衆議院

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第8号 平成27年5月22日(金曜日)

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平成二十七年五月二十二日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 鳩山 邦夫君

   理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 新藤 義孝君 理事 谷川 弥一君

   理事 寺田  稔君 理事 福田 昭夫君

   理事 小熊 慎司君 理事 石田 祝稔君

      井上 貴博君    伊藤 達也君

      大岡 敏孝君    大野敬太郎君

      加藤 寛治君    勝俣 孝明君

      黄川田仁志君    小泉進次郎君

      新谷 正義君    田中 英之君

      谷川 とむ君  とかしきなおみ君

      中谷 真一君    野中  厚君

      平井たくや君    福田 達夫君

      宮川 典子君    山田 賢司君

      緒方林太郎君    奥野総一郎君

      吉良 州司君    佐々木隆博君

      寺田  学君    木内 孝胤君

      篠原  豪君    村岡 敏英君

      稲津  久君    角田 秀穂君

      濱村  進君    宮本 岳志君

      宮本  徹君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   国土交通副大臣      西村 明宏君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   文部科学大臣政務官   山本ともひろ君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         満田  誉君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室長)            内田  要君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           若井 英二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 橋本 嘉一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 豊田 欣吾君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           中岡  司君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           勝田 智明君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         清水喜代志君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       加藤 久喜君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 篠原 康弘君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  平口  洋君     新谷 正義君

  濱村  進君     角田 秀穂君

  田村 貴昭君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  新谷 正義君     平口  洋君

  角田 秀穂君     濱村  進君

  宮本  徹君     田村 貴昭君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五一号)

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)


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     ――――◇―――――

鳩山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、地域再生法の一部を改正する法律案及び国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府地方分権改革推進室次長満田誉君、内閣府地方創生推進室長内田要君、内閣府地方創生推進室次長若井英二君、総務省大臣官房審議官橋本嘉一君、外務省大臣官房審議官豊田欣吾君、文部科学省大臣官房審議官中岡司君、厚生労働省職業安定局次長勝田智明君、国土交通省大臣官房技術審議官清水喜代志君、国土交通省水管理・国土保全局次長加藤久喜君、国土交通省鉄道局次長篠原康弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。緒方林太郎君。

緒方委員 地方創生特、四十五分間、貴重な時間をいただきましてありがとうございます。大臣、連日の審議お疲れさまでございます。

 今回、三本の法律が上がってきているわけでありますが、きょうは、第五次一括法の中に入っているもの、そして、その絡みで三件ほど質問をさせていただきたいと思います。いずれも私が地元といたしております福岡県北九州市との関係も非常に深い案件でありますので、答弁の方よろしくお願いを申し上げます。

 まず一番最初に、今回の第五次一括法の閣議決定、ことしの一月に行われました閣議決定の中で、地方分権の中の大玉でありまして、かねてから議論になっているハローワークの地方移管というものが上がってきております。閣議決定の段階ではその中に載っておりましたが、今回は法律としては上がってまいりませんでした。

 これは、私のみならず各諸先生方皆同じだと思いますけれども、地元に行ってみると、ハローワークというのが厚生労働省が運営して、国の機関だ、その一方で、例えば生活保護行政をやっている部局というのは、これは、私の町ですと政令指定都市ですので市がやっているということで、できるだけこれを連携させようという努力というのは既にこれまでも行われてきているわけであります。

 私も、地元で見ておりますと、場所も近い、そしてできるだけ連絡もよくしている、けれども、最後の最後はやはりワンストップサービスではないんですね。ワンストップサービスではなくて、例えば、生活保護行政で、生活保護を申請してこられた方に対して職業を紹介しようと思うと、地方自治体でやれる職業紹介というのもあるわけでありますが、最後の最後はやはりハローワークに行ってくださいということで、うちの町ですと、非常に近いけれども、ちょっと歩いてハローワークの方に行かなきゃいけないというような現実があります。

 これは、都道府県知事会の方からも指定都市市長会の方からも要望が上がってきていると思いますけれども、ハローワークと、例えば生活保護行政とかそういったものをつなげていくことで、サービスの改善であるとか迅速化であるとか、そういったことが図られるというふうに私思うわけでありますが、これがなかなか成立しておりません。

 厚生労働省、これについていかがお考えでしょうか。

勝田政府参考人 お答え申し上げます。

 ハローワークの地方移管につきまして、これの事務権限移譲につきましては、本年一月に閣議決定されました平成二十六年の地方からの提案等に関する対応方針におきまして、ハローワークと地方公共団体との一層の連携強化の取り組みを通じて、地方公共団体と一体となった雇用対策をこれまで以上に推進し、その取り組みの成果と課題を検証し、その結果等を踏まえ、引き続き検討、調整を進める、こういうこととされたことでございます。

 これを受けまして、厚生労働省では、生活保護受給者等につきまして、その就労促進を図るため、地方公共団体の福祉事務所内にハローワークの窓口を設置し、ハローワークによる職業紹介と地方公共団体による福祉等の業務を一体的に、場所的にもワンストップで進めるというような取り組みを進めているところでございまして、平成二十七年三月末現在では、全国で百四十六自治体、二百六十八カ所で現在も実施しておるところでございます。

 また、昨年九月から、ハローワークの全国ネットワークの求人情報を地方公共団体に提供するという取り組みを始めておりまして、九月末の時点で二百十九自治体が利用しているところでございます。

 さらに、国の持っております、ハローワークの持っております求職情報を地方公共団体に提供するという取り組みも平成二十七年度中に開始するということで、ただいま準備を進めているところでございます。

 さらに、国と地方公共団体が地域の雇用対策に一体となって取り組むための雇用対策協定、この締結というのを現在進めておりまして、実は、今週、二自治体締結になりまして、三十自治体締結しているという状況にございます。この中には、生活保護者の問題、女性、若者の問題、あるいはUターンの問題等、地方自治体が重要と考えるさまざまな雇用対策について、私どもの全国ネットワークを使った協力というのが予定されております。

 これらの国と地方公共団体との連携強化に私どもとしては引き続き取り組ませていただこう、こういうふうに思っておりまして、各取り組みにつきまして、地方公共団体、利用者にさまざまなアンケート調査等を実施することにより、さらなるサービスの改善、あるいは地方公共団体の要望を踏まえた可能な限りの対応、こういったことをやっていきたいと思っております。

 今後とも、こういった連携の不断の見直しに取り組んで、地方公共団体の皆様との協力のもとに、住民サービスの向上に努めてまいりたいと思っております。

緒方委員 さまざまな連携のアイデアを今進めておられるということでありましたが、聞いておられた方も思ったと思うんですけれども、そこまでやるならもう地方移管したらどうだというのを結構思われたと思うんですね。

 今お答えになった中で連携の話がありましたが、今、ハローワークを地方移管することが難しい、これをやるべからざると。やるべからざるなんだけれども、連携はしっかりやろうということでできるだけ連携をしているということなんですが、ハローワークを地方移管することができないその理由は何でしょうか。

勝田政府参考人 ハローワークを地方公共団体に移管することができない、あるいはそのデメリットの理由についてお答えしたいと思います。

 ハローワークの地方公共団体への移管につきましては、まず私ども一番懸念する問題の一つは、雇用保険の問題でございます。雇用保険は全国で一律の保険制度となっておりまして、これを四十七都道府県に例えば分割するというのは、規模からいっても非常に難しいかというふうに思っております。そうしますと、公共団体がハローワーク、職業紹介をやるということになりますと、職業紹介と雇用保険の認定、給付がばらばらになってしまう。実は、ばらばらになることによって、支給が非常にふえてしまったり、受給している方に対する職業紹介がうまくいかないといった事例が各国でも、ほかの国でも同じような例がありますが、見られるところでございまして、これは一本でやった方がいいのではないかというふうに思ってございます。

 それから、もう一つは、職業紹介の全国ネットワークでございます。特に、私ども、最近で申しますとUターン、Iターン、Jターンというのが非常に大きな課題でございますが、例えば、先ほど申しました雇用対策協定の中で、山口県と雇用対策協定を結ばせていただきましたときに、うちもUターンをやりたい、でも、Uターンをやるときに、一般に見られるような東京、大阪がうちの主な目的地ではなくて、広島、福岡なんですというふうにおっしゃるわけです。そうすると、こういった細かな全国ネットワークの使い方をするためには、職業紹介の方はどうも全国一本でやった方がいいのではないかというふうに思ってございます。

 それから、三つ目でございますが、リーマン・ショックのときに、私ども、雇用調整助成金の発動、予算を決定させていただきましたが、一週間でやりました。こういったことができるのも、全国一律でハローワークが私どもの下にあるからできるのではないかというふうに思ってございます。

 これ以外にもILO条約上の問題等もございまして、こういった問題から、移管ということにつきましてはいろいろと問題があるのではないかというふうに思っております。

緒方委員 雇用保険と、都道府県をまたいだ職業紹介が困難になる、そういった理由でありましたが、法制度のつくり方次第でこれは解決できるのではないかな、制度設計次第ではないかなと。実際に知事会はそういった問題については自分たちはしっかりやるというふうに言っているわけでありまして、雇用保険の一律的な運用については、法制度を担保した上で地方に移管して本当にやれないかというと、やれるんじゃないかなというふうに思っているところであります。

 その中で、今次長が述べられました中で、一つ、昔から物すごく私は気になっていることがありまして、ILO第八十八号条約との関係ということに言及がありました。元外務省条約課課長補佐をやっていた者として、何だという思いが実はございます。

 ILO第八十八号条約というのは職業安定組織に関する条約でありまして、その第二条に何と書いてあるかというと、職業安定組織、これはハローワークだと思いますが、「職業安定組織は、国の機関の指揮監督の下にある職業安定機関の全国的体系で構成される。」ということで書いてあります。

 私は、ちょっとこの訳は間違っていると実は思っているんですけれども、それはともかくとして、この第二条があることがゆえに何かハローワークを地方移管することが難しいというような見解が厚生労働省からも今述べられたところでありまして、では、外務省にお伺いをいたしたいと思います。ILO第八十八号条約のこの規定によって、ハローワークを地方移管することができないというふうにお考えですか。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 ILO第八十八号条約につきまして、職業安定組織につきまして、国の機関の指揮監督のもとにある職業安定機関の全国的体系で構成されること、全国的体系は、当該国の各地理的区域について十分な数であって、使用者及び労働者にとって便利な位置にある網状組織、ネットワークから構成されること等を求めているところでございます。

 外務省といたしましては、ハローワーク業務の地方移管について検討を行う際には、ILO第八十八号条約が求めている内容を満たす形で職業安定組織を維持することができるかを慎重に検討する必要があると考えておるところでございます。

緒方委員 当たり前の答弁でありまして、条約との関係を見た上でそれに当てはまるのであればオーケーだし、当てはまらないのであればだめだという当たり前のことを当たり前に言ったわけでありまして、だからといってハローワークの地方移管をすることが国際法違反であるというふうにはとても読めない。

 実際に、全国的体系ということでありますが、全国的体系を法制度で担保した上で、それを地方移管、地方で展開していくことが、地方自治体ごとにやっていくことが別に排除されているわけではないと思うんですね。別に、国が直接にマネジメントをしなきゃいけないなんということはどこにも書いてないわけであります。

 ただ、厚生労働省の職業安定局の審議会だったと思いますけれども、そういったところで、結構、外務省がこの件は条約違反だと言っているからやれないんだということを、今から六、七年前の審議会で言及したとかいうこともございました。

 外務省として、この条約があるからハローワークを地方移管することが絶対にできない、そういう見解ではないですね。もう一度御答弁ください。

豊田政府参考人 先生御指摘の件でございますけれども、平成二十年の地方分権改革推進委員会におきまして、外務省はILO第八十八号条約との整合性に疑義が生じるとの意見を出しておりますが、御指摘の意見については承知をしているところでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、先ほど申し上げたとおり、外務省としては、ハローワーク業務の地方移管について検討を行う際、ILO第八十八号条約が求めている内容を満たす形で職業安定組織を維持することができるかどうかを慎重に検討する必要がある、こういう立場でございます。

緒方委員 ありがとうございました。

 外務省の答弁自体は、それは、そうですよね、当たり前ですよね、満たす形でやってほしいと。それは、締結した国際条約との関係でそれをやることは当然のことでありまして、ただ、それが絶対にできないかというと、そうではなくて、満たす形でやれれば、それはそれでいいのだということだと理解をいたしました。

 正直なところを申しますと、この件があるからというのが言及される時点で違うんじゃないかなと私は思うわけでありまして、少なくとも、これがあるからだめだというふうな議論は今後やめていただきたいというのが率直な自分自身の思いであります。

 この件につきまして、最後に、石破大臣。

 閣議決定に入りました。ただ、法律事項となるところまでは来ませんでしたけれども、今、厚生労働省からも言及があった、雇用保険を一元的に運営していくとか、県をまたいだ職業紹介が行われるようにとか、そういったハードルがあるということでありますが、私は、これは越えられないハードルではないというふうに思います。かつ、ILO八十八号条約というのがあるから、だからだめなんだということでもない、これは別に地方移管した上で満たしていくことが可能な要件だというふうに思います。

 地方で見ていますと、本当になかなかワンストップサービスにならないところもあったりして、知事会からも指定都市市長会からも要望のある話であります。現時点で威勢のいい答弁をすることは難しいと思いますが、大臣、一言お願い申し上げます。

石破国務大臣 この話は、私自身もよくわからぬなとずっと思っておるお話でございます。

 累次の政府の閣議決定におきましては、ILO八十八号条約との整合性に留意する、こういう書き方がしてあって、では整合性とは一体何でしょうかというお話まで行かなければいけないし、何よりも、労働者あるいは仕事を求める方々にとって何が最も利便性があるものなのかという観点で議論されるべきものだと思っております。

 そしてまた、ILO八十八号条約にございます、職業安定組織は国の機関の指揮監督のもとにある職業安定機関の全国体系で構成される、それは私は委員と同じような考え方を持っておって、本当に絶対だめなのかなといえば、そこはまだ議論の余地があるだろうと思います。

 問題は、このお話をしますときに、雇用者側からも、あるいは労働側からも、これをやってくれというお話が出てこない、むしろ反対である旨の意見表明がなされておるということがございます。実際に、雇用する側、あるいは労働者の側、はっきり言っちゃえば連合なのですが、なぜ連合がこれに反対である旨おっしゃるのかというのが、私はいま一つよく理解ができないところでございます。

 別に政党がどうだのこうだの言うつもりは私はないのですが、連合は御党の強力な支持団体であられます。私も連合会長にこの話を聞いたことはないのですが、なぜ労働者の側がこれに反対なのかということを、労働者の立場に立ってみるとどうなのだろうというお話があって、やはり何だかんだ言っても、雇用者側も、そしてまた労働者側も、賛成じゃないんですよねというと、そこで議論が終わってしまうわけですよ。

 ですので、そこはさらに議論を深めていく、何が一番労働者のためになるのか、国の雇用政策としてよりよいものになるのかという観点から、ぜひ私も雇用者側の御意見は経団連等々聞いてみたいと思っておりますが、ぜひ労働側のお話もお聞きいただいて、さらに有益な議論を賜りたいと存じます。

緒方委員 ありがとうございました。

 極めて似た意見を私自身も石破大臣と共有するところであります。この件、また追っていきたいというふうに思います。

 では、テーマを移したいと思います。

 今回の第五次一括法の閣議決定の段階で、直接入っていたわけではありませんが、一部、二級河川の件について、国との関係での地方への移管の話が書いてありました。

 この二級河川についてですけれども、私の地元北九州市に紫川という川がありますけれども、この川は、上流から下流まで、全部政令指定都市の中にあります。一つの政令指定都市の中で上流から下流までが完結をしています。

 これについて、現時点では、管理をするのが都道府県知事ということになっていて、実態的には、河川法の規定等々を使いながらでありますが、協議をして、部分的にぽつぽつという感じで管理が我が町の方に来ているということでございます。

 これは恐らく、政令指定都市選出の議員の先生方であれば、そういう二級河川、比較的大き目の二級河川があって、うちの町だけで全部完結しているというものがあるだろうと思います。

 そうするとどうしても、何が起こるかというと、例えば、整備のところで濃淡が出かねないんですよね。ここからは県です、ここからは市ですと。うちの町の紫川という川でいうと、上流のダムのところは県です、市街地のところが政令市です、そして、最後、河口に出るところが県ですというような形で運営をされております。

 一つの政令指定都市の中で二級河川が完結しているのであれば、それはもう一律に政令指定都市に財源と権限を全て移譲するというのが望ましいのではないかと私は思うわけでありますが、国土交通省、いかがでございますでしょうか。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 指定都市区域内の二級河川の管理権限につきましては、河川法第十条第二項の規定によりまして、都道府県と指定都市が調整した上で、都道府県知事が指定都市の長の同意を得て移譲することができるという仕組みになってございます。また、現にこの制度を活用いたしまして、例えば、横浜市の境川でございますとか、全体完結するという意味では名古屋市の山崎川水系のように、現に管理権限の移譲がなされている例がございます。

 本規定が設けられた平成十二年以降、指定都市の区域内の二級河川の管理権限の移譲をした事例はございますけれども、その移譲に当たりましては、氾濫した場合の指定都市の区域を越えた県全体への影響、あるいは従前からの管理水準の維持など、河川ごとの状況や指定都市の事情がそれぞれ違うものと思いますので、都道府県と政令市が十分調整をしていただくということが重要であるというふうに考えております。

 二級河川の管理権限の移譲につきましては、地域の実情を勘案しつつ、都道府県と指定都市が十分調整した上でお決めいただきたいというふうに考えております。

緒方委員 確かに、河川法第十条第二項を読んでおりますと、「二級河川のうち指定都市の区域内に存する部分であつて、当該部分の存する都道府県を統括する都道府県知事が当該指定都市の長が管理することが適当であると認めて指定する区間の管理は、前項の規定にかかわらず、当該指定都市の長が行う。」ということでございまして、協議した上で都道府県知事がいいよと言えば、それで管理が移ってくるということである。

 ただ、これは一般的な規定でありまして、別にどんな二級河川であろうが、政令指定都市を通っている部分について、ここはもううちでやらせてくれということも含めてなんですが、私が言っているのはそういうことではなくて、上流から下流までが全て政令指定都市の中で完結しているものという、この河川法第十条第二項の規定よりもさらに対象がぐっと絞り込まれた特殊なケースなんです。

 特殊なケースで、今、横浜市と名古屋市の話がありました、そうやって移管が成立しているところもあるわけですが、なかなか移管が成立しないところもあります。お互い協議してまとまったらそれでやればいいじゃないかということなんですが、なかなかそれがうまくいかないケースもあります。都道府県と政令指定都市の力関係とかもあるんだろうと思います。

 結果として、今起こっていることというのは、やはり管理にでこぼこがあって、うちの町からしてみると結構重要な二級河川かもしれないけれども、もっと広い、県からすると、結構たくさんある二級河川の一つであるということで、十分に予算が来ないとかそういったこともあって、どうしても、うちの町の中だけにあるのになかなかうまくいかないという思いがあります。

 これは一括した形で、第六次一括法というのがあるのかどうかわかりませんけれども、検討課題に加えていただけないかなというふうに思うわけでありますが、では、これは内閣府、政府参考人の方から御答弁いただければと思います。

満田政府参考人 指定都市内の市域内で完結する河川の管理につきましてでございますが、御指摘のとおり、さまざまな形で、指定都市、それぞれ、国であったりあるいは県であったりという形で、場所によりまして管理する人が異なっているという実態が実際にあると思います。

 こうした点につきましても提案を受けるということはございますので、こうした提案を受けながら、また関係省庁ともよく話をして対応を決めていきたい、このように考えております。

 以上でございます。

緒方委員 これも今すぐ何か答弁ができるわけではないということを承知した上でありますけれども、今の河川法の仕切りというのは、協議をして、都道府県知事がよしと判こをどんと押してくれればいいということで、ある意味、おたくだけでやって、地方でそれぞれ協議してということでありますが、これだとなかなか、本当にうまくいかないことが結構多いんです。実態として、県並みの権限を持っている政令指定都市と言われるものの中で完結している河川が、その権限が県に残って、そして、一部移管してぽつぽつとある状態が、私、極めていびつに見えているんです、うちの町の中で。

 サブスタンスにかかわるところの答弁を求めるものではありませんけれども、仮に、今回の法案が通り、また、これから第六次、第七次というのがあるのかどうかわかりませんけれども、将来的な課題として検討していただくこと、いかがでございますでしょうか、石破大臣。

石破国務大臣 事務方から答弁をいたしておりますとおり、河川法の規定がそのようになっておりますので、当然、法改正を要することになります。

 そこにおいて、政令指定市であるがゆえに、そしてまた、委員の御指摘のとおりに、そこの政令指定都市で完結しているという場合に、一律政令市に移すということを政令市が全て御希望であろうかといえば、それはそうでないところもあるのかもしれません。

 委員がおっしゃいますように、北九州市はやりたいんだ、だけれども、県がやっているので北九州市がやりたいとしていることができないんだということもございましょう。だけれども、ほかのところにおいては別のことがあるかもしれない。

 政令市でも、財政力指数に随分差がございます。一番上の川崎から始まって、一番その中では下にある熊本まで、事情はそれぞれ違うのだ。そこによって、あるところによっては、いやいや、そんなものは困る、それは県がやってくれればいいので、うちとしてはなかなかねというところもあるのかもしれません。ですから、一律移すということはどうなのだろうかということでこのような仕組みになっているのかなというふうに私は理解をいたしております。

 委員にまた議論させていただきたいのですが、これを一律移すことにかくなる意義があるのだということも踏まえてまた御提案をいただければ、私ども、また誠実にお答えをさせていただきたいと存じます。

緒方委員 ありがとうございました。

 この件、結局、最終的には、県から市に移管されるときに、その分の財源がやってくるかどうかということなんです。

 地方分権に伴う財源ということで、今、実は、結構な政令指定都市の中でどうしようと思っている案件がございます。これは、第四次一括法の中で議論をされ、恐らく、第四次一括法の中の最大の玉だと言われていた、県費負担教職員の給与負担を地方に移譲するということが第四次一括法の中で決まったわけであります。

 これまで、我々政令指定都市の中にある市立の小学校、中学校というのは、任命権限が市の方にあって、だけれども、給与自体は県費で支払っていたという、任命権者と給与を支払っている人間がばらばらであったという実態がございました。

 これは実は、ずっと、私も昔から、いびつなんですよね、お金を出す人と任命する人が別なんですと。というのがいびつだということで、第四次一括法においてこの件が進められたことは高く評価をしたいと思います。

 さらに、この第四次一括法の後、さまざま議論が進んだ中で、これは本当に関与された全ての方の御尽力に拍手喝采を送りたいと思いますが、具体的な税源移譲が進んだということです。個人住民税の所得割の二%分についてはそのまま県から地方に移すということ、これは極めて画期的なことでありまして、これに取り組まれた皆様方には、本当に御苦労さまでした、本当にありがとうございましたというふうな気持ちであります。

 ともすれば、地方分権を進めると何が起こるかというと、交付税の中に入れますということで入ってくるんですが、交付税の中に入ってくると、どこに入っているのかがよくわからない。ここにミシン目がついていて、この部分が実は移譲した部分ですと言われても、はっきり言って、一括でばんと来てしまうと、それが何のことかわからない。実際に、各自治体も財政はきついですから、ここのミシン目がついている部分が財源ですということでお渡ししたとしても、各自治体の中の予算査定をしていると、そんなのだめだよということで、はねられることとかもあったりして、地方交付税の中に紛れ込ませる形での財源移譲というのはもうやめてほしいというのが、結構、地方自治体の本音であります。

 その中で、県費負担の教職員の移譲について行われたわけでありますが、まず文部科学省が出す国庫負担金があり、そして税源移譲の分があるわけですが、実は、財政が豊かな自治体というのは、もうこの時点で、国庫負担金があり、税源移譲した段階で、平成二十五年度のデータによると、これだけでもう財源が足りてしまうという自治体が出てきています。これは平成二十五年のデータですと川崎市がそうです。やはりリッチな町は違うなというふうに思ったわけです。

 逆に、先ほど大臣言われましたとおり、財政指数の悪いというか低い自治体、例えば熊本であるとか、比較的最近政令指定都市になった町が多いと思います、新潟とか。残念ながら、我が町は五十数年の歴史がありますが、我が町も実は悪いです。

 これを地方交付税のところで面倒を見ていきましょう、足らざる部分を面倒を見ていきましょうということなんですが、これが今問題になっております。

 地方交付税の計算の仕方なんですが、普通、地方交付税を渡すときというのは、留保財源が出る形で、基準財政需要額があると、それに対する収入額を一〇〇%、中にどっと算入せずに、基準財政収入額の一部が少し外にはみ出る形で、のり代が出る形で地方交付税というのはお渡しをしています。そうすると、地方交付税の中で、そのはみ出している部分で恐らく加配をして教員を雇っているとか、そういうのが自治体によってはあると思います。実際、我が町はそうです。我が町で雇用されている教職員の方々というのは、基準財政需要額で認められているだけの人数を超える形で雇用されて、教員が配置をされています。

 しかし、今回、税源移譲を、基準財政収入額のところにばっと全部入れてしまって、のり代が出ない形で交付税をお渡ししましょうというふうな形で、総務省はそれが望ましいということで話をしています。

 これをやられてしまうと、のり代の部分が来ない。今は、交付税プラス基準財政収入額の部分にのり代の部分があって、そののり代の部分も使いながら教員を雇っている、雇用している、そしてそこに配置をしている。だけれども、これからそののり代の部分をばんと切った上で来てしまうと、けれども、目の前に雇っている教職員の方々は同じなわけであります。今も給料が支払われている。だけれども、加配されている分についてはもう財源が来ないということになると、我々政令指定都市の一般会計からこれを繰り入れていかなきゃいけない。結構大きな数字になります。

 これは総務省にお伺いをいたしたいと思います。

 一〇〇%算入することによって地方自治体が、特に財政力の弱い政令市が一般会計からの繰り入れをしなきゃいけない。おまえら持ち出せというふうに言われているわけですが、これは問題だというふうにお考えになりませんでしょうか、総務省。

橋本政府参考人 お答えをいたします。

 総務省といたしましては、平成二十五年の道府県と指定都市の合意を踏まえまして、財政中立を基本として、現在地方財政措置を検討しております。

 具体的な内容ですが、権限移譲される事務に関する標準的な財政負担額を指定都市の基準財政需要額に全額反映するとともに、基準財政収入額についても、税源移譲額を一〇〇%算入した上で、残余の部分について地方交付税で措置する、この方式が適当ではないかというふうに考えております。

 委員御指摘の基準財政収入額の算入率に関して、仮に一〇〇%未満の数字を設定した場合には、道府県から指定都市に移転する需要以上に、財源、これは税と交付税の合計になりますが、これが指定都市に移転されることになりますので、財政中立の観点から問題が生ずるもの、このように認識をしております。

緒方委員 全ての自治体において基準財政需要額で決められているだけの教員がばちっと配置されているのであれば今の理屈でいいんです。けれども、自治体によっては、それからさらに、地方交付税の留保財源分を使ってなのかどうかはわからないけれども、加配されているところがあって、そして、それは実際目の前にいる教職員の方々ですから、今すぐ職員を減らしたりとか、すぐに講師に切りかえたりとか、できないんですね。そうすると、その分だけ一般会計から持ち出しが出ます。

 今、事務方から、留保財源が出る形で地方交付税を渡すことは、そういうことはしないということでありましたが、あかま政務官にお伺いいたしたいと思います。政務官、御地元、相模原市でございます。この件、私は北九州市ですけれども、政務官の地元にも大いに関係する話です。

 相模原市においても、相模原市の教育委員会においても、恐らくこの件、幾ばくかの、我が北九州市でいうと、恐らく十億円を超えるような一般会計からの繰り入れをしないと今の教職員の水準を維持できないということがございます。相模原市でも、どれぐらいかはわかりませんけれども、出てくるんだろうと思います。

 政務官、神奈川の国会議員として、相模原の国会議員として、そして政務官として、力強い答弁をいただければと思います。

あかま大臣政務官 指定市選出の議員として、そうした負担増の問題であるとか、また教育水準の維持という話、大変関心を持っております。また、それらの議論があることも承知しております。

 総務省といたしましては、事務の移譲については、平成二十九年を目途に可能な限り早期に進めるというふうな考え方でおります。

 今後の地方財政措置の検討に当たっては、さきの道府県と指定都市の合意、これらを踏まえて、指定都市において移譲された事務が円滑にスムーズに執行できるよう適切に対応してまいるというふうに思っております。

緒方委員 もう一押し欲しかったところでありますが、実際、指定都市市長会の方からも、今回の移譲に伴う財源についてはきちっと措置をしてくれというのが指定都市市長会の要望であります。

 例えば我が北九州市でいいますと、一般会計の規模というのは五千億円ぐらいでありまして、この中で十億円新たにどこかからひねり出して措置してくれというふうに言うことは、事実上これは不可能です。相当にハードルが高い。

 そうすると、どこかで削るか、もしくは教職員の雇用条件を変えるとか講師の方で対応するとか、そういった状況が出てきかねないわけでありまして、これはぜひ御地元に戻って相模原市の教育委員会の方からお話を聞いていただきたい。

 そして、これは教育の話でありますので、文部科学大臣政務官、同じく御地元の一部に横浜市栄区が含まれておりますね。横浜市は、財政規模も大きいですし、豊かな町なのかなという一般的な、漠然としたイメージを持っているわけでありますが、ただ、それでもやはり、財源がしっかりやってこないということについては、横浜市もそれなりに問題意識をお持ちなのではないかというふうに思います。

 教育水準の問題、そして政令指定都市を選挙区の中に抱える議員として、力強く答弁いただければと思います。山本政務官。

山本大臣政務官 お答えいたします。

 私の地元に政令市が一部入っているということで、御指名を賜りまして、ありがとうございます。

 今回の制度改正でございますが、委員御指摘のとおり、人事権が、今までは政令指定都市が持っていた。ただ、おっしゃったとおり、給与の支払いは県から行われている、いびつだというお話がございました。

 もちろん、それだけではございませんで、教員の定数を決めるのも、今まで県で決めていた、あるいは教員に対する給与、あるいは勤務時間、そういったことも各都道府県の教育委員会で諮っていたということですが、今回の制度改正によって、それらも全て、財源等も含めて、政令指定都市で一体的に管理をしていただく。そういう意味合いでは、子供たちの学校環境、教育環境というのは、よりスマートに運営されていくものだと承知をしております。

 おっしゃったとおり、県費負担三分の二、国が三分の一ということで、教職員は支払われているわけでございます。その中で、各都道府県がプラスアルファをつけているところがある、それもおっしゃるとおりです。ただ、それが果たして政令指定都市にどれだけのインパクトがあるのか。

 これは各都道府県によって状況は違うと思います。山間部とかそういったところにある意味手厚くやっている都道府県もあるでしょうし、そういう意味合いでは、政令指定都市というのは、御案内のとおり、どちらかというと都市部、ある程度インフラも整備されている、そういった状況でございますので、そこがたちまち困るというようなことにはならないのではないかと我々も思っております。

 ただ、委員おっしゃったとおり、私の地元は政令市もあれば、一般の市、町もございます。そこで、子供たちが隣の町に行けばもっといい環境で、隣の市に行けば違う環境でということにはならないように、我々もきちっと、各自治体等とも連携をとっていきまして、むしろ、今委員御指摘の、政令指定都市で悩んでいるようなところがあれば、我々文部科学省はいつも、常に、相談に乗って支援をするという体制を整えておりますので、御連絡をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

緒方委員 確かに、各都道府県との関係で、都道府県が厳しいところは、基準財政需要額のところで、それ以上加配せずに、それだけでばしっと予算をおさめているところもあるというふうに伺いました。そういうところであれば、今の移譲の形で何ら問題は生じないわけでありまして、過不足なくやってきましたということなんですが、これは恐らく都道府県ごとに実態が異なると思います。政令指定都市ごとに実態が異なると思います。

 ただ、我が町でいうと、恐らく、これはどこかから正確な試算を聞いたということではありませんが、十億円を超える追加的な負担が出るだろうと。そうすると、目の前にいる教員が変わらない、数も何も変わらない、そして、確かに権限と税源がおりてきた、税源が足らないということになると、一般論としてですけれども、せっかく第四次一括法で、この件、大玉でありました。本当に大玉だったと思います。そして成立をした。とてもよかったことだと思うし、先ほど言ったとおり、税源の、個人住民税の所得割の分が、税源が明確な形で移譲されてきた。このことについても、とてもいいことだと思います。

 ただ、それを踏まえた上であえて申し上げると、それでも、税源が、財源がやってこないような地方分権ならば、もうそんな権限は県にお返ししたいというふうな気持ちが地方の方に生じてくると思うんですよね。

 この件、地方分権をやっているときになかなか難しくて、先ほど言った、例えば地方交付税の中に紛れ込んでいますというのも、これも一つなのかもしれません。やはり、権限は移譲されてくる、財源も来るんだけれども、一般会計から十億出さなきゃいけないというようなことが生じると、地方分権に対する熱意がどんどん薄れていくんじゃないかと思いますが、最後、石破大臣に答弁をいただければと思います。

石破国務大臣 第四次一括法の取り組みは、政令市からも高い評価をいただいた、委員からもお褒めをいただいたところでございます。恐縮であります。

 ですけれども、権限が来れば財源も来るべきだろう、それはもう基本的にそういうお話なんだろうというふうに思っております。ただ、それぞれの地域において教育を行うということであれば、それぞれの地域における独自の財源というものがあって、それによって手当てをされるという考え方もあるのだろうというふうに思っております。

 ですから、事は教育でございますので、それぞれの地域地域において、北九州なら北九州、相模原なら相模原、あるいは横浜なら横浜、そこにおいて独自の教育を行いたいということであれば、そこの財源というものをどう考えるか、ほかの地域との整合性をどう見ていくかということだと思っております。

 政令市のお話は、私の選挙区みたいな、そんなものは影も形もない者からするとなかなか難しいお話でございまして、私ども、また委員の御指摘を踏まえて、これは、子供たちの教育をどうするのか、そしてまた全国的にどのような子供たちをつくっていくのがいいのかという観点から、文科省あるいは総務省と議論をしてまいりたいと思っております。

緒方委員 質問時間が終わりました。四十五分間、ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 おはようございます。維新の党の村岡敏英でございます。

 きょう、地方創生でまた石破大臣に質問させていただきますので、よろしくお願いします。私も、政令都市の影も形もない秋田県からやってまいりましたので、よろしくお願いいたします。

 きょう、二年半で五十回目の質問になりますけれども、その中で、この十五委員室で質問するのは初めてで、親から見られているようでちょっと嫌なんですが。

 それは別にいたしまして、父の時代といいますか、昔、日本の政治家は、地方に関して、道路や鉄道やダムや、そして学校の新設や、そういう形の中で、地方で今、道路で砂利道なんというのは、それは山道はありますけれども、国道から県道からほとんどなくなった。そういう意味では、地方は昔に比べれば相当便利になり、そして住みやすくもなっています。

 しかしながら、実態は人口減がどんどん進んでいる。特に我が秋田県なんかは、二〇四〇年にはもう六割の人口になる。そうしますと、それまで整備していたインフラというのは、大変無駄といいますか、維持していくのが大変だ、こういうふうに言われています。

 しかしながら、四〇年と言っても、そこまでの間、人間は生活していくわけです。その中で考えたときに、この地方創生という中で、地域をもう一回再生ではなく創生していかなきゃいけない、こう出てきたことは、非常にこれは今の時期やらなきゃいけないことだ、こう思っています。そして、大臣がよく語られるには、今がこの最後のチャンスだと思ってしっかりやらなきゃいけない、この認識も我々は持っております。

 そこでなんですが、これまでの地方創生の中で、まだスタートしたばかりですけれども、例えば企業の移転そしてまた拡充、こういう形があります。そしてまた、いろいろな特区をつくっています。しかし、この中で今計画を策定している自治体、例えば、大臣が、いろいろな自治体の実例を見ていると思いますけれども、よし、これは考えてきたな、ここを、こういうのを全国に広げていかなければいけないな、こういう事例はありますでしょうか。

石破国務大臣 これは、全国に千七百十八の市町村がございます。今回の取り組みは、どこの町においても、第何次何カ年計画が存在しないところというのはなかったんだと思います。今回が今までと違うところは、昨年成立をさせていただきました地方創生法に基づきまして、全ての市町村に一斉にお願いをしております。

 そうすると、地域によって、本当に先進的に取り組んでいるところと全然まだ取り組んでいないところまで含めて、物すごく差が出始めているんだという感じを持っておりまして、私は、けさほども事務方とお話をして、それを、全国どういう状況なのかというのをきちんと把握をしたいと思っております。

 秋田においても、では、由利本荘、仙北等いろいろなところがございますが、どういう状況なのかは、それぞれの選挙区の先生方にもぜひお願いをして把握をしていただきたいと思っておるところでございます。

 ここがよくてここが悪いというのを私が申し上げるのもなんでございますが、私もまだ全部の市町村を回っているわけでもございません。ただ、これは先駆的だなと思っておりますのは、例えば徳島県、例えば高知県、そこは県としての総合戦略というものがほとんど完成の域に達しつつある。県としてこれが総合戦略なのだというのを示して、それに適合するという言い方はいたしません。ただ、それときちんと整合したような形で市町村の総合戦略がつくられていく。

 そこはやはり県が最初に示すというのが大事であって、そこにおいて、KPIでありますとかPDCAでありますとか、そしてそれを作成する過程において、あらゆる方々が参画するという取り組みでありますとか、そういうものが示されているというのは、私自身、非常に立派なものだなと思って見ておるところでございます。

 あるいは、鳥取県のように、自分の県で恐縮でございますが、ちっちゃな県ではございますけれども、鳥取県東部、中部、西部、県全体ということではなくて、東部、中部、西部というふうに分けた形で、市町村のそういう取り組みを県として支援をしていく、そういうような担当者を、責任ある者を置くというような取り組みもございます。

 町村で申し上げれば、これはいつも取り上げて恐縮ではございますが、先般私も行ってまいりました隠岐諸島の中ノ島に海士町というのがございます。そこにおいては、町がそういう総合戦略づくりに参画したい人という形で公募をして、二十人超の方々がその総合戦略の策定に今かかわっておられます。

 そこにおいて、RESASによって提供したいろいろな情報も生かしながら、かんかんがくがくの議論がなされていく。そして、島留学で有名になった島前高校の子供たちも、それを見学しながら、大人が一体何を考えようとしているのか、自分たちはこれにどうかかわっていくのかということに常に参画をしている。

 そういうように、本当にこれをポジティブに受けとめて、やろうというところと、甚だしきに至っては、どこかのコンサルに丸投げすればいいやというふうに考えているところは、ここはあえて申し上げておきますが、歴然たる差がつくということだと思っております。

村岡委員 大臣言われるように、今回の、それぞれ都道府県また市町村、しっかり計画を立ててきたときに必ず差が出ると思います。

 ただ、この差というのは、これまでの取り組みの中で、やはり自立してしっかり考えろという国の方針がなかったということはあります。その中で、当然、政治も、無競争になったり人材が少なくなっている。それは、地方の中小企業も廃業するところも出てくる。それから、農業も廃業するところも出てくる。やはり人材が相当少なくなっているという現状があります。

 そして、その中で、市役所の職員も含めて、そういう方々もなかなかこの計画づくりが、従来どおり負っている町村も非常にまだたくさんあります。その結果、一年後に出てきたときに、多少の差が当然出てくると思います。この差は、まず一年目、二年目は、これはいたし方ない、こういうことでよろしいんでしょうか。

石破国務大臣 結果的にそのようなことに相なろうと存じます。

 私どもは、国として今まで、ある意味、全国一律の対応をしてきたということを棚に上げて、あとは市町村に、自分で考えなさいなぞと切って捨てたようなことを申し上げるつもりは全くなくて、情報面で、RESASシステム、これも、はいはい皆さんで好きに使いなさいということではなくて、丁寧な説明会というのを繰り返しております。また、そういうようなRESASを使った総合戦略のつくり方というような、そういうフォーラムのようなものを近々やりたいと思っておるところでございます。情報面。

 そして、決して十分ではございませんが、今まで大規模な自治体にしか国家公務員というのは派遣されてこなかった。人口五万人以下のところに人材を派遣するということで、これは、私なり補佐官なり副大臣なり政務官で全部電話をかけ、そしてまた、実際に私どもが地方出張しますときは必ずそういう方とお話をするようにさせていただいています。これは本当に、いや、本当にいい人に来てもらってありがとうというところが多くて、今までの行政の文化が変わったとまで言ってくださるところが出てきております。人材の支援。

 そしてまた、二十六年度の補正予算で先行型等々の財源もつくらせていただきました。それをもとにこれから先、新型交付金の設計というものをやっておるわけでございまして、情報面、財政面、そして人的な側面で目いっぱい支援をしておる。

 また、秋田県でも御活用いただいていることと思いますが、今あちらこちらでやっていただいていますのは、霞が関につくりました、霞が関の地方のコンシェルジュ。つまり、秋田県出身である、秋田に赴任したことがある、私は秋田が大好きである、村岡先生のお世話になりましたとか、いろいろな人がいますよね。そういう人たちが省庁を超えて秋田県のいろいろなところの御相談に応じるということで、これも今まで知らなかったようなことが、いろいろとお互いに気づきが出てきていると思っております。

 そういたしますと、国として可能な限りの支援をし、また委員から御指摘をいただくようなことがあろうかと思いますが、こういう支援も考えられるではないか、ああいう支援も考えられるではないかということで、国として、もうあとはお任せよではない、国と地方との一体作業としてこれをやらせていただきたいと思います。

 それでもなおかつ、これは何でしょうねというのが出てくるということがあるとすれば、それはそれでやむを得ないが、私は、そういうことはないというふうに思っておりますし、まだ五月も後半でございますので、これから先、市町村の実態もよく把握をしながら、国としてできます支援をやってまいりたいと考えております。

村岡委員 大臣が言うように、確かに五万人以下の都市に対して今まで行っていませんから、相当な刺激を受けていることも私も聞いております。

 もう十年ぐらい前になりますけれども、町村合併していなかった私の地元の矢島町というところに、人口四千人ぐらいのところに総務省のキャリアの方が助役さんで来た。やはりその町の刺激というのは、全く変わりました。合併しましたので、それは合併した市の中で生かされていますけれども、そういう意味では、しっかりと霞が関の官僚の方々の情報や経験や知識をその地域に知らせていただき、また、その人たちも刺激を受け合うというのは大変大切なことだと思っております。

 そして、大臣が言ったように、やはり計画をしっかり立てるということの中では、多少一年目に立てられなかったら苦しいことはあっても、それを自立していくということも大切だと思っています。

 そしてまた、大臣が言っているのが、責任も持たない者は目標じゃない、しかし、誰が責任をとるかというのは、これは首長、こう考えておりますか。

石破国務大臣 それは私は首長だと思います。産官学金労言といって、産業界も参画します、教育界も参画します、金融界も参画しますということで、そういうような取り組みもします、実行もします。しかしながら、最終的に責任をとるのは首長であり、そんなことが嫌だったら首長になるべきではないのです。

 そして、その地域の方々が首長を選んでおるわけでありまして、それは企業でいえば経営者でございますから、地域間競争というのを私は別にあおるつもりはありませんけれども、首長は誰でも一緒ですという話が一時期ありました。首長も議員も誰がなっても一緒ですという話があって、それじゃ、別に投票したって意味がないではないかということも私は投票率の低下の一因だと思っています。

 首長が誰でも一緒なのではない。首長がかわることによってまたその町も変わっていくわけでありまして、そこは、最終的に責任をとるのは市長であり町長であり村長である、そしてまた、誰を選ぶかというのは主権者たる住民の権利であり責任だと私は思っております。

村岡委員 我々の党もそう思っております。

 これまでの首長という中で、やはり投票率が下がり、無競争の首長もたくさんいます。やはり、この地方創生というきっかけに、しっかり計画を立てて、それが住民にも納得してもらい、そういうことをやっていかないと、この地方創生は決してうまくいかない。

 やはり首長が先頭に立って責任を持ってやる。それがいいかげんな計画であれば、それは選挙で新しい人が出てくる、そういう切磋琢磨した政治も進んでこなければ、多分この地方創生をしっかりやったところは政治も進んでくるんじゃないか、こう思っていますので、それはぜひ大臣のもとで、計画のいいところは実例を今後挙げていきながら、ほかの自治体の首長にも勉強してもらう、こういうことを進めていただきたい、こう思っています。

 そこで、では、実際にこの地方創生をやっていく上で、私が思っているのは、前に大臣に言いましたけれども、首長の自治体単位もあるんですけれども、県境、ここの部分の整備、それと、大臣もよく言われている農業、これが地方によっては違いますけれども。それと人材の育成、そしてまた女性の活躍、この大きく分けて四つだ、こう思っています。

 その中で、大臣がいろいろな雑誌やインタビューで、農業を産業としてだけじゃなく、地域産業といいますか、地域全体のフォローアップをするような農業を考えなきゃいけない、こうおっしゃっておりますけれども、その意味はどういうことでしょうか。

石破国務大臣 それは、いかにして付加価値を上げ、いかにしてコストを下げということに農政は今までどれだけ力を注いできたかといえば、私自身、政務次官も副大臣も大臣もやりながら、内心、相当じくじたるものを持っておるところでございます。

 中山間地であればすなわちだめかといえば、そんなことはなくて、委員の御地元もそうだと思います、私の地元もそうなんですが、中山間地であるがゆえにすごくいいものができるということがございますよね。

 朝と夜と昼間の温度差が大きい、そしてまた水がきれいである、空気がきれいであるがよってに、非常においしいお米ができました、おいしい果物ができました等々あるんですけれども、それをいかにして売るかという努力をしてきたかといえば、決してそうではないところがあったのではないだろうか。

 お米は、どんなにいいものでもそうでないものであっても一律JAに出して、全てをまぜてしまって、それでは努力はちっとも報われないということがあるのではないかといって、私は、まだ当選期数が若いころにそういうような集落をずっと回りました。こんなにおいしいものをネットで売ったらどうですかと言うと、いやいや、別にそんなことをしなくても食っていけるわねみたいなところがあって、すごくもったいないなと思ったようなこともございます。今、それを道の駅を通じて販売なんかしたりしているわけですが。

 では、中山間地イコール、コストは下げられないのかといえば、中山間地であるがゆえに高低差がございますから、例えば稲刈りにしても田植えにしても時期がずれるはずで、それを使ってコスト削減という発想を私は余り今まで聞いたことがない。

 中山間地のメリットをいかに生かして農業に人を呼び寄せるか、それはやはり、政策支援の対象である農業者とは誰であり、地域政策と産業政策というものをどう分化するかというお話ではないかなというふうに、私自身の、余り十分ではありませんが、今までの経験から思っておるところでございます。

 そして、農村らしい農村でなければ人は来ないのだということがございまして、これから先、これは私が当選一回のころからやっている話ですが、なぜ日本ではグリーンツーリズムというものが定着をし広がりを持たないのかということについても、私自身、大いなる反省を持っておるところでありまして、地域の活性化のために、農業、農村、あるいは漁業、漁村、林業、山村、それが果たす役割は極めて大きいし、国として可能な支援というものをもう一度考えたいと思っております。

村岡委員 地域政策という中で考えれば、先ほど大臣が言ったように、中山間地というのは空気、水もうまいし、そして、農作物も、少ないながらも非常にいいものができるという中で、売り出すチャンスはあると思っています。

 その中で、農業の政策の中では、中山間地の直接支払いだとか、また日本型直接支払いというのも今回入りましたけれども、ただ、それが、効率性とか、それから年齢的なものとか、ほぼ限界に来ていることも確かなんです。その次に引き継ぐかといいますと、やはり機械とかそういうので赤字を抱えて、だから、次の担い手の人に引き継ぐのがちょっと苦しい状況にある、そうなったときには中山間地はもう荒廃してしまうということがあります。プラス、この制度の中で、コンパクトビレッジとか、そういうのもありますけれども、どうしても何とか耐えようという政策が多過ぎる。これはもういたし方がない部分もあります。

 私なんかは、これはヨーロッパの例で、まだ詳しく金額的にどのぐらいかけるか、またかかるかも、これから、今ちょっと計算もいろいろな人に頼んでやってもらっていますけれども、中山間地の農業というのは、今大臣もおっしゃったように、稲刈りで、温度差の中で、時期もありますし、そしてまた、大変きれいな自然環境の中でおいしいものができる、花もいろいろなものができる。

 そういうときに、例えば企業とか個人が、最初から生産委託を中山間地の例えば一反歩だとか五反歩とかにする。その最初のときに、例えば一反歩当たり十五万だったら十五万で生産委託しちゃう、それを全部買い上げた上のものが自然環境や環境を保全するということの中で、企業の経費で落とせる、また、個人の所得の控除というようなこと、これがヨーロッパの中でやっているということで今調べておりますけれども、そうなると、日本全体が、農業や中山間地、やはり国土の自然豊かなところを守ろうという気持ちの中で進められないかと。

 そこは、例えば今、ふるさと納税というものがありますけれども、これは納税じゃないですけれども、控除と。この納は農業の農でもいいと思う、ふるさと納税というのは。まあ、ちょっと控除と税金で納めるのは違うんですけれども。

 中山間地の委託を生産委託となると、担い手の人は中山間地だけではやはり利益を得られないんですが、平地の人たちが、大規模になった人たちが、この中山間地の請負をいろいろな人に聞くと、そういう生産委託の制度が最初から金額がわかって、その上で、ある程度の安定した法律があればできる、この方法なんかも私も考えてみたいと思っているんですが、大臣はどのように思われますか。

石破国務大臣 ありがとうございました。

 私も、政権交代等々もございまして、農水の政策から少し離れておりますので、今の委員の御指摘も踏まえて研究をさせていただきたいと思います。

 先ほどの委託の場合の経費として認める、あるいは税額控除を行う等々のやり方、済みません、私は不勉強でよく存じませんで、私は、やはりヨーロッパの施策というのは随分と学ぶべき点があるんだろうと思っております。

 これがアメリカとかオーストラリアということになりますと、それはちょっと話が違いますでしょうということになるのですが、ヨーロッパ、これはEUの共通政策の部分もございますし、またそれぞれの国の独自の政策もございますが、ヨーロッパにおいてなぜ農山村が維持をされているのかということは、私ども、虚心坦懐にもっと学ぶべきだと思っております。

 私は、農林水産大臣をしておりましたときに、スイスの農林大臣と話をしておって、スイスの卵というのは隣のフランスの卵よりもやたら高いんですね、二倍ぐらいしたと思います。それでもスイス国民はなぜフランスの卵ではなくてスイスの卵を買うのだという話をしましたときに、いや、それはスイス国民がスイスの卵を買うことによって、そこの鶏を飼っている方々の生活が維持され、その地域が維持される、それはスイスとして当たり前のことなんだという話を本当に大真面目にされたことがございます。そういうものなんだと。

 ですから、都市と農村との間が何か断絶があって、お互いにそれを支え合うという意識が何でこの国はこんなに希薄になったのだろうかということは、やはり私どもとして真剣に考えねばならぬことじゃないでしょうか。そのときに、インセンティブとして今委員がおっしゃったようなこともあるのかもしれません。

 それは、今までの日本の税金の考え方からすれば、なかなかそれはおもしろい話だけれども実現は難しいよね、以上というようなことになりそうですが、私は、ヨーロッパでどのようなことが行われ、どのようにして都市と農村が共存していくという土壌が、あるいは感覚が醸成されたのかということは、また委員の御指導もいただきながら、きちんと学びたいと思っております。

村岡委員 まだ詳しくの計算はないんですが、中山間地の、八百億ぐらいかかっているとかいろいろな税金を考えると、その中で、決して全国で一挙にやるわけじゃなくて、これは特区で一度やってみて、どういう感じなのかということも可能なんじゃないかという数字もまた出したい、こう思っていますので、ちょっと検討していただければと思います。

 そして、大臣にこの前言いました県境の話ですけれども、やはりここを地方創生の中で、自治体だけの計画じゃなくて、やはり県境のところが本当に、ここをしっかり、十万人の都市と二十万人や五万人、時には三十万人という県境というのはたくさんあるんです。ここの県境で一緒になっていくということをちょっと検討して、何かモデル地域を、四十七都道府県しかないわけですから、五つもやれば十県にかかわるわけですから、ちょっとこの県境の研究をしていただきたい。

 やはり、無駄に市町村で計画を立て過ぎて、隣の、地図で引かれている線で、同じものをやっていて、これが一つ一つの予算が少なくてうまくいっていないという例がたくさんありますので、ちょっと県境を一回モデル地区で考えていただけないか、こう思っていますが、どうでしょう。

石破国務大臣 これは、今、新型交付金の設計を行っておるところであって、きのうも、岐阜の知事あるいは富山の知事がおいでになって、いろいろな議論をさせていただいたところでございます。

 新型交付金等というのを設計するに当たって、それが従来の補助金ではだめで、あるいは地方交付税でもだめで、では、この新型交付金であればこんなことができるのだということを考えたときに、重視すべきポイントは幾つかありますが、一つは地域間連携だと思っております。

 それぞれの市町村ごとではどうしても限界がある、それを、例えばDMOでもそうですが、市町村をまたぐ形によって、限られた資源を有効に活用して観光客を呼ぶとか、そういうような考え方はあり得るのであって、例えば、委員の御地元のことを私も一〇〇%知っているわけではありませんが、うちの県でいえば、鳥取県の南の方と岡山県の北の方というのは、ほとんど一つの経済圏になっているわけですよね。あるいは、これは山陰海岸国立公園というので一体になってやっていますが、兵庫県の北と鳥取県の東というのは、むしろ一つの経済圏みたいなことではないか。

 そこに県境があるがよってに全然話にならないということではなくて、県境を越えた取り組みというのは当然あると思っております。ですから、新型交付金に当たっては、そういうことを、県境をまたぐような連携、あるいは市町村をまたぐような連携というのは一つのポイントでしょう。

 もう一つは、いろいろな、ばらばらばらばら民間があって官があって、それを、いかにして民の力を最大限活用するかというようなことが私は新型交付金の議論においては大事なんだろうというふうに思っています。

 そのときに、県を越えることによってこのようなことができるのだというお話は、これはまた道州制の議論とは別にあるはずだと私は思っておって、そういう取り組みが少しあらわれてきているなという実感を私は持っております。

村岡委員 これは道州制というわけじゃなくて、例えば、私は秋田県ですけれども、大臣は鳥取県、それぞれ、県の特徴や県の思い入れというのが全員あると思います。それはそれで大事にしながら、しかし、町村が崩れたら、どんなに愛してもその県自体が衰退していくわけですから、ここは思い切って、近県ですから、大体同じ気候、同じ気質があるという中でいけば、一緒にやっていくという協力をやはりこれはやっていかなきゃいけない。

 選挙区での合区というのは大変反対はあるでしょうけれども、新型交付金にしても、そしてまた各県の条例なんかも、ここの特区だけは変えてやりましょう、このぐらいの覚悟がないと、地域が今本当に危機的に衰退しているということの覚悟の上であれば、今までの常識を打ち破らなきゃいけない、こういう考えの中、ぜひ進めていただきたい、こう思っております。

 そしてもう一つ、農業が、地方創生という中で、今、農協法の改正なんかも審議しているわけですけれども、大分、企業の参入に対して緩和はされてきました。そして、どうしても農業者にも反発があるのが、企業の農地の所有に関してです。

 これは、抵抗があるのはわかります、私も農業地帯にありますから。過去に、農地を買って、荒らして逃げてしまったとか、いろいろな例があるんですけれども、ただ、それはしっかりと規制して、私は、やはり、そろそろ企業が一緒になって、地域の農業、そして、先ほど言った地域政策にかかわっていかなきゃいけない、こう思っております。

 というのは、先ほど大臣が言ったように、霞が関から五万人以下の都市のところに来ている方々、これは、東京という市場や、東京というグローバルな社会のことを勉強してきたからこそ、非常に新しい発見があるわけです。

 農業者の人たちも、今、六次産業化といきなり言われて、それは、例えば、仙台あたりや東京あたりで講習会があるから来てください、それを一回や二回聞いて、いきなり経営者の感覚、マインドを持てるかというと、そういうわけじゃないんです。そういう意味でいくと、企業とのコラボを農業ができるかどうかというのは、農業の再生や地方の再生が非常に大きいと思っています。

 企業の人たちも、今いろいろな企業の人たちにお聞きすると、農業に参入するときには、我々は、農村地帯やその地域社会では新入社員だというつもりで行きますと。そして、農家の人たちで新しい経営マインドを持って、我々は学んでやろう、こういう気持ちも持ち始めています。

 ただ、企業の本当に本格的に進出する人たち、仙台で農業に興味ありますかと東京でやると集まります、でも、結果、余り進出していないのは、やはり排除されるんじゃないかと。別に、所有しなくても、リースでもいいんです。ところが、何かいろいろな規制があるという排除の部分の中で、むしろ、その社会に入っていったとき、企業は農村社会で農業を農家と一緒にやっていけないんじゃないかと。

 そういう気持ちになることを除くために、そういう規制は外して一緒にやっていただく。そのかわり、その農地を荒廃させたり何かしたら、それは厳しく罰則する。その雰囲気が、企業に対して農業の規制はまだまだ多過ぎるということがあるので、その辺は大臣はどう思いますでしょうか。

石破国務大臣 委員御指摘のように、平成二十一年に農地法を改正いたしました。このころ私も携わっておったものでございますが、このときに、リース方式を全面解禁という形にして、株式会社のままでも自由に参入できるということになり、法を改正する前の五倍のペースで参入が進んでいるという事実がございます。

 そこから先は、多分、論点は二つに分かれまして、では、それをさらに進めて、リースでいいじゃないですかという話なのか、いやいや、全面的にいろいろな権利が行使されるがところの所有権まで、所有権は絶対でございますので、そこまで認めるべきなのだ、いやいや、そうするとごみ捨て場になるじゃないか、では、どうやってそれを排除するのか等々、そういうお話は、多分、今農協法の改正等々を農林水産委員会で御議論いただいておって、その後またこれはいろいろなお話をさせていただくことになるんだと思います。いかにして農地を守るかであり、いかにして農業者の所得を上げるかということによく配意をしながらこういうお話があるというのが一つ。

 もう一つは、リースにしました、五倍の規模で参入が進みました、それは確かにそうでしょう、では、そこで、企業が参入したときに、委員御指摘のように、どういう規制があって、入っていった企業が思うような成果が上げられないかということは、農林水産省ともよく連携をしながら実態の把握をしていかなければいけないと思っております。

 昔々、もう今から二十何年も前、私がまだ議員になったばかりのころ、農村の若い人たちは、農業が別に嫌なわけではないが、きちんとした労働形態があることが大事だよね、ちゃんと背広を着て出社をして、そこで農作業の装いに着がえて、仕事が終わったら、また、背広でも何でもいいんですが、そこで市内のディスコに行って踊ろうぜみたいな、そういうのが望ましいような姿だというのは昔聞いたようなことがあるのですが、やはり労働形態をどうしていくのかという点において、企業の参入というものは、私はそれは選択肢の一つとしてあるべきものなのだというふうに考えております。

 それは、単にファッションがどうのこうのということではなくて、やはり地方における雇用が、所得が高く、そして、いろいろな労働条件が整備をされているという、この二つが大事なのであって、所得をいかに高めるか、そして労働条件をいかに高めるか、社会保障も含めまして、そこにおいて、企業の参入というものは一つの選択肢としてより強化されるべきだと私自身は思っております。

 それは小農排除という思想とは全く別のものだと考えておりまして、これは農地法改正のときに佐々木議員なんかも一緒に随分議論をさせていただきましたが、そのときに地域における小農を守るのだという考え方と両立するような形で進めていくことが肝要かと存じます。

村岡委員 地方創生の中で大事な要素が、農業県が非常に多いわけで、農業をどうやって、雇用の場やそしてまた地域の再生のためにしっかりと農業が立ち直っていかなきゃいけない、こう思っています。

 そして、企業と一緒にコラボしていくというのは、農業法人というのはどんどんふえているんです。ところが、今実際にふえてきて困り始めたことがあります。それは、社会保険の加入です。そういう意識が全くありませんでした。

 だから結局、安価な賃金で雇えるある程度高齢な女性とか男性とか、しかしながら、今度若い人を雇うとなったときに、何日以上その法人が雇うと、社会保険なんか掛けたら、その農業法人はもう利益が上げられない。こういう現実の中で、非常に短い時間で若い人も雇う。そうすると、若い人はやめてしまう。そしてまた雇用体系も、朝四時から八時までやって、暑いときは休んで、そして夕方やる。

 そういう意味の中では、地方創生の中で特区として農業を企業とコラボをしていくような部分の中で、やはり実験的にどこかの地域でやってみないと、農業の再生、全国一律で農林水産省の方では法律を考えているわけですけれども、地方創生の方でむしろ地域の農業の特区をつくっていく、そういうことも考えていかなきゃいけないんじゃないか、こう思っております。この議論はここでやめさせていただきます。

 そしてもう一つ、これは地方創生というか、自民党の方々から議員立法で私のところに説明に来ましたけれども、小学生が地方に行って自然を体験するということをぜひもう少し充実させようと。

 今、小学校がいろいろな地方に行くのは、一日、二日ぐらいの予算しかないそうです。しかしながら、その中で、議員立法にしてやろうと言っているのは、一週間ぐらい地方に行って体験しようと。それは、地方に行って、農業体験もあれば宿泊もするわけですから、いろいろな体験がある。

 そういうことをやっていくことによって、地方に対する親しみや、そして農業に対して、日本全体に対して、国を愛する心が育つという中で、青少年の自然体験活動の実態というのもいただいたんですけれども、これは驚いたことに、小学校四年生、小学校六年生、中学校二年生に調査して、太陽が上るところや沈むところを見たことがありますかと。何度もあるというのは三〇・六%、少しある三七・四%、ほとんどない三二%。太陽の浮き沈みまで見たことない。

 そして、農業なんかでいったら、ナスは木になっていると思っているとか、そういう状況の中の部分がありますから、この地方創生を進めていくときに、どうしても、大都会の人が、これは都会の一極集中を防ぐといいながら、都会をかえって衰退するんじゃないか、こういう感覚を持っています。

 そういう意味では、やはり子供のときから四十七都道府県、日本の国土の中の地方を経験する、こういう一週間とかというのは、これは地方創生の本当の将来のことになりますけれども、子供たちの体験というのは、地方創生の中で、各自治体の中でそういう案も出てくると思いますけれども、そういう部分の中で、小学校時代から、地方に対する思い、日本を愛する気持ちという中で、この地方創生の中に、これは文科省だと言わないで、ひとつ、ちょっと大臣の方もぜひ検討していただければ、こう思っているんですが。

石破国務大臣 問題意識は全く一緒で、私が森内閣の農林総括政務次官をしておりましたときにというから、これまた随分昔の話になりますが、当時の文科省の総括政務次官が、もう御勇退なされましたが、神奈川の鈴木恒夫さんという方でございました。そこで、総括政務次官、今でいう副大臣同士で話をして、文科省だの農水省だの言っていなくて、グリーンツーリズムあるいはブルーツーリズムというようなものをさらに推進しようじゃないのという話をいたしましたが、なおこれが農山漁村の活性化や子供たちのそういう意識の醸成に赫々たる成果として寄与したというお話は、まだ私は聞いておりません。

 そこにおいて議論しなきゃいけないのは、多分、一つは、農村は農村らしくあらねばならなくて、漁村は漁村らしくあらねばならなくて、そこに行くと本当にこれは農村ですか、別にそれが悪いと言うつもりはありませんが、コンビニがあって、いろいろなものがあって、何だか都市と全然変わらないじゃないという、農村らしい農村ではないものが現出していると、そこへ行って本当の農村体験が味わえるだろうか、漁村体験が味わえるだろうか。そこの農村、漁村をどうやって行政として支えていくかということは、これは、そこがそうであるがためには何らかのサポートが必要だと私は思っていまして、それが必要なことの一つだろうと。それは財政面の支援もございます。

 子供たちが地域に行くに当たって、私も最新の統計を存じませんが、やはり、連休なんかに、子供たちがハワイに行って帰ってきましたとかグアムに行って帰ってきましたという映像が必ず出るんですけれども、ハワイもグアムも結構でしょうが、日本の農村、漁村をきちんと見ませんかと。

 そして、委員が御指摘になったことのほかに、私は、川で泳いだことのある子供というのは、今やほとんどいないんだろうと思います。浜遊びは別として、実際に海で泳いだことがない子たちが本当に自然の恐ろしさがわかるかというと、そうではないだろうと。日本人で生きていく上において、そういう体験は私は必須だろうと思います。

 そしてさらには、やはりお休みをどうとるかというお話でありまして、ヨーロッパにおいてグリーンツーリズムが定着をしたのは、ILOの条約に定められておる連続休暇をきちんととることを義務づけたというのが、先ほどの緒方議員ともILOのお話はしましたが、バカンス法というのでしょうか、やはりきちんとまとまったお休みがあって、農山漁村のよさがわかるためには一日、二日じゃだめだと思うんですね。私は、やはり一週間きちんといる、そういうようなお休みを親もとれるということが必要なことではないかなと思っておって、それを実現するための手だてはたくさんあるんだろうと思います。

 また議論させていただいて、農山漁村の雇用や活性化、地方創生につなげたいと存じます。

村岡委員 ぜひ、現在の中の地方創生の対策もあると思いますけれども、日本全体のことをやはり日本人が、都会の子供も知るということは大切だと思っていますので、そこはお願いしたい、こう思っています。

 そして、前に言っていました人材なんですけれども、官僚の方々は、二年か三年行って、それで帰ってくるわけです。地方に行くという中で、前に大臣も、六割ぐらいの男性は地方に行ってみたいということの数字も出しておりましたけれども、実は、私よりももうちょっと若い、五十前のいろいろな東京の友人たちに聞くと、田舎に行って、地方に行っていろいろなことをみんなに伝えるというのはやってみたい、ところが、一年たち、二年たち、三年たつと、自分も情報がなくなるという不安を持つそうです。

 やはり、東京というのは、グローバルに、そして刺激的ですから、いろいろな情報、そしていろいろな知恵が湧かなければ仕事はできないというところですけれども、それを最初、地方に行っていろいろな人に伝えて、刺激をその人たちに与えていいんですけれども、秋田に実際いる東京から来た人も、三年ぐらいたつと、何か東京で違う動きがある、そして、私は情報がもうわからなくなったと不安になるそうです。

 そういう意味では、この人材というのは、移住したり、企業で地方に移ったときに、その人材がその地方の中でまた情報を得られやすい人なんですけれども、東京で何かその人たちをフォローしてやることがないと、なかなか地方に住み続けられない。

 私も経験があるんですけれども、十六年、秘書をやっていました。九年浪人して、地元のことはしっかりわかるようになりますけれども、東京の動きとか、そういう感覚はやはり相当薄れてしまう。そこはやはり不安になるんですね。

 そういう意味でいくと、居住した人たちの、ある程度高齢者が退職して地方に行くのはいいんですけれども、若い人たちも地方に行って活躍したいと思ったときに、このまま自分は埋もれてしまうと不安になってしまう。そのところを、何かシステム的に、そういう人材が、行った人たちが東京やいろいろなところで勉強できる機会も持っていかないと、やはり地方にはしっかりとした人材が育っていかない。

 それから、逆に地方でいい人材の人たち、この人たちは、もう少し情報を得れば、地方の中で、いろいろな中小企業の中で活躍できる人たち。この人たちも、聞くと、それは講習会だとか何かコンサル主催のものとかいろいろあるんですけれども、やはり勉強する機会が少ないということを言います。

 そういう意味では両方の面がありますけれども、大臣、この人材育成、そして地方に人材を育てるというのは大変なことなんですけれども、システム的に何かを考えていくということも必要なんじゃないかと思っておりますが、どうでしょうか。

石破国務大臣 それをどうシステムとして構築するかということだと思っております。

 私も、地方創生に関する論文等々になるたけ目を通すようにしているつもりですが、多分委員の問題意識と重複をするのかもしれないなと思ったのは、都市から地方に行きます、でも、それがまた新しい情報を仕入れるために都市に行って、例えば新幹線であっても飛行機であってもいいのですけれども、そういうものに何か特別の割引みたいなことがあってもいいではないかという提案を何かの論文で読みました。

 それが全てだとは申しませんが、実際にこれは初めて承って、なるほどねと思ったんですが、地方に行くに当たって、三年ぐらいは、新しい、なるほど、そうだそうだみたいなことが教えられるし、みんなも喜んでくれるんだけれども、その知識が枯渇しちゃって、何か、自分は何のためにこっちに来たんだろうねみたいな、それが一つのネックになっているとするならば、どうやってそれが解消できるかという仕組みは考えなきゃいかぬことなんだろうと思います。

 また機会があればこの委員会で御議論いただきたいのですが、余り時間が残っていなくて、この後、我々が直面する課題は、東京を中心とする首都圏の恐ろしい高齢化、そして地方の人口減少ということにもう間もなく直面するわけで、委員がおっしゃったような課題も取り上げていきながら、どうやって都市から地方への人口の移動というものを起こして、東京の超高齢化現象というものを少しでも回避するか、そして東京と地方が一体となって日本を再生するかということについて、あらゆる知恵を動員しなければいかぬと思っております。

 そういうシステムについて、こういうのはどうだという御提案があれば、また謙虚に承りたいと存じます。

村岡委員 もう時間が参りましたのでやめますけれども、双方向交流モデルということで、それをちょっと議論したかったんですが、時間が足りなくなりまして、申しわけございません。

 きょうはありがとうございました。

鳩山委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。東京選出です。

 きょうは、東京の国家戦略特区とリニア新幹線についてお伺いしたいと思っております。

 安倍政権が打ち出した「日本再興戦略」改訂二〇一四によると、世界の企業が日本に投資したくなるような環境をつくるとし、二〇二〇年オリンピック開催が決定し、二〇二〇年という新たな改革のモメンタム、弾みですね、モメンタムが設定されたとあります。

 聞きますが、東京にとってのモメンタムとは、大臣、何でしょうか。

石破国務大臣 東京にとって改革のモメンタムというのは、例えば東京を世界の金融センターにしようとか、そういう東京ならではの情報が集約をし、あるいはいろいろな娯楽が集約をしというような、農業とか漁業とか林業とか、あるいは工業とかそういうもの以外の、情報等々のそういうような魅力というものをいかにして世界最大のものにしていくかということだと思います。

 ただ、モメンタムというのは、そういう光の分野だけではなくて、東京の安全、安心でありますとか、あるいは、先ほども村岡委員の御質問にお答えをいたしましたが、これから間違いなく直面する高齢化の問題でありますとか、そういうものもよく認識をしながらモメンタムというものは動いていくべきものだと私は思います。

宮本(徹)委員 いろいろなモメンタムがあるんだというお話でしたけれども、二〇一四年の日本経団連の提言ではこう言っているんです。

 折しも、二〇二〇年にオリンピックが東京で開催されることが決定した、これを好機として、それまでの間を持続的成長の礎を築くための集中対応期間と位置づけるんだということで、とにかく財界は、この機にいろいろな規制緩和をやって、もうけの場をつくっていこうということで、この特区を位置づけようということになっております。

 それで、東京特区の区域会議の資料によりますと、東京都内、大手町、八重洲、竹芝、品川、羽田などを含む十地域で、今オフィスビルを中心とする事業計画が進行中であります。東京特区の区域会議でも、柔軟かつ大胆な容積緩和だということで、巨大ビルを次々つくる計画になっているわけです。これはその一覧でありますけれども。

 聞きますけれども、この十地域におけるビルの延べ床面積それから容積率の緩和というのは、あらあらどういうことを検討しているんでしょうか。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの東京圏の区域計画でございます。

 これまで、都市計画の特例というものにつきまして、区域会議というワンストップの仕組みで、現在、都市計画特例までは二つのプロジェクト、竹芝と虎ノ門四丁目でございますが、を定めて、内閣総理大臣の認定を受けているところでございます。

 お尋ねの諸元につきましては、このうち、竹芝地区につきましては、区域の面積が二・四ヘクタール、容積率の最高限度が一一〇〇%というふうになっております。また、虎ノ門の四丁目につきましては、区域の面積は約一・八ヘクタール、容積率の最高限度が一〇〇〇%というふうになっております。

 今委員御指摘の幾つかのプロジェクトの中で、その他の、区域計画の素案に掲げられましたプロジェクトについては、まだ区域計画の認定には至っておらないという状況でございます。

宮本(徹)委員 残り八つはまだ出てきていないという話ですけれども、今お話があった中でも、容積率の緩和は一一〇〇%だとか一〇〇〇%だとか、すごい容積率でビルをつくっていくということになります。

 きょう、野村総研が書いている「東京・首都圏はこう変わる!未来計画二〇二〇」というのを持ってまいりましたけれども、この中を見ますと、東京二十三区内で、これから二〇一七年度までに開発が計画されているオフィスビルの総床面積は五百万平方メートルだ、東京ドーム百個分だ。そして、再開発の中心地は千代田区、中央区、港区で、それは計画の大体八割ぐらいを占める。主要なディベロッパーは、三菱地所、三井不動産、住友不動産、東急不動産、森ビル、UR、NTT都市開発、こういうものが書かれているわけであります。

 重ねて聞きますけれども、ここで示されている、今読み上げたような方向で東京の特区の全体が進んでいくということで理解してよろしいんですよね。

内田政府参考人 お答え申します。

 今委員御指摘の資料は手元にございませんのであれでございますけれども、東京の特区につきましては、東京圏の区域計画の素案で挙げられました、前の御質問で委員が御指摘になった十のプロジェクトというものが現在の俎上にのりつつあるという状況でございます。

宮本(徹)委員 こういうビル群をつくった場合に、昼間の人口と夜間の人口の想定というのはどうなっているんでしょうか。

清水政府参考人 お答えいたします。

 十地域におきまして都市再生特別地区に関する都市計画等を定めていくことになりますけれども、その際、昼間人口や夜間人口の想定は特に行っておりません。

 しかしながら、建築物の容積率等を定める際には、計画するプロジェクトごとに、自動車とか歩行者なんかの発生集中交通量の増加を想定して、計画する建築物の周辺の道路あるいは歩道、そういったものの通行に支障を来すことがないかといったことを確認していると聞いております。

 以上でございます。

宮本(徹)委員 歩行者の通行量だとかは幾らか出すけれども、こういうビル群をつくったことでどれだけ昼間人口がふえるか、あるいは夜間人口がふえるか、そういうことは想定していない。結局、人口予測をしないまま、入れ物だけどんどんつくるということになっているわけです。

 予想はしていないということですけれども、もしこの十地区を含めた特区構想を進めた場合、都内へ流入する人口はふえるのか減るのか、これはどうでしょう。

清水政府参考人 お答えいたします。

 都市機能、特に都市再生、あるいは地方創生といったものは、それぞれの特性に応じてお互いに進めるということでございます。

 都市におきましては、我が国の経済の牽引役として重要な課題でございますので、そういった面、大都市を中心には、国際競争力を強化するという点で、容積率の緩和等、支援を行ってまいりますけれども、一方で、地方は何もしないというわけではございませんで、ちゃんと地方分を含めて、全国の都市の再生のために、まちづくりに対してさまざまな支援を行っていくという状況でございます。

 したがいまして、地方と大都市がそれぞれに特性を生かしまして発展していくということでございますので、一方向での集中という形で想定しているわけではございません。

鳩山委員長 今のは余り答えになっていないんじゃないですか、質問者の。ふえるか減るかと言っているんですよ。

清水政府参考人 ですから、今申し上げましたとおり、将来の我が国におきます地方の活性化の状況によりまして、地方の方へも人口の移動は起こりますし、大都市への移動もまた考えられるということで、それぞれの活性化の施策等が行われていく中で決まっていくと思っておりますので、必ずしも一方向への移動というのを考えているわけではございません。

宮本(徹)委員 ちょっと、大臣、普通に考えたら流入人口はふえると思うんですけれども、どうですか。

石破国務大臣 普通に考えればそういうことになろうかと思います。

宮本(徹)委員 つまり、大臣からも答弁がありましたように、昼間の人口がふえるのは明らかだということだと思うんですよね。そして、昼間人口がふえれば、当然、仕事があるわけですから、二十三区を中心に定住人口も引っ張ってくる、ふえていくというのは目に見えていると思うんですよね。ですから、東京への一極集中は、こういう特区を進めていけばますます進んでいくんじゃないかというふうに思います。

 ですから、私は本当に、今回、地方創生法案が出ていますけれども、こういうのを放置したままの法案というのは、地方創生と言っているわけですけれども、一方で一極集中は進めていくということで、欠陥があるということを言わざるを得ないというふうに思います。

 東京への一極集中というのは、東京のまちづくりにとってもやはり問題があると思っております。

 今回、法案の中で、待機児童対策で、都市公園を保育園も使うというものが入っております。

 今、自治体が認可保育園をつくっても、さらに入園希望者が東京の場合はふえております。いろいろな要因があるわけですけれども、二十三区でいえば、就学前の乳幼児の人口自体が東京はふえているんですよね。そこにもいろいろな要因はありますけれども、その一因は東京への一極集中というのがあると思います。

 ですから、東京のまちづくりを考えても、流入人口の予測もしないまま開発開発ということをやっていくのではなくて、東京への一極集中を進める政策自体を見直す必要があるということを申し述べておきたいと思います。

 その上で、次に、リニアの東京区間についてお伺いしたいと思います。

 リニア建設は、ストロー現象で東京圏にさらに人口を集中させる、こういう指摘もこの間されてきました。そして、このリニア建設は、計画の中で、地域でさまざまな問題を今引き起こしております。大きな問題の一つは、建設残土、発生土の問題であります。

 昨年七月に、国土交通大臣は、リニア中央新幹線の環境影響評価書に対して意見を送付しております。前文で環境への配慮について述べていると思いますが、ちょっと紹介していただけるでしょうか。

篠原政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年七月の国土交通大臣意見につきまして、前文の中で該当部分を読み上げさせていただきます。「トンネルの掘削に伴う建設発生土量が多いことやその運搬に伴う地域住民の生活環境や自然環境への影響、事業に伴う水資源への影響等、多岐にわたる分野での影響が懸念されており、本事業の実施に当たっては、環境保全に十分な配慮が必要である。」としているところでございます。

宮本(徹)委員 建設発生土が非常に多いわけですね。

 東京都知事も意見書を出しております。環境保全措置の内容についても具体性に欠けている、措置を講じることによる影響低減の程度が明確になってない、具体性に欠ける、明確性に欠けるということで、JR東海の計画に対して総論的に言っております。

 そこで、建設発生土はリニア新幹線の工事全体で幾らと想定されているのか、そのうち、処分先が今決まっているのはどれだけで、全体の何%なのか。あわせて、東京都内についてのその数字についても出していただきたいと思います。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 リニア中央新幹線の工事全体での建設発生土は、五千六百八十万立方メートルの発生を見込んでございます。そのうち処分先が決まっておりますのは千四百七十万立方メートル、二六%ということでございます。

 これを東京都内の発生土ということで申し上げますと、六百万立方メートルを見込んでございます。

 その利用先でございますけれども、現在、JR東海が関係機関等から情報収集を行っているという状況でございまして、現時点では、利用先は決まっていないという報告を受けてございます。

宮本(徹)委員 つまり、全体で二六%、行き先が決まっているのはそれだけしかない。都内分でいえば、今協議しているといいますけれども、行き先が決まっている残土というのは一つもないというのが今の状況であります。

 この残土の行き先にスーパー堤防というのは含まれるんでしょうか。

篠原政府参考人 建設発生土の利用につきましては、処分先のニーズと建設発生土の発生受け入れ時期、土質、運搬距離等の条件が合致する必要がございまして、この条件が合致する場合には、利用先として、スーパー堤防を含めまして、可能性はあるものと考えてございます。

宮本(徹)委員 スーパー堤防も可能性はあるということを言われましたけれども、私、本当に大問題だと思うんですよね。

 スーパー堤防は、何年か前、会計検査院自体が、スーパー堤防の事業は余りにもずさんだから、もう普通の堤防をつくる事業を優先すべきだという厳しい意見を出していたはずだと思います。にもかかわらず、国土交通省は、その会計検査院の意見も無視して、この間、スーパー堤防の事業を進めております。都内でも、住民が立ち退きされて、今裁判も起きているということになっております。コミュニティーを破壊しながら、強引に進められているわけですよね。

 スーパー堤防を当てにリニア工事を進めるなどもってのほかだということを指摘しておきたいというふうに思います。

 それから、JR東海は、都知事の意見に対する事業者の見解で、「発生土の最終的な受入れ先の確保は、本事業における最も重要な課題のひとつとして、鋭意取り組んでおります。工事着手前に都の関係機関等と協議を行い、公共・民間事業への発生土の有効利用等の具体的な計画を策定してまいります。」こういう返事を出したわけですよね。ところが、リニアは昨年着工されるということになりました。

 工事着手前に残土の具体的な計画を策定すると言っていたわけですから、話が違うんじゃないですか。

西村(明)副大臣 発生土の有効利用につきましては、土砂の発生時期、また土質、運搬距離などの条件に合わせる必要があると認識しております。

 そのために、一般的には、長期間の大規模な工事の場合には、事業の進捗に応じて、確実に利用先を確保していく必要があるというふうに考えております。

 JR東海につきましては、リニア中央新幹線の事業に当たりまして、東京都知事からの意見を踏まえながら、発生土に関する作業を進めているというふうに聞いております。

 国土交通省といたしましては、JR東海に対しまして、引き続き、可能な限り早期に利用先を確保するように、必要な助言、指導を行ってまいります。

宮本(徹)委員 できる限り早期にとおっしゃられますけれども、都への見解への答えとしては、JR東海は工事着手前と言ってきたわけですよ。もう着手しちゃっているじゃないですか。全然、約束違反だと言わざるを得ないというふうに思います。

 そして、報道では、品川駅のリニア新幹線の駅の工事は、二〇一五年度の早い段階で本格的な工事が開始というふうに報道されているわけですよ。二〇一五年度の早い時期というのは、もう近々ということになりますよね。だけれども、まだ残土の行き先の場所は明らかになっていない。極めて無責任なんじゃないかと思いますが、そう思いませんか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、昨年十月の時点では、私ども国土交通省では名古屋までの工事実施計画の認可をさせていただきました。そして、現在、具体的な工事の着手に向けて説明会等が行われたり、測量が始まったりしている段階でございます。

 工事着手前と申しますのは、まさに実工事が始まるまでにしっかりと準備をしておくということでございまして、私ども、できるだけ早期に利用先を確保するよう、JR東海をしっかり指導してまいりたいと考えてございます。

宮本(徹)委員 だから、早期に早期にと言うけれども、東京都への回答では、工事着手前に決めると言っていたわけですよ。そこを厳しく批判しなきゃだめなんじゃないかというふうに思います。

 それから、発生土の処理という点では、運搬用の車両の通行も大きな問題になります。

 品川区のシールドマシンの発進立て坑付近では、大型の工事車両が一日最大で八百三十台通る計画です。町田市小野路の立て坑では、一日最大七百八十八台ということになります。一日八時間運行されるとしたら、一分間に二台ぐらいダンプが走るということになります。そして、この工事は十年以上続くという計画になっておりますから、住民生活への影響というのは非常に重大だと思います。

 そして、町田市能ケ谷の立て坑予定地は、先日私も見てきましたけれども、すぐ隣が非常に閑静な住宅街ということになっております。そして、現在、ここは大型車両の通行規制がかけられているところであります。そして、住民からは、リニアの工事のため、接道のための工事も含めて、この通行規制を解除しないでほしいということで、町会ぐるみで、一千二百筆、署名が集まっております。

 住民の納得が得られないと私は思いますけれども、強行することがあってはならないと思いますけれども、国交省、どうでしょうか。

西村(明)副大臣 委員御指摘のように、本件の立て坑工事を含めまして、リニア中央新幹線の事業につきましては、地域の理解と協力を得るということが重要であるというふうに認識しております。

 御指摘の件につきましても、住民から大型車の通行を認めない旨の書面が提出されていると承知しておりまして、JR東海から、地元に十分に説明し、理解を得ながら進めるというふうに聞いております。

 国土交通省といたしましても、引き続き、JR東海に対しまして、地元の理解とそして協力を得ながら進めるよう、しっかりと指導監督をしてまいります。

宮本(徹)委員 理解と協力が住民から得られなければ進めてはならないというのが国交副大臣の考えというふうに理解をいたしました。

 そして、立て坑についてですけれども、立て坑の掘削方法として、ちょっと専門的な話ですけれども、説明書を見ましたら、RC地中連続壁工法という方法とケーソン工法という二つの方法が今は示されているわけですね。

 実は、外環道、今東京で立て坑工事が進んでおりますが、このケーソン工法で一日二回地震のような揺れが起きているということで、住民からの批判も国交省にも寄せられていることだと思います。

 そこで、この立て坑工事では、今回のリニアの問題で、それぞれの工法で住民生活にどういう影響が出るのか、これは説明会ではどう説明されているんでしょうか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 JR東海によりますと、事業説明会では、立て坑の掘削工法として、今御指摘いただきました二つの工法があるということを御説明し、どちらの工法を実際に採用するかということにつきましては、実際に立て坑が掘削される場所の地質条件、地下水位、掘削の深さなどを勘案して今後決定していくというふうに説明していると聞いております。

 この影響についてでございますけれども、実際に使用する重機の種類、作業時間、通行車両の台数など、こういったものによって影響が変わってまいりますので、その中身が固まる中で住民の方にも丁寧に説明をしていきたいというふうに説明していると聞いてございます。

宮本(徹)委員 影響は、いろいろな重機だとかが決まらないとやらない、説明はまだしていないという話ですよね。

 だけれども、もう二つの工法を説明しているわけですよ。私はこっちの問題、RCの方は知らないですからあれですけれども、私の知っている方でいえば、実際に住民からすごい振動の苦情が出るものになっているわけですよね。そういうことも説明せずに、いろいろ準備ができましたよ、はい、これで進めますという説明会では、住民は絶対納得しないですよ。やはり、いろいろな問題が起きているんだというのは国交省も把握しているわけですから、そういうことも住民説明会でやらなきゃまずいんじゃないかと思います。

 各立て坑の周りは、住宅街もある、介護施設もあります。小野路の立て坑のそばでいえば、青山学院大学の馬術部が馬を飼って、部員の皆さんも一緒に暮らしていらっしゃるわけですよね。馬も人間同様、人間以上と言ってもいいかもわからないですね、大変繊細なわけですよね。ですから、こういうことを住民不在で進めていくということはあってはならないということを指摘しておきたいと思います。

 それから次に、JR東海がこの間住民に対して説明している資料の中に、工事に伴う補償というペーパーがあります。工事施行によって、地盤沈下などが発生し、建物などが損傷または損壊した場合に、原状回復するために要する費用を負担しますというふうに書いてあります。これは、地盤沈下などで建物損壊の可能性があると見ているということでよろしいんでしょうか。

西村(明)副大臣 損壊の可能性という以前に、しっかりとした調査を行わなければならないというふうに思っております。

 まず、リニア中央新幹線の事業を含めまして、大深度の地下区間において構造物を整備する場合に当たっては、強固な支持地盤よりさらに十メートル以上深い場所で施工することになります。

 さらに、一般的に、シールド工法では地下水の流出が出にくい工法でございまして、JR東海の環境影響評価書におきましても、「シールド工法そのものによって、地下水の流出などが原因で地盤沈下が生じたというような事例は確認されておりません。」というふうに記載されております。

 このようなことから、リニア中央新幹線の事業におきましては、適切に施工が行われれば、大深度区間でのシールド工法による地盤沈下は生じないものと考えております。

 このため、JR東海におきましては、地上部の家屋調査などは行わない方針と聞いておりますけれども、念のため、実際の工事の際には、地表面の状況について変位がないことを確認しながら進めていくというふうに聞いております。

 国土交通省といたしましても、地域住民等への丁寧な説明による地域の理解そして協力を得ながら、安全かつ確実な施工が行われるようにJR東海をしっかりと指導してまいります。

宮本(徹)委員 今、JR東海の見解をおっしゃられましたけれども、先ほど紹介された文章のすぐ上に、これまでのシールドトンネルの実績によれば、それほど深くない地下においては、施工管理の不手際などの理由による地盤沈下の事例は幾つか報告されていますというふうに書いているわけですね。これはJR東海の文章ですよ。都合のいいところだけ読まれたら、大変私も困ってしまうわけです。

 もう一度お伺いしますが、工事に起因する地盤沈下による建物などへの補償とあるわけですから、地盤沈下は、発生しないんじゃなくて、発生する可能性があるということなんじゃないんですか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 シールド工法につきましては、これまでの実績を踏まえますと、適切に施工が行われれば地盤沈下は生じないものというふうに承知をしておりまして、適切な施工をしっかりと確保していくことが大切かと思ってございます。

宮本(徹)委員 適切にと言うんだけれども、人間がやることだから適切じゃない場合もあるから、今までいろいろな事故だって起きて、死亡事故だって起きているわけじゃないですか、シールド工事で。それで、国交省だって、いろいろな検討会を開いてやってきたわけじゃないですか。

 適切じゃないことがあり得るからこういうのを出しているんじゃないですか。違うんですか。お答えください。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 適切な施工を確保することがまず第一義でございますけれども、何らかの変位が生じた場合には補償するということを含めて対応をするということでございますから、先ほど副大臣からお答え申し上げましたとおり、念のために、施工の際に地表面の状況などの変位を確認しながら進めていくということにしているところでございます。

宮本(徹)委員 では、適切じゃない場合もあるということでよろしいわけですね。適切に行われない場合もあって、こういう補償をしなきゃいけない局面があると。

篠原政府参考人 あくまでも、適切に施工していくということをしっかり確保していくというポジションでございます。

宮本(徹)委員 だって、人間のやることに間違いはないと言うんだったら、こんなものを出す必要もないわけで、あるから出しているわけですよ。

 実際に適切じゃない場合もあるわけですよね、この間の事例でも。国交省は責任を認めないですけれども、名古屋の二環の工事でも家屋被害を訴える方々が複数出ていらっしゃるのは御存じだというふうに思います。

 ですから、先ほど、今回家屋調査はやらないということを言っていますけれども、実際は、国交省中心にやっている外環道だって家屋調査をやっているわけですよ。今度、JR東海は家屋調査もやらないというのは、自分たちは絶対事故は起こさないんですよ、こういうことを補償するなんて言っているけれども、実際は補償する気なんてないんですよと言っているようなものじゃないですか。

 補償しようと思ったら、事前に家屋調査をやるしかないんですよ。事前に家屋調査せずに、家が壊れたかどうかなんというのは比較のしようがないわけですからね。そんなでたらめなやり方はまずいんじゃないですか。

西村(明)副大臣 家屋調査を外環のようにはやらないということでございますけれども、家屋調査そのもののほかに、地表面の変位をしっかりと調査しながら進めていくというふうに承知しておりますので、その地表面の変位の調査を進めていくことによって同様の効果が得られるものと承知しております。

宮本(徹)委員 地表面の調査をすることと一軒一軒の家屋を調査するのは、全く違うじゃないですか。

 地表面にわずかなずれがあったら、それをもって、この家は少したてつけが悪くなりました、では、その因果関係はどうやって説明するんですか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 外環道路につきましても、家屋調査を行いますのはあくまでも念のためということで聞いておりまして、私どもと同様に、大深度地下を利用したシールド工法では地上への影響は生じないという前提に立ちつつ、念のため家屋調査を、大深度地下を活用した初めての道路事業ということでやっておられるというふうに聞いております。

宮本(徹)委員 全く、私の聞いていることへの答弁になっていないんですよ。

 時間が来ちゃいましたから、またほかの委員会でやらせていただきますけれども、こういうでたらめなやり方でリニアの工事を進めていくというのは絶対許されないということだけ強く申し上げておきたいと思います。

 以上で終わります。

鳩山委員長 次回は、来る二十六日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三分散会


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