衆議院

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第13号 平成25年11月14日(木曜日)

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平成二十五年十一月十四日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 額賀福志郎君

   理事 今津  寛君 理事 岩屋  毅君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 中谷  元君 理事 大島  敦君

   理事 藤井 孝男君 理事 上田  勇君

      穴見 陽一君    井野 俊郎君

      池田 道孝君    今枝宗一郎君

      大塚  拓君    大野敬太郎君

      門山 宏哲君    小池百合子君

      白須賀貴樹君    鈴木 馨祐君

      瀬戸 隆一君    薗浦健太郎君

      田畑 裕明君    津島  淳君

      辻  清人君    寺田  稔君

      中川 俊直君    中谷 真一君

      中山 泰秀君    西銘恒三郎君

      野中  厚君    橋本  岳君

      福山  守君    藤原  崇君

      星野 剛士君    牧島かれん君

      町村 信孝君    松本 洋平君

      務台 俊介君    山際大志郎君

      後藤 祐一君    近藤 昭一君

      長島 昭久君    渡辺  周君

      小熊 慎司君    丸山 穂高君

      山田  宏君    大口 善徳君

      國重  徹君    遠山 清彦君

      浜地 雅一君    井出 庸生君

      椎名  毅君    畠中 光成君

      赤嶺 政賢君    笠井  亮君

      玉城デニー君

    …………………………………

   議員           枝野 幸男君

   議員           後藤 祐一君

   議員           階   猛君

   法務大臣         谷垣 禎一君

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣         森 まさこ君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   総務副大臣        上川 陽子君

   外務副大臣        岸  信夫君

   内閣府大臣政務官     福岡 資麿君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   防衛大臣政務官      若宮 健嗣君

   最高裁判所事務総局民事局長

   兼最高裁判所事務総局行政局長           永野 厚郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  能化 正樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 良之君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 種谷 良二君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    河津  司君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局次長)            井波 哲尚君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  若生 俊彦君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 真部  朗君

   衆議院調査局国家安全保障に関する特別調査室長   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十四日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     藤原  崇君

  薗浦健太郎君     瀬戸 隆一君

  西銘恒三郎君     穴見 陽一君

  牧島かれん君     今枝宗一郎君

  近藤 洋介君     後藤 祐一君

  今村 洋史君     小熊 慎司君

  大口 善徳君     浜地 雅一君

  遠山 清彦君     國重  徹君

  井出 庸生君     畠中 光成君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     中川 俊直君

  今枝宗一郎君     田畑 裕明君

  瀬戸 隆一君     門山 宏哲君

  藤原  崇君     大塚  拓君

  後藤 祐一君     近藤 洋介君

  小熊 慎司君     今村 洋史君

  國重  徹君     遠山 清彦君

  浜地 雅一君     大口 善徳君

  畠中 光成君     椎名  毅君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  門山 宏哲君     白須賀貴樹君

  田畑 裕明君     牧島かれん君

  中川 俊直君     井野 俊郎君

  椎名  毅君     井出 庸生君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     福山  守君

  白須賀貴樹君     務台 俊介君

同日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     西銘恒三郎君

  務台 俊介君     薗浦健太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定秘密の保護に関する法律案(内閣提出第九号)

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案(枝野幸男君外二名提出、衆法第一号)


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     ――――◇―――――

額賀委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定秘密の保護に関する法律案及び枝野幸男君外二名提出、行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りをいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官能化正樹君、内閣官房内閣審議官鈴木良之君、警察庁長官官房審議官種谷良二君、消費者庁審議官河津司君、総務省人事・恩給局次長井波哲尚君、総務省行政管理局長若生俊彦君、防衛省防衛政策局次長真部朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

額賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

額賀委員長 次に、お諮りをいたします。

 本日、最高裁判所事務総局永野民事局長兼行政局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

額賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

額賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。城内実君。

城内委員 自由民主党の城内実でございます。

 本日は、五十五分も時間をいただきまして、ありがとうございます。

 先週の七日の本会議、趣旨説明に対する質疑で既に申し上げたことでありますけれども、この特定秘密保護法案というのは大変重要であります。

 我が国を取り巻く安全保障の環境は一層の厳しさを増しているということについては、これは誰も疑いを持っていないと思います。

 こうした大変厳しい安全保障環境のもとで、時々刻々と変化していく国際情勢に対し、各省庁のよろしくない縦割りを排し、政府が一体となって、総合的、戦略的に、そして何よりも迅速に政策判断をしていくためにも、日本版NSC、すなわち国家安全保障会議の設置が喫緊の課題であることは言うまでもありません。

 この国家安全保障会議がしっかりとした有益な議論ができるかどうかは、まさに全省庁が保有する良質かつ機微な情報がきちんと一元化された形で提供されるかどうかにかかっております。

 ところが、実際はどうかといいますと、各省庁において秘密の保全、管理に関するルールがばらばら、また、他省庁に情報を提供することによる情報漏れを恐れる余り、情報提供にちゅうちょし、情報共有が進まない、こういった現実の問題があります。

 したがいまして、国家安全保障会議に対して、各省庁が安心、安全な気持ちで情報を提供するためには、情報漏えいを生じさせないための制度的なルール、担保あるいは基準づくりが必要不可欠であります。

 同時に、情報に関しては、諸外国との情報共有及び交換が重要であります。

 我が国の情報コミュニティー、具体的には内調あるいは外務省、防衛省、警察庁外事情報部、公安調査庁といったものがあると思うんですが、これらの機関が各国情報機関とやりとりした機密情報が国家安全保障会議に提供される際、当然、その前提として、秘密を確実に保護する法制度が日本国内に確立されている必要があります。

 欧米先進国においては、秘密保護法制の存在を前提として、情報の共有、交換がなされており、そのような法的担保を有していない国には機密性の高い情報はなるべく提供しないというのが国際社会の常識であるというふうに私は考えております。

 例えば、私がイギリスの情報機関の責任者だったとします。そして、情報提供者が命がけで入手したトップシークレットを日本に提供するかどうかと考えた場合、待てよ、大丈夫かな、秘密保全体制が脆弱だから、やはりやめよう、そういうことになりかねないのではないでしょうか。

 いずれにせよ、特定秘密保護法の成立により、諸外国から、また国内各省庁から、国家安全保障会議への情報共有を深め、その結果、より質の高い会議の審議が可能となり、NSC法案と表裏一体のものとして、今臨時国会でこの秘密保護法案、法律を成立させることが私は望ましいと考えます。

 また、別の切り口で申し上げますと、当然、私は、国民の知る権利というのは、これは本当に大事ですから守らなきゃならないと思いますけれども、だからといって、テロリストやスパイ工作員の知る権利になってはならないわけであります。彼らには知られてはならないことというのは当然あるということを、改めてここで強調させていただきたいと思います。

 そして、実際問題として、特定秘密保護法が通ることを一番嫌がる国がどこの国であるかということを考えていただきたい。北朝鮮は、例えばこの法案が通らなければ、もろ手を挙げて喜ぶのではないでしょうか。ですから、こういったことにも思いをいたすことは大事であると私は思っております。

 このように、私が今述べたように、秘密保全体制の整備が急務であるにもかかわらず、他方で、一部の世論やマスコミで、特定秘密の指定等に関し、いまだに誤解があるんです。例えば、特定秘密保護法案が通ると日本が戦争する国になるとか、平成の治安維持法案、今笑っている方がいますけれども、そういった投書やファクスが来ているんですよ。市民弾圧法案だとか、国民に知られてまずいことは全て隠蔽するための法案だとか、あるいは、政府が特定秘密と指定したいものは全て特定秘密になる、そういうおそれがある、そうなると断言している投書もあります。そして、これは既にいろいろなこの場の答弁で明らかになっておりますけれども、いまだに、原子力発電所の安全性や被曝、さらにTPPの交渉内容も特定秘密とされ隠蔽されるのではないかと誤解されている方がまだいらっしゃいます。

 別表に該当するものに限るとか、あるいは非公知性、さらには秘匿の必要性という二重、三重の縛り、要件があるにもかかわらず、そのことさえ知らない人が多いわけであります。

 ここで私、正直に申し上げます。私自身、九月末まで外務大臣政務官として政府の中にありまして、町村信孝先生が座長を務めていらっしゃいました自民党内のインテリジェンス・秘密保全等検討PTの議論を十分フォローしておりませんでした。したがって、マスコミの非常に否定的な見解が書かれておりましたけれども、もしかしたら、まだまだちょっと改善すべき余地があるのかなとか、かつて私の反対した人権擁護法案、あるいは民主党政権下の人権救済機関設置法案のように、筋の悪いいろいろな問題を抱えているのかなと誤解しておったんです。

 ところが、実際にこの法案を読み、皆さんと一緒に議論しているうちに、これは大変重要な法案であり、私は、はっきり言って、この法案、この制度のたてつけは大変よくできていると今確信しております。問題は多少あるかもしれませんけれども、私は、百点満点でいえば八十点、九十点のところまで来ていると思います。あとは、少数会派の皆さんを含めて徹底的に議論して、それを二点でも三点でも上げる、アップさせるように努力すればいいだけではないかというふうに思っております。

 そして、ここで質問でありますけれども、先ほど例示したような本当にとんでもない誤解を含めて、明らかに特定秘密という本法案とは関係のない誤解まで流布しております。こうした状況に対して、政府はどのように考えているのか。

 また、本法案と関係する形で、例えば、本法案の中で「その他」という言葉が三十六個もある、その「その他」で何でもかんでも読み込めて、定義や運用は極めて曖昧だとか。例えば、別表一の方を見ますと、「武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物の種類又は数量」とありますが、その「その他」に何でも読み込むことが可能なんだ、そういう誤解もあると思うのであります。

 この場の答弁で、具体的列挙と類似であるものに限るということがありました。当然そういうことなわけですけれども、こういったさまざまな誤解に対して、改めて、政府としてどのように考えているかという認識を問いたいと思います。

岡田副大臣 お答えいたします。

 城内委員の御質問の中にもありましたように、本法案は、我が国にとって大変重要な法案であると考えております。

 御指摘のとおり、世論やマスコミを通じ、例えば、政府が恣意的に指定を行い、指定の範囲が際限なく広がるのではないか、広く国民が処罰の対象となるのではないか等の批判がなされていることも承知をしております。

 本法案では、特定秘密は、現行法制下においても自衛隊法上の防衛秘密あるいは国家公務員法上の秘密に当たるもののうち、法律の別表に限定列挙された事項に該当するものに限って、大臣等の行政機関の長が責任を持って指定するものであり、また、その指定は、外部の有識者の意見を反映させた基準に基づいて行われることとするなど、特定秘密の恣意的な指定が行われることがないよう、重層的な仕組みを設けております。

 また、本法案では、例外的な場合を除き、特定秘密を取り扱う公務員等以外の者が処罰対象となることはありません。

 ただし、公務員等以外の者についても、暴行や窃盗などにより特定秘密を取得した者や特定秘密を取り扱う公務員等を唆して特定秘密を漏えいさせた者等は本法案の処罰対象となりますが、この場合には、特定秘密であることを知ってこれらの行為を行う必要があります。

 このように、本法案は、公務員以外の者についても、例外的な場合に限り処罰することとしております。これは、特定秘密を保護するために最低限必要なものと考えております。

 政府としては、本法案の必要性や本法案に定める規制が必要最小限であること等について、さらに説明を尽くし、国民の理解を得られるよう努めてまいりたいと考えております。

 「その他」を含む語句についてのお尋ねがありました。

 「その他」を含む語句には、「その他の」と「その他」があるということですが、「その他の」とは、「その他」の前にある字句が「その他」の後ろにある字句の例示としてその一部を形成している場合に用いられる。例えば、特定有害活動の定義における「その他の活動」は、いわゆる諜報活動や大量破壊兵器の不正取引に類する活動をいうものであり、「その他の」を用いたから定義が曖昧との批判は当たらないのではないかと思っております。

 また、「その他」は、その前にある字句と後ろにある字句とが並列関係にある場合に用いられるわけでありますが、本法案中、「その他」が用いられる場合、例えば電磁的記録の定義について、「電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録」としているように、「その他」の後ろには、前にある事項と並列関係にある事項についての明確な規定が置かれており、これは曖昧という批判は当たらないと思っております。

 以上です。

城内委員 岡田副大臣、大変丁寧な説明、ありがとうございます。

 今、インターネットの時代ですから、この今のやりとり、今の岡田副大臣の答弁も、インターネットに流れて、あるいは国会テレビでも見られるわけですよね。心配だ心配だと言う方は、ぜひ、きょうのやりとりを、私に限らずいろいろな方の質問を、まず見てから、聞いて、判断していただきたいなというふうに私は思います。

 本当に、感情論で、だめなものはだめとか、政府のやることは何でも悪であるという、私は必ずしも性善説には立ちませんけれども、そういう極端な性悪説に立っている方々に、ぜひ冷静な観点から、まさにこの国会でのやりとりを見ていただきたいなというふうに思っております。

 さて、九月に政府が実施したパブリックコメントというのがあるんですね。それによると、確かに、賛成が一三%、反対が七七%、その他が一〇%とされております。一方、十一月九日、十日、朝日新聞が実施した世論調査によりますと、本法案への賛成が三〇%ちょっとですかね。そして、反対が四二%。拮抗していると言うかどうかは別として、全然違うんですね。

 恐らく、何となく私の相場観でいうと、国民世論、実態は、賛成が三分の一ぐらい、反対かなというのが三分の一、よくわからないが三分の一ではないかと思います。しかし、きょう、今こういう議論をしっかり聞いておけば、恐らく誤解が解けて、間違いなく、七割から八割の方が、やはりこれはいい法案だ、必要だというふうに確信すると私は思っております。

 ちなみに、政府のパブリックコメントに対して、これは私の個人的な見方ですけれども、組織的な形での反対意見が集中した結果、八割近くになったんじゃないかと思うんです。推察しております。

 なぜかというと、私のところにも、皆さんのところにも、ファクスや投書が来ているじゃないですか。かつての人権擁護法案のときには、個々の人がそれぞれの思いをファクスや手紙にして各議員のところに送ってきました。ところが、今回は、差出人だけは違うけれども、同じものをコピーして、組織的に来ていることが明らかなんですよ。だから八割近い反対ということになっているんです。私は、そのように感じております。

 パブリックコメントと新聞の世論調査という両者の比較は一概にできるものではありませんけれども、本法案の必要性が次第に国民に理解されてきていると私は思うんです。

 幾ら、いろいろなインターネットで、ある組織が、これはおかしいとか危ないとか、平成の治安維持法だと言っても、やはり、冷静に見ている方は見ているんです。そして、マスコミの批判は私、余りしたくありませんけれども、もう少しこういう国会の議論を聞いていただいて、どうなのかなというふうに思って、より客観的に報道していただきたいなというふうに個人的には考えております。

 政府としては、さらに、本法案の必要性について、国民にわかりやすく、引き続き情報発信していくことが重要であると私は考えます。その点についての政府の認識をお伺いしたいと思います。

岡田副大臣 城内委員御指摘のように、本法案の必要性について国民にわかりやすく情報を発信していくことは大変重要だと考えております。

 外国との情報共有は、情報保全が確立されていることが前提であります。また、新たに設置される国家安全保障局には、原則、関係省庁からの情報が集約されることとなるところ、政府部内の情報共有を促進し、国家安全保障会議の審議がより効率的に行われるためには、秘密保護に関する共通ルールの確立が不可欠であると考えます。

 しかしながら、我が国においては、これまで、防衛分野以外の安全保障に関する秘密については、一般的な国家公務員法の守秘義務の定めしかなく、また、適性評価等の秘密の管理を規定する法律が存在しなかったわけであります。

 本法案は、安全保障に関する情報のうち、特に秘匿することが必要であるものについて、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めるものであり、本法案の成立により、外国あるいは政府部内での情報共有が促進され、もって我が国及び国民の安全の確保が図られることとなると考えます。

 具体的には、万が一、在アルジェリア邦人に対するテロ事件のような事件が将来発生した場合に、外国の関係機関等から、我が国に対し、秘匿度の高い情報が、より適切な形で、より迅速に提供されることも期待をされると考えております。

 今後とも、本法案の必要性につきましては、丁寧に、易しく、わかりやすく説明をしていきたいと考えております。

城内委員 ぜひ、丁寧に、易しく、わかりやすく、引き続き説明していただきたい、国民の皆様、ひいてはマスコミの皆様に対しても、やっていただきたいなというふうに思います。

 なお、私は、本法案、特定秘密保護法の必要性に関しまして、やはり過去にいろいろな秘密の漏えい事件があったことを踏まえて考えていかなきゃいけないなと思います。

 例えば、平成十二年にボガチョンコフ事件というのがございました。これは、在京ロシア大使館の海軍武官から工作を受けました海上自衛官が、現金等の報酬を得て、海上自衛隊の秘密資料をロシア側に提供したというものでありますが、これ以外に、その後、どういった情報、秘密漏えい事件があったのでしょうか。お伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 平成十二年のボガチョンコフ事件以降に発生した情報漏えい事件といたしましては、海上自衛隊三等海佐によるイージスシステムに係る情報漏えい事件、在日ロシア大使館書記官の工作を受けた内閣情報調査室職員が職務に関して知った情報を提供した情報漏えい事件、情報本部所属の一等空佐による中国潜水艦の動向に係る情報漏えい事案といったものがあると承知しております。

城内委員 ありがとうございました。

 私は、はっきり申しますけれども、今、具体的な事案、事件が列挙されましたが、これは間違いなく氷山の一角ですよ。表に出ていないけれども、実際はわからないけれども、いろいろな形で、だだ漏れとは言わないまでも、秘密が漏れていると思います。

 何でかというと、それを専門にやっている工作員が大勢いるからですよ、各国に。その人たちが日本に来て、いろいろな機密情報、防衛情報を、それを仕事にしているわけですから。三百六十五日のうち三百日寝ていて何もしていないんじゃなくて、三百六十五日、その目的を持って工作活動をしている人たちがたくさんいるわけですから、当然、表に出ていないけれども、いろいろなところで漏れている。これはやはり防がなきゃいけない。

 一連の事件は、いずれも、我が国の国益に重大な損害を与えかねない問題であるというふうに思います。これは本当にゆゆしき事態だと思いますが、この点について、政府の意見をお伺いしたいと思います。

岡田副大臣 お答えいたします。

 今、鈴木審議官から答弁をいたしました一連の事件は、いずれも公務員が守秘義務に反して情報を漏えいしたものであり、情報保全に関する諸外国や政府部内の信頼を損ないかねず、重大な問題であると考えております。

 厳しい国際情勢のもと、我が国の安全保障のためには、関係国と緊密に情報を交換することが一層重要となっているところであり、このような情報漏えい事件の絶無を期すためには、我が国の安全保障に関する、特に秘匿を要する情報について、その漏えいの防止を図る本法案の成立が急務であると考えております。

 以上です。

城内委員 本当に、私、急務だと思っております。

 それで、きのうの参考人からの意見聴取の中で、永野参考人だったと思いますが、現実に日本国内でさまざまなインテリジェンス活動が行われていることに的確に対処するためにも本法案が必要だと、参考人の方もおっしゃっておるんです。

 そして、内外のエージェントは、利用できる日本のターゲットを、先ほど申しましたように、それを仕事としているわけですから、探しているんですね。それも、機密情報を扱う日本の公務員をターゲットにしていると思いますよ。

 そういった工作員は、映画の007、ジェームズ・ボンドのように、私はジェームズ・ボンド、MI6のスパイですなんて、自分から名乗り出ているわけがないんですね。決して名乗らない。いかにも私はスパイですなんという人はいないわけです。あるときは在京の大使館の一等書記官であったり、あるときは普通の会社員であったりする、あるいは大学教授であったりする、あるいは、外国の情報機関に買収されている日本の商社マンだってスパイかもしれないんですね。

 こういうことに思いをいたしながら、いかにして重要な国家秘密が漏れないようにするかということがやはり大切でありますから、ぜひ与野党、知恵を出し合って、よりしっかりとした秘密保全体制をつくっていきたいなというふうに思っております。

 さて、具体的に想定される事例、どういった秘密が漏れることによって国の安全保障が侵害される、あるいは国民の生命財産が侵害されるのかということを具体的に考えていきたいなと思います。

 特定秘密について、私は、明らかに特定秘密であるというものと、先ほどとんでもない誤解がありましたけれども、明らかに特定秘密でないものという二つのカテゴリーがあって、真ん中にグレーゾーンがあると思うんですね。

 このグレーゾーンについては、私は、私はもともと外務省の職員でありましたけれども、正直言いますと、とりあえず取扱注意にするかなとか、そういう傾向があるんですね。そうじゃなくて、やはりグレーゾーンはなるべく狭めていかなきゃいけない。国民の知る権利のためにも、グレーゾーンはできるだけ範囲を小さく狭めていく必要があると思います。

 このグレーゾーンの問題について、例えば、昨日、長谷部参考人がこういうことをおっしゃいました。人はおよそ全知全能ではないので、あらかじめ隅々まで特定秘密を確定することはおよそ不可能であるということをおっしゃったと思います。こういったグレーゾーンのことだと思いますが、具体的な事例ごと、専門的知識を持つ各部署、行政の部署で判断し、個別に指定をしていくしかないと考えていると述べられました。この意見、私は大変示唆に富むものと思います。

 それでは、グレーゾーンではない、明らかに特定秘密と言えるもので、これが漏えいした場合、我が国の安全、国民の生命財産に大きな損害を与えるような例、私は、実際に具体的な例を考えてみました。なかなか政府の方から、例えばどういうのがあるんですかと言っても、まあいろいろありますとか言われて、具体的な例示がなされないので、自分自身で考えてみました。

 これは先週の七日の本会議でも申し上げましたけれども、繰り返しになりますが、例えば、某月某日に日本国内でテロが実行されるとして、外国政府、外国の情報機関から提供された情報がある、ところが、それが漏れてしまった、漏れて報道された、それをテロの実行犯が新聞やテレビで見て、まずいな、よし逃げようと逃亡して、日本国内に潜伏したと思います、そして別の機会を狙って、国内の重要施設にテロ攻撃をその後しかけた。要するに、その情報が漏れなければそのテロリストを捕まえることができたのにもかかわらず、情報が漏れて、逃がして、別のところで、国民を巻き込む、大きな損害を与えるような事案が起きてしまった、こういうことが起きかねないんですね。

 これは、私は、本法案別表四のロの「テロリズムの防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報その他の重要な情報」に該当するとして、特定秘密に指定されると考えてよいと思うんです。

 もう一つの例を挙げます。

 例えば、日本に潜入している北朝鮮の工作員が、実際に暗号化された電波による指令を受けて、その指令を乱数表によって解読し、我が国においてスパイ活動や、あるいは日本人の拉致に関与した事例、実際、あるんです。

 私も昔、朝鮮中央放送というのを、今でも聞けますよ、夜中に何か数字を言っているんですね。これは乱数放送なんですよ。これは、日本に潜入している工作員に対して、何月何日どこそこに行けという指令を、乱数表で解いて、公共の電波を使ってやっているんですよね、今やっているかどうか私は知りませんけれども。そういうことが実際に行われていた。今でもいろいろな形でやっているわけですね。

 その乱数表、日本国内に潜入している工作員が使っている乱数表が、日本の公務員がちょろっと漏らしちゃって、外に出てしまった。当然、北朝鮮工作員は乱数表を変えますよね。変えると、どのような指令が来ているのかというのがわからなくなる。その結果、例えば、乱数表が漏れてしまって変えられたことによって、日本人が拉致されてしまったなんということが起きかねないんですよね。

 いずれにしましても、特定秘密に指定されなければ、国内における諜報活動などを防止する手段が安易に漏えいし、ひいては国民の生命身体が危険にさらされる事態が起きかねない事態が、私が挙げた例以外にも、頭を使って考えてみたら、いろいろ出てくるわけです。

 この点について、政府の見解を問いたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 最初のお尋ねの、テロリストに関する情報につきましては、先生御指摘のとおり、別表第四号の、テロリズムの防止に関して外国政府から提供を受けた情報ということに該当し得る場合があると思います。ただし、その後、報道されてその情報が漏れたということでございますので、その時点で、提供された情報と同一性を有する情報が報道されたとされるならば、非公知性を失うということで、特定秘密に指定し得なくなるものと考えております。

 また、先ほどの乱数表を解読した情報に関しましては、別表第三号ロの、特定有害活動の防止に関して収集した重要な情報に該当し得ると考えております。

城内委員 今、政府参考人の方から答弁があったように、これは明らかに特定秘密に該当するということですから、それはそれで結構であると思います。

 次に、ちょっと民主党さんの案についてお尋ねをしたいというふうに思っております。

 情報公開法の改正の論点について、私もしっかりと勉強させていただきました。国民の知る権利の保障をより強化するという点では、私はこれを大変評価しております。

 そもそも、秘密保全に関する法整備というのは、まさに、きょういらっしゃっている枝野先生を中心に、民主党政権下において設置された検討委員会で議論されたと思います。この秘密保護法制について、実際、私どもは民主党ではありませんので、当時どのような議論がなされたのか、法案化作業はそのときどの程度まで進められていたのかということをお伺いしたいと思います。

 次に、民主党政権下において、現在内閣が提出している特定秘密保護法案のような、秘密保全に関する法の整備が必要であるという認識であったのかどうか、現在もそういう認識であるかどうかということについて、改めてちょっとこの場で確認したいと思います。

枝野議員 まず、この委員会には情報公開法の改正案の提案者として出席しており、本来、元官房長官の立場でお答えをするべきなのかどうかという点については疑義がありますが、私が直接経験をしたことと、私が認識あるいは思ったことについては申し上げるべきかというふうに思っております。

 私が官房長官として政府における情報保全に関する検討委員会を運営しておりました際には、有識者の皆さんによる懇談会で御議論をいただき、その報告書の報告をいただきました。ただ、これは、情報の保護を徹底するということの見地からさまざま御検討いただいた報告書でありまして、これと国民の知る権利等との関係等について、しっかりとしたバランスをとった議論をした上で結論を出さなければならないということを思っていた段階で、菅内閣は総辞職をいたしましたので、その後の検討経緯については、私は直接知見を持っておりません。

 これは皆さんも周知だと思いますが、平成二十三年に、検討委員会としての法制の整備についての決定はございます。そのもとでどのような具体的な検討がなされたのかについては、私は直接承知をしておりません。

 そして、私が認識する限りにおいて、民主党政権下においては、情報の保全に対してしっかりと検討する必要性は認識をしていました。したがって、検討をいたしました。

 その結果として、何らかの法整備をすることも視野に入れた検討が必要であるというところまでいっていたと思っておりますが、では、それが独立の新たな法律が必要であるのか、現行の法律を例えば改正する等で十分に足りるのか、それとも、法改正などを要さず、それ以外の措置によってそうした目的が達せられるのかということについて、何らかの結論を出したというふうには、私は承知しておりません。

城内委員 そうですか。よくわかったような、若干わからないようなところもあるんですけれども。

 情報の保全の必要性というんじゃなくて、情報の保全の点について検討することの必要性があったということで、何かちょっと後退しているような感じがするんですけれども、私は、今まで述べたように、情報の保全というのは絶対必要だと思います。

 ですから、民主党さんの中には、情報の保全を必要でないという一部の方々がいることによって、情報の保全の検討の必要性という何か中途半端な表現になるのかなと今……(発言する者あり)そんなことないですか。そういうふうに個人的に私が感じただけかもしれませんが、そういうことを必要と考えている方と、でも、そうでない方も……(発言する者あり)では、いないというふうにかたく信じたいと思います。

 それで、実は私、きのうの段階で質問しようと思っていたことがありまして、どういう質問をしようとしたかということを、ちょっとここで御披露させていただきたいんです。

 昨日の報道ベースの時点で、民主党は、内閣提出の特定秘密保護法案に反対する、与党には乗らないというようなニュアンスの報道がありました。私は、これはゆゆしきことだなと。というのは、NSC法案のときには修正協議に応じると言って、我々はNSC法案と特定秘密保護法案は一体と思っていますから、何でNSC法案のときには修正協議に応じて、この特定秘密保護法案には応じないのかなと思ったんですね。

 そこで、これは私の誤解だったと思うんですけれども、民主党さんは、与党のときは推進しよう、野党になったら反対、これはおかしいのではないか、こういう質問をするつもりだったんですが、どうもまた状況が変わって、民主党さんが修正協議に応じるという、非常に建設的な前向きな立場に、変わったのか、初めからそうだったのかわかりません。私は、これは大歓迎いたします。

 ぜひ同じ土俵で議論をしていただいて、よりよいものをやはりつくっていきたいなと私は思いますので、こういう質問を用意してしまった私は深く反省しておることをこの場で申し上げたいというふうに思っております。これに対する答弁は結構でございます。

 それで、具体的な点にちょっと入らせていただきたいと思いますが、冒頭申しましたように、国民の知る権利の保障を強化するという観点で、情報公開法改正の中身は非常に私はよろしいんじゃないかなと思います。

 ただ、より細かく、私は別に法学部も出ておりませんし、弁護士でなくて、そんなに詳しくないんですけれども、私自身がいろいろなところから聞いて勉強した結果を申しますと、例えば、五条二号ロのところです。

 法人から公にしないとの条件で任意に提供された情報についてですけれども、これまでは不開示となっておりましたが、これがもし開示されるということになれば、私自身は、これは法人が行政機関に協力することをためらうんじゃないか、そうすると、行政機関の正当な情報収集に支障が生じることになる、かえってよろしくないんじゃないかと思うんですが、この点についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 今の情報公開法の五条二号ロ、任意提供情報を不開示情報とする規定ということに該当する場合というのは、多くの場合、同時に、同じ五条二号のイ、公にすることで法人等の正当な利益を害するおそれがある場合に該当したり、あるいは五条六号、公にすることで国の機関の事務等の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある、こういった場合にも該当する場合が多いんです。

 今申し上げたような、正当な利益を害したりとか国の機関の事務の適正な遂行に支障がある場合は、当然そっちを理由に不開示の決定をすることになります。逆に言うと、こういった、今の二号イだとか六号には該当しないような、任意提供したということだけを理由に不開示にする場合というのは、ではどういう場合かと考えてみました。

 例えば、決算情報。会社が、決算をあした発表します、その前日に役所に説明に来る場合があります。私もその情報を受けたことがありますが、これなんかは、その当日は外に出すとまずいですよね。ですが、その翌日、世の中に公表されます。その後は全く公になっているわけですよね。

 こういったものというのは、任意に提供されますが、今言ったように、法人の正当な利益を害するおそれも国の機関の適正な遂行に支障を及ぼすおそれも、公表後はなくなるわけですから、今おっしゃったような懸念というのはないんじゃないかなというふうに考えます。

城内委員 ちょっと次の質問に、時間がないので移らせていただきたいと思うんです。

 五条三号、四号の関係なんですけれども、不開示事由として、公にすることにより国の安全が害されるおそれや公共の安全や秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき「相当の理由」というふうになっているんですけれども、それが「十分な理由」があるということに変更されるとされております。不開示の判断基準にどのような変更が生じたか、非常にわかりにくいんですね。済みません、私、法律の専門家じゃないんですが、相当の理由と十分な理由の違いというのがよくわからないんです。

 ちなみに、調べてみましたら、刑事訴訟法では、これは刑事訴訟法百九十九条ですが、逮捕状による通常の逮捕は、罪を犯したことを疑うに足り得る相当な理由とされておりますし、逮捕状なしの緊急逮捕の場合は、二百十条、十分な理由が必要とされております。この場合は、相当な理由よりも十分なの方がより限定的である。十分なという方が、いろいろな理由をたくさん列挙して、量と質を用意しないと認められないということなんですね。

 ですから、相当な理由から十分なとなると、逆に限定的になるのかなと。あるいは、もしかしたら、行政機関の挙証責任という観点で、相当のから十分な理由というふうにしたのか、そこがちょっとよくわからないので、これを明確に御説明いただけないでしょうか。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 現行の、国の安全や公共の安全等に関する不開示情報というのは、これはなかなか、その行政機関でないと専門的な判断がしにくいということから、そのおそれがあると行政機関の長が認めることについて相当な理由があるかどうかという形で、一枚、行政機関の判断というのを尊重する規定になっております。

 ですが、このことを理由に、本来は他の不開示理由、先ほど申し上げたような他の不開示理由を適用すべき案件であっても、この規定で行政機関の判断権がかなり尊重されますから、やや主張し過ぎじゃないかというようなケースも散見されます。

 そこで、今回は、この五条三号、四号の不開示理由というものを、行政機関の長の裁量判断を尊重するのにふさわしいものだけに限定して適用するようにという趣旨から、こう変えたわけでございます。情報公開訴訟になった場合に、行政機関がその判断について十分な説明が可能であるということを前提に、行政の段階で厳格な審査をきちっとできるように、おそれがあると行政機関の長が認めることにつき「相当の理由」というのを「十分な理由」という形に改めたんです。

 先ほど城内委員がおっしゃった刑事訴訟法の関係というのは、十分な理由というのは相当な理由よりもより強い根拠が求められるというのが刑事訴訟法の通常の考え方というふうにされておりますので、やはり、十分な理由の方がより厳しい根拠が求められるというのが今回の我々の改正案でも念頭に置いているところでございますけれども、実際の適用に関しては、その判断する時点の社会情勢ですとか信頼関係ですとか、いろいろな要素で判断するので、判断基準そのものがどうなるかということは、現時点で具体的に示すのはなかなか難しいんですが、少なくとも行政機関側がより厳格な理由をきちっと示せなければならないという意味において、個々の事案においても法的効果は変わってくるのではないかと推察されます。

城内委員 はい、わかりました。

 次に、五条五号の関係でありますが、「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」という部分が削除されております。しかし、これを削除すると、逆に、開示されると無用な混乱が生じるのではないかというふうに私は考えます。

 例えば有事法制に関しまして、初期の検討段階の資料等について、これは当然、内容は極めて機微でありますし、また不確定かつ未成熟のものでありますから、審査会におきまして不開示が相当とされた例もあります。そしてさらに、特定秘密保護法案の検討過程について、当該規定により不開示と決定されたというような例もあります。

 やはり、審議の途中のものが出ると、何かいろいろな誤解を生んだり、いろいろな人が自由に発言して、時には極端な発言もあるかもしれませんし、そういうものをプロセスを経て修正しながら、一つの方向にまとまっていくんですが、ばらばらで、最初のいろいろな段階で、例えば知識もなく発言してしまったようなことまで開示されるということは、やはり慎重になる、かえって不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあると私は思うので、この部分についてはやはり削除しない方が私は適当と思いますが、それについての反論というか、お考えを述べていただきたいと思います。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 今の五条五号は、「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」という部分は我々の案では削除するんですが、「公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」だとか、あるいは「特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがある」、こういった懸念は引き続き残しております。

 ですから、例えば、今委員がおっしゃった有事法制の検討段階の資料について、もしこれが、今申し上げたような、率直な意見の交換もしくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合は引き続き不開示にすることができますし、あるいは、有事法制であれば、場合によっては三号の方で、国の安全が害されるおそれ、他国もしくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ、こういったものがある場合は、むしろ三号で不開示にすることも、場合によっては考えられると思います。

 また、この特定秘密法案の検討過程の情報なんかについても、今申し上げたような、率直な意見の交換、こういったものができなくなるおそれがあるのであれば、それを理由に不開示にすることは引き続きできるわけであって、そういった一つ一つの理由で、残したところできちっと不開示にできるものはしたらいいと思いますが、ただ単に混乱を生じさせるおそれというところにしか根拠がないようなものについては、やや過剰に解釈されるおそれがあるのではないかという懸念から、ここは削除したということでございます。

城内委員 済みません、もう時間がないので、インカメラ審理関係についてちょっと質問しようと思ったんですが、それは別の機会にしたいと思います。

 内閣総理大臣のリーダーシップの発揮、強化ということをうたわれておりますが、そこで内閣総理大臣の勧告ということがあります。

 しかし、あらゆる不服申し立てを内閣総理大臣あるいは内閣府がチェックするということは、実際問題として非常に難しいんじゃないのかということと、あと、議院内閣制の観点から、行政機関の長である閣僚の判断を、内閣総理大臣がオーバーライドするというか、覆して勧告するということは、大統領制をとる国ならまだしも、日本のような場合、閣内不一致のような状態を引き起こすのではないかと私は考えました。

 また、現在、内閣府の事務の膨張を緩和しようという傾向に逆行するのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、今津委員長代理着席〕

階議員 お答えします。

 今、城内議員からは三点御質問があったと思います。

 まず、あらゆる不服申し立て事案を内閣総理大臣がチェックすることはできるのかということでございますけれども、そもそも、内閣総理大臣がチェックする場合というのは、情報公開法七条の規定による公益上の理由による開示の措置を講じる必要がある場合とか、あるいは、審査会答申の内容に沿った裁決または決定がなされていない場合ということですので、こういった、知る権利を制限する方向の不服申し立てを受けての行政機関の長の判断があった場合に、内閣総理大臣がチェックすることを想定しています。

 ちなみに言いますと、施行後三年間、ちょっと古いデータですけれども、審査会の答申が千五百五十三件あったもののうち、原処分を行った行政機関の長が、また答申に沿わない判断をしたケースというのは二件しかないということですので、極めて例外的な場合に限られるということであります。

 それから、二つ目の質問ですけれども、閣内不一致のような状態を惹起するということがこの勧告制度によってもたらされるのではないかということなんですが、これについては、内閣総理大臣というのは、政府全体の情報管理、公開体制整備の観点から、行政文書の作成、取得、管理、開示及び提供の過程全体を一連の業務と捉え、これらの事務の適正な遂行を担保する司令塔としての役割を一元的に担うことを想定しているわけでございまして、その中には、国民の知る権利及びその具現化された権利である開示請求権と、一定の情報が開示されることにより発生するリスクの比較考量を行い、政府全体として開示請求権制度の統一的な運用を担保するということを内閣総理大臣の任務として期待されているわけでございまして、閣内不一致ということは当たらないのではないかということであります。

 それから、内閣府の事務膨張緩和の傾向に逆行するのではないかということなんですが、行政機関の保有する情報の公開によって政府の説明責任を全うするに当たっては、その保有する行政文書の作成、取得、管理、開示等の過程全体を通じて、適正な情報の管理、公開体制を整備することが必要だということで、公文書管理法では、現在使われていない文書については内閣府、使っている文書については総務省という、二つに分かれた文書管理に関する事務を、内閣府の長である内閣総理大臣に一元的に担わせるということを既にしているわけであります。また、情報公開・個人情報保護審査会では、従来から不服申し立て事案の審査を行っておりますが、これも内閣府に置かれているということであります。

 こうした、内閣府が情報公開制度全般について果たしてきた役割を踏まえますと、政府全体の情報管理、公開体制整備の観点から、内閣府が今回のことについても担うというのは適切であると考えております。

城内委員 きょう、民主党さん側から私の質問に対するいろいろな回答がありましたので、またそれを踏まえて考えていきたいなというふうに思っております。ちょっと時間がないので、それに対するコメントとかを申し上げる時間がありませんので、きょうはどうもありがとうございました。もう結構です。

 最後に、また、政府に対する質問に戻りたいなというふうに思います。

 冒頭いろいろと具体的に例示した、誰の目から見ても明らかに特定秘密であるというもの、そしてまた、いわゆるグレーゾーンに当たるものがあるんじゃないか、そういうことを申し上げたわけであります。この統一基準の作成に民間有識者のいろいろな御意見を承ってやっていくということは非常にいいことじゃないかというふうに思います。

 他方で、現に我が国の国益が害されているような状況になる中で、冒頭並べたこの特定秘密保護法案の、特に重要性を考えると、第三者機関をつくるとかそういう議論もありますけれども、まずは、本法案を早急に成立させ、施行後、いろいろな運用面において不断に改善していくという考え方が私は最も現実的だと思うんですね。第三者機関をつくるつくらないで議論が延びて、この法律が成立しない間に、先ほど申しましたように、現にそれを仕事としている工作員がよからぬことをあちこちでやっているわけですから、そうした人たちの動きを鈍くするためにも、まずは、最初の第一歩を踏むべきであるというふうに思います。ここが問題だ、あそこが問題だと、ああだこうだ小田原評定をしている場合じゃないと私は思います。

 日本は民主主義国家なんですから、問題が生じたら、我々は国民の代表で国会議員ですよ、再度議論して、おかしいところは改善して、先ほど申しましたように、八十点を八十二点にするとか、やってみたら実は七十点だった、だったら八十点にするような努力をすればいいと思うんです。私はそう考えています。

 これについての大臣の見解をお伺いしたいと思います。

森国務大臣 この法案を成立させる必要性というのは、私は誰よりも強く認識をしているところでございます。国民の生命と国家の安全を守るために必要であると考えております。

 他方、国民の知る権利等に対する報道機関の皆様や国民の皆様からの御懸念には真摯に耳を傾けて、丁寧に説明を尽くしてまいりたいと思いますし、他党からのさまざまな御意見にもしっかり耳を傾けて、さらなる改善を、今後も、法案成立後も尽くしていく努力もしてまいりたいですし、御理解を得るための説明もしっかりと果たしてまいりたいと考えております。

城内委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 国民の知る権利、そして取材の自由というのは、まさに、民主主義、憲法がうたっている国民主権の根幹でありますから、これを本当にしっかりと守るということを大前提としつつ、同時に、特定の秘密を設定して、それを保護、保全することによって我が国の国益を守る、国民の生命財産を守る、その点についてもしっかりとやっていくことが必要だという認識を新たにいたしました。

 きょうはどうもありがとうございました。以上で質問を終わります。

今津委員長代理 次に、左藤章君。

左藤委員 おはようございます。自民党の左藤章と申します。よろしくお願いを申し上げます。

 私は、そもそも論で、法律をつくるときには最悪のことも考えなきゃならない、人間としては性善説、でも、法律については性悪説で考えなきゃならないなということを時々思います。過去に、政治資金規正法の問題等々で世間を騒がした、法律には書いてなかった、しかし、誰が見ても社会常識上おかしいだろうし云々ということがよく事件としてありました。やはり、そういう面で、なるべくいろいろなふぐあいのないように我々は審議をしなきゃならない、このように改めて思っております。

 この前、皆様のおかげさまで、日本版NSCという法案が通りました。私もこの前まで防衛大臣政務官をさせていただきながら、国の安全、そして国民の生命財産を守らなきゃならない。みんなそうなんですが、選挙のとき、国民の生命財産を守るんだ、そのために我々は頑張るんだと言って選挙をしてきた方々ばかりであります。その中で、我々は防衛省にいながら、いろいろな法律、またいろいろな案、これを総合的に判断する、そういう場所はどこにあるのかなと、いつも不安に思いました。もちろん防衛大臣は、内閣に報告したり、総理やその他に相談をしたり、また党内に相談したりやってはいますけれども、このNSCの法案が通ったおかげで、速やかに相談をし、情勢を分析することができるわけであります。

 特に、有事になれば、スピードというのが一番大事であります。残念なことでございますけれども、我が国の周辺、北朝鮮のロケットの問題、南西諸島の防衛の問題等々いろいろな課題を抱えている中で、どうしてもそのスピードと、そして秘密の問題。そこに会議をしたその資料がだだ漏れでは話にならないし、そして、各省庁それぞれ調査をしたり、公安とか警察庁もそうですが、防衛省も外務もそうなんですが、そういうものをより寄せて、どういう情報が正しいのか、どう対応するのか、こういうことをしっかりやるためにも、当然、そこで集まった情報、またそれを管理する人たちがはっきりと秘密を守ってもらわなきゃならない。

 先ほど城内先生もお話がありましたけれども、しっかりとしないことには、例えばテロリストの問題があっても、テロリストのこういう人が入りましたよと言ったら、その人が、こういう写真ですよと出てしまったら、変装するかもしれない。こういうふうに長髪だったのを丸坊主にするかもしれない。また、言い方は悪いけれども、男性が女装したりしてごまかすかもしれない。そういうことをしてしまうと、我々の危機というのは一体どうなるのか。やはり、そういう面で、この秘密というものが、情報というものが漏れないようにしなきゃならない、そういうことだと私は思っております。

 その中で、よくマスコミ等、また、いろいろなところから私のところにもファクスが来たりするんですけれども、どうも誤解というか、理解ができていない点が多々あるわけであります。

 私、そういう視点から、改めて、これは何度も各先生方からも質問があっておりますけれども、残念ながら、マスコミが、そういうことだよという報道はほとんどされていません。まだ知らない人たちは新聞報道やテレビで言われることが正しいんだろうなと思ってしまいますし、我々自身も、こういうものを取り扱っているものですから、ちょっと違うんじゃないかなと疑念に思ったりすることがあるわけでありますので、そういう面で、国民の皆さん方に御理解をしていただくためにも、ひとつ答弁を丁寧にわかりやすく、何度も同じことを聞かれて申しわけないんですが、答弁をしていただければと、このように思います。

 まず、先ほど申し上げた話ですが、なぜ、今までの公務員法や自衛隊法がありながら改めて特定にする必要性があるのか、また、何が特定なのか、特定秘密の範囲はどの程度なのか、こういう基本からお答えをひとつお願い申し上げたいと思います。

森国務大臣 まず、国家公務員法や自衛隊法で既に規定されているじゃないかというような御指摘に対しては、国家公務員法上の守秘義務は、現在は一般職の公務員を対象にするものです。ですので、特別職の公務員や民間の契約業者には及んでおりませんので、これを対象にする必要があるということです。

 また、自衛隊法について申し上げますと、自衛隊について規律するものであって、防衛の事項について定めてありますものですから、安全保障に関する事項のうち防衛以外のもの、こういうものに対しては対象になっていないですし、そもそもの法律の趣旨からして、なかなか困難であります。

 ということで、安全保障に関する事項であって特に秘匿することが必要な情報の保護について、防衛秘もそうですけれども、それ以外のものも含めてしっかりと対象にし、そして、特別職の公務員や契約業者にも及ぶようにするという新しい法律が必要だということから、本法案をつくりました。

 また、もう一つのお尋ねでございます、特定秘密として指定される情報の範囲はどのようなものかというお尋ねでございますけれども、これに対しては、さまざまな御指摘の中に、不当にその指定範囲が拡大するのではないかといったような御懸念が寄せられております。

 しかし、本法案では、特定秘密というのはしっかりと三要件で厳しく縛りをかけておりまして、一つ目の要件が別表該当性でございます。そして、別表も細かく定めまして、限定列挙をしております。別表の中には、一、防衛、二、外交、三、特定有害活動、これは諜報活動や大量破壊兵器の輸出入でございますが、その防止、そして四つ目にテロリズムの防止というふうに、四つ限定列挙しています。この別表に該当すること。そのほかに、非公知性、そして、特に秘匿することが必要であることという、この三要件でしっかりと縛りをかけております。

 さらに、この特定秘密の指定の統一的な運用を図るため、有識者の御意見を聞いた上でさらに細かい基準を作成し、その基準も国民に公表をする予定になっておりますので、特定秘密の指定が不当に拡大するのではないかという御懸念には当たらないというふうに申し上げております。

左藤委員 よくわかりました。

 しかし、その中で、特段の秘匿性のあるもの、これは誰が決めるんだ、こういうことを懸念なさる方がおられるし、それをチェックするのは誰がするんだ。今、答弁の中で、有識者というか見識者といいますか、そういう方々がやるんだということになります。

 きのうの参考人の中でもありましたけれども、そういう人たちは、第三者じゃなくて、やはりそういうことに精通した行政の中でやるんだろう、こういう話が出ておりましたし、海外の事例も、法政大学の永野先生なんですが、アメリカもやはり同じ行政機関の中でやっている、全部第三者という国はほとんどありませんということであります。

 私も、第三者機関で一見よさそうな気がしますけれども、よくよく考えれば、本当に第三者の方々に窓口を広げ、そして、そういう人たちがずっと守秘義務を持ちながらやっていけるかというと、懸念もありますし、そういう面での精通したことも非常に心配にもなります。

 それで、先ほど申し上げた中ででございますが、この第三者機関というのはないわけですが、意見を述べるそういう方々は、意見を述べることができても、決定権は機関長にあるということであります。そういう機関長の決定が正しいか正しくないか、これはどうなのかということをよく懸念されますが、その辺の御答弁をお願い申し上げたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 個別具体的な特定秘密の指定の適否の確認につきましては、専門的、技術的な判断を要することから、行政機関の長がこれを行うことが適当でありまして、また、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるという特定秘密の性質からしまして、行政機関以外の第三者がこれを行うことは適当ではないと考えております。

 また、諸外国におきましても、行政機関以外の第三者が特定秘密の指定の適否を確認している例は見当たらないと承知しております。

 なお、本法案の附則によりまして、内閣情報官が特定秘密の保護に関しまして総合調整を行うこととしておりまして、政府部内におきましては、内閣情報調査室におきまして、外部の有識者の意見を反映させた運用基準に基づき適正な運用が行われているかを確認するなど、本法案の運用に関する総合調整を行う予定をしております。

左藤委員 ということは、今の答弁では、機関長の指定したものは、内閣情報局でもう一度見るということでよろしいんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 先ほど申し上げましたように、基準を設けまして、その基準どおり行われるように総合調整を行っていきたいと考えております。

左藤委員 わかりました。

 その機関長、責任を持って特定秘密というものを指定する機関長というのは、我々でいうと、外務や防衛ですと大臣に相なるだろうと思いますし、公安調査庁、また警察庁だったら長官になるんだろうと思います。

 ところが、変な話ですが、今、五年間ということになっていますが、その五年間その人が大臣であるわけでもないし、また、警察庁長官や公安庁長官も五年間同じ人がなっているわけではありません。

 そういうことになりますと、やはりその都度大臣がチェックをするのか。そして、チェックをしたときに、もう時代とともに特定秘密というものが変わってくるかもしれない、国際情勢、また国内情勢が変わってくるから、その指定を外すということも考えられないことはないわけですけれども、この法案では五年ごとにと限定をしておりますが、これについて私はそういう柔軟性があってもいいんじゃないかと思うんですが、この辺についての御答弁をお願いします。

森国務大臣 有効期限を五年以内に決めまして、それは五年以内でございますので、一年の場合も二年の場合も事項によってあると思いますけれども、その有効期限が満了する前に、先ほどの三要件、特定秘密の要件を欠くこととなったときには速やかにそれを解除すべきことというふうにこの法案で定めておりますので、そこはしっかりと、必要のなくなったものは解除していくようになっております。

 そして、解除をいつするか、その手続や基準、これについては、十八条に書いてあります有識者の御意見を反映させた基準で、ここに言う有識者は、外部の、それこそマスコミとか、またはさまざまなそういう識見を持った方の御意見を聞いて、その基準を決めていくという仕組みになっております。

左藤委員 ちょっと気になるんですが、今有識者とおっしゃったのは、先ほどの海外の事例の話で、第三者、つまり行政機関の人以外の、マスコミ、弁護士を含めていろいろな人じゃない、そういう行政機関の方々でチェックをする、有識者として出ていくという話でありましたが、今大臣の答弁では、全くの第三者、要するに行政機関に属していない人たちもチェックするんだとおっしゃったんですが、それでよろしいんですか。

森国務大臣 二つの問題があると思います。

 十八条は、特定秘密の指定をするときの基準、それから解除をするときの基準、また、さまざまな、特定秘密の件数やそういったものを公表する時期とか、そういったものを定める運用基準でございます。これについては、有識者の御意見を取り入れて決めていきたいと思います。報道関係者もありましょうし、安全保障の識者もいると思います。そういった方を内閣総理大臣または官房長官が任命する形で行っていきたいと思います。

 もう一つ、諸外国の例は、米国等でございますけれども、行政機関の内部に、指定の中身が恣意性に満ちていないか、適正なものであるかというものをチェックする機関があるという話でございまして、そちらは行政機関内部のことであろうというふうに思います。

左藤委員 よくわかりました。

 それで、特定秘密の件数がいろいろ言われていますけれども、この前、いろいろな方々が、特定秘密は今でいうと四十万件を超えるんだろう、四十二万件と言う方もおられますし、また、報道もそのようにされております。

 この数字を見ていると、内閣官房二十七万四千、特に何があるかといったら、暗号とか情報収集の衛星の画像というのがあります。そういう画像がたくさん、もう何度も何枚も撮るんだろうと思うんですけれども、二十七万四千も本当に必要なのか。

 また、現実、画像以外にまだ幾つかあるんだろうと思うんですが、言いにくいことかもしれませんが、言われる範囲で答えていただければと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 現在の特別管理秘密制度における特別管理秘密を記録する文書等の数は、約四十二万件でございます。

 その内容につきましては、先ほど先生が御指摘したような情報収集衛星の撮像した画像情報も含みますが、自衛隊の運用計画であるとか防衛に関して収集した各種情報等も含んでおります。

左藤委員 ということは、内閣官房には防衛省の関連も入っているという解釈ですね。

鈴木政府参考人 お答えします。

 特別管理秘密には、自衛隊関係の秘密も含まれております。

左藤委員 ありがとうございます。

 次にお聞きしたいんですが、先ほど城内委員もありましたけれども、この特定秘密保護法の中で「その他」というのが三十六もある。マスコミも、それで拡大解釈が何ぼでもできるんじゃないか、こういう懸念をしていたわけであります。

 その中で特に私は、十二条、そして別表についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 外交のうち、別表のイですね、「外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容のうち、国民の生命及び身体の保護、領域の保全その他」と書いてありますね。その他の安全保障に関するものだと。まあ、その他だから、先ほど答弁もありましたけれども、また岡田副大臣からもお話ありましたけれども、それに関するものだ、こういうことだと私は思います。そのとおりだと思います。

 ただ、新聞によると、法案を担当する内閣情報調査室は、その他の前の生命身体の保護は単なる例示と説明する、つまり範囲はこれに限定しているわけではない、こういうぐあいに書かれているんですが、この点について、いかがでございますか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 先ほどの御指摘の「国民の生命及び身体の保護、領域の保全」というのは、「その他の安全保障に関する重要なもの」の例示として掲げておりますが、この例示の趣旨は、本法案においては、例示により規定の内容が具体的にわかりやすくなるように図りつつ、「その他」の後の規定により事項の外延を明確にしておるところでございます。

左藤委員 ちょっと済みません、岡田副大臣からも「その他」について御答弁をいただければと思います。もう一度お願いします。

岡田副大臣 お答えいたします。

 「その他」というのは、先ほど城内委員の質問にもお答えをいたしましたけれども、「その他」の前にある字句は、「その他」の後ろにある字句の例示として、その一部をなしている場合に用いられるものでありますけれども、本法案においては、「その他」の前の例示により規定の内容が具体的にわかりやすくなるよう図りつつ、「その他」の後ろの規定により事項の外延を明確に規定しているわけであります。

 以上です。

左藤委員 間違いなくそういうことで私も思いますので、次の質問にさせていただきたいと思います。

 実は、第五条、第六条、そして十二条一項、二項について、いろいろ適性評価制度の問題について書かれております。

 この適性評価制度、対象者はどうなるのか。特に、よく政令で決めるというふうに書いてありますが、政令で決めると余計わかりにくいわけでありますので、この際はっきりしていただきたい、このように思います。よろしくお願いします。

岡田副大臣 お答えいたします。

 対象者とのお尋ねでありますが、本法案では、例外的な場合を除き、特定秘密を取り扱う公務員等以外の者が処罰対象となることはありません。

 ただし、公務員等以外の者についても、暴行や窃盗等により特定秘密を取得した者や、特定秘密を取り扱う公務員等を唆して特定秘密を漏えいさせた者等は本法案の処罰対象となりますけれども、この場合には、特定秘密であることを知ってこれらの行為を行う必要があると考えます。

 本法案は、公務員以外の者についても例外的な場合に限り処罰することとしておりますが、これは、特定秘密を保護するために最低限必要なものと考えております。

 以上です。

左藤委員 今お話がありましたように、直接関係ない人はその対象じゃないということなんだろうと思いますが、非常にわかりやすいんですが、変な話で、広く国民が処罰の対象になるのではありませんか、こういうことを言われる方もおられるわけであります。今の答弁で、これはそうじゃないということが明白になりました。

 ただ、一つ心配なのは、よく、対象者、特に公務員の家族ですね、一緒にいますから、情報が漏れるとか漏れないとかという不安をする方もおられます。これが対象になるのか。

 また、いろいろな調査をしなきゃなりません、その人が特定秘密を扱うのに適格かどうか。これは当然、我々の国家秘密を、我が国の安全そして国民の生命財産を預かる仕事をするわけでありますから、しっかりとした高邁な考え方を持ち、また、そういう環境でないことにはそれを扱ってもらっては困る、懸念があっては困るわけでありますが、ただ、そういう家族、子供さんも奥さんもそうですが、含めて、これが評価の対象また調査の対象になるのか、改めて御答弁を賜りたいと思います。

    〔今津委員長代理退席、委員長着席〕

岡田副大臣 お答えいたします。

 適性評価は、評価対象者本人について、その本人の同意を得た上で、法律上明記された七つの事項について調査するものであります。評価対象者以外の家族や同居人については、氏名、生年月日、住所及び国籍に限って調査することとなっております。

 また、本法案では、適性評価を実施するに当たり、調査対象者本人の同意を得た上で、まず、評価対象者に調査事項が記載された質問票を提出させ、その内容について、必要な範囲内において、上司や同僚等の関係者への質問票を含めた調査を実施することとしておりますが、関係者への質問は、調査に必要最小限の範囲内においてのみ行うものでありますので、御理解をいただきたいと思います。

左藤委員 もう時間がないので、済みませんが、ちょっと防衛省にお伺いをさせていただきたいと思います。

 実は、先ほど城内委員からもお話がありましたけれども、いろいろな情報漏れの事件がありました。

 特に防衛省は、平成十九年のイージス艦による情報漏れ、これは、イージス艦に係るデータをディスクに入れて、どこかに送付してしまったという事件であります。これはもちろん、MDA、これはアメリカとの協定なんですが、秘密保護法違反でありますけれども、これから防衛省が、この特定秘密法を制定されると、これは、自衛隊法またMDA法違反以外に、特定秘密にどういうものがされ得るのか。まだ決まっていないこともあると思いますのでざっくりでいいですが、ちょっと御答弁を賜りたいと思います。

若宮大臣政務官 左藤委員には、九月まで防衛大臣政務官として活躍をされておられましたこと、その後任でございます私も、精いっぱい業務に励んでまいりたいと思います。どうぞ今後とも御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

 今、御質問でございます。まず、防衛省におけます秘密制度というものについて、ちょっと御説明申し上げたく存じます。

 現在、防衛省におけます秘密には、自衛隊法に基づきます、職務上知り得た秘密であるいわゆる省秘。それから二番目に、自衛隊法に基づきます、自衛隊についての一定の事項であって、公になっていないもののうち、我が国の防衛上特に秘匿を要するもので、防衛大臣が指定する防衛秘密。それから三番目に、左藤先生おっしゃられましたMDA秘密保護法に基づきます、米国から供与された装備品等の性能等に関する事項等で、公になっていないものである特別防衛秘密。この三つがございます。

 このうち、防衛秘密につきましては、特定秘密保護法案が成立、施行された場合につきましては、特定秘密に統合されることとなります。

 他方、特別防衛秘密につきましては、MDA秘密保護法は、MDA協定等におきまして定められた秘密保持に沿うために講じられた立法措置であるとの特別な性格を有していること、また、米国政府から供与されました装備品等に係る秘密であり、その大半は防衛省において保有していると考えられるため、特定秘密のように、その取り扱いについて全省庁的なルールを設ける必要がないということといった秘密の取り扱いの状況に鑑みまして、特定秘密保護法案の保護対象とはせず、引き続き、MDA秘密保護法により保護することといたしてございます。

 以上でございます。

左藤委員 ありがとうございました。大変わかりやすく答弁をしていただきました。

 実は、そういう中で、自衛隊の行動に係る情報が包括して特定秘密に指定されることで、国会によるチェック機能がなくなり、シビリアンコントロール上問題ではないかという指摘があります。私はそうとは思わないんですが、防衛省の見解はいかがでございますか。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 委員御指摘の御懸念、確かにあることと存じます。

 ただ、特定秘密保護法案が成立、施行された後も、これまでと同様に、国会での審議に必要となる自衛隊に関します行動の情報につきましては、適時適切に国会に提供してまいりたいと思っておるところでございます。また、仮にこうした情報に特定秘密が含まれる場合、特定秘密保護法案によりますと、国会の秘密会の審査等に特定秘密を利用する場合には、特定秘密を提供できるとされてございます。

 こうした点を踏まえまして、国会によるチェック機能が働かなくなり、シビリアンコントロール上問題があるという認識は全く持っておりません。

 以上でございます。

左藤委員 質問時間が来ましたので、これにて質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

額賀委員長 次に、野中厚君。

野中委員 自由民主党の野中厚でございます。

 昨年の十二月に初当選をさせていただきまして約一年が経過いたしましたが、初めての質問の機会をいただきました。額賀委員長、理事初め、皆様方に感謝申し上げ、質問をさせていただきたいと思います。

 この特定秘密保護法案、非常に国民の関心が高うございます。中には、特定秘密の指定の必要性があるのか、また、知る権利、報道の自由が侵害されるのではないかという懸念がございます。本委員会でも、このケースは特定秘密に当たるのかとか、また、このケースは処罰対象なのかと、多くの疑問が質問がございました。

 私は、この委員会においては、どんどん重箱の隅をつつくぐらいの質問、討論を行うべきであるというふうに考えております。そのような議論を重ねることで、この霧がかった部分を取り除き、そしてこの法案の本質が見えてくる、その先に国民の信頼が得られるものであるというふうに考えております。私も、確認と提言を含め、質問をさせていただきたいと思いますので、森大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 初めに、まず、これは改めてでございますけれども、公務員の情報漏えいが近年どれぐらいあったのか、また、そのうち、当時この特定秘密保護法案があれば特定秘密の漏えいに当たるものは何件あったのか、お伺いいたします。

森国務大臣 過去十五年間で、公務員による主要な情報漏えい事件を五件把握しておりますが、このような漏えい事件が発生していること自体、大変遺憾なことであると思っております。

 何件ぐらいあったのかというお尋ねですけれども……(野中委員「公務員の情報漏えいが何件と、それが当時特定秘密に」と呼ぶ)特定秘密に当たったかどうかというお尋ねですね。

 それについては、過去の個別具体的な事件でございますので、通常、この法案があったらばというような仮定の話はなかなか困難でございますけれども、あえて申し上げれば、中国潜水艦の動向に係る情報漏えい事件については、中国潜水艦の動向に関する情報には防衛秘密に該当する情報が含まれており、本法案の特定秘密に該当すると思います。それ以外の事件は、特定秘密には該当しないものと考えられます。

野中委員 ただいま森大臣から答弁をいただきました中国の事例について、特定秘密に当たるのではないかという答弁をいただきましたけれども、この答弁からもわかるとおり、やはり昨今の内外情勢を鑑みても、この特定秘密保護法案、非常に大切な法案であるというふうに私も考えております。

 しかしながら、先ほど城内委員、左藤委員からもありました、グレーな部分が多いのではないかという懸念もまだまだありまして、それを本委員会で精査していくべきだというふうに考えております。

 お手元に配付をさせていただきましたこちらの資料でありますけれども、これは内閣官房出典の資料であります。

 この左上の欄、「特定秘密」とある中で、「次のいずれかの事項に該当 1防衛 2外交 3特定有害活動の防止 4テロリズムの防止」、プラス「特段の秘匿の必要性」というふうにございます。これは見方によると、あたかも、五項目めにある「特段の秘匿の必要性」というと、非常に大きなたわみ、グレーゾーンとも解釈をされかねないと私は考えておりますけれども、これは大臣、どのようなケースを想定されているのか、お伺いいたします。

森国務大臣 これは、特段の秘匿の必要性が、四項目プラス五番目の項目であるということではございません。つまり、広がるものではございません。逆に、狭めるものでございます。限定するものでございます。

 つまり、第三条に特定秘密の範囲が記載されておりますが、そこに、私がいつも御答弁申し上げていますとおり、三要件がございます。一つ目が別表該当性で、先ほどの四項目でございます。二つ目が非公知性でございます。三つ目がこの特段の秘匿の必要性でございますので、別表に該当し、かつ非公知性に該当し、かつ、さらに特段の秘匿性があるものでなければ特定秘密にならない。そういう限定に限定を重ねた趣旨でございます。

野中委員 これは非常に大事な部分なので、改めて確認をさせていただきたいと思います。

 多くの方が勘違いされている部分かもしれません。でありますので、今の質問の答弁をいただいたのを改めて確認しますが、四項目、その詳細に二十三項目があったと思いますけれども、それに該当し、さらに特段の秘匿の必要性がある、いわゆる二十四項目めも五項目めもないという解釈でよろしいのでしょうか。

森国務大臣 はい、五項目めではございません。

 第三条の条文の書きぶりをごらんになっていただければわかるとおり、別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、特に秘匿することが必要であるものというふうになっておりますので、かつで結ばれているというふうに御理解ください。

野中委員 ありがとうございました。

 次の質問に入らせていただきたいと思います。

 この質問をさせていただこうと思ったんですが、先ほど答弁でございましたので、一つはこちらから数字を述べさせていただきたいと思います。現在、この特定秘密保護法案の前に特別管理秘密としている秘密情報、こちらが、政府、各省庁で、先ほどの答弁ですと、四十から四十二万件あるという答弁がございましたが、現在議論されております特定秘密保護法案、これがもし成立した際、この四十から四十二万件のうち、果たしてどれぐらいの数字が該当するものかということをお伺いいたします。

鈴木政府参考人 お答えします。

 本法案におきまして、特定秘密として指定される情報を記録する文書等の件数につきましては、現時点で確たる数字を申し上げることは困難でありますが、特定秘密は特別管理秘密よりもさらに対象範囲を限定していることから、対象文書の数は、先ほど述べました四十二万件より限られることになるのではないかと考えております。

野中委員 やはり、先ほどの森大臣の答弁でもございましたけれども、この特定秘密に指定されるのは非常に狭められた、限定されたものであるということでありますので、当然、四十、四十二万に近いという数値であってはならない。そして、それが年月がたって、状況にもよりますけれども、差が狭まってもこれは国民の信頼が得られないということでありますので、ぜひ、この法案がもし成立した際には、そういった意識を高めていっていただきたいというふうに思っております。

 次に、特定秘密保護法の運用についてお伺いさせていただきますが、特定秘密に指定される情報をどのように管理されるか、お伺いいたします。

 例えばの事例でございますが、テロリズムの防止に当てはまるとしましたら、別表四号のイというふうに管理されるのか。また、当てはまるどの項も関係なく、省庁の単位でナンバリングされていくのかということをお伺いします。また、特定秘密に指定された際、そこの中でランクづけがされるのかということもあわせて、森大臣、お伺いいたします。

森国務大臣 特定秘密の指定をした場合に、本法案第三条第二項により、行政機関の長は、指定に関する記録を作成するものとされております。この記録には、指定番号、指定年月日、情報の内容、該当する別表の号といった、指定に関する事項を記録することを検討しておりますので、御指摘の別表四号のイでありますとか、そういったいずれの事項に該当するかということは記録に記載されるということになってまいります。

 例えば、省庁をまたぐ場合ですけれども、同一の会議で複数の行政機関が情報を入手したときなど、ある情報を複数の行政機関の長が特定秘密に指定し得る場合も考えられますけれども、そのような場合は、本法案第十九条により、関係行政機関の長は、特定秘密の指定に関し、相互に協力するものとされておりますので、必要な調整が行われることになります。

 そして、ランクづけでございますけれども、本法案の対象である特定秘密は、我が国の安全保障に関する事項のうち、特に秘匿することが必要であるものでありまして、いずれの秘密も、政府が保有する秘密のうち最高レベルに区分されるものでありますので、それをさらにランクづけするということは予定をしておりません。

野中委員 ありがとうございました。

 この質問をさせていただいたのは、まず一点、このランクづけはされるのかということは、非常に国民の方が懸念、心配されておられるのが、一つの情報とその周辺もまとめて特定秘密に指定されるのではないか、いわゆる面に扱われるのではないかと。

 例えば、ランクづけをすれば、トップシークレットではなくて、これはどっちかというところも入れちゃおうというと、非常にそれがたわみの部分になってしまうという懸念があるのではないかと言い、質問させていただきましたが、本当にこれはトップシークレット、本当に限られた特定秘密だけだという解釈をさせていただきました。

 そしてまた、省庁をまたぐということ、特定秘密の保護に関する法律案の概要三、ここの2に、安全保障上の必要により特定秘密を提供という、省庁をまたぐケースがあるということは、これは昨日の早稲田大学の春名先生の話でもありましたけれども、これは恐らく有事の際も想定されるというところで、瞬時に情報提供がされるかどうかという懸念を持って質問させていただきましたけれども、これも払拭をさせていただいたところでございます。

 そして、次の質問に入らせていただきます。

 これは非常に多くの方が質問をされておられましたけれども、この特定秘密保護法に関して、チェック機能がどうかとか、また、検証について五年ごと、先ほど、以内ということも可能であるというふうに話を伺いましたけれども、三十年では長いのではという意見が多々ございます。

 これも、昨日の参考人意見陳述におきまして、法政大学の永野先生が非常に秘密会の重要性を訴えておられました。私も、国会がやはり機能を果たすべきであるというふうに考えておりまして、何より、言い方は適切かわかりませんが、定期的な秘密会を行うことで、我々国会が、たまにはメディアで、この法案によって手足が縛られるのではないかということはありますけれども、やはり責任を果たすためには、国民の負託を得た我々国会において定期的な秘密会、ちゃんとチェックしているんだよということを見せることが、我々議会においても信頼を果たせるものであると考えております。

 そこで問題になってくるのが、国会法第百四条、この中に、悪影響を及ぼす際、報告または記録の提出をする必要がないとございますけれども、この秘密会においても、国会に提出しないということはできるのでしょうか、お伺いいたします。

岡田副大臣 お答えいたします。

 個別具体的な特定秘密の指定の適否の検証は、専門的、技術的判断を要することから、行政機関の長がこれを行うことが適当であると考えております。

 また、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるという特定秘密の性質から、行政機関以外の第三者がこれを行うことは適当でないと考えております。諸外国においても、行政機関以外の第三者が個別の秘密の指定の適否を検証する例は見当たりませんでした。

 本法案には、一定の条件のもと、国会に特定秘密を提供することができる仕組みが盛り込まれており、本法案が施行されれば、国会の求めに応じ特定秘密を提供することが可能となると考えております。

野中委員 行政の長というのは、なかなか五年大臣を経験されるという方も本当にいらっしゃらないと思いますし、もちろん、三十年続く内閣というのも想定はできません。

 やはり国会が機能を果たす、いわゆるできるというよりも、一歩進んで、求めに応じなければならないという踏み込んだところをすることによって、さらに国民の負託に応えられる、信頼を得られるというふうに考えておりますけれども、いま一度、御答弁をお願いいたします。

岡田副大臣 委員御指摘の件は大変重要な件と考えておりまして、国会の求めに応じ特定秘密を提供することが可能となるという答弁をいたしましたけれども、これは国会の方でまた議論をしていただければと考えております。

野中委員 これは前向きな答弁というふうに解釈をさせていただきました。

 次の質問に入らせていただきます。

 各省庁において、特定秘密保護法、保持法の運用に当たり、これは最初に申し上げましたけれども、やはり私のもとにもいろいろなお便り、激励、叱咤が届けられるわけでありますけれども、国民の知る権利を侵害するんじゃないか、そして何より、先ほども申し上げましたが、点ではなくて面で特定秘密に指定されてしまうのではないかという疑念、懸念を持たれた方が、ある程度、一部の方でいらっしゃるというふうに伺っております。

 そういったときに、どのように信頼をかち得るかというのは、やはり情報を正確に仕入れる、そして、その情報について見分ける能力、さらに、その情報について正しい正しくないを見分けた後に、基準はあるというふうには伺っておりますけれども、これは特定秘密に指定していい、そして、これはそこには基準を満たさないからちゃんと国民に示そうではないかという、この見分ける能力というのは私は必要であるというふうに考えております。

 いわゆるインテリジェンス能力の強化ということでありますけれども、そのためには、やはり専門員、エキスパートの醸成が必要であるというふうに私は考えております。そして、そのエキスパートを育成するにしても、やはり人数も今以上ふやしていって、その先にいわゆるインテリジェンス能力、国益を守るインテリジェンスの成熟を図るべきであると私は考えておりますが、お伺いをいたします。

能化政府参考人 お答えいたします。

 このような法案ができた暁に、きちんと厳格に保全していくに足りる情報をさらにきちんと収集し、分析していくようにせよという御指摘と承りました。

 まさに、情報機能の強化を図るためには、情報に精通した人材を育成することが重要でありまして、情報コミュニティー内における研修あるいは人事交流を推進するなど、人的な面での情報機能の強化に努めてきております。

 具体的には、例えば、平成二十年に作成されました官邸における情報機能の強化の方針を踏まえまして、オール・ソース・アナリシス、これは政府の保有するあらゆる情報手段を用いた総合的な分析のことでございますけれども、こういったものを行うために必要な情報分析能力向上のため、分析の方法、収集、分析した情報の取り扱い等についての研修等を行っております。

 また、情報コミュニティー内の人事交流という面につきましても、例えば内閣情報調査室におきましては、警察庁、公安調査庁、外務省、防衛省、経済産業省、海上保安庁等、さまざまな関係省庁より幅広く人材を得ておりまして、また、民間からも専門的な分析能力を有する人材を内閣情報分析官として採用するなど、人的な体制の充実に努めているところでありまして、引き続き情報収集・分析能力の強化に努めてまいりたいと存じます。

野中委員 御答弁をいただきました。

 私、まだ覚えておるのが、アルジェリアの日揮のときに、非常にとうとい企業戦士の命を失ってしまいました。そのときに、インテリジェンス能力の強化ということについては報道でされたとおりでございますけれども、改めて、この特定秘密保護法、名称によって、非常にうがったというか、本質と違う点に関しても質疑がされているところでありますけれども、本日、私は、この特定秘密保護法案のまず必要性、項目、管理の部分で確認をさせていただきました。

 そして、何より、提言として、これはやはり多くの方が思っていると思いますが、チェック機関はどうなるのか、これを明確にすることで国民の信頼が得られる。

 そして、何より、先ほど申し上げましたとおり、インテリジェンス能力を強化しなければならない。その強化をすることによって、日本から世界に発信をしていく、そして情報を正確に仕入れることが、私は、この特定秘密保護法案の本質というのは国民の生命財産を守るためであるというのは、改めて言うまでもないわけであります。

 その中で、これらのことがしっかり国民の理解が得られれば、本来、この特定秘密保護法案、もし法案が可決されましても、何か有事の際にすぐに公表できるものではない事例もございますけれども、結果、未来に我々国民の生命財産を守ったという、それが特定秘密保護法案の特性、性質であるというふうに思っております。

 そのことを私は確信を申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

額賀委員長 次に、星野剛士君。

星野委員 自民党の星野剛士でございます。

 質問の時間をいただきましたこと、尊敬をする額賀委員長初め、理事、また委員の先生方に心から感謝をしたいと思います。

 それでは、早速質問に入りたいというふうに思います。

 まず初めに、この特定秘密保護法案の日本における安全保障上の意義、そして、これまでの歴史的経緯、これに焦点を絞ってお伺いをしたいというふうに思います。

 皆さん御承知のとおり、これまで、我が国は、国際社会からスパイ天国とやゆされ続けてきました。秘密保護の法制化がおくれにおくれている我が国に対して、世界の主要各国は、国家の安全保障上の重要情報、特に、一般にヒューミントと呼ばれる人的ネットワークから得られる死活的に重要な人的情報の提供を渋り続けてきました。インテリジェンスの世界においては、常識以前の話であります。

 ですから、我が国は、これまでそれぞれの同盟国や友好国と秘密情報の保護のための協定を結んでまいりました。主なものを見ても、アメリカ合衆国とは平成十九年八月に、北大西洋条約機構、NATOとは平成二十二年六月に、フランスとは平成二十三年十月に、オーストラリアとは平成二十四年五月に、イギリスとは平成二十五年、本年になりますが七月に、それぞれ秘密情報の保護に対する協定を結んできました。

 こうしたものを背景に、歴代内閣では、民主党政権も含めて、秘密保護の法制化を国家の安全保障上の重要課題として進めてきたことは、皆さん御承知のとおりでございます。そして、今回のこの特定秘密保護法案のまさに下敷き、ベースとなっている、有識者会議によります「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」が提出されたのは、まさに民主党政権下における菅内閣のときでありますが、平成二十三年の八月八日であります。

 そして、この法案の中に第九条というのがあります。少し読ませていただきたいと思いますが、「外国の政府又は国際機関であって、この法律の規定により行政機関が当該特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置を講じているものに当該特定秘密を提供することができる。」ものとすると規定されております。平たく言えば、秘密保護の法制化、制度化がなされている外国の政府や国際機関にのみ特定秘密を提供しますよということであります。

 逆もまた真なりで、これまで秘密保護の法制化がおくれにおくれてきた我が国には、特定秘密や重要な人的情報は各主要国から提供されてこなかった、あるいは提供されにくかったということであります。この委員会の質疑でも、現状で何が問題なのかといった意見がありましたけれども、問題の本質はこの法案の九条で明らかになっていると私は思います。

 そこで、お伺いをいたします。

 我が国の安全保障を考える上で、今回のこの法案の意義と、法制化されることによる安全保障上の利点、メリット、これについてどのように御認識をされているか、お答えをいただければありがたいと思います。

森国務大臣 委員御指摘のとおりでございます。

 外国との情報共有は、情報保全が確立されていることが前提です。また、政府部内の情報共有も同じでございまして、政府部内であっても、これは相手方の信頼のもとに入手した情報、相手が保護措置をしっかり定めていなければ、また共通のルールが法定されていなければ、提供を少しちゅうちょするということもある。

 やはり、情報というのは、迅速性が命でございます。時間によって刻々とその重要性が下がっていくわけでございますので、迅速に、効果的に、政府部内も、それから外国とも情報を共有するためには、そして、特に国家安全保障会議の審議がより効率的に行われるためにも、秘密保護に関する共通ルールの確立が不可欠でございます。

 しかしながら、我が国においては、今御指摘のとおり、これまで、防衛分野以外の安全保障に関する秘密については一般的な国家公務員法の守秘義務の定めしかなく、また、適性評価等の秘密の管理を規定する法律は存在いたしておりませんでした。

 本法案は、我が国の安全保障に関する情報のうち、特に秘匿することが必要であるものについて、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定め、その漏えいの防止を図るものであり、これにより、我が国及び国民の生命の安全と財産の安全を守ることができるものと確信しております。

星野委員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 まさに、今大臣が御答弁いただいたように、私も全く同じ認識であります。NSCの法案と、そして、それとまさにコインの裏と表だと思いますが、この特定秘密の保護法案が成立をして初めて、ようやく、おくれにおくれてきましたけれども、国家の安全保障を考える、そうした国際標準、国際基準に近づいてくるんだろうというふうに思います。ありがとうございます。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 実は、防衛秘密というものがあります。長年運用されてまいりました。この防衛秘密の保護と運用について、もう一度今ここで振り返って考えることは、大変重要だというふうに思っております。

 これまで、防衛秘密は、長年、自衛隊法の規定により指定、保護されてきました。今回、この法案が成立すれば、自衛隊法の規定は削除され、特定秘密保護法案に規定される、つまり、置きかえられることになります。秘密の対象となる別表も、ここが一番重要ですが、一言一句たがわず規定されていると承知をしております。

 その防衛秘密について、長年、指定、保護され、運用されてきた実績を今ここで検証することは、大変私は意義深いというふうに思っております。

 そこで、質問をさせていただきたいと思います。

 これまで、防衛秘密は、自衛隊法のいかなる規定に基づいて指定、保護、運用されてきたのでしょうか。過去、防衛秘密の漏えい事件も起きておりますけれども、その問題点や課題も含めてお答えを願いたいと思います。

真部政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛秘密に関しましては、まず、根拠法といたしましては自衛隊法がございますし、それを受けました自衛隊法施行令、それから、さらに、これは省内の定めでございますけれども、防衛秘密の保護に関する訓令、こういったいわば防衛秘密の保護に関する法令の体系によりまして、今まで私ども、防衛秘密の指定から解除、その間の管理というものを行ってきておるところでございます。

 それで、今、第二点目の御質問があったかと思いますけれども、今までどんな漏えい事件とかがあって、その点についてどんな問題意識等を持っているのかということでございますが、過去には、防衛秘密の漏えい事件は一件だけございます。これは、情報本部の一等空佐による防衛秘密漏えい事件ということでございまして、平成十七年五月三十一日付の読売新聞の記事に関しまして、情報本部所属の一等空佐が、職務上知り得た中国の潜水艦の動向に関する情報を、防衛秘密に該当するところを含むことを認識した上で、部外者に対し、口頭により伝達した件でございます。

 このてんまつにつきましては、当該一等空佐は、平成二十年三月に自衛隊法違反容疑で東京地検に書類送付されておりますが、その後、起訴猶予処分となっております。ちなみに、刑事手続はそのようになりましたけれども、この一等空佐は、二十年十月付で懲戒免職処分になっているところでございます。

 この事件に際しましては、私どもは、秘密の管理者に関しまして保全意識が欠如していた面があるんじゃないか、それから、幹部職員に対する保全教育が十分ではなかったんじゃないか、こういった問題点を認識いたしまして、その後、それを踏まえまして、秘密の管理者レベルに対して個別の面談、この範囲を拡充いたしております。それから、幹部職員への保全教育をさらに充実させるということを行い、再発防止に努めてきているところでございます。

 今後も、こういった再発防止策も含めまして、防衛省の秘密保全のための厳格な取り組みというものを引き続き徹底してまいりたいと思っておるところでございます。

星野委員 それでは次に、防衛秘密の指定に焦点を絞ってお伺いをしたいと思います。

 これまで、別表四に記載をされている十項目について指定がなされていると承知をしておりますけれども、その別表が拡大解釈をされ、本来であれば防衛秘密に当たらないと考えられるものまで指定をされたことがあるのか。または、国内外の各種メディア、主要紙から、防衛秘密の指定における拡大解釈ではないかといった指摘や批判を受けたことがあるのでしょうか。あったとすれば、どこに問題の本質があるのか、お答えをいただきたいと思います。

真部政府参考人 今、防衛秘密の指定に関しまして御質問いただきました。

 防衛秘密は、これは御案内のところかと思いますが、自衛隊法別表の第四に掲げる事項につきまして、公になっていないもののうち、我が国の防衛上、特に秘匿することが必要であるもの、これについて防衛大臣が指定、こういった四つの要件を全て満たすものに限って指定されるということでございます。

 このうち、別表第四の事項につきましては、防衛に関する情報の中で、類型的に防衛秘密に該当すると認められるものを明確化、限定し、列挙するということによりまして、その他の指定要件と相まちまして、防衛秘密の指定の範囲を明確にする、言いかえれば、それ以外のものは防衛秘密に絶対当たらないということを明らかにしているものでございます。

 この防衛秘密の事項指定に当たりましては、防衛秘密管理者の上申を受けまして指定することとされておりますが、この際に、防衛秘密の管理者においては、別表第四に該当するものに限定するのは当然のことでございますけれども、さらに、防衛秘密に関する運用を定めた通達でございますけれども、これらに従いまして、真に秘匿することが必要な要素、事項を抽出して上申を行うべしということが求められているところでございます。

 それから、防衛秘密の事項指定の決裁に当たりましては、これは大臣の御決裁でございますけれども、これにつきましては、防衛秘密制度を所管いたしておりますところの防衛政策局が、その内容が適正かどうかの二重のチェックを行うこととしております。

 このように、防衛秘密の指定につきましては、法令、規則に基づき、厳格に、かつ重層的な確認のもとに行われているということを申し上げることができるのではないかと思っておりまして、いたずらに拡大するとか、そういったことはないんだろうと思っております。

 それから、外部からの御批判ということにつきましては、確かに、例えば国内の主要紙、主要な新聞などから、防衛秘密の指定について、御指摘のような、そういうおそれがあるんじゃないかという指摘はいろいろな機会にいただいていることは確かでございますが、防衛省といたしましては、今申し上げたような、管理について、厳格な管理を徹底してまいりたいと思いますし、それによりまして、そういったことをきちんと御説明してまいるということにいたしたいというふうに思っておるところでございます。

星野委員 ありがとうございます。

 この防衛秘密については、長年、指定、運用、管理されてきておりますから、これまでどういうことがあったのか、そして、今御答弁をいただいたように、通達を出して、真に重要なものかどうかをダブルチェックしているんですね。それをしっかりと運用している。

 私、何が言いたいか。長年、これだけ運用をしてきていて、今、一般に懸念をされている、秘密の指定が拡大解釈に基づいてどんどん自己増殖していくんじゃないかというような批判が湧き起こっておりますけれども、長年実績のあるこの防衛秘密について、そういうことは起きていないし、起こり得ないということをしっかりと我々も認識しなければいけないし、やたらどんどん増殖していくんだというような論調や考え方については、この長年の防衛秘密を管理、指定、運用してきたという実績を、もっと政府は逆に自信を持って、こういうことですと、その別表は一言一句たがわず今度は特定秘密の法案に来るんですから、この防衛秘密の実績というものもしっかりと認識をした上で、さまざまな論戦に臨んでもらいたいというふうに私も思います。

 もう一つの、主要紙から批判がこれまでどうだったか。それは、個別にはあると思います。

 私が問いたかったのは、実はたくさん記者会見をやっているんですよ。防衛大臣は週二回、各幕僚長も週一回、記者会見をやっている。そして、私も、実は二十代の後半、ある新聞社の政治部の記者をやっておりました。ここの国会も自民党も、あと外務省も長く取材をさせてもらいました。これだけ長い期間、防衛大臣または各幕僚長が記者会見をやっていて、さまざまな質問が飛び交うわけですね。真剣勝負です。もしそのときに、いや、済みません、その問題については防衛秘密なので答えられませんみたいな答えが連発していたら、これは逆に新聞社側から、もっと言えば記者側からクレームの嵐になります。

 そういうことは、私が調べた限りでも、今のお答えでも、それは指摘はあります、いろいろな考え方の記者がいますからあるかもしれませんけれども、何でもかんでも防衛秘密にしているんじゃないかなんという、もし仮にあったとすればそういう批判が巻き起こりますから、そういうふうになっていないということも、防衛秘密の指定が極めて厳正になされていたと類推をするに足る事実だと私は思います。

 ぜひ、この状況を特定秘密の厳正なる指定にも生かしていただきたいなというふうに思っております。

 それでは次に、特定秘密の指定等の運用基準、これについてお伺いをしたいと思います。条文は、ちょっと時間がなくなって、あえて読みませんが、十八条です。

 ただいま、防衛秘密の指定に関する質疑でも明らかになりましたように、特定秘密の指定においては、決して拡大解釈による恣意的な指定があってはならない、民主主義社会における国民の知る権利を侵してはならないということが極めて重要であります。

 この法案が内閣から国会に提出をされ、これまで、本会議における質疑、この特別委員会における質疑によって、どういう基準が定められるのかということについて、その外輪は浮かびつつありますけれども、いま一つという感はどうしても拭い去れません。

 これから識者の意見も聞いてつくるんですと。それはそのとおりでありますが、ぜひこの時点で、長年の実績のある防衛秘密についての質疑も今大臣に聞いていただきました。基準のあり方、全体像についてどのようにお考えなんでしょうか。多くの国民の皆さんも注目をしております。わかりやすく御説明をいただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

鈴木政府参考人 お答えします。

 十八条の運用基準におきましては、特定秘密の指定、更新及び解除の各手続、指定の対象となる事項の細目、指定期間の基準、指定状況の公表等、本法案の適正な運用を確保するため、可能な限り具体的なルールを定めていきたいと考えております。

星野委員 わかりました。

 この基準がこれからつくられるということがさまざまな議論を呼び起こしているところもありますから、全体像として、しっかりとした基準をつくって、今防衛省の方からも答弁があったように、厳格にやっていくんだ、恣意的に拡大解釈されることは絶対ないと自信を持って言えるものをぜひおつくりいただきたいと要望しておきます。

 それから次に、米国の秘密指定制度についてお伺いをしたいと思います。

 これは、大統領などが、連邦政府が持っている情報のうち、軍事計画など八つの項目に該当する情報を指定するものであります。

 秘密指定は原則十年以内、例外として二十五年を設定しております。作成から二十五年を経過し、歴史的価値を有する秘密文書は、作成から二十五年を経たときに自動的に解除されます。さらに、秘密の人的情報源や暗号に係るシステムなどに該当する情報は、作成から五十年を経過したときに自動的に解除となります。さらに、秘密の人的情報及び大量破壊兵器の主要な設計概念の開示に該当する情報は、作成から七十五年を経過したときに自動的に解除されます。七十五年を超えて秘密に指定する必要がある場合には、省庁間の上訴委員会の承認が必要となります。

 何が言いたいか。この米国の制度の特徴は、原則公開なんです。その上に限定された例外があるということであります。

 質問ですが、この米国の秘密指定制度、特に、原則公開という考え方についての御所見をお伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 アメリカにおきましては、秘密指定期間を原則十年としつつ、一定の文書については、二十五年、五十年及び七十五年の指定期間を定め、さらに七十五年を超えて秘密指定を行うことができるとされておりまして、全ての秘密が一定期間後に解除されているわけではないものと承知しております。

 本法案におきましても、秘密指定の期間が三十年を超える場合については原則公開されるという考え方のもとに、延長する場合については内閣の承認を要件と課しておるところでございます。

星野委員 実は、非常に大切なところなんですね、今のところが。

 そして、この法案に戻ります。

 本法案の第四条、指定の有効期間及び解除についてお伺いをいたします。

 第四条三項では、指定の有効期間が通じて三十年を超えることとなるときは、その理由を示して、内閣の承認を得なければならないものとすることというふうに言われております。

 そこで、お伺いをします。

 仮に、三十年を超える時点で内閣の承認を得て延長されることになったと仮定します。一体、その後はどうなるんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 内閣の承認は、三十年を超えて五年以内の有効期間を延長する場合には、その都度、承認を得る必要があると考えております。

星野委員 私が補足説明するのもおかしいんですが、これはやや誤解もあるんですね。

 三十年を超える場合、実は五年ごとに、三十五年のとき、または、またそれが延長されるとき、五年ごとに内閣の承認を得なければならないんですよ。これは、時の内閣にとっては非常に、政治的にも国内世論の観点からも、プレッシャーになります。間違いなくプレッシャーになります。延々とやって、また五年後やらなきゃいけないのか、また五年後、承認しなきゃいけないのかと。その都度、大変な注目も浴びるでしょうし、大変なプレッシャーになると私は容易に想像がつきます。

 ですから、三十年を経過した時点で事実上の原則公開でありますよ、事実上の原則公開なんだということをぜひ周知徹底してもらいたいと思いまして、そのことを強くお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

額賀委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 本委員会におきましては、二度目の質疑となります。

 先ほど、午前中の自民党の委員の皆様の質問を聞いておりまして、森大臣から、この十五年間で何と重要な情報が五件も漏れたということをお聞かせいただきました。

 私、昨年十二月初当選ですから、これまでは司法の場に身を置いている人間として、やはりこういった防衛の問題、また外交の問題、非常に重要であるということをまたしっかりとこの一年間で認識をさせていただきました。公明党としても、この法案の重要性、必要性というものをしっかりと訴えていかなきゃならないというふうに、改めて決意をさせていただいております。

 ただ、我が党の立場といいますか、やはり市民の中にはさまざま、この法案に対する不安もあり、前回、少し、言ってみれば踏み込んだような社説の記事がありましたので、こういったものは実際に当たるかどうか、そういったことを題材にしながら質問をさせていただきました。(発言する者あり)ありがとうございます。きょうは持ってきておりませんので、御安心ください。

 前回は、一般人が教唆に問われるときの故意の問題、故意の認識性、いわゆる特定秘密に当たるかという、確定的故意のほかに、客観的な状況から特定秘密というふうに思われる場合でなければ故意に当たらないという明確な答弁をいただきまして、これは一般の市民の方にも安心をしていただいたのではないかと思っております。

 その中で、私も司法出身でございますので、刑事裁判の手続について質問させていただきましたが、前回、少し早口でしゃべり過ぎまして、ちょっとわかりにくかったと思いまして、もう一度ここは、刑事裁判に証拠がしっかり出るかどうかということでございますので、質問をさせていただきます。

 というのは、情報の提供を定めております本法案の十条の一項の柱書きには、政令で定める措置、いわゆる保護措置をとって、かつ、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときでないとまず出ないと。その上で、刑事裁判は、ロ号でございますけれども、「刑事事件の捜査又は公訴の維持であって、刑事訴訟法第三百十六条の二十七第一項の規定により裁判所に提示する場合」というふうに書いてあります。

 そうなりますと、素直に読むと、保護措置がとられ、これは、内閣で決められる保護措置をとること、その上で、刑事訴訟法三百十六条二十七というのはインカメラ手続、裁判所がこれが特定秘密に当たるかどうかを見る大事な手続、特に刑事事件の場合は被告人が罪に問われるかという大事なところでございますが、これに、裁判所独自の判断ではいけないんですか、いわゆる行政のチェックがかかってしまうんですかという質問をしましたが、そうではないということで、インカメラ手続で証拠を見るかどうかは裁判所の独自の判断であるというような答弁をいただきまして、安心をしたところでございます。

 そうなりますと、私は読み間違っておるわけでございますね、そういう質問をするということは。

 素直に読むと、十条の第一項柱書きは、政令で定める措置を講じた上でインカメラ手続をしなさいというふうに読めるんですが、そうなると、法案の十条の第一項ロ号はどういった場合の規定なのかを聞くのを前回忘れておりましたので、質問をさせていただきます。

鈴木政府参考人 お答えします。

 本法案第十条第一項第一号ロにおきましては、行政機関の長が特定秘密を提供するのは、刑事事件の捜査または公判の維持に当たる警察等の捜査機関や検察官であることを想定しております。

 提供に際しましては、これら提供を受ける捜査機関等において保護措置が講じられ、また、その提供が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められる必要がございます。

浜地委員 審議官、ありがとうございます。

 そうなりますと、これは、いわゆる警察側であるとか検察が持っている証拠等でございます。当然これは行政機関になりますので、こういった行政機関に対する保護措置を、内閣が政令で定める措置をとりなさいということになるわけでございます。

 ですので、ちまたの懸念によりますと、特に今、弁護士会等からは、もう全く証拠が出てこないんじゃないかというようなことがあるんですが、そうではなくて、裁判所がしっかりと、これは証拠として出すべきということは裁判所独自の判断で、裁判官の判断でできるということでございますので、刑事裁判の場においてはしっかりと証拠は開示されやすくなるのであるということで、もう一度安心をしたという答弁でございます。ありがとうございます。

 そうなりますと、ちょっと細かい質問になりますが、裁判所の職員がインカメラ手続をするときに、どうしても書記官等は、記録をとるわけですから、立ち会うことになります。裁判官については、やはりこれは弾劾裁判がございますし、裁判官に対しては厳しいこういった国会の関与、最終的には、関与と言うとちょっとおかしいんですが、国会の判断が、もし秘密を漏らした場合は下るわけでございます。

 この裁判所の書記官、一緒に中身を見るインカメラ手続に携わった者に対する漏えいの防止という点では、どういった措置になるんでしょうか。

鈴木政府参考人 まず、前提としましては、裁判官については、この処罰の対象となります。それから、裁判所職員につきましても、特定秘密を知得した者に当たりますので、例えば、故意に提供された特定秘密を漏えいした場合には、本法案第二十二条第二項により、処罰の対象となります。

浜地委員 ありがとうございます。

 刑事裁判で見る手続は裁判所の裁量に任せるけれども、当然でございますが、裁判官自身、そしてそれに携わる裁判所の職員については、この法案によって、しっかりと、漏らしてはいけないということでございますので、裁量の部分は認めるけれども、その後はしっかり秘密を守りなさいよということでありますので、このチェックもできているかと思っております。

 次に、先ほども申し上げましたが、秘密が十五年間で五件も漏れたということでございます。本法案は、秘密を漏らさないように抑止的に刑罰等を定めておるわけでございますが、先ほども自民党の委員の方々からさまざま出ております。やはりそもそも秘密を漏らさないような措置ということが当然大事なのかと思います。そのためには、指定の範囲をしっかりと、別表に書いてあることを恣意的にならないように、また、委任事項については、簡単な委任をしないで、しっかりと省庁の中で、指定の中で長が判断をするようにということは、先ほどのさまざまな質問で出てきております。

 その中で、情報漏えい防止策はどう図られるかということなんですが、中国船の衝突事件を受けて有識者会議も開かれているというふうに聞いております。現在、各省庁における情報漏えいの防止策について、最近特に強化をした点があれば、お答えいただきたいと思っております。

鈴木政府参考人 お答えします。

 先生御指摘の有識者会議で、同報告書におきまして、特に機密性の高い情報を取り扱う機関の情報保全システムに関し必要と考えられる措置という報告がまとめられております。

 それに基づきまして、特に機密性の高い情報を取り扱う省庁、具体的には内閣情報調査室、警察庁、公安調査庁、外務省、海上保安庁、防衛省に対しまして、特に情報漏えいの危険性が高い分野として、端末のデータ対策、印刷・コピー対策、電子機器及び紙の持ち出し及び持ち込み対策、外部への通信制御、アクセス制御及び出張時の通信対策について措置を講じるよう提言されております。

 この提言を受けまして、具体的な措置としまして、データ書き出しの際の自動暗号化、印刷時のプリンター認証、入退館管理及び入退館のログの保存、通信ログの保存、生体認証方式によるログイン、暗号化を通じた通信回線の使用等が言及されておりまして、特に関係省庁を中心に、順次こうした措置が講じられているものと承知しております。

浜地委員 ありがとうございます。

 特にネットにつながるときが一番危のうございますし、しっかりと、ネット環境にあるのかないのか、またそれをネットのクローズの環境からオープンの環境に持っていくときの措置がとられるというふうに、今のお答えから私も読み取ることができました。

 森大臣にお聞きしますが、今回の法案によりますと、各省庁が持っている秘密を相互に提供し合うということになっております。そうなると、やはり各省庁任せの情報漏えい防止策ではなくて、何か政府としても統一的な情報管理というものをつくらなければ、安心して、例えば防衛省がほかの省庁に出すということは難しかろうと思っております。

 その点、今後の省庁間をまたいでの統一的な漏えい防止策について、御意見を聞きたいと思います。

森国務大臣 現在、政府においては、特別管理秘密制度、特管秘と呼ばれておりますけれども、その制度に基づく人的及び物的管理の措置を初め、さまざまな情報漏えい防止措置が講じられておりますが、本法案による特定秘密の保護に関し、議員御指摘のとおり、省庁間での統一ルールの制定やシステムの保全措置に関し、政府全体としての総合的な対策が必要になるものと考えております。

 本法案の施行に向けて、情報漏えい防止の観点から、適性評価制度の的確な運用、情報保全システムの徹底等、政府全体としてさらに具体的な検討を行っていきたいと考えております。

浜地委員 ありがとうございます。

 政府全体の、省庁間をまたいでの統一のルールということでございますので、どういったルールを定めているかということもまたアナウンスをしていただければ、我々も、また国民の方も安心していただけると思いますので、ぜひその点もお願いしておきたいと思っております。

 最後に、行政機関の有する情報の公開に関する法律の一部を改正する法案、いわゆる情報公開法の改正案について、法案提出者、お聞かせください。

 管轄の問題なんですけれども、今回、やはり情報公開訴訟のアクセスを国民に広げるということで、現在、八カ所になっておりますこの管轄、高裁がある地方裁判所ということなんですが、これを、全国の地方裁判所、いわゆる県庁所在地等にある地方裁判所、五十カ所に広げようという試みでございます。

 よく言われるのが、これを判断できる裁判官の専門性はどうかということなんですが、やはりこれは、実際の事務負担について、実際、広げるのはいいんですが、そのあたりの手当てをどのようにお考えなのかをお聞かせください。

枝野議員 訴訟を起こせる裁判所をふやせば、それは、対応する行政機関側も、それから裁判所においても、事務の負担が一定程度ふえることは間違いないとは思いますが、これは、特に裁判所においては、一般的な訴訟について件数がふえる、ふえないとか、そういう問題と絡んでまいる話ですので、本件に特に特有の話だとは考えておりません。

 行政機関の事務ということについては、確かにふえるという側面はあるかもしれませんが、むしろ問題なのは、請求そのものが乱用的になされて、本当にこれを見られるのと思われるぐらいの大量の請求が過去に何件かなされたケースなどがあって、それは確かに、行政運営上、大変手間がかかって大変だという部分は、請求のところについてはあり得るかと思います。

 しかし、それについて裁判を起こすということになりますと、いろいろと情報公開審査会等の審査なども経て、それでも納得できなくてというケースであり、なおかつ、請求者の経済的利益などの主観的な利益と関係しないということを考えれば、それぞれの県内でも遠い場合がありますが、沖縄の方に福岡で裁判を起こしてくれという話を今お願いしているということを考えれば、一定の事務がふえるとしても、それほど過大になって問題だというふうには思っておりません。むしろ、しっかりと訴訟まで、納得できないという方については、身近なところで起こせるということの方が重要ではないかと思っております。

浜地委員 私もその点はわかっておるんですね。

 しかし、私は、司法修習をしたときに大分の裁判所にいました。裁判官は六人、民事は一部と二部しかなくて、六人ということで、やはりかなりてんやわんやしておりました。

 そんな中、やはり福岡地裁であれば、かなり裁判官は多いんですね、民事は六部、七部までございますので。特に行政訴訟を扱う専門部的なものもございます。

 ですので、そういった、今後の課題ということなんですが、私も、実際の実務の運用を見てきて、本当に、小さな地方裁判所に行政訴訟が持ち込まれる、特に、この改正案では、審査会の手数料を無料にされております。そうなると、審査請求に対しての件数もふえれば、おのずと訴訟の件数もふえるかと思っております。

 そういった点をしっかりと、実務の運用、実務の現場の声を聞きながらやはりこのあたりはつくっていくべきではないかと私は個人的に思っております。

 以上でございます。ありがとうございます。

額賀委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹でございます。

 ちょっと、きょう、喉を潰しておりまして、お聞き苦しいところがあるかと思います。また、時間の関係で、全ての質問ができないかもしれませんけれども、御容赦いただきますようよろしくお願いいたします。

 先ほど我が党の浜地委員が、特定秘密保護法案に関する刑事裁判について最初に御質問させていただきましたので、私も刑事裁判に関して少しお伺いしたいと思います。

 特定秘密に指定された情報を漏えいしたとして、ある人が刑事裁判にかけられたとします。そして、その被告人が当該情報はそもそも特定秘密に当たらないといって争った場合に、裁判所は、その情報が特定秘密に当たるかどうか司法判断できるのか。

 一般論として、国家統治の基本に関する高度に政治性を有する国家行為であって、法律上の争訟として裁判所による判断は理論的には可能であるけれども司法審査の対象から除外すべきだという統治行為論とか、また、裁量論によって司法審査すべきではないというような考え方がありますけれども、先ほどの例のような場合、裁判所は、特定秘密に当たるかどうか。

 この特定秘密というのは、これは法文の三条にあるとおり、「別表に掲げる事項に関する情報であって、」「その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの」となっております。

 かなり高度に政治性を有するものだと思うんですけれども、このような、特定秘密に当たるかどうか、これについて司法審査できるのかどうか、これについての御見解をお伺いします。

鈴木政府参考人 お答えします。

 外務省秘密漏えい事件におきまして、最高裁判所は、秘密の中身について司法審査が及ぶという判断を示しております。

國重委員 今の秘密は及ぶということですけれども、今回の特定秘密ですね、判例とかではなくて、今回の特定秘密保護法案における特定秘密というのは、かなり限定された秘密だと思いますけれども、これについて司法審査が及ばないということは考えられるのかどうか。もう一度お伺いします。

鈴木政府参考人 特定秘密についても司法審査が及ぶと考えております。

國重委員 わかりました。

 司法審査が及ぶかどうかというのは、今お答えいただきました。

 最終的には、憲法上、裁判官の個々の判断で決められると思うんですけれども、その場合に、特定秘密に当たるかどうか、高度に政治性を有して、これは難しいということで裁判所が仮に特定秘密に当たるかどうか判断できない場合には、これは刑事訴訟法三百三十六条によって無罪になるということでよろしいんでしょうか。

鈴木政府参考人 何度も申し上げますように、特定秘密の裁判につきまして司法審査が及ぶと考えておりますので、そういったことは想定しておりません。

國重委員 わかりました。

 では、ちょっと角度を変えます。

 今回、刑事裁判においても特定秘密の提供を受けることができないケースもあると思います。先ほどの浜地委員の質問とも一部かぶるかもしれませんけれども、その場合に、では、裁判所が特定秘密に当たるかどうか、どのように判断するのでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 刑事裁判における手続におきましては、被告人の防御権を侵すことのない形でまず進められるべきものと考えております。

 これまでも、秘密漏えい事件の刑事裁判におきましては、立証責任を全うしつつ、かつ秘密の内容が明らかになることを防止するために、秘密にする実質的理由として、当該秘密文書等の立案、作成過程、秘指定に相当する具体的理由等を明らかにすることにより実質秘性を立証する方法がとられております。

 特定秘密の漏えい事件におきましても、このような立証方法により、当該特定秘密の内容そのものを明らかにせずに実質秘性を立証することは可能であると考えております。

國重委員 ありがとうございます。

 では、そのような方法によって判断するということですけれども、そのような方法によって特定秘密であると認定できない場合には、当然これは処罰されないということでよろしいんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 検察側が特定秘密の立証に失敗した場合については、処罰の対象にならないと考えております。

國重委員 では、次に、本法案の二十一条一項、二項、これは知る権利、取材の自由、報道の自由を定めた非常に重要な条文だと思いますけれども、まず、この二十一条一項、二項の立法趣旨についてお伺いします。

森国務大臣 本法案第二十一条第一項は、本法案の拡張解釈を禁止し、また国民の知る権利の保障に資する報道または取材の自由に十分配慮しなければならないことを、第二項は、取材行為は法令違反等と認められない限りは正当な業務行為とすることをそれぞれ規定しております。

 これは、本法案による特定秘密の指定が不当に行われ、本来情報公開請求により開示されるべき文書等が不開示とされたり、また、本案の罰則が拡張して解釈され、政府の保有するさまざまな情報を入手しようとする報道機関の正当な活動が制限されたりするようなことはあってはならないとの懸念に対応するために設けられた規定でありまして、公明党様の御提案により条文を規定させていただいたものでございます。

 本条は、法律の適用解釈について規定するものであり、行政機関はもとより、捜査機関や裁判所等においても解釈適用の準則となり、本法案の解釈適用に当たる当事者全てが報道または取材の自由に十分配慮すること、通常の取材行為は正当な業務による行為であることに留意することになるものと思っております。

國重委員 大変わかりやすい答弁、ありがとうございました。

 では、基本的なことをお伺いします。

 二十一条二項の「出版又は報道の業務に従事する者」とはいかなる者なのか。これまでも答弁に出ていると思いますけれども、いま一度お伺いします。

鈴木政府参考人 お答えします。

 「出版又は報道の業務に従事する者」とは、不特定かつ多数の者に対して、客観的事実を事実として知らせることや、これに基づいて意見または見解を述べることを職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う者をいいます。

 具体的には、放送機関、新聞社、通信社、雑誌社の記者に限られず、個人のフリーランスの記者もこれに含まれます。

國重委員 では、二十一条二項に言う業務とは、細かいことですけれども、別に金銭が常に発生するような業務でなくてもよろしいんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 無償の場合も含みます。

國重委員 わかりました。

 では、例えば、時事ネタ、時事評論をブログでアップしている人、そして、そのブログにもう何万人という人が見に来ているというようなブログを書いている人、こういった人は、ここで言う「出版又は報道の業務に従事する者」というものに入るんでしょうか。

鈴木政府参考人 今お尋ねの件につきましては、個別具体的な状況を踏まえまして判断することが必要でありますので一義的にお答えすることは困難でございますが、例えばの話として申し上げますと、不特定かつ多数の者が当該ブログを閲覧することができ、当該ブログが客観的事実を事実として知らせることを内容とし、かつ当該ブログを掲載している者がこれを継続的に行っているような場合には、「出版又は報道の業務に従事する者」に該当し得る場合がございます。

國重委員 次に、また二十一条二項についてお伺いしますけれども、この二十一条二項の、正当業務行為である取材行為によって得た情報を報道する場合、報道した場合、これは、確認の意味ですけれども、処罰されないということでよろしいですか。

鈴木政府参考人 二十一条二項で、取材行為は法令違反等と認められない限りは正当な業務行為とすることを規定している趣旨は、その性質からしまして、取材行為と、本法案での処罰の対象としている特定秘密の漏えいの教唆とが一定の緊張関係にあり得ることから規定を設けたものでございます。

 他方、特定秘密を報道した者につきましては、漏えいの教唆とは関係が生じ得ず、本法案の処罰対象となることはあり得ませんので、本法案の解釈適用についての規定を設ける必要がないところから、設けていないところでございます。

 いずれにしましても、本条、第二十一条第一項におきまして、報道または取材の自由への配慮を盛り込んでおりますので、取材行為とともに、報道行為についても十分配慮がされると考えております。

國重委員 では、次に、また具体例を出しますけれども、例えば、特定秘密を持っている公務員の方が、義憤に駆られて、自分と懇意にしているマスコミの関係者の人に、この情報を報道してくれということで言った場合に、情報を漏えいした公務員の方は当然特定秘密保護法案の罰則規定で処罰されると思いますけれども、報道した者、それが、その共謀共同正犯として処罰されるのかどうか。

 先ほどもおっしゃられましたけれども、この二十一条二項には、「取材行為については、」云々、正当な業務行為とするというふうに書かれてありますけれども、報道の自由については書かれてありませんので、当然一項には書いてありますけれども、確認の意味で、今のような場合、共謀共同正犯として処罰されないのかどうか、お伺いします。

鈴木政府参考人 二十一条第二項の要件に該当する取材行為については、これは正当な業務行為ということでございますので、共謀共同正犯についても成立しないと考えております。

 報道につきましても、お尋ねは、取材の方……(國重委員「取材はなくて、公務員から働きかけられて報道した場合」と呼ぶ)失礼しました。

 基本的に同じ考え方でございますので、報道の取材行為の一環として考えられますので、正当な業務行為として捉えることができると思います。

國重委員 今の場合、報道した方も処罰されないというような答弁を頂戴いたしました。

 次に、著しく不当な方法についてお伺いします。

 まず、そもそも、著しく不当な方法とはどのような場合を言うのか、お伺いします。

鈴木政府参考人 お答えします。

 著しく不当な方法とは、取材対象者の個人としての人格を著しくじゅうりんするような、社会観念上是認できないような態様の場合を指します。

國重委員 それでは、また具体例を出しますけれども、あるマスコミ関係者が、特定秘密を持っているであろうと思われる公務員の方と懇意で、その公務員の方の承諾のもとに部屋に入りまして、その部屋に入った後に、その部屋の中で会話されている内容を傍受しようとして、例えば盗聴器を仕掛けたとします。電話の盗聴器ではなくて、部屋の中に、例えば机の下とかに盗聴器を仕掛けたとします。これによって、その中で会話をされていて特定秘密を取得した場合に、これは、著しく不当な方法によるものに当たるのかどうか。

 恐らく、部屋の中に盗聴器をセッティングすることそれ自体は、現行法では、私の理解では処罰されないと思うんです。だから、二十一条二項の法令違反には当たらないとは思うんですけれども、著しく不当な方法にこれが当たるのかどうか、これはいかがでしょうか。

鈴木政府参考人 今お尋ねの場合は、住居侵入に至らない態様で家の中に盗聴器を仕掛けた場合ということでございますが、構成要件的には、二十三条の「その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為」に該当し得ると思いますが、全体の状況を見まして、その盗聴器を仕掛けた者が著しく不当であるかどうかを判断せざるを得ないと思います。個別具体的に判断せざるを得ないと思います。

國重委員 ありがとうございます。

 今の二十三条は、一般人が主体だと思うんです。一般人が主体で、今おっしゃった、「その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為」というのはあると思いますけれども、それよりも、二十一条の要件というのが、著しく不当な方法と言っているので、それよりも狭い。

 ただ、先ほど、著しく不当な方法というのは、人格をじゅうりんするような態様のものなんだというふうにおっしゃられましたけれども、これも、私は、個人的には、こんな部屋の中に盗聴器を置くような行為は社会観念上是認できるのかというようなことは非常に思っていまして、このような場合は、プライバシーとかもある意味じゅうりんするような行為ですので、もちろん知る権利も大事ですけれども、一方で国家機密も重要だということで、私は、このような場合は著しく不当な方法にも当たり得るんじゃないかなというふうに思いますけれども、個別具体的に判断すると言われましたので、次の質問に移りたいと思います。

 続きまして、特定秘密保護法案の十条についてお伺いします。

 この十条ですけれども、一番最初に、「行政機関の長は、次に掲げる場合に限り、特定秘密を提供することができる。」ということで、一見、任意のようには書いてあるけれども、例えば、この十条一項の二号、三号、四号、このようなケースの場合というのは、行政機関は特定秘密を提供するということでよろしいでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 十条一項の要件を満たす場合については、提供するということで理解していただいて結構でございます。

國重委員 それでは、次にお伺いします。

 情報公開請求で、特定秘密とされていたものが仮に開示された場合、特定秘密の指定というのは直ちに解除されるのか。特定秘密保護法案の「公になっていないもの」は何なのかということに関してお答えいただければと思います。

鈴木政府参考人 情報公開訴訟で開示命令が確定判決で確定した場合については、その判決を行政機関が尊重しまして、解除いたします。

國重委員 わかりました。

 次に、法文の二十三条、先ほども少しお話に出ましたけれども、これも念のため確認の意味なんですけれども、まず、この二十三条に出てくる「人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、」という、ここで言う暴行、脅迫というのは、刑法の中でも、暴行、脅迫というと、最広義とか広義とか狭義とか、いろいろな暴行、脅迫概念というのがあると思いますけれども、ここの二十三条で言う暴行、脅迫の内容についてお伺いします。

鈴木政府参考人 お答えします。

 この暴行、脅迫は、刑法の暴行、脅迫と同じ意味でございます。

國重委員 刑法の暴行、脅迫と同じということだったんですけれども、刑法の暴行、脅迫といっても、その概念がさまざまあって、例えば、強盗罪の暴行と一般の暴行罪に言う暴行というのは、概念が違うと思います。そういう意味において、この二十三条の暴行、脅迫というのはどのような意味を有するのか、もう一度お伺いします。

鈴木政府参考人 お答えします。

 この暴行というのは暴行罪の暴行で、脅迫は脅迫罪の脅迫でございます。

國重委員 よくわかりました。私は理解できております。(発言する者あり)ええ、わかります。わかりました。一応、これが議事録に残るということで。よくわかりました。

 では、ちょっともう一度言いますけれども、ここで言う、先ほどの暴行とか脅迫というのは、かなり広い概念、要するに、強盗罪における暴行よりも、この二十三条に言う暴行、脅迫というのは広いという理解でよろしいでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 刑法におきます強盗の暴行は、暴行罪の暴行より狭い、逆に、暴行罪の暴行はそれより広いということで、御指摘のとおりでございます。

國重委員 ありがとうございました。

 では、この二十三条に「その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為」とありますけれども、これは、例えばどのような場合を指すんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 先ほど先生が例示で挙げられました、住居侵入に至らない形で住居に立ち入った後に盗聴器等を仕掛けるような場合を考えております。

國重委員 では次に、情報公開法の改正案について少し、基本的なところをお伺いしたいと思います。

 二十四条の二項で、「被告は、」云々「同項の同意を拒むことができないものとする。」ということで、「国の防衛若しくは外交上の利益又は公共の安全と秩序の維持に重大な支障を及ぼす場合その他の国の重大な利益を害する場合」とありますけれども、これは、特定秘密保護法案における特定秘密よりも狭いという理解でよろしいでしょうか。

枝野議員 特定秘密保護法案の理解についてお答えをする立場ではないんですが、一般に、行政上、秘密が指定をされている場合には、一般に公開されることによっていろいろな国益が害されるおそれがある場合に秘密指定がされる。

 ここで規定をしているのは、裁判官にだけ見せることであっても公共の安全、秩序の維持等に重大な支障を及ぼす場合でありますので、相当狭いということになります。

國重委員 では、一部重複するかもしれませんけれども、情報公開法の改正案の二十四条二項の立法趣旨についてお伺いします。

枝野議員 情報公開法の二十四条の二項の立法趣旨でございますが、これについては、基本的には、インカメラを一般的に入れたい、網羅的に入れたいというのは、情報公開を徹底するという趣旨からは必要だというふうに思っておりますが、その一方で、ごくごく例外的に、例えば、他国との協定、しかも合理性のある協定で、特定の人たち以外には見せませんという約束で海外から情報をとるケースというのは、これはあり得るだろう。

 これは、他国との合理性のある協定に基づいて、裁判官を含めて特定の人たち以外には見せないという国際約束ですから、それに反することをすれば情報をとれなくなる可能性はありますね。そういう例外的な場合には拒否ができる部分をやはり残さざるを得ないだろう、こういう趣旨でございます。

國重委員 それでは、最後の質問になるかと思います。

 五条の一項の三号、「公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき十分な理由がある情報」ということで、これまでの法文では、「相当の理由がある情報」となっておりましたけれども、これを「十分な理由がある情報」に改正するということですけれども、この相当の理由がある情報と十分な理由がある情報との違い、また、今回これを改正する趣旨についてお伺いします。

枝野議員 御承知のとおり、十分な理由と相当な理由は、従来の法制上も、通常逮捕の要件と緊急逮捕の要件、その要件の違いとして指摘をされている話でございます。これを、現行の刑事訴訟法の解釈としても、なかなかそれ以上に要件として説明することが困難であることは、委員も御承知ではないかというふうに思います。

 ただ、間違いなく、一般的に言えば、相当な理由というのは、なるほどなというレベルですけれども、これは確かに自分には判断する能力はないかもしれない、つまり、こういった安全にかかわるところは裁判官が直接判断する立場ではないかもしれませんが、なるほど、こういう判断をされるのは当然だよねというぐらいの厳格さが必要になるという意味では、明らかにこの二つの基準は違っております。

 やはりどうしても漏らせない秘密というのはありますから、それは公開の対象にならないとしても、裁判官に対して、これを秘密にしたことは、国益上、なるほど、この行政の判断は当然だよねと思っていただける程度にはきちっと説明をしていただかなければいけないだろう、こういう趣旨でございます。

國重委員 以上で質疑を終了します。ありがとうございました。

額賀委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩といたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

額賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 冒頭に一言、与党議員に申し上げます。これだけ大事な法案の質疑でありますから、時間はきちっと守っていただきたい、定足数もぜひ与党の皆さんできちっと確立をしていただきたい、そのことを委員長にもぜひ申し上げておきたいと思います。よろしくお願いします。

額賀委員長 先ほど言いました。

長島(昭)委員 午前中の質疑をずっと聞いておりまして、あれっと思ったことが一点ありますので、冒頭にまず確認をさせていただきたいと思うんです。

 たしか一昨日の質疑の際に、森大臣の方から、維新の会の山田宏議員の提案、第三者機関を設けたらどうか、それに対して、第三者機関を設けたらどうかというふうな御指摘については謙虚に受けとめさせていただきまして検討させていただきたいと思います、こういう御答弁があって、私も意を強くしたわけでありますが、午前中、岡田副大臣が、この第三者機関の設置について、第三者が判断するのは適当ではないというような御趣旨の、大臣と真っ向から対立するかのような御答弁をなさったので、まさかとは思いますが、一点確認をさせていただきたいと思います。

岡田副大臣 お答えをいたします。

 大臣の発言は、議員から、第三者機関の設置を検討していただきたいとの発言を受け、これを謙虚に受けとめたい旨を申し上げたものと承知しております。

 現在の法案においても、特定秘密の指定は、外部の有識者の意見を反映させた基準に基づいて行うこととすること、特定秘密の指定の有効期間は三十年が原則であるとの基本的考え方のもと、三十年を超える有効期間の延長には内閣の承認を要することとするなど、恣意的な秘密指定を防ぐための重層的な仕組みを設けており、これら仕組みを実際に運用していく中で、どのような対応が可能か、さらに検討を進める必要があるとの認識を示したものと考えております。

長島(昭)委員 今、中身の説明をだらだらと、私たちももうそれはよくわかっている話なんですが、説明をされて、午前中、副大臣が、こういう第三者機関を、こうおっしゃったんですよ、つくるのは適当でないと。これは大臣のお考えとは少し違うんではないですかと伺っているんですが、いかがですか。

岡田副大臣 それは、先ほど答弁をさせていただいたように、第三者機関の設置を検討していただきたいとの発言を受けて、これを謙虚に受けとめたい旨を申し上げたというふうに理解をしています。

長島(昭)委員 謙虚に受けとめるという話じゃなくて、今度は大臣に伺います。

 大臣はこうおっしゃっているんですね。そういう機関を設けたらどうかという御質問については、確かに、謙虚に受けとめさせていただきまして、ここから先が重要なんですよ、検討させていただきたいと思います、こうおっしゃっているんですね。

 謙虚に受けとめるだけじゃないんですよ。これは検討していただかないと、恐らく今、維新の会やみんなの党、我々も、同じような修正をしてほしい、こう考えておりますので、私、こんなことでこだわるつもりはきょうはなかったので、ぜひ大臣の口から、この問題についてのお考えをはっきりといただきたいと思います。

森国務大臣 私の一昨日の答弁のとおりでございます。私、一昨日、山田委員から御質問を受けて、行政内部の第三者機関につきましては、山田委員の御意見を謙虚に受けとめ検討させていただきたい旨、申し上げました。今お読みになった議事録にもそのように書いてあると思います。

 ですから、私は、行政機関内部の第三者機関、これは米国等にもございますということを山田委員からも例示を挙げられました。米国の公文書館の中に、大統領が指名に関与する方が秘密の監督をするというような機関がございます。そのような行政機関内部の第三者機関については、その御意見を謙虚に受けとめて検討させていただきたい旨、申し上げたものでございます。

長島(昭)委員 ぜひきょうは、そういう御答弁を、柔軟な御答弁を期待しておりますので、よろしくお願いいたします。

 私も、冒頭、何か突っかかったような質問をさせていただきましたけれども、およそ主権国家である限り、国家の存立にかかわるような事案、あるいは国家の安全保障にかかわるような情報、そういう特別な保護のもとに置かれるべき秘密情報というものは当然ある、当然必要である、そして、そういうものが漏えいしないような仕組みをきちっと整備していく、そのための法律をつくっていく、このことについては、先ほど、誰よりもこの法案に対して重視しているというふうに大臣おっしゃっておられましたが、私も、野党という立場でありますけれども、こういった法律が、法体系がこの国に必要であるということについては、人後に落ちないつもりでおります。

 その上で、私は、やはりよりよい制度というものを追求すべきである、立法府として、よりよい制度を、今ある環境の中で最もベストな案をつくっていく必要がある、それは大臣も同じ理解を共有していただいているというふうに思っております。

 私はここで、口幅ったい言い方ではありますけれども、全国民の代表として、大臣に御質問をきょうはさせていただきたいと思っています。党派的な利害とか、あるいは私個人の信念とか、そういうところは一旦脇に置いて、国民の皆さんが懸念をしておられる内容、あるいはこういう制度の方がいいんじゃないかというような、外国の事例なんかもきょうは少し紹介をさせていただきながら、まさに今の第三者機関の問題はその一番のポイント中のポイントであるんですけれども、そういった議論といいますか、一緒に考えていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 そういう中で、私は、本当に大臣、この間よく誠実に御答弁なさってこられたと思っているんです。

 これは、もとはといえば一九八〇年代の、廃案になりました、自由民主党の政権のもとで出された、最終的には議員立法で出されましたけれども、国家機密保護法、いわゆるスパイ防止法ですね、それ以来の、ある意味でいうと自民党政権にとっては宿命的な、宿願のような法律案だと私は思っているんです。

 ですから、そういう意味でいうと、この問題にすごくかかわりのあった、きょうはお見えではありませんけれども、町村先生あたりが特命大臣になられるのかなと思っておったんですけれども、しかし、それを森大臣が一身に背負ってここで答弁をされておられること、私は敬意を表したいと思います。

 が、ともすれば、この法案を何とか通過させたい、何とか無傷で守り抜きたい、そういう意識が結構見え隠れしておりますので、きょうは、そういうことももちろん職責ですから大事だと思いますけれども、よりよい制度をどうやってつくっていくか、そういう観点で、ぜひ柔軟な御答弁をいただきたいというふうに思っております。

 そういう意味で、私は、きのうの参考人の皆様方のお話というのは大変参考に、まさに参考になりました。

 特に、元共同通信の記者をやっておられた、ワシントン支局長もやっておられた春名参考人のお話は非常に含蓄がありまして、民主主義国家におけるデモクラシーとシークレシー、そういう話をされました。民主主義の仕組みとそれから秘密主義の制度、この二つをどうバランスさせるか。この二つの間には物すごい緊張関係があるわけでございまして、エドワード・テラーという水爆を考案した方、彼の実験あるいは彼の研究そのものが、もう全てが秘密に包まれているような、そういうところで働かれた方がこう言っているというんですね。秘密は一旦受け入れると中毒になると。

 こういう恣意性という問題、この間ずっと委員から質問がありましたけれども、この恣意性というものを、もちろん行政の長としてしっかりとわきまえて秘密指定をしていく、あるいは解除を行っていく、これも大事なんですけれども、それをどう制度的に、国民の皆さんから安心して見ていただけるように担保するかということが、秘密保護法案というよりは秘密保護法制度全体の大事なポイントだというふうに私は思っているんです。

 大臣、この点、デモクラシーとシークレシー、民主主義と秘密主義との間の緊張関係、もっと言えば秘密保護法制度と情報公開制度との間のバランス、緊張関係、これは所管の大臣として、どういうところに心を置いてこの問題を考えておられるか、ぜひ御意見を伺いたいと思います。

森国務大臣 今、デモクラシーとシークレシーとおっしゃいましたけれども、私は、デモクラシーは全てに及ぶべきだとは思っているんです。

 守らなければならない国家機密も、究極を言えば、これは国民のものだと思います。国民の情報だと思います。それを、国民のためだからこそ秘密にするというその要請、国民の命の安全と国家の存立、これを守らなければならないという要請と、しかし、行政権の行使に関する情報は、その主権者たる国民に原則として全て知らされるべきである、国民は何がこの国で行われているかは全て知らなければいけないという、その二つの要請。それはどちらも国民のための要請でございますので、その二つのバランスというのが非常に悩ましく、難しいものでございます。

 ですから、私は、大まかな原案ができてから担当大臣としてお預かりをさせていただきましたが、その後、パブコメに寄せられた御意見やさまざまな御懸念に対応をして、初めて、知る権利という言葉も条文の中に規定をさせていただきましたし、三十年のときに内閣の承認が必要であるということも盛り込ませていただきました。

 さまざまな秘密の保全と知る権利のバランスをどこにとるかというのは、これはもう政策論であると思いますが、それを追求してきたつもりでございます。

長島(昭)委員 ありがとうございました。

 国家国民の安全保障、これも大変重要な公益ですね。それとともに、国民の情報に対するアクセスする権利というもの、この二つのバランスは大変大事なんです。

 この秘密保護法案は、どちらかというと、国家国民の安全保障、こういうところにかなり重きを置いた法案になっているんです。だから、きょうは、民主党の法案提出者、情報公開法の改正案の提出者の枝野さんにも来ていただきましたけれども、私たちは、秘密保護法制度というのは、単に秘密保護法だけあればいい、あるいは防衛秘密の規定さえあればいいわけではなくて、ざっくり言うと四つぐらいの体系に分かれると思うんですよ。

 一つは、刑事罰をもって秘密を保全するという仕組みですね。それからもう一つは、情報の開示、不開示の仕組み、これはまさに情報公開法。それから、公文書の管理、これをどうやっていくか、こういう法体系。そして、きょう私がこれから詳しくお聞きしたいと思いますけれども、秘密の指定と解除。この四つぐらいの柱が私はあるんだろうと思っているんです。

 そこで、民主党の法案提出者の枝野さんに伺いたいんです。

 今、森大臣の方からも、その二つの公益、大事な公益のバランス調整に、ある意味では悩んで、悩みながら、この法案を少し修正しながら出させてもらった、こういう話がありましたけれども、ぜひ、民主党の理念も含めて、枝野さんの方から、情報公開法案を一緒にこの特別委員会で並行審議してほしい、そういうふうに私たちは要求したわけですけれども、その辺の背景にあるような理念について、ぜひ伺いたいと思います。よろしくお願いします。

枝野議員 政府、行政機関の持つ情報は、たまたま、選挙という仕組みや公務員試験という仕組みを通じて、今行政を預かっている人たちが持っているわけですけれども、これは、国民主権の我が国においては、本来国民の共有財産であって、全ての人が全ての情報にアクセスされるというのが本来の姿である。また、我が国は代表民主制をとっておりますから、有権者として、政治行政に対して適切な判断、評価に基づいて一票を投じていただくためには、行政が何を行っているのかということについて、本来であれば、有権者は全てを知って判断をするという権利が確保されなければならない。この国民主権そして民主主義、どちらの意味からも、本来、行政の持っている全ての情報は、全て公開されるべきものである。

 その一方で、現実の国際関係や社会の状況を踏まえたときには、全ての情報を公開してしまった場合には、むしろ国民の利益を害する、大きく損なうおそれのある情報も存在することは間違いない。

 そうした場合において、特に情報の保全をさらに徹底する必要性があるのだという前提に立つならば、まずは情報公開の方を最大限行う、そして、その情報公開がどうしてもできないものの中で特に重要なものが特別の保護を受ける、こういう形にしなければ、秘密の範囲が恣意的に拡大をされるのではないかという、本来の情報の持ち主である国民の皆さんの疑念を払拭することはできないであろうというふうに考えております。

 もちろん、情報公開の手続を最大限行うためには、行政においても、午前中の質疑では裁判所についても御指摘がありましたが、いろいろ手間はかかります。しかし、情報を保全する上でもさまざまなコスト、行政コスト、お金がかかるということは、この委員会でも質疑されているのを承知しております。保護をするための、ある意味ではコストの一部とも言えるかもしれません。

 徹底して公開できるものは公開をする。その中で、過大に指定はされていないんだよなということについての安心感を国民の皆さんに持っていただく。そのとき初めて、その中の特に重要な秘密について特別な保護を与えるということについての国民の理解が得られるのではないか。

 こうした考え方から、秘密保護についての重いペナルティーを科すような法整備を行うのであれば、それに先行して情報公開を徹底させる必要が不可欠である、こんなふうに考えているものであります。

長島(昭)委員 今、お二人の見解を聞いていただいたと思います。ぜひ与党の委員の皆さんにも、この二つの公益のバランス、しかも、私どもからは、まず情報公開の制度、仕組みというものを徹底させた上で、その例外として秘密保護の法制度を、こういうプライオリティーについての意見表明がありましたので、ぜひそこはお酌み取りをいただいて、お考えをいただきたい、このことを申し上げておきたいというふうに思います。

 ただ、一点申し上げると、目的は同じですから。目的は、今、枝野さんの御答弁にもありましたように、国家である以上、そういう秘密、特定の秘密というものが出てくるのは理解として共有されている、こういうことでございます。

 その上で、細かい点に入る前に、少し伺いたいんです。

 先ほど私、一九八五年の国家秘密保護法案、廃案になったこの法案についてちょっと触れました。スパイ天国と言われ、当時、中曽根政権だったと思いますけれども、今ももちろん外国との情報共有は大事だという御説明は何度も受けておりますが、当時だって、冷戦の激化する中で、私は、当時の国家指導者も大変この問題については悩んだんだろうというふうに思うんですが、そのときに、これが廃案になってしまった。この廃案になった理由と、そして、そこから得た教訓、そして、その教訓を今回どうこの法案づくりに生かしてこられたかということを、まず伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案は、自民党において検討が行われ、昭和六十年に国会に提出されましたが、廃案になったものと承知しております。同法案につきましては、当時、対象となる秘密の範囲が不明確である、処罰対象に一般人が広く含まれるおそれがある、罰則が死刑や無期懲役を含み重過ぎるなどの指摘があったものと承知しています。

 一方、本法案におきましては、特定秘密の漏えいを根本から防止することを基本的な考え方としておりまして、外国のために秘密を探知しまたは収集するといったスパイ活動そのものを防止することを目的とするスパイ防止法案とはアプローチが異なり、その内容につきましても、法律の別表に限定列挙された事項に関する情報に限って特定秘密に指定するなど、秘密の範囲を法律上可能な限り明確化する、あるいは処罰の範囲を必要最小限に抑え、また、死刑や無期懲役といった罰則を設けないなどの相違点がございます。

長島(昭)委員 ぜひ、なるべく大臣に答えていただきたいと思うんですが。

 枝野さんは、もう結構です。

 もう一つ、二〇〇一年に九・一一のテロがありました。今回もテロに関する類型の中にありますけれども、あのときこそ国際テロリズムに対する対応が必要だったはずなんですね。

 あのときは、テロ特措法、中谷大臣が非常に御苦労なさいましたけれども、テロ特措法の審議と同時並行で、自衛隊法の改正案で防衛秘密を設定したわけでありますが、立法事実としては、あのときこそ、まさに、防衛秘密のみならず、テロや、スパイももちろんそうでしょうけれども、そういう分野における立法というのがなされてしかるべきだったというふうに思うんですけれども、あれ以来、今日まで約十年以上たっているわけです。十二年たっている。

 なぜ、あのときもっと真剣に政府としてそういう試みがなされずに、今日にまで至ってしまったのか、この辺の経緯、大臣から御説明いただきたいと思います。

森国務大臣 九・一一テロの直後は、大変緊張状態が高まって、同じような事態が我が国内でも起きるおそれというのは大きかったと思いますし、私は、九・一一の後、ワシントンDCのすぐ近く、郊外におりましたけれども、そこに住んでおる日本人は、常に大使館から、テロ危険レベル、これがホワイトからイエロー、イエローからオレンジに刻々と上がってくる中で、非常に不安な日々を過ごしていたわけでございます。

 私は、九・一一テロの直後、そういった立法事実がありながら、秘密保全に関する法制度の立法がおくれてしまったという御指摘については、政府として真摯に受けとめなければならないと思います。

長島(昭)委員 そこで、具体的な質問に移りたいと思います。

 さっきのデモクラシーとシークレシーの話、枝野さんはもういませんけれども、枝野さんの方から、全ての国民が全ての情報にアクセスできるというようにすべきだ、まずこれが大原則だ、公開が大原則なんだと。

 ということでいうと、きのうの春名さんはこう言っていましたね。可能な限り民主主義を守るんだ、可能な限り秘密を少なくして、国民の知る権利に応えるべきだと。そのためには三つある、一つは、可能な限り秘密指定文書の数を抑制するべき、そして、可能な限り秘密を削減すべき、そして三つ目は、秘密指定基準を透明化すべきだ。

 この三つが、きのう聞いていて、非常になるほどと。そのような法案になっているのかどうかというのを、ちょっとこれから確認させていただきたいと思うのであります。

 まず一つは、政府が特定秘密の基準を定めるわけでありますが、この基準がそもそも恣意的なものにならないか。この点について、これはるる御答弁いただいておりますが、有識者から意見を聞いて政府が決めることになっていると。しかし、有識者の人選も政府が行うことになるということであって、国民から見て、ああ、なるほど、この基準は正当なものだ、適正なものだという制度的担保は一体どこで得たらいいのか、御答弁いただきたいと思います。

森国務大臣 秘密指定というのは限定列挙をしております。それが法律にまず規定をされております。そして、その規定に、さらに有識者の御意見を聞いて基準を定めていきます。そして、その基準は国民に明らかにされます。

 そのような中で、しっかりと、秘密が不用意に拡大しないように、秘密を少なくすると先ほどおっしゃいましたが、その要請に応えているものと思っております。

長島(昭)委員 確認ですけれども、この基準は公表するということでよろしいですね。(森国務大臣「はい」と呼ぶ)

 その上でですけれども、確かに基準は公表された、そして、秘密が次々に指定される。この政府が決めた基準、有識者に意見を聞いて決めた基準、これの妥当性というものは一体誰が判断するんですか。

森国務大臣 それは、秘密を指定する行政機関の長が判断することになります。

長島(昭)委員 ここなんですね。秘密を指定したいと思っている行政府の長が、有識者に意見を聞いてつくった基準に基づいて秘密の指定をするんだけれども、その基準については、その妥当性については、秘密を指定したいと思っている行政府の長が判断する。

 国民から見ていると、やはりお手盛りじゃないだろうかという不安は、懸念は拭えないんですね。これをどう解消していくかというのは、私、実はこの法案の大変な、大事な肝だというふうに思っているんです。

 それで、この基準の見直しについてはどのようになされるのか。そして、その結果についてもやはり公表されることになると思いますけれども、基準を決める、そして基準の見直し、これはどういう手続でなされるんでしょうか。

森国務大臣 基準の見直しについても、有識者の会議においてすることを予定しております。そして、有識者の会議は定期的に開かれまして、その内容も定期的に国民に公表することを予定しております。

長島(昭)委員 これはつまり、国民に公表すればいいという話なんですよ。公表したことについて、国民からいろいろな意見が出るかもしれませんね。そういう今後の改善の意見や、あるいは有識者からの意見を聞くということになっていますけれども、そういうことを聞いて、それ以降は、さまざま、その基準について是正をしていこう、こういう意図でしょうか。

森国務大臣 はい、そのとおりでございます。

長島(昭)委員 そこで、今度は、その基準に基づいて秘密が指定されます。その秘密指定が基準にかなったものであるのかどうかというのは、恐らくこの法案では行政府の長が判断をすることになるんだろうと思っています。

 ここで第三者機関の重要性というのが出てくると思うんですけれども、やはり、機密を指定する行政庁のトップの目だけではなく、第三者的な機関がそこに介在をして、例えばアメリカのシステムのように、省庁間の機密指定を審査する委員会というものを設けて、機密審査請求があった場合には省庁横断的につくられた合議体がきちっと裁決をする。

 こういうような仕組みというものは、国民から見て、確かに行政府の長は基準に基づいて適正にやるおつもりでしょう、しっかりそういう努力をするつもりだと思いますよ。しかし、それを制度的に国民に見える形で担保するような仕組みがあれば、より政府の秘密指定行為の正当性、適正性というのは高まると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

森国務大臣 アメリカの制度を御指摘いただきましたけれども、この省庁間上訴委員会というものは、関係行政機関の長が指名した者によって構成され、委員長は大統領が指名する者となっておると承知をしております。

 この秘密の指定というものは、やはり専門的な、行政的な見地から定めることが要請をされますので、行政機関の長が指定をし、そして五年ごとに、これは同一人物である可能性は大変低いと思いますが、五年以内の有効期間ごとに、また行政機関の長がそこの更新をチェックするものとしたものであります。そして、三十年たったときに、内閣、つまり合議体の承認を得た場合に限り延長ができるものとしたものでありまして、行政機関内部の恣意性の排除に配慮してあるものと考えております。

長島(昭)委員 重層的な仕組みをつくっているというのは、もう再三大臣から説明を受けているわけですけれども、それに加えて、やはり、行政の中でいいですよ、別に外につくる必要は必ずしもないと私は思っている、アメリカだってそうだし、諸外国を見てもそうですよ。アメリカも、国立公文書館の中に秘密保全監察局というのがあって、そこが恒常的に秘密の指定について監督を行っているわけであります。

 加えて言うならば、機密解除請求もできる。こういう機密について、もう役割を終えたんだから秘密を解除した方がいいのではないかということも請求することができる。かなり大きな権限だと私は思いますし、現に、二〇一〇年のデータしか、私、手元にありませんけれども、二百十二件、そういう請求に基づいて審査した結果、秘密を解除することにつながった情報があるんですね。

 これはかなり私は有効な手だてだというふうに思っておりますので、法案の修正、これからそういう協議がなされていくんでありましょうから、与党の先生方にも、ぜひ、ここはこの修正の肝でもあると私は思いますので、お考えをいただきたいというふうに思っております。

 その上で、さっき星野委員が、三十年を超えて、その情報はどうなるのかという質問をされました。そして、鈴木審議官が、それは五年ごとに延長していく。三十年で内閣の承認、そして、それ以降、また五年ごとにそういう審査があるんだ、こういうことだから原則公開ではないかというお話で、かなり皆さんもうなずいておられたんですけれども。

 法案の四条を見ると、法案の四条の三項、「行政機関の長は、前項の規定により指定の有効期間を延長しようとする場合において、当該延長後の指定の有効期間が通じて三十年を超えることとなるときは、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務を全うする観点に立っても、なお当該指定に係る情報を公にしないことが現に我が国及び国民の安全を確保するためにやむを得ないものであることについて、その理由を示して、内閣の承認を得なければならない。」

 これは、この条文だけ見ると、その理由を、内閣に承認を求めるために示すだけでいいように書いてあるので、さっき、そのタイミングごとに国民からの監視にさらされてプレッシャーがかかるという話がありましたけれども、我々国民は、何が秘密に指定されているかもわからない、どの秘密についてこういう手続を踏まれているかもわからない、最終的に内閣の承認がどういう形でおりたかということもわからないのであれば、プレッシャーなんかかからないんですよ。これで公開原則だから大丈夫だと言われても、すとんと落ちないんですよ。

 これは、こういう場合にはどういう理由で三十年をさらに延長するかということを、内閣の承認を得る際に公表するというようなお考えはあるんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 公表することを予定しております。

長島(昭)委員 公表する。これは大きな、かなり重要な答弁だというふうに思います。

 ただ、しかし、その結果だけ公表されても、当然この四類型に入っていますよというような、かなり抽象的な公表になるんだろうと私は思うんです。

 それまでの三十年間、今四十万件と言われている秘密が、五年、五年、五年で刻まれて、三十年たつ。四十万件が三十年たってどのくらいになっているかという途中経過が我々わからなかったら、少なくとも件数ぐらいは明らかにしていなければ。しかし、件数が明らかになったって、その間に削られたものもあれば、またふえるものもありますから、途中、何か年次報告みたいなものを出してもらわないと、三十年たったから、内閣の承認がおりましたから、こういう理由で延長させてくださいと公表されても、私は、この指定の適正性というものを担保されることにはならないと思うんですが、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 三十年に至らない場合におきましても、指定の状況につきまして、件数等を定期的に公表したいと考えております。

長島(昭)委員 もうちょっと大きな声で言ってほしいんですね。定期的に報告をしたいと。なるほど、それも大事、私は本当にそこは実行していただきたいというふうに思っております。

 またアメリカの話で恐縮ですけれども、アメリカは、オバマ大統領が、国立公文書館の中に国家機密解除センターというのを、二〇一〇年、新設いたしました。

 ここは、公文書管理官、これが公文書館の館長でありますが、公文書管理官が、アメリカの場合は二十五年の自動機密解除期間がありますけれども、これを経過した文書及び自動機密解除の例外とされた膨大な文書を対象に、ここが大事なんです、一般市民や研究者の関心と機密解除の蓋然性を考慮した上で、機密解除行為に優先順位をつける、そういう義務を負っている。そういうセンターをつくって、そのセンターの初代のセンター長は元CIAの高官だ、こういう二重、三重、四重、五重のチェックというものを平素からきかせているわけであります。

 ぜひ、第三者機関の話、大臣は非常に積極的だというふうに私はお見受けしておりますので、何としても、こういう修正あるいは改善、よりよい制度に向けての制度改革を不断に行っていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

森国務大臣 米国におけるそういったシステムは行政機関内部のものと承知しておりますけれども、本法案も、これまで工夫もしてきておりましたのは、米国においては、原則十年、そして例外的には二十五年という有効期限になっておりますが、本法案においては五年という短い期限にいたしまして、そのたびごとに行政機関の長がチェックをするというシステムにしたわけでございます。そして、それが同一人物である可能性が少ないわけでございますので、その時々に、行政機関の長が責任を持って、しっかりと恣意性の排除についてもチェックをしていくというシステムになっていることは御理解をいただきたいと思います。

 委員の御意見については、真摯に受けとめさせていただきたいと思います。

長島(昭)委員 大臣も、おわかりになってそういう御答弁をされていると思いますが、秘密を指定する行政機関の長が五年ごとに審査しても、我々からすると、結局、指定した人が審査しているわけですから、やはり専門性の高い人たちが角度を変えてこれをチェックするという仕組み、これは私は必須だと思いますので、ぜひ積極的に御検討いただきたいというふうに思います。

 最後、もう残り五分を切りましたので、立法府との関係にちょっと視点を移したいというふうに思います。

 私どもは、主権者国民から直接選ばれてきた国会議員、それによって構成される国権の最高機関でありますので、基本的には、いかなる情報、政府が持っているいかなる行政情報でも、これは御提供いただかなければならないわけでありまして、そうしなければ、全国民の代表としての責務を果たすことができない。ここは大臣も御理解いただいているものと思っております。

 そこで、国会法の百四条、これは桜内委員も先日質問されていましたが、百四条の第一項にこう書いてあります。「各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、」ここからが重要です、「その求めに応じなければならない。」これが大原則なんです。いかなる理由があろうとも、この求めには応じなければならないわけです。これに比べて、何度も何人も質問しておりますが、この法案の第十条、「行政機関の長は、次に掲げる場合に限り、」つまり、国会への提供という場合に限り、「特定秘密を提供することができる。」

 百四条の規定は「その求めに応じなければならない。」となっているのに、この法案では「提供することができる。」つまりは、依然として裁量権が行政府の方に残されているような規定ぶりになっているんですが、思い切ってここを変えようという御意思はございませんか。国会法の百四条に合わせよう、そういうおつもりはありませんか。

森国務大臣 これについては、これまでも御答弁をさせていただいておりますが、国会に対しては、十条の一項一号のイに書いてありまして、通常、国会内で保護措置を講じていただきましたら、原則として提供するものと解釈をしております。それは、サードパーティールールなどの極めて例外的な場合を除いて、原則として提供するというふうに答弁をさせていただいております。

 十条の柱書きにおきましては、国会以外の場合もございますので、例えば一項のところを見ていただきますと、「次に掲げる業務又は公益上特に必要があると認められるこれらに準ずる業務」というものも含まれておりますので、できる規定にしております。

長島(昭)委員 いや、それならば、条文を分ければいいじゃないですか。国会にかかわる条文については、国会法百四条の大原則に従うような規定ぶりにすればいいじゃないですか。いかがですか。

森国務大臣 これまで国会答弁で、国会については、国会の最高機関としての地位に配慮して、これは求めがあれば原則として提供する旨、答弁をしておりますので、そのように解釈、運用されるものと思っております。

長島(昭)委員 大臣の答弁をなさるそういう姿勢は、私も評価しているんですよ。しかし、やはり条文は大きいですからね。これは重いですよ。だって、同じ法律、法体系の中で、国会法百四条では義務規定になっていて、こちらの、今回の法案について、裁量権がまだ行政府に残されているかのような表現になっているというのは、これは誰が見たって整合性がないじゃないですか。

 しかも、大臣、これも再三答弁されているんですけれども、後で出てくる、いわゆる保護措置ですね、政令で定める保護措置。これは桜内議員への答弁をちょっと読ませていただきます、十一月十一日。この保護措置を講じた場合には、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがなくなったというふうに解釈をいたしますと。

 これもちょっと私はおかしいと思っているんですよ、法律の読み方として。だって、「政令で定める措置を講じ、かつ、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき。」でしょう。保護措置を講じてもなお、「かつ、」ということはアンドですからね、なお、国家の安全保障に著しい支障を来せば、出さないということもあり得るということじゃないですか。

 はっきり答えてください、ここは。大事ですから。

森国務大臣 今までの答弁でも、そこの部分も御答弁させていただいておりますが、保護措置を定めたときには、原則として御提供をするというふうに解釈をしております。

 先ほども申し上げましたとおり、原則としてというふうに述べているのは、サードパーティールールのような、第三者にこれは提供しないでくださいということで受け取った場合には、その提供者、また提供者が例えば外国である場合、これは内閣限りにしてくださいというようなことがもし万が一あった場合は、その場合は例外的に、この「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれ」というのに当たると思いますので、その場合は提供しないこともあるというふうに今までも述べさせていただいております。

 ただし、外国から提供を受けるときに、国会にさえ、その秘密会にさえ提供することがいけないというふうな限定をされるということは、極めて、本当にまれな場合だと思いますので、そういう場合に限られますというふうに御答弁させていただいております。

長島(昭)委員 いずれにしても、この国会法とのそごの問題は今後とも残ると思いますので、私の同僚議員が今後質問をしていくと思いますが、最後に一言だけ。

 秘密指定をするのが、指定と解除が行政庁の長に独占されている状態というのは、私はよくないと思っているんです。これをやはり複線化していく。いろいろな仕組みをつくっていって、この指定と解除の適正性というものを担保できるようなそういう制度、よりよい制度を目指して、ぜひ大臣に頑張ってもらいたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。

額賀委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 おとといの質疑で、この法案がなぜ必要なのか、つまり、今の制度設計の中で不十分な部分はどこであるのか、逆に、この法律が施行されたらその不十分な部分はきちんとよくなるのか、これについて、具体的な答弁がほとんど示されませんでした。

 特に、この法律の必要性というのは主に二点。外国との情報共有の促進と情報漏えいの防止、この二つが実質的な目的であるということについては共有をさせていただきましたが、ちょっとおとといの話を振り返りますと、アルジェリアのテロ事件のようなものが将来発生した場合に、この法案がある、ないで差があるかと聞いたら、これは具体的に答えがありませんでした。外国から、現在の秘密保護体制では渡せないけれども、この法案が通った後なら渡せる、そんなような話があるんですかということについては、お答えできないということでした。

 現行の、アメリカ、NATO、フランス、オーストラリアと結んでいる情報保護協定は、これは同等の保護のための適正措置を求められておりますけれども、防衛大臣から、現行の国内法でこれはきちんと担保されているということを確認されました。すなわち、今の状態で余り問題がないし、この法案ができたとしても、何が変わるかがよくわからない。

 そこで、中谷委員長代理だったんですが、あのときあそこに座っておられたんですけれども、から、外国との情報共有の観点から本法案の具体的な必要性を、森大臣、きちんと説明してくださいと二度促されました。にもかかわらず、結局、御理解いただけないのは大変残念でございますと言っただけでございます。具体的根拠を明確に答弁されませんでした。

 もう一つの論点、情報漏えいの防止、これについても、現在、防衛省、防衛秘密に関して、現在の情報漏えい上不足の部分があるのかという質問に対して、防衛大臣より、現在も万全な体制をとっているという御答弁がありました。そして、五年から十年に罰則の上限が上がることによる抑制効果がどのようにあるんですかと、具体的な根拠をもって示すよう質問したところ、現在も保全体制をとっておりますが、さらに万全な体制にするために罰則規定が強化されることは私は重要なことだと思っております。重要だと思うのは勝手ですが、そこについてはきちんと示されませんでした。さらに聞いても、同じ答弁しかなされませんでした。具体的な根拠は示されませんでした。

 そして、現行の特別管理秘密のどの部分が秘密保護体制において不十分なのか、これについても、そのとき座っておられた中谷委員長代理から、この法律の提案理由ということでございます、森国務大臣、しっかり答えてくださいと念押ししているにもかかわらず、諸外国は法制度でやっている、だからこれも法律にしたいんですというふうに答えるだけで、具体的な理由は示されませんでした。

 さらに、二〇〇〇年以降、公務員の情報漏えいで有罪になった事案は、主な漏えい事案として政府が示されている資料の五件以外にはないということも示されました。一方で、諸外国における公務員の情報漏えい事案はどのぐらいあるんですかということについては調べておらず、量刑は十年にするだとか、クリアランスを法制化するですとか、こういったことは諸外国に合わせるんですという一方で、どのぐらいほかの国で情報漏えいが起きているのかということは調べてさえいない、答弁ができないということが非常によくわかりました。

 森大臣、外国との情報共有、そして漏えい防止という二つの実質的目的は共有します。この二つのそれぞれの実質的な法目的ごとに、現行の制度では不十分ですが、この法案によってなぜ十分になるのか、今までの修飾語の答弁は一切しないで、具体的論拠をもう一度述べてください。

森国務大臣 今るる述べられたことについては、誠実に御答弁を申し上げたつもりでございますので、また議事録等を御確認いただきたいというふうに思います。

 まず、外国との情報共有、また政府内部での情報共有の必要性については御理解いただけるということで今言っていただきましたが、それについて、なぜ現行で不十分なのかというお問いがありました。

 それについては、現行法では、その情報を、特定秘密、または特別管理秘密が現行でございますが、これについては法制度がございませんで、これについては、各省の申し合わせ事項において決められておりまして、各省ごとの基準が必ずしも統一をされておりません。または、法制度上、それが漏えいした場合の処罰規定が諸外国並みのものになっておりません。

 そのような中で、情報を提供しようとする側は、提供した後、それが漏えいされるのではないかということで、その提供をちゅうちょするということがあるというふうに思います。ですので、ここをしっかりと諸外国並みに法制度を高めていく、また、政府内でも情報共有できるようにしっかりと法律で定めておくということが情報共有の上で前提だというふうに思っております。

後藤(祐)委員 具体的論拠として示されたのは、既に前回、私がした答弁のところであります、クリアランスを法的根拠を持たせる形にすると、民間人に対して調査がきちんとできる、そして、信用調査機関など公私の団体に対して調査ができる、ここの部分は法律に格上げする意味があるんです。これは私も共有します。でも、それは前回、私が言ったんです。そこのところしか具体的な根拠は今、示されませんでした。

 ほかにありますか。

森国務大臣 公務所等に問い合わせができる、または民間業者にクリアランスができるというもののほかに、どのような根拠があるかというような御質問でございますけれども、今ほど御答弁を申し上げたとおり、法制度が共通のルールになっていくということ、それが諸外国並みの罰則をもってしっかりと示されるというところがございます。

後藤(祐)委員 ですから、諸外国並みの罰則にする必要性を具体的に聞いているんです。そこを示してください。

森国務大臣 それにつきましても、先ほど御答弁を申し上げましたとおり、諸外国並みの刑罰がありませんと、情報を提供しようとする側ですが、これが、まさに提供した後、漏えいをする危険というものに鑑みまして、情報提供をちゅうちょするということがございます。また、海外と情報共有する場合には、お互いのやはり情報保全が同等のものであるということが前提となっているということがあるというふうに思います。

後藤(祐)委員 同等のものについては、情報保護協定について、今の状態でも問題ないという答弁が前回ございました。

 そして、今、ございますと答弁しましたけれども、本当に各国から、どこか海外の国から、保護法制が緩いから情報を出すことをちゅうちょしている場合がございますと言いましたね。ござるんですか。

森国務大臣 これは前回の委員会でも御答弁を申し上げましたけれども、諸外国から言われてこの法案をつくるわけではございません。必要性に鑑みて、政府としてこの法案を提出するわけでございます。

 諸外国からは、この法案について歓迎する旨の言及をしていただいてはおりますけれども、これについては必要性を政府として認識をしたので政府が提案をした、そういう経緯でございます。

後藤(祐)委員 ございますの答弁がないので、そこは、後で、紙で資料を提出していただくよう。

 そして、先ほどからの答弁には、何ら具体的根拠はありません。もう少し何かあるはずなんですよ。具体的な根拠、海外との情報共有の促進、情報漏えいの防止に関して、今まで具体的な根拠があると、では、国民に判断してもらおうじゃないですか。こんなに具体的に示していますよと、国民に対してわかりやすいものを紙にして出していただくよう、理事会でお取り計らいいただきたいと思います。

額賀委員長 理事会で相談します。

後藤(祐)委員 それでは、各省がばらばらにやっているとおっしゃっておられる適正評価の話ですが、今お手元に、カウンターインテリジェンスの基本方針というものの下に設けられているガイドラインというものをお配りしております。これは各省でやっているクリアランスですね。どういう項目でチェックしているかということが、ほとんど墨塗りですが、項目については書いてあります。

 これについては、各省でこれに基づいて行われておりますクリアランスが、大臣はばらばらだとおっしゃいますが、位置づけはそれぞれでやっていますよ。そして、大臣がやっていたり、官房長がやっていたりしますよ。ですが、調査項目について、このガイドラインとそんなにずれてばらばらにやっているんですか。それは調べた上で一覧表にしたものを届けてくださいと、これは前回の委員会でもそういうふうに申し上げたにもかかわらず、今の時点でも来ておりません。どういうことですか。

 まず、各省でやっている調査項目が、このガイドラインとどれほどばらばらなのかどうか、説明してください。

森国務大臣 前回の委員会で、私は後藤委員の御質問に答えまして、カウンターインテリジェンスの機能強化基本方針に基づく各省のガイドラインでありますとか、そのような基準について、各省庁ばらばらであるというふうに申し上げました。

 そのばらばらの内容は、後藤委員の事務所にお届けをしたと思いますが、例えば、内閣官房では大臣決定でやるけれども内閣法制局は訓令でやる、私が申し上げたのはそういうことでございます。

 そして、管理責任者が、各部長が管理責任者になっているところもあれば、局長級が管理責任者になっているところもございます。さらに、適格性の確認を行う者が大臣になっている省庁もあれば課長になっている省庁もございます。

 このように、私は、各省庁ごとの基準がばらばらであるので、法定でしっかりと定めていく共通ルールが必要であるということを、前回、御答弁申し上げました。

後藤(祐)委員 そんなことを聞いていません。調査項目は各省どうなっているかを聞いているんです。これは明確に通告もしているし、それについて、今、何にも答えていません。

 調査項目について、どうですか。

森国務大臣 前回の委員会では、調査項目ではなく、私は、各省庁がばらばらであるということを申し上げて、その資料はお届けをいたしました。

 調査項目については、今回御通告をいただきましたけれども、きょうお示しをいただいている資料にありますとおり、「特異な言動」というところが異なっております。

後藤(祐)委員 特異な言動が入っていないのは、このガイドラインに比べて、今の特定秘密法案の項目に特異な言動が入っていないだけの話で、各省でやっている調査項目がこのガイドラインとどれほどずれているんですかということを、あなたが答弁するといって事務方から聞いていますよ、答弁してください。

森国務大臣 各省庁の調査項目も、省庁ごとに異なっておりますけれども、一部異なる点がありますが、おおむね同様でございます。

後藤(祐)委員 どこが異なっているのかを聞いているんです。早く答えてくださいよ。

森国務大臣 調査項目については今回御通告をいただきましたけれども、調査項目については、一部異なっているところもございますけれども、その詳細については、この基本指針に含まれるものとなっております。

 細かい点につきましては、公開できるかどうかについて、現在、検討をしているところでございます。

後藤(祐)委員 そうすると、調査項目は各省同じだということですね。ほとんど同じだということですね。どこが違うんですか。

森国務大臣 ほとんど同じでございますが、詳細については異なっている部分もございます。

 前回、私がばらばらであるというふうに申し上げましたのは、先ほどのように、管理責任者でありますとか適性評価をする担当者がばらばらになっております。そういったものを統一することが今回必要であるということで、法定をしたわけでございます。

 調査事項につきましては、異なっている点もございますけれども、その詳細については、公開をできる範囲について、検討中でございます。

後藤(祐)委員 調査項目と、実際調査対象になる人がどうなのかということを資料要求しています。それはちょっと提出してください。委員長、お取り計らいをお願いします。

額賀委員長 理事会で協議をいたします。

後藤(祐)委員 あともう一つ配っておるのは、パブコメの結果なんですね。九万件というパブコメ、九万四百八十件のうち、六万九千五百七十九件が反対、一万一千六百三十二件が賛成、その他が九千二百六十九件というものですが、この二枚以外に、この結果をまとめた資料は存在しないということでございました。

 大臣、これで、九万件の国民の声がどの程度わかるというんですか。もう少し詳しいものを普通つくりませんか。民主党も、約五十件にわたる論点というものをこのたび整理させていただきましたけれども、大臣、この二枚以外に見ましたか、どういう声が国民から上がっているか。

森国務大臣 はい。拝見をさせていただきました。

後藤(祐)委員 具体的にどんなものですか。

森国務大臣 同じ内容のものが大量に寄せられておりました。その内容は、今配っていただいているような内容でございます。

 例えば、賛成の立場からの御意見としては、我が国の安全保障のために秘密を守ることは必要である等々の御意見でございましたし、反対の立場からの御意見については、国民の知る権利や報道の自由が侵害されるのではないかというような御意見をいただいております。

後藤(祐)委員 これは、実は、今回の各範囲を網羅的に書いただけなんですよ。ところが、書いていないところがある。国会に関することはないんですね。国会に関する意見について読みましたか。

森国務大臣 国会に関する御意見については、私が見たときには気がつきませんでした。

後藤(祐)委員 では、読んでいないということですね。今、これだけ国会との関係について議論になっているんですよ。

森国務大臣 パブリックコメントの九万件の全ての中から、国会の意見について見落としてしまったことについては本当に申しわけございませんが、同じような、事務方が取りまとめたものは見ておりますし、同様の国会との関係に対する御意見はさまざま寄せられておりますので、それに対して対処をしたつもりでございます。

後藤(祐)委員 だからこそ、この二枚ではなくて、もう少し詳しいものが必要なんです。九万件をこんな二枚の十八項目にするのではなくて、もう少し……(発言する者あり)例えば国会について書いていないんですよ。どなたですか、今言った人は。もう少し詳しく書いた国民の意見というものをつくって国会に提出していただくよう、委員会に提出していただくよう要請したいと思います。理事会で。

額賀委員長 理事会で相談をします。

後藤(祐)委員 大臣は国民の九万件の声をほとんど見ていないということがよくわかりました。そして、大臣は忙しいから九万件なんか見られない。だからこそ、もう少し詳しいものをちゃんとつくって届けろということなんですよ。これが今の政府の姿勢なんですよ。国民の声をどれだけ聞いているんですか。この二枚しか見ていないということじゃないですか。しっかり国民の声を聞いて進めてください。

 先ほどの国会の話をしましょう。国会との関係について、秘密会のやり方なんかについては政令で定めるんですよね。その政令で定めたルールに実際その国会のやり方が従っているかどうかを、一体、誰が判断するんですか。

森国務大臣 国会に対する御意見については、パブリックコメントに寄せられていたかどうかを精査の上、また委員にお答えをいたしたいと思いますが、私は、パブリックコメントだけではなく、大臣室において日弁連の方とも意見交換をさせていただきましたし、報道機関の代表の方とも意見交換をさせていただきました。

 そういう中で、さまざまな御意見は寄せられてきておりまして、それに対して真摯に検討しておりましたことを、念のため、申し添えさせていただきたいというふうに思います。(後藤(祐)委員「答弁していないですよ。私の質問に答えていないですよ」と呼ぶ)

額賀委員長 もう一度聞いてください。

後藤(祐)委員 ちゃんと聞いてください。国会との関係について、政令で、例えば秘密会についての要件なんかを定めるのかどうか、わからないわけですよ、今の段階だと。政令で定めた要件に国会の秘密会の開き方が合致しているかどうかの判断は、一体、誰がするんですか。ちゃんと聞いていてください。

森国務大臣 保護措置のことをおっしゃっておられると思いますけれども、保護措置については国会の御判断にお任せしたいと思っております。

後藤(祐)委員 政令に合致しているかどうかは国会の判断でいいということですね。

森国務大臣 これはこれまでもこの委員会で御答弁をさせていただいておりますけれども、政令に定める事項というのは、必要最小限のことを定めさせていただきたい。例えば、秘密を知る者の範囲、ここに、柱書きのところに書いてありますけれども、秘密を知る者がどの者とどの者か、その範囲を制限してくださいということを書かせていただきますけれども、その範囲をどのようにするかという具体的なことは、国会の御判断にお任せしたいと思っております。

後藤(祐)委員 それはそれで大事ですが、これで終わりますが、まず、法案の必要性についての資料、クリアランス調査の比較表に関しての資料、パブリックコメントをもう少し詳しくまとめた資料、これらがなければ審議はこれ以上できないと思いますし、国会との関係は、きょうもたくさん議論がありました。そして、いざというときに指定を解除する手続ですとか、こういったものも必要ではないかという議論もございました。また、いろいろな資料が廃棄されるのではないか、公文書管理法の改正の必要性、こんな話もあると思います。

 まだ論点がいろいろあります。ぜひ慎重審議を続けていただくことをお願いして、私の質問を終わります。

額賀委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 同僚議員に続きまして、質問をさせていただきます。

 まず、第二十三条の罰則でございます。第七章「罰則」の二十三条。ここで書かれています、「人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、」云々と。ここに出てくるのは、有線電気通信の傍受、こういうことをやって「特定秘密を取得した者は、十年以下の懲役に処し、」云々とあります。

 この法律の第一条「目的」に書かれているのは、これはもう繰り返しでございます、「高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、」云々とあって、「その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。」

 高度情報通信ネットワーク社会、もう携帯電話も必需品になりまして、ある意味では誰もが持っている中で、機種がどんどん高度化する中、今さまざまな不正アクセスもだんだんできる中で、どうしてこの二十三条には、携帯電話の傍受ということは書かれないで、有線電気通信の傍受ということは書かれているのか。この点について、大臣、理由を御説明ください。

森国務大臣 携帯電話の内容を不法に傍受したときには、本法第二十三条に規定する特定秘密を保有する者の管理を侵害する行為に該当し、処罰対象となり得るものと考えております。

 ただし、特定秘密については、携帯電話を使って伝達するということは想定をしておりませんので、それは申し添えさせていただきます。

渡辺(周)委員 どうしてそう断言できますか。特定秘密に指定されている非常に幅広い中で、例えば携帯電話でメールを送った、やりとりをする、それが特定秘密である場合に、携帯電話で送ることはないと今おっしゃいましたけれども、そう言い切れる根拠は何ですか。

森国務大臣 特定秘密につきましては、行政機関の長がそれを指定しましたときに、その伝達方法も含めて保護措置として定めますので、携帯電話を用いてそれを伝達することがないようにということは定められるものと承知しております。(発言する者あり)

渡辺(周)委員 それは、今、後ろでもありましたが、言おうとしたんですが、携帯電話でやりとりをするな、特定秘密に指定されているものはやらない、あるいはメールの送信などあってはならない、してはならないということを定めるということですか。

森国務大臣 保護措置の中で、その特定秘密の伝達方法を定めるものと承知しております。その中で、携帯電話を使わないということを定めるものと想定しております。

渡辺(周)委員 今、新しい見解が示されたんだと思います。であるならば、それは、「その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為」、ここで読めるということで先ほど御答弁をされたということですね。

 この法律は、確認ですけれども、この特定秘密を取得する、それをする人間という、一番我が国の国益を害して最も利益を得るのはどこかといえば、当然、我が国に対して情報収集をしたいと思う他国であります。他国の例えば公安組織であるとか他国の情報組織が、当然、我が国の情報を一番欲しいといってアクセスしてくる。この法律は、国外においても、外国人においても適用されますね。

鈴木政府参考人 お答えします。

 主体につきましては、外国人も含みます。

 それから、地域につきましては、二十六条で、国外犯についても適用があると規定しております。(渡辺(周)委員「はっきり、第二十六条をもう一回答えてください」と呼ぶ)国外犯においても、日本国外において犯した罪についても適用すると書いてあります。

渡辺(周)委員 大臣、これは書いてあるでしょう、法律に。第二十六条、「第二十二条の罪は、日本国外において同条の罪を犯した者にも適用する。」そして第二項には、「刑法第二条の例に従う。」刑法の第二条は「すべての者の国外犯」「日本国外において次に掲げる罪を犯したすべての者に適用する。」と書いてありますから、国外にあっても、外国人であっても適用されるということですね。

 例えば、では、罪を犯した外国人が、外国にある、某国の日本大使館あるいは国際組織の中にある日本のブース、日本のセクション、それを情報を入手しようとした、あるいはしたという場合には、これは当然、法律家として、この法律が適用されるわけですから、その者もこの対象になる、そういうふうに理解していいですよね。

森国務大臣 外国人が国外において本法に違反する行為をした場合には、適用があります。

渡辺(周)委員 その場合は、日本の法律に基づいて、その者を捕らえ、そして法の裁きを受けさせるということになる。

 そうなれば、ここにある、先ほど罪刑法定主義の話がありました、「その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為」で、書いてないんですよ、携帯電話を例えば傍受した場合。例示はされていないけれども、「その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為」によって、日本国の特定秘密保護法第二十三条により、外国人の方を捕まえる、そういうこともあり得る。そういう認識でよろしいでしょうか。

森国務大臣 不正競争防止法やマイナンバー法におきましても、管理を害する行為に携帯電話の行為が含まれますので、同様の理解で規定しております。

渡辺(周)委員 いや、そうではなくて、その場合は、日本の罪を犯したということで、外国の人間も捕まえることが外国の地にあってもできるということですよね。そういうことですね。その確認なんです。

額賀委員長 鈴木審議官、明確に、明快に答えてください。

鈴木政府参考人 外国で外国人が二十三条の罪を犯した場合については、本条が適用されまして、犯罪が成立します。

 ただ、捜査権については、これは国際法の問題として、国外に及ぶかどうかはまた別の問題でございます。

渡辺(周)委員 そうすると、捜査権や、もっと言えばその先の裁判の管轄権という問題は違ってきますね。

 この法律で大丈夫なんでしょうか。犯した罪が「その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為」に当たったと。だから、やはり書くべきじゃないんですか。いかがですか、この点について。それでも、これで読み取れるから、例えば外国で捜査事案になった場合でも、この文章でも、この法律の文言でも通るというふうに今は理解しているということでよろしいんですか。

鈴木政府参考人 本条の二十三条は刑罰の実体法に関する規定でございますので、手続法とか捜査法はまた別の法体系となろうかと思います。

渡辺(周)委員 ここをぜひちょっと整理してください。

 何で私が携帯電話となぜ例示しないのかにこだわるかは、そもそも第一条の目的に書いてあるわけですよ、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴って危険性が懸念されると。これは有線電話じゃないですよね。高度情報通信ネットワークの発展以前からも、いろいろな形で、盗聴されていたとか、確証は得られませんけれども、そうしたことが日本国内でも行われていた、あるいは他国の施設においてあった。今もこういうことはあると理解をしておりますし、また、そういうことが前提で、在外公館がセキュリティー等をしているということも承知をしております。だからこそ、事が起きた場合に、やはり当然、特定秘密を保有する管理を害する行為というよりも、こういうことをやったら罪に問われると明確に書くべきじゃないかということを私は申し上げているんです。

 もう同じ答弁は要りませんので、このことについて、正式な見解をぜひ次の質問までには出していただきたいと思うんです。

 このことについて、今度は、では実際に、我が国国内じゃなくて、ほかの国における日本の在外公館を初めとして、日本の国際社会の中における組織がこのようなことになった場合のセキュリティーはどうなっているかというのは、改めて、所管する役所の人間、しかるべき方に来ていただいてやりたいと思いますが、そういう問題意識をぜひ今から共有しておいていただきたいと思います。

 さて、あと二問ほど質問をいたします。

 これは通告をいたしましたが、特定秘密に携わった者は、たとえその職から離れることになっても、言ってしまえば、役人が定年退職になって一民間人になった、無職の、ある意味ではリタイアをされた一介の市民となったという場合でも、このことは、この秘密は墓場まで持っていかなければいけないということですね、大臣。

森国務大臣 解除されない限りは、そうなります。

渡辺(周)委員 では、その解除されたということに対して、その者に対して、当時この秘密を知り得た方はこの人たちだというものがあって、実はこれはもう秘密ではなくなりました、解除されました、あなたは重たい荷物をもう持っていなくても大丈夫です、ですから御安心くださいということは、どのようにできますか、大臣。

森国務大臣 指定を解除する際にとる手続として、特定秘密という表示の抹消のほか、特定秘密でなくなった旨、関係者へ周知することを検討しております。

渡辺(周)委員 それは、関係者が例えば住居が移ってもどのようなことになっても、その方の資料はずっと残って、例えば第何号の特定秘密を知り得たのは、これを知っているのはこの人たちだ、この人たちが定年退職をして例えば田舎に帰っても、どこかで、山の中で隠遁生活をするようになっても、ずっとこの人たちのデータは残る、そして、その人たちに対して、官報で公布しているから読んでくださいではなくて、あなたが何年何月のどこの職にいたときに携わって知り得たこの情報は秘密解除がされましたと、それを通知するということですか。

 そうしなければ、その人たちは、逆に言うと、もう解除されたものだろうと思って、どこかで、では自分の死ぬ前に一遍本でも書いて、そのころのことを書いておこうと。あるいは、大学の先生になったりして、協力を求められて、どこかの記者さんにレポートを求められてうっかりしゃべっちゃった。どこかで、その人が墓場まで持っていかなくてもいい、あるいは墓場まで持っていくこと、それをちゃんとその人がいつまでも持っていなければいけないように、あるいはその荷をおろせるような仕組みはどのようにしますか。もう一回聞きます。

森国務大臣 その周知の方法については今後検討してまいりたいと思いますけれども、本などで明らかにしたいと思われる方は問い合わせ等もしてくるだろうというふうに思います。

 いずれにしても、今の国家公務員法でも同様の課題はあるわけでございますけれども、特に特定秘密の場合には重い荷物であるという委員の御指摘もありますので、周知の方法を検討してまいりたいと思います。

渡辺(周)委員 今、問い合わせと言いますが、どこに問い合わせるように念頭に置いていますか。

森国務大臣 問い合わせをするということも含めてその周知方法を検討してまいりたいと思いますが、問い合わせ等をするということに決まった場合には、もちろんその問い合わせ先についてもしっかりと周知をしてまいりたいと思います。

渡辺(周)委員 またこの点については次にもやりたいと思います。

 結びの質問で、最後に一つ。

 いわゆる適性評価を受けて、その結果がいかなるものであったかということについての、何度も聞いていますけれども、結果、情報、これはしかるべきところでしかるべき時期までちゃんと管理すると、この間、大臣も御答弁いただきました。

 これをもうちょっとはっきり、一体いつまで。この適性評価、これは公務員もそうでしょう、いわゆる事業所の人間も入る。他人様の個人情報というものをどこで保管するかということは大事な問題なんですね、人の信用状態まで書いてあるわけですから。

 二つ、ちょっと聞きますね。

 一つは、例えば信用状態が改善された場合。あの人は前に借金があったんだけれども、きれいさっぱり借金がなくなって、もう一回受け直すことができる、それは、例えばもう一度申告を受けたらやり直すことができるのかどうか。もう一つは、先ほど申し上げた個人情報、その適性評価の結果がどうであったかという情報については、一体いつまで、誰がどう保管するか。その点についてお答えください。

森国務大臣 適性評価の結果等でございますけれども、これは、各行政機関の適性評価を実施する部署で、必要な期間、適切に保管することとしてまいりたいと思います。その保管のルールについては、有識者等の御意見も伺った上で、今後定める基準の中で明らかにしてまいりたいと思います。

渡辺(周)委員 やはりそこはちゃんとしないと、この法律に書かれてあるように、人事考課等で不利益な扱いはされないと言っているんですけれども、これはずっと残るわけですよ、そのことについて。その点についてどうなのか。

 それから、まだお答えはしていませんけれども、もう一度、例えば適性を欠くというふうに評価された、しかし、それが改善された場合、過去は消せません、現状で例えば信用、経済状況について改善が見られたとなった場合は、もう一度申告をすれば適性評価を受けることはできるということでよろしいんですか。それはお答えがなかったので、再度伺います。

森国務大臣 まず、一点目の御質問でございますが、適性評価の結果をいつまで保管するか、その保管期間については、今後、有識者の御意見等も伺った上で、適切な期間というものの基準を定めてまいりたいというふうに思います。

 二点目の御質問でございますけれども、信用状況が変わった場合でございますね。(渡辺(周)委員「信用状況に限らずだけれども」と呼ぶ)信用状況に限らず状況が変わった場合に、また申請して適性評価を受けることができるかという御質問でございますが、その適性評価の再申請等についても、今後、基準の中で明らかにしてまいりたいと思います。

渡辺(周)委員 しかし、今も聞いていると、これからの運用基準の話に委ねられている。これではまだ全然、私どもが懸念をしている幾つかの疑問点は氷解していない。まだまだ質疑が必要だということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

額賀委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 日本維新の会の小熊慎司です。

 まず初めに、何点か確認から入りたいと思いますけれども、これまでの質疑の中でも、原子力発電所また原発事故にかかわる情報のあり方について幾つか確認はされてきました。SPEEDI等の避難にかかわる情報というのは特定秘密に入らないという確認はとれているところでもありますけれども、また一方で、原子力発電所の警察等の警備については、これが含まれるのではないかというようなことも確認をされております。

 そこで、まず初めに、原子力発電所の警察等の警備についての現況をお伺いいたします。

種谷政府参考人 お答えいたします。

 警察では、全国の原子力発電所に、サブマシンガンやライフル銃、防爆、防弾仕様の車両等を装備した銃器対策部隊を常駐させて、海上保安庁とも連携しつつ、二十四時間体制で警戒に当たっており、さらに、情勢が切迫したときには銃器対策部隊を増強、派遣するほか、高度な制圧能力と機動力を有する特殊部隊を、いわゆるSATでございますが、迅速に投入することとしているところでございます。

 また、平成二十三年三月の福島第一原子力発電所の事故により、その脆弱性が明らかになったことを踏まえまして、これまで、人的体制の充実、装備資機材の整備拡充、警戒要領の見直し等、テロ対策の強化を図ってきているところでございます。

 警察としては、引き続き、関係省庁、事業者等とも連携し、各種訓練の実施や警備体制の強化等を図り、原子力発電所の警戒警備に万全を期してまいる所存でございます。

小熊委員 再度確認しますが、常駐というのは、原発施設内に常駐ということでよろしいですか。

種谷政府参考人 具体的な警備方法につきましては明らかにできないところもございますけれども、原発の施設について、二十四時間、警戒警備に当たっているというところでございます。

小熊委員 三月十一日から少し変わったというのは承知しているところですけれども、私も何回か施設内、事故が起きる前も事故が起きた後も何度か訪れていますが、基本的には電力会社が契約をした警備会社の方が現場にいて。九・一一以降も、テロ対策ということで各都道府県警が対策をとったと。私、しっかり調べているわけではありませんが、やっていたところは、そういう施設の周辺をパトロールしたりテロに注意という看板を設置したりするのが関の山で、基本的にそういう部隊が常駐をしているという状況ではないんですよね。もう一度確認をさせてください。

種谷政府参考人 お答えいたします。

 九・一一以降につきましては、現在のような増強した形ではございませんけれども、警戒警備を実施してきております。

 先ほど申し上げましたように、三・一一以後、さらに強化をしてまいったということでございまして、具体的な警戒方法につきましてはお話しすることはできませんけれども、事業者の委託している警備員等と十分連携をとりながら、警察も万全の警戒警備に当たっているというふうに御理解をいただきたいと思います。

小熊委員 これは架空の話なんですが、フィクションですけれども、テロリストが原発施設を制圧するという小説が十年ぐらい前に出ているんですけれども、そのとき、これはやはりよくないなと思って、人的にきちっと施設をどう警備していくかということは非常に重要だなというふうに思っているんですね。

 これはテロにかかわることですから特定秘密に当たると私も思いますけれども、それは何のためかといえば、テロから原発施設を守って国民の安全を守るということなんです。詳しく述べることは、それはばらしちゃいけない、秘密をばらすことになりますから私も具体的には踏み込みませんけれども、一方で、警察の部分だけではなくて、そういう民間警備会社の方が私は比率は多いと思うんですね、実際の警備に当たっている現場は。

 事故の起きた福島の原発にもこの間も行ってきましたけれども、それはそうですよ。あそこの装備も、私、県会議員時代に装甲車みたいなものを見ましたけれども、ではそれを今すぐ動かせるのかといったらそんな態勢ではなかったですし、そういう意味では、国民のための法案できちっと秘密を守っていきますと言いながら、実態はその一部だけで、本当に安全というのが担保されていないというところが私は問題だなというふうに思っているんですね。

 となると、この法案が特定の秘密を守るというブレーキとして足りていない部分もある。あと、余計に働いちゃっている部分もあるというふうな指摘はさんざんこの委員会で出ていますけれども、一方で、これで、特定秘密を守ることによってテロ対策になっているんだと言えていないんじゃないかなというふうに思っているから、この質問をしているんですけれども、再度御見解をお願いいたします。

種谷政府参考人 先ほどから申し上げましたように、具体的な警戒警備の方法についてはここで答弁することはできませんが、もちろん、警察だけではなく、当然、事業者とそれから原子力規制庁も含めまして、関係機関と十分連携をとりながら、全体として万全な警戒警備に当たっているというふうに御理解をいただきたいと思います。

小熊委員 そういう意味では、警察の警備だけではなくて、民間の警備会社も含めて、この法案ではそこまでは規定はしていないんですけれども、そういうことも含めて、この秘密、情報というのはどうあるべきかというのは、もう少し踏み込む。これは、私は、厳しくしていかなきゃいけないという観点からこの件については言っていますけれども、これは警察だけの情報ではなくて、民間会社側の、電力会社側の情報も、しっかり国として国民の安全のためにグリップをしていかなきゃいけない実は分野であろうかというふうに思っています。

 また一方で、テロ活動防止の観点から特定秘密に指定はされるんだけれども、その指定の仕方が明確に理解をされていないというところがやはり広くなっているというふうに思っています。

 そこで、この警備以外で、原発事故時、そういったケースも含めて、特定秘密に当たるというものはどういうものが今想定されるか、お答えください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 原発に関しましては、先生御指摘のように、原発の警備のための警察の具体的な配備状況については特定秘密に該当しますが、現時点では、それ以外の情報については想定しておりません。

小熊委員 もし有事の際、いろいろな混乱が生じますけれども、テロ対策の情報と、住民の避難の、誘導しなきゃいけないというところが重なったりしたときに、その情報はどう取り扱いますか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 住民の避難に必要な情報は、特段の秘匿の必要性が認められませんので、特定秘密の指定の対象となりません。

小熊委員 これは、そのときの判断する長というのは誰に当たりますか。

鈴木政府参考人 その情報を保有している行政機関の長が判断いたします。

小熊委員 この件については、森大臣と私も福島県で、大臣が、SPEEDIの話についてはもうさんざん質疑をして、やはり県民に知らされなかったという、これが恣意的か偶然かというのはまた別問題ですけれども、その中で、非常に福島県民が不利益をこうむった、命にかかわる不利益をこうむったということで頑張られてきたところでもありますし、これは、まさに通常の原子力発電所に関する安全に対するかかわり方、情報の発信の仕方、また事故があったときのあり方等ももう少し詰めていただくのと、これは実は理解されていないんですね。

 大臣御承知のとおり、我々の地元の福島県議会は、全会一致で反対の意見書を先月提出しております。その中に、そうしたおそれがあるということが文言に入っちゃっているんですね。実際は、これまでの委員会の質疑の中でもこうした確認をされてきていて、SPEEDIやまた避難にかかわることは入りませんよ、大丈夫ですよと言っているんですが、一般の方々ではなくて県議会の方々が、ある意味、御理解を得ていただいていない。

 その中にすごく厳しい文言もあるんですけれども、「主権者たる国民の知る権利を担保する内部告発や取材活動を萎縮させる可能性を内包している本法案は、情報掩蔽を助長し、」隠蔽じゃなくて、なまっているからエンペイと言っているんじゃなくて、「掩蔽を助長し、ファシズムにつながるおそれがある。」ファシズムにつながるおそれがあるとまで言っているんですね。「もし制定されれば、民主主義を根底から覆す瑕疵ある議決となることは明白である。」と言っているこの文書を全会一致で議決してしまっているんですね。

 これは全会一致ですから、ある意味ではまだまだこの法案の説明が足りていませんし、特に、まだ原子力災害事故は現在進行形の事故であって、県民の皆さんが非常にセンシティブになっている、それを県議会も感じているというところで、これは理解を得てもらっていないんですね。

 ですから、今多少やりとりさせてもらいましたけれども、この原子力発電所にかかわる警備等の情報について、あとは、それにほかのものは入らないというのをもっと理解を深めていかないといけないんじゃないんですか。大臣、見解はありますか。

森国務大臣 この福島県議会の意見書でございますけれども、SPEEDIの情報等についての懸念が示されております。この法案の内容についてお問い合わせをいただかないままに決議をされてから私の手元に参りましたので、私としては、やはり説明が不足であったということを真摯に反省し、御説明を申し上げているところでございます。

 昨日も、福島県に赴いて市民の皆様に御説明もしてきたところなのでございますが、SPEEDIの情報が特定秘密に入らないというふうに言うと、皆さん、ええっとびっくりなさいます。ですので、ここの国会の答弁ではっきりさせていただきますけれども、SPEEDIの情報を含む原発事故の情報は、特定秘密に入りません。

 住民の避難をさせるということが何よりも優先される目的でございますので、これについてはしっかりと、住民の避難に必要な情報は迅速に公開をされて、住民が避難誘導されるべきものであります。

 そして、これは防災に係る種々の法律でも定められております。これは総理大臣に対する義務として、原発事故のときのSPEEDIの情報を含む住民の避難の誘導に関する情報は、すぐにその地方自治体及び住民に明らかにされなければならないものというふうに定められておりますので、行政機関の長がそういう情報を手にしていた場合には、必ずそれが明らかにされるということが適切な運用であるというふうに思っております。

小熊委員 さらに、まだ県民の皆さん、県議会の皆さんが心配しておられるのは、テロ情報によって、これはもちろんテロリストに手のうちを見せるなんてばかなことをやっちゃいけないんですけれども、それを大きく解釈して、公共の秩序と安全のために県民の生命財産が侵されるということがないということを丁寧に説明しないと、テロリストに手のうちを見せるような説明は要りませんけれども、丁寧に説明をしないと理解はされないんじゃないんですか。

 そこの部分をとりわけ意識して、SPEEDIは入りませんよだけではなくて、テロ情報ありということだけでいろいろな解釈ができるんじゃなくて、ほかの案件でも、これは確かにその他その他ですから、いろいろなことが解釈されるというふうに見ていますから、ここはもう少し丁寧な説明が必要だというふうに思いますが、大臣、どうですか。その後の、どういうふうに理解を得ていくか、具体的におっしゃってください。

森国務大臣 小熊委員の御指摘、もっともであると思います。

 テロ情報というものが拡大解釈をされないということ、そして、住民の避難が最大の目的でございまして、住民を犠牲にすることはないということをしっかりと、あらゆる機会を捉えて説明を丁寧にしてまいりたいと思います。

小熊委員 次の質問に移る前に、思い起こせばちょうど七年前のこの十一月、大臣、知事選挙で、そこで私も手伝わせていただいて、そこからのおつき合いというか人間関係ができてきております。そのころもすばらしい方でしたけれども、本当にタフな大臣になられたなというふうに思っています。大臣も、そのころからしっかりとした権利意識とかを持って、知る権利というのは、国民が必要とする情報を妨げられることなく自由に入手する権利であるということを、私は森大臣から教えていただいたこともあります。

 そうした観点から立つと、この特定秘密にかかわる法律というのは、やはり、我が党の共同代表の一人である橋下代表も言っていますけれども、情報は原則公開、これが第一にあって、その上で、どう情報を扱っていくかということがなければならないというふうに思っています。

 これは私の個人的な見解ですけれども、名前もよくないんですね、法律の名前が。特定秘密の保護に関すると、何かブレーキの部分が大きく出ちゃっていて、規制をされる、何か国民生活に不利益になるんじゃないかというイメージになっちゃっている。私だったらこれは特定秘密の公開に関する法律として、こういうものはしっかり公開していくんです、ここは違うんですというたてつけにした方が、今言った福島県議会の一部の誤解、解釈というものも払拭できたんじゃないかなというふうに思っています。

 そういう意味では、やはり原則公開という立場に立ってこれから情報というものはどうあるべきかということを考えれば、特定秘密に関する妥当性をチェックする第三者機関の設置に関して、過日のこの委員会で我が党の山田委員が御提案を申し上げ、そのときの大臣の答弁では、検討するという意向を表明されました。であれば、設置するのであれば、どのような組織に設置をして、どのような方々がそれを審査するのか、お示しをいただきたいと思います。

森国務大臣 今、小熊委員と私の出会いからるる御披露いただきましたけれども、同じ福島県出身ということで、しっかりと、国民の知る権利、住民の命を守る権利というものをどうバランスをとっていくかということを真剣に考えたいと思います。

 御指摘の山田委員からの御質問に対して、私がこのように答弁をしております。委員の、行政機関の内部に第三者的な機関を設けたらどうかという御指摘については、謙虚に受けとめさせていただきまして、検討させていただきたいと思います、このように答弁をさせていただきました。

 現行の法案についても、私は、本日の委員会でも何度も御説明をしておりますとおり、国民の命と知る権利のバランスをどう政策論としてとっていくのかということを工夫してきたつもりでございます。外部の有識者の意見も反映をさせるということも私のところで決断をさせていただいて、その基準については有識者会議で決めていく。また、件数等もそこで公表していくということも決めさせていただきました。三十年を超えるときには内閣の承認、つまり閣議決定を経るということも、重層的な仕組みの一つとして設けさせていただきました。

 その上で、御党からの御指摘につきましては、謙虚に受けとめさせていただきまして、検討をさせていただきたいと思いますけれども、今ほどの、具体的にどうするのかということは、また今後の課題であろうというふうに思います。

小熊委員 今の、我が党とも、あとは民主党とも、みんなの党とかも、修正案が出てきて協議に入っていくんですけれども、今後といっても、次の通常国会にまたこれをかけていただけるのであればその時間はあると思いますけれども、この国会中というのであれば、今ここで具体的なものが出てこなければ、単に修正案に抱きついて、赤信号みんなで渡れば怖くないみたいなことではだめだと思うんですよ。

 今ここで具体的な答えが出ていなければ、単にサービスで検討しますと言っただけにしかならないんじゃないですか。ここで具体的なことが出ていなければ、では、来週にでも検討した結果が出てくる、いつ出てきますかね。いつ出ますか、これは。

森国務大臣 修正協議につきましては、政党間の協議でございますので、私としてはそこにお任せをして、誠実に対処してまいりたいと思います。

小熊委員 これは先ほどの長島委員も言われましたけれども、公文書館にこういうものを設置する、なかなかいい案だなというふうに私も思いました。

 それでいうと、今現時点でも、この特定秘密じゃなくても、公文書館にどんどんどんどん公文書が持ち込まれて、知らない間に何万件も廃棄されているんですね。七、八人でやっているから。

 そうしたら、特定秘密もあわせてこれからしっかり管理をしていく。公開するものはする。特定秘密にしたものは、また公文書館に持っていくのかそのままどうするのかの判断も、総理がするといっても、何万件もあるものを今の体制では到底、今検討しますといっても、その体制を整えるためには、一週間や、各党間の協議でもそんな簡単に答えが出るものじゃないと思いますよ。

 今現時点でも、公文書が数人のスタッフによって廃棄されているんですよ。大臣、知っていましたか、これは。特定秘密じゃないものもですよ。国民の知る権利というのであれば、この文書なりなんなりというのは保管もされなければいけないということであれば、特定秘密だけではなくてやはり情報の扱いというものを、この際、我々は、根底から、根本から、どう扱うべきかということをしっかりともっと審議していかなきゃいけないと思っています。

 そういう意味では、この臨時国会だけでこうしたものの重要な法案を仕上げるというわけにはいかないというふうに私は思っています。もっとそうした裾野の広いことをやっていかなければいけないと思いますし、また、午前中の質疑でもありましたけれども、NSCとこの特定秘密の法律と、あとやはりインテリジェンスも、情報機関もこの際どうするんだと。情報をどう公開する、管理するということだけではなくて、どう情報を取得していくのかということもあわせてやっていかなければ、NSCもちゃんと回っていきませんよ。

 となれば、これは非常に国家の安全保障にかかわる重大な問題でもありますし、いろいろな方も言っていますけれども、スパイ天国なんて言われて、本当にこれは国際的に恥ずかしい話ですけれども、スパイ天国と言われながら世界の中でここまで発展した国というのも不思議だなと思うときもありますけれども、それは、過去は過去として、その反省の上に立って、この際、抜本的に国民の知る権利を担保しながらもやっていかないと、一部の部分だけでこんな継ぎはぎみたいにやっていくことは私はいけないというふうに思います。

 また、午前中の質疑で、まあ与党だから仕方ないですが、城内委員が、八十点の法案だ、あと二十点積み上げると言って、五百点満点の点数かなというふうにちょっと錯覚をしましたけれども、百点満点で高い点数を言っていましたけれども、逆に言えば、百点満点であればまだ八十点足りないという状況だと思いますよ。

 これは、今いろいろな議論を重ねてきて明らかになったものもありますけれども、もっともっとしっかり整備をしていかなきゃいけない、議論を深化させていかなければ、深めていかなければならないということが、やっとこの長時間の質疑の中で明らかになっているというのが今の現時点だと思います。

 そういう意味では、我々は、これは与党、野党ということではなくて、まさに日本の安全保障、国民の権利といったものをしっかりと打ち立てるためには、この臨時国会内だけで処理できる法案ではないというふうに私は思います。

 その具現化として、実際、それをしっかりそうだと言っていただいても、第三者機関の検討も、これは短期間にはできませんよ、その体制整備も含めて実現していく上では。もう少し時間がかかるんじゃないですか。これは来週にでも出てくるんですかね。そんな簡単じゃないと思いますよ。

 長島委員も、私もこれは公文書館に設置するのがいいなと思っていますけれども、通常の公文書館の業務でさえ足りていないんですよ。そうしたら、まずそこの体制整備をどうするか、そして、この特定秘密の扱いをどう公文書館にくっつけていくか。政府の案が、第三者機関をつくるというので公文書館じゃないとしたとしても、何万件にも及ぶ情報を今扱えるところはないじゃないですか。

 やりますといったら、それだけの体制整備といったら、すごいエネルギーを使わなきゃいけないですよ、時間もかかるんじゃないですか。短期間で答えが出せますか、出せないですよね。大臣、どうですか。

    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕

森国務大臣 今、文書がこの瞬間にも廃棄されているというお話がございました。今、行政文書は、公文書管理法に基づいて、廃棄する場合には内閣総理大臣の同意を得て廃棄をされておりますものですけれども、防衛秘だけは別でございます。防衛秘だけは、公文書管理法の適用がなく、これまでは防衛大臣が出している訓令によって廃棄をされておりました。

 報道されましたけれども、四十万件余の件数のうちの防衛秘の部分が何万件かあったと思いますが、これが廃棄されていた。これは、前政権からも通じて大量に廃棄をされてきたわけでございます。この法案は、これを特定秘密に入れて、通常の公文書管理法の適用をきちっとさせますので、廃棄については他の行政文書と同じようなチェックをしていくようになるわけでございます。

 そしてもう一つ、この法律の目的規定に書いてあります、刻々と複雑化している国際状況の中で、特定秘密を保全していくこと、その体制を整えて各国と情報共有をしていくということは、本当に喫緊の課題であり、遅きに失したというようなことをさっき他の委員から言われたぐらい、本当に今すぐにでもしなければならない必要性があるものと思っております。

 この国会審議の中で委員の皆様からいただいた指摘については真摯に受けとめて、そして、修正協議については、私が、担当大臣一人がこの場でお答えすることが修正協議に影響を及ぼしてはいけませんので、修正協議についてしっかりと自民党も対応するものと思っておりますので、誠実に修正協議が進められ、その結果を私もしっかりと受けとめてまいりますので、どうか御理解の上、この法案の早期制定に御協力賜りますようにお願いをいたします。

小熊委員 それはもちろん、この特定秘密にかかわるもの、またその情報のあり方といったものは、誰も否定する人はいません、どの党も。そして、今までこうしたものがなかったというのは、別に前政権だけではなくて、戦後の大きな反省点だというふうに思っていますし、今政治を担っている、過去の人を追及するわけにもいきませんし、今我々がしっかりと責任を果たしていくということが重要だというふうに、それは思っていますよ。

 これまでの質疑、またいろいろな野党の提案、それも逆に認めて、その方向性について大臣も認めていただいているんですが、これを具体化していく、しっかり法律に織り込んでいく、体制を整備していくということにおいては、この国会内でおさまらないと私は思いますよ。もっと徹底審議しなきゃいけませんし、自民党の方からも出た、情報機関、インテリジェンス機関も含めてどうあるべきかということも含めて、この際議論をしていかなければいけないと私は思いますよ。これはやっつけ仕事でやっていい法律じゃないです。

 国民の知る権利についても、それが侵害されるんじゃないかという、まだまだ理解を得られていないんですよ。私は福島県議会の方々が優秀じゃないとは言いません、非常に優秀な私の先輩方もいますよ。その人たちがこういう意見書も出してしまっている。しかも大臣の地元で。ということを考えれば、国民に対する説明責任も足りていない。

 本当の意味での国家の安全保障、国民の安全のための情報の管理の仕方についての基本の部分も明らかになっていないし、その体制整備も具体的にお示しをされていない。そういう意味では、やはり、通常国会の中でもっとこの法案を練り上げていく必要があるというふうに私は思いますよ。

 城内さんは高い点数を言っていますけれども、そこの部分が逆に足りていなくて、八十点とか九十八点と言っていますけれども、百点満点であれば二十点ぐらいで、逆に八十点足りていないですよ。

 大体、国民のため国民のためと言っていますけれども、その国民の皆さんが理解していないんですから、説明責任が足りていません。そういう意味では、もう少し時間をかけて審議をして、もっとよりよいものにしていく必要があると思います。ここで拙速にやることは、決して私はいいものだというふうに思わない。

 それでは、与野党の折衝が出なかった場合はどうするんですか、具体的に。そこは大臣が直接じゃないですよ、各党間でやっていますから。出なかったらどうするんですか。大臣、どうですか。

森国務大臣 福島県議会の意見書は国会審議の前に出されたものと承知しておりますので、この国会審議を通じて、私も、誠実に、丁寧に、本法案の趣旨そして制度の内容も御説明をさせていただきました。

 そして、各委員からの御指摘についても、謙虚に受けとめさせていただきたいと思います。修正協議の中でそういったことも協議をされるものと期待をしております。

 また、この法案を成立させていただきました暁には、その基準をしっかり定める、それから法案のコメンタール等、それからガイドライン等も定めてまいりたいと思いますし、その運用の中でまた改善すべき点があれば、さらに改善をしながら運用、適用していくということに努めてまいりたいと思います。

 私は福島県民で、これは安全保障ではございませんが、ある日突然、東日本大震災と原発事故が起きました。起きる前日まで、そんなことが起きるとは誰も思っていなかったんです。ところが、現実には起きて、そのことに対する対処は十分になされたとは思っておりません。SPEEDIの情報についても知らされず、小さな子供たちまでもが至近距離で爆発を受けました。

 ですから、私は、今そこにある危機について、やはり最善の措置をとっていくことが政府の義務であると思っております。ですから、この法案については、どうか早期の成立に御協力をいただきますように、重ねてお願いを申し上げます。

小熊委員 大臣の思いもわかりますけれども、本来的に大臣は権利意識については非常に高い方でありましたから、この間の委員会の質疑を見ていても、思っていることと答弁していることがちょっと違うところもあるのかなというふうに個人的には察していて。個人的にはですよ。これは今、大臣に対する質疑で、森まさこさん個人に対する質疑ではないんですが。

 七年前に大臣が政治家を志して選挙に出たときの原点を、私自身、そばにいて振り返ってみれば、ぜひ森大臣には政治家を志した原点に立ち返っていただいて、もう少しこの法律についてはしっかり質疑をして、また、各党間の修正協議とは言っていますけれども、担当大臣なんですから、その担当大臣が我が党の御提案に前向きな検討をいただいたのであれば、みずからの案もなければ、それは単にサービストークでしかなかったなというふうにしか見られませんよ。

 逆に、修正協議とは別に、大臣の御所見として、第三者機関の設置について、これは決定事項じゃなくても、具体的な方向性というのは今お示しできますか。

 いいと言ったんだったら、ただ何となくいいじゃないでしょう。何となくいいと言ったんですか。違いますよね。大臣がいいと思ったその観点でも何でも、ちょっとお示しをください。

森国務大臣 私は、この法案を提出した担当大臣でありますので、この法案が一番いいと思ってお示しをしたわけでございます。

 ただ、国会審議の中でいろいろと御意見をいただいたことについては、謙虚に受けとめさせていただいて、検討すると申し上げました。その結果、今修正協議に入っておりますので、修正協議に影響を及ぼすことを私も懸念いたしましてここでは申し上げませんけれども、我が党自民党は、公明党も含め与党は真摯に修正協議に応じるものと確信をしております。

 私は、七年前に政治家を志したときと今と、全く考えは変わっておりません。

 私は二十年間弁護士をしてまいりましたけれども、弁護士には守秘義務というものがございます。秘密を守る義務です。何のために秘密を守るかといったら、それは、依頼者、そして依頼者の関係者のためです。自分の依頼者を守るために秘密は漏らしません。

 誰にでも守るべき秘密があり、それが国家であるときには、国民の命、国家の存立にかかわる秘密については守らなければならないのです。その守らなければならない秘密があるということも、七年前から変わっておりません。

 それと同時に、国民の知る権利、その情報は全て国民のものでございますから、国民のための情報は原則公開である、ただ、その国民のために秘密にしなければならないときだけそれは限定される、その中で秘密をなるべく少なくする、グレーゾーンの範囲もなるべく少なくして明確化していくということに心を砕いて、この法案をつくらせていただいたつもりでございます。

 どうか、この法案の早期成立に御協力をいただけますよう、心から小熊委員にお願いを申し上げます。

小熊委員 まさにそのとおりです。そのためには、具体的には、だから第三者機関の設置が必要である。それは具体的にお示しをしなければ我々も判断はできないということですし、修正協議の具体的なものについてはそこに委ねている。

 ただ、方向性はいいということですよね、そこは。具体策は修正協議。方向性は、設置については、これは大臣はいいということでしょう。それも含めてなんですかね。

森国務大臣 私は、今ほど申し上げましたとおり、国民の命と国家の存立を守らなければならないというその目的と、それから国民の知る権利を守らなければならないその目的を、どうバランスをとっていくかということを突き詰めていかなければならないという認識は共有できていると思っています。

 その中で、どのような制度をつくっていくかという制度論になってくると思います。その中で、御党がお示しをいただいている御意見についても、私は謙虚に受けとめさせていただきたいというふうに思います。ですので、そのように答弁をさせていただきました。

 あとは、私は、自民党、公明党、与党が野党の皆様と誠実に修正協議をするものと信じておりますので、その中でしっかりと協議をいただき、それについては、私はしっかりと対応してまいりたいというふうに思います。

小熊委員 時間がないのであれですけれども、情報の扱い方、また国民の権利意識については、先ほども言ったとおり、どの党もそれはもう共有しているんですよ。それを具体的にどうしますかということをこの法律に織り込まなきゃいけないわけです。

 そこの理念についての御理解というのは、みんなしているわけですよ。それを具体化するにはこうしたことが必要でしょうと。そこの部分の答弁がなければ我々は賛否というのができませんし、あと、いろいろな提案を各党がしていますけれども、非常に重要なこと、もっと議論をしていかなきゃいけないというふうに思っています。

 そういう意味では、早期の成立と言っていますけれども、そうした理念は共有している中で、これを具体化していく、制度としてもやっていく、体制も整えていくという意味においては、今国会ではまだ私は議論が足らないというふうに思いますし、これはしっかりもっと議論して、これまで本当に空白の日本のこの情報管理のあり方でしたけれども、しっかりとこの際立派な制度をつくっていくという意味でも、まだまだ議論が足らないというふうに思います。

 大臣が、知る権利がまず大事だということをおっしゃいましたけれども、あとは質問の時間がないので丸山議員に移しますけれども、三十年の時限も、原則ではなくて最長三十年ということにしていかなければなりませんし、国会のこの情報に関する関与の仕方というものももっともっと深めていかなければならないわけでありますから、抽象的な言葉ではなくて、具体的な我々の提案に対して、ぜひ具体的な御提示、お示しをいただいた上で早期の成立という言葉を使っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

岩屋委員長代理 次に、丸山穂高君。

丸山委員 維新の会の丸山穂高でございます。

 同僚議員に引き続きまして、特定秘密の保護に関する法律案の質疑をさせていただきます。

 先ほど来、森大臣の御答弁を伺っておりまして、非常に真摯にお答えいただいているのは感じますし、私は、通常国会でも消費税の価格転嫁の法律の関係で森大臣といろいろ質疑させていただく中で、御本人の御性格や、また国会における答弁の態度等は、野党の一人としまして、非常にすばらしいものであります。

 これを引き続いてしっかりやっていただきたいと思うところではあるんですけれども、やはり、伺っていると、どっちなんだというものも、先ほどお話のあった、いわゆるグレーゾーンをなるべく少なくするというお答えがありましたけれども、そうした中でわかりにくい部分がございますので、まずそこを、追及するというよりは、より明らかにしていくという形の部分が非常に大事だと思いますので、お伺いしていきたいと思います。

 修正協議に影響を与えるので答えにくいという御答弁でしたけれども、そうじゃなくて、きっちりと、今、担当大臣だと明確におっしゃいましたので、担当大臣としての明確な御答弁をよろしくお願い申し上げます。

 まず最初に、これはさんざんお話が出ているところなので繰り返しの感があるんですけれども、非常に大事なところだと思いますので伺いたいんですが、TPP交渉を含む、WTO、FTAも含め、RCEPも最近出てきていますけれども、通商交渉に関しまして、特定秘密には当たらないと本会議でも御答弁いただいております。

 これは、私は非常に危惧しているところもありまして、完全に言い切ってしまって本当によいのかどうかというところは、私も役人の端くれではございましたので、非常に気になるところでございます。

 例えば、TPPのお話、国会でも今議論をしようとしているところですが、交渉中につき出せないという御答弁が非常に多うございます。

 もし、こういったものが、今回、公になって、取材等で出てしまった場合、現状では、恐らく国家公務員法違反という形で、漏えいの罪が公務員に対しては問われると思うんですけれども、これは恐らく、交渉の内容によっては、今回の別表で示されている、特に第二の外交に関する事項のところで、後ほどお話しさせていただきますけれども、「安全保障に関し」と切ってはおりますが、条約その他の国際約束に基づいて保護することが必要な情報その他の重要な情報に関しては特定秘密に当たるというふうに書かれております。これはハですね。また、イ、ロにおきましても、別表第二号では、具体的に外交の案件を書いております。

 これは、安全保障の定義によるとは思うんですけれども、TPP交渉でもこうしたものが含まれてくるのではないかと非常に危惧しているところなんですが、そこに関しまして、もう一度明確に御答弁いただければと思います。

森国務大臣 TPP交渉に関しては、特定秘密の保護に関する法律案の別表のいずれにも該当せず、これに関する情報は特定秘密にはなりません。

丸山委員 ならないというもう一度の明確な御答弁なんですけれども、とすると、今回の第一条で定義されている安全保障、または我が国の安全保障という言葉の定義が非常に重要になってくると思います。この委員会でも少しお話が出ているとは思うんですけれども。

 この安全保障には、エネルギーとか、また、TPPの関連だと食料安全保障といったものも含まれてくる可能性もあると思うんですけれども、そういったものは含まれないということでよろしいんですね。

鈴木政府参考人 お答えします。

 まず、安全保障についてのお尋ねでございますが、安全保障とは、本法案におきましては、外部からの侵略等の脅威に対しまして国家及び国民の安全を保障することを意味しまして、国家及び国民の安全とは、国家の構成要素である国土、国民及び統治体制が害されることなく、平和で平穏な状態に保たれていることを意味いたします。

 本法案に言います安全保障には、領土の保全、独立、国民の生命身体の安全の確保のほかにも、経済社会に関係する一定の事項も含まれ得ますが、その範囲は、あくまでも国としての基本的な秩序の平穏に関するものに限られます。

 したがいまして、御指摘のエネルギーや食料に関する事項につきましては、例えば、何らかの理由で我が国全体として極端な欠乏に陥り、我が国の国としての基本的な秩序の平穏を害するに至るような場合については、本法案に言う安全保障に含まれ得ると考えております。

丸山委員 つまり、経済社会の平穏に関するところであれば当たるということですけれども、つまり、かなりエネルギー、食料安全保障に関しても含まれ得るという解釈でよろしいんですよね。もう一度、明快に御答弁いただけますか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 エネルギーや食料に関しては、むしろ例外的なものでしか含まれないと考えております。

丸山委員 例外的に含まれるというお話がありました。

 今回の法案、「その他」が多過ぎる。きょうの午前中の審議でも、「その他」と「その他の」という法令上の解釈のお話もありましたけれども、非常にこの部分は国民の皆さんも危惧しているところで、今のお話だと、通商交渉だけじゃない、エネルギーや食料安全保障も含まれるものが例外的にはあり得るということでございます。

 これは、修正案のお話が少しありましたけれども、この範囲がやはり広過ぎて、どうしても国民の皆さんの間に懸念が生じている。ここをやはり、ずっとお話ししていて、どういうものが特定秘密に当たるのかという例を、きょうも城内先生からもありましたけれども、聞いていると、どちらかというと、エネルギーや食料安全保障というよりは、防衛といったもの。

 我が党の案では、防衛その他の我が国の存立にかかわる外部からの脅威からの我が国及び国民の安全保障をという形で、きちっと、最初の一条のところの我が国の安全保障というものを定義すべきじゃないかという形のものを我が党としては考えているんです。

 このあたりの安全保障の定義がこの法案では非常に曖昧だと考えているところなんですが、このあたり、政府としてどのようにお考えなんですか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 外部からの侵略に対する我が国の防衛のほかに、外国の情報機関が我が国の政府が管理する情報等を不当に入手する場合や、大規模な破壊を伴うテロや政府高官の暗殺、無差別爆弾テロ等の活動が行われる場合などは、国としての基本的な秩序の平穏が脅かされることとなるため、これらの活動への対処も、本法案に言う安全保障に含まれると考えております。

丸山委員 答えになっているような、なっていないような。本当に、では何が入るんだという具体的な話が、先ほどの小熊先生の話もありましたけれども、できない状態になっているんですよ。

 この意味で、具体的にお答えいただきたくて、我々維新の会も含め、いろいろ問い合わせているんですけれども、では具体例として何が入っていくんだというときになると、どうしてもそうした抽象的な言葉になりがちである。

 また、修正協議を今しているというところで、それがどうなっていくかというのは今後の展開だと思うんですけれども、そこが出てきたときも、では、それはどういったものが当たるのかということも、そこはまた非常に議論が出るところだと思うんですね。

 そういった意味で、やはりちょっと、どうしてこの臨時国会という短い時間の中で出されてきているのか、また、その中でも、御答弁いただくときに、これから決めるということが多いということで、かなり無理があるんじゃないかなと。

 正直、私としても、この法案自体の、特定秘密という本当にこの国の根本を守るための秘密をきちんと守っていくというところに関しましては、本会議で申し上げたように、非常に重要な点でありますし、城内委員も御指摘であった、今もやはり安全が脅かされているという点におきましては、速やかにやらなければならないというのは非常にわかるところなんです。

 ただし、速やかにやらなければならないところではあるんですが、御答弁も明確でなければ、また、ではどこまで入るんだというところがまだまだグレーゾーンが多い中では、ここはなかなか国民の皆さんの御理解を得るところまでいかないんじゃないかな、八十点というお話がありましたけれども、そこが上まで上がっていかないんじゃないかなと非常に強く感じているところなんですね。

 そういった意味では、もう少し詳しく細かい部分について伺っていきたいんですけれども、一つ、通告ではカウンターインテリジェンスの機能強化の基本方針の話を挙げさせていただいているんですが、これはちょっと、後藤委員から御質問がありましたので、時間の関係上、割愛させていただきます。

 具体的には、以前の委員会でありました、報道機関のオフィスなどに、ガサ入れという表現をされましたけれども、家宅捜索が入ることがないという大臣の御答弁がございました。ここについて明確にさせていただきたいんです。

 具体的には、法相からも御答弁がありましたけれども、非常に、これは場合分けをしなければならないと私は思っておりまして、一つの御答弁としまして、報道機関が正当業務行為としてやった場合の取材に関しては入ることがないという御答弁があったと思います。間違っていれば、後で訂正していただきたいんですけれども。

 もう一つ、通常そうだと思うんですけれども、違法行為があった場合には、検察当局の判断で入るかどうかというものが恐らくあるでしょうとわかるんですけれども、問題は、その間のグレーゾーンで、例えば、取材相手の公務員が正犯として今回の特定秘密の漏えいをした場合に関しまして、それが逮捕されているか、もしくは逮捕前の調査の段階、特に調査の段階は一番気になるところだと思うんですけれども、その段階において、取材をした側の報道機関に対して家宅捜索が入ることはあるのかないのか。ここは非常に、報道機関にとっては、入られてしまうということは、抑止になってしまうわけですね。

 報道の自由、国民の知る権利のところにまで及ぶ、一番大事な、肝の一つだと思うんですけれども、この真ん中のグレーゾーンに関しまして、大臣の御答弁をいただければと思います。

    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕

森国務大臣 私は、公明党の大口委員が御質問したことに対して御答弁をしたのでございますけれども、大口委員はこのように質問をされております。法令違反でない、また著しく不当な方法でない、そういう場合については、報道機関のオフィスにガサ入れが入るというような、その捜査の対象にならないということを明言していただきたいというふうにおっしゃいました。ですので、私は、法令違反でない、また著しく不当な方法でない、そういう場合についてはそういったことはないというふうにお答えをしたわけでございます。

 また、今の御質問の、正犯がまだ成立していない段階においてのことでございますけれども、私は、個別具体的な事案について細かく想定してそれに言及するということは控えたいと思いますけれども、やはり、著しく不当な方法でない、そういう段階、またはそういう場合において、正犯ではない報道機関等のオフィスに捜査が、強制捜査がなされるというようなことは、本法案の二十一条一項の趣旨に鑑みれば、これは適当ではないと思っておりますので、実務についてもしっかりとその解釈基準にのっとった運用が行われるものと思っております。

丸山委員 森大臣は、ないというふうに思うとおっしゃいましたけれども、法務大臣はいかがですか。

谷垣国務大臣 今、丸山委員、いろいろ場合分けしておっしゃいましたけれども、捜査というのはそのときの状況で具体的に考えませんと、つまり、正当行為だったら、それは誰の目から見ても正当行為だとはっきりしているところに強制捜査は入らないですよ。だけれども、要するに、そこのところはどうしていくかというのは個別的な状況を照らさなければ判断できないことが私は多いと思いますので、今一概にこうであるというような断定は、私のところは捜査機関を抱えておりますから、御答弁することは難しい。

 私は、森大臣と私の間で認識のずれがあるんじゃないかという報道がありましたけれども、そういったとき、適切に判断して行動する、森さんも、当然捜査機関は適切に判断して行動するだろう、そうしなきゃならない、そういう認識をおっしゃっているんだと思います。その認識は、私も全く一緒でございます。

 その場合、適切とは何かということですね。それは、今、森さんのおっしゃったように、この法案でいえば二十一条の趣旨を十分に体していくということでしょうし、さらに大きく言えば、今までも、昭和四十四年でしたか、博多駅事件、この前私が答弁しましたときは福岡駅事件と間違って表現してしまいましたが、いわゆる博多駅事件の最高裁判例がございますね。ああいうものの趣旨をしっかり体してやっていくということですね。

 そういう意味では、私は、全く森さんと私の間に認識の違いはない、このように思っております。

丸山委員 法務大臣は非常にお話がうまくて、ついつい聞き入ってしまったんですけれども、多分、聞いていらっしゃる国民の方から見れば、森大臣は、当たらないと思うとおっしゃって、一方で、谷垣法務大臣は、捜査機関を抱えていらっしゃるので明確に個別具体的な事例に関しては答えることができないと言われてしまえば、それはやはり、マスコミの人から見ても、国民の人から見ても、食い違っているんじゃないかと言われてしまうと思うんですけれども、どうですか。

谷垣国務大臣 それは、今までの検察の行動も見ていただきたいと思います。今まで検察が、私はガサ入れというちょっと俗語は使いませんで、この種の事案のときに、報道機関等々に強制捜査に入る。私は全ての事例を承知しているわけではありませんけれども、極めて抑制的に対応してきたことは、これは御認識いただけると思います。

 ですから、森大臣のおっしゃったこと、あるいは私の表現を変えれば、通常はあり得ない、だけれども、これはいろいろなことがありますから、通常はあり得ない、そういう認識をおっしゃったんだと思います。それは一致しております。

丸山委員 非常に、発言、難しいラインだと思いますけれども、極めて踏み込んだ、通常はあり得ないという御表現をいただきましたので、そこのところはしっかりとやっていただきたいと思います。懸念しているところだと思いますので。

 そういった意味で、森大臣のお気持ちで、真摯に御対応いただいているのはわかるんですけれども、細かい部分で、多少、ほかの閣僚の方や、御答弁が違うんじゃないかと思うところがありますので、その辺は政府の中で、今後、統一基準なり方針、今回の報道機関の件は入ってこないと思うんですけれども、統一基準、どういう形で、明らかにしていくとともに、細かい部分に関しましても、もう少しやはり国会審議で明らかにしていかないといけないと私は思うんですね。

森国務大臣 私も、今し方答弁した中で、個別具体的な事案については申し上げられないというふうに答弁しておりますので、谷垣大臣の御答弁と全く同じでございます。

丸山委員 しっかりと、その辺、そごがないようにやっていただきたいと思います。

 もう一つ、具体的に伺いたいことがあります。

 これは防衛省の方になってくるんですけれども、先日の本会議で、先ほども少し委員会でお話がありましたが、防衛秘密の記録、文書を原則として破棄しないように指示されたという防衛大臣の御答弁がありました。これは通達で出されたということでよろしいですよねということを一つお伺いしたいのと、もしこの通達指示に反して破棄された場合、どういった形で処分というのが行われるのか、このあたり、具体的に、明確にいただきたいと思います。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 お尋ねの点でございますが、まず、個別の状況等に照らしまして実際には判断をすることになってまいるかとは存じます。

 一般論として申し上げますれば、本来破棄してはならない防衛の秘密文書等、これを誤って破棄した場合には、自衛隊法第五十六条に規定をいたしております職務遂行上の義務に違反をすることになります。したがいまして、懲戒処分等々に当たる疑いがあると考えられております。この場合は、もちろん、事実関係に基づきまして、違反行為の種類、また結果の程度、被処分者の地位及び社会的影響などを総合的に判断いたしまして、相当となる処分を実施されることになるかと思います。

 以上でございます。

丸山委員 いずれにしましても、しっかりと処分をしていただくということで言っていただきました。

 今回、懸念があるのは、防衛秘密がなくなるということで、防衛省さんにしてみれば、かなり、この特定秘密という扱いになってしまうと、今までの防衛秘密のような、悪い言い方かもしれませんけれども、御省の判断で破棄をしやすかったものがより厳しくなっているというふうに、私は、読ませていただくと感じるところでございます。

 そういった意味で、事件もありましたけれども、やはり容易に、移行のときに破棄されることが想像できますので、そこはきちんと大臣の通達に基づいて、そして、何かあった場合には処分をきちんとやっていくということで、省内を引き締めていただきますようお願い申し上げます。

 そういった意味で、いろいろ気になるところはあるんですが、一番気になるところは、どうしてもやはり、ここは国会の場でございますし、私自身も国会議員の一人としまして、何かあった場合に、国会に対して特定秘密をどのように提出していくのか、その部分につきまして、一番気になるところでもございますので、詳しくお伺いしていきたいと思います。

 先ほど来、原則として提出するという、原則としてというお言葉がありました。そして、出さない場合は極めてまれだという御答弁もございました。これは非常に重要な御答弁だと思うんですけれども、一方で、以前の御答弁で、保護措置が講じられないなど、要件を満たさない場合には提供しない、そして、一定の条件で提出するという形で、では、どういうときは提出されて、どういうときが提出されないのかということが、一議員としましても非常にわかりにくいところだと思います。

 この政府内の見解について具体的にお伺いしていきたいんですけれども、具体的に、現在、政府としてはどのような保護が必要だと考えていらっしゃるのか。

 そして、今、国会法第百四条で、具体的に、秘密会に対して提出する形になっていると思うんですけれども、この場合も拒否ができる、拒否する場合には声明を出さなければならないという規定があると思いますが、現在のこの提出時の規定ではどのようになっていて、どういう場合に提出できないとなっているのか。

 そして、今回、特定秘密という、より秘密の高いものが指定されるわけですから、その場合、何が変わってくるのか。

 その部分につきまして、明確にお答えいただければと思います。

鈴木政府参考人 本法案の十条第一項第一号におきまして、特定秘密を保護するための必要な措置を講じ、かつ、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときに限り、公益上の必要により特定秘密の提供を国会にできることとされております。

 国会の秘密会に特定秘密を提供する場合に関して、政府として、特定秘密の漏えいを防止するために必要な保護措置に関して、情報の保有者の立場から、特定秘密を利用し、または知る者の範囲を制限すること、当該業務以外に特定秘密が利用されないようにすること等をお願いしなければならないと考えております。

 これを受けまして、情報の利用者として具体的にどのような保護措置を講じるかにつきましては、特定秘密の提供を受ける国会において検討されることとなるものと考えております。

 また、第二点の、現在の国会法百四条で、二項、三項によりまして、提出する必要がないと認められる規定がございますが、特定秘密については、その内容の性質からして、現在の国会法の百四条一項でお求めをいただいた場合につきましても、三項による内閣の声明を出してお断りをすることになろうかと考えられますが、本法案が成立した暁につきましては、先ほど申し上げました保護措置を講じていただければ、第十条第一項に基づきまして提供することが可能となります。

丸山委員 今のお話だと、人を限定するということと、あとは、外に出さないということが非常に大きな点だと。現状でもそうですし、特定秘密でもそうだということが以前からの審議でも明らかになっていると思うんです。

 一方で、そうした中で、その規定に関しては、先ほど来お話のあった、国会において講じる保護措置の具体的なあり方は、国会の手続、規律に関する事柄であるので、国会において御審議がなされるということで、それに任せるということなんです。

 一方で、その保護措置は国会で決めてくださいよ、しかしながら、それがもし、政府が求める、考える条件、人が限定されていない、ほかで利用されないかどうかということを、考えるのを満たしていなければ提出しませんよという可能性があくまでもあるんですか。それとも、今のお話だと、極めてまれという言葉が出ているんですけれども、それがどれぐらいのものなのかということが全く具体的にわからないんですけれども、それがわかるように少し御答弁いただきたいんです。

鈴木政府参考人 お答えします。

 第十条第一項第一号の保護措置につきましては、先ほど申し上げましたように、一般的な必要最小限の事項としまして、特定秘密を利用し、または知る者の範囲を制限すること、当該業務以外に特定秘密が利用されないようにすることをお願いすることになりますので、その具体的内容については国会の方で御検討いただきまして、国会の方で決定していただきたいと考えております。

丸山委員 全く答弁になっていないので、大臣にお伺いしたいんですけれども。

 このあたり、非常に重要な問題だと思います。これは、国民の知る権利だけじゃなくて、三権分立にもかかわってくる非常に大事なところだと思いますので、大臣、改めて御答弁いただければと思います。

森国務大臣 もし本法案の規定がなければどうなるのかということから考えますと、国会法百四条によって声明を出すことになると思います。なぜなら、特定秘密というのは、やはり国家の安全の面で秘匿しなければならないという理由があるわけですから、百四条の声明をすぐさま出すということになってくることが通常は考えられます。しかし、本法案のイの規定があることによって、保護措置が講じられていれば原則として出すというふうになると思います。そういう意味で、私は、国会でのチェックを最大限、その機能を生かすような仕組みにしたつもりでございます。

 そして、保護措置というのを国会がつくったのに、それはちょっと足りないよというようなことを言って行政権が拒むのでしょうかというような御質問に対しては、そのようなことはほとんどないものと考えられます。

 先ほど審議官が答弁をしましたとおり、保護措置というのは、どういうものをこちらで政令で定めるかというと、一つは、特定秘密を利用し、知る者の範囲を制限すること、それからもう一つは、当該業務以外に特定秘密が利用されないようにすること、つまり、目的外使用の禁止でございますね。

 ですから、知得者の範囲を限定し、もう一つ、目的外使用の禁止、この二つが、誰の目から見ても、それが定められているか定められていないのかというのは明らかなことだと思いますので、そういった仕組みが定められていれば、これは原則お出しするということでございます。

丸山委員 非常に大事なところなので、極めてまれな、ほとんどないというものが非常に多くなっている状況だけは避けていただけるように、しっかりとお願い申し上げます。

 そういった意味で、恣意的に政府内でとどめられるんじゃないかというのが非常に国民の懸念でありますし、議員としても懸念しているところなんです。

 そういった意味で、今回、三十年を超えて延長時は内閣の承認が必要、そしてこれは閣議決定という、本会議でも委員会でも御答弁がありました。そして、これに関しましては理由を公開するという御答弁があったと思います。そして、説明責任という表現を総理自身は本会議でされました。

 具体的に、説明責任がどのような形式なのか、公開するならどんな形式であれば説明責任を果たしていると政府はお考えでしょうか。そのあたり、お伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 三十年を超してなお延長が認められる余地のある情報につきましては、その情報を公開することによって、相手国が対抗措置をとることによりまして、我が国の安全保障に著しい影響を与えるおそれがあるということについて説明できる内容でなければいけないと思います。

丸山委員 答えになっていないと思うんですね。

 つまり、では、何が、どういうふうな形で公開できないのかもわからなければ、何でも理由をつけて公開しないということができると思うんですよ。

 そういった意味で、我が党としては、完全に三十年というのはきちっと切ってしまって、それを延長できないようにすることで一定の抑止力をつくらなければ、どんどんと恣意的に延長できてしまうんじゃないかということで、そういった修正案も考えているところなんですけれども、その点につきまして、今は修正協議中だから答えられないという答弁ではなくて、大臣として、三十年で切ってしまうということに関しまして、どのようにお考えなのか。

 そして、もう一つ重ねてお伺いしたいんです。

 このときに、やはりその後は、国立公文書館等の行政機関、公文書館等にやはり移管して、国民の目に触れるようにしなければいけないと思うんです。やはりそれを明示的に法文上に書かなければそういうふうにならないと思うんですけれども、そこの二点に関しまして、担当大臣としてお答えください。

森国務大臣 有効期間の三十年でございますけれども、私、この委員会で繰り返し御答弁申し上げているとおり、有効期間は三十年が原則であるとの基本的な考え方のもと、延長する場合には内閣の承認を要することとしております。

 三十年を迎えたときに全て解除するという御提案が今ございましたけれども、やはり三十年を超えても公開することができないもの、特定秘密としていくべきものというものは存在すると思います。例えば、人的な情報でありまして、それを公開することによって、その人またはその御家族の方、相続された方等に報復措置が及ぶようなおそれがある等の場合には、これは公開できないと思います。そのようなときに、その理由を明らかにして延長をすることができるとしたものであります。

丸山委員 後半の、公文書館への移管の話はどう思われますか。

森国務大臣 失礼いたしました。

 保存期間が満了した場合でございますけれども、これは、通常の行政文書と同じように、公文書管理法のそもそもの趣旨に照らして、歴史的な価値があるものは移管をいたします。

 ですから、これは、歴史的な価値があるものは全て移管するわけでございますが、その他のものは内閣総理大臣の同意を得た上で廃棄することとなると思います。

丸山委員 今聞いていただいてわかるように、どうやっても抜け道があるんですよ。今の話だと、原則としてという話だとか、また、歴史的価値がないと役所が判断したら、それは破棄できるというか、公文書館に行かないということなので、そういった意味で、やはり政府は恣意的なやり方ができるんじゃないかという懸念がどこまでも国民の中に残っているんじゃないか、そういうところにあるんじゃないかなというふうに我々維新の会としては考えています。

 もう一つ、特定秘密の指定に関しましてもう少しお伺いしたいんですけれども、指定の際に関しまして、指定の要件を満たしていることを適切に関連文書で示していくということを検討されているという御答弁がありましたけれども、この関連文書というのはどういうものなのかを具体的に伺いたくて。これは目録のようなものなのか、具体的にどういうものなんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 特定秘密を指定した場合には、本法案第三条第二項の規定によりまして、行政機関の長は、指定に関する記録を作成するものとされておりますが、これには、指定番号、指定年月日、情報の内容、該当する別表の号といった指定に関する事項を記録することを検討しておりまして、この中で、指定の要件を満たしていることを適切に示していきたいと考えております。

丸山委員 つまり、管理目録のようなものだというふうに理解しましたが、こういったものをきちんと指定していくときに、やはり先ほど来申し上げているように、恣意性をどうやって排除するのかというところが一番論点になってくると思います。

 そして、我が党からの修正の話、山田委員もありました、そして小熊委員からもありましたけれども、どうしても、そこにチェックするような機関がなければ、この懸念というのはどこまでも払拭されないと思うんです。

 そういった意味で、他国の例もありますけれども、指定が恣意的にならないように何らかのチェック機関を設けることを検討するという御答弁ですけれども、これは、きちんと法文上、条文に書き込んでいかないと、全く効果が、検討して終わりましたで終わってしまうと思うんですけれども、これをきちんと条文上に書き込んでいくことに関しまして、その意思はないのか、そのあたりにつきまして、担当大臣として、お伺いしたいと思います。

森国務大臣 山田委員からの御質問に対して、私が御答弁をいたしました。行政機関内部に第三者チェック機関を設けるべきという御提案に対して、それに対しては真摯に受けとめさせていただきまして、検討してまいりたいというような答弁を申し上げました。

 その上で、現在、修正協議が行われていると承知しております。この修正協議につきましては、政党間のものでございますので、その中でしっかりとした修正協議がなされるものというふうに思っております。

 私としては、担当大臣として、恣意性の排除には心を砕いてまいりまして、そういう意味で、アメリカにおいては十年、二十五年という長い有効期間を、五年以内というふうにいたしまして、これは行政機関の長でございますが、同一人物である可能性は低いわけでございますので、そういった者が専門的な、技術的な判断でチェックをしていく。

 そして、さらに、三十年たったときに、内閣の承認、これは具体的には閣議決定でございます。閣議決定の事項というのは明らかにされております。ああ、きょう閣議決定でこれがなされるんだなということは、報道機関の皆様も御存じになるわけでございます。その中で理由もきちんと公表するということで、しっかりと国民の目にさらされるという中で、恣意性を可能な限り排除していく仕組みにしたわけでございます。

丸山委員 恣意性の面に関しましては、安倍総理も言われておりますけれども、この法案はNSCと車の両輪だという御答弁をされています。

 そういった意味で、その恣意性に関しまして、何でもかんでも、どの省庁も、たくさんの省庁が法律上規定されていますけれども、特定秘密に何でもしてしまうんじゃないかという御懸念もあるんです。

 そうした中で、やはり車の両輪だとおっしゃるのであれば、NSCで四大臣会合というのをわざわざ置いて、新たにそこでかなり大きな基本計画から細かい部分までやられるということなので、大臣を絞り込んでいく、具体的にはNSCの四大臣会合の四大臣の持っている省庁に絞り込んでいくというのがやはり両輪という意味では整合性がとれると思うんですけれども、このあたりに関しまして、担当大臣としてどうお考えですか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 四大臣以外の行政機関におきましても、例えば、テロリストの動向に関する情報を外国の情報機関等から提供を受けたりすることが想定されておりまして、仮に、四大臣以外の行政機関の長が特定秘密の指定を行えないこととした場合には、その漏えいが我が国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがある情報を厳格な保全措置の対象とすることができず、諸外国から必要な情報を入手できなくなったり、国内の関係省庁における円滑な情報共有が阻害されたりするおそれがあります。

 また、そもそも、本法案は、政府の情報保全に関する共通ルールを定めることを目的としておりまして、秘密指定を行う行政機関の長を四大臣に限定することにより、本法案の趣旨を没却することになろうかと考えております。

丸山委員 恣意的な面に関しましてはまだまだ気になるところがありまして、時間も迫ってきてはいますけれども、例えば罰則に関しましても、二十三条を見ると、「人を欺き、人に暴行を加え、若しくは」云々で始まる条項でございますけれども、これはどういった目的でこの行為をするのかという限定はございません。

 そういった意味で、では、以前の委員会でも、あらゆる状態でいきなり逮捕されるというふうな懸念があると新聞記事の紹介もありました。

 私もあの記事に関しましては少し恣意的に書き過ぎだとは思っていますけれども、でも一方で、やはり今回の目的として、外国を利するというのを何とか避けたい。我が国及び国民の安全を害する用途に供する目的とか、もしくは外国の利益を図る目的を持って及んだ行為の場合に限定するのがやはり法の趣旨としても明確だと思うんですけれども、このあたりに関しましても、非常に政府の恣意性が高まっているんじゃないかという懸念があります。

 これは、大臣としてどうお考えですか。

森国務大臣 目的についてでございますけれども、本法案では、我が国及び国民の安全を害す、その行為を、漏えいまたは取得行為を罰することを規定することでその特定秘密を保全するものでございますので、目的いかんにかかわらず、これはその趣旨を害する場合があるわけでございますので、目的についてはあえて定めなかったわけでございます。

 なお、諸外国において、目的犯にした場合には、刑罰を死刑その他、非常に高い刑を設けております。そういう意味で、今回は、この法案はそこまでの刑罰にしておりませんで、例えば窃盗罪と同じような十年以下の懲役にしているわけでございます。

 というわけで、目的犯は設けなかったということでございます。

丸山委員 政府側の理屈としてはそういう理屈なのかもしれませんけれども、やはりこの目的を絞らなければ誰でも彼でも逮捕されてしまうんじゃないかという懸念が確かに出てくると思うんですよ。政府が絞りたいのも、やはりこの目的の部分だと思うので、そこは広目にとってしまうんじゃなくて、やはり限定していく。

 我が党修正案、いつも言っていますけれども、やはり政府の恣意性の部分をどう少なくしていくか。グレーゾーンとおっしゃいましたけれども、グレーゾーンを絞っていって、法文上明確化して、そして国民の皆さんにやはり本当に必要な法案なんだと思ってもらうようにしなければ、先ほど来スケジュールの話もありました。この短い期間の中で、まだまだ疑問点が出てくるのに、なかなかこの辺の国民の理解というのが八十点以上に上がっていくことはないというふうに強く今は思います。

 そういった意味で、スケジュールが非常に大事だと思いますが、最後、時間もないので、スケジュールに関して伺いたいんです。

 統一基準の策定のスケジュール、現在検討中という話でもありますけれども、今回、NSCが衆院の方は通過しまして、参院の方で審議されていますけれども、このNSCの創設との関係性についてお伺いしたくて。両輪ということなので、NSCの創設時には、この特定秘密の指定の基準も含めて、全部ないと恐らく困ってしまうということになると思うんですけれども、一部報道では、NSCの創設、年始めになるんじゃないかというお話も出ております。このあたりのスケジュール感、詳しくお伺いしたくて。

 その時点で、創設時点で統一基準ができているんでしょうか。そして、それは年始めといった、かなり急激に、早い段階もあり得るんでしょうか。お伺いしたいと思います。

岡田副大臣 お答えいたします。

 本法案が成立すれば、諸外国との情報共有等が一層促進するものと考えられ、それによって国家安全保障会議の審議の質の向上にもつながることから、本法案の成立は国家安全保障会議の効果的な審議にも大いに資するものと考えております。両法案は我が国の安全保障にとって極めて重要なものであり、政府としては、両法案の早期成立が望ましいと考えております。

 お尋ねの統一基準は、法案の統一的かつ適正な運用を図るために必要不可欠なものであり、早期に策定できるよう努めてまいりたいと考えております。

丸山委員 大臣、最後にお伺いしたいんですけれども、これは具体的にはいつごろなんですか。かなりスケジュールが大事だと思うんですけれども、具体的な今のイメージを、担当大臣としてどういうイメージをお持ちなのか、お答えください。

森国務大臣 早期の法案自体の成立も目指しておりますし、この基準についても早期にできるように努めてまいりたいと思います。

丸山委員 皆さん、聞いていただいてわかったように、早期にということで、ではいつなんだ、そして具体的な基準はどこなんだというときに、まだ修正協議を待つという意味で、やはり細かい部分、非常に国民の皆さんが気になっている部分が明らかになっていないままで、このままいっていいのかという疑念が私も非常に残っています。

 法案自体の趣旨に関しまして、必要なものは必要だと思うんですけれども、そのあたりに関しまして、我が党としましても、私自身にしましても、まだまだ懸念があると申し上げまして、私の質疑を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

額賀委員長 次に、椎名毅君。

椎名委員 こんにちは。みんなの党の椎名毅でございます。

 本日、特定秘密保護法案に関して三十分の質疑時間をいただいたことは本当に感謝を申し上げたいというふうに思います。

 消費者問題特別委員会でも、森大臣にはやりとりをさせていただきまして、消費者特でもこの国家安全保障特でも、森大臣のすばらしい真摯な御答弁に私も感動しております。ぜひお手やわらかにお願いできれば大変幸いでございます。

 早速ですが、質疑に入ります。

 私自身は、およそ国家には決して漏えいしてはならない秘密があるということ自体については十分理解をした上で、一定程度の法整備によって漏えいを防止する手当てをすることというのは必要であるということは十分認識しております。しかし、本法については、やはり幾つかの論点を整理していくことが必要だなというふうに思っています。

 これまでの質疑についてもいろいろございましたけれども、やはり特定秘密の指定の恣意性、それから表現の自由に対する萎縮効果、こういったところについて、やはり大きな懸念があるというところなのではないかというふうに思っています。

 そういった観点から、私自身、質問をしてまいります。

 本法については、特定秘密の取り扱いは行政公務員だけではないので、民間事業者の表現の自由とか、秘密の指定について聞いてまいります。

 特に、これは刑罰法規ですので、秘密の範囲が広範であると、グレーゾーンが仮に存在すると、罪刑法定主義から導かれる明確性の原則という観点から、刑罰法規として問題があるんじゃないかというところもありますし、安全保障の観点とそれから民主主義の基本である表現の自由、これをバランスするに当たりまして、本点が適切なバランスかということもやはり問題だというふうに思います。

 憲法学説上、通説的には、表現の自由を規制するに当たって、厳格な基準と申しますけれども、当該規制立法の目的が真にやむを得ないものであるか、規制手段が必要最小限なものであるか、目的とそれから手段というこの二つの判断基準でそれぞれ違憲を判断するというのが通例だというふうに思います。

 そういった観点から、目的とそれから手段というところについて聞いていきたいと思います。

 まず、立法事実についてですけれども、一昨日の森大臣と後藤委員とのやりとりについて、興味深く、私自身も議事録を拝見いたしました。

 まさに、本法の立法事実に関する部分なのかなというふうに思いましたけれども、既存の国家公務員法、それから自衛隊法、そしてMDA秘密保護法、こういったものがございまして、これによって秘密を一定程度保護することが基本的にはできるようにはなっているわけでございます。自衛隊法に関しては、防衛秘密という観点で、特に国防にとって重要な問題について秘密を保護していくということでございます。

 これに対して、なぜ、これらの既存の法律を改正し、加重することが必要であれば加重するということでは足りないのかというところが議論になったんだというふうに思っています。

 論点としては、後藤委員が挙げていたのは重要情報の漏えいの防止と、それから外国との情報共有と、二つの理由に分けた上で、それぞれ妥当なのかどうかという観点だったというふうに思います。

 現在、秘密については、現在存在しているこの法律で一定程度保護をされているということ、それに加えて、カウンターインテリジェンス機能強化に関する基本方針ということで、物的管理、人的管理の方向性についても定められているんだというふうに思います。

 これらで何が足りないのかというところについて、改めて伺えればというふうに思います。

森国務大臣 まず、既存の法律の方から申し上げます。

 まず、その前提として、情報共有が、外国との間、そして政府内での間で促進されるためには、秘密保護に関する共通ルールの確立が不可欠であります。

 そういう視点から見てまいりますと、まず、国家公務員法については、一般職の国家公務員の規律しかない、守秘義務の定めしかないということ。それからまた、適性評価等の秘密の管理を規定する法律が存在しないということがございます。

 また、自衛隊法についても御指摘がございましたが、自衛隊法については、防衛のみの事項について規定をしております。また、自衛隊員の服務規定であるというそもそもの法の目的から、その他に範囲を広げることには困難を伴います。

 また、それ以外の後者の御質問でございますけれども、現行のカウンターインテリジェンスに関する基本方針に基づく各省で定められておりますガイダンスや基準でございますけれども、これが各省ごとにばらばらでございます。

 例えば、内閣官房においては大臣決定で行う、内閣法制局においては訓令で行う等の違い。または、管理責任者が部長級の省庁もありますし、課長級のところもありますし、局長級のところもございます。また、適格性の確認を行う者が、その主体が大臣である省庁もございますし、課長である省庁もございます。このように、基本方針では事項しか定められておりませんので、その具体的な内容が各省においてばらばらであるということです。

 これについて共通ルールを定め、それを法定することによって、情報共有がさらに迅速に効率的に行われるということであります。

椎名委員 ありがとうございます。真摯な答弁、本当にありがとうございます。

 まず一点目なんですけれども、重要情報の漏えいの防止ということなんですけれども、あくまでも服務規定だということで、公務員とそれから自衛隊員等しか名宛て人になっていない、そういう意味なんだというふうに思いますけれども、では、裏を返すと、要するに、行政公務員ではない民間人それから国会議員等を規制するために本法が定められるということになるのかということがまず一点。

 各省庁ごとにクリアランスの方法がばらばらであるということですけれども、これは、統一的に、そのクリアランスの方法を統一することを、改めてこのカウンターインテリジェンス機能強化に関する基本方針のもとで行うことでは足りないんですか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 まず第一点目につきましては、本法案は、行政機関が保有する情報の保全が主たる目的でございますので、主として行政機関の職員が対象でございますが、当然、その提供先の保護も図る必要があるということで、関係先も処罰対象としているところでございます。

 第二点につきましては、カウンターインテリジェンスに関する基本方針に基づきます現行の保全体制におきましては、適格性評価とか何かが法定化されていないとか照会権限がないとかいった問題点がございます。

椎名委員 ありがとうございます。照会権限がないから法律に定めなければならないという点はそのとおりかなというふうに思います。それは理解をいたしました。ありがとうございます。

 今までの運用の中で各省ごとにばらばらだったというふうにおっしゃっていますけれども、これはなぜ統一できなかったんですか。

鈴木政府参考人 現行法令では、国家公務員法はございますが、そのほかにも自衛隊法、あとMDAの秘密保護と、ばらばらな秘密保護の法体系でございますので、共通した法的基盤がございませんので、各省庁申し合わせとしてガイドラインを設けておりますが、あくまでもそのガイドラインに基づく施策の実施につきましては、各省庁が責任を持ってやっているというところでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 三十分しか時間がないので、次に行きます。

 他国との情報共有についてという話、もう一点のところですけれども、他国との情報共有に関して本法のような規制が必要であるということですけれども、同じく後藤委員とのやりとりの中で、情報保護協定については、情報保護協定上要求されている我が国の秘密保全の程度というのは十分に達成されているという話だったんですけれども、あえて本法でさらに、海外からの要請、海外からの情報共有のためにこれを定めるということをおっしゃっておりますけれども、何かしらの要請とかがあったり、ここが不十分だという指摘を受けたということなんですか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 本法案によりまして情報を適切に保護する体制を整備することで、我が国の情報保全体制に対する各国からの信頼を確立し、より幅広く質の高い情報の取得が可能になるものと考えておりますが、法案の提出につきましては、米国を含めまして外国政府からの働きかけによるものではございません。

 一方で、日米両政府間におきましては、情報保全体制に関する共通の信頼を増進することを目的としまして、二〇一〇年三月に情報保全についての日米協議を設置しまして、政府横断的なセキュリティークリアランスの導入やカウンターインテリジェンスに関する措置の向上を含め、情報保全のさらなる改善に向けた方策について意見交換を実施してきております。

 こうした中、平成二十三年六月の日米安全保障協議委員会、2プラス2共同声明におきましては、情報保全のための法的枠組みの強化に関する日本政府の努力を歓迎し、そのような努力が情報共有の向上につながることを期待した旨言及され、本年十月の同委員会共同発表におきましても、情報保全の法的枠組みの構築における日本の真剣な取り組みを歓迎する旨言及されているところでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 歓迎するというふうに言われていますけれども、こちらから喜んでやっている、そういう方向性であって、別に要請されて行っているわけではないということなんですよね。

 さらには、一昨日の小野寺大臣の答弁でもございましたけれども、現行法でも基本的には十分である、十分目的が達成されているとした上で本法が施行されるということなんだというふうに理解をしています。

 そう考えると、先ほど一問目のところで話をしましたけれども、公務員の服務規定という観点においては、改正したりとか、まさに情報管理等についても法定化するということで足りそうな気がしますけれども、やはり、あえて新法化するというところは、結局、民間人であったり国会議員だったりというところを、幅を広げて、要するに処罰の対象にしていくというところに大きな意義があると言わざるを得ないんじゃないかなというふうに思います。

 そうだとすると、それがたとえ、やむにやまれぬ非常に重要な目的であるというふうにしたとしても、それで、国民の表現の自由であったり、それから、罪刑法定主義に象徴される、刑罰の不明確な状況で刑罰を科せられるというような、そういう予測可能性を阻害するような事態をやはり招いてはいけないわけで、規制が必要最小限なのかということを議論していかなければならないんだというふうに思います。

 特定秘密の指定という三条の規定について、幾つか伺ってまいります。

 指定されるものの要件というのは、別表該当性と非公知性、それから必要性と大臣は御答弁されていますけれども、漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるということだというふうに思います。

 審議が始まった当初の町村委員の質疑の中で、原子力発電所の問題が取り上げられていたかと思いますけれども、私自身も、この原子力の問題には非常に積極的に興味を持って取り組んでいるところでございますので、改めて、原子力発電所関係のことについて伺いたいというふうに思います。

 資料をいろいろ拝見すると、原子力発電所に関するものについては、例えばアメリカなんかですと、原子力委員会の指定する秘密情報については、国防に関するものということで特定秘密の保護の対象になっている、そういう内容だったというふうに思います。

 それに対して、我が国ではどうかというところで、恐らく、特に別表四号イの、テロリズム被害の発生または拡大の防止のための措置またはこれに関する計画もしくは研究、こういったところが大きく問題になるかなというふうに思いますけれども、幾つか例示で挙げて伺います。

 原子力事業者が原子力発電所の事故に関連して保有している情報、これは基本的に適用されないという理解をしていますけれども、それでいいでしょうか。これが一点目。

 次は、政府が保有している原子力発電所の安全性、特に、例えば「もんじゅ」のような、政府機関の持っている、政府機関という表現をするとどうかと思いますけれども、JAEAの持っている「もんじゅ」のようなところについての安全性、それから核燃料の輸入、これはMOX燃料という意味ですけれども、MOX燃料の輸入に関する情報、それからテロ対策としての原子力発電所の警備に関する情報、これは含まれるという理解でいいのか。

 三点目が、政府が例えば民間シンクタンクや大学等に委託した上で行っている、原子力発電所のさらなる安全性向上のための新技術に関する情報、これは含まれるということなのか。教えていただければと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 原子力事業者が原子力発電所の事故に関連して保有している情報は、本法案の別表のいずれの事項に関する情報とも言えず、特定秘密の指定の対象となりません。

 また、政府が保有している原子力発電所の安全性、核燃料の輸入に関する情報も、本法案の別表のいずれの事項に関する情報とも言えず、特定秘密の指定の対象とはなりません。

 また、政府が民間シンクタンク等に委託した上で行う原子力発電所の安全性確保のための新技術につきましても、本法案の別表のいずれの事項に関する情報とも言えず、特定秘密の指定の対象とはなりません。

 他方、テロ対策としての原発の警備に関する情報につきましては、これが警察による警備の実施状況である場合につきましては、別表第四号イに規定するテロリズムの防止のための措置に関する情報として、特定秘密に指定されるものもあり得ると考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 そうすると、もう一回確認なんですけれども、基本的には、やはり民間事業者である原子力発電所が持っている情報等については適用されないということなんだろうと思いますけれども、他方で、JAEAのような、政府機関というふうに呼んでいいのかもしれないですけれども、そういったところでも、これは入らないということでよろしいんですよね。

鈴木政府参考人 御指摘の政府関係機関というのは、行政機関には含まれませんので、特定秘密の対象になりません。

椎名委員 ありがとうございます。

 昨今、原子力発電所の事故以降、こういった原子力に関する問題というのは物すごく国民の関心を集めているところだというふうに思うので、やはり念を押すように確認をしていかなければならないというふうに思います。

 時間もないので、一個飛ばして次の質問に行きますが、この要件の、漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあることということの意味なんですけれども、具体的に、食料安全保障だったりエネルギー安全保障だったりということについては、どの程度含まれるということなのかというのが一点と、著しい支障を与えるおそれというのがついていることによって、これが非常に不安定になるというか、漠然とするわけですけれども、このおそれということの意味を教えていただければと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 食料とかエネルギーにつきましては、我が国の存立に影響を与える場合のような例外的な場合に限り安全保障に含まれ得ますので、その場合には特定秘密の対象になる場合がございます。

 それから、先ほど、本法案第三条一項に規定します我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある場合とは、例えば、安全保障のために我が国が実施する措置に対して、その間隙をついたり対抗措置を講じたりして、我が国が効果的な措置を講じることができなくなるような場合を指します。

椎名委員 ありがとうございます。

 やはり非常にわかりづらいというふうに思います。おそれという漠然とした表現が入っていることによって、政府の恣意性が入る可能性が高まるんだというふうに私自身は思っていて、恣意性が入る可能性が高まるような規定ぶりというのは、若干疑問が残るところではございます。

 引き続き、次の質問を伺いたいと思います。

 また一点飛ばして次の質問に行きますが、特定秘密保護法違反の事件が仮に民間人において適用されるというか、その被告事件があったときに、立証の方法として、検察側からは、外形立証という形で、これが特定秘密に指定されているという形で立証していくということだったというふうに理解をしています。

 しかし、特に民間人であれば、この情報がそもそも特定秘密なのかどうかというところの秘密適合性を争って訴訟をしたい場合もあるんじゃないかというふうに想定をしてみました。一応、本法においては、インカメラ手続によって証拠開示が認められる場合もある、その結果として特定秘密が情報として外に出てくる可能性があるということだと思いますけれども、これの意味するところというのは、こういった形で外形立証として行われる立証に対して、特定秘密の適合性、要するに、これは特定秘密に当たらないといって、だから無罪だという弁護側の立証をすることができるのかどうか、教えていただければと思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 弁護側は、当該情報が特定秘密に当たらないという点につきまして、争うことができると考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 そうだとすると、結局、やはり、インカメラ審理において、裁判官がその特定秘密を見た上で証拠開示をすることが必要かどうかということが判断できる、その場面が物すごく重要になるんだなということを改めて理解いたしました。ありがとうございます。

 その次に、大分飛ばして、公益通報者の保護ということについて伺いたいというふうに思います。

 公益通報者の保護、ちょっと視点が変わるんですけれども、公益通報者をいかに保護していくかということは非常に重要だというふうに思います。基本的には、違法行為を通報することについては本法は適用されないということを、本会議の答弁でも大臣からおっしゃっていただいているかというふうに思います。

 この点について、例えば官製談合みたいなものが考えられるかというふうに思います。

 昨今というか、一年前ぐらいに、防衛省関連の官製談合というもので、末端の二佐の方々が、官製談合というところで罰金の刑罰を受けたという事案があったかというふうに思います。

 こういった官製談合みたいなものは、秘密を内部者が漏えいして初めて明らかになるわけですけれども、実際に官製談合そのものを立証していくということもそれなりに難しいんだというふうに思っています。

 そうした中で、この官製談合を告発した人間が、官製談合で問題であるというふうに大騒ぎをして、マスメディアも大騒ぎになったりはするけれども、結局、不処分だったり起訴猶予だったりということになって官製談合の問題が収束をするというような場合、この場合は、違法行為だったかどうかについてはちょっとよくわからないわけですけれども、こういった場合であっても、要するに通報者というものは保護されるのかということでございます。

鈴木政府参考人 お答えします。

 官製談合に関する情報は、特定秘密の対象にはなり得ないと考えております。

椎名委員 この間の問題になった官製談合では、要は、仕様書だったりというものを開示したわけですね。ヘリコプターの仕様書ですけれども、これが、要するに、本法の別表で言うところの、防衛に関する、防衛力の整備、武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物の種類または数量とか、こういったところに該当するのではないかというふうに思います。

 官製談合というのは、結局、談合があったかなかったかの過程の中で、特定秘密に該当するような情報を、秘密のそういった情報を開示しないと立証ができない可能性が高いというのと、情報、要は特定秘密、それを開示したところで、官製談合というものが成立するかどうかについても疑わしいというところが問題なんだというふうに思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 仕様書自体が官製談合の証拠になるような場合に、あえて、官製談合の事実を隠蔽するために特定秘密に指定して隠蔽するという趣旨かと思いますけれども、官製談合自体は犯罪行為でございますので、そうしたものを隠蔽するための指定自体は無効であると考えております。

椎名委員 その指定自体が無効であるということかもしれませんけれども、結局、最後の最後、検察官がこれは不処分にしようといって不処分にしたというと、罪には問われないわけですね。それであっても違法行為なのかということなんですけれども。

鈴木政府参考人 お答えします。

 違法行為の認定につきましては、先生お尋ねのような確定判決を必ずしも必要とは考えておりませんので、違法ということを認定することも可能かと思います。

椎名委員 わかりました。

 要するに、違法行為を公益通報者として通報した人間については保護されるということでしたけれども、それについては、結局今おっしゃっていただきましたけれども、確定判決は要らないということなので、それは非常に重要な答弁かなというふうに思います。確定判決がなければ、結局、最終的に、公益通報の趣旨で問題を提起しても起訴されなかったということでも、逆に特定秘密保護法違反ということで処罰されるということにはならないので、それは非常に重要なことかなというふうに私自身は思います。

 最後に、時間がなくなってしまったんですけれども、共謀、独立教唆、それから扇動行為を処罰している規定、二十四条以下にありますけれども、こういった規定があるというところに、それなりに問題があるというふうに思っています。

 いろいろな話を聞いてみると、最終的に、正犯が実行行為に該当することを行っていなくても、共謀しただけ、それから、単独に教唆をしただけ、それから、扇動した行為、これが処罰の対象となっているということで、処罰範囲の拡大を招くのではないかというふうに思いますけれども、これをどのように防止するのか、お答えいただければというふうに思います。

鈴木政府参考人 お答えします。

 情報漏えい事案につきましては、正犯が実行に着手しない場合についても起こり得るということで、国家公務員法であるとか自衛隊法においても、現在において、独立の教唆とか扇動について規定がされているところでございます。

 当然のことながら、構成要件的には正犯の実行行為を必要としませんが、教唆の認定につきましては、正犯との関係も含めまして、丁寧に事実認定をして、範囲を確定したいと考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 まだまだ、いろいろ問題となるところがたくさんあるのかなというふうに思います。私自身も、準備してきた質問の半分ぐらいしかできなかったので、やはり、議論すべきところというのはたくさんあるのかなというふうに思います。もう少し慎重審議していかなければならないというふうに私自身の感想を述べた上で、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

額賀委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 秘密保護法の重大な問題点として、一体何を特定秘密に指定するかは、外務省や防衛省などの行政機関の長が判断し、指定するということであります。

 特定秘密の範囲は別表に限定列挙していると言いますけれども、十一月八日の当委員会での防衛省の答弁を見ますと、自衛隊の宿営地の活動、自衛隊の装備、収集した情報などについて、特定秘密に該当するかどうかと聞かれて、こう答えております。何が特定秘密に該当するか否かについては、個別具体的に判断していく必要があるが、一般論として、別表の特定秘密に該当する可能性があると。およそ自衛隊のほとんどの活動が、該当する可能性があるということであります。

 そこで、小野寺防衛大臣に伺います。

 この答弁からいえば、例えば、自衛隊の情報保全隊の活動あるいはその収集した情報なども、特定秘密に該当する可能性があるということでよろしいですね。

小野寺国務大臣 自衛隊情報保全隊は、外部からの働きかけに対して部隊や隊員等を保全するために必要な資料及び情報の収集、整理を行うことを任務としており、防衛省の所掌事務の範囲内で、関係法令に従い、適切な方法で、インターネットや刊行物からの情報収集、公開された場での情報収集などを行っています。

 したがって、自衛隊の情報保全隊が収集した情報が特定秘密に指定されることは通常想定されておりません。

笠井委員 これは防衛に関する情報ということも含まれているわけですが、では、特定秘密に該当することはないと言えますか。言い切れますか。

小野寺国務大臣 通常の、今お話ししたように、適切な方法でインターネットや刊行物からの情報収集、公開された場での情報収集などということが中心であれば、これは、情報保全隊が収集した情報でも特定秘密に指定されることは通常想定されませんが、一般論として、自衛隊情報保全隊の情報収集活動において、特定秘密の要件に該当する情報を入手し、その情報を特定秘密に指定することはあり得るとは考えておりますが、基本的に、こういうことはそれほど多い話ではないんだと思っております。

笠井委員 多いか少ないか聞いているんじゃないんです。可能性があるということであります。

 防衛省では、既に特定秘密保護法案を先取りした動きがございます。

 防衛省には、「部外者からの不自然な働き掛けへの対応要領について」と題する事務次官通達、これが出されたのは平成十八年十二月二十八日付でありますが、それと、その実施に必要な細部についてQアンドA集ということで定めた防衛政策局調査課長名の事務連絡、平成十九年一月二十二日付がございます。いずれも第一次安倍政権時代に発せられた文書であります。

 この通達が発出されてから平成二十二年末まで、その間でいえば、これらに基づいて対応して報告が行われていた。それは間違いありませんね。

小野寺国務大臣 平成十八年十二月二十八日付次官通達、「部外者からの不自然な働き掛けへの対応要領について」ということの御指摘かと思いますが、御指摘の通達については、機微な情報を数多く扱う防衛省・自衛隊においては、外国による諜報活動を初めとする外部からの不当な働きかけから防衛省・自衛隊が保有する重要な情報を防御するため、カウンターインテリジェンス機能を強化することは極めて重要であると認識をしております。

笠井委員 これを使っていたんですねと聞いているんです。平成二十二年まで。事実だけ聞いているんですから、言ってくださいよ、ちゃんと。

小野寺国務大臣 御指摘の通達については平成二十三年十二月二十六日付で廃止されてはおりますが、カウンターインテリジェンス機能を強化する観点から、同日、平成二十三年十二月二十六日付で、部外者からの不自然な働きかけへの対応及び外国政府機関関係者等との接触要領について発出し、情報保全上の事故を未然に防止するため、不自然な働きかけに加えて、外国政府機関関係者等との接触及び海外渡航に関する不審動向についても職員から報告されることとしております。

笠井委員 要するに、長々言われたけれども、廃止されるまで使っていたということですよ。

 問題は、その内容ということであります。そして、この通達、事務連絡に基づいて何がやられていたかということです。

 この通達によれば、大臣もお持ちなんだと思うんですけれども、本文の一ページ目の真ん中に、防衛省の職員はというふうにあります。部外者から不自然な働きかけを受けた場合には、直ちに保全責任者等に対し報告しなければならないと定められておりますけれども、この部外者というのは何ですか。国会議員や記者も含まれていたのか。

小野寺国務大臣 済みません、事前の質問通告でそこまで言っていただければすぐにお答えできるのですが、改めて、もし必要であればお答えをしたいと思います。

笠井委員 このことについて聞くと、きのうちゃんと通告してあります。

 では、言いますけれども、事務連絡に記載されている、この実施するに当たってのQアンドAがあります。ここを読みますと、一の二にあります。「「部外者」には、どこまでの範囲の者が含まれるのか。記者や国会議員も「部外者」に含まれるのか。」「記者、国会議員、他省庁の職員等も「部外者」に含まれる。」と書いてありますね。

小野寺国務大臣 参考人の答弁はだめだということにしてありますし、委員からの質問通告は、わずか、平成十八年十二月二十八日付の事務次官通達についてということでありますので、ぜひ細目について言っていただければ、誠心誠意答えたいと思います。

 ただいまのことについての、不自然な働きかけということですが、不自然な働きかけには、社会通念上相当と認められる程度を超える金銭提供、供応接待、正当な理由のない職務に係る情報の提供依頼等が含まれますが、その詳細については、制度の具体的運用にかかわる事項であり、これを明らかにすると防衛省や自衛隊の情報保全に支障が生じるおそれがあることから、お答えを差し控えさせていただきます。

 いずれにしても、国会議員との接触や記者による通常の取材行為については、不自然な働きかけに至らないものであることから、本件報告の対象となることはありません。

笠井委員 昨日、この通達とこの文書、通知についても聞くというふうにちゃんと通告してございます。しかも、私は、ちゃんと参考人が必要だったらという話をしたけれども、夜中までちゃんと言ってこなかったんですよ、誰がやるかということを。そちらが言ってこなかったんだからね。

 私、QアンドA集、一の二、これは通知で出されている防衛省の文書です。そこに、「記者、国会議員、他省庁の職員等も「部外者」に含まれる。」と書いてありますねと。一の二です。一枚目です、本文。書いてあるかどうか聞いています。

小野寺国務大臣 一の二、「本通達にいう「部外者」とは、防衛庁の職員以外の者から、「各国駐在武官等との接触について」に定義する「各国駐在武官等」を除いたすべての者をいう。したがって、記者、国会議員、他省庁の職員等も「部外者」に含まれる。」と書いてあります。

笠井委員 含まれるということであります。重大であって、驚くべき話です。

 では、防衛省の職員と今言われた各国駐在武官等以外ということになりますと、例えば総理、それから森大臣、岸田大臣も部外者ということになりますね。

小野寺国務大臣 いずれにしても、不自然な働きかけに至らないものであることから、本件の報告の対象となることはありません。

笠井委員 私は、部外者かどうかを聞いているんです。今言った説明からすると、なるということです。

 では、そうした部外者から受ける不自然な働きかけとは、一体どのようなものをいうのか。今大臣は幾つか都合のいいところを読まれたんだけれども、通達の一ページの下のところを見ますと、利益提供、供応接待、それから便宜供与などが挙げられておりますが、中には、再三にわたる電話、電子メール等により接触、職務に係る情報の提供等を求められた場合や、防衛省が保有する文書等の提供を依頼された場合まで含まれているわけであります。

 通達が使われていた期間、国会議員や記者からの情報、文書等の提供依頼も不自然な働きかけとされていたのかどうか。これはどうなんですか。

小野寺国務大臣 不自然な働きかけというのは、社会通念上相当と認められる程度を超える金銭提供、供応接待、正当な理由のない職務に係る情報の提供依頼等が含まれるということであります。

笠井委員 そのように判断した基準というのは、一体どこにあるのか。社会通念上というのは、どこまで通念という話になるのか。それから、通達では、その判断は各機関が定める保全責任者等の裁量に任せていただけじゃないですか。

 しかも、この通達では、本文の二ページの最後のところでありますけれども、各機関の保全責任者等が不自然な働きかけと判断した場合には、情報保全隊と適切に連携する等必要な措置を講じなければならないと定めております。

 国会議員や記者の調査、取材活動を情報保全隊の監視対象に置いていたということじゃないんですか、これは。

小野寺国務大臣 いずれにしても、この不自然な働きかけというのは、社会通念上相当と認められる程度を超える金銭提供、供応接待、正当な理由のない職務に係る情報の提供依頼等が含まれるということでありますので、それがこの不自然な働きかけということであります。

笠井委員 事務連絡のQアンドA集の、五の一というのがあります。終わりから二枚目ですけれども、この中には、「職員の勤務する駐屯地、基地等を担当する情報保全隊と連携し、より綿密な情報収集を行い、更なる情報保全上の問題の有無の確認に努める」というふうにありますが、より綿密な情報収集というのは、具体的にどのような情報を収集したということでしょうか。インターネットに出たという話じゃないでしょう、これは。

小野寺国務大臣 一般的な法令に従った、公開されている情報ということだと思います。

笠井委員 現在は、平成二十三年十二月二十六日以降、先ほど大臣言われました「部外者からの不自然な働き掛けへの対応及び外国政府機関関係者等との接触要領について」という新しい通達になっております。

 その中でも、不自然な働きかけへの対応ということで、国会議員や記者まで対象にする、先ほど対象とおっしゃいました。そして、情報保全隊と連携して必要な措置を講じて、より綿密な情報収集までやっているということじゃないんですか。そのことは変わったんですか。

小野寺国務大臣 何度も申し上げますが、不自然な働きかけというのは、社会通念上相当と認められる程度を超える金銭提供、供応接待、正当な理由のない職務に係る情報の提供依頼等が含まれるということでありますので、こういうことで私どもとしては判断をしております。

笠井委員 社会通念上とか正当とかというのは、いろいろなことで、どこで線を引かれるかわからないわけですよ。そうでしょう。そんなことで、具体的に大丈夫だなんて話にならない。結局、やっていないということは、否定していないわけです。

 次官通達や事務連絡は開示されていたのに、今度統合しましたら、現在はどんな通達になっているか内容も言えないという話になってくる。おかしいと思うんです。

 私、委員長、これは当委員会に当該文書の提出を求めたいと思うので、ぜひ理事会で協議をお願いしたいと思います。

額賀委員長 理事会で協議をいたします。

笠井委員 さて、防衛省には、情報保全隊が行う情報収集活動について定めた情報保全隊情報保全業務規則と題する文書がございます。これでございますが、これはいつ発出されたものか。ここに「情報保全隊長 陸将補 鈴木健」という名前がありますけれども、これはどういう意味か。この人物の責任で発出した、いついつの文書、業務規則ということでいいのか。そこをお答えください。

小野寺国務大臣 御指摘の情報保全業務規則は、部隊等が秘密保全、隊員保全、組織、行動等の保全及び施設、装備品等の保全を行う際、陸上自衛隊情報保全隊が部隊等の必要とする資料及び情報の収集整理及び配付を行う際の細部業務要綱を定めたものであります。発出した日付は、平成十七年三月二十三日ということです。

笠井委員 この鈴木健さんという方が、この名前で出したということ、そういうことですか。一枚目に書いてありますけれども。

小野寺国務大臣 この文書によりますと、「情報保全隊長 陸将補 鈴木健」という名前になっております。

笠井委員 では、この規則ですけれども、防衛省が提出した文書、計十六ページございますが、最初にその日付と名前が書いてあって、それ以降、一ページ目の下から本文のところはずっと、これは黒塗りと言わないですよね、黒べたですよね。十六ページ、真っ黒になっている。全部そうなんです、最後まで。

 なぜ隠すんですか。大臣はさっき、情報保全隊の活動は、インターネットとか外に出ている活動、情報を集めただけだという話だった。それが主だという話をしたけれども、だったら、その中身について何で隠すんですか。

小野寺国務大臣 先ほど来お話をしておりますが、情報保全隊の業務、これは、今お話しされた規則の細部についての非公示の理由ということですが、これらを明らかにした場合、情報保全隊の活動の内容、情報関心等が明らかになり、防衛省・自衛隊の効果的な遂行に支障を及ぼし、ひいては国の安全が害されるおそれがあることから、当該箇所を不開示といたしたということであります。

笠井委員 そういうものが書いてあるということでありますけれども、かつて、情報保全隊の前身である調査隊というのがありました。この調査業務に関する達という文書、その文書の内容が明らかになった。そして、その中に、自衛隊に対して外国勢力並びに国内不法分子によってなされる情報活動に対処し、施策に万全を期すことを主眼とすると記されておりました。これが問題になりまして、平成十九年、二〇〇七年の六月十九日、参議院の外交防衛委員会で当時の久間防衛大臣が、そのとおりだというふうに認められたものであります。

 この情報保全隊の情報保全規則にもそういうことが書かれているということじゃないんですか。

小野寺国務大臣 先ほどお話ししたように、この内容については、これを明らかにした場合、情報保全隊の活動の内容、情報関心等が明らかになり、国の安全が害されるおそれがあることから、不開示としたということであります。

笠井委員 かつて久間大臣が認めていたんだから、中身を出して開示するのは当たり前じゃないですか。出すのが当然の責任だと思います。あわせて、現行の業務規則についても提出してもらいたい。

 こうした情報保全隊の活動が、秘密保護法ができれば、特定秘密として一切明らかにされない可能性があるんです。既に、法律がなくても明らかにしていないわけですよ、こうやって真っ黒にしちゃって。こんなことでいいのかという話です。

 最後に、森大臣に伺いたいんです。

 この情報保全隊の活動をめぐって、我が党は二〇〇七年に、情報保全隊が国民の市民生活を監視してその情報を収集していたことを明らかにしましたけれども、今、情報保全隊による人権侵害をめぐって、仙台高裁で審理が続いております。この裁判に、情報保全隊の陸将補だった鈴木健氏が証人として出頭しております。先ほどあった、規則を発したというふうに大臣が認めた方でありますが、その方の証人調書によりますと、例えばこういうことが聞かれております。

 本年の七月一日の公判で、なぜ労働組合の春闘の街宣を監視対象にしているのか問われて、労働組合の春闘の街頭宣伝、街宣が自衛隊の業務に及ぼすおそれがあるというのはどうしてなんですかと聞かれて、鈴木氏はこう答えています。労働組合の街宣が自衛隊の業務に支障があるというのはどうしてかという御質問ですが、これにつきましては、判断基準が介在いたしますので、判断基準を通したものにつきましては守秘義務に該当するというふうに認識しておりますので、お答えできませんと。労働組合の街宣について答えられないというんですよ、やっていることについて。

 このように、至るところで、守秘義務を盾に事実上証言を拒絶しているわけであります。秘密がかかると裁判でも何も明らかにされず、秘密ということで証言を拒否する。これではおよそ裁判が成り立たないんじゃないかと思うんですが、森大臣、いかがです。

森国務大臣 裁判についてのお尋ねでございますけれども、十条に規定してありますとおり、刑事裁判、民事裁判の手続の中で適切に明らかにされていくものと思っております。

笠井委員 そういうことを聞いているんじゃないんですよ。こういうことがおかしいと思わないかと聞いているんですよ。

 こんなことが秘密保護法で通ったら、暗黒裁判、暗黒社会になってしまう、だからこんな法案は廃案しかないということをこの際申し上げて、質問を終わります。

 岸田大臣、GSOMIAはまたの機会にやりたいと思います。どうも済みません。

 終わります。

額賀委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 森大臣、お疲れさまでございます。また本日もよろしくお願いいたします。

 私は、特定秘密の保護に関する法律案、本当に、逐条ごとにいろいろと審議を深めていかないと、国民の不安は一向に解消されないのではないか、きょうも各委員からそのような意見が出ておりましたが、そのことをやはり真摯に質問させていただき、また明確に御答弁をいただきたいと思います。

 きょうは、適性評価についてお聞かせいただきたいと思います。

 第五章第十二条からはこの適性評価について述べられています。本法案では、特定秘密の取り扱いの業務を行った場合に、これを漏らすおそれがないことについての評価、以下、適性評価と言わせていただきますが、その評価を実施するものとすると規定されていますね。

 では、聞かせていただきたいと思います。

 行政機関の職員、契約業者の役職員、都道府県警の職員等がその対象となっていますが、十一条では、行政機関の長、国務大臣、内閣官房副長官、内閣総理大臣補佐官、副大臣、大臣政務官、その他職務の特性等を勘案して政令で定める者については、適性評価を要せず特定秘密の取り扱いの業務を行うことが可能であるということ。そのほかに、公益上の必要により特定秘密を提供された者は、特定秘密の取り扱いを行う者に該当せず、適性評価を要しないというふうになっております。

 では、ここでは行政機関の職員、契約業者の役職員、都道府県警の職員等がその対象ということになっているわけですが、この適性評価を受ける者は、職務の上下関係等にかかわらず、つまり、一般の職員の方であるとか、あるいは管理職であるとか、そういうことにかかわらず、その対象となる業務にかかわっている者は全て、この適性評価に付されることを職務の義務として負っているかどうかについてお聞かせください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 適性評価の対象者につきましては、職務の上下にかかわらず、特定秘密の取り扱いの業務を行うことが見込まれる者は対象となります。

玉城委員 ということは、結局、職務についている人はそれを受けなければいけないということですか。義務だということですか。

鈴木政府参考人 取り扱うためには適性評価を受けなければいけません。

玉城委員 それでは、そこからまたさらに質問させていただきたいと思います。

 この特定秘密の保護に関する法律案は、「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」というふうになっています。では、それまで特定秘密の取り扱いの業務を担当していた方が、この法律が施行される前に一身上の理由によって取扱業務を辞退することは認められますか。

鈴木政府参考人 適性評価におきましては、本人の同意を前提としておりまして、理由のいかんを問わず、同意をしないことはできます。

玉城委員 少し整理をさせてください。

 先ほど、その取り扱いをする者は、適性評価を受けるのは義務であるというか、適性評価を受けないと仕事ができないということであるわけですよね。それはつまり、その仕事にいる人たちは半強制的にそれを受けなければならないというふうな、服務規定にはなくても、暗にそういうふうな取り決めになってしまうということですけれども、結局、それを通告して、受けるか受けないかはまた本人の自由だというふうなことになるとちょっと筋が通らないというふうに思うんですが、そのことについて、もう一度御説明をお願いいたします。

鈴木政府参考人 お答えします。

 まず、同意につきましては、これは全く自由でございますので、同意をしないかどうかは本人が判断できます。

 ただ、本法案につきましては、取扱者につきましては適性評価が前提になっておりますので、適性評価を受けていない方については取り扱うことができません。

玉城委員 わかりました。

 取り扱うことができないということですから、その仕事にはつけないということになっていくんだろうと思います。

 これから少し聞かせていただきたいと思いますが、本法律が施行されて以降における特定秘密の取り扱いに従事していた者の身分について、どのような判断がなされるのかを伺いたいと思います。

 まず、適性評価対象者、この担当者に変更が生じた場合、手続や処遇、それから人事異動になった場合の前任者の処遇など、つまり、この人が担当していたはずなのに途中で変更が生じた場合、あるいは、当然、人事異動が伴いますから、その人事異動に伴った場合には、この取り扱いをしていた者の身分はどういう処遇になりますか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 同一の行政機関におきまして、特定秘密の取り扱いの業務を行っていた職員が別の部門の取り扱いの業務を行う職に転任した場合、あるいは、一度取り扱いの業務を行う職に異動し、その後再び取り扱いの業務を行う職に転任する場合には、直近に実施した適性評価から五年以内であれば、改めて適性評価を受ける必要はございません。

 しかし、例えば、一度退職した後、再び取り扱いの業務を行う職についた場合、あるいは、別の行政機関に異動し、取り扱いの業務を行う職についた場合は、改めて適性評価を受ける必要はございます。

玉城委員 そうですね。確かに、もう一度その職務につく、戻ってきた場合には、改めて適性評価を受けなければならないかもしれません。

 しかし、では伺いますが、退職して、もうその仕事につかないとなった場合、この従事者の責任の解除や免責等についての処遇はどういうふうになりますか。

鈴木政府参考人 秘密取扱者として知得した秘密については、秘密が指定されている限り、退職後も守秘義務が課せられます。

玉城委員 ということは、退職後も守秘義務が課せられるということは、かなり大変だと思います。

 では、かなり大変だと思うということについて、少し私なりに危惧する点を質問したいと思います。

 質問を一つ。特定有害活動及びテロリズムとの関係に関する事項の調査の場合には、配偶者、父母、子及び兄弟姉妹、配偶者の父母及び子、家族を除く同居人についての氏名、生年月日、国籍は過去に有していた国籍を含む、そして住所。つまり、調査範囲がまずこれだけ、特定有害活動及びテロリズムとの関係に関しているかどうかを調べる場合に、家族の洗いざらいがここで調べられます。

 そして、本人は、犯罪及び懲戒の経歴があったかどうかということが調べられます。情報の取り扱いに係る非違の経歴、つまり、情報取り扱いで違法的な行為をしたことがあるかどうかということが調べられます。薬物の乱用及び影響に関する事項が取り調べられます。精神疾患に関する事項が取り調べられます。飲酒についての節度に関する事項が取り調べられます。そして、いわゆる借金とかいろいろな財産とか、信用状態そのほかの経済的な状況に関する事項等々について。これだけ調べられるわけですね。

 このことは、私は、後で詳しく述べますけれども、かなり大変な範囲に及んでいるんだと思います。

 大臣、先ほど、審議官の答弁では、やはりその業務を取り扱う人は、やめてもその責任をずっと負うということがありましたけれども、そのことについて、年限の期限あるいは自動的な解除等々についての期限はありますか。

森国務大臣 特定秘密が解除されない以上は、義務を負っております。

玉城委員 特定秘密が三十年以上解除されない場合には、三十年以上その義務を負いますか。

森国務大臣 はい。負うことになります。

玉城委員 つまり、その職務について特定秘密を取り扱う適性評価を受け、特定秘密を一度でも取り扱ったことがある人は、その人がずっと真面目で、その特定秘密を取り扱うことができなくなったという欠格事由が生じない限り、この方はずっとその特定秘密に関する業務に携わったという責を負う、退職してもそれを負うということになるわけですか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 お尋ねは欠格事項等でございますけれども、適性評価はあくまでも取り扱いの業務に携わるための前提条件でございまして、取扱業務において知得した業務の守秘義務に関して、適性評価の欠格とは関係は全くございません。

玉城委員 済みません、私の聞き方がちょっとおかしかったかもしれませんので、整理したいと思います。

 つまり、退職した人であれ、あるいは定年なさった方であれ、ずっとその仕事についていた方は、やはり適性評価の適正な対象になっている、取り扱いができるという対象になっている。その方が、もうその特定秘密を取り扱うことができなくなったという欠格が生じない限り、この方が、つまり適性評価を受けてきちんと仕事をこなしていた方が、先ほど大臣が答弁なさったように、ずっとこの適性評価、つまり、特定秘密が解除されないまで適性評価を受けた者として生活をすることになりますかということです。

鈴木政府参考人 お答えします。

 守秘義務は、取扱業務者として知得した結果として負う義務でございまして、適性評価とは直接関係ございません。

玉城委員 この場合、守秘義務というのは、いわゆる公務員法における服務規定に係る守秘義務という意味でよろしいですか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 今申し上げた守秘義務というのは、本法案に基づく守秘義務でございます。

玉城委員 ということは、その守秘義務は、やはり特定秘密を取り扱う上での守秘義務のため、先ほど私が話したように、七項目の、大変プライバシーの高い項目まで全部、同意の上、調査を受けて、その取り扱いを行った方は、この同意を受けて調査を受けた情報がそのままずっと、いわゆる守秘義務を守り続けている限り、その方のこの情報もずっと、いわゆるブラッシュアップといいますか、精査され続けるということでよろしいですか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 適性評価のために収集した個人情報の保管につきましては、守秘義務の期間とは関係ございません。あくまでも、適性評価を円滑に行うために、必要な範囲内で保管することになろうかと思います。

玉城委員 では、いわゆる適性評価対象者の守秘義務といいますか内容は、これは関係ないということではあったんですけれども、先ほど私がお尋ねしたこの従事者の責任の解除や免責というのは、つまり、守秘義務は負うけれども、いわゆる当局が調査をしたさまざまな情報については、いつの時点でそれを解除、廃棄して、それはもう廃棄しましたということを本人に伝えることがあるんですか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 適性評価に関して収集しました情報につきましては、各行政機関の適性評価を実施する部署で管理責任者を定めまして適切に保管し、保存期間経過後、確実に廃棄することを検討しておりますが、具体的な運用につきましては、有識者の御意見を受けて制定します運用基準において規定することを考えております。

 また、廃棄につきましては、各個人に対して通知することは考えておりませんが、運用基準については、これを可能な限り公表してまいりたいと考えております。

玉城委員 私は、これは大変大きな問題だと思います。なぜなら、大臣、御自身に置きかえてぜひ考えてみてください。あなたの御主人、あなたの御主人のお父さん、お母さん、及びお父さん、お母さんの子供、そして、あなたの家族、これは大臣に言うのは失礼ですので別に置きかえたいと思いますが、もし仮に私が何回か離婚と結婚を経験したということであれば、その前の奥さん、前の前の奥さん、そしてその子供たち、前の奥さんの御両親、その子供たち、前の前の奥さんの御両親、その子供たち、そういうところまで全て調査の対象になるわけですよね。いかがですか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 元配偶者は、家族に該当せず、調査対象となりません。

玉城委員 そういうことですね。

 ということは、今現在の、私が結婚をしている、おかげさまで円満な家庭です、結婚をしているこの家族は、これから先、特定有害活動及びテロリズムとの関係に関する事項について、「行政機関の長は、」「調査を行うため必要な範囲内において、当該行政機関の職員に評価対象者若しくは評価対象者の知人その他の関係者に質問させ、若しくは評価対象者に対し資料の提出を求めさせ、又は公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」とあります。

 ということは、私の家族、私の子供たち、全て、私に関係している家族に対しては、こういう調査が及ぶ。その及んだ調査が、一体、いつまで自分が働いていた場所に保管されて、いつそれが廃棄されるのか、そして廃棄されたということが自分にいつ伝えられるのかがわからないで、適性評価に対して同意を求められて、私なら同意しません。しかし、同意しないことはできないと先ほどありましたね。同意しないといけないということは、これは任意だと思うんですね、同意を求めるということは。任意で求めるんですが、先ほどは、適性評価を受けないと、その仕事につくことができないということになりました。

 そうすると、例えば、仕事場で外される、これが例えば契約業者であれば、いや、もう君は使えないからごめんねといって解雇になる。そういうふうなことになってしまうということが前提で、だから同意しなくてはならないという条件になってしまうと、調査をする内容そのものに対して、本当に、その本人に対して、いつまでの期限で、いつまでにこれは解除します、ですからあなたはいつまでの役目ということでよろしいですよということが、今後、明確になるということですか。

鈴木政府参考人 まず、家族の調査事項につきましては、法律で、氏名、生年月日、国籍、住所という最小限の四項目の人定事項に限定しておりますので、それ以外のことについて調査することはございません。

 それから、同意をしないことによって取扱業務者になれないような場合についての不利益の取り扱いについては、労働法等の保護を受けておりますので、配置転換等によりまして適切な措置がされることと考えております。

玉城委員 今現在仕事をしていらっしゃる方々、特に特定秘密にかかわろうとする、重要な四項目における部署で働いている方々は、自分が適性評価を受けないことで、その仕事をやめる、そういう意思はお持ちではないと思います。逆に言うと、今の仕事を一生懸命頑張ろうという方であれば、恐らく、職務上で自分が負わなければならないことであれば、できるだけそれは自分の仕事のために誠心誠意頑張ろうというふうになると思います。

 ところが、私が聞きたいのは、この中で、犯罪及び懲戒の経歴や、薬物の乱用それから信用状態などなど、こういうふうなプライバシーの、個人の秘匿に対して答えることができない場合に、それが、担当府省ではなくて、いわゆる労働法制の中で、多分仕事が、ちゃんと配置されるであろうというふうなことになってしまうと、必然的にこれは強制義務になってしまうものではないかと思います。その点について、もう一度お聞かせください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 先ほど答弁申し上げましたように、本人の同意は、完全な任意のものでございます。それによって不利益な取り扱いがないような措置も法的に講じられていると考えております。

玉城委員 ありがとうございました。

 大変細かい内容ではありますけれども、とにかく、こうやって逐条で確認をしていかないといけないという法案ですので、御理解をいただきたいと思います。

 大臣、ありがとうございました。ニフェーデービタン。

額賀委員長 次回は、明十五日金曜日午前八時四十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会します。

    午後五時四分散会


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