報告が必要ではないかという御意見がございました。このNSCの会議体の国会への報告について、官房長官の御所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

菅国務大臣 総理が公邸に住まないのが国際水準と違うということがありましたので、それについて一言申し上げておきたいと思います。

 例えば、ドイツの首相は公邸がなく、また、ロシアの大統領は執務室から遠く離れたモスクワ郊外にあるというふうに聞いております。それぞれの首脳のあり方というのは国によって違うんだろうというふうには思いますけれども、先ほど申し上げましたように、我が国としては、まさに危機管理に全く遺漏のないような体制に現在なっている、このことは改めて申し上げたいというふうに思います。

 そして、今の御質問でありますけれども、この審議内容でありますけれども、機微な情報も含む中で、議論の内容や成果の取り扱いについては、国家安全保障会議の性質等を十分勘案しながら、国の安全保障を損なわない形でこれからしっかり検討していきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 時間ですので、終わります。

額賀委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 ただいまの近藤委員の質問に関連をしまして、私も重ねて質問を申し上げたいと思います。

 私どもが先ほど修正案を読ませていただきました。そこで私どもが強調したのは、プロセスの検証ができるようにするため、やはり議事の内容について残しておくべきであると。

 このことは、実は、私ももうかれこれ十七年この国会におりますけれども、例えば、九・一一が起きた後に、この国会でも議論に参加をしたときに、あの九・一一の首謀者がオサマ・ビンラディンであるということについて、アメリカがアフガニスタンに侵攻、攻撃をするときに、それを支持する日本の根拠は何かということもこの国会で議論をされました。そのときに、アメリカの発表を受けて、その確信に至った理由は何かと、時の政権に対して同僚議員から国会の場でも何度となく質問がされた、そして答弁をされたわけでございます。

 そのときに、確固たる、これこれこういうエビデンス、証拠に基づいて、こういうわけであったということが、少なくともつまびらかにはされなかった。総合的なさまざまな判断の上で日本はアメリカの主張に同意をし、そしてそれを支持した。そのときの民主党も、そのアメリカの行動に対しての姿勢は、我々も反対ではなかったということでございます。

 その上で、今振り返ってみますと、そのときに、やはり、一国の強大な軍事力が他国に対して軍事的な行為をするということについて同意をするということ、理解を示すということの重みを考えれば、どのようなことがそのときに議論をされ、そして、どのような情報がもたらされたのかというエビデンス、証拠に基づく客観性は、もう少し踏み込めたのではないかなと、いろいろな思いがあるわけでございます。

 日経新聞の編集委員の春原さんという方が書かれた論文を読みましたら、もうこの委員会でも取り上げられました、例示されましたけれども、ブレア政権時代に、意思決定システムを、英国版のNSCを発足させたときに、その際、どうしても周辺に、自身の側近といいましょうか、考え方の近い方々が集まって、最終的にはアメリカの行動を支持した、そのことによって、後に、イラク戦争をめぐってイギリスの国内世論から厳しい批判にさらされた。そしてまた、先般のシリアに対するアメリカ・オバマ政権の決意に対して、同盟国であるイギリス、時の首相は、キャメロン政権は理解を示したわけでありますが、しかし、イギリスの議会によって、僅差ながらこれが拒絶をされた。伏線にあったのは、こうしたかつての政策決定においての国民のさまざまな思いがあったからだろうというふうに推測されます。

 それだけに、私どもは、日本国としての外交、そして防衛政策の重大な決断がその場で判断をされたということになれば、そのことについて、後に、その客観的な事由、エビデンスに基づく判断、根拠は何であったのかということについては、私は、個人の方々がこういう議論をされた、こういう議論があったから、その方々が萎縮をして自由な議論ができないんじゃないかというような例えば懸念も、何回も答弁されているのも承知でございます。

 しかし、やはり、そのときの時の政権の決断というものがいかがであったかということについて、後にプロセスが検証されるという仕組みが必要だというふうに思うんですが、改めて官房長官、いかがでございますか。

菅国務大臣 委員は全て御承知の上で今質問をされておられるんだと思います。委員御自身も、かつて防衛省の副大臣を経験されたわけであります。

 従来の安全保障会議においては、議事内容が機微であることや、関係閣僚の闊達な意見交換を確保する必要がある、そういうことから議事録は作成をしていなかったわけであります。ただし、その後の官房長官の会見で可能な限り公表しておりました。

 今回も、その審議内容は機微な情報もあり、また、それぞれの関係閣僚の闊達な意見、そういうことがあることは当然でありますけれども、公表のあり方や関連文書の作成及び取り扱いについては、国の安全保障を損ねない形で、しっかりと検討していきたいというふうに考えます。

渡辺(周)委員 ぜひ、しっかりとした検討ということで期待を申し上げたいわけでございますが、私の申し上げた、あるいは近藤委員が申し上げた思いは、決して国家の今後の行方を何か損ねるというものではなくて、やはり、民主的国家として、歴史の検証にいずれはさらされる、その上においての、安全装置としてのこの組織の性格も必要だと思うわけでございます。

 前回質問したときに、日本版NSCについては、九大臣会合、従来の国防会議から引き継いだいわゆるシビリアンコントロールの機能を維持して、それは真ん中に置かれている。しかし、新たに置かれる、四大臣会合と緊急事態大臣会合が新規であります。その平時におけるストックといいましょうか、シンクタンク的部分と、そしてまた、従来からのシビリアンコントロールとしてのまさに機能、文民統制機能を維持するということ、そしてもう一つは、緊急事態に対処できる、その強化をするということで、性格は私は三つあるんじゃないかということを御指摘しまして、そのとおりだという御答弁をいただいたんです。

 またちょっと前回の補足のような形で御答弁をいただきたいと思うんですが、情報の一元化を我々は修正案にも入れました。情報の一元化という中で、私は、情報の分析というものを誰が行い、そのための人材はどう育成していくのかということにおいて質問をしたいと思うんです。

 例えば、私も、今官房長官から御指摘がありました、防衛省の三役をやったときにさまざまな報告を受けました。それは、正直、報道されているベースのものもあれば、報道されていないベースのものもある。もっと言えば、防衛省の持っている情報本部のようなところが定点的に関心を持って見ていることに対しての、今こういう状況でありますということについて、見立てをいろいろと定期的に報告を受けておりました。

 さまざまな事案がありましたけれども、これが、幾つかの情報が集まってきたときに、紙の束であってはならないんですね。情報提供というのは資料の提供ではなくて、例えば、中には親切な、今でも、野党になってもいろいろ親切に資料をいただきます。その親切はいいんですけれども、紙の束をいっぱい持ってこられて、これは前ももらったぞと。もっと言えば、関連する新聞の切り抜きをこんなに大量に渡されたり、例えば、質問するときも、国会図書館で、御丁寧に、前の日に一晩で読めないぐらい資料をもらったりするんです。でも、これは情報じゃなくて、あくまで資料でございます。

 それを結局、取捨選択してエッセンスを探していくのが、これは、議員もこういう質問のときに出しますけれども、それはまだ政策決定ではないからいいんですが、これが本当にせっぱ詰まってどこかで政策決定をしなければいけないというときに、情報の山積みであってもいけない。もっとも、もっと言えば、幾つかの役所から集まった情報が両論併記みたいになってもいけないんです。両論どころか、多論併記で、実はこういう見立てもある、こういう考え方もある、こういう声もあるということを並べたら、結局は情報の一元化にならず、最後は政治家が選択してくれみたいな話になっても、これはまた無用な混乱をするだけでございます。

 その意味においては、情報の一元化をどのような形でよっていくのか。縄をねじって一本の太い縄にするように、どのようにしてよっていくのかということ。情報の分析、それから、多数ある情報の中から、コアな情報、エッセンス、これを一つのものにする、この点については、どういう人材を育成できるか。つまり、今の省庁の中の枠組みで人材を、エキスパートを育てていくのか、それとも新たに何か考えていくのか。その点について、一元化ということについてのお考えをぜひ、今の現状を三大臣に伺いたいと思います。

菅国務大臣 まず、今回提案をいたしております国家安全保障局でありますけれども、各省庁から集められた情報をもとに、我が国としてとるべき国家安全保障政策の企画立案に当たる政策担当官というものをそこに置いております。

 この政策担当官は、各政策のテーマや地域情勢についての知識、経験を背景として、各省庁から集められた情報の意味合いを吟味、評価しながら政策の立案に当たる立場であります。

 そうした職員については、多様なバックグラウンドを持った、各省庁から提供された情報を政策立案に活用できる十分な知見を持った優秀な人材を集めることがまず必要だというふうに思っています。とりあえず、スタート時点においては、そういう中でスタートをしたいというふうに思います。

 それ以降に、まさに今申し上げました、情報を分類して政策を立案できる、そうした人間の育成ということは極めて大事だというふうに思っていますので、とりあえず、スタート時点においては、さまざまなバックグラウンドを持ち、そして各省庁の情報を分析できる人を各省庁から集めてスタートをさせていただいて、その後に、そうした専門家を育成していきたいと思います。

岸田国務大臣 外務省におきましては、平素から、全世界の在外公館を通じてさまざまな情報を収集しています。

 在外公館そのものにも専門的な知識を持った人材を配置するなど、専門性を重視しながら人材を配置しているわけですが、そうした情報が本省に上がってくる。そうした情報をさらに吟味する際に、それぞれの部局においてもしっかりと情報を分析するわけですが、あわせて、本省としても、国際情報統括官組織をイラクへの武力行使後設けるなど、さまざまな組織、人材の拡充を図っています。

 今回、国家安全保障会議の法案を審議いただき、そして、法案が成立して、この制度が動き出したならば、引き続きまして、外務省としましても、さまざまな情報収集に、今申し上げているような仕組みを通じましてしっかりと情報収集し、国家安全保障会議に的確な情報を上げていきたいと考えています。

小野寺国務大臣 渡辺委員も御存じのとおり、防衛省、さまざまな情報収集・分析の分野、部門を持っております。

 その中で上がってきたものについては、速やかに今回のNSCの方に上げますし、また、さらにNSCの方で必要な情報ということがありましたら、私どもとしては、防衛駐在官がおりますので、在外公館長のもと、必要な情報をさらに入手するように今後とも努力をしていきたいと思っております。

渡辺(周)委員 私が聞いたのは、もちろん情報収集、それを、今小野寺大臣がおっしゃった、例えば駐在武官の方から定期的に報告が上がってくる。しかし、また別に、外務省は、例えば国内におって別のルートで集めた情報がある、総論的に。例えば、それは中東の研究家もいれば、あるいはアフリカの研究家もいるでしょう。学者の分野の方々が持っている知見と、本当に現場で集めた情報とは違う。

 つまり、そのいろいろな情報が集まって、こんな声もある、こんな見立てもあるという両論併記になってはいけないわけで、それは最後はNSCで判断してくれではなくて、その集まってきたものの中から最もコアなものをどうまとめるかということについてはどうされるんですかと私は質問をしたのでございます。

 それは、官房長官、やはりいろいろな情報が各省から集まってくる。そして、さまざまな、民間も含めれば、情報を持っている方々、もっと言えば、海外駐在の商社の方もいるでしょう。前に申し上げた危機管理のコンサルタント会社の方もいて、実際に危機回避のために活動している組織もあります。もっと言えば、NGOで、自衛隊のOBの方々が、地雷の除去をやっている方々のNGOもありますね。いろいろな組織があります。

 そんな中から集まってきた情報のエッセンス、最も必要なものとしてどう一本にまとめていくかということの分析でございますので、官房長官の説明の中では、それを要は、幾つもの情報の中から、玉石混交の中から本当に有益なものに絞っていくということ。

 例えば、平時のときならいいんです、こんな考え方、こんな見方が。ただ、本当に緊急時の場合に、それはやはりちゃんと、いつでも取り出せるようにしておくということにしなければいけないんですが、その点は、そういう人材をつくるということでよろしいんでしょうか。

菅国務大臣 それぞれの省庁に情報連絡官というのがおりますから、今度、そこからの情報の中で、国家安全保障局として必要なものについては、こうした情報が必要だということを指示することも実はできるわけであります。

 そういういただいた情報を、そこで政策担当官が意味合いを吟味、評価しながら政策の策定に従事できるような、そういう体制をぜひつくっていきたいということであります。

渡辺(周)委員 もう時間があと十分少々しかございませんので、その辺は、ぜひ間違いない情報を、どのエッセンスをどう生かすかということについても、我々も前向きに今後議論をしていかれればと思っております。

 ちょっと予定した質問に、別の質問に入らせていただきます。

 私どもの政権時代の経験から、北朝鮮のミサイル発射事案というのがございまして、当時のことについては余り詳細にはまだ語ることができませんが、私、防衛省のオペレーションルームという地下におりまして、そのとき予想される事案についての準備をしておりました。もちろん、その前から、さまざまな情報を前提にして、この場合はこうというシミュレーションも何通りか組み立てておりました。

 その際の経験から申し上げたいんですが、例えば、防衛省にあるさまざまなハードウエア、ハードですね、ハード、ソフトという言葉は余り好きじゃないんですが、いわゆる資材といいましょうか装備品といいますか、資材とそして官邸にあるもの、これはやはり共有をしていかなければならないんじゃないかということについて強く思いが至ったわけでございます。

 つまり、防衛省で見ているものは、同時刻に同じように官邸で見ることができるし、また、そのときには、当時の防衛大臣がその報告のために、報告といいましょうか、いろいろ手順のために官邸に行くというような手続がとられました。そして、その際、先ほど近藤委員もお話がありました、もし万々が一、大きな事案に、首都直下がこの東京で起きた場合に、では市谷の防衛省から官邸に向けて、先ほど三時間かかったお話がありましたけれども、事実、三・一一のときには、官邸から戻るある閣僚が、これは私は防衛省三役在任中ではありませんでしたけれども、後で聞いたら、全く動かない、どんなことをしても戻れないということがあったわけでございます。

 その場合における、やはり各省庁、官邸とそして防衛省、それから外務省も含めて、さまざまな行政機関が同じ情報を共有できるハードというものも必要ではないかと自分の経験から思うわけでございますが、その点について、今後、このNSCにおける危機管理体制を強化するといった場合に、もちろん人的なものもありますし、今申し上げた情報もあります。しかし、ハードの上において、ハードウエアにおいても私は共有させていく必要があると思いますが、いかがでしょう。

 その辺についての、もう一回、各省挙げての点検といいましょうか、お互いの過不足を整理するということについてはいかがでしょうか。

菅国務大臣 いずれにしろ、スタートをさせていただく中で、今委員から指摘がありました、情報を一元化する、共有することは極めて大事だというふうに思っていますので、そういう対策も当然させていただきたいと思います。

渡辺(周)委員 ぜひそれは、各省が今まで、いろいろ我々も御批判をいただきました。そして、対応はいかがだったかということを我々野党時代に、当時の自民党政権に対して、情報伝達に余りにも時間がかかり過ぎたのではないかとか、随分いろいろ指摘をしました。そして、我々も与党時代に、延坪島のあの事件のときも、この北朝鮮のミサイル発射事案、あるいは東日本大震災のとき、さまざまな危機に直面をして、さまざまな経験を蓄積しました。

 それだけに、当時の、政権はかわっても、そこに残っている主要な官庁の方々というのは、時の反省材料や検証材料を持っていると思いますので、例えば、予算をかけてハードウエアの部分において間に合うものであれば、そこはやはり予算化をして、しっかりと検討していただきたいというふうに考えるわけでございます。

 さて、もう一つだけ伺いますと、九大臣会合、緊急事態、このときに、例えば秘密参集するということはあるのでしょうか。

 つまり、事が性質上まだ表には出ていないんだけれども、例えば、今でいえば今夜、あるいはあすといった段階で、どうもこういうことが起きる蓋然性が高いとなった場合、表にはわからないようにしながらも、あらかじめ指定された大臣が、事の性質上、余りまだ公にできない段階で緊急参集をするということはあるのでしょうか。

菅国務大臣 そこは、事態の内容によってだろうというふうに思います。

 いずれにしろ、必要であればそういうこともあるんでしょうし、ただ、基本的には、最終的にしっかりと後で公表をさせていただくということであります。

渡辺(周)委員 これは、事が起きて集まるということと、外国からコアな情報を得た、A国において、クーデターや、あるいはB国との間に今国境の緊張が高まって、どうもそうなりそうだとなった場合、しかし、これを今公表すると、例えば朝鮮半島で何かが起きそうだ、では、在留邦人をどうするかという部分で、今発表したら例えばパニックになる可能性があるとか、まだ手だてができない、問い合わせが殺到した場合に例えば行政機関がもうパンクするというようなことが起きた場合に、やはり事の性質上、秘密参集をするということは当然あるんだろうと思いますが、その際には、先ほどの近藤委員にもありました、どのような形で参集するだけの時間的余裕を持つのか、そして、そのときにどういう形でも連絡がつくようにはできるのかということについての細部についても実はぜひ徹底をされるように今後議論をしていただければと思います。

 三十分というのは思ったほど長くありませんで、短くなりました。岡田副大臣に改めてお越しをいただいておりますので、ちょっと秘密保護法の部分について。

 前回の質問で私がお尋ねをしたときに、御答弁の中で、たしか、社会的な地位と。先日の答弁の中で、二十一条における報道機関の定義についていろいろとお答えをいただきました。

 報道に業務する者の定義というものは、「社会生活上の地位に基づき継続して行う者をいう」という、この社会生活上の地位とはどういうことなんでしょうか。そこだけ確認をさせてください。

岡田副大臣 お答えいたします。

 本法案の二十一条に書かれてあります報道の業務に従事する者とは、不特定かつ多数の者に対して、客観的事実を事実として知らせることや、これに基づいて意見または見解を述べることを職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う者をいうということで、十月三十日の本委員会でも答弁をさせていただきました。

 ここで言う「社会生活上の地位に基づき」とは、日常生活上の活動を除くという趣旨であり、有償、無償を問わず、報道の業務を継続的に行っている者と考えます。

渡辺(周)委員 それは、例えば、それを職業として対価を得ているという意味ではないということでよろしいんですか、今の御説明ですと。

岡田副大臣 お答えいたします。

 有償、無償を問わずというお話をさせていただきましたので、そういうことだということで御理解いただきたいと思います。

渡辺(周)委員 ということは、この間例示をしました、例えばネット上におけるジャーナリストであるとか、そういう方も入るということで理解をしてよろしいわけですね。

岡田副大臣 お答えいたします。

 先ほど答弁しましたように、不特定かつ多数の者に対して、客観的事実を事実として知らせることや、これに基づいて意見または見解を述べることを日常生活上の活動として行うことは通常想定されないことから、これらの活動を継続して行う者は報道の業務に従事する者に当たると考えられます。

 なお、例えば、一回情報を発信したということで、これは継続性がない、ホームページで継続して情報を発信しているということはこれに当たるんだ、そういうふうに考えております。

渡辺(周)委員 もう時間がありませんから、では、この場合、あの場合ということは今はもう聞きませんけれども、またこれは秘密保護法の議論が始まったときにぜひ伺いたいと思います。

 もう一つ、岡田副大臣、例えば、特定秘密に指定した事柄があって、外国のシンクタンクが、あるいは情報機関が発表したと。米ソ冷戦時代に、例えば、レーガン政権が、当時ベールに包まれていたソビエトの軍事力について何らかのレポートを出した、今こんなものを開発している、こんな能力があるということを出す。

 同じように、例えば、日本の防衛問題について、あるいは防衛方針について、どこかの国が、こうであるということで、事実と違うけれども、何か政治的意図も含めてレポートを出された場合、そういう場合に、これは反論をしなければいけない、間違ったプロパガンダが世界にまき散らかされるというようなことが起きた場合、しかし、これは特定秘密だから、うそとも本当とも言えない、否定もできなければ肯定もしない、黙っているしかないということになることが、国益上、大変に我が国にとって損失だった場合、例えば、直ちに反論、否定するために、この特定秘密の部分を解除しなければいけない、それによって、直ちに機動的に対応しなければいけないということになった場合、その手続等をとるのは、これは特定の長になるのか。

 それとも、官房長官、NSCでそうしたことを、つまり、特定秘密の解除ということについて、それは著しく、例えば、ある国から日本に政治的な意図を持ってあらぬことを喧伝された、しかし、これは日本の防衛上の特定秘密に当たることだから、そのことについて言えないとなった場合に、しかし、これはちゃんと世の中に説明をしないと間違ったプロパガンダが世界を席巻してしまうとなった場合に、国益を優先した場合、これを機動的に解除するということはあるのかどうか、それはどなたが御判断されるのか。最後にそれを伺って、質問を終わりたいと思います。

岡田副大臣 お答えいたします。

 特定秘密と同一性を有する情報が他国において公開された場合には、公になっていないものとの要件を満たさず、特定秘密の指定を解除することになるわけでありますが、そのようなものと認められない場合には、個別具体的な状況に応じて適切に対応することになると考えられます。最終的には、行政機関の長が判断するものと考えます。

 以上です。

渡辺(周)委員 終わります。

額賀委員長 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。

 三十分ほど時間をいただきまして、質問させていただきます。

 きょうは、過去、歴史を振り返りながら、今までの経緯がどうだったのか、それから、各国の似たような組織、横並びですね、それを見ながら、質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初ですけれども、過去の歴史を振り返りながらということなんですが、国防会議というのが一九五六年にできております。それから、一九八〇年に総合安全保障関係閣僚会議というのができております。今度は一九八六年に安全保障会議、そして今回、それを国家安全保障会議に変えるというふうになっているわけですね。いろいろ変遷があるわけです。

 資料を今お届けしておるかと思います。歴史の方を振り返って、私が表にしてみました。この四つの組織の中で、一体どのようにいろいろなテーマが議論されてきたのかというのをお伺いしたいんです。

 例えば、総合安全保障関係閣僚会議というのは、設立趣旨、経緯を見ていただくとわかるんですが、ちょっと特殊でして、軍事的な要素を非常に抑えて、シビリアンコントロールなりを中心にしてというか、総合的な安全保障、軍事力だけでは我が国の安全は確保できない、平和外交とか、食料安保、エネルギー安保、そういったものを中心に議論しようというものだったんですね。だから、国防会議と並立していたんです。それで一緒になった。一緒になって、安全保障会議になったんです。

 今回、わざわざ仰々しく、そこに国家をつけて、国家安全保障会議というものにするんですね。これはよくわからないんです。私は、このような組織の必要性は認めるんです。しかし、何でこんなことをするか。

 そこで、非常にヒントがあるのは、官房長官も覚えておられると思います。第一次安倍内閣のときに、それを引き継いだ福田首相は、四大臣会合なんか必要ないんだ、安全保障会議で十分機能するんだということを言われて、それは今と違いまして、民主党が相当数が多かったりしたということもあります、その他の情勢が違ったりするところもありますけれども、それで安全保障会議でやっていたわけです。

 今、状況が変わったというより、なぜこういうふうに変わってきているのか。この四つの組織の違い等を、概略、考え方を教えていただきたいんですが、お願いいたします。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の総合安全保障関係閣僚会議については、経済、外交の諸施策のうち、安全保障の視点から総合性及び整合性を確保する上で昭和五十五年十二月に設置されたものでございまして、安全保障問題のうち、経済、エネルギー等、主として防衛以外に関する事項を取り扱っていたと承知してございます。

 現行の安保会議を発展的に解消して、今回、国家安全保障会議を設置させていただこうと思っておりまして、その中核は四大臣会合となってまいります。九大臣会合におきましては、現行の安全保障会議の文民統制は維持されることとさせていただいております。

 なお、昭和六十一年に国防会議は安全保障会議に改組されましたけれども、総合安全保障関係閣僚会議は合併しておりません。

 以上でございます。

篠原委員 答弁者がやるのはやめてください。僕はレクをきちんとして、事務方はついてきていいけれども全部大臣だということを言ってあるわけですから、ルール違反はやめてください。

菅国務大臣 まず、これまでの安全保障会議、九大臣が国防に関する重要事項に関して審議を行って、そして文民統制の機能を果たしてきたというふうに思っています。この機能に関して、特段の問題があったというわけではないというふうに思います。

 ただ、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、外交、安全保障に関する諸課題について、総理を中心として平素から戦略的な視点を持って審議を行う、政治が強力なリーダーシップを発揮する環境をつくることが現在必要だというふうに私どもは考えているところです。

 そういう中で、この安全保障会議を発展的に改組して、四大臣会合を中核とする国家安全保障会議を設置して、外交・安全保障政策をこれまで以上に機動的に戦略的に進めるということが極めて重要だということの中で、今回、このようなお願いをしておるところであります。

篠原委員 私が用意しました表をちょっと見ていただきたいんです。

 こんなような表も、本当は内閣でぱっとつくっていただいて我々に示していただかなくちゃならないんですが、もう国家機密に属することになっているのか知りませんけれども、我々に資料が提出されないので、私が一生懸命いろいろなところでつくりました。見ていただきたいんです。

 今までの資料の中では、総合安全保障関係閣僚会議がぽんと抜けているんですよね。軍事問題は最小限に抑えるということで、法律の根拠がなかったです。これ一つですけれども、時代を画した会合だったんですよ。

 よく見ていただきたいんですが、国防会議は余り機能しなかったんですね。どういうことかというと、今大事な、安全保障会議のところにあります設立趣旨のところで、重大緊急事態への対処措置というのはほとんど議論されずに、防衛力の整備等がほとんど、そういった形式的なものしか議論をしていなかったんです。そういうのがあるんです。

 そして、最初だったからなんでしょうけれども、会議メンバーのところで、改進党、服部さんという旧軍人の方がおられまして、そういう人たちを入れろとかいうので相当もめたんです。いろいろな経緯があってきているんですよね。

 それで、今度大事なのは、総合安全保障関係閣僚会議ですけれども、鈴木善幸総理です。非常にごたごたがあったんです。そして、余り軍事が突出するのはよくないということで、これをわざわざつくられたわけです。

 それで、下の方をちょっと見ていただいたら、会議メンバーのところに農水大臣も入っているんです。そして、事務局の構成というのを見てください。室長はやはり外務省から来ておられるんです、アジア局審議官。それで、課長補佐クラス、農水、外務、総理府とありますね。先ほどから官房長官は、多様なバックグラウンドを持った優秀な人材を集めると。このときもそうだったのかもしれませんけれども、農林水産省から行ったのは私です。私が行ったんです。私は二年間ここで、安全保障問題、ほとんど議論されていなかったんです。

 そして、猪木正道さん、高坂正堯さん、防衛省の方も来られました、勉強会を相当したんです。日本で初めて本格的に安全保障をきちんとする機関ができたということで、外国からもいっぱい取材が来ました。私はちょっと英語ができたりしたので、その対応もいたしました。そういうのがあるんです。ですから、私は、ずっと安全保障を、それ以来ウオッチしてきているんです。

 これを見ると、変遷がいろいろあるんです。ですから、私はこの必要性というのは十分承知しているんです。ですけれども、ちょっと違ってきているんじゃないか。

 二番目の質問ですけれども、その前に、僕は、国家というのは余り出過ぎるのはよくないというふうに申し上げているわけですけれども、前のときもあったんです、八六年のときにも。後藤田官房長官が、国家というのを、そのときもあったんですね、つけるのは問題だ、国家とつけると対外関係ばかりで突出するようなのがあるから、安全保障会議にとどめようということを言っておられるんです。国会答弁、皆さん御存じかどうか、調べてみてください。

 警備保障じゃないんです。安全保障は、国家の安全保障なんです、最初から。だから、もし守るとかいうのが中心だったら、例えば国防安全保障でもいいんです。例えばアメリカは、出張ってばかりいるのに、省庁の名前は国防省になっていましたね。だから、名は体をあらわしていないんです。

 いろいろあるんですが、これは、せっかく九人でみんな議論したりするのに、四人会合とかいうのは、いいようですけれども、効率がよく早くというようになると、もう一つの方の民主的ということがちょっと抜けちゃって、独裁的になって判断を誤るという、メリット、デメリットが僕はあるんじゃないかと思います。

 それで、軍事問題についてです。

 後で示しますけれども、総合安全保障関係閣僚会議は、軍事問題を最小限に抑えるというのを気にしていたんです。諸外国でも、間違うといけないから、わざと外したりしていることがあるんです。そういうことを考えたら、日本もちょっと考えた方がいいんじゃないかと思います。シリアの問題についても、オバマ大統領は軍事的解決を図ろうとした、しかし、やめましょうと。世論もあったでしょう、平和的な解決になってきているんです。そういう点では状況が変わってきているんじゃないかと思うんですが、軍事的な問題について、考え方が変わってきたんです。

 今、どうやって変わってきたか。なぜ四大臣会合が必要なのか。その点について御答弁いただけたらと思います。

菅国務大臣 委員はそういう経験をされたということでありますけれども、やはり、外交、防衛について、総理を中心として、常日ごろ関係者が意思疎通を図っていくということは、私は極めて大事だというふうに思います。

 ですから、二週間に一回程度、やはり四大臣でそうしたさまざまな問題について考え方のすり合わせ、まさに我が国の安全保障政策についての基本認識を一致するということは、私は極めて大事だと思います。

篠原委員 大事じゃないとは言わないんですけれども、国民に向かってわざわざ不安を与えるような、国家とか、国家安全保障とか、どうしてそういう突出したことをされるのかな、何でもっと穏やかにやっていかないのかなという気がするんです。

 それで、鈴木善幸内閣のころですけれども、岸田外務大臣にお伺いしたいと思います。

 鈴木善幸さんは、非常にぴしっとされていまして、岩手の漁村で生まれて、漁民に尽くせということで漁業関係の仕事をされていた。息子さんにも全漁連に入れとか、なかなか立派な、息子の就職先まで世話して、漁民のために尽くせと、鈴木俊一さんですけれども、そうやっておられた。

 そして、戦争も知っておられる。だから、二度と日本が戦争になるということを物すごく嫌っておられて、心配されていたんです。それで、日米共同声明で、日米同盟が軍事同盟だと言われた伊東正義外務大臣を即刻更迭されておるんですね。本人が奥ゆかしくて辞表を出したというのもあるんですが、実質的に更迭ですよ。こういう時代だったんですね。

 日米同盟は軍事同盟なんでしょうか。今、ニュアンスが違ってきているので、この点について、どうお考えでしょうか。

岸田国務大臣 日米同盟につきましては、日米安全保障体制を基盤として、自由ですとか民主主義ですとか、こうした基本的な価値とか利益を共有する両国が安全保障並びに政治、経済、文化、こうしたあらゆる分野において協力をしていく、こうした関係を総称して日米同盟という言葉を使っています。

 よって、軍事同盟という言葉の定義にもかかわる話ですが、要するに、安全保障分野の関係も含むのかということであるならば、これは軍事同盟と言っていいと存じます。

篠原委員 時代の変遷ですね。そのころは軍事同盟に対して拒否反応があったんですよ。今はありません。僕は、今の方が常識だとは思います。だけれども、わざわざそれを突出させる必要はないんだと思うんですね。

 同じ地方に、漁村の出身で漁業関係でもいろいろ汗をかいてこられている小野寺防衛大臣、先輩の鈴木総理についての考え方、どのように感じておられますでしょうか。

小野寺国務大臣 私が政治家を初めて意識したのは、まだたしか高校生ぐらいだと思いますが、鈴木善幸さんというすばらしい政治家が同じ三陸沿岸から出ていて、そして間もなく総理になる、そういう時期だったと思います。ですから、私も、同じ気仙沼という漁村に生まれ、漁民の生活、厳しさも重々感じておりましたので、その後を追うように同じ大学に行き、その後、漁業の現場で仕事をして、漁民のために尽くしたいという思いでおりました。縁がありまして、政治家になり、そのまま鈴木善幸先生が所属しておりました宏池会という会に所属をさせていただいております。私自身は今でも、政治家の先輩としてお手本にする方のお一人であります。

 その中で、今回、安倍内閣におきまして防衛大臣を拝命いたしました。私が市谷に行きまして真っ先に感じましたのは、実は、市谷の中には自衛隊の殉職者の慰霊碑という碑銘がございます、その碑銘を見たときに、その書をしたためられたのは当時の内閣総理大臣の鈴木善幸先生でありました。改めて御縁を感じております。

 善幸先生が安全保障のことについて非常にさまざまなお考えを持っているということは、私ども重々承知をしております。一つだけ、善幸先生の国会での答弁の中で、所信表明でありますが、我が国が平和の中で国の繁栄を保っていくためには、引き続き日米安全保障体制を基本とし、みずからも節度のある質の高い自衛力の整備に努力するという姿勢を示されております。私も、これをもって銘にして頑張っていきたいと思います。

篠原委員 宏池会とかなんとかいうのは私からは出さないでおこうと思ったんですが、出てきましたので申し上げますと、お二人、同じところに所属されておる。私は内実はよくわかりませんけれども、ハト派集団と言われております。少数になっておられるようですので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 それで、アメリカに対して過度に依存したりするというのは、僕は日米同盟は大事だと思います、しかし、アメリカは、このTPPのでいいますと、さんざん言っていたTPPのところで、オバマ大統領は自分の国ががたついて来られなかった。やはり構造的欠陥があるんだろうと思います。アメリカにばかり依存する体質というのはやはり改めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 それから、日本もこういう問題が起こるかどうかというものなんですが、安全保障は大事です、早く決断しなくちゃならない。こういう専門家の方にぴしっと判断していただくのがいいんですよ。いいんですけれども、やはり防衛大臣がいて、内閣官房長官がいて、みんないい人たちであって、仲よしだったらいいんですけれども、ちょっと突出した人がおられたりするとがたがたするんじゃないかと思うんです。

 アメリカでも、イラク開戦なんかをめぐって、チェイニー副大統領とラムズフェルドさんとそれからコンドリーザ・ライス安全保障担当の補佐官、これでいろいろもめているわけですね。もめているさまが、彼女の「ライス回顧録」というのに出ています。ラムズフェルドさんも自分で本を書いています。それから、チェイニーさんは別の人が書いているんですが、「策謀家チェイニー」とか、こういうのがあるんです。

 四つの会合ができて、さっき官房長官が、四人が仲よくしていればうまくいくんだと言っておられましたけれども、外務省、防衛省、指揮命令系統がきちんとしていくんでしょうか。中の、国家安全保障局自体の指揮命令系統も何となくあやふやな感じがする。だから、我が党は修正案を出しているわけですけれども。

 こういうもめごとは想定しておられるんでしょうか、おられないんでしょうか。これができることによって、うまくいくのかどうか。私は、アメリカと同じように、ちょっと仲間割れができたりする危険性があるような気がするんですけれども、この点について、いかがでしょうか。

菅国務大臣 先ほど来申し上げておりますけれども、この四大臣の中で、定例的に機動的に審議が行われることによって、閣僚間で十分な審議、意見が調整をされた上で総理が取りまとめるというのが基本であります。まさに国家安全保障会議、その四大臣会合も含めて、この事務を取り扱う国家安全保障局は、平素から総理の意向を踏まえながら各省庁と十分連携をとるわけでありますから、とった中で政策の企画立案を、また総合調整を行っていく。

 ですから、従来と比較をして、関係閣僚との関係や国家安全保障局と各省庁との連携は十分に確保されるようになるというふうに考えておりますので、この国家安全保障会議で出された基本的な方向性について、関係閣僚や関係省庁が事後に異議を唱える事態というのは生じない、そのように考えます。

篠原委員 私は、今だったら大丈夫だと思います、立派な、かなめの官房長官、非常に人柄のいいお二人の大臣とかですね。ですけれども、防衛大臣にちょっとそちらの方に趣味があり過ぎる突出した人が出てきたりすると、これは大問題だと思うんです。そういうところをきちんとやっていただきたいと思います。

 それで、まあ、いいんですけれども、これは国民にちゃんと説明していただきたいというわけですけれども、よく出てくるんですけれども、この横並びを見てください。

 これは、外務省とか内閣に資料を要求したんですが、届いた資料がウィキペディアのコピーでして、安全保障局に情報課というのができるんでしょうけれども、ウィキペディア情報課と名前をつけた方がいいぐらいで、しようがないから私はそこからつくったんですけれどもね。自分たちはいっぱい持っているくせに、国会で議論するのに出さない。これは本当は事務局がつくって、こうですよと言ってくれればいいんですよ。私がつくったんです。

 それで、ここにないんですよね、フランス、ドイツは。同じような国なのに、フランスとドイツにはない。そして、アメリカがあるから、イギリスがあるからと。だけれども、英米と違う、特にアメリカと違うわけですね。世界じゅうのところに口を出しているアメリカと、日本は違うはずなんです。

 一体、何で必要なのか。私は、余り突出したのは必要ないと思うんですが、だけれども日本も必要だと。何で、フランス、ドイツにはなくて、うまくいっているのか、これをちょっとお聞かせいただきたいんです。

菅国務大臣 フランスには国防・国家安全保障会議が設置をされています。同会議は、大統領が主宰し、首相、国防相、外相等がメンバーとなっているほか、情報組織その他の関係組織も参画できて、議題によっては大統領がメンバーを限定することができるというふうになっています。

 同会議では、やはり、テロへの対処だとか、あるいは核抑止政策、海外での軍事オペレーションの危機対応のほか、情報活動、経済、安全保障、エネルギー政策、国内治安政策等を協議され、決定されるということであります。

 また、ドイツには、米国の国家安全保障会議のような、安全保障政策の調整に当たる多数のスタッフを抱える組織は存在していないということであります。通常、外務省、国防省等、関係省庁が緊密に連携し、首相府の指示を仰ぎながら安全保障政策の調整に当たっている。従来の日本の安全保障政策と同じような状況ではないかなというふうに思います。

 ただ、我が国は、環境が変化をする中で、国民の生命財産を守る、そういう中で、戦略的、機動的に対応できるように、今回この法案をお願いしているところであります。

篠原委員 この資料をよく見ていただきたいんです。皆さんの味方をしているような資料なんですがね。だけれども、釘も刺しているんです。

 アメリカは、四七年につくっているんですけれども、CIAもつくっているんですよ。そういうのをどうするんですか。ウィキペディア情報課じゃだめなんですよ。ウクライナも、国家戦略研究所というのをつくっている。

 名前に突っかかりましたけれども、日本はいろいろ苦労しているんですよ、国防会議、総合安全保障会議、安全保障会議、そして国家安全保障会議。上を見てください。ほかは、何も書いていないのは全部、国家安全保障会議なんです。そうなっていますよといって事務局が我々に説明をすればいいんですけれども、しないから、こういう混乱をするんですよ。

 それから、右側のスタッフも、いろいろ書いてありますけれども、イギリスは外務省出身なんです。だから、今民間人とか言っておられましたけれども、そういうのがあるんだったら、ほかの国はこうなっていますから日本も倣ってと、ちゃんとつくってくれればいいのに、全然こういうのをつくってこないので、よく言っておいてくださいよ。

 我々国会議員に国家機密なんて、そんな、本当の国家機密なら要らないです。ですけれども、こんな情報を議論の前に出さないで、ウィキペディアのペーパーしか持ってこないなんて、こんなぶざまなことはさせないようにしていただきたいと思います。

 それで、次なんですが、急ぎ過ぎの一つが、前から話題になっている特定秘密保護法だと思います。これはほかの方がみんなおっしゃっていますから。順番で、ステップ・バイ・ステップでやればいいのに、セットだとかいって、何でややこしいことをされるのかな。

 それから、もう一つ僕が腑に落ちないのは、国家安全保障戦略を有識者会議でまとめて云々というのは、僕はこれは本末転倒だと思う。この会議ができたら、この会合で議論して国家安全保障戦略をつくるべきなのに、何で有識者会議で先につくって、それに追随するようなことをしなくちゃならないんですか。せっかくつくるんだったら、この会合の第一回目の大事な仕事として国家安全保障戦略をつくるべきなのに、先につくっている。これはよくないんじゃないかと思いますけれども、この点について、どうお考えでしょうか。

菅国務大臣 現在、委員御指摘のように、国家安全保障会議、この策定をすべく懇談会を立ち上げて、有識者の方からそうした意見を伺っているところであります。こうした意見を踏まえて、政府で国家安全保障戦略の策定を進めているところであり、当然、この法案を成立させていただいた結果は、NSCで最終的な方向性というのは決めていくことになるだろうと思います。

篠原委員 せっかくつくるんですから、有識者会議、有識者会議といって、そっちばかりに任せるんじゃなくて、この会合で議論してやってください。そうしないと、本末転倒ですよ。順序が逆になっている。そんなに急がなくたって、私はいいんじゃないかと思います。着実に、一歩一歩やっていけば、私はいいんじゃないかと思っているんです。

 それで、問題はいろいろあるんですけれども、私が申し上げているとおり、こういった組織の必要性は十分認めますけれども、まずこの組織をきちんとすることから始めるべきであって、そこの秘密がどうかこうかというのは、まだ急ぎ過ぎだと思います。

 私がもし政府側の立場だったら、こんな国家機密は、そんなに広げるんじゃなくて、国家安全保障会議にかかわるマターだけに限定してやりますよ。それを、そういうことを言わずに、何でもかんでも、知る権利にかかわるとか、そんなふうになっちゃっているわけです。どうもそこが、コントロールタワーがよくないんじゃないかと僕は思うんです。

 庶民の声をよく聞いていただきたいと思います。ちょっと恐怖感を与え過ぎている。国家とか、それから、有識者会議がぼんぼん、武器輸出三原則がどうのこうの、集団的自衛権の行使と、矢継ぎ早にやり過ぎているところがあるんじゃないか。もっと落ちついて、ぜひやっていただきたいと思います。そうじゃないと、物事はうまく進まないと思います。

 予算委員会でちょっと余計なことを申し上げましたけれども、そういうことを申し上げたかったんです。急ぎ過ぎている。もっと着実に、一歩一歩進められることをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

額賀委員長 次に、桜内文城君。

桜内委員 日本維新の会の桜内文城です。

 本日は、NSC改正法案について質問をさせていただきます。

 まずもって、この法案の目的規定と申しますか、一番最初に、一条に、「国家安全保障」という新たな文言がつけ加わっております。これまでも質疑の中でもろもろ議論をされているわけですけれども、この国家安全保障という文言の定義といいますか、そして、その目的というものが、特に戦略というものを考えていく上で大切だと思うんですけれども、この法の趣旨について御答弁をお願いします。

菅国務大臣 今回、国家という用語をつけたということでありますけれども、会議で扱う安全保障に関する事項を、国の存立にかかわる国家レベルの安全保障であることを明確にするために、国家という用語を加えました。国家安全保障会議では、我が国の安全保障の根幹に影響する事務を取り扱うことになります。

桜内委員 それはそれで結構なんですが、なぜこういうことを申し上げたかというと、二つ理由があります。

 一つは、この後この委員会で審議される予定の、特定秘密保護法案の特定秘密の範囲ともかかわってくるからであります。

 そしてもう一つは、現在、別途、国家安全保障戦略というものが安全保障と防衛力に関する懇談会において議論されているとお聞きしておりますけれども、これも私は大変望ましいことだというふうに考えておりますが、戦略というのを考えるに当たって、やはり国のあるべき方向性、特に国家安全保障という文言を使うのであれば、対外的な、現行法でいえば国防に関する重要事項ですとか緊急事態、あるいは、外交といいましても、国防に関する、あるいは外務省的にいいますと政務マターといいますか、もちろん経済面の外交というものもあるわけですけれども、どちらかというと今言った国防なり防衛なり軍事なりに関係する点に絞った概念であるべきだと思うんですけれども、その辺、どうなんでしょうか。大変広い概念のようにも聞こえるんですけれども。

菅国務大臣 基本的には、まさに国家の安全保障にかかわるということが中心であります。

桜内委員 国家の安全保障、おっしゃる部分もそのとおり、文字どおりそのとおりなんですけれども、広い方がいいのか、あるいは狭い方がいいのかというところで、もちろん、戦略なりを考えていく場合には、国力なり、国の安全保障というのはやはり経済力がベースになる部分も確かにあります。一方で、別の法案ではありますけれども、特定秘密保護法案の対象をどこまで限定するのかということになりますと、むしろ国家安全保障という概念は限定しなくちゃいけないということになるかと思います。

 例えば、よく、知る権利の対象であるとか報道の自由ということがいろいろ議論されておりますけれども、国家安全保障局なり国家安全保障会議で、まさに新しくできます四大臣会合ですとかで議論される中身というのは、やはり対外的なといいますか、外国からの脅威、例えば軍事に関して、どのような武器を相手国が持っているのか、あるいは我が国はどういう防衛力を整備しなくちゃいけないのか。これはもう本当に機微に触れるといいますか機密といいますか、例えばで言いますと、相手国の潜水艦の音の情報であるとか、あるいはステルス機があるとしまして、その性能であるとか、そういった、そもそも知る権利の対象にならない、報道の自由があるとしても報道の自由のそもそも対象にならないようなものが、NSCなり四大臣会合で議論されるべきものだと思うんです。

 そういう意味で、この国家安全保障の概念の広い、狭いというのは結構重要な意味を持つと思うんです。もう少し具体的に御答弁いただけませんでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 安全保障とは、一般に、外部からの侵略などの脅威に対しまして、外交政策、防衛政策等を駆使して、国家及び国民の安全を保障することを意味するものでございます。これに含まれる具体的事象の範囲があらかじめ定まっているというものではない、そういう性質のものだと認識をしてございます。

 今回、国家安全保障会議で扱います事象は、安全保障のうち、委員おっしゃられましたように、国の存立にかかわる国家レベルのものでございまして、この根幹に当たるようなものでありますれば、今回の国家安全保障に該当するというふうに承知をしてございます。

桜内委員 事務方にもう一度、別途お尋ねしますけれども、現行法のもとにある安全保障会議、これは例の東日本大震災の際に開催されたんでしょうか。ちょっとその辺、お願いいたします。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災の場合は、現行の安保会議は開催されなかったものと承知をしてございます。

桜内委員 なぜこんな質問をしているかといいますと、今回、現行法の安全保障会議設置法の改正案として、国家がついて国家安全保障会議ということに法案がなっているわけですけれども、確かにあのころ議論があったと思います。私は参議院にいましたけれども、重大緊急事態に当たるのではないかというふうな指摘もあったわけです。

 済みません、これは質問通告していないんですけれども、事務方にお尋ねしたいんですけれども、当時、どういった理由で開催しなかったのか。現行法であったとしても、こういった武力攻撃でないとしても、重大緊急事態というものについては現行法の二条九号で開催することになっているわけですけれども、なぜあのときは開催しなかったのか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 当時の判断といたしますれば、重大緊急事態に該当しないものであるというふうに判断なされたのではないかと承知をしております。

 以上であります。

桜内委員 実際、現行法ですと、「内閣総理大臣が必要と認める重大緊急事態」という文言の書き方なわけですね。逆に言えば、当時の菅内閣、菅総理大臣が必要と認めなかったということだろうと思います。

 でも一方で、あのとき、陸上自衛隊なり、十万人規模で動かしているわけですよ。そのような事態が重大緊急事態に該当しないというふうにもし判断する総理がいた場合に、今回の法案ができるとして、しっかりと機能するのか。もちろんここは運用の話になってまいりますので、今、制度設計あるいは立法の過程でそこまで想定するのもどうかとは思うんですけれども、所管される官房長官の御感想をお願いいたします。

菅国務大臣 まさに緊急事態でありましたから、当然、国家安全保障会議は開催されるべきだったというふうに思いますし、ましてや、自衛隊を十万人という規模で、あのような形で配置をしたわけでありますから、安全保障会議も、それは当然開催されてしかるべきだったというふうに私は思います。

桜内委員 ありがとうございます。私も同感でございます。

 ぜひ、この法律が通った暁には、本当に、先ほども申しましたけれども、その目的といいますか、国民の生命財産を守る、この基本に立ち返ってその運用に心がけていただきたいというふうに申し上げます。

 関連いたしまして、今回の法案のたてつけといいますか、よく言われておりますように、会議が三つつくられる形になっております。

 四大臣会合が新規のものでありまして、これが二週間に一遍程度ですので、年に二十数回、定期的に開催されて、特に、法案ですと二条の九号、「国家安全保障に関する外交政策及び防衛政策の基本方針」云々というふうにありますけれども、これはこれで大変望ましいことだと考えております。

 これまで、あれほどの東日本大震災のようなときであったとしても、新しい法案でいいますと九大臣会合が開かれなかったというのは、これは本当に問題だと思うんですけれども、四大臣会合というのは、どちらかというと、「中長期的な国家安全保障戦略の策定を含め、」というふうな文言があります、説明の資料によれば。これはこれでいいと思うんですけれども、中長期的な戦略を策定する一方で、実際に起こった緊急事態について、緊急事態大臣会合というものが新たに設置されるということで、これもまた重要だと考えております。

 ところが、現行法の安全保障会議にも相当します九大臣会合の役割というものがどう変わるのか、変わらないのか。逆に言うと、今回、こういった法案が出てきた趣旨というのは、一つには、九大臣会合というものが、例えば東日本大震災のような本当の緊急事態のときに機能しなかったという反省に立ってのことだと思うんですけれども、九大臣会合がどのような役割を今後果たしていくことになるのか、あるいは役割が縮減されていくのか。その点について、官房長官の御意見をお聞きしたいと思います。

菅国務大臣 まず、九大臣会合は、防衛大綱とか武力攻撃事態及び周辺事態への対処等の国防に関する重要事項について審議を行って、従来の安全保障会議の文民統制機能を維持していくという形で、ここは極めて大事だというふうに思います。

 ただ、緊急事態が発生をした場合、そこはやはり機動的な対応が必要でありますので、緊急大臣会合というのが開催をされて、そこで総理にさまざまなことを建議し、決定はやはりこの九大臣会合で決定をして、その上で閣議という形に、重要事項については閣議で決定をするという運びになるというふうに考えています。

 ただ、いずれにしろ、例えばあの東日本大震災のようなことが発生した場合、緊急大臣会合でまず早急の対応を決めて、それから、自衛隊をこれから配置する、これは大事なことでありますから、そこは九大臣会合でしっかり文民統制というものを行うということが大事だというふうに考えています。

    〔委員長退席、中谷(元)委員長代理着席〕

桜内委員 ありがとうございます。

 もちろん御答弁としてはそうなるんだと予想しての話でもあるんですけれども、逆に言うと、これまで九大臣会合といいますか安全保障会議が重要なときに開かれなかった、あるいは、開いたとしても十分スピーディーに対処がなかなかしにくかったということで、その反省もあって、四大臣会合と緊急事態大臣会合の新しいものをつくられるということだと思います。

 ですので、この九大臣会合というのが、法律上は確かに、二条の一号から八号までですとか、審議すべき事項をちゃんと書いてありはするんですけれども、でも、例えば武力攻撃事態等が発生した場合、あるいは周辺事態で何かあった場合、対処が必要な場合、それから、「国防に関する重要事項」というふうに八号にあるわけですけれども、これこそまさに、まず四大臣会合でしっかりと議論をした上で、あるいは緊急事態大臣会合で審議すべきものであって、やや九大臣会合の役割が、むしろ縮減しなければ屋上屋を架すことになって、例えば、その後さらに閣議の決定を必要とするわけじゃないですか。

 まさに、特に緊急事態に対応する場合にはスピードも大事だと思うんです。そういった意味で、九大臣会合の位置づけというのは、むしろ、言い方は悪いんですけれども、これはなくてもいいんじゃないのかというふうにまで思うんですけれども、そこについてはどのようにお考えになりますでしょうか。

菅国務大臣 九大臣会合というのは、文民統制機能を維持する上で私は必要だというふうに思います。

 従来、九人の大臣ですから、なかなか機動的な体制等をとるのは、これは会議になってしまいますから。そういう意味で、まさに緊急事態が発生をした場合は、関係をする大臣が総理の指示のもとに集まって基本方針を決めて、そして、法的手続については九大臣会合で、文民統制というものの機能をしっかり残す中で対応するのが大事だというふうに思います。

桜内委員 菅官房長官が官房長官でいらっしゃる限り、そのようにスピーディーにしっかりと対応していただけるものと信じておりますけれども、そうじゃない場合も過去あったりしたわけですよ。内閣総理大臣が必要と認めなくて、あれほどの大災害、東日本大震災の際に安全保障会議すら開催されなかった。こういった経験を踏まえて言えば、ここから先は運用の話になるかもしれませんけれども、より機動的な運用というのを心がけていただきたいなというふうに考えております。

 関連して、閣議決定を経なければ、幾ら四大臣会合であるとか緊急事態大臣会合を開いたとしても、それが内閣の方針とならない、これは内閣法のたてつけ上仕方ない面もあるんですけれども、その内閣法でいえば、四条、「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。」これは明治以来の慣行ですけれども、全員一致が原則であるというふうに言われております。

 よく、決められない政治というふうにもやゆされたりすることが多い昨今ではありますけれども、この内閣法自体といいますか、特に緊急事態が生じた場合ですとか、今回のNSC法案の趣旨もそうなんでしょうけれども、四人の大臣でまず方針を決める、また、緊急事態大臣会合もよりスピーディーな意思決定を内閣として行っていく、その際に、この内閣法四条、そして全員一致の慣行というのが、これまでのような日本的な、誰か一人反対すればなかなか物が決められない、こういったものの繰り返しになるのではないのかという疑念もあるわけですけれども、その点についてはどうお考えになりますでしょうか。

菅国務大臣 委員から御指摘がありましたように、内閣の基本方針を決定する際は、内閣法に定める閣議決定にこれはなるわけであります。

 ただ、今回の国家安全保障会議というのは、まず四大臣会合で、日ごろから、外交、防衛に関する我が国全体の安全保障に関する考え方を一つにしていますから、そこは機動的、戦略的に対応することが従来と変わってできるような形になると思いますし、緊急事態が発生をした場合も、緊急事態に関係をする大臣が、招集する上で、対応を、方針を決めて閣議決定という形になるわけです。

 そういう意味で、従来よりは緊急事態等に対してスピーディーに対応できるというふうに考えていますし、国民の生命財産を守るためにこの法案をぜひ成立すべく、今、皆さんにお願いをいたしているところであります。

桜内委員 おっしゃるとおり、これまでよりも随分改善されるとは思います。

 何が言いたいかといいますと、そろそろ、内閣法も含め、政府の、特に内閣の意思決定のあり方そのものも本来考えていかなくちゃいけないのではないのかなという問題意識で尋ねた次第であります。

 参考までに申し上げますと、今、やはり法律なり省令とかが大変多いんですね。法律の数が千八百九十七本、これは現在有効な法律ですけれども。政令が二千二十四本、省令が三千五百六十本もあるんですね。

 とにかく、まあ、この特別委員会とは関係ないですけれども、役所の規制権限というのは全てこれら根拠法なり省令等に基づいて決められておりまして、閣議決定で決めるべき政令であるとか、あるいは委任を受けて制定する省令なり、この辺はしっかりと我々立法府にいる人間も心して、なるべく簡素に、かつスピーディーに仕事ができる環境を整えていかなくちゃいけないというふうに思っている次第です。

 ですので、内閣のあり方、明治憲法以来ずっと同じやり方を繰り返してきております。まさに閣議でもって内閣の意思決定をする。もちろん、明治憲法時代は内閣という文言が憲法上なかったわけですけれども、あのような戦争も経験して、敗戦も経験して、やはり、国家としての、政府としての意思決定のあり方を見直すべきときに来ているのではないかなというふうに思います。

 自民党の小池委員が「失敗の本質」という名著についても触れられておりましたけれども、特にこういった国家の戦略、国家安全保障戦略、まさに国家の存立に関係する重要な戦略をつくる会議であればこそ、意思決定の仕組みについて、一歩前進とは思いますけれども、将来的には内閣法のあり方あるいは閣議決定のあり方、端的に言えば多数決を導入するべきか否かということになるかと思いますけれども、その辺まで実は関係してくる事項だというふうに考えている次第です。

 関連して、今度は、内閣法の改正にあります補佐官についてお伺いをいたします。

 政府案には、もともと含まれていなかったやにお聞きしております。与党との協議の中で補佐官必置というふうにこの委員会での議事録にあったんですけれども、この補佐官の役割、これは何回もこの委員会で聞かれておりますけれども、まず、その基本的なところについて教えてください。

菅国務大臣 常設化される国家安全保障担当総理補佐官は、総理直属のスタッフとして、国家安全保障会議に出席するなど、国家安全保障に関する重要施策に関して総理大臣に対して助言を行い、その判断を助ける役割を担うことになります。

 また、総理補佐官は、総理の命を受けて、国家安全保障政策の事務方の責任者である国家安全保障局長と緊密に連携をとることにいたしております。

 総理補佐官が国家安全保障局長とお互いの業務、役割を補完し合うことによって、より強力な総理のサポート体制ができるものと考えております。

桜内委員 ありがとうございます。

 何度も同じように答弁されてきていると思うんですけれども、なぜこんなことを言うかといいますと、例えば、内閣の構成について、憲法六十八条一項というのがありまして、言わずと知れた議院内閣制に関する条文なわけですけれども、読み上げますと、「内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。」という規定がありまして、それも、先ほどありました文民統制と申しますか議院内閣制というか、そういう民主主義的な意味を含めた趣旨の規定だというふうに言われております。

 これはおもしろいんですけれども、当時の帝国議会での議事録を見ておりますと、このただし書き以下は実は最初の政府案には含まれておりませんで、後に、帝国議会での、要は議員の修正で入ったものと聞いております。

 これと同じく、同じように言っちゃいけないのかもしれませんけれども、ある種、ポスト目当ての国会議員が、こういった補佐官をとにかく一人置けよというふうに押し込んだようにも受け取られかねないような経緯があったやにお聞きするんですけれども、どうでしょうか。

菅国務大臣 総理補佐官の定員は決まっていまして、その定員の中から一人を今度の補佐官にするということでありますから、ポスト目当てではありません。総理が安全保障に関してさまざまな的確な判断をできるように、それを支えるポストと考えていただいてよろしいかと思います。

桜内委員 ポスト目当てではないということではあるんですが、内閣法の規定によれば、同じ二十一条の次の四項に新しく、今三項なんですけれども、「非常勤とすることができる。」とあるわけじゃないですか。やはりそこは、緊急事態にどう対処するかということが常に求められる立場の補佐官が、法律のたてつけ上、非常勤にすることができるという文言もあり、それ自体、どうなのかということでもあります。

 関連で言えば、これは具体的になかなかイメージするのも難しいかもしれませんけれども、補佐官が大変な実力者がなられたとすると、まさに国家安全保障局長と同じ意見ならいいですけれども、別の意見を持ったときに、二つの頭を持った竜というかワシというか、そういった混乱も生じるんじゃないかという懸念もあるかと思います。また一方で、では、軽量級と言ったら失礼ですけれども、非常勤ということをいいことに余り顔を出さないという人がもしなったとすると、言い方は悪いんですけれども、盲腸のような存在とやゆされることにもなるのではないかと懸念するわけです。

 あえて、国家安全保障担当補佐官、確かに重要な役割を担うべきポストだとは思うんですけれども、国家安全保障局長と具体的にどう連携を進めていくのか。今申したように、なかなかこれはイメージしづらいところがあるわけですけれども、その辺も、運用に任せるということかもしれませんけれども、原則、この際、局長と補佐官兼務にするとか、幾つかやり方があろうと思います。その辺について、長官、どのようにお考えでしょうか。

    〔中谷(元)委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 ちょっと整理をさせていただきたいんですけれども、官房長官の直轄のもとに置かれるのは国家安全保障局長であります。そして、総理直轄のスタッフとして総理を直接補佐するのが補佐官でありますから、補佐官と国家安全保障局長の上下関係はないということであります。

 局長と補佐官は、平素から緊密に情報を共有、意見交換を行うなど、力を合わせて総理を支える関係にあるということは間違いありません。両者間で建設的な意見交換が行われると思いますけれども、確かに、委員指摘のように、もしそういうことの意見の対立があった場合は、これは総理が最終判断を行うことになっておりますから、総理決定に従うという形になります。

 それと同時に、今の、同じ人をということでありますけれども、補佐官と国家安全保障局長というのはそうしたことも可能であります。

桜内委員 ありがとうございます。

 でき得れば、ここは立法の場でありますので、その後の運用についてとやかく言うべきではないと思いますけれども、やはり職務上、これは一人の者に任せるべきものではないかという意見は述べておきます。

 同様に、現在、内閣法上規定されております内閣危機管理監との関係についてお尋ねをいたします。

 この法案上、国家安全保障局というものは、まさに今回設置されるであろう国家安全保障会議、その所掌の中に重大緊急事態というものも含まれておりますので、危機管理の部分が当然重なるわけですけれども、この点において、一方でこの通称NSC法で規定される国家安全保障局長の権限、責任と、それから内閣法上規定されております内閣危機管理監との関係はどうなるのか、お答えいただけますでしょうか。

菅国務大臣 まず、緊急事態に対しての事態対処は、これまで同様、内閣危機管理監を中心とする危機管理担当部局が担って、既存の体制は維持をしてまいります。

 また一方、国家安全保障局は、平素から、総理の意向を踏まえて、国家安全保障政策の企画立案、総合調整、これを行う組織であって、緊急事態に対しての事態対処を担う組織ではありません。ここは明快に分かれております。

 ただし、緊急事態に対して、国家安全保障に関する重要事項について高度の政治判断を行う必要がある場合は、国家安全保障会議を開催し、政府がとるべき措置等について審議をいたします。

 このため、緊急事態の際、もとより平素から内閣危機管理監と国家安全保障局長というのは緊密に連携をとって、我が国の安全をしっかり確保できるような、そういう体制にしたいということであります。

桜内委員 御答弁はそのとおりだと思うんですが、これまた何でこんなふうに尋ねているかといいますと、もともと、NSCといいますか、国家安全保障局なり国家安全保障会議というのは対外的な脅威にどう対応するかということだと思うんですが、我々の頭の中、まぶたに鮮烈に残っていますのは、やはり東日本大震災の際の政府の対応のまずさにあります。

 あのときよく言われておりましたように、こういった設置法に基づかない諮問機関なりが二十幾つかつくられて、乱立したあげく、誰がどう意思決定しているのか、実際に閣議決定まで至るものがほとんどなくて、御記憶だと思うんですけれども、本格的な復興予算が、補正予算が組まれるまで半年以上かかったり、全然、何か緊急対応になっていないじゃないかというような状態だったのを記憶しているわけですけれども、そのような意味で、なるべく整理していく必要があると思うんです。

 内閣危機管理監とのデマケといいますか、これは恐らく今おっしゃったとおりで、実際に危機対応といいますか現場で指揮をする者と、それから、四大臣会合なり、あるいは緊急事態大臣会合で方針を策定していく、それを閣議で決定していく。これはこれで結構だと思うんですが、今現在、この委員会で十月三十日に答弁されているんですけれども、総理や官房長官、外務大臣、防衛大臣の主宰ないしは出席する外交防衛分野の私的諮問機関や専門家会議、関係閣僚会合が九つあるという御答弁があったと記憶しておりますが、これらはやはり整理が必要だと思います、今回こうやって国家安全保障会議を設置していく以上。

 その辺について今後どのように対応されるのか、見通しあるいは御意向についてお尋ねいたします。

菅国務大臣 今言われたこの九つの数字ですけれども、これは、国家安全保障会議と、外交、防衛に関する総理の私的懇談会や、外務省や防衛省に置かれている有識者会議等をも全て集めた中の九カ所でありますから、それぞれ、やはり外務省でも防衛省でも、そこは有識者会議というのが必要な部分というのはあるだろうというふうに思いますので。

 できるだけこうした会合は少なければ少ないほどいいというふうに私も思っています。ただ、性質や目的が違ってこれがつくられているということでありますので、そこについては御理解をいただきたいなというふうに思います。

桜内委員 船頭多くしてというふうにならないように、また、我々の、三年前の震災、二年前ですかね、震災での経験を生かして、そこはなるべくシンプルな、先ほど内閣法についても触れましたけれども、意思決定の仕組みとして、とにかく、孫子でいえば、兵は拙速をとうとぶともいいますので、スピーディーな対応が特に危機管理においてはできるような仕組みに簡素化していかれるようお願いをいたします。

 次に、ちょっと話が戻るんですけれども、先ほど、四大臣会合、九大臣会合、そして緊急事態大臣会合のあり方についてお尋ねをいたしました。

 少し具体的な事例でもってお尋ねしたいんですけれども、例えば、北朝鮮がミサイルの発射実験をやりましたという場合には、これは九大臣会合になるのか、緊急事態になるのか。あるいは、尖閣諸島の領海内で漁船が海上保安庁の船に体当たりしてきました、こういった場合にはどういうふうに考えればいいのか。原則的な考え方をお示しいただけますでしょうか。

菅国務大臣 それぞれの事案によってこれは違ってきますけれども、今言われました例えば漁船の体当たり、こういうものについては緊急事態の大臣会合という形になるだろうというふうに思います。

桜内委員 漁船が何回もぶつかってくることはないと思うんですけれども、昨今言われていますのが、無人機が領空に飛んできたりとか、それが武器を積んでいるのか積んでいないのかもわからないという場合、これはどういうふうに対処されることになるんでしょうか。

菅国務大臣 まず、防衛大臣は帰られましたけれども、第一義的には、これは当然、防衛省が対応することになるだろうと思います。

桜内委員 先ほどの問いと重なりますけれども、やはりそういった対応のシミュレーションといいますか、こういった事態のときには緊急事態大臣会合を開くですとか、あるいは四大臣会合でとにかくまず方針を決めるですとか、恐らく文民統制ということは意思決定に時間がかかるということも裏の意味であるんでしょうから、九大臣会合は後回しにするとか、そういったマニュアルというのも恐らく今後つくられていくと思うんです。何度も言いますけれども、そこは今後の運用ということになるでしょうが、もちろん、国民に明らかにできる部分、できない部分はあるでしょうけれども、しっかりとした対応のマニュアルといいますか、方針というのをつくっていただきたいというふうに希望しておきます。

 次の質問ですけれども、議事録の作成についてお尋ねをいたします。

 何度も民主党政権時代のことを言って申しわけないんですけれども、余りにも教訓がたくさんあるので。

 なぜかといいますと、先ほど申し上げたとおり、東日本大震災の後、安全保障会議がそもそも開催されなかっただけでなく、設置法も何もないような会議が乱立したわけですね。かつ、そこの議事録が、作成していなかったと言っていますけれども、役人の習性として大体何かメモはとっていると思うんですけれども、作成がなかったということで、その後の検証というのが、本当に国会でも紛糾するぐらいできなかったわけですよ。官房長官も御記憶だと思うんですけれども、例えば海水注入をとめろと言った言わなかったとか、その程度のことも記録にとっていなくて、後で水かけ論になってしまう。

 そういった意味でいえば、議事録をとらないというのも一つのやり方だとは思うんですけれども、特に緊急事態においてどう対処したのか、どのような意思決定がなされていったのか。先ほどは、内閣法を含め、政府の意思決定のあり方自体を考え直すときではないかということを指摘いたしましたけれども、今後、どう変えていくのかというときに、議事録等も何もない中で、白地で新しい制度設計をするというのはなかなか難しいものですから、今後の日本政府の意思決定のあり方をより適正なものにしていくという意味でも、議事録の作成というのは僕は必須だと考えています。

 国家安全保障会議、それから、今後、閣議においても議事録の作成、保存、すぐに開示する必要は全然ないと思うんですけれども、これについて官房長官はどのようにお考えでしょうか。

菅国務大臣 まず、従来の安全保障会議でありますけれども、審議内容が機微であることや、関係閣僚の闊達な意見を確保する必要があることから、議事録は作成をいたしておりません。これは、私たち政権でなく、民主党政権もそのとおり、そのことであります。ただ、安全保障会議の審議の概要は、事後、官房長官が、どんなことをしたということは記者会見をして国民には明らかにしていたんです。

 今回の国家安全保障会議の審議内容も、そうした機微な情報も当然あるわけですね。また、関係閣僚の闊達な意見交換をやはり妨げてはならないわけであります。

 そういう中にあっても、公表のあり方や関係文書の作成及び取り扱いについては、国家安全保障会議の性質等を十分に勘案しつつ、国の安全保障を損ねない形でこれからしっかりと検討していきたいというのが私たちの今の見解であります。

桜内委員 私が申し上げたかったのは、民主党政権時代に作成していなかったからいいんだという話ではないということであります。

 今後、こういうふうな新しい会議体を設置して、まさに国の存立にかかわることを議論していくことになった以上、歴史の検証にたえる、例えば三十年後でもいいんですけれども、そこは、議事録をそもそもとっていなければ開示も何もない話でもありますし。

 言ったら悪いんですけれども、すぐに開示しておかしくない情報ですらなかなか出てこないということが実は間々あって、これは民主党政権時代、やはり東日本大震災の関係の際なんですけれども、官房長官の記者会見、夜中とかも何回もやられて、その御苦労は確かに尊敬に値するんですけれども、それがいつ記録されたかとか、日時が書いてないとか。あるいは、著作権の問題で仕方ないのかもしれませんけれども、官房長官が冒頭話された後、質疑応答になるとそこで記録がとまっているとか、そういったことも間々ありました。

 NSCといいますか新しい国家安全保障会議自体に絡む話じゃないんですけれども、この後、特定秘密保護法案がこの委員会にかかってくるということもありまして一つ指摘したわけですけれども、やはり、既に官房長官が記者会見なりで発表されたことについては、質疑応答も含め、これはもう明らかになっている話ですので、別に隠すこともなく、今後は、しっかりと開示できるところは積極的に開示していただきたいなというふうに要望をしておきます。

 ですので、そういった意味でも、まず議事録の作成は、今回、新しい国家安全保障会議という非常に意欲的な、我が国の安全保障にとってまさに画期となる会議体が設置される以上、これはもう本当に運用の世界ですので、官房長官のリーダーシップで、議事録はとっておけよと一言おっしゃっていただければ多分済む話だと思います。ですので、ぜひ議事録の作成、保存をお願いしておきたいというふうに思います。

 それから、次に行きます。

 これもよく言われておりますけれども、国家安全保障会議が設置された後に、基本的にこの会議自体は、情報の分析、そして内閣の意思決定をサポートする諮問機関のようなものだと考えております。もちろん、総理が参加されていますので、そこでの決定事項がそのまま閣議決定されることも多々あろうかと思いますけれども、まさに情報の取得、情報の収集の体制について、よく言われておりますように、これまでの既存の体制ではやはり不十分だという指摘も確かによく聞くところでもあります。また、統合的な運用がなかなかなされていないんじゃないかという指摘もあります。

 今後、こういった国家安全保障会議が設置された後、やはり良質な情報の収集というのは欠かせないと考えるわけですけれども、体制について見直す、今、各省に分属している権限なり機能というものを一つにまとめていくおつもりがあるのか、あるいは、まずは今のまま様子を見てからということなのか。その辺について、見込みを教えてください。

菅国務大臣 現在の情報コミュニティーでありますけれども、内閣直属の情報機関として内閣情報調査室が設置をされています。また、情報コミュニティーは、各省庁が内閣のもとに相互に緊密に連携を保ちながら、情報収集・分析活動に当たっています。

 具体的には、内閣官房長官が議長を務める内閣情報会議、さらにその下に、合同情報会議を通じて、情報コミュニティー各省庁が収集、分析した情報が集約をされて、総合的な評価、分析という体制が整備されております。情報コミュニティーとして十分に現在は機能しているというふうに考えております。

 そういう中で、今回、国家安全保障局ができるわけであります。そこで、そうした情報をそこから提供を受けて、その情報をもとにしながら分析をし、また政策立案をする。そこが今度、国家安全保障局のスタッフが行うわけでありますから、現在と違うのは、そこで集約をして行う、それと同時にまた、国家安全保障に必要な情報を調査するように、そこを指示することができるようになりますので、そういう意味では、情報収集もだんだんと一体化してくるんだろうというふうに思います。

桜内委員 我が国において、長くインテリジェンス機能が弱いと諸外国からも指摘をされてきておるところですので、やはり国家の安全保障、我が国の存立というのを考えていく上で重要なことでもあろうかと思います。

 今回、質疑に立つに当たって、先ほども少し触れました「失敗の本質」というのをちょっと読み返してみておったのですけれども、やはり陸軍、海軍ともに情報の軽視というのは否めなかったというふうに、敗因の一つに挙げられております。どうしても、日本的な組織の中でこういった秘密なり情報を扱うというのはなかなか難しい部分はあるのかもしれませんけれども、やはり、これから世界に伍して我が国の存立を守っていく上で重要な情報については、しっかりと政府の方で収集できる体制をつくっていただきたいというふうに考えております。

 インテリジェンス機関がまだないというのは仕方ない部分もあるんですけれども、なるべくそれに匹敵するような機能を持っていただきたいという希望を持っているわけですけれども、それが今回新設される国家安全保障局に上がってきた場合に、これをどう分析するのか、それなりのトレーニングといいますか研修というのも必要だと考えております。

 官房長官のこれまでの御答弁の中では、まず六十人ぐらいの体制で始められるということなんですけれども、いきなり、私も役人をやっておりましたけれども、仮に出向でぽんと行ってすぐに仕事ができるというわけでもないと思います。もちろん、これまで防衛省なり外務省なり公安調査庁なり、それに関する仕事をやっていた方であれば、特に防衛省などでは専門的な研修ですとか訓練もなされているとは思うんですけれども、今後どういった研修プログラムを考えていらっしゃるのか、それについてお尋ねをいたします。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたように、まず、国家安全保障局に、各省庁等から集められた情報をもとに、我が国としてとるべき国家安全保障政策の企画立案に当たる政策担当官を置くことになります。その政策担当官は、各政策テーマや地域情勢についての知識、経験を背景として、各省庁等から集められた情報の意味合いを吟味、評価しながら政策を策定していく形になります。

 いずれにしろ、質の高い情報というのは極めて大事なことでありますので、情報収集については、委員の御指摘のとおり、極めて大事なことであるというふうに思います。

 そしてまた、この職員でありますけれども、スタート時は、多様なバックグラウンドを持って、各省庁から提供された情報を政策立案に活用できる十分な知見を持った優秀な人材を集めたいというふうに思います。そして、その確保のあり方については、また育成という観点も極めて大事だというふうに思っていますので、そうしたことも今後しっかりと前向きに取り組んでいきたいと思います。

桜内委員 ぜひ前向きに、御答弁のとおりやっていただきたいというふうに思います。

 ちょっと趣が変わる質問を一点させていただきます。

 今、このように情報の収集ということをお尋ねさせていただいた次第なんですけれども、やはり日本からの情報の発信というのも大事だと考えております。

 我が党の政調の部会などでも、各省庁の概算要求なりそういった予算の件を見ておりましても、海外広報予算というのがいろいろな省庁に分属しているんですね。こうやって、今回、NSCのような、まさに防衛、そして防衛に関する国家安全保障についての一つの戦略的なものを考える司令塔ができるわけですので、情報を発信するという意味でもその司令塔というものが必要だと考えております。もちろん、このNSCがやるかどうかは別といたしまして、やはり内閣官房として、内閣の考え方をしっかりと外国に伝えていく必要があろうかと思っております。

 といいますのは、昨今、私もなぜか流れ弾に当たったわけですけれども、例の慰安婦問題ですとか、本当に事実に反するようなメディアの、性奴隷と称して、それが二十万人もいたということが石碑にまで刻まれて、外国で流布されているわけです。そういったものに対して、もちろん歴史的な事実をしっかり踏まえての話ですけれども、我が国の国益にも関係することだと私は考えております。

 安全保障とはちょっとまた違うかもしれませんけれども、国益という意味で、日本国及び日本国民の尊厳なり名誉にかかわる問題も数多くありますので、その点について、ぜひ海外広報もしっかりやっていただきたいと思うんですけれども、官房長官、これは御感想で結構です。

菅国務大臣 今の委員の御指摘は、私は極めて大事な御指摘であったというふうに受けとめさせていただきたいと思います。

 私、官房長官になってから、やはり、我が国の海外広報がいかに他の国と比較をして足りないかということを痛切に感じているところであります。

 そういう中で、官邸が司令塔となって国際広報を戦略的に展開していくことが極めて大事だというふうに思っていまして、例えば、二十五年度予算において、国際広報を強化するために内閣府に新たに五億円を一括計上するとともに、官邸において、関係府省や有識者から成る会議を行っています。まさに政府一体となった国際広報の、いかに効果的に努めるにはどうしたらいいか、そうしたことを今戦略的に行っているところであります。

 今後とも、政府一体となって、御指摘の点につきまして私どもはしっかりと対応していきたいと思います。

桜内委員 時間もあと少しになりましたので、最後の質問をさせていただきます。

 冒頭の質問とちょっとかぶる部分もあるんですけれども、やはり戦略というのは国家にとって非常に重要だと考えております。すぐにぽんと法律上の解釈なりで答えが出る話じゃないんですけれども、私も、こういった国会議員の職にありまして、国家の戦略とは一体何なのかということについてもろもろ考えたりしているわけですけれども、英語であれば少し意味がとりやすい部分もあります。

 例えば、戦略爆撃というのが、第二次大戦当時、当時であればB29ですけれども、何で戦略とついているのかなと考えたら、物の本とかによれば、戦略というのは、実際に例えばガダルカナルで激突するとかそういう話じゃなくて、その背後にある生産能力であるとか兵力の増加であるとか、そういった部分をたたくんだと。だから、正面からぶつかる、そこは戦術と言うそうなんですけれども、その後ろにある武力の生産能力も含めた、資源の配分も含めたところを、しっかりと計画的に戦力を配分して、みずからの国益に沿うような結果を目指していくことだというふうにお聞きしております。

 そういった中で、今回、恐らくは、NSC、国家安全保障局なり国家安全保障会議ができればそこで議論されることだとは思うんですけれども、今、安全保障と防衛力に関する懇談会で、まさに、我が国、恐らく明治以来初めてではないかというぐらいの統合的な国家安全保障戦略というものが議論されているやにお聞きしております。

 この戦略の方向性について、まず戦略というのをどういうふうに、これはもう菅官房長官の個人的な見解でも結構です、国民の生命財産を守っていく、そのためにどのような方向性で今後政権を担っていかれる覚悟、気概がおありなのか、最後にお示しください。

菅国務大臣 やはり政府の役割というのは、まさに、国家国民の安全そして国民の生命財産を守るのが私たちの役割だというふうに思います。

 そういう中で、現在、我が国を取り巻く環境というのは、国際環境、安全保障、極めて厳しい状況になっておるというふうに思います。そうした中で、豊かで平和な社会を引き続き発展させていくために、我が国の国益というものを長期的視点から見定めた上で国家安全保障の確保に取り組んでいく必要がある。

 このような中で、外交政策及び防衛政策を中心に、国家安全保障戦略というのが大事であるということで、今、それぞれの有識者の皆さんにお願いをいたしているところであります。そして、その方向性を受けて、私たち、このNSC法案を成立させていただくならば、そこでその方向性というものをしっかり議論して方向を決めていきたいというふうに思います。

桜内委員 ありがとうございました。終わります。

額賀委員長 次に、今村洋史君。

今村(洋)委員 日本維新の会の今村でございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 先ほど、桜内委員との質疑の中で、官房長官は、内閣官房国家安全保障局長と国家安全保障担当総理補佐官の兼職が、可能性としては可能であるというふうにお答えになったかに思いますけれども、それはそのとおりに受け取ってよろしいでしょうか。

菅国務大臣 法案上はできるということを申し上げました。

今村(洋)委員 官房長官の構想の中では、英国型の兼職というようなことを想定なさっているんでしょうか。

菅国務大臣 想定というよりも、この法案の中で、民間人の方であれば、補佐官と局長は同じ人ができるということであります。政治家については、国会議員については、これは限られていますから、そこはできないわけであります。

 いずれにしろ、総理のスタッフとしての補佐官と、そして安全保障局長、まさに全体を取り仕切る方と、その中で国家安全保障会議というものを機能させていきたいというふうに思います。

今村(洋)委員 ありがとうございました。

 それでは、次の質問に入りますけれども、内閣官房国家安全保障局についてお尋ねします。

 現在、内閣官房内における特別職の序列は、一、内閣官房長官、二、内閣官房副長官、三が内閣危機管理監、四、内閣情報調査室の長たる内閣情報官及び内閣官房副長官補というふうになっています。

 今般設置される国家安全保障局の局長の序列は内閣危機管理監と同格にありますが、同じ官房内にあり、情報部門を担う内閣情報調査室を、例えば局へ格上げし、その長をさきの二つの役職、これは管理監と局長ですね、と同格にする考えは政府内におありでしょうか。お願いします。

菅国務大臣 現在私どもが考えておりますのは、まさに委員御指摘のとおり、国家安全保障局長と内閣危機管理監は同格という形であります。そして、事態対処は危機管理監が当たる。国家安全保障局長は、まさに政策を企画し、また総合調整を行うという形であります。

 そして今、内閣情報官を、これも同じという形でありますけれども、内閣情報官は、まさに内閣情報室の中で、私どもとすれば、今の状況の中でスタートをさせていただければというふうに思っています。

今村(洋)委員 私がお聞きしたその理由には、危機管理、国家安全保障戦略、それとインテリジェンスの三つの機能が並びそろうことで内閣官房長官を強く支えることができて、議院内閣制をとる日本でも大統領的に官邸の司令塔機能が強化されるという役割が果たせるかなと思って、お聞きいたしました。

 次に、その内閣情報調査室のことですけれども、その調査室の平成二十五年度予算が、情報の収集及び分析その他の調査費、十億七千三百四十五万八千円、それと、情報の収集調査委託経費、これが七億三千六百九十万円、次に、情報機能強化検討経費、これが三億六十二万六千円、カウンターインテリジェンス推進経費、これが二千六十六万四千円、計二十一億三千百六十四万八千円となっています。

 ちなみに、各国の情報機関の予算というものは、これは明らかにされておりませんけれども、米国CIAの年間予算が、例のスノーデン氏から得た情報でワシントン・ポストが報じるところによっては、百四十七億ドル、これが日本円にしますと一兆四千七百億円程度。それから、同じ米国のNSAは七十億ドルという報道もあります。また、英国SIS、秘密情報部の予算は三億ポンド、これが四百七十一億円となっております。やはり、予算に応じて抱える人員も多く、米国CIAは約二万人、英国SISは二千五百人と言われています。

 対して、我が国の内閣情報調査室は約二百人と、予算と同様、人員も十分の一程度となっております。

 初代内閣安全保障室長を務めた佐々淳行氏は、自著の中で、内閣情報調査室は目も耳も弱い、手足もないのだから、とても国際水準の情報機関とは言えない、予算も二桁ほど違うとおっしゃり、また、国際的なインテリジェンスコミュニティーにおいて内閣情報調査室の存在意義はほとんどない、諸外国の情報機関に相手にしてもらえない、コミュニティーのメンバーとして認めてもらえるのは警察庁警備局公安課や外事課といった部署であると述べられております。

 国家安全保障会議が、官邸主導で外交・安全保障政策を推進する司令塔となり、緊急事態にもシームレスに対処できる組織であるためにも、下部組織である国家安全保障局が迅速かつ適切に情報を上げていく必要があります。そのためにも、同じ内閣官房内にある内閣情報調査室が、目も耳も持ち、二次情報のみならず、みずから一次情報を収集できる機関になってこそ、今般の法案また特定秘密保護法案も生きてくるのだと思います。

 一足飛びに米国CIAや英国SISの規模になることは望めませんが、我が党の代表質問で藤井孝男委員が指摘したように、別途、情報機関そのものの強化が必要なのは明らかです。NSC構想には、国家的見地から、我が国既存の公安調査庁、警察庁警備局、防衛省情報本部、外務省国際情報統括組織などの情報コミュニティーを統合運用する、例えば英国においては合同情報委員会、JICのような情報集約評価機構が必要だと思われます。

 内閣情報調査室を強化し、少なくともその任に充てることは最低限必要と思いますが、官房長官のお考えをお聞かせください。

菅国務大臣 現在、限られた人員、限られた予算の中で、情報収集のために懸命に努力をしているというふうに私は考えています。

 今委員から御指摘をいただきましたが、とりあえずは、先ほど申し上げましたように、局長と危機管理監、そしてその二人に情報を上げる内閣情報官、そういう形でスタートをさせていただきたいと思っておりますので、まず二百人の体制で、この法案が成立をした暁にはスタートをさせていただきたいと思います。

 各国のNSCの歴史を見てみますと、各国ともいろいろな試行錯誤の中で充実をさせてきておりますので、とにかく日本においてはスタートすることが大事だというふうに思います。

今村(洋)委員 ありがとうございました。

 では、その方面の組織の熟度というものも上げていただくよう、よろしくお願いいたします。

 次に、お尋ねいたします。

 同格の序列となる内閣危機管理監と国家安全保障局長は緊密に連携とありますけれども、内閣危機管理監が担っている、国の防衛に関するものを除いた緊急事態に対し内閣として必要な措置について第一次的に判断する役割は、国家安全保障局の、緊急事態への対処に当たり国家安全保障に関する外交、防衛の観点から必要な提言を実施という役割と、これは重複しないのでしょうか。国防及び外交という観点から、緊急時対応についてはすみ分けているというふうに理解してよろしいのでしょうか。

菅国務大臣 まず、何回か申し上げていますけれども、緊急事態に対しての事態対処は、これまで同様に内閣危機管理監を中心とする危機管理担当部局が担って、既存の組織はそのまま維持したいというふうに思います。

 国家安全保障局は、平素から、総理の意向を踏まえて、国家安全保障政策の企画立案、総合調整を行う組織でありまして、緊急事態に対しての事態対処を行う組織ではありません。ただし、緊急事態に対して、国家安全保障に関する重要事項について高度に政治的な判断を行う必要がある場合は、国家安全保障会議を開催し、政府がとるべき措置等について審議をいたします。

 いずれにしろ、緊急事態の際には、平素から、私の指揮のもとに、内閣危機管理監と国家安全保障局長、緊密に連携をさせて、我が国の安全というものをしっかり守っていきたいと思います。

今村(洋)委員 その内閣危機管理監ですけれども、東日本大震災のときには、災害時の避難誘導、被災者救助などが所掌とされていますが、震災時の政府の対応からは、この危機管理監がいかなる役割を果たしたのかも一向に見えてこず、危機管理機能が十分に発揮されていなかったことも、これは参議院の行政監視委員会で指摘されております。

 例えば、緊急事態の中に邦人救出が想定されていますけれども、朝鮮半島有事などが想定されますと、現在、韓国には、約三万人の在留邦人と、一日平均で約三万人とされる邦人観光客やビジネスマンがおります。朝鮮半島が戦乱状態になったときに、いかにして合計六万人もの日本人を保護し救出させるか。邦人の保護救出は、任務分担では外務省領事局となっておりますけれども、領事局にそのような事態への対処能力はないというふうに考えます。

 そのようなとき、内閣危機管理監が、武力の行使ではないからといって、その救出プランを策定できるんでしょうか。当然、外交、防衛を担当する国家安全保障局との連携が必須になると思われます。国家安全保障会議の創設に関する有識者会議の中でも、緊急事態を分類、列挙していますが、内閣危機管理監のみで対処でき得る事態の方が項目的には少ないと思われるくらいです。

 せんだって、東日本大震災においても、その混乱に乗じて、ロシア、中国、韓国が領空接近を繰り返すなど、単に国内災害だけでは片づかない事態も生じていました。そういうことから考えますと、緊急対応に際して所掌を分けることが、かえって危機対応の迅速さを阻害している可能性もあると思いますが、お考えをお聞かせください。

菅国務大臣 緊急事態が発生した場合は、緊急事態への大臣会合というのを開きますから、そこで全体を統括する中で、外交、防衛も含めてしっかりと対応してまいります。

今村(洋)委員 としますと、内閣危機管理監というものが、前回の東日本大震災で、なかなか、これは内閣の考え方もあったのかもしれませんけれども、その役割を発揮できたというふうには思えませんが、今後、こういった組織の生かし方というものが必ず担保されるという方策は何かお考えでしょうか。

菅国務大臣 内閣の危機管理監は、政府の方針決定に基づいて事態対処に当たるところでありますから、そういう意味で、それぞれの政権がどういう判断をするかということが大事だと思います。

 私ども、今お願いをさせていただいていますこの国家安全保障会議においては、やはり緊急事態の対処については、内閣危機管理監を中心とするその部局には大きな役割があると思います。

今村(洋)委員 わかりました。

 では次に、国家安全保障局長についてお伺いいたします。

 前回の質疑で官房長官は、局長人事に関し、局長は民間人から、また、対外的にも、外交問題あるいは防衛問題に精通している方になるだろうとお答えになっておられます。報道では外務省OBのお名前が挙がったりもしておりましたけれども、このポストは、あくまで総理が政治任命する総理スタッフ的ポストという捉え方でしょうか。それとも、危機管理監と同様な、首班や政権が交代しても、それとはかかわりなく適任者が任命されるということでしょうか。

 仮に、この局長ポストが外務省OBのポストとして、その可能性が高いものになれば、先ほどの内閣危機管理監との緊密に連携という言葉も、単なる指定席同士の御挨拶程度にしか聞こえなくなってしまいます。

 私は、このNSC法案が日本の安全保障に資すること大だと思っておりますので、それがゆえに、この局長ポストに、官房長官がおっしゃられたような、省庁ポストを排した、外交、防衛に精通した適任者についていただきたいと思っております。この点について、官房長官のお考えはどうでしょうか。

菅国務大臣 国家安全保障担当の総理補佐官や国家安全保障局長というのは、総理が人選することでありますけれども、そこはまさに特別職の国家公務員でありますから、我が国の国家安全保障に最もふさわしい方を総理が人選するんだろうというふうに思います。

今村(洋)委員 わかりました。

 では次に、国家安全保障に関する外交防衛政策の基本方針、重要事項の企画立案、総合調整を行うとしている国家安全保障局についてお聞きいたします。

 国家安全保障局は、みずから情報収集する機能は持たせず、情報コミュニティーを含む関係行政機関等に対し適時に情報を発注というふうにあります。前回の質疑で、改正後の国家安全保障会議設置法の第六条に基づいて、各省庁が資料、情報を提供する義務を負うことになるので、情報の集約は可能であるというふうにお伺いいたしました。

 その情報ですが、国家安全保障局では、そのように集約した情報を整理し、それを再び関係行政機関へ戻し、オプションを設けた報告書を上程させることを予定していると聞き及びました。確かに、六十人ほどの人員では政策立案には限界があるというふうに思いますけれども、内閣官房では、保障局のそのような運用ですね、情報を一回とって、おろして、また出させるというようなことをお考えになっておるんでしょうか。

菅国務大臣 そこは、そういうことも可能だということであります。

今村(洋)委員 やはり最初のスタートで、官房長官からるるお聞きいたしましたけれども、六十人という人数は、これは明らかに他国と比べても少ない人数からスタートするわけです。ただ、これは今後の過程を見ながら拡充して充足させていくというお考えだと思いますけれども、そういう過程の中で、省庁を利用するというやり方かもしれませんけれども、情報のやりとりをしながらブラッシュアップしていくということが考えられるということですね。

菅国務大臣 情報について、国家安全保障局で必要なものについては、そこについて指示をできるということであります。

今村(洋)委員 ありがとうございました。

 では次に、国家安全保障戦略についてお聞きいたします。

 NSCの三形態の一つに、緊急事態大臣会合があります。その想定される緊急事態に、領海侵入・不法上陸事案が挙げられています。

 先日、安全保障委員会で質問させていただきましたが、不法上陸事案は、非国家主体、すなわちテロリストを装ったような集団による限定的な武力侵攻による島嶼占領という可能性も考え得るというふうに申し上げました。

 いわゆるグレーゾーンというようなものがこれに当たるかと思いますが、その大規模な武力侵攻が想定されず、宣戦布告もない限り、ヘーゲル長官などの米国高官がいかに日本の施政下にある尖閣諸島周辺での事変は日米同盟の適用範囲であると述べようとも、現実に島嶼侵攻などの限定的な事態が出来した場合、我が日本は、日米同盟に期待しつつも、自衛隊単独で島嶼奪回作戦を実施しなければならなくなると思います。

 そういう事態が想定される中で、今月の十一月一日から自衛隊の統合演習が行われております。具体的には、島嶼部の防衛における一連の行動を主として演習することになっております。安全保障委員会で申し上げましたとおり、このような演習を行うことによって、我が国が単独で島嶼防衛を果たせること、その意思を示すことが、我が党の石原代表が安倍総理に申し上げました、刀の鯉口を切るということになると思います。

 今般、自衛隊の運用業務を統合幕僚部に一元化する由ですが、部隊運用、作戦や用兵は制服組が行うとして、例えば、現在行われている統合演習を施行する目的などの安全保障の見地から、採用される戦略などは、国家安全保障局や文民統制機能を維持するNSCの九大臣会合で検討され、決定されていく、そういう理解でよろしいでしょうか。

小野寺国務大臣 今お話がありました、国家安全保障会議の役割、そして自衛隊の訓練の問題でありますが、防衛省としましては、この国家安全保障会議が設置された後は、四大臣会合等で示された基本指針に基づき、国家安全保障局と連携しつつ業務を遂行していくこととなりますが、自衛隊の具体的な作戦計画あるいは訓練等につきましては、これまで同様、自衛隊の行動に関する所掌事務を有する防衛省において策定することとなると考えております。

 ただ、具体的な訓練その他について、例えば、これはやはりNSCの中で議論をするべきだということになれば、それは私どもとして、その中でしっかり議論をしていきたいと思っております。

今村(洋)委員 わかりました。

 では、これは三大臣にお聞きしたいことなんですけれども、昨年の八月に、リチャード・アーミテージ元国務副長官、政治学者のヨゼフ・ナイが、戦略国際問題研究所、CSISから、日米同盟というレポートを出しております。その冒頭で、彼らは、我々は引き続き一流国であると言い、これはアメリカのことですね、日本は一流国であり続けたいか、それとも二流国になるかと続けて、あげくに、我々の評価、推奨は、日本が完全なパートナーとして多大な貢献をすることであるというふうにも述べています。

 このレポートは、我が日本にほとんど恫喝と言えるような文言を連ねており、私は、この著者たちが知日派と言われていることに非常な違和感を覚えました。まさしく彼らのありようは、西郷隆盛が述べた、西洋は野蛮という一言を思い出さざるを得ません。

 しかし、彼らは、我々は一流国と言いますけれども、むしろ現実は逆で、彼らアメリカは確実に世界での軍事的、経済的、政治的にもプレゼンスを落としつつあると思っています。対照的に台頭しつつある中国もまた、内実は危うい状況だと思いますが、それだけに、核心的利益と称し、領土的野心を隠そうともしません。

 私は、今申し上げたことが真実と信じておりますけれども、国家安全保障戦略、NSCにおいて、アジア太平洋地域でのバランス・オブ・パワー環境を三大臣はどのようにお考えでしょうか。お考えをお聞かせください。

菅国務大臣 我が国は、我が国の政府として、国民の生命財産、領土、領海、領空をどういう状況下で守ることができるかということを国家として考えるべきだというふうに思っています。そして、そうした観点から、今回この法案をお願いしているところであります。

岸田国務大臣 我が国をめぐる安全保障環境、アジア太平洋地域の戦略環境、大変厳しい状況にあると認識をしています。加えて、サイバーですとか宇宙ですとか、国境を越えた新しい脅威も現実のものになってきています。

 こういったことから、我が国の平和と安定、我が国だけでは守ることができない、こうした認識のもとに地域や国際社会全体の安定を考えていかなければいけない。我が国はそういった認識に立ち、今、積極的平和主義という考え方を打ち出させていただいています。

 より、地域や国際社会の平和と安定に、積極的にかかわっていかなければならない、こういった考え方に立っています。こういった考え方を重視しながら国家安全保障戦略も考えていかなければいけない、このように考えます。

小野寺国務大臣 アジアの安定は、これは今、世界経済の牽引車として活躍している地域でありますので、大変重要だというのは、日米ともに防衛大臣間での共通認識ということになっております。たび重なる会議の中でも、米軍の例えばアジア太平洋へのリバランス、役割、そして日本の防衛省・自衛隊みずからの防衛力整備、このことについての意識の確認をさせていただいたところであります。

 また、たまたま先週、アーミテージ、ナイさんとお話をする機会もございました。その中で、日本の考え方をしっかりこれからもお伝えしていくことを確認させていただきました。

今村(洋)委員 先生方、どうもありがとうございました。

 環境が、政治環境もそうでしょうけれども、国際的にどんどん厳しい状況に日本は追い込まれている中で、今般の法案もそうですけれども、安倍内閣が、この政権が果たしていく役割というものは非常に重いものがあると思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移ります。

 十月二十八日における自民党岩屋委員との質疑の中で、官房長官は、本法案は、国防に関する重要事項から、「我が国の安全保障に関する重要事項」という形に改めて、拡大をし、国の存立にかかわる国家レベルのもの、そういうふうに考え、国家という冠をつけさせていただいたとお答えになっておられますけれども、国の安全保障に関する重要事項の中に、エネルギー安全保障や食料安全保障は含まれるのでしょうか。お考えをお聞かせください。

菅国務大臣 今お尋ねの食料安全保障、エネルギー安全保障でありますけれども、我が国の安全保障の根幹に影響するということが考えられれば、当然、総理の指示で、この安全保障会議の中で審議していくことになるだろうと思います。

今村(洋)委員 わかりました。

 では、次に、国家緊急権についてお聞きします。

 先ほどの、緊急事態大臣会合には様々な緊急事態が想定されて、その事態には対応していくとおっしゃられましたけれども、その緊急事態の中には、国家の責務を重大かつ緊急に果たさなければならない事態も生ずるのではないかというふうに考えております。

 前回の質問でもお聞きいたしましたが、現憲法には緊急権の規定がありません。官房長官におかれては、政府としては、既存の法律においても様々な緊急事態に迅速に的確に対応することができるような規定が求められているというお答えでした。それは、災害対策基本法や、その他特別措置法における条項を指しておられるのでしょうか。

 一方では、憲法で定められた人権を法律で制限していいのか、むしろ憲法できちんと規定しておいた方がよいという意見もあります。ちなみに、ドイツ憲法では、緊急事態を類型化し、詳細に規定をされております。

 まだ本法案の緊急事態大臣会合の設定と国家緊急権を結びつけて論評したものはほとんど目にしませんけれども、私は、この法案の趣旨にある政治の強力なリーダーシップを発揮するためにも、本法案の成立を契機に緊急権の論議が行われてよいものと思いますが、三大臣の先生方、いかがお考えになりますでしょうか。

菅国務大臣 まず、国家の緊急事態への対処に当たっては、政府全体として総合力を発揮していく、このことが極めて大事だというふうに思います。

 政府としても、さまざまな緊急事態に対処することができるように、今回、国家安全保障会議に緊急事態対処のための大臣会合も開いたわけでありますから、現行の法律の中でここはしっかり対応をまずしていくことが一番大事だと思います。

岸田国務大臣 ただいま官房長官からありましたように、緊急事態に対応する際には、政府の総合力をしっかり発揮することが重要だと存じます。

 まず、そのために、外務省としましてもしっかり体制整備をしていかなければいけないと思いますが、現状においては、今の憲法、そして今の法律、これを前提に何ができるかをまず考えていかなければいけない。その範囲内で、各関係省庁との連携を考え、そして成果を上げていかなければいけない。

 現状においては、まずその考えに基づいて努力をするべきだと私は思っております。

小野寺国務大臣 緊急事態において、私どもは、防衛省が対応するさまざまな事案については、歴代の内閣、歴代の防衛長官、大臣が、さまざま、今まで有事法制について議論をし、そしてまた、法律として制定していただきました。

 現在、この有事法制等を私どもとしてはしっかり対応する中で、緊急事態に迅速的確に対応できるものと考えております。

今村(洋)委員 わかりました。どうもありがとうございました。

 それでは、最後に、特定秘密保護法案についてお聞きいたします。

 これは届け出ていない質問ですので、お答えになれる限りで結構です。

 特定秘密の取扱業務を行うことができる者の適性評価の調査項目の中に、精神疾患に関する事項があります。私は精神科医でもありますのでこの項目には特に関心がありますが、この精神疾患というものは、私が認知する限りでは非常に幅広いもので、適性評価の中では、どのような疾患、そういったものを想定されているのか。また、どういう疾患にかかっているかという情報というものは、例えば保険診療上の保険病名から調査をするのか。その辺のところをお聞かせください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 特定秘密保護法案の第十二条の第二項で、適性評価の項目としまして、精神疾患に関する事項が対象となっております。

 本項目で精神疾患にしている理由としましては、記憶や意識を失ったりすることがあるか、アルコール依存症、躁うつ病、認知症等精神疾患に関し、治療またはカウンセリングを受けたことがあるかどうかを調査するものでございます。

 こうした調査事項につきましては、基本的にはまず自己申告がされますが、それで足りない場合については、専門医等に対して照会を行うものと考えております。

今村(洋)委員 そうしますと、自己申告しなければ、それはその調査事項の中には入らないということですね。

鈴木政府参考人 お答えします。

 原則はまず自己申告でございますが、本人が公務員でございますので、基本的には病状の管理の履歴とか何かが役所側に管理されておりますので、あるいは、通院歴等が記録されている場合につきましては、それに基づいて質問等をしまして、場合によって照会を行うことになります。

今村(洋)委員 時間が来ましたので、またこの問題は、今後も少し考えさせていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

額賀委員長 午後四時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩をいたします。

    午後零時十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時三十分開議

額賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。青柳陽一郎君。

青柳委員 みんなの党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。短い時間なので、早速質問に移りたいと思います。

 日本版NSCの意義と必要性は、私も、我が党も認めております。本日は、そうした立場から、今回の改正案でより有効に機能するかどうか、また、NSCを設置することによるリスク等の観点から質問させていただきます。

 まず、安全保障会議設置法を改正する理由から伺います。

 これまでの九大臣会合がいわゆる形骸化したと言われている原因と、四大臣会合が有効に機能する根拠についてであります。

 今回の改正案の趣旨は、総理を中心に、外交、安全保障に関する諸課題について、政治の強力なリーダーシップが発揮できる環境を整えることにあるということでありますが、これまで存在している九大臣会合がうまく機能していなかった、形骸化が指摘されています。そのために新たに四大臣会合を設置するということであれば、なぜ九大臣会合は機能しなかったのか、形骸化してしまったのか、そして、逆に、それではなぜ四大臣会合ならばうまく機能するのか、こうした見解について、官房長官に伺いたいと思います。

菅国務大臣 まず、これまでの安全保障会議、いわゆる九大臣会合は、国防に関する重要事項について審議を行うことによって文民統制機能を果たしてきました。これまでのこの安全保障会議の機能について、特段の問題があったというわけではないというふうに考えています。

 さらに、今回、国家安全保障会議の設置は、九大臣会合をそのまま維持しながら、我が国を取り巻く安全保障の環境が厳しさを増す中で、総理を中心として関係閣僚が平素から戦略的視点を持って審議を行い、政治が強力なリーダーシップを発揮するために、現行の安全保障会議を発展的改組させるというものであります。

 特に、中核であります四大臣会合というのは、議員が四人というこうしたメリットも活用しながら、平素から月二回程度、定例的あるいは状況に応じて機動的に開催をしていくものであって、その中で、外交防衛政策に関する諸課題について、四大臣の中で、総理を中心として基本的方向性を示していくということであります。

 いずれにしろ、四大臣会合及び九大臣会合を含め、国家安全保障会議を効率的に機能させていきたいというふうに考えています。

青柳委員 ありがとうございます。

 効率的に機能するNSCを期待しているところでありますが、だとすれば、次に、政権交代によるリスクについて伺いたいと思います。

 現内閣は、国民の信任も得て、さらに、高い支持率をキープし続けている。報道で見る限り、一部の国を除いて、国際的にも評価を得ているのではないかと思います。

 国民や国際的に信任のある内閣がNSCを活用して外交・安全保障政策の方向を決めていくということについては賛成ですし、リスクも少ないのではないかと思いますが、例えば、尖閣諸島中国漁船衝突事件で非常に不可解な判断をするような政権ができたり、あるいは、特定の利益を持った団体と結びつきが強い大臣がメンバーにいるような政権が誕生した際に、逆にNSCが間違った方向で使われてしまうのではないか、こうしたリスクについてどのように回避していくのか、官房長官の見解を問いたいと思います。

 例えば、二〇一〇年の五月に英国で設立されたNSCや、米国のNSCでも、そもそもは、安全保障政策に対するブレーキ役として設置された、いわゆる安全装置としての役割で設置されたということは知られているわけでありますが、日本の場合は、逆に、官邸のリーダーシップ強化が主たる目的で、アクセル役であります。

 こうした観点からすると、今の政権では大丈夫だとは思いますが、どんなような政権が誕生するかはわからないわけであります。政権交代による暴走のリスクということについて官房長官に伺いたいと思いますし、私は、その一つの回避策として、議事録をしっかりとる、あるいは情報公開を適切に行っていくということは必要なのではないかと思います。

 特に、議事録の作成について、官房長官の発言や会見で若干ぶれがあったのではないかと思いますが、こうした政権交代による暴走のリスク、議事録の作成について、官房長官の御見解を伺いたいと思います。

菅国務大臣 まず、今回の法案作成に当たっては、諸外国の制度を参考にしながらも、我が国の政治行政の制度に合った、我が国独自の国家安全保障会議を設置したということであります。ですから、必ずしも大統領制のアメリカをモデルにしたということではありません。

 我が国の安全保障会議というのは、今まさに御審議をいただいておりますこの設置法に基づいて、国会の指名に基づいた総理大臣、そして総理大臣によって任命された国務大臣がメンバーとなって審議を行うわけでありますから、国家安全保障局も、内閣法によって付与される権限に基づいて、官房長官の直轄のもとにあって業務を遂行するわけであります。

 ですから、この安全保障会議などの諸活動については、国会において議論される中で、政府から、国会にも、意見聴取というのがありますから、そういう中で、その暴走のリスクというんですか、それはやはり国会で議論することになっていますから、そこについては適切に運営をされるだろうというふうに考えます。運営されると思います。

 さらに、安全保障会議において、審議内容がまさに機微である、あるいは、関係閣僚の活発な意見交換を確保する必要があることから、今日までの安全保障会議においても、議事録は作成はせずに、その安全保障会議が終わった後に、官房長官ができる限り公にいたしておりました。

 ただ、今回新たに設置をされるこの国家安全保障会議においても、同じように、機微な情報だとか、あるいはそれぞれの閣僚の闊達な意見とか、条件は同じでありますけれども、国家安全保障会議の性質等を十分に勘案しながら、国の安全保障を損ねないような形でしっかりと検討をしていきたいというふうに考えています。

青柳委員 しっかりと運営していただくことを期待しておりますし、議事録についての答弁は、はっきりとしたお答えがいただけなかったのは少し残念だと思います。

 次に、国家安全保障局のスタッフについてお伺いしたいと思います。

 現在六十名程度とされておりますが、このスタッフは、先ほどの質問とも重なるんですが、政権がかわってもこの六十名のスタッフは継続されるんでしょうか。政権がかわればメンバーもかわるんでしょうか。それとも、これは運用次第なんでしょうか。

 事務局がしっかりしているということは非常に重要だと思いますが、政権がかわってもかわらないような事務局であれば、逆に、リスクは減るんですけれども、そこに権限と情報が集中して形骸化してしまうんじゃないかという点も気にかかります。

 実際には、有能な人材を的確に配置して、安保政策に対するきちんとした見解を持った政権がきちんと運用するということにかかっていると思いますが、この国家安全保障局のスタッフの運用方針について、官房長官の見解を伺いたいと思います。

菅国務大臣 この国家安全保障局は、総理のリーダーシップの発揮を強力にサポートして、平素から、総理の意向を踏まえながら、国家安全保障政策の企画立案、総合調整を実は行うところであります。

 この国家安全保障局は、やはり政権との一体性を強くする必要があるというふうに考えています。そのため、事務方のトップであります国家安全保障局長、そしてまた次長については、総理が直接人選をする特別職の国家公務員にいたしました。その他の職員については、専門性や継続性も考慮して、よい陣容となるよう、特定の省庁に偏ることなく、多様なバックグラウンドを持った人を登用したいというふうに思っています。

 ですから、政権交代によって、総理大臣がみずからの考え方によって、少なくとも局長と次長については、これは特別職の国家公務員でありますから、時の総理大臣の判断で、そこは差しかえることも可能だということです。

青柳委員 スタッフについてはどうなんでしょうか。

菅国務大臣 スタッフについては、それは人事異動とかそういう形になるだろうと思いますけれども、少なくとも、三人の特別国家公務員については、時の総理大臣の判断でというふうに考えています。

青柳委員 はい、わかりました。

 時間の関係もあるので、次に移ります。現在の政府の情報収集力、情報収集機能について伺いたいと思います。

 現在の政府の情報収集能力や情報収集機能について、官房長官、満足していらっしゃいますでしょうか。今の評価をぜひお聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 まず、内閣情報調査室は、約二百人のスタッフで、私は一生懸命に頑張っているというふうに思っています。

青柳委員 頑張っているのは、私も、頑張っているんだろうと思います。しかし、その評価、頑張っていることで十分なのか、それとも、まだまだ改善の余地があると思われているのか、不足しているのかという点について、もう少し見解をお伺いしたいんです。

 というのも、平成二十年二月十四日の情報機能強化検討会議決定では、情報収集機能の強化が明確に明記されて位置づけられているわけでありますが、今回の提出法案には、情報収集機能の強化に対する対策が見当たらないわけであります。

 現在の評価が頑張っているんだという評価だけであるならば、今回のこのNSC法で情報収集機能策についてももう少し盛り込んだ方がいいのではないかなと思いましたので、見解をちょっと伺いたいと思います。

菅国務大臣 現在の内閣情報調査室というのは、先ほど申し上げましたけれども、二百人の陣容の中で、私は、頑張ってそれなりの情報収集を行っているというふうに思っています。私は、一週間に一回、情報官から、その情報の説明を受けております。

 さらに、具体的には、私、内閣官房長官を長とする内閣情報会議、さらには、その下に合同情報会議が現在あるわけでありますけれども、そうしたものを通じて情報を今集約しているんですが、今度この法案を成立させていただければ、国家安全保障局の中に、そうした情報を集約して、そこを分析して政策立案する、そうしたスタッフも置きますから、そういう意味において、やはり高度な情報というのは極めて大事だと思っていますので、とにかく、まず六十人規模でスタートをさせていただいて、試行錯誤しながらよりいいものにしていきたいと思います。

青柳委員 ありがとうございます。

 それでは、せっかくの機会なので、一問質問させていただこうと思います。

 先日のこの法案の趣旨説明と総理大臣の答弁の中で、積極的平和主義という言葉が使われました。この積極的平和主義について伺いたいと思います。

 総理は、先日の趣旨説明に対する代表質問の答弁で、我が国のみで我が国の平和を守ることができない、我が国の平和を守るためには、地域や世界の平和と安定を確保していくことが必要だというふうに述べられました。これは、そのまま解釈すれば、集団的自衛権の概念そのものではないでしょうか。ということは、この積極的平和主義をまさに実行に移すのであれば、憲法の解釈の変更、あるいは憲法の改正そのものをやらなければ、総理が言うところの積極的平和主義については言葉だけになってしまうのではないかと思います。

 こうした点について、官房長官の御見解と、あるいは、これからどうしていくのかという決意をお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 委員も感じておられると思いますけれども、我が国を取り巻く安全保障の環境というのは一層厳しさを増しております。大量破壊兵器や弾道ミサイルの脅威は極めて深刻であります。また、サイバー攻撃のような国境を越えての新しい脅威も増大をしています。

 そういう中にあって、日本一国だけでは平和を守ることは非常に難しくなってきているわけでありますから、そういう意味で積極的平和主義というのを総理は発言しておるわけであります。そのために、国際協調主義、それぞれ協調しながら進めていかなきゃならない。

 そういう中で、今、集団的自衛権のお話がありました。これについては、現在、懇談会において検討が行われておりますので、まず、そういう懇談会の報告を受けた後に、ここは議論をしていくべきことだと思います。

青柳委員 時間が来ましたので終わりますが、安保法制懇の結論はもう出ているのではないかと思っておりますので、ぜひ、安保政策についても実行を求めて、そして、日本版NSCが安倍政権が最初の事例として成功事例になることを御期待申し上げまして、質問を終えたいと思います。

 どうもありがとうございました。

額賀委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 みんなの党、信州長野の井出庸生です。官房長官、初めましてですが、よろしくお願いをいたします。

 早速なんですが、国家安全保障会議が対応するべきいわゆる外交、安全保障、そういう分野をやっていくと言われているんですが、その範囲のイメージを少しお伺いしたいと思います。

 私は、今までの議論を聞いておりますと、今、青柳委員が総理の御発言を引用されて、我が国のみで平和を守ることはできないというお話もありましたが、外国との情報交換を頻繁にして、外交を作業の中心とする中で我が国の安全保障を考えていくのかなというイメージは持っているんです。

 ただ、そうはいっても、いざ何か本当に緊急な事態があったとき、また、先日、予算委員会だったでしょうか、自民党の石破先生が重大な決断というような言葉もおっしゃられていましたが、そういった事態というのは、国内を舞台にすることが想定されるんじゃないかと思いますが、そのあたり、今の私の持っているイメージについて、ちょっと、そごがあるかないか、教えていただければと思います。

菅国務大臣 まず、国家安全保障会議というのは、中核的役割が四大臣会合ということを申し上げています。そこは、外交、防衛、まさに国家安全保障にかかわることについて、定期的に、総理大臣を中心に四閣僚が共通認識を持つ。そういう中で、国内においてのさまざまな大規模災害、あるいはテロだとか、そういうことも当然対象になってくるだろうというふうに考えます。例えば、東日本大震災が起きた、これは緊急事態まさに発生でありますから、国内であっても緊急事態大臣会合というのを開いて対処していく、そういうことになるというふうに思います。

 国家の安全に関すること、まさに重大なことについてはここで対応していくというような形になるだろうと思います。それは、国外、国内を問わずというふうに御認識いただきたいと思います。

井出委員 今、青柳委員の方からも集団的自衛権の話が出たのでちょっと伺いますが、懇談会の方で結論が出て、その後、二週に一度、NSCの四大臣会合をやっていくと言われておりますが、この四大臣会合が、その懇談の結論を受けた集団的自衛権の議論をしていく中核の場所になるという理解でよろしいでしょうか。

菅国務大臣 いずれにしろ、集団的自衛権というのは、懇談会の皆さんから報告を受けて、これは当然、安全保障会議でそれぞれ議論する中で、やはり国会の場で堂々と法案の審議をしていくということになっていくだろうと思います。

井出委員 もう一つだけ。

 今、集団的自衛権については、憲法解釈それとも憲法改正かというような議論をされております。マスコミでもそういった論調が多いですが、そうなると、マスコミでよく取り上げられております今の内閣法制局のトップの方も、時にはこの四大臣会合に来ていただくということもあり得るのでしょうか。

菅国務大臣 必要に応じて、総理の指名によって、例えば今言われた法制局長官とかあるいは危機管理監とか、そうした方もこの安全保障会議に参加をすることは可能であります。

井出委員 ありがとうございます。

 先ほど、官房長官のお話の中で、国家安全保障会議は災害やテロも当然対象になっていくというお話がありましたが、私は、例えば国内のテロが疑われるような一次情報をとってくる、そういったことに関しては、今まで警察が非常に大きな役割を果たしてきたんじゃないかと思っております。

 また、我が国を取り巻く安全保障の状況は厳しくなっているという、さまざまな場所で政府の皆さんの御発言がありますが、一つに領土、領海の問題。

 それは今、前面でやっているのは海上保安庁だと思っておりますが、その警察、国交、そういったメンバーもやはり、定期的に集まりをやっていく四大臣会合の中にも時としては必要になってくるのではないかと思っておりますが、そのあたりはいかがでしょうか。

菅国務大臣 四大臣会合に必要な場合もあると思いますし、例えば緊急事態という考え方もあれば、緊急事態対応のための大臣会合に、やはり国交大臣とか国家公安委員長とか、当然そういうことも考えられるということであります。

井出委員 国内を見ますと、過去に、やはりテロという枠で捉えるとするならば、地下鉄サリン事件が一つ大きな事件としてあると思うんですが、地下鉄サリン事件に関しては、対応は全て警察が中心だったと私は思っております。

 地下鉄サリン事件、ああいうことは本当にもうあってはならないですが、またああいった事態があったときに、あってしまえば即座に緊急大臣会合があると思いますし、また、その後、大がかりな捜索活動が、地下鉄サリン事件のとき、山梨県でありました。また、もっと言えば、地下鉄サリン事件のような大きい事件の予兆というか、そういった情報があったときに、やはり警察の役割というのは現状として非常に大きなものがある。

 外交、防衛がこれからNSCの中核を担っていくというのは間違いないと思っておりますが、その中で、警察の今まで負ってきた役割の重要性からすれば、やはり警察も一定の役割、責任を負っていくのが当然必要になってくると考えておりますが、そのあたりはいかがでしょうか。

菅国務大臣 警察の役割というのは極めて重要であって、今までと全く変わりません。特に内閣危機管理監、事態対処はここで行うことになっておりますので、NSCができたとしても、NSCというのは事態対処をする場所ではありませんので、危機管理監とNSCの事務局長が連動しながら対応していくということであります。

 今、サリン事件の話がありました。あのサリン事件のようなことがあれば、当然、緊急事態の大臣会合が開かれるわけであります。そこには、国家公安委員長はもちろんですよね。そういう中で、例えばこの対処の仕方で、外交も防衛も必要になってくると思いますよね。そういう事件があったところの事例だとかいろいろなことも、そうした事件を最小限にするには必要だというふうに思います。

 いずれにしろ、そうした過去の発生事例の際には当然、緊急事態の大臣会合が開かれて、政府挙げて国内外に向けての対応をすることができたんだろうと思います。

井出委員 新しい組織の立ち上げということでありますので、いろいろ試行錯誤の部分もあるかと思いますが、今までの危機管理対応という部分も引き続き、重要な位置づけで取り組んでいただきますようにお願いをいたします。

 次に、国家安全保障会議の情報管理や共有の面についてお伺いをしたいのです。

 これはまた後々の法案との絡みも少し出てくるんですが、以前、尖閣諸島で漁船の衝突事件があり、その映像の公開をめぐってさまざまな議論がありました。私は、そのときの報道を改めて見てみますと、あの映像を公開するかしないかということが政府の中でかなりぶれたと申しますか、二転三転があったんじゃないかなと思っております。

 その中で、後々出てくる法案で、そういった重要な機密というものは、各省庁、大臣、長官が指定をする、そういった話がありますが、そうはいっても、大臣や長官がその情報を指定したとしても、それは政府としての、組織としての決定事項であると認識しているんです。そこは事実上、やはり政府の決定なんだと。

 また、尖閣諸島のときのような、映像、情報の公開をめぐってああいう議論というのは、今後、NSCの運用が始まったときも、ああいったことというのが実際に起こり得るのかどうか、ざっくばらんなところを伺っておきたいのです。

菅国務大臣 尖閣、漁船の衝突事故という過去の具体的な事案と、まだ設置されていない国家安全保障会議、NSCとの関係でありますけれども、いずれにしろ、ああした事態に対応するためにも、やはり私は、NSC、国家安全保障会議というのは開かれていたというふうに思います。

 それは、先ほどサリンの事件の例として申し上げましたけれども、やはりそこは緊急事態に対応する大臣会合だったというふうに思います。そこには当然、海上保安庁を所管する国土交通大臣も大臣会合には入っていたと思いますし、法務大臣も実は入っていただろうと思います。

 とにかく、そうした事案に対応するように、関係大臣が一つになって国民の生命財産を守る、そうしたことがこのNSCの一番の目標であります。

井出委員 時間も参りましたので、もう一問だけお伺いをします。

 これもまた、後々の法案との絡みにもなってまいりますが、何か本当に緊急事態があったときに、国家の情報共有と、あと地方との情報共有をどうするのか。

 これから審議が始まるであろう法案では、都道府県警察がそうした重要な情報を取り扱っていくという説明を受けておりますが、我が党には都道府県知事出身の国会議員が複数名おりまして、やはり都道府県知事もそういった重要な情報を伝えてもらわなければ何も動けない、そういった声も出ているんですが、そのあたり、地方との情報共有について伺えればと思います。

菅国務大臣 危機管理部門においては、従来から、国と地方公共団体の情報共有というものに今努めてきているところでありますけれども、特に緊急事態における国、地方の情報共有、管理のあり方については、国家安全保障局として、危機管理部門とよく連携しながら、必要に応じて、地方公共団体のいわゆる首長の皆さんともよく意思疎通を図っていく必要があるというふうに考えています。

井出委員 時間になりましたので、終わります。

 どうもありがとうございました。

額賀委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 アメリカの情報機関による盗聴問題について質問をいたします。

 アメリカの国防総省のもとに置かれている情報機関の一つであるNSA、国家安全保障局による盗聴問題が国際社会で大問題になっています。ドイツのメルケル首相の携帯電話を盗聴していたのを初め、世界各国の首脳ら三十五人の電話を盗聴し、世界八十カ所以上の在外公館などに通信傍受の拠点を設け、情報収集を行っていたことが報じられております。

 日本政府も例外ではなく、六月には、ワシントンの日本大使館が通信傍受の対象とされていることが明らかになりました。また、NSAが海外の米軍基地や在外公館などを活動拠点として情報収集をしており、拠点の一つに日本も含まれていることが報じられております。

 官房長官は、六月末の記者会見で、外交ルートを通じて内容の真偽を強く求めていきたいと述べました。結果はどうでしたか。

菅国務大臣 事柄の性質上、発言することは控えさせていただきたいと思います。

 また、今委員からお話がありました、日本も米国の情報機関による通信傍受の対象になっているという報道については、私ども承知をいたしております。

 日米間ではしかるべく意思疎通を行っており、一層緊密に意思疎通をするよう米側に申し入れをいたしております。

 そういう中で、政府として、情報保全への対応については、引き続き万全に取り組んでいきたいと思います。

赤嶺委員 真偽を強く求めると公の場所で述べられたわけですから、それが六月末です。あれから既に四カ月たちました。真偽ははっきりしているはずです。結果を明らかにしていただきたいのですが。

菅国務大臣 事柄の性格上、いかなる形で意思疎通をしているかということについては、答えることは差し控えさせていただきたいと思います。

 我が国においては、そうした通信傍受については万全の対策を今とっているということであります。

赤嶺委員 秘密保護法はまだできていないし、我々はそれを成立させないために頑張りますが、できる以前から秘密を持っておられるようで、これも秘密かと言いたくなります。

 だって、アメリカのケリー国務長官は、不適切な行き過ぎがあったと認めているわけです。当事者が認めているのに日本政府が事実関係を明らかにしないのは、これは到底納得できるものではありません。

 名前の挙がったほかの国々は、もっとはっきりした対応をとっています。ブラジルのルセフ大統領は、訪米を延期いたしました。メルケル首相はオバマ大統領に直接電話し、重大な信義違反だ、このように強く抗議をいたしました。フランスやインドネシア、マレーシアなども、大使を呼び出して抗議しています。

 事柄の性質上と言いますが、事柄の性質上重大な問題として、ほかの国々はいろいろな対応をとっているわけであります。なぜ日本政府は抗議しないんですか。

菅国務大臣 そうした報道があったことについては承知をいたしておりますけれども、相手国との関係上、報道を前提とした見解は述べるべきじゃないという考え方です。

赤嶺委員 確認すればすぐできることだと思うんです。

 外務大臣に伺いますけれども、そもそも、こうしたアメリカによる通信傍受は国際法に違反するのではありませんか。

岸田国務大臣 私も、報道については承知しております。ドイツ首相に対する盗聴問題などの報道については承知しておるところですが、こうした報道につきましては、第三国の事案でありますので、それについて直接申し上げる立場にはないのではないか。発言は控えさせていただきたいと存じます。

赤嶺委員 こういう通信傍受の活動、一般論として、岸田外務大臣、これは十月二十五日に見解を明らかにしていると思いますが、そのときにどのように述べておられますか。

岸田国務大臣 ちょっと発言は、今手元に資料はありませんが、一般論として、在外公館等、こうした使節に対する盗聴は国際法に違反する可能性がある、こうした発言はさせていただいたと記憶しております。

赤嶺委員 そういう国際法違反の行為なんですね。

 外務大臣は記者会見で、一般論として申し上げれば、公館等に対する情報収集活動は、こうした使節団等の通信の自由、秘密を保障している外交関係に関するウィーン条約の観点といった点から問題はある、このように述べておられました。

 国際法に違反する行為であるにもかかわらず抗議もしないなどというのは、到底納得できるものではありません。

 ドイツとブラジルは、国連の場で、国連総会第三委員会に、デジタル通信上のプライバシー保護や加盟国に情報収集活動の見直しを求める決議案を提出いたしました。また、アメリカとドイツの間では、お互いの政府や国民への諜報活動を禁じる協定を締結することで合意をいたしました。国際政治の舞台で、このように大きな動きがあるわけです。

 日本政府は、どのように、この問題にこれから対応していくおつもりですか。

岸田国務大臣 そうした各国の動き、報道等は承知しております。

 第三国の動きについては、我々、直接その実態を把握しているものではありませんのでコメントは控えさせていただきますが、我が国としましては、アメリカとの関係において、引き続き、さまざまな意思疎通を図っております。

 今後とも、意思疎通を図りながら実態をしっかり把握する、そして一方で、我が国自身、情報保全についてしっかりと体制をつくっていかなければいけない、この二つが重要だと考えます。

赤嶺委員 何が秘密かと聞いたら、それも秘密だと答えられているような感じで、本当にこの通信傍受、国際法に違反している活動がアメリカから日本に対しても行われているけれども、その対処の道筋については国民には全く見えない。私、これは大いに問題だと思います。

 そもそも、アメリカによる通信傍受は、今回初めて明らかになったものではありません。一九四〇年代からアメリカとイギリスが諜報活動に関する協定を結び、その後、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドを加えた五カ国で、ECHELONと呼ばれる地球規模の秘密の通信傍受システムを運用してきたことが明らかになっています。そこで、外国政府のみならず、他国の企業情報など、産業、経済情報も収集していると言われてまいりました。その中心にいるのがアメリカのNSAであります。

 日本とのかかわりでは、一九九〇年に、日本のNECがインドネシアと電気通信施設の整備に向けた交渉を秘密裏に進めていたことをつかんで、アメリカ政府がインドネシア政府に圧力をかけ、事業の半分をアメリカの電話通信会社AT&Tに契約させたとされています。一九九五年には、ジュネーブで開かれた日米自動車交渉では、ECHELONを使って日本側交渉団を盗聴していたことが報じられております。

 とりわけ、欧州の方ではそのことが大きな問題となり、二〇〇一年には、ECHELONに関する欧州議会の報告書も出されました。そこで重要なことは、ECHELONの傍受用アンテナが青森県の米軍三沢基地に置かれていることが明記されていることです。その欧州の報告書には、こういう記述があるのではありませんか。

岸田国務大臣 いわゆるECHELONにつきましては、御指摘の欧州議会での動き、あるいはさまざまな報道において承知はしております。しかしながら、この事実関係については把握はしていないのが現状です。

 また、三沢飛行場は、日米安全保障条約及び日米地位協定に基づき米国が使用を許されている施設・区域であり、同飛行場に通信施設が所在していることは承知しておりますが、米軍の運用につきましては、政府としては把握はしておりません。

赤嶺委員 三沢基地に行けば、ゴルフボールのような形状をしたアンテナ群を見ることができます。しかも、三沢基地にECHELONの施設があることは、二〇〇〇年に秘密指定を解禁されたアメリカの公文書によっても明らかにされています。

 一九九四年の米空軍情報局史のECHELON部隊の活動という項目の中に、三沢基地でレディーラブ作戦と呼ばれるECHELON活動が行われているということが明記をされております。

 アメリカは、三沢基地を拠点の一つとして、日本政府や日本企業の通信傍受を行ってきたのではありませんか。重大な問題ではありませんか。

岸田国務大臣 先ほども申し上げましたが、ECHELONにつきましては、我が国として、その実態は把握しておりません。

 そして、三沢基地におきましては、米軍の運用について、政府として把握はしていないということです。

赤嶺委員 アメリカ本国の秘密を解禁した文書の中にECHELONが三沢基地に置かれていることが記述され、欧州議会でもそれが日本に置かれていることが明らかになり、日本政府に聞いたら、米軍の運用に関することなのでこれはわからない、そういう答弁でありますが、いよいよこれは、そういう政府であれば、秘密保護法などにさわっちゃいけないなということを強く感じます。

 三沢基地にとどまらず、二〇一一年には、嘉手納基地にも、突如、ゴルフボール状のアンテナ群が建設をされました。今回、アメリカが日本を含めて米軍基地や在外公館を拠点に通信傍受を行っていることが明らかにされましたが、在日米国大使館もそうした通信傍受を行っているのではないか、当然出てくる疑問であります。霞が関の政府機関、永田町の国会議員も傍受の対象とされているのではないか。これは主権にかかわる重大な問題だと思います。

 官房長官に伺いますが、こういう活動、これはやめさせるべきではありませんか。

菅国務大臣 事実関係も確認しておりませんし、今、我が国においては、そこの通信傍受というのは、ないというふうに考えております。

赤嶺委員 海外の報告書で三沢基地に置かれて傍受しているというのと、嘉手納基地のゴルフボール形状のアンテナは国道からすぐ見える場所ですよ。

 今回のNSAによる盗聴問題やECHELON活動でわかるのは、アメリカが、自国と自国企業の利益を最大化するために、同盟国の首脳さえも盗聴の対象とし、国際法も無視した、手段を選ばない情報収集活動を繰り広げていることであります。

 日本政府は、情報の共有ということを繰り返しておりますが、NSAの問題点などについて何の検討もしないで、しかも、世界じゅうで問題になっているこのような活動を行っているところと日本政府が情報共有ということが、国民に説明がつく、このようにお思いですか。いかがですか、官房長官。

菅国務大臣 我が国の能力向上はもとより、できる範囲内において同盟国との連携強化を深めていくことは、極めて大事だというふうに思います。

 当然、その情報収集活動というのは、法令を遵守し、適正に行っていかなきゃならないと考えています。

赤嶺委員 これら盗聴問題で大問題になっているようなところと情報を共有する、こういうことの議論が今、日本で行われている、これについて本当に疑問に思います。理解できる話ではありません。

 それでは伺いますが、そもそも、アメリカにはNSAを初めどのような情報機関があるのか、日本の防衛省や外務省の情報機関、内閣情報調査室はこうした情報機関とどういう関係を持っているのか、NSCが日本にできた場合にその関係はどうなるのか、これを説明していただけますか。

能化政府参考人 お答えいたします。

 米国の情報機関は、現在、計十七機関から構成されておりまして、例えば、中央情報局、CIAが対外人的情報活動、国家安全保障局、NSAがシギント活動、国家地理空間情報局、NGAがイミント活動、連邦捜査局がカウンターインテリジェンス活動を行っておりまして、これらを統括する組織として国家情報長官室が置かれております。

 ただいま、これら機関とどのような情報交換を行っているのかというお尋ねもございましたけれども、内閣情報調査室におきましては、平素から米国の関係機関と必要な情報交換を行っておりますが、どのような機関とどのような情報交換を行っているかという具体的な業務の内容については、相手国との関係もあることから、お答えを差し控えたいと思います。

 また、我が国自身の能力向上はもとより、できる範囲内において、同盟国、友好国との連携強化を深めていくことが極めて重要であり、このことは国家安全保障会議の設置により変化が生じるものではないと考えております。

赤嶺委員 今の点にかかわって、先日、二〇一一年ごろに、NSAが日本政府に対し、日中間を初め、日本とアジア太平洋を結ぶ光ケーブルに傍受装置を設置することを打診したことが報じられました。事実関係について、官房長官は、ないと思う、このように発言しておられます。

 改めて確認をいたしますが、そのような打診はなかったということですね。

能化政府参考人 NSAによる通信記録の収集問題につきましては、日米間でしかるべく意思疎通しておりますけれども、事柄の性質上、いかなる形で意思疎通しているかを含めて、お答えをすることは差し控えたいと存じます。

 いずれにいたしましても、政府といたしまして、情報保全への対応については引き続き万全を期していきたいと存じます。

赤嶺委員 それでは、今後、NSCを通じてアメリカ側と情報共有を進めていくとしておりますが、その中で、光ケーブルへの設置に協力することはないのか、この点はいかがですか。

能化政府参考人 現時点で、いかなる機関といかなる情報交換をしていくかということについて申し上げることは困難でございますが、いずれにいたしましても、法令を遵守しつつ、適切に対応してまいる所存でございます。

赤嶺委員 情報の共有、それから盗聴問題、やはり、いろいろ聞いていくと、わからないことだらけであります。

 次に、NSC設置の目的について伺います。

 政府は、本会議で、我が国の国家安全保障政策を機動的、戦略的に進めていくことを目的としており、世界各地の紛争に軍事介入することや戦争司令部をつくることを目的としているわけではない、このように答弁をされました。

 そこで、具体的に伺いますが、新設する国家安全保障局には自衛官の登用を積極的に検討していく、このように答弁しておられます。なぜ積極的に登用する必要があるのですか。

菅国務大臣 国家安全保障局においては、自衛官が有する防衛に関する専門的知見を活用することは極めて重要であるというふうに認識しております。

 多様なバックグラウンドを持った優秀な人材を集める観点から、自衛官の登用についても検討しているということであります。

赤嶺委員 自衛隊の専門的知見というのは、どんな場合に必要になってくるんですか。

菅国務大臣 国家の安全保障については、極めて大事だと思います。

赤嶺委員 結局、自衛官の専門的知見が最も必要になるのは、自衛隊を動かすのかどうか、そんな判断を行う場合であります。

 参考人質疑で宮家参考人は、NSCの本来の仕事はいかにして短時間で自衛権の行使に関する判断をするか、それが一番重要なポイントだ、NSCの本質は最終的には自衛権の行使の判断である、このように述べました。NSCの最も中核的な役割は、自衛隊を動かすかどうかの判断なのであります。まさに、戦争司令部づくりと言わざるを得ません。

 それで、先ほどの理事会で、あした質疑を終結して採決をするという提案が行われましたが、やはり、詰めていくと、聞いていくと、きょうは防衛大臣にもいらしていただきましたが、まだ防衛大臣にも問いただすことが残っております。

 質疑を続行するよう、今採決に踏み切るべきではないということを申し上げまして、質問を終わります。

額賀委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 きょうは、安全保障会議設置法の一部を改正する法律案について、民主党からは修正案が提出されておりますので、きょうは提出者にもあわせてお伺いをしていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、今回の安全保障会議設置法の一部を改正する法律案、さまざまな質問といいますか、政府の考え、方向性、そして、いかにして国家にとって重要なその安全保障政策について考えていくかということでは、さまざまな議論が出されております。

 そこで、民主党提案のこの修正案に対して、政府の提案している本案と、本員も比較検討をさせていただく意味で聞かせていただきます。

 まず、所掌事務に関する第二条についてお伺いいたします。

 まず官房長官にお伺いいたしますが、現行は、第二条では「国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する重要事項につき、必要に応じ、内閣総理大臣に対し、意見を述べることができる。」とありますが、改正案では「内閣総理大臣は、」国家の安全保障に関する事項については「会議に諮らなければならない。」というふうに位置づけています。

 この位置づけの意味について、官房長官からまずお聞きしたいと思います。

菅国務大臣 今回の法案は、内閣総理大臣の諮問を前提とすることなく国家安全保障会議が審議を行うことができるようにしたことから、内閣総理大臣が諮問に当たって一定の判断を行うことを前提とする「内閣総理大臣が必要と認める」との文言を削除することにしたということです。

玉城委員 では、提出者に伺いますが、改正案については、「会議に諮らなければならない。」としているんですが、民主党案については、引き続き同様の扱いとしている。つまり、従前どおり、「内閣総理大臣が必要と認めるものについては、会議に諮らなければならない。」というふうにしております。

 この件について、まずお聞かせください。

後藤(祐)委員 お答え申し上げます。

 現行の安全保障会議設置法では、武力攻撃事態等への対処、自衛隊の活動、国防及び重大緊急事態への対処に関する重要事項は、内閣総理大臣が必要と認めるものについて会議に諮らなければならないとされております。

 この点、政府の改正案では、この「内閣総理大臣が必要と認めるもの」という限定が削除されていて、国防等に関する重要事項は全て会議に諮らなければならないという解釈が可能な規定になっております。この政府案の規定では、国家安全保障に対する文民統制の徹底の名のもとに、本来防衛大臣が単独でなすべき事項までNSCの諮問会議事項となり、これを必要以上にふやし、防衛大臣の機動的、柔軟な対応を難しくしてしまうおそれがあります。

 そこで、我々の案では、現行法と同じ対応をできるようにするために、「内閣総理大臣が必要と認めるもの」という限定を加えることで、現行の文民統制の対象はきちんと維持しつつ、防衛大臣の迅速な判断も可能にするよう、このNSCの文民統制と迅速判断のバランスをとることとさせていただいたところでございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 この文民統制と迅速なバランスというのは、非常に、短い言葉ではありますけれども、大変大きな重みがあるのかなというふうに考える次第であります。

 続いて、これは第六条として新設されております「資料提供等」についてお伺いしたいと思います。

 本案の「会議の審議に資するものを、適時に提供するものとする。」とあるのに対し、民主党修正案第二項では「資料又は情報の提供及び説明その他必要な協力を行わなければならない。」と義務づけを強化しているというふうに思います。そのことについての意義をお聞かせください。

渡辺(周)委員 お答えいたします。

 民主党案では、まず、政府案の会議という主体を変えまして、つまり、会議の構成員たる省庁の大臣がもし提供を拒んだ場合に、これは必要な情報が入手できないということで、会議という主体を、議長たる内閣総理大臣の求めに応じてと変えたわけでございます。

 そして、提供の義務の明確化につきましては、各省庁に情報の提供を求めた場合に、協力をしなければならない、確実に果たすべきだという、これは、国家の意思決定の際に重要な情報が出されないことがあってはならないということ、そして、官房長官が、提出が適切に行われているかどうかということをチェックさせて、しっかりとそれは議長たる総理に報告をさせるという形にしております。

 これは、先ほど私も質問側に立った際に、やはり、資料の束が届いて、結局は情報ではなくて資料の束が届いた、それぞれがただ持ち寄っていくのではなくて、しっかりとした情報が的確に上げられる、そのことをしっかり担保するためにこのような規定を書かせていただきました。

玉城委員 今の提出者の答弁、お話ですと、やはり資料の束ではなくてその内容をよくしっかり精査するということなんですが、三項では、その状況について、さらに議長に報告するということを明記してあります。この報告を明記するということについては、どういうことをこの法案の中で考えておりますでしょうか。

渡辺(周)委員 明記したことによって、いわゆる行政の縦割りの中で、それぞれの省庁が自分たちで情報を抱えて何か恣意的に選択をして出したり出さなかったりすることがないように、本当に、平時の場合、あるいはシビリアンコントロールとして機能する場合、もう一つは緊急事態の場合に、的確な情報が提供されている、足りない場合はしっかりとそれを明確に出させる、そして、それがされているということにおいて、やはり国家としての一元化を私たちは何とか確実なものにしたいということで、この規定を新たに設けた次第であります。

玉城委員 この情報の提供ということは大変必要であり、さらにまた、さまざまな問題等について審議をする場合には、十分、このことに関しては、義務づけることとチェックをすることということは必要だと思いますが、本案について、この辺を、そういうふうにできるものとするという、協力という形にしているのは、官房長官、どういうところにポイントを置いてそういう内容とさせていただいているんでしょうか。

菅国務大臣 まず、第六条第一項によって、各省庁等は、会議が提示する情報関心事項に基づき、適時に情報提供を行う法的義務を負うというふうになっています。さらに、この六条二項において、各省庁等は、会議の個別具体的な情報提供要求に対し、情報提供を行う義務を負う。こういう観点から、条文の書き方は異なるものですけれども、しかし、会議の求めに応じて各省庁等が情報提供義務を負うことについては、全く同様であるというふうに思っています。

玉城委員 ありがとうございます。

 次に、「議事」などについてをお伺いさせていただきたいと思います。

 民主党案においては、修正案においては、会議の議事については議事録作成の義務づけを明記しています。この議事録作成の義務づけの意義についてお聞かせください。

後藤(祐)委員 お答え申し上げます。

 政府案では、NSCが議事録を作成することについては何ら規定もございません。現行の安全保障会議においても作成されていないと伺っております。ただ、今度設置されるNSCの審議内容というのは、機微に触れる情報が多く含まれるということは理解いたしますが、外交、国防、緊急事態対処等に関する重要な政策判断が適切になされているかどうかというのは、国民にとっても重大関心事項だというふうに考えます。

 そこで、NSCでの審議の中身を記録しておくことは、大きく二つ意義があると思います。

 一つは、政府内で事後的にNSCの会議の内容を検証できるようにしておくということ。二つ目は、将来において、政策判断が妥当であったかどうかを国民が外部から検証できるようにしておくこと。これによって、国民に堂々と説明できる、質の高い政策決定を政府に行っていただく必要があるという、この二つの意義があるというふうに考えております。

 したがって、会議の議事につきましては、すぐ公開するかどうかはともかく、少なくとも記録を残す必要があるのではないかということで、このような修正を提案させていただいているところでございます。

玉城委員 今の提出者の答弁、意見に対して、官房長官にお伺いいたします。

 官房長官は、本委員会中の答弁で、審議内容は機微な情報も含んでいる、会議の性質を十分勘案し、国の安全保障を損なわない形でしっかり検討していきたいと答弁していらっしゃいますが、ただ、これは、しっかり検討していきたいという、いわゆる努力規定みたいな内容にうかがえるわけですね。そのことについて、ただいまの提案者の発言と長官との整合はとれるんでしょうか。

菅国務大臣 まず、従来の安全保障会議において、機微な内容がある、さらには関係閣僚の闊達な意見交換を確保する必要がある、そういう観点から、私どもの政権、また民主党政権になっても、議事録は作成はしていなかったんです。そして、結果として、安全保障会議の審議の概要については、事後の官房長官の会見で公にしてきたところであります。

 今回の国家安全保障会議の審議内容というのは、当然、機微なものが含まれています。そういう中で、交渉のあり方や関連文書の作成及び取り扱いについては、今委員から私の答弁を引用してお話がありましたけれども、国家安全保障会議の性質等を十分に勘案しつつ、国の安全保障を損ねない形でしっかりと検討していきたい、このことが今の私たち政府の見解です。

玉城委員 勘案しつつというところに今官房長官が少しウエートを置いて発言をされたということは、この間、さまざまな公文書管理の法律と、そして、実は民主党の中でも、この議事録を作成するための検討会みたいなものが行われ、そこでも議論をされてきておりますが、しかし、民主党政権下でもついぞ、安全保障会議では議事録を作成するということについては、やはり国家の機微に関することということで据え置かれてきているというふうに本員は思料いたします。

 民主党の中で、この間、なぜ議事録を残し、そして、先ほどありました、事後で検証し、将来は外部の者があの判断は正しかったかどうかということを、そこに重きを置くということを考えた場合に、いわゆる公文書を管理する法律あるいは情報公開の法律等も含めると、これは、国家の安全保障のみならず、さまざまな分野における情報管理、公文書管理というものがやはり必要になってくるというふうに思います。

 渡辺委員は前の防衛副大臣でもいらっしゃいましたので、そのことについては重々よく御存じでいらっしゃるというふうに思います。であれば、この議事録を作成するということで、民主党の中でどのぐらいのウエートを置いて今回の提案になっているかということについて、改めてお伺いしたいと思います。

後藤(祐)委員 お答え申し上げます。

 我々は、今、情報公開法の改正案も提出しておりますし、オープンガバメント、国民の知る権利の保障、そして、事後的に公開されるという中で緊張感を持って政策を運営してほしいということはこの法律においても大事だということで、特に党内の議論の中で、この議事録については大変重要な論点としてぜひとも修正していただきたいということで、大変大事なことだと考えております。

 我々が政権にいたときになぜ議事録をつくっていなかったのかということについては、まず一つは、安全保障会議がやや形骸化した運営がなされていた、つまり、議事録を残すほどの議論があったのかどうかということと、もう一つは、その反省も踏まえて、それでもやはり必要な点があると思うんですね。その反省も踏まえて、たとえそれほどの議論がなされていないとしても、それであっても、そういうことをきちっと出すということもまたこれは必要なことだというふうに思いますので、きちんと記録を残すということは、我々の反省も含めて今回の提案に至っているというふうに御理解いただきたいと思います。

玉城委員 私は、今の委員の、過去の反省を踏まえてというのは大変理解できるところではあると思います。なぜなら、せんだっても、防衛省は三万四千件余りの文書を廃棄したという事実があって、その文書の内容がどういう内容か、タイトルがどういうものであったのかということはついぞ国民に知らされぬままに、その議事録があった、なしかも知ることができずに、事後の検証が一切不可能なまま廃棄されてしまった。

 これは、この法案の後審議される特定秘密保護法案について、大変重要なポイントを持っている。つまり、国民の知る権利、国民の主権を侵害するような、そういうNSCのつくり方であっては、これはやはり全く国民にとっては理解されにくいものになると思います。今の答弁は、まさに、そういうことも踏まえて、この間、きちんと議論されたことは残し、後世にそれがしっかりと外部委員会なりで検証できるべきであるというふうなことは、大いに私は、もっと審議を進めてもよろしいのではないかなというふうに思う次第であります。

 さて、もう一点、今度は、ここが一番大きいのではないかなと思いますが、法案の第十七条では、国家安全保障会議の事務機関とする国家安全保障局の設置を規定していますが、民主党修正案ではこの条項を削除していますね。その意義について、理由について、まずお聞かせください。

長島(昭)委員 お答え申し上げます。

 私どものNSC法案の修正提案は、政府案と目的とするところは全く同じであります。複雑に動く国際情勢に機動的に対応するために国家安全保障に係る官邸機能を強化する、この一点にあると言っても過言ではないと思います。

 その上で、まずは各省ばらばらの情報というものをきちっと官邸に集約をする。そして、中長期的な戦略を策定し、総理に対する助言機能を強化する。そして三点目は、危機対応に当たってきちっとした司令塔をつくる。この三点に集約できるというふうに思います。

 そういう意味から、私どもは、政府案を見ますと、特に危機対応のところでありますけれども、所掌が定まっていない官房副長官のもとに危機管理監、これは、危機対処を専門的に行う危機管理監がいて、一方、同レベルに国家安全保障局の局長がいて、そして、安全保障、危機管理を担当する副長官補も引き続きいる。そして、さらには国家安全保障担当の補佐官もいる。私も官邸に詰めていた経験がございますけれども、やはり、これだけメーンプレーヤーがひしめいている中で本当に危機対応を効果的にできるんだろうか、こういう問題意識がございます。

 そこで、私たちは、その指揮命令系統を整理統合いたしまして、まず、国家安全保障、そして危機管理を同時に担当する官房副長官というものを新設いたします。そのもとに、安全保障と危機管理を担当する安全保障危機管理監というものをつくって、二つのラインではなくて、官房副長官と安全保障危機管理監のもとに一括して危機管理と安全保障を所掌させる、そういう形にさせていただきました。

 安全保障局を廃止するという条文になっておりますけれども、事実上は、NSCを動かす事務局はそのまま残りますので、恐らく今政府が準備している六十人ぐらいの方がここで働いて、官房副長官のラインの中でスタッフとして働く、こういう機能を維持させていただいております。

 このことによって、内閣総理大臣補佐官は、私も経験しましたけれども、非常に中途半端、スタッフも持っていない、ラインからも外れている、こういう中途半端な存在は、この際、廃止をしよう、こういう提案でございます。

玉城委員 今の長島委員の御説明ですと、指揮系統をしっかりと一本化するということで、そこにまた、いわゆるワーキンググループといいますか、それぞれの専門に任用させて働いてもらう人たちがいるということは理解できますが、しかし、それが、政府が提案しているいわゆる国家安全保障局の全体は変わらないということであれば、結局のところ、今の官邸の機能のままで私は十分やれるのではないかというふうに思うんですが、官房長官、いかがですか。

菅国務大臣 ぜひ御理解をいただきたいんですけれども、政府における事態対処の機能というのはこれまで充実強化をしてきており、まさに、この緊急事態に対しての事態対処というのは、危機管理に専従する内閣危機管理監を中心とする危機管理部局が従来どおり担当していくんです。

 そして、今度新しくつくるこの国家安全保障局長というのは、まさに、外交・安全保障政策の司令塔としての役割を果たす国家安全保障会議をしっかり支えるために、危機管理は担当させずに、国家安全保障政策の企画立案、そして総合調整を実は行うところであります。そうした観点から、内閣安全保障危機管理監を設置することは、やはり私は適当ではないというふうに思います。国家安全保障局長と内閣危機管理監が、この分ける体制が現在の我が国にとって最もふさわしいというふうに考えます。

 緊急事態によっては、国家安全保障に関する重要事項について判断が必要とされる場合には、国家安全保障局長と内閣危機管理監が、緊急事態の際のみならず、平素から緊密に連携をとって、必要な情報も相互に共有できるという、そうしたことが、まさに今私たちの提案している組織の方が、私は、極めてわかりやすく、機動的な対応ができるというふうに考えます。

玉城委員 二つをこうやって、提案されている法案の骨格といいますか趣旨を聞いておりますと、確かに、政府が言うように、安全保障局長と危機管理監を置いて、この二つがしっかり連携をする、そして、さまざまな情報をそこで企画立案し、さらに危機管理監と連携をして官房長官を筆頭に動かしていくんだということも、なるほどということがあると思います。一方で、そうではなくて、もっとスリム化させてストレートに持っていくんだという修正案も、それもなるほどなというふうに思います。

 つまり、そうであってもなくても、国家の安全保障についてはこれまでも十分行われてきているはずなんですね。これまでの、行われてきているということの反省が官邸の中でどういうふうな形の動きにつながっていくのかというのがやはりまだよく見えないというのが、正直言って、私たちの思いといいますか、まだ足らざる議論の部分ではないかと思うんですね。

 ですから、本来は、では、官邸の機能がどうであったのか、そこで話し合われたことはどういうふうな文書に残っていて、どうそれがきちんと検証されたのか。そういうことを含めると、やはりもっと議論を深めていく必要があるということを最後に申し上げて、委員の皆様には、ありがとうございました。これで質問を終わります。

額賀委員長 次回は、明六日水曜日午後二時四十分理事会、午後三時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をします。

    午後五時五十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.