衆議院

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第10号 平成26年11月13日(木曜日)

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平成二十六年十一月十三日(木曜日)

    午前九時六分開議

 出席委員

   委員長 鳩山 邦夫君

   理事 後藤 茂之君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 正忠君 理事 寺田  稔君

   理事 義家 弘介君 理事 石田 祝稔君

      秋本 真利君    伊藤 忠彦君

      伊藤 達也君    石川 昭政君

      石原 宏高君    加藤 寛治君

      勝沼 栄明君    金子万寿夫君

      金子 恵美君    河村 建夫君

      木原 誠二君    木原  稔君

      坂井  学君    末吉 光徳君

      鈴木 俊一君    鈴木 淳司君

      瀬戸 隆一君    高木 宏壽君

      橘 慶一郎君  とかしきなおみ君

      福井  照君    藤原  崇君

      牧島かれん君    宮腰 光寛君

      若宮 健嗣君    稲津  久君

      濱村  進君    佐々木憲昭君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   国務大臣

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   政府参考人

   (内閣府地域活性化推進室室長)          内田  要君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          小松親次郎君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十三日

 辞任         補欠選任

  河村 建夫君     橘 慶一郎君

  木原  稔君     藤原  崇君

  坂井  学君     秋本 真利君

  とかしきなおみ君   石原 宏高君

  林  幹雄君     木原 誠二君

  福井  照君     若宮 健嗣君

  宮川 典子君     牧島かれん君

  宮本 岳志君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     坂井  学君

  石原 宏高君     とかしきなおみ君

  木原 誠二君     林  幹雄君

  橘 慶一郎君     河村 建夫君

  藤原  崇君     木原  稔君

  牧島かれん君     末吉 光徳君

  若宮 健嗣君     福井  照君

  佐々木憲昭君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  末吉 光徳君     勝沼 栄明君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     宮川 典子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)


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     ――――◇―――――

鳩山委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ、維新の党、次世代の党、みんなの党、日本共産党、生活の党所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局長代理山崎史郎君、内閣府地方分権改革推進室次長満田誉君、内閣府地域活性化推進室室長内田要君、総務省大臣官房審議官橋本嘉一君、文部科学省初等中等教育局長小松親次郎君、厚生労働省大臣官房審議官木下賢志君、林野庁長官今井敏君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官井上宏司君、経済産業省大臣官房審議官石川正樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。義家弘介君。

義家委員 安倍内閣総理大臣は、経済再生、経済を最優先にし、政権運営を行ってきました。いわゆるアベノミクス三本の矢、大胆な金融緩和、そして機動的な財政出動のもと、本丸となる成長戦略、これを実現することによって、日本の経済を再びよみがえらせる政策を断固として進めてまいりました。

 今回の国家戦略特区の中身について定める法改正は、成長戦略、日本のこれからの経済を占う上で極めて重要なテーマであると考えております。にもかかわらず、本特別委員会に野党の出席がない。このことについて、冒頭、強い憤りを表明したいと思います。

 当委員会は、委員長職権によって立てられた委員会ではなく、与野党、丁寧な合意形成のもとで、本日、この時間から開催することが決定しているわけです。解散権を持っているのは内閣総理大臣だけでありますが、内閣総理大臣は現在海外におりまして、解散についての具体的言及を行っているわけではありません。

 各野党、役所に対して、本委員会の質問通告を既に行っております。役所の職員は徹夜で本日の会議のために答弁書を書き、石破大臣、そして関係大臣もそれをしっかりと読み込んだ上で、立法府の議論の対応に追われてきたわけであります。

 国権の最高機関であり、唯一の立法機関であるこの国会、立法府というのを軽んじているようなこのたびの姿勢については、我々は断固抗議を申し上げたいと思います。

 しかしながら、国の大切なテーマでありますので、このような状況にあっても、我々はおごらず、誠実に質問し、一つ一つの懸案を明らかにしてまいりたいと思います。

 本日、このような質問の機会をいただいた筆頭初め与党の先生方に心から感謝をした上で、質問をさせていただきます。

 まず、石破大臣に改めて質問させてください。この国家戦略特区のそもそもの目的とは何だったのか。お願いいたします。

石破国務大臣 これは、国家戦略特別区域法に定められたとおりでございます。

 委員御案内のとおり、大胆な規制・制度改革を通して経済社会の構造的改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力の強化とともに、国際的な経済活動の拠点の形成を図り、もって国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。法律に定められているとおりでございまして、その実現のためにこの審議をお願いしておるわけでございます。

義家委員 地方創生そして国家戦略特区、二つ同時に進めていくことによって大きくこの国の経済を前に動かしていく、その目的のもとで当法律ができ、今回改正を行っているわけです。

 具体的な分野は、創業人材等の多様な外国人の受け入れの促進や、外国人家事支援の人材活用、あるいはワンストップセンターの設置、公証人の公証役場外における定款認証、医療法人の理事長要件の見直し、あるいは農業等に従事する高齢者の就業時間の柔軟化、さらにはNPO法人の設立手続の迅速化や、官民の垣根を越えた人材移動の柔軟化等々が盛り込まれておりますが、この中の一つ、きょうは、主に公設民営学校、つまり公立学校運営の民間開放についての問題を少し取り上げさせていただきたいと思っております。

 まず、石破大臣、我が国の公教育、とりわけ義務教育が果たしてきた役割や意義、また義務教育そのものに対する大臣の評価をお願いいたします。

石破国務大臣 公教育、とりわけ義務教育は、教育の機会均等と教育水準の維持向上を図り、将来の日本の人材を育てるために極めて重要なものであります。委員の御認識のとおり、公教育の意義、義務教育の意義というのは強調し過ぎてもし過ぎるところはございません。

義家委員 ありがとうございます。

 離島に生まれようと、山間部に生まれようと、町に生まれようと、日本人として生まれてきたからにはしっかりとした義務教育が横串として保障されるという極めてすぐれた制度であり、そして国の大きな大きな責任の根幹でもあるというふうに私は思っております。

 しかし、実は、この規制改革の議論、ずっと注視してまいりましたが、例えば第八回の国家戦略特別区域諮問会議においてこの議論がなされたときに、この義務教育、公教育のあり方が岩盤規制であるというような発言が政務三役の中から出されておりますが、内閣官房は、この公教育、とりわけ義務教育を岩盤規制として捉えているのか否か。石破大臣、お答えください。

石破国務大臣 いろいろな議論が行われているわけでございますが、公設民営学校に係ります検討は、運営のための方法論を議論したものでございます。公教育、公立学校制度そのものが岩盤規制というような、そういうような表現をもってなされるものだとは私は認識をいたしておりません。

義家委員 ありがとうございます。

 まさにそのとおりでありまして、これは国家の岩盤責任であるというふうに私は思っております。

 経済的事情や生まれた地域によって当たり前の公教育が受けられない、これは世界じゅうの国々に実際に起こってしまっていることです。私も、世界の子供たちに教育をという議連に参加いたしまして、これまでも多くの途上国に小学校をつくってまいりましたけれども、少数民族や山間部の人々、一番公助の手を必要としている人々が、学び、そして未来を見る、志向するということができない環境の中で、しかし日本は、離島に至るまでそれが拡充されている。今後、さらなる拡充もまた含めて行っていかなければならないテーマであるとも思っております。

 それでは、下村大臣に改めてお聞きします。

 文部科学省は、公立学校及び教員に対して、もちろん、一部、教職員組合等の問題もこれまで私は指摘してきました、全てがすばらしいというわけではなくて、この部分は変えていかなければならない等々の問題も具体的に出してきましたが、全般として、公立学校及び教員に対してどのような評価を行っているか、下村大臣、お答えください。

下村国務大臣 御指摘のように、我が国の公立学校は、全般として、優秀な教員に支えられ、我が国の教育機会の保障や教育水準の確保のために大きな役割を果たしているというふうに思います。PISA調査等からも見てわかるとおり、日本の公教育を世界に誇るものとしてつくり上げた上で大きな貢献をし、また支えている存在でもあると思います。

 文科省としては、このような認識のもと、引き続き、教員の資質能力の向上や教育環境の整備等、公立学校における教育の充実に努めてまいります。

義家委員 ありがとうございます。

 全国民が新聞を読むことができる、そして、当たり前に買い物することができる、家計を考えることができる、あるいは科学を考えることができる、世の中で起こったことを考えることができる、これは、基礎があってのことであります。

 よく画一性が指摘されますが、考える力を育むためには、考えるための材料が必要となります。つまり、横串を入れた基礎としての知識をしっかりと教えた上で、その上で、おのおのの能力に応じて独創的な伸長を遂げていく、これが本来、教育にとって当たり前のことで、よく、義務教育、とりわけ小学校が余りにも画一的で横並びだという議論が出ますけれども、うちの息子も今小学校五年生でありますが、基礎の部分はクラス全体で共有し、そして、その問題を通してそれぞれが得意分野を伸ばしていくという意味で、私は、日本の義務教育というのは、誇るべきすぐれた指導要領に基づいた体系が行われているというふうに思っております。

 成長というものに、これは経済成長もそうですが、成長というものに必要なのは、ある種、抵抗をかけ続けることであるというふうに思っています。筋肉トレーニングもしかり、そして子供の成長にも、指導要領、発達段階に応じて難しいハードルを、一つ一つ丁寧に勉学という形の抵抗をかけてあげることによって幅広い知識が伸長していくという意味では、この抵抗をかける丁寧な営みが規制あるいは邪魔なものというふうに考えられることは、私は反対であります。

 土台が広ければ広いほど大きな建物というのは建ちます。一方で、基礎となる土台が小さければ、どんなに能力があっても非常に小さな建物しか建たないという意味で、これはとりわけしっかりと守っていくべきであろうと思います。

 また、繰り返しになりますが、自分の息子も現在十一歳、小学校五年生で、多くの小学校の先生方を見ていますが、極めてすぐれた実践がおのおのの研究によっても行われております。もちろん小学校の場合は学級担任制ですから、今後考えていかなければならないのは、私はずっと主張していますが、小学校五、六年生は教科担任制という形に変えていくべきであろうというふうに思っています。

 全てとは言いませんが、多くの、例えば小学校の先生は、基本的には文系の先生で、先生になろうと教育学部に行って、教壇に立つ。言いかえれば、極端な言い方をすれば、理科や数学、算数を余り得意としてきていなかった、どちらかというと苦手意識を持っていた方々が教員免許を取り、先生になっているケース。もちろん、教育学部の課程の中でそれらの基礎知識について修得した上で教壇に立っているわけですけれども。例えば理科とか、例えば英語とか、例えば算数とか、そのようなものは教科担当制にして、しっかりと子供たちを伸ばしていく体制を今後も整えていくべきであり、義務教育も、現在の状況に甘んじることなく不断に改革を行っていくべきであるという思いは私も同じであります。

 さて、その上で、今回、公立学校の公設民営学校の特例を設けるということが、この国家戦略特区の改正によって設けられております。このプラン、例えば大阪から出てきたプラン、あるいは議論しているプランは、中高一貫の公立民営学校をつくっていく等々の具体的なプランも出てきております。中学校というのは、いわゆる義務教育であります。この義務教育というものを、あえて公設民営学校の特例を設け、民に委ねていくということに対して、なぜ今回特例が設けられる運びになったのか、下村大臣、ぜひお答えください。

下村国務大臣 公設民営学校におきまして、国家戦略特区法の目的に沿って、産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に寄与する人材の育成の必要性に対応するための教育が行われることとなるわけでありますが、このためには、その法目的に沿って、民間の知見を活用し、その特色に照らして、高度で専門的な知識経験を有する教員や国際経験が豊かな教員を採用することが想定されます。

 一方、公立学校においては、地方公務員の給与は国の職員の給与等を考慮して定めなければならないことなどから、例えば、高額な賃金を柔軟に設定することなどにより、国家戦略特区法の目的に沿って、民間の知見を活用し、国家戦略特区の趣旨に合致する教育を行うための、民間の高度で専門性の高い教員を任用するということは、制度実態として極めて困難でもあるわけであります。

 このため、公立学校を民間が管理運営する仕組みを特例として設ける必要があるわけであります。

義家委員 政府参考人、文部科学省にお伺いいたします。

 二〇〇三年、平成十五年六月に出された骨太の方針、さらには同年九月に出された構造改革特別区域推進本部の決定を踏まえて、現在も実は公設民営学校はできるフレームになっております。その公設民営学校のフレームというのは公私協力学校という形で行われたわけですけれども、ここで、議論を整理するために、わかりやすく、これまでの公私協力学校、いわゆる文科省がずっと言ってきた公設民営学校と今回の公設民営学校はどこが違うのか、お答えください。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 従来の公私協力学校は、構造改革特区にかかわるもので、地方公共団体との連携及び協力によりまして学校法人が高等学校または幼稚園を設置する場合、資産要件の審査を行わないこととする特例、これを私立学校法の特例として制度化したというものでございます。したがいまして、この公私協力学校は、あくまでも学校法人が設置管理を行う私立学校であり、地方公共団体が学校の施設を提供するとともに、学校運営に要する経費の不足分を補助するなどの支援を行うというものでございます。

 一方、今回の法案におきます公設民営学校は、国家戦略特別区域の目的に沿って、地方公共団体が設置者となる公立学校の管理を民間に行わせることを可能とするため、学校教育法におけるいわゆる設置者管理主義、学校の設置者が学校を直接管理するという定めの特例として制度化を図るものでございます。この点におきまして、構造改革特別区域における公私協力学校と異なっております。

 公設民営学校の場合は、教育水準の維持向上や公共性の確保を図ることはもとより前提としつつ、国家戦略特別区域の目的に沿って、現行の公務員制度のもとでは公立学校において柔軟に活用することが困難な、民間企業や外国人を含めた高度な専門的能力を有する多様な人々を、非公務員として民間人のまま公立学校において活用することを可能とする、こういう趣旨でございます。

義家委員 今るる趣旨を語っていただきましたが、恐らく、きょう出席している委員の皆さんはその趣旨の違いがわからないというふうに思います。

 この公私協力学校というのはどういうものだったかといえば、学校法人あるいはNPO法人あるいは株式会社が人材とノウハウを提供する、そして地方公共団体が学校施設等を提供する、一緒に、今学校法人と言いましたが、公私協力学校法人、お互いが協力した法人をつくり上げて、そこで民営を行っていくというフレームのはずです。

 そのフレームと国家戦略特区の公設民営のフレームの違い、もう一度お願いします。

小松政府参考人 御指摘の公私協力学校につきましては、学校法人が私立学校として設置する、これを地方公共団体が財政面等において応援をするということにおいて特例でございます。公設民営学校は、地方公共団体が設置する公立学校である、この管理の部分を民間に委託する、そういうふうになります。

義家委員 ありがとうございます。

 これにより一定の整理ができると思いますが、公私協力学校は扱いとしては私立学校である、ですから、所管は、都道府県の学事課等が所管していくわけですね。一方で、この国家戦略特区法は設置者である教育委員会がかかわる学校という違いがあります。

 さらに言えば、公私協力学校の場合は、特別な公私協力学校法人なわけですから私学助成は出ないですよね。そして、公費からの支出も自治体にとっては持ち出し分になってしまったわけですから、これまで一校もつくられていないと思いますけれども、この辺、真偽のほど、お願いいたします。

小松政府参考人 これまで、既存の協力学校でつくられたものはございません。

義家委員 もう一つ細かいことを端的に確認いたしますが、この公私協力学校のフレームは高等学校及び幼稚園を対象にしていたと思います。一方で、国家戦略特区は中学校も対象とする法律であると思います。この二つの、なぜそのようになったのかということについてもお答えください。

小松政府参考人 公私協力学校につきましては、従来からの特例といたしまして、小学校、中学校の義務教育の部分を除きまして、幼稚園それから高等学校を対象としたものでございます。他方、今回の公設民営学校は、公立学校といたしまして一定の要件のもとに管理を委託する先といたしまして、中高一貫の範囲内における中学校を対象に入れているものでございます。

義家委員 責任体制という意味では、それぞれの教育委員会及び設置者がしっかりとその内容を見ていくということを考えねばならないですけれども、ここで非常に重要な問題になってくる論点があります。これは、もうこの一年間、自由民主党内で膨大な時間をかけて議論してきた中身でありまして、下村大臣も非常に誠実に、部会等の議論、そして国会での議論に対しても応えてきていただきました。だからこそ、整理してハードルを越えていかなければならないものなわけですが、それは公務員の当然の法理との整合性についてであります。

 そもそも、この公私協力学校の実現に向けた議論のときにどのような結論が出されたのかということを、改めて私の方から整理します。

 公の施設等の業務については、従来より、事実上の行為に相当する業務、サービスや定型的な処分行為、例えば入館許可等々に係る部分を契約に基づいて包括的に民間委託することができる、これは今もできます。例えば、給食の民間委託だったり、あるいは博物館の委託事業、指定管理者制度ですね。

 一方で、公の意思の決定に基づく非定型的な処分行為、すなわち公権力の行使及び公の意思の形成への参画を伴う職務については、当然の法理により、公務員が行うことが前提とされ、これらを内容とする業務を民間委託することは法的にはできない、これが結論であったわけです。

 具体的に、公立学校の業務についても、これまで長いこと検討されてきたわけですけれども、まず、公立学校は、設置者である地方公共団体の公の意思に基づいて実施されるものであります。まさに公の意思そのものなんです、公立学校は。さらに、入退学の許可あるいは卒業の認定、これはまさしく公権力の行使そのものなんです。ですから、日常の運営、日常の指導等がこれら公権力の行使と一体となって行われているという観点から見ると、完全な民営学校というのは困難であるという結論がそもそも出されています。

 しかしながら、今回は、公設民営で、その委託をできるようにするという法改正が行われてきたわけですけれども、この辺の文部科学省の整理、これはさんざん議論してきたことですけれども、改めてこの辺を整理していただきたいと思います。よろしくお願いします。

小松政府参考人 まず、公務員に関する当然の法理との関係の問題とそれから民間委託の関係の問題と、二つ関連をいたしておりますので、その観点から整理をさせていただきたいと思います。

 まず、我が国政府は、御指摘のとおり、従来から、公務員に関する当然の法理として、公権力の行使または公の意思形成への参画にかかわる公務員となるためには日本国籍を必要とするものと解しております。公立学校の管理職あるいは教諭は、校務の運営に参画することによりまして公の意思の形成への参画に携わることを職務としているというようなことから、公務員に関する当然の法理の適用があり、日本国籍を持たない者を任用することはできないとされております。これは現在もそのとおりでございます。

 また、今度は公の施設の民間委託ということでございますが、公の施設は、住民の福祉を増進するために重要なものであり、住民の負託を受けて地方公共団体が設置、管理しているものでございますので、その民間への委託については、行政事務の処理に当たっての公正さ及び判断の中立性を担保する措置や行政庁による監督体制を確保する措置等を講ずることを前提として初めて、その範囲で可能とされるという整理ができております。このような例として、御指摘の指定管理者制度などもあるわけでございます。

 このような形で指定管理者制度などにより民間委託が行われるような場合には、その枠内において、指定を受ける民間機関に民間人として雇用される外国人が業務を担当することはあり得る、こういう仕組みになっております。

 さて、公の施設の中でも、とりわけ、先ほど御指摘がありましたように、公立学校の管理は、非定型的な業務であるとともに、生徒の人生を左右する入学や卒業といった重い行政処分を行うという意味で、公権力の行使や公の意思形成に深くかかわるものでございます。

 したがいまして、民間委託ということを考えましたときに、指定管理者制度で一定の条件を設けて行うとはいえ、これを活用して定型的な行政処分をこれまで民間に行わせてきた施設、文教関係で申しますと、例えばプールとか体育館とか、そういったものと比べまして、特に高い公共性を持っていて、公正中立の確保に格段の意を用いる必要があるというふうに考えられます。

 こうした公務員の当然の法理や学校の特性を総合的に勘案いたしますと、今回の法案においては、一方で公務員に関する当然の法理に違背しないようにすると同時に、公立学校の管理の民間への委託には公正中立の確保に特に留意するということが極めて重要と考えられます。そこで、今回の法案については、そのような制度的要請に沿った措置を講じております。

 具体的には、公設民営学校で行う教育内容は国家戦略特区法の目的に沿う範囲内であることを明らかにするとともに、当該教育を適切に行うために必要な基準を政令で定めるという仕組みにいたしております。

 それから、条例によりまして公設民営学校の管理の基本方針や入学等の処分の手続及び基準等を定めるとともに、管理を行う法人を指定するときは議会の議決を経なければならないことというふうにいたしております。

 そして、教育委員会が、管理を行う法人に対して報告を求め、実地を調査し、必要な指示を行うことができるとともに、指示に従わないときは、指定を取り消し、または管理の業務の全部もしくは一部の停止を命じることができる権限を付与することといたしております。

 こうしたような規定によりまして、公立学校の管理の中立性、公正性をきちんと確保することといたしておるわけでございます。

 したがいまして、この制度を活用して公設民営学校を設置する地方公共団体にあっては、これらの規定やこの法案の制度的趣旨を十分に踏まえた対応をしていただく必要があり、文部科学省としても適切な運用に意を用いてまいりたいというふうに考えております。

義家委員 るる説明していただきましたが、ちょっとやはりこれはわけがわからない話になるんです。

 今、局長は、公務員の当然の法理に違反しないような状況にするというお話ですけれども、公権力の行使、公の意思形成、これは公務員でなければならない、日本国籍を持つ者でなければならない、これが公務員の当然の法理なんですよ。これに違反しないようにするということは、公設民営される学校では、教諭及び主任、校長は外国人はいない、そして、原則、教諭及び主任及び管理職は日本人、日本国籍を持つ者という理解になってしまいます。この辺いかがですか。

小松政府参考人 管理を民間に委託いたしますので、どういう人を雇用するか、外国人も含めてですけれども、それから、そういう人をどういうポジションにつけて学校を管理するかということは、管理者が指定された時点で、その指定された管理者が決めて行うことになります。その意味では、学校の管理職、教諭に外国人が入るということが起こります。

 一方で、公務員の当然の法理におきましては、公の意思形成や公権力の行使について、公務員として直接に権限を行使するということについては日本国籍を要するということでございますので、今回の法案では、非営利法人として指定される管理機関と教育委員会の間で、条例等によって定められました基準に基づき、教育委員会の最終的な権限のもとの、管理監督のもとで行うという仕組みをつくりまして、その枠内において職員に行動していただく、こういう範囲において外国籍の人もまじり得る、こういう仕組みでございます。

義家委員 大分ひもとけてクリアになったと思いますが、更問いします。

 ということは、入退学の許可や卒業認定等については教育委員会が行うということですか。

小松政府参考人 学校の管理につきましては委託された管理者が行いますので、例えば、入学試験をしてその合否を決めて入学者を決める、こういったことにつきましては、日常の業務は委託された受託機関が行います。卒業等についても、身分を外すということについて、個別のものについてはその学校の現場で行われます。

 一方、最終的な処分の権限は設置者である教育委員会にございますので、これが問題になるというようなときには、先ほど申し上げましたように、報告を求め、調査をし、そして不適切なことについては教育委員会が指示をするという権限を今回付与いたしております。それがうまくいかないというときには、部分的にあるいは全面的に業務の停止や指定の取り消しということがあり得るという仕組みをもってその実効性を担保するという仕組みを設けたところでございます。

義家委員 義務教育を含む以上、業務の取り消しや指定の取り消しなんということがあってはならないんです。絶対にあってはならないんです、これは。ですから、それが絶対あってはならないように、政令、条例、そして個別の運用、この三段構えの法律のたてつけにしているということをしっかりと言っていただきたいから何度も質問しているわけですけれども。

 入退学の許可や卒業認定は公権力の行使そのものなんですね。だからこそ、これを行う場合は、よりきめ細やかに条例で判断し、そしてよりきめ細やかに、教育委員会も主体的になって線というのをつくらなきゃいけなくて、単なる指定管理者、ほかの指定管理制度と同じように投げていくという制度、これは大変なことになるわけです。

 だから今回、法律の中で政令と条例とそして運用についてしっかりと定めていくという、ほかの指定管理者とはっきりと分けた制度をつくり上げた。だからこそ、我々は、その中で、国家戦略特区の目的の範囲内の学校の特例措置としては認めるという判断をしてきたわけでありますが、改めて説明してください。

小松政府参考人 お尋ねの制度の構造について、再度説明をさせていただきます。

 具体的に、この法律案におきましては、まず、教育内容が国家戦略特区法の目的に沿う範囲内であることを明らかにするとともに、その教育を適切に行うために必要な基準を政令で定めることということが規定されております。これに沿って、きちっとした教育内容が担保できるように、必要な基準を政令で定めてまいりたいと考えます。

 それから、公設民営学校の管理の基本方針や入学等の処分の手続、基準等については、条例によって定める。同時に、管理を行う法人を指定するときは、議会の議決を経なければならないということで、条例及び議決にその点を係らしめます。

 なお、今お話のございました不安定な運営になってはいけないということで、教育委員会の権限をさまざま定めてございますが、これら全体を通じまして、私どもといたしましては、運用でこの部分がしっかり行われていくように対応してまいりたいというふうに考えております。

義家委員 私が懸念していることは、実は、現在も教育現場では外国籍の方が正規の教員として働いていらっしゃいます。それは、文部科学省が条約に基づいて出した措置の結果でありますが。公権力の行使または公の意思の形成に参画する公務員となるためには日本国籍を有する、これは現在も変わっておりませんけれども、その中で、教諭にはなれない、主任にはなれない、管理職にはなれないけれども、常勤講師という形、定年まで継続して雇われる常勤講師という形で、担任にはなれるけれども、講師の身分としては教科担当や学級担任にはなれるけれども、主任、教諭、管理職になることはできない。できないけれども、常勤講師という形で外国人を採用するということは妨げられないという判断で通知を出しております。

 これは私、参議院議員時代に質問したことですけれども、では一体、日本国籍を有しない者の公立学校に勤める公務員というのはどのぐらいいるのかということを調べてもらったら、何と平成十五年以降、調査さえしていないんですね。平成十五年が九十八人、十四年が百十一人、十三年が九十九人という形で数字を調査してきましたけれども、平成十五年以降は調査さえしていないわけです。

 私は、基本的には、公務員とは全体の奉仕者でありまして、原則的に日本国籍を持つ者であるべきだというふうに思っております。特に、とりわけ担任になると子供たちの個人情報等々も扱うわけですから、その責任というものを考えたときには、日本国籍であることが前提であろうというふうには思っております。

 一方で、ネーティブスピーカーの先生とか、やはりそういう人に常駐していただくということの意義、それも同時に考えているから、この分けというのは、現場のサイドとしてはあり得るものだろうなというふうには思っているんですが、今回は、教諭、主任、教頭、校長も外国人でいいというフレームなわけですね。

 だからこそ、これは公権力の行使そのものですから、しっかりとしたたてつけを行った上で、子供たちに対して不利益がないように、あるいは子供たちにしっかりと責任が果たせるような体制を、国家戦略特区というのは特別の区域ですから、その特別の区域でしっかりと行っていかなければならないということを再三主張してきたわけであります。そのことについては、大臣、間違いないですよね。

下村国務大臣 そのとおりであります。

義家委員 ありがとうございます。

 まず、この公権力の行使、公というものがどういうものなのか。公とは規制ではありません、その責任を、どういうものなのかということをしっかりと整理した上で、特別の戦略に基づいて特別の教育を行っていくという前提にぜひともしっかりと立っていただきたいと思います。

 そういう意味では、この国家戦略特区法の趣旨に応じて特例を認めるという前提があるわけですから、構造改革特区でもどんどんこれをつくっていく、あるいは日本じゅうに民営学校を、義務教育段階も含めて行っていくという方針ではないということを、改めて大臣、明言していただければと思いますが、いかがでしょうか。

下村国務大臣 これはおっしゃるとおり、国家戦略特区法の中での位置づけでございますので、あくまでもその範囲内の特例であります。

義家委員 この議論が始まって一年余りがたつわけですけれども、私のところに、たくさんの学校の先生も、やはり私たちはだめなんでしょうか、あるいは、多くの私学も、我々は多様な教育をしているけれども、それでも対応できないというんだろうか、あるいは、バカロレアの問題なんかが出てきていますけれども、実際に、公立学校でも私立学校でも、国際バカロレアをやっている学校、これからやろうとしている学校もあるわけですね。我々の能力はある意味では非常に低く見られているんじゃないかなんという疑念を持つ先生方等々もいらっしゃいます。だからこそ、これは特別なものなんだということをしっかりと発信していくことが必要と考えます。

 最後に、これも非常に大事なことなので、大臣にお答え願いたいんですけれども、公設民営学校には、当然、税金、公費が投入されることになります、国家戦略ですから。法人が、例えば学校の人件費等を安価に抑えることなどによって、教育のために支給された公費の差額または一部をほかの事業に用いるような運用は断固許されないと思います。一方で、しっかりとこれはチェックしていかなきゃいけない項目ですけれども、この辺について、明確に御答弁を願えればと思います。

下村国務大臣 教職員人件費を含め、公設民営学校の管理に必要な経費は、学校の設置者である地方公共団体が管理する法人に交付することとなります。

 法人に対して交付される経費は、当該学校の教育のために支払われるべきものであるため、当該学校の教育に用いられるべきものであり、それ以外のことに用いられるということは許されないことであります。

義家委員 貴重な機会をありがとうございました。

 日本の教育は、繰り返しますが、世界に誇るべき制度を持っていると思います。さらなる伸長に向けて私も尽力していくことをお約束して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 本日は、今国会で大変重要なこの地方創生特別委員会でしっかり時間をいただいて質問をさせていただける、このことに感謝させていただきながら質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、本日、国家戦略特区に関する一部改正でございますけれども、主に公設民営学校について御質問をさせていただきたいというふうに思います。下村大臣にも来ていただきまして、大変にありがとうございます。

 実は、公設民営学校につきましては、先ほど義家委員のお話もありましたけれども、私も近畿比例ブロック選出でございますので大いに関係するわけでありますけれども、関西圏から提案がありまして、国家戦略特区において経済的に国際拠点都市を形成するというような形で取り組んでいる中で、その地域において国際的な人材を育成、輩出していく、そういった流れなわけでございまして、ここで公設民営学校は、グローバル人材を育てていくことを目標としているということだというふうに思います。

 基本的には、公設民営学校の導入については、教育レベルの向上に資するものであるというふうに考えるわけでございますけれども、本質的には、公設民営学校のような学校、公設疑似民営学校と言えるかもしれませんけれども、民間校長であったり、民間のリソース、外部リソースを使ったり、こういった活用が既になされている状況であるわけでございます。そういう意味では、特区で公設民営学校という形をとることというのは必ずしも必須ではないのではないかというふうに考えたりもしたわけでありまして、ただ、アプローチの仕方として一つあるのかなというふうに考えておる次第でございます。

 今回の制度が教育レベルの向上にどのようにつながるのか、下村文部科学大臣にお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 公設民営学校におきましては、国家戦略特別区域において、国家戦略特別区域法の目的を踏まえ、産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に寄与する人材育成に対応する教育を行うこととなります。

 このため、国家戦略特別区域の目的に沿った特色のある教育を行うために必要な、既存の公立学校では困難である民間の知見の活用や、高度で専門的な知識経験を有する教員や国際経験が豊富な教員を採用できる制度を設けたものであります。

 こうした制度によりまして、国家戦略特別区域法の目的に沿った質の高い教育が実現するものと考えております。

濱村委員 高度な教育ができる、そういった教員、あるいは国際的な教員、そしてまた、民間の能力を活用するといったことが大事なわけであるかと認識しましたけれども、基本的には教育水準の確保あるいは公共性の確保というものが非常に大事なのではないかというふうに思うわけでございますので、そこもしっかりと確保していただいた上で取り組んでいただきたい、このように思う次第でございます。

 次の質問に参りますけれども、教育レベルの向上につきましては、教員の質をいかに担保するかということが重要でございます。

 きょうは、皆様のお手元に資料を配付させていただいております。小学校、中学校、高等学校における教員の世代の分布状況を皆様方のお手元にお配りさせていただきました。九年前から現在に向けて、人材構成がそのまま上がっていっているということでございまして、小学校においては二十代も多いんですが、基本的には五十代の教員の方々が非常に多いというのが現状であるということが、今この資料でおわかりいただけたのではないかというふうに思うわけでございます。

 この年齢構成の偏りについて指摘あるいは危惧する声というものは非常に多いわけでございまして、経験あるいは技術が豊富な五十代の先生方が引退をされるということになり、そしてまた二十代の先生方を大量に採用していくということになっても、新規で教育現場に入られるということでございますので、スキルであったりノウハウはなかなかないという状況になるということでございます。

 こうした中で、教育の質の維持あるいは向上というものが大変重要視されているわけでございますけれども、文科省の問題意識と、それに対する取り組みをお伺いしたいと思います。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、今後の教職員については大量退職が見込まれる状況でございます。そして、その中で、教職員全体の資質の維持向上に努めることは重要な課題であると認識しております。

 このため、文部科学省としては、これまでも、中長期的な視野からの退職者数や児童生徒数の推移等を把握いたしまして、これは教員統計調査や学校基本調査などによりますけれども、それらを踏まえて、実際に先生方を雇われる各都道府県に対して計画的な教員採用、人事を行うように促しているところでございます。そうしまして、同時に、教員の資質能力向上につきましては、教育基本法第九条の趣旨も踏まえまして、国、都道府県、市町村が相互に連携しながら、教職生活全体にわたる体系的な研修を整備しているところでございます。

 御指摘の、経験、技術が豊富な先生方が抜けていく、その技術伝承につきましては、校内研修はもとより体系的な研修全体の中でカバーしていくことが必要と考えております。

 そこで、教員の資質能力は学校教育の成否を左右するという考えのもとに、現在、中央教育審議会において、教員の養成、採用、研修の一体的改革について御検討いただいているところでございます。

 御指摘の視点を踏まえて、これからの時代に対応した資質能力の向上に引き続き努めてまいりたいと存じます。

濱村委員 研修等を含めて、しっかりと経験であったり技術の伝承に努めておられるということでありますので、しっかりと取り組みをお願いしたいなというふうに思うわけでございますけれども、さらに少し目線を延ばしまして、教員の皆様にさらなる能力開発をしていただくということも必要なのではないかというふうに思っております。

 というのは、今の教育現場においては、基本的には、一方的に教員の方が生徒に対して、児童に対して講義をするという形であるというふうに思うわけでございます。これを少しグループワークのような形式をとって、ディスカッションをするなりあるいはディベートをしていく、こういった視点も大事なのではないかというふうに思うわけでございます。

 今、キャリア教育などもいろいろ議論されているわけでございますけれども、実際私もサラリーマンとしてやっておりました。その中で大事なのは、自分の意見をしっかり整理して伝えていくということであるというふうに思いますし、それがなかなか日本の教育形式であると望めないのではないかということも感じる次第でございます。

 この点について、教員の側がまずディスカッションとかディベートとか、こういったことになれていないというのがまず越えなければいけないハードルではないかというふうに思うわけでございまして、教員の養成課程、大学教育において等、その段階でシフトしていかなければいけないというふうに考えますけれども、いかがでございましょうか。

下村国務大臣 大変適切な時代認識を把握した問題提起だというふうに思います。

 これから知識基盤社会、またグローバル化が進展する中で、子供たちが、みずから課題を発見し、他者と協働して解決し、新たな価値を創造するといった力、これを確実に身につけなければならない。しかし、今までの学校教育は、そういう視点で子供たちを教育するという視点がなかった。それは教員自身も言えることでありまして、おっしゃるとおり、教員がみずからディスカッションやディベートといった方法を学んで、いろいろな課題に対して解決に向けて主体的、協働的に学ぶ授業ができるようにする、そのための大学の教員養成課程における教育や現職教員の研修を通じてこうした指導力の育成に取り組むことは、これからの日本における喫緊の課題であるというふうに認識しております。

 このような授業が普及するよう、文部科学省としても、モデル授業の展開などによりしっかり支援をしていくという認識を持って、今、中教審に学習指導要領の改訂をこれから諮問する予定でありますが、この点を強く強調していきたいというふうに思っております。今後、中央教育審議会の教員養成部会において、教員の養成、採用、研修の全体的なあり方を議論する中で、教員養成課程における主体的、協働的に学ぶ授業を展開できる指導力の育成について検討を進めていただきたいと。

 また、教員研修の充実に向け、独立行政法人教員研修センターと各地域の教育センター等が連携して、主体的、協働的な学習の指導法の研修など新たな研修方法の開発を行うなど、必要な取り組みを行いながら、二十一世紀に通用する子供たちを育成するための、まず教員の研修、それから養成にしっかり力を入れてまいりたいと思います。

濱村委員 大変丁寧に御答弁いただきまして、本当に感謝申し上げます。

 私自身も、二十一世紀に通用する人材を、これは大臣がおっしゃったとおりでございまして、今、なかなか画一的な答えがない、そういった課題が非常に多くなってきている時代背景がある中で、さまざまな物の捉え方をしながら答えを導き出すという能力が非常に大切であるというふうに思っている次第でございます。これを、中教審におかれましても、しっかりと教員養成部会というところで議論されるということでありますので、期待をさせていただきたいというふうに思うわけでございます。

 次の質問に移りたいと思います。

 次は、児童生徒の学習の習熟度についてお伺いしたいと思います。

 この習熟度につきまして、二極化が進んでいるというような声を伺いました。これはどういうことかというと、基本的に、平均のところに分布するものであるということで、そこに向けた教育をなされてきたということがありますけれども、それが、少しできる子と少しできない子に分布が広がりつつあるというような声を伺いました。

 こうした状況について、現状認識を文科省にお伺いしたいと思います。

小松政府参考人 児童生徒の学力の分布状況についてでございますが、私ども、全国学力・学習状況調査を行っております。この範囲で見ますと、まず、都道府県全体での正答率の分布状況を見た場合、上位層と下位層に大きく分かれているといったような傾向は現状見られないところでございます。

 ただ、二極化かどうかの判断は必ずしも容易ではございませんけれども、個別の年度で個別の学校を見ると、上位層と下位層に集団が分かれていると見られる場合もあることは事実でございます。ただ、翌年になるとその波が変わったりすることもございますので、一概に言えないところでございます。

 そういうことから、私どもとしては、原因の特定は難しいけれども、学校や年度における特有の状況ということかと考えております。

濱村委員 今、都道府県単位ではなかなかそういうものは見られない、ただ、個別の年度あるいは個別の学校において見られたけれども、翌年は解決されているということで、なかなか原因追求も難しいということでありました。そういう意味では、極めて特殊なケースというふうに言えるかもしれませんと。

 とはいえ、例えば発達障害の児童であったりとか、できる子とできない子、これは学力的にという意味ですけれども、これを十把一からげに教育していくということでは今後はいけないのではないかというふうに思うわけでございまして、しっかり取り組みをなされているとも聞いております。習熟度別のクラス編制とか、あるいはタブレットを導入したりとか、補助授業を積極的に活用する、記録映像、ビデオとかを使いながら学習の習熟度を上げていくというような取り組みがなされているというふうに伺っております。

 例えば、タブレットを使ったりする場合に、そのビデオなりを家に持ち帰って息子と母親で一緒に見るというようなことが生まれていて、相乗効果も生まれているというふうにも伺っておるわけでございます。あるいは、世界的に見ますと、MOOCsが広がったり、カーンアカデミーがあったりとか、ネットにおいて黒板授業がなされているということもございます。

 こうした習熟度を上げる取り組みという意味ではさまざまな工夫が考えられるわけでございますけれども、今後どのような取り組みが必要だと考えられるのか、お伺いしたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、児童生徒の学習の習熟度を上げるために、子供の学習状況や指導のそれぞれの場面に応じて、柔軟かつ多様な指導方法を工夫することが必要であると考えます。

 このため、学習指導要領におきましても、個別指導やグループ別指導、習熟の程度に応じた指導、発展的な学習を取り入れた指導、教師間の協力的な指導など、指導方法や指導体制を工夫、改善し、個に応じた指導の充実を図ることを示しているところであります。あわせて、指導方法の工夫、改善を促進するため、教職員定数の加配措置も行っております。

 タブレット端末を活用した持ち帰り学習につきましては、家庭等で翌日の授業内容に関する動画を見て知識の習得を行い、学校では協働的な問題解決能力の育成のため、児童生徒による教え合いや学び合いを中心とした授業を行う取り組み、いわゆる反転授業も見られるようになってきたところでありまして、文科省としても、最先端のICTを活用した実証研究を開始したところであります。

 文科省としては、こうした取り組みを進めながら、学校における指導方法の改善を促進し、子供たち一人一人の能力や可能性を存分に伸ばす教育を推進してまいりたいと考えております。

濱村委員 反転授業というお話もございました。

 私、実は隠岐の島、海士町にも行ってまいりまして、さまざまな教育における取り組みも伺ってきたわけでございますので、しっかりとこうした取り組みがどんどんどんどん加速化していくことを願うわけでございます。

 そして、最後の質問にしたいと思いますけれども、こうしたいろいろな授業を工夫していくという中で、映像、ビデオ等を使ったりすることは可能だというふうに思うわけでございます。習熟度を上げるためにはでき得る限り多様なものを、使えるものは使っていくということが大事なのではないかというふうに思うわけでございますけれども、その映像に出てくる先生は教員免許が必要であるのかどうか、このことについて文科省の御所見をお伺いしたいと思います。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの事柄につきましては、まず、学校の授業においては直接指導に当たる教員がいることが必要でございまして、その教員は教員免許状を有している、特別免許状など、もちろんそういったことも含めてでございますけれども、そういうことが必要であるということが前提でございます。

 これを前提といたしますために、御指摘のあったビデオ教材等を授業で活用する場合の教員免許状の関係につきましては、教員免許状を所有している教員が授業全体について責任を持って行っているということから、その中でビデオ教材等に登場する人物については教員免許状が必要とされるということではないということでございます。

濱村委員 直接教える、現場を見られる教員がいるもとでしっかりそういうものは活用できる、その活用されるものの中では教員免許が必ずしも必要ではないということだと理解いたしました。

 いずれにいたしましても、教育レベルの向上に資するものであれば、しっかりと措置をとっていくことが肝要であるというふうに思うわけでございます。その一環としての公設民営学校についても成果が上がることを願いつつ、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 予定されております次の質問者がお見えでございませんので、この際、暫時休憩いたします。

    午前十時十分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時二十分開議

鳩山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ちまして、民主党・無所属クラブ、維新の党、次世代の党、みんなの党、生活の党所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 質疑を続行いたします。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 質疑の順序を入れかえまして、野党の中で私が先にやらせていただきます。ほかの野党議員の質問につきましては、その権利を保障し、別途、条件が整ったときにやっていただく、与党側からもそういう約束を得られましたので、それを前提に質問をさせていただきたいと思います。

 今回提案されている法案は、戦略特区等で実施する合計十三項目の規制緩和項目を新たに盛り込んだものであります。

 配付した資料は、追加の規制改革事項の提案元、右側にありますけれども、これについて記載をした資料であります。これは内閣府から提出されたものです。

 この法案の目玉の一つであります、官民の垣根を越えた人材移動の柔軟化というのがありますけれども、この提案元を見ていただきますと、右下ですけれども、米印で、非公開、こうなっているわけですね。これは非公開となぜしなければならなかったのか、その理由を石破大臣にお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 委員御指摘の事項は、この夏に追加の規制改革事項を募集した際に提案をされたものでございますが、提案を募集するに当たりましては、営業上の秘密などを理由に提案内容について非公表を希望する方は申し出ることができる旨定めているものでございます。

 そういうことで、これを前提として当該提案者というものはこれを申し出られたわけでありまして、当該提案者につきましては、非公表の御希望があったということで、公表いたしておりません。

佐々木(憲)委員 営業上の秘密にかかわるというんですけれども、何が営業上の秘密にかかわるんでしょうかね。官民の垣根を越えた人材移動の問題というのがどうして営業上の秘密にかかわるのか、全く私は納得できないんです。

 これは直ちに公開すべきだと思いますけれども、いかがですか。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、これは雇用の流動化に関するものでございます。提案者でございますが、その提案内容が実現された場合にはでございますが、今後その提案者の事業の中心に据えようというように考えているようなこともあるかと思います。それが、提案、事業前に判明いたしますと、当該提案者の競争上の地位、そういうものを、あるいはアイデア、事業計画というものを害するようなことも想定されることでございますから、提案者の意向に沿った取り扱いをさせていただいたところでございます。

 以上でございます。

佐々木(憲)委員 今聞いていると、大変、裏が見えてきたというか、雇用の流動化にかかわる提案をしたわけで、その流動化をきっかけとして事業で一もうけしたい、こういう方が提案をした、こんなことがだんだん明らかになってきたわけです。

 具体的にお聞きしましょう。

 ことし十月十日に開催された第九回国家戦略特区諮問会議の議事要旨、これを見ますと、このように書いてあるわけです。

 八田達夫氏の発言として、「現在では、官庁に勤めていらっしゃる方が民間のスタートアップ企業に転職する際に、一度やめたらもう二度と官庁には戻れません。このため、リスクがかなり大きいので躊躇するという問題があります。今回、何カ月か民間のスタートアップ企業で働いてみて、だめな企業だということがわかれば、元の官庁に復職でき、その際、退職金について後できちんと通算の措置をとる制度ができることになりました。これは、画期的な流動化の促進策です。」こういうことを言っておるわけですね。

 この提案者の一人は、国家戦略特区ワーキンググループの八田達夫座長ではないんでしょうか。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 八田座長が提案者ということはないと考えております。

 以上でございます。

佐々木(憲)委員 しかし、こういうふうに狙いをあけすけに述べているわけであります。

 ここで八田さんが言っているのは、何カ月か働いてみて、だめな企業だということがわかれば、もとの官庁に復職できると発言しているんですね。

 石破大臣、そのだめな企業というのは具体的にどういう状況の企業を示すのか、大臣はどのようにお考えでしょうか。

石破国務大臣 それはその場になってみなければわかりませんが、それが自分の思っていたことと違う、それが人材を雇用するあるいは募集するに当たって自分が考えていたようなやり方と違うというようなことか。しかし、行ってみたけれどもだめだったというのは、余りそういうことはあっていいことだとは思いませんが。

佐々木(憲)委員 行ってみたけれどもだめだった、だめな場合は、またもとに戻って官僚をやれる、こういう仕掛けなんですよ、これは。非常に都合のいい話なんです。

 この官民人材移動について、竹中平蔵議員も、議事要旨を見ますと、こう述べているわけです。「公務員が民間企業のために出向するというのは制約があるわけで、それをどうするかという、一見小さいようで、非常に重要な問題を整理していたのですが、これは西村副大臣に最終的に調整をしていただいて、この公務員派遣について法的な措置をとるというところまでこぎつけています。」こういうふうに述べているわけですね。

 名前が出ている西村康稔副大臣にお聞きしますけれども、あなたは竹中平蔵氏から具体的に何を調整してほしいと依頼されたのか、どんなことをやられたんでしょうか。

西村(康)副大臣 お答え申し上げます。

 いわゆるコンセッションと呼ばれていますけれども、公共施設等を民間の事業者が運営する、そういうスキームでありますけれども、その場合の公務員の派遣について産業競争力会議のフォローアップ分科会において議論がなされてきておりまして、その開催された実行実現点検会合、フォローアップの会合におきまして、公共施設等運営権事業の安全かつ円滑なスタートをするという観点から、公共施設等運営権者への公務員派遣を可能とするよう議論が行われてきておりまして、法的措置を講じようという方針を取りまとめておりまして、その方針に従って、内閣府を中心に関係省庁と精力的に調整、検討を進めているところでございます。

佐々木(憲)委員 私がお聞きしたのは、そういう措置をとるようにという要請を、竹中平蔵さんから要請を受けた、こういう事実があるかということなんです。

西村(康)副大臣 公共施設について、民間事業者に運営権を委ねて運営をしてもらうというスキームで、さまざまな省庁がそれぞれ持っている公共施設について民間事業者に運営委託できないかということで検討している過程で、さまざまなところから、公務員の一定のノウハウは必要だという議論が出てきたわけでございます。

佐々木(憲)委員 そのさまざまな中に竹中氏も入っていたということだと思うんですけれども。

 要するに、今回の法案の問題点は、公務員だった人が民間企業に行きますと、仕事は民間企業の、その企業の私的な利益のために働くわけです。それは、公務員として、憲法上、公のために仕事をするというのが公務員でありますから、それと筋が違ってくるわけですね。それをクリアしなきゃならぬと。これは趣旨が全然違う職場になっていくわけですから、前例はないし、ハードルが高い。それで、竹中平蔵氏から頼まれて、それを可能にするため、内閣人事局にも話をつけて、全面的に協力するという言質をとった、そういうふうに西村さんはおっしゃっていますね。

 そういう調整を行って法制化にこぎつけた、こういうことなんじゃないんですか。

西村(康)副大臣 この制度は、公共施設を運営する権者にノウハウを適切に移転して確実に事業を行ってもらおうという観点から、一定の業務について、例えば、安全に付随する関連の業務でこれまで民間事業者が行ったことのない業務、公務員にしかそのノウハウはないような業務がありますので、そういった業務についてのノウハウを移転していく、そのために公務員の一定の派遣を可能にしようという趣旨でございます。

 全体としては、公務員は基本的に公共の利益のために働くということでありますけれども、それを含めて、民間の事業者が公共施設を効率的に運営することによって、地方財政にプラスになる、あるいはサービスが向上していく、さらには、自治体のそういうものについてビジネスチャンスが民間にも広がってくるという、さまざまなプラス面があるということで、そうしたことの法益と公務員が公共の福祉のために働くという公益とを比較考量しながら、法制局においてしっかりとした審査をしてもらっているところでございます。

佐々木(憲)委員 西村副大臣は、この国家戦略特区諮問会議でこういう発言をされているんですね。「民間に行きますけれども、これはその期間も退職金は通算するし、まだ戻るという前提でやります。これは民間企業に行ってもその期間の仕事を公務員として憲法上、公のためにやるというのと同様に評価をするということで、ちょっと趣旨が違い、前例もなく、かなりハードルが高いのですけれども、内閣人事局は全面的に協力すると言ってくれていますので、」という発言をされているんですよ、十月十日。そうでしょう。うなずいておられるから、そうだと思うんですが。

 これは、公務員と民間企業の労働者との境目を全部取り払って、行ったり来たりできる、そういう仕掛け、公の者が個別の私的企業の利益のために働いて、都合が悪くなったら戻ってこれる、こういう仕掛けなんですよ、今度のこの戦略特区の新しい今回の提案は。

 竹中平蔵慶応大学教授のもう一つの顔は、大手人材派遣会社の株式会社パソナグループの取締役会長ですよね。

 石破大臣に聞きたいんですけれども、大手人材派遣会社の代表が、利害関係のある労働法制を規制緩和する仕組みをつくる諮問会議に入るということは、自分の会社がもうかるように働きかけることも可能となるというわけでありますね。こんなことが許されるんですか。

石破国務大臣 それは、どういう有識者を任命するかといえば、産業の国際競争力の強化等に関しすぐれた識見を有する者として任命をしているものであって、個別の企業の利益のために調査審議を行っているものではない。

 要するに、委員御指摘のような、そういうような行いをするような者であれば、それは当然任命をされるべきではないでしょう。そしてまた、有識者会議の場のいろいろな議論というものも、それは公になることであって、仮にみずからの企業のために有利になるようなことをするとせば、それはそういう者としては不適格であるということであります。

 ですから、そういうことで選んだのではなく、その御指摘の方がそういうことについてすぐれた見識を有する方であり、なおかつ、そういうような、みずからの利益を図らないということでお願いをしているものだと承知をいたしております。

佐々木(憲)委員 結果的に、竹中平蔵氏が、人材派遣会社パソナのトップであるという方が、規制緩和をやりなさい、労働法制というのは岩盤の一つであると明確に自分の文書でも主張していますし、本人が述べているわけですね。

 それを緩和するわけです、今度は。その意向に沿って、結果的に、内閣人事局もまあいいだろう、法制化もいいだろう、こういうふうになってきて、その事業で、例えば、このパソナの本体、あるいは、パソナが新たに資本提携会社あるいは子会社を設立して、大阪あるいは東京の特区に進出して、例えば外国人の家事支援派遣の仲介事業、あるいは官民マッチングの人材センター事業、こういうことを行う、そこから利益を上げる、そういうふうに構図としてはなっているんじゃありませんか。

石破国務大臣 一般論で申し上げれば、このような規制改革事項を提案した会社等がその規制改革を活用して特区内の事業を行うということは、何ら妨げられるものではございません。

佐々木(憲)委員 本当にそういうことになりますと、自分の会社で利益を、規制緩和の事業でもうけを上げたいという会社の代表が有識者という仮面をかぶって出てきて、それで自分で、私の企業の利益のためにとは口では言わないけれども、結果的にそのようになる規制緩和を法制化させて実行させる。

 これはまことに驚くべき利益誘導政策でありまして、利害関係者でも構わないということであれば、利害関係者は何も会社の代表だけじゃありませんね、働いている人だってそうであります。労働者それから消費者の代表、あるいは関係住民の代表、これは全くそこには入ってこないということになっているわけであります。

 私もこの前質問しましたけれども、この特区というのは、いわば一部の企業の利益を図るためのトップダウンの体制づくりでありまして、労働者や地域住民の意見が反映する仕掛けがない、それから、不利益を受ける者の意思を伝えるルートがない、こういう非常に問題のある法案でありまして、私は、これは、現在の安倍内閣が進めていく企業との癒着、そういうものを加速させるための非常に重大な内容のある法案だと思いますけれども、大臣、これは当然だということなんでしょうか。

石破国務大臣 これは、議員のその御認識というものは承知をいたしております。恐らく今までも議論があったことかと存じますが、諮問会議の運営規則におきましては、「会議に付議される事項について直接の利害関係を有する議員を、審議及び議決に参加させないことができる。」ということになっておりまして、会議の運営に当たりましては、公平性、中立性を確保しているということになっておるわけでございます。

 ですので、結果的にというふうにおっしゃいましたが、そこの運営というものが公平公正になされる。今御指摘の方が何を主張しても、それは私利私欲に基づくものではないか、自己の私益を満たすためのものではないか、あるいは、そこにおいて、労働者の方、不利益をこうむる方、そういう方々の立場というものを当然反映されて議論がなされているものだと承知をいたしております。

 ですから、そういうような方が恣意的に、あるいは独善的に会議を運営できるものだとは私は認識をいたしておりません。

佐々木(憲)委員 竹中氏は諮問会議に直接のメンバーとして入っていないかもしれないけれども、諮問会議と連携をする、例えば産業競争力会議のメンバーでありますし、規制改革会議、こういうところに非常に関係が深い方なんですね。したがって、それと連携をしてこういう規制改革を行っていくわけですから、結果として、私的な利益を図る、そういう仕組みをつくるということに直接かかわっていくわけでありますね。これは非常に重大な問題だと私は思います。

 これは、安倍内閣が進めている今の経済政策の特徴を非常に端的に示しているというふうに思うんです。

 大体、財界あるいは経団連から政治献金を再開するというような話があって、幹事長は、ありがたく受けたいなどという卑屈な態度をとる。その一方で、こういう財界、大企業奉仕の体制づくりは着々と進めていく。国民には負担ばかりを押しつける。そういうやり方が、国民全体から政権が見放されていく要因になっていくわけですよ。

 そういうあたりをしっかり自覚していただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

鳩山委員長 この際、休憩いたします。

    午前十時四十一分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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